衆議院

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第35号 平成30年7月11日(水曜日)

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平成三十年七月十一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 高鳥 修一君

   理事 赤澤 亮正君 理事 後藤 茂之君

   理事 田村 憲久君 理事 橋本  岳君

   理事 堀内 詔子君 理事 渡辺 孝一君

   理事 西村智奈美君 理事 岡本 充功君

   理事 桝屋 敬悟君

      秋葉 賢也君    安藤 高夫君

      井野 俊郎君    池田 道孝君

      岩田 和親君    上野 宏史君

      大岡 敏孝君    神山 佐市君

      菅家 一郎君    木村 哲也君

      木村 弥生君    国光あやの君

      熊田 裕通君    小泉進次郎君

      小林 鷹之君    後藤田正純君

      高村 正大君    佐藤 明男君

      塩崎 恭久君    繁本  護君

      白須賀貴樹君    杉田 水脈君

      鈴木 貴子君    田中 英之君

      田畑 裕明君    冨樫 博之君

      中曽根康隆君    長尾  敬君

      福山  守君    船橋 利実君

      三ッ林裕巳君    宮澤 博行君

      務台 俊介君    八木 哲也君

      山田 賢司君    山田 美樹君

      和田 義明君    池田 真紀君

      尾辻かな子君    岡本あき子君

      長谷川嘉一君    初鹿 明博君

      吉田 統彦君    大西 健介君

      白石 洋一君    山井 和則君

      柚木 道義君    伊佐 進一君

      中野 洋昌君    高橋千鶴子君

      串田 誠一君    柿沢 未途君

    …………………………………

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   内閣府副大臣       あかま二郎君

   厚生労働副大臣      高木美智代君

   厚生労働大臣政務官    田畑 裕明君

   厚生労働大臣政務官    大沼みずほ君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 米澤  健君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 大西 淳也君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房総括審議官)         中川 健朗君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           信濃 正範君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         村田 善則君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  宇都宮 啓君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  武田 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           定塚由美子君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  鈴木 俊彦君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            木村  聡君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           小波  功君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月十一日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     冨樫 博之君

  穴見 陽一君     山田 賢司君

  木村 弥生君     杉田 水脈君

  小林 鷹之君     熊田 裕通君

  塩崎 恭久君     鈴木 貴子君

  高橋ひなこ君     八木 哲也君

  尾辻かな子君     岡本あき子君

  足立 康史君     串田 誠一君

同日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     宮澤 博行君

  杉田 水脈君     木村 弥生君

  鈴木 貴子君     塩崎 恭久君

  冨樫 博之君     神山 佐市君

  八木 哲也君     高村 正大君

  山田 賢司君     務台 俊介君

  岡本あき子君     尾辻かな子君

  串田 誠一君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     赤澤 亮正君

  高村 正大君     菅家 一郎君

  宮澤 博行君     池田 道孝君

  務台 俊介君     和田 義明君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     小林 鷹之君

  菅家 一郎君     上野 宏史君

  和田 義明君     岩田 和親君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     田中 英之君

  上野 宏史君     福山  守君

同日

 辞任         補欠選任

  田中 英之君     穴見 陽一君

  福山  守君     中曽根康隆君

同日

 辞任         補欠選任

  中曽根康隆君     高橋ひなこ君

同日

 理事橋本岳君同日理事辞任につき、その補欠として赤澤亮正君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 医療法及び医師法の一部を改正する法律案(内閣提出第六〇号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

高鳥委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、医療法及び医師法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官米澤健君、総務省大臣官房審議官大西淳也君、文部科学省大臣官房審議官信濃正範君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官宇都宮啓君、医政局長武田俊彦君、社会・援護局長定塚由美子君、老健局長浜谷浩樹君、保険局長鈴木俊彦君、中小企業庁事業環境部長木村聡君、防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官小波功君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。三ッ林裕巳君。

三ッ林委員 おはようございます。自由民主党の三ッ林裕巳でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、心から感謝申し上げます。

 まず冒頭に、今回の平成三十年七月豪雨によって犠牲となられた方々に深甚なる哀悼の意を表しますとともに、御遺族並びに罹災された方々に心からのお見舞いを申し上げます。また、政府に対して、迅速かつ万全なる対応を切に願うものでございます。

 続きまして、法案の質問に入らせていただきます。

 少子高齢化の進行により、我が国の生産年齢人口は一九九五年をピークに減少に転じており、総人口も二〇〇八年をピークに減少に転じています。まさに、人口減少社会の到来であります。そして、若い人ばかりでなく、六十五歳以上の人口も減っていくというデータが出ております。

 本日、資料を四枚用意させていただきました。日本の人口の推移、診療科別医師数の推移、医学部入学定員と地域枠の年次推移、そして、今回医療法及び医師法の一部を改正する法律案の概要について提出させていただきました。

 まず、資料の一の日本の人口の推移でありますが、ごらんのとおり、今後、生産年齢人口は減少し、そして高齢化率は上昇してまいります。

 こういった人口減少の状態の中にあって、そして医師数、資料三の方を見ていただきますが、医学部入学定員と地域枠の年次推移、これは厚生労働省の資料でありますけれども、今、医師の総数三十一万九千四百八十名であります。そして、平成二十九年の医学部の入学定員九千四百二十名、そして地域枠、平成十七年からでありますけれども、〇・八%から一七・八%に地域枠は増加しております。

 こういった状況の中で、人口減少の中、医師数は増加して三十万人を超えている状況であります。そして、毎年九千四百二十名が医師として輩出しているわけであります。

 今後、この需給バランス、需給を見て、医師の需給調整を行わなくてはならないと思いますけれども、働き方改革、そういったことを観点に入れると、二〇二八年には三十五万人で均衡するのではないか、需要と供給が均衡するのではないか、そういった試算も出ていると伺っております。

 そして、資料の二を見ていただきたいんですが、診療科も大きな偏在があります。これも今回の一つの議論になると思いますが、麻酔科が突出して多い、そして、地域に必要な産科、婦人科、外科、こういった診療科が少ない、伸びていないということがうかがえます。

 前回、長谷川嘉一委員が群馬県のことをお話ししていただきましたけれども、私の地元埼玉県におきましても、さいたま市を中心として医療が過密状態。ただ、埼玉の北部に行けば医療過疎の状態となっています。また、私の選挙区は埼玉県第十四区でありますけれども、六市二町の選挙区でありますが、久喜市、ここは十五万人の人口、そして、南に位置する、葛飾区に接している八潮市、これは八万人の人口がおりますが、産婦人科医、開業されている施設が一つもないという状況になっております。

 こういった埼玉県の状況をお話しするだけでも、また、全国を考えれば西高東低の病院の配置の差、県内においてもそれぞれ濃淡があって、そして医療需要が必要なところに配置されていない、そういったことがあります。

 これは今回の医療法、医師法によって私は改善されると期待しておりますけれども、まず、医師の需給推計について、この水準を今後も維持されていくのか、医師の需給の見通しと今後の医学部定員、この見通しについて、加藤厚生労働大臣にお伺いいたしたいと思います。

加藤国務大臣 今、三ッ林委員からもありましたように、医師の養成数については、平成二十年度より、地域枠医師を中心に段階的に医学部定員を増員をしておりまして、平成三十年度は九千四百十九人と過去最大規模、そして、この十年間、平成十八年と二十八年を見ますと約四万人増加をしておりますから、年ベースで約四千人ずつ増加をしている、こういうことであります。

 それから、医療ニーズの方でありますけれども、一つは高齢化に伴ったそうしたニーズが増加をしている、他方で人口そのものは減少している、こういったことがあるんだろうと思います。

 そして、そのもとにおいて、今委員から御指摘のような、地域間さらには診療科目間の医師の偏在という問題、残念ながら、解消するというよりは、むしろその問題が一層問題化してきているということになっています。

 そうした状況を踏まえて、医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会において、平成三十二年度以降の医師養成数について検討を行い、ことしの五月三十一日に第三次の中間取りまとめを行っていただきましたが、その中では、将来的には医療需要が減少局面となることが見込まれており、長期的には供給が需要を上回ると考えられるが、マクロの医師需給が均衡することは必ずしも地域や診療科といったミクロの領域でも需給が均衡することを意味しないなどとの考え方、平成三十三年度まで暫定的に医学部定員を現行のとおり維持をしていくという医師養成数の方針についてお示しをいただいたところであります。

 平成三十四年度以降については、各都道府県における医師偏在の状況や医師偏在対策、また、現在議論を行っていただいております医師の働き方改革に関する検討会の結論、それらを踏まえて、改めて医師需給を見込んだ上で医師養成数の検討を行っていきたいということでございます。それが今の私どものスタンスであります。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 医師の需給の問題、そして偏在の問題、これからの日本の医療環境を整備する中で大変重要な観点でありまして、ぜひとも慎重な御検討をお願いしたいと思っております。

 厚生労働省の方に見解をお聞きしたいんですが、医師数がふえているにもかかわらず、医師の偏在の問題は先ほどもお話ししましたように継続しております。現在の医師の地域偏在、診療科偏在の実態に関する厚生労働省の認識、これについてまずお伺いしたいと思います。

武田政府参考人 お答えをいたします。

 医師の地域偏在につきましては、平成二十八年の医師・歯科医師・薬剤師調査によりますと、都道府県ごとの人口十万人対医師数について、最大の徳島県、これが三百十五・九人でございますけれども、最小の埼玉県では百六十・一人となっておりまして、二倍程度の開きがある現状にございます。さらに、二次医療圏ごとに人口十万人対医師数で見た場合につきましては、三十四の都道府県におきまして、最大と最小の医師数が二倍以上開いている現状にございます。

 このように、医師の地域偏在が存在をしている状況にあると認識をしております。

 一方、診療科の偏在につきましては、先生からお示しもいただいておりますけれども、近年、麻酔科や放射線科、眼科、皮膚科などの診療科が増加している一方で、長時間労働が常態化している産科、産婦人科や外科につきましては、平成六年以降、医師数が横ばい傾向にあるということで、診療科につきましても偏在がある、こういう認識でございます。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 こういった認識のもとに、医療法及び医師法の一部を改正する法律案、これが出されたものだと思います。

 医療法及び医師法の一部を改正する法律案は、医師需給分科会の第二次中間とりまとめを受けて、医療法と医師法の一部改正が今国会に上程されたと伺っております。

 現在まで、医師需給に関する検討会が昭和の時代から五回開催されておりますけれども、これまで一切強制力のあるものは出ておりませんでした。今回の医師需給分科会で初めてこれを法律に組み込むことによって、ようやく強制力を持った偏在対策の一歩を踏み出すことができたと私は考えております。

 これまでも、医師偏在対策については、厚生労働省において継続的に取り組んでいただいているものと認識しております。そういった中で、今国会でなぜ医師偏在対策法案を成立させる必要があるのか、その必要性、それを厚生労働省で、医政局長にお伺いしたいと思います。

武田政府参考人 お答えをいたします。

 今般、医師偏在対策に関する法律案を提出をさせていただきました背景といたしましては、平成二十年以降の医学部の臨時定員増などによる地域枠での入学者が順次卒業し、臨床研修を終え、地域医療に従事し始めている状況にございます。

 今後、こうした地域枠医師が順次臨床研修を終え、地域医療に従事する医師が増加していくということでございまして、こういったことに伴いまして、都道府県ごとに置かれております地域医療支援センターによる配置調整の対象となる医師の増加が見込まれているところでございます。平成三十年にはこの人数は約二千二百九十三人と見込んでおりますけれども、平成三十七年には一万人を超える水準に達するものと見込んでおります。

 こういった一方で、医師の地域間、診療科間の偏在は長きにわたり課題として認識をされてはおりますけれども、現時点においてもなお解消が図られていない、こういう状況でございます。こうした状況を踏まえれば、医師の配置調整が喫緊の課題となるとともに、医師の地域偏在、診療科偏在に係る格差解消が急務であると考えたところでございます。

 また、プログラム法、これは持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律でございますけれども、そのプログラム法に基づき平成二十六年に公布した地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案、この法律案につきまして、国会でいただきました附帯決議の中におきましても、医療従事者の確保に当たっては、医師の地域又は診療科間の偏在の是正等に留意しつつ、医療需要を満たす適切な措置を講ずることとされたところでございます。

 こういったことを踏まえ、今般、医師偏在対策法案の御審議をお願いしていることでございまして、こういったことが成立の必要性であるというふうに考えております。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 地域枠がこれから大きくふえていくことになりますけれども、この地域枠をしっかりとそれぞれの医師少数地域に配分していくこと、このことが大変重要であり、この法案の必要性、そういったことをお伺いいたしました。私もまさにそのとおりであると思います。

 次の質問に入ります。

 各都道府県、各大学においては、医学部卒業生がその地域や医局になかなか残らないということが課題となっております。私の出身大学で顧みますと、新医師臨床研修制度、これが制度化されてから、大学の医局、定員百二十名程度が卒業するわけですけれども、研修を終わって、そして大学に戻ってくる、そういった医師が大体三割であります。ほかの大学でも調べたところ、やはり四割程度しか戻らない、こういったことが現在の状況であります。

 また、大学は医師供給機能としてさまざまな関連病院に医師を派遣している。ただ、自分の大学を卒業して自分の大学に残らなくて、そして数少ない医師の中で医師の供給機能、派遣機能を担うというのは大変困難であります。

 そういった中で、今回の法案で、地域枠、地元出身者枠の要請権限について規定されておりますけれども、これによって、大学医局を含め、地域に医師が定着することにつながるのかどうか、その見解を伺いたいと思います。

武田政府参考人 お答えをいたします。

 今、地元出身者それから県内の地域枠などについても御指摘がございましたけれども、これまでの調査によりますと、地元出身者、県内の地域枠及び他県に設置された場合の地域枠、いずれにおきましても、臨床研修修了後、八割前後の高い定着率が示されているところでございます。

 このため、本法案におきましては、医師養成段階における定着策を図るため、各都道府県におきまして、具体的な医師確保対策の実施を担う大学、医師会、主要医療機関などを構成員とする地域医療対策協議会の協議を経て、都道府県知事が、管内の大学に対する地元出身者枠の設定や増員の要請、また都道府県内外の大学に対する地域枠の設定、増員の要請、こういったことができる仕組みを盛り込んだところでございます。

 さらに、今回の法案におきましては、こうした地域枠などの医師が、大学病院等における専門研修等も組み合わせるなど、本人の希望に応じて多様なキャリア形成を図りながら各都道府県が指定する区域等での勤務を行えるよう、各都道府県に、地域医療対策協議会の協議を経て、この地域医療対策協議会には地元の大学にも入っていただくわけではございますけれども、こういった地域医療対策協議会の協議を経て、キャリア形成プログラムを策定するよう求めているところでございます。

 こうした取組を通じまして、大学も含めた地域への医師の定着が進むのではないか、このように考えている次第でございます。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 大変、医政局長のお話で、大学医局そして大学の医師供給機能の強化がこれから大きくなっていくことを期待したいと思います。

 次の質問でありますが、臨床研修病院の質、これは医師としての資質に直結するものであります。これまで国がその質をしっかりと担保してきました。

 今回の法案では、臨床研修病院の指定権限が都道府県におりてまいります。こうすると、都道府県毎に臨床研修病院の質がばらばらになってしまうのではないか、また、臨床研修病院の定員についても、都道府県が定員配分を行うことになりますので、例えば県立病院などを中心に配置を強化してしまうのではないか、公立病院等への定員配分に偏るのではないか、こういった懸念が考えられますけれども、その点についてお伺いしたいと思います。

武田政府参考人 お答えをいたします。

 今回御審議をいただいている医療法・医師法改正法案におきましては、臨床研修病院の指定や病院ごとの定員設定権限を国から都道府県に移管する内容を盛り込んでいるところでございまして、この狙いといたしましては、地域の実情を詳細に把握している都道府県が、都道府県内における指定の妥当性それから地域医療に配慮した病院群の構築などについてより的確に判断する、こういったことが可能になるということを考えているところでございます。

 一方、御指摘もいただきました点でございますけれども、厚生労働省といたしましては、指定や定員設定の権限を都道府県に移管した後でありましても、基本的な診療能力を持った医師が全国的に養成されるよう、具体的な指定基準につきましては厚生労働省として都道府県にお示ししたいと思っておりますし、都道府県ごとの定員設定につきましては引き続き厚生労働省が行うこととしているところでございます。

 なお、臨床研修制度につきましては、次回の見直しに向け、医道審議会医師分科会医師臨床研修部会におきまして、平成三十年三月に医師臨床研修部会報告書を取りまとめたところでございまして、この報告書の中では、必修診療科目の追加、評価方法の標準化など到達目標、方略、評価の見直し、プログラム責任者養成講習会の受講の義務化、こういった臨床研修病院のさらなる質の向上に向けた内容が盛り込まれているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、指定権限が都道府県に移管された後でありましても臨床研修の全国的な質の確保が図られるよう、必要な対応を行ってまいりたいと思っております。

 また、都道府県による定員設定につきましても、今回の法案におきまして、都道府県が大学、医師会その他の地域の関係者と地域医療対策協議会において事前に協議することとされておりますので、地域におきまして適切な定員配分がなされるもの、このように考えております。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 ぜひとも臨床研修病院の指定基準、これをしっかりと、臨床研修医の質を担保する、そういった基準にしていただきたいと思いますし、私がこれまで懸念していたことは、やはり臨床研修病院の裾野が広がり過ぎたのではないか、そういったことで臨床研修医の質の担保が確保されていないのではないか、そういったちょっと懸念も持っていますので、ぜひとも臨床研修病院の指定基準、これについては国の方でしっかりと担保していただきたいと思います。

 これまで、医師偏在の状況は、十万人対医師数しか指標がなかった状況でありました。これでは十分に医師偏在の実態をあらわしていないのではないかという課題があります。医師偏在指標について、単純な医師数を人口で割ったものではなくて、国民の実感を反映したきめ細やかな指標とする必要があると考えますが、どのような指標となるのでしょうか。お答えいただきたいと思います。

武田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の医師偏在指標でございますけれども、これにつきましては、二次医療圏ごとに医療ニーズや人口構成、患者の流出入などの要素を勘案いたしまして、こういった要素を踏まえた医師の多寡を示し、可視化していく指標とすることを考えているところでございます。

 御指摘のとおり、これまでは人口十万人当たり医師数といった形の数字が用いられておりましたけれども、単なる人口当たりの医師数では表現できなかった、例えば性別や年齢による医療ニーズの違い、すなわち、高齢化が進んでいる地域と若い方中心の地域の医療ニーズの違いでございますとか、より実情に即した医療ニーズ当たりの医師数を指標化し、さらに、患者さんだけではなくて医師の高齢化の状況も可視化したものを想定をしているところでございます。

 この医師偏在指標の詳細な設計につきましては、法案成立後速やかに医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会の場で議論をしていただいた後、結論を得て、平成三十年度中に医師確保計画の策定方法を都道府県にお示しする中で明らかにしていく予定にしております。

 制度設計に関する検討過程におきましては、客観的な議論に資する適切なデータを用いて、医療関係者や有識者などの方々とも十分に議論を尽くして、可能な限り現場から納得感の得られるものとなるよう検討してまいりたいと考えております。

三ッ林委員 ありがとうございます。ぜひお願いしたいと思います。

 医学部定員の増員で医師数は順調にふえてきておりますけれども、地域医療に必要な医師の派遣は大学が行っているのが実情であります。チーム医療が必要な周産期医療や外科領域においては、特に大学からの派遣の形をとることが私は重要と考えておりますが、大学の医局の専門的な地域医療への知見を生かして地域の医師派遣を進めるべきであると考えておりますが、これについて御意見を伺いたいと思います。

 また、なぜチーム医療が必要かというのは、それぞれの地域に地域母子周産期、そして総合周産期とあるわけですけれども、これは、小児科のチームと一体となって、NICU、未熟児の治療を行う、また、そういった施設も併設されている地域母子周産期、そして総合周産期、この周産期の医療を行うに当たって、それぞれの医師がやはり連携をとれる体制、そしてそれぞれの役割、それぞれの医師の能力、そういったものをしっかりと把握してチームをつくらなくてはなりません。

 そういった意味において、一人ずつチームに入れていくというよりも、やはり大学病院がチームとなって医師を派遣していくこと。そうでないと、このチーム医療といいますか、周産期医療、また外科の医療、こういったものはできないわけでありまして、こういったことについて、本法案ではどのように対策として入っているのかどうか、この点についてお願いいたします。

武田政府参考人 お答えをいたします。

 ただいま御指摘がございました例えば周産期医療につきましても、御指摘がございましたように、産婦人科の医師、又は小児科の医師、又はNICUといった集中治療の体制、その他複数の医師又は複数の専門家が連携をとる必要性が非常に高まっているところであるというふうに認識をしております。

 そういう中で、いかに医師を確保していくのかというのは大変重要な課題でございまして、一つは、大学の医局につきましては、引き続き各都道府県において重要な医師派遣機能を担っていると認識をしております。一方で、今後増加することが見込まれている地域枠の医師の派遣、これと大学医局の医師派遣、これが整合的に行われることが非常に重要であり、このためには都道府県内関係者の間でよく調整が行われることが大事ではないかと思っております。

 このため、今回の改正におきましては、医師の派遣に関する事項につきまして、大学、医師会、民間医療機関等を構成員とする地域医療対策協議会の協議事項として法定をした上で、客観データとして示される医師偏在指標を踏まえて医師派遣の協議を行いまして、その結果に基づき、各都道府県が設置する地域医療支援センターが医師の少ない地域にある医療機関への医師派遣を行うこと、こういった実効的な医師の派遣調整を実施することとしているところでございます。

 これによりまして、周産期それから外科を含むそれぞれの診療科において、大学を含む関係者間での合意形成に基づく医師派遣等の医師確保対策が進められることが可能となり、政策決定プロセスも透明化され、そして実効性も高まっていくものと考えているところでございます。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 ぜひその実効性を担保していただきたい、そのように思います。そして、やはり大学病院を中心とした、地域医療を担う、そういった視点をぜひ中心に据えていただきたい、そのように思います。

 診療科偏在を解消するためには、産婦人科や小児科など女性の医師の活躍が特に期待されている診療科に関して、出産、子育てなど、休職後復帰するため働きやすい環境整備を図ることが重要であると考えております。厚生労働省のこのことについての見解をお伺いいたします。

武田政府参考人 お答えをいたします。

 女性医師に関する御質問をいただきました。現在、医師の約五分の一、それから医学生の約三分の一が女性でございます。特に、女性医師につきましては、妊娠、出産等によりキャリアを中断せざるを得ない場合があることから、こうした面にも配慮しながら女性医師が働き続けやすい環境を整備する、こういった必要があるというふうに考えてございます。そして、こういった環境の整備は、本人にとってだけではなく、我が国の医師確保の面からも大変重要な課題だというふうに認識しているところでございます。

 こうしたことから、厚生労働省といたしましては、これまで、就職を希望する女性医師に対して、医療機関や再研修先の紹介等を行う女性医師バンク事業の実施、都道府県における女性医師の復職に関する相談窓口の設置や復職研修に対する財政支援、医療機関において復職支援から継続した勤務までパッケージとして女性医師支援を行うためのモデル事業、こういったことを行ってきたところでございます。

 さらに、子供を持つ女性医師を始めとする医療従事者の離職防止や再就職を促進するため、都道府県において、病院内保育所の設置、運営に対する財政支援を地域医療介護総合確保基金を活用して実施をしております。

 このほか、女性医師を含む医療従事者の勤務環境の改善を図るため、都道府県ごとに医療勤務環境改善支援センターを設置し、計画的に勤務環境改善に取り組む医療機関を総合的、専門的に支援する体制を構築しておりますし、また、医療勤務環境改善支援センターの運営に対する財政的支援も行っているところでございます。

 このような取組を通じて、女性医師が働き続けやすい環境の整備に今後とも努めてまいりたいと考えております。

三ッ林委員 ぜひお願いします。ありがとうございます。

 次の質問に入ります。

 診療科、地域間における医師偏在だけでなく、入院診療と外来診療の間での医師偏在についても課題となっております。

 今回の法案にも盛り込まれたところでありますけれども、外来医療機能の不足、偏在の解消に当たっては、診療所の開業規制といった規制的手法を用いるのではなくて、医療機関間で一定の競争関係が維持できるような仕組みとすることが私は必要と考えております。

 医療の質を確保する観点から、どのように考えておりますでしょうか。

武田政府参考人 医師偏在対策ということを議論していく中で、外来医療機能につきましても一つの大きな論点でございました。

 外来医療機能の不足、偏在等への対応策の検討過程におきましては、厚生労働省の医師需給分科会で御議論をいただいてまいりましたけれども、この中で、無床診療所の開業規制の是非についても議論が行われております。

 昨年十二月のこの分科会の第二次中間取りまとめにおきましては、「国民皆保険をとる我が国では、被保険者間の医療アクセスの公平性の確保を図るため、医療保険制度による対応も含めて、他の医療資源の偏在是正の仕組みも参考に、無床診療所の開設に対する新たな制度上の枠組みを設けるべき」との意見があった一方で、「憲法上の営業の自由との関係の整理や、駆け込み開設の懸念等、法制的・施策的な課題を全てクリアしなければ、そのような枠組みの実現は困難」との意見もあり、賛否が分かれたため、今回の法改正では導入を見送ったものでございます。

 今回の法案におきましては、地域ごとの診療所の開設の状況等を含めた外来医療機能の可視化を行い、新規開業者への参考情報とするとともに、可視化された外来医療機能の不足、偏在等に対応するための方針を地域ごとに作成すること、こうした内容について地域の医療関係者等が参画し議論する協議の場を設置すること、こういった内容が盛り込まれているところでございます。

 このように、医師偏在指標に基づく地域ごとの外来医療機能の偏在、不足等の客観的な情報を、新たに開業しようとする医療関係者等が自主的な経営判断として行えるよう可視化することで、御指摘ございましたように医療機関間の適切な競争関係を維持しながら、その結果として外来医療の偏在の解消等につなげていく、こういうことができるようになると考えているところでございます。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 次の質問に入ります。

 今回、専門医機構ができて、本年の四月から新専門医制度がスタートしたわけでございます。専門医が大学に集中する傾向があるので、そういう意味では、大学病院が地域医療の中核として、卒後研修、専門医研修まで含めて責任をとるような体制になっていくのではないかと私は考えております。

 これは個人的な意見でありますけれども、専門医制度というのは、言うなれば学会のための制度であり、地域医療をどうにかしようとか、そういった目的でつくられたものではありません。けれども、この専門医制度ができることによって、地域偏在が助長されてしまうとか、地域医療が崩壊するとか、そういったことがあっては、これは絶対に防がなくてはなりません。

 今回の法案では、新専門医制度において、地域における医師偏在が助長されることのないよう、どのように配慮されているのか、お伺いいたします。

武田政府参考人 お答えをいたします。

 今年度四月から開始された新専門医制度につきましては、厚生労働省におきましても、地域医療に責任を負う立場から、平成二十九年四月に今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会を立ち上げ、日本専門医機構に対しまして、都市部における診療科ごとの定員上限や、研修の中心は大学病院に限られるものではなく地域の中核病院等も含まれることなど、地域医療への配慮を求めてきた経緯がございます。

 日本専門医機構におきましては、こうした要望に対し、整備指針等の改定を行い、東京、神奈川、愛知、大阪、福岡の専攻医総数の上限を原則として過去五年間における専攻医採用実績の平均人数を超えないものとするなどの対応が行われたと承知をしておりますけれども、今後とも、専門医の養成につきましては、地域医療に与える影響も大きいこともございまして、地域偏在が助長されないような継続的な取組が必要であると認識しているところでございます。

 このため、本法案におきましては、専門医認定に必要な実技や教育内容などの研修の質に直結する部分につきましては、医師がみずから制度設計や運営を行うことは尊重しつつも、医療提供体制に重大な影響がある場合につきまして、厚生労働大臣が研修の基幹施設ごとに策定する研修プログラムなどに意見を述べる仕組みを盛り込んでいるところでございます。

 厚生労働省といたしましては、日本専門医機構及び関係学会と議論を尽くした上で、地域医療に責任を有する立場から、専門医制度の推進と地域・診療科偏在対策の両立を図ってまいりたいと考えております。

三ッ林委員 ありがとうございます。

 続きまして、この専門医制度について厚生労働大臣にお伺いしたいと思います。

 厚生労働大臣が専門医機構に意見を述べる場合には、地域医療への配慮の問題と医師の質の問題を両立させなくてはなりません。議論を公開するなどプロセスを透明化すべきではないでしょうか。大臣の御所見を賜りたいと思います。

加藤国務大臣 今回の法案により、都道府県知事の意見を聞いた上で、厚生労働大臣から日本専門医機構に対して研修計画の改善を意見する仕組みを設けることにしております。

 これを受けた日本専門医機構においては、研修施設の認定基準の見直しや、都市部を対象とする研修定員に上限を設定するなど、研修計画の内容に当該意見を反映させるよう努力義務が課されているところであります。

 委員御指摘のように、専門医機構による新たな専門医制度は、専門医の質の担保と地域医療への配慮が求められておりまして、厚生労働大臣が日本専門医機構に対して述べる意見については、その客観的妥当性を担保することが必要であります。

 このため、あらかじめ、医療関係者や地方公共団体の代表者が参加する公開の場、これは多分医道審議会に新たな部会を設置するというようなことを今想定しておりますけれども、そうした場において議論をし、そして日本専門医機構に対して意見を述べるということでありますから、こうした公開の場での議論でありますから、当然議論が公開をされ、そして具体的な意見についても公表するということを考えております。

三ッ林委員 ありがとうございます。ぜひ、地域医療の視点、そして専門医の教育の充実、この両方の視点から御配慮をいただきたいと思います。

 最後になりますけれども、私は大学病院に三十年近く勤務しておりました。そして、その中で、さまざまな地方の病院にも出向しました。

 そして、その中で思ったことは、やはり、地方の病院に出向して、一年若しくは二年、こういったことで地方に行って、一生懸命その地域の現場の臨床をやる、このことが私は大学病院という機能、これは持っていると思います。そして、またその後戻ってきて研さんを積んでいく。

 こういったことにおいて、大学病院というのは教育スタッフをたくさん抱えております。そういった、ティーチングホスピタルという大学病院、このやはり役割はもっと国が使った方がいい、そのように思います。

 専門医制度が変わって、これから大学病院にそういった専攻医が集中してくる傾向があると思いますけれども、研修病院、また専門医を研修する施設として、医師の供給機能を持った大学病院をしっかりと中心に据えて、医師と医療法の改正に沿って、その法律の中でも大学病院を中心に据えて、医師の偏在そして診療科偏在対策を担っていただきたい、そのように思います。

 以上、私の質問を終わらせていただきます。

 本日はありがとうございました。

高鳥委員長 次に、国光あやの君。

国光委員 茨城六区の国光でございます。

 本日は、先週に引き続きまして質問の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。

 まず、質問に入らせていただく前に、このたびの豪雨災害によりまして百五十人以上の方がお亡くなりになり、また現在も被災されていらっしゃる方がいらっしゃるということ、心からお悔やみを申し上げます。

 岡山や広島は特に被害が大きかった地域でございます。大臣も、お忙しい中、このように委員会に御出席いただいて心から感謝を申しますとともに、きょうも橋本委員おられますけれども、もう日々、毎日、フェイスブックやいろいろなブログで活動を拝見させていただきまして、非常に被害の状況が、私も身にしみるところが本当にございました。

 一つ、質問ではないんですが、私の拙い経験から、ぜひお願いを申し上げたいことがございます。

 実は、私、東日本大震災のときに、厚生労働省で危機管理、災害対策に当たっておりました。

 非常に被害規模も甚大で、本当に多くの方がお亡くなりになったわけでございますが、一番困ったことが何だったのかといいますと、これは確信をしておりますけれども、指揮命令系統が非常に混乱をしたことでございました。

 何なのかといいますと、当時は恐縮ながら民主党政権であったわけでございますが、御記憶にあられる方も多くいらっしゃるかもしれませんが、対策本部が非常に乱立をしたり、それぞれの議員の先生方がそれぞれの御要望をおっしゃったり、地元を抱えるお気持ちはよくわかるんですけれども。

 やはり、例えば医療チームの派遣を、優先的にどこに当たるとか、大臣の御地元もまび記念病院があられます。まさに東日本大震災も同じような状況もございました。また、当時は、沃素剤の配付をどうするかとか、そういう重要な意思決定のときに非常に対策本部が乱立をした。それぞれの閣僚やそれぞれの党の方でおっしゃることが違う。

 当時は政権与党は民主党でございましたけれども、本当に混乱をし、今だから申し上げると、かなりの部分で後手に回ってしまったことがあったということは、担当者としても非常にじくじたる思いがございます。

 現在しっかりと、加藤大臣始め閣僚会議、そしてまた厚生労働省でも災害対策本部ができられて、任に当たられているというふうに承知をしております。東日本大震災は寒さとの闘いでもございましたが、今は猛暑との闘いでございます。きょうも岡山はもう三十六度になっていらっしゃるというふうに伺っておりますが、熱中症や、それからまたさまざまな対応に御指導をいただきまして、ぜひ被災者の方に心をお寄せいただければ大変幸いかと存じております。

 済みません、前置きが長くなってしまいましたけれども、医師法、医療法の質疑に入らせていただきたいと存じます。

 昨年も厚生労働委員会におきまして、医師法、医師の偏在是正の関係で御質問をさせていただきました。

 といいますのが、私の地元茨城は、今、人口当たり医師数が全国でワーストツーでございます。去年も知事選がありましたけれども、一番の論点の一つは、やはり産業政策だとかと同じ高さで医師確保、医師不足県を何とかしたいということが非常に論点になった、それぐらいの地域でございます。

 非常に医師不足に対する切実な思いをいただく議員として、私も医師の端くれでございますが、まだまだ三ッ林委員の足元にも及びませんけれども、若輩の医師でございますけれども、ぜひ心を込めて質問をさせていただきたいと思っております。

 私はよく思うんですけれども、大臣の法案の趣旨説明でもございました、医師数は戦後一貫して伸びている、伸びているけれども、戦後七十年以上たっているわけですが、依然として偏在が是正されていない。これは本当に真実だと思うんですが、さすがに、医師不足、医師偏在の話をずっとし続けて戦後七十年って一体どうなのかということは、私も心から思います。なかなか、厚生労働省においても取り組んでいたことがありますが、いろんな限界を感じて政治家を志したということも正直ございます。

 医師確保は、恐らく、諸外国との比較で見ましても、やはり医師の偏在を、どういうふうに対応をとるかということ。片方では、例えば日本もそうですし、アメリカもそうですけれども、やはり自由開業、それから自由標榜して、特に日本は民間医療機関が全体の七割から八割を占めております。全く公務員でもないわけで、それは当然だと思います。

 片やヨーロッパでは、例えばドイツでしたら、医師会がいろんな定数の是正をされています。例えば首都のベルリンでは、一九九〇年の医師数をもとにして、今医師がちょっと飽和していますので、それ以上の開業ができない、それは医師が、保険医協会が決めている、そういう制度があったり、イギリスではGPの点があったりする。

 つまり、医師の確保や偏在是正をどういうふうに対応するのかという、恐らく七十年間の歴史の、バランスとの闘いがあったのかなというふうに思っているところでございます。

 私はやはり、今の日本においては、もともとのストラクチャー、構造が、民間医療機関が主体であったり、公務員ではないわけですから、可能な限り医師の自由意思、プロフェッショナルオートノミーに基づいて偏在が是正されること、これが基本になると思っております。

 今回、ただ、医師法において、医療法改正におきまして、若干踏み込みが各所であるところだと思いますが、私もそれは、今までの議論を踏まえましても、医師不足県を代表する議員としても、非常に高く期待を申し上げているところでございますが、ぜひ、改めて大臣、今までの医師確保に対する対策の七十年間の取組の所感と、それから本法案における実効性についての御意見についてお伺いをさせていただきたいと思います。

加藤国務大臣 今委員御指摘のように、この間、例えば、医学部定員を増員をしてきて、平成二十九年現在では医学部定員九千四百二十名、こんな形になっておりますし、そしてこの間四千人ずつ医師の数も増加をしてきている。

 また、こうした方々が地域への定着につながるよう、地域枠及び地域医療に従事する明確な意思を持った学生に対する奨学金の貸与の推進、これは平成二十二年度から実施をしております。

 また、都道府県が責任を持って医師の地域偏在の解消に取り組むための地域医療センターの設置、これが平成二十三年度から。そして、今では全ての都道府県に設置がされているわけであります。

 また、地域医療介護総合確保基金、これを通じた医師確保が平成二十六年度から。

 こうした対策を講じてきたところではありますが、今委員も御指摘をされていますように、医師の地域間、診療科間の偏在、残念ながら現時点では解消されていないというのが現状であります。

 それで、今後の対応とするときに、ただ、基本的にはプロフェッショナルオートノミー、この基本原則はしっかり掲げながら、その中でどう対応していくのかという観点から今回の法案も提出をさせていただいておりまして、具体的には、医師少数区域等で勤務した医師を評価する制度の創設、都道府県における医師確保対策の実施体制の整備、医師養成過程を通じた医師確保対策の充実、こうした内容としているわけでありますから、あくまでも医師の方々が自発的に、よりいろいろな情報を持ちながら選択をしていただく、またそれを応援をしていく仕組み、そして一方で、都道府県がこうした医師確保対策等について主体性を持って取り組んでいただく、そういう枠組みをつくっていく、こういった観点に立ったところでございます。

 さらなる、こうした法案も踏まえて、医師偏在対策、より実効性あるものにして進めていきたいと考えております。

国光委員 大臣、ありがとうございます。非常に強い決意を感じさせていただきまして、私の地元の皆様方も大変勇気づけられたところが多くあるかと思います。

 特に、今、プロフェッショナルオートノミーという言葉、大臣もおっしゃっていただきました。専門職の集団である医師におきましては、特に自律的に、やはり医学部を卒業するときにも多大なる税金を投入いただいて育てていただいた、しかも、国民の命を守る権利のある職業でございますから、やはり自律的に確保対策、そしてまた教育の質、みずからの向上も努めていかなければならないと思っております。

 その中で、特に今、プロフェッショナルオートノミーという点でも、また、非常に医療界で一番の注目、論点になっているのが専門医制度でございます。先ほど三ッ林委員からも御質問がありました。

 専門医制度は、平成二十五年に専門医の在り方に関する検討会で方向性が示されて、プロフェッショナルオートノミーということで日本専門医機構ができて、その中で仕組みを民間で構築をしていくということで進んできております。

 ただ、一年開始がおくれたとか、あるいは、先ほど三ッ林委員からも御指摘がございましたけれども、実際にふたをあけてみたら、都市部で定員がやや多い。都市部、つまり東京、それから神奈川、大阪、福岡、それから愛知、この五県の専攻医、医師大体三年目の者で、この五県で全体の四五%でございます、四五%。

 ただ、同じく臨床研修の定員も、今は定員ががしっと決まっていて、それは人口当たり医師数だとかそれから高齢化率で決まっていますけれども、臨床研修の定員、これは医師一年目の定員ですと、それが首都圏で、都市圏で大体四割となっておりますので、臨床研修に比べてもかなり、今の現状の専門医の制度においては、やはり都市にちょっと行きやすい、一割強、結果的に寄ってしまうというような状況があると思います。これに対してどのように考えていくかということ。

 やはり私も、茨城は地方でございますので、特にもともと医師不足の状況を鑑みても、東京だとか神奈川だけではなくて、茨城で研修を更にしていただきたいというふうな希望というのは非常にあるわけでございますけれども、今後この取組をどういうふうにしていくかということを、ぜひ高木副大臣、お聞かせいただければと思います。

高木副大臣 お答えいたします。

 国光委員御指摘のとおり、この新専門医制度につきましては、地域医療関係者から、都市部に専攻医が集中することなどによりまして医師偏在が助長されるなど、地域医療への影響を強く懸念する声が示されたために、その開始が一年延期されまして、平成三十年度から開始されることとなったわけでございます。

