衆議院

メインへスキップ



第2号 令和5年3月10日(金曜日)

会議録本文へ
令和五年三月十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 三ッ林裕巳君

   理事 上野賢一郎君 理事 大岡 敏孝君

   理事 田畑 裕明君 理事 高木 宏壽君

   理事 小川 淳也君 理事 中島 克仁君

   理事 池下  卓君 理事 佐藤 英道君

      秋葉 賢也君    畦元 将吾君

      石井  拓君    今枝宗一郎君

      上田 英俊君    柿沢 未途君

      勝目  康君    川崎ひでと君

      熊田 裕通君    小泉進次郎君

      小林 鷹之君    高村 正大君

      塩崎 彰久君    新谷 正義君

      瀬戸 隆一君    田村 憲久君

      高階恵美子君    土田  慎君

      中曽根康隆君    橋本  岳君

      深澤 陽一君    穂坂  泰君

      堀内 詔子君    本田 太郎君

      松本  尚君    三谷 英弘君

      宮澤 博行君    宗清 皇一君

      阿部 知子君    井坂 信彦君

      大西 健介君    堤 かなめ君

      野間  健君    山井 和則君

      吉田 統彦君    早稲田ゆき君

      一谷勇一郎君    遠藤 良太君

      空本 誠喜君    山本 剛正君

      吉田とも代君    古屋 範子君

      吉田久美子君    田中  健君

      宮本  徹君    仁木 博文君

    …………………………………

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   厚生労働副大臣      羽生田 俊君

   厚生労働副大臣      伊佐 進一君

   厚生労働大臣政務官    畦元 将吾君

   厚生労働大臣政務官    本田 顕子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局内閣審議官)         滝澤 依子君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 友井 昌宏君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    太刀川浩一君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    依田  学君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 保坂 和人君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁在留管理支援部長)       君塚  宏君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     中原 裕彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官)            浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官)            城  克文君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  榎本健太郎君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         八神 敦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            鈴木英二郎君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         村山  誠君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           藤原 朋子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           川又 竹男君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    辺見  聡君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  大西 証史君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省人材開発統括官)           奈尾 基弘君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           佐藤  正君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 針田  哲君

   参考人

   (独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)    山本 修一君

   厚生労働委員会専門員   若本 義信君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十日

 辞任         補欠選任

  小泉進次郎君     宮澤 博行君

  塩崎 彰久君     石井  拓君

  田村 憲久君     深澤 陽一君

  橋本  岳君     中曽根康隆君

  本田 太郎君     穂坂  泰君

  西村智奈美君     堤 かなめ君

  一谷勇一郎君     山本 剛正君

  遠藤 良太君     空本 誠喜君

同日

 辞任         補欠選任

  石井  拓君     塩崎 彰久君

  中曽根康隆君     橋本  岳君

  深澤 陽一君     田村 憲久君

  穂坂  泰君     本田 太郎君

  宮澤 博行君     熊田 裕通君

  堤 かなめ君     西村智奈美君

  空本 誠喜君     遠藤 良太君

  山本 剛正君     一谷勇一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     今枝宗一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     宗清 皇一君

同日

 辞任         補欠選任

  宗清 皇一君     小泉進次郎君

    ―――――――――――――

三月九日

 駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

 戦没者等の妻に対する特別給付金支給法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)

同月十日

 安全・安心の医療・介護・福祉を実現し、国民の命と健康を守ることに関する請願(志位和夫君紹介)(第二二七号)

 コロナ禍を乗り越えるためにも女性の賃金底上げとジェンダー平等施策の強化を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二五八号)

 同(笠井亮君紹介)(第二五九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二六〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第二六一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二六二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二六三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二六四号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二六五号)

 同(宮本徹君紹介)(第二六六号)

 同(本村伸子君紹介)(第二六七号)

 介護保険制度の改善を求めることに関する請願(道下大樹君紹介)(第三〇〇号)

 安全・安心の医療・介護の実現のため人員増と処遇改善を求めることに関する請願(小川淳也君紹介)(第三一五号)

 同(小沢一郎君紹介)(第三一六号)

 同(大石あきこ君紹介)(第三一七号)

 同(鎌田さゆり君紹介)(第三一八号)

 同(佐藤公治君紹介)(第三一九号)

 同(篠原孝君紹介)(第三二〇号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第三二一号)

 同(宮本徹君紹介)(第三二二号)

 同(山崎誠君紹介)(第三二三号)

 同(柚木道義君紹介)(第三二四号)

 同(米山隆一君紹介)(第三二五号)

 同(渡辺創君紹介)(第三二六号)

 パーキンソン病患者への難病対策の推進に関する請願(伊藤渉君紹介)(第三二七号)

 福祉職員の大幅な賃金の引上げと増員に関する請願(佐藤公治君紹介)(第三二八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

 戦没者等の妻に対する特別給付金支給法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

三ッ林委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として独立行政法人地域医療機能推進機構理事長山本修一君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣人事局内閣審議官滝澤依子君、警察庁長官官房審議官友井昌宏君、交通局長太刀川浩一君、消費者庁審議官依田学君、法務省大臣官房審議官保坂和人君、出入国在留管理庁在留管理支援部長君塚宏君、文化庁審議官中原裕彦君、厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官浅沼一成君、大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官城克文君、医政局長榎本健太郎君、健康局長佐原康之君、医薬・生活衛生局長八神敦雄君、労働基準局長鈴木英二郎君、雇用環境・均等局長村山誠君、子ども家庭局長藤原朋子君、社会・援護局長川又竹男君、社会・援護局障害保健福祉部長辺見聡君、老健局長大西証史君、保険局長伊原和人君、人材開発統括官奈尾基弘君、農林水産省大臣官房参事官佐藤正君、環境省大臣官房審議官針田哲君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小川淳也君。

小川委員 おはようございます。立憲民主党の小川淳也です。

 大臣始め、三役の皆様、今国会もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 通告に従って質問させていただきますが、ちょっとその前に、時事問題について大臣の御見識をお聞かせください。

 隣の委員会なり隣の席で起きているようなことですが、高市大臣をめぐって、この間の発言など、私、閣僚の資質それから閣僚と官僚との関係という観点で看過できないと感じていますので、ちょっとこの点、経験豊かな閣僚でいらっしゃる加藤大臣の御見識をお聞きしたいと思っています。

 前提として、二〇一五年の二月のことです、今問題になっているやり取りは。当時、加藤大臣は、内閣官房副長官として三年目か四年目に入り、人事局長をお務めで、まさに政権の要でいらした。当時のことの御記憶が全くないことはないと思うんですが、こういうやり取りは当時副長官だった加藤大臣の耳には入っていたんですか。関与又は関知されていたのか、いなかったのか、ちょっと、まずその点、前提としてお聞かせください。

加藤国務大臣 ちょっと、当時のことでありますから、今の御質問、しかも今御質問いただきましたので、記憶をたどりながら申し上げれば、私の記憶の中には、そうしたやり取りという記憶は残っておりません。そうしたことがあったということは記憶しておりません。

小川委員 ほっとする答弁であり、残念な答弁なんですね。

 高市大臣、当時、停波発言というのに至るわけですが、私も当時、総務委員会にいたんですが、相当物議を醸したんですよ、この停波に踏み込む発言というのは。なので、当時政権の要でいらした加藤副長官が関与なり関知していないというのは、ちょっと、危機管理上。

 これ、礒崎さんが独走していたんですかね。大臣も、大蔵省で約十五年お勤めです。私も、それから非常にお世話になっています自民党の上野筆頭、上野先輩は旧自治省で十年から十五年。そして、この礒崎さんも複雑なんですよ、旧自治省の先輩でしてね。非常に個性的な方ではありましたが。独走していた、独走を許していたということになるんでしょうね、恐らく、当時、副長官が聞いてもいないということは。

 ちょっと二、三、本当にちゃんとした御見識を聞かせてください。

 あのメモを、大臣、御覧になったのか、なっていないのか、当時の、二月の。これだけ問題になっていますから。ずっと予算委員会でお聞きだったでしょう。御覧になっていたら聞かせていただきたい。御覧になっていなければ、ちょっとそれはそれで問題だと思う、閣内全体の危機管理として。

 ああいうメモは、これは捏造だと彼女は言い切っているんですが、あり得ますか、中央官庁で勤務した経験のある人間として。ああいうメモを捏造する理由もなければ利益もない。あんなメモが捏造ででき上がるということは考えられることですか、大臣。ちょっとその点、聞かせてください。一般論で結構です。

加藤国務大臣 ちょっと、一般論と個別論で、今、個別論の話なので。

 一般論として、例えば、私どもが今厚労省で仕事をしている、それにおいては、それぞれの役所の皆さんが誠実に仕事をされている、そのことを前提に全てやる。もちろん、誠実にやっていた中には、中にはもちろんミスはありますけれども、それは、本人がしようとしたのではなくて、結果としてそういうことが起こり得るということであって、故意にということはないということを前提に私は仕事をさせていただいておりますが、ただ、個別の案件一件一件がどうだったということについて、しかも、あの案件について私が申し上げる立場にはないというふうに思っています。

小川委員 いっぱいいっぱいの御答弁と受け止めます。

 もう一つだけ最後に聞かせていただきたいんですが、私、高市さんの今回の問題のもう一つは、いや、同じ閣僚ですから内閣の危機管理の問題としても聞いていただきたいんですが、簡単に進退に関わる言質を与えるなということなんですよ、容易に。それから、捏造呼ばわりしている対象は自分の部下ですからね、当時の。もうモラル、道徳の問題からいっても考えられない。文書を作成した自分の部下を捏造呼ばわりし、簡単に委員会の勢いに任せて進退に関わる言質を与える、この軽々しさ。あわせて、私は閣僚として不適格だと思う。閣僚として非常に資質が問われていると私は思いますが、加藤大臣、お答えお願いしたいと思います。

加藤国務大臣 まず、大臣を辞めるとか辞めない、これはたしか質疑のやり取りの中でありますから、その質疑のやり取りそのものを私が一言ずつコメントするのは避けた方がいいんだろうなというふうに思っております。

 それから、あとは、先ほどから申し上げたように、個別でありますから、一般的には先ほど申し上げたような認識で仕事をさせていただいておりますが、個々の事案においては、それは個々の状況というのはあるのかもしれません。それについて、これ以上ちょっと私は、想像で物を言うのは避けたいと思います。

小川委員 いっぱいいっぱいと受け止めますよ。おなかの中にはいろいろあるんだろうなという受け止めで、それ以上は言いません。

 ただし、この手の話は、放送法の解釈もそうですが、変わったものを変わっていないと強弁し、まあ、変えていないものを変えたと強弁したことはまだ聞いたことがないかな。それから、森友、加計問題のときがそうでしたが、菅さんがたしか、紛失した文書を怪文書だと言い切りましたよね。それから、安倍さんも当時、私が関与していたら総理大臣も議員も辞めると早々にたんかを切った。こういう悪質な体質が、高市さんは引き継いでいるんでしょうね、恐らく。非常に、閣僚として、内閣として質が低下しているということですよ、モラルとか法体系とか文書とか道徳とか。これで笑っていますからね、自民党議員は。本当に危機だと思いますよ、これは。内閣の体質、閣僚の資質、官僚との関係性において非常に大きな問題だということは、委員会を超えて、閣僚のお一人としては、そういう当事者意識を強く持って危機管理に当たっていただきたい、そのことをお願い申し上げたいと思います。

 通告に従って。

 先般、八日ですか、滝山病院、精神病院の保険医指定の取消し要請があったと報じられております。昨年の国会で精神保健福祉法を議論したときに、まさに精神病院の闇、事実上の強制入院、薬漬け、違法な身体拘束。そして、この病院は、亡くならないと退院できないわけですね、事実上。ちょっと考えられない悲惨な状況が起き、そして、中で、内部で暴力が行われている。これは当然、保険医機関としての指定を取り消すという方針でよいのか、この申請の受け止めと今後の方針について、大臣の御見解をお聞きしておきます。

加藤国務大臣 個別案件についてのお答えというのはこれまでも差し控えさせていただいておりますけれども、今おっしゃった保険医療機関の指定取消し等々というのは、診療報酬の不正請求との絡みでおっしゃっているのだろうというふうに思いますが、そうした情報があった場合は、地方厚生局における調査において必要な情報収集を速やかに行い、個別指導や監査などにより事実関係の確認を行うこととなります。

 その上で、指導や監査の結果、診療報酬請求に不正があったとき、保険医療機関又は従事する保険医が、保険医療機関及び保険医療養担当規則、いわゆる療担、療養担当規則の規定に違反したときなどに該当する場合には、健康保険法第八十条等に基づき、地方社会保険医療協議会への諮問、答申を経て、保険医療機関の指定取消しや保険医の登録取消しを行うことになる、こういう仕組みになっております。

小川委員 仕組みは仕組みで結構ですが、これだけ被害があり、暴力があったことはもう映像で明らかとなっているわけですから、大臣、ちょっと、患者なり被害者に寄り添ったコメントをした上で制度のことを述べていただけませんか。

加藤国務大臣 今、委員からはこれからの段取りをお聞きされたので、それに端的にお答えさせていただきました。

 この案件については、記者会見等において申し上げておりますように、精神病院において報道されているような事案が起きているということ、これは甚だ遺憾でありますし、これについては、現在、東京都が調査をされておりますので、その調査結果を踏まえて、法令等に適して厳正に対処していきたいというふうに考えています。

小川委員 一言、冒頭、それをおっしゃっていただきたかったということです。

 二〇〇一年に診療報酬の不正請求で保険医指定が一旦取り消されていますね、この病院なりこの医師は。それを再指定している判断が誤りだったということに結果としてなると思うんですが、現在、取消し要請を行われている方は、一旦、保険医指定、指定医療機関の取消しがあった後、再指定される基準、再指定の審査に係る基準まで開示するようにということの要請があるようです。私はこれにも応えてあげていただきたいと思いますが、この点、いかがですか。

加藤国務大臣 ちょっと今、手元の資料を探していたんですけれども、保険医が取り消された場合、たしか、五年間経過した場合には、申請があれば基本的には対応する。ただ、その場合にも、ちょっと幾つか対応しない事由がありますが、それの事由に該当しなければ保険医として認める。ただ、認める際には別途、研修等を行う。たしかこういう仕組みになっていたというふうに思っております。

小川委員 仕組みは仕組みでそうなんですが、今回の事案に関して言うと、再指定が、結果として、その判断が誤っていたと言わざるを得ないと思うんですね。再指定した結果、こんな事件になっているわけですから。ですから、再指定が余り甘いようじゃいけないだろうし。これはどうなんですか。ちょっと私も詳しくありませんが、再犯を繰り返すんですか、こういう医者は。厳しくやらなきゃいけないし、条件、環境についても開示する、審査基準を開示するという姿勢は必要だと思います。改めて御検討いただきたい。

 それから、委員長にお願いですが、かねてから、昨年、精神病院をめぐる課題については、法案審査の際にも様々議論になりました。その審査に加えて、実地で精神病院を是非視察したいということで、その運びに今国会中に恐らくなると思いますが、一つの対象として、このまさに滝山病院、これを厚生労働委員会として現地視察すべきだと、この間の報道を見るにつけ、そう感じております。

 理事会で御協議いただきたいと思いますので、改めて、私も当然、理事会のメンバーですが、委員長のお考え、少しお聞きしておきます。

三ッ林委員長 後刻、理事会で協議いたします。

小川委員 本当に、この精神病院をめぐる問題というのは、法案審査のときもそうでしたが、かなり闇が深く、しかも、これは、単に病院の責任を問うことだけではなくて、社会的な背景とか歴史的な背景が関与しているだけに簡単じゃない、しかし看過できない、放置できない、そういう問題としてこれからもしっかり当たっていきたいと思っています。

 次に、コロナ対策です。

 いよいよ五月の八日の五類指定への移行、それから、当面ちょっと議論しておきたいのはマスクの着脱についてであります。

 来週月曜日、三月十三日をもって基本的に個人の判断になるというその方針、ちょっと私は疑義は感じています。個人の判断という言い方が、今まで全体に対して着用を推奨してきたことからすると、着けなきゃいけないのか着けなくていいのか、少し政府は踏み込んだ方がいいんじゃないかなという感想は持ってはいるんですが、個人の判断ということのようです。

 今朝の朝刊によれば、百貨店やスーパーは統一的な着用推奨は行わない、外食はお客様個人の判断、映画館はマスクなしでも入場を認める、鉄道は着用呼びかけの放送をやめる、テーマパークは感染が大きく拡大しない限り着用を呼びかけない、劇場は着用を引き続き推奨。今朝の朝刊によれば、それぞれ関係業界がいろいろ検討をしているようです。

 国民の皆様の中にもいろいろな声なり判断があると思いますが、この国の公衆衛生行政の責任者として、大臣御自身は十三日からマスクの着脱についてどうされるおつもりなのか、それをちょっと、基本的なことをお聞きしておきます。

加藤国務大臣 まさに個人の判断に委ねられる、そしてその時々の状況で個人が判断する、まさにそれにのっとって対応したいというふうに思っています。

小川委員 私は、野党第一党、立憲のコロナ対策本部長なんです。私がどうすべきか、どう言うべきか、私なりにちょっと逡巡しています。その場面その場面に応じて判断しますと私が言っていいのか、私は、ちょっとそれでは不十分だと自分で感じているんですね。なので、ちょっと先に申し上げますが、私は、委員会、国会、そして党の部会、公の場では公人としてできるだけマスクを外す、外したい、外そうと思っています。もちろん、私どもの党要望にもあったとおり、それから政府の推奨方針にもあるように、医療機関、高齢者施設、そして混雑が予想される公共交通機関、こういうところではちゃんと着用したい。

 こういう方針を立てた以上、責任ある立場の人間は、どういう場面でどうするのか、もう少し明瞭に、指針となるような取組をすべきではありませんか。

加藤国務大臣 政府としては、個人のマスクの着用の判断に資するよう、場面もお示しし、例えば、医療機関や高齢者施設等においては、病院を受診したり訪問したり、あるいは働く方々についてはマスクの着用の推奨等、いろいろお願いをさせていただいています。それから、今お話があったように、事業者においては、事業者という観点から、マスクの着用等を従業員の皆さん、利用者にお願いをしたりすることもあるので、そういったことは十分国民の皆さんも理解をし、協力をしていただきたいということを申し上げています。

 ただ、その上で、私がする、特にちょっと気になったのは、べき論を議論し始めちゃうと、そこに価値が入ってきちゃうんじゃないかなと。そうではなくて、むしろ自然体で、こうした場合、例えば調子が悪ければ着けるし、あるいはほかの理由があるときは着けるし、まさに自然体でやっていただくということが、ある意味では、現場現場で着けている人と着けていない方の様々な混乱ということを回避する上でも、そうした姿勢が私は大事じゃないかなというふうに思っていますので、立場として、こういうケースはこうしてくださいということは政府としては申し上げますが、個人としてはまさに自然体で選んでいただく、そういう環境をつくっていくことが大事じゃないかなと思って発言させていただいているところであります。

小川委員 半分は分かるんですよね。だけれども、やはり責任ある立場ですから、加藤大臣がどうされるのかは、恐らく厚生労働省職員がどうするかに大きく影響すると思います。それは、恐らく関係業界、関係団体にも影響するでしょう。

 ちょっと適切な例かどうかはあれなんですが、今の国会で、例えば、五月から九月、十月、いわゆるクールビズが当たり前になっていますよね。ネクタイを外すじゃないですか。あれはやはり、小泉さんが当時、総理大臣で、自ら外したんですよ、率先して。総理大臣が外さないネクタイは大臣は外せない、大臣が外さないと局長は外せない、局長が外さないと課長は外せないという、やはりそういう社会なんですよね。

 だから、ルールを作って、個人の判断だというのは結構なんですが、御自身はどうされるのか、どうするのか、これはもうちょっと明快に姿勢をお示しになった方がいいんじゃないか、私はそう思います。ですから、十三日以降、加藤大臣がどうされるのか、よく拝見したいと思っています。

 私は、先ほど申し上げたとおり、積極的に外そう、特に公の場で、公人として、そう思っています。

 最後に、大臣が所信演説の中で強調されたと受け止めましたが、保険証の廃止、それから、マイナカード、マイナンバーカードへの一本化の関連法案、既に閣議決定されたという報道に接しています。いずれ法案審査、法案審議ということになるんでしょう。

 ちょっとこれまで、私はマイナンバーカードについて、保険証廃止はけしからぬという議論がある、それはそれであり得る議論だと思うんですが、片や一方、マイナンバーカードを取得してくれたら二万円のポイント、二万円の準現金を配りますというこの愚策、本当に情けない政策だ、これまで見てきた政策の中でも最も情けない政策だと私は感じているんですよ。

 なぜなのかということについて、なぜそんなことをしなきゃ取ってもらえないのかということをよく考えれば、これからソーシャルセキュリティー、保険証はマイナンバーカードでちゃんと使えるようにしますと言い切ればいいし、それから、公的認証、運転免許証まで含めて、今日警察庁に来ていただきましたが、マイナンバーカードがあればそれで済むようにしますと言い切ればいいし、その代わり、情報管理、それから各部局ごとのファイアウォール、責任を持ってやります、事故があったときは当然引責だ、責任問題だという形で覚悟を持って推奨、推進すべきだったんじゃないか、逆に私はそう思うわけです。

 ちなみに、私、今、財布の中に、クレジットカードとキャッシュカードと運転免許証と健康保険証と、四枚カードが入っています。それ以上にマイナンバーカードを持たなきゃいけない理由が分からないんですよね。用がないんですよ。

 加藤大臣、今、マイナンバーカードは持たれているんですか。

加藤国務大臣 済みません、今、この形、私、財布を持っていないので。ですが、ちゃんと、別途バックの中に入れていますが、その中には当然マイナンバーカードも入っております。

小川委員 何に使います。

加藤国務大臣 印鑑証明とか、何か幾つかの、たしか税もあったように記憶しておりますけれども、所得証明ですか、そういったときに非常に私は、先生もそうだと思いますが、私の場合は笠岡が住所になりますから、そこに行かずに東京のコンビニでそういったものが取得できる、そういうのは便利だというふうに思っています。

小川委員 そんな、住民票も印鑑証明も、取るなんて日常じゃないでしょう。つまり、それだけ利便性がないんですよ、今の現状では。それで、危険性なりリスクがあるとみんな思っている。基本的に政府が信用されていないということとも関わっていると思います。

 ですから、ちょっと、保険証廃止はけしからぬとかそういう議論があるのはあるとして、私はちょっと逆サイドの見解を持っていまして、政府は堂々たる姿勢で、ソーシャルセキュリティーも、それから運転免許を始めとした公的認証も、このカード一枚できちんとやり切りますと私は言うべきだと、逆に。その代わり責任を持って扱うというのが正しい態度で、取ってくれたら二万円上げますなんという情けないことは言わなくて済むような、国民がある意味、取りたくて取る、取らざるを得ないから取る、それで私はいいと思うんですよね。

 その観点から、ちょっと警察庁、せっかく来ていただきましたからお聞きしますが、事務的にお聞きした方針だと、運転免許証はマイナンバーカードでも代用できるし、運転免許証の運転免許証たる運転免許証もそのまま残す、これまた中途半端な方針だと私は聞いているんですが、これはもう一本化したらいいじゃないですか。いかがですか。

太刀川政府参考人 昨年四月に改正された道路交通法におきましては、運転免許を受けようとする人や運転免許証を所持する人から申請があった場合にマイナンバーカードと運転免許証の一体化を行うこととされています。この制度は、令和六年度末までに施行される予定であることから、まずは改正法の施行に向けて準備を進めてまいりたいと思います。

 その改正法において、運転免許証を廃止はしなかった、委員御指摘のとおり、運転免許証をそのまま所持し続けることもできるような仕組みになっております。それは、運転免許試験に合格した人がマイナンバーカードを保有していない場合にどうするかなどの課題があったからというふうに考えております。

 ただ、いずれにしても、その後の運転免許証の取扱いにつきましては、改正法の施行状況を見ながら検討してまいりたいと考えております。

小川委員 この手のインフラ整備というのは、やはりやるときはやらなきゃいけないと思うんですよね、本当に、中途半端なことを言ったりしたりせずに。その代わり責任を持ってやるというのが本来のあるべき姿で、取ってくれたら二万円上げますなんというのは、もう本当に愚の愚、愚策、恥ずかしい、情けない政策だ。二兆円使っているわけですからね、そんなところに。その指摘はちゃんと受け止めていただきたい。

 運転免許証も含めて、私、これは想像ですよ、各省庁がばらばらに様々な政策を所管していますから、例えば運転免許証の発行一つ取ったって、ある種の縦割りの各省の既得権なりあるいは利権なりということだって、あり得なくはないと私は感じています。元々中央官庁にいましたから、なおさら。だけれども、本当に利便性を高めるということは、そういう縦割りとか部分的な既得権は手放さなきゃいけないということだってあるだろうし、そういう意味では、本格的にインフラを整えていくということはそういうことだという前提で、責任を持ってお進めいただきたいと思っています。

 残念ながら、申し訳ありません、ちょっと今日は、この間、子供政策に光が当たっています。片や一方、単身女性あるいは高齢女性の方々からは、私たちに日が当たっていない、私たちは随分と日陰に追いやられているという切実な切ない声が届いていますので、そういった独身、単身の女性あるいは高齢の女性、これはもっと言えば男女にかかわらずでありますが、先般の国際女性デー、おとといですか、国際女性デーという記念日でもありました、に絡めて、ちょっとその辺についてお聞きをしたいと思っていました。

 それから、あわせて、最近ちょっと要請を受けているんですが、ギャンブル依存症で、なかなか、これを支援する、あるいは非常に深刻な課題を家庭内に抱えている家族の方々の取組に対する公的な支援、これについても要請をいただいており、この辺についても今日はお聞きをしようと思ってはいたんですが、ちょっと、残念ながら、時間の関係もありますので、次回に改めてお聞きしたいと思っております。

 コロナ対策、本当に、三年越しで、いよいよ五類指定、それから、感染状況だけ取れば、現況は落ち着いているように見えます。しかし、WHOも含めて、完全に緊張を解いているわけではありませんし、大体、感染は、夏のクーラーで閉め切る時期、それから冬の暖房で閉め切る時期が、この間、見ておりますとピークを打つという意味では、五月八日、五類に移行し、そして人々がマスクを外して日常を取り戻す経過の中で、もしかしたら今まで以上の緊張感なり警戒感を持ってこの夏を迎えなきゃいけないんだろう。

 この点、与野党問わず大きな関心事でありますので、協力するところは協力しつつ、そして批判的立場で検証をお願いするところはしつつ、そして私自身もマスクについては積極的に外す方向で行動していきたい。その旨申し上げて、一旦終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。

 本日は、加藤厚生労働大臣に、主にこれから厚生労働行政に当たる所信についてのお尋ねをしたいと思います。

 実は、さきの臨時国会でこの問題をお尋ねしようと思っておりましたが、なかなか所信質疑の時間がなくて持ち越したものでもございますので、その間に進んだこともありますので、併せてよろしくお願いしたいと思います。

 取り上げます一点目は、いわゆる家事労働でございます。

 今、少子化、あるいは子供、子育て支援のことを政府でも熱心に取り組むという表明をしておられますが、果たして、子供のいる世帯でも、あるいは御高齢者の世帯でも、いわゆる家事、人が暮らし、生きている間には、絶対にそこに家事という問題が発生をいたします。ところが、これまで家事は多く女性たちが担って、それもシャドーワークと言われておりまして、ほとんど外からの評価が得られない分野でありました。

 しかし、働く女性も増えて、あるいは高齢社会となって、家事を実際に自分で担えない、あるいは、同居された方がいても、なかなか、同居の方も働いていれば家事を担えない、当たり前に生きていくためのサポートがなされない状態ということが広がっているように思います。

 大臣に、一枚目、私の資料を見ていただきたいですが、これは、昨年の九月の二十九日の地裁の判決。何についての判決かというと、いわゆる家事使用人、いわゆる家政婦さんとも言われておりますが、の業務をやっていた六十八歳の女性が、一週間、相手のお宅に泊まり込んで、夜中の睡眠が六時間もないです、その間に、夜中にもおむつ交換をして、そして日中は介護の必要な方の食事あるいは介護などに携わっていて、御自宅に帰られて、そしてちょっと体を休めるためサウナに行かれて急死をされたということであります。

 誰が考えても、夜中も起きて、それから十九時間、合計すれば、眠っている、それも熟睡でないというような働き方をすれば、これは過労死、突然死の引き金になります。

 この状況を見ていた夫が、これはやはり彼女の労働というものが守られていない、人権が守られていないということで裁判を起こしましたが、残念ながら、今の法体系の中では、いわゆる家事使用人の方は労働基準法の対象外であるとされて、この訴えは認められておりません。

 しかし、そもそも、大臣に伺いたいと思いますが、先ほど冒頭申し述べましたように、少子化社会、高齢化社会、その中で家事を誰が担うのかという分野の、この需要というか、必要性は高まっております。

 開いて二枚目、見ていただきますと、これは経済産業省の試算で野村総研に委託された調査ですが、経産省ですから市場規模という考え方で分析をしておりますが、現在の市場規模、そうした労働で支えていただかなきゃいけない分野が六百九十八億円とすると、現在というかこれは二〇一七年ですね、二〇二五年には二千億から八千億に広がるだろう、それくらいニーズが増えるだろうというふうに分析をされております。

 まず、大臣に伺います。これまで多く女性たちが担ってきた家事労働も、ある意味で社会化され、支えられねばならない時代であるという認識はおありでしょうか。

加藤国務大臣 この調査の過程について、ちょっと必ずしも全部承知をしておりませんが、今委員から御指摘のあったように、例えば、共働き世帯が増えてきている、高齢者世帯が増えてきている、あるいは高齢者においても、それぞれ仕事に就く人たちが増えてきている、そうしたことを背景に家事の支援サービスに対するニーズはこれまでも増加していると思いますし、今後とも増加する可能性があるというふうに認識をしています。

阿部(知)委員 是非、どれくらいのニーズがあるか、厚生労働省としても把握をすべきだと思うんです。

 先ほど大臣おっしゃいましたが、この調査についてはつまびらかではないとおっしゃいましたが、現状、世の中を見れば、大臣が今おっしゃったように、そうしたニーズは間違いなく増えておるわけです。そこで働く人も当然増えております。

 いろいろな統計がありますが、国勢調査で一万人少しという調べもあります、いわゆる家政婦さんの。でも一方で、二万七千人という把握もあります。実態が分かっておりません。それから、今後どうなっていくかも誰も調べていない。まあ、この野村総研に経産省が投げたものくらいでしょうか。そうなりますと、ここで家事労働を担う方々をどうやって守っていくかという問題に答えが出ないということになります。

 この判決の後、大臣は、十月七日に記者会見をしておられます。その中で、個人の家庭の中で、その御家庭の指揮命令の下で働いている場合は、通常の労働関係とは異なるので、労働基準法の対象にはならないと。どういうことかというと、介護を必要とする方に、御家族が、息子さんがいて、息子さんの指揮命令下で、夜中は二回おむつを替えてくれ、御飯は三回やってくれ、これはこれでと。個人が家政婦さんに、家事使用人に指令をしているということで、これは家庭内のことだから、いわゆる国家が介入する労働基準法等々の適用はふさわしくないというふうな裁判所の見解をある意味追認しながら、しかし、大臣はその後、なぜそういうことが労働基準法の適用にならなかったのか、経緯や実態について調査をなさるとおっしゃいました。

 ちょうど今年の二月一日から、JILPTに依頼されて調査が始まっております。さて、大臣、大臣の一番この調査を通じて知りたいもの、どういうところを調査の依頼にかけられましたでしょうか。いかがでしょう。

加藤国務大臣 まさに家事使用人の実態がどういうものなのか、それから、現在の仕組みができた当時と状況も、先ほど申し上げたように、ニーズも変わってきております。

 それから、先ほどちょっと委員のお話がありましたけれども、総務省の国勢調査で、家庭生活支援サービス業として見たときに、人数は、平成二十二年二万四千人が、令和二年二万人と減ってはいるんですけれども、内訳を見ると、家政婦、家事手伝いの人は一万六千人が七千人と減っている一方で、その他の家庭生活支援サービス職業従事者、これは八千人ぐらいから一万四千人ぐらいに増えてきている。そうすると、家庭に入っている形も、まさに家政婦、家事手伝いといって入っている方と、どこかからか、いわば派遣されるような形で受けている方、それぞれまちまちなのが今の状況なんだろうと思います。

 したがって、そういったことも含めて実態をよく把握をしていく必要があるというふうな認識から、先般、専門家の方にも入っていただいて、どういった内容を調査すればいいのかといったことについても検討していただいた上で、独立行政法人労働政策研究・研修機構、JILPTの協力の下、現在、一月三十一日から三月十五日までを目途に調査をさせていただいているというところでございます。

