衆議院

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第5号 平成28年10月28日(金曜日)

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平成二十八年十月二十八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 浮島 智子君

   理事 大見  正君 理事 佐藤ゆかり君

   理事 白須賀貴樹君 理事 牧原 秀樹君

   理事 吉川 貴盛君 理事 北神 圭朗君

   理事 近藤 洋介君 理事 高木美智代君

      穴見 陽一君    石川 昭政君

      小倉 將信君    尾身 朝子君

      大串 正樹君    岡下 昌平君

      梶山 弘志君    勝俣 孝明君

      神山 佐市君    神田 憲次君

      佐々木 紀君    島田 佳和君

      田畑 裕明君    高木 宏壽君

      中川 俊直君    藤原  崇君

      星野 剛士君    三原 朝彦君

      宮崎 政久君    宮路 拓馬君

      八木 哲也君    簗  和生君

      山際大志郎君    大畠 章宏君

      落合 貴之君    篠原  孝君

      鈴木 義弘君    田嶋  要君

      中根 康浩君    福島 伸享君

      横山 博幸君    中野 洋昌君

      藤野 保史君    真島 省三君

      井上 英孝君    小沢 鋭仁君

    …………………………………

   経済産業大臣       世耕 弘成君

   経済産業副大臣      高木 陽介君

   外務大臣政務官      小田原 潔君

   外務大臣政務官      武井 俊輔君

   経済産業大臣政務官    中川 俊直君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 日下部 聡君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        山下 隆一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   参考人

   (独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構理事長)           黒木 啓介君

   経済産業委員会専門員   木下 一吉君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十八日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     藤原  崇君

  佐々木 紀君     牧原 秀樹君

  塩谷  立君     神田 憲次君

  白石  徹君     宮路 拓馬君

  福島 伸享君     横山 博幸君

  小沢 鋭仁君     井上 英孝君

同日

 辞任         補欠選任

  うえの賢一郎君    佐々木 紀君

  神田 憲次君     塩谷  立君

  藤原  崇君     小倉 將信君

  宮路 拓馬君     田畑 裕明君

  横山 博幸君     福島 伸享君

  井上 英孝君     小沢 鋭仁君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     うえの賢一郎君

  田畑 裕明君     大串 正樹君

同日

 辞任         補欠選任

  大串 正樹君     白石  徹君

同日

 理事うえの賢一郎君同日委員辞任につき、その補欠として牧原秀樹君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)


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     ――――◇―――――

浮島委員長 これより会議を開きます。

 この際、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に牧原秀樹君を指名いたします。

     ――――◇―――――

浮島委員長 内閣提出、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構理事長黒木啓介君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として資源エネルギー庁長官日下部聡君、資源エネルギー庁資源・燃料部長山下隆一君及び資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福島伸享君。

福島委員 おはようございます。民進党の福島伸享でございます。

 まず、冒頭、三笠宮崇仁親王殿下におかれましては、昨日、御薨去をされました。謹んでお悔やみを申し上げたいと思います。

 さて、経産委員会に初めて所属いたしまして、質問をさせていただきます。TPPや予算委員会ではありませんので、かつての上司の怖い日下部長官もおりますので、本日は、政策議論をしっかりと行ってまいりたいと思いますので、真摯な議論をお願いしたいと思っております。

 それでは、JOGMEC法についてでございます。

 現在、油価が低迷して、石油権益の資産価値が低下している。そうした中でこそ、これをチャンスと捉えて、今こそ権益確保に乗り出すためにさまざまな新たな支援措置を講じていくんだというこの法案の方向性については、我々としても大いに支持するところでございます。基本的に、本法の改正の方向というのはまさに時宜にかなったものであると評価したいと思っております。

 ただ、ずっとこれまで、和製メジャーをつくるとかなんとかいろいろ言っておりますけれども、自主開発比率を上げる、四〇%にするんだと言いながら、なかなか思うようにいっていないというのが現状じゃないかなと思っております。

 かつて私が役所にいたころも、石油公団問題でさまざまな問題があった。そのときに、ここに、手元に持っている、石油公団が保有する開発関連資産の処理に関する方針、タイトルは地味なんですけれども、中を読んでみると、役所の資料とは思えないほど熱い文章が並んでおりまして、私も若いころ、こういう文章を経産省で書いたことを思いながらこれを読み返すと、本当にいいことを言っているんですね。

 例えば、「今後、我が国及び我が国企業が、激化する資源獲得競争に勝ち抜くためには、脆弱な業界体質を克服し、欧米のメジャーやナショナル・フラッグ・カンパニーに伍する中核的企業を形成することで、新たな開発体制を構築することが是非とも必要である。」と強い調子で、個人の思いのような形で書いてあります。「新たに形成されるべき中核的企業は、国際競争に耐えうる資産規模・内容を有し、優れた上流権益の獲得を可能にする経営能力を擁するとともに、国際コンソーシアムにオペレーターとしても参画しうる技術力をも併せ持つ存在でなければならない」とか、「我が国の有力な石油・天然ガス開発企業及び当該企業の傘下にある会社が保有する埋蔵量の合計が、欧米の中堅メジャーやナショナル・フラッグ・カンパニー一社分の保有埋蔵量にほぼ匹敵する」、だから、「我が国においても、欧米の中堅メジャーやナショナル・フラッグ・カンパニーに相当する事業規模の石油・天然ガス開発企業が創出されることを、当面の具体的な目標とすべきである。」平成十五年、十年以上前ですけれども、こうした熱い文章を書いております。

 資料の一というものをごらんいただきますと、和製メジャーを目指すと言われているINPEXというのが一番右側にちっちゃく遠慮ぎみに書かれております。多くは産油国でありますから、規模が大きいのは当然でありますが、例えばイタリアのENIなどは日本のINPEXより三倍の規模があるわけですし、それぞれ先進国はそれなりのフラッグカンパニーというのを持っているというのが現状ではないかなと思っております。

 そうした現状を踏まえて、まず冒頭の質問でございます。

 石油公団を廃止した後、このJOGMECをつくったりINPEXが誕生したり、さまざまなことを行って和製メジャーへの道を歩み始めたんですけれども、この十数年の歩みを振り返ってみてどうなのか、思いどおりにいっているのかどうか、どういう評価をされるか、まず大臣の御答弁をお願いしたいと思います。

世耕国務大臣 経産省御出身で、資源エネルギー庁にも在籍しておられたプロの福島委員になかなかお答えはしにくいわけでありますけれども、石油公団改革から始まって、このJOGMECが設立をされて、そして、今おっしゃったように、和製メジャーをつくっていこうという取り組みを続けてきたわけでありますけれども、今の段階では、はっきり言ってまだ十分とは言えないと思います。

 だからこそ、いろいろな改革にもっともっと手をつけていかなければいけないというふうに考えているところであります。まだまだ日本の、特に上流開発に携わっている企業というのは小さいというふうに思っております。

福島委員 非常に率直な御答弁をいただいたと思います。私もそう思っております。

 この方針の中ではこうも書いてあります。「我が国石油・天然ガス開発業界は、多くの小規模なプロジェクト企業と少数の中小規模の事業会社とで構成されており、それらは、十分な国際競争力を有していない」。

 まさに、それは変わらないと思います。商社、あるいは電力会社、ガス会社、石油会社それぞれが、それぞれお互いのアライアンスなどは最近は出てはおりますけれども、それぞれちっちゃなプロジェクトを抱えて、規模の経済力が働かないため交渉力もなく、比較的割高な玉をつかまされているというふうにも言われております。これをどう変えていけるのか、そこがある意味、今回の法案のポイントではないかなと思っております。

 今回の法案によって、従来の石油開発の目的会社、SPCへの出資に加えて、海外の資源会社そのものを買収したりとか、海外の資源会社との資本提携を行ったり、そうした海外の事業を取り込んだ大きな業界再編に対して支援ができるようになると思うんですけれども、今回そうしたことを行うことによって、いわゆる和製メジャーというものの育成にどういうふうにつながるのか、その目的についてぜひ御説明をお願いします。

世耕国務大臣 ただいま福島委員御指摘のように、やはり日本の上流開発に携わっている会社は非常に規模が小さい。規模が小さいということは、やはり資金がなかなか調達できないということだと思います。

 やはり上流権益にかかわるような企業買収とかあるいは資本提携といったことにはかなりの金額がかかるというのも事実でありますし、これから和製メジャーをしっかり育てていこうと思ったら、目先の小さな権益案件だけではなくて、やはり大きな国営企業に出資をするとか、そういったことも視野に入れていかなきゃいけない。ところが、残念ながら、日本の企業には今それに対応できるだけの投資をする能力がない、足元も、原油価格の低迷で非常に経営が苦しいという状況であります。

 そういう中で、このJOGMECが、ある意味、少し官の資金を入れることによって、そういう普通の企業単体ではできないような買収案件にしっかり日本企業が参加をしていけるようにする、このことが重要だというふうに思っています。

 ただ、そのときに、やはりメジャーを育てるという視点は失ってはいけないので、今おっしゃったように、いろいろな企業の連携強化につながるような案件であること、あるいは、企業自身が最終的にはオペレーターとして参画する案件になるということ、そして何よりも、やはり規模において大規模な埋蔵量が期待できる案件、そういったものをなるべく狙ってJOGMECが支援をしていくという形をとっていければというふうに考えております。

福島委員 これは一つ事実関係をお聞きしたいんです、事務方でも結構なんですけれども。

 今回の法改正によって、これまで日本の企業が権益を獲得し、あるいはその経営に関与しているような海外の企業について、同じ日系の企業が買ったりとか、そういったことはできるようになるんでしょうか。純粋な海外の企業じゃなくて、既に日本が関与しているような、これまでの上流の権益も買ったりはできるのか、今回のスキームでは。

山下政府参考人 権益でございますので、これはこれまで同様、買うことはできるというふうに思います。

福島委員 ありがとうございます。

 ですから、そうした日本企業の再編も含めたようなものに使えればいいと思っているんです。ただ単に山を買うだけじゃなくて、大きなMアンドAなどを起こすような、リスクを抱えてチャレンジをするような人に重点的に支援をするようなスキームになるのか、そうじゃないかということで、今回の法律改正というのは全然変わったものになるんじゃないかなと思うんですね。

 八月の石油鉱業連盟の要望書では、こういう要望が出ているんですよ。「プロジェクト採択にあたっては、我が国のエネルギーの安定的・効率的な供給確保の意義が認められる有望案件を広く採択対象とするよう要望」。

 これは、私は広く採択対象にしてはいけないと思うんですよ。みんな、それぞれの企業が、これを目当てにばらばらばらばらちっちゃな権益を確保してきたからこれまでのようになったのであって、むしろ、ちっちゃな権益を獲得するよりは、国営企業を買ったり、大胆なMアンドAをやって、その先さらに大きな事業につながるような、そういったものに対して重点的に支援をするんだ、そういう方針を明確にすべきであると思いますけれども、世耕大臣の御認識をお聞かせください。

世耕国務大臣 全く同感であります。

 目先の小さな案件は、別にJOGMECが深く関与する必要はないと思います。先ほど申し上げたように、規模からいってなかなか民間でしょうのが難しいとか、非常に長期的であるのでなかなか資金が出せないとか、あるいは、やはりカントリーリスク等を含めてリスクに関してなかなか民間企業が踏み切れないといったものにしっかりJOGMECが寄り添って支援をしていくということが重要だというふうに思っております。

 ですから、今回、この法改正に当たって、出資をしたり資産買収をする場合の基本方針というのを我々はしっかり定めていきたいというふうに思っております。

 その中で、先ほど申し上げたように、我が国企業がオペレーターとして参画、これは非常に重要です、まだ経験が足りませんから。オペレーターとして参画できる案件、そして、やはり規模が大きい、埋蔵量が非常に大きいものであるという案件、そして、今委員御指摘のように、業界の連携、最終的には再編ということも視野に入れておかなければいけないと思いますが、そういった企業間の経営資源の連携、集約化に資する案件であるということ、そういったことに絞ってしっかりとやっていって、石油業界における産業競争力、国際競争力強化につなげるという視点を持って戦略的に進めたいというふうに思います。

福島委員 極めて前向きな御答弁をいただき、本当にありがとうございます。

 これは、JOGMECの出資及び債務保証対象事業の採択に係る基本方針というものを大臣がお定めになると思います。それを今見ましたけれども、どうもそれを見ていると、これまでは分散投資的なものに読めるようなものになっておりますから、それをぜひ抜本的に書きかえて、今大臣がおっしゃったような方針を明確にこの基本方針に位置づけて、JOGMECと意思を共有していただければというふうに思っております。

 あわせて、上流の権益を獲得だけしても、結局国内の需要側が使わなければ意味がないんですよね。これまで日本の上流獲得に、電力会社やガス会社などがそれぞればらばらにやる、あるいは商社もそこにかかわるというように、ちっちゃな需要を持った人がちっちゃな供給を求めるというのをやってきたというのは、日下部長官もいるときに、一緒に電力・ガスの制度改革、規制改革に取り組んでまいりましたけれども、ある意味、競争のない下流の業界があったからこそ、そういうことが行われたんですね。昨年の電力・ガスのシステム改革によって、発送電分離、導管分離、自由化というものが進んで、下流部門もさまざまな動きが出てきます。そうした意味で、ぜひ上流下流一貫となった改革をしていただきたいと思っております。

 昨年の国会で電力・ガスのシステム改革関連法案のときに、INPEXの問題を私は挙げました。INPEXというのはまさに和製メジャーを目指す会社でありますが、例えば、今般のガス事業法改正で、日本海から太平洋につながる長大な導管網を持っているにもかかわらず、導管事業者として強い規制を受けるのではなく、規制の緩い業者になっているんですね。しかも、INPEX自身が、自分が買ってきたガスを安く卸に売ってほかのガス事業者を圧迫したりとか、しかもそこには料金規制もかからないという意味では、ガス会社から見たら、上流で自分のガスを買えと言いながら、おまえ自身が売って、自分たちの商売を邪魔して圧迫しているじゃないかという思いもあると思うんです。

 競争はいいと思いますけれども、そのあたりを、どこに競争を入れて、どこに規制を入れるのかというめり張りをしっかりつけて、INPEXのような会社は逆に上流部分に集中をしてもらう、ガス会社は逆にINPEXとしっかり信頼関係を持った上でアライアンスを組んで、そこのガスの調達を受けて供給するというような、そうした上流から下流まで一気通貫の業界再編、業界の構造政策というのをぜひ進めたいと思います。

 どうしても、同じエネ庁内といっても、電ガ部と資源・燃料部だとどうも体質が違うんですよ、電ガ部はどちらかといったらドメスティックな感じの人が多くて、資源・燃料部というと、どちらかといえば国際的な人が多くて、私は泥臭い方なんですけれども、色も違うんですよ。

 でも、そこはこれから一体となった、まさに、これはかつての産業政策ではないですけれども、大きな構造転換をやり得る分野でありますから、そうした視点からも政策として取り組んでいただきたいと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 非常に重要な御指摘だと思います。やはり今、日本の電力、ガスも含めて、エネルギー産業の業界構造というのが大きく転換が始まっているというふうに考えております。

 例えば、今、これは東電改革の一環で議論をしていますが、東京電力と中部電力が火力発電を一体化させています、JERAという会社でありますが。新たな収益を求めるということで、この会社自身が、火力発電の会社なんですが、やはり上流開発に関しても関与をしていきたいという意向を持っているとか、いろいろな動きが出てきております。

 今、福島委員の御指摘のあったような取り組み方の方向性も含めて、予断なく、業界再編に関してきちっとしたいい流れができるように、頑張ってまいりたいというふうに思いますし、私はまだ大臣になって三カ月ですので、電ガ部と資源・燃料部が全然カルチャーが違うとか、そういうことはまだわかりませんでしたので、またいろいろ委員にもアドバイスをいただきながら、そういった改革を進めていきたいと思います。

福島委員 ありがとうございます。

 余りやると、経産省は出過ぎだとかいろいろ言われるんですけれども、ただ、うまく規制を使って、あるいは国のさまざまな支援措置を通じて、そうしたことをやっていただければと思っております。

 次の問題に行きます。

 今回の法案の改正で一番おやっと思ったのは、JOGMEC自身が国営企業の株式をみずから取得するというそのスキームであって、それは目玉の一つだと思います。ただ、どうもこれは具体的なイメージが私は湧きません。一体何をやろうとしているのか。何かまた石油公団に逆戻りじゃないのなんという業界の声も聞こえてきます。

 エネ庁の資料では、最近、国営企業が株式開放しているという例として、サウジアラビアのサウジアラムコやロシアのロスネフチとか、いろいろな例が挙がっていますけれども、直観的にぱっと思い浮かぶのは、この時期の法案改正だから、十二月のプーチン大統領の来日に合わせた何かかなと思っていると、九月二日の日経新聞に、経産省内では、独立行政法人のJOGMECを通じて、ロスネフチの発行済み株式の一〇%程度を最大一兆円で取得する案が浮上している。

 日経新聞らしい随分吹いた記事だなとは思いますけれども、ただ、大臣自身もこのウラジオの東方経済フォーラムでロスネフチのセチン会長ともお会いになられていると思うんですね。最近も何か来日したとかといううわさがありますし、ロシア紙には、ロスネフチが、政府が今持っている株をまず自社で買って、それを第三者に売るんだなんということも現地の新聞では報道されているやに聞いております。

 これは具体的にどういうことをやるかというのがわからないんですよ。ロシアであるとは断定しませんけれども、具体的にどういったものを考えているのかということをぜひお聞かせください。

世耕国務大臣 今の段階で何か特定の案件を想定しているということはございません。JOGMECは当然いろいろな研究はしているということは間違いないと思いますが、今の段階で政府としてこの案件というイメージがあるわけではありません。

 私のイメージとしては、一般論として申し上げれば、国営企業も、今、サウジアラムコが今度上場しようとしているという動きもある中で、やはりそういったところに出資をして、ある種パートナーになって、そしてそういったところが持っている権益、あるいはこれから開発しようとしている権益に、まさに日本の上流開発企業が参画しやすい環境を整える、そういうイメージかなというふうに思っております。

福島委員 もしサウジアラムコがそうしたことになれば、いろいろなほかの国のメジャーや準メジャーも色めき立って、まさに競争になるんですよ、これは。そういうところになぜJOGMECが出ていかなければならないのか。こここそ、まさに和製メジャーの出番であり、それをできるような企業を育てるために今やってきたんじゃないか。なぜ、ここで国のかかわる独立行政法人が直接出資をするかというのが、私はひとつよくわからないんですよ。

 法案では、「機構以外の者によるこれらの権利の取得を困難とする特別の事情がある場合において、機構以外の者への譲渡を目的として行うものに限る。」ということを条文に掲げてあります。これは、機構以外の者によるこれらの権利の取得を困難とする特別な事情がある場合だと思うんですよ。サウジアラビアの場合だとそれは何になるんですか。ロシアの場合だと何になるんですか。そのあたりが具体的にどういうものを指すのかというのが、私にはイメージが湧かないんですよ。その点について、ぜひ教えてください。

世耕国務大臣 まさに、そこがなかなか民間企業がリスクをとり切れない、あるいは、今おっしゃったように、インドとか中国とか、いろいろなところもやはり権益をとりに来るわけでありまして、そういうときに、資金量が足りない、あるいはなかなかスピーディーに決断ができないというようなときに、JOGMECがリスクをとったり資金を出したりという形で支援をしていくというイメージだというふうに思っております。

福島委員 まだよくわからないですね。もうちょっと具体的にならないですかね。

 ただ単に資金の調達の話ですか。INPEXなりなんなりは資金調達が単独では困難だから、でも、それだったら、まさに今回のスキームでINPEXに出資をすればいいんですよ。それをなぜJOGMECが直接やらなきゃならないのか。その特別な事情というのは何なのか。もう一度お答えください。

