衆議院

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第11号 平成31年4月19日(金曜日)

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平成三十一年四月十九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 冨岡  勉君

   理事 大串 正樹君 理事 小泉進次郎君

   理事 後藤 茂之君 理事 田畑 裕明君

   理事 橋本  岳君 理事 西村智奈美君

   理事 大西 健介君 理事 高木美智代君

      安藤 高夫君    池田 道孝君

      上野 宏史君    大岡 敏孝君

      加藤 鮎子君    神山 佐市君

      木村 哲也君    木村 弥生君

      国光あやの君    熊田 裕通君

      小林 鷹之君    後藤田正純君

      佐々木 紀君    佐藤 明男君

      塩崎 恭久君    繁本  護君

      新谷 正義君    田村 憲久君

      高橋ひなこ君    武井 俊輔君

      中曽根康隆君    船橋 利実君

      堀内 詔子君    三ッ林裕巳君

      山田 美樹君    渡辺 孝一君

      阿部 知子君    池田 真紀君

      尾辻かな子君    大河原雅子君

      吉田 統彦君    稲富 修二君

      岡本 充功君    白石 洋一君

      古屋 範子君    桝屋 敬悟君

      鰐淵 洋子君    高橋千鶴子君

      串田 誠一君    中島 克仁君

      柿沢 未途君

    …………………………………

   議員           尾辻かな子君

   議員           西村智奈美君

   議員           岡本 充功君

   議員           大西 健介君

   厚生労働大臣       根本  匠君

   財務副大臣       うえの賢一郎君

   文部科学副大臣      浮島 智子君

   厚生労働副大臣      高階恵美子君

   内閣府大臣政務官     舞立 昇治君

   総務大臣政務官      古賀友一郎君

   厚生労働大臣政務官    上野 宏史君

   厚生労働大臣政務官    新谷 正義君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局内閣審議官)         古澤 ゆり君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局審議官)          三田 顕寛君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 渡邉  清君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            池永 肇恵君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          大村 慎一君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 筒井 健夫君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 保坂 和人君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           玉上  晃君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  吉田  学君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            坂口  卓君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         小林 洋司君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  大島 一博君

   政府参考人

   (厚生労働省人材開発統括官)           吉本 明子君

   厚生労働委員会専門員   吉川美由紀君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十九日

 辞任         補欠選任

  安藤 高夫君     神山 佐市君

  大岡 敏孝君     池田 道孝君

  木村 哲也君     中曽根康隆君

  木村 弥生君     加藤 鮎子君

  丹羽 秀樹君     熊田 裕通君

  阿部 知子君     大河原雅子君

  桝屋 敬悟君     古屋 範子君

  丸山 穂高君     串田 誠一君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     武井 俊輔君

  加藤 鮎子君     木村 弥生君

  神山 佐市君     安藤 高夫君

  熊田 裕通君     佐々木 紀君

  中曽根康隆君     木村 哲也君

  大河原雅子君     阿部 知子君

  古屋 範子君     桝屋 敬悟君

  串田 誠一君     丸山 穂高君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     丹羽 秀樹君

  武井 俊輔君     大岡 敏孝君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)

 業務等における性的加害言動の禁止等に関する法律案(西村智奈美君外五名提出、衆法第二号)

 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の一部を改正する法律案(岡本充功君外五名提出、衆法第三号)

 労働安全衛生法の一部を改正する法律案(西村智奈美君外五名提出、衆法第四号)


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     ――――◇―――――

冨岡委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案、西村智奈美君外五名提出、業務等における性的加害言動の禁止等に関する法律案、岡本充功君外五名提出、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の一部を改正する法律案及び西村智奈美君外五名提出、労働安全衛生法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣人事局内閣審議官古澤ゆり君、人事院事務総局人材局審議官三田顕寛君、内閣府大臣官房審議官渡邉清君、男女共同参画局長池永肇恵君、総務省自治行政局公務員部長大村慎一君、法務省大臣官房審議官筒井健夫君、大臣官房審議官保坂和人君、文部科学省大臣官房審議官玉上晃君、厚生労働省医政局長吉田学君、労働基準局長坂口卓君、雇用環境・均等局長小林洋司君、子ども家庭局長浜谷浩樹君、老健局長大島一博君、人材開発統括官吉本明子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

冨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。阿部知子君。

阿部委員 立憲民主党・無所属フォーラムの阿部知子です。

 まず冒頭、きょうは私の質疑時間を公明党の古屋範子委員とおかえをいただきました。文部科学副大臣への御答弁を求めて、そのお時間との調整の結果ですが、古屋議員には厚く御礼を申し上げます。

 さて、早速ですが質問に入らせていただきます。

 せんだっての質問、特に私はハラスメント関係で質疑をさせていただき、その残る部分についてきょうは始めさせていただきます。

 まず冒頭、根本厚生労働大臣に伺います。

 今回、ハラスメントに関するさまざまな法律の改正にあって、ハラスメント等、各産業分野ごとの調査、特性も含めた、どんな分野でどんなハラスメントが起こりやすいかなどについて、この法案の提出に先立って調査なさったことがおありかどうか、一問目、お願いいたします。

根本国務大臣 ハラスメントの実態を把握して施策に生かす、これは非常に重要だと認識しております。

 今委員のお話の産業別、業種別のハラスメントの実態、これは、全体的な調査としては、厚生労働省の雇用均等基本調査において、企業のセクハラ防止対策に関する取組状況を調査しております。例えば平成二十九年度の調査結果によれば、製造業で六七・三%、小売業で五九・五%などで、医療、福祉で八五・二%がセクハラ防止対策に取り組んでいるという調査が一つあります。

 また、独立行政法人労働政策研究・研修機構において、女性の従業員が受けたセクハラ被害の実態について調査をしています。これは、例えば製造業の従業員で三七・五%、小売業で三一・八、医療、福祉の従業員で二一・五%が何らかのセクハラを受けたと回答をしております。

 さらに、介護現場におけるハラスメントについては、昨年度の調査研究事業において、その実態や介護事業者の取組状況の調査を実施し、事業向けのマニュアルを作成しております。

 加えて、平成三十一年度厚生労働科学特別研究事業において、看護師などが受ける暴力、ハラスメントに対する実態調査とそれを踏まえた医療機関におけるマニュアルの作成指針について研究を進めていく予定であります。

 こういう実態調査で把握した実態も踏まえて、今回提出した法案を作成したものであります。

阿部委員 今の大臣の御答弁は、実態を踏まえてとおっしゃいましたが、なかなかそのような分析にはなっておらないかなと思います。

 実は、このハラスメント、ヨーロッパでは、主にモラルハラスメントという人権への侵害という観点で、この調査は約四分の一世紀、二十五年ほど前から続いておりまして、産業別、業種別の特性というのも調査をされております。例えば、行政と国防などの分野に多い、日本でも自衛隊は多うございます。それから教育、ここでも多い。そして健康、医療、介護、流通などでは他業種よりもハラスメントの比率が高いなどの特性も踏まえた上での、トータルでハラスメントを防止するという法体系をとってございます。せんだっても指摘をさせていただきました。

 今、大臣は、平成三十年に介護現場におけるハラスメントにおける調査研究、あるいは、これから看護師さんの受ける暴力、ハラスメントに関する実態調査ということをなさると御答弁でありましたが、この二つを特に今なさろうとする背景、ニーズなどについてお答えをいただきたいと思います。

根本国務大臣 これからの高齢化のさらなる進展、あるいは現役世代が急速に減少していく、こうした中で、医療や介護で働く人材を安定的に確保していくことは重要だと考えています。そのためには、誰もが安心して活躍できる就業環境の整備は大変重要な課題だと考えています。

 一方で、医療や介護の現場では、利用者や家族などによる職員へのハラスメントが少なからず発生しているという指摘があります。このような実態を把握して対策を講じていくことが必要だと考えています。

 このような認識のもとで、まず、介護の分野に関して、昨年度、介護現場におけるハラスメントの実態、例えば、これまで利用者から身体的暴力や精神的暴力、セクシュアルハラスメントなどのハラスメントを受けた経験のある職員が四割から七割、ハラスメントの発生を把握している事業主は三割から五割という実態を調査いたしました。そして、介護事業者の取組状況の把握もいたしました。これを踏まえた上での対策マニュアルの作成を行うために、調査研究事業を実施したところであります。

 加えて、医療機関におけるハラスメントについては、平成三十一年度の研究事業において、看護職員が受ける暴力、ハラスメントに関する実態や医療機関の取組状況の把握、これを踏まえた医療機関における対策マニュアルの作成について研究を進めていく予定です。

阿部委員 今大臣が御指摘の介護や医療現場、高齢化が進んでますます人材が必要となって、安定的にお仕事をしていただく必要がある、人材確保も重要だということで、また現場からのハラスメントの訴えというものも多いということも理由に挙げられました。

 私はここでぜひ大臣にもう一つ指摘をしておきたいんですけれども、介護や医療現場というのは、そもそも、患者さんや弱い立場に対して、働く側がある意味の母性を持って弱い者を守っていかなきゃいけないという立場に立たされる、ある種の厳しい感情労働であります。ここがまたハラスメントの起こりやすさとも関係をいたしております。

 せんだっての質疑で、木村弥生委員が質疑の中で看護師さんの問題も挙げられましたが、介護も同じであります。やはり、ニーズに沿ってさしあげたいと思う気持ちと、しかしながら、いろいろな要求が来て、特にセクシュアルハラスメントについては非常に多く、厳しいものがございます。

 必ず、ハラスメントの起こるところは、単に職場の安定だけではなくて、ヒューマン、人間感情が加わって起きているという部分もしっかり分析をしていかないと、我慢をしてしまうということもあります、言い出しづらいということもあります、ここの機微にわたる調査も含めないと本当の防止にはならないということを、私から一つ指摘させていただきたいと思います。

 そして、今大臣が御紹介にありました介護現場におけるハラスメント調査の結果について、少し質疑をさせていただきます。

 お手元の資料一枚目でございますが、これは、最近、村木厚子さんが中心となって研究調査をなさってくださった、約一万カ所の介護の現場に対してのアンケート調査、そしてそこで働く職員へのアンケート調査でございます。

 一万カ所といっても、答えは二千百五十五カ所しか戻ってきておらず、また、今、介護現場で働く方の数、百八十六万とも言われておりますが、回答総数、職員調査票の総数も一万ほどでありますので、〇・五%をちょっと上回るくらいの、サンプル調査ということにはなろうかと思いますが、やっていただいたことは私は大変評価をいたします。

 そして、そこで挙がってきた、利用者、家族等からのハラスメントを受けた場合に施設、事業者に希望する対応というのが下の段に挙げられてございます。ここを、コピーで字がにじんでおりますが見ていただきますと、やはり、介護現場の労働者からは、ハラスメントの報告をした際、今後の対応について明確に示してほしい、どうするんだということ、あるいは、具体的な対応について話し合う場が欲しい。当然だと思います。日々接しなければならない職種であるからです。

 こういう調査結果、特に、明確に、具体的にというところの部分を受けて、厚生労働省としてのお考えを伺いたいと思います。大臣、お願いします。

根本国務大臣 昨年度の調査研究事業によれば、職員がハラスメントを受けた場合に事業所に希望する対応として、今委員から御紹介がありましたが、訪問介護やデイサービスなどのサービス種別による差はあるものの、ハラスメントの報告をした際、今後の対応について明確に示してほしいという回答がおおむね五割から七割、利用者、家族などへ注意喚起し、再発防止に努めてほしいという回答がおおむね三割から五割でありました。そして、複数人で対応するなどの対応をとってほしいという回答もおおむね三割から五割となっております。

 特に、これからの対応としては、複数人でのサービス提供の推進については、介護報酬上、訪問介護や訪問看護について、同時に二名以上で対応した場合、加算を設けております。また、特に訪問看護については、平成三十年度の介護報酬改定において、看護補助者が訪問看護に同行した場合でもこの加算が算定できることと例えばしております。

阿部委員 今大臣の御指摘にあったように、具体的なというのの中身が二つあったと思います、ここで指摘される。

 それは、他の機関との連携、情報共有をしてほしい。例えば、訪問看護あるいは介護に伺う、そして、そこで繰り返しハラスメント、セクシュアルなものも含めてあったとする。そうすると、その情報を他の、例えば地域の中のケア会議のようなもので一緒に共有した上で事に当たれるような体制をとってほしいというのが一点目の指摘かと思います。

 また、複数介護、看護というのは大変重要で、これはハラスメントの未然防止にもなります。ただ、診療報酬上、加点すれば利用者さんの御負担もふえますが、しかし、これはやはり必要とされるケアとなると思いますので、その点も、今大臣に御答弁いただいたとおりで、働く側がしっかりと自分が必要とされるサービスを提供できるようにお願いをしたいと思います。

 さらに、大臣、私が冒頭御指摘申し上げましたが、ちょっと回答率が低いと思うんですね。施設にしても二一・六%、そこの従業員というか働いている人は一万人の回答数で、先ほど申し上げた介護労働全体の〇・数%となっております。

 今後の改善点ですけれども、更にこの調査をもとにどのようにしていかれるのか、ここについてもお考えがあれば御答弁をお願いいたします。

根本国務大臣 今回の調査は、一万事業所に調査票を配付して、今委員からお話もありましたが、二千百五十五件の回答、そして職員については一万百十二件の回答、確かに全体の職員のボリュームからすると一定の規模の回答ではありますが、これは分析に必要な今の段階での必要な量を確保しているとは考えていますけれども、委員御指摘のように、やはり分析の内容についても、ハラスメントの実態を把握してマニュアルを作成する上で必要なものを行ったとは考えておりますが、しかし、他方、調査項目やあるいは分析方法も検討をした上で、時期を置いて内容を充実させて定期的なフォローアップを行う、これを検討したいと思います。

阿部委員 ぜひそのようにしていただきたい。

 どのような形のハラスメントが解決に結びつきにくいか、これはクロス集計すれば出てまいりますし、あと、例えば訪問介護をやっていらっしゃる方についても、登録のヘルパーさんと常設のヘルパーさんでは違うかもしれません。いろいろな職種、身分、働き方によってもハラスメントの起こり方は違うかもしれません。そこを明確化して対応していただけるようお願いを申し上げます。

 引き続いて、きょう財務副大臣にお越しをいただきまして、ありがとうございます。

 私が取り上げたいのは、この間、森友学園問題、すなわち国有地売却の決裁文書の書換え問題というのがこの国会でも多々論じられておりますが、私が特に問題にいたしたいのは、近畿理財局の統括国有財産管理官の直属の部下で、森友学園の籠池前理事長と交渉に当たっていた方が、改ざんを強要される中で百時間を超える残業があって、その書かれた遺書には、上司に言われたとおりに書き換えたと苦しさを述べておられます。

 果たして、この職員のみずから選ばれた死、自死は、いわば国家的な書換えの強要によるパワハラではないのか、私はこういうのこそ公務災害と思いますが、財務省ではどのようにお考えでしょうか。

うえの副大臣 お答えをいたします。

 昨年の三月に近畿財務局の職員がお亡くなりになられましたことは、まことに悲しく、痛切の念を禁じ得ません。謹んで心より御冥福をお祈りをしたいと思います。

 いわゆるパワーハラスメントに関しましては、現在御審議いただいております法案におきましては、「事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」とされているものと承知をしております。

 文書改ざん等の一連の問題行為につきましては、昨年六月の調査報告書においてお示ししたとおり、本省理財局の指示により近畿財務局において不適切な業務を強いられたものでありますので、そうした問題に適切に対応し得る体制となっていなかったと言わざるを得ません。

 こうした点も踏まえまして、二度とこうしたことが起こらないよう、文書管理の徹底など必要な取組を進めるとともに、秋池参与をお招きいたしまして、財務省が組織として抱える問題を抽出した上で、問題行為の発生を許した組織風土の徹底した改革を進めているところであります。

 引き続き、信頼回復に努めていきたいと思います。

阿部委員 私が伺ったのは、そういう財務省の体質改善とともに、お亡くなりになったこの故人、私は公務災害だと思います。その方について、救済の手だてが果たされているのか。

 ちなみに、人事院から伺いました御説明によると、必ずしも本人からの申請、もう亡くなっておられますし、また御家族もいろいろな差しさわりもあるかもしれません、必ずしも申請が必要とはなっておらず、災害が発生した場合、各府省の補償事務主任者が調査等を行って、必要であれば公務災害としてこれを認めていくというふうに人事院の手続上はなっておると思います。私は、このプロセスをぜひ進められるべきだと思います。

 今副大臣がおっしゃったように、起きた出来事はやはりその省の体質にあったということで、その中で人が亡くなりました。亡くなった被害者、その方の救済なくして、実は組織の改善はございません。

 公務災害の適用も含めて前に進めていただきたいが、いかがでしょう。

うえの副大臣 まず、個別の言動がパワーハラスメントに当たるかどうかにつきましては、個別事案におけるさまざまな要因を総合的に勘案する必要がありますので、必ずしもそれを逐一判断するのはなかなか難しいことだと考えています。

 また、公務災害につきましても、御遺族との関係もございますし、故人のプライバシーにかかわることでありますので、お答えをすることは差し控えさせていただきたいと思います。

阿部委員 これだけ国民的に問題になったことが個別と言われて、その救済にも言及されないということは、私は、本当に今公務員として働く皆さんに申しわけないと思います。こういう労働実態を強いて、そして、当の財務省としても救済の意思を明確にされない。個別に、隠れて、しかし、明らかに国民的に公になった事態であります。

 せんだっても外務省職員へのセクハラの問題も挙げられましたが、私が冒頭御紹介したように、諸外国でも、行政関係、公務員にはハラスメントが発生しやすい。それは、命令があって従っていかなきゃいけない体系の中で生じていることでございます。

 根本大臣には、こうした事案、ぜひ財務省とも協力をされて、一方でこういうハラスメント対策を論じていながら、あの例はちょっといろいろあるから、わからないからとするのではなくて、事を前に進めるよう閣内で御協力をいただきたいですが、いかがでしょう。

根本国務大臣 一般論として、職場におけるパワーハラスメント、これは、働く人の尊厳や人格を傷つけ、職場環境を悪化させるものであって、あってはならないものであります。これは被害者が誰であっても同様であると考えております。

 今回の政府提出法案では、パワハラを防止するために、予防から事後の対応までの一連の措置を事業主に義務づけるとともに、パワハラは行ってはならないものであり、他の労働者に対する言動に注意を払うよう努めるべきであることを、国、事業主及び労働者の責務として明確化しておりますし、労働者が事業主にパワハラの相談を行ったことを理由とした不利益取扱いの禁止などを行っています。

 こういう取組によって、パワハラのない職場づくり、企業風土の問題もありましたが、こういうことを促進していきたいと思っております。

 一般職の国家公務員については、今回の労働施策総合推進法のパワハラ防止の規定は適用されませんが、ここは人事院においてしかるべき対応を検討していると承知をしております。人事院において、公務職場におけるパワー・ハラスメント防止対策検討会を設置して検討中であると承知をしております。

阿部委員 一般論にごまかさないでいただきたい。これだけ深刻な事態が起きています。大臣のもとにも、たくさんの公務員が働いておられます。大臣みずからが公務員を守らずして、どんな協力を求められましょうか。私は、この事案を一般論に流すことに強く反対をいたします。

 そして、ここで粛々とハラスメント防止法ができ上がろうとも、それが単なる作文に終わって、たった一人のみずから声を上げられない方すら救えないんだったら、意味がありません。私は、強くこのことを指摘したい。

 そして、もうきょうは御答弁、また言えば個別の事案とおっしゃいます。ただ、そこにお並びの大臣、副大臣、全員で自覚していただきたい。そうでなければこの国の行政はよくならない。いつもそんたくで、死んでいけば声も上げられない。強く思いますので、大臣には自覚を深めていただきたいと思います。

 引き続いて、男女間の賃金格差について指摘をさせていただきます。

 この間の女性活躍推進法の中でも、企業における男女間の賃金の格差は公表項目には入っておりません。しかし、大臣、お手元の資料、あけて二枚目を見ていただきますと、勤続年数が同じでも、男女間の賃金には著しい差がございます。よく言われるように、勤続が短いから女性が安いのではありません。一番格差が開くのは三十五年以上勤続の部分で、男性が六百二十二万、女性が三百十八万。これが、すなわち年金にもはね返ってまいります。

 その下には、これは日本的特徴でもありますが、例えば専門職につかれても、日本のタイプ1専門職と言われるタイプ1は、医師とか弁護士とか大学教授とか、比較的世で優遇されているという専門職。タイプ2は、介護とか保育とか、あるいは看護職もここに一応区分されます。この間で非常に、女性は、特にタイプ1の専門職が少なく、そしてタイプ2が多い。欧米で、例えばアメリカと比べても著しい差がございます。専門職に女性がなり、専門職でも上のポストあるいは高級にはなりづらい。そして、勤続が長くても賃金の格差が開くでは、女性たちはどうあってもこれは低賃金に置かれる。

 大臣、きのうの新聞は読まれましたでしょうか。大学の研究職の四十二歳の女性が、いろいろな論文でいろいろな賞をとりながら、四十二歳でみずから命を絶っていかれました。教授あるいは大学研究職にもつきづらい。後ほど取り上げさせていただく女医さんの入試差別も一緒であります。

 あくまで女性たちは、非正規でも差別され、専門職でも差別され、あらゆるところで差別され、これで本当に女性活躍かと思います。

 大臣には、賃金を分析するに当たって、さまざまな特性、もうちょっと詳しく厚生労働省みずからが分析に当たる。

 三ページ目には、これは、格差のみならず、女性の賃金、総体が下がってきているという図が上でございます。二〇〇〇年と二〇一六年を比べて、国税庁調査であります、明らかに左に、低い方にシフトしております。また、下は、非正規雇用の女性たちの派遣労働者の賃金カーブ、女性は下がってきております。

 こういうことをきちんと全体を視野に入れて賃金問題に取り組んでいただきたいが、いかがでしょうか。

根本国務大臣 我が国におけるフルタイムの労働者の男女間の賃金格差、これは長期的には縮小傾向にありますが、依然として格差が存在しております。

 男女間の賃金格差の主な要因は、管理職比率と勤続年数の差異となっております。そして、女性活躍推進法において、各企業に対し、この二つの要因の把握をし、分析をし、それを踏まえた行動計画の策定等を推進しておりますが、ただ、委員御指摘のとおり、格差の解消のためには、賃金格差の要因について、雇用形態や職種ごとなどの賃金格差などの詳細を分析することが重要だと考えております。

 この点について、女性活躍推進法においては、各企業が行動計画を策定する際には、必要に応じて、男女間の賃金格差の状況について雇用形態や職種ごとなどの雇用管理区分ごとに把握することとしております。

 今回の法案では、行動計画策定義務の対象拡大を行うこととしておりますので、より多くの企業においてこのような取組が広がっていくことによって、男女間の賃金格差の解消に資するものと考えております。

阿部委員 大臣はトレンドとして格差は縮小しているとおっしゃいましたが、その中で起きていることは、男性も女性も低賃金化しておるわけです。だから、そこだけを見るんじゃなくて、もっと因子を細かくしないと、大体、女性の暮らせる収入にもならない、年金にも結びつかない、女性の貧困問題にもなってくる、あるいは、能力がありながらみずから命を絶つ女性たちが生まれてくると思いますので、しっかりやっていただきたいです。

 あと、きょうは文部科学副大臣にわざわざお時間をつくっていただきましたので、最後に、この間問題になりました医学部における女性の入学差別についてお伺いいたします。

 時間がないので、二点まとめてお伺いをいたします。

 今般の事案は、いわゆる女性ゆえをもって入試差別が行われて、これらは、憲法十四条第一項、性別による差別を禁止したもの、あるいは教育基本法第四条に明確に違反するものだという文部省の認識がおありか。

 そして、現在、例えば東京医大だけでも一学年で四十数名こういう差別に遭った、そして、二〇〇六年からですから累積十数年、その間の被害者の数は、本当に私は、一つの大学だけでもそれだけあるんですから、膨大だと思います。これについて、いろいろな、文科省として相談窓口を設けられること、これをきちんと文科省の責任でやっていただきたいが、いかがでしょう。

 二点、お願いいたします。

浮島副大臣 お答え申し上げます。

 日本国憲法や教育基本法において、全て国民は、人種、信条、性別等によって差別されないなどとされておりますが、東京医科大学を始めとする医学部入試において明らかになった女性差別とも言えるような不適切な取扱いは、これらの規定の趣旨に反するものであると考えております。

 また、今御指摘ございました相談窓口の件でございますけれども、この不適切な事案が明らかになった各大学におきましては、不利益をこうむった過去の受験生が適切に救済されることが重要であると考えているところでございます。

 そのため、文科省といたしましては、各大学に対して、相談窓口の設置、不利益をこうむった受験生の救済方針策定等を可及的速やかに実行するよう求めるとともに、その進捗状況等を取りまとめて文部科学省ホームページに掲載するなど、受験生の不安を取り除くように取り組んできたところでもございます。

 また、不利益をこうむった受験生の救済は、各大学の責任において適切に行われるべきものと考えますけれども、文部科学省といたしましても、引き続き、各大学に受験生の立場に立った適切な対応を求めていくとともに、今委員御指摘がございました相談窓口の設置等も含めまして、必要な対応を検討していきたいと思っております。

阿部委員 明確な御答弁ありがとうございます。

 日本は、OECD諸国中、女性の医師の割合がいまだに二割と最下位になっております。これが何なのか、このことを本来は質疑したかったのですが、時間がございませんのでまた別の機会にいたします。

 ありがとうございます。

冨岡委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 きょうは、久々に厚生労働委員会で質疑に立たせていただきます。高木理事始め、質問の機会を下さった皆様、ありがとうございます。

 まず初めに、M字カーブ解消の認識と、そして非正規労働者の処遇改善についてお伺いをしてまいります。

 女性活躍ということに関しましては、女性が結婚し出産する、そのときに離職せざるを得ない、就業率が下がり、そして子育てがある程度落ちついたころにまた再就職をするという、いわゆるM字カーブというものが長年の課題でございました。しかし、近年、三十代の女性の労働力率が上昇してきておりまして、このM字カーブが少しずつ浅くなり、解消しつつあるということが言えるかと思っております。しかし、非正規雇用の増加によるところが大きいという課題は残っております。

 この背景といたしまして、経済構造が変化する中で、いわゆるサービス分野といいますか、医療であったり介護であったり、サービス産業、情報通信産業、こういった分野での需要が大きくなってきた、女性に適する職種がふえてきたということ、また、男性の所得が余り伸びない中で、子育てをしていく上でどうしても共働きをしないと家計が厳しい、こういう事情もあるかと思います。いろいろ理由はあるにせよ、こうした中で、女性が就労の機会を得てみずからの能力を生かしていくということは大きなチャンスだと思っております。

 このM字カーブが解消してきた要因の一つなんですが、国としても、累次にわたる育児・介護休業法改正をしてきております。最長で子供が二歳になるまで育児休業がとれるようになり、育児休業給付も増加をさせたということもあります。

 私たち公明党は、二〇〇六年、もう十三年前になりますけれども、少子社会トータルプランを発表いたしました。百五十ページにわたる、子育て支援の原点とも言うべき政策でございます。坂口元大臣が対策本部長で、私が事務局長で、一年半かけてこの政策をつくりました。柱は二つありまして、子育ての負担を過重にしない支援、もう一つが、生活を犠牲にしない働き方。働き方改革と総合的な子育て支援、この二つを柱にして少子社会トータルプランをつくりました。

 この後、この十三年間の間に、児童手当の拡充であるとか出産育児金の拡充を始め、また働き方改革なども一歩一歩進んできたというふうに認識をいたしております。今大きく進めている幼児教育の無償化、給付型奨学金の拡充、こういうことも、当然この少子社会トータルプランの中にはしっかりと盛り込んでおりました。その財源として、消費税でいくのか保険でいくのか、このことも党内としてしっかりとその当時議論をいたしました。

 二〇一六年四月に女性活躍推進法が施行となりまして、行動計画の策定などが大企業に義務づけされました。これも大きな前進だと思っております。女性活躍推進法は、今働いている方だけではなくて、これから働こうと思っている方々への大きな勇気を与えることだと思っております。

 まず、M字カーブが解消しつつある現状についての認識をお伺いしたいと思っております。

 M字カーブは浅くはなっているんですが、結局非正規労働者が多いということで、ここには当然、正社員との賃金格差がございます。

 同一労働同一賃金ということを含む働き方改革の関連法案が昨年成立をいたしました。党の同一労働同一賃金の政策も私がつくってまいりまして、EU並み、正規社員の八割まで非正規の方々の賃金を引き上げていくということも盛り込んだ政策をつくりました。

 正社員よりも非正規の方が多い四十代以降の女性の賃金水準というのは、正社員に比べて六割程度にとどまっております。こうした雇用形態の違いによる不合理な待遇の差を早急に解消すべきであると思っております。こうした非正規労働の処遇改善について、お考えをお伺いいたします。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 初めに、M字カーブのお尋ねがございました。

 我が国の女性活躍の状況でございますが、この六年間で子育て世代、二十五歳から四十四歳女性の就業率を見ますと、六七・七%から七六・五%へと八・八ポイント増加するなど着実に改善しておるところでございまして、いわゆるM字カーブの問題も改善の方向に向かっているところでございます。

 もう一点、非正規雇用の問題でございます。

 これは、現在でも女性雇用者の約七割が非正規雇用という状況がございます。仕事と子育ての両立を図り、就業継続を支援するとともに、正規、非正規雇用間での待遇格差の是正を図るということが非常に重要な課題であるというふうに認識をしております。

 昨年、働き方改革関連法が成立いたしまして、同一労働同一賃金の取組を進めていくこととなっております。この円滑な施行に向けまして、働き方改革推進支援センターによる相談支援、業種横断的な取組をまとめた取組手順書の策定、産業別の同一労働同一賃金マニュアルの策定などを通じまして企業への周知、支援にしっかりと取り組みまして、非正規雇用労働者の処遇改善を図ってまいりたいというふうに考えております。

古屋(範)委員 しっかりまた同一労働同一賃金を実効性のあるものにしていただきたいと思っております。

 大学を卒業し、正規社員として就職をすれば、ある意味、一つの能力開発、教育訓練の路線に乗っていくということが言えるかと思うんですが、そこで非正規になった場合になかなかそこにたどり着かない、その路線に乗っていけないという現実があると思っております。非正規の方々は、やはり教育訓練の場が非常に少ないというふうにも思いますので、その枠組みとして、同一労働に対しては同一賃金を支払っていくということと同時に、能力そのものをアップしていくということが非常に重要だと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、性的役割分担の意識改革について伺ってまいりたいと思っております。

 やはり、男性が仕事、女性は家庭、こうした古い性的役割分担意識というのは今でも存在していると思います。私の息子などが自分の子供に接する様子を見ておりますと、若い世代は随分意識が変わっているなと思います。私の夫とは全然違うなといつも見ていて思うところでございますけれども、性別の役割分担意識というのが男性、女性の就業状況に少なからず影響を与えているというふうに思っております。イクメン等の事例紹介ですとか学校教育における男女共同参画意識の醸成により、徐々に意識が変わってきているというふうに思います。

 今回の改正案の中で、一般事業主の行動計画策定義務の対象を中小企業まで拡大していくとか、女性活躍に関する情報公開の強化、履行を確保していく、また、プラチナえるぼしを創設していく、こうした改正案に関しましては、男女の役割分担意識というものを変えていく一助になるというふうに評価をいたしております。しかし、こうした意識を変えていくのには長い時間がかかるというふうにも思っております。

