衆議院

メインへスキップ



第3号 令和元年11月6日(水曜日)

会議録本文へ
令和元年十一月六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 盛山 正仁君

   理事 後藤 茂之君 理事 新谷 正義君

   理事 冨岡  勉君 理事 長尾  敬君

   理事 平口  洋君 理事 小川 淳也君

   理事 大西 健介君 理事 高木美智代君

      あべ 俊子君    安藤 高夫君

      上野 宏史君    大岡 敏孝君

      大串 正樹君    大西 宏幸君

      岡下 昌平君    神谷  昇君

      木村 哲也君    国光あやの君

      小島 敏文君    後藤田正純君

      佐藤 明男君    繁本  護君

      白須賀貴樹君    田村 憲久君

      高橋ひなこ君    谷川 とむ君

      船橋 利実君    堀内 詔子君

      本田 太郎君    三谷 英弘君

      三ッ林裕巳君    村井 英樹君

      山田 美樹君    吉川  赳君

      阿部 知子君    稲富 修二君

      尾辻かな子君    岡本 充功君

      櫻井  周君    白石 洋一君

      中島 克仁君    西村智奈美君

      初鹿 明博君    山井 和則君

      柚木 道義君    吉田 統彦君

      伊佐 進一君    桝屋 敬悟君

      宮本  徹君    藤田 文武君

    …………………………………

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   厚生労働副大臣      橋本  岳君

   文部科学大臣政務官   佐々木さやか君

   厚生労働大臣政務官    小島 敏文君

   政府参考人

   (内閣官房全世代型社会保障検討室次長)      榎本健太郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           森  晃憲君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房長) 土生 栄二君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  吉田  学君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         樽見 英樹君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         藤澤 勝博君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  大島 一博君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  浜谷 浩樹君

   厚生労働委員会専門員   吉川美由紀君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月六日

 辞任         補欠選任

  大隈 和英君     大西 宏幸君

  塩崎 恭久君     本田 太郎君

  初鹿 明博君     吉田 統彦君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 宏幸君     岡下 昌平君

  本田 太郎君     吉川  赳君

  吉田 統彦君     櫻井  周君

同日

 辞任         補欠選任

  岡下 昌平君     神谷  昇君

  吉川  赳君     村井 英樹君

  櫻井  周君     初鹿 明博君

同日

 辞任         補欠選任

  神谷  昇君     大隈 和英君

  村井 英樹君     三谷 英弘君

同日

 辞任         補欠選任

  三谷 英弘君     塩崎 恭久君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百九十八回国会閣法第五四号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

盛山委員長 これより会議を開きます。

 第百九十八回国会、内閣提出、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案につきましては、第百九十八回国会におきまして既に趣旨の説明を聴取しておりますので、これを省略したいと思いますが、御異議ありませんでしょうか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

盛山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

盛山委員長 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房全世代型社会保障検討室次長榎本健太郎君、文部科学省大臣官房審議官森晃憲君、厚生労働省大臣官房長土生栄二君、医政局長吉田学君、医薬・生活衛生局長樽見英樹君、雇用環境・均等局長藤澤勝博君、老健局長大島一博君、保険局長浜谷浩樹君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

盛山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

盛山委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。上野宏史君。

上野委員 よろしくお願いいたします。自由民主党の上野宏史でございます。

 医薬品医療機器等法、薬機法の改正法案について、時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきます。

 まず最初に、先駆け審査指定制度の法制化、それと条件付早期承認制度の法制化についてお伺いをいたします。

 国民のニーズに応えるすぐれた医薬品、医療機器等がしっかり迅速に提供されること、これは、さまざまな疾病に苦しむ患者さんたち、そのためにも大変必要なことでありますし、また、我が国の医療関連産業の発展といった意味からも必要で、大変重要な、大切な改正であるというふうに思います。

 このうち、先駆け審査指定制度については、平成二十七年に厚生労働省の通知によって試行的に開始をされています。まさに世界に先駆けた革新的な医薬品について日本発の実用化を目指すということで、四年間の実施を経て、今回法制化をされるということであります。

 法制化をすること自体は、制度の安定性を高めること、また明確性、外に対してこういう制度であるということを明らかにするということ、そして、それを踏まえて各企業が開発に取り組みやすくなるといった観点から、大変重要であるというふうに思います。その上で、四年間の実施の実績があるということでありますから、それをどう評価をするのか、また、それを踏まえてどう制度設計をしていくのかということが大事なのではないかなというふうに考えます。

 この間、この四年間の間に、これはちょっと数字が違っていたら指摘をしていただけたらと思いますけれども、四十二品目の医薬品等がこの通知の制度によって指定を受けた、そのうち製造販売承認に至ったのが八品目ということであります。

 この通知による制度、試行的に実施をされた制度で、例えば審査期間を短くする、また、さまざまな恩典というか、速やかに製品化をするような措置がとられてきたにもかかわらず、残りの医薬品等についてはまだまだ実用化に至っていないということであります。

 今回、試行的な実施からせっかく法制化をするわけですから、より申請をしやすい制度にしたり、又は申請をした医薬品等についてより早期に確実に実用化に至るような、そうした制度設計にすべきではないかというふうに思いますけれども、お考えをお伺いいたします。

樽見政府参考人 お答え申し上げます。

 先駆け審査指定制度、先生御指摘のとおり、世界で最先端の治療薬等を我が国の患者に最も早く提供するということを目的として、革新的な医薬品などを指定をし、承認申請前の評価あるいは優先的な薬事審査というものを活用して、早期の薬事承認を目指すものでございます。

 先生御指摘の品目、それぞれ指定、承認に至っているわけでございます。平成二十七年度からこれまでやってきたところでございますけれども、今回、こういう最先端の医薬品等への患者のアクセスに資する重要な制度である、それから、多大な時間、労力、費用を要する医薬品などの開発に大きな影響を与える制度であるということに鑑みまして、法制化をして開発の予見可能性を向上させるということにしたいというふうに考えているところでございます。

 これに伴いまして、今までは期間を定めて指定の申請を受けて指定をしているというところも柔軟化をされることになりますし、指定申請の数もふえるというふうに考えておりますので、指定の可否に関する確認あるいは承認審査の体制、そうしたものを整備をしていく、それから、より指定対象を明確にできるというようなことに向けても努力をしていきたいというふうに考えておりまして、そうした運用改善で制度の実を上げてまいりたいというふうに考えております。

上野委員 ありがとうございます。

 せっかく法制化をするわけですから、より実効性が上がるような制度設計、これから、政省令であったり、また運用といったところもあるというふうに思います、ぜひ御配慮いただきたいというふうに思います。

 次に、条件付早期承認制度の法制化についてお伺いをいたします。

 これは、患者数が少ない、又はさまざまな要件でなかなか臨床試験が進まないけれども医療上必要な医薬品等について、早期に承認を与えて、その後に必要な調査を実施をする、また評価をするという制度であるというふうに思います。

 この制度については、これは先日も役所ともお話をさせていただきましたけれども、希少性の高い難病に対応するような医薬品も該当するということでありました。

 先般、私のところにも、ドラベ症候群という指定難病なんですけれども、その家族会の方々が相談に来られました。希少性が高い難病ということで、患者数が日本全国で三千人ぐらいということであります。子供のころに発症して、てんかんが起きるんですけれども、てんかんの発作が起きるたびに脳に損傷があって、発達の遅滞があったり、又は成人に至る前に亡くなるケースも多いという病気であります。

 海外で使われているてんかんの薬、ブコラムという薬があるんですけれども、ぜひそれを国内で使えるようにしてほしいという話だったんですけれども、なかなか治験が進まない。三つの区分があるらしいんですけれども、年齢区分ごとに一定数の事例を集めなければいけない。ただ、もちろん難病ですので、なかなかそうした事例が集まらないということで相談に来られました。

 幸い、ブコラムについては今承認に向けて動きが進んでおりますけれども、同じような環境で苦しんでいる患者さんたち、また同じような環境にある方々というのはほかにもたくさんいらっしゃるんじゃないかなというふうに思います。そういう意味で、今回のこの条件付承認制度が有効に機能するということは、こうした方々のためにも必要なことではないかなというふうに思います。

 難病対策について言うと、平成二十七年に施行された難病法の五年後の見直しという議論も進んでいます。難病指定のあり方、又は支援制度をしっかり充実をしていく、問題を解決をしていくということも大事ですけれども、病気に苦しむ方々にとっては、しっかり必要な医薬品を使える環境を整えていくということがやはり何より大事ではないかなと思います。

 もちろん、治療薬が使えればそれが一番いいわけですけれども、難病ですので、場合によっては、症状を緩和をする薬といったことも含めて、ぜひそうした環境を整えていく。そのためにも、こうした法改正をしっかり効果が上がるものにしていくということが大事だと思います。

 この制度についても、医療機器については平成二十九年の七月、医薬品については十月から通知によって制度が開始をされたわけでありますけれども、医薬品についてはまだ二件、医療機器についてはまだ一件も承認がないというふうに聞いています。

 これについても、制度を法制化するからには、しっかりそれが活用される、またそれが結果を出すような制度設計にする必要があるというふうに思いますけれども、この点について、法制化に当たってどのような議論があったのか、どのように改善をされていくのか、お伺いをいたします。

樽見政府参考人 先生御指摘のとおり、医薬品や医療機器の中には、医療上の必要性が高いけれども、御指摘の難病のケースなどもそうでございますけれども、多数の患者に対して効果を確認するという治験、それを実施することが難しいものがあるということでございまして、平成二十九年度から条件付早期承認というものを試行的に通知に基づいて実施をしているということでございます。

 今回、法制化をするということで、先ほどの先駆け指定と同様に、それによりまして開発する企業の側の予見可能性が高まるというようなことが期待をされるということでございますが、あわせて、今回、法制化に当たりまして、より適切に有効性、安全性の評価を行えますように、製造販売業者が承認時に付された条件に基づいて途中でも資料を提出した際には、厚生労働省が必要な調査や措置を講ずることができるということも法律の中に入れたということでございます。

 この改正法が成立をし施行された際には、こうした条件付早期承認制度に基づいて承認された医薬品、医療機器の有効性、安全性というものについて適切に評価をし、これもまた制度の実が上がるような運用を図ってまいりたいというふうに考えております。

上野委員 ありがとうございます。

 法律の施行に向けて、しっかり手当てをお願いしたいというふうに思います。

 次に、新薬の創出に向けた考え方についてお伺いをいたします。

 政府の各種決定においても、医薬品産業は我が国の成長産業の柱として位置づけられています。新薬を創出する、また、医薬品等の開発を促進する環境整備をしていくというのは大変重要なことであるというふうに思います。今回の法改正もそうした趣旨を含むものであるというふうに思いますけれども、まだまだ我が国において他国に先駆けて申請、販売に至る例というのは多くないのではないかなというふうに思います。

 主要国のうち、アメリカで最初に発売される医薬品の比率が六割、日本で先行して発売される医薬品の割合は四%、他国で販売されているけれども日本でまだ販売されていない医薬品、これは他国に比べて一番多いということでありますけれども、最大の一六%というふうになっています。

 これまで政府のいろいろな取組によっていわゆるドラッグラグというのは縮小してきたということだと思いますけれども、依然として、これは年によってばらつきがあるということでありますけれども、開発ラグというのは存在をいたします。

 すぐれた医薬品、医療機器等が速やかに日本の市場において提供されるためには、今回のような法改正、これはしっかり効果が上がるようにしていく、制度設計をしていく、そのこととあわせて、例えば研究開発の促進であったり、又は企業が行う研究開発投資に対する支援、さらには薬価における手当てなど、各制度においてしっかりと、これは同じ方向性を持った取組をしていくということが大事なのではないかなというふうに思います。この点について政府の考え方をお伺いいたします。

小島大臣政務官 我が国は世界有数の新薬創出国であります。高付加価値、知識集約型産業である医薬品産業は、経済成長の中核を担う重要な産業として期待をされております。

 一方において、多くの製薬会社におきましては長期収載品に収益を依存しているところが多くありまして、より課題もあり、より高い創薬力を持つ産業構造に転換するための取組をすることが重要と考えております。

 厚生労働省としましては、革新的な新薬を生み出すことができるよう、AMED等を通じまして、バイオ医薬品やゲノム創薬、AI、ビッグデータ等のテクノロジーを最大限に活用した創薬支援、IT企業などの他産業やベンチャー企業、大学等と連携いたしましたイノベーションの創出支援など、日本創薬力強化プランを通じまして環境整備に取り組んでいるところであります。

 また、平成三十一年度税制改正、令和元年度の税制改正におきまして、研究開発投資に積極的な企業の法人税を優遇する研究開発税制を大きく拡充したところでございます。

 さらに、薬価制度においては、高い有用性を認められる新薬の薬価に補正加算を行うことなどにより、イノベーションを促進しております。

 今般の薬機法改正に加え、予算、税制、薬価制度により、総合的に革新的な医薬品の創出を促進してまいります。

上野委員 ありがとうございます。

 ぜひ、しっかりとした、政府一体となった取組をお願いしたいと思います。

 最後に、薬局のあり方に関する見直しについて一点お伺いいたします。

 今回、法律に地域連携薬局それから専門医療機関連携薬局が規定をされるということになりました。それぞれの薬局の機能が明らかになる、そして地域の方々が薬局を適切に選択しやすくなるということは、大変大事なこと、望ましいことであるというふうに思います。

 一方で、こうした制度が効果を上げるためには、地域の住民の方々に各薬局の機能をわかりやすく伝えるということとともに、そもそも、各薬局による地域連携薬局又は専門医療機関連携薬局の認定取得を促進する必要があるというふうに思います。従来、健康サポート薬局という制度があります。これからもその重要性というのは変わらないというふうに思うんですけれども、なかなか届出が進まなかったという事例もございます。

 今回の新たな制度についても、認定を取得するメリットを明確にしていくということが必要であるというふうに思いますし、その認定を受けるためにさまざまな要件がかかっています。薬局の側にとっては、さまざまな設備投資であったり、又はいろいろな手当てをしなければいけないということであります。

 そうした部分について、例えば税制措置を含めたさまざまな取得の支援ということをしていく、それによって薬局がしっかり認定を受けていくということがまさにこの制度の効果を上げるためには必要だと思いますけれども、この点についてどのような取組をしていくのか、お伺いをいたします。

盛山委員長 答弁は、持ち時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。

樽見政府参考人 今回の改正で、地域連携薬局それから専門医療機関連携薬局といったような認定の仕組みを入れます。

 こうしたものを普及させるということで、今、税制というお話ございました。認定薬局ではプライバシーに配慮した構造設備というものを要件にしていますので、これにつきまして、不動産取得税を減免する特例について、令和二年度税制改正要望を行っているところでございます。これも含めまして、これが広まるように努力をしてまいります。

上野委員 ありがとうございました。しっかり対応をよろしくお願いいたします。

 質疑を終わります。ありがとうございました。

盛山委員長 次に、安藤高夫君。

安藤(高)委員 自由民主党の安藤高夫でございます。本日は御質問の機会をありがとうございます。

 私の方から三つ質問をさせていただきたいと思っています。幾つか上野先生ともオーバーラップをすることがありますが、お許しください。

 最初の御質問ですけれども、医薬品、医療機器の承認についてです。

 日本の平均寿命の長さは世界的でございます。これは、日本の医療レベルの高さ、そして担保してきた技術革新の歴史ではないかと思っています。日本医療政策機構においては、二十以上の男女二千人を対象にしてアンケートをいたしました。そこで、高額医薬品への保険適用を肯定する回答が何と八〇%以上ございました。

 これからまた、遺伝子の検査、遺伝子治療、そしてiPS等の再生医療、それからオプジーボやキムリアのような抗体医薬品、そしてAIやスマホを利用したアプリケーション処方、これは禁煙なんかでも入ってきますけれども、これまで想像がつかなかったようなものがどんどん考えられてきます。それはまた、社会保障費の高騰と財源問題にも結びついてくるわけですけれども。

 ここで質問でございます。

 今後ますますふえるであろう再生医療や抗体医薬品などの高額な医薬品の問題において、今回の法改正における先駆的医薬品はこの問題に関連してくると大いに思いますが、先駆的医薬品の申請について、ちょっと上野先生からもお話がありましたけれども、まず、現在の進捗状況も含めて今後の想定はどうなるのかということを、ぜひとも御答弁いただければと思います。よろしくお願い申し上げます。

樽見政府参考人 先駆け医薬品などがまず当たると思いますけれども、先ほど上野先生からお話ありましたとおり、これまで、医薬品、医療機器、再生医療等製品合わせて四十二品目が指定をされまして、八品目が承認をされているということでございます。

 今回は現在の試行から法制化をするということでございますので、これによって開発の予見性を向上するということで、対象品目数についても拡大をしていきたいというふうに考えているところでございまして、そのために、医薬品医療機器総合機構、PMDA、ここで指定の可否に関する確認、審査を行っておりますので、そうしたところの体制整備というものも進めまして、対象品目数がふえるように円滑な運用に努めていきたいというふうに考えているところでございます。

安藤(高)委員 どうもありがとうございました。

 高額医薬品への保険適用を肯定する国民の人たちが八〇%以上いるということも踏まえて、今後、革新的な医薬品や医療機器の承認制度の検討ということを並行して行っていかなければなりませんけれども、もちろん国民皆保険制度を維持しながら、一般薬品と高額な医薬品をうまく区別しながら医療費の伸びを抑えていくような仕組みづくりが必要になってくるんではないかな、そう思っておりますので、そこら辺もよろしくお願い申し上げます。

