衆議院

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第11号 平成29年5月10日(水曜日)

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平成二十九年五月十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 浮島 智子君

   理事 うえの賢一郎君 理事 大見  正君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 白須賀貴樹君

   理事 吉川 貴盛君 理事 北神 圭朗君

   理事 近藤 洋介君 理事 高木美智代君

      穴見 陽一君    石川 昭政君

      石崎  徹君    小倉 將信君

      尾身 朝子君    大串 正樹君

      岡下 昌平君    梶山 弘志君

      勝俣 孝明君    神山 佐市君

      工藤 彰三君    佐々木 紀君

      塩谷  立君    島田 佳和君

      助田 重義君    高木 宏壽君

      福山  守君    星野 剛士君

      三原 朝彦君    宮内 秀樹君

      宮崎 政久君    宗清 皇一君

      八木 哲也君    簗  和生君

      山際大志郎君    青柳陽一郎君

      大畠 章宏君    落合 貴之君

      篠原  孝君    鈴木 義弘君

      田嶋  要君    中根 康浩君

      福島 伸享君    中野 洋昌君

      畠山 和也君    真島 省三君

      木下 智彦君

    …………………………………

   経済産業大臣       世耕 弘成君

   農林水産副大臣      齋藤  健君

   経済産業副大臣      松村 祥史君

   農林水産大臣政務官    細田 健一君

   経済産業大臣政務官    大串 正樹君

   国土交通大臣政務官    藤井比早之君

   政府参考人

   (内閣官房日本経済再生総合事務局次長)      宇野 雅夫君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 大西 淳也君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           松尾 泰樹君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局農村政策部長)       新井  毅君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 高橋 泰三君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     鍜治 克彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通保安審議官)     住田 孝之君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 茂明君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中石 斉孝君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           星野 岳穂君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           保坂  伸君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           前田 泰宏君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長)     飯田 陽一君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            吾郷 進平君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           石田  優君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       野村 正史君

   経済産業委員会専門員   木下 一吉君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     福山  守君

  星野 剛士君     宮内 秀樹君

  山際大志郎君     宗清 皇一君

  中根 康浩君     青柳陽一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  福山  守君     穴見 陽一君

  宮内 秀樹君     石崎  徹君

  宗清 皇一君     山際大志郎君

  青柳陽一郎君     中根 康浩君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     助田 重義君

同日

 辞任         補欠選任

  助田 重義君     星野 剛士君

    ―――――――――――――

四月二十八日

 原発からの撤退を求めることに関する請願(清水忠史君紹介)(第一〇九五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)


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     ――――◇―――――

浮島委員長 これより会議を開きます。

 この際、大串経済産業大臣政務官から発言を求められておりますので、これを許します。

 大串経済産業大臣政務官。

大串大臣政務官 このたび経済産業大臣政務官を拝命いたしました大串正樹でございます。

 日本の未来を支える成長戦略の実現に向けて尽力してまいります。

 浮島委員長を初め理事各位、委員各位の先生方におかれましては、どうぞ御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

浮島委員長 内閣提出、企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房日本経済再生総合事務局次長宇野雅夫君、総務省大臣官房審議官大西淳也君、文部科学省大臣官房審議官松尾泰樹君、農林水産省農村振興局農村政策部長新井毅君、経済産業省大臣官房長高橋泰三君、経済産業省大臣官房地域経済産業審議官鍜治克彦君、経済産業省大臣官房商務流通保安審議官住田孝之君、経済産業省大臣官房審議官田中茂明君、経済産業省大臣官房審議官中石斉孝君、経済産業省大臣官房審議官星野岳穂君、経済産業省大臣官房審議官保坂伸君、経済産業省大臣官房審議官前田泰宏君、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長飯田陽一君、中小企業庁事業環境部長吾郷進平君、国土交通省大臣官房審議官石田優君及び国土交通省水管理・国土保全局次長野村正史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤ゆかりさん。

佐藤(ゆ)委員 おはようございます。自由民主党の佐藤ゆかりでございます。

 本日は、地域未来投資促進法について、地方創生と関連が深いということで、地方創生との絡みを中心に質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、現行法の企業立地促進法ですけれども、こちらの法律では、支援措置の対象として、これまで製造業を中心に行われてきたということで、どちらかといいますと、製造業の産業集積の形成には一定の法律的な効果があったということでございます。しかしながら、地域経済に対する波及効果がどうであったかというふうに考えますと、賛否両論、いま一つというような声もございまして、それを受けて今回の法改正になっているというふうに私も認識をしているところでございます。

 今回の地域未来投資促進法案ですけれども、幾つかの基準がございますが、地域の特性を生かして高い付加価値を創出して、さらに、地域の事業者に対する相当の経済的波及効果を生み出す、こういう地域経済牽引事業を推進するために支援措置を講ずる法律というたてつけになっているわけでございます。

 そこで、今回の法改正では、法律の名称も全て変えるほど政府の意気込みが感じられるわけでございますけれども、アベノミクスをさらに地域経済に浸透させるという課題において、今回の法改正の意義というものをまず大臣にお伺いしたいと存じます。

 そして、加えて、この地域未来投資促進法の地域経済牽引事業において、KPIとも言われています、地域の特性を生かすということについてなんですが、これは、どのような規模の地域を、そしてどのような特性を生かすということをイメージしているのか。例えば関西地域全体にわたるプロジェクトなのか、あるいは、例えば京都府の小さな村の里山の非常に小さな、しかし、輝く、何かきらりと光るような村おこし、そういう特性をピックアップして更新していこうというようなイメージなのか。そのあたりも含めて世耕大臣にお伺いしたいと思います。

世耕国務大臣 まず、今回の法改正の意義でありますけれども、アベノミクスは大分、地方にもそれなりに浸透している部分はありまして、いろいろな意味で、全体として、地方経済も含めて緩やかな改善状況にあるというふうに認識をしています。

 具体的には、雇用ですとか生産ですとか設備投資、消費、それぞれの指標が、リーマン・ショックの前後で大きく落ち込みましたけれども、その後、おおむね回復をしてきているという状況であります。

 ただ、一方で、地域経済は、一つは、少子高齢化ですとかあるいは都会への人口流出といったことで人口減少をしていて、それぞれの地域内での需要が減ってきているということ、あるいは、グローバル化が進んでいる中で、企業が海外へ立地を移すということで地域での企業の立地が停滞をしているなど、やはり、社会構造、産業構造の変化によって大きな影響を受けているわけであります。

 こうした中で、経済環境の変化に合わせた地域の産業構造の転換のおくれや、地域経済の中核となる企業が生まれていないという課題があるわけでありまして、こういった課題に対応して地域が自律的に発展していくために、地域の強みを生かしながら、将来成長が期待できる第四次産業革命関連分野ですとか、あるいは観光、航空部品分野などの需要を域内に取り込むことによって、地域の成長発展の基盤を強化していくことが重要だというふうに考えています。

 このため、この法案では、地域の特性を生かして高い付加価値を創出して、地域経済への波及効果が大きい事業を、人、物、金、情報、規制改革などの施策パッケージによって集中的に支援をしていきたいというふうに考えております。

 規模のイメージでありますけれども、基本的には、地域は、自治体が策定する基本計画において定められる地域というのを想定しておりますので、市町村あるいは都道府県単位というのが基本だというふうに考えております。

 また、地域の特性としては、産業集積や観光資源、特産物、人材など、地域での事業に戦略的に活用できるものと考えております。

 この特性によっては、市町村単位あるいは都道府県単位にとどまらず、複数の地域にまたがることもあり得るというふうに考えておりまして、市町村、都道府県とも、複数の単位でやっていただくことも可能な制度になっております。

 ですから、先ほどおっしゃったように、小さい市町村単位でやれることもあれば、例えば、御指摘の関西については、ロボット企業などがかなり集積しつつあるわけでありまして、そういった企業を中心に、ロボット開発企業等の集積を生かしながら、例えば関西地域で介護クラスターを形成しようなどという取り組みが見られますから、そういったものも、特性として見れば、関西を都道府県にまたがった形でカバーするということも可能になると考えております。

佐藤(ゆ)委員 大変御丁寧な御答弁、ありがとうございました。

 実際に大臣から今、介護クラスターの形成という関西の事例に言及いただいたんですが、実はこれも私が今申し上げようと思っていたところでございまして、大阪市を拠点に介護ロボット事業を展開しているマッスル社というのがございます。

 このマッスル社の社長さんから私もお話を以前伺ったことがあるんですけれども、ロボット開発の二百数社と共同してi‐RooBO Network Forumというのを形成して、関西介護クラスターというものをつくっております。ここで、いわゆるロボットの製造から、つくったロボットを実際に介護事業で展開する、要するに、医工連携で、ものづくり、メーカーから介護事業のサービス産業まで、これを、地域で新しい産業連関をつくり上げるという意味では、非常に有意義な事業だと私自身は考えているわけであります。

 またこの関連で後ほど御質問はさせていただきたいと思いますが、少しお話を前に戻しまして、今回の法改正のKPIの二つ目でございますけれども、高い付加価値を創出するというような要件がございます。

 従来の、既存の法律では、例えば中小企業等経営強化法などでは、経営革新計画の承認に必要な付加価値額を、付加価値額イコール営業利益プラス人件費プラス減価償却費という会計基準を用いて算出して、これがどれだけ経過期間中に上がるかというようなことを前提に、承認するかどうかという判断を下しているわけであります。

 実際に、営業利益であれば、売り上げアップかコストダウンかという経営者の営業努力の指標にもなりますし、人件費が上がれば地域雇用に対して貢献しているというふうにもなりますし、減価償却費が高くなれば設備投資を行っている、それぞれこの三つのカテゴリーで、非常に事業経営者としてわかりやすい指標になり得ると思うわけでありますし、また、こういう会計基準を使いますと、横串で、さまざまな異なる事業やさまざまな異なる地域での申請を公平中立に比較対照しやすいというメリットがあると思います。

 そういう意味で、この会計基準を今後もこの法改正において踏襲する御意向がおありになるか、経産省にお伺いしたいと思います。

鍜治政府参考人 お答えいたします。

 地域経済活性化のために地域経済牽引事業によって経済的価値を生む必要があるという考えから、委員御指摘のとおり、高い付加価値の創出というのを、今回、地域経済牽引事業の定義の一つに加えております。

 この具体的な計測方法でございますけれども、まさしく経営革新計画と同様に、営業利益、人件費、減価償却費の合計を付加価値とすることは、企業活動のまさにさまざまな全体像、経営内容の把握という観点で非常に有効な考え方だと考えております。他方で、全国で一律に客観的なデータをとるという観点で経済センサスというのがございますが、経済センサスの中では、営業利益と人件費の合計のみを合算して付加価値ということで作成をしております。

 このように、付加価値という概念、いろいろな定義、それから、今申しました計測の容易性という観点もございますので、ただいまの委員の御指摘も踏まえながら、今後、基本方針等の策定の際に、具体的な指標を政府としても指し示していきたいと考えております。

佐藤(ゆ)委員 ぜひ、事業の提出者がわかりやすい基準というものを設けていただきたいというふうに思います。

 そして、三つ目のKPIでございますけれども、地域内の事業者に対する相当の経済効果を認めるときということでありますが、このために、地域経済牽引事業の計画において、例えば地域雇用や雇用者所得、あるいは地域の消費の活性化などにどの程度インパクトを与えるべきなのか、これも、事業を策定する事業者の観点からどの程度を目指したらいいかということを、松村副大臣、少し御教示いただければと思います。

松村副大臣 三要件の一つでございます相当の経済効果についてのお尋ねかと思いますけれども、これは、先生から今御指摘のとおりでございまして、地域内の取引の拡大でありますとか、受注機会の増大でありますとか、例えば雇用者への給与の増加、また雇用者の増加、こういったものを通じて、地域の事業者に対して相当の経済効果を及ぼすであろうということを確認してまいりたいと思っております。

 また、計画を立てるに当たって、要件の詳細でございますが、これについては、まず、国が基本方針において大枠をお示しいたしまして、自治体が地域の特徴や経済実態を勘案して基本計画を定めていただくこととしております。

 ただ、当該地域というのは、人口であったり地域の環境であったり、それぞれ違いますので、国として一律の数値基準を求めることは考えておりません。

 ただ、こういった計画の場合、非常に計画はすばらしいんですが、なかなか、実現可能性という意味では、マーケットとの連動性であるとか、こういったものが見えていないときがございます。

 したがいまして、計画の認定に当たっては、実現可能で意欲的な事業を促してまいりたい、このように考えております。

佐藤(ゆ)委員 より柔軟な基準づくりというふうに理解をいたしました。使い勝手のよい基準をつくっていただきたいと思います。

 この相当な地域経済への波及効果という意味では、先ほど世耕大臣がおっしゃられました介護ロボット、こういう医工連携というのは、少子高齢化が進む地域経済にとって、非常に経済連携、産業連関の波及効果の高い分野の一つだというふうに認識しておりますが、幾つかのそのほかの事業においてお伺いしたいんですが、例えば、新エネルギーの分野。例えば大型蓄電池ですとか水素、EVなどといった開発、これは、新エネルギーとしてでき上がりますと、相当、社会的な仕組み、ライフスタイルや産業のあり方そのものが変わってくるような社会変革の起爆剤になり得るわけでございます。

 こうしたものを政府の地域経済牽引事業のターゲットに入れてはどうかと思いますが、世耕大臣、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 この地域経済牽引事業というのは、予断を持たずに、先ほどからお話が出ているように、地域の特性を生かしているということ、そして高い付加価値を創出するということ、そして地域の事業者に対する経済的波及効果を及ぼす、この要件を満たしているかどうかということで見ていく。最初からこういう分野、こういう分野というよりは、幅広い見方で見ていきたいというふうに思っております。

 新エネルギー関係の産業についても、今申し上げた要件を満たすのであれば、当然、地域経済牽引事業として認定をされていく可能性はあるというふうに思っております。

佐藤(ゆ)委員 新エネルギー分野は、例えば私の地元の大阪府では新エネは成長戦略の一つで力を入れておりますけれども、何も大都市にかかわらず、過疎地の地方でも、バイオマスの利用ですとか、例えば木質バイオマスを使ったり、こうした地産地消の新エネルギー、こういうものは全国津々浦々、地域経済の牽引事業として活用し得るものと思いますので、非常に汎用性が高いエリアの一つと考えておりますので、ぜひ政府の動きに期待をしたいというふうに思っております。

 一つ、今回の改正で法律的な確認をさせていただきたいんですが、地方創生との連携で一つ確認をさせていただきたいんですが、地域再生法による地方創生推進交付金が、今年度、二十九年度予算では一千億円計上しているわけでございます。これを今回、こちらの法改正の方でも活用して補助を提供するということを経産省から私は伺っておりまして、これは非常に有効な、ぜひ奨励をしたい動きであるというふうに思っているわけであります。

 実際に地方創生の枠組みと地域未来投資の枠組みというのは相乗効果を目指すべきでございまして、これまでも、地域再生法の第十七条の三十二では、企業立地促進関連事業の記載のある地域再生計画が内閣総理大臣から認定を受けたとき、このときには、企業立地促進法の方の第五条第五項の規定によって、同じ当該事業に係る企業立地促進基本計画、これは自治体がつくりますけれども、この基本計画に対して、同時に主務大臣から同意があったとみなすという規定がございました。

 これは、法改正をして地域未来投資促進法に改正されても、いわゆる、一回申請を自治体が出せば地域再生法と地域未来投資促進法と二回おいしいといいますか、一回で利便性の高い二つの法律的枠組みで事業を推進することができるという、使い勝手のよい枠組みが担保されると考えてよろしいんでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 地方創生は、地域の人口減少、地域経済の縮小を克服しまして、将来にわたって成長力を確保するために、まちづくり、人づくり、仕事づくりを総合的に行う取り組みでございます。

 この地域未来投資促進法案でございますが、この中でも、特に地域における仕事創出の観点から、地域の特性を生かして高い付加価値を創出し、地域の事業者に対する経済的波及効果を及ぼすことによって、地域経済を牽引する事業を集中的に支援するものでございます。

 このため、本法案におきましては、第三十一条におきまして、国は、地域経済牽引事業の促進に当たって、地域経済の総合的かつ効果的な推進に関する施策との連携を図るよう努めるという旨記載してございます。これを受けて、内閣府と連携をし、地方創生推進交付金を活用しまして、地域経済牽引事業を重点的に支援することにしているものでございます。

 今回、地域再生法との連携の重要性が一層高まってございますので、改正におきまして、附則第十三条の規定によりまして、現行の企業立地促進法において設置されております、御指摘の地域再生法におけます手続のワンストップの規定につきましては、引き続き地域未来投資促進法においても引き継がれるということにしておりまして、基本計画の内容が記載された地域再生計画が総理大臣の承認を受けた場合には、基本計画に国の同意があったものとみなされることになります。

佐藤(ゆ)委員 ありがとうございます。

 これは自治体にとって非常に有効でありますので、ぜひこれは継続していただきたいというふうに思っております。

 次に、先ほど来申し上げておりますように、地域未来投資の促進と地方創生政策というのは不可分である、この認識が重要であると今回私は思っております。

 地域再生法の方に転じますと、地域再生法は地方拠点強化税制というものを設置しております。この地方拠点強化税制では、本社機能の移転または拡充において、実は、首都圏整備法や近畿圏整備法を根拠にして、東京、大阪、京都、兵庫、名古屋の一部、こういった地方の大都市を優遇税制から適用対象外にしているという事実がございます。

 実際、今日の東京一極集中の問題を軽減するためには、首都圏整備法の適用には私は意義があると考えるわけでございますが、その一方で、近畿圏整備法まで適用して、そのほかの地方の大都市まで地方拠点強化税制の対象外にしているというのは、私はいささか、いかがなものか、近畿の国会議員からしますと、そのように思うわけでございます。

 実際に非製造業の設備投資のトレンドを見てまいりますと、実は二〇〇〇年から二〇一五年までのこの十五年間で、日本の非製造業の設備投資額の地域別シェアで、首都圏が十五年間で全国の五七%まで、半分以上まで首都圏で非製造業の設備投資が行われている。このぐらい拡大をしている事実がある一方で、続く二番目の関西はどうかといいますと、わずか一二・六%でございます。

 このように、特に非製造業の設備投資において、首都圏と地方の大都市圏との間でのいわゆる都市間格差というのが激化をしているというのが現実であるという認識が必要であると思うわけであります。

 実際、地方拠点強化税制では、施行五年後のKPIの達成目標に対して、現在、一年半程度ですけれども、この税制を使った地方拠点の認定件数を見ますと、やや進捗ペースにおくれも見られるというのは事実でございます。

 これは地域未来投資にも影響する重要な側面でありますので、ちょっとここに光を当ててみたいというふうに思いますが、なぜおくれるかという理由なんですけれども、本社機能は基本的に、調査や企画戦略、あるいは法務や人事ですとか、あるいは研究開発、あるいは海外展開ですとか知的財産管理、こういった管理部門が本社機能でありまして、この本社機能を担う人材はどうかといえば、弁護士、会計士、税理士、あるいは特殊な専門技能を持った職員、こういったものでございます。

 しかし、本社機能を担うこうした人材の集積というのはどうしても大都市に集約をしているわけでありますから、この大都市圏で地方拠点強化税制が適用除外であるということは、むしろ、本社機能を移しにくい税制状況にもあるということが原因の一つではないかというふうに私は考えるわけでございます。

 また、同時に、地域未来投資促進法の観点から考えましても、今回の法改正では、これまでの製造業の産業集約から軸足を移して、サービス産業を軸に地域経済牽引事業というのを進めていこうという趣旨でございます。事業所向けとか個人向けサービスが多いのも、これも大都市が中心でありますけれども、そうしますと、大都市でこういう地域経済牽引事業を始めようという申請が今後ふえてくると思われるんですが、こうしたサービス産業が地方の大都市で本社機能を展開しようと思ったときに、実はこの地方拠点強化税制がネックになりかねないといいますか、政策効果がブレーキとアクセルを踏むような相殺関係にあるのも残念であるというふうに思われるわけであります。

 そこで、地域再生法で、地方拠点強化税制で規定をしております三年後の見直し、ちょうど来年の平成三十年度に当たりまして、実は今既に見直しの動きが始まっているというふうに聞き及んでいるわけであります。ことしの八月末の来年度の税制改正要望でぜひのせていただきたいというふうに思うわけでありますが、世耕大臣、最後にお伺いしたいと思います。

 地域未来投資促進法のKPIの達成に向けて、より効率的な政策の相乗効果を目指していく、そういう観点から、地方拠点強化税制が適用する近畿圏整備法等を外して、首都圏以外である大阪、京都、兵庫、名古屋などの一部を、今回、この地域拠点強化税制の適用対象に入れるべきではないかというふうに考えるわけでありますけれども、未来投資の政策効果の相乗効果という観点から、大臣、いかがお考えでしょうか。

世耕国務大臣 地方拠点強化税制の政策目的と、今回お願いをしております地域未来投資促進法案の政策目的、ちょっと違う、ずれている部分はあるんだろうというふうに思っています。

 地方拠点強化税制というのは、やはり、都会から本社機能を地方へ移していく、それを促すような税制になっているわけでありまして、そういうことから、東京圏、近畿中心部、そして中部圏中心部、こういったところは対象外になっているというふうに考えています。

 今回の我々のこの地域未来投資促進法案の方は、これは、拠点を移動させるという目的というよりは、将来に成長ができる、例えば先端ものづくりですとか、観光、農林水産、ヘルスケア、こういった分野で地域経済への波及効果の高い事業が全国津々浦々で生まれるようにする、これが我々の政策目的ということになります。

 ですから、地方拠点強化税制に関しては三年目の見直しというのがこれから内閣府で行われるというふうに思っておりますが、経産省としては、この地域未来投資促進法案を通じて地域経済の活性化に全力で取り組んでまいりたいというふうに思っております。

佐藤(ゆ)委員 世耕大臣のお立場でなかなか言及はしづらい点を御質問させていただいたわけでございますけれども、しかし、今回の私の質問の趣旨といいますと、この地域未来投資と内閣府所管の地方創生の政策がやはりうまく融合するということが地域の活性化にとって極めて大事であるというふうに思っているわけでございます。

 そういう意味では、やはり本社機能というものを地方に東京から移転する、あるいは、二つ目の類型として、本社機能を地方で拡大をする場合も税優遇があるわけでございますけれども、この拡大をするインセンティブにおきましても、できれば近畿圏などの大都市圏において、先ほどの非製造業の設備投資のシェアのこれだけの格差が進んでいるという現状を見ますと、やはり地方の拠点づくりという意味での地方の大都市圏の再生、これも大きな課題の一つであると私は認識をしているわけでございます。

 そういう意味では、税制とのうまい融合というものを意識しながら今後の政策運営を進めていただきたいと思います。

 少し時間が早いんですが、これで質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。よろしくお願いいたします。

 法案の審議に先立ちまして一点お尋ねをしたいんですけれども、商工中金の危機対応業務貸し付けの点でございます。

 昨日も経産省の方から業務改善命令も出されたということも伺っておりますけれども、危機対応業務自体は震災等の際に活用されておるものでございますけれども、昨年の十一月に、鹿児島の支店で支給要件に該当しないものについて貸し付けたケースがあるということが発覚をしたということで、第三者委員会が調査を行っておったというふうに承知をしております。

 先月、報告書の方も発表されまして、私も拝見いたしましたけれども、不正行為が判明をしたのが全国の三十五支店、七百六十件に上っている、貸出残高も百五十六億円残っているということでありました。

 これはかなり、一支店のケースというよりは、多くの支店にわたって行われている、商工中金そのものの、全体のガバナンスがやはり甘かったのではないかというふうな指摘もあるというふうに、私も感じます。

 もちろん、危機対応業務そのものは、やはり金融危機あるいは大規模災害、こういった際に必ず必要なものだというふうに思っておりますし、これを活用していろいろな事業者を支えていくという、これは業務として必要なものだというのは重々承知をしておりますけれども、やはり、これを行う指定金融機関である商工中金、これのガバナンスが甘いとか、こういう状況であると、私は、これは看過できない、このように思います。早急な改善が必要であるというふうに思います。これについて大臣、ぜひ答弁いただければと思います。

世耕国務大臣 商工中金において、危機対応業務の融資の際に、職員が試算表などの数字を改ざんしていたとの事案が発覚をしたことは、まことに遺憾だというふうに思っております。

 この事案につきましては、今御指摘のように、商工中金において第三者委員会を中心に調査が進められてきました。そして、連休直前の四月二十五日に、商工中金からこれまでの調査結果の報告を受けたところであります。

 一方で、この問題は、過去何年にもわたって、かなり複数の支店にまたがって現場で延々と続けられてきた問題でありまして、商工中金は、この第三者委員会を中心に進めた調査に基づいて処分を発表しております。役員の減給などの処分を発表していますが、今の役員を減給処分するだけで解決できる、もうそれで済むような話ではないというふうに思っております。この問題を根絶するためには、まず現経営陣に責任を持って徹底的に問題の全容を洗い出して解明をしてもらう、これがまず重要だというふうに思っております。

 今までの調査というのは抜き取り調査なんです。疑わしいと思われるようなところと少し無作為に抽出したもの、それの調査ということで、全体の融資件数から見ると、一二・六%の調査にとどまっております。

 そうしたことを踏まえて、昨日、商工中金に対しまして業務改善命令を出させていただきまして、まだ調査を行っていない危機対応貸し付けについても全件調査をしっかりと実施して、どこに問題の本質があるのか、この根本原因を特定することを求めたところであります。

 この全容解明を踏まえた上で、では、直接関与した職員の処分をどうするか、あるいは、社長も含めて担当役員の監督責任をどういうふうに考えるか、そして、ガバナンスの抜本的強化に向けた組織体制の見直しをどういうふうに進めるか、こういったことに関して商工中金にさらなる対応を求めてまいりたいというふうに思っております。

中野委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 では、法案の質疑の方に入らせていただきます。

 地域未来投資促進ということでございまして、今回の法改正、現行の企業立地の促進法、これを改正して、地域経済を牽引する事業をしっかりと、地域に投資を促進していこう、こういうものでございます。

 私の地元は兵庫県でございますけれども、現行の企業立地促進法、これが製造業が中心の仕組みだということでございますけれども、今でも、現行の仕組みのもと、付加価値の高い産業を誘致しようということで、かなり努力を続けてまいりました。

 私の地元の兵庫の尼崎市ですと、もともと製造業が強いということもございますので、従来の仕組みも活用して地域経済を発展させよう、こういう取り組みもしてきたわけでございます。しかし、人口減少社会で、残念ながら、県の人口減少も、社会減も含めて、とまっていかない、こういうことでございます。

 私は、今までの製造業の付加価値の高い産業を誘致していこう、こういう取り組み、一定の効果はあったというふうに思いまして、必ずしもこれが間違っていたとも思わないんですけれども、確かに新しい展開というものも必要であるなというふうにも感じております。

 そこで、まず冒頭、今までの企業立地促進法による産業誘致の取り組みに対してどう評価をしているのか、今回の法改正、新しい改正によって何を狙っていくのか、これについて大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

世耕国務大臣 お地元の兵庫県では、非常に市町村の関心も高くて、二十三件の基本計画がこの企業立地促進法に基づいて策定をいただいております。また、全国ベースでも、平成二十八年度末時点で百九十一の基本計画が策定をされているところであります。

 このうち、平成二十七年度末までに終了をして、評価を行った百七十二の基本計画、これの一計画当たりの実績値、平均をとりますと、それぞれ約五十件の新規企業立地を招いたり、あるいは約千人の新規雇用創出をするなど、これは一定の効果があったというふうに思っております。

 一方で、基本計画における付加価値増加率というのは、一計画当たりの平均で当初計画を大きく下回っておりまして、計画どおりの目標が達成されたとは言いがたい状況にあるわけであります。

 この要因としては、まず一つは、やはりリーマン・ショックによる経済の低迷ですとか東日本大震災による影響などがあるわけでありますけれども、それ以外にも、地域の強みを生かした産業分野の指定が必ずしも行われていなかった、そして、PDCAサイクルを回す仕組みが弱かったなどという点があるんだろうというふうに思っております。また、現行法の支援策は、製造業支援が中心という形のたてつけになっておりまして、サービスなど非製造業向けの支援策が余り十分ではなかったという点もあるかというふうに思っております。

 こうした課題を克服して、地域経済の成長発展の基盤強化を図るべく、地域未来投資促進法案では、地域の特性を生かして高い付加価値を創出して、地域経済への波及効果が大きい事業を人、物、金、情報、規制改革などのパッケージで集中的に支援をしていきたいというふうに考えております。

中野委員 今回の法改正、何を狙っていくのか、こういうことが大変よくわかりました。

 地域経済の活性化、もちろん、第二次安倍政権、自公政権の取り組みの大きな政策の一つであります地方創生ということを大きく掲げてやっておりまして、この地方創生の取り組み、今ちょうど、それぞれの自治体で二〇二〇年度までの目標あるいは取り組み、こうしたものをやるということで、まち・ひと・しごと創生総合戦略、こういうものを定め、それぞれにKPIも設定をして、まさに取り組みを今進めているというところでございます。

 私の地元でも、全国そうだと思いますけれども、将来人口がどうなっていくのか、こういうことも見据えながらまさに取り組みを進めているところであるというふうに思いますし、その中で、地域の投資というか、仕事をどうやってつくっていくのかというのは既にそれぞれの自治体がまさに走り出している、こういう状況であるというふうに思います。

 今回また、いわゆる地域未来投資、これによって地方を活性化させようという取り組みを経産省としてやっていくということでございますので、やはり、この地方創生の取り組みとしっかりと連動をさせて効果を最大限に発揮をしていく必要がある、このように思います。この連携の方向性についてどうお考えなのか、答弁を求めます。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 地方創生は、地域の人口減少、地域経済の縮小を克服しまして、将来にわたって成長力を確保するという観点から、まち・ひと・しごと創生法に基づきまして、まちづくり、人づくり、仕事づくりを総合的に行う取り組みでございます。

 この中でも、特に、地域での仕事の創出という観点から、この未来投資促進法案では、地域の特性を生かして高い付加価値を創出し、地域に対する経済的波及効果を及ぼすことによって地域経済牽引の事業を集中的に支援するものでございまして、この地域経済牽引事業の投資の促進につきましては、先ほどございました、まち・ひと・しごと創生総合戦略の二〇一六年の改訂版におきましても示されているところでございます。

 このため、本法案では、第三十一条におきまして、国は、地域経済牽引事業の促進に当たって、地域再生の総合的かつ効果的な推進に関する施策との連携を図るよう努める、その旨規定されておりまして、これを受けて、内閣府と連携をして、地方創生推進交付金を活用し、地域経済牽引事業を重点的に支援するということとしてございます。

 今後も、こうした地方創生の流れとしっかりと連携をいたしまして、地域経済の活性化に向けて、内閣官房、内閣府あるいは関係府省庁とも連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。

中野委員 今回の法改正による支援を得るためには、地域経済牽引事業の事業計画を策定して承認を得るという、こういう仕組みになっております。

 先ほどの質疑の中でもこの事業計画の策定の要件についても質疑がございましたけれども、私の方からも確認をさせていただきたいというふうに思います。

 地域の経済の牽引事業、例示としてはさまざまなものが挙がっておりまして、先端ものづくりであるとか、あるいは地域商社のような取り組み、製造業以外のサービス産業等々も含めて、かなり幅広い分野、これを網羅的に対象としている、このような印象がございます。

 ですので、実際の事業計画を策定するに当たって具体的にどういう要件を満たす必要があるのか、その要件のそれぞれの詳細について、やはりある程度この法案審議の中で明らかになっている必要があるというふうに思いますので、その詳細についてお伺いをしたいというふうに思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案では、第二条の第一項におきまして、地域経済牽引事業を、三つの要件であります、地域の特性を生かす、高い付加価値を創出する、そして、地域の事業者の方々に対する相当の経済効果を及ぼすことによって、地域における経済活動を牽引する事業と定義をしてございます。

 具体的には、国は、基本方針におきまして、第三条第二項第一号のイの「地域経済牽引事業の促進の目標に関する事項」としまして、自治体に対して目安を提示したいと考えてございます。

 具体的には、まず、地域の特性でございますけれども、産業集積や観光資源、特産物など、自治体が基本計画において記載する地域の特性を活用した戦略的な事業内容になっていること。高い付加価値創出につきましてですが、これは、事業の実施を通じまして、結果的にその地域に一つの事業者が立地したのに相当する付加価値が追加的に創出されること。そして、地域の事業者に対する相当の経済的効果につきましてですが、これは、地元との取引をふやすことで、地域の事業者の雇用、給与、売り上げの増加などを通じて地域の事業者に経済的効果をもたらすことというのを検討しているところでございます。

 なお、個別の事業計画の承認の具体的な要件でございますが、これは、国の基本方針に基づきまして、承認の主体でございます自治体がそれぞれ地域の経済実態を勘案して、基本計画におきまして、第四条第二項第三号の「地域経済牽引事業として求められる事業内容に関する事項」というところで定めるものとなっております。

中野委員 今回の事業計画が承認をされた場合、設備投資に関する支援措置で課税の特例などが得られるような仕組みも入ってございます。やはり、この事業計画、承認をされた後の支援措置というものを充実させていくということが非常に重要なのではないかというふうに思います。税の部分ももちろんそうなんですけれども、財政的な支援措置ということも含めて、やはり充実をしていく必要がある。

 本法案に連動した財政措置として想定をされているものがどのようなものがあるのか、そして、今後どのように充実を図っていくのか、これについてお伺いをしたいと思いますし、あわせて、この法律と必ずしも直接連動をしていないものもございますけれども、例えば平成二十八年度の補正予算では、地域未来投資促進の補助金というものがございまして、さまざまな補助金が入っておりました。ものづくりの補助金でございますとか、ITの経営力向上を図る補助金、あるいは需要開拓の支援の事業、かなり使い勝手のいい補助金も多かったというふうに思います。

 今回、地域未来投資促進ということで、やはり地域に波及効果の大きいものをこうした大きな仕組みで応援をしていく、こういうことも大事だと思いますし、あるいは、こうした設備投資を呼び込むような一般的なこういう支援策というものも含めて、やはりさまざまなものが充実をすることで地域の投資というものが進んでいくのではないか、このように感じておる次第でございます。

 こうした投資を促進させる取り組みの充実をぜひ図っていただきたい、このように思いますけれども、あわせて答弁をいただきたいというふうに思います。

鍜治政府参考人 お答えいたします。

 二点、この法律に基づく支援措置、それから、周辺の支援措置という御質問でございます。

 法律につきましては、先ほど来御説明を申し上げております、経営資源、人、物、金、情報あるいは規制改革、これの総合的なパッケージでの政策支援ということでありますが、特にお金の関係、予算的な意味での支援措置といたしまして、まず、例えば、専門人材を雇ってグローバルマーケットに進出したい、こういう方々のニーズに応えまして、高度専門人材による事業戦略の立案あるいは販路開拓の支援事業、これを平成二十九年度予算で二十五億円措置してございます。

