衆議院

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第29号 平成30年6月15日(金曜日)

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平成三十年六月十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 高鳥 修一君

   理事 後藤 茂之君 理事 田村 憲久君

   理事 橋本  岳君 理事 堀内 詔子君

   理事 渡辺 孝一君 理事 西村智奈美君

   理事 岡本 充功君 理事 桝屋 敬悟君

      赤澤 亮正君    秋葉 賢也君

      穴見 陽一君    安藤 高夫君

      井野 俊郎君    大岡 敏孝君

      大見  正君    神谷  昇君

      神田  裕君    木村 哲也君

      木村 弥生君    国光あやの君

      小泉進次郎君    小林 鷹之君

      後藤田正純君    佐藤 明男君

      塩崎 恭久君    繁本  護君

      白須賀貴樹君    田中 和徳君

      田畑 裕明君    高木  啓君

      高橋ひなこ君    中曽根康隆君

      長尾  敬君    藤井比早之君

      船橋 利実君    三ッ林裕巳君

      宗清 皇一君    山田 美樹君

      池田 真紀君    尾辻かな子君

      長尾 秀樹君    長谷川嘉一君

      初鹿 明博君    吉田 統彦君

      大西 健介君    白石 洋一君

      山井 和則君    柚木 道義君

      伊佐 進一君    中野 洋昌君

      高橋千鶴子君    浦野 靖人君

      柿沢 未途君

    …………………………………

   議員           岡本 充功君

   議員           大西 健介君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   厚生労働副大臣      高木美智代君

   厚生労働大臣政務官    田畑 裕明君

   厚生労働大臣政務官    大沼みずほ君

   衆議院管理部長      花島 克臣君

   政府参考人

   (内閣法制局第四部長)  高橋 康文君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   市川 健太君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  福田 祐典君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       田中 誠二君

   参考人

   (一般社団法人全国がん患者団体連合会理事長)

   (一般社団法人グループ・ネクサス・ジャパン理事長)            天野 慎介君

   参考人

   (日本肺がん患者連絡会理事長)          長谷川一男君

   参考人

   (名古屋市立大学大学院医学研究科心臓・腎高血圧内科学分野教授)

   (名古屋市立大学病院副病院長)          大手 信之君

   参考人

   (青森県健康福祉部医師確保対策監兼中南地域県民局地域健康福祉部長(弘前保健所長))

   (全国保健所長会会長)  山中 朋子君

   参考人

   (東北大学環境・安全推進センター教授)

   (東北大学大学院医学系研究科産業医学分野教授)  黒澤  一君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十四日

 辞任         補欠選任

  足立 康史君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  浦野 靖人君     足立 康史君

同月十五日

 辞任         補欠選任

  木村 弥生君     宗清 皇一君

  国光あやの君     神田  裕君

  小林 鷹之君     藤井比早之君

  塩崎 恭久君     田中 和徳君

  繁本  護君     中曽根康隆君

  長尾  敬君     神谷  昇君

  船橋 利実君     大見  正君

  尾辻かな子君     長尾 秀樹君

  足立 康史君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  大見  正君     船橋 利実君

  神谷  昇君     長尾  敬君

  神田  裕君     国光あやの君

  田中 和徳君     塩崎 恭久君

  中曽根康隆君     高木  啓君

  藤井比早之君     小林 鷹之君

  宗清 皇一君     木村 弥生君

  長尾 秀樹君     尾辻かな子君

  浦野 靖人君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     繁本  護君

    ―――――――――――――

六月十四日

 国の責任でお金の心配なく誰もが必要な医療・介護を受けられるようにすることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二五一九号)

 社会保険料の負担軽減に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二五二〇号)

 同(本村伸子君紹介)(第二五二一号)

 安全・安心の医療・介護の実現と夜勤交代制労働の改善に関する請願(宮本徹君紹介)(第二五二二号)

 同(本村伸子君紹介)(第二五二三号)

 同(吉川元君紹介)(第二五二四号)

 同(早稲田夕季君紹介)(第二五二五号)

 同(生方幸夫君紹介)(第二六一九号)

 同(中島克仁君紹介)(第二六二〇号)

 同(もとむら賢太郎君紹介)(第二七八〇号)

 同(早稲田夕季君紹介)(第二七八一号)

 難病患者が安心して生き、働ける社会の実現に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二五二六号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(今村雅弘君紹介)(第二五二七号)

 同(上杉謙太郎君紹介)(第二五二八号)

 同(玄葉光一郎君紹介)(第二六二二号)

 同(中島克仁君紹介)(第二六二三号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二六二四号)

 同(村上誠一郎君紹介)(第二六二五号)

 同(鷲尾英一郎君紹介)(第二七八三号)

 障害福祉についての法制度の拡充に関する請願(池田道孝君紹介)(第二五二九号)

 同(今井雅人君紹介)(第二五三〇号)

 同(今村雅弘君紹介)(第二五三一号)

 同(遠藤敬君紹介)(第二五三二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二五三三号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二五三四号)

 同(土屋品子君紹介)(第二五三五号)

 同(原田憲治君紹介)(第二五三六号)

 同(緑川貴士君紹介)(第二五三七号)

 同(渡辺孝一君紹介)(第二五三八号)

 同(渡辺周君紹介)(第二五三九号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二六二六号)

 同(浅野哲君紹介)(第二六二七号)

 同(笠井亮君紹介)(第二六二八号)

 同(玄葉光一郎君紹介)(第二六二九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二六三〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第二六三一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二六三二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二六三三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二六三四号)

 同(中島克仁君紹介)(第二六三五号)

 同(西村明宏君紹介)(第二六三六号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二六三七号)

 同(藤野保史君紹介)(第二六三八号)

 同(緑川貴士君紹介)(第二六三九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二六四〇号)

 同(宮本徹君紹介)(第二六四一号)

 同(村上誠一郎君紹介)(第二六四二号)

 同(本村伸子君紹介)(第二六四三号)

 同(山尾志桜里君紹介)(第二六四四号)

 同(足立康史君紹介)(第二七一三号)

 同(近藤昭一君紹介)(第二七一四号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二七一五号)

 同(初鹿明博君紹介)(第二七一六号)

 同(牧義夫君紹介)(第二七一七号)

 同(井上一徳君紹介)(第二七八四号)

 同(菅直人君紹介)(第二七八五号)

 同(佐々木紀君紹介)(第二七八六号)

 同(下条みつ君紹介)(第二七八七号)

 同(末松義規君紹介)(第二七八八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二七八九号)

 同(遠山清彦君紹介)(第二七九〇号)

 同(永岡桂子君紹介)(第二七九一号)

 同(もとむら賢太郎君紹介)(第二七九二号)

 同(森山浩行君紹介)(第二七九三号)

 神経系疾患である筋痛性脳脊髄炎の研究推進に関する請願(大串博志君紹介)(第二五四〇号)

 同(大隈和英君紹介)(第二五四一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二五四二号)

 同(佐藤茂樹君紹介)(第二五四三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二五四四号)

 同(富田茂之君紹介)(第二五四五号)

 同(生方幸夫君紹介)(第二六四五号)

 同(金子恵美君紹介)(第二六四六号)

 同(後藤茂之君紹介)(第二六四七号)

 同(中野洋昌君紹介)(第二六四八号)

 同(長尾敬君紹介)(第二六四九号)

 同(西村明宏君紹介)(第二六五〇号)

 同(井出庸生君紹介)(第二七一八号)

 同(尾辻かな子君紹介)(第二七一九号)

 同(木原誠二君紹介)(第二七二〇号)

 同(津村啓介君紹介)(第二七二一号)

 同(初鹿明博君紹介)(第二七二二号)

 同(池田真紀君紹介)(第二七九四号)

 同(木村弥生君紹介)(第二七九五号)

 同(辻元清美君紹介)(第二七九六号)

 同(石破茂君紹介)(第二八三七号)

 公正な賃金・労働条件に関する請願(田村貴昭君紹介)(第二五四六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二五四七号)

 同(中島克仁君紹介)(第二六五一号)

 同(津村啓介君紹介)(第二七二三号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二七二四号)

 同(田嶋要君紹介)(第二七九七号)

 同(鷲尾英一郎君紹介)(第二七九八号)

 難病・長期慢性疾病・小児慢性特定疾病対策の総合的な推進に関する請願(今村雅弘君紹介)(第二五四八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二五四九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二五五〇号)

 同(富田茂之君紹介)(第二五五一号)

 同(玄葉光一郎君紹介)(第二六五二号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二七二五号)

 同(永岡桂子君紹介)(第二七九九号)

 同(森山浩行君紹介)(第二八〇〇号)

 ウイルス性の肝がん・重度肝硬変患者の支援と肝炎ウイルス検診等の推進に関する請願(繁本護君紹介)(第二五五二号)

 同(白石洋一君紹介)(第二五五三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二五五四号)

 同(高橋ひなこ君紹介)(第二五五五号)

 同(吉田統彦君紹介)(第二五五六号)

 同(田村憲久君紹介)(第二六五四号)

 同(長尾敬君紹介)(第二六五五号)

 同(安藤高夫君紹介)(第二七二八号)

 同(橋本岳君紹介)(第二七二九号)

 同(長谷川嘉一君紹介)(第二七三〇号)

 同(初鹿明博君紹介)(第二七三一号)

 同(足立康史君紹介)(第二八〇二号)

 同(菅直人君紹介)(第二八〇三号)

 同(木村哲也君紹介)(第二八〇四号)

 同(木村弥生君紹介)(第二八〇五号)

 同(国光あやの君紹介)(第二八〇六号)

 同(堀内詔子君紹介)(第二八〇七号)

 同(古屋範子君紹介)(第二八三八号)

 てんかんのある人とその家族の生活を支えることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二五五七号)

 同(吉田統彦君紹介)(第二五五八号)

 同(大隈和英君紹介)(第二七三二号)

 同(池田真紀君紹介)(第二八〇八号)

 同(鷲尾英一郎君紹介)(第二八〇九号)

 学童保育(放課後児童健全育成事業)の「従うべき基準」を堅持することに関する請願(上杉謙太郎君紹介)(第二五五九号)

 同(河井克行君紹介)(第二五六〇号)

 同(神田憲次君紹介)(第二五六一号)

 同(高橋ひなこ君紹介)(第二五六二号)

 同(堀越啓仁君紹介)(第二五六三号)

 同(本村伸子君紹介)(第二五六四号)

 同(吉川貴盛君紹介)(第二五六五号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二六五六号)

 同(穴見陽一君紹介)(第二六五七号)

 同(笠井亮君紹介)(第二六五八号)

 同(金子恵美君紹介)(第二六五九号)

 同(玄葉光一郎君紹介)(第二六六〇号)

 同(小林茂樹君紹介)(第二六六一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二六六二号)

 同(志位和夫君紹介)(第二六六三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二六六四号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二六六五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二六六六号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二六六七号)

 同(福山守君紹介)(第二六六八号)

 同(藤野保史君紹介)(第二六六九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二六七〇号)

 同(宮本徹君紹介)(第二六七一号)

 同(本村伸子君紹介)(第二六七二号)

 同(山尾志桜里君紹介)(第二六七三号)

 同(あべ俊子君紹介)(第二七三三号)

 同(泉健太君紹介)(第二七三四号)

 同(近藤昭一君紹介)(第二七三五号)

 同(櫻井周君紹介)(第二七三六号)

 同(橋本岳君紹介)(第二七三七号)

 同(馳浩君紹介)(第二七三八号)

 同(遠藤利明君紹介)(第二八一〇号)

 同(岡本あき子君紹介)(第二八一一号)

 同(小林鷹之君紹介)(第二八一二号)

 同(田野瀬太道君紹介)(第二八一三号)

 国民が安心して暮らせるための社会保障制度の確立等を求めることに関する請願(金子恵美君紹介)(第二六一六号)

 社会保障の連続削減を中止し、充実を求めることに関する請願(畑野君枝君紹介)(第二六一七号)

 医療・介護の負担増の中止に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二六一八号)

 国の責任で社会保障制度の拡充を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第二六二一号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二七八二号)

 現下の雇用失業情勢を踏まえた労働行政体制の拡充・強化を目指すことに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二六五三号)

 同(近藤昭一君紹介)(第二七二六号)

 同(初鹿明博君紹介)(第二七二七号)

 同(池田真紀君紹介)(第二八〇一号)

 保険でよい歯科医療の実現を求めることに関する請願(畑野君枝君紹介)(第二七一一号)

 同(森山浩行君紹介)(第二七七八号)

 子供のための予算を大幅にふやし国の責任で安心できる保育・学童保育の実現を求めることに関する請願(畑野君枝君紹介)(第二七一二号)

 介護保険制度の改善、介護報酬の引き上げ、介護従事者の処遇改善と確保に関する請願(畑野君枝君紹介)(第二七七九号)

 中小零細企業の社会保険料負担の軽減、国庫負担増に関する請願(志位和夫君紹介)(第二八三五号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二八三六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 健康増進法の一部を改正する法律案(内閣提出第四七号)

 健康増進法の一部を改正する法律案(岡本充功君外一名提出、衆法第三六号)


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     ――――◇―――――

高鳥委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、健康増進法の一部を改正する法律案及び岡本充功君外一名提出、健康増進法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 本日は、両案審査のため、参考人として、一般社団法人全国がん患者団体連合会理事長、一般社団法人グループ・ネクサス・ジャパン理事長天野慎介君、日本肺がん患者連絡会理事長長谷川一男君、名古屋市立大学大学院医学研究科心臓・腎高血圧内科学分野教授、名古屋市立大学病院副病院長大手信之君、青森県健康福祉部医師確保対策監兼中南地域県民局地域健康福祉部長(弘前保健所長)・全国保健所長会会長山中朋子君、東北大学環境・安全推進センター教授、東北大学大学院医学系研究科産業医学分野教授黒澤一君、以上五名の方々に御出席をいただいております。

 この際、一言、参考人の方々に御挨拶申し上げます。

 本日は、大変御多用中のところ当委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、どうかよろしくお願いいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ十分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、発言する際はその都度委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、まず天野参考人にお願いいたします。

天野参考人 本日は、このような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 私から意見を申し述べます。

 全国がん患者団体連合会は、さまざまながんや地域のがん患者会が加盟する連合組織であり、本日、この後お話をされる長谷川さんが代表を務める肺がん患者の会も私たちの加盟団体の一つでございます。

 私自身は、平成十二年、二十七歳のときに血液がんである悪性リンパ腫を肺などに発症いたしまして、抗がん剤治療や放射線治療などを経験したがん患者でございます。二回の再発を経験いたしましたが、治療による副作用で重篤な間質性肺炎や左目の視力を失うという経験をしたものの、幸い私自身の場合はたまたま治療が奏功し、今こうして皆様の前でお話しすることができております。

 しかし一方で、私と同じころに治療した同世代の若年がん患者で、亡くなったがん患者の方々も多くいらっしゃいました。また、がん患者会の活動を通じて出会った方々の中にも、旅立たれた方々もいらっしゃいました。

 亡くなられた方々は、もし治療が奏功したならば、やりたかったことはたくさんあっただろうと思いますし、こうして皆さんの前で訴えたかったこともたくさんあったかもしれません。

 私たちがん患者会が受動喫煙対策の推進をお願いするのは、多くのがん患者や家族が経験した身体的、精神的そして社会的な痛み、悲しみ、苦しみを経験する方が一人でも減ってほしい、救える命を一人でも多く救ってほしいとの思いがあるからであり、がんの関連学会や他の疾病団体とともに繰り返し要望してまいりました。

 受動喫煙対策に関して申し上げるならば、その痛み、悲しみ、苦しみはがんだけにとどまりません。喫煙はがん、呼吸器疾患、循環器疾患、糖尿病、歯科疾患などの原因となっており、受動喫煙は肺がんや呼吸器疾患、心疾患、乳幼児突然死症候群などの発症リスクを高めていることが明らかです。

 御承知のとおり、国立がん研究センターによる推計では、日本において受動喫煙が原因で年間一万五千人が亡くなっているとされています。年間一万五千人の方が亡くなるとは、単純計算するならば、三十五分に一人の命が今この瞬間に日本で失われていることになります。

 受動喫煙対策の推進は、FCTC、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約においても求められていることや、WHOやIOCがたばこのないオリンピックを共同で推進するとしているということももちろんございますが、一番重要なのは、今この瞬間に救える命を救うために、直ちに国に行動を起こしていただきたいからだと考えます。政府や与党の皆様におかれましては、長らく受動喫煙対策の推進にかかわる法的措置を検討いただいてきたわけですが、一日も早く実効性のある受動喫煙対策の第一歩を踏み出していただきたいと願います。

 しかし、第一歩を踏み出すことが重要ではございますが、第一歩を踏み出しさえすればよいのでしょうか。私たちが本当に目指すべき北極星、目標はどこにあるのでしょうか。

 平成三十年三月に閣議決定された国のがん対策推進基本計画においては、「望まない受動喫煙のない社会をできるだけ早期に実現する」とされています。この目標について、加藤厚生労働大臣は、望まない受動喫煙をなくすということは、望まない受動喫煙をゼロにすると同義であると国会でおっしゃっていました。望まない受動喫煙をゼロにするという目標から見た場合、更に、第一歩にとどまらず、二歩、三歩と進めていただく場合、今回の改正案で不足している点があると考えますので、特に次の三点について意見を述べます。

 まず一点目です。改正案では、原則屋内禁煙としている一方で、法律に定める日までの経過措置として、客席面積が百平方メートル以下であるなど一定の条件を満たす既存の飲食店については、例外的に喫煙可能とされています。例外規定とするならば、それは限定的とすべきであり、そもそも受動喫煙をゼロにするという目標から考えれば、例外的な規定を設けるべきではありません。

 それでもなお、国会で十分に議論をしていただいて、例外的な規定を設けるということであれば、この経過措置を漫然と放置してはならないと考えます。改正案では、法律の施行後五年を経過した場合、必要があると認めるときには必要な措置を講ずるとされていますが、仮に二〇二〇年から法律が施行された場合、これから実に七年近く、この例外的な規定が残ることになりかねません。

 東京都では既に、国の改正案よりも厳しい独自の条例案を審議していますが、同様の動きが他の自治体でも広がっています。自治体が国より進んだ受動喫煙対策を進めることによって、将来的には国も、これらの自治体のように、受動喫煙対策を進めざるを得なくなる可能性があると考えます。この例外的な経過措置は、できるだけ早期に見直していただきたい、附帯決議などで早期に見直すとしていただきたいと考えます。

 二点目になります。改正案では、加熱式たばこについても同様に、当分の間の経過措置として、加熱式たばこ専用の喫煙室を設置すれば、飲食をしながら喫煙することが可能とされています。加熱式たばこからもニコチンやホルムアルデヒドが発生していますし、それは見えないエアロゾルとなって周囲に拡散しています。一方で、世界二十五カ国で販売されている中で、その九割が日本で販売されており、世界の中でも突出しています。

 加熱式たばこの受動喫煙のリスクについて、WHOは、科学的根拠は十分ではないものの、全てのたばこ製品は有害であり、加熱式たばこについてもたばこに関する規制の対象とすべきであるとしています。販売量が突出している日本で、加熱式たばこに関する健康被害が実際に出始めてからでは遅いと考えます。加熱式たばこに関する例外的な経過措置についても、漫然と放置することなく、できるだけ早期に見直していただきたい、附帯決議で早期に見直すとしていただきたいと考えます。

 三点目です。学校、病院、行政機関などについては、敷地内禁煙とされているものの、屋外で受動喫煙を防止する必要な措置がとられた場所に、喫煙場所を設置できるとされています。このうち、小学校、中学校、高等学校については、未成年の児童や生徒が日常的に多数いらっしゃり、未成年の児童や生徒はそもそも望まないとみずから意思表示をすることも困難な場合もあることから、敷地内禁煙を徹底していただくことが必要と考えます。

 最後になります。

 現在、働き方改革関連法案が審議されており、その中で、働く人の視点に立った働き方改革を実現するとしていただいています。働く人の視点に立った働き方とはどのようなことでしょうか。

 本日いらっしゃる国会議員の皆様にお尋ねします。

 もし皆様よりも上の立場の方が目の前でたばこを吸い始めたとしたら、皆様はその方に対して、たばこを吸うのをやめてくれとか、たばこを外で吸ってくれとか、たばこの吸えない店に行きましょうとか、おっしゃっていただくことはできるのでしょうか。企業や飲食店においてもこれは同様です。企業の社員は上司に対してたばこをやめてくれとはなかなか言い出せない場合もあるでしょうし、飲食店の従業員はお客さんに対してたばこを外で吸ってくれと言うのも勇気が要る場合もあるでしょう。

 このことは、私たち、がんを始めとするさまざまな疾病を抱えながら仕事をし、生活をする方々にとっては、なお言いづらいことでございます。飲食店に勤務されている方の中には、せきがとまらなくなり、病院を受診したところ、店をやめるか店内禁煙にするか選ぶよう医師に言われたと語る人もいます。

 働く人たちの健康と命を守るためにも、今回、法律を成立させるのみならず、さらなる実効性のある受動喫煙対策を推進していただきたいと願います。

 私からは以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

高鳥委員長 ありがとうございました。

 次に、長谷川参考人にお願いいたします。

長谷川参考人 長谷川と申します。このような機会をいただき、ありがとうございます。よろしくお願いします。

 私は、日本に十一ある肺がんの患者会の連合体、日本肺がん患者連絡会の代表であり、当事者、肺がんの患者でもあります。喫煙歴はありません。受動喫煙によって病気になったのではないかと思っている人間です。

 命に限りがあると告げられると、いろいろなものがそぎ落とされ、自分にとって大切なものだけが残っていきます。今回の健康増進法の改正は、私にとってその大切なものの一つです。受動喫煙に苦しむ人を減らす法律だからです。今回はそんな肺がん患者の立場から申し上げます。

 まず明確にしておきたいのは、今回の政府案に私は強く反対いたします。

 塩崎前厚労大臣の案において、受動喫煙をなくす、国民の健康と命を守るという姿勢が明確に示されていたと思いますが、現政府案はその姿勢が大幅に後退していると考えています。

 その象徴とでもいうべき具体的な項目を挙げます。

 政府案では、子供たちのいる学校でたばこを吸うことを認めています。塩崎前大臣の案では禁煙でした。一切吸えません。ところが、今回の政府案では、吸ってもよいに変わったのです。

 がんは生涯のうち二人に一人は患うと言われ、国民にとって最も大きな健康課題であり、その基礎的な教養を身につけるべきと国は言っています。数年後には学校でのがん教育も全面実施になります。そこでは、命の大切さを感じること、がんを正しく理解し、予防や早期発見へとつなげることを目標としています。

 言うまでもないことですが、最大のがん予防は喫煙しないことです。それだけでなく、たばこには他人を傷つけることもあること、受動喫煙も生徒たちは学びます。そうした中で、学校で喫煙場所を設けることを法律は認めようとしています。言っていることとやっていることが異なる、大人として絶対にやってはならないことを認めようとしていると私は感じています。

 もう一度言います。自分を大切にしてほかの人も大切にする、そう教える学校で、自分を大切にせず他人を傷つけるたばこを吸えるようにする法律が進められようとしています。これはおかしいです。

 一体なぜこんなことが起こるんでしょうか。受動喫煙を原因とする死亡者は年間一万五千人です。もしかしたら、この死んでいった人たちの思いが伝わっていないのかもしれない、私はそう考えました。ならば、この機会にお伝えしたいと思います。受動喫煙によってどのような苦しみを味わうのか、私自身の体験をお話ししたいと思います。

 私が罹患したのは八年前です。せきが突然出始めて病院に駆け込んだところ、肺がんとわかりました。進行度を示すステージは、最も進んだ4です。五年後生存率は五%ほどでした。私には喫煙歴がありません。なぜ肺がんなのか、そんな思いが自然と湧き上がりました。

 振り返ってみると、発症前に受動喫煙を多く経験していました。私が受動喫煙したのは、まず、親からです。父親は一日二箱吸うヘビースモーカーでした。家の台所に換気扇というのがあると思うんですけれども、私の家にはリビングに換気扇がついていました。母親が煙を嫌ってつけたんです。本を開くとたばこの灰が舞って、畳のところには、焦げた、たばこを押しつけた跡がある、そういう家で育ちました。

 その父親は肺がんで亡くなりました。最後には、なぜこういったたばこに害があることを教えてくれないのかといって亡くなっていったことを覚えています。

 大人になって働くようになると、職場においても私は受動喫煙を経験しています。私が就職したのは二十五年ほど前ですが、職場ではほとんどの方が吸っていました。

 がんを患う中で、逆に、人間に備わった強さのようなものも感じるようになりました。人は、どんな苦難に遭っても、それを乗り越えようとします。

 今からちょっとお見せしたいものがあるんですが、これを見ていただけますでしょうか。コルセットです。

 私は病気で背骨がもろくなって、少しでも力がかかると背骨が潰れてしまって下半身不随になる、そういった危険性を持っています。それを守るためにこのコルセットをしています。きょうここに来るときも、電車でラッシュでした。そうすると恐怖を感じます。そんな生活です。

 でも、だからといって嘆き悲しんでいるわけではありません。むしろ何とも思いません。病気が悪くなっていっても、できることは必ず残されている、それをやり続ければいい、そういうふうに、ある看護師さんから言われました。そして、そう思っていると、家族が支えてくれて、医療者も支えてくれて、ともに今生きています。そして、そんなふうにしていれば、いつかがんという病を誇りに変えられるのではないか、本気で思っています。受動喫煙で死んでいった一万五千人の方々も同じことを考えていたのではないでしょうか。

 しかしながら、最近、こういった人間の強さみたいなものが受動喫煙の対策をおくらせる原因ではないかというふうに考えるようにもなりました。限られた命を全うしたいのであれば、原因探しは無駄です。むしろマイナス。誰かを攻撃する時間に使うなんてばかばかしいです。つまり、受動喫煙の被害の声は上がらないということになります。

 患者が懸命に生きようとすればするほど受動喫煙の被害は置き去りになる、そう思うようになりました。そして、被害の声が上がらないことで、もしその重さが軽く考えられているのだとすれば、それはとてもやりきれません。年間で死んでいくのが一万五千人です。その声なき声にぜひ耳を傾けていただきたいと思います。

 では、最初に戻ります。

 政府案では、受動喫煙をなくそうとしています。しかし、本当になくなるのかどうかをいま一度考えていただきたいです。

 学校で喫煙を認めています。飲食店では屋内禁煙をうたいながらも例外があり、五五%ほどがその例外にはまっています。法律の見直しは、経過措置のある飲食店では見直しが規定されていますけれども、どうやってやるかが全くわかりません。安全性の確立されていない加熱式たばこがなぜ規制が緩いのか等々、修正すべき若しくは附帯決議で何らかの文言をつけるポイントは幾つも出てきます。

 受動喫煙をなくす、そんな法律をぜひつくっていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 これで終わります。ありがとうございました。(拍手)

高鳥委員長 ありがとうございました。

 次に、大手参考人にお願いいたします。

大手参考人 名古屋市立大学の大手でございます。

 このような機会をお与えいただきまして、本当に心より感謝しております。また、平素、名古屋市立大学、また私が属しております日本循環器学会が大変お世話になっていることを感謝申し上げます。

 このプリントに沿って説明させていただきたいと思いますが、健康増進のための禁煙というプリントでございます。

 一ページをあけていただきますと、ページ数を振らなかったという非常にミステークをしてしまいまして申しわけございません、フラミンガム研究、危険因子と冠動脈疾患発生頻度というグラフでございます。

 一番中段に総コレステロールという欄がございますけれども、これが百八十五から三百三十五までふえると、冠動脈疾患の発生頻度が千人・八年あたり三・九人になるということがわかります。心臓の冠動脈疾患は、本来、コレステロールがたまって起こるのではないかというふうな理解でございますけれども、そしてその一段右へ行っていただきますと、耐糖能異常と高血圧が加わりますと、これが二十三・二人になります。これは指数関数的にふえていることが明らかでございます。その右側、喫煙が加わりますと三十四・六、更に左室肥大が加わりますと六十・二に上がってまいります。

 ここで、総コレステロール、耐糖能異常、高血圧、喫煙、左室肥大で、我々がすぐ関与できるものといえば喫煙であって、喫煙をやめることによってかなりのリスク軽減が得られるということがわかります。

 次のプリントをお願いします。

 日本人における急性心筋梗塞の発症リスク、それぞれのリスクファクターの重みでございますが、高血圧がございますと約五倍、糖尿病ですと約四倍、喫煙は約四倍、高脂血症、これは高コレステロール血症でございますけれども、一・何倍であって、コレステロールは、高いことが問題ではございますけれども、リスクの重みは大して高くない。高血圧、糖尿病、喫煙が高いということが日本人でもわかります。

