衆議院

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第8号 平成29年4月14日(金曜日)

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平成二十九年四月十四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 浮島 智子君

   理事 うえの賢一郎君 理事 大見  正君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 白須賀貴樹君

   理事 吉川 貴盛君 理事 北神 圭朗君

   理事 近藤 洋介君 理事 高木美智代君

      穴見 陽一君    石川 昭政君

      小倉 將信君    尾身 朝子君

      岡下 昌平君    梶山 弘志君

      勝俣 孝明君    神山 佐市君

      黄川田仁志君    工藤 彰三君

      佐々木 紀君    塩谷  立君

      島田 佳和君    高木 宏壽君

      中川 俊直君    星野 剛士君

      三原 朝彦君    宮崎 政久君

      八木 哲也君    簗  和生君

      山際大志郎君    大畠 章宏君

      落合 貴之君    篠原  孝君

      鈴木 義弘君    田嶋  要君

      中根 康浩君    福島 伸享君

      中野 洋昌君    清水 忠史君

      畠山 和也君    真島 省三君

      木下 智彦君

    …………………………………

   経済産業大臣       世耕 弘成君

   経済産業大臣政務官    中川 俊直君

   政府参考人

   (内閣府知的財産戦略推進事務局長)        井内 摂男君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           丸山 雅章君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房総括審議官)         田中 繁広君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     鍜治 克彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通保安審議官)     住田 孝之君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           吉村 忠幸君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           竹内 芳明君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          柳瀬 唯夫君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局通商機構部長)       渡辺 哲也君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          末松 広行君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官) 小澤 典明君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            藤木 俊光君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        山下 隆一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            高島 竜祐君

   経済産業委員会専門員   木下 一吉君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十四日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     黄川田仁志君

  畠山 和也君     清水 忠史君

同日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     神山 佐市君

  清水 忠史君     畠山 和也君

    ―――――――――――――

四月十三日

 外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案(内閣提出第四一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案(内閣提出第四一号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

浮島委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣府知的財産戦略推進事務局長井内摂男君、農林水産省大臣官房審議官丸山雅章君、経済産業省大臣官房総括審議官田中繁広君、経済産業省大臣官房地域経済産業審議官鍜治克彦君、経済産業省大臣官房商務流通保安審議官住田孝之君、経済産業省大臣官房審議官吉村忠幸君、経済産業省大臣官房審議官竹内芳明君、経済産業省経済産業政策局長柳瀬唯夫君、経済産業省通商政策局通商機構部長渡辺哲也君、経済産業省産業技術環境局長末松広行君、経済産業省製造産業局長糟谷敏秀君、資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官小澤典明君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長藤木俊光君、資源エネルギー庁資源・燃料部長山下隆一君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史君及び中小企業庁経営支援部長高島竜祐君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石川昭政君。

石川委員 おはようございます。自由民主党の石川でございます。質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 私は、世耕大臣が九八年に初めて国政に進出するころから存じ上げておりまして、きょうこの日を迎えられること、本当に感慨深い思いで質問に立たせていただきたいと思います。

 昨年八月に世耕大臣が経済産業大臣に御就任されてから、世界も日本も非常に経済が大きく動いてまいりました。トランプ政権の誕生でありますとか、ブレグジット、それから、日ロの経済協力というのもございました。

 国内に目を転じますと、シャープの鴻海による買収であるとか、現在問題になっておりますけれども、東芝の経営難、こういった、日本経済は大きく変動期に来ているなというふうに感じております。

 その意味では、歴代の経済産業大臣に比べましても非常に今の世耕大臣のポジションはやりがいが大きいと思いますので、ぜひ、期待しておりますので頑張っていただきたいというふうに思います。

 それでは、早速本題に入りたいと思います。

 昨年十二月ですが、東電改革・一F問題委員会が東電改革提言書をまとめられました。そこでは、東電事業の三本柱でございます、福島の廃炉事業、それから原子力事業、経済事業について、過去と決別してであるとか、新たな発想が必要だ、そして、思い切った次世代若手の登用をすべきだ、このようなことが提言をされております。

 それを受けまして、先ごろ、東電の新再建計画が発表されました。そこでは、新たな経営陣として、会長に日立製作所の川村名誉会長、そして、社長には東電生え抜きの小早川さんの起用が固まったということでございます。

 これからの課題といたしましては、この新再建計画に基づいて、それをいかに的確に実行していくのか、これに焦点が移るわけでございます。ここで、やはり経営者、経営陣としての手腕が問われるんだろうと私は思っております。

 そこで、世耕大臣にお伺いしたいと思います。

 この東電経営陣を刷新することとなったその理由と、それから、この新しい体制に対しましてどういったところを期待されるか、これについてお伺いしたいと思います。

世耕国務大臣 石川議員には、私の初めての選挙、補欠選挙のときに党職員として張りついていただきまして、まだ右も左もわからなかった私を大変うまく導いていただいたと今でも感謝をしております。あれからもう十九年もたったのかと、改めて今感慨深く思っているわけでありますけれども。

 東京電力の新経営陣、これははっきり申し上げて、私が決めたわけではないわけであります。東京電力というのは、委員会設置会社でありますから、役員人事に関しては指名委員会というのがありまして、ここは社外取締役の皆さんが過半数を占めているわけですが、そこで人選が行われたということだと思います。

 社外の皆さんは、恐らく、東電改革委員会がまとめた提言、非連続の改革を行っていかなければいけない、そのために次世代へのバトンタッチをしなければいけないというその提言に基づいて、いろいろな人選をされたんだろうというふうに思っています。

 そういう意味で、新社長候補には、小早川さんという大変、私より若い方でありますし、取締役の平均年齢も五十三歳ということでありますから、今は六十歳ぐらいだと思いますから、大幅な若返りになったんだろうと思います。そして、それをバックアップするという意味で新たな社外取締役も候補が指名をされて、そして、その中で社外取締役兼会長には日立の川村さんが選ばれたということだというふうに思っています。

 川村さんは有名な経営者でありまして、日立をリーマン・ショック後のどん底から二年で五千億円の利益が出る体質にV字回復させた、名経営者として大変名高い方であります。

 ここからが私の関与のしどころでありまして、東京電力は原賠機構が過半数の株を持っておりますので、最終的に株主総会でこの人事を認めるかどうかということになるわけでありますけれども、私は、今指名されている方々のもとで東京電力が非連続の改革をしっかりとやり遂げて、今回この委員会でも何度も答弁させていただいていますが、年間五千億の利益を出し続け、企業の価値を十倍に上げるという大変野心的な目標を達成してくれることを期待したいというふうに思っております。

石川委員 ありがとうございます。

 東電改革を成功へ導いて二十一・五兆円の賠償費用を捻出させるためにも、何としてもやはり成功をさせていただかなければならない。その意味においても、やはり政治的なバックアップというか、フォローが私は必要だと思っております。こういったことについて世耕経産大臣のフォロー、サポートをぜひ今後ともお願いしたいというふうに思います。

 次に、東芝の経営難についてお伺いしたいと思います。

 今回の経営難の引き金を引いたのは、その子会社でありますウェスチングハウス、これの米国内での原発建設が大きな要因であったというふうに言われております。さらにその背景にございますのは、米国での原発の新設工事が、一九七九年に起きました米国スリーマイル事故を契機に原発の新設計画がどんどん減っていき、二十年間程度途絶えた、こういう影響があるんだというふうに指摘をされております。

 そこでお伺いいたしますが、東芝の原子力子会社ウェスチングハウスの不振を日本政府としてどのように分析をされているか、お伺いしたいと思います。

世耕国務大臣 ウェスチングハウスの不振の原因は、今御指摘のように、アメリカの国内で三十年間原発の新設が全くなかった、そういうことによってノウハウとか人材といったものが失われていたこと、これが大きかったと思いますし、また、AP1000という、これまた建設実績のない新型炉の建設であったこと、こういったことが非常に工事を難しくした。また、同時多発テロを受けて、特に航空機の衝突対策の規制が米国で強化をされて、設計変更とか追加安全対策といったものが必要となって、工期が延びていった。そして、これは契約上の問題だと思いますが、そういったコストオーバーランと言われるものが、全部ウェスチングハウスがかぶるような、そういう契約になっていた。そのことが、今回、ウェスチングハウスの苦境の原因ではないかというふうに思っております。

石川委員 私もまさに大臣がおっしゃったとおりだと思います。

 一つ、これから我が国の原子力の環境を見回してみますと、やはり、ノウハウがこれからうまく継承されないのではないか、そういう懸念も私は同時に抱くわけでございます。

 そこでまたお伺いいたしますが、今後、今の現状で原発の新設がなかなかできない状況の中で、これに対する技術の継承、こういったものの対策、大臣、どのようにお考えでしょうか。お伺いします。

世耕国務大臣 原発を安全に利用していく上で、高いレベルの技術、人材の維持発展は非常に重要な課題だというふうに思っています。

 経産省として、原発の安全対策高度化に向けた技術開発の支援ですとか、原発のメンテナンスを行う現場の技術者及び廃炉に取り組む人材育成などに取り組んでいるところであります。

 また、原子力にかかわる国際協力も、当然、国内の技術、人材の保持を目的に行うものではありませんけれども、やはり機器の製造などを通じて、副次的に、裾野の広い原子力産業の健全性や国内既設炉の適切な保守を確保するための原子力技術、人材の維持にも一定の効果があるんだろうというふうに思っています。

 いずれにしても、人材育成についても、非常に重要な課題としてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

石川委員 原子力の産業というのは、非常に裾野が広く、また、高度なレベル、技術が必要でございまして、これが日本から失われるということになりますと、中国がこれからどんどん建設をふやしていくということで、日本の原発を維持するという意味でもエネルギー安全保障上も非常に重要だというふうに思っておりますので、引き続き、これについては取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 それでは次の質問に移ります。

 日本の製造業がこれからグローバル化して、そのグローバルマーケットの中で勝つためには、やはりそこで大事なのは、標準化戦略だろうというふうに私は思っております。

 先ごろ、大臣はドイツにいらっしゃいまして、日米欧でIoTの国際規格づくりを主導するハノーバー宣言を署名されました。そこでコネクテッド・インダストリーズのコンセプトを打ち出されたというふうに言われております。ドイツは、国際基準を定めるISOの中でも非常に大きな力を持っておりまして、日独で協定を結ぶというのは、非常に大きな意味があったというふうに私は思っております。

 このように、海外のメーカーは、自社の規格を世界標準にしながら戦略的にビジネスを組み立てて展開してきているわけでございます。日本は、最高の技術を持ちながら、なぜかこのルールメーキングでいつも敗れてきた。こういう歴史の繰り返しでございます。

 政府は二〇〇六年から国際標準化戦略を立ててずっと取り組んでまいったということは私は承知をしておりますし、先般、自民党においても、ルール形成を後押しするための議員連盟も立ち上がったところです。

 そこでお伺いいたします。二〇一四年に標準化官民戦略を策定をされているんですが、この成果が上がっているのかどうなのかということをまず政府にお伺いします。

末松政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、二〇一四年五月に、経済産業省及び主要産業界が参画する標準化官民戦略会議を開催し、国際標準化の重要性もうたった標準化官民戦略を策定いたしました。

 この戦略では、官民の体制整備、世界に通用する認証基盤の強化、アジア諸国との連携を戦略の柱として掲げ、国際標準化を推進する取り組みを進めることとしております。

 まず、国際標準化の体制については、各企業に標準化戦略の担当役員を置くことを推奨しました。現在のところ、六十数社に設置がされるというように、そういう意識の強い、高い企業が出てきているという状況になっています。

 また、本年一月に、産官学の有識者から構成される標準化官民戦略会議のワーキンググループにおいて、標準化人材を育成する三つのアクションプランというのを取りまとめており、これに基づき、産官学で標準化人材を育成することとしております。

 また、認証基盤の強化については、いろいろ認証とか試験の結果が国際的に認められる認証基盤をきちんと整備していくということで、例えば二〇一六年四月には、スマートグリッドに不可欠な大型蓄電池向け及びパワーコンディショナー向けの認証基盤、試験をできる場所ですね、そういうところを運用開始をしておりまして、国際標準の提案とともに、海外販路拡大のための認証取得を促進しております。

 また、最後に、アジアとの連携でございますが、国際標準化機関における意思決定は一国一票でございまして、アジア諸国を取り込んだ仲間集めが重要でございます。また、アジアは、日本企業にとっても最も重要な市場でございます。そのため、アジア諸国と連携して、省エネ家電製品の性能が適正に評価されるISO・IEC規格を発行するなどの取り組みをしております。

 また、このような取り組み、どんどん進めていかなくちゃいけませんし、APECの標準化専門会議とかいろいろな会議を活用して、官民の連携体制を一層強化してまいりたいというふうに考えてございます。

石川委員 では最後の質問になりますが、今後、我が国が標準化を狙う分野、科学技術、それからインフラ、農業など、多分分野が多岐にわたると思います。こういったところでどのあたりを標準化戦略として狙っていくのかということと、この推進体制、これが政府としてこのままでよいのかどうか、お伺いして終わりたいと思います。

末松政府参考人 お答えいたします。

 先ほど先生御指摘ありましたように、ドイツと戦略的に手を組んで、スマート工場などを進めていくということを一つの大きな例だと思っております。

 世耕大臣がドイツを訪問した際に、ツィプリス経済エネルギー大臣と会談して、第四次産業革命に関する日独協力の枠組みを定めたハノーバー宣言に署名をいたしました。

 そのときに、御指摘ありましたように、我が国産業が目指す姿のコンセプトとして、コネクテッド・インダストリーを発表いたしました。コネクテッド・インダストリーズにおいては、IoTなどのさまざまなつながりにより、新たな付加価値が創出されます。

 こういうことで、具体的には、自動運転、スマート工場、ロボットなどの社会システム分野、医療機器などの技術開発競争が激しさを増す先端技術分野、インフラシステムやサービス分野などについては、日本再興戦略二〇一六にも位置づけられておりますが、こういうところの国際標準化を積極的に取り組んでいきたいというふうに思っております。

 これからコネクテッド・インダストリーズを進めていく中で、世界の標準化の動きにおくれずついていくべき分野、日本の技術力を生かして主導できる分野について、官民ともに、それからまた、各省庁連携して進めていきたいというふうに考えております。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣総理大臣を本部長といたします知的財産戦略本部におきましては、毎年、政府全体の知財戦略でございます知的財産推進計画を取りまとめておりまして、知財戦略と標準化戦略は一体となって推進すべきもの、そういう認識から、先生御指摘のように、さまざまな分野におきます国際標準化戦略につきましても、知的財産推進計画に盛り込みまして、政府一丸となって推進しているところでございます。

 知的財産推進計画の取りまとめに当たりましては、知的財産戦略本部のもとに設置されております検証・評価・企画委員会というものにおきまして、有識者や関係省庁とともに我が国の国際標準化戦略のあり方について検討いたしまして、知的財産推進計画において我が国が進むべき方向性を打ち出しているところでございます。

 今後も、知的財産戦略本部のもと、関係省庁・機関の連携をさらに進めまして、我が国における国際標準化戦略の構築と、その推進に向けた取り組みを加速化してまいりたいと考えているところでございます。

石川委員 以上で終わります。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 本日は、中小企業の活性化をテーマに質問をさせていただきたいというふうに思います。

 言わずもがなでございますが、日本企業の九九%以上が中小企業であるわけでございまして、やはり日本経済再生のためには、どうすれば中小企業が元気になるのか、こういうことを常に考えていかないといけないというふうに思います。

 しかし、他方で、さまざまな課題があるということも事実でございますので、先日も、党の経済産業部会、また、中小企業活性化対策本部で実際に企業の視察も行ってまいりまして、先日は東京の大田区の方の製造業を中心に、金属の熱処理でございますとかメッキ加工でございますとか、さまざまな会社を訪問をさせていただきました。

 やはり、生産性の向上あるいは人材の確保育成、こういうところに皆さん悩まれておりまして、どういうふうに取り組んでおられるのか、こういうこともお伺いをしてまいりましたので、本日はこれに関連して質問をさせていただきたいというふうに思います。

 中小企業全般でいいますと、やはり労働生産性が低いというのは常々指摘をされているところでございまして、これをどのように上げていけるのか。これに対応するために、政府の方もこの経済産業委員会でも、さまざまな予算あるいは法案、こういうものも審議をしてまいりまして、中小企業の経営強化法というものも策定をいたしましたし、また、補正予算でもかなり大きな額の予算をとりまして、生産性の向上、こういうものを目指していく、いろいろな取り組みを進めているところでございます。

 先日訪問した企業では、特に、ITを活用した生産性の向上という取り組みをされておられました。製造業の中でもやはり中小企業ですと、余りIT化も進んでいないところもございまして、例えば、受発注の仕組み、あるいは作業工程、こういうものでも、今までだと紙でやっておられた。そうすると、やはり探すのも時間がかかったり、IT化をすることで省人化が図られる。こういう取り組みもなかなか中小企業では進んでいない部分もあるのかな。先日行った企業では、こういう取り組みでかなり省力化が図られた、こういうこともお伺いをいたしました。

 平成二十八年度の補正予算の中でも、中小企業にITの導入を大幅に促進をしていこう、こういう仕組みがございますけれども、まず、具体的に今どのような形で支援をしているのか、また、どのような狙いで支援をしているのか、これについて政府から答弁をいただきたいと思います。

高島政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業にとりまして、IT、これを利活用いたしまして業務の効率化や販路開拓などを通じて生産性向上を図っていくということは、大変重要であるというふうに考えております。

