衆議院

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第16号 令和元年5月10日(金曜日)

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令和元年五月十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 冨岡  勉君

   理事 大串 正樹君 理事 小泉進次郎君

   理事 後藤 茂之君 理事 田畑 裕明君

   理事 橋本  岳君 理事 西村智奈美君

   理事 大西 健介君 理事 高木美智代君

      安藤 高夫君    上野 宏史君

      大岡 敏孝君    大隈 和英君

      木村 哲也君    木村 弥生君

      国光あやの君    小林 鷹之君

      後藤田正純君    佐藤 明男君

      塩崎 恭久君    繁本  護君

      新谷 正義君    杉田 水脈君

      田村 憲久君    高橋ひなこ君

      谷川 とむ君    丹羽 秀樹君

      船橋 利実君    堀内 詔子君

      三ッ林裕巳君    山田 美樹君

      渡辺 孝一君    阿部 知子君

      池田 真紀君    尾辻かな子君

      吉田 統彦君    稲富 修二君

      岡本 充功君    白石 洋一君

      西岡 秀子君    山井 和則君

      桝屋 敬悟君    鰐淵 洋子君

      高橋千鶴子君    藤田 文武君

      柿沢 未途君    中島 克仁君

    …………………………………

   厚生労働大臣       根本  匠君

   厚生労働副大臣      高階恵美子君

   農林水産副大臣      小里 泰弘君

   文部科学大臣政務官    中村 裕之君

   厚生労働大臣政務官    上野 宏史君

   厚生労働大臣政務官    新谷 正義君

   衆議院庶務部長      花島 克臣君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局内閣審議官)         清水 正博君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局次長)         柴崎 澄哉君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局審議官)          三田 顕寛君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            松尾恵美子君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           丸山 洋司君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官)  塩見みづ枝君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房長) 定塚由美子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         土生 栄二君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 北條 憲一君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  宇都宮 啓君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            土屋 喜久君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    橋本 泰宏君

   厚生労働委員会専門員   吉川美由紀君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十日

 辞任         補欠選任

  国光あやの君     杉田 水脈君

  山井 和則君     西岡 秀子君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     国光あやの君

  西岡 秀子君     山井 和則君

    ―――――――――――――

五月十日

 児童虐待を防止し、児童の権利利益の擁護を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案(岡本充功君外十名提出、衆法第七号)

 児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

五月十日

 毎月勤労統計調査の共通事業所の実質賃金変化率の算出等に関する予備的調査要請書(西村智奈美君外三十九名提出、令和元年衆予調第二号)

は本委員会に送付された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)


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     ――――◇―――――

冨岡委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣人事局内閣審議官清水正博君、人事院事務総局職員福祉局次長柴崎澄哉君、事務総局人材局審議官三田顕寛君、事務総局給与局長松尾恵美子君、文部科学省大臣官房審議官丸山洋司君、総合教育政策局社会教育振興総括官塩見みづ枝君、厚生労働省大臣官房長定塚由美子君、大臣官房総括審議官土生栄二君、大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官北條憲一君、健康局長宇都宮啓君、職業安定局長土屋喜久君、社会・援護局障害保健福祉部長橋本泰宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

冨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 おはようございます。日本共産党の高橋千鶴子です。

 委員の皆さんに便宜を図っていただきまして、きょう最初の質問をさせていただきます。

 初めに、先週も統一試験のことを少し取り上げたんですけれども、それに関連して質問をしたいと思います。

 統一試験並びに各省庁の採用試験についてなんですけれども、当初、一部の省庁の要項の中で、自力で通勤でき、かつ、介護者なしで業務の遂行が可能な者との条件がついているということで、DPIなどの団体からの指摘もあり、削除をされたところです。

 先週も指摘をしたとおり、採用試験において就労支援機関の職員等の同席を認めることなどが合理的配慮指針には書かれているわけでありますけれども、今回、実際に補助者をつけるなどして統一試験を受けた方がどのくらいいるのか、また、その中から合格者がどのくらいいるのか、人事院と厚労省にそれぞれ伺いたいと思います。

三田政府参考人 お答えいたします。

 今回の国家公務員障害者選考試験の第一次選考におきましては、付添いの方の来場を認めておりまして、付添いを希望する受験者の方には申込時に申出をお願いしております。申込時に付添いの方の来場を申し出た方は百五十九名でございまして、これら全てについて付添いをお認めしたところでございます。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 今、人事院から選考試験に付添人の方が一緒に来場した数の御報告がありましたが、この方々のうち各府省において採用された方の数ということについては、恐縮でございます、厚生労働省として把握ができていない状況でございます。

 なお、ちょっと異なる観点でございますが、既に御報告申し上げていますように、この四月一日までの採用数の合計は二千七百五十五・五人でございますが、このうち身体障害者の方は実人員ベースで千四十五人でございまして、このうち重度の方という観点では四百四十四人であったという状況でございます。

高橋(千)委員 せっかくそこまでおっしゃってくださるのであれば、その方たちの中で付添いが必要だった方、通勤まで支援をされた方がどうだったのかということをぜひ調べていただきたいと思います。それはお願いできますか。

土屋政府参考人 今後いろいろフォローアップをしていく中では、どういう状況で採用され、また定着をしているかというようなことについて、具体的に調べ、分析もしていく必要があると思っておりますので、そういったフォローアップの中で把握について検討してまいりたいというふうに思います。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 というのは、合格者がわからない。私は、今回、百五十九名全員が認められて、付添いがあったということはとても大事なことだと思うんです。ただ、受かったとしても、その後の職場の中での補助が認められなければ結局通えないよねと思うんです。そこはどう考えていらっしゃるのか。

土屋政府参考人 各府省におきます障害者に対する通勤介助につきましては、昨年十一月に各府省に対しまして、障害者向けの求人においても、介助者の付添い等の社会的不利を補う手段を利用しないことといった条件はつけず、応募者と個別に話し合い、本人の障害の特性に配慮した合理的配慮ができるかどうか検討することが適切であると考えるといった厚生労働省としての見解をお示ししているところでございます。

 また、各府省で採用された障害者に対する支援などにつきましては、昨年十月の閣僚会議で決定をした基本方針におきましても、施策の推進に必要となる予算については適切に措置するものとするとされておりまして、各府省におきまして、活躍の場の拡大に向けた必要な対応が行われるべきものだというふうに考えております。

 これらを踏まえまして、障害者に対する通勤介助については、各府省において必要に応じて適切な対応がされるものと考えておりますし、また、それを促していきたいと思っております。

高橋(千)委員 確認をさせていただきますが、七日の参考人質疑のときに、車椅子使用者などに対する駐車場の助成とか、職場介助者、手話通訳者といった人的支援に対する助成制度が十年に限られている、障害は基本的に一生涯続くものであるという指摘があって、八日、尾辻委員がこのことを指摘しているのに対して、大臣は、合理的配慮指針にそれはあるんだけれども、基本的には雇用する企業において行われるべきものと答えたわけです。

 でも、合理的配慮指針すら公務には実は適用されていないという実態があるわけですよね。だから、今おっしゃったのは、事業主の責任において必要に応じてというところが、国が採用した場合はもう国が完全に責任を果たすんだ、だから、介助が必要な人に対しては予算もつけてちゃんと援助をしていくということでいいということですね。確認をさせていただきます。

土屋政府参考人 御指摘のございました助成金については、納付金制度の中で対応しているということもございまして、助成金としての性格からくる一種の条件があるわけでございますが、基本的には、今御指摘がありましたように、職場における介助であるとかそういったものについては事業主が対応していくべきものということになりますので、国等の機関においては事業主たる国等が対応していくということを基本としているというふうに考えております。

高橋(千)委員 今確認をしたのは、議論をやはりきちっと分ける上で、国が事業主になった場合はその責任を果たせということをまず確認いたしました。そうなんだということをきちっと見ていきたいなと思うんですが。

 企業に対してはこれはやはりまた世界が違うわけで、企業がそれぞれ持ち出した雇用保険の二事業とかいろいろなものがあるわけですから、やはりそこは、支援のやり方というのは、期限を区切るというのではなくて、それが企業に対しても過度な負担の場合は支援をしていくというのは当然のことでありますから、今は国が模範となっていないからまずそこから始めようという議論を最初にしましたので、その上で、企業に対してはきちっと支援をしていくべきだということを重ねて言いたいと思うんです。

 それで、資料の一枚目なんですけれども、同行援護と書いてあります。

 対象者を見ると、視覚障害により移動に著しい困難を有する障害者等となっておりまして、本当は重度訪問介護とか同様の制度もございますけれども、わかりやすいようにこれだけをとりあえず紹介をいたします。

 外出時に、移動に必要な情報の提供、援護、排せつ及び食事の介護、その他外出時に必要な援助ができるとあって、五千八百八十五の事業所、二万五千六百九十八人の利用者がいます。

 問題は米印のところなんです。

 通勤、営業活動等の経済活動に係る外出、通年かつ長期にわたる外出及び社会通念上適当でない外出を除くとただし書きがあって、これによって通勤には使えないということになると思います。

 それで、なぜ障害福祉サービスにおける移動支援が通勤に対する支援を除外しているのかということを聞きたいんです。大臣に聞きたいんですね。

 権利条約の第二十条には、「個人の移動を容易にすること」という項目があります。「締約国は、障害者自身ができる限り自立して移動することを容易にすることを確保するための効果的な措置をとる。」と書いています。

 最も自立した生活の象徴である職業生活にこのサービスが使えないのは、おかしいのではないでしょうか。

根本国務大臣 今委員からいろいろとお話がありました。

 就労のための移動、通勤の支援を個人給付である障害福祉サービスの対象とするかどうか、これについては幾つか課題があるわけであります。

 一つは、個人の経済活動に関する支援を公費で負担するべきか、あるいは、障害者差別解消法の施行により事業者による合理的配慮が求められている中で、障害者を雇用する事業者が合理的配慮として対応すべきかなどといった課題があるため、通勤、営業活動等の経済活動に係る外出は認められておりません。

 一方で、厚生労働省では、障害者総合支援法に基づき、市町村が地域特性や利用者のニーズに柔軟に対応する地域生活支援事業を行っております。この事業を活用して通勤の支援を行っている自治体もあります。また、事業主に対しては、今もう既にお話がありましたが、障害者の通勤支援を行った際の助成措置も講じられております。

 障害者権利条約第二十条では、御指摘のとおり、「障害者自身が、自ら選択する方法で、自ら選択する時に、かつ、負担しやすい費用で移動することを容易にすること。」と規定されていると承知をしております。

 一方で、条約第四条第二項では、ある程度の期間をかけて漸進的に達成していくことが許容される漸進性が認められていると承知をしております。

 障害者の就労のための移動、通勤の支援をすることで障害のある方が活躍することのできる社会を築いていく、これは重要な課題であると考えております。障害のある方が活躍することのできる社会を築くためにどのようなことができるか、今後とも検討していきたいと思います。

高橋(千)委員 今、漸進性があるとおっしゃいましたから、たった今できた条約ではないわけですから、もっともっと進んでいなければいけないと思います。

 私、二〇一三年にこの権利条約に基づいて質問をして、そのときには、精神障害者の交通割引運賃の問題、なぜ精神障害者だけが対象にならないんだという指摘をいたしました。このときに、やはり、条約の条文自体は認めるんだけれども、国土交通省がそれに対してやっていることはバリアフリーですと言うんです。

 バリアフリーが間違っているわけじゃありません。だけれども、この条約の趣旨は、今大臣も読んでくださったように、個人の移動の自由を認めるということなんですから、そこはやはり、全体に資することと、個人が自分で選択できてかつ動けるということとは全く別の問題ですから、その点においては進んでいないと指摘をしなければならないと思います。

 それで、今大臣がおっしゃった障害者総合支援法の地域生活支援事業、この中に、確かに移動支援事業というのが必須事業として位置づけられているんです。だけれども、こちらも、今紹介した同行援護などとあわせて通勤は除外をしています。それどころか、社会生活上必要不可欠な外出及び余暇活動に限定しているんですね、逆に。社会生活上必要不可欠というのは何ですか。

橋本政府参考人 地域生活支援事業についてのお尋ねをいただきましたが、私どもの方で平成二十五年度におきまして全国の市町村の方に聞き取りをさせていただきましたところ、通勤の支援につきましては二七%において事業化しているというふうな御回答をいただいているところでございます。

高橋(千)委員 ちゃんと答えてくださいよ。もう一回言いますよ。社会生活上必要不可欠というのは何ですか。

橋本政府参考人 まさに社会生活上必要不可欠ということでございますので、さまざまな日常生活を行うそういう中での必要な外出ということでございます。

高橋(千)委員 そもそも聞かれて答えられないこと自体が問題なんですよ。要綱にそれしか書いていないわけ。

 それで、私が聞いたのは、役所、冠婚葬祭、金融機関、お金をおろしに行く、あと多分投票は入ると思いますが、それしか例を挙げていただけなかったんですよ。あと、余暇。それも、余暇もずっとじゃだめなんですよね、たまにでなければ。だから通院も入っていないわけですよ、病院通いも入っていない。

 これでさっきの権利条約、自立して、選択できてと言えるでしょうか。もう一回。

橋本政府参考人 先ほどお答え申し上げましたように、全ての市町村でこれを実施しているわけでは必ずしもございませんし、その意味で、完全にそれぞれの障害者の方々のニーズにこれで応え得るというふうなことはなかなか言えないだろうというふうに思っております。

 いずれにしましても、少しずつ充実を図っていくということかと思います。

高橋(千)委員 言っちゃったなという感じなんですよね。全てやっているわけじゃございませんしということは、結局どこでもやっていないということなんです。そういうことですよね。

 結局、権利条約を批准して、それにのっとって、基本法も改正しましたし、雇用促進法も改正した。やはりそれぞれやっているはずだよと。見てみたら、自治体で二七%が通勤支援をやっているよと。でも、私が今指摘をしたのは、通勤支援どころか日常生活の支援だって十分ではないんです。そのことをやはりきちっと見なければ。

 資料の2に、二〇一七年の障害福祉サービスの報酬改定検討チームに出された論点資料なんですけれども、丸の三つ目あたりを見ますと、時間がないので読みませんけれども、非常に限定的なものを変えてほしい、通知を削除してほしい、いろいろ認めるけれども原則一日で用事を終わっているものしか認めませんよとか、通勤も通学も認めないということに対して、いろいろな団体から意見が出ているんです。

 それに対して、論点の結論のところは、「事業主や学校による支援が後退することが懸念される」と。「後退することが懸念される」というのは何ですか。あり得ないでしょう。国がサービスとしてそういう制度をつくってくれたら、受け入れる側は、もっと違うことで、職場環境の中でもっと支援を強めるとかできるじゃないですか。それで後退するなんてこと、あるわけないでしょう。

 結局、いろいろな通知の中に出てきますけれども、ずっと支援し続けるのが嫌だということに尽きるわけですよね。たくさんの人にずっと支援を続けるのが嫌だ、そういうことじゃないんですか。

 これじゃ全然議論してきた趣旨とは違うわけで、大臣、そろそろ見直しをするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

根本国務大臣 先ほども申し上げましたが、確かに委員がおっしゃるようにさまざまな議論があるということは私も承知をしております。

 先ほども申し上げましたが、就労のための移動、通勤の支援を個人給付である障害福祉サービスの対象とすること、これは、個人の経済活動に関する支援を公費で負担するべきか、あるいは、事業者による合理的配慮が求められている中で、障害者を雇用する事業者が合理的な配慮として対応すべきかといった課題があるために、今、現状のような取扱いになっております。

 障害者の就労のための移動、通勤の支援をすることで障害のある方が活躍のできる社会を築いていく、これは重要な課題であると考えております。障害のある方が活躍することのできる社会を築くためにどのようなことができるか、今後とも検討していきたいと思います。

高橋(千)委員 ぜひ、今最後におっしゃったように、検討していただきたい。余り時間をかけずに、これだけたくさんのヒアリングを既にやっていますのでそれを踏まえて、活躍できませんから、このままでは言葉だけになってしまいますから、よろしくお願いしたいと思います。

 では、次に行きますけれども、今回、手帳などの確認方法を厳格化しました、これは公務の場合なんですけれども。正直言って、じゃ、これまでどうだったのかと思うんです。

 聞きたいのは、ガイドラインはありましたよ、それを周知していませんでしたということは、報告書を見ているからわかります。そこが聞きたいのではなくて、採用行為がなければ雇用率が上がっていくはずがないわけですよね。採用しなければ、絶対、雇用率は上がらないです。だって、自然退職とかさまざまあるわけですから。

 そういう中において、これまでは今回のような統一試験があったわけでもありません。障害者枠という採用試験、特別枠があったわけでもありません。しかも、障害者が毎年どれだけ合格しているかなどという報告も全くつかんでおりません。それで雇用率が毎年守られているということは、おかしいなと思わなければ逆におかしいのではないのか。なぜこれまで気づかなかったんでしょうか。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 各府省の不適切な計上につきましては、検証委員会の報告書でもさまざま御指摘をいただいているところでございますが、今お話のあった採用と雇用の状況についての関係という意味で申し上げますと、この検証委員会の報告の中でも、私どもの立場、制度を所管する官庁について、そういう立場であるにもかかわらず、国の行政機関における障害者雇用の実態に関する関心そのものが低かったと言わざるを得ないという厳しい御指摘をいただいているところでございます。

 民間に対する指導に重点が置かれていて、他方、国の行政機関については、自主的に適切な対応がなされるであろうという期待があったせいか、毎年の実雇用率の把握は行うものの、各機関の実雇用率が法定雇用率を超えていれば、それ以上に、適切に対象障害者が雇用されているのか、計上されているのかなどの実態把握を行うことについてはほとんど視野に入っていなかったと考えられると、検証委員会の報告でも御指摘をいただいているところでございまして、この点、大変重く受けとめ、反省をしているところでございます。

高橋(千)委員 今、民間に力点があったということをおっしゃって、それは後で質問しますけれども、単純なことを聞いています。

 例えば、管理職の登用率を五割を目指し、とりあえず三割を目指しといったときに、そもそも採用の時点で三割に満たなかったら、どんなに頑張ったって三割、五割にはいきませんよね。そうやってやはり最初からちゃんと点検をするじゃないですか。その視点がなかった。本当はわかっていたことだったと言わざるを得ないんじゃないか。どうですか。

土屋政府参考人 御指摘の点については、先ほど申し上げたように、毎年の実雇用率の把握以上に、それが法定雇用率を超えているという状況の中で、適切に雇用がされているのか、計上されているのかという中には、採用がされているのかということも含むと思います。

 そういった実態把握が視野に入っていなかったというのがやはり実情だと思いますし、実は私もかつて担当課長をやっている立場ですけれども、そのときの私自身の考えもそういうことであったと今反省をしているところでございます。

高橋(千)委員 認めていただいたと思います。

 それで、資料の3を見ていただきたいんですが、改めて、どう見るべきかというのを本当に思ったわけなんです。国、地方公共団体への適用と民間事業主への適用を一覧にして、現行と改正案を比較したものなんです。

 問題は、これからやりますよというのはそれはいいんです。だけれども、左側、現行のところ、国は一つもやっていない、何もやっていないということなんです。納付金を取っていないねというのは誰でもわかっています。でも、それだけではなくて、障害者雇用推進者もいなければ、報告徴収もないし、書類の保存義務さえなかった。民間企業に対しては、三年に一度、賃金台帳による調査までしておきながら、本当ならすぐ気づくはずの雇用率の申出をうのみにして、チェックもしない。本当に他人に厳しく身内に甘いと言わなきゃいけない。

 厚労省の問題として言っています。水増し問題については、各省庁のやり方は本当にひどいなという指摘をしました。それはそのとおりなんだけれども、それ以前の問題として、障害者雇用促進法を所管する厚労省としての姿勢そのものが問われる問題ではないでしょうか。

土屋政府参考人 これまでの障害者雇用促進法の法の規定に関して申し上げますと、考え方としては、国や地方公共団体は、民間の事業主に率先して障害者を雇用すべき立場にあるという考え方のもとで、法定雇用率も民間よりも高く設定をし、また、法定雇用率に満たない場合には、民間企業とは異なり、直ちにみずから障害者採用計画を作成するというような法体系にしていたところでございますけれども、一方、御指摘のあったような、表に掲げている各規定に関して申し上げれば、例えば、報告徴収であるとか推進体制の整備という意味での雇用推進者などの規定については、その規定がなくともおのずと適切に障害者雇用に関する取組がなされるというふうに考えていたということではないかと思っております。

 今般の事態を踏まえて、検証委員会からも厳しい御指摘をいただいているわけでございますので、再発防止の観点から、この法案において規定を新設させていただき、的確に雇用状況を我々も把握し、また、各府省の取組を促し、官民問わずの雇用が一層進むようにしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 そもそも、昨年七月三十日に在り方研究会の報告書が出されているんですけれども、五月のころから既に問題がわかっていたのに、結局、研究会には報告が一切なく終わってしまっているわけですよね。それでこの水増し問題の対応が今回の法案の主役になってしまった。そうすると、研究会の皆さんが議論してきたことがほとんどペンディングになってしまったというのが実態なわけですよ。

 きょうも本当であれば、この後、納付金との関係をどう見るかとかいろいろ議論したかったんですが、時間がありませんけれども。やはり、厚労省の本気度が問われる、大臣、お願いしますね、本気度が本当に問われるんです。それで民間には厳しくと言ったり、どんなに促進しようと言ってもそうはいかないんだということを改めて指摘しまして、今後またあり方について一緒に議論していきたいと思います。

 終わります。

冨岡委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 立憲民主党・無所属フォーラムの西村智奈美です。

 おとといの質問で、大臣から、いわゆる対象者のことについて私が質問した際に、雇用促進法の対象者の枠組みについてということでいろいろ長い御説明をいただきました。しかし、やはり残されている課題は非常に多いと思っております。

 たまたまなんですけれども、きのう私も、ああ、こういうこともあるのかと思って知ったんですけれども、吉田ドクターに伺えばそうだというお話なんでしょうけれども、何か、眼瞼けいれんといって、目があけられない障害の方がいらっしゃって、これは障害者手帳がとれない。制度の谷間にあって、要するに、障害者手帳がとれる方は、目はあいているけれどもという前提があるがゆえに、目がそもそもあけられないという方は手帳がとれない。まさに手帳制度の谷間に落ちてしまっているというようなことも知りました。

 また、参考人の御意見の中でも、実際に障害者手帳をとるかどうかというところで非常に悩んだ、あるいは、御家族の御意見もあったりしてちゅうちょしたというようなケースもあるということですと、手帳を持っている方を法定雇用率の算定の基礎とするというだけではやはりそろそろ限界なのかなというふうに私自身は思っております。

 法体系も大きく変わって、いわゆる医学モデルから社会モデルへと大きく転換をしてきている、こういうことからしても、そろそろこの法定雇用率の算定のあり方について、ここは一回やはりしっかりと見直していく必要があるんじゃないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