 この中で、先ほど申し上げましたように、喫煙をやめることによってこのリスクを一気に軽減することができるというのが明らかでございます。

 次のページをお願いします。

 日本における二〇〇七年の非感染性疾患及び外因による死亡数への各種リスク因子の寄与ということで、急性感染症を除いた場合の日本人の死亡に何が関係しているかということでございますけれども、最上段が喫煙でございます。

 最上段が喫煙で、ブルーの欄が心血管病、ダイダイの欄が、がんですね。それから、緑の欄が呼吸器疾患でございます。その下、高血圧でございますけれども、高血圧は一方的に心疾患にかかわるわけですけれども、最上段の喫煙は、心臓病、がん、呼吸器疾患全てにかかわって、日本の非感染症の死因に最も関係することでございます。

 数段下がっていただきますとヘリコバクター・ピロリの感染症がございますけれども、今ヘリコバクターが胃がんの原因であるということは周知のことでございまして、もし我々がヘリコバクターがあればすぐ治療するわけで、私ももう既に除菌しておりますけれども、どうして喫煙に関してはそれができないかということは、やはり医師としては疑問に思うところでございます。

 次のページをお願いします。

 受動喫煙の冠動脈疾患に及ぼす影響でございます。喫煙のリスクは、もう既に今申し上げたように十分承知のことでございますけれども、では、受動喫煙はいかがかということがここに掲げてございます。

 これは、私は心臓ですので冠動脈疾患ということになりますが、受動喫煙は、主流煙に比べて副流煙はその含まれる有害物質が多いということは既に周知のことでございますけれども、副流煙というのは大気に拡散しますので、その濃度はというと必ずしも高くないかもしれませんが、ここにございますように、相対危険率は、受動喫煙の本数がゼロの人に比べて、一から十九本の人は一・二三倍、二十本以上の方は一・三倍になるということが示されております。これは肺がんの受動喫煙による発生と余り変わらない数字かと思います。

 ここで重要なことは、一番下を見ていただきますと、この論文が一九九九年に出ているということでございます。これはもう相当前のことでございまして、既にこういうことは二十年前にわかっているということでございます。

 次のページ、加熱式たばこと通常たばこ間における有害吸入物質の比率でございますが、加熱式たばこのことがここに書いてございますけれども、確かに、揮発性有機物質とか非揮発性有機化合物、同じような範疇に入る。それから、無機化合物が減っております。ただし、左に赤で書いていますアセナフテン、これは二九五で、三倍含まれています。非常に発がん性の強い物質がやはり含まれているということですね。それから、その他に書いてございます、ニコチンが八四%で余り減っていない。つまり、加熱式たばこも習慣性を持たせる作用があるということが、これを見ると明らかであると考えます。

 一番下に、これは英語で少し書いてありますが、そのとおり写してきました。ノースモーク、確かに煙は出ない。しかし、ジャスト・キャンサー・コージング・ケミカルズと書いてあります。これは、がんを起こす物質であるというふうに編集者は言い切っております。

 では、次のプリントをお願いします。

 これは名古屋市立大学、名古屋市立大学病院による取組でございますけれども、右側の言葉は、これは市に提出した言葉で少しきつくなっておりますけれども、我々、患者中心の医療の推進、療養環境の整備と利便性、療養環境というのが非常に重要でございまして、受動喫煙を防止するということが重要でございます。

 キャンパス内は全面禁煙でございますし、右側は、キャンパスから外の歩道に向けて、歩道での喫煙は歩行者の方に迷惑がかかりますと。これは、近隣から苦情が参りますので、こういうふうに掲げてございます。実は、患者さん方が少し吸っておられたんですけれども、最近はそれも見かけることはなくなりました。この取組は非常にうまくいっていると思います。少なくとも、大学という、大学病院という環境においてはうまくいっているというふうに考えております。

 次のページをお願いします。

 日本循環器学会新禁煙宣言二〇一三、赤線を引いてございます、その上がちょっと抜かっていまして、喫煙はさまざまな疾病を引き起こす危険因子の中でも確実に取り除くことが可能である、自分の意思で取り除くことが可能でありまして、また、受動喫煙では、環境を整備することによって取り除くことが可能でございます。循環器疾患における喫煙の相対危険度は、冠動脈疾患で一・七から三倍、脳卒中、一・七から八倍、突然死、一・四から十倍と極めて高いということがわかっています。

 下の赤線の部分ですが、受動喫煙防止条例を実施している欧米諸国では、急性冠イベントの発症率が条例施行後速やかに減少しているという事実がございます。

 循環器学会は、これを目的に、二〇〇二年に既に禁煙宣言を行っています。先ほどの一九九九年ですか、それとほとんど遜色ないというか、スタートのラインは非常に近接して起こっておりまして、こういう取組をやっております。

 また、最下段にございますように、東京都に対しても要望を出しております。

 次のページをお願いします。

 第一次脳卒中と循環器病疾患五カ年計画ストップCVDというのを循環器学会は推進しておりまして、これは脳卒中学会と循環器学会、そして、中段にございますように循環器系のほとんど全部の学会がこれに賛同しております。

 ステージ1で、喫煙率を二〇一五年の一九%から一五%、五カ年で減らしたいと。つまり、数値目標を持ってこれに取り組んでいきたいというふうに考えております。そのために、脳卒中・循環器病対策基本法の制定を先生方にお願いしておりますが、まだ日の目を見るに至っておりませんので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 その次のページをお願いします。

 日本循環器学会の取組です。これはスワン君という人形がございますが、スワンというのは、たばこを吸わぬということなんですけれども。真ん中が二十二とございます。毎月二十二日は禁煙の日でございますけれども、何で二十二かというと、真ん中の黄色いところを見ていただきますと、スワンが二羽いる。これはスワンスワンなんですけれども、何で二匹いるかというと、一人、一匹では負けてしまうんですね、喫煙ということで。二人おればそれを克服できるのではないかということで、スワンスワンで二十二日は禁煙の日であるということをぜひ御記憶いただければありがたいです。

 最後のページです。

 健康増進法の一部を改正する法律案が今出ていますが、線を引いてあるところでございます。ここで個人又は中小企業五千万円以下という定義がございますし、百平方メーター以下のところでは標識の掲示により喫煙可ということが提案をされておるわけですけれども、百平米というのはかなり広いですね。かなり広い。今はそこにとどめたいと思いますけれども。

 そうやって、我々は健康の尺度で物を考えるわけですけれども、資本金とか広さというのは、尺度が違うことで物事を言うということになってしまうのではないかというふうに思います。

 しかしながら、何よりも早くこういう法案が成立していただくということも大事であるというふうに考えておりますので、その辺を鑑みまして、先生方の、平米とかそういうことを、なかなか難しいことですけれども、なるべく小さい方にこだわっていただいて決定していただければというふうに思っております。

 以上でございます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

高鳥委員長 ありがとうございました。

 次に、山中参考人にお願いいたします。

山中参考人 おはようございます。全国保健所長会の会長をさせていただいております、青森県弘前保健所の山中と申します。

 健康増進法の一部改正に係る審議において、このような機会を与えてくださいました委員長を始め関係皆様に心より感謝申し上げます。

 喫煙は公衆衛生上の課題でありますことから、保健所は、市町村とともに、子供たちへの喫煙防止教育や住民への健康教育、妊婦への指導等を通した普及啓発、特定保健指導による個人への禁煙支援とともに、受動喫煙対策として、喫煙をする親に乳幼児健診等の場を通じて指導しましたり、施設内禁煙等を実施している施設や事業所の認証等、喫煙による健康影響から住民を守るさまざまな対策を実施しております。

 さて、このたびの健康増進法の一部を改正する法律案は、既存特定飲食提供施設における喫煙を、別に法律で定める日までの間の措置として認めるという点で、不十分と言わざるを得ない内容であると考えております。

 しかしながら、健康影響が大きい子供や患者様等に特段の配慮がなされている点、さらには、禁煙措置や喫煙場所を特定し掲示の義務づけをすることによって、確実に望まない受動喫煙をなくすことが可能となることから、まずはこの法案を早急に成立させることを優先すべきと考えます。

 法律の成立により、国民や施設、事業所等に周知を図る過程や法に基づいた各般の取組が開始されることにより、国民の受動喫煙防止への関心が高まり、さらには、事業者等の管理権原者の理解も深まることによって、受動喫煙対策を講じる施設や事業所の裾野が着実に広がっていくものと考えます。

 受動喫煙対策を早急に開始していただきたい理由についてです。

 一つとして、喫煙による健康影響についてであります。

 平成二十八年八月に、喫煙の健康影響に関する検討会報告書が取りまとめられております。この報告書では、たばこの健康影響については、疫学研究等の科学的知見をレビューし、特に疾患等との因果関係の判断においては、関連の一致性、強固性、時間的前後関係、生物学的な機序、量反応関係、禁煙後のリスク減少の有無などを総合的に吟味した上で、たばこと疾患等との因果関係を四段階で判定した結果が示されております。

 喫煙者本人への影響、いわゆる能動喫煙としては、科学的根拠は因果関係を推定するのに十分であるとされるレベル一は、多くのがんや虚血性心疾患や脳卒中などの循環器疾患、慢性閉塞性肺疾患、呼吸機能低下や結核死亡などの呼吸器疾患、また、妊婦の能動喫煙では、早産や低体重、胎児発育遅延や乳幼児突然死症候群とされています。さらに、未成年者の喫煙に関しては、喫煙開始年齢が若いこととの因果関係を推定するのに十分であると判定されたのは、全死因死亡、がん死亡、循環器疾患死亡及びがん罹患のリスク増加となっております。

 一方、本人が喫煙していない受動喫煙においても、レベル一とされたのは、成人の肺がん、虚血性心疾患及び脳卒中、小児ではぜんそくの既往及び乳幼児突然死症候群となっております。

 受動喫煙によるこれらの疾患の年間死亡数の推計値は、成人男性では四千五百二十三人、成人女性では一万四百三十四人、乳幼児突然死症候群による死亡は七十三人とされております。

 このように、喫煙による健康影響は、能動喫煙による影響はもちろん、受動喫煙の健康影響も看過できるものではありません。

 二つとして、国民の受動喫煙の現状です。

 二〇一六年の国民健康・栄養調査によりますと、この一カ月間に受動喫煙の機会があったと回答している者の割合は、飲食店では四二・二%、職場では三〇・九%、行政機関では八・〇%、医療機関では六・二%とされております。

 健康増進法で多数の者が利用する施設等における管理者の努力義務では、いまだに多くの施設や事業所において国民が受動喫煙による健康影響を受ける機会があり、このままでは、望まない受動喫煙から国民を守ることはできないものと考えます。

 以上のことから、現行の健康増進法では、望まない受動喫煙を防止することは非常に困難であり、このたびの改正により管理権原者の義務とすることが、実効性のある対策に確実につながると考えます。

 ただし、既存特定飲食提供施設において喫煙可能を選択した場合は、二十歳未満の客や従業員は立ち入ることはできないものの、二十歳以上の客や従業員は受動喫煙にさらされることになりますことから、法施行後、これらの施設の実態を把握するなどして、できるだけ早期に既存特定飲食提供施設の措置に関する方針を示すことが肝要と考えます。

 また、加熱式たばこは、たばこのうち、当該たばこから発生した煙が他人の健康を損なうおそれがあることが明らかでないたばことして厚生労働大臣が指定する指定たばこに位置づけられておりますが、今後、使用者の増加も懸念されますことから、早急な対応が必要と考えます。

 次に、受動喫煙に対する社会の動きについて述べます。

 国の未来投資戦略二〇一七において、健康寿命延伸産業の育成の一環として、一昨年度より経済産業省が健康経営優良法人認定制度の設計をしておりますが、昨年度は、全国で大企業では五百四十一事業所、中小企業では七百七十六事業所が認定を受けております。認定の基準の中に、これまでは選択であった受動喫煙対策の実施が二〇一九年度からは必須条件となるとのことです。

 本県でも、昨年四月より、働き盛り世代の健康づくりを推進するため、健康経営に取り組む県内事業所を青森県健康経営事業所として認定する制度を創設しました。認定の必須要件の中に受動喫煙防止対策の実施と施設内禁煙を入れておりますが、これまで百五件の企業等が認定を受けております。

 今後も、企業、事業所での従業員の健康増進の取組が一層広がっていくものと思われます。

 また、自治体における受動喫煙防止に関する条例の施行や、喫煙や受動喫煙防止対策も盛り込んだがん対策の推進に関する条例、健康づくりの推進に関する条例等も施行されてきております。このことは、自治体住民等の受動喫煙への関心の高まりとともに、受動喫煙防止への理解も深まってきているものと考えます。

 このような社会の動きの中では、受動喫煙防止の義務を課する法律案の提出は、むしろ遅い対応ではなかったかと思っております。

 これまでは公衆衛生医師としての立場から意見を申し上げましたが、最後に、都道府県、保健所の立場から意見を申し上げます。

 一部改正法案により、都道府県として、住民や施設、事業所等への周知や啓発、住民からの相談窓口の設置のほか、既存特定飲食提供施設の客席面積百平方メートルの把握、指導監督等の事務、喫煙禁止場所における喫煙や喫煙器具、設備設置等の違反行為に対する知事による勧告、命令、公表等の事務、さらには、指導や命令によっても改善が見られない場合の行政罰の過料を適用させるための知事から地方裁判所への通知事務などがふえることが見込まれます。

 これらふえる事務を現在の保健所の体制では対応することは大変厳しいと考えており、事務を都道府県で行うための技術的な支援や財政措置を強くお願いする次第です。

 また、法施行後に発出される政省令等で具体的な運用等が示されると思われますが、都道府県が具体的に準備ができるよう、発出の時期等に御配慮をお願いしたいと思います。

 以上で参考人としての意見を終わります。(拍手)

高鳥委員長 ありがとうございました。

 次に、黒澤参考人にお願いいたします。

黒澤参考人 おはようございます。東北大学の黒澤と申します。

 私は、呼吸器科医、それから現在は大学の産業医をしております。専門はCOPDという病気でありまして、たばこでなる病気であります。現在、我が国では五百万人を超える患者がいると推計されておりますけれども、たばこを吸わなければ、ならない病気です。

 私、実は資料を用意しておったんですが、できたのがさっきですので、皆さんにお配りできておりません。大体A4で八枚ぐらい意見書を書かせていただいております。産業医というのは意見書を書く仕事でありまして、意見書を書かせていただいておりますので、事務の方にお願いしてありますので、後でお配りいただければと思っております。

 かいつまんでお話しさせていただきます。

 まず、たばこと申しますのは、先ほど来ありますように、予防可能で、しかも、最大でかつ単一の疾患リスクである。

 また、受動喫煙は、もうこれは健康に影響があるということは科学的に明らかなものであります。

 それから、もう一つ忘れていけないのは、ニコチンの依存症。ニコチンの依存症、これも非常に無視できない問題で、ニコチン依存というのは、たばこを吸っている方ですと、もう一〇〇%ニコチン依存になっていると思っていただいていいと思います。ニコチン依存症では、例えば、うつ病が多いですとか、自殺が多いですとか、あるいは、私の範疇でいいますと、労災を起こすリスクが多いですとか、いろいろなことが危険視されております。

 例えばCOPDでも肺がんでも、いろいろな疾患リスクがあって、こういうことが日本の社会の中で、例えば将来の介護負担ですとか少子高齢化というのは非常に大きい問題で、次世代に介護の負担ですとか医療費の負担、そういうものを非常に大きく負荷してしまう、あるいは、その人の病気の不幸、あるいは、こういうことによって呼吸器科医は非常に過重労働に陥るということになってしまいます。

 ですから、予防ということが物すごく大切なことになってくると思います。私どもにとってというよりも、日本の社会にとって非常に重要なのではないかというふうに思います。

 今回の法案を拝見しましたが、実は東北大学も完全禁煙にしております。敷地内は、二〇一一年から、職員と学生数も三万近くいるというような大学ですので非常に広いんですけれども、全キャンパス禁煙です。

 その禁煙の措置から見ますと、今回の措置というのは、中間段階といいますか、そういうものであります。ですから、今回の法案の位置づけとしては、中間的なものというふうに言えると思います。

 オリンピックが近いですとか、いろいろな事情を理解いたしますので、たばこについての問題を長期的にどう考えるかという、国のそういう姿勢というものが問われているんじゃないかと私は思います。

 ですから、ここでぜひ、国の姿勢というのが、国際的に見ても、しっかり日本というのはたばこのことを考えているんだというふうなことを認識されるようにしていただきたいなというふうに思います。

 ですから、今回のことは中間的なことということで私は認識いたしますので、最終目的として、やはり完全禁煙というところに向かうべきであろうというふうに思います。

 五年先に見直しということが書かれてありますけれども、五年でなくてもいいと思います。これはまずいと思ったらすぐ見直しをするというようなことを、ぜひ法案の中にも盛り込んでいただきたいというふうに思うわけです。

 それからもう一つ、喫煙所の設置ということがこの法案の中に書かれてあります。喫煙場所を設けるということですね。それから、条件を備えた喫煙場所の設置をするとそれに対して予算的な措置といいますか、これは労働安全衛生法の改正案でも補助金というようなことがありましたが、これはよく考えますと、反対ではないかと思うんです。

 つまり、喫煙場所を設けた人にそのようなお金を補助するというのではなくて、むしろ、完全禁煙にしたという方が褒められるべきであり、完全禁煙にした方に何らかのインセンティブとか優遇措置ですとかそういうのを与えないと、日本の受動喫煙対策というのは進んでいかないんじゃないかというふうに思うわけです。

 安衛法の改正のときにも少しお話しさせていただいたことだったんですけれども、そういう喫煙場所をつくるというのは、喫煙場所をつくるとたばこを吸っている人はやめる機会を失ってしまうわけです。吸えるところがあると、たばこを吸う人はやめない。幾らやめようと思っていても、吸える場所があるということでやめる機会を失ってしまう。

 ですから、喫煙場所をつくるということは、喫煙率を下げるですとか受動喫煙を防ぐですとか、そういうことに非常に逆行するようなことになります。それに国が補助をつけるということは、私は反対のことではないかというふうに思います。

 東北大学が完全禁煙になっていますので、完全禁煙している東北大学にインセンティブや優遇措置をつけろというふうに聞こえるかもしれませんけれども。

 飲食店とかでも、完全禁煙にした飲食店、あるいは、勇気を絞ってここは禁煙にしたいといって頑張った飲食店に対して、喫煙場所をつくった飲食店に補助を与えるんじゃなくて、完全禁煙にした飲食店に対してよくやりましたということで何らかの措置をするという方が、禁煙を進めるということでは意味のあることではないかというふうに思うわけです。

 あと、時間もありますので、詳しくは私の書いた意見書をごらんいただければと思うんですが、加熱式たばこについて例外規定が設けられております。

 私は、もちろん、加熱式たばこに有毒成分が含まれている、それからニコチンが含まれているということで、この加熱式たばこもたばこと同じに扱うべきというふうに思っています。

 また、有毒性といいますか害がわからないというようなこと、これも、そう言われていることは承知しています。実際どういう病気が起こるかというのはわからないわけであります。

 しかし、ちょっと基本に立ち返ってみますと、たばこ事業法のもとで売られているものであります、加熱式たばこというのは。食品安全委員会ですとかPMDAですとか、そういうところで審査された商品ではありません。

 ですから、たばこと同じに扱って全然いいわけでありますので、もし従来のたばこと違う扱いをせよということであれば、たばこ事業法から離れて、国のしかるべき機関で安全性を審査していただくとかいうようなことをちゃんとしてから売っていただく。国もきっとそこから税金を取っているんだと思うので、安全性を担保して売っていただくということが私は本来の筋じゃないかというふうに思います。

 いろいろ論点がございましたので、詳しくは意見書に書かせていただいております。後でごらんいただければと思います。

 これで私の意見を終わります。(拍手)

高鳥委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。長尾敬君。

長尾(敬)委員 自由民主党の長尾敬でございます。

 きょうは、五人の参考人の皆様、急遽の要請にもかかわりませず足をお運びいただきましたこと、また貴重な御意見を賜りましたこと、心から感謝を申し上げます。

 また、中には、決して体調がすぐれぬ中、押して御出席をいただきました。どうぞくれぐれも御自愛、お大事にしていただきたいと思っております。

 きょうの参考人の質疑の中で、自民党の中でも、あるいはこの委員会の中でも一番問題になっているのは、いわば、禁煙をするべきだ、いやいや分煙でいいんじゃないかというような、それぞれの正論のぶつかり合いというものがあったと思います。

 きょう、生活衛生の関係の方々や、葉たばこ農家の皆さんや、あるいは商業組合の皆さん等々の御出席がありませんでしたので、ちょっと質問がしづらい部分があります。でも、これはやはり向き合っていかなければいけないと思いますので、その辺はお三方の専門家の先生にちょっと忌憚のない御意見をいただければなというふうに思っています。

 要は、何を言いたいかというと、双方の納得の仕方だと実は思っています。たばこは健康に多大な悪い影響を及ぼすということは、恐らく喫煙者の方も誰もがわかっていることであります。しかし、その一方で、産業というものが歴然として存在をしている、それで生活をされていらっしゃる方もいる。

 確かに、昭和四十年ごろは八〇%以上の方々が喫煙をされていて、現在は三割を切っているという状況下であれば、ある種、産業としてはだんだんだんだん右肩下がりでいくものになっている中で、例えば一部の業界は、ならば、今ここで厳しい規制をかけるのはちょっと待ってくれというような意見もまたあるという中で、我々政治家は、いわば健康と産業という、両方どうしても考えなければいけませんので、ちょっとその辺は向き合っていきたいなというふうに思っています。

 今回、五人の参考人の方々からそれぞれ御評価をいただきました。絶対反対である、しかし、十分ではないけれども一歩進んでいるという御評価、あとは、五年とは言わずもう少し早目の改正の対応が必要ではないか、これをぜひ附帯決議に入れてほしいというような意見も、一委員としてしっかりと受けとめさせていただきたいと思いますし、できればそういう形での着地点を政治として見出していきたいなというふうに思っております。

 それで、大手参考人、山中参考人にお尋ねをしたいんですけれども、これはちょっと本当に聞きづらい質問になります。

 いわゆる既存飲食店の飲食提供施設にのみ特例措置を設ける妥当性ということなんですが、要は、なぜ妥当性を設けているかということは、どうしても産業という側面もあります。恐らくこの質疑を産業側の方々も非常に注目をしていますので、あえてそういった見地から、この特例措置を設けることの妥当性についての御所見を、いま一度、大手参考人と山中参考人からちょっと頂戴できればと思います。

大手参考人 大手でございますが。

 今の御発言について私なりの考え方を述べさせていただきたいと思います。

 先ほど申し上げましたように、我々は医師として健康の尺度で物を見るということは、これは間違いございません。

 一方で、先ほどありましたように、百平米という話、それから個人経営、あるいは資本金五千万以下という話がございますけれども、これはやはり尺度が違うわけで、それをまずもって認識して物事を考えていくべきであるということが一点。

 もう一点は、愛煙家というんですかね、たばこを吸われる方が、御自分の責任ということになるわけですけれども、しかしながら、その方が病気になるということが一つ。そうすれば、それは社会に対して負担がかかる、もちろん保険医療の面で負担がかかる。

 それから、先ほどの受動喫煙の問題があって、これは全然責任のない方に害を及ぼすということでございます。

 私は思うのですけれども、もちろん全て禁煙、受動喫煙がないような方向性を持つということは非常に理想でございますけれども、私たちは、健康の立場から見ると、早くやはりこのような法案が成立して、多少なりとも前進してほしいというふうに思っているわけでございます。

 その中で、先ほど申し上げましたように、百平米とかいう値は、非常にこれは大きい、普通に考えると大きいお店になるというようなことがあって、それはいかがなものかということはやはり思うわけです。

 それから、先生御質問いただいた新規参入ですね。それは、新規参入からそういうことができないようにする、ちょっと言葉があれですけれども。これは、通常のやり方としては最も手っ取り早い、言葉は適切かどうかわかりませんが、一番早く効果が出るということは間違いないことでございまして、そういう妥協点をどこに見出すかということがあるわけですけれども。

 大事なことは一歩でも前進するということでありますけれども、しかしながら、誤解を与えてはいけませんので、完全禁煙、完全に受動喫煙を防止するというのが私の基本的な立場であるということは間違いございませんけれども、その実施のステップとして、なるべく早い効果が得たいということも考えています。

 以上でございます。

山中参考人 ただいまの御質問についてお答えいたします。

 私どもの弘前保健所管内でも、実際に、受動喫煙に及ぼす健康影響をなくするための条例をつくりたいというような動きがございました、市が。そういう動きの中で、先ほど議員がおっしゃったような、たばこを販売される方々あるいは各事業所さんの方々も参加して、十分な議論をさせていただきました。

 やはり私どもも、行政として、公衆衛生の立場として、受動喫煙を防止しなければならない立場ではありますけれども、既存の事業所様にとっては、零細なところがあったりとかして、大分厳しい状況のお話がございました。それであっても、やはりお互いが受動喫煙に関してどう取り組むことができるのか、そういう理解を深めていくことが重要でないかというふうに思いました。

 今後も、妥当性というお話ではありますけれども、既存の施設に関しましては、たばこを吸えるということをきちんと明示することによって、受動喫煙を望まない方々はそこを使用することができないわけですから、そういう対応を進めていって、まずは前進していただくことが大事だというふうに考えております。

長尾(敬)委員 ありがとうございます。

 もう一度、お二方に御質問をさせていただきたいんですが。

 原則屋内禁煙としているけれども特例がある、新規店舗は資本金、面積にかかわらず特例措置がない、ここの部分というのは、与党としても一番強調をしたいところではあります。

 というのは、正直、今この瞬間、五・五割ぐらいが対象になるわけですけれども、新規店の全体の、大体二年間で二割弱、五年間で三割弱、いわゆる入れかわりが激しいならば、だんだんだんだんそれも限りなくゼロに近づいていくんだろうというようなことなんですが。

 そういう流れについては、まだまだ甘いというふうにお考えでいらっしゃいますでしょうか。お二方、よろしくお願いします。

大手参考人 大手でございますが。

 これはなかなか相対的な問題でありまして、難しい話であると思います。私たちは一日も早い禁煙、それから受動喫煙の防止ということを願っているわけですけれども、先ほど来申していますけれども、進まないと意味がないわけで、ここでとどまっていては何ら国民にメリットのあることはないわけだと思います。

 私、大学病院での、執行部におるわけですけれども、いろいろな施策を実現するときに、大学病院のような小さいレベルであっても、やはり順序を踏まないと一つも前に行かないということはもう重々承知しております。

 したがいまして、入れかわりを期待するということでございますけれども、その入れかわりのスピードが、それは自然の流れだと思うんですけれども、このような法案が成立することによってそれを加速するということは可能だと思いますので、結果として加速されるといいますか、それを期待しております。

 以上でございます。

山中参考人 私ども保健所といたしましては、まずは、この法案が成立した後には、地域の住民の方々はもとより、こういった事業所の方々にも十分この法律の趣旨を御理解していただくような周知啓発をすることが、御理解いただいた事業所がみずから禁煙の施設にするというような動きを着実に進めていくことが私どもの役割だというふうに思っております。

長尾(敬)委員 答えづらい質問にあえてお答えをいただきまして、ありがとうございました。要は、そこのところが一番悩ましいところであります。

 今度は山中参考人になんですが、保健所長というお立場の中で、先ほど、この法律が施行された後のプロセスとボリュームの中で、もう少し、予算措置であるとか現在の要員配置であるとかいうようなことではなかなか間に合わないというような旨の御発言がございました。実は、私もまさにそう思っています。

 というのは、保健所の機能というのは、いわゆる治す医療ということから予防する医療という概念に少しずつ移行していく。これは、例えば骨太の方針の中にも、歯科口腔機能管理、口腔の衛生が全身の健康に寄与するというようなことも、昨年の骨太にも、ことしの骨太にも盛り込まれて、保健所の機能というのが物すごくこれからは重要視されてくるというふうに思っています。

 この受動喫煙防止等について、先ほどのお話をもう少し掘り下げて、具体的にどのようなところが足りないのか、どのようなことを政府に要望するのかということを御答弁をいただければありがたく思います。

山中参考人 保健所は、近年、感染症や食中毒、最近では災害等の健康危機管理の拠点としての役割、あるいは二〇二五年問題に代表されるような社会保障に関連した地域医療構想や包括ケアシステムの構築など、もちろん予防も含めてですけれども、そのような対応が求められておりまして、保健所が取り組むべき業務は質、量ともに増加してきております。

 このたびの法案で求められる保健所の役割を果たすためには、現状では、先ほど申し上げましたように大変厳しいものと考えておりまして、とりわけ普及啓発、これが一番大事だと思っておりますが、そのほか、相談、指導を担当する職員をふやすなどの対応が必要と考えております。