 情報の公開で見える化を促進していく、制度や慣習を変えていくということで、女性の生き方の選択肢が広がってくる、結果的に社会全体の意識の変化につながって、女性活躍の機会が広がってくるというふうに思います。二〇二六年までの行動計画一〇〇%策定の目標達成に向けた今後の方針について、お伺いをしたいと思います。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 ニッポン一億総活躍プランにおきまして、御指摘のように、百一人以上の企業について二〇二六年までに一般事業主行動計画の策定率を一〇〇%とするということが工程表に掲げられておるところでございます。

 現在、三百一人以上が義務の対象ということで、こちらにつきましては策定率が九九・三%と、ほぼ全ての企業が策定をしておるという状況でございますが、一方で、努力義務とされております三百人以下につきましては五千六百八十一社ということでございますので、先ほどの目標ということを踏まえますと、これから届出を加速させていくことが不可欠ということになるわけでございます。

 今回、この策定義務を百一人以上の企業に拡大するということで取組を進めてまいりたいというふうに考えておりますが、施行につきまして、交付後三年以内の政令で定める日ということにしておりますので、義務化が施行されるまでの間の努力義務の間におきましても、可能な限り早期に対応を進めていく必要があるというふうに考えております。

 そこで、行動計画を策定しやすくするための支援ツールの開発ですとか行動計画に基づく取組に対する助成、それからセミナーの実施や事例集の策定等による周知啓発など十分な支援を行いまして、百一人以上の中小企業におきまして速やかに行動計画の策定が進むように、全力で取り組んでまいりたいと思います。

古屋(範)委員 義務化をされております大企業に関しましてはほぼ策定が済んでいるということですが、努力義務ですと、やはり五千八百余りの中小企業しか策定をしていなかったということで、働き方改革の法律も施行となり、中小企業においては非常に負荷がかかっているのかなと思います。

 そこにやはりまたこうした行動計画策定ということが入ってまいりますと、中小企業においてはさまざま業務が増加をしていくということが考えられます。ですので、こうした中小企業に対する支援というのを万全にしていただきたいということを要望しておきたいと思います。

 次に、ハラスメントについてお伺いをしてまいります。

 女性活躍を阻む一つの要素が職場におけるハラスメントであり、これを防止していくことが重要かと考えております。

 このたびの改正案におきまして、事業主に対してパワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置義務を課す、また、セクシュアルハラスメントに関しましては、国、事業主、労働者の責務を明確化していくという改正点が盛り込まれております。誰もが安心して働ける職場環境をつくっていかなければいけない、これは言うまでもありません。

 昨年の五月二十八日から開催されましたILOにおきまして、年次総会最終日となる日に、セクハラや暴力、職場での迷惑行為を禁止する初の国際条約制定を求めた委員会報告が採択をされました。拘束力のある条約を目指す方針で一致して、各国、セクハラ対策等を後押ししていくということが期待をされております。しかし、労働者として保護すべき対象の範囲について各国で折り合いがつかず、条約案の詳細に関しましては来年の総会での採択に持ち越されたということでございます。

 日本政府は、この条約制定にはおおむね賛成なものの、実際に批准できるよう、各国の実態に即した内容とすべきということを主張しています。

 委員会報告は、通勤時とか休憩中も含めた業務中に身体的、心理的、性的、経済的に損害を与えるおそれのある行為を絶対に許容しないこと、また予防措置の導入を提言しております。求職者や被解雇者も対象に、全ての労働者を保護する必要があるというふうに言っております。

 今回の改正案では、明確に国の施策としてハラスメント問題解決促進のための施策の充実を位置づけてハラスメント対策にも総合的に取り組んでいくということは、一定の評価ができるというふうに思っております。

 ことし採択される予定のILO条約では、全ての形態の暴力、ハラスメントを法律で禁じるということを求める内容となっております。これに関する見解をまずお伺いしたいと思っております。また、ハラスメント対策は、発生を予防する取組が最も重要だと思いますが、この発生予防の取組についてお伺いをいたします。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 初めに、ILO条約の関係でございます。

 御指摘いただきましたように、本年六月のILO総会におきまして条約案が議論された上、採択されることが想定をされているわけでございます。この条約案につきましては、世界各国が効果的にハラスメントの防止対策を進めていくことができる基準の内容となりますよう、日本政府といたしましても、国際的な議論の動向も注視しながら、ILO総会の議論に引き続き積極的に参加をしてまいりたいというふうに考えております。

 また、ハラスメント対策の、特に予防対策の御指摘がございました。

 職場におけますハラスメントは、被害者の尊厳や人格を傷つける、あってはならないものでございます。現在、セクシュアルハラスメント、そしてマタニティーハラスメントを防止するために、予防から事後の対応までの一連の雇用管理上の措置を事業主に義務づけているところでございますが、今般の法案で、パワハラ防止のための雇用管理上の措置も新設することとしておるところでございます。

 こうした中で、ハラスメントの防止のためには予防措置というのが非常に重要であるというふうに考えております。法律に基づく指針におきましては、予防措置として、セクシュアルハラスメント等があってはならない旨の方針を明確化し、それを社内に周知啓発していくということを義務づけておるところでございまして、パワハラにつきましても同様に指針において予防措置などを示していくこととしております。

 ハラスメントの背景にはやはり企業風土といった問題もあることを踏まえますと、これらの措置義務に企業に主体的に取り組んでいただくということが予防のために非常に重要というふうに考えられるところでございまして、予防措置を含むこうした雇用管理上の措置義務の履行確保が十分図られるようにし、ハラスメントのない職場づくりを推進してまいりたいというふうに考えております。

古屋(範)委員 国際的に見ても、我が国は労働者を十分に保護しているということをしっかりアピールしていただきたいというふうに思います。日本はILOにも大きく貢献をしていることもあり、そういった意味では、労働分野における我が国のプレゼンスというものもしっかり高めていっていただきたいということを要望しておきたいというふうに思います。

 次に、指導的地位に立つ女性をふやしていくということに関して質問をしてまいりたいと思います。

 女性が継続的に活躍していくということ、仕事とまた家庭の両立を図りながらキャリアを積んでいく職場環境を整備していくということは、女性の側だけの問題ではなく、男性も含めた働き方改革が必要だというふうに思っております。

 今、日本では、女性管理職比率が非常に低いのが現状でございます。労働政策研究・研修機構の二〇一六年の調査によりますと、総合職正社員男性の約六割は課長職以上への昇進を希望している、しかし、女性は三割弱にとどまっており、女性は男性よりも昇進意欲が低いというのが現状であります。

 この考えられる理由といたしましては、入社して十年未満のキャリアの初期段階で、男女とも職業キャリアを形成する上で必要な知識経験を習得する大事な時期なんですが、この時期にどうしても女性は結婚とか出産などに遭遇をすることが多いということが言えるのではないかと思います。管理職が選抜される時期に出産とか育児と重なってしまうということが多くて、やはり女性にはどうしても不利になってくるというふうに思います。そこでキャリアを選ぶのか、子供を選ぶのかというような二者選択を迫られてしまうというケースが今まで多かったと思います。

 総合職又は一般職というコース別の雇用管理、特定の職種に偏った雇用管理などは、女性が昇進に必要な経験を積む機会がどうしても得られなくなってしまう、モチベーションを維持できない、女性の活躍を結果的に阻害している可能性があるというふうに思います。女性を積極的に役員や管理職に登用していくポジティブアクションの取組を支援していく、また、管理職になることをちゅうちょする女性たちのためには、二十代、三十代で出産とか子育てということがあったとしても、もう少し長期的なキャリアのモデルというものを提示していくということも必要なのではないかと思っております。

 管理職として活躍している、その手本となる女性のロールモデルを設定していく、また、仕事上の悩みを聞く相談役、メンター制度の充実なども必要だと思っております。仕事と家庭を両立していく、先ほども言いましたように、長時間労働を解消していく働き方改革をしていく、また男性の育児休業取得促進をしていく、さまざまなことが考えられると思っております。

 女性全般の離職率が潜在的に高いということで、女性一人一人のライフスタイルや働き方の希望を入れることなく同一に扱ってしまう、これは転勤とか出張とかも含めてなんですが、こうした雇用環境とか管理制度が女性活躍を阻害していると思います。

 第四次男女共同参画基本計画において、上場企業役員に占める女性の割合は五%、さらには一〇%を目指すと言っているんですが、昨年は四・一%であります。この目標まで指導的地位に立つ女性をふやすための施策についてお伺いをいたします。

 また、我が国では、女性の政治参画状況を見ると、衆議院も非常に女性議員が少ないです、約一〇%ということで、世界百九十三カ国中百六十五位ということであります。こうした政治分野における男女共同参画の推進、これも法律ができたところでありますけれども、これについて御意見を伺いたいと思います。

上野大臣政務官 女性役員をふやすためには、女性労働者の管理職への積極的な登用を進めるとともに、採用される女性の割合を高め、経験を積んでもらうことで、将来指導的地位に成長していく女性の候補者をふやすことが重要であります。

 このため、女性活躍推進法においては、管理職に占める女性比率や勤続年数の男女差等について状況把握を必須とした上で、改善すべき課題について分析し、それらを踏まえて計画を策定、実行するPDCAを着実に進めることとしております。

 委員からも多数御指摘をいただきました。引き続き、企業における積極的な女性の登用を推進してまいります。

 また、政治分野における女性の参画拡大については、昨年五月に政治分野における男女共同参画の推進に関する法律が施行されており、内閣府において、各政党に対して、数値目標の設定等に向けた自主的な取組を進めていただけるよう要請を実施するとともに、地方議会ごとに女性議員比率や両立環境の整備状況を見える化したマップを公表する等の取組を実施しているところであります。こうした取組が進むことで、政治分野においても女性の参画が拡大することを期待いたしております。

古屋(範)委員 政務官、ありがとうございました。

 我が党は、国会議員、地方議員を含めて全国約三千名いるんですが、九百名以上が女性でありまして、三〇%以上を女性議員が占めております。

 長年交流のある樋口恵子先生が、女性議員とそれから地方自治体、消滅可能性のある自治体との相関関係を述べていらっしゃるんです。日本創成会議の増田寛也元総務大臣が、全国で五百二十三の自治体が存立不能になるかもしれないという調査をされておりますが、樋口先生がこの存立不能とその自治体の女性議員の比率の相関関係を調査されております。

 これは、二十代から三十九歳の女性の動向というのが存立するかどうかの一つの基準になっているんですが、見事に相関関係がありまして、女性議員の比率が低い自治体は女性が出ていってしまう、細かい数字は省きますけれども、そういう結果が出ておりまして、若い女性が居つかない自治体には女性議員が少ないということで、今後私も、女性議員をふやしていく取組にしっかり取り組んでいきたいと思っております。

 最後に、リカレント教育についてお伺いをしてまいります。

 今、さまざまな意味で、女性を登用しよう、あるいは女性活躍の場をつくろう、一つ枠組みをつくろうという流れはあるんですが、そこに参加をしていく女性の側の能力開発、教育というものが同時並行で進んでいかなければいけないというふうに思っております。

 人生百年を見据えた中で、もし一旦育児あるいは介護で職業を離れたとしても、また時代に応じた能力を身につけて職業復帰をしていく、希望を実現していくために、リカレント教育、学び直しの場の普及また充実が必要だと思っております。

 私、日本女子大学に行ってまいりました。ここでは、やはり一旦離職をした女性たちがリカレント教育の場に集ってきておりまして、ビジネス英語であるとか今いろいろ問題になっている文書管理、こうした今必要な能力を身につけるためにここに勉強に来ております。一五年度の就職率が九〇・二%ということで、非常に就職率も高く、皆さん希望を実現されています。

 また、兵庫県の加古川市にある兵庫大学というところにも行ってまいりました。ここでは、特に看護分野とか介護とか、こうした分野での女性とか多くの方々の職業復帰の教育に取り組んでおります。私も直接受講生とお話をしたんですが、子供がもう少し大きくなってから保育士として復帰しようと思っていたけれども、ここのリカレント教育の場に来て、すぐに保育士として復帰をしよう、そういう意見を伺わせていただきました。

 人づくりが国の最重要課題となる中で、女性の能力を引き出していくリカレント教育が非常に重要だと思っております。少子高齢社会で労働力が少なくなっていく、ここが最大のポイントだというふうに思っております。また、能力開発の場の少ない非正規の方々への教育というものも非常に重要であり、教育訓練を非正規雇用の方々に進めていくということが重要だと思っております。

 教育訓練給付制度というのは、リターンの高い実践的な教育訓練受講を誘導して、訓練後の賃金率を高める効果があるということが示されております。支援制度の対象講座を拡大していく、また給付率の引上げも行われております。この制度の充実の現状についてまずお伺いをいたします。

 この教育訓練給付の対象の講座というのは増加をしているんですが、どうしても昼間の課程の講座が多く、受講者の希望というのはやはり夜間であるとか土日、通信課程ということに偏っていまして、ミスマッチが存在をしております。在職者の利用しやすい制度に拡充をしていく必要があると思いますけれども、この点について見解をお伺いしたいと思います。

吉本政府参考人 お答え申し上げます。

 少子高齢化や第四次産業革命などの技術革新が進行する中で、男女ともに、誰もが幾つになっても学び直しと新たなチャレンジの機会を得られるようにする、またリカレント教育を推進していくことは大変重要な課題だというふうに考えております。

 まず、お尋ねの教育訓練給付につきましてですが、これは、昨年六月に取りまとめられました人づくり革命基本構想などを踏まえまして、順次拡充を図ってきているところでございます。具体的には、ただいまもお話のございました専門実践教育訓練の対象を拡大いたしますほか、一般教育訓練よりも給付率の高い特定一般教育訓練という新たな類型を設けまして、これはこの十月からスタートを予定しておりますが、それに向けて準備を進めているところでございます。

 また、在職者が働きながらでも教育訓練給付の講座を受けられるように、通信講座もこれまで指定の対象としているところでございますが、さらに、Eラーニングに係る講座指定基準を緩和するなどして受講していただきやすくしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 こうしたことを通じまして、誰もが幾つになっても学び直しができるリカレント教育の推進を進めまして、個人のキャリアアップ等につなげてまいりたいというふうに考えております。

古屋(範)委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、大河原雅子君。

大河原委員 おはようございます。立憲民主党・無所属フォーラムの大河原雅子でございます。

 私は、立憲民主党内ではジェンダー平等推進本部の事務局長として活動しております。女性への暴力撲滅、そして真の男女平等、ジェンダー平等社会実現のために活動を進めております。初めてこの厚生労働委員会で質疑をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、まず大臣に伺いたいと思います。

 今回の法改正で、均等法第十一条にあります第二項、事業主は、労働者が前項の相談を行ったこと又は事業主による当該相談に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益取扱いをしてはならないことが追加されますが、これは違反事業主に対して行政指導を行うことができる旨の規定でありますので、現行の指針3の(4)のロ、これを削除することがあってはならないと思っています。格上げと称してこれを削除するということはあり得ないと思うんですが、お考えはいかがでしょうか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の政府提出法案におきましては、労働者が事業主にセクハラの相談を行ったことを理由とした不利益取扱いを禁止する規定を設けております。

 一方、御指摘がございましたように、現行のセクハラ指針におきましては、事業主は労働者がセクハラに関し相談をしたこと等を理由として不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知啓発することを講ずべき措置として示しているところでございます。

 今回、この指針を法律に格上げし、明記をするということになるわけでございますが、今御指摘がございましたように、事業主がセクハラの相談に関する不利益取扱いの禁止を定めるだけではなくて、そのことが労働者に周知啓発をされて初めて労働者は安心して相談ができるということになるものでございますので、この指針におけます当該規定を削除するということは考えておりません。

大河原委員 削除しないという明快な御答弁をいただきました。

 この規定は、不利益な取扱いを行ってはならない旨を定めて、そしてこれを周知することを事業主に求める、性質の違ったものですから、当然削除するべきではありません。ほっといたしました。

 次に伺います。

 十六日の参考人質疑をビデオで見させていただきました。山川参考人は、セクハラ法制の実効性について問われますと、措置義務の履行状況について疑問を呈され、行政救済制度について尋ねられて、かなり迅速さという点ではなお課題が残っていますというふうに述べられました。さらに、内藤参考人は、実効性については、措置義務導入以降、その効果が検証されていないと述べられております。これらに関してお尋ねをしていきたいと思います。

 平成二十五年の行政指導の状況についてお尋ねしますが、厚生労働省が発表している平成二十五年度都道府県労働局雇用均等室での法施行状況によりますと、均等法に関し是正指導を受けた事業所のうち、九割以上が年内に是正とあります。セクハラの是正指導を受けた事業所も九割以上が年度内に是正をしたのかどうか、この点についてはいかがでしょうか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘をいただきました平成二十五年度の都道府県労働局雇用均等室の法施行状況でございますが、平成二十五年度に男女雇用機会均等法に関して是正指導を受けた事業所の件数は一万一千三件、うちセクハラに関するものが六千五百五十九件でございます。

 このうち同年度内に是正したものにつきましてでございますが、全体では一万九百六十一件、セクハラに関するものにつきましては六千五百二十七件でございまして、年度内に是正された割合は、全体でいいますと九九・六%、セクハラについては九九・五%というふうになっております。

大河原委員 結構高い率で是正したという今のお答えなんですけれども、資料をつけました。三ページの資料をごらんいただいて、指導の流れをごらんください。局長による助言から是正完了まで、これで最も時間がかかった例については、どのぐらいかかっているんでしょうか。

小林政府参考人 先ほど、九九・五%ということで申し上げたところでございます。是正指導する場合には、私どもとしては、原則として一カ月以内に是正報告をすることということで指導しておるところでございまして、おおむねそういう対応が図られているというふうに思っております。

大河原委員 済みません。今の九九・五%というのはすごい数だと思うんですよ。もうちょっと正確に。

 じゃ、残っている、一〇〇%と言えないのはどうしてですか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、先ほど、原則として一カ月以内ということで是正報告するように求めているということを申し上げました。実際にどれだけの期間ということにつきましては、今、把握しているものはございません。

 九九・五%ということで、一〇〇%を切っている一つの要因としては、例えば三月とかに指導した場合に年度をまたがるということで、それによってこの集計のところに入ってこないものが含まれているというふうに承知をしております。

大河原委員 私は、人手不足といいますか、この報告を請求する、そうした一つ一つの事業所の事例についてチェックをする、そうした人員がなかなか足りているとは思えなかったんですけれども、一月以内に報告が全て出されて、それで解決をしたということが九九・五%なんですね。確認させてください。

小林政府参考人 先ほどお答え申し上げましたのは年度の調査ということでございますので、全てが一カ月以内ということではございません。

大河原委員 年度をまたいでも、実質的に何カ月、どんな日数がかかったのか教えていただけますか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 大変恐縮でございますが、どれだけかかったかというところまでは把握できておりません。

大河原委員 相談を受けて、そして事業者に報告をさせて、それで一カ月以内にどのような形で、次に上がってこなかったということがあってのことだとは思いますけれども、どのぐらい時間がかかったのか。

 私は、こんなにたくさんの件数があって、本当に被害を訴えた方が満足のいく解決を得られたのかどうかということは、当局も本当に真剣になって実態を知っていなければいけないことだと思うんですよ。どうも高過ぎる、九割ぐらいは多分お答えになるのかなというふうに思っていましたけれども。

 それじゃ、人員も足りている、ここに不足はないというお答えに聞こえてしまうんですけれども、そうなんですか。

小林政府参考人 それぞれの労働局におきましては、その都度必要な指導を行っております。そして、指導が完結をいたしますと私どものところにその報告が上がってくるということになっておりますが、大変恐縮でございますが、その状況をすぐに体系的にお答えできるような集計を私どもで行っていないということであります。

大河原委員 山川参考人が、この行政救済制度について尋ねられて、迅速さという点ではなお課題が残っていますというふうにこの委員会の場でおっしゃったんですね。

 そうすると、山川参考人のこの見解というのは事実と違う、そのような御見解なんでしょうか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、この措置義務の行政指導をするに当たっては、先ほど申し上げましたように、一カ月以内ということで期限を区切って報告を求めるということで対応しております。

 山川先生がおっしゃったのは、恐らく、労働委員会におけます紛争処理に、労使双方の意見を聞きながらやっていくのに相当な時間がかかっている、そこのところで迅速性というところに問題があるんじゃないかというふうにおっしゃったのではないかと私は理解しておるところでございます。

大河原委員 まあ、解決がされることは悪いことではないので、期限を定めて報告を求めて改善をしていく、解決をしていくということで、一カ月以内に報告をと。もし一カ月以内に報告が来ない場合はどうなるんですか。

小林政府参考人 基本的に、行政指導は、助言、指導、勧告、企業名公表というプロセスを経ることになっております。

 おおむね助言、指導の段階で是正が図られているということになりますけれども、是正が図られない場合には更にもう少し強い指導をしていくという対応をとっております。

大河原委員 それでは、この指導がきいたことで是正が図られたということはどうやってチェックをされているんですか、その後のことは。

小林政府参考人 私どもといたしましては、是正が図られた旨の報告を事業主から求めることにしておりますので、その報告によって是正された状況というのを確認しておるところでございます。

大河原委員 少ないということだと思うんです、履行していない事業者が。この是正措置に従わない、指導がうまく伝わっていない事業者というのは、じゃ、それほどいないという御理解でいいんでしょうか。もしあった場合にはどのような指導を更に重ねるのか、ちょっと教えてください。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもとしては、先ほど申し上げましたように、助言、指導、勧告、企業名公表というプロセスを経ておりまして、最初の助言、指導のところでほぼおさまっておるという状況であります。

 それが仮に満たされない場合には勧告という厳しい形で措置を求め、さらに、その勧告に従わない場合には企業名公表という社会的なペナルティーを科すというところでございますが、実際に企業名公表まで至るというケースはほぼないという状況でございます。

大河原委員 事業者として自分の義務を果たす、そういう企業がふえている、そして、そういう企業が一生懸命頑張っているというのは喜ばしいことだと思うんですが、先日の参考人質疑の中で、セクハラ防止対策、窓口もつくってやっているけれども、実は窓口の設置も、数は一〇〇%じゃありませんよね。そして、そういうものがない中で、そこにやっと上がってきたものについてはその数で事業主が改善、是正を図る措置をしてきたということですが、多くの人たちは実は余り窓口には行っていない事実も先日の参考人質疑の中で明らかになっておりまして、特に窓口の担当者、こういった方々への研修も三・九%という大変な低さでございました。

 ちょっとにわかに、多くの事業者がもちろんこちらの指導に従ってくれることはいいことだと思いますが、単純に是正しましたということを、次の段階にもしかしたら事態は進行しているかもしれない、そういう検証というのはなされているんでしょうか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきましたように、セクハラの措置義務を履行していない事業主が相当あるんじゃないかというお話であります。

 私どもが国の方で行っております雇用均等基本調査というのがございますけれども、平成二十九年度の直近のデータで見ますと、三百人以上の事業所における取組状況というのは九七・四%と非常に高い数字になっておりますが、一方で、中小企業も含めた十人以上の企業全体では六五・四%というところにとどまっております。したがって、主に中小企業における履行確保というのが大きな課題であろう。

 これを更に業種別に見てまいりますと、例えば建設業ですとか運輸業といった、もともと女性労働者の割合が少なかったような業種ですとか、あるいは小売業のような零細のところが多い業種、そういうところで取組状況というのが低くなっているような状況が見られるところでございまして、したがって、我々としては、そういったところに履行確保の取組というのを重点的にやっていく必要があるというふうに思っておるところであります。

大河原委員 済みません。今、実験的にとおっしゃったんですか、取組を、小さいところ。実験的に進めるとおっしゃったんですか。

小林政府参考人 重点的にやっていく必要があるということを申し上げました。

大河原委員 重点的に進めていただく、小さいところでもちゃんとやるということは大事で、大企業のところは、指導すれば実は大きい会社だけに信用に傷がつくというところでは大変内部で抱え込む、まあ、被害者の方から見れば隠されてしまうというようなことも心配しなければならない状況があると思うんです。

 それで、段階的に、長期化させないで迅速に適切な指導、そして企業内には被害者の声をきちんと受けとめる人がいてこの解決を図っていくというのは当然やらなければいけないことで、実効性のある、中小企業、小さいところへの指導というのも重点的にぜひやっていただきたいというふうに思います。

 次に伺いたいのは、マタハラ、妊娠をした、そういったところで不利益を起こした訴訟、訴えについては公表例が一例あるわけですね。今までこちらのセクハラについては一例もないというのは、公表というのが大きな抑止力になっているということを考えればよろしいんでしょうか。

小林政府参考人 先ほど申し上げましたように、助言、指導、勧告という段階で改善が図られているというのが我々の指導しておる実態でございますので、その指導している範囲について見ていくということでございますれば、セクハラについては、それまでの行政指導の段階で是正がうまく図られたということだというふうに思っております。

大河原委員 それでは、質問通告していないことですけれども、大企業に、今、就活で女子学生がたくさん、面接に行ったり、いろいろなOBを頼って行ったりしています。そして、そこで被害に遭っている。こういう現実は、今後、どうやって受けとめようとしていらっしゃるんでしょうか。その接した個人のそういった問題に戻してしまう、そこの中に押し込めてしまう、そういうことになりかねないと思うんですが、それは今回の法律の中にはございませんけれども、どのようなお立場でしょうか。

小林政府参考人 就職活動等におきましてセクハラの被害に遭われたという事案が最近相次いでおるということは、深刻に受けとめておるところでございます。

 男女雇用機会均等法でセクハラの防止措置というのを義務づけておるわけでございますが、基本的には雇用している労働者に対する措置ということでございまして、まだそこに至っていない就職活動中の方というのは直接的な措置義務の対象からは外れてしまう。

 ただ、今回、責務規定ということで、他の労働者に対してセクハラを行ってはならないという趣旨を明確化したところでございます。これは、やはり労働法制ということがございまして、他の労働者という形になっておるわけでございますが、就職活動中の方も含めて誰に対してもセクハラを行ってはならないというのは、これは非常に言うまでもないことでございます。

 企業におきましては、セクハラ防止対策といたしまして、まず、企業として、セクハラを行ってはいけないんだということを明確化して、それを従業員に周知するということが事業主の責務として求められているわけでございまして、そこも基本的には措置義務としては労働者ということになってくるわけでございますが、誰に対してもセクハラを行ってはいけないんだという形で方針を明確化していただくというのが非常に望ましいことだというふうに思っておりますので、今回、責務規定が設けられることを契機として、そういったことを企業に求めていくことにしていければというふうに思っております。

 そういうことを通じて、就職活動中の方に対するセクハラというのもなくしていくように努力してまいりたいというふうに考えております。

大河原委員 措置義務十項目、これをやっていれば、やっていますというふうに企業は評価をされてしまうということ自体が、私はやはりまだまだ甘いなというふうに思うんです。

 そして、今お答えになった、就活生に対して今手だてがないわけで、これは、今の現状、事実として起こっている被害に対しての政府の認識が到底甘いとしか言えません。被害が起これば、その傷ついた心で仕事探しを続けるなんてことはなかなかできなくなります。こういったことでは、今回の法案も大変生ぬるい、生煮えのものだというふうにしか思えないです。

 十項目を置いているこの措置義務ですけれども、目的はセクハラ防止ですけれども、この項目を充足させることがセクハラ防止に役立っているというふうに思っていらっしゃると想像しますけれども、特に窓口に関しては疑問が呈されている。新聞でも、参考人質疑の後、記事になりました。

 相談しても実際に不利益が生じないこと、これは当たり前、必要なことです。そして、そのことが従業員にも周知されていることは必須ですけれども、現在の指針に明記されていても、履行状況というのは把握されていないんじゃないでしょうか。どうでしょう。

小林政府参考人 御指摘のように、セクハラ指針に、事業主に十の項目が義務づけられているという形になっておりますが、それぞれの項目ごとの履行状況というのは把握できておりません。

大河原委員 だから、事業主の方針の明確化、周知啓発、これが六五・一%、さっきの相談窓口の必要な体制整備で、研修などは八・九%ですね。だから、どれかやっているとなれば、やっていますというふうに答えてしまうけれども、現実はなかなかこれは十分に行われていないというふうに思いますし、今回の政府の法改正では不十分だと私は思います。

 ぜひ、この履行状況についても、またこの十項目についても、現実の調査を含めて検討してほしい、強化してほしいというふうに思います。

 では次に、議員立法のセクハラ禁止法について伺います。

 加害者が、被害者の性格ならこのくらいの言動は許されるだろうなどと、身勝手な、そしてまた自己本位に思い込んで性的な言動を行い、その結果、被害者が精神的、身体的苦痛も受けるというケースが多いと考えられます。

 セクハラ禁止案ではこのようなケースについても禁止の対象としているのでしょうか、お尋ねします。

尾辻議員 委員御指摘のように、加害者側の身勝手かつ自己本位な思い込みや、性別に関する差別的意識などに基づいて性的な言動が行われ、それによって従業者等が精神的、身体的な苦痛を受けているという事例があると思います。

 このような事態が起こらないようにするため、セクシュアルハラスメントを受けた方の感じ方のみによるのではなく、通常であれば苦痛を感じるおそれのある言動であれば禁止の対象とすべきであると考えます。

 そこで、セクシュアルハラスメント禁止法案では、禁止の対象とするセクシュアルハラスメントの程度について、精神的又は身体的な苦痛を与えるおそれのある言動と規定することにより、被害者に対して実際に苦痛を与えることまでを要求せず、社会通念に照らして、性的な言動を受けた方と同様の立場にある従業者等が、同じ状況下において通常であれば苦痛を感じるおそれのある言動を広く対象とすることとしています。

 そのため、被害者の性格ならこのくらいの言動は許されるだろうとの思い込みでなされた言動についても、精神的又は身体的な苦痛を与えるおそれがある場合には本法案における禁止の対象となるものであります。

大河原委員 これはよくあるんですよね。被害者の方の状況、割にしっかり、強そうに見える、この人だったら大丈夫だろう、被害者の性格、このくらいの言動なら許されるだろう、冗談半分だったみたいな、そういう言いわけが後から聞こえてくるわけですけれども、思い込みでなされた言動についても、精神的、身体的な苦痛は相当なものになっていきます。それを本法案では広く捉えて対象とするというお答えですよね。確認させていただきました。

 次に、現行の男女雇用機会均等法、これは、セクシュアルハラスメントを対価型と環境型の二つの類型で整理しているわけです。

 議員立法のセクハラ禁止法案においては、この禁止の対象としているセクシュアルハラスメント、すなわち業務等における性的加害言動においてこの対価型と環境型の両方を対象として含んでいるのかどうか、これについてもお答えください。

尾辻議員 現行の男女雇用機会均等法で措置義務の対象となっている対価型、環境型については、セクシュアルハラスメント禁止法で禁止しているセクシュアルハラスメント、すなわち業務等における性的加害言動の定義において精神的又は身体的な苦痛を与えるおそれの例示として明記をしております。そのため、現行の男女雇用機会均等法の対価型と環境型についても禁止の対象としております。

大河原委員 この対価型、環境型というのはなかなかわかりにくい表現だと思うんですが、恐れ入りますが、提案者、これを少しわかりやすく説明してください。セクハラ禁止法の中でこれが定義づけられている、そこのところをもう少しお話しいただけるとありがたいんですが、どうでしょうか。

尾辻議員 今回の私たちのセクハラ禁止法においても対価型と環境型というのを例示としてやっているということで、これは現行の男女雇用機会均等法でも同じであるということであります。ですので、今、現状、男女雇用機会均等法で示されているものと同じものをこちらとしても例示として含むということで提示をしているということになります。