世耕国務大臣 上流開発企業、国営も含めて、そういう会社に出資をする、あるいはMアンドA、買収をするというような場合、その対象の企業が保有する権益とか技術などのリスクと有望性を精査していく必要性がある。これがなかなか、例えば、民間だけではこうした地質情報の分析を含めた上流開発に特有のリスクを評価することがなかなか困難、また石油等の上流開発については、プロジェクトの非常に大型化、最近はほとんど大型な案件が多いわけであります。巨額の費用を要するという点があります。逆に、MアンドAに関しては、例えば、民間企業がなかなか金融機関から資金調達が十分にできないというケースが想定をされるわけであります。

 一方で、JOGMECが関与すれば、JOGMECは、地質構造や油の性状、採掘技術など、上流開発に特有のリスクを評価する専門家も存在をしている上に、これまでの出資の経験を踏まえた知見が蓄積をされておりまして、我が国上流開発企業がMアンドAを行う際に、出資という形でリスクマネーを補完することが可能だというふうに考えております。

福島委員 ますますわからなくなりました。

 確かに技術的な知見はJOGMECにあると思いますよ。でも、出資して、みずから国営企業の株を持って経営に参画するというのは、JOGMECは素人のはずですよ。だからこそ、石油公団の反省も踏まえて、JOGMECから開発会社に出資をしたりするようにして、あとは市場の監視に任せて、かつ市場から調達しやすくする。その呼び水となるように、JOGMEC自身がそうした民間の会社に出資するというのだったらわかりますよ。今の説明では、一生懸命答弁を読まれましたけれども、全くわかりません。なぜJOGMEC自身が直接国営企業の株を持つかというのは、私は理解できない。それは言いたくないから言わないんだったら、それでもいいです。何かだんだん予算委員会みたいなモードになって恐縮なんですけれども、言いたくなければいいんです。

 例えば、私が想定しているのは二つぐらいあるんですよ。

 一つは、ロシアの場合は、ロスネフチであれば、アメリカからウクライナ問題で制裁対象企業になっている。それは、まさに権利の取得を困難とする物すごい特別な事情があるんですよ。それでも、ロシア外交を進めるためには買わなきゃならない、そんなものは民間は手が出せません。

 ですから、例えば、米ロ関係が改善するまではJOGMECが株を持って、それが解消されたら民間に渡すとか、そういうのはわかるんですよ。そういうことじゃないんですか、大臣。

世耕国務大臣 個別の案件についてはお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

 やはり、国営企業の売却というのは、独特の、いろいろなことがあると思うんですね。例えば、国の姿がちゃんと見えないと買わせてあげないよとか、そういうケースだって想定をされると思います。今委員御指摘のように、私は、最終的にはこれは民間に切りかわるべきだというふうに思っております。

 ですから、ちゃんと国が顔を見せないと、なかなかその企業の持っている株を買えない、あるいはそれを通して権益の確保につながらないという状況の中で、JOGMECが出ていって株式を取得する。だけれども、その後、ちゃんとその株を持ってパートナーになったことによって、権益がちゃんと日本の上流開発企業に移ってきた、とれるようになってきた、そういう形で目的が達成できたと判断できたら、適切なタイミングで株は民間に売却していくべきだと思っています。

福島委員 それでもよくわからないですね。

 というのは、今までは、この条文は、改正前は、経済産業省令で定める期間といって、省令で三年以内に民間に渡しなさいとあったんですよ。私は、このような権利の取得を困難とする特別な事情があるような案件というのは、なかなか民間が手を出さないと思いますよ。その事情がなければ、私は、JOGMECが出しゃばるんじゃなくて、民間がやるべきであって、JOGMECは技術的な支援とリスクマネーの供給という、後ろで支える役割に徹すべきだと思いますよ。

 そうじゃないものがあるんですよ。質疑してもよくわからない。ロスネフチなら私はそうだろうと直観的に思って、大臣も今顔が緩みましたけれども、担当大臣ですから、思わず緩みましたけれども、わかるけれども、それがわからないんです。

 ただ、問題は、JOGMECが持って、最初に民間に渡す当てもないままやったら、それがずっと塩漬けになって、永遠にJOGMECが持ち続けなければならなくなる可能性もあるんですよ。何でこの期間の要件を外したんですか。確かに、先日の佐藤ゆかり委員への答弁でさまざまな答弁がありました。それはそれでもっともかと思います。

 ただ、確かに、期限を何年と区切るのはだめにしても、あらかじめ民間とアライアンスを組んで、民間が持ち込んだ案件だからやるんですよとか、あるいは民間と共同できちんと計画を立てたものについてやるんですよとか、何かの縛りがないと、ただJOGMECが何となく国営企業の権益を獲得して、いずれ民間に売り渡しましょうなんというのは、私はこの世界はそんな甘い世界じゃないと思いますよ。

 なぜ何の制限も設けなかったのか。あるいは、法律では書かないにしても、何らかの民間への譲渡を進めるための具体的な手続なりを定めるのかどうか、その点についてお聞かせください。

世耕国務大臣 全くおっしゃるように、JOGMECが持ち続けるということは、これはあってはならない。失敗したら別ですけれども、探鉱をやった結果、出てこなかったというのであれば、これはもう仕方がないというか、それはそれでまた損失ということになるわけでありますけれども。

 少なくとも、権益をしっかり獲得できた場合は、JOGMECはなるべく早くそれを民間に売らなければいけないし、当然、株を買う段階から、少し民間の動きともうまく連携をしながら、情報もとって、できるだけ早く権益を獲得して、そして探鉱して、それで実際に石油、ガスが出てきたとなれば、それはできるだけ早く民間に譲っていかなければいけないというふうに思っています。

 ですので、三年だと、何だ、三年で政府がいなくなっちゃうんだったらだめよというケースも想定されるものですから、今回は期限は外しました。ただ、しっかりと株式を取得する目的を達成できたと判断できる時期になれば、これは適切なタイミングで売却をしたいと思いますし、このため、そうした内容を法律に基づいて大臣が認可して策定する業務方法書において設定していきたいというふうに思っております。

福島委員 何でもかんでも業務方法書に載せるというのはいかがかと思いますよ。恐らく、これは武士の商売みたいになっちゃって、買ってみたはいいけれども売り先がなかった。それは、何にもないときは、民間はへいこら、いずれいい案件だったら買ってもいいですよみたいな口約束はありますよ。でも、ビジネスの世界では、世耕大臣も民間にいらっしゃったからおわかりだと思いますけれども、そんな甘いもんじゃないです。初めから関与させて、確かにお金は動かさないけれども、しかるべきときが来たら、ここはちゃんと権益を譲り受けますみたいな、何かの枠がないと、結局売り先がなくてうろうろするということはあり得ると思うんです。

 というのは、この案件というのは、一つの単位の出資をするのが、そんな安い話じゃないと思うんですね。別にロスネフチだと言うつもりはございませんけれども、BPと提携したときに動いた金というのは五百五十億ドルと言われていますから、約六兆円ですよ。これまで役所からもらった、株式公開した国営企業の会社の時価総額を見ると、三兆円とか五兆円とか七兆円の規模ですから、それを買うとなったら、少なくとも数千億、多ければ数兆単位のものだと思うんですが、それを出すということですよね。大体こういう認識で間違えていませんか。

世耕国務大臣 具体的金額はなかなか申し上げにくいわけでありますけれども、やはり、先ほども申し上げたように、大きな埋蔵量を目指していく、和製メジャーをつくるということを目指していくわけですから、一定の金額にはなってくると思います。

福島委員 ですから、数千億とか、場合によっては兆にもなる金を投じるわけですよ。そのときに誰が責任をとるんですか。どうやって責任をとるんですか。

世耕国務大臣 これは、JOGMECはあくまでも独立行政法人でありますから、もちろん理事長の責任ということになると思います。

 ただ、理事長に関しては、当然、個別の投資案件については、今度はJOGMECの中にいろいろなチェックの仕組みを入れます。あるいは、投資を担当する部門と審査を担当する部門を厳格に分けるとか、そういった仕組みも入っております。そういった仕組みを経て、最終的には理事長が投資の是非を判断することになるわけでありますから、あくまでも投資に関する責任は、独立行政法人通則法にのっとって、これは独任制でありますので、独法の理事長たるJOGMECの理事長ということになろうかと思います。

福島委員 その答弁が一番怪しいんですね。まさに石油公団のときもそう言っていたんですよ。先ほどの石油公団の資産売却のときの方針でも、「「政策案件への協力」という名目のもと、経営責任を十分には自覚しない対応に流れがちであった。」とか「これまでの我が国の石油・天然ガス開発体制においては、政府、石油公団、石油・天然ガス開発企業のそれぞれが、主体性に欠け、責任の所在を明確にしない対応にとどまってきたと言わざるを得ない。」

 JOGMECの理事長は平均何年いますか。前の理事長は私の大学のヨット部の総監督でありましたけれども、そんな五年も十年も二十年もいないですよ。責任問題が発生するような事態になるのというのは二十年とか三十年後ですよね。そのときに理事長に責任をとれといったって、恐らく多くの場合は、そのときの理事長は別の世の中に行っているかもしれませんよ。責任のとりようがないんですよ。結局、国民負担でとるしかないんですよ、これは。

 しかも、これまで独法でよくあったように、独法というのは、きょうは理事長さんに来ていただいていますけれども、非常に弱い立場で、基本的な方針は国が決めるんです。でも、事業の遂行は独法がやらなきゃならない。事業の失敗は独法が責任をとるけれども、政策判断の失敗は誰がとるかわからないし、そのときだって、二十年たったら政権だってどうなっているかわかりませんよ。自民党だってあるかもわからない。民進党もなくなっているかもしれない、その方が確率が高い。まあ、それはいいです。そういうことですよ。だからこそ、ここに書いてあるような、政府、石油公団、石油・天然ガス開発企業のそれぞれが、主体性に欠け、責任の所在が明確にならないということがこれまでも起きてきたんです。

 今回の直接国営企業を買うという案件はまさにそうなんです。これは恐らく、やるとしたら、経済性にのっとってやらなきゃならないものだとすれば、経済性にのっとって、物すごく大きくて国益でやらなきゃならないものであったとしても、それはJOGMECが乗り出すべきじゃないと私は思いますよ。そうした大きな案件であればあるほど、INPEXなりが乗り出していって、JOGMECはそれに対するリスクヘッジの球拾いに徹するべきだと思うんです。それができるような会社を育てるのがこれまでの目的だったじゃないですか。でも、これに数千億、場合によったら兆単位のお金を出すというのは、それは、まさに経済原理ではない、権利の取得を困難とする特別な事情がある、民間では手が出せないにもかかわらずやるというのは、まさに外交とか政治的な都合じゃないですか。

 今まで、例えば我田引鉄という言葉がありますけれども、国鉄が赤字を広げたのは自分の地元に政治家たちが線路を引っ張って赤字路線を広めたからだなんという批判もありますよ。特定の国に強い政治家が、その国の外交上都合のいいことをやるために、ぼろぼろになった権益を日本が買ってあげて、それで友好を結びましょうというのにこれが使われるおそれはないとは言えないんです。スキーム上は、法律上は可能なんですよ。だからこそ、しっかりとしたリスク管理をしなければならないんです。単に外部から人を入れてというものではない、そうしたものが私は必要だと思っております。

 ところで、その審査の体制、これは現在JOGMEC内ではどうなっていて、この法案が通ったらどうなりますか。というのは、権益を持つ会社に出資をするならいいですよ。みずから国営企業に出資をするとなったら、場合によったら経営陣として一人送り込まなければならないかもしれないし、その会社の経営方針に対して何か意見を言わなければならない。さまざまなことをやらなきゃならないときに、今のJOGMEC内にそういうことができるような人がいるとは、それがいけないと言っているんじゃないんです、今までの業務上、いるとは思えません。そうした丸々新しい業務についてどういう体制をとろうとしているのか、JOGMECの理事長からぜひ御答弁をお願いします。

黒木参考人 先ほどお話がありましたとおり、いわゆるNOC、ナショナル・オイル・カンパニー、これの企業価値の大宗といいますのは、資源会社であれば地下にございます。地下資源がどれだけ見通しができるかということが一番重要でございまして、少なくとも、そこに関しましては、石油公団以来、ずっと長い間、そこの経験は持っております。

 あとは、技術人材とファイナンス系、先ほどお話がありました、経済面でありますとか、それから経営面だとか、そういうことでございますけれども、今、私どもはJOGMECになりまして、いろいろなところでの経験は積んでまいりました。

 例えば、現場の経験でありますと、石油メジャー等に大分出向なり、それから向こうでも経験してきた。それから、いわゆる経済面という意味でも、いろいろな金融機関等で経験を積んでまいりました。そういう意味で、大分経験を積んできた人がふえてきたという今の状況でございます。

 ただし、今からありますような、ナショナル・オイル・カンパニーという意味では、新たに経営分析、それから財務評価というところが非常に重要な視点になっております。そういう意味で、ここの審査強化は必要だというふうに思っておりますが、先ほど申し上げましたとおり、ある程度の基盤がある中で、今からそこの強化をしていこうということです。

 一つの強化方法といたしましては、外部の専門家を必要に応じて活用していく。ただし、外部の専門家を活用するといたしましても、私どもがそれをきちんと理解する、それから外部に発注できる、その能力だけは最低限必要でございますので、それを育成していくということで、既に特別チームのようなことをつくって、そういうことに備えていかなくちゃいけないということで今やっている状況でございます。

 それから、先ほどございましたように、どこかに取締役等を出してということになりますと、これはもう特定個人の能力ということになりますので、先ほど申しました中での経験を相当積んだ人、ないしは高い視点から見える人、そういう人たちをサポートしていく、こういうふうな総合的な体制でやっていこうというふうに考えている次第であります。

福島委員 うんうんと吉川理事もおっしゃったように、わかったような。

 ただ、これは明らかに、ある意味、JOGMECが投資会社になるんですよ、これをやることによって。投資会社のファンドマネジャーとかいろいろいますけれども、今JOGMECの部長さんクラスというのは大体年収はどのぐらいですか。理事長、御参考までに、差し支えなければ教えていただけませんか。

黒木参考人 多分、一番よく御存じだと思いますけれども、そんなに民間に比べて高いわけではございません。個々の数字が幾らかということは差し控えさせていただきます。

 民間の金融等のところに対しましては、当然ながら、そんなに高いわけではない。

 ただし、私どもも大分いわゆる業績評価というものは導入してまいっていますので、特定個人をある程度弾力的に高く評価できる仕組みは持っているということでございますので、そういうふうなところは最大限活用していこうというふうに考えております。

福島委員 今理事長は多分かなり遠慮しておっしゃっていると思うんですけれども、ファンドの中では、まさに業績連動で報酬を大きくいたしますよね。でも、逆に、それが、さっき言った的確な事業遂行のために、最後は自分が報酬面でさまざまな被害を受けるわけだから、しっかりやろうとするインセンティブにもつながるわけですよ。そういうちょっとしたインセンティブ型みたいなものをやっていますという程度で入れてはいけないと思うんです。きちんとした成果報酬型のものにしなければならないんだけれども、JOGMECは公務員型の独法ですよね。だから、なかなかそこはできないし、上げようがないんですよ。

 この点、JOGMECの性格自身が根本的に変わるということを考えるのであれば、もっと柔軟になるように、大臣のリーダーシップでぜひ変えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 今の福島委員の御指摘は、本当に貴重な御提言だと思います。私も同じ問題意識は持っております。

 投資運用機関となったときに、やはりプロの人材を入れていかなければいけない、今のいわゆる公務員並びの給与体系の中では、そういった給料で対応するということはなかなかできないわけです。

 ただ一方で、ほかの独立行政法人では、内規で、そういう専門職コースみたいなものをつくって、一般の職員よりは高い給与を支払えるようにして、少し外部人材を、外部のプロ人材を受け入れやすくしているような、そういう工夫もやっている独法もありますので、JOGMECについては、福島委員の御指摘も踏まえて、もう少し柔軟な、そして新しい投資分野にチャレンジをするための人材を集められる給与体系を経産大臣としてもしっかり考えていきたいというふうに思います。

福島委員 ぜひお願いします。

 一千万の収入が千百万になりますでは意味がないと思います。やはり二千万、三千万を取っても、国民に批判されず、しっかり仕事に励んで、逆に、これは優秀な人材じゃなく、失敗したら、さっき言ったように、一兆円とか数千億の被害が出る場合だってあるんですよ。そうしたことをしっかりお願いします。

 それとともに、もう一点、よく資源外交、資源外交といいますけれども、これは資源を獲得するためにアラブ諸国などと関係を、世耕大臣もあちこち行っていらしている、それは資源外交だと思うんです。でも、これからは資源外交の定義が多分変わっていって、資源をてことして、例えば領土問題をどうにかしようとか、あるいは別な安全保障上の観点から、資源のアライアンスを組むことによってその国との関係を持とうという、そうした資源外交が出ると思います。わかりますか、言っていることは。資源をとるためだけの直接的なものだけではない。経済産業省というのは多分そこは弱いと思うんです。

 いわゆる従来型の資源外交、中東諸国や資源のある国との関係を築いていくというのは、これまでもやってきました。ただ、政府全体の中で、どこにリスクがあって、場合によっては、今回の国営企業の直接出資でも、国として損を覚悟してでもやった方が、総合的な我が国全体の国益としてはかなう場合だってあると思うんです。そのときはJOGMECが失敗してはいけないんだけれども、しかし、失敗のリスクを背負ってでもやろうという価値判断をするときだってあってもいいと思うんですよ。そういう案件が、逆に言えば、これからのJOGMECにやってくる可能性もあり得ると思うんですよ。

 ただ、そういうことをしっかりと意思決定する政府内の組織というのは必要だと思うんですけれども、私は、そういうのがこれまでの日本政府にあったようには思わないんですね。そういう意味では、資源外交、資源外交といっても、従来型の資源外交じゃない、資源をてこにして、資源をツールとしながら、安全保障とか、ほかのもっと大きな我が国の国益に資する外交をやるような、そうした検討をする場というのが私は必要だと思うんですけれども、世耕大臣はどのように御認識されますか。

世耕国務大臣 確かに、そういう直接的な場は今のところないというふうに思っています。

 資源外交に関する委員のお考え、私も全く賛成であります。

 ただ一方で、国対国の外交ということになると、基本的には外務省が取り扱っている。外務省も当然、経済を担当している局があって、経済も含めた、資源も含めた外交戦略というのは考えています。我々も、やはり資源外交となると、経済産業省がずっと積み重ねてきたノウハウとか人脈とか、そういったものもあるわけであります。

 できる限り、正式な機関をつくるかどうかは別にして、重要な局面においては総理がきちっとした判断ができるように、外務省、経産省あるいはその他の関連省庁がしっかりと一堂に会して戦略的な判断をする。そして、その判断について、後世にしっかりと説明できるようにしておくということは非常に重要だというふうに考えています。

福島委員 どうも外務省経済局というのもそういうのをやってきたようには思わないんです、私の仕事の経験から。ですから、さまざまな知恵を集めるような場が必要だと私は思っております。

 時間がなくなりましたので、済みません、小田原大臣政務官、せっかくいらしていただいたんですけれども、聞く時間がなくて申しわけないです。

 ガス事業制度改革、前回の法改正のときに携わってまいりました。これは不思議でして、経過措置というのがありまして、電気事業者、電力会社、今の一般電気事業者は、少なくとも二〇二〇年までの経過措置として、一般の需要家に対する料金規制は残りますが、都市ガスは、なぜか幾つかの例外を除いて、来年四月の全面自由化時に料金規制がなくなってしまいます。これは問題だと思います。