 また、普及啓発にかかわる媒体の作成ですとか、あるいは相談対応用の専用電話ですとか、そういったものの設置等の予算措置も十分必要だというふうに考えております。

 この点につきましては、国に要望したいというふうに考えております。

長尾(敬)委員 ありがとうございます。

 法律をつくったからそれでいいというものでは本当にないと思っています。それがしっかりと現場で円滑に運用されるかどうかということは、法律をつくる立法府の製造責任者として、これからも現場の皆様と更に意見交換をさせていただければなというふうに思っております。

 黒澤参考人にちょっとお尋ねを申し上げます。

 先ほど、ニコチン依存症のお話がございました。実は、昨日ちょっと、相当の喫煙者ときょうのこの話をしていたんですけれども、いや、俺は絶対病気にはならないからというような感覚でいるんですね。この間、高橋先生が、私もたばこは吸わないんですけれども余りにおいは気にならない、だけれども、においが気になるという方も絶対いらっしゃるという中で、ちょっと話がずれましたが、戻します。

 ニコチン依存症。例えば、二十代、三十代の喫煙者でも八割近くはやめたいと思っているんですよね。ただ、いつやめるかといえば、今すぐやめたいと思っている人は二割にも満たない、将来的にやめられればいいなと思っている人が大体六〇%ぐらいいるというデータを拝見したんです。

 ニコチン依存症の恐ろしさというものがちゃんと正確に伝わっていないんじゃないかなと思っています。俺は大丈夫だというようなことも、もしかするとニコチン依存症の一つの症状なのかもしれないというふうに思うんですが。

 たばこをやめたい人はたくさんいると思うんです。そういう方々に、法律とは全く違う話になりますけれども、どう禁煙のメリットを伝えていくかというようなことがやはり大きな肝になってくると思うんですが、その辺の御所見を専門家として頂戴できればと思います。

黒澤参考人 禁煙のメリット、これは全然違います。

 ニコチン依存症になると、脳に少し変化を来します。つまり、ニコチンを体に入れないと脳自体の機能がうまく働かなくなるというふうな状況になりますので、仕事の能率が落ちるですとか、いろいろな感情の変化ですとか、そういうものが依存症じゃない方と違う。あるいは、病気でいいますと、うつ病ですとか、自殺が多いですとか、そういうことになります。それからあとは、将来的に肺がんになるとか、COPDになるですとか。そういうことにならないというのがメリットであります。

 ただし、先生がおっしゃるように、わかりにくい、それから、一般に余り理解されていないというふうなことがあると思います。

 また、ニコチン依存者というのは、ニコチンのことを軽く考えがちです。それから、受動喫煙のことを軽く考えがち。人への被害を過小評価しますし、自分の自信を過大評価するというのがニコチン依存症でありますので、その辺の理解も全然されていないというふうに思います。

 その辺をしっかり周知していかなくてはというふうに大学の教員として思っております。

長尾(敬)委員 一服すると心が落ちつくとか、涼しくなるとかいうふうに感じるのも、何かそういう依存症の一つの症状じゃないかというような文章も読んだことがあります。法律の話ではないにせよ、やはりこれから我々政治も、ちょっとそういうことも健康増進のために向き合っていかなきゃいけないなと思っております。

 ちょっと余談なんですけれども、先日の串田委員の質問がなかなか興味深くて、禁煙外来が健康保険で適用されている根拠ということについて、健康保険法の第百十六条には、故意によって給付事由を生じさせた者には給付を行わないという規定があるわけですよねと。

 法律上は百十六条に完全に僕は違反していると思うんです、故意ですからと。国が病気になるものであるということを認定している。たばこを吸う方はいわゆる故意で吸っている、病気になるかもしれないということで吸っている。実際、そこは違反になるんじゃないかというような指摘があって。

 結果、質問通告がなかったからなのかわかりませんけれども、加藤厚生労働大臣がまた整理して答弁したいというような、私も非常に興味深く思っているんです。

 何を言いたいかというと、やはり、いろいろと向き合ってこなかった最大の問題じゃないかなと思っています。実際、十六世紀に、この間も政府答弁がありましたけれども、嗜好品として入ってきたものが、よく調べてみたら毒だった。これが国民の健康のみならず、いわゆる世界に誇る、世界がうらやむ国民皆保険制度の、大きな悪影響の原因になっているというようなことになりますので、今回、いろいろな御意見もあろうかと思いますが、私も、この法律で全て、あらゆることが解決できるなんということはこれっぽっちも思っておりません。

 ただ、第一歩ということで、きょうはお二方の参考人には質問しませんでしたが、天野参考人と共通の知人である稲本先生からは、しょっちゅう電話をいただいて、とにかく一歩でもいいから進めてくれ、進めてくれ、そのかわり、一歩でも進んだらまた次の二歩、三歩ということをちゃんとやってくれよというようなお声はたくさん頂戴しております。

 一方では産業の、いわゆる転作の話がこの間、委員会でも出ておりましたけれども、こういったことも、政治が健康や産業とやはりちゃんと向き合って進めていかなきゃいけないなというふうに思っております。

 最後に、繰り返しますが、患者さんの代表としていただいたお二方の気持ちというのは、この法案の質疑の中にちゃんと盛り込まれておりますので、製造責任者として、しっかりと運用が行き届くように頑張ってまいりたいというふうに思っております。

 きょうは、参考人の皆様、本当にお忙しいところ、どうもありがとうございました。

 以上で終わります。

高鳥委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 おはようございます。立憲民主党の初鹿明博です。

 まず、五人の参考人の皆様、本日は国会にお越しいただきまして、本当にありがとうございます。そして、貴重な御意見をいただきまして、本当に我々、立法をする立場の者として、皆様方の意見に深く心にしみたところであります。

 まず最初に、天野さん、長谷川さん、お二人、患者の立場でお話をいただきました。

 天野さんからは、社会的に痛みや悲しみ、苦しみを経験をした、そういう方を一人でも減らしたいということで今の活動をしているというお話でした。私も、非常にその言葉を聞いて、我々これから立法をするに当たって、そういう方々にきちんと向き合った法案にしていかなければならないという思いを強くさせていただいた次第であります。

 また、長谷川さんからは、がんの患者さんたちはもう懸命に生きている、必死で生きている中で、声なんか上げられないんだというお話がありました。被害を受けても、それを訴えることなんかできない、そういう声なき声に耳を傾けてほしいというその訴え、我々国会議員は、これは真摯に受けとめなければならないというふうに感じております。

 その上で今回の法案について伺いますけれども、まず最初に私の立場を先にお話しさせていただきますが、私は屋内全面禁煙を徹底すべきだと考えております。特に飲食店について、先ほど長尾委員からは産業という面で例外規定を設けたというお話がありましたが、逆に、産業ということを考えていくならば、喫煙専用室というものが認められているから、たばこを吸える店と吸えない店との間で差ができるわけであって、そもそも喫煙専用室を認めない全面禁煙にしてしまえば、たばこを吸えるか吸えないかで客が入る入らないという影響はなくなる、そう考えているので、私は、喫煙専用室自体もなくして、完全禁煙にするべきだというふうに思っております。

 しかしながら、小規模な店舗などではなかなか簡単にはそうはいかないということも理解をしているので、せめて、当初厚生労働省が示した三十平米程度までの例外規定ならばやむを得ないかなと思っていたわけですけれども、今回提出されたものは、皆様方も指摘をされているとおり、百平米という大きなものになっている。しかも、これがいつまで続くのかということが明示されていないんですね。これは、審議の中でも、きちんと日にちを切らないといけないんじゃないかということを我々は申しているんですが、なかなか応えてくれていない。

 そこでお伺いさせていただきますが、この経過措置について、皆様方の感覚では、法律の見直しの五年なのか、それとももっと短くするべきなのか、それとも五年後に法律を決めて、さらに二年後とか三年後とかになるのか、どういうぐらいの時間の経過措置が望ましいとお考えなのか、天野さん、長谷川さん、お答えいただきたいと思います。

天野参考人 ありがとうございます。

 私個人の感覚で申し上げますと、先ほどの説明でも申し上げましたとおり、そもそも施行が二〇二〇年からですので、そこから五年になります。となると、本日というか今から考えた場合、仮にですが、施行から五年後ということで考えると、七年程度になってしまう可能性もあるということを危惧しておりまして、さすがに七年となると、私は、その間でどれだけの方が受動喫煙にさらされるのだろうかと考えると、大変心が痛みます。

 ですので、期間ということに関して申し上げるならば、それは早急に見直していただくということが必要であり、また、都道府県においても自治体においてもより上乗せする条例が今審議されている中で、国が恐らくそれを追認する形で変えなければいけないということになる日が来るのではないかと私は想像しておりますが、そういうふうなことになるのであれば、なるべく早くこういった経過措置というのは限定的にとどめていただくような措置をお願いしたいというふうに考えております。

長谷川参考人 私も個人的な意見を申し述べたいと思います。

 私の結論としては、やはり、五年ではなく、何らかの兆候、何らかの結果が見えればいつでも見直すというような姿勢がいいのではないかというふうに思っています。

 具体的に説明しますと、今、天野さんからもあったように、地域と国とで規制が異なるという状況が生まれてくるのではないかというふうに推察しています。

 そうなるとどうなるのかというと、素人で言葉が間違っていたら申しわけないんですが、ランダム化比較試験のような形になってしまう。規制の強いところと弱いところで、一年、二年たった後に、すぐわかるのは心筋梗塞や脳卒中ですから、そういったものの発生率が違うとか、そういったデータが出てくる。

 そういったときに、国と地域で国の方が悪いというような、発生率が高いとか、若しくは減少率が低いとか、そういった状況が出てきてしまうというか、研究者はそういったことをやるのではないか。やるというか、間違いなくやるというふうに考えています。

 なので、それが出てしまうと私自身は非常に国際的に恥ずかしいことになってしまうのではないかというふうに考えていて、その兆候が少しでもあったときに、なるべく速やかに見直しを始めるというのがいいのではないかというふうに思っています。

 専門的なところでもし間違いがあったら、専門家の先生に正していただきたいんですが、これにて終わります。

初鹿委員 どうもありがとうございます。

 一年間に一万五千人の方が受動喫煙で亡くなっているという現状を考えると、天野さんが言うように、七年先だと九万人になるわけですよね。それを考えると、本当にどうにかしないといけないというふうに思いますので、やはり、五年の見直しの間、その中でこの例外規定は取り除く方向にするべきだなということを改めて感じさせていただきました。

 黒澤参考人が先ほど、喫煙専用室を設けることに補助を出すのはおかしいという御指摘がありました。私も全く同感でして、担当者とやりとりする中で、逆じゃないか、今喫煙専用室がある飲食店が喫煙専用室を取っ払って完全禁煙にする、そのときに補助を出すべきではないかという指摘をさせていただいているんですが、なかなか同意を得ていただいておりませんが。こういう考え方について、黒澤参考人、いかがでしょうか。

黒澤参考人 先ほど申し上げましたとおりでございます。全く逆ではないか。

 といいますのは、やはり、国がどういう方向を向いているかということが問われているわけで、国が、禁煙とか受動喫煙防止とか、そういうところを向いているんでしたら、方向が逆ですというふうなことを申し上げました。

 以上です。

初鹿委員 このことは今後の質疑の中でも政府に対して厳しく問いただしていきたいというふうに思います。わざわざ喫煙できる場所をつくるのに補助金を出すことを私はすべきではないというふうに改めて感じさせていただきました。

 次に、また天野参考人、長谷川参考人にお伺いいたしますが、加藤大臣はしばしば、この法律を、望まない受動喫煙をなくすんだという言い方をしているんですが、健康を守る立場の厚生労働省は、本来、望む望まないに限らず受動喫煙をなくすというふうに言うべきなんじゃないかというふうに思っております。そして、当然そうでありますし、また、望まない受動喫煙が、果たして、このような例外規定を多く設けている中で防げるのか、非常に私どもは疑問に思っているわけであります。

 先ほど、たしか長谷川参考人がお話しされたと思いますが、望まないとしても、その人が喫煙する店に入らないでいられるかどうかはわからないわけですよね。やはり、仕事上の上司や、また取引先や、また友人関係の中で、喫煙をする店に行きたいといったときに一人だけ拒めるのかということを考えると、望まない受動喫煙をなくすということはほぼ不可能じゃないかと私は考えております。

 天野参考人、長谷川参考人、これまでの御自身の経験の中で、恐らく、できれば禁煙の店に行きたいと思っていると思いますが、やむを得ず喫煙の店に行って、断れなかったという経験はおありでしょうか。そして、この法律ができたとして、断っていくことができるとお考えでしょうか。

天野参考人 ありがとうございます。

 まず、私個人は喫煙はいたしません。なので、例えば、飲食店であればやはり禁煙の飲食店を選ぶようにしておりますし、ホテルにおいても禁煙の部屋を選ぶようにしております。ただ、例えばホテルについて申し上げると、禁煙の部屋から先に埋まっていって、喫煙室が後に残るというふうなこともしばしばあります。

 また、今お尋ねの件に関して、私の個人的な経験で申し上げると、ある飲食店に入った際、私たちの方もグループでした。全員たばこを吸わない、がん患者の集まりで行きました。そうしたら、居酒屋だったわけですが、同じ部屋で別のグループの方々がいらっしゃって、そのグループの方々はたばこを吸われていたわけです。そのグループの方々が気を使っていただいて、たばこを吸っていいですかと伺われたので、率直に、済みません、私たちたばこを吸わないのでやめていただけますかと言ったら、やめていただけたんですが、恐らく残念であったという気持ちが出たと思うんですよ、何人かの方は舌打ちされたのを感じておりまして、非常に気まずい空気になったのを今でも覚えております。

 これが職場の上司やその部下という関係であったりとか、そういったときであれば、なおさら拒みづらいということは容易に想像できるのではないかというふうに感じております。

 以上でございます。

長谷川参考人 私の方からは、私たち日本肺がん患者連絡会で昨年六月に肺がん患者二百十五人に肺がん患者の受動喫煙状況というものをアンケートをしました、その結果をちょっとお話ししたいと思います。

 やはり、その中で、肺がん患者が就労していて受動喫煙に遭うのは、三割の方が遭いますというふうに答えています。宴会の席に行って、同僚若しくは上司が吸い始めたとか、また、同じ車の中に乗って移動しているときに、ちょっとたばこ吸っていいかなと、肺がん患者の目の前で、しかも治療中であるということを知りながら上司はその言葉をかけ、患者の方は何も言えずにやり過ごしたというようなことも幾つか散見されています。

 やはり、そういった意味で、力関係というか、上司また取引先、そういったところでの受動喫煙は、肺がん患者であるというふうに言っていても防げないというようなことが見えてきました。

 そして、もう一つ、そのアンケートの中でちょっとお話しさせていただきたいのが、働く現場ではなくて、家族ですね。妻が患者さんで、旦那さんがたばこをやめずに、家族から受動喫煙を受け続けるという方が二百十五人の中の六%ほどいらっしゃいました。つまり、一番大切な人を目の前にしても受動喫煙をさせるということをやめられないという現実があることに、かなり衝撃を受けています。

 そのような状況であるということは申し上げます。

初鹿委員 ありがとうございます。

 今のお二人のお話を聞いていても、やはり、望まない受動喫煙をなくすためには完全禁煙を徹底しない限り難しいなということを改めて感じさせていただきました。

 次に、山中参考人に、保健所の体制についてちょっとお伺いさせていただきますが、今国会では、例えば民泊新法ができ、また食品衛生法でHACCPを義務化するということができ、そして今回受動喫煙対策ということで、一国会で保健所にかかわるものが一気に出てきて、すごい保健所の皆さんに負担をかけるなということを感じているところです。

 そういう中で、先ほど、今の体制ではなかなか対応するのが難しい、財政的な措置や人員の措置をしてもらいたいというお話がありましたが、当然それも私も思います。

 それと同時に、今回の法律ですと、個人に対しても罰則が科せられるようになっておりますよね。これが実効性があるのかということが、一昨日の質疑の中でもやりとりがありました。

 保健所の立場で、仮に、店舗の方から、お客さんに何回注意してもやめてもらえない、吸い続けるお客さんがいて困っているから対応してくれないか、そういう連絡が来たときに、保健所の職員が、それを対応して、そして最終的に過料を科すというところまで個人に対してできるものなのか、どう考えているのか、お伺いしたいと思います。

山中参考人 御質問にお答えいたします。

 私ども保健所といたしましては、まず、法が施行された後は、住民の方々それから施設、事業所の方々に、この法律の、望まない受動喫煙を防止するのだと、そういった意義を十分に周知啓発するのが、まずは大きな役割だというふうに認識しております。それに伴って個人の方々に、違反された方々への対応は出てまいりますけれども、まずはその趣旨に基づいた周知を精力的に行うことを考えております。

 ただ、過料等につきましては、それはこの法律の目的というふうには受けとめておりませんで、まずは、何度も申し上げますけれども、周知に励みたいというふうに考えております。

初鹿委員 なかなか立場上はっきりとできないとは言えないんだと思いますが、やはり、個人の方に保健所の職員の方が、三十万円、あなた、過料ですよと言うのはなかなか難しいんだろうなということを感じさせていただきました。

 最後に、五人の皆さんにお伺いしたいんですが、当初の塩崎案ですと、屋内全面禁煙の施設の中に官公庁が含まれていたんですね。ところが、今回提出された案ですと、それが行政機関という呼び方に変わっていて、ここ国会が屋内全面禁煙ではなくて喫煙室を設けることができる施設の類型の方に、ある意味格下げになっているんです。

 私は、これは非常に問題だなと思っておりまして、国民の皆さんに禁煙をお願いをする、そういう法律をつくる立場の国会議員が、自分たちは吸える場所を残したというのはいかがなものかなと。本来国民に範を示すべき我々が、まさに国民に模範を示せなくなっているのではないかと感じているんですが、こういうふうに国会が扱いが変わったということについて、それぞれどうお感じになりますかということをお聞かせいただきたいと思います。

高鳥委員長 申合せの時間が既に経過をしておりますので、できるだけ簡潔にお答えをください。

天野参考人 ありがとうございます。

 本日、参考人として呼んでいただいて、先ほど控室に通されましたが、灰皿が二つありました。大変驚きました。これでいいのかという思いでおりました。

 以上でございます。

長谷川参考人 天野さんと全く同じです。私が言おうと思ったことを、同じことを言われました。同じように考えております。

大手参考人 私も、いかがなものかと思います。

山中参考人 私も、皆様方の自主的な対応を期待しているところでございます。

黒澤参考人 私は産業医ですので、私がここの産業医だとすれば、即時、喫煙所を撤去していただいて、意見を責任者の方に申し上げようというふうに思っております。

初鹿委員 率直な御意見、ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、白石洋一君。

白石委員 白石洋一です。

 本日は、参考人の皆様、大事なお話、ずっと聞かせていただいています。本当にありがとうございます。

 ずっと聞かせていただいて、たばこを吸う人が主流で、吸わない人が非主流、そういう社会風潮に非常に悔しい思いをされてきたというふうに感じます。

 患者の方々は、被害を受けている、でも、なかなか声を発することができない。そういう悔しい思いで、だからこそ、全国団体がこれだけ組織化されて、今度こそは声を上げようとされてきた。そういうお気持ちを本当に感じます。

 さらに、研究者の方々も、たばこの害というのは明らかなんだけれども、それは学術的なところにとどまっていて、なかなかそれを発信する場が見つからない。ですから、学校の中では少なくとも、あるいは産業医としては少なくとも、やれることをやっていこうとされてこられました。

 そして、保健所の方も、一般のところに、なかなか、たばこを吸うということがだめなんですよということが言いづらい、そこを何とかわかってもらう。どちらかというと保健所の人の方が下手に出ないといけない。そういう社会風潮が私は一番根本的な問題だと思うんですね。

 そんな中で、今、ずっとお話、問題点、今まで我々審議していないようなポイントも出してくださいました。

 五人の方全員に聞きたいんですけれども、ずっとこの法案の策定前から見てこられて、そしていよいよ政府案が固まってきて、そうすると新聞にも載るようになってきました。そこでの議論も少しは記事になってきたと思います。さらに、政府案だけじゃなくて、直近では対案というものも出されております、これは余り出ていないかもしれませんけれども。さらには、私の前に二人の質疑をさせていただいて、この厚生労働委員会で議論されているという、そういう感触も得たと思います。

 それを踏まえてお話を聞かせていただきたいんですけれども、ここで、衆議院の厚生労働委員会、まだ参議院は控えておりますけれども、国会も延長という声も出ております。更に議論をし、例えば、このポイントについては修正であるとか、附帯決議であるとか、そういう形になるまでしっかりと議論すべきであるか、それとも、参考人質疑というのはそろそろ終わりですよというサインだとも言われております。ここで採決をすることも選択肢の一つとしてあると思います。

 それぞれ、五人の方に、ここでの審議のあり方について御所見をお願いします。

天野参考人 ありがとうございます。

 私は、がん患者団体の全国組織でございますので、例えば議員立法である改正がん対策基本法などがございましたが、そういった際も、それが早期に成立するように要望活動などをしていたことがございます。

 そういった中で、がんにかかわる私たちは団体ですので、これは非常に健康にかかわる問題ですので十分に審議していただきたいという思いがあるのは間違いございません。一方で、ほかの法案のときもそうでしたが、ほかのさまざまな国民生活にかかわる重要な法案がある中で、どれだけ通っていただけるのか。難しい、もどかしいという思いはしておりますが、できるだけ十分に通っていただきたいという思いでおるのは間違いないです。

長谷川参考人 私は、しっかり審議していただきたいというふうに思っております。

 やはり、私は肺がんの患者会です。受動喫煙を今審議しておりますけれども、たばこ自体で肺がんになって今闘っている仲間若しくは旅立たれた仲間、たくさんいます。そういった方々の思いをきちんと次の世代につなげていく、それにはしっかりとした審議が必要ではないかというふうに思っております。

大手参考人 私ももちろん患者様と同様に、しっかりした審議をお願いしたいと思いますが、進まなくてはいけないということはベースラインにあるところではございます。

 それで、先ほどの百平米という値はやはりちょっと気になるので、その辺はどうかということ。それから、先ほど見直しのことが出ていましたけれども、確実に何年後に見直すということまでやはり、今はそれは難しいことかもしれませんが明らかにして、それでとりあえず、とりあえずという言葉になってしまいますが、この法案が成立することを期待しております。

 以上です。

山中参考人 私も、十分に審議をしていただきたいというふうには思っております。

 しかしながら、この法案が成立がおくれることによりまして、現に国民が受動喫煙にさらされている現状を鑑みますと、早急な法案の成立が必要というふうには考えております。

 ただし、先ほども発言いたしましたとおり、喫煙ができる場所が存在しているということにつきましては、早急な検討、見直しが必要と考えております。

黒澤参考人 東北大学が全面禁煙にできましたのも、健康増進法があったおかげというふうに思います。法律というのは非常に大切なことであるとすごく認識しておりますし、東北大学の禁煙をやったときには感謝もしておりました、健康増進法に対して。

 今回いろいろと、私、意見書に書かせていただいたとおりなんですが、やはり、望まないですとかいろいろ、もともとのオリジナルの健康増進法からさえも後退してしまったのではないかというふうに考えられる部分がございます。

 ただし、今ここでこの法案を決めるということに際しては、ぜひ、この法案が完全なものではない、あくまでも目指すところは完全禁煙であって、今、期限に迫られた現実的な問題で決めるというバックグラウンドのもとに、中間的なものであるという認識が一つ、それから、あとは、可能であれば速やかに、どのように完全禁煙にアプローチしていくかということが見えるような、そういうものが法案の中あるいは決議の中に見えれば。私としては、せめてそれくらいはというふうなことを望んでおります。

白石委員 ありがとうございます。

 特に、黒澤先生は、分煙をして、喫煙専用室を設けることに対して補助をするのはおかしい、むしろ完全禁煙、あるいは、今は分煙室を設けているんだけれども、それを撤去することにこそ補助をすべきだと。まさにそういうことだと思うんですね。

 やはり、なぜかたばこを吸う人が店に入っても優遇されるかのような、そういう風潮をなくしていくのは、やはり法律が必要であり、そして、先ほど初鹿委員もおっしゃっていましたけれども、範たる者が、まず隗より、模範を示していくということが必要だと思うんです。

 それで、我々、国民民主党としても対案を出しておりまして、対案の内容について、ちょっと御存じないかもしれませんけれども、大手先生は御存じであるということを聞いております。政府案と私どもの野党案、それぞれについてのコメントをお願いします。

大手参考人 私、もちろん十分存じ上げているわけではないですけれども、先ほどの飲食店のところでございますが、百平米か三十平米かということは、それは健康被害の問題とは直接尺度は違うわけですけれども、やはり現実的な対応をするということで。

 百平米というのはかなり広うございまして、なかなか感覚がわからないわけですけれども、自分の家の部屋と比べると非常によくわかるわけで。百というのはやはりかなり広くて、それだと、多くのレストラン、本当に、チェーン店のような、あるいは大企業がやっているようなところを除けば、大部分のところがそこに含まれてしまうというふうに思うもので。

 三十が妥当かどうかはわかりませんが、やはりかなり絞って、少なくともそこでは前進していただくことは私は望ましいのではないかというふうに個人的には考えております。

 以上です。

白石委員 ありがとうございます。

 加えて、加熱式たばこについての禁煙なんですけれども、ここについては、黒澤先生は、加熱式たばこというのはまだ何物かわからないものだから、嗜好品として扱うのではなくて、薬品として扱って、それで国として審査をすべきだ、そのような趣旨のことをおっしゃったと思うんですけれども、そこをもう一度ちょっと詳しくお願いします。

黒澤参考人 いいえ、私は、加熱式たばこというのは、法律でいいますと、例えば、電子たばこといってニコチンを液体で吸うものは日本で薬事が通らないということで認可されないであろうということで、たばこ事業法を使って、たばこの葉っぱを使って、そして、そういう装置を開発して、たばこ事業法の範囲で売っているというようなものが今の加熱式たばこであります。たばこと同様、たばこ事業法の管轄下でたばことして売られている。ですから、扱いもたばこと同様でいいのではないかという趣旨であります。

 もし、たばこと区別して、これはたばこ事業法下のたばこでないというふうにするのであれば、ほかの商品と一緒に、例えば何か、ちょっと今具体的なものが思い浮かびませんけれども、例えば何か食べ物でしたら食品安全委員会ですとかそういうところで検討されると思いますし、何か医薬品であればPMDAですとかそういうところで審査されると思いますし、そういうものが通ってから、それで議論したらいかがでしょうかというふうにお話をしたわけであります。

白石委員 ありがとうございます。

 つまり、加熱式たばこを紙巻きたばこと区別しないで対策、規制をすべきだ、安全性はそれほどでもないということが国として審査してわかった段階で、別扱いすることは考えていいんじゃないか、そういうことで受けとめさせていただきました。

 そのことについて、お医者さんである大手先生は、加熱式たばこについて、紙巻きたばこと同程度で扱っていいのか、それともまた別扱いでもいいとおっしゃるのか、お願いします。

大手参考人 私の意見を述べさせていただきます。

 加熱式たばこは、先ほど申し上げましたように、主流煙、その吸った人に対する害はやはり同じようにあって、しかもニコチンが紙巻きたばこと比べてそんなに減弱されていないことから、習慣性も当然出てくると思います。

 ただ、今議論になっているのは多分、呼出煙、喫煙されている人が吸って、加熱式たばこ、吐いたものにどれだけ含まれているかということがいまいちまだ明らかでないということと、それがそのほかの方々の健康被害に対してのエビデンスがないというところをもって別に扱おうということだと思うんですけれども。

 黒澤先生は法律論の方からおっしゃいましたけれども、私はもっと情緒的といいますか個人の感想的になりますけれども、今加熱式たばこも一緒にしないと、これで認めてしまうと、今度またそれを修正するのは非常に難しいんではないか。それは私たちの考えることではないんですけれども、今はやはり同列に扱っていただいて、将来のエビデンスが出てくれば緩めるということは可能かと思いますが。

 それからもう一つ申し上げたいのは、先ほどお話がありましたように、加熱式たばこの九〇%は日本で発売されているという、それからFDAが認可されていないということはありますので、日本人の健康の動向というのはやはり世界で注目されているところであって、ここでエビデンスが出てしまうということは非常に悲しいことであるというふうに考えています。

 以上です。

白石委員 同様に紙巻きたばこについて、天野さん、長谷川さん、そして山中さんも、加熱式たばこについて、お三方も御意見、紙巻きと同様の規制をすべきであるのか否かについて、お願いします。

天野参考人 先ほど申し上げたとおりでございまして、加熱式たばこは、WHOの方でもこれは規制の対象にすべきであると言っているわけですし、実際に、量が減弱されているかもしれませんが有害物質が常にあるわけですから、当然同列に扱っていただきたいというのが私の思いでございます。