 次に、二つ目の質問ですけれども、医薬品そして医療機器のバーコード管理の将来像についてでございます。

 安全で安心な医療は、患者そして医療機関や医療従事者にとってもとても大きなテーマでございます。今回の法案におけるトレーサビリティーの向上ですけれども、これは、薬品とか医療材料が製造されて使われて破棄されるまで、ずっとこれをトレースするものでございますけれども、医療安全面から見てもこのことが非常に重要でございます。

 例えば、メーカーから卸側のIDと医療機関が独自に用いるIDが混同したりとか、複雑化をしたりとかしています。また、IDが電カルと連動しないケースも出てきています。また、医療機関においては、バーコードなどを用いた電子的な管理に対する費用対効果、すなわち、お金がかかり過ぎるんじゃないかという声も上がってきています。

 またもう一つ、これは個人的には別の視点からも有用だと思っております。これは災害時とか緊急時ですけれども、災害時、被災地における医薬品の配給の問題がつきものですけれども、在庫の情報それから配送手段というのが大きなキーとなります。これにも非常に役立ってくると思います。

 例えば、今回の台風十九号で高度な医療機械のCT、MRIなどが使えなくなるというケースがいっぱいあったわけですけれども、ここでも利用して、近くで稼働している医療機器の情報とか、そこら辺が共有されると非常に地域にとってもいいものではないか、そう思っております。

 また、バーコード表示とその情報を一元管理化する仕組み、これはプラットフォームですけれども、これと、既に運用されているEMIS、地域の医療機関でもってダメージを受けた場合、その情報がネットワークでつながっているのがEMISですけれども、この仕組みと組み合わせながら今後発展をさせていくということが、非常に災害時における医療安全につながってくると思います。このようにして、国土強靱化に対しても非常にメリットがあると思います。

 ここで質問です。

 トレーサビリティーの向上に向けて、医薬品や医療機器等の包装等へのバーコードの表示を義務化することにおいて、社会に与える影響は政府ではどのように想定しているのか。加えて、現場におけるコストなども含めて御見解をお聞かせいただければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。

樽見政府参考人 御指摘のとおり、今回の改正で、医薬品、医療機器等の包装にバーコードの表示を義務づけるというふうにしているところでございます。

 バーコードについては、現在既にほとんどの医薬品で商品コードといったようなものは入っているんですけれども、あわせて、有効期限でありますとか、ロット番号でありますとか、そうしたものについても表示をしていただくようにお願いしたいというふうに思っているわけでございますが、そういうことで、まず、医療安全の確保ということで、バーコードの活用によるトレーサビリティーの向上ということが重要だというふうに思っています。

 これによりまして、例えば、何かあって回収ということが起こったときには、医療機関における速やかな回収すべきロットというものが直ちに特定できるというふうなことになるということでございます。それから、医療現場におきましては、例えば製品の取り違えというふうなこと、これはあってはならないわけでございますけれども、バーコード管理をするということによって、そうした製品の取り違えの防止ということでも意味があるというふうに思っておりますし、また、そのお薬を使われた患者さんの記録の追跡といったようなことでも省力化が可能になるというふうに考えております。

 そういうことで、バーコードをつけるということの一定のコストはかかりますけれども、一方で、社会全体としてコストの削減に資する可能性というものはあるというふうに考えているところでございます。

 それから、先生御指摘のとおり、例えば、緊急時、災害時といったようなときに、どういう薬がどこにあるかということの追跡ということでも意味があるというふうに考えております。

 さまざまな使い方があると思います。医療機関におきますバーコードの活用の方法ということにつきまして、これから関係者の意見も聞きながら、対応について検討を深めていきたいというふうに考えているところでございます。

安藤(高)委員 どうもありがとうございました。

 トレーサビリティーの重要性がはっきりわかったわけでございます。ぜひ、コストも含めて、またいろいろとサポートをお願いしたいと思います。行く行くは、個人の患者さんの薬品の管理、コンプライアンスにも非常に有効になってくると思います。

 最後の質問になりましたけれども、地域における薬剤師の役割と薬局の意義ということでございまして、地域包括ケアのシステムにおいて、その一つの構成員としての地域の薬局そして薬剤師さんの機能というのが重要になってくると思います。

 そこで質問です。

 地域連携薬局と専門医療機関連携薬局を新たに設けることになりましたけれども、地域包括ケアというシステムを見据えてですけれども、今後、地域における薬剤師それから薬局のあり方について、どのような方向性を持って進めていきたいのか。よろしくお願い申し上げます。

樽見政府参考人 御存じのとおり、少子高齢化が更に進展するということでございます。そういう中で、今後、在宅で医療を受ける患者さんというものの増加、ますます増加するであろう。それから、例えば、がんなどの高度な薬学的管理が必要な患者さん、こういう患者さんも入院ではなくて外来で治療を受けるというようなことがふえてくるということを踏まえますと、薬剤師あるいは薬局が、医師を始めとするほかの職種、あるいは関係機関、介護なんかも含まれると思いますけれども、関係機関と連携をしながら、地域包括ケアシステムの一員として、患者に適切な薬物療法を提供する役割を果たすということが重要になってくるということでございます。

 具体的にお薬に関して申しますと、入院前に患者さんが服用しているお薬の情報や服薬状況などの情報を入院する医療機関に提供する、あるいは、入院期間中の薬剤情報を医療機関から入手して、退院した後、その情報に基づいて、介護施設などとも連携をしながら服薬の管理というものを退院後しっかりと行うこと、あるいは、がんなど専門性の高い薬学的管理が必要な患者さんについては、そうした専門医療機関の医師、薬剤師と患者の治療方針を共有して、何かこんなことがあったらすぐかかってくださいとか、報告に来てくださいとか、そうした対応をしていくという取組を行っていくということが期待をされますし、そういう薬剤師、薬局という役割というものが求められているということだろうというふうに思っています。

 ですので、今回の法改正では、こうしたニーズが高いと考えられる機能を持つ薬局を地域連携薬局それから専門医療機関連携薬局というふうに法令上位置づけるものでございまして、こうした取組をして、患者さんの方でもどこの薬局がこういう機能を持っておるということがわかるということで、患者に提供する医療の質の向上につながるというふうに考えているところでございます。

安藤(高)委員 どうもありがとうございました。

 この二つの機能の薬局がまた連携するということも、非常に地域包括ケアの中では重要だと思っています。

 薬局の問題ですけれども、今、調剤薬局と病院薬局にいる薬剤師さんの調剤料が十数倍違うという話もございまして、そこら辺の整理も必要だと思いますし、また、調剤薬局が非常に増加をしてしまって、そのために病院の薬剤師さんが少なくなってしまうという格差も出てきています。そういうこともしっかりとまたいろいろと取り組んでいかれる、そう思っております。

 また、最後に、法案にはちょっと関連しなかったので質問ではないんですけれども、前にも質問させていただきました医療材料の使い捨ての問題ですけれども、まだまだ使えるものがあって、きちっと殺菌をしてリユースすることができれば、これは本当に資源の効率化にもつながりますし、また、医療費削減にもつながっていきます。こういうふうなシングル・ユース・デバイス問題にもしっかりとまた取り組んでいければと思っておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 これで質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

盛山委員長 次に、吉田統彦君。

吉田委員 立憲民主党の吉田統彦でございます。

 盛山委員長、どうもいつもお世話になっております。

 本日は、大臣、三十五分間、よろしくお願いいたしたいと思います。

 まず、この薬機法というのは、民主党政権時代に厚生労働省の皆様と私も一緒に立法作業をした、そういった法律でございます。七年経過して、法律の足らざるところがまた明らかになってきたところなんだと思います。そういった中で、法案、そして医薬品、医療機器行政にかかわるところを質問させていただきたいと思います。

 まず、先ほど上野委員も触れられておりましたが、医薬品、医療機器に関するイノベーションという趣旨で質問をさせていただきます。

 本年度も我が国では、ノーベル化学賞を、旭化成株式会社名誉フェローで、私の地元名古屋の名城大学の大学院理工学研究科教授を務めておられます吉野彰先生が受賞をされました。私も大変喜ばしいことだと思います。

 また、私がアメリカ時代のメリーランドのジョンズ・ホプキンス大学のフェローであったころに共同研究者であったドクター・セメンザという方が、細胞が酸素の欠乏した環境に適応することを可能にするHIF―1を発見したこと等によって、本年度、ノーベル医学・生理学賞を受賞をされました。

 その共同研究の中で、私の主著論文として二〇一〇年にファセブジャーナルに掲載された「ジゴキシン インヒビッツ レチナル イスキーミアインデュースト HIF―1アルファ エクスプレッション アンド オキュラー ネオバスキュラリゼーション」という論文があります。そして、私からアメリカ時代の私の研究を引き継いで、先月秋田大学の主任教授になった岩瀬という人物がいますが、彼が主著で、私とノーベル賞を受賞されたドクター・セメンザが共著となっていまして、二〇一三年にザ・ジャーナル・オブ・コントロールド・リリースに掲載された「サステーンド デリバリー オブ ア HIF―1 アンタゴニスト フォー オキュラー ネオバスキュラリゼーション」、こういった論文がありまして、こういったものも今回のノーベル賞の受賞に寄与させていただいたと私も自負をしております。

 ノーベル賞の学者と一緒に研究して論文を書いた国会議員というのは余り今までもいないんじゃないかなとは思います。それを私は誇りに思っておりますが、これは、大臣、シーズの研究だったんです、シーズ。いわゆるジゴキシンという薬やさまざまな薬が薬としてのシーズとして力を発揮できるかどうか、そういった研究を私はノーベル賞学者と結構長い間させていただいて、今も実はそういった関係が続いているんですが、こういった研究を私もやってきた中で、日本において、こういう革新的な医薬品や、そしてさらに新しい医薬品のシーズに関する研究というのは、本当に日本は世界の最先端から大分おくれているのも、大臣、御存じでございますよね。

 今回、法案には、さっき上野委員からもありましたとおり、先駆的、特定用途、そういったものが書かれています。しかし、これに加えて、戦略的に我が国に必要不可欠な医薬品、医療機器の応募、審査、承認についてお伺いをします。

 今回の薬機法の改正では、先駆け審査指定制度、条件付早期承認制度の法制化、開発を促進する必要性が高い小児の用法用量設定などに対する優先審査などが定められていますね。また、AI等、継続的な性能改善に適切に対応するために新たな医療機器承認制度の導入を図るということで、必要な医薬品等への患者アクセスの一層の迅速化が図られているということで、これは私も、審査の一層の迅速化、すなわち、審査ラグの解消、そういったものに引き続く審査前のラグを解消する方向に進んだものと評価させていただきます。

 しかし、翻って我が国の現状を鑑みると、これだけでは極めて不十分なのも、大臣、おわかりだと思います。

 例えば、ペースメーカー、ございますね。大臣にはこの質問を前にもさせていただきましたね。国産のペースメーカーはゼロですね。私は眼科が専門でございますが、多焦点眼内レンズという、今とかく、いろいろとさまざまな、保険適用や、議論の俎上に上がっているこの医療機器は国産品は存在しないんですよね。現状は一〇〇%輸入に頼っています。これがどれだけ国益に反することか、大臣、もうよくおわかりですよね。こういった状況を厚生労働省としてどのように考えているのか。

 私から提案ですが、まず、我が国に不可欠である、そして、医薬品、医療機器産業という観点からも戦略的に開発が必要な医薬品、特に医療機器については、今回法制度化した承認制度だけでは不十分ではないかと私は考えますので、例えば、前述したように、一〇〇%輸入に頼っていて、かつ日本の医療に必要不可欠な医薬品と医療機器を一度厚生労働省でしっかりとピックアップをしていただいて、おのおのに対して、場合により政府から声がけをして、開発可能な企業を選抜して助成金の支給などをする、そして、もちろん適切な審査と承認を、産官学一体となって集中的に、可能な限り短時間で製品化する努力をするつもりは、大臣、ないですか。

 こういったことをやらないと、もう日本の今一〇〇%輸入に頼っている医薬品、医療機器が製品、商品となって日本国内で販売されるということは絶対ないと思うんですけれども、大臣、どうですか。

加藤国務大臣 まず、吉田委員が一緒に研究された方のノーベル賞の受賞を改めてお祝いを申し上げたいというふうに思います。

 その上で、医療機器ということを中心にお話をさせていただくと、私も、これだけ製造業、鉱工業が盛んなこの国において、特に、そうした製品で割と小さいというかダウンサイズしたものも非常にいろいろなものが出てきているにもかかわらず、医療機器に関しては余りない。さっき言ったペースメーカーとかさまざまなものが何でもっと日本で開発されないんだろうかという思い、これは私も一緒に共有をさせていただいているところでありまして、その一助になるということで、今回、今あります薬機法の改正もさせていただきました。

 それから、これまで、御承知のように、PMDAをつくって、そこに厚労省、文科省、経産省が一緒になって一連の開発をしていく仕組みもつくらせていただいて、さらに、その中では、いわゆる研究内容に公費による支援が可能となるよう、プロジェクトの実施に当たっては、研究者から研究テーマや内容を公募により広く募集し、研究課題を採択する、こんなやり方をとらせていただいているところであります。

 また、医療機器の開発に当たる人材をより手厚くしていくための、そうした皆さんが、企業で開発される人が大学病院等の臨床現場での研修、実習等を受け、医療現場のニーズに合った医療機器の開発につなげるための人材育成の事業等も実施をしているところでございます。

 そういったさまざまな施策を通じて、国内におけるそうした医療機器の開発力を高めて、そして、まさに日本の患者さんによりフィットした製品が提供できるように努力をしているところでございますけれども、今委員から御提案がありましたそういったやり方、どこまで国産品に限定してやっていけるかどうか、いろいろな観点があると思いますけれども、ただ、共有するところは、そういった形での力をつけて、そして、それによって、日本の患者さんによりフィットするものが安定的に供給できる体制、これをしっかりつくっていくということは必要だというふうに思っています。

吉田委員 大臣、ありがとうございます。

 しかし、大臣、状況はかなり深刻なんです。私の地元、愛知県三河、大西議員もいらっしゃいますけれども、三河も、物づくり、特に医療機器産業、萌芽的なものはあるんですが、大臣、特にペースメーカーは絶対国産品をつくらないとだめですよ。中国も国産品をつくっていますから。

 ただ、大変失礼ですけれども、今の政府のやり方ではペースメーカーをつくろうという企業は出てこないですよ、出てこない。それはもう私はわかりますよ。承認されるかどうかもわからない、どれぐらい時間がかかるかもわからない、そういった不透明な状況で、こういったペースメーカーを、手挙げを、相手が応募してくるのを待っている状況はもう今看過できないと思います。

 だから、私の地元も、カテーテルの有名な東海メディカルプロダクツ、多分もう大臣は御存じですね、そういうすばらしい企業があります。そういった力のありそうなところに、ペースメーカーであれば機械を得意とする、そういったところに政府の方から、こういったものを開発する気はないかという声をかけてあげて、いろいろなルール、制約はあるかもしれないですけれども、そういった道筋をつけてあげて可能性をしっかり提示させてあげないと、特にペースメーカーは僕は無理だと思います、残念ながら今のままでは。

 多焦点眼内レンズ、大臣もいつか白内障の手術を受けられるかもしれませんね。そのときに、今、多焦点レンズというのが、自費ですけれども、結構使われるようになってきました。これはほとんど欧米のものですよね。全部欧米のものですよね。日本は、これから一億総活躍と政府がおっしゃっていて、人生百年社会と言っているわけで、必要性は高まってきますよね。

 ただ、今のまま手をこまねいていると、これも開発する力がある企業はあると思いますよ。しかし、これもやはり、今のまま放置をして相手が手を挙げてくるのを待っているだけであれば、絶対に日本では手が挙がってこないですよ。

 大臣、だから、ここはもうちょっと踏み込んだ御答弁をいただきたいんですよね。やはり、そういったことをまずピックアップして、どれが必要なのか、必要不可欠、そして市場規模とかも調べていただいて、産業になって、雇用、そして税収だって最終的に生んでくるわけですから、大臣、この危機的な状況を鑑みて、少しのんびりした御答弁だったので、ここだけに特化してもうちょっとしっかりとした御答弁をいただけませんか。

加藤国務大臣 済みません、さっきちょっとPMDAと申し上げたのはAMEDの間違いだったので、訂正させていただきたいと思います。

 別にのんびりしているわけではありません。今委員御指摘の、なぜ開発されないのか、どこに要因があるのか、これはいろんな理由があって、私も、そういうメーカーの方に、何で開発しないんですか、市場規模は一定あるではないですかという中で、いろんな課題があるということをお聞きをさせていただきました。

 改めて、今委員御指摘の、特にこれからにおいて必要なものに対して、まず、安定的な供給を国内において、しかも、かつ日本人の方にフィットするような形で提供されるという面において、どういう機器が必要なのか、そして、それがなぜ、企業が力がありながら、力がなければ仕方がありませんが、技術的に力があるにもかかわらず開発されないのか、その辺をしっかりと分析をさせていただいて、我々の方で乗り越えられる部分があれば、しっかりそれを乗り越えていけるように努力をしていきたいと思います。

