衆議院

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第3号 平成30年11月21日(水曜日)

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平成三十年十一月二十一日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 冨岡  勉君

   理事 大串 正樹君 理事 小泉進次郎君

   理事 後藤 茂之君 理事 田畑 裕明君

   理事 橋本  岳君 理事 西村智奈美君

   理事 大西 健介君 理事 高木美智代君

      安藤 高夫君    石崎  徹君

      上野 宏史君    大隈 和英君

      金子万寿夫君    木村 哲也君

      木村 弥生君    国光あやの君

      熊田 裕通君    小林 鷹之君

      後藤田正純君    高村 正大君

      佐藤 明男君    塩崎 恭久君

      繁本  護君    新谷 正義君

      田村 憲久君    高橋ひなこ君

      谷川 とむ君    丹羽 秀樹君

      百武 公親君    船橋 利実君

      穂坂  泰君    星野 剛士君

      堀内 詔子君    三ッ林裕巳君

      宮澤 博行君    宗清 皇一君

      山田 美樹君    渡辺 孝一君

      阿部 知子君    池田 真紀君

      尾辻かな子君    初鹿 明博君

      山崎  誠君    吉田 統彦君

      稲富 修二君    岡本 充功君

      白石 洋一君    緑川 貴士君

      山井 和則君    桝屋 敬悟君

      鰐淵 洋子君    高橋千鶴子君

      串田 誠一君    柿沢 未途君

    …………………………………

   厚生労働大臣       根本  匠君

   厚生労働副大臣      高階恵美子君

   内閣府大臣政務官     安藤  裕君

   法務大臣政務官      門山 宏哲君

   外務大臣政務官      鈴木 憲和君

   厚生労働大臣政務官    上野 宏史君

   厚生労働大臣政務官    新谷 正義君

   農林水産大臣政務官    濱村  進君

   国土交通大臣政務官    阿達 雅志君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       長屋  聡君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局内閣審議官)         古澤 ゆり君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局審議官)          嶋田 博子君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        川又 竹男君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君

   政府参考人

   (国税庁長官官房審議官) 吉井  浩君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         土生 栄二君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            坂口  卓君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            土屋 喜久君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           谷内  繁君

   政府参考人

   (厚生労働省人材開発統括官)           吉本 明子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           上田  弘君

   政府参考人

   (水産庁漁政部長)    森   健君

   参考人

   (社会福祉法人日本身体障害者団体連合会会長)   阿部 一彦君

   参考人

   (特定非営利活動法人日本障害者協議会代表)    藤井 克徳君

   参考人

   (トヨタループス株式会社代表取締役社長)

   (一般社団法人障害者雇用企業支援協会理事)    有村 秀一君

   参考人

   (公益社団法人全国重度障害者雇用事業所協会会長) 栗原 敏郎君

   参考人

   (全国肢体障害者団体連絡協議会会長)

   (障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会副会長) 三橋 恒夫君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十一日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     熊田 裕通君

  木村 哲也君     穂坂  泰君

  小林 鷹之君     宗清 皇一君

  田村 憲久君     石崎  徹君

  谷川 とむ君     百武 公親君

  三ッ林裕巳君     星野 剛士君

  山田 美樹君     宮澤 博行君

  尾辻かな子君     山崎  誠君

  岡本 充功君     緑川 貴士君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     田村 憲久君

  熊田 裕通君     金子万寿夫君

  百武 公親君     高村 正大君

  穂坂  泰君     木村 哲也君

  星野 剛士君     三ッ林裕巳君

  宮澤 博行君     山田 美樹君

  宗清 皇一君     小林 鷹之君

  山崎  誠君     尾辻かな子君

  緑川 貴士君     岡本 充功君

同日

 辞任         補欠選任

  金子万寿夫君     大岡 敏孝君

  高村 正大君     谷川 とむ君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件(障害者雇用について)


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     ――――◇―――――

冨岡委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件、特に障害者雇用について調査を進めます。

 本日は、本件調査のため、参考人として、社会福祉法人日本身体障害者団体連合会会長阿部一彦君、特定非営利活動法人日本障害者協議会代表藤井克徳君、トヨタループス株式会社代表取締役社長・一般社団法人障害者雇用企業支援協会理事有村秀一君、公益社団法人全国重度障害者雇用事業所協会会長栗原敏郎君、全国肢体障害者団体連絡協議会会長・障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会副会長三橋恒夫君、以上五名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ十分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、発言する際はその都度委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、まず阿部参考人にお願いいたします。

阿部参考人 ただいま紹介いただきました日本身体障害者団体連合会の阿部でございます。よろしくお願いいたします。

 私たち日身連も、今回の問題はとても大きな問題だと思い、さまざまな場で意見を述べさせていただきました。また、その内容についても、基本指針に取り入れていただいたところもありますので、とても大事なことだとまた確認しています。

 さて、本来、民間企業に率先垂範して障害者雇用を行う立場にある行政機関において、あってはならない行為が長年にわたって行われていたという事実はまことにゆゆしき問題です。障害者雇用に真摯に取り組んできた関係者の信頼を揺るがす極めて深刻な事態であると認識する必要があります。

 検証結果を見ますと、極めてずさんな取組が長年にわたって行われてきたことが判明いたしました。数多くの機関において、対象障害者として計上した根拠となる確認資料が引き継がれないまま、名簿のみが引き継がれたり、勝手に解釈、判断して計上するなどの事実から考えますと、障害者雇用の推進を行うという意識が極めて低かったと言わざるを得ません。また、このような状況が生じていたことに厚生労働省が気づいてこなかったという事実も深刻なことです。事実にしっかり向き合って、改善に努める必要があります。

 ところで、障害者手帳所持の確認が行われなかったことなどから、手帳の所持が職務の遂行や昇進、配置がえなどに関して不利益を生じさせると考えさせるような職場の雰囲気があったのではないかと疑われます。

 本年四月に公表されました平成二十八年度調査による障害者数に関する資料によれば、在宅の身体障害児数が六万八千人なのに対して、十八歳以上六十四歳未満の身体障害者数は百一万であることがわかりました。このことから、成人になってから、つまり職業に従事している間に障害者手帳を持つ人の数が大幅にふえていることが推測されます。

 各機関に入職後に障害者手帳を取得した人の実態などが判明すれば、更に検討を深めることができたと考えられます。内部障害など見た目にはわからない障害がありながら、手帳の所持を言い出せない、又は障害者手帳を申請しない方がいたとしたら大きな問題です。

 また、このことは精神障害においても大きな問題です。障害があっても、その人に応じた合理的配慮が提供されることによって十分な職務能力が発揮できる職場環境を構築する必要があります。

 公務部門における障害者雇用に関する基本方針を見ますと、統一的に行われる障害者を対象とした選考試験の導入など、評価できることがあります。しかし、雇用率達成のための単なる数合わせに終始することであってはいけません。採用される障害のある人にとって、やりがいのある仕事の内容、働きがいのある職場をつくることが重要です。

 そのためにも、これまで障害者就労において実績のある専門家の採用や、民間企業の取組で培われたノウハウを十分に導入する必要があります。これまでの蓄積が、民間企業における納付金制度の財源の活用によって得られた知見や技術、研究成果であっても、納付金制度が該当しない公務部門においても十分に活用すべきだと考えます。また、同様に、ジョブコーチと呼ばれる職場適応援助者の活用も必要です。

 一方、大事に思うことは、必ずしも統一的に行う障害者を対象とした選考試験での採用だけではなく、これまでも行われてきたと思いますが、障害があっても国家公務員試験を受験して、総合職、一般職、専門職を目指す力を持っている障害者の採用にしっかり取り組んでいただきたいということです。合理的配慮がなされれば、持てる力を十分に発揮して、行政マンとして施策の策定などにかかわることは重要です。障害を体験してきたことは、その場合には、その人にとっての大事な資源でもあります。

 また、ともに働く障害のない行政マンにとっても、障害のある同僚から体験的に学ぶことも数多いと思います。多くの国民にとっても、共生社会の実現に取り組むことの重要性の認識を深めることにつながると思います。

 合理的配慮の重要性について、更に話を進めさせていただきます。私の知人の体験ですけれども、障害者としてのさまざまな経験と知見をもとに高い専門性を有している彼が、その専門性の活用のために採用されたときのことです。

 パソコンを使用する際に、手に障害があるために、職場のキーボードを使うことができませんでした。そこで、彼が日ごろから使用している特別なキーボードを持参して職場で使おうとしたのですが、職場の規則により私物を持ち込むことができないと禁じられました。上司の方は、そのことは大事だと判断されたのですけれども、役所の規則のために使用できなかったのです。

 そして、話合いが持たれ、ようやく彼のものと同じキーボードを購入することになったのですが、入手するまでの二カ月間、彼はパソコンを使えませんでした。合理的配慮の提供が役所の規則によって妨げられたのです。

 規則を大事にすることは大切なことです。しかし、二カ月間パソコンでの仕事を行えなかったのは大きな損失です。せめて、入手できるまでの期間だけでも、私物ではありますが、自宅でいつも使っているキーボードを使うことはできなかったのでしょうか。合理的配慮について十分に対応できる部署、判断できる部署が必要だと思います。

 一人一人にとって不便なこと、困難なことは異なります。その人その人にとっての社会的障壁を取り除くための合理的配慮について柔軟に対応できることが、今回のように数多くの障害のある人にとって働きがいのある就労を実現するために必要なことです。

 また、障害者手帳の所持に至らない慢性疾患、難病、一時的な障害のために働くことに困難を抱えている人々にとっても、合理的配慮が重要です。

 さて、地方公共団体における障害者雇用も重要です。その中でも、教育委員会の実雇用率が低迷していることの改善が求められます。

 ユニバーサルデザイン二〇二〇行動計画は、社会を変える大きな取組だと思います。学校における障害理解、企業、地域、国民に向けての取組など、大きな期待を抱かさせます。

 これらの取組には、障害の体験を大きな力として取り組む障害のある人の関与が求められるのではないでしょうか。

 特に、学校教育における心のバリアフリー、障害理解の取組などには、障害のある職員の活躍の場があるのではないかということを申し述べ、障害のある人の体験をその人の大きな力、大きな資源として職務遂行に生かすことの重要性を強調させていただいて、私の発言を終了いたします。

 今回、このような貴重な機会をいただきましたことに深く感謝申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手)

冨岡委員長 ありがとうございました。

 次に、藤井参考人にお願いいたします。

藤井参考人 日本障害者協議会の藤井と申します。

 障害者を締め出す社会は弱くもろい、これは、一九八一年の国連障害者年、ここでの国連決議の一節であります。これになぞらえれば、今回の問題というのは、障害者を締め出す政府は弱くもろい、こうなってしまうわけであります。

 今度の問題の最初の報道、そして続報、これに接して次のようなことを感じました。

 まず最初の報道に関しましては、まさかという思いでありました。そして、次第に怒りの気持ちが込み上げてまいりました。

 次の節目は、検証委員会の報告の報道でありました。やはり唖然としました。と同時に、その内容が、検証ということよりは経過報告書に私には見えてきました。これについては後でまた詳しく述べたいと思います。

 そして三つ目のポイントは、この第百九十七臨時国会での所信表明です。政府を挙げての、ある面では今度の水増し問題であります。政府の代表がどうおっしゃるのか、全国の障害者、関係者が注目をしていました。残念ながら、一言も触れられることはなかったわけです。

 今般のこの発覚した水増し問題は、余りにも大規模であり、余りにも長期間であり、そして余りにも悪質です。

 大規模といいますのは、政府の八割強の機関で関与していた。長期間といいますのは、これが二十年余りという見方もあれば、一九六〇年の法制定以来という見解もあるようです。また、悪質さでいうならば、裸眼視力をそのまま障害者の範囲に含める、また、百人に近い亡くなった方や退職者を現存する障害者としてカウントする、こんなことが行われたわけであります。

 よく、役人は数字をつくるということを言われますが、まさにそれは決してオーバーではないという感じを持ちました。

 ここで、この水増し問題の構図を私なりに簡単に述べたいと思います。五段階で説明がつくと思います。

 第一段階は、外部から新しい障害者を雇用したくない。第二段階で、しかし、法定雇用率は遵守する必要がある。第三段階で、そうであれば内部から障害者を探し出そう。そして第四段階で、なければ障害者をつくり出そう。第五段階で、やれやれ、ことしもうまくクリアできた。こういう五段階を毎年繰り返してきたように思います。

 最大の問題は、今述べた第一段階であります。すなわち、外部から障害者を採りたくない。実は、ここに今度の問題の本質があり、また検証のポイントもあろうかと思います。

 結論から言えば、障害者排除、こう言ってもいいのではないでしょうか。少しそこで考えるならば、現在表面化しています優生保護法のあの被害問題の本質とも通底するものがあります。つまり、共通しますのは、官製の障害者排除と言ってもいいと思います。

 それでは、なぜこれが長く続けられたかということについて言及したいと思います。

 やはり、我が省庁の、うちの部署の労働力の全体的低下を防ぎたい、あるいは職場のバランスを守りたい、崩したくない、こんな声が聞こえてきそうです。労働力を低下させないためにも、どういう支援があればそれが可能なのか、どういうふうな条件があればバランスを崩さないのか、ここに考えがなぜ及ばなかったでしょうか。

 さて、今度の水増し問題は幾つか問題がありますが、五点ほどに絞って問題点を列挙したいと思います。

 第一点目は、おびただしい数の障害者が国の機関で働く機会が奪われたということであります。つまり、固有名詞なき被害者がどれくらいに累計値で上るのでしょうか。

 第二点目としましては、誤ったデータで国の障害者雇用政策がずっと論じられてきたことであります。これは、立法府も労政審も私たち障害者団体も翻弄されたことになります。もしかしたら、取り返しがつかない、大きいものがあったかもわかりません。

 第三に、民間の企業の障害者雇用、ここにも影響が生じていると思います。国の指導力は、この件では低下すると思います。実際にも、次期通常国会で準備されていました障害者雇用納付金制度の対象拡大、これが見送られたやに報道されています。

 そして四点目、各省庁の関連する政策にも影響があると思います。つまり、政策の源流というのは、多くは審議会の事務局、つまり各部局、課、係から発信されます。この段階で障害者がいるのといないのとでは、障害者の目線があるのとないのとでは、大きく政策に影響があると思います。

 そして第五番目の問題点は、障害者政策にかかわっての基礎的なデータ、これが信頼をなくしたことであります。

 次に、検証委員会の報告並びに基本方針について言及したいと思います。

 三つの問題点を提起します。

 第一点目は、余りにも両方とも拙速であったように思います。これほどの大きな問題であり、そして積年の課題、これをたった一カ月余で結論を出すというのは余りにも乱暴ではありませんか。

 第二点目としましては、この問題に関しまして、これが提起された、つまり示された時期、これの不自然さです。つまり、一日早く検証委員会の報告書が出されました。一日後に基本方針が出されました。考えてみれば、基本方針がそう簡単に出るんでしょうか。まさにこの検証委員会の結果ありきではなかったんでしょうか。検証委員会の軽視が懸念されます。

 そして第三番目は、障害者の不在であります。この検証委員会にしろ、基本方針をつくる過程にしても、やはり私は、何をつくるかよりも、誰がつくるかが決定的な意味があると思います。障害者不在は、やはり大きな弱点を残したように思います。

 そこで、次に、この検証委員会の報告書の中身でありますけれども、私が思うには、非常にそういう点でいうと不十分だというふうに思っております。

 簡単に言えば、通読して思うことは、意識が低かった、関心が低かった、あるいは、積極性がなかった、恣意的であった、ずさんであった、つまり感覚用語が並んでいるんですね。とても政策の総括とか政策の検証とは思えません。私たちが求めていますのは、意識やあるいは関心という場合に、なぜ意識が低かったのか、なぜ関心が低かったのか、これが検証のポイントだったと思います。それには言及されていません。そういう点では、もう一度再検証するべきかと思います。

 もし検証の結果が正しいとすれば、国を動かす公務員が、無意識のうちに、無関心のうちに法に触れる行為が繰り返される、こうなってしまうわけです。これはおかしいというふうに思うわけですね。

 最後に、この問題の今後のことについて言及して、おしまいにします。

 私は、この問題を考えていく上で、やはり国際規範を学ぶべきであると。ILOの百五十九号条約、障害者の職業リハビリテーション及び雇用、そして権利条約の第二十七条の労働及び雇用、ここに多くの視座とヒントが含まれています。

 これに加えて、少しばかり列挙します。第一点目は、法定雇用率。これをやはりドイツ、フランス並みに引き上げるべき。そして、障害者の範囲。手帳とは連動しません、労働の障害というのは。これを確立すべき。そして、公的部門におけるペナルティー。これについては、納付金制度を含めて考えるべき。さらには、法的な根拠を持つ監視システムの構築。そして、試験制度。現在の能力検定では、知的障害者は立つ瀬がありません。さらには、合理的配慮を含む、働きやすい環境をどうするのか。このとき、同じ厚労省の福祉施策と労働施策とのジョイントですね、関係性。例えば、行動援護あるいは移動支援、これがどうして通勤支援には使えないんでしょうか。最後に、現在の雇用問題を考えていく審議システムの改善。もっと多様な意見を入れるべきかと思います。

 最後に、権利条約をもう一回触れて終わります。

 障害者権利条約の第二条にはこう書かれています。差別とは、障害を理由とするあらゆる排除であると。また、その第八条にはこうあります。障害者に関する定型化された観念、偏見、有害な慣行とは戦うこと。

 ぜひ、立法府としても、もちろん政府としても戦ってほしい、このことを述べて、意見陳述を終わります。

 どうもありがとうございました。(拍手)

冨岡委員長 ありがとうございました。

 次に、有村参考人にお願いいたします。

有村参考人 トヨタ自動車の特例子会社でありますトヨタループスの有村でございます。

 また、私が理事をしております障害者雇用企業支援協会は、通称SACECと呼んでおりますが、本日ここにもおられます全国重度障害者雇用事業所協会とともに、障害者を雇用する企業を支援する団体でございます。当方SACECが主に大企業の特例子会社を会員とし、サポート、全重協様は、それに加え、中小企業を幅広く会員とし、支援されておられます。

 さて、本日は、私の方から、障害者雇用の現状と現在の課題について意見を述べさせていただきます。

 お配りしました資料一を御参考にごらんください。これは、日本の法定雇用率の推移及び法改正等の推移を記載しております。

 もう御存じのとおりと思いますが、法定雇用率制度は、一九七六年に、身体障害者雇用を企業に義務化するとともに、一・五%でスタートいたしました。その後、十年ほどのスパンで二回ほど雇用率が改変され、一九九八年に、身体障害者に加え、新たに知的障害者を雇用義務に加えることで一・八%に改変されました。

 ここで、企業は、今までの身体障害者、見える障害と我々は定義しておりますが、と異なり、見えない障害である知的障害者の雇用に対して取り組むことになりました。

 身体障害者の方は、その障害部分、配慮点がはっきりしております。そこさえクリアすれば、健常者と遜色のない職務遂行能力を発揮される方が多くおられますが、知的障害の方は、配慮点が見えず、その対応に相当苦労いたしました。身体と異なり、ハード的な配慮、いわゆる身体障害者、下肢障害の方に段差をなくすというようなハード的な配慮ではなく、ソフト的な配慮が必要で、また、その度合いも個人個人で異なります。仕事も細分化し、なるべく簡易な形で組みかえるなど、さまざまな工夫をしてまいりました。

 その一事例でございますが、私どもの会社には数を数えることが苦手な社員もおります。そのときにどうするかということです。名刺を例えば十枚つづりで一まとめにしてほしいという作業があるとすると、私どもは、このように紙に十個の升を書きます。この升の上に一枚ずつ名刺を並べてくださいと言います。これはトランプ並べのように誰でもできます。全部の升が埋まったら輪ゴムをかけてくださいと言うと、必然的に十枚つづりの単位が整います。この升を十五にすれば十五枚つづりができるということで、このようにすることによって、数を数えることが苦手な人にもこのような仕事ができる、これがいわゆるソフト的な配慮、対応でございます。

 その後、二〇一三年に再び雇用率が改変され、それからわずか五年後、ことしでございますが、精神障害者の雇用義務化とともに、二・二%に改変されております。

 ここで、再び企業は、知的障害者と同じく見えない障害で、更に雇用管理が難しい精神障害者の雇用に取り組んできております。

 精神障害者の方々は、知的と同じように見えない障害に加え、時間軸で変化する特性があり、その雇用管理は更に難しく、各企業は支援体制として精神保健福祉士や臨床心理士などの専門職を雇用し、サポート体制を構築して対応し始めております。

 さらに、もう一つ大きな変化点がございます。今までの障害者雇用は、雇用すれば雇用するほど雇用障害者はふえてまいりましたが、ここ五年ほどは、障害者の高齢化により退職者が増大してきております。企業は雇用率の維持すら難しい状況に置かれております。これは、一九七六年に始まった雇用率制度から四十二年たっておりますので、当時十八歳で雇用された方も今は六十歳です。

 高齢化は当然ですが、それ以外にも大きな課題がございます。

 お配りしました資料の裏面、参考資料二をごらんください。これは、日本の障害者数とその年齢構成をあらわした図でございます。特に右側のグラフをごらんください。通常、雇用対象とされていますのは、六十五歳未満、十八から六十五歳と言われておりますが、その障害者数の割合が、身体障害者では二六%しかありません。

 今まで日本の障害者雇用を牽引してきました身体障害者の方々が高齢化で大量の退職者を迎えておりますが、そのかわりに雇用対象となる障害者に身体の方がほとんどおられません。年齢構成的には、知的と精神の雇用にシフトしていかなければならないという点が大きな課題でございます。

 身体障害者の方々が行ってきた仕事をそのまま知的、精神障害者の方々にシフトすることは難しいことです。そのため、企業では、新規業務の切り出しや雇用管理、支援体制の構築等、さまざまな対応が必要とされております。

 また、障害者の数でも大きな課題がございます。身体障害者約四百四十万人、精神障害者四百万人と数的には同規模でございますが、障害者雇用の対象は、障害者であっても手帳保持というのが必要になります。その保持者が精神では非常に少なく、約五分の一、八十万人ほどです。

 このように、民間企業は、四十年かけてさまざまな努力により障害者の受入れ体制を進めてきている中で、非常に厳しい局面にあります。今、二重苦、三重苦のような状況にございます。この中で、受入れ体制、支援体制、業務の切り出し準備を整えずに、単なる数合わせでの、地方、中央での八千名もの障害者雇用を短期でやることは、絶対にやめていただきたいと思います。これは、やれば大量の離職者を生む結果になり、障害者に多くの悪影響を及ぼすことになると思われます。

 また、行政側が求めております多くの対象障害者の業務は、このまま進めますと、必然的に身体障害者が中心となると思われます。現在、身体障害者の高齢化により、ただでさえ非常に少ない雇用現場がパイのとり合いとなり、非常に混乱することは明らかでございます。

 また、それ以上に、我々民間企業は、私どもが長年かけて雇用してまいりました障害者の流出が起きることを非常に危惧しております。

 現時点、私どもの会社でも既に退職者が出ておりまして、就労支援事業者のところに移るなどの傾向が出てきております。民間の就労支援事業者は、この大量採用に向けて、紹介人材を集めているという傾向も出てまいっております。このように、我々が四十年かけてせっかく戦力になってきた人たちをとらないでほしいというところがお願いでございます。

 ただし、障害者にも職業選択の自由がありますし、本人の意向で移るところをとめるわけにもいきません。それはまた、ある意味ではいいステップアップ雇用になっているかもしれませんので、我々としては、そこでまた非常に厳しい状況に置かれております。

 これらのことより、八千名もの障害者雇用を短期で行うのではなく、離職を生まない、しっかりした受入れ体制や業務の切り出し等、準備を行った上で、また、できれば民間企業の雇用にも配慮していただいた長期雇用で進めていただくことを強く望みます。

 私からの意見は以上で終わりたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)

冨岡委員長 ありがとうございました。

 次に、栗原参考人にお願いいたします。

栗原参考人 ただいま御紹介いただきました公益社団法人全国重度障害者雇用事業所協会会長の栗原でございます。

 名前が長いので、略して全重協と言っております。もともと重度の障害者を多数雇用している全国の事業所が集まってつくった団体でございます。

 どういうことをやっている団体かと申しますと、障害者、特に重度障害の雇用の促進と職場への定着を推進することを目的に、企業や社会福祉施設、学校等に対する情報提供や相談援助、調査研究等を行っております。会員数は、賛助会員を含めますと三百二十事業所でございます。そこで働いている障害を持たれた方は一万名おります。

 本日は、この場で意見を述べさせていただけます機会を与えていただいて、本当にありがとうございます。私ども、障害者を雇用している企業の団体でございますので、そうした立場から意見を申し上げたいと思います。

 まず第一に申し上げたいことでございますが、現在、我が国において人手不足ということが大変大きな問題となっております。そうした中で、企業が必要とする人材を確保するという意味で、障害者の雇用をこれまで以上に積極的に進めていく必要があるということでございます。

 障害者の雇用というと、いまだにちゅうちょする企業もあるやに伺っております。しかしながら、障害を持たれている方をうまく指導をしながら作業をやっていただければ必ず戦力になる、このことは、我々全重協の会員企業がこれまで長年にわたって世の中に実証し、また、みずから実感してきたことでございます。

 障害者を戦力として雇用するとはどういうことかといいますと、障害者にとってやりがいのある仕事、働きがいのある仕事、そして企業にとってもそうした仕事を障害を持った方にやっていただければ助かるという仕事、そういう仕事をうまく切り出して、あとは、仕事を障害を持たれた方に無理なくできるよう、必要な合理的な配慮をきちんと行うことによって、障害者にとって、企業にとってメリットになるような、ウイン・ウインの関係で障害者の雇用を進めていくということでございます。

 このようなことを申し上げますと、そんなことが本当にできるのか、単なるきれいごとではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、先ほど申し上げましたように、私ども全重協の会員企業は、もう三十年以上も前から実際に重度の障害を持たれた方を多数雇用し、彼らを企業の戦力として積極的に活用しております。

 また、障害を持たれた方を企業の戦力として活用していく例は、私ども全重協の会員企業以外にも、ただいまお話をいただきました有村参考人のところと同じように、全国に四百社以上ございます特例子会社もございます。こうした特例子会社では、まさに障害を持たれた方が中心となって仕事をしております。

 また、警備業などでは障害者の雇用が難しいとよく言われますが、私どもの会員の中には、警備業において精神障害者を積極的に活用している例もございます。

 委員の皆様も御案内のとおり、障害者の雇用につきましては法定雇用率という制度がございますが、昨年の国の調査では、まだ半数の民間企業がこの法定雇用率を達成しておられないと伺っております。こうした中で、今後、民間企業における障害者雇用を更に進めていくためには、単に法定雇用率を達成するために障害者を雇用するということだけではなく、障害者をうまく雇用すれば非常に大きな戦力になるということを十分理解して障害者の雇用を進めていくことが大変重要だと考えております。

 私ども全重協の設立目的は、重度障害者等の雇用の促進と職場への定着推進ということにありますが、今後もこの目的を達成するために、障害者をうまく雇用し、大きな戦力とすることをみずから実践し、会員以外の企業にも広げていくということが私どもの重要な役割であると考えております。

 また、最近は、国や都道府県において、障害者雇用の不足ということが大変大きな問題になっており、私ども、こうした問題に注目をさせていただいております。

 こうした問題が起きた原因につきましては、国の検証委員会の方でもいろいろと御指摘をされておられ、そういうことだと思っておりますが、それについても、私がここで申し上げたいということは、先ほど来繰り返して申し上げている、障害を持たれた方をやはりうまく戦力として雇用して使っていく。国、都道府県の皆さんが果たしてどこまで御理解されておられるかというのはわかりませんが、そういうことだと私は思っております。恐らく、国、都道府県の皆様方がこのことをもう少し御理解しておられれば、もしかすると今回のようなことは起きなかったのではないかというふうに思っております。

 特に、国におかれましては、平成三十一年末までに約四千名の障害者を雇用される予定だと伺っております。そうした際にも、障害を持たれた方を戦力として活用するという認識がないと、ただの数合わせであると、障害者雇用はうまく定着しないのではないかというふうに思っております。

 国や都道府県におかれましては、そういうことにならないように、障害者を戦力として活用するということを今後も絶えず意識していただき、それと、必要な合理的配慮を適切に行っていただけますよう、障害者にとって働きやすい職場をつくっていただければ幸いでございます。

 もちろん、障害者に対する合理的配慮や障害者にとって働きやすい職場をつくるということは、実際にそれほど簡単ではなく、私ども民間企業も自分たちだけではできないことでございます。

 そうした際には、私ども民間企業は、外部の支援機関、例えばハローワーク、独立行政法人の高齢・障害・求職雇用支援機構の障害職業センター、あるいは障害者の就業と生活を一体に支援する障害者就業・生活支援センター等の就労移行関係の事業所等に支援を仰いでおります。

 国や都道府県におかれましても、これからの障害雇用を進めていく上で何らかお困りになるようなことがございましたら、こうした外部の支援機関を利用されるのも一つの方法ではないかというふうに思います。

 こんなことは私が改めて申し上げるまでもなく、国や都道府県の皆様方も十分御承知だと思いますが、当たり前のこと、それを忘れることなく絶えず認識し続けていかないと、いつの間にかうまくいかなくなってしまうということもございますので、余計なことかもしれませんが、あえてこの場で申し上げさせていただきました。

 それから、国や都道府県における障害者雇用の問題につきましても、私どもの会員企業の間で、もう一つ心配事が出ております。

 それはどういうことかといいますと、先ほど来お話もいただきましたが、今、障害を持たれた方についても人手不足の状況が続いております。これから短期間のうちに国や都道府県が障害者の雇用を進めますと、いわば我々民間企業における障害者雇用にも影響が出かねないのではないかということでございます。

 どういう影響が出るかといいますと、国や都道府県と我々民間企業の間では、障害者のとり合いなどのようなことが起きるのではないかということで、私ども全重協の会員の中にもこうしたことを心配している企業もございます。特に、会員の中にはいわゆる中小企業もたくさんございます。そうした中小企業は、障害者の労働条件等といった面で、どうしても国や都道府県に対して劣ってしまうということを心配しております。

 もちろん、こうしたことは全く杞憂かもしれませんが、実際にこういうことを心配している企業もございます。そういうことを、国や都道府県の皆様方が障害者を雇用するに当たって、民間企業の懸念を十分御理解をいただければというふうに思っております。

 以上、いろいろと勝手なことばかり申し上げまして大変恐縮でございましたが、今後も人手不足の続く中で、国や都道府県、そして私ども民間企業、障害者の雇用をこれまで以上に積極的に進めていくということは、今後の我が国にとって大変重要な課題だと思っております。委員の皆様方におかれましては、このことを改めて認識をいただきまして、必要な御支援をいただければ幸いでございます。

 私からは以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

冨岡委員長 ありがとうございました。

 次に、三橋参考人にお願いいたします。

三橋参考人 それでは、この席からやらせていただきます。

 全国肢体障害者団体連絡協議会、通称全国肢障協、また障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会、通称障全協に所属しております三橋恒夫でございます。本日は発言の機会をいただいて、ありがとうございました。感謝申し上げます。

 私は、三十五年間、地方公務員として働いてきました。私の障害は、子供のころからのポリオによる両下肢機能の障害と、働いている途中の五十歳時に関節リウマチが発病しまして、それのダブルで足と手に障害があります。現在、特殊な電動車椅子を使用しております。

 職場でのいろいろな体験等につきましては、そこに箇条書きに書いてございます。

 まず最初に申し上げたいことは、いわゆる水増し事件についてのことであります。

 我々障害者仲間では、水増しとは言わず、偽装と呼んでおります。

 全国の障害者が怒っています。この十一月十八日に東京で障全協の全国集会があり、全国から二百五十人の障害者と家族が集まりました。そこでも参加者の皆さんがこの偽装事件について怒っておりました。

 検証委員会の報告では、この問題がなぜ発生したのかという原因が明らかになっていません。意図的なものは把握できなかったと言いますが、意図がなくしてこれだけのことが長く継続できるでしょうか。検証の不十分さを感じざるを得ません。いまだに責任の所在が明らかになっておりません。

 障害者採用の別枠制度を導入している自治体も全国に多数あります。国の機関では、過去数十年間、どのように障害者採用のための工夫をしてきたのでしょうか。採用の方法、採用後の支援、そのほかの配慮を考えるよりも、雇用率対象者を組織内部に求め、その方が手軽であった、その手軽さを求めてきた結果が、このような偽装事件が長く温存、継続してきたのではないでしょうか。

 気になることが一つあります。

 今後一年間という短期間に四千人の障害者を雇用する計画ですが、これは簡単なことではありません。障害者一人一人の障害の特性などを配慮し、適職を見出すには時間がかかります。

 現在、国では職場環境の見直しというものは行われているのでしょうか。合理的配慮は検討されていますか。大量採用、しかし大量退職というふうにならないように万全を期していただきたいと願っております。