 今御指摘のございました二十八年度補正予算でございますけれども、具体的には、サービス業を中心に、まだIT導入が進んでおらず、導入コストに足踏みする中小企業へのITの利用促進を図るということを目的といたしまして、IT事業者を活用したITツールの導入費用の一部を支援する補助金を百億円措置いたしまして、現在も公募をしているところでございます。

 この事業は、ちょっと従来の手法を見直しまして、民間のベンダーの活力を最大限利用しております。

 具体的には、IT事業者が、エンドユーザーでありますところの中小企業にITツールの情報提供を行ったり導入の相談を受けたり、そういうことをしつつ、そのベンダーが申請書を束ねまして補助金を申請する、そういうスキームを新しく採用したところでございます。

 一次公募は終わっておりますけれども、既に一次公募でも六百五十四者のIT事業者が登録をされまして、約二千のITツールの登録もあったところでございます。

 補助金が直接対象になる中小企業者につきましても、一次公募の段階でも七千五百十一件、既に採択をされて、現在、二次公募を実施をしているところでございます。

 その他に、全国十カ所での、ITツールなどの体験型展示会、専門家による相談会などのイベントもやっておりますし、全国百カ所の商工会議所などにおいて、中小企業のITリテラシーを高めるためのセミナー、こういったものも開催をしているところでございます。

 これらの施策を使いまして、中小企業のITリテラシーの実態に即しまして、ITの利活用をきめ細やかに支援をしてまいりたいと考えております。

中野委員 IT化について今補助金を、額としてもかなり大きな形でやっておられるということをお伺いをいたしました。

 お話をお伺いした企業ですと、やはりIT化といっても、かなり試行錯誤をされながらやっているという話も伺いまして、やはりシステムをつくるに当たっても、かなり何年間にもわたっていろいろなものをカスタマイズをしてやっていかないと、どういうものが本当に省力化に資するのかというところについてもわからないということで、そういうお話も伺ってまいりますと、今回は補正予算でかなり大きな網をかけているような状況だとは思うんですけれども、恐らく、業界によってどういうシステムが要るのかというのもかなり異なってくると思いますし、何をやっていけばどこの部分がどう省力化していけるのかというのは、やはりかなり企業によって状況が違うのかなということも感じまして、どのように省力化できるのか、それぞれの業界によってこういう効果があるんだというのがかなりはっきり見えてこないと、中小企業、特に今まで余りIT投資をやってこなかった業界あるいはそういう企業に関しては、なかなか広がりというのが難しいんじゃないかということも感じた次第でございまして、IT投資を展開していくためには、やはり、そういう効果の見える化であるとか、さまざまな工夫を今後していかないと広がっていかないんじゃないか、こういうことも感じた次第でございますけれども、これについて今後どう取り組まれるのかというのをお伺いしたいと思います。

高島政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、ITの導入をさらに広く普及をさせていくための仕掛けというか仕組みというものが、確かに必要ではないかというふうに私どもとしても考えております。

 このため、こうしたことを検討いたしますために、中小企業政策審議会基本問題小委員会におきまして、IT分野の御専門の有識者の方、IT導入の経験をお持ちの中小企業の方、中小企業の支援機関の方、IT事業者の方々などなど、幅広くお集まりをいただきまして、本年の二月からスマートSME研究会を設置をするということを決めまして、三月に第一回を開催して、現在も進めているところでございます。

 この研究会の内容につきましてでございますけれども、IT補助金を私ども実施をしております中で、例えば、飲食業、サービス業、宿泊業、卸、小売業といったような業種別の分類をいたしましたり、あるいは、予約、顧客管理、受発注といったような機能別にITシステムを分類をしたりしておりますけれども、中小企業にとって、どのクラウドサービスが自分の生産性を高めるのに一番いいのかがなかなかよくわかりづらいとか、セキュリティー対応というのがサービスによってまちまちであるなど、どのシステムが一番安心して使えるのかがわかりにくいといったような、そういう声がございます。

 そういったことを踏まえまして、この研究会におきまして、中小企業者に対する生産性の向上の効果やそれぞれのセキュリティー対策、こういったことについて見える化を図りたいと思っておりまして、その方法について検討をしているところでございます。

 また、個々の中小企業に伴走して支援する枠組み、これを設けるために、地域の中小企業支援機関との連携といったようなことも視野に入れまして、どういった枠組みが一番ふさわしいかというようなこともこの研究会で考えていきたいというふうに考えております。

 これらを踏まえまして、中小企業の生産性の向上に向けたIT導入の仕組みの検討、これを進めてまいりたいと思っております。

中野委員 ありがとうございます。

 補正予算でかなり導入をした事例そのものの数というのは恐らく出てくるというふうに思いますので、それをしっかり研究していただいて、やはり、こういうことをするとこういう効果が出てくるんだということが明確になってくれば、そういう意味では、それをやってみようということで取り組まれる企業もかなりふえてくるのではないかというふうに思いますので、さらにその検討を進めていただきたい、このようにお願いを申し上げます。

 もう一点、人材の確保、育成、これについても質問をさせていただきたいというふうに思います。

 先日行ったのは製造業でございまして、私も地元が兵庫県の尼崎市というところで、かなり製造業が多いところでもございますので、やはりものづくりというと、これは人づくりが一番大事なんだ、こういうことを皆さんおっしゃられるわけでございます。

 しかし、中小企業は恒常的に今かなり人手不足という状況でございまして、やはり、中小企業だと経営が本当にこれからずっと大丈夫なのかということで心配をされて新卒の方は敬遠をされたり、あるいは離職率も結構高いというふうなお話も伺いまして、これをどうやったら改善をできるのか。こういう取り組みを皆さん行っておられます。

 この人手不足への対応というのは、中小企業全般にわたる課題でもございますし、これから生産年齢人口の減少ということで、先日も人口の将来の推計というものも出ておりましたけれども、恐らく、恒常的にかなり課題になっていくんじゃないか、こういうことを思っております。

 まず、人手不足の対応を全体的な方針として経産省としてどう考えているのか、これをお伺いしたいと思います。

高島政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業の人手不足感につきましては、建設業、サービス業を初めといたしまして、全ての業種において高まっておりまして、中核人材、労働人材のいずれにつきましても人手不足感は強くなってございまして、中小企業の人手不足というものは全体として深刻化している状況だというふうに認識をいたしております。

 そうした中で、私どもの中小企業白書の分析によりますと、従業員規模が小さな中小企業ほど女性や高齢者の割合が高くなっているということがございます。

 また、新卒の女性について見ますと、従業員百人未満の企業に就業なさるのは約三分の一なのでございますけれども、出産などで一旦離職した後に復職する女性について見ますと、百人未満の企業に就業する方が半分以上いらっしゃいます。

 さらに、こうした女性や高齢者にはまだ多くの潜在労働力があるのではないかと見込まれているところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、中小企業の人手不足への対応としましては、一つには、女性や高齢者などの多様な人材、これを今まで以上にさらに活用していくということがあると考えております。

 中小企業庁といたしましては、これまで、女性や高齢者の活用セミナー、合同企業説明会、こういったものを開催をしまして、中小企業と女性や高齢者を初めとする求職者とのマッチング、これを促進をしてきているところでございます。

 また、これ以外にも、人手不足への対応といたしましては、労働生産性の向上ということで、IT導入支援や人材育成支援ということをやってきているところでございます。

 今後とも、これらの施策を通じまして、中小企業・小規模事業者の人材確保や生産性向上を支援をいたしまして、人手不足への対応を行ってまいりたいと考えているところでございます。

中野委員 ありがとうございます。

 女性、高齢者の活用というお話がございました。私が先日行った企業もまさにそうでございまして、人手不足に対応しようということで、結果的にということなのかもしれないんですけれども、女性が復職をされるのに非常に働きやすい環境を整えようということでやっておられましたり、あるいは、高齢者の方や、あるいは大企業で働いていた方の、リタイアされてセカンドキャリアというか、そういう形で受け入れをされていたり、非常に多様な人材を活用をされようというふうにされておられまして、例えば高齢者の方や、そういう今まで経験を積んでこられた方、こういう方に積極的に、さらに若手や技能の継承について、これもやっていただこうでありますとか、あるいは、女性の就業がふえたことで今までにない視点が生まれてきたりであったり、あるいは職場の環境というのが非常によくなったりであるとか、結果としては、非常にダイバーシティーに富んだ、大変働きやすい企業になっておられるなということを感じた次第でございます。

 そういう意味では、人手不足という、ある意味、中小企業にとっては大変な環境ではあるとは思うんですけれども、こういう中小企業が頑張れば、ある意味、一億総活躍社会の実現に向けて、女性にせよ、あるいは高齢者にせよ、受け皿となるポテンシャルというのが非常に高いのではないかというのも感じてまいりまして、やはり、こういう中小企業というのをもっと頑張っていけるように後押しをしていく、これが非常に大事だというふうに感じた次第でございます。

 最後にこの点について大臣に、今後どのように応援をしていくのかということをぜひ御答弁いただければと思います。

世耕国務大臣 女性とか高齢者、多様な人が働ける環境をつくるというのは、社会貢献とか企業のイメージアップといったレベルではなくて、これはまさにもう経営戦略の問題になってきているというふうに思います。

 今も挙げていただいたように、多様な働き方を受け入れることによって、会社が増産に成功したりヒット商品を生み出したり、いろいろな事例がたくさん出てきておりますので、経産省としては、直接的な支援というよりは、好事例を収集、分析して、それをしっかり横展開をしていくようなことをやっていきたい。

 もう既に、人手不足対応のポイントとなる考え方を抽出したガイドラインなんかも先月取りまとめたばかりであります。こういう好事例をみんなで共有して、新しい働き方をつくっていくという形で持っていきたいと思っています。

中野委員 これからやはり中小企業の応援という意味では、公明党も、しっかり現場を見させていただきながら、どこを後押しをしていけばいいのか、また積極的に提言もさせていただければと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、落合貴之君。

落合委員 民進党の落合貴之でございます。

 本日は一般質疑ということで、主にエネルギー問題等について取り上げさせていただきます。

 まず、原発の再稼働についてなんですが、まず大臣に伺いたいのですが、再稼働の際に地元自治体の同意をとりましょうという問題がありますが、例えば九州の玄海原発ですと、玄海町それから佐賀県が地元自治体になると思います。これらからとる合意というのは、法令上は再稼働の条件ではないということでよろしいでしょうか。

世耕国務大臣 繰り返しになりますけれども、原発については、いかなる事情よりも安全性を最優先して、新規制基準に適合すると規制委員会が認めた原発のみ、その判断を尊重して、地元の理解を得ながら再稼働を進めるというのが政府の一貫した方針であります。

 今御指摘のように、地元自治体の同意は法令上の再稼働の要件とはなっておりませんけれども、周辺自治体も含めて、理解活動を丁寧に進めることは非常に重要だというふうに思っております。

落合委員 地元自治体が原発について理解をしてもらうように努力を住民の人たちにしていくということは大変重要だと思うんですが、原発というのは、前の審議もそうですけれども、大変大きいリスクもある、メリットもありますけれどもリスクもあるものですから、もうちょっと国の関与を、国の責任もある程度強めていくという形で、地元自治体の同意というものを法令化するべきではないかという意見もあると思うんですが、これについてはどのようにお考えですか。

世耕国務大臣 決して地元自治体の理解から国が何か後ろに下がっているわけではなくて、国もやはり主体的に地元の理解を得るように活動もしていますし、特に、地元の非常に関心の高い避難計画などについては、国もしっかり関与をして、関係閣僚で決定もして進めさせていただいているわけであります。

 ただ、その理解を得る範囲とか方法については、やはり各地の事情がさまざまなことがありますので、国が一方的、一律に決めるのではなく、各地とよく相談して対応することが重要なのではないかというふうに思います。

 これは、何も日本独自にそうしているわけではなくて、イギリスでもフランスでも、自治体の同意は法定化をされておらず、やはり自治体の理解を丁寧に、それぞれの事情に合わせながらやっていくというスタイルをとっているわけでありまして、我が国でもその流れでやっていきたいと思っています。

 ただし、理解をいただく活動に終わりはありませんので、常に、引き続き、立地自治体を初め関係者の皆さんの声にしっかり耳を傾けて、国民の皆さんに丁寧な説明を尽くして、幅広い理解が得られるよう粘り強く取り組んでいかなければいけないと思っております。

落合委員 世界では法令化されていないということですが、技術的な再稼働の基準も世界最高レベルでチェックしますと言っているわけですから、世界がどうであれ、福島の事故があったという経験も踏まえて、我が国は地元の同意というものにやはりこれから敏感になっていく必要があると思います。これは地元の同意が必要か必要でないかという問題もあるんですが、同意を得ることで避難計画ですとかそういうものも現実的なものになっていくという点があると思います。

 それで、今答弁の中で範囲というふうに大臣もおっしゃっていただきました。地元自治体の同意を法定化するかしないかという今の問題にプラスして、その範囲の問題というものがもう一つの論点としてあると思います。

 隣接している市町村の同意は、今、特にもらわなくてもいいと。ただ、地区によってはしっかり説明しているところもございます。ただ、原発の事故、福島の例でとってみましても、立地自治体ではない市町村も避難区域に指定されている。特に、人口の多い南相馬市でさえも、一部が避難区域に指定されるということになりました。

 政府は、避難計画については、三十キロ圏内の自治体、つくってくださいとやっているわけですから、再稼働の合意についても、三十キロ圏内、実際に被害が及ぶ可能性が高いわけですから、範囲についても三十キロ圏内に広げていく必要があるんじゃないでしょうか。いかがですか。

世耕国務大臣 御指摘の東京電力福島第一原発事故では、従来想定した防災対策の範囲を超えて被害が及んだという面がありました。また、そのような放射性物質が大量に外部へ放出されるような大規模な事故を想定した住民の防護の備えもなかったということは事実であります。

 その上で、今御議論いただいている、避難計画を策定すべき範囲については、福島第一原発事故以前はおおむね十キロ圏とされていたわけでありますが、こうした福島第一原発事故の教訓やIAEAが定める国際的な安全基準を踏まえて、原子力規制委員会が、原子力災害対策指針において、原発からおおむね三十キロ圏と規定したというふうに承知をしております。

落合委員 済みません、私の説明が不十分だったか、また改めて質問させていただければと思うんですが、避難計画を三十キロ圏内に課しているということなんですから、再稼働に当たる同意も三十キロ圏内に広げた方がいいんじゃないかということでございます。

世耕国務大臣 ですから、周辺自治体の同意というのは法定されていないということを前提に申し上げますけれども、立地自治体を含め、そして周辺自治体も含めて、理解をいただく活動をやっていくことは非常に重要だというふうに思っています。

 その範囲は、何キロまでとかというのではなくて、それぞれのケースごとによく判断をしながら、できる限り周辺の自治体の御理解をいただいていくということが重要だと思っております。

落合委員 それぞれのケースごとというのは重要なんですが、それが、やはり賛成も反対も大きい問題ですので、地元自治体が手に負えない、収拾つかないということも、たくさんそういう事例も出てきているわけでございます。

 原発を見てみますと、先ほど申し上げた玄海原発も、あと、伊方もそうですし、福井の集中立地しているところもそうですけれども、例えば三十キロ圏内で見ても、隣の県までも行ってしまっているわけでございます。そして、プラスして、先ほど申し上げたように、福島第一の事故が南相馬市へも影響を与えたということでございますから、原発再稼働をしようと言っているような地域ではいろいろな要望が出ているわけでございます。

 調べてみますと、佐賀県知事が資源エネルギー庁長官のところに来たと思いますけれども、同意の範囲をしっかりと国で基準を定めてくれというような要望を出していると思います。

 あと、例えば玄海原発の周りの伊万里市ですか、そこに周辺自治体の首長が集まって、三十キロ圏内に入る自治体の同意を得るべきだというような集まりも開催をされております。

 それから、住民説明会はいろいろなところでされているわけですけれども、玄海原発の近くには福岡県の糸島市というところが、かなり外からの移住に力を入れていまして、都会から若い人たちが移住しているわけですけれども、ここからも、周辺自治体からの同意としっかりした説明が必要だという要望書が、これは佐賀県知事宛てに出ております。隣の県の市なわけですけれども。

 この方々がここに書いているのは、我々の地元でも住民説明会をやってくれましたと。六百人集まりました。でも、これは時間も限られていて、その当日は、多くの人たちが納得できないと言っているような状況で、時間ですのでということで切り上げて、それで終わってしまったということでございます。

 これは大変手間というか労力というか、時間もかかる問題なんですけれども、一たび事故になれば大きな問題、それから、その人たちにもかかわる問題ですので、ぜひここは丁寧に同意を進めていくように、国としてもリーダーシップを発揮していただければと思います。

 それで、先ほど大臣がおっしゃってくださった避難計画について入らせていただきますが、地元同意が必要なのと同時に、本当に事故が万が一起こった場合は、避難計画が重要なわけでございます。

 それで、国の音頭で、三十キロ圏内の自治体は避難計画をつくって、それから、県をまたがったりですとか市をまたがりますので、広域の計画もつくってくださいというふうに音頭をとっておられます。しかし、この中身が問題なんだと思います。実効性、本当にちゃんとできるのかということは各地元に任されているわけでございまして、先ほど申し上げた原発の技術的な安全性、これしか規制委員会は見ないということです。

 万が一事故が起こったときは、本当に避難計画が実効性があるのかというのは大変重要な問題なのでありますから、これは所管は恐らく経産大臣ではないとは思うんですけれども、再稼働にもかかわる、それから、原子力をこれから進めていく、これを音頭をとっている経産大臣として、この点、実効性ある避難計画が広域でしっかりつくられていると認識しているのか、そして今の状況でいいのか、これについてもう一度御認識を伺えればと思います。

