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第4号 令和5年3月22日(水曜日)

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令和五年三月二十二日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 三ッ林裕巳君

   理事 上野賢一郎君 理事 大岡 敏孝君

   理事 田畑 裕明君 理事 高木 宏壽君

   理事 小川 淳也君 理事 中島 克仁君

   理事 池下  卓君 理事 佐藤 英道君

      畦元 将吾君    上杉謙太郎君

      上田 英俊君    柿沢 未途君

      勝目  康君    川崎ひでと君

      菅家 一郎君    小泉進次郎君

      小林 鷹之君    高村 正大君

      塩崎 彰久君    新谷 正義君

      瀬戸 隆一君    田村 憲久君

      高階恵美子君    土田  慎君

      西野 太亮君    橋本  岳君

      平沼正二郎君    古川 直季君

      堀内 詔子君    本田 太郎君

      松本  尚君    三谷 英弘君

      八木 哲也君    阿部 知子君

      井坂 信彦君    大西 健介君

      西村智奈美君    野間  健君

      山井 和則君    吉田 統彦君

      早稲田ゆき君    一谷勇一郎君

      遠藤 良太君    吉田とも代君

      古屋 範子君    吉田久美子君

      田中  健君    宮本  徹君

      仁木 博文君

    …………………………………

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   デジタル副大臣

   兼内閣府副大臣      大串 正樹君

   総務副大臣        尾身 朝子君

   厚生労働副大臣      羽生田 俊君

   厚生労働副大臣      伊佐 進一君

   内閣府大臣政務官     自見はなこ君

   総務大臣政務官      中川 貴元君

   厚生労働大臣政務官    畦元 将吾君

   厚生労働大臣政務官    本田 顕子君

   政府参考人

   (内閣官房こども家庭庁設立準備室次長)      小宮 義之君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           黒田 昌義君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        北波  孝君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          大沢  博君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           安彦 広斉君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官)            城  克文君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  佐々木昌弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       宮本 直樹君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  榎本健太郎君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         八神 敦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            鈴木英二郎君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           藤原 朋子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           川又 竹男君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    辺見  聡君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  大西 証史君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    茂木  正君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         奥田  薫君

   厚生労働委員会専門員   若本 義信君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十二日

 辞任         補欠選任

  秋葉 賢也君     菅家 一郎君

  小泉進次郎君     平沼正二郎君

  塩崎 彰久君     上杉謙太郎君

  堀内 詔子君     八木 哲也君

  三谷 英弘君     古川 直季君

同日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     塩崎 彰久君

  菅家 一郎君     秋葉 賢也君

  平沼正二郎君     西野 太亮君

  古川 直季君     三谷 英弘君

  八木 哲也君     堀内 詔子君

同日

 辞任         補欠選任

  西野 太亮君     小泉進次郎君

    ―――――――――――――

三月十六日

 全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)

同日

 国立病院の機能強化に関する請願(牧義夫君紹介)(第三四三号)

 全国一律最低賃金制度への法改正に関する請願(小熊慎司君紹介)(第三四四号)

 同(小沢一郎君紹介)(第三四五号)

 同(大石あきこ君紹介)(第三四六号)

 同(鎌田さゆり君紹介)(第三四七号)

 同(菅直人君紹介)(第三四八号)

 同(櫻井周君紹介)(第三四九号)

 同(寺田学君紹介)(第三五〇号)

 同(中村喜四郎君紹介)(第三五一号)

 同(牧義夫君紹介)(第三五二号)

 同(宮本徹君紹介)(第三五三号)

 同(務台俊介君紹介)(第三五四号)

 同(山岡達丸君紹介)(第三五五号)

 同(笠浩史君紹介)(第三五六号)

 同(青山大人君紹介)(第四三二号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第四三三号)

 同(大河原まさこ君紹介)(第四三四号)

 同(落合貴之君紹介)(第四三五号)

 同(笠井亮君紹介)(第四三六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四三七号)

 同(志位和夫君紹介)(第四三八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四三九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第四四〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四四一号)

 同(福田昭夫君紹介)(第四四二号)

 同(松原仁君紹介)(第四四三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四四四号)

 同(宮本徹君紹介)(第四四五号)

 同(本村伸子君紹介)(第四四六号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第四五七号)

 同(笠井亮君紹介)(第四五八号)

 同(神田憲次君紹介)(第四五九号)

 同(重徳和彦君紹介)(第四六〇号)

 同(田村貴昭君紹介)(第四六一号)

 同(石川香織君紹介)(第四八二号)

 同(泉田裕彦君紹介)(第四八三号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第四八四号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第四八五号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第四八六号)

 介護保険制度の改善を求めることに関する請願(仁木博文君紹介)(第三五七号)

 就労中の重度訪問介護に関する請願(大石あきこ君紹介)(第三五八号)

 安全・安心の医療・介護の実現のため人員増と処遇改善を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三五九号)

 同(岡本あき子君紹介)(第三六〇号)

 同(神谷裕君紹介)(第三六一号)

 同(近藤昭一君紹介)(第三六二号)

 同(斎藤洋明君紹介)(第三六三号)

 同(田村貴昭君紹介)(第三六四号)

 同(仁木博文君紹介)(第三六五号)

 同(野間健君紹介)(第三六六号)

 同(牧義夫君紹介)(第三六七号)

 同(青山大人君紹介)(第四二六号)

 同(稲富修二君紹介)(第四二七号)

 同(笠井亮君紹介)(第四二八号)

 同(神田憲次君紹介)(第四五四号)

 同(重徳和彦君紹介)(第四五五号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第四七九号)

 福祉職員の大幅な賃金の引上げと増員に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三六八号)

 同(井坂信彦君紹介)(第三六九号)

 同(小熊慎司君紹介)(第三七〇号)

 同(大石あきこ君紹介)(第三七一号)

 同(岡本あき子君紹介)(第三七二号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第三七三号)

 同(鎌田さゆり君紹介)(第三七四号)

 同(神谷裕君紹介)(第三七五号)

 同(菅直人君紹介)(第三七六号)

 同(近藤昭一君紹介)(第三七七号)

 同(櫻井周君紹介)(第三七八号)

 同(田村貴昭君紹介)(第三七九号)

 同(寺田学君紹介)(第三八〇号)

 同(野間健君紹介)(第三八一号)

 同(本庄知史君紹介)(第三八二号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第三八三号)

 同(牧義夫君紹介)(第三八四号)

 同(宮本徹君紹介)(第三八五号)

 同(山崎誠君紹介)(第三八六号)

 同(笠浩史君紹介)(第三八七号)

 同(渡辺創君紹介)(第三八八号)

 同(大河原まさこ君紹介)(第四二九号)

 同(湯原俊二君紹介)(第四三〇号)

 同(米山隆一君紹介)(第四三一号)

 同(山岸一生君紹介)(第四五六号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第四八〇号)

 同(篠原豪君紹介)(第四八一号)

 国民を腎疾患から守る総合対策の早期確立に関する請願(池田佳隆君紹介)(第四二五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

三ッ林委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房こども家庭庁設立準備室次長小宮義之君、内閣府地方創生推進室次長黒田昌義君、子ども・子育て本部審議官北波孝君、総務省自治行政局公務員部長大沢博君、文部科学省大臣官房審議官安彦広斉君、厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官城克文君、大臣官房生活衛生・食品安全審議官佐々木昌弘君、大臣官房年金管理審議官宮本直樹君、医政局長榎本健太郎君、健康局長佐原康之君、医薬・生活衛生局長八神敦雄君、労働基準局長鈴木英二郎君、子ども家庭局長藤原朋子君、社会・援護局長川又竹男君、社会・援護局障害保健福祉部長辺見聡君、老健局長大西証史君、保険局長伊原和人君、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官茂木正君、国土交通省大臣官房技術審議官奥田薫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。勝目康君。

勝目委員 自由民主党・無所属の会、京都一区選出の勝目康でございます。

 本日は、質問の機会、誠にありがとうございます。簡潔明瞭、前向きな御答弁、何とぞよろしくお願いをいたします。

 それでは、早速質問に入りたいと思います。

 まず、健康づくりについてお伺いをいたします。

 人生百年時代にあって健康寿命をいかに延ばしていくか、これは、一人一人のいわゆるクオリティー・オブ・ライフを向上させ、また、医療費負担の軽減であるとか、限りある医療資源の有効活用、さらに、今日的にはビジネス面でのイノベーション等々、これらの視点で極めて重要なテーマだというふうに考えております。そこで、ライフステージに応じた健康づくり対策の充実をという観点で順次質問をしたいと思います。

 一点目は、子供の健康についてであります。

 資料一を御覧ください。

 コロナ禍であります令和二年、三年につきましては、他の年と統計を取る期間が異なるということで、参考的に点で表記をされておりますけれども、それでも子供たちの肥満傾向というのが見て取れるわけであります。

 一方で、痩せ過ぎの問題、これは以前から指摘をされてきたところでありますけれども、グラフによると、男子は痩身傾向が高まっていて、女子は、ちょっとこれは傾向を見るのは難しいですけれども、顕著な改善が見られるわけではない、こういうことなのかなというふうに思います。

 この肥満や痩身ということに対しては、まず、やはり、学校における健康教育を通じて子供たちが適切な知識を学ぶこと、これが大事なのは言うまでもありませんけれども、あわせて、彼ら、彼女らの実際の行動につながっていく、こういう取組が不可欠だと考えるところであります。

 政府の取組、方針をまず伺いたいと思います。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 児童生徒の痩せや肥満について、重要な課題だと認識しておりまして、学校におきましては、健康の保持増進に関する指導、こちらについては、学習指導要領に基づきまして、児童生徒の発達段階に応じて指導することとしております。

 例えば、中学校では、保健体育科においてでございますが、生活習慣病などは、運動不足、食事の量や質の偏り、また休養や睡眠の不足など、こうした生活習慣の乱れが主な要因となって起こること、また、生活習慣病などの多くにつきましては、適切な運動、食事、休養及び睡眠の調和の取れた生活を実践することによって予防できることを指導することとしております。その際、不適切な生活行動を若い年代から続けることによって、痩せや肥満などを引き起こすなど、生活習慣病のリスクが高まることなどが学習されています。

 こうした学習を行う際には、習得した知識を自分や他者の生活に適用したり課題解決に役立てたりして健康の保持増進をする方法を見出すこと、また、課題の解決方法とそれを選択した理由などを他者と話し合ったり筋道立てて伝え合うことなどといった学習を通じまして、積極的な心身の健康の保持増進を図っていく資質、能力を身につけられるよう、主体的、対話的で、深い学びの視点から授業改善に取り組むこととしております。

 児童生徒が自分事としてしっかり捉えまして、健康の保持増進に関する指導、こちらが充実していくよう引き続き取り組んでまいりたいと思います。

勝目委員 ありがとうございます。

 まさに教育現場でそういう知識を更に主体的に適用できるようにしていくというのは大事なことでありまして、さらに、この世代、SNSを通じて真偽不明なものも含めて様々な情報に接する、そういう世代であります。リテラシーの向上と併せて、自身の体と健康について、教え込まれるんじゃなくて、自ら興味を抱いて行動していく、ナッジ的な取組も含めて御工夫を是非お願いしたいと思います。

 特に、肥満に関してですけれども、やはり、外での運動といったもの、こういう機会を確保することも重要だろうというふうに考えるところであります。昨今、住民の方々の苦情によって子供の外遊びの場を確保することも容易じゃない、こんな話も伺うところでありますけれども、今、子供たちの体に何が起こっているのかということを直視すると、やはりこういう外遊びの機会というのをつくる、これも今を生きる私たち大人の責任だろう、こう考えるところであります。

 加えて、一定時間、外で活動するということは、今、日光のバイオレットライトによる近視に対する抑制効果といったものも注目をされているところでありまして、熱中症とか脱水とか、留意すべきところというのはしっかりと踏まえつつ、積極的に外遊びの推奨ということも図るべきではないか、このように考えるところです。

 政府としてどのように取り組んでいかれるのか、お聞かせいただきたいと思います。

小宮政府参考人 お答えいたします。

 外遊びにつきましては、強く健康な体の育成や健全な心の育成といった、子供たちの健全な成長に極めて重要な役割を担うとともに、社会で活躍するのに必要となる能力の育成にも大きく寄与するものと考えております。

 また、一昨年末に閣議決定いたしましたこども政策の新たな推進体制に関する基本方針、ここにおきましても、今後の子供政策の基本理念として、全ての子供が、安全で安心して過ごせる多くの居場所を持ちながら、様々な学びや、多様な体験活動、外遊びの機会に接することができることが重要であるとしているところでございまして、こども家庭庁におきまして、外遊びも含めた子供の居場所づくりにしっかりと取り組んでまいります。

勝目委員 居場所づくり、外遊びを含めてしっかり取り組むということで、今、心意気を示していただいたんだと思います。是非頑張っていただきたいと思います。これは、地方をちゃんと巻き込まないと絵に描いた餅になりますので、地方公共団体との連携をしっかり図っていただきたいと思います。

 続きまして、学校健診についてお伺いをいたします。

 学校健診は、子供たちの健康を守るために我が国が誇る保健システムであるというふうに考えますけれども、他方で、健診項目としてかねて要望の強い採血というものがまだ対象じゃないということ、あるいは、フォーマットが地域、学校によってばらばらだ、こういう課題も伺うところであります。学校健診もパーソナル・ヘルス・レコードの一環ということでありますので、その構築に向けて、健診記録様式の標準化、あるいはデータ連携を進めていただくとともに、地域レベル、国レベル、いずれにおいても、医師を始め医療関係者との連携強化に取り組むべきだ、このように考えるところですが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 学校におきましては、学校保健安全法によりまして、児童生徒等の定期の健康診断、これを行ったときは、健康診断票を作成しなければならないとされております。その様式については各設置者において適切に定めるということとなっておりますけれども、全国的にある程度共通性が保たれ、また、児童生徒等が転学等をした場合においても保健指導の一貫性を確保することができますよう、日本学校保健会を通じまして、標準的な様式参考例を示しているところでございます。

 また、現在、政府では、生涯にわたる個人の健康情報を、マイナポータルを用いて電子記録として本人や家族が正確に把握、活用するための仕組みであるPHRの構築を進めているところでございます。このため、学校健康診断につきましても、今年度、仕組みの構築に向けて実証事業を実施することと、また、現在、診断結果を電子データとして取り扱う際のデータの内容の規格をそろえる、こうした取組として、データ標準の作成を進めているところでございます。

 こうした取組を進めるため、文部科学省におきましては、厚生労働省等の関係省庁のほか、日本医師会や日本学校歯科医会等の関係団体と連携するとともに、各地域、学校における地域の医師会や学校医等との連携を促しまして、児童生徒等の健康の保持増進が図られるよう努めてまいります。

勝目委員 まさにそのデータ基盤の構築、あるいは医療界との連携、しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 それでは、続きまして、学校を卒業しましたら、次は、多くの方は就職をされて、人生で最も長い期間となる就労期を迎えるわけであります。この時期の健康確保には、従業員の健康に対する事業所の理解と具体的な取組が不可欠だというふうに考えます。

 この点、経済産業省さんにおかれては、これまで十年近くだと思いますが、健康経営の推進というものに取り組んでこられました。先日、人への投資に積極的に取り組んでおられるある企業を訪問しましたら、真っ先に、ホワイト五百に認定を受けた、こういうお話を先方から持ち出されたということもありまして、認知度も非常に高くなってきているなというふうに感じています。

 健康経営について、これまでの成果、あるいは今後の方向性についてお伺いしたいと思います。

茂木政府参考人 経済産業省では、九年前の二〇一四年度から健康経営銘柄を、それから二〇一六年度からは健康経営優良法人認定制度というのを始めておりまして、こちらを通じまして、健康経営を適切に実践する法人の認定を行っております。

 本年度は、大規模法人部門が、前年度から約四百社増えまして、二千六百七十六社、それから、中小規模の法人部門では、千五百社増えまして、一万四千社を超えるということで、毎年増加をしているところでございます。また、各部門の上位五百法人については、健康経営を牽引いただく存在として、ホワイト五百、またブライト五百というのを認定しております。こうした認定企業からは、採用や投資における効果が出ているとのお声もいただくなど、その重要性を実感しているところでございます。

 一方で、中小企業については、健康経営という取組自体の認知度が、広がり始めておりますけれども、課題もあるというふうに認識しています。このため、経産省としても、これから取り組もうとする中小企業へのサポートをしっかりと強化をしてまいりたいというふうに考えています。

 具体的には、一つは、インセンティブの強化として、今年から、ものづくり補助金などの中小企業向けの各補助金の審査における加点をする、それから、日本政策金融公庫の企業活力強化貸付けにおける金利優遇などの支援策を用意しております。また、ノウハウの提供という観点からは、例えば、東京商工会議所などは、健康経営アドバイザーの資格制度を整備して、中小企業に派遣をするといった取組も進めております。

 今後も、こうした支援策の強化を図るとともに、中小企業への広報に取り組み、健康経営の一層の普及を進めてまいりたいというふうに考えています。

勝目委員 ありがとうございます。

 これは、大企業においては、健保組合さんの意義の問い直しといいますか、再活性化につながると思いますし、逆に、中小企業さん、協会けんぽと組んでも、ブライト五百等に認定されている企業さんもたくさんあるわけでありまして、この中小企業を含めて、健康経営が更に広がればと願っております。お取組の推進、よろしくお願いをいたします。

 続きまして、予防医療と未病対策の一つとして、医療と運動が連携をする、いわゆるメディカルフィットネスについてお伺いをしたいと思います。

 資料二をお願いいたします。

 この一定の基準を満たした運動型健康増進施設は、指定運動療法施設として医療費控除の対象となる、こういう制度があります。

 お恥ずかしながら、私、この制度のことを存じ上げませんでして、二百三十三か所のリストを見ると、ああ、あそこもそうなのかという気づきを得たところであります。

 こうした施設の継続的な利用を通じた健康増進効果の発揮というものも期待されるところでありますけれども、先ほど申し上げたように、知名度はもう一つかなというふうに思うところもあります。健康増進施設制度の普及促進についてどのように取り組むのか、お聞かせいただきたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 健康増進施設や指定運動療法施設の普及を図るため、昨年四月から、健康増進施設の面積要件を緩和するとともに、指定運動療法施設の指定要件のうち、医師の処方に基づく運動療法を実施する際の一回当たり施設利用料金の上限を引き上げるといった要件緩和を行っております。これにより、対象となる施設が増えると考えております。

 また、現在、健康増進施設の認定基準として、運動指導を行う者については常時配置することを求めておりますけれども、近年、二十四時間営業のフィットネス施設が増加していることも踏まえまして、この常時配置の考え方を明確化し、健康増進施設として営業する時間帯については運動指導を行う者を配置すること、当該時間帯を施設利用者へ分かりやすく周知することを施設に求める方向で検討しているところであります。

 こうした取組により、健康増進施設の更なる普及を図ってまいりたいと考えております。

勝目委員 今おっしゃった検討を速やかに進めていただいて、この制度がより普及して健康増進に資するよう、お取組、何とぞよろしくお願いをいたします。

 続いては、女性の健康についてお伺いいたします。

 女性活躍の時代だからこそ、これまで以上に、仕事と健康の両立、これを支えていかないといけないというふうに考えています。これは検討すべき項目が極めて多岐にわたりまして、包括的な枠組みであるとか支援体制の構築も含めて、本来であればこれ一本で質疑しないといけないような、そういう大きなテーマだと思いますが、今日は一点だけ、乳がん検診についてお伺いをしたいと思います。

 資料三をお願いいたします。

 この資料にありますとおり、乳がんというのは、ステージ1、2で発見できれば生存率が非常に高い疾病であります。その分、検診の意義も大きい、早期発見、早期治療というのが非常に効果を発揮する、こういうことだと思いますが、実際の検診受診率はどうかというと、おおむね四割程度、最近上がってきて五割近くなっていますけれども、それでも少ない傾向にあります。

 現在推奨されている検査方法というのはマンモグラフィーということでありますけれども、これには課題もありまして、私自身はちょっと体感的に分からないですけれども、まず痛いということ、それから若年女性の場合は、いわゆるデンスブレスト、高濃度乳腺によってがん細胞を発見しにくいということ、偽陽性が多いなどなどがあります。

 そこで、これらの課題を克服するために、超音波検診、エコーによる乳がん検診も位置づけられないかという声もお伺いをするところでありますけれども、厚労省のお考えを聞かせていただければと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 乳がん検診につきましては、現時点では、死亡率減少効果等が確認された科学的根拠に基づく検診方法としては、問診及びマンモグラフィーが、厚生労働省が定めておりますがん検診実施のための指針に定められております。

 委員御指摘の乳房超音波検査につきましては、四十代の女性の乳がん検診においてマンモグラフィーと超音波検査の併用が有効かどうかを検証するJ―STARTを実施中でありまして、健康で無症状な集団においてマンモグラフィーと超音波を併用した場合に、マンモグラフィー単独検査に比べて乳がんの発見率が高まることが明らかとなっております。

 一方で、この研究は、検診受診者のフォローアップ期間内にありまして、マンモグラフィーと超音波検査の併用が乳がんの死亡率を減少させるかどうか等については、現時点では明らかではありません。

 今後、研究結果も踏まえながら、超音波検査などの新たな検査について、乳がん検診の受診率の向上に資するかといった点も総合的に勘案しながら、対策型検診として位置づけることについて検討してまいりたいと考えております。

勝目委員 ありがとうございます。

 今まさに研究、検証の途上だということであります。ちょっと時間もかかるという話もお伺いをしておりますけれども、先ほどおっしゃったように、受診率向上に資するか、こういう観点も非常に大事だと思います。一日も早く選択肢が増えることを御期待をいたしまして、引き続き注視をしていきたいと思います。

 続きまして、健診データの一気通貫化についてお伺いをいたします。

 現在、健診データはライフステージの段階ごとに分散的に把握をされているということであります。母子保健しかり、学校保健しかり、特定健診は各保険者、後期高齢とばらばらであります。これらのデータを一気通貫化をして、生涯を通じた保健といったことに取り組むべき、こういう声が医療関係者からも上がっておりますけれども、現在、電子カルテの標準化等、医療DX、政府を挙げて取り組んでおられると思います。ここでの位置づけ含めて、生涯を通じた健診データの一気通貫化に係る方針、これは、関係の議連の顧問もお務めいただいております加藤大臣よりお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

加藤国務大臣 国民それぞれの皆さんが自ら予防・健康づくりを進めていくために、御自身の健診情報などを一気通貫で閲覧し、健康管理などに利用できる環境を整備することは大変重要である、御指摘はまさにそのとおりであります。

 令和三年六月から、厚労省で、データヘルス改革に関する工程表に基づき、自身の保健医療情報を閲覧、活用できる仕組みとして、PHR、パーソナル・ヘルス・レコードの利活用を推進をし、具体的には、乳幼児健診、学校健診、事業主健診等の各ライフステージにおけるデータについて、順次、マイナポータルにおいてワンストップで閲覧できる環境整備を進めているところでございます。

 これにより、生涯にわたって御自身の健康状態を経時的に把握し、生活習慣の改善や医療機関における医師等との相談の際にも是非利用していただきたいと思っておりますが、今、逐次進めている最中ということであります。

 その中で、現在、委員から御指摘がありました全国医療情報プラットフォームの創設等に向けて取組の具体化を進め、オンライン資格確認等のシステムのネットワークを拡充する、まさに医療DX、これを、この春を目途としてその工程表の作成をしているところでございまして、その中に、冒頭申し上げたデータヘルス改革に関する工程表も取り込み、PHRの更なる推進を目指していきたいと考えております。

 今後とも、生涯を通じて国民のお一人お一人が健康管理や良質な医療の提供が切れ目なく行われるよう、こうした取組をしっかりと前に進めていきたいと考えています。

勝目委員 今ほどの大臣の御答弁の最後のセンテンス、これは極めて重要なところだと思います。大臣のリーダーシップで、適切に、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。

 続きまして、障害児支援についてお伺いをしたいと思います。

 昨年の通常国会で児童福祉法が改正をされました。内容は多岐にわたりますけれども、この中で、障害児支援につきましては、児童発達支援センターを中核として地域の体制を強化していこう、こういう内容であったかと承知をしています。そこで、改正法の施行に向けた準備がどこまで進んでいるのかなということですけれども、現場の声を伺っていると若干心配になるものですから、お伺いをしたいと思います。

 この児童発達支援センターですけれども、特に全国的に標準型というものがあるわけではなくて、地域により、数あるいは機能、ばらばら、ばらつきがあるんじゃないかというふうに思います。