長谷川参考人 私も同様に扱っていただきたい、同様に規制すべきというふうな考えを持っております。

 先ほど大手先生がおっしゃいましたが、FDAでは却下されています。そこに文言として、たばこ会社にだまされてはならないとまで言っているんですよね。そういったものです。

 なので、今の安全性が確認されていない段階では、同様に規制すべきというふうに考えます。

山中参考人 WHOでの考え方、それから日本呼吸器学会でも、加熱式たばこについては健康を損なう可能性があるので通常のたばこと同じように扱うべきというような見解が出されていることは承知しております。

 私といたしましても、先ほど申し上げましたように、この法律が施行されたとしましても、きちんと法律の中で示されておりますように調査研究を早急にしていただいて、国としての方針を示していただくべきと考えております。

白石委員 時間が来ましたので、そろそろ終わりにさせていただきたいと思います。皆様の御懸念のところはしっかりと浮き彫りにされたと思います。それらをやはりしっかりと当委員会でも議論し、ゆっくり急いでという、じっくり、でもやはり早く救わないといけない、この兼ね合いを考えながら、将来課題とするならば、それらについてどういう工程で取り組んでいくのかということも明らかにしなければならないなというふうに思いました。

 本日はまことにありがとうございました。終わります。

高鳥委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 中野洋昌でございます。

 きょうは、五人の参考人の皆様、貴重な意見を聞かせていただきまして、心から感謝を申し上げます。

 私ども公明党も、受動喫煙対策を何とか前に進めないといけない、こういう思いで審議をしてまいりました。

 皆様御承知のとおり、健康増進法、いろいろな議論がございまして、なかなか、どういったところで禁煙を進めていけばいいのか。私も議論にずっと参加しておりましたけれども、諸外国では、屋内全面禁煙、他方で屋外では喫煙ができる、割とこういう立て分けをしているところが多いわけでございますけれども、日本のこれまでの流れの中で、屋外での禁煙ということも進んできた、あるいは分煙というふうな形で今まで進んできた部分もあって、それを更にどうやって進めていくのか。

 もちろん、たばこを吸わない人の立場からすれば、これはもう一刻も早くあらゆるところで、こういうことはもちろんではございますけれども、他方で、飲食店でありますとか、あるいは、いろいろな関係者の方の御意見もあってなかなか調整がつかないということが続いておりまして、しかし、これは何らかの形で進めないといけない、一定の結論を出さないといけない、こういう思いで議論に参加をしてまいりました。

 そこで、まず冒頭、がんの患者というお立場から、天野様と長谷川様にお伺いをしたいわけでございますけれども。

 もちろん、その立場において、今回の法案、まだまだ不十分なものがある、もっと進めないといけない、そういった御意見というのは、もうもちろんでございます。しかし、その上で、今進められるところをしっかり進めないといけない、こういう思いで、提出、政府の方でしておる法案でございます。

 ですので、まず、お二方に、この法案、もちろん不十分なところ、そしてもっと進めていただきたいところもある、こういう御意見、重々承知をしております。この法案の、今回これをやっていくということについての御意見。

 そして、もう一点は、今自治体においてもいろいろな動きが進んでおります。

 実は私は地元が兵庫県でありますけれども、神奈川県、兵庫県、もともと受動喫煙の防止条例ということで既に実は条例がございまして、今回、特に私が注目しておるのは東京都、東京オリパラがある東京都におきまして、特に飲食店における取扱いということで、かなり踏み込んだ条例案が今準備をされている、こういうことも承知をしております。

 今回、政府としてこの法案を提出をしているということについての御評価、そしてまた、いろいろな自治体におきましてこうした動きが出てきている、こういう点についての御評価、この二点について率直な御意見をいただければというふうに思います。

天野参考人 ありがとうございます。

 先ほど御説明申し上げたとおり、まず、一歩を一日も早く進めていただきたいという思いであるのは間違いございません。

 ただ、一歩を進めるだけでは足りないというのが私の気持ちでございまして、二歩、三歩進めていただくということが重要であり、その観点から、先ほど、ぜひ御検討いただきたい点、例えば、例外措置の部分について、期間が妥当であるかとか、そういった部分を指摘させていただいた次第でございます。

 二点目の各自治体のところでございますが、自治体については、それぞれが上乗せで規制をしていただくのは大変私はありがたいことだと思っていまして、その地域の方にとってはいいという面はございます。

 ただ、一方で、先ほど長谷川さんからも指摘がありましたが、自治体によってそれがばらばらになってくると、健康格差というものも生じかねないのではないかという危惧も確かにございまして、できるだけ国で積極的に進めていただきたいという思いではおります。

長谷川参考人 私としては、全体観というふうなところで言うと、言いにくいのですが、国民民主党の対案がよいのではないかというふうに思っております。

 この法案のもとになっているのは、前厚労大臣である塩崎先生のときの案とほぼ同様だというふうに感じております。学校も禁煙ですし、それから、三十平米というかなり区切った形になっているというふうに感じています。それがやはり、そこで初めて一歩というふうに言えるのではないかというふうに肺がん患者の立場からは申し上げたいです。

 それから、都の方なんですけれども、都の方に関して言うと、やはり、子供若しくは家庭とか、そういったところにまで踏み込んだものをつくっておられます。

 一つちょっと例を出したいんですが、乳幼児突然死症候群というのはレベル一の危険性があるというふうに言われています。肺がん、脳卒中や心筋梗塞と同じレベルでリスクが高いというふうに言われているというふうに理解しています。今、一万五千人の中の七十三人がたしか乳幼児突然死症候群で亡くなるとされているんですが、全体としては百五十人年間で亡くなっているそうです。つまり、七十三人受動喫煙で亡くなっているということは全体の半分なんですね。どれぐらい赤ちゃんが受動喫煙に弱いかというか、その影響を受けるかということを示しているというふうな数字だというふうに思っています。

 しかしながら、先ほど一番最初の私の話の中にもありましたが、被害者が声を上げるでしょうかというところで言うと、上げられないです。そして、もちろん被害者の中には、親も被害者でしょうけれども、親が声を上げるでしょうか。上げないと思います。つまり、これを変えられるのは法律だけというふうに思っています。

 そこに関して、今の法案では、国民民主党の対案でも、塩崎前大臣の案であっても、そういったところは一切関知できないというか、そこを救うことはできないというようなことだというふうに思っています。そういった意味で、東京都の案はそこに踏み込んだ形としてかなり評価できるというふうに感じています。

中野委員 ありがとうございます。しっかりと御意見を受けとめて、私たちもまた施策を進めていかなければいけないというふうに思っております。

 今回幾つか論点がございまして、先ほど来出ております経過措置の部分でありますとか、あるいは加熱式たばこの取扱いでありますとか、ございます。先ほども加熱式たばこの取扱いについては質疑が出ておりましたけれども、私もこの点につきましてお伺いをしたいというふうに思います。

 黒澤参考人の方からは、加熱式たばこについては通常のたばこと同じように扱うべきなんだという御意見をいただきました。ですので、大手参考人と山中参考人の方にお伺いをしたいというふうに思うんですけれども。

 加熱式たばこは、確かに吸っている本人に対して害があるというか、影響があるというのははっきりしております。他方で、加熱式たばこの受動喫煙についてはどうかというのは、WHOでもまだ評価がはっきりはしていない、こういう状況だというふうに承知をしております。

 ですので、今回、加熱式たばこの受動喫煙というものに関してはしっかり調査研究をしていくということでございますけれども。私も、少し危惧というか、思っておりますのが、この調査研究が果たしてどのくらいかかるのかというところだというふうに思っておりまして、そういう研究の実態というものは、私たちも専門的なものでなかなかわからない部分があるんですけれども。

 加熱式たばこの受動喫煙についての調査研究、どのように研究が進んでいるのか、あるいは、国に対して、どのくらいのスピード感でこういうものをやるべきなのか、あるいはどのくらいのスピード感でやれるのか、こういうことにつきまして、もし御所見がございましたら御意見いただければというふうに思います。

大手参考人 御質問ありがとうございます。

 紙巻きたばこと加熱式たばこの喫煙者本人に対する害は恐らくはそうは変わらない、つまり、ハームフルというか、よくないであろうということだと思います。受動喫煙に対する、紙巻きたばこは、これはよくない、加熱式たばこはエビデンスがないというところが現状だと思うんですね。

 その点で、喫煙者本人に同じ害があるということであれば、先ほど申し上げたのは、同じように規制して、エビデンスがはっきりわかったら、それは解除することも可能であろうというふうに思います。その方が、やはり健康増進という視点に立てば、意義あることだと思います。

 それから、いろいろな臨床研究を我々もやるわけですけれども、一つの研究が、調査研究であっても数年、前向きに登録してやるとなるとやはり七、八年から十年はかかってしまうので、その結論を果たして待つのかという視点に立つと、やはりとりあえずは規制の方向は、個人的な意見ではございますけれども望ましくて、後で緩めるという可能性は残しておけばいいんではないかというふうに考えております。

 以上です。

山中参考人 先ほど申し上げましたように、日本呼吸器学会の見解におきましても、加熱式たばこを吸う御本人以外にも、使用者の呼出したエアロゾルは周囲に拡散する可能性があることから、受動吸引による健康被害が生じる可能性があると認識されております。

 国におきましても、調査研究はどれぐらいの期間ということでございますが、がんは大変長期にわたるものと想定されますので、比較的急性期に発生するような呼吸器疾患等、その辺は御専門の先生方に十分御意見を伺った上で、早急に結果が出るものに対して研究をしていただければというふうに思っております。

中野委員 ありがとうございます。

 続きまして、健康増進法を具体的に施行していくに当たりましてということで、全国保健所長会会長というお立場でもあられます山中参考人にお伺いをしていきたいんですけれども、私の地元の兵庫県では、受動喫煙の防止条例というものができまして、実態調査というものもことし行われております。

 例えば飲食店であれば、喫煙とか禁煙とか、そういうステッカーのようなもので、はっきりわかりやすいようにということで、表示をしないといけないというふうな条例にはなっておるんですけれども、私、ことし、その調査の結果をお伺いをして少し愕然とした部分があるんです。残念ながら、飲食店においてステッカーをちゃんとしているというところの割合が三割を切っている、こういう状況でございまして、しっかりと実効性を担保していくというのが非常にこれから大事だなというふうに感じた次第でございます。

 そこで、先ほど、都道府県の立場でということでおっしゃっておられました。もちろん、保健所に関しましては、人員がそもそも足りるのかという問題ももちろんあるというふうに思っておりますし、しっかりした準備の期間をということも言っておられたのも承知をしております。

 改めまして、施行に向けまして、しっかりと健康増進法の実効性を保っていくために必要な準備として、御意見の中でも少しおっしゃっていただいてはいたんですけれども、もう少し具体的に、こうしたところが非常に重要だと思うというところを改めて御意見いただければというふうに思います。

山中参考人 繰り返しになりますけれども、先ほど申し上げましたとおり、現状の人員では大変厳しいというふうに思っております。専門のそういう職員を採用するなどして、違反者への対応等も検討しなければならないというふうに思っております。

 ただ、私どもは日ごろから、例えば飲食店業に関しましては、食品衛生法に基づいて監視指導するような機会を持っております。また、医療機関や薬局等につきましては、それぞれの法律に基づいて監視指導するような、そういう立場でございますので、通常の業務の中でも当然に、きちんと法律が守られているかどうかということも見る機会も十分ございます。また、日ごろの業務の中で、関係する機関、団体等にも連携、御協力をお願いするなどして、法の考え方に基づいた、望まない喫煙を防止するよう努力してまいりたいと考えております。

中野委員 もう少し具体的にお伺いをしたいんですけれども、例えば、今回の法律でございますと、二十歳未満の方が喫煙をできるところには立入禁止になるという規定もございますし、また、例えば飲食店でアルバイトしている方が二十歳未満だった場合においては、そうしたところにも立ち入れないというふうな規定もございます。

 例えば、今回、東京都の方でどういう条例を考えられているのかというのを拝見いたしますと、要は、従業員がいるところの飲食店というのは原則として禁煙だと、こういうふうなところの条例だというふうにも伺っておりまして、実際、こうしたところについてどこまで保健所が対応していけるのかというところが、非常に、実効性を保つという上でも大事だというふうに思っております。

 恐らく、労働関係のところ、労基署とか労働部門としっかりと連携をしていかないと、なかなか実効的にチェックできないんじゃないか、こういうふうに思うんですけれども、そうした点につきましてどういう意見をお持ちかということをお伺いできればと思います。

山中参考人 ただいまの委員の御指摘のとおり、特に、私ども、関係性の薄い事業所等につきましては、どのように指導していくかということは課題でございます。

 ただし、地域の中では日ごろから労働基準監督署等とも連携を持っているところでございますので、今後、まだ国から詳細な説明を受けているわけではございませんけれども、そういった連携などをもとにして、情報を提供いただいたりして、なるべく地元で工夫をしながら対応してまいりたいというふうに考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 あともう一つ、論点というか御指摘といたしまして、例えば第一種施設でありますとか、敷地内禁煙というものを徹底をしていけばいいのではないか、こういう御意見も頂戴をいたしました。

 他方で、ここの部分につきましてはいろんな議論があったというふうにも承知をしておりまして、例えば今、学校であれ市役所のようなところであれ、敷地内全面禁煙をしているというふうな事例というのはあるわけでございますけれども、しかし、他方で、その敷地外で喫煙をするようなケースもありまして、その近隣との問題ということも生じていたりとか、いろんな御意見も伺うところでございます。

 黒澤参考人が、産業医というお立場もあるかと思うんですけれども、こうした敷地内の禁煙についての事例というものも紹介をしていただいておりましたけれども、今回の法律における第一種の施設の敷地内の禁煙についてはどのようにお考えかということを、御意見を頂戴できればと思います。

黒澤参考人 当然、例外なく一律に敷地内禁煙にする、喫煙所は一切設けないというふうにするべきではないかと思います。第二種に関しても実は同じであります。

中野委員 わかりました。端的な御意見、ありがとうございます。

 もう一つ、施行に向けてということで、山中参考人にお伺いをしたいというふうに思います。

 今回、前回政府から出てきた案と違いますところが、新規の店舗というものについては、これは経過措置の対象外ということで、例外なく、これについては禁煙という措置をとるということになっております。

 他方で、これについても、では実際にどれが本当に新規の店舗であるのかとか、そういったチェックがしっかり図られないと法律の抜け穴になってしまうというか、そういったところを危惧しております。

 そうしたところをしっかり実効性を保っていくためには、どうした準備、施策というものが必要なのかということについて、最後にお伺いできればと思います。

山中参考人 委員御指摘のところは、私どもも懸念をしているところでございます。

 この点につきましては、運用上の問題でございますので、国がしっかり方針を示すべきだというふうに考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 大変にさまざま各参考人の皆様から貴重な御意見を頂戴いたしました。しっかり受けとめまして進めていきたいというふうに思います。

 きょうは本当にありがとうございました。

高鳥委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本日は、五人の参考人の皆様、お忙しい中御出席いただき、また、貴重な御意見をいただきました。本当にありがとうございました。

 早速質問させていただきます。

 まず、天野参考人に伺います。

 全国がん患者団体連合会理事長として、二〇一六年にはがん対策基本法の改正を実現することができました。そのために御尽力されたと思います。またその一年半後に、がん対策とは真逆の受動喫煙対策で参考人として発言をすることになるというのは、大変心中を思うところがございます。

 法改正で力を入れたのは、緩和ケア、そして就労の問題だったと思います。緩和ケアに対しては、最期はゆっくり思うように過ごさせたいという気持ちがあると思うんですが、同時にそれは、喫煙する人の立場だけを尊重するのはよくないのではないかという指摘があるかと思います。

 それからもう一つは、手術や入院を終えて、通院治療や定期検診を受けながら就労する、したい、そういうがん患者にとって受動喫煙は最も避けたいことではないかと思うんですが、御意見を伺いたいと思います。

天野参考人 ありがとうございます。

 まず、がん患者の方々で自分御自身が、先ほど来望まない受動喫煙という言葉がもちろん出ているわけですが、望んで受動喫煙をされたいという方は、がん患者の中では確実にいないと私は理解しております。

 そういった観点から、今御指摘の点について私なりの私見を申し上げますが、その点については、私も、緩和ケアにかかわる先生方と話し合ったり、また、患者、家族の方々ともお話をしたことがあります。

 まず、例えば、いわゆるみとりの時期といいますか、非常に、患者さんも体力が落ちてくると、御自身はたばこを吸うことがそもそも困難になってくるという状況があります。それでもなお、もちろん、それよりもうちょっと前で吸われるという方はいらっしゃるわけですが。

 ただ、そうなると、患者や家族の方々は受動喫煙にさらされるということがあるわけでして、その部分で、どう考えていくのかというのは非常に難しい部分がありますが、事受動喫煙に関して申し上げるならば、それを望んでいる方はいないということは繰り返し申し上げたいと思います。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 何か並び立つ方法があればということは非常に思いますけれども、やはりここは非常に厳格にやっていく必要があるのではないかなと。要するに、別の弱い立場の患者さんの緩和ケアでもあるわけでありますから、喫煙をしない患者さんの緩和ケアとして、それが何らかの受動喫煙につながることがあってはやはりならないんだろう、あるいは、ケアをする方たちの立場にも立たなきゃいけないんじゃないかなというふうに思っております。

 次に、長谷川参考人に伺います。

 余命を宣告されてからのリアルな心境や家族のこと、貴重な経験をお話ししてくださいました。特に、御自分が喫煙者ではないのに肺がんになったということは、家族もつらいし、誰かを恨んだり、また、家族がそのことで自分を責めるなど、当事者でなければわからない、そういうつらさがあるのかなと思って伺いました。

 私は、やはり受動喫煙は、望まない人の対策だけではだめで、喫煙者の健康そのものも守っていく、受動喫煙をなくすことで喫煙率も下げていく、双方向で目標を持って取り組むべきだと思いますが、御意見を伺います。

長谷川参考人 ありがとうございます。

 まず、自分自身が、先ほども申し上げたように、親から受動喫煙を受けていた、自分の病気がそこに原因があるのではないかということで、たまにどう思っていらっしゃるんですかというふうに聞かれることがあります。それは、親ですので、私を生み育ててくれた人ですので、非常にその感情は複雑です。言葉にはあらわせません。また、あらわすつもりもありません。そして、私がこうやって言えるのは、父が亡くなっているからです。亡くなっているので言えるというような、そんな状況です。

 そんなふうに、受動喫煙を身内から受けて、もし、それが原因でがんを発症し、自分の命にかかわる、そんなような状況が起こっているのであれば、それは本当に言葉にあらわせない苦しみがあるということはお伝えしたいというふうに思っています。

 そして、だからこそです。受動喫煙だけではなく、喫煙者の方にその害を知っていただいて、やめていただきたいという気持ちも当然あります。というか、そちらの方が強いというふうにも思っています。

 双方向ということでいうと、本当にそのとおりだなというふうに思います。望まない受動喫煙をなくして望まない人が保護されると同時に、喫煙者の方がたばこをやめるきっかけになってくれればいいなというふうには本当に切に思うところです。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

高橋(千)委員 済みません。お答えにくかったと思います。ありがとうございました。

 私が言いたいのは、健康増進法なので、喫煙する方の健康も守り、喫煙率そのものを下げていく、そういうふうにならなきゃいけないんじゃないか。法案の中に、家族の問題、なかなか規制をするのは難しいというので、配慮規定というものがございますけれども、やはり、社会全体が完全禁煙に向かっていくことによって、結果としては、喫煙率も下げていくし、全体の健康を守るんだという方向に大きく歩み出してほしいなという思いで質問させていただきました。ありがとうございました。

 次に、黒澤参考人に伺いたいと思います。

 喫煙は最大のリスクであり、かつ予防可能なんだとおっしゃっていただきました。だからこそ、今回の受動喫煙防止、もっと法案は踏み込んでほしかったなという思いでおります。

 受動喫煙対策は、たたき台が出されたときから、基本的考え方になり、そして、今回の政府案になっていく中で、やはり大きく後退したと思います。また、加藤大臣になってから、望まない受動喫煙の防止に変わってしまいました。

 私は、望まないという言葉を取るべきだと思います。先ほど来お話があるように、望む人はいないと思うからです。非喫煙者は全て望まないと思うということは、大臣答弁されているんですね。なので、あえて違いを設けるのは、やはり完全な受動喫煙対策ではないからではないかなと思うわけであります。

 黒澤参考人には、多くの依存症患者を診てきた立場から、喫煙者の減煙、喫煙者そのものを減らすこと、そのために受動喫煙防止対策は完全禁煙であることが重要ではないかと思いますが、御意見を伺います。

黒澤参考人 まさに、たばこを吸うところをなくすことによって、やめたいと思っている人がやめるきっかけを得る。吸うところがある限り、なかなかニコチン依存症のためにやめられないというような事情がございますので、受動喫煙対策をして、喫煙する場所をなくしていくということが喫煙率を低下させていくということにつながるということは本当だと思います。

 ただし、今回の法案のように、例外を設けて喫煙場所を設けるということをしてしまいますと、その喫煙率を減らすというような趣旨が失敗に終わるというようなことになってしまうことは懸念されると思います。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 やはり例外は設けるべきではないと思っております。

 もう一つ黒澤参考人に伺いたいんですが、黒澤参考人は産業医でもありますので、職場の受動喫煙対策ということについて、今回の法案では少し曖昧ではないのかなと思っています。例えば、立入禁止が二十未満ということしか書かれていないですとか、思うんですけれども、御意見を伺いたいと思います。

黒澤参考人 先ほど来、例えばそこの控室で灰皿があったと。これは、衆議院でも働いている方がいらっしゃるわけで、この方たちが受動喫煙を受けるというのはまさに職場の受動喫煙であります。ですから、そういう働く人の健康を守るというのは我々産業医の務めでありますので、ぜひこれは、ここで働く人のために、国会内の禁煙というのは絶対するべきだというふうに思うわけですけれども。

 この法案を見ますと、やはり働く人の受動喫煙、働いている場合には、奉仕する立場だから、お客さんの煙に関してはしようがないんじゃないかみたいな、そういうニュアンスで受け取れますが、絶対そんなことはないと思います。

 また、国民民主党さんの案でしたでしょうか、従業員の同意が得られればというような文言もあったかと思いますが、それも従業員には酷な話で、労働者というのは弱い立場ですので。

 内閣提出の案でも、望まない人に対してはとかいう文言がありますけれども、それは、望むか望まないかというのを従業員に問いただすというのも、これはもう非常に酷な話でありまして。

 やはり一律に、例えば喫煙場所を設けますと掃除する人なんかも必要なわけで、そういう人が立入りする際にやはり受動喫煙を受けてしまうとかいうようなことではいけないわけでありまして、働く人に関して、しっかり、受動喫煙の被害を受けないようにというような法律の文言づくりをせめてしていただければと思う次第です。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 先ほども、国会のことについては皆さんが同じ意見だったと思います。今、厚労委員会の理事会室にはないんですけれども、これまで理事会室にも灰皿がありまして、目の前でたばこを吸われて会議をやるというような状態に私自身もさらされておりました。やはりここから変えていかなければと与党の理事の顔を見ながら訴えたいなと思いますし、また、ぜひ全体を変えていただきたいなと思います。

 それから、先ほど天野参考人からも御指摘がありましたように、労使の関係というのは、やめてほしいということを言えない関係であるのだということ、やはりそこをちゃんと踏まえる必要があると思います。

 実は、この法案をつくってくる過程で、政府がいろいろな形でヒアリングをやったり、ワーキングチームの公開ヒアリングなどもやっていますけれども、例えば、ホテルのお部屋は自宅と同じだからということで喫煙可能になっている、だけれども、それを毎日ベッドメーキングする方たちの受動喫煙はどうするんですかって厚労省が聞いているんだけれども、考えていませんという答弁があったとか、そういうことにきちんと思いをいたす法案でなければならないんじゃないかなと思いました。

 ありがとうございます。

 それでは次に、大手参考人と黒澤参考人に同じことを質問したいんですが、先ほど大手参考人が、加熱式たばこについて、エビデンスが出るには長い時間がかかるんだから、だったら、今同じように規制をして、もし影響が余りないんだというのがわかったら緩めればいい、緩めてしまったらなかなか強めるのは厳しいですよという御指摘をされた。すごく大事なことだと思って、私は先ほどの意見に賛成であります。

 今回、加熱式たばこ専用の喫煙室を設けることができることになっております。そのときに、紙巻きたばこの専用室は吸うだけのお部屋なんですけれども、加熱式たばこは飲食もできることになっているわけですね。そうすると、滞在時間が当然長くなりますよね。そういう意味では、むしろこういう区別をしない方がよいのではないかということを強く思っているんですが、お二人に意見を伺いたいと思います。

大手参考人 先ほど御意見申し上げましたように、加熱式たばこは、私の個人的な意見としては、今だからこそ同様に規制できるんじゃないかという話ではないかと思います。

 それから、先生御指摘の加熱式たばこ専用の喫煙室、それの意味を私も考えたんですけれども、滞在時間が長いので、いわゆる呼出煙が食物に付着するとか、あるいはそれが、エアロゾルとして吸入するかはちょっとわかりませんけれども、そういうことがあるのかなと思ったんですけれども、しかし、それは全然わかっていないことであると思うんですね。

 したがって、加熱式たばこに対して喫煙室を設けるという意義は、科学的には少し考えにくいんではないかというふうに思っております。

 以上です。

黒澤参考人 私は、先ほど来申し上げましたとおり、加熱式たばこを区別する意味は全くないというふうに思います。

 加熱式たばこを区別する意味は、害がないであろうというような趣旨だと思うんです。誰が害がないと言っているか、誰が害がないと認めたか、それをはっきりしていただいて、その正当性をちゃんと国民に示していただきたい。

 何でこの加熱式たばこを、もともとは外国の会社が初めに売り出したと聞いていますが、ただ、たばこ事業法のもとで売り出されていますので、どうしてこれを売り出すというふうなことを認めたか。国民に害を与えるというふうに、まあ、たばこを売っているということ自体がちょっと、もとをただせばそういうことになるかもしれませんが、新規の製品がどうして認められたかというようなことにもなろうかというふうに思います。

 ですから、戻りますけれども、区別する必要は全くないというふうに思います。

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 最後に、山中参考人に伺いたいと思います。

 実は、先ほど初鹿委員が指摘してくださったことが私が言いたかったことで、やはり、保健所の任務が余りにも多くて、かつ、求められる責任が大き過ぎるというか、どんどんふえていると思うんですね。

 今回の受動喫煙だけでなく、ついこの前やった食品衛生法がそうであり、また民泊、旅館業法がそうであり、これは、届出しない業に対しての取締りですから、かなり大変なことなわけですよね。そして、参議院先議であり、まだ衆議院にはおりていない精神保健福祉法の関係もあると思います。また、母子保健、結核、感染症対策。私たちは、その都度、やはり人手が足りないんじゃないか、専門家が足りないということを指摘をしてきました。

 今回の法案に関しても、体制は厳しいということをおっしゃっておりますけれども、全体として、そういうことをもう少しおっしゃってくださってもよいのではないかと思いますが、一言お願いします。

山中参考人 御質問にお答えいたします。

 委員が御指摘いただきましたように、次々と保健所が担う業務がふえておりますことは、私も実感として感じております。

 ただ、やはり、地域の中で住民の方々が安全に、そして安心して暮らせる、そういう地域を目指すために私どもの存在意義があるというふうに考えております。

 今後の対応につきましては、国から詳細な運用についての説明を聞いた上でまた考えていくことにはなりますけれども、現段階では、やはり今の現状では大変難しいと思っておりますので、繰り返しになりますが、専門の職員を雇用するとか、あるいは、日ごろからお世話になっている関係団体の方々あるいは機関の方々に御協力いただくなどして、現場で工夫しながら運用を進めてまいりたいと思いますし、実効性のあるものにしていきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 時間が来ましたので、終わります。

 きょうは、貴重な御意見、本当にありがとうございました。

高鳥委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。

 本日は、五名の参考人の皆さん、お越しいただきまして本当にありがとうございます。

 そして、皆さんのお話そして答弁の中から、いろいろと参考になる、ためになるお話をたくさん聞かせていただきました。私で最後になりますので、よろしくお願いをいたします。

 私は個人的には、過去にたばこを吸っておりました。妻が子供を授かったときに、それをきっかけにきっぱりたばこをやめた人間なんですけれども、私個人的には、たばこなんて世の中からなくなればいいと思っている人間の一人です。

 ただ、たばこを吸っている方々、特に国会はたばこを吸う方が割と身近にたくさんいらっしゃいますので、その方々の吸っている部分に関しては邪魔をしてあげるつもりもないんですけれども。