根本国務大臣 委員の今の御意見は、私も、ある意味でそういう課題があるというのはよく認識しております。

 障害者雇用促進における障害者は、多くは申し上げませんが、定義としてはいわゆる社会モデルと言われるようなものですから、この点自体は、障害者の定義は障害者雇用義務制度に比べると非常に広い定義になっていますから、障害者手帳所持者に限らず、職業相談あるいは職業紹介等の支援の対象となる、これが前提です。そして、障害者雇用義務制度は、法的公平性と安定性を確保するという観点から対象とする障害者を明確かつ容易に判定できるようにする趣旨から、対象障害者の条件として、原則として障害者手帳等を所持しているということにしております。

 今話がありましたように、対象障害者の範囲、今の手帳に谷間がある、あるいは障害者手帳をとることについてちゅうちょする方もおられる、こういう課題も御指摘をいただきました。

 障害者雇用分科会においてこれは検討されて、次のような指摘もあったところであります。「手帳のみに関わらず働きづらさを抱える障害者に対しては一定の支援が必要。ただ、手帳制度によらない支援の方策は、専門家も入った検討会を設置して、中長期的に議論して欲しい。その際、現在働いている障害者の不利益にならないよう配慮しつつ、働きづらさに応じた支援が可能となるよう、就労能力や職業適性に関する判定の在り方もあわせて検討して欲しい。」こういう指摘があります。

 このため、ことしの二月に障害者雇用分科会で取りまとめられた意見書において、「諸外国における仕組みも参考にしつつ、労働施策と福祉施策の連携を進めながら、引き続き検討することが適当」とされております。

 こういった指摘も踏まえて、今後、適切に対応していきたいと思います。

西村(智)委員 ということは、中長期的な議論は必要だけれども、諸外国の例も参考にしながら、これから厚生労働省として、分科会あるいはその他の専門的な議論の場になるかはわからないですけれども、そういう場で議論はスタートをするというふうに、大臣、おっしゃっていただけますか。

根本国務大臣 そういう対応をしていきたいと思います。

西村(智)委員 ありがとうございます。

 次に、除外率のことについて伺いたいと思っております。

 法定雇用率の問題とも関係する流れで伺いたいと思っているんですけれども、平成十四年の法改正のときに、これは廃止するということが決定をされました。平成十六年の四月までに廃止をするということで決まりました。ところが、いわゆる除外率といいますか、特定の業種については配慮が必要だということで、段階的に減らしていく、平成十六年の四月には廃止するということで決まっていたんだけれども、平成二十二年に最後の引下げが行われて以降、いまだに何も動いていないんですね。平成二十二年ですから、もう今から十年前になります。

 これはいつになったら動いていくんですか、大臣。このままの状況をいつまで続けるおつもりでしょうか。

根本国務大臣 今、除外率制度については、経過措置として除外率を引き下げ、縮小し続ける、こういうことになっているわけでありますが、この除外率制度の経過措置については、労働政策審議会障害者雇用分科会において、廃止すべきという意見や、障害者の方々がつくのは難しい職種が残っていることは事実であり、経過措置ということであったとしても一定割合残しておくというのは政策として必要という意見など、多岐にわたる指摘がなされております。これらの議論を踏まえて、二月に取りまとめた意見書においては、除外率の廃止については引き続き検討することが適当であるということとされました。

 具体的なタイムスケジュールについては確定しておりませんが、今後、意見書を踏まえ、労働政策審議会において、実態の把握や廃止に向けた進め方も含めて議論を進めていただくこととしたいと考えています。

西村(智)委員 ちょっと今の答弁は、厚生労働省としては解せないですね。

 だって、廃止の方向は決定されているわけですよ。決定されているんだけれども、検討会でそういう意見があったから、では、廃止はしないということですか。大臣、今、厚生労働省として、法律の規定を変える、考え方を変えるということを答弁されたということでよろしいんですか。

根本国務大臣 厚生労働省として廃止する方向で検討しているということについては、変わりはありません。

西村(智)委員 だとすると、今の、検討会で何か残した方がいいという意見があったという答弁はおかしいですよ。

 検討会でいかなる意見があったとしても、それは厚労省として廃止をするという方向であれば、では、引き続き廃止に向けての検討をするということで、大臣、断言していただけますか。

根本国務大臣 実態をきちんと把握して、廃止に向けた進め方も含めて議論を進めていただくこととしたいと思っております。

西村(智)委員 いただけるようにということではなくて、廃止の方向は決まっているわけですから、厚労省としてその廃止の方向に向けて議論を進めるという、ここは大臣の姿勢が問われるんです。大臣がそういう曖昧な答弁をしていたら、いつまでたっても議論の場ではそういった方向になっていきませんよ。

 大臣、もう一回答弁してください。

根本国務大臣 廃止するという方向で、これは引き続き検討したいと思っております。

西村(智)委員 何かちょっとあやふやで、心配なんですけれどもね。

 では、明確に、どういう道筋を経て引き下げるのかということを検討するということでよろしいですか。さっき大臣は、何か検討会で、いや、残した方がいいという意見もあるというふうにおっしゃったけれども、そうではなくて、具体的にどうやったら、廃止、引下げの方向に向けて議論するのだということで私は今受けとめてよろしいんですね。

根本国務大臣 委員が今おっしゃられたとおりで結構であります。

西村(智)委員 早急に明らかにしてください、その道筋を。法律でこれは決まっている話ですから、それをまたバックギアに入れるという話であれば、法改正を逆にもう一回しないといけませんよ。それが今回出てこなかったということですから、ぜひお願いします。お願いしますというか、当然やるべきことだと指摘をしたいと思います。

 それで、次は認定制度のあり方についてなんですけれども、認定制度については、障害者雇用だけではなくて、厚生労働省の中でもいろいろなものがありますよね。くるみんとか、この前、女性活躍推進法で議論されたえるぼしですとかいろいろな仕組みがあるんですけれども、そういったほかの認定制度等々を見ると、やはり条件というのがいろいろ厳しく設けられていて、まあそうじゃないところもあるんですが、評価項目はこれから多分省令等々で決まってくるんだと思うんですけれども、そういった評価項目を満たしていても認定されない、あるいは取消し、こういったものがほかの制度なんかではあります。

 なので、あらかじめ条件等を設定しておく、それで、例えば、こういったときには認定されないことがありますよとか、こういったケースでは取り消されることがありますよというふうに、事前に見える形にしておく必要があると思うんですけれども、大臣、今回の認定制度をつくるに際して、どういうふうにお考えでしょうか。

根本国務大臣 新たに創設する優良な事業主の認定制度については、労働政策審議会の意見書において、評価項目として例えば次のような項目が挙げられております。障害者雇用の推進体制の整備、募集・採用の取組、職場環境の整備、こういうことが項目として取り上げられております。

 また、意見書では、評価の方法として、幅広い評価項目を設定した上で、一定の点数以上となる企業を認定する。幅広い評価項目を設定して、要はポイント制にして、一定の点数以上となる企業を認定するということ。あるいは、設備や制度などのストック又は静的状態だけではなくて、直近の進展状況などのフロー又は動的状態も評価することが適当であるという意見をいただいております。

 今委員も触れられましたが、これに加えて、認定の取消し事由については、法案の規定において、認定基準に適合しなくなったと認めるとき、この法律又はこの法律に基づく命令に違反したとき、不正の手段により認定を受けたときとしております。

 具体的な仕組みや認定基準については、今後、労働政策審議会において御議論いただいて検討したいと考えております。

西村(智)委員 ぜひ、あらかじめ何か条件などがわかるようにしておいていただきたいと思っております。

 それで、先ほど、評価項目が幾つかあると大臣が読み上げてくださったんですけれども、やはり評価項目にあらわれてこない評価すべきポイントも私は出てくると思うんですね。あるいは逆に、評価項目に出てこないけれども、その事業所にとってマイナスのポイント等もあるんだと思うんです。そこは、ですから、ぜひ条件等を設定するときによくよく留意していただきたいと思うんです。

 私が今伺いたいのは、例えば法定雇用率の除外規定対象企業、除外率が適用される対象者、対象事業所であっても、除外規定を用いずに、通常の法定雇用率以上の障害者を雇用しているところもあると思います。そういった率先して取り組んでいる企業を積極的に評価する仕組みであるべきだというふうに考えておりますけれども、そういう工夫もしていただきたい。大臣、いかがですか。

根本国務大臣 今回新たに設ける障害者雇用に関する優良企業の認定制度、この趣旨は、障害者雇用の取組が停滞している中小企業について、障害者雇用の進展に対する社会的な関心を喚起して、障害者雇用に対する経営者の理解を促進したい、こういう目的で創設するものであります。

 労働政策審議会の意見書においては、認定に当たっては、法的義務を果たしていることを前提とすることが適当であるとされております。そしてまた、その上で、認定制度の趣旨を踏まえると、さらに、障害者雇用に関して先進的な取組を進めている事業主を認定することが適切と考えるとされておりまして、ある意味で先進的な取組をどう捉えるかということですが、今の議員の御提案にあったようなことも、先進的な取組を進めているという考え方の中に含まれるのではないかと思います。

 具体的な仕組みや認定基準については、今後、労働政策審議会において御議論いただいて検討することとなりますが、御指摘のような除外率認定対象企業に対する評価についてもこの議論の中で検討がなされるものと考えております。

西村(智)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思っております。

 あわせて、認定した後の状況ですね。やはり、認定された後はもうされっ放しですよということであってはいけないというふうに思います。ほかの例えばくるみんとか、えるぼしとか、そうなっていないかなと実は私もちょっと心配しているところがあるんですけれども、今回は、認定された後も適時確認作業のようなことが行われて、必要な措置をその時々でとるということで受けとめてよろしいですね、大臣。

根本国務大臣 優良企業の認定制度の具体的な仕組みとしては、今委員からも御指摘がありましたが、一度認定した後に定期的な更新制とする、あるいは年度ごとの取得にするなどが考えられると思います。

 どのような仕組みとするかによって認定後の状況確認や確認する場合の確認方法なども変わってまいりますが、今後、労働政策審議会障害者雇用分科会においては、これらも含めて具体的な制度の内容について御議論いただいて検討していきたいと思います。

西村(智)委員 それでは、多分最後の質問になるかもしれませんが、障害者活躍促進計画について伺いたいと思っております。

 私は、やはり雇用の質の向上というのが、本来であれば今回の障害者雇用促進法改正の重要なテーマであるべきだったんだろうというふうに思うんです。今回、計画をつくるということになったわけですけれども、その計画をつくるに際して、やはり作成のガイドラインが極めて重要になってくる。そこには、雇用の質の向上というものをまずはきちんと入れていただきたいということが質問の一つ。

 もう一つなんですけれども、計画を策定するに当たって、やはり障害当事者、団体の皆さん、あるいは地域の関係者の方、そういった方からの意見も踏まえるということが非常に重要だと思います。それも作成のガイドラインに盛り込んでいただきたいと思いますけれども、いかがですか。

根本国務大臣 法定雇用率達成に向けた障害者の採用、これについては、単なる数合わせとならないようにする必要があると思います。

 今回、要は、国及び地方公共団体が、障害者の活躍の場の拡大のための取組を不断に実施するという観点から自律的なPDCAサイクルを確立できるように、これらの機関に障害者活躍推進計画の作成、公表を義務づけることといたしました。

 障害者活躍推進計画では、厚生労働大臣が定める作成指針を踏まえて、組織内の体制整備や職場環境整備といった、障害者が活躍しやすい職場づくりや人事管理に関する取組について盛り込むこととしております。

 そして、今、指針には、障害者の活躍を推進するため、計画に盛り込むべき事項や指標などについて示すこととしておりますが、指針を定めるに当たっては、今後、公労使、障害者代表を構成員とする労働政策審議会障害者雇用分科会において御議論いただきながら、その内容を検討したいと思っております。

 各府省や地方公共団体において障害者活躍推進計画を作成するに当たっても、例えば障害者である職員に対するアンケート調査を行うなどによって障害者である職員にも意見を求めることについて、各府省に働きかけをしたいと思います。

 公共団体の計画策定に当たって地域の障害者団体などの関係者からも意見を求めることについては、それぞれの判断にはなりますが、地方公共団体に示していくこととしたいと考えています。

西村(智)委員 当事者抜きで当事者のことを決めないというのは、まさに障害者政策に関する議論の根本でありますので、ぜひそこは、余り引っ込まないで、厚労省として言うべきことはちゃんと指針において言っていく、そのことを改めて求めたいと思います。

 終わります。

冨岡委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 社会保障を立て直す国民会議の中島克仁です。

 前回に引き続いて質問させていただきます。

 四月二十六日、前回の質疑でございますが、障害者就労支援、自立また社会参加の観点で、障害者の雇用、就労を安定的に進めていくために、今議論されております障害者雇用促進法と並んで障害者優先調達法が大変重要な位置づけだという趣旨で大臣に質問もし、その重要性、必要性について、大臣から確認の答弁もいただきました。

 調達方針の妥当性、厚生労働省の障害者就労施設からの調達割合を参考人から答弁いただいたんですが、どうも私、ちょっと合点がいかないので、しつこいようなんですが、また優先調達推進法について、調達方針また実績、評価について更に質問をさせていただきたいと思います。

 資料の一枚目は前回もお示しした資料でございますが、調達方針について、全ての中央省庁で前年の調達額を上回ることとなっています。この資料にあるとおり、前年度、二十八年度と二十九年度を比較すると、警察庁、消費者庁を始め六機関が調達方針、目標を上回れなかった、達成できなかった。しかし、二年前、平成二十七年度と比較をすると、十三機関が実績を下回っておる。さらに、法務省は、平成二十四年度と比較をすると、四千四百万円から約半分に減っておる。外務省また農林水産省、最高裁判所、国の機関でありますが、これは前年度と比較すると、六機関だけれども、ここ五年間と比較すると実績が大幅に下がっておるという機関もある。

 大臣、確認したいんですが、大臣は本会議で、この調達方針について、着実にその実績を拡充していくという観点から、この調達方針でよい、適切だというふうに答弁されております。これは、資料の二枚目以降に改めてお示しました、もう釈迦に説法かもしれませんが、平成二十五年四月二十三日の閣議決定です。これを繰り返し読むようなことはしませんが、再度確認していただくまでもないとは思うんですが、一応お示ししました。

 こういう調達方針、そして数字がこのような数字になって、着実に拡充はしていないと私は見てとれると思いますが、改めて大臣に、この調達方針が法の趣旨また意義に沿っているのかどうか、大臣のお言葉で御答弁いただきたいと思います。

根本国務大臣 障害者就労施設等の受注の機会を確保、拡大していく、これは、そこで就労する障害者の自立の促進の観点から重要であると思っております。

 その意味で、調達方針における目標、これは各府省庁などが適切に設定していると認識しております。前年度実績を上回るという目標についても、着実にその実績を拡充していくという観点からは、私はこれは適切だと思います。大事だと思います。

 昨年十月、関係閣僚会議で、公務部門における障害者雇用に関する基本方針においても、障害者優先調達推進法に基づく障害者就労施設等からの物品等の調達の推進を盛り込んでおります。厚生労働省としても、目標達成に向けた各省庁の取組を支援していきたいと考えています。

中島委員 適切だという再答弁でございますが、今、繰り返しませんが、各都道府県は調達方針を示しています。市町村もそれぞれ示しているわけです。私はまだ全部細かく調べたわけではありませんが、島根、滋賀、長野、埼玉は具体的に数値設定をしています。そして、これは私が独自に聞いた感覚ですが、現場の方も、具体的に数字目標を設定した方が、各部署に何割と設定するとやはりやりやすいという御意見もいただいています。

 繰り返しですが、実際に拡充していないという数字が出ているわけですから、調達方針の基本方針、閣議決定の内容を見ていても、もちろんこれは、厚生労働大臣が、基本方針の変更また調達方針の設定、変更は大臣の意思でできるということでございます。今回の障害者雇用促進法改正案は、昨年の雇用率の水増しの反省に基づいての議論であります。ぜひそのことを十分に、これを読み直してくれとは言いませんが、検討していただきたい。

 先日の答弁で、厚生労働省は、平成二十九年度ですが、全体の物品、役務の調達額は四百三十二億円、そして、そのうち障害者就労施設からの調達は三・七億円とお答えいただきました。全体の割合は、障害者就労施設からの調達割合は〇・八六%です。

 この数字を見ますと、各省庁に比べると厚生労働省は断トツです、三億六千五百万円。随分取組が進んでいるなと思いきや、全体の割合は〇・八六%。

 大臣、率直に、この数字、私は物足りないと考えますが、いかがでしょうか。

根本国務大臣 今、厚生労働省も、いろいろな工夫をして調達をしております。

 いろいろな事例が出てきておりますが、創意工夫をしている事例、例えば、テープ起こし業務について実績がある他局に業者を紹介してもらうとか、障害者就労支援施設などへ直接訪問して、受注可能な量や納期について意見交換を実施するなどの工夫をしておりますし、あるいは、調達実績、どういうところから調達したのか、調達内容がどういうものか、これを省内で共有する。あるいは、会計事務職員に対する研修の実施。優先調達を促進するために、優先調達の概要、中身や会計制度の説明などを実施して、どういう形で調達を促進させるのかという具体的な工夫や取組が必要であると私は思っておりますので、優先調達の促進に一層積極的に取り組んでいきたいと思います。

中島委員 私は、取り組んでいる内容を聞いているんじゃなくて、この〇・八六%の調達実績が、厚生労働省は一番の旗振り役だと思いますが、この数字が大臣は妥当かどうか、取り組んでいるけれども実際には〇・八六%だという数字についてのお考えをお聞きしています。

根本国務大臣 我々厚生労働省は、障害者施策を責任を持って担っている官庁ですから、仕事ですから、これは、できるだけいろいろなことを考えて、工夫をしてやっております。

 私もこの問題を改めて考えましたけれども、強いて言うと、障害者就労施設からの調達は、消耗品の購入やテープ起こしなど小規模の事業者が多いので、これは鶏が先か卵が先かみたいな話だと思いますけれども、ここがなかなか調達額が、積み上げていっていますけれども、高額になりにくいのではないか。それと、物品等の調達は、いろいろなものを、例えば事務用品を大量購入するというのは比較的規模が大きくなるのですが、これがなかなか、これをどう考えるかということですけれども、一般競争となる調達が多くて、大企業との競争になってしまうという課題もある。

 ただ、これは、障害者の物品調達の促進という観点から、私は、今の会計法の中でも、一般競争入札というのもあるし、随意契約という手法もあるわけですから、その辺の工夫をして物品調達を拡大していくということが必要だなと改めて感じております。

中島委員 今大臣がお答えいただいたように、これはさまざまな工夫がまだできると思うんです。そして、大臣がくしくもおっしゃっていただいた、確かに、小規模事業所は一手に仕事を請け負いづらい現状もあると思います。

 だからこそ、前年度を上回るというようなざっくりとしたやり方は、この間参考人から答弁いただいた、前年度に発注した案件が二十九年度にはなかった、いろいろな事情がございますというふうにおっしゃいましたけれども、やはり安定的に、ちゃんと計画を立てて、そして発注していく。そして、先ほど契約の話もありましたが、さまざまな工夫がまだまだできるんだと思うんです。この〇・八六%という数字が高いか低いかということよりも、今さまざまな工夫を本当に凝らした結果がこうなのかということを、ぜひ再度検討していただきたい。

 今回の改正案の趣旨が反省に基づいてということでございますから、旗振り役である厚生労働省は、先日も答弁を聞いていると、できない理由ばかり。これは、できる方法を、今大臣がおっしゃったように、ぜひ見出していただきたいと私は考えます。

 改めてですが、これは余談かもしれませんが、大臣は、個人として障害者就労施設、また事務所として障害福祉施設に発注されているものは何かございますか。

根本国務大臣 私も、委員の前段の話ですが、できない理由を探すのではなくて、どうしたらできるか、これを、具体的な取組、工夫などを分析して次の目標設定につなげるということが大事だと思います。

 私の事務所においてということがありましたが、要は、事務所で使うコースターなども障害者が手づくりしたものを購入しておりますし、これは割と一般的ですけれども、障害者施設でつくったクッキーなどのお菓子を購入する、あるいは、点字の名刺も社会福祉法人に作成を依頼しております。

 もともと私も、当選した直後に、障害者の親御さん、母親の皆さんが中心でしたが、ミニ集会をやったことがあって、当時は小規模作業所問題ということで、いろいろな意見を聞きました。あのときに、まだ今回のように広がっている時代ではありませんけれども、いわゆる福祉工場とか小規模作業所あるいは授産施設、いろいろなものをつくっている、これをどうやって、障害者の皆さんが活躍できるように販路を拡大していく必要があるか、実は、そういうことも私は当選した直後に自分で体験しております。

 障害者の皆さんがさまざまな施設でつくるものをどんどん社会で広く購入して、そして障害者の皆さんが生き生きと活躍できるような社会にしたい。もともと、それが私の原点でもありますから、その意味では、今、随分いろいろな取組が出てまいりました。やはり、それぞれの障害者施設の皆さんのさまざまな取組を社会全体で後押しして、一方では販路をどう広げるかというところが常に課題としてありますから、それを我々が積極的に購入して、そして障害者の皆さんの活躍の場を広げる。私も、政治家としてもしっかりと心がけていきたいと思います。

中島委員 ありがとうございます。

 今の大臣のその感覚、私もそうです。私も当初、県の共同受注窓口に聞くと、本会議でも言いましたが、選挙になるとやたら仕事が多くなると。これは平素から、私たち自身、厚生労働省のみならず、名刺や封筒、さまざまな部門について、定期的に安定的に仕事を発注していく。そのことによって、安定した、もちろん納期の問題、さまざまあるかもしれませんが。

 本会議でも言いましたが、私の母は、山梨県立盲学校で全盲聾教育の生活支援に当たり、そして今、六十年たった現在でも就労についています。もちろん、企業や公務部門で働ける方、雇用される方もいれば、なかなかそういう部門で働けない方にとって、やはり社会参加、自立という観点で、この調達に我々一人一人が自覚をして取り組んでいくことが大変重要だ。ぜひ大臣には積極的に、今御答弁いただいたことを、更に旗を振っていただきたいと思います。

 最後に、これも本会議で聞いた障害者のがん対策について。

 先日答弁いただいたんですが、私が尋ねたのは、障害のあるがん患者の実態や必要な支援が十分に明らかになっていない、まずは障害のあるがん患者の実態やニーズを把握する必要があるのではないか、その上で、適切な情報提供のあり方、意思決定支援のための整備を進めていく必要があるのではないかという質問を私はしたんです。

 これも、がん対策基本計画に基づいてやっていることを述べられましたが、改めて確認ですが、厚生労働省として、障害があるがん患者の実態やニーズは既に把握できているという理解でいいのか、また、情報提供のあり方や意思決定支援のための整備がもう既にできているということでよろしいのか、御答弁いただきたいと思います。

宇都宮政府参考人 事実関係でございますので、事務方から答えさせていただきます。

 まず、検診受診率など、障害のある方についての状況の把握につきましては、例えば、検診受診の際に障害の有無を確認することが適切かなど、実態把握におけるさまざまな課題があるということでございます。

 そういう中で、厚生労働省としましては、例えば視覚障害者ががん検診等を受けやすく……(中島委員「もうそれはいいです。時間がない」と呼ぶ)失礼しました。そういった研究などを進めているというところでございます。