 それから、物の関係、戦略的な設備投資が鍵となるわけでございますが、委員御指摘の税制に加えまして、先ほど来御指摘がございます地方創生推進交付金、平成二十九年度予算額一千億円、ここでも重点活用というものを予定してございます。さらには、いわゆるリスクマネー、資本金などを供給いたしまして戦略的な設備投資をやるということもあると思いますので、地域経済活性化支援機構、REVICでありますとか、中小企業基盤整備機構などのファンドの創設を通じましてのリスクマネーの供給、これも予定しているところでございます。

 さらに、そのような事業を行います企業が、あわせまして省エネの観点の設備投資あるいは戦略的な技術開発をやる場合には、この事業の直接の予算措置ではございませんけれども、エネルギー庁や中小企業庁が措置してございます省エネ補助金あるいはサポーティングインダストリー補助金、こういったものの連携、活用を予定しているところでございます。

 さらに、自治体の方々が企業の設備投資に対しまして固定資産税等の地方税の減免措置を行うこともあるわけでございますが、これに対しましての減収補填措置というものも今回予定をしております。

 こういったものが、この地域未来投資促進法に直接関連した予算措置、支援措置でございます。

 これに加えまして、先ほど委員御指摘ございましたように、中小企業庁などでは、地域の中小企業に対しまして、平成二十八年度二次補正予算、革新的ものづくり・サービス開発支援補助金、合計で一千億円強措置しておるところでございます。

 こういうものは、例えば、この法律の支援対象になります中堅、中核企業の周りに、先ほどの介護の関係もございます、何百社という周辺企業が連携して同じプロジェクトを進めるということもございますので、そういった場合には、中小企業関係の支援措置も柔軟に連携できるように、我々も関係部局としっかり連絡をとり合って事業を遂行してまいりたいと思いますし、また、そういう二十九年度の予算措置等を踏まえながら、また来年度以降の措置についてもしっかり検討してまいりたいと考えております。

中野委員 こうした予算措置というのは、なかなか、実際は補正予算が組まれたときに大きく確保するようなことも多くて、やはり予算がしっかり確保できるかどうかというのが非常に重要だというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いを申し上げます。

 地域産業の活性化という点で、事業承継についても一点お伺いをしたいというふうに思います。

 経営者がかなり高齢化をしていて、事業承継が円滑に進んでいくかというのは非常に大きな問題だというふうに思っておりまして、私ども公明党の経済産業部会の方でも、先日、墨田区の方に行ってまいりまして、この事業承継の取り組みとしてどのように応援をしているのか、こういうものも現場の視察にも行ってまいりました。

 墨田区の方では地元の企業の状況というのをかなり詳細に把握をされておられまして、経営者も平均年齢でいうと六十六歳ぐらいだというふうに聞いておりまして、約半数の企業に後継者がいないというふうな現状がある、早目に手を打たないとこれは大変なことになるな、こういう問題意識を持たれて取り組みを始められたというふうな経緯もお伺いをいたしました。

 確かに、地元に帰りましても、後継者が、後継ぎがなかなかいない、こういうお話、よく伺う話でございます。そうした意味では、この墨田区の取り組みでいうと、かなり早い段階から事業承継というものを意識しながら経営を行っていただくことも非常に大事じゃないか、こういうことも言っておられました。

 確かに、ぎりぎりになってから、ではどうするか、こういうふうになるとなかなか取り組みが難しいということもございまして、例えば、人間でいうと健康診断を受けるわけでございますけれども、企業診断のような形で、こういう点にどれだけ意識をしてやっておられますかということで気づきを促すような取り組みであるとか、あるいは、さまざまな支援機関とのネットワーク、いろいろなもので承継のマッチングをしていくにしても、狭い地域だけだとなかなか完結しないということもお伺いをしまして、こういう支援機関のネットワークの形成、こうしたものも含めて、非常に重要ではないか、こうした御要望なども伺ってまいりました。

 こうした御要望も含めて、政府としてどのように、今後、事業承継の政策、取り組んでいかれるのか。私、これはかなりしっかり進めていただかないと、いろいろな地域で課題になるというふうに思いますので、どのようにお考えかということを、答弁をお願いしたいというふうに思います。

大串大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、中小企業経営者の高齢化が進んでおりまして、事業承継は待ったなしの課題であります。他方、日々の経営に追われて事業承継の準備に着手できていない、あるいは、漠然とした不安があっても誰に相談すればよいかわからない、株式の承継に際しての税負担が重いといったような課題がありまして、事業承継の準備は必ずしも進んでいない状況であります。

 こうした現状を踏まえまして、まず、事業承継に向けた準備を促進いたします。

 平成二十九年度からは、都道府県単位で、商工会、商工会議所、金融機関等の身近な支援機関から構成されます事業承継ネットワークを順次構築してまいります。その中で、支援機関の方々が経営者の方に対して、事業承継に向けた準備状況を診断シートを用いて診断していただき、経営者の方に、早い段階から事業承継を意識した経営を行いながら、承継の準備を計画的に進めていただくということになっております。また、後継者問題や株式の承継などの課題を個社毎に抽出し、それぞれの課題に応じて適切な支援機関につないでまいります。

 後継者不足の中小企業に対しましては、全国に事業引継ぎ支援センターを設置いたしまして、MアンドA等による後継者マッチング支援を行っております。発足以来、一万五千件を超える相談に応じまして、六百七十二件の成約を実現しております。各地の事業引継ぎ支援センターに寄せられた情報をデータベースに集約いたしまして、各センター間の連携のもと、地域をまたいだ広域マッチングも行っております。

 後継者の株式の承継に係る税負担の課題につきましては、事業承継税制を措置しておりまして、平成二十九年度税制改正においては、小規模事業者に使いやすくするためのさらなる要件緩和などを行ったところであります。

 これらの施策を総動員して、事業承継が円滑に進むよう全力を尽くしてまいりたいと思います。

 以上でございます。

中野委員 大串政務官から詳細に御答弁をいただきました。しっかりと進めていっていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 地域産業の活性化に向けて人づくりというのが非常に大事な課題だというふうに思いまして、そこで大きな役割を果たしていくのが地方の大学、これが非常に大事なのではないかというふうに思います。

 今まで地方大学が地域の産業の活性化というものについて役割を十分に果たしてきたかということを考えると、まだまだ不十分だというお声も強いわけでございまして、こうした地域に集積をしている地方大学などの研究機関で、地域にそうしたさまざまな蓄積があるわけでございますので、これをしっかり地元の経済の発展のために還元をされるようにしないといけないというふうに思います。

 地元の産業界も含めて、地方大学等も含めた関係者との連携というのはもっと深めていっていただきたいと思いますし、地方の大学から、まさに地方創生を担う人材、人づくり、これをぜひ輩出していくような取り組みを加速化していっていただきたい、このように考えます。

 文部科学省の方から答弁をいただきたいと思います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、地方創生を担うことができる人材の育成、そして、大学を核として地域産業の活性化を図るという観点から、地方大学の役割は極めて重要だというふうに認識しております。

 文部科学省におきましても、これまでも、複数の地方大学が自治体や地域の企業そして民間企業等と協働、連携しながらそれぞれの強みを生かして地方の学生の定着、雇用の創出等を図ります地(知)の拠点大学による地方創生推進事業、これはCOC+事業と言っておりますけれども、そういった事業に取り組むとともに、国立大学につきましては、例えば地域の人材ニーズを踏まえた学部・学科の改組、そして、私立大学につきましては、私学助成における地域発展や産業界との連携等に向けた全学的、組織的な取り組みへの重点支援に取り組んでいるところでございます。

 これに加えまして、本年三月六日には、中央教育審議会、中教審に対しまして、我が国の高等教育に関する将来構想について諮問を行いました。ここでは、十八歳人口が減少していく中での地域における質の高い高等教育機会を地方の自治体や産業界との連携も含めて適切に確保していくための方策等について、総合的、抜本的な検討を進めるということにしてございます。

 また、昨年十二月に閣議決定されました、まち・ひと・しごと創生総合戦略二〇一六改訂版におきましても、地方大学の振興などについて、緊急かつ抜本的な対策を教育政策の観点も含めて総合的に検討することとされております。これを受けて、内閣官房におきまして有識者会議を設置し、本年二月六日から検討を開始していると承知しております。

 文科省といたしましても、まち・ひと・しごと創生本部とも連携しながら、地方創生の中核を担う地方大学の活性化に引き続き全力で取り組んでまいりたいと思っています。

中野委員 最後に一点、人づくり、この観点で質問をさせていただきたいんですけれども、人口流出の状況を見てまいりますと、大学への進学、あるいは就職、この二つのタイミングで非常に県外流出が起こっているな、これを痛感しております。私の兵庫県でもまさにそうでございます。

 大学の進学に際し、地元の大学に行っていただくということもあるんですけれども、もちろん県外に行かれる方もかなりいらっしゃいます。こうした方々を、やはり地方の創生、また戻ってきていただいて、地元でぜひ活躍をしていただく、こうした取り組みを後押ししていくということが非常に大事だというふうに思います。

 もちろん、そこには地域に良質な産業、雇用、こういうものがないといけませんので、この法案で地域の未来の投資を促進することも大事でございますけれども、そこにどうやって人を呼び戻していくのか、これが大事だというふうに思います。

 以前も質問させていただいたこともあるんですけれども、奨学金を活用して大学生などを地方に定着をさせる取り組みというものが今ございます。例えば、地元で就職をすれば奨学金の返還が一部免除されるようなこういう仕組み。国として支援をすることになっておりますけれども、しかし、制度が始まって二年たちますけれども、まだまだ活用している事例というものも少ないのではないかということも感じております。

 これの現状について、どうなっているのか、また、今後どのように取り組みを後押ししていくのかについて最後に答弁をいただきたいと思います。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 地方からの人口流出は、先生御指摘のとおり、大学進学時と卒業後の最初の就職時という二つの時点において顕著でございます。大学進学時や就職時の学生に直接働きかけることのできる奨学金の返還支援、これは非常に重要かつ有効な取り組みと考えております。

 私ども総務省といたしましても、平成二十七年度より、文部科学省と連携して、地方公共団体が、地元企業に就職した学生への奨学金返還を支援するための基金、こちらを造成する取り組みに要する経費に対して特別交付税を措置してございます。

 制度創設二年目となります平成二十八年度の実績でございますが、八県一市が特別交付税措置の対象となっております。このほか、今後基金への積み立てを予定している団体などもあると承知してございます。

 いずれにいたしましても、文部科学省におきましても、自治体の教育担当部局、あるいは大学の奨学金事務担当部局等への周知が行われているものと承知しておりますが、私どもといたしましても、これまでも、全国都道府県財政課長・市町村担当課長合同会議や各種ブロック会議における自治体担当者への周知、経済団体への協力呼びかけなどを行ってきたところでございます。

 引き続き、さまざまな場を活用して制度の周知を行い、この取り組みが全国的に大きく広がっていくよう努力してまいりたいと考えております。

 以上であります。

中野委員 以上で終わります。ありがとうございました。

浮島委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時五十八分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時二十三分開議

浮島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民進党の近藤洋介です。

 本日は、企業立地促進等に関する法案の改正案でございますけれども、まず冒頭、重要経済閣僚として、我が国の経済の状況に関する認識を世耕大臣にお伺いしたい、こう思います。

 連休前の四月二十七日に、日本銀行は金融政策会合で景気判断を、「緩やかな拡大に転じつつある。」と上方修正をいたしました。委員長のお許しを得て資料を配付させていただいておりますが、この配付資料の一枚目に、朝日新聞の記事でありますけれども、そのときの記事を転載させていただいております。

 この記事にもございますように、拡大の表現を盛り込んだのは、リーマン・ショック前の二〇〇八年三月以来、約九年ぶりのことであります。成長の見通しを上方修正したわけであります。

 しかしながら、大臣、この連休の期間、私は徹底的に地元を歩いたのでありますが、山形県内を歩いて地域の声を伺った感覚からいいますと、少なくとも山形県内で、生活が九年ぶりに上向きに強く感じたという大きな声、ないしは、消費が拡大しているといった全体の声、また、中小企業の方々にしても、確かに一定の人手不足感というのはありますが、しかしながら、先行きの見通しについて、設備投資を積極的にしようといった前向きの声は総じて聞かれなかった、こういうことだと思います。すなわち、力強さというのは感じられないわけであります。

 残念ながら、統計上は確かに景気回復、こちらは四月六日の日本経済新聞でありますけれども、景気回復、戦後第三位、アベノミクスで五十二カ月間といって、こちらも、内閣府の指標によると大変長い間の景気回復という数字だけは発表されておりますけれども、何となくこれは大本営発表のような気がしてならないわけであります。現場では大変苦労しているけれども、数字だけが躍っているのではないかという気すらするわけであります。

 そこで、大臣に二点お伺いしたいと思います。

 まず第一に、この四月二十七日の日本銀行の発表、中央銀行日銀の景気判断と、私だけが感じているとは思われないんですが、地方における実態に乖離があると大臣自身はお感じになっているか、受けとめていらっしゃるかどうかという点が第一点であります。

 そして第二点は、少なくとも私は、これは実感なき拡大である、このように思うわけでありますが、この実感なき拡大というのは、少なくとも国内の経済の好循環に裏打ちされたものではない。すなわち、この日銀の見立ても外需に支えられたものである、こういうふうに言われておるわけでありますけれども、いわゆる国内の経済の好循環に裏打ちされたものではない。したがって、為替や海外の動向によっては景気は一気に悪化する。すなわち腰折れする。日銀が言っている景気の回復も一気に腰折れするリスクを抱えているという危機感はお持ちかどうか。お答えいただけますでしょうか。

世耕国務大臣 ゴールデンウイーク、そんなにみっちり地元を回れてうらやましいなと思いつつ、私も選挙区は地方であります、山形と同じく。やはり、おっしゃるようなことは何となく実感はわかります。なかなか、アベノミクス、アベノミクスと言っても地方では実感できないよというような声も、私の地元では、私も数少ない回るときに、対話をするとそういう声は聞くわけであります。

 しかし、一方で、今、統計はとおっしゃっていただきましたけれども、やはり、数字の面ではかなり改善の傾向が見えているというところが、これは明確にあるんだろうというふうに思っています。

 例えば、雇用を言っていただきましたが、リーマン・ショック前後の最高水準と最低水準、それと今の状況を比べると、有効求人倍率は、リーマン・ショック前の一・〇八が、リーマン・ショックの後、〇・四二まで落ちましたけれども、それが今一・四五まで回復しています。あるいは鉱工業生産指数が、リーマン・ショック前の一番いいときが一一七・三でありますけれども、これが、リーマン・ショックで七六・六に落ちたのが九九・六まで直近で戻ってきております。法人の設備投資額が、リーマン・ショック前のいいときは五十四兆円でありましたが、リーマン・ショック後、三十四・一兆円まで落ちたのが今四十兆円まで回復をしてきている。あるいは民間最終消費支出が、リーマン・ショック前、二百八十五・五兆円だったのがリーマン・ショックで二百八十・六兆円まで下がって、今、二百九十六・四兆円まで回復してきている。

 そういう意味では、数字を見るとそれなりに回復をしてきているし、日銀の言うことも必ずしも現実と乖離しているとは言えないのではないかというふうには考えます。

 ただ、一方で、やはり地域ですとか業種でばらつきがあるのも事実だというふうに思っております。あるいは、今おっしゃったように、為替ですとか海外経済の影響を受けているというのも事実だというふうに思います。

 そういうことも踏まえながら、経済産業省としては、地域の雇用を、GDPの担い手である中小企業やサービス産業の生産性向上の取り組みをしっかりとやっていく、あるいは質の高い雇用を生み出していく、あるいは、特に地域の中小企業対策ということで、下請取引の適正化をしっかりと取り組んでいくということ、常に地域に目を向けた、単に数字をうのみにして、もういいんだというのではなくて、それが本当に地方でも実感をしてもらえるように取り組んでいく所存でございます。

近藤(洋)委員 大臣、今おっしゃっていただいたように、やはり数字は確かにうそはつかない部分もあるかと思うんですが、その数字が全て統計が本当に正しいのかというのは、これはやはり統計のとり方によってもいろいろあろうというのは大臣御案内のとおりだと思いますし、ぜひ数字にあらわれない部分も大事にしてもらいたい、こう思うわけであります。

 株価が非常に高い、これは事実なんです、数字でいえば。株価がきょうも二万円台をうかがう勢いで推移しているわけでありますが、やはり、この株価にかなり今の国内の経済全体の空気が支えられているのは間違いないし、この景況感というものが裏打ちされているんだろう、こう思うわけであります。

 この二、三日の株価も、結局のところ、では、日本の国内の生産性が高くなって株価が高くなっているかというとそうではなくて、実を言うと、結局これも、米国の利上げ観測で金利差によって為替が円安に動いて、そしてそれによって好感されている。マネーゲームの中での株高であって、いわゆる、生産性が本当によくなっての株高では一概にないわけであります。

 何を言いたいかというと、結局、大臣、これはバブルなんですよ。バブルとは何ぞやというと、バブルというのは、結局、特定の資産価格が、土地でも株式でもいいんですけれども、これが実態とかけ離れて上昇して、そしてそれが実体経済を持続可能できないような状況まで上がってしまうことを、バブルとこう言うわけであります。

 だとするなら、今の状況はある意味でバブル。バブルのときは誰もバブルと気づかないわけです。これがバブルなんです。はじけて初めてバブルと気づくんです。これが、一九八六年もそうだし、八七年もそうだし、バブルはそういうものだとすると、やはりここは冷静に、そろそろ安倍内閣も、政権発足後は、世耕大臣はそんなことをおっしゃいませんけれども、私、当時経産委員会でしたけれども、就任されたばかりの茂木経産大臣は、もう二言目には、株式を見てください、上がったじゃないですか、上がったじゃないですか、そればかりをおっしゃっておりました。しかし、もはや、株式は上がった上がったということだけをこれ見よがしに言う時代はもう過ぎた、こう思うわけです。ですから、やはり実体を強化するということを見てもらいたい、こう思うわけであります。

 この議論はまた別途させてもらいたいと思うんですが、こういう問題意識の中に立って、やはり、地域の力を引き上げるために今回の法改正が提案されたと私は受けとめておりますし、大臣もそういう御認識なんだろう、こう思うわけです。

 さて、その上でですが、現行の法律がどのような成果だったのかという、まずこの採点をしなければいけません。現行法が果たしてどういう成果だったのかということであります。

 政府参考人にお伺いいたします。

 現在、各地域で現行法にのっとって基本計画が定められ、そして目標を設定したわけでありますけれども、各地域において基本計画が設定されて、そして終わった部分もあるわけでありますけれども、それぞれにおいて、その立地地域において、工業生産の付加価値の増加率、さらには製造品の出荷額の増加がどのようにふえてきたのか。この現行法の枠組みを活用した結果、どのように変化したのか。簡単にお答えいただけますでしょうか。

鍜治政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の企業立地促進法は、平成二十八年度末時点で百九十一の基本計画の同意をなされておりまして、これらを、基本計画のベースで、平成二十七年度末時点で五千七百件を超える事業者の計画が都道府県に基づいて承認されているところでございます。

 この実績でございますが、二十七年度末までに百七十二の計画が第一段階を終了したわけでございますが、この段階でこの百七十二計画の実績を見ますと、五十一件の新規企業立地、あるいは約一千人の新規雇用創出をもたらしたというプラスの効果が出ております一方で、委員御質問の付加価値増加率につきましては、目標は一六%増を望んでいたわけでございますが、実績はマイナス二・七%、それから、製造品出荷額の増加額は、目標が千七百二十億円に対しまして、実績はマイナスの九百八十八億円でございます。

近藤(洋)委員 今審議官がお答えいただいたように、企業立地件数はふえたし、雇用についても一定の効果はあったものの、肝心かなめ、ある意味でもう一つの重要な、どれだけこの計画によって価値を創造したかということについて言うと、マイナスであった。やや横ばいであった。また、製造品の出荷額についてもマイナスであった。こういうことであります。ですから、これは残念ながら合格点とは言えないわけであります。

 このことを冷静に見た上で、もちろん、この計画自体がだめだったという、それで全てがだめだと言うつもりはございません。外的な要因もあったでしょう。しかしながら、これは一つの事実なわけです。

 こうしたことを踏まえて、もちろん、対象業種を広めるだとかさまざまな今回見直しをされたわけでありますが、大臣にちょっと時間の関係上お伺いしたいとこう思うんですけれども、もう一つ、次の三ページ目と四ページ目をごらんいただきたいんですが、各都道府県の計画の策定状況であります。全国の地図が出ております。この全国の地図をごらんいただきますと、随分都道府県別のばらつきがあるなということがおわかりいただけるかと思います。

 例えば北海道、吉川自民党筆頭の御地元の北海道は十八程度の計画があって、大変積極的に計画をつくられている。こういうことでありますが、また、この後質問をされる民主党の篠原議員の選出されている長野県も積極的に十二の計画。残念ながら私の地元の山形県は二にとどまっている。こういうことであります。西日本に目を転じますと、次のページですが、兵庫県、これは非常に多くて、二十三の計画をつくっておる。一方で大阪は四つにとどまっておる。こういうことでありまして、岡山県なども一つだけ。要するに、かなり都道府県において地域の格差が大きい、こう思うわけであります。

 大臣、この地域の差は一体どこに起因するとお考えなのか。もちろん、知事なり自治体の問題意識というのもあろうかとは思うんですけれども、なぜこのような地域差が出てきているのか。政府の説明ぶりの不足というのもあるのかもしれませんし、もちろん、我々国会議員もきちんと伝える必要もある、こう思うわけでありますが、大臣としてはこの地域差をどのように受けとめて、認識されていますか。

世耕国務大臣 まず、周知不足ではないかという御指摘でありますけれども、基本的に、周知の努力はそれなりにやってきているわけであります。

 制度ができたときに、企業立地促進法に関するフォーラムというのを全国各地十二カ所で開催をさせてもらいました。また、法が施行された後も、全国十地域ブロックごとに、企業からの相談等に対応する企業立地支援センターを設置をするとともに、自治体職員ですとか地方局の職員向けの研修を毎年実施をすることなどによって、この企業立地促進法の普及、活用というのをやってきました。

 だから、これで周知が十分だったかというと、そこは、結果がこれだけばらつきがあるわけですから、もう少しやり方があったのかもしれませんが、一応一通りの周知はきちっとやらせていただいている。だけれども、今御指摘のような、都道府県によって基本計画の策定に地域差があるわけで、私の和歌山も二つしかないわけです。

 これは、今御指摘のように、自治体の考え方も少し、和歌山なんかは私もいつも口を酸っぱくして言うんですが、いろいろな補助金に対して手を挙げる数が少ないですね、ちょっとなかなかそういったところへすぐ飛びついていくという習慣がないのかもしれませんが。あるいは、自治体の長によっては、いや、もうこういうのは使わない、自分のところで別のやり方をやるというところもあるのかもしれませんし、あと、別の要因としては、この指定集積業種というのが二十六業種になっておりまして、それが必ずしも地域の強みを生かした形になかなかならなかった、そういう指定になっていなかったのではないかとか、あるいは、PDCAサイクルを回す仕組みが弱くて、やってみて、その成果に対する問題意識に差が生じたのではないかとか、そういったことが考えられるのではないかというふうに思います。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。

 大臣がおっしゃったとおり、首長さんの考え方、また、それぞれ県庁や市役所の伝統的な行政の進め方にも起因するもので、私の山形県も和歌山と似ている風土があるので、何となくわかるのであります。

 ですからなおのこと、今回、装いも新たにこの地域経済牽引事業というものをつくられるということでありますから、これは観光業も含めて、また、いわゆる六次産業も含めて、また、サービス業も含めて、幅広く地域経済牽引事業という形で、もちろんものづくりも重要であります。ただ、どうやって雇用を生みイノベーションを生むかという観点から問題意識を持ってこの計画をつくってもらいたい、こう思うわけであります。

 そうなってくると、先ほど大臣のお話にもありましたが、自治体の役割も重要であると同時に、PDCAサイクルを回すということも重要になってくると、事業者も重要、そして自治体も重要でありますが、やはり、フォローアップする経済産業省、特に地方分局の役割が極めて重要になってくるだろうな、こう思うんです。PRもそうですが、同時にフォローアップの体制もやはり重要だろう、こう思うわけであります。

 そこで政府参考人にお伺いしたいんですが、現在、各地の地方経済産業局の人員、特に、この法案に対応する人員は合計でどの程度いるのかということが一点と、あわせて、本省及び地方経産局から各自治体に出向している職員というのは現在何名いるのか、お答えいただけますでしょうか。

鍜治政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、各経産局におきまして、企業立地関係、また、この法案、成立をさせていただければ、この法案の施行に直接関係する取りまとめ部局、全経産局合計で四十八名、担当することになります。

 それから、現在、本省及び各経産局から地方自治体に出向している人数、都道府県、市町村、合計いたしまして七十二名でございます。

近藤(洋)委員 大臣、私は人員は非常に大事だと思うんです。特にここで大臣に御検討いただきたいのは、定数の話もありますからあれなんですが、きょうは官房長も陪席されておりますけれども、官房長には聞きませんが、大臣のリーダーシップでお願いしたいと思うんですけれども、特に、本省と経産局から地方自治体に出向している出向者をぜひこれはふやされたらいいと思うんです。本省の人員はなかなか限りはあるとは思うんですけれども、地方の経産局から、市なり、県でもいいです、町でもいいです、ぜひ出向者をふやしてもらいたい。これは非常に大事だと思うんです。

 私は最近ちょっと心配しているのは、経済産業省、各ところにいろいろ人を出しているということなんですけれども、気になるのは、首相官邸とか内閣府に出す必要は余りないと思うんですよ。むしろ現場。やはり経産省に入ったら、原局原課が第一なんです。次はやはり地方の現場だと思うんですよ。いや、むしろその方が大事だ。むしろ、そこできっちり仕事をする。そこで仕事をした人間がまた本省に行き、またそして地方に行く。こういう人事サイクルをしないといけない。

 何か、永田町なりその周辺でやることがいいなどという風潮はゆめゆめ起きてはいけない、このように思うのですが、大臣いかがでしょうか。

世耕国務大臣 やはり、地方へ出るということは非常に有意義だと思います。また、地方だけではなくて、民間企業とか海外とか、いろいろな経験を積ませていくということが職員の育成上非常に重要だと思っています。その中でも特に自治体の現場というのは、行政マンとして非常に幅を広げる大きなチャンスだというふうに思っています。

 今、福島にも、復興関係で各市町村、多数派遣をしております。私も福島へ視察に行ったときに、そこへ派遣されている若い職員と対話などするときもあるんですけれども、非常にいい成長の機会をもらっているというふうに思っておりまして、いろいろ定員管理の問題とか、本省も非常に忙しいですからなかなか大変でありまして、経産省というのは結構使い勝手のいい人材なので、官邸も含めていろいろなところへ呼ばれるという面もありますけれども、もう既に、二十六年四月時点では四十二名だったのが二十九年四月時点では五十名にふやしておりますし、今後も何とかやりくりをしながら、地方の経験を踏むチャンスというのはふやしていきたいというふうに思っております。

近藤(洋)委員 ぜひお願いします。これは、せっかくの人材をやはりさらに活用する、かつ、この法案のPDCAサイクルを回すという観点からも重要ですし、このことはやはり政治のリーダーシップでしかできませんので、ぜひ御検討をお願いしたい、こう思います。

 最後に、時間ですので、一点お伺いしたいと思います。農地転用への配慮の点であります。

 この法案、大変いろいろなことが書かれているんですが、同僚議員も今後質問されますので、私はポイントだけ一点申し上げたいと思うんですが、やはり、この本法案の土地利用調整によって農地転用の手続の迅速化というのがうたわれているわけでありますけれども、無計画な乱用を懸念する声がやはりあるわけであります。

 やはり、優良農地の確保というのは極めて重要なことでありまして、私も、農業地域ですから非常にわかるわけであります。優良農地がずっと減り続けている、こういう課題はあるわけであります。

 無論、一義的に首長さんたちの判断があるわけでありますが、やはり国、国家としてもきちんと優良農地は確保するというのは、これは大原則なわけでありますが、こうした懸念に対して、法案を所管する大臣としてどのように対応するのか、お答えいただけますか。

世耕国務大臣 この法案におきましては、農水省とも連携をして、国が策定する基本方針等によって農業上の土地利用の調整のための仕組みを導入することとしておりますので、優良農地の確保が図れるようになっているというふうに考えております。

 具体的には、まず、国が定める基本方針の中で、農業の効率的な利用に支障が生じないこととするなどを明確化する予定であります。

 さらに、この国の基本方針に都道府県及び市町村が作成する基本計画が適合することを確認すべく、基本計画は主務大臣の同意を得ることが必要であります。同様に、国の基本方針等に市町村が作成する土地利用調整計画が適合することを確認すべく、都道府県知事への同意を得ることも必要であります。

 さらに、これらの基本計画及び土地利用調整計画は、法律上、「農業振興地域整備計画との調和が保たれたものでなければならない。」ということが明記をされております。

 こうした法律上の枠組みによって、地域経済牽引事業の実施に際して、優良農地が確保されていくものだと考えております。

近藤(洋)委員 時間ですので質問はやめますが、大臣、今きちんと答弁をいただきましたけれども、やはり、法律としてはかなり雑駁な、あえて言います、ざくっとした書き方しかされていないんです。全て省令等に移されている懸念があるわけであります。やはり、本来ならば、ここはきっちり法律に書き込むべきではなかったのかなという思いがあるわけなんです。

 そこはございますけれども、我々としては、優良農地が十分に確保できないと認める場合は必要な措置を講ずるべきだといった、常に見直しをするということを盛り込んだ修正案をやはり考えるべきだという思いがございますので、政府としては、これは議会の話でありますけれども、ぜひ受けとめていただきたいということを申し上げて、時間ですので質問を終わります。

浮島委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民進党の中根康浩でございます。

 きょうは、企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律の一部を改正する法律案の審議ということで五十五分間いただきまして、久しぶりに、経産委員会においては私自身最長の、長丁場ということで、厚労委員会では九十分やったことがあるんですけれども、時間配分がうまくいくかどうか不安でありますけれども、通告に従って進めてまいりたいと思います。

 まず、通告をしていないんですが、これは質問ではありませんけれども、商工中金の不正融資問題なんですが、けさだったかな、どこかの新聞で見たんですが、中小企業庁の長官に対して商工中金の安達社長が何か提出をしておられる写真を見たんです。これは以前の上司と部下の関係で、今は経産省と商工中金の社長という関係ではありますけれども、そういう何かやはり不自然さというか違和感というか、そういったものを感じたわけなんです。そういうところを見ると、やはり天下りということの不自然さ、問題、そういったところも見てとれるような感じがいたしました。

 形としてはそういうことなんですけれども、そこにやはり、形だけで、本当の意味で、申しわけなかった、再発防止に全力で尽くしますというところがそこに込められているのかどうかということが疑われてしまうような、何かそういう写真だったような気がするんですよ。

 危機管理対応ということで完全民営化を先送りしたわけなんですけれども、まさにそこの分野で不正融資が行われたということになると、今の天下りのことも含めて、商工中金の民営化というものをやはり徹底的に加速をしていかなければならないのではないかというような感想も抱いたということを冒頭お伝えを申し上げておきたいと思いますが、コメントをいただけますか。どうですか。

世耕国務大臣 まず事実関係だけを申し上げますと、きのうは、商工中金の社長から中小企業庁長官に渡したのではなく、中小企業庁長官から業務改善命令を出させていただいた。

 たまたまというか、省の先輩後輩ではあったわけですが、商工中金は、あれはあくまでも、政府が株は持っていますけれども、商法上の株式会社でありまして、役員人事については、商工中金の中の人事委員会というのがありまして、そこが、社外取締役とそして中小企業の代表者と聞いていますが、その人たちが人事案を決めて、そしてそれを我々が、特に社長に関しては閣議で了解をして、その後、株主総会を経て、経済産業大臣が代表取締役と監査役について認可をするというたてつけになっておりますので、天下りという御指摘は当たらないのではないかというふうに思っております。

中根(康)委員 それでは法案の方に入ってまいりたいと思います。

 サービス産業ということが今回注目されるわけなんですが、サービス産業は、もう御案内のとおり、日本のGDPの七割、従業員数は八割を占める、日本経済の中で大きなウエートを占めているわけであります。経済産業省の資料や説明の中には、至るところに生産性を高めるという考え方が出てくるわけでありますが、サービス産業は、製造業と比較して、生産性の低い企業でも存続可能な構造になっているということも書かれていたりするわけであります。

 サービス産業において生産性を高めるとはどういうことかということでありますけれども、中小規模のサービス業を資本力のある大企業の傘下に集約すること、つまりはMアンドAなどを進めていくということを意味するのかというようなこと、こういうことであるとするならば、例えば、例えばというか、この後審議する予定の信用保険法の改正案の中にも中小企業に対する保証割合を縮小する内容が入っているということともあわせて考えるときに、中小サービス業の体質を促進し、大資本のもとに集約させることを通じて生産性の向上を図るということであるとするならば、今までいろいろ打ってきた地域の商店街対策とか中小企業対策というようなものとの整合性はいかになるのかというようなこと、そういったことを感じるわけであります。

 中小企業の生産性を高めるということはMアンドAを進めていくということになるのかということと、その場合に、地域の中小のサービス業、商店というものはこれからの生き残りはどうなるのかということをお聞かせいただければというふうに思います。

世耕国務大臣 中小企業の生産性を高めるためには、やはり、よく言われる新陳代謝というのが必要だと思います。もう成長の見込みがない、縮小をしていく事業をやっている方々が退出をして、それで退出しっ放しではなくて、別の新しい成長の見込める分野を見つけてまた参入をしていただく。そういう意味で、廃業率、開業率をともに上げていくという意味で重要だというふうには思っております。

 ただ、そのことはイコールMアンドAではないと思っています。あくまでも、中小企業として事業を変えながら存続をしてもらうということが重要だと思いますし、MアンドAがあるとしたら、それはもう後継者がいない、後継者がいない中で誰かに引き継いでもらわなきゃいけないというときに、MアンドAという手法も一つの選択肢としてあるのではないかというふうに思っております。

 今回の地域未来投資促進法案は、別にMアンドAを進めようというものではありません。逆に、中小企業あるいは地方の小規模事業者もきちっと地方で立っていけるように、地域の中核になる企業があって、その企業の取引先として中小・小規模事業者がきちっと経営ができていくようにしていく、そういう主眼でありますので、特段、何かMアンドAを物すごく進めるという趣旨ではないということは御理解いただきたいと思います。

中根(康)委員 もう一つの経産省の大方針とも思えるのが、これはもう政府挙げてということでありますけれども、第四次産業革命の推進ということであります。AI、ロボット、IoTを活用するということにおいて、製造業において労働力の余剰が生じる場合があるというふうに思います。

 この余剰労働力を、人口減少とも相まって、人手不足感の強いサービス業へと移動を促すという考え方がこの法案の中に含まれているのかどうかということについて質問したいと思います。