 障害者雇用を進めるには、幾つかの段階があります。

 採用試験の平等や採用後の配慮、合理的配慮、これはもう当然のことであります。大事なのは、第三番目、障害、性格等に配慮された新たな仕事を見つけることです。そのためには、現行業務を洗い直す、委託業務を見直す、業務の分割等により新しい作業を見出すこと、これが必要だと思います。また、農業部門における開拓も必要ではないでしょうか。

 そして、更に重要なのは、第四番目として、障害に配慮された新しい仕事をつくり出すということが重要です。障害者を職員として活用するために、新しい仕事を創設する。

 例えばの話ですが、事業所職員のための健康管理として、鍼灸師やマッサージ師等を配置する。あるいは、例えばですが、外出先で車椅子が故障したときなどに対応すべく、車椅子等の補装具の出張修理業務など、現在民間企業で行われていない不採算事業の展開などを国の機関でやってはどうでしょうか。

 障害者が働きやすい職場は誰もが働きやすい。新たな仕事の開発で社会を住みやすくする。障害者を取り巻く困難な課題が、それを解決する過程、その結果で、障害者のみならず、社会全体を前進させる事例がたくさんございます。

 当初、重度障害者のためにと設置された駅のエレベーターは、現在では、高齢者、ベビーカーなど、全ての国民の利便性の向上のために欠かせない存在になっています。

 障害者を社会の重荷として捉えるのではなく、その困難を克服する過程にこそ、未来を切り開くヒントがあるのではないでしょうか。

 気になることがもう一つあります。障害者の選考方法についてです。

 障害者募集条件に、自力で通勤できること、介助なしで勤務を遂行できることをつけることは、昔から実際には行われています。ところが、募集に条件をつけてはいけないとの大臣発言があり、私たちは、驚きとともに、勇気をもらいました。

 であるならば、国は、障害者採用後に通勤介助者、職場介助者をつけるのでしょうか。それとも、条件をつけずに募集をし、選考の結果不採用になりましたというようなことになるのでしょうか。まさかそういうことにはならないとは思いますけれども、非常に心配しております。受入れ可能な合理的配慮の準備はあるのか。真の解決を目指しているのでしょうか。障害者、国民の信頼を失わないようにしていただきたいと思います。

 民間事業所で活用できる、通勤介助や職場介助への助成制度があります。しかし、障害者総合支援法では、通勤介助や職場介助、営業活動等への介助は認められていません。

 今般出された障害者雇用の基本方針の中に、テレワークのことが触れられています。テレワークというのは在宅で勤務することですが、テレワーク中は就業しているということになりますので、今の制度では介助は受けられません。また、障害者職業訓練校への通学も、現在では自立通学が前提となっております。このような制度を変える必要があります。

 どのような場面でヘルプを活用するかにかかわらず、障害者個人に対するヘルプ制度、パーソナルなヘルプを創設する必要があります。障害者雇用支援に関する官公庁、民間事業所、障害者福祉、この三制度の関係を整理して、就労支援制度とも連携した、縦割りでない障害者の雇用を進める必要があるのではないでしょうか。

 そこで、一つ提案があります。

 障害者の雇用の促進は、人材を広く事業所の外に求め、障害者の働く場を拡大し、社会全体の中で就労する障害者を一人でも多くふやすことが大きな目的となるべきです。そのためには、障害者新規雇用率を導入し、雇用率と並び重視する必要があるのではないでしょうか。

 もちろん、その場合、労働者が障害を負った場合に、労災であるか否かを問わず、まずはその事業所での継続雇用に努力すべきは当然の前提であります。

 国は、障害者を組織内部に求めず、新しく採用するという姿勢に転換していただきたいと思います。

 もう一つ、社会全体が障害者雇用に積極的になるために提案します。

 第一、民間のお手本になるように、官公庁で積極的な障害者採用が行われること。これは当然なことであります。第二、官公庁が、物品調達、土木請負など、大小を問わず、契約、入札に際し、障害者雇用率を満たしていない企業とは契約しないこと。難しい面も多々あるかもしれませんが、効果は大きいのではないでしょうか。第三、毎月末の障害者雇用率を公表し、官公庁事業所入り口等に掲示する。組織単位の雇用率をホームページ等に掲載すること。これは、すぐにもできることですし、国民の関心も高いと思います。

 そして、最後の提案ですが、障害者雇用促進法を障害者の働く権利を保障する障害者雇用法とし、憲法に定める勤労の権利を実現し、障害者権利条約の実現を目指していただきたいと考えます。

 雇用率計算上のダブルカウントなどはやめてください。ハラスメント等に悩む障害者職員の相談を受け、的確な対応がとれる部門を設けることも重要です。

 数年前、私のところに、国家公務員で肢体障害者の方が相談に来ました。職場でパワハラを受けている、しかし相談する場所がない、どこに相談しても、上司と相談しなさいと言われたと。上司からパワハラを受けているのに、上司と相談はできません。その方は一生懸命個人的に努力して、県のいろいろな相談機関等にも相談しましたが、やはり、らちが明かず、私どもの団体に相談に来ました。

 それで、そこで私が体験したことは、公務員である障害者がこういう問題で悩んだときに、それを相談する部門がないんですね。私は、厚生労働省にも行きました。その職員が、言っちゃいかぬのかな、その職員がお勤めするその本省にも行きました。しかし、ないんです、そういう相談部門が。

 ですから、今後のためには、ぜひ、ハラスメント等に悩む障害者の相談を受ける、的確な対応がとれる部門を設けていただくことが重要だと思います。

 以上でございます。失礼します。(拍手)

冨岡委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。国光あやの君。

国光委員 国光あやのと申します。

 本日は、五名の参考人の皆様、本当にありがとうございました。

 私も、実は、今その渦中の厚生労働省に十三年ほど実際に勤務経験がございまして、そういう立場から、今のお話、非常に、その当時の現場を知る者としても、本当にいろいろ身につまされる思いで、本当に深く拝聴いたしました。

 まず、障害者の雇用促進法は、もう本当に、半世紀にわたってある法律でございます。障害者の雇用を促進するという目的が足元から崩れるような事態があったということは、厚生労働省、そしてまた他省庁、そして地方公共団体を始め、猛省を促していく必要があるということを強く申し述べさせていただきたいと思います。

 その上で、本日のお話をお伺いをいたしまして、合理的配慮、それからまた、それぞれの障害をお持ちの方の特性や能力、それから、意欲に応じて、いかにマッチするお仕事を工夫を凝らして提供するかということ、そのマッチングが非常に重要なんじゃないかということを深く感じました。

 そういう意味で、きょう、有村参考人そして栗原参考人は、実際に事業主、事業者としてのお立場でのお話もありましたが、大変参考になりました。ありがとうございます。

 厚生労働省でよく記憶しておりますのが、成功例が一つ、それから失敗例が一つ、非常に印象深いことがございます。

 ちょうどパソコンのお話が阿部参考人からもありましたけれども、厚生労働省にいたときに失敗例だと思いましたのが、その方は非常にパソコンがお好きで、パソコンでやはり仕事をなさりたいというふうに配属をされたけれども、たまたまちょっと忙しい職場で、実際におやりになっていたのはコピーとりで、これは非常に意欲をそぎました。その方は二カ月でおやめになったということが、非常に私の深い印象として残っております。

 逆に、成功された例というのが、これは厚生労働省の職員の方は多分、多くの方が知っている方の話なんですが、障害をお持ちの三十代の男性の方なんですけれども、その方は非常に記憶力がいいんですね。非常に記憶力がよくて、何でも物すごく特定のことを覚えていられる。役所に行きますとエレベーターがあって、何局は何階とか、非常に複雑でございます。それをその方は完璧に、どのフロアにどの課がある、覚えていらっしゃるんです。その方は、恐らく六年ぐらいにわたって、厚生労働省の中のエレベーターの一つのエレベーターを、ずっと椅子を配置して、ずっとそこに所在されて、ずっとエレベーターの、エレベーターガールならぬエレベーターボーイみたいなことをなさっていて、ちょっと今はおやめになって一般企業に移られたんですけれども、それが非常に、我々職員にとっても助かりましたし、また、いろいろな来客の方にとっても助かりましたし、御本人も非常に幸せそうに仕事をしていたなと。これは本当に、今でもたまに御連絡をおとりする方では実はあるんですけれども、非常に印象深く残っております。

 そういう中で、済みません、前振りが長くなってしまいましたけれども、御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、阿部参考人にお伺いさせていただきたいと思います。

 恐らく、阿部参考人、今回の閣僚会議におかれましてもヒアリングでお越しになられたり、つぶさに横から、今回の基本方針、十月二十三日に出た基本方針に関しましても、ごらんになっていたと思います。そういうお立場で、先ほど、合理的配慮のお話、失敗例としてのパソコンのお話などもございましたけれども、また、採用枠のお話もございました。

 今回の基本方針で、これはもう少し工夫を更にしていってもらいたいというお話があれば、今回の基本方針に照らして御意見をいただきたいと思います。

阿部参考人 話をする機会をいただき、ありがとうございます。

 私たちが思っていることは、拙速に雇用率を満たすのではなくて、働きがいのある仕事の内容ということについて、もっと踏み込んで検討していただきたいと思いました。

 国の機関に勤めたんだけれども、イメージしていた仕事が、自分でできる仕事よりもずっと、何といいますか、軽い仕事であったというようなことで、がっかりする方もいらっしゃるかもしれませんし、ハード過ぎるということもあるかもしれません。そのようなことから、御本人の持てる力をしっかりと踏まえて、仕事に従事していただくための支援の仕組みについてしっかりと検討していただきたいと思いますし、この雇用率が満たされたとしても、更に三年後、五年後にしっかり検討していただいて、雇用の充実が図れるようにというようなことに、もっと踏み込んでいただければありがたいと思っているところでございます。

 以上です。

国光委員 ありがとうございます。

 必要なフォローアップをしっかりととっていくということ、そのことをしっかり私も政府に改めて問い直してまいりたいと思います。ありがとうございます。

 続きまして、藤井参考人にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 冒頭にお言葉がありました、障害者を締め出す政府、社会は弱くもろいというのは、非常に私も心に刺さりました。そういう点で、我が国が、その言葉にしっかりと応えるだけのものを持ち合わせているのであろうかということは、あのお話からも、猛省を改めてしなければならないというふうに考えております。

 その中で、一つ、就労移行のお話がございました点で、国際的なお話をちょっとお伺いをしたいと思います。

 私、ちょっと事前に藤井参考人のいろいろ論文なども拝見させていただいたんですけれども、よくドイツやフランスで、法定雇用率が、日本では二・五%なわけでございますが、ドイツ、フランスだと五%ほどでございます。二倍でございますが、やはりノーマライゼーションやソーシャルインクルージョンの先進国とも言えるようなドイツやフランスにおいて、どういうふうに具体的に達成をしていっているかということの御示唆をぜひいただければと思います。よろしくお願いいたします。

藤井参考人 質問ありがとうございました。

 海外では、いろいろな、やはりこれも試行錯誤があります。今おっしゃったように、ドイツでは五%、フランスでは六%、アメリカは、差別禁止法があって法定雇用率はありませんけれども、直近のデータでは、退役軍人を含めて一六%、退役軍人、いわば傷痍軍人の方ですね、を省いて一二%。日本の現在、一番直近のデータでいいますと、身体、知的、精神、九百三十六万人、人口であらわしますと七・四%。であるならば、労働市場においてもそれぐらいいてもいいんじゃないか。

 今御質問があったドイツなんかでいいますと、実は六%まで行ったんですけれども、どうしても達成できないというので、数年前に五%にバックしました。そういう点でいうと、いろいろな苦労をしながら、ドイツでは、現在五%の法定雇用率に対して実雇用率が四・数%ということ。こういう点から見ても、ぜひ、今先生がおっしゃったように、日本でもこれは考えるべき。隣の韓国では、今、三・一%が、二〇一九年から三・四に公的部門は上がってまいります。ぜひ、そういう観点を考えていただく。

 おっしゃるとおり、合理的配慮、これが決め手だろう。合理的配慮は、権利条約でいいますと、障害者権利条約にしかない概念です。障害がある者とない者が生きていくときに、個別的な支援、これが対等性を担保する条件。障害者の共通支援策は合理的配慮とは言えません。個別的な支援、ここがやはり鍵かなというふうに思います。

 以上でございます。

国光委員 ありがとうございました。本当に深い御知見を踏まえての御意見、大変勉強になりました。ありがとうございます。

 続きまして、有村参考人そして栗原参考人、お二人にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 お二人のお話をお伺いをして共通して思いましたのが、やはり事業者の、いかに、それぞれの障害をお持ちの方に適切な仕事を切り出して、しっかりとマッチさせるかということ。先ほどお話がありました有村参考人の、名刺を十枚でくくるという話、それからまた栗原参考人からも、いろいろな事業所の代表されるお立場としても、恐らく今、企業の、御自社の、御社の会社の方でも、いろいろな作業フローの中で、その方に合うようなお仕事をうまくマッチさせて仕事をなさられているというふうなお話を伺ったところでございます。

 その中で、今回、精神障害の方も新しく入ってきたということで、身体障害者の方が高齢化になって、それから知的、精神の方が主体になるというというふうなお話がありましたけれども、そういう中で、今後どのように、この知的それからまた精神障害の方に合った仕事をうまくタイムリーにマッチさせるということについて、どのように具体的に取り組んでいけばよいかということを、もしよろしければ、またお伺いさせていただければと思います。

栗原参考人 ただいまの御質問にお答えをさせていただきたいと思います。栗原でございます。

 どちらでも、やはり障害を持たれた方を戦力として使うということには苦慮されていると思います。先ほどの有村参考人のところも同じでございます。

 私ども、特にこれから精神の方を使わなきゃいけないということになりまして、ではどうすればいいのか。今まで私ども、五十八年間、障害を持たれた方を雇用していますが、知的の方が多いんです。ところが、知的と精神の方って、なかなかうまくマッチングしないんですね。

 ですから、そこで考えたのは、精神の方はひとり作業にしているんですよ。ひとり作業をしていますと、彼らは知的と違いまして十分理解できて作業ができる。そのうちに、食堂等でいろいろとお話をしながらやっていきますとコミュニケーションがとれてくる。そうすると、知的、精神の垣根を越えてくるということで、精神の方もスムーズに会社の中に溶け込めるというようなことで今やってきております。

 以上でございます。

国光委員 ありがとうございました。

 やはりそれぞれの、しっかり、能力や、それからまたお得意だと思う分野に合ったようなお仕事を、工夫してそれぞれの事業所で提供していかなきゃいけないということを、今回の議題であります公務部門、中央官庁や地方公共団体などでも徹底できるように、私自身も改めて問い直していきたいと思っております。

 最後に、三橋参考人にお尋ねさせていただきたいと思います。

 三橋参考人におかれては、もともと公務員でいらっしゃったということで、恐らく公務員としての現場を踏まえた上でのいろいろな状況がおわかりかというふうに思います。その中で、最後のお話にありましたいわゆるパワハラ、ハラスメント系のお話というのは、私も非常にあり得るなということは、実感としても正直思うところがございます。

 これにつきまして、余り、今回の基本方針では、ハラスメントに関してはそこまで深い記述はなかった状況ではございますけれども、具体的にこれをどのように、中央省庁そしてまた各地方公共団体で対応していくべきかということに関して、ぜひ御意見をいただければと思います。

三橋参考人 相談を受ける部門は、省庁と独立している部門が必要だと思います。先ほどちょっと申し上げましたように、上司とよく相談しなさいでは、実際には悩みは解決しないわけですね。ですから、省庁とは独立した、例えば人事院なんかの部門もいいと思うんですが、私がこの相談を受けたときは人事院にも行きました。だけれども、やはりちょっと具体的な策はなかったんですね。ですから、何といいますか、そういう部門を、積極的にやる部門をぜひどこかにつくってもらいたい、そう思います。

国光委員 ありがとうございます。

 しっかり御意見を踏まえて、私自身も委員の一員として対応してまいりたいと思います。

 本日は、すばらしいお話、大変ありがとうございました。

 以上でございます。

冨岡委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。

 きょうは、五人の参考人の皆様、本当に貴重な御意見を拝聴させていただきまして、ありがとうございます。

 私どもも、今回の霞が関における障害者雇用の水増し問題については、本当に大きな驚きとともに憤りを持っております。障害者権利条約を批准し、国内法もいろいろ整備をし、障害者雇用促進法をもとに、まさに日本全国での障害者の雇用を促進していこうと旗を振るべき霞が関が、しかし、そして、その中でも特に厚生労働省がこのような水増しを見逃していた、そして放置してきたということは、本当にあってはならないことが起きてしまったというふうに思いますし、今回のことをしっかりと検証して、今後に向けた方針をつくっていかなければいけないというふうに考えているところです。

 そういった、この今のタイミングで皆さんからお話しいただいたことは、本当に具体的なこともあり、また、理念的なところで押さえていかなければいけないこともありで、本当に勉強になりました。ありがとうございます。

 それで、私の方から、時間も限られておりますので、もしかしたら全員には質問させていただくことが難しいかもしれません。まずそのことをお許しください。

 藤井参考人にまずお伺いをしたいと思います。

 今回の政府による検証委員会の報告、それから政府の基本方針、これがまさにおっしゃるように、本当にタイミングよく、検証委員会の検証報告が出された直後に、この政府の基本方針が示されているわけでございます。私は、これを見たときに、まず、そもそも障害当事者の皆さんを本当に十分聞いた上で検証が行われたのか、そして基本方針もそういったことを踏まえて行われたのか、非常に強い疑問を持ちました。

 それで、検証委員会の報告書を見ますと、おっしゃるとおり、恣意的とは書いてなかったかもしれませんけれども、何か、積極的ではなかったですとか、見逃してきたような、そういった文言、抽象的な、感覚的な文言が並んでおったんですけれども、この報告書、それから基本方針、当事者の声を本当に反映したものだというふうに藤井参考人はお考えになっておられるでしょうか。

藤井参考人 お答えいたします。

 障害者権利条約がなぜすばらしいか。もちろん、内容もすばらしいんですけれども、私も途中で国連に足を運びました。何度も繰り返されたのが、ナッシング・アバウト・アス・ウイズアウト・アス、私たちのことを私たち抜きに決めないで、これが何百遍でしょうね、これが繰り返されました。あの国連の分厚い議場にしみ入るようにこれが響いたんですね。

 そういう点でいうと、今回、今起こっている問題というのは、決して私は揚げ足をとるという意味ではなくて、本当の意味で当事者が入ったのかなと。確かに、何回かヒアリングはあったと思うんですけれども、それは一部の団体であります。

 九月の六日に、加藤当時大臣に申入れをいたしました、御本人にお会いしました。ぜひともこの検証過程に障害当事者の代表を、別に私とは言いません、代表を加えてもらえぬかと。結果的には、それはかなわなかったわけです。

 案の定、今おっしゃったように、さっきも言ったように、その内容は、一言で言うと浅薄ではないでしょうか。先生おっしゃった、今でいうと、恣意的という言葉は入っています。そして、意識や、あるいは関心が薄い、この連発でありますね。さっきも言いましたように、私たちが求めているのは、関心が薄いのはなぜか、意識が低いのはなぜか、このなぜかこそが検証のポイントであったと思うんですけれども、ここには言及できなかった。それをもとにしての基本方針であるならば、やはり土台は弱いと思うんです。

 私は、改めて、この衆議院、参議院も含めて、立法府において、時間は厳しいんだけれども、再検証の気持ちをぜひ持っていただいて、更に深掘りをしてほしい。

 恐らく前代未聞の、この半世紀以上の、こうした不祥事であります。水増しという言葉は大変上品であって、さっきも言われたように、それは、ある面では虚偽、偽装。もしこれが障害者分野でなかったら、もっと社会問題になるのではないでしょうか。そういう点からいっても、ぜひ立法府において本当の検証を、時間の限りだけれども、やってほしいということを切にお願いいたします。

 以上でございます。

西村(智)委員 ありがとうございます。

 それで、ちょっと時間が限られている中なんですけれども、この点について、できましたら、そのほかの参考人の方にも一言ずつ、お考えをお伺いしたいと思っております。

 改めて、もう一度、当事者ないしは関係団体、そういったところの声をヒアリングをしながら検証をやり直して、本当になぜこれが起きたのか。今まで政府も、もう何度となく、この障害者雇用のあり方を政府として見直す機会はあったと思うんです。何年か前にもありました、水増しの問題。そのときにもきちんと対応してきたはずなのに、こうなってきてしまっているということを、やはり、今回は本当にその原因をきちんと探るという点で、もし皆さんがその検証の場に加わっていただけるというのであれば、私はぜひ来ていただきたいというふうにも思うんですけれども、その点についても一言ずつ、ほかの方にもお願いしたいと思っております。

 検証のし直しについて、阿部参考人からお願いします。

阿部参考人 阿部でございます。

 御指摘のように、検証の中身については、やはり時間的なことということがあるのか、更に検討が深まることが望ましいと思いました。

 その中で、障害があって働いている人の声というのも大事ではないか。問題が生じなかった省もあったはずです。そこではどういう仕事をして、そして合理的配慮の提供が行われていたかということ、これはとても大事なことであると思います。

 そして、私も発言させていただきましたけれども、やはり、障害者手帳を持っていることが職場で不利になるのではないかという危惧を聞いたことがありますけれども、それが本当にそういうものなのか。でなければ、プライバシーということはありますけれども、障害者手帳を持っている方々の職位、働いている実績などについても示していただければ、私たちの検討は、なおもっと深まるのではないかと思いました。

 以上です。

有村参考人 私の方からも、実際行政で働いておられた障害者自身の方に御意見を伺うことを切に望みます。

 私の方からは以上でございます。

栗原参考人 今回の件につきましては、本当に、水増し問題、青天のへきれきという感じもしますが、起こってしまったことよりも、今後どうしていくかというのが一番大事じゃないかというふうに思っています。

 やはり、指摘をされた事項について、それを一つ一つクリアしていくように、そのためにもやはり合理的な配慮をしながら、戦力として使えるような方法を考えながら雇用していっていただきたい、努めていただきたいというふうに思います。

 以上でございます。

三橋参考人 検証する場合には、毎年、その報告をするときに、どういう形で集計していたかというのを、一番ブレークダウンした、一番最初の現場のところから、きちっと聞いた方がいいと思いますね。

 この間、安定局の若い担当の方に聞きましたら、その集計、下から、出先から上がってきた数字を、本庁なりなんなりで集計しますよね。そのところは、皆さん、わからなかったというんですね。ですから、そこを聞いて、把握できなかったといったって、それは把握できないんですよ。もっと出先の報告する人たちに聞いてもらって、どういうふうにやってあなたはこの名前を報告したんですかということを、ぜひ検証してもらいたいと思います。

西村(智)委員 ありがとうございます。

 やはり、しっかりと根本原因を探さないと対策を打てないというのは、これはPDCAサイクルを回していく上でも必要不可欠なことだと思いますので、私は、やはりもう一回、さまざまな方の声を聞きながら検証をするべきだというふうに思っております。

 それで、時間がありますので、もう一問伺いたいと思うんですけれども、五名の方、全員が全員とも、今回、四千七百人ですか、これを今年度と来年度で採用し直すということについて、懸念の声を表明されておられたと思います。拙速であるとか、数合わせであるとかいうふうにおっしゃっておられた。

 本当にそのとおりだというふうに思うんですけれども、これはこれとしてまた一つ、今後の私どもの質疑の中でやっていかなければいけないことだと思いますが、皆さんにお伺いをしたいのは、公務部門で数合わせが行われていたということが、結局、なぜこのような形でさらっと検証報告が出てきて、そしてさらっと基本方針が出てきているかといえば、やはり私は、民間部門には、ある意味、ペナルティーがあるんだけれども、公務部門にはそれがないということが、やはり今回の問題を、本当はもっと大きな社会問題であるはずなのに、それよりも何か小さく見えるような感じになっている、その原因の一つでもあるんじゃないかというふうに思うんです。

 きょうは、民間の企業でそういった雇用、障害者の雇用を進めておられる方々もいらっしゃいますけれども、できましたらお一言ずつ、民間にはペナルティーがあるけれども公務部門にはペナルティーがないということについて、何か今思うことがありましたらお聞かせをいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

有村参考人 おっしゃるように、日本の場合、民間には納付金という形で、雇用率が達成されない場合の、いわゆるペナルティーのようなものが存在しますが、我々からも、行政側に対しても同じようなペナルティーがということも考えてはおりますが、ただ、同じように税金で税金を充てられても、本当の意味のペナルティーになるかというところがございます。

 ただ、諸外国においては、例えばフランスの場合は、行政に対してもペナルティーを科すというところがあります。その財源がどこから出ているかまではちょっとまだ知りませんが、やはりそういうものがないと回らないということも事実かと思いますので、必要性はあると思いますが、どこから出すかが重要かと思います。

 以上でございます。

藤井参考人 とても大事な今の御意見で、やはり、法的な根拠を持った監視システムと並んで、再発防止策を考えていく場合に大変有効な方法だと思うんですね。ドイツもフランスも納付金制度が公的部門にも課されます。それは税金だというふうに伺っています。

 今、有村さん、税金から税金とおっしゃったけれども、国家賠償なども税金から使われていますし、フランス、ドイツ、特にドイツなんかは聞きますと、フランスでもそうですね、自分のところの行政の部署、その予算を使って出しております。ぜひひとつ、検討に値しますので、調査研究をしていただきたい、こう思います。

西村(智)委員 ほかに特段の御意見がなければ、お二人から御意見をいただきまして、まことにありがとうございました。

 限られた時間、そろそろ参りますけれども、私も、やはり今回のことは本当に大きな問題だったと思います。

 厚生労働大臣は、先日、この委員会での所信表明演説の中で、この点について反省とおわびということを言及されましたけれども、私も期待して聞いていましたが、この臨時国会が始まったときの総理の所信表明演説に、この件が一言もありませんでした。これほど霞が関全体そして日本社会全体を揺るがした問題について、あらゆる府省の、まさに行政府の長である総理の口から、この点について何も言及がなかった。あったということすらも発言がなかったということは、本当に残念だったし、悔しいことだったと思っております。

 私ども、またそういった状況の中ではありますけれども、今回の問題をしっかりと解決に導いて、そして誰もが暮らしやすい社会をつくっていくために、これからも努力してまいりますことを申し上げて、私の質疑とさせていただきます。

 きょうは、どうもありがとうございました。

冨岡委員長 次に、白石洋一君。

白石委員 国民民主党の白石洋一です。

 本日は、五人の参考人の方々、貴重な御意見をありがとうございます。

 今回、このような場を設けることになったのは、やはり水増し問題がきっかけと。

 水増し問題、これは非常に私の選挙区のところでも反響がありました。孫とかあるいは自分の子供が障害を持っている、そういう方が代弁をして、メールや電話を事務所に入れてくる。あるいは、民間の企業の方で、法定雇用率の義務をずっと一生懸命クリアして、少しでも雇用者をふやそうとされている方々の、皆さん、怒りの声でありました。

 事務所に電話があったりメールがあったりしたら、私が電話をしてお話を聞く機会を持ちまして、その上でまた皆様に御意見をいただいて、今回の水増し事案を一つのきっかけとして、再発防止、そして更に水準の高い、レベルの高い、そして国際的にも恥ずかしくない日本にしていきたいなと思っております。

 それで、まず、民間企業としてこの問題にずっと当たってこられた方、有村参考人と栗原参考人にお伺いしたいんです。

 先ほど、西村委員もありました、民間企業は納付金という罰金がある、それが官公庁、地方公共団体にはないということ、さらには、今回、これだけ長い、そして非常に数も大きい、悪質な事案が出ているのに、実際の処分というのはどうなっているのか。地方公共団体では処分をしたところもあります。愛媛県は五十八人の幹部に対して処分をしました。一方、では官公庁、中でも本件を所管している厚労省、処分は見送られるようなことが報道されています。おとがめなしですね。

 最終的には、私が申し上げた、あるべき姿の日本にしていくということが目標なんですけれども、やはりこれだけのことが起きたのであれば、処分をし、区切りをつけていくべきじゃないかという声、怒りの声が非常に強いわけであります。そのことについて、まず有村参考人、どのように見ていらっしゃいますでしょうか。

有村参考人 もちろん、処分とか罰則規定があるということも必要かもしれませんが、私どもは、罰則があるから、それを受けないために障害者雇用をしているわけではございません。それでは後ろ向きの雇用になってしまいますので、基本的には、障害者を戦力にしていくという思いでやっております。

 ですから、公的部門にもそういう罰則が必要かもしれませんが、それよりも前に、まずは皆さんの意識を改革いただいて、前に向いて、これからどう進むべきか、障害者と一緒にやっていくという気持ちをどうやって植えつけていただくかが大変重要かと思っております。

 以上でございます。

白石委員 ありがとうございます。

 罰則というものもありますけれども、もう一つは処分ですね。担当者が、ここまでずさんなことをしてきた、あるいは見逃してきたことに対する、職員に対する処分、例えば厳重注意とか訓告とか、そういったところについてはいかがでしょうか。

有村参考人 それが、この二十年間、三十年間やられた中で、特定できるかどうかというところも疑問に思いますので、私の方からは、特段発言は、これまでにさせていただきたいと思います。

白石委員 それでは、栗原参考人、お願いします。

栗原参考人 ただいまの件につきましては、やはりお役所の方も二年ぐらいでかわられてしまう、そうすると、なかなか責任の問題とか、そういうのも明確になっていないんじゃないかなというふうに私は思っております。

 ただ、今後は、これだけの指摘を受けているわけですから、いかに自分の周りに障害を持たれた方を、一緒に仕事をできるかというような、こういうような模索をやはりしていくべきで、それについて今後はやはり努力をしていただくしかないと私は思っております。

白石委員 ありがとうございます。

 お二方、両方とも、これから次、これを機会に次に結びつけることの方が大事だという再発防止ですね、再発防止が大事だということであります。

 それでは、その再発防止として、いろいろな手段があると思います。一番大事なのは、意識の向上、精神というところ、それが、一つは、障害者権利条約というところにもあらわれているということでもありますけれども、それを担保していくものとして、具体的な制度というのも考えていかなければなりません。

 その点、納付金じゃないとするならば、ほかの制度でも結構です。それぞれ、これは阿部参考人から五人の方々、簡潔におっしゃっていただければありがたいです。

阿部参考人 ただいま委員の質問の中にもありましたけれども、障害者権利条約はとても大きな力を持っていることだと思います。それを踏まえて、障害者差別解消法、権利の侵害がないようにということでつくられた法律とともに、雇用の分野では、障害者雇用促進法ができたことによって、さまざまな領域において、今までは大きな障害があると仕事をやめざるを得なかった方がやめなくても済むようになったということはお聞きしています。それに該当するものを公務部門においてもしっかりつくっていただく。

 合理的配慮については、民間事業所ということで検討を一緒にさせていただきましたけれども、公務部門については、その辺の検討もなかったように思いますので、民間で培ってきたものをしっかりと踏まえて、公務部門でも内容を深めて、二度とそのようなことがないようにということと、働きがいのある職場づくり、仕事づくりということをしていただきたいと思います。

 以上です。

藤井参考人 まず、先ほどの、これは国民感情としまして、民間の企業でも、仮に過去の人が犯した場合でも、やはり現役が何らかの、せんだっても三重県知事とお会いしたときに、鈴木知事は、県でもあったから自分は減俸にしたと。今いる方が誠実に向き合うこと自体が、やはり国民に向けての大事なポイントになると思うんです。

 意識という問題は、これはむしろ、政策が先行して、意識というのは変わっていくんですね。意識が先行するものではないと思います。やはり今問われているのは、先生がおっしゃったように、政策かと思います。

 そこで、私は、ポイントとしまして、今、阿部さんがおっしゃったことに加えて言うならば、福祉と労働の一体展開、せっかくこの厚労委員会というのは、いわば福祉と労働を一体的に連携し、展開していく。

 さっきも言いました、今、通勤支援、私も全く今、全盲ですから、何度も厚労省にも過去にお願いしました。例えば、移動に関する行動援護とか同行援護というのは使えないか、これは使えない、通勤には使えないと。

 もう少し、こういうことを含めて、実は所得保障の問題も含めたり、あるいはA型、B型も含めて、改めて厚生労働行政として、あるいは厚生労働委員会として、福祉と労働の一体展開によってどれくらい働きやすくなるか。実は、合理的配慮のヒントは福祉政策にいっぱいあるんです。こんなことも改めて強調しておきたいと思います。

有村参考人 民間企業におきましては、障害者の雇用に関しましては、六・一調査といいまして、六月一日時点での数値を労働局に報告する義務がございます。

 また、その内容等につきまして、高齢者・障害者・求職者支援機構、通称高障機構と呼んでおりますが、ここの調査を受けることもあります。このように、第三機関の調査というものが公的部門にもあった方がいいというふうに思っております。

 以上でございます。

栗原参考人 ただいまお話しのとおり、第三機関にというようなお話は当然出てくると思います。

 それ以外に、先ほど私もお話をさせていただきましたけれども、企業でも、障害者というだけでちゅうちょする企業があるというお話もさせていただきました。やはり百聞は一見にしかずということで、ぜひ民間の企業でも、多数雇用している、どういうような仕事をさせている、してもらっているかというような、そういうような現場もやはり見ていただくのも必要じゃないかなと。そうすれば、自分のところで、ああ、こういうような仕事ならばさせられるということもあるのではないかというふうには思っております。