大河原委員 今の法律の中に書いてあるものと同じものを適用するということで、わかりました。

 それでは、セクハラ禁止法の検討規定におきまして、国に対し、セクシュアルハラスメントの被害者の司法を通じた救済のあり方等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることを義務づけています。その趣旨とはどのようなものでしょうか。

尾辻議員 セクシュアルハラスメントの被害を受けた方々が裁判を起こすことについては、費用や時間がかかること、二次被害のおそれがあること、明確な証拠を示すことが難しい場合が多いことなどの理由により、非常にハードルが高いものであると認識しております。

 また、セクシュアルハラスメントの被害救済としては、現状では主に民法の不法行為に基づく損害賠償請求が用いられていますが、そもそも、この不法行為に基づく損害賠償請求という枠組みについては、金銭的救済が前提となり、最終的にはお金で解決できるとの加害者の認識につながりやすく、被害者にとって真の救済につながっていないことや、セクシュアルハラスメントの被害者であるにもかかわらず、被害を回避できたのではないかなどとして被害者側の落ち度を問われ、過失相殺が認められてしまうなどといった極めて重要な問題が指摘されているところです。

 さらに、裁判の過程で二次被害が発生している点については、裁判所が積極的かつ主体的に、被害者が二次被害を受けないように十分な配慮を行うことが不可欠であり、研修などを通じた裁判官のジェンダー意識の向上が必要であると考えております。

 このような観点から、司法的救済が被害者にとって使いやすく、また真の救済につながるものとなるよう、国は、民法の不法行為とは異なる、新たな被害救済や損害賠償請求の仕組みの創設を含めた司法的救済のあり方等を検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずる必要があります。

 そこで、セクシュアルハラスメント禁止法案では、附則においてその旨の検討規定を設けております。

大河原委員 参考人質疑のときにも参考人からいろいろな事例も出されておりましたけれども、特に、セクハラ問題で裁判を起こすというのは、そもそも、被害に遭っている人が、本当に費用も時間もかけて、傷ついた体で相手に向かう、そして、その裁判の過程の中で、過失相殺、あなたの方に過失があったんじゃないかと根掘り葉掘り聞かれて二次被害に遭う、こういうことを通常、これまで見続けてきたということがあって、この司法の裁き方、このプロセス、本当にひどいものだというふうに思います。海外の事例などからは、完全な人権侵害というふうにも思うほどのプロセスがあると思っています。

 セクハラ禁止法、議員提案のものについては、附則で、被害者の司法を通じた救済のあり方を検討するというのがついておりまして、私はここに大きな期待を持っています。

 このところ出ている裁判所の判決にも、私たちは、裁判官の研修、こういったものも本当に優先的に強力に求めていきたいと思いますし、政府としても、そして司法としても、ぜひこれを早期に実現をしてほしい。

 そして、裁判官の男女比率も、最高裁、女性の裁判官は一人になってしまいました。とんでもないことだと私は思っています。

 政府におかれては、今回、この法律、私は、まだまだ生半可で、最終的な救済に至らない。こうした法案をつくるときの本当の真の目的は、被害者をしっかりと守り、そして、その人の再生に向けて支援を行うことでございます。その点については、ぜひこの法律の欠陥を受けとめて、そして、議員立法で提案されております種々の修正、ここにも目配りをして、ぜひ、修正をする、あるいは出し直す、もう一度世論の声をしっかりと受けとめていただきたいというふうに思います。そして、新法の方には、附則を実現する、この司法の解決のあり方、この検討について実際に市民の声をよく聞いてほしいというふうに希望いたします。

 時間が来ましたので、終了させていただきます。ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、吉田統彦君。

吉田委員 立憲民主党の吉田統彦でございます。

 貴重な時間ですので、質疑に入らせていただきます。

 まず、衆法の方に関してお伺いさせていただきます。

 パワーハラスメントの規制を行うに当たっては、規制の対象となるパワーハラスメントの範囲を適切に定める必要が当然あると考えます。パワハラ規制法案におけるパワーハラスメントの定義はどのようなものですか。特に、1番、業務上の優位性を利用して業務上適正な範囲を超えるものといった文章が用いられていますが、その趣旨はどのようなものですか。また、2として、事業者の措置義務の対象となるパワーハラスメントには具体的にどのような行為類型があると考えていますか。御答弁ください。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

西村(智)議員 ありがとうございます。

 私たちが提出しておりますパワハラ規制法案では、いわゆるパワーハラスメントを「労働者との間における業務上の優位性を利用して行う当該労働者に精神的又は身体的な苦痛を与えるおそれのある言動であつて業務上適正な範囲を超えるもの」と定義しております。

 「業務上の優位性を利用して」というのは、業務上の優越的な関係に基づいて行われるものを捉える趣旨でありまして、当該行為を受ける労働者が業務を行う上で行為者に対して抵抗又は拒絶することができない蓋然性が高い関係に基づいて行われることを意味しております。

 具体的には、上司から部下に対しというのが典型的ですが、これに限られるものではなく、同僚や部下による行為で、行為者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、その協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるものなども含まれます。

 また、業務上の指示や注意、指導が労働者に苦痛を与えるおそれのあるものであった場合、それが業務上適正な範囲を超えるもの、つまり、社会通念に照らし、当該行為が明らかに業務上の必要がなく又はその対応が相当でないものであればパワーハラスメントに当たることとなります。

 パワーハラスメントの行為類型については、平成二十四年三月の職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言において、六つの行為類型、つまり、身体的な攻撃、精神的な攻撃、人間関係からの切離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害が示されておりまして、パワハラ規制法案におけるパワーハラスメントについても同じような行為類型があると考えております。

 以上です。

吉田委員 ありがとうございます。

 引き続きお伺いします。

 カスタマーハラスメントの規制を行うに当たっては、規制の対象となるカスタマーハラスメントの範囲を同様に適切に定める必要があると考えますが、消費者対応業務に係るハラスメントの定義はどのようなものか御答弁いただきたい。特に、先ほどと同様に、1番として、消費者対応業務というのはどのような業務であるか、具体的にどのようなものを想定しているのかをお答えいただきたい。また、2として、「業務上受忍すべき範囲を超えて」とはどのような趣旨か。御答弁いただけますでしょうか。

西村(智)議員 法案では、消費者対応業務に係るハラスメントを「労働者に対しその消費者対応業務の遂行に関連して行われる当該労働者に業務上受忍すべき範囲を超えて精神的又は身体的な苦痛を与えるおそれのある言動」というふうに定義をしております。

 そして、消費者対応業務とは「個人に対する物又は役務の提供その他これに準ずる事業活動に係る業務のうち、その相手方に接し、又は応対して行うものであつて、厚生労働省令で定めるもの」としております。

 具体的には、小売店における販売の業務、コールセンターの業務、受付窓口業務、ホテル、飲食店等における接客の業務、医療、介護の提供の業務のうち直接患者等と接するもの、教育、研修の提供の業務、旅客の運送において旅客に接する業務などが考えられます。

 また、顧客等による商品の欠陥等に対する常識的な範囲内のクレームなどは、消費者の正当な権利行使として、労働者が消費者対応業務を行う上でもともと想定されている業務上受忍すべき範囲内のものでありまして、消費者対応業務に係るハラスメントには当たらないと考えております。

吉田委員 ありがとうございます。

 引き続きお伺いいたします。

 パワーハラスメントや消費者対応業務にかかわるハラスメントについて、事業者が講ずべき措置に関して、厚生労働大臣が指針を定めることとされています。その趣旨はどのようなものなのか、また、具体的に定めるべき事項としてどのようなものを想定しているのか、お伺いいたします。

西村(智)議員 先ほど御答弁申し上げましたが、パワーハラスメント、消費者対応業務に係るハラスメントのいずれについても、その定義や事業者が講ずべき措置について条文上は抽象化して定義しております。そのため、それらの具体的な内容についてより明確に示すことができるよう、厚生労働大臣が指針を定めることとしたものでございます。

 したがって、これらの指針においては、事業主が適切かつ有効な措置を講ずることができるように、まず、具体的にどのような行為がパワーハラスメントや消費者対応業務に係るハラスメントに該当するのかについて、例を示すなどしてわかりやすく定めることを想定しております。

 さらに、事業主が講ずべき措置についても、事前の措置や事後の措置などについて、その詳しい内容や具体例、措置を講ずる際の留意事項なども定めることを想定しております。

吉田委員 ありがとうございます。大変よくわかりました。

 それでは、大臣、先日来の議論のまた続きをやってまいりたいと思います。

 女性医師のための院内及び隣接する保育園などでの優先的な扱いを受けられるかどうかに関して、大臣は一昨日の質疑で、現場の自由でそれは行えると発言されました。

 しかし、こういった保育施設は、行政が指導して女性医師を優先させないと、他の職種の母体の人数が極めて多いため利用できなくなります。そうすると、出産を終えて育児中の女性医師が子供を預けて現場に復帰することが難しくなるんじゃないかと常識的に考えるわけですが、この点、もう一度大臣から、大学病院、国立、公立病院における院内若しくは隣接する保育施設で優先的扱いが可能であり、具体的には女性医師を優先することが可能であることをもう一度確認させていただけますか。

根本国務大臣 女性医師で、勤務する医療機関内に保育所があるものの利用したことがなかった医師は二四パーなどという報告があって、院内保育の活用が進んでいないことは承知をしております。

 その理由を見ますと、医師の転勤の時期と保育所の申込時期が合わない、あるいは、女性医師の不規則な勤務等の特性上、一時保育や病児保育などが必要である一方で、院内保育では実施できないことが多いといった状況などがあると思っております。

 病院内保育所については、地域医療介護総合確保基金の活用によってその設置、運営に対する財政支援を実施して、キャリア継続を支援していきたいと思います。

 今後、その設置、運営に当たって、医師など各職種の就労状況や転勤の時期などの特性を踏まえた運用を行うように各都道府県などにお願いする予定であります。

 女性医師優先という委員の御提案ですが、医師のみを優先することはちょっと難しいのかなと思いますが、ただし、女性医師の転勤時期などの特性を踏まえた運用の配慮を求める内容、これを院内保育等の推進に係る通知として各都道府県等宛てに発出を予定しております。

吉田委員 大臣、大分いい御答弁をいただいたんですが、おかしなことを今言っていますよ。

 病児保育とかいろいろな特性を踏まえと言いましたが、病児保育は女性医師の子供にばかり発生するということですか。そんなわけないじゃないですか。みんな機会は一緒で、割合は一緒ですよ。何で女性医師の病児保育が多いという御答弁をされたのか、全く意味がわかりませんよ、大臣。多いというデータはあるんですか。そんなのあるわけないでしょう。

 実際、一部わかっていらっしゃるなと思うんですが、隣接及び院内保育施設に関しては、女性医師というのは医局の采配があって勤務先が容易に変わるんですよ。だから、そういった意味で女性医師は入退職の時期が不明確で、セレクションの時期に申し込めないという実態が実際にあるんですよ。こんなの当たり前で、大臣、わかっていらっしゃることですよね。

 さっき言ったように、母体数が女性医師は全体の職種に比べて数が少ないんですよね。大臣、わかりますよね。だから、完全に公平なセレクションをしちゃうと女性医師はほとんど入れないという話をしているんですよ。女性活躍で女性医師が今後ふえる中で、女性医師に活躍してもらわないと医療の現場がもうもたないわけですよね。また医療崩壊が起こるわけですよ。だから、それを防止するためには女性医師を特別枠とか優遇をしてあげないと根本的な解決にならないんですよと言っている。

 ほかの職種の女性ももちろん大事ですよ。ただ、医療崩壊が起こってくる可能性がある中で、女性医師の割合がふえているわけでしょう、女性活躍と言っているわけでしょう。女性医師が現場で本当に頑張れるためには、少なくともこういったところを配慮してあげないとだめなんですよ。

 だから、特別枠での優遇とか、さっき行政から指導すると大臣におっしゃっていただきましたが、ここは特別にしっかりと女性医師が活躍できるような保育施設の利用に関して、しっかり行政としてやるんですね。イエスかノーで答えてください。

根本国務大臣 地域医療介護総合確保基金の活用によって、設置、運営、財政支援を院内保育所については支援しております。そして、キャリア継続を支援する。

 この設置、運営に当たっては、医師などの各職種の就労状況あるいは転勤の時期などの特性を踏まえた運用を行うようにということで、要は、今委員がおっしゃっておられますが、女性医師の転勤時期などの特性を踏まえた運用、配慮を求める内容の通知を出したい、こういうことであります。

吉田委員 ありがとうございます。だったら、イエスでよかったんじゃないですかね。今、イエスですよね、大臣。だから、イエスと言っていただければ皆さん納得されます。ぜひ、大臣、それはお約束いただいたことですからやってください。

 大臣、タスクシフティングの話を議論させていただきたいと思います。

 従前、加藤前大臣のときだったと思いますが、タスクシフティングに関してはるる申し上げました。まさにこれは、大臣、彼らの視点ですね。以前、私も、大学病院の若手医師、自分自身の経験もリアルな視点として申し上げたんですが、やはり、シフトする側、仕事を送る側の視点に応じたタスクシフティングを前進させないと、意味がないんですよ。

 つまり、現場の女性医師や、これは男女問わず若手の医師の勤務医を中心とした、何が負担であって、現行法の範囲内で何をどの職種にシフトしていくのがよいのかを、しっかりと、適正なアンケートや調査を行って、それをベースにタスクシフトの内容を検討した方がいいんじゃないですか。

 ここは大臣の見解をお伺いしたいんですが、また、タスクシフトした場合、きちんとタスクシフトされているかフォローをしていくことが重要なんです。そういう指示を発出しても、実際タスクシフトがされているかどうかというのは結構しっかりチェックしないと、現場では余りそれは起こっていないということを再三お話ししていますが、この辺どうですか、大臣。

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

根本国務大臣 医師の働き方改革を着実に進めていくためには、まさに、医師でなくても行うことができる業務を他職種に移管するタスクシフティングを推進する、これは非常に大事だと思います。

 幾つかあるかと思いますが、具体例の一つとしては、看護師の特定行為研修制度において、頻度の高い特定行為及び特定行為研修をパッケージ化することとしております。これは看護の質向上及びチーム医療を推進し、タスクシフティングを進めることができると思います。

 それから、医師の働き方改革に関する検討会で、医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組、これにおいて、検査手順の説明や入院の説明、静脈採血や静脈注射、あるいは診断書の代行入力などの業務についてタスクシフティングを進めることとされております。

 平成三十一年度予算案において、タスクシフトの先行事例を医療機関へ通知して、タスク・シフティング等勤務環境改善推進事業を進めてまいります。

 そして、現行のもとでのタスクシフティングを最大限推進しながら、多くの医療専門職がそれぞれのみずからの能力を生かして、より能動的に対応できる仕組みを整えることが重要であると思っております。

 今後、そのための議論を引き続き確実に進めてまいりますが、医師の働き方改革に関する検討会報告書にも、例えば、業務の移管、タスクシフティングの取組で、医師の労働時間短縮に向け、緊急的な取組という中で、医師の負担を軽減するために、原則、医師以外の職種により分担して実施することを医療機関に促しておりますが、例えば検査手順の説明や入院の説明、あるいは診断書、患者の移動、つまり、こういうものを引き続き検討していきたいと思います。

吉田委員 大臣、今おっしゃるのは三回目だから。水曜日も同じ答弁書を読んでいるんです。

 大臣、だから、答弁書をお読みになるのも結構ですが、私の話を聞いて答弁してください。今、全くそんなことは聞いていないんですよ。大臣、わかっていますか。だから、ちょっと大臣、今言っていることは答弁書を見なくても答えられることですから答えてください。いいですか。

 だから、シフトする側の意見を聞いてタスクシフティングをしてくださいねと言っているんですが、今決まっているこういうことをやるという話を僕は聞いているわけではないんです。それは水曜日聞いたじゃないですか。それを受けてきょう、もう一度同じ内容に近いことを聞いているんです。

 だから、大臣、もうちょっとわかりやすく言うと、シフトされる側、つまり仕事を受ける側じゃなくて、シフトする側、仕事を送る側の意見をしっかり酌み取って、その希望に沿ったシフティングをしないと何の意味もないですよということをるる申し上げていることと、そのために何をすべきか、こういうことをした方がいいんじゃないかということをさっき申し上げたんですが、それに関して大臣はどうお考えになって、それをやるのかどうかという質問なんです。だから、答弁書を読まずに、しっかり私の話を聞いて答えてください。

根本国務大臣 委員のおっしゃるとおりだと思います。要は、業務の移管のタスクシフティングというのは、やはり現場があるわけですから、現場の方の意見をしっかり聞いて、そしてタスクシフティングを進める。余り観念的な議論をしても私はもともとしようがないと思っています。

 だから、やはり、タスクシフトする側と受ける側とそこの意見をしっかり聞いて、そして、今、制度上どういう課題、問題があるのか、こういうことをやったらいいと。これはまさしく現場の実態を踏まえての議論をしていく必要があると思います。

 ですから、さまざまな提言もいただいておりますが、そこは引き続き、検討会もありますから、そこでしっかりと検討していきたいと思っております。

吉田委員 最初からそうお答えいただければばっちりなんですが。

 大臣、その検討会だけじゃないということを理解してほしいんです。検討会に本当の若手の意見が酌み入れられているか、現場の意見。今、確かに検討会もそういう方向でのメンバーの選択をするようになってきましたよ、時代の流れで。ただ、まだまだやはり、逆に言うと、検討会の中に女性の若手医師が入っているかどうか。僕は、恐らく入っていないんじゃないか。ごめんなさい、入っていたら大変失礼申し上げますが。そういったところも、やはり本当の現場の声を酌み取る工夫を大臣にしていただきたいんです。

 では、もう一言だけ、簡潔に大臣のお考えが聞きたいんですが。今、検討会というお話が出ましたが、検討会だけでは不十分だとこの際もう考えます、大臣。だから、本当の現場の声を酌み取るためには、検討会以外で何かしたり、どうされるおつもりか、簡潔にお答えください。

根本国務大臣 これから更に検討を進めていきますが、委員おっしゃるように、検討会で全て内容を決めていくということではありません。もちろんこれは施策ですから、検討会は検討会として中心にやってもらいますが、これから検討を進める中で、多様な意見をさまざまな機会を設けて聞きながら進めていくことが非常に大事だと思います。ですから、そこは幅広い意見を聞きながら、そして具体的に前に進むようなタスクシフティングをつくり上げていくということが私は何よりも大事だと思います。

吉田委員 ありがとうございます。

 大臣、答弁書なしで今みたいにお答えになった方がすごくいいと思いますよ。今いいお答えだったじゃないですか。委員長もそう思っていらっしゃると思いますが。本当に今いいお答えで、納得しましたし、現場は今の大臣の御答弁を聞いたらかなり勇気づけられますよ、大臣。答弁書を頼らず、大臣、英邁な方なんですから、ぜひ答弁書なしでお答えいただければと思います。

 では次に、別の質問に行きます。

 大臣、米国のタイトルナインという連邦法、一九七二年に成立していますが御存じでしょうか。後藤田委員がこの法案に関しては極めて精通されているんですが。この法律は、そもそも、学校教育での男女差別を解消する目的で制定された連邦法であります。合衆国において、何人も、性別を理由として、連邦の公的資金を受ける教育プログラム又は活動において、その参加を否定され、利益の獲得に差がついて、差別されることはないというような内容が規定されています。

 そして、この影響は、学校におけるスポーツの平等、例えば学校のクラブにおいて女性であるとの理由で入部を断ることはできない。男性のみのチームがあれば、女性のみのチームもつくらなければならないとされています。アスリートとして学生を入学させる、招聘させる場合にも、平等にする必要があるとされています。

 日本にはこのような法律は存在しませんが、日本での女性活躍においてもこういった思想は生かされるべきと考えますが、このタイトルナインという法律に関しての大臣の御評価をお伺いしたいと思います。

根本国務大臣 今、タイトルナインの趣旨、内容、これは委員からお話がありました。私も、アメリカにおいて教育分野における性差別を禁止するものである、こう考えております。それは委員のおっしゃるとおりだと思います。

吉田委員 そうなんですよね。もとはそうなんです。

 ただ、この法律は非常に大きな影響を与えています。

 米国では、もう大臣には釈迦に説法だと思いますが、同国内での人種差別を禁止する法律である公民権法、もちろん御存じだと思います、一九六四年に成立しています。何と、その八年後には既にタイトルナインが成立をしているわけです。

 繰り返しになりますが、この法律は当初は学校教育での男女差別の解消が目的でしたが、その影響は実は多岐にわたります。特に、女性におけるスポーツの機会やその促進にもつながった事実があります。この法律はまさに心身の健康やワーク・ライフ・バランスにも好影響を与え、この一点では、残念ながら日本は後塵を拝していると私は申し上げざるを得ないかなと思います。

 日本では、実際、十八歳以上の女性においてスポーツを日常的に行う機会が欧米に比して極めて少ない現実があるのを御存じですよね、大臣。実際、アメリカのフォーチュン誌が年に一回発行するフォーチュン五〇〇は、御存じだと思いますが、全米上位の五百社が総収入に基づいて順位づけされるものです。この中の女性経営者の実に八割以上が高校や大学時代にアスリートだったというデータが明らかにされています。このことからも、スポーツは、すぐれたリーダーシップや適切な判断力を養うだけでなくて、キャリア形成にも大きな影響を及ぼしているのは明らかであります。

 引き続き、このタイトルナインに関しては、細かい点に関しては今後も一般質疑などで大臣と議論していきたいんですが、今申し上げたような内容を踏まえて、ぜひ我が国でもこのような、スポーツ、ワーク・ライフ・バランスとか、こういった部分でも女性活躍につなげていただきたいと思うんです。

 やはり、スポーツ、ワーク・ライフ・バランスを整えて、女性が活躍していく上でも重要でありますから、こういった趣旨の法律、例えば、もう少しつけ加えると、アメフトが強い大学が男子学生をいっぱいスカラシップで入れる場合には、女性も同じように、やはりスポーツの得意な特待生をいっぱい入れるだとか、そういった工夫もしていたりするわけなんですよ。こういったことがスポーツ促進につながっている。

 こういった分野に関して、大臣、いかがお考えになるかということをお答えいただけますか。

根本国務大臣 今委員の話を聞いていて、なるほど、やはりスポーツは大事なんだなと思いましたが。

 要は、女性活躍を推進するためには、教育分野を含めて、やはり大事なのは、社会全体において、性別により差別されることなく、全ての女性がみずからの希望に応じて個性と能力を発揮できることが重要だと考えております。

 厚生労働省としても、雇用の分野における女性活躍を推進するために、それぞれ、雇用の各ステージ、募集、採用、配置、その各ステージにおいて性別を理由とする差別は禁止しておりますし、女性活躍推進法において、各企業に対して、自社の女性の活躍状況を把握、分析した上で、女性活躍に向けて自主的に取り組む、企業に対してもそういうことを義務づける、自主的に取り組むことを促すということをやっておりますが、これは、社会全体として、全ての女性がみずからの希望に応じて個性と能力を発揮できるような社会をつくっていく。

 委員おっしゃるとおり、スポーツもその大きな原動力だなと私も思います。

吉田委員 ありがとうございます。

 本当によく御理解いただいていると思いますけれども、こういった他国の例も見習って、女性活躍をしっかりと大臣に牽引をしていただきたい。

 ちょっとまた医療の話に戻りましょうか。

 専門医制度に関して議論したいと思います。これと女性活躍ですね。

 厚生労働省からいただいた資料によると、例えば、メジャー診療科と昔から言われる内科の専門医の中で女性の占める割合は一七・三五%。外科の女性の専門医は、大臣、何と七・四五%しかいません。例えば皮膚科は四二・七九%と、非常に高い割合で女性の専門医がいます。

 大臣、メジャー診療科である内科、外科というのは国家にとって必要ですよね。各診療科のバランスというのはある程度はやはりしっかり考える。そのために、専門医制度をいろいろお考えになっているんだと思いますが。

 このメジャー診療科である内科、外科で専門医をとろうとすると、自分のライフプランを犠牲にして、専門医として生きていかなければならない。つまり、その一方では、メジャー診療科でのキャリアを捨てて出産、子育てをすることを選択する優秀な医者がたくさんいることも示唆しているわけです。

 このような内科、外科における、こういうメジャー診療科と言われる診療科の専門医制度の現状について、大臣はどのようなお考えを持って、どのような課題があるとお考えなのか、御所見を伺います。

根本国務大臣 内科、外科等の診療科、これは、当直の回数が多い、あるいは長時間、緊急の手術がある、こういうことによって他の診療科に比べて労働時間が相対的に長い、ですから、女性が診療科として選択しづらい傾向があるということは認識しております。そして、働き方改革の取組が極めて重要であって、診療科偏在対策としても有効であると考えます。

 今御指摘の専門医制度、要は、プログラム制とカリキュラム制の二つの制度が整備されていますが、これはもう委員が非常に詳しいと思いますが、プログラム制においては、プラグラムというのは全部決まっていますから、なかなかプログラム制だと女性の医師の研修が積みにくい。

 したがって、そういうライフイベントに応じて女性も産休や育休をとるわけですから、そこのライフイベントを迎えても女性医師などが安心して産休や育休を取得できるように、一定期間の休職も可能なカリキュラム制の整備を平成三十年十月に、内科や外科等の学会に対してそういうことをやってほしいと要請をしております。

 これからも、専門医制度を含めて、女性が勤務しやすい環境の整備ができるように、日本専門医機構と協力して必要な取組を進めていきたいと思います。

吉田委員 委員長も外科医でいらっしゃいますから、多分興味深く聞かれていたと思いますが。

 大臣、後段のところが重要なんですよ。要請を出されたんですが、実際、最初の話はちょっと違うんです。そもそもの選択として、診療時間が長かったり不規則であったりかなり心身に負担がかかる診療体制なので、その方はそもそもその科を選ばないんですが、その科を選んだにもかかわらず専門医がとれなかったりということに関して私は伺っているんです。

 だから、要請を出されたというところが重要なんですが、要請を出された結果、どのような対応を学会側や専門医制度としてはできているのかということをもう少し御開陳いただいて、それに関して大臣も御意見があればそこに付言いただければと思います。

根本国務大臣 要請を実施しております。

 そして、これを受けて、日本専門医機構ではカリキュラム制がより柔軟に活用されるようにプログラム制からの移行などに取り組まれていると承知をしておりますが、この点について、日本専門医機構に対して、これからもこの点については十分にやりとりをしていきたいと思います。

吉田委員 大臣、そうですよね。

 ただ、大臣、今の専門医機構の脆弱な事務体制ではこういったことにちゃんと対応できないですよ。

 これも以前、私も質疑させていただきましたが、専門医機構は非常に今脆弱な組織なんですよ。だから、ここに関してもやはり、厚生労働省としては、この専門医機構がイニシアチブを学会に対してもとれるような、強力かつ国民のために真に役に立つ組織にしていただかなければならないわけです。ここはまた質問させていただきますが、大臣、少し頭にはぜひ入れておいていただきたいと思います。

 最後の質問になってくると思いますが、では、大臣、実際に女性医師が出産、子育てをしている場合についてお聞きします。

 現状では、医師の働き方改革で問題になっているのは、上限の残業時間を厳格に守ると深刻な医師不足になる。もちろん、千八百六十時間というのは過重な労働ですよ。しかし、それを守ってしまうと医師不足になる。そういった状況の中で、女性医師が産休、育休をとった場合、そのしわ寄せが誰に行くかというと、周りの医師や特に女性医師に波及する場面がかなり多くあるわけです。

 そして、その結果で、またますます男女問わず勤務医が減っていく、女性の医師もやめていく、このような悪循環が起こって、残った若手女性医師に対して上級医が、例えば、挙児に関して制限をする、ちょっとしばらく挙児は控えてくれといったような状況やマタハラが頻発する可能性が高まるわけなんです。

 このように、挙児を希望する女性医師に対してはもちろんですが、その周囲の男女問わず同僚医師への行政等のフォローがないと、医療現場では本当に女性活躍、女性がライフプランと自分のキャリアを両立することはもう不可能になっていると思うんです。

 この一点に関しては、厚生労働省としては何か手だてをしていくのか、どのような手だてをしていくのか、それとも、何もせずに手をこまねいて見ていくのか、大臣、お答えください。

根本国務大臣 医師が妊娠、出産、育児などと勤務を両立しやすい環境にするためには、地域医療介護総合確保基金を活用した取組を行うのが望ましいと思っています。

 複数主治医制やシフト制など診療体制を整備して、周囲の医師も同様に働きやすい環境を構築する、産休や育休などで休職する場合には、休職する医師を派遣などで代替する補充医師枠の仕組みを設けること、こういうことが望ましいと思っております。

 平成三十年度には、四十七都道府県で、大学、医師会、病院団体が参加し、委員御指摘の、要は女性医師の業務のフォローを含めた女性医師などのキャリア支援について協議する連絡協議会を立ち上げました。ここでは、地域ごとに、上司などを含む職場の理解の向上や育児を抱えた医師に対する診療体制の支援などについて議論していただいたところであります。

 やはり、こういう取組を通じて、全ての医師が勤務しやすく、育児休暇などで休職する医師がいても無理なく働ける環境を、こういう形で関係者が集まって協議する中で我々も後押しをしていきたいと思います。

吉田委員 残念ながら時間が参りましたので終わりますが、大臣、今一言だけ申し上げますが、補充医師枠というのは本当に機能しているかどうか確認していただけませんかね。ただでさえ医師不足と言われているのに、補充医師枠と言われても、そこがどのように機能しているのか、また今度、次の一般質疑等で教えていただければと思います。

 きょうはありがとうございました。これで終わります。

冨岡委員長 次に、尾辻かな子君。

尾辻委員 立憲民主党・無所属フォーラムの尾辻かな子です。

 まず、私の方からは、おとついに引き続いて、女性の活躍推進法のところでお聞きをしていきたいと思います。

 まず、この法律ができた経緯の確認だけちょっとさせていただきたいんですけれども、この法律は、二〇一四年六月に閣議決定をされた日本再興戦略改訂二〇一四の中で、「「二〇二〇年に指導的地位に占める女性の割合三〇%」の実現に向けて、女性の活躍推進の取組を一過性のものに終わらせず、着実に前進させるための新たな総合的枠組みを検討する。」とされ、その中で、「具体的には、国・地方公共団体、民間事業者における女性の登用の現状把握、目標設定、目標達成に向けた自主行動計画の策定及びこれらの情報開示を含め、各主体がとるべき対応等について、検討する。さらに、各主体の取組を促進するため、認定などの仕組みやインセンティブの付与など実効性を確保するための措置を検討する。これらについて今年度中に結論を得て、国会への法案提出を目指す。」こういうふうな経緯でつくられたということでよろしいでしょうか。確認です。

小林政府参考人 御指摘のとおりでございます。

 ただ、ちょっと国会の関係で成立が少しずれ込んだということはございますが、経緯としては御指摘のとおりであります。

尾辻委員 これは、この前もやったように、本来、二〇二〇年に指導的地位に占める女性の割合三〇%の実現に向けてということなんですね。今これを議論している例えば安倍政権で女性閣僚が一人しかいないというこの現状で、女性活躍推進を事業者の人たち、企業の方々にもやってくださいとお願いする前に、まず、本当に政府として本気で女性活躍推進をやる気があるのか、疑わしい状況ではないかということを指摘しておきたいと思います。