田中政府参考人 先生御指摘のとおり、第四次産業革命の進展によりまして、産業構造が大きく変わる可能性がございます。また、その産業構造の変化に伴いまして、就業構造も大きく変わる可能性がございます。

 例えば、AIやロボット等によって人手不足の解消につながる反面、製造ラインの工程における雇用などは減少していく可能性も高うございます。一方で、データを活用したサービスあるいは商品の企画、こういった面におきましては、新たな雇用、サービスを生み出していくという可能性も高うございます。

 委員御指摘のとおり、四次産業革命のもとで、雇用の受け皿としてサービス分野の重要性がこれまで以上に高まるものと考えてございます。

 四次産業革命を勝ち抜くためにも、こうした産業構造、就業構造の転換などの環境変化に対応いたしまして、そのための人材育成、あるいは、サービス分野を含む成長分野への労働力のシフトというものが重要であるというふうに考えてございます。

 こうした問題意識のもとで、経産省、厚労省、文科省、総務省合同で人材育成推進会議というものを昨年十一月に立ち上げまして、AI、ビッグデータの処理やデザインなどの分野において、これからの産業に必要な人材、そのニーズ、これに対応した職業訓練、教育機関での対応などにつきまして、産業界を交えて検討を行っているところでございます。

 御審議いただいている地域の未来投資促進法案でも、地域経済への波及効果が大きい事業として、サービス分野にも大きく期待を寄せているところでございます。

 こうした、地域経済を牽引する中核企業に対しまして、専門人材の活用による事業化戦略の立案、販売開拓等への支援、設備投資の減税、それから、地域経済活性化支援機構、中小基盤整備機構によるリスクマネーの供給、公共データのオープン化等の事業環境整備の促進などの施策パッケージにより集中的に支援をしていくということにしておりまして、今後も、サービス分野を含む、地域の雇用を安定的に支える重要な事業を支援してまいりたいと思っているところでございます。

中根(康)委員 今回の法案の成長分野を牽引する事業ということで考えると、経産省の範囲にとどまらずに、農水省、国交省、厚労省、あるいは、先ほど佐藤先生も御指摘をされた文科省、こういった多くの省庁にもまたがることがわかるわけであります。

 政府を挙げてサービス業を支援していくということにおいては、例えば、内閣府などに専門の組織をつくって政策に横串を刺すというようなことをしながら、政府全体でサービス業を支援していくという体制づくりが必要ではないかとも思うわけであります。

 先ほど近藤先生からも、地方の経産局の役割、あるいは、経産省の職員が自治体へ出向して各地域でリーダーシップを発揮すべきだ、こういう御指摘もあったわけでありますけれども、この地域未来投資促進法によって地域経済牽引事業を着実に推進をしていくためにどういう体制を整える考えがあるのか、あるいはないのか、こういうことについてお尋ねをしたいと思います。

鍜治政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、サービス業の分野、例えば観光業でございますとか、それからスポーツ産業、それから、文化財を活用したさまざまな地域おこし、それから、農林水産業も六次産業化ということで、まさに、狭い意味での経産省の所管以外の分野の事業が大変多うございます。

 そういった中で、今回も、法案を策定する過程から、今申し上げました関係省庁、文化庁さん、観光庁さん、スポーツ庁さん、あるいは金融庁さん、農水省さんとかなり事務的にも綿密に打ち合わせをして、それぞれの支援措置で有効活用できるものはないか、こういった打ち合わせをしてきたところでございますし、また、官邸にございます未来投資会議の中でも、関係省庁がまさにローカルアベノミクスを推進する中で、関係省庁一体となって取り組むという中で、この未来投資促進法案の御紹介、御提案もしているところでございます。

 この法案、成立し次第、関係省庁との間で綿密な連携体制を構築いたしまして、今申しました具体的な事業づくりの段階から、各省庁の知恵をかりながら前に進めていきたいと考えております。

中根(康)委員 特段新しく何か推進本部のようなものを設置をするということはしないけれども、各省庁の間で十分な連携を図っていくということで、そのような意味合いの答弁だったということでありますが、ぜひ、それならそれで、そういう方向性で全力で取り組んでいただきたいというふうに思います。

 中小企業対策やまちづくりについては、既にさまざまな支援事業、これも前段の質問者の中から出された質疑でありますけれども、さまざまな支援事業や支援税制などがあるわけであります。今回の法案以前に、既存の政策の効果測定が必要でありますし、また、必要に応じて、これまでの政策あるいは税制、こういったものを整理統合を行う必要もあるのではないかというふうに思います。

 例えば、先ほども出されていた企業の地方拠点強化税制、あるいは、この国会で審議をされた農村地域工業等導入促進法、こういった既存の支援事業や、あるいは税制と今回の牽引事業をうまく組み合わせて、支援の上乗せあるいは横出し、こういったものをすることが可能であるというふうにも答弁されていたと思いますけれども、改めてこの点について確認をしたいと思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 この地域未来投資法案でございますけれども、お認めいただけましたら、地域の強みを生かしまして、将来の成長が期待できます先端のものづくり分野、観光、農林水産、あるいはヘルスケア分野といった、さまざまな、地域の経済への波及効果の高い地域経済牽引事業の促進をするために、関連する施策と十分連携をとって、政策の効果を高められるように努めてまいりたいところです。

 そのため、本法案の第三十一条におきまして、関連する施策との連携についてということで規定をさせていただいているところでございます。

 特に地方創生との関係でございますが、地方創生推進交付金の重点活用ですとか、あるいは、中小企業関係でありますとサポイン補助金の活用など、関連施策を組み合わせて、有機的に施策の充実化を図ってまいりたいと思ってございます。

 その他の中小企業関連施策ですとか地方創生関連施策、観光、農林水産といった、関係府省庁による各種政策とも十分に連携を図りまして、また、御指摘のPDCAもしっかりと回しながら、効果的な施策の実施をしてまいりたいと考えております。

中根(康)委員 次に、デフレの原因は何かというようなことにもなるわけでありますけれども、景気の波というようなこともあるかもしれませんけれども、やはり何といっても、これも先ほどから指摘をされておりますように、人口減少が最大の要因であると私は考えておりまして、人口減少によって消費が縮小する、これがなかなか景気が盛り上がっていかない理由であると思います。幾ら企業立地を促進をしても、人口が減っては消費の絶対量はふえない。むしろ減ってしまうということになります。

 人口の増減が地域の未来の命運を決めるということであるならば、国の基本方針、あるいは県や市の基本計画、あるいはまた具体的な地域経済牽引事業、こういったものの中において、人口減少対策であるとか、あるいは定住の促進効果、こういうもののある意味数値的な目標を必須のものとすべきでないかとも考えるわけでありますけれども、この点いかがでございましょうか。

星野政府参考人 この法案でございますが、まさに委員御指摘のとおり、地域における人口減少対策なども含めまして、地方創生の施策としっかりと連携を図っていくということが必要でございます。

 他方、この地域未来投資促進法案でございますけれども、特に、地域における仕事創出の観点から、地域の特性を生かして高い付加価値を創出し、地域の経済的波及効果を及ぼすことによって地域の経済を牽引する事業を集中的に支援するというものでございまして、この事業自身に地域の人口減少対策あるいは定住促進というものを必須の要件として位置づけるということは予定はしてございませんけれども、この地域経済牽引事業というものを支援してまいるということで、地域の人口減少対策ですとか定住促進についても資することが期待されるということでございます。

中根(康)委員 人口減少対策を必須のものとすることは考えていないという話でありましたけれども、人口減少を食いとめる効果がなければ、どんな経済対策をやっても不十分なものに終わってしまいかねないような気がいたしておりまして、ぜひ、PDCAを回す、あるいはKPIを設定するという考え方の中に、この事業を行った結果、これだけの人口減少を食いとめることができた、あるいは人口をふやすことができた、定住を促進することができた、こういう目標を含めてほしいなと思いますけれども、どうしても入らないものなんですかね。何とかそういう考え方の事業にしていかなければいけないと思うんですが、大臣に通告してはいないんですが、大臣、この人口問題と地域活性化ということについて、改めてお考えをお聞かせいただけないでしょうか。

世耕国務大臣 今、安倍内閣で進めております地方創生は、まさにまち・ひと・しごとというキーワードで表現をしているわけでありますから、当然、人の集まりということは人口ですね、これをふやしていくということが究極の目的なんだろうというふうに考えております。

 まさにその中で、経産省のこの地域未来投資促進法案は、その中で仕事をつくっていく、仕事をつくっていくことによって最終的に人口もふやしていくということであります。

 我々は、今回は、経済的波及効果が高くて付加価値を生み出す事業というものを応援をしていくわけでありますから、それは結果として必ず人口につながっていくんだろうというふうに思いますが、政策の性格上、人口そのものをKPIにするというより、恐らく、PDCAを回していくときに人口の議論も出てくる事業もあるのかとは思いますけれども、一律に人口をKPIにするということは現時点では考えていなくて、あくまでも、波及効果、付加価値という点でしっかりと見ていきたいというふうに思っております。

中根(康)委員 本法案についての経産省の資料を見ますと、今までの政策では地域への経済的波及効果が十分認められない。非製造業の多くが主要な支援措置の対象外である。主要な支援措置というのは、例えば減収補填措置であるとか課税特例措置であるとか、こういったものでありますけれども、こういった主要な支援措置の多くは製造業であって、飲食、福祉、介護、保健、不動産、こういったものはほとんど対象外になっているという認識をお持ちだということであります。これは共感できるところであります。

 そして、地域の特性を最大化すること、サービス業等の非製造業を対象とした支援措置が必要であるとはっきりと書かれているわけでありまして、これも共鳴できるところであります。

 それで、私の地元を例にとって少し申し上げたいと思いますけれども、この委員会にも、大見先生であるとか八木先生であるとか、いわゆる愛知県の西三河地方の御出身の先生がいらっしゃって、自民党の先生方はどういうふうにお感じになるかわかりませんが、ある意味、私の主観で申し上げますと、私の地元は岡崎市というところなんですけれども、岡崎市を含む愛知県の西三河地方は、自動車産業が大黒柱になって、工業出荷額や所得水準は全国平均と比べても高い地域である。自治体の財政もおおむね豊かであって、ほとんどが交付税の不交付団体である。確かに、地域内に、住宅、職場、病院、学校、大型ショッピングセンターなど、均一に散在をしているというようなことになってはおります。

 しかし、いずれの都市も、例えば駅前の様子を見てみると、こういった財政力などが示すほどのにぎわいはないわけであります、残念ながら。むしろもうはっきり言えば、その駅前だけ見れば、申しわけないですが、これは主観ですけれども、岡崎にしても、安城にしても、豊田にしても、西尾にしても、余りぱっとしない。活力がないというふうに見えるような状況であると言ってもいいぐらいでありまして、魅力ある飲食店街や飲み屋街などもあるわけでもない。つまりは、地域にお金が回っていないのではないかというふうにも思えるわけでございます。

 せっかく自動車産業などで稼いでも、そういう状況だと使う場所がないということになって、稼いだお金は、貯蓄に回るか、あるいは、名古屋のような大都市または海外に流れてしまっているのではないかとも思える。いわゆる域際収支という言葉が正式なものかどうかわかりませんけれども、域際収支という考え方をとれば、赤字状態になっているのではないかというふうにも感じます。

 つまりは、工場が立地して所得が高まっても、それだけでは、地域社会は本当の意味での豊かさを実現することはできない、にぎわいを創出することはできないということ。地域活性化のためには、稼ぐ分野であるそういう製造業、工場、こういうものが必要であるのと同時に、消費をする分野、すなわちサービス業であるとか観光業であるとか、こういったものの両方が備わっていなければならないということを、私の住んでいる西三河地方を見ると、ある意味、これからの可能性ということも含めてそういうふうに感じるわけであります。

 地元に三河新報というローカル新聞があるわけなんですが、たまたまきのうの新聞の記事を見ますと、西尾の商工会議所が平成二十九年の一月から三月期の景況調査の結果をまとめたというものが記事になっておりまして、この中でサービス業というところに目を向けますと、次のように書いてあるんです。「小売業全体では「顧客の減少」、「消費者の購買意欲の減退」などの理由で、三割の企業は売り上げが減少。」

 それで、個別の分野で、衣服身の回り品小売業というところにおいては、「採算は売り上げ数量の減少などの理由から四割が悪化した。大型店、中型店の進出により競争が激化し、客数が減少、小規模事業者にとっては厳しい環境となっている」。飲食料品小売業の分野は、「採算は三割が売り上げ数量の減少などの理由から悪化」。日用雑貨小売業では、「採算は四割が売り上げ数量の減少などの理由から悪化」。飲食業においても、「仕入れ価格の上昇等の理由により六割の企業で採算が悪化」。

 こういう西尾の商工会議所の調査結果が示されているわけで、先ほど申し上げましたように、自動車産業で大変豊かな地域だというイメージとは裏腹に、サービス業は決してよくない。というよりも、むしろ、将来見通しにおいても悪化、減少というような傾向が示されているわけであります。

 もはや工場ができれば町が栄えるというのは幻想であって、やはり、製造業だけではなく、こういう地域こそ、ものづくりの強みのある地域こそ、これからは消費を喚起するサービス業や観光業が大切なものになってくるということを、こういう調査結果から見ても感じるところでございまして、では、郊外に大きなショッピングセンターが進出すればよいかということでいえば、大型量販店は安売り競争には強いわけでありますけれども、その一方で、地域の小売店を駆逐して、地域の特性を潰してしまうようなことになりかねないわけであります。

 大型ショッピングセンターが郊外にできるということは、消費者にとっては一定の利益があるとも思えますけれども、しかし、長い目で見ると、地域のデフレ状況を助長するということになって、地域でお金を回し、地域を豊かにするということには、必ずしも長期的に見るとつながらないような気がしているわけでございます。

 必要なのは、やはり、郊外の農地転用で大型ショッピングセンターを誘致するということよりも、中心市街地の再生を行い、ブランド力のある店舗の集積を図る、あるいは、特に西三河地方のように、車が生活の足になっている、あるいは生活の中心になっているというような地域においては、商店街と車との共生をどのように図っていくかというような観点からまちづくりを進めていく、あるいは中小企業対策を進めていくということが必要だし、大切なことのように思えるわけでありますけれども、この点、少し長くなりましたけれども、経産省としていかがお考えか、お聞かせをいただければと思います。

世耕国務大臣 自動車産業のお膝元である委員の御地元がそういう状況というのは、本当に深刻だと思いますね。だったら私の和歌山なんかどうしたらいいんだろうというぐらい、本来潤っていいはずの地域がなかなか潤っていない。

 これは、郊外の大型店舗だけではなくて、例えばネット通販とか、あるいは最近では、コンビニへ行った方がもう全部まとまっているから買いやすいなんてこともありますから、そういう意味でまたこの中心市街地の活性化については、もう一度政策をよく考え直していかなければいけない時期。中心市街地活性化というのは、私が初当選したときからずっとやっているんです。和歌山の商店街ももう本当にひどい状態になっていまして、いろいろな手を打ってきましたし、ハードからソフトへ切りかえたりとかいろいろやってきていますけれども、なかなかまだ結果が出ていないという現状。そして、岡崎のような、潤っている交付税不交付団体でもそういう状況になっているということを踏まえて、中心市街地活性化の政策というのもよく考えていかなければいけないというふうに思ってます。

 そういう中で今回の地域未来投資促進法は、中心市街地の中で地域経済を牽引する事業が出てくるのであれば、例えばそれは観光事業ですとかまちづくりとか、そういったことが入ってくると思いますが、そういう事業を支援することも考えておりますので、今回、この基本方針においても、中心市街地活性化法との連携、商店街活性化との連携も、この法律は、法律を運用するに当たっては明記をしていきたいというふうに思っております。

中根(康)委員 今るる申し上げましたように、この西三河地方というのはお金がないわけではないんです。しかし、地域にお金が回っていない。先ほども申し上げましたように、域際収支、例えば市町村ごとに収支を考えた場合に、ほとんどが実は、僕も調べたことはないんですけれども、赤字状態でないかとも思えるんです。

 持っているお金が名古屋や東京や、あるいはこのゴールデンウイークなんかで、それぞれの家計は豊かなのかもしれませんので、豪勢な海外旅行に使ったり、こういうことになってしまっていて、地元にお金が落ちない。したがって、地域の商店街であるとかサービス業が、先ほど御紹介申し上げましたように、西尾の商工会議所が調べたような結果になってしまっている。

 こういうことでありますので、ぜひこの地域経済牽引事業、今までのさまざまな政策と相まって、大いに力を発揮してもらいたいと期待を込めて今いろいろと申し上げているわけであります。

 これまでの製造業中心の産業政策では地域への波及効果がないという反省で、今申し上げておりますように、地域でお金を回す、域際収支を黒字にするという意味合いでは、観光、スポーツ、まちづくり、これが重要であるということは、今大臣からも御答弁をいただいたわけであります。

 特に観光というものは、地域の特性を地域の総合力で生かしていかなければうまくいかないものだと思います。これは当然、外部の有識者、ノウハウを持った人たちの力をかりるということもあります。しかし、一番大事なのは、地元を愛する人たちが地元主導で取り組む、地元のよさを一番よくわかっている人たちがリーダーシップを発揮してもらうということが大切だと思います。

 観光は総合力、そして、お客様に提供するものは、地域の特性を生かすということでいえば、当然、地産地消ということになるんだろうと思います。朝市であるとか、名物料理であるとか、お酒、ホテル、旅館、お祭り、文化、歴史、自然環境、伝統産業、さらには、地域の路地裏にある魅力、また、美術館だとか博物館だとか、あらゆるものを連携させて観光という観点でインバウンドを促進をしていく、こういうことであろうと思います。そして何よりも大切なのは、やはり、地元を愛する人たちによるおもてなしの気持ちだということであろうと思います。

 さらには、例えば、うちの地元には温泉というものは余りないんですけれども、温泉を核とした人間ドックのような仕組みで外国人観光客を受け入れるヘルスツーリズムであったり医療ツーリズムであったりということも、これはこれまでは特区というような形で行われてきたところもありますけれども、ぜひ、特区のみならず、今回の地域経済牽引事業の中に含めていただければというふうにも思います。

 こういう観光を牽引事業とする場合に、市町村の一部地域ということだけではなかなか総合力を全体として発揮できない、あるいは、一自治体だけでも不十分かもしれない。例えば、先ほどから申し上げておりますように、岡崎市だけではできないけれども、西三河全域で連携し合って事業を行っていけばその力を発揮することができるかもしれないというふうに思うわけでありますけれども、今回の法案の中においてこの地域経済牽引事業というものがどういう範囲で行われることを想定しているのか、御答弁をいただければと思います。

世耕国務大臣 まさに、今回の地域経済牽引事業というのは、基本的には、市町村の自治体、そして都道府県の単位ということを考えていますが、その自治体をまたがっても構わないというふうに考えています。

 特に観光に関しては、今御指摘のように、個別の本当にこの名所の周辺だけとか、個別の観光ホテルとか、そういうことではだめだというふうに思っておりまして、まず少なくとも自治体単位ぐらいの面的な取り組みが重要だというふうに思っていますし、場合によっては、自治体をまたいだ形というのも十分あり得るというふうに思っておりますので、国が定める基本方針において、個別の施設整備ではなく、面的な開発が重要であるということをしっかり示していきたいというふうに思いますし、こうした地域を対象として、設備投資減税や地方創生推進交付金の重点活用、リスクマネー供給促進、規制改革に関する措置などを行っていきたいというふうに思います。

 ただ、観光も、やはり観光業というのはまだ日本の中では、サービス産業の中では生産性が低いんですね。私の地元でも、例えば白浜町、これは南紀白浜温泉で有名であります。那智勝浦町という、これまた那智の滝があったり勝浦温泉があったりというので、これは近畿の名観光地なんですが、この二つの町は、実は県内の市町村別平均所得を見ると、下から一番目と二番目になるんですね。

 だから、観光業、観光で町を栄えさせるということも非常に重要ですけれども、それと同時に、やはり、観光業の、旅館も含めて生産性の向上とか、そういったことにもしっかりと取り組んでいかないといけないというふうに考えております。

中根(康)委員 経産省の法案資料で、成長が期待される分野として五つの分野が示されておりますけれども、先ほども佐藤先生がおっしゃったように、再エネ、新エネと佐藤先生は表現されておられましたけれども、これがないわけなんです。化石燃料を燃やせば、お金はアラブの石油王に行ってしまう。省エネ、再エネを進めれば、豊かさは国内に残る。GDPをふやすのに躍起になるよりも、石炭、石油、LNGの購入を減らせば、地域にお金が残り、地域にお金が回る。

 例えばバイオマス発電は、ごみとして廃棄するものを燃料として活用し発電ができるわけでありますので、省エネ、再エネこそ、地域でお金を回し、先ほどから、何か公式の言葉ではないかもしれませんが、域際収支、市町村ごとの収支というものを黒字化することができるというふうに考えます。

 農水省の農山漁村再エネ法というものもありますし、ぜひこの省エネ、再エネというものを、まさに地域経済を牽引するものとして、むしろこの法案の説明資料の一番初めに紹介されても、例示されてもいいようなものだというふうに思いますけれども、そうはしなかったという理由も含めて、新エネ、再エネの地域経済に対する力というものをどのようにお考えか、お聞かせをいただければと思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案で支援をいたします地域経済牽引事業というものは、地域の特性を生かして高い付加価値を創出し、経済的な波及効果が地域に及ぼされることによって地域経済を牽引するという事業でございまして、御指摘のとおり、成長分野の例はございますけれども、分野を限定するものではございません。

 したがいまして、これらを踏まえまして、御指摘のありました省エネルギーあるいは再生可能エネルギー分野というものにつきましても、非常に重要な分野でございますので、国の基本方針に基づきまして、自治体が基本計画で定めた基準を満たしましたら、地域経済牽引事業計画として承認されるというケースはあるものと想定されております。

 非常に重要な分野でございますので、しっかりと我々も支援をしてまいりたいと思っております。

中根(康)委員 重要な分野と御認識であるにもかかわらず法案資料の中に明記されていなかったというのは、これは何かの誤りであったということなのか、どういうことなのか。改めて、できれば例示しておいてほしかったというふうに思います。

 農地の転用だけではなくて、卸売市場、特に地方の卸売市場を地域の活性化の拠点とするということも重要なことだと私は考えております。

 地方卸売市場において、一般の消費者の利用を日常的に可能にすることであったり、あるいは、市場内に店舗を出店することを自由にしたり、市場祭りを必要に応じて開催をしたり、こういうことを含めて地方の卸売市場を六次産業の拠点とするということも、これは地域経済牽引事業の一つとして考えられるのではないかと思いますけれども、この卸売市場の有効活用ということについてどのようにお考えか、お聞かせをいただければと思います。

鍜治政府参考人 お答え申し上げます。

 この地域卸売市場でございますけれども、特に民営タイプのものでございますが、これは地域にたくさんございます。

 当然、卸売市場法上の許認可は別途とっていただく必要があるとは思いますが、その上で、その卸売市場を活用した地域農産品の販売促進、特に、首都圏でございますとかアジア・マーケットをにらんだ地域商社さんや、その地域商社さんが機能として持っておられます卸売マーケットの活用、こういう事例が、我々も幾つか具体例を承っているところでございまして、このような、まさに先生がおっしゃるところの、外からお金を稼いでくるような仕事をされておられる地域卸売市場は、この地域経済牽引事業の要件を満たした場合に、この事業の対象となり、また、それに基づいてしっかり応援することができると考えております。

中根(康)委員 次に、地域経済牽引事業として承認された場合の支援策に関してお伺いをしたいと思いますけれども、この支援策の中に農地の転用許可や市街化調整区域の開発等に係る配慮というものがあるわけでありますが、まずは農地以外の土地や遊休地を活用すべきではないかという意見もあるわけであります。無計画な乱開発を助長するのではないか、優良農地は本当に確保されるのか、農業振興地域整備計画との関係はどうかなどの点で危惧の声も上がっております。

 これは先ほど近藤先生からも質問があったところでありますけれども、改めて、これらの声にどのようにお答えになるか、お聞かせをいただければと思います。

鍜治政府参考人 本法案におきましては、農水省とも連携をいたしまして、国が策定する基本方針によりまして、農業上の土地利用の調整のための仕組みを導入することとします。それによりまして優良農地の確保を図ることを考えてございます。

 具体的なやり方でございますが、国が定める基本方針の中で、今委員御指摘の、遊休農地の利用でございますとか農業の効率的な利用に支障が生じないように、こういったことをまず明確化、明文化したいと考えてございます。

 そして、この基本方針に適合する形で都道府県、市町村が基本計画をつくり、さらに、その都道府県、市町村のつくった基本計画に整合的な形で、具体的な土地の利用調整についての計画を市町村がつくる。この二段階の計画策定があるわけですが、それぞれの段階ごとで、都道府県の基本計画は農水大臣を含みます主務大臣がしっかり同意をすることが条件でございます。そして、市町村がおつくりになる土地利用調整計画は都道府県知事が同意をする。こういうことで二重にしっかり、土地利用調整が農業計画などと整合的にできているということを確認する仕組みとなってございます。

 その上で、この市町村の作成する土地利用調整計画につきましては、当該調整を行う区域の中で土地の農業上の利用との調整を図ることとしておりますので、そういう意味で、御懸念の乱開発などは防げるのではないかと考えてございます。

 そういうことをさらに条文上も明確に担保する観点で、本法におきましては、基本計画及び土地利用調整計画が農業振興整備計画との調和が保たれたものでなければならないということを法文上も明記してございまして、そういうさまざまな規定の整備によりまして、委員御懸念の点が払拭されるように、運用にも努めてまいりたいと考えております。

中根(康)委員 いわゆる立法事実というものがあるはずなんですけれども、そういった考え方とも関係するわけでありますけれども、農地転用して成長分野の事業を行いたいという要望、つまりは、法改正しなければ実施できないような事例がどのような地域からどれぐらいあって本法案の立法に至ったのか、御答弁をいただければと思います。

鍜治政府参考人 本法案の検討に当たりましては、各経済産業局などを通じてさまざまな地域のニーズを、事業者さんあるいは自治体等に聞いたところでございます。

 そういった中で各経産局からのデータを集計しますと、二桁のオーダーで具体的なニーズというのも上がってきておるわけでございます。地域的には、北から南まで、北海道から九州まで、さまざまなニーズ案件というのが出ているわけでございますけれども、類型化して申し上げますと、例えば、事業の拡大をしたいということで、ある工場が事業用地を拡大したい、そういったときに、隣接地域が農地であって、なかなかその転用が難しいといったようなケースでございますとか、あるいは、インターチェンジの付近に、新しくビジネスを行う上で非常に最適なケースがあった場合に、これがやはり農業上の土地利用調整に非常に手間がかかる、こういったようなお声が寄せられているケースなどが複数ございます。

中根(康)委員 改めて、少し言い方を変えて確認をさせていただきたいと思いますけれども、仮に優良農地であっても、どうしてもその優良農地を活用しなければ地域経済牽引事業が実施できないという場合、土地所有者あるいは地権者がまとまって農地転用などを希望した場合はこの地域経済牽引事業として承認されるということになるのか。いかがでしょうか。

鍜治政府参考人 本法案でございますが、農業上の土地利用調整の仕組みというものを導入いたしまして、その中で全体としての優良農地の確保というものをしっかり図るということをまず前提にしておるわけでございます。

 その上で、基本方針や土地利用調整計画を活用する中で、農地としての全体的な効率的な利用に支障がないということをしっかり確認する仕組みを入れたわけでございます。

 その上で、事業を実施する場所が現段階において例えば一種農地であったというようなケースでございますと、それが先ほど申し上げました手続の結果、土地利用調整が行われる区域として認定をされ、都道府県知事からその農地の効率的な利用に支障がないという同意が示された場合には、本法に基づく配慮規定の対象となりますので、その結果として、一種農地からの転用ということが可能になることがケースとして出てまいります。

中根(康)委員 少し観点を変えて、あと残り五分でありますので質問させていただきますが、県や市など自治体がつくる基本計画は、地域の特性を生かしたものになるはずであります。できれば、地域のことを一番わかっている自治体みずからが自力で策定してもらいたいと考えますけれども、しかし、往々にして実際も、コンサルタント会社などに丸投げしてつくってもらうことも散見されるわけであります。その結果、全国どこでも同じような、ある意味、金太郎あめのようなことになってしまってはいけないわけでありますし、そうした場合にはコンサルタント会社だけがもうかってしまうということにもなるわけであります。

 金太郎あめのように類似した基本計画が提出された場合、国は一旦立ちどまって、簡単には同意しないくらいの姿勢で臨んでもらいたいと考えますけれども、この点、いかがお考えになるでしょうか。

世耕国務大臣 おっしゃるように、何かコンサルに丸投げのような基本計画は、これはもう絶対認められないというふうに思っています。かつては、先ほどもお話しのあった中心市街地活性化も、かなりよく似たプランが出てきたというようなケースもありました。

 そういうことにはならないように、まず基本計画の作成に当たっては、地元の商工会ですとか、あるいは、地域に立地する大学、企業、あるいは地方の銀行、地域の専門家、こういった方々で構成される促進協議会というのを立ち上げてもらって、そこで地域の知恵を出して基本計画が作成されていくべきだというふうに考えております。

 あと、意外と自分の地域の特徴を自分でわかっていないというケースも結構ありますので、そこはRESASを使って、その地域地域の経済状況がどうなっているのかというのをよく理解をしてもらうということも重要だというふうに思います。

 その上で、仮に金太郎あめのような、地域の特性を生かしていないような計画が出てきた、これは生かしていないと判断される場合については、そういった基本計画については同意しないという判断もあり得るというふうに思っております。

中根(康)委員 また地元の話に戻って恐縮なんですけれども、私の地元には文科省所管の大学共同利用機関法人自然科学研究機構というものがあって、分子科学研究所、基礎生物学研究所、生理学研究所などが最先端のバイオサイエンスを研究しています。

 ここは、昨年ノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典先生も長年在籍しておられたところでありますけれども、先ほど公明党の中野先生も御指摘をされたわけでありますけれども、このような地元の研究機関あるいは大学、こうしたところと連携して地域経済牽引事業を行うというようなことを、これは国の基本方針に盛り込まれていればいいんですけれども、改めて、いるかいないか、確認させてください。

星野政府参考人 この法案におきましては、地域経済牽引事業の促進のために地元の研究機関ですとか大学等との連携が図れるように、必要な規定を設けてございます。

 まず、法第二条第二項に規定されております地域経済牽引支援機関が、法第二十七条の規定に基づきまして、共同で連携により支援する事業を連携支援計画として国が承認をいたしまして、その取り組みを促すこととしてございます。

 例えば、技術に関する研究開発及びその成果の移転の促進といたしまして、公設試験研究機関における産業化につながるような効率的な研究開発の支援、あるいは、TLOによる大学等の研究成果を企業等へ技術移転をするための支援、あるいは研究成果の普及などが図られることを期待してございます。

 また、地域経済牽引事業促進協議会というものを自治体が、都道府県及び市町村が組織をいたしましたときには、そこの構成員として大学あるいは研究機関も入ることが可能でございまして、その中で、計画内容にいたしまして協議を行うということでも連携をさせていただくということになります。

 加えまして、法三十三条に基づきまして、大学等との連携協力の円滑化の規定が置かれてございます。国は、地域経済牽引事業の促進のために、研究開発や人材育成に関する連携、協力、事業者と大学との連携、円滑化に向けて努めるものとしているものでございます。

中根(康)委員 せっかく長い時間いただいたのに、やはり時間配分がうまくいかなくて少し質問を残してしまいましたけれども、スポーツを核とした地域活性化という質問についてはまた別途機会をいただいて御質問をさせていただくということにして、きょうはこれで終わらせていただきます。

 きょうはありがとうございました。

浮島委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

浮島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。篠原孝君。

篠原(孝)委員 篠原でございます。

 きょうは少々手の込んだ資料をつくってまいりましたので、これをもとに質問させていただきたいと思います。

 最近はいろいろ政策が多いんですけれども、日本は、ものをつくり過ぎたり、いじくり過ぎた。余っているものがいっぱいある、空になったのが多いということで、まず、空き家の問題が相当問題になりました。それで、議員立法でちゃんとした法律ができました。

 それから、空き農地とは言っていませんけれども、遊休農地、休耕地、空きです。心の中が空洞化しているとか、それから頭の中が空とかいう、それは我が委員会のじゃありません。我が委員会に関係するあいているというのもあるんですけれども、ほかの省庁の所管でもって、あいているところについていろいろ手を打っているんです。私は感心するんです。

 まず、それをちょっと、どういう状況かというのを教えていただきたいと思います。

 国交省は、議員立法があるんですけれども、その前から空き家についていろいろ調査もしていますし、この家を何とかしなくちゃいけない、私が知る限りでは八百二十万戸もある。新しい集合住宅もすかすかになっているというと、これを何とかしなくちゃということで、外壁断熱工法ですか、というのでやって、また新しく人に住んでもらうとか、いろいろ工夫をしていると思うんです。僕はリフォームの時代だと思っているんですけれども、これについてどのように今現在しておられますでしょうか。

藤井大臣政務官 お答えいたします。

 平成二十五年時点におきまして、住宅ストック総数約六千六十三万戸に対しまして空き家の総数は約八百二十万戸となっておりまして、この十年間で一・二四倍に増加しております。

 我が国が本格的な人口減少、少子高齢化を迎える中で、空き家につきましては、今後もさらなる増加が見込まれており、利用できるものは利用し、除却すべきものは除却するとの考えのもと、空き家対策を進めることが必要であると認識しております。

 こうした中、平成二十七年五月に空家等対策の推進に関する特別措置法が全面施行され、市町村による空き家対策の枠組みが整ったところであり、国土交通省といたしましては、市町村による空き家の計画的な活用、解体を促進しているところです。

 加えまして、空き家の利活用を図り、その増加を抑制していくためにも、既存住宅流通の促進に向けた取り組みを進めております。今国会におきましては、民間の空き家、空き室を有効に活用し、住宅セーフティーネット機能の強化を図る住宅セーフティーネット法、これがまさしく今国会、四月十九日に全会一致で可決、成立していただいておるところでございます。

 このような取り組みを含めまして、今後とも、空き家対策を積極的に取り組んでまいります。

篠原(孝)委員 今のお答えになったのは、三ページの空き家のところの、空き賃貸住宅のところに書いてあるんです。このように、僕はいいことだと思います。行け行けどんどんで新しいのばかりつくるんじゃなくて、いっぱいストックがある、それを有効活用していかなくちゃいけないというのは、正しい姿勢だと思います。

 それから、これは経済産業委員会の皆さんたちにも認識していただきたいということでお答えいただくんですが、最近、私は、竹村公太郎さんという国土交通省の河川局長をやった方の本を読ませていただきました。それで話も聞きました。直接話も聞きましたし、DVDをじっくり聞いたりもいたしました。