吉田委員 ダビンチなんかも中のものは結構国産のものが使われていますので、国産のダビンチなんというものもそのうちできてくるといいと思いますが。

 大臣、じゃ、ちょっと関連で、次のお話をさせていただきます。

 重ねて申し上げますけれども、国内の製薬会社、医療機器メーカーの自主的な開発だけじゃなくて、やはり健康・医療戦略として、大臣、本当に考えていただきたい。ぜひしっかりと、企業が手を挙げていただける環境をつくっていただくことをお願いしたい。

 そこで、もう一点、日本は、野心的なベンチャー、特に医療機器だと思うんですが、医薬品も欧米では野心的なベンチャーが結構手を挙げて、しっかりアカデミアとタッグを組んでやるんですね。私も、補体というものを抑える成分のシーズを日本において猿に対して投与するという実験をしたこともあります。これは欧米の薬だったわけですが。

 あと、アカデミアが深く関与したり、若しくはつくり上げてきたベンチャーがやはり日本は弱いですよね。私がジョンズ・ホプキンス大学時代にお仕えしていたピーター・カンパチアロという教授は、積極的にそういった自前のベンチャーなどをしっかりと用意して、そこから今度、治験に入る新しい薬なんかも出てきているわけなんです。

 そういったアカデミアと非常に密接な関係にあるベンチャーだとか、野心的な若い人たちがやるベンチャー、そういったものを特に支援していくようなことを何かお考えですか。

加藤国務大臣 革新的な医薬品、医療機器を研究開発するためには、本当に、そうしたベンチャーあるいは非常にアイデアを持った方々がそれをどう具体化していくか。日本でもかなりそれに取り組んでいる方がおられますけれども、拡大していく規模感からすると、アメリカ、欧米に比べると、今委員御指摘のように、随分彼我の差があるなということは感じております。

 一体、じゃ、なぜ拡大できないのか。資金を集める、集めないというのは、これはあるのかもしれませんが、それ以外に、開発から実用化を進める中において、私どもの所掌でいえば、薬事規制がどうなっているのかとか、保険制度が実際どうなるのかとか、そういった知識がある中でビジネスを描いていかなきゃいけない。

 そういったことを支援をしていこうということで、専門家から支援を受ける相談窓口を厚生労働省に設置をして、去年の二月からですけれども、一年八カ月で三百件近い相談もあります。

 そうした相談に応えるということと同時に、相談内容をもう少し分析しながら、そこにおいてどういう支援が必要なのかということもこれから考えていかなきゃいけないというふうに思います。

吉田委員 ぜひ、大臣、積極的にその辺は、野心的なベンチャーがしっかりと頑張れるような素地をつくっていただいて、また、相談窓口は本当に大事だと思いますね。彼らもそういう薬事行政の専門家でもないわけですから、もともとが。アイデアはあっても、法に照らし合わせて、規制、どのような承認をするか、わからない人も中にはいるわけですから、そこはしっかりとやっていただいて、こういったベンチャー企業がどんどんといろんなシーズの開発等に突き進んでいただきたい、そのように考えます。

 次の質問に移らせていただきます。

 今回の改正案の中に血液法の改正も含まれますね。それに関連してお伺いしたいんですが、まず、血液製剤の有効活用という部分に関して伺いたいと思います。

 現在、我が国では、血液製剤が廃棄される確率というのは約一%と聞いております。確かに、この比率を聞くと低い確率であるようにも感じます。しかし、実際に私も研修医時代に、日赤の血液センターに病院から派遣されてアルバイトに行ったことがありますが、輸血の現場や、また輸血をお願いする現場からすると、一%というのは結構大きな廃棄量だなという印象を常々受けています。

 日ごろから、血液が不足していますといってさまざまなところで輸血の協力のお願いをしてくださる方々がいますよね。こういった状況を考えると、血液製剤の廃棄をより少なくする必要というのは、絶対に努力する、そして対策をするべきではないかと思います。

 もちろん、血液製剤は厳重な管理が必要です。温度管理は特に重要ですね。そういった中で、ただ、今はちょっとルールが欧米に比べても厳格過ぎる部分があるんじゃないかなというのは感じるんです。

 適切な管理が可能な限り、例えば医療機関同士で融通し合う、そういったことが可能なのかどうかということを大臣にお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 まず、制度としてでありますけれども、医薬品医療機器法等において、輸血用血液製剤を含む医薬品について、その品質、有効性及び安全性を確保するため、卸売販売業の許可を受けた者の適切な管理のもとに供給するという制度になっておりまして、医療機関間で融通することは認められておりません。

 また、卸売販売業というのは営利でありますから、一般の医療機関がそれをとるというのも、例えば、社会医療法人のように別途業務ができればともかく、一般的には卸売免許を受けるということは余り想定されていないと思います。

 ただ、その中で、卸売販売業の許可を受けていない医療機関同士において、夜間に大量の出血があって自分の手持ちが不足しているから、貸すというか、近くの病院からもらう、そういった融通については、これは法律には抵触していない。すなわち、緊急に融通することは業には該当しないという解釈でありますから、その辺が余り周知されていなければ、しっかり周知していく必要があると思います。

 また、輸血用血液製剤は、きちんと病院内でうまく管理することによって、随分廃棄率の低いところ、〇・一%を切っているところから、場合によっては四%、五%廃棄しているところ、かなりばらばら感があります。したがって、特に廃棄率が高いところに対しては、供給されている日赤を通じて、大事なものである、管理をしてほしい、そういったことのアプローチを含めて、適正な管理がなされ、廃棄率が減少されるように引き続き取組をしていきたいと思います。

吉田委員 ありがとうございます。

 今、大臣は緊急避難のお話をしていただきましたね。確かにそれも絶対必要。

 大臣、ちょっと確認で、私のところにレクに来ていただいた方が、医療機関も事業所となることができるような趣旨のことをおっしゃっていたんですが、大臣の今の御答弁だと、医療機関が、卸というか、血液製剤を融通する、これは業としてすることはできないんですか、それとも、その登録は可能なんですか。

加藤国務大臣 すなわち収益事業ということになりますから、非営利が原則の医療機関がするということはできませんけれども、先ほど申し上げた社会医療法人のように、収益事業を別に行って、そこの事業をまた自分の医療に取り込むという仕組みを持っている、そういったところであれば、先ほど申し上げた卸売販売業の許可を受けること、これは可能だと思います。

 したがって、全てではありませんけれども、一部には可能な機関があるということであります。

吉田委員 よくわかりました。大臣、ありがとうございます。

 なぜ廃棄されてしまうか。多くの場合は、やはり患者さんが亡くなってしまうんだと思いますね。予定されている輸血をしていく方が、不幸なことに寿命が来て亡くなってしまう。その分の血液が多いんだとは思います。

 そういった中で、先ほど、緊急避難的な話もしていただきました。実は後で聞こうと思っていたんですけれども、例えば、大臣は御存じだと思いますが、Rh抗原というのがありますね。D抗原がない場合はRhマイナス、Rh陰性というんですけれども、これは日本人が実はすごく少ないんですよ。白人は一五%、Rhマイナスがいるんですけれども、日本人は〇・五%しかいないんです。だから、RhマイナスABというパターンだと、二千五百人に一人以下と一応統計上は言われています。計算上はもうちょっといるはずなんですけれども、ちょっと少ない。そういった方の緊急避難的なときは、そのルールを度外視してもやっていいという理解ですね、大臣。そこは改めてここで確認させていただきます。ぜひ、貴重な血液製剤が無駄にならない努力は今後も行政としてしていただきたいと思います。

 さて、その血液製剤に関してなんですが、我が国は、大臣、今、在宅医療の推進ということで、厚生労働省がさまざまな施策を行っていることは大変に国民の皆様にも浸透して認識されていると思います。現に、厚生労働省のホームページにはこうやって書いてありますね。在宅医療の推進のページで、「重度の要介護状態となってもできる限り住み慣れた地域で療養することができるよう、在宅医療の推進施策を講じています。」と書かれています。それは確認しました。

 ところが、現状では、大臣、白血病、MDS、リンフォーマ、ミエローマといった血液の悪性疾患の場合、ターミナルの状態を迎えてくる中で、在宅で輸血をしたり血液製剤を投与するということがなかなかできない、されていないという現実があります。

 そこで、大臣にまずお伺いするんですが、厚生労働省として、輸血や血液製剤などの在宅投与ということに関しては今後推進をしていくおつもりがあるのでしょうか。

加藤国務大臣 まず、一般的に、多くの皆さん方が、やはり自宅での療養、生活を送りたいという希望を持っておられる。また、それを尊重して、住みなれた生活の場において必要な医療が受けられるようにしていく、これは私たちの務めだと思います。そういった意味で、今御指摘のあった、在宅でも患者の方が輸血を受けながら療養できる体制を整備すること、これは非常に重要だと思います。

 ただ、輸血ということになると、やはり、さまざまな管理が適正に行われていくということで、十分な知識や経験を積んだ医師の方が、また、副作用対策を含む医学的な管理の適切な運営が求められるわけでありますから、そこがしっかりしていく中で、在宅におけるそうした輸血を受けながら治療できる体制をつくっていく。

 そういった意味で、在宅赤血球輸血ガイドというのがあるようでありますけれども、そういったものを通じて、在宅医療に取り組もうとしている医師や看護師の方々にそういったガイドの中身をよく周知していただいて、今申し上げたような在宅における輸血を受けながら療養できる体制の整備、これを我々は積極的に進めていきたいと思っています。

吉田委員 大臣、ありがとうございます。

 ちょっとこれは局長に事務的なことなので伺いたいんですけれども、逆に、今、そういったアカデミアや学会というのは、こういう部分に関していろいろな提言などをしてくると思います、厚生労働省に。こういった血液学会を含めた各学会から、逆に、在宅における血液製剤、輸血に関して、今、厚生労働省には、行政としてしてほしいというどんな要望が、局長、上がってきていますかね。これは私、通告を簡単にはしておきましたけれども、局長、お願いします。

樽見政府参考人 恐縮でございます。

 具体的に在宅で輸血を進められる体制をつくってほしいという形での要望では出ておらないということでございますけれども、先ほど大臣から申し上げました在宅赤血球輸血ガイドというようなものをつくっています。こういうものについて進めていくべきだということについてのお話を伺っているというふうに承知をしています。

吉田委員 私が現場で聞くと、具体的な要望なんかも出しているというふうに聞いているんですが、局長、ここは、レクに来ていただいたとき、そこに関しては少しディスカッションしていただいているんですが、具体的に本当にないですか、局長。

樽見政府参考人 失礼しました。

 AMEDの研究事業で、さらなる適正使用に向けた血液製剤の使用と輸血療法の実施に関する研究というものをやっておりまして、これをやるということについて要望をいただいて、これをやっているということでございます。

吉田委員 私もそのAMEDの研究のことを聞いておりましたので、ちょうどレクのときに。そこをもうちょっと具体的にお話ししてほしかったんですけれども、また今度で結構です。ここはそのときお話ししていますから、結構細かく。ごめんなさい、通告として明確にしてはいなかったので、もうそれで結構です。わかりました。

 大臣、今後これを進めていくとしたら、やはり細かくカテゴリー分けをするなどして、さっき大臣がおっしゃったように、厳格なルールやリスクというのもあります。岡本議員は血液内科ですけれども、血液内科だった医師がやはり一番なれてはいるんですよね。やはりそういった方々が在宅でそういうものをしっかりやっていけるようなカテゴリーやいろいろなルールもつくっていただいて、推進されるといいんじゃないかなと思っております。

 では、次の議題に行きたいと思います。

 本法案の課徴金について大臣にお伺いをさせていただきます。

 景品表示法では、不当表示の課徴金は三・〇%となっていますね。しかし、今回の改正では、虚偽、誇大広告による医薬品、医療機器等の販売に係る課徴金制度を導入するということですが、これについて一律に四・五%と決まっています。この四・五%の課徴金の比率の根拠を簡潔にお聞かせください。

加藤国務大臣 課徴金というのは、そもそも、事業者による違反行為に対して経済的不利益を課すことで、今回の場合は広告ですから、広告違反を行う動機を失わせて抑止力を高めようという意味であります。

 今回の算定率でありますけれども、医薬品等の製造販売業者における営業利益率は他の業態に比べても高いということから、医薬品等の製造販売業者全体の営業利益率の中央値、これを参考として四・五%ということにさせていただく。

 また、一律というのは、ほかの景品表示法の課徴金算定等も基本的には一律の率、場合によっては製造業とか分かれてやっている独禁法みたいな例もありますけれども、基本的には一律でやっているので、四・五%で一律というふうになっていると聞いております。

吉田委員 四・五が適正かどうか今後また検討されていかれるとは思うんですけれども、薬というのは、やはり研究開発に非常に、大臣、お金がかかりますね。一旦つくり上がってしまうと、これはいかにも言い過ぎだと思うんですけれども、昔、MRの方が、薬はできてしまえば後は製造にほとんどお金がかからないとか、そういったことをおっしゃる方も、これは大げさだとは思いますよ。だけれども、そうやっておっしゃるぐらい、できてからの利益率が高いんですよね、大臣。

 そうすると、私が以前質疑で取り上げた抗VEGFヒト化モノクローナル抗体だとかヒト型抗ヒトPD―1モノクローナル抗体、こういったものも非常に高価ですよね。原価がそんなにかかっているとは思えませんね。原価はそれなりにあるんでしょうけれども、あの莫大な金額の中のどの割合かということは、いろいろ考えるところがございます。ディオバンというのも、あれも当然高価な薬だったわけですね、開発不正があったと言われた。

 そういった中で一番大事なことは、研究というのはチャンピオンデータというのが出るんですよ。一番理想とする自分の仮説に基づいて一番いいデータというのが出る。しかし、その再現性というものが非常に大事なんです。研究開発のときもまたしかりなんですよね。研究開発のときも、そのチャンピオンデータが再現できるかということを繰り返しやっていくということが非常に大事なんですが、やはり、科学と論文は、本当に研究者、科学者の良心にかかるところが非常に大きいんですよね、大臣。

 そこで、やはり、立ちどまって再現性というのを重要視するためには、ある一定程度、課徴金をもうちょっと上げるべきものは上げたり、もうちょっと逆に下げるべきものもきっとあるでしょうね。利益率が低いけれども必要なもの、こういったものもあるわけですが、課徴金というのは違反した者にされるものなので、いろいろな思いはあると思うんですが、逆に、四・五%で一律にするということが本当に正しいのかどうか、またゆっくり考えていただきたいと思います。

 結局、本当にチャンピオンデータを絶対に出してくるんですよ。例えば、時間がなくなってきましたけれども、STAP細胞の問題だってそうだと思うんですよね。あれは意図的に捏造したのかもしれないし、ES細胞が混入した結果をチャンピオンデータとして、そこに固執し過ぎた余り捏造が起こったのか、ちょっと私はわかりませんけれども、研究開発というのは、チャンピオンデータというものが出てしまうと、それをどの程度しっかり再現していくかということがやはりかなり大きな課題になってくるんです。

 ここに関して、やはり、人の命にかかわる医薬品、医療機器に関してしっかりとした再現をとっていく、本当に信頼できるデータを出していく、そういったことの抑止にある程度はなるようなものにもなる必要があるのかな、そのように考えますので、大臣、私の話を今聞いて、いかがお考えになられますか。

加藤国務大臣 これは、基本的に広告に対する課徴金。今委員が御指摘になったのは、それがずっとつながっていって、研究開発における姿勢という部分にもつながっていく、多分そういうお話なんだろうと思います。

 今回一律にさせていただいたのは、先ほど申し上げた景品表示法、他の制度においてそうなっているということと、今度は、余り複雑にしちゃうと、どういう場合にどういう課徴金がつくかわからないという観点もあって、今回はこういうことにさせていただいたということでありますけれども、ただ、これに関してもいろいろな御意見があります。今も言われたように、それぞれ利益率もかなりばらつきがあるのではないかとか。

 したがって、施行後において、実際、抑止効果がどうなっているのか、あるいは、ほかの法律の制度においても多分同じ課題を抱えていると思いますから、そういったところでの議論がどうなっていくのか、そういったこともしっかり踏まえながら、必要に応じた検討をしていくという姿勢で取り組んでいきたいと思います。

吉田委員 時間が少なくなってまいりましたが、次は、消費増税の影響。特に、先ほど安藤委員からもお話がありましたが、院内調剤を持っている病院はかなり苦しいですよね、今回の消費増税の影響。

 まず、今回の消費税の税率引上げについて、医薬品にどのような対処をされるのかということを簡潔に大臣からお話しいただきたいと思います。

加藤国務大臣 医薬品に対する課税ですか。

 医薬品に対しては、もちろん、事前にかかっていたところを反映していくということでありますけれども、医療に関して言えば、基本的には、初再診料、入院基本料、ここを中心に前段階でかかってきた消費税について配慮する、そういうことで対応しております。

吉田委員 大臣、ありがとうございます。私の質問の仕方が悪かったのをしっかり解釈いただいて。

 大臣、そうすると、院内調剤を持っている医療機関と院内調剤をほとんどしていない医療機関、一律にそういった対応をされているわけですよね。そうすると、院内調剤を保持したり、ある程度の規模の院内調剤をやっている医療機関というのは、非常に負担が更に増すということになりませんか。ここに関してはどのようにお考えになりますか。