阿部(知)委員 調査が実施、開始されたということは大変重要なことでありますし、今大臣がおっしゃったように、同じ家事労働になっていても、一方では派遣業者のような方の指揮命令系統で家庭に送られている方と、あるいは、紹介されて個人として家庭に入る場合と、様々ございます。

 大臣おっしゃったように、その実態はいまだ把握をされておりませんし、これは、逆に、実はこの三十年ほどの間、諸外国でも大変問題になっていて、家事労働に従事する方の実態ということをいろいろな国際機関の場で調査もしておりますので、是非日本もそれを実施していただきたいです。

 大臣がおっしゃいましたように、派遣業者などに雇われた雇用関係のある方は、一九八八年の厚生労働省の通達によって、実は労働基準法の対象となっております。ところが、個人で契約して、個人の指揮命令下の者はなっておらない。果たして実態がどのくらい違うのか。片っ方を排除する合理的な理由はあるのかということがこの調査から浮かんでくると思いますので、大臣には早急に、調査のおまとめと厚労省の対応を前進させていただきたい。

 その中で一点指摘させていただきたいですが、実は、一九九三年、今からちょうど三十年前に、当時の労働大臣が、いわゆる家政婦さんと言われて個人契約で入っている方も労働基準法の対象にすべきだという意見を出されました。しかし、この三十年間、それは実施されておりません。

 そして、二〇一一年の六月、ILOが家事労働者の適切な仕事に関する条約の採択を行いましたが、日本ではこの条約を批准しておりません。あわせて、これからは、今、特区の中で、外国の方に来ていただいて家事労働を担っていたりするわけです。一つは国際化にも遅れる、一つは高齢化、少子化、家事労働の問題の対応にも遅れるということで、是非、厚労省として、ILOの勧告の批准をしていただきたい。

 これは、昨日、批准できない理由は何ですかと伺ったら、先ほど私が御紹介した労働基準法百十六条の二項の除外規定、すなわち、家事労働については基準法の対象外とするということだというので、これでは、いつまでも鶏と卵、鶏と卵となってしまいます。

 もちろん、この百十六条の二項の除外規定をやめていただくということでもありますが、まずは、国際化のためにILOの条約の批准をしていただきたいですが、大臣のお考えはいかがでしょうか。

加藤国務大臣 我が国が条約を批准するときに、本件に限らず、国内法の整備等をしっかりやった上で批准をするという手続を踏んでいると承知をしております。

 したがって、今委員からお話があったように、現行の労働基準法においては、家事労働に従事する者は対象とされていないということでございますので、その辺をどうするのかといったことが大きな課題になっています。

 その前に、委員がお話しになったように、先般の新聞記事等々も含めて様々な課題があるので、まずは実態調査をさせていただいて、その上で必要な検討をしていきたいというふうに考えております。

阿部(知)委員 私は繰り返し申し上げますが、家事労働というのは、人間が生きていくために、明日に向けて再生産、人間が明日の生活を築いていくためにも、今現在を生きるためにも大変重要なものと思います。これが従来女性たちが担ってきたということで、先ほど申しました、シャドーワークと言われたり、あるいは家事ハラスメントと言われて、家事をしているんだけれども、なきことのように扱われる、ここも大転換が必要であります。きちんと労働として認めた上で、様々な基準法の保護を与えるべきであります。特に、セクハラなども起きがち、労災も起きがち、だけれども何の補償もないというところに、女性たち、多くは女性ですから、を押し込めているということで、是非大臣の早急な、前向きなお取組をお願いをいたします。

 後段は、先ほど小川委員も問題にされました、マイナンバーカードと医療保険証との一体化。

 医療保険証の方は廃止して、そしてマイナ保険証に一体化するということですが、これは事務方でちょっとお分かりであれば、一体、この二月末段階で、マイナ保険証はどのくらい取得されましたでしょう。マイナンバーカードは、集計によれば、さっきの二万円ちらつかせで七十何%、国民の四分の三くらいナンバーカードの方は取ったといいますが、保険証とタグづけするマイナ保険証の取得率はどうでしょう。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 現段階で、カードを交付された枚数に対しまして六四・七%、枚数ベースで見ますと五千二百万枚、健康保険証とひもづけられていると承知しております。

阿部(知)委員 そうすると、国民の半分もまだいっていないわけですよね。カード自身は七十何%。でも、またその何割かしか取っていませんから、総計すると半分くらい。

 私は、非常に課題の多いことを早急にやり過ぎているということと、その課題をもう一度しっかりと根本解決を話し合った方がいいと思うので、今日、大臣と取り上げたいのは、実は二月の十七日に、各省庁、担当する、厚労でしょうか、総務、デジタルが一緒になって検討会議を昨年の暮れから持っていらしていて、そこで挙げられた問題点と、並びに、私がその報告を読んで思う問題点などについて、九点挙げさせていただきました。この逐一を全部論議できるだけの時間がないのですが、しかし、大臣と頑張って最後まで行きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 実は、マイナ保険証については、そもそも、マイナンバーカードを取れない人がいる。名古屋で発生した事例ですが、おうちにいる障害のある方のマイナンバーカードを取ろうとしたら、署名ができないじゃないか、来られないじゃないかと言われた事案が名古屋であって、それを私は十一月に取り上げさせていただきました。障害者を排除するものであってはならないわけです。でも、対策がしっかりなされないままどんどん、マイナ保険証といって、保険証とのタグづけが始まっております。

 なぜ私があのときこだわったかというと、保険証は、いつでも、誰でも、どこでも医療機関にかかるために必要な命のパスポートであります。マイナンバーカードは任意であります。取りたい人は取ったらいいし、活用するのはいいと私は思っています。しかし、どなたにも不可欠なものと任意に取るものを一緒に進めようとすれば、必ずそこから抜け落ちる、漏れる方が出てまいります。

 私は、大臣は、国民皆保険を守る、命の安全保障のヘッドクオーターは厚生労働省ですから、その観点から常に、今進んでいることに問題があれば御発言をいただきたいんですが、今日の一、マイナンバーカードというのは暗証番号が必要なんですね。ところが、さっきの署名できないというのもそうなんですけれども、暗証番号を覚えられない、あるいは設定できない人がおられます。恐らく二千万人ぐらいにはなろうかと。あるいは、私でもそうですが、暗証番号をつくっても忘れてしまいます。これは大変深刻な問題で、暗証番号を認定できない人は取れない。

 加えて、先ほどのような、行けない、動けない、書けないという方は代理申請でもいいといいますが、代理申請は、詐欺ばかりが多い中、成り済ましの問題も必ず起こります。これは諸外国でもナンバーを取るときに起こっていることでありました。

 プラス、じゃ、もう来られないなら、個人宅に役所の職員が行って、その申請につなげますよというけれども、これがまた特殊詐欺を誘発します。役所から来ましたよ、マイナンバーカード、マイナ保険証にした方がいいですよといって、詐欺も誘発いたします。

 すなわち、一、二、三は、一は御本人の側の要因もあるでしょう、でも二とか三は、便利にしようと思う余り、誘発する不測の事態が多過ぎる、代理交付も、自宅での申請も。ここについては大臣はどのようにお考えでしょうか。

加藤国務大臣 まず、マイナンバーを使って医療情報を、まさに個人情報を保護しながら医療現場で活用していく、それは患者さんにとってもメリットがある。そのメリットを全ての人に提供できるものにしていきたいということで、マイナンバーと健康保険証の一体化を進めさせていただいているわけであります。

 今、委員からお話がありました知的障害者の方などへのマイナンバー交付については、これは総務省において、暗証番号の設定が困難であると認められる場合は、介助者や市町村職員が必要な補助を行うこととして差し支えないことなど、暗証番号の設定に際しての留意事項を自治体にお示しし、周知を図っているものと承知をしております。

 また、中間取りまとめにおいても、本人では暗証番号の設定に必要な番号を行うことが困難な場合について、暗証番号自体は御本人に決めていただく必要があるが、設定に当たって入力補助などをサポートしていただくことは可能である旨、改めて周知徹底するとしており、また、暗証番号の設定に困難を抱える申請者がおられる現実を踏まえ、今後、暗証番号の取扱いについても検討するとされているところでございます。

 その上で、代理交付については、これは幅広く利用できるようにということではありますが、一方で、代理交付に当たっては、引き続き、申請者本人、代理人の本人確認書類や、代理人の代理権を証明する書類等の提示が求められ、委員御指摘のように、成り済ましが起こらないよう、交付申請者が本人であることや、代理人が本人であること等を確認することとされております。

 また、出張申請でありますけれども、介護福祉施設等の高齢者が利用しやすい場所や、希望する方の個人宅等を市町村職員が各種制度の支援者とともに訪問する形での出張申請受付の推進についても、この具体的なやり方を検討していくこととしております。

 御指摘のように、マイナンバーカードの申請交付において、詐欺や不審な電話に注意することは十分必要であります。ホームページで注意喚起などを行う等、様々な工夫がなされているものと承知をしておりますが、私どもとしては、障害がある方や認知症の方なども含めて、全ての方がよりよい医療の提供を受けられるように、こうしたマイナンバーカードの申請、交付についても、しっかりとした周知を関係省庁として図っていきたいというふうに考えております。

阿部(知)委員 大臣、そういうふうに読むのは簡単なんだけれども、本当にできるだろうかと考えてみてほしいんですね。これだけオレオレ詐欺、毎日のようにですよ、私は、これは詐欺を誘発するきっかけになると思うんです。元々、フランスでもドイツでもオーストラリアでも、行政分野の異なる、例えば医療とほかの納税と何か、これを一本の番号で共通することの危険性と言われていて、カードはあっても、全部を一本にしているところというのは本当に少ないんです。

 大臣、首を振っておられますが、私は、何が一番安全だろうと考えたとき、今の健康保険証が一番安全なんですよ。なぜならば、例えば高齢者が施設に入られたとする、マイナ保険証を施設に預ける、暗証番号も預ける。この両者が悪用されない担保なんか何もないんです。先ほどの精神病院の例でもそうですけれども、本来はあってはいけない。だけれども、その個人情報を、暗証番号があれば、マイナ保険証で年金、納税、アクセスはできるじゃないですか。本人は分からないわけですよ。私は、今の保険証ならば、保険証を預けますよ、高齢者施設に入るとき、そういうことは起きませんよ。それが安心の基なんだと思うんです。

 大臣は、認識、どうですか。

加藤国務大臣 まずは、安心とか安全、これはしっかり確保していかなきゃならない。それから、ただ、今おっしゃるように、行政手続等がどんどんどんどんこのマイナンバーを活用してまいりますから、当然、例えば高齢者施設に入っておられる方も、それを活用しようとすれば、マイナンバーを使った本人確認等が必要になってくる、そういった事態は本件に限らずあるのではないのかなと、今、委員の御質問を聞きながら思ったところでございます。

 さらに、医療については、先ほど申し上げましたように、やはり、これからの医療を考えると、その方に関する様々な医療情報、それらを踏まえて、より的確な医療が行われていく、それが求められているわけでありますから、そういった機会が今お話があった障害者の方等々にもしっかりと享受できる、それを私たちは実現をしていかなきゃいけないというふうに思っております。

 今回、マイナンバーについても、いろいろなケース、ケースが、御指摘もいただいております。それらについて、今、きめ細かく対応を検討させていただいているところでございます。

阿部(知)委員 私は、例えば医療保険証をカード化することには賛成です。しかし、マイナンバーとタグづけして、いろいろな行政分野の異なるものを一つの番号で管理しようとするときに、医療分野のことは、余りにもいわゆる個人情報保護の観点から似つかわしくないことが多いという指摘をさせていただきました。

 かてて加えてです。去年の秋から、このマイナ保険証の方と普通の保険証の方では、外来の診療のときの初診料が異なるということになりました。二万円があめであれば、外来の加算の差をつけるというのはむちであります。持っていなければ給食費を割引しないとか、これもむちであります。余りにも情けない行政、あめとむちを振り回して、本来、全ての国民の命を守る保険証が、こういう形で不安の中に置かれます。

 大臣、最後の質問になりますから、資料を御覧になってください。

 こうやって、そういう加点、マイナ保険証を持っている方が少し安い、普通の保険証は高くなるということを決めた中医協の二回の会議から、附帯意見というのがついています。八月と十二月、同じことを言っているんですけれども、患者、国民の声をよく聞き、取得した医療情報の活用による医療の質の向上の状況について調査、検証を行うとともにと。本当にいいわけというのを検証しなさいと言っているんです。

 でも、これをやらずに、十二月の中医協で再び今後の値上げを決めました。そして、附帯意見書。早急に患者、国民の声を丁寧かつ幅広く聞き、初診時及び調剤において云々。なぜ高いのか、一回も国民の声というのは聞かれていないんです。不安が置き去りにされて進んでいきます。私は、中医協がこういう指摘をするというのは、かなり深刻なことなんだと思うんです。

 大臣は、厚生労働行政、その中でも診療報酬というのは骨格ですから、そこにおいてこういうことを、国民の声を聞かずに、現状を調査せずにやっているということについて、どうお考えですか。

加藤国務大臣 ちょっと、まずその前に、マイナンバーカードのナンバーを別に保険の関係に使っているわけではない、あくまでも、マイナンバーカードというのは、本人確認の認証の仕組みとして使わせていただいているということをまず申し上げておかなきゃいけないのかなと思います。

 その上で、オンライン資格確認については、診療報酬上、システムを導入した医療機関であって、患者に対し、薬剤情報を特定し、健診情報、その他必要な診療情報を取得、活用して診療を行う、そのことに加算を行う、そうした丁寧な診療について加算を行う。ただ、その際に、オンライン資格確認で本人データが取れれば情報の入手がより簡易に行えるわけですが、本人のデータがなければ一々聞いたりしなきゃならない。そういったことを含めて、その手間の違い、それを踏まえて診療報酬に差を設けさせていただいているということでございます。

 その上で、意思決定の中において国民の声を聞くべきではないかというお話がありました。

 本年四月からの診療報酬における特例措置において、医療現場における実施状況に関しヒアリングを行った上で、昨年十二月の中央社会保険医療協議会、中医協で議論、答申を得て決定したものではありますが、ただ、十二月の中医協でも附帯意見をいただいたところでございますので、今回の加算措置の実施状況について、国民の皆さん、患者の皆さんがどう受け止められているのか、そういったことについてはしっかりと調査を行い、また、そういう声をしっかり伺っていきたいというふうに考えております。

阿部(知)委員 二回も中医協がアラームを鳴らすというのは、ないことですよ。患者の声が聞かれていない、国民の声も聞かれていない。しっかりとその声を聞くようにお取り組みいただきたいと思います。

 ありがとうございます。

三ッ林委員長 次に、吉田統彦君。

吉田(統)委員 おはようございます。立憲民主党の吉田統彦でございます。

 四十分、今日はいただきました。貴重な時間ですので、早速質疑を始めさせていただきたいと思います。大臣におかれましては、適切かつ簡潔な御答弁をお願い申し上げます。

 まず、産科医療補償制度について大臣にお伺いをしてまいります。

 産科医療補償制度については、私が制度発足当初から申し上げていた危惧が全て現実となったという意味を含めて、極めて残念な状況になっております。

 例えば、当初、当時の設計では保険料三万円は高過ぎるだろうと申し上げましたし、補償対象とされ、給付された人数も当初非常に少ないということも指摘しております。そのために多額の剰余金も生じています。これは、当初、そもそもの基準と保険料の計算が誤っていたと言わざるを得ませんし、制度の趣旨は了といたしますが、極めて問題の多い制度設計であったと言わざるを得ません。

 昨年十一月一日の共同通信に、出生時の低酸素状態を確認する個別審査で補償対象外とされた子らの救済策として、数百万円の特別給付金を出す案が浮上していることが一日、政府関係者への取材で分かった、厚生労働省と制度運営主体の日本医療機能評価機構は検討を進めるとの記事が出ていましたが、大臣、これは事実でしょうか。

加藤国務大臣 お尋ねのような報道内容は承知をしておりますが、厚生労働省としては、そのような具体的な検討を行っているという事実はございません。

吉田(統)委員 それでは、大臣、個別審査基準についての認識をお伺いします。

 個別審査で対象外となった児をレトロスペクティブに調べた結果、実は、制度が対象とする、分娩に関連して発症した脳性麻痺であった、つまり、現在補償を受けている児と対象外となった児に何ら差がなかったと医療機能評価機構が発表をしています。これは、つまり、補償漏れということではないんでしょうか、大臣。

加藤国務大臣 補償対象基準については、運営組織である日本医療機能評価機構が設置する運営委員会等において、その時点の医学的知見や医療水準を踏まえ、学識経験者や医療保険者などによる議論も踏まえて定められており、その時点においては適切な基準が設定されたというふうに考えております。

 その上で、産科医療補償制度を運営している日本医療機能評価機構が二〇二〇年十二月に取りまとめた産科医療補償制度の見直しに関する報告書によれば、個別審査の区分は、分娩に関連して発生した脳性麻痺と考えられる一般審査の区分に該当しない週数、体重の児であっても、胎児の成熟は連続的なものであり、未熟性による脳性麻痺を発症する時期について絶対的な基準を設けることが当時は医学的に困難であり、分娩に関連して発症した脳性麻痺となる場合があることから、個別に判断するために設けられたものである、しかし、我が国では、周産期医療の進歩により早産児の死亡率及び脳性麻痺の発生率が減少し、個別審査で補償対象外とされた児の九九%に分娩に関連する事象又は帝王切開が認められる脳性麻痺があったこと、あるいは、個別審査の要件である低酸素状況について、臍帯動脈血pH等々について、在胎週数二十八週から三十一週の児の脳性麻痺発症の有無で差を認めないこと等から、低酸素状況を要件としている個別審査を廃止し、一般審査に統合されるということでございますので、これまでは、胎児、二十八週以上の子供について一律に、分娩に関連して発症した脳性麻痺かどうか定かではなかったことから、個別に審査されてきた、そうした経緯があったというふうに承知しています。

吉田(統)委員 委員長も聞いていて分かる、これは全然質問に答えていないです。だから、私はそこを事前に言っているじゃないですか。レトロスペクティブに、差がなかった。それは大臣らしくないですよ、今の御答弁。そんな、答弁書をとうとうと読み上げる。いつももうちょっと正確に我々の意図を酌み取って答えていただける。ちょっと、それはもう今後やめてください。

 レトロスペクティブに調べた結果、日本医療機能評価機構がだから発表しているわけですよ、差がなかったと。だから、そこについて、これは補償漏れかどうかということを私は聞いていただけであって、今のお答えではお答えになっていない。だから、補償漏れであったのか、ないしは補償漏れでないと言えるのかということを大臣に聞きたいんです。

加藤国務大臣 先ほど答弁をしたように、まさに報告書によっても、当時の判断でいえば、個別に判断するということ、それがいわば妥当であったと。しかし、その後の事情を見て、先ほど、考え方を切り替えたという、それがこれまでの報告書の中身であり、それを踏まえた対応がなされているというふうに承知をしています。

吉田(統)委員 補償漏れだったということですよね。

 では、同じことでもう少しお話をするんですが、だから、同じ制度が対象とする、分娩に関して発症した脳性麻痺児であったというわけですよね、要は、今大臣がおっしゃったように。一方は、ただ、総額三千万円の補償を受けているわけです。他方、補償を受けられずゼロと、著しい不平等でやはり苦しんでいるわけです。私は補償漏れと言いましたが、別の表現でも結構ですが、補償を受けられていない児とその家族は、大臣、苦しんでいるんです。その視点からお答えいただきたい、では。

 個別審査基準で補償とされた家族と対象外とされた家族のいずれも、繰り返しですが、周産期の要因による脳性麻痺であるということは違いがないということですが、この著しい三千万の不平等に関してどのようにお考えなのかということを大臣にお伺いします。

加藤国務大臣 今、委員が、産科医療補償制度の議論をさせていただいているわけでございます。そうした様々な障害を持って生まれた子供さんに対する対応というのは、これはまたそれぞれ、いろいろな形でこれまでもやらせてきていただいている。

 ただ、その中で、今おっしゃるこの制度についての議論をさせていただいているわけでありますが、これは民間の制度として、日本医療機能評価機構と保険会社が保険契約を締結し、医療保険者が実質的に掛金を全て負担する形で実施をされているわけでありますし、また、民間の保険契約によってあらかじめ定められた補償の範囲内において支払っている。その範囲については、それぞれその中でお決めになっているということでありますから、二〇二二年一月の制度改正前の補償対象基準により、個別審査で補償対象外となった児を救済するということは、この制度の中においては困難というふうに考えております。

吉田(統)委員 大臣、今のるるおっしゃったところは、じゃ、分かりました。

 そうすると、その前提でも結構ですので、これらの子供は、個別審査に申請し、対象外にされたわけですね、大臣。対象外とされたわけですよ、三千万もらえなかった方は。それはそうですよね、個別審査で。それは大丈夫ですね。

 ここからちょっとよく聞いていただきたいんですが、その子供に過去に行った審査がやはり正しくなかった、やはり分娩による脳性麻痺だった、それをこれから補償するという話になったときに、報道ベース、そして我々が仄聞する範囲においては、これは大臣が御承知いただかなくても大丈夫なんですけれども、本来の三千万とはちょっと大きく乖離した数字が独り歩きしています。

 そうすると、仮の話になってしまうかもしれないんですが、本来の補償額と差が生じてしまっているわけです、その場合は。数百万、さっきの報道の話です、大臣。報道の話や、今我々が仄聞する一千万とかそういった話を聞くと、なぜ乖離してしまうのか、また、下がるのかということを、やはり論理的な説明をしなければならないと思うんです。

 大臣は、今後、そういった仕組みの中で補償するとなったときに、これは補償すると決まった場合ですよ、やはり、この大きく著しく三千万と差があることに関しては、不平等が生じると思うんですが、そこはどういうふうにお考えになられますか。

加藤国務大臣 ですから、先ほどちょっと前提を申し上げたのは、この補償制度の中においてということですから、その補償制度をどう考えるかというよりは、この補償制度の中においてどうなるかというと、まさにそれぞれ時期時期の科学的な知見等を踏まえて補償対象基準を事前に決められて、それにのっとって運営がなされてきた。したがって、それより外の話というのは、この制度の外の話でありますから、この制度の中において救済するとか補償するというのは困難だということを申し上げただけであります。

吉田(統)委員 ちょっと大臣が、なかなか、これは極めて難しい制度なので、ちょっとあれなので、政府参考人の方で結構ですけれども、今の同じお答えになりますか。政府参考人の方からどうぞ。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員お尋ねの、水準がどうなのかという点についての御質問でございますけれども、私どもとしては、その辺、まさに関係者の間でかなり議論があるところでございますので、一概にどうということを申し上げる立場にはなかなかないというふうに考えさせていただいているところでございます。

吉田(統)委員 局長は今、ただ、大臣、冒頭、厚労省としては承知していないという御答弁がありましたけれども、今の話だと、承知していて、その推移を見守っているというふうに聞こえるんですけれども、そこは大丈夫でしょうか。

 じゃ、さっき大臣、たしか制度内ではという話を前提でおっしゃったじゃないですか。そうすると、制度内で補償するのが筋だと本来は思います。しかし、民間の保険契約ですから、形としては、大臣お分かりのように。それができないということであれば、逆に、国、厚生労働省として何か補償を行いたい、あるいは行う考えがないかは、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 この産科医療補償制度に至る間に様々な議論があって、そしてこの制度がつくられた、特に自民党において議論されてこれができたというふうに認識をしておりますので、それ以外の制度、それ以外の対応ということをおっしゃっておられると思いますけれども、ただ、そういった経緯を見ると、じゃ、それ以外の対応というのがにわかに出てくるのかなというふうには思います。

吉田(統)委員 じゃ、政府参考人に伺いますが、この事後的救済というものをする場合に、今の剰余金で解決するというのは、実は一番分かりやすい方法なんだと思います。ちょうど剰余金を用いるとぴったりの給付で、可能という、本当にまさになぜか符合しているんですよね、額が、というのがあります。これで事後救済をすることができないのか。なぜできないのか、もししない場合、できない場合は。それをお答えいただけますか。どうぞ。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今、この制度の在り方の中では、先ほど大臣がお答えになったような考え方で、私どもとしては、現行の仕組みの中では難しいというふうに考えてございますが、一方で、いろいろな関係者がこれについては御意見がございます。そういったことについて、具体的に、私どもとしては、今の段階、行政の立場からどうこうということを申し上げるのはなかなか難しい立場にあるということで、ちょっとそこの点は差し控えさせていただければと思っております。

吉田(統)委員 ただ、局長、ここは局長にちょっと聞いていきますけれども、少なくとも、金融庁は、剰余金を用いて事後的な救済をすることが可能だと言っていますよ。あくまでそのようなお金の使用が可能か否かを判断するのは金融庁ですよね。個別のこの問題の所管は厚生労働省ですので、スキームやルールを作るのは厚生労働省なんだと思います。これは明確に分かりますよね。

 再度お聞きしますが、金融庁は事後的救済が可能だと言っています、ルール上、仕組みのね。それでも厚生労働省としてはそれをなさろうとはされないんですか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 済みません、ちょっと今手元に正確な金融庁の御発言について資料がございません、恐縮でございますが、金融庁さんが言っておられるのは、今の積立金というのは、基本的に、現在これを実施していただいている日本医療機能評価機構の持っているものだということになりますので、それをどう扱うかについては金融行政上とやかく申す立場にはないということをおっしゃっていたというふうに理解しております。

 そういう意味で、この積立金をどう使うかという点について、関係者の方々はいろいろな御意見がおそらくあるんじゃないかというふうに思っているところでございます。

 ただ、それを、じゃ具体的にどうするかということについては、この積立金の使途自体、いろいろと関係者の間で議論があった上で、今、一部を保険料の軽減という形で使われているということは承知してございますので、関係者の間でいろいろと議論があるものというふうに考えているところでございます。

吉田(統)委員 今局長くしくもおっしゃったように、掛金を減らしているわけですよ。天引きであるのとかいろいろ問題があるんですけれども、まだ。三万から大分下がりましたよね。ルールは変えられますから、今くしくもおっしゃったように、ちゃんとやれるようになさったらどうですか。

 この問題を余り長くやるとほかの質問に行けませんので、最後、少しまとめますけれども、この問題は、成育基本法の議員連盟も関心を持っています。議員立法などでも対応することを視野に置いて検討することもあると思うんですが、根本的には、やはりエビデンスが明確でないまま三十二週以降と二十八から三十一週で差異を設けていたことも大きな問題だと思います。それを放置していたのは立法の不作為でもあると思いますので、御家族の救済のために真摯な検討をお願いいたしまして、今後の状況の推移を私も見守りながら、また質問したいと思います。

 じゃ、次の問題に行きたいと思います。出産・子育て応援交付金についてお伺いしたいと思います。

 この質問、実は昨年の臨時国会で準備していたものなので、令和四年度の補正予算が成立して、もうこの制度は動き出していることと思います。しかし、私が以前から申し上げているように、そもそもの問題として、出産育児一時金そのものが出産費用にすら足りず、今回、それとはあえて別に出産・子育て応援交付金をつくったという意味が、正直、私には分からないんです。

 大臣、覚えてみえますかね、私と議論したときに、出産育児一時金、上げるよとおっしゃいましたよね。覚えていらっしゃいますね、あのとき。覚えていますよね。そういう力強い御答弁があって、事実、そうなったので、私は大変喜ばしいとは思っています。でも、大臣も御承知のように、足りないんですよね、まだ。出産育児とついていますが、出産費用に足りない。育児って、じゃ、何だということにもなるわけであります。

 令和五年度予算でも三百七十億円ですよね、これが計上されている。ただ、出産育児一時金にそもそもプラスした方が、余計な事務費が必要ないですし、はるかに効率がいいんですよね、どう考えても。あえてなぜ別の制度にしたのかを、大臣、教えてください。

加藤国務大臣 これは、出産・子育て応援交付金というところだけではなくて、併せて子育て支援を伴走型で行っていく、それをセットにしていく、そして、伴走型支援をするときのきっかけとして、妊娠時、出産時にこうした交付をすること、これをまた奇貨として、そうした皆さんが相談に乗っていただく、そういった相乗効果を考えて、こうした仕組みをつくらせていただいたということでございます。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、今回の新制度も、もう大臣がおっしゃったように、伴走型相談支援と一体的に、産後ケア、一時預かりなど、ニーズに応じた支援を行うことで、身近に相談に応じ、必要な支援メニューにつなぐということをうたっていますよね。

 ただ、これこそ出産育児一時金の育児なんだと思いますよ、大臣。出産一時金だったら私もとやかくは申し上げないんですけれども、そもそも出産育児一時金という名前になっているわけですから、そもそもそこが足りないわけですし、まあ、似たような趣旨でやっていると、どう見てもこれは育児ですから、思うんですよね。だから、根本的に育児への一時金が加算されていないところがそもそもの問題なんじゃないかなと私は思います。

 内容を考慮すると、今回、妊娠届出時に五万円、出生届け時に五万円ということですので、今大臣おっしゃった内容を加味しても、趣旨と性格からすると出産育児一時金と同義ではないかとやはり思います。

 また、今回、今申し上げたように給付額、経済的支援の実施方法が、例えば、出産育児関連用品の購入、レンタル費用助成、サービス等の利用負担軽減等、電子クーポンの活用や都道府県による広域連携など、効率的な実施方法を検討と伺っております。

 実施方法はなぜこのように決まったのかと、金額の根拠及び実施方法、そういったように決めた理由を、大臣、お答えいただけますか。

加藤国務大臣 まず、計十万円相当の出産・子育て応援ギフトは、妊娠期に想定される、主に妊婦健診受診時の交通費やマタニティーウェア等に要する費用、また、出産後、新生児の育児に必要な費用、必要なベビー服、ベビーベッド等、産後ケア、家事支援等のサービスに要する費用、そういった妊娠期から産後の育児期までに必要な商品の購入費やサービスの利用料を参考に設定したものであります。

 また、これについては、基本的にはもちろん現金給付という方法ももちろんありますし、具体的なクーポン等をお支払いする、これはそれぞれの自治体の工夫にお任せをさせていただいているということだと思います。

吉田(統)委員 この政策を発表された際には、堕胎費用に使用される可能性というのを指摘された方もいらっしゃいますが、そういったことはないんでしょうか。(加藤国務大臣「聞こえないです」と呼ぶ)この話が出たときに、やはりマスコミなども含めて、有識者からも、堕胎費用に使用される可能性というのを指摘されて。堕胎です、中絶。これは大丈夫なんでしょうか。大臣。

藤原政府参考人 恐れ入ります。事務的にお答えを短くさせていただきます。

 妊娠期五万円、それから出産期に五万円ということで、妊娠をされて届出をされれば五万円の支給対象になりますけれども、その後、出産をされたときに五万円ということで、その間に中絶費用にかかることはないのかというふうなことは、中では議論をいたしました。

 恐らく、妊娠届出のときに、予期しない妊娠をされた方々について伴走支援をしっかり行っていくということをやるためにも、妊娠期のこの伴走支援の交付金を活用するということで、要綱等についても定めたところでございます。

吉田(統)委員 次に、事務費について伺います。

 以前の臨時国会の際のレクでは、補正予算で九十億の事務費がかかると聞いておりました。令和四年度予算を受けてその事務費は一体幾らになったのか、お答えいただけますか。これは大臣じゃなくても結構ですよ。

藤原政府参考人 事務費についてお答え申し上げます。

 今回、この交付金における事務費でございますけれども、出産育児関連用品のクーポンなどによる経済的な支援を実施するための費用といたしまして、令和四年度の補正におきましては、システム開発経費等のイニシャルコストとして約九十億円、また、令和五年度の当初予算案では、委託経費のランニングコストでございますけれども、こちらが約十五億円ということになってございます。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 これも様々な局面で指摘されていますが、我が国の政策、事務費の額が甚大であります。特に厚生労働行政においては、先ほどの産科医療補償制度でも、事務費が元々過大であったということも私もずっと指摘をさせていただいております。本当に、事務費がなるべくかからないようなやり方、先ほど申し上げましたけれども、出産育児一時金と一緒にすれば一定程度事務費が減るんじゃないかなということも思いながら、次の質問に行かせていただきます。

 オンライン資格確認の原則義務化に関して、令和五年四月からオンライン資格確認導入が原則として義務づけられます。しかし、様々問題が指摘されていますし、各種医療団体の中でも、反対しているところもたくさんあります。

 現在のオンライン資格確認の進捗状況、特に、オンライン資格確認の経過措置における猶予届出の受付は一月二十七日から始まっていると思いますが、その状況をお答えいただけますでしょうか、大臣。

