衆議院

メインへスキップ



第11号 平成30年5月16日(水曜日)

会議録本文へ
平成三十年五月十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 稲津  久君

   理事 城内  実君 理事 平  将明君

   理事 辻  清人君 理事 冨樫 博之君

   理事 松本 洋平君 理事 落合 貴之君

   理事 浅野  哲君 理事 富田 茂之君

      穴見 陽一君    池田 道孝君

      石川 昭政君    上野 宏史君

      尾身 朝子君    大串 正樹君

      大見  正君    岡下 昌平君

      勝俣 孝明君    神山 佐市君

      神田  裕君    小林 鷹之君

      佐々木 紀君    佐藤ゆかり君

      田畑  毅君    武井 俊輔君

      古田 圭一君    穂坂  泰君

      星野 剛士君    三浦  靖君

      三原 朝彦君    八木 哲也君

      中谷 一馬君    松平 浩一君

      山崎  誠君    吉良 州司君

      斉木 武志君    山岡 達丸君

      田嶋  要君    笠井  亮君

      森  夏枝君    菊田真紀子君

    …………………………………

   経済産業大臣       世耕 弘成君

   経済産業副大臣      西銘恒三郎君

   外務大臣政務官      岡本 三成君

   経済産業大臣政務官    大串 正樹君

   政府参考人

   (内閣官房日本経済再生総合事務局次長)      宇野 雅夫君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 伊丹  潔君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局次長)         福浦 裕介君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    山名 規雄君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中石 斉孝君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           木村  聡君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中川  勉君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           岸本 道弘君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           及川  洋君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局通商機構部長)       渡辺 哲也君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            多田 明弘君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          寺澤 達也君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務情報政策統括調整官)            吉本  豊君

   政府参考人

   (経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 岸  敬也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 保坂  伸君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            高科  淳君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        小野 洋太君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    安藤 久佳君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            吾郷 進平君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            高島 竜祐君

   経済産業委員会専門員   佐野圭以子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十六日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     池田 道孝君

  神田  裕君     古田 圭一君

  國場幸之助君     武井 俊輔君

  谷畑  孝君     森  夏枝君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     穴見 陽一君

  武井 俊輔君     三浦  靖君

  古田 圭一君     神田  裕君

  森  夏枝君     谷畑  孝君

同日

 辞任         補欠選任

  三浦  靖君     國場幸之助君

同日

 理事吉川貴盛君同日理事辞任につき、その補欠として松本洋平君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

五月十五日

 エネルギーの使用の合理化等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五一号)

同日

 国と東京電力が責任を果たすことに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一一三七号)

 同(笠井亮君紹介)(第一一三八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一一三九号)

 同(志位和夫君紹介)(第一一四〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一一四一号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一一四二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一一四三号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一一四四号)

 同(藤野保史君紹介)(第一一四五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一一四六号)

 同(宮本徹君紹介)(第一一四七号)

 同(本村伸子君紹介)(第一一四八号)

 同(金子恵美君紹介)(第一二七七号)

 即時原発ゼロを求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一一九八号)

 小規模事業者に対する社会保険料負担軽減支援策等に関する請願(奥野総一郎君紹介)(第一二四八号)

 同(柚木道義君紹介)(第一二七〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 エネルギーの使用の合理化等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五一号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

稲津委員長 これより会議を開きます。

 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事吉川貴盛君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

稲津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

稲津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に松本洋平君を指名いたします。

     ――――◇―――――

稲津委員長 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房日本経済再生総合事務局次長宇野雅夫君、内閣府大臣官房審議官伊丹潔君、個人情報保護委員会事務局次長福浦裕介君、国税庁課税部長山名規雄君、経済産業省大臣官房審議官中石斉孝君、経済産業省大臣官房審議官木村聡君、経済産業省大臣官房審議官中川勉君、経済産業省大臣官房審議官岸本道弘君、経済産業省大臣官房審議官及川洋君、経済産業省通商政策局通商機構部長渡辺哲也君、経済産業省製造産業局長多田明弘君、経済産業省商務情報政策局長寺澤達也君、経済産業省商務情報政策局商務情報政策統括調整官吉本豊君、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長岸敬也君、資源エネルギー庁次長保坂伸君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長高科淳君、資源エネルギー庁資源・燃料部長小野洋太君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史君、中小企業庁長官安藤久佳君、中小企業庁事業環境部長吾郷進平君及び中小企業庁経営支援部長高島竜祐君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

稲津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

稲津委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山崎誠君。

山崎委員 おはようございます。立憲民主党の山崎誠でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 質問に入る前に、冒頭、一言お話をさせていただきたいと存じます。

 実は、昨日ですが、ジャーナリストの岸井成格さんが御逝去されました。毎日新聞社特別編集委員で、ニュースのコメンテーターなども務められておりまして、大変有名な方であったと思います。

 岸井さんとは、私は、森づくりの活動、市民による植樹の活動で知り合いになりまして、折に触れてさまざま御指導いただきました。

 岸井さんは地球環境問題に精通されておりまして、気候変動に直面する我々人類は文明の岐路に立っている、私たち一人一人が自覚をして、ライフスタイルから変えていかなければならないということをお教えくださいました。

 ジャーナリストのキャリアのスタートが水俣病の取材だったとお聞きしております。全ての命、そして命を育む自然環境への熱い思いのいつもあふれている方でございました。

 東日本大震災、東電福島第一原発事故についても、現地に足しげく通われまして取材され、多くの貴重な御意見を賜りました。

 エネルギー問題でも、やはり原発のない社会を一刻も早く実現すべきだという指針をいつもお持ちになりまして、御指導いただきました。

 海図なき二十一世紀、貴重な羅針盤を失ってしまったと感じております。

 人生百年時代にありまして、七十三歳という余りにも早い死は、痛恨のきわみであります。

 ここに謹んで心より御冥福をお祈りいたします。

 ありがとうございました。

 それでは、質問に入りたいと思います。

 私、第一問目は、自治体主導のエネルギー事業ということでお話をお聞きしたいと思っています。

 実を言いますと、五月の連休でドイツに行ってまいりました。ドイツとエストニアに行きまして、エストニアは中谷一馬委員が担当でございまして、この後、御質問の中でも出てくると思うんですが、私は前半、ドイツで、シュタットベルケという、自治体が主導で総合的なインフラ事業を進めるという事業を視察のテーマにしまして行ってまいりました。

 御存じのように、ドイツは今、自然エネルギーにかじを切って、もういろいろとその実績を上げてきているわけですが、そのやり方、単に自然エネルギーにシフトするというだけではなくて、それを地域主導で、地域分散型でやっていくというところに大きな特徴があると思います。