加藤国務大臣 それぞれ、今、院内調剤もあります。それから、それぞれ病院によって、どういうことをやっているかによって診療内容の構成も違います。

 ですから、本当に個々に見て一つ一つチェックして消費税の影響を加算していくという考え方ももちろんあるんだろうと思いますけれども、そういったことも踏まえながら、中医協において、今回の議論においては、初再診料、入院基本料、ここで乗せていく、そういう結論になったということでありますから、おっしゃるように個々で見たら、Aという病院とBという病院と診療の中身が違いますから、今回の消費税の反映の仕方においてある程度の差がつくというのは、それは先ほど申し上げた形で今回の消費税を処理しておりますから、そうした面はあるというふうに思います。

吉田委員 大臣がおっしゃるとおり、それは個々の細かい診療内容の違いに全部対応なんて不可能ですよね。おっしゃるとおりで、一律にされるのはいいんですが、ただ、明確に院内調剤というのは、明らかな形で損税分をふやすわけですよね、おわかりになると思いますけれども。納入するときにはかかるし、あと、設備費、いろいろなものが必要になってくるわけですから。

 先ほど来、安藤委員からもあったんですけれども、今本当に、院内の薬剤師さんは人材も枯渇しているし、なかなかなり手がいない。そして、いい人材を集めたくても、なかなか給料がしっかり払われない中で、院内の、例えばオンコロジー、もう時間が参っておりますので簡潔にしますが、がんの治療なんかをしていく場合に、薬剤師さんはかなり能力の高い方に参画していただいた方が患者さんにとってメリットが高いわけです。

 しかし、そういった現状がある中でここを対応しないということは、明確に院内調剤にしわ寄せが来て、薬剤師さんの病院における確保や患者さんの利便性に影響する可能性が極めて高いと思って、あえてここだけ大変恐縮ですが切り取って、大臣の見解を伺っているんです。

 大臣、診療報酬改定における一律の増額分でここの院内調剤の充実というところは担保できるとお考えかどうか、最後にちょっとお伺いしたいんですが。

盛山委員長 時間が参っておりますので、簡潔に答弁をお願いします。

加藤国務大臣 そこは、まさに中医協でいろいろな立場から議論された結果でありまして、じゃ、調剤を足すと、ほかのものがどうなのかという議論も多分あるんだと思います、個々の診療行為ごとに物を見ていくということでありますから。そういった意味で、今回、中医協においてこういう御判断をされたことを我々は受けとめさせていただきました。

 一方で、委員御指摘のように、薬剤師、特に病院勤務の薬剤師さんにおいて、病院にもよりますけれども、人手が不足しているということは承知をしておりまして、これまでも、診療報酬上、そういう対応を加味した診療報酬改定もさせていただきました。それが処遇にもつながっていくんだろうと思います。

 そういったことを通じながら、院内における薬剤師さんの役割、これも非常に重要であります。特に、これからチーム医療等を含めて大変大事でありますから、そういった観点をしっかり持って今後とも取り組んでいきたいと思います。

吉田委員 質問を終わらせていただきますが、大臣、しっかりと注視して、今後ともよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

盛山委員長 次に、尾辻かな子君。

尾辻委員 おはようございます。略称立国社の尾辻かな子です。

 きょうは、薬機法の改正案についてということで議論をさせていただきたいと思います。

 まず、私の方からは、医薬品等行政評価・監視委員会の創設ということでお伺いをさせていただきたいと思います。

 薬害エイズ、薬害肝炎を始め、厚生労働省の医薬品行政は薬害事件というのをやはり起こしてきたということが言えると思います。その反省、検証を踏まえて、今回、委員会の創設が提案をされております。

 委員会が創設されることは非常に重要なことですけれども、その委員会が求められている役割をしっかり果たすことができる委員会になっているのかという観点からお聞きをしていきたいというふうに思います。

 まず、何よりも大事なことは、第三者性、独立性が担保されているのか。薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会における最終提言では、第三者組織が薬害の未然防止のための監視・評価活動を効果的、公正に行うには、独立性、専門性、機動性を備えた組織、運営形態を持つ必要があると指摘をしております。また、第百八十五国会の衆議院厚生労働委員会の附帯決議でも、第三者組織の設置の検討ということで求められています。

 今回提案をされているこの医薬品等行政評価・監視委員会は、厚生労働省が事務局を担うというふうになっております。省内に事務局がある組織が、独立してその職権を行うという第三者性を持つことが本当にできるのか、独立性はどのようにして担保されるのかということについてまずお聞きしたいと思います。

樽見政府参考人 今回置くことにしております医薬品等行政評価・監視委員会でございます。

 厚生労働省の外にという議論はあったわけでございますけれども、政府の、いわば国家行政組織のたてつけとして、複数の省庁にまたがる行政分野を対象とするというような場合には例えば内閣府というようなことになるわけでございますが、この委員会の評価・監視対象は、医薬品医療機器等法の規定に基づく医薬品等の安全性の確保などに関する施策の実施状況ということでございまして、これは専ら厚生労働行政にかかわるものであるという整理で、厚生労働省に設置するということにしたものでございます。

 ただ、まさに御指摘のとおり、独立性は大事でございます。委員会の独立性を確保するために、まず、厚生労働大臣の諮問ということを受けて議論がスタートするという形ではなくて、みずから議題を決めて審議することができるという仕組みにしている、これが第一点。それから第二点として、法律上、委員は独立して職権を行うということを明記している。それから第三点でございますけれども、事務局は、私どもではございませんで大臣官房に置いて、医薬品行政から独立させるという予定としている。

 こうしたことによって、独立性の確保というものを図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

尾辻委員 やはり私、省内のものを省内で見ることというのは、本当にこれは独立性の担保になるのかなというふうに思うわけですね。大臣官房に置くから大丈夫だというのは、私は、そうなのかなと。

 例えば、毎月勤労統計の調査にしても、大臣官房が事務局を担った、でも、やはりやり方としては第三者性は担保されずに、もう一度やり直したということもあったわけです。

 事務局がどれぐらい本当に独立できるのかということは非常に大事なことだというふうに思っています。最終提言の中では、事務局の人材の確保に当たっては外部から人材を登用することも必要である、こういうことも指摘をされた上で今回のことがなっているわけですけれども、ちゃんと確認をしていきたいと思います。

 事務局と委員の皆さんがされていくということなんですが、これは、事務局の方で恣意的に、これをやりましょう、あれをやりましょうというのではなくて、委員の皆さんがしっかりとお決めになる。委員会の運営であったり取扱い案件であったり評価や監視の方法は委員の皆さんがしっかりとお決めになる、事務局が主体的にやるものではない、ここだけ確認をしておきたいと思います。

樽見政府参考人 これはまさに委員の皆様方の委員会でございますので、それを離れて事務局が恣意的にやるということはございません。

尾辻委員 では、その委員の皆様ですけれども、この委員会の人選、どのように選ばれるのか、誰が候補を選んでいくのか、公募もあったりするのかとか、そのプロセスについて教えてください。

樽見政府参考人 この委員でございますけれども、まさに医薬品等の安全性確保などに関します高い専門性というものが求められるということでございまして、薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会、ここでこの第三者組織というものについても検討していただいたわけでございますけれども、この検証委員会の最終提言の中では、薬害被害者、医薬品ユーザーとしての市民、医師、薬剤師、医薬品評価専門家、法律家のほか、医薬品製造技術専門家、マネジメントシステム専門家、倫理専門家、薬剤疫学専門家という多様なものが挙げられているということでございまして、こうした方々の中から厚生労働大臣が任命するという手続になるということでございます。

尾辻委員 では、公募などはされるんでしょうか、委員の公募。

樽見政府参考人 公募ということについては、現時点では決めておりません。

 ただ、いずれにいたしましても、公正中立な立場で評価・監視していただくのにふさわしい委員の選任ということを図っていきたいというふうには考えております。

尾辻委員 第三者性を持つためには、やはり多様な専門性を持つ方々、先ほど例示にもあった薬害被害者や市民の方が入ることが必須だと思っておりますので、この方々を、公平性そして透明性が担保されるような形で選任をいただきたいというふうに思います。

 そして、この委員の方々ですけれども、先ほどの最終提言では、委員の勤務形態は非常勤であるが、第三者組織が恒常的かつ機動的な監視機能を果たすには、委員の一部は常勤とすることが望ましいとされていました。

 今回は、非常勤の委員十名以内で構成するということになっております。非常勤であれば、委員として果たせる役割、使える時間が限られてしまって監視機能が弱まるのではないかと懸念をされます。なぜ全員非常勤になったかということについてお聞きをしたいと思います。

樽見政府参考人 まず、この委員会自体は常設の機関ということでございまして、所掌事務と権限が法律で定められた常設の機関という形で置くわけでございます。

 それから、最初に申し上げましたとおり、大臣の諮問に応じて審議するとか、そうした何かがあって審議するということではなくて、大臣の諮問によらずとも、委員会みずからが審議事項を決めて審議する、かつ、それを随時審議するということになっているわけでございます。

 そういう意味で申しますと、委員が非常勤であっても、委員会の目的たる医薬品行政の評価・監視等を遂行することが十分に可能であるというふうに考えられますので、平成十一年に閣議決定されました審議会等の整理合理化に関する基本的計画で審議会の委員は原則として非常勤というふうにされておりますので、そのことも踏まえまして、委員を非常勤という整理にしたというものでございます。

尾辻委員 次に、委員会の役割、機能のところについてもお聞きしたいと思うんですけれども、委員会の機能として、関係行政機関の長に対し、資料の提出等、必要な協力を求めることができるというふうになっております。

 私、この求めることができるというのは、強制力がないわけで、任意として資料提供を要求しているというふうに読めるわけですね。これで本当に実効性のある調査ができるのかというのは、非常にここは心配ではありますけれども、ここの点についてはいかがでしょうか。

樽見政府参考人 この規定のしぶりでございます。医薬品等行政評価・監視委員会による資料の提出要求の規定のしぶりにつきましては、例えば内閣府の消費者委員会などと同様の規定のしぶりにしているということでございますが、実質的にしっかりやるのかということでございます。

 医薬品等行政評価・監視委員会の所掌事務から考えますと、まさにこの審議対象となる資料、厚生労働省が保管している、まあ私どもの局で保管しているということが多いというふうに思いますので、私どもに対して資料提供の求めがあった場合にはしっかりと対応してまいる所存でございます。

尾辻委員 このしっかりと対応というのは、もう少し聞きますが、提出を要求されたものは必ず出すのだということでよろしいんでしょうか。

樽見政府参考人 その求められるものが私どものところにあって、提出できるものであれば、それは提出をいたします。

尾辻委員 ここでもし必要な資料が隠蔽されるということがあれば全く評価・監視できないわけですから、この部分はしっかりとやっていただきたいと大臣にもお願いをしたいと思います。

 これは、例えば、省内の資料はそれであれば出てきますけれども、もともとのデータは実は企業にあるんだ、企業側にさまざまなデータがあって、それを、委員会はそのままでは資料要請はできないということなので、厚生労働省を通じて多分資料提供を求めることになるんだというふうに、きのう何かヒアリングで聞いたんですが、企業がやはり自分たちにとって不利な資料は出したくないということであれば、これは出てこない可能性、証拠になるようなものは出てこないんじゃないかという心配はあるんですが、この辺の、資料がしっかり手に入るのかどうかについてはいかがでしょう。

樽見政府参考人 この委員会の評価・監視対象と申しますのは、医薬品等の安全性確保等に関する施策の実施状況ということになっておりますので、法律上は関係行政機関に対する資料提出要求ということで、企業に対して直接提出を求める権限というのは規定をされていないということでございます。

 ただ、私どもがいわばその提出要求を受けるわけでございます。それが企業の持っているデータということになるということも考えられるわけでございますが、まさにそれが医薬品の安全性にかかわることになるということでございます。

 医薬品医療機器等法の現在の第六十九条において、厚生労働大臣は、製造販売業者等に対して必要な報告をさせる権限というものが規定をされております。したがいまして、私どもとしては、こうした権限に基づいて、企業から収集した情報を含めて、必要な情報をこの委員会に提出するというようなことになります。

尾辻委員 そして、今回こうして委員会が創設されるわけですけれども、先ほどの最終提言の中でも、第三者組織のあり方は常に問い続けられなければならないというふうに指摘をされていまして、例えば発足して三年ごとに第三者組織の活動の評価を行い、薬害再発防止の観点から改善すべき点を改善するなど、よりよい第三者組織のあり方を不断に検討していくことが必要であるというふうな指摘もあるわけです。

 委員会発足後にこういう検証、見直しというのはどのようにしていくのかということについてお聞きをいたします。

樽見政府参考人 まさに私ども、行政について何か過ちがあれば直ちに直すということは、これは不断にやっていかなければいけないということだろうというふうに思いますけれども、それを前提にした上で、この制度、法律上の位置づけということでございますが、この法案につきましては、この法律の施行後五年を目途として、施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、改正後の各法律について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるという旨を、法案中、附則の第十四条に置いております。この評価・監視委員会につきましても、この検討規定の対象に含まれるものでございます。

尾辻委員 最後に大臣にちょっとお聞きしたいと思うんですけれども、今、この委員会のことについてるる聞いてきました。最初にあった独立性、専門性、機動性を備えた組織になるのか、そして不断の見直しをこれからもしていっていただけるのか、このあたりについて、最後、大臣に一言お聞きしたいと思います。

加藤国務大臣 委員からの御質問の中にもありましたけれども、この委員会が設置された契機には、C型肝炎の問題があり、それに対する政府側の対応にも問題があった、こういう認識、そして、そうした患者さん等に対するおわびの思い、そこからスタートしているわけであります。

 医薬品等による悲惨な健康被害の発生、蔓延を防止するため、医薬品等の安全性確保に対する対策について、その実施状況を公正中立の立場から評価・監視する仕組み、これはそういったことを二度と起こさないためにも重要だということで、今回、薬害肝炎事件の検証委員会における最終提言、あるいは薬害肝炎訴訟の原告団との協議、これは少し時間がかかったなという思いはしておりますけれども、踏まえて今回の仕組みがつくられたわけでありますので、厚生労働省としては、あるいは厚生労働大臣として、医薬品等の使用による健康被害の発生、蔓延を防止していく、そして、この委員会がしっかり機能を果たしていただける、そのために全力で取り組んでいきたいと思います。

尾辻委員 委員会設置の経緯を考えると、この委員会、不断の検証、見直しをしていって、二度と、二度とやはり薬害事件を起こさないんだ、それに値する委員会になるように求めておきたいというふうに思います。

 それでは、次に、最近インターネットニュースなどで話題になっている血液クレンジング療法ということについてお聞きをしていきたいと思います。

 皆様のお手元にも、この療法について問題を指摘したウエブニュースの印刷したものをお配りしております。

 これは、血液クレンジング療法とか血液オゾン療法と呼んでいるクリニックもあるようですけれども、こうした療法を実施しているクリニックのホームページには、百ミリから百五十ミリリットルの血液を専用ボトルを用いて採取する、そして、採取した血液に代謝と免疫系を活性化するために最も効果のある量のオゾンを正確に投与します、血液とオゾンが反応すると黒い血液が一瞬で鮮やかな赤に変色します、そして、オゾンで活性化された血液をボトルから再び体内に戻します、これだけでも脳と目に酸素が行き渡り、また、冷え症の方などはぽかぽかと温まるのを実感していただけます、こういうような宣伝がされていて、今、芸能人の方が、SNSのインスタグラムとか御自身のホームページで、こういう血液クレンジング療法を自分は受けたんだというようなことを紹介していて、非常に影響力が広がっていっております。

 ただ、一方、消費生活センターなどには、契約トラブルや効果を疑問視する声が上がっているということです。

 この療法については、自由診療、つまり保険外診療ということになっているんですけれども、本来、効果があるものであれば保険診療、標準治療になると思うんですが、この辺、一体この療法というのはなぜ保険外診療で自由診療なのか、この療法に効果があるのか、厚労省の方でエビデンスなど持っているのか、こういうことについてまずお聞きしたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる血液クレンジング療法という療法につきましては、今御指摘ございましたように、自由診療として行われているもので、一定の医療機関に広がっていると言われておりますが、その効果及びリスクについて厚生労働省としては現時点で確認できておりません。今、関係学会等と連携しながら情報収集を行っているところでございます。

 また、医療保険の適用の問題についても御指摘ございました。

 医療技術の保険適用につきましては、使用する医療機器等について薬事承認を受けた上で、保険適用の希望があったものについて、治療と疾病の関係が明らかであること、治療の有効性や安全性などが確立しているかという点について中医協で御議論をいただいた上で、保険適用の対象としております。

 御指摘のいわゆる血液クレンジング療法につきましては、こうした手順が踏まれておりませんので、現時点は保険適用になってございません。

尾辻委員 ちなみに、これは保険適用になっていないということですから、何科、いわゆる内科とか血液内科とかありますけれども、何科の療法になるのかという、例えば分類とかはあるんでしょうか。

吉田政府参考人 私ども厚生労働省として、公的に分類はしてございません。

尾辻委員 ということは、これは自由診療ですから、そしていろいろな、今のところ把握していないということは、リスクについてというのは、厚労省としては何か把握しているものはありますでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 重ねてではございますが、現時点、私ども、リスクについても、このいわゆる血液クレンジング療法については確認できてございませんので、関係学会等と連携をしながら、現在情報収集を行っているところでございます。

尾辻委員 これはやはり把握をしていただかないといけないかなと思うんです。特に、やはり芸能人の方がやられることで、若い人たちにも広がっていると思うんですね。

 何よりも、患者さんと医師では持っている情報は全然違うわけですから、健康になりたいとか病気を治したいと思う患者さんの気持ちを逆に利用しているんじゃないかとも言わざるを得ないと思うんですね。