三ッ林委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

三ッ林委員長 速記を起こしてください。

 加藤大臣。

加藤国務大臣 済みません。ちょっと、私ども、受け止めた質問の中身と今の御質問の中身がちょっと違うので、しかも、ちょっと今、担当が来ていないようでございますので、もし必要ならば、後ほど説明させていただければと。

吉田(統)委員 冒頭説明したので、抜けていることは、大臣、ないと思うんですけれども。冒頭に、これはもう最初に聞きますと言ったので。まあ、いいです、それは手違いということで了としますので。

 じゃ、大臣、これは大丈夫だと思う。オンライン資格確認に対応する機材の導入が完了していないという話をたくさん聞いているんです。また、臨時国会での質問準備のときもそうだったんだけれども、ベンダーの見積りがやけにやはり高いという話をよく聞くんです。これが、更に今、状況が悪化している。ベンダーの見積りが更に高額化している。まあ、足下を見ているのかもしれないですが。こういう話が横行しているんですけれども、大臣、そこはどのようにお考えになりますか。

加藤国務大臣 まずは、基本的に、今年三月末ということで進めておりましたけれども、今お話がありましたように、ベンダー側の対応状況等々があって、九月末を目途にし、そこまでであれば、現在いろんな対応をしていただいているスピードからすれば、達成できるのではないかという見通しを持たせていただいております。

 ただ、その上で、今、オンライン資格確認の導入費用、あるいはシステム事業者の対応等については、医療関係の団体又はその現場から、いろんな声は聞かせていただいております。

 昨年十一月、十二月、本年二月、三回にわたって、オンライン資格確認の導入を行っているシステム事業者に対し、医療機関、薬局に対して見積りを提示する際には、対応が必須の項目や付加的に対応する項目を明示し、丁寧に説明した上で見積りを提示すること、医療機関、薬局に対して適切な対応を行うとともに、十分なコミュニケーションを取ることを要請をさせていただいているところでございます。

 個々の医療機関、薬局におけるオンラインシステム資格確認に係る費用については、システム事業者との間で個別に契約をいただくものではありますが、個々の医療機関、薬局からの、費用が高額との相談を私どもが受けた際には、必要に応じ、その事業者に対し、見積りについてしっかり説明すること、またしっかりコミュニケーションを取るようお願いをさせていただいているところでございます。

吉田(統)委員 大臣がおっしゃるように、民と民の契約ですからあれですけれども、ただ、国家戦略によって起こる民と民の契約ですから、大臣、そこはしっかりとやっていただきたいと思います。

 大臣、もうちょっと、実は、本質的に困ったことが起こっていまして。

 ベンダーと要は条件が折り合わないことというのはどうしてもありますよね、民と民の契約ですから。そのときに、ベンダーを変更しようという動きが当然あるわけですよ。そのときに、ベンダーが、やはりビジネスなので、打ち切られると分かると、データの引継ぎに関していささか無理な条件を出してきたり、データの引継ぎはしませんと一方的に通告してくるという例があるんです。これは医療自体が成り立たなくなりますので。

 この話は、厚生労働省にもお話を実はさせていただいているんですが、指導するやに伺いましたが、こういったことに関しては指導されたのか、また指導によって何らか改善がしたのかということを、大臣、お答えいただけますか。

加藤国務大臣 ちょっと、個々のお話について承知をして……(吉田(統)委員「個々というか、たくさんある話」と呼ぶ)いやいや、これがどうだ、あれがどうだということに関しては承知をしておりませんが、そうした話もあるということで、協議会も作成させていただいて、そういう場も通じて、先ほど申し上げたように、そごがないように、また、場合によっては、指導といっても、民間契約ですから、ただ、我々としては、様々な形で要請するといった形での働きかけはさせていただきたいと思っています。

吉田(統)委員 させていただきたいというのは、まだしていないんでしょうか。そこだけ確認したい。まだしていないですか、これからする。

加藤国務大臣 既に実施しているというふうに承知しております。

吉田(統)委員 大変に、この委員会でこういったことを大臣がおっしゃったのは本当に有益だと思います。これは本当に大事な御答弁だと思いますので。

 ただ、本当に、大臣、ランニングコストの値上げもしているところが結構あるんです、ベンダー。この機に乗じてと言うとちょっと嫌な言い方なんですけれども。こういったことも相当対応いただかないと。やはり、医療はそんなに、特に、総合病院になれば、大きい病院になればなるほど利益率は低いですから、こういったことに関しては是非対応していただきたい。多分もうしてくださるという御返答があると思うので大丈夫ですけれども、次の議論に移りたいと思います。

 加藤大臣、大変ありがとうございます。しっかりと御答弁いただきまして、感謝申し上げます。

 では、大臣、ゲノム編集食品の安全性について少しお話を、議論を深めてまいりたいと思います。まだ時間ありますので。

 ゲノム編集というのは、生物が持っている遺伝子を効率よく編集する、つまり書き換える技術として認識されています。例えば、よくある例で申し上げると、血圧上昇抑制などの効果が期待できる成分、ギャバですね、ガンマアミノ酪酸をたくさん含むトマトとかが開発されていますよね。こういうゲノム編集というのは、ゲノムの狙ったところを切断するだけですよね。その後の修復を含む遺伝子変異は自然に任せるわけです。だから、遺伝子組み換え食品にはなっていないですよね、該当していないです。

 ゲノム編集を行った際には、移入した外来の遺伝子等が残存しないことを行った方が確認をして、農水省に情報提供と、厚生労働省に届出をすることになります。受理されたら、農家に種子を提供できるわけですよね。

 これで本当に食品の安全性が担保されるかというのは、私はやはりいささか心配であります。だって、大臣、塩基配列そのものは変わりますよね。塩基配列そのものは変わるんです。なぜ、外来の遺伝子を加える遺伝子組み換え食品はリスクがあって、いわば我々人類が勝手に不要だと考えた遺伝子を削除するゲノム編集食品にはリスクがないと考えるか、その根拠を教えてほしいんです。

 なぜかというと、今は、エクソン、イントロンの議論も科学が進んでかなり変わりまして、イントロンというのは昔は要らない場所だと思われていた、しかし、そのイントロンに重要なSNP等が存在することも今は分かっているんです。つまり、人類が勝手に不要だと思ったところを削除することが本当に安全かは、これは言えないと私は思うんですよね。大臣、そこはどうお考えでしょうか。

加藤国務大臣 かなり技術的な話なので、答弁書を読み上げる以外にちょっとないんですけれども、ゲノム編集食品、多分今おっしゃったのはオフターゲットのことだけではないんだろうと思いますけれども、こうした編集について、薬事・食品衛生審議会の新開発食品調査部会の報告書においては、人の健康への何らかの悪影響が発生する可能性は十分に考慮する必要があると留保した上で、従来の品種改良のための技術においても同様の影響が想定されるものの、これまで安全上の問題が特段生じていないこと、品種として確立するには何世代にもわたるかけ合わせの過程で選抜がなされていることを踏まえると、人の健康への悪影響が問題になる可能性は非常に低いとされているということであります。

 今後、ゲノム編集食品の使用実績なども注視しつつ、安全性に関する新たな科学的知見が得られた場合には、必要に応じて取扱いを見直すことも視野に入れて、ゲノム編集食品の安全性を確保するための検討、これは継続をさせていただきたいというふうに考えています。

吉田(統)委員 この後は役所の方にお伺いしたいんですが、農水省、厚労省がリスクがないという説明を何度もお聞きしています。今、くしくも大臣おっしゃいましたオフターゲットという、毒性の獲得やアレルギー成分が増えるんじゃないか、そういったことがあるわけですが、今大臣がおっしゃった不断の見直しをちゃんとしていくよというよりも、ちゃんとチェックをしていくよという大臣のメッセージだったと思うんですが、でも、今後どのように、実際、農水省と厚労省、これをチェックしていくんですか。だって、相当な数、今のシステムだと出てくるわけですよ。それを一々フォローとかちゃんとできるんですか。どうぞ、役所の方から。

三ッ林委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

三ッ林委員長 速記を起こしてください。

 農林水産省佐藤大臣官房参事官。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 済みません、事前通告をいただいておりませんので、可能な範囲でお答えいたします。

 ゲノム編集技術は、狙った遺伝子を切断することにより、自然界で起きるほか、従来の品種改良でも起きる突然変異を起こす技術でございます。これは、他の生物の遺伝子等を組み込むものではないことから、遺伝子組み換えに対する規制の対象外となっております。

 一方、この技術は新しい技術であることから、その流通等に先立ち、食品等の安全性や生物多様性の確保の観点から……(吉田(統)委員「委員長、止めてくださいよ。聞いたことに答えてくださいよ」と呼ぶ)

三ッ林委員長 最後までお願いします。続けてください。

佐藤政府参考人 承知しました。

 食品等の安全性や生物多様性の確保の観点から問題がないか確認する仕組みを関係省庁と構築しております。

 農林水産省としては、引き続き、関係省庁と連携し、生物多様性の確保等について適切に対応してまいります。

 農林水産省の観点は、生物多様性の観点等でございます。

 失礼します。

吉田(統)委員 委員長、答えになっていますか。

 今私が聞いたのは、大臣が御答弁になったことに関してを聞いているんですよ。大臣が御答弁になったことの関連質問をあなた方にしているんです。だから、何で、じゃ、大臣、あんな今の御答弁をするんですか。決まってもいないことを大臣がおっしゃったんですか。そういうことになるじゃないですか。どうぞ。

加藤国務大臣 先ほど申し上げたのは、安全性に関する新たな科学的知見が得られた場合には、必要に応じて取扱いを見直すことも視野に入れて、ゲノム編集食品の安全性を確保するための検討を継続していきたいということでありますから、したがって、そうした場合があるかどうか、今農水省の答弁もあったように、そうした情報の収集、こういったことはしっかり取り組んでいくということであります。

吉田(統)委員 いや、だって、そうですよ、大臣が今おっしゃったように、勝手に情報は来ないですよ。安全性、一定程度のチェックをしていかないと。だって、これは気づかずに起こるわけですよね、大半は、オフターゲットの現象って。有毒性とか、ある程度、相当分蓄積されると、それは明らかになると思います。分かりますよね。ただ、このオフターゲットというのは、有毒性の獲得やアレルギーを惹起する、そういった成分の発生というのは、なかなか、最初、目に見えて分かってくるものじゃないんですよ。

 だから、大臣、今おっしゃったように、ちょっと大臣の御答弁でも若干あれですけれども、ちゃんとフォローアップをしていくのであれば、フォローアップの仕方というのをルールを決めていかないといけない。私はそれを問うている。それを問うているのに、なぜお答えになれないのかはちょっと分かりませんが、ちょっと時間がないので次に行きます。

 議論したいんですが、ちょっと飛ばさせていただいて、せっかく大臣のお時間をいただいているので、農薬問題、大臣、ちょっと確認をしていきたいと思います。

 まず、大臣、ちょっと順番が変わるんですが、ペットボトルのお茶からEUや米国で使用が禁止されている農薬が検出されているという事実に関して、厚生労働省としては把握をされているのかどうか、そして、把握されているのであれば、今後どうなさるのかを教えてください。

三ッ林委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

三ッ林委員長 速記を起こしてください。

 加藤大臣。

加藤国務大臣 済みません、何か、厚労省側は政府委員を認めていただいていないということなので、済みません。(吉田(統)委員「レクはしてありますか」と呼ぶ)済みません、今言った具体的な質問、ちょっと、私、いただいていない。ごめんなさい、どこにずれがあったか分かりませんが。

吉田(統)委員 文書も実は送ったんですけれども、まあ、結構です。

 政府参考人も、大臣、認めていないんじゃなくて、希望があったら言ってくださいと私は言ったんです。希望が来ていなかった。大臣、これは名誉のために一応言っておきますよ。私は、認めますよと、いい議論を大臣としたいから、御希望があったら言ってくださいと私ははっきり言いました。ただ、それは、勝手に御希望されなかったのは、大臣、そちらの御都合です、申し訳ない。これは本当に僕は言っています、ペットボトルの話。後ろにいる人は分かっていますよね、言ったでしょう、これは。議論が成り立たないでしょう。ちょっと、準備してきたのが、時間だけが過ぎていっちゃうじゃないですか。

 じゃ、次、これもちゃんとレクで伝わっているかどうか分かりませんけれども、そもそもEUや米国が禁止している農薬を我が国が使用している点について、国民の健康を守る使命のある厚生労働省としてどのような知見をお持ちなのかということは、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 その点は聞いておりまして、失礼いたしました。

 我が国では、農林水産省によって登録された農薬のみが使用されており、同省においては、農業生産の安定や国民の健康の保護に資するよう、適切に農薬の安全性について審査をした上で登録が行われているものと承知をしています。

 厚労省としては、食品に残留する農薬によって人の健康が損なわれることがないよう、食品安全委員会が実施する農薬の食品健康影響評価を踏まえた上で、農薬を適正に使用した場合の食品への残留試験の結果などに基づき、食品中の農薬の残留基準を設定しているところであります。

 引き続き、農林水産省、食品安全委員会等の関係者とも連携し、科学的知見に基づいて、適正な農薬の残留基準を速やかに設定していくことで、国民の健康や食品の安全を守ってまいりたい。

 委員の御指摘のように、確かに国際基準とは違うところがありますが、ただ、今申し上げたプロセスにのっとってやらせていただいているということでございます。

吉田(統)委員 じゃ、まず大臣にお伺いしますが、薬事、医事、そういったところで厚生労働省が論文を採用するときというのは、かなり厳格な運用がされていると私は承知しています。例えばちゃんと英語の査読がある、レビューのある論文、そしてインパクトファクターが一定程度あって、国際的なリライアンスがあるようなものをお使いになると思うんですが、農水省とはかなりその差があるように私は見えるんですが、厚生労働省で、エビデンスとして論文を採用する場合、全部ではないですが、一定程度の基準がやはりあると思うんですが、そこは、大臣、どのようにお決めになっていらっしゃいますか。

加藤国務大臣 厚労省において、医薬品の承認審査においては、品質、非臨床試験の成績に加え、治験として実施された臨床試験の成績に基づき、PMDAがそれらのデータの信頼性を確認した上で、有効性、安全性等の診断を行っております。

 企業から提出された科学論文等の公表文献については、データの信頼性確保が十分に確認できない場合は、あくまで参考的な位置づけにとどまるものとして扱うこととしており、治験で得られたデータ等による評価を基本としているところであります。

吉田(統)委員 じゃ、農水省に伺いますが、農水省、農薬の審査をするときに、レクで教えていただいた内容で、事実だと思うんですが、農薬の申請をする側の農薬メーカー等に、安全性等などに関する関連論文を提出させると聞いています。これはもう学問的には明確な利益相反関係なんですが、事実ですか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 農薬の登録を判断する際のリスク評価において取り扱う公表文献についての御質問でございます。

 これにつきましては、農業資材審議会農薬部会で審議の上、その収集、選択の手順を明確化したガイドラインを定めております。具体的には、査読プロセスのある学術ジャーナル掲載論文を対象に、広範なキーワードを用いた文献検索を行い、評価目的との適合性や結果の信頼性を評価しなければならないこととしております。さらに、この過程で選択された文献に加え、欧米等のリスク評価機関の評価書で引用されている文献も収集の対象となっております。

 個別の農薬の審査に当たっては、まずは、当該農薬の製造等を行うものとして、その製品の安全性について一義的に責任を持つ立場にある農薬メーカーに対し、このガイドラインに従って関係する公表文献を収集、選択の上、農林水産省に提出することを求めております。

 その上で、農林水産省は、このガイドラインに従って公表文献が適切に収集、選択されたかを確認し、必要な場合には追加等の指示を行っております。さらに、食品安全委員会等のリスク評価機関が追加の公表文献等が必要と判断する場合には、求めに応じ、追加情報を提出させることとしております。

吉田(統)委員 もう時間なので終わりますけれども、厚労省から聞くとびっくりすると思います。これは、医薬品、医療機器メーカーが自分たちで、この論文で御評価くださいと持っていくのと一緒ですよ。だって、幾らあれでも、相反する結果が出ることだって、もう委員長も学者でいらっしゃるから、分かるじゃないですか。それを幾ら、今るるおっしゃったけれども、製薬メーカーそのものが自分のところの申請で関連する論文を出すというのは、やはりこれはちょっとまずいと思います。

 以上、指摘して、今日は終わらせていただきます。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、早稲田ゆき君。

早稲田委員 立憲民主党の早稲田ゆきでございます。

 今国会も、加藤厚労大臣始め皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、低所得者子育て世帯の給付金の再支給について伺ってまいります。

 今国会では、異次元の少子化対策、子供、子育て予算の倍増ということが大変議論されているわけですけれども、令和五年の予算を見てみますと、防衛費関連六・八兆円、二六%の増。それから、こども家庭庁関係予算四・八兆円、僅か二・六%の増であります。また、文科予算につきましては五・四兆円で、〇・五%の増にとどまっております。この中でどうやって子供、子育て予算を倍増していくのかということをさんざん予算委員会でも議論させていただいておりますが、三月末に取りまとめるということで、一切出てまいっておりません。

 その中で、私たちは、立憲民主党として、もっと子育てがよくなる子供のためのビジョンを今取りまとめ中でございます。

 また、こうした政策パッケージとは別に、今一番緊急な支援が必要な方々にどのように支援をしていくかということも喫緊の課題であります。

 その意味で、私は、一番緊急性が高い物価高対策、これを今すぐにでもやらなければならない、その一つとして、低所得子育て世帯給付金、子供一人当たり五万円の給付金。これは、今お配りをしている資料を御覧ください、一番最初のページでございますが。年度末で出費が大変重なります。そして、コロナの影響もまだ長引いている。そんな時期でありますからこそ、今これをやらなければならないと思っておりまして、立憲民主党は、本日これから、衆議院に、低所得子育て世帯給付金再支給法案を提出をする予定でございます。そして、その中では、見ていただきたいのですが、政府は令和五年四月三十日までにこの給付金を支給してほしい、支給をするという中身になっております。

 このことについて私は伺ってまいりますが、とにかく、三月一日も、子育ての、困窮されている世帯を支援する五団体が、加藤厚労大臣に要望書を提出されていると思います。その一番目が、この困窮世帯への子供さん一人五万円の給付金の要望書でございます。過去にもコロナで五回これが給付をされておりますけれども、最後になったのは令和四年の四月であります。その後の物価高対策というものは、支給されておりません。

 それからまた、その五団体のうち、キッズドアさんが、子供のいる困窮世帯、こちらにアンケートを取ったところ、一〇〇%の家庭が物価高の影響で家計が苦しくなったと答えておられますし、七〇%の子供が必要な栄養が足りていない。また、二五%が身長、体重が増えていない。更に言うと、高校生を持つ家庭の一九%が経済的な影響で志望校を諦めた、そういう調査結果も出ております。

 本当に、この年度末、一番お金がかかるときに一番緊急度の高い、そしてまた精神的にも追い詰められている家庭の方々に対して四月末までに支給をする法案をこの後提出いたしますけれども、自民党、公明党の皆様も同じような今取組を検討されていると報道が今日もありました。是非、与野党を超えて、これを実施をしていただきたい。そのためには、まず来週中にも厚労大臣には決めていただきたいと思うわけですけれども、是非そこのところをお答えください。

加藤国務大臣 足下の消費者物価指数が前年比で四・三%となるなど、国民生活に大きな影響を及ぼすエネルギー、食品を中心に物価上昇が続いております。年度末に向けて、総合経済対策、補正予算の執行を更に加速し、賃上げに向けた取組を強化するとともに、足下の物価動向に速やかに対応すべく、エネルギー、食料品価格の影響緩和について必要な追加策を検討する必要があると認識をしております。

 先週金曜日、総理から、エネルギー、食料品価格の動向や、国民生活、事業者への影響を踏まえ、必要な追加策の提言を与党にもお願いをしていると承知をしております。こうした提言の内容も踏まえて、新たな対応策について検討したいと考えています。

早稲田委員 いえ、今の待ったなしのこの再支給法案について厚労大臣のお考えをお聞かせください。この三月末までに出す経済対策に入れ込んでいただけますね。その確認です。

加藤国務大臣 まず、ちょっと法案をまだいただいていないので今ここで見させていただいているのと、これは議員立法ですから、これは国会で御議論いただくことで、私の方から申し上げることはないですが、ただ、先ほど申し上げたような姿勢で取り組んでいきたいと考えています。

三ッ林委員長 この際、早稲田ゆき君の残余の質疑時間につきましては後刻許可することとし、瀬戸隆一君の質疑を許します。

 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

三ッ林委員長 速記を起こしてください。

 次に、瀬戸隆一君。

瀬戸委員 自民党の瀬戸隆一でございます。

 今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 三月十三日から、マスクの着用が個人の判断に委ねられることになります。また、五月八日からは、新型コロナウイルスの感染症法上の扱いが二類から五類に移行することになりました。新型コロナウイルス感染症の対策も転換期を迎えております。私たちはこの百年に一度のパンデミックから教訓を学び取り、次世代につなげていかなければなりません。そこで、この三年間で課題として浮き彫りになった点について質問したいというふうに思います。

 今般のパンデミックにおきまして、医療用物資や検査キットなどの供給不足が生じました。中国製を始めとした外国製のOEM製品が多数流通するなどしました。非常時における医療用物資等の生産、流通、備蓄等の体制に課題があることが分かりました。今後、再び同様に新興感染症が発生した場合や、この度の感染症の異変株の拡大等が生じた場合の備えをすることが大切であります。あらかじめ必要と思われる物資を必要な数量備蓄し、いざというときに迅速に国民に提供できる、そういった体制を整えておくことも、国民生活を守るため喫緊の課題であると考えます。

 この点におきまして、グローバルなサプライチェーンの不安定化の影響を受けにくくするためにも、国内である程度対応できる体制を整備していくことが重要であると考えます。

 医療用物資等の生産、備蓄に関しまして、先般の感染症法の改正において、新たな枠組みが整備されたものと承知しております。この点につきまして、厚生労働省として、今回のパンデミックにおける課題をどのように考え、今後、当該枠組みを活用しどのような体制を図っていくのか、見解を伺います。

畦元大臣政務官 お答えいたします。

 マスクなどの感染症対策物資については、令和二年の流行初期に、備蓄や安定供給が確保されず需要の逼迫が起こり、医療機関や国民が入手しにくい状況が生じたことは存じています。

 このため、今般、改正感染症法において、感染症対策物資の確保の強化を図ることとし、感染症有事に事業者に対し生産の要請、指示などを行う法的枠組みを整備したところであります。

 特に、マスク等の個人防護具については、国において計画的な備蓄を推進するとともに、改正感染症法において新たに導入する医療機関協定の内容として、医療機関における備蓄を位置づけることとしております。

 感染症有事において国内でこれらの対策により必要な物資が確保されるよう、適切に対応してまいりたいと考えております。

瀬戸委員 再びいつパンデミックのような事態が発生するか分からない中で、生産設備、備蓄を維持していくのは難しい課題かと思いますが、しかし、国民の生命、生活の維持に直結する課題ですので、是非、今回の事態を教訓として、よりよい制度設計、体制整備を行っていただきたいというふうに思います。

 続きまして、日本版CDCと言われている機関で、治療薬等の開発支援関係についてお尋ねしたいというふうに思います。

 新たな感染症への対応におきまして、治療薬やワクチン等の研究開発を後押ししていくことも重要であります。

 今回のパンデミックでは、医療体制が逼迫する事態が生じました。このような中、検体の採取や治験を行う医療機関と治療薬の開発を行う製薬会社、研究機関等との連携がなかなかうまくいっていない事態が発生したんじゃないか、そういった課題があったのではないかというふうに言われております。

 そのような教訓も踏まえ、現在、いわゆる日本版CDCの設立に向けた取組が行われているものと承知しておりますが、まず、治験の実施に係る体制整備については現状でどのような課題があり、それらの課題を当該組織を活用しながらどう解決していく計画か、お聞かせいただけますでしょうか。

畦元大臣政務官 瀬戸議員のおっしゃるとおり、課題に関してですが、我々も、今般、新型コロナ対応においては、治療薬の早期開発が求められる一方で、医療体制が逼迫する中、医療機関の治験などが進まない、製薬企業による個々の医療機関との交渉に時間を要するといった課題がございました。

 こうした課題に対応するため、新たに創設する専門家組織である国立健康危機管理研究機構が、平時から医療機関に対して治験等への協力を求め、感染症発生時において製薬会社から相談を受けた場合に、一時的に協力医療機関を紹介することができるネットワークの構築をすることとしております。また、国際共同治験の体制整備に向け、アジア地域における臨床研究、治験ネットワークの構築に取り組んでいきます。

 このように、国立健康危機管理研究機構が国内外の研究、治験の中核的役割を担う機関となり、治験等の円滑な支援を実施することで治療薬の早期開発につなげられるよう、検討を進めてまいりたいと思っております。

瀬戸委員 今回のようなグローバルなパンデミックが発生した場合に、各国で感染の進行はいろいろばらつきがあるんだというふうに思います。そういった中で、国際的な研究ネットワークの整備がまた重要になってくるんだというふうに思われます。今回、新組織を立ち上げるとのことですので、そのネットワークの構築、発展に日本としても貢献できるように、しっかりと取組を進めていただきたいというふうに思います。

 そして、関連しまして、治療薬やワクチンの開発に当たりまして、臨床検体等に係るデータを研究機関等に迅速に提供し、研究開発をサポートしていく体制の構築が急務でもあります。日本版CDCはこのような研究開発の促進にどのように貢献していくのでしょうか。お尋ねします。

浅沼政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘につきましては、昨年六月の有識者会議の報告書におきましても、今般の新型コロナ対応の際に、疫学研究、臨床研究、創薬等で医療情報を利活用するための枠組みが不十分であった結果、新型コロナウイルス感染症に係る国産ワクチンの実用化、治療薬の実用化に時間を要した旨が指摘されているところでございます。

 こうした中、現在、厚生労働省の委託事業といたしまして、国立国際医療研究センター及び国立感染症研究所におきまして、協力医療機関から臨床情報、検体を収集し、病原体やヒトのゲノム情報の解析を行い、利活用を希望する国内の研究機関、企業等に所属する研究者にデータの提供を行うことを目的といたしまして、ワクチンや治療薬の研究開発の基盤となる仕組みの整備を行う新興・再興感染症データバンク事業、REBINDを実施しているところでございます。

 両組織の役割を引き継ぐことになります国立健康危機管理研究機構におきましても、協力医療機関の拡大やデータの利活用などに取り組み、創薬等の研究開発に対してより有効なものとなるよう検討を進めてまいりたいと考えております。

瀬戸委員 ベンチャー企業を含めて、様々なプレーヤーが迅速に取組を行っていけるような環境づくりを進めていただきたいというふうに思います。

 続きまして、医療分野のサイバーセキュリティーについて質問したいと思います。

 サイバーセキュリティーの高まりは、今、医療分野のDXを進めておりますので、一緒になって進めていく、これは車の両輪であるというふうに考えております。

 そういった中、医療DXとして、全国医療情報プラットフォームの創設に向けた取組が進められておりますが、今年四月からはオンライン資格確認が義務化されるものと承知しております。この義務化に当たりまして、サイバーセキュリティーの確保についてどのように取り組んでいるのか、伺います。具体的には、インシデントの予防やインシデント発生時の初動対応、復旧について、どのような対策をどのような予算の下で行っているのか、改めてお聞かせいただけますでしょうか。

畦元大臣政務官 お答えいたします。

 まず、オンライン資格確認のセキュリティー対策といたしまして、医療DXの基盤となる医療保険のオンライン資格確認については、今年四月から、保険医療機関、薬局に導入、原則を義務づけることとしております。

 オンライン資格確認で用いる医療機関のネットワーク回線は、悪意のある第三者からの攻撃による情報漏えいを防ぐため、通信事業者が独自に保有する閉域ネットワークを使用し、セキュリティーを確保しております。また、電子証明書による端末の認証やデータの暗号化を行いまして、データの消失、漏えい及び改ざん防止を図るとともに、ウイルス対策に万全な措置を講じ、安全性を確保しております。

 さらに、厚生労働省では、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインを定め、医療機関等がクローズなネットワークを使用する場合であっても、不正なソフトウェア対策のソフトやOSの更新など、リスクに対してセキュリティー対策を適切に講じることを医療機関に求めております。

 次に、セキュリティー対策の予算措置についてですけれども、医療機関におけるサイバーセキュリティー対策の強化に必要な支援としては、これまで、サイバーセキュリティー対策に関する研修、研修資材の提供、サイバーセキュリティーインシデントが発生した医療機関の初動対応支援などを行っております。

 令和五年度予算案においても、サイバーセキュリティー対策支援に必要な予算を拡充し、計上したところであり、引き続き医療機関における取組を支援してまいりたいと思っております。

瀬戸委員 医療関係者が思い切ってDXを進めることができるように、セキュリティー対策、予算の獲得も含めて、しっかり進めていただきたいというふうに思います。

 続きまして、医療機関同士で情報共有というのが非常に重要になってくると思います。そういった中で、いわゆるISACを設立するという計画もあるようですが、どのように取り組んでいくのでしょうか。お尋ねします。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 サイバーセキュリティーに関する情報共有体制でありますISACを医療分野においても構築をしていくこと、これは非常に重要であるというふうに認識をいたしております。

 医療分野におけるISACの設立に向けた検討といたしまして、私ども、令和二年度及び三年度の厚生労働省の委託事業によりまして、情報共有、相談体制の試行を行ったところでございまして、そこで、医療分野におけるISACの設立に向けた方策を少し得られたところでございます。

 先行して取組が進んでおります金融分野におきましては、二〇一四年に、業界関係者間でサイバーセキュリティーに関連する脅威等の情報について共有、分析するために自発的にISACが設立されたということでございます。

 現在、医療分野におきましても、この金融分野の取組を参考にいたしまして、医療情報の有識者を中心に、厚生労働省が呼びかけて、ISACの設立を目指した組織、まだISACではございませんが、目指した組織が立ち上がったところでございます。

 引き続き、医療機関における適切なサイバーセキュリティー対策の実施に資するように、医療分野におけるISACの設立に向けて、この組織とも連携して、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

瀬戸委員 まずは、当事者である医療機関、医療機関ファーストのそういったISACができればというふうに思いますし、また、先行する事例なども参考にして進めていただきたいというふうに思います。

 続きまして、いわゆる国民皆歯科健診についてお伺いしたいというふうに思います。

 近年、誤嚥性肺炎と口腔ケアの関係や、歯周病と糖尿病との関係など、口腔と全身との関係が注目されているところであります。私の地元の香川県においても、香川県歯科医師会の協力の下で継続的に、歯の健康と医療費に関する実態検査も行われているということであります。そういった中、歯科健診が行われるのが少ない、そういった年代もあるというふうにありまして、例えば、二十歳、三十歳などの対象年齢に拡大を図り、健診制度を充実させることも方策としてあるのではないかというふうにも思います。この就労世代の方々に対して、どのような方法であれば歯科健診を受けていただけるのか等の検証や、受診率向上のための方策について検証することも必要だと思います。

 そこで、今後、就労世代に対して、歯科健診の受診機会の拡大に資する取組や受診率向上に資する取組について国の支援が必要と考えますが、政府の取組状況をお聞かせ願えますでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘がございましたように、特に就労世代におきまして、歯科の健康診断、歯科健診の受診率が低いというふうに言われております。

 このため、今度、令和五年度の予算案におきましては、就労世代の歯科健康診査等推進事業を計上いたしまして、簡易検査キットの活用など、効果的な歯科健診等の実施方法の検証を行うということとしているところでございます。また、八〇二〇運動・口腔保健推進事業におきまして、歯科健診事業に係る経費を新規に計上させていただいて、自治体における歯科健診の実施に対する支援を行うということとしているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、こうした取組を進めながら、生涯を通じた歯科健診、いわゆる、冒頭御指摘ございました国民皆歯科健診の実現に向けて、関係者の御意見を丁寧にお伺いしながら、必要な対応を行っていきたいというふうに考えているところでございます。

瀬戸委員 ありがとうございます。

 忙しい就労世代の方々における事業所における歯科健診を進める上で、受診者が歯科健診を受けたい、あるいは事業所が歯科健診に取り組みたいと思っていただけるような歯科健診の方法を検討する必要があるとも考えております。

 こうした観点からも、例えば精度の高い簡易検査キットを用いて簡易な歯科健診を取り入れていくことが事業所の歯科健診を進める一つのきっかけになるとも思われます。そのために、簡易検査キットの開発や研究について国が後押ししていくことが必要と考えますが、政府の取組状況をお聞かせいただけますでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘ございましたように、特に就労世代というのは、非常に仕事も家庭も大変お忙しい方々が多いという状況でございます。そういった方々が歯科健診が受けやすい環境を整備するということは非常に重要な課題であるというふうに考えてございます。