 そして、働く女性の現状ということで確認をしていきたいと思いますけれども、まず、二〇一九年二月一日に公表された総務省統計局の労働力調査、二〇一八年平均速報の結果で見ると、男性と女性の正規雇用と非正規雇用の比率は、男性の正規の職員、従業員の比率は七七・八%、非正規の職員、従業員は二二・二%という割合に対して、大体八対二ぐらいなんですね、女性の正規職員、従業員の比率というのは四四・二%、非正規が五五・八%。だから、四対六で非正規の方が多いということになっていて、この割合は、ほとんどここ数年変化がありません。女性の場合、非正規がどんどんふえていっているという状況でありまして、女性の非正規雇用の平均所得は、国税庁の平成二十九年分の民間給与実態統計調査結果によると、百五十万八千円となっております。

 ですから、依然として、男女の正規、非正規の比率の差、所得の格差は歴然としているということでありますし、内閣府の資料によると、第一子の出産を機に離職する女性の割合が四六・九%と、依然として高い状況であります。

 同じく内閣府の資料の中に明治安田生活福祉研究所から引っ張ってきた調査があって、出産・子育てに関する調査で、第一子の妊娠・出産を機に仕事をやめた理由では「子育てをしながら仕事を続けるのは大変だったから」が五二・三%ということで、半分近くの人がやはり子育てと仕事の両立は難しいということをおっしゃっている。

 こういう現状が今の日本の働く女性たちの現状ということなんですけれども、では、これが本当にどう変わってきたのか。

 女性活躍推進法の施行から約三年がたったわけです。前回から議論させていただいたとおり、男女の平均賃金の格差、これが一番、男女の活躍、勤続の実態を総合的に反映したものであり、まずこれで見なければいけないと思います。

 今、この女性活躍推進法が施行されてから、男女の賃金格差はどのように変化をしたのかということについて、まずお答えください。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 男女の賃金格差でございますが、我が国におけますフルタイムの男女労働者間の賃金格差を賃金構造基本統計調査に基づき申し上げますと、女性活躍推進法が施行された平成二十八年は、男性を一〇〇とした場合、女性の値は七二・二、直近の平成三十年では七三・三ということで、一ポイント縮まっているという状況でございます。

尾辻委員 資料の二枚目のところに、今お答えいただいた男女間の賃金格差ということで書いてあります。二〇〇一年から二〇一八年までを書いてあるわけですけれども、この法律が施行されたときが七二・二、そして二〇一八年で七三・三ということで、これを見ると、実は二〇一七年が七三・四、二〇一八年が七三・三で〇・一ポイント下がっていたりするような、ほとんど変わらない、一%、一・一%、賃金格差がちょっとだけ、ほんのちょっと縮まった。

 では、このペースで進むと、男女の賃金格差が埋まるのは一体いつになるのか。大体で結構ですから、どれぐらいの速度でこれは進んでいくのかということを一回教えてください。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 男女間の賃金格差につきましては、女性活躍推進のための取組の成果をあらわす指標として重要なものというふうに認識をしておりまして、その改善を図っていくことは重要な課題であるというのは御指摘のとおりでございます。

 ただ、賃金格差の主な要因を見ますと、管理職比率と勤続年数の差異ということでございますので、女性の管理職への登用を進めるとともに、職業生活と家庭生活を両立しやすくすることなどによって女性の勤続年数を伸ばす、こうしたことで男女の賃金格差の解消が進むというふうに考えております。

 今申し上げましたように、賃金格差は、勤続年数、役職、年齢、学歴などさまざまな背景が積み重なった最終的な結果指標という意味合いを有しておるものでございますから、どのぐらいで格差が解消されるかということについて一概に申し述べるのは難しいのかなと。ただ、その解消を目指して取り組んでまいりたいというふうに考えております。

尾辻委員 二〇〇一年から一八年のスピードを見ると、十年で五%ぐらい格差が縮んでいるかなということなんですね、大体のイメージでいくと。今、二五%以上差があるわけですから、そうなると、十年で五%ということで、これは一体何年かかるのかということですね。

 これは、男女の賃金格差で見た場合に、日本の格差縮小が余りに遅過ぎる、そして、後で言いますけれども、これがまず企業の計画を策定する段階において把握する基礎項目にも全然なっていないし、そして公表項目にもなっていない。本当に問題だと思います。

 OECD諸国の中で見ても、例えば二〇一七年のフルタイム労働者の中位所得における男女賃金格差でいきますと、日本は、韓国、エストニアに次いでワースト三位の二五・七%となっており、男女の賃金格差が最も大きい国の一つになっています。そして、女性の管理職数と取締役に占める割合も、OECD諸国中最下位という状況が今の日本の状況だということです。

 では、これらの諸外国ではどのようにして賃金格差の是正に取り組んでいるのかということについてお示しをいただきたいと思います。

小林政府参考人 諸外国の賃金格差解消のための具体的な施策ということでございますが、例えばということで申し上げさせていただきますと、ドイツにおきましては、賃金透明化促進法というところにおきまして、従業員二百人以上の企業について、従業員から照会があった場合に、同一又は比較可能な業務を行っている異なる性別の従業員の賃金情報に関する開示というのを義務づける、また、従業員五百人以上の企業に対しては、男女の賃金の公平性に関する報告書の作成を義務づけている、こういった例があると承知をしております。

尾辻委員 ドイツでは、このように賃金透明化促進法というのが施行されている、そして賃金情報を開示するようにということが法律で義務づけられるわけです。

 ほかにも、フランスでいいますと、女性の賃金差別に対しては、その原因が昇進のおくれと短時間労働や有期雇用のパートタイムにあると分析をして、二〇一八年からは女性の管理職増加を期限つきで企業に義務づけている、達成されない場合は制裁金が科されるという法律をつくっています。イギリスにおいても、二〇一七年四月から男女間の給与差の詳細の公表が義務づけられています。カナダのオンタリオ州でも、二〇一八年四月からは賃金公表法が制定をされています。

 つまり、これら各国は、政策導入の経緯や制度は異なるものの、男女の賃金格差の是正に関しては、企業による情報開示によって賃金を透明化する、見える化をすることで進めていっているわけですね。これが今トレンドになっているわけです。一つ一つの企業を政府が監視するというのではなくて、企業自身に情報公開させること、それによって男女平等化を進めていくということになっているわけです。

 この世界のトレンドに対して、じゃ、日本はどうなのかというと、おとついも議論させていただいたように、事業行動計画策定に当たっても、男女の賃金格差というのは選択項目そして公表項目にも入っていない。これでは全く骨抜きの話だと思うんですね。

 アイスランドでもそうですけれども、ジェンダーギャップ指数一位なんです、アイスランド。それでも、同等業務に従事する男女従業員に同額賃金を支払っている証明書の取得を使用者に義務づけた、そういうような世界初の新法が二〇一八年に施行されているということで、このような形で各国進んでいます。本当に、こういう状況と日本は余りに差ができ過ぎているんじゃないかというふうに思います。

 ちなみに、日本で男女の賃金格差を公表している企業、これはどのように把握していますでしょうか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 女性活躍推進法におきまして、男女の賃金の差異につきましては事業主が任意で把握する項目の一つというふうにされております。

 独立行政法人労働政策研究・研修機構が平成三十年一月に実施したアンケート調査の結果によりますと、男女の賃金格差に関することを把握している企業は、三百一人以上規模企業で七・九%、三百人以下の企業では八・六%というところにとどまっておる状況でございます。

尾辻委員 男女の賃金格差をなくそうとすれば、まず自分の会社がどのような状況になっているのかということを把握しないと、気づきがないわけですよね。今おっしゃったように、三百一人以上の企業で七・九%、三百人以下であれば八・六%ということで、これでは日本の企業における男女の賃金格差というのは縮まらないと言わざるを得ないと思うんです。

 ですので、やはり男女の賃金格差は行動計画策定のときの必須項目にしなければいけないし、公表項目にも入れなければ、まず気づかないわけですから。そして、一〇%にも満たない企業しかそのことを把握していない、これでは縮まらないと思います。

 大臣、このことについて検討いただきたいと思いますが、いかがでしょう。

根本国務大臣 男女間の賃金格差、これは女性活躍推進のための取組の成果をあらわす指標として重要なものであると認識しております。ですから、その改善を図っていくことは重要な課題であると考えています。

 ただ、先ほども既に申し上げておりますが、男女間の賃金格差の要因は、勤続年数、役職、年齢、学歴、さまざまであって、主な要因は管理職比率と勤続年数の差異となっております。実は、これがこれまで弱かったところでありますので、ここは女性の管理職への登用を進める、そしてもう一方で、ワーク・ライフ・バランス、職業生活と家庭生活を両立しやすくすることによって女性の勤続年数を伸ばしていく。この結果、男女間の賃金格差の解消が進むものと考えております。

 さらに、今回の見直しで、中小企業の事業主にも計画的な取組を広げますし、職業と家庭生活の両立の面からの情報公表義務の強化を行うこととしておりますから、賃金格差の解消に資することが期待されております。

 今、公表の対象にしたらどうかという御指摘でありますが、男女格差はさまざまな背景が積み重なった最終的な結果指標という意味合いを持ちますので、仮に企業によってその値に差があったとしても、それを企業間で比較した際の解釈がなかなか難しいのではないかという面がありますので、男女間の賃金格差を状況把握の基礎項目や情報公表項目に加えることについては慎重な検討が必要であると考えています。

尾辻委員 本当に全く不十分だと思います。

 先ほど、男女の賃金格差が、この法律ができてから一・一%しか縮んでいないということを確認しました。それで、なおかつ、各企業が、自分たちの会社の賃金格差がどれぐらいかわからない。三百一人以上の企業ですら七・九%しかわかっていない。三百人以下だと八・六%。こういう現状をこのまま放置しておくというのは、全くこの法律は私は不十分だと思います。ここはやはり公表するべきだということを強く申し上げておきたいと思います。

 それでは、次に行きます。

 これもおとついやりましたけれども、雇用管理区分においての残業時間と有給休暇、これの情報公表についての話であります。

 ちょっと前回は把握でやってしまいましたので、情報公表項目ということでやっていきたいと思うんですけれども、残業時間そして有給休暇取得率、これはやはり雇用管理区分ごとにしないと、現実に正社員だけいっぱい残業しているとかそういうことだってあるわけですから、こういうところをしっかりと雇用区分ごとに見なければいけないと思います。

 特に残業時間については、現在、平均値でよいとする項目と、雇用管理区分ごとの二つの選択制になっている。ですので、これは平均値の項目は削除して雇用管理区分ごとに出さなければいけないと思いますけれども、いかがでしょう。

小林政府参考人 まず、前回、私は状況把握の方で申し上げまして、大変失礼いたしました。

 今お尋ねの情報公表の方でございますけれども、現在、十四項目から任意の一項目を選択して公表することとなっておりますが、残業時間と有給休暇取得率につきましては、雇用管理区分ごとに情報公表を行うということは必須にはなっていないという状況でございます。

 これらの項目でございますけれども、職場全体の働きやすさに関係する指標であるということと、それから、雇用管理区分ごとに把握、管理すると企業の負担も大きいということがあって、労働者全体の平均値でも足りるという取扱いにしておるところでございます。

 情報公表項目の内容等につきましては、今後労政審で改めて検討いただくことになるわけでございますので、どのような見直しが必要かということについて、公労使でよく御議論をいただきたいというふうに考えております。

尾辻委員 雇用管理区分ごとに公表するように、ぜひ審議をしていただきたいというふうに思います。

 もう一問、雇用管理区分でお伺いをいたします。

 今、厚労省では女性活躍推進データベースというのをつくっておられて、私もこれを拝見させていただきました。これをちょっと見せてもらうと、どうも雇用管理区分ごとに公表されていないんじゃないかというようなことが見受けられるんですね。法律では一項目選べばいいということになっているんですけれども、やはり正確な情報を知るためには、雇用管理区分ごとに情報公表をしていくべきだと思います。

 今、こうしてデータベースに出ている中で、例えば雇用管理区分ごとに情報公表をしていない件数、それに対しての行政指導の件数とか、派遣の情報公表をしていない件数や、それに対しての指導、加えて現状把握においても、雇用管理区分ごとに把握していない件数や、それに対しての指導件数など、大体何件ぐらいあるのかということについてお伺いしたいと思います。

小林政府参考人 雇用管理区分ごとに公表すべき事項十四項目のうち六項目がそれに当たるわけでございますが、データベース上、雇用管理区分ごとに公表していないケースというのは把握できておらないところでございます。

 ただ、女性活躍推進法の施行に関しまして、都道府県労働局は必要に応じて報告徴収、助言、指導等を行うことができるということになるわけでございまして、ここの端緒としては、労働者からの情報提供ですとか、それからデータベースの管理者からの情報提供といったことがあるわけでございますが、適切な公表がなされていないケースを把握した場合には、報告徴収、また必要に応じて助言、指導等を行っていくということになるものでございます。

尾辻委員 把握していないということなんですけれども、これはやはり把握していただかないといけない問題だと思います。これは大きな問題になりますから、しっかり把握してください。

 そして、幾ら情報を把握しても、先ほどの情報公表も、総合職とか一般職とか派遣労働者が全部一緒になって平均された数値では職場の現状というのは把握されないと思いますし、就職活動中の学生や求職者にとってもやはり役立つ情報にはならないと思います。ぜひ、雇用管理区分ごとに派遣労働者もちゃんと分けて情報公表をしてほしいし、指導をしていただきたいというふうに思います。

 今回見た女性活躍のデータベースなんですけれども、やはり余り知られていないように思いますし、活用されていないようにも思います。

 ちょっと時間がないのであれなんですけれども、ホームページは大体どれぐらいの人が見に来ているのか。例えば、就職活動をしている人たちは、リクナビとかマイナビとかを見るわけですよね、女性四季報とか。こういうところと連携をして、本当に就職活動をする人とか求職者の人に見てもらうような方法を考えた方がいいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、女性活躍推進データベースのアクセス数でございますが、平成三十年度は二十六万二千九百六十四件でございます。

 今御指摘いただきましたように、できるだけ多くの求職者にごらんいただくことが重要、特に学生の方に見ていただくということは、御指摘いただきましたように非常に重要だというふうに考えております。

 昨年、「マイナビ 学生の窓口」というところにタイアップ記事広告を四週間掲載するというようなことも行ったところでございますが、今御提案いただいたような方法も含めて、更に見ていただけるような方策というのを検討してまいりたいというふうに思います。

尾辻委員 せっかくつくったデータベースですので、しっかりと活用されるように取り組んでいただきたいと思います。

 最後、セクハラのことについて少し聞いていきたいと思いますけれども、セクハラについては、すべての女性が輝く社会づくり本部では、女性活躍加速のための重点方針二〇一八の中で、セクハラを根絶するというふうに書いてあるんですね。

 いまだに相談しない人が多くて、データもとっていない段階で、セクハラの根絶の達成というのはどのような指標でどういうふうにして確認をするつもりなのかということについてお聞かせいただきたいと思います。

小林政府参考人 セクシュアルハラスメントにつきましてでございますが、都道府県労働局への相談件数ですとか、それから事業主に対する行政指導の件数等を把握しているところでございまして、こうした件数の状況をよく踏まえて対応してまいりたいというふうに考えております。

尾辻委員 根絶というのはさすがに、どういう指標でどういうふうにやるのか、今の現状からいくとちょっと飛躍した話だなというふうに思いました。

 最後、もう指摘だけにとどめますが、今回非常に問題になっている就活生へのセクハラについて、ビジネス・インサイダー・ジャパンの記者の竹下さんがアンケートをとっております。そうすると、六百人の回答者のうち三百人、半数が被害に遭ったと答えていますし、被害に遭った七割が誰にも相談していないという現状も見えてきております。

 就職活動をやめるとか、そういう深刻な被害もありますので、やはり就活生について、そしてフリーランス、今の男女雇用機会均等法には入っておりませんけれども、これもしっかりとセクハラの範疇の中に入れていくことは非常に大事だと思いますので、これについては指摘だけにとどめておきたいと思います。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 立憲民主党・無所属フォーラム、西村智奈美です。

 時間が極めて短いので、答弁は簡潔にお願いします。制度や法改正の内容等は、前提として、私は含んでおりますので、改めての説明は不要です。私が尋ねたとき以外は、ただ単に答弁書を読むということはしないでいただきたいと冒頭お願いをします。

 セクシュアルハラスメントの紛争解決について、前回の続きからまず大臣に伺いたいと思います。というか、伺わなければなりません。

 資料をごらんください。1、セクシュアルハラスメント防止対策について。

 これは厚生労働省雇用均等基本調査の結果ですけれども、確かに、大臣が先日私にお答えになられたように、このグラフを見ますと、五千人以上の規模の企業は一〇〇%、セクシュアルハラスメント防止対策の取組というのをやっております。

 しかし、これは資料の4、企業向けに厚生労働省がつくっているパンフレットですけれども、「事業主の皆さん 職場のセクシュアルハラスメント対策はあなたの義務です!!」と書かれています。そこのパンフレットの中で、五ページ目をごらんください、事業主への義務づけ十項目ということで、これは規模に関係なく、ここに書かれている十項目は全て履行しなければいけないということが、このガイドブック、指針によって求められているわけですね。

 ところが、資料の二ページ目を見ていただきたいんですけれども、これも基本調査に出ているグラフですけれども、十項目についてアンケートはとられていないんですよ、やっているかどうかということについて。何か項目が丸められて、何かちょっと加工されて、セクハラについての方針を明確化し、周知したとか、窓口を設置した、研修を行ったというふうにグラフが出ているんですけれども、十項目も出ていないし、それから、やはり肝心なのは、相談・苦情対応窓口を設置するということと担当者の研修をセットで行うということだと思うんですが、見ていただくと、相談窓口を設置しているところは三九・四%、それで、相談担当者への研修を実施しているのがわずか八・九%。これで本当に五千人以上の規模の企業が一〇〇%、セクハラ防止対策をやっているというふうに言えるのか。私は言えないというふうに思うんですけれども。

 これはどういうことですか、大臣。やはり私にごまかしの答弁をしたんじゃないですか。

根本国務大臣 私も先日、例えば五千人以上の企業では一〇〇%等々のセクハラ防止のための対策に取り組んでいるというのを御紹介いたしました。これは、雇用均等基本調査の調査票に記載のある対策に一つでも取り組んでいる企業の割合についてお答えしたものであります。

 大企業も含めて、措置義務が履行されていない企業があることは承知しておりますので、引き続き、措置義務の内容の周知と履行確保に取り組んでまいりたいと思います。

西村(智)委員 つまり、そうなんですよ。十項目のうち全部が義務なのに、十項目のうち一つでもやっている企業が一〇〇%だというだけであって、しかも、その大企業の内訳を見ていただきたいんですけれども、資料でお配りしているものの三ページです、これは雇用均等基本調査から作成をしたグラフなんですけれども、例えば相談・苦情窓口担当者への研修を行った企業は、五千人規模の大企業であっても、わずか三割です。これで本当に実効性が上がるのかということだから、セクシュアルハラスメントがいつまでたってもなくならないということになるんじゃないでしょうか。

 何か、大臣は殊さら、あるいは厚生労働省の方からは、中小企業の方が問題ですというお話もある。確かにそれもそうなんだけれども、大企業であっても、こういうふうに行っていない、義務を履行していないところがあるわけですから、そういうことも踏まえて、きちんと実効性のある取組をしてもらいたいと思いますけれども、大臣、もう一回答弁してください。

根本国務大臣 大企業も含めて、措置義務が履行されていない企業があることは承知しておりますので、措置義務の内容の周知と履行確保に取り組んでいきたいと思います。

 そして、事業主が雇用管理上必要な措置を講じていない場合、都道府県労働局は、男女雇用機会均等法二十九条に基づき、助言、指導、勧告を行っております。セクハラ指針に規定されていない、措置を実施していないことが判明した場合も、事業主に対して指導等を行うこととなります。

 引き続き、措置義務の周知と履行確保に取り組んでいきたいと考えています。

西村(智)委員 少なくとも、雇用均等基本調査の報告書には、私が資料3で配ったような企業規模別のものとか、それから、一つでも履行しているものが全て、一〇〇%という中身に入ってくるわけですから、せめて実態がわかるような公表の仕方をしてください。これはぜひお願いをしたいと思います。

 今度は女性活躍推進法の情報公表項目について伺いたいと思うんですけれども、これは資料の6でございます。

 資料の6、これは女活法のパンフレットなんですけれども、ここの項目の五のところを見ていただくと、「セクシュアルハラスメント等に関する各種相談窓口への相談状況(区)(派)」と書いてあります。

 私、相談状況が活発なことというのは、これは決して悪いことじゃないと思うんですよ。風通しがいいということでもあると評価をされる面は強いというふうに思います。ですから、ここのところは、例えば窓口の整備状況はどうかというふうに項目を変えるとか、それから、先ほど申し上げた、大臣からも御答弁がありました、とにかく措置義務がちゃんと履行されていません。だから、措置義務がちゃんと履行されているかどうかという状況をこの五の項目の中に入れるべきではないか、加えるべきではないかというふうに思うんですけれども、これに対しての答弁をお願いします。

根本国務大臣 民間企業のセクハラ対策、これは、男女雇用機会均等法に基づいて、全ての企業に対して相談窓口の整備などの雇用管理を義務づけておりますが、それで、法律上義務づけられているセクハラ等対策の整備に関する状況について、状況把握項目や情報公表項目とすることについてはさまざまな意見があるものと思われます。

 そして、要は、委員も今、そういう御指摘でありますが、さまざまな意見があるものと思われますけれども、今後、状況把握項目や情報公表項目を具体的に定める労働政策審議会において、必要性も含めて検討していきたいと思います。

西村(智)委員 必要性は十分にあると私は申し上げております。つまり、一〇〇%やっているはずの大企業の中でも相談担当者に対する研修が三割も行われていないわけですから、措置義務は全てやらなければいけないわけですから、各項目の履行状況をきちんとチェックできるようにしておかなければいけないということは強く申し上げておきたいと思います。

 それで、先ほどの我が党の大河原議員の質疑の中で、均等法違反で、公表に至るまでの流れで非常に時間がかかっているという指摘がありました。そこのところの局長答弁が、ちょっと最後、うやむや、むにゃむにゃという感じだったので、もう一回改めて伺いたいと思うんです。

 平成二十五年度で是正指導が六千五百五十九件であった、うち年度内に是正が行われたのが九九・五%だったという答弁だったかと思います。ということは、〇・五%、件数にするとおよそ三十件ちょっとになるんだと思うんですけれども、これが翌年度以降、そこで是正をされたのかどうか、これはどうですか。

小林政府参考人 私どもの行政指導で最終的には履行が図られているという状況でございますので、今お尋ねいただきました差というのは年度のずれによるものだというふうに認識をしております。

西村(智)委員 つまり、残りの三十数件について、翌年度はきちんと是正が行われたということでよろしいですか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 翌年度において是正が行われたというふうに認識しております。

西村(智)委員 しかし、時間がかかり過ぎていると思うんですよ。この実態、一番長くかかったのでどのくらいの期間ですか。

小林政府参考人 大変申しわけございません。措置が完了いたしますと私どもの方に個別に状況報告が上がってまいりますが、私どもでそれを集計しておらないものですから、今、最大どれぐらいかかったかということをちょっとお答えできない状況でございます。

西村(智)委員 そのくらいは調べてくださいよ。

 つまり、企業名の公表があるから、これがもう最後のハードルだということをずっと答弁されているわけじゃないですか、均等法の枠の中でこれはやり切れるんだと。だけれども、この間、公表された企業名は一件もない、どのくらい時間がかかったか集計もとっていない、これでは法改正の前提がないということだと私は思いますよ。

 まず、きちんと、例えばどのくらいの時間、期間がかかっているのか、このくらいは必ず、次の改正に向けて、データはとるべきだと思います。そして、一定期間かかっちゃったものについては、私はもう公表すべきだというふうに思います。

 二つの点について、局長、どうですか、次に向けての期間の調査。

小林政府参考人 まず、きちんと私どもで状況を把握するということに関しては、非常に重要な御指摘だというふうに思っております。実は紙ベースで仕事をしているものですから、今、システム化の取組を進めておるところでございまして、そういったことも活用してきちんとやっていきたいというふうに思っております。

 それから、行政指導もきちんとした形で行われるように、引き続き努力してまいります。

西村(智)委員 唯一の制裁措置ですから、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 次に、地方自治体におけるセクシュアルハラスメント対策について伺いたいと思います。

 これも一昨日質問がありまして、そこで答弁は、人事委員会があるから大丈夫だみたいな答弁だったんですよ、均等法の防止措置義務が課されているにもかかわらず行政指導、紛争解決は対象外になっているという大西委員の御質問だったんですけれども。だけれども、人事委員会があるから大丈夫だみたいな厚労省の答弁で本当に大丈夫かというふうに私は思うんです。

 ちょっともう時間がないので、本当は総務省の方に、どういう対応、どういう対策が可能なのかということを伺おうと思っていたんですけれども、もう私の方で申し上げちゃいます。

 非現業の方には、人事委員会や公平委員会の苦情処理、それから勤務条件に関する措置要求、これは地公法に基づいて行うことができる、それから現業の方等には、苦情処理共同調整会議とか、あっせん、調停、仲裁があり得るというようなことなんですけれども、やはり働く人のプライバシーとか、それから実際に勤務条件の措置要求なんかを本当にできるのかというふうに、労働者の立場に立って考えれば、やはりこれはかなり難しいんじゃないかというふうに思うんですよ。そうすると、最後は人事委員会等が中心になる苦情処理をやはり重点化していく、強化していくということが必要かというふうには思っております。

 総務省にお伺いしたいのは、均等法に基づく防止措置義務が課されておりますので、この履行状況を具体的にお伺いしたいと思います。

古賀大臣政務官 お答え申し上げます。

 総務省では、昨年度、全国の地方公共団体に対しまして、ハラスメント対策の取組状況について調査をしているところでございます。

 この結果によりますと、数字については一部精査中のところがございますが、全体といたしましては、都道府県、指定都市におきましては全ての団体、また指定都市以外の市区町村においてはおおむね八割程度の団体でセクハラ防止対策が取り組まれている、こういうふうに承知をしているところでございます。

 以上でございます。

西村(智)委員 私、都道府県、政令市、その他の市区町村で区分してお答えくださいというのと、それから防止措置義務の項目別にもお答えくださいというふうに質問要求をしたんですけれども、これも厚労省の雇用均等基本調査と同じで、結局、項目別の回答は今ないわけですよね。実態を把握していないというのは大問題だと思います。

 都道府県と政令市で全てのところでやっているというと、多分、厚労省と同じでしょう。一つの項目でもやっているところが全てということですよね。ほかの市区町村でおおむね、これもおおむねですから非常にざっくりしているわけですけれども、おおむね八割がやっている、これも多分、一項目でもやっているということだと思うんですよ。こういうことではやはり実態が把握できない。実態が把握できなければ対策の検討のしようがない。大問題だというふうに思っています。

 それで、資料におつけしております七ページですけれども、これは人事委員会又は公平委員会への苦情相談件数ということで、わかっている件数がこれだけだということで出てきたものなんですけれども、平成二十九年度で、セクシュアルハラスメントに関する相談件数はわずか四十三件なんですよ。

 政務官、質問いたしますが、まず、さっき私が申し上げた、実態が把握されていないということ自体がそもそも大きな問題だと思いますので、しっかり把握してください。これについての答弁。それから、セクハラについて四十三件の相談がありました。その後の対応はどういうふうになっていますか、これも教えてください。

古賀大臣政務官 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁申し上げました調査についてですが、より詳細に御回答申し上げますと、都道府県、指定都市につきましては、通報、相談窓口は全ての団体で設置済み、それから要綱、指針等の策定については二団体を除き策定済み、それから職員向け啓発関係資料作成、制度周知等は一団体を除き実施している、こういう状況でございます。

 それから、指定都市以外の市区町村につきましては、通報、相談窓口はおおむね八割の団体で設置済み、それから要綱、指針等の策定についてはおおむね五割の団体で策定済み、それから職員向け啓発関係資料作成、制度周知等はおおむね五割の団体で実施をしている、こういった状況でございます。

 それから、先ほどの苦情相談件数四十三件の処理状況ということでございますけれども、これにつきましては、制度説明及び助言が二十二件、それから当局への伝達が七件、それからあっせんが三件、それから当局を指導したというのが二件などとなっている、こういった状況でございます。

 以上でございます。

西村(智)委員 まず、先ほど言った実態の把握について、結局、もともと市区町村のところがおおむねというざっくりした数字ですから、きちんと調査してください。それから、そのほかの項目が大事なんです。相談窓口の設置だけではなくて、そういう方々、担当者への研修、これもやはりセットで考えていただかないとなりません。その他、包括的にとにかく十の項目があるわけですから、それは地方自治体も義務としてあるわけですから、そこはちゃんと調査してもらわないと困ります。

 その四十三件の内訳について今答弁をいただきましたけれども、これはやはり、きちんと履行していないとかということも多分この中であるんじゃないかなと思うんですよね。きちんとその後のことについても指導ができるように、とにかく実態を把握していただきたい。それから、履行していないところについて、ここはちゃんと実効性が上がるように、もうきょうは時間がないので要望だけにとどめますけれども、きちんと対応してください。

 厚労省の方にも伺いたいのは、やはりこういうふうに地方自治体の現状があるわけですよ。均等法の世界を使って何か実効性のある対応策というのは検討できないものかと思いますけれども、大臣、いかがですか。もう法律の話はわかっていますので、大臣の政治家としての答弁をお願いします。

根本国務大臣 先生は大体枠組みを御承知の上なので。それから、総務省からも今お話がありました。

 公務員法に基づく紛争解決の仕組みなども整備されて、人事委員会、公平委員会が設置されて、それで運用しているわけですけれども、やはり厚生労働省と総務省で連携協力して、地方公共団体が適切に措置義務などを履行するように、今後策定する指針の内容を含めた改正内容の周知や法令遵守の徹底を呼びかけるとともに、地方公共団体の職員が円滑に紛争解決の仕組みを利用できるよう、地方公務員法に基づく紛争解決の仕組みについて周知徹底を図ってまいりたい、厚生労働省と総務省で連携協力していきたいと思います。

西村(智)委員 ぜひそうなるようにお願いをいたします。

 次に、施行期日について伺いたいと思います。

 資料の一番最後のページですけれども、今回、施行期日が、要は、女活法、それから労働施策総合推進法、均等法、育介法で全部違うんですね。ばらばらなんです。これは五年後見直しということになっていて、ちょっと聞きましたら、最後の法律、つまり女活法の公布後三年以内、要するに全ての法律が施行されて以降の五年後の見直しだというふうに聞いたんですけれども、そのとおりで間違いないですか。つまり、最長八年後の見直しということで間違いないですか。どうですか。

小林政府参考人 今先生がおっしゃったのは、もし私どもでそういうふうに説明した者がいるとすれば訂正をさせていただきます。最初に施行されたところから五年間であります。(西村(智)委員「最初に施行されたものから」と呼ぶ)最初に施行されたというのは、一年以内の政令で定める日が最初の施行でございまして、そこから起算して五年です。

西村(智)委員 はい。八年が六年だということがわかって、ちょっとほっとしました。ですけれども、やはり五年は長いです。

 今回、パワハラとかについてはまあまあ、状況を見るというのはある程度ありかなというふうには思うんだけれども、少なくとも均等法とか育介法とかは、セクシュアルハラスメントの部分については新たな措置というのは余りありません。