 きょうの質疑の中で誰も触れませんでしたけれども、国会内には、たばこ議連といいますか、もくもく議連という、たばこを吸う方々の強力な抵抗勢力がありまして、その関係もあって、去年、実はこの法案が前に進まなかったんじゃないかと疑われております。これは与野党を超えて非常に結束力のある超党派の議連でして、議連じゃないですね、ただの集まりだと思うんですけれども、それでもすごく影響力がありまして、なかなか手ごわい人たちがいてます。

 私自身が皆さんに最初にお聞きしたいのは、屋内の禁煙に関して今回の法案でいろいろと議論がなされていますけれども、そうなると、たばこを吸う方々は屋外で吸うことになっていくと思うんですね。

 屋外でたばこを吸うことに関してもいろいろと、もちろん屋外も禁煙という形に類型をとっているところもありますけれども、例えば、大手参考人の名古屋市立大学、そして黒澤参考人の東北大学、これは構内全面禁煙にされていると。

 された場合、どうしても皆さん外で、近隣で吸うことにならざるを得ないということで、もちろん各大学で、外で、周辺で吸わないように、皆さんに迷惑をかけないようにということもされておる。されていると資料にはちゃんと書いてありますので。

 屋外で吸うことに対する考え方というのを参考人の皆さん全員からお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いします。

天野参考人 今回、特に屋内が議論されているのは、受動喫煙で非常にその影響が大きいということがあるからというふうに理解しているんですが、私の個人的な感覚ですと、例えばバスの停留所であるとかそういったところでたばこを吸われている方がいらっしゃって、その煙が気になるということはございます。

 また、そもそも、煙のこともありますし、たばこのポイ捨てであるとかそういったことももちろんあると思いますので、できれば屋外でも節度を持って吸っていただきたいという思いは持っております。

 ただ一方で、先ほど来あります、では屋外で喫煙の場所を指定し、例えば喫煙所を新たに整備していくとなると、それはもしかしたら、必要なことなのかもしれませんが、一方で、それがまた喫煙率の減少につながらないということになると、やはり健康に影響もあるだろうというふうな思いでおります。

 以上です。

長谷川参考人 原則としては、屋外でもなるべく吸ってほしくないというのが肺がん患者の気持ちではあるんですけれども、やはり喫煙者の方々が、それではもう吸うところがないじゃないかというふうにおっしゃるのはすごくよくわかります。そういったことで、屋外の喫煙所をつくる、ふやしていくというのは一つの方法ではないかというふうに考えてはいます。

 しかしながら、それも一時的なもので、何とかそれを、数年たった後にそういったところもなくしていくということができればいいんじゃないのかなというふうに個人的には思っております。

大手参考人 先ほど名古屋市立大学の例を挙げていただいてありがとうございます。

 私ども、大学病院のことがよくわかっていますので申し上げますと、大学病院内、もちろん敷地全面禁煙で、先ほどスライドをお見せしましたように、前の道で吸われる方がいて、それは数年前では当院の委託職員とかもそういうことがございました。しかし、近隣の方から御苦情をいただいて、今はほとんどございません。

 データとしてなんですけれども、今、日本の国内の喫煙率は多分一五%、二〇%近いんじゃないかと思いますが、これだけ禁煙にしても、もちろん敷地内では吸っていませんけれども、我々の全職員千五百人おりますが、五%の喫煙率はデータとしては持っています。ただし、医師で吸っている人は私は見たことはございません。そういう事実がございます。

 では、どこで皆さんが吸うようになったかというと、一部の患者さんも含めてですけれども、道を一本隔てたコンビニなんですね。コンビニの前がもくもくとしているという事実は、これは事実でございますし、コンビニ側はそれは規制されておりません。灰皿は敷地内、吸っているのは公道というふうになるわけなので。

 こういう問題が生じているということに対して、なかなか意見を申し述べるのは難しいんですけれども、必ずしも好ましいことではない、必ずしもじゃなくて、全く好ましいことではないというふうに私は考えております。

 以上です。

山中参考人 屋外の喫煙につきましては、やはりまだ喫煙率がゼロになっておりませんので、ある一定数の方々が喫煙をされておりますので、そういった方々が利用するものと考えております。

 保健所といたしましては、先ほど高橋議員がおっしゃったとおり、能動喫煙、いわゆる喫煙者を減らす、そういった対策を今後とも強めてまいりたいというふうに考えております。

黒澤参考人 東北大学を禁煙にする際に議論になりました。

 私は一貫して、喫煙者は喫煙すること自体が病気であるというふうな論理を展開しております。

 これは、もう既に国際的な病名の中にニコチン依存症というのがありますし、例えば、アルコール依存症の方の治療ということでアルコールを飲む機会を与えるかというような話をして、与えないと思います。ニコチン依存症の方にニコチンを供給する場を与えるかというと、絶対それはないと思います。僕はないと思っています。

 ですから、東北大学の禁煙の場合には、敷地内ではもちろん、それから敷地の外でも、周辺領域で、例えばコンビニで吸っている人を見かけますと、上司の方から注意をしていただくというようなことをしたりしています。

 公園で吸っていたりですとか、苦情はいただかないわけではありません。周辺住民の方に御迷惑をおかけしている面もあると思います。

 しかし、わかった場合には必ず大学の方から注意を差し上げて、そしてなくす、ある意味イタチごっこみたいになっていますけれども、そのようにするべきだというふうに思っています。

浦野委員 ありがとうございます。

 私、国会議員になる前は大阪府の府会議員でした。大阪府庁、もちろん、官公庁ですから、早い時期から庁内禁煙、最初は分煙をしておりました。職員、そして議員、同じところで、吸う方はそこでたばこを吸う。当時、同期の府会議員だった今の大阪府知事も、そこでたばこを吸っていました。今は知事になられましたので、たばこを吸えません。庁内では全く吸わんとずっと我慢をして、いらいらしてはります。

 実は、道を挟んで向こう側に大阪城公園という非常に大きな、皆さん御存じの公園、大阪城は公園ですので、公園があります。庁内禁煙にしたとき、職員の皆さん、休み時間に大挙して外でたばこを吸う。最初はやはり苦情が出ました。苦情が出たので、皆さん、大阪城公園でたばこを吸う。そうしたら、今度は大阪城公園から苦情が来ました。ということで、今おっしゃったようにイタチごっこになったんですね。

 結局は、大阪府も、仕事せんとたばこばかり吸っているという苦情が物すごく入ってきまして、外でも吸ったらあかんということで、あの手この手でたばこを吸う方々にいろいろ指導したんですけれども。

 ついこの間、ニュースにもなりましたけれども、大阪府の職員が、四百四十回ですか、職務中に席を外してたばこを吸いに出ていたというのが発覚して、懲戒処分されたんでしたかね、処分されました。

 今回の法案では、屋内はもちろん規制対象ですけれども、屋外は対象になっていないんですね、実は。今回の件も、すぐ隣に公園があったということで、そこでひどいときは何十人とたむろしてたばこを吸っていましたから、火事でも起きたんかというぐらい煙がもくもくと出ていた時代もありました。

 公園等も、実はいろいろな人たちが集まるところですから、規制すべきなんじゃないかなとその事例を見ていて思ったんですけれども、黒澤参考人、いかがですか。

黒澤参考人 実は、東北大学のすぐ近くに公園がございまして、そこに職員が行っているということで住民から苦情を受けました。市の方と協議をしまして、これはお願いしたわけじゃないんですけれども、市の方が公園を禁煙にしてくれまして、それで解決いたしました。

 やはり、行政の方にもお願いしたいんですけれども、公園は、子供が行ったりとかいろいろなことで、禁煙にするべき場所ではないかと思います。決して喫煙場所ではないので。行政の方でも、ぜひ、公園のようないろいろな人が集まる場所は禁煙にするべきというふうに私は思います。

浦野委員 山中参考人、同じ地方の公務員として、大阪府の今回の職員の事例なんかはどう思われますか。

山中参考人 私どもの施設も敷地内禁煙にしております。

 職員に関しましては、昼休みを利用して、自分の車の中で吸っているというような職員もおりまして、今のところ周辺から苦情はございませんが、大阪のようなそういう実情もたくさんあるんだろうなというふうには思います。

 それを懲戒処分をするかということにつきましては、それぞれの都道府県のお考えによるものというふうに考えております。

浦野委員 私は、冒頭に言いましたけれども、たばこをもう今は吸わないですし、たばこはなくなってもいいじゃないかと思っている人間です。

 今回、屋内を非常に厳しくする。海外でも、もちろん完全禁煙、屋内は完全にだめだというふうにしている国がたくさんある中で、ただ、屋外はそういう規制をされていない国がほとんどなんですね。

 やはり、屋外、屋内とも規制をしている、規制といいますか、法律上規制をされているわけじゃないですけれども、例えば、地方自治体とかで条例等とか定めて、くわえたばこしてはだめとか、そういうふうな屋外も規制しているところがたくさん日本にはあります。

 私は、屋内と屋外のそういうバランス、世界的な例から見ても、どちらも厳しいとなると、たばこを吸う人たちは非常に困るんだろうと。

 私も、もう亡くなっていますけれども父親がたばこを非常に吸う人でしたので、その父親いわく、たばこを吸う人はたくさん税金を納めているんだ、税金を納めている以上、たばこを吸う権利はあるはずだということを常々私に、何で私に言っているのかようわからないですけれども、私に言っていました。

 当時から、たばこを吸う人たちの肩身がどんどんどんどん狭くなっていっていたということもありますので、私は、やはり吸わない人に対して気を使うべきというのは非常に思うんですね。

 何で外でそうやって吸えなくなっていったかといったら、外で吸っていた人のマナーが悪かったからそういうふうになっただけなんですよね。要は、たばこを吸っていた人たちが原因で屋外の規制も厳しくなって、社会的なそういう認知度が逆に上がって規制されていった、肩身が狭くなっていったということになると思うんですね。

 私は、だから、マナーをしっかり守って、そういう受動喫煙をしたくないという人たちに対して気を使ってたばこを吸っていただく分にはいいんじゃないかと。そういう意味では、屋内を厳しくするのであれば、屋外である程度吸えるというふうにしてあげないとなかなか難しいかなと。これもバランスの話だとは思うんですけれども。

 参考人の皆さんに最初に聞いたら、やはり屋外も禁煙をすべきだということです。私は、それでも全然いいんだとは思っているんですけれども、別に、たばこを吸う人たちに言えと言われたわけじゃないですけれども、そういう意見もあるということなんですね。

 最後に一点。黒澤参考人が後で配ると言っていただいていた資料の中で、ざっと目を通したら、モンタナ州ヘレナ市の事例というのがありました。それをちょっと詳しく御説明をいただけたらと思います。

黒澤参考人 モンタナ州のヘレナというところで、公共の場、レストランとか酒場とかそういうところを全く禁煙にしたら心筋梗塞が激減したというような話であります。

 また、つけ足しの話がありまして、それはあんまりだということで、多分、レストランとか事業主が訴え出て法律が差止めになって、もう一回吸えるようになった。そしたら心筋梗塞がまたふえた。

 その一報だけならよかったんですけれども、ほかにも追随する報告が出まして、受動喫煙というのは心筋梗塞を誘発するものだということは、今では国際的な常識だということであります。

浦野委員 ありがとうございます。

 やはり、望まない方々にそういった受動喫煙が起こるというのは避けるべきだというのは本当に大前提だと思っています。

 東京なんかは結構、屋外の喫煙場所、ここの近くでも溜池山王に一つあるんですけれども、そこで朝なんかはもう何十人という人が集まってすごい煙で、うわあっと吸っていますね。逆に、あれだけ人が集まってたばこを吸ったら受動喫煙えげつないんちゃうかなと思ったりもするんですけれども。

 ああいうところも必要なのかどうかという議論も、参考人の全員の皆さんがおっしゃるように、これはただの通過点であってこれから更にもっと規制をしていくべきだという意見も私は賛成をできますので、法案の態度はちょっとまた別ですけれども、しっかりとこれからも議論をしていきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

高鳥委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、大変貴重な御意見を賜りまして、本当にありがとうございました。とても参考になりました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)

 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時五十分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時三分開議

高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、内閣提出、健康増進法の一部を改正する法律案及び岡本充功君外一名提出、健康増進法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣法制局第四部長高橋康文君、財務省理財局次長市川健太君、厚生労働省健康局長福田祐典君、労働基準局安全衛生部長田中誠二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。長谷川嘉一君。

長谷川委員 通告に従いまして、順次御質問をさせていただきます。

 最初に、健康増進法の一部を改正する法案の部分でございますが、さきに塩崎厚生労働大臣が平成二十九年六月二十日に行われた談話での内容についてであります。これと現在出されている法案の部分についての対比という部分で、厚労大臣の方に御所見をお伺いしたいと思います。

 この所見によりますと、まず、この文面を少し読ませていただきますが、平成二十九年六月二十日という部分で、「本年一月の内閣総理大臣施政方針演説で、「受動喫煙対策の徹底」を行う明確な姿勢の表明がありました。 受動喫煙の防止については、これまで我が国は、平成十五年以降十四年もの間、健康増進法に基づき、施設の管理者に受動喫煙防止の「努力義務」を設け、自主的な取組みを推進してきました。しかしながら、たばこを吸わない人が八割を超えているにもかかわらず、未だに多くの国民が飲食店や職場等の「公衆の集まる場」において深刻な受動喫煙の被害に遭っています。」という文面から始まっての詳細な御指摘がございます。

 特に、がんセンターでの発表の健康被害の問題、それに伴う医療費の問題、WHOの勧告等々の問題、また、世界の流れとしては、二〇一〇年のWHOとIOCによる、たばこのないオリンピックの合意以降、全ての開催国、イギリス、ロシア、ブラジル等々、韓国も含めてでありますが、で、喫煙についての取決めが厳格に行われてきたというふうな部分がございましたが、現在出されている法案の中で、厚生労働大臣は、この部分を踏まえて、どのように現在の状況をお考えになっていらっしゃるか、御所見をまずお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 今、昨年六月の塩崎前大臣の談話との比較というお話がありました。

 同談話では、望まない受動喫煙をなくすための法案の必要性や重要性が強調されるとともに、飲食店の例外については、小規模飲食店を対象として、激変緩和措置としての位置づけとすべきなどが述べられているところであります。

 この法案では、多数の者が利用する施設について原則屋内禁止とすることにより、望まない受動喫煙をなくすこと、また、飲食店の例外についても、既存の飲食店のうち経営規模が小さい事業者が運営するものに限定するとともに、新たに開設する店舗は原則屋内禁煙とし、段階的に対策が進むようにしていること、こうした観点から、塩崎前大臣の談話の趣旨を踏まえた実効性のある案になっているものと考えております。

 なお、談話では余り具体的な事例が出ておりませんが、三月に厚生労働省が公表した基本的な考え方の案というのがございます。それとの変更点を少し申し上げれば、施設を三区分に分けていたものを、受動喫煙による健康影響が大きい子供、患者に特に配慮するという観点を踏まえた二区分に再整理したこと。また、今申し上げましたが、飲食店の経過措置の範囲を、一定規模以下のバー、スナック等から、既存の飲食店のうち経営規模が小さい事業者が運営するものにしたこと、すなわち、新たに開設する店舗は全て原則屋内禁煙としたこと。また、喫煙場所への二十未満の立入りを禁止すること。こうしたことが変更点として挙げられるところでございます。

長谷川委員 これについて、特に変化が大きかったと思われるのが、例外措置を求めるという部分で、あくまでも小規模な飲食店というふうな部分で明確な平米表示がなかったわけでありますが、今回はこれを百平米以内というふうに定められているわけであります。

 これによると、数々の議論がされておりますが、大半の、半数以上の商店がこの適用外になってしまうというふうなことでございますが、この辺の定めた根拠について、お聞かせをいただきたいと思います。

福田政府参考人 お答えいたします。

 ただいまの、いわゆる飲食店についての、既存特定の飲食の提供施設についての経過措置の部分についてでございますけれども、新たな規制を課すという観点から事業継続性の部分に配慮をするということで、一つは、いわゆる経営規模の問題で見ていきましょうということで、中小企業であって、かつ、客席面積百平米以下という形で規定をさせていただいたところでございます。

 これは、一つは、いわゆる経営資力がやはり中小企業は厳しいであろう、もう一つは、やはり客席面積が大きい方が体力があるというところがありまして、そこのところの中で、神奈川県等の他県の、既に先行の条例なども踏まえまして、百平米以下というふうに規定をさせていただいたところでございます。

長谷川委員 明確な、統計的なあるいは医学的なエビデンスに基づいた設定ではない、他県の状況を参考にさせてもらったというふうなことでありますが、これによると、五割以上の対象がこれから外れてしまうというふうなことになりますと、オリンピックの精神であります部分から大きく逸脱をされ、諸外国の先進事例からすると大きな後退ともとられかねないのではないかと思います。

 特に、きょうは午前中に参考人質疑で、五名の方たちから御意見を聴取する貴重な機会がございました。一つには、患者代表の方々からお二人、もう一つは、名古屋市立大学の循環器の担当の先生から一人、それから、もう一人は保健所長です。さらには、東北大学というような部分がございますけれども、まさに明確に、健康に喫煙は害がある。

 しかも、受動喫煙については、もう言い尽くされたかもしれませんが、年間一万五千人以上がこれによって亡くなっている。健康被害だけでも三千億円を超える。また、岡本委員の前の資料を参考にさせていただきましたけれども、これによって、喫煙の被害が約一兆二千億円、それから、今、受動喫煙については三千億円、合わせると、約一兆五千億円の実際の健康被害に遭っている。

 また、この方たちが健康で社会活動をしていたとすれば、約四兆円以上の被害が出ているというような状況もちゃんと資料としては示されているわけでございますが、この辺についての局長の御所見をお伺いいたします。

福田政府参考人 お答えいたします。

 喫煙や受動喫煙により、がんや脳卒中、循環器系疾患、呼吸器系疾患など、罹患リスクが高まり、喫煙によります関連死亡数は年間で約十三万人、そして受動喫煙によります死亡数は、先ほどもお話ありましたが、年間約一万五千人というふうに推計をされているところでございます。

 医療費につきましては、厚生労働科学の研究班によりまして、二〇一四年度におきます喫煙によります超過医療費が推計をされておりまして、先ほどお話ありました、それが約一兆一千六百六十九億円、また、受動喫煙によります超過医療費は約三千二百三十三億円と推計をされてございます。この合計額は、当時の国民医療費の約三・七%に相当するというものでございます。

 このように、喫煙によります健康への影響、また医療費への影響は、大きいものと考えてございます。

長谷川委員 このように、医学界からも健康被害は明確に論議されて、もう議論の余地もなく、喫煙については規制をすべきというふうなことが叫ばれ続けながら、今日に至っても、日本の喫煙率は、いまだにまだ一八%前後となっておりますが、これについて、健康日本21の指標が示されております。

 この健康日本21の第二次の喫煙の状況、たばこに関する目標設定、これについては、成人の喫煙の減少を、まず、目標年度の三十四年までに、現在の一八%から一二%まで下げなければいけない。また、受動喫煙について限定して見れば、行政機関であれば、平成二十八年度八%から三十四年度にはゼロ%。そして、医療機関においては、現在六・二%近くでありますが、これもゼロ%。そして、職場が大きな問題となりますが、平成二十八年、六五・四%でありますが、平成三十二年、オリンピックの年には受動喫煙がゼロという目標値も掲げております。

 ちなみに、参考までに、家庭においては七・七%を三%、飲食店においては四二・二%を一五%まで、三十四年度までに下げるというような目標値を設定されておりますが、この辺との整合性についてお聞かせください。

福田政府参考人 お答えいたします。

 本法案におきましては、望まない受動喫煙をなくすための対策を徹底をするということといたしております。

 また、この法案を踏まえまして、がん対策推進基本計画におきましても、本基本計画の計画期間中、これは平成二十九年度から平成三十四年度中という形でございますが、におきまして、望まない受動喫煙のない社会をできるだけ早期に実現することを目標として追加をしているところでございます。

 一方、お話ございました第二次健康日本21につきましては、現在、策定後、五年後の中間評価の年に当たることから、本年の夏をめどにいたしまして、中間評価を行っているところでございます。この際、第二次健康日本21におきます受動喫煙に関する目標につきましても、がん対策推進基本計画と整合性が図れるよう見直すことといたしてございます。

長谷川委員 この目標値でありますが、実際のところ、職場での受動喫煙、現在六五%近いものをゼロ%とするには相当大胆な改革が必要となるのではないかと思いますが、これについて限局して、この目標の達成についての、何といいますか、可能性をお知らせいただけますでしょうか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 本法案におきましては、原則屋内禁煙という中におきまして、施設の類型、場所ごとに喫煙措置や喫煙場所の特定を行うとともに、喫煙可能な場所には掲示を義務づけることなどから、法案の対象施設におきましては、これは望まない受動喫煙が生じてしまうことはなくなるものと考えております。

 一方で、先ほどお話ありました職場という観点につきましては、こういった目標の達成に向けまして、本法案による規制のみならず、各種支援策の推進、また普及啓発の促進などもあわせまして、総合的かつ実効的な取組を進めてまいりたいというふうに考えております。

長谷川委員 我が国の喫煙についてはさまざまな議論があろうかと思いますが、今回、東京オリパラですか、これを控えて、中国においては二〇〇八年度に敷地内禁煙を完全実施、屋内禁煙も実施しているというようなことでございまして、これは完全実施されている。カナダにおいても二〇一〇年からこれが行われ、英国においてもこれが行われ、またロシアにおいても敷地内完全禁煙と屋内の禁煙もされている、ブラジルについてもしかりというふうなことでございますが、日本の場合は、百平米という、非常に根拠がなかなか我々理解しにくい目標値を設定しながらやられてきているわけであります。

 その反面、こういう小規模の商店を守る、資本力がない商店を守るというふうなことを言われながら、実際に、数年前の経済評価においても、アメリカ・ニューヨークの例でいっても、完全禁煙をしても、そういった飲食店の収益は減らなかった。また、その後、イギリスのパブにおいてもこれが減っていない。また、日本においても、二〇一〇年当時でありますけれども、これについても経済調査がされているわけであります。でも、ここにおいてもこれが減っていない。

 また、日本においては、民間のファミリーチェーンのレストランにおいては逆に収益がふえているというふうなことも言われておりますが、この点について、国としては完全禁煙というふうなことはお考えにならなかったのか。なったけれども、こういった理由で百平米にしたのか、これについての御所見を、もう一度お伺いしたいと思います。

福田政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる飲食店、レストラン、バーなどで全面禁煙をしても、経済的減収といいましょうか、そういった部分での影響がいかがかというような点の、基本的にそこからのお尋ねであろうかと思います。

 先ほどお話ありましたけれども、平成二十九年一月に公開されましたWHOの国際がん研究機関、IARCによる報告によりますと、レストラン、バーなどを全面禁煙にしても、総じて、今お話ありましたが、マイナスの経済影響は認められなかったとの記載があることは私どもも承知をいたしているところでございます。

 しかしながら、この調査につきましては、屋外についての規制のない海外におけるデータであること、また、個別の飲食店ごとに見た場合には、禁煙化に伴ってプラス、マイナスの両面の影響が生じることが否定されていないものと承知をしてございます。

 また、国内におきましては、飲食店の業界からは経営への影響を懸念する声もあったこと、こういったことも踏まえますと、我が国の今回の受動喫煙対策が個別の店舗の経営に影響を与えないと言い切ることは難しいと考えてございます。

 このため、既存の飲食店のうち、経営規模の小さい店舗に対する経過措置を設けさせていただきますとともに、喫煙専用室等の整備に要する費用に対する助成などの支援も行っていくことによりまして、経営判断の一環といたしまして受動喫煙対策が実施できるような、そういった環境を整備をしてまいりたい。そういった枠組みの中で、望まない受動喫煙をなくしていくという形の対応を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

長谷川委員 世界の潮流からすると、大分、逆行する、後退した制度ではないかと言わざるを得ません。

 特に、きょうの午前中の医学関係者の話によると、ニコチン中毒というのは明らかな依存症で、脳に変化が見られる、そういった余地を残せば、必ずそこに行って喫煙をするというようなことであるというふうに言い切られております。

 また、この健康被害の比率も、言葉は余り適切ではないかもしれませんけれども、半端なものではない。循環器にしろ、脳血管にしろ、肺がんにしろ、極めて有意にふえるというようなことがありますので、この辺については、日本においても完全禁煙を目指して明確な一歩を踏み出すのが今回のオリパラに向けての方針でなければ私はいけないのではないかと思います。

 局長のお話によりますと、経済効果が心配されているということでありますけれども、ほとんど、今、私が目にしている調査結果を見ると、それは杞憂なものであると断言してもよいのではないかと思っております。

 特に、ニューヨークの例でいきますと、バーで完全禁煙が行われるようになってから、一八%の方たちがバーに行かなくなったけれども、二二%の方はそこに出向くようになった、プラマイ四%ふえている。また、イギリスのパブにおいては、一四%の方がそこに足を運ばなくなったけれども、一七%の方たちはそこに行けるようになった。こういう状況が端的に、数年前から、もう既に示されている。しかも、オリンピック担当の健康局長からの提言等も政府には寄せられている。そういった中で、なぜこのように後退したか、私たちにとっては残念でならないわけでございます。

 今、日本の政府がやるべきことは、国民の命を守るということではないでしょうか。その辺からいくと、大変、今回の政府案については、後退をした内容と断言せざるを得ません。

 時間の関係で、次の質問に入らせていただきます。

 今、国民民主党がこの対案をお出しになっておりますので、この部分について御質問をさせていただきます。

 まず、面積要件について限局をさせていただきますが、面積要件百平米に対して、国民民主党は三十平米とされておりますが、この根拠についてお聞かせいただければと思います。

大西(健)議員 長谷川委員、御質問ありがとうございます。

 今御指摘ありましたように、政府案では、特例の対象となります飲食店について、面積要件を客室面積百平米以下ということにしておりますけれども、我々の提出しました法案では三十平米以下としております。

 受動喫煙防止に関する規制を一斉に施行することについては、先ほど来お話がありますように、経営規模の小さい事業者の事業継続に影響を与えることから、一定の配慮が私どもも必要ではないかなというふうに考えております。他方で、望まない受動喫煙をできる限り防止しなければならないという本法案の趣旨を踏まえて、本法律案では、まず、その配慮の対象となる飲食施設を、バー、スナックなどの、利用客が酒類とたばこを一緒に楽しむことがもともと想定される営業形態に限定をしております。

 その上で、財務状況やスペースの確保の観点から、屋内に喫煙専用室を設置することが困難である施設と考えられるぎりぎりのラインといたしまして、施設面積が三十平米以下のものと線引きをしております。

 なお、三十平米以下という数字でありますけれども、平成二十九年六月九日の厚生労働委員会での、東京都や関係団体が行った実態調査などを参考にして慎重な検討を行いまして、店舗面積三十平米程度を想定しているとの政府答弁を参考にさせていただいております。

 以上です。

長谷川委員 どうもありがとうございました。

 百平米から比べれば対象店舗数は極端に減るということでは評価ができる内容ではないかと思いますが、政府案も含めてでありますけれども、時限措置、猶予期間を何年にして、これ以降は全てだめですよという期間の限定というのは、国民民主党の場合は定めていらっしゃるのでしょうか。この辺についてお聞かせをいただきたいと思います。

大西(健)議員 この点は政府案と余り変わりませんで、当分の間ということでありますけれども、私どもとしても、今申し上げましたように、バーやスナックというのは、しかも、三十平米というと、ママが一人でやっているようなスナックということでありますけれども、できるだけ早く我々も全面禁煙、先ほど長谷川委員からもお話がありましたけれども、さまざまな調査事例では、屋内全面禁煙にしてもお客は減らない、経営への影響は少ないということでありますから、まず、ぎりぎりのところで、そこから始めさせていただいて、できれば早く屋内全面禁煙にしていきたいというふうに考えております。

長谷川委員 そういった方向でぜひ進んでいただけるように、政府についても御要望をさせていただきます。

 最後に、岡本委員が厚労省のホームページから出された資料をいただいて、私もなるほどなというふうに拝見しましたので、ちょっとこれについて言及させていただきます。

 最新の疫学データに基づく推計では、たばこによる超過死亡数は、一九九五年、日本では九万五千人であり、全死亡数の一二%を占めている。また、人口動態統計によると、近年急増している肺がん死亡数が一九九八年に初めて、日本で最高であった胃がんを抜いてしまっている、がん死亡の首位となった。さらに、たばこによる疾病や死亡のために、一九九三年には年間一兆二千億円、国民医療費の約五%が超過医療費としてかかっていると積算され、社会全体では、先ほど言及いたしましたが、四兆円以上の損失があると推計されております。