 この方は何を言っておられるかというと、再生可能エネルギーで、太陽光発電、風力発電、あるいはバイオマス発電、そっちにばかり関心が行っているけれども、忘れてならないのは水力発電だと。ダムをもうつくる必要はないと言っているんです、新しいのは。やはりよくない。だけれども、今つくってしまったダムというのは有効活用していくべきだと。これも完全に空じゃないんですけれども、私は全くそこは知らなかったんですけれども、治水というのは大事なので、いつも、大雨が降ったときにためられるように満タンにしていなくて、半分か三分の二にしているんだそうです。

 しかし、一九五四年に洞爺丸が転覆したりしたときがありました。台風がどうやって行くか、雨量がどのぐらいかわからなかったんですから。この間の気象予測の技術進歩というのは大変なものがあるんです。どの地域にどれぐらい雨が降って、台風がどういう方向で行くか。この間の、迷走して北へ行ってまた南へ行ってというようなちょっと狂った台風もありましたけれども、普通はわかる。

 そうすると、満杯にしていけば全然違うんだ。しかもすり鉢状になっている。だから、満杯にしたら容量が全然違うんだ、これを使うべきだと。ところが、治水の方を優先し過ぎて利用されていない。

 それから、新しくダムをつくのはやめるべきだ、やめて、もうつくる必要はないと断言されています。しかし、せっかくきちんとした岩盤のところに打ちつけて、これは気がつくわけですよ、地震でダムが決壊した話というのはないんです。それだけきちんとつくってある。だから、せっかく水が多くて大雨が降る、大雨というか、世界平均は九百ミリなんですが、日本は倍、千八百ミリ降る。それを有効活用すれば、位置のエネルギーでもって幾らでも発電できる。さっきすり鉢状と言いましたから、上の方をちょっとかさ上げすると、十メートルかさ上げするだけで容量は、倍どころじゃなくて、二倍、三倍になる。そして、補償交渉とかそんなのもほとんど必要ない。これを有効活用していったら、原発何基分も水力発電で代替できると言っているわけです。

 これについて国土交通省、どのように認識されて、これをどうやってやっていくか。私は経産省の皆さんにも聞いていただきたい。経産委員会の皆さんも聞いていただきたい。水力発電というのは大事で、幾らでもできるわけです。ベースロード電源というといつも原発ばかりになりますけれども、水力発電は水を流すか流さないかでいつも調整できますし、こんな便利なのはないんです。

 これを忘れていると思うんですけれども、この点について今後どう生かしていかれるおつもりでしょうか。

藤井大臣政務官 多目的ダムは、発電以外にも、治水、利水上、重要な役割を有しておりまして、流域や河川の特性等を踏まえまして、堤防整備や河道掘削等の河川改修と組み合わせながら、計画的に整備していく必要があると考えております。

 一方、国土交通省といたしましても、再生可能エネルギーである水力発電の導入につきまして、積極的に推進するべきと考えております。

 国土交通省及び水資源機構が管理する百二十三のダムでは、九十一のダムにおいて既に発電事業者が参画して水力発電を行っているほか、ダム管理者みずからが行う管理用発電を三十七のダムで実施しておりまして、重複を除きますと、全体の約九割に当たる百十二のダムで発電を実施しております。

 また、ダムの賢く、柔軟な運用として、降雨予測精度等の技術的制約はありますが、水力発電を含むさまざまな用途にダムの容量を活用できるよう、可能なところから洪水調節容量を活用したダムの弾力的運用を開始しているところでございます。

 さらに、国交省所管のダムにおきましては、昨年度完成した津軽ダム等のほか、現在、北海道の新桂沢ダムにおいて、かさ上げ等によって発電容量を拡大する事業を実施しているところです。

 このような水力発電のさらなる促進に当たりましては、発電事業者との連携が不可欠でございまして、国土交通省、経済産業省及び電気事業者の間でも、既に意見交換を開始させていただいておるところでございます。

 今後とも、関係者が連携して、再生可能エネルギーである水力発電の増強に取り組んでまいります。

篠原(孝)委員 どうもPRが足りないようですから、頑張ってやってください。

 それから次に、A4の方の表の一ページ目をちょっと見ていただきたいと思います。

 この経済産業委員会にかかっております未来投資促進法と一緒に、農村地域工業導入促進法、農工法と呼ばれていますけれども、これもあした農林水産委員会にかかることとなりまして、あちらでも一時間質問することになっています。

 それの表ですけれども、これをちょっと見ていただきたいんです。やってきて、これが「計画面積と立地済面積」というので、計画面積と立地済み面積の差が、下の注の二を見ていただきたい。四千七百九ヘクタールのうち、千四百三十三ヘクタールが工場用地として造成されたものを活用されていない。遊休工場用地、空工場用地です。あいている。

 私はあした厳しく質問するんですけれども、これだけ余っているんです。この農村工業を農村産業導入にする。もっと業種をいろいろなものに広げる。同僚議員の近藤さんも中根さんも質問されました。言われました。第三次産業化している。だからそっちの方にも有効活用する。農村に向いている産業だと。これはばかにしているみたいになって、これやるとちょっと怒られたりするんですけれども、レジャー産業も入れていくというような腹づもりがあるようです。しかしそんな時代かと。これは中根さんが明確に言われました。工場を持ってきて、そして雇用を拡大してという時代じゃなくなっているんじゃないか。

 僕は、あちこち農村地域、今は余り回りません、同僚議員の応援ばかりですけれども、農林水産省の現役の役人時代は、多分、私ほど現地に足を運んでいる役人はいなかったと思います。土日に、家庭を放棄してあちこちの農村の会合に行っていたんです。でっかい会合じゃなくて、小さな会合に行っては現場を見ながらというのをやってきたんですが、そうしたらおもしろい質問を受けた。そういうところへ、二十人、三十人と来る人たちは熱心なんです。

 篠原さん、景気どうなるんですか。景気の話を何でするのかと言ったら、景気よくなってもらっては困ると言うんです。何を言っているのと思ったら、詳しい数字は忘れましたけれども、十ヘクタールぐらいです、麦をつくっていると言うんです。そこはどういう用地かというと、工場用に一生懸命整地した土地なんだそうです。ところがあいている。市長は、もうみっともなくて、皆さんに批判されるので、頼むから、ただでいいから麦をつくってくれと言われて麦をつくっている。大規模麦作経営をやっている。景気よくなって工場が進出してきたら、すぐ返さなくちゃならない。だから、景気よくならない方がいい。そういうことを言っているわけです。

 だから、そこはもう調査によるんです。この遊休工場用地にカウントされているかどうかわかりませんけれども、僕はこういうところだらけだと思うんです。計画ももうつくられなくなった。だから農林水産省は、そんなに動いていないので、ではてこ入れして、今までの、工業、第二次産業から三次産業まで入れて、もっと何でもいいからここに進出してくれというようなのをやろうとしているんですけれども、それは僕は間違っていると思うんです。

 あいているところを、こんなに千四百三十三ヘクタールも広い土地で、真っ平らなはずで、交通の便もいい、インフラもできているんだから、逆転の発想ですよ、ここを農地に返して農業をやってもらう、そういうふうに考えたっていいような気がするんです。

 これはあしたの質問につながる質問ですけれども、ここで事前準備をしていただきたいと思います。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 篠原先生におかれましては、農林水産委員会で大所高所の観点から非常に卓見をいつも賜っていることに、改めて心から御礼を申します。

 今先生から御指摘ございました、今国会で私ども御審議をお願いしているいわゆる農工法の改正法案でございますが、これは今先生が御指摘になったとおり、工業等五業種に限定されている対象業種を拡大することにより、地域資源を活用した地域内発型産業や立地ニーズの高いサービス業を取り込んで、農村の就業の場の確保と所得の向上を図るということを目的としております。

 なお、先生の御懸念の点でございますが、この対象業種の拡大にあわせて、優良農地を確保する観点から、当然のことながら、農用地との土地利用調整をしっかりと行いつつ、就業機会の確保が図られるようにするということが重要であると考えておりまして、具体的な方策といたしましては、国が策定する基本方針におきまして、産業の立地に当たっては、造成済みの遊休地の活用を優先する旨を書き込むことにしております。

 なお、先生がグラフでお示しになりました実施計画面積と立地済み面積の差、四千七百九ヘクタールでございますが、このうち千四百三十三ヘクタールについては既に造成済みでございまして、実態的には農地に戻すということは困難と考えておりますが、それ以外の三千二百七十六ヘクタールについては、未造成の土地であり、これまでにも、実施計画を縮小し、農地として利用している例もあるというふうに聞いております。

 いずれにいたしましても、農工法の改正法案のもと、国が策定する基本方針に基づく適切な土地利用調整を通じて、優良農地を確保しつつ、地域の就業場の確保と所得の向上を図ってまいりたいと考えております。

 ぜひこの点を御理解いただいて、あすの審議においてはお手やわらかに審議していただきますよう、ぜひよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

篠原(孝)委員 心がけがいいですね。残っている三千に手をつけていないから農地としてまた使っていくと言う。ぜひそうしてください。

 中海の干拓だとかはやめたりしているんです。撤退のことも考えなくちゃいけない、経済状況は変わっているわけですから。ですから、そこをちゃんとするようにしていただきたいと思います。

 では、メーンテーマに移らせていただきたいと思います。

 この資料をちょっと開いていただきたい。A3の資料、よく見えなくなりつつある人もおられると思いまして、私もそうなんですけれども、でっかいようにいたしました。

 表も裏もないんですけれども、「一極集中・都市と地方の格差の推移」というこの表、十年ごとに表をつくってみました。これは、経産省でいえば大臣官房の企画官が大所高所からつくるべきものだと思いますけれども、そういう資料がなかったので、私が企画官になったつもりでつくりました。

 よく見ていただきたいんですが、いろいろ努力してきているんです。農林水産省も農村工業の導入でやってきて、彼らは自分のところだけはちゃんとわかっていて、九千社がそれで行ったそうです、農村工業の導入。地元のが入ったのもあるんでしょうけれども、落下傘だけじゃなくて。そこに集中した。六十二万人の雇用を創設したというんですから。

 経産省は、この後ろにあるんですが、きらびやかないろいろな法律をつくってやってまいりましたけれども、もちろん経産省の政策だけに頼るというわけじゃないですけれども、その結果、日本国全体が、地方と東京都市部の格差を是正するとやってきたんですけれども、その効果は一体あったのかどうか。

 人口と県民の所得でちょっと見てみました。上の人口のところを見ていただきたいんですが、五十五年前と比べる、一九六〇年と二〇一五年を比べました。全体では一・三倍になっています。しかし、三大都市圏が一・八倍になり、東京圏は特に二・〇倍になり、集中が進んじゃっているんです。残念ですが、いろいろやったけれども無理なんですよ。下の、東京都も一・四倍。和歌山県はちょうど同じぐらい、百万人が九十六万人。長野県は百九十八万が二百十万にちょっとふえていますけれども、二百二十万か三十万あったのがだんだん今は減っているということ。一五年、一六年でやると、二千五、六百人ずつ転出している。とうとう参議院も二人区から一人区になってしまいました。

 このままいくと、和歌山県は合区とか問題になるんじゃないか。あれはやっちゃいけないと思いますけれども、大臣も抵抗していただきたいと思います。

 一人当たりの県民所得で見ますと、こっちは多少改善しているかなと。上位三県と下位三県を書きました。東京が上で一番なのは当然だろうと思う。愛知県などは常に上位にあります。下位三県は、沖縄が戻ってきまして、沖縄が戻ってからはずっと一番下ですけれども、山陰とか南九州が東京の半分、格差が二・一。かつて一九六〇年は最下位と最上位が二・八倍だったのが、二・一倍になっている。ここは改善されました。

 和歌山と長野がどういう位置づけか。順番でやりますと、和歌山県は律儀でして、六〇年も二十四位、今も二十四位で変わらない。長野県は、二十一位だったのが三十位に下がってしまっている。

 それで、県民所得の格差では多少はまともになりましたけれども、やはり問題だと思うんです。ですから地方創生が必要ですし、地方を活性化するようなことを考えなくちゃいけないというようなものなんですけれども、この数字をごらんいただいて、大臣は、先ほど近藤議員が重要閣僚と、本当にそうです、経済産業、日本の経済を支えておられるわけですから、ここがきちんと考えていただかないとだめだと思うんです。金目は農産物なんてうんと安いですから。やはり第二次産業なんですよ。

 ですから、アメリカのトランプ大統領も、雇用を確保、そして製造業の活性化というのを物すごく言っているんです。これはどうして言っているかというと、余計な話かもしれませんよ、やはり贖罪心がちょっとあるんだろうと思うんです。自分が不動産業とかで横から横へ流してちょっとやって、何かもう実体のない、虚業で大分富を納めて成り上がってきた。しかし、これではやはりだめだ、製造業にちゃんとしてもらわなくちゃいけないということで製造業にこだわっておられるんだろうと思います。

 そして、お気づきかと思いますけれども、大臣、これはよく頭の中に入れておいてくださいね。農業については一言も発言していないんです、一言も。それは呼び出さないようにしていただきたいんです。彼は、トレード・ディフィシット、貿易赤字の問題ばかり言っていたんです。大幅な黒字を抱えているのが農産物なんです。だから、黒字のところが赤字国にあれこれ言えないというのがあるし、農民が一番汗水垂らして朝から晩まで働いてちゃんとやっている国民であるというのを、それはアメリカの農民だけじゃなくて日本の農民も同じだ、そこを傷つけるようなことはしない、そういう意識があるんじゃないかと私は思っているんです。だからもう一切触れないです。それで、製造業で自動車のことばかりやっているんですけれども。

 横道にそれましたけれども、この数字をごらんになってどのように思われるでしょうか。

世耕国務大臣 トランプ大統領の見立て、結構おもしろいので、またゆっくり聞かせていただきたいと思いますけれども。

 やはり都道府県一人当たりの県民所得を見ると、地域間でばらつきがある。和歌山と長野が逆転をしたりとか、いろいろあるんだろうというふうに思いますが、一方で、地域によっては、これは和歌山もそうなんですけれども、東京を上回る伸びを示しているというところがあるわけです。

 八五年から二〇一三年で比較しても、東京都の伸びというのは一四一%、それに対して和歌山が一五四%、一方で長野は一二七%ということになっていまして、ちょっと濃淡が出ているのかな。鹿児島県なんかは一四八%、非常に高い伸びを示しています。

 この辺は、やはり、一定の我々のてこ入れの政策も少しは役に立っているところがあるんだろうというふうに思っておりますけれども、やはりもう一度ここでしっかりと進めたいということで、今回、企業立地促進法を改めて地域未来投資促進法という形で、もう一段、地方経済を、特に地域の中核になる、地域に根差した企業を中核としながら、それぞれの地域の特性を生かして、そして波及効果、付加価値といったものを見ながらやっていくということが重要ではないかというふうに思っております。

篠原(孝)委員 それは濃淡あって、よくはなっているところはあると思いますけれども、道は遠いんじゃないかと思います。

 官房副長官のときに一生懸命力を注がれたと思いますけれども、まち・ひと・しごと創生総合戦略、ここで、人口問題で東京あるいは首都圏への流入を抑える、二〇二〇年までにイーブンにするというのをうたっていました、その一環として地方に産業を興すというのを。だから、その戦略に乗っかってやっておられるんだろうと思いますが、二〇年までに若者の雇用を三十万拡大して、トランプだけじゃないですよ、日本もそう言っているわけです。日本ファーストとは言っていませんけれども、私は、日本でいったら地方ファーストにしていただきたいと思います。

 だから、政治はそういったところに光を当てなくちゃいけない。トランプは、忘れられた人たちに光を当てるんだと言っているんです。それを実行しようとしている。いろいろな障害に突き当たっていますけれども、彼はなかなか大したものだと思う。僕がトランプを褒めると、TPPをとめてくれたからだとすぐゆがんだ見方をする人がいるんですけれども、そうじゃないです。だから、けなげなんです、やっておられることは。だから、ラストベルトと中西部の農村地帯、地方は圧倒的に今まで民主党の金城湯池だったのにもかかわらず、共和党のトランプ候補に投票したわけです。だけれども、今、これでは余りうまくいかないんじゃないか。

 次の裏のページ、これはずっと字ばかりで読みにくいと思いますけれども、一番最初僕が記憶しているのでは、これは経済産業省が主管の法律じゃないですけれども、新産都市というのがありました。三全総とか四全総、三全総ですね。その後は、工業再配置、テクノポリス、頭脳立地。工業再配置というのは普通の名前ですが、テクノポリス、この辺からちょっと、これは同僚議員の福島さんがうまいことを言ったのですけれども、きらきらネームにしたんです。テクノポリス、頭脳立地、地域産業集積活性化法、企業立地促進法、そしてまた地域未来投資促進法というのも、これもまるできらきらに近くなってきているんじゃないかと思います。だから、だんだん言葉が躍り始めている。

 さて、一生懸命手をかえ品をかえやってきた。もう地域指定というのはこうだと。地域指定でみんな工業団地をつくっているかというと、そうでもなくて、市町村や県が、いらっしゃい、いらっしゃいで、税金をただにする、五年間くらい、いいところ固定資産税、そんな優遇措置を講じてやったはずなんです。それで、政策としてはこういう政策でと。

 それで、和歌山県と長野県がどれだけ恩恵に浴しているかどうかというのを調べられたかどうかは知りませんが、見ましたら、工業再配置は誘導地域というような、これはどうってことなくて、首都圏、三大都市圏以外はみんな誘導地域になっているので、どうってことないんです。

 それから頭脳立地、それから、これはもう触れられていましたよね、企業立地促進が二計画。県の意欲の差だと思いますが、長野県は松本諏訪地区というのが新産。これは皆さん覚えておられないと思いますけれども、全部海岸端なのに、内陸でたった一つ地域指定されたといって大喜びしたのを、僕は高校生だったけれども覚えております。しかし、その後どうなったかよく知りません。

 それから、テクノポリスで浅間地域。僕は、長野県が一体どうだったかとこの結果を調べてみました。そうしたらすごいんですよ。浅間テクノポリス開発機構、長野県テクノ財団、長野県スーパーテクノマップ、テクノコーディネーター、浅間ハイテクスクール、学のシーズ、産のシーズ、種ですね、さかきテクノセンター、テクノハイランド。片仮名が躍っている。その結果どうなったかというのを、それがはっきりしないんです。

 地域産業集積活性化法では、諏訪地域というものになっている。

 これで一体現実にはどうかというのを、長野県と和歌山県の東京事務所に聞きました。どうでしたかと言ったら、和歌山県は誘導した企業が百五十三社、長野県庁よりも和歌山県庁の方がちゃんと数字や何か把握していました。撤退した企業もちゃんと把握していました。

 それから、我が県長野県は、どれだけ来て誘導したか、もう数字に残っていない。最近撤退した企業が結構あるんです。重立ったものだけで、二〇〇二年に二千人の工場が突然撤退したんです。大問題になっているんですよ。

 こんなのが多くて、一体どれだけ地域に貢献したか。先ほどの数字、経産省に聞きましたけれども、なかなかないんですよ。さっきの農林水産省は、九千社、六十二万人の雇用と。

 いろいろやってきていて、法律の内容も変わっているので、これらの法律で全部でどれだけ地方に誘導できて、どれだけ雇用が拡大したかというのは、多分はこの法律だけに基づいているんじゃないので、できないのはわかるんですけれども、どうもきちんとしていないんですよ。やはり、データがなかったら次の政策はできなくて、次々に旗だけを振ってやっていくというのは私はよくないなという気がするんです。

 経産省は、法律をつくって次から次にやっていくというので、余りトレースしていないです。その典型的な例が、では、一体どのくらいの工場用地が残っているんですか、手つかずで残っているんですかと言ったら、県が勝手にやっているんだし、市町村がやっているんだし、よくわからないと言うんです。これはやはり怠慢だと思うんですよ。

 そしたら、ちょうどそんなことをやっていたら、一週間審議が延びる間に朝日新聞に一面に出たので、これは金目の方からなんですが、総務省が地方債でもって土地開発公社を維持している、お金を面倒見ているので、これはあんまりひどいんじゃないかというので出てきたんです。

 そこはちゃんとしっかりしていて、金目からトレースして、そして、どのぐらいの遊休状態かというのを把握できたんです。土地開発公社が絡んでいたけれども、民間もありますし、土地開発公社なんて言わなくて持っているのもあるんですけれども。

 和歌山県の例でいうと、今、取得用地の面積が二百八ヘクタール、遊休状態が百二ヘクタール。長野県の場合は、保有面積がちょっと、百ヘクタールで、五年以上保有しているのは八十五ヘクタール。余っているのがこれだけある。経産省は一体この余っているのを把握しているのか。

 この三ページの表を見ていただきたいんですけれども、空き家なんて大変だと思いますよ、ちゃんと調査するのは。それを、一軒一軒なのに、八百二十万戸だと先ほども答えの中にありましたけれども、国交省の方で把握していると、二倍になったり一・八倍になっているところがあります。それから農村工業導入もありますし、遊休農地、目に見えるし、つくられていないということでわかるからなんですけれども、空き家は空き家かどうかなんてわからない。それをちゃんと把握しているんですけれども、経産省は空き工業用地というのをきちんと把握していないんです。

 これは私はよくないと思うんですけれども、この点について説明いただいたときに、何をやっているのと言って珍しくきつく言っておいたんですけれども、少しは改善しようという方向に行っているんでしょうか。

大串大臣政務官 お答えいたします。

 当省におきましては、国交省、農水省のように全国で網羅的に空き地の調査をしているわけではありませんけれども、工業の立地に適した土地の調査を毎年行うなど、全体的な趨勢の把握に努めております。

 今後とも、必要に応じ、工業用地の空き地等の状況を調査、把握すべく、検討してまいりたいと思います。

篠原(孝)委員 そういう遊休工場用地というのは把握されましたか。これからどうします。ほっておいて、新しいのにしてぼんぼん建てるんですか。

 なぜこれをしつこく聞いているかというと、遊休の農地を有効活用するのもそうですが、遊休工場用地とか、もう商店街が寂れ果てて、商店をやっているのかやっていないのかわからない、そんなところだらけなんですよ。中根さんが言っておられました。自動車であれだけ調子のいい愛知県の豊田市の近くの岡崎市、どの程度近くか、ちょっと距離はわかりませんけれども、長野県よりずっとましなはずですよ。それでもそういうふうになっている。そういうところをまず有効活用していくべきなのに、そういうところすら把握していない。

 農林水産省の方がまだまともですよ。農工団地、農村工業導入の団地のところにきちんとやる。まだ造成が済んでいないところは農地に戻していく。それできちんと厳選してやっていこうとしている。これはまだ許せるんです。

 経済産業省は、はいと言ってぶち上げて、はいまた新しくどんどんつくっていきますよ。これじゃよくないと思うんです。直していただきたいと思います。

世耕国務大臣 非常に貴重な御指摘だと思います。

 過去、経産省が主導した政策でできた用地、どれぐらい活用されていて、どれぐらい遊休になっているかを把握していないということを今私も初めて認識しまして、どういう事情があるのかはちょっとよくチェックしますけれども、今の委員の御指摘を踏まえて、利用状況はやはり把握をする、それがまずPDCAの入り口だというふうに思いますので、少し検討をさせていただきたいというふうに思います。

篠原(孝)委員 そうです。大臣、ぜひそうしていただきたい。

 僕はやっちゃいけないと言っているんじゃないんです。まずはあいているところを有効活用しなかったら、これは地方に行ってみたら本当に目立つんですよ。遊休農地は草が生えていたりするから、何だというふうになる。ところが、空き地のは、使っているんだか使っていないんだかわからないみたいな感じになっていたりして、ほったらかしになっているわけですよ。さっき言いました、十ヘクタール以上の小麦畑に使っているのも、どういうふうになっているのかというような感じになっているわけですから、ここをちゃんとやらないと私はうまくいかないんじゃないかと思います。

 それで、このA3の紙をよく見ていただきたいと思います。こういうのを繰り返してはならない。効率的にやって、ちゃんと実のあるものにしていっていただきたいと思います。そうじゃないと地方はますますおかしくなっていってしまう。それはどうしてかというと、もう行け行けどんどんの考え方は私は改めていただきたいと思っているんです。

 どういうのかというと、もう縮小していく、人口が減っていく。人口が減っていったら何か世の中が真っ暗みたいに思う人がいるかもしれませんけれども、それはいいんです。少数精鋭で、残っている人たちがちゃんと暮らしていければいいんであって。

 皆さん、そんなことかというふうに思われていると思いますけれども、私は、おととし、一度ここの会合で触れたですかね、京都大学の教授の皆さんがお勉強会を開いておられてというのを、そこに来てくれと言われて行ったんです。その会の名前が縮小社会研究会。

 三十五年前に私は、「農的小日本主義の勧め」という本を書いたんです。高度経済成長時代の真っただ中、もうこんなことが続くはずがないから、今余裕のある間に、これがだめになったときのことを考えて、もっとなだらかな成長のスタイルにいろいろな仕組みを変えていかなくちゃいけないと書いたんですが、その京大の博士の教授たちの皆さんは二〇〇八年にその会をつくり上げたそうですけれども、そうしたら、何か変なことを、もっと大昔にそういうことを言っている変なのがいて、今、国会議員になっているぞ。ここから後、ちょっと態度がでかいんですけれども、話を聞いてやるから来い。人に話を聞くときに、聞いてやるから来いというのはないんですけれども、行ってまいりました。

 そこでのっけからどういうことを言われたかです。彼らの基本認識が、一九〇〇年に人口が四千万だったのが百年かけて三倍の一億二千万人になった。それが百年かけて四千万人になっていく。これは社会保障・人口問題研究所もやっています。だから、もうその減っていくということを前提に、いろいろな制度、社会、経済、社会保障制度もそうですけれども、そうやって組み立てていくというべきなのに、相変わらず、五百兆円のGDPを六百兆円にするとか、できるんだったらいいです、それは無理なのではないか、もっと違う方法でやっていかなくちゃいけないということを言われたんですけれども、私はこれはもっともだなと思っております。

 せっかく用意したので、また済みません、四ページの表をちょっと見ていただきたいんです。従来型の、そしてその延長線上にあるということで、ちょっと変わった表なんですけれども、ぜひ見ていただきたいと思います。

 皆さん、日本がこれだけ高度経済成長を遂げたのは、ジャパン・インクというのがありましたね、ジャパン・アズ・ナンバーワンというので、日本が株式会社的で一丸となってやってきた。何を言っているのかなと。世界で誤解があるんですけれども、日本の農業を過保護だというのは、日本で言っているだけで、あるいは貿易交渉のときちょっと言われるだけで、EUやほかのところの農政担当者からすると、全然そんなことはないんです。農業にお金なんかつぎ込んでいないんです。

 直接所得補償、ダイレクト・インカム・サポートというので手厚くヨーロッパなんかは面倒を見ている。だから、ヨーロッパの農村地帯に過疎地域なんてないですよ。そこで暮らしていけるように、百万、二百万、三百万の単位で所得補償をしている。だからゆったりと暮らしていけるんです。

 それに対して、土地に関していかに日本は企業をバックアップしてきたかというのを、これをちょっと見ていただきたいんです。今度また企業にやりやすいように農地の転用の便宜を図るというようになっているんです。僕はこれは許しがたいことなんです。どうして許せないかというのを、これを見ていただきたいんです。

 日本と欧米先進諸国で農地と林地と海岸。農地は企業が所有できない。だけれども、アメリカやヨーロッパとか、ヨーロッパですね、アメリカはちょっと変わった国なので、余り考えるとよくないんですけれども。所有できるんです。しかし、所有できるんですけれども、農地ですね、だから、所有して、買ってなんかやっている人はいません。企業経営というのもそんなにないんです。ファミリーファーミングなんです、ほとんど。

 日本の場合は、いろいろ突っかかっています。農地法改正しろとか、またやっていますけれども、所有できません。買ってやったりしたら、三百年かかったって回収できないですよ。だから、土地転がしのためにしか考えていないというのは、すぐこういうところから出てくるわけです。

 林地は誰でも買えます。外から中国資本が買っているというのは問題があります。

 次、ここです。ここをよく聞いていただきたいんです。海岸はどうだったかです。ちょっと考えていただきたい。白浜はいいところです。プライベートな所有はないんです。日本は、海岸の所有は個人の所有と認めないんです。総有林、みんなのものなんです。ところが、ヨーロッパや何かは所有可能なんです。ここからここは自分の土地で、入っちゃいけない。

 それで、ちょっと皆さんにわかっていただくために、ビル・ゲイツはレイク・ワシントンの湖岸に物すごい豪華な土地を持っています。すぐモーターボートが行ける。そこはビル・ゲイツの所有の湖岸になっているんです。そういうことが許されるんです。

 日本は、琵琶湖の湖岸も海岸も所有できないんですけれども、圧倒的な権限で所有できたのが輸出系企業なんです。おわかりになりますか。埋め立ての権限も知事、漁業権の認可も知事、どうにでもできる。ですから、東京湾、伊勢湾、大阪湾のほとんどの海岸端は全部輸出企業の手に渡っているんです。こういうことを公然と認め、公然とバックアップしてきた国は日本しかないんです。気がついていないんです。

 さすが大阪の権利意識の強い人たちはわかって、入浜権運動というのは、大串政務官の地元の兵庫県から起きたんですよ。浜を返せと。今まで魚釣りは自由にできたのに、埋め立てて、入ってきちゃいけない、何とかかんとか株式会社の土地だと。これは欧米だったら絶対に許されないことですが、我が従順な日本国民は、日本の発展のためだというのでそういうふうにしたんです。

 これ一つを見ても、いかに優遇してきたか。それは簡単です。外国から鉱物資源を輸入して、それを加工して輸出していくわけですから。さっきちょっと長野県のをやりましたけれども、あれはみんな軽薄短小の電子機器です。重厚長大型の工業なんて長野県にできるはずがないんです。海岸端なんて一番有利なんです。国内の輸送コストはゼロです。物すごい有利だったんです。だからこれはできたんです。

 そういうのをわかっておられない方がいる。これはおかしいんだと、外国はこれを指摘しているんです。

 これは僕が気がついたんじゃないんです。僕が留学していたときに、コースタルゾーン・マネジメントという項目があったんです。沿岸海域管理というのは今は日本にもできているんです、沿岸をどうするんだ。日本ほど海岸をめちゃくちゃにしてきた先進国はない。私が授業に出て、教授の質問にぜひ答えてくれ、だから出てくれと言っては、兵庫県の話からこういうのをみんな聞いて単位をもらいましたけれども。出席するだけで単位をくれると言ったんです。そのときに教えられたんです。

 どういうふうに言ったか。そのときの天皇陛下は海洋生物学者、葉山の御用邸を持っているというのを知っているんです。だけれども、その前が天皇陛下専用の海岸になっていない。それを、輸出系企業専用の海岸、みんな渡していった。これだけやったりした、だからそうやって日本株式会社と言われるんだというふうに言われたんです。こんなことをしてきている。

 それで、僕が言いたいことは何かというと、これだけやってきているんです。だから、やはり第二次産業が強者なんです。強者はちゃんと抑えて行動していただきたい。だから、僕らはいいですよ、この地域未来投資促進法をやってください。しかし、農地を、俺たちが金もうけさせてやるので、雇用を拡大するんだから、何だっていいから、簡単に言うとこっちに渡せ、つべこべ言うじゃないぞ、こういう項目なんです。僕はこれは許しがたいと思うんです。

 ほかは、あいているところを、空き家対策は議員立法でもできている。だから、この法律案、ちゃんと条文で明確に、あいている工場用地を優先して書くべきだということを書いていいのに、嫌だと言うんです。それはよくないと思います。いやいや、ちゃんと書きます、基本計画、基本方針、経済産業大臣がつくる基本方針に書きますと資料の中に書いてあるんです。その資料の中に書いてある、我々のところで説明した資料のところに書いてある、遊休のあいているところを最優先するということを法律上明記すべきだ。ほかのところは、あいているところを有効活用するためだけに法律をつくってやっているんです。そしたら、さんざん虫食い状態にしてきた。

 これは経産省だけの責任ではありませんけれども、これは覚えておられますか。吉川理事なんか覚えておられると思う。苫小牧東港の開発というのがあったわけです。一万ヘクタール。全然来ない。それで半分にして五千五百ヘクタールにしましたけれども、それだって石油の備蓄基地と北海道電力、わずかです。

 むつ小川原もそうだったんです。あれも五千ヘクタール。利用されていない。そして、しようがないからなんて言っちゃ悪いんですけれども、六ケ所村、核燃料サイクルの基地になっている。

 私から見ると死屍累々ですよ。そうやって迷惑をかけてきている。これを繰り返してはならない。

 それで、また一枚目の「一極集中・都市と地方の格差の推移」というのをちょっと見ていただきたいんですが、このところで、農地がどのように扱われてきたか。ちゃんと有効に守ってきたとは言えないと思いますよ。日本の農地面積、五十五年前と比べて七四%になった。フランス、イギリスと比べました。それぞれ減っています。

 しかし、減り方はずっと日本の方が激しいし、もともとが広さが違って、フランスは日本よりも六倍から七倍の農地面積です。イギリスは四倍。それでも一生懸命優良農地を確保しようとしている。下の、和歌山、長野、長野は五八%になっている。神奈川県なんて、都市近郊がどうだったかというのを入れたんですが、三分の一になってしまっている。こういう状態なんです。こういうことを平気でしている先進国はないんです。

 これに拍車をかけるような法律や制度は慎んでいただきたいというのが私の願いなんです。だからこれをしつこく言っているんです。

 大臣も、遊休の工場用地を把握してやっていただくというのは、これは僕は当然のことだと思う。ぜひそうしていただきたいと思う。これをやるときにどういうことを言うかというと、例えば高速道路ができた、ここにインターができた。前の工場団地なんて、遠く離れて三キロ先だ。あんなところには行かない。このインターのすぐ近くだったら行ってやる。ここだ、ここをよこせと言ってやるはずなんです。それを、どうしても来てほしい、もう過疎で困っていますから、少しでも仕事をと。それに従ってしまう。僕は、それを国がとめなくちゃいけないと思う。とめていただきたいんです。法律の条文にきちっと書いていただきたい。

 そんなのは簡単です、あいているところを優先してやるというだけで、絶対あいているところじゃなくちゃいけないとまでしろとは言っていません。だけれども、それが嫌だと言うんです。その嫌だと言う根性というか精神が私はわからないんです。

 ということで、どうでしょうか。

世耕国務大臣 まず、そういう新しい事業の立地をする場合は、遊休地を活用していくということが非常に重要だと思います。

 残念ながら、面積ベースでどれぐらい残っているかというのは把握していないということでありましたけれども、一方で、経産省として、毎年、工業の立地に適した土地の調査を行っていまして、その結果を公表するとともに、一般財団法人日本立地センターにおいて、利用可能な産業用地をガイドブックの形で発行して、産業界に利用可能な産業用地の周知も図っているところであります。

 ですから、まずはこういうところをしっかり探して使ってもらうということが重要だというところは委員のお考えと一緒ですが、一方で、その事業のニーズにぴたっと合った遊休地がない地域も想定をされるわけであります。