 こうした現状を踏まえて、令和五年度というのは令和六年度に向けたセットアップの大事な時期だというふうに思いますけれども、この時期に、地方公共団体に対して、令和五年度にどういう取組を厚労省さんとして促して、令和六年度以降必要となる組織や人員あるいは設備等の体制についても決めていかないといけないわけですけれども、それをどういうスケジュールで検討されて、地方自治体にお伝えをしていかれるのか、お伺いをしたいと思います。

辺見政府参考人 御質問いただきました令和五年度でございますけれども、児童発達支援センターの機能強化等を内容とする児童福祉法改正の施行に向けた準備期間であると同時に、令和六年度から令和八年度までの次期障害福祉計画の期間に向けて、自治体が地域のニーズ、資源の現状を把握し、地域の支援体制の整備の方針と具体的な計画を定める期間でございます。

 厚生労働省では、令和六年度以降、児童発達支援センターの事業が円滑に展開されるよう、改正法の施行に向けまして、障害児通所支援に関する検討会を開催し、児童発達支援センターが果たすべき機能の具体的な内容や地域の体制整備の在り方や進め方について御意見をいただくとともに、令和六年度障害児福祉計画に係る国の基本指針について検討を進め、各市町村等において児童発達支援センターを中核とした重層的な支援体制の構築を目指すことなどを方向性として盛り込む指針を五年度初めにもお示しする方向で検討を進めているところでございます。

 これらを踏まえまして、今後、各自治体において障害児支援計画の体制整備について御検討いただき、次期障害児支援計画の策定を進めていただくことになりますが、今後、国においても、令和五年度において、児童発達支援センターの具体的な基準や報酬について検討を進めるとともに、手引書やスタートアップマニュアルの策定などを進めることとしております。

 このスタートアップマニュアルについては、今後一年程度かけて検討していくこととなりますが、その過程においても、適宜、自治体等に丁寧に説明をし、令和五年度中から、令和六年度の施行に向けて連携を進めてまいりたいと考えております。

勝目委員 まさに施行当初からしっかり自治体が動けるようにコミュニケーションを密に取っていただきたいと思います。

 この改正法におきましては、このセンター等によるスーパーバイズあるいは研修を通じた民間の事業所の質の確保といったことが想定をされております。当然のことながら、その際に何を教え学ぶのかという中身が問われるわけです。現在、医療であるとか心理学であるとか、こうした各分野で療育に関する研究というのも進んできているわけですけれども、こうしたところでの新たな知見を現場にどのように反映させていくのか、これが重要だと思います。厚労省さんの取組を伺いたいと思います。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、障害児支援の質の確保は大変重要であり、これまで厚生労働省においても、質の担保をすることを目的に、児童発達支援において提供すべき支援内容等を示したガイドラインを策定をいたしまして、外部研修への参加の必要性等について示してきたところでございます。

 また、令和四年度の調査研究事業において、障害児通所支援における質の確保に資する調査研究を行い、質のよい支援の具体像や、それを実現する上で児童発達支援事業所の職員等が研修等において学ぶべき内容について、実態調査も踏まえて整理を進めているところでございます。

 今年度、厚生労働省で開催をいたしました障害児通所支援に関する検討会においては、令和六年度以降、スーパーバイズを担うこととなる児童発達支援センター自身も積極的に専門機関等々から助言を受けることなどで専門性の向上を図ることが重要であることや、人材育成の観点から基礎研修を始めとする研修体系の構築を進めていくことが必要である、こういった御意見もいただいているところでございます。

 これらの調査研究の結果や検討会の御意見等も踏まえながら、障害児支援の質の確保、向上に向けて取組を進めてまいりたいと考えております。

勝目委員 どうもありがとうございます。

 時間が来てしまいましたので、こども家庭庁さん、申し訳ございません。四月からこの障害児支援もこども家庭庁に移管をされますので、移管されて後退するなんということがないように積極的にお取り組みをいただきたいということを最後に要望申し上げまして、質問を終えたいと思います。

 どうもありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)委員 おはようございます。公明党の佐藤英道です。

 まず、年収の壁問題についてお伺いをいたします。

 短時間労働者を多く雇用する企業におきましては、深刻な人手不足に直面しております。企業はもっと働いてもらいたい、しかし、配偶者に扶養されている短時間の労働者は、一定の年収を上回ると社会保険料を新たに負担するようになるために、その時点で手取り収入が減少をいたします。このため、年収がその基準を超えないように労働時間を調整する、働き控えが起きております。

 総理は、施政方針演説で、女性の就労の壁となっている、いわゆる百三万の壁や百三十万の壁といった制度の見直しなどの諸課題に対応することをお約束をされました。さらに、総理は、十七日の会見で、百六万円、百三十万円の壁について、被用者が新たに百六万円の壁を超えても手取りの逆転を生じさせない取組の支援などをまず導入し、さらに、制度の見直しに取り組みますと発言をされました。

 このため、扶養の枠内で働く短時間労働者の方々はどんな制度になるのか期待が高まっており、私のところにも問合せが相次いでいるところであります。

 今回の総理の発言を受けまして、具体的にどのような対策を行うのか。また、特に年末に向けて短時間労働者の方々は就業調整を行うことが見込まれるので、スピード感を持って対応すべきではないかと考えますが、所見を伺います。

加藤国務大臣 先般、総理から、被用者が新たに百六万円の壁を超えても手取りの逆転を生じさせない取組の支援などをまず導入し、さらに、制度の見直しに取り組むということを表明をしたところでございます。

 現在、具体的な内容については、総理の御発言、方針を踏まえて詰めさせていただいているところでございますけれども、いわば二段階、まず支援などを導入し、同時に制度の見直しを検討していくということでございます。

 具体的に検討が今進んでいる状況でありますが、これと並行して、例えば百六万円という壁についても、例えば、雇用契約を結んだ時点で、週給、日給、時間給を月額に換算し残業等を除いた賃金だ、こうした中身をよく説明していくことも大事かなというふうに思っておりますので、そうしたこともしっかりと説明しながら、あわせて、今申し上げた内容について、しかるべく早期に詰めていきたいと考えております。

佐藤(英)委員 是非、早期に明らかにしていただければと思います。

 次に、先日、私、地元北海道の釧路市におきまして、社会福祉施設の関係者の方と懇談する機会がございました。その際、関係者の方々から、食材費や光熱費、燃料費などの高騰により、高齢者施設や障害者福祉施設などの社会福祉施設の運営が厳しい状況であると訴えられました。

 社会福祉施設は、国が定める公的価格により経営しており、物価高騰の影響を価格転嫁することができません。社会福祉施設への物価高騰の影響を把握した上で、地方創生臨時交付金の積み増しや予備費により、全ての自治体で適切な支援が行われるようにすべきと考えます。

 また、建築資材価格の高騰により、社会福祉施設の整備にも影響が出ております。各自治体において建築資材価格の高騰相当分の支援が行われるよう国において支援を行うべきと考えますが、見解を伺います。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 現下の物価高騰を踏まえました高齢者施設等への支援につきましては、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金を活用いたしまして、昨年来、自治体に対しまして積極的な活用を促してきております。その結果、多くの自治体で光熱費の増加等に対応する給付などの支援を実施をしてきていただいております。

 また、建築資材高騰等についての御下問もございました。同交付金につきましては、高齢者施設等の整備時におきます建築資材費等の高騰に係る事業者支援にも活用可能であることを各自治体に周知をいたしておりますほか、令和五年度予算案におきまして、地域医療介護総合確保基金等を活用しました高齢者施設等の整備支援に関しまして、建築資材費等の高騰を踏まえて補助単価の引上げを盛り込ませていただいたところでございます。

 厚労省といたしましては、こうした取組を通じまして、地域の実情に応じたきめ細かい支援が行き渡りますように、先ほど物価対策本部でも新たな決定もいただいたと伺っておりますので、それも踏まえまして、自治体と引き続き密接に連携を図りつつ、次期報酬改定に向けた議論も行っていく中で、物価の動向、介護事業者等の収支の状況等を注視してまいりたいと考えております。

佐藤(英)委員 是非よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 次に、低所得世帯への支援についてお伺いします。

 物価高騰など社会状況の変化によりまして、児童扶養手当受給者など、低所得の一人親世帯や住民税の均等割が非課税の子育て世帯などは特に厳しい生活を強いられております。これらの世帯を対象にした子供一人当たり一律五万円の特別給付金は速やかに支給すべきであります。また、地方創生臨時交付金の活用なども含めて、住民税非課税世帯等、低所得世帯に対する支援も急ぐべきであります。併せて見解を伺います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 足下の消費者物価指数が前年比で四・三%となるなど、国民生活に大きな影響を及ぼしますエネルギー、食料品を中心に物価上昇が続いております。

 先週、御党から提出されました物価高騰を踏まえた追加策についての提言も踏まえまして、先ほど開催をされたと伺っておりますけれども、物価・賃金・生活総合対策本部におきまして、低所得の子育て世帯に対して、児童一人当たり五万円を支給する方針が決定されたとお伺いをしております。

 今後、追加対策の決定を受けまして、低所得の子育て世帯に対して速やかに給付金を支給できるように、具体的な制度設計の検討を急ぎまして、自治体に対しましても、円滑な事業実施に向けた必要な情報発信を丁寧に適切に進めていきたいと思っております。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 コロナ禍に伴います物価高騰が続いている中で、負担感の大きい低所得の方々の生活を守るため、地域の実情に応じたきめ細かな支援を一層強化していくことが重要であるというふうに認識しております。

 このため、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金におきまして、住民税非課税世帯当たり三万円を目安とした支援が可能となるよう、低所得世帯支援枠五千億を措置する方針を先ほど決定をしたところでございます。これに加えまして、引き続き、低所得世帯への支援も含めまして、生活者支援や事業者支援として効果的と考えられる事業に御活用いただけるよう、七千億を措置する方針も併せて決定をしたところでございます。

 必要な支援を迅速にお届けすることができるよう、しっかりと準備を進めてまいります。

佐藤(英)委員 速やかな支援をお願いしたいと思います。

 次に、コロナ特例貸付けについて伺います。

 コロナ特例貸付けの償還免除の申請は三割を超えており、お金を借りた後も生活苦が続いているとの相談が増加しております。

 償還免除を行った借受人に対する今後の生活再建に向けた支援のほかに、償還免除に至らないものの償還が困難な借受人に対して、償還猶予や少額返済の案内などのフォローアップ支援を継続して行うべきと考えます。

 また、コロナ特例貸付けの償還免除の要件の更なる拡大を検討すべきと考えますが、見解を伺います。

川又政府参考人 お答えします。

 緊急小口資金等の特例貸付けの借受人に対して、償還免除となった方だけでなく、償還が困難な方も含め、生活再建に向けてきめ細かな支援を行うことが重要と考えております。

 そのため、現在、実施主体である社会福祉協議会におきまして、借受人の個々の状況に応じて償還に向けた相談支援、償還猶予、少額返済などの案内を行うとともに、自立相談支援機関と連携した就労支援や家計改善支援などフォローアップ支援に継続して取り組んでおります。

 また、特例貸付けの償還免除要件につきましては、償還開始時に住民税非課税である場合のほか、償還開始後であっても、住民税非課税となった場合、あるいは生活保護を受給した場合なども該当しまして、それ以降の返済を免除することとしております。

 さらに、免除の対象とならないが、やむを得ない事由により償還が困難な場合には、個々の状況に応じて償還猶予等につなげております。

 引き続き、償還免除や償還猶予を積極的に進めるとともに、償還を猶予している場合であって、自立に向けた支援を受けてもなお償還のめどが立たない場合などの取扱いにつきまして、現在検討を進めているところです。

佐藤(英)委員 よろしくお願いいたします。

 次に、賃金引上げに対する助成金の活用、促進について伺います。

 本年の春闘は、大手企業で早期の満額回答が相次ぎ、賃上げの機運が高まっておりますが、我が国の雇用全体の七割を担う中小企業に賃上げを波及させていくことが極めて必要であります。

 物価上昇を上回る継続的な賃上げを促進するため、経済対策で拡充した業務改善助成金などを活用し、中小企業や小規模事業者などによる賃上げへの支援を促進するとともに、更なる拡充について検討すべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。

鈴木政府参考人 御指摘の業務改善助成金でございますけれども、先般の経済対策におきまして、特に最低賃金引上げの対応が困難と考えられます事業場規模三十人未満の事業者に対する助成上限額の引上げなどの各事業を実施してございます。

 令和四年度の申請件数は、二月末の時点で六千四百八十七件と過去最高となってございまして、このうち、経済対策による拡充が行われました十二月以降の申請件数は二千三十六件と、昨年同時期の二倍以上となってございます。

 また、政府全体では、事業再構築、生産性向上などと一体的に行います賃金の引上げなどへの支援を行っているところでございまして、引き続き、中小企業庁等の関係省庁とも連携しながら、事業主に対しまして助成金の活用を促してまいりますとともに、更なる拡充につきましても引き続き検討するなど、中小企業、小規模事業者が賃上げしやすい環境の整備に努めてまいりたいと考えてございます。

佐藤(英)委員 よろしくお願いします。

 次に、短時間勤務制度の拡充について伺います。

 先日、二月十三日の予算委員会におきまして、私は加藤厚生労働大臣に、子育て世帯の親の働き方改革について質問させていただきました。大臣からは、厚生労働省において、子育て期の働き方のニーズを分析し、議論をしていく旨、答弁をいただきました。是非、その議論に当たっては、公明党の子育て応援トータルプランを参考にしつつ、検討を進めていただきたいと考えております。

 特に、子育てと仕事を両立する上では、長時間労働を是正するとともに、短時間勤務を含め、テレワークやフレックスタイム制などを活用した柔軟な働き方が可能となる仕組みを推進することが重要と考えます。総理からも、男性の育児休業の取得率の目標を大幅に引き上げるという発言がされました。

 これらについて、加藤大臣の決意をお聞かせをいただきたいと思います。

加藤国務大臣 御党の子育て応援トータルプランでは、育児期の両立支援制度の利用促進や拡充などについて様々な御提言をいただきました。また、委員からも、先日の予算委員会で、子育て中の労働者が柔軟な働き方を選択できるようにすべきとの御指摘も頂戴したところであります。

 総理から、子供政策の強化の基本的方向性の一つとして、働き方改革の推進と、それを支える制度の充実の検討が指示をされております。

 子供を持つ親の働き方のニーズとしては、女子の正社員においては、子が三歳以降は短時間勤務を希望する人もいる一方で、残業しない働き方や出社や退社時間の調整による柔軟な働き方を希望する割合も結構な割合になっているということ、また、男性社員については、残業しながらフルタイムで働くことを希望する割合が高いものの、柔軟な働き方を希望する割合も同程度に高くなっているといったニーズが読み取れるところでございます。

 こうした点も踏まえて、今委員から御指摘ありました、本年一月から有識者による研究会を立ち上げ、議論をいただいております。仕事と育児の両立支援制度について、労使へのヒアリングなどを通じて、労働者のニーズも踏まえて検討を進めていき、こうした検討を基に、子育て期の長時間労働の是正、また、柔軟な働き方を可能にし、男女共に安心して子育てしやすい環境の整備に努力をしていきたいと考えています。

 また、男性の育児休業の取得促進については、先週金曜日に総理から、まず、産後の一定期間に男女が子育て取得した場合の給付率の手取り一〇〇%に引き上げるということ、また、育児休業取得率の政府目標を大幅に引き上げて、二〇二五年に五〇%、二〇三〇年に八五%とし、目標達成を促すために、企業ごとの取組状況の開示を進めること、応援手当など、育休を促進する体制整備を行う企業に対する支援を検討することなどの発言があったところであります。

 こうした取組についても早急に検討を深め、育休を取得しやすい環境づくりに取り組むとともに、新たな育児休業の取得目標の達成を目指していきたいと考えております。

佐藤(英)委員 加藤大臣のリーダーシップを御期待申し上げたいと思います。

 次に、育児休業給付制度の拡充についてでありますが、昨年十二月に取りまとめられた全世代型社会保障構築会議報告書では、子供、子育て支援の充実策として、希望する方が短時間勤務を選択しやすくする給付の創設の検討が盛り込まれておりますが、公明党の子育て応援トータルプランにおきましても、短時間勤務をしながら育児休業給付金を受給できる制度の創設に取り組むことを提案させていただいております。

 先日、総理からは、新たに産後の一定期間に男女で育休を取得した場合の給付率を手取り十割に引き上げるとの発言がありました。

 働きながら子育てを行う方々を支援するためにも、こうした支援制度は早期に実現すべきと考えますが、見解を伺います。

伊佐副大臣 子供を産み育てたいと希望する全ての人が、働き方にかかわらず、安心して子育てができる環境の整備を進めるということが重要だというふうに考えております。

 今委員の方から言及いただきました、先日、総理の方からの発言では、希望する場合には、育児期間中に時短勤務をした際にも給付が行われるように見直す、また、産後の一定期間に男女で育休を取得した場合の給付率を手取りの十割に引き上げると。これは、男女でというのは、男性だけでもなく、女性だけでもなく、男女で育休を取得した場合にという意味でございます。これによって、夫婦で育児、家事を分担し、また、キャリア形成や所得の減少への影響を少なくできるようにするという発言でございました。

 先ほどの早期に実現すべきという点でございますが、この点については、今月末をめどに、小倉大臣の方で、これは厚労省も連携させていただいて、具体的なたたき台をパッケージで取りまとめるということになっております。その後、その内容、予算、財源について更に議論を深めまして、六月の骨太方針までには将来的な子供予算倍増に向けた大枠を示してまいりたいというふうに思っております。厚労省としても、しっかりと取り組んでまいります。

佐藤(英)委員 是非早期の実現を希望したいと思います。

 次に、ゼロ―二歳児の保育無償化の拡大についてお伺いします。

 幼児教育、保育所の無償化については、令和元年十月から、全ての三歳から五歳児と、住民税非課税世帯のゼロ―二歳児を対象に実施されております。最近の調査でも、八割近くの保護者の方々が、幼児教育、保育の無償化については肯定的な評価をされております。

 また、このほど東京都は、新年度からゼロ―二歳児の第二子の保育料を無償化する方針を発表されました。

 国においても、ゼロ―二歳児の保育料の無償化について、所得制限の緩和や、第二子以降の無償化を行うなど、段階的に対象を拡大すべきと考えますが、見解を伺います。

北波政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ございました幼児教育、保育の無償化につきましては、御指摘ありましたとおり、三歳から五歳児は全世帯を対象としておりますけれども、ゼロ歳から二歳児につきましては住民税非課税世帯を対象に無償化するとともに、多子世帯の経済的負担の軽減の観点からは、第二子の保育料を半額とし、第三子以降は無償化ということにしております。

 このような仕組みとしている理由といたしましては、三歳から五歳児が広く幼稚園や保育所などを利用しているのに対しまして、ゼロ歳から二歳児の利用は約四割にとどまっていることや、イギリスやフランスといった諸外国においても、所得制限を設けずに無償化が進められているというのは三歳から五歳児であるなどの事情もあると考えております。更なる無償化の対象拡大につきましては、こうした事情も踏まえて議論する必要があると考えます。

 総理からは、子供、子育て施策として充実する内容の具体化の指示がなされておりまして、その取りまとめに当たっても、社会全体の意識を変え、子供、子育てを応援するものとなるよう、個別の施策ではなく、ライフステージを通じた施策のパッケージを示す必要があるというふうに考えております。

 現時点では、予断を持って個別の施策の是非を述べる段階ではございませんと考えていますけれども、様々な意見に耳を傾けながら、今月末を目途として、小倉大臣の下で子供、子育て政策として充実する内容を具体化したいと考えております。

佐藤(英)委員 最後、併せて二問、伺いたいと思います。

 初めに、総理が掲げる異次元の少子化対策の三本柱なんですが、保育を始めとする子育て家庭向けサービスの充実であります。

 一方で、保育現場での人手不足は深刻であります。保育士の配置基準の改善は喫緊の課題であります。保育士の労働環境の改善にもつながると、現場からも見直しを求める声が上がっております。

 配置基準は、昭和二十三年以来、七十五年、大きく変わっておりません。配置基準の見直し、併せて国の基準を上回る配置を実施する保育所への加算など、安心、安全な保育環境の実現に向けて迅速な検討が必要だと考えますが、見解を伺います。

 また、保育所における使用済みのおむつの取扱いについて伺います。

 厚生労働省は一月に、保護者が持ち帰ることが多かった保育所の使用済みおむつについて、保育所での処分を推奨する通知を出されました。持ち帰りの廃止は、保護者の負担だけではなく、保育士にとっても保護者に引き渡すために仕分ける手間を省ける利点があります。

 一方、厚生労働省が、昨年、自治体を対象に実施した調査で、使用済みおむつを保護者が持ち帰ることとしている保育所にその理由を複数回答で尋ねたところ、保管するスペースの確保や衛生面での管理が困難とする回答が五四・四%あったそうであります。使用済みおむつを保管するスペースの増設や、衛生面を管理するための保管用ごみ箱の購入などに対する支援が必要であります。

 さきの通知でも財政的支援について紹介されておりますが、現場の保育所がそうした支援があることを適切に知ることができるよう周知していく必要があります。また、より多くの保育所でおむつの処分が行われるよう、政府として継続的なフォローアップをしていくべきであると考えます。併せて見解を伺います。

伊佐副大臣 まず、保育士の配置基準でございますが、重要な課題だというふうに考えております。

 三歳児に対する保育士の配置については、平成二十七年度に二十対一から十五対一に改善させていただいて、そうした保育所に対しては公定価格上の加算を設けたところであります。

 一方で、御指摘のありました積み残し、いわゆる一歳児あるいは四、五歳児に対しての保育士の配置改善については、これは消費税分以外で財源を確保する、いわゆる〇・三兆円超えのところでございますが、ここは未実施となっております。ここは、引き続き安定的な財源の確保と併せて検討が必要だというふうに考えております。

 こういう中で、令和五年度の予算案では、チーム保育推進加算というところで、定員百二十一人以上の保育所には保育士二名までの加配を可能とする、これまでは一名でございましたが、これを二名とした。また、保育体制強化事業においては、登園時あるいは園外活動時などの多くの人の目が必要な時間帯において支援員の配置の充実を図るということとしております。こうしたものも活用していただきたいというふうに思っております。

 また、御指摘のあった保育士の労働環境の改善についてでございますが、これは、保育所等のICT化の推進とか、あるいは保育補助者等の配置のほかに、やはり、指摘があるのは、いろいろな書類、様々な事務作業が多いというような指摘を私も伺っておりまして、例えば、指導監査の中には分厚い書類を準備しなきゃいけないというような指摘も、この週末も私もいただきました。

 自治体、保育所双方の事務負担を軽減するいろいろな事例がございまして、例えば、検査当日に紙での出力は不要として、パソコンだけで検査担当者が確認するでありますとか、あるいは、事前に自治体に対してメールで書類は提出をして、検査当日は実地を中心にするというような取組をしているところもございまして、こういう好事例も横展開をさせていただきながら、保育所の現場の就業継続のための環境づくりにも引き続き取り組んでいきたいというふうに考えております。

 最後、保育所のおむつの御質問がございました。これについては、昨年の自治体調査の結果を踏まえまして、本年一月に、保育所等においての使用済みおむつの処分を行うことを推奨するということで、また、様々な、保管用のごみ箱等を購入する場合には補助対象とするということも周知をさせていただいております。これは、保護者あるいは保育士双方の負担軽減につながるというふうに認識をしておりまして、各自治体、保育所等におかれては、保育所等で使用済みおむつの処分を行うことを積極的に御検討いただきたいというふうに考えております。

 国としましても、直近ではこの三月下旬に主管課長会議などがございますので、こういう機会を通じて引き続き周知に努めるとともに、継続的なフォローアップを行ってまいりたいというふうに思っております。

佐藤(英)委員 終わります。

三ッ林委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。

 三月の七日ですか、マイナンバー法、閣議決定をされた。今回は、健康保険証を廃止してマイナンバーカードに一体化するということ、事実上のマイナンバーカードの義務化ではないかというふうに私は受け止めております。

 やはり、健康保険は、我が国、何といっても国民皆保険制度ですから、これをあたかもマイナンバー制度と一体にして義務であるかのように置き換えるというのは、私は、政策の方向性からいっても、また、マイナンバーカードを普及させるという点からもマイナスではないかというふうに考えております。ですので、是非これは撤回をしてもらいたいという趣旨から質問をさせていただきます。