 以上でございます。

三橋参考人 私は、障害者の人が働く、活躍できる場をたくさん、それは事業主の側でつくっていくということじゃないかと思うんです。

 そして、先ほど申し上げましたが、新しい仕事をつくり出すというところまで国がやる、そのことによって障害者の人を雇う、そうすると、何ですか、新しい仕事がふえた、それによって国民もいろいろな恩恵というか、益を受けるわけですね。

 そういうふうにして、障害者の働ける場所、活躍する場所をつくるということが、障害者雇用をこれからどんどん発展させていくということにつながると思います。

白石委員 ありがとうございます。

 合理的配慮というところを更に深化させて、福祉と労働との一体的展開とか、それも更に国が仕事をつくっていく、展開していく、民間の知恵をそこに入れ込んでいくということ、これと、やはり処分も一つあり、さらには調査、報告をさせ、第三者機関がそれをチェックしていくといったことは再発防止につながるのかなと思わせていただきました。

 最後の質問となりますけれども、公的部門の採用というところでいうと、どうしても、特に国の場合は試験が一つのハードルになる、公務員試験というところで。さらに、障害者の中でも、種別でいえば、知的障害の方々にとっては、その試験というところが非常にハードルとして高い。でも、それを課していたら、障害者の種別、今や三つありますけれども、バランスを欠くものになってしまいかねない。これは本旨ではないと思います。

 そこでお伺いしたいんですけれども、公務員の採用の枠とか仕方、試験方法について、公務員のことについて言及されていた藤井参考人と三橋参考人に、公務員、特に、バランスのとれた採用ということで、御意見をもうちょっとお願いします。

藤井参考人 おっしゃるとおり、障害種別ごとにやはり配慮が要ると思います。

 これは、権利条約の中ではアファーマティブアクションといいまして、障害種別ごと、あるいは程度に応じた個別的な区別は差別ではない、こう言っています。したがって、今のような試験制度では、どうしても能力検定ですから、知的障害者は立つ瀬がない。例えば、知的障害者に関しては、ペーパーテストだけじゃなくて、特別支援学校時代の様子、あるいは前に通っていた福祉施設での様子、こんなことも加味して、日常的なことも加味した、そういうふうな試験方法が要るのではないかな、こんなふうに思います。精神障害者も若干配慮が要るかもわかりません。

 また、今度の基本方針にも入っていますけれども、実習しながら様子を見ていくということも大変有効ではないかなと。

 いずれにしても、ここはかなり、現場の支援する側と協力し合って、やはり私たちらしい、日本らしいシステムをつくっていくべきじゃないかな、こんなふうに思います。

三橋参考人 一般の競争試験で対応できる障害者もたくさんいると思います。ですから、そういう人たちには、受験の配慮、いろいろな配慮をして競争試験をやるのがいいと思います。

 ただし、それになじまない障害者の種類の方もいらっしゃる。その場合には、試験だけが選考方法じゃないと思うんですね。

 例えば、面接をして、面接のときに、採用、人事部門の専門家だけではなくて、職業訓練部門の専門家とか、そういうジャンルの専門家の方に面接官にも加わっていただいて、ある希望する障害者の人がどういう仕事ができそうかなということを、そこできちっと把握してもらうということが大切だと思います。

白石委員 採用には、ペーパーテストだけじゃなくて、これまでの現場における様子とか、あるいは専門家による面接、これを加味する、あるいはその比率をずっと大きくするということが示されたと思います。しっかりと受けとめて、また反映させていただきたいと思います。

 本日は、まことにありがとうございました。

冨岡委員長 次に、高木美智代君。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 本日は、五人の参考人の皆様、貴重な御意見、また御提言を賜りまして、心から御礼を申し上げます。

 今回の障害者雇用に関する雇用数の不適切計上問題につきましては、私もこの十数年間、特に阿部参考人、また藤井参考人、御一緒に障害者政策をるる進めてきた一人といたしまして、特に国連障害者権利条約の批准までともにかち取った、そういう一人といたしまして、非常に私も、怒りそしてまた落胆、また、私自身も途中、副大臣を経験させていただいておりましたので、自責の念を強く感じているところでございます。ただ、ここを私はむしろばねにしながら、ここから、国においても、また地方自治体においても、障害者にどのような道を開いていくことができるのか、それぞれがまさに活躍できる、そうした共生社会をつくるための大きな一歩にしていきたいという思いでおります。

 そこで、具体的に、時間も限られておりますので、伺ってまいりたいと思います。

 まず、阿部参考人、そして藤井参考人にお伺いをしたいのですが、今回、検証委員会が、ずさんな実例、慣行が継続してきた背景として、国の行政機関における障害者雇用の促進を実効あらしめようとする基本認識の欠如と法の理念に対する意識の低さ、何度も指摘をしております。

 私は、この障害者雇用に対する意識の低さは、とりもなおさず障害者に対する意識の低さではないか、このように受けとめております。これをどのように今後改善をしていけばいいのか、そのお考えを伺いたいと思います。

阿部参考人 高木委員御指摘のとおりだと思います。

 それで、やはり大事なことは、先ほどもお話ししましたけれども、障害者権利条約のもとに、障害者差別解消法、そして雇用促進法、ただし、雇用促進法が公務部門に該当しないという問題は大きな問題だと思っていますけれども、それをもとに各省庁が、平成二十八年四月から、対応要領、そして関係する機関に、事業者に対してガイドラインを出したというような内容の中で、心のバリアフリー、障害理解というのがすごく大事なことだと思います。

 そして、その折にも検討いただきましたけれども、障害理解をしていただくためには、やはり、障害がある当事者の声もとても大事だと思います。

 障害理解というのは、障害があって困ること、不便なことの理解にとどまらず、どのような配慮があれば不便なこと、困ることが少なくなるかというようなことをお示しして、具体的に過重な負担になる場合はほとんど少ないんだと思いますけれども、そのようなことで支援が当たり前に行われる社会をつくっていく、その基本的な、根本的なことでございますし、研修などに、また障害当事者、障害があって働いている人の声をお聞きいただきながら、更によりよい雇用環境をつくっていただく必要があるのではないのかなと思います。

 これまでのことをしっかりと振り返って反省していただくとともに、これからどうするかということで、心のバリアフリー、障害理解の大切さ、これをお伝えいただくことが大切だと思いますし、それに、私たち障害当事者団体も、また障害がある方も、喜んで協力することだと思います。

 以上です。ありがとうございます。

藤井参考人 大変大事な御質問だったと思います。

 差別の反対というのは、平等という答えと、もう一個あります。差別の反対は無関心。実は、これこそが厄介なんですね。

 私は、今度のこの障害者雇用の問題というのは、将来もし各部署に障害者が仕事についてもらえば、接することが一番の、この関心ということを、除去していく、あるいは軽減していく方法だと思います。したがって、各部署、各課に障害者が多く入ってくるということ自体が非常に有効じゃないか。

 と同時に、今も阿部さんがおっしゃったように、やはり、この政策を決定する過程において障害当事者団体の代表が加わっていくということ。と同時に、私は、きょう各政党いらっしゃいますけれども、できるだけ当事者と懇談会等を持ってもらう。どうしても障害者というのは不利益が集中します。ぜひ、そういう点で、そういうこともやっていく。

 公務部門の職員に関しては、できれば一歩出て、何か形として障害者と接するような、あるいは障害者関係の社会支援施設等を訪問したり、何か新しい手当てを講じないと、なかなか意識だけでは弱いというふうに私は思っています。ここもぜひみんなで考え、私たちもまた提案していきたいと思っています。

 以上でございます。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 次に、有村参考人、そして栗原参考人に伺いたいと思います。

 先ほど、これから人材のとり合いが、国、地方自治体、それと民間企業と起こり始めるのではないかという御懸念がございました。現実、私のところにも、国の試験を受験したいのだがという問合せが既に来ております。そういうことを考えますと、先ほど来、特に身体障害の方については高齢化等が懸念をされている、やはり、精神、知的、当然発達障害も含めまして、精神障害の方たちの雇用をどのように進めていくかということは、国、地方自治体のみならず、民間企業におかれても非常に重要なテーマであると伺いました。ただ、やはり、これのノウハウというのがまだ確立されていないのではないかということもあります。

 精神障害、また知的障害も含めまして、こうした見えない障害、これを持つ方たちに対する雇用促進についてのお考えを伺いたいと思います。

有村参考人 特に見えない障害の二つの障害については非常に難しいというのは先ほども述べさせていただきました。

 もう一つ、知的障害だから、精神障害だからといって一くくりでその特性を言えるものではございません。一人一人の個人の個性を見て仕事をつくり出していく必要がございます。その人にとっては何ができるのかというところに合わせて仕事を改変させていく必要がございます。ですから、重要なことは、今の仕事の形をそのまま維持するのではなく、仕事の形を障害者にどう合わせて組みかえるかというところをやっていく必要があります。これには決まったパターンがあるわけではなく、ここが難しいんですけれども、その辺の柔軟性。

 それから、もう一つ重要な点としましては、特に精神障害者の場合は、時系列での変化がありますので、ここをサポートする専門のスタッフ、支援体制、これがぜひとも必要になってきます。この支援体制を持たないまま進めると、やはり離職というところにつながりますので、ここが必要になってくると思っております。

 私の方の意見は以上でございます。

栗原参考人 人材のとり合いというお話が今出ました。

 ある国立の大学の先生とちょっとお話をしましたらば、推薦してほしいと、推薦というのは、障害を持たれた方を推薦してほしいというような、ある役所の方からそういうお話があるという話と、もう一つ、手帳は持っていない、しかし学習障害とかそういうような多動性障害を持たれた方、そういう方の就職のために、これは余り言うと問題になるかもわからぬですが、その本人に手帳をというようなお話もしたこともありますというようなお話も伺いました。

 ただ、今、有村参考人のお話のとおり、やはり、個々によってみんな違うわけですね。ですから、同じパターンでの仕事なんてまず無理だと思うんです。ですから、その人その人に合った仕事というのを、入ってからは、やはりそういうような個々に合った仕事をしていただく、又はつくり出すしかないというふうに私も思っております。

 以上でございます。

高木(美)委員 私も、さまざまな企業、また作業所、事業所等を視察もさせていただきまして、そのどこに伺っても、今お話あった、その人に合った仕事を切り出すしかないという、もうまさにそれぞれに合った形で仕事をつくっていらっしゃる、しかも、それを障害者の方たちが誇りを持って説明をしてくださる、その光景にずっと接してまいりまして、本当に難しいんですけれども、それがどういう経緯でそう至ったか、そこまで本人が誇りを持って語れるようになったかという、その中のところを、やはりこれはオープンにしていただく必要もあるのではないかと思います。

 そうしませんと、一人の人に合ったという形でも、それはやはりジョブコーチしかわからないというような形ではなかなか進まないかなという思いもありますので、ぜひとも、またそうした事例の収集等につきましてはお力をいただきたいと思っております。

 むしろ、こうした事例集をしっかりと横展開をしていく段階に入ったと思っております。また、これを強く厚労省にも求めて、進めていきたいと思います。

 もう時間も参りましたので、最後に、地方自治体の取組をどう進めていくかというところが大きな課題でございます。特に、教育委員会、全て、三千八百九人の地方自治体の数に対しまして、二千三百五十九人というこの不足数、ここをどうクリアしていくかというところもあります。これについての地方自治体の取組を促す方策につきまして、これは、阿部参考人と、それから三橋参考人に伺いたいと思います。

阿部参考人 御指摘のとおり、教育委員会の雇用率の低迷はずっと続いていたことでございます。

 ただ、今本当に、学校教育の場での障害理解ということ、ユニバーサルデザイン二〇二〇行動計画にもうたわれていますし、その実効性を高めるために、やはり障害がある体験をもとに話をすることというのも求められているのではないかと思います。

 そしてまた、例えば聴覚支援学校、視覚支援学校、かつては、障害がある、聴覚障害の教員の方も採用されていたんですけれども、だんだん少なくなってきているという問題もあります。学校で学ぶときに、障害がある先生から教えていただくというのはとても心強いことだと思います。そのようなことも含め、先ほどの障害理解、体験をもとに理解を進めるということなどの活用ということで、障害がある、その体験を大きな力として採用することを教育委員会などで行っていただくことは大切なのではないかと思います。

 以上です。ありがとうございます。

三橋参考人 教員を希望する障害者の人は積極的に教員として採用してもらうというのは当然ですけれども、なかなか数の上では、数を満たすところにはいかないと思います。

 その上で、教員だけが教育委員会の職員じゃないんですね。いろいろ、学校には現場に仕事があります。私の友達も、長いこと、学校の用務員さんというのかな、いろいろ作業する、そういう仕事をしていました。ですから、もう少し幅を広く見れば、教育委員会で障害者の働く場所というのはたくさんあると思いますね。

 ですけれども、それにはやはり、今の仕事の中に誰かを、誰かのかわりに障害者を雇うとかという発想ではなかなか進まないと思いますので、新しい仕事をつくるという観点で、例えば、用務員さんなんかも減らしていますよね。それを新たにもう一度配置をして、それでいろいろな仕事をやってもらうというようなことを通じて障害者の人をたくさん雇っていけるんじゃないかと思います。

 私が勤めていた千葉県でも、やはり教育委員会だけはどうしてもいまだに未達成という状態ですね。

高木(美)委員 本日は、大変貴重な御意見、ありがとうございました。本日の皆様から伺いました御意見につきまして、また実現に向けて頑張ってまいりたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、五人の参考人の皆さん、貴重な御意見を伺うことができました。本当にありがとうございました。ぜひ生かしていきたいと思っております。

 順次質問をしていきたいと思うんですが、初めに阿部参考人に伺います。

 この問題が大きく報道されて、厚労委員会でも議論を始めたときに、八月の三十一日付で日本身体障害者団体連合会として発表されたコメント、非常に私も胸をつかれるような思いがいたしました。「障害者施策の基本理念である共生社会の実現のため、職業を通じた社会参加が重要であり、この考えの下に障害者雇用施策の推進を図ってきたと理解していましたが、その考え方の根底が覆されたばかりか、障害者雇用の促進に真摯に向き合ってきた関係者の信頼をも揺らぐような極めて深刻な事態であることを認識すべきでしょう。」この指摘は本当に重いものではないかと思っております。

 そこで伺いたいのは、今回設置された検証委員会は、どのような形で水増しをやったのか、つまり、裸眼ではかったとか、そういうことはよくわかったんだけれども、じゃ一体いつから、どうしてここがこんなふうになったのかということは、意図的でないの一言で終わっちゃっているわけなんですね。声明の中にも、やはり、一日も早く、こうした水増しの行為が起こった原因究明と、それから実態の把握、必要だと指摘をされておりますので、私はもっと掘り下げて究明するべきだと思いますけれども、御意見を伺いたいと思います。

阿部参考人 ただいま高橋先生御指摘のとおり、とても大きな問題だと思っております。

 それで、検証委員会につきましては、いろいろ議論になっていますけれども、時間の短い間に出てきたことであり、それで終わるものであるのかどうかということもまた大事なことだと思います。

 このようなことが起きた背景というのは、今回も議論されていますけれども、障害に対するさまざまな考え方というのがこれまで望ましいものでなかった部分も十分にあるのではないかと思います。そして、これは国もでございますけれども、地方自治体においても、もっと以前からあったはずではないかというのが私たちの、日身連の会議の中でも出てまいったところです。

 そのような背景についてしっかりと、まあ、障害理解は、きょうのお話にもありますけれども、障害にあって困った部分、不便なことを改善することは、超高齢化社会、とても大事なことであり、互いに支え合うという合理的配慮の精神を伝えるためにもとても大事なことだと思いますので、そのようなこと、どういうふうにして行われたかについて本当に猛省していただき、これからのしっかりした、誰もが暮らしやすい社会をつくっていくことをともに学び合う必要があると思います。

 そのようなことで、私たち日身連も、各地方公共団体や、加盟団体は都道府県、政令市の団体なので、それぞれの地域でも発言させていただいているところでございます。

 そのようなことから、当事者の力といいますか、当事者が地域を変えていくということも、これも藤井参考人がおっしゃいました、ナッシング・アバウト・アス・ウイズアウト・アス、私たちのことは私たち抜きに決めないでというこの考え方をしっかり押し出しながら、このような場でも発言させていただきましたけれども、これからも団体として努力してまいりたいと思います。

 以上です。ありがとうございます。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 先ほど藤井参考人が、障害者を締め出す社会は弱くもろいとおっしゃいました。まさに障害者権利条約の国連での採択にもかかわった藤井参考人が、今回の問題の持つ意味、原因、そしてどうすべきかということを端的にお話をいただいたと思います。

 それで、やはり私は、この問題、どなたもおっしゃったことなんですけれども、数合わせではなく、しっかりとやる、対応すべきだということだと思うんですが、この際、本当に障害者雇用はどうあるべきかというのをちゃんと議論するべきじゃないか。権利条約が規定する障害というのはすごい広くとっているわけですけれども、ここでは手帳だけが厳格に運用されている。それすらだめだったということはまずただす必要があるわけですけれども、本当にこれを機会に見直していく必要があるかなと思うんですが、その点で藤井参考人の御意見を伺いたいと思います。

藤井参考人 先ほどからも他の先生方からもありましたように、今度のは、ある面で事件ですよね、これをやはり好転していく大きな転機にしようと。これはもう全くそのとおりだと思います。

 したがって、私たちは、この問題というのは再検証を求めているんですが、同時に、きょうも資料に加えておきましたけれども、今後のありよう、先ほど言いましたけれども、もう国際規範では幾つか方向性が出ています。

 そして、私は、何よりも言いたいことは、雇用問題ではあったんですが、どうもその奥には、雇用問題を超えた、やはり障害者排除ということが色濃く見えてくる、この部分をどんなふうにしてみんなで考えていくのかということだと思います。

 そういう点でいうならば、今回、きのうの参議院の参考人にもありましたけれども、四千人を人事院がということは確かにわかります、でも、ここは思い切って、足を一旦とめて、そして本当に離職者を出さないということをもっときちんと考えていくという点で、少し、ある面でいうと、進め方自体もやはり立法府として提言すべきじゃないか、こんなことを思っております。

 以上です。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 次に、有村参考人に伺いたいと思うんですけれども、障害者を雇用する企業を本当に長年にわたって支援をされてきた、努力をされてきたという一端を御紹介いただいたと思います。特に、知的障害や精神障害の方たちを雇用してきたんだということでは、義務化を進めてきたんだけれども、やはりまだまだ企業の中でもためらいがあるということがある中で貴重な経験をされているかなと思って伺いました。

 そこで、今後、雇用率のあり方、あるいはカウントも含めてなんですけれども、それから納付金の制度などについてどのようにしていきたいと思っていらっしゃるのか、もし御意見があれば伺いたいと思います。

有村参考人 先ほど私も申し上げましたように、身体障害者の高齢化に伴いまして、これからは、知的と精神の障害者を雇用の対象として戦力化することが求められております。

 その中で、一番難しく、ここは、できれば検討いただきたい点は、精神障害者四百万人いる中の手帳保持者が五分の一しかいないということです。いわゆる障害者雇用のカウントには手帳保持が厳格に求められます。ここの、手帳の取得を進めるか、若しくは手帳保持というところの規格を緩めるのかというところを検討していただきたいということが重要かと思います。

 特に手帳の保持を進めるということは、なぜ手帳を保持しないのかというところの原因を追求いただいて、これはもうほとんどおわかりと思うんですが、社会的偏見があるがために皆さん取りたがらないというところです。ですから、そこを取り除くことによって手帳保持を進めていただくこと、これが一番有効かと思いますが、ぜひともそういう方向に進めていただきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 精神障害者を義務づける法案の審議のときに、やはり、職場の理解がなかなか進まない、だから隠して就職する、でもそのことによって結局続かないということが、どうするんだという議論をしたことがありました。ぜひ進めていきたいなと思っております。ありがとうございます。

 それでは、栗原参考人と三橋参考人に同じ質問をしたいと思うんですけれども、先ほど栗原参考人が、障害者はうまく雇用すれば必ず戦力になるとおっしゃいました。そういう言葉を、生活支援をされている、障害者のセンターで支援をされている方からも同じような趣旨のことを伺いました。例えば、重度の障害のある方とともに働くことで返ってくるものが大きな財産でもある、そういう気持ちでぜひ雇用を進めてもらいたいなということをおっしゃっていたわけですね。

 そういう意味で、重度の方への合理的配慮をどうやっていくか、どうやって職場の、気持ちの負担というんですかね、軽くしていくか、それは間に立つ人がもう少しいればいいんだろうなと思うんですけれども、そこでのヒントがあれば伺いたいというのと、三橋参考人は、そもそも、三十五年間、千葉県の職員で採用されて、多分いろんな、みずから改善してきたことがあると思うんですね。そういう経験の一端をぜひ御紹介いただければと思います。お願いします。

栗原参考人 ただいまの御質問にお答えしたいと思います。

 私どもの会社では、知的障害を持たれた方、重度の方、かなり多く働いております。

 一つは、やはり、方法としては、単純作業のパターン化した作業をやっていただく。

 それと、指導ですね。ここが問題なんですが、健常者でなくて、障害者が障害者を指導していく、教えていく。それが一番、本人が問題なく作業に入っていけるということだと私は思っております。やはり、健常者に言われると何となく身構える。それが、同じような仲間に指導されるとそれが全然ないというような、そういうことで私どもの会社は五十八年間雇用を進めてきております。

 今、蛇足になりますが、平均勤続年数が約十五年弱です。十八の子から五十六の子までおります。ですから、そういう子でも問題なく働けるというのは、やはりそういう環境だと思うんですね。ですから、一人、二人じゃなくて、ある程度、やはり五人ぐらいの障害を持たれた方が一緒になってやっていくような職場づくりが一番向いているのではないかなというふうに思っております。

 以上でございます。

三橋参考人 今御質問がありましたので、お答えします。

 私が入ったのは、昭和四十七年に県庁に入ったんですけれども、その当時はバリアフリーという言葉も全然なかったですね。私が就職したときに、障害者用トイレというのは県庁になかったんです。それで、道路を隔てた別の建物、教育会館なんですけれども、そこに用を足しに行ったという状況です。それで、もう一つは、車の通勤しかできなかったんですけれども、駐車場がないというか、職員は車で通勤してはいけないことになっていましたので、その車をどこにとめるかというのが非常に大変で、場合によっては相当遠くにとめて出勤しなきゃいけなかったということもありました。

 そういう問題については、いろいろ運動したんですけれども、トイレの問題については、なかなか私が声を出しにくかったということもあって、障害者の団体から陳情してもらったんです。障害者が県庁を訪れることもあるだろうし、職員も要るんじゃないかみたいなことをあえて陳情してもらって、その陳情が通ってトイレができたんですけれども、最初にできたトイレが、女性用トイレの中に車椅子のトイレができたんですね。だから、それはもう非常に、お互いに、職員の方も入りにくいし、私だってそれは使いにくかったんです。ただ、そういう時代だったということですね。

 それで、もう一つ、駐車場の問題については、これは労働組合の要求に入れてもらって、勤めている障害者のためには通勤を車で認めろ、そして駐車スペースをつくってほしいということを要求しまして、それが実現しました。

 私のケースで実現したときに、実は、隠れ障害者じゃないですけれども、いろいろ、人工透析なんかをやっている職員が何人かいまして、そういう人たちが、実は私も、病院に夕方行くのに、車を置く場所に困っていたんだという人がたくさん出てきて、すごく助かったというような声もいただきました。

 それと、出張なんかすると、出張先がバリアフリーとは限らないんですね。ですから、そういうことも困りましたし、泊まり込みの研修もあったんですけれども、所属長からは、障害者は差別しないよと、ありがたいことを言われたんですけれども、それに続いて、残業も一緒にほかの職員と同じようにやってもらう、出張も同じようにやるんだというようなことを言われて、結構大変だったことも思い出します。

 それともう一つ、これも参考になると思うんですが、障害特有の休暇の必要性というのがあるんですね。

 例えば、私は今、電動車椅子を使っていますけれども、電動車椅子が壊れたら修理に行かなきゃいけない。そうすると、それはもう確実に一日休まざるを得ないんですね。それから、私は前に補装具をつけて、つえをついて歩いていましたけれども、もう年じゅう壊れるんですね。公務員は二十日間有休がありましたけれども、その大半はもう、そういう車椅子の修理だとか、つけている補装具の修理なんかに使われてしまいました。ですから、合理的配慮の一つとして、障害特有の事情をしんしゃくした、年次有給休暇以外の特別の休暇があってもいいんじゃないかと私は思います。それが長く勤められる一つのあれじゃないかと思います。

 そのほか、いろいろなことを体験しました。

 以上です。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 本当に、貴重な意見をいただきました。検証においても、あるいはこれからどうするかということにおいても、当事者の意見をしっかり入れながら、あるいは一緒に考えながらやっていきたいなと思います。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。

 長い間、本当にありがとうございます。

 皆さんのお話を聞いている中で、先ほどもお話がありましたが、合理的配慮という言葉が、何人かの方から聞かせていただきました。規則だとか法律だとかをつくっていても、それが必ずしもうまく機能しない。一つの例としてキーボードの例も挙げていただきましたが、皆さんに、合理的配慮としてこういったようなものがあったらいいなとか、こういったようなところが欠けているなとか、そんなようなところの例だとか、合理的配慮という言葉の何か思いを皆様方からちょっとお聞きをしたいと思っています。

阿部参考人 ありがとうございます。

 合理的配慮は障害者権利条約にうたわれて、二〇一一年、障害者基本法の改正のときに、障害者の定義として、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活及び社会生活に相当な制限を受けるという障害者の定義が変わった中で、それぞれの社会的障壁は一人一人によっても違うことであるので、そのような自分にとって困ったこと、不便なことを周りに伝えて適切な配慮を受けること、ただし、過重な負担にならないことということであります。

 当たり前のことをお話しいたしましたけれども、もしかして先生方はお気づきにならないかもしれません、私にとって、ここで働くとしたら、例えば省庁で一番困るのは食堂です。私は、食事を、それぞれ自分でとって運ぶこと、そのときには、液体のものを運ぶときには、バランスがとれないのでこぼしてしまいます。多分そういうことは意外と知らないのかなと思っています。

 そういうことも含めてですし、あとは、例えば、知的障害の方にいろいろお話を伺うことがあるんですけれども、就労して困るのは休み時間の過ごし方。ほかの方々はいろいろ話しているけれども、自分だけは話をする人がいない、そして孤立感を感じる。これも、私たちにとっては休み時間はありがたいものですよね。それが負担だという声を何人かの方に聞きました。

 そのように、お一人お一人によって違うことだということを申し上げさせていただきます。

 ありがとうございました。

藤井参考人 合理的配慮は、英語ではリーズナブルアコモデーション。日本のこの合理的配慮という訳が本当にいいかどうかという議論もあります。フランス語では便宜的措置、ハングルなんかでは正当な条件整備なんというふうにも言っているらしいです。したがって、合理的配慮というのは、障害を持っている者と持たない者とが対等に振る舞うための個別的な支援、この個別的に意味があるんですね。

 ちょうど重箱の三段重ねをイメージしてください。一階部分というのがユニバーサルデザイン、誰もが使える。二階部分というのが障害者に共通の、僕の場合には視覚障害共通の支援策。その三段目は個人個人の支援ということになっていくわけです。私の場合でいうと、目が見えませんから、やはり情報障害と移動障害、これがやはり自由になることがとても大事なことです。

 私は、精神障害者のメンバーとずっと一緒に事業所をやってきました。よくわかったことは、定期通院、あるいは短時間労働、又は時差通勤、こういったのがかなり個別個別に違うということ。こんなことをやはり考えていくべきじゃないかな。

 これについては、いろんな、とにかく事例をこの国は今集める時期であって、先生がおっしゃるように、さまざまな視点からこのイメージを共有し、合理的配慮という概念を共有していきながら、今は事例をいっぱい集める時期じゃないかな、こんなふうに思っております。

有村参考人 合理的配慮につきまして、私どもの会社にも、自力で通勤できない者もおります、筋ジストロフィーで。その場合は親による送迎を認めておりますが、その中で、国の福祉のサービスの中には移動サービスというものがあります。これは、遊びに行くには使えるんですけれども、会社に行くには使えません。なぜそうなっているのかなというところもあるんですが、できましたら、福祉のサービスにはいろいろなものが存在していますが、これを就労の場のところでも生かせるような。

 介護も同じなんです。就労中の介護は外されますので、在宅勤務でもやりたくても、要介護の人が介護を外されると生きていけなくなってしまいますので、仕事ができないということにもなります。そういうところの垣根を除いていただくことが、合理的配慮のもっともっと拡大につながるかと思っております。

 以上でございます。

栗原参考人 合理的配慮、私どもの会社のことをちょっとお話をさせていただきたいと思います。

 障害を持たれている、先ほどお話ししましたように、うちは知的障害の子が多いということで、そういう子でもストレスがたまるんですね。そうしますとどうするかというと、家出することもあるんですよ。つい一年ぐらい前に、Suica八千円と現金三千円を持って、それで家出した。昼間は、電車に乗って横浜から高崎までSuicaで行って帰ってくる。そうすると何か余り金額がかからないみたいで。夜は、コンビニでもって本を読んでいる、こういうことなんですね。それで、やっと一週間目にお金がなくなって帰ってきたんですけれども。

 そういうことから、親御さんとコミュニケーションがとれていないということで、会社と親御さんとのコミュニケーションをよくとるように今はしています。それで、何か問題があれば言ってほしいと。こちらから、問題があれば必ず親御さんの方に連絡をする。それで、もしちょっと体調が崩れそうな場合は休んでもらって、少し体調を整えてもらうということですね。

 それと、加齢の場合、やはり、ある程度年齢がいって五十を超えてきますと、体力的に立ち作業は非常に厳しいというか、きついんです。ですから、それを六時間ぐらいにしてあげるということで、それ以下になりますとちょっとなかなか作業的に難しくなるものですから。そうすると、それ以降になると、ある程度福祉的対応になるのかもわかりませんが、でも、最終的に、その六時間で定年までいっている子はかなりおりますので、そこまで、できる子はしている。それが大体の、合理的な配慮の当社でやっている内容でございます。

 以上でございます。

三橋参考人 合理的配慮とは何ぞやについてはいろいろお話がありましたので、私の体験から一つ申し上げますと、例えば、表玄関と裏口がありますね、建物で。私が勤めていた例えば県庁とか、こういうところはいろいろあると思います。

 表玄関というのは、就業時間だけあいているわけです。それで、かなり、ドアも自動ドアだし、エレベーターに近いし、幅も広くとってある。だけれども、それは、五時十五分とかになると閉まっちゃうんですね。そうすると、残業なんかやると、我々職員は裏口から出なきゃいけない。今度、裏口には、ドアが狭かったり、重たかったり、自分で出られなかったり、場合によっては自分で施錠して帰らなきゃいけない、出先ですと、私は体験したけれども、そういうこともあるんです。そうなると、残業も平等にやらせるよと言っているのに、残業をやりたくてもできないなんという場合も出てきちゃうんですね。

 そういうことを含めて、合理的配慮とは何ぞやという概念はありますけれども、プラスそこに、職員といいますか、採用した障害者の一人一人の実態に合わせた細かいことを配慮するというのが合理的配慮じゃないかと思います。よろしくお願いします。

 以上です。

串田委員 先ほど参考人の方々のお話を聞いて、今回の水増しの件で、大量に、四千人ですか、一気に採用するということになると、民間からの離職者も非常にふえるんではないかというようなお話がありました。

 そういう中で、仮にこういったようなことで募集をかけたときに、先ほど有村参考人の話ですと、身体障害、知的障害、精神障害ということがあるんですが、どの分野で一番、民間企業として困ることになるのか、それをある程度、うまいぐあいに採用というものを平準化していくにはどんなようなことを考えたらいいのか、参考として、御意見があればお願いいたしたいと思います。

有村参考人 これは、もしできればということですが、採用する先を、失業されている方の中から採用いただければ、我々民間企業としても問題がないと思うんですが、そういうわけにいかないと思いますので、今、一番懸念材料は身体障害の方です。企業で一番、ある意味で戦力になっている身体障害者の方々が公的部門の就職の方に向いてしまうんではないかというところが最大の懸念でありますので、在職中の人たちが行かないようにできるならばそれはありがたいんですが、私も、先ほど申し上げたように、職業の選択の自由もありますし、本人の意思で動くというところはとめられませんし、それが本人のためになることであればそれもいいことかと思いますので、非常に難しいことだと考えております。

 以上です。

串田委員 その中で、新しい言葉として切り出しという言葉を私は聞きましたのと、あともう一つは、仕事をつくり出すというのがあったんですが、この切り出しという話をされたのが栗原参考人で、仕事をつくり出すというのは三橋参考人がお話をされたんですが、これはどんなようなイメージで、違うものかなとは思うんですけれども、ちょっと教えていただければと思います。