中島委員 もう終わりますけれども、そんな、前の答弁をいただいてもしようがないんですよ。

 私は、できているのかどうかを聞いて、端的に言います、できていないんですよ。できていないですから、例えば検診受診率、精神疾患の方は一定程度出ているようですが、知的障害の方を始め障害を抱えた方々の検診受診率は、欧米では蓄積データがあります、でも、日本にはない。若しくは、生存率の比較、受診時のステージの比較等々、これはできていないんですよ。ですから、やっていることだけ言うんじゃなくて、その辺は、やっていないならこれからぜひやってほしいという問いかけでございます。

 がん対策基本法改正に向けて、私も精いっぱい努力していきたいと思いますので、ぜひその点について、また機会があれば詳しく質問したいと思います。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、木村弥生君。

木村(弥)委員 自由民主党の木村弥生です。質問の機会をありがとうございます。

 初めに、定着支援についてお尋ねをいたします。

 今回の一部の行政の不適切な障害者雇用におきましては言葉を失いましたけれども、それが明るみになったことで、法定雇用率ありき、数合わせばかりが先に立ってしまったことの反省、まず中身をどうしていくのか、障害者とともに働く上で何を踏まえていかなければならないのか、多様性を認め合いながら、令和の日本をともに築いていくんだという、そういった認識のもとで、新しい障害者福祉、雇用へとかじを切る機会となるよう願いながら、そんな視点から質問に入らせていただきたいと思っております。

 私、今回、現場の方々にいろいろお話を伺いましたところ、雇用率ばかりに目を向けるのではなくて、やはり定着の向上、この支援を図っていくべきなんだという御意見をさまざまなところから伺っているところでございます。

 実は、平成二十八年の障害者総合支援法改正によりまして就労定着支援事業というものが創設されて、それが昨年の三十年度から施行されたところでございます。

 これは、就労移行支援等を利用しまして、一般就労に移行した障害者の就労に伴う日常生活や社会生活の支援のニーズに対応できるように、事業所と御家族との連絡調整の支援を最大三年間にわたって行うサービスであります。

 この就労定着支援事業、始まったばかりということもありまして、なかなか周知されないところでございますが、今後、この取組を広げていくに当たりまして、どのように展開していくのか、厚生労働省の対応方針をまず伺いたいと思います。

橋本政府参考人 一般就労に移行した障害者の早期離職を防ぎ、また職場定着を図るということは、地域において障害者の自立した生活を実現する観点からも大変重要でございます。

 このため、先ほど委員御指摘いただきましたように、平成二十八年の障害者総合支援法の改正によりまして就労定着支援事業が創設されまして、昨年の四月から施行されたところでございます。昨年の十二月時点で見てみますと、全国七百七十の事業所におきまして就労定着支援事業を行っているところではございますが、この事業が各地域における就労支援の一翼を担っていくためには、今後さらなる広がりが必要と認識しております。

 私ども厚労省といたしましては、この事業が全国できめ細かく実施されることになるように、さらなる展開を支援していきたいと考えております。

木村(弥)委員 ありがとうございます。

 大事なのは、実は、経営者には割とマインドがあるんです。雇用しようというマインドがあるんだけれども、ともに働く現場の人たちにまだ理解が浸透していなくて、やはり心ない言葉、言動や差別、ハラスメントが起きている。そしてまた、障害の特性も理解していない中で、指示がいろいろ変わることで非常に混乱して、そして離職してしまうといった事例が既に生じているところでございます。

 今回の法律案によりまして、官民ともに選任が義務づけられることになりました障害者職業生活相談員、これは資格認定の講習を修了した者というふうにされているんですけれども、やはり現場、そこで一緒に働く人たちに対しても、行政主催の研修の参加を義務づけるとか、障害特性の理解だとか配慮だとか、そういったものを促進していく仕組みは考えられないものでしょうか。ここのところは、ぜひ大臣にお尋ねしたいと思います。

根本国務大臣 障害者が働きやすい職場づくりを推進するためには、やはり障害者本人を支える周囲の職員も障害に対する理解を深めて、働く障害者を職場全体でサポートする体制を整備すること、これが重要であります。

 このような観点から、厚生労働省においては、障害者とともに働く同僚、上司に向けて、障害に対する正しい理解を促して、職場での応援者となっていただくための精神・発達障害者しごとサポーター養成講座、これを実施しております。

 これは平成二十九年九月から開始した事業でありますが、開始後約半年間の受講者数は三万四千人を超えておって、受講した企業の方々からも好評をいただいております。

 この養成講座は民間企業だけではなくて各府省の職員に対しても実施しており、私もこの精神・発達障害者しごとサポーター養成講座を昨年十二月に受講いたしました。これは大変参考になりました。

 また、厚生労働省においては、ほかにも雇用セミナーや障害者雇用職場見学会、こういうものを実施することとしております。

 今後とも、今の委員の御指摘の点も踏まえて、障害者に対する職場の理解の促進を図っていきたいと考えています。

木村(弥)委員 大臣、ありがとうございます。

 やはり好事例ですとか、そういった実施状況みたいなものを幅広く事業所やまた行政に周知していくような仕組みも必要だと思うんですね。仕事を継続していくための支援というものを持ち出しで事業者、良心的なところは頑張っているのが実情であります。こういった皆さんの努力が報われるような体制づくりをお願いしたい。これは、私は、ただ単に労働力不足を補うだけではなくて、多様性を認め合い、ともに働いていくのだという、外国人労働者にもつながる話であるかと思いますので、ぜひその対応をよろしくお願いしたいと思っております。

 次の質問に移ります。みなし雇用の導入についてでございます。

 法定雇用率ありきで、維持するために既に人材の争奪戦が行われているというふうに聞いております。企業での雇用者の引き剥がしも起きている。数合わせのためにまた企業内で別室を設けて雇用したという、こういった例もあると聞いております。

 そこで、福祉施設への業務の発注を雇用率に算定していくみなし雇用という考え方、これは、企業側の取組が緩和されるようなことの懸念から慎重な検討がされていることは承知しておりますけれども、例えば雇用率二%までは直接雇用をしっかりと守る、それ以上の超える分に関してはみなし雇用による補完を、そんな柔軟性のある対応もできないものでしょうか。

 例えば、東京のある民間企業は、クライアントから受注した業務を障害者に委託するというビジネスモデルを確立して、既に約六千人の障害者と契約を結んでいるとのことでございます。いろいろな方法があると思うんですね。

 こういった形で、就労がその障害者の方の生きがいとなり得るものであって、そしてこの算定については、直接雇用とともにみなし雇用も含めて検討していくということについて、可能性をお尋ねしたいと思います。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 障害者の方々が、福祉的な就労や企業における雇用などを通じまして、御本人の希望や能力に応じた働き方を通じて、生き生きと活躍できる社会というのを実現していくことが重要だというふうに考えております。

 そういった中で、障害者雇用につきましては法定雇用率制度を設けておりまして、この制度の趣旨としては、全ての事業主が、社会連帯の理念に基づいて、法定雇用率という一定の割合でそれぞれに障害者に雇用の機会を提供する、こういう考え方で制度ができておりまして、障害をお持ちの労働者の方が経済社会を構成する一員として能力発揮をする、そういう機会を確保する、これを目指している、そういった観点からノーマライゼーションを推進する、こういう目的でございます。

 御指摘のような障害者の就労支援施設における発注を計上する点については、こういった法定雇用率の制度の趣旨に照らしますと、事業主の方々がこういったところに発注した分だけ障害者の雇用が減ってしまう、その分ノーマライゼーションが進まなくなってしまう、あるいは福祉的就業から雇用への移行が進まなくなるといった懸念があるなど、課題があるというふうに考えております。

 また、現在の障害者雇用の状況を見ましても、法定雇用率を達成している企業が半分に満たないというような状況があり、また中小企業においては、全く雇用していないいわゆる雇用ゼロ企業といったものも多く残されているといった課題がございますので、まずは現行の仕組みを維持して、その中で障害者雇用を促進してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

木村(弥)委員 いろいろな懸念があるから、なかなかちょっと前向きなことは言えないということは承知しておりますけれども、直接雇用は、ちゃんと二%なら二%を守った上で、それ以上のことはやはりもっと柔軟性のある雇用があってもいいんじゃないかというのが私の趣旨でございます。これは諦めません。まだまだ、これからも申し上げたいと思っております。

 ここで、企業がきちんとコンプライアンスを守っていくことができる、もちろん労働力不足も補うことができる、でも、それだけではない、多様性への相互理解が進んでいく、また助け合いとか職場文化というものも向上していく、これはまさにソーシャルインクルージョンで、これからの日本に必要な視点ではないかと思っております。

 さらに、福祉施設においてもまた受注が進む、アウトソーシングが推進していく、そして、何よりも、利用者御本人の生きがいになる、健康づくりにもつながると思う、これこそ究極の働き方改革ではないかと私は信じておりますので、これからもみなし雇用については主張していきたいと思っております。

 次の質問に参ります。

 先ほど、企業もまだ法定雇用率を半分満たしていない状況だという御説明がございました。

 そこで、一概に全ての企業に対し同じ法定雇用率を出している中で、企業にはそれぞれ業種、またさまざまな特性があるはずであります。なかなか、障害者の就業をどのように進めていったらいいのかと困難を抱えておられるところもあるのではないでしょうか。

 そういった企業を含めて、雇用率の達成を課題とするために、肩がわりをするビジネスが行われている実情がございます。障害者に、働くというのではなく、ただただ居場所を提供するだけになっている、こういった実態も見受けられているという指摘もあります。

 共生社会の推進のためにも障害者の雇用が進むのは大切なんですけれども、こういった本末転倒な事態を鑑みるに、業種の例えば特性なども検討していく、こういった方向も検討してはどうかと思うんですが、いかがでしょうか。

土屋政府参考人 御指摘の点につきましては、業種によって障害者の就業が困難な面があるという観点から、かつては、除外率制度という形で一定の業種について雇用義務が緩和をされていたということがございます。

 ただ、この点については、ノーマライゼーションの観点から、平成十四年の法改正におきまして廃止をされ、現在は経過措置としてこの制度が継続をしている、こういう状況でございます。

 ただ一方、御指摘がありましたように、障害者雇用の現状を見ますと、産業別の実雇用率や達成企業割合、そういったものは業種によってばらつきが見られる状況にございます。

 こういった中で、ハローワークでは、未達成の企業に対して、障害者の特性に応じた仕事の切り出しや作業環境の整備などに助言、指導を申し上げているところでございますし、また、独立行政法人の高齢・障害・求職者雇用支援機構においては、そういった余り進んでいない業種における雇用の好事例を収集して事例集として周知をするなど、さまざまな取組をさせていただいているところでございます。

 御指摘があったような形で、雇用はされているけれどもというようなことでは障害者雇用をしているという本質になっていない、やはり適正な雇用管理を行っていただいて、生きがいを持って働ける職場環境づくりを進めていただくということが重要だと思っておりますので、その観点から、これからも対応をしっかりやってまいりたいと思います。

木村(弥)委員 こういう業種だからそこは大目に見てやれとか、もちろんそんなものではなくて、それでも知恵と工夫を凝らしているところがあるのであれば、それをしっかりと周知して皆で共有していくという、そういった姿勢が必要ではないかと思います。

 次の質問に入ります。

 就労のための、この言葉が適切かは自分ではわからないですが、還流サイクルというものをぜひ提案したいと思っております。

 例えば、特別支援学校を卒業した場合、一般企業に就労できる層がいる、そうではない人たちが就労支援のB型の方に進むんですけれども、そこから先のキャリアパスがないといった実情があるわけでございます。そこから先は、例えばA型や一般就労を目指す、そういうビジョンもなく落ちついてしまうという現状があるわけであります。それとも、また別に例えばデイケアからB型に移行するとか、デイケアの場合は医療の視点も必要ですので、医療から就労支援という、そういった連携も必要であります。

 何を申し上げたいかというと、デイケアがあり、そして、まだ働いていない在宅の未就労の障害のある方が今、約三百六十万人いると言われています。そこで、B型で働いている方たち、それからまたA型で働いている方たち、移行の方たち、そしてまた一般の雇用というところで、ここの壁がまだ非常に、ガラスの天井であるような部分がある中で、うまい形で移行できるような、状態がよくなった場合、寛解という言葉を使った方がよろしいんでしょうか、治癒ではなく寛解したいい状態になったときにまた次のステップに進めるような、そういった仕組みがもっと広がるべきではないかと思うんですけれども、厚生労働省の見解を伺います。

橋本政府参考人 御指摘いただきましたような就労継続支援B型なども含めました就労系福祉サービス、こちらから一般就労へ移行した方の数を数えてみますと、平成二十年度には約三千人でございましたけれども、平成二十九年度では一万四千八百四十五人となっておりまして、十年間で約五倍に増加するなど、一般就労への移行ということ自体は確実に進んできているんだろうというふうに考えております。

 障害のある方が地域で自立した生活を実現するためには、働く意欲や能力のある方がその適性に応じて能力を十分に発揮できるように、こうした福祉から一般就労への移行ということを更に促進していくことが大事だというふうに思っております。

 このため、昨年の障害福祉サービスの報酬改定におきましては、一つには、就労移行支援事業におきまして、就職後六カ月以上定着した方の割合に応じた七段階の基本報酬の設定とするということをいたしました。また、二つ目といたしまして、就労継続支援事業におきましては、一般就労に移行させた際の報酬上の加算を充実するといった対応をさせていただきました。

 こういった形で一般就労への移行を更に推進するための措置を講じているところでございますので、今後とも、障害のある方が活躍できる社会を築くために、福祉から一般就労、こういった取組を更に進めていきたいと考えております。

木村(弥)委員 ここで必ずお願いしたいのは、いい状態になったから、じゃ、もうここで雇用は打切りですといった、そういう状況も起きているのは事実でございますので、精神障害のある方がそこでいい状態になってまた次のステップに進めるような受皿も必要だと思いますし、逆の場合、調子が悪くなることもある。ここにいる委員の皆さんだっていつどんな状況になるかわからない中で、そこが、やはりこの還流のサイクルをいいぐあいに進めていけるような形で、デイケアについても、いるというところから、就労のインセンティブをつけるところで患者さんへのアプローチの仕方が変わってまいりますので、ぜひそこをお願いして、最後の質問に入ります。

 既にもうほかの委員の先生方からもいただいておりますので、ちょっと終了の時間になってしまいましたので、では、指摘で進めたいと思います。

 在宅で頑張っておられる重度の訪問介護、同行援護また行動援護、そういったサービスについては経済活動はサービス外とされているところで、既にこの質疑が行われておりますので、私も、ここはやはり大きな支援となるように、在宅で介護を受けている方たちも何らかの経済活動が可能となるように指摘をしていきたいと思っております。

 私は、今回、新しい障害者福祉のチャンスだと思っております。今まで、かわいそうな人、一方的に庇護してもらう人というような、そういったものから、育ちを後押ししていく、その方の伸び代を信じて自己肯定感を守っていく、そして孤独感から守っていくということが重要ではないかと思っております。

 分身ロボットのOriHimeというのがありまして、このOriHimeを利用して、二十年間寝たきりだった頸髄の損傷の患者さんが秘書業務をこなしたことで、その報酬で、今まで自分の介護ばかりをしてきたお母さんに対して服を買ってあげた、そして、心が自由なら何でもできるな、人の役に立つことがこんなにうれしいなんて、そういった発言があったといったことを伺いました。

 さまざまな状況の方たちがさまざまな形で就労して生きがいを見つけることができる、この法律によってそれが進むことを切に願いまして、私の質問を終わりとさせていただきます。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、大岡敏孝君。

大岡委員 今回、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。自民党の大岡敏孝でございます。

 まず、一昨日、私の地元であります滋賀県大津市におきまして、園児の中に車両が突っ込んで小さな二つの命が奪われるという事件、事故がございました。亡くなられた子供たち、本当に心が痛む事件でございましたけれども、お二人の御冥福を心からお祈りしたいと思います。あわせて、けがをされた皆様の御回復をお祈りしたいというふうに思います。

 国、県、市が連携をいたしまして、安全対策それから散歩ルートの総点検をもう既に進めていただいております。もう対策も一部は実施をしていただいておりますが、引き続き、厚生労働委員の皆様におかれましては、こうした分野につきまして御支援賜りますことを冒頭お願い申し上げたいと思います。

 さて、早速質問に入りたいと思います。

 まず、今回の、障害者にいかに就労していただくかという課題でございますが、やはり障害の種類や部位によって雇われやすい方と雇われにくい方がいらっしゃるんですね。現在、国と民間でほぼ同じ基準でもって雇用を推進するということになっているものですから、結果としては、雇われやすい障害者を国と民間でとり合うという状況となっています。

 この状況を継続していいのかどうか。さらには、国や地方自治体というのは、やはり官民の役割分担ということがあるわけですから、民間とは別の基準を採用して、民間では採用されにくい障害者の雇用にシフトすべきだと考えますが、上野政務官の考えを教えていただきたいと思います。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

上野大臣政務官 公務部門において、知的障害者、精神障害者及び重度障害者等の就労困難性の高い障害者の雇用を積極的に進めることが重要であるというふうに考えております。

 本年三月の関係閣僚会議で取りまとめられた取組方針におきましても、「人事院の統一選考試験に限ることなく、それぞれの障害特性も考慮した各府省等の個別選考や非常勤職員の採用を行う中で、知的障害者・精神障害者・重度障害者についても積極的な採用に努める。」というふうに明記をされたところであります。

 このような方針も踏まえて各府省において採用を進めた結果、昨年の十月二十三日から本年四月一日までの採用数のうち、全体の五六・二%が精神障害者、また全体の一七・八%は重度障害者であり、さらに、採用された身体障害者、知的障害者のうち四〇・六%が重度障害者となっております。

 さらに、改正法案において、公務部門に対し、障害者活躍推進計画の作成、公表、障害者雇用推進者の選任、毎年最低一回の実施状況の公表等を義務化し、重度障害者を含めた障害者雇用の計画的な推進を図るということとしております。

 こうした取組を通じて、障害の有無や障害の種別そして程度にかかわらず、誰もがその能力を存分に発揮できる一億総活躍社会をつくり上げてまいりたいと思います。

大岡委員 ありがとうございました。

 上野政務官から答弁をしていただきましたが、二番も関連しますので、そのまま続けたいと思います。

 結局、知的障害者あるいは重い方、特に、例えば視覚障害者とかになりますと、なかなか、非常勤でしか雇われないんですね。当然、正規職員として雇われにくい。これは、三ページに参考までに資料をつけてございます、今回、手帳を持つ方に限って新たに採用試験を行った試験の内容でございます。この試験をクリアしないと正規職員にはなれないということなんですね。

 そうした中で、民間におきましては特例子会社という制度がありまして、知的障害者あるいは重度の障害を持つ方々に一定の成果を出しているわけです。

 したがいまして、やはりこれに準じた形で、国においても、知的あるいは重度の障害者を非常勤ではなくて安定して雇用するということを目的に、健常者とは異なる適切な手法で募集、採用する、そして適切な基準で人事評価、毎年の人事評価もやっていかないといけないわけですから、これをちゃんとやる、そういうことによって安定した就労を進める制度をつくるべきじゃないかと考えておりますが、これは人事院でしょうか、答弁をお願いします。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 御提案のような特例子会社を参考にした知的あるいは重度の障害を持つ方々の就労に関する仕組みにつきましては、政府全体におきまして検討される事項と考えておりますけれども、仮にそのような仕組みが整備される場合には、給与については、それにより採用される者がどのような仕事をどのように行うことになるのか、すなわち新たに設けられる官職の職務と責任やそれに求められる能力といったものを踏まえまして、必要な検討を行っていくことになると考えております。

大岡委員 ありがとうございます。これは本当に政府の大きな課題でございますので、ぜひ進めていただきたいと思います。

 試験問題をごらんいただければわかるとおり、知的障害のある方がこれをパスするのは非常に困難です。視覚障害がある方も、点字で、あるいは聞き取りでこの問題を解くというのは非常に困難です。

 したがって、それなりの採用、そういう方々にもできるような採用のあり方、それと同時に、一年間やってみた人事評価、これも健常者とは違う基準でもって評価をする、そして、当然のことながら、同一労働同一賃金ですから、異なる仕事をする以上は、障害を持った方にふさわしい、障害を持った方が継続雇用され得る賃金テーブルを用意するべきだということを重ねて申し上げたいと思います。

 次に、福祉的就労についてお尋ねをしたいと思います。

 本日、中島先生からも御指摘がございました。私からは、先ほど物品に関する議論を深くなされておりましたので、特に役務の調達も含めて御答弁いただければと思います。

 実際に官民の役割分担を考えると、特にこの法律は一般就労というものに特化をしてできた法律でございますが、やはり福祉的就労も無視するわけにはいきません。これを絶対忘れてはいけないというふうに思っております。

 そうしたところから、特に役務の調達において、ふさわしい労働単価でもって一部の仕事を切り出して、ふさわしい労働単価でもって入札によらず、入札しちゃうと、福祉的就労の場合は最低賃金はありませんから、幾らでも下がってしまう、したがって、入札によらずに役務を調達できるような仕組みをつくり上げるべきだと考えておりますが、これにつきまして、新谷政務官、お考えを教えていただきたいと思います。

新谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 いわゆる福祉的就労、これは就労継続支援B型という制度がございます。これは、適性に応じて障害者の方が能力を発揮していただいて、地域で自立をした生活をしていただく、そのためのサービスでございまして、このような障害者就労施設等の受注の機会を拡大していくこと、これはやはり自立促進の観点から非常に重要であると考えているところでございます。

 現在、国や地方自治体におきましては、障害者優先調達推進法に基づきまして優先的に障害者就労施設等から物品の調達を行うなど、この継続支援B型事業所の仕事の受注確保を行っているところでございます。

 厚労省としましては、この仕組みに基づき、引き続き推進を図ってまいりたいと思っております。

 なお、随意契約的なことに関しては、実際、この就労継続支援B型事業所においては、予算決算及び会計令、いわゆる予決令というもので、一定範囲ではあるんですけれども、随意契約は可能になっているところでございます。

 いずれにしましても、これをしっかりと活用して、引き続き取組の推進を図ってまいりたいと思っております。

大岡委員 ぜひ、新谷政務官、責任を持って進めていただきたいと思います。

 次に、医療の視点からお尋ねをしたいと思います。

 本人の能力もやる気もあって、職場の受入れが可能だとしても、医療費の問題で採用されないというケースがあります。例えば、企業単位で健保組合を運営している場合、腎臓一級、つまり透析でございますけれども、透析の患者さんを雇うとなると、当然のことながら、会社に在職する間ずっと医療費がかかり続けるわけでございまして、だとすると、極めて小さな単位の健保組合の場合は極めて負担が大きくなってしまう、それで断られるケースがあります。

 こうした障害を抱える方の不利益を緩和するために各保険者が負担を分かち合う仕組みを導入するべきじゃないかと考えますが、上野政務官のお考えを教えていただきたいと思います。