世耕国務大臣 私も、官房副長官時代、伊方原発、川内原発の再稼働の際の避難計画というのをつぶさに見たことがあります。今も見ております。相当詳細につくっていますね。誰が何人避難するためにどういうバスがどこから来てとか、一時退避はこういう人数がこういうところへやるとか、それこそ個々人を意識して、あるいは介護状態にある方をどういう形に避難させるかとか、いろいろな形でかなり詳細に避難計画というのは立案をされているなというのが、今、私の印象であります。

 ただ、これで終わりということはないというふうに思っています。もっともっと充実をさせていかなきゃいけない面もあるのかもわかりません。その辺はよく地元の皆さんに考えていただきながら、我々も支援をしながら、避難計画をしっかりと充実させていくということが、これはずっと取り組みとして不断に続けていくということが重要だというふうに思っております。

落合委員 伊方町の避難計画については、前の林大臣のときに私は取り上げさせていただきました。また改めてその避難計画だけでも議論する価値があると思うんですが、これは玄海町の方もそうですけれども、やはり、各避難計画、私も読ませていただきましたが、非常に非現実的な部分と感じられるところがたくさんございました。

 伊方町もそうですけれども、玄海も風光明媚なところにあって、大変いい場所なんですけれども、一方で、道がそこから先は狭かったりですとか、そういう問題があると思います。例えば、玄海原発、何人ぐらい三十キロ圏内に住んでいるのかなと調べてみると、二十五万人ぐらいもいるわけでございます。その中で、もし悪天候であったりとか、あと、福島の事故のときのように大地震が同時に起こっていたりとか、そういう厳しい条件で事故が起こっても大丈夫なのかという検証はやはり国も責任を持ってしていくべきだと私は思います。

 これだけで三十分ぐらいかかっちゃうので、改めて幾つかの原発について取り上げさせていただければと思いますので、きょうは、問題提起ということと、それから大臣の姿勢を問うというところまでにさせていただきます。

 それでは、次の話題で、再エネについて伺えればと思うんです。

 きょうは主に木質バイオマス発電について取り上げさせていただければと思うんですけれども、大臣の再エネに対する認識、姿勢、それから、その中でも木質バイオマスについて、どのように大臣はお考えであるか、どういう姿勢で日々取り組まれているか、お聞かせいただければと思います。

世耕国務大臣 再生可能エネルギーは、エネルギー安保の強化や低炭素社会の創出などの観点から、非常に重要な電源だというふうに考えています。国民の負担は抑制しながら、一方で、最大限の導入を進めていくということが政府の基本方針であります。エネルギーミックスにおいては、二〇三〇年度の導入水準を二二から二四%というふうにさせていただいているところであります。

 その中で、木質バイオマス、これも非常に意義のある再生可能エネルギーだというふうに思っておりますが、木質バイオマスは、非常に難しい点は、やはり燃料をどう確保するかというところでありまして、この燃料確保についてはいろいろな手だてを打っていかないといけない面があるんだろうというふうに思っています。

 ただ、一方で、中山間地域のようなところで地域の地産地消のエネルギーにもなり得る、そういう面を持った再生可能エネルギーだろうというふうに思っておりまして、木質バイオマスについても、燃料の安定供給を確保しながら積極的に利用を推進していきたいというふうに思っております。

落合委員 やはり、エネルギー源というのは多様化していた方がどんなことがあっても対応ができるわけでございますし、エネルギー安保という上でも、エネルギー源の多様性を図っていくということは重要なことだと思います。

 おっしゃったように、木質バイオマスは、今まで用途がなかった、捨てていたりしたものを燃料として使っていこうということですので、今まで用途がなかったわけですから、調達ルートも、今まではルートがなかったわけでございます。そういった意味で、この安定供給の確保というのは、大臣がおっしゃったように大変重要だと思います。

 そこで、お配りした資料をごらんいただければと思うんですが、先日、最近ですが、平成二十九年度のFIT制度の調達価格、調達期間が、新しいのが発表されました。これは、年々、いろいろな事情に対応して、太陽光も水力も風力も、だんだん細かくなってきているわけでございます。

 一番下の方にバイオマスとありまして、バイオマスの中でもいろいろとあるわけですが、きょうは木質バイオマスということですので、見ていくと、ここで木質バイオマスは主に二種類に分かれています。間伐材等由来の木質バイオマスと書いてあるものと一般木材バイオマスと書いてあるものがございます。

 上の間伐材等由来の木質バイオマスというのは、恐らく、主に国内の林業などで出た端材ですとか間伐材を指しているのだと思います。これは小規模な電源施設が多いですが、先ほどおっしゃられたように、やはり、地域で自分たちのエネルギー源を発電していくという面で、エネルギーの安定性という面からも、小規模な分散型の発電施設をつくっていく、しかも、持続可能な範囲でこういった発電をしていくということは大変重要だと思います。

 そしてもう一つ、下に一般木材バイオマスとありますが、これは主に輸入材が多いものと思います。これも、もともと日本は紙をつくるためにパルプを輸入していましたので、そういった意味で商社が大規模な山林を海外に所有している、その間伐材ですとかを使っていくというものだと思います。これも、石油や天然ガス以外からエネルギーを輸入するという点でも、地域を分散させるという点でも、好ましいことだと思います。

 こういった多様性ということを維持していくことにおいて、いろいろと問題があると思います。

 ここで一つ提案というか提言をさせていただければと思うんですけれども、この輸入材というのは、それだけではそんなにカロリーがないですので、従来の火力発電所にまぜて発電していることが多いようですけれども、通常の火力発電で使うということは、原料が大量に必要ですので、やはり安定供給というものが大きな問題になるわけでございます。

 原料になっているものを調べてみますと、まず、輸入しているのが、木のかけらと、それから、ちょっとこれは資料で、現物が配れないのでここに持ってきたんですけれども、これがペレットです。細かく砕いて、また棒状に小さく固めたもの。それから、最近はヤシの油を搾った後のヤシガラというのが輸入されて使われているということでございます。ヤシの油は最近食用でもはやっているようでして、あと化粧品にも使われているということで、日本の商社がかなり多く扱っているということでございます。

 通関統計で調べてみますと、木とヤシガラでは全然値段が違うわけでございます。例えば、オーストラリアの木のチップは、通関統計から計算しますと、燃やすカロリー当たり大体六円で輸入がされております、二〇一六年、一七年の平均ですが。一方で、パームヤシガラは、マレーシアとかインドネシアからなんですが、こっちの方が安くて、三円ぐらいです。FIT制度の買い取り価格が一緒なのに、原料費は二倍違うわけです。

 それで、一方で、ことしから、大規模な発電所、要は原料をいっぱい輸入しなきゃいけない大規模な輸入材の発電所は、二十四円から二十一円に下がりました。恐らく、価格を決めるに当たっては、原材料費の平均で計算していると思うんですが、こうやって二倍も違う、主な原材料が二種類あって、その片方が半分の値段、その片方が倍の値段、これで平均でやっていったら、これはパームガラしか残らなくなってしまうのではないでしょうか。そうなると、安定性というものでも問題があると思います。

 これを見てみますと、全部、FIT制度の買い取り価格、細かくしているんですけれども、大体、規模で分けているわけです。太陽光の値段はどこも一緒なわけですからそういうふうに考えてもいいかもしれませんが、風力とか水力と違って、バイオマスは、やはり、規模だけで考えていたら、これは持続可能な発展が望めないと思います。

 これはどうすればいいか。いろいろと考える余地があると思うんですけれども、例えば、原材料ごとに大きく分けていきます、原材料価格によって細かく分けていきますということも考えられると思います。それから、関税をパームガラのような安いものにはかけて同じぐらいの条件にするというのも、ちょっと乱暴ですけれども、あるかもしれません。あと、トウモロコシの油ですとかは、まぜるようにということもされているようでして、このパームガラとチップとペレットをまぜるというようなことで平均化するということも考えられると思います。

 ただ、これは商社によって専門性というのは違うので、私は原材料によって買い取り価格を分けた方がいいんじゃないかなとも思うんですが、これはあくまで提案ですが、大臣、これについて、重要だと思うので御意見を聞かせてください。

世耕国務大臣 これは、やはりFIT価格ということで、国民に御負担をお願いしていかなきゃいけない問題でありますから、当然、なるべく、どうやってコストを抑えていくかという考え方は非常に重要だというふうに思っていますし、今御指摘の御提案も傾聴に値するというふうに思います。

 ただ、これは私がなかなか勝手に決められなくて、調達価格算定委員会がフェアな形で算定をしていく。そして、これまでも、数年の歴史の中で、今御指摘あったように、細かく分類をして決めていくというような方法もとりつつあるわけでありますから、またこれからの調達価格算定委員会の見直しの中で、今御指摘のような議論も行われていくんだろうというふうに思っています。

 私の個人的な感覚を申し上げれば、私は、経産大臣になるまでは、バイオマスというのは山の木を切ってやっているものだと思っていましたら、今の御指摘の、ヤシガラを輸入してやっているケースが非常に多いということに気づきました。

 これは、本来はやはり中山間地の地域のエコシステムを築いて、そしてそこでエネルギーを地産地消していくというのが一番の方法ではないかなと。パームヤシもいいです。価格は安いですけれども、その分、船で運んできて、そこではCO2を出しているわけでありますから、そういうことを考えても、やはり地産地消ができるようにしていきたい。ただ、それがなかなかエコシステムとして完成していないわけです。

 ですから、今、これは山本農水大臣と私で連携をして、経産省は今までどうしても発電機のことばかり考えてきた。農水省は農水省で間伐材のことばかり考えてきた。それを、経産省と農水省でしっかり結びつけて、間伐材の切り出しと、そして、それを燃料として使うバイオマス発電というのを地域のエコシステムとしてちゃんと完成させるようにという取り組みもこれから進めてまいりたいというふうに思っております。

落合委員 したがいまして、エネルギーの自給という面からも、今おっしゃった、地元で国内の端切れを使ってやっていくというのが大変重要だと思います。

 もう一方で、やはり我が国は輸入の化石燃料に頼らなければならない部分も多い。それにプラスして、我が国の企業が海外の山林も持っている。そして、今まで使い道のなかった原料があるという点もありますので、ぜひ、輸入の木質バイオマスについても、適切な政策、施策を打っていただければということを申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。

 通告から一つ飛ばしますけれども、高レベル放射性廃棄物、これについて質問させていただければと思います。

 私は、二年ちょっと前に当選してすぐにやったことは何かというと、六ケ所村に行きました。国会議員だと丁寧に中まで見せてくれるということで、私一人で行きまして、当選したばかりの一年生議員でも、皆さん、それぞれの分野について、かなり詳しく、半日ぐらい案内してくれまして、丁寧に説明をしてくれました。ガラス固化体でこうやってこうやってということも理解することができたわけです。

 今、高レベル放射性廃棄物の最終処分を実施する機構としては、別の組織の原子力発電環境整備機構、NUMOという機構があるわけです。NUMOの事業の進捗状況、大臣、どう把握されているか、教えていただければと思います。

村瀬政府参考人 御説明させていただきます。

 高レベル放射性廃棄物の最終処分につきましては、現に廃棄物が存在しています以上、現世代の責任として解決すべき重要な課題と認識しております。

 現状でございますけれども、昨年の十月に原子力委員会から、パブリックコメントなどを受けまして、国民目線に立って注意深く、最終処分の適性がある地域をマップとして、慎重に検討した上で、提示すべきという御指摘をいただいたところでございます。

 この原子力委員会からいただいた指摘を受けまして、今、審議会でさらに検討を重ねているところでございまして、先月、地図を示すための要件、基準の案が取りまとめられまして、パブリックコメントを実施したところでございます。

 この結果を踏まえまして、本日午後に審議会を開催する予定でございまして、この審議会の結果が得られましたら、それも踏まえて、その内容について改めて国民や自治体の皆様にしっかりお伝えをしていくということになります。

 最終処分自体のプロセスでございますけれども、現時点ではまだ処分地の選定に必要な調査に着手できていないというのが実態でございますので、このマップの提示も通じまして、改めて国民の理解を深めまして、国も前面に立って、NUMOと連携をしまして、最終処分のプロセスが進むように取り組んでまいりたい、このように考えております。

落合委員 大臣からも、この最終処分について、意気込みですとか姿勢を伺えればと思います。いかがでしょうか。

世耕国務大臣 この最終処分事業というのは非常に長い時間がかかるものであります。そして、国民の御理解をいただくということも非常に重要であります。余り拙速にならないように、一歩ずつ着実に、国民の御理解を得ながら前へ進めていきたいというふうに思っております。

落合委員 これは私も私なりにいろいろと勉強したんですが、かなり、最終処分をしっかりやっていくには大変な課題というのがたくさんあると思います。

 そこで、これも一つの問題提起をさせていただければと思うんですけれども、お配りした資料の二枚目が、これはNUMOからいろいろ教えていただいた際の資料の中身の一つでございます。

 高レベル放射性廃棄物の放射能の数値を説明したグラフなんですけれども、ガラス固化体に閉じ込めたばかりのころは、やはり物すごくベクレル数が高い。その後、急速に下がっていって、これは二万年ごとの目盛りですので大変長い目盛りなんですけれども、ほぼ横ばいというか、ほんのちょっとずつ数値が下がっていくわけです。

 私は、高レベル放射性廃棄物は地下深くに十万年閉じ込めておかなきゃいけないんだよというふうに聞いていたんですが、これは、一万年たっても十万年たっても放射能は大体一テラベクレルだというふうに描いてありまして、一テラベクレルというのは一兆ベクレルなわけでして、一万年たってもガラス固化体をあけることはできないですし、最終処分は十万年では終わらないんじゃないですか。今立てているそういった計画も非現実的なんじゃないかと思うんですが、いかがですか、この点は。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 技術的に説明が難しい点ではあるんですけれども、この一兆ベクレル、一テラベクレルといいますのは、四時間ずっとその近くにいて、胸部エックス線検診の一回分の被曝量になるという水準。それから、下がってきたこの水準は、もともと天然に存在していたウランと同等の水準まで下がっているものでございまして、地下にそもそも存在していたものの、もとのレベルに戻った状態ということでございます。

 それを、地下に戻して、三百メーター以下の岩盤の中に戻していく。このガラス固化体をさらにオーバーパックという容器のようなものに入れて遮蔽をして、さらにその周りを粘土質のベントナイトという水を通さないもので囲いまして、それを地下三百メーター以下の岩盤の中に入れて、人間が触れないような状態にしておくということでございまして、このような状態にして最終的には廃棄されるということで、人間にとって安全な形で最終処分ができる、このように考えておりますし、国際的にもそのような理解がされているということでございます。

落合委員 レントゲンと同じくらいというのは、金属カバーをした状態での話でしょうか、もしくは、ガラス固化体もあけての話か、どっちでしょうか。

村瀬政府参考人 今私が申し上げましたのはガラス固化体そのものでございますので、さらにそれに容器をかぶせ、さらにその上にベントナイトで、粘土で囲っていって、それを地盤に入れていく、こういうことでございます。

落合委員 これは、一万年たっても十万年たってもほとんど下がらない。そして、この下がり方だと、恐らく百万年たってもそんなに下がっていないと思います。こういったことも、しっかり解決というか、理解を得た上でしっかり説明しないといけない問題なんじゃないでしょうか。もし問題ないというふうにおっしゃるのであれば、十万年という期限の意味がよくわかりませんで、これは二万年でも十万年でもほとんど変わらないわけですから、何で十万年と言っているのかなということも、いろいろ調べさせてもらっている私でもよくわからないわけです。

 こういったことがたくさんあることが非常に問題だと思いますので、これは技術的な問題も、ガラス固化体も、その上の金属カバーも十万年もつものがあるのかということもあると思いますよ、ゴルフクラブだって手入れしないとすぐさびちゃうわけですから。そういったこともしっかりと、せめて国会議員が理解できるように、そして興味がある国民も理解ができるように、ぜひこれから進めていただければと思います。

 最終処分の問題はこれから大きな問題だと思いますので、この問題についてはこれからも追いかけさせていただきます。

 それでは、最後に一問、統計についてなんですが、統計業務の状況について大臣にお聞かせいただきたいのと、年末だったですか、繊維統計の改ざんの問題がありました。不適切な作業が常態化していて、外部からの指摘も今までも受けていた。それから、かなり多くの数値で改ざんが見つかったということでございます。経済政策を打つ上では、統計がもとになっているわけですから、これはかなり大きな問題だと思います。

 これについて大臣はどう把握されているか、それから、再発防止をちゃんとやっていくのか、お聞かせください。

世耕国務大臣 経産省においては、工業、商業、サービス業、中小企業、エネルギー業、幅広い分野の統計調査を実施しています。これらの統計は、政府だけではなくて、都道府県、民間企業、大学などにおいて活用いただいておりますけれども、経産省の政策立案にも幅広く活用してきたところであります。

 今御指摘の、昨年末に経産省の繊維流通統計調査において、大きく二点、不適切な処理がありました。

 まず一つは、過去のデータを長期間そのまま使用してきた。実際に調査を行っていないのに、データをそのまま使用してきた。これらの数値の一部について、六年かけて人為的にゼロにしていくというような不適切な処理があったことが判明いたしました。

 これを受けまして、昨年十二月に、こういった処理が行われていたという事実を公表させていただいて、この事案にかかわりました職員の処分を行いました。それとともに、ことし一月、二月に行われた統計委員会において、この事案における詳細な調査結果や原因分析、再発防止策の報告を行ったところであります。

 経産省としては、この事案は、この統計調査だけではなくて、政府全体の統計調査に対する信憑性を損なう重大な事案だというふうに認識をしておりまして、再びこのようなことが起きないように、省を挙げて全力で再発防止に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