 しかし、この間の質疑で明らかになったように、フリーランス、就活中の学生、それから措置義務の履行不十分、紛争解決の実効性のなさ等ということが明らかになりましたので、この施行日あるいは見直し規定を待たずに見直しの検討を開始するということぐらいはやるべきだというふうに私は思っておりますということだけ今の時点では申し上げたいと思いますが、大臣、ですけれども、どうですか、政治家として。やはりハラスメントがこんなにある状況で、五年たってから見直しを検討しますでは遅過ぎると思いますが。

根本国務大臣 施行後五年としております。これは、例えば女活法の行動計画、情報公表義務やパワハラ防止措置の対象範囲を中小企業に拡大するのは公布後三年以内ということで、五年後見直しとしないと改正の影響を十分に踏まえた改正ができないということで施行後五年としておりますが、法案が成立した場合には、この規定に基づいて必要な見直しの検討を行ってまいりたいと思います。

西村(智)委員 どの規定なんですかという感じなんですが。

 つまり、ことし六月にはILO条約が採択されるでしょう。そうすると、国内条規をどうするかと改めて点検しなければいけないわけですよ。だから、五年の見直しを待たずに私は検討を開始すべきだというふうに思います。

 最後の質問になると思いますが、セクハラ指針について。

 先ほど、項目の十がそのまま残るというふうに答弁をいただきまして、それはよかったと思っておりますが、セクハラ指針というのは本当に今までの蓄積がいろいろありまして、こういうふうに書かれているところがございます。セクシュアルハラスメントの、事業主の周知啓発をするに当たってはというくだりなんですけれども、「セクシュアルハラスメントの発生の原因や背景には、性別役割分担意識に基づく言動もあると考えられ、こうした言動をなくしていくことがセクシュアルハラスメントの防止の効果を高める上で重要である」、私も全くそのとおりだと思います。

 大臣、この指針に書かれているセクシュアルハラスメントの背景や原因に性別役割分担意識があるという認識は現在も変わりはない、同様であるということで確認をさせていただきたいと思います。

根本国務大臣 男女雇用機会均等法に基づくセクシュアルハラスメント防止に関する指針、この指針においては、セクシュアルハラスメントの発生の原因や背景には性別役割分担意識に基づく言動もあると考えられることや、こうした言動をなくしていくことがセクシュアルハラスメントの防止の効果を高める上で重要であることをお示ししているところであります。

 また、職場におけるセクシュアルハラスメントの概念を整理した際の研究会においては、セクシュアルハラスメントが発生する企業は、女性の役割に対する誤った認識や男女間のコミュニケーションの不足、企業の女性の活用方針の未確立などの職場環境ないし雇用管理上の問題を抱えていると指摘されています。

 このように、性別役割分担意識に基づく言動をなくしていくことはセクハラ防止のために重要であると考えております。

西村(智)委員 時間ですので終わります。ありがとうございました。

冨岡委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

冨岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。白石洋一君。

白石委員 国民民主党の白石洋一です。

 きょうは、閣法と議員立法を比較しながら議論をさせていただきたいと思います。

 まず、セクハラなんですけれども、お手元に配付しました資料の絵のところを、一枚目ですね、見たらわかりやすいと思うんですけれども、今までの議論は主に事業所内でのセクハラというのが大きなテーマでありましたけれども、自社の労働者が他社の従業者によってセクハラを受ける場合、これも多くあると思うんです。

 その場合、加害者側の事業主に対してどのような対応を義務づけているのか、まず政府の方に、現行法や今回の閣法においてどのようになっているのか教えてください。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 自社の労働者が他社の労働者からセクハラを受けた場合でございますが、被害者は自社の労働者ということになりますので、被害者を雇用する事業主というのは、その被害に遭った労働者に対してケアを行うなどの雇用管理上の措置義務を負うことになるわけでございます。この措置義務を果たす観点から、他社に事実確認等で協力を求めるという場合が生ずることがございます。

 こうしたことを踏まえまして、今回の政府提出法案におきましては、事業主がセクハラ防止に関する措置、事実確認等の措置について他社に必要な協力を求めた場合に、協力を求められた事業主はこれに応じるよう努めなければならないという努力義務を設けているところでございます。

白石委員 政府の方は、事業主にはケアする義務があるから、その範囲で協力、努力義務があるということですけれども、一方、議員立法で、セクハラ、マタハラに係る男女雇用均等法の改正案についてはどのように対応をしていますでしょうか。

岡本(充)議員 ただいま御指摘がありましたように、企業をまたがる労働者間のセクハラを防止し、労働者を保護するために、企業横断的な対策が不可欠だと考えています。つまり、被害者側の事業主が十分な措置を講じていたとしても、加害者側の事業主がその労働者や役員に対してセクハラを行わないように措置を講じていなければ、セクハラの根絶が図れません。

 そこで、セクハラ規制強化法案では、事業主に対し、その従業者が他社の労働者にセクハラを行わないように必要な措置を義務づけることとしています。

 具体的には、まず事前の措置として、事業主は、セクハラへの対処方針の周知や従業者に対する研修等を実施しなければならないこととしております。それでも他社の労働者に対するセクハラが行われてしまった場合には、加害者側の事業主に対し、事実関係の調査やセクハラを行った従業者に対する懲戒等といった事後の迅速かつ適切な対応その他の措置を講ずることを義務づけています。

 もっとも、加害者側の事業主が主体的にそのような事後の対応措置を必ずとるとは限りません。そのため、被害側の事業主が、被害者からセクハラについて相談を受けて、必要があると認めるときには、加害者側の事業主に対して事後措置を求めることとしております。

 以上です。

白石委員 ありがとうございます。

 やはり義務づけないといけない、具体的に何を求めて何を義務づけるかというのが規定されている、研修とか事実把握、そして懲戒等が義務づけられているということがわかりました。

 被害者がいる会社とそして加害者がいる会社の間で、力関係で強い、弱いがあると思うんです。特に、発注される側、する側、下請と親会社という場合においては、被害者の訴えが会社を通じて加害者の会社に聞き入れられないということがあると思うんです。むしろ仕返しされるんじゃないかということがある。

 そういったことに対して、議員立法はどのように対応するようになっていますでしょうか。

岡本(充)議員 御指摘のように、加害者側の事業主が元請企業で被害者側の事業主が下請企業であるような場合には、取引を打ち切られる等の報復を受けることを懸念し、弱い立場にある被害者側の事業主が事後措置を求めることが困難な状況も想定されるところであります。

 そこで、被害者側の事業主は、直接加害者側の事業主に事後措置を求めるのではなく、厚生労働大臣に対して、事実を申告し、是正を図るように求めることもできることとしました。この申告を受けた厚生労働大臣は、加害者側の事業主に対し、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることとしています。

 このように、本法案では、被害者側の事業主が取引上の立場が弱い場合であっても、厚生労働大臣を介して加害者側の事業主に事後の措置を求めることができる仕組みを構築いたしました。

 以上です。

白石委員 第三者、公の存在、厚生労働大臣、具体的には、労働局を通じて義務の履行を求めていくということができると。

 それにさえも従わないという場合、対応が不十分な場合、どのような救済、制裁措置があるんでしょうか。

岡本(充)議員 本法案では、被害者側の事業主が厚生労働大臣を介して加害者側の事業主に事後措置を求めることを可能とした上で、その実効性を確保する仕組みを設けております。

 まず、加害者側の事業主が、被害者側の事業主から事後措置を求められたこと等を理由として、契約の解除等の不利益な取扱いをすることを明確に禁止しました。

 その上で、加害者側の事業主が禁止規定に違反して被害者側の事業主との取引関係を打ち切る等の不利益な取扱いをしたときや、事後措置を行うよう求められたにもかかわらず十分な対応をとらないためにその労働者によるセクハラが継続しているときは、加害者側の事業主は、厚生労働大臣に対して、その旨を申告して、是正を図るよう求めることができます。

 そして、厚生労働大臣は、その被害者側の事業主からの申告について必要な調査を行い、その申告の内容が事実であると認めるときは、加害者側の事業主に対する指導又は勧告、そして、加害者側の事業主の名称やその雇用する労働者がセクハラを行った事実等を含め、申告の内容が事実であった旨の公表等の措置をとることとしております。

 このように、最終的には厚生労働大臣による公表等の措置に至る仕組みを設けることにより、加害者側の事業主による事後措置の実効性の確保や報復的な措置の抑止に資するものと考えております。

 以上です。

白石委員 公表を含む制裁措置がちゃんと担保する措置としてあるということですね。

 次のテーマで、今のケースは被害者、加害者双方が雇用されているという場合ですけれども、セクハラというのは、今報道もされているように、フリーランスだとかあるいは就活生に対しても頻発しているということであります。

 これらフリーランスや就活生、つまりまだ雇用関係がない方々に対するセクハラに対して、まず、議員立法のセクハラ、マタハラに係る男女雇用均等法の改正ではどのように考え、規定していますでしょうか。簡潔にお願いします。

岡本(充)議員 男女雇用機会均等法の一部改正案、いわゆるセクハラ規制強化法案では、労働法規として、労働者を雇用する事業主が講ずべき措置を規定しております。そのため、雇用関係にないフリーランスの方や就活中の学生に対するセクハラについては、事業主の措置義務の対象とはしておりません。

 ただ、対応すべき必要性については御指摘のとおりであります。

 そこで、附則に検討規定を設けました。これにより、まず、政府は、これらの者に対するセクハラに関する問題に対処するための施策について検討を加えることとしております。そして、その結果に基づいて、例えば男女雇用機会均等法の枠組みの中で、必ずしも従来の雇用関係を前提とすることなく、フリーランスの方や就活生も保護の対象とする等所要の措置を講じていくこととしております。

 以上でございます。

白石委員 一方、同じ議員立法で、セクハラ禁止法案ではどのようになっていますでしょうか。

岡本(充)議員 いわゆるセクハラ禁止法案においては、禁止するセクハラの対象として、既に雇用関係にある労働者に加え、フリーランスの方や採用面接やOB訪問等における就活生も含んでおります。

白石委員 そういった方々に対するセクハラも禁止していると。

 政府案ではそれらは規定していないというふうに承知していますけれども、なぜ規定、規制しないのでしょうか。御所見をお願いします。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきましたように、本法案でございますけれども、労働者に対するハラスメントを行ってはならないことですとか、他の労働者に対する言動に注意を払うよう努めるべきことを関係者の責務として明確化しているわけでございますけれども、男女雇用機会均等法等が労働法制であるということから、対象が労働者にとどまっているということであります。

 したがいまして、御指摘のように、フリーランスですとか就活生の方、そういった労働者以外の方に対する言動というのは、文言の上では入ってこないわけでございます。

 ただ、どういった方に対しましても同様に注意を払うということは当然望まれるところでございまして、こういった責務規定の趣旨を踏まえまして、それぞれの企業が社内でハラスメント防止の予防方針の明確化等を図る際には、社内の労働者以外の方に対しても同様にハラスメントをしてはならないというようなことを定めてもらうことを指針等で促しまして、予防措置というのを図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

白石委員 まだそういう指針にとどまるということですよね。

 次に移ります。

 カスタマーハラスメント規制についてです。

 小売業など流通部門において、七割強の人が顧客によるハラスメント、カスタマーハラスメントを経験したというアンケート結果があります。ほかにも、介護、医療、鉄道等においてカスタマーハラスメントが頻発していると伝えられております。

 この実態への対応が急務だと考えられますけれども、労働安全衛生法改正案ではどのように規定、規制するんでしょうか。提案者にお願いします。

大西(健)議員 御質問ありがとうございます。

 委員の御指摘のとおり、UAゼンセンのアンケート調査によりますと、多くの労働者が客からの迷惑行為に遭遇をしております。具体的には、人格を否定するような暴言を受けたり、長時間にわたって正座をさせられたり、威嚇・脅迫、暴力行為等を受けているという実態が明らかとなっております。

 日本には、お客様は神様ですという言葉がありますが、お客という立場を利用してこのような非常識な迷惑行為や悪質なクレームを行ういわゆるカスタマーハラスメントは、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントと同様に、労働者の心身に深刻な影響を与えるものであります。

 したがって、カスタマーハラスメントについても、セクハラやパワハラと同様に、事業者の措置義務の対象とすることにより、労働者の保護を図らなければならないと思っております。

 そこで、パワハラ規制法案では、事業者が、マニュアルの作成、労働者の研修の実施、労働者の負担を軽減するための業務体制の整備、相談窓口の設置、ハラスメントを受けた労働者の交代や配置転換、ハラスメントを受けた労働者のメンタルケア等の措置を講ずることとしております。

 なお、これらの措置を事業者に義務づけるほか、厚生労働大臣による指針の策定、事業者への助言、指導、勧告や、勧告に従わなかった場合の公表等についても規定をし、事業者の措置義務の実効性を確保しております。

白石委員 具体的な措置を義務づけていると。事業者の措置を実効性あるものにするために、政府としても義務づけをしておるということがわかりました。

 一方、政府としては、対処方針と具体的な行動、これはほかの、池田委員とかも質問されていましたけれども、もう一度、具体的に答弁していただけますでしょうか。大臣、お願いします。

根本国務大臣 顧客などからのハラスメントは、社外の相手との関係で起きる問題であって、顧客等への対応業務には一定程度のクレーム対応が内在しております。こういうことから、どこからが迷惑行為に当たるかといった判断が社内のパワハラ以上に難しいという課題があります。また、再発防止まで含めた一連の措置を課すことも難しい面があります。このため、今回、措置義務の対象には含めないこととしております。

 一方で、労働者に大きなストレスを与える悪質なケースもありますので、安全配慮義務の観点からも、労働者のケアなど必要な対応を企業に促していくことは重要であると考えています。

 このため、パワハラ防止措置に関する指針において、相談対応等の望ましい取組を明示して、カスタマーハラスメントに対する社会の認識を高めていくための啓発などにも積極的に取り組んでいきたいと思います。

 指針にどういう内容を書き込むかということについては、今後、労働政策審議会で議論することになりますが、適切な内容となるようにしっかりと検討していきたいと思います。

 また、顧客等からのハラスメントは、小売サービス業、医療、介護、学校など特定の分野で特に問題となっている状況にあって、消費者などの行動規範にもかかわる問題でありますので、関係省庁や業界団体などとも十分連携、協議して、指針の周知啓発も含めて実効性のある取組を検討、推進していきたいと考えています。

白石委員 指針とか啓発とかいうことで、法律上の措置義務の対象とはなっていないわけですね。これはぜひ、法律上の対象とすべきだと申し添えたいと思います。

 次に、男性の家事、子育ての分担について。

 女性が職場で活躍するためには、どうしても、家庭内で家事の分担あるいは子育ての負担の分担、男性側もやっていかないといけないと思うんですけれども、今、保育園、こども園、幼稚園などで子供が熱を出したりしたら、呼ばれるのは母親の方だ、いつも母親の方に電話してくる。

 しかし、父親も子育てを分担すべきであって、呼ばれたら来ることができる父親もたくさんいるんじゃないかということがあります。加えて、連れに行く父親の存在があるということも、事業所、会社の側としても認めていく。それが積み重なっていったら、子育てしやすい社会になっていくんだと思います。

 質問なんですけれども、子供が熱などを出したら、連れに来るように連絡するのは原則母親という運営がなされているのではないかと思いますけれども、このあたり、事実関係、厚労省お願いします。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 少子化の要因といたしまして、子育て中の孤立感、負担感、仕事と子育ての両立の難しさなどが指摘されております。御指摘のとおり、父親が育児や家事を分担することが少子化対策としても重要と考えております。

 保育所の取扱いでございますけれども、子供の体調不良等があった際の対応につきましては、保育所が行うべき保育の内容等について定めました保育所保育指針におきましては、保育中に体調不良や傷害が発生した場合には、その子供の状態等に応じて保護者に連絡するといたしておりまして、連絡先を母親に限定するような取扱いはしておりません。

 緊急連絡先の登録に関しまして、現場の網羅的な状況を把握してはおりませんけれども、一般的には、就労状況や家庭の事情等を踏まえまして、速やかに連絡がつき、お迎え等の対応が可能な連絡先を保護者が登録しているものと考えておりまして、園ごとに適切に御対応いただいているものと考えております。

白石委員 ありがとうございます。

 ニュートラルになっているということがまず必要で、それが運営の方で母親の方に寄せられることがないようにというふうに思います。これは生の声から来ていることで、確認です。それが徹底されること、事実であることを望みます。

 女性の職業生活における活躍の推進において、家庭における家事とか子育てにおいて、男性、父親サイドが協力していく、男性の家庭内における活躍の推進というのが車の両輪だと思いますけれども、その分野において、厚労大臣として御所見をお願いします。

根本国務大臣 委員のおっしゃるとおりだと思います。

 男性が積極的に育児に参画する、これは女性の就業の継続やあるいはキャリア形成の促進という観点からも大変重要だと考えています。

 残念ながら、男性の育児休業取得率は低水準にとどまっていて、育児休業を取得しない理由として、先ほど委員からも会社のという話がありましたが、職場の雰囲気などの要因が多く挙げられております。

 厚生労働省ではどういう取組をしているかということでありますが、まず、イクメンプロジェクトというのを実施して、男性の育児と仕事の両立を積極的に推進する企業や管理職を表彰しております。また、次世代育成支援対策推進法に基づくくるみん認定で、一定水準以上の男性の育児休業取得を要件としております。また、男性の育児休業取得促進に取り組む事業主へ助成金を支給するなどの取組をやっておりまして、企業に男性が育児休業を取得しやすい職場風土の醸成を促しております。

 また、今年度のイクメンプロジェクトにおいては、出産直後の男性の休業取得や育児参画を促すため、全国的な普及啓発キャンペーンを実施する予定です。

 こういう取組を強力に進めることによって、男性が子育てに積極的に参画することができる職場環境を実現していきたいと思います。

白石委員 次のテーマですけれども、先日の報道で、娘が乱暴された、乱暴したのは父親である、その父親に無罪判決が出た、これが愛知県の事案で報道されておりました。

 娘という、父親に対して非常に弱い立場にある方がこういったひどい目に遭うというのは究極のDVじゃないかと思いますけれども、このような無罪判決が出るという法律がおかしいんじゃないかなというふうに率直に思うわけであります。もちろん、検察が控訴しているということもあるんですけれども、このような判決が出るような法律ということに、私は疑問視せざるを得ないんですね。

 刑法を改正するような方向性の政府内の議論があってしかるべきだと思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。

保坂政府参考人 今委員からも御指摘がございましたように、御指摘の判決に対しましては検察官が控訴を申し立てたと承知しております。

 個別具体的な事件における裁判所の判断につきまして、判決が確定していない段階で、法務当局として、それを前提としての法改正の要否等について言及することは差し控えたいと存じます。

 御案内のことかと思いますが、現行の刑法の規定で申しますと、強制性交等罪というのがございまして、十三歳以上の者に対して暴行、脅迫を用いて性交等をする、十三歳未満の者に対して性交等をすること、これを処罰しておりまして、百七十八条の準強制性交等罪につきましては、心神喪失若しくは抗拒不能に乗じて、あるいは心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて性交等をすることを処罰の対象としております。

 また、平成二十九年に新設されました百七十九条の監護者性交等罪がございまして、これは、十八歳未満の者に対して、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をすること、これを処罰の対象としてございます。

 今御指摘のように、見直しが必要ではないかという御指摘がございますが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げました平成二十九年の刑法等の一部改正法の附則におきまして、政府に対して、施行後三年を目途として、広く性犯罪の事案の実態に即した対処を行うための施策のあり方に関する検討をすることが附則において求められてございます。

 現時点でどのような事項を検討の対象とするかは、確たることは申し上げることはできませんが、現在、法務省、昨年の四月から実態調査ワーキンググループというものを省内に立ち上げまして、三年後の検討に資するように、適切な検討が行えることができるように、実態調査を進めておりますので、まずは性犯罪被害の実情の把握、これを着実に進めてまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

白石委員 適用条文は百七十八条と百七十九条があって、私は後者の方が重要だと思うんですね。百七十九条の方は監護者わいせつ、つまり、監護者の影響力に乗じてわいせつな行為をするということ、これが十八歳未満ですよね。

 この愛知県の事案では十九歳ということで、十八歳未満よりも年長であるということでこれが適用されなかったのかもしれませんけれども、十九歳でも監護されている者は、有無を言わさずということに対して抵抗できないと思うんですね。

 ですから、今やはり、若い人というのはだんだんモラトリアムの期間が長くなっていますから、大学に進学する、大学院、あるいはそれを目指す浪人とか、そうなるとやはり監護者に対して物が言えない、力関係が弱いままであるということは、十九歳においても言えると思うんです。私は、この十八歳未満というのはもう少し上に上げてもいいんじゃないかと思います。もし何かありましたら、お願いします。

保坂政府参考人 御指摘の刑法百七十九条の監護者性交等罪といいますのは、十八歳未満の者に対するという要件になってございますが、先ほど申し上げましたように、現に監護する者で言うところの監護というものにつきましては、これは民法の親権の効力の監護と同様の監督、保護というものでございます。

 そのように、精神的、経済的に依存している監護者の影響力がある状況下での性交等は、それに抵抗なく応じたとしても、その意思決定は精神的に未熟で判断能力に乏しいそういう者に対する影響力が作用してなされたものなので、自由な意思決定と言うことはできない、こういう考え方でつくられたものでございます。

 十八歳未満としておりますのは、これは一般にですけれども、高校卒業程度になりますと、精神的、経済的な依存が弱くなると考えられることですとか、あるいは、これもまた一般にですけれども、十八歳に達すると精神的に相当程度成熟する、あるいは、年少者の保護を目的とする、例えば児童福祉法等がございますが、これも年少者の実態を踏まえて十八歳未満の者というのを保護の対象としておるということを踏まえて、そのような要件にされたところでございます。

 いずれにいたしましても、先ほど申し上げたように、広くその実態に即した対処ができるようにするための検討が求められておりますので、その実情の把握を進めてまいりたいと考えてございます。

白石委員 こういった裁判で無罪とならないような、そういった議論が省内でなされることを望みます。

 もう時間が来ていますので、一番最後の質問、質問通告でも一番最後のところを質問したいと思います。

 養育費なんですけれども、養育費が払われていないんですね。これは厚労省の統計でも出ていますけれども、養育費の取決めをしているのが三八・八%、四割程度、取決めをした中で現在も受けている人は四六%。四割掛ける五割、二割程度しか養育費を受けていない。これが女性の貧困、シングルマザーの貧困につながっていると思うんです。

 お手元の資料に離婚届のサンプルをつけておりますけれども、それによると、離婚届を出すときには、必ず養育費の取決めをしたかどうかを記入してもらうという運用になっていると承知しています。左側の下のところ、矢印で示しているところですけれども、養育費の分担については取決めをしていると。それの執行を促すために、公正証書でやるべきだと思うんですね。公正証書でやれば強制執行がしやすい、できるということになっています。

 ここの改善について、最後の質問になりますけれども、答弁をお願いします。

筒井政府参考人 お答えいたします。

 養育費の取決めが適切に行われるように、法務省におきましては、先ほど御指摘がありましたように、離婚届出書の様式改正を行い、届出書に養育費の分担に関する取決めの有無をチェックする欄を加えておりまして、平成二十四年四月からその使用を開始しております。

 ただいまお尋ねいただきました公正証書による合意の点でございますけれども、御指摘のとおり、離婚時におきまして養育費の分担の取決めを執行認諾文言が付された公正証書によってした場合には、養育費の債権者は、その支払いがされないときには、調停や審判の手続を経ることなく、直ちに強制執行の申立てをすることができるわけでございます。

 このように、養育費の支払いを確保するためにあらかじめ公正証書を作成しておくことは望ましいと考えられますことから、法務省としても、離婚時にお渡しするパンフレットにおきまして、公正証書の利用を紹介しているところでございます。

 法務省といたしましては、離婚時において養育費の分担の取決めがされ、その履行が確実にされるようにするための周知のあり方につきましては引き続き検討していきたいと考えておりまして、その際、御指摘の方法も含めましてしっかりと検討を続けていきたいと考えております。

白石委員 パンフだけじゃなくて、ぜひ、離婚届の中に公正証書でというところも加えていただくようお願いしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、稲富修二君。

稲富委員 国民民主党の稲富修二でございます。

 本日も質問の機会を賜りまして、まずもって御礼申し上げます。ありがとうございます。

 まず、女性の社会での活躍推進についてという点で、政治参画についてお伺いをいたします。

 政治分野における男女共同参画の推進に関する法律が昨年成立をし、五月二十三日公布、施行となったわけでございます。

 私ごとで恐縮ですけれども、今ちょうど統一自治体選挙があって、私の地元は前半で、一応全て、県議会、市議会の選挙が終わりました。今、後半の最終盤のところでございますが、その選挙を見ながら、やはり女性の候補者に対する期待というのが非常に強くなっているのを私は肌で感じました。

 私の地元で申しますと、福岡県議会では十二名の方が立候補し、九名の方が当選、そして、福岡市ですけれども、政令市の中でいうと十九名の方が出馬をし、十一名の方が当選ということでございまして、改選前と比べて、福岡県議会でいうと八十七名の改選で女性の議員が九名ということで、一割を超えたということがあります。市議会は、六十二名の定数の中で十一名の方が女性ということで、これも二割弱ということでふえております。そういうことを非常に強く感じました。

 女性の議員がふえているということでございまして、きょうは内閣府の政務官にお越しをいただいております、そのことについて、まず所感をお伺いします。

舞立大臣政務官 お答えいたします。

 我が国の現状でございますが、まずは、国民の代表である政治の場に女性議員が少なく、衆議院議員の女性は約一〇%で、世界百九十三カ国中百六十五位と、国際的に見てもおくれている状況ではございます。

 なお、地方議会につきまして、今般の統一地方選挙におきまして、四月七日の道府県議会議員選挙及び政令指定都市議会議員選挙では、いずれも女性候補者、女性当選人の比率が過去最高となっており、また、四月二十一日に行われます市区及び町村議会議員選挙でも、女性候補者の比率が今、過去最高となっているところでございます。

 こうした統一地方選挙の状況を見ますと、昨年五月の政治分野における男女共同参画の推進に関する法律の施行を受けまして、政治の場への女性の参画が拡大した成果として前向きに評価しているところでございます。

 しかしながら、依然として、国家の基本政策を決める国会や生活に身近な施策を扱う地方議会におきましては、女性の参画が進んでいるとはいまだ言いがたい状況でございまして、引き続き取組を進めていきたいと考えております。

 以上です。

稲富委員 ありがとうございます。現場では、今政務官に御答弁いただいたように、やはり昨年通った法律から見ると、いまだ途上にあるという御認識だということでございます。

 やはり現場では、選挙をやる上でのまだまだ多くの障壁、壁がございます。それを具体的にどのように認識されているか、お伺いします。

舞立大臣政務官 内閣府が地方議会の女性議員に対してアンケート調査を実施したところでございますが、その中で、議員生活と子育てや介護等の家庭生活との両立が難しいこと、そして、政治は男性が行うものという固定的な考え方が強いことなどが女性議員の増加を阻む課題として挙げられておりまして、こうした状況が障壁となっているんじゃないかと考えておるところでございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 これも私ごとで恐縮ですけれども、この統一選挙の前に、候補者になって少しでも地域のために一緒に頑張りませんかと、私も随分多くの女性の方にお声がけをしました。でも、各個別にいろいろな状況がありますので一概には言えませんが、共通してやはり課題があると思ったのは、まずお金の問題、資金の問題です。これは国がどうこうできるものではないと私は思います。

 もう一つは、時間です。特に子育て中の方に関して言うと、御主人がいて、子育てもやって、そして選挙活動をするなんてとんでもない、時間的な余裕がないというのが現状でございます。

 やはり、これはいつまでたっても、そういう時間がない中で、でも志だけでやってよといっても、現実的には非常に難しいです。ですので、何らかの対策が私は現実的に必要だと思います。先ほど、意識が変わらないということがありましたけれども、これは何らかの具体策がないと、いつまでたっても意識が変わらないということで、変わりません。

 ということで、どのような対策をしていくのかということをお伺いいたします。

舞立大臣政務官 女性議員の参画を阻む障壁の解消に向けては、議員活動と家庭生活の両立環境の整備、先生おっしゃられるように、お金とか時間の問題もあろうかと思います。そして、政治分野における男女共同参画の重要性に関する啓発活動などが求められていると考えております。

 政府といたしましては、各政党に対しまして、両立支援体制の整備を始めとした女性議員が活躍しやすい環境の整備等につきまして要請を実施するとともに、諸外国の取組も含む政治分野への女性の参画拡大のための多様な情報の収集、提供、そして、地方議会ごとに女性議員比率や両立環境の整備状況を見える化したマップの公表などを実施しているところでございます。

 引き続き、こうした施策を実施することによりまして、政治分野への女性の参画拡大が更に進展するよう、各党の御理解も、御協力もいただきながら取組を進めてまいりたいと考えております。

稲富委員 ありがとうございます。

 やはり、子育ての時間という意味でいうと、例えば、立候補される方の配偶者はその間休暇をとっていいだとか、あるいは、選挙期間中でもその前でも結構ですけれども、そういう間の子育てを見ていただく費用については公費で見るとか、何らかのことをしないとということが、現場で私が感じた非常に強い問題意識です。

 いずれにしても、女性議員に対する大きな期待というのは、私は、この流れというのはもう変わらないし、ますます強くなっていくものと思います。政府としても、今さまざまお取り組みだと思いますけれども、ぜひ加速化させて取り組んでいただきたいと思います。

 その上で、やはり待機児童の解消というのも、あわせて女性の社会参画の中で欠かせないことであります。累次にわたって、当委員会でも内閣委員会でもこれまでも議論されてまいりましたけれども、改めて端的にお伺いします。この解消に向けては何が最も必要だというふうにお考えか、お伺いします。

根本国務大臣 仕事と子育てを両立する、あるいは安心して子供を産み育てることができる社会、こういう社会づくりには、待機児童の解消は待ったなしの課題で、最優先で取り組んでおります。

 二〇一八年四月時点の待機児童、これは前年より約六千人の減少となって、十年ぶりに二万人を下回りました。ただ、まだまだ保育所等に預けられない親御さんがいらっしゃるという事実を真摯に受けとめて、引き続き、待機児童解消に向けた取組を推進させることが必要だと思っております。

 待機児童の解消を図るとともに、今、女性の就業率八割に対応できるよう、子育て安心プランに基づいて、二〇二〇年度末までに三十二万人分の保育の受皿確保に取り組んでまいります。

 また、待機児童の解消のためには、保育の受皿の拡大と同時に、これを支える保育人材の確保が不可欠であります。このため、これまで、二〇一三年度以降、月額約三万八千円の処遇改善に加えて、二〇一七年度からは技能、経験に応じた月額最大四万円の処遇改善、さらに今年度から、新しい経済政策パッケージに基づいて更に三千円相当の処遇改善を実施いたしました。

 また、この処遇改善のほか、新規の資格取得の促進や就業継続支援、あるいは離職者の再就職の促進といった観点から、総合的な支援に力を入れて、必要な人材を確保していきたいと考えています。

稲富委員 ありがとうございます。

 これまでは、私は、受皿の整備、そして子供を預ける立場からしたときの仕組みというのが非常に中心的な議論だったと思うんですけれども、今おっしゃっていただいた保育士の処遇改善の、要するに供給者の方の立場でどう充実させていくかということが極めて中心的な議論にならなきゃいけないと思います。

 そういう意味でいうと、さきの本会議で我が党の西岡議員が処遇改善のことを質問させていただいて、今大臣に御答弁いただきましたけれども、これはまだまだやはり足りないと思います。これだと、幾ら受皿をつくっても、やはりそれを担う人材がここに来ない。その人材を国として支えるという意思をやはり強く示さないと、私はこの問題は解決しないと思います。