上野大臣政務官 障害を持つ方々が希望や障害特性に応じて就職をして、その能力を十分に生かして活躍をされる、これは大変重要なことであるというふうに思っています。

 障害者雇用促進法は、募集及び採用について、障害者に対する差別を禁止しております。今、透析患者さんに対する、就職ができないという話がありました。御指摘のようなケースはこれに反するおそれがあるというふうに考えております。

 厚生労働省としては、障害者雇用促進法に基づき策定をされ、募集、採用等における障害者への差別を禁止する障害者差別禁止指針を引き続き周知するとともに、ハローワークにおける職業紹介、地域障害者職業センターにおける雇用マニュアルや好事例の紹介、障害者就業・生活支援センターにおける就業支援や生活支援、これらのことに積極的に取り組むことにより、医療的ケアが必要な方を含めて、障害者の雇用を一層促進してまいりたいというふうに思います。

 その上で、今委員から、保険者間の負担の調整についても御提案をいただきました。御指摘のような問題について、どのように実態把握をできるかということも含めて検討してまいりたいと思います。

大岡委員 ありがとうございます。

 ぜひこれは検討していただきたいと思います。実際に高齢者の負担は既に分かち合う仕組みができておりますので、障害者ができないことはないというふうに思いますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 次に、今回、各省庁は頑張ってたくさんの採用をしていただいておりますが、問題は、来年以降どうなるのかということです。当然、世代間の公平というものも必要です。

 この今後の見通し感につきまして、これから数カ年、どのような数の募集、そしてどのような方式で採用を進めるのか、また世代間で格差を生じさせないという点で配慮している点はあるのか、その点についてお答えいただきたいと思います。

上野大臣政務官 法定雇用率を達成していない府省においては、平成三十一年末までの障害者採用計画を策定し、達成に向けて取組を進めているところであります。

 まずは、関係法令に沿ってこの取組を進めて、世代間の格差といった問題について今御指摘をいただきました、それも含めて進捗状況や課題について関係閣僚会議等でフォローアップをしながら、政府一体となって取り組んでいきたいというふうに思います。

 具体的に、計画期間が終了する平成三十一年末以降に見込まれる障害者の採用数というのをお答えすることは困難でありますけれども、法定雇用率の達成を実現、継続することはもとより、雇用している障害者が生き生きと働くことができる環境整備や定着支援を図るため、厚生労働省としても、各府省等の取組を最大限支援をしてまいります。

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

大岡委員 ありがとうございました。

 次に、障害者就労と定着率についてお尋ねをしたいと思います。

 資料の四枚目をごらんいただきますとわかるんですが、やはり、とりわけ精神、心に障害を持つ方々の定着率が低いということが大きな問題となっておりますが、まず、国において、それぞれの省庁では、それぞれ何人に対して、こうした障害を持つ方々に対して合理的な配慮をしているのか、この数を教えていただきたい。それから、省庁ごとの定着率との関係はどうなっているのか、これを教えていただきたいと思います。

柴崎政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま、合理的配慮の提供についてお尋ねがございました。

 人事院におきましては、各府省人事担当者の障害者雇用に関する理解を促進し、障害者である職員の働きやすい職場環境づくりを進めるため、昨年の十二月に、いわゆる合理的配慮指針を策定して、各府省に通知したところでございます。

 各府省におきましては、この合理的配慮指針に従って、職員の障害の種類や程度、それぞれの事情など、個別具体の状況に即して合理的配慮を行っているものと考えております。

 人事院といたしましては、今後、関係機関と連携しつつ、各府省においてどのような合理的配慮の提供がなされているか、その事例など合理的配慮の提供状況につきまして情報収集することを考えておりまして、その具体的な調査内容や実施時期について検討を進めてまいりたいと考えております。

大岡委員 ぜひ進めていただきたいと思います。

 次に、民間についてお尋ねをしたいと思います。

 民間における合理的配慮、特に精神、心に障害を持つ方というのは、本人が認めたがらなかったり、あるいは表面化することを避ける傾向があります。その結果、症状が悪化をしたり退職をしたりするケースというのがございます。こうしたことに対応してどのような対策を進めておられるのか、上野政務官、教えていただきたいと思います。

上野大臣政務官 障害者雇用促進法上の障害者は「身体障害、知的障害、精神障害その他の心身の機能の障害があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者」であり、これに該当すれば、障害者手帳の有無を問わず、合理的配慮の提供の対象となります。

 また、事業主が、面接時には障害者であることを知らず、採用後に障害者であることを知った場合も、合理的配慮の提供義務があるということであります。

 さらに、事業主は、雇用する障害者である労働者からの相談に応じるため相談体制を整備する義務があるほか、障害者である労働者が採用後における合理的配慮に関して相談したことを理由として、解雇その他の不利益な取扱いを行ってはならないこととされております。

 障害者の合理的配慮の提供義務に係る事業主、障害者の理解を促進するため、今後も一層の周知啓発に努めてまいります。

大岡委員 ありがとうございます。

 次に、教育から就労への接続についてお尋ねをしたいと思います。

 特に、自閉症など心に障害を持つ子供たちの場合、例えば身体障害者あるいは知的障害者であれば進路先というのは一定程度確保されています、しかし、心に障害を持っておられる場合は、高校に進学できない、あるいは、しても、すぐに中退をして、そのまま引きこもって行方がわからなくなってしまうというケースが非常に多く見られます。この最も大事な十五歳から十八歳の間が何の支援も得られないということになりますと、当然、その後の就職が困難になってくるわけでございます。

 そこで、こうした心に障害を持っている子供たちの中学卒業後の安定した進路、安定した学習環境の確保について、中村政務官、どのように考えておられるのか、教えていただきたいと思います。

中村大臣政務官 お答え申し上げます。

 自閉症など心に障害のある方々を含め、障害のある子供については、中学校卒業後に多様な学びの場を整備することが重要であると考えています。

 この多様な学びの場の整備に関しましては、小学校から中学校段階においては、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった連続性のある多様な学びの場が整備されている一方、高等学校段階では、主として高等学校の通常の学級か特別支援学校のいずれかに限定されていたところであります。

 近年では通級による指導を受ける中学生が増加しておりまして、十年前の約六倍になるなど、高等学校段階での通級による指導の必要性が高まっていること等を踏まえまして、生徒一人一人の教育的ニーズに即した適切な指導及び必要な支援を提供できるよう、平成三十年度より、高等学校における通級による指導を開始したところであります。

 さらに、高等学校や特別支援学校高等部において就労支援が充実するよう、文部科学省において、就職先や就業体験先の開拓などを行う就労支援コーディネーターの配置に係る経費の補助や、厚生労働省と連携し、公共職業安定所、地域支援センター、障害者就業・生活支援センター等との連携体制を構築、強化することに取り組んでいるところであります。

 今後も、高等学校段階における多様な学びの場の整備や就労支援の充実を図り、障害のある子供たちが就労し、自立するために必要な指導、支援を受けられるよう、積極的に取り組んでまいる所存でございます。

大岡委員 もう時間が来たようでございますので、終わらせていただきたいと思います。できなかった質問は、残念でございますが、次回に繰延べさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、高木美智代君。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 きょうは、短い二十分という時間ですので、簡潔にどんどんと質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、前回の桝屋委員の質問に引き続きまして、公務部門について二問伺わせていただきたいと思います。

 最初に、特例子会社の制度の導入でございます。

 これにつきましては、これまでも多くの委員の方たちから御指摘があったところです。やはり、人事院の平成三十年度障害者選考試験の合格者、また合格率等を見ますと、療育手帳等を有する知的障害者は全体の〇・四%だったと。こうしたことから、知的障害者の雇用をどのように進めていくのかが大事なテーマとなっていると考えております。

 私は、知的障害者の雇用促進に当たっては、特例子会社の制度を活用すべきということをかねてより主張してまいりました。現在、厚生労働省を中心に進められている、特例子会社的に仕事を切り出して集中化していく、こうした内部組織の構築につきましては、それはそれでいいと思いますけれども、もう一歩進めて、例えば共済組合の障害者雇用を進めて、各府省と雇用率を通算する仕組みなども検討すべきではないかと考えます。

 七日の参考人質疑におきましても、田中参考人から、事務職だけではなくてヘルスキーパーなどの新しい職種も検討すべきである、こうした意見があったところです。福利厚生を担当する共済組合におきまして、こうしたヘルスキーパーやパンの製造販売など、仕事をつくることができるのではないかと考えます。

 各府省において、共済組合と通算するなどによって特例子会社的な仕組みをつくるということにつきまして、ぜひとも検討を進めていただきたいと思います。いかがでしょうか。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 障害者の雇用の促進を図るに当たりましては、障害特性に応じて仕事を選定して、活躍できる職場づくりを進めていくということが重要でございまして、民間におきましては特例子会社制度を活用していただいているという現状がございます。

 国等に関しましては、制度としては現在のところ特例子会社に相当するものはないわけでございますけれども、類似した取組というものは、例えば地方公共団体において始まっている部分もございます。

 活躍できる雇用の場をつくり出すという観点からさまざまな工夫や検討を進めていくことが重要であると考えておりまして、その際、御指摘のございました、公務員の福利厚生関係の事業を担う共済組合において障害者に適した仕事をつくり出せる可能性もあるのではないかということを含めて、今後どのようなことができるのか検討を深めてまいりたいと思います。

高木(美)委員 これは非常に重要なことだと思います。当然、共済組合の理解を得る必要もあると思いますので、ぜひとも、その協議も急いでいただきまして、前に進めていただきたいということを強く要望させていただきます。

 次に、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構、JEEDにつきまして、ここは、障害の重度化、多様化、重複など、こうしたことも含めて対応できる支援技法の研究開発であるとか、また、人の育成であるとか人材確保も含めまして進めてくれているわけでございます。

 このJEEDにつきまして、公務部門についても、カウンセリング機能とかまた職業リハビリテーションなどの機能を使えないのかどうか、これも前に進めていただくように、使えるように検討をお願いしたいと思います。

 今、ホームページ上を見ますと、障害者雇用事例リファレンスサービスなどノウハウを公開されております。こうした情報提供も重要でありますし、それを活用するということはいいことですけれども、公務部門において、例えばジョブコーチであるとか雇用管理サポーターであるとか、こうしたことも含めて、人的支援について更に何かできないか、仕組みづくりを検討していただきたいと考えます。いかがでしょうか。

土屋政府参考人 御指摘をいただいた機構の、特に地域障害者職業センターにおいて実施をしている職業リハビリテーションというのは高い専門性を有しておりまして、ジョブコーチ支援などを民間に御活用いただいているわけですが、この仕組みは、財源が雇用保険の雇用安定事業であるということから、民間事業を対象としたものとなっている面がございます。

 このため、国の機関などにおきましてはこのサービスを受けることが原則できないというような状況にありますけれども、こういった精通した専門機関からの支援を受けていくということは国等の機関にとっても重要なことだというふうに考えておりますので、その支援を受けていくためにどのような方法があるか、御指摘も踏まえて検討してまいりたいと考えております。

高木(美)委員 検討がこの場だけのお話で終わらないように、ぜひとも結果を示す検討をお願いしたいと思います。

 次に、移動支援について伺います。

 これも既にこれまでも質疑があったところです。参考人質疑におきましても、福祉サービスでは通勤通学に使えないことが就労のネックである、こうした明快なお話もありました。

 また、「障害者総合支援法施行三年後の見直しについて」、これは平成二十七年十二月に出された社会保障審議会障害者分科会の報告書でございますが、そこにおきましても、通勤通学等については、「福祉政策のみならず、関係省庁とも連携し、事業者、教育機関、公共交通機関等による「合理的配慮」の対応、教育政策や労働政策との連携、地方公共団体(福祉部局、教育委員会等)における取組等を総合的に進めていくべきである。」このように今後の取組を促しております。

 いつまでも、これは福祉部門だ、いやいや労働だ、こうしてそれぞれが対立するのではなくて、総合的にどのように進めていくのか、これがネックであると言われているわけですので、検討を進めるべきと考えております。根本大臣にお考えを伺います。

根本国務大臣 通勤に対する支援は、障害者の雇用の機会を促進するに当たって解決すべき大きな課題であると思っております。

 今委員から御指摘がありましたように、平成二十七年の社保審の報告書についても、今委員が御紹介いただいたような指摘がされております。これまでも累次にわたって検討の必要性が指摘されております。

 そして、その中で、平成三十年度報酬改定の際の障害福祉サービス等報酬改定検討チームにおいても、障害福祉サービスにおける通勤の支援について、事業主による支援が後退することが懸念されることや、個人の経済活動に対する公費負担について課題があるため、引き続き検討が必要とされたところであります。

 また、本年二月に取りまとめた労働政策審議会意見書、この意見書において、重度身体障害者等においては、「通勤支援の在り方について労働施策と福祉施策の連携を進めながら、引き続き検討することが適当」とされました。

 今委員からお話がありましたように、今後、厚生労働省内に労働や福祉等の関係部局の連携に向けた体制を整備して、どのようなことができるか検討していきたいと思います。

高木(美)委員 今大臣がおっしゃった、関係部局それぞれの連携ができるシステムを整備しながら、結果が出せるようにしっかりと検討を進めていくという、これは恐らく急ぐ話だと思っております。公務部門におきましても、また一般的にも、これを全部、雇用主の側の合理的配慮というところに片づけられてしまうと、なかなか、障害者の雇用につきましても限界があるというふうに思っております。

 重度の方たちも含めて、この移動支援のあり方、もうここで結論を出していただくべきかと思います。本当に長い間課題になっているテーマでございますので、ぜひとも、大臣のリーダーシップで着手をしていただきますようにお願いをさせていただきたいと思います。

 大臣の御決意を重ねて伺っておきたいと思います。いかがでしょうか。

根本国務大臣 委員からもいろいろな御指摘がありました。しっかりと受けとめて、検討を前に進めていきたいと思います。

高木(美)委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 続きまして、教育と障害児就労の連携について伺わせていただきます。

 参考人質疑でも、川島参考人から、特別支援学校の一年生のころから徐々に職業訓練や職場実習やインターンシップを重ねて仕事とのマッチングを図る、いわゆる特別支援学校方式という御発言がありました。知的発達障害児にこの方式は非常に有効であると私も考えます。

 民間企業とあわせて公務部門もこのことを活用しまして、各省庁、各自治体ともに、ハローワークと連携を強化して、この特別支援学校方式を導入すべきと考えますが、いかがでしょうか。

土屋政府参考人 現在、ハローワークにおきまして、福祉、教育、医療から雇用への移行推進事業ということで、高等学校あるいは大学の生徒、学生も含んで、一般就労への不安を抱えた障害者を対象として職場実習を実施するという事業を実施しております。

 この事業は公的部門でも活用ができるというものでございますので、今御指摘があった点を踏まえまして、この事業の活用を始めとして公的部門での職場実習のさらなる充実について検討してまいりたいと考えております。

高木(美)委員 ぜひともよろしくお願い申し上げます。

 やはり、一年のころから見学に行き、二年になったら三日間ぐらい、三年になったら二週間ぐらいインターンシップを重ねていく、これをやっているうちに、受入れ側の職場の方もその方の特性とかまたできる仕事とかそこが恐らく見きわめができる、そして、それが終わるころには内定が出せる、こうした時間をかけたものがやはり必要かと思います。当然、トライアル雇用とかさまざまな方式はそれとして生かしていただきながら、障害児についてはこうした方式の導入をぜひとも実現を目指して検討をお願いいたします。

 私は、その事業を展開するに当たりましては、これはやはりハローワークだけではなくて、民間の就労移行支援事業者、この方たちを活用することも必要なのではないかと思います。そのためにも、この方式を事業として位置づけていくということも検討をしていただきたいと思います。そうすれば、民間の事業者の方たちも積極的に就労支援を展開できると考えます。

 やっていただきたい先は、例えば、先ほども大岡委員からも御指摘がありました、普通学級とか特別支援学級を卒業した障害児は、むしろ、特別支援学校の高等部に通う障害児のようには職場実習などの就労支援を受ける機会が少ないわけです。普通学級に障害を持ちながら行っている、また特別支援学級に行きながら卒業している、どちらかというと軽度の方が多いんだと思います。むしろ、その方たちは、機会が少ないために、就職できる能力があってもうまく就職できていないという傾向が見受けられます。

 眞保参考人によりますと、近年、就労移行支援事業所が普通学級の障害児に対して入所説明会を行ったりして就労支援を行う例が出てきている、こうした御指摘もありました。このようないい取組につきましては、私はぜひ広げていただきたい。今後、ハローワークとも連携をしながら、職場実習などの支援を受けられない障害児に対しても就労支援を充実させることができるように前に進めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

土屋政府参考人 御指摘のとおり、ハローワークが特別支援学校以外の小学校、中学校、高等学校などと連携をして、職場実習などの就労支援がなかなか仕組みとして受けられない障害者の方々に就労支援を実施していくということは大変重要だというふうに思っております。

 現在でも、ハローワークにおいて高等学校の生徒の就職支援を実施するときに障害のある生徒を把握した場合には、ハローワークの障害者を担当する部門において専門的な支援を実施するというふうなことをやっておりますが、御指摘のあったような就労支援の機関との連携も含めまして、今後、ハローワークにおいてのこういった取組を一層強化してまいりたいというふうに考えております。

高木(美)委員 今のことと同じような話になるのですが、文科省にも伺っておきたいと思います。

 今申し上げたとおり、むしろ、中学の特別支援学級を卒業した障害児は、その多くが特別支援学校の高等部には入れないわけですね。むしろ、軽度なので、ほかのいわゆる一般の普通高校であるとか、中にはフリースクールまた定時制高校に行くお子さんもいらっしゃいます。しかし、フリースクールや定時制高校などではむしろ就労支援を実施しているところが少ないということを聞いております。したがって、この子供たちがアルバイトなどの仕事につく、若しくは少し就職にチャレンジしてみるけれども傷ついてそこで引きこもってしまう、こうした傾向が見られるところです。

 特別支援学級に行っている子供は、軽度の子が多いという傾向もあります。就労できる子供が就労支援を受けられていない。フリースクール、定時制高校、そしてまたさらには大学等も含めて、どこで学んでいても、やはり、本人が望む、また保護者の方たちが望む、そういう希望に応じて特別支援学校方式で就労支援を受けられるようにすべきではないかと考えますが、文科省はどのようにお考えでしょうか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたように、特別支援学級を卒業後、特別支援学校高等部以外で学んでいる子供も含めまして、障害のある子供たちがそれぞれに合った職場で就労することができるように支援していくということは、極めて重要な課題と認識しております。

 このため、文部科学省といたしましても、特別支援学校高等部以外で学ぶ障害のある子供たちのキャリア教育や就労支援等の充実に向けまして、例えば、高等学校段階におきましては、就職先や就業体験先の開拓などを行う就労支援コーディネーターの配置のための支援を行うということでありますとか、あるいは、大学等の高等教育段階におきましては、障害のある学生への具体的な支援方法等につきまして有識者会議がまとめた内容を大学関係者等に周知を行い、就労支援を含めた各大学の取組の促進といったことにも努めているところでございます。

 障害のある子供たちの就労支援の方策といたしまして、御指摘いただきましたような、計画的で段階的な職場見学やインターンシップなどを丁寧に行い、仕事とのマッチングを図る取組は有意義なものと考えております。

 今後、こうした取組を参考としながら、企業や福祉、労働などの部門の関係者とも連携し、障害のある子供たちのみずからに合った就労の場への円滑な移行の支援というものの充実に取り組んでまいりたいと考えております。

高木(美)委員 私も、発達障害また障害者、ずっと施策にかかわってまいりまして、そこで、定時制高校の先生からかつてお手紙をいただきました。

 それは、発達障害のお子さん、また軽度の知的障害のお子さん、行く高校がなくて定時制高校にいらっしゃっている。ところが、定時制高校はいろいろな子供たちが中にいますので、もういきなりピアスをあけたりとか服装が変わったりとか、そこで本当に勉強するというよりも、むしろそういう流れに染まってしまって、能力があるのに就労につながっていない、この傾向を何とかしてほしい、そうしたお手紙の内容でした。

 私もずっとそれが心にありまして、やはりその解決というのは、今、一億総活躍等と言っておりますけれども、きめ細やかに一人一人に寄り添ってどうしていくのか。特に、文科省ががっちりと把握をなかなか当初していただけなかったフリースクールとか、むしろ定時制高校の就労支援であるとかそういうところを、ハローワークまた厚労省とよく連携をとっていただきながら、前に進めていただきたいと思っております。

 また、大学も、就職してみて初めて発達障害がわかったとかいろいろな傾向もありますので、その前の丁寧な、特別支援学校方式というものが有効ではないかと考えますので取り入れていただきまして、ぜひともこれを文科省としてのまた政策の中にしっかりと位置づけていただいて、今、浮島副大臣を中心に支援の内容もまとめていらっしゃるとも伺っておりますけれども、もしよろしければその中にもはっきりと書いていただきながら、大きく徹底をしていただきたいということをお願い申し上げます。

 時間になりましたので、以上で終わります。

冨岡委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 国民民主党の大西健介でございます。

 早速質問に入っていきたいというふうに思うんです。

 このたびの法改正というのは、障害者雇用の水増し問題を受けて行われるものでありますけれども、先日の参考人質疑の中でも、田中参考人からは、これは水増しではなくて障害者雇用偽装だという厳しい声がありました。また、恣意的であったが意図的ではないという検証結果についても疑問の声がありましたけれども、このいわゆる偽装というのが四十年以上にわたって続いてきた、そのため、検証するにしても資料も残っていなくて、検証にも限界があるということだというふうに思います。

 そこで、今回の法改正では、国及び地方公共団体においても障害者の確認に関する書類の保存義務を課すということにしていて、保存期間は退職等の日から三年間にする方向で検討しているというふうに伺っております。

 ちょっとこれに関連してなんですけれども、四月二十六日の本委員会において、我が党の山井委員から、厚労省の大臣の日程表の保存期間が即日廃棄になっている、これはいつからそういうふうになっているのかということについて質問をさせていただきました。これは理事会で協議をするということになって、けさの理事会の中で上野政務官から、平成十三年の一月六日の厚労省発足当時から厚労省文書管理規程の中で即日廃棄というふうになっていて、それがずっと続いてきている、厚労省行政文書管理規則に引き継がれているというような御説明がありました。

 それは結構なんですけれども、じゃ、何でこれを即日廃棄にしたのかということについて、これは通告してありますので、事務方から理由を御答弁いただきたいと思います。

定塚政府参考人 ただいま大西議員から御指摘がありましたように、厚生労働大臣の一日の日程表については、平成十三年一月六日からは厚生労働省文書管理規程、二十三年四月一日以降は厚生労働省行政文書管理規則に基づき保存期間一年文書とされてきたところであり、これを踏まえまして、十三年一月の厚生労働省発足以来、大臣の日程表については、一日の日程が終了した後、即日に廃棄する取扱いとしてきたところでございます。

 この即日廃棄の理由でございますが、日程表でございますので、一日の日程が終了するとその役割が果たされるということから、即日廃棄という取扱いとしているところでございます。