 シュタットベルケというものですが、日本語にすると、そのまま訳すと町の事業というお話になるらしいんですが、町が総合的なインフラ事業をやる。

 資料の一に掲げています。ちょっと英語で恐縮なんですが、オスナブリュックというところの資料を一部コピーさせていただきました。

 このオスナブリュックという町は、大体二十万人ぐらいの都市でございますが、ここに書かれているような、電力事業、ガス事業、それから地域の熱供給事業、バス交通事業、あるいは公営プールの事業とか、あと上下水道の事業、こういったものを、シュタットベルケという新しい会社をつくりまして、そこで運営をしているという形をとっています。

 下の資料で、細かい数字はちょっと割愛をいたしますが、もう実績を大きく上げていまして、ホールディング会社がありまして、そのホールディング会社自体は市が一〇〇%出資をしています。でございまして、要するに、市民の皆さんの感覚としては、やはり市民の会社が自分たちのインフラ事業を整備してくれているという形をつくっているということになります。

 ポイントは幾つかありますが、一つは、複数の事業を一つの会社がきちっと経営することによって、やはりドイツも同じでございまして、バス事業とかはなかなか採算に乗らない、赤字も発生をしてしまうということなんですが、でも、赤字路線を維持するためにどうするか。電力事業をきちっとやることによって、電力事業から収益を上げて、その収益をバス事業の赤字に補填することができるという形をつくっておりまして、市民の皆さんも非常に応援をしてこの事業を盛り上げているということでございます。

 こういった会社が大体今千社ぐらいに伸びている、千社ぐらいあって、ドイツの電力小売市場の約二〇%のシェアということで、ここで生まれている電気あるいは販売している電気というのが非常に大きな割合を今占めつつあるということになっています。

 こうした地域地域が、電力事業、これは再生可能エネルギーでございます、あるいは熱です、木質バイオマスなどによる熱供給、そういった事業で地域がエネルギー事業を回す、そして、エネルギー事業の一部の収益をバス事業とか、このオスナブリュックの例でいくと、プールの事業、これは赤字だったわけですけれども、何とかこれを維持したいということで、経営を任せたところ、非常にうまく回っているというお話をお聞きいたしました。

 こうした地域主導の取組というのは、実は経済的にも大きな意味がある。要するに、地域で経済が、お金が回るということですね。電力会社にただ普通に、例えば火力発電、あるいは原子力発電もそうだと思いますが、お金を支払っていると、そのお金というのは全部域外に出ていってしまう。そして最後には、例えば原油を買うのであれば中東に依存をする。お金がどんどん、国富がいわゆる流出してしまうということになりますが、再エネ、あるいはそういったもので地域でエネルギーを生み出して、それを地域で循環させると、その経済は、外に出ない、地域を潤すお金として循環するという形になっています。このモデルが、決して小さな成功事例ではなくて、全国的に広がっているというのが、今、ドイツの状況と認識をさせていただきました。

 こういった事業の立て方、あり方はとても重要だと思うんですが、世耕大臣、御感想をいただけますでしょうか。

世耕国務大臣 経産省としても、エネルギーの地産地消、そして、またそれをいろいろな形で使っていくということについては、一つのあるべき姿として評価したいと思っています。

 ドイツにおけるシュタットベルケは、小売電気事業者として、大手発電事業者との相対取引ですとか卸電力取引所を通じて電力を調達するだけではなくて、自社電源として再生可能エネルギー発電などの分散型電源を活用しながら、地域の需要家に電気を供給しているわけであります。

 こうした分散型電源の活用というのは、エネルギーの効率的利用とともに、エネルギーの地産地消による地域活性化等に寄与するものとして、有意義だというふうに考えています。

 経産省でも、再生可能エネルギーやコジェネなどの分散型エネルギーから生じる電気や熱を複数施設で融通、利用する先導的な取組に対する支援を行っているところであります。

山崎委員 ドイツで、こうやって自治体の方々といろいろお話をして、エネルギー事業をやっていくということで、成功した理由、いろいろなお話を聞きました。自治体がやらなきゃいけないことは非常にたくさんあって、やはり、リーダー的ないい人材が育って、そういう方々が本当に、先導的な、いろいろな技術、あるいは市民への説明、合意形成、そういったことに汗を流されている。非常に印象的でございまして、自治体の役目も非常に重要。

 では、国は何をしてくれたらいいんだというお話を聞きました。私が聞いたところでは、三つ大きなお話があって、逆に言うと、それしかなかったんですが。

 一つは、やはり、現時点では、固定価格買取り制度によって再エネをきちっと買ってもらう、伸ばしていくというベースが必要だということ。

 それからもう一つ、同じ理屈なんですが、優先接続です。やはり、自治体でそれぞれ、地域地域で発電したものがきちっと送電に乗る、きちっとそれをつなぐ、それが優先的に行われるということが再エネを伸ばすためにどうしても必要だというお話がございました。

 それから三つ目、これはやはり市場の自由化でございまして、ドイツの場合は、配電、要するに、小売だけではなくて配電をする、そのコストも自治体のシュタットベルケが行うということで、その配電からすごくまた利益が上がっているんですね。送配電は、今、日本の場合は一括でやられていますが、そこも切り離して、配電から地域で行うことができるような仕組みがあって、それが重要なんだというようなお話をお聞きしました。

 日本では残念ながら条件が整っていないと思いますが、世耕大臣、いかがですか。

世耕国務大臣 まず、接続という点で申し上げますと、日本では、空き容量の範囲内で、シュタットベルケのような地域のエネルギー事業者も含めた、担い手の事業形態ですとか再生可能エネルギーや火力などの電源種によらず、公平に、接続の申込み順に送電線の容量を確保できることになっています。仮に再生可能エネルギーを優先して接続を認めるということになった場合は、電源の事業の予見可能性を損なうおそれがあるという点には留意をしなければいけないというふうに思っています。

 日本における新たな電源を接続する際の系統費用負担の考え方は、再エネ導入が進む多くの欧州の国々と同様、増強費用の一部を発電事業者が負担する方式であります。これは、系統コストの高い場所に発電の立地が集中して国民負担が増大しないよう、適正な発電の立地を促すという考え方に基づいているところであります。

 また、配電を地域の事業者がやるということについてでありますが、配電は、やはり、これはいわゆるラストワンマイルになるわけでありますが、それに新たに地域の事業者が参入しようとすると、設備投資等、いろいろ負担もあるのではないかというふうに推測をいたします。

山崎委員 ドイツの例でいくと、これはインフラなんですよ、だから。水道であったり、下水道、あるいは熱供給も向こうはインフラですけれども、一体で電力の供給網も整備をされ、管理をされていますので、決して余計な負担がかかっているわけではなくて、より効率的に運営されているんですよ。切り離して切り離して別な人が検査をするわけではない、メンテナンスも一体でできるというところに、より効率的な姿があるのではないかと思います。