落合委員 本日はありがとうございました。終わらせていただきます。

浮島委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民進党の中根康浩でございます。

 さすがに、今、若い落合さんは、十万年先のことまで視野に入れた、極めて中身の濃い質問をされておられましたが、私はちょっと落合さんより年齢的に先輩なものですから、きょうあすのことを質疑させていただきたいと思います。

 日米のハイレベル経済対話というものが十八日から東京で開かれて、大臣も関係閣僚会議で今その準備にいそしんでおられるということだろうと思いますけれども、自動車分野での交渉がどうなるかということに注目をしていきたいと思っております。

 安倍総理の訪米時に誤解は解消されたとこの委員会でも世耕大臣は答弁しておられますけれども、トランプ大統領は、米国車が日本で売れない理由は、日本独自の安全基準や検査手続が障壁になっていると考えておられたわけであります。

 昨年、日本で外国車は約三十万台売れた。そのうち七割がドイツ車、米国車は約一万四千台。外国車が日本側の障壁で売れないのではなくて、米国車に魅力がないのだということも言えるわけであります。

 関税は、米国から日本への輸出については一九七八年に撤廃されている。日本から米国への輸出については、乗用車で二・五%などのこういう関税が依然として残っているというわけであります。日本のメーカーの米国での現地生産は二〇一六年で約四百万台、他方、日本支社も米国で前途洋々というわけではなくて、米国では、原油安で燃費を重視しなくなって、もともとの大型車好みに回帰している、小型の日本車離れの兆候があるというようなことも見てとれるということも聞いております。

 こういう車を取り巻く状況の中で日米ハイレベル経済対話というものが行われる。いろいろなことが議題になるわけでありますけれども、車については協議の対象になるのか。あるいは、なると想定した場合に、どんなことがアメリカから言われて、それに対して日本からどう打ち返していくということを想定しておられるのか。この場で言いにくいこともあろうかと思いますけれども、言える範囲で御答弁いただければというふうに思います。

世耕国務大臣 十八日に予定されている経済対話、これは麻生副総理とペンス副大統領で行われる形になるわけでありますが、先般、安倍総理が訪米されたときの首脳会談で大きな方向性が合意され、これは、共同声明という形で文書にもなっております。その後、事務次官級など事務レベルで、この経済対話、どういうふうにするかという調整も行ってきて、今、最終的に麻生副総理のもとでその内容について調整をしているところだというふうに思っております。

 大きくは、首脳会談で合意された内容、すなわち、経済政策全般、マクロ経済政策ということだと思います。これが一つ。そしてもう一つがインフラ投資やエネルギー分野での協力、そして三つ目が貿易・投資ルールということになっていくんだろうというふうに思いますが、最終的にはこれはまだ決まっていないというのが現状であります。

 私の感覚では、今、この三つの柱で議論をしていくということでありますから、何か個別の商品の輸出入の状況とか、そういうことが経済対話で議論になるということは考えにくいというふうに思っておりますけれども、いずれにしても、今までもずっと説明をしてまいりました。

 もう既に日本には自動車の関税はないということとか、あるいは、ほかの外国車と何かアメリカ車を、あるいは国産車を別の扱いにしているということはないし、現にヨーロッパは日本での販売をふやしているというようなことは、いずれにしても、いろいろな機会を捉えてきちっとアメリカ側に説明をしていく必要があるだろうと思っております。

中根(康)委員 交渉の相手が、日本側は麻生さんで、相手はトランプさんではないということは、一つの落ちついた状況で協議ができるんだろうと思います。

 ですが、しかし車というものはやはり戦略商品ですので、個別の商品とはいっても、協議の俎上に上がらないと油断していてはいけないんだろうというふうに思いますので、ぜひ大臣から麻生副総理に十分な、車については、今までの経緯、やりとり、日本における重要性、麻生さんも九州ですからよくわかっておられると思いますけれども、レクチャーを、レクチャーと言ってはおこがましいのかもしれませんが、よろしく連係プレーをしていただきますように、お願いをいたします。

 私の地元、愛知県の岡崎市というところあたりは、かつて繊維でかなり華やかなりしころがあったんですが、日米繊維協議とかいうので相当なダメージを受けて、アメリカはやるときには何でもやってくるんだ、恐ろしい国だというようなことは今でも語り継がれておりますので、車についてだって、今までも結構厳しい協議の歴史があるわけなんですけれども、今回も、油断せずにやっていただきたいというふうに思います。

 次に、経済産業省の打つ手が的外れでないようにという思いで質問させていただきますけれども、きょう取り上げるのは商店街の再生ということであります。

 商店街の再生といったときの対策、ある商店街があって、そこが寂れていくときに問題はどこにあるか。その商店街がある町全体は購買力がないわけではない。元気がないわけではない。しかし、その駅前の商店街は活気がなくて人が集まらない。そういうケース、結構あるんだろうと思いますけれども、その商店街固有の問題、原因というものをきちんと捉えた対策を打たなければ効果が出ないということであります。

 例えばそういうケースで原因になっていることは、商店街の店舗のオーナーだとか地権者だとか地主に再生の意欲が全くなかったり、自分たちは、ある意味、高齢になって暇潰しに店を開いて、やれるところまでやる。しかし、息子は会社に勤めていて、安定した生活をしているから店は継がない。こういうケースでは、新たな投資はなされないし、幾らポテンシャルの高い地域であっても、開発は起きないということになります。

 駅前に住んで利便性だけは享受するけれども、商店街全体の活性化はまるで念頭にない。こういうケースにおいては、我々がこの国会あるいは政府からいただくようないわゆるポンチ絵に描いてあるようなそういう一般的な対策ではなくて、その商店街の再生には、その商店街固有の実情に合わせた、まさにオーダーメードの対策を講じなければ打開できないということになるわけであります。

 例えば今挙げたケースのような場合には、経産省としてどういう商店街の再生策を打ち出していただくことができるのか。お示しをいただければと思います。

高島政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員からお話がございました商店街の再生ということについてでございます。

 商店街の再生を図るためには、今委員から御指摘がありましたような空き店舗を解消すること、そしてまたそれとともに、新たな店舗が出店しやすいようにして新陳代謝を図っていくこと、これは非常に重要なことであるというふうに考えております。

 こうした考えのもとに、私ども中小企業庁といたしましては、地域・まちなか商業活性化支援事業というものを行ってきております。商店街組織が行います、空き店舗を活用したチャレンジショップ施設の整備、店舗改装費への支援、こういったことを取り組んできているところでございます。

 一つ例を申し上げますと、山梨県の甲府市に甲府城南商店街というものがございます。ここでは、商店街とまちづくり会社が物件の所有者と交渉をして、できるだけ賃料を低廉にしてもらって、そして、若者に的を絞った新しい店舗の誘致ということを行いました。近くに宝石美術専門学校というものがありましたので、その宝石美術という観点から、若い女性にターゲットを絞った宝飾店、雑貨店などを積極的に誘致をし、チャレンジショップ事業も実施をして、その結果、魅力ある店舗が集積をしまして、周辺の空き店舗が減少した、そういった好循環を生み出したような事例がございます。

 委員から、それぞれの商店街の特色に合った支援が大事なんじゃないかという御指摘がございましたが、まさにそのとおりではないかと思います。

 平成二十九年度予算にも同様の事業を盛り込んでおりますので、こうしたものを活用して、商店街の空き店舗解消、商店街再生ということにつなげていきたいと考えております。

中根(康)委員 今のような好事例のようなところは、必ず誰かキーマンというかキーパーソンというか、そういう人材がいらっしゃるんですよ、恐らく。そういう人を、もちろん経済産業省や中小企業庁の中で内部で育成するというのもあるかもしれませんが、外にいらっしゃる方を、そういうまちづくり、町再生に、商店街再生に有能な方をどんどんリクルートしたりリストアップして、このケースだったらこの人にやってもらえばうまくいくんじゃないかとか、そういうマッチングをするとか、法律とか予算とかということにあらわれないというか、あらわしにくい、とにかく人ですよね、そこをぜひ個別具体的に当てはめていくというか、当てはめていくと言うと失礼かもしれませんが、対応させていくということを一つ一つやっていかないと、法律で日本全国の商店街対策だということでやっても、なかなかこれはうまくいかない。結局、どこも再生しないということになる。一つずつ、ここが終わったら次はここだというぐらいのつもりで取り組んでいただければということでございます。

 今後、来週以降審議することになる閣法の地域未来投資促進法案ということに関連して聞きますけれども、今も出ましたが、まちづくり協議会などが農地を転用して大型商業施設を誘致するということを考えた場合に、この法案でどのような支援が、そもそも支援の対象になるのかどうか、あるいは、なるとしたらどういう支援ができるかということを御説明いただければと思います。

鍜治政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御質問の地域未来投資促進法案でございますが、本法案の支援対象につきましては、まず、事業者の方が地域経済牽引事業計画というものをつくっていただきまして、これに関する都道府県知事の承認というプロセスがございます。

 具体的な承認要件につきましては、それぞれの自治体が基本計画でお定めになることになりますが、ポイントが三つございまして、一つは、地域の特性を生かした事業、それから二番目として、高い付加価値の創出、三番目として、地域事業者に対する相当の経済波及効果、この三点を満たすようなプロジェクトでございますれば、この法律の支援対象ということでございまして、今委員御指摘のまちづくり協議会にある商業施設についても、この要件を満たせば対象になり得ると考えます。

 それから、支援措置といたしましては、金融面、それから設備関係、情報支援、さまざまな人的支援も含めまして、パッケージで御支援を申し上げようと考えているところでございます。

 農地の転用という観点につきましては、この支援事業に当たるという前提で、もう一つ、承認のプロセスがございます。

 具体的に申し上げますと、まず、当然のことながら、農業政策との関係で、優良農地の確保をしっかり図る、これは、全ての自治体あるいは国としての要請でもございます。

 したがって、例えば商業施設をつくる際に農地転用が必要だという御判断があった際に、まず、農地転用をできるかどうかということについては、国が定めます基本方針や、それから、自治体がお定めになる土地利用調整計画において、農地の効率的な利用に支障がないかどうか、まずそこを確認して、大きな外縁を設定していただくことを考えてございます。

 その上で、それぞれの地域における土地利用調整計画におきまして、どの区域をこの地域経済牽引事業に主に充当するか、対象区域とか施設について、それぞれ都道府県知事と市町村で調整を行った上で、その調整の範囲内で個別の事業計画をさらにこの対象にしていくかということを判断するという二重のチェック体制のもとで、土地の利用、活用についても制度として設計しているところでございます。

中根(康)委員 さっきの商店街のことについても、あるいはこういう点のことについても、個別に一つ一つ見きわめながら事業をやっていくということは、僕は大切なことだと思うんです。

 例えばコンパクトシティーという言い方があるんですが、私の地元は、もう小学校の児童が三十人ぐらいしかいないんです。将来を見渡しても、全然子供がふえていく可能性がないわけなんです、現状では。だから学校の存続自体が危ぶまれている状況なんですけれども、だから、地元の人が自分たちの土地を、寄せ集めてというか出し合って宅地開発をしようと試みたわけなんです。試みたんですけれども、市役所が、国がコンパクトシティーと言っていますから、周辺部にはもう宅地開発はできないんですと。学校の存続自体が危機的な状況にあるのに、何でコンパクトシティーなんだということなんです。

 だから、そういうことも、その地域の実情に合わせた個別具体的な対応というのがぜひ必要で、コンパクトシティーという言葉一つで全国を一くくりにするようなやり方はもうだめだということは申し上げておきたいと思います。

 商店街のことにも戻るんですけれども、東京のように電車が充実していない、車中心の地方都市の場合なんかでは、やはり、東京と地方都市の場合では商店街のあり方も全く違うわけなんです。

 特に、車社会の地方都市の場合は、町と車との共生が最も重要で、その場合に、実は隠れた一番重要なプレーヤーは警察なんですよ。お店の前にちょっと駐停車するだけですぐに違反切符を切られてしまうようなことでは、商売もやっていられないわけであります。

 そういうことでいうと、例えば、それこそまた地元のことで恐縮なんですけれども、お祭りがあって、何かちょっと事故があったんだという理由で、そのお祭りで飲酒はだめだ、お酒を飲んでいる人が山車を引くとチェックされて、来年からはその町内の山車はもう出させないぞとかと言われたり、爆竹はだめだとか、もう祭りが祭りでなくなっちゃうわけなんです。警察行政の一環なんですけれども、商店街ということについても、実は、警察のいろいろな対応が結構敏感に影響しているんです。

 だから、商店街対策といった場合に、経産省も警察ともこれから少し連携をし合うというか、情報交換して、この商店街はやはり残さなきゃだめだ、活性化させなきゃいけない、そういう場合には警察もいろいろと工夫をしてもらいたいというような対応が必要なんだろうというふうに思います。ぜひこれはよろしくお願いを申し上げておきたいと思います。

 中小企業が正社員をふやすということについて取り上げていきたいと思いますけれども、正社員をふやしたり給与を引き上げたりしたときの補助金や税制は多種多様であります。

 代表的なものとしては、正社員化、処遇改善をしたときの厚労省のキャリアアップ助成金、給与を引き上げたとき法人税額を控除する経産省の所得拡大促進税制、二人以上かつ一〇%以上のフルタイム雇用をふやしたとき法人税控除がある雇用促進税制などがあります。

 これを一つ一つ見ていくと、キャリアアップ助成金はワンショットであります。所得拡大促進税制や雇用促進税制は、赤字企業には恩恵がなかったり、適用要件が厳しかったり、それぞれ一長一短あるわけであります。

 それに比べて、我々民進党が国会に今提出をしている通称中小企業社会保険料軽減法案は、中小企業の痛いところ、かゆいところに手を差し伸べる内容になっていて、使い勝手もいいし、赤字企業でも使える。これは議員立法として提出しておりますので、何とか与党の皆さんに御理解いただいて審議をしていきたいというふうに思いますけれども、なかなかそれがかなっておりません。

 しかし、内容的にはこれはすごくいい法案なので、国会のことは国会でということではなくて、大臣、一度目を通して読んでいただいて、同じものでなくても結構です、メンツもあるでしょうから、少しぐらい変えていただいて結構でございますので、閣法で似たようなものをつくっていただいて、ぜひこの国会に提出をしていただければ、我々の法案がベースになったものであれば、恐らく、これはもう自民党から共産党さんまで全会一致で可決されて、全国の中小企業者が喜んでいただけるということになるんだろうと思います。

 こういう、中小企業の社会保険料を軽減するということについて経産省のお考えをお伺いしたいと思います。

世耕国務大臣 確かに、社会保険料の支払いについては、特に中小企業・小規模事業者の皆さん、特に赤字経営になっているような方々から、非常に重荷であるという御指摘があることはよく存じ上げております。

 その上で、民進党の出しておられる法案については、しかし一方で、やはり人を雇う以上、社会保険料も負担をするというのが、ある意味これは、経営者の、雇用する側の義務でもあるわけでして、従業員とそこを折半して負担するというのが制度の根幹でもありますし、では、この負担を肩がわりするとなると多額の費用が必要になって、財源どうするのかという問題も出てくるというふうに認識しています。

 そういうことよりも、やはり中小企業が賃上げをして社会保険料を負担しやすいような環境をつくる、特に私は今、下請の取引の適正化ということをやっていますけれども、こういうところで中小企業の手取りをしっかりふやして、それをベースにしてしっかりと社会保険料も負担してもらう。

 ただ、一方で、雇用保険については、大分雇用が安定していますから、保険料が大分積み上がってきているという現実があります。

 そういった現実に対応して、これは、昨年八月に閣議決定された未来への投資を実現する経済対策において、雇用保険料率の引き下げというのを盛り込ませていただきました。今国会で雇用保険法の改正法案が審議され、三月三十一日に成立をしましたので、平成二十九年度から雇用保険料は、労働者側、使用者側ともに〇・一%ずつ引き下げられました。

 こういう取り組みをしっかり地道にやっていきたいと思っています。

中根(康)委員 法案の中身をよく読んでいただきますと、社会保険料を直接軽減するということじゃないんです。その二分の一に相当する分を中小企業対策費の中から捻出して、中小企業に対して御支援を申し上げていく。そのことによって、正社員がふえれば結婚する人がふえる、結婚する人がふえればおのずと子供がふえるというようなことで、正社員になればお給料も上がるし所得税も上がる、子供もふえる、未来にとっていいことばかりだ、こういう内容でありますので、改めて御認識をお深めをいただければと思いますが。

 これは通告していないんですけれども、今のことで関連して、きょうの新聞にも出ておりましたので一つだけお聞きしますけれども、自民党さんがこども保険というものを今検討されておられて、このこども保険の保険料を社会保険料に上乗せして事業主から集める。

 これは我々の、我々のというか、少なくとも私の哲学からはちょっとかけ離れた、反するものである。もうこれ以上社会保険料を上乗せするわけにはいかない、事業主負担はお願いできないんじゃないかというふうに思いますけれども、こども保険の保険料を安易に社会保険料に上乗せするということが、これから自民党や政府の中でも検討されていくんでしょうか。答えられないですよね。

世耕国務大臣 予想されたとおり、これはまだ今、党の中で議論をされている話だというふうに思いますので、政府としてお答えすることは控えたいと思います。

中根(康)委員 時間が迫ってまいりましたので、一つ、聞けないとちょっと申しわけないので、農水省にも来ていただいておりますので、農水省の質問をさせていただきます。

 卸売市場に関してなんですけれども、卸売市場は適正な価格形成の場で、卸売市場が存在することで、農家は安心して生産し、消費者は不安なく食生活を営むことにつながる、こういうことであります。