大西(健)委員 けさの理事会の席でも、他の理事会出席のメンバーから、他省庁はどうなっているんだろうみたいな話があったんですけれども、野党の合同ヒアリングの中でも他省庁の状況についてもヒアリングをしているんですけれども、まだ詳細はわかっていないんです。

 ただ一方で、森友学園問題等を受けて、二〇一七年、公文書ガイドラインの改定があった。その中では幾つかの分類がされていて、日程表等は一年未満という分類の中に入っている。それを受けて一年未満にしているところが多いんじゃないかということが議論されているんですが、いずれにしても、これは一年未満で各省庁が定めるということなので、一年と即日じゃ全然違うわけですよ。

 それで、確かに日程表というのは、今官房長からお話があったような性質のものではありますが、一方で、大臣がいつ、誰とお会いになったかというのは、いろいろなことを検証する上で極めて重要な情報だと私は思いますので、一年未満の範囲であれば定められるわけですから、最低一年は保存すべきじゃないかと私は思うんですけれども、大臣のお考えをお聞きします。

根本国務大臣 厚生労働大臣の日程表は、厚生労働大臣の一日のスケジュールを立てて、業務を円滑に行うために策定されるものであります。その意味では、その日の業務が終わり次第、役割は果たされるので、即日廃棄する取扱いとしているものだと考えております。

 この取扱いは、官房長から答弁したとおり厚生労働省行政文書管理規則に基づくものでありますが、この規則は、内閣府の定める行政文書の管理に関するガイドラインにおいて、日程表等の保存期間は一年未満とすることができるとされていることを踏まえたものであって、これは役割を果たしたものということでの取扱いだと考えております。

大西(健)委員 重ねてお聞きしますけれども、一年未満と一日は全然違いますよね。今言ったように、大臣がいつ、誰と会ったかというのは、政策決定の過程等を後で検証するにおいて私は極めて重要な情報だと思います。

 一年未満と一日は全然違うんですよ。大臣、別に、厚労省はいろいろなこともあるし、一年保存しておくんだとやったらどうですか。いかがですか。

定塚政府参考人 今大臣からお答えしたとおりでございますが、厚生労働大臣が業務として会議に出席した場合、あるいは公式な面会を行った場合には、それぞれの会議の記録等という形で業務関係文書が保存されているところでございまして、例えば厚生労働大臣が国会に出席をしてどの質疑者に答弁しているかというようなことは、国会予定表、これはしばらく保存されておりますけれども、こうした文書で確認できるというものでございます。

 一方、日程表は、先ほど大臣からありましたように、一日のスケジュールを立てて、業務を円滑に行うためにつくるということですので、そういう役割、目的からすると、即日廃棄ということで適当と考えているところでございます。

大西(健)委員 早く本題に入りたいので、もう最後にしますけれども。

 大臣、ですから、今官房長からあったように、会議に出たとかいうのは会議録があるとか、メモがあるとよく言いますけれども、でも、メモがなかったりするわけですよ、これまでのいろいろな問題だったら。だからこそ、いつ、どこで、誰と会ったのかというのを後で検証できるようにしておくということは非常に重要な問題だと私は思うんです。

 だから、自主的に、ガイドラインは一年未満なんだから、一年未満ぎりぎりまで厚労省はちゃんととっておきますと、別に大臣が政治家としてとっておけと言えば私は済む話だと思うんですけれども、そういうことは必要ないと大臣はお考えになるのかどうなのか、これを一言だけお願いします。

根本国務大臣 今、官房長からお話がありましたように、厚生労働大臣として文書管理規程に基づいて対応されているものであって、一日のスケジュールというのは、どちらかというと、秘書官が私の一日の日程を管理するわけですよね、私は一々それを持ちませんから。だから、私の日程というのは、個人の日程ではなくて、ある種、大臣の立場としての日程ですから、それは公文書管理規程等に基づいて適切に対応しているものだと考えております。

大西(健)委員 まさに、大臣はお忙しいので、自分でも、いつ、誰と会ったかと後で聞かれても、それは覚えていませんみたいな話になるわけですよ。だからこそ、私は、とっておけばいいじゃないかと。しかも、今、文書といったって、データでとれば簡単なわけですから、保存しておけばいいわけですから、私はぜひそうしていただきたい。それをしないでいいということだと、それでいいんだというお答えなんだなということで、山井委員じゃないですけれども、私はそういうふうに受け取らせていただきました。

 次の本題に入っていきたいというふうに思います。

 長年にわたって偽装を見抜けなかった今回の雇用率の問題ですけれども、今回、障害者の任免状況の公表義務を新たに創設して、厚労大臣に報告徴収であったりとか勧告の権限を付与する、このこと自体はいいことだと思います。

 ただ、例えば報告を求めるというのも、これは定期的に報告を求めるというのじゃなくて、何か疑わしいことがあった場合には報告を求めるということですけれども、現在でも、各省は毎年一回、対象障害者の任免状況を通報することになっているにもかかわらず、結局見抜けなかったというのが今回の結果だということを考えていくと、本当に厚労省にだけ任せていて大丈夫なんでしょうかということを私は思うんです。

 この点、任免状況の内容の通報の適切さを担保するためには、第三者のチェックというのが必要なんじゃないか。民間に対しては、高齢・障害・求職者雇用支援機構が労働基準監督署並みの厳しい抜き打ちの検査もやるというふうに聞いていますので、それに比べると、先ほどの話じゃないけれども、やはり身内に甘いという話じゃないかと思うんです。

 この第三者のチェックの必要性についてどう思われるか、御答弁いただきたいと思います。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案におきましては、今御指摘もありましたように、今般の不適切な計上事案の再発防止という観点から、厚生労働大臣による適正実施勧告の規定を新設するとともに、報告徴収の規定を設け、さらに、それを担保するものとして関係書類の保存の義務の規定を新設し、また、障害者の確認方法の明確化も盛り込ませていただいているところでございます。

 こういった規定の実効性を担保するものとして、昨年十月に関係閣僚会議において取りまとめた基本方針におきましては、再発防止に向けた取組という意味において、まず、私どもが各府省向けに手引を作成して、通報の実務あるいは再発防止のための取組に係る留意事項というものをお示ししたということがございますし、また、チェックシートを各府省に配付いたしまして、厚生労働省が各府省のチェック状況を確認するということも、各府省の一種申合せとして、この閣僚会議で基本方針という形でお決めをいただいているということがございます。

 こういった規定それから基本方針に基づく取組をもとにいたしまして、制度を所管する立場の厚生労働省としてチェック機能を十分に発揮していく必要があるというふうに考えておりまして、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

大西(健)委員 でも、今回、四十年以上にわたってこういうことが続いたということは、大丈夫だろう、官はしっかりやっているだろう、こういう性善説に立っていた、あるいはそれを実際見抜けなかったということですから、先ほどの話じゃないですけれども、JEEDは民間の検査をやっているわけですから、ノウハウもあるわけですからJEEDでもいいでしょうし、ほかでもいいと思いますけれども、私は、やはり第三者のチェックみたいなことも考えるべきじゃないかと思います。

 今回の再点検の結果、雇用率を満たしていなかったという問題については、行政機関だけではなくて立法機関においても起こっていたということで、この法案を審議しているまさに衆議院の事務局においても、残念ながらそういうことがありました。

 きょうは衆議院事務局に来ていただいていますけれども、法定雇用率を実際には満たしていなかったということがわかって、その後、どのような採用を行って、現状、どのような形になっているのか。

 また、再発防止策について、例えば行政機関においては、雇用率が未達成の場合に、予算面での庁費の削減みたいなことをやるということが言われておりますけれども、これについては行政機関の中の話ですので、では、立法機関、衆議院事務局だとか参議院事務局はどうなるのか。

 この部分について、きょうは衆議院庶務部長に来ていただいていますので、御説明をいただきたいと思います。

花島参事 お答えいたします。

 昨年六月一日の時点で、法定雇用数の算定上、三十六人が必要であるところ、十五・五人が不足していたことが昨年九月に判明いたしました。これは、本来は都道府県の指定医や産業医による診断書で計上すべきところを、それ以外の医師の診断書をもとに計上しているケースが多数あったことなどが主な原因であります。

 こうした状況を踏まえて、衆議院事務局としては、昨年十月より率先して障害者の採用活動を行った結果、今日までに、法定雇用数として二十二人分を新たに計上することができ、現在、法定雇用率は達成されております。

 昨年秋からの採用につきましては、ハローワークを通じて衆議院事務局独自に求人を行ったものであり、人事院の障害者試験合格者からの採用は行っておりません。

 今後、仮に法定雇用率未達成となった場合においては、政府からの庁費減額の要請に協力するべく検討していく所存でありますが、私どもといたしましては、未達成とならないよう、今後も継続的に採用活動及び採用後の定着支援を積極的に行っていく所存であります。

大西(健)委員 今、現状においてはしっかりやっていただいているということでありますけれども、民から見ると、範を示すべき行政機関ができていないじゃないか、行政機関から見たら、立法府ができていないじゃないかということになると、これは恥ずかしいことですので、ぜひともしっかりこれからもやっていただきたいというふうに思っております。

 庶務部長、ここまでで結構ですので、ありがとうございます。

 先ほどJEEDの話が少し出ましたけれども、納付金の徴収と調整金の支給業務を担っている厚労省所管の独立行政法人であります。皆さんのお手元に資料を配付していますけれども、情報公開の中で、役員についている退職公務員等の状況ということで、お手元にお配りさせていただいております。この中で、委員長代理それから理事の一名の方は、厚労省からの現役役員出向ということになっております。

 そこで、これは確認をさせていただきたいんですけれども、理事長代理の年収は大体幾らぐらいになるのか。また、この理事長代理の方は、直前は福岡労働局長ということですけれども、何級何号かというのは、福岡労働局長になられる方は大体どの程度の俸給なのかというのはわかると思いますので、おおよその額で結構ですので、それぞれ年収をお答えいただきたいと思います。

土屋政府参考人 御指摘のございました高齢・障害・求職者雇用支援機構の理事長代理の年収につきましては、地域手当も含めますと、約一千六百万円となっております。

 一方、福岡労働局の局長の年収につきましては、地域手当も含めますと、約一千五百万円から一千六百万円となっているところでございます。

大西(健)委員 今の話だとほぼほぼ一緒ですけれども、現役出向でJEEDに行くと年収も若干上がるという話なんです。

 今回、本来民間の模範となるべき中央官庁においてこれだけ長期かつ大規模な不正があって、後ほどこの件についてもお聞きしますけれども、そのことによって民間の障害者雇用にも事実影響が出ている。そういう中で、厚労省の方がこうやって高いポストに現役出向しているというのは、これは民間の皆さんからするとなかなか納得しがたいものがあるんじゃないかなというふうに思います。

 もちろん、JEEDがやっている事業というのは厚労省の施策と密接にかかわっておりますので、私は全く現役出向をやめろとは言いません。ただ、少なくとも、この役員の任期、ことしの九月三十日までとなっておりますけれども、例えば今回、九月三十日においては、これは二人出向させているけれども一人にするとか、そういうけじめのつけ方というのは私はあるんじゃないかと思うんですけれども、大臣、そういうことを考えていただけませんでしょうか。どうでしょうか。

根本国務大臣 当省からの高齢・障害・求職者雇用支援機構への役員出向者に関する御指摘をいただきました。

 この御指摘については、理事の任命は機構が決定することでありますが、役員出向というのは、出向者が有している行政での知見などを機構の業務に生かすこと、また出向者の機構における勤務経験を公務に生かす観点ということから、意義があると考えております。

大西(健)委員 私は、さっきも言いましたけれども、意義がないとは言っていないんですよ。でも、少しかもしれないけれども給料まで上がっちゃう、そういうポストに今二人行かせているけれども、九月三十日に切れるわけですから。

 また、ずっと未来永劫とは言いませんけれども、今回のことがあったので、九月三十日には、今二人行かせているけれども一人行かせる。先ほど大臣が答弁されたように、理事の任免は法人が決めることだけれども、出向させるんですから、二人を一人にします、こういうけじめのつけ方はあるんじゃないですかと言っているんですけれども、再度御答弁いただけますか。

根本国務大臣 私も、意義があるという答弁をいたしましたが、いずれにしても、理事の任免は機構が決定することだと思っておりますので、これは機構において適切に対応していただくべきものだと考えております。

大西(健)委員 ちょっと残念ですね。今から申し上げますけれども、民間においては実際に、民間でお勤めの方が公務部門の大量採用でやめられて、納付率を割るところまで出てくるかもしれないということの中で、やはり厚労省としてそういうことをちゃんと反省しているんだと形で示すというのは、私は民間の皆さんの御納得をいただく上で一つあるんじゃないかと思いますけれども、政治家として大臣からそういう御答弁がいただけなかったのは非常に残念だというふうに思います。

 次に、先日の参考人質疑で、公務部門における障害者の大量採用によって民間に影響が出ているかという問題について私から質問させていただいたところ、川島参考人が、百七十七社のアンケートの結果ということで、回答のあった七十六社で、公務員の採用発表に合わせて百七十三名の退職があったと。これは本当にごく一部の企業ですけれども、百七十三名もの退職が出ている、そのうち相当数が公務員試験の受験を理由にしていること、また、内定辞退というのも出ているという御紹介が具体的な数字を示してありました。

 四月九日の記者会見で、定例の記者会見だと思いますけれども、大臣から、国家公務員の障害者選考に合格したため民間企業を離職した人数などについては調査をしており、民間企業への影響に関する対応について何ができるかを検討していきたい、こういうことを発言されていますけれども、今申し上げたように、合格したからやめたというんじゃなくて、川島参考人の話だったら、まだ受ける前だけれども、受けようと思うのでやめますみたいな人も相当数いる、あるいは、内定辞退みたいな者もいる。

 だから、受かってやめましたという人だけの調査では、これはまさに民間の採用に与えた影響というのを十分に把握できないというふうに私は思いますけれども、どういうように調査をしているのか。

 そして、大臣は記者会見の中で、民間企業への影響に関する対応について何ができるかを検討したいと。実際に、じゃ、ぎりぎり納付率を満たしていたのに、このことによってやめて納付率を割って、ごめん、納付率じゃなくて雇用率ですね、雇用率を割ってしまって納付金を納めなきゃいけなくなってしまうみたいな企業が出た場合に、これは政府として何をやってくれるんですか。このことについて、大臣から御答弁いただきたいと思います。

根本国務大臣 まず、事実関係だけ申し上げたいと思いますが、各府省の採用計画に基づく障害者の採用状況、これは四月に調査を実施して、その中で、民間における障害者雇用に与える影響についても調査をいたしました。

 具体的には、平成三十一年一月一日から四月一日までに採用された障害者について、国家公務員の選考に合格したため民間企業を離職した人数のみならず、国家公務員の選考を受けるために民間企業を離職した人数も含めて調査を実施して、その結果が三百三十七人でありました。これは、新規採用者全体に占める割合が一四・五%になっております。

 なお、今回の調査では、民間企業の内定辞退までは把握しておりません。これは、今回の調査は各府省に対して採用した障害者に関して把握をしたものでありますが、国家公務員の選考を受けるために民間企業の内定を辞退した者、内定辞退者の数まで正確に把握することが現実的かどうかということもあって、内定辞退者数までは把握しておりません。

 そして、後段の、三百三十七人が採用されたわけでありますが、その影響によって民間企業にどういう影響を与えて、そして具体的にどういう課題が生じたか。これは更に、今回は国家公務員ということでやっておりますが、今、自治体も含めて再度調査をしているところであります。その実態を踏まえて、しかるべきどういう対応があり得るのかということを考えていきたいと思います。

大西(健)委員 川島参考人、楽天ソシオさんは、多分これは新経連の調査だと思うんですけれども、例えば経団連にアンケート調査をやってもらったら、私は、さっき言った、合格したからやめますじゃなくて、受けるからやめますみたいな人とか内定辞退があったかみたいなことも、経団連あるいは同友会、いろいろなところに協力をお願いすればつかめるんじゃないかと思いますし、そのことは経済界が最も気にしていることなんだから、経済界も喜んで協力すると私は思いますよ。そういうことも検討していただきたいというふうに思います。

 あわせて、今、厚労省としてつかんでいる、合格した中の三百三十七人ですかね、以前民間にお勤めだったという方、この方々についてどんな影響があったか調査するということですけれども、その中で、さっき言ったように、雇用率をぎりぎり満たしていたのに、この人がやめたことによって雇用率を満たせなくなって、納付金を払わなきゃいけなくなったみたいなケースがあるのかないのか。今わかっていないならば、そういうケースがあった場合にどういう対応を厚労省はとってくれるのか。この点について再度お尋ねします。

土屋政府参考人 民間企業側の影響については、今後の中でハローワークにおいてさまざまな企業と接触する段階で、具体的なお声としてお聞きする形で把握をしていきたいと思います。

 納付金制度との関係で申し上げますと、納付金制度は、御案内のとおり、社会連帯の理念のもとで、障害者雇用に伴い必要となる経済的な負担を調整し、事業主間の競争条件を確保するということ、そしてまた調整金や助成金の支給によって障害者の雇用の促進を図ること、こういった目的のもとで制度を運用させていただいていますので、こういった目的を維持しながら制度を運用していきたいというふうに考えているところでございます。

大西(健)委員 後ろの方はよくわからなかったですけれども、さっき大臣も、民間への影響についてどういう対応ができるかは検討したいと言っておられますので、更にこの影響をしっかり把握していただいて、やはり何ができるかというのを本当に具体的に検討していただきたいというふうに思っています。

 それから、先ほど西村委員の質問の中でもありましたけれども、今後は障害者活躍推進計画というのをつくっていただくということになっているわけですけれども、そこに、先ほどの質問の中で、当事者の声をしっかり入れるようにというお話がありました。もう一つは、当事者の声も私は入れていただきたいと思いますけれども、例えば、職員組合等があるならば、組合にもちゃんと意見を聞いていただきたい。

 というのは、例えば、ある部署に精神障害のある方が何人か入ってこられた。そうすると、受入れ側の部署も準備が十分整っていないままになると、そこで働いている障害がない方のまさに仕事にも影響が出るわけです。ですから、組合に対しても意見を求めて、そしてよりよい計画をつくるということがいいのではないかというふうに思います。

 先ほど当事者の話がありましたけれども、労働組合等に計画策定に当たって意見を求めるということをぜひやっていただきたいと思いますけれども、この点、いかがでしょうか。

土屋政府参考人 まず、障害者活躍推進計画の策定に関して、当事者との関係では、作成指針を定めるに当たりまして、公労使あるいは障害者代表も構成員に入っていただいている労働政策審議会の障害者雇用分科会において御議論いただくという形で、当事者の立場からも御意見をいただきながらその内容を固めていきたいと思っておりますし、また、各府省が障害者活躍推進計画を作成するに当たりましても、例えば障害者である職員の方に対してアンケート調査を行うなどによりまして、障害者の当事者の方の御意見もお聞きをしながら策定していただくということは考えられるだろうと思っております。

 またさらに、やはり職場の問題でありますので、広く職員の方の意見を聞いて計画に反映させるということも大切だと思っておりまして、ここは各府省の御判断になるかと思いますけれども、各府省の職員団体から意見を聞く機会を設けるということも考えられるのではないかと思っております。

大西(健)委員 指針策定はもちろんですけれども、実際、今、障害があって職場で働いている方にいろいろな意見を求めることは、私はぜひやっていただきたいし、そして、職員組合、受け入れる側の、他の障害のない職員の仕事にも影響を与えるわけですから、ぜひそこは意見を聞いていただきたいと思います。

 先ほど高木委員からも、霞が関に例えば特例子会社のような機関があっていいんじゃないかという質問がありました。私も全く同じ意見でありまして、先日の参考人質疑でも、そのことを参考人に聞かせていただきました。そのとき、眞保参考人からは、地理的にまとまっていることは非常に有利な条件で、知的障害者の方が働ける仕事を切り出して、洗い出してまとめることが可能であり、まとまった機関をつくるということは非常に適している、こういう意見もいただきました。

 先ほどは、大岡委員の質問に対して人事院から答弁もありましたし、高木委員の質問に対しては土屋局長からも答弁がありましたけれども、これは与党公明党さんもぜひやろうじゃないかと言っていることですので、ぜひ大臣、政治的なリーダーシップで、霞が関に知的の皆さんも働いてもらえるような、仕事を切り出してまとめるような特例子会社的な機関をつくるということは一考に値するんじゃないか、少し政治家としてそういう答弁をいただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

根本国務大臣 障害者ができる職場づくり、これは極めて重要であって、そのための指標として、民間においては特例子会社制度があります。そして、特例子会社に類似した取組として、公共団体において各部署の庶務関係業務を集中的に処理する部署を庁舎内につくる、そしてそこで障害者の活躍を図る取組をしている、こういう例もあるところであります。同様の取組を進めている府省もあると聞いております。

 国等においては、制度としては現在のところは特例子会社に相当するものはありませんが、障害者が活躍できる雇用の場をつくり出すためにさまざまな工夫や検討を進めていくことが重要であると考えています。今後、どのようなことができるのか、検討していきたいと思います。民間における特例子会社制度を参考としながら、どのような方策があり得るのか、これはさまざまな可能性について検討する、そこから始めて検討していきたいと思います。

大西(健)委員 与党の中からもそういう声が上がっているわけですから、ぜひこれはやっていく方向で、我々も一緒に考えていきたいと思っています。

 もう一つ、関連で、私はみなし雇用についても参考人質疑で聞かせていただいたんです。

 自社で障害者を雇うほど十分な仕事を切り出せるわけではない場合に、社会福祉法人等に業務を発注すれば、その発注量に応じて障害者雇用率にカウントできるような仕組みがあっていいんじゃないかということなんですけれども、これについては、参考人の皆さんからは、雇用率が相当程度高くなれば検討の余地はあるけれども、現時点においてはまだ精神障害者の雇用義務化も始まったばかりですし、現段階では時期尚早じゃないか、こういう御意見がありました。

 それはそのとおりだなというふうに思うんですが、一方で、民間では、雇用率達成のためにあの手この手でいろいろ知恵を絞っている。そういう中で、新しいビジネスというのも出てきています。

 資料の一ページ目の裏、二ページ目ですけれども、エスプールプラスという企業なんですけれども、都市近郊にビニールハウスの農園を整備して企業に貸し出す、そこで働く障害者も紹介するというビジネスを展開しています。企業は、農園を借りて障害者を社員として雇うことで、自社の雇用率にカウントできる、こういう仕組みであります。

 これは記事の中にもあるんですけれども、これに対しては、一部、企業と離れた場所で作業をしているので、障害者の社会参加や職場の人材の多様化を促すという本来の障害者雇用の狙いとは違うんじゃないか、こういう批判もありますし、もっと厳しい言い方だと、これは雇用率を企業が買っているという仕組みじゃないかという声もあるんです。

 現にこうしたサービスがあるんですけれども、こういうやり方について厚労省はどのように評価をされているのか、御答弁をいただきたいと思います。

土屋政府参考人 障害をお持ちの方々が生き生きと活躍する社会を実現するためには、多様化する障害特性に対応して、地域、産業、職業などに応じて多様な場が確保されるということが重要だと思います。