 私ども厚生労働省といたしましては、こういった歯科健診の対象となる方が受けやすくなる歯科健診の方法を検討していく必要があるというふうに考えておりまして、このため、時間的あるいは経済的な負担などが少なく、歯科疾患のリスク評価が可能な、精度の高い簡易スクリーニング検査などを活用した方法が有用であるというふうに考えているところでございます。このため、令和五年度予算案におきましては、簡易スクリーニング検査の研究開発を支援するための経費を計上させていただいております。

 就労世代を始め、歯科健診につきましては、通常は歯科医師が口腔内診査を行うというのが一般的な形態ではございますけれども、それのみならず、簡易スクリーニング検査などを活用した方法など、事業所などの実情に応じて適切な実施方法が選択できますように、必要な取組を進めていきたいと考えているところでございます。

瀬戸委員 こういった健診も、結果が出るのに時間がかかるんだというふうに思います。また継続的に予算を獲得することも検討していただきたいというふうに思います。

 続きまして、プログラム医療機器の薬事承認制度の運用改善についてお伺いしたいというふうに思います。

 プログラム医療機器の承認制度なんですけれども、最近、AIなどの新しいテクノロジーを活用したプログラム医療機器の開発、展開に取り組んでいるスタートアップが増えているということであります。こういったテクノロジーの進歩が激しいプログラム医療機器の領域におきましては、承認までの期間が短縮されないと、なかなか日本発の機器が世界に展開していくことができないという状況であります。そのため、現在数年かかっている審査を、例えば一年とかそういった短縮することを確実に実現していくことが重要だというふうに考えます。

 そこで、現在の承認制度の運用や、PMDAにおいて審査に当たる人員等の組織体制に関して、現状と課題をどう捉えるか、お伺いします。

八神政府参考人 プログラム医療機器の薬事承認の関係でお尋ねをいただきました。

 プログラム医療機器につきましては、AI、人工知能を活用した画像診断支援用プログラムですとか、患者さんがスマートフォンにインストールをして疾病の治療において使用される行動変容を促すプログラム、こういった開発が進んでおります。ただ、こういったものは、通常の医療機器よりも頻繁に開発、改良、改善といったことが行われるといった特性を持っております。

 したがいまして、今委員から御指摘ございましたように、業界団体からも、一般的に医療機器の承認に求められるような長期の治験の代わりに、一定の性能や有効性が確保されていることをもって第一段階目の承認を行い、臨床現場での使用経験を踏まえ、臨床的有用性が確立された後に第二段階目の承認を行うといった薬事承認の仕組み、こういったものが活用できないかといった要望があるということを私どもは承知をしてございます。

 厚生労働省といたしましては、どのような段階的承認の仕組みが可能か、今、プログラム医療機器の特性を踏まえた薬事承認制度の運用改善検討事業というものを立ち上げて、具体的な事例に基づいて検討しているところでございます。

 また、PMDA、医薬品医療機器総合機構、この組織体制につきましてですが、令和三年四月から、プログラム医療機器の一元的な相談窓口、これを置くとともに、具体的な開発の相談や審査を行うプログラム医療機器審査室、これを設置をし、現在まで、審査に当たる人員を十二名に増強したところでございます。

 プログラム医療機器の開発が進んでいる中で、相談業務と審査業務のニーズが増加をしている、こういう状況を踏まえまして、今後とも、相談、審査体制の強化に向けて検討を進めてまいりたい、このように考えております。

瀬戸委員 ありがとうございます。

 プログラム医療機器、これも、日本経済の成長の原動力にするためにもしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 以上、終わります。

三ッ林委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 所信に対する質疑を行ってまいりますので、よろしくお願いいたします。

 まず、認知症について質問してまいりたいと思います。

 我が国は大変高齢者の比率が高いわけなんですが、今、約六百万人の認知症の方々がいらっしゃるということでございます。二〇二五年には、六十五歳以上の五人に一人が認知症になるとの推計もございます。

 私も、認知症について取り組み始めて十年になります。二〇一四年には、国会において総理に対して、日本の認知症に関する国家戦略が必要であるということを申し上げました。また、基本法を作るべきだということも申し上げたところでございます。二〇一七年には、公明党内に認知症対策推進本部を立ち上げまして、これまで精力的に活動を行ってまいりました。二度にわたる提言を作り、官房長官にも提出をしてきたところでございます。その後、我が国初の省庁横断の認知症に関する国家戦略、新オレンジプランができまして、また、認知症初期集中支援チーム、これも全市町村への設置を推進してまいりました。

 この基本法、公明党案を作りまして、自民党に協議をお願いし、共同で国会に提出をいたしましたが、解散で廃案となっております。現在、超党派の議員連盟で多くの関係者からヒアリングを行いまして、各党の代表でこの基本法の協議を行っているところでございます。

 我が党で、全国三千人の議員で、高齢者に関する意識調査を行ったことがございます。その中で一番関心が高かったのが、自分や家族が認知症になったときが不安だという声が六四%ということで最も多い回答でした。

 認知症の方々の尊厳を守る、また、認知症に関する国民の理解を深めて、認知症になっても安心して希望を持って暮らせる共生社会をつくっていくことが肝要かと思います。

 これに対する伊佐副大臣のお考え、また、今、我々国会議員の側で作っておりますこの基本法案について御見解をお伺いいたしたいと思います。

伊佐副大臣 認知症につきましては、誰もがなり得るものというのと同時に、また多くの人にとっても非常に身近なものに今なっておりますので、これまでも、公明党の皆さんから独自案をいただいたりとか、あるいは意識調査を全国で展開していただいていること、政府としてもありがたいというふうに思っております。

 今、超党派の議連で議論が進められているというふうに承知をしておりますが、政府の方では、令和元年六月に関係閣僚会議で決定をいたしました認知症施策推進大綱というものに基づいて施策を展開をさせていただいております。その中には、認知症の発症を遅らせ、また、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指すと。そしてまた、認知症の方や家族の視点を重視しながら、共生と予防を車の両輪とした施策を推進してございます。

 そういった意味でも、先ほど委員の御指摘のありました、この共生社会を構築していくということは非常に重要であるというふうに考えておりまして、今後も議連における議論の状況について注視してまいりたいというふうに思っております。

古屋(範)委員 この基本法の議論も今行っている渦中でございますが、田村先生を中心にしながら、各党、本当に真剣な御議論をいただいております。特に、当事者の方々のお声もしっかりと伺いながら、よりよい法律案を取りまとめてまいりたいというふうに決意をいたしております。よろしくお願いいたします。

 次に、認知症に関しまして、伴走型支援についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 私も、認知症に取り組み始めましたそのきっかけとなった有識者の方々から、最も進んでいるイギリスなどでは、やはり認知症の当事者を中心とした政策をつくっているということを伺いました。認知症になったら、そこから長い旅に出ると思ってほしい、そこには、まず最初、当事者がどんな旅にしたいのか、その意思を確認した上で、地図を持ったり、いろいろ必要なものを準備をしなければいけない、その旅にはやはり伴走者が必要だ、そのような御意見を伺ったこともございます。

 私も、もう六十五歳を過ぎて、とても身近な問題になってまいりましたけれども、家族、また両親、また自分自身も認知症かもしれないと感じたときに、じゃ、どこに相談に行ったらいいのか、はっきりと自覚している方というのは大変少ないのではないかというふうに思います。

 ですので、この認知症の人、また家族に対して、早い段階から関わって、変化にずっと寄り添い続けていく、支えていく、共に考えながら気持ちを支えて、理解と受容を促しながら適切な情報、知識の提供を行っていく存在が必要だと思います。認知症の人、家族が考えて自ら選択できるように支援をしていく伴走者の存在というものが求められています。伴走者が、認知症に関わる専門的な知識、ネットワークを使いながら、認知症の進行による状況の変化とか、それに悩む家族に寄り添っていく、地域の人々の生活を応援する、これが大きな安心につながってくると思います。

 厚労省では、令和三年度に、認知症伴走型支援事業を創設されました。これは、認知症の人とその家族に対して、専門的な相談、助言を日常的に継続して行う伴走型の支援拠点を市町村に整備していくということで、本人、家族の支援体制を充実させるものであります。しかし、なかなか、これがまだ設置が進んでいない状況にあります。不安の解消、安心につながるこの伴走型支援の拠点整備、早急に進めていただきたいと思っております。

 この整備促進について、厚労省の考えを伺いたいと思います。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 認知症につきましては、先生に先ほどお言葉をいただきましたように、令和元年六月に関係閣僚会議で決定をいたしまして、政府全体といたしまして、認知症施策推進大綱に基づきまして、認知症の発症を遅らせる、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる、そういった社会を目指しまして、認知症の方御本人また御家族の視点を重視しながら、共生と予防、これを車の両輪とした施策を推進しているところでございます。

 地域包括センターを含めまして様々な相談窓口はあるわけでございますが、特に伴走型を強化した対応といたしまして、先ほど御紹介いただきましたように、伴走型支援ということで、令和三年度、認知症伴走型支援事業を創設いたしたところでございます。

 これは、認知症の方御本人の生きがいにつながるような支援ですとか、専門職ならではの日常生活上の工夫などの御助言を差し上げる。また、家族の精神的、身体的負担軽減につながるような介護方法の効果的なやり方ですとか、介護の不安解消に係るような助言、そういったものを継続的に行っていくような伴走型支援拠点ということで、市町村が整備するための経費を補助しているところでございます。

 これを推進するために必要な考え方ですとか手順などをマニュアルとしても作成をいたしまして、本事業の周知を、地方公共団体、関係団体に周知を行っているところでございますが、御指摘いただきましたように、令和四年度時点で全国で八自治体というところにとどまっておりまして、今後、本事業を実施している市町村から、取り組んでいるところは極めていい感じで取り組んでいただいておりますので、事例を収集いたしまして、地域特性に応じた展開方法を検討するなど、更に効果的な推進に努めてまいりたいと考えているところでございます。

古屋(範)委員 せっかく事業を創設されて、予算も取っているんですが、現時点で八か所しか設置をしていないということであります。ほとんどは、やはり認知症グループホームが担ってくださっているようでございます。この事業が広がらないその原因も精査しながら、是非、この取組が広がるように推進をしていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、低所得者の認知症グループホーム入居者への家賃補助についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 低所得の認知症高齢者にとって、お金の心配がなく認知症の介護を受けたいと思うのは当然のことでございます。認知症グループホームは、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けていくことができるよう、今構築が進められている地域包括ケアシステムの一環として期待をされています。

 この認知症グループホームは、介護部分については介護保険でサービスを受けられるけれども、家賃とか食費は自己負担、また、新築、個室対応、共有部分が多いところは、家賃が高くて高額な負担になっております。

 これに対応するために、介護保険の地域支援事業として家賃補助制度というのがあるんですが、これを採用している自治体というのは僅かなんですね。ですので、低所得であっても安心して適切な住まいを確保して認知症介護を受けたい、そういう御希望をかなえるためにも、全国の市町村がこの家賃補助制度をもっと積極的に活用できるよう、国としても支援すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、認知症の方を対象といたします居住系サービスとして認知症グループホームがございます。こちらで認知症の方がそれぞれの状況に応じて適切な介護サービスを利用できる環境をしっかり整備していくことは、大変重要であると考えてございます。

 このため、認知症グループホームにつきましては、地域の特性に応じましたサービス確保を進めるとともに、専門研修を受けました介護職員によりますサービス提供について介護報酬上の評価を行うなど、認知症グループホームの入居者の方に対しまして質の高いサービスが提供されるよう、取組を推進しているところでございます。

 御指摘の家賃補助についてでございますけれども、家賃、食材料費及び光熱水費の費用負担が困難な低所得の入居者の方に対しまして利用者負担の軽減を行っている事業者さんに対しまして、地域支援事業の任意事業でございますが、こちらのスキームを活用した助成が可能となっているところでございます。現在、令和三年四月時点の数字でございますが、百二市町村という数字になっているところでございます。

 この事業につきまして、こうした補助制度を引き続き活用いただくことによりまして、地域の実情に応じた必要な支援が行われるよう、自治体にしっかり働きかけていくとともに、認知症になりましても希望を持って暮らせる社会の構築に向け、認知症施策推進大綱に基づく取組を推進してまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 この家賃補助制度を活用しているのは百二市町村ということで、僅か五・九%なんですね。認知症になっても、グループホームの場合には、やはり住み慣れた地域で、いわば自分の自宅のように、ついの住みかとしてここは住み続けていくことができますので、是非、この家賃補助制度を多くの自治体で活用していただけますようにお願いしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、福祉用具の貸与についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 福祉用具貸与の利用者は、今二百五十三万人ということで、居宅サービス利用者全体の六二%に達しております。一方で、給付費では、居宅サービス全体の七・一%ということで、少ない費用で多くの方々に利用されている。御存じのように、車椅子とかベッドとか、そういう必要不可欠なサービスであります。

 今般の物価高騰の中で、福祉用具の貸与事業者にとっても、メーカー側から購入する福祉用具の費用、また運搬費、燃料費、水道光熱費など、本当に高騰していて、直接な影響を受けています。

 物価高騰をレンタル価格に転嫁するというのは、介護保険制度の中ではとても難しいんですね。介護保険の福祉用具貸与は上限価格が設定をされておりますので、次回の見直しは令和六年度、この間、上限価格を超えた貸与価格設定というものはできないわけです。

 物価高騰は、福祉貸与事業者の経営環境を非常に厳しいものにしています。事業者の経営努力のみでは対応していくのは困難です。福祉用具サービスの適切な提供をし続けていくために、ここへの早急な支援をすべきであると考えます。

 また、さらに、事務負担軽減も重要な点であります。計画書の書式統一というものは喫緊の課題になっております。こうした業務の効率化、また介護分野のデジタル化というものも進めていかなければならないと考えております。

 先日、私、ホームステーションらいふ高井戸というところに行ってまいりましたけれども、人手不足の中で、人でなければできない介護はもちろん人でするんですけれども、効率化できるところはICTを導入する。ここでは特に人工知能を搭載したロボットを導入していまして、夜間の見守り、これも、エレベーターをちゃんと使って、階下まで行くようなことができるようになっているロボットでありました。また、こういう手すりとか館内の除菌作業も、このロボットが行っておりました。

 二〇一二年四月、福祉用具サービスの計画書が義務づけられまして、書式は事務所ごとと定められています。この標準化に向けて、全国福祉用具専門相談員協会は計画書の参考様式を作成、改定して、二〇一八年度、厚労省からも自治体を通じて事業者に周知をしております。

 書式の簡素化、標準化の検討がICT化の推進につながると思います。これを機に、福祉用具サービスの計画書においては業務の効率化をするために全国統一の書式とすべきではないかと思うんですが、この点について、局長、答弁をお願いいたします。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、物価高騰への対応ということでございました。

 物価高騰の影響は、福祉用具貸与事業者の皆様も、介護事業者の一つということで、当然受けておられると思っております。そういう方々への御支援につきましては、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金を活用し、自治体において、地域の実情に応じた必要な支援を実施をしていただいているところでございます。昨年来、自治体に対して積極的な活用をお願いをしてきました結果、多くの自治体で、光熱費の増加等に対応する給付などの支援を実施していただいているところでございます。

 こうした交付金の活用によりまして、地域の実情に応じたきめ細かい支援が行き渡りますように自治体の後押しをいたしますとともに、次期介護報酬改定に向けた議論も行っていく中で、物価の動向、介護事業者の皆様の収支の状況等を注視をしてまいりたいと考えております。

 また、福祉用具貸与計画書の書式統一につきましても御提言ございました。

 この計画書につきましては、法令上、様式が定められているものではございませんが、平成二十五年度に調査研究事業を行いまして、その結果を活用いたしまして、全国福祉用具専門相談員協会の皆さんとともに計画書の参考様式を作成をさせていただいております。

 当該様式につきましては、随時改定を、アップデートを行いつつ周知を図ってきておりまして、令和二年度の調査では、約八割の事業者さんがこれを使用いただいている、一部参考にしておられるというものも含まれておりますけれども、という御回答をいただいているところでございます。

 さらに、令和四年度、サービスの質の向上を図るためにこの様式の改定案を作成して、試行的に今使用しているところでございます。事例の分析を行うなど研究事業として取り組んでいるところでございまして、その調査結果などを踏まえまして、書式の統一を含めました福祉用具貸与計画書の在り方について、次期介護報酬改定に向けた議論の中で検討してまいりたいと思います。

 先生お言葉いただきましたように、ICT、ロボットの活用などで生産性の向上を進めていくことは大変大事でございます。しっかり取り組んでまいりたいと思います。

 ありがとうございます。

古屋(範)委員 介護保険制度の方は、必要な介護事業者による自治体への文書提出というのを全国共通の電子データによる申請、届出システムでの処理に切り替えるということで、二五年度完了を目指しているということでございます。是非とも、この福祉用具の方も、これとともに統一をしていただきたいと思っております。

 もう一問、予定しておりましたけれども、ちょっと時間でございますので、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

三ッ林委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

    〔委員長退席、大岡委員長代理着席〕

    〔大岡委員長代理退席、委員長着席〕

三ッ林委員長 速記を起こしてください。

 この際、早稲田ゆき君の残余の質疑を許可いたします。早稲田ゆき君。

早稲田委員 早稲田ゆきです。

 それでは、質疑を続けます。

 途中で質問が途切れてしまいましたが、低所得子育て世帯への五万円の特別給付金の再支給、これを是非大臣にもお願いをさせていただきたい。そして、決めていただくのは、今、与党の方もそういう方針で動いていられると報道もありますから、是非来週中に決めていただきたいと先ほどお願いをしたところでございます。

 その理由としては、この四月末までに振り込んでいただきたいということなんですね。そうでないと、もう三月に地方議会も終わってしまいます。そして統一地方選挙に入ります。そういたしますと、この給付が、五月、六月、又は遅ければ七月にもなってしまう。それでは本当に、入学、進学のお子さんたちに届かないわけです。ですから、これを何とか、超党派で意見が一致をする部分でありますから、来週中に大臣にはお決めをいただきたいということ、もう一度御答弁いただきたい。

加藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、総理から、エネルギー、食料品価格の動向や、国民生活、事業者への影響を踏まえ、必要な追加策の提言、これを今、与党にもお願いをしているところでございます。そうした提言の内容も踏まえて、新たな対応策について、今御指摘のことも念頭に置きながら、検討していきたいと考えております。

早稲田委員 念頭に置きながらと言っていただきましたので、是非よろしくお願いします。

 委員長にお願いをしたいのですが、これは、緊急性も踏まえて、私たちもこの後すぐに衆議院の方に提出をいたします。是非この委員会で審議をしていただきたいと思いますので、委員長にお取り計らいをお願いいたします。

三ッ林委員長 後刻、理事会で協議いたします。

早稲田委員 それでは、次の質問に移ります。

 旧統一教会、エホバの証人等に関係をしております宗教二世に関する問題でございます。特に児童虐待の問題、これについて取り上げます。

 大臣は、所信の中で、二世の方々に対する児童虐待への適切な対応、それからQアンドAの周知徹底、また養子縁組あっせん法の適切な運用、このことに触れていただきました。これは大変心強いことだと私は思いました。

 その中でありますけれども、予算委員会で私も総理に、旧統一教会の「侍義生活ハンドブック」、これの中には、養子縁組が組織的に継続して推奨されてきたという部分をお示しをし、そして、総理に、無許可で、あっせん法違反になるのではないかという違法性を問うたところでございます。

 報道によれば、厚労省は、改訂版というのが旧統一教会から送られてきて、その内容に不適切な部分があるということで通知を出したというのが三月六日であります。是正を求める通知ですね。

 この出版物、「侍義生活ハンドブック」ですけれども、内容が、私がそのとき総理にお示ししたものと違って、内容が変わっているんだと思いますが、どこがどう変わって、そしてまた、それでも不適切な部分があるということ、その内容について教えていただきたい。それからまた、これによって組織的なあっせん、継続的なあっせんが行われていたということを確認をされたのかどうか。それからまた、警察との情報共有は進んでいるのか。三点伺います。

加藤国務大臣 今お話がありました旧統一教会が発行している「祝福家庭のための侍義生活ハンドブック」等の出版物については、一月二十三日に、法令の趣旨等に基づいた適切な記載をするよう求め、その後、一月三十一日に、同ハンドブックについて統一教会側から改訂案の送付があったところであります。

 厚労省としては、出版物に関して一つ一つ個々の文章表現について意見をする立場ではないということ、また、案として送付を受け、旧統一教会から公表されているものではないため、改訂案の内容そのものの詳細に言及することは差し控えさせていただきますが、実父母による養育が困難又は不適当ではないにもかかわらず養子に送り出すことを推奨しているとうかがえる内容のものであったことから、三月六日付の通知において、児童の権利条約や児童福祉法に照らし適切ではないと考える旨の見解を先方に示したところであります。

 また、御指摘の警察への情報提供等の進捗でありますが、捜査等に係る情報であるためお答えを差し控えさせていただいておりますが、厚労省としては、引き続き、関係機関とも連携し、できる限りの情報収集等を進めていきたいと考えております。

早稲田委員 資料の六ページ、七ページを御覧ください。こちらが改訂版についての厚労省からの通知の文書でございますが、つまりは、実父母による養育が困難又は不適当でないにもかかわらず養子に送り出すことを推奨していると考えられ得るというような内容だというふうに今大臣もおっしゃいました。

 私たちも国対ヒアリングを重ねておりますが、なぜ自分だけ養子に出されたのか、兄弟は残っているのにと。そしてまた、元のというか、実父母、それから兄弟とも頻繁に会うような関係もあるわけです。その中で、本当に自分のアイデンティティーがなくなる、そしてまた、なぜ自分はそういうふうにされたのかということを、非常に自分の人生を悔いている方たちも多くおられます。

 その中で、この問題、もう半年たっています。厚労省もすぐに動いていただいて、こういう通知を何回も出していただいていますけれども、これ以上、何か厚労省でできることがあるんでしょうか。私はやはり警察というものに頼る以外ないのではないかと思っていて。しかも、この半年間、またその間にも養子に出されている子供がいるかもしれない。増えているかもしれない。そういうことを鑑みれば、本当に一刻の猶予もないと思うんですけれども、捜査に関わることと言ってお答えなさらないわけですけれども、警察にもっと頼るべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まさに具体的なやり取りについては差し控えさせていただいておりますが、厚労省としても、警察等関係機関とは緊密な連携を図っております。今後とも、当方としてできる限りの情報収集等努めていき、また、連携しながら対応していきたいと考えております。

早稲田委員 本当に、このQアンドA等々を作っていただいて、被害者の方たちも、二世の方たちも期待をしているところです。でも、ここから進んでいかないとなると、とても失望感が漂っているのではないかと大変心配をしています。厚労省として一生懸命やっていただいているのはもう重々分かっておりますけれども、警察の協力ももっと強力に仰いで、この次に何らかの対応をしていただけるように、私から強く要望したいと思います。

 次に、エホバの証人に関してですが、今日の朝、ドイツのハンブルクのエホバの教会で銃撃事件があったと報道がありました。少なくとも七人が亡くなったという事件でございますが、大臣はこれを御存じでしょうか。

加藤国務大臣 済みません、ちょっと具体的に承知はしておりません。

早稲田委員 七時台、八時台のニュースで、前日だったようでありますけれども、大変衝撃的なニュースでございます。

 このエホバの証人の二世の方々から私たちもヒアリングをしておりますが、輸血拒否の問題、それから、むちでたたくという行為、それからもう一つ、大変これが苦しいとおっしゃっておられますけれども、破門されて、破門されると家族であっても一切話をしない、交流ができない、そういう状態が何十年も続いている、いわゆる忌避、それから排斥というふうに言われておりますが、輸血拒否はネグレクトとこの八の資料に書いておりますが、それから、むちは、言うに及ばずの児童虐待、身体的虐待ですけれども、この忌避行為、排斥行為、これが何に当たるとお考えでしょうか。

 それから、エホバの証人の二世信者を支援する弁護団が厚労省に申入れをされたと思います。輸血拒否の問題など、人命に関わる問題であります。重要な問題であります。このことについての大臣の見解を伺います。

加藤国務大臣 まず、委員から御指摘のあった行為でありますが、子供に対する輸血拒否、これは、医師が必要と判断した輸血等の医療行為を受けさせないこと、これはいわゆる医療ネグレクトに当たります。

 また、むちでたたくというお話がありましたが、たたく、むちで打つなど暴行を加えることは、これは身体的虐待であります。

 また、宗教を破門された子供と一切話をしない、児童を無視する、嫌がらせをする等、拒否的な態度を継続的に示すことは心理的虐待やネグレクトに該当すると考えております。

 保護者によってこうした行為が行われた場合には、児童相談所が速やかに対応できるよう、昨年末に公表したQアンドAにおいても、これらの行為が児童虐待である旨を明記しております。引き続き、このQアンドAの周知徹底を図っていきたいと考えております。

 また、エホバの証人の信者である保護者が輸血拒否などを行っているとの指摘を踏まえ、平成二十四年に発出した輸血拒否事案への児童相談所等の対応に関する通知を再度周知するための通知を発出すること、また、調査研究などにより、輸血拒否の状況も含めた宗教が関係する児童虐待の実態を把握することを今後行っていきたいと考えております。

 また、加えて、エホバの証人の法人関係者の方からは、団体としての認識や事情等も知るということも大事ではないかと考えております。

早稲田委員 このQアンドAについては、本当に細かく書いてあります。

 今ここでちょっと、宗教二世の方のコメントを紹介をさせていただきたいと思います。夏野ななさん、仮名であります。

 私は、元エホバの証人の三世です。私たち被害者二世の声を真摯に受け止めていただき、確実に児童への宗教的虐待を止めるためにすばらしいものを作ってくださった羽野室長を始め厚労省の方々に、深く感謝申し上げます。このQAは、私たち被害者二世の願いそのものであります。これが運用されることにより、多くの未来ある子供たちが、これ以上宗教的虐待に苦しまずに済みます。実際に、これが三十年前であれば、私や多くの被害者の人たちの人生は全く違うものになっていたでしょう。QAの中で虐待であると明示されていることのほとんどをこの身で経験してきました。

 また、別のときに、むちという数十年続いた組織的な残虐行為の推奨すら、何ら謝罪、反省、再発防止策を取っていない組織に、今更、子供の権利を尊重する文化があると思われますか。実際に被害を受けている子供たちには発信する手段がありません。衣食住を握られているからです。私たち過去に被害を受けた者が、未来ある子供のために発信していくしかないのです。

 このように語られています。

 今、いろいろ通知を重ねてやっていただいている厚労省には感謝でありますけれども、子供が自分で言うことはできないわけです。周りがどれだけ察知するか、学校でも察知できるか、そういうことも問われておりますけれども。そしてまた、このQA、児童虐待防止法については、家庭内のことでありますから組織、団体に対する法的権限はないことは分かっておりますが、それでも、今こういう夏野ななさんたちの、これだって氷山の一角です。そして、子供たちは現在受けていても一切声を上げられない。そういう状況を踏まえていただいて、是非、大臣はまた弁護団の御意見も聞いて何らか対応を考えたいとおっしゃっておられますから、一歩踏み込んだ対応をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 先ほども申し上げさせていただきましたけれども、今後、平成二十四年に発出した輸血拒否事案への児童相談所等の対応に関する通知の再度周知のための通知、また、輸血拒否の状況も含めた宗教が関係する児童虐待の実態を把握する調査研究、こういったことをまず進めさせていただくとともに、エホバの証人の法人関係者の方々から、団体としての認識や実情等についてもお話を聞くことは必要だというふうに考えております。

早稲田委員 是非迅速に進めていただけますよう、医療ネグレクトもそうですし、法人から聞いていただけるという非常に踏み込んだ答弁もいただきましたので、それを是非早くやっていただけますようにお願いいたします。子供の命を守るための対策でありますから、ここまでも、三十年間、私たちも、国会としても放置をしてきたと言わざるを得ません。だから、今ここで動いていただきたいということ、私たちも協力をしてやってまいりたいと思いますので、是非お願いしたいと思います。

 次の質問に移ります。

 保育士の配置基準の改善と処遇改善であります。

 この件につきましては、大臣、二〇一二年六月に、民主党、公明党、そして御党との間で結ばれた社会保障・税一体改革に関する確認書にサインされたこと、これは覚えていらっしゃいますでしょうか。覚えていらっしゃいますね。我が党の長妻政調会長との間に結ばれた、いわゆる三党合意であります。

 速やかに三千億円の財源を確保して保育士の配置基準を改善しようと、三千億円を確保する道筋を速やかに示すとともに、今後の各年度の予算編成において財源の確保に最大限努力するものと、そのときに決めたはずです。速やかにということだったにもかかわらず、その後、政権に復帰した自公政権は、十一年間もこの合意を放置して、実現をできておりません。

 その結果、現場で何が起きているか。保育士の過重労働、さらには虐待事案も。

 他方で、配付資料の九ページを御覧ください、やむなく自治体が上乗せ配置を実施しておりまして、自治体の財政力の差で、これも地域の保育力に差が出てしまっているということもございます。大変大きいところはどんどん配置基準を上乗せしておりますし、家賃の補助などもやっております。

 でも、そうではなくて、今求められているのは、やはり国としてこれをどうしていくのか。もう何十年も変わっていない配置基準であります。これを変えなければならないと私は強く思っているわけで、二〇二一年の保育士の事故では、二千三百四十七件、過去最多であります。死亡事故も五人と、本当に痛ましい事件が起こっております。

 是非このことをやっていただくためには、試算をしたところ、京都大学大学院の柴田悠先生の試算によりますと、これは賃金の改定率それから定員の増加率を加味したものですけれども、一歳で一千五十四億円、四歳、五歳児で九百三十億円、一千九百八十四億円であります。

 もちろん、これ以外にもやるべきことはありますけれども、これは重大な、一番の一丁目一番地のはずです。保育の質を上げるというのなら、やはり人の目と手が必要なんです。だからこそ、ここをまずやっていただきたい。三千億円には満たない数字が出ておりますので、是非これをやっていただけますよう、この三月末にいろいろパッケージをお示しなさる少子化対策に向けて、この配置基準の見直しということをやっていただけますかということを伺います。

加藤国務大臣 今委員御指摘のように、保育士等の配置改善を図っていくこと、これは大変重要な課題であります。

 平成二十七年度からは三歳児に対する職員の配置改善を取り組んでおりますが、御指摘の〇・三兆円等の質の向上事項については、一部は実施をしたものの大半は未実施、そして、特に配置改善については未実施となっております。安定的な財源の確保と併せて検討していく必要があると考えております。

 今お話がありました、こども政策大臣担当の下、子供、子育て施策として充実する内容を三月末を目途に具体化し、六月の骨太方針までに将来的な子供、子育ての大枠を提示するものと承知をしております。厚労省としても、しっかりと連携を図っていきたいと考えております。

早稲田委員 これは大臣も御存じでしょうけれども、もう五十年間変わっていない基準、七十五年以上、四、五歳児の場合は。そして、OECD諸国でも、こんなに多い人数を見ているところはございません。

 私の事務所に保育士さんがいらしたときに、災害のときに逃げるためのだっこひも、おんぶひも、これを持ってみえました。三人のお子さんを入れるわけですね。二人、横の斜め前、そして一人を背中に抱える、そういうものができているわけですけれども、少し大きくなれば、本当に三人をだっこして逃げられるかというようなこともございます。

 その中で、非常に、このコロナでも頑張っておられた保育士さんたちのモチベーションも上がらないわけです。この処遇改善と配置基準、これをセットで、是非、六月までにと言わず、もっと前に考えていただきたいということを強く要望させていただきます。

 そしてもう一つ、昨年立憲が衆議院に提出をしております保育士等の処遇改善法案、これも提出をしておりますが、このときに、人件費の割合その他の情報を取りまとめ、公表ということも規定をしております。

 東京都などでは、こうしたことも公表をしております。やはり、そうしないと、人件費が本当に保育士さんたちに行っているのかということもいろいろ言われているところでありますから、分かりやすく、そしてまた、保育士さんたちも、そういうものを見てきちんと精査ができるようにしていただきたいと思いますが、この公表について、公的価格の見える化ということをおっしゃっていますからそこに入ってくるのではないかと思いますが、その点について大臣の御見解を伺います。

加藤国務大臣 保育士等、保育、幼児教育の現場で働く方々の賃金を含め、保育所等の費用の使途の見える化を通じた透明性の向上、これは大変重要と考えております。

 昨年十二月には、公的価格評価検討委員会においても、保育、幼児教育分野について、介護など他の分野における財務諸表の報告、公表等の検討状況などを踏まえ、同様の取組について速やかに検討を進め、必要な措置を講じるべきとされているところであります。

 現在、内閣府において有識者会議を開催し、介護など他分野の取組や地方自治体の先行事例も参考にしながら、保育所等の費用の使途の見える化について検討が進められているところであり、厚生労働省としても必要な連携協力を行っていくつもりでございます。