 ですので、まず、これがどれぐらい広がっているのかとか、何人ぐらいこれを受けているのか。学会と連携してと言いますけれども、やはり厚労省としても把握していく必要があると思います。

 この療法で使われている医療用のオゾンについてもお聞きしたいと思うんです。

 この療法を問題視している記事などでは、アメリカではFDAによって二〇一六年からオゾンの医療用使用は禁止されているという指摘もありますし、私もちょっとFDAの文書を見てみましたけれども、その英語を日本語にちょっと訳してみるとこんなことになるのかなというのだと、オゾンは有毒ガスであり、特定の治療、補助治療又は予防治療において有用な医療用途は知られていないと、はっきりとFDAには書かれているんですね。

 ここでちょっと話が広がりますけれども、今オゾンを使った殺菌効果がある空気清浄機とかもかなり出回っているわけですけれども、それについても、FDAでは、オゾンは、殺菌剤として有効であるためには、人間や動物が安全に許容できる濃度よりもはるかに高い濃度でオゾンが存在する必要がある、ここについてもしっかりと書かれているわけです。

 このことについてはまた別の機会にお聞きしたいと思うんですが、では、日本で今、いわゆる血液クレンジング療法と言われているものですけれども、これは医療用のオゾンを使っているわけです。これは承認されているものなんでしょうか。こういう目的で使用してもいいものなのかということについて教えていただきたいと思います。

樽見政府参考人 アメリカのFDAでも、オゾン発生装置は器具の殺菌に利用する製品が承認されているということでありまして、まさに人体に作用させるオゾン療法というもので承認されている製品はない。

 日本も同じように、医薬品や医療機器として有効性や安全性が確認されて、薬事承認された製品だけが販売、授与することが認められているわけでございますけれども、そうしたものはないということでございます、オゾンに関してですね。

尾辻委員 ということは、自由診療の中で、承認を受けていないものが、こういうふうに医療としてやって血液の中にまぜ込まれて、また体内に入れるということがされている、それについては何ら規制も注意も今のところないということでよろしいんでしょうか。

樽見政府参考人 医師の個々の判断に基づきまして未承認の医薬品や医療機器を使用するということにつきましては、医薬品医療機器等法の規制の対象外ということでございますので、医薬品、医療機器の規制ということで何らかの規制を行うということについては困難でございます。

尾辻委員 そうなんです、これはさまざまな規制を何かすり抜けているようなんですね。

 私は、ちゃんとFDAのように、オゾンは特定の治療、補助治療又は予防治療において有用な医療用途は知られていない、これをやはり厚労省は書くべきだと思うんです。若しくは、こういうことを紹介すべきだと思うんです。

 これは医療になるので、吉田局長の方になるんでしょうかね。いかがでしょうか。

樽見政府参考人 まさに物の規制という観点からのことになりますが、ちょっとFDAのそういう書きぶり等についてもしっかりと確認をしてみたいと思いますけれども、それを踏まえまして、どういうことができるのかということについて考えてみたいと思います。

尾辻委員 よろしくお願いします。

 次に、医療広告のことについてお聞きしていきたいと思います。

 皆さんのお手元には、いわゆる血液クレンジング療法やオゾン療法についてクリニックでどのように紹介されているのかということで、ホームページから、血液クレンジング療法などで検索をしたときに出てくる医療機関のホームページを印刷したものを持ってきました。

 本来、医療広告ガイドラインでは、国内未承認の治療や医薬品を使う自由診療の内容を広告することはできないということになっているんですけれども、限定解除の基準などがあって、このように広告できるわけです。

 これを見ていただくと、すごいんですけれども、例えば左の下の方、治療効果の期待できる疾患というのが書いてあるわけですね。肝炎、HIV、インフルエンザウイルスの除去効果があるんだとか、がん、悪性リンパ腫、白血病に効果があるとか、狭心症、心筋梗塞等の冠動脈疾患、抗アレルギー作用、いろいろなものに効果があるというようなことが書かれているわけです。

 これは医療広告ガイドライン上いいのか、誇大広告にならないのか、このことについて教えてください。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 一般に、医療広告ガイドラインによりまして、国内未承認あるいは適応外の医薬品などを用いた自由診療に関する広告につきましては、患者等の利用者保護の観点から、広告可能な事項を診療科名や医療機関の名前などに限定的なものとしておりまして、それら以外の広告については禁止してございます。

 加えて、広告できる事項を広告する場合であっても、広告内容が与える印象などと実際の治療内容に著しく相違があって、誤認を与える誇大広告に該当するものは禁止です。

 厚生労働省といたしましては、御指摘いただいたもののうち、例えば、標準治療があるにもかかわらず、がんに対する療法と称してその治療法が唯一であるかのように示すというような広告は、患者の適切な受療機会を奪うような広告になると考えられますので、ネットパトロールなど、必要な手続を踏んだ上で、自治体とも連携をし、行政指導等の必要があれば対応を行ってまいりたいと考えております。

尾辻委員 私が例示で申し上げた、例えばがん、悪性リンパ腫、白血病への効果、免疫機能を活性化する、こういうふうに書くことは、これは誇大広告に当たらないんでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 今お示しいただいたものについては、引き続き我々としても担当部局として精査をさせていただきたいと思いますが、一般に、広告できる事項であっても、広告内容が与える印象などと実際の治療内容に著しく相違があり、誤認を与える場合には誇大広告になると私どもは整理をしております。

尾辻委員 私は例示でそれの判断を求めているんですが、どうも局長は一般論で答えていただいていて、ちょっとすれ違っているんですね。

 例えば、ほかにもあって、一番上の「血液クレンジング療法とは」と書いてある一番最後の行には、スタンダードかつ安全な治療法だというふうに書かれているんですね。これも本当に、こういうふうにスタンダードで安全な治療法だというふうに広告していいんでしょうか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 まず、二つのことが必要かと思います。

 一つ目は、先ほども御答弁申し上げましたように、いわゆる血液クレンジング療法につきましては、私ども厚生労働省として、科学的な面についての確認が現時点においてできておりませんので、関係学会等と連携をしながら情報収集を行っているという点と、その上で、今お話ございましたように、標準治療があるにもかかわらず、がんに対する療法と称してその治療法が唯一であるというような広告につきましては、私ども、患者の適切な受療機会を奪うような広告として、必要な手続を踏んで、自治体とも連携をして、行政指導の対象となり得るものというふうに考えております。

尾辻委員 さっきから同じことを言っておられるわけですけれども。

 一つは、ガイドライン違反じゃないかということ、もう一つは、限定解除の基準が、これは本当に緩過ぎるんじゃないかと思うんですね。これを一つ一つやはり精査していかないと、こういった広告がずっとあふれることになるわけです。ですので、ここをもう一度やはり検証していただく必要があると思います。

 ちょっと、あと五分なので質問を急ぎますけれども、今問題になっているのは二つあって、一つは、病院側が、来院した著名人の写真とかを自分たちのホームページやインスタグラムに載せている。これは医療広告のガイドラインでは比較優良広告になって、恐らく違反じゃないかと思います。これの確認だけさせてください。

 もう一つは、今、ステルスマーケティングと言われるものがあって、宣伝とうたわずに宣伝をする、こういう手法もかなり広がっているわけです。

 今回の芸能人の方々も、わからないんですよね。金品の授受があったのかどうかとかはわからないので、本当に宣伝行為なのかどうかというのもよくわからないんですが、こういった、宣伝かどうかわからずに、きょうこうやって治療を受けてきました、何かすごく体がぽかぽかして元気になりましたとか、こういうステルスマーケティングの手法は医療広告ガイドラインで取り締まれるものなのかどうか、ここについてもお聞きしたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 二点御質問をいただきました。

 まず、著名人の写真などの活用につきましては、今委員引用されました医療広告ガイドラインにおきまして、著名人との関連性を強調するなど、患者等に対して他の医療機関より著しくすぐれていると誤認を与えるおそれがある表現は、患者などを不当に誘引するおそれがあるから、比較優良広告として禁止してございます。

 それから、いわゆるステルスマーケティングの件でございますけれども、まず、医療広告ガイドラインにおきましては、規制の対象となる医療に関する広告を、時間もありましょうから少し言葉をはしょらせていただきますと、誘引性であるとかあるいは特定性という要件を定めまして、その要件に該当する場合に広告として規制の対象としてございます。

 さらに、個人の体験談のようなものにつきましては、同じくガイドラインにおきまして、医療機関からの依頼に基づく体験談である、あるいは医療機関から金銭等の謝礼を受けている又はその約束がある場合には、具体に個別の医療機関への受診を促すものになりますので、規制の対象としてございます。

尾辻委員 今、非常にSNS、インスタグラムとかがはやっている中で、やはり何らかちゃんと規制をしていかなきゃいけないと思うんですね。明らかにこれは宣伝なんだということがわかるようにしていかないと、これはどんどん広がっていくというふうに思いますので、ここについて、今これだけ広がっているんだということを考えて、もう少し実効性のある、もちろん確認は難しいかもしれませんが、ステルスマーケティングを何らか規制できないのかということをぜひ考えていただきたいというふうに思います。

 さらに、ガイドラインで示したから違反ですといっても、ではそれが本当に取り締まれているのか、そしてそれが、宣伝はだめだよというふうになっているのかという、ガイドラインの通報とか、今、通達とか、個別の保健所指導とか、やっておられるのか。一体どれぐらいの件数があって、本当に罰則まで至ったのはどれぐらいあるのか、血液クレンジング療法でそういう事例があるのか、この辺について教えてください。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 二つのルートがございます。

 一つは、医療広告に関する地方自治体宛ての相談、苦情件数、これにつきましては、平成二十七、二十八、二十九という直近三年間で毎年平均四百件程度、そのうち行政指導を実施した件数が毎年百件程度となってございます。

 二つ目のルートとして、厚生労働省におきましては、平成二十九年八月からネットパトロール事業というものを開始しております。これによりウエブサイトの広告規制等について確認をしておりまして、これにより医療機関に対する規制内容を周知して、自主的な見直しを求めているという仕組みでございます。医療機関宛てには、平成二十九年度には六百四十三機関、平成三十年度には千百九十一機関に通知をしてございます。

 通知を行った事案、多くは医療機関において自主的に改善又は広告の中止が行われてございますけれども、改善が認められない事案につきましては、平成二十九年度には十二機関、平成三十年度は六十八機関について、自治体に情報提供をし、該当する医療機関に対して指導を行っているところでございます。

 現時点で最新の平成三十年度までの集計結果におきまして、医療広告規制違反として罰則が適用になった事案はございません。また、血液クレンジングに関する事案は、現時点のところ確認できておりません。

尾辻委員 やはり、私もインターネットで調べたら、今言ったような効果をうたったりとか、たくさん出てくるわけです。ですから、一部ではそうやってされているんでしょうけれども、全体には広がっていないんだ、つまり、実効性が今問われているんじゃないかというふうに思います。

 科学的な根拠がなく、侵襲性が高い行為を今クリニックで行われていて、一般の方々、患者さんはそれをやはり信じてしまうということが現実に起こっていることは受けとめていただきたい、そして対策を考えていただきたいというふうに思います。実態把握であったり、実効性のある規制、そして啓発、この辺をしっかりやっていただきたいと思います。

 ちょっと時間が来ているんですけれども、大臣、最後、この質疑を聞いて、一言感想をいただければと思います。

盛山委員長 答弁は簡潔にお願いします。

加藤国務大臣 今御指摘のような課題がある一方、自由診療という制度のもとであるし、また、ネット空間というのは、まさに自由に展開されているということ。そうした中で、どこまでこうした対応ができ、患者さんが正確な情報に基づいて治療が選択できる、そして、かつ安全に行われていく、これをどう確保していくのかということが大事だと思っております。

 そういった意味において、既存のネットパトロール事業等々をやる中で、自治体等における規制が的確に行われること、また、関係学会等とも連携しながら、情報やあるいは認識の共有を図りながら、今の医療広告規制、この実効性を図る中で、最初に申し上げた、患者の皆さんが正しい情報に基づいて選択し、かつ安全に事が実行できる担保を図っていきたいというふうに思います。

尾辻委員 次から次へ新しいこういうものが出てきているんですね。しっかりと規制の方法を考えていただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

盛山委員長 次に、山井和則君。

山井委員 質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 三十五分間にわたりまして、薬事法の問題、また、それに関連して、後半、高齢者医療制度、介護保険のことも質問をさせていただきたいと思います。今質問されました尾辻議員とも、監視委員会の件ではちょっと質問が重なるかと思いますが、お許しをいただければと思います。

 きょうの配付資料を見ていただきたいんですが、二〇〇八年一月十六日、本当に、この新聞記事を見ると、私も涙が出る思いであります。この委員会室にこの当時の経緯を知っている方はもうかなり減ってしまったのかもしれませんが、ここの写真に写っておられるのが薬害肝炎全国原告団の山口美智子代表であります。そして、きょうも薬害の被害者の方々がわざわざ傍聴にお越しをいただいております。

 二〇〇六年、二〇〇七年から始まって、もう十数年間、薬害の被害を受けた肝炎の方々が国会に通い続けて、この監視委員会、再発防止のための委員会をつくる運動をされている。そういう意味では、私が冒頭申し上げたいのは、この間、みずからが薬害の被害を受けて御病気になられて、心身ともに本当に傷つかれて、そういう被害者の方々が本当に大変な思いをされて、国会に来られ、役所に行かれ、それをサポートしてくださったさまざまな弁護士の方々も含め運動をされてきたということに、心より敬意を表したいと思います。

 私たちの思いとして、本来は、そういう薬害の被害者とか御病気の方々が先頭に立って動かなくても、しっかりと救済をし、再発防止策を講じるのが、厚生労働省、そして私たち与野党国会議員の責務だと思います。そういう意味では、今回の監視委員会の件は、繰り返し言いますけれども、十何年間も被害者の方々が運動を続けなければここまで到達できなかったということに関して、私も本当に申しわけないという気持ちでいっぱいであります。

 そこでなんですが、おさらいですが、二〇〇八年一月十六日に、薬害肝炎訴訟の和解合意書に調印した、第三者機関の検証を盛ると。もうこれは今からほぼ十一年前の話なんですね。十一年もかかってしまった。それで、この和解が終わってからも、再発防止のためにということで大変な思いをして、きょうもお越しをいただいている薬害肝炎の被害者の方々が運動を続けてくださいました。

 そんな中、やはり、配付資料にもありますように、最終提言も、出たのは二〇一〇年の四月二十八日、九年前なんですね。それで、ここで第三者監視・評価組織の創設と。とにかく、この薬害の再発を防止する第三者監視・評価組織をつくるまで薬害の被害者の方々も運動をやめることができないということで、必死の思いで活動を続けてこられました。

 そこで、最初の質問なんですが、二〇一〇年四月二十八日の最終提言の中でもこう書かれているわけですね。第三者監視・評価組織の創設としては、監視・評価機能を果たすことができる第三者性を有する機関を設置することが必要である。第三者組織は、薬害の発生及び拡大を未然に防止するものである。独立性、専門性、機動性が必要である。

 そういう中で、これは、はっきり言って苦渋の選択。本当にこれは苦渋の苦渋の選択で、厚生労働省内に置くということを、最終提言の七十七ページ、これはちょっと配付資料にはありませんけれども、結局、第三者組織を三条委員会又は内閣府に設置する八条委員会として設置することを望むが、現在の政治経済情勢の下でそれらの早急な実現が困難であるというのであれば、一刻も早く監視・評価組織を実現するという観点から、本検討委員会を設置した厚生労働省の責任において、第三者組織を当面同省に設置することを強く提言する、こうなっているんですね。それで、公平中立な監視・評価機能を果たせるようにすべきである、独立性を確保できるようにすべきである、そして、厚生労働省内の既存の薬事・食品衛生審議会とは役割機能が異なるものであるから、これとは別個の組織とすべきである、こうなっているわけです。

 そこで、改めて加藤大臣にお伺いしたいんですが、ずっと薬害の被害者の方々や弁護団の方々は独立した監視委員会にと言っていたんですけれども、妥協に妥協を重ね、今回、厚生労働省内に置くということになったんですけれども、最終提言で提言されているような独立性というものはしっかり担保されるんでしょうか。お願いします。

加藤国務大臣 委員御指摘のように、平成二十年の基本合意、その前の総理大臣談話、もちろん、その前に訴訟に至る経緯があって、そしてその後、この第三者委員会のありようについても、それぞれ国会の先生方にもいろいろと御努力いただきながら最終的な合意になったということ、そこはしっかり我々も受けとめていかなきゃいけないと思っております。

 その中で、本委員会の評価・監視対象は、医薬品医療機器法の規定に基づき厚生労働大臣が行う医薬品等の安全性の確保に関する施策の実施状況であるということにしております。

 そういった中で、これを、基本的には複数の省庁にまたがる行政分野を対象とするものでないことから、内閣府ではなく、厚生労働省に設置をされました。

 その中で、委員会の独立性を確保するために、一つは、厚生労働大臣の諮問によらずとも、みずから議題を決めて審議ができるという仕組み、また、二つ目として、法律上、委員は独立して職権を行うことを明記していること、三つ目として、事務局は医薬品行政から独立させた大臣官房に置いて、医薬品行政からの独立を担保する、こういうことを予定をしているところであります。

山井委員 いや、本当に、こういう薬事行政を推進する側の厚生労働省と、逆にそれをチェックする監視委員会を同じ省内に置くというのは、一歩間違うと、利益相反ということにもなりかねないおそれがあるわけなんですね。