 一体、何でなんでしょうか。

村瀬政府参考人 お答えさせていただきます。

 委員御承知のとおり、都市ガスにつきましては、電力と違いまして、その普及率が、電力が一〇〇%ということに比べますと、ガスの普及率が五〇%になっております。

 そのような中で、LPガス、オール電化などとの競争状況がありまして、ガスと電力とは競争構造が違うという中で、来年四月から始まるガスの小売全面自由化によって、ガスの小売料金は原則撤廃されるということになってございますけれども、競争状態が十分でないと判断されるものについては、需要家利益の保護の観点から経過措置として規制料金が課される、このようになっているということでございます。

福島委員 時間がないので先に進みます。

 先日、エネ庁がその基準を設けて、規制料金になるのと自由料金になるのが、規制料金が残るのは東京ガス、東邦ガス、大阪ガス、こうした大手はいいんですけれども、あとは何か、名取市の仙南ガスとか、熱海ガスとか、浜田ガス、河内長野ガス、南海ガスとか、こんなちっちゃいところも規制が残る割に、西部ガスのような、九州で百五十六万三千六百九十三戸も供給しているところは料金規制がなくなっちゃうんですよ。私の住んでいる水戸市の東部ガスも料金規制が撤廃されます。これは何かおかしくないですか。

 いろいろ算定のルールというのをつくっているんですけれども、資料三で添付しておりますが、こんなのを読んでも全くわかりませんよ。一般国民にわかるように、十秒でこの制度をちょっと説明してもらえませんか、この基準を。

村瀬政府参考人 委員お示しいただいたのは審議会における資料ということでございます。

 結論的には、専門家からの審議会を経まして、客観的基準として大きく三つでございます。

 一つ目は、都市ガスの利用率が五〇%を超えているのかどうか。それからもう一つが、一般ガス事業者の需要家獲得件数が他の事業者の離脱件数に比して十分に多いかどうか、これを見ているわけでございます。さらには、その上で一旦指定されないという分類になったものにつきましても、一般ガス事業者の獲得件数、他燃料事業者の獲得件数が著しく少ないような場合にはさらにこれを指定する、このような基準になっているところでございます。

福島委員 世耕大臣、こういうのをお役所仕事と言うんですよ。後ろのXとかYとか出ている数式とか、さももっともらしく客観的に見えるようですけれども、全くわからない。これだけの計算式があって、例えば西部ガスは規制の対象はないけれども、同じような規模の京葉ガス、千葉のあたり、それは規制対象だ。浜田ガスという山陰の浜田にあるところ、それは規制対象だけれども、お隣の出雲ガスは対象じゃない、全く同じような事業をやっていても。この数式を当てはめたがゆえに起こるお笑い事が今起きているんですよ。そういうことが起きているんです。

 ですから、これは大臣のリーダーシップで変えた方がいいと思いますね。客観的な基準と一見もっともらしく言って、審議会の委員のお墨つきを得ましたと言っているけれども、そういう頭でっかちの姿勢が全くだめなんですよ。

 私の地元は東部ガスです。うちは、供給区域内で目の前に導管が通っているけれども、プロパンなんですよ。借家です。選びようがないんですよ。競争条件があるから外すといっても、実際、うちの東部ガスのような田舎の都市ガス会社は、正直言って、独占にあぐらをかいてやっているんです。すぐ値上げだってするんですね。

 ある会社は家にポスティング一枚で値上げをしております。ちょっとこれは出せませんけれども、都市ガスもやっている、あるLPガスの会社です。拝啓、ますます御清栄のこととお喜び申し上げます、基本料金がきょうから千円から二千円になる、倍ですよ、従量料金は三百円から三百五十円になります。これはプロパンの大手である一般ガス事業をやっている人がポスティングで入れて、いきなり上がっちゃうんですよ。こういうことが、これから地方の中小の都市ガスでは料金規制を外したら起きかねません。

 非常に大事な問題で、消費者団体の皆さん方も非常に気にしている問題でありますから、事務方の答弁は求めません。もう一度きっちりレクを受けた上で、私も出身者としてこうしたことであるのは極めて恥ずかしいと思いますので、その点、改善願えませんでしょうか。

世耕国務大臣 競争政策というのは、いつも数式とかは非常に難しい、これは通信の世界でもそうであります。

 基本は、やはりしっかり競争が行われていれば自由化するし、支配的事業者で自由に値段を勝手にコントロールできるというような状況であれば規制をしなければいけない、その原則に立っているんだと思います。その原則は私は続けていくべきだと思います。

 ただ、消費者にわかりにくい面があってはいけませんから、そこはしっかり説明とか広報というのは丁寧にやっていくべきだと考えます。

福島委員 私もガス事業課にいたんですけれども、今回のこれは競争あるある詐欺だと思うんですよ。

 実際、ガスは、電気ですら新電力となってもなかなか浸透していないんです。今、ガス販売業者として新規に登録している人は何件といったら、十件もないですよね。部長、そうですよね。その程度ですよ。恐らく、多くは東京ガスとか大阪ガスの管内ですよ。地方の中小ガス会社になったら、自民党の先生方にはその経営をやられている方も何人かいらっしゃいますけれども、あれは本当に殿様ですよ、地方だったら。紙切れ一枚で値上げ自由になっちゃうんですよ。競争なんて起きません。それを新規需要家獲得率とかなんとか、わけのわからない数値をもって競争があるふりをするのはやめた方がいいと思うんですよ。経産省の政策の信頼性にかかわる問題でありますので、一度しっかりレクを受けて、この点の改善をお願い申し上げたいと思っております。

 きょうは予算委員会じゃないので、時々予算委員会モードになりかけましたけれども、大臣と極めて有意義な議論ができたことをうれしく思っております。

 本日は、どうもありがとうございました。

浮島委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 民進党の田嶋要です。

 質問に先立ちまして、崇仁親王殿下におかれましては、昨日薨去されました。ここに謹んで哀悼の意を表します。

 さて、きょうは閣法ということでございますけれども、今、福島さんとの御議論を聞いていましても、私も、これはリスクということに関して、よほど慎重に考えなければいけない。方向性としては、私も含めて反対するものではないけれども、やはりリスクは相当考えなければいけないし、過去の失敗をしっかりと検証もしていかなきゃいけないんじゃないかなということを改めて強く思った次第でございます。

 ちょっと先ほどの議論に関係して、質問通告ではない部分で確認させていただきたいんですが、結局、要は、エグジットも考えているというのが原則だということでよろしいんでしょうか。きのうの役所の説明だと、キャピタルゲインではなくてインカムゲインなんだ、配当なんだ。つまり、ずっと持っているということが前提のように私は認識をいたしました。

 かつて私もIFCという国際機関におりましたけれども、基本、エグジットする年限を大体決めていて、やはり、本件と同じようなものですけれども、民間に対して自分たちが出しゃばらない、クラウドアウトしない。民間をあくまで補完するものであって、ずっと依存の形をつくるものではないから、やはりエグジットというものが基本決められているわけですね。この点に関しては、先ほどの議論を聞いていてもよくわからない部分がありましたので、もう一度、大臣、その点を御答弁いただきたいと思います。

世耕国務大臣 今御指摘のように、私は当然エグジットを前提にした出資、投資でなければいけないと。あくまでも、JOGMECは民間の補完である。民間がとれないリスクや、とれない規模の資金について補完をするのがあくまでもJOGMECの本来の役目であって、今回の法改正においてもそこは変わらないというふうに考えております。

田嶋(要)委員 もう一点、先ほどの関係でございますが、やはりリスクということですと、どのぐらいJOGMECが直接に出すのかということも考えていかなきゃいけないんですが、国際機関などのそういうエクイティーを出す状況を見ていますと、そのポジションというのは一割程度とか、非常に抑制的であるんですね、現に私もそういうプロジェクトをやっておったんですけれども。

 今回のJOGMECというのは、オール・ジャパンで出すエクイティーのどこまでを考えているんですか。

山下政府参考人 基本的に、民間よりも低い額ということで、五割未満ということになるかと思います。

田嶋(要)委員 きのう、五割までというふうにおっしゃっていたような気がしますけれども、違うんですね。そこはどうですか。もう一度。

山下政府参考人 五割未満ということでございます。

田嶋(要)委員 あくまで過半数以下、マイノリティーということだと思いますけれども、それも、基本、国際機関でやっているプラクティスからすると、かなり高い印象を受けますね。これは先ほどの議論にもありましたけれども、本当に民間でできないものなのかどうなのかということの精査というのはやはり重要になってきますし、商社は、いろいろ資源関係の投資で痛手を受けていて、だんだんポートフォリオとしては離れていく、ほかの分野にシフトしていくという傾向もあるというふうに聞いておりますが、そういう中で、大臣、五割未満というのは相当リスクがあるよということをぜひ御認識いただきたいと思います。

 これはIFCやアジア開発銀行やいろいろな国際機関があるわけで、そういうところとの協調という形をとって、本当にこの五割未満というルールで大丈夫なのかという点、先ほどの福島さんの議論も聞いていて、ちょっとこれは大き過ぎるのではないかというふうに思いますけれども、大臣、何か御答弁できますか。

世耕国務大臣 NTTから世界銀行に出向しておられた田嶋先輩のおっしゃることなので、やはりリスクはあるんだろうと思います。リスクがあるからJOGMECが補完機能を果たしているという面があろうかと思います。リスクがあるからこそ、今回の法改正が成立をすれば、まずJOGMECの中のガバナンス体制というのもしっかりやっていきたい、投資のチェックをしっかり行われる体制もつくっていきたいというふうに思っております。

田嶋(要)委員 少し過去との比較もさせていただきたいと思いますが、これまでは、いわゆる権益獲得ということで資産買収を行ってきた。今回の、これから可能にするものに関しては相当規模感も違ってくるのかなということ、先ほども出ておりましたが。

 これまでのJOGMECの一件当たりの平均の出資の規模というのはどういう水準だったのか。それから、今後予想される平均規模、あるいはどのぐらいの件数を考えているのか。今回、補正予算の金額もつきました、あるいは借り入れの枠ということも決まったわけでございますけれども、そういった数字を含めて、今考えている今後の状況を数字でお示しいただきたいと思います。

山下政府参考人 まず、これまでの資産買収におけるJOGMECの一件当たりの出資規模は、およそ二百億から四百億円程度のものが多いという状況でございます。

 今回の法改正で可能となる、想定される平均的な出資規模と件数ということでございますが、企業買収につきましては、企業などと意見交換を行う中で、今後検討が進む可能性の高い幾つかの事例があることは把握をしておりますが、企業間の今後の交渉マターであるため、具体的な想定案件に関するコメントは差し控えたいと思います。

 想定件数につきましては、一概には言えませんが、企業買収は企業の成長戦略を左右します極めて重要な意思決定でありまして、買収側と被買収側の双方のニーズが合致した場合に成立するものでありますので、それほど多くの案件があるとは見込んではおりません。

 また、出資規模につきましても、一概には言えませんが、今回の法改正にあわせて措置されました出資金と、それから政府保証つきの借り入れ、この枠を合わせますと、およそ五千億円の予算規模の中で、幾つかの案件を採択していくということを想定しております。

田嶋(要)委員 ある意味、そういう五千億の枠があるわけでありますから、やはり件数的には相当少ない。だから、あっちもこっちもじゃなくて、先ほど大臣が御答弁されたように、やはり十分精査をして、一つ、二つ、三つ、そういう非常に限定的なところに大きなお金で勝負をしていくということになると思うんですね。そういう意味では、このリスクが、これまでのいわゆるJOGMECのポートフォリオに比べて大きく変わってくると思います。

 そしてもう一つ言うならば、上流からお金を入れていく資産買収と比べて、MアンドAだったら、当然株式の買収ということになりますので、ステージとしては相当後に入っていくという形が十分考えられるわけであります。その分、アップサイドをとれる可能性というのは必ずしも高くないということで、キャピタルゲインがそんなに、モザンビークのような、大きな成功したという事例もきのう報告を受けていますけれども、ああいう事例はまさに最初から入っているから大きくとれるわけであって、そういうケースは、大きなMアンドAに関しては可能性は低いのではないかというふうに私は考えております。

 そういったことも含めて、今後のJOGMEC全体にとってのリスクが格段に高まるのではないかというふうに感じておるわけでございますが、大臣にその点に関しての御答弁、それから、だからこそ、まさに事後評価ということも定期的に行っていかなければいけないし、情報の開示ということもこれまで以上にしっかりと行っていかなければいけないというふうに考えておりますが、大臣の御答弁をいただきたいと思います。

世耕国務大臣 今、ポートフォリオというお言葉がありました。

 今までのJOGMECは、今までの法律に縛られておりますので、あくまでも権益への投資ということになります。これからは、我々は、国営企業も含めて、資源会社そのものに対して出資を行えるようになるわけです。

 海外の資源会社というのは、探鉱とか開発段階のものだけではなくて、もう既に生産をしている油田、ガス田というのを持っている、そういう株式もJOGMECのポートフォリオの中に組み込むことができるわけであります。そういう意味では、ポートフォリオが非常に多彩になって、逆に、今回の法改正によって、JOGMECの持つポートフォリオの質が高まってリスクが低下をするという面もあるかと思います。

 ただ、おっしゃるように、今、五千億円という一つの枠があるわけですが、かなり大規模な投資、出資になる可能性もあるわけでありますから、特に企業買収等の審査プロセスにおいては、従来からの出資業務の審査プロセスに加えて、ファイナンシャルアドバイザーなどによる資産評価、デューデリジェンスをしっかりやって、過去の配当性向ですとか、財務の健全性ですとか、将来の収益見込みといったものをしっかりと判断した上で、資金回収の可能性を厳正にチェックしてからやりたいというふうに思っております。

 そして、今おっしゃるように、毎年、JOGMECの全ての事業についても自己評価を行ってきているわけでありますけれども、企業買収等の案件についてもその中で評価を行って、その結果をしっかり公開していく、後世に対してしっかり説明できるようにしておく必要があると思っております。

田嶋(要)委員 前後しましたけれども、配付資料の一に「JOGMECの累積欠損金の内訳」というのもつけさせていただきました。

 大臣、発足以来の今日までのJOGMEC、石油公団から比較的良質な案件を三十件ほど引き取ったということもありますけれども、そうではなくて、JOGMECに生まれ変わった後、今日までのトータルとしてのパフォーマンスをどのように評価されているか、ひとつ御答弁いただきたいと思います。

世耕国務大臣 JOGMECは、平成十六年の設立以来、二十七年度末までで、累計五十三事業に対して五千百十八億円を出資しております。その五十三事業のうち、二十一事業で石油、天然ガスの十分な量の存在が確認をされております。そのうち、八事業では既に生産中、六事業で開発中、七事業で開発検討作業中という成果が得られています。

 ただ一方で、二十一事業では、商業的に十分な規模の石油、天然ガスの埋蔵が認められず事業終結をしている、これはまさに損になっているということであります。

 こうした結果、二十七年度末では約千五百億円の繰越欠損金が生じている状況があります。ただ、これは、探鉱という非常にリスクの高い事業に支援を行っているということや、ルールで、出資額の二分の一を機械的に一旦評価損に計上するという極めて保守的な会計ルールを採用しているということも原因であろうというふうに思っています。

 JOGMEC発足後十二年たちますが、探鉱から生産開始までにはやはり十年から二十年というのが普通考えられる期間であります。そのことを考慮すれば、当面は、評価損等の計上、半分を自動的に評価損に計上するわけですから、評価損の計上は避けられない面があると思っていますが、これから、まだ残っている、今も七事業で開発検討中でありますから、こういった探鉱案件が生産に移行していけば、会計上評価損になっているものを戻し入れることができます。さらに、生産が始まれば配当収入ということも起こりますし、あるいは保有株を売却してキャピタルゲインということも今後考えられるわけでありまして、収支状況も次第に改善していくのではないかというふうに考えております。

田嶋(要)委員 今回の選択肢が一つふえるということ、大臣がおっしゃったとおり、ポートフォリオが多様化されるということは、全体としてリスクを下げる側面も確かにあると私も思います。

 それから、添付資料の一のこの数字だけ見ると少しどきっとしますけれども、今おっしゃったように、保守主義の会計ルールを尊重してこういう形の報告をされているわけですから、必ずしもこれで過去のJOGMECのやり方が非常にまずい結果を生んでいるとは私も思いません。四割ぐらいがいいものに当たるという実績だという報告を聞いております。

 今後、MアンドAの関係は当然区分経理をされていくんだろうというふうに思いますけれども、やはり上流の鉱山、石油の鉱山とかを買う場合とは違うリスクがこれから表面化する可能性もありますから、ぜひしっかりとした、これまで以上のモニターをお願いしたいというふうに思っております。

 次の質問をさせていただきます。

 しかし、この方向性は私もいいと思うわけでありますけれども、少し疑問に思ったのは、なぜこのタイミングでMアンドAをできるように急に話が来たのかなということでございまして、逆に言えば、これまでの投資とこれからの追加的なメニューの投資では、本質的な差はないのではないかと私は思っているわけですが、大臣はそこはどう思っていますか。

世耕国務大臣 やはり、差はなくはないと思っています。

 権益単独の投資しかできなかったものが会社全体に関して関与していけるようにするということは、やはり大きな差があるのではないかと思います。

田嶋(要)委員 一枚繰っていただいて、添付資料の二をごらんください。

 実は、三回前のJOGMEC法の法改正、このときにどういうような議論が行われていたのか。私は、確かに今おっしゃったような、個別のところでは差はあるものの、しかし、直接的に上流の権益をとりに行く手段としてはどちらも最初から検討ありだなというふうに十分考えておるわけでございますが、この添付した資料、世耕さん、わかりますか。

 この二の資料が三回前のJOGMEC法の改正の審議会の議論の要旨でございますけれども、第七回のところでも、石油公団では、石油開発に従事していないから、プレーヤーたる企業が身につけ、そのために、生産油田や企業買収を進めるべきであり、個々に国家が支援することは正常な行動である。次の丸のところにも、資産買収の事例を見ると、企業ごと買収すれば、探鉱事業の損失分を利益から控除できて効率的であることから、権益買収、すなわち資産買収ですね、権益買収のみならず、企業買収を支援するべきである。あるいは第八回も、資産買収や企業買収はということで、今から十年以上前の議論の当時も、有識者の間でこの両方がパラレルに議論されていた証拠がどうも残っているわけであります。

 私の素朴な疑問は、絶好のタイミングを若干逸してしまったんじゃないか。これからやるのは私はいいと思いますよ。しかし、この三回前の改正のタイミングで、MアンドAということに関しての議論がこうやって出ていたにもかかわらず、どこでこうした支援メニューを加えないという判断が行われたのかということに関して少し私は関心を持ったわけでございますが、その点はいかがですか。

山下政府参考人 二〇〇一年に行われました石油公団が資産買収に対する支援を可能とするときの改正は、一九九九年三月から当時の通産省の審議会において数度にわたる議論を受けたものでございます。

 その審議会におきまして、二〇〇〇年の八月に取りまとめられました中間報告書では、我が国に中核的な企業グループを形成するためには、我が国石油開発企業が既発見油田の資産買収を通じて機動的、効率的に石油開発事業を行うことにより、競争力を強化することが重要であることが提言をされてございます。

 先生おっしゃるとおり、当時の審議会におきまして、一部の委員からは、権益のみならず、企業買収を支援すべきという指摘があったことは事実でございます。ただ、具体的な法改正について検討していく中で、と同時に、特殊法人の業務拡大の厳しい世論がある中で、より企業側のニーズが高く、政策的な優先度が高いと判断された資産買収を優先的に措置することにしたものというふうに考えてございます。