 厚生労働省といたしましては、平成三十年度からの開始に向けて、地域医療に責任を負う立場から、平成二十九年四月に今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会を立ち上げまして、日本専門医機構に対して、都市部における診療科ごとの定員上限や、研修の中心は大学病院に限られるものではなく、地域の中核病院等も含まれることなど、地域医療への配慮を求めてきた経緯があります。

 これらを受けまして、日本専門医機構においては、医籍登録後三年から五年の医師の数が全国比率で五%以上の都府県についてシーリングを行うこととし、当該都府県の専攻医総数の上限を、原則として過去五年間における専攻医採用実績の平均人数を超えないものとするという規定を設けたことが、今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会に報告されております。

 しかしながら、都市部に研修医が集中しているのではないかという懸念が引き続き存在しておりまして、本法案におきましては、地域偏在への懸念やプロフェッショナルオートノミーの両方に配慮する観点から、医療提供体制に重大な影響がある場合に、厚生労働大臣が、研修の基幹施設ごとに策定する研修プログラム等に意見を述べる仕組みを盛り込んでいるものでございます。

 診療科偏在の解消に向けては、今後、都道府県ごとの人口動態や疾病構造の変化を考慮して、診療科ごとに地域の特性に応じた将来必要な医師数の見通しについて、平成三十年のできるだけ早期に検討を始めまして、平成三十二年には国が情報提供をすることを予定しております。

 そのことによって、医師が将来の診療科別の必要医師数を見通した上で適切に診療科を選択することや、また、日本専門医機構の定めるシーリング等を参考にしていただくことなどによりまして、結果的に診療科偏在の是正につながるものとなることが期待されております。

 厚生労働省といたしましては、日本専門医機構及び関係学会と議論を尽くした上で、地域医療に責任を有する立場から、専門医制度の推進と地域・診療科偏在対策の両立を図ってまいる所存でございます。

国光委員 高木副大臣、大変ありがとうございました。

 ぜひ、専門医の仕組み、まだいろいろな論点がございますが、専門医機構におきますプロフェッショナルオートノミー、関係団体の御尽力もいただきながら、円滑な制度運営ができるようになっていただければと思っております。

 国の関与を適時適切に、ちょうど今御紹介いただきましたような医師数、各地域別、診療科別に、例えば茨城ですと、水戸では例えば脳外科の医者だと何人いるのか、産科医だったら何人なのかとか、私の地元つくばですと、同じく、例えば整形が何人いるのかとか、内科は何人いるのかとか、この推計は、私もこれはちょっと個人的に、趣味で何回か自分でやってみたこともあるんですけれども、なかなか推計は結構難しいんですね。

 例えば、女性医師もふえていて、私も一応、見てのとおり、女性医師の端くれでございますが、一応私も子持ちなんですけれども、例えば女性医師が、いわゆるM字カーブだとかライフイベントとの両立で、どういうふうに、どれぐらい勤務できるかを計算するかとか、医師数にも結構影響を与えるようなファクターがいろいろありまして、技術的に結構難しいんですが、ただ、やはりそれでできないということでは困るわけで、何らかの目安は私は必要だと思います。

 ちょうど三十年からですか、着手なさって、三十二年からそれを導入できるということでございましたけれども、科学的にも、また地域の実情に応じても、適切な数字をぜひ出していただけるように、これは心からお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、医師法、今回の改正案で一つ非常に色濃く出ておりますのが、都道府県の役割の強化でございます。

 私も、現在の医療法や医師法、都道府県を中心に地域枠の、例えばどこに従事いただくかというふうな取組であるとか、いろいろな医療体制の整備は県が中心になっておりますので、都道府県の役割が強化されていくということに関しては非常に賛成をしております。

 ただ、その中で、やはり県が突っ走っては困るわけで、先ほど三ッ林委員も御指摘がありましたような大学病院との関係、あるいは地元の医師会との関係、特に、民間の医療機関が日本は七割を占めているわけですから、民間の医療機関のお立場が置き去りになるようでは結局元も子もないと思います。

 臨床研修の定員をどの病院にどれぐらい今後つけるかということであるとか、医師確保計画も、三十一年、来年からつくっていかれるということでありますけれども、ぜひ、そのような民間医療機関、医師会、大学病院など、さまざまの関係者に過度な御不安や誤解を与えないようにうまく進めていただくことが必要だと思っておりますが、ぜひ御意見をお聞かせください。

武田政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘のように、今回の法案による都道府県の医師確保対策の実施体制の強化によりまして、都道府県におきまして理由なく公立・公的医療機関を優遇する、優先的に医師を派遣する、こういったことがあってはならないと考えております。

 このため、今回の法案におきましては、都道府県が地域枠医師を始めとした医師の派遣調整を行うに当たりましては、客観データとして示される医師偏在指標を踏まえ、そして地域医療対策協議会で協議を行い、その結果に基づくこととしておりまして、この協議結果につきましても公表することとしているところでございます。

 この地域医療対策協議会の運営につきましても、きめ細かな運営が図られることが必要だと考えておりまして、民間医療機関も含めた公平な医師の派遣調整が行われるように、地域医療対策協議会の構成員でございますけれども、民間病院を新たに法定し、そして、医師会や大学なども含めた地域の関係者で協議をしていただく。

 こうした上で、地域医療対策協議会の議長は都道府県以外の者を互選により選定すること、地域医療対策協議会の事務局を都道府県以外に委託可能であること、こういったことを、国が示す地域医療対策協議会の運営指針の中で明確化することとしているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、これらの事項について指針を作成し、都道府県に徹底を図るとともに、改正後の都道府県の取組状況につきましてはしっかりとフォローアップも行ってまいりたい、このように考えております。

国光委員 ありがとうございます。ぜひ取組を期待させていただきたいと思います。

 続きまして、済みません、三ッ林委員といろいろかぶってしまって恐縮なんですけれども、地域枠、医学部定員増の関係で御質問させていただきたいと思います。

 実は、茨城県の私の地元つくばの筑波大学、茨城県は一つだけ医学部がございますけれども、全国で一番定員増が多いんです。百四十名です。昔は百人でしたから、四十人定員増をしていて、これは実はどの大学よりも一番多いんです。

 なぜならば、茨城が一番医師数が少ない。済みません、これもまた三ッ林先生が埼玉なので恐縮なんですけれども、本当は埼玉がワーストワンなんですが、埼玉は、三ッ林先生の御地元は違いますけれども、やはり南の方になってくると簡単に東京に行けちゃうんですよね、練馬だとか。ですので、私はもう茨城が実質ワーストワンだと勝手に言っていて、これは知事にもぜひ言ってこいというふうに強く言われておりますけれども。

 これもまた知事にぜひしっかりお願いしてほしいと言われている話が一つありまして、医学部の定員増の延長に関してでございます。

 マクロの需給調整、需給バランスにつきましては、先ほど三ッ林委員おっしゃったとおり、もう本当にこの数年間でちょうど需給バランスが均衡してしまう、マクロでいいますとですね、そういう状況にもなっておるわけです。

 ただ、それで全体が均衡していればいいんですけれども、やはりマクロではなくてミクロ、先ほど御答弁があったとおりでございまして、ミクロの偏在是正がほとんど改善されていないまだ現状があるわけですから、私は、特に医師不足で必要なところには地域枠の延長というのも御検討いただく必要があるのではないかと。

 それが必要なく、ほかに医師が非常に余裕があるところから茨城に、もっと言うと東京や神奈川から茨城にがんと来ていただければいいわけで、実際、茨城県の人口当たり医師数を全国平均に近づけるように計算しますと、千八百人足りないんです、千八百人。千八百人分がわっと来てくださるとそれはいいんですが、恐らくそうはなりません。ですので、やはり地元で育てて、地元でトレーニングしていただき、活動していただく医師が今後も必要だと強い意見をいただいていて、私自身もそう思います。

 今後、平成三十四年以降の医学部定員に関しては今検討の途中にあるということですけれども、医師不足の程度に合わせて、例えば大学によって地域枠の延長、医学部定員増の延長を考慮いただけるかどうか、この点についてお伺いさせていただきたいと思います。

武田政府参考人 お答えいたします。

 医師の養成数につきましては、平成二十年度より地域枠医師を中心として段階的に医学部定員を臨時に増員をしておりまして、平成三十年度には九千四百十九人と過去最大規模となっております。こうした取組もありまして、現在、全国レベルでの医師数は毎年四千人程度ずつ増加しているところでございます。

 こうした状況を踏まえ、医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会においては、平成三十二年度以降の医師養成数について検討を行い、本年五月三十一日には第三次中間取りまとめを行ったところでございます。

 その中では、今御指摘ございましたマクロとミクロの関係も論点として出されておりまして、将来的には医療需要が減少局面となることが見込まれており長期的には供給が需要を上回る、こういうことでございますけれども、マクロの医師需給が均衡することは必ずしも地域や診療科といったミクロの領域でも需給が均衡することを意味しないなどの考え方もございまして、平成三十三年度まで暫定的に医学部定員を維持するという医師養成数の方針についてお示しをいただいたところでございます。

 したがって、平成三十四年度以降の方針につきましては、御指摘のような各都道府県における医師偏在の状況、ただいま茨城県の御指摘もございました。ほかの地域でも医師不足という声がございます。こういった各都道府県における医師偏在の状況でありますとか、今後強化をしてまいります医師偏在対策、そして現在議論を行っております医師の働き方改革、これも大変影響がございます。こういった働き方に関する結論、こういったことを踏まえ、改めて、医師需給を見込んだ上で、医師養成数についてしっかり検討を行っていきたいと考えてございます。

国光委員 ありがとうございます。

 いつもの御答弁に比べてはやや前向きな答弁をいただいたようにも感じておりますけれども、非常に茨城県の関係者、また医師会の皆さん、地元の皆さん、喜ばれると思いますので、私もしっかりと今後もフォローしてまいりたいと思っております。

 最後に、医師確保に関しては、私もこれは本当にそうだと思っているんですけれども、医師確保は、結局、例えば病院がどこに幾つあって、どこの病院にどれぐらい医師がいてというふうな医療体制の整備と裏表の議論だと思っております。

 私は、本当にこの十年、二十年、乗り越えなければならない課題の一つが、急性期病院の機能分担あるいは再編、更に言えば統合だと思っております。

 私の地元も、茨城県で今医師不足と申し上げましたが、偏在も激しいんですね。偏在も激しくて、例えば私の地元のつくばも非常に、全国の人口当たり医師数の約一・五倍ぐらいおりますし、県庁所在地の水戸も多いです。ただ一方で、大変なのは、それ以外のところが激しく少ないから医師不足になっているわけでございますけれども、偏在をどうしていくかの中で、何で医師が多いのかというと、やはり急性期病院がかなり複数あって、非常に近いエリアに同じような診療をされている病院が複数ある。ですので、お互いがちょっと、このままいくと共倒れになってしまうんじゃないかという危惧も一方であるところでございます。

 恐らく全国的に、一つのエリアに複数の急性期病院があって、お互いに同じようなことをしていて、非常に救急医が疲弊していて、勤務医も疲弊している。これは、医療の質という意味でも非常に問題ですし、医師の働き方改革の議論も今後本格化してまいりますが、私は、やはり急性期病院のあり方をどうするかを考えなければ、はっきり言って余り現実的ではないと思っております。

 これもちょっと、済みません、今おられないですけれども、赤澤委員が平成二十四年に予算委員会の分科会で、私はちょうどリアルタイムでそれを拝聴していて非常に感動したんですけれども、御地元の米子の国立病院と労災病院、これは五百メートルぐらいしか離れていないんですよね、五百か一キロぐらいなんです。それで同じようなことをやっている。この二つの病院を、お互いに勤務医は、働いているドクターは、大変だ、大変だ、もう苦しいと言っている、何とかこれを統合してくれないかというふうな御質問をされておられました。

 それに対して、やはり人事、労務管理だったりの関係でなかなか大変でというふうな、ちょっと歯切れの悪い御答弁は結構あったように、済みません、笑っていらっしゃる方もおられますけれども、ございまして、それが非常に記憶に残っております。

 なかなかこのような御質問というのは、非常にある意味デリケートだとは思うんですけれども、ただ、やはり私は、日本の医療体制を本当に考えるのであれば、急性期病院の機能再編を、まず隗より始めよで、厚生労働省の所管の病院から積極的にやっていただく、これは本当に必要であると思いまして、ぜひそのあたりの所見をお伺いさせていただきたいと思います。

武田政府参考人 お答えいたします。

 二〇二五年に向けて、全ての患者が状態に応じて必要な医療を適切な場所で受けられるよう、各都道府県において、二〇二五年の病床数の必要量の推計を盛り込んだ地域医療構想を策定していただいております。この推計結果を踏まえ、地域ごとに病床の機能分化、連携に向けた取組を進めていくことは大変重要な課題でございます。

 地域医療構想の達成に向けては、医療機関ごとの具体的対応方針が速やかに策定されるよう、地域医療関係者が参画する地域医療構想調整会議におきまして、平成二十九年度からの二年間程度で集中的に検討を行うこととしているところでございます。これに基づいて、それぞれの二次医療圏単位で議論が進展をしているというふうに承知をしております。

 私どもといたしましても、この議論が効率的に進むように、昨年八月に公的医療機関等の本部を厚生労働省の幹部が訪問し、各医療機関が地域において今後担うべき役割などの具体的対応方針を盛り込んだ公的医療機関等二〇二五プラン、これを作成するよう要請をするとともに、本年二月にも、民間医療機関に係る協議のスケジュール等、開設主体に応じた協議の進め方をお示ししたところでございます。

 また、地域における救急、小児、周産期、こういった政策医療を確保する観点からは、公立・公的病院等を中心とした機能分化、連携の推進に関する議論を一層深化させる必要があると考えております。

 厚生労働省といたしましては、地域医療構想の達成に向けた地域の取組を支援する観点から、引き続き、公的医療機関等の本部に対して、現地の協議のみに委ねるということではなくて、私ども自身も、こういった全国の公立、公的、特に公的医療機関の本部に対しては、調整会議の議論を尊重した支援を行うように積極的に働きかけてまいりたいと考えております。

国光委員 ありがとうございます。

 ぜひ、所管の法人から、隗より始めよで、必要な医療再編には積極的に協力いただければ大変幸いでございます。

 大変ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、繁本護君。

繁本委員 自由民主党の繁本護でございます。

 質問に先立ちまして、私からも、平成三十年七月豪雨で犠牲となられた方々に哀悼の意をささげ、そして御遺族並びに被災者の皆様にお見舞いを申し上げる次第であります。

 先週に引き続き御質問の機会をいただきました。理事の先生方にも感謝を申し上げます。

 さて、医療法、医師法の一部を改正する法律案について、順次質問をさせていただきます。

 地域別にお医者さんの数がどうか、あるいは診療科目ごとにお医者の数がどうかということは、今、三ッ林先生と国光先生からもるる議論がありました。私は、診療科目間に偏在があることを中心に質問を行ってまいりたいと思います。

 さて、率直に、第一問目でありますけれども、診療科目間ごとに、やはり急性期あるいは産科、外科など、お医者さんの足りていない科目、偏在が生じている原因等、今こういった偏在が起きていることそのものについて、まず厚労省の見解をお聞かせいただきたいと思います。

武田政府参考人 お答えをいたします。

 ただいま御指摘をいただきました診療科偏在でございますが、この医師の診療科偏在につきましては、近年、麻酔科、放射線科、眼科、皮膚科などの診療科が増加している一方で、長時間労働が常態化している産科、産婦人科や外科は、平成六年以降、医師数が横ばい傾向にあるという認識でございます。

 この診療科偏在が生じた理由でございますけれども、これにつきましては、さまざまな要因が考えられるところでございまして、例えば、これまで診療科選択に資する情報が不足していたこと、また、医師が診療科を自由に選択できることなどが一因として考えられるのではないかと考えております。

 診療科偏在の是正に当たりましては、こうした要因を解消するための施策を行っていく必要があると考えておりまして、本法案に盛り込まれた抜本的な医師偏在対策の取組なども通じ、医師の診療科偏在の是正を図ってまいりたいと考えております。

繁本委員 今御答弁いただきましたような診療科目ごとのお医者さんの数だけを、あるいはお医者さんの数だけを見ていては偏在の状況というのはよくわからないと思います。

 私も、京都の選出でありますけれども、地元の京都府医師会の松井会長あるいは城守副会長を始め、地元の先生方に勉強会を開いていただいて、この偏在についていろいろ教えていただいておりますが、京都は十万人当たりのお医者さんの数が三百を優に超えていて、全国に二番目にお医者さんが多いと言われているんですけれども、実際、京都市内はお医者さんがたくさんいて困っていないんですかと聞いたら、そんなことありませんよ、診療科目ごとにやはりお医者さんの数が不足していて、これは是正しなくちゃいけないというふうな御指摘もいただいているところであります。

 ぜひ、今後、地域間の偏在だけでなくて、診療科目ごとの偏在についてもしっかり、きめ細かな指標をつくって評価していく必要があるのではないかと思います。

 さて、次の質問であります。

 現在、第七次の医療計画、それぞれ都道府県がつくって、医師の確保も含めた計画となっているわけでありますが、今年度から始まりましたこの計画、目標年次は平成三十五年度末となっています。

 我々、今生きている国民としては、この計画が、医師の確保に対して十分かどうかということも気になるところでありますが、現在、第七次の各医療圏ごとの地域医療計画、この計画において、この偏在の部分については適正な医療資源が配分されているかどうか、このあたりの評価を御省の御意見としてお聞かせいただきたいと思います。

高木副大臣 お答えいたします。

 現行の医療計画におきましては、医療従事者の確保に関する事項、この中で医師の確保対策についても記載することとされております。しかしながら、都道府県によっては、十分な現状分析や、また、地域ごと、診療科ごとの具体的な医師確保の目標設定が行われておらず、当然、目標設定が行われないということは対策も漠然としているということでございまして、実効的な医師偏在対策が講じられていない現状にあると承知しております。

 このため、今回の改正法案におきましては、地域ごとの医師数について、客観的で全国統一的な数値であらわされる医師偏在指標を導入した上で、医療計画の中で医療従事者の確保に関する事項から医師の確保に関する事項を特に抜き出しまして、都道府県内における医師の確保方針、医師偏在の度合いに応じた医師確保の目標、また、目標の達成に向けた施策内容という一連の方策から成る医師確保計画として記載することとしておりまして、これにより、各都道府県において実効的な医師確保対策が実施されるようになると考えております。

繁本委員 今、副大臣から現行計画における本当に重要な問題が明らかにされたことかと思います。目標の設定が十分でない都道府県もあるということであります。

 都道府県がこれから権限強化をされて医師確保について取り組んでいくわけでありますけれども、都道府県によっては、例えば京都なんかではそれぞれ地域の疾病構造をしっかり分析しています。

 各地域によって人口がどうなのか、産業はどうなのか、どういった疾病がこれから多く出てくるんだろうかということを独自に分析しているデータもありますから、私は、先ほど申し上げた偏在指標を国全体としてつくっていくに当たっては、それぞれ都道府県、目標すら十分に設定できていないというようなおくれた都道府県もあるようでありますけれども、逆に、一歩進んで独自の地域をしっかり分析しているといった都道府県もあるんですよね。

 こういった県が持っている地域ごとのデータもしっかりと偏在指標に生かしていただきたいと思うんですけれども、御見解をお伺いいたします。

武田政府参考人 お答えいたします。

 診療科の偏在につきましては、御指摘のとおり、全国的に是正を図るべき課題であると認識をしておりますので、国としても実効性ある取組を行っていく必要があると考えております。

 今、指標についても御指摘ございましたけれども、私ども厚生労働省におきましても、今後、人口動態、それから疾病構造の変化、こういったことを考慮いたしまして、診療科ごとに将来必要な医師数の見通しについて、平成三十年、できるだけ早期に検討を始め、平成三十二年にはこの見通しを提供することを予定しておりまして、医師が将来の診療科別の必要医師数を見通した上で適切に診療科を選択することで、結果的に診療科偏在の是正につながっていくもの、このように考えております。

 また、今回の法案におきまして、専門研修に関する研修計画が医療提供体制に重大な影響を与える場合、都道府県の意見を聞いた上で、厚生労働大臣から日本専門医機構に対してその改善の要望を意見する規定が盛り込まれておりまして、研修計画への当該意見の反映を通じて診療科偏在の是正につながるものと考えております。

 加えて、平成三十二年度からは、臨床研修での必修科目について、従前の内科、救急、地域医療の三科目から、外科、小児科、産婦人科、精神科を追加し七科目とすることとしておりまして、これにより、研修医がより多面的な経験を踏まえた上で将来の診療科を選択することが期待されるものと考えております。

 なお、都道府県における取組でございますけれども、地域医療対策協議会での協議を踏まえてキャリア形成プログラムを策定、活用することになり、このキャリア形成プログラムにおいて、外科、産科など地域で不足する診療科に対して、大学医局等との連携のもとで効果的に医師を派遣することや、産科に多い女性医師を始めとした若手医師の希望を踏まえて、卒後一定期間のキャリアを形成できるように作成することについて都道府県に促していくこととしており、こういった取組も診療科偏在の是正に一定程度資するものとなるものと考えております。

 ただいま御指摘いただきましたように、都道府県によりましては、取組が十分でない都道府県もあれば、非常に進んだ取組をしているところもあるということでございますので、私どもとしても、先進的な取組について、私ども自身の政策にも生かすことも検討しつつ、またほかの都道府県にも普及を図る、こういった取組もぜひ進めさせていただきたいと考えております。

繁本委員 これから偏在に関するしっかりとしたまず指標をつくっていくということですね。その指標に沿って適切な目標を各都道府県において設定していく。目標を達成するためには何が必要なんだろうかということを地域の関係者が医療対策協議会で議論をしていく。今回、都道府県の権限も強化されるわけでありますが、国としてもしっかりその役割を果たしていくべきだと思います。

 一方で、現場においては、地域医療対策協議会において、さまざま、今の指標だとか目標だとかに沿って議論していくわけでありますけれども、やはり、お医者さん自身が、医師自身が本気になってこれを進めていってもらわないと前に進まないと思うんですよね。

 今回の法律のたてつけを見ていましたら、都市部から例えば地域にお医者さんが働くことになった場合は、それは医師少数地域への勤務実績ということで評価される仕組みがあるんだけれども、診療科目間ごとに足りていないところに、足りていない地域に行ったお医者さんが必ずしも評価されるようなインセンティブが入っていないのではないかと思うんですけれども。

 こういったことも含めて、医師会が、あるいは医師が本気になってこの地域対策協議会で医師の偏在に向けて協力してもらえるような、更に一段とインセンティブを与えられるような仕組みが必要なんじゃないかと思うんですよ。

 いわゆるプロフェッショナルオートノミーで、これを大原則にして、臨床研修医制度へ医局制度から変わって、明らかに、お医者さんの働く場所、診療科目を選ぶ傾向は変わってきているわけでありますから、根本的なこういうことを踏まえて、お医者さんの実効性ある協力をいただくようなインセンティブを含めたさらなる取組が今後必要ではなかろうかと思うんですが、この点について御意見いただきたいと思います。

武田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘いただきましたような、それぞれの医師が、又は医療関係団体が自主的に取り組んでいただくということは大変大事なことでございます。

 今回の法律案におきましては、診療科偏在への対策として、今後、人口動態や疾病構造の変化を考慮して、先ほど申し上げましたように、将来必要な医師数の見通しについて国が情報提供することなどについて予定をしております。

 この結果として、都道府県では、必要な診療科ごとの医師数を勘案することにより、より効果的な診療科偏在の是正に資するものと考えておりますし、個々の医師におきましても、将来の診療科別の医師の必要数を見据えた上で、どこの専門に進むかということで、適切に診療科を選択していただけるようになる、こういったことで診療科の偏在の是正につながるものと考えているところでございますので、まずはこの仕組みを実行に移していきたいと考えているところでございます。

 それに加えて、さらなる取組についての御指摘を今いただいたところでございまして、昨年十二月に取りまとめた医師需給分科会第二次中間取りまとめにおきましても、将来に向けた課題としては、例えば、専門研修における診療科ごとの都道府県別定員設定といったテーマも挙げられております。

 今回の改正法案に盛り込んでいる仕組み、それから、診療科ごとの必要医師数の見通しの公表によりましても、専攻医の地域偏在、診療科偏在が十分是正が進まない、こういった場合につきましては、この医師需給分科会におきましてもさらなる対策の議論が必要だという御指摘もございますので、こういった点を含めて、必要な対策について更に検討を進めていく必要が出てくるものと承知をしております。

繁本委員 仕組みづくりには一歩進んだ取組が今回の法律でなされているかと思うんですけれども、先ほど来申し上げているとおり、本当に医師の本気の協力を引き出すための、何か、診療科目の偏在を埋めたときの評価する仕組みだとかということを更に一歩進めていただきたいというふうに思います。

 さて、もう一点、かかりつけ医の確保の必要性について御意見をいただきたいと思いますが、今、地域間の医師の偏在についても議論になっていますけれども、地方においてはなかなか診療所もその数が減少していく状況にありまして、一方で、新規の開業もほとんどなく、人口減少が目立つ地域においては開業医も高齢化している、さまざまな問題があります。

 地域医療構想については、病床機能の配分が取り沙汰されがちでありますが、これから、在宅医療の患者さんのことを考えていきますと、かかりつけ医についても、しっかりそれを確保していくことが重要かと思うんですが、この点について国としてどのような取組をされているのか、お聞かせください。

武田政府参考人 お答えをいたします。

 現在、我が国は大変大きな高齢化の進展の中にございまして、その中にあって高齢者の医療をどういうふうに確保するか、非常に大きな課題でございます。

 そうした場合に、高齢者、特に後期高齢者の方の医療ニーズを見ておりますと、加齢に伴う心身機能の低下によって、治療の長期化、複数の疾病、特に高血圧等の慢性疾患を有する方が多くなる、こういった傾向にございます。

 このような方に地域で日常的に医療を提供し、健康相談を受けられるかかりつけ医機能というものが、今後、地域における包括的な医療、ケア体制を推進する上に当たりましては非常に重要ではないかと考えているところでございます。

 御指摘ございましたように、地域医療構想といいますのは、病院、病床についての地域での協議を促進してまいるものでございますけれども、外来機能も含め、地域における総合的な医療体制の確保といいますのは、各都道府県において地域医療計画の中でも取り組んでいただいているところでございます。

 非常に重要になっておりますかかりつけ医機能の充実につきましては、診療報酬においてかかりつけ医機能の評価を推進してきておりまして、平成三十年度の診療報酬改定におきましては、診療所などの医師が複数の慢性疾患を有する患者に対して継続的かつ全人的な医療を提供することを評価する地域包括診療料等の要件の緩和、それから、かかりつけ医機能を有する医療機関における初診についての加算の新設などの対応を行ったところでございます。

 引き続き、これらの取組を通じまして、かかりつけ医機能が普及、定着し、患者の方々にとってよりよい医療が提供されるよう、私どもとしても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

繁本委員 ありがとうございます。

 私の方からも、実は三ッ林先生と国光先生と同様に、マクロの需給の話をしたいと思っていたんですが、重なりますのでこの点は少し簡単に申し上げますけれども。

 やはりお医者さんを育てるには、六年の大学での勉強、そして資格を取って二年の臨床、さらには三年の新専門医制度というのがあって、とにかく時間もかかるし、長期的には二〇二五年問題というのもあるし、今勉強を始めたお医者さんが実際現場で働き出すにはタイムラグが当然ありますから、この波がずれてしまってはどうしようもありませんし、地域的な配置がおかしくなって偏在してもどうしようもない。しっかりとミクロで需給調整を慎重に検討していただきたいということも、私からもお願いを申し上げたいと思います。

 最後の質問になりますけれども、きょう私がるる申し上げましたとおり、国民の命と健康をしっかりと守って健康寿命を延ばしていくこれからにおいて、やはり国民皆保険制度、これはしっかり堅持しながら、医療資源の適正な配置がもう大前提であります。

 今国会では働き方改革の法案が成立をして、医師については五年の間でしっかり議論していかなければならないわけでありますが、医師の働き方改革を本当に成功させることができるかどうかも、今回の医療法・医師法改正を踏まえた医療資源の適正な配置ができるかどうか、偏在を是正できるかどうか、これが一つの試金石になるかと思います。

 きょう申し上げたとおり、しっかりと科目間の偏在指標をつくってほしい、医師がもっとやる気を出すようなインセンティブをつくってほしい、そして慎重かつ適切な医療の需給を見きわめてほしいということも含めて、最後に大臣の御見解、御決意をお願いしたいと思います。

加藤国務大臣 まず、今委員おっしゃった国民皆保険制度を当然守っていく。保険制度を守っていくということは、当然、どこの地域にいてもしっかりとした医療が提供を受けられるということを確保していくということが大事でありますから、そういった意味においても、今委員が御指摘のような地域間あるいは診療科間の偏在、当然これもしっかり解消していく必要がある、またそれは急務というふうにも考えております。

 この間、先ほどからお話をしておりますように、医学部定員の大幅増員をしてきた、あるいはさまざまな施策を行ってまいりましたけれども、残念ながら解消に至っていないわけでありますので、今回、医師養成過程を通じた医師確保対策の有効性に着目しながら、入院、外来を分けて偏在の議論を行い、実効的な医師偏在対策として本法案を取りまとめたところでありますので、まず、この総合的な医師偏在対策を法案として取りまとめた、これをしっかりと実施をしていくということ、そして、あわせて必要な予算等の確保もしていく必要があります。それらを通じて、まず医師の地域偏在、診療科偏在の是正を図っていく。

 他方で、今委員御指摘の働き方改革のお話もありましたから、これについては今議論をいただいておりますけれども、そこにおいても、医師の総数をどうしていくのか、そして地域偏在あるいは診療科偏在をどうしていくのか、それもしっかりと念頭に置きながら議論をして、全体として、最初に申し上げた国民皆保険を守り、そのもとにおいて、どこの地域にいてもそれぞれ必要な医療サービスが提供される、こういう状況をつくり上げていくということ、これに向けて全力で取り組んでいきたいと考えております。

繁本委員 どうもありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

高鳥委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 まず冒頭、この七月の豪雨で亡くなられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。

 九州、中国、四国、近畿、西日本、あるいは中部、非常に広範囲にわたる被害でございまして、けさの報道でも、百五十名以上の方が亡くなられた、こういう報道もございました。私の地元の兵庫県でも二名の方が亡くなられました。そして、現在も一万人を超える方が避難をされておられる。こういう大変な状況でございます。

 昨日は、衆議院本会議におきまして全会一致で議決がなされました。政府におかれましても、この議決がなされたとおり、まず、安否が確認できていない方々の救助、あるいは被災され避難されている方々の安全、安心の確保を始め必要な対策、これを一刻も早く講じていただきたい。これを改めてお願いを申し上げます。

 その上で、冒頭、厚生労働大臣にも重ねてお願いを申し上げたいんですけれども、大臣の御地元も大変な状況でございまして、被害の状況というのは大臣が一番御存じかと思いますけれども、私ども公明党も、被災地に数多くの議員が入りまして、いろいろな要望も伺っております。

 今回、非常に水道、ライフラインの被害というのが大変大きくて、岡山、広島、愛媛を始め、二十五万四千戸以上、今、広範囲にわたって断水ということも伺っております。とにかく水道を早く復旧をしてほしいという要望をいただいております。

 また、厚生労働の関係でいいますと、病院あるいは介護施設、こういったところも被災をしておりまして、また医療や介護の支援が必要な方への対応、こういうものもしっかりと万全を期していただきたいと思いますし、また、今週は大変な猛暑ということでもございまして、厳しい暑さを迎える中、熱中症ですとか、あるいは感染症ですとか、避難されている方々の健康の確保、あるいは公衆衛生の観点からの対応、こうしたものも必要であるというふうに思います。

 さまざまございますけれども、厚生労働分野におけるこうした対応についてぜひ万全を期していただきたいと改めて大臣にお願いを申し上げます。答弁いただければと思います。

加藤国務大臣 今回の本当に記録的な豪雨で、本当に多くの方がお亡くなりになり、また、現在、多くの方が避難をされている、こういう状況でもあります。

 厚労省としても、被災地における現場のニーズを的確に把握をし、被災自治体に対して先手先手という、次のことを想定しながら、もちろん市町村とはよく調整をさせていただいておりますけれども、そうした取組をさせていただく。

 そういった意味で、一昨日、厚生労働省の現地対策本部を中国四国厚生局、これは広島にありますが、そこに設置をしまして、岡山県、また広島県、愛媛県にも本省の職員をそれぞれ派遣をさせていただいております。また、政府において被災者生活支援チームの会合が開催されたのにあわせて、省内にも被災者生活の支援に取り組むための専任のチームを設けさせていただいて、先ほどお話があった水道とか、大きな柱ごとにもそれぞれ担当も決めさせていただいています。

 今回の豪雨について、水道関係で今お話がありましたように、二十万を超える世帯が断水ということでもありますし、またその断水の状況も、浄化槽あるいは導水管等、基幹的な施設が壊れている、また、なかなかそこにアプローチしにくい、そういうところにおいても今復旧に向けての努力がなされ、また、それぞれの地域で本当に昼夜分かたぬ努力によって今解消が一つ一つ進んでいる、こういう状況にあるというふうに認識をしておりますが、引き続き、関係機関とも協力をして、必要な資材の供給あるいは災害対応に当たる要員の人的支援を行う中で、まず応急給水、これをしっかりやりながら、そして早期の復旧に全力で取り組んでいきたいと思っております。

 また、医療施設及び社会福祉施設においても、断水、停電等の被害が出た施設がございます。中には、これは私の地元でもありますけれども、入院された方が他の施設に転院をされているというところもございますので、そうした状況をしっかり把握しながら、そうした対応に怠りがないようにしっかり取組をさせていただきたいと思っております。

 また、これからでありますけれども、避難をされている方々が、特にこの夏場、ここに来て急激に三十度を超える猛暑になってきているわけでありますので、そういった中で、水害後の被災地域や避難所のまず衛生状態をしっかり確保していく、感染症を予防していく、そしてやはり今申し上げた熱中症の予防、こういったことをしっかり図っていくことが必要でありますので、そういった旨をそれぞれの皆さん方にしっかり周知をしていくということのみならず、他の都道府県等からも保健師の方を派遣をさせていただいて、御協力をいただいて、そうした皆さんがしっかりそれぞれの避難所を回らせていただくことによって、そうした要望等をしっかり図らせていただきたいというふうに思っておりますし、また、そうした仕組みを全体として進めていくために、DHEATというのがございますので、そのチームを派遣することとしているところでもございます。

 それから、あわせて、こうした被災になりますと、例えば、医療が必要な方が保険証を持たない、あるいは保険証を流されてしまった、こういった方についても保険証なしでも保険下において医療を受けることができる等々、さまざまな情報をしっかりと周知もさせていただきたいというふうに思っているところでございます。

 いずれにしても、自治体と連携を密にして、被害状況や被災自治体のニーズ、これを積極的に把握をいたしまして、厚生労働省挙げて、被災地そして被害に遭われた方々の支援に万全を尽くしていきたいと考えております。

    〔委員長退席、堀内委員長代理着席〕

中野委員 大臣、ぜひよろしくお願いいたします。

 また、党の方からも、また現地からさまざまな要望があるかと思います。しっかりお伝えさせていただきまして、対応を図られていただきたい、このようにお願いを申し上げます。

 それでは、医療法及び医師法の一部改正について質問に入らせていただきます。

 医師の地域の偏在というのは大変重要な課題でございまして、私の地元の兵庫県におきましても、県内全体で平均すると確かに全国で遜色はない状況ではあるんですけれども、ただ、二次医療圏ごと、さまざまな地域ごとに見ますと、県内でやはり医師が偏在をしている、そういう状況でございます。

 地域によっては、例えば産科が不在になってしまった、こういう地域も出てまいりまして、そうなるとやはり、例えば結婚された方が子供を産もうとするときに、じゃ、どこに行くのか、こういういろいろな問題も出てくるわけでございます。

 ですので、この医師の偏在、地域の偏在、全国、マクロとしては、例えば先ほど来ずっと議論の出ておりました医学部の地域枠の設定、こういうものもやってまいりましたし、都道府県においては、例えば兵庫県ですと、修学資金、奨学金、こういうものを活用して、僻地にそういう医師を派遣するような仕組みをやりましたり、あるいは、なるべく地元に定着できるようなキャリア形成支援、こういうことなども行っておりまして、恐らく、ほかの都道府県もさまざま、それぞれ取組をしているというふうに承知をしております。

 そこでまず大臣に、今までの医師偏在確保の取組、今までの取組についての評価、そして今回の改正案、それは何が今までと違うのか、何が大きな狙いなのか、こういうことについてお伺いをしたいというふうに思います。

加藤国務大臣 これまでも厚生労働省においては、まずは医学部定員の増員を図ってまいりました。そして現在では、医学部定員、平成二十九年現在で九千四百二十人、そしてこの十年間で見ても四万人増加、年間四千人ということになりますけれども、そうした状況になってきている。

 また、他方で、医師の地域定着を図るために、地域枠及び地域医療に従事する明確な意思を持った学生に対する奨学金の貸与の推進、これは平成二十二年度から、都道府県が責任を持って医師の地域偏在の解消に取り組むための地域医療支援センターの設置、これは平成二十三年度からで、もう全ての都道府県に設置がなされているわけであります。また、平成二十三年以降、六千九十五名の医師を各都道府県内の医療機関へあっせん、派遣する等の実績も上がっております。また、地域医療介護総合確保基金を通じた医師の確保、これは平成二十六年度から対策を講じております。

 しかし、こうした取組を経てもなお、現時点で評価をすれば、医師の地域間、診療科間の偏在という解消が図られているという状況にはないというふうに認識をしております。

 さらに、医師偏在を実効性を持って推進をしていく、こういう観点から、地域で勤務していただく方々に対するインセンティブということも含めて、医師少数区域等で勤務した医師を評価する制度の創設、あるいは、医師養成過程を通じた医師確保対策の充実、さらには、都道府県が主体的に取り組んでいただくという環境をつくっていくというためにも、都道府県における医師確保対策の実施体制の整備、こういったことを内容とする本法案を国会に提出をさせていただいたところでございます。

 この法案をぜひとも成立をさせていただいて、この法案にのっとって、また必要な予算確保等をすることによって、地域間あるいは診療科間の偏在の解消、これに全力で取り組んでいきたいと考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 今回、医師の偏在指標というものを新しく示すというところは、一つの今までとの違いかというふうに思います。今まで人口当たりの医師数ということでこれをはかってきたわけでございますけれども、いろいろな地域の事情、医療需要等々も含めてあるだろうということで、この新しい指標を国が全国一律で示されるということであるというふうに承知をしております。

 この指標がどの程度その実態を捉えて把握した正確なものになるかというのはもちろん非常に大事なことではあって、参議院でも議論がずっとされておったんですけれども、なかなかこれから今後の検討をしっかりしていくというところにとどまっておるのかなというふうには思っておりまして、この指標をまずはしっかりと示していただくというのは大事だというふうに思いますけれども、その上で、全国一律の指標が出た上で、やはり地域によってどういう体制を確保するのかというのは、それぞれの地域の事情というものもあるかというふうに思います。

 医師の確保の目標や計画というものを、その後この指標に沿って定めていくということになるかとは思うんですけれども、そこはやはりしっかりと地域の実情を踏まえた計画、目標、こういうものが定められていくべきである、このように考えますけれども、その指標のあり方や、あるいは目標、計画のあり方についてどのように政府として考えられているのか、副大臣に答弁いただきたいと思います。

高木副大臣 お答えいたします。

 今回の法案におきましては、医療ニーズや人口構成、また患者の流出入等を踏まえまして、医師の偏在の状況を全国ベースで客観的に示す医師偏在指標を二次医療圏ごとで設定をしまして、各都道府県がこの指標をもとに二次医療圏単位で医師少数区域及び医師多数区域を設定することとしております。

 医師少数区域、医師多数区域の設定に当たりましては、例えば、医師偏在指標上は医師少数区域と判断される地域であっても、近隣地域への患者流出が多く当該地域を医師少数区域に設定することが適当でない場合や、また医師多数区域内に僻地、離島があるような場合も想定されます。