 それで、妥協の末に厚生労働省内に置くということになったんですけれども、本当にこれが機能するのかどうかというのは、これは非常に重要なことです。

 繰り返し言いますけれども、この最終提言が出たのは二〇一〇年。今、二〇一九年。もう九年間かかっているんですね。私も本当に何度か涙しましたが、こういう和解に至る経過、そしてこの第三者委員会を設置するための運動の中で、多くの薬害肝炎の被害者の方々が御病気でどんどん亡くなっていっていかれるのですよ。本当にこれは、私たちからすると耐えられない、つらい方々で、みずからの命を削りながらも、とにかく薬害の再発を防止したいということで必死の思いで活動をされてきて、この監視委員会に至ったわけです。何としても機能させねばならないと思います。

 ついては、最終提言の七十七ページにもある、これは重要なんですよね、第三者組織を当面厚生労働省に設置することを提言するということなんですけれども、やはり行く行くは厚生労働省外の第三者組織、省外にすべきだと思いますし、この最終提言も、そういう思いを込めて当面という言葉を入れたと思うんですね。

 そこで、加藤大臣にお伺いをしたいんですけれども、この最終提言では少なくとも当面ということですが、やってみて、残念ながら、まあ、やる前からこんなことを言うと失礼かもしれませんけれども、うまく機能ができないというような懸念が高まってきたら、そんなことは想定したくないけれども、やはりこの最終提言にあるように、機能しないのであれば、独立性を含め、厚生労働省外に監視機関を移転する、設置するということを考えるべきだと思いますが、加藤大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まず、今委員御指摘のように、この委員会がこの目的に沿ってしっかり機能を果たしていく、これは当然のことでありまして、それに向けて全力で取り組んでいきたいというふうに思います。

 そして、この法文上の中においては委員御承知のように見直し規定が設けられておりますので、その法文上の見直し規定の趣旨も踏まえながら対応させていただくということになるんだろうと思います。

山井委員 重要な答弁であると思います。繰り返し言いますけれども、苦渋の決断、苦渋の妥協で厚生労働省に置くということに、このままいくと永遠に監視委員会ができないんじゃないか、本当にそういう不安の中で、こういう妥協の産物で今回の形になったわけですから、今加藤大臣がおっしゃったように見直し規定があるわけですから、やってみて、十分に機能ができない、あるいは薬害が再び起こってしまったなんということになれば、これはやはり、かねてからの被害者の方々の主張どおり、厚生労働省外に置くというふうにせねばならないと思います。

 ついては、このメンバーなんですね。当然、薬害の被害者、法律家、この法律家というのは薬害の被害者に寄り添って戦ってこられた弁護士さんのことであると思うんですけれども、私も、薬害肝炎に関する審議会や検討会を何度か傍聴させていただいたこともありますし、また、民主党政権では、逆に、長妻厚労大臣のもと、政務官の立場で薬害肝炎の方々からの要望を受け取ることもさせていただいたことがあります。

 そこで、加藤大臣に一つお願いなんですけれども、薬害の被害者は入ることになっているんですけれども、私は、できれば複数、薬害の被害者の方を委員のメンバーの中に入れていただきたいなと。

 余り古い話をしても恐縮ですけれども、薬害肝炎の運動を私も微力ながらお手伝いをさせてもらいましたが、薬害肝炎のことを認めろ、和解してくれ、救済してくれと幾ら言っても、残念ながら、当時の厚生労働省は、関係ない、関係ないと、もう逃げまくるわ、隠しまくるわ。被害者の方々がどれだけ涙ながらに訴えられようが、知らぬ存ぜぬ、知りません、私たちは間違っていませんと言い続けたわけですよ。それで大問題になって、与野党を超えて議論をして、最終的に超党派の議員立法を成立させて救済したんですよね。こんなつらい経験を二度と薬害の被害者の方々にさせてはならないという反省が私は必要だと思います。

 そういう意味も込めて、この検討を、第三者組織の中に薬害の被害者の方を、一人じゃなくて、複数入っていただくべきではないかと思いますが、加藤大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 最終提言の中で、第三者組織を構成する委員の人数は、機動性という観点から、委員長を含めて、十名ないしそれ以下が適切というふうにされているわけであります。したがって、今回もそういう規定も盛り込んでおります。

 他方で、対象としては、医学、薬学の有識者、医薬品等の副作用により健康被害を受けた方、医薬品等を使う立場の市民、法律家などが考えられ、具体的には、この改正法の七十六条の三の九において、るる、すぐれた識見を有する者のうちから任命するとなっておりますので、法案が成立した後、委員の構成については、今委員の御指摘、この間のかかるいろいろな議論をしっかりと踏まえながら、幅広い分野のすぐれた識見を有する中から、公正中立な立場で評価し監視していただくのにふさわしい方を委員として選任をしていきたいというふうに考えております。

山井委員 繰り返し申し上げますが、この薬害の被害者の方々は、多くの御病気の仲間の方々が薬害肝炎で既に亡くなっておられるんですね。本当にそういう、つらいつらい、重たい思いを背負って参加されるわけですので、最大限意見を尊重していただければと思います。

 かつ、私もずっと相談に乗らせていただいておりますが、これはやはり医療費がかかるわけですよね。和解とか救済とか言いますが、薬害と認められていない方がまだ残念ながら大多数なんですよ、カルテが見つからないから。

 そのことに関して、少し話題を移しますが、今回、後期高齢者医療制度も二割負担に引き上げるとか、そういう議論を、財政制度審議会を含めて政府では議論を始められました。繰り返し言いますけれども、薬害肝炎で和解した対象というのは本当にごく一部ですよ。大多数の方々は本当に苦しんでおられるんです。そういうことも含めて、高齢者医療制度の二割負担の対象をふやす、原則二割負担に引き上げていくというのは、あってはならないことだと思います。大臣の御意見はいかがでしょうか。

加藤国務大臣 薬害を受けた方に関して認定するというときに、実際、医療を受けたカルテとかが残っている云々だけではなくて、幅広く拾っていくということで、今、我々もいろいろな実際面では対応させていただいているところでございますが、それはそれとして、今委員から高齢者医療費の自己負担の二割引上げの話がありました。

 新経済・財政再生計画の改革工程表二〇一八においては、「世代間の公平性や制度の持続性確保の観点から、後期高齢者の窓口負担の在り方について、団塊世代が後期高齢者入りするまでに、早期に改革が具体化されるよう関係審議会等において検討。」とされております。

 それを踏まえて検討しているところでありますが、ただ、いずれにしても、二〇二五年あるいは二〇四〇年という一つの節目があります。そうした日本の社会を見据えながら、医療のあるべき姿はどうなのか、そしてその中で、給付、負担を含めた持続可能性、こういったことを議論していく必要があるんだろうというふうに思っております。

 この後期高齢者の窓口負担のあり方については、高齢者医療費の動向、あるいは現役世代も含めた現行制度の状況、さらには高齢者の方々の生活状況、こうした取り巻く環境も踏まえながら、先ほど申し上げた改革工程表二〇一八を踏まえて丁寧に検討していきたいなというふうに思っています。

山井委員 消費税は上がる、物価も上がる、年金は年々カットされる、今後もカットされる、そういう中で、本当に長生きが喜べる社会をつくっていくためには、やはり二割負担に引き上げるというのはやめるべきだと思います。

 同様に、セットでまた厚労省あるいは全世代型社会保障検討会議が議論をしているのが、介護保険の二割負担の対象拡大、あるいは原則二割負担に上げていく。これも同様に、これによると、きょうの配付資料の中にも認知症の家族の会の方々の要望書を入れさせていただきました。きょうの配付資料の四ページ目の左ですね。認知症になっても安心な暮らしを実現する社会を求め続けよう、認知症の人と家族の会支部代表者会議、参加者一同。

 先日、この方々に直接お目にかかって要望もお聞きしましたが、二割負担になると、例えば、要介護三、四の方々が三十万円のサービスを使っていたら、一割負担だったら三万円だったものが、二割負担になると六万円。三万円アップしたら、サービスを抑制せざるを得ません。あるいは、十五万円分のサービスを使っていた方も、今まで一万五千円だったものが、二割負担になると三万円に、一万五千円上がってしまう。やはりこれはサービスの利用抑制になって、本当に、かえって症状が重症化するということになると思います。

 加藤大臣、やはり、二割負担の対象拡大、こういうものはやめるべきだと思いますが、いかがですか。

    〔委員長退席、冨岡委員長代理着席〕

加藤国務大臣 介護保険の利用者負担については、これは原則が一割負担で、そして一定以上の所得がある層に対して二割、また特に所得の高い層に対して三割の負担をお願いをしているところであります。

 今回、社会保障審議会介護保険部会においても制度見直しの議論を行っておりますけれども、今の時点で具体的な結論を有しているわけではありません。

 介護保険部会においても、世代内、世代間の負担の公平性、あるいは負担能力に応じた負担のあり方、利用者への影響など、さまざまな観点から、関係者の意見を踏まえながら、慎重に議論を進めていきたいと考えています。

山井委員 いや、社会保障改革、こんな、自己負担をアップするとかサービスをカットするんだったら、国民からすると、そんな改革はやめてくれということになりますよ。

 おまけに、要介護一、二に関しても、今の要支援と同じように、介護保険から外して地域支援事業にして、その結果、デイサービスやホームヘルプなどの生活援助サービスを事実上カットしていく、そういう検討もされているわけですね。

 私も、多くの要介護一、要介護二の方々の話を最近聞いております。例えば、きょうも、配付資料で七ページ、先日お目にかかった方の状況を、当然了解を得て資料でお配りをしますが、ひとり暮らしの高齢者の方、要介護一とか二でホームヘルプやデイサービスが減ったら、もうひとり暮らしができなくなりますよ。あるいは、日中独居で、同居はしているけれども、昼間は御家族の方が仕事に行って介護ができない。

 要介護一、二のデイやホームヘルプをカットしたら、三分の一か半分ぐらいの介護保険利用者のサービスをカットすることになりかねません。もちろん財政的に豊かなところは何とかカバーできるかもしれませんが、財政的に厳しい自治体はサービスをどんどんカットせざるを得ない。ひとり暮らしができた高齢者が結局は入院したり、介護施設に入ったり、あるいは介護離職して家族が見ることになったり、あるいは介護による共倒れがふえるということにもなりかねません。

 私も、議員になる前、二年間スウェーデンに留学して高齢者福祉の研究をしていました。認知症のグループホームの研究。それと、私も論文を一本書かせてもらいましたが、スウェーデンと日本の高齢者福祉比較という論文を書かせてもらいました。医療福祉経済学の権威であるペールグンナル教授という人が私の指導教官だったんですけれども、そのスウェーデンの医療福祉経済学の権威が、日本の介護制度について私にこう指導してくださったんですね。日本の介護が弱いのは、結果的には高くついていると。

 どういうことか。ホームヘルプやデイサービス、そういう予防的なサービスが圧倒的に日本では足りていない結果、どんどんどんどん重症化し、入院し、長期入院し、介護費用を下手に削ると、結果的にはそれが入院費や医療費の増大となって、本人も幸せになれないどころか、経済的にも国民負担もアップするということを、ペールグンナル教授は日本の現状に対して指導され、私もそのことについて論文をルンド大学で書かせていただきました。

 そのことと全く同じことが言えるんです。二割負担にする、介護保険や後期高齢者医療制度。そして、要介護一、二のサービスをカットする。財政的に助かったではこれは済まないですよ。介護離職がふえるでしょう。介護離職ゼロ作戦って安倍政権の目玉だったんじゃないんですか。今やろうとしている高齢者医療、介護保険の二割負担をふやしていく方向、要介護者のサービスをカットする。いわば介護離職促進政策じゃないですか。

 一番不安に思っておられるのは、認知症の家族の方々ですよ。要介護一、二、認知症の方々は一番大変なんですよ。家族はもう倒れかかっている。私の身近でも、要介護二の認知症の方の介護に疲れ果てて老夫婦心中という事件が残念ながら起こってしまいました。今でさえそうなんですよ。

 要介護一、二の認知症の方のケアというのを、多くの場合、高齢者がやっているんです。一番大変なんですよ。そこのサービスをふやすどころか減らす。介護離職がふえるでしょう。介護による共倒れがふえるでしょう。言いたくはないですが、認知症の症状が悪化しますよ、サービスを切ったら。認知症も悪化する、介護離職もふやす。安倍政権が言っていることと逆じゃないですか、やろうとしていることは。私はこれは納得できません。

 加藤大臣、介護離職ゼロ、認知症に優しい政策をとると。言っていることとやっていることが真逆。要介護一、二を介護保険から外し、地域支援事業にする、こういうことは絶対にやめるべきだと思います。いかがでしょうか。

    〔冨岡委員長代理退席、委員長着席〕

加藤国務大臣 まず、要支援一、二の方について総合事業を展開していますが、これは介護保険制度から外したのではなくて、介護保険制度の中で、それぞれの市町村にあるNPO、民間企業、多様な主体が参加する中で、より地域にふさわしい事業を展開しようということで進めているというのが本旨であります。

 ただ、それが当初予定したほど十分かという御批判、これはしっかり我々は受けなければいけない、そこは私はよく認識しているつもりであります。

 その上で、今回、要介護の一、二についての議論、これを含めて制度の見直しの議論を介護保険部会にやっていただいているわけでありますけれども、この部会においても、先ほど申し上げた総合事業の実施の状況、また実施主体である市町村の関係者の意見、こうしたものを伺いながら、慎重に議論を進めていかなければならないというふうに考えております。

山井委員 今、大臣も認められましたよね。要支援一、二の介護保険サービス、地域支援事業に移して、必ずしもうまくいっているわけじゃないと。この委員会室で残念ながら強行採決したわけですよ、要支援一、二のサービスを地域支援事業に上げるということで。

 皆さんの言い分は、何か地域のボランティアにやってもらう。あれから二、三年たって、状況はどうですか。皆さんの地元の自治体で、ボランティアが要支援一、二の方のサービスをやって、うまくやっている自治体があったら手を挙げてください。一個もないんじゃないんですか。私、ほとんど聞いたことがないですよ。厚生労働省にうまくやっている自治体をどんどん教えてくださいと言っても、ほとんど資料は出てこない。

 加藤大臣が今言ったように、要支援一、二が地域支援事業になってうまくいっているわけでは必ずしもないとおっしゃっているんだったら、その現状なのに要介護一、二を更に地域支援事業にするなんて、とんでもないじゃないですか。検証もせずに。

 おまけに、悪いことばかりなんですけれども、ケアプランの有料化、ケアマネジメントの有料化。これは一回じゃないですよ。毎月千円か二千円か、一割負担になるのかどうかまだ未定ですけれども、やっていくと、年間数千円とか一万数千円、ずっとケアプランの自己負担がアップすることになります。これもきつ過ぎますよ。今まで無料だったのに。

 何を考えているんですか。自己負担アップ、年金カット、消費税アップ、サービスカット、そんな改革だったら、やらない方がいいです。ケアプランの有料化もやめるべきだと思います。大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 いずれにしても、介護保険制度の見直しについてどうすべきかということを議論しているわけであって、こうするということを前提に話をしているわけではありません。

 今委員御指摘のあったケアプランの有料化についても、さまざまな議論もございます。そうしたさまざまな観点から慎重に議論していただいて、しっかり結論を出していきたいと思っております。

山井委員 先週質疑した、六十五歳以上の在職老齢年金の廃止、見直し、高在老の話と全く一緒なんですよ。

 私が言っているのは、方向性が逆だと言っているんですよ。自己負担をアップして、サービスをカットして、高齢者と家族を苦しめる改革ばかり何で検討するんですか。逆でしょう。

 ついては、提案したいと思います。

 私たち野党は、かねてから共同で、介護職員さん、そして障害福祉職員さんの賃金引上げの法案を提出をしております。ついては、今やるべきことは介護職員さんの処遇改善じゃないですか。この十月から数千円上がりましたけれども、残念ながら全く不十分です。

 私の知っている介護福祉士さんの専門学校も、二百人の定員だけれども、五十人しか生徒さんが来ない。なぜか。保護者の方が、介護の仕事には進まないでとお子さんをとめてしまう。給料が低いからと。これでは、幾ら制度を整えても、安心できる高齢社会にならないんです。

 大幅に介護職員の処遇改善をする、障害福祉職員さんの処遇改善も当然セットでする、こういうことを打ち出さないと、繰り返し言います、介護の処遇改善はやらない、自己負担はアップする、サービスはカットする、年金もカットする、消費税は上げる、お先真っ暗じゃないですか。

 ぜひとも、介護職員さんの処遇改善、十月にちょっとだけ上げたけれども、不十分だから更にやる、そういう前向きな答弁をお願いしたいと思います。

加藤国務大臣 いずれにしても、今、いろいろな御指摘、それは一つの御意見だと思います。

 ただ、トータルとして、介護保険制度を持続可能なものにしていかなきゃいけない、そして、これからの時代にそぐったものにしていかなきゃいけない、そういった観点から、不断の見直しをしていくというのは大事なことだと思います。

 そして、委員御指摘があった処遇改善については、これまでも処遇改善を図ってまいりました。そして、今回、十月から、消費税の税収を財源として、もう内容は申し上げませんけれども、リーダー級の職員等について他産業と遜色のない賃金水準を目指して、経験、技能のある職員に重点化した処遇改善を行ったところであります。これはかなり弾力的な内容も含んでおりますから、これが具体的にそれぞれの事業所においてどういう賃金改善につながっていくのか、こうしたこともしっかりと見ていきたいと思っております。