田嶋(要)委員 そういう議論は、このやりとりの議事録を全部見てみても、どこにも出てこないわけですが、それは、最終的には経産省の事務方でそういう結論になったということでしょうか。

山下政府参考人 企業からのニーズにつきましては、経済産業省は当然ヒアリングをしてございます。

 それと同時に、やはり最終的な審議会の報告書をまとめる段階では、審議会のメンバーと当然議論をいたしまして、先ほど申し上げました、既発見油田の資産買収を通じて機動的、効率的に石油開発事業を行うことで、競争力を強化することが重要であるという審議会の報告を受けての改正でございます。

田嶋(要)委員 常に和製メジャーのことを言い、そして、欧米のメジャーとの比較、中国やインドの国営企業との比較が話題に出るわけで、常にそこをベンチマークとして我々も頑張ってきたわけでありますが、欧米メジャーや中国、インドがそうした企業買収を始めた時期、あるいは活発化した時期というのはいつごろですか。

山下政府参考人 エクソンやシェブロンなどのセブンシスターズに代表されます、いわゆる欧米メジャーは、一九九〇年代の後半から二〇〇〇年代の前半にかけて、アメリカでのMアンドAブームを背景に、事業の大型化、それから技術力の強化を目的といたしました大型の合併、あるいは戦略的な資本提携を行ってきたというふうに認識しております。

 また、中国やインドは、国内の石油、ガスの需給ギャップの拡大に対しまして調達の多様化を図るなどを目的として、二〇〇〇年代の中ごろから積極的に企業買収を行い、企業規模を急速に拡大してきました。

 こうした動きは二〇〇〇年代後半に一時期落ちつきましたけれども、近年の油価下落による資源開発会社の資産価格の低下を受けて、欧米メジャーに加えて、中国、インドの国営石油企業におきましても世界各地で企業買収や権益の獲得を進めているところでございます。

田嶋(要)委員 役所の資料に、現状を看過すれば、欧米メジャーや中国、インドの国営石油企業との格差は致命的になるというせりふがあって、だからこの法改正が必要だということなんです。

 私は、格差はもう従前から相当大きいものがあるということは共通認識であるし、そして、添付資料の四におつけしましたけれども、過去のMアンドA、アセットのディールと、いわゆるMアンドAであるコーポレートディールの金額ベースで見ていただいてもわかるように、こんなものは、MアンドAがきのうきょう始まった話じゃないのは言うまでもなくて、上流のアップストリームのエネルギーに関するMアンドAディールというのは、昔から金額ベースではアセットディールをずっと上回ってきているんですね。今回の法改正でも一件当たりの規模がでかくなるわけですけれども、従来からずっとその傾向があって、一九九九年がエクソン・モービルの合併の年ですね、まさにそのころに、アセット買収をやれるようにする三回前の法改正が行われたわけです。

 これは、終わっちゃったことは仕方がないじゃないかということもあるんですが、私は、ここに、役所のあるいは国の意思決定のタイミング、あるいはスピード感、そういったことに関して学ぶ教訓があるのではないかなというふうに感じるわけでございます。

 世耕大臣、このグラフをごらんいただいて、今初めてMアンドAをできるようにするという法律改正は、私は非常に奇異な感じがするわけですけれども、どう思いますか。

世耕国務大臣 やはり、今回の法律改正で会社の株を持てるようになるということが、個別の権益でなく、権益を集合体として関与していくことができる、あるいは既に生産の始まっている油田の権利も手に入れることができる、あるいは会社に関与するということで、その会社が保有する技術とか人材とかいったものも取得ができるとか、あるいは役員を派遣して意見が言えるとか、いろいろなメリットがあるわけです。そういったことが三回前の法改正のときの有識者の会議で指摘をされていた。それに対して、今ようやく法改正をしている。これは、はっきり言って、スピード感が少し遅かったということは、私は正直に反省をしなければいけないというふうに思います。

 だからこそ、今国会でこのJOGMEC法の改正をしっかりやっていかなければいけないと思いますし、これまでの動きが遅かった教訓をしっかり踏まえて、これからも、経産省としては、世界の最先端の動きをしっかり捉えるとか、あるいは検討に当たっては、自前主義にこだわらずに、外部の、それも場合によっては外国の有識者の知恵もかりて、いろいろな政策をしっかりつくっていくということをやっていく必要があると思っています。

田嶋(要)委員 ありがとうございます。

 過ちを正すのに遅過ぎることはないといいますから、今の大臣の率直な御答弁を評価したいと思います。

 今おっしゃっていただいたように、個別の権益ではなく集合体を買う、まさにこれはポートフォリオなんですよ。だから、やはり会社を買った方がリスクの低い部分もあるんです。だって、これが当たるかどうかというよりも、いろいろ持っているものをまとめて買った方が、それ自体がポートフォリオになっているわけですから。

 そういう意味で、先ほど事務方がおっしゃった、民間の要望はそっちの方が強い、それは本当ですか。そうだったんですか。そういう証拠が私は見つからなかったんですよ。だって、審議会の議論では両方が並べて議論されているから、当然十年前の、三回前の法改正のときに、こういった形のJOGMEC支援が両方セットでできるようになっていて、私は自然かなと、これまでの世界の趨勢を見ても。

 それが前者だけ、すなわちアセット買収だけをできるようにするというのは民間の要望が強かったという証拠がちゃんとあるんですか。

山下政府参考人 当時、資産買収がまだできる状態ではない状況の中で、まずは資産買収に対するニーズが強かったということは言えると思います。それは、今、先生がおっしゃるように、過去の審議会の資料などが残っているわけではございませんので、企業の方々の過去のヒアリングの状況を改めてお伺いしたところ、やはりそういう状況であったということでございます。

田嶋(要)委員 過去の審議会の資料が残っているわけでもありませんですのでということを言われちゃいますと、やはり政策決定の判断のよしあし、その部分を先ほど大臣も反省されておるわけですから、そういうことで何か学ぶ教訓が得られないんじゃないかというふうに思いますね。

 添付資料の三をごらんください。

 これが当時議論をされた、先ほど議事録を読み上げました小委員会の名簿でございますけれども、立派な方、著名な方がたくさんおいででございますが、やはりもう少しMアンドAの実務をやっておられる方とか、まさに世界でこれだけのMアンドAが起きているときに、まあ日本興業銀行の方もおいででございますけれども、ちょっと私はバランスも欠いていたんじゃないかなという感じもするんです。

 だから、そういうことも含めて、今後、政策を決めていくに際して、今回非常におくれてしまったと大臣がお認めになった点に関して、今後、どのような教訓が学べるのか。

 もう一つは、前回、私も質問させていただきましたが、IoTでの、大臣の所信にもありました、ほかの国からおくれてしまっているという悲観論がある。悲観論を余り強調してもプラスではないかもしれないけれども、ただ、こういうところに日本のスピード感の遅さが象徴されているのではないのかな、私はそのように感じたんですが、大臣、どうですか。

世耕国務大臣 今、この資料に添付をしていただいている名簿を見ましたら、それぞれ大変立派な先生方だと思います。大変な御見識をお持ちの先生方だと思います。また、石油審議会開発部会基本政策小委員会の性格からいうと、例えばガソリン価格の高騰とか灯油の価格の問題、いわゆる消費者に配慮した議論もしなければいけないので、そういうメンバーも入っているという面はあろうかと思います。

 ただ一方で、やはりスピード感を持って、そして、資源権益の獲得ですとか資源企業の買収ということもこれからJOGMECが行っていくということを踏まえれば、もう少しメンバーの多様性とかバランスというものは、時代に合わせてそれぞれ判断をして変えていかなければいけないと思っております。

田嶋(要)委員 こういう審議会のメンバーの選定は事務方が候補者を出すんだろうと思うんですけれども、熾烈な国際競争の中で切った張ったをして日本の国益のために権益を確保していくんだ、当然、世界ではアセットと株式の両方があるんだということになれば、そういう熾烈な世界で実際に実務を担当してきたような方々がもう少しメンバーにいないと、こういう意見がちょろっと出ても、ほとんどスルーされてしまったような印象を受けるんですね。

 それともう一つ、資料五をごらんください。

 今、買いどきだからいくんだ、絶好のチャンスだということを書いていますけれども、当時の方がさらに今より安い状況なんですよ、原油価格も。ところが、おもしろいなと思ったのは、この議論の中にこういう発言が出ているんですね。

 原油価格が低迷しているときに、政府が優良な油田を確保し、それを企業に与えることによって、企業は自立可能となる、現在は、原油価格が高騰しているから、その分財政資金をプールしておき、油価が下落してから一斉に行うべきである、こういう意見も出ているということで、その時々の相対的な認識というのは、当時は当時で原油が高いという認識のもとにこういう議論があったということのようなんですよね。

 これを今振り返って見ていただくと、今は安いからチャンスだと言っていますよね。だけれども、当時の方がさらに今より安い状況なんですね。そういうことを考えると、やはり最高のタイミングとして当時実現しておけば、この十年間の間にいいMアンドAがいろいろできる可能性があったのではないかなというふうにも感じるわけであります。

 最後に、時間になってしまいましたので、一点だけ。

 私は、こういういろいろな投資をしていただくのは結構なんですが、かつての経験でも、環境とか社会面への配慮というのは国際社会で欠かすことができない。

 資料の六をごらんいただきたいと思いますが、やはり国際機関である世界銀行やIFCの一つの基準の流れが、日本のさまざまな金融機関やJBICなどにもしっかりと及んできているということがありまして、これ自体いいことだし、やはり世界じゅうが同じ基準に基づいて正しい投資を行っていく、それはリターンの話だけではないということだと思います。

 一点、若干とっぴな感じもいたしますけれども、経済的な側面と環境はみんな注目するんですが、働く人たちの部分ということ、特にチャイルドレーバーのことがよく指摘をされます。

 最後に、大臣に御答弁いただけたらうれしいわけでありますが、いろいろ確認していくと、JBICまでは、国際機関のチャイルドレーバーに関してもしっかりと認識をしておりまして、それが一番最後の資料の九ページでございますけれども、検討する影響のスコープというところに、児童労働が行われていない、そうした確認もしっかりやっているということでありますが、きのうの事務方の説明だと、JOGMECはそこまでは行っていないということであります。

 これは、さらに国際的なスタンダードに合わせていくということが、日本の先進国として果たしていく責任だというふうに思うわけでありますが、その点がもし抜けているのであれば、余り石油の現場でチャイルドというのはないのかもしれませんが、それはわかりませんから、その点に関して前向きな御答弁をいただきたいと思います。

世耕国務大臣 今、世界では、社会的責任を持った投資をしっかりやっていこう、国連もアナン前事務総長主導でESG投資原則というのを定めていて、それに対して、日本も結構、機関投資家がサインをしたり、GPIFもやっているようでありますけれども、そういう動きが出てきております。社会に関して責任を持つことは非常に重要だと思っています。

 JOGMECは、児童労働についての配慮として、事業実施国の法規制の遵守は求めておりますけれども、いわゆる審査基準の中に明確な定めはないわけであります。

 こうした動向も踏まえて、JOGMECにおいてそういった審査基準の改定をしていくように、経産省としても動きを促していきたいというふうに思っております。

田嶋(要)委員 ありがとうございます。

 私がいたころは、やはり環境審査基準というのをクリアしないと世界銀行グループは出資はしないんですね。それはどんどん進化してまいりますから、今の前向きな御答弁を感謝したいと思います。

 ありがとうございました。

浮島委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時二十二分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時十六分開議

浮島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。小沢鋭仁君。

小沢(鋭)委員 日本維新の会の小沢鋭仁でございます。

 大臣、行ったり来たり、御苦労さまでございます。

 きょうは、JOGMECの改正、こういうことでございますが、御案内のとおり、日本維新の会は、行政については行政改革をしっかりやれ、そして政治家、我々にとっては身を切る改革、こういうことを強く主張している政党でございます。橋下徹さんは、大阪の知事になったときに最初の挨拶の中で、府の職員の皆さんに、皆さん方は企業でいったら破綻会社の職員であります、こういう話である意味ではその行政をスタートさせたわけであります。

 そういった観点でこのJOGMECの財務諸表を見させていただくと、心安らかにならないんですね。私自身も銀行員の出身でありまして、そういう観点から見させていただいても、先ほど別の委員の皆さんの質問にもありましたが、累積欠損金が約一千五百億、それから単年度を見ましても、二十年から赤字がずっと続いておりまして、最初の二十年は四十四億円、二十七年は五百四十億円と、どんどん単年度の赤字の額もふえているんですね。本当にこれで大丈夫なのか、こういうことであります。

 まず、ずっと欠損金が積み上がっていきますと、普通の企業だったら、いわゆる破綻、破産、こういう話になって、清算、こういうことになるんですが、このJOGMECの場合はどうなんでしょうか。先ほどの質問の中で、大臣からは、将来的には収益の改善が見込まれる、こういう話がありましたが、万一このままずっと推移した場合にはどういう結論になるんですか。

高木副大臣 JOGMECにおきまして、探鉱案件、いわゆる採掘をする場合の最初の段階ですね、この高いリスクを財務上可視化し、透明性を担保する観点から、探鉱出資は出資時に出資額の二分の一を機械的に評価損として計上しておりまして、探鉱が成功した段階でその額を戻し入れる処理を行っております。

 この評価損が累積欠損金の半分以上を今占めておりますが、資源開発事業の性質上、短期的には収益が上がらずに、生産段階に移行した後、長期にわたって資金を回収するために、探鉱案件が今現在積み重なっておりますけれども、そうなりますと、当面は毎年度の評価損が累積していくことになっております。

 今後、複数の探鉱案件が開発段階、生産段階に移行していけば、機械的に計上した評価損の戻し入れに加えて、配当の収入、さらに保有株の売却収入等が想定されるために、繰越欠損金は減少していくものと見込んでおります。

小沢(鋭)委員 それは先ほど大臣もおっしゃった話なんですが、石油公団の問題がありました。私は山梨出身の議員なんですけれども、山梨出身の堀内光雄先生が、政党は違いましたが私も尊敬、敬愛する政治家の先生だったんですが、その石油公団の問題を取り上げまして、そして、そういった石油公団の改革の中からJOGMECも出てきたもの、こういうふうに思っているんですが、そのときも同じ答弁を多分されているんですよね。

 ですから、私が高木副大臣に今お聞きしたいのは、このままずっと推移したらどう清算するんですか、こういうまさに制度的な話をお尋ねしています。

高木副大臣 先ほど委員御指摘になりましたように、普通の企業だったら清算をしなければいけない、そのようにならないためにするということが最も重要であると私たちも捉えております。

 今、石油公団のお話がありました。この石油公団の問題、これはこれまで、個別のプロジェクトに最大七割まで出資または融資を行いまして、融資についてはプロジェクトが失敗した際に債務が減免され、さらには、大規模プロジェクトを中心に多数の民間企業が少額ずつ出資する形で参画してプロジェクトを主導する企業が判然としなかった、こういったことから責任の所在が曖昧なまま開発が進められたということがありました。

 そういう点を踏まえまして、この反省から、平成十三年に閣議決定された特殊法人等整理合理化計画を踏まえまして、石油公団を廃止して、平成十六年にJOGMECがスタートいたしまして、リスクマネー供給機能については融資を行わず出資に限った上で、支援割合については五割を上限とする民間主導を原則としております。

 また、JOGMECによる案件の採択に当たっては、事業部門と独立した審査部門による厳正な審査を徹底するとともに、採択後も全ての案件を対象としたプロジェクトごとの厳格な管理を行っておりまして、さらに、企業会計に準じた会計処理、情報公開を行っております。

 こういったことに加えて、今般法改正を行う新規業務について、企業買収等の案件に際しては、ファイナンシャルアドバイザーなどの中立の外部専門家による資産評価のプロセスを追加する、さらに、国営石油企業の株式取得に際しては、さらにエネルギーや国際情勢の専門家、石油、天然ガスの上流開発の専門家、企業法務やファイナンスの専門家などで構成される第三者委員会、こういった意見を求めるプロセスを追加することにしております。

 委員がすごく御心配されている、このまま積み上がったらどうするんだということは、心配されるのは当然だと思いますので、そういった部分で、今回の法改正でも、新規業務に対しては、さらに第三者委員会をつくるなどして、しっかりと行っていきたいと考えております。

小沢(鋭)委員 このまま積み上がったらどうなるんだということに関しては直接的なお答えはなかったんですが、高木副大臣ですから、これ以上はこの問題はとめて、次に移らせていただくんですが、次の、いわゆる旧石油公団のころの反省を踏まえた運営というのはなされていますかということに関して、かなりもう既に答弁を今いただきました。

 では、一つだけ、給与の話だけ聞かせてください。

 給与を見ますと、常勤職員三百八十五人、平均給与八百七万円、平均年齢四十五・一歳。国家公務員の平均は、平均年齢四十三・六歳、六百七十二万円。こういう構成になっておりまして、JOGMECの方が二百万円ほど高いですね。そういったことに関しては、何か緊張感、危機感を持つことはありませんか。

世耕国務大臣 これは先ほども御答弁しました。私も、やはり、これからプロフェッショナルな人材を集めていくに当たっては、今の給与ではなかなか、一流の人物、能力を持った人は集まらないというふうに思っています。

 ただ、どうしても独法の一般の給与は公務員並びということになっていますし、また、今現在の環境で独法の給料を上げますというのは、なかなか国民には御納得いただきにくいと思います。

 ですが、一方で、例えば、投資運用業務を行っている他の独法では、専門職コースみたいなものをつくって、そこは一般の職員よりもかなり高い給料を取る、ただし、当然成果は問われるという形の給与体系も入れているわけでありまして、私は、JOGMECにおいてもそういう給与というのは検討してもいいのではないかというふうに思っています。

小沢(鋭)委員 大臣の御答弁、私は逆に減額しろと言っているわけでして、ちょっと答弁が違うかな、こういう気はしているんですけれども。

 もちろん、能力に合わせた給与というのがなければ人間はモチベーションが上がりませんから、それは当然のことなんですが、先ほども冒頭申し上げたように、大阪府の職員の皆さんたちに、民間企業だったら破綻企業だということで、二割の給与カットをしたわけですね。そういったくらいのある意味では緊張感、厳しさがあってもいいのかなという点は申し上げておきたい、こういうふうに思います。

 今、人材の話もありましたが、これはやはりかなり専門的な知見が必要な職業なんだろう、こう思います。リクルートはどうされているんですか。

高木副大臣 これからの問題になると思いますけれども、現状、JOGMECにおいては、地質構造、または物理探査技術、開発技術、生産設備の設計技術などの技術人材は百名以上有しております。

 技術的な面では厳正な審査に基づいた投資判断が可能であると考えておるんですけれども、他方で、これから企業の株式を取得することとなるため、企業の経営力、財務力、また人的リソースなどに関する価値の評価が求められておりますので、こうした人材についてはこれから拡充をしていかなければいけない。

 このため、先ほど言った、ファイナンシャルアドバイザーなどの中立の外部専門家による資産評価のプロセスの追加、または、民間セクターで株式評価や投資等の実務を経験したマネジャークラスの専門家を外部から採用するなど、そういった形で今後とり行っていきたいと考えております。

小沢(鋭)委員 やはり地質学関係の人材とかが大変重要になってくるんだろう、こう思いますね。

 この前、私、テレビで、たまたまドバイの番組を見ていましたら、ドバイというのは砂漠でありますけれども、地質学的に相当研究をされて、そして、あの砂漠の下に大変水があるんですね。それで、あのビル群に要は供給して保っている、こういう話があって、すごいものだな、こう思いました。そういった最先端の技術を駆使できるような人材を見つけるという話も本当に必要なことだろう、こう思っておりますので、申し上げておきたいと思います。