 それから、先ほど優先接続のときに、安定供給の話を必ずされます。もちろんそれは大変重要なんです。じゃ、その地域地域で不安定な電源になっているかというと、決してそんなことはありません。風力もあります、太陽光発電もあります。向こうは風力が大きかったですが、それからバイオマス発電もございます。そういったものをうまく組み合わせて安定化を図っています。

 おもしろかったのは、地域でまず一通りの安定の仕組みをつくるということをやって、それで足りない部分はより広域な、例えば風車でもっと発電ができている地域から電気を融通する。さらに、もう一つ大きくいくと、今の段階では、例えば火力発電所のようなものが足りないときに一時的に補うという段階なんですよ。日本のように、火力発電所が電気を送る、それで、風力、太陽光がプラスされるという話じゃありません。太陽光や風力や自然エネルギーで地域が回る中に、足りない部分だけ広域の風車の電気が入る、あるいは火力発電の電気が入る、そんな流れができています。

 発想がやはりかなり違うので、私は、これは経済政策としても地域活性化策としても、全く有望な、日本にも当然導入可能なモデルであると思っています。

 実際に今、シュタットベルケネットワークのような形で日本でも動きがございます。まだまだ実際の実施事例は少ないですが、これからこういった事業を伸ばしていくことが、本当の日本の再生、活性化につながっていくと思いますので、ぜひ注目をいただきまして、こういった事業、単にエネルギーをシフトするという話ではなくて、それを、じゃ、どういう担い手で、どういうモデルで実行していくかによって、またその成果が大きく変わるということをお伝えしておきたいと思います。

 それでは、二番目のテーマで、エネルギー政策をめぐる議論についてお尋ねをしていきたいと思います。

 経産省さんでは、エネルギー基本計画、今見直しの作業をされていて、八月かな、夏ということですね、夏に閣議決定をするということで作業を進めているとお聞きをしております。

 先日、エネルギー情勢懇談会の取りまとめの提言が出されたということでございますが、この内容について、概要を御説明いただけますでしょうか。

世耕国務大臣 このエネルギー情勢懇談会というのは、二〇五〇年に向けて、脱炭素化のあらゆる選択肢について活発な御検討をいただいて、提言を取りまとめていただきました。

 提言の中では、世界ではエネルギー転換、脱炭素化に向けた挑戦が既に始まっているということ、一方で、経済的で脱炭素の完璧なエネルギーが存在しないという現実があるということ、そして、このため、脱炭素化に向けたあらゆる選択肢の可能性を追求すべきといった方向性が示されております。

 再生可能エネルギーについては、この中で、経済的に自立をし、脱炭素化した主力電源化を目指すという方向性が示されたところであります。FIT制度による補助から早期に自立をして、送配電ネットワークの再構築、水素、蓄電、デジタル技術による調整力の脱火力依存といった本質的な課題への対応が必要だと考えております。

 原子力については、福島事故を経験した日本としては、安全を最優先して再エネの拡大を図る中で、可能な限り依存度を低減するという方針は堅持しながら、実用段階にある脱炭素化の選択肢の一つとして、社会的信頼の回復に向けて、人材、技術、産業基盤の強化に直ちに着手をして、安全性、経済性、機動性にすぐれた炉の追求、バックエンド問題の解決に向けた技術開発を進めるべきという報告が行われたところであります。

 現在、この提言も踏まえながら、エネルギー基本計画、これは二〇三〇年に向けてということになりますが、検討を行っているところであり、引き続き議論をしっかりと進めてまいりたいと思います。

山崎委員 ありがとうございます。

 今、第五次のエネルギー基本計画の骨子案を作成されていて、その中にも今いただいた五〇年に向けてのビジョンというかシナリオは一章設けて書かれるということでよろしいんでしょうか。

世耕国務大臣 二〇三〇年のエネルギー基本計画というのは、いろいろなデータとか推測値を積み上げて、そして最終的にエネルギー需給見込みのエネルギーミックスというものをつくっていく。

 一方で、二〇五〇年、これはパリ協定を踏まえてCO2八〇%削減しなければいけないという極めて野心的なチャレンジをしなければいけないわけであります。

 二〇五〇年へ向けての姿ということで、この情勢懇には提言をいただきました。

 これは、しっかり、二〇三〇年と五〇年というのは当然続いていくわけでありますから、エネルギー基本計画にも何らかの形でこのエネルギー情勢懇の提言はしっかりと盛り込んでいきたいというふうに思っています。

山崎委員 時間がないので、本当は私ももう少し質問したいんですが、この目次案を見まして、第三章に「二〇五〇年に向けたエネルギー転換への挑戦」ということで、「第一節 野心的な複線シナリオ〜あらゆる選択肢の可能性を追求〜」と書いてあるんですよ。

 きのうも実は、これを議論する国会エネ調、準備会があって、いろいろ議論があったんですが、何を言っているかわからないと。総花的で、本当にその方針はどこにあるんだと。再エネを伸ばすのはいいでしょう、原発も維持をする、ではどっちをやったらいいんだと。複線的なシナリオ、全方位で言って、何を言っているのかわからない。これでは私は日本のエネルギー政策の指針になるものとは思えません。

 もちろん、一つ一つの事実は、積み上げは大事ですし、その議論は大事でしょう。でも、その中から、では日本はこれだ、そういう指針を決めないと、エネルギー基本計画、押さえないと、本当にこれで日本の産業界、よし、自信を持って、ではこっちの方向だと。もちろん難しいですよ。時代はいろいろ動いている。だから、その変化をフレキシブルに取り入れるのは大事ですけれども、国の大きな方針が決まらないから日本のエネルギー政策は宙に浮いてしまっているんです。日本はどんどんおくれていってしまっている。

 では、次、外務省の方にお越しいただいていますので、政務官、済みません、お聞きをしたいんです。

 外務省も、気候変動に関する有識者会議、エネルギーに関する提言を出されていますが、概要は構いませんので、この位置づけ、どういう目的でこの提言を受け、今、これをどう省内で活用しようとしているか。

岡本大臣政務官 山崎委員にお答えいたします。

 外務省は、気候変動問題に関して、世界最新の動向、NGOや研究者、気候変動に積極的な企業の声を生かした新たな政策の方向性を打ち出すことを目的に、今言及いただきました有識者会合を設置いたしました。

 二月にこの会合から河野外務大臣に提出されたエネルギーに関する提言では、三つのことを柱に、気候変動対策で世界を先導する新しいエネルギー外交を推進することを提言していただきました。

 その三つは、再生可能エネルギー外交を推進すること、二つ目には、エネルギー転換の実現へ、日本の道筋を確立すること、三つ目には、脱炭素社会の実現をリードし、新たな経済システムを構築することであります。