山井委員 今、処遇改善のことを言ったら、何か自民党から、そんな財源はどこにあるんだというやじが来ましたよ。失礼ですよ、それは。

 例えば、一万円上げるのは二千億かかりますよ。でも、例えば、今、安倍さんはトランプさんに言われて、一機百億円の戦闘機を百機、一兆円、ローンで買うとか、そういうことにはぽんぽんお金を使っているじゃないですか。何なんですか。その財源はどうするんですか。勝手にトランプさんとゴルフして約束してきて、そんなときには何も言わないくせに、何で、介護職員の賃金を上げると言ったら、財源はどうするんですかとやじを言うんですか。優先順位が違っているんですよ。アメリカのためじゃなくて、日本の高齢者や患者さんや障害者のために予算を使うべきじゃないですか。

 全世代型社会保障検討会議で、医師会の代表からヒアリングをされるということを聞きました。私はそれは賛成です。でも、そうであれば、当然、先ほど挙げた認知症の家族の会、介護職員さんの組合であるクラフトユニオン、そして連合、そういうところからも全世代型社会保障検討会議はヒアリングされるということでよろしいですね。いかがですか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 新たに九月に設置されております全世代型社会保障検討会議におきましては、全世代型社会保障改革に関係する政府内の各会議から代表者らを集める形で構成をされているところでございます。

 今後、検討会議におきまして、さまざまな立場の方々から幅広く御意見を伺う機会を設けるという方向で検討を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

山井委員 さまざまな方々から幅広く意見を聞く。

 加藤大臣、お伺いします。

 当然、その中に、介護のことも議論する以上は、認知症の家族の会やクラフトユニオン、また社会保障に大きく影響する連合の方々のヒアリングもするということでよろしいですね、加藤大臣。加藤大臣にお聞きしております。

加藤国務大臣 直接所管をしておりませんので、答えることはできません。

山井委員 あきれて物が言えません。医療、介護、労働、どう議論するかということを聞いたら、加藤大臣が、所管じゃないから答えられない。

 時間が来ましたので、最後に加藤大臣にお聞きします。

 私、おかしいと思うんです。これは与党の皆さんもおかしいと思いませんか。(発言する者あり)思わないって。思うでしょう、普通。

 医療部会、介護保険部会、年金部会、厚生労働省の社会保障審議会で議論している。現場の声も聞いているのに、何で屋上屋で全世代型社会保障検討会議をつくって、そこでまた関係者から議論をする。私の推測を言います。多分、厚労省の検討会議や審議会では、現場の声や弱者の方々、患者の方々、高齢者の方々の声を重視して厳しい改革ができないから、同じテーマを全世代型社会保障検討会議で議論して、ばっさりとサービスカットや自己負担増を厚労省の頭越しでやっていきたい、そのための全世代型社会保障検討会議ではないかと心配しております。

 そこでお聞きします。

 同じ介護保険や医療の審議を、厚労省に検討会があるのに、何で別途、総理主導でやるんですか。なぜやるんですか。どう役割が違うんですか。もしその取りまとめの意見が違ったら、どっちの提言を優先するんですか。最後にお答えください、加藤大臣。

加藤国務大臣 今回、全世代型社会保障検討会議、これは西村大臣のもとで進められ、もちろん私どもも、今委員御指摘のように、かなり厚生労働省が所管している部分も多く含まれるということで、メンバーに入っているところであります。

 ここにおいては、従前から申し上げているように、二〇二五、二〇四〇と、先行きもしっかり見据えながら全体像について議論をいただく。そして、メンバーについても、例えば社会保障審議会の会長等にもお入りいただいて、それぞれ関係する審議会での議論とここでの議論がつながっていくように進んでいくものというふうに思います。

 一方的に押しつけるというのではなくて、ここでしっかり御議論いただいて、また、その中で、具体的な中身についてはそれぞれの関係審議会、関係部会においてしっかり議論していくということになるわけであります。

山井委員 大きな方向性は全世代型で決めるのかもしれませんが、そんなことをやり出したら、医療、年金、介護、こういうことも厚労省じゃなくて総理官邸主導で決めるということになったら、厚労省は要らないということになりますよ。厚労省外し、そういうことは許しません。

 以上で終わります。

盛山委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 きょうは限られた時間ですので、端的に、まず質問に入ります。

 お配りをしております資料の二ページ、三ページ、それから四ページ、これは岡本事務所でつくったわけでありますけれども、この内容について、文科省として確認をする範囲で、同じような事実関係を確認されているという理解でよろしいでしょうか。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 前国会の委員会におきまして、岡本先生から、製薬企業から大学病院に対して支払われる講師謝金、こういった状況の調査についてお話がございましたけれども、これにつきまして、日本製薬工業協会のガイドラインに基づいて各製薬企業が公表している平成二十八年度の医師等に対する資金提供状況、これをもとに特定非営利法人が作成したデータベースを用いて集計をいたしました。

 これで、各製薬企業の資金提供額が多い上位二十名のうち、講師謝金、あるいは原稿執筆・監修料、コンサルティング等の業務委託に関する資金提供額が多い方々というのを集計をいたしました。

 委員がこの委員会でお配りになっている資料については、このうち、その受取額が多い方々、この七名の方についての資料というふうに私ども理解をしております。

岡本(充)委員 いやいや、文科省もこれと同様の数字、資料をお持ちだ、こういう理解でよろしいですかと聞いているんですから。

 これについて議論するわけですから、文科省としてもこれをベースに議論されるということについて、大丈夫ですよね。そこの確認です。

森政府参考人 そのとおりでございます。

岡本(充)委員 それで、これについて議論をしていきたいと思いますけれども、前国会でのやりとりはもう一ページ目につけています。今理事でいらっしゃる冨岡前委員長が、しっかり理事会に報告をしてください、こういうことで、はい、承知いたしましたということに基づいて、五カ月ぐらいたったんですかね、この状況の中で、こういう資料をもとに、改めて議論をしたいと思います。

 私は、こうしたさまざまな製薬企業のいろいろな研究や開発に意見を出したり、また、広くさまざまな情報を周知していくという活動が不要だと言っているわけではありません。それにはおのずと、やはり限度若しくはルールがあってしかるべきではないか。とりわけ、いろいろな治療法のガイドラインをつくったりいろいろな治療法の方向性を決める方が多額の一社からのお金をもらっているというのはどうなのかということを提起したい、こういうことであります。

 ちなみに、何年前か忘れましたけれども、厚生労働委員会で、国立病院機構の医師のいわゆる製薬メーカーからのさまざまな報酬について取り上げたことがあります。

 それを受けてだと思いますけれども、五ページが文章をちょっと書いてありますけれども、もう少し簡単にしたのが六ページですけれども、六ページにありますように、国立病院機構はこうしたみずからのルールを設けて今対応しているわけでありまして、製薬協が公表しているデータベースでも、国立病院機構の先生方は大いに今順位を落としています。

 そんな中、大学病院の先生がこうやって目立つようになってきたわけでありますが、文科省にちょっとお尋ねしたいわけでありますけれども、特にきょうは政務にもお越しをいただいておりますから、どう思われるか。これを見て、やはり何らかのルールをつくっていく必要があるというふうにお考えになるのか、いやいや、そんなことは必要ない、これまでどおりお好きにどうぞ、こう言われるのか。それについて、どちらですか。政務からお答えを。

佐々木(さ)大臣政務官 お答えいたします。

 先生御提出の資料、私も拝見をさせていただいておりますけれども、こういった大学病院の医師の先生方が行う講演などの活動というものは、大学病院において教育、研究、医療の使命が十分に果たされて、社会的な信頼が損なわれることがないということが重要であろうというふうに思っております。

 そういった中で、こうした謝金などに関しましては、兼業規程や倫理規程といったもの、これは各大学が定めるものと認識をしておりますけれども、文部科学省といたしましては、先ほども申し上げたように、大学病院が社会的信頼を確保するということが重要でございます。

 そこで、委員御指摘の国立病院機構の倫理規程も参考としつつ、各大学における規程の整備が図られるように、全国医学部長病院長会議などの関係団体における議論を促してまいりたい、このように思っております。

岡本(充)委員 その中でも私が気になるのは、一社から一千万円ぐらいのお金をもらっている方がやはりいらっしゃるんです。一社から、若しくは一社からだけもらっている方がいる。やはりそれというのは、その会社との関係性を疑われても仕方がないんだと思います。

 そういう意味で、国立病院機構のそういった規程はないんですけれども、ガイドラインをつくる機会が多い、そういう医学部の先生方であればなおさら、どういう会社からもらうのか、回数がどうなのか、こういったところもぜひ検討の俎上にのせていただきたいと思います。いかがですか。

佐々木(さ)大臣政務官 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げたとおり、兼業規程、倫理規程、こういったものが各大学で適切に定められる、そういったことも、そういった整備が図られるように、全国医学部長病院長会議などの関係団体における議論を促してまいりたいと思っておりますけれども、先生の御指摘も踏まえ、適切に検討してまいりたいと思います。

岡本(充)委員 もう一つ、これはやはり二百回近くやっている人が一体本務に影響がないのかどうかも、引き続き調べていただきたいと思います。

 一週間後にまた質問の機会があると思いますので、その点についてもお願いを委員長にしておきたいと思います。委員長から御指示いただけますか。

盛山委員長 今の委員の御発言に対して、文部科学省の方で御準備方お願いしたいと思います。

岡本(充)委員 きょうは限られた時間ですから、もう一つ、最後に、医薬分業の効果についてだけ。

 七ページの上が、厚労省が持ってこられた医薬分業の効果だということですけれども、いろいろ議論していますけれども、これはいずれも、医薬分業する前と医薬分業した後の比較になっていません。医薬分業する前の状況、それから医薬分業した後にどう変わったか、これをもっとしっかり示す資料を出すべきだと思っています。

 大臣、ぜひそれについてお願いをしたいのと、もう一つは、薬局の、これは二の二つ目の丸のところに、医薬品の在庫にとらわれず、医療機関が自由に処方できると書いてありますが、医療機関はそうなったかもしれないけれども、薬局は在庫を抱えているんですよね。今、一パック五千円のものから、聞くところによると数千万円の医薬品まであるそうです。例えば、ちょっとだけ処方したけれども、残薬が残ってしまって、もう患者が来なくなったらどうしようもないわけですよ。それを抱えて泣くしかない、そういう薬局がたくさん今出てきているんじゃないかと思います。

 そういう意味で、一部の地域では薬局間での融通をしているという話もありますが、こうしたことが全国的にきちっとできるようにならないと、小さな薬局は、高額な処方箋を持ってこられて、ちょこっとだけ薬を出したら、あと残り、その期間が来たら破棄しなきゃいけないということになったらこれは泣くに泣けませんから、そういった実態をきちっと調べていただきたいと思います。一週間ぐらいあると思いますから、大臣、お願いします。

盛山委員長 時間が来ておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

加藤国務大臣 要するに、薬局における薬の破棄ですね、ある意味では。さっき血液製剤のお話がありましたけれども、それもだと思いますが、一週間といっても、実態を把握しなきゃいけないので、それはとてもとても難しいと思います。

 いずれにしても、薬の管理は適正にしなければなりませんけれども、やはり薬を有効に、要するに、効率的に薬局において提供されるということは大事な観点だと思いますので、どういうことができるかを含めて、検討させていただきたいと思います。

岡本(充)委員 終わります。

盛山委員長 次に、宮本徹君。

宮本委員 日本共産党の宮本徹です。

 法案について質問いたします。

 まず初めに、大臣に基本的な認識について伺いたいと思います。

 これまで、サリドマイド、スモン、薬害肝炎などなど、薬害で国民の命と健康が奪われてきました。私は、医薬品行政では安全性の確保が何よりも重要だと思います。

 薬機法の一番重要な点も、医薬品等の安全性を確保し、薬害等を起こさないための規制を行うことにあると思いますが、この点についての大臣の認識を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 薬害C型肝炎を始め、さまざまな薬害、甚大な被害があり、残念ながらそうした被害の拡大も防げてこなかった、そういった反省も踏まえながらこの行政に取り組む必要があると思います。

 今委員の御指摘の点については、医薬品医療機器法、いわゆる薬機法の第一条の法律の目的の中に、医薬品の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のために必要な規制を行うことが一つとして挙げられております。

 このような法律の目的に即して、医薬品等の安全性を確保していくということは非常に重要だというふうに考えております。

宮本委員 安全性確保についてどうかということについて、後で議論していきたいと思います。

 今回提出の法案では、先ほど来議論になっておりますが、医薬品等行政評価・監視委員会の設置が盛り込まれました。第三者性を有する組織の設置は、薬害肝炎裁判での基本合意書に基づく原告団、弁護団と厚労省の協議で二〇一〇年に取りまとめられた最終提言で明記されました。しかし、前回の薬事法改正では、第三者委員会設置は入れられませんでした。

 弁護団、原告団は、もともと厚労省の外に独立した第三者委員会を設置することを求めておりました。最終的に第三者委員会を厚労省内に設置することを容認せざるを得なかったことは、苦渋の決断だったと思います。

 それにしても、第三者委員会が、基本合意が二〇〇八年、最終報告書は二〇一〇年、約十年近くもたってからようやく設置される。このことについて、私は、大臣は原告団に対して率直におわびすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まず、C型肝炎に関しては、感染被害者の方々に甚大な被害が生じ、その被害の拡大を防止できなかった。これについて率直に、国の責任、これは認めなきゃいけない。そして、感染被害者と御遺族の皆様に心からおわびを申し上げます、これは当時の内閣総理大臣の談話でもありますし、その思いをしっかり共有していかなければならないというふうに思っております。

 そういった中で、第三者組織をどうするのかということで、平成二十二年から、検証委員会での提言がなされてもう十年の期間がたった、長い時間がかかってしまったという思いは私自身も持っております。

 経緯はもう委員御承知のとおりだと思いますけれども、議員立法が提出されたり、あるいは超党派の議員連盟や政府による調整が行われたり等々の経緯があって、ここで、私も前の厚生大臣をやったときに、組織の具体的な業務の内容等についてもしっかり固めていかなければ合意には進んでいけないのではないかということで、具体的な指示を行ったところでありまして、そういった経緯を経て今回合意ができ、具体的な中身を盛り込ませていただきました。

 一日も早くこの法案を成立をしていただいて、そして、厚労省としても、この第三者委員会がその機能をしっかりと発揮できるように努めていきたいと考えております。

宮本委員 原告団にもっと思いを寄せていれば、もっと早く原告団の思いに沿う方向でまとまったのではないのかという思いがあります。

 そして、第三者委員会のあり方について私も議論したいと思ったんですけれども、先ほど来、尾辻委員、山井委員から議論がありましたので、その点は割愛して、次に進みたいと思います。

 前進面の一方で、大変懸念される規制緩和が今回の法案にはあります。

 加藤大臣は、前回大臣だった二〇一七年十月二日、製薬業界の皆さんとの官民対話でこうおっしゃっているんですね。低コストで効率的な創薬を可能にし、日本発の医薬品を海外市場、特にアジアに展開できる創薬大国の実現を目指したい、こう言って医薬品産業強化総合戦略の改訂を行われております。

 低コストで効率的な創薬をすることと、国民の健康を守る、この関係はこの法律の改正で一体どうなるんでしょうか。大臣の端的な説明を求めたいと思います。

加藤国務大臣 まず、医薬品の安全性、有効性、これはしっかりと堅持をしていかなきゃいけないというのは当然のことでありまして、そういった中で、すぐれた医薬品をより早く国民に届けることが可能になる、それが今回の改正の趣旨であります。

 そういった意味で、先ほどの低コストで効率的な創薬というのは、まさに安全性、有効性を維持しながら、より国民の健康、安心、あるいは国民の医療ニーズに応えられる、そうしたものが低コストで、そして効率的に提供されるということは、国民にとってもプラスになるということであります。

宮本委員 安全性を維持することと効率を重視することというのは、私は、基本的には、方向としては逆の方向を向いている話だと思いますよ。効率的に審査を短縮していく、そのことによって安全がおろそかになるようなことがあったら、私は、この本来の薬機法の精神にもとるものだと言わなければいけないと考えております。

 この間、安倍政権のもとで創薬は成長戦略に位置づけられ、規制緩和が行われてまいりました。二〇一四年に先駆けパッケージ戦略が取りまとめられ、二〇一五年度から先駆け審査指定制度の運用が通知で開始をされております。そして、二〇一七年には、製薬業界と厚労省の薬事に関するハイレベル官民政策対話で条件付早期承認制度の導入が検討され、十月から通知で実施をされております。

 今回、この二つの制度が法案に盛り込まれるということになっているわけですが、もともと通知で始まっているわけですよ。そもそも、こういう医薬品の審査の重大な変更を通知のみで行ってきたということ自体がおかしいと私は思いますが、そういう認識は大臣にはないですか。

樽見政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、先駆け審査指定制度、それから条件付早期承認制度、それぞれ、平成二十七年、それから条件付は平成二十九年から、通知を根拠として開始をしております。

 これは現在も、薬機法上、医療上特に必要性が高いと認められるものであるときは他の医薬品の審査又は調査に優先して審査ができるでありますとか、この法律に規定する許可、認定又は承認には、条件又は期限を付し、及びこれを変更することができるという規定があるわけでございます。