 こうした場合につきましては、都道府県が、地域医療対策協議会での協議の上、地域の実情に応じた区域の設定を行うことや、医師少数区域に含まれない地域であっても、特に医師の確保を図る必要がある場合には、医師少数区域と同様に医師確保対策の対象とすることも可能としております。

 この医師確保計画におきましては、都道府県内における医師の確保方針、また医師偏在の度合いに応じた医師確保の目標、また目標の達成に向けた施策内容を盛り込むこととしております。

 都道府県が医師確保計画を策定する際は、こうした医師少数区域等の設定状況を踏まえまして、県内で特に医師確保が必要な地域で医師が確保されるような方針、目標を設定していただき、これに沿った施策を定めることによりまして、地域の実情に応じた計画となるものと考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 先ほど少し触れてもいただきましたけれども、二次医療圏ごとの対策を講じるという中身に今回なっておりまして、そうしますと、例えば、二次医療圏全体としては大都市を抱えていて医師多数というふうな区域になっても、まさに、おっしゃられたとおり、その市の中で実は離島部があって、そこが非常に足りないというふうなこともございます。

 二次医療圏の中でも、例えば僻地、医師確保が非常に困難である地域、こういうところについてもしっかり目配りをしながら対策を講じていく必要があるというふうに思いますけれども、こうした医療圏の中でも更に医師確保が困難な区域に対する対応というのはどのように今回考えられているのかについて、政府参考人に答弁いただきたいと思います。

武田政府参考人 お答えをいたします。

 ただいま御指摘ございましたように、今回の法律案の中では、医療ニーズや人口構成、患者の流出入などを踏まえて、医師の偏在の状況を全国ベースで客観的に示す医師偏在指標を二次医療圏ごとに設定をいたしまして、各都道府県がこの指標をもとに二次医療圏単位で医師少数区域及び医師多数区域を設定することとしております。

 都道府県による医師確保対策は基本的にこの医師少数区域を対象として講じていくこととなるわけでございますけれども、御指摘のとおり、医師偏在指標上は医師少数区域と判断されない二次医療圏でありましても、その中において、例えば僻地、離島、又は無医地区、こういった医師確保を図るべき地域があるようなケースも想定されるところでございます。このため、このような地域につきましては、医師少数区域に対する医師確保対策に準じて医師派遣などの対策を講じていく必要があると考えております。

 施行に当たりましては、こうした柔軟な対応が可能であることを都道府県に対してしっかりお示しをしてまいりたいと考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 医師の働き方改革についてもお伺いをしたいというふうに思います。

 今回、働き方改革法案も議論をされまして、その中で、医師が大変多忙だというふうなことも議論になっておりました。本当に、地域の医療も含め、医師の皆様始め関係者の皆様の大変な御努力の中で維持をしているというところも現実的には多々あるわけでございまして、働き方改革の議論によっては医師の偏在対策というのにも大変大きな影響が出てくるわけでございますし、実際に、労働時間の長い科を見てみますと、外科でありますとかあるいは産科でありますとか、診療科的にもやはり数が少ないところというのもございます。

 数が少ないから忙しいのか、あるいは忙しいからなかなか人が集まらないのかという、いろいろな要因はあるかと思いますけれども、いずれにしても、働き方改革、今回の医師偏在対策にも大変に大きな影響がございますので、しっかり連携した議論を進めていく。今、中間的には報告も出てまいりまして、これからまさに大詰めだというふうに承知はしておりますけれども、しっかり連携した議論が必要である、このように考えます。

 今後の働き方改革の進め方につきまして、副大臣から御答弁いただければと思います。

高木副大臣 お答えいたします。

 委員御指摘のとおりと考えております。

 医師の働き方改革に関する検討会につきましては、今月九日に第八回の検討会を開催をしまして、今年度末の取りまとめに向けて議論を再開したところでございます。

 今後、まずは九月までの間に、労働時間規制のあり方の検討に当たって、必要な論点、宿日直、また自己研さん、応招義務等に関する議論を深めていただきまして、その後、十月以降を目途に、目指すべき多様な働き方改革の方向性、またそれを実現するための施策、制度のあり方につきまして、取りまとめに向けた議論を進めてまいりたいと考えております。

 医師偏在との関係につきましては、委員御指摘のとおり、医師の働き方改革の方向性いかんによっては、医師偏在の状況に影響を与えることもあり得ると考えております。したがって、検討会におきましても、時間外労働規制のあり方に関して、医師偏在の解消に向けた取組との整合性や相乗効果が必要であるといった御指摘もいただいているところでございます。

 こうした視点も踏まえて、今後も医師偏在の状況に留意しながら検討を進めてまいる所存でございます。

中野委員 ぜひともよろしくお願いをいたします。

 そして、働き方改革の議論の進め方によっては、やはり、じゃ、医師の確保についても更にこういう部分が必要だというふうな追加的なこともひょっとしたら必要になってくるかもしれない。いろいろな取組、あわせまして、今後の結論をどう出すかにもよりますけれども、しっかりと支援もしていく、こういうことをぜひお願いをしたいというふうに思います。

 済みません、時間も少し迫ってまいりましたので、ちょっと飛ばしながら質問をさせていただきますけれども、地域医療構想に関連をしまして質問をさせていただきます。

 今まさに、それぞれの都道府県では、超高齢化社会に対応ができるようにということで、二〇二五年の医療需要、必要な病床がどうなっているか、地域医療構想というものをしっかりと検討して、それに合わせてどうやって現実的に病床をかえていくか、こういう議論をまさにしているところでございまして、これがしっかりと全ての都道府県において議論が前に進んでいくということが、この超高齢化社会に対応していく大変に大きな取組だというふうに思っております。

 この地域医療構想を着実に実現をしていくためには、調整会議において調整を行っていく、これがもちろん必要でございますけれども、お伺いをすると、都道府県によって取組の度合いもかなり今異なっているのではないか、取組が進んでいるところもあればまだ余り議論がなされていないようなところもあるのではないか、こういうふうな指摘も伺ったところでございます。

 医療構想、あくまで都道府県が責任を持ってやっていくということではあるんですけれども、やはり都道府県任せにする、そこだけに任せるのではなくて、ここはやはり国が進捗管理をしっかりと行って、調整会議がしっかり活性化をして議論が進んでいくように、こういうことをやっていく必要がある、このように考えますけれども、今後の取組についてどうお考えか、伺いたいというふうに思います。

武田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘をいただきましたような都道府県の地域医療構想調整会議、この進捗管理とか活性化についての御指摘をいただいたところでございます。

 地域医療構想の達成に向けては、医療機関ごとの具体的対応方針が速やかに策定されるよう、地域の医療関係者等で構成する地域医療構想調整会議におきまして、昨年度から今年度の二年間程度で集中的な検討を行うこととしているところでございます。

 そのため、私どもといたしましても、昨年八月には、公立病院や公的病院等について、地域で求められる役割やそのあり方を議論していただくよう要請するとともに、本年二月にも、民間医療機関に係る協議のスケジュールなど、開設主体に応じた協議の進め方をお示しをしているところでございます。

 また、六月には、都道府県に対しまして、構想区域単位の調整会議に加え、都道府県単位の調整会議も設置をし、地域ごとの課題や解決策の共有を図るよう要請をしたところでございます。

 さらに、今後この調整会議の議論を一層活性化するための方策といたしまして、私ども国におきましても、議長や事務局を含む関係者を対象とした都道府県主催研修会の開催支援、関係者への助言やデータの分析支援等を担う地域医療構想アドバイザーの養成、こういったことも進めることにしております。

 厚生労働省といたしましては、地域ごとの協議の進捗状況を三カ月ごとに把握、公表しつつ、その進捗状況に応じた地域医療介護総合確保基金の重点配分などについても行っていく、こういうことで、各地域の集中的な取組を促し、地域医療構想の達成に向けた一層の取組を加速してまいりたいと考えております。

中野委員 地域医療構想に関連いたしましては、今病床機能の報告というものを病院の自主的な報告という形でやっていただいておりますけれども、やや実態と乖離をしている部分もあるのではないか、こういう指摘もいただくことがございまして、あくまで高度急性期であるとか急性期であるとか、ある程度の目安はあるんですけれども、実際に高度急性期に本当に当たるんだろうかというものが報告をされているのではないかですとか、あるいは慢性期という報告をされているけれども実は回復期のような機能もかなり強いのではないかとか。

 病床機能報告、確かに、病院が自主的に報告をしていくという中で、どれだけ実態と合わせていくかというふうなところは非常に難しいバランスもあるかとは思いますけれども、ある程度実態と合わせていくような何らかの対応、こういうものも必要ではないのか、こういう指摘もいただくことがございますけれども、これについてはどうお考えか、答弁いただきたいと思います。

武田政府参考人 お答えいたします。

 病床機能報告制度でございますけれども、地域における医療機能の分化、連携を推進するために、各医療機関がその有する病床において担っている医療機能につきまして、病棟ごとに四つの機能、高度急性期、急性期、回復期、慢性期、この四機能から自主的に選択をし、入院患者に提供している医療の内容とあわせて報告をする制度でございます。

 ただいま御指摘ございましたとおり、現状の病床機能報告におきましては、四つの機能のうち一つを自主的に選択するということでございますので、その中を詳しく見てみた場合につきましては、例えば、主として回復機能を有する病棟であっても急性期と報告をしていたり、急性期医療を全く提供していない病棟であっても高度急性期と報告している、こういった課題がございます。したがいまして、この病床機能報告制度の改善を図る必要があるというふうに考えております。

 一部の先行している都道府県におきましては、都道府県医師会などの医療関係者などとの協議を経て、関係者の理解が得られた定量的な基準を作成することによりまして、診療実態に即したデータを提供することが可能となり、地域医療構想調整会議が活性化した、こういう例もございます。

 私ども厚生労働省といたしましても、このような先行事例も十分踏まえながら、その他の都道府県においても、地域の関係者の理解の得られた定量的な基準が円滑に作成されるように、事例の紹介でございますとかデータ提供、こういった技術的支援を行うとともに、今年度、平成三十年度の病床機能報告におきまして、急性期医療を全く提供していない病棟につきましては高度急性期又は急性期と報告できないこと、こういったことを報告時の判断基準として明確化をする、こういったことも考えてまいりたいと考えております。

中野委員 時間もあと少しになってまいりましたけれども、救急医療の地域格差の是正、これについてもお伺いをしたいというふうに思います。

 公明党が力を入れてまいりましたのは、ドクターヘリやドクターカー、これの配備の促進というものを訴えてまいりまして、私も、地元の兵庫県ですと二つの病院がドクターヘリの拠点病院ということになっておりますし、地元の県立尼崎総合医療センターでは、ドクターカー、特に救急の対応が難しいとされております小児患者、これに特化しました小児ドクターカーというのを日本で初めて導入をいたしました。大変に稼働実績も高いというふうに伺っております。

 こうしたさまざま実績は進んでおりますけれども、引き続きこのドクターヘリあるいはドクターカー、これの整備促進が重要である、このように考えております。現在の整備の状況あるいは今後の整備の促進、これにつきまして政府に答弁をいただきたいというふうに思います。

武田政府参考人 お答えいたします。

 まず、ドクターヘリの配備状況でございますけれども、平成二十九年度末で四十二の道府県に五十二機配備をされておりまして、今年度につきましても新たに石川県に配備をされる予定となっており、このように配備されているドクターヘリの数また利用件数につきましても毎年増加をしている状況でございます。

 ドクターカーにつきましては、平成二十八年度末の時点で、全国の救命救急センター二百八十四施設のうち百六十一の施設において計二百三十九台のドクターカーを保有しており、このドクターカーにつきましても台数は年々増加をしている傾向にございます。

 ドクターヘリ、ドクターカー、それぞれにつきまして、地域において両者が効率的かつ有効的に活用され、救急医療の質の向上に資するということが非常に大切でございますので、今後どのように運用していくべきか、ただいま検討会において検討を行っているところでもございますので、私どもといたしましても、この検討結果を踏まえ、必要な体制整備に今後とも努めてまいりたいと考えております。

中野委員 最後に、医療から少し離れますけれども、地元で大変要望が強うございますのでお伺いをしたいのが介護の人材確保でございまして、本当に全く人が募集しても来ない、こういう悲鳴のような状況が上がっております。

 今回、新しい経済対策、これで処遇改善加算をまた大きく行うというふうなことも言われておりますけれども、大変に高い期待がある一方で、これは保育士のときもそうだったんですけれども、使い勝手が悪くて使えないような状況で非常に困るというふうな御指摘もいただいておりまして、例えばほかの介護職員あるいは違う職種に充てられる、さまざま、ぜひ使いやすい運用として制度設計をしていただきたい、こういう御要望が大変強うございます。介護職員の処遇改善の方向について、最後に答弁をいただきたいというふうに思います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 介護職員の処遇改善につきましては、これまで数度にわたりまして合計五万七千円相当の処遇改善を行ってきたところでございます。一方で、今後、介護職員の処遇改善を進めていく上では、介護サービス事業所における賃金のバランス、使い勝手などにも留意することが重要であるというふうに考えております。

 議員御指摘の新しい経済政策パッケージにおきましても、他の介護職員などの処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用を認めるというふうにされておりまして、介護職員以外の職種を対象とすることも含めまして、具体的な内容につきまして今後検討してまいりたいというふうに考えております。

中野委員 以上で質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

    〔堀内委員長代理退席、委員長着席〕

高鳥委員長 次に、吉田統彦君。

吉田委員 立憲民主党の吉田統彦でございます。

 まず冒頭、今回の大豪雨で亡くなられた方に哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様にお見舞いを衷心より申し上げます。

 その中で、厚生労働省におかれましては、これから、いわゆる疫病の蔓延、アウトブレークなどが起こってくる可能性もございますので、そういった二次被害等にもしっかりと御対応いただきたいと冒頭お願いをさせていただきまして、質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、本法案に関係したことでございますが、新設医科大学というものが二つつくられたわけであります。これは、本法案の趣旨にも照らしたようなことでございますが、医師の偏在や診療科の偏在を是正するために、今まで長く政府の方針として決められた、医学部を新設することはない、そういった方針を大きく転換して新設されたものであります。

 ですので、本法案を審議する前に、そもそも、この二つの新設医科大学の卒業生に対して、過疎地での診療や不足診療科の専門医としての診療を促す、若しくはある一定程度義務づけるような政策をとっていくのが先決ではないでしょうか。でなければ、莫大な税金をかけて新しい医学部を二個つくった理由として国民に説明しづらいところがあるのではないかと思いますが、答弁を求めます。

武田政府参考人 新設医科大学でございますが、新設された医科大学二校のうち、国際医療福祉大学につきましては、国家戦略特別区域における医学部新設に関する方針に基づきまして、既存の医学部とは異なった、国際的な医療人材の育成を目的として設置されたものでございます。

 一方、東北医科薬科大学につきましては、東北地方における医学部設置認可に関する基本方針に基づき、震災からの復興、今後の超高齢化と東北地方における医師不足等の要請を踏まえ、特例として設置されたものと承知しております。

 東北地方における医師不足に対応するため、入学者定員百名のうち五十五名を、東北地方で一定期間働く意思を持つ学生のための枠、地域枠としており、二十八年度、二十九年度入学者ともに、この入学枠の学生全員に奨学金が貸与されております。

 このような取組を通じ、東北医科薬科大学につきましては、将来的には東北地方における医師の不足の解消に資するものと考えております。

吉田委員 そうすると、答えがちょっと、ある一定程度は答えていただきましたけれども、私、事前通告を相当前に丁寧にやっていますので、できれば大臣にお答えいただきたいですね。大臣にしっかりお答えいただくように、私、かなり前に丁寧な通告をしているのを局長は御存じだと思いますから、ちゃんとそれはやってくださいね。

 では、国際医療福祉大学の方は、今の答弁だと、診療科の偏在や地域の医師の偏在に対しては何ら寄与することがない、そういった新設の趣旨だと考えていいですか。大臣、お願いします。

加藤国務大臣 まず、私ども厚労省は、新設大学設置について直接関与しておりませんので、ちょっと事務的に説明をさせていただいたという経緯をぜひ御理解いただきたい。その影響ということにおいては、それは私どもの方に絡んでくる話であります。

 今、国際医療福祉大学は、まさに国家戦略特別区域における医学部新設に関する方針に基づいて、国際的な医療人材の育成を目的とするというものであります。しかし、その育成をするに当たっては、医学部あるいは臨床等々、国内でもそれなりの医療経験を積んでいくということは当然必要とされますから、そういった意味において、国内における医療の提供に対する一定の寄与は当然あるだろうというふうに思います。

吉田委員 それは全部の大学があると思いますので、特に本当に、大臣、新しく医学部をつくるということは、次の問いであるんですけれども、かなりいろいろな意味で、国家としても、そして医療界としても、人材もそうですし、いろいろな意味で投資をしていますので、やはりしっかりとしたアウトカムがあるような形の新設医大にしないと国民は納得しないと思います。

 それでは、少し、これは加藤大臣じゃなくてもいいんですが、国民のための医療を守るという前提でこの新設医科大学を機能させていかなければいけませんね、大臣。それは絶えず、当然大臣は思っていらっしゃると思うんですが、ちゃんと機能させないと、何でこんな二つつくったの、また何か利権とか関与しているんじゃないかと疑われてしまう可能性があるので、私は、しているとは言いませんけれども、疑われちゃうとそれは不本意じゃないかと思うので。

 それで、この新設医科大学設立にどれだけの国費や税金が今まで費やされたか。また、私学助成というのは、これはもうちょっと先ですよね、六年分学生が整ってから私学助成金って出るんじゃないかなと思いますが。今までこの新設医科大学おのおのつくるためにどれだけの税金、国費が投じられているかということを明確に答えていただきたいのと、このままで推移をした場合に私学助成金というのは毎年おのおの幾らずつ、概算で結構ですので、どれくらいかかるかということを教えてください。

信濃政府参考人 まず、委員の御質問にお答えする前に、一点おわびを申し上げなければいけないことがございます。

 先週ですが、私ども文部科学省の局長が逮捕されました。

 これは、行政の信頼を損なうとともに、国民の皆様に多大な御迷惑をおかけするものでありまして、大変申しわけないとおわびを申し上げます。

 文部科学省は、捜査に全面的に協力してまいりますとともに、再発の防止と信頼の回復に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。

 その上で、今の御質問へのお答えですけれども、まず、これまでの両大学への助成額についてですが、私立大学に対する補助のうち最も大きな割合を占めております私立大学等経常費補助金、これは、先ほど委員の御指摘もありましたとおり、新たな学部ですとか大学を設置するための経費に係る補助というのは行っておりません。

 また、原則として完成年度、完成年度というのは初めて卒業生を送り出す年度ですが、その翌年度から交付されるということになっておりますので、これまでのところ交付の実績はございません。

 また、このほかにも私学助成は幾つかございますが、これまでのところ、東北医科薬科大学の医学部、それから国際医療福祉大学の医学部に対して交付というのはされておりません。

 もう一点御質問は、今後どうなるかということですが、今後の助成額につきましては、例えば、教員数、学生数の実績値、それから定員充足率や学生納付金に対する教育研究経費の割合の実績などを始めとします教育条件とか財務条件を踏まえて、めり張りある配分を行うということになっております。したがいまして、現段階において試算することは困難でございます。

 そうではありますけれども、委員の御参考までにあらあらの数字をはじいてみましたけれども、例えば、医学部医学科のみを設置する私立大学への交付実績、ここから学生定員一人当たりの平均的な額というものを算出しまして、これに両大学の医学部の収容定員を乗じるという計算をしてみますと、例えば、東北医科薬科大学の医学部については約十六億円、それから国際医療福祉大学の医学部については約二十二億円という数字になります。

吉田委員 すごい額ですよね。本当にこれは大きな額を投資しますので、卒業後は大臣ですからね、つくるのは文部科学省ですけれども、卒業後どうするかはもう大臣の御所管ですので、しっかりと、これだけの額が大臣かかっていますので、本当にお願いします。

 私は、東北の方は全定員を東北地方の診療に担当させる、政務官、山形ですからわかると思うんですけれども、やはり、そういった形でちゃんとやっていただかないと本当にいけないと思いますよ。

 これは、今後、今五十五人とおっしゃいましたかね、局長。五十五などと言わず、百全部、東北地方にさせる、そういった形で考えることを考えませんか。局長で結構ですけれども。全部定員を東北にしてくださいよ、東北の方は。東北地方の診療に特化させるというふうにお答えいただけませんかね、局長。

武田政府参考人 お答えいたします。

 先ほどお答えをさせていただきましたように、東北医科薬科大学におきましては、入学者定員百名のうち五十五名が東北地方としての地域枠というふうになっております。

 そして、この大学におきまして、東北各県・各大学、関連教育病院、地元医療関係者に加え、厚生労働省や文部科学省も参加して、教育運営協議会というのが開催をされておりまして、こういったことを通じて東北地方の医師の不足の解消に資するものと考えているところでございます。

 今後の定員枠につきましては、私どもとしても、東北地方における医師不足の解消に貢献をするということを強く期待をしているところでございます。各都道府県、それから大学、それから関係省庁もございますので、そういった中で協議をしてまいりたいと思います。

吉田委員 そういう答えが来ると思ったんですよ。じゃ、こういう法案を議論する前に本当はそっちをやるべきじゃないですか。私はその答えを予想していたんですよ。予想していたからあえてしたんですけれども。

 こんな議論をするんだったら、まず先に、東北地方は医者が足りないんだから、全部やるとかそういう議論をする必要があると思いますよ。今の局長の答弁は、こういった法案を議論してくださいという前提としてはおかしいと思いますよ、はっきり言って。みんなそう思いますよ、はっきり言って。絶対そう答えると予想していたので、わざとしたんです。

 本当に真摯にやらないとだめですよ。こういう法案をつくって、地域のための医療、医師の偏在をなくしていくんだったら、できることは全部やっていかないと。その上で今回の法案は、いろいろやはり、さまざまな問題もはらむ可能性があるので、やれることを前提としてやってからこういう法案を提出して議論していただくべきだと私は思います。

 そもそも、東北医科薬科大学の医学部は定員百、国際医療福祉大学の医学部は百四十ですよね。しかし、実際、昭和五十七年から平成九年の閣議決定で、平成十五年から十九年度の医学部の入学定員を、ごめんなさい、ちょっとこれは間違っているかもしれないです、最低、医学部の定員って七千六百二十五人まで減らしていますよね。七千六百人ぐらいまで減らしているはずです。

 今、平成二十九年度は九千四百二十人、平成三十年度は九千四百十九人と、医学部の定員をふやしています。岡本委員や私のときというのは多分定員が一番少なかったときなんですよ。そのときから比べると、単純計算で十八校医学部をつくったぐらいの定員をふやしているんです。

 いいですか、医学部を、一番定員が少なかったとき、私が受験をしたときは多分そうだと思いますが、最も少なかったときから今の段階まで、新設医科大学を定員百とすると約十八校ぐらいふやした形になっているんです。

 つまり、十八校医学部を新設したのと同じぐらい医学部の定員はふえているんですが、それにもかかわらず、地域格差や診療科の格差は改善されておらず、広がっていますよね。外科、産婦人科、小児科、救急、あと一部の内科の医師は、ふえているどころか減っています。

 こういった状況を見ると、大臣、もう一度聞きますけれども、新設医科大学に対して、十八校分医学部をつくったのと同じぐらい定員をふやしているのに、今このていたらくになっている、残念なことに。

 そういう段階において、二つ医学部をつくりました、ここに関して私が、もう一度大臣に問わせていただきますけれども、やはり大臣がリーダーシップをとって、本法案の趣旨にかなうような形の活躍をこの新設医科大学の卒業生にしてもらわないと、余り意味がない新設医科大学の新設になってしまったと言われかねないんですが、大臣、どうでしょうか。

加藤国務大臣 新設部分だけじゃなくて増員部分も多分そういった考え方でやっていきたいというふうに思いますし、ただ、その中で、国際医療福祉大学は、先ほど申し上げた設立した趣旨が、国際的な意味での医療分野で活躍してもらおうということでありますから、これは余り地域医療ということに直接絡むわけではない。

 それから、東北医科薬科大学、今五十五人とありましたけれども、これも、それぞれ県あるいは東北五県の方々が、いわば知事が要請をして枠をつくっているわけですね。その仕組みは、今のところ法律的な根拠がないものを、今回のこの法律では法律的な根拠を与えたということでありますから、逆に言えば、その五十五をもっとふやしていこうというふうに知事の皆さん方が思えば、それを法律的な根拠を持ってそれぞれの大学に要請することができる。

 そういった意味では、現状よりも、まさに今委員御指摘のように、新設医学部、新設医大の地域における貢献、これを一層進めていくことにもつながっていくものと考えております。

吉田委員 東北医科薬科のことは、今大臣、しっかり言っていただいたのでそれで結構です。ぜひ、地域のニーズに応えて、そういった運営をしていただきたいなと思います。まあ、運営は厚生労働省と文部科学省になるんですかね、大学ですから。

 ただ、大臣や政府の皆さんが、この国際医療福祉大学に国際人材、国際人材とおっしゃるので、そこを追加で聞きますけれども、メディカルツーリズムを含めたような、国際的な、グローバルに活躍できる医師を育てるという意味でいいんでしょうか、大臣。国際医療福祉大学。

加藤国務大臣 大学の設置なので、ちょっとそこまで私どもとして答える立場じゃないので。済みません。

信濃政府参考人 国際医療福祉大学、これは平成二十九年に設立されておりますけれども……(吉田委員「いや、もうそんな前置きは要らないので、端的に」と呼ぶ)はい。

 既存の医学部とは次元の異なる、国際的な医療人材の育成というのを目的にしている大学でございます。

吉田委員 いや、だから、メディカルツーリズムがどうかということと、はっきり申し上げると、いいですか、インド、マレーシア、タイとか、そういったところのメディカルツーリズムで活躍していた医者というのは、大体、特にインドはそうですけれども、アメリカで医師としてのトレーニングを積んでいます。私も何人かそういった方を、私自身がアメリカで指導したこともあります。そういう考えでいくと、国際人材というのは何なのかなと。海外で医者になる人材を育てるのか。

 メディカルツーリズムを担当する人は、今申し上げたように、海外でトレーニングしてきた医者がほとんど、日本で。実は、盛んな国ではそういう状況になっているんです。インドもそうですよ。タイもそうです。マレーシア、シンガポール。

 だから、そういう人材を育てたいんですか。メディカルツーリズムというものが国際人材なんですか。国際人材というのはどういう人材なのか、もうちょっと具体的に、簡潔に答えてください。

武田政府参考人 お答えいたします。

 具体的な例ということで申し上げますと、これはなかなか一概に申し上げることは困難ではございますけれども、一般論として、国際的な医療人材といいますのは、まずは国外で臨床や研究を行う医師、先ほど御指摘ございましたように、まずは国外で臨床や研究を行う医師。

 そのほか、WHO、UNAIDSなどの保健関連国連機関、グローバルファンドなどの非営利組織など国際的な組織で勤務する医師、国内のWHO協力センター又は国立国際医療研究センターなどの厚生労働省関連の研究所等で国際貢献に資する研究活動を行う医師、国際保健医療学会などの教育研究機関に所属し国際保健等の研究等を行っている医師、国際協力機構、JICAの技術協力プロジェクトの専門家、海外で起こった災害やエボラ出血熱等国際的に脅威となる感染症が生じた際に国際緊急援助隊などの枠組みで派遣される医師、具体的には、例えばこういうことが想定されております。

吉田委員 いや、本当にそういう趣旨の人材が育つかどうかというのは、本当に注目ですよ。局長、今、国会の委員会でおっしゃいましたからね。

 海外で活躍する医師というんだったら、アメリカで医者をやるんだったら、まずは、アメリカで医者をやると大抵帰ってこなくなるんですけれども、日本には。ステップワン、USMLEのステップワンの成績が極めて重要なので、そこをしっかり教育してくださいよ。そうじゃないと、アメリカでレジデント、フェローはできませんからね。そこを私、今度また質問等で追及していきますからね。そういうお答えをした以上は、ちゃんとそういう人材を本当に育ててください。はい、わかりました。

 本当にそういったお答えをしっかりされるんだったら、そういう人材が育つように我々もある一定程度期待をしますから、厚生労働省、文科省、しっかり一丸となって頑張ってください。

 では、ちょっと次のテーマに移りますけれども、本法案の趣旨である、過疎地の医療を守るという前提であれば、全部の自治体ではなくて、医療過疎地域の自治体と協議の上で、自治医科大学の定員の拡充をまず検討するべきじゃないかと私は思うんです。

 自治医科大学の卒業生というのは、本当に、島だとか離島で、医師がいない地域でしっかりとした診療を担ってくれる、義務年限の間担ってくれる大事な人材なんです。

 こういった法律をつくる前に、恐らくそれは誰もが賛成する案なので、自治医科大学、これは自治体との協議は必要ですよ。ただ、過疎地域、医師が足りない自治体だったら恐らく賛成はしてくれる可能性が高いので、そういったところと協議して、自治医科大学の定員の拡充をしていく方が実現性が極めて高いし、実効性が極めて高い政策だと思いますが、どう思いますか。

信濃政府参考人 自治医科大学ですけれども、これは、卒業後に出身都道府県に医師として従事する意思を有する学生に対して地域医療教育を提供するという設立の趣旨を踏まえまして、厚生労働省等の関係省と連携しまして、医学部の臨時定員増が開始されました平成二十年度におきまして、特別に十名の臨時定員増というのを認めております。

 これ以降も、原則として、臨時定員増というのは都道府県ごとに認めるというのが原則なんですけれども、自治医科大学につきましては、大学として、十名を上限に臨時定員増を認めるという特別な措置をこれまでも講じてきております。これらの結果、平成三十年度までに、合計二十三名が臨時定員増ということになっております。

 今後も、平成三十一年度の臨時定員増がございますけれども、これにつきましては、大学の意向について調査を行っているところでございまして、自治医科大学からの要望がありますれば、これまでの経緯も踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。

吉田委員 それは存じ上げているんですけれども、もっとやらないかということなんです、もっとドラスチックに。もっとドラスチックにやった方が、これはちょっと大臣にも本当はお伺いしたいんですが、こういう政策、厚生労働省としても賛同して、自治医大は実効性がありますから、自治医大の定員をふやすということはダイレクトに過疎地の地域の医療を守れますから、そういったことを、厚生労働省としても、ぜひ。しょぼいんですよね、ちょっと定員増が。もっとドラスチックに、国家として、こういう法律をつくるんだから、その前提としてやろうという姿勢を見せること。

 大臣、一言で結構ですので。

加藤国務大臣 定員の数をふやすというよりも、これまで増員をしてきた中で解消が進んでいなかった。そういった意味においては、既存の枠組みの中でいかに地域で働いている方をふやしていかなきゃいけないか。

 そういった意味では、先ほど申し上げましたように、各都道府県知事の御判断で、地域枠、地元枠の設定、これを権限を持ってやれるようになったわけですから、自治医科大学というのも、決して、一つの方法だと思いますけれども、既存のそれぞれの医学部において、そういった枠をふやし、奨学金をふやしていただく、そして、それによってそれぞれ地域で働いていただく、そういったやり方というのも一つの流れではないかなというふうに思いますし、そういった観点から、今回、法律としてそういったものも盛り込んで提出をさせていただいたということであります。

吉田委員 大臣、多分、大臣は現場をごらんになったことがもしかしたらないかもしれないので、あえて申し上げるんですけれども、大臣の言っている地域と、この自治医科大学が守っている地域というのは全然違うんですよ。自治医科大学というのは、本当に、もう限界集落みたいなところを含んだ、そういったところの医療を……(発言する者あり)先生、岡山ですから。加藤先生もそうですね。ごめんなさい。ただ、大学のことになると文科省ですから。これは総務省も関係しますかね、自治医大は。

 なので、あえて申し上げるんですが、並の過疎地じゃないところを守ってくれるんですよ、自治医大は。そういう意味で、本当に実効性があるし、本当に助かると思うんですね、その地域に住んでいる人は。なので、余りしつこくやると次にあれですから、ぜひ御検討いただいて。この自治医大というのは特殊な役割を担っていますので、そこをよく御勘案ください。

 それで、ちょっと逆の意味なんですけれども、自治医科大学を卒業してから、本来、地域医療を守るべく義務年限を果たさなきゃいけないわけですけれども、途中でやめちゃう方や、最初から任官拒否をする方がいますよね。

 これは、いただいたお金を返納とかするだけでやめられちゃったりするんですが、私は、これは国家政策としてやっているものだし、お金を返して済む問題じゃないと思うんですよ。誤解を恐れず言えば、やはり、さまざまな国家としての負担をかなぐり捨ててやってしまうので、変な話、罰金を二億円ぐらい課すとか、そういった形や、要は抑止力をつくるべきだと思うんです、結構やめちゃうので。

 私は罰金を取れと言っているわけではないんですけれども、こういった、自治医科大学を卒業したにもかかわらず、地域医療を担わずにやめちゃう方に対して、それを減らすための抑止力として、何かいい制度がないかお考えになったりされていますでしょうか。御開陳いただければと思います。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 自治医科大学は、僻地等の医療を担う医師の養成を図るため、私立学校法に基づき、全都道府県が共同で設立した私立大学であります。

 同大学の医学部卒業生については、卒業後九年間、僻地等の医療機関で勤務することが在学中に貸与された奨学資金の返済免除の条件となっており、その期間中に勤務を離れた場合には、奨学資金に加え、同資金に所定の率を乗じた額を同大学に返済することとされています。

 さきにも申し上げましたとおり、自治医科大学は全都道府県が共同で設立した私立大学であることも踏まえれば、卒業生が僻地等で一定期間勤務することを確保する方策については、自治医科大学及びその設立者である都道府県において検討されるべきものと認識しております。

 以上であります。

吉田委員 何にも答えずに、ただ総論を言っていただけですね、今。それは自治医科大学の説明じゃないですか。これはとんでもない答弁ですよ。

 私が言っているのは、そういった義務年限を果たさない人たちに対して、それは好ましいことじゃないんですよね、だったら、それを抑止するための方策を何か考えているのかということだけを聞いているだけであって、るる最初の説明なんというのは、全く私が聞いたことと関係ないし、私がさっきから言っていることじゃないですか。ちゃんとそれを答えてください。何もやっていないなら何もやっていませんで結構です。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたけれども、所定の率を乗じた額、これを同大学に返済する。その内容でございますけれども、この時世におきまして、年一〇%の金利を徴収することにしております。このような措置を講じながら同大学では運営しているということであります。

吉田委員 つまり、だから、さっきから言っている、お金の返済以外は何もやっていないということですよね。

 それじゃだめですよ。もうちょっとちゃんと工夫して、せっかく育てた、税金を使って育てているそういった方を、ちゃんと地域で活躍してもらうようにしてくださいよ。また今度質問しますから、一般質疑のときも含めて。

 いいですか、ちゃんとそういった方にやってもらうための抑止的な考えを、そんな、お金を一〇%乗じてどうのこうのだけじゃなくて、お金を返せば済むんですか。そんな形でいいんですか。国家の戦略として地域医療を守るためにやっている、そのための大学ですよね。それはやはりちゃんと、お金で解決なんという答弁じゃなくて、もうちょっとちゃんとお考えいただけませんか。

 じゃ、最後に、簡単にこれは数字だけ言ってください。ここ十年で義務年限の拒否者は何名ぐらいいるんですか。途中でやめる方も含めて教えてください。

 委員長、とめてください。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 大西大臣官房審議官。

大西政府参考人 平成三十年の三月末現在での返還者数は百十七名となっております。(吉田委員「それは何年でですか。十年間でですか」と呼ぶ)

 卒業生総数であります。四千二百五十二名に占める割合、それが百十七名、二・八%になります。

吉田委員 まあまあ多いですよね、二・八%。かなりの割合ですよ、毎年出てくると。

 やはりそれはちゃんと御対応ください。お金だけじゃなくて、もうちょっと制度として、別に罰金じゃなくてもいいですから、一旦ルールとして入った以上は、九年ですから、九年やれば自由にやれるわけですから。そこはやはり国民のために、医師たるものは頑張ってほしいなと。元副大臣もうなずいていただいているので、ぜひ。三重もそうですね。三重も、尾鷲とかあの辺は医者が足りなくて大変ですから。尾鷲市は産婦人科医いないですからね、市民病院。本当にそういったことをしっかりやっていただきたい。

 次に、ちょっと産業医のことを聞きます。

 産業医って、今、百五人の定員のうち三十五人ぐらい産業医にならないんですよね。これは結構衝撃的ですよね。産業医をこれまた育てるためにつくられた大学なのにもかかわらず。これは厚労省の所管ですよね、産業医大は。三十五人も産業医になりたくないと。これもまたお金を返すだけで、そういった状況になっている。

 これは結構ゆゆしきことだなと思って、私としては、この三十五人に、こういう法律で医師の適正配置を含めた診療科の偏在是正、地域の是正を目指すんだったら、そういった産業医、例えば、三十五人、産業医になりたくない人に対して、こういった道もあるんじゃないのといって地域医療で活躍してもらうとか、そういった第二の道を指し示すのも、百人中三十五人、産業医科大学で産業医にならないということを見たら考えてもいいんじゃないかなと思うんですけれども、いかがでしょう。どなたでも結構ですよ、お答え。これはちゃんと言ってありますよ、細かく通告してあります。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 今委員がおっしゃった、百五人に対して三十何人という数字ですから、三割ですよね。私どもの手元では、義務年限を果たした卒業生全体で見ると、八三・三%の人は産業医あるいは産業医科大学の教員、労災病院の医師等として、産業保健分野で中心的な役割を果たしているというふうに認識をしておりますので。まあ、まだ一七%ぐらい、されていない方もいらっしゃいます。

 そうした産業医として従事する意思がない場合には、貸与期間の一・五倍に相当する期間を産業医として従事した場合には返還が免除されるということですから、逆に言えば、その分お返しをいただくということになるわけであります。

吉田委員 大臣、済みません、三十五人というのは役所の方からレクで聞いた数字なので、私はそれを信用しただけなので。多分、もしかしたら、大臣、労災病院の方が入っているのかもしれませんね。もしかしたら、推測ですけれども、産業医じゃなくて、労災病院で働いている方を純粋な産業医がという意味だったら、多分、今の話と整合性がとれるので、そうかもしれません。

 ただ、やはり八十数%でも低いですから、こういったところも、産業医を育てるなら産業医を育てるでもいいんですけれども、こういった地域医療を守る役割なんかを逆にやりたいという方がいればそういった形でもいいんじゃないかなと。ただのこれは御提言をさせていただいただけなので、また御勘案いただければと思います。

 それでは、専門医制度に移ってまいります。

 専門医制度に関することですけれども、今回、専門医制度や医師の地域の偏在、診療科の偏在ということをテーマにこの法案はつくられていると思いますが、ある一定の病院の管理者、開設者に関しては地域医療への参画を義務づけるというか、そういった形でインセンティブをつけるというふうに法案は書かれていますよね。

 であれば、大臣、もうちょっと踏み込んで、できれば、例えば五年以上、過疎地域、ごめんなさい、どこでもいいです、医師が比較的不足している自治体とかでいいんですけれども、の診療を、二年でも五年でも結構ですが、例えば、ある一定程度、多分、大きな病院の開設者ということをこの法案は想定しているのかもしれませんが、一般の無床の診療所、全ての開業医になるに当たっての条件とかで地域医療を経験してもらう。

 これは、地域医療を経験して、物がある程度不足している状態で技量の研さんを積むという意味でも、医師を育てるという意味や、総合的な、ゼネラルな知識を持つ医師を育てるという意味でも有効だと思うんですが、特定の病院の管理者、開設者だけでなくて、全ての病院の開設者、管理者に、一定程度、地方での医師としての勤務を義務づけるという方にした方が、一遍に地域での医療が改善すると思いますが、大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 医師少数区域等で経験を積んでいただくということは、地域で医療を提供するという意味においてももちろん有用でありますし、また、多くの医師の方がそうした勤務をしていただくということ、これも経験としても大事なことでありますので、希望し、経験を積んでいただけるようにすることが望ましいと思います。今回のやつはそういう認定制度ということで、いわばインセンティブとして後押しをしようということも考えているわけでありますけれども。