 まず、趣旨のところの確認なんですけれども、そもそも、なぜ、健康保険証を廃止してマイナンバーカードと一体にするということが必要なんでしょうか。なぜ健康保険証を廃止しなければならないのか、その理由を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 まず、マイナンバーカードと健康保険証の一体化によって、過去の服薬情報など様々なデータに基づいて、患者本人にとって、健康医療に関する多くのデータに基づいたよりよい医療を受けていただくことが可能になるわけでありますし、また、医療機関や医療保険者にとっても様々なコストの削減につながる、さらには、健康保険証はあくまで本人の申請に基づくわけでありますので、当然、交付件数が減ることも想定され、そうした意味での発行コストの削減ということも図られる、こうしたことを踏まえて、来年秋の保険証の廃止を目指すこととしておりますが、健康保険証の廃止後は、マイナンバーカードによるオンライン資格確認を基本としつつ、オンライン資格確認を受けることができない状況にある方については、本人の申請に基づき発行される資格確認書により被保険者資格を確認するということで、引き続き保険診療が全ての方において受けていただける、こういった配慮もしていくところでございます。

西村(智)委員 私は本当に疑問なんですね、厚生労働省がなぜこの方針に賛成をしたかということ。大臣がおっしゃるように、医療データが見られるようになる、それは本当に、患者にとっても、あるいは医療機関にとっても、みんながそうなっていけば結構なプラスは出てくるかというふうには思うんですよ。なんだけれども、そこに行くまで、本当に、このマイナンバーカードにICチップが入っている、表面は本人資格確認としても使われるけれども、裏面にはICチップ等がマイナンバーカードは入っていて、非常に、いろいろなデータ、いろいろなレベルの情報が裏と表に、こんなに一体に入っていて、そして、しかも健康保険証がそこに義務化されて入っていく、そういう国というのは私はないんじゃないかというふうに思うんですよ。

 もちろん、ほかの党の方に聞けば、いや、エストニアがどうだとかオーストリアがどうだとか、いろいろなことをおっしゃるけれども、まず、健康保険制度について、日本のように皆保険という国で、本当に、一体になった、本人資格確認も行われる、デジタル認証もそこで行われる、そこに、ICチップの入った医療情報が、鍵つきとはいえついてくる、こういう国というのは、大臣、ほかにありますでしょうかね。

加藤国務大臣 済みません、ちょっとほかの国まで今手元にございませんが、ただ、今委員おっしゃっているように、カードはあくまでも本人資格確認書として本人の資格確認に使っているだけで、そこに何かデータが、ICチップに入っているわけではありませんし、あくまでも確認書として使っているということでございます。

 券面の上には幾つかの個人情報があることは事実でありますけれども、それを超えるものについては、マイナンバーカードそのものに盛り込まれているわけではないということでございます。

西村(智)委員 存じ上げております。もちろん、そこにあるんじゃなくて、鍵つきで入っていく。でも、こういう方式になってきたというのも、日本のマイナンバーカードの、ある意味、特徴だというふうに私は思うんですよね。何か本当に、いろいろな情報が、あの一枚のカードで、ごちゃ混ぜにいろいろなレベルで入ってきている。私は、これが実は日本のマイナンバーカードの普及をある種遅らせているんじゃないかというふうに思うんですよね。

 今現在、このマイナンバーカードの交付率は六五・一%ですか、先週の三月十四日時点で。これは参議院の方で質問がありました。この交付率は、実は累積の交付枚数ということで、例えば、亡くなった方へのマイナンバーカードの交付の数、交付枚数、それもそこに入っている。だから、百歳以上の方の交付率というのは、何ですか、九九・一%というすごい数字になっているんだそうなんですけれども、これは何で、今、本当の取得率というのを出すことができないんでしょうか。本当の取得率を出していただいて、その上でやはり対策を考えていくべきじゃないかと思うんですけれども、これは総務省でしょうか、伺いたいと思います。

中川大臣政務官 お答えさせていただきます。

 総務省のホームページ等で公表しているマイナンバーカードの交付状況につきましては、人口に対する普及率ではなく、人口に対する交付枚数率を公表しているものでございます。

 マイナンバーカードの累計の交付枚数は、令和五年三月十九日時点で約八千二百五十六万件であり、人口に対する割合は六五・六%となっています。これは、再交付されたものなども含む延べ枚数でありますが、日ごとに簡便に把握することが可能でありますことから、マイナンバーカードの普及状況を示す一つの指標としてこれまで公表してきたものでございます。

 なお、委員ただいま御指摘をいただきました現に保有をされているカードの枚数につきましては、累計の交付枚数から死亡や有効期限切れなどにより廃止されたカードの枚数を除いたものと考えられるところ、令和五年三月十七日時点で約七千八百十三万枚であり、人口に対する割合は約六二・〇%となっているところでございます。

西村(智)委員 つまり、正しい数が分からないんですよ。現に発行されている枚数、更新の件数も含めてですよね、今大臣政務官も答弁されたのは。更新の枚数も含んでいるし、亡くなった方も除いていると思われるという、ここのところ、どうして確認できないんですかね。私、やはりこういう、何といったらいいのかな、何か、数を大きく見せようとしているんじゃないかというふうに、申し訳ないけれども、やはりうがって見るしかないんですよね。どうしてこれはちゃんと出せないのか、本当に不思議であります。

 それで、次、厚労大臣に伺いたいと思うんですけれども、マイナンバーカードが取得されていない方について、健康保険証の代わりとしてですか、健康保険証を廃止するというのは私は反対ですけれども、まずは、それをやるという前提での資格確認書について質問させていただきますけれども。

 この対象人数は、どのくらいというふうに見込んでおられるのか。今、総務省の方から、実際に交付件数、延べ、更新も含めて、それから枚数、そういったことについては何となくばくっと分かっているんだけれども、本当に人数が分からない、対象人数が分からないという状況なんです。これは大体どのくらいだというふうに見込んでおられますか。

加藤国務大臣 現時点でというお話でございますが、資格確認書は、全ての被保険者に対して一律に交付されるわけではありませんので、マイナンバーカードによりオンライン資格確認を受けることができない状況にある方に対して交付するもので、例えばカードを紛失した方とか、取得していない方の交付が想定されます。今後のカードの普及状況、また、資格確認書の発行ニーズがどの程度生じるかなどによって資格確認書の申請数は当然変わってくるところでございます。

 したがって、現時点において交付見込み数については具体的にお示しすることは大変難しいところでありますが、今後、資格確認書の具体的な用途等について検討を進める中で、そのニーズを推計し、大まかな交付見込み数というものも我々として把握していく必要があるとは考えております。

西村(智)委員 ニーズを把握というお話もありましたけれども、これも、先週、参議院の厚生労働委員会で我が党の高木委員が質問されていましたけれども、例えばマイナンバーカードを実は持っていたとしても、資格確認書、これが同時に必要になるケースもあるということですよね。例えば、高木委員が指摘されていたのは、学校行事のときに健康保険証の今でいえばコピーを取って、修学旅行に行くときとか、先生に預けたりするわけですよね。万が一のときにはそれで対応する。マイナンバーカードを、じゃ、例えば預けますかという話、まあ、今、それは議論をこれからするんですというようなお話でしたけれども。

 ですから、そういうようなケースはほかにも私はあるんじゃないかというふうに思うんですよ。というふうに考えると、この資格確認書の発行、対象人数、実は結構多くなるんじゃないかという気がするんですよね。じゃ、デジタル化とまるで反対の、二重の手間になってしまう。今であれば、健康保険証を表面だけコピーして、さっと渡せばいいわけですけれども、片やマイナンバーカードがある、片や資格確認書を持っている、そういう二つの手間も必要になってくるということで、私は、やはりちょっと、そういったことを義務的に進めるというのはどういうふうになっていくのかなと、本当に心配なんです。

 まず、その資格確認書の申請に関してですけれども、これはどういう手続になっていくんでしょうか。どういう制度になっていくんでしょうか。伺いたいと思います。

加藤国務大臣 今委員おっしゃったように、資格確認書のニーズにおいては、マイナンバーカードを紛失した、更新された、あるいは、マイナンバーカードを取得していない、あるいは、何かの例えば病院に行くときに本人に代わって誰かお願いをする、そういったことが想定をされるところでございます。それについては、これから、今、いろいろ検討させていただいて、必要な対応を取っていきたいと思っております。ただ、デジタル化云々とお話がありましたが、デジタル化を進めるためにはこういったマイナンバーカード等を活用していかないと、健康保険証そのものだけでデジタル化を進めるということを委員が御想定されているか、そこは、今の御質問からはちょっと把握できなかったところでございますが。

 御質問のマイナンバーカードの取得をどう進めていくのかということでございますけれども、まず、本人からお願いをして、本人の申請に基づいて交付をさせていただくことでありますけれども、来年秋の健康保険証の廃止に向けて、その案内をお送りする際に資格確認書の申請を促す旨を周知したり、資格確認書の有効期間の期限が到来する時期に手続の案内を送付したりする等、保険者からの申請の勧奨を実施をする。また、御本人からの申請が期待できない方については、御家族のほか、施設職員や支援団体等の代理申請を促すことにしております。

 それでもなお、資格確認書の申請が期待できないと判断された場合には、本人からの申請によらず資格確認書を交付することも可能とする、こういった対応を想定しているところでございます。

西村(智)委員 それはどういうケースですか。資格確認書を取得できないという方々には保険者の方から送付するということがあり得る、それはどういうケースで送付をするということになるんでしょうか。

加藤国務大臣 これは提出させていただいている法案の中にも書いておりますけれども、資格確認書の交付申請を行うことが期待できない方、例えば、身寄りがなくセルフネグレクトの状態にある方などを念頭に、保険者が必要と認めるときは、本人の申請によらず資格確認書を交付できる旨の経過措置を設けさせていただいているところでございます。

西村(智)委員 それは経過措置ですね。経過措置ということは、どのくらい経過の措置が取られるんでしょうか。

 それから、今でいえば、御家族で離れて暮らしている方は結構いらっしゃると思います。例えばですけれども、子供さんが遠く離れて平日仕事をしている、こういうケースは、セルフネグレクトとか、それから身寄りがいないとか、そういうケースには入るんでしょうか。

加藤国務大臣 まず、時期については、法文上、今回出させていただいた附則の第十五条に、保険者は、必要があると認めるときは、当分の間、同項の規定、これは求めることができる規定ですね、にかかわらず、職権で、被保険者に対し、書面を交付するなどの形で提供することができると書いてありますが、当分の間ということでございます。

 それから、基本的に、まず、先ほど申し上げたように、御本人以外の方からも求めることができるとなっておりますので、まずは、そうした方々から自発的に申請によってお求めいただけるよう、我々としては、いろいろな手段を活用し、あるいは広報し、まずは、それぞれ皆さんから申請について求めていただく。しかし、それでもなおかつ、先ほど申し上げたように、申請に至っていない、そういった方々については、資格確認書をいわば職権で交付する、こういうような仕組みを設けているというところでございます。

西村(智)委員 後半の部分についてはお答えがなかったんですけれども、じゃ、今の答弁の趣旨でいえば、例えば、一人で暮らしているけれども、遠くに御家族なりがいらっしゃる、代理で来ることもできるんだけれどもなかなか来ることができない、こういう方々というのはその対象になり得るということですか。

加藤国務大臣 いや、答えたつもりなんですが、まずは自発的な申請をしていただけるように、様々な形で促しをしていく、しかし、それでもなおかつ期待できないと判断された場合には、資格確認書をいわば職権として交付することも可能、こういう仕組みになっているということです。

西村(智)委員 私、やはりちょっと、世界的に見て、こういうふうに、いろんなデジタルIDを取るためにマイナンバーカードの取得が必須となっている国は、ほかにないと思うんですよ。例えば、いろんなデジタルの情報が入っているカード、あるんですけれども、あのマイナンバーカードというのは、表面が本人確認になっていて、裏面がデジタルIDということになっていて、そこにとにかくいろんなレベルの情報が、鍵つきかもしれないけれども入ってくる。これは、一見、何か、すごく、一枚で事足りますということで、いいようには感じるかもしれないけれども、実は、そういった、デジタルIDを取得するに際して、国民カード、日本でいえばマイナンバーカード、それの取得が前提条件とされている国というのはほとんどない。日本だけだと思うんです。しかも、国民皆保険制度で。

 やはりここは、本当に、医療、こういったもののデジタル化を進めるということであれば、本当にちょっと立ち止まっていただいて、よくよく考え直していただいた方がいいんじゃないかというふうに私は考えております。

 それで、ちょっと先に進みますが、マイナンバーカードについて、いろんな議論、これまでも、もう十年以上あるわけですけれども、表面と裏面があって、裏面をコピーすると、これは個人情報の取得、保管に当たるということで、法に問われることになるわけなんです。

 十年ぐらい前ですか、いろいろな質疑があって、その裏面をコピーしてはいけないという周知を、当時の担当大臣だった甘利大臣が、周知はちゃんとやりますというような答弁をしておられるんですけれども、今、この周知というのは、どこまで、どういうふうになされているんでしょうか。これはデジタル庁に伺いたいと思います。

大串副大臣 マイナンバー法では、マイナンバーを含む個人情報である特定個人情報の収集、保管、第三者提供については、特定の場合を除いて禁止されているところでございます。

 このことについては、委員御指摘のとおり、マイナンバーカードを本人確認書類として使用する際に、裏面のマイナンバーのコピーをしてはいけないといった点も含め、様々な機会を捉えて、国民に分かりやすい広報に努めているところでございます。

 具体的には、国民向けにはリーフレットやデジタル庁ウェブサイト上で周知をしておりますし、事業者向けには個人情報保護委員会がガイドラインを公表するなどの広報を行っておりますが、今後とも、マイナンバー制度については、国民の皆様の御理解を得られるように、分かりやすい広報に努めてまいりたいと思います。

西村(智)委員 まず、では、その個人向けのパンフレットですか、これについて伺いたいと思いますけれども、そのパンフレットというのはどういうふうに配布しておられますか。これまで何枚ぐらい配布しておられますか。

大串副大臣 お答えをいたします。

 リーフレットにつきましては、令和四年度は、希望のあった百六十四自治体に対して九万二千五十部配布しているところでございます。

西村(智)委員 少ないんですよ。九万しか配布されていないんですよ。しかも、希望のあった百六十四自治体ですか。私も見せていただきましたけれども、そこにウサギが出てきて、裏面はコピーしてはいけないのじゃ、こう書いてあるんですよね。そのパンフレットは、やはり利用者にもきちんと情報として、まあ、それぞれの自治体でもしかしたらやっているのかもしれません。やっているのかもしれないけれども、まさに、このマイナンバーカード、マイナンバー制度というのは、国が主導して、デジタル庁が主導してやるものだから、少なくともこの情報は、全交付に対して、私はそれはやはり徹底しなきゃいけないと思うんですけれども、少なくないですか、少な過ぎないですか。それをちょっと一点伺いたい。

 それから、事業者向けのガイドラインなんですけれども、見せていただきました。個人情報保護委員会、大串さんがちょうど両方御担当だということなので併せて伺うんですけれども、Qの六の十三のところに、身分証明書の写しとして、顧客の個人番号カードをコピーしてもよいですかという問いがあります、事業者向けのガイドラインに。この回答では、表面はコピーすることは問題ありませんと。それはもちろんそうですね。一方、番号法で定められた場合以外では、個人番号をコピーすることは特定個人情報の収集、保管に違反する可能性があり、カードの裏面の個人番号をコピーすることはできませんと書いてあるんですけれども、違反する可能性じゃなくて、これは違反するんじゃないですか。明らかに法に触れませんか。裏をコピーして取得、保管したら、これは法に触れませんか。

大串副大臣 まず、前半の広報について、マイナンバーカードにつきまして、皆様に本当に安心して使っていただけるように、しっかりとした広報をしていかなければいけないということで、これについては、引き続き、分かりやすく伝えられるように努力をしてまいりたいというふうに思います。

 続きまして、後段の個人情報保護に関する問題でございますが、個人番号をコピーすることが番号法に違反するかどうかにつきましては、個別の事案ごとに具体的な内容を確認して判断をする必要がございますので、個人情報保護委員会のQアンドAにおきましては、違反する可能性がある旨の記載としているものと承知をしております。

西村(智)委員 これはちょっと誤解を与えるんじゃないですかね。

 平成二十五年の五月二十三日の参議院の内閣委員会で政府参考人が、「表面と裏面を両方コピーしてそれを持っておりますと、これは収集、保管に当たります。」というふうにはっきり言っているんですよ。

 これはやはり誤解を招く表現だと思うので、ちょっとここは直していただいて、裏面をコピーしない、だから、この当時から、周知、周知なんてものじゃないんですよね、もっとこれははっきりそういうふうに言わないと、だって、今でさえ、マイナンバーカードあるいはそういったものの漏えいとか、いろいろな事件が起きていますよね、事故とか。そういったものを防げないんじゃないですか。政務官、どうですか。直していただくのと、利用者、交付された方に対してもきちんとそういったことを、事業者側と利用者側に両方ちゃんと説明するということが必要だと思うんですけれども、いかがですか。

大串副大臣 御指摘のガイドラインのQアンドAにつきましては、番号法の二十条を受けているものでありますが、この二十条が禁じているのがあくまでも収集ということで、集める意思を持って自己の占有に置くことをいうというふうにされております。そのため、例えば、そのような意思がなくて誤って個人番号をコピーしてしまったものの速やかに廃棄したような場合は、直ちに番号法違反にはならないということで、違反にならない可能性があるということで、先ほどの答弁となっております。

 なお、万が一マイナンバーカードが他人に見られたり漏れたりしたとしても、マイナンバーだけで手続はできないために、情報を引き出したり直ちに悪用したりすることはできないということになっております。

西村(智)委員 カードの裏面の個人番号をコピーすることはできませんと、後段部分でちゃんと書いてあるわけですよ。事業者向けのガイドラインがちょっとこういうふうに甘いと、私はやはり漏えいとかいろいろな事故とかが起きる危険性は払拭できないというふうに思いますので、そこは是非見直していただきたい。

 ちょっと時間がなくなってきたので、オンライン資格確認等のシステムを活用した資格確認件数について伺いたいと思います。

 今回、カードを持っていない人は加算される、診療のたびに。これはやはり私は大変問題だと思うんですよ。

 じゃ、現に今、オンライン資格確認等システムを活用した資格確認件数のうち、特定健診等情報あるいは薬剤情報の閲覧に同意して、医療機関や薬局が利用した件数、これはどのくらいの比率になるんでしょうか。教えてください。

加藤国務大臣 本年二月にマイナンバーカードにより資格確認が行われた約百五十七万件のうち、薬剤情報を医療機関、薬局が利用した件数は約七十四万件、その比率は約四七%。特定健診等情報を医療機関、薬局が利用した件数は約三十二万件、その比率は約二〇%。さらに、診療情報を診療機関、薬局が利用した件数は約三十一万件で、その比率は約二〇%となっています。

西村(智)委員 つまり、確認されていない人の方がやはりまだまだ多いということなんですよね。そうすると、ちょっとこれは制度の考え方としてもおかしいんじゃないかと思うんですけれども、カードを持っている人がやれば加算はされない。だけれども、今度は資格確認書を持っていった人は加算をされる。その理由については、カードで確認ができれば、その分、例えば特定健診情報だとか薬剤情報を閲覧できるので、その手間が省けるからだというふうに言われるんですけれども、今現に持っている方々でも、特定健診の情報や薬剤情報などについて、閲覧はせいぜいでいって四〇%ぐらいですかね。ということになると、そういった持っているからということで加算がされないというのは、これはやはりちょっと逆に言うとおかしいことになってしまう。今でさえ、今でも、例えば健康保険を持っていても、薬剤だとか健診の情報なんかは、確かめながら問診なんかを行われているということじゃないかというふうに思うんですよ。

 私は、逆の発想なんじゃないかと。つまり、カードを持っていますという人は、それでオンラインで確認ができる。逆に、そういった人たちに対して、診療報酬、例えば減らす、減算するとかということであると、まだ分かるんですけれども、持っていないから加算されるというのは、ちょっと理屈に合わないと思うんですが、大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 過去の薬剤情報等様々な具体的な標準項目、これまでお示ししていなかったんですが、それをお示しをし、そういったものの問診をしながら診療していただくことによって、よりよい医療をしていただく。それに対する加算なんですね。そして、その加算を取るときに、情報をデータから取れば、負担がなく情報を入手できる。データがなければ、一つ一つ患者さんに聞かなきゃいけない。

 その差分が、このオンライン資格確認でやっているかやっていないかの差分になっている、こういう仕組みなので、多分、委員のおっしゃっていることと同じことじゃないかと思いますけれども。

西村(智)委員 私、やはりどう考えても、何か、例えばマイナンバーカードを持たない人に対する、言ってみれば罰則的なこの加算というのは、本当におかしいというふうに思うんですよ。これは、これから法案についてもいろいろ議論が行われていくことになると思いますので、またそこで更に伺っていきたいと思いますけれども。

 大臣、ここは本当に、今の日本社会の現状とか、それから日本がこれまで積み上げてきた皆保険の仕組みとか、そういったものを守るという点からも、是非考え直していただきたい。デジタル庁においてもそのことをしっかりと含めて検討して、私ももちろんデジタルファーストだと思っております、だけれども、それを進めるために本当にこのやり方でいいのかということはよくよく考えてもらいたい、そのことを訴えて、質問を終わります。

三ッ林委員長 次に、野間健君。

野間委員 立憲民主党の野間健です。

 本日は、まず、労働災害についてお尋ねしたいと思います。

 今、四月一日から第十四次の労働災害防止計画が始まるわけですけれども、第十三次までの様々な課題とか問題点が今出てきているわけであります。とりわけ、今、働く方の二割、一八%が六十歳以上の高齢者になっている。また、労働災害による死傷者数が、六十歳以上の方が四分の一を今占めるような状況になっております。また、中高年の女性、第三次産業なんかでは、転倒とか腰痛、こういう職業病的なものも非常に増えております。

 まず、ちょっとお聞きしたいんですが、十四次計画で取り上げられていますけれども、メンタルヘルスの対策であります。

 とりわけ、コロナ禍でテレワークが進展している中で、これはワーク・ライフ・バランスに資するという非常にプラスの評価もあります。一方で、非常に不適切な労働時間の管理とか、長時間、過剰労働の増加等のことも問題点として挙げられております。

 先日、私も、ある企業の人事労務の方に聞きますと、人によっては、うるさい上司とか煩わしい人間関係から離れて自宅で仕事ができるというのを歓迎する人、喜んでいる人もいれば、今、上司がどう考えているんだろうか、社内でどういうことが行われているんだろうか、そういうことが分からず、孤独感とか、悩んでいる人もいると。

 人によって様々なんですが、いずれにしても、コロナが収まったとしても、またいろいろな感染症等で、このテレワークというのは新しい勤務形態として今後なくてはならないものになってくると思いますし、調査によりますと、テレワークを経験した労働者の四割の人が、こういう形も継続してほしいということを望んでいるという結果も出ております。

 テレワークの下におけるメンタルヘルスの不調等の対策を厚労省として、まあ様々取り組んでおられると思うんですけれども、具体的にどのようなことをされているか、お答えいただきたいと思います。

加藤国務大臣 野間委員おっしゃるように、テレワークをうまく活用していかなきゃいけない、まさしくそのとおりだと思います。

 メリットもありますが、他方で、いろいろと、長時間労働になる等のデメリットといいますか、留意点も指摘をされているところでございます。

 厚労省としては、使用者の適切な労務管理の下で、働く方々が安心してテレワークを行うことができるよう、テレワークガイドラインというのを作らせていただき、テレワークを実施する際の長時間労働対策やメンタルヘルス対策としても考えられる取組をお示しをさせていただいております。

 具体的に、長時間労働対策については、テレワークをしている労働者の上司等に時間外などに業務に関するメールの自粛を命ずること、また、時間外、休日、深夜労働などの時間数に上限を設定することなどの取組をお示しをしております。

 また、メンタルヘルス対策などにおいては、オンラインを活用した、労働者が健康相談を行うことができる体制の整備、ストレスチェックの実施、定期的、日常的なミーティングなどによるコミュニケーションの活性化などの取組をお示しをし、また、この取組をチェックリストの形で整理し、事業者の取組を促しているところであります。

 さらに、こうしたガイドラインの中身がしっかり周知されていくよう、テレワークガイドラインのパンフレットの作成、企業向けセミナーの開催、あるいはポータルサイト等を通じた情報発信、これに取り組んでいるところでありますので、今後とも、こうしたテレワークが委員おっしゃるようにいい形で進んでいけるように取り組んでいきたいと考えています。