 最初に、栗原参考人にお願いしたいと思います。

栗原参考人 言葉は違いますが、内容はほとんど同じだと思っていただいて結構だと思います。

 やはり、先ほど来お話ししているように、おのおのみんな違うんですよね。性格も違うし、考え方も違う。ですから、単純作業であっても、やはり、一日フルにそこについて問題なく作業をやる子もいれば、半日ぐらいで、あとはもうだめだという子もいるわけですが、そうするとほかの作業につけるというような、うまくローテーションをしてあげるとか、そういうようなことでもってその人に合った仕事につけるということでございます。

 以上でございます。

串田委員 三橋参考人にも。

三橋参考人 現在の業務を洗い直して、そこから何かできる仕事はないかということを分析することはもちろん必要だと思います。

 それに加えて、私が先ほど申し上げた、仕事をつくり出すというのは、仕事をつくって、その仕事の結果、世の中的にといいますか、社会に非常に貢献できるという分野があると思います。

 先ほど言ったような、不採算的なもので、なかなか民間企業が手を出さないようなところを、あえて国家で、国でそういう仕事をやる。そうすると、先ほど言った車椅子の出張修理なんかについては、私たちも非常に助かりますし、そこで働く人にも働く仕事がふえるわけですね。それから、そこで働く他の公務員の人のためにマッサージとか鍼灸を施して健康を増進する、そういうプラスアルファというんですか、仕事をつくって、その人にお給料が出るということプラスもう一つ、世の中のため、あるいはほかの方のためになる、そういうことをすれば新しい仕事はできるんじゃないかと思います。

串田委員 阿部参考人にお聞きをしたいんですが、障害者手帳の話があったと思うんですけれども、精神障害の方は手帳を非常に受けている人が少ないということなんですが、これについて何か解決策というか、どういうことがそれに対して障害になっているのかということがあれば、お聞かせをいただきたいと思います。

阿部参考人 精神障害の方の手帳の所持率が少ないということで、先ほども参考人から、八十万人ぐらいではないかということでお話がありました。本当にそうだと思います。

 というのは、やはり、偏見、差別というのが現実としてある、そして、あると思っている方が多いということだと思います。

 例えば、地域の交通機関の中で、精神障害の方も、交通機関、使える場合がありますけれども、JRはそこまではいっていませんけれども、精神障害の方は、一番最後におりると言います。その手帳を出しているのを後ろから来る人に見られたくない、やはりその気持ちというのは大変なことだと思います。

 ですので、ただ一方、精神障害の方々とおつき合いしてみますと、やはり私たちと同じです。ただ、苦手なことが幾つかある。障害理解は、本来同じだということと、その人にとって苦手なことは何かということ、それに対する配慮だと思いますけれども、もっとそういう意味で、障害理解は、多くの方々に知っていただくとともに、そのような理解が進んでいることを御本人にも知っていただく、家族の方の思いもですけれども、そのような取組がとても大事だと思います。

 そのようなことで、私、地域で、私たちの協会の事業所がありますけれども、そこで働いていただきながら、そしてやがて一般企業とか行政に働く方々がいらっしゃいますけれども、まず働いてみて、ああ、自分の力を発揮できるんだなという自信を持っていただくことが大事だと思います。偏見のない社会ができていくことは必要だと思います。

 繰り返しですけれども、同じことが多いんです。その方にとって困ることは何か、そのことについてしっかりした配慮があれば、精神障害の方、知的障害の方、働く機会が多いと思いますし、手帳を所持する方も多くなるのではないかと思います。

 以上です。

串田委員 時間になりました。障害者が働きやすい職場は誰もが働きやすいに違いないという三橋さんの言葉は非常に胸に響きました。どうもありがとうございました。

冨岡委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。

 参考人の方々には、政府へのお叱りの言葉、また合理的配慮など、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

冨岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、厚生労働関係の基本施策に関する件、特に障害者雇用について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣人事局人事政策統括官長屋聡君、内閣人事局内閣審議官古澤ゆり君、人事院事務総局人材局審議官嶋田博子君、内閣府子ども・子育て本部審議官川又竹男君、法務省大臣官房審議官佐々木聖子君、国税庁長官官房審議官吉井浩君、厚生労働省大臣官房総括審議官土生栄二君、労働基準局長坂口卓君、職業安定局長土屋喜久君、子ども家庭局長浜谷浩樹君、社会・援護局長谷内繁君、人材開発統括官吉本明子君、農林水産省大臣官房参事官上田弘君、水産庁漁政部長森健君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

冨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。桝屋敬悟君。

桝屋委員 午前中の参考人質疑に続きまして午後は集中審議ということで、行政機関における障害者雇用問題、しっかり議論をしてまいりたいと思っております。理事の皆様方には、質問の順番を変えていただきまして、心から感謝申し上げたいと思います。

 今から、きょう三十分ほど議論しますことは、我が党は既に十月の十七日、関係府省連絡会議の議長であります厚生労働大臣宛てに、緊急の、行政機関等における障がい者雇用に係る緊急提言、これをお出ししているわけでありまして、この内容に沿って確認をさせていただきたいというふうに思っている次第でございます。

 最初に、きょう午前中も話がございました、今回の出来事に関して、九月七日から、いわゆる第三者による検証作業が行われたわけであります。正直申し上げて、短期間の作業であったなという感は私も持っております。八月の二十八日だったと思いますが、関係閣僚会議が立ち上がりまして、第三者委員会による検証をやる、このようにお決めになって、九月十一日、九月二十五日、十月十日、十月十七日と、四回の検証委員会の会合が行われたというふうに理解しておりますが、本当に十分な検証が行われたのかということを私も感じている次第であります。

 まずは、議長であります厚生労働大臣の御見解を伺いたいと思います。

根本国務大臣 桝屋委員からもお話ありましたように、御党から緊急提言もいただきました。私も読ませていただきました。

 そして、御質問ですが、検証委員会、これは、大規模な不適切計上が国の行政機関としてなされることになった原因を明らかにするという目的を達成するために、三十三の国の行政機関に対して、書面によって、再点検により減少した通報対象職員に関する全数調査、人事担当部局に対する調査、これを行った上で、委員みずからが、必ず二名以上の体制で、全ての調査対象機関にヒアリング調査、延べ七日間、約三十五時間を行うとともに、直接情報を収集するための専用窓口を設置するなど、可能な限りの実態把握が行われました。

 検証委員会には、このように検証作業に必要となる情報を幅広く精力的に集めた上で多角的な分析を行って、計四回の委員会での議論を経て、大規模な不適切計上が長年にわたって継続するに至った原因を明らかにしていただきました。

 私としては、検証委員会は十分にその役割を果たしていただいたものと認識しております。

桝屋委員 今大臣からお話がありましたように、誤った通報が長年慣例的に行われていた原因の追求ということはしっかり行われたということでありますが、午前中の参考人の御意見を伺っておりますと、今大臣も多角的にとおっしゃったけれども、やはり事の、この問題の性格上、例えば障害者手帳所持に係る公務上の不利益の問題であったり、あるいは合理的配慮が実際どこまで行われていたのか、そうしたことも含めて検証してもらいたいんだというような障害者団体の声があったというふうに私は思っております。こうした声にどうお応えになるのか、ここは確認をさせていただかなきゃなりません。

 一点、局長、御答弁されると思いますが、私も事の性質はよく理解しているつもりですが、例えば、現場へ行きまして私が感じましたのは、都道府県の現場にも行って調査をやりましたけれども、訂正された報告の中に、明らかに、本当はこの人は障害者なんだけれども、障害者と思うけれども、本人が同意していない、こういう調査には私は同意したくない、自分は障害者ではない、あるいは障害者手帳を持っていないんだというふうに、そうした調査そのものにも応じたくないという声さえある。

 これは背景はいろいろあるんだろうと思いますが、今回の検証作業の中で、例えば、それこそ三千人を超えるような数字が違っていたわけでありますが、この数字の中にこうした方々もあったのかというようなことが検証されたのかというようなことも私は気にはなるところでありますが、そんなことも含めて、答弁の条件をつけたような気がしますが、どうぞお答えをいただきたいと思います。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 検証委員会におきましては、今般の事案が発生した原因について調査、検証していただいて、その基本的な構図というものを明らかにしていただいたものであるというふうに考えております。

 御指摘をいただきましたような国家公務員に関する障害者差別の禁止であるとか、あるいは合理的配慮といった内容については、この検証の対象とはされていないものではありますが、今お話がありましたように、これから障害者雇用を推進していくに当たりまして、障害者の方々が活躍しやすい職場づくりを進める観点から、これらの点は大変重要な論点であるというふうに思っております。しっかり取り組む必要があるというふうに考えております。

 きょう午前中の参考人質疑でも御指摘をいただきましたように、例えば障害者手帳をお持ちであるということが理由となって雇用管理の面において不利益に取り扱われるというようなこと、あるいは手帳の確認という場面において不利益に取り扱われるようなことは、これはそもそもあってはならないことでございますし、また、手帳の確認というような場面においても、本人のプライバシーなり意向に十分留意しながらやっていくという必要があるというふうに思っております。

 また、さまざま障害の特性に応じた合理的な配慮というものを個別に考えていくということも重要であるというふうに思っておりますので、基本方針の中でも、特に職員の理解を促してこういった取組を進めていくための例えば国家公務員における合理的配慮の指針を策定するとか、あるいは障害者雇用マニュアルといったものをその指針を踏まえて整備をするというような具体的な内容も盛り込ませていただいているところでございます。

 こういった基本方針に沿って、しっかり取組をしていきたいというふうに思っております。

桝屋委員 今答弁でもありましたように、民間と違って、やはり公務の世界は公務の法体系があるということは私も理解できるわけでありますが、その前に、冒頭言わなきゃいかぬかったのでありますが、私も長くこの国会に籍を置く一人として、きょうの参考人のお話を伺いながら、本当にみずからを責めたわけであります。なぜこの事態を見抜けなかったのか、なぜこの事態を防げなかったのかということを私自身も反省しながら、以下、議論したいと思うのであります。

 今局長おっしゃった、平成二十五年に差別解消法ができたわけであります。比較的新しい法律であります。この差別解消法によりまして働く障害者、いわゆる労働者に対して行う差別を解消するための措置、差別禁止あるいは合理的配慮ということになりましょうか、これは、じゃ具体的に、公務の世界ではどういうふうに法律が整理されているのか、この体系をまず確認させていただきたいと思います。

土屋政府参考人 まず、今御指摘のありました、平成二十五年にできた差別解消法、これとあわせまして、民間企業に対しましては、障害者雇用促進法の中で差別禁止あるいは合理的配慮ということを規定をしたという形で具体化をしたわけでございますけれども、一方、公務部門につきましては、これは、公務員の勤務条件が法律で定められているなどの独自の法体系が存在をするというようなことから、それぞれの法制度の中で対応が図られているということがございます。

 具体的には、国家公務員に関しましては、基本的に、障害者の差別禁止については、国家公務員法の第二十七条の平等取扱い原則に基づき対応するということでございますし、また、合理的配慮の提供につきましても、同じ二十七条と、七十一条の能率の根本基準に基づいて対応しているという状況にございます。

桝屋委員 ありがとうございます。

 今、条文、法律を御紹介いただきました。整理いたしますと、差別解消法ができまして、働く障害者の方々に対する配慮は、これは障害者の雇用の促進に関する法律で規定をする、その中で民間はきちっと差別禁止あるいは合理的配慮、規定があるわけでありますが、公務の世界は適用外と。それはなぜ適用外かというと、そもそも国家公務員法の中に、今おっしゃった平等取扱いの原則、能率の根本基準という規定があるではないか、ここで対応するんだと。

 だけれども、考えてみますと、この平等取扱いの原則、二十七条、全ての国民は、この法律の適用について、平等に取り扱われ、人種、信条、性別、社会的身分、門地あるいは政治的意見等によって差別されてはならない、この規定で二十五年の差別解消法が果たして実現できるのか。あるいは能率の根本基準、職員の能率は、十分に発揮され、かつ、その増進が図られなければならない、こんな規定で、だからこんなていたらくになったのではないか。

 あのときに適用外にした。改めて、差別解消法ができたときに、公務の世界は本当に穴があいていないのか、障害者差別解消法のこの精神が具体的に実現できるか、どこまで議論したのか私自身も猛省をしなきゃならぬ、こう思っているわけでありますが、今となってこのていたらくな状況を見ておりますと、穴があいていると言わざるを得ない。

 ここは、やはりもう一度整理をしなきゃならぬと私は思っております。少なくとも、差別解消法ができた、この精神を具体化する、更に法律の中で具体化する作業が私は必要ではないか、このように思っております。

 ぜひ、先ほどお話があった、ガイドラインをつくるとか、こういう話がありましたが、これをぜひとも実行できるように、具体的な対応がどのように進むのか、お答えをいただきたいと思います。

土屋政府参考人 障害者雇用促進法におきまして国家公務員を適用除外にした背景というのは、先ほども申し上げましたように、公務員の独自の法体系の中で対応するという前提の中で適用除外にしたということがあるわけでございます。

 そういった中で、今回の事態が判明したという中におきまして、今後の対応といたしましては、この基本方針の中で、先ほどちょっと申し上げましたが、国家公務員における合理的配慮に関して指針を、これは人事院主体にやっていただくことになるかと思いますが、年内を目途に策定をする。その際には、障害者雇用促進法のもとで民間企業向けに定めている合理的配慮の指針も参考にしながらということになると思います。

 それを策定した上で、その指針を踏まえまして、公務部門における具体的な雇用を進めていくための障害者雇用マニュアルを、これは内閣人事局が中心となって策定していくことになるかと思いますが、これを年度内を目途に整備をするということにしておるわけでございまして、厚生労働省としても、この基本指針に基づいて、これらの取組について積極的な対応、協力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

桝屋委員 人事院あるいは内閣人事局において、具体的な指針であったりマニュアルづくり。午前中から議論がありましたけれども、民間におけるノウハウ、あるいはそのいい事例をしっかり集めながら、公務における具体的な中身をしっかり詰めていただきたい。これから、ことし、今年度中、あるいは来年末までか、来年度末までか、大変な採用計画があるわけでありまして、この作業は私は急ぐというふうに思っております。必要に応じて、私ども公明党もしっかりこの中身にコミットしてまいりたいというふうに思っております。

 次は、各府省の採用計画でありますけれども、午前中も話が出ていますように、約四千人、初年度、今年度末までに千四百九十一人、それから来年度末までに二千五百八十一人という大変な採用計画がこれから動き出すわけであります。拙速な数合わせの採用になってはならぬということを、きょう何度も障害者の当事者の皆さんからも言われたわけであります。

 今後、私ども公明党の対策本部も、大どころであります法務や国税庁、国交、三省庁、更に具体的な中身を伺いながら深掘りの作業をしてまいりたい、必要であれば法律改正も視野に入れて検討を続けたい、こう思っているわけであります。

 関係府省連絡会議の議長であります大臣、これはできますかね、二カ年で四千名。午前中は、民間からは、民間で働いている人をとってくれるなと。私も地方公務員をやっておりましたから、経済がいいときは民間にどんどん行って、公務にいい人材が来ないという、こういう経験はしてきましたけれども、ちょっと大変な事態ではないかなと思っておりますが、大臣の御決意を伺いたいと思います。

根本国務大臣 委員お話しのように、今般、多くの府省における対象障害者の不適切な計上によって国民や民間事業主の不信を招く事態となっている、これを重く受けとめて、やはり、速やかに法定雇用率の達成に向けて取り組む必要があると考えております。

 障害者雇用促進法、この法体系がどうなっているかといいますと、法定雇用率を達成していない公的機関、これは、年内の達成が難しい場合には法定雇用率の達成に向けた障害者採用計画をつくることとされており、その計画期間は、関係法令により一年間とされております。

 厚生労働省としては、各府省の採用計画が着実に進捗するように、基本方針に基づいて、障害者雇用に精通したアドバイザーを選任し、各府省が専門的な助言を受けることができる体制の整備を図るとともに、ハローワークにおける積極的な職業紹介等により、各府省の取組を最大限支援していきたいと思います。

 今、委員からもお話がありました、約四千人の障害者を平成三十一年末までに採用することは容易なことではなく、相当な困難を伴う面もありますが、まずは、関係法令に沿って取組を開始し、その中で、進捗状況や課題について関係閣僚会議などでフォローアップしながら、私が先頭に立って、政府一体となって取り組んでまいりたいと思います。

桝屋委員 ただいまの大臣の決意は、そうでなければならないと私も思います。しかしながら、現実、やれることとやれないことがあるわけでありまして、事の進行状況を見ながら、私は、次の判断も必要なときが来るだろう、こう思っておりますが。

 そこで、環境整備のために、二点ほどきょうは確認しておきたいと思います。

 今大臣からもお話がありましたけれども、一つは、私どもも、都道府県の現場にも行きました、いろいろ伺いましたけれども、障害者雇用を進める場合は、ジョブコーチとか、あるいは障害者雇用コーディネーターとか、やはり障害者の職場での定着を支援する仕掛け、仕組み、人が必要だろうというふうに思っているわけであります。

 雇用保険特会を使ったこうしたサービスは、さすがに公務の世界でできるわけはないわけでありまして、これは、厚労省からそういう人材を派遣するということはもちろんあっていいんでしょうが、各省庁において、あるいは各職場、事業所においてそうした配慮が要るんだろう、私はこう思いますが、この点はいかがでございましょうか。

土屋政府参考人 御指摘のとおり、障害者の方が活躍できる職場づくりということを進めていく中では、ジョブコーチであるとか、あるいはいろいろな支援者であるような、雇われた障害者の方の職場定着を図っていく、そのための支援をする人材というのが非常に大切だというふうに思っております。

 基本方針の中では、まず、各府省の組織の中の体制整備の取組として、働く障害者の方御本人からの相談を受け付ける相談員を職員の中で決めて配置をするというようなこと、それから、個々の障害者の方の障害特性などに応じたサポートをする支援者、これを組織として配置をしたり委嘱をしたりするというようなこと、そういったことで環境整備を図るというのをまず位置づけております。

 その上で、さらに、その組織の中だけではなくて、組織の外から、外部から支援をする、そういったものを活用することも極めて効果的でございまして、先ほど申し上げたジョブコーチのような、採用直後に集中的な職場定着支援をしたり、あるいは雇用管理上の助言ができる人というようなこと、あるいは、就業に関する支援だけではなくて、あわせて生活に関する支援が必要な方への支援、必要な助言といったような取組を外部からやっていくということも重要でございますので、私どもとしては、今申し上げた外部からの各府省への支援として、ハローワークに、就職支援ナビゲーターというようなもの、あるいはジョブコーチに相当するような職場適応支援を実施する新たな支援者といったものを配置をして各府省の取組をバックアップしていくというふうなことができないかということで検討しているところでございます。

 こういった支援策を通じまして、働く障害者の方の職場への定着をしっかり図ってまいりたいというふうに考えております。

桝屋委員 局長、これは、全部厚労省がおっかぶらされることがないように、各任命権者ごとにこういう人の体制というのはきちっとやらなきゃならない。

 それからもう一つは、やはり外部ですね。今までできなかった人たちにやれと言ったってできない、結局パワハラになってしまうようなことになるわけで、そうした配慮を、ぜひしっかり見ていただきたい。

 それからもう一つ、これは内閣人事局にお伺いしたいんですが、厚労省は今までチャレンジ雇用のような形で雇用形態を進めてきましたけれども、公務の世界で非常勤で働いて民間の常勤に行くというようなことではなくて、公務の世界でちゃんとした正職員にするような、いわゆるステップアップ事業、これを検討されている、これはもう既に検討と聞いておりますけれども、この準備状況を伺いたいと思います。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 非常勤職員として採用された障害者が、一定期間の勤務をした後で、選考を経て常勤職員となることを可能とするステップアップの枠組みにつきましては、基本方針に基づき、年内にその具体的な方法を各府省に提示し、今年度中に導入するよう、現在、人事院などの関係機関と具体的な手続や要件などについて検討しているところでございます。

 今後とも、関係機関と連携しつつ、障害者の多様な任用形態を確保するための枠組みの導入などにより、障害のある方が活躍できる場の拡大に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

桝屋委員 検討はいいんだけれども、いつごろ、どうなるんですか。僕はそのスケジュールを聞いている。来年まで四千人ですよ。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 基本方針に基づいて、今年度中にこのステップアップの枠組みを導入するということになっておりますので、そのためには、その前の年内、ことしじゅうに具体的な方法を各府省に提示できるように現在調整をしているところでございます。

桝屋委員 しっかりこの作業も我が党も見てまいりたいと思います。

 どうも、時間がなくなりましたので、人事院さんとの議論はできなくなったような気がします。

 人事院は、障害者選考試験、別枠の選考試験を二月におやりになる。約六百七十名ぐらいの採用を見越して、別枠採用の選考試験をおやりになる。この内容もしっかり見ていきたいな、こう思っております。

 最後に、私ども、障害者団体の話を伺いまして、今回は大変なショックであるし怒りもある、けれども、ぜひともこれをチャンスに変えてほしい、こういう切実な声も何度も聞かせていただきました。きょう午前中も伺った。

 障害者の皆さん方はこう言うんですよ、一歩先を行く何かを打ち出してもらいたいと。一歩先を行く何かを打ち出してもらいたい。ここまで大問題になったわけでありますから、真の障害者の職業的自立というような方向を目指して明るい方向性を打ち出してもらいたいというのが率直な思いだろうと私は理解しているんですが。

 大臣、例えば、来年の年度末までに四千人、これは大変な作業でありまして、できなければ、できないということがあるだろうと思います、無理してやって大量の離職者を出すよりも、やはり環境をきちっと整えていくということが大事だろうと思うんです。

 私は、一歩先というのは、例えば、障害者優先調達法もあります、こうした事業とのリンクとか、あるいは公務版の特例子会社のような仕掛けとか、公務においてきちっと採用ができるまで、そんな仕掛けを考える。民間は納付金を払うわけでありますから。公務の場合、できなかったら少し知恵を出して、今の障害者雇用の現場、事業としっかり連携をさせるような、こういうアイデアも私は考えるべきではないかというふうに一人思っているわけであります。

 もっと大臣、考えます、これから。議論したいと思っていますが、その柔軟な頭を大臣、持ってもらいたいということを最後にお願いしたいんですが、いかがでしょうか。

根本国務大臣 私は、今後、基本方針に沿って、しっかり取り組みたいと思いますが、委員おっしゃるように、さまざまな工夫も必要だと思います。やはり頭を柔軟にして、どういうことをやるべきか、そこはよく議論しながら、さまざまな意見をお聞きしながら、具体的に進めていきたいと思います。

桝屋委員 恐らく来年の通常国会には、法の整備、改めて障害者雇用促進法の今までの検討の結果を受けて法律も出さなきゃいけませんが、この問題に対応する対応策も、私は来年の通常国会の法改正の大きなテーマだろうというふうに思っておりますから、我が党も更に深掘りをいたしまして、政策提言をしながら、この場に臨みたいというふうに思っております。

 その上で、我が党もこれまでの経緯を踏まえて責任を果たしてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

 以上で終わります。

冨岡委員長 次に、田畑裕明君。

田畑(裕)委員 自民党の田畑裕明でございます。

 質問の機会をいただきまして、理事並びに委員の皆さんの御配慮に感謝申し上げる次第であります。

 まず、きょうは障害者の集中ということでありますが、冒頭、ちょっと大臣の所信から一問、先に質問させていただきたいと思います。

 所信の中で、大臣、年金制度について、こうコメントされているところであります。人生百年時代の到来や多様な働き方に応じた年金制度のあり方を含め検討を進めてまいります、年金事業運営については、引き続き、事務の適切な実施に努めてまいりますということであります。

 公的年金の信頼性の向上であったりですとか私的年金の充実、また、文科省等とも連携をして年金教育の充実といったようなこともこれまで以上にしっかり力を入れていかなければならないんではないかなというふうに私は考えているところでありますが、今、我が自民党において、厚労部会におきまして、国民起点PTというプロジェクトチームを立ち上げたところでございまして、小泉部会長のもと、田村憲久先生が座長ということで、私、事務局長を務めさせていただいております。

 大臣も、このことについては記者会見でもお触れをいただいていたようでありますが、我々はやはり、いろいろ、行政サービスのより国民目線で簡素な手続であったりですとか、さまざまなサービスを国民により近い目線でしっかり今まで以上に深掘りや改善をする点がまだまだたくさんあるんではないかというふうに考えています。

 その中でも、まずは年金については、例えばねんきん定期便、こちらも、いわゆる二十以上の方々には送られるわけでありますが、その様式であったりですとか、果たして本当に必要な情報が正しく国民の皆さんに届く形になっているのか、そうしたことについても一考する価値があるんではないかというふうに考えているところであります。

 厚労行政は国民生活に大変密着なサービスを展開をしているところでありますが、このような視点で物事を進めていくといったようなことにつきまして、大臣の所見をまずお聞きをしたいと思います。

根本国務大臣 田畑委員、小泉部会長、一生懸命取り組んでいただいておられます。

 国民起点PT、私も本当にこれはいい試みだと思います。その趣旨は、行政サービスの受け手である国民の目線に立って、よりわかりやすい情報提供あるいは行政手続となるように、通知や手続の問題点を横断的に検証し、具体的な見直しを行う、この趣旨で設置されたものと思っております。

 私も、厚生行政、ずっとやってまいりました。私も日ごろ思っていたのは、やはり我々は国会議員ですから、さまざまな有権者の皆さんと接する機会が非常に多い。そうすると、利用者の視点、あるいは国民の目線から見てどうか、この資料が果たしてわかりやすいのか、常々私もそう思っておりました。

 私の体験から言えば、私が厚生政務次官をやったときに年金改革というのがあった。ただ、その年金改革の、こういう改革をするんですよという説明が極めて難しくてわかりにくいので、我々NAISグループで、どうやったら国民の皆さんが納得できるか、どうやって我々が説得できるか、これを徹底的に議論して、あのときに年金改革七つのポイントというのをまとめて、そして、我々、これで説明しようではないかと。

 私の原点も、国民目線、そして利用者やあるいは消費者の視点、これが政治家にとって何よりも大事だと思います。

 第一回のPTで、ねんきん定期便、書類、現状を説明して、実はさまざまな御意見をいただきました。特に一番大きかったのが、文字が多過ぎて読みづらい、こういう指摘をいただいた。あるいは、もっと絵や図を使うべきだ。あるいは、繰上げ、繰下げができることを伝えて、人生百年時代の選択肢を示すことが必要。私も、なるほどそうだと思います。

 今、来年度のねんきん定期便について、記載内容をわかりやすくするなど、検討を進めております。いただいた御意見も踏まえながら、可能なものについては改善を行って、来年四月から国民の皆様にお届けできるよう、検討を進めていきたいと思います。

 とにかく、わかりやすい情報提供、行政手続となるように、皆様の意見もお聞きしながら努めていきたいと思います。

田畑(裕)委員 大臣から、私たちとも考えが全く同じで、同じマインドで仕事をしっかり頑張っていくよという大変力強いメッセージをいただいたのではなかろうかと思います。

 まずは、ねんきん定期便についても、厚労省の皆さんの御協力もいただきながら、我々も、国民のための改善、また様式の変更といったことにつながるように取り組んでいきたいと思いますから、御協力をお願い申し上げたいと思います。

 それでは、障害者雇用についてお話をさせていただきたいと思います。

 先般まで私も政務官を務めさせていただいており、問題が発覚したときには政務という立場でもありました。そのような中で、きょうはこうして質問というか厚労省を問いただすことについては複雑な思いもありますし、また自責の念も感じつつあるというのも実態であります。

 また、見えている角度も、何というのか、視線も違うなと思いながら先ほどから座らせていただき、また、先ほど桝屋先生のお話もありましたとおり、午前中の参考人の質疑の中で、五名の皆さん方から、実に深い、また示唆に富んだ、またごもっともな御意見をたくさんいただいたわけでありまして、ぜひ、政務の皆さんも議事録等は目を通していただけたらなというふうに思います。

 事の重大性は、ここにおいでの皆さん方も全員気持ちは一緒であり、何でこんなことが起きたのかといったこと、また、ずっと無関心を含めた形が進んできたことについては、与野党問わず、これは当然、厚労省に、また政府に対して強く遺憾の意を表し、また、言葉だけのおわびであったりですとか、真摯に取り組むといったようなことだけでは到底片づけることができないというふうに思う次第でありますので、まずそこをお話をさせていただきたいと思います。

 それで、ちょっと御紹介をしたいと思いますが、働き方改革実行計画においては、障害者雇用の促進というものが位置づけられているわけであります。少しちょっと読みたいと思いますが、「多様な障害特性に対応した障害者雇用の促進、職場定着支援を進めるため、有識者による会議の場を設置し、障害者雇用に係る制度の在り方について幅広く検討を行う。」とうたわれています、実行計画に。

 それに伴いまして、去年の九月から、厚労省においては、今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会というものが立ち上がり、平成二十九年九月から本年の七月三十日にかけて十五回、研究会が行われていたわけであります。

 ちなみに、整理としては主に三項目、多様な働き方のニーズ等に対応した障害者の雇用の質の向上に向けた取組の推進、二つに、中小企業における障害者雇用の推進、三つに、障害者が長く安定的に働き続けられる環境整備につなげる制度のあり方ということが三つ整理をされており、また、主に議論をしようと設定をされていたのは、障害者法定雇用率のことであったり、雇用率のことや雇用納付金制度について議論をしましょうということが定められ、十五回にわたり議論され、七月の三十日に、今手元にありますが、報告書が出ているところであります。

 今この段階だから申しますと、この報告書の中には、残念ながら、公的な機関における障害者の雇用のことについては、これは四十五ページにわたる、四十ページ弱にわたる報告書ですが、一文も出ていないというのが実態であります。

 私も、もちろん、政務としてこの研究会の存在は知っておりましたし、四月から障害者の法定雇用率が法定をされたりですとか、また、激変緩和で二・二%の民間の雇用率に変わる等々、政務としてレクを受けたり意見を求められたりしていたことも当然記憶にあるところでありますが、そのときにおいても、国の機関や公的な機関の障害者の雇用について、私自身もなぜ触れることができなかったのか、また、多くの皆さん方が十五回も議論をしているのに、そうしたことに誰も触れていなかったのかということも、今のこの問題の深さをすごく痛感をしているところであります。

 八月二十八日の日に、政府として、厚労省としても発表し、検証を行うといったこと、そして、十月の二十二日に検証委員会の報告がなされ、二十三日に基本方針が定められたという一連の、現在ということになりますが、当初の障害者の雇用の発端の時期について、ちょうど研究会の取りまとめも佳境を迎えるところだったというタイミングでのたしか発端ではなかったのかなというふうに思います。

 そこで、まず最初に、本当に残念なこの事案についてでありますが、どのようなプロセスで発覚をして、初動は厚労省としてどう行ったのかということについてまずお聞きをしたいと思います。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 本事案につきましては、まず、本年の五月十一日でございますが、財務省から、障害者雇用促進法に基づく通報の対象となる障害者の範囲につきまして照会がありました。これが端緒となりまして、五月十六日に、厚生労働省から国の各行政機関に対しまして、昨年六月一日現在の通報において計上した障害者の範囲について、どういうふうに取り扱っていたかということを問合せを行ったところ、複数の国の機関におきまして、その範囲の取扱いに誤りがあるということを確認できた、こういうきっかけによって、今回の事案の再点検といいますか、それが始まっているということでございます。

 ただ、この五月の時点では、これが既に公表している内容にどれほどの影響を及ぼすのか、全体の状況が明らかではございませんでしたので、改めて正確な数字を把握するという必要から、六月の二十日に、各機関に対しまして、昨年六月の通報内容について、チェックシートもお渡しをして、再点検を行っていただくよう依頼をいたしました。この再点検の結果を集計をしたものが、先ほどお話がありました八月の二十八日に取りまとめて公表させていただいた資料でございます。

 今回の事案につきましては、今申し上げましたように、五月に端緒があり、全体を公表させていただいたのは八月ということでございましたが、まず、こういった通報内容の誤りというのを公表するに当たりまして、全体としての、どういう誤りがあり、どういう数字の訂正をする必要があるのかといったことをきちんと精査をしてお出しをする、公表させていただく必要があったということから時間もかかり、また、八月に至るまで公表させていただく機会がなかったということでございますが、そういった作業を尽くさせていただいた上で八月に対応させていただいた、こういうことでございます。

田畑(裕)委員 ありがとうございます。

 私も、記憶をたどれば、その端緒のとき、時を大体同じくして報告等を受けた記憶があります。当然、隠蔽というか、隠すことはあってはならないことでありますし、事実関係を含めてしっかりつまびらかにするということ、しっかり調査をするといったことを指示をした記憶もあるところであります。

 そのような中で、先ほどからも検証委員会の報告書等々も御披瀝もあったわけでありますが、国の機関に対して、また厚労省に対して、それぞれの調査における検証結果が出てきているわけでありまして、これも本当に、多くの皆さんも読んでいらっしゃると思いますが、読めば読むほど無力感というか、何でこんなことが起こっていたのかということばかりを感じるところであります。