 ただ、その前提として、適正な雇用管理を行うことによって、障害をお持ちの方がその能力、適性を十分に発揮するということ、そして、障害のない方々とともに生きがいを持って働ける職場環境づくりを進めていただくということが必要であろうと思います。

 御指摘のようなケースに関しても、そういう観点から、例えばハローワークにおきましては、適切な雇用管理がなされていない状況を把握するというようなことがあれば、その事業主の方に、特性に応じた仕事の切り出し、作業環境の整備といったことについて助言、指導を行うということをやっておりますし、また、JEEDからの専門的な助言、援助も行うということになってくるわけでございまして、今後ともこういう取組をしっかりとやってまいりたいと思います。

大西(健)委員 会社とは全然違う離れた農園で働いて、会社の社員とは触れることがないということだと、ちょっと趣旨が違うのかなと思う一方で、大企業は特例子会社をつくれるんです、でも、中小企業はそれがつくれないから、こういうような知恵を絞ってということも、そういうニーズがあるというのも事実だというふうに私は思います。だからこそ、みなし雇用だとかいろいろなことも考えていく必要があるんじゃないかというふうに思うんです。

 次に、除外率の制度、これについても先ほど西村委員から質問があって、これは十四年改正で当分の間の措置として位置づけて、段階的に除外率を引き下げて廃止するという方向はもう決まっているじゃないかという話がありました。私も、廃止するはずなのに、おかしな答弁だなと思って最初聞いていました。

 資料をお配りしていますけれども、次のページですけれども、制度の趣旨が書いてあって、ただ、これについては、制度ができた当初から、これは本来の姿じゃないと。障害者であることをもって一律に特定の業務につくことが困難であることを前提にした制度は好ましくないし、また、今現状では、障害者雇用も大分進んできましたし、技術が進展してきて、必ずしもここに挙がっている業界においても障害者雇用が難しいわけではない、できないわけではないというふうに変わってきていると思うんですね。

 そういう中で、廃止をするということが前提になっていると思うんですが、一方で、4のところに書いてあるように、十六年四月と二十二年七月に一〇ポイント下げたんですよ。十六年から二十二年の間で六年間、二十二年七月が前回の一〇ポイント引下げだから、そこから、先ほど言いましたように、もう十年近くたっているわけですよ。

 今回、これだけの法改正があるのに、全くこの除外率に手をつけなかった理由を聞きたいんですけれども、まさに、一気に廃止までいくかどうかは別にして、一〇じゃなかったら五下げるんだとか、これだけの法改正を国会に提出するのに、なぜ今回除外率に全く手をつけなかったのか、このことについてお聞きをしたいと思います。

土屋政府参考人 除外率の制度につきましては、今御紹介をいただきましたように、平成十四年の法改正でノーマライゼーションの観点から廃止をし、現在は、経過措置として引き下げつつ継続をしているという形でございます。

 この点については、昨年からの労働政策審議会障害者雇用分科会における議論におきましてもこの経過措置について御議論がありまして、廃止をすべきという御意見もありましたし、また一方、障害をお持ちの方々がつくのは実際に難しい職種が残っているということも事実であり、経過措置ということであったとしても一定割合残しておくのは政策的に必要ではないかというふうな御意見もあり、多岐にわたる御指摘をいただいたところでございます。

 これらの議論を踏まえまして、二月に取りまとめました意見書においては、除外率の廃止については引き続き検討することが適当だというふうにされているところでございますので、今後、この意見書を踏まえて、審議会において、引き続き、実態の把握あるいは廃止に向けた進め方なども含めて御議論を進めていただくこととしたいと考えております。

大西(健)委員 先ほど西村委員の中でも、もう廃止は決まっているんですから、それに対して存続を求める声なんか言う方がおかしいんですよ、決まったことなんですから。

 かつ、ここにあるように、これは一気に廃止に進まなくても、例えば五%のところはもうなくしていいんじゃないかとか、あるいは、かなり高率になっている五〇%のところを二五%にするとか、そういういじり方だってできたはずなのに、全くいじっていないんですよ、今回これだけの法改正をやっているのに。前の引下げから十年たとうとしているのに全くいじらないということが、厚労省のやる気を感じないということを私は申し上げたいというふうに思います。

 時間が来ておりますので最後に申し上げますけれども、先日の参考人質疑の中で、小出参考人から、B型作業所に通っている娘さんが、施設外就労に行った日は、社長さんから、ありがとうね、助かったよと言われて、胸を張って帰ってくるという話をされました。大変いい話だと思います。

 私は以前、全従業員の八割が知的障害者という、チョークをつくっている有名な日本理化学工業を視察させていただいたんですけれども、日本理工さんが障害者雇用を始めるきっかけになったのは、ある禅寺のお坊さんの次のような言葉だったそうです。人間の究極の幸せは、一つは愛されること、二つ目は褒められること、三つ目は人の役に立つこと、四つ目は人に必要とされることです、福祉施設で大事に面倒を見てもらうことが幸せではなくて、働いて役に立つ社会こそが人間を幸せにするのですと。

 公務部門で今回大量の採用はありましたけれども、私が心配するのは、間違っても、ただいてくれればいいみたいなことにならないか、これを心配します。そういうことにならないように、まさに人の役に立って幸せを感じる、そういうことになることを願って、私の質問を終わりたいと思います。

 以上です。

冨岡委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 国民民主党の岡本です。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 今までの議論をちょっと聞いていて、最初、きょうは、農林水産省と文科省、それぞれ政務の方にお越しいただいていますが、その質問に入る前に、きのうの厚生労働省の説明、私は、大変不誠実だったと思っています。

 それは、今の除外率の話。後ほど、私、午後質問をします。私のお配りしている資料の五ページ、公務部門における、同様に障害者を雇用しなくていい、こういう職員は何かというので、皇宮護衛官以下、イ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘ、トと書いてあるわけですが、この説明をする中で、なぜこの制度があるのかと言ったら、民間の除外率の話をし始めた。除外率があって、これがあるから、民間にもあるんですよ、こういう説明をしていた。ところが、今の話で、これを廃止する方向だというんだったら、きのうの説明はおかしな話なんですよ。

 ですから、私はここで大臣に言っておきます。午後も質問があります。そのときに聞いたんです、ここの別表一に掲げる職員は、もし法定雇用率がかかった場合には、一体何人あと公務員を採用しなきゃいけないのか。これは質問通告していますけれども、改めてもう一度聞きますから、ちゃんと精査しておいてください。私は農福連携の話を先にやりますけれども、これは本当に、今の除外率の話の説明は、誤った説明をきのうしていましたから、午後までの間に、どういうレクをしたのか、もう一回、大臣、言った者にきちっと聞いてください。局長に聞いてもわからないですよ。

 さて、農福連携に入りたいと思います。

 今回というか、これまでも何遍も聞いてまいりましたけれども、農業における障害者の就農を私は応援したいと思っています。障害を持つ皆さん方はいろいろな就職先があっていいんじゃないか、そういう中で、農業は魅力的だと思っています。

 実際、どういうようなイメージで経営をしているのか、若しくは、障害者が就農をした、こうした状況の中で経営者がどういう利益若しくは売上げを上げているのか、こういうことをきちっと評価するべきだ、こういう話をしたわけです。

 ところが、売上高は報告をさせているけれども、利益がどう変わったかまでは見ていない。就農者の数はカウントしているけれども、そうした経営に与える効果、ほかの農業法人も手を挙げてみよう、こういうものをやはりきちっと集積していくべきだと思います。今の交付金のあり方ではそこまで求めていないということでありますが、厚生労働省とよく協力をして、この就農による農業への効果、貢献、もちろんデメリットもあるかもしれません、そういったものをきちっとまとめるべきだと思います。

 副大臣の御答弁をいただきたいと思います。

小里副大臣 御指摘ありがとうございます。

 農水省が補助している農福連携対策では、これまでに、事業実績報告におきまして、お話のとおり、雇用人数や売上げ等につきましては報告を求めているところでありますけれども、事業収入によって利用者等へ賃金や工賃が支払われていることや、経常収支について等は報告を求めてこなかったところであります。

 農福連携対策の事業実施主体が社会福祉法人の場合は、障害福祉サービス事業所の事業運営費の一部に障害福祉サービス報酬として公費が入っていると承知をしているところであります。

 今後は、厚生労働省とも連携を図りまして、当省が実施をする農福連携対策について、事業収入で利用者等に賃金や工賃が支払われていることを確認するとともに、経常収支の実態を把握することによりまして、農水省が補助する事業の適正な実施に努めてまいりたいと思います。

岡本(充)委員 経常収支と言われた以上は、障害者にかかわる部分だけじゃなくて、その農業法人の全体の収支を見ていただける、そういう理解でいいですか。要するに、事業を区切って、例えばトマトだけ、例えばキュウリだけ、こういうふうに見ずに、全体として例えばその農業法人がどう変わったか、そこまで見ていく、こういう理解でよろしいですか。

小里副大臣 お話のとおり、厚労省とよく連携して、しっかり趣旨に沿うように対応してまいります。

岡本(充)委員 ちゃんと見てくださいよ。やはりそれは、ほかの農業法人が手を挙げるかどうかの重要な条件になると私は思います。

 もう一つ、私の地元の特別支援学校にも何遍かお邪魔をさせていただいて、就農を生徒さんに新たな就職先として提供できないか、いろいろ模索しています。

 これまでも、生徒さんが圃場に行くための交通費、要するに、普通の工場なんかは、駅のそばにある、バスで行けるというところもあるでしょうが、圃場はかなり離れたところにある、場合によってはタクシーで行かなきゃいけない、こういうときの交通費などは、今、さまざまな方法を使って公費から見ていただけるようになりました。そこはありがたいと思います。

 ただ、実際、どこにそういう農業法人がいるのか、どういったところに窓口があるのか、こういうのがわからない、それが現状だと思います。

 まずは農林水産副大臣の方に聞きますが、こうした窓口をきちっとわかるようにしていく。そして、当座、学校さんが問い合わせる窓口、例えば農政局、都道府県、速やかに、そうしたものが窓口になることを、文科省と連携し、そして周知する。文科省の方には、これについてきちっと教育委員会に周知をする。これをぜひお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

小里副大臣 農福連携の取組を全国に定着、拡大させるために、全四十七都道府県が参画をした農福連携全国都道府県ネットワークが平成二十九年七月に設立をされておりまして、各都道府県の福祉部局若しくは農林部局の担当課に事務局が設置をされているところであります。

 これらにおいては、関係者等への意識啓発や農福連携に係る人材育成等の活動を行うとともに、農福連携に係るさまざまな問題の相談窓口として機能しているところであります。

 しかしながら、こうした窓口の存在について、十分知られるまでには至っていないと認識をいたします。

 各都道府県の農福連携相談窓口について、文科省とよく連携をして、通知を発出するなど、教育部局を含めたより一層の周知徹底を図ってまいりたいと存じます。

中村大臣政務官 お答え申し上げます。

 特別支援学校において農福連携の取組を行う場合には、地方公共団体の教育、福祉、農水部門の連携が重要と考えております。

 しかしながら、御指摘のとおり、特別支援学校が農福連携を行うに当たって、農福連携に関する相談先がわからない等の課題があると聞いております。

 こうしたことから、文部科学省としては、農林水産省が取りまとめる農福連携相談窓口に関する情報について、農林水産省と連携して、各都道府県教育委員会等に対して通知を発出するなどにより、農福連携の取組の推進を図ってまいりたいと思います。

岡本(充)委員 当然、その連携をした結果として、生徒さんたちが就職した数、これはもう把握をされているということでありますが、実際、どのくらいの方がそうした農業法人等への実習、いわゆるマッチングと言うべきでしょうか、実際に農業法人の方からしても、どういう方に来てもらいたいか、それぞれあるでしょう。やはりこのマッチングが重要だと思います。

 そういう意味で、きちっとマッチングをした生徒の数、若しくは圃場で実習をした生徒の数、こういった数はこれまでカウントしていませんでした。それをきちっとカウントして、それがふえたのか減ったのかを見る必要があると思います。それをやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

中村大臣政務官 お答え申し上げます。

 障害のある生徒の自立と社会参加に向けて、職業体験を始めさまざまな体験活動を充実することは重要であると考えており、その一環として農業体験活動を行うことは有意義であると考えているところであります。

 文部科学省としては、各特別支援学校において、児童生徒の興味、関心、障害の状況や特性、心身の発達の段階、地域の実態等を踏まえた体験活動が行われていると承知しておりますが、議員御指摘のとおり、現時点では、農業体験活動の学校ごとの実施状況また就業状況については把握をしておりません。

 今後、速やかに調査を行い、特別支援学校における農業体験活動の実施状況の把握に努めるとともに、引き続き、農林水産省、厚生労働省等と協力して、農福連携の取組を推進してまいります。

岡本(充)委員 もちろん、農業だけじゃありません。やはりいろいろな職業についていただくためにはそういう経験をする必要があるんです。

 本当に、これは政務官に来ていただいて、この場できちっと言っておきたい。

 最初に来た役所の方は、数を数えることができないと言ったんですよ。そんなことはあり得ないでしょうと言って、きのう大分やりとりがあって、ようやっとこの答弁です。

 そういう意味で、政務官からも、きちっと政治家として問題意識を理解していただいたと思いますから、数が数えられなければ、実績が出たのか出ないのか、政策がうまくいったのか、わからないんですよ。当然のことなんです。したがって、きちっと政務官としてそこを見ていただきたい。よろしくお願いをしたいと思います。

 なぜこういう話をするのか。農福連携のところでも言いましたけれども、就労継続支援A型というこの事業は、本当に障害を持つ皆さん方の雇用の場としてこれからもあり続けることができるのか、ちょっと疑問に思っているんです。

 それはなぜかというと、厚生労働省の方針として、三ページ目にありますけれども、就労継続支援A型事業所は、二十九年四月からこのような流れの中で、経営が、先ほどの話で、ちゃんと収益を上げ、その収益で賃金が払われていない場合などは、この実態調査に基づいて経営改善計画をつくらなければならない。そして、一年後に実態調査がまた入り、そして経営改善計画を作成する。これが二年続くとこのA型事業所は廃止になる可能性がある、こういう理解でいいですね。

橋本政府参考人 今御指摘いただきましたこの流れでございますが、基本的に、こちらの方で定めております要件を満たさない場合に経営改善計画を定めていただき、そして一年後の状況を見、さらにまた、その状況がまだ十分でないというときに更に一年やっていただくということになるわけでございますが、それでもなおというときにつきまして、改善がなお見込めるということで都道府県の方が認めた場合におきましては、以後、計画の再作成を認めるかどうかは、一定の条件を満たした上で都道府県等が認めれば可能という形で、そこのところは一律に指定を取り消すというふうな対応をするものではございません。

岡本(充)委員 どちらなのかというのが非常に重要なんですが、一律ではないにせよ廃止になる可能性がある、そういう理解でいいですよね。

橋本政府参考人 この経営改善計画というものが十分に果たされていない場合には、勧告ということを行うことになると思います。この勧告の効果もなお見込めないということである場合には命令ということも行わなければなりませんし、その上で指定の取消しをするか否かということを判断していくということでございます。

岡本(充)委員 つまり、指定の取消しまであるんですよ。

 それで、今、A型事業所がどれだけあって、そのうち何割が、何カ所が経営改善計画の作成を求められていますか。

橋本政府参考人 平成二十九年十二月末の時点でございますが、経営状況を確認できました就労継続支援A型事業所三千三十六カ所のうち、経営改善計画提出の必要がある事業所は二千百五十七カ所ということで、全体の約七割となってございます。

 なお、最新の状況につきましては、現在、都道府県等に対しまして平成三十年度末時点での状況を調査しているところでございまして、いずれにいたしましても、健全な運営を確保してまいりたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 その二千百五十七カ所では何人の障害のある方が働いているんですか。

橋本政府参考人 申しわけございません。今現在、その数字は手元にございません。

岡本(充)委員 それも通告したはずですよ、何人働いているんだと。少なくとも二千人以上はいるんですよ。二千百人以上はいるんです。それ以下ということはあり得ない。これだけの人たちが今、要するに経営改善計画が満たされなければ取消しの可能性があるところで働いているという、この状況ですよ。

 きょうは副大臣、政務官にもちょっと残っていただいたのは、今お話を聞いていただいたように、きちっと経営ができていない場合には、今の話で、取消しの可能性があるということでもありますから、農福連携で一体どういう収益が出てきているのか、こういったことをきちっと見る、そしてまた文科省においては、生徒さんを紹介する、あっせんするときに、そのあっせん先の経営状況もきちっと見る、これが極めて重要だということをぜひ二人の政務に聞いていただきたくて、ちょっと、質問が終わった後も残っていただきました。

 お二人の方、済みません、お時間をとりましたけれども、これでもしよろしければ退席していただいて結構でございます。

 さて、何でこの就労継続支援A型がこういう形になっているのか。

 二ページ目のところでごらんいただけますように、結局、モデルケースで考えてみると、これも通告していますけれども、実際に報酬だけ、要するに、売上げがなくても報酬だけで場合によっては経営者に利益が出る、こういう仕組みが考えられる、こういう理解でいいでしょうか。つまり、きのうはパン屋の話をしました。パン屋さんがあって、パンをつくっているけれども、パンは全然売れない、でも、結果として、この報酬が入ってくるから事業を継続できる。つまり、報酬頼みで経営をしていくことが可能なのか、やはりきちっとパンが売れるように努力をしなきゃいけないよね、この話をしたのをバックにいる皆さんは覚えていると思います。

 そのときに、本当にいわゆる報酬頼みでやっていくことに問題があるからこそ、経営改善計画を出すわけです。したがって、報酬だけでやれてしまうこの状況、これは現にあるという理解でよろしいでしょうか。

橋本政府参考人 今委員から御指摘がございましたように、利用者に賃金を支払うための十分な生産活動ということを行わずに、国からの補助金ですとかあるいは障害報酬ということを頼りにして運営している就労継続支援A型事業所が存在しているという御指摘は、私どもとしては承知をいたしております。

 このため、平成二十九年四月から、就労継続支援A型の指定基準を見直しまして、生産活動収入から利用者である障害者の賃金を支払わなければならないということにいたしまして、これを満たさない場合には、経営改善計画の提出を義務づけ、経営改善に取り組むということにしているわけでございます。

 また、昨年の四月の障害報酬改定におきましても、就労継続支援A型事業につきましては、補助金等を目当てとした安易な参入を防止し、支援コストに見合った適正な報酬とする観点から、利用者の平均労働時間に応じて報酬を支払う仕組みに見直しをいたしました。

 こうした取組によりまして、利用者に賃金に見合う労働の機会を提供していただく仕組みを強化しておりまして、引き続き健全な運営を確保していきたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 私は、その質問は最後に聞こうと思ったんです。

 私が聞きたいのは、今の報酬体系の中でも、実際に報酬だけを頼みにして経営を継続することができる、そういう報酬体系になっているんじゃないんですかと。

 もちろん、報酬は、いろいろな意味で、サービスをするために報酬を下げろと私は言っているわけじゃないんですよ。私は、ちゃんと事業が継続できるかどうかの評価が十分できていないんじゃないか、そもそも、最初にきちっと、事業を始める前に十分練られているのかどうかというところについて疑義を持っているわけでありますが、現状の報酬単価でいけば、当然、報酬単価だけで経営が成り立ってしまう、こういう報酬単価であるということは厚生労働省として認識をしている、そういう理解でよろしいですか。

橋本政府参考人 先ほど申し上げましたように、A型事業所で働いている障害者に対する賃金、これは、補助金や障害報酬を頼りにして、そこから出すという形であってはならないということで、経営改善計画の提出というふうな対応をとっているわけでございます。

 障害報酬として支払っておりますのは、A型事業所のところにいる、障害者に対する指導を行う指導員ですとかそういった方々の人件費などといった事業運営の中に充てられるべきものでございまして、障害者に対する賃金として支払う部分というのは基本的に生産活動の中から支払っていく、そういう考え方でございます。

岡本(充)委員 そんな考え方は聞いていないんですよ。報酬の中で経営が成り立ってしまう、そういう認識があるのか、こう聞いているんです。

 もう時間になりますから、午後にまたいろいろ聞きたいと思いますが、いずれにしても、きちっとA型事業所が収益が上げられるようにしなきゃいけない。なおかつ、上げられなければ、結果として、でも、廃止になれば障害者の雇用が絶たれる可能性があるわけですから、これは大変大きな問題ですよ。二千以上の事業所がこの状況だということを、大臣、聞いていただいたわけですから、速やかにアクションを起こしていただきたいと思います。

 では、午後、質問を続けさせていただきます。ありがとうございました。

冨岡委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時九分開議

冨岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。岡本充功君。

岡本(充)委員 じゃ、午前中に続いてお伺いをしようと思います。

 大臣、先ほど伺いましたけれども、そもそも公務員も除外規定がありますが、この公務員の除外規定、私が配っている資料の五ページ目の別表第一でありますが、ここに書いてある職員が除外されないとすると、更に何人の障害のある職員を雇用しなければならないのか、人数を教えてください。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 除外職員の制度につきましては、平成十四年の改正の際に一定の見直しが行われて、限定的な職員について、本則において除外職員の制度を維持するという形になっているところでございます。

 その限定をかけた部分というのは、基本的には除外をするという制度が維持をされているわけでございまして、この除外をしている部分については例えば警察官、自衛官といったものが含まれておりますが、同様の職種が民間にはなくて、かつ、国民の生命の保護とともに、公共の秩序の維持を職務としていて、その遂行のためには職員個人による強制力の行使などが必要であるような公務員、こういったものが限定的に除外職員の制度に残っているわけでございます。

 そういった形で、制度として、本則で残っている制度でもございますので、今御指摘の点について申し上げれば、仮にということではございますけれども、もともと制度的には外れている、そこについての仮定のもとで数字をお出しするという形はなかなか適当ではないかなというふうに思っておりますので、数値をお示しすることについては差し控えさせていただきたいと思います。

岡本(充)委員 いや、だって、それを言い出したら、質疑がまたとまるから。

 だって、聞いてくださいよ。きのう大分やったんだ。警備員、これは入っていないんです、民間は。何で民間に警備員がないか。同じじゃないですか、秩序を守らなきゃいけない。でも、警備員の皆さんたちは除外されないんですよ。何でなんだという議論を大分やったんですよ。

 単純に数字を掛け合わせれば人数は出るわけですよ。何人になるんですかと言ったら、単純に数字を掛ければ出るときのう言ったじゃないですか。単純に人数を掛けていった場合、一体何人になるのか。だって、これは午前中に、今から四時間も前に聞いているんですから、人数を掛けて何人になったのか答えていただきたい。何人ということを答えていただけますか。

土屋政府参考人 各省からいわゆる六・一、六月一日現在の状況として通報いただいているデータで国の行政機関について見ますと、おっしゃっているような除外職員の数も含めた職員の総数というのは約五十八万人ということになります。ですので、仮にということであれば、法定雇用率は今二・五%でございますので、五十八万人の二・五%が法定雇用数ということになるということでございますが、その前提の中で、各機関ごとの事情もございますので、それ以上の具体的な数字というのはなかなか出しにくいという状況でございます。