野間委員 大企業、大きな法人はそういうことがきちんとできるんだと思いますけれども、やはり、どうしても中小零細企業はそういったところまでなかなか行き届きませんので、周知徹底を図っていただきたいと思います。

 次に、第十四次で、新たに、個人事業者等の安全衛生対策を推進するということがうたわれています。

 一人親方、それからフリーランスの個人事業者が労働関係法令の枠外に今あるわけです。ただ、一昨年五月、建設アスベスト訴訟の最高裁判決がありまして、一人親方等もきちんと救済すべきである、保護すべきである、こういう判決が出て、今、厚労省においても法令の改正を踏まえた対処をされているところだと思うんですけれども、まず、こういった一人親方、フリーランスの方に対する、労働者性が認められる場合に、それを雇う事業者に対してどのような指揮監督を行っているのかということを伺います。

鈴木政府参考人 委員御指摘の建設アスベストの最高裁訴訟の判決におきましては、労働者と同様に石綿を取り扱う建設作業に従事していました個人事業者につきまして、労働安全衛生法第二十二条に基づく規制権限不行使に関します国の責任が認定されたところでございます。

 このため、同法第二十二条に関します十一の省令について、作業の一部を請け負う個人事業者に対しましても、労働者と同等の保護措置を事業者に義務づける改正を行ったところでございます。

 改正省令は本年四月一日より施行されることになってございまして、より効果的な周知啓発ができるよう、内容を分かりやすく記載したリーフレットも作成しており、そうしたものも活用しながら、あらゆる機会を捉えまして周知啓発を図ってまいりたいと考えてございます。

野間委員 是非、なかなか、今までの慣行でそういったことが行われない、特に中小零細企業においてはそういったことが分からないところも非常に多いですから、周知徹底していただきたいと思います。

 次に、ちょっと先ほども申し上げましたけれども、介護あるいは小売業等で、特に中高年の女性の方が、腰痛あるいは転倒、こういった事故が非常に今多くなっています。特に中小の事業者はこの問題に悩んでいますし、また、こういったところに対する財政支援とか、いろいろなノウハウの支援等も必要になってきていると思うんですけれども、対策を伺います。

鈴木政府参考人 委員御指摘のとおり、産業構造の変化や働き方の多様化、労働者の高齢化などの影響によりまして、小売業や介護施設を中心に、労働者の作業行動に起因します転倒や腰痛などの労働災害が増加してございます。

 これを受けまして、令和五年度を初年度といたします第十四次労働災害防止計画におきましては、これらの産業の主な担い手でございます中高年齢労働者を中心としまして、作業行動に起因いたします労働災害の防止対策を進めていくことを重点事項と定めた取組を強化していくこととしてございます。

 具体的に申し上げますと、労働災害防止に資します装備や設備、例えば介護作業におけます身体的負担を軽減する機器等の普及、業務多忙な現場の実態を踏まえまして、アプリや動画などを活用しました効率的、効果的な安全衛生教育ツールの普及、骨密度等の転倒災害リスクの見える化と、労働者の筋力、体幹等の身体能力の維持改善の取組の促進などに取り組んでいくこととしてございまして、特に小売業や介護施設の労働災害の減少のために支援が重要だと考えてございます。

 このために、エイジフレンドリー補助金に基づきまして、転倒防止のための労働者の身体機能のチェックや、運動指導に関します補助、重量物取扱いや介護作業におけます労働災害防止のための運動指導に対する補助、介護作業におけます身体的負担を軽減する機器等の導入補助や、介護技術の習得のための教育の補助などの支援を行っているところでございまして、引き続きしっかり取り組んでまいりたいと考えてございます。

野間委員 こういった腰痛で、介護の、せっかく仕事をしても辞めるという方が非常に増えていますので、財政支援、またノウハウの対策、よろしくお願いしたいと思います。

 あと、安全衛生の経費の問題なんですけれども、安全とか安心がなかなかお金にならない、いろいろな仕事の中でも安全衛生に関する経費というのが最初に削られるということもよく聞くわけであります。安全衛生の経費が適正にきちんと様々な事業の中で支払われているのか、これは厚労省としてどのように把握をしているのか。また、国土交通省では、これも事業は終わりましたけれども、建設工事の請負契約における適切な安全衛生経費の確保等の促進事業というのも行われていました。こういったことも、いい事例として、ほかの産業にも是非、水平展開を図るようにしていくべきだと思いますけれども、どんなものでしょうか。

加藤国務大臣 職場での高齢化、あるいは女性の活躍が進む中で、更にこうした安全、健康で働く環境をつくっていくということは非常に大事でありますし、そのためには、安全衛生経費、これをしっかり確保していただいて、労働者の安全衛生の確保に係る責任を負う事業者、注文者を含めて全ての関係者が適切な安全衛生対策に取り組んでいただく必要があります。

 労働安全衛生法において、建設工事の注文者に限らず仕事を他人に請け負わせる者は、安全で衛生的な作業の遂行を損なうおそれのある条件を付さないように配慮しなければならないと定められており、これを踏まえて、請負金の費目等についての配慮も含まれるという旨の通達を出しているところでございます。

 こうした条項を踏まえて、都道府県労働局、労働基準監督署においては、建設業を中心に周知、指導等を実施しているところでありますが、今般、令和五年度を初年度とする第十四次労働災害防止計画において、業種を問わず、注文者が契約時等に安全衛生対策経費を確保することの必要性を明記をしたところでございます。

 今後、こうした内容を周知し、また、していくための具体化に向けた検討を進め、建設業以外の請負契約を活用する業種についても、事業者が行う安全衛生対策の必要性、安全衛生に要する経費の確保の重要性、これについて、実際に業務を行う事業者はもとより、仕事の注文者に対しても、あらゆる機会を捉えて周知啓発を図っていきたいと考えております。

野間委員 是非、建設業以外の産業に横展開していただきたいと思います。

 続いて、B型肝炎の訴訟の問題について伺います。

 もう御承知のとおり、B型肝炎については、一九四八年から、集団接種、接種予防法ということで、全国民、子供のときから予防接種をやらなきゃいけないということで、当時から、罰則、罰金を取ってまで接種を行うということが行われました。当時を見ますと、罰金が三千円以下。当時の小学校の先生の初任給が二千円ですから、相当額の罰金を取ってまで接種をやれという国の命令ですよね、国の強制。これも、もちろん公衆衛生上のいろいろなプラス面があったのは当然でありますけれども、一九八八年まで四十年間もこれが行われてきて。この間、WHO等からも、六〇年代、七〇年代から、一つの注射針を替えることなく使うということは非常に危険だ、危ないということは勧告が何度も出ていたわけですけれども、日本政府のある種の不作為でこういったことが行われてきて、四十万人と言われる被害者が出ているわけであります。これはもう御存じのとおりです。

 先日、B型肝炎の弁護団の方と話していましたら、加藤大臣は最もこのB型肝炎の問題について理解の深い、自分たちが信頼している政治家だということをおっしゃっていました。自民党が野党の時代に、B型肝炎の訴訟の決起集会にも加藤大臣がお見えいただいて、激励をいただいた、その後、雨の中、東京駅までデモ行進にもつき合っていただいたということで、最も加藤大臣を信頼しているし、全面的な解決に必ず力をかしていただける方だということを確信しているので質問をしてもらいたいということでありました。

 細かい、詳細な病状等のことについてはもう申し上げませんけれども、いわゆる除斥期間、時効ということで、発症時から二十年以内に損害賠償の提起、訴訟していなければ認められない、給付金、賠償金が四分の一になってしまうということが実際、二〇一一年の合意での取決めで今なっているわけですけれども、これはおかしいではないかということで今訴訟が行われています。

 詳細に入ると非常に長い議論になりますけれども、ハンセン病の問題、あるいは優生保護法下の強制不妊手術の問題等見ても、水俣病の問題もそうですけれども、国の施策によって被害を受けた人たち、それが、特にこのB型肝炎の場合は、ウイルスが体に入った場合、今、B型の場合はウイルスを体外に出す薬がないものですから、一生これとつき合って生きていかなきゃいけない。突然表れたり鎮静化したりということを繰り返したり、継続したり、突然に突発したりということがありまして、幾ら発症から二十年静かであったとしても、その後、突然また出てきたりということで、除斥期間あるいは時効というものには全くなじまない病であります。

 そういった意味で、これは、一昨年の最高裁の判決でも、再発したときを起算点とすべきだという結論も出ていますし、その中で、三浦裁判長は、やはり、迅速かつ全面的な解決を、政府も、そして関係者、弁護団も一致して協議をきちんとすべきだと。こういう様々な、時効によって非常に長く苦しんでいる人ほど賠償金が少ないというような、非常に不平等な結果になっているわけであります。こういったことを解決できるのは、やはり政治の決断、大臣なり総理の決断になると思います。

 かつては、小泉総理、そして、安倍総理もハンセン病のことについて決断され、はっきり言いまして、もう時効はどうでもいいんだ、これは国として救済しなきゃいけないんだということで、大きな政治的な決断がなされたわけですけれども、このB型肝炎についても、もうそうしていかないと、高齢化しております、患者の皆さんも。そういった時期に来ているんじゃないんでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 B型肝炎で本当に大変苦しんでおられる方々のお話、国会議員としても、また、厚労大臣のときにも、B型肝炎の訴訟の関係の皆さんとお会いする機会があって、いろいろお話を聞かせていただいているところでございます。

 まさにそうした様々な声、そして国会における議論があって、平成二十三年のB型肝炎特措法が制定され、そして、民法上の除斥期間、二十年経過をしていても、そして、国に対する損害賠償請求権が消滅した方でも、損害賠償責任を前提としない形で対応する、給付金をお支払いする、こういう制度がつくられたわけであります。

 本来は、除斥期間があることを踏まえて、病態や除斥期間を経過したかどうかに応じて区分することが設定されていますが、これも当時、裁判所、原告、国の調整の結果で、原告団、弁護団と国との間で締結した平成二十三年の基本合意書に明記をされ、この基本合意書の内容に基づいてB型肝炎特措法にも規定がなされているところでございます。

 今委員お話があった令和三年四月の最高裁判決において、一度鎮静化した慢性肝炎について、HBe抗原陰性慢性肝炎として再燃した場合には、これは質的に異なる損害である、再燃した時点を新たに除斥期間の起算点とする新たな考え方が示されたところでございまして、この判決においても、損害賠償請求権が消滅する除斥期間という考え方を前提とした判断があくまで示されているものと承知をしております。

 こうした経緯から、除斥期間を撤廃し、一律の給付を行うということについては難しいものと考えておりますけれども、現在、最高裁判決を踏まえた救済について、福岡高裁において、原告団、弁護団との協議が進んでいるところでございます。引き続き、そうした協議を進めながら、被害者の皆さんの早期救済に向けて取組を進めていきたいと考えています。

野間委員 法律論としてはそういうことになるのかもしれませんけれども、これはもう本当に政治的な決断で、是非多くの患者さんを救っていただきたいと思います。長く長く、一生この苦しみを味わわなきゃいけない方々に思いを寄せていただきたいと思います。

 そして、この二〇一一年の合意の際に、B型肝炎のための画期的な新薬を作って、やはり、C型肝炎のように、ウイルスを外に出すことができるような薬を創薬をするということも、その研究開発がうたわれているわけですが、それから十二年たって、多くの予算を使いながら、今、なかなかまだこれは開発されていないようですけれども、どういうふうになっているんでしょうか、現状は。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 治療薬の開発の現状でありますけれども、B型肝炎ウイルスにつきましては、核酸アナログ製剤により、肝硬変や肝がんといったより重篤な病態への進行を予防又は遅らせることが可能となっております。しかしながら、C型肝炎の場合と異なりまして、体内からウイルスを排除できる根治薬はまだ開発されておりませんで、引き続き、創薬研究は重要な課題と考えております。

 現在、令和四年五月に厚労省で取りまとめました肝炎研究推進戦略に基づきまして、AMEDにおいて肝炎等克服実用化研究事業を行っておりまして、この中でB型肝炎ウイルスに関する創薬研究を継続しております。最近の成果としては、根治薬の候補となる化合物の探索や、実験に用いる動物モデルの作製等の研究を行いまして、一定の成果は得られており、今後、臨床試験の実施を検討しているところでございます。

 引き続き、実臨床への応用に向けて、B型肝炎ウイルスに関する創薬研究を推進してまいりたいと考えております。

野間委員 多くの患者さんも高齢化しておりますし、とにかく早く開発を急いでいただきたいと思います。

 ちょっと順番は前後しましたけれども、先日、私、鉄道の運転士さんからこんな相談を受けました。鉄道の場合、一昼夜の勤務というのがありまして、夜、零時に終電が終わってから、お風呂に入ったり次の日の準備をしたりして、仮眠時間というのが四時間、会社との協約であるそうであります。実際は、ただ、いろいろな準備等もあって、三時間ぐらい、三時間半寝られればいい方だということなんですけれども、最近、ここのところ、運転士さんの寝不足で鉄道がオーバーランした、大きな事故には至っていませんけれども、様々な問題、課題が起きています。

 まず、国交省さんには、こういった眠気、睡眠に対する対策、どういうことが行われているのか。そしてまた、厚労省には、従来、四時間という基準が労働基準法の施行規則の中に、これは運転士さんは対象になっていなかったんですけれども、準用されていたということがあります。しかし、これは平成二年に廃止されていますが、本来、やはり、睡眠時間、今基準がないわけですけれども、何らか法定して作るべきじゃないかと思うんですけれども、この二つのことをお聞きしたいと思います。

奥田政府参考人 国交省の取組についてお答えいたします。

 国土交通省では、安全、安定輸送の確保の観点から、鉄道に関する技術上の基準を定める省令におきまして、運転士が知識及び技能を十分に発揮できない状態にあるときの列車の操縦を禁止してございます。これに基づきまして、鉄道事業者は、運転士の乗務前の点呼における心身の状態把握といったことを行ってございます。

 しかしながら、先ほど委員御指摘あったように、運転士の居眠りが関係するオーバーランといった等の事案は発生しているところでございまして、このような事案は、緊急時の操作に支障を生じるおそれ、こういったことがあり、利用者に不安を与え、安全な運行に対する信頼を損なう、こういったものに発展する可能性がある、こういうふうに認識をしております。

 こういった観点から、鉄道事業者では、良質の睡眠を取るための教育用のハンドブックの作成ですとか、短い時間でも安眠できるよう、夜間休養施設に高機能マットレスを導入するですとか、こういったことがなされておりまして、国土交通省は、こういった個々の取組を、各社にいわゆる横展開ということで情報共有を図るよう、こういったことを進めてございます。

 引き続き、こういった観点から鉄道事業者と連携して眠気対策に取り組んでまいりたいと思っております。

鈴木政府参考人 委員御指摘の四時間の仮眠時間の規定でございますけれども、これは、昭和の時代に週六十時間労働制という特例措置が認められていたことがございました。その際の交代勤務についての要件ということで記載されておりましたもので、現在は規定されてございません。

 現時点におきましては週四十時間労働制が原則となっておりまして、かつ、時間外労働の上限規制も定められているなど、長時間労働の是正のための様々な制度内容が異なっているところでございます。

 また、労働安全衛生法におきましては、深夜業を含む一定の有害業務に常時従事する労働者に対しまして、六月以内ごとに一回、定期健康診断を行いまして、その結果に基づき、必要に応じて、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の事後措置を行うことを事業者に義務づけており、個々の労働者に応じたきめ細かな対策を講ずるというふうに変わってきてございます。

 厚生労働省といたしましては、これらの現行の規定をまず遵守いただくことで、深夜業とか交代制に従事する労働者の、働く方の健康確保を図っていただきたいと考えてございます。

野間委員 なかなか、働く人と経営者側との力関係があって、仮眠時間等についても言い出せないところもありますので、なお法定化を検討していただきたいと思います。

 最後に、感染症対策に必要な医薬品の供給体制について伺います。

 特に、コロナ対策の解熱の鎮痛剤、症状の改善剤、地方、田舎ではなかなか中小の薬局、調剤薬局等にはこれがまだまだ回ってきていない、不足、偏在が起きております。製薬業界に増産してほしいというお願いを厚労省としてもされているわけですけれども、例えば、以前、抗てんかん薬とか骨粗鬆症の治療薬が不足になったときに、厚労省そして製薬メーカー、そしてまた日本てんかん学会や骨粗鬆症の学会などと協議をして、薬の調整、こういうところにはもう使うのをやめよう、休薬にしよう、あるいは、そういううまい調整をして不足に対処したという実例があるんですけれども、こういったことも、特に五月、第九波ということも考えられますので、行ったらどうなんでしょうか。

城政府参考人 お答え申し上げます。

 アセトアミノフェンを中心といたしました解熱鎮痛薬等につきまして、メーカーの限定出荷がいまだ続いてはおりますが、足下では、コロナ感染症の感染拡大が落ち着いたこともございまして、錠剤の解熱鎮痛薬については卸売業者の在庫は改善しておりまして、薬局からの不足の声も大分小さくなってきた状況でございますが、一方で、小児に使用される散剤の解熱鎮痛薬については、卸の在庫状況も十分に改善しておりませんし、一部の薬局において依然として手に入りづらい状況でございます。

 厚生労働省におきましては、これまで、在庫の不足につきまして、昨年七月それから十一月に可能な限りの増産要請を行って、全体の生産量確保に取り組んだところでございますし、在庫偏在につきましても、平時の取扱量が小さい薬局にも十分供給を行うように卸売業者に依頼をし、そして、それでもなお供給が十分でない場合に備えまして、昨年十二月に、医療用解熱鎮痛薬等相談窓口を厚生労働省に設置をいたしまして、メーカーとの間で納入量の調整を行っており、薬局等への販売を依頼したところでございます。

 学会との関係でございますが、昨年の七月に日本小児科学会から小児用の散剤の、これは学会からの要請でございますが、安定供給について要請がございました。これを受けまして、医療機関等に対しまして、大人に対しては代替薬を使用することをお願いをしたりしたところでございます。また、薬局に対しましても、必要に応じて錠剤を粉砕すること等をお願いするとともに、錠剤を粉砕して調剤した場合に診療報酬の加算の算定等を行えるように取り組んだところでございます。

 引き続き、国民に必要な薬品が円滑かつ確実にお届けできるようにしっかりと対応してまいりたいと考えております。

野間委員 最後に一問だけ、薬価のことなんです。

 一番必要とされているカロナールなど、一部は四月から薬価が下がります。こういう増産意欲をそぐような薬価になっているのは事実なんですね。ですから、新たに該当薬を製造、販売したりする会社に薬価面でやはりインセンティブを与えていくべきじゃないかと思いますけれども、どうでしょうか。

三ッ林委員長 城審議官、答弁は簡潔にお願いします。

城政府参考人 はい。

 御指摘のように増産依頼等を行ってきたところでございますが、こうした中で、製薬企業からは、増産が困難な背景といたしましては、採算性の問題もございますが、原料、設備、人員確保といった製造体制による課題があって増産が難しいということも伺っております。

 ですので、こういった場合であっても、供給力自体を高めていく必要があると考えておりますので、現在、医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会におきまして、こうした観点から、医薬品産業、流通、薬価制度の在り方も含めまして検討を進めているところでございます。しっかりと検討してまいりたいと考えております。

野間委員 ありがとうございました。終わります。

三ッ林委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 本日は、一般質疑の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 予算委員会でも議論させていただいたんですけれども、児童手当の所得制限の撤廃について質問したいと思うんですが、私ども立憲民主党は、既に日本維新の会と共同で児童手当の所得制限撤廃についての議員立法を提出をさせていただいております。報道では、政府も所得制限の撤廃の方向で調整に入ったという報道もありますけれども、しかし、これまで繰り返し指摘をされてきたように、民主党政権での子ども手当をばらまきと批判をして、所得制限を復活させたのはほかならぬ自民党で、当時、その急先鋒と言うとあれですけれども、そういう質問もされていたのが加藤大臣であります。

 今日は、皆さんのお手元に当時の会議録をお配りをさせていただきました。少し線を引かせていただきましたけれども、例えば、右側の一段目ですけれども、「私も、四人子供がおります。十分に子育てをしているかどうかというのは別にいたしまして、本人の思いとしては、できる限り、私ども夫婦でやれる、あるいは家族でやれることはやっていきたい。また多くの皆さんがそう思っているのではないかと思います。」

 それから同じところの三段目ですけれども、「やはりまずは自分たちが子供の教育費、育つ費用、それはしっかり負担をしていく。ある意味では、それも私どもが仕事をする一つの動機にもなっているというふうに思います」。

 それから左に行っていただいて三段目ですけれども、「基本はまず親が、苦しいけれども子育てをしっかり頑張っていく、その経費も負担していく、私はそういう考え方を持っております」。

 こういうような質問を当時結構やられているんですけれども、この考え方は、大臣、今もお変わりにならないですか。

加藤国務大臣 大臣として聞かれるとなかなか答弁が難しいわけであります。一つは、児童手当は厚労省の所管ではございません。それから、現在、政府としては、御承知のように小倉大臣の下で子供、子育て政策を政策として充実する内容について今議論をしているところでございますので、その中で私が大臣として個人的なことを言うのは適切なのかどうかというふうに思いますが、ただ、当時こういう発言をしていたということは、まさに当時私はこう思って発言をしていた、一議員として発言をさせていただいたところでございます。

大西(健)委員 それも分かるんですけれども、予算委員会で私はほかの大臣にも質問させていただいて、例えば西村大臣、全くの所管外ですけれども、西村大臣は、当時の発言について、今も基本的にはより厳しい方にやるべきだと考えているという御答弁をされました。そういう、これはまさに非常に大きな焦点になっている問題ですし、近々、一定の結論が出るというふうに思いますので、特に、西村大臣と比べれば、加藤大臣、よりこの問題に近いところにいらっしゃるというふうに思いますので、是非お考え方を聞きたいと思うんですけれども。

 私、加藤大臣がここで述べられているような考え方というのは、一つの考え方だというふうに思います。それから、我々も、当時の民主党、あるいは今我々も、一義的に家庭の責任というのは、これは別に否定しているわけではないんです。

 例えば、今お配りした会議録をもう一度見ていただきたいんですけれども、右側の真ん中のところで、当時の長妻大臣がこのような答弁をしています。「一義的な子育ての責任というのはまさに親にあるという法律も、保護者にあるという法律もございますが、その経費、その費用の分担についての考え方というのが時代とともに変わってきているのではないかというふうに考えております。」また、その横。「お子様を育てる基本的な経費は社会全体で見ていく、そういう発想を転換する時期に来ているのではないか」。

 まさに、あれから十年たって、総理なんかも予算委員会の中では、十年たって状況が変わってきているということもおっしゃっていたと思います。今、出生数が八十万人を割る中で、発想を転換するのがまさに今回の児童手当の所得制限撤廃ということではないかと思うんですけれども、大臣、どのようにお考えでしょうか。

加藤国務大臣 まず、大前提として、大臣としてと問われても、なかなか答えができないということでございますが。

 その上で、御質問でございますからあえて申し上げますと、発想というか、やはり状況状況が変わってきている。例えば、私どもが子育てをしていたのはもう今から二十年以上前でありますから、その頃の私どもの所得とか経済状況と、今子育ての最中におられる皆さん方の経済状況あるいは先行きに対する見通し、これなんかも随分変わってきておりますから、そうした経済状況に応じて、それぞれ、その時期時期において対応を考えていくということは、これは当然のことだろうというふうに思います。

大西(健)委員 先ほど来言っているように、個人としてこういう御発言もされているのでお聞きをしたいんですけれども。

 例えば、直近で茂木幹事長が、小中学校の給食費の無償化をやるべきだと。これは我々も既に、法案も出させていただこうということで今準備もしているんですけれども、こうした報道に対して、例えば先ほどの児童手当の所得制限撤廃は、一月二十五日の衆議院本会議でまさに茂木幹事長が言われた。その後、茂木幹事長は、例えばN分のN乗方式についても発言をされていますけれども、ただ、その後、例えば児童手当の所得制限撤廃については、全体の政策パッケージをつくる中で優先順位を検討すべきだとトーンダウンしていると。これは報道がそう言っているということですけれども、児童手当もトーンダウンしちゃったので、この給食費の無償化も、結局、やるやる詐欺みたいなので、言うだけで、本当にやるのかどうなのかと疑いの目で見られているわけです。