 ただ、無床診療所を含めた全ての医療機関の管理者にこれを求めること、これは実は昨年の医師需給分科会においても議論されたんですけれども、これにはかなり御議論があって、委員のように、いや、いいことだと言う方もいらっしゃるし、他方で、まずこれをやってみて、その次に考えるべきじゃないかという議論もありましたので、今後の検討課題というふうには考えております。

吉田委員 絶対に議論が出ると思います。大臣のおっしゃるとおりです。それはわかっていて申し上げた。

 ただ、大臣がちゃんと、段階的にということも考えるということをおっしゃっていただいたので、安心しました。本当に危機的な状況になったら、そうするしかなくなるかもしれませんからね。それは、今回はこういった内容で、更に議論の上で進めていく、そういったことで結構です。

 では、時間がまだあれですけれども、いろいろ聞きたいことがあるので、一問だけ飛ばして、後で余裕があったらするんですが。

 続いては、本法案の専門医制度で、先ほどもちょっと別の委員からお話があったと思いますが、医師のプロフェッショナルオートノミーですね。大前提として、医師のプロフェッショナルオートノミーというものに関しては、本法案だけでなく、今後の厚生労働行政において、医師のプロフェッショナルオートノミーというのはしっかりと守っていただく中で制度設計を考えていただくという理解でよろしいですか。

加藤国務大臣 これまでは、主として、専門医機構をどうするか、そしてその中での新たな専門医の仕組みをどうするかということで議論がなされてきたわけでありますので、平成二十五年に取りまとめられた専門医の在り方に関する検討会報告書の内容を踏まえて、本年四月から開始をされ、その報告書にもあるとおり、新たな専門医の仕組みはプロフェッショナルオートノミーを基盤として設計させるべきである、こういうことでありますから、これを私ども、基本的な考え方というふうにして位置づけをしているところでございます。

吉田委員 わかりました。

 次に、本来は第三者機関としての独立性が担保されるべき日本専門医機構が、本法案だと、ある意味、厚生労働省の下請機関になるんじゃないかという危惧を多くの方が持っています。

 まず、日本専門医機構の独立性が担保されるのかどうかということをはっきり聞きたい。そしてまた、厚生労働省が行うのはあくまで助言、提案であって、指示、命令ではないですよねということを確認させていただきたい。

 つまり、極端な例ですが、厚生労働省の提案を、場合によって、そういった指示によって専門医の質の維持や向上に重大な問題が生じる可能性があると専門医機構が判断した場合は、日本専門医機構は拒否できますよね。

武田政府参考人 本法案における日本専門医機構に対する国の関与でございますけれども、本法案におきましては、医療提供体制に重大な影響がある場合に、厚生労働大臣が、都道府県知事の意見を聞いた上で、日本専門医機構に対し意見を述べる、こういう仕組みを盛り込んだところでございます。

 これは、日本専門医機構が毎年度定める研修計画が地域の医療提供体制の確保に配慮されたものとなっているかどうか、あらかじめ、医療提供体制の確保の責務を有する国や都道府県が確認した上で、必要に応じて意見を申し上げるものでございますので、研修計画が、専門医制度の設計や運営への関与を目的とするものではなく、日本専門医機構の独立性を侵すものではないと考えております。

吉田委員 独立性を担保されるということ。

 では、これは後で問いを用意していたんですが、専門医の質、つまり、医師としての、専門医としての質を維持向上させることと、地域偏在を、守ること、これが相反する状態になってしまったときというのは非常に困るわけですよね、専門医機構は。

 では、厚生労働省は、日本専門医機構を医師の偏在対策のための組織として考えているのか、それとも、医療の質や専門医の質を担保させるための機関と考えているのか、どちらでしょうか。お答えください。

武田政府参考人 御指摘の日本専門医機構でございますけれども、そもそも、設立の経緯は、この平成二十五年四月に取りまとめられた専門医の在り方に関する検討会報告書に基づき、学会から独立した中立的な第三者機関の立場から専門医の認定等を統一的に行うため、平成二十六年五月に設立をされたものでございます。

 新専門医制度が導入される前の医師の専門性に係る評価、認定につきましては、各領域の学会が独自の方法で専門医制度を設けて運用し、認定の基準の統一性、専門医の質の担保に懸念が存在したために日本専門医機構がこうやって設立をされたものでございますので、日本専門医機構に対してはそういった質の担保に対する懸念の解消を期待しているところでございます。

 また、医師と国民との間に専門医としての能力に関してその捉え方にギャップが存在したことから、それぞれの診療領域における適切な教育を受けて十分な知識経験を持ち患者から信頼される標準的な医療を提供できる医師として定義を統一化するなど、求められる専門医像につきましても国民との意識の差を縮小していくことを期待しているところでございます。

吉田委員 では、局長、整理をすると、今回、後で問いますけれども、地対協から厚生労働省にいろいろなデータやいろいろな具申が来ますね。厚生労働省から日本専門医機構に助言や指示をされるということなんですが、今の局長の御答弁だと、やはり一番大事なのは国民医療における専門医の質の担保であって、その質の担保をするために、医師の偏在対策として厚生労働省が指示することがそこにマイナスになると判断した場合は、日本専門医機構はその助言やアドバイスを敢然と拒否することができますね。はっきりとそこを、イエスかノーかで答えてください。

武田政府参考人 今回、法律に専門医機構に対する意見という規定が盛り込まれましたのは、医師法、医療法上、地域医療の確保という目的がございますので、地域医療との関係におきまして、今回御審議している法案について、研修計画が医療提供体制に重大な影響を与えることが想定される場合について、厚生労働大臣から専門医機構に対し意見を言う規定が入ったものでございます。したがって、研修計画の内容に当該改善意見を反映させるよう、専門医機構に対しては努力義務が課されることになっております。

吉田委員 そういう御答弁にならざるを得ないとは思います。わかりました。

 今回、こういう法律を出されるに当たって、確かに日本専門医機構が厚生労働省から助言をもらう立場となるのはいいと思います。これは、ただ、本法案を今整えていった中で、最終的にはやはり日本専門医機構というのは独立独歩で、専門医の質の担保や専門医をある程度、一定程度バランスよく配置をするということに対して責任を持っていく機関になるべきだと思いますが、最終的にはどうなんですか。ずっとこれは助言をもらい続けるんですか。ある一定程度整ってきたらもうちょっと独立性をしっかりと担保していくんですか。どうでしょうか。

武田政府参考人 新専門医制度それから専門医機構については、新しい制度でもございますので、この発足に際しまして、地域、特に都道府県からさまざまな懸念の声もあったところでございます。

 それを背景といたしまして、私ども、今回の法律にこのような規定を盛り込んだところでございますが、専門医制度が地域医療にも配慮する形で定着をしてくることになればおのずと意見を言うという機会は減少することも考えられますけれども、制度的にはこのような仕組みが将来ともに必要だ、こういうことではないかと思っております。

吉田委員 わかりました。

 本年度の専門医制度における専攻医のシーリングに関して確認をさせてください。

 これはちょっと大臣に聞きたいんですが、本年度の各診療科のプログラム施設の定員に関して、東京、神奈川、愛知、大阪、福岡の五都府県で急遽厚生労働省が専門医制度や学会に指示する形でシーリングがかかって、既に内定していた多くの方が急遽遠く離れた地域での専攻医としての勤務を強いられたり、診療科の変更を強いられました。ルールを通り越して、厚生労働省が直接、専門医機構の頭ごなしに各学会に連絡を指示したなどということも仄聞をしているんですが、これはいかがなものでしょうか。また、人生にかかわることでもありますので、大臣の御見解を求めます。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 武田医政局長。

武田政府参考人 専門医制度のシーリングの設定についてのお尋ねでございます。

 平成三十年度から開始された専門医制度につきましては、厚生労働省におきましても、地域医療に責任を負う立場から、平成二十九年四月に今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会を立ち上げ、日本専門医機構に対して、都市部における診療科ごとの専攻医の定員について、過去五年間における専攻医の採用実績の平均人数を超えないようにすることなど、地域医療への配慮を求めてきたところでございます。

 その結果として、日本専門医機構においては、東京、神奈川、愛知、大阪、福岡の専攻医総数の上限を、原則として、過去五年間における専攻医採用実績の平均人数を超えないものとすることとしたと聞いております。

 この規定の策定に当たりましては、各学会が過去五年の専攻医採用実績の平均値を算出し、それらを根拠として日本専門医機構においてシーリングを設定したものと承知をしております。

 学会との関係、今、御質問ございましたけれども、私ども厚生労働省といたしましても、地域における医療提供体制の確保に責任を有するという立場から、当該シーリングに関しまして、今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会、この検討会におきまして、日本専門医機構に対し、専攻医の採用定数について報告を求めてまいりました。

 また、この内容につきまして、個別に学会に対する実態の確認も行ってまいりましたが、いずれにいたしましても、地域医療の確保に対する必要な配慮ということを専門医機構に対して求めてきた、そういう経緯でございます。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 今、局長からも答弁させていただきましたけれども、私の今の認識として、そのシーリングの数字自体が変わったということではなくて、シーリングをしっかり守ってほしい、そういう趣旨のやりとりがあったということでありますので。

 いずれにしても、一方で、専門医をつくるということと、他方で、これによって地域的な偏在が起きてはこれもやはりまずいわけでありますから、そういった観点からシーリングも設定をされているので、その設定に沿ってそれぞれが対応していただくということが大事だろうというふうに思います。

 いずれにしても、厚労省としても、日本専門医機構あるいは関係学会とも引き続きよく連携をとりまして、一番困るのは専門医になりたいという方々でありますから、そういった方々にそうした混乱が生じないようにしっかりと対応していきたいと思います。

吉田委員 この問題を余り追及すると、これだけで一時間ぐらいはかかりますので、ちょっと省かせて。ただ、今回これはかなり大きな混乱が大臣あったということは御理解いただかないといけません。

 では、ちょっと追加でそこの関連で伺いますと、これは局長で結構です、これもちゃんと通告してありますが。今回、シーリングがかかったときに、要は、大学があふれちゃった子に対して、地域に行っていただいたりする中で、学会がプログラム施設に対して、来年はちゃんとプログラムを今回削った分をふやしてあげるよなんという空手形を切っているんですけれども、シーリングを守るという観点だと、それはできないですよね。

 今回のシーリングが大幅に増員されたりすることというのは診療科ごとにあるんですか、局長。基本的にはもうこの数字でいくということなんですよね。お答えください。

武田政府参考人 この新専門医制度のシーリングのあり方でございますけれども、この新専門医制度については、そもそも発足の際に、地域医療関係者から、都市部への専攻医が集中することにより医師偏在が助長されるのではないか、こういう地域医療への影響を強く懸念する声もございましたので、開始が一年延期をされたという経緯もございます。そういう経緯もございまして、ただいま御指摘いただいたようなシーリングのあり方が設定をされたところでございます。

 このシーリングのあり方につきましては、今回におきましても、検討会の意見を踏まえて、日本専門医機構において設定をされたものでございますので、引き続き、日本専門医機構において適切にシーリングを設定していただきたいと考えておりますけれども、今後改めて、検討会の意見も踏まえながら、専門医機構、関係学会と協議を重ねてまいりたいと思います。

吉田委員 微妙な御答弁ですね。つまり、ふえる可能性もあるという理解でいいんですか、今後。

 でも、明らかに本法案で、精神科だとか放射線科だとか麻酔科とか耳鼻科とかはふえていて、ほかをふやさなきゃいけないと言っている中で、シーリングにかかっている科も多くそういう科が入っているわけですよ。そういうところを現実的にまたプログラム施設としてふやすことを厚生労働省としては容認できるんですか。一言で答えてください。

武田政府参考人 御答弁差し上げているように、地域医療の確保という観点が私どもの観点でございますので、そういった観点からは、医師偏在の是正に資するような形で専門医制度も考えていただきたいということでございますけれども、一方で、プロフェッショナルフリーダムという観点もございますので、私ども、日本専門医機構と引き続き、プロフェッショナルフリーダム、それから地域医療の確保という両方の観点が尊重されるように努めてまいりたいと思います。

吉田委員 わかりました。

 これは関連した項目ですけれども、現在、都会に存在する大きな大学の医局が、比較的人員に余裕を持っている医局が、医師を必要とする地域に、関連病院に医師を派遣している実情があるんです。いいですか。田舎の医療というのは、都会の例えば東大、旧帝国大学を中心とした大きな医局が多くの医局員を抱えて、それを過疎地や地域の医療を守るために関連病院に派遣しているということなんです。私の母校の名古屋大学も、かつては秋田とかに医者を送っていたり、そういったこともありました。

 そういう中で、今回、全体的な流れを把握せずに、一元的に都会におけるシーリングをしてしまって、都会におけるプログラム施設の定員をがちがちに決めてしまうと、こういった、今医者を派遣している医局の機能が破壊される可能性が高いんです。わかりますか。だから、地域医療を守るために頑張ってくれている医局や組織が医者を集められなくなると、必然的に、今まで送っていた遠くの病院に医師の派遣を停止せざるを得ないんです。

 つまり、都会を余り絞ると、逆に田舎の過疎地域の診療を守れなくなる可能性が高いんですが、ここに関しては、大臣、どう思われますか。

加藤国務大臣 シーリングがかかっている都市部から比較的医師の少ない他県に専攻医を派遣している例も、これは今委員御指摘のようにあると思いますが、ただ、先ほど局長からもお話し申し上げたように、五府県のシーリングについては、過去の採用実績を勘案して基準等つくっているわけですから、それに基づいて現状派遣がなされているということでございますので、これまでと比べて都市部の医師が、あるいは専攻医が大幅に減少し、派遣も減少するということには、すぐにはつながらないのではないかというふうに考えています。

吉田委員 そこは大臣、よく状況を見て、局長もしっかりと現実を見ていただいて、対応していただきたいと思います。

 では、これは全般的な問題になってしまうんですけれども、今回の法案で、実質的に各診療科の定員制がしかれるんじゃないかという声があります。つまり、これからは希望する診療科の医師になれなくなっていく時代なんじゃないかと危惧する声があるんですが、ここは、大臣、どうでしょうか。

武田政府参考人 今年度、四月から開始された新専門医制度におきましては、専攻医はみずからの判断で診療科を選択し、日本専門医機構にプログラム認定され、診療科ごとに決められた基幹施設において研修を行うこととしております。

 また、専攻医の研修の機会が阻害されないように、妊娠、出産、育児、また海外への留学等により研修を中断せざるを得ない医師に対しても、六カ月までの中断であれば研修期間の延長を要しないこととする、六カ月以上の場合は、中断後、研修に復帰した際に、中断前の研修実績は引き続き有効であることなど、研修機会が阻害されないような配慮についても求めているところでございます。

 本法案におきましては、厚生労働大臣が日本専門医機構等に対し、医師が研修を受ける機会を確保できるようにするための必要な措置の実施についても要請する仕組みを盛り込んだところでございますので、この仕組みも活用し、専門医機構と連携して、専攻医が新専門医制度の基幹病院を適切に選択できるよう配慮してまいりたいと思います。

吉田委員 局長、全然そんなこと聞いていないですよ。大臣、笑っていますけれども。大臣、ちょっとお願いしますよ。そんなこと全然聞いていませんから。

加藤国務大臣 先ほどの議論で、シーリングしているのはたしか五都県ですかね、五都府県かもしれません。ということですから、例えば、それ以外のところではシーリングはないわけでありますので、当然、そこでこの診療科目ということになると、シーリングがあってできない場合はありますけれども、その診療科目を専攻したいという方が、そこ以外でその専攻をするということは可能になるということであります。

吉田委員 そこを大臣のお答えがいただきたかったんですよ。

 だから、診療科自体の定員制になると、やはり職業選択の自由とかそういうこともなくなっていくので、それを聞いて、大臣にお答えいただきましたから、場所を選ばなければ好きな科になれるということは担保していただく、今後もそういった形だということで理解させていただきました。

 地対協、地域対策協議会、聞かせていただきたいですね。これは、地元の医師会、大学、アカデミア、自治体で組織されると聞いておりますが、実際、どういう形の組織になっているのか、若しくはなっていくのか。

 あわせて質問させていただきますけれども、現時点で、福岡県のような人口の多い自治体でも、全く地対協、開催されていませんよね、ゼロ回。これはいかがなものですかね。更に言えば、今回のシーリングでも福岡県はその対象県であったわけです。対象県であった福岡県で地域対策協議会が全く開かれていないことも問題だし、また、地域対策協議会はどんな役割を示していくのかをお答えください。

加藤国務大臣 現行の医療法においても、各都道府県は、医師確保対策について、地域の医療関係者と地域医療対策協議会において協議するということになっております。

 平成二十四年度から二十八年度までの五年間で、地域医療対策協議会を全く開催していない県が実は七県存在をしておりますし、開催頻度の低いところもあります。それは、ある意味では、都道府県が主体的、実効的に対策を行う体制が十分整っていないということにもなるわけであります。

 原因としては、都道府県によっては、地域医療対策協議会の構成員が多岐にわたって、必ずしも医師確保に直接関係ない者が含まれ、効率的な会議の運営や調整がなかなか難しくなっているという事情。

 また、地域医療対策協議会において定めることとされている地域医療対策の内容と、都道府県が決める医療計画において医療従事者の確保に関する事項として定める内容との関係性が必ずしも整理がされていなく、地域医療対策協議会において協議すべき事項が不明確であること。

 地域医療対策協議会や地域医療支援センター運営委員会を含め、医師確保に関する会議体が複数存在をしておりまして、その中の整理が余りなされていない。そういった理由が考えられているわけであります。

 このため、今回の改正案では、医育大学や医師会、主要医療機関などを構成員とする地域医療対策協議会を、医師確保計画に定められた医師確保対策の具体的な実施のための協議を行う場として法律的に位置づけ、地域枠を中心とした医師の派遣調整、派遣医師のキャリア形成支援などについて関係者間で協議をし、この協議結果に基づいて医師確保対策を実施するということまで法律に明記をしたところであります。

 さらには、地域医療センター運営委員会など類似の協議会も廃止をし、地域医療対策協議会に一本化するということとともに、都道府県が実施する医師派遣等の対策は、地域医療対策協議会において協議が調った事項に基づいて行うということを求めることにしておりますので、今後は地域医療対策協議会の位置づけもはっきりをし、それによって実効性が高まり、また定期的に開催されていくものというふうに考えております。

 また、厚労省においても、都道府県における地域医療対策協議会の運営状況、これをしっかりフォローアップして、適切な運営が図られるよう支援をしていきたいと考えております。

吉田委員 まだ半分ぐらいしか、準備した質問が。

 最後に、ちょっとこれは女性医師の問題も絡むし、産婦人科のことだけ一つ聞かせていただいて終わりにしたいと思います。

 産婦人科って、この法案で是正されるといいと思うんですけれども、本質的な問題はやはりいろいろなものがあるんです。

 例えば、ある年に、産婦人科、男性五十人、女性五十人が入局してくれたと思います。大体、入局する歳は、若くて二十六歳なんですよ。結婚、出産、育児を経て、十年後、産科医療、お産をしてくれている男性医師は五十のうち四十五から五十ぐらいいます。ただ、女性は、五十人入局しても大体五人ぐらいしかもうお産を担っていなくなってしまうという現実があるんですね。

 つまり、トータルだと、百人産婦人科医になっても、実際にお産の方で稼働してくれている、ほかの婦人科とかはいろいろあるんですけれども、お産で稼働している方が五十、五十五人に十年でなってしまう。こういった問題がやはりあるわけです。

 これは女性医師が今ふえているという問題も含めての問題なんですが、本法案、まずはこの産科のことだけ最後聞かせていただきますが、こういった現状を見て、大臣、本法案に加えて、産科医療を守るために何が必要か。どう思われますか。

高鳥委員長 既に申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

加藤国務大臣 今、全般的に女性の医師あるいは医学生の方がふえてきていますから、そういった皆さん方が、それぞれのキャリアの中においてしっかりと医師として仕事ができる、そういう環境をしっかりつくっていくということがまず必要だというふうに思います。

 その上で、産科等、今、割とこういう医師の希望が少ないところというのはかなり忙しくて大変だという印象もあるわけでありますから、やはりそこを改善していくということが大変大事じゃないかなというふうに思います。

 また、やはり、どういう理由でその診療科目を選択しているのかという、臨床研修修了者に対する、これはちょっと平成二十三年のアンケートですけれども、やりがいがあるとか学問的に興味があると、キャリア形成のメリットを指摘されている方もいらっしゃいますけれども。

 やはり必要な情報が、医師として働くときにどうサポートがあるのかということも含めて、しっかりと提供されていくということが必要だろうというふうに思っております。ですから、そういった支援をしっかりしていく。

 それから、また別途お話をさせていただきましたが、診療科ごとに、地域の特性に応じた将来必要な医師数の見通しについても、これを示すことによって先行きも、その分野がどうなっていくのかという見通しも持っていただく。

 こういったことが相まって、女性の皆さん方が引き続き医師としてその志を貫いていただく、また産婦人科等の偏在、これにもつなげていきたいと考えています。

吉田委員 時間ですので終わります。ありがとうございました。

高鳥委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。池田真紀君。

池田(真)委員 立憲民主党の池田真紀です。よろしくお願いいたします。

 まず冒頭、先ほどからもございましたけれども、先週から甚大な被害をもたらしました豪雨で亡くなられた方々への御冥福と、そして今もなお被災に見舞われている方々へのお見舞いを心から申し上げたいと思います。

 そして、やはり、この暑さですし、まだまだ行方不明の方々がいらっしゃる中で、一刻も早い人命救助を第一に、そして政府を挙げて、厚労省を挙げて取り組んでいただくよう、私もお願いを申し上げたいと思います。

 そしてもう一方で、つい先週を振り返りますと、大阪北部の地震の発災直後、やはり、この間、地震についての防災といいますか、取組がかなり進んできたというふうに実感しておるところでございます。

 この発災直後の三日間での各政府の方、省庁の情報というのはかなり集約をされていたというふうに思っております。しかし、今回の場合は、非常に広域ということでもございますし、私も、知人や親族も含めまして、まだまだ孤立した状態で、道も寸断されて、ヘリも来なければ避難所にも行けないというような状況におりますので、情報の収集というところがまず第一なのかなというふうに思っております。

 本当に非常に大変だとは思いますけれども、これはみんなで、与党、野党一緒になって取り組むべきだというふうに思っておりますので、ぜひそこは第一に取り組んでいただくようにお願いを申し上げます。

 そして、この暑さですから、まず、避難所にたどり着いた方々は、これからの熱中症対策ですとか、あとは次の、二次被害とかADLの低下とか、一刻も早い、いい環境のところの整備といったものにも取り組めるようにと思っております。

 特に、大阪のときには、自衛隊の方々が物すごい早い出動をされておりましたけれども、残念ながら、ミスマッチといいますか、施設の方に、特別養護老人ホームの方に行って、通常の入浴のところが清拭で終わったというようなところがありましたので、そういう意味では、そういうマッチングといったものが非常に重要になって、さらに、今度は広域になりますから、そのコーディネートがいかに重要かというところがキーだと思います。そういう災害弱者といったものは、やはり厚労省といったところで、とてもその辺の配慮をお願いをしたいというふうに思います。

 あと、もう一点。これから夏休みに入ります。多くの方々が災害ボランティア等で、日本のいいところだと思いますけれども、多くの方々がそういう支援に入ろうと思いますが、やはりそこでのコーディネート、ボランティアコーディネートが非常に重要だと思いますので、物資だけではなく人的なところ。

 そして、もしよければですけれども、ここでは判断できないと思いますけれども、ぜひ政府を挙げて御検討いただきたいなと思っているのは、JR等の、特急料金とか新幹線は別ですけれども、ボランティア保険に必ず入っているということが大前提であれば、とにかくみんなで一刻も早く支援を求めるということで、そういったところも軽減なども御検討いただければというふうに思っております。

 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。

 きょうは医療法ということで、午前中の質疑にもございましたけれども、やはり、偏在化するところ、希望する医師のみを対象としているような施策というように、私、文言の方でちょっと気になるんですね。

 医師の少ない地域での勤務を促す環境整備というところなんですが、丁寧に読んでいくと、希望する医師というふうに書かれております。ここの対応について、そしてさらには、これが希望する人だけなのかどうかということをお伺いをまずはさせてください。

武田政府参考人 お答えをいたします。

 本法案で創設する認定制度でございますけれども、これは、医師の少ない地域等で一定期間以上の勤務経験を有する医師であって、認定を希望する方を対象とする制度として考えているものでございます。

 平成二十八年度に実施した医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査というのがございますけれども、これによりますと、医師の約半数、四四%の方が今後医師の少ない地域等で勤務する意思がある、ただ、それにもかかわらず実際の勤務につながっていない、こういう現状が把握されましたので、こういった現状を踏まえまして、まずは、強制的に勤務させる仕組みではなく、医師が医師の少ない地域での勤務を不安と感じる原因となる障害を取り除く環境整備を行うとともに、医師が少ない地域での勤務を促すインセンティブを高める対策を講じることとしたところでございます。

池田(真)委員 やはり、希望するというのが前提ということなんですが、ためらう理由というところで、労働環境ですとか、あとは教育とか介護とか、そういうところが地方への勤務といったところをためらう理由に挙げられているかと思いますが、そういったものがないのが、僻地という言い方がどこまでというところはあるんですけれども、日本じゅう、北海道もほとんど僻地みたいな感じですし、私の選挙区内といいますか地域では、道央圏といいますか、札幌も含むところでありますけれども、でも、かなり僻地と言われるような環境の中で、人材不足、もう本当に人がいないような状況ですから、そういったところでの医療を受けるためには、希望だけではなく、全体像を見て何か調整をするといいますか、国がバックアップをするというようなことを求めていかなければ、なかなかそういうところには、行ってくださるお医者さんというのは少なくなってしまうのではないかなというふうに思っております。

 今回のところでは、知事の権限というところが強められているかと思います。それは必要以上に病床数が減るだろうと見込まれているところについて新規を認めないというところだと思うんですけれども、そうではなくて、先ほど言っていた、医師がいない地域へのコーディネートといったところへの権限といったものはできないものでしょうか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 私どもも医師の偏在対策につきましては長年議論をしてきたところでもございますし、また、この法案の審議に際しましても検討会の御議論をいただいたところでございまして、その中で、強力な偏在対策として、今お話のございましたような、ある意味強制的に勤務させる仕組みといった御意見も出ているところではございますけれども、他方で、地域で働く医師個人や、地域の意向や希望等も踏まえて検討する必要があるというふうに考えているところでございます。

 さまざまな御意見がある中で、今回は、希望する医師が約半数いらっしゃるということを前提に、後押しをさせていただく仕組みをとるとともに、今も御紹介ありましたが、勤務をためらう要因といたしましては、労働環境に不安があるとか、子供の教育環境が整っていない、家族の理解が得られない、専門医等の資格取得が困難である、こういったさまざまな声があるということでございますので、こういった障壁を一つ一つ取り除きながら、そして今回の法案にありますようなインセンティブを強めることによって、まずは医師偏在の対策をとってまいりたいと思っております。

池田(真)委員 これは引き続き、現状というか実績を見ながら、また再検討をぜひしていただければというふうに思っております。

 希望だけに頼ると、こちらの方は民間も含むということですけれども、例えば、福祉事務所の生活保護のケースワーカーは、多くの自治体職員の中で希望する職員がほとんどいないというか最悪のランクなんですが、私みたいに、珍しく、行くという人は本当に限られているんですね。

 でも、配属をするから一定の人数はいるわけですし、まあ、それがいい仕事になるかどうかは別ですけれども、まずは人数確保というところから医師不足というのはございますので、ぜひそういう方法も、配属というようなところも視野に入れていただければなというふうには思っております。まず今の現行のものを進めていく中で、また見直しをしていただければというふうに思っております。

 それでは、次の質問ですが、今回の法改正に直接的には関係はございませんけれども、一方で、病院の整備というところで関係するので、お伺いをしたいと思います。

 自治体病院についてになります。

 先ほどまでは、ちょっと過疎地というか僻地というか、非常に人もいない、そういうところでの医療をどうするかというようなところの対策だと思います。しかし、今ちょっと私が質問をさせていただきたいと思うのは、一極集中みたいな大きな都市があって、そこの周辺に隣接する自治体の中での自治体病院です。

 そこの近隣での自治体病院の意義といったものが、この間もずっと、いろいろ研究も含めて問われていたかと思いますけれども、民間であれば、経営改善をしたりとか、あるいは、赤字だなと思えば撤退を早いうちにしたりというような判断がつくかと思うんですが、残念ながら、自治体病院は赤字でもやめることができない。

 必要だというのは、もちろん過疎地や僻地というのは行政の一つの役割というところだと思いますが、隣接する地区というのは、ただただ赤字を積み上げる実態というのが結構出てきておりまして、こういったところでは、人口の規模によって判断は難しいかもしれませんが、例えば、毎年一般会計から十四億円も繰入れをして、財調の方も底をついてしまって福祉の施策の切捨てが進んでいるとか、あるいは、レセプトの分析、開示を求めても、自治体の方が拒否をする、病院の方が拒否をするというような自治体もあるわけなんです。

 ですので、こういう改革のための重要な資料となるようなレセプトの分析、開示というのを国が自治体に指導するとか、経営の中身まで踏み込めるかどうか、この存在意義とか、そういったものについての国からの自治体病院への助言とか指導、あるいは、今行っている対策や対応というのがございましたら教えていただきたいと思います。

武田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘をいただきました公立病院の赤字病院がかなり存在をするということについては、認識をしております。

 そして、一義的には総務省の方で所管をしておりますので、そちらの方で公立病院改革ということが進められているというふうに承知をしておりますけれども、私ども厚生労働省的観点におきましても、地域における医療機関が赤字である場合につきまして、赤字ということそのものに加えて、なぜそういうふうな財政状況になっているのか、それが地域における医療ニーズにしっかり対応したものになっているのかどうか、こういう観点から議論が必要だというふうに思っております。

 二〇二五年に向けて、全ての患者が状態に応じて必要な医療を適切な場所で受けられるように、各都道府県において、二〇二五年の病床数の必要量の推計を盛り込んだ地域医療構想を策定をしていただいておりまして、現在、地域ごとに病床の機能分化、連携に向けた取組を進めていただいております。

 この中で、地域によりましては、公立病院についての機能分化、連携を図り、それによって機能の強化、そして医師確保、財政についても改善が図られている地域もございます。

 こういう進んでいる地域の状況も各都道府県に提供しながら、また、御指摘ありましたように、そもそもどういうニーズがあって、どういう機能を果たしているかという病院ごとのデータにつきましても、可能な限り地域医療構想調整会議の場に出て、それぞれの地域の議論をすることが必要だと思いますので、我々もデータ提供をしたいと思いますし、各病院においても自分の病院のデータを出しながら、地域において話合いを進めていただきたい、このように思っております。

池田(真)委員 ありがとうございます。

 例えば、地域によりますと、一極集中の都市のところに自治体病院があるんですが、都市の方に民間もたくさんありますね。隣接している隣町のB市の自治体病院の方では、入院率が五二%で外来が八〇%、だから、外来はニーズがあるんだなというのがわかります。一方で、C市は、自治体病院の方は三七%で外来六〇%、D市の方は三八%というような入院になっていて、こういう数値から見ても、民間の方の、腕がいいと言っちゃいけませんけれども、そういうような、皆さん、例えば手術をするんであれば、少しでも情報を仕入れて病院を選んでというところでは、一極集中の都市型のところで病院を選択していくのであろうというふうに思います。

 ただ、同じような形で何も改革をしていないのが自治体病院で、特に首長さんたちも恐らく怖いんじゃないかと思います。なくすという判断も当然難しいでしょうし、じゃ、機能をどうやって変えるのかというときに、やはり、ちょっともう少し広い視野で、広域なところで、国からの先進的な事例も含めて助言等をいただいて、ぜひ自治体が発想の転換とか改革のきっかけとなるような、厚労省からの働きかけで自治体のモチベーションアップになるような取組をぜひこれはお願いしないと、財政の問題ではなくて、必要な医療が受けられない、改革しないと。

 自治体だから本当に改革しづらいと思いますけれども、地域の中での外来ニーズ、通えなくなったらどうするの、じゃ、バス回しましょうとか、そういう発想の転換を求められている。地域としての自治体のニーズといったところへ、ぜひ御助言を、本当にこれは強くお願いしたいんです。

 お隣にいらっしゃいます定塚局長が、生活困窮者自立支援法の取組なんかでは、かなり先進的な事例を国の方からも提示をしたり、あるいは広げていただくような活動もしていますので、ぜひ、自治体病院についても、そういうようなことをお願いしたいというふうに思います。

 それでは、次の質問でございますが、生活保護受給者の受診の状況で、かなり前だと思いますけれども、岡本委員が質問をしたことがあったかと思います。

 きょう配付をいたしました一番の資料になりますけれども、一〇〇%生活保護の方の件数という割合が、二十五年と二十九年で重複している医療機関が十一件で、件数も余り変わっていないというような状況があります。

 この実態、数字だけからはいろいろな分析は難しいかもしれませんけれども、こういった病院について、状況調査とか、あるいは何らかの指導助言等されているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

定塚政府参考人 お配りいただいた資料のデータでございますけれども、生活保護受給者の割合が高いというだけで、必ずしも不適切な診療を行っている機関であるということは言えないわけではございますけれども、一つの参考情報という形で、社会保険診療報酬支払基金のデータから把握をしているものでございます。

 先般、岡本議員からの御質問のときにも説明させていただきましたが、ここの分母となるレセプトには国民健康保険と後期高齢者医療制度が含まれていないという状況でございます。

 医療扶助を実施する指定医療機関の指導監査については、基本的には都道府県等が行っているものですから、都道府県等が、医療機関の選定に当たって、このような情報を参考にして個別指導していただくということとしているわけでございます。

 岡本議員の御指摘もありまして、いただいた二十五年、二十九年のいずれのデータでも生活保護の件数割合が一〇〇%となっている、これはお配りいただいた資料の一番右の欄、合計で十八件となっていますけれども、この医療機関の状況について、都道府県等に確認を行っているところでございます。

 幾つかの地方自治体において、これらのデータについて、国民健康保険、後期高齢者医療保険のレセプト情報との突き合わせを既に行っていただくなどの追跡調査を行っていただいているところでございまして、この結果、国民健康保険、後期高齢者医療保険を合わせてもなお生活保護のレセプトが一〇〇%であるというところは、少なくとも一件存在するということを把握しているところでございます。

 なお、ほかの医療機関も含めまして、十八件の医療機関の状況でございますが、都道府県に確認したところ、入院患者のほとんどが高齢者であって、生活保護受給者以外は国民健康保険又は後期高齢者医療制度の被保険者である、この場合、生活保護の割合というのは低くなるわけでございますけれども、高齢者が中心であるというところ、あるいは、特別養護老人ホームを運営する社会福祉法人がその施設の近くに設置している医療機関であるといったこと、あるいは、緊急連絡先がなかったり保証人がいなかったりする生活保護受給者の患者の受入れに理解があって多くなっているというような、このような理由が上がってきているところでございます。

池田(真)委員 この数値だけではなかなか難しいので、厚労省の方では、自治体の方に、数値を提供して参考にというようなことでの調査依頼ということでしょうけれども、悪徳もあるかもしれませんし、あるいは、そういう状況に置かれているその背景といったものに本来は支援が必要かもしれないので、こちらの方は、生活保護ということもありますので、更にちょっと分析、調査の方をぜひぜひお願いをしたいというふうに思います。引き続きよろしくお願いします。

 それで、次でございますけれども、国民健康保険の未加入といいますか、滞納を含めて、未加入、無保険といいますか、そういう方々の状況について、外国人の場合は、医療機関の方ですね、未収金対策といったものが予算措置もされておりますし、今回また改めて制度の方も見直していこうというところだとは思いますけれども、もう一度ちょっと、日本人の方、国内の方もこの状況は把握をしなければいけないのではないかなというふうに思っております。

 それで、きのうも厚労省の方においでいただいて、国保に加入していない方の統計等あるかどうかというか、ちょっとその状況を教えていただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 国民健康保険でございますけれども、御案内のように、市町村に住所を有していて、被用者保険の加入者あるいは生活保護の被保護者でない方が加入をするという義務があるということでございます。市町村では、そういった方々について、国民健康保険に加入していただけるように、例えば住民登録の際に手続を御案内するなど、各般の取組を行っているところでございます。

 一方で、今のお尋ねの関係で申しますと、例えば、住民登録をやっていない方、住所を持っていない方というのはどうしてもつかむことができません。そもそも把握困難でございます。したがいまして、それが何人いらっしゃるのかといったことについては、私どもも統計的に把握をしていないところでございます。

 ただ、市町村の方では、そういった方々も含めて、できるだけ適切に、適正に国民健康保険が適用できるように取り組む努力をしていただいている、こういう状況でございます。

池田(真)委員 最初申し上げました、医療側は、医療機関側の未収金の問題だけではなくて、やはり、国民健康保険、みんなとにかく保険は入りましょうということで、さらに、社会保障の中での支え合う仕組みという中で、これが果たしてこれから人口減少等を含めて機能していけるかどうかという、制度設計として、状況把握をすることというのは非常に重要だと思っています。

 今の統計では難しくても、いや、ちょっとおかしいかもというふうにやはり思ってデータをとろうとしなければいけないのではないかなというふうに思うんですが、例えば、二番であれば、各保険が、人数が大方出ておるわけでございますよね、そこから漏れている方々の人数はどのぐらいなのか。

 あと、三番では、こちらの方では、大阪の堺市の調査で、左側ですけれども、ここの調査の中でも、国民健康保険に加入していないと答えた学生がいましたよというふうに、存在をしています。

 右側の方は厚労省の資料で、こちらは、二十八年度の全国ひとり親世帯調査の中の、健康保険に加入していないというのが、まあ、パーセンテージは一桁ではございますけれども、このぐらいの人たちが実際、数値として把握ができている状況かと思います。

 もう一つ後ろのページをめくりますと、四ページの方にありますが、右側がまた新聞の方ですね。こちらは、生活保護の子供の部分で、世帯分離の問題が書かれている中にこっそり入っているんですが、ここの中でも、世帯分離によってどういう、子供たちの収支の状況はわからないという話で線引きもされておりますけれども、左側にありますように、これは厚労省の通知です。収支の状態とか世帯分離要件がふさわしいかどうかといったものは毎年一回検討を必ず行わなければいけない、実施機関の中では、ということなので、どのぐらい借金を抱えているのかということは推測ができるし、把握はしなければいけないという状況です。

 五ページ目になりますと、今度は生活保護ではない人になりますけれども、今、大学生の二人に一人が奨学金というふうに言われていますが、その中で、奨学金の返済で親御さん等が自己破産になってしまうという例がここのところ多いわけであります。

 また、右側の方では、不適正事例ということで、生活保護の案内のところで、妊娠が判明したときに、案内が不足していたという等あります。

 この後ろの方、またもう一枚めくっていただいて、六ページ目にあります上の段なんですが、上の段は、こちらは平成二十七年だったと思いますが、千葉県の銚子市で中学二年生の女の子がお母さんに首を絞められて亡くなられたという事件がありました。いわゆる、つい先日からありました児童虐待の、心中の中の一カウントだとは思いますが、その中で、ここの方も、医療にかかれなかった、国民健康保険に入っていなくて滞納していたということがきっかけで、役所にも行きましたというようなことがあります。

 ということで、国民健康保険、入っていない若い人も高齢者も、本当に肌感覚で、すごく多いんですね。病院から、急遽、そういう状況なのでということで生活保護になったりとか、その手前であれば、被保険者証の、資格者証の方ですね、発給してというようなことであったり、また制度を使うというようなことがあるんですが、この実態は、結構、把握をしなければ、今後の制度設計の中でも非常に問題になってくるのではないかなというふうに思っています。