 特に、国の行政機関においては納付金の制度の対象外ということになるわけでありますので、法定雇用率が達成されていないことが判明して初めて障害者採用計画の策定義務等が生じ、厚労省との協議ですとか厚労省からの勧告等の規定が適用される仕組みにそもそもなっているということ。ということは、守られていれば、国の各機関においても公表する必要も全くないということであります。しかも、そこには、大変厳しい声でありますが、厚労省における実態の把握は大変形式的なものにとどまり、指導監督も行われることもしていないため、各機関の対応はますます緊張感を欠いていたということであります。

 調査、公表されている三十三機関のうち二十七だったかと思いますが、不適切な計上、あえて水増しといったようなことの表現かもしれませんが、起こっているということ、所管官庁である厚労省が非常に無関心であったりですとか、全く指導力を発揮することがなかったということ、本当に悔やまれてならないわけであります。

 制度当初を含め、幾つもターニングポイントがあったわけであります。

 例えば平成十七年、手帳等確認のためのガイドラインというものが発出をされているといったタイミングもありますし、毎年、そもそも通報をしっかり行うということ、各省庁と厚労省はやりとりをやっていたわけでありますが、そこについても全くなし崩し的になっていたということ。また、平成二十六年の厚労省の所管内の独法の虚偽報告事案、こうしたことも、実はチェックが働く可能性が大いにあったのではなかろうかと思いますが、大変すり抜けてきていたということであります。

 そもそも、改めてでありますが、幾つも端緒や着手できる段階にあったのに対応ができずに、ここまで問題が深く、そして誰からも気づかれることなく蔓延していた、このことについての受けとめについて、改めて答弁を求めたいと思います。

土屋政府参考人 今御指摘をいただきました検証委員会の報告書におきましては、私ども制度を所管する立場としての厚生労働省の対応につきまして、根本的な問題は、国の行政機関における障害者雇用の実態に対する関心の低さであり、このことが国の行政機関に対する制度や運用方法に関する周知、指導等について周到さを欠いたことの背景にもなったという御指摘をいただいているところでございます。

 今、具体的な御指摘をいただきました平成十七年のガイドラインの周知の際、あるいは毎年の通報依頼の文書の中におきましても、私どもとしての対応に不十分さがあったという御指摘もいただいておりますし、また、平成二十六年におきます独立行政法人の事案の際につきましても、これも検証委員会の報告書の中では、これまで法定雇用率を下回らない限り、実雇用率の数字など以外の情報提供を求めてこなかった国の行政機関一般についても、同じような、同様の問題が発生していないか、その実態を確認してみるべき重要な機会であったというふうに御指摘をいただいておりまして、これらの御指摘を私どもとして大変重く受けとめさせていただいているところでございます。

 今後、この指摘を真摯に受けとめまして、これまでの対応を深く反省をし、公的部門を含めて障害者雇用の推進を所管しているという責任を改めて自覚をして、しっかりとした役割を果たせるように取組を強化してまいりたいというふうに思っております。

田畑(裕)委員 局長、それでは、民間の皆さんはJEEDが、納付金に関しては監査と申しますか監督をしているんだと思います。民間の方々への指導監査の頻度を含めた内容について、ちょっと御説明をいただきたいと思います。

土屋政府参考人 民間企業に関しましては、現在、常用雇用労働者数が百人を超える事業主に対しまして、障害者雇用納付金制度を適用しているところでございます。

 この制度の運用に当たりまして、納付金の申告書あるいは雇用調整金の支給申請書といったものをお出しをいただくことになっているわけですけれども、その内容について、独立行政法人の高齢・障害・求職者雇用支援機構において、訪問による調査を実施をしております。これらの対象の事業主に対して、おおむね三年ごとに一度、訪問によって調査をし、企業が保存をしている障害者手帳の写しなど障害者であることを明らかにする書類を確認をしたり、あるいは分母の数である常用雇用労働者数の確認をしたりといったことを訪問して調査をするという形でやっているところでございます。

田畑(裕)委員 ありがとうございます。

 民間の皆さんはそのように、大体三年に一度ということでございますが、訪問による指導監査を受けている、調査を受けているということであり、当然、真面目に、達成されていないところはお金を納めているというのが実態だというふうに思うわけであります。公的な、公務部門における先ほどからの納付金の制度等については軽々には判断できないとは思いますが、当然民間の取組も中身を確認をしながら取り組んでいかなければいけないんじゃないかなというふうに思います。

 さて、ことし、この四月は、障害者自立支援法が改正されて施行した年でもありますし、また、障害サービスの給付、報酬改定も行われて四月からスタートしたところであり、そこには当然、障害者の自立、就労定着支援といったような新しい基本報酬もつけたり、障害者雇用を、民間ベースを中心にであろうかと思いますが、国を挙げてしっかり下支えをし、取り組んでいこうということでこの四月からもスタートしているというのが実態であります。

 その中で、先ほどから、民間の皆さんからも、障害者雇用が公的分野等含めて採用が進まっていく中で、民間から人がとられてしまうんではなかろうか等の御懸念もあったところであります。

 まず新谷政務官にお聞きをしたいと思いますが、障害福祉サービス、このような新たなサービス給付等も付与した中での現在の障害者の方の就労定着支援、このような取組の実態についてちょっとお聞かせをいただきたいと思います。

新谷大臣政務官 お答えいたします。

 公的部門も含めまして、一般就労に移行した障害者の早期離職を防ぎ、職場定着を図ることは、地域において障害者の自立した生活を実現する観点から重要である、そのように考えております。

 このため、先ほど委員が御指摘になったとおり、本年四月から、障害者総合支援法に基づく新たな障害福祉サービスとして就労定着支援を創設したところでございます。

 厚生労働省としましては、就労定着支援などのサービスも活用し、引き続き障害者の皆様の職場定着を着実に図ってまいりたい、そのように考えております。

田畑(裕)委員 そこで、大臣にちょっとお聞きをしたいと思いますが、そもそもこの公務部門の不適切な職員の計上といったようなこと、突き詰めれば、本来雇用されるべき障害者の方の雇用の機会が奪われていたということも言えるんではなかろうかなというふうに思います。

 国とすれば、今ほど言いましたとおり、障害者の方々の就労促進を、障害サービスという枠の中でしっかり推進をしようと行っていたりですとか、また、民間事業者に対しては、JEEDの方が三年に一度、定期的にしっかりチェックをするということが進められてきているわけであります。

 そんなことを踏まえて、今回の検証委員会の検証報告の中身、特に厚労省、職業安定局ということが名指しで大変厳しい言葉が並べられているところであります。大臣として、ここの報告、検証委員会の報告であったりですとか、それを踏まえた基本方針、これについての受けとめを含めた御意見といいますか、決意をちょっとお聞きしたいと思います。

根本国務大臣 今回の事案の実態及び原因、これは、福岡高検の検事長も務められた松井委員長をトップに、弁護士などの有識者の方々から構成される検証委員会を立ち上げて、第三者の立場から専門的な知見で検証いただきました。検証の結果、各行政機関側における今般の事案の基本的な構図を明らかにしていただいたところであって、検証委員会は十分にその役割を果たしていただいたと考えています。

 特に、検証委員会の報告書において、今委員からお話がありました、厚生労働省、職業安定局の問題と各行政機関の問題が相まって大規模な不適切計上が長年にわたって継続するに至ったこと、私は本当に、極めて遺憾であって、深く反省するとともに、改めておわびを申し上げます。

 今般の事態を真摯に重く受けとめて、そして、公的部門を含めて障害者雇用の推進を所管する責任を改めて自覚した上で、再発防止はもとより、法定雇用率の速やかな達成、障害のある方の活躍の場に向けて、基本方針に基づき、しっかり取り組んで責任を果たしていきたいと思います。

田畑(裕)委員 ありがとうございます。

 きょうは国税庁もちょっとお越しをいただいております。

 国税庁においては、特に多数の不適切計上があったということが報告書でも指摘をされているところであります。三十年度末まで五百五十人、三十一年末には五百四十六人の採用計画というふうに認識をしているところでありますが、国税庁として、法定雇用率の達成に向けてどのように障害者雇用の推進に取り組んでいかれるのかをお聞きしたいと思います。

吉井政府参考人 お答え申し上げます。

 今般、国税庁におきまして、障害者雇用率の制度の対象となる障害者の計上が不適切であったことが判明し、法定雇用率を達成していないことが明らかになったことは、民間に率先して障害者雇用に取り組むべき立場として、あってはならないことであると深く反省しているところでありまして、心からおわび申し上げます。

 その上で、十月二十三日に関係閣僚会議で決定されました公務部門における障害者雇用に関する基本方針におきまして、法定雇用率を達成していない府省は、まずは年内に達成を目指し、それが難しい場合には、障害者雇用促進法のもと、平成三十一年末までの障害者採用計画を策定し、当該計画にのっとって法定雇用率の速やかな達成に向けた取組を進めることとされており、国税庁としては、これに沿いまして千九十六人を採用することとしております。

 当庁といたしましては、その採用に当たりましては、国税組織全体で以下の取組をいたしてまいる考えでございます。

 まず、常勤職員の採用につきましては、人事院が実施する障害者を対象とした選考試験、それから、非常勤として勤務された後、選考を経て常勤職員となることを可能とするステップアップ制度を活用するなど、積極的に取り組んでまいりたいと思います。また、非常勤職員の採用につきましては、今後、ハローワークの活用や障害者の就労を支援する機関との連携などに積極的に取り組んでまいります。

 あわせて、障害のある方が意欲と能力を発揮し、活躍できる場の拡大に取り組むとともに、障害のある方の円滑な職場定着を促進するため、就労支援機関等と連携するなど、体制の整備や職場環境の整備にも努めてまいりたいと考えております。

田畑(裕)委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間が少なくなってまいりましたので、最後の質問にしたいと思いますが、特に、これはやはり厚労省、しっかりグリップをきかせ、先頭に立って取り組んでいただきたいというふうに思います。

 厚労省としての雇用政策の進め方、設問を、聞いていましたが、質問はいたしませんが、先ほど午前中の中でも、障害手帳確認のガイドラインのあり方についても少しこれは検討すべきではなかろうかなというふうに私も感じたところでありますし、実際に働き出したときに、働いている障害者の方々が相談できる第三者の窓口、こうしたことの設置というのも非常に大事でなかろうかなというふうに感じた次第であります。また、当然、ハローワークを含め、専門支援機関等と連携をして、障害者雇用全体のしっかりとした下支え、これもしっかり中心になって厚労省の方、取り組んでいただきたいなというふうに感じるところであります。

 最後に大臣、もろもろ、障害者雇用促進法を含め、法改正的なことについてもさまざまな御意見、言及されている方がいらっしゃるわけであります。一連の事柄、立法措置を含めたお考え、並びに、午前中は障害団体の方々、もちろん一部の団体ということになりますが、障害者の団体や障害者の方々に対しても、このことについての大臣の受けとめを改めて最後にお聞きをさせていただきたいと思います。

根本国務大臣 もう何度も出ておりますが、多くの国の行政機関で障害者の不適切な計上が行われていた、これは極めて遺憾であり、深く反省するとともに、障害当事者や団体を含め、国民の皆様に改めておわびを申し上げます。

 今回の事態を重く受けとめて、国の機関は民間に率先して障害者雇用を進めていく立場にあること、これを自覚して、政府が一体となって取り組んでいくことが重要だと考えています。

 厚生労働省としても、国における障害者雇用の促進にしっかりとした役割が果たせるように、法の理念に立ち返り、再発防止に関し、厚生労働大臣による国の行政機関等における障害者の任免状況に関するチェック機能の強化、引き続き法的整備を検討するとともに、法定雇用率の速やかな達成、障害のある方の活躍の場の拡大に向けて、私が先頭に立って取り組んでいきたいと思います。

田畑(裕)委員 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 立憲民主党の阿部知子です。

 本日は、障害者雇用の水増し問題というふうに言われておりますが、きょう、午前中の参考人の方からは、障害当事者の三橋さんからは偽装問題だという御指摘もあったように、極めて深刻な行政への不信、そして、社会の価値、障害者差別にも結びつくような現状に対して、院として、国会として、初めてこの問題で参考人の御意見を伺うという時間が持たれたことは、私は大変よかったと思いますが、同時に、遅いとはっきり言って思います。

 遅い一方で、政府の対策なるものがどんどん進んで、しかし、それは、画竜点睛、一番大事なことを欠いて、屋上屋を重ねているように思いますので、私から根本大臣に御質問をさせていただきます。

 まず、大臣のお手元に、私がこの間、障害者問題で、国の政策の中で重要と思われる施策、あるいは条約等々について書き出してみました。

 もともとは、障害者の権利条約、二〇一四年一月、我が国においても批准をされておりますが、この条約では、私たちのことを抜きに私たちのことを決めないでと。これは、先ほど英語で、ナッシング・アバウト・アス・ウイズアウト・アスというふうに参考人もおっしゃいましたが、ここに、文章としては、「障害者を代表する団体を通じ、障害者と緊密に協議し、及び障害者を積極的に関与させる。」というのが障害者の権利条約の第四条にございます。大臣には資料、おわかりでしょうか、よろしゅうございますか。

 次に、障害者基本法というのが、これはちょうど民主党政権の折に改正をされましたが、ここの改正に至るまでの間、民主党が政権をいただきました折に、障がい者制度改革推進本部というものを設置して、障害当事者の皆さんに加わっていただいて障害者制度改革を進め、その中で、障害者基本法の改正案を策定するという当事者参加のもとにつくったプロセスの中で障害者基本法が改正されて、第十条並びに十一条、ここにも、「障害者その他の関係者の意見を聴き、その意見を尊重するよう努めなければならない。」という十条と、あわせて、障害者基本計画等に当たっては、「障害者政策委員会の意見を聴いて、障害者基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。」とございます。

 下に、障害者政策委員会とまた特出しをしてございますが、これは当事者参加の委員会でございます。障害者政策委員会は、「障害者基本計画の実施状況を監視し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣又は内閣総理大臣を通じて関係各大臣に勧告すること。」すなわち、障害当事者が参加してそのもとにつくる政策、障害者政策委員会にこれだけの権能が与えられております。

 これをもって、障害者権利条約、実際に批准をしていくようになるわけですが、その障害者政策委員会も関与した中で、障害者基本計画第四次案というものが平成三十年三月につくられました。その中に、「国の機関においては、民間企業に率先垂範して障害者雇用を進める立場であることを踏まえ、法定雇用率の完全達成に向けて取り組むなど、積極的に障害者の雇用を進める。」と。

 さっき根本大臣が御答弁されたことは、既に国の流れの中で確認され、このようにでき上がっているものであります。それがなぜなされないのかの方が問題で、それを抜きに次々と政策を屋上屋を重ねても、また必ずこうした当事者無視が起こると私は思います。

 そこで、大臣にお尋ねいたします。

 先ほど大臣は、検証委員会、この事態が発覚して、関係閣僚会議をつくり、府省連絡会議をつくり、その下に検証委員会を弁護士を中心につくられました。この検証が十分なものであるというか正しいというか、そのような受けとめ、大臣のお言葉、さっき私ちょっと忘れましたがおっしゃいましたが、けさの参考人からは、検証は不十分、原因がわからないまま、関心が低いとか意識が低いとか、そういう意識の問題にただ換言しているのではないか。あるいは、先ほど申しました三橋さんは、偽装問題だというふうにおっしゃいました。そこほどに、大臣の感覚、受けとめと、障害当事者の皆さんの受けとめがずれている。このずれということを、大臣は認識しておられますでしょうか。

 そもそも検証委員会には、当事者は一切呼ばれてもおりませんし、入ってもおりません。それでいて検証委員会が十分だと言える根拠はどこなのか。この間の障害者施策に私は反すると思います。

 少なくとも、何事も万全ではありません。ただ、根幹です、画竜点睛の、その肝です、そこを欠いているのが今回の見直しの検証なのだと思いますが、大臣、改めて、検証委員会にはなぜ当事者が入っておられませんか、そしてそれで十分ですか、伺います。

根本国務大臣 私も、今回の事案は本当にゆゆしき事態だと思います。

 そして、今回の事案の実態や原因を明らかにする、この観点から検証委員会を立ち上げて、そして、弁護士や行政監察についての有識者、障害者施策に造詣の深い有識者の方々に構成員となって参画していただき、第三者の立場から専門的な知見で検証していただきました。

 また、検証委員会における検証に当たっての調査方法、これは全て検証委員会において御議論いただいてお決めいただきました。検証においては、書面調査やヒアリング調査をもとに多角的な分析を行って、その結果、大規模な不適切計上が長年にわたって継続するに至った原因を明らかにしていただいていると思います。

 私は、その役割を果たしていただいたものと認識しております。

阿部委員 大臣、誰にヒアリングすべきかだったんですね。

 確かに、省庁はかかる不祥事を起こしたんだからヒアリングの対象ですね。でも、参考人の皆さんが繰り返しおっしゃったのは、例えば障害者手帳をとるということで職場で起こる差別、あるいは、合理的配慮というものがどういうものであるのか、それがないゆえに、いかに障害者雇用が妨げられているのかなどについても、きちんと私は複眼視、両方を見ていかなきゃいけないのに、この検証委員会では一切ヒアリングもされていないのです。これはもう本当に片方しか物を見ていない、障害当事者を見ていないという意味で、大きな厚生労働行政の誤りになると思います。

 引き続いて、では大臣、伺いますが、この基本方針、検証委員会の翌日にはもう出てしまったところの公務分野における基本方針、そこの間で、私がさっき御紹介した障害者政策委員会、これはもう既に国にあるんです。障害者政策委員会に、一言でも、一回でもお声はかけたでしょうか。これまでの国の流れは、障害者にかかわることは障害者政策委員会にかけなさいとなっておりますが、一言でもお声はかけたでしょうか。

根本国務大臣 検証委員会は、実態と原因、これを明らかにしていただきました。一方で、今後どういう施策を進めていくか、この観点から、障害当事者の方を含め、さまざまな方の御意見を踏まえながら進めております。

 具体的に、今委員がおっしゃった基本方針、これについては、弁護士などを構成員とする検証委員会の検証結果、関係府省連絡会議でいただいた……(発言する者あり)いや、聞いています。障害者団体等からの御意見、そして、障害者代表や労働者代表、使用者代表が参画する労働政策審議会障害者雇用分科会における審議を踏まえた検討を行った上で案を作成し、関係閣僚会議において、政府一体の取組で検討、決定いたしました。

 そして……(発言する者あり)申しわけありません。お尋ねの障害者政策委員会、これは、障害者基本計画の策定又は変更に当たって調査審議や意見具申を行うとともに、計画の実施状況について監視や勧告を行うための機関として内閣府に設置されております。

 基本方針の策定過程において障害者政策委員会への報告などは行っておりませんが、障害者基本計画には、公務部門における障害者雇用の推進について言及されているので、今後、計画の実施状況に関するフォローアップなどの中で、今回の事案についても報告していきたいと思います。

阿部委員 大臣、余りにも、この障害者政策委員会、こういう経緯でできたんですよと私は御紹介したんですよ。これからもフォローアップするために、とても重要なんです。そこに基本方針の相談もない、何もない、検証委員会に当事者もない、すなわち当事者はいない。

 そして、大臣がおっしゃった関係府省会議で、障害当事者六団体くらい、ヒアリングをなさったとおっしゃっています。確かにあります。でも、この六団体の皆さんは、意見を聞いた後、退席をさせられて、その後に結論がこの連絡会議では導き出されるんです。当事者がいなくなってから、当事者を抜きに、当事者を部屋の外に出して。

 いいですか、大臣。三十年九月二十一日、確かに関係府省連絡会議はやりました。六団体来ました。だけれども、聞きおかれて、その後、部屋を出ているんです。そこで基本方針がつくられる。

 もう三重の過ちじゃないですか。検証委員会には入れていない。障害者政策委員会には言ってもいない。そして、ヒアリングしたよというところでは、団体は来たけれども、ああ、聞きおきましたで終わり。これでは、障害者施策はまた過ちを犯します。

 なぜならば、関心が低い、あるいは意識が低い、そうかもしれません、健常者にとっては。でも、障害当事者にとっては、そうは言っていられない。だから、当事者参加のもとに、政策をともにつくっていかなければ、障害者の雇用、就労、改善などあり得ません。

 大臣、いかがですか。なぜこんなに排除するんですか。全部排除じゃないですか。これで万全とかよいとか言われても、この次の政策は、何ら、もちろん一挙には変わりません。徐々に徐々に、それが本当にいい流れになるように、障害当事者にきちんと関与していただく。少なくとも、現状である仕組みの中では、障害者政策委員会にきちんと今回の基本方針を投げて、これがいかなるものなのか、聞いてみられてはどうですか。どうですか、大臣。

根本国務大臣 今のお話ですが、内閣府と協議するように、事務方に検討を指示したいと思います。

阿部委員 所管が内閣だとやじが出ましたけれども、今の大臣の御発言の方が正しいと思います。

 障害者施策で今一番必要なものは、就労施策と福祉施策をきちんと両輪備えて回すことだと、きょうも実際の障害者団体から御指摘がありました。

 私は、これまで政府がやってきた流れと、また、取ってつけたような検証委員会で、取ってつけたような基本方針でやっても絶対にうまくいかないと思うので、今、根本大臣がおっしゃったように、今後のフォローの問題もありますから、必ず障害者団体の、当事者の入っているところでやっていただきたい、それを実現していただきたいし、本来はやり直せと言いたいところですが、しかし、今、障害のある方も、ここを起点に、よりよいものをと思っておられますから、そうであればそうであるようにしていただきたい。よろしゅうございますか。大臣、いいですか。

根本国務大臣 障害者団体を含めて障害者の皆様から、要は、我々、施策をつくるときには幅広く御意見を伺いながら障害者施策を推進していきたいと思います。

阿部委員 何度も申しますが、聞きおくだけではだめなのです。意思決定過程への参加ということが障害者の権利条約です。ここを間違っていただいては困ります。何のために障害者権利条約を批准したのかであります。

 そして、次に行かせていただきますが、今回のを拙速な方針と思いますが、今年度末までに千四百九十一・五人、来年度までに二千五百八十一人で、まず障害者雇用率の達成ありきのような方針が出ていますが、これに無理はないかどうかなのです。

 大臣のお手元に、きょう私の用意しました資料の二枚目、裏ページになりますが、「障害者雇用対策について」というところで、障害者雇用率というところの算定方法と、現行の雇用率の目標がございますが、現在計算される雇用率が幾らであるのか、これは大臣、御存じでしたら御答弁ください。いかがでしょう。知らなければ役所の方からお願いします。

根本国務大臣 民間企業が二・二%、特殊法人等が二・五%で、公共団体が二・五、都道府県等の教育委員会が二・四であります。

阿部委員 私が伺ったのは、上の段の民間雇用率の設定基準というところの計算式の答えですね。

 これは計算をいたしますと二・四幾つというのが出て、それに基づいて、民間と国、まあ正直言って、母数に障害者も入れて、分子にも障害者も入れて、それでやってぎりぎり二・幾つ、二・四とかですね。

 それを二・五にするというと、現状の障害者以外の者を引っ張り込んでこないと、これではなりません。よろしいでしょうか。この式でやっていて、この式で、これは手帳を持った人という算定かもしれませんが、これでは、ならぬものはならぬのです。いいでしょうか、これは二・四にしかなりません。幾ら、国、地方公共団体は二・五にしろと言われても、この計算式の上で出てくる障害者数は、そこほどのものであります。

 私はもともと、障害は医療モデルから社会モデルに変えるべきだと思っております。ドイツやフランスの障害者雇用率、五%とか六%、それは医療モデルじゃないからなんです。日本の行政がずっと医療モデルでやってきて、そこで障害者雇用率を達成させようとする。そして、障害者手帳をとれば、いろいろなまだ差別が厳然としてあるやもしれない、私はあると思いますけれども。そういう中で、このままの数値で、このままの目標というのは過ちのもとだと思います。

 大臣、ここで、広く社会モデル、障害の、疾病モデルから、医療モデルから社会モデルへということを、ぜひ大臣が研究をしていただいて、いたずらに今ので数値を重ねていくんじゃなくて、本当に障害者が働きやすい施策に変えていただきたいですが、いかがでしょう。

根本国務大臣 医療モデル、社会モデル、私もなるほどなと思って聞いておりました。

 その点についてはいろいろな考え方があるかと思いますが、私も研究していきたいと思います。

阿部委員 今日のこの事案が障害者の雇用施策の大きな転換点になるためには、私は、一番大事なのは、医療モデルから社会モデル、その人が社会参加していくために足らざるは何か、それが合理的配慮ですが、これについても障害当事者に聞いていただければ、多々ございます。

 朝の会議でも出ておりましたが、障害者のいわゆる今の支援法では、通勤にかかわります移動の支援はありません。では、お目が悪い方がどうやって職場まで行くのか。ここに雇用施策と福祉施策のドッキングが必要で、そのモデルになるのが社会モデルなんです。ぜひ、大臣の手で大きな見直しをしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 そして、残された時間を、私は、せんだってお尋ねをした技能実習生の除染問題について少し、引き続きの質問をさせていただきたいと思います。

 私がこの技能実習生の問題に深くこだわりますのは、実は、除染というのは技能実習でやらせてはいけないものであると。調査も極めて不十分で、これは全部を網羅していないものと思いますが、行われてきました。時間の関係で、この点はちょっと省略をいたしますが、まだまだ、事業所が郡山に、あるいは福島の重点汚染地域になければ、ここで技能実習生に除染させたかどうかは浮かばない調査でありました。そのことは、きょうこれ以上、私は申しませんので。

 実際に技能実習生を使って除染を行わせていた会社、今、四社わかっていると言われております。この前私が御紹介した、郡山で除染をさせた盛岡の会社は、ここにはありません。

 四社、報道発表資料、法務省というのを見ていただきたいですが、そこに、除染等業務への従事が認められた受入れ企業数、四社と書いております。そして、受入れ企業A、C、F、G、四つの会社が、技能実習生に除染をさせていたのは技能実習計画にそごを来す、あるいは賃金の不払いもあったということで、実習生の受入れを停止されております。受入れ企業Cでも三年間受入れ停止です。受入れ停止になると何が起こるか、きょうは私は、ここを伺いたいと思います。

 受入れ停止になると、そこにいる技能実習生は、もうその会社では技能実習ができません。監理団体が他の会社での同じ業務をお世話するしかありませんが、果たして、こういう処分が出された後、この会社で働いていた技能実習生のその後のアフターケアがどうなっているか。

 これについて、どっちでしょう、法務省でしょうか、お願いをしたい。あるいは厚労省でも構いません。監理団体がどんなふうにこの方たちをフォローしたか。会社はもう停止なんです、いられないんです、実習生は。その後、監理団体は何をなさったでしょう。

門山大臣政務官 一般的に、個別の事件については、プライバシー保護の観点等から、詳細にはお答えを差し控えさせていただいているものでございますけれども、お尋ねのA社、監理団体の活動内容についても、これもやはり個別の内容に及ぶために、お答えすることは差し控えますが、A社に在籍していた技能実習生の一部については、外国人技能実習機構が実習先の変更の支援を行い、新たな実習先に移籍したものと承知しております。

阿部委員 今、一部についてはとおっしゃいましたが、では、C社はどうでしょう。C社についてはどうなったのでしょう。今おっしゃったのは、技能実習機構が監理団体を指導して、ほかに移りましたと。C社はどうでしょう。

門山大臣政務官 C社については、外国人技能実習機構の方が、転籍支援を受け、現在、移籍の手続をとっているところと承知しております。

阿部委員 その認識は誤っております。この三人、C社の三人は、とある労働団体が受け入れる形で、なぜならば、監理団体も世話をしてくれない、技能実習機構も何ら手だてがないという中で、彼らは労働団体に駆け込みました。今も仕事はありません。

 更に言えば、彼らはこの間、例えば鉄筋の型枠づくりとか鉄筋の施工のためにやってきて、一回もそういう作業をせず、除染だけをやって、失われた二年、三年、どうやってこの人たちに戻すのか。もっとちゃんと調べてください。認識が違います。

 私は、じかに会い、じかに聞き、きょうお尋ねをしています。いかがですか。

門山大臣政務官 認識としては、機構の方も転籍支援をしているし、先生の御指摘の事実もあるのではないかというふうに認識しておりますけれども、この辺については、もう少ししっかり確認したいと思います。

阿部委員 技能実習生の問題は、やはりそれが、実習が途中で頓挫した場合に、国を離れて日本で技術を身につけたいと思って来た思いもかなえられず、収入源も失い、おまけに除染をすれば健康不安も抱えて、今御答弁にあったような監理団体からは一切支援がなく、そうしたものが、累々たる失踪者に私はなっていると思うんです。

 個別にきちんと監理団体の支援の内容をフォローする、そういう姿勢が厚労省にも法務省にも必要で、根本大臣、お聞きいただきましたでしょうか。何のために彼らは日本に来たんでしょう。そして、何をこの国から持って帰るんでしょうか。つらい思い出、やってはならない除染をやらされた、仕事もない、お金もない、期限が切れていく。

 さて、大臣、最後の質問です。

 このことを、厚生労働省として、ベトナムとの協定覚書というのが結ばれたのが河野大臣の時代であります。外務省、そして厚労省も一緒に。この件、ベトナム政府にどんなふうに報告をされて、ベトナム側からはどんなお話があったでしょうか。お願いします。

根本国務大臣 私も、今回の事案はとんでもない事案だと思います。

 そして、御指摘の事案を受けて、日本政府としては、発覚後速やかにベトナム政府に対して、除染などの業務は技能実習の趣旨にそぐわないものであって、技能実習計画の認定申請があった場合には認定をしないという対応を行っていること、また、技能実習生が適正な環境のもとで安心して技能実習に従事できるよう、引き続き、監理団体や実習実施者の監督指導に努めていること、これを説明いたしました。

 昨年の十一月の技能実習法のもとで、いろんな問題があったことを踏まえて、法律で対応を強化しておりますから、こういう今の我々の、監督指導に努めている、これを説明いたしました。

 大事なのは、やはり送り出し国と連携して、技能実習制度の趣旨に沿った運用が徹底される、これが私は何よりも大事だと思います。

 私も、実際に私の地元でも、技能実習生が本当に真面目に働いている現場も私も聞いておりますし、見ておりますし、やはり技能実習制度の趣旨に沿った運用、これを徹底されるように努めていきたいと思います。

阿部委員 このCという会社に業務停止、受入れ停止の命令が出たのは十月十九日、まだ近々のことでございます。

 そして、根本大臣がおっしゃったのは、盛岡に本社のある会社のベトナム人留学生だと思います。

 この事案について、三名については、まだ報告はないと私は思いますが、大臣がベトナム政府に報告をされたというのであれば、まだこの人たちは仕事もありませんし、本当に外交的な大きな問題になると思います。

 大臣、確かにこの三名についてですか。もうこれで私、終わりですから。

吉本政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま大臣が申し上げましたのは、おっしゃるとおり、三月に最初の事案が発覚した後に、直ちにそのようにベトナム政府に申し伝えたといったところでございます。

阿部委員 私が申し上げたいのは、また起きているんだということで、大臣、くれぐれも認識をきちんと持って対策していただきたい。

 終わります。

冨岡委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。

 きょうは、ようやく障害者雇用水増し問題についての参考人質疑が午前中に行われました。閉会中に発覚したこの問題、閉会中審査も求めてまいりましたけれども、与党の側からは、受け入れないということで、臨時国会が始まって、きょうということになりましたけれども、本当に、もっと早く御意見を伺っていれば、きちんと、検証ももっと中身の濃いものになったであろう、そしてまた、政府が決定する基本方針ももっとしっかりしたものになったであろうということを考えますと、本当に残念でなりません。遅かったというふうに思います。

 先ほど阿部委員が、障害者権利条約から障害者政策委員会、障害者基本法等々のことを引いて、私たち抜きで私たちのことを決めないでという、国際的にも何度となく繰り返されてきたこのフレーズをもとに、障害当事者の皆さんから、やはり入っていただいた上での議論が必要だったのではないか、こういうふうに質問されました。私も全く同感です。

 それと同時に、やはり今回のことは、この障害者雇用の水増し、言ってみれば偽装、これを霞が関全体でやっていたということに対する不信なんですね、国民の側からあるのは。その不信を払拭するためには、やはり私、お手盛りの検証であってはならなかったんだというふうに思っているんです。

 しかし、今回の検証委員会は、事務局は厚生労働省の内部でありましたし、また、当事者の意見はそこには入らなかった、検証の中には。そして、第三者としての弁護士さんたちからも、入ってもらって検証をやったということなんですけれども、もっとほかにやりようがあったというふうに思うんです。

 午前中、私も参考人の皆さんにお伺いいたしましたら、五人の方のうち、たったお一人だけ、いや、もうこれまでのことはいいから、これからのことを考えてほしいというふうにおっしゃった方、お一人だけいらっしゃいましたけれども、あとの四人の方は、やはり検証はもっとしっかりやるべきだというふうにおっしゃっておられました。

 根本大臣、もう一回、この検証、第三者性をきっちりと担保した上で、しかも当事者の皆さんの声を聞きながらやる。補充的に、今からでも遅くはないと思います。やる必要があると思いますけども、いかがでしょうか。