 やはり事業所敷地面積というのが、ふえているところもあれば減っているところもあるわけでありまして、特に、この敷地面積がふえているところでは、なかなか、新規産業用の用地のニーズが非常に高くて、遊休地だけでは事業のニーズに沿えない場合もあり得る、可能性があるわけであります。

 ただ、一方で、委員御指摘のように、優良な農業用地の確保は非常に重要でありますので、農林水産省とも連携をして、国が策定する基本方針等によって、土地利用の調整のための仕組みを導入することによって、遊休地の活用や優良農地の確保が図れるようにしているわけであります。

 今後、この法律を施行していくに当たって、遊休地の活用や優良農地の確保は非常に重要でありますので、委員の御指摘は政府と同様の問題意識だというふうに認識をしておりまして、今後国が策定する基本方針の中で具体的に明確化をしていきたいというふうに思います。

 御指摘のような具体的な土地利用の調整に関する考え方は、他の立法例においても、一般的には、法律に規定するというよりは、運用上対応しているというところでありますので、今回、法律には明記すべきではないというふうに考えております。

篠原(孝)委員 だから、そこがちょっとなまくらなんですよ。

 今の政治を見ていますと、さっき近藤議員が指摘しましたが、頭でっかちになって、経産省のお役人、もっと地方のことを知らなくちゃいけない。官邸に行くんじゃなくて地方に行けと。本当にそのとおりだと思います。地方に行って地方の現場を見たら、一体どうかというのはわかってくるわけです。それがちょっと足りないと思うんです。

 それで、あれやれこれやれと、だから農林水産省提出の法案ですけれども、私はあした細田政務官に嫌みで言いますけれども、規制改革推進会議提出の法案についてこれから御審議させていただきますと言いたいんだ。農林水産省も困ってやっている部分があるんじゃないかと私は思うんです。やたら農地を潰して、そして工場用地に、お金だお金だ、雇用だ。それはわからないでもないんです。農家自体が、米の値段は上がらないし、下がっていくばかりだし、先行きは見えないし後継者はいないし、もういい、高く売れればいいというふうになっちゃっているんです。そういう状況に追い込んでしまっているんです。だから、一体このままでいいのかなと私は思うんです。

 改廃面積はどうか。やはりいっぱいだめになっていっているんです。一番最近の数字を見たら、今は農地が減ってきているんですけれども、二〇一六年で農地でなくなったのが約三万ヘクタール。一番多いのは荒廃農地で、そのままもう原野になってしまったというのが半分の一万六千ヘクタールです。

 その次がこれもまた、先ほど国交省はちゃんとやっていると褒めましたけれども、だめなのは住宅政策なんです。少子高齢化で家が全国平均で一三%も余って空き家だらけになっているのに、まだ新しいうちをどんどん建てるというのは、それは間違っているんですよ。住宅用で六千六百七十ヘクタール。それで、工場用地もまだあるんです。二千四百八十ヘクタール。さすが、道路はもう要らないということで、かつては道路は多かったんですけれども、七百十ヘクタールだけです。それはまた農地独特のですけれども、自然災害で千四百三十ヘクタールというふうになっているんですよ。

 さっきやりましたように、日本全体で五十五年前と比べて二六%も減っている。六百万ヘクタールもあったんです。やはりきちんと抑える、こういうことこそ、ほっておいたっていいのを、法律ではいもっとやれと言うんじゃなくて、だめで抑える方を法律できちんとやるべきだと思うんです。だめだ、これをやってはいけないという、そっちの方が大事だと思うんですけれども、細田政務官、どのようにお考えになりますでしょうか。農地を確保するというのが政務官の大事な役割なんです。でも、どうもそういう精神が欠けているんじゃないのか。昔のやっていた仕事は忘れてください。今の仕事に専念してください。

細田大臣政務官 済みません、御通告ない御質問ですけれども、今先生から資料を提示いただきまして、農地の面積が非常に大きく削減している。これは恐らく、日本の農業の現在を取り巻く非常に厳しい状況、例えば、農業人口の高齢化でありますとか、あるいは、全般的に高齢化、少子化が進み、日本の農産品に対する需要が減少傾向にある等々、本当にさまざまな要因があると思っております。また、農業の活性化については、ぜひ農水委員会で先生からまた御卓見を賜れればというふうに考えております。

 私どもとしましては、先生御指摘のとおり、定量的なといいますか、むしろ定性的に、当然のことながら、優良農地の確保というのは非常に重要な課題であると考えております。また、これは法案の審議の中で、農工法におきましても、あるいは今回の地域未来投資促進法案におきましても、この優良農地の確保という点でさまざまな制度的な工夫を行っているところでございまして、ぜひこの点を踏まえて御審議をいただければと思っております。

 よろしくお願いいたします。

篠原(孝)委員 だめですねやはり、これだけ言ってもわからない。

 ほっておいてもちゃんとやっていくのは、それはほっておいていいんですよ。だけれども、抑えるべきものは抑えるという禁止の方をきちんとやらないとだめなんですよ。だからずるずる変なふうになってきちゃっているんです。こんなふうになっている国は、さっき言いましたけれども、ないんですよ。それに歯どめをかけなくちゃいけない。それが法律なんです。

 だけれども、それを法律に書かずに、大臣の答えも、調査するというのは丸ですよ。調査してください。土地を有効活用する。僕は、どうしてもないのところまで絶対的に禁止しろと言っているんじゃないんです。ところが、空き地を、空き工場用地を優先活用すべきだというたった一行の文章がこの法律に入らないというのは、それは、画竜点睛を欠く、そういう大事なところの配慮が欠けていて、いやいや、それは基本方針で書くからいいんだというのは、これはよくない姿勢だと思う。法律にちゃんと書くべきですよ、法律に。そのための法律改正。

 これはやっていいんですよ。いいんですけれども、禁止のことを書いて、禁止で絶対いけないというのは、それは無理ですよ。農地法の何条に基づいてここは絶対使っちゃいけないとか言ったりするのは、それは行き過ぎだと思います。それは地域の事情がありますけれども。だけれども、あいている、既に開発したところというのを、工場用地で、ここではどういう表現をするかわかりません、それは法制局と一緒にやればいいわけですが、あいている工場用地、あいているところ、そこを最優先してやっていくんだという一文がなぜ書けないんでしょうか。

 大臣にお答えいただきたいと思います。

世耕国務大臣 もうここは見解の相違ということになっちゃうんですけれども、基本的に、土地利用の調整に関する他の法律も、法律の中にその用途まで明確には書いていないというのが現状です。それ並びで、我々は法律上明記すべきではないと考えている。

 一方で、私も先ほどから繰り返し、優良農地の確保は非常に重要である、まずは遊休地の活用から進めるべきであるということは明確に答弁していますし、基本方針に盛り込むということも明確に申し上げているわけでありますから、この答弁自身が、立法府がまさに行政府に対してきちっと歯どめをかけていただいているということだというふうに思っております。

篠原(孝)委員 明文化するのが一番ですけれども、押し問答になるからやめます。

 それでは、大臣の大所高所の見解を二つほどお伺いしたいことがあるんです。最後のページの表をごらんいただきたいと思います。

 これは経産大臣ということよりも、国務大臣として、重要閣僚の一人としてお考えいただきたいというので、これは何を書いたかというと、二〇二〇年までに若者の雇用を三十万拡大する。一体現実はどうなっているかというのは、高校の卒業生の他県への流出率を、大学、短大と、これはなかなか数字がきちんとしないところを、下に書きましたように、旺文社とかそういうところが調査しているんです。

 日本の政府、最近サボっていまして、統計をきちんとしないと政策ができないのに、それをもう要らないみたいな感じで、自分の都合のいいような数字だけ集めてきてやってという癖ができちゃって、きちんとした基礎統計がだんだんなくなってきてしまっているので、これはよくないことだと思いますけれども。

 県外就職率というの、宮崎県とか、これだけ多いんですよ。県内にとどまっているのは愛知県が一番多くて、愛知県は一番調子がいいんでしょうね。中根さんはちょっと嘆いておられますけれども、ずっとましなところなんです。ほとんどが愛知県内に就職している。就職口が山ほどあるということなんです。長野県は、下位五位には入っていませんけれども、下位八位なんです。四十位です。八・九%、近くに就職口がないんです。

 次、県外大学進学率、余りよくない数字ですけれども、和歌山県がトップなんです。長野県も第五位なんです。ほっておいて、そして、他県へ出てしまうと帰ってこない。

 今は長野県は改善していまして、ことし、長野大学というのが上田にあったんですけれども、公立化しました。それで、来年、諏訪の、東京理科大学の諏訪理科大学というのが公立化します。長野県は変なのがありまして、公立の方がいいみたいで、公立になると、もう受験者が四倍になったそうです、公立と私立。有名私立大学というのも余りなくて。それから、長野県立短大というのがずっとあったんですけれども、これを四年制大学にして、これも一八年に四年制をもとにしたものになる。それから、今は新潟薬科大学が上田に薬学部をつくりたい。それから、看護師が足りないので看護学部を長野市につくるというのをやっています。これは、愛媛県が加計学園にこだわるのと同じように、大学でもってやるというのも一つの手なんです。僕はこれは本当に大事なことだと思っているんです。

 余計なことで、県外短大進学率も和歌山県が上からで、長野は、ちょっと勝手なんです、女性は地元に置いて、外へ出さないでということをしている。こういう数字が出てくるんです。

 こういうのを考えていたら、やはりぴしっとしなくちゃいけない。

 そして、さっき禁止と言いました。禁止をちゃんとやってほしい。立派なことをやっているところもあるんですよ。山本幸三大臣の担当の地域創生のところで、地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議というのをやっていて、この五月の中旬ぐらいにそれが公表される。

 もう新聞にちらっと出ていたので僕は取り寄せて見ましたら、どうしているかというと、だめな方を抑えるという。きちっとしているんです。いいですか、だからやってくださいと言っているんですよ。文部科学省が、二十三区内の大学の定員増を一切認めない。文部科学省はいろいろたたかれていますけれども、だからこんなことをしなくちゃいけないのかもしれませんけれども。やればできるんですよ。

 それは自由じゃないか、来たがって行っている学生が受けてどこが悪いんだ。しかしそれはさせない、地方に行かせるためにも。新しい学部や学校をつくるんだったら、既存の学部や学科を減らして、そしてやって、現状以上に二十三区の学生数をふやすのはまかりならぬ。そうすべきなんです。どうしてこういうことができないのですかということなんですよ。やろうとしているところはやっているんです。

 だから大臣、近畿大学の関係です。日本の五大マンモス大学の一つです。二つ大阪にキャンパスがあって、東大阪にある。そうです、実は和歌山にもあるのもきのう知りました。大学は、都市部にある必要はほとんどないんだろうと私は思う。私、留学させていただきまして二カ所に行ったんですけれども、あちらは、何とかステート・ユニバーシティーというのが必ずど田舎にあって、カレッジタウン、地元の産業に準拠した大学になっているんですよ。こういうものをぜひ考えていただきたいんです。

 それで僕が力説したいのは、東京圏への入超、超過を抑えるために、文部科学省、地方創生の分野からは禁止をしているんです。だからそういうことをやっていただきたい。農業をバックアップするんだから、農地はもう減らしちゃいけないということをちゃんとやっていただきたいということを力説しまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

浮島委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 民進党の福島伸享でございます。よろしくお願い申し上げます。

 まず、きょう、齋藤副大臣、先輩にいらしていただきました。じきじきの指名をさせていただきまして、お越しいただきましてありがとうございます。TPPのこと等についてお伺いをしたいと思っております。

 五月二日と三日にTPPの首席交渉官会合がカナダのトロントでありまして、報道で見ると、何か日本がTPP11をどんどん引っ張っていっているように見えるんですが、先日、総理に予算委員会で質問したら、随分慎重な答弁をされています。

 四月十五日の日経新聞に、四月の初旬にASEAN会議のために来日した閣僚らに、TPP11を進めることをどう思うかということを世耕大臣はお聞きになったということでありますけれども、世耕大臣はこのTPP11についてどうお考えでしょうか。

世耕国務大臣 それはまさに新聞記事に出ているとおりでありまして、いろいろな人の意見をよく聞きたいと。各国と緊密に連携をして、あらゆる選択肢を排除しないで、何がベストか、そこを主導的に議論を進めていくというのが日本の立場であります。

福島委員 ちなみに、齋藤副大臣はTPP11についてどうお考えでしょうか。

齋藤副大臣 まだ何かTPP11について方向性が決まったというふうに承知しておりません。今、世耕大臣から御答弁させていただいたように、これから各国と緊密に連携して、あらゆる選択肢を排除せず、何がベストか、主導的に議論を進めていくというのが我が国の立場だというふうに認識をしております。

福島委員 あえて、私の尊敬するお二方なので、率直な議論をさせていただきたいと思うんですけれども、私、これをやるに当たって、本当に得か損かと考えた方がいいと思うんですよ。

 報道によると、積極的なのはオーストラリア、ニュージーランド。それはなぜかといったら、農産物輸出国で、日本の農産物の関税が下がることが魅力だからだと思うんです。

 もう既に日本は日豪EPAというのを結んでいて、かなり無理して関税を下げているわけです。今回それをさらに深掘りしたのは、アメリカが入ってきて、自動車の関税とかの交渉上、下がったというふうに私は認識しておりまして、イレブンのうちのほぼ大部分の国は、もう既にEPA、FTAを結んでいる国が多くあるわけです。そういった観点からだと、単にアメリカが抜けたからそのまま十一カ国が日本に得になるとも限らないと私は思うし、ほかの国もそれは同じ事情だと思うんです。

 役人というのはどうしても、今まで一生懸命交渉してきたから、それを守りたいと思って継続したがるんですよ。でも、そこに一回ストップをかけて、いや、本当に得になるかどうかと考えるのが政府に入っている政治家の役割であると思うんですけれども、そうした観点から、もう一度、TPP11をなし崩し的に進めるんじゃなくて、しっかり分析する必要があると思いますけれども、お二方、どのようにお考えでしょうか。

世耕国務大臣 まさにおっしゃるとおりだと思います。我々、何も惰性でやるつもりはなくて、よく各国の意見も聞きながら、そして、もちろん貿易上のメリット、デメリットもしっかり考えながら、さらに、地政学上の問題だって見ていかなきゃいけない。そういうことを総合的に判断して、何も官僚が仕掛かりでそのまま完成させたいからということに乗って判断するつもりは全くありません。

齋藤副大臣 TPP11についてはこれから議論していくということになろうかと思いますので、今、世耕大臣からお答えしたとおりなんですけれども、ただ、農林水産省といたしましては、いかなる交渉になろうとも、やはり国内農産物の再生産可能性、あるいはその多面的機能が毀損しないかどうか、そういう観点からしっかり対応していくということが基本的な方針であります。

福島委員 力強い御答弁、ありがとうございます。

 とはいえ、日程はどんどん進んでいきまして、五月二十一日に閣僚会合がベトナムのハノイであります。秋にはAPECもあるということで、私は、早急に日本の対処方針を固めなきゃならないと思うんです。しかも、仮に十一カ国でやるとした場合には、ガットのときと同じルールだと、もう一度国会承認なんです。

 私も大分TPPの審議では暴れさせていただきましたけれども、これはやはり最後は立法府の意思なんですよ。なし崩しにTPP11に入って、結んできて、はい、国会で承認ですということにはならないのは、これは与党の皆さん方も一緒だと思うんですよ。もう時間はどんどん、スケジュールは進んでいくし、なし崩しにならないためにも、私は、方針を早く決めた方がいいと思うんです。

 その方針を決めるに当たって、私は、初めから今のTPPの水準での十一カ国でやると不利になるんではないかと思っているんです。

 それは何かというと、アメリカが次に二国間、前回交渉したときには二国間FTAに直ちに行かないと言いましたけれども、ただ、これは必ずそういう話になりますよ。そのときに、十一カ国に入っていればアメリカが後から入れてくださいとやってくるかといったら、もうこれは齋藤副大臣よく御存じのように、アメリカは絶対そんないい国じゃないんですよ。黙って十一カ国の後に入ってきませんよ。入ってくるんだったら、ジャイアンのように、後で入ってきて、俺を入れるならもう全部ちゃぶ台返しだと言って、さらにそれを深掘りして、それまでのオバマ政権じゃなかったことを実現することが保証されるような交渉をしないと入らないはずでありまして、私は、最悪は、現状のTPP11プラス、TPPをさらに深掘りした日米二国間FTA、このセットが日本にとって最悪だと思うんです。そういう意味でも、早く交渉の方針を決めるべきだと。

 私自身は、やはり日豪EPAというのは物すごくよくできていると思うんです。日本にとって自動車の関税はゼロであるし、私も相当いろいろ議論したけれども。ただ、我々の政権のときにも交渉しました。私も向こうの大臣と夕食会などにお招きいただいて話したりもしたけれども、ぎりぎりのところ、農業関係者も理解した上での、畜産の関税も下げざるを得なかったわけですよ。それを納得して下げて、さまざまなルール面においても、お互い先進国同士ですから、アジア太平洋のルールとしては、かなり進んだルールだと思うんです。

 私は、これをベースにして、さらに、タイやインドネシアやフィリピン、韓国、そういった今まで入っていないような国も含めた、もうちょっと柔軟な、TPPにとらわれない土俵を設けるべきだと思うし、そういう議論をまさに今やらなければならないと思っているんですけれども、大臣、副大臣のお考えはいかがでしょうか。

世耕国務大臣 おっしゃるように、日豪EPAというのは、これは非常に大きな成果だった。日本の通商交渉上、大きな成果だったというふうに思いますけれども、一方で、TPPは、やはり、二十一世紀型の新たな共通ルールをアジア太平洋地域につくり上げて、自由で公正でかつ巨大な一つの経済圏を構築するという大きな目標があるわけであります。

 こういう経済圏構築のためには、二国間だけの取り組みだけではなくて、やはりマルチ、広域的なルール整備というのも重要だというふうに思っています。

 日豪EPA、内容的に非常に評価をされているわけですが、一方で、TPPと比べますと、例えば、電子商取引章に盛り込まれた、国境を越える情報の移転の自由の確保ですとか、サーバーの設置要求の禁止ですとか、ソースコードの開示要求の禁止といった規律が含まれていない。こういった面も含めて、やはりレベルの高いルールを地域に構築をしていくというこのTPPの精神というのは、私は引き続き重要だと思っております。

齋藤副大臣 農林水産省としてどういう答弁をしていいかちょっと悩むところでもあるんですけれども、今まさに世耕大臣おっしゃった方針なんですが、ただ、我々としても、TPPをここまで持ってくるのに農林水産省としても随分苦労いたしましたし、それから、TPPのメリット、政府全体としてのメリットとも十分理解をしているところでありますので、今直ちにそのTPP的アプローチをやめるという決断にはなかなか乗れないなというふうに思っていますので、最後までこのアプローチ、追求していくべきだろうと思っております。

福島委員 さっき世耕大臣が、このTPPが、さも新しい、斬新なルールだよというようにおっしゃっているんですけれども、私、全部、TPPのルール面も含めて、既存のEPA、FTAと比較対照したんですよ。

 確かに、大臣がおっしゃったようなところは新しい面ですが、恐らく中国を入れるか入れないかというときにはここは物すごくきくことになるけれども、中国を抜く限りにおいては、ベトナムを含めてこの部分はのんだし、交渉で大変だったとは思うけれども、ここは正直言って、そこまで、ほかの医薬品特許とか農産物の関税ほどのしんどい交渉ではなかったと思うんです。

 ですから、逆に言えば、日豪EPAをベースにして、先ほどおっしゃった電子商取引とか、サーバー設置とかソース開示の要求を禁止することとか、そういうのは十分これからの交渉でも入れられると思うんですよ。

 一番大事なのは、TPPの今のものをこのままやるのがいいのか、それとも、もっとほかの国も含めて、より日本にとってメリットのあるルールをつくるかだと私は思っておりまして、齋藤副大臣は慎重な答弁をされましたけれども、早急に、これは我々野党側としても、ここにいるメンバーも含めて、議論に積極的に参加しますよ。我々は決して保護貿易を言っているわけじゃない、日本にどうやったら得になる自由貿易協定、貿易ルールをつくっていくかという観点から考えているのでありますから、なし崩しにTPP11に行くんじゃなくて、もう一度交渉のあり方をしっかりと考えてほしいと思うんです。

 なぜそれを言うかというと、それを片づけて日米二国間というのは、本当にやらない方がいいと思うんです。

 これはかつて、かつてというか、最近、二〇一四年の二月十八日のオピニオンとかというネットメディアがあるんですけれども、そこで齋藤副大臣、日米自動車交渉の経験も豊富であると認識しておりますけれども、「今の日本政府は、アメリカに対して、少しゆるいですね。」もう本当にそのとおりだと思います。与党の議員としてよく思い切っておっしゃったと思います。

 「日米通商交渉の歴史というのは、アメリカにずっとプレッシャーをかけられていて、「日本というのは、プレッシャーをかけ続ければ、最後は降りるよ」ということで、やられてきたわけです。それを、私が日米自動車交渉をやっていた、あの時代に「ダメなものはダメ」と言って、切り返す日本に変えてきたはずなのです。」と。「今回のアメリカの交渉態度を客観的に見ていると、かつてと同じで、「日本はプレッシャーをかけ続ければ降りるよ」という交渉スタイルです。」この間の日米経済対話とか商務長官の来日というのは、もしかしたらその一歩かもしれない。

 「そういう日本から脱却しようと、僕たちは努力してきたのではないかと。」私も入省したとき、齋藤さんからそういうふうに言われて、そういう仕事に憧れて通産省に入ったわけです。

 「これ以上言うと、与党なのに、政権批判になってしまうから控えますが、気持ちの中にはあります。少しゆるいと。もっと戦えるはずだと。」

 この心意気、齋藤副大臣、まだおありですか。

齋藤副大臣 一生持ち続けたいと思っています。

 ただ、おっしゃるように、今、私どもは、日米二国間ということについて、頭の中にあるわけではありません。特に農業関係者には、これに対する非常に深刻な懸念が表明をされているところでありますので、農林省としては、二国間については極めて慎重に対応すべきだというふうに考えているということは申し添えたいと思います。

福島委員 本当に期待したいんですよ。やめないでしばらく副大臣でいてほしいんですよ。「日本というのは、プレッシャーをかけ続ければ、最後は降りるよ」と言っても、政府の中で最後まで齋藤副大臣はおりないでいただけますか。

齋藤副大臣 福島さんの応援をいただいて、頑張りたいと思います。

福島委員 多分、農業と自動車なんですよ。世耕大臣のところにも同じことを言ってくると思うんですよ、二国間であれやれこれやれという。ほとんど無理難題ですよ。

 先日もアンチダンピングでアメリカが変なことを、変なことと言ったら失礼ですけれども、やってきましたよね。アンチダンピングも本当はもっと二国間で、こっちが攻める分野ですよ。あんな不透明な運用の仕方はないわけですよ。言えばいいんですよ。

 そういうことも含めて、言われる一方だけじゃなくて、強く、二国間FTAはもう絶対受けない、日本の自動車市場には一切参入障壁は関税の面でも規制の面でもないんだと言って、話題にすることはないと突っぱねていただけませんでしょうか、世耕大臣。

世耕国務大臣 まさに、首脳会談、そしてこの間の麻生副総理とペンス副大統領の日米経済対話は、そのラインで行っているわけであります。貿易及び投資のルールと課題に関する共通戦略を含む三本柱で議論を進めていくという形でやっています。私とロス商務長官の会談もその流れでありました。

 これは、ですから、イコール日米FTAということではなくて、日米経済対話と、私とロス商務長官の会談においても、アメリカ側から日米FTAへの言及はないわけです。これは、ただ単にその場でなかっただけではなくて、当然、その水面下で行われている事務的折衝でも、我々がしっかり、きちっとした主張をしているからそういう結果になっているんだろうというふうに思っています。

 今後の経済対話においては、日米共同プレスリリース、副総理と副大統領で発表したものの中にあるように、三本柱のうち、貿易及び投資ルール、課題に関する共通戦略として、高い貿易及び投資に関する基準についての二国間枠組み、そして、地域及び世界の貿易環境における日米両国の貿易及び投資イニシアティブの視座、そして、第三国に関する懸念への対処について、しっかりと日本の国益をかけて議論をしていきたいと思います。

福島委員 日本はプレッシャーをかけ続ければおりるということで、一番おりそうな人にプレッシャーをかけてくると思うんですよ。ゴルフをやったりする人が大体おりるものなんですよね、誰とは申し上げませんけれども。

 ぜひ政府の中で、そうしたプレッシャーに負けないという声をお二人には上げていただきますことを御期待申し上げまして、この話題とさせていただきます。

 齋藤副大臣、どうもありがとうございました。もうお下がりになって結構でございます。

 さて、次に、言うのも恥ずかしい地域未来投資促進法という、この法案について議論に入りたいと思います。

 私の役所での経験上、大体、日本版何とか何とかとついていたり、よく聞いたことのない、昔よくユビキタス社会とかありましたけれども、そういう片仮名の名前をつけたり、未来という甘い言葉を使った制度は中身がないことが多いんです。

 今回も、地域未来投資促進法。投資というのは、私は、過去に対するものじゃなくて、未来のために行うから、未来投資というのは言語矛盾じゃないかと思いますし、そもそもの法律の名前は地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律という、いかにもお役所らしい名前なんですけれども、どこにも未来も投資も入っていないんですよ。何でこんな名前にしたんですか。誰ですか、つけたのは。

 かつての役所の私の仲間に聞いても、私はきらきらネームだと言ったんですよ。最近、小学校の入学式とか行くと、きらきらネームの人がいっぱい入ってきますよね。きらきらネーム法と言ったんですけれども、そうしたら、同期に聞いたら、いや、この法律はもともときらきら法と言われているんだよと言っていまして、役所でもそう言われているらしいですよ。

 何でこんな名前をつけたんですか。

鍜治政府参考人 まさに、地域経済の牽引によりまして将来の成長発展基盤、成長発展の基盤をつくっていく法律ということでございまして、未来に向けた投資を促進したいということで、通称でございますけれども、昨年来、省内で検討していく中で、こういう通称を使わせていただいておりました。

福島委員 入省した一年目がポストが同じ人は御先祖といいまして、鍜治さんは私の御先祖様なんですけれども、実直な鍜治さんらしくない名前なので、多分、鍜治さんのセンスではないんじゃないかと思っております。

 なぜそれを言うかというと、ちゃんと今までの制度を、もういないですけれども、先ほども篠原先生の議論でもありましたけれども、これまでの政策をちゃんと評価しているのかということなんです。

 やはり経産省というのはどうしても新しいものには飛びつくんですよ、私も含めてそうだったんですけれども。ちょっと色あせたものは何かそのままほったらかしにするという子供のようなところが、自分も反省も含めて、あるんですよね。

 例えば、先ほど言ったように、工業団地の、どれぐらい遊休地があるかというのすら把握しないでやるとか、私も、入省して最初に研修に行くんですけれども、まさに先ほど篠原先生から話があったテクノ法の評価というのを自分のテーマにして各地を回って、鹿児島の国分というところにあるテクノパークというところに行ったら、すごかったですよ。全く企業がなくて、そこに牛が放牧されていたんですよ。工業団地が牧草地になっていたというすごい実例を見たりしたんですよ。ちゃんとこれは検証しなければならないと思います。

 資料をお配りしております。

 近藤先生がお配りした資料と同じでありますけれども、この資料を見てみますと、右側の企業立地件数は、目標に対して実績はそこそこふえている。これは目標自体が少ないんじゃないかという気もするんですけれども。新規雇用創出数は目標に対して半分ぐらい。これも目標が少ないんじゃないかとそもそも思います。

 思うのは、この左側でして、付加価値額がマイナスになったり、製造品出荷額がマイナスになっているんです。目標を達成するどころか、マイナスになってしまっているわけですよ。いろいろ四の五の産構審の分科会の報告書では書いてあるんですけれども、これはどこにその要因があると評価されますか、大臣。

世耕国務大臣 新規雇用と企業立地には一定の評価ができるわけでありますけれども、やはり、付加価値増加額が計画値を大きく下回っているというのは真摯に反省をしなければいけない。

 要因としては、リーマン・ショックによる経済の低迷、あと東日本大震災の影響もあろうかと思いますが、それに加えて、やはり、産業分野の指定が二十六分野となっておりまして、それが必ずしも地域にうまくはまって地域の強みを生かすという形にならなかったんじゃないかということが一点。

 それともう一つは、PDCAサイクルを回す仕組みが弱かったということ。

 それともう一つは、製造業の支援が中心になっていて、やはり地方経済、サービス産業など非製造業のウエートが大きくなっているわけですが、そこが少し置いていかれていたというあたりがあろうかというふうに思っています。

 今度は、この反省に立って、この法律自体はPDCAをしっかり回していくことになっていくんですが、法律の中のPDCAだけではなくて、今御指摘のように、過去のいろいろな取り組みのPDCAもやはりちゃんとこの中へ流し込んでいくということを、今後、運用上もやっていかなければいけないだろうと思っています。

福島委員 今までの制度も、別に製造業に限定されているわけではないですよ。なぜ製造業ばかりになってしまっているんでしょうか。

鍜治政府参考人 御指摘のとおり、現行の企業立地促進法も、製造業だけを適用対象にした法律ではございませんのですが、この法律で非常に利用されましたところの設備投資減税措置、国税の特別償却措置でありますとか、あるいは、地方の自治体が固定資産税等を減免した場合に、その四分の三を国庫から戻すといういわゆる減収補填措置、この二つが非常に利用頻度が高うございましたけれども、これらの制度の適用対象につきましては、製造業でございますとか一部の卸売業、明確な限定がございまして、この結果と相まちまして、製造業に偏った成果になっているというふうに認識しております。

福島委員 要は政策ツールがシャビーだったということだと思うんですよ。

 次の資料の二というのを見ていただきますと、「自治体からの評価」というのが資料二なんですけれども、右上の企業立地促進法に基づく支援措置のうち有効なもの。自治体ですから工場立地法の特例というのがありますけれども、あとはやはり、今、鍜治さんがおっしゃった政策金融公庫による低利融資、あと、地方税の課税免除または不均一課税による税収補填。地方自治体が何か立地減税みたいな、そういうのをやったときに補填されるのがありがたい、そういうことですよね。

 次のページは「企業からの評価」ですけれども、やはりこれも、左上等にありますように、税物なんです。不動産取得税の減免、固定資産税の減免、政策金融公庫による低利融資制度。もっとおもしろいのは、右を見ると、意思決定への影響度というのを見ると、実はそんなに減税措置が意思決定に大きく影響しないんですよ。

 私も地元の何件かの企業や自治体に聞きましたけれども、そこに移るときにたまたまこの制度があったから減税を応募したというのがあっても、減税措置があるからそこに新しく投資をしようという因果関係じゃないんですね。たまたまその土地に、市町村がつくった計画の中の工業団地に立地をしたらこういう国の制度がありますよと言われるから、ああ、では、それだけの優遇があるなら使わせてもらいましょうということであって、政策があったから立地したという人は実は少ないんじゃないかなと思うんです。

 そういう意味では、極めて、これまでの政策手段というのが余りにもシャビーだったと思いますけれども、その点、どうお思いですか。

鍜治政府参考人 委員の配付なさっておられます資料の三の中でも、企業立地に関する意思決定への影響度で、今御指摘いただきました、例えば右上1、設備投資減税で意思決定のインセンティブになったというのは四二・六%でございます。それから、もう少し下の、工場立地法の特例は五五・三%でございます。

 これをどう評価するかでございますが、少なくともこのアンケートからは、過半の企業様がこういうさまざまな税制面、あるいは工場立地法に関する規制特例を活用して企業立地を思い立ったというふうに私どもは解釈いたしますので、まず、現行の企業立地法が制度的にいま一つだったという御指摘は、解釈の余地はございますけれども、効果があった面はあるかと思っております。

 その上で、先ほど大臣申し上げましたとおり、やはり、そうはいっても、この企業立地法そのものの仕組みといたしまして、PDCAをしっかり回すメカニズムが脆弱であることでございますとか、あるいは、製造業に結果的に支援措置が集中するような設計になっておりましたことでございますとか、そのほか経済要因も加わったわけでございますが、もともともくろんでおりました、企業立地を促進することによって産業集積が活性化し、それによって地域経済が活性化するという因果関係が必ずしも明確に発現しなかった、これは事実としてございますので、今般の法律では、PDCAサイクルを明確に埋め込みましたり、それから、非製造業について幅広く支援措置を広げましたり、資金、マネー、それから人材、規制改革等も含めまして総合的な支援パッケージを御用意している、そういうことでございます。

福島委員 いや、私は、確かに、マイナスであったとは言いませんよ。企業にとっても、まあありがたいという程度の話で、これがあるからほかにやろうと思ったのをこっちに変えたとか、意思決定を変えるほどのインパクトがあるという話は私は余り聞いておりません。

 今回も、名前も変えているんですよ。法律の名前も変えている。目的自体を変えているんですよ。今までの、改正前の二条に「基本理念」というのがあって、改正前の二条は、地域における産業集積の形成が事業者相互間における効率的な分業、事業高度化に資する情報の共有、研究開発における緊密な連携等を促進することにより、効率的かつ創造的な事業活動を可能とするとありますけれども、この規定自体を取っちゃっているという意味では、法の理念すら変えているんです。

 理念を変えるのはいいですよ。では、製造業以外と言うけれども、なるほど、新しい法律で、この法律でこういう新しい支援措置や製造業以外にぴったりくるというのは一体何でしょうか。

鍜治政府参考人 これまでの御議論でも出ておりますように、製造業につきましても、航空機でございますとかバイオでございますとか、これから二十一世紀に持続的に伸びる分野は当然あります。これは非常に重要だと考えてございますが、それに加えまして、地域における強みを生かす分野といたしまして、観光業でございますとか、あるいはヘルスケアの分野もございます。スポーツを使っての地域おこしという議論も最近出てきておるところでございまして、こういう多種多様な非製造業の分野を含めて、この支援措置を共通に使っていただくという制度設計でございます。

福島委員 大先輩に申しわけないんですけれども、皆さんが営業マンとして、新しい法律をつくって製造業以外の人に、今回我々もこうやって国会で議論して、私はひたすらこの法案に反対の立場なんですけれども、もし賛成したとして、地元で、今回こういういいことができたから製造業以外でも応募しようよという支援ツールは具体的に何なんですか。何ですか、おっしゃってください。

鍜治政府参考人 まず、国税の設備投資減税措置、これが復活したわけでございますが、これまでは製造業に限定していたわけでございますけれども、今回は、地域経済牽引事業であれば、非製造業分野の建物でございますとか事業用の設備についても適用対象となるわけでございます。

 あわせまして、地方税の減免措置、新規に非製造業分野で当該地域に進出をなさる方々の固定資産税や不動産取得税につきまして、これまでは製造業に限定してございましたが、ここも非製造業に拡大したところでございます。