早稲田委員 大臣、大臣の個人の御見解として聞きたいんですけれども。

 一人の保育士さんで三十人を見る、これはヨーロッパでは十五人とか十人とかいうふうになっておりますけれども、それは、保育士さんだけではない、そういう方々も入っておられるというので、いろいろ基準が違うということはありますが、それにしても、とにかく増員をしていくという意味では方向性は一緒だと思うんですけれども、大臣の、もう一度決意を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 先ほども申し上げました保育士の配置基準の改善あるいは保育士の方々の業務の負担の軽減、こういったことは必要だと考えております。

 ただ、もっとも、この間、やはり待機児童の解消ということも大変重要な課題でありました。ただ、これも、一定程度まだ残ってはいますけれども、めどがついてきた。こういった段階も踏まえながら、しっかり議論していく必要があると思います。

早稲田委員 企業主導型保育とか等で大変増えました。そして、それはもちろん評価をさせていただきますけれども、今度は質の確保ということで、今まで十一年間できていなかったことを実現すべく、六月の大綱に入れていただけるように、厚労省としても、子育て担当の方と一緒にやっていただけるようにお願いをしたいと思います。

 それから、これは大臣に御見解を伺いたいわけですけれども、前の雑誌ですけれども、二〇一七年のWiLLという雑誌に、大臣がそこで座談会をされていて、亡くなりました安倍元総理等々と座談会をされている、その中の言葉でありますけれども、子ども手当は詐欺というようなことをおっしゃっていますが、今の大臣だったらそんなことは絶対におっしゃらない、撤回をされるべきだと思いますけれども、大臣の今の、社会全体で子供たちを育てていく、子育てを応援していくという立場の大臣ですからそのようなことはないと思いますが、御見解を伺います。

加藤国務大臣 当該文章は、民主党は無駄をなくして財源を捻出するとしていたが、二十二年度の予算を見れば分かるように、借金への依存そのものであります、子ども手当を例に取れば、親に渡った瞬間に子供にそれ以上の借用書がついて回るという最大の詐欺ですと申し上げた。

 これは、実は、当時野党で、当時の鳩山総理ともこの点については予算委員会でも御議論させていただいた、それを踏まえて指摘をさせていただいたところでございます。

 いずれにしても、必要な財源については、政策内容に応じて、これは子供、子育て政策についてでありますが、政策内容に応じて、各種の社会保険との関係、国、地方の役割、高等教育の支援の在り方など様々な工夫をしながら、社会全体でどのように安定的に支えていくかを考えていくものと承知をしておりまして、厚労省としても、そうした立場で連携をしていきたいというふうに考えております。

早稲田委員 いや、いずれにしてもって、答えになっていないんですけれども。

 親に渡った瞬間に子供にそれ以上の借用書がついて回るという最大の詐欺です、今もそう思っていらっしゃいますか。

加藤国務大臣 いや、あのときは、無駄を削減すればそれに当たれますという話をされておりました。じゃ、どこに無駄があるんですかという話の中で、結果的にそれが二十二年度予算のときも、当時、まだ一万三千円だったと思いますけれども、結果的に、その予算書を見れば国債の発行額が増えてきている。さらにそれを二万六千円とおっしゃっていましたから、じゃ、それをどうやってやるんですか。そうすると、通常は前年度予算をベースに次の年の予算を組むんじゃないんですか。ということは、二十三年度を議論するというのは二十二年の予算がベースになりますね。そうすると、提出した二十二年の予算って一体何なんですか、こういうふうなやり取りをさせていただいたという経緯でありまして。

 私が申し上げたかったのは、まさにそうした財源、無駄をなくして財源を捻出するといったことで子ども手当をしていく、この全体のことについて申し上げたということであります。

早稲田委員 それでも、子ども手当は詐欺だということは、私はおっしゃるべき言葉ではないと思います。

 そして、今おっしゃいましたけれども、国債とおっしゃいましたが、今も自民党政権でどんどん増えております。防衛費のところには消費税の増税ということまで議論が出ていると聞いております。それは、やはり財源というものは大切ですけれども、子ども手当に関して借用書だ何だというようなことを言うべきではないということを強く申し上げて、私の質問を終わります。

三ッ林委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

三ッ林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。中島克仁君。

中島委員 立憲民主党の中島克仁でございます。

 大臣所信を聞いた後の質疑ということで、基づいて質問させていただきたいと思います。大臣には、参議院の対応も含めて大変だと思いますが、おつき合いを願いたいと思います。

 まず、ちょっと通告していないんですけれども、今日の質疑で触れられていないのでちょっと触れさせていただきますが、明日は、死者・行方不明者、関連死も含めて二万二千人以上の方が犠牲になられた東日本大震災から十二年目の三月十一日ということで、改めて、犠牲になられた方々、哀悼の意を表するとともに、今なお被災されている方々、お見舞いを申し上げたいと思うわけでありますが、大臣、一言お願いしたいと思います。

加藤国務大臣 まさに東日本大震災でお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災をされた、あるいは御遺族の方々に対して改めてお見舞いを申し上げたいと思います。

 この間、御地元の方々の御努力もあって復興は一つ一つ進んできているというふうに思いますが、例えばメンタル面でのいろいろな課題、あるいは、今、これまで、特に福島県を中心に、戻ってこられない地域がだんだん戻れるようになってきたものの、生活の基盤となる様々な中で、特に私どもの関係でいえば医療や介護の基盤、こういったもの、さらには雇用、こういったところが引き続き取り組んでいかなきゃならないという課題を認識をしておるところでございます。

 私も所信で申し上げさせていただきましたけれども、私自身も復興大臣だというつもりを持って、昨年も被災地に行かせていただきましたけれども、これまでも、明日という日に限らず、やはり常に復興を進めていかなきゃならないという観点に立って取り組んでいきたいというふうに思っております。

中島委員 被災地の皆様の御努力によって少しずつ復興は進んできているとは思いますが、今も大臣が述べられたように課題もある。私も、被災直後、ボランティアとして気仙沼に、また石巻に入らさせていただきました。あのときの光景が忘れられませんし、今、復興大臣の担当という話もございました。私どもも復興のために引き続き全力で努力してまいりたいと改めて宣言をさせていただきたいと思います。

 ちなみに、「すずめの戸締まり」という映画、大臣、見られましたか。私、先日、全然内容を知らないで、たまたまタイミングで見に行かせていただいて、東日本大震災につながるということが分かったときに、もう涙が止まらなくなった。改めて、十二年という月日が流れておりますが、私、見て、まずこの映画、別に映画の宣伝をしているわけではなくて、まず国会議員がこれをしっかり受け止めるべきだろうなというふうに思いましたので、見ていらっしゃらないのであれば、大変お忙しいとは思いますが、是非御覧いただく、決してPRでも何でも、関係あるわけではありませんけれども、非常にそういう、風化させないためにも、改めてのことだと思いますので、お伝えさせていただければと思います。

 大臣所信では、やはり冒頭は感染症対策等について大臣は触れられておられました。五月八日、特段の事情が生じない限り、感染症法上の新型インフルエンザ等感染症に該当しないものとし、五類感染症に位置づけることとしますと冒頭で述べられておりました。昨年の感染症法の修正協議の結果、こういう状況に、御判断をされたということであります。これは、三年以上続く新型コロナウイルス感染蔓延長期化、大きな節目を迎える。

 改めてでありますが、加藤大臣は、三年前のコロナ発生時の厚生労働大臣でもあり、そして、この大きな節目を迎えるこのときにも、厚生労働大臣という国民の命と健康を守る重責に当たられている。世界、我が国で大きな影響を及ぼした新型コロナ感染症、現在、第八波は収束傾向だとは思いますが、予断はやはり許さない状況ではございますが、先ほど言ったように、発生時も厚生労働大臣、そしてこの大きな節目でも厚生労働大臣。改めてでありますが、この三年間の教訓とは何だったのか。所感も含めて、加藤大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。

加藤国務大臣 委員お話しのように、三年前の一月十五日に日本で初めての感染が確認をされ、また、中国での、いわゆる武漢からの日本人の帰還、あるいはダイヤモンド・プリンセス号等々、いろいろな事案がある中で、当初は海外事案という印象から、国内で、今お話があった一波から八波に関して、逐次感染が拡大をしてきたということでございます。

 当初の段階では、今思い出しても、一体これがどういうウイルスなのか、どういう症状を持つのか、正直言って、我々日本だけじゃなくて世界全体が分からない中で、それぞれ連携を取りながら、そして、特に医療現場の皆さん方には、そうした分からないなりにもいろいろな工夫をしていただいて、治療にも当たっていただいた。そして、この間、今申し上げた八つの波がある中で、当初の段階では、医療体制そのものもありました。検査薬が足りないということもありました。また、逐次、なかなか病院が見つからない、特にデルタ株のときの印象は、非常に急激にその病症が変わって、中には、昨日までお元気だった方が突然症状が悪化して亡くなるという大変痛ましいこともございました。

 そうした一つ一つを振り返る中で、今お話がありましたように、今後のこうした感染症対応をしっかりやっていく。やはり、今回、かつての新型インフルエンザの対応というのもあったわけでありますが、そのときの指摘事項が必ずしも十分に対応できていなかったということもあり、事前における体制も決して十分ではなかった。そうしたことも踏まえて、感染症法等の改正をお願いをして、先般、法律が整ったことでございますので、まずはそれに向けて、その法律の中身をしっかりと一つ一つ積み重ねるとともに、五月八日からは、先ほどお話がありましたように、いわゆる二類から五類に移行する。

 しかし、ここでコロナそのものがなくなるわけではありませんので、円滑な移行を図っていけるように、今、様々な措置の内容についても最後の詰めもさせていただいておりますし、さらに、今後、医療関係者また地方自治体ともよく連携を取りながら、次の感染症も十分来るということ、これも想定しながら、それに向けての体制を、まさに平時の医療体制に戻しながら対応できる、こうした状況をつくっていきたいというふうに考えています。

中島委員 今述べられましたが、教訓というものは今後に生かしていかなきゃいけない。例えば、先ほど東日本大震災の話もしましたが、元々やや脆弱だったその地域に災害が起きて、やはり脆弱性がそのまま災害時に更に大きな影響を及ぼすということ。

 コロナに関しては、私も反省するところがたくさん自分自身でもあります。当初、武漢株から始まり、海外で、そして我が国、ダイヤモンド・プリンセス。橋本副大臣はおられない。(発言する者あり)そういう状況をつぶさに見ながら、私は当初、感染経路は、フルPPEでも感染してしまう、病院内でもパソコンから接触感染するのではないか、特殊な接触感染なのではないか。でも、宮本さんもおられますが、いや、この感染症、様々分かっていく中で、エアロゾル感染、今はそれが主流だということは分かりましたが、一生懸命やるからこそ、認識が偏ってしまったり、思い込みが激しくなってしまったり、こういうこと。反省というよりは、本当に三年間を振り返ってみて、いろいろなことが分かる一方で、あのときこうしておけばよかったということが思い出されるんだと思います。

 先ほど大臣もおっしゃいました。私もやはり、この感染蔓延長期化の中ではやはり変異株、特にアルファ株、関西で、そしてデルタ株は、私もオンライン診療をずっとしていましたが、若い方がラッシュに進行して、肺炎、呼吸不全、こういう状況は本当に恐ろしかった。しかし、その後、一昨年末に海外でオミクロン株、そして我が国では昨年の第六波、第七波ということでありますが、この状況は、海外の先行例から見れば、感染は上気道にとどまる率が非常に高いだろうと言われる中で、感染力は高まる、こういう節目が度々あったというふうに思います。

 そういう教訓、また思いを、今後、五月八日以降、五類にはなるとはいえ、コロナがなくなるわけではない。これをどう日常に生かしていくのかということが大変重要なことだろう。今回も、マスクの着脱であったりとか、そもそもこのアクリル板、参議院の厚生労働委員会では、昨年の臨時国会のときはもう、マスクで、アクリル板は取っていた。やはりいろいろなことが分かる中で、ただ何となくやっていた方がいいということではなく、もうこれは重要性は大分薄まったというものからどんどんどんどん、取っ払うと言うとちょっと言い方は悪いですけれども、そういうことを、やはりこういう厚生労働委員会であったり、厚生労働省であったり、率先してやっていく姿が大事なんだというふうに思います。

 私は、マスクや、三密を回避するとか、この後質問いたしますが、介護施設や医療現場でどうしていくかということも大事ですが、それ以上に、私の高校の大先輩である、ノーベル生理・医学賞を取られた大村智博士がこの感染初期段階からおっしゃっていたのは、やはりこのコロナの教訓、幾つかありますが、今後平時に移行していく、平常、平静を取り戻すに当たって大事なことは、例えば、今日も私、質問の予定、そして大臣も先ほど来参議院、またこちらで。でも、もし、朝起きたら喉がいがいがする、ちょっと熱っぽいかもしれない、こういうときに、でも、質問、ちょっと体調が悪いのでできませんと言ったら、与党さんから、もう質問時間上げませんとか、誰か我々も与党の方がというときに、体調が悪いときに、やはり、念のため休んでも。

 そういう風通しのいい社会環境をつくっていくということは、やはり物理的なことというよりは、このコロナで、コロナが五類になったからといって、具合が悪いときに無理して職場に行かなきゃいけなくなる、そういうことでは全くない。ずっとそういう心積もりで、皆さんがそういう風土を新たにつくっていくということが、私は、このコロナの教訓、今後の社会に生かしていかなければならないことだと考えますが、大臣、見解をお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 コロナの対応の中においても、熱やそうした症状があれば、まず自宅で療養していただく、あるいは必要に応じ医療機関にかかっていただくということはこれまでも申し上げてきたところであります。

 今、中島委員おっしゃるところは、私もそうだなと思うのは、コロナだけではなくて、例えば季節性インフルエンザでもしかりでありますけれども、体調が悪いときあるいは症状があるとき、これはしっかり休んでいただくということが、本人の体調管理にプラスであることはもちろんでありますけれども、結果的にそれが感染の拡大を防ぐということにもつながり、社会全体の活動を維持していくということにもつながっていくのではないかなというふうに思いますので、そういった意味で、体調が悪いときに休めるような環境あるいは機運、こういったものも大変大事だというふうに思います。

中島委員 まさにそういう状況が、コロナにかかわらず、季節性のインフルエンザでも、普通の風邪ウイルスでも、ノロウイルスでもそうかもしれませんが、そういうときに念のために仕事を休めるとか、それに対してけしからぬとかではなく、それはむしろ人を思いやる気持ち、そういう風通しのいい社会、厚生労働省として、そういったこともメッセージとして国民の皆様にお伝えしていただければと思います。

 そして、教訓というと、私は、幾つかあるうち、今のが一点。そして二点目は、このコロナ禍において、これは厚生労働行政、国民の命、健康を守る立場として、必要な方が必要なときに医療にアクセスできず、自宅でお亡くなりになる、そんな事例が多発した。

 世界に誇る国民皆保険制度、また医療先進国を自負する我が国において、なぜこのようなことが発生し、警察庁の新型コロナウイルス陽性死体取扱状況は、資料にはお示ししておりませんけれども、全てが自宅放置死とは言いません、第六波のとき、二月、五百十二人、そして第七波、八月のとき、八百七人、第八波、十二月、八百五十六人。これも、波を重ねるたびに、もちろん行動制限等の有無もありますが、しかし、国民皆保険、フリーアクセス、この皆保険制度の下で、波を繰り返すたびに、自宅放置死、医療にアクセスできずお亡くなりになった方、否定できない方がそのたびに増え続けた。

 これは、改めて、慎重かつ丁寧な検証とともに、今後このようなことを二度と起こさない、そういう強い気持ちを持って取り組まなければならないことだと考えますが、大臣の見解を伺います。

加藤国務大臣 新型コロナで亡くなられた方、特に、医療に対するアクセスがない中で亡くなられた方々に対し、また御家族に心からお悔やみを申し上げたいと思います。

 これまでも、感染拡大期における新型コロナ患者の自宅での死亡事例については、各都道府県を通じて行った、これは各波ごとに行ってまいりましたが、結果や各自治体の取組事例を取りまとめ、各自治体における自宅療養者等のフォローアップ体制の強化の参考になるように周知をしてきたところでございます。

 今後も、必要に応じて、都道府県に対する調査を通じた実態の把握や事例の検証に努めていきたいというふうに考えております。

 また、今回、五類への変更を今申し上げているところでありますが、その後においても感染拡大が生じることが想定されるため、引き続き、これまでの事例についても必要な検証を行いながら、感染拡大が生じても必要な医療が必要とされる方に提供されるよう、取り組んでいきたいと考えております。

中島委員 私は、厚生労働行政の最悪のこの三年間、それは取組が最悪だったということではなくて、事態がそういう状況だったと。冒頭の東日本大震災も、あれはもちろん災害として、質も違います。比べることはできませんが、しかし、この三年間、先ほど、東日本大震災で二万二千人を超える方が犠牲になられた、関連死も含めてですが。しかし、このコロナ、どういった状況でどれだけの方が犠牲になったのか。しかも、医療にアクセスできなかったかもしれない方が一体どういう状況に陥っていたのか。

 今週の火曜日、三月七日でありますが、我が党の新型コロナ対策本部、本部長は小川淳也筆頭でありますが、私は本部長代理ということで、その本部会議に、新型コロナ自宅放置死遺族会の高田かおり共同代表に来ていただきました。そして、お話を聞かせていただいたわけでありますが、自宅放置死遺族会は、これまで、自宅で放置死された御遺族の方、全国にたくさんおられる方と悩みを共有しながら活動を続けてこられた。そして、行政に検証も求めながらという活動の中で、今回、五類に移行するに当たり、三つの提案を示し、その内容について、二月の下旬から署名活動を展開されています。そして、その署名は、一万筆を超える、二万筆にも届こうかとしている。

 資料の一枚目、裏表でありますが、新型コロナの自宅療養死の真相の究明、再発の防止を求めますと。高田かおりさんは、二〇二一年、デルタ株のときでありますけれども、沖縄にいた弟さん、医療につながらず、残念ながらお亡くなりになってしまった。そして、弟さん、根底には、自分がコロナで死ぬわけがない、医療や薬が命を守ってくれるはず、そして何よりも国が守ってくれる、そう思って必死に生きたんだと。そして、いろいろ調べていくうちに、現場の医師や保健所の職員も必死にやったのに助けられなかった、今後、私たちのようにコロナに翻弄され苦しむ人を増やしたくありませんと。

 そういうことに基づいて、裏面の、五類への移行に伴う提案。

 一つ目が、新型コロナ感染者が医療にアクセスできないことが起こらないよう、国は自宅や施設などで必要な医療を受けられずに亡くなられた放置死の検証をしてください。その上で、医療提供体制を改善し、全国で質が担保される医療が享受されるようにしてください。

 二つ目が、医療体制のシステムの中に施策の効果検証を入れてください。

 三つ目が、新型コロナの感染拡大時には、コロナの感染の有無にかかわらず、発熱しているだけで医療にアクセスできないことが相次ぎました。今後、そのようなことをなくしてください。

 この三つの、当たり前の内容だと思いますが、これに関して署名を集めていたら、今、一万を超え、二万に届こうとしている。

 この内容について、大臣、受け止めと、是非、署名、一つ区切りをつけたところで大臣に直接お会いして、これを受け取ってほしいと改めてお願いしたいと思いますが、御見解をお願いいたします。

加藤国務大臣 今いただいた内容は、まさに、遺族会の皆さん方の思いが込められているものと、しっかり受け止めさせていただきたいと思っております。

 現時点では署名中ということでございますので、そうした運動をされている皆さん方の御意向もお聞かせいただきながら、必要な対応をさせていただきたいと思います。

中島委員 是非、そういう機会、我々もずっと関わってまいりましたので、そういう場を持ちたいと思いますので、そのときにはよろしくお願いしたいと思います。

 続いて、コロナ、介護現場、高齢者施設、重症リスクの高い利用者さんと、支援のため密接が避けられない、今なお、職員の方、外食、当然旅行も、そういうことも控えながら、介護職離職が大変増えておる。

 そういう状況の中で、一方で、介護施設に入所されている方々、厳しい面会制限で人生の最後に立ち会うことができなかったり、コロナで亡くなられた方の御遺族、最後の別れに当たり、御遺体に触れることもできずに、ビニールやガラス越しのお別れとなったりする。これまで当たり前に行われてきた最後の重要な場面、その場面でも感染対策が優先されてきた。

 五類に変更するに当たって、みとりや最後のお別れといった人生の重要な場面における感染対策は見直されるのか、高齢者施設等での感染拡大はどのように今後防止するのか、国民が安心できる感染対策、医療提供体制をどう講じていくのか、政府の方針を確認したいと思います。

加藤国務大臣 まず、患者のみとりの場面などにおける対応でありますが、医療機関や介護施設における新型コロナ患者のみとり時の面会については、国で一律に面会の制限を行っているわけではなく、各施設において判断されているものと承知をしております。

 そして、それに対して様々情報発信も行ってまいりましたが、新型コロナが五類感染症に移行した後も、国として、医療機関や介護施設における面会については、院内や施設内での感染防止策と併せて、患者、入所者や御家族の気持ちに配慮することが重要であると考えており、各施設においてそうした配慮がなされるよう、引き続き情報発信に努めていきたいと考えております。

 また、新型コロナにより亡くなられた方への対応などについては、新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方及びその疑いがある方の処置、搬送、葬儀、火葬等に関するガイドラインにおいてお示しをしており、新たな知見に基づき改定も行ったところでございます。五類感染症への移行に当たり、本ガイドラインの取扱いも含めて検討したいと考えております。

 また、高齢者施設について、五類感染症に移行した後も、感染予防や感染拡大防止を徹底しつつ、利用者に対して必要なサービスが安定的、継続的に提供されていくことが必要であります。また、引き続き高齢者に対しては感染リスクも高いということを念頭に置きながら、これまでに行ってきた各種対策、措置の今後の在り方について、現在、具体的な内容について検討、調整を進めていきたいと考えております。

 また、医療提供体制については、幅広い医療機関で新型コロナの患者が受診できる医療体制に向けて、必要となる感染対策、またそのための準備を講じつつ、段階的な移行を目指したいと考えております。様々な設備への支援を行うほか、学会のガイドラインに沿った効率的な感染対策について周知するなど、これまで新型コロナの患者さんの受入れをされていないところにおいても受け入れていただけるような努力を我々の方からもしていきたいと考えております。

中島委員 もう時間ですので終わりますが、各施設が、これまでも悩みながら、利用者さんまた御家族の御意向に沿おうと思って努力をしてきたと思います。一方で、第八波では、高齢者施設のクラスター、過去最高となりました。こういう状況から、五類へ移行後も、今なお、社会ではウィズコロナ、一方で、介護施設、重症リスクが高い施設ではゼロコロナ、こういう状況をどの程度、段階式にとはいいますが、大事な人生の場面、またそういう状況をより明確に厚生労働省として示していく必要があるということを述べて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、山本剛正君。

山本(剛)委員 日本維新の会の山本剛正でございます。

 今日は、私、委員ではないんですけれども、ちょっと拝み倒してここの場に立たせていただいております。

 それは、予算委員会からマイナ保険証の診療報酬の件についてずっとやらせていただいているんですが、やはりどうしても納得いかない。NHKの中継も入ってやらせていただいて、国民の皆さんからもやはり疑問の声が結構届いているというのが現実でございます。

 今日は所信に対する質疑でございまして、大臣の所信では、医療DXの推進等のところで、「国民の皆様が健康医療情報に基づいたよりよい医療を受けることが可能となるよう、二〇二四年秋の健康保険証廃止を目指し、マイナンバーカードと健康保険証の一体化を加速します。」というふうに述べられておられるわけでございますが、このよりよい医療というのは、誰にとってよりよい医療なのかというところだと私は思うんですね。

 当然、患者さんに対してだというふうに認識をいたしますけれども、このマイナンバーカードのマイナ保険証については、マイナ保険証のカードリーダーがある医療施設では二点の加算があって、例えば、初診でマイナ保険証を利用すると二点、マイナ保険証を利用しない場合だと六点ということになっているわけでございますね。これが、カードリーダーがない施設になりますと零点なんですね。

 つまり、患者さんもマイナ保険証を使った方が窓口負担が多くなる。これが、いつも、質問すると、よりよい医療のためだと言うんですが、患者さんは、よりよい医療というイメージをしたときに、何かお医者さんにすごいよくやってもらったみたいな感じのことだったらいいんですが、ただ単に窓口負担が、いろんな医療情報が見れるからというのは、お医者さんにとっていいことであって、患者さんにとっては、そんなにいいことなのかどうなのかというのは、余り患者さんは実感がないと思うんですね。

 そういう中で、零点だったら窓口負担がないので、じゃ、カードリーダーのないところに行って医療を受けた方が窓口負担は少ないんじゃないかみたいな感じになると思うんですが、大臣、どのようにお考えになられますか、そのところ。

加藤国務大臣 まさに、オンライン資格確認あるいは医療DXのメリットが何かということなんだと思います。

 今申し上げたオンライン資格確認ができる医療機関で、しかも、オンライン資格確認、これは、基本的に、様々な個人のこれまでの医療のデータ等がマイナンバーカードの本人確認を通じて画面で見ることができるわけであります。

 そうした情報の中に、例えば薬剤情報等もございます。そうすると、例えば使用禁忌なものは、例えばこれまでの使っている薬と今度新たに処方する薬との間でそういう関係があるかないか、あるいは重複投与があるかないか、こういったことも確認をできるわけであります。また、過去の健診結果も閲覧できるわけでありますから、それらを踏まえた的確な医療が行われることが期待をされるわけで、そのことは、もちろん医療提供側にとっても安心して提供できるというところは、情報が入っていますから、ありますが、当然それは患者さんである国民にとってもメリットがあると考えております。そういったメリットをしっかり分かりやすく御説明する必要があると考えています。

 オンライン資格確認のない施設、これはオンライン資格の仕組みを入れる前と一緒ですから、それに対しては、同じ医療が行われているので、そこについて加算をしているわけではなく、むしろ、このオンライン資格確認の仕組みを入れることによって今申し上げたような医療が提供され、そしてそのことが評価として今加算をお願いをし、また、そうでない場合においても、そうした医療機関においては他の方法でそうした情報を取っていただくということでありますから、その分に見合う費用を加算で取っていただくという仕組みにさせていただいたわけでございます。

 もう一回申し上げれば、まさにそうしたメリットがあること、まだまだ委員御指摘のように十分ではないという御指摘があろうかと思いますが、こういったことをしっかり国民の皆さんに分かりやすく、丁寧に説明する努力を重ねていきたいというふうに考えております。

山本(剛)委員 その説明を聞くと、まあそうかなというふうに思う部分はあるんです。ただ、国がマイナ保険証をやってくれやってくれというふうに言っておいて、今のところダブルスタンダードなんですよね。使えるところと使えないところがある、それで負担が違うというところが、患者さんにとっては余りいいことではないなというふうにやはり私は思うんですよ。

 そのダブルスタンダードになっているのは誰の責任なんですかといったときに、別に患者さんの責任じゃないわけですよね。患者さんの責任でないにもかかわらず窓口負担が変わっているというのは、患者さんにとってはやはり負担が多い方が嫌だなと思うのがノーマルな考え方だと思うんですね。ですから、その負担を何で患者さんに押しつけるのかなと。そのダブルスタンダードがあっているうちは、国が負担するのか医療機関が負担するのか知りませんが、何か知恵を使って、やはり、ここは本当に知恵の出しどころだと思うんですよ。僕は、サラリーマンをやっているときに、知恵のある者は知恵を出せ、知恵のない者は汗を出せ、汗の出ない者はたたき出せと言われていたんですけれども、本当にここは知恵を、やはり、厚生労働省の皆さんは知恵があるわけですから、知恵を出して、患者さんの負担を軽減するような。

 当然、マイナ保険証が皆さんに行き渡ったときには、今まさにおっしゃられるとおり、大臣の答弁でよろしいわけです。でも、今、そのカードリーダーが全然、義務化をやるまでは全然カードリーダーの申込率も伸びなくて。

 それを、この間、質問したときには、ベンダーさんが悪いみたいなことを言っていたんですけれども、ベンダーさん、全然悪くないんですよ。申込みがないのに作れるわけがないわけですから。国としても、マイナンバーカードを作ってくれたら二万円上げますよみたいなことをやっておいて、いや、実は窓口負担で回収しますみたいなことをやっているみたいにも受け取れるわけでありますから。ベンダーさんも、例えば在庫を抱えれば、在庫を抱えるということは金利がかかるということですから、そんなリスクを今負いたくないわけですよ。でも、多分、この間、ちょっとレクのときに話したら、在庫に金利がかかるということを厚生労働省の役人の皆さん、ぴんときていなかったですね。そういう感覚でやっていると、残念ながら、やはり民間の感覚、市民の皆さんの感覚とはちょっとかけ離れたところになってしまうので。

 大臣、本当にこれ、もう政治決断です。是非、窓口負担の今のいびつな状況というものをちょっと一回見直していただいて、是非、厚生労働省の知恵の見せどころでございますので、大臣のリーダーシップでやっていただきたいんですけれども、いかがでございましょうか。

加藤国務大臣 現時点で、オンライン資格確認の義務化対象施設に対する運用開始施設の割合も六割に迫る状況になってまいりました。それから、先ほど答弁させていただいたように、マイナンバーカードの取得、また、その取得に占める保険証との連携、一体化、これも今、たしか六五%でしたか、ぐらいのレベルまで来ておりますから、そうしたことを背景に、今申し上げたような仕組みを入れさせていただいているということでございます。

 早く一本化した方がいい、早く進めた方がいい、それは委員御指摘のとおりでございますので、それに向けて我々も更に努力をしていきたいと思いますし、また、こうした負担をいただくときに、やはりメリットがあれば、それに対して一定程度負担をしていただくというのは十分あり得ることでございますので、メリットについてもしっかりと説明をしていかなきゃいけないと思います。

山本(剛)委員 やはり総理大臣を目指す加藤厚労大臣でございますから、是非そこでリーダーシップを発揮していただきたいと思うんです。

 では、ダブルスタンダードになっていて、今、何をやろうとしているかというと、資格確認書を作ろうとしたわけで、これ、僕、膨大な税金の無駄遣いだと思うんですが。別に今、保険証とダブルスタンダードでやっていて誰も苦労もしていないし、保険証を廃止して誰が得するんですかという話なんですよね。

 この間、レクで質問したんですけれども、レクで言っていたら、何か余りぴんときていなかったので。資格確認書にかかる総額がどれぐらいかかるのかというのも全然まだ分かっていないと。積算根拠もない。そういう状況で、ただ資格確認書だけ作って、国民の皆さんに配りますよみたいなことだけが今言われているわけでありますけれども、別に保険証でも今対応できているんだから、簡単に言うと、いつまでにと期限を区切ってやれば、資格確認書を出す必要はないと思うんですよね。

 そういった無駄遣いをやる前に、やはり、ダブルスタンダードをきちっとなくしていって、患者さんの負担もそれまではなくしていくということが私は大事だと思っていますが、大臣、そこの感想だけ、じゃ、いただきたいと思います。

加藤国務大臣 マイナンバーカードと健康保険証の一体化によって様々なメリットがあるということは先ほど申し上げたところでもございます。そうしたメリットを多くの人に早くに受けていただきたいということで、今、保険証とマイナンバーカードの一体化を進めさせていただき、来年秋には保険証の廃止ということを予定をしているわけであります。

 したがって、保険証は廃止されるわけでありますけれども、オンライン資格確認を受けることができないという方も一部いらっしゃるので、それについては資格確認書による被保険者資格を確認するという仕組みを新たに設けさせていただきました。

 どのぐらい費用がかかるか分からないという御指摘がありました。

 最終的にマイナンバーカードと保険証を一体化される方がどのぐらいいるか、今の時点では、まだ見極め切れないところがございますので、したがって、なかなか積算することは難しいと思いますけれども、ただ、現状、全ての方に紙の保険証を交付をさせていただいているわけでありますから、当然、その枚数が減れば十分コストの軽減にもつながるんではないかというふうに考えているところでございますし、また、既存の健康保険証で使ったシステム、これもできるだけ活用することを念頭に、予算等も見積もらせていただいているところでございます。

山本(剛)委員 我々、政治をやっていると、例えば後援会の皆さん方に後援会報を郵送しましょうというと、例えば、名簿四万件ありますというと、八十円切手で出すと、それだけで三百二十万円かかる。これはやはりちゅうちょしますよ、普通の人は。それをもっと多くの人に出そうと思ったら、本当にちゅうちょしなきゃいけない話なんですよ、やはり。