 そういう中で、個人的に大臣は、児童手当の所得制限撤廃、これは賛成なんですか、反対なんですか。

加藤国務大臣 ここで、個人的に意見を述べる場ではなくて、大臣に対する、答弁でございますので、それは差し控えさせていただかなきゃいけないんじゃないかと思っておりますが。

 まさに今、茂木幹事長の御発言もありました。これは幹事長の御発言でありますから、それは政府側がそれに対してコメントする立場にはございませんけれども、今、様々な御意見をいただいているわけでありますから、それを踏まえて、小倉大臣の下で、先ほど申し上げた子供、子育て政策の内容を詰めておりますし、我々厚労省としても、関わる部分については積極的に関与していきたいと考えております。

大西(健)委員 茂木幹事長の発言がありましたということですけれども、いろいろな議員がいろいろな個人の考え方を持っていると思いますが、与党の幹事長が言ったことですからね、これはかなり重い発言だというふうに思いますので、最初に申し上げましたけれども、政府部内において今、調整中だということですけれども、我々は是非その方向でやっていただきたいと思っています。

 続けて、予算委員会の答弁で、岸田総理は、これまで関与が薄いと指摘されてきた企業あるいは男性、さらには企業社会、高齢者、独身も含めて、社会全体の意識を変えることが重要であり、子供、子育てを応援するような、次元の異なる少子化対策、これを実現したいと考えています、こういう答弁を何度かされています。また、予算を倍増させる、予算をしっかり充実させる、社会全体でそれをどう支えるかを整理するということも言っていただいております。

 そこで、この社会全体の意識を変えるとか、社会全体で支えるというのは、こういう岸田政権における考え方というのは、当時の民主党が掲げていた、未来を担う子供たちを社会全体で応援するということと同じなのか違うのか、これを加藤大臣に岸田内閣の一員としてお答えいただきたいと思います。

加藤国務大臣 まず、当時の民主党政権の方針について政府で、これがそうだ、ああだということを言うのは適当なのかということで、答えは差し控えさせていただきたいと考えておりますが、ただ、今委員が引用いただきましたように、先週行われた岸田総理の記者会見では、総理は、目指すべき社会像を御説明される中で、家庭内において育児負担が女性に集中している実態を変え、夫婦が協力しながら子を育て、それを職場が応援し、そして、地域社会全体で支援する社会をつくらなければならない、また、子供、子育て政策の財源については、充実する内容を具体化し、そして、その内容に応じて、社会全体でどのように安定的に支えていくのかを考えていく必要があるという旨、述べられたところでございます。

 そうしたことも踏まえて、先ほど申し上げた、子供、子育て政策の内容について、更に小倉大臣中心に内容を詰めていきたいと考えています。

大西(健)委員 これはまさに、どういう社会を目指していくかというところに関わる重要な部分なのでお聞きしているんですけれども、最初にお示ししたように、当時、十年前、加藤大臣は、質疑者の立場で、この席から、まさに、当時の長妻大臣は、費用の負担については、やはり発想を転換していって、社会全体で支えていくということに変えていかなきゃいけないんじゃないかということを言っているけれども、加藤大臣は、当時、基本はまず親が、苦しいけれども子育てをしっかり頑張っていく、その経費も負担していく、私はそういう考え方を持っていると。

 でも、今まさに子育て罰なんという言葉があるように、いわゆる六割以上の皆さんがなぜ理想の子供の数を持たないかというと、子育て、教育にお金がかかり過ぎるからだと。

 何度も言いますけれども、我々も一義的には家庭の責任というのは同じ考え方なんです。でも、その費用負担については、まず自分でやれと言われると、これはやはりすごい負担を感じて、やはり、それは、子供を持たない、理想の数の子供を持たないということにつながっているんじゃないかと。

 ですから、もうそれが変わって、私たちと同じような、社会全体で支えると、先ほど来、総理の答弁の中にもこの社会全体というキーワードが何度も出てきているので、これは変わったんだ、我々と同じになったんだということでいいのかどうなのか。もう一度御答弁をお願いします。

加藤国務大臣 今委員の御発言の中で、かかり過ぎるという言葉がまさにそうだと思うんですね。かかるではなくて、かかり過ぎる。したがって、その過ぎる部分というのは、先ほど申し上げたように、親御さんの、保護者の所得や経済状況下、いろいろな状況の中で変わってくるわけでありますから、そういったことにはしっかり対処していくんだろうと思っております。

 さらに、先ほど申し上げましたけれども、総理も、家庭内において育児負担が女性に集中している実態を変え、夫婦が協力しながら子を育て、それを職場が応援し、そして地域社会全体で支援する社会、こういうことは明確に言っておられるというふうに思います。

大西(健)委員 私は、変わった、ほぼ近づいてきたというふうに信じたいんですけれども、これ以上やってもなかなか水かけ論なので、そういうことを申し上げた上で、そのかかり過ぎる費用を、例えば現物給付、現金給付でしっかり支援していくということはやらなきゃいけない。ただ、それだけじゃやはり足りないんだろうと思うんですね。

 立憲民主党は、先日、「もっと良い「子ども・子育てビジョン」」というのをまとめさせていただいたんですけれども、その中で、これまでの政府の施策には、結婚希望未婚者の増加を直視した、長期的で直接的な対策が抜け落ちていたのではないかということを指摘させていただいています。

 資料を御覧いただきたいんですけれども、まずこれは、よく出てくる五十歳時点での未婚率のグラフですけれども、本当に、一九九〇年以降、大きく未婚率が上昇してきている。男性は約三割、女性は約二割に達しています。

 次のグラフ、その下のグラフを見ていただきたいんですけれども、これは実質賃金指数と婚姻率の推移ですけれども、驚くほどの相関関係があります。実質賃金が下がり続けるのに合わせて婚姻率も低下している。

 次のページを見ていただきますと、これは男性のグラフでありますけれども、年収別の有配偶者率。これを見れば、やはり、年収が高いほど配偶者がいる割合が大きい。あるいは、一定の年収以下の方ではなかなか配偶者がいない方が多い。

 そして、男性の雇用形態別の有配偶者率を見れば、その次のグラフですけれども、正規と非正規では倍の開きがある。

 大前提として申し上げますが、私たちも別に、結婚するかしないか、これは本人の自由です。しかし、結婚したいと思っている人が結婚するのを困難にしているような状況があるとしたら、それを変えていかなきゃいけないんじゃないか。その部分で、やはり、ここに示したようなことに対して十分な手当てがされてこなかったことが、私は、大きな、この少子化対策、今まで政府も別に何もやってこなかったわけじゃなくていろいろやってきた、でもなかなか効果が上がらなかった、この理由ではないかと。

 まさに、この実質賃金の低下や非正規割合の増加、特に非正規の話なんかは、これは内閣府というよりは、まさに厚労大臣の所管に関わることですけれども、ここから変えていかないと少子化対策は効果が上がらないと思いますけれども、加藤大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まさにこれまで政府もいろいろ施策を講じてきておりますが、現状、出生数あるいは合計特殊出生率の状況を踏まえて、これは危機的な状況であり、しっかりとした対応を取っていく必要があるという認識、これは一緒だというふうに思います。

 特にその中で、総理もおっしゃっておられますけれども、経済的な基盤、特に若い皆さん方の経済的な基盤をしっかり強化をしていくということが必要であり、そのためにも、まさに結婚を希望する若者が安心して結婚できるような環境を整備をする、働く方の希望に応じた働き方を実現をしていく、こういったことだと思います。

 この間も、例えば二十五歳から三十四歳の非正規労働者割合を見ると、二〇一二年が二六・五が、二〇二二が二二・二%と下がっている、こういった状況には来ておりますけれども、更に、正社員として働くことを希望する若者に対する支援、あるいは非正規を希望する方についても、同一労働同一賃金の徹底、あるいは全国加重平均千円以上となるような最低賃金の引上げに早期に取り組む、こうしたこと、そしてリスキリング、あるいは職務給の確立、あるいは円滑な労働移動、この三位一体の労働市場の改革、こういったことをしっかり進めることによって、若い皆さん方が将来に展望を持ち、そして、結婚、出産、子育ての希望をかなえる、こうした環境整備を進めていきたいと考えています。

大西(健)委員 私は団塊ジュニア世代ですけれども、我々の世代で本当はもう一回、ベビーブームというか、つくれればよかったんですけれども、それができなかった。一方で、もう数年すると二十代人口ががくっと落ちてくるということですから、もう本当に待ったなしだと思いますので、是非ともやっていただきたいと思います。

 次に、昨年十一月のこの委員会で、私は保育士の配置基準の見直しについて質問しました。先ほども少し公明党からもお話がありましたけれども、十年越しで、七十年以上変わらなかった四歳児、五歳児の配置基準の見直しの動きが出てきたこと、これは私、歓迎したいと思いますし、是非ともやっていただきたいと思っています。

 その上で、職員配置に関して地元でよく聞く話として、四月の園児数に応じた職員数で運営費が決まる仕組み、これを見直してほしいという声があります。

 民間保育所は、四月の入所児童数によって職員配置が決定し、その職員数に応じて運営費が支給をされる。四月の定員を満たしていない場合には、少ない子供の数を基に計算された人件費しか委託費として支給がされない。一方で、年度途中で入園希望があれば対応していかなければなりません。そうかといって、すぐに保育士を補充できるかというと、なかなかそれも見つからない。そうなると、受入れ可能な体制を整えておけば、それは園の持ち出しになってしまう。定員いっぱいになる時期が遅くなればなるほど園の負担も重くなるという声があります。

 私の地元の愛知県では、例えば、ゼロ歳から二歳児の途中入所者に対応するために、あらかじめ四月一日の入所児童数に対する配置基準を超えて保育士を配置するための補助制度というのがあります。しかし、新規に三名以上のゼロ歳から二歳の途中入所を受け入れなければこの制度は使えない。また、ほとんどの都道府県にはこういう愛知県のような制度はないと聞いております。

 四月一日の入所児童数ではなくて、定員数に応じた職員配置ができるように柔軟な対応をしていただきたいというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 現行の子ども・子育て支援法では、教育・保育給付の認定を受けた子供さんが保育所等から教育、保育の提供を受けた場合に、当該子供さんに対して、公定価格に基づいて施設型給付費を支給するという仕組みになっておりますので、この仕組み上、定員数に応じて補助を行うというのは難しいというふうに考えております。

 また、年度途中の入所者がいた場合については、当該途中入所者も含め、各月初日の実際に利用する子供さんの数に応じた給付費の支給という形を取っておりまして、これによって、利用者数に応じた保育士の配置に必要な経費は支給されているものというふうに承知をしております。

大西(健)委員 今のは、多分御理解していただいていない。当然、それは増えたらその分に応じて支給されるんですけれども、そのときになっていきなり、じゃ、保育士をもう一人雇おうといったって、雇えないわけですよ。だから、前もって、少し余裕を持って置いておかなきゃいけない。そうすると持ち出しになるわけですよ。ですから、これはやはり愛知県がやっている方法が一つのヒントになるというふうに思いますけれども、そういったことをやはり全国的にも考えていただく必要があるんじゃないかと思います。

 次に、昨年十月の本委員会で、私は理研の雇い止めの問題を取り上げましたけれども、その際、大臣は、厚労省として、労働契約に照らし問題のある事案を把握した場合には、都道府県労働局において適切に啓発指導等を実施していきたいと考えていますと答弁しています。考えてみれば、これは当たり前のことを言っているだけなんですけれども、じゃ、問題は、どうやってこの労働契約に照らし問題のある事案を把握するのかということなんです。

 文科省は、二月に、全国の大学や研究開発法人など八百四十六機関に対して、三月末で有期契約の雇用期間が通算十年になる研究者の状況を調査した結果を発表しました。それによりますと、これは新聞記事をつけていますけれども、昨年の九月の時点で、四千九百九十七人が契約継続が未定で、千二人が既に契約の見通しがないと回答しています。合わせると約六千人の方々が四月以降の雇用が定まっていないという結果になりました。

 文科省は、全部の数字は出しているんですけれども、個々のデータというのは公表していません。それは、個々を問題にするのではなくて、全体の状況を把握して今後に生かすのが調査の趣旨だ、こう言っています。

 ただ、厚労省は、是非、文科省からこの調査結果の提供を受けて、問題がありそうなところについては重点的に調査をすべきじゃないか。そうじゃないと、結局、大臣が言っている問題があるところというのは、待っていても把握できないわけですから。ですから、この文科省の調査を提供してもらって、重点的な調査をすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、大岡委員長代理着席〕

加藤国務大臣 まず、今回の調査結果を受けて、文部省から改めて各機関に対し、無期転換ルールを周知し、適切な対応をお願いする通知が発出されたと承知をしております。

 また、厚労省としても、これまで、文科省を含む関係省庁と連携をし、無期転換ルールの制度の内容、趣旨、円滑な運用の周知等も進め、また、今委員から御指摘がありましたように、労働契約法に照らし問題のある事案を把握した場合には、都道府県労働局において啓発指導等、実際は、最終的には司法で判断ということになりますけれども、啓発指導等を行っているところであります。

 その上で、今委員から、今回の実態調査について、その資料をということでありますが、今回の実態調査は、研究者等に係る労働契約法の無期転換ルールの特例に関する実態を把握すること及び当該ルールの在り方を検討することのみを目的とし、当該調査以外の目的で使用することは困難と聞いております。

 したがって、また、今回の調査結果の公表、これはマクロ的な数字でありますけれども、厚労省としては、労働局に対して無期転換ルールの特例に係る周知啓発を改めて促したところでありますので、引き続き、文科省と協力し、また、そうした実態において問題がある事案については、都道府県労働局において啓発指導等を行って、この法の運用が適切に行われるように取り組みたいと思っています。

大西(健)委員 それは当然、文科省も調査をやったんですから、ちゃんとやってくださいねと大学とかに言うわけですよ。それで全部ちゃんとやってくれれば、こんな問題は起きていないわけです。

 それで、もう三月末が来るじゃないですか。ですから、結局、起こってしまってからじゃなくて、そういうことを把握しているんですから、だから、問題がありそうなところを重点的に見ていって、労働局から照会があれば、それはかなりの牽制になると思いますよ。それは大学とか研究機関もびびると思いますよ。そういうことをやはりやらないと、起こってからやっていたんじゃ、それはちょっと遅きに失すると思いますので、これは是非そういうことをやっていただきたい。何か問題があるところを指導するのは当たり前なんです。それが皆さんの仕事ですから。だから、問題がありそうなところを事前に把握して、そしてしっかり見ていくということが必要じゃないかと思います。

 一方で、無期転換したケースでも問題が起きています。ある大学では、非常勤講師を無期転換したものの、ゼロこま契約といって、結局、授業を与えないわけです。そうすると、賃金が払われない。こういう事例があるそうですけれども、これでは実質的な解雇と変わらないと思います。

 一般論として、このゼロこま契約で無期雇用の契約を結ぶというのは適法と言えるのかどうなのか、厚労省に答弁を求めたいと思います。

鈴木政府参考人 一般論でお答え申し上げますと、労働契約の内容といたしまして労働時間が具体的に定められていた場合、その労働時間を削減してゼロ時間とすること、これは無期転換の場合も同じでございますけれども、労働条件の不利益変更に当たると考えてございます。

 労働契約法第八条におきまして、労働条件の変更は労使の合意により行うことができるとされており、個別の労働契約において労働者と合意することなく使用者が一方的に労働時間を削減することは、民事上無効と判断される可能性があると思っております。

大西(健)委員 今のとおりで、やはり、ゼロこま契約なんて、そんなのはあり得ないですよ。ただ、それが実際行われているわけですから、そんなのを納得してやるわけはないので、こういうのもしっかり監督していただきたいと思います。

 もうすぐ三月末がやってきますけれども、約六千人がもしかしたら雇い止めの危機にあるかもしれないということですので、是非厳しく監督していただきたいと思います。

 次に、世界保健機関、WHOが今月八日、葛西西太平洋地域事務局長を、調査の結果、不適切な行為が判明したとして解任しました。西太平洋事務局長のポストは、かつては政府のコロナ分科会の尾身会長が務めていて、二〇〇六年にはこの西太平洋事務局長からWHOの事務局長選挙にも立候補したことがあり、葛西氏も我が国におけるWHO事務局長選挙の有力な候補の一人と見られてきました。

 葛西氏の解任は我が国にとっても大きな痛手と考えますけれども、大臣の受け止めと、世界第三位の国連分担金を負担している我が国としても、WHOという重要な専門機関に幹部、特に事務局長のポストを取っていくというのは、私は非常に大切だと思うんですけれども、そのための人材、候補者が必要なわけですね。その一人が今回こういう形になってしまったということも踏まえて、その戦力にも私は影響するというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 WHOの西太平洋地域事務局はコロナ対応でも大変評価を受けていたというふうに承知をしておりますが、その事務局長である葛西健氏が、内部告発を受け、WHO事務局による調査結果を踏まえて、WHO西太平洋地域委員会とWHO執行理事会の特別会合での協議の結果、解任が決定されたところでございます。

 会合の中身は、秘密会であるため、申し上げることには限りがありますが、日本政府は、人種差別やハラスメントを容認しない立場にあると同時に、本件に関しては、地域委員会で選挙で選ばれた地域事務局長に対し本部のテドロス事務局長が処分を行う事例であることから、調査、事実認定は公平公正に行われ、地域委員会加盟国がコミットした上で慎重に行われる必要があると一貫して主張してまいりました。

 今回の会合に先立つWHOの西太平洋地域委員会やWHO事務局によるブリーフィングの場においても、私自身、オンラインで出席し、こうしたデュープロセスの主張を行うなど、議論をリードさせていただきましたし、外務省とも連携し、加盟各国にも働きかけを行ってまいりました。

 このような我が国の対応について、加盟各国の理解を相当程度得られたと考えておりますが、更に多くの理解を得るまでには至らなかった。このことは、私自身、じくじたるものは持っております。

 引き続き、外務省と連携し、関係する国際機関における日本人職員を支援するとともに、そうした国際機関の場あるいは国際の議論の場において、我が国のプレゼンスの確保、また加盟国との連携、これにしっかり取り組んでいきたいというふうに考えています。

    〔大岡委員長代理退席、委員長着席〕

大西(健)委員 本当に、事実認定がどうなのかは分かりませんけれども、事実だとしたら、そのこと自体は本当に批判されるべきことなのかもしれませんが、地域事務局長が解任されるというのは前例がないことだと思いますし、本当に我が国にとっては痛手だと思いますので、引き続き、外務省とも協力して、是非こういうポストをしっかり我が国が取っていくということをやっていただきたいと思います。

 最後に、ちょっと時間がないので二つまとめて聞きますけれども、大企業を中心に今賃上げの動きがある、これ自体は非常に歓迎すべきことですけれども、中小零細企業や業種によっては非常に厳しい状況が続いています。

 例えばタクシーの業界では、固定給プラス歩合給、出来高払いとか、オール歩合給を採用しているところも多くて、その結果、計算すると地域最低賃金を下回るケースがあると聞きます。しかし、タクシーは事業場外労働であって、正確に労働時間を把握することが難しく、労働者等から申告があっても、休憩時間や入庫時間、出退勤時間等が改ざんされている、こういうケースも少なくなくて、調査をしても不正が確認できないケースがあると聞きます。

 この点、日報やタコメーターの確認、運転手への聞き取りを徹底的に行って、正確な実労働時間の把握を行い、厳正な監督をやっていただきたいと思います。これが一つ。

 それから、タクシー業界では、今言ったように、給与における歩合、累進歩合とか、積算歩合とか、賞与、臨時給とリンクさせるみたいなことが行われているようです。算定期間の総売上げに応じて累進的に歩合率を設定している制度が多く採用されていることから、歩合給の減額を回避すべく、年次有給休暇の取得を抑制している現状があるというふうに聞きます。

 これも、労働基準法の不利益取扱いの禁止に反するものであって、厳しい監督指導を行うべきだと思いますけれども、こうした、歩合を入れた制度になっていることによって地域最低賃金を下回ったりとか、あるいは、累進歩合というのをやっていることによって年次有給休暇を取らせないみたいなことが行われているとしたら大問題だと思いますが、厳しい監督をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

鈴木政府参考人 御指摘のタクシー運転者につきましては、業務が事業場外で行われておりますので、委員御指摘の運転日報でございますとかタコグラフ、こういった客観的な状況の証拠から労働時間の状況を把握いたしまして、労働時間に対します賃金の支払いの有無などを必ず確認しておるところでございます。その結果、労働時間が適正に把握されておらず、最低賃金額以上の賃金が支払われていないということを、労働基準関係法令違反が認められた場合には、その是正を指導してまいりたいと考えてございます。

 また、労働基準法第百三十六条で、年次有給休暇を取得した労働者に対しまして、賃金の減額その他の不利益な取扱いをしないようにしなければならないとされてございます。これについては、歩合制があることのみをもって同条違反に当たるということは一概には申し上げられないのでありますけれども、年次有給休暇につきましては、会社の売上げ確保や労働者の賃金減額を避けるといった理由で取得抑制をすることは適当ではないと考えてございます。

 また、累進歩合制度のお話もございましたけれども、こういったものにつきましては、交通事故の発生なども懸念されることから、望ましくないものとして、通達によりまして廃止すべきこととされておりまして、こういった累進歩合制度などを採用しました事業場を把握した場合には、労使間で検討の上、賃金制度を見直すなどによりまして、これを廃止するよう指導しているところでございます。

大西(健)委員 今、御答弁の中では累進歩合にも触れていただきましたけれども、これは安全にも関わることですので、そういうことも含めてしっかり御指導いただきたいということを申し上げまして、時間になりましたので質問を終わります。

三ッ林委員長 次に、池下卓君。

池下委員 日本維新の会の池下卓です。

 本日質問させていただきたいのは、海外での臓器移植のあっせんについて、その他、質問させていただきたいと思います。

 ちょっと皆さんのお手元の資料の方には入れさせていただいていないんですけれども、こちらの方は昨日の新聞の記事であります。こちらの方を見ますと、NPOと理事長、無許可での移植仲介、臓器あっせん起訴という具合に書いてありまして、また、三面の方には、海外移植、薄氷の捜査ということで、記事になっております。

 初めて起訴されたということでありますけれども、国内外の方で批判を受けてきた不透明な海外での臓器移植、こちらの方に司法の手が入ったということは、一定一つ、起点なのかなという形で思っております。

 ただ、こちらの報道の方を見てみますと、警察庁の幹部は、立件の材料がたまたまそろっただけで、薄氷を踏むような捜査だった、現在の法律では、別の団体が再び海外移植のあっせんを手がけたとしても、次にまた立件できるとは限らないという形で書かれております。

 私は、問題は何なのかということで考えましたけれども、海外での移植といいますのは、もちろん、前回も予算委員会で大臣にもお話をさせていただきましたが、国際的な規範でありますイスタンブール宣言にまずは反しているという点が一つあります。こちらの方で、現在の臓器移植法、これをあっせんする団体、これをすべからく管理、監督また指導というのができていないというのが一つの問題点かなと思っているんです。

 もう一つは、海外の臓器移植を目指すレシピエントの皆さんといいますのは、やはり国内での移植というものができないから海外を目指されるというわけであります。ですので、ドナーがなかなか国内で増えていかないという点と、やはり移植の提供体制も含めての対策というものがまだまだ不足しているのではないかなと私は考えております。

 海外での臓器移植は、生体からの臓器売買、これをもちろん含んでおりまして、人道的な点から問題があるということ。また、海外にレシピエントの方が行かれて現地で医療を当然受けられるわけなんですけれども、そこの現場を見ますと、きっちりとした提供体制ではなくて、ちょっと聞くところによると、本当に民間のおうちのようなところでされた、そして命を落とされたという、まさにレシピエントの方々の身体にも危険が及んでいるということを聞いております。

 私、先日の予算委員会におきまして、大臣の方に質問をさせていただきました。現在の臓器移植法の方には抜け道があるので、これは議員立法であるということは承知をしているわけですけれども、しっかりと改正をしていかなければならないということで訴えをさせていただきました。

 そしてもう一つ、海外での実態を知るということがやはり法改正をやっていく際に必要であるので、是非御協力していただきたいという質問も併せてさせていただいたところ、今年の四月から六月の間に海外移植等の実態調査を行っていただけるということになりましたので、その点につきましては感謝もしておりますし、評価もさせていただいておるところであります。