 需要サイドも重要です。しかし、私は、一番は、これからは供給サイドの、サービスを提供する側の充実をどう図るかということを、今年度はもうあれですけれども、来年度に向けて処遇改善を、我が党でも野党を含めて提案させていただいております、ぜひ前向きに、強く要望をさせていただきたいと思います。

 続きまして、法案について質問してまいります。

 まず、セクハラ防止対策の強化についてでございます。

 資料の一枚目は、今回ずっと話題になっております十一条の二のところです。二の一項のところで、国は、広報活動、啓発活動その他の措置を講ずるよう努めなければいけないということが書かれておりますが、広報活動、啓発活動その他の措置というのは何を指すのか、お伺いします。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の国の責務規定でございますが、セクハラを行ってはならない旨を明確にするとともに、事業主を含めた国民一般のセクハラに起因する問題への関心と理解を深めるため周知啓発を行うということで、そういった国民の関心、理解を深めるための周知啓発に更に努めるべきということを規定したものでございます。

 もともと、事業主の義務として、必要な措置を講じなければならないということは規定されていたわけでございまして、その前提として、ハラスメント、セクハラを行ってはいけないというのはある意味当然のことであったわけですが、それを改めて明示するとともに、国にその周知の責務を課したということでありまして、国としては、これまで以上に周知啓発に力を入れていく必要があるというふうに考えております。

 具体的に今年度について申し上げますと、ハラスメント撲滅のための月間というのを設けまして、全国的に集中的なキャンペーンを実施していきたいというふうに思っておりますし、それから、中小企業等に向けたハラスメント防止対策セミナーというのを積極的に行っていきたいと考えておりますが、こういった責務規定が入るということになれば、それを更に積極的なものにしていく必要があるというふうに考えております。

稲富委員 局長、具体的なことに言及いただきまして、ありがとうございました。

 その次の二項のところで、事業主は、研修の実施その他の必要な配慮というふうにありますが、これは具体的に何か、お願いします。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、研修の実施その他必要な配慮ということでございますが、これは、自社の労働者に対して教育研修を実施するとか、それからハラスメントはあってはならない旨というのを改めて啓発、徹底していくといったようなことが考えられるところでございます。

 そして、今般、先ほど申し上げましたような、ハラスメントを行ってはならないという責務規定を明確にしたということもございまして、いろいろ御議論いただいておりますような、自社だけではなくて他社の労働者に対してもセクハラを行ってはならないというようなことも、ぜひ研修の中で取り上げてほしいなというふうに思っておるところでございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 済みません、舞立政務官、もう次の質問はございませんので、御退席いただいて結構です。ありがとうございました。

 今具体的にお話をいただきましたけれども、より理念に近いものを書いていただいておりまして、やはり指針がしっかりとしたものでなければいけない。五人の参考人の方々からも、やはり実効性についてさまざまな言及がございました。罰則がない、企業名の公表がこれまでない、あるいは救済制度でも限界がある等々ありました。

 指針が必要であるということで、一体いつその指針が検討され、発出をされるのか、そのめどをお伺いします。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 パワハラ防止対策の支援につきましてでございますが、法案成立後、できるだけ速やかに審議会の方で議論を開始いたしまして、裁判例ですとか現場の実情等を踏まえて十分な検討を行ってまいりたいというふうに考えております。

 その上で、具体的な時期でございますけれども、これは審議会の議論にもよるわけでございますが、私どもといたしましては、年内を目途にわかりやすい指針を策定いたしまして、丁寧な周知を行ってまいりたいというふうに考えております。

稲富委員 ありがとうございます。年内ということを言明いただきました。

 そこで、当委員会でも、きょう午前中もそうですけれども、何度も言及があった、あるいは質問があった、就活生に対するセクハラの問題です。

 これまで多くの方が質問され、けさもあって、大臣からは、そういったことに対してこのように御答弁をされております。「被害者が求職者や個人事業主などの自社の労働者以外の場合であっても同様にあってはならない旨を企業があわせて示すようになれば、」ということ。あとは、例えば「就活中の学生に対しても同様に注意を払うことは当然望まれます。」あるいは「就活中の学生に対するセクハラも同様にあってはならない旨を示すよう促していくことが必要だと考えております。」ということで、いずれも希望的なものにとどまっているということだと思います。

 ただ、先ほど局長からは、指針に何かを書くというふうにちょっと私は受け取ったんですけれども、改めて大臣に伺いますが、先ほど、年内に指針ができると。しかし、それまでは何もしないということと、私からすると同じです。であれば、もう就職活動は学生さんがしているわけで、年内に仮に指針があったとしても、これでも不十分だと言われている中、今この法案を審議していて、そして何にもしなくて年内をずっと待つというのは、これは政治として私はどうなのかとやはり思います。

 これは大臣として、この場でもそうですけれども、こうするんだ、それはやるのは先でもいいですけれども、指針に書くんだとか何らかのやはり意思表示を明確にしていただく必要があると思います。私だけじゃないです。これまで多くの委員が、このことはさすがに放置してはいけないということを言ってきたわけです。ぜひ大臣、よろしくお願いします。

根本国務大臣 指針は、当然、これから議論してしっかりと内容を固めていくわけであります。

 私も先ほど来申し上げておりますが、要は、責務規定を今置いていますから、例えば労働者に対するセクシュアルハラスメントを行ってはならないことに理解を深めること、あるいは他の労働者に対する言動に注意を払うよう努めるべきこと、これを国、事業主、労働者の責務として明確化しておりますから、就職活動中の学生に対しても同様に注意を払うことが当然望まれる。

 その上で、こういう責務規定の趣旨を踏まえれば、事業主が措置義務の予防措置として、就職活動中の学生に対するセクハラも同様にあってはならない旨を示すよう促していく。

 指針の内容は、これから具体的に議論して書き込んでいくわけですが、少なくとも、就職活動中の学生に対するセクハラも同様にあってはならない、こういうことは、指針をつくるに当たっても、今、国会の方でもこういう答弁を私もしておりますので、そこの方向性はしっかりと明確に申し上げておきたいと思います。

稲富委員 ありがとうございます。しっかりと取り組むというふうに伺いました。よろしくお願いします。

 それでは次に、議員提出の法案についてお伺いをいたします。

 私の資料で言うと二ページでございますが、十一条の三において、他社の労働者へのセクシュアルハラスメントに関し、加害者側の企業に雇用管理上必要な措置義務を定める理由、その意義をお伺いします。

岡本(充)議員 セクハラは、同じ会社の従業者間で行われる場合だけではなく、企業をまたいで行われる場合もございます。この場合、被害者側の事業主が十分な措置を講じていたとしても、加害者側の事業主がその労働者や役員に対してセクハラを行わないように措置を講じていなければ、セクハラの根絶を図ることができません。

 そのため、セクハラを徹底して防止するとともに、セクハラが行われてしまった場合に迅速かつ適切な対応を行い、労働者の保護を図るためには、企業横断的な対策が不可欠と言えます。

 このような理由から、私どものセクハラ規制強化法案では、加害者側の事業主に、その雇用する従業者が他社の労働者へのセクハラを行わないよう、事前及び事後の必要な措置を講ずることを義務づけております。

稲富委員 続きまして、どのような内容を想定されているのか。特に、後段に「当該言動に係る事後の迅速かつ適切な対応」と書いてありますが、具体的にお伺いします。

岡本(充)議員 お答えいたします。

 今の、事後の迅速かつ適切な対応その他の必要な措置としては、具体的には、セクハラを行った従業者本人のみならず、第三者からの聴取を含めた、セクハラに関する事実関係の迅速かつ正確な確認、セクハラを行った従業者に対する就業規則等に基づく戒告、減給、降格や懲戒解雇等の適切な懲戒処分、加害者がセクハラの重大さについて真に理解し、みずからの責任を認識してセクハラを繰り返さないようにするための研修の実施、加害者に対して厳正に対処した旨の社内への周知などを想定しております。

稲富委員 ありがとうございます。

 ちょっと閣法に戻りまして、一枚目なんですけれども、国家公務員というのは労働者に当たるんでしょうか、お伺いします。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の政府提出法案でございますけれども、国家公務員につきましては、一部を除きましてこの規定は適用除外ということになっております。

稲富委員 ということは、国家公務員に対しては、今回、セクハラに関しての防止強化をするということについてどのように対処するのかということは、いかがでしょうか。

小林政府参考人 国家公務員につきましては、一般職の場合は人事院規則、特別職の場合は特別法によるところになりますので、そういったところにおいて適切に対処いただきたいというふうに考えているところでございます。

稲富委員 地方公務員は労働者でしょうか。

小林政府参考人 お答えいたします。

 地方公務員は本法の適用対象になっております。

稲富委員 地方公務員の事業主は誰でしょうか。

小林政府参考人 お答えいたします。

 地方公務員の事業主でございますが、都道府県知事あるいは市町村長など、地方公務員法第六条第一項に規定をしております任命権者等ということになります。

稲富委員 大臣、この国家公務員のことなんですけれども、昨年起こった事務次官のセクハラの問題も、個別の事案ではなくて一般論でお伺いしますが、そういった国家公務員が起こしたときは今回の視野に入っていないわけです。

 なので、人事院勧告とおっしゃいましたが、人事院のところでセクハラ防止強化はするということでございますが、やはり厚生労働大臣としても、これはちゃんとするようにと私は言うべきだと思います。答弁は結構ですけれども、私はそう思います。国家公務員だけはここに入っていないという御答弁が今しっかりとありましたので、何らかそれは政府としてやはり取り組むという姿勢を示す上で、私は進めるべきだと思いますということを申し上げて、次の質問に移ります。

 議員立法の方に戻ります。

 カスタマーハラスメントについて、カスタマーハラスメント対策を設けるに至った背景、そして、今回、法律上の措置義務として規定する理由などをお伺いいたします。

大西(健)議員 御質問ありがとうございます。

 先ほども他の委員の答弁で御紹介しましたけれども、二〇一八年の二月に実施をされましたUAゼンセンのアンケート調査によれば、サービス業の現場で働く人の七三・八%が業務中に顧客からの迷惑行為に遭遇したことがあり、そのうち約九割は、迷惑行為にストレスを感じたと回答しています。また、顧客からの迷惑行為が近年ふえていると感じている人は、全体の四割近くに上っております。顧客からの迷惑行為は社会的にも大きな問題となっていると言わざるを得ません。

 顧客からの迷惑行為には、具体的な事例といたしまして、支払いがおくれている顧客の自宅に訪問した際、激怒した顧客に土下座を強要され、応じることで場をおさめたという土下座等の行為を強要するもの、あるいは、総菜の価格が間違っていると言われて確認を行おうとしたところ、待たせるなとどなられて三時間説教され続けたという長時間拘束を含むもの、焼きガニを提供したところ、焼きが悪いとクレームを言われてカニで顔を殴られたという暴力行為を含むものなど、刑法犯罪になるような極めて悪質な行為も少なくないと聞いております。

 日本には、お客様は神様ですという言葉がありますけれども、お客という立場を利用してこのような非常識な迷惑行為や悪質クレームを行ういわゆるカスタマーハラスメントは、セクハラ、パワハラと同様に、労働者の心身に深刻な影響を与えるものであります。また、近年、非常に人手不足となっておりまして、そのことの要因にもなっているものと思われます。

 そこで、パワハラ規制法案では、労働者の保護を図るために、カスタマーハラスメントについても事業者の措置義務の対象とすることにいたしております。

 以上です。

稲富委員 ありがとうございます。

 今御答弁いただきましたけれども、現場にとってすごく深刻な状況を生んでおります。人材の定着、人手不足ということを加速化させかねないということでございます。

 最後に、これを安衛法に規定するというのは非常に大きな意味があるかと思います。なぜ労働安全衛生法に規定するのか、その理由をお伺いします。

大西(健)議員 先ほども御答弁申し上げましたけれども、こうした消費者対応業務に係るハラスメントというのは労働者の心身に深刻な影響を与えるものであり、ひいては精神的、身体的な健康を害することにつながるものであります。このようなハラスメントの防止等のための措置については、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする労働安全衛生法に規定することが適当と考えられます。

 そこで、本法案では、労安衛法に事業者の措置義務等を盛り込むことといたしました。

 また、労安衛法に規定することによって、労働基準法を中心とする労働基準行政の枠組みの中で、つまり、労働基準監督署であったりとか労働基準監督官など、既存の行政体制による監督の対象とすることができると思われます。

 また、労働安全衛生法に定められている衛生委員会や安全衛生委員会など、既存の社内体制を利用できる点にもメリットがあると考えております。これらの委員会は、その委員の半数が過半数労働組合等の推薦を受けて選任されることとされておりまして、労使の意見を反映して、それぞれの事業場の実情に即したパワーハラスメント対策を講じることが可能になると考えております。

稲富委員 時間になりましたので終わります。ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 それでは、今度は、私、先ほどは答弁していましたけれども、質問の側に回らせていただきました。

 いろいろ聞きたいことがたくさんあるんですけれども、順次聞いていきたいと思います。

 先ほどから話になっていますように、前回もお伺いしましたが、労働法制というのは、基本的にこれまで、自社の中で完結する、そういう話を前提に対策を求めてきました。安衛法でもそうです。いろいろな労働者の就業環境の整備は、自社の中でできることをやる。

 しかし、今回、ある意味、指針で定めるとはいえ、初めて、社外、自分の会社の敷地の外に対応を求めることを規定をする、こういう大きな変更があったという理解だと思っています。

 特に、他の事業主からのセクハラについて対応を求めるということが法律若しくは指針に基づいて行われる、こういう理解で正しいのか、お答えいただきたいと思います。

小林政府参考人 セクハラ自身は、今までも措置義務の過程で、他社からのセクハラに対しても措置義務を講ずるようにということで運用してきたところでございますけれども、その実効性を上げていくという観点で、やはり措置義務を貫徹しようとすると他社との関係が出てくる。そのときに他社としては、協力に関する努力義務規定ということがあればより積極的に協力いただけるということで、今回、そういう規定を盛り込んだということであります。

 このような規定というのは、例えば元請、下請の関係とか労働者派遣の関係とか、そういう一部特殊な関係のところでは存在するところでございますけれども、一般的なところでこういう規定が入ったというのは、ある意味、これまでにない規定なのかなというふうに思っております。

岡本(充)委員 本当にそう思います。それはなかなか画期的なことなんじゃないかと私は思っていまして、したがって、議論はいろいろあります。

 我々が出している法律案は、そうした他社に依頼をするわけです。何かお願いするわけです。その取引関係があったときに、取引先との力関係、その申し入れた会社との力関係で不利益取扱いを受ける可能性があるわけです。したがって、本来はここに不利益取扱いの禁止を入れておくべきだった、私はそう思うんです。

 大臣はどう思いますか。不利益取扱い、本来あってしかるべきじゃないですか、そうやって他社に言うわけですから。それに基づいて不利益取扱いを受けたらまずいでしょう。不利益取扱いをしていいと思いますか。少なくともそれだけ。大臣です。どうですか。大臣に聞いています。

根本国務大臣 政府提出法案においては、事業主に対して、他社からセクハラ防止に関する措置の実施について必要な協力を求められた場合に、努力義務を設けることとしております。これは委員も御評価をいただいたと思います。

 この規定の趣旨に鑑みれば、事業主が、他社からセクハラ防止に関する措置の協力を求められたことを理由として、その他社との取引を打ち切るなどの報復をする、これは制度の趣旨に反し、望ましくないと考えております。

 こうしたことについては、法案の成立後、労働政策審議会で議論する予定のセクハラ方針に書き込む、そして明確化や周知啓発の方策について検討する、この辺の話を含めて、セクハラ指針に記載する内容としてここは検討していきたいと思います。

岡本(充)委員 本来はそれをやはり法律に書いておくべきだったと私は思っています。そういう意味で、今回、画期的だと思う一方で、残念ながら足りないんじゃないかと思う点もある。

 きょうは、ほかの部局の方にもお越しをいただいているかもしれませんが、大臣にお答えをいただきたい。

 こういう考え方、要するに、労働者を守るときに、原因が外にある場合、事業主が外への対応を求めていく、こういう考え方をほかの労働法制にも広げていく考えがあるのかどうか、大臣にお答えいただきたいと思います。

根本国務大臣 いろいろな措置は、法律もそれぞれの法律の目的がありますので、そこは一般的にどうかという話になる。一般的にどうかということでいえば、私も、個々のちょっと法体系を見ないと、一概に一般論としては言いにくいのではないかと思います。

 今回の法案では、今委員がおっしゃられたように、要は加害者の企業にまで協力を求めるということで、ある種、今までの元請、下請関係とか派遣とか、そういう特別な関係に基づいた対応になっていましたけれども、その意味では、広く横に広げたというところは今回の法案の大きな特徴だと思います。

岡本(充)委員 したがって、私が聞いているのは、別に、どこと具体的に言いませんよ。だから、一般論で、これまではそういう意味で他社に対応を求めてこなかった。例えば、労働安全衛生法などでも、他社に対応を求めてもらった方がより合理的、効果的に対応ができるものがある可能性があります。そういう意味では、他社へのアプローチをしていくことをこれから検討していくことはあり得る、そういう理解でよろしいですか、こう聞いています。

根本国務大臣 恐らくそれは、具体的な課題があって、そしてこういう法律でどう対応するかといった法律の趣旨や目的、その範囲で、では具体的にどこまでの措置を講ずるかということになろうかと思いますので、これは一つ一つの法律、具体の課題、これを……(岡本(充)委員「いや、だから、検討していくということでいいんだよね」と呼ぶ)これを含めて、まあ、そういうことも検討対象になり得るとは思いますが、これは個々の事実関係だと思います。

岡本(充)委員 局長が答えたそうな顔をしていますから、どうぞ。

坂口政府参考人 済みません。

 先ほど議員の御質問の中で、労働安全衛生法にという具体的な部分もございましたので、その点について申し上げますと、労働安全法そのものは、労働者の安全と健康を確保するために事業者が最低限遵守しなければならない措置を義務づけた法律でございますので、議員御指摘のとおり、労働者の安全、健康を確保する上で他社の協力が望まれるという場合もあろうかとは思いますけれども、ただ、現行の安全衛生法に基づく事業者の義務は、先ほど小林局長の方からも御紹介がありましたけれども、例外的に元方事業者のケースというようなものはございますけれども、原則としましては事業場内で実施することができる措置に限定されているということなので、他社への働きかけの仕組みを位置づけるというのは労働安全衛生法においてはなかなか厳しい、難しいのかなということで考えてございます。

岡本(充)委員 まあ、これまではそうだった、それで大臣は検討していただくということですから、局長の発言を受けて、現状の考え方、それを受けて検討していくということで、ぜひ検討してみてください。個別具体にここだということは、きょう言うつもりはありません。

 では、続いて、今回、女性活躍推進法の中で、行動計画の策定、届出を行った企業のうち、いわゆる認定一般事業主、法律の中ではそう書いています、この認定一般事業主のうち、今回、えるぼし、これは厚生労働省が認定マークをつくるそうでありますけれども、厚生労働省令で定める基準に適合するものである旨の認定を行うことができるということを第十二条に書くということになっています。

 そこで、お伺いします。

 厚生労働省がそもそも民間企業だったとした場合に、認定をしようと思っている基準が五つほどあるそうでありますが、この五つの基準のうち何個獲得できることになるんですか。

小林政府参考人 女性活躍推進法の認定制度でございますけれども、今先生がおっしゃいましたように、あくまでも民間企業等の一般事業主を対象とした制度でございまして、それに沿って認定基準の内容も設定しておるわけでございまして、公務部門を対象としたものではございませんが、仮にというお尋ねでございますので、その前提に立った上で、認定基準で示している水準に照らした場合、厚生労働省の現状がどうかということをお答えさせていただきたいと思います。

 まず、評価項目について、採用というのがあります。男女別の採用の競争倍率が雇用管理区分ごとに男女同程度であること、これが一つの基準になっております。厚生労働省の場合、総合職とそれから本省一般職について見ますと、女性が狭き門になっているというようなことはございませんで、基準値を満たす水準となっておるわけでございますが、ここでは、雇用管理区分ごとに……(岡本(充)委員「短く答弁して。何個ですか」と呼ぶ)済みません。失礼いたしました。雇用管理区分ごとのデータは現時点ではございません。

 それから、もう一つ、継続就業ということで、男女の継続就業を見たときに女性が〇・七以上ということでございますが、雇用管理区分の全てでこの基準を満たすことは難しい状況です。

 それから、労働時間等の働き方ということで、各月四十五時間未満の時間外労働ということでございます。データ制約上、年平均の数字しかとれないということで、年平均であればこの基準値を満たす水準ということです。

 それから、管理職比率、管理職に占める女性の割合が産業ごとの平均値以上であるということ。厚生労働省は全省庁の平均値は上回っているわけでございますが、都道府県や市町村と比べると下回っている。

 それから、多様なキャリアコースにつきましては、一部満たす項目はございますが、官民で採用の仕組みが異なりますので、単純に当てはめることができないという状況です。

 以上申し上げたような状況でございまして、仮に民間企業とした場合には、なかなかこの認定を受けられる水準とは言えない状況にあるというふうに認識しております。

岡本(充)委員 ゼロでいいですか。ゼロ個ですか。

小林政府参考人 先ほど、とれる状況の制約はございますが、限りなくゼロに近いという状況でございます。

岡本(充)委員 これは整数しかないですからね。ゼロか一かといったら、ゼロなんですね。これはなかなか、本当に改善してもらわなきゃいけない点が、いや、民間企業に求めるのなら、やはり厚生労働省もそういう基準できちっとやっているんだということがあるべきだと思います。

 同様に、きょうはいろいろな役所にも来てもらっています。人事院にも来てもらっています。ほかの役所は何個ですかというのを、それぞれ、今、正確に何個と言うのは難しいかもしれませんが、一体、これと照らし合わせてどうなのかというのは評価していくべきじゃないかと思います。

 また、総務省にも来ていただいていると思いますので、総務省においても、各地方自治体、これから国はこういう制度で民間企業を評価するわけですから、それぞれの地方公共団体でもこれに照らしてどうなのか評価をして、きょうすぐに示せとは言えませんけれども、しっかり評価したものをまとめていくべきじゃないか、そう思うんですが、それぞれお答えいただきたいと思います。

三田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の厚生労働省の認定制度の取扱いにつきましては所管省庁においてお考えになることと存じますが、特定事業主である国につきましても、一般事業主と同様に、女性の職業生活における活躍の推進に向けた取組を進めることは重大な課題であると認識しているところでございます。

岡本(充)委員 だから、そういう意味できちっとまとめて、どういう状況なのかというのをまたぜひオープンにしていただきたいと言っているわけです。オープンにするかどうかです。

三田政府参考人 えるぼし認定の基準が必ずしも公務における基準に該当するかどうかは、そこにつきましては所管省庁等において、どういうやり方があるかとか、実際に適用するのが適当かどうかということについてお考えになるべきものではないかと考えております。

岡本(充)委員 だって、民間にやってくれと言って、今、厚生労働省は自分で評価して、限りなくゼロに近いという答弁までしているわけですよ。したがって、各省庁はどうなのかというのは、同様に考えれば、ほかの省庁でも当然当てはめることはできるはずなんです。厚生労働省にできてほかの省庁にできないはずはないわけでありまして、そういう意味で、仮に民間企業だとすればという前提のもとで、民間企業にこれをやってくれと言うわけですから、国としてどうなのかという評価をするべきじゃないかと言っているわけです。

 そういう意味で、どういうふうにできるか、ここですぐに答弁はできなくても、努力してみるぐらいのことは言ってもらえるんじゃないでしょうか。

三田政府参考人 お答えいたします。

 基準における例えば雇用管理区分とか、そういったものに相当するものが何であるかも含めまして、まずは政府関係機関においてお考えになるものではないかというふうに考えてございます。

岡本(充)委員 いや、既にもう厚生労働省は自分のところで雇用管理区分ごとに評価しているわけですよ。それをやはり、結局、国は特別だからと、今から総務省も多分、国がやらないとやらないという答弁をするんだと思いますけれども、総務省はどうなんですか。

大村政府参考人 お答えいたします。

 公務部門へのえるぼし認定の基準の適用ということでございますけれども、全体的な政府の考え方として、基本的に、えるぼし認定の制度自体は企業の自主的な取組を促すインセンティブとなるということでございまして、こちら、片や公務部門につきましては、公務員法制の特性に鑑みて、必ずしもその基準をそのまま当てはめることは難しいのではないかというようなことでございます。

 ただ、いずれにしても、地方公共団体には、えるぼし認定の取得企業と同様に、積極的な取組を期待したいと考えております。

 そういった意味で、これまでも、地方公共団体に対しましては、女性活躍を推進するために、平成三十二年度末、二〇二〇年度末を期限とする第四次の男女共同参画の基本計画におきまして、都道府県の採用者に占める女性の割合ですとか、都道府県職員、市区町村職員の各役職段階に占める女性の割合、こういった数値目標を掲げておりまして、この目標を参考に、各地方公共団体は、女性活躍推進法に基づき策定する行動計画の中で各団体の実情に即した数値目標を設定して、それぞれその達成に向けて取組を進めております。

 なお、都道府県、市町村については、例えば女性職員の採用状況につきましては、平成二十九年度で、県が三五・一%、市町村は四九・三%となっておりまして、これも増加傾向にございまして、また、女性職員の登用状況につきましても、各役職段階に占める女性割合は、平成三十年度の本庁の課長相当職、これについて、都道府県は一〇・五%、市区町村は一六・七%ということで、こちらも増加傾向にありますので、こういった取組の成果自体は着実にあらわれているというふうに考えております。

岡本(充)委員 結局、そうやって、公務部門は特別なんだといってやっていった結果が、障害者雇用であれだけ大きな数の未達成が出てきたわけですよ。国は、地方は特別なんだ、だから障害者雇用も民間とは違う仕組みなんだ、こう言い続けて、結局できなかったじゃないですか。同じ話で、女性の活躍についても、公務部門は特別なんだ、こういう話ではなくて、やるべきですよ。

 例えば、じゃ、継続就業はどうなんですか、地方は。どういう実態になっていますか。女性の継続就業は、ここで言うところの女性労働者の平均継続勤務年数割る男性労働者の平均継続勤務年数、これは幾つになっていますか。

大村政府参考人 お答えいたします。

 まことに恐縮なのでございますが、現段階で、継続就業につきまして、男女別という形での平均継続勤務年数については数字を持っておりません。

岡本(充)委員 つまり、調べれば、調べられる話なんですよ。何年勤めているかなんて、調べればわかる話なんです。それすら調べない、やらない。そして、民間企業には、これで評価をするといって出してくる。これでは、私はどうなのかと思うわけです。

 せめてここに書いてある数字、どういうものなのかぐらいは調査をして、それを報告するべきだと思いますが、これをぜひ理事会で協議してください。

冨岡委員長 お諮りいたします。

岡本(充)委員 本当に、政府のやる気がどうなっているのか、若しくは国としてどういう方針でいくのか。厚生労働省だけ旗を振っていてもだめですよ、大臣。こういう質疑があって、こういうことを言われたんだと、総務大臣にも内閣府の担当大臣にも厚労大臣からぜひ伝えていただきたい、ここには呼べなかったから。どうですか。

根本国務大臣 要は、今の委員とのやりとりを聞いておりましたが、女性活躍推進法の認定基準が求めている例えば女性採用の拡大とか、あるいは女性が仕事を続けやすい職場環境、あるいは適切な労働時間等の働き方、女性が適正に評価され登用されていくこと、女性が多様なキャリアを積めること、これは非常に大切な観点だと私は思っております。

 ただ、認定制度自体は、民間の一般事業主を対象として認定基準の内容を設定したものですから、これは公的部門を対象としたものではありませんが、今私が申し上げた観点を大切にしながら、女性活躍推進法に基づき策定した、来年度までの例えば厚生労働省における女性活躍とワークライフバランス推進のための取組計画の見直しの際に、厚生労働省における女性の活躍に向けた課題をよく分析し、更に厚生労働省自身の女性の活躍を推進してまいりたいと思います。

 しかし、女性活躍は政府全体で取り組む問題ですから、しっかりと各省庁とも連携をとりながら進めていきたいと思います。

岡本(充)委員 お願いします。

 じゃ、続いて、条文、ちょっと中身を聞きます。

 女性活躍推進法の第九条でも、既に、一般事業主から、厚生労働省令で定めるところにより認定することができる。今度、十二条でも認定する。この九条と十二条の認定はどういうふうに内容が違う、どういうことなんですか。

小林政府参考人 一般認定と、その上の特例認定の御質問だと思います。

 特例認定の方は、これまで以上の高い認定基準を定めるということにしております。それから、その法的効果として事業主の行動計画の策定を免除する、そういったことを加味して対応してまいります。

岡本(充)委員 そうなんです。十三条で、行動計画は免除なんです。

 これは、更新することは必要ないんです。一旦認定されたら、そこから先ずっと認定です、十二条の認定。つまり、年に一回、まあ、どんなことをやっていますか、十三条の二で推進に関する取組の実施の状況を公表しなければならないと言っていますが、再度これは認定される必要はないんです。一回クリアすれば、その後ずっとこれは認定なんですよ。であるとすると、この後、いわゆる行動計画すらつくらなくてよくなる。

 これは、特例としてはどうなんですか。一回超えてしまえば、そこから先、あとは活躍の推進に関する状況の公表だけでいい。その結果、公表したけれども、最近、女性活躍がうちの会社はできていないんですよねと。これを公表していれば、いつまでもえるぼし、輝ける。おかしいんじゃないですか。

小林政府参考人 特例認定でございますけれども、一般事業主の行動計画の策定を免除するという法的効果はつきますが、今先生おっしゃいましたように、毎年度状況を報告していただくということはございます。

 それから、認定の取消し制度がございますから、不適正な場合にはその取消し制度によって担保していくと。

岡本(充)委員 違うでしょう。それは不適正なことをやったらでしょう。

 そうじゃなくて、評価しないでしょう、もう。ちなみに、十二条の言うところの評価は、目標を達成したことと書いている。行動計画に基づく取組を実施し、行動計画に定められた目標を達成したことが条件なんです。行動計画自体がなくなるのに、どうして行動計画を達成したことが評価できるんですか。

小林政府参考人 毎年度ということはこれからの議論でございますけれども、状況を公表していただく。それを適切にやっていただくことによって取組が進んでいるということを担保できるのと、先ほど申し上げましたように認定の取消しという手段を有しておりますので、適正さを担保できるというふうに認識しております。

岡本(充)委員 違うんです。行動計画をもうつくらなくてよくなった会社になるわけですよ。その会社が行動計画に定められた目標を達成したことをどうやって担保するんですかと言っているんです。

小林政府参考人 これからプラチナえるぼし認定の基準というのを審議会で御議論いただきまして、必要な事項は省令で規定していくということになるというふうに考えております。そこの議論の中で、どのように適正さを担保するかということもあわせて議論いただきたいというふうに思います。

岡本(充)委員 これから議論するんじゃなくて、条文に書いているじゃない。条文に書いているんだから、この企業が今も超え続けているということをどうやって評価するんだと聞いているんです。

小林政府参考人 失礼いたしました。

 条文の第十五条の二号でございますが、第十二条に規定する基準に適合しなくなったと認めるときというのが認定取消しの条件ということになっております。

岡本(充)委員 だから聞いているんです。だって、もう計画はないんですよ。計画がないんだから、もうないんですよ、それ。ないのに、適合しなくなったときというのはどうやってできるんだと。技術的に無理でしょう。だって、物がないんだもの。