 それから、非製造業分野で、例えば、面的な土地の活用等によってさまざまな事業をする際に、先ほど来いろいろ、るる御指摘をいただいているところではございますが、場合によって、一定の農地等を活用して事業を行いたいというケースがあった場合には、これも今回、その土地利用調整の円滑化措置というものを新たに組み込ませていただいております。

 それから、いろいろな物販等でございますと、さまざまなブランドをつくって、ブランド戦略ということが地域おこしにも大事になるかと思いますが、そういう際の商標法の特例措置なども今回創設してございまして、これまでの、専ら製造業が使いやすいたてつけからはかなり改善をしたのではないかと考えております。

福島委員 その程度の話だったら単なる税制改正で十分なんですよ。

 私は地元の水戸市の例を聞きました。計画指定期間の五年間で指定集積業種の企業立地件数が十件ありましたけれども、そのうち、地域産業活性化基本計画を利用した、この事業の特例措置を利用したのはゼロ件。ないんですよ。何でなかったんですかねと言ったら、もう金利が十分低いから金利の減免といっても余りメリットがなくて、面倒くさい書類の提出をするぐらいだったらいいですよとみんな言うわけです。では何でこういうのをやるんですかと言ったら、それはもう、国がこういうのをつくるから、人口二十何万かの県庁所在地だとおつき合いせざるを得ないわけですよという、残念ながら、その程度の話ととられてしまっているんです。

 これはもともと、地域に産業集積をすればさまざまな付加価値がお互い相乗効果し合うというのであれば、例えば大学を核にしてそうした産業クラスターをつくるような、インフラとか大学とかいろいろなものを各省横断で絡めたものを国の予算措置も含めてやるようなことをやればよかったんですよ。でも、支援措置がこの程度と言ったら失礼だけれども、そんなものだから、結局こうなっちゃって、今回も、いろいろ鍜治さんが説明をされましたけれども、その程度の話で、唯一あるのは、やはり農地の活用という、それだけじゃないかというふうに見えちゃうんです。

 今までは、地域に産業集積をすれば事業者間のさまざまな連携によってより付加価値が相乗されるというのが今までの法律ですよ。今回は産業集積じゃないんです。産業集積も含むんですけれども、むしろ、地域の特性を生かした事業が、誰かスーパー中小企業が生まれれば、それが波及して地域経済が活性化する、そういう理念の転換を行っているんだと思うんですけれども、そうした企業はこうした支援措置は本当に必要なんですかね。

 この地域何とか企業の牽引企業の例として、私の地元でひたちなか市のコロナ電気という例があるんです。きょう何か傍聴者に構想日本にいた西田さんという人がいて、構想日本の勉強会などにも来て、私もいろいろ親しくさせていただいている人ですけれども、この人は、もともと日立の下請企業でした。ただ、日立がいろいろ斜陽になったりする中で、その枠組みから逃れて、自分の技術で系列間の取引を超えた販路も開拓していって、今成功していて、経済産業省の皆さん方なんかもよくごらんになっていただいているんですけれども。

 この企業は何かの国の支援措置があったから生まれ変わったんじゃないですよ。それは、自分で生まれ変わらなきゃ生き残れないから必死に頑張ってやって、結果として、地域のほかの企業にも波及があるのかどうかというのはわからないけれども、地域のほかの企業に波及を与えることを目的として、この企業は、柳生さんという社長ですけれども、事業転換をやったんじゃないんですよ。今の産業構造の先を見据えた上で、生き残るために必死になってやったんですよ。

 何かこの法律のピントがずれているなと思うのは、地域を活性化する企業を市町村が計画なんかをつくって指定して、そこに支援をすれば地域に波及するというのは、そもそも私はセンスとして間違えているんじゃないかと。

 私は、地域の中核になるような企業をつくるのは大事だと思いますよ。そこになぜ地方公共団体の計画とかそういうのを絡めるのか。そして、計画をつくった結果、その与えられる特典というかメリットが税の減免とか極めてシャビーな低利融資とか。今、銀行は貸したいんですよ、金利が低いから。うちの地元の金融機関でも、貸したくて貸したくてしようがない。でも、なかなか貸せる企業がいないといってみんな困っているわけですよ。金利が高いから金が借りられないんじゃなくて、貸せるような、事業を革新する企業があれば喜んでお金を貸しますというときに、低利融資なんというのは大したメリットにならないと思うんです。

 そもそも、この法案はその目的からしてピントがずれているんじゃないかと思いますけれども、大臣、どう思いますか。

世耕国務大臣 ですから、我々は何もぼうっと待っている企業を無理やり助けてなんということは考えていないわけであります。まさに今おっしゃっているような頑張る企業、そして、頑張ってもらった結果が地域のほかの企業に、裾野にいい影響を与えていくような、そういう企業を我々はいろいろな形で応援していきたい。あるいは、もう既に地域の中ですごく存在感があって、そのポテンシャルをもっと伸ばしてもらえば、そこにつながっている、例えば下請関係の企業ですとか取引関係の企業が活性化をしていく、そういう企業を我々は応援していきたいというふうに思っています。

 もちろん、低利のお金なんか要らないという面はあるかもしれないですが、これから頑張ろうという企業になかなか今、地銀が融資をしていないというのも現実でありまして、例えば官民ファンドのお金を今回このスキームでは使うこともできますから、そういう資金を出すことによって、また民間からの資金の呼び水になるというような効果もあるんじゃないかというふうに思っております。

福島委員 余り、いまいちぴんと来ないですよ。

 正直言って、頑張っている人はそんなの目もくれずにやって、世耕大臣、もうよく御存じだと思います、私の同世代でも頑張っている人は頑張っていますよ。

 ただ、老舗で青息吐息の会社も結構ありますよ、私の地元は。食品産業関係だとまだまだ風評被害がある中で、銀行の態度が厳しくなって、青息吐息で、ほかの地域の関連企業に影響を及ぼすどころか、そこから手を引かなきゃならないというところはあるけれども、でも、恐らくそこの企業にとっても、私の知り合いなどでもそういう会社を経営している人はいっぱいいますよ。では、今回の、これを持っていって適用しようといっても、中身を見たら、いやまあという感じになると思うんですよ。余りそんなに生きないと思います。

 私、唯一この法案で価値があるのは、今回、工業以外にも広がって、ロードサイドにうちの地元もいっぱい優良農地があります。そこは今、ぽつぽつ転用が進んで、私の市内では内原というところに我が元代表の系列の会社のでっかいショッピングセンターがあって、ずらっと、北関東はどこも国道沿いはそうなんですけれども、ロードサイドのチェーン店がぽつぽつ並んでいる。十軒に一軒はパチンコ屋のネオンが輝いていて、その隣にはサラ金のディスペンサーがあるというのがずっとこの北関東は連なっているんですよ。

 私のところにいろいろな陳情がありますよ、農地転用できないか、農振地域で外せないかと。そういう人にとってみたらこれはメリットがあるんです。そこをエリアで市町村に指定してもらって、さまざまな商業、パチンコ屋さん、そういうのが入っていって農地転用が早く進むというのはメリットがあって、結局、見てみると、魅力はそこしかないんじゃないか。先ほど篠原先生の話にもあったように、この法律ができて進むのは何かといえば、国道沿いなどの優良農地がロードサイド店に化けていく、それにしかならないんじゃないかという気がしているんですよ。

 今までの法律は、農地法の規定の許可その他の処分が「迅速に行われる」ような適切な配慮をするというのが法第十三条にあります。今回、法十七条では、農地法の規定による許可その他の処分が「円滑に行われる」適切な配慮、「迅速」が「円滑に」に変わっていますが、変わったことによる法的な効果は何でしょうか。

鍜治政府参考人 お答えの前に一点だけ。

 低利融資でございますが、現行の企業立地法でも四千六百件、三千五百億円の実績がございまして、実は、二十年間、超長期のお金を出せます。これはやはり、なかなか地銀さん等でも厳しい現状がございまして、低利融資制度も使いようによってはまだ公的支援の余地もございます。

 その上で、申しわけございません、今の御質問でございますが、現行の企業立地促進法の配慮規定というのは、農地法による処分の迅速化ということでございまして、具体的には、四ヘクタールを超える転用許可の際に地方農政局による事前審査というのがこれまで必要とされていたわけでございますが、これを省略化させることによりまして、手続そのもののスピードアップを図る、こういうのが企業立地法の配慮規定でございます。

 それに対しまして、今般の地域未来投資促進法案の配慮規定は、農地法等の処分に際する施設の整備の円滑化の配慮ということでございまして、具体的には、市町村が策定する土地利用調整計画におきまして、農地転用等の土地利用調整が行われる区域を記載し、都道府県知事から農地の効率的な利用に支障がないとして同意を得た場合に、当該区域内の地域経済牽引事業に関する施設を配慮規定の対象といたしまして、この法案が成立した後、農地法の施行令、農振法施行令の両方につきまして農水省の方で政令改正を行っていただき、他の地域整備法と同様に、優良農地の確保を前提として、農用地区域からの除外あるいは農地転用を可能とする措置がなされるというふうに承知をしてございます。

福島委員 優良農地の確保を前提としてと言いますけれども、法律上その保証がないんです。

 農林水産省にお聞きしますが、政令で配慮される措置の対象にするということですけれども、今までどういう法律がこの配慮の対象になっているんでしょうか。

新井政府参考人 今回の地域未来投資促進法案と同様のものといたしまして、我々が所管しております農工法、それからいわゆるリゾート法、それから多極分散法及び地方拠点法が該当します。

福島委員 ありがとうございます。

 それぞれの法律にどのような条文があるかというと、農工法は、法目的に、「農業構造の改善を促進」、「農業と工業等との均衡ある発展を図る」という目標があります。リゾート法には、基本方針の中に、「農林漁業の健全な発展との調和」というものがあります。多極分散型国土形成法には、第六条の地方の振興に関する施策のところに、「地域の特性に即した農林漁業その他の産業の振興」ということがあります。地方拠点地域整備法には、「農山漁村の整備の促進及び農林漁業の健全な発展」というふうにあります。

 全部これは、これまでこの配慮規定が置かれたのは、法律の本文上に農村の、あるいは農業の振興というのが目的としてある法律だからこそ、この条文に入っているんですよ。

 その根拠は、この政令の最後の五項にバスケットクローズがありまして、「その他地域の農業の振興に関する地方公共団体の計画に従つて行われるもの」というのがあって、農業の振興をするために、それが条件として農地の転用のさまざまな配慮をするというのがこれまでの規定で、残念ながら、この法律にはそうした規定というのは全然ないんですよ。

 だからこそ、先ほど篠原さんが言った条文修正にもなるし、今までの法律にもこれは入ったっていいはずなのに入っていないのは、法目的に農林漁業の振興とかそういうものが入っていないからなんです。今まで、それが入っている法律にしか農地転用の配慮の規定というのはないんです。だから我々は条文の修正をすべきだと言っているのに、それを受けないということは、逆に言えば、農林漁業の振興ということを配慮しないということを言っているに等しいんですよ。

 だからこそ、私は、農林漁業への配慮という規定を条文として入れるべきだと考えますけれども、いかがお考えでしょうか。

世耕国務大臣 土地利用の調整に係る配慮事項として、委員は、例えば、農業の効率的な利用に支障が生じないようにすることなどを法律上明記する趣旨の修正案を御党は提示をされていると承知をしております。

 まさに、この法案においては、農林水産省とも連携をして、国が策定する基本方針等によって、農業上の土地利用の調整のための仕組みを導入することにより、優良農地の確保が図れるようにしているわけであります。

 今後、この法施行に際して、優良農地の確保は重要であると考えており、これはもう明確に御答弁しておきたいと思います。

 そして、福島委員の提示された修正案の趣旨については、趣旨としては政府の考え方と同じ問題意識だというふうに認識をしておりまして、国が策定する基本方針の中で具体的に明確化をしていきたいというふうに思います。

福島委員 私が申し上げているのはそういうことじゃなくて、農地法とか農振法上の特例をなぜ法律の条文上これまで規定したかといったら、その特例を受ける法律自体に農業の振興という目的があったり、農業と工業の両方の調和というのがあって、その上で優良農地の確保が図られるわけです。その根拠となる言葉がない法律で優良農地を守るといったって、それをやる法的根拠は何もないんですよ。

 だからこそ、今まで、そうした農業とかそういうものの振興の目的がない法律では、農地法や農振法の特例措置という条文は、農林水産省、なかったんじゃないですか。今まで、こうした農業の振興とかそういうのが目的規定にないもので、農振法や農地法の特例措置が入った条文はあるんですか。お答えください。

新井政府参考人 目的というところでいいますと、必ずしもそれは明らかでありませんが、地域未来投資促進法案におきましても、農工法と同様に、都道府県等が定めます基本計画及び市町村が定める土地利用調整計画は、農業振興地域整備計画との調和が図られたものでなければならないと規定されております。

 これに加えまして、地域未来投資促進法案におきましては、国が定める基本方針において、土地利用の調整につきまして、先ほどから御説明しておりますような、篠原先生に対して御答弁いたしましたような、既存の造成地で遊休地があればその活用を優先するとか、農業上の効率的な利用に支障が生じないようにするといったこと等を基本方針に規定した上で、都道府県等が定める基本計画、市町村が定める土地利用調整計画等から成る土地利用調整の仕組みが設けられるということになっておりますので、このようなことにしたいと考えているところでございます。

福島委員 農林水産省として寂しい答弁ですね。

 まさに、調和が図られるわけですよ。ですから、ほかの法律は、リゾート法であればリゾート開発と農業の発展、農工法であれば農業と工業の発展、そういうふうに、ほかのものと農業の調和がとれるような観点から調整を行うという規定が法律上ちゃんとあるわけですよ。それがないのは、今回、この法律が初めてですよ。

 結局、今回の法律は、ここしか法律事項として重要なことはないわけですよ。いろいろ四の五の、きらきらネームをつくって、何か、さも地域活性化のために役立つようなふりをしておりますが、実際は、使われるのは、ロードサイド店の出店の進出のために使われるだけの、ほとんど意味のない地域振興法になると思います。

 僕らは、若いころ、そういう政策を何とか変えようと省内で頑張ってきたんですよ、齋藤健さんなどとともに。政治家になって十五年たってこういう法律がまた出てきたことが、私は寂しくてたまりません。そのことを最後に申し上げまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 鬼の福島さんの後に仏の鈴木義弘が出てまいりましたので、ぜひお願いをしたいと思います。

 日本の経済成長をイノベーションに基づいたものに切りかえる必要があると言われて久しいんですけれども、そしてそれは、政府による産業政策が有効であるということが長く言い続けられてきたんだそうです。しかし、三十年以上にもわたるイノベーション政策の効果が必ずしも明らかになっていないんです。いまだにイノベーション、イノベーションと。

 日本経済の長期停滞状況を払拭するようなイノベーションに基づく経済成長のシステムはいまだ確立されておらず、現在進行中のアベノミクスにおいても、イノベーションが政策の大きな課題になっているんだと思うんです。その辺を、まず初めに大臣に御所見を伺いたいと思います。

世耕国務大臣 イノベーションに関しては、ずっと長らく、いろいろな政策に取り組んできているわけであります。

 必ずしも全部が全く無駄になっているわけではなくて、やはり、実を結んでいるものもあるからこそ、今、日本経済はそれなりに立っていられるわけでありまして、そういう意味では、特にこれから大きな潮目がやってまいります。インターネットのあり方もがらっと変わってきて、IoTという形になってくる、人工知能がこれからどんどんどんどんいよいよ活用されるようになってくるという中で、このイノベーションの手を緩めることはできない。

 引き続き、国がイノベーションの旗を振り続けて、でも、最終的には民が主導でその中から新たな技術、新たなビジネスを生み出してもらうことが重要だというふうに考えております。

鈴木(義)委員 要するに、具体的な答弁をいただいていないということは、ほとんど検証していないということなんですけれども、企業立地法の改正に伴って、どういう理念でこの法律の改正をしていくかということで、これから幾つか質問をしていきたいと思います。

 今まで実施されてきたイノベーション促進のための産業政策を検討した記事を目にしたんです。

 まず一つ目、産業クラスター政策。

 産業クラスター計画は二〇二〇年までの三期二十年間の長期計画であり、第一期、二〇〇一年から二〇〇五年、産業クラスターの基礎となる、顔の見えるネットワークを形成する。第二期、二〇〇六年から二〇一〇年、引き続きネットワークの形成を進めるとともに、具体的な事業を展開し、企業の経営革新、ベンチャーの創出を進推する。第三期、二〇一一年から二〇二〇年、それまでの事業を継続するとともに、産業クラスター活動の財政面の自立化を図り、産業クラスターの自律的な発展を目指すとされているんです。でもしかし、最初に立地しようとするインセンティブがないため、補助金を与えて誘導しているんです。

 二つ目、研究開発投資への補助。これも今までずっといろいろな形でやってきたと思います。

 集積経済のある場合の企業の立地決定と同様に、研究開発投資も大きな外部性を持つことが知られています。重要なイノベーションには、さらに他の企業や研究者によるイノベーションを生み出す効果があるため、イノベーションの社会的収益が個々の企業の私的収益を大きく上回ることになる。結果として、民間による研究開発投資は不足がちなので、政府は、補助金を給付することによって適切な規模により近い研究開発投資を促進することができるということでやってきたんだそうです。

 先ほど前任者も、幾つかの法律を例示されて、どうなっているのというふうにお尋ねされたと思うんですけれども、要するに、ナショナルプロジェクトと言われたことを、名前を変えただけで、ほとんど、ちょっと味つけを変えただけで、変わっていないんです。

 それと三つ目、起業促進政策。

 日本の起業促進政策は中小企業政策の一部として行われてきた。中小企業政策は、伝統的には、中小企業は大企業に比べて取引や競争上の不利益を抱えているとの認識に基づいて、中小企業及びそこで働く労働者を保護することを目的とした社会政策として行われてきた。日本は、一九八〇年以降、イノベーションに基づく経済成長を実施するという考え方に基づいて、時にシリコンバレーを目標としながら多くの政策を試みてきたことがわかるというふうに述べているんです。

 問題は、こうした政策の有効性を評価し、その結果に従って政策を調整する試みが不足していたということです。

 先ほど、冒頭で大臣が答弁されましたように、うまくいった事例もあるんですよと。でも、うまくいっていないで、撤退しちゃってペンペン草が生えちゃっているとか牧草になっちゃっているとか、企業誘致したけれどもバブルがはじけちゃって全然来ないとか。

 埼玉県も同じです。十八年前、私が県会議員に当選した最初のころは、工業団地が売れないんです。何をやったかといったら、リースでもいいじゃないかと。その次何をやったか。商業施設でもいいじゃないかと。それが今の工業団地にあるんです。だから、最初のもくろみとは違っちゃっているのに、きちっと検証して次につなげていくということをしてこないんです。だから、うまくいかない。

 だから、今申し上げましたように、産業クラスター政策だとか研究開発投資補助、起業促進政策のどれをとっても、厳密な政策評価はほとんど行われていないという指摘をしているんです。

 再度大臣にお尋ねしたいと思うんですけれども、御所見と、その政策評価を今後きちっとしていくお考えがあるのか、お尋ねしたいと思います。

世耕国務大臣 今、イノベーション、そしていわゆる起業についてお尋ねでしたので、まずそこからお答えしたいと思いますけれども、やはり、日本経済成長の鍵はイノベーションの創出だ。その担い手となるベンチャー企業とか、新規創業を後押しする基盤となるための、まさにシリコンバレーのようなイノベーションのエコシステム、これを構築しようとして我々はチャレンジをしてきたわけであります。

 しかし、一方で、なかなか起業の意欲のある人が少ない。また、起業家も、起業、チャレンジ精神がやはりアメリカのベンチャーの人に比べると少し意欲が低いとか、あるいはイノベーション創出人材や支援人材の不足、要するに応援する人たちですね、あるいはベンチャー企業を支えるリスクマネーの不足、あるいは小規模な産学官連携などが不足しているとか、かなり多岐にわたる課題が存在をしておりまして、さまざまな制度を整備することでこの課題を解決する必要があるというふうに思っています。

 今まで、例えば、起業家教育ですとか表彰制度ですとかビジネスプランコンテストなどを通じて、起業に対する社会の意識改革、こういったこともチャレンジをしてまいりました。また、ノウハウ面での支援を行う創業支援事業者に対する支援ですとか、働き方改革を通じた生産性向上、産業競争力強化に資する人的資本の抜本強化、そしてベンチャー支援のための税制、創業促進のための補助金や研究開発型ベンチャーに対する事業面、資金面での支援、そして、産学官連携の拡大に向けたガイドラインの策定とその実効性の確保、こういったことに取り組んできましたし、これからも取り組んでいきたいというふうに思っています。

 また、先日、四月二十四日に開催しました、私とベンチャー企業、実際にやってきた人たちですね、そういう人たちとの懇談会では、我が国の、イノベーションを起こしていく上で、やはり、ベンチャー企業が果たす役割と今後のベンチャー政策のあり方、これについて、日本を代表する起業家やベンチャー投資家など、有識者の方々に御議論をいただき、これからも今後の政策立案に向けてさまざまなアドバイスをいただきたいというふうに思っています。もうずっとこれはチャレンジし続けるしかないというふうに思っています。

 実際に成功した人、あるいは今苦労している人、こういう人の声もしっかり聞きながら、日本から、シリコンバレーのような、起業家が次々と生まれるようなプラットホームが生まれるように、不断の努力をこれからも続けていきたいと思いますし、その上で、PDCAを回す。やはり、うまくいかなかった政策はやめていく、あるいは、ベンチャーの人から見て、経産省の政策としては格好いいかもしれないけれども、これは自分たちとしては全く使い勝手が悪いとかあるいは邪魔になるとか、そう政策があれば、それは勇気を持ってやめるということも必要だというふうに思っています。

鈴木(義)委員 もう一つ、米国のイノベーション発信基地のシリコンバレーが再び注目を浴びているんだそうです。

 日本の追いつき型経済政策が終わりに近づいて、イノベーションの重要性が認識され始めた一九八〇年代以降、シリコンバレーは繰り返し話題に上がり、日本版シリコンバレーの開発といったことも論じられてきたんですけれども、シリコンバレーのようなイノベーション型の経済システムが日本の一部に定着することはなかったと。

 一つの理由は、シリコンバレーで観察されるいろいろの特徴がそもそもどのような制度的基盤によっているものかということが十分に理解されず、そうした制度的基盤を日本で構築することが可能かどうか、可能だとするとどのような政策が有効かといった議論が真剣に行われてこなかったんじゃないかというふうに指摘しているんです。

 大臣が答弁されましたけれども、うまくいったところもあるし、うまくいかなかったところも。それを次のようにまた述べているんです。

 シリコンバレーの特徴として、一つ目は、大企業と小規模高成長スタートアップの存在だと。オープンイノベーションと秘密保持のバランス。成功したスタートアップの巨額な利益。資金とガバナンスの両方を提供するベンチャーキャピタル。企業の成長段階の全てに対応する優秀かつ多様な人材。流動性の高い労働力。トップクラスの大学。基礎科学と新技術の発展に対する政府の支援、これはやっているんでしょう。ビジネス基盤、例えば法律事務所、会計事務所、メンターとか。失敗を容認する文化、これも全然醸成されていません。企業成長に適した法律にまとめることができるとしているんです。

 こういうふうにきちっと項目立てをして、それができたかできないかというふうに検証していかなければならないと私も思うんです。

 また、この特徴を支えるものとして、六つの制度的要因を述べています。

 一つ、高リスクのベンチャーに資金を提供する金融システム。今の金融システムはほとんど銀行系のベンチャーキャピタルが主体になっているから、銀行の企業価値を逸脱するような投資の仕方というのは余り聞いたことがないんです。

 質が高く、多様で、流動性の高い人材を供給する労働市場。高度プロフェッショナル何とかといってやっていますけれども、実際どれだけの人が流動化しているのか。

 革新的なアイデア、製品、ビジネスを絶え間なく創出する産学官の共同。これも、東京を含めた首都圏とかある程度の大きな都市部のところはいいけれども、地方の大学、専門学校、高等専門学校も含めて、そこで持っている技術が地域に行かないんです。そういう仕組みはつくってきていない。

 既存大企業と小規模スタートアップがともに成長する産業組織。

 起業家精神を促進する社会規範。

 スタートアップの設立と成長を支える専門家群を考えることができるとしているんです。

 そこで、日本との違いを述べているんです。

 スタートアップへの資金提供では、銀行及び銀行系のベンチャーキャピタルが最近までは主流だった。今述べたとおりです。高スキルの人的資本の流動性が低い。企業が抱えちゃうということです。起業家の数は少数で、失敗したら二度とチャンスがない。日本にも大企業とスタートアップの両方が存在するんですけれども、大企業は自前で研究開発を行いたい場合が多くて、スタートアップとの協業や社外のよりすぐれた技術を取得することに余り興味がないと言っているんです。

 全部自前でやろうとする。だから、ベンチャーでいい技術を持ってぽっと起きた会社を、一緒にパートナーとしてやるという社会的な風土がない。そういう醸成をされていないで、企業立地法だけをつくって、そこに、まあ製造業以外のものもいいでしょうというふうにやったとしても、結局、田んぼの真ん中にぽつんと何かができたからといったって、大学もなければ人もいない。それではやはり、今までの企業立地法と今回の改正がどれだけ考えが違うのかといっても、今並べたようなこともきちっとクリアした中でこの企業立地法の改正に臨んでいるというんだったら、その事例を示してもらいたいんです。

 だから、日本経済が成長を続けていくためには、先ほどからくどく言うように、イノベーション型の経済に移行していくしかないというのは、大臣がおっしゃるとおりです。でも、制度的基盤を整えることに焦点を置くべきだというふうに述べているんです。ハード的な整備もさることながら、ソフト的なものを議論するのを全然聞いたことがない。

 大臣の御決意をまずお聞かせいただきたいと思います。

世耕国務大臣 まさに、今のシリコンバレーの要因、それと、日本にあるもの、ないもの、これは私ももうよくわかっていますし、経産省もよくわかっていると思います。そういう中で、シリコンバレーに追いつけ追い越せという意気込みでいろいろな課題を解決してきたわけであります。そういう中で、例えば、国の支援というのは大分手厚くなったと思います。開業、これもかなりやりやすい手続にしてきていると思います。いろいろな改善はやってきているんです。

 ただ、日本でなぜシリコンバレーのようなものができないか。今ずらっと要因をおっしゃいました。やはり最後は人のところだというふうに思います。

 大学生は、全員同じ時期に、みんなで就職活動して就職するわけですよね。アメリカは、はっきり言って、いきなり卒業したときに、あるいは、もう在学中に起業をする人がいっぱいいます。あるいは就職先も、いい大学の学生は大企業を目指すんじゃなくて、ベンチャー企業にいきなり就職をして、そこで経験を積んでからまた自分で起業する。そういう人生が当たり前になっているわけです。失敗した人が認められるだけではなくて、社会人としての人生をスタートするところから、もうベンチャー精神にあふれたチャレンジが行われている。

 それに比べて日本は、一旦全員ザ・サラリーマンになっていって、そのサラリーマンの人たちがみんな偉くなっていって、銀行経営者であったり、そこからベンチャーキャピタルが生まれているから、なかなかリスクをとってちゃんと投資をしてくれるベンチャーキャピタルが出てこないとか、そういう、人の問題が最終的に、人の問題というか、もう一歩踏み込むと精神の問題というところが、寄らば大樹の精神が非常に強いんじゃないかという気がしております。

 ただ、これはもう、これからも不断のチャレンジをやっていきたいと思いますし、こういう、日本の中でも、やはり、立派にゼロから企業を立ち上げて成功している人も出てきていますから、そういう人たちを今の大学生なんかにもよく見てもらって、それで、もう今の大学生は就職して一生同じ会社に勤めようなんて思っていませんから、もうそんなことができると思っていませんから、これからだんだん社会の、そういう人の面での変革は起こってくるんじゃないかなというふうに思っています。

 今度の法律について申し上げると、もう我々はハード整備で地域の活性化ができるなんてことは思っていません。工業団地も、福島を除けば、新たに工業団地の造成なんてことはもう一切行っていない。これからはやはりソフト面での支援が非常に重要だというふうに思っています。

 今回の未来投資を促進するこの法律は、まさにその精神にのっとって、ソフト面での支援をしっかりと重視をしてやってまいりたいというふうに思っております。

鈴木(義)委員 大臣、私が並べたものは受け売りの話なので。

 今答弁の中で、経産省もよくわかっているということであれば、きちっとそれを見える化をすることによって、これから起業家をしようというふうに意気込みを持つ人がふえていくようなものも経産省が情報発信していかなくちゃいけないんじゃないかと思います。

 ただ、大学生というのは意外といろいろなことを考えていて、どうすれば楽に人生を過ごしていかれるかという人が大半じゃないかなというふうに思うんです。国会に来る途中、いつも電車に乗って私通うんですけれども、ほとんどの人がスマホを持っていて、中には何かやっている人もいますけれども、ほとんどゲームをやっている人ばかり。本を読んでいる人は本当の少数です。そういう社会の状況の中で起業家精神が生まれていくかといったときに、日本は先進国の中で二十代の起業家が極端に低い国だというふうに言われている。だから、大臣が旗を振るのであれば、そこのところを文科省だとかいろいろ。

 それとあと、あした本会議で質問に立つ予定なんですけれども、信用保証協会の関係で、お金を貸すといったときに、やはり目きき力をどう育てていくかということと、どの技術が将来伸びるかというのを見定めるのも目きき力なんです。それを育てるような社会システムだとか、国の制度としてもやはりまだまだでき上がっていないんだと思うんです。そこに力点を置くような形をとってやらないと、今述べさせていただいたシリコンバレーのもの、もう御案内だというふうにおっしゃられましたけれども、それをクリアするような方策が生み出されないんじゃないかというふうに思います。

 次に質問を移ります。

 「市町村間の補助金競争が企業集積に与える影響」と題した論文を目にしたんです。

 近年、各市町村は、税収増加、公共サービスの供給の向上、産業基盤の整備やインフラの充実、生産、所得、雇用、人口の増加を目的に、企業誘致のための優遇措置政策を実施している。しかし、こうした優遇措置政策は、企業が地域間を移動するだけで、国あるいは都道府県レベルでは何ら便益をもたらさない可能性があるというふうな指摘なんです。

 本研究では、各市町村が実施している企業立地優遇措置政策が企業集積に与える影響について、理論及び実証分析を行ったというものです。

 理論分析の結果、企業誘致を目的とした政策の実施は、囚人のジレンマを引き起こし、各市町村が協調して政策を実施する場合よりも低い社会属性しかもたらさない可能性があるというふうに示しているんです。一方、企業立地優遇措置政策や都市属性が企業の立地選択の決定要因の一つであることが示されています。

 また、シミュレーション分析によって、全ての市町村が政策を導入しない場合と現状の企業集積の状況を比較することで、産業立地優遇政策の評価を行った結果、企業立地優遇政策の実施は、市町村間の補助金競争を引き起こし、都道府県内の企業集積にはほとんど貢献していないというふうに示しているんです。あるいは、企業集積が阻害されている都道府県が確認されたというふうに報告をしています。わかりやすい言葉で言えば、ゼロサムゲームになっちゃっているんじゃないかということなんです。

 だから、今回の企業立地法の改正をすることによって少し門戸を広げるような形をとるんですけれども、この論文に示しているようなことが今までずっと行われてきたんです。

 次に、時間がないからもう一つ申し上げますけれども、例えば、御案内のとおり、企業誘致は、各県、市町村と、自治体が補助金や融資制度を創設して、しのぎを削っているのが今の現状です。補助金もまちまちで、制度融資もばらばら。しかし、共通しているのは、企業が廃業したり撤退したときの条件が見当たらないことなんです。

 三重県が誘致したシャープに撤退した後も補助金を払い続けていると聞きます。間違いないと思うんです。

 企業誘致をして、その後、何年もたたずに廃業や撤退した場合、補助金を返還できる制度が確立していない自治体が数多く見られます。これはおかしくないかなというふうに私は思うんです。

 おいでおいでしたときには、お金を出しますよ、固定資産税減免を五年間やりますよと言いながら、六年目で撤退すれば、何の恩恵もその市町村、県にはないんだ。それで、一生懸命、補助金を何十億も出すから来てくれというふうにやっていながら、最大手のシャープが撤退をする。

 こういうことがあるんですけれども、補助金返還請求の対象となっている案件がどのぐらいあって、額は幾らぐらいになるのか。法改正しても自治体の自己責任ですか。これからもゼロサムゲームを続けていくのか。先ほどの質問とあわせてお尋ねしたいと思います。

鍜治政府参考人 お答えいたします。

 最初の、研究論文の件でございます。

 多分同じものを私どもも入手して拝見した次第でございますが、市町村による企業立地優遇政策と同一都道府県内での製造業の事業所が、その立地優遇策との関係でどういうふうに市町村間で偏りが出るかというものをゲーム理論等を使ってシミュレーションをした、非常にユニークな研究成果だと承知いたします。

 他方で、実際の企業立地でございますけれども、これは、同一都道府県内の企業集中度だけではなくて、都道府県をまたぐ企業の移転、あるいは企業間ネットワーク、さまざまな側面から企業立地というのは実際なされるというふうに承知してございます。

 したがいまして、今回の未来投資促進法案につきましては、資金的なインセンティブも一つの材料ではございますが、それ以外に、先ほど来御議論がございます人的資源に対する支援、あるいは規制の改革、さまざまなデータの利活用といったお金の点、プラス、ソフトな支援、そのパッケージ、こういうことで今般法案を組成したところでございます。

 それから、既に出した自治体が、その優遇制度について、例えば企業撤退をしてしまったときにこれはどうなるのかという御指摘でございます。

 各自治体も非常にきめ細かく補助金制度等々をお持ちでいらっしゃいますので、その全体像、特にその撤退時のメカニズムまで正確に承知はしてございませんけれども、例えば大企業の話で申し上げますと、現行の企業立地法で、計画承認段階で百億円以上の投資をするというプランがこれまでの中で百十計画認定をしたというふうに、自治体さんが認定したわけでございますが、この中の百八の計画はいまだに事業継続中というふうに聞いておりまして、大企業などが、補助金をもらって出るけれども、急に撤退してしまうというのはもちろんゼロではないとは思いますし、そういう御事情が地域によってはおありになるとは思いますけれども、全体としては、これまでの企業立地法上の支援策は、一定の継続性についての効果も満たしているかと思います。

 その点も踏まえまして、今般の地域未来投資促進法案におきましては、計画段階でそもそも地域経済牽引事業の要件をしっかり事前にチェックするとともに、事後につきましては、新たに設けました規定に基づきまして、私ども政府といたしましても、個別の自治体から運用状況をしっかり報告を承る、PDCAを回していくということで、さらに精度の高い企業立地支援を行ってまいりたいと考えております。