 ただ、今回の調査対象といいますのが、移植学会に所属している医療機関ということでありまして、海外で移植を受けられたレシピエントの皆さんというのは、やはり拒絶反応等が後ほど出てきますので、必ず国内の方で治療を受けなければならないという状況になってまいります。ただ、今回の調査なんですけれども、当然、医療機関というのは、国内での治療に当たりまして、命の危険がある場合を除きまして、医師法の第十九条でしたか、応招義務違反にはならないという判決も出ているのは当然承知をしておるわけなんですけれども、やはり、医療機関の方々が、この調査に協力するとひょっとしたら罰せられるんじゃないかなという一抹の不安も残るかもしれません。

 そこで、この実態調査を意味あるものにするために、まずはアンケートの回収率を上げることが重要でありますし、調査の趣旨の丁寧な説明など、医師の不安を取り除くことによって積極的な回答を促し、実態がしっかりと反映された調査にすべきだと考えますけれども、加藤大臣の御見解を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 厚労省として、関係学会と連携して、医療機関を通じた渡航移植に関する実態調査、これを本年四月上旬にも開始をしていきたいと思っておりまして、調査対象としては、移植後の外来診療を実施することが想定される施設等を対象に考えているところでございます。

 この調査では、医療機関等のアンケート調査の回収率の向上、また、より的確に実態を把握する観点から、それは大変大事なことであります。

 そのためにも、いろいろ設問項目を工夫し、また、未回答の医療機関に対し、関連学会等と協力して調査の趣旨を改めて丁寧に説明しつつ、個別に回答を依頼することとしております。また、調査の実施主体となる厚生労働科学研究の研究班や関係学会とも連携をしっかり図って対応していきたいと思っております。

 なお、今委員おっしゃった応招義務の関係でありますが、今回の調査では、診療を拒否した患者については調査は行わない予定としているところでございます。

池下委員 ありがとうございます。

 今、診療を拒否した方に対しては調査を行えないということでしたが、後ほどちょっとまた御提案もさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、ちょっと資料の一番目を見ていただきたいと思うんですけれども、こちらの赤い図なんですが、こちらは各国の百万人当たりの臓器提供数という形になっています。日本の立ち位置はどこですかといいますと、一番下の方の、下から四つ目くらいですかね、非常に下の部分になってきているということで、少ないなということが分かります。

 臓器移植法といいますのは、一九九七年、そして二〇一〇年に改正されたと承知しておりますけれども、二〇一〇年の改正の際には脳死が死なのかどうなのかということが大きな議論になった、先日も大臣からお答えをいただいたところかなと思っております。

 そこは承知した上で、その上で、本法律のたてつけといいますのは、やはり心停止と脳死下の患者さんからの臓器提供というのが原則となっております。もちろん、ドナーになられる方といいますのは、本人等々の意思表示というものが大変重要になってくるわけなんですけれども。

 その上で、臓器移植を受けることを希望し、団体に登録されている方の人数。また、実際にどれだけの数の移植数が実施されたのかを教えていただきたいと思います。また、併せて生体からの移植数についてもお伺いしたいと思います。

 そしてもう一つなんですが、ドナーの登録数、意思表示の普及について、これまでの政府の取組といいますのが、今、資料を見ても分かるんですが、なかなか上がってきていないというのは承知しておるんですけれども、それには臓器提供側の全体像をしっかりと把握するということが私必要だと考えておりまして、そもそも脳死下で臓器提供の可能性がある患者さんが年間にどれくらいいらっしゃるのかということについて、私は政府としてもしっかりと把握する必要があるかと思いますけれども、お考えの方を、参考人の方からお願いしたいと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 令和四年五月十七日に参議院厚生労働委員会に提出しました臓器移植の実施状況に関する報告書におきまして、移植希望登録者数は、令和四年三月三十一日時点で、計一万七千五百四十八名。それから、令和三年度の死体からの移植実施数は、計一千二百十八件となっております。また、臓器移植学会のファクトブックによりますと、令和二年一月から十二月末までの生体の移植の実施件数は、一千九百四件となっております。

 それから、脳死下での臓器提供の可能性がある患者さんの調査について御質問がありました。

 現在、医療機関において診療を行っている患者について、脳死の可能性が高いと判断し、かつ臓器提供を家族が希望したときには、臓器のあっせんの許可を受けている公益社団法人日本臓器移植ネットワークに対して当該医療機関から報告があるものの、この移植ネットワークに報告のない潜在的な脳死の可能性が高い方の数の把握は、厚生労働省としては現在しておりません。

 ただ、来年度、新たに、救急医療等の関連分野において、高度の医療を行う施設、これは大学病院や救命救急センター等でございますけれども、こういったところを対象として、地域性を考慮して施設を抽出した上ではありますけれども、全死亡者数のうち、脳死の可能性が高い方の数に関する調査を予定しておりまして、それを通じて、年間での、脳死下での臓器提供の可能性がある患者さんの推計を行いたいと考えております。

池下委員 御答弁ありがとうございます。

 今の御報告を受けましても、まだまだ、ドナーの数と移植数、また、生体についても伸びていないなということも感じさせていただきました。

 ただ一方、今御答弁いただきました、脳死下の潜在的なドナーの数というものを調査していただけると。救急医療等を対象として抽出調査ということを今聞かせていただきましたので、これは本当にしっかりとやっていただきたいと思いますし、これがベースとなって、その資料に基づいて次のステップに進んでいくかなと思っております。

 臓器移植を待つ方といいますのは、ドナーの数を増やしていただきたいなという具合に思っていただいているのは当然だと思います。ただ一方、先ほど申し上げましたように、ドナーになりたくないなというお気持ちを持たれている方の御意思もしっかりと尊重するということは大事な話であるかと思います。

 脳死下で臓器提供の可能性がある患者さんの現状を、今言っていただいたように、まず把握した上で意思表示の普及率を上げることというのが、個人の意思を尊重した効果的なドナー政策につながると私は考えております。

 ただ、しかし一方で、脳死ですよということで、身内の方がそういう状況になられたときに、家族がこれを告知された、知らされたときのお気持ちというのは、私、考えたとしても、非常にショッキングな話だと思うんですね。そんなときに、臓器提供の選択肢がありますよということを救急現場のお医者さんがお伝えするということは、もう一つそのお医者さんに対してプレッシャーというものがかかってくるかと思っております。

 ですので、私は、この脳死下における現場の状況を考えたときに、やはり、移植の意思確認や家族への丁寧な説明については、脳死状態に対応する救急現場任せにするんじゃなくて、救急の負担軽減についての取組というのは、是非これは進めていただきたいと思うんですけれども、加藤大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

加藤国務大臣 まさに救急患者の救命が困難な場合、救急医等から御家族にまずその旨の説明を行う、これは一般的なことなんだろうと思いますけれども、その過程において、臓器提供に関する意思確認ということまでを行うということについては、臓器提供の可能性がある患者の家族に臓器提供に関する情報の提示を行う際、多忙な担当医、担当看護師が必ずしも十分な時間をかけての説明ができないといった取りまとめが厚生科学審議会でも課題として行われているわけであります。

 医療現場において、院内コーディネーターや入院時重症患者対応メディエーター等の多職種が臓器提供に関する意思確認についての業務に関与する、こういうことで、担当医等の負担を軽減するための対応を行っているところでございますので、今後とも、医療現場における実態をよく把握しながら、多職種による連携を促進し、救急医の負担軽減を図りながら、臓器提供が円滑に進むよう対応していきたいと考えています。

池下委員 ありがとうございます。

 まさに今、多職種連携ということでお伺いをいたしました。

 私も知り合いにいろんな救急医の方々がいらっしゃるわけなんですけれども、現場というのは当然移植術だけではありませんので、非常に現場は大変だ、手術の場所を確保するのも大変だ、いろんなところの内部の調整をするのも大変だ。その中でやはりこの移植の問題というものが取り沙汰されているので、多職種連携というのは非常にやっていただきたいということは思うんですけれども。

 もう一つ、これはお答えは要らないんですが、お願いしておきたいのが、やはり、やりますよと、やっていただいた上で、ある一定期間を区切った中で、どれくらい成果が出てきているのかということも、ちょっと併せて大臣にお願いをしておきたいなという形で思っております。

 そして、最後ちょっと思いをお伝えさせていただきたいなと思うんですけれども、今回、イスタンブール宣言に反する移植ツーリズム、これを根絶させていくためには議員立法での改正というものが必要であると感じております。先ほどもちょっと言っていたんですが、臓器移植法というのは一九九七年にできまして、その十三年後の二〇一〇年に改正をされました。ちょうど今年といいますのが、その十三年後の二〇二三年になります。くしくも、NPO法人の理事長、あっせんの疑いで逮捕、そして立件されたということですので、まさにこのタイミングというものは大事なのではないかなと思います。

 三ッ林委員長もずっとこれをやられていたということも存じ上げておりますし、御尊敬もさせていただいておりますけれども、また、今日来られている厚生労働委員の皆様にも是非知見と、そして、政府の皆様にも御協力いただきながらやっていかなければならないと思っております。

 そこで、不透明な海外での臓器あっせん、これを放置しないためにも、厚生労働省や国の機関が、すべからく活動する団体に対して調査、監督、指導ができる仕組み、私はこれが必要だと思います。これは前回も言わせていただきました。また、これはまた御提案なんですが、レシピエント側にも、公的に、海外に行かれるときは把握しまして、移植することとなった場合に報告制度をつくるということも一考なのかなと考えております。いずれにしても、常に、取り締まるべき捜査機関以外で実態把握というのをしつつやっていくのが大事なのかなと思っております。

 そして、法第十二条、業として行う臓器のあっせんの許可、このあっせんというものの定義についても私は問題があると思っております。厚生労働省の方の通知で三つの類型が出ているということは承知をさせていただいておるんですけれども、ただ、読み方によってどのようにも捉えられるという印象を受けております。例えば、それが仲介を示すのか、アドバイスなんですか、それともお手伝いのレベルなんですか、それによっても、じゃ、あっせんってどこなのということが問題なのかなと思っておりまして。

 これはまた報道によるんですけれども、海外移植を検討されているレシピエントさん、今回の記事のレシピエントさんなんですけれども、NPOの団体じゃなくて、現役のお医者さんがSNSで連絡をしてきて、こういう案件があるんですけれどもどうですかということで誘いをかけてきたという例があります。そしてまた、別途紹介料も払わされたということで聞いております。

 そういうところで、是非、きっちりとやっていかなきゃならないという具合に思っておるんですけれども、また、無許可あっせんの規制対象といいますのが、脳死を含む死体だけからのものでありまして、生体を前提としていないということも私は問題意識として持たせていただいております。

 生体移植といいますのが、指針やガイドラインによって親子や兄弟に限定されていますよということも当然承知をしているんですけれども、承知をした上で、やはり、あっせんしていく、やからといいますか団体といいますのは、抜け道を使いますので、そんなことは通用しないということなんです。

 さらに、私は、臓器移植法における罰則規定というのが余りにちょっと軽いんじゃないかなという具合に思っています。この間、いろいろな方のお話を聞かせていただいたんですけれども、海外で臓器売買、生体から、人が連れてこられてと、いろいろな話を聞きました。この場では言えないような残酷なお話もちょっと聞かせていただいたんですけれども。ただ、海外で臓器移植をした場合には、証拠も証人もなかなかつかめないということが実態としてあります。そんな中で、やはり、再犯を繰り返さないという点と、類似した行為をさせないということが非常に大事であると思っておりますので、是非抑止力としての見直しをしていきたいなと考えております。

 るる申し上げました。ちょっと時間がないんですけれども、大臣、感想だけでもいいので、通告していないですけれども、感想だけでもいいです、ちょっと、ありましたら、教えてください。

加藤国務大臣 今回、NPOがあっせんに関わってきているということで、こうした事件化というんですか、こうした事案が出てきている。また、それを踏まえて、今委員からもいろいろ課題は出ておられるというふうに思います。

 まさに、そもそもこの臓器移植法が議員立法で成立したという経緯の中で、国会においていろいろ御議論いただき、我々としても、先ほど申し上げた調査等を実施をして、できる限りの対応もさせていただきたいというふうに思っております。

池下委員 以上で終わります。大臣、ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 日本維新の会、一谷勇一郎です。時間をいただきまして感謝いたします。

 早速質問をさせていただきます。

 あんまマッサージ師、はり、きゅう師及び柔道整復師の広告に関する検討会が、二月十三日に、第九回目が三年ぶりに行われました。内容は整骨院の名称についてということなんですが、この整骨院の名称が使うことができなくなるということに対して、私はちょっと問題意識を持っております。

 整骨院の名称が使えなくなる理由として、医療機関と紛らわしい名称を用いない等を明確にすること、また、利用者が適切な施術を受ける機会を阻害されないようにするとともに、利用者の安全を確保することが重要であるということが述べられています。ただ、なぜそうなのかということは詳しく述べられていないということと、検討会では、この禁止を主張する構成員の方からは、整骨という言葉は、意味不明で、国民に分かりにくく、正しく認識してもらうことが大事だということです。整体や整形外科と混乱するという程度の意見しか見受けられません。施術を整形外科と間違える国民の方々がどれくらいいらっしゃるのかなというのは非常に疑問に感じております。

 また、昭和五十八年十二月に発行されている広辞苑第三版では、骨接ぎ、接骨、これは名称に使っていいというふうになっておりますけれども、調べてみると、整骨院というふうに挙げられます、類似の言葉として。また、平成元年十二月十日に発行されております新明解国語辞典の第四版でも骨接ぎと記載されています。整骨院イコール骨接ぎだ、接骨院イコール骨接ぎだというふうに記載されていますので、意味不明ということはないのではないかなというふうに思いますし、骨接ぎ、接骨というのは国民の皆さんにも広く周知されているのではないかなというふうに私は思います。

 また、第八回の検討会においては、構成員の方から、これは北海道、大阪、福岡ですけれども、整骨院の名称を利用している、使っている施術所は何と四三%に上ると言われておりまして、全国に整骨院がどれだけあるかといいますと、二〇二二年二月の段階で約五万三百六十四施設あります。平均の来院人数が三十七・四人だということなんですが、コンビニが二〇二二年一月現在で五万六千九百十九軒、ゆうちょ銀行が二〇二二年度で五万六百八軒ということで、非常に多くの整骨院が地域に根差して、医療類似行為と言われますけれども、地域の医療を担ってきたのではないかなというふうに考えております。

 今年の卒業生も、新卒の方が三千人を超えているという中で、なぜ今この整骨院という名前を使えなくしなければならないのかということについて、厚労大臣に御意見をお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 まず、仕組みとか制度について少しお話をさせていただきたいと思いますが、柔道整復の施術所について、使用する名称に関して、現在、直接な規制はありません。このため、整骨院という施術所名で届出があった場合、保健所では受理をされており、そして、実際、委員がお話があった、かなりの方が整骨院ということで施術をされています。

 ただ一方で、柔道整復師法に基づく大臣告示というのがございまして、これは広告可能な事項を定めておりまして、そこでは骨接ぎ又は接骨とされており、整骨という文言は規定をされていないことから、施術所が整骨院の名称を看板に掲げた時点で広告となって広告規制の対象となり得るというふうに考えられます。

 ただ他方、保健所において整骨院を用いた名称がこれまで受理されていること、そして、これまで施術所の名称と広告可能な事項の関係を必ずしも明示的にお示しをしていなかった、こうしたことも踏まえて、施術所の名称と広告規制の関係の整理を進めていく、そのために、施術所を整骨院と称することの可否についての検討会において、広告ガイドライン作成に向けた検討を今御議論をいただいており、その議論の一部が、先ほどお示しをしていただいたということでございます。

 こうした議論も踏まえて、大事なことは、利用者が今後とも適切な施術をそれぞれのきちんとした選択に基づいて受けられるようにしていくということでございますので、そのため、都道府県等がまた適切に指導が行うことができるよう、適切な広告ガイドラインの作成、これに向けて、それぞれの皆さんの議論もいただきながら、その作成を進めていきたいと考えています。

一谷委員 確かに、柔道整復師の国家試験を受ける場合に、骨接ぎ、接骨院ですね。そして整骨院という名称を使ってはいけないというふうに国家試験でも出てきます。ですから、柔道整復師は、看板としては骨接ぎ、接骨院だということはテストの段階では理解をしているんですが、ただ、大臣がおっしゃっていただいたとおり、いざ申請に行きますと整骨院で通ってしまうということと、大阪は特に整骨院という名前が多いように私も感じておりますが、やはりこれは、今までそれを長年認めてきたというところもありますし。では、この整骨院という名前を使えなくなって看板をかけ替えないといけないとなると、これは結構多額の費用が発生をしてきます。

 ですから、そういったことも考えていただいて、第一回目の検討が平成三十年からですので、長い時間検討されてきたと思うんですが、今までの検討会を見ていると、第九回でいきなり、私の認識ですけれども、もうこれは駄目ですよというふうになったように思うんですが、やはり経過措置も検討していただいて、実際の現場を見ていただけたらなと思います。

 有資格者が整骨院という名前が使えなくなるということは、無資格者の方は、町によく整体とかリフレクソロジーですか、マッサージ屋さんがいっぱいありますけれども、無資格者の方については整骨院という名称を使用できるのではないかなというふうに考えるんですが、大臣のお考えをお願いいたします。

加藤国務大臣 柔道整復師の施術所に関する広告し得る事項については先ほど申し上げた大臣告示で定めておりますが、いわゆるそれ以外の方の、無資格者もそうでありますが、施術所に関する広告については、特段の制限はないということであります。

 ただ、無資格者による医業類似行為の施術については、医学的観点から人体に危害を及ぼすおそれがある場合には、それぞれの法律に基づく、例えば柔道整復師法において禁止処罰の対象となっているところでございます。

一谷委員 今、医療類似行為というお話も出てきたんですが、これは、実際問題、使えるようになってくるのではないかなというふうに思いますし、我々、今、柔道整復師として、施術の委任払いを受けるためには登録をしなければなりませんが、その登録をせずに、自費で施術をされている整骨院も多く存在をしてきています。そういったところも、委任払いの届けをしなければ、資格があるなし関係なしで、整骨院の名前を使えるのではないかなというふうに思うんです。これは、検討会に入っていただいている皆さんが思うよりも、柔道整復師の、整骨院という名前に対して非常に愛着や誇りを持っている方が多いということも踏まえて、大臣にお考えをお聞かせいただけたらなと思います。

 委任払いの届出をしなければ整骨院の名前が、ちょっとはすに構えた質問になりますけれども、できるのではないかなということで、結局は、整骨院という名前が整形外科と非常に似通っていて国民の方に不利益を被るということの解決にはならないのではないかなというふうな問題意識から質問をさせていただきます。

加藤国務大臣 まず、委任払いというよりは開設の関係でありますが、柔道整復師法において、柔道整復師が柔道整復の業務を行う場所を施術所と想定しており、施術所を開設した者は開設の場所を都道府県知事に届け出なければならない、届け出ない場合にはたしか罰金か何かの規定があったというふうに記憶をしております。

 他方、柔道整復師が柔道整復を行わずに、また、医業類似行為ではない何らかの施術行為を行う場合には、これは柔道整復師法に基づく施術所の届出は必要なく、整骨院の名称を使用することも論理的には可能になるんだろうというふうには考えられますが、ただ、柔道整復の施術所の名称と紛らわしいことから、国民にとって分かりやすい状況ではないというふうに思います。

一谷委員 大変失礼な質問にもなっているのではないかなと思うんですが、やはりそういったことも現実に起こってくるのではないかなというふうなことも考えていただけたらなというふうに思っております。

 先ほどもありました医療類似行為についてなんですが、大変この言葉自体が、皆さん、聞き慣れない方も多いと思うんですが、混乱を非常に招いているのも現実です。

 いま一度、この医療類似行為に含まれる資格者と行為について大臣に御意見をお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 医業類似行為とは、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれがある医行為ではないが、一定の資格を有する者が行わなければ人体に危害を及ぼすおそれのある行為であると解されております。これには、あんま、マッサージ、指圧、はり、きゅう、柔道整復のほか、これ以外の手技、温熱等による療術行為であって人体に危害を及ぼすおそれのあるものが含まれると考えております。実際それを実施する場合には、制限の規定が設けられているところでございます。

 ただ、各個別法の規定に基づき、あんま、マッサージ、指圧、はり、きゅう、柔道整復について、その免許を受けた者がそれぞれ業として行うことができる、こういう仕組みになっているものでございます。

一谷委員 ありがとうございます。

 大臣に非常にこういった細かいことをお答えいただくのはどうかと思うんですが、やはり大臣からのお言葉が非常に重要ですので質問させていただいておるんですが、第八回の検討会で、急に、何の前触れもなく、医療類似行為だけではなくて非医療類似行為という言葉も出てきて、業界としても非常に混乱を招いているんですが、この非医療類似行為というのは一体どういった行為を示しているのかということを大臣にお伺いをさせていただきます。

加藤国務大臣 非医業類似行為という言葉は法令等において規定されているものではありません、医業類似行為という言葉は法令上規定されておりますが。

 非医業類似行為という文言については、検討会において、非医業類似行為を業とする者に関する広告についてということで、厚労省から出した資料等で使わせていただいたところでございます。

 これは、無資格者の広告の在り方を含むガイドラインの作成方針を議論する中で、あんま、マッサージ、指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師以外で身体に触れるサービスであって、医行為、医業類似行為ではない行為という意味合いで使用したものでございますけれども、こうした文言が、今おっしゃられたように、これまで使ってきた言葉ではございませんので、こういった文言を使うことが適切かどうかも含めて、検討会でよく整理をしていきたいと考えています。

一谷委員 いろいろ申し上げてきたんですが、広告等については、やはり有資格者だけではなくて無資格者の方の広告の規制というのも一緒にやっていっていただくことが業界にとっては非常に重要なことではあるのかなと思いますし、これは資格あるなし関係なしにして、やはり過大広告というのも非常に見受けられますので、こういったところをどういうふうに規制をしていくかということが重要ではないかなというふうに考えますので、今日はこれで質問を、このことについては終わらせていただくんですが、引き続き見守っていきたいなというふうに考えております。

 それでは、臓器移植の件もお伺いしたかったんですが、先ほど池下議員の答弁の中でされましたので、ここは少し飛ばさせていただきまして、二〇二四年度に認知症の介護基礎研修の義務化ということがうたわれておりますが、この義務化について、研修を受講したいという方々が全員受講できるのかということに対して、政府参考人の方にお伺いいたします。

大西政府参考人 お答えいたします。

 認知症介護基礎研修の受講の義務づけに関する御質問でございます。

 介護職員の認知症への対応力を向上させていくという観点から、令和三年度の介護報酬改定におきまして、介護サービス事業者さんに対しまして、三年の経過措置期間を設けました上で、介護に直接携わられる職員の方々に認知症介護基礎研修を受講させることを義務づけをさせていただいたところでございます。これはもちろん、医療、介護の所定の資格を有される方ですとか、基礎研修より上位の様々な研修がございます、また、相当の履修もございます、そういうものを受講される方々は当然不要ということでございますけれども、義務づけたところでございます。

 厚生労働省では、介護基礎研修受講者の方々が相当数に上るということも見込んでおりまして、Eラーニングによりまして受講できる環境を当初から整備をしてきてございます。現在、多くの都道府県、指定都市におきまして、Eラーニングが導入済みとなっております。このEラーニングシステムには、もちろん定員は設けておりません。時間、場所も問わずに受講いただくことが可能でありますことから、研修の受講が必要な方に受講いただけるようになっているものと考えてございます。

一谷委員 Eラーニングになったということで、受講はもうどこでもできるということになったと思います。

 ただ、事業所がこのEラーニングを受けさせない場合には行政処分の対象になるということと、実地指導があった場合に、受けさせていない方を、スタッフを働かせているということも違法になるんだと思います。

 その中で、この研修のEラーニングを就業時間内にやはり受けてもらうことが必要じゃないかなと思うんですよ。これを家に帰ってやってもらうとか、空き時間に自分のためにやってもらうということは少し適切ではないのではないかなと思います。

 ですから、質問を飛ばさせていただくんですが、こういったところについても実態調査をしていただいて、非常に介護事業所は今厳しい状況にありますので、何らかの支援策があればというふうに思って質問をさせていただきました。

 それでは、時間の関係で、盲学校の同行援護について大臣にお伺いをしたいと思います。

 学生が体調不良やその他の理由で早退を余儀なくされた場合に同行援護の制度が適用できないのかということを、ストレートにお伺いさせていただきます。

加藤国務大臣 急な体調変化ということを前提にお話をさせていただきますと、利用に先立って、市町村による支給決定やサービス利用計画の作成などの手続がこの同行援護を利用する場合には必要であります。したがって、今申し上げた急な体調不良による早退など突発的なケースへの対応、これはなかなか難しいのかなと。実際に、現場においては、学校がそれぞれ対応されておられるのではないかなとは思います。