 私は、月に一度ずつ、地元にある青果市場、魚市場、花卉の市場を訪れておりますが、やはり、最近は荷の少なさを感じざるを得ない。競りが始まっても、もう場合によっては誰一人集まってこないというようなこともあります。

 全国の中央卸売市場での取扱量は、十年前に比べて二割以上減少していると聞きます。地方卸売市場でも、同じか、さらに厳しい実情であろうと思います。

 原因としては、やはり、人口減少あるいは人口高齢化で消費量が減っている、スーパーなどが産地と直接契約することがふえてきた、あるいはネット販売もふえてきたというようなことが、卸売市場が元気がなくなっている原因として考えられております。

 しかし、この状況を放置していてはいけないとも感じるわけでありまして、地方の卸売市場がなくなると、地域社会における食材の供給が不安定になりかねない、卸売市場は今なおその重要な役割を担っていると思います。

 農水省として、卸売市場についてどのように現状を認識し、再活性化を図るためにどのような対策を講じようとしておられるのか、お伺いをしたいと思います。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御質問の卸売市場につきましては、依然、青果、水産ともに市場経由率が五割を超えておりまして、さまざまな形で意義、役割を有していると考えております。

 具体的に申し上げますと、出荷側に立って集荷を行い、出荷者にかわって全量の販売を受託する卸売業者が、全国各地の生鮮食料品等、品ぞろえをするということとともに、卸売業者と消費者、実需者側に立って商品を買い受ける仲卸業者との間で、需給や品質に応じた価格を形成しながら、食料の安定供給を通じて国民生活の安定に貢献してきたところでございます。

 また、出荷者側に対しましては、卸売業者が実需者から代金を回収して早期かつ確実に決済することによりまして、生鮮食料品等の生産、流通の円滑化に寄与してきたところでございます。

 他方、農産物流通の現状を見ますと、委員御指摘のように、インターネット通販、産地直売等の増加によりまして、生鮮食料品等の流通経路は多様化しておりまして、卸市場を経由する生鮮食料品等の比率は低下傾向にあるとともに、卸売市場も卸売市場関連業者も減少が続いているところでございます。

 こうした卸市場をめぐる状況の変化、食料需給、消費の実態等を踏まえまして、農業者、消費者双方のメリットを受けられる流通構造を確立するために、市場関係者の意見も丁寧にお聞きしながら、卸市場の見直しを行ってまいりたいと考えております。

 そして、委員の御質問、卸市場の再活性を図るためにどのような取り組みがあるかということでございますけれども、各地の卸市場の中には、創意工夫によりましてさまざまな取り組みが行われております。

 例を申し上げますと、例えば福岡の福岡市中央卸市場の青果卸業者では、生産者と漬物業者と共同で、カット野菜の加工販売を行う事業体に出資するとともに、原料の一部を供給する六次産業化の取り組みを行っております。

 また、大阪鶴見の花卉地方卸売市場の卸売業者は、卸売市場の輸出拠点化に向けて、品目ごとに温度管理ができる保管庫でございますとか、トラックの荷台から保管庫に直接運び込むことができる入荷口、ドックシェルターと呼んでおりますけれども、こういったものなど、輸出向けの施設を整備しているということでございます。

 さらに、和歌山市では、和歌山中央卸売市場と市場外のにぎわい施設、道の駅を一体として、食の拠点とするための整備計画が策定されております。

 そのほか、全国各地の卸市場において、卸市場を消費者に開放して親しんでいただくような市場祭り等のイベントも盛んに開催をされているところでございます。

 農林水産省といたしましては、卸市場につきまして、例えば、今申し上げましたような輸出拠点化の取り組み等に支援をいたしますほか、卸売市場を活用した多様な取り組みが行われますよう、卸売市場の規制の見直しも行ってまいりたいと考えております。

中根(康)委員 ありがとうございました。

 卸売市場については、合理化という名前で廃止の方向でということではなくて、ふやさなくてもいいですけれども、今あるものを再活性化していく、今さまざま御答弁いただいた創意工夫を重ねて、そういう方向で取り組んでいただければありがたいと思いますが、せっかく鍜治さんがお見えになりますので、この卸売市場で六次産業化したり観光活動をするとか、そういったことについて、先ほどお尋ねした地域未来投資促進法案というものでは何かこれは支援対象になり得るでしょうか。どうでしょうか。

 済みません、質問通告しておりませんが。

鍜治政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、地域の特性を生かした、地域への経済波及効果の高い事業であれば、法案の支援対象になる制度設計でございます。

中根(康)委員 ありがとうございます。

 今の法案は、農水省と経産省と力を合わせて取り組んでいくものでございますので、この卸売市場ということも、豊洲とか築地とかそういうことではなくて、全国で重要な機能を果たしているところが幾つかあって、それぞれの市場の関係者が大変御努力されておられますので、再活性化ということを省庁連携で推し進めていただければということをお願い申し上げて、きょうも一つ質問を残してしまいましたけれども、これで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 民進党の田嶋要です。おはようございます。

 午前中の質問を聞いておりまして、一点お尋ね申し上げたいと思います。

 世耕大臣が先ほど、避難計画に関して、これはかなり細かくやっている、こういうことをおっしゃいました。

 私が現地本部長をやっていたときのことで振り返りますと、最後は、老人ホームのこの方はどこに連れていくのかというところまでこれは決めておかないと容易なことではないというのがやはり私の感覚です。同時に、各家庭も、ペットの問題が大変でございました。動物がいるかいないか、当然、集団生活の場にペットはなじみませんので、その辺の非常に困難さが多く伴ったのもあの三・一一直後の経験でございましたので、大臣はひょっとしたら、避難計画を地元がつくったのを見て、そういうのをかなり細かいというふうに印象を受けられたようでございますが、私の印象では、それが最低ラインの当たり前のところだと思います。

 そうでなければ避難計画は絵に描いた餅だと私は思っておりますので、これは御答弁要りませんので、ぜひとも御認識を、できれば改めていただきたいというふうに申し上げたいと思います。

 それから、一点お尋ねでございますが、同じく午前中の質問の中で、地域のエコシステムということをおっしゃっていただきました。私は大変大事だというふうに思っております。そして、先ほど、同僚議員の御質問の中で、農水省が林業を見て、そしてバイオマス、大臣の口からは、今までバイオマスといえば、木を切ってやっていると思っておりましたと。

 ここも間違いではないのかなと思うんですが、そもそもバイオマスの木というのは、製材に使われる、家を建てたりするときの木じゃないものを使っているということで多分正しく御理解をしていただいていると思いますが、大事なことは、今までお金を払って産廃として持っていってもらったものを、今はお金を受け取れる、もう一つの収入源が生まれるという観点がその地域にとっては大事であって、今まで、木材を販売するのに加えて、エネルギーをバイオマスとして取り組むことによって、その地域の収入がふえる、雇用もふえる、そういうことなんだということだと思います。

 同じような例がソーラーシェアリングということでございまして、こちらは林業ではなくて農業でありますが、水田や畑で今までやっていた、しかしなかなか収入が上がらないというときに、土地を大事に生かしながら、同じその土地から上でソーラー発電もやっていくということは、今までのような何もやっていないところのメガソーラーとは大分意味合いが違いまして、ぜひともここは、どちらも農水省だと思いますけれども、農業や林業の多面的な価値を大事にしながら、ぜひ経産省として一生懸命やっていただきたいというふうに思っております。

 地域のエコシステムを育てるという観点からも、大臣にはこのことの認識を、特に木質バイオマス、ここは山の木を切って燃やしているというのはちょっと違うのでありまして、ごみとして金を払っていたものが宝の山になりつつある。その点を御認識を改めていただきたいと思います。

世耕国務大臣 私は林業県の議員でありまして、もうその辺は重々よくわかっています。私の地元でもたくさん木質バイオマスが存在をするわけであります。

 ただ、今までは、間伐材の切り出しというのに林野庁が物すごい補助金を入れている。切り出してきたものは、細々と木工品に加工したり、今おっしゃるように、処分をしたりという形をとっていたわけですが、それが今度、燃料として価値が生まれてくる。

 ただ、そこが、林野庁は間伐材の切り出しに補助金を入れ、経産省はそのバイオマス発電機に補助金を入れ、これが全く別々でしたから、せっかくバイオマス発電、山林地域で導入しようとしているのに、それを海岸に持っていってヤシガラを輸入したりとか、あるいは、遠いところにあるものだから、わざわざトラックで運んでいって燃料として発電をしているというような状況ですから、できれば、私は、小さい規模の発電機を中山間地の山のそばに置いて、そして、間伐材の切り出しということと発電ということが結びついて、それが地域の収入になり、発電することによって、その電力がまた何らかの形で地域に価値を生み出すというようなエコシステムを完成させていくべきだというふうに考えております。

田嶋(要)委員 正しい御認識だと私は思っております。今、特におっしゃいました、できれば小さい規模のというところが私はポイントだと思いまして、かなり大きい規模で失敗した事例もございます。先進的な地域としては、北海道の下川町あるいは岡山県の真庭市のような、そういう取り組みをぜひ応援していただいて、大事なことは、これまで以上に農林水産省と連携を強めて、ぜひ経産省にも頑張っていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 それでは本題に入らせていただきますが、きょうもエネルギー政策に関係した幾つかの御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、エネルギーの自給率に関してお尋ねをいたしたいと思います。

 冒頭、エネルギーの自給率を定期的に計算をして発表しておるわけでございますけれども、その理由は何でしょうか。目的は何でしょうか。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 我が国は、化石燃料に乏しく、そのほとんどを海外からの輸入に頼るという、エネルギー需給構造上の根本的な脆弱性を抱えております。

 このため、エネルギー源の海外依存を可能な限り低減をさせ、エネルギーを自給する割合を高める、こうした取り組みを継続して行ってきております。

 これを端的にあらわすものとして、エネルギー自給率をエネルギー安全保障に関する重要な指標の一つとしております。

 こうしたエネルギー自給率につきましては、我が国のエネルギー需給状況等を踏まえまして、随時お示しをしております。この一環として、エネルギー白書等においてエネルギー自給率を掲載しているものでございます。

田嶋(要)委員 今の御答弁でも明らかなように、エネルギー自給率を計算する意味というのは、我が国のエネルギー安全保障がどういう状況にあるかということを端的に示す指標であるということでございました。

 要は、高ければ高いほどいい、そういうことでいいですか。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 エネルギー自給率が向上することで高い状態になること、これは非常に重要でございます。

 さらにつけ加えますと、資源をどこから供給してもらうか、多角化というような側面、そういった面も重要でございますが、やはり自給率の向上というのは、これを高めていく、この努力が非常に重要というふうに認識しております。

田嶋(要)委員 その中で今再生可能エネルギーが進展し、そして、省エネルギーも取り組みを進めておるわけでございますが、この二つは、海外由来の一次エネルギーの依存度の低減、そうしたことによる海外由来の一次エネルギーへの依存度の低減というのは、自給率にどのように反映されますでしょうか。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の、太陽光、風力あるいは地熱といった再生可能エネルギーでございますが、これは、エネルギー基本計画におきまして「エネルギー安全保障にも寄与できる有望かつ多様で、重要な低炭素の国産エネルギー源」と位置づけております。

 したがいまして、こうした再生可能エネルギーの導入拡大を進めますと、国内におけるエネルギー供給をふやすことにつながりまして、エネルギー自給率の向上に寄与することになります。

 また、省エネルギーにつきましては、その進展によってエネルギー需要を減らし、それに伴って、必要となるエネルギー供給を抑制することにつながります。これによりまして、相対的にエネルギー自給率の向上に寄与することになります。

 エネルギー白書等でお示ししていますエネルギー自給率というものは、こうした再エネあるいは省エネの状況、これに伴う海外へのエネルギーの依存状況の変化等も反映しているものでございます。

田嶋(要)委員 要するに、この再生可能エネルギーも省エネルギーも、それを推進することがエネルギー安全保障上極めて重要である、そういう理解でよろしいですね。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 先生の御指摘のとおりというふうに考えております。

田嶋(要)委員 私、再生可能エネルギーは一種の発電ということで、それが進めば、その分、化石の発電を必要としなくなるとかいう結果として、自給率の数字にプラスに反映されるんだろうと思うんですが、私は、ちょっとひっかかるのは、省エネルギーというのは、これは言ってみればネガワット取引みたいなものですね。

 こうなってくると、これは今は既に使わなくなったという量なわけでございまして、これは自給率の数字上はあらわれてこないのではないのかなというふうに思うんですが、その点はいかがですか。

小澤政府参考人 先生御指摘のように、エネルギー自給率というものは、計算上は、分母に一次エネルギーの国内供給量というものを持ってきまして、分子の方には国内産出量というものを持ってきます。

 したがいまして、省エネルギーというものをしますと、需要を減らして供給量もそれに伴って減らすということですので、直接的には数字には出てこないんですが、結果としてそれは自給率の向上に寄与するというふうに考えております。

田嶋(要)委員 配付資料の一をごらんをいただきたいと思います。エネルギー白書のコピーを持ってまいりました。

 下が三・一一前の二〇一〇年の表記、そして上が、直近の二〇一六年の表記であります。どちらでもこの部分ではいわゆるエネルギー自給率ということでございまして、二〇一〇年、原発も動いている状況の中で、準国産を含めて一八%、そして、上の方の一六年は、そうした状況とは激変をした結果として、過去最低の六%、こういうふうに記述があるわけでございます。

 これはこれで間違ってはいないわけですが、今、デカップリングというか、成長はしてもエネルギー消費をできるだけ減らしていく、あるいはCO2、温室効果ガスの影響を減らしていく、そういうことを経年的に取り組みを続けているのであれば、自給率というその一種の指標が非常に簡便なわかりやすいものであっても、それが全体ピクチャーを正確に伝え切れていないのではないかなというふうに私は思っております。

 すなわち、今申し上げました省エネルギーに関しては、この自給率の数字上は表に出ない。経年で例えば今まで一〇〇使っていた国が九〇で同じことがやれるようになったら、一〇の部分は日本の安全保障は高まったと私は考えるんです。すなわち、海外に依存しなくても済んでいるわけだから。それは再生可能エネルギーとは違う道であっても、省エネルギーを進めることが日本の安全保障を高めた、安全保障の力を高めたというふうに私は言えるのではないかと。

 しかし、それは自給率の数字には、必ずしも表に出てこないのではないかというふうに考えておるんですが、その点はいかがですか。

小澤政府参考人 先生御指摘のように、省エネルギー、これはしっかり進めていくということは政府の方針でございまして、例えば、一昨年に示しましたエネルギーミックスの中でも、省エネルギーは二〇三〇年度に向けて、原油換算で五千万キロリットル程度、その割合で省エネを進めるということを言っております。

 したがいまして、省エネルギーを示すという意味では、そういった数値を示してエネルギーミックスの中でもうたっているわけでございます。

 先生がおっしゃるように、エネルギー自給率という指標の中では省エネルギーというのは直接的には出てきませんけれども、それとあわせて、省エネルギーの進捗状況などを説明していくということは重要かと思います。

田嶋(要)委員 大臣、私が申し上げたいのは、自給率の数字というのはやはり一番わかりやすいという意味で、民間の皆さんとお話をしていても、原発もとまった、日本の自給率はどんどん下がってきて過去最低だというような、非常に危機感を高めるそういうお話をよく聞くわけですが、と同時に、日本がこの間取り組んできた省エネルギー等々の努力によってこれだけいい状況に改善している部分もあるということも、私は同時に発信をしていくべきなのではないのかなというふうに考えておるんです。

 もう一つ申し上げたいというふうに思います。

 省エネルギーと加えて、海外のどこからエネルギーを買っているかということも大変大事なわけだと思うんですけれども、このエネルギーの自給率にはそうしたことは反映はされているのでしょうか。

世耕国務大臣 おっしゃるように、自給率というのもエネルギー安全保障上の一つの指標ではありますが、それだけで見ていては、それだけでエネルギー安保が完全に確保できるのかといったら、私はそうではないというふうに思っています。

 今御指摘の省エネルギーの分ですけれども、これが難しいところは、確かに今減っています。電力消費量は減っている。それが本当に今後もずっと続く省エネルギーなのか、それとも、今一時的に、景気の動向とか、あるいは、後で御議論になるのかもしれないですけれども、やはり原発がとまっている影響で電気代が上がっていることによって節電という形で出てきているのか、そこはよく見きわめないと安保上の議論はできないのではないかというふうに思っています。そして、ほかの面も重要です。カントリーリスクとか、いろいろな面で見ていかなきゃいけない。

 要するに、エネルギー安保という観点でいけば、いざというときに、どれだけどの辺から調達できるのかということをいろいろな観点で考えておくということが非常に重要ではないかというふうに思っています。

田嶋(要)委員 大臣、ありがとうございます。

 ただし、一時的な省エネかどうかということをおっしゃるんだったら、エネルギー自給率の数字だってわからないですよ。どんどん自給率が上がっていくと思ったら、来年がくんと下がった。現に原発事故の後、準国産も含めての話ですけれども、がくんと落ちたわけですから。それは、だから発表しないとか、だから計算しないという理由には私はならないんじゃないかなというふうに思うんです。

 だから、自給率には余り直結しない話でも、時系列として省エネルギーをこれだけ進めたことが、結果として日本のエネルギー安全保障には大変寄与しているという面も同じように強調された方が、民間の皆さんがエネルギー白書等を読んだときに、何だ、日本の自給率はどんどん下がってどんどんやばくなっているぞだけのメッセージじゃないメッセージを受けとめていただけるのではないかということと、それから、今申し上げたように、自給率の数字にはあらわれない、どこから調達しているのか、具体的に言えば、アメリカやオーストラリアから買っているLNGと中東から買っている原油は、リスクは全然違うでしょうということなんですよ。エネルギー安全保障の数字で計算すれば同じ数字になっちゃう。