 今回の法改正でありますけれども、先ほど来の質疑の中にもありましたように、ある意味では、端的に言うと、会社の株を持てるようになる、こういうことがポイントだろう、こういうふうに聞いております。

 そこで、私、さっきも出ておりましたけれども、あるいはまた新聞報道でもありましたが、この話を聞いたときに、ああ、これはロシアとの経済協力だな、こう瞬間的に思ったわけです。また、世耕大臣は、もともと副長官で官邸にいらっしゃったし、まさにそういった日ロの話もよく精通されていて、その経済担当の窓口の大臣だ、こういうこともあって、もうこれは日ロだな、こう思ったんですが、十二月十五日でしたか、首脳会談ですね、世耕大臣も十一月の頭に訪ロされる、こういうことであります。

 答えられないんでしょうけれども、世耕大臣の唇の動き等を見ながら、もう一回聞かせていただきたいと思います。

 これはやはり、今回の改正は、ある意味でいうと、ロシアへの経済協力という面が極めて強いと思いますが、いかがですか。私は、それはだめだと言っているわけじゃないんですよ。

世耕国務大臣 今回の法改正は、何か特別の国、特別のプロジェクトを意図しているものではないということは申し上げたいと思います。

 ただ、日ロ間では、これは安倍総理が、九月にウラジオストクで行われた首脳会談でも経済協力について議論しています。それに先立って、五月のソチにおける首脳会談で八つの協力プランというのを示しているわけでありますけれども、エネルギー協力につきましては、九月の首脳会談で、石油、天然ガス、原子力、再生可能エネルギーなどについて、日ロ両国で日露エネルギー・イニシアティブ協議会を立ち上げて、議論を進めていくということを提案しているところであります。

 これからは、この協議会での議論を通じて、日ロのエネルギー分野での協力といったことが進んでいくのではないかというふうに思っております。

小沢(鋭)委員 そのときにこのJOGMECも大いに活用いただいていいんだろうと思います。

 これだけではない、こういうお話であるし、もちろん、だから、きっかけは日ロであっても、さらに広げていくという話はあってもおかしくないから、それはそれでいいんですけれども。

 例えば、私の経験だと、この間、リオ・オリンピックがありましたけれども、オリパラがありましたけれども、あそこには、ブラジルの、国営ではないけれどもかなり公的な資金も入っているペトロブラスという企業がリオデジャネイロにあります。ここは、名前のとおり石油が専門なんですけれども、今や三割から四割が再生可能エネルギーなんですね、ペトロブラスという名前でありますけれども。ですから、そういった企業も大変おもしろい、こう思っておりますので、それをやってくださいと言うつもりはありませんが、一言申し上げておきたい、こういうふうに思います。

 それから、ロシアということであると、私にとっては、サハリンのいわゆるガス、これが思い起こされます。私自身もサハリンに一度行っておりまして、現地を見て、ああ、昔のカリフォルニアのゴールドラッシュというのはこういう雰囲気だったのかな、こう思いながら、サハリンの町を見学させていただきました。

 そのサハリンはガスですけれども、私は、環境的な立場からも、今、原子力発電がある意味では二基どまりになっていて、CO2の排出、こういうことを考えると、ガスは極めて有効なエネルギーだ、こういう思いがあるんですけれども、今のガスエネルギーの我が国の現状をまずおさらいさせていただけますか。

村瀬政府参考人 お答えさせていただきます。

 御指摘のとおり、一次エネルギー供給における天然ガスの構成比は、震災前の二〇一〇年におきましては一九%でございましたけれども、震災後の二〇一二年におきましては、原子力発電が大きく減少する中で二五%まで上昇しておりまして、特に、電源構成比におきましては四三%まで上昇している状況にございます。また、昨年七月に策定いたしましたエネルギーミックスにおきましては、二〇三〇年において、一次エネルギー構成比一八%、特に、電源構成比率におきましては、LNG火力が二七%程度とされているところでございます。

 天然ガスは、中東依存度が三割弱と、石油に比べ地政学的リスクも相対的に低く、化石燃料の中で温室効果ガスの排出も相対的に少ない特性を有しておりまして、ミドル電源としての中心的役割を果たすLNG火力発電、家庭などでのガス需要に加えまして、コージェネレーション、燃料電池、天然ガス自動車など、さまざまな場で利用されております。また、今後も水素社会の基盤の一つとなっていく可能性もあるということでありまして、その役割を拡大していくことが期待される重要なエネルギー源である、このように認識をしてございます。

小沢(鋭)委員 いい答弁をいただいた、こう思います。大臣におかれましても、ぜひガスに着目をしていただきたい、こう思います。

 先ほど申し上げたサハリンに私が行ったころ、もう十年ちょっと前だと思いますけれども、今は亡き鳩山邦夫先生と一緒に行かせてもらったんですけれども、当時の経産省というのは、一言で言うと、余計なことをしてくれるな、こういうことだったんですね。日本には原発があるじゃないと。サハリンまで行って、そしてパイプラインを引けと僕らはずっと主張していたんですけれども、そういった余計なことはしてくださるな、そういう雰囲気を、直接そう言われたわけではないけれども、つくづくそういうことを感じました。

 大臣におかれては、ぜひそこの視点を変えていただいて、ガスの重要性に着目をしていただきたい、こういうふうに思います。

 今もお話がありましたが、水素エネルギーとか、そういった本当に未来のエネルギーにかわるまでの間は、私は、今はガスでやっていくしかないんじゃないか、こういう思いがあって、そういった意味ではぜひお願いしたいと思います。

 そのサハリンですが、今現状どういうふうになっていますか。というのは、私がちょうど十年くらい前に行ったころ、ロシアから、環境に問題がある、こういう話があって、我が国の権益の分が相当カットされたというふうになっているんですね。いかがでしょうか。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 サハリンにおきましては、日本企業が参画するプロジェクトが複数ございまして、例えばガス輸出を行っている事業といたしましては、三井物産、三菱商事が参画するサハリン2プロジェクトがございます。そこでは、原油のみならず、毎年一千万トン強のLNGが安定的に生産されて、多くが日本向けに輸出されております。これは日本のLNG需要量の約一〇%程度に相当する量となってございます。

 サハリン2プロジェクトにおきましては、二〇〇六年に、シェル、三井物産、三菱商事の三社が、オペレーターでありますサハリンエナジー社の株式の過半数を、ロシアの国営ガス会社であるガスプロムに譲渡したというふうに承知をしております。これについては、ロシア政府により強制的に権益比率が変更させられたものではなくて、各企業の商業的な判断に基づくものであるというふうに承知をしてございます。

 サハリン2プロジェクトにつきましては、日本企業が関与していること、それからエネルギー供給源の多角化に寄与することなどから、我が国にとりまして重要なプロジェクトと認識をしております。政府といたしましても、その円滑な進展に重大な関心を払ってきておりまして、ロシア側に対しまして、プロジェクトの円滑な実施の確保を求めてきたところでございます。

 今後とも、同プロジェクトの円滑な発展に向けまして、経産省といたしましても必要な対応をしてまいりたいと思ってございます。

小沢(鋭)委員 二〇〇六年の変更に関してはそれなりに経済的な支弁もなされているようですから、今のような答弁があってもおかしくないんですが、まさにこういう資源外交というのは、やはりかなり各国とも国益を背景に動きますよね。ですから、私は、今言ったような、そんな簡単な、円滑な譲渡というような話ではなかったと思うし、時間があればもうちょっとこの問題も聞かせてもらいたい、こう思っているんです。

 大臣、今回交渉に当たるときは、このことも頭に置いて当たっていただきたい、こういうふうにまずお願いをしておきたいと思います。

 そこで、新聞報道によると、サハリンと北海道の間にガスパイプラインをつくって結べ、こういう話がありました。我が意を得たり、十年前に言っていたことがようやっと実現するのかなと。

 我々は、日本じゅうにもっとパイプラインを引け、こう言っていたんですけれども、とりあえず、まずサハリンと北海道の間のガスパイプラインの話が出ていましたが、これは起こりそうでしょうか。

世耕国務大臣 いろいろな形で日本の資源の供給ルートを確保するということは非常に重要であります。北から運んでくるルートということで、サハリン1、サハリン2は非常に重要だ。

 今は、ガスについてはLNGで船で運んできているわけであります。パイプラインをつなぐとなりますと、これは国内法あるいは国際法上の問題ですとか、あるいは、パイプラインで運んできて果たしてコストが今船で運んでいるものよりもどうなるのかとか、あるいは、事業全体、北海道においてLNGの需要がどれぐらいあるのか、あるいは、北海道に上げた後どういう形で例えば本州へ運んでいくことを考えるのかなど、経済性の点検も重要だというふうに思っておりまして、そういったところはよく研究をしなければいけないと思っております。

小沢(鋭)委員 まさにいろいろな経済的な分析をしていただきたいんですが、同時に、それをやるとしたら、やはり制度的、法的な見直しもしなければいけない、こういうことになろうかと思います。ですから、それもぜひお進めいただきたいと思います。

 ただ、大変シンボリックなプロジェクトになりますよね、パイプラインでいわゆるガスが供給されるという話は。そういった意味では、まさに日ロ関係を本当に友好的に推進していくという意味では、日本とロシアをつなぐある意味では友好のパイプラインにもなり得ますよ。ですから、私は、ぜひそういった視点も踏まえてやってもらいたいな、こういうふうに思っています。

 ついでに、パイプラインの話が出たので、前からずっといつも経産委員会に出ると言っているんですが、どうせだったらば、どうせそういうエネルギーをつなぐのであれば、私は、まさに電力の直接輸入のためのラインをつくれ、こういうふうに言っているんですね。

 これは、各国ともピーク時に合わせて電力設備をつくっているんです。でも、ピーク時というのは太陽の動きと一緒にどんどん変わっていくわけですね。ですから、必ずピーク時用につくった電力は各国余っているんです、ピーク時以外は。それをお互いに融通し合えば経済コストは極めて低くなるわけでありまして、これはもうケーブル線を一本どんと引けば、それぞれの国はそれぞれの海岸線までは全部電力網がありますから、海の中に一本ケーブルを引けばいいんですね。

 これを、エネルギーセキュリティーの問題というのはあろうかと思いますけれども、それに一〇〇%依存するわけでは決してないわけですから、そういった話というのはあってもいいと思うし、ヨーロッパでは既に行っていますよね。ですから、それはいかがでしょうか。

世耕国務大臣 これもパイプラインと同じで、まず法律を、国内法、国際法を整備していかなければいけません。

 今おっしゃるように、陸続きの国ではもう当たり前のように行われているという面もあるわけですが、これを海底ケーブルで引っ張ってくるときのコスト、陸揚げ地点で漁業権なんという問題が発生する可能性もあります。これも、経済性、法律、両方の面でよく研究をしていかなければいけないテーマだと思っております。

小沢(鋭)委員 たしかヨーロッパは、イギリスとオランダだったかな、海の中でもやっているというふうに承知をしています。今後の検討課題で結構ですから、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 時間ですから終わります。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 民進党の鈴木義弘です。

 角度を変えた質問が多いと思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。

 資料配付させてもらっているJOGMECのジオパイロットというものです。

 今はちょっと下火になったんですけれども、アメリカのシェールガスだとかシェールオイルというのがすごくセンセーショナルな報道がされた時期があったと思うんですね。そのときに、あの技術というのはどこの国の技術だったのかなというふうにある人に尋ねたら、千気圧の水鉄砲を地下に打ち込むんですけれども、その掘削の技術は日本のメーカーだという話だったんです。

 先般、経産の担当の方にお越しいただいて、技術的なことをちょっとお尋ねしたときにこのペーパーをいただいたんです。今までは、水平方向というか真っすぐしか掘れなかったり、真直角にしか掘れなかったんですけれども、斜めに掘ったり、もっと偏距した堀り方ができるようになった、ジオパイロットという先端の技術をJOGMECが開発したんだと。これも、えっと思ったんですけれども、二十年も前の話なんだそうです、私が知らなかっただけで。これを使ってシェールガスだとかシェールオイルを掘ることがスタートした。これはJOGMECのノウハウだったんだそうです。

 今回、そのJOGMECの法律を改正するに当たって、融資の話だとか出資の話がよく出てくるんですけれども、どこに埋まっているのか、どこが当たる確率が高いのかがわからないで金を出したって、外れちゃいましたというふうにはいかないと思うんですね。だから、この日本の探鉱の技術、探し当てる技術、これが世界でどのぐらいの位置づけにいるのかということなんです。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 石油、天然ガスにおきましては、有力な調査会社であるウッドマッケンジー社が毎年発行している探鉱レポートというのがございます。ここの中で、過去十年の新規発見油ガス田埋蔵量の多い企業三十社というものが報告されてございます。これによりますと、北米が七社、アジアが六社、英国四社、中南米四社、その他欧州が三社というふうに掲載されておりまして、国で見れば、アメリカとかイギリスの企業が比較的探鉱技術にたけているものというふうにまず推測されます。

 一方、金属資源におきましては、一般的には、資源国であってOECD諸国でもありますアメリカとかカナダとかとか、それからオーストラリア、これが資源開発ビジネスが盛んでございまして、大学での資源開発関連講座の存在とも相まって、探鉱技術のレベルも高いというふうに評価されているというふうに承知してございます。また、いわゆる資源メジャーでありますBHP・ビリトンとかリオ・ティントとかこういったところでは、豊富な資金力と人材で高い探鉱技術を持つというふうにされてございます。

 JOGMECを含めて各国や企業の技術力をランキングするようなデータというのは存在をしないんですが、JOGMECが手がけました南アフリカの白金探鉱のプロジェクトというのは、権威ある英国の鉱業専門誌のマイニング・ジャーナルというのがあるんですけれども、こちらにおきまして、二〇一二年に最もすぐれた探鉱結果に贈られる最優秀探鉱賞というのを受賞もしてございます。こうしたことから、JOGMECも世界で高いレベルの探鉱技術を持っているというふうに考えてございます。

 なお、日本の企業、三井、住友、三菱などは、鉱山開発をその礎として、技術的、経済的基盤を培ってきたという歴史がございます。探鉱技術の開発には力を注いできておりますが、資源メジャーと比較をいたしますと、資金力、開発プロジェクトの数といった面におきまして劣後していることも事実でございます。こういった探鉱経験の不足を補うためにも、国内資源系大学を含めて、人材育成が今後の課題だというふうに認識をしてございます。

鈴木(義)委員 ありがとうございました。手短に答弁してもらえると、どんどん質問していきますから。

 例えば、今回のJOGMECの法律の改正で、投資をしやすい環境整備をするための法律だと思うんですけれども、石油が出るのかガスが出るのか鉱物が出るのかわかりませんが、結局、技術面での評価がないと、幾らお金を出しても、例えば、今実際にもう、探鉱出融資というんですか、カタールという国で、ガスに関して、JX日鉱日石カタール石油開発が行う天然ガスの探鉱事業があって、そこにJOGMECが百十七億円支出しているんだそうですね。これは、我が国が持っている権益の取得割合は一〇〇%なんだそうです。それとか、マレーシアだとかロシアだとか米国だとかメキシコで、もう実際やっているわけですね。

 それで、百十七億もお金を突っ込んでいて、これがではどのぐらいでペイができるのか、それともこれが一千億だ、一兆円だというふうに化けるものなのかどうか。そこの評価というのもされないで、これからファイナンスを組むとかなんとかいろいろなことをやっているよりも、当たるか当たらないかわからないようなところの権益を買ったってしようがないんだと思うんです。

 だから、技術を研ぎ澄ましていかないと、和製メジャーとかというふうになるのにはほど遠いんじゃないかと思うんです。そこら辺を御答弁いただければと思います。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 まず最初に、御指摘ありました、カタールのJXの子会社でございます、こちらが海上ガス田の探鉱事業を二〇一二年から行っておりまして、先生おっしゃるように権益の一〇〇%を取得してございます。この事業に対しまして、JOGMECが二〇一四年以降、出資を行ってございます。

 一般的に、探鉱段階で出資した石油、天然ガスの開発事業が生産を開始するまでには十年から二十年程度の期間を要します。したがいまして、まだこれは探鉱の最中でございまして、現時点で収益見込みについて申し上げることは難しいのでございますが、今後、仮に十分な石油、天然ガスの埋蔵が確認されて、この事業がスムーズに生産段階に移った場合には、長期間にわたる配当収入を得られるようになる可能性が十分にあるものというふうに認識してございます。

鈴木(義)委員 十分にあるかどうかというのは当たってみなくちゃわからないというのが現実の話だと思うんですね。そのリスクを誰がとるのかという話になってくるんですけれども。ですから、私は、技術面をもう少し研ぎ澄ましていくのも必要じゃないかということなんです。

 経産の担当の方にお尋ねしたら、国内の技術者研修会をやっていて、研修の修了生が過去五年間で二千三百人を超えているんだそうです。どれだけ技術力の向上、強化につながったのか、何をもって指標にするのかということなんですね。

山下政府参考人 JOGMECでは、先生がおっしゃったように、商社やエンジニアリング会社などを対象にいたしました石油の探鉱開発全般に係る基礎講座、主に石油開発企業を対象といたしました専門講座、それから、より上級者を想定いたしました資源技術プロフェッショナル人材の育成というものを行ってございます。過去五年間で、基礎講座に千八十五人、専門講座に九百三十七名、それから資源技術プロフェッショナル人材育成には三百四十六名が参加をしてございます。

 各講座の定量的な効果というのははかりにくいんですが、JOGMECは、国際的な掘削技術の認証資格としてウエルシャープというものを発行できる日本で唯一の機関でございます。JOGMECの講習に参加をしてこの資格を取得した技術者は、過去五年間で二百九十八名に上ってございまして、世界各国の掘削に従事できる能力を身につけてございます。

 このように、JOGMECでは、石油、天然ガス開発の基礎的な講座から高度な技術者に対する実践的な研修まで幅広い研修や講習を実施しておりまして、我が国の技術者の育成、強化に貢献をしているものというふうに思ってございます。

鈴木(義)委員 例えば、日本でも、石炭を一生懸命掘っていた時期があったと思うんです。そのときにはそこに従事する人がたくさんおられたんですけれども、大学でも、鉱業というんですか、それを教える先生方もたくさんいらっしゃったのでよかったんでしょうけれども、石炭をどんどん閉山することによって、今、その鉱業、穴を掘る学問の方を教えている大学が、たしか学部が二校ぐらいしかなかったというふうに聞いているんですね。

 地質学もなかなかマニアックな世界なんだと思うんです。ですから、就職先が少ないから学べないというところもあるし、資金を提供するのも大事なんですけれども、やはり人を育てるところをどうこれからつないでいくかということだと思うんですね。

 だから、民間の技術者の人に研修を受けさせて、パスポートを渡しました、頑張ってきてください、それが日本の国益にかなう育て方だったらいいんだけれども、行ったきりで帰ってこないよ、向こうがサラリーが高いから、いや、日本のために別に働かなくても自分のために働くんだという話だと、やはり人を育てた意味にならないんだと思うんです。

 そこのところを、資金を供給するだけじゃなくて、人材の育成や技術力の蓄積に力を入れた方がいいと考えるんですけれども、総括で、この部分に関して大臣の御所見をいただければと思います。

世耕国務大臣 今おっしゃるように、ただ単にお金の用意をするだけではなくて、やはり日本としてのいわゆる探鉱技術、そういった人材をしっかりと育てていくということが非常に重要だというふうに思っております。