 その上で、例えば、地域の特性や個々の利用者のニーズや置かれた状況に応じ市町村の判断により対象者を定められる移動支援事業というのもございまして、そうした活用の可能性も考えられると思いますが、その場合であっても、なかなか、突発的なケースというのはどうなんだろうかというふうには思います。

 仮に、同行援護や移動支援事業により対応する場合には、お子様が体調不良で学校を早退する場合に備えて、御家族、御家族の職場、学校、市町村、事業者などの関係者があらかじめ話し合って対応していただくことが必要ではないかなというふうに考えておりますし、また、そういう場として、市町村において、障害者総合支援法に基づき設けている協議会というのがございますので、そういった場において、課題を共有し、必要に応じ、実情に応じた対応についても御協議いただければというふうに考えています。

一谷委員 今お話しいただきましたとおりなんですが、実際は非常に現場は困っているということと、タクシーに乗って帰ってくださいということなんですが、親御さんにしたら、体調が悪いのを一人タクシーに乗せて帰らせられないというところと、盲学校というのは非常に数が少ないので、遠くから通っておられる方にすると、タクシー代が非常に負担になるということで、前もって計画を立てておいて柔軟に対応するということも必要ではないかなというふうに思いますので、是非検討していただけたらと思います。

 本日の質問はこれで終わらせていただきます。皆さん、誠にありがとうございました。

三ッ林委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

三ッ林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。

 午後一番の質問となります。どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、放課後児童クラブ、また学童保育について伺いたいと思います。

 ちょうど新年度を迎えるに当たりまして、多くのお子さんたちを抱えるお父さん、お母さん、この学童保育にお子さんの申込みをして、それが今ちょうど結果が終わったところであると思っています。この間、新・放課後子ども総合プランに基づいて受皿の拡大ということを図ってまいりましたが、令和三年の五月時点では待機児童は一万三千四百十六名、令和四年の五月時点では一万五千人強と、一万五千人に、一年で増えるという状況です。さらに、令和五年の五月、まだ数が確定しておりませんが、更に増えることも予想されています。

 待機児童は減るどころか増えてしまっている現状で、この間、様々な、インターネットや、また報道でも、学童落ちた、学童入れないという声があちこちで聞こえてきますが、まず、この入れないお子さんたちを抱えるお父さん、お母さんたちに対してどのように応えていくのか、伺います。

加藤国務大臣 昨年の放課後児童クラブの待機児童数は、前年から千七百六十四人増加して一万五千百八十人となっておりますが、令和元年度と令和三年を比較すると、令和元年度の一万八千が令和三年度が一万三千と、五千人減少してきたんですが、令和四年はそういう形になってきているということでございます。これは、ちょっとコロナの影響もあったのかなということではありますが、これはしっかり対応していかなきゃいけないというふうに思っております。

 これまでも新・放課後子ども総合プランに基づいて受皿拡大を行い、そして、特に放課後児童クラブの待機児童が発生している市町村での施設整備費への国庫補助率のかさ上げや、人材確保の観点から、放課後児童クラブで働く方々の賃金の改善の実施に対する費用補助などを行ってきたところでございます。

 さらに、待機児童解消を更に進めるということで、令和五年度予算案では、待機児童解消に向けた緊急的な受皿確保、いわばプレハブ施設のリースに係る経費への補助や、放課後児童クラブの利用ができなかった児童等に対し、他の放課後児童クラブの利用をあっせんするなど、個々の利用ニーズを踏まえた受入先の調整を実施するための経費の補助も計上しているところでございますので、こうした取組を通じながら、それぞれの市町村等で放課後児童クラブの整備が進むように、そして早期に待機児童の解消が図れるように、政府としても努力をしていきたいと考えています。

田中(健)委員 この問題、与野党の各委員の先生方からも何度も質問が出たり、また力を合わせて取り組んでいこうということがこの委員会でも述べられていました。

 昨年五月の委員会を見てみますと、当時の伊佐委員、今副大臣でございますが、伊佐委員が、ここ二、三年待機児童が減っているのは、コロナ禍の影響があり、コロナが落ち着き経済が本格化し、再開してくるとなったら、恐らくリバウンドが来るだろう、しっかり今から準備を進めていただきたいとこの場で発言して、私はこの今の同じ席で聞いていて、まさにそうだなというふうに聞いておりました。皆さんが同じ問題意識を持っているんですけれども、なかなかこれは前に進んでいない、大臣が今、対応も、様々なメニューも用意してくれているんですけれども、どうしても待機児童を抱えてしまっているというのが現状です。

 お母さんたちの声は、こんな声が上がっています。フルタイムで働くお母さんからは、週一回でも二回でも習い事へ行かせようとすると優先順位から外れてしまう、通えなくなってしまう、忙しい中、何とか子供に習い事をさせたくても、公立学校だとそれさえもできないのかと。また、パートタイムで働くお母さんからは、学童に子供を入れられず仕事に就けないと。小一の壁がまず立ちはだかり、その次は、子供が二年生、三年生になりお金もかかってくることからパートに出ようとしても、学童に入れず、働くことが困難な状況が続いている、そういった声が続いています。これらの声も、優先順位等は、そもそも受皿が足りないというところに起因するんだと思っています。

 その新総合プランが、来年度の二〇二三年度で終わりを迎えようとしています。

 これまでの中で、目標に掲げている量的拡充というのが十分に図れたのか。また、このときに提案がありました、開設する放課後児童クラブの八〇%を小学校内で実施する、学校施設の徹底活用をするというふうに掲げていました。しかし、聞いてみますと、近所に新しい学校が整備されたり、また拡充したりしても、学童にはつながらないという現場の声も聞いています。

 これまでの取組を検証しながら、次に向けて、新新・放課後子ども総合プランというんでしょうか、その整備計画というのが今から必要ではないかと思いますが、考えを伺います。

加藤国務大臣 まず、これまでの取組でありますけれども、新・放課後子ども総合プランに基づいて受皿整備を進め、昨年の放課後児童クラブの登録児童数は百三十九万人ということでありまして、目標は百五十二万人ということでありますから、あと二年、数字が出るのは今年の春と来年の春ということになりますが、その辺をしっかり見極めながら、更に進めていきたいと思っております。

 他方で、新たに開設された放課後児童クラブのうち、学校内に設置されたクラブは約五五%ということで、特に最近その率が低くなってきておりますので、学校施設の活用の促進を更に図っていく必要があると考えています。

 このため、学校施設を活用する際の管理運営上の取決めに向けた協定書のひな形を作って、それにのっとって対応していただくようにするとか、小学校の余裕教室を活用して新たに放課後児童クラブを実施する場合の改修や備品購入等に係る経費の補助なども盛り込むこととし、あと、令和五年度予算案は、先ほど申し上げた学校施設内にプレハブを設置するための費用の補助も新たに計上したところでございますので、そういったことをしっかりと活用して、来年度が新・放課後子ども総合プランの最終年度になっております、また、四月からはこども家庭庁にこの放課後児童クラブは移管されますので、移管後においても、引き続き受皿整備が円滑に進み、また、学校施設との連携をしっかり図っていけるよう、我々としても努力をしていきたいと思います。

田中(健)委員 学校施設の利用、五十数%と、ちょっと残念でありまして、是非、学校を使うためには文科省の協力や地方自治体の協力も必要かと思いますので、厚労省、大臣、先頭に立って進めていただきたいと思います。預けるお母さんや、うちも今年から学童に子供が入るんですけれども、入れないと本当に仕事はどうなってしまうんだろう、そういった状況に、私も現場の思いがありますし、また、一人一人のお母さん、お父さん、本当に苦しみながら、何とかやりくりしながらやっています。それに応えていただきたいと思いますし、また、異次元の子育て政策ということを政府として掲げています。集中期間を定めて、受皿整備を倍増するだとか何か更なる進展を、また、更なる力を入れた対策というのを望みたいと思いますので、よろしくお願いします。

 それと関連するんですけれども、今、受皿が少ないということで、放課後等のデイサービス、こちらについて、関連で質問したいと思います。

 放課後等デイサービスは、名前は似ておりますが、御案内のとおり、これは障害者のお子さんたちの、子供の居場所と今なっている施設であります。しかしながら、今の学童保育に入れないというお子さんがいる中で、何とかしてお子さんを預けたいということで、いろんな手を使ってこの放課後デイに入れているという現状の話を聞いています。そのような現状を政府として把握していらっしゃるでしょうか。伺います。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のような事案については、厚生労働省としては把握をしていないところでございますが、障害のある就学児に発達支援を行う放課後等デイサービスの利用に当たりましては、市町村において、保護者等に調査、聞き取りを行い、障害のある子供の心身の状況、その他厚生労働省令で定める事項等を勘案して給付の要否を判定し、給付決定を行う仕組みとなっております。こうした手続によって、市町村が発達支援が必要だと判断した場合に支援の対象とするものであります。

 したがいまして、本来、発達支援を必要としない子供に対して給付決定が行われているということであれば、不適切であると考えております。

田中(健)委員 地方自治体の責任かのように聞こえたんですけれども、把握していないというのは、私はちょっと問題かと思っています。

 このようなことを紹介したいと思います。

 放課後等デイサービスの課題等について感じることということで、数ページにわたる文章がありますが、学童保育の代替として利用されているケースが多いように感じます、直接的には、手帳を持っていなくても、医師の意見書の提出があれば、利用要件に該当するため、両親の要望で保育目的として利用している人が増えているように感じますという言葉です。

 これはどこから私は探してきたかといいますと、厚生労働省の令和元年度の障害者総合福祉推進事業の中で、放課後等デイサービスの実施把握及び質に関する調査研究報告書であります。百ページ以上にわたる大きな調査資料ですけれども、これは令和二年三月に公表されておりますけれども、この中に書いてあります。

 つまり、障害者として手帳を持っていなくても、お医者さんに行って、少しうちの子、多動的で、多動障害があるとか発達障害があると言えば、医師は今、診断書を書いてくれるといいます。そして、それが、施設は、受け取れば預かる要件は整いますから、預けることができる。つまり、学童に入れないお子さんをそのようにして何とか働くためにデイを使っているというのが、実際、この調査のときにも指摘がされています。

 これは厚労省の調査ですけれども、これは御覧になっていないということでよろしいでしょうか。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 調査報告書の詳細において把握をしておりませんでしたので、把握をしていない旨、お答えさせていただきました。

田中(健)委員 厚労省が御自身で推進事業で出した報告書ですから、是非、御覧になっていただきまして、これはもっと様々なことが書いてあります。あっ、このようなことがあるんだとか、あっ、こんなことが起きているんだということがつぶさに分かりますので、それをやはり分からないと次の対策やほかの対策に続かないと思っています。

 その中で、更につけ加えさせてもらいますと、この放課後デイサービス、様々なこれまで課題が挙げられてきました。二〇二一年には、百七十九の事業所で不正請求で行政処分を受けていたということが新聞の報道で明らかになりました。子供の福祉よりも営利を優先する事業者の存在が明らかになりました。

 もちろん、私も事業所を回って、ほとんどの事業所は、障害者のお子さんの育成また支援をやっているのは本当に一生懸命やってくれておりますが、一部こういった事業者がいるというのも事実であります。

 その後、この不正請求の現状というのは改善したんでしょうか。いまだに不正請求で行政処分を受けているような事業所というのはあるのか、お聞きします。

辺見政府参考人 人員基準等が満たされていない状況で不正に請求が行われていた事例等、行政処分に伴い給付金の返還対象となっていた放課後等デイサービスの事業所は、令和三年度の時点で五十二事業所となっているところでございます。

田中(健)委員 いまだに続いているということであります。

 さらに、今、数が物すごい増えているんですけれども、一方で、運営が困難になって閉鎖するないしは潰れてしまう事業所も発生しているという話も聞いています。この数はどこを見ても出てこないんですけれども、このような現状というのを把握していらっしゃるでしょうか。今、現時点でも、廃業ないしは事業を畳んだような施設というのがどのくらいあるのか、伺います。

辺見政府参考人 事業者の倒産という形について、厚生労働省として把握しているところではございませんが、民間の調査会社が公表しているデータによると、令和四年に、放課後等デイサービスを行う事業者の倒産というのが十四件あったと公表されていると承知をしております。

 放課後等デイサービスにつきましては、令和二年度は全国で事業所数が一万五千四百八事業所であったのに対して、令和三年度は一万七千二百九十八事業所と増加をしているところでございまして、新規参入も増えている状況があると認識しているところでございます。

田中(健)委員 まさに、増えてはいるんですね。厚労省の資料を見ますと、今、令和三年、一万七千二百九十八件と言っていただきましたが、令和四年は一万九千百七十八事業所ということで、二万件に及ぶ事業所が今、日本中にあるということです。

 しかしながら、一方で、私の地元だけでも最近でも二件ほど畳んだということでお話を聞いてきたんですけれども、そういう事業所はあるんですね。ですので、是非、先ほどの学童に入れないお子さんが放課後デイに入っているというような現状や、また、ないしはサービス事業者自体の現状というのも把握に努めてほしいと思っています。この事業所は毎月、国民健康保険団体連合会に利用記録を、請求しますから提出をしているので、それと突合すれば数というのは出るかと思うんですね。増えているから減ったのは分からないというふうにお答えがありましたけれども、その突合をすれば調べられるんじゃないでしょうか。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 事業者の請求が停止をすることと事業者の経営が継続していないかどうかは必ずしも一義的には結びつかないと思いますので、その統計自体で把握することが適当かどうかということについても検討が必要かと思いますが、いずれにいたしましても、障害児福祉サービスを含みます障害者に対してのサービスにつきましては、全体としての経営実態を調査した上で基本報酬を設定をしているところでございます。その上で、手厚い支援が必要な方への支援について、加算の創設を行うなどの工夫も行っているところでございます。

 令和六年四月の障害福祉サービス等報酬改定に向けて、経営実態調査も把握しながら、必要な検討を進めていきたいと考えております。

田中(健)委員 何か悪いことばかりを言ってしまって事業者の方に申し訳ないんですけれども、逆に、しっかりやっている事業者さんからしっかり調べてほしいと。しっかりやっている人たちが何か不正していたり、ないしは放課後デイがうがった見方で見られるのは本旨じゃないということでお話をさせてもらっています。

 これまで自治体としては提出をした書類を確認するだけで、現地調査まではしていませんでした。国は指定権限がある自治体に三年に一回の実地指導を求めていますが、この自治体の調査もほとんど追いついていなく、今まで園を開いて六年間一度もその調査も来ていないという事業所も、たくさんあります。是非、本当に真面目にしっかりやっている事業所さんからは、自治体が施設のプログラム内容や現場記録を確認して療育内容というのを確認してほしいという声が上がっておりますので、要望をさせていただきたいと思います。

 その中で、今局長から少し出ましたけれども、この間、障害児通所支援に関する検討会というのが昨年八月から何度も開かれ、ちょうど先週の十四日に報告案が提出をされたと聞いております。様々な問題を抱えているとは思うんですけれども、また、来年度に向けての報酬改定にもつながる報告書かと思うんですけれども、どんな点を改善し、この放課後デイの機能というものが健全に果たせる環境というのを整えていくのか、伺います。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 放課後等デイサービスにつきましては、障害のある就学児に対して放課後等に自立支援のための活動や交流の機会の提供を行うものでございまして、障害のある子供の発達支援を行う重要なサービスでございます。

 今年度、今後の障害児通所支援の方向性とその具体化を議論するために、今御指摘がございました、障害児通所支援に関する検討会で御議論いただいたところでございますけれども、放課後等デイサービスにつきましては、児童発達支援ほかのサービスと同様に、健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性といった五つの領域による総合的な支援を行うことを基本とすべきということですとか、障害児通所支援全体としての指摘になりますが、障害の有無にかかわらず子供が共に育つインクルージョンの推進や支援の質の向上に取り組んでいくべきなどとの御意見をいただいているところでございます。

 こうした御意見を踏まえながら、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 何が変わるかというのはちょっとよく今のでは分からないんですけれども、現場からは、保育士、理学療法士の専門スタッフの配置というのが前回の報酬改定でついたんですけれども、なかなか、専門士をつければ質が上がるのか、専門士を配置すればいいのか、じゃ、無資格ではできないのかというような現場の声が一番多かった、私の実感です。

 是非、この改定において、まず現状を知ってもらって、そして、それを次につなげるような取組というのに取り組んでいただきたいんですが、最後に大臣の見解を伺います。

加藤国務大臣 検討会でも今議論をいただいております。そうした御意見、また、今委員からお話があったようなそれぞれの関係者の方の御意見も踏まえながら、支援の充実をしっかり図っていきたいと考えております。

田中(健)委員 先ほどの児童クラブにしても、放課後デイサービスにしても、働くお父さん、お母さんたち、また、子供の学びをしっかりと支えるために大変重要な施設でございますので、是非力を合わせて、いい方向に進めていければと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 まず、Colaboの件についてお伺いします。

 三月二十日、東京都が、Colaboに委託しております若年被害女性等支援事業について、今日のバスカフェから実施方法の変更、事実上の中止を求めました。Colaboの事業に対して執拗な妨害がこの間行われておりますが、東京都の対応というのは妨害者に対して成功体験を与えるものだと厳しい批判の声が上がっております。

 東京地裁は、十四日、妨害していた四十代男性について、Colaboへの接近や妨害活動を禁止する仮処分を決めております。その効力というのは新宿区役所から半径六百メートル。Colaboにほかのことでやってくれと言っても、逆に、接近、この効力がある外で活動しろみたいな話になってしまうわけですよね。

 私は、この事業の実施に責任を負っているのは東京都ですから、その東京都が、妨害行為をやめさせるのではなくて妨害行為に屈して、Colaboの方に歌舞伎町でのアウトリーチ支援、これを事実上中止を求めるというのは、支援が必要な人に支援が届かなくなる極めて重大な問題だと思いますが、大臣の認識を伺います。

加藤国務大臣 御指摘の若年被害者女性等支援事業は、様々な困難、問題を抱えながら、行政機関等に支援を求めることが難しい状況にある若年女性に対し、公的機関と民間団体が密接に連携し、アウトリーチ支援等を始めとする個々のケースに応じた支援を行う大変重要な事業であります。

 また、どのような事業であれ、暴言や威力等の妨害行為等によって支援が必要な方に支援が届かなくなるようなことは、あってはならないと考えております。

 一方、この事業、今委員からもお話があったように、実施主体は東京都であります。東京都からは、支援を必要とする女性の安全確保は最重要課題である中で、現場において様々な妨害行為がなされているため、団体に具体的安全策を求めたものの、現時点においては、支援を必要とする若年女性が安心して利用できる環境が整わず、効果的な支援活動を実施することは難しいことから、女性の安全確保を優先し、必要な支援を確実に行うための別の効果的な実施方法の検討を求める判断に至ったと聞いております。

 いずれにしても、困難、問題を抱える若年女性の支援が安全かつ適切に行われるよう、厚労省としても、東京都を始め関連機関と連携をしていきたいと考えています。

宮本(徹)委員 これは事業に対しての妨害なんですよね。安全策を取れと求めるんじゃなくて、妨害している側に対して、東京都が、妨害するなと、こういうことをやる必要が本来あるんじゃないですか。

 三月一日四十八人、三月八日も三十七人、支援を必要としている方々への取組というのが行われているわけですよね。私、本当に、今回、こういうことを放置して、妨害者に屈して、やらないというようなことを東京都が先頭になってやるようなことになったら、これはほかの事業にも影響してきますよ、ほかの事業にも、ほかの地域にも。私、これは本当に、東京都任せではなくて、どうしたらいいのかというのは厚労省として真剣に考えなきゃいけない話だと思いますよ。

 大臣、そう思いませんか、これ。屈しているんですよ、事実上、今の東京都の対応というのは。

加藤国務大臣 申し上げたように、東京都として、現時点では、支援を必要とする若年女性が安心して利用できる環境が整わず、効果的な支援活動を実施することが難しいという判断をされたわけであります。

 委員のおっしゃることも否定するつもりはありませんが、ただ、今ここに支援をする女性がおられる、その女性に対して、よりどういう対応を取っていくべきなのか、そういう視点に立った御判断ではないかというふうに考えております。

宮本(徹)委員 東京都の立場を擁護されるわけですけれども、しかし、現に、妨害行為の中でも女性への支援は行われてきているわけですよ。必要な人に行われているわけですよ。それができなくなってしまうというのが、今、東京都が取ろうとしている態度なわけですね。これは本当に、与党の皆さんもColaboの事業を応援されている方は多いと思いますので、是非、東京都に対しての働きかけをお願いしたいと思います。

 それから、二つ目の問題ですけれども、年金保険料の徴収の問題についてお伺いします。

 私どものところにはいろんな相談が来ますけれども、納付の意思を有する滞納者に対して、分割納付や換価の猶予、あるいは納付期限の延長などを柔軟に認めてくれない、さらには、暴言だとか売掛金を差し押さえるなどの高圧的な対応、強権的な徴収、こういう話が来ます。

 配付資料を見ていただきたいんですけれども、これは、ある年金事務所が保険料の滞納事業者の方々に送った封筒の写しであります。たくさんの張り紙が貼ってありますけれども、人の目が描かれて、これを見ただけでもぎょっとするものになっているわけでございます。

 何でそんなことに現場がなっているのかということなんですけれども、いろいろあると思うんですけれども、裏面に、年金機構の行動計画というのを、二〇二一年度のものと二〇二二年度のものをつけておきました。

 二〇二一年度の厚生年金保険等の徴収対策に係る行動計画では、「事業所の置かれた状況に応じ、既存の納付の猶予及び換価の猶予の適用を積極的に行う。」だとか、あるいは、「個々の事業所の置かれた状況や心情に十分に配慮した迅速かつ柔軟な対応を行う。」こういう文言があったわけですけれども、二〇二二年度の行動計画からはこうした文言はなくなってしまったわけです。代わりに、「安定的な保険料収納の確保と収納率の向上を図ることを基本的な方針とする。」となったわけです。

 私は、こうした方針の変化が、物価高騰、コロナ禍に続いて大変な状況に事業者の皆さんがある中で、無理な徴収に至らせているのではないかというふうに思います。

 ここは、大臣、是非、年金機構に対して、社会保険料の滞納徴収に当たっては、こうした強権的な売掛金等の差押えはやらない、当事者に寄り添って徴収猶予等の相談に誠実に乗るよう指導を是非していただきたいと思いますし、あわせて、この計画ですよね、行動計画。二〇二三年度の行動計画には、二〇二一年度と同じように、この物価高騰なんだから、ちゃんと事業者に寄り添った、丁寧に対応してほしい、こういう中身を復活させるべきだと思いますけれども、いかがですか。

加藤国務大臣 日本年金機構と私どもの関係でありますが、その行動計画の中身一つ一つについて申し上げるという立場ではないわけでありますが、ただ、今御指摘の封書でありますけれども、これは不適切な対応と認識をしておりまして、既に、送付した年金事務所から関係事業者に謝罪するとともに、封書が回収されたというところであります。機構においても、他に同様な事例がないかという調査をしたところ、そうした事例はないとのことでありますが、今後こうしたことが起きないように対応していきたいと思っております。

 また、社会保険料の納付が困難である事業所への対応については、電話や文書による納付勧奨を行い、それでも納付されない場合には、事業所の経営状況や将来の見通しなど丁寧にお聞きしながら、納税の猶予などの相談に応じているということでございますし、安定的な保険料収納の確保と収納率の向上を図るというのは、これまでも日本年金機構がそういう対応をしてきたところでありますが、その中で、コロナ禍で納付の猶予ということがあり、新型コロナの影響に対応するため、令和二年一月から十二月までの分の保険料に係る特例を実施をしました。

 その期限後なお納付が困難な事業所については、既存の猶予の仕組みを活用して、事業所の状況に応じて柔軟に対応してきているところであり、本年度についても、コロナ禍における納付猶予特例を引き継いで、既存の猶予を活用していただいた事業所について、猶予の延長協議の期限を迎えるところも出てきているところでございますので、そうした状況に対しては、丁寧にお話を聞きながら、適切な対応をするよう日本年金機構に指導していきたいと考えております。

宮本(徹)委員 その指導の中で、是非、行動計画についてもよく考えてほしい、そういう記載というのは年金事務所一つ一つの行動に影響を与えますので、お願い申し上げます。