 配付の資料の二をごらんいただきたいと思います。実は経産省からいただいた資料なんですが、二〇一〇年、結構いい部分がありまして、きょう、コピーをつけさせていただきました。

 では、エネルギー安全保障といったときに、どういうフェーズを見なければいけないか。大臣がまさにおっしゃったとおり、一次エネルギーの自給率はワン・オブ・ゼムなんですよ。全体の中の一個にすぎない。そして、海外からずっとタンカーに載ってやってくる部分と国内においての備蓄とか、そういったことも全部を含めてやはり考えていかなければならない。

 特に私が今申し上げたのは、エネルギー輸入先の多様化ということで線を引いた(2)でございますが、次のページをごらんください。

 今大臣おっしゃられたとおり、カントリーリスクも全然違うわけでありまして、実際にこの資料三の下のところを見ていただくと、二〇〇〇年代と直近の表の比較をしていただくと、日本のところの天然ガスの評価が一・九から七・六。この間に、日本のエネルギー安全保障の要素の一つである、どこから調達をできているかということは、石油等と違って、天然ガスシフトが起きれば起きるほど、言うまでもなく、今輸入をしているオーストラリア、あるいはこれからさらに高まっていくアメリカや、ひょっとしたら将来のカナダ等々、リスクが極めて低いとみなされる国々からの調達にこれからシフトをしていく、まさにそれこそが日本のエネルギー安全保障の肝だと私は思っておるんです。しかし、それは自給率の言葉の中にはあらわれてこないんです。

 私は、一つまずここで提案は、大臣、エネルギー白書、これからの新しいエネルギー基本計画、日本は自給率が小さくて大変だ大変だということも一面あるとは思うんですが、しかし、この間の取り組みによって、一つは省エネルギーをどう見せていくかということ、それから、調達先がこれだけ変わってきたことが、同じ数字でも全然意味合いが違う。アメリカやオーストラリアから買っているLNGは、リスクフリーとは言わないけれども、ホルムズ海峡も通らないわけですから、マラッカ海峡も通らないわけですから、その点をきちんと発信していただきたいということが提案でございます。

 以上です。よろしくお願いします。

世耕国務大臣 先ほどから申し上げているように、我々は何も、一次エネルギーの自給率のみでエネルギー安保を測定しているわけではありません。そのことは白書にもかなり反映をされているというふうに思っています。

 主に我々が見ているポイントは、まず一次エネルギーの自給率、そして各資源の輸入相手国の分散度、そして、今御指摘のようなホルムズ海峡のようなチョークポイントを通過している比率、そして、一次エネルギー供給源の分散度ですとか発電電力構成の分散度、そして、停電時間、エネルギー消費のGDP単位、そして石油の備蓄日数、こういったことを総合的に見て、各国の状況と比較をしながら日本のエネルギー安保の状況というのを判断をさせていただきたい。

 省エネについても、きちっと総発電量という形でデータは公開していますし、表面的に出ないと言っていますが、当然、自給率に反映をしているわけであります。総供給量ということで言っていますが、供給と需要というのはこれは裏腹で、需要に対して一定の余裕を見た供給を行っているわけですから、需要が減れば当然供給も減っているわけで、分母が小さくなるということは自給率が高まるという形で、私は、省エネに関しても一定の自給率には影響をしてきているというふうに考えています。

田嶋(要)委員 エネルギー自給率というその割り算したパーセンテージが最も国民には伝わりやすいメッセージになりますが、それは全体の一面しか捉えていないし、先ほどのエネルギー自給率をなぜ発表するかというと、それは、我が国のエネルギー安全保障がどうだということ。数字が上がる方が望ましいということであれば、やはり、安全保障の自給率の比率のみならず、同じようにわかりやすい指標で、きょうのこの二〇一〇年の、やられたとおり、今同じようにどう発表されているかちょっと確認できていませんけれども、ぜひともわかりやすい指標で、多様化がどのぐらい進んでいるか。今、チョークポイントの話もありました。国内もあると思います。しかし、そういうところを自給率に並んで見せていけるような情報発信の仕方をお願いしたいというふうに思います。

 それでは次のテーマでございますけれども、電気料金でございます。

 電気料金は、資料でいくと資料の四をごらんいただきたいんですが、やはりこの間、産業分野から大変ないろいろな声が上がっておるのは全くそのとおりでありますが、大臣に御認識をお伺いしたいのは、電気料金の高騰を原因として企業が潰れたとか企業の海外移転、こういうことが報告をされておるんですが、今どういう御認識に立っておられるか。

 この間、原油価格は少し去年から下がってきましたですね。そういう意味で、これは茂木大臣に出された紙でございますけれども、一時ほど今は厳しくない状況なので少し小康状態にあるのかなという感じもするんですけれども、一寸先は闇であります。

 大臣は、これだけ現場から声が上がっていますが、受け継がれた大臣として、どういうような今御認識に立っておられるかということをまず教えてください。

世耕国務大臣 企業の事業が縮小するとか倒産するとか海外移転するというのは、国内市場の規模の縮小や競争の激化などいろいろなファクターがあるわけですけれども、その中でも電力多消費型産業においては、電気料金の水準が、その事業環境や国内立地の判断に影響を与える重要な要因だというふうに認識をしています。

 電力多消費産業では、マクロデータで見ても、全製造業平均に比べて影響が非常に大きいと見ております。例えば、東日本大震災の前後における電気代の増分は、製造業平均では従業員一人当たり約十五万円であるのに対して、例えば圧縮ガス、液化ガス製造業は、これは約六百十九万円、鉄鋼業では約二百三万円という分析もあって、やはり、電力をたくさん使っている企業への影響は大きいというふうに思っています。

 昨今、原油価格は少し安くなっておりますが、それがいろいろ契約の形態とか調達のやり方によって、ダイレクトにそのまま比例して電気代が下がっているわけではありません。引き続き、製造業にとっては厳しい状況が続いていると認識しております。

田嶋(要)委員 各家庭も大変でありますけれども、電力を大変使っている産業にとっては、やはり特段の配慮をし、そしてまた、私もですけれども、現場のいろいろな実態を学んでいかないと、しっかりと効果的な対策を打てないのではないのかなというふうに感じております。

 資料の五は、そうした方々がおっしゃっている、これだけ電力の料金、特に高圧と特別高圧、そういったところが上がってきた。そして、その次の資料の六には、具体的に、例えば鋳造業に関してはこれだけのコスト負担がある、八十三億円。そして価格転嫁もできない。しかも、プレーヤーは八割が中小事業所である。こういったことがあるわけでございますけれども、その次の資料の七をごらんください。

 では、一方、足元の経済産業省、その官公庁においては一体どこから電気を調達しているのかということを調べさせていただきましたところ、この資料の七にあるところでございます。二十八年と二十九年で若干減っておりますが、それでも半分以上は新電力から、これは特高とか大規模なものです、新電力から電気を調達しておる。

 他方、お伺いします。自由化から十年以上過ぎました。法人マーケット、今はどのぐらいの新電力のシェアがあるんでしょうか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 電力使用でございますけれども、基本的に自由化の中でその比率が上がってきておりまして、今、特高・高圧で一二%まで上がってきておりまして、全体で見ますと、九%程度の新電力のシェアに上昇してきているところでございます。

田嶋(要)委員 上がってきたのは結構ですけれども、私は、自由化は十年以上もたっているのに、いまだにそういうパーセンテージで本当にいいのかなと。前回、同僚委員から、自由化したらどのぐらい市場シェアを目指すんですか。なかなかこれは難しい問題だと思いますけれども、例えば、四半世紀前にテレコムが自由化された。今どうなっているか。そういったところを見たときに、私は、十年以上も自由化しているのにかなり低いんじゃないのかな、本当にイコールフッティングの競争がちゃんと起きているのかなという感じもいたします。

 この資料の七の次の資料の八には、こうした価格比較のこういったサイトも今あるわけでございまして、民間の中で、マスマーケットじゃなくて、法人マーケットに対する特別高圧なども最安値を提示できるような仕組みがあるわけでございますが、今、半数は、経産省の関係では新電力を使っている。一方で、法人マーケット全体だとたかだか八%から一〇%ということでございますが、こうした電力多消費産業がそういう意味では最適な選択ができているのかということを、今までに皆さん方の方で調査をされてきているのかどうかを確認したいと思います。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 電力消費産業におきましては、いわゆる省エネのための取り組みもしっかりやっておるところでございまして、政府といたしましても、その省エネのための設備投資に関する補助金ですとか、エネルギーマネジメントの取り組みへの支援といったことを行っているところでございまして、これまでもこういった産業の実態を踏まえてきているところでございますけれども、日々の電ガ行政として、産業界の実態の把握、ニーズの酌み取りには努めてまいりたいと思います。

 今御指摘いただきました、経済産業省関係の庁舎が比較的市場のシェアに比べると新電力のシェアが高いという点につきましては、基本的にはこれは入札でございますので、新電力が安い札を入れてきたということでございます。

 この背景、いろいろあると思いますけれども、一つの要因は、新電力が使っている電源が、LNG火力といったような、いわゆる負荷率の低い需要に対して強みを持つ、競争力を持つ電源を新電力が主として調達しているということが一つの背景にあろうかと思います。

 他方で、負荷率の高い、工場の、昼夜を問わず一定の消費が続くといったような需要家に対して相対的に新電力は競争力が低いと言われておりまして、いわゆる工場の需要とかいった新しいお客様を新電力がとっていくためには、ベース電源のような電源へのアクセスが高まることが必要であろうというふうな判断をしておりまして、このようなベース電源へのアクセスも含めた新電力の電源市場へのアクセス、それから、いわゆる卸市場の活性化に取り組んでいかなければいけないということで今取り組みを進めているところでございます。

田嶋(要)委員 大臣、今聞いていただいたとおり、要するに、自由化が去年された部分ではなくて、十年以上も前からずっと自由化されていても、どうやらイコールフッティングになっていないわけですよ。だから、一番おいしいお客さんを獲得しに行きたくても獲得できない現状があるということが私は何となく印象として思うわけでございますが、最後に大臣にお尋ねします。

 今の高負荷率というお話もございましたが、新電力がそうした高負荷率の法人顧客を獲得できるための競争環境の整備、今後どのように推進をしていくのか。これはできればちゃんと時間も切ってやっていただきたいと思いますが、そして、こうした見通しも、今、電力料金が上がって苦しい、そうやっておっしゃっている現場の方々に、積極的に対話をしながら情報開示、そして、経営により見通しを与えるために、電力料金、これからこういった取り組みで、今まで新電力が売ることが困難だった特高の部分、そういった高負荷率のところに関しても、これから安い値段になっていくという見通しもできる限りコミュニケーションしていただきたいというふうに思います。大臣いかがでしょうか。

世耕国務大臣 今はもう電力は完全自由化されたと言われているわけでありますが、田嶋さんと私が働いていた通信業界に比べて、単純に比較はできませんけれども、やはり何周かおくれているような感じがしております。必ずしも既存の電力業者と新電力が完全なイコールフッティングになっているのか、まだまだ今後、競争政策はしっかり見直していかなければいけないところが幾つもあるというふうに思っております。

 中でも、やはりベースロード電源にアクセスできていない、石炭とか水力とか、あるいは原子力といった安価な電力源に新電力がアクセスできていないというのは、これは、今御指摘のように、法人部門においても、十年たっても新電力がまだ十分なシェアを獲得できていないというところになっているんだろうというふうに思います。

 昨年九月、電力システム改革貫徹のための政策小委員会において集中的に議論を行いまして、これを踏まえて、新電力によるベースロード電源へのアクセスを向上させて競争を促進するための措置として、ベースロード電源市場を創設することにしました。期限を切ってということでございますが、現在、二〇二〇年度の創設を目指して制度の詳細検討を進めているところであります。

 この制度が導入されることによって、新電力も、高負荷率の顧客に対して魅力的なメニューが提供できるようになってくるんではないかというふうに考えております。

田嶋(要)委員 ぜひこれもしっかりとした情報発信と、そして、御苦労されている現場の方へのコミュニケーションをお願いしたいというふうに思います。

 時間が限られてきましたので、最後に、過去分費用の新電力からの回収というお話についてお伺いをしたいと思います。

 前回の委員会のときに、大臣はある意味正直な御答弁をされました。新電力に、恐らく二千四百億ぐらいですか、一〇%ぐらいを負担させて、過去分を託送料で取るという話に関して、「本当に今回の件はわかりにくいです。私だって、自分の言葉でしゃべれるようになるまでは相当勉強しなければいけなかったわけでありますけれども、消費者の皆さんに対しては、粘り強く、かなり何度も何度も繰り返して説明をやっていくということが非常に重要だというふうに思っております。」私は、これは正直であり、かつ、本質をついていると思います。

 大臣のように、五人も六人も周りに来て勉強をずっとできる国民はいませんよ。これは一体どうやって理解してもらうんですか。答えは明らかで、不可能だということなんですよ。国民に理解をさせることはこれは不可能ですよ。それをいみじくも大臣はお認めになったんだと私は思うんです。

 であれば、閣議決定された、これからパブコメだというような話になるんですけれども、一体どうなっていくのか。多くの国民が大変御心配をされているし、納得いかないと言って声を上げられておるわけでありますが、まずは、これからどういうふうな進め方、決定プロセス、そして、誰が最後どう判断するのかということを教えてください。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 難しい問題ではありますけれども、粘り強く、さまざまな方法を使って説明をさせていただきたい。

 ホームページによって、まず、今言ったような、わかりやすい説明をしていくといったような方法も取り組みたいと思いますし、これから規則をつくっていく過程におきましても、省令を具体的には改正していくわけになるわけでございますけれども、ここにおきましても、行政手続法の規定に従いまして、しっかりとパブリックコメントを実施いたしまして、その結果も分析をして、この結果についても、その対応についてしっかり整理をして告示していくといった形で情報公開もしっかり取り組んでいきたいと思いますし、この一連のプロセスの中で、月々お客様にお届けされる料金明細書の中でもしっかりこの御負担について表現していくということも求めていくという方針にしておりますので、その方針についても、しっかり事業者にも求め、適切な対応をしていきたい、このように……(田嶋(要)委員「最終判断は誰」と呼ぶ)

 最終判断としては、これは各省庁が責任を持って行うということでございますので、大臣のもとでしっかりと責任を持って対応してまいりたい、このように思います。

田嶋(要)委員 要は、最終的には世耕大臣の腹一つなんですよ。その世耕さんが、これは難しい、わかりにくい。大臣が相当勉強しなきゃわからないようなことは無理ですよ、これは、大臣。世耕大臣をもってしても無理ですよ、これはやはり。だから、かなり無理筋だということを正直にお認めになったんだろうと思います。

 最近、パブコメで政府の判断が変わったケースが文科省なんかでもございまして、私もちょっと確認したんだけれども、全国一万以上の学校の中でたった一カ所でやっていた銃剣道が、パブコメによって判断が変わった。

 ある意味、パブコメにはそういうぐらいの力もあると思っておりますので、これからパブコメもやっていただいて、大いに期待をいたしますが、ただ、私はやはり、大臣自身が吐露されたこの非常に無理筋は、いわゆる法律事項としてしっかり対応して国会で審議をしていくか、あるいは、税のような扱いで負担をしていただく。託送料のような形で潜り込ませるような形は、やはりどう考えても国民の理解は得られないというふうに思います。

 世耕大臣が先週そのことを正直にお認めになられているんだろうと思いますが、大臣、改めていかがですか。

世耕国務大臣 一部を引かれているわけでありますが、一番重要なところは、自分の言葉でしゃべれるようになったということでありまして、私は、今胸を張ってわかりやすく説明する自信があります。

 残念ながら、予算委員会のテレビ入りではなかなかこの問題を聞いてもらうチャンスがなかったんですけれども、一度、参議院の予算委員会で蓮舫代表が聞いていただきました。私、それに対してきちっと答弁をさせていただきました。見ていた方から、野党議員の方からも言われました。なるほど、そういうふうなことだったのか、よくわかったよというふうに言っていただきましたから、これからも丁寧に説明をしていきたいというふうに思います。

 託送料に潜り込ませるというわけではなくて、託送料は、そういう、みんなから回収すべき費用を盛り込むことが法律上認められている。その法律上の解釈に従ってしっかりとやってまいりたいと思いますし、国民には、わかっていただけるよう、しっかりと説明を繰り返していきたいと思います。

田嶋(要)委員 自分の言葉でしゃべれるようになったとしても、それが本当に説得力のある中身かどうかはまた別の話だと思います。これは国民から見れば相当な無理筋だし、だからこそ今これだけ反対が起きているわけでありますので、ぜひ再考をいただいて、そして、恐らくまたパブコメでもいっぱい反対意見が出ると思いますので、そのパブコメを見ていただいて意思を翻していただくのも結構でございますが、ぜひ、法律事項としてしっかり国会で議論するか、あるいは税ということも御検討いただきたい、そのことを最後に申し上げまして、終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 日本維新の会、木下智彦です。

 本日も、お時間いただきましてありがとうございます。

 きょうは、話をさせていただこうと思っているのが、これは、事あるごとにこれから先もやらせていただきたいと思って、以前もお話しさせていただいたことなんですけれども、万博のお話。

 十一日ですから今週の火曜日ですね、今週の火曜日に閣議了解をいただいたということだったんですけれども、端的に、今の進捗状況、これをまた話をしていただきたいと思いますので、まずはそこからお話しください。