 ともかく、技術の蓄積、人材育成をしっかりやっていくために、JOGMECを中心に、民間企業や団体、そして大学だけではなくて、これは場合によっては、進んだ分野がある場合は海外の資源開発会社とも連携をすることで、そしてまた海外の資源開発の現場のフィールドを活用することで、技術力強化や人材育成を進めていきたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 ぜひお願いしたいのと、どこの部分で評価をするかというのはこれからになっていくと思うんですけれども、例えば、これは文科省の所管なんでしょうけれども、物質・材料研究機構が出している資料の中で、二〇五〇年には現有埋蔵量の数倍の金属資源が必要となるんじゃないかという試算をしているんです。あと四十年もしないうちです。製造業で食べている日本とすれば、これは死活問題になっていくと思うんです。

 先ほどから、大臣が答弁になられたときに、油価が下がったから大変なんだと言うんだけれども、今、一リッター百四円ぐらいでガソリンを入れられるんです。ちょっと前だと、一年か二年ぐらい前の一バレル百二十ドルぐらいまでいっていた時代は、一リッター百六十円とか百七十円。安い方がいいんですよね、国民にとっては。

 商売する方からすれば、もうけが薄くなるのかもしれないんですけれども、でも、国の役目というのは、私は、エネルギーと食料をどう確保するかということに尽きるんだと思うんです。エネルギーは、やはり安く継続的に安定的に確保できるかどうかに尽きるので、別に、石油会社をもうけさせるとか、独法を黒字にさせるというのが目的じゃないんだと思うんです。最後は、安い価格の資源をいただいて、それで加工をして外に出していって、もうけさせてもらって、私たちの生活を豊かにさせるというのが究極なんだと思うんです。

 ですから、結局、この石油もそうですけれども、新しい技術ができると、新しい油田、ガス田が見つかると、三十年で枯渇する、五十年で枯渇するというのがどんどん先延びしていくんです。何が、どれが本当のことを言っているのかよくわからない。それに莫大な投資をしていくわけです。

 だから、そこのところを経産省がもう少し、いつも言うように、十年先、二十年先をどう見るのかということなんですけれども、それとあわせて省エネ化をしていくという考え方。エネルギーは、日本の国内の中で手だてできれば、頭を下げて売ってくださいというふうに言う必要もないんですよね。

 その辺のところをどう考えるか、まず初めにお尋ねしたいと思います。

世耕国務大臣 委員とは、誕生日、生年月日が一日違いなわけですけれども、我々がちょうど小学生のときにオイルショックがあったりして、あるいは、当時、社会科の授業で、原油はあと三十年ぐらいしかないんだということも教えられて、子供心に、これ、なくなったらどうなるんだろうなんと思ったわけですが、でも、やはりまだずっとあり続けているわけです。それはやはり、探鉱技術とかそういったものがかなり伸びてきたということがある。まさに委員御指摘の技術の大切さというのをあらわしているんだろうと思います。

 ですから、我々は、これからも、やはり十年、二十年先を見て、単にお金で今の権益を買うのではなくて、探鉱技術もしっかり伸ばしながら、世界でのエネルギー確保に当たっていかなければいけないと思っています。

 そして、今おっしゃるように、あくまでも目的は、日本国民に安くて良質で安定的なエネルギーを安定的に供給することである。そのために、JOGMECもしっかりしていなければいけないし、上流開発会社もしっかりしていなければいけない。そこは本末転倒にならないように注意をしていきたいというふうに思います。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 これは、JXホームページというところを見たときに、JXエネルギーが次のように述べているんです。

 消費地精製方式、原油を買ってきて日本の中で精製をして、ガソリンだ、軽油だ、灯油だと分けていく、この考え方でずっと日本はやってきているわけなんですね。でも、石油関連業法の廃止をして規制緩和をすることによって、もう随分、何年か前だったと思います、製品自体を輸出入できるようになっているわけですね。

 その中で、特に今、日本が手だてしてもらっている原油の買い付け先というのは、サウジアラビアを初め中東が八割。原油自体の質は、どっちかというと重質というんですか、重い方の原油なんだそうです。でも、実際、世の中でずっと使われてきて今需要がいっぱいあるのは、軽質の方なんだそうです。

 結局、原油をただ買えばいいというものじゃなくて、やはりトータルで物を考えていかなくちゃいけないと思うんです。これは私が言っているんじゃなくて、JXエネルギーが言っているんです、商売をされている人。

 それが最後に言っているのが、製品輸出も踏まえた精製設備の国際競争力向上に向けて二次装置の増強とか、付加価値の高い製品を低コストで製造する工夫、検討が行われているんだというんです。

 こういう状況になっているんですけれども、結局、日本のエネルギーとか石油の関係の考え方というのは、確かに二回のオイルショックがあったりして、それの延長線上でずっと来ているんですけれども、もう時代が求めるものも変わってきているし、そこのところをどう捉えて、JOGMECの改正も含めて、トータルでこの石油にかかわるものに関してどういう方向を見出していこうとするのか。業界ではもう違うだろうと言っているわけですね。そこのところをお尋ねして、もし御答弁いただければと思います。

中川大臣政務官 御指摘をいただきまして、ありがとうございます。

 先生御指摘のとおり、我が国では、石油については、石油化学産業の原料となるナフサですとか、自動車用の燃料のガソリン、軽油、さらには暖房用の灯油とか、本当に全ての石油製品の需要というのが経済成長に伴い増加をしてきたわけでもあります。このため、本当に石油というのは多くの連産品が伴ってくるんですけれども、石油製品の最も効率的な調達手段といたしまして、産油国から原油を輸入して消費地で精製する方式が選択をされてきたわけでもあります。

 また、天然資源が非常に乏しい我が国にとって、国内に長期保存可能な原油を備蓄しつつ、石油製品の生産に必要な精製能力を維持することは、安定供給確保の観点からも重要という側面もあります。

 一方、先生から御指摘いただいた、二〇〇〇年代前半に、石油火力発電用の重油需要の減少ですとか自動車燃費の向上に伴うガソリン需要の減少などによって石油製品の需要全体が減少に転じてからは、民間企業において、需要に応じた最適な精製能力とするための設備の変更や輸出入の活用などの取り組みが進められてきました。

 政府といたしましても、しっかりとそういったところを踏まえて、必要な支援というのをやっていきたいというふうに存じております。今後とも、石油製品の国内外の需給動向や将来の見通しを踏まえて、将来にわたる国内の安定供給に必要な対策を講じてまいりたいと存じます。

鈴木(義)委員 今お尋ねしたところが次につながっていくんですけれども、JOGMECが所管している中で国家備蓄のものがあるんだと思います。ちょっとJOGMECとは離れているかもしれないんですけれども、国家備蓄をずっとしてきているわけですね。五千万キロリットルためているんですけれども、これは、いざとなったときに使うんだということで、ためてきたわけです。

 では、いざというのはいつ来るのか。オイルショックが来たときには、オイルショックを二回経験しているから、国際状況も不安定なときもあるから備蓄した方がいいんじゃないかということで、九十日分の五千万キロリットルを蓄えているんですけれども、これから将来にわたって、一バレル百二十ドルで済んでいる時代はいいけれども、もうちょっと先の予測でいくと二百五十ドルを超えるんじゃないか、そういう予測もあるわけですね。

 だったら、国家が備蓄している、いざとなったときに使う、では、このいざというときには、法律がありますから、今ではすぐには出せないんだと思うんです。でも、高騰したときに少しでもそれを出して、安いときに買うとかというような形をとらないと、何のためにこれはすごい費用をかけて、お金をかけてストックしておくのかという、そこが問われてきているんじゃないか。

 例えば、サウジアラビアに住友化学はエチレンのプラントをつくる時代です。だから、そこのところの考えを少し変えていった方がいいんじゃないかと思うんですけれども、これは大臣にお聞きした方がいいのか政務官なのかわかりませんが。

山下政府参考人 備蓄につきましては、IEA及び石油備蓄法におきまして、備蓄石油の放出は、供給途絶またはそのおそれがある場合に可能とされてございまして、価格が高騰したことを理由に安い価格で放出するということを想定しているわけではございません。

 国家備蓄石油は国有物品でございまして、国有資産の適正な管理や公平性の観点から、その放出、売却に当たっては、市場価格に応じて適正な価格とする必要もございます。

 さらに、原油価格は国際市場で決まるものでございますので、政府が備蓄を放出することで国内で消費される原油価格を継続的に引き下げることは困難でございまして、価格安定のための措置としての有効性は低いというふうに考えてございます。

 いずれにせよ、海外からの供給途絶時の国民生活への深刻な影響を回避するという備蓄の目的を踏まえまして、備蓄政策を確実に実施していきたいと思ってございます。

鈴木(義)委員 だから、途絶したと言うんですけれども、お金を出しても売ってくれない時代がもし来たときに、ではどうするんだという話です。それは途絶とは言わないんでしょう。でも、どんどん高騰してしまったときに、ではどうしますかといったとき、いや、それは使っちゃいけないんだと。あるんですよ、ここに。なぜそういう柔軟な考え方を持つように、もし国際的なルールでそれを決めているというんだったら、変えませんかと言っていったっていいんじゃないかと思うんです。

 時代とともにエネルギーの中身は変わっていきますよ。原子力が主体でやっていたのを、今ほとんど原子力はないわけですから、天然ガスをメーンでやっているようなもの、石炭もありますけれども。でも、ウエートが、石炭を日本でもメーンでやっていましたけれども、今はほとんど石炭は一般の家庭では使わなくなってきているわけです。時代が変わっているんです。求めるものも変わってきている。

 だったら、それと同じような考え方を、年間何百億もお金を使っているときもあるんです、この備蓄に関して。だったら、その分放出するときもあってもいいんじゃないか。別に、そこでもうけろと言っているわけじゃないんです。

 なぜそれができないのか、もう一度。

世耕国務大臣 私もけさ事務方から、これはもう法律で、危機的な状況のときしか放出はできませんという説明を受けたところでありますから、大臣としてはそこまでしか答弁できないわけですが、その経緯とか今後の見通しについてはもう一度よく勉強をしたいと思います。

 備蓄についてはいろいろな動きもありまして、サウジアラビアは、逆に売る側の立場として、日本に、沖縄に備蓄基地を持っているということであります。

 備蓄についても、いろいろな変化が起こってくると思いますから、よく勉強しながら進めていきたいと思います。

鈴木(義)委員 それともう一つ、これは最後の質問なんですけれども、レアメタル、レアアースについてなんです。これもJOGMECが所管しているということなので。

 もう何年も前から言われている、レアメタルもレアアースもどのぐらいストックしているかというのは、これはいろいろな、価格の面だとか安全保障の面もあって公表はできないんだ、どこに保管しているというのもお教えできないんですと。でも、何か、資料を見ると、茨城県にあるというのだけはどこかで書いてあるんだよな。どこにあるんだかよくわからないんだけれども。

 我が国は金属資源の確保で常にリスクを負っていると言っているんですね。では、このリスクの低減やリスクの分散を今までJOGMECはやってきているのかどうか、国も主体としてやってきたのかどうか、そこのところをまずお尋ねしたいと思います。

世耕国務大臣 いわゆるレアメタルの確保というのは本当に重要だと思います。

 かつて我々も、外交案件との連動でレアメタルが急に手に入りにくくなってかなり騒ぎになったという記憶がありますけれども、やはりレアメタルに関してはしっかり対応策をとっていかなければいけないと思っています。

 いろいろ手は打っています。

 まず、上流に当たります鉱物資源の確保については、今、積極的な資源外交による資源国との関係強化とか、あるいは、まさに鉱山開発による、リスクマネー供給等を通じた権益確保をやっています。具体的には、例えばオーストラリアで、これはJOGMECも参加をしておりますけれども、レアメタルの鉱山というのを既に開発して稼働中であります。こういうように、供給元の多様化を図るという努力をやっています。

 また、もう一つは、中流の製品の製造段階においては、鉱物資源の省資源あるいは代替材料の開発の促進、そういったものもやっていますし、また、一時的な供給障害に備えた備蓄というのも、今御指摘のとおり行っています。

 あとは、使用済みのものの中から、いわゆる都市鉱山と言われていますけれども、レアメタルを回収して再利用するというようなこともやっています。

 あるいは、これはもっと先の話になりますけれども、日本の経済水域の中には多分海底にかなりのレアメタルがある、実際、それを試掘的に持ってきている人もおります。そういったところの技術開発とか探索ということもしっかり行っていかなければいけないと思っております。

鈴木(義)委員 あともう一点だけ、これで終わりにしたいと思うんですけれども、JOGMECが出資する企業に対して、これから弾力的にやっていこうということなんでしょうけれども、それをカバーする意味で、日本貿易保険でカントリーリスクを一〇〇%カバーする措置を確立しているんだ、これは私が言っているんじゃなくて、ここに書いてあるんです。去年発行してもらっている二十七年度のエネルギー白書の中にうたっているんです。

 ということは、今までずっと議論をされてきて、これから出資をしますよ、リスクはJOGMECがとるんですといいながらも、リスクはとりながら、将来、民間にその株を、いろいろなものを最後は手放していくんだといったときに、この日本貿易保険というのも対象になって、何かあったときに、そこで百億なり五百億なり損をしたときには、この保険でカバーしちゃうということでいいんですね。

 ちょっと聞き方がわかりづらかったですかね。だから、二重、三重のカバー、リスクを軽減するような仕組みができているのかということです。

世耕国務大臣 NEXIの支援の役割は、日本企業の輸出入とか海外投資等を促進するために、民間の保険で救済できないリスクをカバーするものであります。ですから、民間企業による海外投資、融資に係るカントリーリスクについて、最大で一〇〇%カバーできるという形になっております。

鈴木(義)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、落合貴之君。

落合委員 民進党の落合貴之でございます。

 引き続き、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 まず、基本的な前提条件について確認をさせていただければと思います。

 これは法案の提案理由にも書いてありますが、将来的に原油価格が急激に高騰するリスクが顕在化している、そして、石油権益等の価格も低下していて、我が国にとって、今後五年程度は集中投資によりエネルギー安全保障を強化する好機というふうに提案理由にも書いてあります。それから、エネ庁からいただいた資料でも、グラフがどんと原油価格が下がっていて、五年程度で上がるというような予測をしているわけです。

 これは、何で五年程度で原油が上昇すると見ているのか、この根拠、それから、今が底値と見ているわけですけれども、その根拠もお聞かせいただければと思います。

世耕国務大臣 まず、今が底値と見ているわけではない、我々は別に価格の予想をしているわけではないので、そこは御理解をいただきたいと思います。

 それまで百ドルを超える水準でずっと推移をしていた国際原油価格が、二〇一四年七月以降、産油国の高水準生産による供給過剰が主な原因と言われていますけれども、そういったことが原因で下落を続けまして、二〇一六年一月には、二〇〇三年以来の安値水準である二十ドル台まで落ち込みました。直近では、主要産油国による生産調整の動きも出てきましたので、若干持ち直して、五十ドル前後で推移をしているというのが現状であります。

 今後の見通しですけれども、やはり、長い目で見れば、これから新興国がどんどん発展をしていく、そうすれば、当然、原油の使用というのはふえていく、世界的にはふえていく、日本は減っていく形になるわけですが世界的にはふえていくというのが普通の見方だろうと思いますし、IEAの予測では、二〇二〇年には、やはり一バレル当たり八十ドルぐらいになるという想定も出ております。ですから、中長期的には原油価格が上昇していくというふうに我々は見ているわけでございます。

落合委員 ある程度具体的に書くというのは珍しいことであると思うんですけれども、提案理由のところにも、エネ庁の資料にも、五年程度というふうにわざわざ書いてあるわけですね。

 これは、どういう理由で書かれているのか。二〇二〇年ぐらいの予測ということなのか。役所が書いたので参考人の方がいいですかね。この五年の理由というのは何なのでしょうか。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二〇年あたりにやはり同様に上がっていくという国際的な見方もございまして、それを参考にさせていただいてございます。

落合委員 今は低空飛行していて、五年後からわっと上がっていく可能性が高いというこの説明の資料も少し疑問というか、説得力に欠けるなというふうに私は思います。

 さらにお伺いしますが、この前提条件に関連しまして、この法案をつくった背景ですね。

 政府の目標は、二〇三〇年に国産を含む石油及び天然ガスを合わせた自主開発比率を四〇%に引き上げると。これは六年前の閣議決定だと思うので、自民党政権より前ではあるとは思いますけれども、改めて伺いますが、目標に設定している自主開発比率という言葉の意味はそもそも何なのでしょうか。

中川大臣政務官 お答えさせていただきます。

 自主開発比率とは、日本に必要な石油とか天然ガスの量のうち、日本企業が持っている石油、天然ガスの量がどの程度あるのかの割合をあらわすものでもあります。

 正確に定義を申し上げれば、石油及び天然ガスの輸入量と国内生産量の合計、この合計に占める、日本企業が権益を保有する量と国内生産量の合計の割合になります。

 平成二十二年に閣議決定されたエネルギー基本計画において、二〇三〇年までに四〇%に引き上げることを目指すこととされております。

落合委員 これは、今、昨年度末は二七・二%という数字が出ております。二〇三〇年の目標として、それまでに十数%は上げて四〇%以上にしようということでございますが、四〇%まで引き上げるには投資金額というのはどれぐらい必要であるというふうに考えているのでしょうか。

 また、これから国費を入れる、積極的に入れていこうということなので、積極的に国費を入れることで二〇三〇年までにどれぐらいの国費を見込んでいるのでしょうか。

中川大臣政務官 一概にどのぐらいという額は今の現状で申し上げることは困難なんですけれども、御指摘のとおり四〇%以上とする目標というのでは、今後の石油、天然ガスの需要見通しですとか、さらには民間企業の中長期的な経営計画なども踏まえつつ、資源外交やリスクマネー供給などの政策資源というものを本当に総動員すれば達成し得る目標だというふうに定めております。

 もちろん資源価格動向などの不確実性はありますけれども、今後、日本企業が主導するオーストラリアでの大型LNGのプロジェクトが生産開始予定でもありますし、加えて、今回の法改正などを通じまして資源会社の買収などの取り組みへの支援を進めることで、この目標の早期実現を目指してまいりたいと考えております。

 その上で、先ほどの資金額については、プロジェクトごとに差があります。ですから、資源価格の変化もあり、一概には申し上げることはできませんけれども、リスクマネー供給の政策を進めるに当たっては、予算編成などを通じて、必要な資金額をよく吟味して、無駄とかさらには不足のないようにしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。

落合委員 二七・二%まで引き上げるまでも長い年月がここまでかかってきたわけです。これは簡単なことではないと思います。

 一方で、目標に固執する余りに、今回の法改正のようにどんどん国費をつぎ込めるような仕組みもつくっているわけですから、ガバナンスがきかなくなって、とにかくどんどんつぎ込んでいこうということにならないように、やはりガバナンスの問題というのは重要であると思います。

 今回、ガバナンスの重要な部分に関しては、細かい規定ですので、法改正の条文には入っていない、業務方法書等の規定を改定しというふうに書いてあります。

 公式に教えていただければと思うんですが、案件の審査とかリスクの管理体制を充実させるために、この業務方法書をどのように具体的に改定するんでしょうか。

山下政府参考人 JOGMECによる案件の採択に当たりましては、事業部門と独立をした審査部門による厳正な審査を行うこととしてございます。これは、法律に基づきまして大臣が認可して策定する業務方法書、そして、その業務方法書に基づいて策定して大臣が承認をします細則において担保をされてございます。

 今般の法改正にあわせまして、企業買収等におけるファイナンシャルアドバイザーなどの中立の外部専門家による資産評価のプロセス、それから、国営石油企業とのパートナーシップの構築に際して第三者委員会の意見を求めるプロセスを追加することにしてございます。こうした内容が新たに設けられる細則に盛り込まれて、ガバナンスの強化が担保されるよう、しっかりと確認をしていきたいと思ってございます。