 よく、俺たちは税金を払っているんだからという昔の昔の人たちのお話が引き合いに出されますが、たばこ税収が約二兆円、これに対して四兆円もの損失。しかも、その人たちの生命にかかわっている。生命が保たれる、がんにかからない、こういったことを考えれば、まさにこの選択の余地はない、どちらかを選ばなければ前に進みませんというのが医学界の常識ではないかと思っております。

 こういった、塩崎厚生労働大臣の最初の談話の中では、そういう方向性に行くと。また、加藤厚生労働大臣も、この辺を踏まえて、しっかり国民の健康を守っていただけると私は期待をしておりましたが、ぜひ、これからの方針において、このことを念頭に、日本人の健康を守るために、たばこのない社会を実現していただけますよう強く要望いたしまして、質問を終わります。

高鳥委員長 次に、吉田統彦君。

吉田委員 立憲民主党の吉田統彦です。

 先般に続いて、質問、質疑を進めさせていただきたいと思います。

 まず、きょう午前の質疑を聞いておりまして、ドクターの方々がいらっしゃいましたが、やはりニコチン中毒というのは病気だという話がございましたですね。アルコール中毒というのは明確に脳の病気と今認識されていて、非常に治療が困難とアルコール中毒は言われています。同様に、このニコチン中毒というのもやはり病気ということで、やはりそういう、吸う機会を余り与えてはいけないというお話もきょうありましたが、まず、私の方で、これは大臣、政府の皆さんで結構ですが、お伺いしたいんです。

 私の方で、非燃焼型の加熱式たばこについての論文なんかを政府としてしっかり見てほしいという話をレクのときもさせていただいたんですが、その中で、一つ、インパクトファクター五・四六九という数字ですから、相当高い論文で、タバコ・コントロールという雑誌があるんですけれども、ここで、日本の、いわゆるアイコスを始めとした非燃焼型加熱式たばこのユーザーがどれくらいいるのかという調査がされているんですが、これに関して、政府の皆さんとしては、どれくらいか、御存じですか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 現時点では、いわゆる加熱式たばこのユーザーの方というのは十何%くらいまで上がってきているということですが、論文の当時のときには、まだ一桁台のパーセントであったというふうに承知をしてございます。

吉田委員 あの論文だと、三百万人程度の潜在的なユーザーがいるんじゃないかという論文でしたね。三百万人ですと、まあ一億、そうですよね、一億二千万と計算すると、おっしゃるとおり。ただ、今局長おっしゃったように、ふえていますよね。相当ふえています。

 こういったところを鑑みて、この数字がどんどん激増している。もともと、三百万人という数字も少なくないですよ。こういったところに関して、今ふえてきているこのユーザー数に関して、公衆衛生的な観点から、局長、どう思われるか、一言お願いできますか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 加熱式たばこについては、その功罪といいましょうか、そういった点については、現在、さまざまな立場からの御意見がなされているというふうに理解をしてございまして、そういった点におきましては、いずれにしても、現在、状況を注視しながら、きちっと注視をして、適切な対応がとれるように注視をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

吉田委員 もうちょっと深刻に本当は考えてほしいなと思う意味での質問だったんですけれども、まあ結構です。

 それでは、野党案、せっかく岡本先生、私の大学の大先輩ですけれども、質問させていただきたいと思いますけれども、まず飲食店に関する特例に関して、野党案、質問させてください。

 既存の飲食店に関する特例に関して、施設面積を三十平米以下としていますね。政府案は百平米以下ですが、なぜ三十平米以下なのかということの理由を教えていただけますか。

岡本(充)議員 私どもは、三十平米以下にした理由は、一つは、一定の配慮が必要となる飲食施設については、事業者の財務状況やスペースの確保の観点から屋内に専用喫煙室を設置することが困難である、こういった線を引かなきゃいけないだろうということを考えて、ぎりぎりのラインとして三十平米以下のものと線引きをしたところであります。

 この三十という数字は、平成二十九年六月九日の厚生労働委員会での政府答弁などでも、東京都や関係団体が行った実態調査などを参考にして慎重な検討を行ったということでありますので、こうした検討を踏まえて決められた、こういうふうに理解をしております。

吉田委員 提出者であります岡本委員は医師ですね。そして、科学者でもいらっしゃると思うんですけれども、なので、ちょっと重ねてお伺いしたいんですけれども、この三十平米以下とした理由に科学的根拠若しくは統計学的な根拠というのはあるんでしょうか。

岡本(充)議員 今回の調査で、そういう科学的な根拠を見出すようなものはないわけでありますけれども、どの辺がラインかということを考えて、この辺がラインだということで決めたということです。

吉田委員 そうすると、わかればで結構ですけれども、今回の三十平米以下にすると、百平米以下のときに比べて、どれくらいの割合、いわゆる屋内喫煙が不可となるところがふえるのかということで、データをもしお持ちでしたら教えていただけますか。

岡本(充)議員 あくまで推計で、いわゆる推定の結果ですけれども、延べ床面積五十平米未満の居酒屋等の事業所数、これを居酒屋等の事業者数掛ける居酒屋等で、店舗の延べ床面積五十平米未満の構成比で見たとき、例えば五十平米で見たときは、これが二十三万三千百一店掛ける五・四%で一万二千五百八十七店、こういうことになります。

 また、規制の対象外での事業所の割合ということでいうと、延べ床面積五十平米未満の居酒屋等の事業所数を分子にして、分母を飲食店事業所の総数で見ますと、一万二千五百八十七店が分子で、分母が六十一万九千六百二十九店で、二・三%になる、こういうデータがあります。

吉田委員 口頭で聞いてもなかなかちょっとわかりにくいので、後で見て確認させていただきたいと思います。

 では、続けて質問ですが、バーやスナックが、なぜか野党案では対象外となっていますね。そうすると、これは、主に酒類の提供だけが行われるバーやスナックを想定しているということですね、二十歳未満の方はほとんど利用が見込まれないと。これはなぜ特例としているのかということと、これは施設面積にかかわらず特例になるんでしょうか。

岡本(充)議員 バーやスナックという言葉を法文上使っているわけではありませんが、その後、定めることになる政省令において、家族連れが来ることを想定していない施設を対象外とするという意味で、主としてお酒を提供されるというところで一定の配慮が必要となる飲食施設の中で、バー、スナックなど、利用客がお酒類とたばこを一緒に楽しむことがもともと想定され、かつ、未成年者の利用が想定されていない営業形態の施設ということで、今回、対象外としています。

 その中でも、広ければ、先ほどの話で、広さの面積で、広いところであれば今回の規制がかかるわけでありまして、三十平米以下ということが必要であります。

 いずれにしても、政府案よりも、望まない受動喫煙の防止の実効性が図られると考えています。

吉田委員 三十平米以上のところは規制にかかるということですね。ちょっとそれがわかりにくかったものですから、一応確認させていただきました。

 そういうところは、やはり食事の提供というのはだめなんですね。調理場があっちゃだめですよね。あと、食べ物は、いわゆる乾き物という表現が正しいのかわからないんですけれども、そういうものだけなんでしょうかね。

岡本(充)議員 食事の提供をすることを想定していないということですけれども、何が食事かということですけれども、御飯などの主食をイメージしていますが、今言われたようなおつまみみたいなものについて、提供するようなことは、可能性はあるというふうには理解しています。

吉田委員 もう一問だけ聞かせていただきますけれども、もう一回聞きますけれども、なぜ特例なく全面禁煙という判断をしなかったのかということを、重ねて教えください。

岡本(充)議員 繰り返しになりますけれども、本来は私どもも、また私自身も、全面的に禁煙にすることが望ましいのではないかということを考えたわけでありますが、繰り返しになりますけれども、規模が小さい事業者の事業継続に影響を与えるということで、やはりそこは一定の配慮が必要なのではないかという党内での意見もあり、今回の除外規定としたところであります。

吉田委員 今の委員の御説明だと、妥協したように聞こえますよね、これ。どう見てもあれなんで。ごめんなさい、余り厳しいことを言っちゃいけませんね。

 この後、ちょっと趣向を変えて、一個、確認を政府にもしたいんですが、これは両方、政府にも、そして岡本委員にもお伺いしたいんですが、水たばこってありますよね、シーシャと言われるやつですね、水たばこ。きのう政府にも通告をさせていただいたんですが、これは、政府案、議連案、まあ野党案では、取扱いはどうなるかということを簡潔に。今、日本もこれはふえていますので。ふえているんですよ。私も、実は自分自身、ヨルダンで買ってきたことがあるんですけれども、ふえていますよ、ユーザーが。

 だから、これを一応教えてください。どちらからでも結構です。

大沼大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘のいわゆる水たばこは、たばこ事業法上の製造たばこに該当いたしまして、本法案において、紙巻きたばこと同様に規制することとしております。

岡本(充)議員 私どもの案でも、同様に規制をすることになっております。

吉田委員 結構、最近、東京なんかはふえているみたいですので、一応、確認させていただきたかったので、ありがとうございます。規制がかかるということですね。

 では、そういう特別な、吸えるところがある方は持っていって、大きいやつですが、持っていって吸えということですよね。そういうことですよね。それなら吸ってもいいということですよね。持ち運び、小さいのもありますけれどもね。

 済みません、これを一応聞きたかったので、ありがとうございます。

 それでは次に、過料に関して、これは政府と岡本委員にお伺いします。

 まず、岡本委員に伺いますが、なぜ過料が政府案と比べて安く設定されているのか。例えば、個人の退出命令違反に対しては、政府案は三十万以下ですが、五万以下と安くなっています。

 私がこれを見たときは、三十万というのは、政府の皆さんも本気でこれを取れるのかなというのがありますよね。田村先生とかだったら、ぱっと三十万、払えるかもしれませんけれども、普通の人は三十万は持っていませんので、ごめんなさい、持っていませんので、だから、そういうふうに段階を踏んで、反省を促すためであって、政府のものは、三十万を実際に取ることを目的としていないように、私は内容を見て思ったんです。

 ただ、これは岡本委員に伺いたいんですが、五万だと現実に岡本委員なら持っていらっしゃるぐらいの額なので、差がありますね、田村先生とはあるかもしれない。ごめんなさい、余計なことを言いましたけれども、五万だと、実効性を持って徴収できる額に近づくんですが、その辺の、過料の徴収の仕方や厳密さ、仕組み、そういったところをちょっと教えてください。

岡本(充)議員 今回、何で低目に設定しているのかということですが、いろいろな議論はありましたが、過料の上限額を高く設定して制裁の強化を図るというよりも、まず、法案の内容の周知徹底を図った上で、個人が喫煙禁止場所で喫煙をしないこと、あるいは特定施設等の管理権原者等が施設内での受動喫煙の防止のための措置をとることについて、保健所等が丁寧かつ適切に指導助言をしていくことが重要だと考えましたので、取締りに当たっての必要最低限度額として、特定施設等の管理権原者等の義務違反に対しては十万円以下の過料、また、喫煙禁止場所で喫煙をした者の退出命令違反等については五万円以下の過料を、それぞれ設定したわけであります。

 ステップとして、どういうことが想定をされるかというと、例えば個人の退出命令違反に関して言えば、まず、管理権原者等が喫煙禁止場所からの退出を求めます。それで改善されない場合、都道府県知事等に通報し、さらに、通報された都道府県知事等が指導を行い、そして、更に改善されない場合は都道府県知事等が退出命令を出し、それで退出命令に違反した場合に都道府県知事等が地方裁判所に通知して、ここで過料が科されることになります。

 このように、過料の徴収に至るまでの取締りに関し、その実効性を上げるためにはさまざまな手続が必要なわけでありまして、そういう意味で、まずは周知徹底をしていくということが現実的に必要なことだ、こう考えております。

吉田委員 そうすると、やはり政府案と一緒で、なかなかこれは過料の徴収までいく人というのは、現実的に個人に関しては特にないですよね。

 それで、ちょっと政府にもお伺いしたいんですが、これは半分、私の推測で言ってしまいましたけれども、この仕組みはやはりかなり煩雑というか、ステップを大きく踏んでいく形になっているので、実際、三十万をお支払いになる人というのは、政府案においてもないんじゃないかと思うんですが。若しくは、逆に言うと、三十万という額は相当大きいですから、喫煙する人は常にポケットに三十万を持って歩かなきゃいけなくなっちゃうわけですけれども、逆に簡単に徴収をされるシステムにしてしまうと。

 このシステムを、段階をかなり踏んだ額にしたことと、三十万にあえてしたことの意味を教えてほしいんです。これは政務の、いや、だめだめ、政務、政務。ちゃんとこれは通告してあるんだから。

福田政府参考人 お答えいたします。

 今般の法案におきます罰則の量刑につきましては、これは、義務違反により生じます受動喫煙がもたらす健康被害のリスクでございますとか、現行の健康増進法上の財産刑の最高額というものが、先ほど三十万と言われましたが、五十万というのが実は一番上でありますが、五十万以下であることと、以下で規定をしておりますけれども、また、他法令の量刑とのいわゆる均衡を勘案いたしまして、その上限額を段階的に設定しているということでございます。

 基本的な趣旨は、先ほどのお話と同じでございまして、今般の法令におきましては、やはり、新しい義務を課すということでございますので、現場できちっと理解をしていただいて適切に対応していただくために、必要な助言指導から始まって、適切にそこのところを行っていただきたいということで、罰則を適用するということを目的とするのではなくて、罰則というのは、あくまでも、現場がいろいろと秩序を守っていただくための、一つの、最後の手段という形でございますので、そういった形で、まずは現場の理解、現場への周知をきちっと図っていく、そういったところを重視をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

吉田委員 これはちゃんと懇切丁寧に説明して、通告もして、政府参考人じゃなくて、三役どなたでも結構ですから答えてくださいねと言ってあるのにかかわらず、何でこんな答弁になるんですか。一応、ちゃんと言ったことですから、やはりそれは聞いていただかないと困りますよ。これは大事なことなので、政務三役と議論を私はしたいんですね。だから、さっき政務三役でと言ったのに、何であなたが話すのか、おかしいと思いますよ。

 では、次に行きますけれども、議連案について、またもう一問、問わせていただきたいんです。

 過料に関して、引き続きなんですけれども、加熱式たばこの喫煙にかかわる違反に関して、当分の間、過料は適用せずと野党案はされていますね。これはなぜなのかということを、趣旨を教えていただきたいんです。

岡本(充)議員 今回、加熱式たばこについては、さまざまな御議論があるわけでありますが、厚生労働省によると、加熱式たばこについては、その主流煙に健康影響を与える有害物質が含まれているのは確かであるが、現時点での科学的知見では、その受動喫煙による将来の健康影響を予測することは困難であるとされています。

 このような加熱式たばこに関する現時点での評価を踏まえれば、加熱式たばこに関する違反と紙巻きたばこに関する違反とを同様に扱うことは適当ではないというふうに考え、施設管理者等であればともかく、個人の違反について、金銭的な制裁を科すということは過剰な規制ではないかと考えるに至りました。

 そこで、今回、加熱式たばこによる受動喫煙が人の健康に及ぼす影響に関する科学的知見が得られるまでの間は、加熱式たばこに関する個人の違反について過料を科さないこととしたところであります。

 なお、その科学的知見を早急に得て、必要な対策を講じる必要があることから、政府に対して、その調査の実施及び施行後五年を目途としたその結果の公表を義務づけるとともに、その調査の結果も踏まえた上で、必要な措置を講ずる旨を定めているところであります。

吉田委員 ありがとうございます。

 御説明はわかるんですけれども、そうすると、岡本委員、違反をして、いろいろ指導が来ますよね、指導が来るんですよね。過料だけが科されないということだと、そうするとこれは、ごめんなさい、もう少しだけ聞いてください、過料を科されないということだと、最終的に、その人がずっと居座っちゃって言うことを聞かなくなっても何らペナルティーは科されず、そのまま加熱式たばこの場合は見逃されてしまうということになりますか。

岡本(充)議員 それは退出命令がかかるわけですから、それでも居座ってお店にさまざまな害を与えるということになれば、それは別の観点で、飲食店に居座っている人に対してさまざまなアプローチがあるんだろうと思いますので、そういう意味では、いつまでも、ずっと吸い続けるということにはならないんじゃないかと、現実的には思います。

吉田委員 わかりました。わかりましたけれども、そうすると、やはり過料は別に普通につけていっても全然矛盾しないんじゃないですかね。

 今ずっとお話を、議論させていただく中で、尊敬する大先輩ですけれども、今の岡本委員の御説明だと、過料を科さない理由を正当化するには根拠が弱いなと思った次第です。ぜひこれは、過料はされた方がいいんじゃないかなと申し添えて、次に移ります。

 政府に対してもお伺いをしたいんですが、少し重なった内容に関しては議題に出ているところではあるんですが、そもそも、労働安全衛生法で、労働者の受動喫煙を防止するために事業者が適切な措置を講ずる努力義務の規定が定められています。

 その中で、今回の法改正に向けて、なぜ労働安全法上の事業者の努力義務規定を、より厳格な、努力義務規定から義務規定に変えなかったのかということ、そして、これは変えるつもりがないのか、変える必要がないと判断したから変えていないのかという観点で、お願いします。

加藤国務大臣 まず、健康増進法は、労働者を含めた国民一般の保健の向上を目的とする法律であります。他方、今、委員御指摘の労働安全衛生法は、職場における労働者の健康の確保等を目的にする法律ということであります。

 そのため、従前から、健康増進法の受動喫煙防止に係る規定の方が、労働安全衛生法の受動喫煙防止に係る規定の対象は当然今申し上げたように職場の労働者、国民全般ということで広くなっております。

 今般の健康増進法の改正においては、事業場を含めた公共の場における屋内喫煙について、喫煙専用室等を除いて禁止をされているということで、その効果は当然、これは事業場にも及ぶわけですから、事業場内で働く労働者についても及ぶということで、その上で、労働安全衛生法において、重ねて労働者の喫煙防止を、防止するための措置義務を事業者に課す必要はない、この法律でもう課されていますので、それ以上課す必要はないということで労働安全衛生法の改正をしていない、こういうことであります。

吉田委員 そうすると、今回の法案によって、包括的に、より大きな部分で受動喫煙を防止するという観点から、やはり労働安全衛生法の方は改正する必要がないという理解でよろしいんですね。わかりました。

 最後に、もう時間が来ましたので、東京都の条例案、これは、従業員を使用する飲食店が原則全部、屋内禁煙とされるということで、飲食店の約八四%が規制の対象になるということになっているようです。

 オリンピックの開催地は主に東京ですよね。もちろん周辺にも及ぶわけですが、このオリンピックというものが、一つの今回の法案の、法施行のメルクマールになっているということを考えると、オリンピックの開催地である東京都の条例案の方が厳しいとなると、本法案との整合性はどのようになるのかなということを、お答えいただける範囲で結構ですので、最後、お答えください。

高鳥委員長 申合せの時間が経過しておりますので、簡潔にお願いいたします。

加藤国務大臣 今、東京都の方もこれから、議論されているというところでありますが、そういった意味で、各自治体の条例において、法律に上乗せの規制を課すことに関する一般論として申し上げさせていただければ、それは制度としてはもちろんあり得るということでございます。東京都におかれては、オリンピック・パラリンピックの開催都市としての立場から、受動喫煙対策の内容、これを検討されていくものと承知しております。

吉田委員 時間となりました。ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 国民民主党、大西健介でございます。

 皆さん、長い本会議、大変お疲れさまでございました。ただ、この本散後の委員会は職権で立てられたということであります。この受動喫煙の対策のための本法律案というのは国民生活に広く影響を与える法案でありますし、十分な審議時間を確保して議論を尽くすべきだというふうに思っております。

 一方で、参議院の厚生労働委員会では、まだ働き方改革法案の審議が続いているということでありまして、特に高プロについて、その根拠としていたニーズについてアンケート調査というのを行ったということでありますが、それが非常に後づけで、しかも、わずか数社であったということが明らかになっています。

 そういう状況でありますので、この衆議院で採決を急いでも参議院では審議ができるような環境は整っていないということでありますから、引き続き丁寧な審議を行っていただくように、冒頭、お願いを申しておきたいというふうに思います。

 それでは、質問に入りたいと思いますが、先ほど立憲民主党の皆さんにも質問いただきましたけれども、我々国民民主党は、政府提出法案は、検討段階から内容が大きく後退をしていて、塩崎大臣が世界に恥じない受動喫煙対策の法案をと言っていた内容とはほど遠い内容になってしまっているというふうに考えております。厚生労働省の当初案に沿った内容の法案を我々としては提出をさせていただいております。

 資料の一ページ目をごらんいただきたいと思います。

 これは、昨年の通常国会に厚労省が法案を提出しようとしていて断念をしたその後に、共同通信社が全国の知事にこの受動喫煙対策についてアンケートを行いました。四十五の知事が回答して、十四の知事が厚労省案を支持したのに対して、当時自民党案と呼ばれるものを支持したのはゼロだったということであります。これを見ても、私は、もともと厚労省が検討されていた案の方がよかったのではないかというふうに思います。

 次に、資料の二ページ目をごらんいただきたいんですけれども、これは、参議院の厚生労働委員会、昨年の五月三十日の厚労委員会での質疑の会議録です。

 自民党の三原じゅん子委員が質問をしたのに対して、当時の健康局長が次のように答弁をしております。「一般の飲食店を喫煙可としておりますオリパラ開催国は存在しておりません。仮に日本がこうした例外を認めた場合は、少なくとも二〇一〇年以降守られてきた国レベルのたばこフリーオリンピックという伝統を日本が初めて破ることになります。」こう答弁しているんですね。

 この答弁に照らせば、今回、個人事業主又は中小企業かつ客室面積百平米以下であれば一般の飲食店でも喫煙可となるこの政府案というのでは、まさに国レベルのたばこフリーのオリンピックの伝統を日本が初めて破るということになるのではないかと思いますけれども、大臣はそれでも仕方がないと考えておられるんでしょうか。いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まず、今回の法案でありますけれども、いろいろな議論を経た結果として、それぞれの皆さんの、政府・与党の合意を得て、新たに開設する店舗は原則屋内禁煙ということで、やはりそこははっきりさせていただいた。また、喫煙可能な場所に二十未満の方の立入りを禁止する、こういった内容を盛り込んでおりますので、これは、ここで何回か申し上げておりますけれども、受動喫煙対策が段階的に進む実効性のある案になっているというふうに思います。

 また、今、東京オリンピック・パラリンピックのお話がありましたけれども、この開催前の二〇二〇年四月にこの法案の全面施行とさせていただいておりまして、オリンピック・パラリンピックを契機とさせていただいていますけれども、同時に、国民の健康増進を図る観点から、恒久的な対策として、望まない受動喫煙をなくす、そのための法案でもあります。

 一方で、先ほども御質問がありましたが、オリパラのホストシティーである東京都においては、独自の条例案も提出されているというふうに承知をしております。

 御指摘のたばこフリーのオリンピック・パラリンピックという点に関しては、政府側のオリンピック・パラリンピックの関係省庁、また東京都ともしっかり連携をとらせていただいて、特に今、東京オリパラ競技大会関係府省庁連絡会議のもとに受動喫煙防止対策強化チームというのもございます。そういったところでよく連携を図って、その趣旨を十分に踏まえた取組を推進させていただきたいと思っております。

大西(健)委員 長く答弁されましたけれども、昨年の参議院の厚労委員会、自民党の委員の質問に対して当時の福島健康局長が、ここに言っているように、「少なくとも二〇一〇年以降守られてきた」、これは東京都はやっていると今大臣はおっしゃったけれども、「国レベルのたばこフリーオリンピックという伝統を日本が初めて破る」、これは間違いないんですか。いかがでしょうか。

加藤国務大臣 国レベルのたばこフリーオリンピックという概念そのものが、済みません、今、具体的にどういう定義なのかということをちょっと私は正確に承知をしておりませんが、その前にある、一般の飲食店を喫煙可という意味においては、今回の法案においては、経過措置として、一定規模以下の飲食店においては喫煙が可能になっている、それはそのとおりであります。

大西(健)委員 前の健康局長でありますけれども、福島健康局長でありますけれども、ここではっきり言われていて、私は、今回の法案というのはまさにそういうことになってしまっているということは、これは認めざるを得ないのではないかというふうに思います。

 続けて、飲食店の特例についてお聞きをしたいというふうに思います。

 先ほど来、我が党案に対しても立憲民主党さんから質問をいただきましたけれども、三十平米の根拠という話が先ほどもありました。

 次の、資料の三ページ目というのをごらんいただきたいんですけれども、これは一つのデータですけれども、東京都が昨年十一月に行った飲食店における受動喫煙防止対策実態調査報告書のデータであります。

 右側を見ていただきたいんですけれども、これは客室面積で、それぞれどれぐらい飲食店の割合があるかというのをとったデータでありますけれども、例えばこの客室面積で百平米以下というと、これは足し上げると八三・七%になります。ですから、八割以上の飲食店が百平米以下。逆に言うと、百平米を超えるような大規模飲食店というのは二割、全体の二割にすぎない。

 ただ、これは東京都に限ったデータでありますけれども、政府案では、そのうち、中小企業や個人事業主で資本要件というのをつけていますから、さらに、既に受動喫煙対策をとっているところも除くということなので、特例の対象になるのは全体の五五%ということであります。

 しかし、日本の国民の約八割が非喫煙者であって、そして非喫煙者の四二・二%は飲食店で受動喫煙に遭っているということを考えると、やはり私は、これは先ほど来指摘がありますけれども、甘過ぎるんじゃないかというふうに思っています。

 そこで、我々国民民主党の案では、客室面積ではなくて施設面積、これで三十平米以下の、先ほども言いましたけれども、ママさんが一人でやっているような、ほとんどカウンターとちょっと席があるぐらいの、そういう小規模なスナックやバーだけを特例の対象としているということであります。

 これは、同じこの資料の左側、先ほどは客室面積でしたけれども、今度は店面積、我々の方は施設面積ということですからこちらに近いと思うんですけれども、こちらで例えば三十平米以下というふうなことで足し上げますと、これは全体の二九・一%、三割を切る。先ほど、百平米だと八〇%ですから、大分これは絞られる。さらにその中で、小規模な、お酒を提供することを主としているようなバーやスナックに限れば、私は、三十平米以下でバー、スナックということになれば、かなり絞られるんじゃないか。先ほど来、望ましいのは飲食店についても全面屋内禁煙ということでありますが、こうすれば相当程度絞られると思います。

 先ほども話がありましたけれども、ちなみに、人に着目した東京都の条例案では、飲食店の八四%が屋内禁煙の対象になる。

 この全体の五五%が例外という数字では、原則と例外が逆転している。さすがに、世界に恥じないどころか、オリンピック・パラリンピックの開催国として、私は情けない数字じゃないかというふうに思いますが、大臣、改めていかがでしょうか。

加藤国務大臣 今の御指摘、私どもの推計で、飲食店の最大五五%が特例対象になるということ、現時点でいえばですね。

 しかし、他方で、先ほどから申し上げていますように、新規については、これは原則禁煙ということになっていくわけでありますから、そうした中で段階的に、こうした望まない受動喫煙がなされる、そういった対象は逐次減少していくということになるんだと思います。

 それから、他方で、これは飲食店だけを取り上げればこういうことでありますけれども、もう一つの受動喫煙の場所として事業場というのもあるわけでありますから、そうした事業場も含めて全体の施設で考えれば、これはやはり圧倒的に、喫煙ができない、逆に言えば、原則屋内禁煙となる方が多数になる、こういうことなんだと思います。

大西(健)委員 先ほども言いましたけれども、非喫煙者の四二%程度の皆さんは飲食店で受動喫煙に遭っているということであります。

 それで、私たちは、お酒とたばこを一緒に楽しむことが想定されているような小規模のバー、スナックを例外扱いするということですけれども、先ほど来話が出ていますように、必ずしもそういうところだけじゃなくて、いっそのこと、もう全面禁煙にしてもらった方がいいという声もあります。

 私は、実は焼き肉業界の皆さんを応援する議連というのをやっているんですけれども、きのう総会をやりました。そうしたら、何と全国焼肉協会さんは、喫煙専用室を設けることができる店と、できないような小さな店と、結局そこで不公平が生まれてしまうので、もういっそのこと全部禁煙にしてほしいという御要望を協会として出されているそうです。

 また、先ほど話があったように、東京都が条例で政府案より厳しい受動喫煙対策を行うということですけれども、そうしますと、例えば東京と隣接しているようなところ、神奈川県は県の条例を持っていますけれども、埼玉とか千葉とか、そういうところでは、例えば道を挟んで店が喫煙できる、できないと分かれてしまう。そうすると、お客さんが流れてしまうんじゃないか。これは実際、神奈川でそういうことがあったそうです、湯河原と熱海とか。流れてしまうと。

 ですから、それはむしろ不公平になるんじゃないかというふうに私は思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今の焼き肉議連ですかの皆さんは、原則屋内禁煙だけれども、喫煙専用室も設けないという御主張なんですか。