 下の方に、生活困窮者自立支援法、これが最新版なんですけれども、ここの中でもこれだけ滞納の方たちが、国民健康保険滞納世帯数約三百十一万世帯というふうに書いてあるので、いろんなところで試みようとしているわけですから、ぜひ、わからないということではなくて、いろんな数値からもうちょっと適切にデータを的確にとって、制度設計の見直し等の材料にしていかなければいけないというふうに思いますので、これは改めてお願いをしたいと思います。

 そして、時間がなくなりますので、もう最後になりますけれども、ちょっと資料の方をごらんください。

 最後の資料になります。七ページ目のこの資料、これをいただいたんですが、ちょっとお聞きしたいのは、往診医療、あるいは訪問看護、助産師も含めてですけれども、その往診等にかかわる距離の制限とか、あとガソリン代とか、そういったものがあるかと思いますが、その部分についての対処といったものをちょっとお聞かせください。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 鈴木保険局長。

鈴木政府参考人 ただいま御質問いただいた内容が必ずしも当たっているかどうかつまびらかでありませんけれども、往診とか訪問診療の保険医療機関の報酬上の扱い、往診料等が算定可能な距離についてのお尋ねであるといたしますと、事情を御説明いたしますと、患家の所在地との距離が十六キロメートルを超えるような場合については、往診をしようとする絶対的な理由がなく、特に患家の希望によって行われる場合は認められないというふうにされているわけでございますけれども、ただ、これも、一定の絶対的な理由あるいは特殊な事情について、具体的に個々の患者さんの状況をしっかり把握した上で、必要な医療に欠けることがないように特例等が設けられている、そういった細かい運用ができるようになっているという状況でございます。

池田(真)委員 ありがとうございます。

 まず、この十六キロって結構、北海道だったらもうあっという間みたいな感じで、三桁も当たり前という感じですから、通院に行くのも難しくて、公共機関もなくてという方たちは、もう往診しか最後はないんですね。本当に、一カ月に一回とか三カ月に一回の往診がやっとということでありますので。

 一方で、距離に対するリスク。それは営業として見れば団地だとか密集地の方が経営が成り立つわけで、そうではないところに住んでいる方々が多くいらっしゃるし、これが日本の今の地域、地方だろうというふうに思いますので、そういう方たちの往診の方をぜひ、当事者がお金で買うということだけではなく、医療機関等もきちっと経営が成り立つように、国の方で、今回のこういう医療、医師を設置していこうということであれば、地域医療の方もそういう手だての方を丁寧にぜひお願いをしたいと思います。

 そういうニーズがあるということと、お医者さんがいなくなってしまう、そういう理由でもありますし、特に雪かきなんかも、雪をかかないとお医者さんであってもおうちに入れませんので、それが現実でありますので、そういった労力も含めて何とか手だてをしていただきたいと思うのですが、大臣、最後に一言、所見をいただきたいと思います。

加藤国務大臣 国民のお一人お一人が、住みなれた地域において必要な、今医療の話をされていましたけれども、ケアも含めて受けられるようにするため、今、地域包括ケアシステムの構築を進めているわけでありますし、その中においては、在宅の医療や介護の提供体制を確保することが必要であります。

 本年、都道府県が策定した第七次の医療計画、あるいは市町村の第七期介護保険事業計画等においては、その両計画において整合性もとりながら、在宅医療の提供体制の構築のための新たな整備目標の設定、あるいはその達成に向けた施策、また、介護でいえば、在宅での介護サービスの見込み量、こういったものが設定をされておりますし、また、その実現に向けての地域医療介護総合確保基金を活用した在宅医療等を担う人材育成や、多職種連携の構築を都道府県が行う場合の財政支援、こういったこと。

 また、診療報酬でも、平成三十年度改定では、オンラインの在宅管理料、あるいは過疎地域の利用者に訪問看護を行った場合の加算を算定できる訪問看護ステーションの範囲を拡大。それから、介護報酬では、離島や中山間地域において移動にコストがかかることを踏まえた訪問看護や訪問介護の事業所に対する加算、こういったことを設けさせていただいておりますので。

 引き続き、僻地等においても在宅での医療、介護のサービスが提供し得るよう取り組ませていただきたいと思います。

池田(真)委員 ありがとうございます。

 人口減少で過疎地はどんどん広がって、僻地が拡大しておりますので、ぜひ対象範囲も拡大して手立てをしていただくようにお願いを申し上げまして、きょうの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。

 冒頭、私からも、西日本における水害について、本当に甚大な被害が出ていること、心からのお悔やみと御冥福、またお見舞いと、さまざまな気持ちで今この場に立たせていただいております。

 既に午前中、加藤大臣からは、この豪雨水害に対して、厚生労働省としての状況把握の現状と、それから対策本部を広島に置いていただいたというような御答弁もありました。ぜひしっかりと機能を発揮していただきたいというふうに思っておりますし、もう何人もの方が言っておられますけれども、本当に暑くなってきて、しかも、水害で土砂が流れ込んでくると、いろんなことがこれから心配です。

 私も、新潟県内で、今から十四、五年前になりますでしょうか、やはり水害で、あのときは十数名の方が亡くなりました。それで、大分大規模な、堤防が決壊したので、浸水があって、泥掘りのボランティアに二日ほど現地に入ったんですけれども、非常に衛生的にも問題があるということで、ぜひ厚労省からはその点の指導や監督もお願いしたいと思っております。

 ちょっと通告もいろいろしていたんですけれども、午前中既にありましたので、私の方からは、震災関係で二点だけ伺いたいと思います。

 まず一つは、水道の関係です。

 先日、水道法の改正案が可決いたしまして、私たちとしては、やはりコンセッション事業、コンセッション方式では、こういった水害のときに対応が本当にとれるのかということが大変懸念をされているということ等もありまして、これには反対をしたんですけれども、そのときに、全日本水道協会が災害のときになると全国的な支援体制を組んでくれるというお話があったかと思います。

 例えば、今後、法律案が仮に成立をしたときに、コンセッション事業者、コンセッションで参入してきた事業者は、この全日本水道協会への加入というものは強制的にされるということになるんでしょうか。任意なのかどうか、ちょっとお伺いしたいんです。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 公益社団法人日本水道協会への水道事業者の入会は、現在任意でございます。

 今回、水道法改正法案に、提出させていただいています、その内容としてのコンセッションでございますが、このコンセッション事業者は、日本水道協会の賛助会員として入会することが可能となってございます。この賛助会員というものは、「水道に関連があり、本協会の目的達成に賛同する法人または団体」とされてございまして、浄水場の管理業務などの業務を請け負っている民間事業者が対象となっているところでございます。

西村(智)委員 つまり、入会しなくてもいいということなんですね。

 そうしますと、このような、西日本、本当にあれだけの広い地域が被災して応援体制を組まなければいけないというときに、やはり水道協会を中心にした取組というのは必要不可欠だと思います。そこにコンセッション事業者が入るか入らないかというのは、これは任意であって、入らなくてもいいということになりますと、私、水道法改正案、今回の改正案は、やはりそういう面からいっても大変問題の多いものだというふうに改めて指摘をしたいと思っております。

 それからもう一点、今度は、内閣の方から副大臣にお越しいただいておりますのでお伺いしたいんですけれども、あのような状況ですと、しかも、体育館の中で換気も恐らく余りよくないという中だと、福祉避難所などというところになかなか今の時点で手が回らないのかというふうには思うんですけれども、でも、やはり、避難所で生活をしながら、これから水が引いた後には家の片づけに行くとかいうようなことも出てくる。

 そうすると、やはり一定期間避難所で生活をしなければいけないということは想像できるわけでして、福祉避難所、これは今までも災害が起きるたびに話題には上るんだけれども、きちんとした形で現場がニーズを把握できて、そして適切な時期に設置されたという例を実は私も余り聞いたことがないんです。

 この点について、副大臣、いかがですか。

あかま副大臣 福祉避難所についてのお尋ねでございますけれども、今般の平成三十年七月豪雨においては、一日も早く被災者の方々の生活環境、これを整えることが重要であり、今お話のございました、特段、女性であるとか子供、さらには高齢者への配慮、また加えて暑さ対策というものも、この時期でございますので大切でございます。被災自治体には十分な配慮というものを促しているところでございます。

 今般、被災自治体には、要配慮者のニーズ、この把握、またその必要性、これに応じて、社会福祉施設等、また公的な宿泊施設等の協力も得ながら、福祉避難所として開設することを促しておるところでございます。今般、福祉避難所として開設している施設もあるというふうにも伺っております。ぜひ御理解をいただきたいと思いますが、現在の状況についても……(西村(智)委員「いいです」と呼ぶ)よろしいですか。

西村(智)委員 それはぜひよろしくお願いいたします。

 それで、加藤大臣に一点、要望かたがた質問なんですけれども、先ほどの、午前中の答弁で、被災者生活支援チームでしょうか、そういったものを厚労省の中に設置したというふうに答弁の中であったかと思うんですけれども、ぜひ福祉避難所とつながるような形で連携を図っていただきたい。これは質問です。

 それから、これはちょっと私、この場で触れることすらも少しちゅうちょするような内容なんですが、大変残念ですが、今回、西村官房副長官がツイッターで七月の五日の夜に赤坂宿舎で安倍総理を囲んでの懇親会の様子を上げて、非常に和気あいあいで楽しい雰囲気だったというふうに書かれておりました。

 その西村官房副長官が別の日にテレビ番組に出演をされて、政府からの情報をきちんと自治体が把握していたのかどうか、要するに、これだけ甚大な被害が生まれる前に自治体がもっと適切な対応をとることができたはずなのに、そういう情報を、政府から発せられていたものを自治体が本当に正しく把握していたのかどうか検証しなければいけないような旨の発言をされてもおられました。

 私、これはちょっと、被災地、被災者の感情からするとなかなか受け入れがたいことだと思うんです。

 大臣、岡山の選出の議員でもいらっしゃいますし、いかがお考えですか、この点について。大臣の率直なお気持ちをお話しいただきたい。

 この二点、質問です。

加藤国務大臣 まず、厚労省につくった被災者生活の支援専任チームということでございます。これは、幅広く、医薬品、衛生用品の調達、配送等々について対応していくことを考えさせていただいておりますけれども、例えば、避難所における児童の保育に関すること、あるいは避難所の衛生管理等々もございますし、今委員から御指摘のあった福祉避難所、これも当然頭の中に置きながら対応させていただきたい。

 大きく、特に水道の問題と、それから、これからはやはり避難所の問題があると思っておりますので、その辺を重点的に対応させていただきたいと思います。

 西村副長官の、今引用された発言そのものをちょっと私は承知をしていないのでありますけれども、いずれにしても、特に私の地元、皆さん見ておられる倉敷市の真備地区のように、大変な被害があっていますので、それが知っているかどうかというよりも、とりあえず、まずは救出を始めとした、あるいは避難所の生活等、そういったことをしっかり取り組んでいくことがまず最優先ではないかなというふうに考えております。

西村(智)委員 結構なニュースになっていたんですね、この発言があったということは。

 私は、やはり被災地、それから、今、自治体の皆さん、警察の方も自衛隊の方も含めて、本当に昼夜を問わずの大変なお仕事をされている中ですから、やはり私は、ああいう発言をされたというのは、安倍内閣としての不見識を大変強く疑われるものだというふうに指摘をしなければなりません。

 それで、きょうは医療法、医師法の審議です。

 ちょっとこれから私も幾つか質問したいと思っているんですけれども、そもそもの前提で、午前中も質問がいろいろあって、それで答弁も聞きながらいろいろ考えていたんですが、馬を水のあるところまで連れていくことはできても馬に水を飲ませることはできない、これは、やはり医師の偏在を解消するという点でもちょっと似ているようなことがあるのかなというふうに思うんですけれども。

 やはり先ほども、午前中、自治医科大の卒業生を強制的につけられるようにみたいな質問がありましたけれども、そこまでやると、例えば医師の強制配置ということまでやると、例えば職業選択の自由とかあるいは居住地の自由とか、いろいろなものがありますから、さすがにそこまではというふうには思うんですけれども。

 一方で、国民の側から見れば、医師の偏在というのは、すなわち医療の偏在とイコールですから。しかし、国民の方は、強制加入の保険、健康保険に、社会保険にちゃんと入っているわけです。誰もが保険料負担をしているのに受けられる給付について差があるということは、これはやはりあってはいけないことだというふうに思うんですけれども、大臣、いかがお考えですか。

加藤国務大臣 たしか午前中もお話をしたような気がいたしますけれども、やはり基本は、国民皆保険ということと、それと並立して、必要な医療サービスを必要なときに受けることができる、これはやはり併存をして初めて医療制度というのは成り立っているんだろうというふうに思います。

 そういった意味においては、委員も今お話がありましたが、医療機関の適正配置や医師、看護師の養成などを通じて、いつでもどこでも安心して医療を受けられる体制、この確保を図っていくということが必要だというふうに思っておりまして、そういった意味でも、医師の地域偏在や診療科偏在、これは解消は急務だというふうに考えております。

西村(智)委員 その上で、私は新潟県なんですが、きょう資料でお配りしている一枚紙の紙を見ていただいてもわかるんですが、二次医療圏別の医師の偏在ということの前に、まず都道府県別で医師の偏在というのが結構シビアなんです。

 今の国の医療制度と、それから日本全体、経済社会が東京一極集中という構造的な問題があります中で、地域医療の確保のためにこういう地域の医師不足を解消していくというのは本当に急務だというふうに、大臣も同じ認識でいてくださるというふうに思うんですけれども、今回の医療法、医師法の改正で、本当に地方における医師不足、それから医師の偏在、これを抜本的に解決できるというふうに大臣はお考えでしょうか。

加藤国務大臣 これまでも医学部定員の増員を図ってきた、またさまざまな施策も取り組んできたわけでありますが、残念ながら、医師の地域偏在、診療科偏在解消に至っていない。

 そういった中で、昨年、医師需給分科会で第二次中間取りまとめをしていただいて、医師少数区域で勤務した医師を評価する制度の創設などなど、今回の法案に盛り込んだ中身が提言をいただきまして、それを今回の法案に提出をさせていただきました。

 この改正事項に当たっては、さまざまな立場の関係者から本当にいろいろな意見をいただきました。そして、一定の合意が得られた範囲で取りまとめたということでありますから、まずはこれをしっかりと、法案を成立させていただいた上で、この中身をしっかりと着実に実施をしていきたいというふうに思っております。

 ただ、それをやりながら、常に状況がどうなっているのかということをやはりしっかりと検証していく、そしてその検証結果を踏まえて、またさらなる必要な対策があれば、それをまた検討していく、そういった持続的な取組が必要だろうというふうに思います。

西村(智)委員 その持続的な取組がいつまでも持続的であり続けてはこれまたならないわけで、私は、やはりこれだけ今回大きな医療法、医師法の改正ですから、これで抜本的な解決になるというものであれば本当によかったというふうに思うんですね。いろいろ御尽力いただいたというのはわかります、わかるんですが、しかし、やはりこれで抜本的な解決に本当につながるのかというと、ちょっとやはり心もとないところがあります。

 平成二十六年の四月に臨床研修制度の見直しが施行されました。それで、定数配分を、地方の医師不足の解消につながるように行うこととされたんですけれども、実態はやはりそうは変わってはいないようであります。

 都市部への集中傾向は変わっていないということの中で、今回も都道府県ごとの臨床研修定員は国において定めるということにされておりますが、臨床研修医の確保は、医師が不足している都道府県にとって、もう本当に喫緊の課題であるということであります。

 ですので、都市部への集中を是正するさらなる対策が必要ではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今、臨床医のお話がありました。

 都道府県ごとの定員設定に当たって、研修医の地域的な適正配置を誘導するということで、平成二十二年度から都道府県ごとに研修医の募集定員の上限を設け、各研修病院における医師派遣実績を勘案した上で募集定員を設定し、平成二十七年の研修から研修希望者に対する募集定員の割合を当初一・二倍とした上で、平成三十二年度に向けて徐々に一・一倍に縮小していく。こうした結果として、六都県、東京、神奈川、愛知、京都、大阪、福岡が、平成十五年では五一・三%が平成二十九年度には四一・八%ということでありますから、それなりに地方へ医師、研修医が配分されているということが言えるんだろうと思います。

 また、次回の見直しに向けて、平成三十年の三月に医師臨床研修部会の報告書を取りまとめたところでありますけれども、そこでは、研修希望者に対する募集定員の割合を将来的には一・〇五倍となるように更に圧縮をする、都道府県別の募集定員設定に当たり、面積当たりの医師数や高齢化率等の加算の増加など地域医療に配慮する方策が盛り込まれているところであります。

 今後も、研修制度については、よりよい制度、まさにそうした地域に対して医師不足の解消につながっていく、こういった観点を持って必要な見直しを行っていきたいと考えています。

西村(智)委員 ぜひ引き続き加速化させていかないと、こういった取組は。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 またこれは先ほど午前中の質問の中で、地域医療対策協議会、地対協と略されるものですけれども、これが一度も開催されていない県が七つある。これで私の地元が入っていたりしたら本当にお恥ずかしい話なんですが、やはり、地域の医療確保を進めるために、地域の中でうまく連携を図っていってもらわないとならないというふうには思うんですね。

 一つの面からの質問をまずさせていただくと、例えば都道府県庁それから医師養成大学、こういったところが緊密に連携して、地域の医療ニーズ、それから専門医の育成、こういったものについて問題意識を共有するというところからまず始めなければなりません。

 ところが、先ほど申し上げたように、全く地対協すらも開いていない県が七つもあるということですから、これは甚だしい温度差があるということであります。

 地域医療構想の達成に向けて推進力を高めていくためには、例えば定期的な会合を義務化するとかいうこと、こういったことも考えなければいけないのではないか。それから、やはり開催するとなりますと、広い都道府県の中だったりすると移動のための交通費もかかったりするし、そもそも開催のための費用というものも必要になってまいります。そういう費用の助成といったもの、そういったこともやって連携強化を図っていくべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 委員の御懸念が当たっているところがあるんだろうというふうに思います、まず。

 その上でありますけれども、御指摘のように、都道府県における医師確保を初めとする医療提供体制を確保するためには、地域の医療関係者が地域の医師偏在等の状況や課題を共有し、具体的な対策の内容、それぞれ役割分担について協議を行う場が必要でありますので、今回の改正案では、医育大学、医師会、主要医療機関などを構成員とする地域医療対策協議会、これを医師確保計画に定められる医師確保対策の具体的な実施のための協議を行う場として法律上位置づけ、構成員に対しては、都道府県知事の求めに応じ地域医療対策協議会に参加する努力義務を課しているところでございます。

 また、地域医療対策協議会における協議に当たっては、地域医療構想と整合的な医師の派遣調整を行うことなどの留意点を国の指針で示すとともに、厚労省においても、この地域医療対策協議会の運営状況をフォローアップをし、定期的に開催され、実効的な医師偏在対策を進めるための場になるよう、我々としても、必要な助言等々、サポートしていきたいと思っております。

 そして、地域医療対策協議会の開催費用でありますけれども、これは地域医療介護総合確保基金を活用できることとしているところでございますので、引き続き、都道府県と医育大学等の関係者の連携、これが図られるように取り組ましていただきたいと思います。

西村(智)委員 基金のお金を使うことができるということですね。更に充実をお願いしたいというふうに思います。また、そういった、使えますよということも、ちゃんとアナウンスをしていただきたいというふうに思います。

 それで、地域医療構想の達成のためには、今回、構想区域における新規の開設あるいはベッド数の増の申請に対して都道府県が許可を認めないことができるという改正内容となっております。私、この点については評価をしたいというふうに思っております。

 ただ、それが公的な病院だけが対象であっては余り意味がないというふうに思うんですね。公的医療保険として財政を共有しているという視点からは、やはり公立、公的、それから民間病院、こういったところを問わず、一律の対応を可能とすべきだというふうに思うのですが、いかがでしょうか。

武田政府参考人 お答えをいたします。

 今回の改正法案におきましては、既存病床数が将来の病床数の必要量を超える構想区域におきまして、医療機関の新規開設や増床の許可申請があった場合に、都道府県医療審議会の意見を聞くなどの必要な手続を経た上で、公的医療機関については許可を与えないこと、民間医療機関については申請の中止等の勧告を行うこと、このような整理をさしていただいております。

 このようになっておりますのは、民間医療機関につきましては、新規開設、増床の許可を与えないことは、憲法上の営業の自由との関係を慎重に整理する必要があること、地域における救急医療、小児医療、周産期医療等の政策医療を確保する観点からは、公的医療機関を中心とした機能分化、連携を推進していく必要があることから、現行の地域医療構想の達成に向けた都道府県知事の権限との関係性も踏まえ、まずは公的医療機関についてのみ不許可の権限を規定することとしたものでございます。

 なお、民間医療機関につきましては、勧告に従わずに医療機関の新規開設や増床を行い、当該病床に係る保険医療機関の指定の申請があった場合につきましては、都道府県知事は保険医療機関の指定を行わないことができるということでございます。

 今後とも、今回の法案による対策の政策効果を検証し、地域医療構想の達成の推進に向けて、必要に応じ、さらなる対策を検討してまいりたいと思います。

西村(智)委員 御答弁いただきましたけれども、私は、勧告、それは今答弁を伺いまして、それなりに意味を持つというふうに期待はしているんですけれども、どうでしょうか、ちょっと懸念するところはまだあります。

 それから、今回、都道府県の権限が、法案に基づきますと、都道府県が設定する医師多数区域でありますとか、外来医療の提供体制を見える化した結果も根拠とできるようにというふうに私はすべきだというふうに思っております。

 例えば、医師多数区域における新たな開業あるいは保険医、保険医療機関の指定申請に対して都道府県が不許可とするとか、あるいは厚生局が保険指定をしないとかいうことも、これは、実際やるかどうかはともかくとして、そういったことを可能にするということは、やっておくことは意味があるんじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 まず、先ほどの答弁、一点訂正をさしていただきたいと思います。

 勧告につきましては都道府県知事でございますが、保険医療機関の指定については大臣権限でございますので、厚生労働大臣の、保険指定しないことができるということでございます。

 その上で、今、外来について御質問がございました。

 医師多数区域、それから地域医療構想の達成に向けた都道府県知事の権限の発動という観点の御指摘でございますが、二〇二五年の地域医療構想の達成に向けましては、地域医療構想調整会議における地域の医療関係者間の協議を踏まえつつ、まずは、各医療機関の自主的な取組により医療機能の分化、連携を進めることとしております。

 この取組を進めるに当たりましては、今回の改正法案による医師偏在対策とも整合的に行っていくことが必要であると考えておりまして、改正法案の施行後に地域医療対策協議会において医師派遣の協議を行うに当たりましては、地域医療構想の達成に向けた具体的対応方針との整合性を確保することを国が示す指針等において明確にする予定でございます。

 一方、今回の法案におきましては、医師の多寡を全国ベースで客観的に示す医師偏在指標を踏まえまして、都道府県が県内の二次医療圏ごとに医師多数区域と医師少数区域を設定し、医師多数区域から医師少数区域への医師の配置を行っていくことや、外来医療機能の不足、偏在等の解消のために、外来医療機能の提供体制に関する情報を可視化し、この情報をもとに、地域ごとの協議の場で外来医療の提供体制の方針を議論していただくことを盛り込んだところでございます。

 御指摘のように、医師多数区域や外来医療機能が集中している地域において医療機関の新規開設、増床等の規制を行うことにつきましては、入院医療における病床規制と医師数の増減や外来医療提供体制の変化との相関関係や憲法上の営業の自由との関係を整理する必要があること、駆け込み開設の懸念が存在することなど、法制的、政策的な課題があることも御指摘をいただいているところでございます。

 今後とも、都道府県における地域医療構想の取組状況や今回の法案による対策の政策効果をよく検証し、地域医療構想の達成と医師偏在の解消に向け、必要に応じ、さらなる対策についてはしっかり検討してまいりたいと思います。

西村(智)委員 時間もないので、最後に一点伺いたいのは、認定医師制度です。

 ちょっと見ていて、これは本当に実効が期待できるのかなというふうに心配しております。

 認定医師の病院の管理者としての評価ということでは、実際に認定医師が地域医療支援病院の管理者になるまで相当の時間を要すると思います。ですから、即効性があるのかどうか。また、即効性があるように環境整備もあわせて必要だというふうには思っておりまして、例えば労働時間や夜勤、当直などに関する配慮を大学に対して努力義務として明示すべきであるとかいうふうに考えておりますけれども、そもそも医師の少数区域等における勤務経験が病院の管理者としてのマネジメント能力の向上につながるのかどうかということもいろいろ考えるんですけれども、本当にこれは実効性が上がるでしょうか。

加藤国務大臣 まず、認定医師の関係でありますけれども、認定医師については、広告可能事項とすること、経済的インセンティブの対象とすること、地域医療支援病院等の一定の病院の管理者として評価することを検討させていただいているところでございます。

 確かに、病院の管理者ということになると、地域に行って管理者として指定されて、一定のやはり年齢になる人もあるんだろうと思いますから、そういった意味では必ずしも即効性があるとは言いがたいというふうに思いますが、それ以外にも、今、具体的なインセンティブとして、現在これはまだ検討している段階ではありますけれども、認定医師の専門医の取得更新に係る支援、あるいは医師少数区域に医師を派遣する機能を有する医療機関に対する財政支援、こういったことも検討させていただいておりますので。

 そうしたことも相伴って、より実効性のある、そしてこれが、地域における医師が希望を持ちながら、したがって、それを解消するためには、さらには子供の問題をどうするかとか、いろんな問題がありますから、そういったことも相まって、地方における医師が勤務がしていただける、こういう環境につなげていきたいと考えております。

西村(智)委員 さっき私が申し上げた具体的な事例も、即効性のある環境整備の一つとしてぜひ御検討ください。

 終わります。

高鳥委員長 次に、尾辻かな子君。

尾辻委員 立憲民主党・市民クラブの尾辻かな子です。

 まず、私の方からも、先週末に起こった平成三十年七月豪雨で被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 この災害による死者数は百六十人を超えた、行方不明者がいまだに五十人を超える、十五府県で七千二百人余りが避難をされているという状況になっております。

 また、この豪雨で犠牲になられた方々、御家族、関係者の皆様には心からお悔やみを申し上げたいと思います。

 加藤厚生労働大臣におかれては、御地元であります岡山県真備町で甚大な被害が発生しております。心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 こういうときに我々が本当にここの委員会で医療法、医師法の議論をしていいのか、私自身は非常に複雑な思いを抱いているということを申し上げ、質問をさせていただきたいと思います。

 まず、先ほどから質問にある地域医療構想について、私の方からもお聞きをしていきたいと思います。

 まず、この地域医療構想ですけれども、二〇一四年六月の医療介護確保総合促進法の成立を受け、厚生労働省は各都道府県に対して、二〇二五年に向けて地域における病床の機能分化や連携を進めるため、地域医療構想の策定ということを指示されております。

 地域医療構想ガイドラインを参考に構想区域を設定し、二〇二五年の構想区域ごとの医療需要や目指すべき医療提供体制、医療機能別供給量、それらを実現するための施策などを策定することになっています。各都道府県においては、もう二〇一六年度末までにこの構想の策定は終了をしているということであります。

 この地域医療構想の実現に向けては、まず、地域医療構想調整会議において医療関係者、医療保険者等の関係者が協議を行うことになっていますが、自主的な取組だけでは進まない場合、今回の法改正によって都道府県知事に権限が追加をされております。

 お手元の配付資料一のところで、赤で囲んでおりますけれども、構想区域において既存病床数が既に将来の病床数の必要量に達している場合には、当該構想区域に医療機関の新規開設、増床などの許可の申請があっても、必要な手続を経た上で、都道府県知事が許可を与えないことができるとするなどの対応が今回可能になりました。これは、公的医療機関等へは転換の中止、病床削減などの命令ができる、そして民間医療機関には要請、勧告ができることということになっております。

 これについて、まず質問ですけれども、これら病床数の調整に当たって、地域医療支援病院など、住民の生活確保に直結している地域医療、これを守る観点で行われるべきだと考えます。まず、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

加藤国務大臣 まず、地域医療構想の達成に向けては、医療機関ごとの具体的対応方針が速やかに策定されるよう、地域の医療関係者等で構成する地域医療構想調整会議において、昨年度から二年間程度で集中的な検討を行うこととしております。

 このため、昨年八月に、公立病院、公的病院等について、地域で求められる役割やそのあり方を議論していただくよう要請するとともに、民間医療機関についても、本年二月に、協議のスケジュール等、開設主体に応じた協議の進め方を都道府県にお示しをしているところであります。

 この地域医療構想調整会議においては、公立、民間を問わず、各医療機関の役割について明確化した上で、地域医療において適切な病床機能の分化、連携、転換、これを進めていくことが重要だと考えております。

 厚労省としては、地域の議論の進捗状況を把握、また、それを公表し、そして、その状況に応じた地域医療介護総合確保基金の重点配分等を行うことで、各地域において集中的な検討を更に進めていただき、地域医療構想の達成に向けた一層の取組を加速していきたいと考えているところであります。

尾辻委員 今ちょっと御答弁の中にありました、都道府県は二〇一六年度までに地域医療構想というのをもう策定をしております。

 そして、先ほど大臣の答弁にあった話なんですが、実は、二年程度で集中的な検討というのは、骨太方針の二〇一七で入ったものなんですね。具体的議論をやっていこう、つまり、策定してから、こうして骨太の二〇一七で二年間程度でやっていこうという話が出ました。

 そして、ことしの六月十五日に骨太の方針二〇一八が閣議決定されましたけれども、そこでは、「医療・介護提供体制の効率化とこれに向けた都道府県の取組の支援」として、地域医療構想実現に向けた具体的な方針というのが記述をされております。

 その内容としては、「公立・公的医療機関については、地域の医療需要等を踏まえつつ、地域の民間医療機関では担うことができない高度急性期・急性期医療や不採算部門、過疎地等の医療提供等に重点化するよう医療機能を見直し、これを達成するための再編・統合の議論を進める。」ということで、前回、骨太の方針二〇一七にはなかったことが入ってきたということになります。

 まず、文言の確認をしたいと思うんですけれども、先ほども大臣が御答弁いただいたように、公立病院に関してというのは、一つは新公立病院改革プラン、そして、公的医療機関等二〇二五改革プランというものが、昨年八月、策定するように指示をされておられます。このプランでは、地域医療構想を踏まえた当該病院の役割等の方向性を明確化することを求められ、地域医療構想調整会議においてその役割について議論することとなっております。

 先ほどの骨太の基本方針二〇一八では、公立・公的医療機関ということで、等というのがありません。しかし、こちらの公的医療機関等二〇二五プランというのは、ここは等が入っているわけですね。このプランの中で、対象病院は、等が含まれますので、これは、日本赤十字社であるとか、共済組合であるとか、国立病院機構であるとか、地域医療支援病院など、ちょっとこれはたくさんあるので全部は申し上げませんけれども、こういう公的医療機関等ということで、公的医療機関に含まれない国立病院機構や地域支援病院などが含まれているということであります。

 なぜ公的医療機関という言葉と公的医療機関等ということで文言が違うのかということについて、骨太の方針二〇一八のところでの公的医療機関とは実際どのような医療機関が対象になるのか、そして、これは公的医療機関等二〇二五プランの対象とは違う病院になるのか、まず確認をしたいと思います。

武田政府参考人 お答えをいたします。

 公的医療機関等二〇二五プランにつきましては、昨年八月に、医療法で規定する公的医療機関のほか、共済組合、健康保険組合、地域医療機能推進機構や国立病院機構等が開設する医療機関、特定機能病院等に対し策定を要請をしたところでございます。

 これは、公立病院以外の公的な性格を持つ医療機関全てについてプランの策定を求めたものでございまして、医療法では公的医療機関という定義がございますので、公的医療機関等という形で正確な形の表記をさせていただいたものでございますけれども、いわゆる骨太の方針二〇一八では、公立・公的医療機関についてということと、その後、「地域の民間医療機関では担うことができない」というような表記がございまして、大きく分けて、公立・公的医療機関、そして民間医療機関というふうな分類で記載をしたところでございます。

 したがって、性格的に公的な性格を持つ医療機関につきましては、骨太の方針についても、公立・公的医療機関ということで指し示しておりますので、公的医療機関等というところで私どもがお示しをした国立病院機構も含む広い概念の公的医療機関ということを指しております。

 したがって、両方の範囲において異なる点はないというふうに御理解をいただきたいと思います。

尾辻委員 それでは、確認をいたしました。

 地域医療構想は、二〇二五年に向けた地域全体の医療体制について、都道府県が主体となり策定をしたものです。

 医療法第三十条の四の二では、二次医療圏ごとの各医療機関の将来の必要量を含め、その地域にふさわしい、バランスのとれた医療機能の分化と連携を適切に推進することを目的とするものとされており、構想区域の医療提供体制や医療機能別供給量については、公立や公的医療機関だけではなく、民間の医療機関も含まれたものであります。区域内の医療提供体制や人口動態は一律ではありませんので、その調整は、区域内の事情を考慮しながら、構想区域内の地域医療構想調整会議で民間医療機関も含めた議論を行うものというふうに理解をしております。

 しかし、先ほど確認しました骨太の方針の二〇一八では、病院の再編統合について、公立・公的医療機関と特定をされております。地域医療構想実現に向けた具体の方針として、国の主導で、民間医療機関を除いた公立・公的医療機関だけの再編統合について議論を限定することにはならないのか、負担を強いることにならないのかということについて御答弁をいただければと思います。

武田政府参考人 お答えをいたします。

 地域医療構想調整会議における議論でございますけれども、私どもといたしましては、公立、民間を問わず、各医療機関の役割について明確化した上で、地域において適切な病床機能の分化、連携や転換を進めていただくことが非常に重要だというふうに考えております。

 先ほどの中で、公立・公的医療機関についての議論を先に進めるといったことになっていることにつきましては、地域における救急医療、小児医療、周産期医療等の政策医療を確保する観点から、公立・公的病院等を中心とした機能分化、連携の推進に関する議論を一層深化させる必要があること、地域医療構想に関するワーキングにおいて、公立・公的医療機関については、財政、税制上の優遇措置がとられていることから優先して議論すべきとの意見があったことなどを踏まえて、まずは公立・公的医療機関の再編統合の議論を進める必要があるということで進めているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、公的医療機関と民間医療機関が、地域の実情を踏まえた適切な役割分担のもと、地域医療構想の達成に向けた取組が進むよう、地域の議論の状況を定期的に把握しながら、きめ細かな助言などを行ってまいりたいと考えております。

尾辻委員 今答弁いただきましたけれども、今の骨太の方針でやってくるのを見ると、やはりどうしても公的な医療機関だけが狙い撃ちされるんじゃないかというような私は危惧をしております。

 地域医療構想調整会議、さまざまな主体から構成されているんですけれども、この地域医療構想に関するワーキンググループでも指摘をされておられますけれども、学識経験者ですね、大学関係者の会議への参加状況が九%と非常に少なくなっております。これでは、調整役として発言する役割、利害関係者じゃなく、大所高所から発言する人が会議にいないということにならないでしょうか。これについては改善を図るべきだというふうに申し上げておきたいと思います。

 また、このワーキンググループの資料を見ると、議長が、郡市医師会が担っている区域が七一%、事務局は、都道府県の本庁と保健所を合わせて九九%であることが示されております。このような状況で事務局と調整したら、先ほどから申し上げている公立・公的医療機関のみのやはり再編統合を優先させるような調整にならないのかということは危惧をされます。

 僻地における医療、救急、災害、周産期など、不採算や特殊医療の多くは公立病院が担っております。先日来の大雨による災害などにおいても公立・公的医療機関の役割は非常に重要でありまして、特に、全国の災害拠点病院は、自治体立が四二%、国立が一三・三%、公的が一八・二%で、合わせて七五%を占めているということでありますし、現在も、公立・公的医療機関からのDMAT、災害派遣医療チームが現地で奮闘をされております。

 ですから、大事なのは、公立、公的、民間、そして国立病院を含めた全ての医療機関に対し、経営形態にこだわらず、来るべき二〇二五年に向け、地域医療の確保と住民の生活を守るという観点で地域医療構想実現のための医療機能の調整、検討を行うよう、国としての支援をお願いしたいと思っております。

 時間がありませんが、ちょっと次の質問に行きたいと思います。

 在留外国人の国民健康保険の不適正事案通知制度についてお伺いしたいと思います。

 配付資料を一枚おめくりください。

 「全数調査 高額な医療サービスを受けている在留外国人について」ということで調査されておりますけれども、まず、一つ私は不思議に思ったんですが、この配付資料に、きのういただいた私の資料と事前に私が手に入れていた資料で違うところがあります。

 それは、米印、下のところ、外国人年間レセプト総数が一千四百八十九万七千百三十四件、条件一、二、三プラス外国人で抽出したら千五百九十七件、ここが、実はきのういただいた厚労省の資料からはこれがありませんでした。

 これは一体、なぜ、きのういただいた資料にはなく、三月に頂戴した資料ではあるのか。ここをわかったら教えてください。

鈴木政府参考人 これは、先生にお渡しをいたしました資料と私の持っている資料で作成の年月日が違って、ここの部分があるかないかということでございますので、それ以上の他意があるものではございません。

尾辻委員 というのが、これがあるかないかで、一体何万分の一の確率なのかということが全然違ってくるんですね。

 これでいうと、この条件で抽出したら千五百九十七件だった、つまり一万分の一件が〇・〇一%なんですねというのがこれではわかるけれども、この下がなければ割合が全然見えなくなるわけです。

 という部分で、私は、きのういただいた資料は非常に説明資料としては不十分なものじゃないかなというふうに思います。

 それと、一枚おめくりいただきまして、配付資料三枚目のところで、実はこの調査をもとに通知を出されているんですね、昨年十二月に。赤線を引っ張ったところで、「在留外国人不適正事案の実態把握を行ったところ、その蓋然性があると考えられる事例は、ほぼ確認されなかった。」この配付資料二のところでも、ほぼなかったということをおっしゃっています。

 ほぼ確認されなかったにもかかわらず、なぜこのような通知を出しておられるのか、御説明いただければと思います。

橋本委員長代理 鈴木保険局長、申合せの時間が経過をしておりますので、手短にお願いします。

鈴木政府参考人 はい。

 先生御案内のように、調査では不適正事案はほとんど確認されませんでしたけれども、一方で、国民健康保険は、御案内のように、公費あるいは住民からいただいた保険料を財源として、相互扶助でできている制度でございます。したがいまして、さまざま報道等ございますが、偽装滞在で国保に加入して高額な医療サービスを受ける、こういったようなことは、ごく少数であっても、あってはならないということで考えております。

 こうした認識に立ちまして、御指摘の仕組みを試行的に実施をするということにいたしたところでありまして、引き続き国保の適正な資格管理に努めてまいりたいというふうに考えております。

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

尾辻委員 これはちょっと、意図がなかなか不明確だなというふうに思います。また引き続き一般質問等で聞きたいと思いますので、よろしくお願いします。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 国民民主党の柚木道義でございます。

 医療法・医師法改正の通告も八問、九問ほどさせていただいておりますが、通告でもお願いを申し上げ、きょうも御配慮をいただいております。何人もの皆さんが、今回の豪雨災害への対応について質疑をされておられます。

 私の方からも、まず冒頭、改めて、今回の豪雨災害で被災をされました、お亡くなりになりました全ての皆様へのお悔やみとお見舞いを申し上げますと同時に、加藤大臣、同じ、それぞれ地元、倉敷市でございます。とりわけ真備町、こういう状況も含めて、本当に大臣にもお見舞いを申し上げます。

 私も、娘の通う同じ倉敷市内の小学校も避難所となっております。きょうからそちらの方は学校再開ということでありますが、避難されている方がおられる中での授業の再開。再開された方も避難している方も、どちらも本当に複雑な思いで、今そういう日常が再開されつつあるという中で、ぜひ、前半、それぞれお触れもいただきましたが、私からも被災地支援の観点からの質問をさせていただきたいと思っております。