 この提言は、気候の変動及びエネルギーに関する最新の国際状況を踏まえた外交に関する有識者の方々の御意見でありまして、河野外務大臣に提出をしていただきましたが、十分にこのことを参考にしていきながら、今後の政策に反映すべく、今、その反映の方向について外務省内で検討しているところでございます。

山崎委員 ありがとうございます。

 ちょっと微妙な表現なので、この提言がどういうふうに外務省の中で生かされるか。

 ただ、今お聞きした限りは、新しいエネルギー外交のやはり大きな指針の中に組み込まれるんだろうと想像をするところでございます。

 これは大事な日本のスタンスですよね。日本のエネルギー転換の道筋を示すというところがやはりございますので、これは経産省の方針とも当然整合をとっていかなければいけない大事なポイントだと思っています。

 この提言の中にいろいろなことが書かれているんですが、一部抜粋をしたものを資料としてつけました。

 「エネルギーから見た世界の中の日本」という指摘がございます。資料の二ですね。その中の一番で、「遅れる脱炭素への取り組み」という指摘がございます。片括弧一、「偏る再生可能エネルギーの導入状況と低い目標値」。全部読み切れないので、下線部のところに行きますと、資料を見ていただきまして、「日本に存在する豊かな再生可能エネルギーを活用できていない。」「二〇三〇年に電力の二二―二四%という日本の再生可能エネルギー目標は、市場に対して今後も再生可能エネルギーを拡大していくというメッセージを発信できていない。」というふうに指摘をされています。

 世耕大臣、この指摘、どうですか。

世耕国務大臣 これは、あくまでも外務大臣が設置された有識者会合が外務大臣に対して提出された御意見でありますので、経産省としては論評は控えさせていただきたいと思います。

山崎委員 二番に行きます。

 「依然として各国よりも高い再生可能エネルギーのコスト」という項目がございます。全部は読み切れないので、一部を読みます。「日本では、系統連系や優先給電の保証がなく、目標設定が低いことなど将来的な再生可能エネルギー拡大の展望に欠けるため、事業者がコスト低下に踏み込める環境が整っていない。」と言われています。

 コメントいただけますか。

世耕国務大臣 同じ答えになりますが、外務大臣に対して外務大臣が設置した有識者会合が提言された内容について、論評は控えさせていただきたいと思います。

山崎委員 一つ一つの指摘は、これは経産大臣が所管しているお話でございまして、経産大臣としてのお考えがあるはずですよね。いいんじゃないですか、有識者なんだから。それに対して、いや違うよと、政務官もいらっしゃるんだから、その場でお考えを言わないとおかしくなりませんか。またでは部屋に帰って議論するんですかね。その議論の結果がぽんと出てくるんですかね。

 では、次に行きましょう。

 三番、「効率化の求められる熱利用」。「電力に力点を置いた政策がとられてきたため、大きなポテンシャルが存在する、太陽熱、バイオエネルギー熱、地中熱などの利用は進まず、地域熱供給やコージェネレーションの導入も限定的なままである。」。

 コメントいただけますか。

世耕国務大臣 同じ答えになりますけれども、外務大臣が設置された有識者会合が外務大臣に提言した内容について、経産省として論評は控えたいと思います。

 経産省としては、エネルギー情勢懇談会というところでしっかり議論を行いました。外務省の有識者会合は全く内容を公開されていませんから、議事の内容とか、我々はどういう経緯でそれがまとまったのかも知り得るべき立場にはないわけであります。エネルギー情勢懇談会はフルオープンで行いました。外務省にも環境省にも御出席をいただいて、しかも、発言ができる状況の中で議論を進めさせていただいております。

 政府としての方針は、これからエネルギー基本計画が閣議決定をされるわけでありますから、政府としての方針は明確に出させていただくことになろうと思っています。

山崎委員 もう一点、最後、次のページに行きましょう。

 六、「原子力発電の役割の低下」。全部読むと時間がないので、真ん中、「日本での原発新増設は経済的な現実性を欠いている。」その上も大事ですね。「世界的には、原子力は、高リスクで競争力のない電源であることが明らかになっているにもかかわらず、日本では、原子力が他の電源よりも安価であるという試算がそのまま使われている。」「石炭火力と同様に需要追従性が低く、系統に対する柔軟性に乏しいため、世界が進める再生可能エネルギー中心の電力システムとの整合性に問題を抱える。」このような指摘もございます。

 これは聞いても同じ答弁なので、外務大臣政務官、今の世耕大臣の御発言、これだけ有用なものを私はまとめていただいていると思いますが、コメントいただけますか。

岡本大臣政務官 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたように、この提案内容に関しましては、有識者会合から提案をされた最新の動向でございまして、その最新の動向を踏まえて、今後、外務大臣を中心に外務省で政策を考えていきますので、その御提案が示された内容ということでございます。

 今後どういうふうに活用するかは、検討してまいります。

山崎委員 どうして同じようなテーマを取り上げてこれだけ違う提言が出るんでしょうかね。世耕大臣、どう思いますか。

世耕国務大臣 それは、各省、エネルギー政策については、経産省もあれば外務省もあれば環境省もある。それぞれ立場によって微妙な立ち位置の違いというのはあると思いますよ。

 ただ、政府としては、エネルギー基本計画を閣議決定することによって、一つの政府としての統一的な方針というのがきちっと決まるわけであります。

 今お示しのこの有識者会合の御提言というのは、これは外務大臣に対して行われたわけでありますから、外務大臣がそれをそしゃくされて、閣議決定をするときに何らかの意見をおっしゃるとか、そういうことになるのではないかというふうに思っています。

山崎委員 理由になっていないんですが。何で有識者を集めて御意見をいただくとこんなに真逆のことを言うのかですよ。真逆のところ、たくさんありますよ。

 私は外務省の皆さんのこの意見に賛同しているものではございますが、どちらの意見をとるにしても、だから、有識者と言われる方もこれだけ意見の開きがあって、誰を人選してくるかによって結論がこれだけ変わるということじゃないですか。あるいは、そのトップがどういう意向でこの有識者会合を組織したか、それも影響しているかもしれない。

 ぜひ、エネルギーの議論は国民生活に直結する本当に大事な議論でございまして、国民の皆さんにわかるように、こういった議論が一体で行われるようにしていただきたいんですよ。こんな意見が経産省で出ました、外務省で出ました、綱引きするような、そういう話題ではございません。

 ぜひ、有識者もこれだけいろいろな方々がいるんだったら、一堂に会して議論をさせて、それを公開して、世耕さんの言っているように、それで国民の皆さんが納得して、エネルギーのデモクラシーですよ、そういった取組につなげていただきたい。

 この意見の開きというのは私は大変重要だと思います。政務官、いかがですか。

岡本大臣政務官 お答え申し上げますけれども、あくまでも有識者の方々から外務大臣にいただいた提案でございますので、政府内の参考にはいたしますが、日本のエネルギー政策を一義的に担っているのは経済産業省でございますので、経済産業省の御意見とあわせながら議論してまいりたいと思います。