鈴木(義)委員 法律がスタートするときに当たって、ある研究所のスタッフが企業誘致に幾つかの提言を述べているんです。

 企業誘致をしたりセクターをつくったりしたときに、継続的にずっと繁栄していくような形をとっている一つの事例として、主体的で自立した自治体は戦略型企業誘致を実践しているということなんです。自分の町、私たちの地域の何が強みで、何を目指していく市町村にするのかというのをきちっと捉えているところほど、そこに出てくる企業とうまくいって、それを主体にして少しずつ枝を出していって、何十年か続いてうまくいく。それでうまくいっているのは、やはりシリコンバレーなんだと思うんです。

 ソフトの部分での、その制度として、やっていることは違っても、考え方のベーシックなところの制度としては、やはりそれがきちっと確立されているから、次々に新しいものが生み出していかれるんだと思うんです。それが本来の企業立地の最終形に私はなっていくんじゃないかと思うんです。

 そこで何をつくるということよりも、そこでクラスターをつくることによって、将来的にまた、違うものをつくったとしても、それが企業の製品になり、商品になっていくものになれば、そこの地域は企業が撤退するということはないんだと思うんですけれども、事業認可を与えたり計画を承認するに当たって、やはりそこの戦略的企業誘致というところをきちっと市町村が出すような行政指導なり都道府県にアドバイスをしていかないと、結局、撤退された後で、赤字をこいたよとか、税収が入ってこない。

 シャープが立地した三重県の市なんかは、撤退したことによって、雇用はなくなる、保育園も学校も何もみんな余っちゃう、その人たちはどうする、税収は上がらない、こうなっちゃっているわけです。それでは行政サービスを担っている市町村はたまったものじゃありませんから、チェックをする段階で、やはりきちっとそこは、制約というんですか、条件を付していかなくちゃいけないと思うんですけれども、その点のお考えをお聞きしたいと思います。

世耕国務大臣 今委員おっしゃるように、やはり、こういう企業誘致とかそういったことが成功するかどうかというのは、その自治体の性根の入り方というか、どれだけ真剣に自分の地域の現状と向き合って、そして、その利点、メリット、デメリットをしっかり分析して、こういう企業に来てもらえば非常にうまくいくということを本当に性根を入れて考えているかどうかだというふうに思います。

 今、そのためのツールとしてRESASというのも、今までそういうデータはなかなかなかったわけですけれども、かなりきめ細やかないろいろなデータもとれるようになっています。

 これから我々は、当然、事業計画の認定というのをやっていくわけですけれども、そのときにはやはり、それだけ性根を入れてきちっと考えた事業計画なのかどうかというのは、こちらも相当な覚悟を持ってチェックをしていきたい。少なくとも、先ほども金太郎あめというお話がありましたが、どこかのものをそのまま丸々持ってきたとか、何でもいいから企業来てくださいみたいな事業計画は認定しないようにしていきたいというふうに思います。

鈴木(義)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、ぜひ、PDCAサイクルというふうに大臣が口に出しておっしゃられるので、これからもきちっと、一つの政策を打ち出したときに、三年なり五年なりで、時間が来たときにはちゃんと検証していって、いいことは続けるし、だめだったところは直すし、もうこれは時代の役割が終わったなといったらやめていく、その決断ができるかどうかが日本の繁栄につながっていくと思いますので、ぜひ御検討いただければと思います。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、真島省三君。

真島委員 日本共産党の真島省三です。

 企業立地促進法改正案について質問します。

 法案では、名称を、企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律から、地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律に変え、産業集積という具体的な目的を削除し、成長発展という曖昧な文言に変えています。

 産業集積支援策の経緯というのをちょっと振り返りたいんですが、先ほど篠原委員の資料には、一九六〇年代後半から八〇年代にかけて、企業の地方分散立地や工場の再配置促進を目的にした法律がつくられてきたということが資料として出ていましたが、この同じ時期に、中小企業中心の産業集積支援策というのがつくられています。

 七〇年代半ばから第一次石油危機の後、それぞれの産地が抱える構造的問題を解決しながら、産地の発展や地域の振興を図ることを目的に、伝統的工芸品産業の振興に関する法律、特定不況地域中小企業対策臨時措置法、産地中小企業対策臨時措置法と、相次いで法整備が行われました。

 一九八六年の円高不況の後、内需主導型経済への転換のために、新事業転換法や特定地域法により、不況の影響が大きかった地域に対する支援が行われ、一九九二年にこの二法が集積活性化法に統合されて、中小企業の集積が事業活動や新分野への進出などの取り組みの基盤となるものだと積極的な位置づけがされました。さらに、一九九七年、集積活性化法を発展させた特定産業集積の活性化に関する臨時措置法が制定されまして、基盤技術型のものづくり産業集積を支援対象に追加しました。

 プラザ合意後の急激な円高で大企業が生産拠点を海外に移転させ、海外からの製品、部品の輸入の急増が地場産業や基盤的技術産業集積を直撃して、産業空洞化が国内産業を崩壊させかねないという強い危機感から、産業集積支援策が拡充強化されました。

 そして、現行の企業立地促進法は、十年の時限立法だった地域産業集積活性化法の産業集積の支援に企業立地支援を追加して、二〇〇七年に制定をされました。

 大体、おおむねこういうことでよろしいでしょうか。繰り返さないで結構ですから、確認だけです。

鍜治政府参考人 御指摘のとおり、産業集積立法の流れといたしまして、委員御指摘の、産地の中小企業の振興を主な狙いとした法案、今委員がるる御指摘いただいた法律がございます。

 それから、これまでの御議論でも出ておりました工配法でございますとかテクノポリス法、頭脳立地法と言われます、いわゆる主要産業あるいはハイテク産業を都会から地域に誘導する誘導型の集積活性化法の体系もございまして、ある意味、この二つを受けた形で現行の企業立地法が制定されているところでございます。

真島委員 我が党は、現行の企業立地法に三つの理由で反対をしました。

 企業誘致補助金の積み上げ競争、呼び込み合戦を過熱させる。自動車や電機産業など、多国籍企業のための過大なインフラの開発整備を推進してしまう。立地企業に地方税減税、設備償却、金融面等、優遇措置を講ずる一方で、地場産業や中小町工場のものづくり支援策の廃止で中小企業中心の産業集積支援策が後退してしまうという理由です。

 産構審報告書でも、現行法は地域経済への波及効果が十分でなかったと評価しておりますけれども、工業統計調査で、二〇〇五年から最新の確報というのは、二〇一四年までしか私は見つけ切れなかったんですが、二〇一四年の主要項目の推移はどうなっているでしょうか。

鍜治政府参考人 お答えいたします。

 工業統計調査の主要事項でございますが、事業所数は、二〇〇五年が十三万三千六百二十一、十三万強でございます。それが九年後の二〇一四年で十一万九千ということで、約一〇%減。従業者数は、二〇〇五年の七百三十万五千人から二〇一四年で六百八十九万三千人ということで、五%減。製造品出荷額につきましては、二〇〇五年の二百八十六兆六百億円から二〇一四年の二百九十八兆二千八百億円と四%の増加。付加価値額につきましては、二〇〇五年の九十九兆円強から二〇一四年の八十九兆円強ということで、約一〇%の減少。こうなっております。

真島委員 この企業立地促進法、全国で百九十一計画が策定されて、三千五百七十七件の企業立地計画、二千五十五件の事業高度化計画を承認されたにもかかわらず、日本全体でどうだったかというと、今御紹介ありましたように、工業統計調査、主要項目の推移、事業所数はマイナス一〇・五八%、従業員数はマイナス五・六三%、製造品出荷額等はプラスですが、四・二七%プラス、付加価値額はマイナス一〇%。

 この間、これまでも話がありましたが、地方では、誘致企業撤退をめぐって、補助金返還を求める事案も発生しております。補助金の支給方法の見直しや返還ルール策定など、条例や補助要綱の見直しも進められてきました。呼び込み型の地域経済振興策、失敗は明らかだと思うんです。

 さて、二〇一五年度版産地概況調査によりますと、全国に産地が五百七十八ある。その調査に回答した二百四十七産地だけでも、企業数一万三千社、従業員数十二万四千人と、それぞれの産地が地域を代表する地域経済の担い手になっている。

 産地というのは、同一の立地条件のもとで同一業種に属する製品を生産し、市場を広く全国や海外に求めて製品を販売している中小企業集団というふうに説明してありますけれども、大臣は、産地が地域経済に大事な役割を果たしているというふうに思われますでしょうか。

世耕国務大臣 御指摘のように、我が国には、一宮の毛織物あるいは燕三条の金属加工品など、地場産業が集積しているいわゆる産地と言われるものが数多く存在しています。これらはいずれも、地域における雇用を支えるとともに、付加価値の源泉となっているわけでありまして、地域経済にとっての不可欠の存在として認識をしております。

 したがって、現行の企業立地促進法では、地域における産業集積の形成及び活性化のために自治体が行う取り組みを支援してきたわけでありますけれども、企業立地や雇用の創出が一定程度進んだ一方で、付加価値増加率の実績値がマイナスになるなど、地域経済に対する波及効果が十分ではなかった。

 そしてまた、製造業支援が中心であり、サービス業など非製造業向けの支援が十分でなかったということで、こういった課題を克服するために、地域未来投資促進法案では、産業集積に加えて、観光資源など地域の特性を生かして行われて、地域経済への波及効果が高い事業を、人、物、金、情報、規制改革などの施策パッケージにより集中的に支援をしていくことにしております。

真島委員 大臣も産地が地域経済に果たす大事な役割をお認めになりましたが、本法案がその産地の発展に役立つかどうかというのは、この後触れていきたいと思います。

 では、現行の企業立地促進法以外に、経産省の法律で、産業集積を定義づけて具体的に支援していくという法律はあるでしょうか。

世耕国務大臣 経産省の現行法令で、産業集積を法律上定義づけて、その形成と活性化を支援しているのは企業立地促進法のみということになります。

 なお、産業集積は、引き続き、事業者相互間における効率的分業、情報共有、研究開発における連携などを通じて地域経済の活性化に大きな役割を果たしているものと認識をしておりまして、地域未来投資促進法案においても、地域経済牽引事業の促進に当たって、活用すべき地域の特性の一つとして掲げているところであります。

真島委員 本法案では、名称から産業集積が消えるだけではなくて、第一条「目的」でも、産業集積を支援し、地域経済の自律的発展を図ることから、地域経済牽引事業を支援し、地域の成長発展を図ることに変え、地域における産業集積をうたう現行法第二条「基本理念」は完全に削除されています。

 大臣に聞きますが、名称も目的も全く変わるのに、なぜ新法ではなく、現行法の改正なんでしょうか。

世耕国務大臣 現行の企業立地促進法は、企業立地の促進等によって地域における産業集積の形成、活発化を促して、地域経済の自律的発展の基盤の強化を図るためとして、自治体が行う主体的かつ計画的な取り組みを国が支援するための措置を講ずるものとして、累計で五千七百件以上の事業計画が承認され、実行されてきたところであります。

 今回の地域未来投資促進法案は、国が自治体の策定する基本計画に同意をし、自治体が地域の事業者による事業計画を承認し支援するという基本的なフレームワークを維持しながら、現行法で進めてきた産業集積の機能も十分活用しつつ、地域未来投資の促進を目指すものであります。

 いわば現行法の発展形との位置づけでありまして、地域産業政策の連続性の中で自治体の理解、協力を得ながら進めていく必要がありまして、形式的には企業立地促進法の改正法となっております。

 なお、産業集積という言葉は、この改正の形をとった法案の中でも、第一条「目的」の中にはしっかりと残っているということは申し上げておきたいと思います。

真島委員 現行法第一条「目的」の地域経済の自律的発展の強化、改正案第一条「目的」の地域の成長発展の基盤強化、これはそれぞれどういう意味でしょうか。

鍜治政府参考人 お答え申し上げます。

 現行法では、地域経済における産業集積によるいわゆる外部経済効果に着目をしてございまして、地方公共団体が行う産業集積の形成、活性化のための取り組みを支援することによりまして、その結果として、産業集積の外部経済効果に基づく地域経済の自律的発展基盤の強化を図る、そういう観点で、目的規定に地域経済の自律的発展の強化という言葉を記載させていただいてございます。

 特にここで自律的という言葉を使わせていただいておりますのは、それまでの法制は、国がこの業種この業種というのを割と指定いたしまして、それを地域展開するという国主導型の産業立地政策でございましたけれども、この企業立地促進法におきましては、各地域がみずからの責任、判断において計画をつくっていくというふうなスキームを採用したことから、特に、この段階で自律的発展ということを強調したと理解しております。

 他方、今般の地域未来投資促進法案でございますが、地方公共団体が地域経済牽引事業、これをまさに推進力として活用して、ここに対する支援を集中することによって、さまざまな分野、製造業以外、観光とかスポーツ、農林水産業活用型のものも含めまして、あるいはヘルスケアなども含めまして、持続的に今世紀に向けた成長発展基盤をつくっていただく、こういう意味合いを込めまして、目的規定の中で成長発展の基盤という文言を使わせていただいております。

 地域内で将来的な成長が期待されるさまざまな地域経済牽引事業というものを自治体の方でしっかりこれを見つけ出していただきまして、そこに対する集中支援を行っていただく、こういう意味合いを込めまして、目的規定の文言を修正してございます。

真島委員 冒頭に産業集積支援策の経緯を紹介したんですが、ずっと産業集積支援の政策があって、それに呼び込み型で企業立地促進ということを前回くっつけて、今度はいよいよ産業集積そのものが法案の中からなくなって、もう現行法の改正どころか、全く別物になっていると私は思うんです。

 では、地域経済牽引事業なるものは何なのか、条文に即して質問します。

 改正案第二条「定義」では、地域経済牽引事業とは、地域の特性を生かして高い付加価値を創出し、かつ、地域内の取引の拡大、受注機会の増大その他地域の事業者に対する相当の経済的効果を及ぼすことにより、地域における経済活動を牽引する事業とあります。

 現行法の基本方針では、少なくとも計画期間内に同付加価値がおおむね五%以上増加するような目標設定を行うことが適当だとされています。

 改正案第三条では、国が定める基本方針の中で地域経済牽引事業の促進の目標に関する事項を定めるとありますが、高い付加価値の創出や地域の事業者に対する相当の波及効果、この目安となる数値目標は掲げるんでしょうか。

鍜治政府参考人 高い付加価値の創出あるいは地域の事業者に対する相当の波及効果という概念につきましては、個別の自治体ごとがそれぞれの地域の経済実態を勘案して基本計画で定めることとしておりますので、一律の数値目標のようなものを国として設定することは考えていないわけでございますが、例えば高い付加価値の創出ということでございますと、例えば、地域の中で新しい企業が一つ立地する、そういうときに生まれる付加価値額というのはどういうものであろうかと。全国平均すればこれは約五千万円なわけでございますが、それぞれの、例えば東京と沖縄では大分格差もあると思います。

 そういうものを一つの目安として私ども基本方針でお示しをしまして、具体的な数値等につきましては、それぞれの自治体が御判断いただきたいと考えております。

 それから、地域の事業者に対する相当の波及効果につきましては、地元の取引の増加、地域の雇用や給与の増大、地域の事業者の売り上げの増大、こういった要素が構成要素になると考えておりました。それは基本方針で明確化したいと思います。

 それを具体的などの程度の水準にするかというのは、先ほど申しましたとおり、自治体の自律的な御判断ではないかと考えております。

真島委員 問題は、改正案が規定しているように高い付加価値を創出する企業を応援すれば、地域の事業者に対する相当の波及効果が生まれるのかという問題です。

 現行法でも、高い付加価値を創出する自動車や電機などの産業を誘致すれば地域経済が活性化すると至れり尽くせりの支援をしてきましたが、結果はどうでしょうか。賃金にも設備投資にも回されない、大企業の内部留保が一貫してふえ続け、昨年ついに三百八十六兆円に上る一方で、個人消費も中小企業の売り上げも低迷しております。大臣に所信質疑でも私明らかにしましたが、稼ぐ力のある大企業は栄えたが、地域経済に好循環は生まれていない。ここに日本経済の大問題があると思うんです。

 条文上は地域経済牽引事業の事業分野は限定されておりませんけれども、産構審の地域経済産業分科会報告書などでは、将来の市場規模拡大が見込まれる成長五分野に対象が限定されているかのような書きぶりになっています。成長分野以外は地域経済牽引事業に該当しないということでしょうか。

鍜治政府参考人 まさにこの法案、地域の特性を生かしたそれぞれの産業分野で地域独自のお取り組みをしていただくことによって地域経済を発展させていくというもくろみでございますので、産構審の報告書の分野に限定はされません。

 産構審報告書におきましては、先端的なものづくり分野、農林水産、地域商社の分野、第四次産業革命の分野、観光、スポーツ等の分野、ヘルスケア、教育サービスなどの分野、例示的に五分野を出させていただいておりまして、これは、特に政府等でもさまざまな需要予測を関係省庁で例示している分野ということもございまして、今回、産構審でも取り上げさせていただいておりますが、先般来の御指摘にもありますように、例えば新エネルギーなどにつきましても、当然、地域の強みを生かしていただければ対象分野になるというふうに承知しております。

真島委員 それではちょっとお聞きします。産地の問題です。

 日本のものづくり産業を支えている技術基盤の集積地、東京都大田区がありますが、ここは昔、図面を紙飛行機にして飛ばせば製品に仕上がって戻ってくると言われたほどでありましたけれども、一九八三年に九千百七十七者あった工場数は、二〇一四年には三千四百八十一者に減り、九万八千人の従業者数も三万人を切っております。

 しかし、大田区の町工場の受発注をよく見ますと、中堅企業が大企業を含む全国の企業から受注をし、仕事を区内の中小工場に回し、その高い技術力でつくられた高品質の製品、部材を全国に納品しております。まさに、中核企業が地域の中小企業を牽引して地域内に波及効果をもたらしている。これこそ産業集積の強みだと思うんです。

 もう一つ紹介したいのは、私の地元の福岡県大川市、室町時代以来四百六十年を超える伝統技術を持つ、日本一の家具産地です。大川市によりますと、家具生産額が一九九一年のピーク時と二〇一三年を比べますと約五分の一、事業所数が約六分の一、従業者数は約四分の一に激減しています。しかし、ここ数年、大川市の家具生産額は、わずかずつながら増加に転じております。

 聞きましたら、以前は安い輸入材を使って量産型の生産をしていたが、今は、国産材を使って付加価値の高い商品をつくって産地の再生を図ろうと懸命に努力しているということで、いろいろな努力をされておりました。地元の産官学一体で産地再生に取り組んでおられます。

 ものづくりの中核企業が中心となって区内の町工場を牽引している大田区のような事例も支援対象になるでしょうか。また、中核企業がそこになくても、大川市のような、地域一体の、産官学一体の産地再生の努力、この取り組みは支援対象になるでしょうか。

鍜治政府参考人 先ほど大臣も申し上げましたとおり、この法律の目的規定、新法の、法案の方の地域未来投資法案でございますが、地域における産業の集積、その他の地域の特性を生かした地域経済牽引事業の促進、こういうことでございまして、産業集積そのものは非常に重要な地域の特性だと認識を継続しております。

 したがいまして、大田区の、産業集積のお力を生かした地域経済牽引事業は、当然この法律の対象になり得ると考えますし、それから、地域経済牽引事業の担い手につきましては、もちろん、地域のまさに受注の源になる中核的な企業、これをターゲットに置きたいとは考えておりますけれども、そうじゃない形の、先ほど来御指摘のありましたベンチャー型の取り組みでありましたりとか、あるいは、地域の中小企業の方々が連携してお取り組みになることもこの法律上は一切排除してございませんので、地域経済牽引事業の法定要件を満たしていただければ支援対象になるということでございます。

真島委員 その地域経済牽引事業というのをどういうものを想定しているのかというのがなかなかよくわからないんですが、三月の未来投資会議で松村副大臣が、本年夏までに関係省庁一体で発掘し、約二千社の地域中核事業の候補を発表し、予算や税制、リスクマネー供給など施策を総動員し、今後三年間で約二千社を集中的に後押ししていきたいと発言しています。

 資本金一億円から十億円までの中堅企業約二万五千社の中から経産省が地域中核事業を選んでいくのか。それは、二〇一四年版中小企業白書にあるような、地域の取引関係の中心となり、他地域とも取引をつなげているコネクターハブ企業約三千六百社というイメージなんでしょうか。

世耕国務大臣 ちょっとこれは系統立って御説明させていただかなければいけませんが、今御指摘のように、資本金一億円から十億円の中堅企業、これが全国で二万五千社あります。これも非常に戦略的なマネジメントを行っていて、設備投資も活発で、成長力を有して、そして、地域における雇用創出や付加価値増加率においても大きなインパクト、これがまず中堅企業というくくりであります。

 そして、その中で、二〇一四年の中小企業白書において、地域の中で取引が集まっていて、そして、さらにそこがハブになって地域外とも取引を行っている企業、これをコネクターハブ企業として約三千六百社抽出をしています。

 そして、地域未来投資促進法案では、地域経済のバリューチェーンのかなめを担っている企業を地域経済牽引事業の中心的な担い手として着目をしています。

 この際、今申し上げた二万五千社の中堅企業や、あるいは三千六百社のコネクターハブ企業は、その有力な候補として期待をされるというふうに思います。

 今後さらに外部有識者も加えて、中堅企業や、あるいは中堅企業ではなくても、それ以外にも、成長が期待される、地域を牽引する企業を夏ごろを目途に二千社程度選定して公表して、この人たちにはまたいろいろな意味で頑張っていただきたいというふうに思っています。

 ただ、この法案に基づいて自治体が定める基本計画を踏まえた地域経済牽引事業計画の中心になる会社は、何も、この二千社ですとか、あるいはコネクターハブ企業の三千六百社に限っているわけではありません。

 中小・小規模事業者であっても、この法律の求めているような波及効果ですとか付加価値の増加、そういうことが見込まれる事業の中核になる企業があるのであれば、ぜひ応募をしていただきたいというふうに思っております。

真島委員 予算委員会で大臣が、地域中核企業を選んで、それが中心となって進めていく事業を地域経済牽引事業として国が認定し、あらゆる政策を総動員して応援していくというふうに答弁されているんです。

 だから、もう何かいろいろな発言を見ますと、中堅企業の中から、また、コネクターハブ企業の中に入っていない、その中じゃないと二千社選べないのかなという何かそういう説明しか伝わってこないんですけれども、第四条で、地方自治体がつくる基本計画は国が定める基本方針に基づいて作成するということになっていますので、国が、いわゆる地域中核企業、そういう企業をまず選んで、それがやる事業しかこれは実行できないというそういう仕組みなんでしょうか。

世耕国務大臣 それは誤解でありまして、御指摘の、国の定める基本方針は、自治体が基本計画を定める際の大枠を示すものであります。そうではありますけれども、具体的な基本計画の内容として、それぞれの地域のどういった特性を生かしてどのように地域経済を活性化させるかは、これは自治体自身の工夫と判断によるものになっています。さらに、支援対象とする地域経済牽引事業の選定も、自治体が自主的に行う制度となっています。

 ですから、国が選んだ地域中核企業が行う事業しか実行できないということにはなりません。それ以外であっても、法律の要件を満たしていれば事業を行うことができるので、ぜひ応募をいただきたいと思います。

真島委員 そういう説明は今までの国会のやりとりの中で全くなかったんです。いわゆるそういう牽引する企業を国が認定して、それがやる事業が地域経済牽引事業なんだというそういう説明しかずっとされてこなかったんです。

 それで、配付資料一、帝国データバンクが、同社が保有する七十万の企業情報からコネクターハブ企業三千六百二十一社を抽出して本社所在地別に示したもので、その基準は、域外販売額が域内仕入れ額の一・二倍以上、域内仕入れ額が総仕入れ額の五〇%以上、取引数十件以上。これを見ますと、東京九百七社、大阪府六百三十二社、愛知県三百十三社と三大都市圏が上位を占めて、例えば一番下位の沖縄県が二社、佐賀県が三社と、非常に大きな差があります。

 しかも、本法案では、国と地方があらゆる政策を総動員して応援するというその二千社、これは、三百八十一万者の中小企業の数と比べますと〇・〇五%です。

 地域未来投資案件として紹介されている事業を行っているのはどんな企業か。

 例えば、福島県会津若松市の市のテストベッド化とICTオフィス構築による産業集積に参画しているアクセンチュア株式会社。日本法人は資本金三億五千万円、従業員数約七千八百人ですが、アクセンチュア・グローバルグループは、売上高三百二十九億USドル、従業員数四十万一千人以上、拠点数は世界五十五カ国、二百都市以上という世界最大の経営コンサルティングファーム、フォーチュン・グローバル五百にも選ばれている多国籍企業です。

 また、福岡市の九州農水産物直販株式会社にJA宮崎経済連とともに出資している株式会社麻生やJR九州。JR九州は資本金百六十億円、従業員数約九千人の押しも押されぬ大企業ですが、株式会社麻生も資本金三十五億八千万円の大企業で、麻生グループは、社数八十四社、グループ総売上高二千五百六十八億円、グループ社員数一万六百五十四人、麻生泰会長は九経連会長で、御存じのように、麻生太郎財務大臣の弟さんです。

 こんな企業がもともともうかるからやっている事業なんですから、国があらゆる政策を総動員して応援しなくても、銀行もお金を貸してくれるし、自力でやれるんじゃないですか。だから、本当にそこが根本的に間違っていると私は思います。

 それでは、あらゆる政策資源を集中投入するという地域経済牽引事業支援策の中身について、土地利用の調整、施設整備の配慮について聞きます。

 現行法では、第十三条で、国または都道府県に対し、同意企業立地重点区域の土地に工場等を立てるために農地法に基づく許可申請等があった場合、円滑な企業立地に資するために、迅速に対応するよう配慮規定が定められております。この規定に基づいて、四ヘクタール以上の農地転用の際の手続、これが省略できることになっておりました。

 現行法の規定に基づいて農地に工場等が立地した件数、何件でしょうか。

鍜治政府参考人 現行法の企業立地法におきまして、農地転用許可の迅速化に関する記載は四十三ございました。

 この四十三の計画に基づきまして実際に農地転用を行ったというふうに私どもが取材をして認識しておりますのは、十六計画でございます。

真島委員 改正案の第十一条では、基本計画の対象区域内で、特に重点的に地域経済牽引事業の促進を図るべき区域を重点促進区域と定め、同区域での土地利用調整計画を作成し、都道府県知事の同意を求めることができるとしています。

 さらに十七条では、国及び都道府県知事に対し、承認地域経済牽引事業であって、同意土地利用調整計画に適合する事業用施設整備のために農地法、都市計画法などにより許可を求められた場合、整備が円滑に行われるように適切な配慮を義務づけております。

 現行制度の検証もないままに、地方への権限移譲により実際には効果を有しなくなった条文を、改正案では、土地の処分だけではなく、施設の整備まで配慮を求めるものに拡大強化されております。

 また、農村地域工業等導入促進法改正案でも、支援対象業種をこれまでの工業限定から産業に拡大して、農地法等による処分についての配慮規定を置いております。企業立地促進法改正案が製造業中心から非製造業まで対象業種を拡大するのとあわせて、農工法改正案でも、工業から産業に広く拡大するものになっている。

 現行法の十三条で、農地へ立地させる施設は、「工場若しくは事業場若しくはこれらの用に供するための工場用地若しくは業務用地又は研究開発のための施設若しくは研修施設に限る。」と用途を限定しておりますけれども、改正案は「地域経済牽引事業の用に供する施設」となっております。

 この施設の用途は何でもいいということでしょうか。

鍜治政府参考人 改正法案におきます配慮規定の対象施設につきましては、法律上は事業用の施設ということでございまして、工場といったような業種限定はございません。

 まさに、今般、製造業以外に幅広く御活用いただこうという観点で、この法律の仕組みの中で業種限定的な仕組みは入っていないわけでございますが、当然のことながら、これは地域経済牽引事業のための施設ということになるわけでございまして、この施設をそもそも設置するに当たりましては、具体的に、市町村が策定する土地利用調整計画の中で、対象区域や施設そのものにつきましても記載をしていただくことになっております。

 これらを、都道府県知事の同意を得た上で農地転用等の許可の手続に係らしめていくということでございますので、あらかじめの業種限定はございませんけれども、手続の中で、当然、当該施設の適切性について判断してまいることになっております。

真島委員 用途に制限はないということを認められました。

 さらに、きょうちょっと議論になりましたが、優良農地の転用が進んでいく危険があると思います。

 三月三十日、参議院農水委員会で農水省の佐藤農村振興局長は、地域未来投資促進法を受けて、政令等の改正によりまして、この法律に基づく取り組みにつきましては、第一種農地につきましても転用許可ができる方向で措置をするという考えだと答弁しています。

 配付資料二、これは四月三日の日本農業新聞が、一面トップで「優良農地 転用可能に」と報じました。翌日、参議院の農水委員会をやっているんですが、自民党の藤木眞也議員は、電話が殺到した、全く初耳だと発言をしています。

 第一種農地というのは、十ヘクタール以上の規模の一団の農地、土地改良事業等の対象となった農地等良好な営農条件を備えている農地で、二〇一三年十一月六日の衆議院農水委員会で農村振興局長は、集団的な優良農地ということで、食料供給の基盤として基本的に保全していくことが必要だと答えています。

 農水省に聞きますけれども、第一種農地の転用は原則不許可とされてきましたが、この原則を変えるために政令等をどう改正するんでしょうか。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 転用規制を定めた農地法第五条第二項というのがございますが、この中で、先生御指摘のとおり、第一種農地については、原則として転用許可ができないとされております。ただ、そのただし書きで、政令で定める相当の事由がある場合には許可をできるということとされておりまして、この政令で定める相当の事由として、農地法施行令の中で、農工法、地方拠点法等の地域の整備に関連する法律に基づく施設を整備する場合というのを列記をしているところでございます。

 地域未来投資促進法が成立した場合には、農地法施行令を改正し、この地域未来投資促進法に基づく、市町村が作成する土地利用調整計画に位置づけられた施設を整備する場合というのをこの列記に追加することによって、他の地域整備法と同様に、第一種農地における農地転用許可を可能とするという予定にしております。

 なお、地域未来投資促進法案においては、丁寧な土地利用調整を図るための計画制度を措置するということにより、優良農地の確保が図れるようにしております。

 具体的に申し上げますと、先ほど篠原先生の質疑の中にも御指摘がございましたが、経済産業大臣、農林水産大臣等が共同で策定する基本方針におきまして、土地利用調整について、農用地区域以外での開発を優先すること、あるいは、既存産業導入地区内に既に造成済みの遊休地があれば、その活用を優先すること等々を明確化する方向で考えております。

 そして、都道府県及び市町村が作成する基本計画については、今申し上げました国の基本方針に適合するものとして、農林水産大臣を含む主務大臣の同意が必要とし、さらに、市町村が作成する土地利用調整計画について、基本計画に適合するものとして都道府県知事の同意が必要ということとしております。

 したがって、この法案は、他の地域整備法と比べても、優良農地を確保するため、より丁寧な土地利用調整の仕組みが措置されていることから、農地転用について、現在と同等の、他の地域整備法と同様の取り扱いをするということが適切であるというふうに私どもは考えております。

真島委員 現行法の十三条による農地転用の手続省略規定の実績と効果というのをいまだ検証されていないんですよ。それなのに、土地利用調整区域に指定さえすれば第一種農地の転用が許可されるという新しい仕組みが入るわけです。条文上は、無秩序な転用は起こらないという根拠は何にもありません。

 農水省の農村における就業機会の拡大に関する検討会の二〇一六年三月の中間取りまとめでは、農工法が対象としている業種のあり方、農村地域に多く見られる閉鎖工場跡地や廃校となった学校跡地の有効活用を検討すべきとしています。

 同検討会の委員をしておりました、経産省の外郭団体、日本立地センターの徳増専務理事が、第六回検討会に出した意見文書でこう書いています。「農村地域工業等実施計画の策定にあたっての、土地調整等各種の調整に対するスピード化への配慮。」や「農村地域工業導入地区の工場跡地対策の必要性」、本法案の狙いそのものだと思うんですけれども、経産省がこの日本立地センターに委託した調査、二〇一四年度版地域経済産業活性化対策調査報告書にも、跡地利用を進めるためには、農地法や都市計画法による用地規制、財産処分手続の煩雑さなどがネックになる、そのほかにもさまざまな規制があると書いております。

 それら関係する許認可全てひっくるめて施設整備が円滑に行われるように配慮しようというのが改正法案の第十七条ではないんでしょうか。経産省。

鍜治政府参考人 先ほど来の御説明のとおりでございますが、地域経済牽引事業を行おうとする方の事業計画につきまして、土地利用調整計画という、市町村が主導的につくり、それで都道府県の同意を得た計画の中で、まさに計画的に優良農地の確保などに配慮しながら事業を行う場合に、当該の土地が農地であった場合に農地の転用を許可ならしめる、そういう仕組みをまさにやらさせていただいているわけでございまして、地域経済牽引事業を推進する上で、優良農地確保等の政策と整合的な形で地域の経済の発展を図るためのこの制度でございます。

真島委員 改正案の第十一条六項では、地域経済牽引事業を実施しようとする者は、土地利用計画の作成についての提案をすることができるとされています。

 これは、地方自治体に土地利用調整計画を作成するよう地域経済牽引事業者側が促すことができる、計画の中身にも具体的な提案ができるという意味でしょうか。簡潔に答えてください。イエスかノーかで。

鍜治政府参考人 本規定の趣旨につきましては、事業を行う者から土地利用調整計画の作成をしてはどうかという御提案をできるようにという、まさに事業環境整備の提案制度の一環でございまして、同様の考え方に基づく法案といたしましては、例えば農林漁業の健全発展と調和のとれた再生エネルギー電気促進法などにおきましても、同種の提案制度があると承知してございます。

真島委員 優良農地を転用可能にするという重大な見直しなんですけれども、農水省の審議会などで農業団体や農家の意見は聞いたんでしょうか。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 先ほど御説明をいたしましたとおり、地域未来投資促進法案については、他の地域整備法と比べて、優良農地を確保するためのより丁寧な土地利用調整の仕組みが措置されていることから、農地転用について他の地域整備法と同様の取り扱いを行って、農地法施行令を改正するという予定にしております。

 この農地法施行令の改正に当たっては、パブリックコメントを実施することにより、広く国民の意見を募集した上で最終的な案文を作成し、閣議決定を行ってまいりたい、こういうふうに考えております。

真島委員 パブコメとおっしゃっているんですが、パブコメで第一種農地は転用不許可とする原則を守るべきだという声が多数だった場合、農水省は、転用可能とするこの新たな仕組みを取り下げますか。

細田大臣政務官 慎重な検討を行ってまいりたいというふうに考えておりますが、地域によってさまざまな事情があると思います。

 先ほど大臣からもお話がございました。例えば私の地元、燕三条、燕市でございますけれども、ここも非常に工場立地に対する要望も強いというようなところでございます。

 いずれにいたしましても、市町村が計画をつくりますので、その市町村が地域の未来を描いて考えていくということになるだろうと考えております。

真島委員 こんな重大な変更を農家の声も聞かずに決めていいのかと私は思いますよ。

 農水省は、農村における就業機会の拡大に関する地方自治体アンケート調査結果というのを二〇一五年にやっていますが、これを見ますと、過疎地域では七割以上が、就業機会創出の方法として地域の資源を活用した内発的な産業の育成を重視している、過疎地域及び五万人未満では、農林水産業の振興、六次産業化の推進を必要な施策として捉えており、農林水産業に関連した施策による地域振興を志向していることがうかがえると農水省自身が分析しているんです。優良農地を転用可能にするというのは、こうした声に逆行すると思いますよ、みずから調査しておきながら。