 冒頭、西村委員からも少し指摘があったんですが、私も、これはまさに被災地、被災者の方々からの指摘でもありますから、加藤大臣のもとにも恐らく届いていると思いますので、ぜひ一問、冒頭伺いたいのは、やはり、この記録的な豪雨で人命の危険が気象庁からも呼びかけられていたその夜に、赤坂自民亭というんですかね、そこに、安倍総理、あるいはまさに危機管理の枢要なポジションにあられる例えば防衛大臣、あるいは党の政調会長ら政権与党幹部が出席をされて、そして総務会長が亭主。そして、その総務会長は、今回の件、どのような批判も受けとめる、森山国対委員長に至っては、やはり慎んだ方がよい、そういう御発言が相次いでおります。

 まさに本日、安倍総理御自身が岡山に被災地入りをされました。しかしながら、このような対応が、まさに豪雨のその夜の当日に、政府・与党の総理始め主要な方々が宴会。これで本当に被災者、被災地に寄り添っていると言えるのか。まさに、被災者や被災者支援をされておられる方々からも、政権与党は緩んでいるのではないかとの声が多数寄せられております。

 ぜひ、加藤大臣、被災地でもある、今回とりわけ重大な、四千六百戸、床上浸水の大半、この地域である真備町が御地元の加藤大臣として、豪雨のその夜に安倍総理始め政権与党幹部らでの宴会に、被災者への皆さんに申しわけない、あるいは、被災者の皆さんに寄り添う気持ちが欠けているのではないかとの思いがもしあれば、ぜひ一言おっしゃっていただければと思います。

加藤国務大臣 我々、政権あるいは政権与党にある者として、やはり常にいろいろな状況に対応していくということが当然求められていくわけでありますので、今御指摘等の御批判、これはしっかり真摯に受けとめながら、まずは、今救助を求められている方々、あるいは避難をされている方々、あるいは復旧に向けて努力をされている方々、こうした方々をしっかりと支援をしていきたいと思っております。

柚木委員 七十二時間は過ぎたものの、いまだにやはり救命救助のフェーズが続いている地域ももちろんありますし、そういう状況も含めて御対応いただくことは当然のことながら、まさに、大阪地震の夜にも総理と政調会長が、高級料理店ですか、夜、会食をともにする。これも被災者の気持ちに寄り添っていないんじゃないかという批判があったばかりですから、これはまさに災害対策よりも総裁選優先ではないかという批判につながっています。

 今後も、さまざまな豪雨災害等も起こりかねません。そういうときにこういうことに至らないように、ぜひこれは政府・与党全体として改めていただくことをお願いを申し上げておきたいと思います。初動のおくれが致命的なさまざまなおくれにならない、そして、その検証も今後必要になってくる場面もあると思いますので、重ねてお願い申し上げておきたいと思います。

 断水についてはそれぞれ触れられましたので、私からも、これは県下、かなりの、もちろん真備以外、激甚、大きな、被災三県でも二十五万戸と言われている断水の対策については、これはぜひ一番の要望でもありますから、それぞれありましたから、お願い申し上げた上で、具体的に、主にこの倉敷市の真備地区を中心とした資料、十七から十九ページ目に、資料作成段階では最新の避難所の状況について資料をおつけをしております。もちろん他の地域も同様なんですが、とりわけ具体的に、対応についてお願いを申し上げていきたいと思います。

 昨日も倉敷市の真備含めてこの夏最高の気温、そして、きょうも非常に、三十度以上、あした、あさって、三十五度になる被災地域も出てくるのではないかと言われている中での、避難所の暑さ対策について。

 これは所管は内閣府ということでございますから、きょう御答弁にお越しいただいていると思いますが、これは私、けさのさまざまな報道で、実際に、表は十八カ所ですね、この倉敷市と真備、総社市を入れると。十九ページが主に、まさに真備の今の避難所と人員。これは刻々と変わっていて、昨日段階では、例えば真備の地域は八百人とか六百人とかそういう方々が避難されていたのが、今少し減ってきている。しかし、減ってきているということは、逆に、残っている方は取り残されている感覚やあるいは疲労感も高まってくる。

 そういう中で、より一層の対策が求められてくる中での暑さ対策について伺いますが、予備費二十億円の中から、自治体の要請も待たずに、国主導でさまざまな人、物、プッシュ型支援を進めるという、そして、昨日の国会決議もございます。

 ぜひ、内閣府におかれましては、自治体とも連携をして、体育館のクーラー設置の工事が昨日もう始まっている避難所もあるんですね。しかし、例えば、この表の中でいえば十八カ所ですけれども、おのおのの避難所の冷房機器の設置状況の把握、そして、きょうも含めて、熱中症で救急搬送されている方もどんどん出ていますから、ぜひ最大限、暑さ対策最優先の対策をお願いしたいと思いますが、御答弁をお願いします。

米澤政府参考人 御指摘いただきましたように、今般の豪雨災害に対しましては、暑さ対策を含めまして、一日も早く被災者の方々の生活環境を整えることが緊急の課題であると認識してございます。

 言及いただきましたように、政府として、総理の御指示を踏まえまして、被災者の生活支援を更に迅速かつ強力に進めるために、各府省横断の豪雨被災者生活支援チームを立ち上げて対応しているところでございます。

 この体制のもとで、被災者の命を守ります生活環境整備に不可欠な水、食料、仮設トイレ、そしてクーラーを、国によるプッシュ型で、特に被害の大きい岡山県等にお送りし、設置を進めているところでございます。

 御指摘いただきましたように、具体的にどの避難所に設置をしていくかということにつきましては、当然のことながら、地元市町村の当該避難所を今後どのように運営していくのか、引き続き多くの方にとどまっていただくのか、それとも早期にその避難所から別のところにお移りをいただいて学校の再開に進めていくのか、そういった御事情をよくお伺いをしながら進めていきたいというふうに考えているところでございます。

柚木委員 それぞれの、もちろん避難所の今後の避難状況の見通し、ただ、九州の豪雨のときに、まさに何人もの方が亡くなって、その後一年たっても多くの方がまだ避難生活を余儀なくされている、こういう実情もあるわけですから、ぜひそういう見通しを持って、まさに国主導で、自治体からの要請を待たずにという中で、見通しについても、こちらからどんどんどんどんそういう状況も、自治体と協力をして、そしてまさに国が支援をしていく、そういう中でのニーズの把握を行っていただいた上での暑さ対策をお願い申し上げておきます。

 そして、同様に重要視されているのが、避難されている方々への入浴支援。これはまさに体じゅうが濁流にのみ込まれて、命からがら避難所に、そういう方々も多くおられる。そういう方々にとっては、もう何日もたって、とにかく、もちろん衛生面もそうですけれども、気持ちの上でも、暑さ、疲労、そして避難所から戻る方と残る方のそういうある意味でのギャップ、さまざまな面も含めて、せめて自分の体を、衣服、あるいは入浴、身ぎれいにして、こういう声が本当にたくさん届いています。

 昨日は、自衛隊から、真備総合公園、これは加藤大臣の御地元に、一遍に何人もの方が一時間、もちろん男女別で入浴できるような、そういったキットが導入をされて、そしてきょうは私の方の地元の小学校の方にもそれが移動されるというふうにお聞きをしておりますが、これについても、まさにニーズの把握と、そしてさまざまな、これは無料で開放しているいわゆる銭湯さんもあるわけですが、送り迎えを誰がするのか、その間の事故とかあったらどうするのかとか、さまざまな実は課題もあるんです。

 ですから、ぜひ、その避難所で何とか入浴ができるような状況も、ニーズ把握と同時に、自治体と連携して、これは防衛省にもお越しいただいておりますので、見通しを持った対応をお願いしたいと思います。よろしくお願いします、答弁を。

小波政府参考人 お答えいたします。

 防衛省・自衛隊では、これまでに中部方面隊及び西部方面隊を中心に、最大七十四カ所の自治体に連絡員約三百名を派遣し、被災自治体と緊密に連携を図りながら対応しております。

 本日六時時点におきまして、一府四県において、陸海空自衛隊約三万人、航空機三十八機、艦艇二十四隻を動員して災害派遣活動を実施しております。

 現在、自衛隊では、依然として安否不明者がおられることなどから、引き続き行方不明者の捜索など人命救助に全力で当たっているほか、ただいま御案内のありましたような、避難所等に避難している被災者の方々の当面の生活支援を重点的に実施しているところでございます。

 その一環といたしまして、例えば、暑さが厳しさを増す中、被災者の方々が肉体的、精神的にも大変な避難生活を余儀なくされていることを踏まえ、先ほどお話のございました、避難所への扇風機や食料、水などの輸送の方を担当しておりまして、また、道路が寸断している呉市では、輸送艦を用いて燃料を輸送しています。

 また、今なお広範囲で続いている断水に対処するため、全国の部隊を動員して、各地で給水支援、また、広島県、岡山県及び愛媛県の三つの自治体では、今御指摘のございました、風呂に入れない被災者の方々に、約九千四百名、本日の五時時点まででございますけれども、入浴支援を行っております。

 委員御指摘の岡山県倉敷市において、河川の氾濫等で住宅等が浸水している真備町において人命救助を行いましたほか、現時点で、御指摘いただきました倉敷市総合公園及び倉敷市第二福田小学校で入浴支援を行っております。このほかの入浴支援につきましては、現在、被災地に向けて、全国の部隊から更に追加の機材を移動させております。

 防衛省としては、今後の具体的な生活支援については、被災者の生活支援を更に迅速かつ強力に進めるために、官邸に設置されている各省横断の被災者生活支援チームと緊密に連携し、また、御指摘のように、被災地のニーズを十分に酌み取り、自治体ともよく相談しながら、全力を尽くしていく考えでございます。

柚木委員 ありがとうございます。

 ぜひ、今後のまさに、今回の、今のフェーズは被災地、被災者ニーズですよね。そこを、まさに自治体からの要望を待つのではなくて、自治体とも連携をして情報共有して、どんどんどんどんプッシュ型の支援を、先ほどの内閣府さん同様にお願いをしておきたいと思います。

 そして、避難されている方々への医療、介護ニーズへの対応についても、これは加藤厚生労働大臣に伺います。

 救助される場面が報道もされておられましたまび記念病院、私も、院長先生ともやりとりをしましたし、その他医療関係、もちろん介護関係、それぞれ、今回さまざま対応されている方からのお話も、昨日も含めてお聞きをしております。

 まび記念病院においては、今、市内の五カ所の病院に転院をされておられまして、私もお世話になっている院長が引き受けている病院もありますから、実際にその対応の状況、投薬の状況、薬が足りているかなどなど詳細にお聞きをしているわけですが、ちょっと幾つか、今後の医療、介護ニーズへの対応、必要な側面を具体的に申し上げた上で、答弁をいただければと思います。

 一つは、これは他の豪雨災害はもとより、震災もそうなんですけれども、短期的、長期的に、フェーズ、必要な医療、介護ニーズ、分けた対応が必要ではないかということであります。例えばインシュリン注射一つとっても、必要な患者さん、避難者の方、医療、介護の施設から避難所に来られている方も多数おられます。実際、まび記念病院さんからだけではなくて、避難所から救急搬送されてほかの市内の病院に行かれている方、各避難所でも出ております。

 これは昨日から、まさに日本版のJMATを含めたさまざまな対応、保健師さんが倉敷市にも、それぞれの避難所に入っていかれてそういう対応も始まっているということでありまして、そういったさまざまな取組とも連携をして、医療、介護ニーズの把握、そして、例えば入院が必要な方、介護施設に搬送が、入所が必要な方、そういったニーズ、必要性、そしてその施設とのおのおのへのマッチングの手続、このようなきめ細やかな対応を、ぜひ、これは自治体とも連携をして、政府としても対応をお願いしたいと思いますが、加藤大臣、御答弁をお願いいたします。

加藤国務大臣 まさに柚木議員がおっしゃったように、こうした災害対応、フェーズフェーズでまた求められているものはどんどん変わっていきますから、それに的確に、そして先取りするような形で対応していく必要があるというふうに思います。

 まず、病院の方から病院に転院された方、これはそれぞれの病院において対応していただけていると思いますので、まずは避難所におられる方が大変大事だと思います。

 残念ながら、避難所の近くにあった医院等も、要するに今回の浸水で機能不全に陥っているわけでありますから、保健師等が回って適切なアセスメントのもとでそれぞれの医療ニーズを把握し、そして避難者へ必要な医療サービスを適切に提供していくということが重要だと思っております。

 現在は、東日本大震災や熊本地震において、DMATの後にJMATという方々がいて、これは日本医師会の災害医療チームでありますけれども、こうした方々が避難所における医療、健康管理を行い、活躍した実績があります。厚労省としてもこうした取組を支援させていただきたいと思っておりますし、また、保健機能を行うDHEAT、これも岡山県に派遣をさせていただいているところでございます。

 こうした体制を整える中で、そしてまた、今委員御指摘のように、きめ細かな対応というものも求められているところでございますので、厚労省の職員も県のみならず倉敷市にも今派遣をさせていただいておりますけれども、ほかの市にも行かせていただいて、現場に行った厚労省の職員とまた市町村の方々、県の方々等ともよく連携をとって対応させていただきたいと思います。

柚木委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 関連して、そういう避難所の皆様の健康、これはもちろん心身ともにということでもありまして、そういう視点からいえば、まさに、先ほどの暑さ対策の熱中症対策はもとより、感染症対策、あるいは心のケア、こういった点を、これは資料十六には、フェーズごとの、先ほど大臣も御答弁をいただいた災害保健医療体制をおつけをしておりますが、おのおののそれぞれのフェーズと、そして、それぞれの同時並行の取組も必要になってくると思います。

 例えばトイレ等の衛生管理というのは、私も熊本地震のときに伺ったときにあっと思って、実は翌日に、ノロウイルスだったと思いますけれども、感染症がばっと広がったのが、トイレにおいて、巨大なポリバケツに水があって、しゃくで、多分、便器等を流したりするのか、あるいはそれで手を洗うのか、ちょっとどうすればいいのかわからないんですね。その中で、私が行ったときには、手を洗っている方がいたんですね。手を洗っているその水で、今度はまたほかの人が手を洗う。これは当然危ない。

 人がそこに配置されていて、何らかのやはりそういう指導なりアナウンスがあれば違ったんでしょうけれども、そのような細かいところ一つ一つ言うと、いろいろなところにやはり感染症対策、土足で入らない、あるいは消毒薬、人の配置、食中毒もあります、必要かと思っておりますので、熱中症、感染症対策、さらには、ここにDPATというのも書いていますが、心のケアなどの対策も、ぜひこれは重要な、避難所における、さまざまな今後の復旧復興における、長期化もひょっとしたら起こり得る中での取組だと思いますので、大臣、御答弁をお願いいたします。

加藤国務大臣 ちょっと先ほどと重複するところがありますけれども、避難所における健康管理、衛生管理については、現在、保健師の方々が避難所を巡回するなどによって、避難者の健康状況、避難所の衛生状態についての課題を把握しております。

 また、食中毒、感染症対策、栄養対策など、避難所の衛生コントロールを行う保健所等の後方支援を行う災害時健康危機管理支援チーム、いわゆるDHEAT、これを七月十二日から岡山県に派遣をしております。

 そして、避難所で生活される方の健康管理のために、厚労省として、避難所生活を過ごされる方々の健康管理に関するガイドライン、熱中症及びエコノミークラス症候群の予防に関する情報等を送付して、自治体の保健師の方々の活動を支援させていただいております。

 また、気温、湿度が高く、食中毒、感染症が発生しやすい環境であるため、避難所を実施している自治体に、避難所での食中毒発生防止の啓発、手洗いの励行、トイレの清潔保持などの感染予防対策の周知なども行わせていただいているところでございますし、また、被災地における避難所の健康管理及び衛生管理の支援のため、厚労省が調整をする形で他の都道府県等から保健師等のチームを派遣していただいており、十日から、岡山県でいえば十一チーム、広島県へは十五チーム、それぞれ派遣をさせていただいているところでございます。

 これからも、厚労省からも被災自治体への職員の派遣を行っているところでありますが、引き続き、避難所での健康管理、衛生管理について、個々の被災者の方々や避難所ごとのニーズ、これを個々に細かく把握をし、今後の状況の変化というものもよく見据えながら、的確な対応をさせていただきたいと考えております。

柚木委員 御近所の方や知り合い、子供間でも、五歳の女の子も亡くなったり、いろいろな、そういう意味では、心のケアも含めたしっかりとした対策をお願いをしたいと思います。

 それから、ボランティアの受入れについても、本当にこれは、特に今後、この週末、三連休、非常に重要なタイミングを迎えてまいります。

 昨日、倉敷市においてもボランティアセンターがようやく、もちろん人命救助最優先ではありますけれども、他方で、やはり避難所対応や復旧復興作業のおくれは、場合によっては、助かった命を災害関連死等で失わせることにもなりかねませんので、やはりボランティア等の受入れで少しでも復旧復興が進んでいく、早くもとの生活に近づける、そして物資支援など、こういった窓口の整備ですね。

 これは、ボランティアの方は厚生労働省の方で加藤大臣、そして運営の方は内閣府にお願いしておりますが、加藤大臣、特に真備の地域においてはまだボランティアの皆さんの受入れが、窓口が整備をされていないようなお話も聞いておりますので、最も甚大な、そういった復旧復興のために途方に暮れておられる方々に、ぜひそういった、一日でも早くボランティア等受入れが可能になるような、まさにボラセンの体制整備も含めたお取組をお願いを申し上げ、また、応援に来ていただいている、先ほど厚労省もありましたが、さまざまな自治体の職員の皆さんを含む適正配置を、ぜひ、それへの支援を加藤大臣、よろしくお願い申し上げたいんですが、御答弁をお願いします。

加藤国務大臣 これまでのさまざまな災害のときの対応を振り返ってみても、被災された方の生活再建を進めていく上でも、ボランティアの方々の御支援は大変大きな後ろ盾になっておりますし、また、ボランティアの方々が支えてくださっているということが、被災をされている方々の心の支えにもなっているというふうに思います。

 災害ボランティアセンターをできるだけ早期に立ち上げて、ボランティアの方々の受皿を整備していくこと、大変大事だと思います。

 倉敷市については、きょう災害ボランティアセンターが開設されているというふうに承知をしておりますけれども、各地で着々と取組が進められておりますけれども、特に多くのボランティアの方が集まると想定される週末の三連休に向けて、安全確保の状況も踏まえながら、各地の社会福祉協議会で災害ボランティアセンターが開設されるよう、厚生労働省としても働きかけをしていきたいと考えております。

柚木委員 ぜひ、今おっしゃっていただいた三連休、非常に重要なフェーズですので、真備等での受入れ体制の整備を、他の本当に応援に来ていただいているさまざまな皆様との連携も含めて、お願いを申し上げます。

 それから、今後のフェーズで、住居の確保も非常に重要になってまいります。これまで他の災害対応でもそうなんですが、今回も、本当に避難生活がどれぐらいの期間に及ぶのか、その対象者、対象エリアも含めて、例えば仮設もみなしも含めた対応とか、もちろん、旅館、ホテル等、あるいは公務員のお住まいのところの使っていないところ、ひょっとしたら、もちろんURさん等を含めてさまざまな省庁の関係のそういった居住施設、更に言えば民間にも御協力をお願いする場面があるのかもしれませんが、そういったまさに被災地、被災者のニーズ、期間、こういったものも含めて、これはおくれと不足が出ないように最大限迅速な対応をお願いをしたいと思っていまして、これについては内閣府からの御答弁をお願いいたします。

米澤政府参考人 今般の災害におきましても、多くの避難された方々が、できるだけ早く公営住宅ですとか仮設住宅などの安定した住居に移行いたしまして、安心した生活が取り戻せるように、住まいの確保に努めていくことは大変重要だと考えてございます。

 七月八日付で、国土交通省から独立行政法人都市再生機構に対しまして、被災者に対するUR賃貸住宅の提供について最大限の配慮をお願いするなど、被災者の住まいの確保に取り組んでいるところでございます。

 また、例えば岡山県でも、仮設住宅のニーズや供給できる県営住宅などの確保数量などの把握を急ぐとともに、公益社団法人全国賃貸住宅経営者協会連合会などの民間団体との協定に基づきまして、民間賃貸住宅の確保のための準備を始めていると伺ってございます。

 内閣府といたしましても、被災者のための住まいの確保に向けて、引き続き、関係省庁と連携をし、岡山県を始めとする被災した府県の取組を支援してまいりたいと考えてございます。

柚木委員 ぜひ、中長期的なスパンで、非常に重要なそのお取組を心よりお願いを申し上げます。

 それから、もう一つ、経済関係においても、これは今後、激甚災害の指定を含めてさまざまな対応を御検討いただいていると思いますが、大臣も私も同様なんですが、橋本代議士もそうなんですけれども、岡山県倉敷市といえば、やはり、三菱自動車さんを始め自動車産業、そして、今回、関連の部品工場、被災をしてお亡くなりになった方もおられて、実際、きょうも三菱自工さんの水島の工場は休業という状況でありまして。

 関連の工場が復旧していかないと三菱自工さん自体も動けないという状況も含めて、これはぜひ、激甚災害指定も含めた、そういう意味での地域の経済に与える、雇用に与える影響も含めたさまざまな支援を、これは所管が中小企業庁ということで、二十五ページ目に「激甚災害指定の流れ」もつけておりますが、ぜひこういった対応もお願いをしたく、御答弁をお願いいたします。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の豪雨災害によりまして、中小企業、小規模事業者においても、御指摘のありました自動車関連産業も含めまして、工場等の浸水による操業停止や、主要取引先が被災したことによります受注の減少などの影響を受けている事業者がおられるものと承知をいたしてございます。

 このため、経済産業省中小企業庁では、中小企業、小規模事業者対策といたしまして、発災直後から、商工会、商工会議所や政府系金融機関などに特別相談窓口を設置し、個々の事業者の実情に応じた相談対応を実施いたしますほか、当面の運転資金や被災設備の復旧等のため、日本政策金融公庫等によります災害復旧貸付けや、信用保証協会による通常とは別枠で借入額一〇〇%を保証するセーフティーネット保証四号の適用などの資金繰り支援を行いますとともに、既にございます借入金の返済条件の緩和等への対応について、政府系金融機関への配慮要請を行うなどの取組を行ってきたところでございます。

 引き続き、被災地域の状況をしっかりと把握し、被災された中小企業、小規模事業者に対して丁寧な支援を行ってまいりたい、このように考えてございます。

 なお、一般論になりますが、仮に激甚災害指定がなされた場合には、被災中小企業、小規模事業者に対する信用保証の拡充が行われ、また、災害復旧貸付けの金利の引下げが行われることになるものと承知してございます。

 以上でございます。

柚木委員 ぜひよろしくお願いします。

 ちょっと医療法の方もやりたいのであとはお願いベースで、もちろん、教育機関とか保育園とか、特に保育園は所管でもありますから、そういったところの復旧、働けるようになったときに、やはり預けるところがないと働きにも出れないところもありますし、あと、罹災証明が、今後も、きのうも列をなしていて、真備町は簡素化ということで聞いていますが、全体の状況も把握いただいて、そういった簡略化についてもぜひお願いをさせておいていただきたいと思います。

 医療法の質問を残りやりますので、よろしくお願いします。

 最初に、これは私も地元で、まさにこの医療・介護従事者の働き方改革、勉強会まで開いておりますので、実はこっちの方も相当準備していたんですが、ちょっと済みません、こういう状況ですからお許しいただきたいと思うんです。

 三点まとめて伺いますが、医師の働き方改革の中で、これはもうもちろん、医師会からのさまざまな提言、私も直接担当の方からも伺っておりまして、医師が働きやすい環境づくりを進めながらも、地域医療、もちろん救急医療、そういった現場が機能し続けることを両立をしていかなくてはなりませんが、これは、労働法制上一律のルールをつくる必要性については理解をするわけでありますが、そういった医師の特性、もちろん仕事上皆さんいろんな勉強をするんだけれども、やはり、治療のための最新の研究論文等を勉強しなきゃいけないとか学会に出るとか、さまざまな特性もあります。そういった面も踏まえた、例えば医師を対象とした特別条項を定めるとか、柔軟な対応も必要になってくると思います。

 さらには、医療機関の勤務環境改善支援、あるいは労働関連法令について相談指導を行う第三者機関、これは、都道府県の医療勤務環境改善センター、地域医療支援センターなどに設置することも検討いただけるかと思います。

 ぜひ、医師のそういう意味では特殊性といいますか、そういったことも含めた働き方改革の検討をお願いしたいと思いますが、御答弁をお願いいたします。

加藤国務大臣 医師の働き方改革に関する検討会については、今月九日に第八回の検討会を開催をし、今年度末の取りまとめに向けて議論を進めているところであります。

 第八回の検討会においては、医療界における検討の場である医師の働き方検討会議でお取りまとめいただいた意見書についても御報告をいただいたと聞いております。

 この意見書では、御指摘のような時間外労働の上限規制、自己研さんなどについて実態を踏まえた問題提起がなされていると承知をしておりますので、今後、検討会においては、まずは九月までの間に、二月にこの検討会で取りまとめた中間的な論点整理、タイムスタディー調査等の実態把握、そして、今申し上げた医師の働き方検討会議の意見書などを踏まえて、労働時間規制のあり方の検討に当たって必要な論点、自己研さんとか応招義務とかに関する議論を深めていただきたいと考えております。

 その後、十月以降を目途に、目指すべき多様な働き方改革の方向性、それを実現するための施策、制度のあり方について、取りまとめに向けた議論、関係者からの意見等もよく聞きながら、精力的に進めていきたいと思っております。

柚木委員 ありがとうございます。

 ちょっと一問飛ばしますけれども、午前中に国光委員も指摘をされていて、私もそういう、病床のさまざまな再編も含めた視点も非常に重要だと思うんですが、その中でも、とりわけ、今、現場で、四ページ目以降、女性医師の本当に活躍といいますか、まさに女性活躍もこの面でも非常に今進んでいるわけですが、その中で、最新のデータで見ると、院内保育所の整備されている病院が全体の四一・五%。

 六月八日に、私、大臣から御答弁をいただいた際に、院内保育が足りないところがどこにあるのかというところをしっかり把握しなければならない、そして、院内保育における待機児童、こういったものも含めた検証が必要である、そのような御答弁をいただいておりますが、その後のそういった状況の把握と同時に具体策について、これは地域医療介護総合確保基金での整備ということもぜひ来年度の概算要求にしっかりとお願いをしたいということも含めて、資料、その先の六ページ、七ページ目にもそういった、まさに復職のためのさまざまな取組、そういったものがなければ復職もできない。

 したがって、まさに医療法、医師法、この改正ももちろん重要ですが、そういったさまざまな取組をパッケージでしないと、法律だけ改正しても、絵に描いた餅になりかねませんから、このような取組についての大臣の御答弁をお願いいたします。

加藤国務大臣 現在、医師の約五分の一、そして、医学生の約三分の一が女性という状況でありますので、特に女性の医師について、妊娠、出産等によりキャリアを中断せざるを得ない場合もあることから、こうした面にも配慮しながら、女性医師が働き続けられる、また、働き続けやすい環境を整備する必要があると考えております。

 これは御本人にとってはもちろんでありますけれども、我が国の医師確保という面からも大変重要だと認識をしております。

 厚労省では、就職を希望する女性医師に対して、医療機関や再就職先の紹介等を行う女性医師バンクの事業の実施、都道府県における女性医師の復職に関する相談窓口の設置、復職研修等における財政支援、医療機関において、復職支援から継続した勤務まで、パッケージとして女性医師支援を行うためのモデル事業、これらを行っているところでありますが、さらに、子供を持たれる女性医師を始めとする医療従事者の離職防止や再就業を促進するため、都道府県において、病院内保育所の設置、運営に対する財政支援を、地域医療介護総合確保基金を活用して実施しているところでございます。

 また、女性医師を含む医療従事者の勤務環境の改善を図るため、都道府県ごとに医療勤務環境改善支援センターを設置し、計画的に勤務環境改善に取り組む医療機関を支援する体制の構築、また、同センターの運営に対する財政支援も行っているところであります。

 このような取組を通じて、女性の医療従事者の方々が働き続けやすい環境の整備に努力をしていきたいと考えております。

柚木委員 時間が限られているので。まさにチーム医療全体としてのタスクシフトが必要で、つまり、医師の働き方がコメディカルの働き方に影響を与える、看護師さんの働き方が影響を与える、そういった面も重要なわけですが、そこまでちょっと質問がたどり着きそうになくて。

 看護師さんについては、前回、こういった質問に大臣こう御答弁をいただいているんです。夜勤負担の影響について、九ページ目以降、つまり、夜勤が多ければ多いほど離職も高いという、こういったデータをおつけしておりまして、ハラスメントもやる時間がきょうはありませんが、夜勤負担の点については、前回、大臣からは、看護師の皆さんの夜勤負担の軽減の重要性、そして、今般の診療報酬改定の影響も調査、検証して、その結果を踏まえながら、負担軽減に更に必要な対応を考えていきたいと御答弁をいただいているんですね。

 次回の報酬改定でのさらなる診療報酬上、またその他の対応をぜひお願いを申し上げたいと思っていまして、タスクシフトの面でも非常に重要な取組だと思いますので、ぜひ前向きな御答弁をお願いいたします。

加藤国務大臣 前回申し上げたように、看護職員の方において夜勤や不規則な勤務などが求められておりますが、その環境の改善、これは重要な課題であります。

 厚労省でも、地域医療介護総合確保基金を活用して、仮眠室、休憩スペースなど、夜勤負担の軽減につながる施設整備等の支援、また、医療勤務環境改善支援センターによる総合的、専門的な助言等を行う体制の強化などの取組を進め、また、診療報酬においても、看護職員の夜間の勤務負担軽減に資するよう、看護職員や看護補助者を夜間に手厚く配置し、交代制勤務のシフトの適切な編成や医療機関内における業務の平準化、こういった取組を行った場合に算定できる看護職員夜間配置加算なども設けておるところでありますし、さらに、平成三十年度診療報酬改定においては、こうした加算の評価を引き上げるとともに、地域包括ケア病棟でも同様の加算を新設をしたところでございます。

 引き続き、こうした施策の効果をよく検証しながら、看護職の夜勤負担の改善等の勤務環境の改善、これを図る取組を進めていきたいと考えております。

柚木委員 最後、短く一問。

 さっきチーム医療のことをちょっと触れましたので。

 先日、チーム医療協議会の会長をお務めだった方にも勉強会に来ていただいて、まさに医師、看護師、コメディカル全体のワークシェア、タスクシフトが機能することが、本当の意味での、患者さんや地域のニーズに応えていくことにつながるという意味では、ぜひ、このタスクシフトを進めていく場合の例えばガイドラインとか、そういったものも御検討いただいて、そして本当に、医師の働き方改革はもとより、医療従事者、介護従事者、介護まで含めて、もちろん、経管栄養、喀たん吸引とか、さまざまなそういったタスクシフトが今実際に進んでいるわけですが、そういうパッケージでのまさに改革を進めていただくという意味においてのタスクシフトのガイドライン作成等の御検討をぜひお願いできませんでしょうか。お願いします。

加藤国務大臣 チーム医療を進めていくためには、各医療スタッフの専門性に積極的に委ねる環境を整備することが必要でありますし、医師から他職種へのタスクシフティングを進めていくことが必要であります。

 そのため、これまでに、医師の判断を待たずに手順書により一定の診療の補助を行う看護師を養成する特定行為研修制度の創設、あるいは、診療放射線技師、臨床検査技師、歯科衛生士の業務範囲、業務実施体制の見直し等に取り組んできたところであります。

 さらに、医師の働き方改革に関する検討会における本年二月の、医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組においても、検査手順の説明や入院の説明、診断書等の代行入力等について、原則、医師以外の職種により分担して実施することで医師の負担を軽減する。これについて、医療機関への周知、また各医療機関における速やかな実行、また国民や患者さん方の理解の促進を図っていきたいと考えております。

 こうした取組を進めるためにも、医師の働き方改革に関する検討会において、タスクシフティングや複数主治医制を含めたタスクシェアリングの具体的な方策について議論を進めることにしておりますので、医師だけではなく、各医療スタッフを含めた、医療全体での働き方改革を推進していきたいと考えております。

 今委員の、ガイドラインというお話がありました。どういう形がガイドラインとして想定されているかということがありますけれども、いずれにしても、具体的な方策について議論をしっかりと進めていきたいと思っております。

柚木委員 以上で終わりますが、ぜひ、災害の面については、今後も大災害が、この首都圏も含めて発生も、いろんな指摘もある中で、防災省の創設ということを提案されている与党の方もおられるようです。

 ぜひ、そういったことも含めて、今後、与野党一体となって、復旧復興はもとより、今後への備えをしっかりと取り組んでいくことを共有させていただいて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省大臣官房総括審議官中川健朗君、高等教育局私学部長村田善則君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 質疑を続行いたします。岡本充功君。

岡本(充)委員 きょうは、医療法、医師法の改正案の質疑でありますが、それに先立ちまして、今お越しをいただきました文科省の私学部長を始め、文科省の皆さんに改めて確認をしたいと思います。

 今般、東京医科大学の贈収賄事件に捜査が入り、そして、裏口入学があったのではないかということで今捜査が進められています。

 前回も伺いました。ほかに同様の事案があったのかなかったのか、文科省として調査をする、その意向はあるのかどうか、確認をしたいと思います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 七月四日、この強制捜査が行われまして、同日逮捕された案件、これにつきまして、大変国民の信頼を損なうこのような事態に立ち至ったこと、まことに遺憾であり、おわび申し上げる次第でございます。

 今後、まず、文部科学省は、捜査当局が行う捜査に全面的に協力してまいります。

 また、文部科学省といたしましても、文部科学省の事業の信頼性の確保、これらに関しまして、第三者による具体的な検討、こういうものを行うため、現在、その体制や調査内容などについて準備を進めているところでございます。

岡本(充)委員 答えていないです。ほかにあったのかなかったのかを調査をする予定はあるんですか。

信濃政府参考人 前回の委員会でも御答弁させていただきましたけれども、捜査の進展を踏まえまして、どのような対応が適切かということについて現在検討させていただいているところでございます。

岡本(充)委員 極めて後ろ向きですね。

 きょう、この質問通告をしたら、見てください皆さん、政府参考人、厚生労働省より文科省の方が多いという。この事案が、やはり本当に深刻なんですよ。

 きょう昼の報道を見ていたら、テレビ朝日系列だったと思いますが、東京医大の複数の関係者が、別の省庁の幹部、政治家の子供を、東京医大の関係者がですよ、点数を水増しして合格させていたと証言していると言っているんですよ。別の省庁の幹部、関連する省庁ってどこでしょうね。文科省でしょうかね。私は気になるんです。

 きちっと調査をするべきだと思いますが、それでも、こういう証言があるにもかかわらず調査をしないんでしょうか。聞き取りをするなり、方法はさておき、調査するべきだと思いますが、どうですか。こういう証言が出ても、なおしないんですか。

信濃政府参考人 今委員が御指摘いただきました件について、そういう報道があるというのは承知をしております。

 ただ、実際に恣意的な加点が行われたのかどうか、これはもう捜査中のことでありますので、事実関係が不明なことから、まず、捜査の進展を踏まえつつ必要な対応をとりたいというのが先ほど申し上げたことでございます。当然ながら、その捜査には全面的に協力をしてまいります。

 その上で、前回の委員会でも検討いたしますと申し上げまして、その後どういう検討をしているかということについて少し触れさせていただきますが、例えば、各大学の入学者選抜におきまして、特定の者による恣意的な判断があったのではないかというようなことを、そういうことができないようになっているということについて調べようとしますと、各大学にどういう質問をすればちゃんとした答えが得られるのか、ここはなかなか整理が難しいところだと思っております。

 それから、各大学のいろいろな選抜の基準というのは、これは基本的には公表されておりませんので、こういうことについて慎重な意見もあるということがございますので、今、こういったことも踏まえて、何が可能かということを検討しているというところでございます。

岡本(充)委員 今回の捜査の対象は、今回の事件についての捜査なんですよ。ほかにあったかなかったかは、これは警察の捜査の対象じゃないでしょう。ほかにあったかなかったかは、贈収賄事件とは関係ないんですよ。

 したがって、捜査が進捗しているからではなくて、学長、理事長に対して、同様の事案があったかどうかを聞くんですよ。これを聞くことを、これが捜査の妨げになるわけではありませんから、あったのかなかったのか、ぜひ聞いてくださいよ。今の常務理事でもいいですよ。聞いていただけますか、聞いていただけませんか。それは今回の事件の捜査とは別な話です。

信濃政府参考人 先ほども申し上げましたが、具体に何がどう起きたかということがまだ明らかになっておりませんので、それを前提にした調査というのはなかなか難しいだろうと思います。

 ただ、引き続き、これは検討して適切に対応してまいるということは重ねて申し上げます。

岡本(充)委員 何で聞かないんですか。聞くだけですよ、ほかにもあったのか。こういう報道もあるんだけれども、あったんですか。あったのか、なかったのか、それだけまず聞いてくださいよ。あった、なかっただけでも聞いてくださいよ。こういう証言をしている人がいるんだから、テレビ局に。それだけ聞いてもらえませんか。

 それを聞くのか、聞かないのか、はっきり答えてください。

信濃政府参考人 引き続き、対応については検討させていただきます。

岡本(充)委員 極めて、文科省、この事案の調査に消極的ですね。本当にそれでいいんですか。

 きょうは私学部長にも来てもらっていますけれども、これで、私立大学、入試の適正が図られているとお考えですか。こんなんじゃまずいでしょう。ちゃんと調査するべきだと思いますよ。私学部長の私は見識を聞きたい。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりまして申しわけございませんけれども、これは捜査中の事案に係る事柄でございますので、その状況、進展を踏まえまして、適切な対応を考えさせていただきたいと思ってございます。

岡本(充)委員 村田さんともあろう人がそういう答弁をするとは残念ですよ。

 これは調査中の案件じゃないんですよ、ほかにもあると言っているんだから。ほかの案件を調査しているわけじゃないんですから。ほかにもあったのか、なかったのか、私はこれは聞くべきだと思いますよ。

 改めて、もう一度聞きます。どうしても、聞く気がないのか、あるのか、そこを知りたい。聞いていただけませんか。

信濃政府参考人 先ほども御答弁申し上げましたが、何が問題で、何が起きたのかということがはっきりしてから、きちんと調査をいたしたいと思っております。

岡本(充)委員 じゃ、調査をするんですね。わかりました。ぜひ調査をしていただいて、ほかの省庁の幹部や政治家の子供に点数の水増しをして合格をさせたと証言している人がいるわけですから、ぜひこれはしっかり調査をしていただきたいと思います。

 さて、これは本当に大きな課題でありますから、決して私はこのままというわけにいかないと思っているわけでありますが、きょうは医師法、医療法の法案質疑でありますから、法案の内容、課題に少し論点を移していきたいと思います。

 きょうは、文科省、別の観点でも来てもらっています。それは、医学部の地域枠について一体どういう効果が出てきているのか。

 まだ卒後日数が浅いから評価が難しいということなのかもしれませんけれども、しかし、現時点で、先ほどどなたかも言われました、自治医科大学の義務年限を果たしている人がどのくらいいて、どうなのかという話がありましたけれども、事実上、地域枠の設定に伴って、今現在、一体どういうような状況になっているのか、厚労省から話を聞きました。一ページ目の資料です。

 ある県の地域枠で入学をした者がある県の臨床研修を行う確率は八割、一方で、地域枠以外で、よその県から来てその県の大学に入り、そしてその県に残って臨床研修を行う者は四割、そして、臨床研修後に勤務するのはそれより更に下がる、こういう傾向があるという話でありました。

 この傾向は文科省も把握をしているんでしょうか。

信濃政府参考人 このデータにつきましては、私どもも承知しております。

岡本(充)委員 そこで伺いたいわけでありますけれども、じゃ、地域枠というのは一体どうやって選んでいるのか、これも気になるところであります。これは後ほどちょっと聞くこととして、では、地域枠を設定をして、さりとて、ある県の地域枠で入ってきた人、二割程度は地域枠から漏れているというこの現状をどういうふうにお考えになられているか。地域枠の選抜のあり方について文科省として何かお考えがあるか。このデータを見てどういうふうに思われるんですか。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 信濃大臣官房審議官。