山崎委員 終わりますが、そんなに深くうなずかないでいただきたい。

 というのは、エネルギーの問題は、もちろん経済産業省だけの問題ではありませんよ。これは環境省の問題でもあり、外務省の問題でもあり、日本全体の問題ですから。経産省で主導して終わりではございません。だから閣議決定なんでしょう。

 ぜひ議論を深めていただきたいと思います。

 以上です。

稲津委員長 次に、松平浩一君。

松平委員 どうもおはようございます。立憲民主党の松平浩一です。

 本日は、EUのGDPRについて御質問させていただきたいと思います。

 EUのGDPR、ジェネラル・データ・プロテクション・レギュレーションというもの、日本語で言うと一般データ保護規則なんですけれども、これの運用開始が二〇一八年五月二十五日と、もうすぐになってきています。

 そこで、このGDPR、まずはどういったものか、御説明いただけますでしょうか。

福浦政府参考人 お答えいたします。

 現在、EUにおけますデータ保護法制は、EUデータ保護指令に基づき、EU各国においてその内容を担保する国内法が施行されております。そのため、事業者は、その活動が行われる国ごとに、それぞれの国内法への対応が必要でございます。

 議員御指摘のとおり、本年五月二十五日から、EU域内にいる個人の個人データを保護するためのEUにおける新しい統一的なルールでありますGDPR、一般データ保護規則が施行されます。GDPRでは、EU加盟国に同一に直接効力を持ち、主に、個人データの取扱いやEU域内から域外への第三国への移転のための満たすべき義務を定めていると承知をいたしております。

松平委員 今、御回答いただきましたように、これはEUで定めたものということなんですけれども、EUで定められたものにもかかわらず、EU域外の国、つまり、日本の企業もこれは対象となってくるんでしょうか。こちらの対象はどうなっているのか、教えていただけますでしょうか。

福浦政府参考人 お答えいたします。

 EU域内で事業を行う企業は、GDPRの適用対象となります。また、いわゆる域外適用の規定がございまして、EU域内に拠点を持たない事業者がEUにいる個人の個人データを取り扱う場合には、GDPRの適用対象となり得ます。

 例えば、日本において欧州向けに商品やサービスを提供している企業などは、GDPRの適用対象となる場合があるものと承知をいたしております。

松平委員 ありがとうございます。

 EUに拠点がなくても適用がある可能性がある。EU向けに商品やサービスを提供している企業は、日本企業であっても適用の可能性があるということで、これはちょっと日本企業にも影響を及ぼすGDPRなのかなというふうに思いました。

 こちらは、日本の企業全て、つまり今おっしゃった対象になる会社全て、つまり大企業であっても中小零細企業であっても全て、区別なく適用されてしまうということでいいのでしょうか。

福浦政府参考人 お答えいたします。

 GDPRにおいては、事業規模による違いを設けておりませんので、大企業だけでなく、お尋ねの中小零細企業にも適用されるものというふうに承知をいたしております。

松平委員 なるほど、どうもありがとうございます。

 ちょっと具体的に、じゃ、どういった企業が適用になってくるのか、御見解をお聞きしたいんですけれども、例えば、日本に本社がある会社のウエブサイトで、EU域内の居住者に対して商品、サービスなどを販売する企業、今のお話ですと、そういった企業は適用の可能性が出てくるということになると。

 それをもうちょっと具体的にお聞きしたいんですが、例えば、日本で旅行業や旅館を営業していて、ユーロ決済でネット経由でEUからのお客さんがいる、そういった場合、このGDPR、適用されてくるんでしょうか、どうでしょうか。

福浦政府参考人 お答え申し上げます。

 さきに御答弁申し上げたとおり、GDPRでは、EU域内にいる個人に対しまして商品やサービスを提供している場合、又はEU域内にいる個人の行動を監視している場合にいわゆる域外適用があるとの規定が置かれておるものと承知をいたしております。

 域外適用があるか否かの判断基準の例としましては、GDPRの前文におきまして、どのような言語や通貨が使用されているか、また、EU域内の個人に関する言及があるかが挙げられているものと承知をいたしております。

 具体的に申し上げますと、英語のウエブサイトを設けているだけとか、またドル建てで決済しているだけでは該当しないという趣旨と言われておりますが、いずれにしましても、言語、通貨、EU向けの言及があるかなどを総合勘案するというふうに説明をされていると承知をいたしております。

 それで、その上で、議員御質問のような個別の場合におけますGDPRの適用に関しましては、私どもの委員会にはGDPRについての解釈権限を有しておりませんので、申しわけございませんが、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

松平委員 承知いたしました。そうですか。

 ただ、今おっしゃられたように、言語であるとか、通貨であるとか、EU域内に住んでいるかどうかの個人の言及があるかどうか、そういったところを総合勘案するということのようですので、例えば、ウエブサイトがフランス語で、そしてユーロ建てで決済します、そしてフランス居住者の方に特別キャンペーンですみたいな形でしたら、結構GDPRの適用が出てくる可能性が高いのかなと思ったりもします。

 あと、今お話しさせていただきましたようなサービスの提供以外にも、普通に多く考えられる、このGDPRの適用というものが多く考えられる事態が、会社内部での個人データの移転の場合になってくると思います。

 欧州に支店や支社がある場合ですね、本社が日本で、欧州に支店や支社がある場合、その欧州の支社、支店で集めた顧客の情報ですとか従業員の個人のデータ、これを本社にも共有する、こういった場合、これは、例えば、もしかしたらクラウドに保存していて知らずに共有してしまっているかもしれません。こういった場合は、事業部はもちろん人事でも総務でも、いろいろな社内の部署で起こり得ることかと思います。

 こういった場合に、欧州にある支店や支社が対応していれば十分というわけではなく、本社でも対応の必要があるというふうに理解してもいいのでしょうか。

福浦政府参考人 お答え申し上げます。

 クラウドサービスにつきましてのお尋ねでございますが、サービスの形態、いろいろな形態もございますし、個別事案の適用に関しましては、重ねてで恐縮でございますが、私ども委員会に解釈権限がございませんので、いい悪いの答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

松平委員 そうですか、残念です。ちょっと何か解釈指針でもいただければなというふうに思ったんですけれども。

 ちょっと私が調べた限りでは、やはり、欧州にある支店や支社が本社の手足になってくるという場合は、やはりGDPRの直接適用の可能性もありますし、先ほどのクラウドの場合は、日本の本社からもアクセスができるということで、個人データの域外移転の話となってくる可能性もあるものなのかなというふうに理解しております。

 さて、今までいただいた御答弁で日本の会社にも適用の可能性が高そうということがわかったんですけれども、では、このGDPRに違反したらどのような罰則の可能性があるのでしょうか。