 ほかにも本法案はいろいろな問題をはらんでいると思います。地域経済牽引事業者が自治体に対していろいろな、条例やルールの改定も含めて要求できるという、もう本当に特定の企業だけに、地方自治と両立するのかという権限をこの法律の中で与える。私は、もうこんなことをしたら、そういう事業者の御用聞きに地方自治体がなりかねないという危惧をしております。

 また、このほかにも、改正案第四条第二項第六号で、地方自治体が作成する基本計画に、公共データの民間公開することを盛り込むことができるとしております。条文には書いておりませんけれども、公共データには個人情報も含まれます。

 昨年十一月に成立した官民データ活用基本法が、国と地方公共団体が持っている個人データでも、匿名化、非識別加工すればオープンデータとして民間企業に提供できるとしております。

 二〇一五年に個人情報保護法案の改正の議論があっています。改正案を審議した衆議院内閣委員会で我が党の塩川議員が、個人の権利利益を保護するとする第一条の目的に、個人情報の活用が新たな産業の創出に資することに配慮するという内容が加えられたんです、では、その新たな産業というのは何なのかとただしたのに対して、当時の山口大臣は明確な答弁を最後までできませんでした。向井内閣審議官は、新産業の創出といった産業振興的なものはもちろん経産省が行うものですとだけ答弁をしています。

 そこで世耕大臣に聞きますが、パーソナルデータの利活用で生み出される新産業というのはどういうものなんでしょうか。

世耕国務大臣 新たな産業としては、例えば、個人のヘルスケア情報を活用して健康管理などの適切なアドバイスを行うサービスですとか、あるいは、金融情報を活用して資産形成などのアドバイスを行うサービスなど、個人情報を利活用することによって利便性の高いサービスを提供する産業などが既にもう登場してきておりまして、個人情報保護法改正などによって、今後さらにさまざまなサービスや商品の創出が加速していくのではないかというふうに思います。

 例えば会津若松市では、市内に設置したセンサーなどから取得される公共車両の走行情報等のデータを公開をして、事業者がビジネスへの活用可能性を検証することができるような環境整備を行っているところであります。

真島委員 二〇一五年の個人情報保護法の議論、昨年は、二〇一六年は行政機関の個人情報保護法の改正の議論が総務委員会などで行われていますが、それぞれの大臣は、将来そういう産業が生まれることを期待するということは繰り返されるんですけれども、では、具体的にニーズが、そういう民間企業者からこういうデータを公開してほしいんだということが寄せられているのかと言ったら、一つも示せませんでした、この二年間の議論で。

 第三回未来投資会議の中で世耕大臣は、まず、経産省が持つ大量の中小企業向け補助金交付情報を公開するんだ、取引相手が本当に信用できるのかがそれで判断できるとか、省エネ機器を売っている企業が省エネ補助金をもらっている企業へ一斉に営業をかけることができるようになるんですとおっしゃっています。

 個人データでも匿名化、非識別加工すれば提供できると言うんですが、そもそも、個人情報保護法の中で識別行為の禁止というのが定められていること自体が、非識別化のリスクを前提にしているんです。企業の目先の利益のために国と地方が個人情報を危険にさらしていいのかという問題がここにはあると思います。

 最後、もう時間が来たのでまとめますけれども、地域経済牽引事業への支援策というのは、このほかにも、税制支援、中小企業予算に匹敵する、総枠になっている総額一千八百億円の枠の財政支援、リスクマネー供給の促進の金融支援、工場立地法、市街地調整区域の開発許可等、特許法や商標法の特例、補助金等適正化法の対象財産の処分制限に係る承認手続簡素化など規制緩和支援、至れり尽くせりです。

 しかも、産構審の報告書で、地域経済牽引事業の評価に当たっては、目標を達成したかどうかだけではなく、高い目標を掲げた新しいチャレンジをどれだけやったか、どのような学びがあったか、試したか、こんなことを考慮すべきだ。非常に漠としたこんな見立てで、稼ぐ企業がこうですよと二千社選んで、国と地方を挙げてそれに応援を集中する、そうすれば地域の事業者に対する相当な波及効果が生まれる。私はそうならないと思うんです。これは、破綻をしたトリクルダウン政策を地方に持ち込むことになるんじゃないかと私は思います。

 私は、小規模企業振興基本法というのがありますが、その理念に基づいて、地域に根を張って頑張っている中小・小規模企業を地域の実情に応じて支援する、今ある地域の力を伸ばしていく内発型の産業政策こそ、政策資源を全て投入してでもやっていくべき、これこそ地域経済再生への道だということを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。

浮島委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 日本維新の会、木下智彦です。

 きょうも一日、長い時間を、質疑、おつき合いいただきましてありがとうございます。

 それでは、早速質疑に入らせていただきたいんですが、きょう聞いていて思ったことを先に述べたいなと思っているんですけれども、先ほど来、優良農地の転用、これについて配慮するべきなんじゃないかというような感じのことを言われている方々がたくさんいらっしゃいました。確かに、必要なのかなという気はするんですね。今まで農地法で優良農地、第一種農地については配慮がされていた、今回のこの法案の中に具体的な配慮について書かれていないというような感じのことも言われていたと思うんです。

 でも、ちょっとそもそものことを考えたいんです。果たして優良農地というのは何なんですかね。これは難しいと思うんです。大臣も首をひねられていると思います。

 私の解釈です、これは間違っているかもしれません。本来であれば、優良な農作物ができる、それなりのインフラが整っていて、競争力のあるそういった作物が生み出される、そういったところこそが優良農地であるべきだろう。そういったところは確かに配慮は必要かもしれない。でも、そういったところは、必要に応じてどんどんどんどん伸びていく、そういった農地であるべきだし、そういうふうに計画されるべきだというふうに私は思うんです。

 それが、これはよかったか悪かったかというわけではないんですけれども、今まで配慮がたくさんされていて、本当に優良な農地であったのか、配慮がされたから優良な農地という形になっているのか、これは非常に難しい問題だなと。ただ、それが本当の意味での優良な農地であればいいんだけれども、これがまた行政上の施策の中で優良農地とされているものであるのみであったりしては、私はこれはいけないと思うんです。

 今回のこの法案と結びつけるとなかなか難しいところはあるんだと思うんですけれども、地域の未来を考えていくといったときに、それが本当に優良な農地、転用されようとするところが優良な農地だったら、私は、これは転用されるべきではないし、されないと思うんです。

 その地域の未来をどこで伸ばしていくかということを考えて、そこで何を産業としてそこの地域の人たちが一生懸命やっていこうとしているのか、これをしっかりと考えて、それが正しいかどうかというふうな導きをしていく、これが一つ国の役割であるだろうし、その地域の行政をつかさどる人たちの役割であるべきなんだろう。必要以上の配慮というものをして形ばかりの優良農地がつくられていってもいけないのではないかなというふうに、私はちょっときょう、今思ったんです。

 そういったことをもう少し私も勉強していきたいなとは思うんですけれども、どうも何となく、優良農地というのは本当に何なんだろうということをきょう話を聞いていて考えさせられたというところをちょっと最初長々と、これは質問というよりも私の意見として聞いていただければいいかなというふうに思います。

 それでは本題に入りたいんですけれども、今回の話なんですけれども、私、一番大きなところは何だろうと思うと、今までスポットライトを浴びていたのは製造業だけだった、これをサービス業にもしっかりとスポットライトを当てていこうといったところも、これは一つの大きな側面なのかなと思うんです。

 これは今までも私もずっと言ってきたんですけれども、やはり地域の活性化、これには、サービス業、非製造業ですね、といったところもしっかりと力を入れていかなければ、その地域の実際の就業人口であるとか、そういったものには結びつかないんじゃないか。どうしても、特に中小企業対策などについては、製造業が今までスポットライトを浴びてきたところを、変えていかなければならないということを言っていましたので、今回のこの法案、非常に私は評価できるところなのかなと思っているんです。

 その一番大きなところは何かというと、今までもいろいろなところで話がされていましたけれども、冨山和彦先生が提唱されているLの経済成長戦略。Lというのはローカルです。GとL、グローバルの世界とそれからローカルな世界というふうにして分けていくべきだと。これは、今までの大企業と中小企業を分けるというやり方ではなくて、本当に日本全体がもう一度輝きのある、そういった世の中にしていくための一つのキーワードだろうというふうに思っているんです。

 ただ、私、ちょっと残念でならないなと思っているのが、この法案の中に書かれていなかったとかいうさっきの話とすごく似ているんですけれども、冨山和彦さんが言われているL型産業の発展。求められることは何か。一番大きなところは生産性向上。この生産性向上はどうやってやっていくのか。生産性向上というところまでは、今までも経済産業省さんが言われていた中では、いろいろな法案の中でもこのごろ言われるようになってきています。ただ、その生産性向上をするために一番必要な、本当の本質的なキーワードは何か。冨山和彦さんが言われているのは、集約化だと。それは、生産性の低いところは緩やかな退出をして、そして、より生産性の高いところに集約化していくということ、これが一番求められていくこと。

 これは、端的に見ると、今の仕事をやめてくださいということにつながるかもしれません。ただ、それによって集約化がされ、生産性が高まって、その産業が高まると、それに連関するほかの産業もうまく好循環をしていくだろう、こういうふうなデザインを考えていこうということだと私は思うんです。

 ただ、その集約化という言葉がやはりちょっと弱まっている。今までもこれは同じようなことを言わせていただいたんですけれども、本当であればそこを言わなきゃいけないかもしれないのに、そういったところがどうしても、余りアグレッシブに言い過ぎるといろいろなところでハレーションが起こるということなんだろうなと思うんです。

 そこで、もう一つ大きなところは何か。では今度は、非製造業だけにスポットライトを急に当てるのではなくて、これは先ほど来大臣言われているとおり、もともとあったその地域の中で生産性の高いような製造業とそれから非製造業がうまく連関してその地域を盛り上げていくことだろうというふうに思うんですけれども、これを、ある程度ポテンシャリティーのあるような地域を、そういったことを国が実際に形づくることができるのかどうか。

 いろいろなところに書いてあります。計画をつくるであるとか、そういうことを言っているんですけれども、では、本当にそういった地域を国がデザインしてつくっていけることができるのかどうか、ここが私はポイントだと思うんですけれども、きょう聞いていても、本当にそれがつくっていけるのかどうか、国が本当に主導してできるのかどうかというところがまだまだちょっと見えなかったので、もう少しそこの部分を、どうやったら、国が主導してなのか、それとも後押ししてなのか、それとも、待っていて、そういう頑張るところが手を挙げてくるのを、しっかりと手を挙げさせるんだというような感じのことも言われていたと思うんですけれども、どうやってそういう地域を、全体的なバランスをつくって、国が何らかの形で関与しながらつくっていけるのか。これの一番根幹を、大臣、どう考えていらっしゃるか、教えてください。

世耕国務大臣 基本的には、これは地方自治の考え方もありますから、まず地域経済牽引事業そのものをつくっていくのは、これはやはり自治体が中心になっていくんだろうというふうに思います。

 ただ、今もお話しいただいたように、これはなかなか概念が難しいです。どんな企業が中核になって、どんなイメージなのかというのはなかなかわかりにくい。

 そういう中で、我々は、例えば地域中核企業二千社をこれからお示しをしていく、あるいは、クラスターハブというような、要するに地域の代表選手として外からお金を稼いできているような企業も、三千六百社ですか、お示しをしている。こういうのを見せながら、こんな感じの企業を中心にやってほしいんですよというのを自治体にお示しをしながら、最終的には自治体に判断をいただくし、あるいは、地方の、中堅までいかない企業で、いや、俺だってできるというような形で手を挙げていただくというようなことを考えて、そういう中で国として関与していけばいいと思いますし、あとは、税制とか、あるいは交付金といったもの、あるいはリスクマネーの供給といったところで国が支援をしていくという形にしていきたいと思っています。

木下委員 ありがとうございます。

 法律をつくると、国がやはりある程度メーンにならなければいけない。地域にある程度委ねて、計画をつくってもらって、それに伴ってやっていかなければならないということだと思うんです。

 ただ、今度は、私、実際に見ていて、地域にそういったことができるのかどうか、これも一つ大きな問題だと思っているんです。できる地域もあるでしょう。なかなかやはり、地域は地域で必死になって何とかしようと思いながら、今までできていないんですよ。全くできていないというのか、全くもう国の言われたことしかやっていないところもあるんでしょうけれども、そうじゃないところもあるでしょう。

 私、そういう観点で見ていて、一番最初のところに基本計画の同意というのを書いているんですね。国の同意、計画についてと。市町村及び都道府県は共同で地域経済牽引事業の促進に関する基本計画を作成し、主務大臣と協議、その同意を求めることができる、こういうふうになっているんです。

 私、この同意というのはどんな意味があるんだろうなと思うんですよ。今のお話を聞いていて、国が同意することで何か起こるのか。地域が本気でやっていくというところを、国がお墨つきをすれば何かいいことがあるのか。何でこの計画をつくって、同意をする必要があるのか、ここをちょっと教えていただきたいんです。

鍜治政府参考人 お答えいたします。

 本法案では、基本計画、自治体がおつくりになったものに対する国の同意手続、今委員おっしゃったように、導入をしておるわけでございますが、国といたしましては、自治体がそれぞれの独自性でお定めになる基本計画について、地域の主体を尊重しつつ、効果的な実施のために、必要最小限の関与を同意手続という形で担保したいと考えておりまして、具体的に第四条六項で次の三点、自治体の御計画について同意の可否を判断したいと思っております。

 一つは、基本方針。この中で、先ほど来委員あるいは大臣から御議論あるような、さまざまな今後の地域牽引事業のあり方について、ある種の目安を国がお示し申し上げます。そういった基本方針との適合性というものをひとつここでチェックをさせていただく。先ほど来御議論がありました農地の利用につきましても、この段階で農水大臣が関与することになります。

 それから、地域経済牽引事業のもう一つのポイントでございます相当経済効果。どの程度の地域特性で経済効果を発揮しようとしているのか。えてして、自治体がおつくりになる計画で、御自分たちのお持ちの補助金制度などのある種のリストみたいなものをお出しになることがたまにございまして、それはそれで意味はあるんですけれども、やはりそれが実際に地域経済牽引事業にどう関与してくるのか、そこをチェックしたいと思ってございます。

 もう一つは、今回の企業立地法のある種の反省に立ちまして、やはり、勢いのいい計画を出しても、実際に実現可能性ということで非常に、うまくいかないということも今回学習したわけでございますので、基本計画を実施するための支援体制とか資金の裏づけとか、どういう形で自治体がその計画を担保なさろうとしているのか。

 こういった点について、しっかり同意プロセスで見させていただきたいと思っております。

木下委員 今お話しいただいたところは、経済効果というところが一番私はポイントかなと思うんですけれども、それからもう一つは、今、今までの法律を反省してとおっしゃられていましたけれども、うまく結果を評価できる、PDCAがしっかり回るような形にこれはしていかなければならないんだろうなというふうに思うので、そこをやはり変えていかなければ、本当の意味で、地域が動く、地方が動くという形につながらないんじゃないかなと思うんです。

 同意というだけではなくて、ここはもう少し、逆に言うと厳しく見る、もしくは、政府が本当に関与できるんだったら関与する、それとも、もっと任せるのか、これはどっちかに私はかじを切るべきなのかなと思って、ちょっとこの同意という言葉自身が非常に微妙な意味合いを持っているなというふうに思ったので、質問をさせていただきました。

 それから、今言われていたところで、計画を実際につくっていくというふうにするときに、地域経済牽引支援機関として支援の事業を実施する、これを見込まれる者と共同して市町村及び都道府県は地域経済牽引事業促進協議会を組織することができる、こういうふうにしておっしゃられています。

 これの概要を少し教えていただきたいんですけれども、概要といいながら、一番聞きたいのは何かというと、こういう会議体というのか協議会をつくるんだけれども、これは予算はつくんですか。お金がつくのかつかないのか、これを中心に、どういうことをやろうとされているのか教えていただきたい。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案の第七条の規定によりまして、都道府県及び市町村は、基本計画を作成しようとする際に、商工会議所等の産業支援機関、地域の大学、金融機関など、いわゆる産学官金の連携によりまして、地域において、地域経済牽引事業を支援する者等を構成員といたします、今御指摘ありました地域経済牽引事業促進協議会というものを組織することができまして、この協議会で基本計画の内容についての協議が行われるというものでございまして、これらの地域の多様な主体が基本計画の内容を協議または検討するということで、相互に連携をしながら地域における総合的な支援体制を構築して、基本計画が着実に実行されることを期待しているところでございます。

 御質問の地域経済牽引事業促進協議会自体に対して直接的な予算措置というのは特段講じているものではございませんけれども、他方で、自治体における基本計画の策定、この協議会とも協議をしながらの策定でございますが、こういったものですとか、あるいは地域経済牽引事業の案件発掘などにつきましては、私どもの地方経済産業局等によりまして積極的に支援をしてまいりたいと考えております。

 また、承認を受けた計画につきましては、内閣府と連携をしておりまして、地方創生推進交付金の活用により重点的に支援をするということにしておりまして、この協議会に参画が期待されております地域の大学や公設試、産業支援機関等々が自治体と一緒になって行う取り組みについても、こういった予算措置の対象になるものと考えてございます。

木下委員 お金を使わないということなんですよね、結局は。これは意味があるのかなと思うんですよ。

 これは、そんなこと、今まで中小企業なんかは、地域の商工会だったり商工会議所だったりが、ほかの法案でも支援体制をやっていて、この間の法案なんかでもそうですけれども、これから、経営コンサル的にぐっと入っていって、今までのやり方よりももう一歩踏み込んでいこうとされている。

 そういったところの中にまた違う組織をつくって、行政も入って、大学も入って、でも予算はつかなくてという形で、これは具体的に何ができるのかというと、これは、せっかくつくっても意味をなさないのか、それとも、逆に言うと、この基本計画というのをつくるのは面倒くさいから、面倒くさいというか、さっきも誰かが言っていましたけれども、実際に一生懸命頑張っているところは、こんな基本計画を一々つくったりとかしているよりも、ちゃんと仕事をしていけばいいと思っている。そこを手伝ってあげるようなのが、行政の中でこういう協議会をつくって、行政が主導的な役割を果たしながら形だけつくっちゃう、そのためにあるようなことになるんじゃないかなという懸念がちょっと私はあるんです。

 お答えしていただけるのであれば、どうなんですか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 協議会に関してでございますけれども、現行の企業立地促進法におきましても同様の協議会が設置されておりますけれども、過去のアンケート調査によりますと、各地域におきましては、計画の内容に関する検討ということだけではなくて、その他地域で実施されている支援事業の情報共有ですとか、あるいは研修会を実施するなど、約半数が十分機能しているという評価をされているところでございます。

 ただ、一方で、こうした構成市町村が多い場合には、組織が大きく運営が困難であるといった声ですとか、あるいは、活動内容が基本計画の策定、変更に係る協議のみで形骸化をしてしまっているという意見も見られるなど、地域によって活動の温度差が見られたところでございます。

 今後は、こうした評価を私どもも真摯に踏まえまして、この法案に基づきます協議会の運営に当たりましては、基本計画の内容に関する協議、検討や計画の進捗管理、それから、地域の特性を生かした事業の推進に有効な推進体制のあり方ですとか、あるいは実効性のある作業部会の組織化、さらに、地域における有望な案件の共有ということなど、地域の実情に応じて適切な産業施策の検討あるいは効果的な事業支援が実施されるように、協議会の役割も含めまして、国が基本方針等で促してまいりたいと考えております。

木下委員 お答えされていながら説明されていたんですけれども、結局、一辺倒というのか、やらなきゃいけないことをずらっと並べられて、実際に何がワークするのかは私の頭ではちょっと理解できなかったです。

 本当に機能するようにするためには、これは、特別チームをつくってそこを掘り起こしていく。それを掘り起こすのが、行政が中心になるのか、その地域が本当に本気にならないと、私は思うんですけれども、これは企業が本気になるとかそういう問題じゃなくて、その地域を抱えている地方公共団体、そこが本気になるかどうかということのように、今の話を聞いていて、非常にそう思うんです。

 そこに、例えば基本計画をつくって国が同意するとかというんじゃなくて、これは非常に難しいです、難しいけれども、国の中に特別チームをつくって、逆にこっちから乗り込んでいって、てこ入れするぐらいのことをやってもいいんじゃないのかなという気が、今の話を聞いていても、そうじゃないとこれはなかなかワークしないですよ。経済産業省さんは本当はやりたいんだと思います。やりたいんだと思うんだけれども、できないからこうなってしまっていると私はちょっと思ったんです。

 では、余りこの話をしていてもあれなので、次の話をします。

 今度は、この法案の中でいろいろ特例が追加されていると思うんです。ちょっと取り上げたいのが商標法ですね。商標の特例の追加というところで、今まで一般社団法人が商標の中で使うところに特例がなかった部分、これが追加されているということなんですけれども、ここの概要をちょっと簡単に教えていただければと思います。

星野政府参考人 商標法におきましては、多くの事業者が地域団体商標を活用できますよう、事業者の方々が希望すれば原則加入できるという商工会議所等の団体に限って登録主体となるということを認めているものでございます。

 一般社団法人につきましては、こうした商工会議所等とは異なりまして、その設立根拠法、これは一般社団法人及び一般財団法人に関する法律でございますけれども、この法律におきまして、構成員の加入の自由というのが法律自体では担保されておりません。そのため、商標法におきましては一般社団法人が登録主体となることは認めておられないわけでございます。

 一方、地域経済の牽引役として期待されております一般社団法人からは、地域ブランドの普及に向けまして地域団体商標を取得したいというニーズが強いものですから、この地域未来投資促進法案におきましては、定款で構成員の加入の自由を担保するなど一定の条件を満たした一般社団法人に限りまして、特例的に地域団体商標の登録主体となることを認めることとしたものでございます。

 この本特例措置を活用していただきまして、地域ブランドのさらなる活用を通じて地域経済牽引事業が促進されることを期待しております。

木下委員 地域のブランドというのをつくるときに、なかなかその地域の名前を使う云々というのは難しいところがある。

 一つのポイントが、構成員の加入の自由、これが担保されることだ。これは非常に理解はできるんですね。ただ、さっき民進党の福島委員なんかもおっしゃられていたんですけれども、本当に頑張っているところがそんなことをしているかというと、自然発生的にその地域ブランドはでき上がっていく部分もある。その地域の名前をつくらなくたって、誰でもが知っている、もしくは、知らなくてもその地域を活性化できるようなことは本当にたくさんあると思うんです。

 たまたまこれは、民進党の近藤委員の御地元にこの理事会で視察に行ってきて、一つそういう会社さんを見つけたんです。非常にすばらしいことをやっていたので、ちょっとこれを紹介というのか、簡単に言いますと、セゾンファクトリーさんという、ジャムをつくっていらっしゃる、山形の、山に入っていこうというようなところ、山のちょっと麓の何にもないところに白いきれいな建物があって、中に入って、工場なんですけれども、本当に高級レストランみたいな感じなんです。

 そこでその地域の作物をうまく使ってジャムをつくって、もう本当に、工場の中に行くと、物すごくきれいなんです。必要以上にきれいな状態。自然をそのまま利用して、中でミカンみたいなものをむいていらっしゃる方がいたら、そこの創業者の方が、あそこの人たちは全部ここの地域の農家のおばさんたちなんです、あの人たちが一番おいしいのがどれなのかというのをちゃんと見定めて、それをジャムにしているんですというふうな話をしていたんです。委員長もいらっしゃって、最後に試食をさせていただいたんですけれども、本当に、一口食べても物すごくおいしい。

 実は、私の地元大阪にもそこのお店がありまして、創業者の方が言われていた、齋藤さんとおっしゃる方で、相当苦労されていたようですけれども、食品売り場のエスカレーターをおりたすぐのところに大体の売り場は持っていると。言われてみたら、本当に誰でも、誰でもというか、私は知っていましたけれども、本当においしい、有名な、一瓶でもすごい高いジャムとかが平気で売れていく。それによって、地域のリソースを活用している。そういうところを見ていても、私、それが山形の会社だと知らなかったですよ。でも、地域に貢献をすごくされているなと私は思ったんです。

 そんなところは、福島委員が言われていたとおりだと思うんですけれども、こんな法律がなくても頑張ると思うんですよ。(発言する者あり)いろいろな意見、ここで活発にしていただいて本当にあれなんですけれども、こういう地域の人材をどうやって国が発掘していくのか。

 今の商標の話とかも含めてですけれども、逆にそうやって頑張っている人からしたら、こんな法律をつくられて、ほかにもぐっと上がってきて、それで地域が盛り上がればいいけれども、今まで頑張っていたのは何なのというところも出てくるのかなと思うんですけれども、どうやって、地域人材を国が本当に発掘することができますか。

鍜治政府参考人 御指摘のとおり、非常にすぐれた経営者の方が大変な自助努力でさまざまな成功事例を積み上げているという側面はあると思います。

 他方で、その方もお一人だけではなかなかうまくいかずに、やはり参謀クラスの方でありますとか、例えば今のセゾンファクトリーさんもそうでございますけれども、首都圏の駅近マーケットにうまく入るためのノウハウ、これはやはりなかなか御地元だけではないわけでございますし、海外マーケットに進出する際のノウハウも非常に専門的かつ高度でございます。

 そういったような例えばミドル人材の供給等につきましては、この法案のもとで認定を受けました事業を中心に、私ども、二十五億円の二十九年度予算に基づきまして、グローバルコーディネーターと呼んでおりますけれども、世界の各地のマーケットと直接つながるような販路開拓のきめ細かな支援をする人材の例えば御紹介をさせていただきますとか、あるいは、別のレベルで、若手の方々の働き手がやはり足りないという御議論もございます。こういうものにつきましては、厚労省さんの施策などの連携もこの法案の中でやらせていただいております。

 おっしゃるとおり、大きなビジネスの鍵の大半は経営者の方の自助努力にまつところがございますけれども、その方のいろいろな経営資源の補完をこの法律で応援できればありがたいなと思っております。

木下委員 国が言えることはそこしかないんだろうと。私は、本当はもっとめり張りをつけていいんじゃないかなと。本当は大臣にここでしていただきたかったんですけれども、もう時間がないので。

 それから、もう一つ言います。これはお答えされなくても結構ですけれども、これの中に一つ言いたいことがあったんです。

 地方税の減免。地方自治体が、実質的に本施策の参画のメリットになるであろうとして、事業者への地方税の減免などを行った場合、こういった場合に、その減収分を国が補填する。これは私は、結構踏み込んで、大きなポイントだと思っていて、評価されるべきところだと思うんです。

 これは経産省さんを前にして言う話じゃないんですけれども、ただ、私は本来的には、こういった措置じゃなくて、根本的なやり方を変えていくべきだと。根本的なやり方というのは何かというと、次年度の地方の交付金の算定基礎となる基準財政収入額、これが、地方の自治体が努力で行った税の減免、この前の、仮想の収入額でやられてしまうんですよ。これは総務省さんにいつも言う話なんですけれども、これをちゃんと減免後の実際の収入額としないと、それこそが本当は私はやるべきことであって、補填、しようがないからやっていると。

 ただ、そこに踏み込んでいるのはいいことだなと思うんですけれども、総務省さんはいないので、これは一つ言っておくべきことかなと思いますので、そういう話をさせていただきます。

 もう時間がなくなって、きょうは、非常に申しわけないですけれども、一つだけ全然違う話。法案の話はこれで終わります。全然違う話を、これは実は二週間ずっと待っていたんですけれども、できなかったので、一つだけちょっと話をしますと、四月の十六日から十七日に経済産業省さんがプレスリリースされていて、コンビニの無人化を進めるという話があった。

 でも、プレス発表というのか、各種メディアは無人化というふうなことばかり言っていたんですけれども、これは実は違って、RFIDというタグを使ってうまく何とかしていこうという話。

 これは、今度の金曜日もう一遍やらせていただきたいんですけれども、せっかく持ってきたのであれしますと、(資料を示す)こういう商品にタグが張ってあるんです。このタグの中に実はコイルみたいな、今はICになりつつありますけれども、あって、こっちは電極がなくても、読み取り側の電波に反応してここの商品情報がわかる。これをやると、ぱっとすぐこの商品の内容がわかって、これを使うとうまくいくという話だと思うんですけれども、これはちょっとだけ、せっかく来ていただいたので、紹介だけしていただいて、次の質問に続けたいと思いますので、ちょっと最後、紹介だけ。

住田政府参考人 先月、先ほど御指摘のとおり、セブンイレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ、JR東日本リテールネットと経済産業省と共同でコンビニ電子タグ一千億枚宣言というのを公表いたしました。

 この宣言におきましては、今御指摘のございました、電子タグをそれぞれの商品に張っていただくということでさまざまな効果が得られるだろうと。検品のところが楽になるとか、レジが楽になる、あるいは食品ロスの削減にもつながる、こういったような効果を期待しておるわけでございます。

 この宣言におきましては、電子タグの価格が一枚一円になるということなどを一定の条件のもとに、二〇二五年までに、大手のコンビニ五社の全ての取扱商品に今御指摘のございました電子タグを張る。その際に、電子タグを使って取得した情報の一部をサプライチェーン全体で共有をするといったようなことを検討するということを目指しまして、二〇一八年をめどに、特定の地域においては、取扱商品に電子タグを張りつけて、商品の個品管理を実現するための実験を開始するということをしたいというふうに考えておるところでございます。

木下委員 どうしても聞きたかったのでこの話をしたんですけれども、これは結構、本当に大々的にやるべきことなのかなと思っているので、次のときにまた詳しいことを聞かせていただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございます。

浮島委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 この際、本案に対し、吉川貴盛君外二名から、自由民主党・無所属の会、民進党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。近藤洋介君。

    ―――――――――――――

 企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

近藤(洋)委員 ただいま議題となりました企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 本修正案は、委員会における質疑等を踏まえ、地域経済牽引事業の促進に際し、政府は、土地利用の調整の状況について検討を加え、優良な農地が十分に確保できないと認めるときは、所要の措置を講ずるものとする規定を附則に追加するものであります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

浮島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。畠山和也君。

畠山委員 私は、日本共産党を代表して、企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律の一部を改正する法律案について、反対討論を行います。

 この十年間、企業立地促進法と各地の企業誘致競争によって、大企業の工場が立地すれば地域経済が活性化するとの地域経済成長戦略は、政府自身も認めるように、付加価値額も製造品出荷額もマイナスとなり、立地企業の撤退や地方の疲弊が進み、格差は拡大しました。

 本法案は、この呼び込み型企業誘致策の失敗の反省もなく、形を変えた一層の成長志向路線を突き進むものとなっており、極めて重大です。

 反対理由の第一は、特定の地域中核企業に支援を集中する一方、地域の雇用と経済の担い手である産業集積を法目的、理念から削除、切り捨てるものだからです。

 本法案で支援対象となるのは、圧倒的多数の地域中小企業・小規模事業者以外のわずか二千社にすぎません。一握りの、稼ぐ力がある中核企業が伸びれば地域全体が潤うというのは幻想であり、大企業が国と地域を選ぶ時代には、特定企業の成長が国民経済の好循環につながる保証はありません。この構造的大変化の現実を直視すべきです。

 第二は、地域経済牽引事業者の提案制度が、いわば地方版特区として、規制緩和の先鞭をつけるものだからです。

 法案に盛り込まれた事業環境整備提案制度は、地域経済牽引企業が自治体に対し、条例等による規制の緩和、撤廃を直接要求できるとするものです。産業競争力強化法の企業実証特例制度の地方版、まさに地方版特区として、地方から規制緩和の大穴をあけることを狙うものです。住民の命や暮らし、環境保全よりも地域経済牽引企業の利益を優先させるもので、地方自治の本旨に反するものです。

 第三は、地域経済牽引企業のために優良農地の転用を促進するものだからです。

 農水省は、本法案の施行に合わせ、これまで原則転用不許可としてきた第一種農地の転用を認める方針を示しました。土地利用調整区域に指定さえすれば、食料供給の基盤として保全すべき優良農地が歯どめなく転用される重大な危険があると言わざるを得ません。

 多国籍企業の海外移転による産業空洞化や内需不振の中でも、圧倒的多数の中小業者を中心とするものづくり産業集積や地場産地は雇用と地域社会を支えてきました。真に地域経済を発展させる道は、これら産業集積の面としての役割に光を当て、多様な主体の力が発揮され、内発的、持続的な発展につながる地域循環、振興政策へ根本的に転換すべきことを指摘し、討論といたします。

浮島委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、吉川貴盛君外二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

浮島委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

浮島委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、吉川貴盛君外二名から、自由民主党・無所属の会、民進党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。北神圭朗君。

北神委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 地域の特性や強みを生かした地域経済牽引事業を促進するとの本法の趣旨に鑑み、地方公共団体が行う基本計画の策定に当たっては、成長が期待される地域の中核事業の特定等に必要な情報提供や助言、専門人材の育成・派遣を行う等、地域の支援機関と連携しつつ、支援体制の一層の充実強化に努めること。

 二 地方公共団体の基本計画においては、これまでの地域経済産業政策において指摘された問題点等を踏まえ、製造業のみならず、第四次産業革命関連産業、サービス業、農林水産業、観光業等、地域の特性を生かした多様な事業分野が支援対象とされるよう、イノベーションの促進も踏まえた取組みを推進し、各種支援策の効果的な活用が図られるようにすること。また、計画の実施による地域への経済的効果等について、適切な指標に基づく検証を実施し、継続的にフォローアップを行うことにより、計画の実効性確保に努めること。

 三 重点促進区域の設定及び土地利用の調整に係る配慮事項として、国が定める基本方針において、市街化区域内など農用地区域外での開発を優先すること及び土地利用調整区域に農地が含まれる場合には農業上の効率的な利用に支障が生じないようにすることを明記すること。

 四 地域経済牽引事業に対する各種支援措置の実施に当たっては、事業者の負担軽減を図る観点から、更なる事務手続きの簡素化を進めるとともに、業種横断的な取組みが適切かつ円滑に実施されるよう、関係府省庁間において一層緊密に連携を図ること。

 五 創業及び新事業展開を含め、地域経済牽引事業に対する積極的な資金供給が行われるよう、地域金融機関等による地域密着型金融の取組みを一層推進するとともに、地域未来投資促進税制等の積極的な活用、中小企業基盤整備機構及び地域経済活性化支援機構による機動的なリスクマネーの供給等に努めること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

浮島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

浮島委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、世耕経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。世耕経済産業大臣。

世耕国務大臣 ただいま御決議のありました本法案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

浮島委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

浮島委員長 次回は、来る十二日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十分散会


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