住田政府参考人 昨年の十一月に大阪府の方から二〇二五日本万国博覧会基本構想の案が政府に提出されたことを受けまして、経済界、地元自治体、それから学識経験者など、幅広い分野の方々で構成する二〇二五年国際博覧会検討委員会を開催をいたしまして、立候補に向けた検討を行い、四月の七日に、「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマでありますとか、あるいは会場構想の方向性などの報告書を取りまとめたところでございます。

 その後、今御指摘のとおり、この検討会の報告書を受けまして、四月十一日に、二〇二五年国際博覧会の開催国に立候補し開催申請をするということなどにつきまして、閣議了解が行われたということでございます。

 今後、速やかに、博覧会国際事務局、BIEと申しますけれども、こちらに対して立候補を届け出ることとしたいというふうに考えてございます。

 一方、先月二十七日には、二〇二五日本万国博覧会誘致委員会、これが経済界の方で設立をされまして、経団連の榊原会長が委員長に就任をされた。また、超党派では、議員連盟でございますけれども、大阪万国博覧会を実現する国会議員連盟、こちらが十二月に設立されております。関係省庁との間でも、野上副長官をヘッドといたします関係省庁連絡会議を昨年十二月から開催をしております。

 こうした形で、オールジャパンの体制で誘致活動に全力で取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

木下委員 ありがとうございます。

 着々と進んできたな、また一歩進んだかなというふうに思います。今度は、その辺をまとめてBIEの方に提出する、それで晴れて立候補というふうな形になるのかなと。幾ら国内をまとめていっても、最後はやはり立候補して選挙に勝たなきゃいけない。前に大臣もおっしゃっていただいたんですけれども、それがまず一番の目的だと思います。

 だから、今まであったことについて余り水を差すような話はしない方がいいなと本当は思っているんです。というのは、やはり国を挙げて、全体でとにかく選挙に勝っていくんだということをやっていかなきゃいけないなと。

 ただ、一つ、ちょっとこれは本当は私も余り話したくないんですけれども、私は出身が大阪ですので、地元の人たちから、それから、私どもの党は大阪の選出の議員が多いので、大阪の選出の議員からも、一つ必ず聞いてくれと前々から言われていたことがあるので、ちょっとお話しさせていただきます。

 それは、三月にいろいろ報道があった話なんですけれども、開催概要の報告書、これが関西弁バージョンというのができて、大臣も、ちょっとこれは不適切な部分が多いというのか、センスを疑うねということで撤回された。

 この経緯をまず最初に、どういう形でこういうものをつくられて、それで、どういうふうに判断してやめになったのか、ちょっとここを教えてください。

住田政府参考人 先ほど申しましたとおり、国際博覧会検討会というのを開催しておりました。その第三回の検討会が三月十三日に開催をされたわけでございますけれども、開催をしたのが、大阪で開催をしたということでございまして、また、より多くの皆さんにこの万国博覧会について知っていただく一つの機会になるのではないかということもございまして、関西弁のものをつくってみてはどうかというようなことで、この検討会におきまして、参考資料という形で配付をさせていただいたわけでございます。

 ただ、御指摘のとおり、さまざまな批判が外部から寄せられたこともございまして、こうした批判を真摯に受けとめまして、早速撤回をさせていただいたということでございます。

木下委員 終わったことなので余り言うことではないと思うんですけれども、よくこういうことが私の周りでもあるんです。

 ただ、普通に文章が関西弁に直されているんだったら、そんなに僕は問題にならなかったと思うんですよ。そこをまたここで言うのも本当に申しわけないですけれども、ちょっと見ていてへえと思ったところがあるので、お話しさせていただきます。

 報告書は、普通の方では、人類共通の課題解決に向けて、先端技術などの世界の英知を集め、新たなアイデアを創造し、発信する場と書いているところが、関西弁だと、「「人類共通のゴチャゴチャを解決する方法」を提言する場」、これはもう言いかえじゃないなと。(発言する者あり)いや、そう言われちゃうんですよ。隣から今、関西弁ってそういう言葉なのと。違うのに、やはりこう言われてしまう。

 もう一つちょっと気になったのが、他国は日本の課題や対策の成果を参考にしながら対策を考えていけるというふうなところが、「よその国は日本の課題や対策の成果をパクりながら対策を考えていけるっちゅうわけや。」と。これはもう言いかえじゃないんですよね。だから問題だと。

 別にもうこれは撤回されていますので、そこをぐじゃぐじゃ言う気はないんです。ぐじゃぐじゃと言うと、また関西弁だというふうにして言われますけれども。

 要は、こういうところで正しておきたいんですよ。関西弁というふうに言った時点で、何か言葉から、何でもありみたいな、そういう感じで思われてしまう。

 ただ、私なんかは東京で働いていた時間が長かったので両方しゃべれるんですよ。両方……(発言する者あり)本当にそうなんです。みんな本当かいなと言いますけれども、家族としゃべるときには全く関西弁が出ないんです。それを自慢するような話でもないし、これを地元に帰って言うと、おまえは大阪の命を売ったんか、こういうふうにして言われてしまう。

 まあ、そういう話もあるんだけれども、関西弁というふうに言ったときに、言葉の言いかえだけであればいいんだけれども、こういうふうにして考えてしまう。そういうことが省庁の中でもあるというのがちょっと私は悲しかったので、きょうここでちょっと取り上げさせていただきました。

 大臣みずから手を挙げていただいているので、ちょっと一言お願いします。

世耕国務大臣 私も関西人ですから。両方しゃべれますから、私も。

 私、朝、新聞を読みました、一番最初に指摘をされた段階で。私の立場から見て、もうその場で、これは撤回しなければいけないと判断をいたしました。

 理由は、おっしゃるように、おもしろくも何ともない、わかりやすくも何ともなっていない、その上で、不適切な表現も入っているということで、すぐ判断をして、その直後の、ちょうど閣議後の記者会見があったものですから、その記者会見で撤回、おわびということも言わせていただきました。

 もうできればこのことは、撤回もしましたので、終わりにして、前へ進んでいきたいというふうに思います。

木下委員 ありがとうございます。もうこれ以上言う気はありませんので。

 とにかく、国が一丸となって、水を差すような話なく前に進めていって、何とか、万博を開催できる、そういう状態にしていきたいと思います。

 きょう、ちょっと私、実は心配していて、後ろでちょっと言われていた、この後、共産党の清水議員、この方も大阪の出身で、万博の話をきょうされるということなので、水を差さないように、一丸となって、正しくやるべきところは正すというふうなやり方で万博を盛り上げていきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。(発言する者あり)ありがとうございます。

 それで、この話をして、いろいろ過去の記事とかを見ていると、出てきたんです。これは前回も民進党の委員の方々からも話があったんですけれども、経産省の鍵、施錠の話というのが今の万博の話を見ていて出てきた。なぜかというと、鍵をかけて何をしているんだと。鍵をかけて、やっているのがこういう関西弁の間違った使い方なのかみたいな記事が書いてあったんですよ。それを見ていて、ああ、やっぱりこの鍵の話もちょっと聞いておいた方がいいなと私は思ったので、鍵の話を聞かせていただきたいと思うんです。

 二日前の質疑のところで二人ほどの方が経産省の鍵をかける云々の話で言われていたのが、やはり、私が思うに、これは本当に申しわけないんですけれども、ちょっと郷愁に浸っているような感じなんですね。昔はよかったとか、通産省時代のあの感覚というのをやはり省庁の人たちがしっかり持ってほしいというような感じのことを言われたりと。

 それはよくわかるんです。よくわかります。それはわかるんだけれども、では、世間一般で、大臣も言われています、普通に民間企業はそうじゃなくなっているというふうに思うんです。私は聞いていて、確かに、そういうふうに昔ながらの感覚というのをしっかり持ちながら、だけれども、今の世の中に合わせていかなきゃいけないというのがちょっと難しいところだなと思ったんです。

 これは大臣にお聞きしたいんですけれども、もう一遍教えてほしいんです、なぜ経産省内でこういう施錠をしっかりとやっていくということを考えられたのか。これをお願いします。

世耕国務大臣 経産省は非常に企業からの訪問者の方が多いわけですね、他省庁に比べて。大体一日に二千人から三千人と言われています。

 そして、経産省という役所自体、それぞれの企業の機微な情報も取り扱います。私が特に気にしているのは、今、下請対策をやっていますので、中小企業から、こういうことを扱われているというような情報も入ってくる。これが万が一外へ出るようなことがあったら、その企業の生き死ににかかわってくるわけであります。

 そしてまた、今、日米の交渉も非常に重要な局面でありますし、また、ロシアとの経済協力というのも経産省がかなりの部分を担っているということであります、こういう機微な情報を机の上に広げながら。

 そして、時代の変化というのを私も感じております。今、みんながスマホを持っている、簡単にICレコーダーでいろいろな音声も拾えるという時代の中で、そういうことをする人はいないと信じたいですけれども、やはりそれに対応した対応はしていかなければいけないということで、施錠をさせていただくという判断をさせていただきました。

 ただ、外の人との交流がそれでおろそかになっていいとは思っていませんので、ミーティングスペースを充実しましたし、マスコミの皆さんに対しては、管理職以上の懇談の機会、私も懇談の機会をこれからふやしていこうと思います、なるべく省の中の雰囲気を知ってもらうような懇談の機会はふやしていくというような対応で施錠した分はカバーをしていきたいというふうに思っております。

木下委員 ありがとうございます。

 お話しされているときに後ろでも言われていたんです、役所はオープンじゃなきゃいけないんだよと。私も、オープンじゃなきゃいけないとは思います。ただ、そのかわり、どういう形でオープンにするかだと思っているんですよ。

 今回、施錠したことによって何が起こるかということをちょっといろいろ考えると、普通ではやはり情報はとりにくくなるのかもしれません、特に新聞記者の方なんかは。だから、新聞には物すごく書いてありますよね。まるで世耕大臣が物すごいひどいことをしたというような感じで書かれている。

 例えば、ここを見ると、報道機関でつくる記者クラブ、経済産業記者会は、情報公開の後退につながると。(発言する者あり)そう、もういっぱい言われます。この話になったら、本当にいろいろなところからいろいろ言われる。

 でも、私はこれを見ていて思うんです。情報公開の後退につながるって、鍵をかけただけで情報公開の後退につながるというのは、今までどうやって情報をとっていたんだろうと。そういうふうに言ったら、またそれを自己防護するように、まるで新聞社だとか記者は情報をかすめ取るかのような、警戒するような発言があったんだとか言って、またこれをやってくるんですよ。

 でも、考えてみてください。だって、そんなのは普通なんですよ、鍵をかけてやるのは。もう今は、皆さんは電車に乗られないから余りわからないかもしれないけれども、この周辺でも、皆さんIDカードみたいなものをかけられていますよね。大手町とかあの辺に行くとみんなかけています。あれでぴっとやらないと入れない。

 例えば、私なんかは、最初のうちはよかったんです。最初のうちは、会社に入ったときはそうじゃなかったのが、あるときからそういうふうになって、これは一番困るんですよね、朝ぎりぎりに行って、あの鍵を忘れると入れないんですよ。手続している間に遅刻しちゃうとか、そういう話があったりする。でも、皆さん多分そういうこともわからないとは思うので、ちょっとこういうところで話したんです。

 一番おもしろかったのが何かというと、役所はオープンだけれども会社がオープンじゃなくなっていった、それがおもしろいんです。

 私の会社は消防庁の隣にあったんです。当時は、消防庁の隣に法務省の入国管理局もありました。それで、私どもの会社がその近くにあったんですけれども、昔は誰でも入れたんです。誰でも入れる。昼前になると食堂に草履を履いたおっちゃんみたいな人がいるんですよ、腕まくりして、ネクタイを何かこの辺にかけたりとかして。終わったら、つまようじをくわえて帰っていくんですよ。

 そんな人がぶわっとあふれていまして、私ども、貿易が主だったので、外国の人たちもいっぱい来る。そんな中でそういう人たちが来られるといけないということで、それだけの問題ではないんですけれども、前にガードマンをしっかり立たせて、入る人を、どういう目的で入られるのかということをちゃんと書くようになった。

 その人たちは、当然どこの人たちとは言いにくいですけれども、やはり役所の人たちなんです。役所の人たちがみんなそうやって私の会社の食堂に御飯を食べに来る。

 それで、いろいろ問題になりまして、そうなると、今度は普通の会社の人たちも、執務するところの横に打ち合わせ机がだあっとあるんです、打ち合わせ机に朝から晩までずうっと座っている中小企業のおっちゃんとかがいるんですよ。それで、お茶を出して、事務員の人からお茶をもらって、ずうっとだべって、来る人来る人としゃべる。でも、それをよしとしていたんです、昔は。なぜかというと、そういうところから商売が生まれてきて、いいものを買ってもらったり商売のネタができてくる。そのためにスペースを公開していたんです。

 それがなくなった途端に、東京にある本社はあれだったんですけれども、大阪にあった部署は、それをやった途端に売り上げががくっと下がりました。結局、前にガードマンがいるから入ってこれない。小さい商売が主ですから、繊維だとかああいうのが下火になるようなそういうときだったんですけれども、そういうふうになってしまった。これはよしあしはあるけれども、これから先の世の中はそうやっていかなきゃいけないよねというところで、商売の形態も変わりながらもやっていった。

 もう一つ、これは応援するためなので、別に質問をこれ以上する気はないんですけれども、私は大阪の中之島にあった会社に勤めていたんですよ。地震があって建て直しまして、建て直したことを機にしっかりセキュリティーをできるようにした。セキュリティーをできるようにして、なかなか入るのが入りづらくなっていって、よその部署に入るのも入りづらいという状態でちょっと困っていたんです。

 そうしたらあるときに、ガードマンがうろうろしているんですよ。夕方になって、三時ぐらいだったかな、うろうろしていて、いきなりヘリコプターがぶわっと来て、消防車とかもいっぱい来まして、何があったんだろうと思ったら、隣の隣の隣は大阪市役所なんです。市役所の周りに救急車だとか消防車だとかがぶわっといる。何だ何だと思っていたら、五時半になったらいきなり館内放送がかかりまして、このビルの中に時限発火装置を設置したという脅迫電話がかかったのですぐに出てくれと。五時半まで待って出させるってどういう会社なんだろうと私は思ったんですけれども。それで、出て、結局何も見つからずに大丈夫だった。

 結局どういうことだったかというと、本当は私どもの会社のビルに爆弾というのか時限発火装置の通告があったんですけれども、結局、セキュリティーが厳しいから行けなくて、一番セキュリティーがない、誰でも入れるオープンな大阪市役所のトイレに置いて帰って、それが燃えたということがあったんです。

 だから……

浮島委員長 木下君、申し合わせの時間が過ぎておりますので、おまとめください。

木下委員 もう時間になりましたか。済みません、知らない間になってしまいましたので。

 では、そういうこともあるのでしっかりこれはやっていくべきだというふうに思いますので、ぜひこれを応援したいんですけれども、しっかりと、オープンにするところはオープンにして、そして守るところは守るという形でやっていただければと思います。

 以上です。ありがとうございます。

浮島委員長 次に、清水忠史君。

清水委員 日本共産党の清水忠史です。

 本日は経済産業委員会で質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 早速質問に入りたいと思います。

 初めに、世耕大臣と万博の問題について議論をさせていただきたいと思います。

 二〇二五年に行われる国際博覧会、万博について、大阪での開催を目指すことを政府が四月十一日に閣議了解いたしました。今月中にパリの国際事務局、BIEに正式に立候補の届け出を行うと伝えられております。

 日本共産党は万博そのものに反対しているわけではないんですが、この万博の開催地が夢洲という非常に災害に不安の残る無人島、埋め立て人工島であるということ、また、カジノ、IRの計画地でもあること、さらに、巨額のインフラ整備が住民負担となるおそれがあることなどを理由に反対しています。

 初めに伺いますが、二〇二五年国際博覧会検討会報告書が四月七日に出ましたが、ここでは夢洲地域でのIR構想を前提としなかった理由、それについてお答えいただけるでしょうか。

世耕国務大臣 そもそも、大阪府、大阪市が国際博覧会の会場予定地である夢洲にIRの誘致も目指しているということは、認識はしているわけでありますけれども、これはもう全く、なぜかと言われても、関係ないから関係ないわけであります。国際博覧会の開催とカジノを含むIRとの間に一切直接の関係はないということでありますので、今回の検討はIR構想を前提としないで行ったというわけであります。

清水委員 いや、関係ないと思っておられるのは恐らく大臣だけだと思いますよ。大阪ではみんな、カジノ、IRと一緒に万博ができるものというふうに思っておりまして、実は関経連の森会長はこう述べておられます。インフラ整備などを限られた時間でやろうとすれば、現実的には万博とIRをセットにしてやる方法しかない、こう新聞紙上で語っておりますし、二月十五日に開かれた二回目の検討会におきましても、経済界の委員から、万博費用の企業負担を考えるとIRとできるだけセットにという意見が出ましたし、また、経済界の委員はこんな露骨なことを言っていますよ。IRの国際会議場施設で万博関連のシンポジウムをやろうと。まさしく一体運用の話まで出てきているわけです。

 本当にこれは頭隠して尻隠さずといいますか、カジノも誘致をする、IRも誘致をする、万博も誘致をする、そういう事実経過の中で立候補をするんだということをやはり私は包み隠さず明らかにする必要があるというふうに思っております。

 配付資料の一枚目をごらんください。これは、いわゆる大阪万博の会場建設費あるいは運営費、関連事業の分析結果であります。

 そこに赤い線を引かせていただいているんですけれども、例えば、会場費等、運営費等のほかに、これは無人島ですから、人工島ですので、地下鉄の延伸事業が必要になります。その地下鉄の延伸事業は五百四十億円、そして、輸送量アップのために車両をふやさなければなりませんので、その整備に百億円、合わせて六百四十億円かかるというふうにここで書かれているわけなんです。