 でも、現行、保険証でできるんだったらそれでいいじゃないかと思うのが、今、苦しい、物価高の中で本当に皆さん苦しんでおられる中で、十円、二十円だって本当に得をしたいというか節約したいというふうに思っておられる方が本当に多いと思うんですね。そういった国民感情をしっかりと酌み取っていただいて、何が必要であるのか、何をやらなければいけないのか、そして何が国民のために資するのかということをよく考えていただいて実行に移していただきたいと思いますし、窓口負担、確かに二点とかだと二十円とかなんですけれども、その二十円ですらやはり私は貴重なお金だというふうに思いますし、ちりも積もればという話もございますので、しつこいようでございますけれども、是非御検討いただきたいなというふうに思います。

 時間もないので、次の歯科政策にちょっと移らせていただきたいと思うんですが。

 国民皆歯科健診の義務化が昨年の参議院選挙の直前にぽろっと出てきまして、政府が義務化を軽々に言うわけはないなと。義務化をやるといったら、当然、国民の権利とか自由とかも縛りますし、逆に言えば、罰則規定を設けようと思ったら、国民の財産を差し押さえなければいけない話になりますので、これは、歯科の団体なのか、そこにいる組織内候補なのかよく分かりませんが、そういったところから選挙対策で出てきた話なんだろうなというふうに私は直感をいたしました。

 こういったことを、僕、選挙利用するというのは、本当に許せないなと。国民の自由を奪うような話、国民の財産を奪う、義務化にはそういったこともまとわりつくんだということがあるにもかかわらず、簡単に政治家がそういうことを言ったりするというのは、私はあるべき姿ではないなと思うんですが、一方で、歯科健診の重要性というのは年々年々高まっているわけでございます。

 そういった中で、義務化というのはやはり、なかなか重たい話でございますし、いろいろな意味でなじまないなという部分もありますし、あと、例えば、労働安全衛生法にすら実は歯科健診の義務化ができていないということを考えれば、自らが生涯を通じて自発的に歯科健診を受けることが私は重要であるというふうに思っていますが、厚生労働省さんとしては、大臣としてはいかがでございましょうか。これは榎本局長にお願いします。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘ございましたように、国民皆歯科健診につきまして、経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針二〇二二に、生涯を通じた歯科健診、いわゆる国民皆歯科健診の具体的な検討を行う旨が記載されたところでございます。

 私ども厚生労働省といたしましては、広く国民の皆様に口腔のチェックを受ける機会を持っていただけるような環境の整備ということは、今委員も御指摘いただきましたように必要なことだというふうに認識しておりまして、そういう意味で、全ての国民の皆さんに歯科健診の受診を強制するような義務づけ、そういった仕組みを想定したものではないということでございます。

 私どもとしては、国民の皆さんが生涯を通じて歯科健診を受診できるような環境整備に向けて必要な取組を行っていくということで考えていきたいと思っているところでございます。

山本(剛)委員 当然そうなんですよ。ただ、やはり義務化という言葉は本当に重たいので、やはりそこは慎重に考えていかなければいけないというところだというふうに思います。

 当然、厚生労働省さんとか政府から出たものではないと私は最初に申し上げましたけれども、やはりこういったことが政治利用をされないようにしなければ、国民の健康に資する話で、最終的には命にも関わる問題にもつながりかねないような話を軽々に言うことではないなということをくぎを刺しておきたいなというふうに思います。

 それで、歯科の予算を見てみると、ちょっとクエスチョンがやはりつくんですよね。それは、まず、ボリュームが少ないというのが一点。これから国民皆歯科保健をやっていきましょうといって、そうなったら、やはりそれはそれなりにお金もかかることでございまして。もう一つは、八〇二〇運動というのがメインで、そこに予算がぼんとついているんですが、八〇二〇というのは結果なんですよ、八十歳になって二十本の歯が残るということですから。歯科健診をちゃんとやっておけば、やはり八〇二〇に届くと思うんですよね。ということは、歯科健診に関わる予算を大きくした方がいいと思うんですが、昨年度の予算で見ると、八〇二〇に係るものが八億一千万強で、歯科健診に係るものが二億五千二百万円ぐらいですかね。だから、これは逆だと思うんですよね。

 八〇二〇みたいな、そこに行きましょうみたいなことになると、これも八〇二〇に資する、これも八〇二〇に資するみたいな感じで、やはり目的がだんだんだんだんちょっとぼやけてきて、税金の無駄遣いに私はつながりかねないんじゃないのかなと。やはり、歯科健診にこれを使います、歯科健診の推進でやりますというのであれば、それなりに目的化がはっきりしているのでお金の使い道も縛られると思うんですけれども。

 やはり、歯科保健医療対策に関わる予算の在り方、そして予算を充実していくべきだというふうに私は考えますが、いかがでございましょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 歯と口腔の健康を保つということは、今委員御指摘いただきましたように、全身の健康を保つためにも大変重要でございますので、私ども厚生労働省といたしましても、歯科健診の充実に向けて取り組む必要があるというふうに認識してございます。

 令和五年度の予算案におきましては、地域の実情に応じた歯科健診を更に推進するということで、自治体や職域における歯科健診の導入、実施するための取組の支援でありますとか、効率的、効果的な歯科健診の方法の検証などを行う事業の拡充、また、時間的かつ経済的な負担等が少ない、歯科疾患のリスク評価が可能な精度の高い簡易スクリーニング検査の研究開発の支援を行う事業の新規計上などを行わさせていただいているところでございます。

 先ほど、令和四年度の予算ベースですと二・五億円という御指摘がございましたが、五年度予算においては五・四億円を確保させていただいて、こういったことを取り組ませていただきたいと考えてございます。

 引き続き、委員から御指摘いただきましたけれども、必要な予算の獲得をしっかりとさせていただきながら、歯科健診の推進に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 ただ、今、局長は、今年度は五億四千万とおっしゃいましたけれども、この八〇二〇は十一億二千ついているんですよ。逆だろうという話をしているので、やはりそこは考えていただきたいというのと同時に、やはり、先立つものがなければなかなか難しいというのはもう間違いない話でございますので、ここで私は無駄遣いとは言いませんが、やはり必要なものは必要だと思いますし。よく医療の皆さんが大好きな言葉でエビデンスという言葉があるんですけれども、もう大分エビデンスは出ていると思うんですね、やはり歯の健康が要するに体の健康に非常に資するということは。

 ですから、そこをしっかりと、もう時代も大分変わっているわけでございますから、歯科健診をやれば八〇二〇に届くんだという強い意思を持って歯科健診の推進をしていただきたい、そのために正々堂々と予算を要求していただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 先ほど、労働安全衛生法の話をちょっとぺろっとしましたが、その法律が規定する一般労働者の健診項目に歯科健診を加えるということや、酸を扱う労働者に対する特殊健康診査の対象を拡大すること、さらに、定義や役割の規定のない産業歯科医の条文の充実など、同法の改正を実現することで国民皆歯科健診につなげられるというふうに私は考えるんですけれども、見解をお願いいたします。

加藤国務大臣 まず、塩酸等、歯科の疾患を発症させる有害物質を取り扱う労働者については、労働安全衛生法に基づいて、事業者に対し、歯科医師による健康診断の実施、これは義務づけております。現行法令で、必要な有害業務はその中では網羅をしていると考えております。

 他方、こうした業務を行わない一般労働者について、業務と歯科疾患の関連性が明らかになっていないことから、これは事業者の負担での歯科健診ということになりますが、これを労働安全衛生法の健康診断の項目に加えて義務づけるということはなかなか難しいと考えております。

 また、労働者の健康管理を効果的に実施するため、五十人以上の事業場においては産業医の選任を義務づけて、健康管理全般を行わせることとしておりますが、歯科疾患については、先ほど申し上げた塩酸等の有害物を除き、業務と歯科疾患の関連性が明らかとなっていないことから、産業歯科医の選任といった形でこれまた事業者一般に歯科に関する健康管理を義務づけることもなかなか難しいというふうに考えているところでございます。

 他方、厚労省としては、歯科口腔保健は、労働者の健康保持増進の観点から重要であります。従来から、事業場における労働者の健康保持増進のための指針において、労働者の生活慣習から来る健康上の問題を解決するために、口腔保健等の指導及び教育を事業場において行うことが望ましい旨、事業者に対して啓発指導を行っているところでございます。

 引き続き、こうした取組を通じて、職域における歯科保健対策を推進していきたいと考えております。

山本(剛)委員 何かやはり腑に落ちないんですよね。関連性がないというけれども、健康診断だって、じゃ、糖尿病ですというのは何か業務と関係あるのかみたいな話にもなりかねないですし。労働者の、働かれている方の根本的な健康をしっかりと守っていくという視点に立てば、別にどうということはない話だと思うんですが、何でそこで細かく細かく関連づけようとするのかというのは、我々にとってはまさに意味不明でございまして。私も働いている時期がありましたけれども、健康診断をやるんだったら歯科健診もやればいいのになというような感覚でございました。

 当然、事業者にお金はかかる。でも、健康診断にもお金はかかるわけでございまして、パッケージにしたら少し安くするとか、それぐらいの知恵を出しながらやっていくのも一つのやり方なのではないかなというふうに思いますが。是非、なかなか難しいというのであれば、この法律の中で義務づけることが難しいのであれば、国民皆歯科健診を強力にやはり進めていくことで国民の健康を守っていくということが大事だというふうに思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

 次に、指導についてちょっとお尋ねをいたします。

 指導にはいろいろあって、何か最初の指導とか集団個別指導というのがあるらしいんですけれども、集団個別指導の言葉の意味がさっぱり分からないんですけれども、結局、個別指導らしいんですけれども、何か行き過ぎた指導というのが行われているみたいなことをよく耳にするんです。

 実際、新規指導とか集団個別指導などの指導は、被指導者である歯科医師の協力を得て、丁寧に、複雑で難解な保険のルールを周知徹底するためのものであるはずでございます。しかしながら、実は取調べのような状況で行われているというような声も聞きますし、担当者によってその差が激しいというような話も聞きますし、過去には指導をめぐった贈収賄事件とか被指導者の自殺が頻発したということを、厚生労働省さんとしては、これ、ちゃんとやらないと、軽視していると言われてもしようがないというふうに私は思います。

 指導は法令にのっとって実施されますが、法解釈はなかなか難しい現実があります。歯科医師さんが、それを容易に、簡単に、そういう法律なんですねと理解するというのはやはりなかなか難しいから、弁護士さんを同席させるということが広く認められているわけでございます。

 これは歯科医師の人権を守ることにもなるわけでありますけれども、残念ながら、弁護士さんを同席させたときに隣に座らせないらしいんですよ。相当後ろの方に座らせて、何か話が聞こえないようにするみたいな。だから、指導の実効性を担保するためにも弁護士さんをやはり隣に座らせるべきなんじゃないのかなと思うんですが、いかがでございましょう。

加藤国務大臣 一つ一つの行為に関して言うのはちょっと、その具体的な中身を見ないと何とも申し上げられませんが、健康保険法に基づいて保険医療機関に対して指導を行うに当たり、指導時に録音を取るとか、あるいは今お話しあった弁護士を帯同する、これについては、指導を受ける方から委任を受けている旨を書面で提出するなど一定の要件を満たした場合には認めるということでございますので、あとはその中で、その運用に当たっては合理的な対応をするということが求められるんだろうと思います。

 そうした運用については、厚生労働省から地方厚生局に対して通知をしており、地方厚生局が指導を行う際、医療機関に対して必要に応じて説明を行うこととしております。

山本(剛)委員 是非、しっかり弁護士さん、ちゃんと座らせるんだったら隣に座らせなさい、一緒にやりなさいということを通達していただきたいと思います。

 指導大綱の見直しについてなんですけれども、平成七年から三十年近く改正が行われていないというのが現実ですね。

 当時、平成二十八年の五月二十六日、参議院の厚生労働委員会では、塩崎大臣が、新しいルールというのをどうするかということはやはり絶えず考えていくと。絶えずですよ、絶えず考えていくことが必要だということを言っています。ほかにも、平成二十七年には、こういった具体的な提案を受けながら、ベストな道を選び続けてと。選び続けるんですね、ベストな道を選ぶのではなくて、選び続ける。

 でも、三十年間、実は変わっていない。本当にこの間検討されているのかどうか分かりませんが、例えばエネルギー基本計画であれば、少なくとも三年に一度検討されて、必要があれば改定をされるというところでございます。やはり、是非この指導大綱の見直しも、加藤大臣のリーダーシップでやっていただきたいというふうに思いますが、この検討というのはされてきたんでしょうか。

加藤国務大臣 大事なことは、状況に応じて、指導大綱、また運用を見直しをしていくということなんだろうと思います。

 指導大綱は、保険医療機関の指導に関する基本的な事項について、中医協の議論も経て定められたものであり、保険医療機関の安定的な運営を確保するという観点からも、非常に重たいものだというふうに認識をしております。

 他方で、指導における具体的な運用、これについては、実情を踏まえ、これまでも適宜見直しを行っているところでございますので、まさにそうした、大綱を変える必要性があればそれは変えていくということだと思いますが、まさに運用等において対応できるものであれば、まさにそれで対応できるものであればそれで対応するというのも現実的な方策ではないかというふうに考えております。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 平成七年というと初めての就職氷河期ぐらいの世代なんですよ。だから、その前の部分で検討されているということは、結構いい時代背景の中で作られたものだと思うんですね。でも、今、三十年たって、失われた三十年とも言われて、なかなか厳しい時代になっているというので、歯科医師さんも相当厳しい時代になっているというのが現実でございますので、是非大胆な判断をお願いしたいと思います。

 最後に、指導について、平均点数の高いところが指導対象になって、在宅診療が進まないとか、平均点数が高くならないように調整して診療しているとか耳にするんですけれども、国民が良質な歯科医療を受けられることにつながらないのではないかなと思うんですが、例えば、上位四%を取って何か指導に入るとかいうんですが、そうすると、さっきの診療報酬の点数ですよ。マイナンバーカードを使って二点加算されたら、もしかしたら五%のところにいた人が四%に入ってしまうかもしれないということが起こるわけですよね。指導というのは、おかしな請求をしているんじゃないのかというのを念頭に、上位四%をピックアップして指導が入るらしいんですけれども、よりよい医療をやろうとしているマイナ保険証の制度でその四%に入ったら、まあまあ本末転倒だなというのがあると思います。

 ですから、こういったところを、ちょっと時間が来てしまったので、ここをきちっとやっていくことが大事なのではないかなと思うんですが、最後に見解だけお尋ねをいたします。

加藤国務大臣 個別指導の対象となる保険医療機関をどう選定するかというのは、指導大綱により、患者一人当たりの平均点数が高いことを一つの選定理由として挙げているところでございます。

 やはり、これは可能な限り公平で客観的なものである、選定はですね、あることが必要だというふうに思っておりますが、関係者の御意見も聞きながら、先ほど申し上げました、必要に応じて、指標の在り方も含めて検討をしていく必要があると思います。

山本(剛)委員 どうもありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、空本誠喜君。

空本委員 日本維新の会の空本誠喜でございます。

 厚生労働委員会では初めての質問となります。どうぞよろしくお願いいたします。

 加藤大臣の所信に対しまして、今日は、外国人の雇用、外国人の技能実習制度、さらに医療・介護制度に関して、例えば歯科の養成の話について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、外国人の技能実習制度。外国人材を受け入れるに際しては、技能実習生、そして特定技能外国人、高度外国人人材、そして留学生のアルバイト、こういった方々がいらっしゃいます。そして、今日は、特に技能実習生についていろいろ聞いていきたいと思います。

 まず、この制度の趣旨でございますが、建前論と現実、乖離しているんじゃないかなと思いまして、そこの点についてお伺いしたいと思います。

 日本企業の海外現地法人の社員教育を起源として始まりました、まず外国人研修制度でございますけれども、当初は、大企業の現地事業所の生産性向上、また産業の貢献といった意味合いで始まり、さらに、日本の国内の人材不足を補うという文脈では始まったものではない。しかし、中小企業を始め三Kと呼ばれる職場、こういったところで人手不足が発生する、その解決策として外国人の研修制度に注目し、これを、国内の人手不足をまさに解消するために、この技能実習制度となっているんじゃないかなと。

 この外国人の技能実習制度は、単純労働を、今、主体としたものでございますし、短期就労の外国人受入れ制度と言っても、こういう表現をしてもぴったりじゃないかなと言う方もいらっしゃいます。短期的に雇用し、そして、比較的安い賃金を払い、単純労務作業に就労させて、三年若しくは五年で、それが過ぎたら使い捨てで帰ってもらうといった、少し人権を無視したような就労システムになっているんじゃないか、そういった声も上がっていますが、このような実態があるならば、若しくは、このような実態が継続しているならば、私たち日本維新の会としましても、全くもって不適切であって、そして速やかに改善すべきというふうに考えております。

 今ここで、抜本的な、外国人労働者の受入れ、この制度の大改革が必要かと思いますが、厚生労働大臣の、この建前論と現実の乖離についてどのようにお考えか、また、どのように改善すべきか、大臣よりお願いいたします。

加藤国務大臣 外国人技能実習制度については、外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議の下に、技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議を設け、制度の在り方について議論を重ねていただいております。そこにおいても、今、委員御指摘の、制度の趣旨と現実の乖離といった点などについて様々な御議論もいただいているところでございます。また、この現状について制度が抱える課題もいろいろと御指摘をいただいているところでございます。

 現在、この有識者会議において御議論いただいておりますので、まだ答えが出る前に政府から予断を持ってお答えすることは差し控えますが、御指摘、制度の本来の姿と現実が違う、あるいは様々な課題、こうしたことについて、有識者会議での検討、御議論を踏まえながら、政府全体でもしっかり検討していきたいと考えております。

空本委員 今いろいろ検討されていらっしゃるということは十分承知しておりますが、これから、後ほど申し上げますが、介護とか、こういったところでやはり外国人の方に入ってもらわなきゃいけない、そういった意味で、早い見直し、こういったものが必要かと思いますので、是非、大臣、前に進めていただきたいと思います。

 続きまして、外国人技能実習生の受入れの手続について御質問をさせていただきたいと思います。

 我が国の労働基準法の適用においては、外国人技能実習生も、労働条件で日本人と均等待遇となっている。現場では、労働時間などが制約されるなど均等な扱いがされていないんじゃないかという場合もあると聞いています。また、専門職試験云々、いろいろ、雇用においては日本人と平等じゃないんじゃないかという声もございます。

 移行試験また修了試験に関しては、研修生の精神的な負担があったり、受入れ側の組合や組織の経費、そして時間が浪費されてしまうという理由から、廃止を求める声も現場から上がってきております。

 厚生労働省としていかがお考えか、御回答をお願いいたします。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 技能実習制度でございますが、人材育成を通じた開発途上地域等への技能等の移転による国際協力を目的とした制度でございます。したがって、技能実習の目的及び内容が一定の基準に適合していること等が要件となってございます。

 このため、具体的には、実習中の技能検定等の受検を義務づけているものでございまして、引き続きこうした仕組みが必要と考えております。

空本委員 制度としては必要でありますけれども、やはり柔軟な対応というものも必要かと思いますので、よろしくお願いいたします。

 そして、外国人技能実習生の受入れに際して、実習生及び、先ほど、受入れ団体、企業、入管手続についてもいろいろ現場から声が上がってきています。そういった事務手続の短縮化、簡素化、さらには電子化、こういったものを進めてほしいという声も非常に多く上がっておりますけれども、外国人技能実習機構に対する手続、これを簡素化する、今いろいろやられていらっしゃるのは聞いているんですが、厚生労働省の方としましてはその手続の簡素化に、そして入管手続について法務省から御回答いただきたいんですが、まずは厚労省から。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の事務手続の短縮、簡素化、それから電子化でございますけれども、これまでも技能実習計画の認定申請において、同時に二以上、複数の申請をする場合の重複書類の提出の省略、それから様式の統合、申請書類等の押印を原則不要とする、こういった簡素化の取組を行ってございます。

 また、技能実習計画の申請手続等のオンライン化については、規制改革実施計画等に基づいて、令和七年末までの導入を目指して検討しております。

 厚生労働省といたしましては、法務省や外国人技能実習機構と連携し、今後とも、提出書類の省略、簡素化や、デジタル技術を活用した利用者の利便性向上についても検討を行うこととしてございます。

君塚政府参考人 入管手続の簡素化についてお答えをいたします。

 出入国在留管理庁においては、令和元年七月から在留期間更新許可申請のオンライン手続を開始しており、技能実習生の受入れのための在留資格認定証明書交付申請については、令和二年三月からその対象に追加しております。

 また、従来、書面交付としております在留資格認定証明書につきまして、今月中に電子的な交付を可能とすることを予定しております。

 出入国在留管理庁といたしましては、デジタル社会の進展に合わせ、各種手続の電子化を通じた簡素化及び利便性の向上は急務であり、利用者による改善要望などを真摯に受け止めつつ、引き続き所要の施策に取り組んでまいります。

空本委員 是非よろしくお願いします。そして、現場の声をしっかり聞いていただきまして、現場の受入れ側が、コスト面も、また時間の面もかからないようにといいますか、合理的にお願いしたいと思います。

 実習制度の問題で最後にお聞きしたいんですが、今、実習制度、いろいろな問題があると言われていまして、特に、実習生の負担、この水増し問題、ブローカーや仲介者が入って、不当かつ巧妙に中抜きをする、こういった問題も多発しているというふうに聞いております。また、入国後、トラブルの原因となるケースもいろいろ散見されているということもお聞きしています。

 この問題は、送り出し国の制度の問題であるというふうに事務方の皆さんからお聞きしたんですけれども、トラブルを回避するために、トラブルを未然に防止するために、送り出し国に対して我が国が、日本がどのように声をかけるのか、対応するのか、厚生労働省にお答えをお願いします。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 ブローカーや仲介者の不当な中抜きといった御指摘でございますが、送り出し機関が不当に高額な手数料を徴収するといった不適切な事案を把握した場合には、二国間取決めなどの枠組みを通じまして、相手国に通報して調査を依頼し、その結果に基づいて送り出し機関への指導や認定取消し等を求めてございます。

 今後とも、法務省や外国人技能実習機構と連携しながら、相手国政府との協力関係をより一層密にして、不適切事案に対して厳正に対処してまいりたいと考えております。

空本委員 やはり、実は受入れ側の企業さんにとっては大きな問題でありまして、そして、いい人材が来ないとか、また、トラブルになったときには大変困ることもたくさんございますので、そういった意味で、送り出し国に対する対策ということをやはりしっかりと、また、不十分だと思いますので、我が国に来てもらったら我が国で安心して研修してもらえるというような仕組みになるように是非お願いしたいと思います。

 そして、特定技能外国人についてなんですけれども、外国人技能実習制度に詳しい行政書士の方の指摘としましては、技能実習法第三条では、「労働力の需給の調整の手段として行われてはならない。」というふうに基本理念も定められている。一方、特定技能の基本方針は、深刻化する人手不足に対応するため、生産性向上や国内の人材確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業の分野において、即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを構築すると、技能実習制度の真逆のことをいくものというふうな指摘もございます。また、技能実習から特定技能への移行はできますが、この法律上の大きな違いのため、業種や仕事の内容はほぼ同じなのに、異なる制度、仕組みとなり、複雑化の原因となっているというような指摘も挙げられております。

 技能実習法第三条を改正して、特定技能の基本方針と合致させるべきではないでしょうかという意見もいただいています。厚生労働省、いかがでしょうか。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 両制度の趣旨でございますけれども、特定技能制度は国内の人手不足分野において、一定の専門性、技能を有し即戦力となる外国人の方を受け入れるための制度でございます。一方、技能実習制度は、人材育成を通じた国際貢献を目的としてございまして、その制度、趣旨は異なるということになってございます。

 他方で、技能実習制度の目的と実態に乖離があるといった御指摘や、技能実習制度から特定技能制度に移行がより円滑にできるようにすべきといった御指摘がございます。

 現在、技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議におきまして、両制度の在り方について、有識者の皆様から様々な立場や視点から御議論いただいているところでございまして、その御議論を踏まえながら、政府全体で丁寧に検討を行ってまいりたいと考えております。

空本委員 是非お願いいたします。

 また、技能実習生は最長五年働けるのに対して、特定技能一号で五年、二号では雇用現場があれば働き続けるということが可能ですが、現在、特定技能二号は、建設、造船の二分野に絞られています。

 政府も、他分野の方々も、二号の創設を検討しているという発表もあるんですが、今後、二分野以外の他分野への拡大要請があった場合、どのように対応していくのか、法務省からお願いいたします。

君塚政府参考人 平成三十年の入管法改正により創設された特定技能制度についてでございますが、今委員御指摘のあった特定技能二号とは、熟練した技能を要する業務に従事する外国人を受け入れる在留資格でありまして、今御指摘のとおり、十二の特定産業分野のうち、建設及び造船・舶用工業の二分野での受入れが可能となっているものです。

 特定技能二号の対象分野を追加する場合には、政府基本方針に基づき、法務省が分野を所管する省庁及び厚生労働省等の制度を所管する省庁とともに、追加する分野の運用方針を変更する閣議決定を求めることとなります。

 現在、分野を所管する省庁におきましてそれぞれ所要の検討を行っているものと承知しており、法務省といたしましても、その検討結果を受け、今後、厚生労働省等の関係省庁とともに順次見直しのための検討を行っていくこととなります。

空本委員 よろしくお願いいたします。

 続いて、失踪者の問題についてお聞きしたいと思います。

 技能実習は需給調整の手段としては使われていませんけれども、実習生が実際、SNSなんかで簡単につながって、給与、待遇についていろいろ情報交換し、不法就労等に誘われるケースもあったりします。また、失踪するケースもあるというふうに聞いています。また、逆に、最初から失踪目的で日本にやってくる悪質な実習生もいるというような情報もあります。大半は、残業があると聞いていたのに残業がないとか、残業も少ないとか、また、賃金がもっと高い仕事があるとか、仕事がきつい、こういった理由で失踪する。

 現在、在日の外国人技能実習生の失踪者についての数値をどのように把握されて、失踪者に対する対策をどのように取られているか、法務省からお願いいたします。

君塚政府参考人 技能実習生が行方不明となった場合、技能実習法上、実習実施者あるいは監理団体が外国人技能実習機構に対して所要の届出を行うこととされております。その上で、出入国在留管理庁において、当該届出に係る技能実習生を失踪者として集計することにより把握をしております。

 技能実習制度につきましては、失踪の問題も含め、その適正化に向けて、平成二十九年十一月に施行された技能実習法に基づく措置を進めてきておりまして、平成三十一年三月に法務省内の技能実習PTが取りまとめた改善方策に基づき、実習実施者に対し、外国人技能実習機構が定期に行う実地検査に加え、同機構が失踪事案発生時に臨時の実地検査を速やかに実施するものとし、さらに、令和元年十一月には、失踪技能実習生の減少に向けた更なる改善方策といたしまして、先ほど厚労省からも御答弁ございましたが、送出国におけるブローカー対策を求めるなど、二国間取決めに基づく対応の強化、あるいは各種情報の分析を通じた不法就労の摘発強化などの施策を実施しているところでございます。

 出入国在留管理庁といたしましては、制度を所管する厚生労働省や外国人技能実習機構等の関係機関ともしっかり連携しながら、技能実習生の失踪を防止するための対策を適切に講じてまいります。

空本委員 しっかりお願いいたします。

 続きまして、介護施設における外国人の雇用の問題について質問させていただきます。

 介護業界は様々な問題がある。介護を必要とする高齢者がどんどん増えていますし、逆に、介護職員が人材不足である。待遇改善が必要である。また、虐待の問題とか、いろいろな問題がありまして、解決の糸口というのはなかなかつかみづらい問題でございます。

 人材不足の解消の観点から、外国人の技能実習生や特定技能外国人の制度がありますが、現場から幾つか要望が上がってきております。

 やはり、介護事業所で常勤換算までの期間が六か月必要であり、その期間働いても介護職員として含めることができず、結局、日本人の職員が必要となるとか、もっと外国人の雇用を増やしてほしい、雇用人数枠を広げてほしいとか、逆に、夜間、外国人を勤務させることはできないか。一方で、日本語のコミュニケーション能力が低いことで、やはり外国人を夜間に勤めさせるというのは厳しいであろうと。

 様々な問題がございますけれども、このような我が国の介護環境において、これらの現場からの声に対して、外国人雇用の改善を進めるべき、図っていくべきと考えますが、いかがでしょうか。短期的、中期的、長期的に御回答いただけたらありがたいです。お願いいたします。

川又政府参考人 介護分野において外国人労働者の活用を行っていくことは、厚労省としても重要であると考えており、御指摘の御要望を含め、様々な御意見あるいは課題があることは承知をしております。

 御指摘いただいた御要望につきましては、介護分野の問題として、制度の趣旨を踏まえ、厚生労働省において、介護現場の実情等も把握しながら検討していくもののほか、技能実習制度あるいは特定技能制度といった制度全体の在り方に関わるものなど、様々含まれているものと考えております。

 現在、技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議において、制度の在り方全般に係る議論が行われていることから、その議論の状況も踏まえ、今後の外国人介護人材の活用につきましては、介護現場の実情、あるいは関係団体等の御意見も伺いながら対応してまいりたいと考えております。

空本委員 一番は教育の問題であるというふうな指摘もございます。日本語教育を一番大事にしながら、コミュニケーション能力が図れる、また後ほど、時間がございましたら、最後、介護人材についての外国人の雇用、この日本語コミュニケーション、ちょっと要請はしていないんですが、最後、お聞きしたいと思いますが、先に、歯科衛生士養成所指導ガイドラインについてお聞きしたいと思います。

 平成二十七年三月三十一日付、医政発〇三三一第六一号、「歯科衛生士養成所指導ガイドラインについて」という文書がございます。同年の四月一日より歯科衛生士の養成所の指定、監督権限が厚生労働大臣から都道府県知事に移譲されることに伴って、厚生労働省医政局長から都道府県知事へ通知された技術的助言書でございます。現在、都道府県は、このガイドラインに準拠して歯科衛生士の養成の指導監督を行っています。

 そこで、本ガイドラインについて、電動式アマルガム練和器や歯科用エックス線装置並びにエックス線フィルム自動現像器を例に取って質問をさせていただきたいと思います。

 まず、電動アマルガム練和器については、歯科衛生士養成所の教育上必要な器具の中に、ガイドラインの別添二に記載がございます。

 日本歯科医師会は、平成二十五年十月、水銀に関する水俣条約の採択に際して、今後は水銀汚染対策の観点から歯科用アマルガムの廃絶に向けて取り組んでいくとされています。こういった中で、さらに、医療分野においては、歯科用アマルガム、水銀血圧計、水銀体温計、こういったものも製造や輸出入が原則禁止になっている。

 また、歯科用のエックス線装置並びにエックス線フィルム自動現像器については、同じくガイドラインの別添の二に、エックス線装置並びにエックス線フィルム自動現像器の記載があって、この実習を行うところには、こういった措置を講ずる、所定の手続を行うというような記載もございます。

 しかし、エックス線を扱うことは、基本的に医療を目的とする場合のみ認められておりまして、実際、医療施設ではない学校においては、実習目的で使用することはできないということも言われています。実際にエックス線装置の設置に関する許認可、監督は保健所の所管となっていまして、医療を実施することが認められていない学校の許認可や監督は管轄外であって、黙認されているのが現状でございます。

 また、エックス線の照射は、医師、歯科医師並びに診療放射線技師のみに認められた医行為であって、これまで、看護師さんや准看護師さんがエックス線照射を行う違反事例もあったというふうなことから、大変厳しくなっている。

 そこで、歯科用水銀や歯科用アマルガムの環境変化を踏まえて、歯科衛生士養成所への電動アマルガム練和器の設置は不要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。また、このガイドラインから外してみたらいかがか。

 また、歯科衛生士の養成所でエックス線を扱う実習については本ガイドラインに言及されていないので、もしエックス線を扱う実習などを行う義務がないならば、これも削除してもいいのではないか。若しくは、こういった実習が必要ならば、逆に、ガイドラインに記載をして、若しくは、必要がなくても、こういったものが要るということであれば、参考的な装置として記載するということもいいのではないか。

 厚生労働省の方から、いかがか、お答えをお願いいたします。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 歯科保健医療を提供するためには、今御指摘いただいた歯科衛生士の皆様の確保というのが必要不可欠でございまして、適切な施設設備などを用いて歯科衛生士を養成するということが重要なところでございます。

 今御指摘ございましたけれども、一つは、水銀汚染対策の観点から、現在、水銀が含まれる歯科用アマルガムを用いた治療、これは基本的には行われておりませんけれども、過去に治療を行った患者さんには対応できるように、器具の使用方法などについて学ぶことは一定の意義があるというふうに考えているところでございます。

 また、歯科医師がエックス線撮影を行う際に歯科衛生士が診療の補助を行うことは重要な業務の一つということでもございますので、装置の操作方法を学ぶために養成所にエックス線装置の設置を求めているという状況でございます。