岡本(充)委員 委員長、まだ私に質問しろと言われるんですか。今、式まで言ったんですよ、五十八万人掛ける二・六%。現在雇われている人の数、そして足りない人の数を引いて仮に何人になるんですか、こう聞いているんです。計算をすれば出るんですよ。何人なんですか。

土屋政府参考人 先ほど来申し上げておりますように、仮定の数字はなかなかお答えしにくいということで、五十八万人の二・五%が法定雇用数だというふうに申し上げた次第でございます。

岡本(充)委員 委員長、五十八万人の二・六%、そして現に雇われている人の数を引いて、足りない人の数を引いて、そうしたら残りの数は何人になるんですか、仮にこの計算は幾らなんですか、こう聞いているんですから、ちゃんと委員長から答えさせてください。

冨岡委員長 計算してください。

土屋政府参考人 先ほど申し上げている、恐縮です、五十八万人の二・五%というのを計算しますと約一万四千人ほどになると思いますが、ただ、そこで不足がどのぐらいということについては、除外職員以外の部分で雇用されている障害者の職員数というのは把握をしておりますけれども、除外職員の部分でどのぐらい障害者の方がいらっしゃるかということについては私どもとしても推計をする前提を持っておりませんので、なかなか不足数についてはお答えがしにくいということでございます。

岡本(充)委員 いや、除外職員は、だって、障害者が務めるのは難しいということで除外職種になっているでしょう。そこに雇うのが難しいことを想定しているから、こうやって別表をつくっているんです。

 今の一万四千人ですか、そこから今雇われている職員の数を引いて、そして足りない分の数を引いて、その数は一体何人になるんですか。

土屋政府参考人 今雇われている数は三千六百二十人という数字でございますので、差引きをすれば一万一千人ほどということになりますが、先ほど申し上げたように、除外職員の中での状況というのは私どももつぶさに把握はできておりませんので、その部分について推計ができないという前提ではお答えがしにくい状況であるということでございます。

岡本(充)委員 この一万一千という数字を聞くまでに何分消費をしたんですかね。こういう質疑で本当にいいんですか、委員長も。ちゃんと人数を仮定でいいから答えてくれと言ったらきちっと答えてもらえるように、委員長もぜひ御指導いただきたいと思います。いかがですか。

冨岡委員長 僕が答えるわけにはいかないので、要求して。何か差しさわりがありますか。

 では、もう一度言ってください。計算していないんですかね。質問者は答弁者に質問してください。

岡本(充)委員 端的に答えていただきたいんです、限られた時間ですから。

 続いて、そうしたら、今度は、法案の中身のことでもう少し聞いていきたいと思うんです。

 そもそも、今回、各府省の法定雇用率未達成の場合の未達成相当額の使途について限定を設けていないことは、なぜ限定を設けていないのか。若しくは、六十万円のお金を掛けるそうですけれども、翌年度、いわゆる庁費から引くという話、減額するんですが、このお金の使い道は決まっていません。これは、何で使い道は決まっていないんですか。

 民間相当の仕組みを参考にしたというのであれば、当然、障害者施策に使うべき、障害者を雇用するために使うべきのお金が、なぜ、極論を言えば、減額した分で戦闘機が買えるのかがよくわかりません。どうしてですか。

土屋政府参考人 御指摘の点は、本年三月に関係閣僚会議で取りまとめた、基本方針に基づく対策の更なる充実・強化についてという文書の中でまとめたものであろうかと思います。

 まず、未達成の場合の未達相当額、これについては、この文書の中でも「適切に活用することにより、各年度の予算編成において、必要な障害者雇用の促進策の充実を図ることとする。」というふうに記載してございますので、この部分については、障害者雇用の促進策に使うということははっきりしているということであると思っております。

 その上で、具体的にどのような施策にこれを充てていくのかということについては、各年度の予算編成において、施策の必要性等を見きわめた上で検討するということになろうかと思いますので、今の段階で何かということが具体的にお示しをできるという状況ではないかなというふうに思っております。

 それから、もう一つの庁費の削減につきましては、民間の制度において納付金の制度があるというようなことも踏まえ、またこれまで未達成の状況が続いてきたという中で、これを是正する重い責任があるということを踏まえて庁費の減額をする仕組みを導入するということでございますので、これは、減額をするという全体の中で対応していくということで、特にこの減額をした分を何かに充てるという考え方をとっていないということでございます。

岡本(充)委員 それは事実を聞いているだけです。何でそういう制度にしているのかという理由を聞いているんです。そんな、制度の説明なんかしなくていいですよ。理由を聞いているんです。時間を浪費しないでもらいたい。なぜですか。

土屋政府参考人 そうした理由という意味では、先ほど申し上げましたように、一つは、民間において納付金制度が設けられているということ、それからもう一つは、これから是正をしていく重い責任があるということ、そういうことを踏まえて、民間の納付金制度も踏まえつつ、こういう制度を導入したということでございますので、そういう考え方に基づいているということでございます。

岡本(充)委員 これも答弁をずらしていますよ。

 聞いてくださいよ、委員長。お金を取るのは、納付金制度に基づいて取っているんです。民間は、納付金を使って障害者雇用に資するお金にそれを回しているんですよ。ところが、今回、庁費を減額した分は何に使うかわからない。減額されたお金、浮いた分で戦闘機だって買えるでしょうときのう話をしたんですよ。その理由は何ですか、こう聞いているんです。

 制度は民間のようにつくった、金額も、そしてお金を徴収するところも一緒、でも、その使い道は何にでも使えるという国の方針は何でですか、この理由を聞いているんです。こういう制度になっていますじゃないんです。なぜですか。

土屋政府参考人 先ほど申し上げましたように、減額の考え方は、達成されていない状況を是正する、それを促していく、そのために減額をするという考え方に基づいているということでございまして、その上で、全体の予算編成は、基本的には、全体の中で財務省の方で御検討がされるということではないかというふうに思っております。

岡本(充)委員 それはちょっと、答えていないですよ。ちょっと、委員長、整理してください。

冨岡委員長 ちょっと、速記を一時とめてください。

    〔速記中止〕

冨岡委員長 では、速記を起こしてください。

 土屋局長。

土屋政府参考人 繰り返しになる部分はあるかと思いますが、今回の庁費の減額は、この仕組みを導入することによりまして各府省の採用計画の達成を促すというものでありまして、その庁費を何らかの歳出に充てるということを想定するものではないということでございます。

岡本(充)委員 それは制度の説明をしているんです、委員長。ほかのところでは減額したお金を、つまり出てきたお金を障害者雇用に使うんですよ。減額したお金をなぜ障害者雇用のために使わないんですかと聞いているんですよ。理由を聞いているんです。仕組みを聞いていません。

冨岡委員長 質問の内容はわかっているね。

 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

冨岡委員長 起こしてください。

 土屋局長。

土屋政府参考人 今回のその対応というのは、三月の取りまとめの中で二つの要素を盛り込んでおりまして、二つセットでできている。

 先ほど申し上げましたように、未達成相当額については、これはしっかりと障害者雇用の促進策に充て、一方、庁費の削減については、これは各府省に対応を促すという意味でございますので、減額をし、その上で何らかの特別な目的の歳出に充てるということを想定しない、その二つをあわせて雇用の促進を図っていくという制度として、政府全体で取決めをしたというふうなものでございます。

岡本(充)委員 説明になっていませんよ、これは。大臣、わかっていますか。

 片一方は、未達の分は障害者雇用に資するように使っておいて、庁費を減額したお金は政府全体で使っていく、合わせわざだと。いや、違うでしょう、だって、それぞれ出どころが違うんですから。それは答弁になっていないんですよ。大臣、これは何遍やっても多分できないんです。きちっとこれは整理する必要がありますよ。

 大臣、ちゃんと指導して、このあり方をもう一回ちょっと整理して、報告していただきたい。大臣、どうですか。ちゃんと説明に来てください。

根本国務大臣 私の理解も、法定雇用率が未達成の場合には、その未達相当額を適切に活用することによって、各年度の予算編成において必要な障害者雇用の促進策の充実を図るというのが基本方針ですから、まあ、私もそういう理解なんですが。ただ、今の、何のために減額するかとか、理由が二つあるとか、いろいろなやりとりがありましたので、そこはちょっと整理させますから。

岡本(充)委員 まあ、整理をするということに免じて、では次の話に行きます。いつかまた聞きたいと思います。ちゃんと整理した方がいいですよ。

 では、続いて、先ほどの別表の話にもう一回ちょっと戻るんですけれども、民間の方の除外率をなくしていくということであれば、当然、公務員におけるこの別表についても、先ほど指摘をした皇宮警護官等、これについても今後縮減をしていく、なくしていく、こういう方向でいい、こういう理解でいいですか。

土屋政府参考人 今の点につきましては、平成十四年の改正の際に、除外職員の見直しと除外率の見直し、官民それぞれの見直しを行ったわけでございます。

 観点としては、ノーマライゼーションという観点から、一方で技術革新なども進んで、職場環境の整備が進んできているという環境のもとでやっていくということでやったわけでございますが、除外職員については、先ほど申し上げましたように相当の限定をかけて本則に残すという考え方でやってまいったわけでして、当時の審議会の意見書においても、やはり、国民の生命保護とともに、公共の安全、秩序の維持を職務とするそういった職員については別途の取扱いが必要だという前提で整理をされているという意味におきましては、今後また制度の見直しを行う機会はあろうかと思いますけれども、基本的には、除外職員の制度は限定的に本則に残るということが今の制度の整理であるというふうに思っております。

岡本(充)委員 大臣、聞いてくださいよ。民間では警備業は入っていないんですよ、この除外に。警備会社の人たちは、警備の職員ではなかなか障害のある人たちは使いづらい、使えないと思っても、ほかの職種でその分をカバーして頑張っているんですよ。

 厚生労働省、麻薬取締官、確かに麻薬取締官で障害のある人は雇用しづらい、だからここの除外に入れているんだと言うかもしれないけれども、ほかに大量に職員がいる、そっちで法定雇用率をカバーすることは幾らでも可能なんですよ。そう思いませんか、大臣。この私の考え方は違いますか。厚生労働省における麻薬取締官の数とそれ以外の職員の数は圧倒的に差があるでしょう。であれば、そちらでカバーすることができるんじゃないか、この考え方はおかしいと思いますか、大臣。これは答えてください、大臣。大臣に聞いています。

根本国務大臣 少し補足は局長にさせたいと思いますが、この障害者雇用率をどう見るかという考え方をどう整理するかということだと、私も今、やりとりを聞いていて思っておりました。

 もともと、先ほどもお話がありましたが、やはり警察官、自衛官、麻薬取締官も同じ性格だと思いますが、同様の職種が民間にはなくて、特に、国民の生命の保護とともに、公共の秩序の維持を職務としており、その遂行のためには職員個人による強制力の行使等が必要であるような公務員ということに着目して、公務における除外職員という仕組みを入れているんだと思います。

 これは、平成十四年、ノーマライゼーションの理念のもとに民間はそういう対応にしたわけですが、要は、公務の部分については今のような考え方で除外職員として、岡本議員の言っているのは、それ以外にほかの職員がいるんだから、それをカバーすればいいではないかという御意見ですよね。

 だから、そうなると、そもそも、いや、そういう考え方も一つの考え方としてはあるかと思いますが、ただ、もともとこの除外職員という考え方は、公共の秩序の維持を職務として、遂行のために強制力の行使等が必要であるような公務員ということで、そこは対象から外したということですから、ここはある種政策判断の違いではないかなと私は思います。

岡本(充)委員 そうしたら、今の話で、やはり政策判断なんですよ。

 それで、今の話、一万一千人で、今回募集する人の約四千人を引いたら、ノーマライゼーションが進めば、ざくっといって七千人、新たな雇用が生まれるかもしれない。

 確かに、自衛官、警察官は難しいところがあるのかもしれない。しかし、政府全体でカバーすることは今度は逆に可能なんじゃないか。そういうふうに考えていけば、この除外している職員の数を政府全体でカバーする、若しくは厚生労働省で麻取の分の法定雇用率をカバーする、こういうことは可能なんだという考え方があるということを踏まえて、ぜひ検討していただきたいということをお願いしたいと思います。

 その上で、もう一つ、次の話に行きたいと思います。

 法の八十一条の免職規定、公務員が免職されることを前提として規定を設けています。

 そもそも、国家公務員法の七十八条四号ですか、これで免職をされた人はどれだけいるのかといったら、社会保険庁が年金機構になったときの五百二十五人、これをさかのぼると一九六四年の姫路城の改修工事のときにあったという話であります。それぐらい、ない話。

 これをわざわざ法定化するということは、今後、解雇することを想定しているのかと思わせるんですけれども、なぜ、国家公務員法七十八条の四号による免職をわざわざ法に規定したのか、ほかの法律にこれと同じような、七十八条をもとにした条文を用意しているのか、あわせて二つ、お答えいただきたいと思います。

土屋政府参考人 今回この規定をお願いしておりますのは、もともと民間企業に対しましては解雇の届出ということを既に規定させていただいているわけでございまして、この規定の趣旨は、障害者の方々ですと、就職するに当たってさまざまなハンディキャップもございますので、再就職に比較的長い期間を必要とするというようなことから、事業主都合によって離職をするというようなことが明らかになったときは、ハローワークを含めて再就職に向けて速やかな対応をする、こういう必要があるので、事業主に、ハローワークの所長、公共職業安定所長に届出をしていただく、これを義務づけたということでございます。

 今回の改正では、公的機関への対応について、さまざま民間とのずれといいますか、足りなかったところなどの規定の整備をお願いしているわけでございまして、なかなか、具体的なケースとしては、おっしゃるようにまれな場合になるかとは思いますけれども、公務員の場合でも、事業主都合に当たるような免職があった場合には、これはやはり同じようにハローワークにおいて再就職の支援をしっかりとやっていく必要があるという観点からこの規定をさせていただいた、こういう趣旨でございまして、障害者の方の免職というのがケースとして多いことを前提に考えているということではなくて、今申し上げたような制度の趣旨から、官民同様の規定をさせていただくということにしたものでございます。

岡本(充)委員 ほかの法律で類似のものがあるかどうかについては、どうですか。

土屋政府参考人 ちょっと、他の法律で類似のものがあるかどうかは、恐縮でございますが、今、私としては承知をしておりません。

岡本(充)委員 大臣、それもちゃんと後で報告をいただきたいと思います。

 それで、大臣、もう一つ。

 最後の方につけていますけれども、さんざん議論になっていますけれども、民間からの引き剥がしが出るんじゃないか。それについて大臣は、まずは実態調査をしたい、実態調査を把握した上で、必要に応じて対応があり得るのか、そこは考えたいと思います、こう答弁しているんですよ。

 それで、対応の中には、納付金について何らかの猶予なり免除なりするということも含まれるのか否か、これだけ端的に、もう時間が来ていますから、答えてください。

土屋政府参考人 御指名いただきましたので、御答弁申し上げたいと思います。

 先般から御報告申し上げておりますように、各府省の採用状況の調査を踏まえますと、公務部門における障害者の採用が多様な入職経路で行われている中で、影響が生じている企業も一定程度あるというのが現状であろうというふうに思っております。

 今後、更に地方公共団体などを含む全体の採用状況を把握していきたいと思っておりますが、その上で、現段階としては、雇用率未達成の民間企業に対する行政措置、計画作成命令などを猶予するなど、あるいはハローワークにおけるチーム支援を今後速やかに実施するなど、民間における障害者雇用に関する支援の強化を検討しているところでございまして、今後とも、更に実態把握に努めてまいりたいというふうに考えております。(岡本(充)委員「答えていないんです。含まれるか否かだけですよ」と呼ぶ)

 今、最後に申し上げましたように、さらなる実態把握に努めて、どのような対応を行っていくのかということを検討してまいりたいというふうに考えております。

岡本(充)委員 ちょっと委員長、大臣に聞いています、含まれるか否か。含まれ得るのか、含まれないのか、これだけだから短いんです。検討の中に入っているのか、入っていないのか。

土屋政府参考人 おっしゃっているような点について、どのようなことが考えられるのかということもなかなか難しい点があるかと思いますが、いずれにしても、それも含めての検討というのは、実態把握の上で検討してまいりたいということだと思います。

冨岡委員長 検討中ということですね。

岡本(充)委員 わかりました。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、藤田文武君。

藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。

 私の方からは、採用計画について少し踏み込んでお話を聞きたいと思います。

 まず、大規模かつ長期にわたる障害者雇用の不適切計上は、国民の信頼を著しく失したわけでありますけれども、これを回復していくというのが第一義でありまして、実際に不適切があった分、不足分を一気に大量採用して、それを数字合わせのように穴埋めするというのが目的化してしまうと、非常に心苦しいというか、これは大失態にもう一度なってしまう。

 私は、せっかくこれを進めるんだったら成功させないといけないという問題意識の中で、少し突っ込んでお話を聞きたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 まずは、事実関係からお聞きしたいと思います。

 二〇一九年の末までに新たに約四千名の障害者の新規採用を行うと。既に二千数百名の採用が進んでいるという状況ではありますけれども、そもそも、いつ、どこで決定されたものか、事実関係を含めてお聞きしたいと思います。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のございました点ですが、昨年の十月に、今般の事態の判明を踏まえまして、関係閣僚会議において基本方針が取りまとめられております。その中で、「法定雇用率を達成していない府省は、」「障害者雇用促進法の下、平成三十一年末までの障害者採用計画を策定し、当該計画に則って法定雇用率の速やかな達成に向けた取組を進める。」とされているところでございます。

 これに基づきまして、昨年六月一日現在の法定雇用率を達成していない府省において、ことしの一月一日を始期とした一年間の採用計画を策定した結果、ことし末までに新たに約四千人の障害者を採用するということになっているということでございます。

藤田委員 ありがとうございます。

 その決定された会議の構成メンバー、一応、念のために教えてください。

土屋政府参考人 この関係閣僚会議は、内閣官房長官を議長といたしまして、厚生労働大臣を副議長として、関係する十六の府省等の大臣等を構成員としているものでございます。

藤田委員 ありがとうございます。

 四千名といいますと、かなり大量の採用になるということだと思うんですけれども、どのような趣旨で、どのような検討がなされ、どんな経緯で、人数とまた期限、二〇一九年末までにという期限が決定されたかというのを教えてください。

土屋政府参考人 今般、多くの府省におきまして対象障害者の不適切な計上といったものがあり、法定雇用率を達成していないという状況が明らかになったわけでございまして、国民の皆さんや民間事業主の方々の不信を招く事態となっていることから、できるだけ速やかに法定雇用率の達成に向けて取り組む必要があるというふうに考えております。

 障害者雇用促進法におきましては、法定雇用率を達成していない公的な機関は、六月一日現在で確認をした結果を踏まえて年内に達成するということが難しければ、法定雇用率の達成に向けた障害者採用計画を作成するという形で運用しておりまして、その計画期間は関係法令によって一年間とされているわけでございます。

 こういった考え方のもとで、先ほど申し上げましたように、未達成となっていた府省においてことし一年間の採用計画を策定していただいているというものでございます。

藤田委員 ありがとうございます。

 できるだけ速やかにこれを解消しようというのは、気持ちとしてはわかるんですけれども、そもそも、雇用されている障害者の数は、当初カウントでは七千五百九十三名とされていたところ、再点検したところ三千七百十一名ということで、大体半分ぐらいは不適切な計上だったということで、これをプラス四千名してしまいますと、正直、短期間で倍増させるということになるわけです。

 民間企業で考えたら、仕事の量が、例えば事業の規模が倍になって倍にするんだったら何とか妥当かなというふうにも思えるところですけれども、仕事が変わらずというか、この状況で一気に倍にするというのは、非常に僕はリスクを伴うんじゃないか、課題もたくさん先送りされている中で、非常に厳しいんじゃないかというふうに正直思っています。

 まず、この四千名というのは、採用数という概念でいいのか、又は雇用数、安定的に雇っている数という意味で四千名を維持していく、四千名採用されたその母数を維持していくという考えか、どちらかお答えいただいてよろしいですか。

土屋政府参考人 今御指摘をいただきましたように、国の行政機関で見ますと、昨年の六月一日現在の不足数が三千八百七十五人ということがあって、採用予定数四千七十五・五人、こうなっているわけでございまして、これは今般の事態への対応として採用を予定する数であるというふうに考えております。

 なお、これは予定数であるという面もございまして、例えば採用後の離職者の発生などがあれば実際に採用すべき人数というのは変動し得るということでもございます。

藤田委員 企業とかでもあるんですけれども、例えば、採用数だけをノルマにすると雇って終わりみたいな力学がどうしても働きやすいので、実際に安定して雇用していくというところにもやはり目を向けて、何かしらのキャップをかけておかないことには非常に難しいんじゃないかなというのは思っています。

 その上で、採用計画の数と期限について設定がもう既にされていますけれども、これは適切かつ妥当だとの認識であるかを、局長、お答えいただけたらと思います。

土屋政府参考人 今御指摘のありました採用計画の特に期限ということについて申し上げれば、先ほどもちょっと申し上げましたように、障害者雇用促進法のもとで採用計画をつくるということが決まっていて、その計画期間というのは関係の法令などによりまして一年間というふうにしているところでございます。

 速やかな達成に向けて取り組むという観点から、ことし一年間の計画を作成して、達成に向けて取組を進めているところでございますが、御指摘がございましたように、実際の業務をどうするのかというような点、あるいは採用した後の定着についてどのように取り組んでいくのかというような点、さまざま進めていく中での課題も出てくるものというふうに思っておりますので、私どもとしては、まずは関係法令に沿ってこの取組を進めてまいりますが、その進捗状況や課題については、適宜関係の会議などでフォローアップをしながら、政府一体となった取組を進めていく、それを通じて、障害者の方の希望や能力に応じた活躍しやすい職場づくりというのをやってまいりたいというふうに考えております。

藤田委員 関係法令に準じてというのはわかるんですけれども、実態として、もう既に雇われ始める人もいるし、実際そこでの人間関係が始まるわけですので、そこで後づけで対応していくというのは、私は非常に心苦しいというか、本来あるべき信頼の回復につながるかどうかがちょっと疑問なんですね。

 それで言うと、四千名の仕事の切り出し、この切り出しというのが非常に重要になるというのが、参考人の方も複数おっしゃられていましたけれども、この四千名の仕事の切り出しというのは既にできているものでしょうか。

土屋政府参考人 各府省においてこの基本方針のもとで障害者雇用を進めていただく、そういった中においては、やはり身体障害者、知的障害者、精神障害者といったそれぞれの障害特性などを踏まえて、働きやすい就労機会というものを提供するということが大切だということ、このことは基本方針にもうたっているところでございます。

 そのための業務の選定、切り出しについては、厚生労働省としても、さまざまな支援を各府省に対して申し上げているところでございまして、例えば、障害者雇用に精通をした民間などを含めた経験をお持ちのアドバイザーを選任いたしまして、障害者の方の具体的な業務の選定について各府省に対してその実情に応じた専門的な助言をするというようなことに取り組んできておるところでございまして、これからもそういった各府省の取組に対する支援を最大限やってまいりたいというふうに考えております。