 私どもが考えたのは、原則は我々は屋内禁煙です。そして、新規は原則それでいきます。ただ、経過措置として、そうした喫煙専用室がなかなか設けられない、そうした小規模のところに対する経過措置をつくろうというのがこの案でありますので。

 全く禁煙にしてしまう、それは一つの考え方かもしれませんが、私どもとしては、そういった場所は原則禁煙ということで、喫煙専用室も設けられる、そういう対象をまずベースに考え、そして、それがやれるところとやれないところ、逆に言えば、そこに配慮するという意味でありますから、逆にそれが差別的なことにはつながらないんではないかと思います。

 それから、県境等々のお話がありました。

 ただ、これは、いわゆる地方自治というのはそういうところがあります。この問題のみならず、基本的には、条例で上乗せ規制、これはできるようになっておりますし、実際、ほかの分野でも、そうしているところ、そうしていないところがあって、当然、県境、市町村境においては対応が異なる。これは、それぞれの市町村等、あるいは都道府県がそれぞれの事情を踏まえて御判断される、こういうことだと思います。

大西(健)委員 私は、もう一律にやってもらえば、どこに行っても吸えないんだから、そこで店の選択というのが、もちろん、喫煙ができる専用室がある店じゃなくて、ない店を選ぶ人も出てくるんでしょうけれども、でも、一律に吸えないということになれば、もうどこの店に行っても一緒ですから、そこで競争条件は一緒になるわけですから、そういう考え方もあるんじゃないか。

 それから、地方自治はと言われましたけれども、先ほどの配付資料の一ページの知事のアンケートでも、九人は、国が法律で一律に規制すべきだと知事さんも答えている。

 ですから、やはり私は、ここはそういう方向にしていくべきなんだろうというふうに思っています。

 二十九年三月一日に厚労省が示した受動喫煙防止対策強化についての基本的な考え方、これには、参考として、飲食店への影響という資料がつけられています。これは、先ほど長谷川委員も触れられていましたけれども、資料の四ページ。

 そのときの答弁の中に出ていましたけれども、WHOの国際がん研究機関、IARCが調査をしたところによると、信頼性の高い四十九の調査のうち、四十七の調査で減収なしということで、レストラン、バー等の経営に影響がなしという結論であったと。また、最後の下の注の部分でも、第三者が査読をした調査でも、十九調査中十七調査が減収なしということで、この基本的な考え方の時点では、私は、レストラン、バーを全面禁煙にしても減収なし、経営に影響がないというのが厚労省の基本的な考え方であったんじゃないかと思うんですけれども、これが何か変わったんでしょうか。

加藤国務大臣 そのときどういう答弁をされたのかということでありますけれども、平成二十九年一月に公開された、WHOの国際がん研究機関、IARCによる報告においては、レストラン、バー等を全面禁煙にしても、総じてマイナスの経済影響は認められなかったとの記載、これは私どもも承知をしているところであります。

 その中身を見ると、いろいろなレビューがあるんですが、そのうち、信頼性が高いとして四十九の報告書を取り上げ、そのうち減収なしが四十七、減収ありが二報告、こういうことになっております。

 ただ、これは海外の事例ということもあります。それぞれ国によって文化等も違うということ、また、日本の場合には、屋外についての規制というのがある地域もあります。そういったことを考えると、また、国内においては、飲食店の業界の皆さんからは、経営に対する影響の声も私も聞かせていただいたところでもあります。

 そうしたことで、我が国において今回の受動喫煙対策が個別の店舗の経営に影響を与えない、こう言い切ることはなかなか難しいのではないかというふうに思います。

大西(健)委員 先ほど来言っているように、私たちの案では三十平米ですから、五掛け六としても八掛け四としても、相当狭いところですよね。それは施設面積です。

 だから、あと、事業主と少数雇っている人にも同意を得た場合でなければいけないということでありますから、本当に限られた、しかも、そういうバー、スナックというのはお酒とたばこを一緒に楽しむというのが想定されていますけれども、それ以外の飲食店については全面禁煙にしてしまって、屋内専用施設も設置できないということにもししても、私は本当に、逆にほかと差がなくなるわけですから、もう吸えないというふうに諦めたらそれで済むんじゃないかなというふうに個人的には思います。

 次に、続けて行きますけれども、その点でいうと、午前中の参考人質疑の中で、東北大学の黒澤教授が、勇気を持って全面禁煙にした飲食店に政府が奨励金を出すならわかるけれども、喫煙専用室をつくるところに補助金を出すのは逆じゃないかということをおっしゃっていて、私もなるほどなというふうに思いました。

 政府案には、それ以外にもたたき台から後退している部分があります。未成年や患者等が利用する病院や小中高は、受動喫煙による健康影響を防ぐ必要が高いために、当初は敷地内禁煙にするはずだったんですけれども、どうして屋外に喫煙場所を設置することができるようにしたんでしょうか。これは参考人からお願いいたします。

福田政府参考人 お答えいたします。

 まず、学校、医療機関を含めまして、比較的大きな、広大な敷地を持つような、そういった施設におきましては、敷地内の全面禁煙とすることは非現実的な場合もあること、また、精神科病院や緩和ケアの実情にも一定の配慮が必要であるということ、また、病院や学校などにおきます屋外の喫煙場所につきましては、これは、敷地内を全面禁煙とした場合に、例えば学校行事などの際に、父兄などによります施設外での喫煙に伴います近隣施設等との摩擦などの問題も生じ得ることなどから、あくまでもこれは限定的に喫煙を認めるということとしたものでございます。

 本法案は、全国統一的な最低限の規制を設定するものでございまして、既にこの規制を上回る対策をとっておられます施設につきまして、法案の規制レベルに合わせるというようなことを義務づけるものではございません。

 以上でございます。

大西(健)委員 確かに、午前中の参考人質疑の中でも、たしか、名古屋市立大学でしたか、今もう敷地内全面禁煙にしていますよという話がありました。あるいは、この間の世界禁煙デーの日に、ある県ではもう官庁施設も全部、施設内禁煙にしていますよというような話もありました。

 あと、よく、この話を聞くと、今厚労省の答弁にもありましたけれども、敷地内禁煙にすると、敷地に隣接する路上等での喫煙が増加して、近隣住民とのトラブルになるということを言われるんですけれども、ただ、屋外喫煙場所の設置も任意なので、敷地のそれこそ面積が狭くてそういうのを設置するところがないとか、あるいはお金がかかるからという理由で、結局、そういう屋外喫煙場所を設けないで敷地内全面禁煙にするところも出てくると思うんですね。そうなると、結局、じゃ、また路上で吸うということも出てくるかもしれないので、結局そこは、私、理由にはならないというふうに思います。

 また、特定屋外喫煙場所を設置する場所についても、これは今のところ基準が明らかになっていなくて、厚労省は、先日来の質疑の中でも、施設の出入り口など人が通るような場所は避けるというふうに説明していますけれども、そういう保証も私はないんじゃないかというふうに思っています。

 その点で、足元の国会、この国会について、私、非常に気になっている部分がありまして、それは、皆さんもよく御利用になると思いますけれども、参観者ホールの前に広場がありますね。附属家の下に吉野家さんとかそば屋があるんですけれども、あの前に喫煙場所が設置されているんですよ。

 ただ、あそこは、ちょうどこのシーズン、この間まで、うちの愛知県なんかは中学校がみんな修学旅行で国会議事堂見学に来るんですよ。多いとあそこで待たされるので、あそこで整列させられて、待機させられる。また、参観ホールから出てきた後もあそこを通っていくんですよ。

 あの場所に屋外喫煙場所を置くというのは、やはり私は不適切だというふうに思うんですけれども、これはぜひ見直すべきだというふうに思いますが、きょう衆議院事務局に来ていただいていますので、御答弁お願いします。

花島参事 お答えいたします。

 御指摘いただいた場所での喫煙につきましては、小中学生を含む団体が待機している際は喫煙を御遠慮いただくよう、掲示板を設置して、案内を行っているところでございます。

 ただいまの先生の御指摘も踏まえまして、受動喫煙防止の効果がより十分なものとなるよう、先生御指摘の場所も含めまして、衆議院内の各施設での対応を見直し、今後、議院運営委員会理事会等で御協議いただくことになろうかと存じます。

大西(健)委員 政府案ではたしか第二種施設ということですから、当然、屋外の喫煙場所も国会は設けることができるということですけれども、今あそこにあるわけですけれども、さっき言ったように、特定屋外喫煙場所を設置する場所については今のところ何の基準もないわけですから、例えばそういうところに置かれてしまう、子供が通るようなところに置かれてしまうと、これは私はやはり問題だと思うんですね。

 ですから、今後、掲示だけでいいのか。でも、あそこを私も吉野家へ行ったりとかそば屋へ行くとき通るんですけれども、私も非喫煙者なので、余り心地いいものではありません。あの場所に置くことが本当にいいのかということは、やはり御検討いただきたいというふうに思います。

 もう一つ、たたき台から後退している部分で、多数の者が利用し、かつ、他施設の利用を選択することが容易でないものは、もともとは建物内禁煙という扱いになっていたはずです。ところが、そのうち、政府案では、大学と官公庁は建物内禁煙を維持して、社会福祉施設と運動施設では屋内喫煙専用室の設置を可能にしました。ここで、もともと建物内禁煙になっていたものを二つに分けたこの理由というのは何なんでしょうか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 本法案では、受動喫煙によります健康影響が大きい子供、患者などが主たる利用者となります学校や病院などの施設、これを第一種施設に分類をいたしまして、敷地内禁煙としたところでございます。

 今お話ありました、老人福祉施設等の社会福祉施設でございますとかそれから運動施設につきましては、主として利用される方が子供や患者等ではないため、第一種施設ではなく、原則屋内禁煙としつつ、喫煙専用室内でのみ喫煙ができる第二種施設に分類するように整理をし直したということでございます。

大西(健)委員 社会福祉施設も病院に近いようなところがあると思いますし、もう一つ、運動施設は子供が利用しないと言ったけれども、そんなことないですよね。運動施設といったら、野球場とかスタジアムとかも入るわけですよね。そういうところは、むしろ家族連れなんかが来る可能性は私は高いと思いますので、そこが、大学、官公庁は建物内禁煙にして、運動施設では屋内喫煙専用室の設置を可能にしたというのは、やはり後退と言わざるを得ないんじゃないのかなというふうに思います。

 次に、コンビニ店の出入り口での受動喫煙についてお聞きをしたいと思います。

 名古屋地裁で、コンビニ店の前にある灰皿の撤去を求めて、コンビニ店の経営者を近隣の主婦が訴えた、そういう裁判があります。

 皆さんのお手元の資料の次のページを見ていただきたいんですけれども、このイラストを見ていただくとイメージができると思うんですけれども、コンビニ店の前に灰皿が置いてありますよね、そこでもくもく吸っていると。

 私も、小さい子供がいるんですけれども、子供を連れてコンビニに行くことはあります。そうすると、出入り口でたばこの煙にさらされるということです。コンビニは、駅に近い便利なところなんかにもよくありますので、店舗を利用しなくても、毎日、通勤とか通学でその前を通るというような人もいるわけです。

 そういう状況の中で、受動喫煙に対するあるアンケートでは、非喫煙者で月一回以上受動喫煙したという人の割合は七三・五%、場所については五六・七%の人がコンビニの出入り口と答えています。

 屋外に喫煙場所を設置する場合にも、さっきも言いましたけれども、何らかの基準を設けなければ、コンビニ店の出入り口での受動喫煙のような問題は解決できないというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 屋外につきましては、通常、煙が拡散することや、その場に長時間とどまることが想定されないことから、今回の法案では、多数の方が利用する施設の屋内を原則屋内禁煙とする等の規制を設けることといたしております。

 一方で、御指摘のございましたとおり、屋外でありましても、多数の方が通行する場所など、近くを通る非喫煙者が容易に煙にさらされるような環境を喫煙場所とすることは、望ましいとは言えないと考えております。

 このため、現行におきましても、施設の出入り口付近にあります喫煙場所につきましては、施設を訪れる人に配慮するよう事務連絡でお示しをしているところでございますが、今回の法案におきましては、屋外等で喫煙をする際には周囲の状況に配慮すべき旨の規定を法案の中に設けてございまして、この規定に基づきまして、子供が近くにいる場合などは特に配慮すること等を事業者を含む関係者に周知をするよう、地方自治体に対しまして通知等でお示しをしてまいりたいと考えております。

大西(健)委員 健康局長、じゃ、その通知程度で、本当に、コンビニからみんな、コンビニの出入り口から灰皿がなくなるんですか。いかがですか。

福田政府参考人 本法案につきましては、基本的に、新たな規制を国民全体にかけるわけでございますけれども、一方で、今回直接の規制の対象になっていない部分につきましても、いわゆる望まない受動喫煙が起こらないように配慮をするということが、さまざまな配慮規定も含めまして、関係者の努力義務なり配慮規定なりで規定をされているところでございまして、こういったことを丁寧に周知をしていく中で、その状況もきちっと把握をしながら、実効性が上がるように取り組んでいきたいというふうに考えております。

大西(健)委員 本当に、コンビニなんて毎日のように利用しますし、さっき言ったように、通学路、通勤路にコンビニがあって、毎日そこを通るという人もいると思いますので、やはりこの問題をどうしていくのかというのは課題だと思います。

 同じような話で、マンションのベランダ等で喫煙する人のことを蛍族というそうですけれども、この蛍族の吸うたばこの煙が近隣の部屋に流れ込むことによる受動喫煙という問題があります。

 これも、実は名古屋地裁で判決があります。原告においても、近隣のたばこの煙が流入することについて、ある程度は受忍すべき義務があると言えるとしつつも、喫煙をやめるよう原告が申し入れたにもかかわらず、被告がベランダで喫煙を継続したことにより原告に精神的損害が生じたとして慰謝料五万円の支払いを命じた、こういう判例もあります。

 ベランダ等も人の居住の用に供する場所ということですので、これは規制の対象外だというふうに思いますけれども、こういう蛍族による受動喫煙に対して何か対策というのは考えられるんでしょうか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 今回の法案におきましては、家庭や屋外等で喫煙をする際に、周囲の状況に配慮すべき旨の規定を法案の中に設けているところでございます。

 お尋ねのマンションのベランダでの喫煙についてでございますが、基本的には、本法案の屋内の規制の、今先生おっしゃられましたように対象外ではございますが、この配慮の規定に基づきまして、お尋ねのマンションのベランダ等で喫煙する場合につきましても、これは近隣の住民が受動喫煙に遭うおそれがあることから、配慮をしていただきたい旨を、自治体を通じ、広く国民にお示しをしていきたいと考えております。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

大西(健)委員 この部分は、もしかするとマナーとか、あるいは集合住宅でのルールみたいなところで担保していかなきゃいけない問題なのかもしれませんけれども、こういう課題もあるのではないかというふうに思います。

 次に、加熱式たばこについてお聞きをしたいと思います。

 政府は、加熱式たばこについては、健康に及ぼす影響が明らかでないとして、当分の間、経過措置を設けています。一方、例えば、政府案では、第二十五条の五第二項で、喫煙禁止場所で喫煙している者に対して中止や退出を命じることができる、そして、命令に違反すれば第四十一条で過料三十万円が科せられる。先ほど、国民民主党案と政府案について議論がありましたけれども。

 この点、リスクがゼロでないので一定の規制をかける、退去命令とかをかけられるというのは、私、いいと思うんですけれども、科学的知見が明らかになっていない時点で、施設管理者ではなくて喫煙者個人にまで過料まで科すというのは問題があるんじゃないかということは、我が党の中でそういう意見がありました。この点について法制局の見解を求めたいと思います。

高橋政府参考人 今回の法案につきましては、嗜好品と認められているたばこではございますが、望まない受動喫煙を防止するという観点から、多数の者が利用する施設等について、一定の場所を除き、喫煙を禁止する等の規定を設けようとするものであります。

 その際、加熱式たばこは法的にも社会的にもたばこの一種と認識されており、通常のたばこと同様、特有のにおいがあり、また、その煙にニコチン等の有害物質が含まれていることも確認されていますことから、望まない受動喫煙を防止するという観点から、通常のたばこに準じて扱うことに合理性があるというふうに考えております。

 その上で、お尋ねの過料でございますが、罰金等の刑罰とは異なる秩序罰と言われるもので、法令等の遵守を担保するため、これに違反したということで科される制裁金にとどまるものであり、喫煙を禁止する等の規定に違反し、更に都道府県知事の命令を受けたにもかかわらず、これに従わなかった者に対し過料を科すということに、特に問題があるとは考えておりません。

大西(健)委員 確かに、罰則といっても秩序罰であるので、それはいいんじゃないかというのはそうかもしれませんけれども、ただ、厚労省は、健康の害に関する科学的知見はまだ明らかになっていないと。

 一方で、今、法制局の答弁にもありましたけれども、ただ、法律上はたばこに準じるものとして扱われるということであります。この点についてなんですけれども、新型たばこの規制というのは、日本では、葉たばこを使っているかどうか、ここがメルクマールになっている。例えば、合成ニコチンを使った電子たばこというのがありますけれども、この製造、販売には厚労省の許可が必要です。加熱用のデバイスも含めて、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の規制を受けることになります。

 ちなみに、現在、このカテゴリーでのいわゆる電子たばこというのは日本では販売されていないということでありますけれども、一方で、葉たばこを使用した加熱式たばこについては、これはたばこ事業法の規制を受ける。だから、安全性を確かめる長期の試験などがないままに販売ができてしまうということです。

 我が国では、現在三種類の加熱式たばこが販売されていますが、このうち、国内トップシェアを誇っているフィリップ・モリス社のアイコスは、米国ではいまだ食品医薬品局、FDAの承認が得られておらず、まだ米国では販売されていないということでありますが、アイコスは世界二十五カ国以上で販売されているそうなんですけれども、販売量の約九割が日本で販売されている。この点、記事によれば、日本が実験場にされているんじゃないかというような指摘さえある。このことを大臣、どう思われるかということ。

 また、健康に害があるかどうかわからないものがたばこ事業法のもとでは販売されてしまうという、この現行の制度にそもそも問題があるというようには感じられないかどうか、大臣の御答弁をいただきたいと思います。

加藤国務大臣 フィリップ・モリス社がどういう形の経営戦略、販売戦略でやっているのかというのはちょっと私どもとして承知もしておりませんし、コメントする立場でもないというふうに思います。

 それぞれが販売をされ、そして日本の中ではそれを利用する人もそれなりにおられる、そういう結果なんだろうというふうには思います。

 それから、たばこ事業法のお話がありましたけれども、たばこ事業法においてそれをどう考えるかという御指摘であれば、これはちょっと、私ども所管をしていないので、直接答えることはなかなか難しいのではないかと思っております。

 ただ、加熱式たばこについては、これまで申し上げておりますように、その喫煙及び受動喫煙による健康影響、これは明らかになっていないが、その主流煙中にニコチンや発がん性物質が含まれていることが明らかであるため、受動喫煙による将来の健康影響が否定できないということで、今回、望まない受動喫煙を防止する観点から、本法案において一定の規制を設けることとし、先ほどのような過料もケースによっては科せられるということになっています。

 また、本法案においては、国は受動喫煙に関する調査研究を推進する旨の規定を設けておりますので、今後とも、この加熱式たばこについては継続して調査研究を進めていきたい、またその結果に応じて必要な対応をとらせていただきたいと思います。

大西(健)委員 たばこ事業法のことを聞いているんじゃなくて、さっき言ったように、例えば、合成ニコチンを使った電子たばこだったら、これは厚労省が安全性を確認して許可しないと販売できないんですよ。でも、葉たばこを使った加熱式たばこであれば、長期のそういう安全試験とかの結果が出る前に販売ができてしまう。それは、たばこ事業法の規制下にあるから。これはやはり、何かちょっと私はすごく不均衡なような気がいたしますけれども、ぜひ、そういう問題意識はあってもいいんじゃないかなというふうに思います。

 次に、資料の次のページでありますけれども、これは昨年二月の衆議院の財務金融委員会の会議録です。

 麻生大臣が次のように答弁をしています。肺がんは、たばこってそんな関係あるのといって、証明できる人というのを、俺はぜひ聞いてみたいと思って、いろいろな人に聞くんですということで、これは前後も読んでいただくと、肺がんとたばこって関係あるのか、関係あるんだったら誰かそれを証明してくれみたいな、そういうことを言っておられるんです。

 今、政権を挙げてオリンピックに向けて受動喫煙対策を強化しようとしているのに、副総理であって、そしてたばこ事業法を所管する財務大臣がこんな認識でいいんでしょうか。

 念のために確認しますが、たばこを吸っている人や受動喫煙で肺がんになりやすくなるということは科学的根拠があるということで、厚労省、間違いありませんか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 たばこの健康影響につきましては、喫煙の健康影響に関する検討会におきまして、疫学研究などの科学的知見を系統的にレビューをし、総合的に吟味をした上でたばこと疾患等の因果関係を判定し、平成二十八年八月に報告書を取りまとめてございます。

 それによりますと、喫煙と肺がんとの関連及び受動喫煙と肺がんとの関連につきましては、いずれもレベルワンということで、これは、科学的証拠は因果関係を推定するのに十分であるという形で判定をされているということでございます。

 厚生労働省では、その判定をもって、喫煙及び受動喫煙と肺がんとの因果関係はいずれも明らかなものと考えております。

大西(健)委員 今、健康局長の答弁のとおり、喫煙、受動喫煙と肺がんとの間の因果関係は明らかであるということですので、これは加藤大臣、ぜひ麻生大臣にそう言っておいていただけませんか。そういう認識は間違っていますよと。ですから、ちゃんと厚労省もこれは認めていますということで、大臣に伝えていただけますでしょうか。

加藤国務大臣 ちょっとこれは、その前の質問がどういう質問でこういう答えになっているか、正直言ってよくわからないのと、その後の、アルツハイマーの話が出てきていますので、これはちょっと私も、科学的にそれは検証されているのかなということでございますので、今、大西委員からそういう議論があった、そして、今申し上げたような答弁を私どもからさせていただいた、そのことは大臣にお伝えさせていただきたいと思います。

大西(健)委員 時間が来ているので終わりますけれども、最後、資料を二ページつけておきました。

 さっき長谷川委員も言われていて、そして岡本委員も指摘をされた、たばこを原因とする医療費は一・五兆円、それに、健康で活躍していたら得られる利益、損失利益も含めると四兆円というような話もありました。一方で、たばこについては、これはずっと言われていることですけれども、小売価格も、それからたばこにかかる税負担率も、先進国の中では日本は低い。

 それから、最後に、最後のページに写真を載せてありますけれども、これはパッケージですよね。カナダのやつなんかは、本当に、健康警告表示が七五%で、ブランド名を書いているのは二五%。日本は逆で、ブランド名のところが七〇%で、健康警告表示は、三〇%部分に小さな文字でテキストでだけ書いてある。

 こういうところも、きょう、本当は財務省に来てもらっていたので御答弁いただきたかったんですけれども、やはり、この法案の成立を機に見直していく必要があるのではないかということを申し上げて、私の質問を終わります。

橋本委員長代理 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 会期末目前で、参議院も含めての成立には時間が足りないのではとの野党の意見に対し、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックもあり、急ぐ必要があると与党理事は繰り返し発言をされました。食品衛生法は、準備が間に合わないのではとの懸念がありつつも、オリパラに間に合わせて二〇二〇年施行としたのに、受動喫煙は、肝心なところは、施行しても半分以上が経過措置として残る。なぜ間に合わないのだろう、どうせ間に合わないのならなぜ急ぐんだろうと疑問が次々出てくるのであります。

 十三日も取り上げた二〇一六年九月発表のたばこ白書には、受動喫煙防止の法制化について、「わが国でも喫煙室を設置することなく屋内を一〇〇%禁煙化を目指すべきである。」と明記をしています。十三日も、大臣も局長も明確にこのことを答えていただけませんでした。

 今回の法案は屋内完全禁煙とは別物ですが、目指すという立場に変わりはないのか。また、WHOとIOCの合意がなされて以降、初めてのたばこフリーではないオリンピックになると思いますが、問題なしと思っておるのか。お願いします。

加藤国務大臣 このたばこ白書でありますけれども、これは、健康局長のもとではありますけれども、研究会の報告書ということでありますから、政府がそのときにおいてこうした方針を定めたというものとは趣旨が少し違うということ、それを前提に申し上げさせていただきますと、まず、我が国では依然として多くの国民がさまざまな施設において受動喫煙を経験している状況、そして、二年後の東京オリンピック・パラリンピックを一つの契機として、国民の健康増進を一層図るために受動喫煙対策を更に強化するということで、これまでの努力義務というものを、今回の法案では、多数の方が利用する施設については法律上、原則屋内禁煙とするものであります。

 また、既存の小規模飲食店については経過措置がありますが、新たな開設店舗は原則屋内禁煙、また、喫煙可能な場所については二十歳未満の方の立入りを禁止する、こうした内容を盛り込み、今、受動喫煙対策が段階的に進む実効性のある案になっているというふうに思っております。

 そういった意味においては、受動喫煙をなくすという点においては、たばこ白書の言っておられる、「わが国でも喫煙室を設置することなく屋内を一〇〇%禁煙化を目指すべきである。」というものと、その方向性は一緒だというふうに思っております。

 それから、我が国は屋内の公共の場所等における受動喫煙対策の実施を求めるFCTCの批准をしております。そのガイドラインでは屋内の全面禁煙がうたわれているということでありますから、我々は批准しているというこの立場は当然あるわけであります。そうしたことも踏まえて、先ほど申し上げた、この法案では望まない受動喫煙のない社会の実現を目指す、こういうことでございます。

高橋(千)委員 研究会の報告書だからということで、たばこ白書を切って捨てた、非常に、極めて重大な答弁であったのかなと思っております。

 ただ、一方では屋内完全禁煙を目指すFCTCの基準を批准していると言っておきながら、望まない受動喫煙にとどまっているというのが今の大臣の認識であるということで、極めて残念であって、だからこそ、きょう午前中たくさんの参考人の方、一歩前進だとおっしゃっていただいたんですが、一歩は前進と言えるかもしれない、規制をある程度つけるんですが、でも二歩目がないというのが今の法案だということで、とても、このままでは賛成しかねるということを言わなければならないと思います。

 そこで、二〇一七年の九月二十日から二十一日、大臣は受動喫煙対策について関係団体から意見を聞いております。そのときに、いろんな団体がいらっしゃいますけれども、日本遊技関連事業協会からも意見を聞いていると思いますが、どのような御意見だったんでしょうか。

加藤国務大臣 その前に、先ほどの、たばこフリーのオリンピックに対してどうなのかということをちょっとお答えをさせていただきませんでした。

 先ほど申し上げた、この法案は望まない受動喫煙をなくすために提出ということでありますが、一方では、オリンピック・パラリンピックのホストシティーとして東京都においては独自の条例案が提出されているということで、御指摘のたばこフリーのオリンピック・パラリンピックという点については、今、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会関係府省庁連絡会議のもとに受動喫煙防止対策強化チームもつくっておりまして、そこには政府、そして東京都にもオブザーバーとして参加をしていただいておりますので、そうしたオリンピック・パラリンピック関係省庁、東京都等ともしっかり連携して、対応させていただきたいと思います。

 それから、日本遊技関連事業協会からのお話であります。

 九月二十日、二十一日の二日間において、受動喫煙対策について、十二の関係団体からヒアリングを行わせていただきました。

 そこでの日本遊技関連事業協会からの御意見でありますけれども、規制対象とする施設類型のあり方、あるいは喫煙専用室の基準や設置に係る公費助成、加熱式たばこの規制のあり方等について、御意見を頂戴したところでございます。

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

高橋(千)委員 日遊協は、二〇一六年十一月十六日に、厚労省の受動喫煙防止強化検討チームワーキンググループの公開ヒアリングに参加をして、意見を述べておられます。

 この日は、トップバッターは、先ほど大西委員が指摘をされました焼肉協会でありまして、いっそ全面禁煙をと、まず確かにおっしゃっていらっしゃいます。それから、たばこ販売の協同組合や、たばこ耕作組合もいらっしゃいまして、私の地元青森は全国トップクラスの葉たばこの生産がありまして、地元の地方議員が、もう亡くなったんですが、生産者であり指導者として本当に頑張っていたということは私も承知をしておりますので、ここは本当に支援をしていただきたい、必要なところは支援していただきたいと思っているんですけれども。

 そのときに日遊協がおっしゃったのは、当時はまだたたき台でしたので、サービス業と一くくりにされているけれども、風営法の許可業種であること、喫煙者が四三・二%、他の業種よりも多いんだ、そういう営業事情を考慮してほしいとおっしゃっているんですね。それで、風営法の基準が厳しいために、例えば、喫煙室を設けるために改修するだけでも二週間は休みが必要なんだと。神奈川や兵庫の条例では、パチンコホールにおいては実情を鑑みて事業者裁量を最大限尊重していただきたい、こういうふうに言っていた、条例はそうなっている、だから国もそうしてほしいということを言っているんですね。