根本国務大臣 検証委員会は、第三者的な検証委員会として専門的にしっかり検証してもらうということで、検証委員会がつくられました。そして、検証委員会の目的、これは、実態や原因を明らかにする、これが大きな目的であります。その意味で、松井委員長、福岡高検の検事長を中心に、弁護士、あるいは行政監察についての有識者、障害者施策に造詣の深い有識者の方々から、第三者の立場から専門的な知見で検証していただきました。

 検証委員会では、再点検により減少した通報対象職員に関する全数調査、そして、人事担当部局に対する書面調査、そして、全ての対象機関に対するヒアリング調査、延べ七日間、合計約三十五時間、直接情報収集するための通報専用窓口の設置、そして、これらの調査をもとに多角的に分析を行って精力的に議論をしていただいて、大規模な不適切計上が長年にわたって継続するに至った原因を明らかにし、私は、その役割を果たしていただいたものと思います。

西村(智)委員 本当に原因は明らかになったんですか。本当にこの検証委員会の調査報告で、なぜ水増しがこれほどまでに大量に長期間にわたって行われてきたか、その原因が本当に根本大臣は明らかになったと思っていらっしゃいますか。

 検証委員会の中に出てくる文言は何か。関心が低かった、意識が低かった、積極性がなかった、恣意的だった、ずさんだった。言ってみれば、こういうふうに感覚的な言葉だけが並んでいて、それが原因で、一体どういう対策を打てるというんですか。

 私はやはり、今回の検証、本当に政策の総括あるいは政策の検証をやるのであれば、こういう感覚的な言葉が並んでくる検証結果ではなくて、もっと、どこに問題があったのか、はっきりと誰が見てもわかるような、そして、霞が関に対して今国民は本当に大きな不信の目を向けています、それが払拭されるような検証であるべきだったんだ、私はそういうふうに思っています。

 今までも厚生労働省には、たびたび障害者雇用について、こういった問題が起きる前に見直しをするべきタイミングがいろいろあったと思います。田畑委員がさっき指摘をされておられましたけれども、例えば、平成十七年の障害者雇用促進法が改正されたときに改定されたガイドライン、このときは、精神障害者が含まれる、対象者になるということで、障害者の把握・確認ガイドラインというものが策定をされました。

 それから、平成二十六年、このときは、労働者健康福祉機構、ここで障害者の雇用の水増し問題が起きていた。このときには、塩崎大臣が、障害者雇用を推進する責任がある行政当局にとって決して看過できないというふうに言って、完全に厚生労働省から独立した第三者委員会をつくって、問題を徹底的に解明をした。こういうことをやはりやるべきだというふうに思うんです。やることをやれば必ず結果は出る。

 現在の労働者健康福祉機構における障害者雇用、今どういうふうになっていますか。これは政府の方で、参考人で結構です。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 今、委員の御指摘の独立行政法人労働者健康安全機構でございますが、現在の障害者の雇用の状況でございますが、二十九年六月一日現在の障害者の雇用率は二・八六%ということになっております。

西村(智)委員 わかりますよね、二・八六。きちんとうみを出して、そして検証して、対策をとるというふうにきっぱりとけじめをつけたところは、その後もこうやって障害者雇用をきちんとやれているんですよ。

 今回のような、言ってみれば甘々の、検証委員会の事務局に言わせれば、そうではないというふうに言うと思いますけれども、結局何か、積極的ではなかったとか恣意的だったということで、言ってみればお茶を濁されるような検証報告であるとすれば、これまた、逆に言うと恐ろしいことだと思います。霞が関の人たちが、積極的でなかったとか恣意的だった、あるいは関心が低かったという理由で、違法行為をこれほど簡単にやっていたということですから、それはそれで私は恐ろしいことだというふうに思うんですよね。

 今回の発覚した事柄の中では、例えば、国交省で死者すらもカウントされていたり、あるいは、外務省では精神障害を身体障害でカウントしていたりという事例がありました。

 私は、やはりもう一回、各府省に対しても、例えば、人事担当者へのヒアリングをもう一回改めて行う、あるいは決裁文書を全て再チェックする、このくらいのことをやらなければいけないのではないか、こういうふうに思っていますが、いかがでしょうか。

根本国務大臣 今、委員のお話でありますが、検証委員会では、私が先ほど申し上げましたが、精力的に検証していただきました。そして、具体的に検証に当たってどういう方法をとるか、これは検証委員会でお決めいただきました。これは第三者委員会ですから。そして、検証委員会は、もう繰り返しになるから避けますが、可能な限りの実態把握を行っております。

 特に検証委員会では、検証委員会の報告書では、具体的な各行政機関の問題点、これは具体的に検証委員会で提起されております。

 例えば、検証委員会の報告書では、退職した職員を長年にわたり漫然と多数計上していた国土交通省、あるいは、手帳の保持を確認することなく精神障害者を多数計上していた外務省、これを含めて、不適切計上の方法に特異性が認められた行政機関、これについて検証をしていただいております。

 そこで、もちろん私もそう思いますけれども、これは、法令の勝手な解釈や、あるいはまことにずさんな事務処理だとか、あるいは障害者の雇用促進に向けての真摯な努力がなされてきたかについて甚だ疑問を抱かざるを得ないと大変厳しい指摘がなされておって、私も全くそのとおりだと思います。

 具体的に、それぞれの省庁ごとの問題点、ここは検証委員会において検証していただいたものと思います。

西村(智)委員 大臣の言葉どおり、検証委員会の指摘が大変厳しいものだったというふうに私も理解いたしましょう。しかし、それを本当に今、各府省がどういうふうに捉えているかなんですよ。

 今月の中旬に、新聞報道で、水増しをした省庁が処分をしないという記事がありました。障害者雇用を水増ししていた数として最多の国税庁も、それにかかわってきた職員の処分は行わないということで報道されていたわけです。

 私、本当にそうかなと思って、ここに、記事に出ていた各府省に照会をしてみました。本当に処分はしないんですか、本当にその処分を決めたんですか、あるいは、その処分のことについて、処分するとかしないとかいうことについて公表しましたかというふうに質問をしましたら、それぞれの役所からペーパーで回答が来まして、具体的にその私の質問に対する答えというのはないんだけれども、みんな判で押したように同じ答えが返ってきているんですよ。文書のてにをはは多少違いますよ。

 関係閣僚会議において総理から各大臣に指示があった、官房長官としても発言があった、これを受けて、各大臣から事務次官や官房長に、再発防止と障害者雇用推進に全力で取り組むように注意と指導があった、今後もしっかりと取り組んでいきたい、こういう三段落のパターンですね。全部同じなんですよ、きょう資料でおつけしていますけれども。こういうことからしても、みんなやはり同じようなひな形があって、それを回しているとしか私には見えませんでした。

 それから、各府省が今回のことについてどれだけ本気で取り組んでいるのか。根本大臣は、やはり所管をしている省庁だから、それはもうしっかりとやるということで、所信表明演説でも述べられましたけれども、総理がまず述べられませんでしたよね。ことしの臨時国会の冒頭の所信表明演説のときに、このことについて一言もおっしゃいませんでした。

 では、ほかの大臣はどうか。どのくらいの大臣が、この障害者雇用の水増し問題について、みずからの省として問題を自覚して、それで所信表明として発言をしているか。大臣、どのくらいの大臣がそういうふうにされているか、御存じですか。

根本国務大臣 私も一つ一つ確認しているわけではありませんが、例えば記者会見の場とか、特にこの事案が起こってから、委員からもお話ありましたけれども、十月二十三日の関係閣僚会議、総理から各大臣に対して、今回の事態を深く反省し、真摯に重く受けとめ、組織全体として障害者雇用を推進するという意識を徹底して、再発防止にしっかりと取り組むよう強く指示がありました。私もその場におりましたから。

 そして、同日の閣僚懇談会においても、官房長官から各大臣に対して、組織として二度とこのような事態が生ずることのないよう、事務方幹部に対してしっかりと注意と指導を行っていくよう指示されました。私も、その同日に私から事務次官、職業安定局長に強く指導を行いましたし、全部局の幹部を集めて、しっかり取り組めという訓示をしました。

 ですから、それぞれ各大臣に対して強く指示がなされておりますので、それぞれの大臣はそれをしっかりと肝に銘じて対応していただいていると私は思います。

西村(智)委員 しかし、所信表明演説というのは、そのときの国会の冒頭で大臣が、まさにこういう姿勢で行政をやっていこうということを述べられる。私たちは、それをやはりちゃんとよく聞いて、それで、その上で質問もさせていただくわけですから。

 この水増し問題については、今年度と来年度で四千人を確保するという計画にもなっていますから、ことしの秋の臨時国会であって当然だ、夏に発覚をした問題で、関係閣僚会議で基本方針が確認されて、そしてこの臨時国会ですから、出て当然だと思ったんですけれども、二十人いらっしゃる大臣、総理を含めて二十人、大臣いらっしゃいますけれども、発言をされたのは、根本大臣を含めてわずか三人です。わずか三人です。麻生大臣、河野大臣、先ほど外務省とおっしゃいましたね、根本大臣、この外務大臣もです。柴山大臣、吉川大臣、世耕大臣、石井大臣、国交省とさっきおっしゃいましたね、原田大臣、岩屋大臣、菅内閣府担当大臣、渡辺大臣、山本大臣、宮腰大臣、平井大臣、茂木大臣、片山大臣、櫻田大臣、誰もこのことについて言及していないんですよ。

 果たして、こんなことで、大臣から例えば次官や官房長などに出た指示が本当に実行されるのか。私は甚だ疑問です。ですから、そこはもう一回、大臣、これは関係閣僚会議でも結構なんですけれども、もう一回、本当にやるんだという、やるならやるということを、指示を出していただかなければいけないというふうに思います。

 これから、合理的な配慮、これも各府省からやっていただかなくてはなりません。午前中もいろいろ、本当に、あっ、こんなこともあるのかという話がありました。キーボードを使いにくい人が自分のキーボードを持ち込もうとしたら役所の規則で持ち込めなかったとか、それから、障害者用のトイレが、男性の障害者であるのに、女性用のトイレの中に障害者用のトイレがつくられたとか、それから、先ほど阿部さんからもありましたけれども、目の見えない方が通勤のときに同行の支援が使えない、サービスが使えないとか、こんなことがないように、やはり合理的配慮をしっかりと制度化して、予見できるようにしておくべきだというふうに私は思うんです。

 それからもう一つ、これは提案も兼ねて申し上げます。

 やはり公務部門においても、民間の法定雇用率未達の企業に対する納付金制度と同様なペナルティー制度、これが私はあった方がいいというふうに思います。これは午前中の参考人の意見を踏まえての質問ですので、通告はしておりませんけれども、大臣、この点、いかがでしょうか。

 これは、税金から税金に対して納付するというのはおかしな話じゃないかという御意見もあったんですけれども、しかし、それを、例えばその府省の中の担当している部局とか担当している課とか、そういったところで限定されている予算の中から納付金を支払うということにすれば、これはやはり一定の何がしかのプレッシャーにはなると思うんですけれども、検討していただけませんでしょうか。

根本国務大臣 納付金制度の性格ですけれども、法制定当時に、昭和五十一年にこれは導入されました。これはやはり、事業主がそれぞれ社会連帯のもとで障害者雇用をしましょうということで、納付金制度というのも導入されました。

 納付金制度というのは、そもそも、障害者の雇用に伴う経済的負担を調整し、特に事業主間、納付金、義務づけられていますから、経済的負担の調整と事業主間の公正な競争条件を確保しようとするもの、これが実は納付金制度の趣旨であります。

 その意味では、同じような仕組みを国の機関を対象とするということは、納付金制度の本来の趣旨が、私が今申し上げましたように、経済的負担の調整と事業主間の公正な競争条件の確保、こういうことで導入しておりますので、こういう趣旨を国の機関に導入するというのは、私はなじまないのではないかなと思います。

西村(智)委員 諸外国、ドイツやフランスなどでは導入されている仕組みでもあるということ、公的部門、公務部門にも導入されているということですから、そのくらい検討すると言わないと、民間の人たちも怒っていますよ。自分たちにはペナルティーを科しておいて、国は何もおとがめなしかということですよ。それで、これが社会全体にやはり悪い影響も与えます。やはり、障害者を含めての共生社会を実現するという、その先導役ですから、厚労大臣は。そこはしっかりとやっていただきたい、検討もしていただきたいと思います。

 ちょっと時間が限られてきましたので、きょうは法務省からもお越しいただいております。例の、技能実習生の聴取票、これは本当にずさんな調査、そしてずさんな集計の仕方で、私、もうびっくりしました。

 より高い賃金を求めて失踪したという人が、失踪の理由の八七%と聞かされていたのに、実は低賃金だという理由で、六七%に修正をされた。しかも、その低賃金という中に、契約賃金以下のものが含まれていたり、あるいは最低賃金以下のものが含まれていたり、あるいは、単なる低賃金と書かれていても、計算すれば最低賃金を割っているケースが多々あるということで、これは、政務官をヘッドにして何かチームがつくられるということなんですけれども、データのこういった誤り、私から言えばやはり偽装です、改ざんですね、改ざん。この問題を小さく見せようとしてやった改ざんがなぜ起きたのか。そしてこのチームで何を明らかにするのか。そして、このチーム、本来であれば、法案提出前にしっかりと検証されてしかるべき問題だったというふうに思います。なぜこのタイミングなのか。その三点、お答えください。

門山大臣政務官 まず、タイミングについてでございますが、大臣からの指示があったのが先週の金曜日ということで、この段階で、私の方が議長として、このプロジェクトチームを発足するという運びになりました。

 このようなミスが生じた理由及び経緯ということでございますけれども、これは、故意というふうには我々は認識しないんですけれども、計算上のミスが、集計ミスが生じてしまったということを、私らも報告を受けた次第でございます。

 このミスが生じた理由でございますけれども、対外的にそもそも公表することを予定して作成したものではなくて、内部用の報告書をつくるに当たり、地方入国管理局からの報告結果を取りまとめて作成していたものであって、担当者において改めて聴取票の現物と突き合わせるなどの精査を行うという意識が薄く、以後、この誤った集計ミスに基づいて資料を作成していたことが原因であったというふうなことが現状では判明しているところでございます。

西村(智)委員 何で八七%という数字が出てきたのか、本当に疑問ですね。どこをどういうふうにカウントしているのか。本当に、こういったことがはっきりしないままで法案の審議に入っていくと、またこれだけで時間をとられてしまう。何か、どこかで聞いたような話ですね。前の国会で、厚生労働委員会で裁量労働制のデータについて、どれほど時間をかけて議論したかということを考えれば、そのことで時間が終わっちゃうことにならないように、しっかりと審議はしていかなければいけない問題だというふうに思います。

 それで、きょうは、新たな在留資格によって、介護業において、今後、五万人から六万人を受け入れるというふうに一覧表の中で出てきております。これは、どういう根拠でこのような数字を算出されているんでしょうか、教えてください。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 今、議員がおっしゃいました、介護業におきまして今後五年間で五万人から六万人の外国人の受入れ見込みとなっております見込み数の考え方でございますけれども、介護分野におきましては、二十九年度の調査でございますけれども、約一六%の施設等が外国人材の活用を希望しているという調査結果を基本にいたしまして、外国人材の受入れ対象となる施設等の数が全国に約十一・三万カ所あるということを踏まえて試算しております。

 また、試算に当たりましては、受入れ施設の受入れに向けた準備が必要である点を考慮いたしまして、制度開始五年目までの間に段階的にふえていく。例えば、一年目は受入れを希望する施設の四分の一が、また、二年目から三、四年目にかけては二分の一、四年目から五年目にかけましては受入れを希望する全ての施設が受入れを開始するとの仮定を置いて試算したものでございます。

西村(智)委員 何か雲をつかむような話ですよね。五万とか六万という数字は、私は、介護業の有効求人数あるいは有効求人倍率、これからすれば甚だ低い数字だと思うんです。単純に有効求人数だけから算出すれば、もっと多くの人員が必要になると思うんですけれども、それを低く算定している。この理由等については、また後で聞きたいというふうに思います。

 今現在、介護業で働いている人たちの性別は大体どういう形になっていますか、教えてください。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 介護業で働いておられる方の性別の内訳でございますけれども、二十九年度の介護労働実態調査によりますと、まず、施設等に従事する介護職員でいきますと、割合で申し上げますと、男性が二四・〇%、女性が七三・三%となっております。また、訪問介護員でございますけれども、男性が九・五%、女性が八七・八%となっております。

 足して一〇〇%となっておりませんのは、回答なしというものが若干あるということでございます。

西村(智)委員 ありがとうございます。

 それで、私たちも、この間、介護人材の処遇改善法案などを議員立法で提出をいたしております。政府の方からも、この間、いろいろ取組をいただいてはいるというふうに思いますが、まだまだ、ほかの産業と比べても、介護業あるいは福祉の現場で働く皆さんの給料の引き上がり方は鈍いと思います。

 先ほど私、ちょっと具体的な数字を申し上げませんでしたけれども、やはり介護業というのは、有効求人倍率、有効求人数、結構多いと思うんですよ。多いのに、そしてまた政府もそうやっていろいろな誘導策をやっているにもかかわらず、人が集まってこない。人が集まってこない、つまり、需要と供給のバランスがとれていないということだと思うんですよね。これは、介護報酬とか、国の制度が入っているということが、一つのまた別の大きな問題ではあるというふうに思うんですけれども。

 今回、新たな在留資格で外国人を受け入れるときに、その待遇は、同じ業種につく日本人と同水準のものを担保するというふうに聞いております。それはそれで当然のことなんだけれども、今現在、介護業でいえば、需要と供給のバランスがとれていない、需要に対して供給が追いついていないのに、賃金がなかなかわっと上がっていかないという中で、供給側だけがふえるということは、言ってみれば、介護業で働く皆さんの賃金水準が低いままに据え置かれるんじゃないか、こういう懸念を私は持っているんです。

 先ほど御紹介いただいたように、そこで働いている皆さんは多くが女性だと。ということになると、女性の活躍推進と言っている政府として、これをどういうふうに捉えるのか、それは伺いたい。

 それからもう一つ、時間がないので一緒に伺いますけれども、技能実習生の聴取票、最賃以下というケースが大変多くあります。これはやはり労働基準監督署なりがきちんと調査に入るべき事案だというふうに思いますけれども、そこは法務省、厚労省、どういうふうに考えているのか、伺います。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 介護業の賃金についてのお尋ねがございましたけれども、今回の新たな外国人材の受入れでございますけれども、生産性向上や国内人材の確保を尽くしたとしてもなお、外国人材の受入れが必要となる分野において行うものであるというふうに承知しております。

 御指摘の、介護分野におきます処遇改善の取組につきましても、議員御承知のように、来年の消費税のアップに応じまして、介護サービス事業所におきます勤続年数十年以上の介護福祉士につきまして、月額平均八万円相当の処遇改善を行う方針としております。

 こうした人材確保対策を引き続き推進していくことによりまして、他産業と遜色のない賃金水準に向けて取り組んでいきたいというふうに考えております。

佐々木政府参考人 お答えをいたします。

 不当な事案を発見したときに入国管理局としてどうするかというお問いだと思いますけれども、地方入国管理局と労働基準監督署の間に相互通報の仕組みができておりまして、問題事案を発見したときには相互に通報をするということになっておりまして、私ども、審査の現場、退去強制の現場等々でそうした事案を発見したときには、労働基準監督署に通報することにしてございます。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の聴取票の具体的な内容は承知しておらないところでございますけれども、技能実習生の労働条件に関する情報が含まれるとの御指摘もいただいておるため、今後の対応については法務省とよく検討してまいりたいと思います。

 今、法務省の方からもありましたとおり、入管当局と都道府県労働局で通報制度ということの仕組みを設けておりますので、その仕組みに沿って、厚労省では、こうした通報を受けた場合には、実習実施者に立入り等をして、是正を図らせたいと思っております。

 今回の聴取票につきましても、出入国管理機関との相互通報制度を適切に運用して、対応してまいりたいと考えております。

冨岡委員長 もう時間が来ておりますので、簡略に。

西村(智)委員 先ほどの賃金のことですけれども、今のじゃ全然お答えになっていないんですよ。必ずこれは、また後で時間をとっていただいて議論したいと思います。

 ゆめゆめ、来週、この法案が採決などということにならぬように、しっかりと時間をかけて私は議論すべきだと思っておりますので、よろしくお願いします。

冨岡委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 立憲民主党の初鹿明博です。

 済みません。風邪を引いて、ちょっとお聞き苦しいと思いますが、お許しをいただきたいと思います。

 ちょっと順番を変えて、今、西村議員から技能実習の介護の話もありましたので、順番を変えて質問をしていきたいと思います。

 後ろから三枚目のページを見ていただきたいんですけれども、介護の技能実習についての、要件についての資料をつけさせていただいておりますが、介護が技能実習に加えられて、今、ベトナムから一万人を、二〇二〇年までに日本に労働者を連れてくる、そして、この一年間だけでも三千人ということを政府は打ち出しているわけです。果たしてそれが現実的なのかということも含めて、きょうは、一つ大きな問題があったということを皆さんに知っていただきたいということで質問をいたします。

 皆さん、一番後ろのページを見ていただきたいと思います。こちら、J.TESTニュースということでありまして、J.TESTというのは何かというと、二枚戻っていただいて、裏面の方なんですが、介護の技能実習で日本に入国するためには、日本語能力試験のN4に合格をしている者、その他これと同等以上の能力を有すると認める者ということになっているわけですね。N4なわけです。でも、N4の試験じゃなくても、ほかの試験でも同等だと認められればいいということで挙げられている中に、この解釈通知というところを見ていただければ、そこに出ておりますが、二つの機関のテストが出ています。J.TESTとNAT―TESTという二つの、そのうちの一つがJ.TESTです。

 そこで、もう一回、最後のページに戻っていただきたいんですが、これは、このJ.TESTというところが毎月一回出しているニュースだそうです。

 見出しを読みます。「ベトナムで偽造身分証大量摘発 六十名を失格処分に」。どういうことかというと、試験の会場に六十人もの身がわりですね、何というんでしょうかね、替え玉受験が行われた、これが見つかったよということをJ.TESTみずからがお知らせしているニュースです。替え玉受験なんです。

 つまり、ベトナム、これはハノイ大学で行われた試験なんですが、ベトナムで、日本に留学をしたい、そのために日本語能力の試験に合格していなければならないということで、これは介護の実習ではなくて留学なんですけれども、留学のために試験を受けた。ところが、六十人も替え玉受験だった、つまり、日本語のテストに受かる人がかわりに受けてあげて、それが六十人わかったと。

 わかったのが六十人なんですけれども、現地のことを詳しく知っているような方から聞くと、頻繁に替え玉受験というのが行われているらしいと。そして、この実施機関は、かなりきちんとしている機関ですよ、かなり歴史も古いし。しかし、幾らこの実施機関がちゃんとしていても、実際に試験の監督をするような試験の監督官とか、そういう方々が簡単に買収されたりしているんじゃないか。これは聞いた話ですので、ぜひ確認をしていただきたいんですが。

 ということで、こういう替え玉受験が行われているというわけです。これまでは、留学生の入国の資格のための一つの試験として行われていた。そして去年からは、介護の技能実習のためにこの試験が使われるようになる。そして今回、皆さんが提出している入管法の改正の特定技能一号も、これは日本語の能力が必要になるわけですよね。そうなると、この試験もそこに該当するようになるんじゃないかと思うんですね。

 ちなみに、留学の在留資格の場合は、このいわゆるN3とかN4とかいう日本語能力試験とは別に認められるものとして、このJ.TESTを始めとして九つ挙げられているんですよ。九つあるんですよね。ところが、介護の技能実習は二つに絞っている。それぐらいに、試験としては由緒あるというか、歴史があるものなんだと思いますが、そこでこんな替え玉が起こっているというのは、私は非常にゆゆしき事態だと思うんです。

 そこで、法務省にまず確認ですけれども、この文書に書いてあるように、替え玉受験というのは事実だったのかということと、これが事実だとしたら、この後どういうことになっていくのかということをお答えください。

門山大臣政務官 結論を申しますと、この委員が御指摘された事実については、実際のところ承知しておりませんでした。

 インターネット等の記事などで確認したんですけれども、御提示いただいた記事を確認することが、この段階でできていなかったというのが正直なところでございます。

初鹿委員 その後、私がこれをお知らせしましたよね。知らせた後は、ちゃんと調べたんでしょうか。

門山大臣政務官 本日いただいたというところでございまして、今のところ、まだ確認できていないというところでございます。申しわけございません。

初鹿委員 ちなみに、私の知人からJ.TESTに、これは本当ですかと電話をかけたら、こういうことってあるんですかと、受入れ機関の方なんでね。そうしたら、替え玉受験のことですねと向こうから替え玉受験と言いましたので、これは事実ですから、きちんと調べてください。そして、調べた上で、今後どうするのかというのを考えていただきたいと思います。

 その上でお伺いしますけれども、今度、今法案にかかっております特定技能一号、日本語の能力をはかるこの尺度というんですかね、その尺度としてJ.TESTを利用する予定はあるのかないのか、お答えください。

門山大臣政務官 今回導入される特定技能に関する日本語の能力水準でございますが、これは、日本語能力試験等により、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を有することが確認されることを基本としつつ、受入れ業種ごとに業務上必要な日本語能力水準を考慮して定めるとされており、業所管庁において、必要な日本語能力水準をはかるために、適切な試験を分野別運用方針で定め、実施することと予定しております。

 具体的な試験につきましては、業所管庁において、既存の日本語能力試験、これはJ.TESTや、各省又は民間団体が新たに作成する試験など、適切な試験について、おのおの検討されているものと承知しております。

初鹿委員 今の段階ではまだ決まっていないということだと思いますが、きちんと調べてくださいね。このニュースだと、ちゃんと見つけたから、ちゃんとうちはやっているんですよという言い方なんですけれども、六十人一遍に見つかったって、これ、やり過ぎだから見つかっただけで、もしかしたら、一人や二人だったら見つかっていないかもしれないって、皆さん当然思いますよね。当然思うと思うんですよ。ですから、きちんと調べていただいて、もしこれが事実で、もっと多いということであれば、それなりの処分を考えていただきたいというふうにお願いをいたします。

 それでは、障害者雇用に移りますが、きょうも午前中、参考人の皆様から貴重なお話を伺いまして、幾つか私も思うところが、感じるところがあったんですが、その一つに、手帳を本来とれるのにとらない、そういう方がいる、その理由として、手帳を取得するとマイナスになるんじゃないか、そういう心配をされているんじゃないかというお話がありました。

 そこで、本当にそうなのかなという、何かそれに裏づけになるようなものがあるのかなと思って、今皆さんにお手元にお配りをいたしましたが、公務部門における障害者雇用マニュアル、これは平成二十一年に障害者施策推進本部が出しているものなんですが、ここの「評価」というところのQアンドAを見てみたんですね。

 そうすると、「障害のある職員の人事評価はどのように行えばよいでしょうか。」という質問に対して考え方が示されております。二つ目の段落、「人事評価は、障害の有無に関わらず、対象の職員すべてに対し、同一の規定に基づき行われますので、障害があるからという理由で、評価が厳しくなったり、逆に甘くなったりするようなことのないよう客観的で公正な評価を心掛けましょう。」こう書いてあると、そのとおりであるなと思うと思うんですが、逆に障害者の側からすると、これは障害の特性に応じた合理的な配慮がきちんとされないのではないかという心配を持つということなんですよね。

 ずっと読んでいくと、その下、「また、人事評価の実施に当たっては、評価者と被評価者のコミュニケーションを密に図り、障害の特性を考慮した上で目標設定をするなど、個々の職員の能力を十分に生かせるように配慮してください。」こういうふうに書いてあるんですが、ただ、「障害の有無に関わらず、」「同一の規定に基づき」というふうに書いてあったり、「いずれにせよ、」最後のところが、「障害のある職員も障害のない職員も、互いにその能力を伸ばせるよう、執務の状況を的確に把握し、評価していくことが大切です。」こういう書き方があると、障害を持っている方からすると、自分たちの適性を正しく評価をされるのか、合理的な配慮がきちんと行われるのかどうかが不安になるというような指摘もあるんです。

 まず、このマニュアルというのは現在も生きているのかということと、もう少し合理的な配慮をきちんとやりますよということがわかるような書き方にならないものかなということをお聞かせいただきたいと思います。

土生政府参考人 御説明させていただきます。

 人事評価につきましては、政府全体といたしましては内閣人事局が全体取りまとめを行っておりまして、私どもは、基本的な方針に基づきまして、各省庁として人事評価を行うという立場でございます。

 したがいまして、今先生御紹介いただきました文書そのものは私どもが作成したものではございませんので、それ自身につきましてコメントはできないわけでございますけれども、人事評価の基本的な考え方といたしましては、先生、後段の方もお読みいただきましたけれども、障害の特性を考慮した上で目標を設定をするということでございます。その際には、個々の職員の能力を十分生かせるように配慮するということでございますので、職場環境面等における合理的配慮ということの一つのあらわれということかと思っております。

 そうした目標を設定をした上で、六カ月が終わるときに人事評価を行うわけでございますけれども、その人事評価を行う際には客観的で公正な評価をする、こういった取扱いでやるということで、私ども厚労省としても実施をしているというところでございます。

初鹿委員 少し、合理的な配慮がきちんと行われるようなことがわかるように工夫をしていただきたいということをお願いをさせていただきます。

 では、具体的な話に少し入っていきますが、三枚目の資料を見ていただきたいんですけれども、先ほどからも御指摘がありますが、今回の検証委員会の検証が随分甘いんじゃないかという指摘がされております。私も、報告書を読み、その結果を読んで、本当にこのような評価でいいのかというのを非常に疑問に思っているんです。特に、各省庁の取組の状況というのを見ると、結構驚くようなことがこの報告書に書いてあるんですよ。

 先ほど大臣が、検証委員会の方はしっかりやったというような答弁をされていたと思いますが、検証委員会の方は本当にしっかりヒアリングされたと思います。そのことはきちんと報告書に出ているんです。ただ、そこでヒアリングされたことが結果に反映しているかというと、そうじゃないような気が私はしてならないんですね。

 具体的なことをこれから指摘をさせていただきます。各省庁の政務官の皆さんに来ていただいておりますので、各それぞれ聞いていきますが、先ほど外務省の例が出されました。身体障害者でない、精神障害者なのに身体障害者としてカウントされていたとか、手帳を持っていなかったとか、そういうお話がありました。

 そういうふうに聞くと、ああ、それぐらいなのかと思うんですが、これは一枚めくってください。一枚めくって、下線部を引かせていただきました。検証委員会がヒアリングをした結果です。精神障害者について、手帳を確認しておらず云々と書いてあって、「計上するかの明確な基準があったとは言えないが、仕事に来られなくなっている人、仕事に来ているけれども仕事になっていない人を計上していた。」こう書いてあるんですよ。

 まず、政務官に聞きますが、「仕事に来ているけれども仕事になっていない人」というのはどういう人ですか。また、それは誰が判断しているんですか。そして、この人に対して、あなた、仕事になっていないから障害者の対象にして計上しますよと伝えたんですか。伝えているとしたら、そこはひどい話ですよね。でも、一方で、伝えないで、あいつ、仕事になっていないから障害者にしておけ、そうやって計上しているとしたら、もっとひどいと思いませんか。具体的に説明してください。

鈴木(憲)大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 先生から、外務省としてはどのようにこれは判断をしているのかという御質問だというふうに思いますが、まず、医師等の診断があった場合、また、身上書や引継ぎによって……(初鹿委員「いや、ここに書いてあることを聞いているんだから、そんなことはどうでもいいですよ」と呼ぶ)なかなか、人事上、特別な配慮が必要な場合というふうに判断をさせていただいております。

初鹿委員 私が聞いたのは、「仕事に来ているけれども仕事になっていない人」というのは具体的にどういう人なのか、そして、その人に対して、あなたは仕事がなっていないから障害者として計上しますということを伝えたのか、伝えていないのか、どちらですか。

鈴木(憲)大臣政務官 まず、本人に対してこれを伝えたのかどうかということについては、伝えてはおりません。

 その上で、先ほど私から答弁させていただいたとおり、診断書、身上書、また引継ぎ等によって、職務上配慮が必要ではないかということで判断をさせていただいております。

初鹿委員 先ほども参考人の方が指摘をしておりましたけれども、外部から新たに障害者をとりたくない、そういう意識があって、中にいる、その中から障害者にできる人をした、そういうことじゃないんでしょうか。これを意図的ではないと言えるんでしょうか。意図してやったとしか思えないですよ。こういうことがこの報告書には書いてあるんですよ。

 政務官、これ、正しいというか、いいんですか、こういうことで。相手に伝えないで勝手にあなたは障害者ですよということで計上することは、好ましい行為なんですか、適切な行為なんですか。