信濃政府参考人 済みません、失礼いたしました。

 地域枠を卒業された方がどういうふうな道に進まれているかということについては、私どもでも就職状況調査ということで調べておりますが、この結果によりますと、千二百五人の地域枠の卒業者のうち、九五%に当たる千百四十六人の学生がそれぞれ義務履行先となる都道府県に就職しているというデータを得ているところでございます。

岡本(充)委員 この表は把握していますか。この表を把握しているとさっき答弁したんだから。この表に基づいて、漏れている二割についてはどう思うんですかと聞いているんです。自分の表の話をしないでください。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 信濃大臣官房審議官。

信濃政府参考人 私が申し上げましたのは、卒業後にどこに進んだかということでありまして、今委員が御指摘になったこのデータ、資料は臨床研修修了後の勤務先ということで、ちょっと時点が違うということがその数字の違いだと思います。

岡本(充)委員 読んでください。「臨床研修を行った主たる都道府県」と書いているじゃないですか。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 信濃大臣官房審議官。

信濃政府参考人 結局、地域枠を卒業した後に何年間か就労しなければいけないわけですけれども、その期間の中には、例えば県外での研修といったようなものがありますので、そういったものも踏まえると見かけは八割になるということなんですが、二割の方が脱落をしたということではないというふうに理解しております。

岡本(充)委員 違う。県に残っていないんです。A県出身者は、A県に残っているのが八割、B県出身者だとA県に残っていないでしょう、これだけ差があるんですよと言っているんです。この差をどう考えるんですかと言っているんです。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 信濃大臣官房審議官。

信濃政府参考人 先生がお示しされたこのデータを解釈しますに、A県を出てA県の大学に行かれる方、それからB県を出てA県へ行かれる方、いろいろございますけれども、やはり出身地の県に戻られる方の方が割合としては多いというふうに解釈するのかなと理解しております。

岡本(充)委員 そこで聞きたいわけなんです。こんなの簡単な話なんです。その上で聞きたいんです。これを聞いた上で、ここからが主題です。

 地域枠の選抜をするに当たって、結局、A県出身者の方に、あらかじめA県の地域枠がありますよということで受験を促していくというやり方と、一旦、一般枠で。

 これは地域枠を設定すると大学の定員をふやせるんですよ。そうですね、文科省。

信濃政府参考人 地域枠につきましては、臨時的な措置として定員枠をふやすという対応をしております。

岡本(充)委員 したがって、自分の大学の定員をふやしたい、こういう大学は地域枠を設けます。しかし、地域枠を設けて一般入試で入試させておいて、入試した後に地域枠に行きませんかと声をかける。どこの都道府県出身者とは関係なく一般入試で入試させておいて、地域枠に行きませんかと入学者に声をかける。これはどうですか、地域枠の趣旨としてどう思われますか。

信濃政府参考人 今の委員の御指摘は、地域枠と一般枠と同じ入試でやっているではないか、こういう御指摘だと思います。

 これにつきましては、そういう事例があるということは私どもも承知しておりますけれども、これは大学の考えですけれども、地域枠と一般枠とを分けずに入試を実施する方がより高い学力の学生を確保できるといったような考えに基づいてそういう試験が実施されているというふうに理解をしております。

岡本(充)委員 地域枠を設けることは高い学力の学生を集めることに目的があるんですか。そこを聞きたいです。

信濃政府参考人 目的が高い学力の学生を集めることではありませんが、地域医療に携わる方もやはり高い学力を持った方の方がふさわしいと思いますので、そういうことも考慮されているということです。

岡本(充)委員 私は、では、もう一つ聞きたい。

 一般入試で入れておいて、地域枠に行きませんかと後から声をかけるんです。君、地域枠どうだ、君、地域枠どうだ。こうやって入った学生に声をかけていく、このやり方だと出身都道府県は問いませんね。そうすると、今の話でいうと、本当にその県に残ってくれるのか。残る確率の低いB県出身者に声をかける可能性も出てくるわけであります。

 そういう意味でいったら、地域枠をせっかくセットしたのに、これほど明らかに差がある、他府県出身者が地域枠になる確率が高くなるというふうにはお考えじゃないですか。

信濃政府参考人 今おっしゃった他府県の方が占める割合が高くなるとは必ずしも思わないんですけれども、ただ、どこを出身にされた方であっても、きちんと地域医療に携わっていただくという地域枠の趣旨を理解していただいて、その枠の中で勉学を続けていただくということについては、これは入学後もしっかり働きかけていきたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 では、もし地域枠が集まらなかったらどうするんですか。二十人の地域枠だといって、入学後に声をかけていって、嫌だ、嫌だ、嫌だと言われたら地域枠は埋まらないじゃないですか。

 もっと言ったら、大学があるその都道府県の地域枠だけじゃなくて、全く病院もない、環境もない都道府県の地域枠だといって、その分の枠までつくって定員を膨らませている大学がありますね。このやり方。

 つまり、ある県のすぐ隣接している都道府県の地域枠ならまだわかります。例えば、愛知県の大学が三重県の学生さんに声をかけて、三重県の地域枠で愛知でやりましょう。まあ、なかなかないでしょうけれども、その隣だったらまだわかるかもしれない。しかし、はるか離れた都道府県の地域枠をつくって、ここから本当にそんなに学生が来るかどうかわからない、こういうやり方をやっている地域枠の大学もありますね。

 こういう地域枠のやり方についても、私は、本来の趣旨から離れて、本当にその地域に行ってくれるかどうかわからないと思いますよ。しかも、その都道府県の出身者じゃなければなおさらだと思います。こういうやり方も問題だと思うんですけれども、これについては文科省はどのようにお考えですか。

信濃政府参考人 今委員も言及されましたけれども、地域枠が設定されている経緯、こういうのはしっかり理解していただいて、その枠がきちんと充足されるように、各大学においてしっかりと対応していただくということが必要だと思っております。

岡本(充)委員 そうやって言いますけれども、文科省、これは制度として、今言ったように充足しない可能性もある。一般入試で入れておいて、後から肩をたたいてどうだという話。それから、もっと言えば、自分の大学の設置されている都道府県ではない遠くの枠を使ってまで定員をふやして、ふやしたいから、もっと呼びたいから、遠くの都道府県の地域枠を設定して、そこの都道府県の学生が必ずしも来るとは限らないのに、その県の入試枠で更にふやす、こういうやり方をやっている大学など、地域枠の設定の仕方にいろいろ問題があると思います。

 これはきちっと整理をして、本当に地域に残ってくれる学生に地域枠になってもらう必要があると思いますから、これはやるべきじゃないですか、どうですか。

信濃政府参考人 今委員がおっしゃいました例えば地域枠の現状ですとか、実際に卒業後にどういうふうな地方勤務に向かわれているか、こういったような実施状況につきましては今調査をしているところですので、それをしっかりまとめて施策に反映をしたいと考えております。

岡本(充)委員 もうこれはまとまっているじゃないですか。今、だから、一枚目に示したじゃないですか。明らかに自分の県の出身者の方が残るんですよ。したがって、他の府県から無理くり集めて地域枠だとやったって、残る人が半分残っていないんですから、現状。その理屈は幾つかあったとしても、四割切っているわけですから。そういう意味では、これはきちっと地域枠の設定を私はする必要があると思いますよ。

 問題意識は理解してもらえましたね。どうですか。

信濃政府参考人 地域枠をしっかり充足して、地域医療にかかわる医師を育てるという、そこが大事だという問題意識は共有しております。

岡本(充)委員 では、今の設定の仕方に問題があるということ、課題があるということは理解してもらえましたね。

信濃政府参考人 先ほど申し上げました調査の結果も踏まえて、必要な対応をとってまいります。

岡本(充)委員 もうこれだけでちょっと時間になっちゃいましたから、この問題はまた機会があったらやりますけれども、現状、これはもう問題があることがはっきりわかっているんですから、厚労省の結果で出ているんですから。更に調査をしてどれだけかかるのか知りませんけれども、やっている間に本当に地域に残ってくれる学生さんを逃すことになりますから、しっかりと対応してもらいたいと思います。

 それでは、次の課題に移ります。

 次の課題は専門医制度についてという話でありますが、専門医制度、特に、いわゆる本当に専門性のある医師が育っているのかということでありますが、専門医の今更新制度についてどのようになっているんでしょうか。五十六ほどの専門医を設ける学会があると承知をしていますが、この中で、専門医の質を担保する観点から試験を課している専門医、そして、更新のときに同様にまた試験を課している専門医制度、それぞれ何%ずつあるのか、事務方で結構です、お答えください。

武田政府参考人 お答えいたします。

 専門医の更新の際に試験を課しているかどうかということでございますが、平成二十九年度に各学会の専門医の更新に際して試験を課しているかどうかを確認したところ、基本十九領域のうち試験を課しているのは日本内科学会のみということでございました。

 新たな専門医制度における各学会の状況につきましては、今後調査をし、御報告をさせていただきたいというふうに思います。

岡本(充)委員 つまり、基本十九領域、外科とか内科とか、その中で試験を課しているのは一つの専門医だけだと。そしてまた、更新をするときにも、さまざまな免除制度があって、本当に臨床をしているかどうかということを問わない。つまりは、もう皆さんに知っていただきたいわけですけれども、学会の専門医更新のために、学会に出て、会費を払っていたら更新できるというのではやはりまずいと思うんですね。つまり、患者さん側から見たら、この人は専門性があるんだ、こう認識していくわけなんですよ。でも、これが、会費の滞納がありませんという証明にすぎないのでは意味がないわけでありまして。

 では、今度、伺います。

 分母、分子がなかなか難しいんですけれども、会員の数と専門医の数、分母、分子で見た場合、何例か調べてもらいました、どんな傾向が見られましたか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 基本領域の学会に所属する学会員、そのうち専門医を取得している医師の割合ということで、幾つかの学会で数字を申し上げます。

 日本外科学会は三万九千三百三十一名のうち二万一千二百七十五名、取得率五四・一%。日本整形外科学会は二万三千七百九名のうち一万七千二百八十名、取得率七二・九%。日本産科婦人科学会は一万六千二百三十三名のうち一万二千五百六十九名、取得率七七・四%ということでございまして、各学会とも多くの医師が専門医を取得している状況だと認識しております。

岡本(充)委員 これは考え方が二つあって、専門医を取りたいから学会に参加しているという考え方もあるかもしれません。ただ、専門医を取るために、要するに、若い時代は医師になってからの年数が浅いがゆえに専門医になれない人も、専門医の資格を取るために学会に入っている人もいますから。つまり、専門医の資格が取れる世代、取れる年次の医師だけに絞れば、もっとこの割合は高くなることが想定されるわけです。八割、九割になるんじゃないかと思います。

 そういう意味で、本当に専門性が高い医師が専門医となっているのかどうか、ここはやはり大きな論点だと思います。

 今回、さまざまな議論があったんだと思いますけれども、こうした学会が設ける専門医制度について、厚生労働省が直接は意見を言うという立場にはないという法の仕立てになっていると承知はしていますけれども、やはり、最終的にサービスを受ける患者さん側から見て、もっと評価ができる、わかりやすい専門医制度にするべきじゃないか。

 そして、これは、私は、加藤大臣の前だったかもしれませんけれども、ここでも話をしたんです。なぜ専門医制度、更新ができるのか。そのとき私はこう言いました。私が何で専門医を更新できるのかわからないと。私は更新できない専門医制度にするべきだと。そうです、私は今でも専門医です。ここで国会でこれだけ議論していて、私はずっと専門医なんですよ。

 専門医の更新制度を改めるべきだということで、私は自分の所属している学会に言いましたよ。そうしたら、一つの学会は変えました。まだもう一つは専門医制度がそのままです。

 そういう意味で、専門医制度のあり方というのはまだ改善の余地があるんじゃないかと私はつくづく思うんですけれども、大臣、どうでしょう、こういうことを聞く中で、厚生労働省として今回の法改正で直接できることはないにしろ、やはり専門医制度のあり方についてもう少し議論していく必要があるんじゃないか。

 私は、昔そちら側に座っていたころに、この話、キックオフをしようといって発案した一人でもありますから、そういう意味で、これはずっと続いている課題なんですけれども、大臣、どうでしょう、また見直していく必要があるのではないかと思いますが、お考えを聞きたいと思います。

加藤国務大臣 委員が専門医として適切かどうかについて私が判断する立場にはないのでありますけれども。

 今回も新たな専門医制度がつくられて、そして特に専門医の更新の話がありましたが、専門医の更新については、プロフェッショナルオートノミーの理念のもと、各領域の実情に応じて、試験のほか、論文や症例報告等の要件を求めていると承知をしております。

 専門医ということでありますから、やはりそれに対する国民の期待ということもあります。そういう意味で質の向上を図っていく必要がある。他方で、過度な負担を課すことはまたさまざまな影響も与えかねない。その辺のバランスをどうとっていくかということが必要なんだろうと思います。

 専門医の更新に当たりましてどのような要件が適切か。これはまずは、専門医機構、あるいは各学会等において考えていただくべきものだというふうに考えておりますが、今回の改正案に盛り込んでいる仕組み、例えば研修制度に対する厚生労働大臣が意見を述べる仕組み、こういったものも含めて、また、日本専門医療機構における取組によっても、専門医の地域偏在、あるいは診療科偏在の是正、そして専門医の質が担保されない、そういったことになれば、これはまたいろいろと対策を考えていく必要があるのではないかというふうに思います。

岡本(充)委員 何か大臣、弱いですね。今回の法改正だっていろいろ議論があったんだとは思いますけれども。

 もちろん、先ほど委員席の方から診療報酬だという声もありましたけれども、やはり患者さんから見てきちっと評価ができる制度にするべきだというふうに思いますし、それぞれの学会の中で議論はもちろんしていただかなきゃいけないし、政府が上から何か言うという話でもないと思いますが、やはりそうしたベースメントの土台づくりというか、概念というか考え方というか、そういうものは示していくことができるんじゃないかと私は思います。

 そういう意味で、今、内科だと、一般の内科、内科認定医、それから総合内科専門医、そしてそれぞれの科ごとにいろんな専門医があります。こういうような構造が果たしていいのか。もっと言えば、ほかの学会だと、例えば専門医とそうでない医師、こういう二段階になっているところもあると思います。

 こういう構造がいいのかということも含めて、やはりもう一度学会で考えてもらう、そういう機会をどこかで、私は、それぞれの学会にもちろん全てを委ねろと言っているつもりではなくて、政府として何ができるかをぜひ考えてもらいたいと思ってきょうは取り上げました。今後の検討に私は期待をしたいと思います。

 続いて、タスクシフティングの話、医師の働き方についてです。

 これは、文科省にも随分前からずっと聞いてきました。私、いつからこれを取り上げていましたっけ。それで、今どういう状況になっていましたっけ、患者さんの静脈確保の問題、今どういう状況になっていますか。

信濃政府参考人 今委員御指摘のとおり、これはかなり昔から委員にいろいろ御指導いただいているところでございます。

 それで、私どもは、平成二十年一月に、医師と医療関係職等の間での役割分担の推進について、文書で各大学病院に要請を行いました。

 その後、その実施状況について調査を行ってまいりましたけれども、今御指摘ありました静脈カテーテル留置等の静脈注射の実施方針、これの整備状況を確認しましたところ、平成二十八年十一月時点で、全ての診療科で実施方針を持つ大学病院の本院が、一〇〇%この実施方針を持つに至ったところでございます。

岡本(充)委員 ところが、厚生労働省が確認した、これは十一ページなんですよ、静脈ラインの確保ですね。従前より原則看護師が実施している、これは左下ですね、従前より一部実施。そのあたりはあるとして、その下のところですね、緊急的取組を受け原則実施を開始した、そして、原則実施を検討というのがまだ二件残っているんです。もっとひどいのは、静脈ラインの確保をする予定なしがいるんですよ。

 これは、文科省と厚労省と調べてきたものが違うんです。文科省は一〇〇%今やっていますと言うけれども、厚労省が見ると、やっていない、若しくはやる気もありませんと言っている大学が答えているんですよ。厚労省は、これは匿名だといって名前を教えてくれません。どこだかわからない。

 これを言ったら、文科省、何をしたかというと、じゃ、ちょっと調べに行ってきましたということで、調べに行かれました。その資料をつけているのが五ページ目です。これは文科省の資料です。とある大学病院に行って、本当に静脈注射をやっているのか、これまではアンケート票を送っていただけだけれども、今度は実際に行ってきましたということで、行ってこられたそうです。

 そして、実際に面談をして話をしたところ、かなりの条件がついているんです。静脈注射の実施基準は、卒後二年目以降かつ院内試験に合格した者に限って行っている、こういう前提がつくから一〇〇%になっていないんじゃないか。結局、院内試験に合格していない者若しくは院内試験を受ける気もない者は、いつまでたったって静脈注射をしない看護師が大学病院に残ることになるんです。

 この大学も、文科省の調査には、うちは一〇〇%静脈ラインの確保をしていますと答弁をしている大学ですね。しかし、実際には、行ってみたらこのような内容だったと、文科省みずからがこのペーパーを持って私のところに説明に来たわけです。ほおっと言って、初めて見ましたか、そんなことないですね、これは文科省の資料ですから見ているはずです。

 そこでお尋ねをしますけれども、こうした事態を見ると、これではタスクシフト完了とは言えないんじゃないんですか。つまり、今言ったように、院内試験に合格した者ですから、院内試験を受ける気がない看護師は、静脈注射をしない働き方をしていても、これは一〇〇%のカウントに入りませんから。言っていることわかりますよね。こういうような実態では、医師のタスクシフトが進まないのではないか、だから、大学病院における医師のタスクシフトはまだ一〇〇と言えないのではないかと私は指摘しているわけです。

 そういう意味で、文科省、それでもやはり一〇〇だと言われるのかどうか、答弁を求めます。

信濃政府参考人 私どもの調査と厚生労働省の側の調査とのデータの違いについての御指摘なんですけれども、私どもが解釈しますに、厚生労働省の方の調査は選択肢を選んでいただくという形で、例えば、原則実施、一部のみ実施というような非常に限られた選択肢の中で答えを選んでいただく。それが実態とどういうふうに整合しているのかというのを私どもヒアリングをして、意見交換会で調査をしたわけですけれども。

 例えば一部の大学病院におきましては、抗がん剤等の高度な管理を要する薬剤の注射以外は看護師が実施しているという実態がございまして、これはそれで適当だと思うんですけれども、それについて、原則実施と回答している大学と、一部のみ実施と回答している大学があったということで、実態と調査への回答がなかなか整合していない部分があったのがこういう結果にあらわれているのではないかというふうに理解しております。

岡本(充)委員 ちょっとそこでいい話をされました。一体看護師がどこまで静脈注射をしていいのか、静脈注射をするべきなのかという、実は看護協会等でもガイドラインをつくっていると承知をしています。

 医政局長で結構です。このガイドラインはいつできて、今後どういうふうな見直しをしていくんですか。

武田政府参考人 お答えをいたします。

 今ちょっと手元にございませんので、詳細説明できませんが、済みません。

岡本(充)委員 きのう、このガイドラインは見直すべきじゃないかななんていう議論をした記憶が私のどこかにはあるんですけれども。

 いずれにしても、本当にどこまで看護師が医行為の診療補助をしていいのかというのを見直す時期に来ているんじゃないかと思います。つまり、それがきちっと整理をされなければ、いつまでたったって厚労省が出しているタスクシフティングの状況と文科省が言っているタスクシフティングの状況が一致しない。

 大学病院、どことは言いませんけれども、千人以上医師が働いている病院もあるわけですよ。千人以上医師がいて、他の職種より一番多いのが医者だ、そういう病院もないわけではないわけでありまして、そういう意味で、病院にたくさん医師がいる中で、やはり外で医師が診療ができるようなサポートをしていくことが重要だからこそ、大学病院を私は大きな論点に挙げて、もう十年間こんな話をしてきているんですよ、十年間。そういう意味で、もう十年以上たちますね、平成二十年に対策をとってもらっているんですから、それより前ですから、もう十何年間私はこれをやっているんですよ。

 そういう意味で、ぜひ、ちょっとこの問題、きちっと整理をして、本当にタスクシフティングができているのかどうか、文科省と厚労省できちっとそろえて調査するべきだと思います。大臣、どうでしょう。

加藤国務大臣 いずれにしても、実態を把握するということにおいて、今、厚労省は厚労省、文科省は文科省のやり方で出してきているんでしょうけれども、タスクシフトを進めていくというのは私どもの方針でもございますから、それを進めるに当たって、特に今大学病院を中心の話でありますけれども、そういったところがどう進んでいるか、そうした実態把握をしていくということは大変大事でありますので、その実態把握において、じゃ、今委員御指摘のように、少し厚労省と文科省と答えが違うという部分もあるようでありますから、その辺、どの辺が違うかどうか、よく精査させていただきたいと思います。

岡本(充)委員 文科省においては今お話をしましたように院内テストに合格した者と言っていますけれども、院内テストに合格しなければ注射しなくていいというような環境がよもやあるわけではないと信じたいですけれども、そういうことも含めてきちっと調査をするべきだと思いますから、その点を踏まえて、文科省もきちっと調査をするということで、改めて調査を求めたいと思います。お答えいただきたいと思います。

信濃政府参考人 タスクシフティングがしっかり進むように、必要な対応はしっかりとってまいります。

岡本(充)委員 じゃ、必要な対応は、調査が入りますか。

信濃政府参考人 必要な対応が何かということもしっかり考えてやってまいります。

岡本(充)委員 調査しないと言っているわけですか。調査が入りますかと聞いているのに、調査しないんですか。よもや、もうこれで調査は終わりですか。調査するでしょう。

信濃政府参考人 調査が加えて必要かどうかということをよく考えて、必要があれば対応いたします。

岡本(充)委員 ひどいですね。一致していないんですよ。厚労省の方はこれから改めてちゃんと一緒になって調査をするって。じゃ、一緒になってかどうかは別で、調査はするんでしょう。(加藤国務大臣「精査する」と呼ぶ)精査する。精査すると言っているんですよ。じゃ、精査しますか。

信濃政府参考人 厚生労働大臣が答弁されたラインで私どもは対応してまいります。

岡本(充)委員 こうやってやっているから、なかなか、本当に医師の働き方改革が進まないんだと思いますよ。本当に、やはり、本腰入れて、現場がどうなっているのかを見て対応をとらなきゃ進みませんよ。十何年間やっていて、また振出しに戻ったのかと思って、本当に残念でならない。そういう意味で、しっかりと対応をしてもらいたいと思いますし、私は、これからも聞いていきたいと思います。

 続いて、医師少数区域で勤務した医師を評価する制度についてであります。

 本当に厚生労働省の皆さんに大変努力をいただいて、いろんなデータから表をつくっていただきました。大変だったと思います。本当にありがとうございます。

 十二ページのデータは従前からあったのかもしれませんけれども、これは、各都道府県ごとの専攻医、つまり、臨床研修を終えた後、一体、何県で何科の、先ほどの話ではありませんが、専門医を目指しているかどうかは別として、そのスペシャリティーを選んだか、こういう話であります。

 これで見ると、結構、ゼロというところがあるんですよね、ゼロというところが。そもそも、一番右にあるように、人数が少ない。例えば、本当に、人数が少ないところを挙げて恐縮ですけれども、五十人を下回る、こういう都道府県もあるわけであります。

 先ほどの話ではありませんけれども、地域枠を設けている都道府県であるにもかかわらず、これだけ少なくなるこの現状を、大臣はどういうふうに思われますか。

加藤国務大臣 専門医が、どの地域、どの診療科のプログラムを選択するか。まず、その偏在の理由、これはなかなか難しいと思いますが、例えば、これまで、診療科選択に資する情報が不足していたこと、また医師が診療科を自由に選択できる、そんなことがいろいろと要因として考えられるのではないかと思います。

 こうした観点から、今後、都道府県ごとの人口動態や疾病構造の変化を考慮して、診療科ごとに地域の特性に応じた将来必要な医師数の見通しについて、平成三十年できるだけ早期に検討を始め、平成三十二年には国が情報提供することを予定をしております。この見通しを踏まえて、専攻医の適切なプログラム選択に資するものと考えております。

 また、今回の法案では、地域対策協議会の協議を踏まえて、外科、産科等の地域で不足する診療科に対して、大学医局等との連携のもと、効果的に医師を派遣すること、産科に多い女性医師を始めとした若手医師の希望に配慮したキャリア形成プログラムを策定、活用することにより、専門医の診療科、地域偏在の是正にも一定程度資するものと考えているところであります。

 また、本法案では、医療提供体制に重大な影響がある場合には、厚生労働大臣が研修の機関、施設ごとに策定する研修計画等に意見を述べる仕組み、これも盛り込んでいるところでありますので、都市部のシーリングを始めとする地域医療に配慮した取組について、日本専門医療機構等とも議論しながら、これを丁寧に進めさせていただきたいと思います。

 まず、こうしたことをしっかりと実行していきたいと思いますが、さらに、昨年十二月に取りまとめた医師需給分科会第二次中間取りまとめにおいては、将来に向けての課題ではありますが、専門研修における診療科ごとの都道府県別定員設定も挙げられているところであります。

 今回の改正法案に盛り込んだ仕組み、あるいは診療科ごとの必要医師数の見通し公表によっても、専門医の地域偏在、診療科偏在が是正されないといったような場合においては、更にどうした対策が必要なのかについて検討を進めていく必要が出てくるのではないか、こういうふうに考えております。

岡本(充)委員 大臣、お役所がつくったペーパーをお読みをいただくのもいいんですが、実際、これはもう本当に衝撃的ですよ。

 見てくださいよ、表を広げて。いやあ、これはもうびっくりしましたよ。そもそも、医師の専攻医が五十人を下回っているところ、三十七人、三十九人というようなところがあります。例えば、宮崎県なども、本当に少ない、三十七人ですよ。医学部の定員はもっと多いはずです、後で指摘をしますけれども。

 こういう都道府県が幾つもあるだけではなくて、例えば小児科。きょうは大沼政務官もお越しでありますけれども、山形県は一人ですよ。この学年で一人しか行かないんですから、将来的に山形県の小児科医がどういう数になるのか、見えてきますよね。

 じゃ、外科。外科だって、群馬県は一人ですよ。山梨県は一人ですよ。そして、高知県も一人ですよ。外科が一人しかいないこの県、どうなっていくと思いますか。

 大臣、そんなゆっくりな話で大丈夫なんですか。直ちに着手しなければ、何年かたったら、一人ずつしかいないようなこの県、どうなると思いますか。県全体ですよ。群馬県は何万人暮らしていると思われますか。その中で一人しか行かないなんて、これは大変なことだと思いますよ。

 こういう状況、本当に、今のような役所の答弁ではなくて、大臣、速やかに対応をとるべきだと思いますが、いかがですか。

加藤国務大臣 これは確かに診療科もありますけれども、一番右が多分総計ですか。圧倒的に、だからベースの数も少ないわけですよね。先ほど言われた三十七人とか三十九人とか、そういう例もあるわけでありますので。そういったことを含めて、まず専攻医がどういう形で都道府県別になっていくのか。それも今回シーリングも入れながらスタートしているわけでありますから、そうした状況もしっかり見きわめながら、そしてさらに、今後必要な手立てがあればしっかり対応していきたいと考えております。

岡本(充)委員 じゃ、その裏側を見てください。

 これは本当に大変な思いでつくっていただいたと思いますけれども、見方を言いますと、一番右が、二十二年度の入試で入った、つまり今回卒業した学生さん、二十九年から研修医になった学生さん。二十二年度入学ですから、入学をしたときの定員。そして、そこから、まずはすぐ横にある数字が、これが各都道府県ごとに一体何人の人がそこで初期研修をしたか。ここにも委員がいらっしゃる、それぞれのお地元あると思いますけれども、例えば、上の方でいくと青森県、百二十五人の学生が入学したにもかかわらず、青森県で研修をした学生さん、初期研修医になった方は八十二人ということであります。

 もちろん、その方々はその後どこへ行ったのかということを見るために、今度、縦軸を見るんだと思います。縦軸を見ると、結局、青森県に研修後も残った方は六十人、こういう見方になって、どこへ行っちゃったのかなというと、結構な割合で、秋田県から逆に六人ほど来られている。一方で、八十二人の方のうち、初期研修が終わった後どこへ行ったかなと思うと、青森県の方は七人ほど東京に行ってしまっている。こういう見方だという中で、本来入学定員がこれだけいたにもかかわらず、現実的に残った学生さんはどうなっているのか。

 例えば、東京都でいうと、入学定員が千四百四十六人、こういうことでありますが、初期研修で千三百五十人、そして、専攻医になったら千八百二十五人が採用されたということで、一旦はちょっと減ったんですけれども、その後ぐぐっと集めて、東京都はそもそもの入学定員より四百人近くふやして専攻医を集めている、こういう現状があります。

 どこから呼んできているのかというと、例えば千葉県なんかはかなり東京都に吸われている。初期研修を終えて東京都の病院に勤めた千葉県の初期研修の医師は百三十二人もいる、こういうことになるわけであります。

 これは大変示唆に富む話だと思っていますけれども、こうした地方とのこの現状、クロスで評価したのは今回が初めてだと思います。大変だったと思います。こういう評価をきちっとして、一体どこに医師が行っているのか、きちっともう一度評価をして、対策をとることが必要だと思います。

 今回、こういう表をつくったのは初めてだと思いますが、その事実確認と、今後こうした手法を使ってどういうふうな対策が必要か検討する必要があると思いますが、医政局長、どうでしょうか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 きょう議員から配付をされておりますクロス集計のような表でございますけれども、御指摘のとおり、こういった調査は初めての調査ということになります。これによりまして、臨床研修をどこで受けていて、その後、専門医の研修をどこで受けているかというのが明らかになってまいりました。

 これにつきましては、日本専門医機構から、私どもの検討会に御報告をいただき、その際の説明もいただいておりますけれども、更にこの数字の精査が必要な点もあるとは思っております。

 一つは、そもそもの臨床研修を、特に都会以外のところで受けていらっしゃる方が少ない点、この点につきましては、先ほど来お話が出ております地域枠の実効性がどの程度あったのかという評価をしていかなければならないと思いますし、専攻医の件につきましては、そもそも、地域枠の医師であっても、一定期間専門医研修を受けるプログラムを組んでいる県もございますし、専門医機構の方の説明では、一定期間東京のプログラムに所属しても、またそこから地方に行くケースもあるというようなことでございましたけれども、これらについてもう少し、専門医研修開始後のデータもとって、しっかり私どもとしても議論をしていきたいというふうに思っております。

岡本(充)委員 そうですね。東京に行って、千四百四十六人の入学生だったにもかかわらず、先ほどお話をしましたけれども、千八百人を超える専攻医が集まっている東京から、本当にこの後、帰っていっているのかという評価、これはできていないんですね。したがって、そこのところの評価をしていかなければ、先ほどの地域枠がうまく機能しているかどうかの議論も、私は結局わからないんだと思うんです。

 そういう意味で、ぜひ大臣、こうした検討を重ねていただきたい。今局長からの答弁もありましたけれども、私の指摘も含めて調査をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

加藤国務大臣 これは入学定員からずっとフォローしていったということでありますし、また一方では、先ほど申し上げましたけれども、診療科ごとに地域特性に応じた将来必要な医師数の見通しというものも、これから、平成三十年、できるだけ早期に検討を始めて、平成三十二年には国が情報提供できるわけでありますから、要するに、今の動きがそれに向かってどうなっているのか、そうやって考えていかないといけないんだろうと思いますので、そういった観点に立って、実態把握にはしっかり努めていきたいと思います。

岡本(充)委員 今回の場合は都道府県をまたいでの今の議論でありますが、地方の医師の確保をしていくために、今回認定医師をつくるという話であります。

 県内で、基本的に医師の配置をどう評価していくかということだという理解でありますけれども、これについても、私、この認定医師制度、認定の区域だとか期間など、検討しなければならないことがいっぱいあると思います。例えば、認定医師になるためには、大体どのくらいの期間が地方で働くことを必要と考えているのか。おおよそでも結構です。どうですか、全く白紙ですか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 今般の医師の認定制度でございますけれども、医師少数区域等において、一定期間以上の勤務経験を有する医師を、その方からの申請により厚生労働大臣が審査の上、認定することで、医師の少ない地域等での勤務に対する社会的評価を高め、そうした地域での勤務を後押ししようとするものでございます。

 具体的な要件につきましては、法案成立後速やかに医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会での御議論をいただいて結論を得る予定にしておりますけれども、これまでの需給分科会での議論におきましては、例えば、一年あるいは二年という議論がございました。また、丸々一年でなくても十分ではないかなどの意見もあったところでございまして、引き続き、この検討会での場で御議論をいただきたいと思っております。

岡本(充)委員 大臣、ぜひこの点を知っておいていただいて、これを決めていただきたいと思うんですけれども、半年だとか三カ月だとかいう単位で、来られる方の病院も結構困るんですよね。患者さんも、三カ月ごとにころころ主治医がかわるというのは結構困るんです。

 いろいろなところがいろいろな仕組みをやっていると思いますけれども、一例を挙げると、私の経験上は、大学院に入るまでに必ず僻地に行ってきてください、若しくは大学が指定する公立病院で働いてくださいということを、大学院に入る要件とは言いませんけれども、一つの条件にしている医局もあります。

 現にそうやって働きに来られる医師、三カ月でかわるとなると、そこの地域で暮らす高齢者の方からすると、先生の名前を覚えたら、三カ月後に行ったら違う医者になった。三カ月に一回の処方だったら毎回処方する医者がかわっていっちゃうわけですよ。

 したがって、余り短期間で、三カ月ずつ行ったからそれでいい、こういう話ではないと思いますし、ましてや、非常勤で行って、それで認定要件を満たす、これはさすがにないですよね。どうですか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 まだその点まで十分議論できておりませんけれども、やはり地域医療の経験を得るということでありますので、一定期間その地域の医療に関し責任を持って診療するということが考えられるのではないかと思います。

岡本(充)委員 つまり、非常勤を否定していないんですよね。

 これは非常勤の医師では、やはり本当にそこの医療にどれだけの責任を持って、もちろん非常勤でも責任を持ってやっていますよ。ただ、今の話で、今回の要件にするのに、一年間非常勤で行きましたからそれでいい、週に一回、一日外来をやりに行っていますからそれでいい、これで趣旨に本当に合致するのか。私はやや疑問があるんじゃないかと思っています。したがって、何にも決まっていない。

 逆に聞きますけれども、法律で制定する医師の資格というか要件で、これだけ未確定、こういう検討状況を全く未定の中で法定した資格というのは何かあるんですか。

武田政府参考人 例えば、一例を挙げさせていただきますと、難病指定医の制度のように、行政が医師に一定の地位を与える制度であって、現行でも法律制定後に制度の詳細を省令等で決めた例があると承知をしております。

 こうした制度に限らず、一般論として、法律や法律案の審議過程において、制度の一定の考え方を示した上で、その詳細については、専門家を交え、また国会での御議論も踏まえてさらなる検討を進めることもあるものと承知をしております。

岡本(充)委員 また金曜日も質問に立たせていただこうかなと思っていますから、そのときまでに私も難病指定医がどういう経緯で決まっていたか調べたいと思います。

 私はこれは余りにもアバウト過ぎるんじゃないか、こういうふうに思っているわけであります。そういう意味で、これは一体どういう、逆にインセンティブがあるか。このインセンティブを含め、難病指定医はインセンティブは明らかでしたね、どうですか。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 武田医政局長。

武田政府参考人 正確な御説明にならないかもしれませんが、各制度で、指定医の制度をつくるときには、例えば各法の上で、実際の権限を行使する際に指定医の要件が必要になってくる場合があると思いますけれども、私ども今回提案をさせていただいておりますのは、事実として、一定の経験を積んだ、少数区域での勤務経験のある方について大臣認定をした上で、さまざまなインセンティブにつきましては、制度上又は予算措置上今後検討していくというものでございますので、ぜひそういう形で御理解をいただければと思います。

岡本(充)委員 効果が、それを取った結果、難病指定医は難病指定の判定ができるんですよ。何ができるかが決まっているんです。今回の認定医師は何ができるかは決まっていないですよね。どうすれば取れるかも決まっていない。何ができるかも決まっていない。その両方、決まっていない、こんな指定制度若しくは認定制度、何かあったんですか。

武田政府参考人 今回の認定制度につきましては、その法律上の仕組みといたしましては、今回の医療法の改正法の中にもございますけれども……(岡本(充)委員「何かあったんですか。あったか、なかったかですよ、ほかに」と呼ぶ)今回の仕組みにつきましては、管理者要件の中で効果を位置づけております。

岡本(充)委員 効果は、具体的に何ですか。できることは、今の、病院の管理者になると言ったけれども、どんな病院の管理者になるかもわからないですよね。どこの病院の管理者になるかもわからない。経済的インセンティブがあるか、ないかもわからない。そうでしょう。

 どんな病院の管理者になれるか、明確にしていますか。

武田政府参考人 今回の医療法の改正案の中におきましては、地域医療支援病院の中の一定の要件を満たした、地域医療に貢献する医療機関について、管理者の要件として規定することを予定しております。

岡本(充)委員 その病院は一体どこなのかというのがわからないじゃないですか。例えば、愛知県なら、それはどこの病院なんですか。はっきり言ってください。

武田政府参考人 これにつきましては、現在の地域医療病院の性格、それぞれの病院が果たしている機能を踏まえまして、十分検討していきたいと思います。

岡本(充)委員 続きは金曜日にやりたいと思いますけれども、これほど決まっていない制度、これほど決まっていないものはないんじゃないかと思います。

 時間が来ましたので、また次回しっかりとやらせていただきます。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 先週六日の委員会において、西日本の豪雨被害で既に三名の犠牲者が出ていること、土日で更に被害が拡大するおそれがあることを述べましたが、きょう昼のニュースで、既に、十三府県、百六十九名の犠牲者、行方不明者が七十九名と広がっております。

 改めて、犠牲になられた皆様に心から哀悼の意を表するとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。また、行方不明の方たちが一日も早く見つかるようにと祈念するものであります。

 なぜここまで被害が拡大したのかとか、防ぐことができなかったのか、こうした問題は十分な検証が必要であり、それはまた別の場所に期待するとして、今まさに悲しみや不安を抱えながら避難生活を送る被災者の皆様が直面するさまざまな困難に全力で応えていきたいと思っております。

 資料の一枚目に、内閣府防災が六日に発出した通知、避難所の生活環境の整備についてをつけました。

 実は、災害のたびにほぼ同じものが発出されておるわけでありますけれども、毎回、大事であるということでありますし、災害が起きるのが災害事務になれた地域で起きるとは限らないわけでありますので、繰り返しやっていくこと、また、被災者の皆様が誤解がないように、こういうことができるのだということを周知していくのは本当に大事なことではないのかなと思っております。

 避難所の設置で、簡易ベッドや畳やマットやカーペット云々というところから、炊き出しその他食品の給与、福祉避難所の設置、応急仮設住宅の供与、その後に特別基準の設定というものがございます。

 この中で、災害救助の基準というのはあるんですけれども、自治体が申し出れば特別基準を設定すると。ですから、その基準を超えても必要であれば支援ができるのだということが書いてあるということは非常に大事なことではないのかなと思っております。

 それから二枚目。これはことしの、これも内閣府の資料ですけれども、担当者全国会議の資料で配られたもので、内閣府が応急的な財政支援をするものというふうに書いています。

 大変わかりやすくて、例えば、食事に関しては、炊き出しスタッフの雇い上げ。これは、みんなボランティアかと思ったら、その人手がない場合は雇い上げということができるんだということや、仮設風呂、簡易シャワーの設置、仮設洗濯場、仮設トイレ、授乳室、あるいは入浴施設への送迎と入浴料の支払い、あるいはエアコンなども、レンタルできればいいんですけれども、それができない場合は購入だって構わないのだということが書いてありますし、生活環境の整備に関すること、あるいは避難所の設置に関することなども書いてあるということで、非常に重要かなと思っております。