福浦政府参考人 お答え申し上げます。

 違反に対する罰金についてでございますが、GDPRにおきましては、重大な義務に違反した場合には、最大二千万ユーロ、若しくは全世界売上げの四%のいずれか高い方までの金額が制裁金として科され得るということが規定をされております。

松平委員 ありがとうございます。

 違反したら二千万ユーロということで、今一ユーロ百三十円ぐらいですので、円換算したら二十六億円ぐらいですか、非常に高いですね。さすがはEUの規定、半端ないなというふうに思いました。

 あと、若しくは全世界売上高の四%ぐらい、先ほど二千万ユーロかどちらか高い方ということなんですけれども、この四%ということも、この制裁を受けたら、日本の東証一部の上場企業の売上高に対する経常利益率というのが平均で七%ぐらいですので、これは、四%の制裁を受けたらその半分以上が吹き飛んでしまうということで、大変な影響があるものなのかなというふうに思います。本当に、中小企業でしたら倒産レベルの罰金の可能性があるということになってしまって、私、これは本当に、日本企業は対応は大丈夫なのかなというふうに思っております。

 そこで、ちょっと日本企業がどの程度対応できているのか、そういうことを調べたのですけれども、二〇一七年十月五日公表のPwCグローバルの調査においては、日本企業で対応を完了したという企業が、調査の結果、日本ではわずか二%ということのようでした。二%と、非常に恐ろしい数字です。これは二〇一七年十月五日の公表ですので、今はもうこの調査から半年以上はたっているわけなんですけれども、それなのでもうちょっと数字は当然上がっているのかなというふうに思うんですが、そこまで高く行っていないように予想はされます。

 このGDPR、準備には非常に時間がかかるというふうに言われています。内容も非常に高度で複雑なものです。従業員教育であるとか適切な保護措置の実施、それから情報通知のドラフトであるとかデータ移転の方法、そういったものの検討などいろいろあります。

 中でも、非常に大変と言われているのがデータ保護責任者ですね。データ・プロテクション・オフィサーという、DPOというふうに俗に言われているやつなんですが、そういったDPOですとか、あと代理人ですね、レプリゼンティティブの選任、そういったものです。

 グーグルのピチャイCEOは、先日、報道で、十八カ月前から準備を進めている、そういうふうにおっしゃられておりました。グーグルほどスタッフが充実している会社でもそのぐらいかかっているということです。

 やはりこの対応は非常に大事だと思うんですが、GDPRの周知とその準備について、国のバックアップの状況というのはいかがでございましょうか。

寺澤政府参考人 お答えします。

 委員御指摘のとおり、GDPRは、日本企業に対しても相当インパクトがあり得るということでございますので、既に多くの日本企業がみずから関心を持って情報収集し、準備をしているというところだと承知しておりますけれども、経済産業省としても、中小企業を含む日本企業がEU関連のビジネスに適切に対応できるよう、しっかりと周知啓発活動を行うということが重要だと考え、これまで活動をしてきたわけでございます。

 具体的には、まず、経産省とジェトロが、EUの制度に詳しい弁護士などにお願いして、電機、素材、保険、メーカー等百社以上の事業者に対してセミナーを行ってきたところであって、二〇一六年以降、合計三十三回、約千八百名に対してセミナーを開催したところでございます。

 また、GDPRの基本的な構造とか社内外への対応について概説した実務家向けのハンドブックとして、入門編、実践編の二つを作成、公表し、四月末時点で約八万のアクセスがあったところでございます。

 また、本年の三月、個人情報保護委員会と共同して、同じくGDPRの概要や事業者の義務等についてまとめたパンフレットを作成するとともに、製造業、情報通信産業、コンテンツ産業、中小企業など四百近い事業者団体を通じて、幅広い企業に対して情報提供を実施をしてきたところでございます。

 こうした取組を踏まえて、日本企業の中でも幾つかの企業は企業グループで規定を策定して、十分に個人情報保護を行っていることに対してEUの管轄監督機関の承認を得るBCRというものの取得に向けて準備を進めている企業グループも出てきているところではございます。

 このように、日本企業もさまざまな対応を進めてきているものでございますが、引き続き、委員の御指摘にあるとおり、日本企業に対する周知啓蒙活動は重要でございますので、しっかりと周知啓蒙活動に努めてまいる所存でございます。

福浦政府参考人 周知啓発の状況についてお答え申し上げます。

 当委員会としましては、日本企業のGDPRへの対応をサポートしていくために、当委員会のホームページに専用ページを設けまして、GDPRに関する情報提供を行っております。ホームページにおきましては、日本企業がGDPR対応を検討する際に参考となる情報としまして、欧州委員会を始めとする各関係機関のサイトへのリンクのほか、GDPR関連の各種ガイドラインについて、私ども委員会による日本語の仮訳などを掲載し、随時充実を図ってまいっております。また、先ほど紹介ございましたが、経済産業省と連携をして、中小企業向けのリーフレットを作成し、配布するなどの取組を行っております。

 引き続き、当委員会としましても、中小企業を含みます我が国企業への周知を図ってまいりたいというふうに考えております。

松平委員 取組の状況の御答弁、どうもありがとうございました。

 このGDPRについては、原則として、個人データの、EEA、EUの域外移転は認めていない、そういうふうに理解しています。

 この点において、日本政府は、欧州委員会からの十分性認定、そういったものの取得を目指しているというふうに聞いています。この十分性認定とは一体どういうものなのでしょうか。

福浦政府参考人 お答え申し上げます。

 十分性認定とは、GDPR第四十五条に基づきまして、欧州委員会が、特定の国又は地域等について、十分な水準の個人データの保護を確保しているということを認める決定でございます。GDPRでは、個人データをEUから第三国又は地域などへ域外移転する場合は、一定の要件を満たす必要がございまして、十分性認定がなされた国又は地域などに対しては個人データの域外移転が適法に行うことができるものと承知をいたしております。

松平委員 どうもありがとうございます。

 十分性認定を受けることができたら、個人データを域外に適法に移転することができる、そういったことで、これは非常にこの認定を受けられるかどうかは重要なものだというふうに思いました。

 私も、調べた限り、逆に、この十分性認定、これを受けられないと、EUから個人データの移転を受けるに当たっては、標準契約条項、SCCと呼ばれるもの、こちらを締結したり、拘束的企業準則、BCRというもの、これを承認したりすることが必要となってくる等、非常に大変な労力がかかってくるものというふうに理解しています。

 そういった意味で、この十分性認定、取得できるかどうかは非常に重要なものと思うんですけれども、この十分性認定についての、では現在の交渉状況、時期など、そういったものについて教えてください。