 これを使いまして優先審査あるいは申請資料の一部省略ということをやってきたということでございますので、承認審査における有効性及び安全性の基準を緩和するということではなく、有効性及び安全性の基準を緩和することなく、できる範囲で合理的な扱いを図りたいということでやってきたものでございます。

 今回は、これを法制化することによりまして、有効性、安全性を担保するということについては変わりないわけでございまして、それとあわせて、いわば透明性、予見性というものを審査の世界において高めたいということでございます。

宮本委員 安全性について緩和することなくということをおっしゃっていますけれども、この条件付早期承認制度を通じて行ったものは、これまで求められてきた検証的臨床試験について、事前はもちろんのこと、事後についても求めないというものになっているわけですよ。根本的な規制緩和を行っているじゃないですか。そういういいかげんな答弁をされたら困るんですよね。

 もう一つ、先駆け審査指定制度でございますが、通知の運用の中で承認された一つが、有名なインフルエンザの治療薬のゾフルーザであります。

 ゾフルーザが登場したときは、一回錠剤を飲むだけで治療が完結するということで、大変脚光を浴びました。昨年からことしにかけて使用は全国的に広がりましたが、ご存じのとおり、ことし三月に感染研が、A香港患者の七割で耐性ウイルスが検出されたと発表しました。同じ三月には、厚労省が、重大な副作用として出血を書き加えるように指示を出しました。

 このゾフルーザは、通常なら、普通の薬なら十二カ月審査期間がかかるところを、この先駆け審査指定制度を使って承認申請から四カ月で承認されたわけですよね。そして、PMDAが審査報告書を発表すると、何とその翌日に厚労省は緊急に薬価収載、同じ日に塩野義製薬は販売を開始しました。異例な猛スピードだったわけであります。

 この先駆け審査指定制度は、開発段階から審査当局が企業の相談役となりながら早期承認を目指すという制度で、これで一体、中立的な審査ができるんだろうか、こういう疑問の声も上がっております。

 このゾフルーザの問題について、先駆け審査指定制度の運用上の問題、あるいは制度上の問題はなかったのか、厚労省はどう総括されているんでしょうか。

樽見政府参考人 まず、探索的臨床試験、検証的臨床試験ということをお触れになりましたけれども、通常、審査を行うときには、探索的臨床をやった後に検証的臨床というのをやって承認に至るということになるわけでございますけれども、これは、現行でも必ずしも常に法律上義務づけられているものではございません。

 そういう中で、例えば、先ほどお話出ましたけれども、難病で非常に患者さんが少ないといったような場合には、検証的臨床試験ということで、多数の患者に医薬品を投与して有効性、安全性を検証するということがそもそも非常に難しいというものがございますので、そうしたものについても、今までも個別の条件という中でできる対応をしてきたわけでございますけれども、そういうことが制度的にできるんだということを明らかにするということが今回の法律の内容になっているということについて、最初に申し上げさせていただきたいと思います。恐縮です。

 ゾフルーザについてでございます。

 ゾフルーザは、平成二十七年の十月二十七日付で先駆け指定をされまして、平成三十年の二月二十三日付で承認をしている。抗インフルエンザ薬でございまして、従来のインフルエンザのお薬とは作用機序が異なる薬剤ということだったわけでございます。

 ゾフルーザについて、耐性ウイルスが発生するということが指摘をされているわけでございますが、これは、実は治験を実施していた段階においても判明していたことでございます。このゾフルーザの承認の際には、その点も踏まえて評価を行うとともに、企業にはその内容を添付文書に記載をさせております。かつ、医療現場への情報提供ということもさせております。

 それから、製造販売後調査におきましても、臨床現場で本剤が使用された際の本剤に対する感受性の変化でありますとか耐性化というものについて情報収集を行うような承認条件というものを付しておりまして、企業から随時情報収集をしているということでございます。

 ということで、ゾフルーザの承認に関して、必要な評価を行って条件を付しているということでございますので、運用上、制度上の問題ということについて申しますと、そうした問題というものはなかったというふうに認識をしてございます。

 なお、市販後、この先駆けに限らず、通常の品目においても、承認後に得られた安全性情報というものがありますれば、必要に応じて適正使用に関する注意喚起を行っているところでございますので、厚生労働省としては、ゾフルーザにつきましても、引き続いて適正使用に関する注意喚起を必要に応じて行っていきたいというふうに考えているわけです。

 今般、日本感染症学会から、十二歳未満の小児において慎重に投与するような提言というものが行われたということでございますので、関係者の方々の御意見を踏まえながら、必要な対応というものについては検討していきたいと考えております。

宮本委員 全く反省していないというのも驚きですよね。

 そもそも、先駆け審査指定制度は四要件あったわけですよ。治療薬の画期性、対象疾患の重篤性、高い有効性、世界に先駆け。対象疾患の重篤性、これはインフルエンザにまで当てはまるんでしょうか。高い有効性はあったんでしょうか。耐性菌がどんどんどんどん広がっているという状況になったら、有効性がどんどんどんどん失われているというのがこのゾフルーザの現状じゃないですか。そういうものを中立的な審査が疑われるような先駆け審査指定制度でやってよかったのか、ここを私はちゃんと省みなきゃいけないと思いますよ。

 さらに、条件付早期承認制度について伺いたいと思います。

 先ほど探索的臨床試験と検証的臨床試験の解説がございましたが、今でも、おっしゃるとおり、探索的臨床試験の次の検証的臨床試験を経ずに、患者が少ない場合はその先に進んでいる場合はあったわけですよ。ただ、その場合も、この条件付早期承認制度の前は、基本的には検証的臨床試験を事後に今まではやってきたわけですよね。それを今度取っ払ってしまう、法律上も取っ払ってしまうということが私は極めて問題ではないかということを先ほどから言っているわけですよ。

 過去に、例えば、探索的臨床試験で承認を出してたくさん死者が出た例もありますよね。イレッサですよ。そういう経緯もあるわけですよね。ですから、検証的臨床試験というのは非常に大事なわけであります。

 それで、次、伺いますけれども、条件付早期承認制度と類似した先例として、再生医療等製品の条件、期限付の早期承認制度というのが、二〇一四年度、設けられております。

 この制度をめぐっては、科学専門誌のネイチャーから批判が出ております。ことし一月のネイチャーでは、脊髄損傷治療薬、ステミラック注の承認について、幹細胞科学や脊髄損傷の専門家十人の意見をもとに厳しい批判がなされております。

 ステミラック注の臨床試験には対照群がなく、治療群十三例しか被験者がいない。これでは、患者が治療によって回復したのか自然治癒か区別できない。さらに、ネイチャーによると、この治療法の仮説はこれまでのエビデンスに反しており、科学的エビデンスがない。しかも、臨床試験が学術論文も公刊されていないもとで承認された。そういう上で、日本は検証可能な透明性のあるシステムを導入すべきだ、こう批判しております。

 この批判をどう受けとめられているんでしょうか。

樽見政府参考人 御指摘のネイチャーの指摘でございます。

 何点か御指摘をされましたが、最大のポイントは、いわゆる二重盲検による比較臨床試験ということが実施されておらない。要するに、ステミラックを投与した人がよくなったというけれども、投与しなかった人と比較をして効果というものが十分に評価をされていないということだというふうに認識をしております。

 しかしながら、このステミラック注という薬でございますけれども、急性期の脊髄損傷の患者から骨髄を採取して、幹細胞を培養して当該患者に戻すという製品でございます。ネイチャー誌の指摘のように対照群をつくるということになりますと、急性期の脊髄損傷の患者から骨髄を採取して、何もしないでプラセボを投与する、そういう治療を一定の患者さんに対してしなければいけないということになるわけで、そうしたことは倫理的に問題だというふうに考えているわけでございます。

 したがいまして、ステミラックにつきましては、二重盲検による比較試験というのはできておらないわけでございますが、適切に設計された臨床試験の成績に基づいて、PMDAにおいて審査の上、品質、有効性、安全性が確保されているということで条件及び期限付承認という形になったということでございますので、私どもとしては、ネイチャー誌に対して、今申し上げたような内容につきましてことし五月に反論を送りまして、掲載をされているところでございます。

宮本委員 ですけれども、ちゃんと比較してやらないと、プラセボ効果でよくなったというふうに判断しているだけかもわからないわけですよ。科学的な検証ができるシステムにやはりならなきゃいけない。この批判はちゃんと受けとめなきゃいけないと思います。

 さらに、再生医療等製品の条件、期限付早期承認制度をめぐっては、この制度で第一号で承認されましたテルモが販売するハートシートについても、有効性、安全性の検証の見込みが立たない状況になっております。

 このハートシートでは、わずか七人の患者に安全性と有効性が示唆されたとして、製造販売が条件付承認とされました。この承認につけられた条件は、ハートシート治療群六十症例以上と対照群百二十症例のデータを五年以内に提出して、この製品の有効性を実証すること、こういうことでした。

 ところが、テルモは昨年、五年では十人余りしか患者が集まらないという試算を出して、三年間の承認期限の延長を申請し、厚労省もこれを認めました。つまり、効能が実証されていない治療法が八年間も臨床現場で使われ続けるという状態になっているわけですね。

 ネイチャーは、将来、早期承認制度によって承認された製品に効果が見られないということがきっと起こる、そのときはどうなるんだろう、こういう疑問も投げかけられているわけであります。

 このハートシートの承認について、厚労省はどのように総括されているんでしょうか。

樽見政府参考人 ハートシートでございます。

 平成二十六年の十月三十日に申請をされまして、PMDAによる品質、有効性及び安全性に関する審査というものを経まして、平成二十七年九月十八日に、標準治療で効果不十分な虚血性心疾患による重症心不全に対しという適用でございまして、それに関して条件及び期限付承認という形になったものでございます。

 ハートシートは、従来の薬物あるいは外科的な処置とは異なる仕組みで治療をするということでございますので、そういう異なる基準による治療効果というものが期待される。

 それから、提出された臨床試験の成績などから、先ほど先生は、有効性がないまま承認されているというようなお話でございましたけれども、そういう意味でいいますと、提出された臨床試験の成績から、一定の有効性、安全性が確保されているということで承認をしたものでございます。

 ただし、まさに先生がおっしゃるように、数が少ないということでございますので条件、期限付承認という形になったということでございまして、現在、その製造販売業者におきまして製造販売後の調査を実施しているというところでございますので、その成績に基づきまして改めて製造販売承認申請がなされれば、厚生労働省として、品質、有効性、安全性を適切に評価をしていくということになるということでございます。

宮本委員 条件をつけて承認したのに、条件を満たさなかったら、更にこの期限を延ばしてくれということが続いているわけですよね。

 私は、こうした先行制度についての検証と反省なしに先に進んでいいのかということを大変危惧しております。何百万円もお金を患者さんがかけて、効果がなかったということにだってなりかねないわけですよね。誰も責任をとらない。さらに、効果がないだけでなく、重大な副作用があったらどうなるのかということを大変懸念するわけでございます。

 ですから、私は、検証的臨床試験は、これはやはり絶対的な原則にすべきだと思うんですよね。重篤な患者で、患者数がごくごく少なく、事前の検証的臨床試験の実施が困難な場合でも、事後に検証的臨床試験を行うというのは絶対的な条件として付していくべきなんじゃないですか。違いますか。

樽見政府参考人 まさに、疾患の性質、あるいは患者さんの状況ということの中で、本当に、例えば患者さんが非常に少ないでありますとか、あるいは、例えば災害なんかの救急のときに特に使うといったようなものというのは、そういう状況を発生させて検証して試験するということがそもそも性質上できないというものもございます。

 もちろん、販売を条件付で認めた後でしっかりと、いわゆるリアルワールドデータから安全性、有効性というものを確認するデータをしっかりと集めるということについては、これはしっかり取り組んでいきたいというふうに思いますけれども、検証的臨床試験と呼ばれる形のものを全てのものに実施をするということについては、やはり一定の限界があるのではないかというふうに考えております。

宮本委員 リアルワールドデータと検証的臨床試験というのはやはり違うわけですよね。やはり、薬を投与した人と投与していない人とをちゃんと比べることによって、その薬の効果というのがわかる。だから今まで当たり前のようにやってきたわけで、それを省いたことによって薬害が起きたらどうするのか。ここを本当に真剣に考えていただきたいというふうに思いますよ。その点を真剣に考慮せずに、どんどんどんどん製薬業界の働きかけで緩くなっていく危険というのを私は大変危惧しております。

 なぜかというと、厚労省と製薬業界との関係があるからです。

 この九年間、厚労省から日本製薬工業協会への天下りについて、いつ、どの官職の方がどういう部署に再就職したのか、全員述べていただけますか。

土生政府参考人 お答えいたします。

 国家公務員法の規定に基づきまして、国家公務員の管理職職員であった者が離職後二年間に再就職した場合には内閣総理大臣に届け出る、このような仕組みになってございます。

 この届出によりますと、九年間という御指摘でございますが、平成二十二年十一月から令和元年十月までの間、日本製薬工業協会に再就職した者は四名ということでございます。

 順に申し上げますと、平成二十四年四月一日に、離職時、大臣官房付であった者が理事長付部長、これは嘱託職員でございます。それから、平成二十六年四月一日、大臣官房付から企画部長、平成二十七年七月一日に、大臣官房付から経理部長、平成二十九年十一月一日に、大臣官房審議官、社会、援護、人道調査担当から企画部長にそれぞれ再就職したという状況でございます。

宮本委員 二〇一二年、二〇一四年、二〇一五年、二〇一七年と、順番からいけば、二〇一九年も十月一日より後にまた誰か再就職するのかなと思わせるような並び方でありますけれども、お伺いしたいんですけれども、厚労省から日本製薬工業協会になぜ定期的に再就職があるんでしょう。何らかの約束があるんですか。

土生政府参考人 お答えいたします。

 国家公務員の再就職につきましては、国家公務員法に基づきまして、現職の職員が他の職員等に関する情報提供を行うこと等を禁止されております。また、在職中の利害関係企業等への求職、これも禁止でございますし、また、元職員による元職場への働きかけ等も禁止されているということでございます。さらに、こうした規制のもとで再就職等監視委員会の厳格な監視が行われているということを承知しております。

 個別の再就職の経緯につきましては承知はしておりませんけれども、いずれもこうした規制のもとで適切に行われたものと認識してございます。

宮本委員 今いろいろいろいろ、禁止している、禁止している、禁止しているというお話をされますけれども、それでは、なぜ定期的な再就職があるのかという説明に全くなっていないじゃないですか。

 日本製薬工業協会の方から厚労省に、来てくださいよ、天下りの席を用意していますよ、そういう話があるんじゃないですか。違いますか。

土生政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたような規制のもとで、それぞれの経緯の中で再就職が行われているということでございまして、先生おっしゃるような事実については承知しておりません。

宮本委員 事実について承知していないと言ったって、普通に考えたら、自由に、どこからの働きかけもなく、定期的に同じ厚労省の同じような部署の方々がどんどんどんどん同じところに再就職していくというのは考えられないじゃないですか。これはもう製薬工業協会と厚労省の間で何らかのルートがあるということなんじゃないですか。これは、製薬工業協会の方から、来てくださいという話があるんじゃないですか。違いますか。私は、ちゃんとこういうのは調査しなきゃいけないというふうに思いますよ。

 日本製薬工業協会、官民対話の場でも恐らく加藤大臣もお会いになっているんだと思いますけれども、製薬団体連合会と製薬協が連名で、官民対話の場で要望書を出しておりますね。「革新的医薬品の創出に向けて」ということで、何が書いてあるか。薬事規制の整備、先駆け審査指定制度、条件付早期承認制度など画期的承認制度の法体系化、一番下の行に矢印で、創薬の効率化、研究開発、製造販売後調査、製造のコストの削減、臨床開発のスピードアップ。

 今回の法改正も、製薬メーカー、製薬業界側が求めてきたものなわけですよね。そこに厚労省の天下りのポストとしてあるということになっているわけですよ。

 こうなると、今回の法改正、重大な問題がありますけれども、法律に書いている文言以上に運用の中で安全性がどんどんどんどんないがしろにされていく危険というのは、私は大いにあり得る話だと思いますが、大臣、そう思われませんか。

樽見政府参考人 日本製薬工業協会が加盟している日本製薬団体連合会というところから、制度改正に関する要望書というものをいただいているということでございまして、そういう中で、柔軟かつ機動性のある規制対応でありますとか、国際的な規制調和及びグローバルサプライチェーンの効率化でありますとか、そういったようなことが入っているということでございますが、私どもとしては、こういう企業にすぐれた医薬品を積極的に上市に向けて努力をしていただくということも含めまして、その目的としては、国民に安全で有効な医薬品を一刻も早く届けたいというところにあるわけでございますので、きょう前半で申し上げましたけれども、有効性、安全性というところについて、今回の制度改正を行うということによって特に緩めるというようなことを考えているわけではございませんので、その点を申し上げたいと思います。

宮本委員 時間になりましたから終わりますけれども、有効性や安全性についての規制を緩めるつもりはないというんだったら、私は、事後であっても検証的臨床試験は原則として時間がかかってもこれはやっていくんだということは盛り込む必要があると思いますよ。それなしに、どんどんどんどん、この法律の文言だけでいえば、今は、この場では緩める必要はないといったって、そんな緩めませんとは法律にはどこにも一行も書いていないんですよ。そして、実際、この間の通知の運用では、問題が世界からも指摘されるような事態が起きているわけですよ。ですから、その点は再考を求めて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

盛山委員長 次回は、来る八日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.