 それで、きょう幾つかほかの委員からも質問が出ておりますけれども、改めて、省庁間の情報共有を図るとともに、厚労省としても被災者が活用できる制度などを知らせ、また保健師の派遣など人的支援や、厚労省としても対応していくことがたくさんあると思いますが、見解を伺います。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

加藤国務大臣 今、避難所等々のお話もございました。

 内閣府から避難所運営に関する通知が出されていること、我々はもちろん承知をしておりますし、避難所には、高齢者、障害者、女性、子供など、福祉サービスや保健医療サービスを必要とする方々もおられるわけでありますので、我々としてそうしたニーズをしっかり把握して、また避難所運営にも協力をしていきたいと思っております。

 そういった意味で、今後、暑くなる時期を迎えますから、避難所における衛生状態の確保、感染症予防、避難所の熱中症予防に取り組む必要がありますので、保健師の方々の巡回を通じて、避難所に避難されている方々のニーズを把握して、避難されている方々の健康管理、避難所の衛生管理に万全を期したいと思っております。

 当該市における保健師だけでは足りませんから、他地区からの応援、それから、その機能を支えるための、先ほど申し上げたDHEAT等の派遣、そういったことも含めて、そうした機能が十二分に発揮できるように支えていきたい、支援をしていきたいと思っております。

 また、厚生労働省の支援施策の内容、あるいは避難所で生活をしていく上での留意すべき事項について、避難所で生活されている方々にわかりやすく周知をすること、そして、被害に遭われている方々や被災地への支援、それにつながっていくこと、これにしっかりと努力をさせていただきたいと思っております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 四年前、広島市の土砂災害のときに、あのときも、今回の災害は今の地域とかぶっていて、更に大きくということになると思うんですが、公営住宅を市がぱっと募集をしたりですとか、自力で民間のアパートを借りた方などもとても多かったんですね。だけれども、避難所にほとんど入らないで、すぐに行っちゃった。

 そうすると、公営住宅は家電から何から全部そろえなきゃいけないわけで、でも、入った時点でもう自立再建とされてしまって何の支援も受けられないわけなんです。

 そうすると、その現場でですけれども、まだ二次避難の段階なんだよと。ですから、避難所に入っているのと同じように、あるいはアパートだって借り上げという制度があるわけですから、そういう形で見直しをしてほしいということでいろいろ求めたことがあったんですね。ですから、制度を知らずに被災者が取り残されることがないようにしていただきたいと思います。

 特に、厚労省は、例えば国保の料金ですとか、窓口負担の一部減免ですとか、さまざまな制度があって、きのうまでだけでもホームページで数えたら三十三本の通知を出しておりますけれども、こうしたことは本当に大事なことかなと思っております。

 また、さっき、あえて私、避難所の通知を紹介しましたけれども、もともとは災害救助法が担当していたということもありますけれども、平成二十三年の六月三日に、避難所生活の健康管理に関するガイドラインを厚労省として出しているわけですよね。それがもとになって、衛生管理ですとか、さまざまなことがやはり基本として示されてきたのかな、こういうふうに思っています。

 ちょっとだけ、そのガイドラインの「はじめに」のところで、こんなことが書かれています。「本ガイドラインは、避難所で生活をされる方々が病気にならないよう、またできるだけ健康に過ごしていただくため、避難所管理者の方々や避難所で生活をされる方々を支援される関係者が、避難所における健康管理に関してご留意いただきたい事項として、まとめたものです。」

 ちょっと飛んで、「管理者ご自身の健康保持についても大切なことであり、例えば以下のことに気をつけてはいかがでしょうか。」ボランティアや避難所で生活をされている方々と役割分担をするとか、どうも過労だなと思ったらきちんと休みをとるとか、他の避難所との交流とか、こういうことを例示しているんですね。

 厚労省にしてはと言えば失礼ですが、大変優しい文章だと思っております。もちろん、通知を次々出すだけでは、現場は混乱しているわけですから、十分に見てもらえないので、出しただけで安心してはならないわけですけれども、ただ、そういう被災者の立場に立って、あるいは夢中になって被災者をお世話している方々の立場にも立って支援をしていただくように、きょうはお願いをしておきたいと思います。

 それでは、法案に入ります。

 きょうは、地域医療構想をめぐる問題を中心に質問をしたいと思います。

 二〇一六年度中に各都道府県は地域医療構想を策定し、昨年度からその実現のための地域医療構想調整会議で具体的議論を始めていると承知をしています。

 資料の三を見ていただきたいんですが、これはおさらいにもなりますが、「「地域医療構想」の達成の推進」ということで、経済財政諮問会議に当時の塩崎大臣が提出した資料でございます。

 左側に足元の病床機能と二〇二五年の病床必要量というのを比較をしています。高度急性期、急性期、回復期、慢性期というように、病床機能を四種類に分けて、これは見ていただくとわかるように、急性期は縮減の方向、回復期はむしろ三倍にふやす方向、あとは縮減ということで、単純に計算すれば十四万床削減と。はみ出す部分は介護や在宅医療でという構図になっていると思います。

 右側には、それぞれの病院ごとに機能転換や病床削減などを決めていくんだ、そのために地域医療介護総合確保基金による支援があると説明をしています。

 これは資料をつけておりませんが、青森県でいいますと、二〇二五年の必要病床数は二〇一四年と比較すると全体で三千四百八十六床少ないと書いています。必要量が少ないということは、つまり多いという意味なんですね、そういう書き方をしているんですが。三千四百八十六床というのは、これは二二・七%の削減率になって、全国の倍になるわけですね。

 なので、ここの数字を出すまでも大変な苦労をしているわけですけれども、これを実際に具体化をして、どこの病床、どこの医療機関ということを落としていくというのは、大変な苦労をされると思っております。

 そこで伺いますが、地域医療構想の達成のために、個別の病院名や転換する病床数等の具体的対応方針について今年度中に策定を促進すると聞いていますが、どのように進めていくのですか。簡潔にお願いします。

武田政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ございましたように、地域医療構想の達成に向けては、医療機関ごとの具体的対応方針が速やかに策定されるよう、地域の医療関係者などで構成する地域医療構想調整会議において、昨年度から二年間程度で集中的な検討を行うこととしております。

 このため、昨年八月に、公立病院や公的病院等について、地域で求められる役割やそのあり方を議論していただくよう要請するとともに、本年二月にも、民間医療機関に係る協議のスケジュール等、開設主体に応じた協議の進め方をお示しをしたところでございます。

 また、六月には、都道府県に対しまして、構想区域単位の調整会議に加え、都道府県単位の調整会議を設置し、地域ごとの課題や解決策の共有を図るよう要請をしております。

 さらに、今後、国においては、調整会議における議論を一層活性化するための方策として、議長や事務局を含む関係者を対象とした都道府県主催研修会の開催支援、関係者への助言やデータの分析支援等を担う地域医療構想アドバイザーの養成、これらを進めることとしております。

 厚生労働省といたしましては、地域ごとの協議の進捗状況を三カ月ごとに把握し、公表しつつ、その進捗状況に応じた地域医療介護総合確保基金の重点配分等を行うことで、各地域の集中的な検討を促し、地域医療構想の達成に向けた一層の取組を加速してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 一般論で言うとそうなんですけれども、資料の四を見ますと、「地域医療構想調整会議における議論の状況」とあります。

 左上は現状分析に関する取組の状況ということで、四半期ごとというんでしょうか、三カ月に一回くらいのペースでやっているのかしらというふうに見えるわけですけれども、右側の方には、非稼働病棟に関する状況把握、病棟が丸ごと動いていない、要するに、入院を受け付けていない機関が千百五十八施設あり、二百八十五区域である、それについて議論した構想区域が六十六区域にとどまっているというふうにあります。

 ちょっとめくっていただいて、資料の七枚目を見ていただきたいんですけれども、これは、今言ったのを都道府県別に落としたところなんですが、上の段は非稼働病棟の病床数であります。北海道が飛び抜けておりまして、二千床ありますよね。下の段は、それについて調整会議で議論をやっているというグラフであります。

 そうすると、北海道は一つもやっておりませんし、やっていない自治体がかなり多いです。そして、一〇〇%やっているという自治体の、上を見ていきますと、石川、山梨、和歌山、徳島などは比較的非稼働の病床がそもそも少ない、そういうところでしか動いていない。これは実は大変な困難だということだと思うんですね。

 こういう現状をどう打開していこうと思っているのか、あと、理由についても伺います。

武田政府参考人 お答えいたします。

 都道府県は、病床機能報告の結果などから、病床が全て稼働していない病棟、こういう病棟を有する医療機関を把握した場合には、速やかに、当該医療機関に対し、地域医療構想調整会議へ出席し、病棟を稼働していない理由、当該病棟の今後の運用見通しに関する計画について説明するよう求めることとしております。

 しかしながら、昨年度末の時点におきまして、非稼働病棟の病床数を有する都道府県のうち、非稼働病床数の多寡にかかわらず、全く議論がなされていない都道府県が二十七カ所確認をされたところでございます。

 このため、厚生労働省といたしましては、地域ごとの協議の進捗状況を三カ月ごとに把握、公表し、その進捗状況に応じ、より都道府県の一層の取組を加速させていただきたいということでございます。

 お示しをいただきましたグラフにつきましても、私どもが三カ月ごとに具体的な進捗状況を把握する中で把握した状況についてお示しをしたものでございますが、非稼働病床が多い地域であっても少ない地域であっても議論がされていない県もございますので、私どもとしては全ての都道府県においてしっかりと取り組んでいただきたいと考えております。

高橋(千)委員 今ちょっと思ったんですが、三カ月ごとに進捗状況をチェックするんだ、かなり力を入れているわけですよね。そして理由を聞く。どうしたいと思っているんでしょうかね。

 私はこの問題は、医療介護総合確保法のときにも議論をしておりますし、地方創生のときにも議論をしておりますけれども、病棟が動いていない理由にはやはり、医師がいないんだ、医師がいないことによって病棟が動いていない、そのために他の市に、ある程度大きな市に入院をしているという状況があるわけですよね。

 でも、それが受療動向という形で数字で出てしまうと、その自治体は足りているということになってしまって、非稼働だったら切ればいいでしょう、そういう議論になっちゃうんだよ、でもそれだったら地域が壊れてしまうでしょうという議論をしてきました。

 厚労省は、結局、非稼働のところをチェックしてチェックしてどうしたいんですか。これはもう切ってしまえと言いたいんですか。

武田政府参考人 御指摘のございましたように、非稼働病棟の中にはさまざまな理由がある可能性がございます。

 したがいまして、それぞれの病棟がなぜ稼働していないかという理由、そして、今後それをどうしていくのかという計画について当該医療機関に対して説明を求めるということが私どものお願いしている対応でございますので、一律の対応をお願いしているわけではございませんけれども、今後の医療ニーズを見据え、また、現在どのような機能を果たしているかということを踏まえて、地域においてこの地域医療構想の促進に向けて議論が進むことを期待しているところでございます。

高橋(千)委員 少し急ぎます。

 先ほど尾辻委員も聞かれておりましたけれども、結局、公立病院、公的病院が真っ先に切りやすい、そういう標的に上がっているんだろうということをこれまでも指摘をしてきました。

 それで、平成二十七年三月三十一日、局長通知で新公立病院改革ガイドラインが出されております。この趣旨は何でしょうか。

大西政府参考人 新公立病院改革ガイドラインの趣旨でございますが、平成二十七年三月に私ども総務省からお示しいたしました。

 公と民の適切な役割分担のもと、地域において必要な医療提供体制の確保を図り、その中で、公立病院が安定的に不採算医療や高度先進医療などを提供する重要な役割を継続的に担っていくことができるようにすることを目的にしたものであります。

 このため、各公立病院においては、同ガイドラインの趣旨に沿って、新公立病院改革プランを策定していただき、必要な医療機能を備えた体制を整備するとともに、経営の効率化を図り、持続可能な病院経営を目指すものと考えております。

高橋(千)委員 資料の五番目に、「公立病院改革の推進」ということで少し資料をつけておきました。

 それで、今お答えがあったんですけれども、公立病院改革ガイドラインですね、旧ガイドラインといいましょうか。二〇〇七年の十二月に通知をされました。そのときに、二〇〇八年度内に数値目標を決める、赤字の解消、経営の効率化ということや、再編・ネットワーク化、独立行政法人などの経営形態の見直し、こういう厳しい改革を求められたと思います。

 そこで、この資料の五にあるように、赤字がかつて七割あったものが五三・六%ということで、一定の成果があったということなのかなと思っております。それから、再編・ネットワークが百六十二病院になったと。成果があったというのは、私がそう思っているんじゃなくて、皆さんがそう思っているんだと思うんですが。

 そこで、この旧ガイドラインと新ガイドラインで何が違うんでしょうか。

大西政府参考人 新ガイドラインと旧ガイドラインの違いでございますが、公立病院改革の目指すところは、公と民の適切な役割分担のもと、地域において必要な医療提供体制の確保を図り、その中で、公立病院が安定的に不採算医療や高度先進医療などの重要な役割を担っていくことができるようにすることでございます。

 新公立病院改革ガイドラインと従来のガイドラインでは大きく変わるものではありません。

 一方で、各都道府県は、公立病院や民間病院を含めた各地域の医療提供体制の将来の目指すべき姿を示す地域医療構想を策定することから、今後の公立病院改革は、地域医療構想に基づく取組と整合的に行われる必要があると考えております。

 このため、新ガイドラインでは、これまでの経営の効率化、再編・ネットワーク化、経営形態の見直しといった視点に加えまして、地域医療構想を踏まえた役割の明確化を加えた四つの視点で取組を要請しておるところであります。

高橋(千)委員 余り具体的な違いがわからなかったですよね。確認をしていきます。

 まず、公と民の役割分担というのを随分強調されますけれども、公立病院に期待される主な機能として、やはり、山間僻地、離島などの医療機関の立地が困難な地域での一般医療の提供、救急、小児、周産期、災害、精神などの不採算・特殊部門にかかわる医療の提供、県立がんセンターなどの高度先進医療の提供、研修の実施などを含む広域的な医師派遣の拠点といった基本的な役割は、新旧変わらない、これでまずよろしいですか。イエスかノーかで。

大西政府参考人 今委員御指摘の点につきまして、基本的な視点は変わりません。

高橋(千)委員 そこで、役割分担といって、骨太なんかは不採算医療などに重点化すべきだというふうに指摘をしているわけですよね。でも、逆に言うと、不採算医療などを提供する役割と経営の効率化を求めるガイドラインというのは完全に矛盾しちゃうわけですよ。不採算になっているのにどうして経営が効率化できますか、こういうことになっちゃうわけですよね。

 だけれども、実際にこれで何がわかったかということなんですが、二〇一六年八月十六日、内閣府政策統括官が、公立病院改革の経済・財政効果について、地方公営企業年鑑による個票データを用いてというレポートを発表しておりますが、有識者検討会もやっておりまして、その委員の一人だった伊関友伸城西大学経営学部教授は、四百床以上の病院の収支状況で見ると、収支改善したグループが九十七病院、七五%、その要因は、医師や看護師など職員数をふやしている、つまり、医療提供能力を向上させている、そういうところが入院単価とか外来単価を三割伸ばしている、そういうことを指摘しています。

 また、同様に、総務省の二〇一六年三月の公立病院改革事例集、これは二十病院の事例集がありますけれども、そこで見ても、医師や看護師の増員を図ることで経営改善をした病院が多いと指摘をしているわけですよね。

 そういう分析がやはり反映して、新ガイドラインでは、単に効率化イコール人件費抑制といった数値目標ではなくて、質の向上、職員採用の柔軟化、勤務環境の整備などといったところに重点を置いたというところがこれまでと違うんではないでしょうかと思うんですが、いかがですか。

大西政府参考人 新ガイドラインでございますけれども、経営の効率化について、公立病院が担う役割を確保しながら黒字化を目指して、経常収支比率等の数値目標を設定して経営を効率化することを求めております。

 また、医師等の人材確保、育成、経営人材の登用等に留意しつつ、この点が今委員御指摘の点に関係すると思いますが、経費削減、収入増加等の具体的な取組を明記する、こういったことを定めてございます。

 以上でございます。

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

高橋(千)委員 いろいろ言いましたけれども、私が言ったことについて、もちろん、そのほかにもありますよ、再編・ネットワークへの支援ですとか、特別交付税措置の重点化ですとか、今回、新ガイドラインで変えたところがあります。

 だけれども、やはり、質の向上、職員給与対医業収支比率を削除して、職員採用の柔軟化とか勤務環境の整備、研修機能の充実、医師などのスタッフ確保のための取組強化ということを入れたというのは間違いないですよね。

大西政府参考人 今の点は御指摘のとおりでございます。

高橋(千)委員 多分答えにくいのは、そうなんですよ、そうやって新ガイドラインをつくったんだけれども、今度は、地域医療構想と合わせなければならないという問題が出てきたので、そこに非常に悩ましいところがあるんではないかと。

 通知では、「地域医療構想調整会議の合意事項と齟齬が生じた場合には、速やかに新改革プランを修正すべきである。」これ、すごい表現ですよね。地域医療構想の方は厚労省が所管で、新公立病院改革は総務省が所管なわけですよね。だけれども、こっちが上部構想といえばあれなんでしょうか、そごが生じたら、こっちの、公立病院の方を修正すべきと書かれている。

 その意味はどういうことでしょうか。

武田政府参考人 先ほどもお答えをいたしましたけれども、地域医療構想の達成に向けては、医療機関ごとの具体的対応方針の速やかな策定に向けて、地域医療構想調整会議において、二年間程度で集中的な検討を行うこととしているところでございます。

 公立病院、それから公的医療機関、それぞれ地域で政策医療を担うことが期待をされており、税制、財政上の優遇措置がとられているといった特徴があることから、他の医療機関に率先して、地域医療構想の達成に向けた医療機関としての具体的対応方針を示し、他の医療機関との役割分担に関する議論を進めていただく、こういうことが非常に重要になっているところでございます。

 この地域医療構想の考え方そのものにつきましては、二次医療圏単位で、今後の二〇二五年を見据えた医療ニーズの将来像を踏まえて、全体として、その医療機関が役割分担をしていくということでございますので、個々の病院としてプランを立て、そして、その地域全体のニーズ又は役割分担に応じて、それぞれの病院がまたその機能を考えていく、そういうプロセスを書いているんだということと理解をしております。

高橋(千)委員 今、総務省に質問したつもりだったんですが、医政局長が答えた、ここに全てがあらわれているのかなという気がしますよね。

 それで、やはり、今回は、全体として、公立病院の改革が、国の地域医療再編の中でやはり真っ先にやり玉に上がっているんだということが言えるのではないかと思うんですね。せっかくそのプランの中でいいことも入ったけれども、しかし、速やかに修正すべきであるというふうに書かれてしまったわけです。

 それで、資料の六に、既にこの新プランに基づいて再編・ネットワークが行われているという資料をつけておきました。時間がないので読み上げることができませんが、宮城、秋田、茨城、新潟、長野などがあります。

 その一方で、資料の八枚目を見ていただきたいんですが、そうはいったって、今言ったように公立病院にはなくてはならない役割があるわけです。今回、済みません、時間の関係で公的医療機関の方はちょっと省略して、公立病院のみを伺いたいと思うんですが、この取りまとめ状況を見ますと、合意した数、これは下の段を見てください、ちょこっと線が引かれているのが、すぐ数えられるくらいですよね。十一くらいしかない。そのくらい合意が進んでいないわけですね。

 これはなぜだと思いますか。

武田政府参考人 私どもといたしましては、四半期ごとに各地域医療構想調整会議の進捗状況について報告を求めているところでございますけれども、議論開始というところが大変多くなっておりまして、公立病院については、三月末の時点で議論開始が六百五十地域ということでございますので、その中で、今後、こういった合意を進めて、議論が進んでいくものというふうに承知をしております。

高橋(千)委員 今始まったばかりだからとおっしゃりたいんだと思いますね。私は、結局これは、先ほどから言っているように、公立病院に関しては知事の強制権限も追加をされているわけなんですね。ここが大きな問題なんだろうと。

 きょうは、余りにも細かくて資料としてはつけませんでしたけれども、この地域医療構想を機械的に公立病院に当てはめた場合、ベッドがどれくらい余るかというデータも全部出していますよね。それが本意ではないのかと。このやり方が、地域の医療を守る、地域の住民の合意で育てていくという思想があるんだろうかということを本当に言いたいなと思うんです。

 それで、最後のページに、先ほど尾辻委員も紹介されました知事の権限の追加というところなんですけれども、今の段階でもかなりの権限は実はあるわけなんですね。

 これについて、二〇一四年の四月二十三日の厚労委員会で私はこういうふうな質問をしております。従わない場合の措置として、医療機関名の公表、各種補助金や融資対象からの除外、地域医療支援病院などの不承認といった措置を決めているわけですね、その意図を簡潔に説明してくださいと聞いたときに、原医政局長が、基本的には病院というのを潰すわけにはいかない、ただ一方で、必要な機能をそれぞれの医療圏で実現していくためには具体的な病院にそれぞれの機能がうまく張りついていないといけないわけですので、話合いをしていった中で、うまくやらない場合に、知事から公的病院には指示をしたり命令をする、あるいは、民間の医療機関には、要請をして機能を変更をしていただく場合もあろうかと思いますと。

 その後に、それに従わない場合にどうするかというところで、最終的には名前の公表もしますよというようなところを、ある意味では、一応、懐に武器を忍ばせている、こういう表現を局長はされました。

 ただ、その後に、それを実際に使うということを想定しているわけではないと言っているんですが、今回、権限も強化しているし、いよいよもって武器が出てくるのかなということを思いますが、いかがでしょうか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 今回の地域医療構想の仕組みにおきましては、あくまで地域において、それぞれの病院の機能について地域で話合いをしていただく。私どもとしては、そこに向けて具体的なデータをお示しし、また、機能転換については地域医療介護総合確保基金で財政支援を行う、こういうことで臨んでいるところでございます。

 御指摘ありましたように、法律的には命令、勧告、要請なども規定としてはございますけれども、まずは地域地域で自主的に話合いが進むことが第一であるというふうには考えております。

高橋(千)委員 今それを言ったってしようがないじゃないですか。知事に権限を、もう一手に集中しちゃったわけですよ。

 病院の問題だけではなく医師の問題でもそうですし、本当はきょうこの後やりたかったんですが、国保の負担率を決めるときにも医療提供体制が関係してきますよね。もう全部都道府県に権限が集中してしまったわけなんです。そうすると、やらざるを得なくなる。やらざるを得ないときに、公立病院を最初にお願いするという形にならざるを得なくなる。それが一番私が恐れていたことなんです。

 ベッドを一つも削るななんということを言っているわけではありません。だけれども、こうした中で、医師や看護師をしっかり確保することが経営を逆にプラスにさせるんだよという経験をやっとつくって頑張ってきた人たちが、医師を確保するための努力をしちゃいけないのか、地域の皆さんと力を合わせてやっていくことがいけないのかと言われているような今の状況はやはり違うんだと思います。

 とても時間が足りませんので、また次の機会をお願いしたいと思います。

 きょうはこれで終わります。

高鳥委員長 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。

 まずは、今回の豪雨で亡くなられた方々に哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた方々に対して心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

 今回の医療法、医師法の一部改正に関しましての質疑がずっと続いてきまして、私は十二番目の、最後の質疑者となったわけでございますけれども、今回の法案は医師の偏在を解消するというようなことでございました。

 それで、ほかの委員からもいろいろな方面から質問があったかと思いますし、また、医師の偏在に関しましては戦後七十年以上の中でいろいろと取り組んできた、その中では、ドイツの取組などもほかの委員の方からも御紹介をいただいたわけでございますけれども、そういう意味で、これまでもずっと偏在については政策を打ち出してきているのではないかと思うんです。

 今回もその一環だと思うんですが、それでもなおかつ偏在が解消できなかったというのは、これまでの政策は失敗だったということなのか、あるいは、これまでの政策の前提となっている、例えば人口分布などが予想外というようなことで政策がうまく機能していなかったということなのか、その点についての認識をまずはお聞きしたいと思います。

武田政府参考人 お答えをいたします。

 厚生労働省といたしましては、これまで医師偏在のために、医師偏在対策についてさまざまな議論を行い、また、例えば本日も議論として出ております医学部の入学定員の増加でございますとか、都道府県における地域医療支援センターの設置でございますとか、さまざまな取組をしてきたところでございます。その結果として、全体的な医師の数については増加をしたわけでございますけれども、医師の偏在につきましてはまだまだ解消していないというような声が強いこともまた事実でございます。

 私どもとしては、そういう現状認識のもとで今回の法案を提出をさせていただいております。

串田委員 これまでもいろいろな政策を打ち出してきて、それがうまくいっていない。今回また政策を打ち出した、それが今度は成功するというふうに期待できるのかどうか。七十年間失敗してきたわけですから、今回が成功するかどうかというのは、私は大変心もとない気がしなくはないんです。

 そういう意味では、これまでの政策が成功したかどうかという検証は現実に行われてきているんでしょうか。例えば、今、医師の増加をした、しかし偏在はうまくいかなかった。それは、目標よりは、達していないけれども当初の傾向は見てとれるのか、それとも全く見てとれなかったのかというようなことについての検証はしっかりと行われているのかどうかをまず教えていただきたいと思います。

武田政府参考人 私ども、検討会におきましてさまざまな議論を行ってまいりました。例えば、全体としての医師数の増加の結果といたしまして、二次医療圏別で見たときに、どのような地域で医師が増加し、どのような地域で医師が減少したかという数字も検証してまいりました結果、都市部についてはおおむね医師が増加しているものの、都市部以外の地域におきましては、一定の地域で医師数の増加が見られたものの、逆に医師が減少した地域もあるということでございまして、やはり医師の地方勤務に対するインセンティブという意味ではまだ弱いのではないか、こういうことから今回の法案を提出させていただいているところでございます。

串田委員 資料の中では、働き方実態調査というのも行われております。医師の全年齢の中では、一番多いのは、やはり労働環境が、少数地域に不安を持っている。もう一つは、仕事内容が希望しているものに合致しないというのもありました。二十代においては、専門医の資格取得が非常に困難であるというようなこともありましたし、三十代、四十代は子供の子育て環境というのも大変不安になっている。こういったような働き方実態調査というのが行われているんですけれども、今回の法案は、要するに、実態調査が反映されているかどうかというのが、因果関係が非常に弱いような私は気がしているわけです。

 その中では、認定制度というものを、インセンティブをとるというようなことは、わからなくはないんですけれども、実態調査と今回の法案というのはリンクしているものかどうかというのは、リンクしているという自信を持って法案を出されているのか、実態調査は実態調査であるけれども、政策はちょっと違った方面から打ち出してきたよということなのかどうかは、認識はどうなんでしょう。

武田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、私ども、医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査というのを実施をしておりまして、この中で、地方勤務を希望する医師については、約半数、四四%の医師が希望があると言っている一方で、さまざまな障害があって医師の少ない地域での勤務が実現をしていないというような調査結果があるわけでございます。

 それに応じまして、私どもとしては、今回の法案で御提案しておりますような、地方勤務を評価をする仕組みを法律上設けるとともに、医師の少ない地域での勤務に対する障壁、これを除去することを同時に行って、これによって政策の実現を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

 労働環境に不安がある、又は子供の教育環境が整っていない、家族の理解が得られない、専門医の資格取得が困難である、こういったさまざまな私どもが調査で把握した障害につきましてはそれぞれ予算措置などで対策を講じることとしておりまして、今回の医療法、医師法の改正法案とともに、こういった一定の予算措置を講ずることによって、私どもが実態として把握した障壁を除去し、医師の偏在対策につながるものというふうに考えております。

串田委員 長い間の期間に政府がいろいろな政策を打ち出してきているというのはわからなくはないんですけれども、一方、平成十六年でしょうか、臨床の必修化というものが行われ、それが都市部の臨床病院に集中をしたというのも、偏在に対して加速化させているのではないか。偏在を解消しなきゃいけないと言いながら、実は偏在を加速させるようなことを、十分それは予測できると思うんですよ、必修化するわけですから。

 必修化をするときに、どこで必修を受けるかというと、都市部の可能性は十分あり得るよねというのは想定できたのにもかかわらず、それを行って、そして結果として偏在化というものを強めていくというようなことが十分想定できていたわけなんですけれども、そのような認識をしていなかったのか、していたけれどもやってしまったのか、その点はどうなんでしょうか。

武田政府参考人 お答えをいたします。

 ただいま、平成十六年度から始まりました臨床研修の必修化についてのお尋ねがございました。

 平成十六年の際の議論でございますけれども、必修化前の医師の臨床研修については、専門的な研修が中心で、基本的な診療能力の修得に対応していないなどの課題があったことが指摘をされておりまして、基本的な診療能力の修得などを目的として、研修病院の指定基準を見直すなどの環境整備を行い、平成十六年度に義務化を行ったところでございます。

 この臨床研修の義務化以降、研修医の基本的な診療能力の向上が見られた一方で、大学病院で臨床研修を受ける医師が減少したことなどから、大学病院における研修修了後の医師派遣機能が低下したため、地域の医師不足問題が顕在化したきっかけの一つになったという側面もあるというふうに認識をしております。

 このため、これまで研修医の地域的な適正配置を誘導するためさまざまな措置をとってきておりまして、平成二十二年度からは都道府県ごとに研修医の募集定員の上限を設ける、そして平成二十七年度の研修から研修希望者に対する募集定員の割合を当初は一・二倍とした上で徐々に縮小していく、こういったことで地域医療に配慮した取組を進めてきたところでございます。

 引き続き、臨床研修制度につきましては、医師偏在の是正に資するように必要な見直しを行ってまいりたいと考えております。

串田委員 今も聞いた限りでは、後追いでそれに対する、偏在が行われていたことに対しての対策というのを、今、平成二十二年といいますから、六年後には打ち出して、また何年かたつと打ち出してということなんですが、最初にやるときに、これまでの、もう七十年間やり続けて失敗してきているわけですから、そういう意味で検証データというのも蓄積されてきていると思うんですね、それをなぜ生かさないのかというのは大変疑問であります。

 今回、認定制度というのが行われるというのも、これは私も、これで偏在が少し和らぐんではないかという、そういう制度的にはプラスに評価をしたいとは思うんですけれども、先ほどの質疑の中でも、臨時の医者でもこれは認定ができるのかというのはこれから検討されるということでありますけれども。

 そういうような部分で、違った形で応用されていって、また偏在がちっとも変わらないというようなことがないように、これまでの部分についての十分な検証を生かしていただきたいし、こういう委員会でのやりとりというのも、医者としての資格を持っていらっしゃる方も委員として質問をされているわけですから、生かしていただきたいというふうに思っております。

 そこで、認定制度ということで、医師が少ない地域に対する解消ということになるということなんですが、どんなような青写真といいますか、内容として考えて、効果的にはどの程度の効果というものを見込んでいるのかを説明してほしいと思います。

武田政府参考人 お答えいたします。

 医師の少ない地域での勤務を促すためには、医師の少ない地域での勤務を不安と感じる原因となる障壁を取り除く環境整備を進めることが大事でございますけれども、これに加えて、医師の少ない地域での勤務を希望する医師を後押しする施策も効果的であるというふうに考えております。

 そうした後押しをする施策の一環として、本法案では、新たに、医師少数区域等において一定期間以上の勤務経験を有する医師を、その方からの申請により、厚生労働大臣が審査の上、認定することで、医師の少ない地域等での勤務に対する社会的評価を高めようとしているところでございます。

 あわせて、認定医師について、認定医師であることを広告可能としたり、経済的インセンティブを設けたり、また、一定の役割を担う地域医療支援病院の管理者として評価したりすることで、この仕組みを後押しすることを検討しているところでございます。

 この認定制度をより実効性のあるものにするために、法案の成立後速やかに制度の施行の検討を進めつつ、医療関係団体を始めとする関係者の御意見を聞きながら、認定医師に対するインセンティブを含めた制度の具体的な内容について、平成三十二年四月に予定している制度の施行までにしっかりと検討してまいりたいと考えております。

串田委員 認定医がいないと管理者になれないという、一定のそういったようなところもあるという意味では、認定医をつくり出さなければいけないという点で地域に認定医を送り出すという病院がふえるのではないかという、そういう理解でいいのかなとは思うんですけれども、この認定制度によって、診療科の偏在というものも問題となっていましたが、これも解消をしていくということができるということでよろしいでしょうか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 この認定制度自体は、あくまで地方で勤務経験をした医師を評価をする仕組みとして考えているところでございますけれども、これをそれぞれの診療科の方々にも、地域で勤務経験をする、そういった希望を後押しすることができれば一定の効果もあるのではないかと考えております。

串田委員 診療科目の偏在というのは非常に難しい、憲法的にも職業選択の自由というのもありますし、そこら辺の部分が需要と供給の自然調和みたいなものに期待をしているのかもしれませんが、他の委員からの質疑の中でも外科の医師が非常に少ないとかというようなこともあるようで、自然に任せていたままで大丈夫なんだろうかというのはやはり国民も大変心配をしているわけです。

 そういう中で、今回の認定制度というのは、医師を少数の地域に派遣をするという効果はあるにしても、診療科目の偏在に関して、非常にそういう意味では因果関係というものが見てとれないという、大変そういうような不安も感じております。

 小児科や産婦人科というものは、事故が起きたことによって大きな個人的責任を負うというような部分も含めて、希望する人が少なくなっているというようなこともお聞きをしていますし、何か抜本的な部分で科目ごとに平準化できるような仕組みというものも、困ってから考えるのではなくて、今の段階からつくり出していかなきゃいけないんじゃないかなと思うんですね。

 そういう意味では、私は、この認定制度は一定的にプラスで評価させていただきたいんですけれども、診療科目の偏在に関しては、効果的な部分というのはちょっと見てとれない、非常に希望的な観測のような気がしております。そういう意味で、どういうふうにしていくのかというのを先を見て検討していただきたいんですが。

 この偏在の中で、医師養成過程においても偏在を解消するというふうにつくっているということなんですが、その具体的な内容をお聞きしたいと思います。

武田政府参考人 お答えいたします。

 今回の法案において、医師養成過程における偏在対策といたしましては、一つとしては、都道府県から大学に対して地域枠や地元出身者枠の設定、拡充を要請できる仕組みの創設、臨床研修病院の指定や定員設定の権限の国から都道府県への移譲、また、専門研修について地域医療確保の観点から厚生労働大臣が意見を述べる仕組みの創設といった対策を盛り込んでいるところでございます。

 地域枠や地元出身者枠については、医師が不足する都道府県において拡充し、大学を卒業した医師がその都道府県に定着することを促すことにより、全国的な医師偏在の是正が進んでいくと考えているところでございます。

 また、臨床研修病院の指定や病院ごとの定員設定権限の国から都道府県への移譲につきましては、地域の実情を詳細に把握している都道府県が、都道府県内における指定の妥当性、また地域医療に配慮した病院群の構築などについて、より的確に判断することが可能となるものと考えております。

 さらに、専門研修に対しましては、厚生労働大臣から、医療提供体制の確保に重大な影響を与える場合の意見や、研修を受ける機会を確保するための必要な措置の実施の要請について仕組みを設けているところでございますので、専攻医が都市部に集中することのないよう、日本専門医機構などとも議論を尽くした上で、丁寧に進めていくこととしております。

 医師の養成過程といいますと、六年間の大学期間、それから卒後二年間の臨床研修、そしてその後三年の専門医の養成過程、こういったものがございますけれども、それぞれに医師偏在是正の観点から対策を盛り込んでいるところでございまして、一定の効果を期待しているところでございます。

串田委員 法案の中にも目標設定というようなことがありますので、随時、その目標に達成できていることを確認をするということはぜひしていただきたいと思っています。

 ここ何年かは医師の増加というものを検討しているというようなお答えも先ほどこの委員会の質問の中でもありましたけれども、例えば、その中に、どうして地域の偏在が行われているのかというと医師は公務員ではないからという話がありましたけれども、逆に増加部分を国家公務員枠のようにしてしまって、防衛大学のように、ある一定の期間地域で医師として勤務をすると、民間として開業の許可が得られるというような、そんなような何か仕組みというようなものも考えていかなければいけない時期というのはあるのかなというのはちょっと私は思っているんですけれども。

 次に、大臣にお聞きをしたいんですが、平成四十年のときに需給関係が均衡するというようなことで、医師数をその点で考えているということでございますが、平成四十年に均衡になるんだという数字的な根拠、それと、今言った、何か希望的なことではなくて、国家公務員枠みたいなもので、ある一定の診療科も地域も、ある一定そこで勤務をすることによって資格が得られる枠というものも私は検討してもらいたいと思うんですが、大臣のその点についての所感をお聞かせいただければと思うんですが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 二つのことをおっしゃったというふうに認識をしているんですが、まず、医師の需給推計で、平成四十年ごろに需給が均衡するということでございます。

 これは、医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会において、平成三十二年度以降の医師養成数の方針について、最新のデータを用いた医師需給推計を行った上で検討を行い、本年五月三十一日に第三次の中間取りまとめを行った、こういう一連の流れの中であります。

 具体的には、医師の供給推計については、将来の医学部定員数の仮定として平成三十年度の医学部定員数、医師国家試験の受験率、合格率等を用いて、これを掛け合わせることで、将来の医師の供給数を算出をし、他方、医師の需要推計については、将来的な医療需要を医療政策等の影響も含め推計するため、入院、外来に分けて推計を行い、入院については、地域医療構想等における医療機能別の病床数、現状の病床当たりの医師数等、外来については、年齢階級別の受療率、年齢階級別の人口推計、現状の患者当たりの医師数等を掛け合わせることで需要数を算出をし、こうしたデータを用いて、幾つかの仮定、すなわち労働時間をどうするかで幾つかパターンを置いたわけでありますけれども、幅を持って需給推計を行ったわけでありますが、将来的には医療需要が減少局面となり、長期的には医師の供給が需要を上回る、こういう推計がなされたわけでありますけれども。

 これから医師の働き方改革を進めていくわけであります。そして、今回の法案も含めて、医師の偏在対策等もこれから対応していくわけでありますので、それらについていまだ検討結果が得られていないことから、平成三十一年度の医学部定員を超えない範囲内で、平成三十三年度までは暫定的に医学部定員を維持する、こういう医師養成数の方針についてお示しをいただいたところでありまして、また、平成三十四年度以降については、地域における医師偏在の状況及び医師偏在対策、現在議論を行っている医師の働き方改革に関する検討会の結論を踏まえて、改めて医師需給を見込んだ上で医師養成数の検討を行っていく、これが需給推計の絡みであります。

 それから、今委員から、認定制度もあるけれども、より何かということであります。

 この認定制度の中でもどうインセンティブを与えていくかということで、例えば医師に認定をされた方に対して専門の過程における費用、それをとりやすくするとか、開業に対する支援を行うとか、いろいろな予算措置を考えさせていただいておりますので。

 公務員ということになると、まさに公的病院等で働いていただくことが多分前提になってくるわけなので、そういうことにしていくためには、要するにそこで採用していくということになるのとほぼ同義語になってしまいますから、なかなかそれは今のやり方の中で難しいんではないかなと。

 制度全体を大きく変えていくとかいう議論としてはそういう考え方というのが一つにはあるんだろうというふうに思いますけれども、当面、今の制度を前提とし、そしてそれぞれの方々の自発的な意思を前提とするということを考えていくと、やはりいろいろなインセンティブをつけることによってそうした方々の行動を後押しをしていく、こういったことをまず取り組んでいきたいというふうに思います。

串田委員 時間が参りました。

 医師の派遣に関して、公的あるいは公立的な医療機関に偏らないような公平な形での派遣というものをどうやってつくっていくのかという質問もさせていただこうとは思ったんですけれども、これは当然のことですので、ぜひ公平な観点でそのような派遣をしていただきたいと思っております。戦後七十年以上たちまして、偏在、偏在、偏在とずっと来ているわけですから、今度こそ実効ある法案の施行をしていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

高鳥委員長 この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事橋本岳君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。それでは、理事に赤澤亮正君を指名いたします。

 次回は、来る十三日金曜日午前九時十分理事会、午前九時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時七分散会


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