落合委員 これから法改正が行われた後に具体的に進んでいくと思いますが、本当に公正中立なガバナンスがきいているのか、第三者の目がしっかりと生かされているのか、ここは場合によっては私も再度取り上げさせていただければと考えております。

 今回、JOGMECの資産をどんどん大きくすることができるようにするということで、その一つに、政府保証つき借り入れの対象も拡充するということでございます。これは、今の規模に対してどれぐらいまで大きくすることを想定しているんでしょうか。

中川大臣政務官 今回の補正予算では、国からJOGMECへの出資金といたしまして、海外の資源会社の買収などへの支援に一千五百億円、石油開発への追加支援に百二十四億円を計上しています。

 また、出資金による支援に加えまして、政府保証つきの借り入れを財源とした出資を上乗せすることができるように、およそ三千二百億円の政府保証つき借り入れ枠を設定したところです。

 以上を合わせて、今回の補正予算においては、合計で五千億円規模の支援枠を用意しております。

落合委員 ここも、毎年の予算にも計上していくでしょうから、しっかりと見ていかなければならない部分だと思います。

 どんどん業容を拡大していくということで、これは通告をしていないので可能ならお答えいただければと思うんですが、広い意味で、権益を獲得して資源を採取したら我が国に運んでくるということになるわけですが、今回の機能拡大の中で出資というものの対象を広げていく中で、この運搬の手段、例えば船舶とか港湾施設とか鉄道などもこの出資の対象として拡大することは含まれているんでしょうか。

山下政府参考人 今回の改正の拡充部分というのは、石油の開発のところの拡充と、それから企業自身を買収できることになるということでございますので、今先生おっしゃった鉄道とかそういったものは今回の対象には入っているところではございません。

落合委員 ありがとうございます。

 こういった形で、資源の権益への投資というのは、国際競争も激しくて、今までも多くの競争が行われてきて、リスクも高い。実際に、財務状況も、失敗している部分も今までもあったわけでございます。民間の企業で専門性が高い企業でも失敗することが多々あるということで、今後、そういった国際競争で戦っていく上で、専門職員の人材の確保ということは大変重要なことだと思います。

 先ほどもお給料の面でも見直していくというところもありましたが、具体的に、この専門職員の確保に当たりましてどのような計画をされていますでしょうか。

世耕国務大臣 これからJOGMECが投資、出資する案件というのはかなり大きいものも出てくるわけですから、当然、厳正な審査を行うことが重要ですし、そういう審査を行える人材の確保というのは重要であります。

 その審査に当たっては、まず一番入り口のところでは、その買収先の企業、投資先の企業が果たしていい案件とか権利を持っているのかどうか。これは、まさに今JOGMECでは、地質構造などの専門家、その鉱区の有望性とか、あるいはその鉱区で使う技術の有望性などを判断できる人材はいると思っていますから、ここは審査可能な人材は既に確保済み、今後も拡充していく必要はあると思いますが、既に確保済みだと思います。

 次にやらなければいけない審査は、今度は、買収、投資先の企業の、企業としての価値の判断、これはいわゆるデューデリジェンスというものになろうかと思いますが、そういうものとか、あるいは投資先の国のカントリーリスクの判断、こういったところをしっかり審査していかなければいけないというふうに思っています。

 そのために、まず、ファイナンシャルアドバイザーなどの中立の外部専門家による資産評価のプロセスを追加したい、これは外部の人材の力もかりたいというふうに思います。そして、JOGMECの内部でも、民間セクターで株式の評価や投資の実務をやったことのあるマネジャークラスの専門家を中途採用で外部から採用していきたいというふうに思います。そういうことで審査やモニタリングの体制の増強を行いたいと思っています。

 また、カントリーリスクの評価については、案件の審査の過程で、エネルギーや国際情勢の専門家、あるいは対象となる国や地域の専門家、あるいは石油、天然ガスの上流開発の専門家等から成る第三者委員会の意見を聞くプロセスを追加するということも考えております。また、JOGMECの職員が、投資後も、外部専門家などの知見も活用しながらモニタリングを行っていくという予定であります。

 このように、JOGMECの中で人も育てますし、外の専門的知見もおかりします。日本の人材を総動員して理事長のもとに結集させることで、大型の案件についても十分審査、管理が可能だというふうに考えております。

落合委員 これは、新しい組織ができると、役所からどどっと行ったり、また資源企業からどどっと来てモラルハザードが起きるということが起きないように、しっかりと見ていかなければならないと思います。

 ここで、率直に伺えればと思うんですが、資源外交、資源外交というふうに強調されていて、それを後押しするためにJOGMECが機能するようにしますということですが、ほかに国際協力銀行とかも同じようなジレンマがこれから起きるかもしれませんが、政府の外交方針、これはこうだと決めたことと、個別の案件で経済合理性を算定した結果というのはそごが出てくる可能性も起きてくると思います。そういった場合にJOGMECはどう行動するべきだというふうに大臣は思われますでしょうか。

世耕国務大臣 これは当然、資源外交とかあるいは資源以外の外交の面から、政府が何らかの形で、こういう案件に出資、投資をしてはどうかという提案をする、要請をすることはあると思います。

 ただ、JOGMECはあくまでも独立行政法人として、その案件がきちっとリターンが期待できるものなのか、あるいはその案件に投資することによってJOGMEC全体のポートフォリオ、利回りはどうなるのか、そういうことをしっかり考えて、これはJOGMECとして独立して判断をしていただくべきものだと思っております。

落合委員 そこが一番これから重要になってくると思います。リスクも高い、それから金額をどんどん引き上げていくという中で、政府の外交方針からの独立性、ある程度協調するけれども、分岐点に立ったときにどうするのか、独立性はあるのか、これはしっかりと確保されていくようにこれからも見ていかなければならないと思います。

 それでは、最後の方ですが、今回、これは、通った後に、公布即施行というふうになっています。これは大変珍しいことだと思うんですが、通常であれば準備期間とか周知期間を置くはずなのに、何でこの法案だけは急いで即施行なんでしょうか。

世耕国務大臣 これは、やはり原油価格が低迷しているということがありまして、そして、石油権益の資産価格が今低下をしているということで、例えば、アメリカでも中堅企業がシェールガスの子会社を売却しました。サウジアラムコが今上場を考えています。非常に動きが早いんですね。資源会社の資産や株式を売却する動きが非常に動き始めています。

 そういう中で、既に中国やインドは、こうした動きに迅速に対応して、国と国営石油企業が一体となって、世界じゅうで権益獲得や企業買収に動いています。欧米メジャーも今動き始めています。

 そういう中で、やはり我が国にとって、今こそ、集中投資でエネルギー安保を強化する絶好の機会でありまして、この機会を逃さないように、早急にJOGMECの体制を整える必要がありまして、珍しいことではありますけれども、施行日を公布即施行という形にさせていただきました。

落合委員 これは、いろいろな規定も直すにもかかわらず即施行というのは大変珍しいと思います。

 最後に、改めて確認ですが、これを急ぐ理由は、具体的な案件があるから、もう本当に一日でも急がなきゃいけないという想定があるわけではないということですね。

世耕国務大臣 現時点で個別具体的な案件を想定して、法改正をお願いしているわけではありません。

落合委員 今回のJOGMEC法の改正によって、資産が大きくなっていく、そして国民の税金がもっと使われるようになるということになります。

 これは、和製メジャーをつくっていくということには賛成ですが、やはり国の役割、国費を使う場というのは、やるべきところはやるべきですが、なるべくやるべきでないところは引いていくべきであるというふうに考えます。法が施行された後にどのように運用されていくか、しっかりと注視していかなければならない問題だと思いますので、私も注目させていただければと思います。

 本日はありがとうございました。

浮島委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時三十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時十四分開議

浮島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。真島省三君。

真島委員 日本共産党の真島省三です。

 世界で五番目の温室効果ガス排出大国日本は、パリ協定の合意を踏まえ、脱炭素化に向けた長期戦略を明確にし、実践していく責任があると思います。しかし、本法案は、提案理由を見ましても、この資源確保戦略には、脱化石燃料という視点が見えてきません。

 この間、日本政府が策定しましたエネルギー基本計画やエネルギー長期需給見通しでは、二〇三〇年の一次エネルギーの化石燃料比率を二〇一四年比でどれだけ低減するようにしているんでしょうか。

日下部政府参考人 今の御質問でございますけれども、二〇一四年度の一次エネルギー供給に占める化石燃料の比率、これは九二%です。この比率を、エネルギーミックスにおきましては、二〇三〇年度段階で七六%、このように示しております。

真島委員 七六%というのは依然として依存度が高いままだと思うんですが、原発と石炭火力をベースロード電源と位置づけているエネルギー基本計画はパリ協定と両立しないと私は思います。福島第一原発事故で未曽有の被害を経験した日本だからこそ、原発にも石炭火力にも依存せず、積極的な目標で世界の温暖化対策に貢献していくべきだと思います。

 そもそも、我が国が原油などエネルギー価格の変動の影響を受けやすいというのは、一次エネルギーの化石燃料比率や輸入依存度が極めて高いからです。

 この間、先物取引などによる異常な投機、中東情勢の緊張、発展を続ける途上国のエネルギー需要の増加、そして、アベノミクスによる円安政策の影響などで燃料価格が高騰してきました。

 中長期的に急激な価格高騰のリスクがあるというのであれば、中小企業や国民生活への打撃が大きく、環境への負荷が大きい化石燃料依存から、今こそ脱却をしなければいけないんじゃないでしょうか、大臣。

世耕国務大臣 今委員御指摘のように、石油を初めとする化石燃料は、国内外の情勢等によって価格変動するとともに、CO2の排出など環境面でも課題を抱えているわけです。こうした課題を克服することが重要です。

 このため、再生可能エネルギーの最大限の導入、そして安全最優先で、安全性の確認された原子力の活用、そして省エネ法、高度化法による発電事業者の発電効率の向上や販売電力の低炭素化など、化石燃料依存度の低減に取り組んでいく必要があると思っております。

 しかし一方で、化石燃料は、二〇三〇年度という将来においても、まだ一次エネルギーの大半を占めるエネルギー源となると見込んでおります。資源の調達先の多角化や積極的な資源外交等を進め、引き続き、安価で安定的な供給確保にも取り組んでいく必要があります。

 このような取り組みを通じて、日本経済や国民生活の土台である、安価で安定的なエネルギー供給を実現してまいりたいと思います。

真島委員 自主開発比率の引き上げ、つまり我が国企業の石油、天然ガスの権益の拡大、それがそのまま化石燃料依存度や資源の輸入依存度の低減につながっていくわけではありません。

 エネルギー安全保障を強化するというのだったら、再生可能エネルギーの本格的な大量導入で、エネルギー自給率こそ引き上げていくべきではないでしょうか。

世耕国務大臣 我が国のエネルギー自給率は現在六%でありまして、委員御指摘のとおり、これをできる限り改善していくことがエネルギーの安定供給の観点から重要だと思っております。

 こうした中、エネルギーミックスでは、東日本大震災以後、大きく低下した自給率を震災前を上回る二五%程度まで改善することを政策目標の一つとしております。

 この実現に向けて、再生可能エネルギーの最大限の導入、安全性の確認された原子力の活用、国産資源の開発を進めてまいりたいと思います。

 なお、再生可能エネルギーについては、FIT制度を見直して、入札制の導入等でコスト効率的な導入を促すとともに、技術開発、規制改革にもあわせて取り組んでまいります。

真島委員 さて、大臣は、一昨日の本委員会の質疑で、旧石油公団というのはやはりいろいろな問題があった、JOGMECはもともとその反省に立ってできている組織として、「例えば、まず、融資は行わないで出資に限るといったことを行いました。また、支援割合についても、上限は五割。ということは、あくまでも民間主導で、JOGMECはサポート役ということも明確にさせていただきました。」と答弁されました。

 確認したいんですけれども、JOGMECは、融資は行わないで出資に限っているのでしょうか。

日下部政府参考人 JOGMECによる支援のやり方のお尋ねだと思います。

 まず、JOGMECによる石油開発に対する支援の方策につきましては、平成十三年の特殊法人等整理合理化計画におきまして、石油公団が廃止され、上流開発プロジェクトへのリスクマネー供給機能につきましては、融資ではなくて出資に限る、支援割合は民間主導の原則から五割を上限とするということを踏まえておりまして、石油開発の分野では、融資は行っておりません。

 他方で、JOGMECは、金属鉱物の探鉱とか石油備蓄、あるいは鉱害の防止、こうした分野の支援も行っております。こうした分野につきましては、こうした背景はございませんので、融資による支援は現在も行っております。

真島委員 それでは、その融資件数、残高は幾らになっているでしょうか。

日下部政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十七年度末現在、融資を継続しているプロジェクトの件数とその残高でございますが、それぞれ、まず、金属鉱物の探鉱に必要な資金の貸し付けにつきましては、十件、約百九十四億円となっております。石油の備蓄に必要な資金の貸し付けにつきましては、十五件、約八千三百十四億円となっております。金属鉱物等による鉱害の防止に必要な資金の貸し付けでございますが、これは二十三件、約二十五億円となっております。

 なお、新規案件の採択は既に行っていないんですけれども、平成二十四年にNEDOから承継をした、石炭産業の近代化のための資金の貸し付けという業務がございます。これにつきましては、三件、約百四億円の残高がございます。

真島委員 次に、債務保証について、石油公団廃止法案とJOGMEC法案の一括審議を行った二〇〇二年の本委員会で、当時の資源エネルギー庁の河野博文長官は、よりリスクの大きい探鉱段階では出資を、開発に移行したら債務保証を企業は選好する、出資をやった上に債務保証を上乗せするようなことはございませんと答弁しています。

 出資も債務保証も受けるような例はありませんね。

日下部政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘は、二〇〇二年の石油公団廃止法案及びJOGMEC法案の審議の質疑における、当時の河野資源エネルギー庁長官の答弁で、「出資もやった上に債務保証を上乗せするということではございません」と答弁をしたことを受けての御質問だと認識しております。

 この河野当時の資源エネルギー庁長官の発言は、探鉱段階、これに関連する答弁であると認識をしております。事実、探鉱段階では、非常にリスクが高いので、民間金融機関の融資も通常は想定されておりません。したがいまして、出資と債務保証をあわせて行った事例はJOGMECにおいて存在をしないということでございます。

 なお、開発段階になりますと、一定のリスクと巨額の費用を伴う、例えばLNGプロジェクト、あるいは天然ガスの資産買収案件において、JOGMECが出資と債務保証を併用した事例が既に幾つか存在をしております。

 また、今般の法改正におきまして、これまで債務保証のみによる支援を行うこととしていた石油の開発段階の案件、これにつきましても、近年、案件の大型化、あるいは技術的な難易度が相当上昇していることを踏まえまして、出資との併用を可能とする内容を御提案させていただいている次第であります。

真島委員 次に、JOGMECの出資は五割が上限というこのルール、これは厳格に守られているんでしょうか。

日下部政府参考人 今御指摘の出資比率の問題です。

 石油公団改革の結果、石油開発のためのリスクマネー供給機能は出資に限定をされ、支援割合は五割以下とされました。その後、実は平成十八年の総合資源エネルギー調査会石油政策小委員会におきまして、国際的な資源獲得競争の激化あるいは技術的困難性の増加を踏まえて、リスクマネー供給強化を図るべきだという政策的な必要性から見直しが行われており、探鉱出資案件の必要資金の七五%まで支援する制度が導入されておりますけれども、仮に、このようにJOGMECが五割を超えて出資する場合には、無議決権株式の取得に限定をしております。これによりまして、民間サイドの持っている議決権ベースでの株式の割合が五割を超えるような形のルールになっておりまして、あくまで民間主導によるプロジェクト推進の原則を逸脱しないような形での対応がなされているということでございます。

真島委員 今おっしゃった、議決権ベースで、JOGMEC側からいうと五割未満というのは、今御説明があった、〇七年度、規模が大きいなどの一定の要件を満たす案件について、特例的に上限を最大七五%に拡大したという運用の見直しをしたときの要件にしたものなんですね。

 JOGMECの設立時の国会答弁、つまり国民への約束は、出資上限は五割ということしかその当時はなかったんですよ。その後に運用上変更されたんですね。

 その上、リスクマネーは出資に限定するというJOGMECの設立時の約束も、二〇一〇年と二〇一二年の法改正で、出融資対象やリスクマネーの供給先が拡大されてきました。

 民間主導でJOGMECはサポート役と大臣はおっしゃったんですが、実態は、資源開発のリスクを国がどんどん肩がわりして、開発成果は巨大商社や石油元売に譲り渡すという形になっています。

 配付資料一をごらんください。これは、JOGMECの出資支援事業のうち、現在までの事業終結案件についてまとめたものです。直近のものまでまとめております。

 石油、天然ガス分野で出資しました五十三件のうち、探鉱に着手したものの、うまくいかず、やめてしまった事業終結が四割強の二十二件、出資総額は九百四十億円になります。失敗したプロジェクトのほとんどが、先ほど言った、二〇〇七年に一定規模以上の案件の出資上限を七五%まで引き上げた後のものなんですね。〇七年から一三年の出資案件の多くが出資比率五割を超えております。

 JOGMECがリスクを引き受けることで、精度の低い探鉱プロジェクトを招いたんじゃないでしょうか。これまでの答弁で、採択の審査をどういうふうにして、誰の責任なんだというのは答弁がありましたので、これはもう答弁を求めませんが、各案件の失敗の原因をどのように分析されて、どのように国民に開示をされておられるのか、お答えください。

日下部政府参考人 JOGMECの平成十六年の設立以来、平成二十七年度末までに、累計五十三事業、五千百十八億円を出資しております。このうち、現在二十一事業で石油、天然ガスの十分な量の存在が確認をされております。

 一般的に、石油、天然ガスの探鉱事業は非常にリスクが高いものですから、大部分が商業化まで至らない事業であることを考慮すれば、さらによい成果を目指すことが求められておりますものの、一定の成果を上げていると我々は認識しております。

 実は、案件の採択審査については、もともと事業部門から独立した審査部門により、技術面あるいは経済性の観点での審査を踏まえまして、その上でJOGMECの理事長が採否を決定しております。当然、その際、経産大臣はエネルギー政策との整合性の観点から確認を行っております。

 今御指摘のありました、案件の事業終結した要因につきましては、探鉱の結果、石油、天然ガスの発見に至らない、あるいは、石油、天然ガスの発見は確認されたものの、商業化に十分な規模の石油、天然ガスの埋蔵量の発見に至らなかった、こうしたいずれかの件に該当するものだと分析をしております。

 あわせまして、JOGMECにおきましては、こうした不成功要因の技術的な分析を行った上で、他案件の評価の際の参考としております。また、事業終結案件につきましては、出資額あるいはその要因等も含めて、個別案件ごとにプレスリリースで情報を開示し、透明性を確保しながら事業を進めている、こういう状況にございます。

真島委員 今言われた事業の終結についてのプレスリリースというのがあるんですけれども、それを見ますと、なぜやめたのかというところは、探鉱活動継続に足る十分な経済性の確保は困難であると判断をし、撤退することにしたものです、これだけしかないんですね。そして、JOGMECの出資額は幾らだったかとか、A4一枚の簡単な説明です。

 これは根本的には、出資者は国民なんですよね、JOGMECを通じて。国民に対する情報開示がこれでいいんでしょうか。個々のプロジェクトごとに、もっと詳細な開示はなぜできないんでしょうか。