 ちょっと整理してくださいよ。ちょっととめて、委員長。

冨岡委員長 速記をちょっととめて。

    〔速記中止〕

冨岡委員長 速記を起こしてください。

 小林局長。

小林政府参考人 失礼いたしました。

 十二条でございますけれども、具体的な計画自体はもう達成するわけですけれども、この十二条で定める基準というのがございまして、この基準に適合しなくなったと認めるときが取消し事由ということになりますので、基準に応じてこの取消しということができるという形になっております。

岡本(充)委員 それは答えていないです。

 ちょっと、委員長、聞いてください。

 十二条には、この計画をつくって、それで取組を実施して、達成できたことが認定なんです。認定された後、もうその計画はつくらなくなるんです。つくらなくなった企業がどうして適合しているか適合していないかがわかるのか、こう聞いているんです。

 ちゃんととめて、ちゃんと整理してください。同じ答弁をしています。ちょっと、委員長、とめてください。

冨岡委員長 速記をちょっととめて。

    〔速記中止〕

冨岡委員長 じゃ、速記を起こしてください。

 小林局長。

小林政府参考人 失礼いたしました。

 第十二条の条文を抜粋して読み上げますと、先ほど御指摘いただきましたような、「当該一般事業主行動計画に定められた目標を達成したこと、」その他いろいろ規定があった上で、「その他の厚生労働省令で定める基準に適合するものである」ことという条文がございます。

 そして、この「第十二条に規定する基準に適合しなくなったと認めるとき。」というのがその取消し基準ということになりますので、具体的には第十二条のその他厚生労働省令で定める基準というのをどういうふうに定めるかという話になってまいりますので、そこで御懸念のようなことのないようにしてまいるということでございます。

岡本(充)委員 じゃ、この十二条の前段に書いてある二つのこと、選任していること、達成したこと、これはできなくなっても取消し事由に当たらない、そういうことでいいんですね。

小林政府参考人 行動計画というのは、最初に達成すればもうそれで計画を達成したことになりますので、具体的な基準、後ろの方の基準のところで解釈していくということになります。

岡本(充)委員 違う。そこの前段の二つのことは、これも取消し事由に当たる。例えば、選任されなくなったら、これはだめなんでしょう。取消し事由に当たるんでしょう。当たるのか当たらないのか、どっちですか、はっきり答えてください。

小林政府参考人 失礼いたしました。

 選任の方はずっとする必要がございますけれども、計画の方は、達成すればそれで要件を満たすという形になっております。

岡本(充)委員 選任しなくなったら、これは取消しの事由に当たりますよね。それは当たるかといえば、当たるんですよ。だとすれば、当然、達成しなくなれば取消しの事由に当たりますよね。

 一旦でも選任した人を選任しなくなれば、これは外れるわけですよ。同じように、達成したことが達成できなくなれば外れるはずなのに、もうつくらなくなるから、達成しているかしていないかわからなくなる。どうやって判断するんですかと聞いているんです。ちょっと、とめてください。できていないって。

冨岡委員長 一応、もう時間が来ておりますから、簡潔に答弁をお願いいたします。

小林政府参考人 はい。失礼いたしました。

 第十二条の条文ですけれども、目標の方につきましては目標を達成したこと、選任については選任していることということでございまして、先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。

岡本(充)委員 だけれども、大変大きな条文の問題だと僕は思いますよ。

 大臣、最後にちょっと、もう時間が過ぎているそうですから。これはおかしくないですか。私の言っていることをわかってもらえましたか。法律が成立したとしても、これはどうやって取り消すのかという、法律に基づいてできなくなりますよ。だって、行動計画がないんですから。

 大臣、よく考えていただきたい。私の指摘をちゃんと検討していただきたい。いかがですか。

根本国務大臣 この全体の法体系、制度的な体系は、要は、行動計画というのは、PDCAサイクルを回す際に、自分たちの状況、課題は何か、そしてこういうものに取り組みますよというやつが行動計画で、行動計画で目標を達成した、認定をする、そうすると、行動計画はPDCAサイクルを回すエンジンだから、それはもうやらなくていいですよということだと思います。

 そして、補足があれば答弁させますけれども、十三条二項で、少なくとも年一回、女性の職業生活における活躍の推進に関する取組の実施の状況を公表しなければいけない、こうなっていますから、そして、その中身で、要は認定の取消し事由になるかどうかということは、私は、ここの公表のところで法体系はそうなっているんじゃないかと思いますが、あとはもう一回、政府に答弁させます。

冨岡委員長 ちょっと問題点を整理して、理事会でも今受けましたので、この問題をしっかり答弁できるようにしてください。よろしいですか。

岡本(充)委員 それで結構です。もう終わります。委員長からの指摘がありましたが、ちゃんと整理してください。

 終わります。

冨岡委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 四月から施行された働き方改革法と女性活躍は大きな関連があります。

 その一つですが、資料の一枚目に、年休付与義務についてポンチ絵をつけておきました。

 日本の年休取得率は約五割で、先進国の中でも最下位であります。ですから、私は、この五日を確実にということを聞いたときに、たった五日かと思ったわけです。ところが、最近の報道では、その五日がもう大変だと。有給義務化、人手不足で困難とか、対応間に合わぬとか、悪い影響出るなどと、否定的な報道が続いているのは本当に残念に思います。

 ある運輸会社が、これは実例の話です、年休の計画付与を悪用し、既に五日以上の年休を取得している労働者に対して、一方的に、いついつと計画付与を適用しました。資料にあるように、これはできないと思いますが、確認させてください。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 今、議員の方からも御紹介ございましたとおり、今般、労働基準法の改正をしまして、全ての企業において、年十日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対しまして、年次有給休暇の日数のうち年五日につきましては、使用者が時季を指定し取得させることを義務づけたところでございます。

 個別の問題については言及は差し控えさせていただきますけれども、一般的に、この制度につきましては、既に五日以上の年次有給休暇を請求、取得している労働者に対しましては、使用者による時季指定をする必要はなく、また、することもできないということでございます。

高橋(千)委員 できないということを確認いたしました。

 年次有給休暇制度は、労働者の心身のリフレッシュを図ることを目的として労基法に定められているわけですけれども、実際は、女性にとっては子供の突発的な病気や家族の介護などで年休を消化してしまうという事情もあります。それを事業主にとって都合のよい日に、つまり本人が希望する日、本当は希望を聞かなきゃいけないことになっているんですけれども、もうこの日だと決めてしまう、こういうことはあってはならないと思います。

 一方、もともとの夏季休暇などを稼働日扱いにして年休取得とカウントすることもできないと思いますが、これも確認したいと思います。

 実際に、五日間の年休付与が難しくて、計画付与を悪用して、年休が結果としてふえていないあるいは減っている、こんな動きもあるわけですよね。厚労省としてこれを把握しているでしょうか。また、どう指導しますか。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 今議員の方からもございましたとおり、年次有給休暇につきましては、働く方の心身のリフレッシュを図るということを目的としまして、原則として、労働者が請求する時季に与えることとされているところでございます。ただ、取得率が低調にある現状ということで、その取得促進が課題ということで、先ほど申し上げましたような今次の改正に至ったということでございます。

 今御紹介がありましたような類例でございますが、夏季休暇等の特別休暇といったいわゆる法定休日ではない所定休日を労働日に変更して、その労働日につきまして使用者が年次有給休暇として時季指定をするということにつきましては、先ほど申し上げましたような趣旨からしても、実質的に年次有給休暇の取得の促進につながっておらず、望ましくないものであると私どもは考えております。

 私どもとしましては、パンフレット等におきましてもこういった取扱いが望ましくないものであることを明らかにした上で周知を行っているところでございます。

高橋(千)委員 明確だったと思います。

 昨年六月八日のこの委員会で、別の案件なんですけれども、いわゆる非弁行為で、全国社労士会会長声明によって厳しく批判された社労士の行為について紹介をしました。

 いわゆる団体交渉、労使の場に、弁護士のように、会社側の代理人として交渉を妨害する、そういうことが指摘をされて、建交労神奈川県本部が申入れをしました。これに対して、ことし、東京社労士会として、理事会において、この社労士を注意勧告すると会長名の回答をいただいたわけです。

 ところが、この同じ人の、T社労士と言っておきますけれども、ホームページを見ますと、今私が指摘をした、最初に言った年休の計画付与、持っているのにやれと言われた人がまさにこの立場にいる人なんですけれども、そういうことをホームページで一生懸命指南しているんですね。計画付与の制度を使えば労働組合対策にもなる、こういったことを言っている。少しも懲りていないわけです。

 国家資格ですから、厚労省が懲戒処分する権限を持っています。厳しい姿勢で臨んでいただきたい。こうしたのはホームページにいっぱい出ておりますので、きょうはそれを逐一やるつもりはありませんので指摘にとどめますから、しっかりと対応していただきたい、そう思います。

 次に、資料の二枚目を見ていただきたいんですが、女性活躍推進法における情報公開項目が、任意で一項目だったものが、二つの分野、つまり、職業生活に関する機会の提供、もう一つは、ワーク・ライフ・バランスにかかわる雇用環境から、一つずつ選ぶというふうに改正をすることになります。

 それぞれの項目についてどれだけ公表されているのかの率があるんですけれども、七割を超えているのは、採用した労働者に占める女性労働者の割合とかその程度でありまして、係長級にある者に占める女性労働者の割合となると三七・八%ですとか、雇用管理区分ごとの労働者の一月当たりの平均残業時間となると二四・二%ということで、極めて公表率が悪いわけですよね。

 厚労省は、この間の答弁で、私たちが、全て公表するべきじゃないかとか、任意なのでそれぞれの企業によって公表している項目がばらばらなので比較できないじゃないか、こういう問いに対して、そもそも、どれだけ公開しているか、その数が多いこと自体が評価の基準になる、こんな答え方をしてきたわけなんです。

 だけれども、公表の手段というのは、厚労省のデータベースか若しくは自社のホームページというのは選択できることになっております。ですから、データベースに集約されている数字がある程度ふえてはいるんですけれども、しかし、全体として、やはり本当に見たいところは自社だったりわざわざ探さなきゃいけない場合もあるわけですよね。

 そうすると、少なくとも、行動計画が義務づけられている企業は、比較できるようにデータベースに集約する、そして、基礎項目は公表すべきではないでしょうか。

小林政府参考人 お答えいたします。

 まず、データベースの関係でございます。

 女性活躍推進法は、その企業の主体的、自主的な取組を事業主に促すという発想に立っております。そういうことで、情報公表につきましても、その内容、手法につきましては、事業主の自主性を尊重した仕組みというのをとっております。

 そういうこともございまして、今御指摘をいただいたデータベースでございますが、これの活用は非常に望ましいわけでありますが、公表を義務づけることまでは行っていないというのが今の状況です。

 ただ、御指摘のように、求職者の職業選択に資するということを考えますと、より多くの企業にデータベースを活用していただくことが重要、全ての企業がデータベースに載せたいと思うようなところまで持っていきたいというふうには思っております。

 これまで、えるぼし認定の要件にするとか、あるいは助成金の支給の要件にするなどを用いて、データベース上での情報公表に誘導してきたところでございますが、更にこのデータベースの利用を促す方策がとれないかどうかということは、これからよく検討してまいりたいというふうに思っております。

 また、情報公表の拡大でございますけれども、これも、企業の状況、課題というのはさまざまであるということがございますので、今般も、企業の自主性を尊重する中で、特に重要である女性の継続的活躍に資するようにという観点で、職業生活に関する機会の提供と職業生活、家庭生活の両立という双方から公表を求めることにしておるわけでございますが、両者バランスのとれた中で、できるだけ積極的な情報公表を促してまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 計画を義務づけているんだけれども、自主性に任せると。やはり、それでは絶対だめだと思うんですね。課題がいろいろある、あるいは企業によって特徴がある。それはオンすればいい話であって、それぞれがこんな取組をしていますよということをオンしていけばいいわけで、基礎項目は四つしかないわけですから、最低でもそれくらい義務づける、きちっと比較できるというふうにするべきではないでしょうか。

 それから、繰り返し議論されているんですが、男女の賃金格差についても一言聞いておきたいと思うんですよね。四年前に法改正されたときも私は何度も質問をいたしました。またきょうも、あるいは先日の参考人からも、繰り返し発言があったと思います。

 経団連から労政審に参加している布山参考人は、社内でも特段公表しておらない社員も知らないデータを外部に対して公表するということに非常に違和感があると述べて、これはとても不思議な発言なんですけれども、賃金格差には職階の違いや勤続年数など背景があるので数字がひとり歩きする危険があると述べ、公表すべきでないと述べられました。一方、長尾参考人は、国連の女性差別撤廃条約は結果の平等を求めている、アドバルーンだけじゃなくてこの法律ができ施策がどうなったのかその一番大きな指標が男女の賃金格差だと強調されました。

 そこで、厚労省の雇用環境・均等部の事業主の行動計画をつくりましょうというパンフレットによれば、ステップワンとして、状況把握、課題分析、四つの基礎項目、さっきから言っている必ず把握すべき項目、その後に、選択項目、任意の項目を七つ挙げておるんですけれども、その中に、任意ではあるけれども、たった一つ、男女の賃金の差異をつかむことは取組の結果を図るための指標。取組の結果を図るための指標というのは、賃金の差異、これ一つなんです。そういう重要な位置づけをされております。しかも、学歴別、コース別、勤続年数五年ごとに区切って比べるなど、そういう形での男女の比較ということで差異を把握することを推奨しています。

 そうすると、布山参考人がお話をされたように、いやいや、勤続年数だとかコースによって違うんだというのは、その違いによってちゃんと把握しなさいと厚労省は言っているわけです。そして、その意味は、結果の指標であると位置づけているんですから、もう一歩踏み込んでこれを公表するということがよろしいんじゃないでしょうか。

小林政府参考人 男女の賃金格差自体につきましては、女性活躍の成果をあらわす指標として非常に重要だということは御指摘のとおりだと思います。そういうことを認識した上で、その改善を図っていくということが重要な課題というのは、おっしゃるとおりでございます。

 先ほど御指摘をいただきました選択項目のところの最後に、取組の結果を図るための指標としてこの賃金の差異があるということでございますけれども、まさに取組の結果指標ということでございまして、布山委員とかがおっしゃったのも、結果指標だけを見てそれで判断されるといろいろミスリードされる部分があるんじゃないかというお話だったと思うんです。

 それで、こういう結果を導いている最大の要因が管理職比率と勤続年数のところだということで、女性の登用を進めていくということと両立支援を図って長く働けるようにする、そこを重視して今度の公表基準などの見直しを図っておるところでございます。

高橋(千)委員 だから、厚労省のパンフには、コース別だとか勤続年数ごとに比較しなさいとちゃんと書いているわけじゃないですか。たった一個の数字を出せと言っているんじゃないんですよ。結果が全体としてわかるように工夫すればいいじゃないですか。そうやって把握しろと言っておきながら公表しないのであれば、結局、進んだのかどうかわからないんですよ。それをみんなが言っているわけです。

 これを、始まったばかりだと思うかもしれませんけれども、だとすれば早く公表する方向に踏み込んでいただきたい、重ねて指摘をしておきたい、そう思います。

 さて、次に大臣に質問をいたしますけれども、仕事の世界における暴力とハラスメントに関する初の国際労働基準の採択を目指すILO総会について、この間の答弁を聞いていますと、批准するかどうかは採択後の決議を見て検討しますと答弁をしています。

 参加はするんだけれども、批准するかどうかはできてから検討しますと言っているんですね。でも、参加をしているんだから、当然、どういうものができるかというのはわかっているわけだし、どういうスタンスで臨んでいるかということがあると思うんですね。

 そもそもこの法案は、ILO条約批准を目指して出したものではなかったということなんでしょうか。

根本国務大臣 今回の政府提出法案は、労働政策審議会において取りまとめられた建議を踏まえたものであります。

 ILOの、仕事の世界における暴力とハラスメントに関する条約案は、本年六月のILO総会において議論された上で採択されることが想定されております。条約案については、世界各国が効果的にハラスメントの防止対策を進めていくことができる基準の内容となるように、日本政府としても、ILO総会の議論に引き続き積極的に参加していきたいと考えております。

 条約の内容は、本年六月のILO総会において更に議論が行われた上で決定されるため、現時点で一概にお答えすることは困難だと考えています。

 いずれにしても、仮に条約がILO総会で採択された場合、その批准については、採択された条約の内容などを踏まえて検討してまいります。

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

高橋(千)委員 このタイミングで法案を出して、政府も労働者側も参加しているわけですね、総会に。それで批准するかどうかわからない、けれども法案を出しましたというのは、おかしいじゃないですか。絶対おかしいですよ。批准するつもりでそれにふさわしい法案を出すんですと言わなければおかしいじゃないですか。

 九月二十五日の労政審で、ILOのみならず、女子差別撤廃委員会の勧告や社会権規約委員会の最終見解、自由権規約委員会の最終見解、それぞれ資料を出されました。そして、委員会の委員からは、ILO総会にそれぞれ私も参加しましたという発言があって、各国が大変熱い期待を持って参加をしている。そして、日本だけがその準備がされていない、禁止規定もされていないし救済の仕組みもされていない国だと指摘をされているという指摘はありますよね。だけれども、この総会に向けて、やはり批准できる方向でやるんだろうという期待も述べられているわけなんですよ。

 ところが、それに対して政府は、小林局長はその労政審に参加しておりますけれども、何にもコメントしていないんですね。それどころか、配っている資料にわざわざ、この勧告には法的拘束力はないと米印を全部につけておりますね。これは、最初からやる気がないのかと。参加はしているけれども、そもそも批准は無理だなと思って参加しているんでしょうか。

小林政府参考人 我々としては、条約案につきましては、世界各国が効果的にハラスメントの防止対策を進めていくことができるような基準の内容となるということがふさわしいというふうに思っておりまして、そういった立場で積極的に議論に参加をしているところでございますし、引き続き参加をしてまいります。

高橋(千)委員 今のは、批准したい、するためにという趣旨でよろしかったでしょうか。

小林政府参考人 これまで示されております条約案につきましては、我が国国内法制との関係からいたしますと非常に難しい課題も含まれておるということは率直に認めざるを得ないと思います。

 そうした上で、条約案のあるべき方向としては、世界各国がそれぞれの状況に応じて効果的にハラスメントの防止対策を進めていくことができるようなものであるべしというのが我々の思いでございまして、そうした中で議論に参画し、そして適切な対応を図ってまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 もう一回だけ、今度は大臣に聞きますね。

 結局、批准さえして実態が伴わなければ、それは私たちの望むところではないわけです。例えば、子どもの権利条約のときは、ふさわしいのかなという疑問があるままに、とにかくこれで大丈夫と批准してしまいました、国内法、大丈夫と。障害者の権利条約のときは、むしろ、当事者団体がとてもまだ今国内法的には批准できる水準にないんだといって、時間をかけようということで待ちました。

 ですから、もし今回この法案がすぐには批准できる水準ではなくても、批准を目指して取り組んでいくんだ、当然、一回で終わらないで改正も含めてという意味ですけれども、そういう決意でよろしいでしょうか。これは大臣に伺います。

根本国務大臣 まず、今回の提出法案というのは、労政審で、ここでしっかり議論してもらった建議を踏まえた、それで我々政府提案の法案として出しております。そして、やはり条約案については我々のスタンスは、世界各国が効果的にハラスメントの防止対策を進めていくことができる基準の内容となるように、議論に積極的に参加していくというのが我々の基本的なスタンスであります。

高橋(千)委員 世界各国ができているところがまずできていない、スタートラインが違うわけですから、その認識は、だめだと言ったら失礼ですけれども、足りないんじゃないかなと思っております。

 引き続き、中身で議論していきたいと思います。

 パワハラは、労働局の相談件数の中でもトップだと言われておりながら、いまだにその定義がありません。資料の3は、二〇一一年の職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループで整理された六つの類型、それに対して、昨年三月の職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会報告において、その六つの類型がその上の三つの全ての要素を満たすことをパワハラとして整理をしたものであります。

 その三つを足して一つの文章にしたのが、労働施策総合推進法案の第八章、「職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して事業主の講ずべき措置等」のところで、「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、」という条文に一つにまとまったというふうに承知をしています。

 もちろん、この下の中身についてはガイドラインなどで具体化されていくと思うんですけれども、なぜ三つ全てでなければならないんでしょうか。例えば、優越的な関係だというのと身体的若しくは精神的な苦痛を与えたというこの三つ目、それだけでも成立すると思うんですが、なぜ三つ全てなんでしょうか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御紹介いただきました、職場における優越的な関係を背景として、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによって、就業環境が害されるということでございます。

 これはまさに、パワーハラスメントという言葉があらわしておりますように、基本的には、上司、部下のような関係の中で起こっているハラスメントというのを厳しく規定した上で厳格に対応していこうということの中で、それを一体として捉える表現としてこの三要素が適切であるということで定義されたものでございます。

高橋(千)委員 納得できないんですね。この間の答弁を聞いていると非常にひっかかるところなんですが、セクハラは職場に必要ないけれどもパワハラは必要な場合があると言っているように聞こえるんです。

 建議は、セクハラもパワハラもマタハラも、さまざまなハラスメントは、労働者の尊厳や人格を傷つけるなど、人権にかかわる許されない行為であり、あってはならないと書いてあるわけですよね。それが貫かれるべきだと思うんです。なのに、業務上合理的な理由のあるものがあり得ると検討会の報告書にも書いている。

 これは、許されるパワハラもあるという考えなんですか。

小林政府参考人 まず、許されるパワハラがあるということではございませんで、ここで言うパワハラと言われる行為というのは、被害者がパワハラであると主張している行為のことをここでは表現しておるものでございまして、必ずしもパワハラに当たるものではないものがここでは言われているというふうに考えております。

 許されるパワハラがあるという趣旨ではございませんで、業務上適正な範囲の指導かそれを超えたパワハラかというのが非常に判断が難しい場合があるという趣旨の意味でここでは記載されたものであるというふうに承知をしております。

 それで、このパワハラの非常に難しい問題は、通常、職場の中において業務指導というのは行われるわけでございます、あるいは人材育成というのも行われるわけでございまして、ある適正な範囲までの業務指導であるとかあるいは人材育成というのはむしろ健全な職場においては必要とされる部分があって、しかし、そうではないものについてはなくしていくというのが今回のパワハラの考え方でございますので、許されるパワハラがあるということを私どもとしては申し上げているわけではございません。

高橋(千)委員 言っていることは同じなんですよ、私が言った表現と。職場のパワハラは、時には心身の健康や命すら危険にさらされる場合があり、職場のパワハラはなくしていかなければならないと報告書には書いています。命の危険もある、そうですよね、過労死事案の中にもパワハラがあったという訴えは非常に多いです。だけれども、命を落としても、それを認めてもらえていない、そういう現状があるんです。

 時間の節約で、次の質問を続けて言います。

 資料の4を見ていただきたいんですけれども、平成二十九年度の過労死等の労災補償状況。上が脳・心臓疾患の補償状況で、請求件数が八百四十件、うち支給決定が二百五十三件、認定率三八・一%。それに対して、精神障害の労災補償状況、請求件数千七百三十二件、支給決定は五百六件、三二・八%ですが、自殺が二百二十一件ございます、請求が。そして、九十八件認められていて、どちらも非常にふえている、年々ふえているということなんです。パワハラだということがなかなか認められなくて精神障害を起こした場合に、その中の一部に認めている件数がある。

 資料の5を見ていただきたいんですが、精神障害の出来事別決定及び支給決定件数、すごく細かくありますよね。事故や災害とか仕事の失敗とか、仕事の量がふえた、減った、役割の変化、そして、その中の対人関係、ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた。二十九年度が百八十六件の決定に対して、支給決定は八十八件。これだけがパワハラとして認めているというのが実態ではありませんか。

 そして、その上の方も、よくよく見ると、パワハラに当たるものが随分あるんじゃないでしょうか。違いますか。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 まずもって、パワーハラスメントという問題について、先ほど議員の方からもございましたとおり、働く方の人格や尊厳を傷つける、あってはならないものということで、メンタルヘルスの不調にもつながるということでございますので、今御紹介ございましたような形で、労災の認定ということにもつながっておるというものでございます。

 パワーハラスメントによっての労災請求がなされた場合ということにつきましては、心理的負荷による精神障害の認定基準に基づいて、業務上か否かの判断をして認定をしているということでございます。

 具体的には、被災者に生じた業務による出来事を、当該認定基準に定める心理的負荷表の具体的出来事の嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けたということに当てはめて、例えば、部下に対する上司の言動が、業務指導の範囲を逸脱しており、その中に人格や人間性を否定するような言動が含まれ、かつ、これが執拗に行われたというときは、業務による強い心理的負荷があったと認めているわけでございます。

 今般のパワーハラスメントの定義との関係も含めまして、今、そのような行為があった場合に、この認定基準に基づいて私どもとしては認定の判断を行っているということでございます。

高橋(千)委員 業務上の範囲を超えているかどうか判断が難しいよねと言い、では、事例を積み重ねていって、平均的な労働者の感覚とはどうだろう、そうやって調べていくんだと今まで説明をしてきましたね。だけれども、平均的な労働者なんですよ、みんな。その人たちが、上司から言われたこと、仕事の量を極端に過大なノルマを出されたこと、仕事を干されたこと、事故の責任を全部押しつけられたこと、そういうことが原因だったと申請しても認められていない。そのことが、結局、それが事例となって範囲を狭めているんですよ。そういう関係にあるから指摘をしています。

 岩手県の二十八歳の青年が研究職で自殺をいたしました。両親が労災申請をしましたが、群馬労働局です、政務官にぜひ、業務外としました。調査復命書を見ると、亡くなる二年前に心療内科を受診したんですけれども、八十時間から百時間の時間外労働を確認しています。ですが、連続していないからといってこれを評価していません。

 上司から、二〇一五年七月ごろ、腰や腹を拳で殴られ、胸ぐらをつかみ壁際に押しやられどなられたほか、常態的に暴行やどなられていたと申し立てているのに、平手打ち一回だった、治療に至っていないから大丈夫とか、言動は強かったかもしれないけれども、業務の指導、叱責の範囲内だ、こうして調査復命書に書いているんです。

 よほど追い詰められてから治療にかかるというのが一般的ですけれども、そうなると、精神障害で労災を認めるには、発症前半年間の間に大と評価される出来事が必要となるんです。これだけの事実をつかんでも、それは小だねとか中だねというふうに、認定に足らないとされます。治療が実際に始まると労働時間が少なくなってきます。ですから、亡くなる直前は長時間労働になっていないわけです。だから、どちらからも評価されない。これは本当に、これまで繰り返されてきたケースと同じだなと思いました。

 職場と寮の往復以外にほとんど生活ができなかった。飲み会に幾ら誘われても、毎日毎日断っているんですよ、そのメールが残っています。そういう青年がみずから命を絶ったのに、それを労災として認めないというのは、やはり基準がおかしいとしか言えません。

 パワハラの予防、防止と言いながら、そもそもパワハラとは何だというときに、ここまで狭く限定してしまえば意味がないのではないですか。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の案件につきましての言及は差し控えさせていただきたいと思いますが、今般の法案におきましても、パワーハラスメントの定義につきましては、先ほど御紹介があったような、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、労働者の就業環境を害することを満たすものとされておるということでございます。

 先ほど御紹介しましたように、労災の精神障害の認定基準につきましても、この定義にも当てはまるような形で現在の心理的負荷の評価表が定められており、この具体的な出来事ということの当てはめの判断を行っておるところでございまして、私どもとしましては、この認定基準に適切に対応し、適切な判断ということを行ってまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 大臣、どう思いますか。今の表を見てくださったと思うし、別に個別の話に答えてくれなくてもいいですよ。NOパワハラ、あかるい職場応援団、いろいろやっていますよ、防止と言っていますよ。だけれども、これをパワハラだと認めないで前に進むはずがないし、防止措置を幾ら設けたって意味がありません。

 もっと見直しをするべきじゃないですか、実態に沿った対応をすべきじゃありませんか。一言お願いします。

根本国務大臣 パワーハラスメントは、働く人の人格や尊厳を傷つける、あってはないものであります。そして、メンタルヘルスの不調などにつながり、最悪の場合、人命にかかわることもある重大な問題であると認識しております。

 例えば、嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けたこと、これを主な出来事とする精神障害の労災認定件数、これは八十八件でありますが、そのうち十二件が自殺に至った事例となっております。

 その意味で、昨年七月に、過労死等の防止のための対策に関する大綱、これを閣議決定いたしましたが、過労死等に結びつきかねない職場におけるハラスメント対策として、実効性ある職場のパワーハラスメント防止対策の必要な対応を検討していくということを踏まえて、今回、我々政府提出法案で、パワーハラスメント防止のための措置義務等を設けることにいたしました。

 今回、我々の提示した法案、そして指針を含めて、今、高橋委員がおっしゃられたような状況なども踏まえながら、しっかりと対応していきたいと思います。

高橋(千)委員 到底終われませんが、きょうは終わります。

冨岡委員長 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田でございます。

 女性活躍推進ということで、今回、法改正になるわけですが、閣法と議法との間で法律の改正の箇所だとかあるいは対象法律が異なっているということなんですが、これの趣旨を双方の提案者から確認したいと思います。

西村(智)議員 女性が個性と能力を十分に発揮できるようにするには、国として一人一人の女性の活躍を応援しようという意識を、あらゆる施策を通じてしっかり社会に示すことが求められます。働く女性に対する社会の理解を増進するべく、働く上でのあらゆる障壁を取り除き、女性にとって働きやすい環境整備を行い、女性への偏見や差別を解消するとともに、育児や介護、家事など女性が担うべきとされてきた役割を社会全体で担っていくことが必要です。

 今回の閣法による女性活躍推進法などの改正がこのような社会を実現するためにどこまで有効なものであるかについては、現在、審議の中で具体的に政府に問いただしているところです。

 しかし、セクシュアルハラスメントを中心とするハラスメント対策については、閣法の内容は明らかに不十分であると考えております。特にセクシュアルハラスメントについては、法律上明確に禁止し、それが違法なものであると明らかにする必要があると考えます。

 そこで、今回、私たちは、セクシュアルハラスメントの禁止を明記する法案を始め、セクシュアルハラスメント、マタニティーハラスメントについての事業主の措置義務を強化する法案、パワーハラスメントやカスタマーハラスメントなどを規制の対象とする法案の三本を、閣法に対する補充的な趣旨を含む対案として提出いたしたところでございます。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 今、西村先生からお話しになった裏返しでございますが、政府提出の法案の方につきましては、まずパワハラでございますが、これは社内の労働者ということで整理をいたしました。

 それで、今御指摘がございましたように、カスタマーハラスメントの部分が含まれていないという御指摘があったとおりでございまして、この点を踏まえまして、カスタマーハラスメントにつきましても、労働者のケアなど必要な対応を行っていくということは企業にとって非常に重要であるということに鑑みまして、この点はパワハラの指針で対応していくというふうに整理をしております。

 それから、セクハラでございますが、これも、男女雇用機会均等法の制約ということがございまして、労働者という規定になっております。そして、求職者あるいは個人事業主に対するものが弱いのではないかという御指摘があったわけでございまして、ここも、事業主が労働者に対する社内方針の明確化等を図る際に、労働者以外の者に対してもきちんと対応していくということを社内で明確にしてもらうように、指針に盛り込むような方向でこれから御議論いただきたいというふうに考えております。

串田委員 セクハラに関しては、法律の世界で検索をすると大体出てくるのが、民法七百十五条の使用者責任と安全配慮義務。これの組合せで解決をしていくというのが法律の基本的なアプローチの仕方。もちろん、個々の責任というのはあるんですよ。しかし、企業が当然に責任を負うという発想というのがむしろ当然になっている。七百十五条は使用者責任。