鈴木(憲)大臣政務官 基本的には意図的な水増しはなかったというふうに思っておりますが、また、当事者に対しても伝えていないということも事実であります。

初鹿委員 これでも意図的ではないと言うのは、私は理解できません。もう一回ちゃんと検証する必要があると思います。

 では次、農林水産省さん、来ていただいておりますが、二枚めくっていただいて、五十と書いてあるページのところに私が下線を引かせていただいたんですけれども、農林水産省さんも、結局、中で誰か探さなきゃいけない、そう思ったとしか思えない記述ですよ。読んでください、皆さん。「人事担当者の周囲にいる者のうち、眼鏡、しぐさ等から視力が悪そうな者から裸眼視力を聴取し、計上していた。」これは裸眼視力が〇・一以下だったら計上しているという例なんですが、それだけ聞くと、制度をよくわかっていないねということなんですが、この文章を読むと、例えば私が人事担当者で、こちらの方々が部下だとしたら、あなた幾つ、幾つ、幾つって、ああ、〇・一なんだ、ではちょっと計上しておくね、あなたは、ああ、〇・一なんだ、計上しておくね、ああ、やった、二人いたからこれで何とかクリアだ、そういう話じゃないですか。

 これを意図的じゃないと言えるんでしょうか。政務官、どう思います、これ。

濱村大臣政務官 まず、余り好ましくないという意味におきましては委員おっしゃるとおりでございますので、その点については深くおわびを申し上げるわけでございますけれども、農林水産省といたしましては、今の、聴取をし、計上していたという点につきましては、先ほど委員が御指摘なさったように、人事担当者から一人一人確認をして、その上で計上していたということでございます。

初鹿委員 言わないで勝手に計上していた外務省よりかはましなのかもしれませんが、つまり、きょうの参考人から指摘があったとおり、外部からとりたくないから中にいる人の中で対象になる人を見つければいい、そういう発想のもとに行われていたということじゃないですか。やはりこの事実を明らかにしないと、今後、数を合わせるだけで新たに雇用しても、その雇用された障害のある方たちが、この職場で気持ちよく働いていくことにはならないと思いますよ。

 最後、ここは国交省は、先ほども西村議員から指摘がありましたけれども、もう既に在職していない職員を八十一人も計上していた。中には死亡退職していた人が三名含まれている。退職した後に死亡したわけじゃないですよね、死亡退職ですから、お亡くなりになったことで退職された。

 そういう方々が計上されるというのは、一体どんな人事管理をしているんですか。いるかいないかも確認をしないで計上をするなんということがあり得るのか、私は非常に疑問です。何でこういうことになったのか、きちんと検証が必要だと思いますが、いかがですか。

阿達大臣政務官 民間事業者に率先して障害者雇用に積極的に取り組むべきことが当然の責務であるにもかかわらず、このような事態が続いていたことはあってはならないことであり、深くおわび申し上げます。

 通報を取りまとめる事務処理として、各部局から報告のあった障害者リストを取りまとめる際に、一部の担当において、過去の障害者リストに掲載されていた者を追加して計上したケースがあり、その結果、省全体で見ると退職者等を計上されたケースが生じたと聞いております。

 なお、追加計上の際に、その者が調査日時点で在籍しているかについての確認を行わずに漫然と計上したため退職者等が含まれることとなったものであり、故意や悪意はなかったものと聞いております。

初鹿委員 時間が来ましたので、きょうは終わりにしますけれども、これで故意や悪意がなかったと本当に言えるのか、意図していなかったのか、私は非常に疑問だと思います。私はやはり、各省もう一回、きちんと自分のところの省の検証をしてください。その上でじゃないと、新たな障害者の雇用なんか、絶対にしないでいただきたいと思います。

 以上で終わります。

冨岡委員長 次に、稲富修二君。

稲富委員 国民民主党の稲富修二と申します。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 先ほど来ございました障害者雇用の水増しの問題について、まずは御質問させていただきます。

 けさの午前中の参考人から、五人の方からさまざまな陳述をいただきました。その他の委員からもありましたように、今のこの検証のやり直しをすべきではないか。あるいは、これから来年度末に向けての障害者雇用をふやすということについて、拙速であってはならない、あるいは数合わせであってはならない。あるいは、大変厳しい言葉もありましたけれども、水増しではない、もうこれは偽装だ、そういう厳しい言葉もございました。あるいは、やはり公務部門においても何らかのペナルティーが必要なんじゃないかということ、これは、全員ではございませんでしたが、一部の方からもございました。再発防止としては、やはり意識の向上が必要であるということでございます。

 先ほど初鹿委員からもさまざま御指摘がありましたけれども、まず、検証について改めてお伺いをしたいと思うんです。

 この検証の中で、やはり、るる御指摘があったように、公務で働いている方の声を聞くべき、あるいはその検証の報告書の中で、意識が低いだとか、関心がないだとか低いとか、ずさんという言葉があるけれども、きょう参考人の方がおっしゃっておりましたが、なぜ意識が低いのか、なぜ関心が低いのか、そこが最も大事なんだ、そこのところの検証がないということであれば、これは検証としての価値がないという御指摘がございました。

 結果として、この報告書の中では、障害者の範囲、確認方法を恣意的に解釈し、独自の実務慣行を安易な前例踏襲により引き継いできたとされておりますけれども、最終的には、結果として、水増し計上は、先ほど初鹿議員からも御指摘がありましたように、意図的なものとは認定されなかったというのが結論でございます。

 しかし、やはり、大規模かつ長期間にわたってこれほど、先ほどあったように退職した職員まで計上しているということは、意図的ではないというのは余りに無理がある、不自然だと思います。

 改めて大臣にお伺いをしたいんですが、この検証についてもう一度やり直す、その気持ちはないか、改めてお伺いします。

    〔委員長退席、大串(正)委員長代理着席〕

根本国務大臣 先ほど来申し上げておりますが、今回の検証委員会、検証委員会は、第三者機関を設置して、福岡高検の検事長も務められた松井委員長をトップに、弁護士などの有識者から構成され、第三者の立場から専門的な知見で検証していただきました。

 検証委員会からは、委員話があったように、厚生労働省の問題、職業安定局の問題と各行政機関側の問題が相まって大規模な不適切計上が長年にわたって継続するに至ったものと言わざるを得ないと厳しく指摘されております。私も極めて遺憾だと思います。

 しかも、障害のある方の雇用や活躍の場の拡大を民間に率先して進めていくべき国の行政機関の多くで法定雇用率が達成されていない状況が長年にわたって継続していた、これは極めて私はゆゆしき事態であると思います。

 そして、不適切計上の方法に特異性が認められる行政機関、これも、報告書によると、法令の勝手な解釈だとか、まことにずさんな事務処理だとか、あるいは障害者の雇用促進に向けての真摯な努力がなされてきたかについて甚だ疑問を抱かざるを得ないという大変厳しい指摘がされております。私も全くそのとおりだと思います。

 そして、今回の検証においては、各行政機関において、検証委員会の調査への対応を職務として命じられました。職務として命じられている中で、可能な限り過去の担当者や記録にさかのぼって実態把握を行いました。そしてなお、意図的に不適切な対応を行った例は把握していない、その旨が報告書に記載されております。

 私は、検証委員会、例えば、七日間、延べ、三十五時間徹底的にやっているし、あるいは専門委員の方がそれぞれ各省庁とヒアリングをして、書面調査そしてヒアリング調査、そして、問題がありそうなやつは、またそこは直接徹底的にやっていただきました。その意味で私は、検証委員会の目的は実態と原因を明らかにするという目的でありますので、どうしてこういうことが起こったかという基本的な構図、るる報告書に書かれておりますが、私は、そこは検証委員会として役割を果たしていたものと考えております。

稲富委員 御説明をさまざまいただきましたけれども、もう一度伺います。

 例えば、退職をした職員を計上している、先ほど初鹿議員からもありましたように、さまざまな事象を客観的に、大臣、この場で先ほどお聞きになって、これが意図的ではなかったということを本当にお感じになるのかどうか、お伺いをいたします。

根本国務大臣 お話をさせていただきたいと思います。

 意図的かどうか。これは、それぞれの行政は職務として命じられていますから、ちゃんとした答えをしなければいけない、職務命令違反になりますから。その中で、過去の担当者や記録にさかのぼって実態把握を行った、意図的に不適切な対応を行った例は把握していないとの回答がなされております。

 このトップである松井委員長、意図的かどうか、それをどう考えるかという意味では、松井委員長は、意図的とは、法令やルールに反して許されないものであると認識しながらあえて計上したものと整理をしております。私も、これは、検証委員会の福岡高検長まで務められた松井委員長が会見においてそういうことを整理をして言っておられて、そういう観点からすると、意図的に不適切な対応を行った例は把握していないという検証委員会の報告がなされていると思います。

稲富委員 なかなか私の御質問に答えていただけないというか、福岡高検長だからこうだろうと言われても、なかなか、大臣、そうですねと言えないわけでございます。

 というのは、中央省庁の旗振り役の省庁が水増しを行っているということからこの問題は発しているわけで、中央省庁に対する信頼が本来ではある、あるいはそういった肩書のある方には信頼があるという中でこれが起こっているからこそ、これって本当にどうなのかということを政治家としての大臣にお伺いをしたかったわけでございます。

 それを踏まえて、厚生労働省では大臣による事務次官及び職業安定局への注意と指導が行われたというふうに伺っておりますが、他の府省の一部も同様の方針であるというふうに報道されております。違法行為でないこと、あるいは個人に責任を負わせるのは難しいとの判断かと存じますが、やはり事は、私はかなり悪質だと思います。改めて、この責任の所在、あるいは厳正に対処をするということが必要ないのか、大臣にお伺いをいたします。

根本国務大臣 障害のある方の雇用や活躍の場の拡大、これを国は民間に率先して進めていくべき、この国の行政機関の多くで法定雇用率が達成されていない状況、これが長年にわたって継続していたこと、私は極めてゆゆしい事態だと思います。

 特に、不適切計上の方法に特異性が見られる行政機関、もう先ほど申し上げましたが、法令の勝手な解釈とか、まことにずさんな事務処理等々、大変厳しい指摘がなされており、私も全くそのとおりだと思います。

 この意味で、私は、大規模な不適切計上が長年にわたって継続するに至ったとされたこと、極めて遺憾であり、深く反省するとともに、改めておわびを申し上げます。

 そして、私自身も含め、今般の事態を深く反省し、再発防止に取り組むことはもとより、障害のある方々が働きがいを感じられ、持てる力を最大に発揮できるように、全力で取り組んで責任を果たしていきたいと思います。

 この点についての、今回の事案について、総理から私を含む各大臣へ指示があった。これは直接行われたものであって、私自身、重く受けとめておりますし、また、厚生労働省においての注意、指導、これは、人事権者である私から事務次官、職業安定局長へ直接行いました。これは極めて重いと思います。

 このような重みをしっかりと受けとめて、今後、全力で取り組むことで責任を果たしていきたいと思います。

稲富委員 責任の所在と厳正なる処分が必要ではないかということをお伺いしているわけですが、結論的には、それはないということかと今受け取らせていただきました。

 そこで、先ほど午前中の参考人の皆様から共通して心配をしている声がございました。それは、来年度に向けて約四千名の雇用をする、全省庁を挙げて四千名の雇用をするということに関してでございました。

 これはなかなか厳しい数字であろうという御指摘もありましたし、それぞれの省庁が目的を持ってやるんだろうと思います。私は、数字は恐らく達成するんだろうと正直思っております。ただ、皆様が不安に、あるいは御指摘があったのは、やはり、民間から人材が流出するのではないか、あるいは国と民間の間で人材のとり合いになるのではないか、ただの四千人という数合わせであれば、これは一旦勤めたとしても定着をしないのではないかという危惧でございます。

 先ほど大臣は他の御質問の中で、速やかに法定雇用率を達成することが必要だということ、これは法律上そうなんでしょうけれども、おっしゃいました。しかし、四千人という規模でございます。本当に達成するとしたときに、今申し上げた民間の団体からの危惧の念や懸念、本当にこれが実際大丈夫なのかということ。これは、ごめんなさい、午前中の陳述の中での私の質問でございますので通告はできておりませんが、もしお答えができるのであればお答えを賜れればと思います。

    〔大串(正)委員長代理退席、委員長着席〕

根本国務大臣 四千人、果たして達成できるのかという御質問であります。

 障害者雇用促進法、これは委員からもお話がありました、法定雇用率を達成していない公的機関、これは法定雇用率の達成に向けた障害者採用計画をつくらなければならない、法律に規定されております。そして、その計画期間は、関係法令により一年間とされております。

 厚生労働省としても、各府省の取組を最大限支援をしていきたい。例えば、障害者雇用に精通したアドバイザーを選任して各省庁に専門的な助言をする。あるいは、ハローワークにおける積極的な職業紹介。

 各府省においても、我々厚労省の支援を活用しながら、採用計画が着実に進捗するように最大限努力してもらいたい、すべきだと思います。

 確かに、三十一年末までに採用できるか、これは、率直に申し上げて容易なことではなく、相当な困難を伴う面もありますが、まずは、関係法令に沿って取組を開始し、進捗状況や課題について関係閣僚会議でフォローアップしながら、政府一体となって取り組んでいきたいと思います。

 そして、民間の皆さんとの、国あるいは自治体が採用する場合に、今委員が、そこは大丈夫か、そういうお話でしたよね、とり合い。

 今般の事態を受けた取組によって公務部門における障害者雇用の需要がふえる、これは事実であります。それによって民間との競合が起きないように対応していくことが私も本当に重要だなと思います。

 その意味で、厚生労働省としては、現在就職が実現していないハローワークの求職者、あるいは障害者就労支援機関の利用者、特別支援学校の卒業生などに対して、ハローワークと関係諸機関との連携により、やはりこれは障害者御本人の希望が大事ですから、その希望に沿って、これまで以上にきめ細かな職業相談や職業紹介などのサービスを行っていきたいと思います。

 こういうことを通じて、障害者の就職促進や職場定着、官民問わず進展して、全体として障害者雇用の底上げが図られるように最大限の努力をしていきたいと思います。

稲富委員 私は、個人的には四千人というのを達成すべしと思って実は申し上げているわけではないんですよね。そのことを目標にする結果として、民間にいらっしゃる、今現に働いていらっしゃる、あるいは職を探そうとしていらっしゃる方の雇用を国が奪うことになるんじゃないかということから、むしろ、四千人という来年度の法定されている目標を変えるべきだという立場から私は申し上げております。

 長年にわたってこれだけ、偽装と言われるような、要するに水増しが行われてきたわけで、それを来年度に全部一挙に解消しようというのがどだい、私は無理な話で、これまで法律を守っていなかったのに、この法律だけは守らなきゃいけない、来年まではということに、むしろ無理があると思います。率直に、現状の中で何ができるのかということを話をしないと、四千人国で抱えて、その結果として、周りの民間団体等が雇用を奪われ、そして雇用をむしろ剥がされるようなことがあっては、国としての責任は極めて大きくなると思います。

 改めて問います。大臣、四千人というのは法定をされているから仕方ないんだ、来年度に向けて、来年度末にやるんだとおっしゃっておりますが、これは考え直すべきじゃないですか。

根本国務大臣 障害者雇用促進法、先ほど私が申し上げました、法定雇用率を達成していない公的機関、これは障害者採用計画をつくらなければいけない。これは法律上の義務であります。そして、その計画期間が、関係法令により一年間とされております。ですから、我々も最大限支援をしていきたいと思いますが、委員も御懸念のように、三十一年末までに採用する、これは確かに容易なことではないし、相当な困難を伴う面もありますが、まずは、関係法令に沿って取組を開始して、進捗状況や課題について関係閣僚会議などでフォローアップしながら、政府一体となって取り組みたいと思います。

 その上でなお法定雇用率を達成できない府省がある場合には、その要因が何であるか、どのような課題があるか、これを検証した上で、具体的な取組を再検討して、新たな採用計画を策定して進めていくということで対応していきたいと思います。

稲富委員 最後に申し上げます。

 これは、先ほど申し上げましたように、結果として、民間に雇用されるべき方が、国がその雇用を剥がすようなことになってしまう可能性があるんじゃないかということです。

 この障害者の水増しの問題によって、国は、障害者団体あるいは障害のある方を一度裏切っているわけでございます。そして、今度、また新たに雇用するということになって、そして、仮に国が四千人雇用をやるといったときに、今度は民間団体から障害者の方を、雇用を奪うということになれば、これは、二重三重に、国として、団体、障害のある方を私は裏切る行為になるんじゃないかと思うんです。だから、再々にわたって今指摘をさせていただきました。

 ぜひ、これは、法律があるからというのであれば法律を変えればいいだけの話でございますので、私は改めて申し上げさせていただきます。

 もう一つ、ペナルティーに対してでございます。

 先ほど西村議員からもありましたけれども、私もこれはやはり必要ではないかと思います。率直に言って、やはり、民間企業の方からすると、納付金という義務が課され、しかし、他方で、国としては、先ほど大臣からも、なぜそれが無理なのかという御答弁がございましたけれども、その御答弁をそのまま民間企業の方に言ったら、ああ、そうだね、それはそうや、国はそれはせぬでいいとはならないと思います。

 とてもじゃないけれども、国にはペナルティーはない、そして民間にはこれが強いられるということ、やはりそれをもっと、もう一度申し上げますけれども、なぜそうなのかということを、私にというか、民間企業の方にわかるように説明していただけませんか。

根本国務大臣 国の機関への納付金制度の適用、まずは、先ほども申し上げましたが、この納付金制度がどうしてつくられたか。これはたしか、昭和五十一年度の法改正で、法定雇用率というものを導入した際に、民間に対しての、努力義務から義務化されましたが、そのときに、やはり、障害者雇用ですから、これは社会連帯の発想、考え方に基づくものだろうと思いますが、これはある意味で、障害者の雇用に伴う経済負担を調整して事業主間の公正な競争条件を確保しようとする、そういうことで導入されて、まあ、法令の解釈によると、共同拠出金の制度のようなものではないかと思います。

 その意味で、経済的負担の調整と公正な競争条件を確保しようとすることで導入されましたので、この制度の趣旨からすると、これを国の機関に導入する、適用するというのは、私はなじまないのではないかと。

 やはり、国は民間に率先してこの問題に取り組む立場がありますから、法定雇用率を達成していない状況を速やかに解消することが重要であると考えており、これは、政府一体として、国の機関の法定雇用率の達成、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

稲富委員 ペナルティーがなぜ国にないのか、それを一般企業の方にもわかるように御説明をと申し上げたんですけれども、なかなか難しいかなという感想を思いました。

 改めて申し上げますが、これは他の、フランス、ドイツでもやっていらっしゃるということでありますので、ぜひ研究の一つのテーマとして取り上げていただければと思います。

 時間がもう迫ってまいりましたので、次の技能実習生のことにちょっと移らせていただきます。

 昨日、本会議でも幾度も取り上げられてまいりましたが、失踪した外国人技能実習生の聞き取り調査の件でございます。

 誤った集計、失踪動機のごまかし等があったのは、指摘をされてきました。ここでは、そのずさんな問題ではなくて、技能実習生の労働実態についてお伺いをしたいと思います。

 法務省の調査結果によれば、失踪動機のうち、低賃金が六七・二%で最大であった、そして、月給は半数以上が十万円以下というふうに回答をされております。

 労働行政の責任者たる厚生労働省として、この外国人技能実習生について、その失踪者が二〇一七年に七千八十九人いたということを御存じだったでしょうか、把握していらっしゃったでしょうか。お伺いをいたします。

根本国務大臣 これは、法務省が調査していると思います。その意味では、厚生労働省としても、その事実については把握をしております。(稲富委員「最後、語尾が聞こえませんでした。ごめんなさい」と呼ぶ)その事実については把握をしている、把握をしております。

稲富委員 それでは、その主要な理由が低賃金ということであったということは、そこは、もちろん法務省の調査ではありますが、要するに、労働行政をつかさどる厚生労働省として把握をしているかということをお伺いいたします。

吉本政府参考人 答弁申し上げます。

 ただいま御指摘のございました調査の内容につきましては、法務省入国管理局におきまして、失踪者で行方がわかった方々についての聞き取りという形で聴取をしているものでございます。

 その内容につきましては、法務省の集計によりまして、私どもも承知をしております。

稲富委員 ということは、二〇一六年にはその失踪者が五千五十八人だったということも、法務省が調査した結果を厚労省として理解をしているのかということをお伺いします。

吉本政府参考人 答弁申し上げます。

 過去、暦年において何人だったかといった人数については、法務省から聞いて承知をしております。

稲富委員 ということは、おととしから去年にかけて失踪者が二千人ふえたということは把握をしていた、理解をしていたということかと思いますが、それに対して厚労省として、この労働環境が悪いのではないかということから何か対処をしたのか、何もしなかったのか、それについてお伺いします。

吉本政府参考人 昨年の十月、十一月に新しい技能実習制度が施行になっておりますので、それの中で新しい取組をしているところでございます。

 具体的に申し上げますと、監理団体の許可制、それから個別の計画の認定ということはもちろんでございますが、その後、実際にきちんとそれに沿った実習が行われているかどうかということについて、外国人技能実習機構の方から計画的に実地調査、実地検査を行いまして、その実態を把握し、必要な改善指示など行ってきているところでございます。

稲富委員 今、何か対処をしたのかという質問をさせていただいたんですけれども、少し明確ではなかったかなと思います。

 技能実習生は、今、七千人が注目されていますけれども、二十六万人いらっしゃいます。やはり、その労働環境がどうなのかということは、厚生労働省として、これは、法務省は入管として、そして厚生労働省としてその労働環境がどうなのかということは私は調べる必要があるのでないか、あるいは、理解をする、あるいは調べようとすることが必要なんじゃないかなというふうに思います。

 済みません。時間となりましたので、きょう、子ども・子育ても御質問させていただこうと思っていたんですが、政務官、参考人、済みません。

 御質問させていただきまして、ありがとうございました。

 以上で終わります。

冨岡委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 国民民主党の岡本です。

 早速質問をさせていただきます。

 障害者雇用の問題についてでありますけれども、そもそも法定雇用率についての定義を確認したいと思います。

 法定雇用率の算定について、対象となる範囲がどうなっているのか。外国人の技能実習生がたくさんいる事業所においては、当然のことながら、この外国人の技能実習生も従業員の一人としてカウントをし、法定雇用率を掛けるときの母数となるのかどうかについて、まず確認を求めます。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 障害者雇用率の算定の対象となります労働者の範囲は、一週間の所定労働時間が二十時間以上の労働者であって、一年を超えて雇用される者又は一年を超えて雇用されると見込まれる者でございます。

 したがいまして、外国人技能実習生につきましても、これに該当すれば、障害者雇用率の算定の対象である労働者あるいは対象障害者である労働者に該当するということになります。

岡本(充)委員 来年帰国することが見込まれている技能実習生は、じゃ、どうなりますか。一年以内に帰国することが見込まれている。

土屋政府参考人 先ほど申し上げましたように、一年を超えて雇用される者又は一年を超えて雇用されると見込まれる者でございますので、これに該当すれば該当するということでございます。

岡本(充)委員 私が聞いているのは、ビザが、在留期間がもうあと十カ月だというような状況になっている、この技能実習生はどうなりますか。過去一年以上働いていたとしても。

土屋政府参考人 今おっしゃったようなビザの期限がある場合であっても、一年を超えて既に雇用されている者であれば該当いたします。

岡本(充)委員 ちゃんと定義を聞いて事前に整理しているんですから答えていただきたいんですけれども、今度、法務省が法案で新たに創設しようとしている特定技能一号、二号はどういうふうになりますか。

土屋政府参考人 技能実習生と同様だというふうに思いますけれども、今申し上げましたように、特定技能一号で来日をされた方が一年を超えて雇用されているという状況があれば該当するということでございます。

岡本(充)委員 外国人の雇用で法定雇用率を達成することは、じゃ、論理的に可能になってくるということになるんでしょうか。

 つまり、法定雇用率を達成するために外国人労働者をその事業場で雇用する、場合によっては、事業所単位として考えたとき、厚生労働省は、規模が著しく小さく、組織的な関連や事務能力等を勘案して一つの事業場という程度の独立性がないものは、直近上位の機構と一括して一つの事業場として取り扱うという見解を衛生法の範疇では持っているようですけれども、そもそも、こうした労働者が働く環境においての労働者のカウント、外国人も入ってくるということであれば、今のような考え方に基づいて、海外の事業場でも、事業場で外国人労働者を雇用していればこれで達成した、こういうふうになるんでしょうか。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、障害者の方の算定となる対象障害者である労働者につきましては、例えば身体障害であれば、身体障害者手帳をお持ちであるか、都道府県知事が定める指定医の診断書により身体障害者であるということが確認できる者であるか、そういった方が該当するということになりますので、そういうことに該当する方であれば、外国人の方でも障害者の算定、雇用率の算定の対象になるということでございます。

岡本(充)委員 私が聞いているのは、そういう者を海外の事業場で同一の事業場として雇った場合、それをカウントできるのかと聞いているんです。

土屋政府参考人 障害者雇用率について、まず、企業単位で適用しておりますので、その単位で見たときの率の算定ということになるわけですが、基本的に、海外の現地法人に雇用されている方については、別法人ということになりますので、対象にならないということであります。

岡本(充)委員 同じ法人です。支店が違う小さな事業場がある、そういう場合です。

土屋政府参考人 海外の、例えば支店であるとかそういったものということについては、ちょっと済みません、今、現状、私が整理できているものを持っておりませんので、後ほど確認してお答え申し上げたいと思います。

岡本(充)委員 そもそもどういう基準で算定をするのかというのをもうちょっと明確に私はしていく必要があると思いますが、一方で、今の話の中で私が気になるのは、海外で外国人で算定率を満たすということがもしできるのであれば、これは本来、目的としているもの、国内の雇用についてという話も先ほどありましたけれども、こうした雇用にどういう影響を与えるのか、しっかり考える必要があるのではないかと思っているわけです。

 さて、続いて、ポイントとして、障害者雇用の実態は今どうなっているのかということで、皆さんのお手元に資料も配付をさせていただいたかと思いますけれども、身体障害の方が極めて多い割合だということになっています。

 お配りをしました資料の追加の一と書いてあるところでありますけれども、これを見ると、雇用されている障害者の方の八割を超える方が身体障害者。全体で見たときに本当にこの割合なのか、つまり障害をお持ちの方の割合がこの割合なのかということについて、率直に言って疑問を感じるわけでありますけれども、なかなか難しい知的障害者の雇用、数字が少ないこの知的障害者の雇用についてどういう対策をとるのか。これまでも私は、この委員会でも農福連携の話などもしてきたわけでありますけれども、実際に公的機関と民間でそれぞれどのようになっているのかということについての推移については厚生労働省は集計をしていない、こういうことでありますけれども、それでいいんですか。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 公的機関についての障害種別の推移ということでございましょうか。

 公的機関につきましては、今回、二十九年の任免状況の通報についてのデータについて再点検を行わせていただいたものでございまして、今お配りいただいた資料も、再点検の結果としての障害種別について整理をさせていただいたものでございます。

 その意味において、それより以前のものについてとの関係で推移を追えるという形になっていないということでございます。

岡本(充)委員 過去の推移を追えるものとしてはわからないということでありますけれども、一体どういう実態になっているかということは私は調べるべきじゃないかと思いますが、いずれにしても、現状、これだけ知的障害者の方の雇用の割合が低いわけでありますけれども、これに対してどのような対策をとるべきなのか、大臣にぜひちょっとお考えをお聞きしたいんです。

 私はかつても、この委員会だったか文部科学委員会だったか、ちょっと委員会は忘れましたけれども、農福連携という話を取り上げて、例えば、障害をお持ちの方が通われる特別支援学校の生徒さん、この生徒さんが農地へ行くに当たって、その農地で実習するに当たって交通費が出ないかなど取り上げたこともあるわけでありますけれども、いろんなやり方、政策の実行の仕方があると思いますが、大臣、知的障害者の雇用の状況を見て、対策をとる必要性があるとお思いになりませんか。あるとすれば、どういう対策をとられますか。大臣、お答えください。

根本国務大臣 委員の話にあった農福連携、私も身近にそこは見ております。

 今回の関係閣僚会議で決定した基本方針、基本方針の中では、基本的考え方として、身体障害者、知的障害者、精神障害者のそれぞれの障害特性などを適切に踏まえて、広く働きやすい就労機会を提供することに努めることとされております。

 その意味で、これを受けて、厚生労働省としても、障害のある方の各府省における円滑な採用や、採用された障害者の職場定着を支援していくこととしています。

 その意味では、今、ステップアップ雇用制度などもありますから、知的障害のある方、そういう障害特性を考えて、その方にふさわしい仕事と、そして支援、これが必要だなと思います。

岡本(充)委員 答えていないですよ。

 これだけ割合が低いんですよという話をしました。しかも、知的障害に関しては、障害者手帳だけじゃないんですよね、認定は。ほかの方法でも認定されるという中で、幅広に見て、今、この割合というのはやはり低いんじゃないかと言っているんです。そう感じませんかというのが一問。感じるとすれば、どういう対策をとっていくのかということについて、今ここで即答ができなくても、私は今、農福連携の話をしました、厚生労働大臣、先頭を切って頑張っていく、そういう思いはないんですか、こういうことであります。お答えください。

根本国務大臣 私も常々申し上げておりますけれども、先頭に立って頑張っていきたいと思います。

 知的障害のある方の実態はまだ少ないとは思います。ただ、具体的な施策として、厚生労働省はチャレンジ雇用というのを今までもやってきていますから、チャレンジ雇用で、これは、公的部門における知的障害者の採用促進について、政府の障害対策推進本部において重要な課題とされたことを契機に、平成十七年から、一部の府省による職場体験実習、あるいは厚生労働省における具体的な取組を進めております。その経験、ノウハウを踏まえて、取組の推進策としてチャレンジ雇用、これは平成十九年から、成長力底上げ戦略の中でもチャレンジ雇用を拡大、推進すべしとされております。

 厚生労働省においては、やはり厚生労働省は障害者施策を所管していますから、障害者が活躍しやすい職場づくりを推進する、そして安定的な雇用環境を提供していく必要があると思います。

 先ほど委員が、具体的な施策ということで、チャレンジ雇用、基本的には、それぞれの状態像に応じて幅のある職務あるいは任用形態を設け、活躍の場を広げる、こういうことを基本にして、そして知的な障害の方にも、例えば障害者の状態像、これは、職務能力においても、障害のない者と変わらない者から定型的、簡易な業務でないと難しい者まで幅がありますから、勤務が可能な時間などにおいても、フルタイムが可能な者から短時間でないと難しい者まで幅広いので、ここは、特に基礎的な労働習慣などが身についていないなど一般就労が直ちに難しい層の方々についても、非常勤職員、これはチャレンジ雇用と言っていますが、積極的に採用、育成するということで取り組んできて、これからもこのような施策をしっかりと推し進めていきたいと思います。

岡本(充)委員 大臣、申しわけないけれども、答弁、何をされているか、いま一つよくわからないですよ。チャレンジ雇用というのはもう昔からやっているんですよ、それで結果がこれですよと言っているんです。

 障害者白書を見ると、きょうお配りしていませんけれども、身体障害者の方で十八歳以上の方、総数四百十九万四千人、そして知的障害者の方、十八歳以上、総数八十四万二千人という資料などもありまして、雇用の実態の割合ほど数に差がないという実態があるということは、やはり知的障害のある方の雇用が進んでいませんよということを言いたいんです。

 チャレンジ雇用だ、チャレンジ雇用だと言っても進んでいないんだから、新たな工夫をする必要があるんじゃないんですかと言っているんです、大臣。それを踏まえて、そういう意味では、ここで今すぐ答えられないでしょうからというちゃんと助け船も出しているんですから、しっかり検討してくださいよと言っているんです。

 いいですか。やっていただけますね。もう端的にそれだけでいいです。またチャレンジ雇用がどうのこうのという説明は結構です。どうですか。

根本国務大臣 しっかり検討します。

岡本(充)委員 その一言をぜひいただきたかったんです。お願いします。

 その上で、次、三問目。

 今回の水増しは本当に四千人なのか、ここがちょっと私は解せないんです。

 ちなみに、地方自治体、それから、それ以外でも、税金を使って運営をし決算を公表するなど公益性が高いと思われる団体、こういう団体でのいわゆる障害者雇用の実態はどうだったのか。今言ったような定義を地方自治体ほかなどと呼びたいと思いますけれども、こうした地方自治体などのいわゆる雇用の実態、法定雇用率に足りなかった人数は一体何人なのか、もし出ていないとすればいつまでに出るのか、お答えをいただきたいと思います。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、国の行政機関における採用予定数というものは、お示しをしていますように四千七十二・五人ということが採用計画としてまとめられているわけでございますが、これ以外に、今回の二十九年の任免状況通報報告の再点検を行った対象として、国の機関では立法、司法、それから都道府県の機関、市町村の機関、それと独立行政法人など、この範囲までやっております。

 それぞれに、再点検の結果として不足数が出ておりまして、具体的に申し上げますと、立法、司法機関が合わせて三百三十六人、都道府県の機関が六百四十七・五人、市町村の機関が千五百七十三人、都道府県等の教育委員会で二千四百四十七人、それから独立行政法人等ということで、これは、独立行政法人、それから国立大学法人、地方の独立行政法人が含まれていますが、ここで三百三十五・五人ということで、これらを合わせますと、国の行政機関以外での機関での不足数が、二十九年の六月一日時点で五千三百三十九人というふうになっているところでございます。