日下部政府参考人 石油開発、探鉱事業につきましては、かなりリスクの高い事業であります。今委員がおっしゃったように、その成功、不成功、特に不成功の案件については、なるべく丁寧に説明をすることが必要だと思います。

 従来、こういう形で、JOGMECの方におきましては、大体、不成功の理由は、やはり発見ができなかった、あるいは量が少なかった、こうした議論をしておるんですけれども、より、どうした形で説明をすればいいのか、そこについては、さらに改善の余地があるとするならば、我々の方でJOGMECとよく話をしながらこれから議論をしていきたいと思います。

真島委員 旧石油公団の反省の上にJOGMECがスタートしたということで、先日、大臣も答弁されていましたけれども、今の御答弁というのは、国民に対する開示という点で、ちょっと私も驚きました。本当にそんなことでいいんでしょうか。

 私は、先日来、レクチャーで、資源エネルギー庁ともやりとりしてきましたけれども、なぜこれ以上詳しい開示ができないかというと、関係している民間企業が嫌がるんです、特に上場していないところとかが嫌がるんです、だからできないんですというふうに御説明はありましたけれども、私は根本的に、そもそも失敗したときに、国民にきちんと説明責任を果たせないようなことに国費を投じていいのかというふうに思うんですよ。

 多額の欠損金を生んだ反省もないままに、JOGMECのリスクマネーの供給対象を今回拡大する、資源会社のために権益を獲得する、こういうことをやっていたら、かつて多額の欠損金を出して、国民の批判を浴びて廃止された石油公団の教訓はどうなっているのかということになると思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 やはり、資源の探査というか探鉱というのは、これは全部が成功できるわけではないんです。やはり、だめだということもあるんです。私は、今のところJOGMECは、成績、打率と言うと変ですけれども、ある程度の確率でかなり掘り当てている、事業化できている、開発につながっているというふうに思っております。

 ただ一方で、当然、失敗した案件については、これは国民にしっかりお知らせはしていかなければいけないし、JOGMEC全体としてのパフォーマンスがどうなっているかということもしっかりお見せをしていくことが重要だというふうに思っております。

真島委員 民間企業だったらそれでいいんです。資源開発にはリスクがありますし、失敗することがあります。でも、ここまでしか明らかにできませんというんだったら、民間の資金で完全にやっているんだったらそれでいいんですけれども、お知らせじゃだめだと思うんですよ。国民のお金を預かって、それを運用して支援して失敗しているわけですから、それをきちっと国民に、原因などを分析して、きちっと返せない、私は本当にそういう事業に投じていいのかというふうに思うんです。そういう状態のまま、またその対象を拡大するとか、そういうことをしていいのか。

 本法案は、JOGMECの出資先を、これまでの個々の資源開発のプロジェクトのみだったものから、資源開発企業の買収、MアンドA案件まで拡大をし、あわせて出資の原資となる借入金に政府保証枠をつけるというものになっているんですが、民間資源開発会社のために、資源安の好機だといって権益を買いあさる、リスクだけは引き受けます、こういう法案では、私は石油公団の二の舞になっていくと今のお答えを聞いて思いました。

 次に、経産省の法案説明では、現状を看過すれば、欧米メジャーや中国、インドの国営石油企業との格差は致命的になるとして、国内資源開発会社の財務基盤の弱さ、投資額の減少を法改正の必要性として挙げておられるわけなんですが、我が国の資源開発会社というのは、足元で原油安による減損を計上しておりますけれども、その一方で、短期的な効果を生みやすい企業買収案件には投資を集中しているという状況ではないでしょうか。

世耕国務大臣 一昨年来の原油価格の低迷を受けまして、我が国の上流開発企業の投資額は、現実、大幅に減少しております。投資の源泉となる利益についても、赤字を計上した企業も少なくないという状況であります。結果として、格付の下がった企業も多い、お金が集めにくくなってきているわけであります。

 また、金融機関も上流開発企業への追加的な融資については極めて慎重な態度となってきています。

 こうした中、我が国の上流開発企業は、厳しいコスト削減や投資の縮小、あるいは投資先を短期で結果が出るものに絞っていくなどの対応を余儀なくされておりまして、新たな資産や権益取得のための余力が極めて乏しくなっているのが現状であると認識をした上で、今回、法改正をお願いしております。

真島委員 確かに、二〇一五年三月期、資源価格低迷の影響により、我が国の商社や石油会社などの資源開発主要九社で八千億円の損失を計上しております。その一方で、資料二をごらんいただきたいんですが、投資意欲が旺盛な面もあるんですね。

 これは、ことしの四月から七月の日経新聞の記事なんですが、住友金属鉱山が、例えばチリ銅鉱山の減損で十四年ぶりの経常赤字になると発表した直後に、米銅鉱山に一千百億円出資するということを決めたということを初め、我が国の商社や石油会社は、不採算案件をこの機に思い切って整理して、優良案件に投資をしていくという選択と集中を進めているというのが実態だというふうに思います。

 本法案では、追加した業務及び天然ガスの液化に必要な資金を出資するために必要な費用として、経産大臣の認可を受けて、長期借入金をし、または債券を発行できるとしています。

 先日決まりました二〇一六年度第二次補正予算では、政府借入枠に三千億円追加をし、総枠は三兆円となりました。そのうち、企業買収等への支援に使える資金というのは一兆四千億円、おおよそ百四十億ドル余だと思うんですが、この額というのは、権益取得、企業買収や投資に使える額ですけれども、欧米のメジャーとか中印の国営石油企業が投じている額にほぼ匹敵するぐらいの規模に一気になったんですね、このことによって。

 二〇〇三年三月に、石油公団が保有する開発関連資産の処理に関する方針というのが出ていますが、そこで、上流専業の中核的企業の形成、いわゆる和製メジャー構想が打ち出されています。その方針の中では、中核的企業は、「高度な経済性分析や経営戦略立案を実行しうる経営能力と、海外でのオペレーターシップを効率的に遂行できるだけの高い技術力とを兼ね備える必要がある。」としています。

 経産省の法案説明では、我が国上流企業は財務基盤に乏しく、競争に立ちおくれている、本法案は、JOGMECに企業買収等への支援メニューを追加するんだということなんですけれども、私は、民間企業をこんなに至れり尽くせり甘やかしていたら、欧米の巨大メジャーとか中印の国営企業との激しい競争に伍していけるような、今言われた経営能力とか技術力を兼ね備えた企業はいつまでたっても育成されないんじゃないかと思うんですよ、目先のお金に甘え続けて。それはどうでしょうか。

世耕国務大臣 決して甘やかすつもりはありません。しっかりと中核的企業を育成していかなければいけませんし、その育成のために、JOGMECによる支援策も活用していきたいと思っております。

 ここまでも、既に着実に成果が上がってきています。具体的には、国が中核的企業として位置づけているINPEXの生産規模は、二〇〇六年度の日量約四十一万バレルから、二〇一五年度には五十一万バレルに増加をしております。

 また、このINPEXは、オーストラリアのイクシスLNGプロジェクトにおいて日本企業として初めてオペレーターを務め、この生産開始等により、生産規模は日量六十から七十万バレル程度まで増加する見込みとなっております。

 今回の支援策は、MアンドA等による最先端の経営ノウハウや技術力等の獲得を、あくまでも民間主導の原則のもとで推進するものでありまして、中核的企業育成のさらなる加速に資するものだと考えております。

真島委員 あくまでも民間主導とおっしゃるんですけれども、世界で見て、国営企業は別にして、民間企業に対してこんなに至れり尽くせりで、げたを履かせて支援をしている、リスクを引き受けて支援しているような国はないですよね。

 ことし三月の総合資源エネルギー調査会資源・燃料分科会で石油鉱業連盟の副会長が、原油安期間に限定してJOGMECの探鉱出資比率を最大九〇%に高めてほしい、もっと国にリスクをとってくれという本当に厚かましい発言をしておりますが、七月に出ました同分科会の中間論点整理を見ますと、優良権益確保のために、資源外交の推進体制の強化とともに、JOGMECによるリスクマネー供給支援の充実が必要だと、業界の要望に応じるような形になっておりまして、その後、本法案が提出されているわけです。

 JOGMECの出資対象を企業買収、MアンドAまで拡大するということは、このような資源開発会社の投資リスクを一層国が肩がわりして、開発成果は巨大商社や石油元売が独占するということにしかならないと、私は今のお答えを聞いて改めて思いました。

 最後に、対ロ経済協力についてお聞きしたいと思います。

 二〇一四年三月のロシアによるウクライナ領クリミア半島の併合、これは、国連憲章にも国際法の原則にも反した、侵略行為そのものであり、断じて許されないと思います。編入を認めないという国連総会決議が採択をされました。米国やEUは、エネルギー分野も制裁対象とし、編入にかかわった人物や企業を特定して新規融資を禁止、抵触すれば罰金も科しています。

 一方で、我が国は、特定個人のビザ発給停止、資産凍結や輸入禁止措置を講じておりますけれども、エネルギー分野、金融機関や企業への新規融資は対象外として継続をしております。

 ロシア経済は、この間の欧米各国による経済制裁や国際的原油価格下落の影響を受けまして急激に悪化しておりますけれども、まるでそれに助け船を出すように、安倍総理は、五月の日ロ首脳会談で八項目の協力プランを提示し、九月には、世耕経産大臣をロシア経済分野協力担当大臣と、特定の国の名前を冠した経済協力という大臣を史上初めて任命された。

 ちょっとお聞きしたいのは、国際協力銀行、JBICが、年内にロシア大手銀行のズベルバンクに円建てで約四十億円の異例の単独融資をするということが日経で報じられました。また、JOGMECによるロシア国営石油会社ロスネフチの株式取得なども浮上をしていると言われております。

 こうしたことは、米国やEUが対ロ制裁で、このズベルバンクを含む一部の金融機関や企業への新規融資は事実上禁じているわけですね。それとか、エネルギー分野も制裁対象にしているという中で、日本がこういうことでどんどん前のめりで協力していくということは、米国やEUと矛盾しないでしょうか。これは外務省の方からお願いします。

武井大臣政務官 お答えいたします。

 我が国は、この五月に、ソチで安倍総理から提案をしました八項目の、今委員からお話がございました協力プランでございますが、この具体化を初めといたしまして、互恵的な日ロ経済の発展に向けた取り組みを行っているところでございます。

 他方、この八項目の協力プランを含めまして、我が国の対ロ経済外交は、我が国及び欧米の対ロ措置とは何ら矛盾するものではございません。御指摘のJBICによる融資につきましても、この対ロ措置に抵触しないものであると考えております。

 御指摘のJBICによるロシアへの単独融資案件は、日本法人であるJBICが日本円により融資を実施するものでありまして、欧米の対ロ制裁に抵触するものではないと考えております。

 以上であります。

世耕国務大臣 これは、安倍総理自身も、G7やあるいは個別のいろいろな国との首脳会談で、このウクライナに対する制裁、この連帯は絶対に破らないということを約束されております。私も、経済分野協力担当大臣としてこれから協力プランを進めていくわけでありますけれども、制裁には絶対抵触しない形で進めていきたいというふうに思っております。

真島委員 抵触しないと。だから、米国やEUと日本の制裁の中身は違うわけですから、日本の制裁には、決めていることには抵触しないですけれども、これで、いわゆるクリミア半島の問題を初め、ロシアに対する国際的な経済制裁の足並みが完全に乱れていくというか、では、何のために制裁しているのかというふうに、もう崩れていくと思うんですよ、日本がここに踏み切れば。

 よく北朝鮮制裁で、実際、実効あるものをなんというのは中国がちゃんとやっていないからだと問題になるじゃないですか。その中国と逆に、日本がロシアとの間でそういう関係になってしまうんじゃないかと思うんですが、その辺の危惧はありませんか。

世耕国務大臣 済みません、制裁の内容については外務省からお答えいただかなければいけないんですが、日本の制裁というのも別に欧米とそんなに遜色のあるものではないというふうに思っております。

 安倍総理は、例えばオバマ大統領との会談でも、累次にわたってきちっと説明をして、ウクライナに関しては、連帯は絶対に崩さない、しかし、日本はロシアとは平和条約がないという固有の問題があって、対話はしていかなければいけないということもきちっと話しておられます。

 私も担当大臣として、経済協力のプランが万が一にも欧米から何か指摘を受けるようなことがないように、しっかりと管理をしてまいりたいと思っております。

真島委員 EUとかの対ロ制裁というのは、ロシアへの制裁であると同時に、自分たちにも返ってくるような中身で、非常に、制裁しながらも自分たちも苦しいという、そのくらい腹をくくってやられていると思うんですけれども、そういう中で、東の方で、私はこれで大丈夫なのかなというふうに危惧をしております。

 それで、今、平和条約交渉の問題も言われましたので、こうしたロシアへの異例な経済協力だと私は思うんですが、担当大臣も置いて、八項目というのは、十二月に控えている日ロ首脳会談を前に、北方領土問題の解決に向けて環境を整備する狙いなんだということが報じられておりますけれども、領土問題というのは、根本的には、国際的な道理に基づいて交渉を積み重ねて解決していくということがやはり筋ではないかと思うんですが、経済協力と領土問題の関係、ちょっとお答えください。

世耕国務大臣 基本的には、経済協力は領土問題からは独立したものだというふうに思っております。

 日本にとっては、ロシアというのは日本の産業界にとってはフロンティアなんです。貿易額一つをとっても、中国の十分の一であります、これだけの隣国でありながら。まだまだ伸びしろのある分野だというふうに思っています。

 ですから、私は、今回、八項目の協力プラン、これは一方が一方に協力をするのではなくて、日本も得るものが幾つもあると思っておりますけれども、こういう協力プランを日ロが経済分野でウイン・ウインの関係で進めていくことが重要だというふうに思っています。

 ですから、四島の問題、私は経済産業大臣であり、経済分野協力担当大臣でありますから、外交の権限は基本的にはありませんので、四島の問題は経済協力とは切り離して、外務大臣が交渉され、そして、最終的には首脳間で話し合われる問題だというふうに私は思っています。

 ただ、この経済協力によって、両国の環境をよくする、そういう意味はあるのかなというふうには思っております。

真島委員 独立のものだと。

 では、本当にウイン・ウインの関係になるものなのかということを一つずつ、今後、よく精査をしていかなきゃいけないと思います。

 質疑時間が終わりましたので、終わりますけれども、日ロの領土問題というのは、そうじゃないとおっしゃったからあれですけれども、そういう経済協力というびほう策の繰り返しでは解決しないと思いますよ。やはり国際的な道理、戦後の領土不拡大という原則を破って千島列島を占有した旧ソ連の誤りから始まっているわけなので、やはりそこに立ち返って、不公正を正していくということで頑張っていただきたいというふうに思っております。

 以上で質問を終わります。

浮島委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。藤野保史君。

藤野委員 私は、日本共産党を代表して、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 反対理由の第一は、温室効果ガス主要排出国である我が国には、今まさに審議中の脱化石燃料に向けた気候変動条約、パリ協定を早期に批准、承認し、それを実践する責務があるにもかかわらず、本法案にはこの視点も対策も全く欠落しているからです。

 我が国は、いまだ、二〇三〇年の化石燃料比率を七六%と見込み、原発と石炭火力をベースロード電源と位置づけています。これでどうして温暖化を防止する未来への役割が果たせるのか。国際的な批判を免れません。

 東電福島第一原発事故による未曽有の被害を教訓とし、原発にも石炭、石油火力にも頼らず、再生可能エネルギーを飛躍的に導入することこそ、世界の流れに沿う道です。その上で、この道筋と整合のとれた資源確保戦略が策定されなければなりません。

 反対理由の第二は、リスクマネー供給対象の拡大が、多額の欠損金を出し、国民の大きな批判を浴びて廃止された石油公団の轍を踏むおそれがあるからです。

 JOGMECのリスクマネー供給は出資に限り、上限は五割にするとしながら、実際には出資上限を七五%とする特例が講じられています。質疑の中で、出資先の四割が事業終結に至っていることも明らかになりました。九百四十億円もの出資金を毀損させた理由と責任、プロジェクトの評価や収支は国民の前に明らかにされていません。法改正によるリスク管理の強化を口実に、国民と国会に対する情報開示を後退させるようなことになれば、一兆三千億円もの不良債権が問題となった石油公団の二の舞となりかねません。

 反対理由の第三は、国営石油企業の買収やMアンドAにまで出資対象を拡大することが、真に国民の利益に合致する資源外交との整合性の担保がないばかりか、国民に還元されるべき資源開発の成果を資源開発会社に独占させることになるだけだからです。

 巨大商社や石油会社は、原油安による資産価値下落のさなかにも、積極的に権益の獲得に走っています。多国籍企業化した資源開発会社による、短期的な効果を狙った事業の選択と集中という、いわば投資リスクを国民に肩がわりさせ、これまで以上に資源開発の成果をひとり占めさせるものになりかねません。

 以上の問題を指摘し、反対討論といたします。(拍手)

浮島委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

浮島委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、吉川貴盛君外三名から、自由民主党・無所属の会、民進党・無所属クラブ、公明党及び日本維新の会の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。北神圭朗君。

北神委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」という。)における案件の審査の実施にあたっては、法の目的・趣旨に厳格に従うとともに、当該案件の採択による現在及び将来の我が国国内の資源とエネルギー産業に対する影響や案件当事国の環境・社会面への影響等も検討するなど、多方面から厳正かつ適正に行うよう努めること。

 二 海外資源会社の買収や産油国国営石油企業株式の取得等の業務拡充措置については、政府保証付き長期借入金等による資金調達が可能とされること、機構以外の者への譲渡の期限の定めのないこと等から、場合によっては経済性の少ない権利の取得等が行われ国民負担が生じる懸念があることを十分踏まえ、機構内において厳格な審査を行い得る人材の確保のほか、外部の専門家による資産評価や第三者委員会による確認の手続きを講じるなど審査体制を整備し、業務に係る意思決定の客観性・透明性を確保するとともに、事後の評価に資する十分な情報公開に努めること。

 三 海外資源会社の買収や産油国国営石油企業株式の取得等の業務の実施については、それに伴い獲得が期待される石油等が我が国への低廉で安定的な資源供給に資するよう、あらかじめ我が国におけるニーズを把握した上でその利用のために万全の対応を図るとともに、対象となる国からの輸入状況等については、適切な情報開示を行い、説明責任を果たすこと。

 四 石油開発技術は、将来に向けてさらなる技術の高度化・広範囲化が求められ、技術が複雑化していることを踏まえ、機構において、幅広い知見を持ち、最適な技術を選択できる人材の育成に積極的に取り組むこと。

 五 油価低迷等の世界的なエネルギー情勢の変化を踏まえ、我が国自主開発目標の早期達成に資するものとなるよう、機構による民間支援業務を効果的に実施するとともに、政府系金融機関による支援措置等、政府及び関係機関一体となった権益獲得の取組を図ること。

 六 産油国国営石油企業株式の取得による戦略的パートナーシップの構築にあたっては、産油国国営石油企業との間で長期的かつ総合的な取組を進め、信頼関係の構築により将来の権益獲得に資するものとなるよう、担当人材の育成等の組織体制の強化等に努めること。

   併せて、我が国に対する信頼が一層深まるよう、政府においても資源外交を積極的に展開するとともに、将来的な権益獲得に向けて、政府、機構、民間資源開発会社が緊密に連携して取り組むこと。

 七 独立行政法人に対する国民の厳しい見方があることを踏まえ、真に機構が国民のために必要な行政サービスを提供し、かつ国民に信頼される運営を構築するために、業務・組織の改革に取り組むよう、必要な措置を講ずること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

浮島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

浮島委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、世耕経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。世耕経済産業大臣。

世耕国務大臣 ただいま御決議のありました本法案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

浮島委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

浮島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十八分散会


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