 それで、誰がこれを負担するのかということが地元で大問題になっておりまして、資料の二枚目をごらんください。これは、自由民主党大阪市会議員団の最新の市政報告なんですよ。

 ここに、「事業者負担の話はどこ行った?」ということで問題を提起しております。上の方には、「万博・IR 一千三百億円では済まない万博の開催経費!」そこに、残された経費問題として、誘致のための経費、鉄道、地下鉄中央線咲洲から夢洲間の延伸五百四十億円、これは誰が負担するのかという問題を提起しておりますし、その下、「カジノを含めた統合型リゾート(IR)誘致のための万博に疑問」、こう書いておりまして、万博が誘致できない場合は一体誰がインフラ整備をやるのか不明ですと。これは、自由民主党の大阪市会議員団自身がこのように問題提起をされているわけであります。

 それで、もともとこの鉄道事業というのは、IR事業者が負担するということだったんですよ。大阪市の吉村市長も、この地下鉄整備などはIR事業者にやっていただく、こう議会でも答弁していますし、また、昨年十二月二日の内閣委員会でカジノ解禁法が議論された際、私の質問に対して法案提出者の維新の方が、当然これは民間事業者が負担をするというふうに答弁したんです。

 ところが、今回、世耕大臣は、万博単体でやるんだと。IRが誘致されるかどうかは別として、万博単体でやるんだということになれば、この鉄道延伸事業についても、その負担の所在というのは、やはりこれは自治体負担、住民負担になってくる可能性というのが非常に高まってくるわけです。それに、たった六カ月ですよ。半年間の開催のために、万博やりました、地下鉄通しました、その後どうなるんですか。誰もこれは明確に答えることはできないと私は思っております。

 それで、夢洲まちづくり構想では、万博の後はどうするかということなんですけれども、結局、これは第一期でやるIRの成功が大きな鍵を握る。つまり、IRの誘致が前提となって二期、三期という跡地利用の計画が進むわけで、誰がどう見ても、カジノ、IRとこの万博の誘致は一体であるということはもう明白だと思うんです。

 それで大臣に伺いたいんですが、今後、BIE、国際事務局に提出する招致提案書、これから具体的な万博の内容を報告する義務があるわけですが、ここにも引き続き、今回の検討報告のように、カジノ、IRの誘致が計画されていること、万博の開催地に、できるかどうかはわかりませんよ、まだ実施法もできていませんし、特区認定されたわけと違いますから。しかし、IR誘致の計画がある、このことについては具体的な招致提案書にもしっかりと記載をして報告することが私は誠実だと思いますが、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 何度も申し上げているように、この国際博覧会の開催とIRは直接的関係がありませんので、関係の書類にIRとの関係を述べるということはありません。いみじくもおっしゃったように、まだ法律もできていない段階だということでもありますし、ともかく、直接博覧会とIRは関係がないということであります。

清水委員 私は何を危惧しているかといいますと、もちろん私たちは、カジノ、IRには反対しておりますし、実施法の制定には全力をもって反対する決意なんですが、しかし、仮にこの計画どおり万博とカジノを含むIRが現実のものとなったときには、例えば、BIE加盟国が日本に対して大阪を開催地にするということで投票する、支持を呼びかける。その後、大阪が選ばれた後に、ふたをあけてみれば、何と会場に隣接してカジノを含むIRがある。こんなことは全く聞いていなかったということに私はなると思うんです。

 例えば、加盟国の中には、これも新聞で報道されていますけれども、ギャンブル、賭博そのものを禁止している国があります。大変嫌悪感を持っておられる国があります。さらに、大臣御存じでしょうか。お隣の韓国は、刑法の属人主義をとっておりまして、自国の刑法で禁じられていることは他国で行っても国内の刑法で罰せられるということなんです。私たち日本人は、例えばシンガポールやマカオ、韓国のカジノに行ってカジノを楽しむことができます、国内では禁じられていますが。これは属地主義をとっているからです。ところが、韓国は属人主義ですから、韓国の方が例えば日本のIRに入場するとそれは国内法で取り締まられる、こういうことなんです。

 ですから、非常に賭博に嫌悪感を持つ、そして自国では賭博そのものが禁止をされている、そういう方々にカジノ、IRの誘致先と同じ開催地だということを伏せたまま支持を呼びかけるというのは、私、これは、欺く行為、不誠実な行為だと思いますが、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 いろいろな仮定を前提にお話しになっているわけですけれども、まだIRを成立させる実施法は制定されていないし、誘致が何か決まっているということもないわけでありますよね。私は、万博とIRは関係ない、最終的に閣議に了解をお願いした立場として、この博覧会とIRは関係ないと申し上げているわけでありますから、これは関係ないということでございます。

清水委員 資料の三枚目をごらんください。これは、維新ジャーナル二〇一七。今度は維新の会の皆さんのニュースを紹介したいと思います。

 ここには、インフラ整備も含めて、カジノ、IRと万博とで相乗効果を生み出していこうということが広告されておりまして、これはもう既定路線なんですよ。もちろん、できるかどうかはこれからですよ、仮定の話ですよ。しかし、計画としてあるのは現実なんです、事実なんです。ですから、全く関係ないということで済まされないという問題だと私は思うんです。だから、私は、裏を返せば、この万博計画が進まないことにもつながるのではないかと思うんです。

 それで私、お伺いしたいんですが、二〇二五年国際博覧会検討報告書案に対するパブリックコメントをとりました。このパブリックコメントの件数についてお答えいただけますか。

住田政府参考人 御指摘をいただきました二〇二五年国際博覧会検討会報告書の案に対するパブリックコメントでございますけれども、二十七件の御意見をいただきました。

 例えば、このテーマについて高く評価をして、ソサエティー五・〇の実験場として位置づけてはどうかという提案の御意見もありましたし、一方では、今御指摘のような、IR構想と一体のものと考えて反対をされる、こんなような意見もございましたし、あるいは、南海トラフの巨大地震への不安を述べられる御意見もあったわけでございます。

 こうした御意見に対しまして、先ほどのソサエティー五・〇の関係でございますと、これを未来社会の一つの例示とするような修正を行いました。また、万博はそもそもIR構想を前提としていませんし、また、地震対策につきましては、大阪府、大阪市が政府の基準にのっとって適切に進めているといったような旨を事実関係を踏まえまして回答するとともに、報告書とパブリックコメントへの回答を公表させていただいたところでございます。

清水委員 たった二十七件ですか、国が挙げて誘致しようとしている万博に対するパブリックコメントが。たった二十七件。盛り上がりに欠けますね。

 私は、やはりこれは大阪府民の関心の低さ、これを物語っていると思うんですよ。何よりも、万博を成功させるためには、大阪府民、日本国民が、それこそ先んじて立候補しているパリに負けないぐらい熱狂的な盛り上がりがあってこそ、これは民間も、それから民間企業も自治体も、そして住民そのものがそういう思いで一つにならないと、私は成功するものではないと思っているんですよ。

 それで、ことし三月一日に朝日新聞と朝日放送が大阪府民を対象に行った世論調査、これによりますと、大阪万博の開催に賛成は六二%です。しかし、同時に、同じ調査でIRの誘致には六〇%が反対しているんですよ。いわゆる相反するものを一緒に持ってこようということがまさしく、いや、実際そうなんですよ。これがやはり府民的な誘致の機運の盛り上がりを阻害している最大の要因だと思いますし、それはパブリックコメントがわずか二十七件という関心の低さにも私はあらわれているのではないかと思っております。

 夢洲周辺はかつてテクノポート計画が破綻をいたしました。万博をてこにした開発は巨額の財政負担となります。万博といえば、太陽の塔、岡本太郎さんが有名ですけれども、もしもここに民間事業者でなく自治体の財政でインフラ整備などをやろうということになれば、爆発するのは芸術ではなくて、住民の懐であり、自治体の財政です。こっちの方が爆発しますよ。

 ですから、開催地をあくまでも夢洲にこだわり続けるのであれば、府民の共感は決して得られません。このことを指摘して、次の質問に移りたいと思います。

 次に、押し紙問題について質問いたします。

 新聞残紙、いわゆる押し紙問題。私は、三月三十日の消費者問題特別委員会で、新聞本社が優越的地位を利用して販売店に対して読者数を大幅に上回る新聞を供給していることが全国紙、地方紙で実際に行われていることを告発いたしました。

 押し紙というのは、新聞販売店の経営を圧迫するだけではなく、連日、大量の、何百万部という古紙、古新聞を生み出し、環境にも大変悪い影響を与えています。私の質問に対して公正取引委員会も、押し紙というのは不公正な取引方法であり、このような行為が行われている場合は厳正に対処すると明確に答弁をいただきました。

 大臣、当たり前のように私たちの家庭や職場に新聞が届くわけじゃないですか。この新聞宅配制度というのは本当に世界に誇る制度だと私は思っているんです。この新聞宅配制度が守られている背景は、新聞本社の努力、編集者の皆さんの努力、そして記者の皆さんの頑張り、そして配送業者や印刷業者の方々の御努力、それに加えて、何よりも、毎日私たちのもとに届けていただく販売店や配達員の皆さんの汗と涙の苦労があるんですよ。私は、一年間ほど毎日新聞で住み込みで働いてきた経験がありますので、そのことはよく身にしみて知っております。

 そういう点では、押し紙というのはやはりなくしていくべきだというふうに思うんです。下請対策にも熱心な世耕経済産業担当大臣、この問題についての認識をお聞かせいただけますか。

世耕国務大臣 新聞社が優越的地位を濫用して、新聞販売店に対して注文した部数を超えて新聞を供給して新聞販売店に不利益を与える行為については、これは、独占禁止法において不公正な取引方法として禁止されているというふうに理解をしております。

 現時点において、新聞販売店の業界団体から本件に関する相談や要望は聞いておりません。もし法に違反するような事実が発生している場合には、公正取引委員会において適切に対応されるものと理解をしております。

清水委員 私は、さきの委員会で、読売、朝日、毎日、日経、各紙の押し紙の例を具体的に紹介したんですが、実は、この質問に対して共感していただいた産経新聞の販売店主から手紙と資料が寄せられました。

 大量の押し紙により毎月二十万円の赤字が続いていた、そして、折り込み広告も減りまして、月の赤字が五十万円を超えるようになった。もうこれ以上はもたないということで、一念発起して本社販売局員の方にお願いをして減紙の申請をしたということなんです。そうすると、毎月の古紙回収代が何と七分の一に減ったというんですよ。それだけ毎日毎日大量の残紙、押し紙があったということのあらわれだというふうに思うんです。

 ただ、この押し紙を切るに当たっては、本社から相当な圧力も受けたということなんです。しかし、この販売店主は、私たちは何も悪いことをしていない、真面目に正直に働いているだけですと、信念を持ち、歯を食いしばって、現在、経営を立て直すために努力を日夜続けておられます。

 販売店はみずから声を上げにくいという実態があるんです。販売店などから経済産業省に対して、新聞残紙の実態がどうなっているかということをぜひ調査してほしいというのが、これは実は販売店の皆さんの要望でもあるんです。

 実は私、調べましたら、過去に、公正取引委員会が販売店に対するアンケート調査、もう三十年ほど前ですけれども、やったことがあるので、実績があるんですよ。

 ぜひ、販売店から相談、要望があれば、経産省としても、公正取引委員会と連携して、この実態調査というものにしっかり取り組んでいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 経済産業省として、新聞残紙問題に関しまして、業界団体から具体的な相談が寄せられます場合には、私どもとして、その必要性について業界ともよく相談をしてまいりたいというふうに考えております。

清水委員 業界団体は非常に、業界団体と言う場合は新聞本社のこともありますので、販売店のことだと思うんですけれども、販売店主の皆さんは、この残紙問題を例えばマスコミにリークしたり弁護士やあるいは政治家に相談を持ちかけようものなら、それを突きとめられるようなことになり、激しい圧力がかけられるんです。

 例えば、強制改廃というのがあります。強制改廃というのは、そこの販売店の台帳を全部提出させる。しかし、この読者台帳の提出を拒むと、全ての読者を調査して、そして別の販売店をつくって、そこの販売店に全ての読者をつけかえて廃業に追い込む。こういうことも実際行われているんです。現に販売店と本社との間で訴訟も継続しているんです。

 業界団体からそういう相談があれば適正に相談に応じるということでは、待ちの姿勢では私はだめだと思うんです。これは、例えば、一般的な中小企業の場合、下請企業の場合、元請から不当な取引を持ちかけられているときに、その下請業者が相談をすれば、特定されて、さらに不利益をこうむることがあるわけですよ。だからこそ、受け身になって、通報があって調べるというのではなくて、調査をするというのではなくて、明らかに、大臣も答えられたように、この残紙の問題、押し紙問題というのは独禁法違反ということなんですから、そうした実態が行われているのかどうか、声なき声を調査する上で、その調査が必要ではないかという私の提案なんです。

 世耕大臣、どこまで言えるかということはあるんですけれども、やはり新聞宅配制度を維持していかないと私はだめだと思っています。

 私は、各紙、主張はいろいろありますけれども、組織ジャーナリズムの重要性というのは実感しております。全て国民にとって必要なメディアだというふうに思っています。しかし、それがやはり正義と秩序のもとに健全に発展していかなければ、虚偽の部数を大量に供給して販売店の経営を苦しめ、そして毎日毎日何百万部と言われるような古紙、新聞残紙をつくる。

 それで、もう一つ加えて言いますと、政府広告の折り込みだとか、いわゆるスーパー、ピザ屋さん、不動産屋さんの折り込みについても、これは読者数に応じて持ち込まれているのか、本社からの供給部数に対して持ち込まれているのか。こうした実態調査も私は必要だというふうに思うんですよ。これはやはり、消費者だとか企業が不利益をこうむっている、あるいは、政府広告の部数に虚偽があるということになれば、国民の税金が不当に使用されているということになるからであります。

 ぜひ、きょう私のお話を聞いていただいて、世耕大臣自身、新しい認識をお持ちになられたというふうに思うんですが、何か所見がございましたら一言述べていただくことは可能でしょうか。

世耕国務大臣 私は下請取引の改善というのに取り組んでいるんですが、残念ながら、新聞販売業というのは下請関係にはならないんですね。あくまでも、新聞社が発行する新聞を、そのまま供給を受けて、それを取引するという立場でありますから、下請法の範囲には入らないということであります。基本的には、やはり独禁法で、問題があれば公取が厳正に対処してほしいというふうに思います。

 経済産業省としては、経済産業省所管の法人として日本新聞販売協会というのがありますから、本当に今御指摘のような問題が広範に存在をして、販売業界として深刻な問題であれば、この団体から我が省に申告があると思いますから、それを受けて、必要であれば対応したいというふうに思います。

清水委員 これはコンビニと同様に、元請、下請の関係にはないんですが、やはり優越的な地位を持った、いわゆるフランチャイズ側、新聞でいえば本社側が不当な取引を現にもたらしているという実態はぜひ認識していただきたいというふうに思っています。

 私が提案したいのは、やはり、新聞本社と販売店が、今大臣が言われたように、真に対等な立場で、そして、大量の残紙がなくても、読者数、実際の読者に配達、集金を行う中で十分経営が成り立っていくという販売店本来の役割を取り戻していくということが大事だというふうにも思っております。

 ぜひ引き続き、公正取引委員会とも協力をして、この問題、是正のために努力をしていただきたい、このことを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

浮島委員長 次に、内閣提出、外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。世耕経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

世耕国務大臣 外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 海外のすぐれた人材、技術、ノウハウ等を我が国に呼び込むことは、生産性の向上や雇用の創出等に貢献するものであり、我が国の国際化の推進は、さらなる経済成長のための重要な基本指針です。

 一方で、情報通信技術や新素材、精密加工等の先端的な民生技術が防衛装備に利用されるようになり、世界の安全保障戦略にも影響を与えるようになっています。また、北朝鮮による核・ミサイル開発の進展や、南シナ海における緊張の増大など、我が国を取り巻く安全保障環境は厳しさを増しているところです。

 こうした状況の変化に対応するため、安全保障上機微な技術の管理のさらなる厳格化を図るとともに、輸出入に係る規制の実効性の強化を図るべく、本法律案を提出した次第であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、無許可輸出等に対する罰則を強化します。これまで核兵器等の大量破壊兵器に関連する貨物や技術の無許可輸出等に係る罰金額の上限が一千万円だったものを三千万円まで引き上げるとともに、法人に対しては罰金額の上限を十億円とする法人重科制度を新設するなど、罰則を大幅に強化します。これにより、違法流出の抑止力を高めます。

 第二に、輸出入規制における行政制裁逃れへの対策を講じます。輸出入の禁止等の行政制裁を命じられた法人の役員が別法人を利用して禁止された輸出入を継続するといった行政制裁逃れに対応するための制度等を新設します。これにより、輸出入規制の実効性を強化します。

 第三に、我が国独自の輸出入禁止措置に違反した者への行政制裁を強化します。これまで行政制裁の期間の上限が一年間だったものを三年間に延長します。これにより、輸出入禁止措置に反する行為への抑止力を高めます。

 第四に、対内直接投資等に係る規制を強化します。国の安全を損なうおそれのある場合について、外国投資家間における非上場会社の株式の譲渡に対する審査つき事前届け出制度や、違法な対内直接投資等を行った外国投資家に対して事後的に株式売却命令等の措置命令を行うことを可能とする制度を新設します。これにより、投資や買収を通じた機微技術の流出を適切に管理できるようにします。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

浮島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十九日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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