 三つ目の問題です。

 昨年、介護事業者等への電気代、ガス代等への支援が不十分じゃないかということを取り上げさせていただきました。

 医療機関、介護事業者、障害福祉事業者等々、引き続きやはり大変だという声が寄せられております。例えば、都内のある特養ホームですけれども、もう本当に、自治体からの支援だけでは不足しているので、今加配で配置している職員を一人減らす、こうせざるを得ないということを決めたという話なんかも先日伺いました。追加の支援をしなければならないというふうに思いますし、さらに、賃上げ、これも含めた支援をしていかなきゃいけないと思うんですが、大臣の認識をお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 まず、本日、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金の積み増しを含め、物価高克服に向けた追加策を示したところでございます。

 引き続き、交付金の活用を通じて、地域の実情に応じたきめ細かい支援が行き渡るよう、自治体と連携を図るとともに、次期報酬改定に向けた議論も行っていく中で、物価の動向や医療機関の収支の状況等も注視していきたいと考えておりますし、また、処遇改善については、現場で働く方の給与を恒久的に三%引き上げるための措置も講じたところでございますので、そうしたものも併せ、注視していきたいと考えています。

宮本(徹)委員 追加の支援と併せて、やはり報酬も、私は、臨時の報酬改定も含めて、これだけの物価高騰の中で、社会全体では春闘、闘って賃金を上げると言っているけれども、やはり公定価格で賃金水準が左右されるところは報酬を引き上げないとその原資が出てこないわけですから、そこも是非与党も含めて検討していただきたいと思います。

 それから、四点目、学童の問題について私も取り上げさせていただきます。

 先ほど田中委員からも、学童落ちたというハッシュタグが話題になったというお話もございました。待機児は解消せず、学童は大規模化しております。

 一方で、指導員のなり手というのが大変深刻です。あと一週間で新年度が始まりますけれども、例えば、都内のある区では、まだあと十九人、学童の指導員、会計年度任用職員ですけれども、確保できていない。そういう自治体が都内を見ても幾つもあるわけでございます。あるいは、全国に話を聞いても、人数が増えて大規模化したので分割しようと思って場所まで確保したけれども、指導員を募集しても集まらずに分割することができなかった、こういう話も伺うわけです。

 ですから、学童の待機児童解消という点でも人材確保は極めて重要だ、この認識は大臣、ございますでしょうか。

加藤国務大臣 今委員からお話がありましたように、待機児童が発生している市町村等からお話を聞きますと、支援員の確保ができずに、利用希望の増加に対応する受皿が確保できなかった、昨年度臨時的に開所していたクラブが今年度は開所できなかったなど、人手不足の状況、また、継続的な雇用が難しいといったケースがあることは私どもも承知をしているところであります。

 まさに人材確保は非常に大事であります。放課後児童クラブで働く方々の賃金改善の実施に対する費用補助、あるいは放課後児童支援員の就職支援等に対する費用補助等を行ってきたところでありますが、引き続き、放課後児童クラブの受皿そのものの整備と併せて、逆に、整備を進めるに当たって必要な人材の確保、これが図れるよう支援を行っていきたいと考えています。

宮本(徹)委員 やはりなり手不足ということを考えた場合に、原因に処遇の問題があると思うんですね。不安定雇用にあるということと賃金の低さというのがあると思うんですね。公設公営の場合は、会計年度任用職員でやっている場合もかなり多いわけですよね。全体で見ても、学童で働いている職員の七五%が非正規だと。一年契約などが大変多いわけです。

 私は、これは本当にやはり安定雇用にしていかなければならないというふうに思うんですけれども、その点の認識をお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 職員の体制については、放課後児童クラブ運営指針においても、「子どもとの安定的、継続的な関わりが重要であるため、放課後児童支援員の雇用に当たっては、長期的に安定した形態とすることが求められる。」としているところであります。

 他方、職員の雇用形態や賃金水準をどのように定めるかは運営主体である各市町村において判断いただくものでありますから、そうしたものも踏まえて適切に判断をしていただきたいと考えておりますし、先ほど申し上げたような、我々としても人材確保の観点から様々な支援策も講じているところでございますので、こういったものも活用しながら安定的な人材確保を行っていきたいと思っております。

 なお、放課後児童クラブ職員における常勤職員について、まだ水準は決して高くありませんが、平成二十七年の二六・八%が令和四年には三四・一%と、七・三%改善したという数字もございますので、こうしたことも踏まえながら引き続き対応していきたいと考えています。

宮本(徹)委員 今日は総務省にも来ていただいていますので。

尾身副大臣 お答えいたします。

 各自治体においては、多様化する行政需要に対応するため、常勤職員に加え、会計年度任用職員が地方行政の重要な担い手となっていると承知しております。個々の職においてどのような職員を任用するかにつきましては、対象となる職の職務の内容や責任などに応じて、任期の定めのない常勤職員や臨時、非常勤職員などの中から各自治体において、適切な制度を選択していただくべきものと考えております。

 総務省といたしましては、今後も適正な任用が図られるよう取り組んでまいります。

宮本(徹)委員 本当は、政府として常勤の方が好ましいという判断を学童については持っているわけですから、総務省はやはり自治体に対してもそういう指導をちゃんとしていかなきゃいけないと思いますよ。

 あわせて、その賃金水準ですけれども、三つの処遇改善事業が学童の職員にはありますけれども、これは余り使われていないわけですよね。学童クラブが設置されております自治体のうち、放課後児童支援等処遇改善事業の実施自治体は二三%。二〇一七年にできたキャリアアップ処遇改善事業の実施自治体は二九・二%。また、昨年始まった九千円の処遇改善、これの申請自治体は一千百四十五自治体で七〇・三%。これも三割が申請しておりません。しかも、この処遇改善を見ますと、公設公営の学童クラブで見ると、八百十三自治体のうち自治体が申請しているのは三百四十五自治体で、四二%しかないわけですね。

 公設公営のところで何で利用率が低いのかということを聞きますと、他職種の会計年度任用職員との差をつけるわけにはいかないなどの理由で取得しないんだ、こういう話も聞くわけですが、これはもう本当に、非正規公務員を安く使おう、こういう発想だと思うんですね。私はこういう発想も変えてもらわなきゃいけないと思います。

 あとは、その他の処遇改善も含めて、全体使われない一つの理由が、やはり自治体負担が三分の一あるというのも理由になっているわけですね。ですから、今、子供予算倍増ということをおっしゃっているわけですけれども、こうした処遇改善事業がしっかり活用されるような改善が必要だと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まず、この処遇改善に取り組む市町村の具体例をお示ししながら、積極的な検討をまだそうしたことを実施していない市町村に対してお願いしてきたところでありますけれども、更にそうした働きかけをしっかりとさせていただきたいと思っております。

 なお、補助率でありますが、今、補助率が例えば処遇改善でいえば三分の一となっていますけれども、しかし他方、残った部分、地方負担については地方交付税等での担保等も行っているところでございますので、そうした点も含めてしっかりとこの制度の内容を周知し、より活用していただけるように、そして職員の処遇改善が進むように自治体に促していきたいと考えています。

宮本(徹)委員 今日、総務省に来ていただいておりますけれども、地方自治体、公設公営の方がこの処遇改善が進んでいないと。これはどう対応されますか。

尾身副大臣 お答えいたします。

 放課後児童支援職員の処遇改善事業につきましては、総務省といたしましても、各自治体が本事業の趣旨を踏まえて、対象となる職員の処遇改善について適切に対応いただけるよう通知を発出するなど、事業所管省庁と協力して取り組んでまいりました。

 地方公務員の給与は、地方公務員法に基づき、民間等との均衡を考慮して定められるものであることも踏まえつつ、各自治体において、放課後児童支援員の適切な処遇が確保できるよう、引き続き、必要に応じて、事業所管省庁と協力して取り組んでまいります。

宮本(徹)委員 通知だとかお願いだとか、それだけじゃなくて、やはり本当に、制度的な改善も含めてしっかりやっていかなきゃいけないと思いますし、そもそも、やはり、地方自治体が、正規職員は厳しい定数管理をやって、安く会計年度任用職員で多くの人に働いてもらおう、こうなっているところ自体、私は変えていかなければならないというふうに思います。是非そこは、子育て予算倍増の中でも考えていただきたい点です。

 とりわけ学童は、夏休みなどの長期休みは一日保育が続くわけですよね。これは、三人のうち一人が常勤でいいというのでは回らないわけですね。常勤は二人ぐらいいなきゃ無理だという話も聞きますので、常勤職員、しっかり増やすということも是非少子化対策の中で考えていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。

三ッ林委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文です。

 まず、今日は、ACP、アドバンス・ケア・プランニングについて質問したいと思います。

 私たちは、生を授かった瞬間、必ず終わりがあります。有限の命ということで、私も医師として、特に産婦人科医師として、命の誕生の場、そして終えんしていく場に遭遇してまいりました。

 そういう中で、今、大臣にお聞きしたいんですが、このACP、非常に重要な局面だと私は思っています。特に医師がコーディネートをしていくわけでございますが、例えば昔のような、例えば人工呼吸器をつけるかどうか、そういった局面、あるいは、もっと言いますと、胃瘻、口から水や栄養が取れなくなったときにどういった形で自分が最後の段階を望んでいくのか、そういったことも踏まえまして、やはり、専門的な知識と経験でもって、患者さん、御家族にしっかりと説明した上で、その有限の命の終わっていきよう、これをしっかりと決めていく。これは、本当に、どう本人が生きたかということを自己発現する、非常に大切な、命の尊厳にも関わることだと思います。

 しかし、実態は、大臣、最近になってやっと、訪問診療におきましては、ある条件を満たせば、その時間を取るための例えば診療報酬、そういったものがあるわけでございますが、大病院、急性期、例えばがん治療をしているんですけれども、ある段階でもう治療ができなくなる、終末期になる、そういった緩和ケアに移る際に、医師が、退院に当たって、あるいは転院に当たって、そういった場を取ることに対する診療報酬がないというふうな実態があります。

 もう一点ですけれども、先ほど私、胃瘻と軽く言いましたが、フランスにおいては、胃瘻をつけるかどうか、これは法律があります。我が国においても、臓器移植法等々で、本当に大きな国民的な議論となった法整備がございました。その二つについて、大臣の御見解をいただきたいと思います。

加藤国務大臣 委員からACPとおっしゃっていただいていますが、今、人生会議ということで、愛称をつけさせて呼んでいますので、人生会議について、その普及をしっかり図らせていただきたいというふうに思っております。

 高齢者が、望む場所で、生活、暮らしの視点も含めて医療を受けていけるということは大変重要でありまして、診療報酬においては、委員御承知のとおり、地域包括ケア病棟や在宅療養支援診療所等における、人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン等を踏まえた、適切な意思決定支援の体制を評価する形で診療報酬を作らせていただいているところでございます。令和六年度の診療報酬改定に向けては、診療報酬と介護報酬の同時改定となるわけであります。

 現在、医療、介護の関係者らとの意見交換を開催し、その中で、生活機能が低下した高齢者の急性期の入院医療の在り方や、人生の最終段階における医療、介護について、順次、意見交換をさせていただいているところでございます。

 そうした意見も踏まえながら、急性期医療における取組も含めて、人生の最終段階における適切な意思決定支援の推進に関する診療報酬上の評価の在り方について、中医協においても引き続き検討していきたいというふうに考えております。

 それから、胃瘻等の造設について、意思表示する制度を法制化すべきというお話がございました。

 例えばフランスでは、胃瘻を始めとした医療ケアの意思決定に関し、法律で手続を定めていると承知をしております。

 我が国の場合、意思決定ができない状態になった場合に備えて、どのような医療を受けたいか、あるいは受けたくないかなど、書面で事前に示すことについては賛成するという声が多い一方で、法律で定めることについては必ずしも賛成が多くないという状況にございます。

 御指摘の医療ケアの意思決定の手続について、法制化に関する国民の意識がまとまっているとは言えないと認識をしております。これは平成二十九年度の調査に基づく数字でございますが。

 厚労省としては、人生の最終段階において本人が望む医療ケアが提供される環境が整えられるよう、まずは、本人が望む医療ケアについて家族や医療関係者と繰り返し話し合う人生会議の取組を進めることが重要だと考えておりますので、引き続き、国民の皆さん、そして医療ケア関係者の双方に、こうした人生会議の普及啓発、これを進めていきたいと考えています。

仁木委員 大臣、その人生会議、私も実はそういったことをコーディネーター、医師としてやってまいりました。

 実は、例えば、訪問系、あるいは、家族構成が今、昔と変わってきまして、経済的な背景で自分のありようを変えざるを得ない、あるいは変えようと思うような方もいらっしゃいます。つまり、ある訪問診療医とかにおいては、幾らお金を持っているのか、これだけ持っていたら、こういうサービスを受けられますよ、こういう形の最期の迎え方はどうですか、そこまで割り切ってお話しするようなドクターもいれば、そういった背景が全く分からない、つまり、今まででしたら、死んでいった場合、御家族がその後のケア、これは行政的な最後のこともしなければいけないわけでございまして、相続あるいは行政的ないろいろな手続があると思います。そういうことで、今、皆さん、大臣、終活ビジネスというのをお聞きになったことがあると思います。そういうことで、例えば、具体的に言うと、葬儀の、お葬式のありようも変わってきました。

 そういうところに、これは、今、民間任せになっていますが、悪く言うと、認知症であったり、自分でそういったことを判断できない、本来なら成年後見人もいますが、そういった状態に必ず至っていないような方々もたくさんいらっしゃるわけで、国として、厚生労働省として、その人生会議におけるそういった行政的なことも踏まえた形の説明をした上で、そういった、人が死んでいくということは、生物が死んでいくということもありますが、社会的に死んでいくということもあります。

 そういうことを踏まえて、大臣、そういった終活的なことの案内を行政の方で、独居とかの方が一番多い家族形態になっておりますので、そういったお考えはないかどうか、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 私どもとして、誰もが住み慣れた地域で自分らしい暮らしあるいは人生を最後まで続けていただける、そのために地域包括ケアシステムの構築が重要だというふうに考えております。

 認知症の高齢者を含め、認知機能が低下した者の意思決定支援については、本人の意思も踏まえ、身近な信頼できる家族、親族、そして福祉、医療、近隣地域の関係者、さらには成年後見人等がチームとなって、日常的に見守り、本人の意思や状況を継続的に把握し、必要な支援につなげていくことが重要であります。

 認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドラインも策定し、医療や介護従事者の皆さんにはこの内容を専門的な研修の中で習得もしていただいているところでございます。

 また、第二期の成年後見制度利用促進計画に基づいて、成年後見制度を必要とする方が適切に制度を利用できるよう、地域連携ネットワークづくりの推進等の取組を進めることとしております。

 また、介護サービスの提供に際しても、例えば、ケアマネジャーがケアマネジメントを行う際に、利用者の状況などを踏まえ、必要に応じて成年後見制度の活用につなげるなど、困難を感じている方に対し適切な支援につなげるようにしているところでございます。

 さらに、医療ケアで本人の意思の確認が困難な状態となった場合には、本人にとって最善の方針が取られるよう、人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドラインを策定し、方針の決定手続等に関するプロセスもお示しをさせていただいているところでございます。

 こうした、我々としても努力をすることによって、様々な関係者の皆さん方が繰り返し話し合い、人生会議が円滑に、そして所期の目的に沿って進んでいけるように支援をしていきたいと考えております。

仁木委員 大臣、いろいろるる説明いただきましたが、やはり私は、個人的にはもう少し情報開示というのを、堅い言葉ですけれども、より高齢者の方、あるいは本当に終末期に臨んでいかれて、場合によっては、そういった情報をしっかり受け止めて判断できるような御家族が周りにいないような方々に関しましては、もう少し行政の介入というか、そういった丁寧な寄り添いがあってもいいということを希望として挙げたいと思います。

 次の質問に移りますが、少子化、特に地方における少子化がもたらす過疎化といいますか、そういった問題について述べたいと思います。

 この後お経読みがあって、また議論が始まりますが、全世代型社会保障、こういう名の下で保険制度の改正がなされますが、私は、希望として、まず、全地域型ということも概念として入れていただきたいんですね。

 それはなぜかというと、地域包括ケアシステム、これは中学校区単位ですけれども、私、徳島です、一区で県庁所在地を含みますが、本当に、一歩ほかの、徳島市とか以外に行きますと、そこには、もう中学校区どころか、その村にはたった一軒しか診療所がない。病院なんか、もちろんありません。そして、他の医療機関に行こうと思えば、例えば交通費、タクシーなり、公共交通機関はございませんので、時間をかけて行く。もちろん、大臣の想定されているのは、都会であったり、東京的な、いろいろある、ただ待たなきゃいけないけれども、いろいろそういった医療、サービスをしてくださるところがある、そういうところでかかりつけ医制度等々の議論がこの全世代型社会保障制度の中で出てくると思うんですけれども。

 例えば、介護報酬はちょっと考え方が違いますが、人件費が高い区分を七区分、そしてその他をつくって、合計八地域において報酬の方を地域区分という形で変えています。具体的に、こういった地方の過疎地域、そして医療資源が乏しい地域において、国民の側に立った場合、同じ保険料を払っているのに、余分のそういった時間と移動費等々のコストを払わなきゃいけないことに対して、具体的には診療報酬等々、これは上げるとまた国民に負担がかかるわけですけれども、そういったところでサービスをより展開しやすいという面でいうと、医療機関の方にそういったメリットをもたらすようなお考えというのはないでしょうか。逆に言えば、今の現状を大臣はもうしようがないと思っているのか。どういうような御感想をお持ちでしょうか、私の言ったことに対して。

加藤国務大臣 今、全世代型の話がありましたが、また後で趣旨説明をさせていただきますし、本会議でも申し上げたところでも、地域において質の高い医療及び介護サービスを効率的かつ効果的に提供していくということが全世代対応型の持続可能な社会制度の構築につながるということを申し上げさせていただいているところでございます。

 その上で、診療報酬のお話がございました。我が国においては、誰もがどこでも一定の自己負担で適切な医療を受けられることを基本理念とし、診療報酬については、被保険者間の公平を期す観点から、全国一律の点数の設定とさせていただいています。

 ただ、その中で、医師資源の少ない地域に配慮する観点から、一部の加算を評価するに当たって人員配置の要件を緩和するなどといった工夫も取り入れさせていただいているところでございますので、引き続き、原則としては全国一律の点数設定という原則の下で、今申し上げたような工夫を必要に応じ対応していきたいと思っております。

仁木委員 大臣、国家のありようとして、そういったナショナルミニマムですね、医療の提供サイドからすると、そういうことがないことによって、学校とか役場とか、一時期、平成の大合併等々で、私は、個人的には、国家財政を考えるとしようがない、あるいは地方の財政を考えるとしようがないというのはあるにしても、そういうナショナルミニマムが受けられないことによって、例えば、より過疎が地域においては進んだというふうな考え方もありますので、そういうことも御理解いただきたいと私は思います。

 最後に、ちょっと医療DXのことでございますけれども、医療DXをより推進していくと望ましいというのを私はこの間、述べてきました。その中で、一医療機関に、厚労省や総務省や、様々なルーティン的に出さなきゃいけない報告書、そういうのがやたら多いと思うんですね。

 大臣、今後、いろいろな医療DX、例えばパーソナル・ヘルス・レコード、電子カルテをNDB、レセプト等に接続する、そういった議論も出ておりますし、この際、こういった医療機関の負担を軽減する、そういったことも同時に考えていただきたいと思うんです。

 その例で、私は、この委員会でも出しましたが、例えば、コロナ禍におけるHER―SYSの情報、一生懸命患者さんから情報を集めて、そして、例えば、ワクチン接種履歴を聞いたとしても、結果的に使われているのは、全数把握の人数と、例えば患者さんの、あなたは自宅、あなたは入院、あなたはホテルで宿泊療養してくださいねという、そういった分類だけで終わっているんですね。

 現場のアナログ情報をデジタルに入力するその手間暇、そういったコストを考えると、何かもったいないというか、そういうふうに思ってしまいますので、大臣、医療DXを推進するそういった国民に対するメリット、私は、医療機関の負担軽減が進むと、冒頭に申し上げたACP等々、ちっちゃい医療機関においては、よりドクターがそういったことに時間を、患者さんの側に立って、しっかりと患者さんの人生を考えたACP、人生会議ができるというふうに思うわけでございますが、大臣の所見をお聞かせください。

加藤国務大臣 まさに医療現場、医療にもやっていただいていますけれども、様々、入力業務とかそうしたものが非常に負担になっているということは承知をしているところでございますので、そうした負担の軽減に資するという意味においても、医療DXはいろいろなメリットがございますけれども、これも一つの大きな柱だというふうに考えております。

 現在、医療DXを進めさせていただいておりますけれども、電子カルテ情報の標準化を進めることで、医療機関において作成する書類の項目のうち、電子カルテに含まれる患者情報や検査結果等の情報については、自動的に入力し、標準化された仕様で出力する仕組みの整備に寄与する。また、全国医療情報プラットフォームの創設で、作成した文書情報そのものを医療機関や自治体で共有、交換することが可能になる等、様々なメリットないし事例が想定されているわけであります。

 どういうふうにこれを進めるかは、現在、この春を目途に工程表を作成し、それにのっとって具体化を進めていきたいと思っておりますが、委員御指摘のように、医療DXのメリット、そういったメリットもある、そして、それを逐次実感をしていただきながら、これを推進していかなきゃいけないというふうに考えております。

仁木委員 大臣と同じ思いに関するベクトルを共有したと思いますので、法改正やあるいは新たな立法が必要ということでございましたら協力していきたいと思いますので、またよろしくお願いします。

 今日は本当にありがとうございました。

     ――――◇―――――

三ッ林委員長 次に、内閣提出、全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。加藤厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

加藤国務大臣 ただいま議題となりました全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。

 本格的な少子高齢化、人口減少時代を迎える中で、人口動態の変化や経済社会の変容を見据えつつ、全ての世代が公平に支え合い、持続可能な社会保障制度を構築することが重要です。こうした状況を踏まえ、給付と負担のバランスを確保しつつ、全ての世代が能力に応じて社会保障制度を公平に支え合う仕組みを構築するとともに、地域において質の高い医療及び介護サービスを効率的かつ効果的に提供し、社会保障制度の持続可能性を高めることを通じて、全ての世代が安心して生活することができる全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築することを目的として、この法律案を提出いたしました。

 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。

 第一に、子供、子育て支援の拡充を図るため、出産育児一時金に係る費用の一部について、後期高齢者医療制度が支援する仕組みを導入するとともに、国民健康保険の保険料について、産前産後期間における被保険者の保険料を免除し、その免除相当額を公費で支援する制度を設けます。

 第二に、高齢者の医療を全世代で公平に支え合うため、後期高齢者医療制度における後期高齢者負担率の設定方法について、後期高齢者一人当たりの保険料と現役世代一人当たりの後期高齢者支援金の伸び率が同じとなるように見直します。

 また、前期高齢者に係る医療給付費等を保険者間で調整する仕組みについて、被用者保険者において報酬水準に応じて調整する仕組みの導入等を行うとともに、健康保険組合に対する交付金事業への財政支援の導入や、後期高齢者支援金等の負担が大きくなる場合の財政支援の拡充を行うこととします。

 第三に、医療保険制度の基盤強化等を図るため、都道府県医療費適正化計画の記載事項を充実し、計画の目標設定に際しては、医療及び介護サービスを効果的かつ効率的に組み合わせた提供等の重要性に留意することとするとともに、都道府県ごとに保険者協議会を必置として計画の策定、評価に関与する仕組み等を導入します。

 また、都道府県が策定する国民健康保険運営方針の運営期間の法定化等を行うとともに、経過措置として存続する退職者医療制度について、対象者の減少や保険者等の負担を踏まえて廃止することといたします。

 第四に、医療及び介護の連携機能及び提供体制等の基盤強化を図るため、かかりつけ医機能について、国民への情報提供を強化するとともに、かかりつけ医機能の報告を踏まえて地域におけるかかりつけ医機能を確保するために必要な事項について協議を行い、当該協議の結果を踏まえて医療や介護の各種計画に反映することとします。

 また、医療保険者と介護保険者が被保険者等に係る医療・介護情報の収集及び提供等を行う事業を一体的に実施するとともに、医療法人及び介護サービス事業者の経営情報に係るデータベースの整備や、地域医療連携推進法人制度において一定要件の下で個人立の病院等が参加できる仕組みの導入、出資持分の定めのある医療法人が、出資持分の定めのない医療法人に移行する際の計画の認定制度に係る期限の延長等を行うこととします。

 最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、令和六年四月一日としております。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要でございます。

 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いいたします。

三ッ林委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時二分散会


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