 ただ、今、委員から御指摘を頂戴いたしましたけれども、そういった御意見も踏まえながら、引き続き、関係者の御意見もよくお伺いをして、時代の変化に合わせてガイドラインを見直すなど、歯科衛生士の養成が適切に行われますように努めていきたいと考えているところでございます。

空本委員 是非よろしくお願いします。

 実際、本ガイドラインは平成二十七年に定められたものであって、制定後約八年を経過しています。やはり、同時に、都道府県、こういったところが監督するというんですが、都道府県ごとにまたその監督の仕方が変わってくるということもよくないことと思います。そういった意味で、例えば、先ほどの、実習が必要ならば実習をしっかり明記するなり、それで必要な器材をしっかり明記する、逆に、実効性がないならば、そういったものを参考器具として扱うとか、そういったことの重要性もあるかと思います。

 最後に、先ほど介護人材の問題について少しお話をさせていただいたんですが、今、介護現場からは、教育、特に日本語の教育が必要であって、そこに費用をしっかりつけてほしいと。そして、これから、介護人材、日本人の方でもいいんですが、海外からの方は勤勉であるという方はたくさんいらっしゃる、そういった意味で、この介護人材を養成するための費用、こういったものを厚生労働省の方でしっかり工面してもらえないかというふうな声もあります。

 最後、これは質問通告していないんですが、大臣、いかがでしょうか。

川又政府参考人 厚労省においても、介護の関係者の日本語学習支援事業等を予算で組んでいるものがあります。来年度も要求をしておりますので、こちらの方の充実など、関係者の御意見も聞きながら、充実を図っていきたいと考えております。

空本委員 しっかりと、これから介護人材、もっともっと不足することは確実でございます。そういった意味で、日本人も一緒に、海外から来て働いていただく方も一緒に、同じレベルで活動できるようにしていただきたいと思いますので、そういった意味で、この介護人材の養成、教育、こういったものをしっかりお願いいたします。

 本日はありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。

 加藤大臣始め皆様、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、本日は独立行政法人について伺いたいと思います。JCHOから山本理事長にもお越しをいただきました。地域医療機能推進機構であります。

 このJCHOの清水さくら病院起工式が、二〇二二年の十二月二十一日、JR清水駅東口の建設予定地で行われました。山本理事長、また院長、そして静岡市長、そして不肖私も参加をさせていただきました。

 ここに至るまで、この清水さくら病院、移転場所が二転三転し、入札も不落が続き、三度目で何とか落札ができました。多くの苦労があってここまで来たという思いであります。行政の説明不足や津波浸水地域に建設するという問題についても当委員会で指摘をさせてもらい、その際には、山本理事長から、万全な体制で臨むということも答弁いただいたところであります。

 しかし、資料、新聞記事をつけさせてもらいましたけれども、先月、病院が寄附を呼びかけという静岡新聞の記事でございますが、この記事が載りました。内容としましては、建設資材の高騰で当初予算を二割オーバー、医療機器予算からこの五億円を充当することで医療機器予算が不足してしまった、この寄附を呼びかける事態に陥っているという内容でした。

 市民も、私も、この記事を見るまで知りませんでしたので、寝耳に水の話でございまして、十二月に参加をしました起工式でも、そんな話は全くありませんでした。これはいつ理事長には伝えられたのかということをお聞きをしたいと思っています。

 資材の高騰というのは、もちろん、このコロナ禍で分かります。多くの物価が上がり、資材が上がっています。しかしながら、これは十一月七日に落札したばかりでありまして、僅か三か月で予算の二割アップ、これはなかなか理解がし難い内容です。

 まず、どうしてこのような状況になってしまったのか、お伺いをいたします。

山本参考人 お答え申し上げます。

 JCHOにおいて病院を建て替える場合は、当該病院の経営状況を勘案して、病院自身が建築費用等の資金計画を立てております。この桜ケ丘病院におきましても、できるだけ赤字経営とならないように病院自身が資金計画を立て、支払いが可能となる上限額を設定して、これを本部が承認して、自己資金で不足する場合については、その額を貸付けを行うということにしております。

 この桜ケ丘病院の新病院の建て替え工事入札では、建築資材等の高騰を勘案して、病院が設定した上限額以内になるように入札を繰り返して、そして、令和四年、昨年十一月に三回目の入札で落札しました。その結果、第一回目の入札に比べて、建て替えの工事費用が約二割増加したというところでございます。桜ケ丘病院の支払い可能な上限額には医療機器の整備費用も含まれておりますために、工事費が二割増額となった分を医療機器整備費が不足することになった、こういう次第でございます。

田中(健)委員 御説明いただきました、JCHO傘下の、全国各地に病院がありますけれども、自治体の場合は、損失の場合、穴埋めができるんですけれども、そのような公立病院とは違い、御説明あったように独立採算が求められております。一方、透明性の高い企業経営を導入することが義務づけられ、民間企業からの借入れは機構法で禁止をされているということです。

 JCHOの本部からの借入れと病院ごとの積立金が新病院建設の際の財源だということも今説明いただきましたけれども、そうしますと、病院の資金計画が甘かったということになるんでしょうか。あわせて、寄附に頼るしか、市民の皆さんにお願いするしかないというのが現状なんでしょうか。お願いいたします。

山本参考人 先ほどもお答え申し上げましたとおり、JCHOにおいて病院を建て替える場合には、当該病院の経営状況を勘案し、病院自身が建築費用等の資金計画を立てているところでございます。この桜ケ丘病院においても、できるだけ赤字経営とならないように病院自身が資金計画を立て、そして支払いが可能となる上限額を設定し、本部が承認して、自己資金で不足する額の貸付けを行うこととしているところでございます。

 先ほども御指摘ございましたように、JCHOでは、法人全体かつ各病院が独立採算による安定的な運営を目指して取り組んでいるところでございまして、この桜ケ丘病院についても、経営改善による自己資金の増加や、支払い可能な上限額の見直しによる本部からの貸付金増加に向けた検討、これを、あわせて、現在お願いしている寄附金などを活用して新病院の整備を進めて、地域医療に貢献してまいりたいと考えているところでございます。

田中(健)委員 そうしますと、病院の資金計画が甘かったと言わざるを得ないんですけれども、やはり、できる前から市民に、五億円集めるというのは余りに不安定で、市民からは大変に心配をされています。私も起工式に出て、本当に、これから立派な病院ができ、地域医療を担っていただきたいという強い思いを持っておったので、是非ここを本部も力を合わせて取り組んでいただきたいと思っていますが、既に、当初、二〇二三年には竣工するということなんですが、二〇二四年十二月にもう延期がされています。この資金不足により更に完成が遅れるんじゃないかという声が地元から上がっておりますけれども、この計画の見通しというのを聞かせてください。

山本参考人 繰り返しになりますけれども、JCHOでは、法人全体かつ各病院が独立採算による安定的な運営を目指して取り組んでおります。この桜ケ丘病院につきましても、経営改善による自己資金の増加、それから、支払い可能な上限額の見直しによる本部からの貸付金増加に向けた検討、それから、あわせて、現在皆様にお願いしている寄附金などを活用して新病院を整備することとしておりまして、新病院の完成に遅れが生じることはないと考えているところでございます。

田中(健)委員 新病院、一日も早い竣工が待たれていますので、今、遅れがないと理事長に強く言っていただきましたので、是非力強く進めていただきたいと思います。

 理事長、ありがとうございました。

 関連しまして、独立行政法人、今度は国立病院機構について伺いたいと思います。

 この国立病院機構においては、看護師さんたちがサービス残業、過重労働などに耐えかねて大量退職しているという問題が、週刊誌に相次いで報道がされました。ブラック労働問題とまで指摘をされていましたけれども、一体何が起きているんでしょうか。お伺いします。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘の報道がありましたことは承知しているところでございます。

 この事案につきましては、本年二月上旬に、国立病院機構の病院において看護職員の勤務実態が労働関係法令違反の疑いがあると報道されたものでございまして、その後も類似の事案が報道されているところでございます。

 現在、国立病院機構において、継続して事実確認を行っているものと承知してございます。

 私ども厚生労働省といたしましては、これらの事実確認の結果を踏まえて、必要に応じ適切に対処してまいりたいと考えているところでございます。

田中(健)委員 是非、事実確認を急いでいただきたいと思います。

 この記事を見るだけでも、看護師の定員の問題だけでなく、古い建物や耐用年数を超えた設備の利用、サービス残業、勤務時間の改ざんというところまで記事に載っています。大変異常事態だと思っております。その中で、根本原因として載っておりますのは、国立病院機構本部によるコスト面での締めつけがあるんじゃないかという報道でありました。

 国立病院機構においては、厚労省と本部で人事交流というのが続いておりまして、経営企画部長や財務部長、主要なポストは厚労省の役人の方が占めているとのことであります。本来なら、恐らく、病院と厚労省の懸け橋になる役目だと思いますので、そのような現状があったならば、病院の現状を国に伝え、そして、その現場を守っていくというのが人事交流の、ないしはそのポストの役目ではないかと思っておるんですが、先ほど事実確認をすると言ったんですが、人事交流というのは効果が出ているんでしょうか。ないしは役目がしっかり果たせているんでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘ございましたように、厚生労働省から国立病院機構の一部のポストに出向者がいるというのは事実でございます。

 人事交流につきましては、一般的に、独立行政法人と国との間の官民を超えた有為な人材の登用などの観点とともに、公務部門で培ってまいりました知識経験の民間など他の分野での活用などの観点から行われるものでございまして、双方の組織の活性化と人材育成などに資するものというふうに承知してございます。

 当然、それぞれのポストによって役割は違うわけでございますけれども、それぞれのポストに応じて期待される役割を的確に果たすということが求められるというふうに考えているところでございます。

田中(健)委員 役目を果たせていないということですね、それでは。経営企画部長はやはり病院の経営を企画するところでありますし、財務部長はお金を握っておりますので、その現状が分からないはずないわけであります。

 実際、働いている看護師の皆さんを始め病院の方も、事務所に来ていただきましてお話をお聞きをしました。今の現状は限界を超えている、このままでは患者さんの安全や命を守れないという悲痛な声をお聞かせいただきました。報道では、昨日、三十一年ぶりに看護師の皆さんを中心にストライキを行って、労働環境の改善を訴えたということも拝見しました。

 これまで話を聞いて、どのように看護師や人材不足を確保し、医療現場を守っていくのか、大臣の考えがありましたらお聞かせいただければと思います。

加藤国務大臣 今委員御指摘のことについては、国立病院機構においても事実関係等について確認等の作業を行っているということであります。

 国立病院機構においては、医療現場を守り職員を確保していくために、令和四年十月の診療報酬改定に基づく看護職員の手当の引上げのほか、本年三月の臨時特別一時金の支給、四月の若年層の基本給の引上げ等処遇改善に取り組んでいるものと承知をしております。

 こうした処遇改善をしっかり進めていただきつつ、先ほど申し上げました今回の事実確認の結果、どういった対応が必要なのか、必要なものが出てくればそれに応じて対応していきたいと考えています。

田中(健)委員 大臣に御理解をいただいたということで、是非、事実確認を急いでいただきまして、改善に努めていただければと思っています。

 これで独立行政法人の質問を終わります。山本理事長、ありがとうございました。お忙しい中、失礼いたします。

 続きまして、コロナ禍での医療、介護、また、高齢者施設をめぐる問題についてお聞かせをいただきたいと思います。

 コロナ禍で立会い出産や出産後の面会が制限されている家族というのが大勢いることが明らかになってきています。昨年の調査ではありますが、日本産婦人科学会が行ったアンケートで、妊娠中や出産後の支援に関して、感染症対策を理由に中止をしているという医療機関が多数に及ぶことが分かりました。出産後の家族面会の中止は七七%、また、立会い出産の中止は六三・二%であります。

 この立会い出産、面会制限、さらには生まれた後の母子分離について、これまで厚労省はどのように考え、指導をしてきたのか、また、ちょうど二類から五類に変わるということでありますけれども、これによって対応はどう変わっていくと考えているか、お聞かせください。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘いただきましたように、コロナ禍におけます分娩時の立会い、あるいは面会、あるいは母子分離などの制限につきましては、厚生労働省といたしましては、母子及び医療スタッフの方々の安全とそれから医療提供体制の維持を念頭に置きながら、新型コロナウイルス感染症診療の手引や事務連絡を発出をいたしまして、各医療機関において個別に判断されているというふうに承知をしているところでございます。

 五類に移行した後も、引き続き、感染対策に取り組みながら、妊婦や御家族の心身の健康を考慮して、妊婦の方々が安心して分娩できますように、関係学会や現場の声もよくお伺いしながら情報発信を行っていきたいというふうに考えているところでございます。

田中(健)委員 その個別に判断というのが、やはり問題が起きているんじゃないかと言われているところであります。

 私の友人もちょうど二週間前、三週間前でしょうか、赤ちゃんが生まれまして、しかしながら、旦那さんは病院にも行けず、また、もちろん立会いもできず、窓越しに赤ちゃんを見ることもできず、退院してようやく対面ができたという報告がありました。彼から言えば、コロナ洗礼だというふうにも言われました。

 諸外国では、誰と一緒にお産をするのかを決めることは女性や家族の権利として尊重をされています。立会いによってお産の介入が減り、より安全になり、満足度も上がっているというエビデンスも海外で出ています。日本ではこれらが付加的なサービスと捉えられまして、妊娠、出産における前向きな、ポジティブな経験をする権利というのが余りに軽視されてはいないかと考えています。

 この日本産婦人科学会の調査によりますと、昨年五月時点で、感染して二週間未満に出産した母親の九三%が赤ちゃんから隔離をされたということです。これも記事を添付させてもらいました。

 特に、誕生後の母子分離というのは、その後の母乳育児や女性の精神状況、また親子関係にもマイナスが及ぶとされております。

 その中で、妊婦さんの現状調査、国がやった中で、コロナ陽性女性の帝王切開、この帝王切開率が、第四波が六四%、第五波では五〇%、減ったのでありますが、第六波でもう一度上がり六七・五%、第七波で五一%という報告がありました。厚労省の発表、全国平均は、帝王切開、二〇%ですね。これを大きく上回っています。

 この現状をどう認識して、また、これまで対応されてきたのか、伺います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘ございましたように、日本産婦人科医会で新型コロナウイルス陽性の妊婦さんの出産方法について調査をいたしましたところ、約六八%がコロナ感染を理由とした帝王切開で出産したという報告がございまして、今御指摘いただきましたように、出生数に対する帝王切開率二一・六%でございますので、これを大きく上回っているという状況でございます。

 一般的に、分娩の方法につきましては、各医療機関において、医学的観点などを踏まえて、また、妊婦さんの方々ともよくお話をした上で決められているものというふうに承知してございます。

 厚生労働省といたしましては、二〇二〇年十二月以降、ホームページにおきまして一般の方向けのQアンドAをお出しをしておりますが、その中でも、妊婦が新型コロナウイルスに感染している場合、感染を理由に帝王切開を行わなければならないということはないということ、また、妊婦の全身状態などを考慮し、分娩時間の短縮が必要と判断される場合は帝王切開となる場合もあるということを周知をしているところでございます。

 私ども厚生労働省といたしましては、新型コロナウイルス感染症かどうかにかかわらず、全ての妊婦の方々に対して安全で適切な周産期医療が提供できますように、引き続き、関係学会や現場の声を伺いながら取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

田中(健)委員 海外においては、WHOは、コロナ陽性という理由で帝王切開すべきでないと明確に言っておりますし、帝王切開が女性から赤ちゃんへの感染のリスクを減らすというエビデンスもありません。帝王切開で手術室が使われて、さらに、入院の日数も多くなりまして、さらに、それによって関わるスタッフというのも増えますので、医療者への感染リスクというのも高くなって、医療資源も余計に使っているという指摘もあるほどであります。

 さらに、一度帝王切開しますと、次のお子さんも帝王切開になる施設というのが多いということで、妊娠、出産を含め、母体への負担も大変に大きくなっています。

 是非、これまでの方針は、原則的に帝王切開にすることはやむを得ないというところから、そうでない対応にQアンドAで変えたということでありますが、専門家と連携をしながら進めていっていただきたいと思います。

 この新聞記事にもありますように、日本産婦人科学会の常務理事のお話が載っています。これまでは医療体制の維持が優先され、妊婦さんの視点が反映されていなかった、感染対策を工夫して経膣分娩を進めた施設の経験を広めていく段階だという、今ちょうどその段階にあるかと思っていますので、是非、正しい認識と、また情報発信と理解を努めていただければと思っています。

 その中で、先ほどまでの中でも、個別に判断とか、産婦人科に委ねる、任せるという発言があったんですが、これまで厚労省というのは、産婦人科のお医者さんに権限を委ねていたというのがあります。今回のコロナ禍の対応がばらばらであったのもそうではないかという指摘があります。

 実際、出産をする女性というのは、調べようにも不可能で、選択肢がなかったという声が上がっています。お産の際に選択できるように、各病院がお産に関わるデータというものを公開して、そして、それをしっかりと私たちが知ることができるということが必要かと考えますが、まずそれについて伺いたいと思います。

 同時に、夫や家族の立会いについても、先ほどありました、各分娩機関に御確認くださいということがQアンドAには書かれていますけれども、制限というのはなるべく最小限にして、そして、国際基準、立会いについても、国際的には、それが大変に親子関係を高めるためには必要だということも言われていますので、是非こういったことを厚労省が率先して発信をしてほしいと思っておりますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 コロナ禍における分娩時の立会いや面会、母子分離などの制限について、各医療機関において判断をされており、妊娠期間中に新型コロナの感染状況が変化する中で、例えば、感染拡大時には医療機関の判断で急遽面会を制限するといった、妊婦が事前に想定していない対応が行われるといったこともあったのではないかと考えております。

 厚労省としては、妊婦が、分娩の立会いや面会の方針など、医療機関を選択する上で必要な情報をより得られやすくなるよう、医療機関に働きかけていきたいと考えております。

 また、新型コロナを理由にした制限について、厚労省としては、面会については、産科に限らず、患者や家族の気持ちに配慮して対応することを医療機関に求め、院内感染対策に留意した面会の事例の周知、講習会の実施、また、母子同室については、妊産婦が新型コロナに感染している場合の授乳方法についての周知などを行っているところでございます。

 引き続き、関係学会の意見も踏まえながら、コロナ禍における分娩について、それぞれ、妊婦またその家族の方々の思いもしっかり受け止めながら、必要な働きかけを行っていきたいと考えております。

田中(健)委員 そもそも、コロナだからというよりも、コロナ前から対応がばらばらで、根拠のない介入が多かったという指摘もあります。このコロナ禍でよりそれが鮮明に、クリアになったということも言われています。是非、今回の提出法案の中にも、出産一時金の増額に伴って、全ての病院が出産費用の公開ということもこれから進めていく、調整をしていくということであります。これについてはまた法案審議の中で詳しく議論をさせていただきたいと思いますが、やはり、母子にしっかりと寄り添って、そして、やはり子供を産むというのは一人で大変に孤独なことだと思いますので、そういったことに寄り添うような体制を是非つくっていただきたい、大臣にお願いをさせていただきたいと思います。

 引き続き、次に移ります。

 高齢者の施設においてであります。

 介護、高齢者施設をこの間回っていますと、様々な声をお聞かせいただきます。

 先ほども大臣から、コロナが二類から五類変更になった場合もコロナがなくなるわけではないという発言がありましたし、また、先ほど中島議員の中にも、高齢者施設というのはゼロコロナだ、一人も出してはいけないという大変厳しい状況にいるという議論がありました。私も、施設を回っていますと、これからも高齢者施設というのは、コロナを一人も出さないように、まさにこれまでと同じように対策を続けていかなきゃならないというふうにお話をおっしゃっていました。

 一方で、これまでそれだけの対応ができたのは、衛生用品や職員の人件費等が国からかなり財政的にも援助をいただき、また支援をいただき、それによって力を合わせてきた、感染症対策をしてきたというふうに言っています。つまり、財政的な支援がないと感染症対策が継続できるかというのが分からないという懸念を抱えながら毎日過ごしているということであります。

 これまでは、地域医療介護総合確保基金で感染症対策や人材支援を続けてきたと思いますが、今後どのような対応を考えているのか、伺います。

加藤国務大臣 まず、これまでのこの委員会での議論もそうであるように、高齢者施設に入所されている方は非常に重症化リスクも高いし、これまでもクラスター等も発生をしてきたところでございます。そうしたことをしっかり念頭に置きながら、コロナの感染予防、また感染拡大防止を徹底しつつ、利用者に対して高齢者施設が必要なサービスを安定的、継続的に提供していただくことが必要であり、それを前提に支援を考えていかなきゃならないと思います。

 これまで、高齢者施設については、緊急時の人材確保や施設の消毒、清掃に要する費用等の補助、また、高齢者施設等に医療従事者を派遣する際の派遣元医療機関への補助、施設内療養を行う場合の補助など、様々な支援を実施をしてまいりました。

 現在、位置づけ変更後についての各種対策、措置の在り方については、今、内容の検討、調整をしているところでありますけれども、今申し上げた高齢者施設の持っている役割また状況、そうしたことをしっかり踏まえて内容を固めていきたいと考えております。

田中(健)委員 今大臣から、各種様々なこれまでの財政的支援の説明がありました。やはり、今後どうなるかという不安な施設の皆さんが多い中でありますので、一日も早い対応、また指針を出していただきまして、安心して高齢者施設が運営できるように御支援いただければと思っています。

 一方、今度は人材の方であります。

 先ほど空本議員からもありました。介護、高齢者施設の人材不足というのは大きな課題であります。政府も、介護職員の処遇改善、これに力を入れてくれまして、私たちからも処遇改善に対するお願いをしてきたところでありますが、コロナを経ても人材不足というのは解消のめどが立たず、このまま推移をすれば、二〇二五年には三十七万人が不足をするということが言われています。その中での外国人労働者の活用をどのように進めていくかということについて伺います。

 令和五年度予算では、外国人の介護人材受入れ環境整備事業の拡充ということが載っておりますが、介護業界においては、外国人技能実習生を雇用できるのは介護保険事業者のみであります。外国人技能実習生については、先ほど議論がありまして、様々な課題があり、今検討をしているということですが、国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野において外国人を受け入れる特定技能制度、これを、今認められていない訪問介護や、また住宅型の老人ホーム、高齢者施設等に、人材が不足をしている業種にも拡大をしていくということを考えられないかと思っていますが、政府の見解を伺いたいと思います。

川又政府参考人 お答えします。

 介護人材の確保につきましては様々取り組んでいるところでありまして、外国人労働者の活用も非常に重要であると考えております。

 具体的には、奨学金の給付、資格取得などの、介護福祉士を目指す外国人への学習支援、あるいは地域住民との交流、日常生活の相談などの生活支援などを実施をしております。

 御指摘の、技能実習生あるいは特定技能外国人の訪問介護、有料老人ホームでの従事に関する御指摘につきましては、検討すべき課題であるというふうに認識をしております。

 現在、技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議におきまして、制度の在り方全般に係る議論が行われておりますので、その議論の状況も踏まえ、今後の外国人介護人材の活用につきましては、介護現場の実情あるいは関係団体等の御意見も伺いながら対応してまいりたいというふうに考えております。

田中(健)委員 こちらも、現場は待ったなしの現状が続いておりますので、引き続き検討をしていただきまして、方向性というものを示していただければと思います。

 時間がありません。最後、一問お伺いします。労働者各々、学び、学び直しについて伺いたいと思います。

 今国会は、私たち、賃上げ国会と位置づけてまいりまして、予算においても、賃上げ、人材活性化、労働市場強化ということで、パッケージで様々な対策をしてくれております。その中で、教育訓練給付金制度について伺います。

 概要についてお聞きしようと思いましたが、概要は飛ばさせてもらいまして、その中で、これは人材確保や人材育成にもつなげていく必要があるということで、専門実践教育訓練、これに多くの講座が入っておりますが、新しい、どんどんとできたものを入れていってほしいと思っています。

 例えば、昨年五月、道路交通法の改正によって、受講すれば資格要件が引き下げることができる受験資格特別講習、十九歳で、大型、中型また二種免許を取れるという制度なんですけれども、やはり今、二〇二四年を抱える運輸業界においては、これを活用して一人でも多くの人材を確保しようということを言っています。

 この受験資格特例講習はまだ教育訓練給付金制度に入っておりませんので、是非、準中型の運転免許教習と併せて対象とすることで、人材確保また運転者不足解消につなげていけないかと思いますが、見解を伺います。

奈尾政府参考人 お答え申し上げます。

 第二種免許や大型免許、中型免許につきましては、労働者の速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する資格でございますので、その取得を目指す教習は、教育訓練給付制度におきまして、特定一般教育訓練それから一般教育訓練の講座として指定されてございます。

 御指摘の受験資格特例教習を組み込んだ大型免許等の取得を目的とする講座でございますけれども、特定一般教育訓練や一般教育訓練の指定基準を満たす場合には、講座指定を受けることは可能でございます。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 是非、それを活用して、多くの人が資格試験に臨めることを進めていきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 まず、グーグルの解雇についてお伺いをしたいと思います。

 グーグルは、全社員の六%を超す約一万二千人を解雇すると発表し、日本でも労働組合が結成されております。報道を見ますと、育休や病気休業中の人がターゲットになっている可能性もある、こういうことも言われております。

 日本法人が労働者に送っている退職パッケージを見ますと、形式的には退職勧奨ですけれども、親会社が公表している方針を考えれば、事実上の指名解雇ではないかと労働組合は見ているそうです。

 大臣、解雇は合理的な理由がなければ認められず、手続の面でも、労働組合との協議なしで解雇を進めるなどは認められないのではありませんか。

加藤国務大臣 今、グーグルという話でありましたが、個別事案については差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げれば、退職勧奨という名目で行われるものであっても、労働者の同意を前提としない使用者による一方的な労働契約の解約、これは解雇に該当するわけであります。

 その上で、最終的に司法において個別の事案ごとに判断されることとなりますが、その解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、無効となる。

 また、使用者の整理解雇の有効性についても、最終的には司法判断となりますが、これまでの裁判例を参考にすれば、実際に整理解雇を行うに当たっては、労働組合との協議や労働者への説明、人員削減を行う必要性、できる限り解雇回避のための措置を尽くしているのか、解雇対象者の選定基準が客観的、合理的であるかなどについて慎重に検討していただくことが望まれるところでございます。

 厚労省としては、労働契約法に照らし問題のある事案を把握した場合には、都道府県労働局において適切な啓発指導等を行っているところでございます。

宮本(徹)委員 労働組合との団交には応じると日本法人は言っているそうでございますけれども、先ほど大臣からお話があったとおり、合理的理由なしの解雇は認められませんので、厚労省には、しっかり指導監督することを求めておきたいと思います。

 続きまして、裁量労働制についてお伺いいたします。

 配付資料の二ページ目と三ページ目につけておりますが、二ページ目は経団連の経労委報告、三ページ目は日経の記事ですけれども、いずれも昨年末の労政審での審議の結果を書いているわけですけれども。そこで、二〇一八年の働き方改革関連法案制定時に、法改正で対象拡大しようとしていた二類型、PDCA型業務と課題解決型開発提案業務について、現行の規定においても対象業務となり得るんだとか、法改正なしで、既存条文の再解釈と弾力運用によって認められることになった、こんなふうな記述があるわけですね。

 大臣、二類型のこの業務が法改正なく裁量労働制の対象となり得るというのは、全くの事実誤認じゃないかと思うんです。厚労省として、責任を持って是正のための周知啓発をすべきじゃないかと思いますが、いかがですか。

加藤国務大臣 今御指摘があったのは、働き方改革関連法案に当初盛り込まれ、その後削除された企画業務型裁量労働制の対象業務の追加についてということだと思いますが、これについては、法律改正が必要でありますので、現行規定の解釈変更によって対応できるものではないというふうに認識をしております。

 なお、この点については、労働政策審議会においても、本年二月十四日に改めて公労使で確認をいただき、明確になっておるところでございます。

 引き続き、関係者から疑義があった場合に、現場の労働基準監督署で説明する等、適切な対応を図ってまいります。

宮本(徹)委員 経団連の経労委報告というのは、ある意味、それを見て使用者の側も、ああ、こういう働き方だったらいいのかということで見る指針ですからね。そういうものが全く誤解に基づいて出されているというのは、本当に社会に対する影響も深刻だと思いますので、しっかり是正していただいて、本当に、法改正なしで裁量労働制が広がる、こんなことがないようにしていただきたいと思います。

 その上で、もう一方で、法改正なしに、今回、厚労省は、告示だけの改正で金融機関のMアンドA業務を専門業務型裁量労働制の対象に加えようとしております。これについては、金融機関のMアンドA業務というのは外延が不明確ではないか、あるいは、業務の遂行方法は他の事務系労働者と変わらない、こういう指摘がなされているわけです。こういうまま裁量労働制拡大ということになれば、濫用されて健康を脅かされる労働者が増えるのではないかと大変懸念をしております。

 元々、二〇一八年の働き方改革関連法案では、裁量労働制の拡大は削除されたわけですよね。大臣、国会での審議を経ないで対象を拡大するというのはやめるべきじゃありませんか。

加藤国務大臣 裁量労働制については、専門家による検討を経て、また総務大臣の承認を得た統計調査として裁量労働制実態調査を実施し、この結果も踏まえて、今般、労働政策審議会において精力的に御議論いただいたものであります。

 御指摘のMアンドAに関する業務については、労働政策審議会において、業務の遂行に必要な高い専門的能力が必要かなどの業務の性質、業務命令の在り方、その他業務の遂行方法といった観点から丁寧な議論が行われ、専門業務型裁量労働制の対象にふさわしいということで公労使で合意されたことを踏まえて対象に追加されたものと認識をしております。

 当該業務の裁量労働制の対象業務への追加は来年四月から施行することとしておりますが、まずは施行に向けて、改正内容についてしっかり周知するとともに、施行後においても制度の運用が適切になされるよう、労働基準監督署において必要な監督指導等を行ってまいる所存であります。

宮本(徹)委員 労基署で適切な指導監督をやっていくというふうにおっしゃいますけれども、裁量労働制というのは、もう本当に、本来の趣旨を逸脱した濫用的な運用というのが蔓延しているわけですよね。

 現場の労働基準監督官からも、裁量労働制については、要件の厳格化、適用範囲の明確化、縮小が必要だという声が上がっているんですね。全労働省労働組合が実施した労働基準監督官アンケート、一千五十三人が答えていますけれども、そういうアンケートの中でも、ちゃんともっと適用範囲を明確化していかないと自分たちも困るということが、現場の皆さん、職員の中からも出ているわけですよ。

 にもかかわらず、そういう明確化だとかをやらずに適用範囲を拡大していくというのは、大変まずいと思いますよね。是非、裁量労働制については現場の監督官の皆さんからの意見も大臣には聞く機会を設けていただきたいと思いますが、いかがですか。

加藤国務大臣 現場の声、まさに組織全体の中でそれぞれ担当、担当が聞かせていただいているところでございますし、そうしたことも踏まえながら、こうした監督行政を進めさせていただいております。

 なお、本件に関しては、先ほど申し上げた労働政策審議会においても合意もいただいたということでございますので、本件も含めて、制度の運用が適切に行われるよう、引き続き必要な監督指導等が行われるよう対応していきたいと考えております。

宮本(徹)委員 必要な監督指導をするためにはもっとやらなければならないことがあるということを、現場から指摘があるということを申し上げておきたいと思います。

 続きまして、八王子にあります滝山病院についてお伺いをいたします。

 先ほど小川委員も取り上げられましたけれども、滝山病院で看護師が暴行容疑で逮捕されました。滝山病院では、日常的な暴言、暴力、床擦れで骨まで露出するようなことが起きているわけですね。必要な治療、ケアを行っていないのではないのか。あるいは、僅かな血液検査の異常値も心不全と診断して過剰に抗凝固薬を投与するなどの過剰な医療提供、看護記録等の捏造、カルテに指示のない身体拘束、異常に高い死亡退院率などなどが報じられているわけでございます。

 大臣、これは徹底的な調査が必要なんじゃありませんか。

加藤国務大臣 今回の事案、精神病院等でこうした事案が発生しているということは甚だ遺憾なことでございます。

 その上で、東京都において精神保健福祉法及び医療法に基づく立入検査等の対応が現在行われておりますので、そうした東京都の対応をしっかり見据えつつ、連携を密に図りながら実態把握を早期に行い、その上で適切な対応を取りたいと考えております。

宮本(徹)委員 先ほど小川委員からも指摘がありましたけれども、患者側の弁護士は診療報酬を不正に請求している疑いがあるということで病院の保険医登録の取消しを求めておりますが、こうした角度でも当然調べる、調査するということでよろしいわけですね。

加藤国務大臣 診療報酬の不正請求について、個別の事案についてお答えするのはこれまでも差し控えさせていただいておりますが、一般論ということにもなりますけれども、病院における診療報酬の不正請求が判明した場合は健康保険法に基づいて厳正に対処することとなります。