 このときの資料を見ますと、パチンコの参加人口は一千七十万人、一万一千三百十店舗です。業界の名誉のために言いますけれども、ただ、昔の、よく映画で見るような、くわえたばこで、じゃらじゃらなんというイメージは、もう大分古いんだと思っております。利用者の喫煙率は、半分を切っているわけなんですよね。しかも、ホールの全面禁煙化に対して、パチンコ利用者の二四%が大賛成。賛成だが分煙程度でよい、二七・三%。合わせて五一・三%もいらっしゃる。絶対反対は三一・二%で、年々下がっているんですよね。ですから、やはり、業界だって、そうはいったって、もう流れなんだということはよく認識していらっしゃると思うんですね。

 ただ、その後も、大臣がヒアリングをする前後に、自民党厚労部会や自民党たばこ議連の臨時総会、厚労省審議官との意見交換など、何度も意見交換を行っています。二月三日には、橋本岳部会長のヒアリングにも出席をして、政府案が変わっていく過程において、都度都度意見を述べている。これは別に、日遊協がニュースで全部ホームページに公表しておりますので、それを見ただけでありますけれども。

 そこで伺うんですが、加熱式たばこ専用喫煙室は、飲食だけでなく、パチンコもできるということか。お願いします。

福田政府参考人 お答えいたします。

 加熱式たばこについて、本法案におきましては、屋内原則禁煙としつつ、加熱式たばこ専用喫煙室を設置する場合は、非喫煙者も喫煙者もともに安心して施設を利用できる選択肢を設けることが必要という考え方に基づきまして、施設の屋内の一部に設置をできることとしてございます。

 このような観点から、お尋ねのパチンコ店につきましても、パチンコをしながら喫煙可能な加熱式たばこ専用の喫煙室を設置可能としているところでございます。

 具体的な割合等につきましては、お客様のニーズ及び望まない受動喫煙をなくすという本法案の趣旨を踏まえつつ、事業者の判断により設定されるものと考えております。

高橋(千)委員 飲食ができるだけではなく、パチンコもできるんです。

 日遊協が、風営法は別枠にという要望は多分無理筋だと気づいたのか、要求を見直しているんですね。

 三月九日の法案閣議決定直後の三月十五日の日遊協の堀内専務理事の記者会見では、今の案では、パチンコの場合は、飲食店と同じで原則屋内禁煙となる、喫煙専用室を設ければ、そこではたばこが吸えるが、パチンコをしながらたばこは吸えないと説明した。それが多分問題なんでしょうね。その上で、加熱式たばこ専用の喫煙室を設ければ、そこではパチンコをしながらでも加熱式たばこは吸える、飲食店では飲みながら吸えるので、パチンコも同じようになると思う、こういうことをおっしゃっている。多分、都度都度の議論の中で、要望がだんだん核心に入っていったのではないかなと思うんですね。

 なぜ飲食店とパチンコが同じなんでしょうか。最初は、三十平米以下と、スナックやバーなど、お酒とたばこがつきものというようなところに絞りましょうという話があった。それが、ラーメンだって、たばこを吸いながら食べたいとなって、だんだん広がっていって、パチンコも同じだって。何でもありじゃありませんか。

 ラーメンだったら、それは一時間も座っていることはないでしょう。でも、パチンコは、長くいればいるほど、たばこを吸う量もふえるんです。パチンコをする回数が多い、時間が長い利用者ほど喫煙率が高い傾向にあると、団体の調査でも明らかになっています。だから、もうかるんだということです。

 今、まさにカジノ法案をやっていて、先ほど強行採決をされたようですけれども、日本ではまだカジノはないのに、ギャンブル依存症は三百二十万人と厚労省が推計しています。その中心はパチンコのはずなんです。加熱式たばこを代替品として、これまでどおり長くパチンコができる、それが依存症を助長するようなことになれば、どうなんですか。原則禁煙とした意味が完全に失われてしまうのではありませんか、大臣。

加藤国務大臣 基本的に、紙巻きたばこについては、今委員御指摘のように、パチンコ店であろうと飲食店であろうと喫煙専用室でしか吸うことができない。そして加熱式たばこの場合には、加熱式たばこ専用喫煙室において、飲食店では食事をしたりお酒を飲んだり、また、そこで本を読んだり、いろんなことができる。

 そういった意味で、逆に言うと、何でもと言ったら変ですけれども、できるという規定において、それは、だから、食べることだけ認めるとか、お酒を飲むことだけ認めるということではなくて、そこにおける影響がそこまではっきりしていないということで、加熱式たばこについては、一定のそうした空間がつくられていれば、そこは認めていく。これは別に、遊技の場所だけではなくて、飲食も含めた、それが基本的な考え方になっている。それをそのまま適用しているということであります。

高橋(千)委員 パチンコだけが問題だと言っているわけではございませんけれども、わかりやすく話をしました。

 せっかく、大臣、前回の委員会で、加熱式たばこは禁煙のステップとして使うことは推奨しないとおっしゃっていただきました。だけれども、飲食もできる、パチンコもできる、読書もできる、何時間いてもいいんだということになってしまうと、結局これは喫煙率を下げることにはならない、健康にとってもよくない。それは午前中さんざん言われたことなわけでありまして、これはダブルスタンダードになってしまうということで、強く指摘をしたい、見直しをしていただきたいと思います。

 それで、私が午前中から言っているのは、喫煙者も守る対策であるべきだ、望まないは取るべきだと思うんです。望まない受動喫煙、その望まないという言葉は取るべきだ。そうでなければ、やはり健康増進法の趣旨にも反すると思います。

 そこで伺いますが、二〇一一年の十二月に国会に提出され、翌年十一月の衆院解散によって廃案となった改正労働安全衛生法には、職場の全面禁煙又は空間分煙の措置を事業者に義務づけることが盛り込まれていました。義務化したときの趣旨と、なぜその後の改正で努力義務に変わってしまったのか、お答えください。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、平成二十三年十二月に国会に提出しました労働安全衛生法の一部改正法案におきましては、事業者に対し、職場の全面禁煙や空間分煙を義務づける、ただし、それが困難な飲食店等につきましては、当分の間、受動喫煙の程度を低減させるための措置を義務づけること等を盛り込んでおりました。

 この法案においてこうした事業者の義務とされた趣旨は、平成十七年二月のFCTCの発効といった国際的動向や、平成二十二年六月に閣議決定された新成長戦略におきまして、二〇二〇年までの目標として、受動喫煙のない職場の実現が設定されていたこと等があると考えております。

 その後、同法案が廃案になりまして、改めて労働政策審議会で議論をし、平成二十六年三月に労働安全衛生法の一部改正法案を提出いたしましたが、その際には、労働者の受動喫煙を防止するための措置として、事業者が適切な措置を講ずることを努力義務といたしております。

 この努力義務とした趣旨は、労働政策審議会で、一部の事業場での取組がおくれている中では、義務化するよりも、努力義務とした上で、助成金等により事業者の自主的な取組を支援する必要があるといった意見が出されたこと等に留意して努力義務とされたものと承知しております。

高橋(千)委員 せっかく二〇二〇年までに受動喫煙のない職場ということを打ち出したのに、本当に残念だし、この時点でこれを明確に義務化をしていれば、もっと今回の法案は進んだものになったと思います。

 おっしゃらなかったわけですけれども、廃案になる前に与野党修正、当時は与野党が逆転しておりますが、与野党修正によって努力義務になっていた、それが今に続いているということは非常に残念だと思っています。

 それで、喫煙専用室、加熱式たばこ専用喫煙室又は既存特定飲食提供施設のうち喫煙と表示した店舗などは、二十未満の立入りを禁止します。なぜ二十未満のみに限定するんでしょうか。受動喫煙対策ならば年齢で区切る必要はないと思いますが、いかがでしょうか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 二十未満の者につきましては、受動喫煙によります健康影響が大きいことから、これは特に配慮が必要と考えておるところでございます。また、そもそも喫煙も禁止をされているというところでございます。

 このため、今回の法案では、喫煙専用室、加熱式たばこ専用喫煙室、既存特定飲食提供施設などの喫煙が可能となるような場所につきましては、二十未満の者を立ち入らせないこととする義務をそれぞれの施設の管理権原者等に課すこととしているものでございます。

高橋(千)委員 ですから、従業員を守るという立場には立っていませんよね。二十未満の方はそもそも喫煙ができないわけですから、そのことと受動喫煙防止とは違うと思うんですよね。妊婦だっているし、何らかの疾患を持っている方だっているわけですよね。それをなぜこういうふうにしたのかということなんですよ。

福田政府参考人 お答えいたします。

 今回の法案につきましては、望まない受動喫煙をなくすという観点から、原則屋内は禁煙とするということをベースといたしまして、健康影響、患者さんやお子様など、いわゆる健康影響が大きい方については特に配慮をするという形で全体を構成しているところでございます。

 また、労働者の方々、従業員の方につきましては、これは、関係者の努力義務というような中で必要な対応を適切にとっていくということで、法案の中でも対応をしていくという形になっているところでございます。

高橋(千)委員 重ねて、やはりこのときの判断が大きく響いているな、だけれども、せっかく今回法改正をするときにやってくれればよかったのになと指摘をしたいなと思います。

 自民党のたばこ議連は喫煙を憲法上の幸福追求権と位置づけたと、昨年四月二日の産経ニュースが報じました。きょう午前の参考人が示したように、他人を不幸にしての幸福追求権などはあり得ないわけであります。そのことを強く指摘をして、質問を終わりたいと思います。

高鳥委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。

 最後になります。よろしくお願いをいたします。

 それでは、一点ずつお伺いをしていきますけれども、私の地元の大阪府は、政府の今回の法案では不十分だということで、更に厳しい条例を考えているということを大阪府は言っています。ほかの自治体でも、東京都など、更に政府案より厳しいものを条例で定めていくということになっています。

 一点お伺いしたいのは、法律と条例の関係ですね、法律よりも厳しい条例を自治体で定めることができるということを確認したいと思います。

福田政府参考人 お答え申し上げます。

 大阪府や東京都におきまして条例の議論が進んでいることは承知をいたしております。

 一般に、法律と条例の関係につきましては、それぞれの趣旨、目的、内容及び効果を比較し、両者の間に矛盾、抵触があるかどうかなど判断することになるとされております。

 今般の法案は、全国統一的な最低限の規制を設定するものであることから、条例において法律よりも緩い規制を設けることは、健康増進法の目的や効果を阻害することになり、認められませんが、条例におきまして、今お話ありましたように、法律に上乗せの規制を課すことにつきましては、あり得るものと考えてございます。

浦野委員 ありがとうございます。

 要は、この法案は最低基準であるということも今御答弁をしていただきましたけれども、きょうの午前中の参考人の皆さんも、この政府案については、やはり、最初の一歩であるということで、これから更にさまざまなことを検討して、最終目標は屋内完全禁煙ということをおっしゃる方もたくさんいらっしゃいましたけれども、これをスタートとしてやっていこうということを参考人の皆さんもおっしゃっておりました。

 次に、都道府県の条例そして市町村、さらに都や区、さまざまな自治体のパターンがありますけれども、各自治体でいろいろな条例をこれからつくっていく中で、条例についての、各市町村、自治体、行政単位で条例の上下関係というものは明確にあるのかというのをお聞かせいただきたいなというのがあります。

 というのは、東京なんかは、屋外は区が規制していたりとか、今度、屋内は都がやったりとかするわけですね。何かそういう条例でそごが起きないのかなというちょっと心配をしているんですけれども、いかがでしょうか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 都道府県条例と市町村条例の関係につきましては、地方自治法第二条第十六項に、「市町村及び特別区は、当該都道府県の条例に違反してその事務を処理してはならない。」とございます。また、同条第十七項に、「前項の規定に違反して行つた地方公共団体の行為は、これを無効とする。」と規定をされておりまして、各条例はそれぞれの事務について定められたものでございますから、市町村の条例も当該都道府県の条例に違反することはできないものと考えております。

浦野委員 ということは、都道府県の条例がやはり優位だということなんですね。ありがとうございます。

 きょう参考人の皆さんにもお聞かせいただいたんですけれども、海外では、屋内の規制は非常に厳しい、完全禁煙、完全にしているところもたくさんあります。その反面、屋外はほとんどしていないということになっていると聞きますけれども、実際、政府としてどういうふうにその把握をされているのか、確認をしたいと思います。

福田政府参考人 お答えいたします。

 規制がないという事実関係は、規制があるという事実関係と比べまして、なかなか正確な把握が難しく、海外の国におきます屋外での喫煙の規制につきまして、詳細はなかなか把握し切れていないものがございますが、把握できている範囲では、国全体又は自治区域全体を禁煙にしているといったような国はないものと認識をしてございます。

 しかしながら、公園やバス停、それから海水浴場、スタジアムなど人が集まる屋外の公共の場所を禁煙にしている国又は自治区域は、例えばシンガポールやソウル市、ニューヨーク市など、複数あるようでございます。

浦野委員 これも、きょう参考人の方のお話にもありました。私のきょう聞きたかった質問は、屋外でそういう喫煙所をつくる場合とかは国からの支援もあるということだったと思うんですけれども、逆に、きょうは参考人の方から、それは逆やないか、禁煙をした方にインセンティブを与えるためにお金を使うべきだという指摘もされておりました。だから、そういうところにお金を、政府が予算をつけるという部分は、それはきょうの午前中のやりとりでもうわかっておりますので、答弁はもうきょうは求めません。ただ、やはり、午前中の話でも、例えば公園とか、そういったところもしっかりとやっていくべきなんじゃないかというのは一点思いました。

 大阪府のことを引き合いに出してきょうも言いましたけれども、大阪府庁の前にある大阪城公園は、大阪市の公園なんですね。だから、大阪府が幾らやろうとしても、大阪市がやってくれないとできないということなんですね。だからそこら辺は、今はちゃんと大阪市がその気になればそういうのをやってくれるとは思いますけれども、いろんな自治体が持っている公園とかでもいろいろなパターンが出てくると思いますので、そういった部分も含めて、ぜひこの法案、まあ今回、我々日本維新の会は提言を出させていただいていて、更に厳しいものにすべきだということで提言をさせていただいていますので、我々は今回の法案では不十分だという認識を持っていますので、これからもぜひ、この法案以降もしっかりとたばこに関して議論をしていきたいと思っていますので、よろしくお願いをいたしまして、質問を終わります。

高鳥委員長 以上で、ただいま議題となっております両案中、内閣提出、健康増進法の一部を改正する法律案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。初鹿明博君。

初鹿委員 立憲民主党・市民クラブを代表して、内閣提出の健康増進法の一部を改正する法律案に反対、岡本充功君外一名提出の健康増進法の一部を改正する法律案に賛成の立場から討論いたします。

 討論に先立ち、委員長に一言申し添えさせていただきます。

 午前中に参考人質疑が行われ、参考人の皆様方からさまざまな御指摘をいただきました。本日午後の審議でも、まだ十分にその疑問に答えられているとは思えません。

 更に言えば、悲惨な児童虐待事件が目黒区で発生したことを受けて緊急に国会で対応すべきであり、我が党始め野党から現地視察や集中審議を求めたにもかかわらず、それを無視し、会期末で参院での審議日程も確保できていないにもかかわらず、今ここで質疑を打ち切り、採決を行う判断をしたことは大変遺憾であり、強く抗議いたします。

 それでは、政府案に反対の理由を申し述べます。

 まず、改正案は、受動喫煙により年間一万五千人の方が命を失っているという現実から、国民、とりわけ、がんの患者さんや子供、そして妊婦さんなどを受動喫煙の被害から守るため、そして、二〇二〇年に開催予定の東京オリンピック・パラリンピックに備え、一九九八年から続いているWHOとIOCの合意に基づくたばこフリーのオリンピックを実現するために、健康増進法の改正を行うものであります。

 しかしながら、政府が提出した法案は、昨年、塩崎大臣当時に示した厚生労働省のたたき台から大幅に後退し、一九九八年以来、オリンピック開催都市として初めて飲食店での喫煙を認めるという国際的に恥ずかしい内容となっています。

 飲食店は最も受動喫煙被害が多いとされています。その飲食店の約五五%が例外となる経過措置が設けられ、その期限も明らかにはしておりません。これでは、受動喫煙防止対策としては余りにも不十分であると指摘せざるを得ません。

 加藤大臣は、望まない受動喫煙をなくすとの答弁を繰り返しましたが、国民の健康を守る厚生労働省は、望むと望まざるとにかかわらず、国民の健康を考え、受動喫煙自体をなくすことに力を注ぐべきであります。その上で、本法案のように飲食店の五五%が例外となれば、自分で店を選択できない方やそのお店の従業員など弱い立場の方々は、喫煙ができる店に行かざるを得ない場面が生まれ、望まない受動喫煙を受けてしまうことになるのです。

 屋内全面禁煙以外、望まない受動喫煙を防ぐ方法はないのです。

 塩崎案では、官公庁は喫煙専用室を設けることが禁止される屋内全面禁煙でありましたが、提出された案では、官公庁は行政機関と書きかえられ、立法府である国会は喫煙専用室を設けることが可能な施設類型へ格下げとなりました。

 この点について、きょうの参考人質疑で伺ったところ、がん患者の天野参考人は、本日、控室に通されましたが、灰皿が二つ置いてありました、大変驚きました、これでよいのかという思いでおりましたと言い、産業医でもある黒澤参考人は、私がここの産業医なら、即時、喫煙所を撤去するよう責任者に意見を申し上げようと思いますとお答えになりました。

 国民に禁煙をお願いする立場の国会議員こそ範を示すべきであるのに、みずからの喫煙場所を確保するというのでは、国民に示しがつきません。今からでも遅くないので、立法機関も行政機関と同じ扱いにするよう、再考を求めます。

 子供を受動喫煙から守ると言いながら、敷地内禁煙の学校でも、屋外での喫煙場所の設置を認めていることも看過できるものではありません。

 以上、政府案については、受動喫煙対策としては全く不十分であるという反対の理由を申し述べました。

 患者や病気を抱えている人にとって、たばこの煙は凶器です。今や国民の八割は非喫煙者です。国会に来て、例外規定を設けてくれ、規制を緩めてくれと言う方々は多数派ではありません。本日、参考人でお越しいただいた長谷川氏も述べておりました。懸命に生きている患者は声を上げられないのです。国会に来ない多くのサイレントマジョリティーは、完全屋内禁煙を望んでいます。こういう聞こえない声に耳を傾けるのが政治家の務めではないでしょうか。

 立憲民主党は、喫煙者の吸う権利やたばこ産業で働く皆さんの雇用を守りつつ、国民の命や健康を守ることを重視し、受動喫煙防止対策をより一層進めていくことを表明し、討論を終わります。(拍手)

高鳥委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 私は、国民民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました政府提出、健康増進法の一部を改正する法律案について討論いたします。

 まず冒頭、私からも、今回のこの委員会の運営について抗議を申し上げます。

 残念ながら質問の時間が十分確保されなかった私どもの提出をした法律案、さまざまな観点から政府案よりすぐれていると考えておりますけれども、この質疑時間が確保されませんでした。また、参考人からいただいた御意見に対して皆さんで議論する、そういう場も十分になかったという中で、今回、採決がなされます。先ほども指摘がありましたが、参議院の状況を考えれば、今採決をしたこの法律案が参議院で審議される時間がないわけでありますから、結果として今採決をする意味が私にもわかりません。

 そんな中、どうしても委員長が職権で採決をするということでありますので、私は、この法律案に対する論点を整理し、討論をしたいと思います。

 まず初めに、国立がんセンターの研究発表によれば、受動喫煙を受けなければ亡くならずに済んだ方は、国内で少なくとも一万五千人に上るとされています。また、厚生労働省の研究班によると、受動喫煙の医療費は三千二百億円とされています。国民の健康と命を守るため、受動喫煙対策は喫緊の課題です。しかし、政府案は、国民の健康を第一に考えたものとなっているとは言えません。とりわけ、厚生労働省が当初検討してきた案から大きく後退し、国レベルのたばこフリーの伝統を日本が初めて破る、こうしたことになる今回の法律案、大臣は、与党でのいろいろな議論を経てと答弁をされますが、いろいろの中身は不明のままです。

 特に問題点と考えられる点を指摘していきたいと思います。

 昨年三月の厚生労働省案では、規制の対象から外すのは、小規模なバーやスナック等に限定されていました。ところが、本法案では対象外となる施設が大幅に拡大し、個人又は中小企業、かつ客席面積百平米以下の既存の飲食店とされています。政府案では、特例措置で規制の対象外となる店舗が全飲食店の約五・五割に上ることが答弁をされています。これでは、法案の目的である望まない受動喫煙の防止を図ることができるのか、甚だ疑問です。

 また、政府案は、国会において喫煙専用室を設置することを可能としています。国民に厳しい義務を課す以上、国会は率先して厳しい受動喫煙対策を講じるべきですが、政府案はそうなってはおりません。

 また、政府案では、第一種施設に係る規制は、ラグビーワールドカップまでに実施することとされているものの、その他の飲食店等に対する規制は、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックまでに全面実施とされています。国民の健康を守る観点からは、施行日はもっと早くするべきであります。

 今回私たちが提出をした案では、こうした規制の対象外とする飲食店の面積、施設の面積が三十平米以下、また、二十歳未満の者の利用がほとんど見込まれない等の要件を満たすバーやスナックに限定していること、国会や地方議会において喫煙専用室を設置することを認めていないこと、政府案よりも施行期日を早めて二〇一九年ラグビーワールドカップ開催までに全面実施としていることから、政府案よりも進んだ案だと私たちは考えています。

 以上申し上げるように、政府案にはさまざまな問題点がありますが、今般、政府の答弁にもありますが、最低限の規制との政府答弁があること、また、政府において、この受動喫煙対策を現状よりも一歩前進させるんだ、こういう答弁があることから、私たちは、以下の三点のポイントが、これから国会から決議としてなされることを重要なポイントと考え、賛成に回ることを表明いたします。

 一つは、既存の特定飲食提供施設に係る特例措置については、法施行後できるだけ速やかに、当該施設における受動喫煙防止措置の実施状況に関する実態調査等を行い、その結果に基づき、必要な措置を講ずること。

 それから、指定たばこについては、WHOでは紙巻きたばこと同様の扱いであることに鑑み、指定たばこによる受動喫煙が人の健康に及ぼす影響に関する調査研究を一層推進し、可能な限り早期に結論を得て、その結果に基づき、紙巻きたばこと同様に取り扱うなど、必要な措置を速やかに講ずること。

 そして、第一種施設のうち学校等子供が主に利用する施設については、特定屋外喫煙場所の状況等の実態調査を行い、その結果に基づき、子供の受動喫煙が生じることのないよう、敷地内完全禁煙の実施の可能性について早期に検討すること。

 こうした点がこれから検討され、実施されることを求めて、特に、これから二〇二〇年オリンピック・パラリンピックまでにはまだ時間があります、こうした法律の内容を再度修正、そして新たなよりよい法案が提出されることを信じて、賛成の討論とさせていただきます。

 終わります。(拍手)

高鳥委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の改正案に反対の討論を行います。

 まず、国民の健康に多大な影響を与える本法案を、十分な審議を求めたにもかかわらず会期末間近に拙速に採決することに抗議するものです。

 日本は、たばこ規制枠組み条約を批准していながら、屋内全面禁煙を義務づける法律を持たず、WHOに世界最低レベルと分類されているのが現状です。毎年一万五千人にも上る受動喫煙を原因とする死亡者をなくし国民の健康を守ること、二〇二〇年の五輪開催国としての国際的責務を果たすことが本改正案に求められているのであります。

 本法案は、今まで努力義務とされていた受動喫煙の防止を、罰則つきの規制を設けた点では前進とは言えるものの、厳格に受動喫煙を防止する立場からの改正とは到底言えず、国際的責務も果たせるものではありません。

 反対する第一の理由は、学校や病院を対象とする第一種施設においても敷地内喫煙を可能としているからです。

 特定屋外喫煙場所は、煙を外に出す構造上、子供や病人に害を及ぼさないとは言い切れません。設置場所によっては近隣とのトラブルも生じることは大臣みずからが認めたではありませんか。

 第二に、第二種施設に喫煙専用室を設けても、受動喫煙のおそれはなくならないことです。

 二十未満の者の立入禁止、加熱式たばこ専用の喫煙室など、標識を掲示して識別するのでは間違いなどによる被害も避けられないことは、委員会で指摘したとおりです。既存特定飲食提供施設は、全体の半分以上を占めるにもかかわらず、適用が除外されることになります。しかも、その期間は、別に法律で定める間とされ、ついに明確な期日は示されませんでした。これでは、五輪開催時に、少なくとも二〇一〇年以降これまで他の開催国がとってきた屋内禁煙のルールを日本が破ることになります。例外なく屋内全面禁煙を決断すべきです。

 本法案には、さらに、当初の厚生労働省案で官公庁とされていた対象が、国会を除く行政府に限定されている点も問題です。学校通学路の路上喫煙にも規制を設けるなどの対策もとるべきです。

 終わりに、本日の参考人のどなたからも、法案の不十分さを指摘しつつ、規制に踏み出したことを一歩前進、又は中間地点と評されました。その趣旨を酌むならば、法案に賛成あるいは反対、どちらも論が立ちますが、完全禁煙という政府自身の目標も否定したこと、大臣が経過措置に五年以内という目標すら明言できないことを重く見て、反対といたします。

 日本共産党は、全ての国民を受動喫煙から守り、文字どおり健康の増進が図られる社会の実現を目指し、討論といたします。(拍手)

高鳥委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会を代表して、健康増進法改正法案について、反対の立場から討論いたします。

 日本維新の会は、昨年の五月に続き、本年二月二十八日、加藤厚労大臣に対して、受動喫煙防止に関する提言を行いました。

 他の先進国と比較すると受動喫煙対策が不十分な我が国でも、国際社会の動きと調和した受動喫煙対策を講ずることによって、より一層の健康増進施策を推進することが必要と考えます。

 本法案では、飲食店に対しては原則屋内禁煙としているものの、経過措置等によって事実上骨抜きとなってしまっている点は、政府の受動喫煙対策への本気度が感じられません。

 我が党は、店舗面積三十平米以下の飲食店については、未成年者の入店を禁止した上で、喫煙可能とする提言を行いましたが、政府の提案内容では、全飲食店のおよそ五五%に当たる、中小企業や個人が運営する店舗面積百平米以下の店舗では、表示をすれば喫煙可能としています。未成年者を受動喫煙被害から守るという姿勢が感じられず、世界と比べて大きくおくれをとる受動喫煙対策しか行われないことは、国民の一人として残念でなりません。

 我が党は、今後も、国民の健康を守り、クリーンな社会を目指すことをお約束して、本法案への反対討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

高鳥委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、健康増進法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高鳥委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 この際、本案に対し、橋本岳君外五名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び日本維新の会の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。橋本岳君。

橋本委員 私は、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び日本維新の会を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    健康増進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 既存特定飲食提供施設に係る特例措置については、法施行後できる限り速やかに、当該施設における受動喫煙防止措置の実施状況に関する実態調査等を行い、その結果に基づき、必要な措置を講ずること。

 二 飲食提供施設に係る既存又は新規の区別については、現場の混乱を招くことのないよう、国が指針で判断基準を明確に示すよう、速やかに検討すること。

 三 指定たばこについては、WHOでは紙巻きたばこと同様の扱いであることに鑑み、指定たばこによる受動喫煙が人の健康に及ぼす影響に関する調査研究を一層推進し、可能な限り早期に結論を得て、その結果に基づき、紙巻きたばこと同様に取り扱うなど、必要な措置を速やかに講ずること。

 四 第一種施設のうち学校等子どもが主に利用する施設については、特定屋外喫煙場所の状況等の実態調査を行い、その結果に基づき、子どもの受動喫煙が生じることのないよう、敷地内完全禁煙の実施の可能性について早期に検討すること。

 五 保健所の業務量の増大が見込まれることを踏まえ、保健所の更なる充実・強化に努めるとともに、運用における手続の簡素化、管理権原者が適切に退出命令を発出できるなど受動喫煙防止対策の実効性の確保を図ること。

 六 第二次健康日本21で示された成人の喫煙率の目標の確実な達成に向け、喫煙をやめたい人への禁煙支援等のたばこ対策の一層の推進を図ること。

 七 喫煙可能な場所・空間において従業員の受動喫煙をできるだけ避けるよう必要な措置を講ずること。

 八 FCTC枠組み条約が求めている「喫煙室のない屋内完全禁煙」実現に向け、課題の整理や周知・啓発に取り組むこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

高鳥委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高鳥委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、加藤厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力してまいります。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

高鳥委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十五分散会


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