福浦政府参考人 お答えいたします。

 日・EU間の個人データ移転につきましては、その相互の円滑な移転を図る枠組み構築を視野に、当委員会と欧州委員会との間で累次の対話を行ってまいりました。

 具体的には、日・EU間でそれぞれの国内法に基づき、相互の個人データを円滑に移転できる措置を講ずることで合意をいたしております。日本側の手続としては、個人情報保護法に基づき、個人情報の保護レベルが日本と同等の国であるとしまして当委員会がEUを指定する。EU側の手続としては、GDPRに基づいて、同様な観点で、日本に対して十分性を決定するということでございます。

 対話の状況については、現在詰めの協議を行っているところでございまして、引き続き、本年前半の最終合意を目指して、精力的に対話を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

松平委員 どうもありがとうございます。

 保護レベルが同等ということを目指していらっしゃるということで、それで、実際、国内法だけでこの保護レベルが同等と認められるかどうかという意味でいうと、ガイドラインというものの策定も考えていらっしゃるということで伺ったんですが、そちらについても教えていただいてもいいでしょうか。

福浦政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、ガイドラインの策定を現在進めておりまして、EUから日本へ移転された個人情報を対象としたガイドラインにつきましては、今般、このガイドラインについて、パブリックコメントの募集を四月二十五日より開始をいたしまして、期限は五月二十五日までといたしております。意見募集終了後は、いただいた意見を踏まえまして、EUとの協議の最終状況を踏まえつつ、公布、施行を行うという段取りになってございます。

松平委員 ありがとうございます。

 では、このガイドライン、現行法とどのような点で違うのか。現行法をどのような点で変えようとしているのか。こちらについても教えてください。

福浦政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げた、現在パブリックコメント実施中のガイドライン案では、EU域内から十分性認定によって移転を受けます個人データの取扱いについての最低限遵守すべき規律を示してございます。

 その案の中では、要配慮個人情報の範囲、保有個人データの範囲、利用目的の承継、日本から外国への個人データの再移転、匿名加工情報、以上に関する規律について記載をいたしているところでございます。

松平委員 ありがとうございます。今の六点について、主な変更点ということになりますね。

 では、こちらの、この変更が適用されることになる事業者、これについてはどのような事業者となるのか、それも教えてください。

福浦政府参考人 お答えいたします。

 本ガイドライン案の適用でございますが、EUから十分性認定に基づき移転された個人データを取り扱う個人情報取扱事業者のみに適用される予定でございまして、したがいまして、それ以外の事業者までを対象とするものではございません。

松平委員 ありがとうございます。

 先ほど、このガイドラインで六項目ほどの内容を変えようとされているということで、その適用範囲が気になったんですが、この十分性認定に基づいて個人データを移転する、その日本の事業者のみが対象となるということで、それ以外の事業者については、平たく言えば関係ないものだということを聞いて、少し安堵いたしました。

 あと、このガイドラインを企業が守ったからといって、GDPR自体を、これは、このガイドラインを守ることでGDPR全てを守るということにはならないというふうに思っております。私は個人的には、その辺の注意喚起も同時に必要となってくるというふうに思っています。

 例えば、このGDPRと日本の個人情報保護法においては、個人データの定義からして違います。GDPRの個人データは、データ単体では個人を識別することができなくても、複数のデータを組み合わせることで個人識別につながるデータも個人データに含まれてくるということになってしまうので、例を言うと、IPアドレスであるとかクッキー識別子なども含まれるので、個人情報保護法の個人情報の範囲よりも非常に広いものというふうになっています。そのあたりもやはり周知されないとちゃんと対応できないので、ぜひとも周知が必要なのかなというふうに思っております。

 そして、多国籍企業にとっては、私、今回のGDPRの改正によって、この個人情報保護の分野、プライバシー保護の分野では、欧州の規範というものが世界での主導権を握っていくことになるのかなというふうに思っています。

 フェイスブックも最近プライバシー設定が変更されましたけれども、実際はこのGDPR対応というものが主眼と言われています。その理由は、先ほど御答弁いただいたように、罰金の金額が非常に高いということ、そして、過去の欧州当局の姿勢です。

 EU競争法違反で、日本の独禁法に当たるものですけれども、これで、日本に限らず日米の企業に対して、数十億、数百億というかなりの金額の制裁金が実際に科されてまいりました。そして、個人データに関しても、ちょっと細かくなりますが、EUと米国のセーフハーバー協定の無効判決というものが出たんですが、それが出た後も、同じ手続でデータ移転した米国の一般の企業に対して制裁金が科されるという事態が生じております。

 ですので、私、このGDPRに関しては、欧州当局も単なるおどしではなく、実際に制裁金という手段を使ってくるのではないかなという印象がしています。このあたりの制裁金に関する実際の適用に関して、御感触というものをお聞きしたいんですが、いかがでしょうか。

福浦政府参考人 お答えいたします。

 当委員会では、EUにおけるGDPRの遵守を監督する機関でありますデータ保護機関を訪問し、意見交換を行ってきておりますが、データ保護機関の中には、違反に対して直ちに制裁金を科すのではなく、まず指導助言や警告などで対応したいという機関もございます。

 これらのことを考えれば、各企業が取り扱う個人情報の性質などに応じて、まず誠実に対応できていれば大きな問題とはならないのではないかというふうに考えられるところでございます。

松平委員 なるほど、ありがとうございます。

 今おっしゃっていただいたような当局の実際の感触というのは、情報として私は非常に大事なものというふうに思います。このGDPRに関して日本企業が狙い撃ちされるということがないように、EUに対して十分なコミュニケーションをとっていただいて、交渉力を持って進めていただければなというふうに思っています。

 あと、GDPRについては、さらに、各国の法律で、プラスして独自のルールが定められている部分もあると理解しています。例えば、データの取得に親の同意が必要な子供の年齢について、各国はGDPRが定める十六歳未満より低く設定することも可能というふうになっていたりします。そういったところも含めて、日本企業がなるべく国際的に活動しやすくする、そういうことを国が支援する、適切な情報発信をしてわかりやすく周知をしていくということが本当に大切なものだなというふうに思っています。

 最後に、本当に再来週ですね、適用開始が。再来週に控えているGDPR、この運用開始に当たって、大臣から御所見をお願いできればと思います。

世耕国務大臣 やはり、日本企業がEU域内でビジネスを行っていようが、あるいは域外であろうが、EUの個人データを取得する場合対象になるということでありますので、これはまず徹底的な周知を中小企業も含めてしっかりやっていきたいと思います。

 先ほど寺澤局長からも答弁しましたけれども、セミナー、ハンドブック、パンフレット、ホームページ、あらゆる手段を通じてしっかりと周知を行うということ、個人情報保護委員会ともよく連携していきたいと思います。