宮本(徹)委員 ちなみに、この間、診療報酬の不正な請求は滝山病院はなかったんですか。

三ッ林委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

三ッ林委員長 速記を起こしてください。

 加藤大臣。

加藤国務大臣 先ほど申し上げたように、個別の事案についてお答えすることは差し控えたいと思いますけれども、一般論として申し上げたように、病院における診療報酬の不正請求が判明した場合には健康保険法に基づいて厳正に対処するということであります。

宮本(徹)委員 これだけの問題になっているわけですから、しっかり、これは国民に対しても、どういう事態があってどこまで厚労省が把握しているのかというのは明らかにされた方がいいと思います。

 そして、この精神科病院の指導監督に当たるのは都道府県ということになっているわけですけれども、長期にわたる虐待というのが疑われているわけです。東京都は、昨年五月以降、四回調査したといいますけれども実態は把握できなかった、こう述べていたわけですね。

 大臣は、この滝山病院について、東京都の指導監督が十分に機能してきた、こういう認識でしょうか。

加藤国務大臣 今回の事案については、現在、東京都が立入検査等の対応を進めていることでありますので、その詳細について申し上げることは差し控えたいと思いますが、一方、東京都も含め都道府県は日頃から精神科病院の指導監督等を実施しているわけでありますけれども、そうした中でも虐待事案が発生をしております。

 虐待行為が潜在化しやすいことを踏まえた対応が必要であり、二月十七日には、虐待が強く疑われる緊急性が高い場合などは予告期間なしに、ちゅうちょなく速やかに指導監督等を行うよう、改めて都道府県に周知をしたところでございます。

 また、改正精神保健福祉法において、令和六年四月から、虐待を発見した人には都道府県に通報する義務が生じるわけでありますが、改正法の施行に向け、精神科病院の虐待防止措置に係る取組をしっかり進めるとともに、施行までの間においても、虐待の防止、早期発見、再発防止に向け、自治体ともよく連携をして対処していきたいと考えております。

宮本(徹)委員 関係者の皆さんは、やはり都道府県の指導監督機能が明らかに機能していないと口々に指摘されていらっしゃいます。精神科病院の虐待はこの数年でも繰り返されているわけですよね。どうすれば指導監督機能がちゃんと発揮されるのかというのを真剣に考えなければならないというふうに思います。

 基本的に都道府県は年一回は検査をするわけですけれども、予告してから行くわけですよね。滝山病院の場合は、報道を見ていましても、検査の前に拘束具を隠していた、こういう元職員の証言が出ております。

 私も、滝山病院に監査に入ったことがある医師に聞きました。ですけれども、あのような暴力があることを見抜けなかったと述べておられました。

 国の通知を見ると、入院中の者に対する虐待が強く疑われる緊急性が高い場合等については予告期間なしに実施できることとありますが、法律上適正を欠く等の疑いでは、最長でも一週間から十日間の予告期間で行うということになって、法律上の適正を欠く疑いがあっても予告して行くのが前提のようになっているわけですよね。これでは、滝山病院のように、虐待だとか、あるいは、医師の指示がない拘束だとかそういうのをやっているということを隠すということが、予告することによって起きてしまうわけであります。

 ですから、予告なしの立入検査をもっと入れるようにする、こうしたことも含めて、都道府県の指導監督がしっかり機能するようにしなきゃいけないんじゃないでしょうか。

加藤国務大臣 精神保健福祉法に基づき、都道府県知事は、必要があると認めるときは、精神科病院の管理者等に対し、報告徴収また立入検査等を求めることができるとされており、これはまさに都道府県の判断ではあります。

 ただ、厚労省としては、虐待行為の早期発見、再発防止に向けて、虐待が強く疑われる緊急性が高い場合等は予告期間なしに指導監督を行うよう、その通知を令和三年に改正をしております。また、本年の二月十七日には改めて、こうした場合には、ちゅうちょなく速やかに行うよう都道府県に周知をしたところであります。

 今後、今般の事案の実態把握なども踏まえて、必要な場合に都道府県等が予告期間なしに、ちゅうちょなく速やかに指導監督を行うよう、更に周知徹底することも含めて、必要な対応を検討したいと考えております。

宮本(徹)委員 今の答弁は、必要な場合、予告期間なしに入れるということで、今のルールよりももっと予告なしで入れるようにしようという方向だということでよろしいですね。

加藤国務大臣 元々令和三年の改正で、それまでは場合によっては予告なしに実施とされていたものを、入院中の者に対する虐待が強く疑われる緊急性が高い場合などについては予告なしに実施というふうに書き直し、ちゅうちょなく速やかに行うよう、改正をしたわけであります。

 そして、それを今年の二月にも申し上げたところでありますが、その上において、今回の実態把握も含めて、速やかに監督指導が行えるよう、更なる周知徹底も含めて、どういう対応が必要か検討したいということでございます。

宮本(徹)委員 今の、やはり、虐待が強く疑われるというのと、法律上適正を欠く疑いとの、この二つのランク分けがされているわけですけれども、強く疑われるよりも、やはり何らかの疑いがあったら入らないと、予告なしで入れるようにしなければ、ちゃんとした立入検査ということにならない。相手は隠してしまうというように思いますので、もっと予告なしで柔軟に立入検査ができるように、できるというか、しなければならないというようにしていただきたいと思います。

 あわせて、国の通知を見ますと、法律上極めて適正を欠く等の疑いのある精神科病院に対しては、国が直接実地指導を実施することもあり得ることと書いているわけですね。滝山病院に対して、国は立入検査をすべきじゃありませんか。

加藤国務大臣 まず、精神保健福祉法に基づく国による精神科病院の立入検査は、都道府県の実地指導の状況を検証するために定期的に行うものを除き、基本的には行っていないところでございます。

 今回の事案については、現在東京都が立入検査等の対応を進めているところであり、厚労省としては、東京都と連携を図りつつ、実態の把握に努めていきたいと思います。

 精神科病院への実地指導については、今委員御指摘のように、精神保健福祉法では、都道府県及び国に権限があるとされておりますが、実地指導は原則的には都道府県が行うことにしており、国による直接の実地指導は広域にわたる問題等、特に必要がある場合に特例的に実施すべきものとして整理をさせていただいています。

宮本(徹)委員 国の通知は、広域的というふうには書いていないんですね。法律上極めて適正を欠く等の疑いがある精神科病院ですから、法律上極めて適正を欠く等の疑いがあると滝山病院については思うんですけれども、この通知の書き方に、書きぶりに滝山病院は合致しているんじゃありませんか。

加藤国務大臣 今申し上げたように、通知において、基本的には都道府県知事においてこれら監督権を発動するものであること、なお、これらの規定により、厚生労働大臣の監督権は、広域にわたる問題等特例的な場合に限り発動するものであると記載をされているところであります。

 現時点においては、まず、東京都と連携を図りながら実態の把握を行いたいと考えています。

宮本(徹)委員 通知には、特例的ということに、広域ということは書かれておりません。

 都道府県の指導監督がしっかりと機能していればもっと虐待は防げるわけですけれども、それはなかなかやはり機能し切れていない、何度もあちらこちらで深刻な虐待事案が繰り返されている、こういうことを踏まえれば、じゃ、虐待防止に対して国はどう責任を果たしていくのかというのをもっと真剣に考えなければならないというふうに思います。

 その上で、もう一点お伺いします。

 滝山病院の朝倉院長は、〇一年の朝倉病院事件で保険医の指定が取り消されております。なぜ、また院長になれたのかという疑問が湧き起こっているわけです。

 法律では、保険医の登録について、申請者が保険医又は保険薬剤師として著しく不適当と認められる者であるときは登録をしないことができるということになっているわけですね。

 朝倉院長の再登録の際、厚労省はどのような指導をしたのか、再登録の判断は妥当だったのか、再登録の判断を厳格化する必要があるのではないのか、お答えください。

加藤国務大臣 保険医の登録を取り消された医師から再登録の申請があった場合、健康保険法上、申請者が保険医の登録を取り消された日から五年を経過しない者であるとき、申請者が禁錮以上の刑に処せられて刑の執行を終えていないとき、申請者が保険医として著しく不適当と認められる者であるときは保険者の登録をしないことができるとされており、こうした事由に該当しない場合は、健康保険法の規定に基づき、保険医の登録を行うということになります。

 今委員から御指摘があった、申請者が保険医として著しく不適当と認められる者であるときについては、局長通知において、取消処分を逃れるために保険医等の登録を辞退し、その後しばらくして登録申請をしていたとき、保険医等の登録取消しを二度以上重ねて受けたときに該当する場合であると示しており、その場合には、地方社会保険医療協議会の協議を経た上で、再登録を拒否することが可能となっております。保険医の登録については、こうした法令、また通知等を踏まえて対応しているところでございます。

 現状においては、現行の健康保険法において、取消しから五年を経過した者や該当する刑の執行を終える者に再登録の機会が認められる趣旨を踏まえて、こうしたような対応となっているというふうに承知をしております。

宮本(徹)委員 その局長通知は私もいただいて見ているわけですけれども、その二項目に該当しなければ、五年たてば再登録をしてしまう、これでいいのかと。著しく不適当と認められる者という場合に、もっと私は厳格に見なければ、今回のように、同じような事態が繰り返されるということになってしまうんじゃないかと思うんですね。

 ですから、これは再登録の判断基準を検討する必要があるんじゃないでしょうか。

加藤国務大臣 先ほど申し上げたように、現行の健康保険法においては、取消しから五年を経過した者や該当する刑の執行を終えた者についても再登録の機会が認められているわけでありますので、単に保険医の指定を一度取り消されたからといって保険医の対応をする場合の基準を厳格化するというのは、そうした法の均衡からして、いろいろ課題があるというふうに認識をしております。

宮本(徹)委員 何らかのルールをやはり厳格化しなければ、同じようなことが繰り返される。今回、もし取消しということになった場合、五年後またということも、ああ、二回取り消すというのは、それはないわけでしたけれどもね。ですけれども、二回目までを認めちゃうということになっているわけですから、そこはしっかり、私は判断基準を厳格化をすべきだと思います。

 最後の質問に行きます。

 今日も議論になっております健康保険証の廃止についてです。

 今回、健康保険証を廃止して、マイナ保険証を使わない方には資格確認書なるものを発行するというわけですけれども、この資格確認書だと窓口負担が増えるというわけですよね。

 マイナンバーカードの取得は任意なわけですよ。任意であるにもかかわらず、マイナ保険証の普及を後押しするために、マイナ保険証を利用しない者には医療費の負担を増やす、こういう事実上のペナルティーを設けるというのはおかしいんじゃありませんか、大臣。

加藤国務大臣 診療報酬において、オンライン資格確認を導入した医療機関であって、患者に対し、薬剤情報、特定健診情報、その他必要な診療情報を取得、活用して診療を行う医療機関、これは加算の対象となっております。こうした医療機関では、このオンライン資格確認のシステムを通じて様々な情報を入手し、それを踏まえて、例えば重複投与とか禁忌等の回避等々含めて、患者にとってより質の高い医療の提供が行われる、それを評価するものであります。

 この加算において、患者がマイナンバーカードを健康保険証として利用した場合には、オンライン等で患者情報を確認できる、そして問診等の業務負担が減るわけでありますが、カードを利用しない場合においては、そうした意味で問診等を行わなきゃならないといった業務負担が増加をするということでございまして、それらを踏まえて、診療報酬上の加算について二段階の仕組みをしているということで、単にマイナンバーカードを使っているか使っていないかということではなくて、そうした加算を行う診療の対象においてどういうコストがかかっているのか、それらも踏まえて二段階の仕組みにさせていただいているところでございます。

宮本(徹)委員 そうおっしゃいますけれども、資料八ページ目、一番後ろに、この加算を取るための問診票のひな形、厚労省のホームページにあるものを取っておきましたけれども、この問診票に沿った情報を取れば加算になる。マイナ保険証で情報取得できるものがこの中に幾つもあるので、マイナ保険証から情報取得した場合に比べてマイナ保険証じゃない場合は手間がかかるからということで診療報酬が高いわけですけれども、普通、元々、診療報酬というのは、よりよい医療を提供する場合に加算を設けるわけですよね。

 それを、手間が増えるからということで加算をつけるというのは、そもそもの診療報酬の在り方としていかがなものかというふうに思いますし、それから、先ほど別の委員の方の指摘もありましたけれども、オンライン資格確認を導入していない医療機関では、これと同じ問診票で情報を集めても何の加算もつかないということになるわけですよね。ですから、診療報酬の運用としてもでたらめだと思いますよ。本当に、ただペナルティーとして、マイナ保険証を取らない人には負担をかぶせるというものになっているんじゃないかと思います。

 さらに、今回、健康保険法の改正で導入される資格確認書は、有効期間が一年が上限で、毎年毎年交付申請の手続が必要となるわけです。今、国民健康保険は、保険証、二年か一年に一回、自動的に送付されます。被用者保険は、通常は就職時に保険証が交付されて、毀損しない限り同じものを使い続けることが可能なわけですね。

 これも結局、マイナ保険証を使わない方に対しては、毎回毎回申請しろと、従来にない負担をかけるということになっているわけですけれども、これもやはり、マイナ保険証を使わない者に対するペナルティーということで設けるわけですか。

加藤国務大臣 今回、資格確認書を申請により発行する仕組みとしているわけでありますが、資格確認書を必要とする事情がカードの紛失など様々であるため、本人の申請に基づいて、都度都度、確認をしながら保険証を発行することが必要だということで、一年ごとに又は本人の申請によって発行する、こういう仕組みにさせていただいているところでございます。

宮本(徹)委員 今ならば自動的に送付されてくるわけですよ。マイナ保険証を使わないという方には、今までどおり自動的に送付すればいいだけじゃありませんか。なぜそれがやれないんですか。本当に嫌がらせみたいなことをやっていますよ。とんでもないということを申し上げて、質問を終わります。

三ッ林委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文です。

 本日最後の質問です。今国会では初めての質問になります。加藤大臣、そして関係者の皆様方、よろしくお願いします。

 まず、コロナのことについてお尋ねします。

 皆さん誰も、この三年余りコロナ禍が続くと思っていなかったと思いますが、今日は、私はまず、予算委員会でも申し上げたんですけれども、この間、七万二千人の犠牲者というか、コロナでお亡くなりになられた方も出ましたし、多くの人、そしてお金もつぎ込まれました。そして、社会も経済も大きく傷み、そして、多くのことを逆に言えば学んだと思います。

 そういう中で、今後起こり得るこういったパンデミックも含めた有事に対して、検証しておくということは非常に重要でございまして、その中で今日は、お手元の資料にあります、特に新型コロナウイルスに対するワクチン及び治療薬、それを二つ合わせると一兆円以上もつぎ込んでいますが、このコロナワクチンの開発について加藤大臣にお尋ねしたいと思います。

 今、私も昨年のこの厚労委員会でも質問したんですけれども、RアンドD、ワクチンの開発というのは一朝一夕でいかない、非常に難しい、そして、日本が創薬する上で、大きなプラットフォームの欠陥もあります。例えば、臨床研究におけるデータが集まりにくい。そこに人、物、お金が注がれていない、体制がないということもあります。実際のところ、今、コロナワクチンに関しましては、メイド・イン・ジャパンのものは生まれていません。

 そういうことで、どこまでこういった支援をしていくのかということを、ある程度、クライテリア、基準が必要だと思いますけれども、この実態、今お手元の資料ですと、三番のアンジェス、阪大、タカラバイオに関しましてはもう撤退をせざるを得ない状況になっておりますし、一番の塩野義、感染研、UMNファーマ、あるいは、二番の第一三共、東大医科研、これはPMDAに申請、いわゆる承認を求めてしているわけでございますけれども、四番、五番に至ってはまだ途中の過程でございます。

 大臣、この表を御覧になられて、どういうふうな、限られた資源の使い道、そして、ワクチンに関しましては、今年は公費助成でいくといううわさもあります。来年度以降は、季節性のインフルエンザと同じような、いわゆる適当な、いわゆる、高齢者であるとか合併症をお持ちの方とかそういう人には助成が出るという、季節性インフルエンザのワクチンと同じような扱いというふうな情報が出ています。

 そうしたら、例えば、上市されたら、確実に国がこういったものもワクチンのラインナップとして使っていただけるのかどうかということがないと、これに関連する企業、製薬メーカーは、こういったワクチンを研究開発を続けて、また生産体制を整えて、上市して、またそれを回していくということはできないと思いますけれども、大臣、それに関してはいかがでしょうか。

加藤国務大臣 まず、新型コロナワクチンですけれども、残念ながら、現時点で国内で開発、生産されたワクチンが接種できる状況にはなっていないという今の御指摘でありますが、他方で、開発、生産できる体制を確立するということは大変重要であります。

 その開発支援について、現在、今資料を出させていただいていましたが、それぞれの企業があり、日本医療研究開発機構による研究開発による支援、また、厚労省による生産体制の整備等に対する支援も行い、そして、二社については現時点で薬事申請が行われておりますので、これについては有効性、安全性が確認されれば、審議会で得て、速やかな薬事承認ということにつなげていければと思っておりますが、他方で、我が国がなぜこれほど国産ワクチンの開発が遅れたのかということが一つ課題になるわけであります。

 令和三年六月に閣議決定されたワクチン開発・生産体制強化戦略において、我が国では、近年の公衆衛生上の向上に伴う感染症研究の相対的重要性の低下や、企業にとっての事業化予測の難しさ等から、産学が自らワクチン研究開発に取り組むインセンティブに乏しい状況があり、研究機関の機能、人材面において脆弱性があった、また政府もワクチンのような一見すると経済合理性の乏しい分野への投資や政策立案が不十分だった、こういう指摘を受けているところでございます。

 そうしたことも踏まえながら、今後のワクチン開発の支援については、新たな変異株の出現等、新型コロナ感染症の今後の感染動向、そして、委員の御指摘があった、今後新型コロナワクチンの接種をどうしていくのかという方針、さらにはワクチンの種類等の特性や活用場面に応じた開発の必要性、こうしたことも踏まえながら、どのような支援をいつまで行っていく必要があるのか、関係者と連携しながら、必要な検討を行っていきたいと考えておりますが、ただやはり、先ほど申し上げたように、この間の開発の遅れのあった要因といったものをしっかり認識しながら対応していく必要があるんだろうと考えております。

仁木委員 私は、先ほど、日本という医療DXをこれから浸透させるべき市場において、この間もマイナ保険証の議論が出ていますけれども、やはり、各患者さんが歩んだ病歴、どういった状態で、どういう治療をしたかという、その履歴、レコードが、これから同じような疾病になった方の大切なデータ、そういうのがエビデンスになっていって、創薬であったり、治療法の確立につながっていくわけでございまして、やはり、そういった国民全体あるいはこれからの国民のメリットになるというふうなメッセージを、もう少し、医療DXをお進めになるというお立場で発信していただきたいところであることを指摘したいと思います。

 特に、大臣、行政用語の文章で御回答いただきましたけれども、やはり、具体的には、デジタルで、例えばワクチンを接種した人の副反応のデータ、例えば、ワクチン接種履歴というのはVRSで出ます。これをやはり、例えばPHRという電子カルテとひもづけする、そういうことで、これは、患者さん、国民に協力をしていただきながら、副反応が出たら随時正確な情報としていわゆる研究者に集まってくるような体制づくりというのがあれば、これは非常にいいことにつながると思っております。

 例えば、コロナワクチンで、ファイザー、これは、イスラエルという国ともタイアップしまして、イスラエルのそういった医療DXの整った中で、いろんな副反応、あるいは有効性のデータが集まってきて、いろいろウィン・ウィンの関係でできている事例もありました。

 そういう意味でいうと、日本はそこに対する国民の理解を浸透させるということは、これからの創薬ということにおいても非常に重要だと思いますので、そのことを併せてよろしくお願いしたいと思います。

 ちょっと、話題は少し絞っていきますけれども、定期接種が一度、子宮頸がんワクチンという名前で始まりましたが、途中で、もろもろ、統一教会の問題、教義の問題もあって、名前がHPVワクチンというのに変わりました。

 これは実は、ウィンドーピリオドといって、努力、勧奨で接種できる、すべき人が情報がなくて、八年、九年接種が止まっていたわけですね。ほとんど接種率が五%、そういう時代のときがありまして、その接種へのいわゆるキャッチアップ接種というのが始まっていますが、都道府県において格差があります、非常に。だから、いわゆる地方自治体任せであるわけですね。

 私は、ワクチン行政で大切なのは、リスクコミュニケーションに代表されるように、啓発、啓蒙活動だと思っております。

 今大臣の所信表明でもありましたが、九価ワクチン、シルガード9というのがこの四月から始まりますけれども、そういったことに対して、厚労省、この場でも私、言いました。PRがほかの省庁に比べて弱いと思うんですが、やはり、一般の国民に、例えばCMとか、いろんな、ネットでのCMも併せて、そういった接種制度があるよと。

 子宮頸がんというのは毎年一千人、子宮頸がんという病気は治せても、子宮がなくなってしまって、赤ちゃんを産めない体になってしまったような方が千人ぐらいいらっしゃるんですね。そういうふうなことも含めて、やはり、リスクと、いわゆる安全性と、そして有効性をしっかりと広報していただき、そしてこのHPVワクチンの接種を推奨していただきたいと思いますが、厚労大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 HPVワクチンについては、いろんな経緯から、いっときは積極的な勧奨を行わないという時代もございましたが、昨年四月から積極的勧奨を再開するとともに、積極的勧奨差し控えの間に機会を逃した方への接種機会の提供、いわゆるキャッチアップ接種も開始をしております。

 それらも踏まえて、様々な媒体を通じて、有効性や安全性に関する情報を提供したところでありますが、さらに、本年四月から開始する九価HPVワクチンの定期接種の開始をきっかけに、新しいリーフレットを本人やその保護者へ改めて配布をする、また、ホームページの更新を行い、より積極的に広報したいと思っております。

 さらに、昨日は、自治体向け説明会を開催し、九価HPVワクチンは従来ワクチンよりも多くの種類のワクチン株の感染を防げるなど、そうしたメリットも含めて周知をし、接種を実施する上での疑問点にも回答するなど、積極的な啓発活動に努めているところでございます。

 接種対象者やその保護者の年代に応じて、どのような情報をどのような媒体を用いて提供すればより効果的なのか、そのことについてもしっかり念頭に置きながら、さらに、今、委員からもお話がありましたが、より積極的な周知広報に努めるべしということでございますので、我々としても、その言葉もしっかり受け止めながら、検討を深め、そして具体的な対応をしていきたいと考えております。

仁木委員 私は、医療DXの方で、推進する立場で申し上げますと、ワクチンの接種履歴、さっきVRSというのを事例として出しましたが、これは何もコロナワクチンのみならず、ほかのいわゆる定期接種にも当てはめていただきたいと思います。

 今、私も入っている議連で、母子健康手帳のデジタル化という議論があります。やはり、小児科診療においても、例えば、こういう接種をしている、子宮頸がんワクチンのことは別としまして、例えば、小児用肺炎球菌ワクチンとかHibワクチンを接種していましたら、深夜に子供さんが熱が出たときに、この接種をしているということだけで、細菌性の髄膜炎、そういう診断が除外できるわけですね。つまり診療に非常に役立つ。

 そして、そのデジタルがあれば、お母様方も、これは今、例えば、就学前に二十回以上、赤ちゃんというか自分の子供さんを連れて、予防接種に連れていかなきゃいけない現実もあります。そういうふうなワクチン接種計画も組み立てられるわけでございまして、やはり、このデジタル、VRSというものをほかのいわゆる定期接種にも結びつけ、タグづけして、そしてまた、それが理想は電子カルテともつながっているという、情報が望ましいと思います。

 このことは、次の質問の全国医療情報プラットフォームの創設について申し上げて、そういうことがあるよというのは、これは国民にとっては非常に大きなメリットであると私は感じていますので、そういったことも、医療サービス側だけ、あるいは、医療サービスを受けて、例えば、所管している厚労省であるとか、レセプトを扱う、そういう保険者だけが得するということじゃなくて、やはり、国民が非常にメリットを感じるという仕組みをPR、アピールする方が、私はマイナ保険証へとより移行していただくいわゆるインセンティブになると思います。

 その上で、今、私があえてここで申し上げたいのは、オンライン資格確認を始め、そういうデジタル化する際に、イメージしていただきたいのは、中山間地域の、例えば、お年を召したドクターが、その地域の方々、お年寄りとかを対象に細々とやっている医療機関が、この機にもう閉院しちゃおうかとか、そういう声があります。

 実際、ベンダーロックインしてしまいますと、結構メンテナンスのコストはばかにならないんですが、診療報酬しかやはり収入が専らないわけですので、来年、二〇二四年はいわゆる診療報酬、介護報酬同時改定でもございますし、どうか、デジタル化に伴うランニングコストの分も含めた診療報酬での手当、あるいは、それができないのであるならば、例えば助成制度等をお考えいただきたいと思いますが、加藤大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 医療DXをしっかり進めていく、そして、そのためにはより多くの方に参画をしていただくということが非常に大事だと思っています。

 他方で、こうした医療情報を活用することのメリットというのもそれぞれあるわけでありますから、その辺が、誰にどう均てんしていくのか。課題は、結構そのメリットを受ける人とコストを負担する人が一致していれば、その方に一定程度コストを負担していただくというのもあり得るんだろうと思いますし、そこにずれがあれば、そのずれをどう、解消していく中で、医療DXないしそうした医療情報の活用を進めていくのかということが常に課題になるというふうに認識をしております。

 具体的にどうのこうのということを今ここでちょっと申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思いますが、そうした認識を持ちながら、この全国医療情報プラットフォームを含めて、医療DXを、誰も取り残すことなく、しっかり進めさせていただければと思っております。

仁木委員 そうしたら、これからは医薬品の話をしたいと思います。

 まず、薬価制度です。

 今までは、製薬業界というのは、何かもうかっているとか、羽ぶりがいいとか、そういうイメージがあったかもしれませんが、大臣も御案内のように、このところの診療報酬の改定、本体価格は何となくプラス改定であることがあるんですけれども、薬価に至っては、もう毎回毎回、いわゆる減額ですね。そして、中間改定まで伴ってきまして、もう本当に、いつまでも金の卵を産んでいただける鶏でない状態が今の製薬メーカーあるいは製薬業界だと思っています。

 そうすると、私は、やはり日本の、ずっとこんなことが続くと、今回、コロナ禍で、あるいはウクライナ紛争、あるいはこのところの円安、物価高、いわゆる、製薬メーカーにとっては、ある種、自分たちが作り出す製品は公定価格で決められているわけですよね、そういうところのいわゆる体力が弱ってくるという観点でいますので、私は、この今の仕組み、もちろん、診療報酬を上げるということは国民に負担が乗っかってくるのは分かっていますが、そのところもやはり考えていかないと。

 本当に今、例えば、ほかの海外の製薬メーカーが日本に上市しようと思えば、PMDAという本当にハードルの高いところにお金、時間をかけなきゃいけません。そうしたら、それに見合うだけの適切な回収が日本という市場でできるのかという議論が起こってきて、ドラッグラグであるとか、ドラッグロスというふうな問題にまで今進展することが、いろいろな製薬メーカー、そしてそれを取り巻く環境の人たちが危惧されております。

 大臣、そのことに関してまず一点お聞きするのと、あと、AMRといいまして、いわゆる薬剤耐性の問題があります。これは今年五月の広島サミットでも取り上げられる予定でございますが、この薬剤耐性、いわゆる抗生剤によって耐性を持つ細菌が増えてきまして、このことによって、合併症と相まって命を奪う、世界的な人々が増えてくるのではないかということが言われております。

 日本も、三十年前までは抗生剤の原薬を作っている時期がございましたが、いわゆる生産拠点の空洞化、あるいはコストが合わないということで、多くは中国に移転してしまいました。岸田政権は経済安全保障というのを言われていまして、この抗生剤の原薬も特定重要物資には入れていただいてはいますが、コロナという有事になって分かったことがあると思います。

 今日、この私がしていた、皆さんがしているマスクもそうですよね、マスクとか、もう当然あるだろうと思っていたものが、蓋を開けてみるとメイド・イン・チャイナだった。じゃ、中国にお願いしなきゃいけない、すぐに日本の生産拠点ができ上がらない、こういうことがあるわけで、これは、私が冒頭申し上げたコロナ禍で学んだことを次に生かすということでいうと、こういったいわゆる重要な特定重要物資等々、そういったものは、日本国内である程度助成して生産できるような体制づくりも必要だと思います。

 大臣、ちょっと二問してしまいましたが、それぞれの質問を覚えていらっしゃったら、お願いします。

加藤国務大臣 薬価制度ないし薬に関しては、ドラッグラグあるいはドラッグロスと言われた、特に新しい薬が日本で上市されないという課題、あるいは、後発品を含めて様々な医薬品の安定供給が十分確保できない、こういった状況もあるわけであります。

 そうしたことも含めて、先般の薬価改定では、臨時特例的な対応として、新薬創出加算等の加算額を増額し、対象となる品目について、従前の薬価と遜色のない対応をする、あるいは、不採算品の再算定についても全品を対象として適用する、こうした対応をさせていただき、さらには、昨年九月以降、革新的な医薬品や医療ニーズの高い医薬品の我が国への早期上市等を図る観点から、有識者検討会を立ち上げて、その場において、医薬品産業や流通、薬価制度の在り方について、今、広く検討していただいているところでございます。

 そうした議論も踏まえて、今委員お話のあったように、イノベーション等を推進していく必要があるし、一方で、国民皆保険制度をどう守っていくのかというこのバランスも図っていかなきゃなりませんが、そうしたことも踏まえて、また、関係者の意見も踏まえながら、検討をしっかり進めていかなければならない、対応を取っていかなきゃならないというふうに考えております。

 それから、二点目の抗菌薬原薬のお話でございますが、原薬等を過度に海外に依存し、薬剤耐性対策の観点から、代替薬もない抗菌薬について、早急に安定供給の確保を図ることが重要ということで、医療上の必要性も高く、早急に安定供給確保のための措置を講ずる必要がある抗菌薬四成分、これを選定をいたしました。これについて、委員からお話があった経済安全保障推進法に基づき、特定重要物資に指定をいたしました。

 また、令和四年度の第二次補正予算において、原薬等の製造と備蓄体制の整備を一体的に行うための体制整備支援も講じたところでございます。

 これらの抗菌薬について、医療現場に切れ目なく供給がなされるよう、製薬企業とも連携をしながら、原薬等の製造体制の整備に向け、しっかりとした取組を進めていきたいと考えております。

仁木委員 製薬、特に、これから医薬品というのはバイオ医薬品、つまり、高分子の、より付加価値の高い、そして高価な新薬が登場してくると思いますし、今、私たちが使っているものに関しましても、逆に言えば、特許が切れて、それがバイオシミラーという形、いわゆる後発品という形で使われるようになっていまして、これは、ジェネリックとはちょっと体制が違います。つまり、先ほど私が冒頭申し上げたコロナワクチンの製造、生産ラインの整備に用いられるような体制がバイオシミラー、いわゆるバイオ医薬品の生産にも使えるということで、やはりそういった、今までつぎ込んだお金を、例えばバイオシミラーに国も力を入れていく、バイオシミラーを担っている製薬メーカーがまたバイオ医薬品を、新薬創出、創薬できる可能性も高まりますので、そういったことも含めて、大臣、改めてお願いしたいということを最後に申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

三ッ林委員長 次に、内閣提出、駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案及び戦没者等の妻に対する特別給付金支給法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。加藤厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案

 戦没者等の妻に対する特別給付金支給法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

加藤国務大臣 ただいま議題となりました駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案及び戦没者等の妻に対する特別給付金支給法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 まず、駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。

 駐留軍関係離職者等臨時措置法については本年五月十六日限りで、国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法については本年六月三十日限りで、失効することとなっておりますが、駐留軍関係離職者及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者については、今後も、国際情勢の変化等に伴い、なおその発生が予想されることから、これら二法の有効期限を五年延長するものであります。

 なお、この法律案の施行期日は、公布の日といたします。

 次に、戦没者等の妻に対する特別給付金支給法等の一部を改正する法律案について申し上げます。

 戦没者等の妻に対しましては、さきの大戦で夫を失った精神的痛苦に特別の慰藉を行うため、これまで特別給付金として国債を支給してきたところでありますが、本年、最終償還を迎えることから、国として引き続き戦没者等の妻に対し特別の慰藉を行うため、特別給付金として額面百十万円、五年償還の国債を五年ごとに二回支給するものであります。

 なお、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、令和五年四月一日としております。

 以上が、二法案の提案の理由及びその内容の概要でございます。

 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願い申し上げます。

三ッ林委員長 以上で両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十五日水曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十四分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.