 実は、物心両面という言葉がありますが、我が国は、物に関しては非常に熱心に取り組んでいるんですけれども、心というところには非常に弱いんですね。

 例えば、ある企業の従業員が、他社の従業員を、業務上、何か取引関係の交渉をしているときに思わず殴ってしまった。これに対して責任を企業が負うかといったら、これは誰でも負うだろうと思うわけです。これは七百十五条の使用者責任。

 ところが、セクシュアルハラスメントなどの言動のような不法行為に関して、途端に個々の責任になってしまって、企業の責任が飛んでいってしまうんですよ。だから、女性が社会に進出しにくくなっているんだと思うんですね。

 その点、先ほど小林局長が、本来は加害者である企業に情報を提供するお願いをするような、何か協力を仰ぐんだというようなことをおっしゃっていますが、これは加害者じゃないんですか。加害者に対して協力を求めるというのは、私はおかしいと思うんですが、いかがでしょうか。

小林政府参考人 確かに、加害者、被害者という視点で捉えれば、先生おっしゃるとおりの部分があろうかと思います。

 一方で、措置義務というのは、労働者を雇用している事業主の責務としてその労働者の安全なりを守っていくということを規定した法律でございまして、被害を受けた労働者のケア等をやっていくというのが被害者側の企業の責任としてあるということでございます。

 その責任を貫徹しようとすればするほど加害企業との関係が出てくるということで、加害企業の協力を求めなければ自分の責任を貫徹できないということであります。そこが、協力を要請するという言い方になって、やや、被害者なのにどうなのかという御指摘があるかもしれませんが、事業主の立場に立てばそういうことだという趣旨で申し上げたところでございます。

串田委員 要請ということではなくて、加害者なんだから責任を負えという方向性を、姿勢を示さなければ私は今の日本の環境というのは変わらないと思うので、そこは表現の仕方も考えていただきたいと思うんです。

 ちょっと問題の順番が変わりますけれども、就活中のセクハラに関して、これに対する対応について、やはり双方から説明をいただきたいと思います。

尾辻議員 就活中のセクハラに関してお答えを申し上げます。

 委員御指摘のように、最近、OB訪問の機会を悪用して、就職活動中の学生などに対してセクシュアルハラスメントを行うことなどが社会問題となっております。雇用の入り口に立とうとしている就活中の学生などについても、既に雇用関係にある労働者と同様に、セクシュアルハラスメントの被害を受けないように守らなければなりません。

 そこで、私たちのセクシュアルハラスメント禁止法案では、就活中の学生などに対するセクシュアルハラスメントについても禁止の対象となることを明記し、法的に禁止された違法なものであることを明確にしております。これにより、就活中の学生などに対するセクシュアルハラスメントは許されないものであるという認識を浸透させ、その行為自体を防止し、就活中の学生などの保護を図っております。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の政府提出法案におきまして、セクハラ等を行ってはならないこと、そのためにも他の労働者に対する言動に注意を払うよう努めることという責務規定を入れました。これ自体は非常に意味のある規定だというふうに思っておりますが、ただ、他の労働者にというふうな規定になっております。

 そういう意味で、就活中の方については、求職者ということでぎりぎり入れることは可能だと思いますが、それ以外の労働者でない方が入ってこない部分があるという部分がございます。そこは、何人に対してもセクハラを行ってはならないんだという趣旨に立って、これから社内方針などを定めていただく際にそういったことを盛り込んでもらえるように、指針等を通じて工夫をしてまいりたいというふうに思っております。

串田委員 セクハラに関しては、今までの法律上のアプローチの仕方が少しずれていると私は思っています。

 一つの企業の中の従業員関係に関してこれはどういうふうに考えるかというと、普通のアプローチの仕方は、従業員同士であった場合は使用者としても責任を負うんだと。セクハラを上司なり同僚なりがほかの従業員に対して行ったのは、これは個々の人間の、七百九条の不法行為だと思いますよ。だけれども、従業員から見たら、使用者に対して七百十五条の責任は問えると思うんです。そして一方、同一の企業の中では、そういうことが行われないような安全配慮義務がある。これは根本大臣が先ほどおっしゃっていました。

 同一の企業の中で従業員同士が行った場合には、七百十五条と安全配慮義務が並行して成立するというのがこれまでの法律のアプローチの仕方だと私は思っているんです。これが企業が異なった場合には、安全配慮義務は他の企業に対しては及ぼしにくいですから、七百十五条のアプローチになるんだと思うんです。

 先ほどの就活中の者に対しては、七百十五条で使用者も責任を負うわけなんですよ、それは。業務上、面接官なりなんなりが、普通の面接のつもりで行っていながらセクハラ行為を行うわけですから、これは七百十五条にどんぴしゃりの事案なんですね。

 だから、従業員とかの雇用関係があるかどうかというところのドグマに入り込んでしまうと、これは就職関係がないから何となく枠から外れているようなことなんだけれども、七百十五条の趣旨というのは、企業は従業員によって利益を得ている、拡大して行動が行われるから利益を得ている、いいところは吸収できる、しかし、悪いことが起きたときには、いいとこ取りだけで悪いところは企業は関係ないというのはよくない、公平ではないということで、いいところも悪いところも使用者は責任を負うというのが七百十五条の根拠規定なわけですよ。

 そうだとすると、就活中の面接官というのは、どういう人物であるのかということをしっかりと確認するという権限が与えられている、企業にとっては利益になる作業を行っているわけですから、その過程の中で悪いことをした場合にも、これは企業が負うのは当たり前なんじゃないですか。

 小林局長、どうでしょう。

小林政府参考人 今の先生のお話に合致することといたしましては、先ほども少し申し上げましたが、関係者の責務ということで、セクハラ等を行ってはならないということの責務を国に課し、事業主に課し、そして労働者自身にも課すという形で今回規定を入れております。

 事業主は、自社の労働者がそういうセクハラをしてはならないようにする、そこの会社の労働者自身もみずからの言動に気をつけるということで、加害者にならないようにそれぞれが責任を果たすということを今回責務規定で盛り込みましたので、そこは今御指摘いただいた話と通ずる部分があるのではないかというふうに思います。

串田委員 今、七百十五条と安全配慮義務の話をしましたが、七百十五条というのは証明が非常に難しいんですね、立証が。だから、証明しにくいから女性が進出できないということもあるんです。

 なので、この証明しにくい部分を法律で補っていこうという方向性がない限り、女性の社会進出というのはなかなか実現できない。そういう意味では、今回の改正というのは、証明できないところを補っていかなければいけないと私は思っているんです。そういう意味では、今回の閣法というのは、これを補っていると私は思えないんですよ。

 どうやって雇用関係でない人間が証明をしていくのかということに関して、七百十五条しか残されていないということが問題なわけです。だけれども、本来は、企業にとっても大いに利益のある作業の過程の中で行った以上は、それは企業が責任を負うんだという方向性の中で証明がしにくい部分を補わない限りは女性の社会進出はなかなか進まないと思うんですけれども、もう一度、どうですか、証明がしやすくなるんでしょうか。

小林政府参考人 私ども、今回改正いたします男女雇用機会均等法あるいは労働施策総合推進法いずれも、基本的には労働法制の考え方で、自社の労働者を保護するというところの延長線上で規定をしているということがございます。

 そういう中で関係者の責務規定というのを盛り込んだということで、自社の労働者を保護するという法制の中で、ただ、責務規定の部分に関しては、今先生御指摘になったところと重なり合う部分があると思いますので、そこを捉える中で御要請に沿える部分というのもあるのではないかというふうに思ってお聞きしたところでございます。

串田委員 スタートラインが、自社の社員というスタートから始まってしまえば、これはやはり女性の社会進出というひっくるめた中での法案提出ということとは私は相入れないんじゃないかなと思うんですよ。それだったら、自社の雇用関係改善法にすればいいじゃないですか。どうしてこんな、女性の社会進出なんて名前がついているんですか。ちょっと教えてください。

小林政府参考人 今回お出ししている法律は、五本の法律を合わせて一つの法律にさせていただいております。その中の題名に冠しておるのが女性活躍推進法ということでございまして、これは、労働法制の中ではありますが、まさに労働者自身というか、女性自身の活躍をどんどん伸ばしていこうという方向の法律の体系になっております。

 それ以外の法律はいずれも、基本的には自社の労働者保護というところの中で今度のハラスメント法制を位置づけたということでございますので、確かに全体を一つのところで覆い切れない部分はあるのかもしれませんけれども、私どもとしては、そういう状況の中ではありますが、それぞれの多様な働き方の中でそれぞれが活躍できるということで、今回まとめてお出しをさせていただいたところでございます。

串田委員 ちょっと質問の順番が変わりますが、セクハラに対処するに当たっては、行為者を中心にすべきなのか、あるいは職場環境とか労働環境を中心とすべきなのか。これはどちらもなんでしょうけれども、この点についての考え方、アプローチの仕方、ここら辺をちょっと双方からお聞きしたいと思っています。

岡本(充)議員 御質問いただきました、セクハラの問題に対処するため政策を推進するに当たっては、一方で、セクハラが行われないように職場環境、労働環境を改善するための施策が重要であるとともに、他方では、行為者に対してセクハラを行わせないようにするための施策も重要です。これらは、いずれかが中心となるわけではなくて、いずれもが重要であり、いわば車の両輪として双方が相まってセクハラ対策の成果を上げるものだと考えています。

 そのため、私たちは、就業環境が害されることのないよう、事業者の措置義務を強化、拡充する男女雇用機会均等法の改正案、いわゆるセクハラ規制強化法案を提出するとともに、行為者に対してセクハラを禁止するセクハラ禁止法案を提出したところであります。

小林政府参考人 セクハラが発生する企業を見ますと、女性の役割に対する誤った認識や男女間のコミュニケーションの不足、さらに企業の女性の活用方針の未確立といった、職場環境あるいは雇用管理上の問題を抱えている場合が多いのではないかというふうに考えられるところでございます。

 セクハラの行為者自身に対する懲戒あるいは懲罰といったものももちろん必要でございますが、今申し上げたような職場環境あるいは雇用管理上の問題の根本的解決という点では、それだけでは足りない部分が確かにあるのかなと。

 セクハラの行為者に制裁を科すだけではなく、より根本的な解決という観点からは、今般の雇用管理上の措置義務、これは予防から事後の対応まで一連の措置を事業主の主体的な取組というところに求めていくということであります、企業の実情を踏まえた主体的な取組というのを促すことによって問題の未然防止あるいは円滑な解決促進が図られるものでございますので、この仕組みは両方の中の特に根源的な問題の解決に資する仕組みではないかというふうに認識をしております。

串田委員 通告の文言とはちょっと違うんですが、職場環境というのを通告で入れさせていただいている中で、議法は労働安全衛生法の一部を改正する形でこれを実現しようとしている。この労働安全衛生法に入れた趣旨を説明していただけますでしょうか、議法の提案者の方の中で。

西村(智)議員 お答えいたします。

 労働安全衛生法は事業主に課す義務を規定しているものですので、そこにおいて、パワーハラスメントの防止をきちんと事業主から責務として果たしていただこうという趣旨で入れたものでございます。

 このようなお答えでよろしいでしょうか。

冨岡委員長 今の答弁でいいですか。

串田委員 小林局長にもお聞きをしたいと思います。

小林政府参考人 パワハラを、労働安全衛生法ではなく、私ども労働施策総合推進法に位置づけたというお尋ねであるというふうに理解をさせていただきます。

 パワハラは、もちろん労働者の安全と健康の確保という観点はございますが、同時に、人格ですとか尊厳を確保し、職場の円滑なコミュニケーションというのを通じて労働者が安心して能力を発揮できる就業環境を整備していくんだ、そういう捉え方もできるというふうに理解をしております。

 労働施策総合推進法は、労働者の職業生活の充実や労働生産性の向上を促進し、労働者の能力の有効な発揮を通じて労働者の職業の安定と経済的社会的地位の向上とを図るという法律でございますので、私どもが今回、パワハラを通じて、職場環境を改善していくという趣旨と通ずる部分があるというふうに考えております。

 そして、労働施策総合推進法の第四条に、国の施策がいろいろ列挙されている条がございますが、そこで総合的にハラスメント対策を推進していくということを明らかにした上で、一章、パワハラの章をその法律に基づいて規定させていただいたというものでございます。

串田委員 今の回答でも、かなりアプローチの違いというのははっきりしてきているんです。

 その点について、根本大臣、先ほど安全配慮という言葉があったんですが、安全配慮の後ろにつく言葉は、安全配慮を推進なのか、安全配慮義務なのか。根本大臣としては、セクハラに関する企業の考え方というのはどちらを考えられていらっしゃるんでしょうか。

根本国務大臣 ストレートなお答えになるかどうかですけれども。

 先ほど、行為者に対する規制かあるいは職場環境か、こういう話もありましたけれども、今回の法案では、要は、国や事業主として労働者に例えばセクハラはやってはいけませんよということを義務づけて、そして、具体的に、自社の労働者がセクハラ行為を例えば就活中の方にやったということであれば、それはやってはいけないということを基本的な方針として会社が明確に打ち出すわけですから、そして、それに触れるようなことがあった場合には、当然、その行為者は、社内の中で例えば配置転換をするとかそういう懲戒も受ける、こういうことになるわけであります。

 その意味では、今回の法案は、我々は、国、事業主そして労働者それぞれにきちんと責務を課して、そして措置義務という形で、要は、ある種それは企業のガバナンスということにもなりますけれども、そういう行為をした人間に対しては、きちんと事業主も、雇用者もしっかりと対応する。

 私も最近、ある会社で話を聞きましたけれども、例えばパワハラ。パワハラというのは、本人はパワハラだとは思っていない、それを本人と話して、研修も受けさせて、実はこういうことはパワハラに当たるんだよときちんと社が示して、そして、例えば部下のいない職場に配置転換をしてということで対応しています、こういうお話も聞きました。

 だから、今のお話では、事業主に対しては、労働者に対しての安全配慮ということは当然ありますが、一方で、今回の法案は、そういう企業の風土もしっかり変えていく必要もあるということで、先ほど来の議論を聞いておりましたが、私は、両方の視点があるし、やはり、事業主に対しては安全配慮義務というのは当然あると思いますが、一方で、事業主にもしっかりとここは責務も果たしていただく、労働者も責務を果たしていただくということではないかと思います。

串田委員 今の根本大臣の前半部分はどうなることかと思ったんですが、最後は安全配慮義務という言葉を使っていただきました。

 小林局長は、安全配慮義務とは最後まで言われていないような気がするんですよ。これは義務にしなきゃだめでしょう。安全配慮をするのは事業主の責任だという認識がないと、これは、個々の行為者を処罰するとかという方向じゃなくて、そういう環境をつくらなきゃいけないんですよ。

 だから、先ほど西村委員がおっしゃっていたような、労働安全衛生法にこれを盛り込むというのは、非常に私はしっくりくるんです。そこの環境に配慮する企業の責任だという認識がなければ、個々の人間に責任を押しつけていったらトカゲの尻尾切りですよ。

 安全配慮義務でいいですか。

小林政府参考人 もともと労働契約におきまして、使用者は安全配慮義務を労働契約に付随するものとして負っているというふうに理解しております。そういう観点で、その一つの類型としてハラスメント対策を位置づけておるわけでございます。

 ただ、ここが先生とやや違いが出てしまうんですが、そういう安全配慮義務の直接的な対象者が、今までの法制では、自分が雇用している労働者だ、そこのたてつけからスタートしております。

 今いろいろ御指摘いただいた話の中には、カスタマーハラスメントですとかあるいはフリーランスの方みたいな、そこで捉え切れない部分が生じてくるという問題がございまして、そこでやや今のたてつけで及ばない部分が生じてはいるんですけれども、そこのところは指針なりで適宜補って対応していくというのが今の政府案の考え方でございます。

串田委員 企業内における従業員が非常に快適に仕事ができる、またあるいはそういう心的な被害を受けないようにする、これは安全配慮義務なんです。

 カスタマーハラスメントに対してどういう対応をされているのか、双方から説明をお伺いしたいと思います。

小林政府参考人 先に答えさせていただきます。

 先ほども少し申し上げました、基本的に、被害に遭っている労働者を保護するという中での措置義務でございまして、しかも、今回のパワハラは、社内の中で起きるハラスメントという形で整理をいたしました。したがって、カスタマーハラスメントは外から自社の社員が被害を受けるということでございますので、今回のパワハラの直接の対象には位置づけていないというのが今の政府案です。

 ただ、先ほど来申し上げておりますように、実際に自社の社員がカスタマーハラスメントで被害に遭っているということで、そのケアはきちんとしてもらう必要があるだろう、そこは指針のところでしっかり補っていくというのが政府案の対応でございます。

西村(智)議員 ありがとうございます。

 いわゆるカスタマーハラスメントは、労働者の心身に深刻な影響を与えるものでありますので、私たちのパワハラ規制法案では、まずは、職場における労働者の安全と健康を確保する責務を負っている事業者に対して措置義務を課すこととしております。

 具体的に事業者が講じなければならない措置としては、事前の措置として、消費者対応に関するマニュアルの作成、リーフレットの配付、労働者に対する研修の実施、個々の労働者の負担を軽減するための業務体制の整備、それから消費者対応業務に係るハラスメントを受けた労働者のための相談窓口の設置、担当者による相談対応の確保などの措置を想定しております。

 また、カスタマーハラスメントの場合、加害者が顧客等であることから、事前の措置を講じたとしてもその発生を防げるとは限りません。ですので、事後の対応としては、ハラスメントを受けた労働者の交代や配置転換、ハラスメントを受けた労働者のメンタルケアなどの措置が講じられることを想定しております。

 このほかにも、労働者に迷惑行為をしないよう、消費者に対し周知啓発することなども想定しております。

 以上です。

串田委員 閣法は、自分の会社の従業員というところにずっととらわれ過ぎてしまっているから、カスタマーハラスメントとかが除外されていくんですよ。

 職場環境をよくするという発想であれば、そこに例えば気持ちの悪い何か昆虫なりあるいは空気が流れていたら、それは改善しなきゃいけないというのが安全配慮義務ですよ。ということは、従業員であろうとなかろうと、職場環境が悪いのを直すということだから安全衛生法に入れるということで、そうしないと、従業員がやったから、それを阻止していれば進出ができるという発想を変えない限り、環境はよくならないですよ。

 根本大臣、今度そこら辺、もう時間もないので回答はまた後日にしますけれども、そういうトータルな解決をしない限りは環境はよくならない、これを御指摘させていただきながら、終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 社会保障を立て直す国民会議の中島克仁です。

 いつもですが、最後の質疑者でございます。お疲れだと思いますが、おつき合いをいただきたいと思います。

 水曜日、一昨日の質疑に引き続いて質問をさせていただきたいと思います。

 前回の質疑で、大臣から、介護を理由に離職するいわゆる介護離職の問題は女性の活躍を阻む一つの要因になっておると。それについて大臣に確認をさせていただきました。そういうことでよろしいですよね。うなずいていただければいいです。はい。

 一方で、安倍政権の新三本の矢の一つである介護離職ゼロへの取組。介護休業取得率は、平成二十四年よりも直近の平成二十九年の取得率が大幅に下がっておる。また、資料の方に出させていただきましたが、平成二十四年の介護休業制度の利用が一五・七に対して二十九年では八・六、介護休業取得率も、二十四年は三・二に対して二十九年が一・二と、大幅に下がっておる。さらに、介護の受皿整備もおぼつかない、こういったことを指摘させていただいたわけであります。

 前回のちょっと確認なんですが、この介護休業取得率、二十四年と二十九年、大幅に下がっておる、この理由についてお尋ねをしたところ、小林局長から、雇用均等基本調査などでは若干改善しておるということも答弁で言われ、また一方で、その理由については周知が不十分ということで、今後、実態把握を適切に行うとともに制度の周知に努めていくという答弁がございました。

 確認ですけれども、この介護休業取得率、従来は就業構造基本調査、基幹統計でありますけれども、これで評価していく、さらに、介護離職の数は、平成二十四年は十・一万人だったのが二十九年では九・九万人、雇用均等基本調査は若干改善しておるという答弁もこの間あったんですが、この介護離職の評価はあくまでも就業構造基本調査で推移を見ていくということでよろしいですね。

小林政府参考人 今御指摘いただきましたように、この就業構造基本調査で見ていくという理解で私も認識をしております。

 それから、先日申し上げましたが、介護休業の取得率、非常に低い状況でございますので、これはしっかりと改善を図っていかなければいけないというふうに思っております。

中島委員 ちょっと、そこが前回折り合いというかかみ合わなかった一つの原因だったんですが、想定問答は、平成二十四年と二十九年、これだけ下がっている要因を聞いたわけですが、いわゆる介護離職ゼロの唯一の法改正である育児・介護休業法が施行されたのは平成二十九年ですから、二十九年の調査でまだその部分が反映されていない。ただ、その間にこれだけ下がった理由はという趣旨で、いわゆる介護離職ゼロに向けた取組はまさにこれからだ、そういう前提でお話を私がさせていただいたら、ちょっと不明瞭だったんですね。

 あくまでもこれは、今お答えいただいたように、総務省の就業構造基本調査で評価していくと改めて確認をさせていただきました。

 では、次回の調査はいつになりますか。

大島政府参考人 前回は平成二十九年十月一日が基準日でございまして、五年ごとですので、平成でいいますと三十四年ですので、令和三年、西暦に直しますと二〇二二年の十月一日時点です。

中島委員 そうなんです。そうなると、この介護離職の現状、平成二十九年では九・九万人、前回、二十四年よりも二千人減少しておるということ。一方で、介護をしながら就業している方は五十万人とおっしゃいますが、それが結果として成果なのかどうかは非常に悩ましいところ。五年間の間に高齢化率も高まっておりますし、そのさなかに介護保険法も改正をされておるということで、この介護離職ゼロの現状を次回調査するのは二〇二二年ですよね。あと三年後ということになるんです。

 何度も言いますが、ちょっとここは大臣とも共有しておきたいんですが、私、決して介護離職ゼロの取組がけしからぬとかよくないと言っている意味じゃないんです。逆に、私は大いに期待をしているんです。あの介護離職ゼロを新三本の矢の一つに掲げたときに、前回も言いましたが、大丈夫かと。介護離職の問題はさまざまなことが絡み合い、就業の状況もそうですし、介護の状況、また、ひとり暮らしの方が大幅にふえていたり、その一方で、財源の問題もあります、多くの改正もされておるという中で、私自身は期待をしておる。

 しかし、現状が、この五年間の間に、一つのファクトとして、介護休業率が大幅に下がっておる。これは正式に基幹統計が示していることでありますから。あと三年後までこの介護離職の実態を把握しないということは大変問題だと私自身は考えているんです。

 厚生労働省として介護離職の現状を総合的に独自にしっかり調査して、問題があるなら、例えば法改正して、介護休業法で、弾力性のある、取得できるような取組をしたけれども、周知だけではなくて、やはりさまざま課題があるということであれば早急に対応していくべきだと私は思うわけです。

 大臣、三年後を待たないでこの介護離職の現状を厚生労働省としてちゃんとしっかり調査していくべきだと考えますが、いかがでしょうか。

大島政府参考人 今回の就業構造基本調査でございますが、五年ごとということになっております。介護、看護を理由とする離職、転職者数は、質問票上、前の仕事をいつやめましたか、どうして前の仕事をやめましたかという質問がありますので、計算上は各年の離職者数の数値は出ます。

 しかしながら、例えば過去五年間で複数回の離職をしていた場合は直近のみの離職が回答され、その他の離職については計上されないということで、前の年に行くほど数値が上がらないという統計上の癖、特性がございますので、比較としては、やはりどうしても、直近の調査と五年間の調査における直近の一年間同士を比較するということになってございます。

 したがいまして、こういった制限がございますが、本調査は基本統計であり、介護、看護を理由とした離職者数を把握する上では同規模の調査は存在しませんし、そういうことで、この調査を基本にしたいとは考えます。

 その上で、補完的に離職理由のよりきめ細かな把握等が可能かどうかは、関係者の御意見も伺いながら研究してまいりたいと考えます。

中島委員 これも前回御指摘させていただいたんですが、今も触れられておりましたけれども、資料の二枚目、この就業構造基本調査における調査票は、今お答えいただいたように、直近の離職した日を記入するという方式で、私の知っている方は何人もおられますが、やはり、正規で雇用されていた方が、親御さんの介護のために夜遅くまで仕事ができない、それで離職をされ、そして、いわゆる非正規で雇用され、介護している親御さんの状況によってまた離職をする。いわゆる、育児と違い、介護の場合は出口がなかなか見えないトンネルに迷い込んでしまう。そういう方々の実態調査としては不適切。不適切というよりは、私は、実態を反映されない調査なんじゃないかと。それで、冒頭確認したわけです。

 この介護離職の実態状況は基幹統計をというふうにお答えになりましたが、そして、今お答えいただいたのは、さまざまな、ここも確認しますが、大臣、今のは大臣に答えていただきたかったんです。なぜならば、厚労省には、厚生労働省一億総活躍実現本部というのが設置されておると承知しています。その本部長は厚生労働大臣、そして本部長代行は副大臣、本部長代理は政務官。そして、介護離職ゼロ実現チームがあって、主査は老健局長というふうに私は承知しておりますが、先ほど、基幹統計のみならず、さまざまな要素を勘案して検討していくと言いましたが、この会議でちゃんとやったらいいじゃないですか。

 確認ですが、この会議は、何回開かれ、最後にいつやられましたか。

大島政府参考人 済みません、それにつきましてはちょっと御用意しておりませんでした。後日、先生に御報告させていただきます。

中島委員 これは二回しかやっていないんですよ。私が調べたというか、ホームページで見て確認しただけですから、実際に公表されていないのかどうかわかりませんから確認したんですが、私が見た限りでは、平成二十七年の十月、二〇一五年の十月と十一月の二回しかやっていない。

 そもそも、この実現会議は存在しているんですか。

大島政府参考人 要綱をつくって決めている会議でございますので、存在しております。年に一遍は一億総活躍プランのフォローアップがまた官邸でございますので、省内でも今までの取組を今まとめている作業を行っているところでございます。

中島委員 厚生労働省の実現会議ですよ。だって、設置されているんでしょう。厚生労働省一億総活躍実現本部、本部長は大臣ですよ。

小林政府参考人 先生お尋ねの厚生労働省一億総活躍社会実現本部、これはまだございます。そして、これまでの開催状況は二回というのも御指摘のとおりです。

 これまで主として検討したのは、政府の一億総活躍社会の実現に向けてのプランがございまして、それに提案していくという形で省内で活動した、その二回が実績ということで、ただ、本部としてはまだ残っておるという状況です。

中島委員 大臣、大臣は本部長なんですよ、本部長。そして、副大臣は代理、政務官は何でしたっけ。要するに三役ですよ。

 まさに、私は何度も言いますが、私は、介護離職の問題を政府が大きく取り上げて、一大プロジェクトとしてやることに大変期待をしていますし、私の周りで介護離職にあえいでいる方々も、あの新三本の矢の一つに介護離職が入ったときに、これで私たちも何とか道が開けるんじゃないかと大いに期待されていたんです。

 でも、その実態は、先ほど言ったように、平成二十九年の数字はまだ、改正案が施行された年でもありますし、そしてこの間に介護保険法の改正がされて、要介護三以上の方へ施設入所が重点化され、要支援一、二の方が地域支援事業へ移行した。要介護一、二の方々、来年、介護保険法の改正で、先日、山井委員も質問の中で触れられていましたけれども、この実態を把握せずして要介護一、二の方の生活援助サービスを介護保険から切り離すのは大変危険だと思います。

 もしかすると、政府が掲げている介護離職ゼロと真逆の対応となるということを私は大変危惧しています。実現会議がせっかく設置されて、あるわけですから、まさに、今局長が答弁していただいたように、安倍政権の大看板ですよ。そのやる気が試されると私は思います。大臣、御答弁いただきたいと思います。

根本国務大臣 今委員、さまざまなことをおっしゃられました。

 要は、一億総実現会議でやるかどうかは別として、介護についてのさまざまな施策はどんどん今進めているわけですから、それをその会議体でやるかどうかということは、これはともかく、我々、しっかりと……(中島委員「チームがあるじゃないですか」と呼ぶ)だから、それを使うか、さまざまな仕組み、仕掛け、会議体があるわけですから、そこは全体として、私は、会合についての総合的な政策対応、これは現に進めておりますし、これからもしっかりと進めていきたいと思っております。

 それから、就業構造基本調査、委員からいろいろ指摘がありました。就業構造基本調査、この分析、これは私もしていました。五年に一遍ですから、先ほどおっしゃられたように、一年前離職したということしか聞いていないので、多少統計上のいろいろ癖があるなと。だから、統計をどう見るかというのはその統計の利用の仕方でありますが、要はそういうある種の癖があるということを踏まえながら、実は私も委員と問題意識を共有しているところはあって、これは五年に一遍、大規模な調査なので、就業構造基本調査としてやっていただいて、その間の要は離職理由のきめ細かい把握あるいは分析について何らかの手法が考えられるのか、これは関係者の意見を聞きながら私も研究していきたいと思っております。

 それから、私も、委員のお話もありましたので、要は、例えば介護をしながら仕事をしている人は五十万人いますよと。これはやはり、その間、例えば要介護認定者がどういう推移であったか。二十四年から二十九年の五年間で要介護認定者は五百四十九万から六百四十二万、これは大幅に増加をしました。九十三万人増加をした。一方で、過去一年で介護を理由に離職した人の数は十万一千人から九・九万人、二千人減少した。ただ、これは、その統計をどう見るかというところでの留意は必要である。

 あるいは、離職後一年以内に再就職した方、これは一万八千人から二万四千人と七千人増加していて、平成二十九年度で見ると介護離職者のおよそ四分の一が再就職できている。そして、加えて、介護をしながら働く人が五十五万人増加した。

 こういう事実は我々も把握をしておりますから、こういう現状、分析を踏まえて、介護休業も我々は制度改善をやっておりますが、これはもっと周知が必要だし、あるいは、これだけで言えば、介護休業をいかにとりやすくするか。これは実は企業の風土の問題もありますから、これは、我々、合わせわざでさまざまな施策を総合的に講じていかなければならないと思っております。

中島委員 問題意識は共有しておるというふうに大臣は言われましたから、先ほど来お答えいただいておる、私がその実現会議でやってくれというのは、ちゃんと議事録で我々にもわかるような形で示していただきたいんです。

 そうでないと、先ほど言ったように、来年、今検討されておる、私は、いわゆる給付と負担の話、これも現実的に考えるべきだというふうに考えている人間です。しかし、今、統計の見方という話もございましたが、これはもう現実社会ですよ。現段階で、要支援が介護保険から切り離され、重点化された中で、要介護一、二の方、そしてこの五年間で、私も、あしたも外来です、外来をやります。そして、地域の実情は、当然、親御さんがぐあいが悪くなり、ひとり暮らしが難しいとなったら、遠方にいる娘さん、息子さんに連絡をします。そして、もうひとり暮らしはなかなか厳しい、そういう中で、介護休業を一年間取得しながらも、結果的には介護離職をする、そういう地域状況がどんどん加速しておる。

 そういう状況、実態を把握せず、要介護一、二の方の生活援助サービスを、もし、この実態が明確にならないまま来年切り離されるということになれば、先ほども言ったように、介護離職ゼロとその問題は真逆の対応ということを御指摘して、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 以上で各案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、来る二十四日水曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時七分散会


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