岡本(充)委員 そもそも、この障害者雇用というのは、雇用の促進に関する法律で計画を作成することを求めていますが、厚生労働省は、この三十八条に言うところの計画を作成した、この作成を受けて三十九条の一項で言うところの計画、実施状況の通報は受けていたんですか、受けていなかったんですか。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 計画の作成は、六月一日現在の状況から年内に不足が解消できない場合に、翌年一年間の計画をつくっていただくという形になっておりまして、これまでの経過の中で六月一日現在の状況が不足であると通報いただいていたところについては、今申し上げたルールの中で計画をつくっていただいたところには、私どもも通報をいただいていたという状況でございます。

岡本(充)委員 やはり、つくっていなかったり、場合によっては甘くカウントしていた、こういうことなんだろうと思います。

 ちょっと時間が限られていますので、外国人労働の話、一つだけちょっと聞いておきたいです。

 きょう、皆さんのお手元にお配りをしております資料で、本当に驚いたんですけれども、外国人の労働者の現状、特に技能実習生の状況について調査結果を、いわゆる書き写しなさいということで、データのベースとなる、いわゆる聴取票というのを二ページ目に添えています。

 今、一生懸命、野党の議員の皆さん、書き写していただいているわけで、私の手元にもこういう冊子になってあるわけですけれども、ここで言うところの月額給与というのは、額面の給料ということでよろしいんでしょうか。それから、給与から控除される金額、光熱費等ということが書いていますけれども、控除される金額にはさまざまな税金が入っていて、結果としてこれを引けば手取りの金額、こういう理解でよろしいですか。

佐々木政府参考人 お答えをいたします。

 この失踪技能実習生に係る聴取票でございますけれども、失踪した技能実習生から任意に聴取した情報を、違反調査に当たる入国警備官がありのままに記載をしているものでございます。その時点で調査をして、事実を確定しているというものではございません。

 その意味で、本件聴取票を作成するに当たりましては、聴取票の各項目ごとに問いかけを行う中で、お尋ねの月額給与や労働時間につきましても、その内訳ですとか詳細を定義して尋ねることはしておりませんで、その述べた内容をそのまま記録しているというものでございます。

岡本(充)委員 でも、問いかけるときに聞くでしょう。月額給与は幾らでしたかと言ったときに、何を答えればいいですかと聞かれたときに、何て答えるんですか。それも決まっていないんですか。

佐々木政府参考人 今申しましたように、月にお給料は幾らでしたか、ちょっと、現場現場で聞いておりますので、こういう聞き方をしなさいということで統一しているものではございませんけれども、月に幾らもらっていますかということで、返ってきた回答をそのまま記録しているものでございます。

岡本(充)委員 どう考えても、最低賃金以下の人たちはかなりいるわけですね、聴取票を見ると。これだけの低い賃金、最低賃金を下回るものについても、法務省は通報していないんでしょうかね。

 データを見ると、皆様のお手元にもお配りをしていますけれども、平成二十九年に入国管理機関から労働基準監督機関への通報は、わずか年間四十四件なんですね。おかしいと思っても通報しないんでしょうか。

 これだけ低い賃金であれば当然通報がなされるべきだし、厚生労働省もこのデータを見ることが今できるわけでありますから、これをもとにして、最低賃金以下で働いている実態があるのではないかということを私は指摘をしたいと思いますから、きょうは基準局長にも来ていただいていますから、これはしっかり調べていただきたいと思いますが、いかがですか。最後にそれを聞いて、終わります。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の聴取票の具体的な内容については承知していないため差し控えさせていただきますけれども、今も議員の方から御説明ありましたとおりの、この聴取票では、いろいろ、今も入管局の方からありました聞き取りの調査ということもございましたし、あるいは、失踪前の実習実施機関に関する情報も含まれていないというようなこともございます。

 私どもとしましては、出入国管理機関が調査されて基準法の違反の疑いが認められた場合には、今議員御指摘のこの通報制度というものがございますので、まず、この聴取票に記載されました実施機関に関する情報等を有しておられる出入国管理機関において、聴取票を端緒に鋭意調査を行っていただいて、その上で、違反の疑いがある場合には相互通報制度に基づいて厚労省に通報いただくということが適切で、私どもはその上でしっかり対応をしてまいりたいと考えます。

岡本(充)委員 違う違う。二問聞いているんです。

 法務省は、これだけ少ない、ちょっと質問を聞いてくださいよ、これだけ少ないわけですけれども、通報がなされていない。現に、割り戻したら時給が数百円という人がいるわけです。この状況の聴取票を見て、ああ、そうですかではなくて、これはしっかり、もちろん本国に帰った人もいるでしょうけれども、まだいる人もいるのかもしれません。しっかり、誰のお話なのか、これは個人名はわからないようになっていますけれども、法務省はわかっているはずです。どこで働いているのかもわかっているはずです。調査をして、最低賃金以下の労働があったのかどうかしっかり調べて、厚生労働省に、これは年間四十四件じゃ少な過ぎると私は思いますよ、きちっと調査をして、通報しますね。それについて法務省に答えていただきたい。

佐々木政府参考人 お答えします。

 これまでも、法務省におきまして、こうした調査により不適切な行為の端緒を把握した場合に、その情報の信憑性や確度も勘案しつつ、私どもでまず必要な調査を行った上で、労働基準監督署を含む関係機関への情報提供を行うこととしておりまして、今後、ますます積極的に行ってまいります。

岡本(充)委員 終わりますけれども、これはもう委員会で指摘しましたからね。おかしな数百円のがあるんですよ。ちゃんと調査をしていただきたいと思います。

 終わります。

冨岡委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 午前の障害者雇用水増し問題について参考人質疑と、またそれを受けたこれまでの質問でも、大変厳しい指摘が相次いだと思います。

 私は、先週この委員会で質疑をしたように、やはり、徹底究明を行うべきだ、また、当事者参加で知恵を出し合い、障害者にとって働きよい職場はやはりよい職場なんだと、そういう職場をつくるために頑張っていきたいし、政府もそういう立場で頑張っていただきたいということを最初にお話ししたいと思います。

 それで、きょうはこの間残した質問から始めたいと思うんですけれども、実は、その一週間の間に、人事院のホームページに、採用計画、十二月三日から募集が始まる統一試験の採用予定数が公表されました。それが、六百七十六人。十二月末までで八百十八人、千二百七人ということを聞いております。

 それで、先ほど来、四千人という話が出ているわけですけれども、今年度と来年度で達成する予定の採用計画に照らすと、今の数字との関係ですね、つまり、非常勤職員はどのくらいになって、常勤職員はどのくらいなのかということをまず聞きたいのと、今いる非常勤職員をリストラして置きかえるというのでは全然意味がないわけで、その点どうなのか、伺います。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話がありました、常勤職員としての採用か非常勤職員としての採用かということにつきましては、基本方針にも載せております採用計画のもとでどういうふうに考えているかを各府省に問合せをいたしました。問合せをいたしました結果、二つの期に分かれますけれども、来年の一月から三月までの間において採用する分については、常勤が三百八十九人、非常勤が千百二十五・五人、それから四月から十二月までの間については、常勤職員が八百十八人、非常勤職員が二千二十一人というふうに承知をしておるところでございます。

 なお、今申し上げた数の合計数が基本方針に載っている採用計画の合計数と一致しない点がございますが、これはステップアップ制度を活用して常勤に移る数も含んでいる、その部分が一種ダブル計上になっているという点があるためでございます。

 非常勤職員の置きかえにならないか、そういうお話についてでございますけれども、まず、基本方針の中では、各府省は、個々の障害者の方がその障害の内容及び程度に応じて能力を発揮できる具体的な職域、職種、業務を把握して、その用意を行うというふうに記載をしているところでございまして、各府省において、この取組を進める中で、新たに採用する職員とこれまでの業務体制における職員との業務の分担について検討していただく、こういうことになるのではないかというふうに思っております。

 その検討の結果として、必要となる定員あるいは予算については、基本方針においても、施策の推進に必要となる定員及び予算について適切に措置するものとするというふうに記載しているところでございます。

高橋(千)委員 今、後半のところは、基本方針の中に、いわゆる定数にかかわるところがやはりきちっと、配慮するということは書かれているんだけれども、今、分担とおっしゃったですよね。それはつまり、結果として置きかえになっちゃったけれども分担だという意味なのか、そうではないという意味なのか、ちょっと今よくわからなかったので、もう一回。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 もともと、今回の取組を進める中では、障害をお持ちの方を採用するに当たって、具体的にどういう業務を担っていただくかということについて、具体的なそういう業務の選定を各府省においてしっかりやるということになっているわけでございます。その業務の選定を進めていく中において、これまでの業務体制でこなしてきている業務、その業務は常勤の職員が担っているものもあると思いますし、非常勤の方の担っている業務もあると思います。そういう業務から切り出してくるというようなことが行われる中で、そういう既存の体制の中での担っていただいている業務との分担を適切に御判断を、各府省においてしていただくということではないかというふうに考えているところでございます。

高橋(千)委員 つまり、一人でやっていた仕事を一定補助的にお手伝いする場合もあるし、二人が必要よという場合もあるという趣旨で受け取ってよろしいでしょうか。よろしいですよね。時間がないので簡潔に、はいとか。

土屋政府参考人 業務の選定の具体的な検討の中で、そういう場合もあり得るというふうに考えております。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 私、それが正しいと思うんですよ。というのは、さっきから議論されているように、四千人を一遍に二年間でふやす必要はないと思っています。ただし、その四千人を、先ほど来大臣は、どうしても法律だからと言っている。だけれども、そのために今いる人を切られてはいけないんだし、もともと働き方改革でもあるんだから、必要な仕事を分担し合っても、本来それで普通くらいになるんだというのじゃなければならないし、あるいは、今まで健常者がやっていた仕事を、障害者を雇用することで、何か時間的に健常者の仕事がふえちゃったとか負担になっちゃった、そういうこともまずいと思うんですよね。

 お互いに、要するに、今最初に言ったように、障害者にとっても無理がない仕事なんだけれども、それが、そうじゃない人であっても負担がかからないという仕組みになっていかなくちゃいけないんだと思います。

 そういう意味で、定数についても配慮するの中身なんですけれども、当然、一定上乗せしなければ、ふやすと言っている以上は定数もきちんと上乗せをして確保するんだという立場に立っていただきたいと思うんですが、これは内閣府の方に質問します。

長屋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、今後、各府省で採用計画に基づく採用が本格的に行われるということになるわけでございますけれども、採用に当たって常勤で採用する場合、定員措置が必要だということになりましたら、障害者の方々に安定的な雇用環境を提供するということから、適切に定員措置をしてまいりたいと考えているところでございます。

 あわせて、委員御指摘のように、障害を持つ職員の支援の方のあり方についてでございますけれども、障害者にとって働きやすい職場環境づくり、あるいは障害特性に応じた雇用管理といった観点がございまして、これは、定員面のみならず幅広い観点から、まずは検討を要する課題であると考えておるところでございますけれども、特に定員面からの考え方について申し上げますと、個々の障害者の障害の内容や程度に応じて、能力を発揮できる具体的な職域とか業務などはさまざまでございますし、これらに応じて、支援する側の職員の業務内容も異なってまいりますので、現段階で具体的な支援の業務内容を特定するというのはなかなか容易ではないと考えております。

 ただ、今後、各府省が採用計画を実施していく、実施に移していく中で、現場の具体的なニーズがどのようなものがあるのか、こういったことを丁寧に伺いながら、対応の要否を検討していきたい、このように考えているところでございます。

高橋(千)委員 そこで、大臣に伺いたいと思います。

 これまで、障害者雇用ではなく雇用促進法なんだけれども、実際は、先ほど来議論されているように、雇用率を達成するために、不足分の穴埋めのために採用するのではなくて、今いる職員の中から対象者を掘り起こしてきたにすぎない、それが本来の障害者とカウントできない人までいたという事態になっていたわけですよね。

 ですから、その反省に立って、やはり、その陰には、大変悔しい思いをしてきた人たち、挑戦をしたけれども、何度挑戦しても採用されなかった人たちもいるんだ、そこに思いをはせながら、望む人に採用のチャンスを広げることと、その後の定着についてもきちんとフォローしていただきたい。これを一言でお願いします。

根本国務大臣 高橋委員がおっしゃるように、望む人に採用のチャンスを広げる、そして定着についてきちんとフォローする、私は本当に大事なことだと思います。

 今回、国の行政機関の多くで障害者の不適切な計上によって法定雇用率を達成しない状況にあったこと、これは私も、ゆゆしい事態で、そして真摯に重く受けとめております。

 厚生労働省としては、障害者の方の希望や障害特性を踏まえて、就職促進や職場定着を推進するために、現在就職が実現していないハローワークの求職者、障害者就労支援機関の利用者、特別支援学校の卒業生などに対して、ハローワークと関係機関との連携により、障害者御本人の希望に沿って、これまで以上にきめ細かな職業相談、職業紹介などのサービスを行っていくこととしています。

 そして、障害者が活躍できる職場づくり、これは、採用した障害者の職場定着を図る取組も大変重要であります。基本方針に基づいて、障害者本人からの相談を受ける相談員を職員の中から選任して配置する、そして個々の障害者をサポートする支援者の配置、委嘱などの環境整備を図ることとしています。

 しっかり定着のフォローアップをしていきたいと思います。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 実は、定着、ちゃんと見ていっていない、今まではそうだったので、これを機会にしっかりお願いしたいと思います。

 それで次に、外国人労働者の、きょうは介護の問題で質問をします。

 資料の二枚目に、介護に従事する外国人の受入れということで、今までの、これからのではなく、今までどういう形態があったかというので、三つの表を示しています。

 EPA、これはインドネシア、フィリピン、ベトナムの人たちが今入ってきている。それから、在留資格「介護」、これはまだ平成二十九年九月一日からです。それから、介護職種の技能実習、これは昨年の十一月一日から、本当に始まったばかりなんですね。

 それで、まず伺いたいのは、技能実習の介護、始まってから何人の受入れ計画が出されて、現在、何人が実習に入ったのか、その数字だけお願いします。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 介護の技能実習は、議員御指摘のとおり、昨年十一月に開始されましたけれども、平成三十年十月三十一日現在の数字を申し上げますと、介護職種の技能実習の計画申請数は九百八十六件。一件が一人でございます。あと、機構に認定された数は四百七十二件でございます。そのうち二百四十七人が入国されていると承知しております。

高橋(千)委員 先日聞いたときは六百件と言っていたのがもう九百八十六件ということで、やはり、技能実習を、いわゆる施設の側では、待っていたという感じになっているのかしらという気がいたします。

 それもそのはずで、資料の三枚目を見ていただきたいんですけれども、介護福祉士養成施設の定員等の推移というのがあります。これは平成二十六年度から五年間を見ているんですが、一目瞭然です。入学定員数が減っている。入学者数も減っている。定員は二千五百三十五人減っています。入学者は三千五百三十六人減っています。それに対して、外国人留学生は十七人から千百四十二人、六十七倍になっているんですね。ですから、出発したときは〇・二%だったのが、今は一六・七%までいる。

 だから、さっき、もう既に、これから受け入れる人は一七%ぐらいというお話があったと思うんですけれども、これから育っていく人が、一六・七%は外国人留学生に頼って、そういう状態であるということなんですよね。これは本当に大丈夫なんだろうかということを思うわけです。

 それで、伺いますけれども、今、介護の仕事、資料の四枚目にあるんですけれども、技能実習生の、シルバーサービス振興会が出しているパンフレットの中で、移転の対象となる技能とはというふうにあって、介護の仕事には、必須業務、身支度の介護とか移動の介護とか食事の介護とか、そして関連業務、掃除、洗濯、調理、機能訓練の補助、周辺業務、安全衛生業務、こういうのがありますと言っています。

 それで、実習生はこの中のどこまで、入ったばかりの人がですよ、何ができるのか。それから、夜勤についてはどうなっているのか。お答えください。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 技能実習生が行う介護の業務についてのお尋ねですけれども、訪問系サービスはできないということで除かれますけれども、基本的に介護職員が行う介護と同じでございますので、今議員が御指摘になった業務全般ということになります。

 あと、議員から夜勤業務についてお尋ねがありましたけれども、利用者の安全を確保して、実習生を保護するための措置を講じている場合に限り可能でございまして、心身両面への負担が大きいことを考慮いたしまして、技能実習生以外の介護職員を指導に必要な範囲で同時に配置する等の対応を必要とする、そういった場合に夜勤業務が可能としているところでございます。

高橋(千)委員 在留資格「介護」を入れるときに、私は、夜勤はどうなるんですか、一番言葉が壁になっているのに一人でやらせるんですかという質問をしました。それが、今お答えになったように、指導的な人がついていればと。いかにも手とり足とりそばにいるように聞こえますけれども、それが最初だけで、一年のうちに、もう既にひとり立ちすると聞いています。そこを確認したいのと、今紹介したパンフレットの中に、こういうふうに書いているんですね。技能実習生が配置される事業所と同一敷地内で一体的に運営されている事業所がある場合は、一体的に運営されている事業所に技能実習生以外の介護職員を同時に配置する体制とすることも可能であると。

 つまり、一緒にいるわけじゃないんですよ。同一敷地内だけれども隣の施設かもしれない。そこに日本人の介護職員がいれば、それでも入ったばかりの実習生に夜勤を一人でやらせることができる、そういう考えですよね。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 技能実習生の特に一年目の業務でございますけれども、我々の考え方は、一年目では、指示のもとであれば決められた手順等に従って基本的な介護を実践できるレベルを、到達すべき水準として技能実習を受けるということでございまして、繰り返しになりますけれども、夜勤につきましては、技能実習生以外の介護職員を指導に必要な範囲内で同時に配置する等の対応を必要としているところでございます。

 特に、業界内のガイドラインの中では、一年目ではなくて、夜勤業務等を行わせるのは二年目以降の技能実習生に限定するということも考えられるといったことがガイドラインに書かれているところでございます。

高橋(千)委員 今、語尾が薄かったでしょう。一年目はやらせないことも考えられると言っているだけであって、施設として、そういうふうに、やはり最初は無理かなと思うんだったら無理させないで二人でやりなさいと言っているだけで、一人でやってもいい、それは裏返すとそういう意味なんですよ。本当にそれで、利用者さんの安全や、それから実習生にとってちゃんとしたスキルを学ぶ場になるのかということをやはり指摘をしなければならないと思っております。

 そこで、資料の最後のページなんですけれども、技能実習の二号と特定技能一号は技術の程度が同程度だと言われています。卒業すれば、二号まで終えれば特定技能一号になれると聞いていますから、試験が必要ないと聞いています。

 そうすると、何人かこれまでも質問されたと思うんですが、法務省にもう一度伺います。技能移転という名目の実習生と、人材不足というのを明確に打ち出している特定技能一号の労働者、でもこれは同じ人なんですよね、同じ人がスライドするのに、一体どこに線引きがあるんでしょうか。

佐々木政府参考人 委員御指摘のように、特定技能一号の在留資格は、一定の技能水準を要求するものでございます。そして、技能実習を終えた方は、一定の技能水準、日本語能力も含めてでございますけれども、これを満たしているとみなすものでございます。

 ただ、在留資格「特定技能」による就労目的の在留の後には、技能実習制度等で培った技術、技能、知識を本国に持ち帰り、その後、本国で必要な技能移転を行っていただくことになるので、技能実習制度の趣旨と矛盾するものではないと考えております。

高橋(千)委員 それはちょっと考えられないですよね。だって、最大五年と言っているわけですよね、上限、特定技能一号は。五年間は人手不足対策なんだけれども、もしかして特定技能二号に行けたら、これはまた本国に帰って技能移転もできるからって、急にまた目的が違う。それも同じ人だと。そんな法律ってありますか。おかしくないですか。

佐々木政府参考人 御指摘のように、特定技能の在留資格と技能実習制度は、目的、趣旨を異にするものでございます。

 技能実習で一定の技能を身につけられた方が、特定技能の即戦力として、いわばもう一活躍、日本でしていただき、その後に本国に帰っていただいて、まさに技能実習制度の趣旨である技能移転をしていただくということを想定しているものでございます。

 なお、特定技能二号に行ったら、もうそのまま日本にずっといらっしゃるのではないかという御指摘もいただいておりますけれども、御指摘のような場合には、特定技能一号から特定技能二号に在留資格を変更するに際して、一旦帰国をして、何らかの形で技能移転を図っていただくことを検討しています。

高橋(千)委員 一旦帰国してね。技能実習も、三号になるときに一旦帰国しなきゃいけないというふうになっているんですよね。今回、三号になれなかったビルクリーニング、これも厚労省の所管ですけれども、これが特定技能一号になると。

 だから、結局、自分たちの都合のいいように仕切りをつくっているんですよ。本音と建前が違い過ぎます。そのはざまの中で、本当に真面目に働いてきた外国人の皆さんが大変な思いをしているということが今問われているわけであって、もっと聞きたいことがあったんですが、残念ながら時間が来ましたので、引き続いて連合審査などやっていくことをお願いをして、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。

 本日は、参考人質疑をさせていただきまして、大変どうもありがとうございました。非常に有意義な回答をいただきました。特に、合理的配慮という、障害者の方が来ていただくためには、個々の労働環境というのを非常に注意しなきゃいけないということもわかりましたし、また、非常に大きな問題としては、今回、水増し問題で、四千人以上の就労を一挙にやるということになると、民間の障害者の引き抜きというもの、あるいは辞職という形で民間企業から流出してしまうんじゃないかというのを民間の方が大変気にしていらっしゃったというようなこともあります。

 これは、本当にこちらの役所の問題で水増しということが起きたということを解決するときに、一生懸命障害者を雇用し、そして環境を整え、就労をしてもらってきた民間企業に迷惑をかけては絶対いけないと思いますので、その点を十分配慮しながら、今回の水増し問題を解決していくということを強くお願いをしたいと思っております。

 そこで、この水増し問題、なぜ見抜けなかったのか、端的にお答えをいただきたいと思います。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、制度の所管としての職業安定局も今回の検証の対象になっているわけでございますが、その検証委員会の報告書において、私どもの側の根本的な問題として、制度を所管する官庁であるにもかかわらず、国の行政機関における障害者雇用の実態に関する関心そのものが低かったと言わざるを得ないというふうに御指摘をいただいているところでございます。

 具体的には、民間企業に対する指導に重点が置かれている中で、国の行政機関については、自主的に適切な対応がなされるであろうという期待があったせいか、毎年の実雇用率の把握は行うものの、各機関の実雇用率が法定雇用率を超えていれば、それ以上に、適切に対象障害者が雇用されているのか、計上されているのかなどの実態把握を行うことについてはほとんど視野に入っていなかったというふうに御指摘をいただいておりまして、このことを大変重く受けとめさせていただいているところでございます。

串田委員 今の回答にもありましたように、実態把握がされていない。要するに、行政機関の報告をしている数字だとか、報告をうのみにしてやってきたというのが一番の大きな問題だと思います。

 そういう意味で、行政文書に対する信頼が前回の通常国会で大変問題になって、気を引き締めて、これは、議院内閣制ということもあって、大島議長もおっしゃっていらっしゃいましたが、行政文書に対する信頼というものを一番に求めていかなければならないということで通常国会を閉め、そして、次の国会がこの臨時国会だったわけでございます。

 そして、出てきたのが今回の技能実習生の数値、そしてそれに対するサマリーといいますか要約、これが間違っていたということが明らかになったわけでございまして、大変残念なことでございます。

 そして、今、現状が把握できなかったということは、要するに実態が把握できなかったということでございますので、この実態は何で把握できるのかというと、もう技能実習生の皆さんはお帰りになられているわけですから、その方々が書かれた聴取票というものを見るしかないわけですね。それが今、非常に見にくくなっているという現状がある中で、どうやって実態を把握していいのか。これは労働問題としては厚労省が一番本当は気を使わなければいけない状況の中で、実態が把握できないこの状況、大臣、いかがお考えでしょうか。

根本国務大臣 技能実習制度は、一部の監理団体や受入れ企業において、関係法令違反や旅券の取上げなどの人権侵害行為、さまざまな問題が見られるとの指摘を受けてきたところであって、技能実習生の現状把握を行うこと、大変重要だと認識しています。

串田委員 今、与野党が、各政党が皆さん合意をしたということで、一応委員長の部屋から持ち出さないで見るという約束事でありますので、これはもうみんなが決めたことですから、これはそういうルールにのっとって見ていくというしかないんです。

 ただ、そういう中で明らかになってきているのは、最低賃金をかなり下回る技能実習生というものがたくさんいる。それが、これまでは、より高い賃金を求めて失踪したという集計になっていて、平成二十七年からこれまで、国会で十九回、いろいろな国会議員が質問をしている。その質問の理由というのは、なぜ失踪しているのか、失踪の数が、二千人から始まって、今、七千人台までどんどんどんどんふえ続けているわけですから、どうやって失踪の数を減らそうかということで、それは国会議員が質問します。

 そうすると、実態が出てこないで、より高い賃金を求めていくんだという、まるで失踪者が欲望のもとに失踪していくというような説明しかあり得ませんから、ですから、これは、もう逃げた人間を見つけるしかないんだという発想しか出てこないんです。なぜ逃げたのかという根本原因というものが、実態がわからない状況になってしまっているので、失踪者の数がふえ続けているんですよ。

 そして、今、その技能実習生を、今回は特定技能一号というものに入るということになると、一番問題なのは、今そこで働いている日本人が、非常に安い賃金で我慢して働いている外国人がやってくることによって駆逐されるんじゃないかということを一番やはり恐れているし、やはり日本人として、どういうような労働環境になるのかということは一番私は心配していると思うんです。

 そういう意味で、技能実習制度というものの今の環境というものをしっかりと把握し、それを改善してから初めて、今、日本人がたくさん働いている職場に外国人が来てもらうというようなことをしていかないと、このまま流入させてしまえば、これは国内の労働環境が悪くなっていくだけだと思うんですが、この点についての大臣の認識はいかがでしょうか。

根本国務大臣 委員御指摘のように、技能実習生についてさまざまな問題が指摘されました。

 昨年の十一月に、委員御案内だと思いますが、いろいろな問題があったものですから、監理団体の許可制や技能実習計画の認定制の導入、あるいは技能実習生に対する人権侵害行為の禁止規定や罰則規定の整備、あるいは技能実習生からの相談体制の整備、これは技能実習機構がやる、技能実習機構による監理団体、実習実施者に対する実地検査の実施により制度の適正化を行っているところであります。

 この新たな技能実習制度の検証については、さらなる実績の蓄積が必要ではないかと思います。

串田委員 そういう意味で、これから地方自治体が非常に苦労していくんだと思います。労働基準監督署にもいろいろな問題が出てくると思うんです。

 この聴取票というのは、国会の中で、附帯決議等で、やはり技能実習制度を導入するに当たっては、現状を把握していかなければならないということで設けられたと私は聞いているんですが、いろいろな項目があるんです。例えば、出国の前に幾らと約束をされていたのが、現実には幾らで、そして控除額は幾らでというのをきめ細かく書かれているわけですね。

 こういうようなものが、サマリーになると、より高い賃金を求めて失踪してということになると、これは実態把握できないんですが、厚労省として、この聴取票というのをどのように今後活用されていくのか。これは、前の聴取票、そして新法に変わりました技能実習制度、これらのアンケート調査というのを、しっかりと細かくこれからは吟味していくのか、それとも、これは全部入管任せにしていくのかということをお聞きしたいと思います。

吉本政府参考人 お答え申し上げます。

 失踪に至ったケースについては、入管局の方で聴取票による聞き取りを行うわけでございますが、その内容によりましては、労働法令違反であったり、あるいは、もともとの認定の対象となった計画の中身と異なっていたりといったようなことがあろうかと思います。

 それにつきましては、新たな技能実習法に基づきまして適正に実施していただきますように、実地検査を通して適正化を図っていきたいというふうに考えているところでございます。

串田委員 せっかくアンケート調査をしているんですから、それを厚労省が活用していくというような制度というものをぜひ設けていただきたいと思うんです。

 もう一つ、今回の入管法に関して、特定技能一号ということで、相当程度の知識又は経験を要する技能というようなことになっているんですが、農業の件についてお聞きします。

 農業と漁業をお聞きしたいと思うんですが、きょう来ていただいているんですけれども、これはどういうふうにしてその線引きというものを考えていったらいいでしょうか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お尋ねの単純労働というような言葉はさまざまな文脈で用いられており、具体的な例示も含めて一概にお答えすることは困難であり、これを区分けすることは行っておりません。

 その上で、今回の新たな受入れ制度は、深刻な人手不足に対応するため、即戦力として活動するために必要な知識又は経験を有する外国人に限って、特定技能一号として受け入れるものと認識しているところでございます。

串田委員 政府の発表の中で、今、農業というものがこの入管法にまつわって出てきているんですが、五年後に人手不足の数が十三万人になるということが農業として発表されています。これには単純作業も入っているという回答をいただいているんです。そして、この五年後の十三万人に対して外国人は何人必要なのかというと、三万九千人という発表をしている。

 じゃ、なぜ十三万人から三万九千人になるかというと、生産性向上が一万一千、そして国内人材の確保が八万。これは、五年後の十三万人から生産性向上と国内人材の確保を引いた数が三万九千で、外国人の見込みとぴったり合っているんですよ。これは何を意味しているかというと、単純作業で人手不足というものから、生産性向上と国内人材だけで単純作業は全て消化し切って、最後の残りの特定技能一号の要求する相当程度の知識あるいは経験による技能、この業種だけが残るということなんですけれども、そういうふうに考えてよろしいんでしょうか。

上田政府参考人 計算の考え方については、今先生が御説明いただいた考え方に基づいているところでございます。

 そういった中で、農業については、単純労働という言葉を具体的に例示することは、一概にお答えすることは困難であり、これを区分することを行わずに今のような計算を行っているということでございます。

串田委員 そうしますと、要するに、単純労働と相当程度の知識や技能というものは分けられない、そして、五年後の農業の人口不足の十三万人から国内と生産性向上を差し引いた分を外国人に来てもらう、こういう理解でよろしいですか、分けられないんですから。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますが、区分けを行っていることはありません。

串田委員 今の私の説明でいいということでよろしいんですか。

 十三万人の中には、相当程度の知識や技能が必要のないものも入っているんですよね。そうですよね。そこから生産性向上と国内人材を差し引いた分を外国人が補う。だから、外国人が補う前で全ての単純作業が消化し切れるわけではないし、日本人がもちろん相当程度の知識や技能の職業につくこともあるから、要は労働人口が足りない分を外国人が補う、そういう制度だという理解でよろしいですか。

上田政府参考人 繰り返しになって大変恐縮ですが、今まで答弁したとおり、私どもとしては、深刻な人手不足に対応するために、即戦力として活動するために必要な外国人に限って技能として受け入れさせていただく中で計算をさせていただいているということでございます。(発言する者あり)

串田委員 そうなんですよ。単純な質問をさせていただいているので、十三万人の中には単純作業も入っているわけですよね。そして、生産性向上と国内人材で賄っても足りない分を外国人を入れてもらうという計算式ですよね。これは全部引き算するとゼロになるわけですから。そうすると、外国人がやる中には単純作業も入りますよね。いかがですか。

上田政府参考人 申しわけございません。

 区分けできないということで、入るということでございます。

串田委員 言っちゃいましたよ。要するに、入管法は特定技能一号だけじゃないじゃないですか、この要件で。単純作業も入っているということですね。

 そして、この全十四業種は、全部計算するとゼロに近いものばかりなんですよ。例えば、漁業に関しては二万人、これは五年後は二万人なんですが、生産性向上は四千人、国内人材は七千人、足すと一万一千で、二万から一万一千を引くと九千人。九千人と書いてあるじゃないですか。

 要するに、単純作業も全部ひっくるめて外国人に労働不足を全部補ってもらうという政策であって、それが今度は二号に移って、移民政策そのものなんですよ。移民政策ではないというのは、この特定技能の一号という要件が加わっているから移民政策ではないというのが安倍総理の答えですから。単純作業も入っている、これは安倍総理の回答と異なっています。

佐々木政府参考人 今回、あくまでも特定技能一号につきましては、一定の専門性、技能を持った方ということで、いわば技能水準、日本語も含めましてハードルを置くわけでございます。

 先ほど来委員の御指摘の、単純労働という言葉の定義はいろいろございますけれども、そこについては、技能、技術を持たない方については今回の特定技能の対象ではないので、先ほど来委員のおっしゃられている計算式でいいますと、専門的、技術的分野でない人手不足の分については、生産性向上かあるいは国内人材確保の部分で吸収をしていただくというものでございます。(発言する者あり)

冨岡委員長 お静かに。

串田委員 大体、そんなことできるわけないですよ。現実的でないし、そもそも、省庁がそうじゃないと言っているんですから、入管が幾らそんなことを言ったって、省庁自身が単純作業も入れていると言っているんですから、この制度自体の説明が間違っているということを指摘させていただいて、終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五分散会


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