藤田委員 要約すると、できていないということでいいんですよね。そういうことですよね。

 それは普通で考えたらあり得ないと思うんですよ。やはり、何をさせるかとか切り出しとかリスクを、いろいろ対応を考えた上でどれだけの人数を採用するかというふうにしないことには、もう既に雇用が始まっている人もいるわけで、非常にこれは危ないことだなというふうな認識だと思います。

 その上で、一斉に大量採用をするときにリスクがいろいろあると思うんですよ。実際に離職するリスクもそうですけれども、人間関係のトラブルもありますし、障害特性によるリスクもありますけれども、そのリスクの想定とそれに対する対応策みたいなものは既にもう考えられてありますでしょうか。

土屋政府参考人 御指摘の点については、確かに、一時期に多くの採用を進めていくという意味において、さまざまな課題が出てくるということがあろうと思っております。

 単なる数合わせになるようなことのないように採用を進めていき、採用された障害者の方が希望と能力に応じて活躍していくというような状況をつくりたいというふうに思っておりますが、このため、各府省の取組としては、基本方針のもとで、障害者雇用を進めていくための実務責任者を配置する、あるいは働く障害者向けの相談窓口を設置する、それから個々の障害者の方をサポートする支援者の配置、委嘱をするなどの取組を進めていただいているところでありますし、厚労省としても、先ほど申し上げた専門アドバイザーによる支援であるとかハローワークからの支援、それから、何より障害者雇用なり障害特性に対する理解を進めていくという点からのセミナー、講習会、職場見学会といったものを、各府省の職員向けにやっていくというようなことを展開しているところでございまして、引き続き、こういった取組を通じて、各府省の取組をしっかりと起こしていきたいというふうに思っております。

藤田委員 なのでお聞きしていると、やはりそれもできていなくて、これからやっていこうということやと思うんですけれども、それはもう言い出しても切りがないので、もういち早くやっていただきたいというのが結論です。

 それに当たって、この四千名の採用後に実際にそれがうまくいったかどうかというのが、やはり、国民の皆さんだったり、あと、障害にかかわる、御当人ももちろんそうですけれども、御家族、それからそういう障害にかかわる各種団体の方々も興味のあるところやと思うんですね。その中で、検証についての計画をちょっとお聞きしたいと思います。

 まず、そもそも、過去の障害者の採用関連のデータ、例えば障害者の総在籍数、各年次の在籍数、それから、新規の採用数、離職者の数、離職率というものがまとめられたものというのはありますでしょうか。

土屋政府参考人 各府省の状況については、毎年六月一日現在で任免状況報告を通報いただいておりますので、そのデータの推移という意味では、雇用障害者数あるいは採用数といったものを追いかけることができるわけでございますが、今回のような不適切計上があったという意味で、各府省のデータについて取扱いに留意しながらやっていく必要があるということで、過去について十分に把握をするということができる状態ではないのではないかというふうに思っております。

藤田委員 ありがとうございます。

 事前の意見交換、レクのときにも結構突っ込んで聞いたんですけれども、要するに、各年次でそれぞれの省庁に何名採用されて、その後に何名やめて、そうしたら純増純減がどれぐらいで、六月一日には何人になっている、こういうことが当たり前じゃないですか。それはもう簡単な計算やと思うんですね。実際に離職率がどれぐらいかで、離職した理由とか、突っ込んで問題を抽出していくわけですよ。それがあって初めて採用計画をどういう形にするかというのは、これは民間企業やったらもう当たり前にやっていることです。

 でも、データがないということは、実際にこの四千名が本当に妥当なスピードで雇われて、妥当な量を採用しているのかということがそもそも予測できていないということじゃないですか。だから、予測できずに倍増させるということの危なさというのをよくよく理解した上で大号令をかけないと、この四千名の人たちが悲しんで終わるというか、生き生きと本当の意味でちゃんと働けるという環境整備がなされないんじゃないかということを私自身は本当に危惧しています。

 そもそも、発想として、数字合わせで、メンツのために穴埋めしたみたいな形にどうしても思えてしまうんですよ、この四千名の採用というのがね。

 私は、個人的には、例えば、どうしても法定雇用率の問題があるので四千名をカバーしないといけないというのであれば、例えば千名ずつ四年間にするとか、五百名ずつ八年間にするということも、選択肢としてあったはずなんですよ。その方が入ってきた人に対してしっかりとケアができて、その人たちに対して本当の働きどころを提供するために周りの理解を醸成していく、これが本当の信頼を回復するということやと私は思うんですよ。

 でも、えいやで四千名をもう既に走り出してしまったわけですから、こういう過去の採用関連データに関しては今からでも実際にまとめていただきたいという思いがあるんですけれども、実際に、そのあたりはいかがですか。

土屋政府参考人 なかなか、過去にさかのぼる分については各府省においても現実の問題として難しい点があろうかと思いますけれども、今後、少なくともこれからの状況については、これは毎年六月一日現在の状況をいただくのが一つの節目でございますので、その機会にどういったデータをより多くいただいて、それを今後の分析に生かしていくかというような観点から各府省にお願いをしてまいりたいというふうに考えております。

藤田委員 ありがとうございます。

 他党の委員の方も、属性をしっかりと把握してくれとかいろいろあったと思うんですけれども、そもそも、やはり新規採用が何人どの部門にされて何人やめていったかということの推移表ぐらいは、もうほんまに、さかのぼってやっていただきたいなと思って。実際、不可能じゃないと思うんですよ、入職のときの書類と退職時の退職届もあるんですから。それはぜひ検討していただきたいなと思うことと、今後に関しては、それをまとめておく計画をぜひつくっていただきたいと思いますが、それはいかがですか。

土屋政府参考人 繰り返しになる点があるかと思いますが、過去についてはなかなか、どういったことができるかという意味では難しい点があるかと思いますけれども、過去についてどのようなデータを追いかけることができるか、今後検討していきたいと思いますし、また、これからについては、これはやはり、公的な部門での障害者雇用の動きということについて私どもも十分な情報をいただいて考えていく必要があると思っておりますので、これもまた、どのような情報をいただいて今後に生かしていくのかということについて十分検討してまいりたいというふうに考えております。

藤田委員 今後については、やはり定量的なものは必ずやっていただきたいなという思いはあります。

 プラス、やはり定性的なものもやっていただきたいなと思っていまして、例えば、実際に働いている方がどんな仕事にかかわっていて、働きやすさはどうか、アクシデントはあったのかなかったのかとか、そういうこともアンケート調査なんかをやればすぐに出てくる、統計的にも分析できるものですから、本人や上司また同僚という者に対してのアンケートだったりヒアリング調査というのはぜひやっていただきたいなというふうに思っていますけれども、そのあたり、いかがですか。

土屋政府参考人 先ほども申し上げましたように、今回採用を進めていくに当たって次の課題として出てくるのは、やはりそういった方々にいかに充実した勤務をしていただき定着をしていただくかということになってくるかと思いますので、今御指摘いただいた点については、例えば、ことし六月一日現在の任免状況をこれから各府省からもいただくことになりますけれども、それにあわせて、各府省を通じてそういった定着に関するようなさまざまな事項についてアンケートをお願いする、新たに雇用された障害者の方にアンケートをお願いするというようなことを考えていきたいというふうに思っております。

藤田委員 ぜひしっかりやっていただきたいと思います。

 今回、四千名を採用するというのに当たっては、先日の参考人の楽天ソシオビジネスの川島副社長も言ってはりましたけれども、受験者とか、あとは受験を検討した人というものがやはり社員の中でも出てきているということをおっしゃられていました。

 つまり、民間を圧迫してでも大量採用してしまったという計画であるからには、やはりこれを本当の意味で成功させていただいて、本当に障害者の方がちゃんと働ける場を、模範となるようなことをやっていただきたいなという思いでちょっと突っ込んで質問させていただいたんですけれども、ぜひこれから可及的速やかにやっていただきたいと思います。

 それから、ちょっと話題をかえまして、一点だけ。

 今取り組まないといけないことの一つで、労働市場に出てくる障害者の方々に対してどのような支援をしていけるかということは、今後、障害者雇用ということを十年、二十年のスパンで考えたときに非常に重要であると思っているんですけれども、この問題は参考人の方にも意見をお聞きしたんですけれども、特に小中学校で発達障害の子供たちに対しての進路指導というものが適切になされていないというか、環境整備が非常にできていない、こういうのがあります。

 ちょっと背景を申し上げますと、現在、子供の発達障害の数は年々ふえ続けていて、これは、診断技術が発達したり、診断基準が変わったり、また認知度自体が向上しているというのももちろんあるんですけれども、これを生かして、早期発見、早期療育、早期支援をしていくというのが大筋の流れで、皆さんが賛同されることやと思います。

 その中で、二〇一二年の文科省の調査によりますと六・五%の子供が発達障害であるというふうな、この後のデータはあるかと聞いたんですけれども二〇一二年が最新みたいなのでこのデータを拾わせていただきますけれども、六・五%。つまり、クラスに二人から三人の割合でいる。これで特筆すべきなのは、特別支援学校を除いて六・五%なんですね。だから、通常の学校で六・五%、グレーゾーンまで含めると一〇%とも言われています。

 これは非常に先生たちも大変な状況なわけです。この子供たちが将来社会に出たときに生き生きと働けるようにすべきなのは皆さん同意することやと思うんですけれども、その雇用する側の企業の努力、また今回のような官庁の努力ということももちろん必要なことですけれども、いかに社会性を若いうちにつけてもらって、その子の障害をちゃんと認識しながら社会に適合していくかという支援をしてあげる、療育をしてあげるというのは非常に重要なことやと思っています。

 しかしながら、今の現状でいいますと、特別支援学校については、データをいただいたんですけれども、約八割ぐらいの先生が特別支援の支援にかかわることを専門的に学んだ免許を持っておられるんですね。これは、私も知り合いがおりますけれども、特別支援学校に赴任されたら免許を取りに行け、こう言われて、免許を追加で取りに行きますので、これは一つ努力もされているし、企業との連携企画なんかも進んでいるというふうに聞いています、現場の状況でも。

 しかしながら、一方で、通常学級とか通級の方は、先生が、言ってみればそういう障害に対して全く知識がない方が対応しないといけない、こういう状況になっているんですね。実際に、母数で言うと、本当に五十人に一人とか、二、三十人に一人ぐらいの割合しか先生はその障害に対しての免許を持っていなかったり、知識がない。

 ここで起こっている現状は、子供たちももちろん適切な支援を受けられないし、保護者さんも相談できる人がいない、先生方も専門外なのにやいやい聞かれるわけです。それに対して真剣に対応しないといけないから、もちろん苦労しますよね。それで、それぞれが不幸せな状況になっている。

 なので、これはやはり、その子たちに適切な療育や支援をしていくための人材育成だったり、人材をそこに入れていくだったりいろいろな工夫が必要だと思っているんですけれども、そのあたりに対して、文科省の方に来ていただいていると思うので、御意見をいただけたらと思いますのでよろしくお願いします。

丸山政府参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘の教師の専門性の向上という観点でございますけれども、御指摘のとおり、発達障害のある児童生徒はどの学校にも在籍する可能性があることから、それぞれ各教師が発達障害の特性を理解して適切な指導を行うための資質、能力を身につけることは重要であるというふうに考えております。

 そのため、文部科学省としては、発達障害を含め、障害に応じた通級による指導を受ける児童生徒の数が増加傾向にあるという点を踏まえまして、それに対応した教員の質の担保が課題になっているというふうに認識をしているところでございます。

 このため、文部科学省におきましては、今年度から、教師の専門性を高めるための仕組みについて、通級指導の担当、通常学級、指導的立場の教師ごとに、どのような知識、内容を身につける必要があるのか、また、どの程度の時間が必要なのかなど、研修のあり方を含めまして検討を進めるとともに、通常学級との連携を求められる通級による指導について、初めて指導を担当する教員にもわかりやすい内容のガイドを本年度末までに作成することとしております。

 さらに、通常の学級における担当教員の質の向上を図るため、発達障害のある児童生徒が学習上つまずきやすいポイントや、それに対応する効果的な教科指導のあり方などを研究するモデル事業も実施をしているところでございます。

 今後とも、教師の専門性の向上を図り、発達障害のある児童生徒一人一人のニーズに応じた支援の充実につながるよう、各施策をしっかりと推進してまいりたいというふうに考えております。

藤田委員 ありがとうございます。

 ぜひやっていただきたいんですけれども、柔軟に考えていただきたくて、人材育成には時間もかかるし、だから早うやってほしいんですけれども、それだけじゃなくて、やはり、外部との連携をどうしていくかとか、ノウハウのある人材をいかに入れていくかだったりとかということも考えていただきたいし、障害の種類というのは千差万別ですけれども、その入り口となる部分というものすら、どの障害を持たれている方にも共通するような入り口となる部分にも知識がない、もう全く真っさらな状態の先生方が現場でほとんどな状況で、先生もしんどい、子供さんもしんどい、そういうような状況を本当に解消していただきたいですから、ぜひとも、いろいろな選択肢を複数検討していただいて、ぜひ現場のその苦しみをわかっていただきたいなというふうに思います。

 特に先生は、これから教員を勤められて、一生の間に発達障害の子と向き合わないという先生は恐らくいないぐらいの形になっています。必ずクラスに一人、二人、その可能性がある子がいますので、例えば、私なんかが思うのは、どの教員免許にもそういう支援の知識が得られるような単位を必修にするであるとか、そういうことも含めてぜひ検討していただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。

 時間が来ましたので、問題提起させていただいて、これで終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

冨岡委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。吉田統彦君。

吉田委員 私は、立憲民主党・無所属フォーラムを代表して、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案に対して、賛成の立場で討論を行います。

 昨年、国及び地方公共団体の多くで、障害者雇用率の算定対象となる障害者の数が水増しされており、それが長年にわたって継続していたことが明らかになりました。

 民間企業より責任が重く、率先して障害者を雇用する立場にある中央省庁等が法定雇用率を達成しているかのようにごまかし、多くの障害者の雇用の機会を奪ってきたことは、言語道断と言わざるを得ません。そして、二度とこのようなことが起こらないようにしなければなりません。

 本法律案では、この水増し問題の再発防止策として、国及び地方公共団体に対するチェック機能の強化や、障害者雇用率の算定対象となる障害者の確認方法の明確化などを行っております。これに加え、障害者活躍推進計画の作成及び公表を義務づけるなど、国及び地方公共団体における障害者の活躍の場の拡大に関する措置を講じていることは評価することができます。

 しかし、本年末までに法定雇用率を達成する計画に基づいて、公務部門において短期間での障害者の大量採用が進められており、これまで努力を積み重ねてきた民間企業の障害者雇用に影響を与えることや、十分な職場環境の整備が行われないまま単なる数合わせとなって、長く安定した雇用に結びつかないことが懸念されます。

 本法律案には、週所定労働時間二十時間未満の障害者の雇用を支援するための特例給付金の創設など、民間企業における障害者の活躍の場の拡大に関する措置も盛り込まれており、一定の評価ができます。これらの改正事項は、一昨年から議論が行われてきた、今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会の報告書で提言されたものですが、この報告書が取りまとめられた直後の昨年八月に水増し問題が発覚したため、研究会で議論された重大な課題のうち、労働政策審議会で十分な検討を行うことができず、先送りとなったものが多くあります。

 また、参考人質疑において、参考人から職場介助者等の人的支援に年限を設けている問題など、さまざまな課題が指摘されました。障害者雇用については、課題はまだまだ山積していると言わざるを得ません。

 今後、国及び地方公共団体が、障害者雇用数の水増しを行ってきた問題に対する真摯な反省のもと、再発防止を徹底するとともに、先送りとなった障害者雇用促進制度にかかわるさまざまな課題についての検討を速やかに行うべきであることを改めて指摘した上で、本法案には賛成することを申し上げて、私の討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

冨岡委員長 次に、白石洋一君。

白石委員 国民民主党の白石洋一です。

 私は、国民民主党・無所属クラブを代表し、政府提出の障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論を行います。

 本来、率先して障害者を雇用する立場にある中央省庁や地方自治体などが、雇用する障害者を水増ししていた問題は、行政による障害者への背信行為であり、国に対する不信を一層深めることになりました。厚労委員会での審議を終えるに当たり、改めて政府に対して、再発防止を全力を挙げて取り組むよう強く求めます。

 本法案では、民間企業への対応と異なり、国の機関や地方公共団体に対しては、訪問調査することまでは規定しておらず、水増し問題が再発してしまうのではないかとの懸念を払拭できません。しかし、本法案によって、厚労大臣又は公共職業安定所長による国及び地方公共団体に対する報告徴収などが法律に規定されることは一歩前進であり、この規定などによって水増しを一定程度防げるのではないかと考えます。よって、本法案には賛成することとします。

 政府における障害のある方の採用について申し述べます。

 政府は、障害のある方をことしの年末までに約四千人採用する方針を打ち出しておりますが、単なる数合わせになってはいけません。採用された方々に、働き始めてから政府で働くことになってよかったと思ってもらえるようにすることが政府に課された責務であることを肝に銘じるべきです。採用と職場環境が障害のある方々にとってよりよいものとなるよう、当事者団体などの御意見を十分踏まえた上、今後の採用を進めていくことを政府に求めます。

 国民民主党は、「誰もが排除されることなく、互いに認めあえる共生社会」を綱領に掲げています。国民民主党は、障害のある方々に寄り添い、障害者雇用の促進に全力を挙げて取り組んでいく所存であることを申し述べ、討論を終わります。(拍手)

冨岡委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました障害者雇用促進法の一部を改正する法律案について討論を行います。

 法案は、昨年発覚した公的機関の障害者雇用水増し問題を受けて、国や地方公共団体が率先して障害者を雇用する責務を明文化したこと、障害者活躍推進計画、障害者雇用推進者や障害者職業生活相談員の配置の義務づけ、障害者の任免状況の公表、また、民間事業者に対しては、二十時間未満の短時間労働者を雇用率制度の対象とするなど、十分とは言えないまでも、現状の障害者雇用制度を一定前進させるものであり、賛成といたします。

 改めて、水増し問題の深刻さについてです。

 参考人質疑でも、国による障害者差別、排除の考えが根底にあるのではないかとの意見が表明されました。法案に反映させるべき厚労省の今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会では、水増し問題が全く議論されないまま報告書が出されたことも明らかになりました。国及び地方公共団体が率先して障害者を雇用するように努めなければならないことを真に実効あるものにするためにも、改めて徹底した全容解明と検証を求めるものです。

 そもそも雇用率達成のためには、採用の段階から合理的配慮がなされ、目標と計画を持って取り組むことが不可欠であり、そこに思いが至らなかったこと、民間事業者には賃金台帳によるチェックや報告徴収などさまざま求めている事項が一切公的機関にはなかったことは、厚労省の姿勢が問われる問題です。

 障害者権利条約は、障害者の範囲を幅広く規定しています。障害者雇用の基本は、この条約に基づくべきです。しかし、雇用率制度の対象は、身体、知的、精神の手帳等の所持者に限られています。当委員会でも指摘しましたが、手帳を持つことを望まない障害者、内部障害を持つ者などが雇用率達成の枠から除外され、雇用に結びつかないことがあってはなりません。

 また、採用試験の際には補助者が認められるのに、いざ採用となったら同行者が認められないのは明らかに間違っています。障害福祉サービスに通勤通学の支援を含めること、合理的配慮は事業主の責務だからと曖昧にせず、国として財政措置も含めきちんと担保すること、障害者が働き続けられる職場環境の改善など障害者雇用促進を進めること、法定雇用率を諸外国並みに引き上げることも含め、この点での改善を行うべきです。

 終わりに、この際、水増し問題を契機に、障害者雇用のあり方について抜本的な議論を更に進めるべきです。

 日本共産党は、憲法と障害者権利条約の理念を地域の隅々に広げながら、誰もが安心できる、インクルーシブ、排除しない社会の実現を目指すことを表明し、討論といたします。(拍手)

冨岡委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

冨岡委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 この際、本案に対し、小泉進次郎君外六名から、自由民主党、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、日本維新の会及び社会保障を立て直す国民会議の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。大西健介君。

大西(健)委員 私は、自由民主党、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、日本維新の会及び社会保障を立て直す国民会議を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 国及び地方公共団体における障害者活躍推進計画の作成に当たっては、障害者団体の参画を得て指針を策定するとともに、現に就労している障害者、地域の関係者等からの意見を踏まえつつ、その内容について、「障害者差別禁止指針」及び「合理的配慮指針」を基準として、国及び地方公共団体における採用方法、採用後の労働環境等の実態の把握及び公表並びに実態を踏まえた改善策を当該計画に盛り込むこと。また、当該計画の実施に当たり、地方公共団体間で格差が生じないよう、各地方公共団体の財政状況や地域事情に応じて、計画実現のための必要な支援を検討すること。

 二 国及び地方公共団体による障害者の大量採用の影響を受けて法定雇用率未達成となった民間企業については、その実態把握に努め必要な支援策を検討すること。

 三 対象者の範囲を含む障害者雇用率制度の在り方及び助成金の支給を含む障害者雇用納付金制度の在り方について、障害者団体が参画する検討の場を設けること。その際、障害者雇用率制度の対象者の範囲については、障害者基本法及び障害者雇用促進法の障害者の定義を踏まえ、障害者手帳所持者以外も含めることを検討すること。

 四 障害者雇用率制度において長期の雇用に対するインセンティブを付与することを検討する等、障害者の平均勤続年数の増加に向けた施策に取り組むこと。

 五 除外率制度の廃止に向けて、労働政策審議会において遅滞なく検討すること。

 六 在宅就業障害者支援制度について、民間企業を含む関係団体の意見を踏まえつつ、その充実に向けて取り組むこと。また、福祉的就労の場への仕事の発注に関して、民間企業等からの発注促進策について検討すること。

 七 国、地方公共団体及び民間企業における障害者に対する差別の禁止及び合理的配慮の提供の実施状況について、その実態を幅広く把握し、個人情報の保護に留意しつつ公表すること。また、実態把握に当たっては、事業主だけでなく雇用されている障害者及び障害者団体からの意見や情報を十分に反映すること。

 八 障害者が働くための人的支援など合理的配慮を含む環境整備に関する支援策の充実強化に向けて検討すること。また、職場介助者や手話通訳者の派遣等の人的支援に関し、現行制度上の年限の撤廃及び制度利用の促進について検討すること。

 九 男女別の障害者の雇用状況等の実態把握を行い、障害のある女性の複合的困難に配慮したきめ細かい支援を講ずること。

 十 労使、障害者団体等が参画して、雇用施策と福祉施策の一体的展開の推進を審議できる体制を速やかに整備し、制度の谷間で働く機会を得られない、又は必要な支援等がないために継続して働くことができない等の障害者の置かれた現状を解消するため、通勤に係る障害者への継続的な支援や、職場等における支援の在り方等の検討を開始すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

冨岡委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

冨岡委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、根本厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。根本厚生労働大臣。

根本国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力してまいります。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

冨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

冨岡委員長 次回は、来る十五日水曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十二分散会


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