 また、日・EU間の個人データの円滑な越境移転、この円滑な越境移転を図る枠組みを築いていくということ、これも非常に重要であるというふうに考えておりまして、私自身も、去年、CeBITに参加するためドイツを訪問した際に、欧州委員会のアンシップ副委員長、そしてヨウロバ委員との間で会談を持ちまして、相互の枠組みの構築に向けた対話の重要性を確認をして、日・EU共同プレスステートメントを出したところであります。

 また、その後、去年の七月六日には、日・EUの首脳レベルにおいて、安倍総理とユンカー委員長との間で、日・EU双方の制度を前提として相互の円滑な移転の枠組みを二〇一八年早々には整備することを目指す、ちょっともう六月になっちゃっているんですけれども、政治宣言が発出をされたところであります。

 現在は、これらを踏まえて、個人情報保護委員会において、ことし前半の最終合意に向けて詰めの協議が行われていると承知をしていますが、この協議の状況もしっかりと注視をしてまいりたいというふうに考えています。

松平委員 大臣、力強いお言葉、どうもありがとうございました。

 GDPRに関して、私の質問はこれで終わりたいと思います。皆さん、どうもありがとうございました。

稲津委員長 次に、中谷一馬君。

中谷(一)委員 立憲民主党の中谷一馬でございます。本日も、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 私からは、まず、エストニアから学ぶデジタル化の推進と業務の改善という観点から、何問か伺わせていただきたいと思います。

 先日、我が会派の山崎誠議員、松平浩一議員など、仲間たちとともにエストニアへ視察で行ってまいりました。その中で私たちが見たものは、あらゆる業務をデジタル化し、国民、行政相互の利便性、生産性を徹底的に向上させていこうという、そういった取組でございました。

 この取組は幾つかの原則をもとに組み立てられておりまして、例えば、デジタルファーストの原則では、デジタル技術を徹底的に活用し、デジタル処理を前提としたサービス設計を行い、個々の手続、サービスを一貫してデジタルで完結させることで生産性とスピード感を向上させようということをしております。

 また、ワンスオンリーの原則では、管轄の異なる複数の行政機関に同じ情報を何度も提出しなければならない面倒な手続を市民が行わなくて済むようにすることを目的とした、無駄を感じさせるやりとりを発生させない、市民生活の利便性を向上させる、全体を効率化させようという、そういった取組が進んでおりました。

 そしてまた、ノーレガシーの原則では、システムの陳腐化を防ぐことを目的に、十三年以上たったITインフラは使用しないということがされており、さらに、デジタル・バイ・デフォルト、トゥルース・バイ・デザインの原則では、サービスデザイン思考に基づく業務改革、デジタルでの処理を前提とした業務フロー見直しを推進するとともに、業務の実態を事実に基づいて一つ一つ徹底的に把握、検証し、課題の可視化と因果関係の整理を行った上で改善策を実行する、ビジネス・プロセス・リエンジニアリング、いわゆるBPRを進めております。

 こうした取組は、日本の未来をつくる上でも大変参考になると考えておりまして、政府においても、デジタル・ガバメント推進方針でこのような考え方を取り入れられているように見受けられます。

 そうした中で、先日、MEKTORYというタリン工科大学のイノベーション・ビジネスセンターに伺った際に、あちらの教授から、五月に経済産業省の皆様と会合を行うという話を伺いました。そして、そのことを経済産業省に確認をしたところ、確かにお会いされたということでありましたので伺いますが、エストニアの方が来て、現在、経済産業省の方々と、何を目的に、どんなことをお話をされているのか、詳細について教えてください。

寺澤政府参考人 お答えします。

 委員御指摘のとおり、エストニアは、世界でも最もIT利活用が進んだ先進国の一つになっているわけでございます。

 具体的には、委員から御指摘になりましたように、X―Roadと呼ばれる官民のデータ連携基盤があって、これは役所と民間のいろいろな手続がデータベースでつながる、これによって、御指摘があったような、例えばワンスオンリー、一カ所に書類を出せばそれで済むということを実現しているわけでございます。また、ブロックチェーン等の最新技術を、例えば健康医療情報など、公共機関にも導入をしている、こういうのも世界でも最先端を走っているということでございます。

 また、NATOのサイバー対策の拠点であるCCDCOE、これはエストニアに設置されておりまして、ここで実践的なサイバー演習の実施をしているということもありまして、委員から御指摘があったデジタルガバメントに加えまして、サイバーセキュリティー対策の観点からも、非常に日本としても学ぶべき点が多い国であると思っています。

 例えば、これも我が省としての対応でございますけれども、ことしの二月には、経産省の職員のグループ、これがIPAの職員とともにエストニアを訪問しまして、エストニアでは、二十四時間三百六十五日の行政手続を実現する、そうしたITシステムがあるものですから、それについて意見交換をしたり、あるいは、先ほど申し上げたような官民のデータ連携のあり方、そして効率的なIT調達、開発手法等について、エストニア経済通信省の幹部とも意見交換を実施したところでございます。

 経済産業省としては、このように、意見交換を通じてエストニア政府から得られた知見を生かしながら、IT利活用による行政手続の簡素化、また、行政自身の簡素化、効率化だけじゃなくて、これを通じて行政サービスを利用される民間の方の効率も上がって、日本経済全体の生産性向上にもつながるということを目指していきたいと考えている次第でございます。

中谷(一)委員 御答弁いただきました。

 私も、エストニアに行って本当にいろいろな技術を見てきて、ああ、もうこんなに進んでいるんだなと思うことが、X―Roadも含めてたくさんございました。例えば、大学内で自動で物を運んでくれるロボットが実装実験がされていて、教室間で誰かが物を持っていくという手間が省けるようになっていたり、あと、観光客の方々の集計をするときに、携帯電話の情報で、通信がつながった、それでもうインバウンドの集計ができるようにということが進んでいたり、かなり先端的にもうこういった取組が進んでいるんだなということを体感してまいりました。

 その中で、世耕大臣にも伺わせていただきたいんですけれども、五月十日にエストニアのパロ企業・IT大臣と会談をされたという記事をインスタグラムで拝見をさせていただきました。その記事の中に、「エストニアは、IT・サイバー分野で世界トップの高い技術力を誇っており、我が国は、JETROによる企業ミッション派遣や専任のコレスポンデント設置などの取組を通じて、両国の企業間交流を促進しています。」と書かれていたんですけれども、このときはどのような狙いでパロ大臣にお会いをし、どんなお話をされ、それを受けて今後何をしていくのか、具体的な方針などがあれば教えてください。

世耕国務大臣 私も、七年ぐらい前に、一議員としてエストニアへ行ったことがありまして、そのときは、閣僚が首からICカードをぶら下げていて、それで全部決裁をやっていると。筆で花押をサインしている日本とは大分違うなというのを思った次第でありますけれども、エストニアは、これまでも、スカイプを始めとする多くのスタートアップ企業を輩出するとともに、デジタルガバメントにおいても世界最先端の国でありまして、デジタル分野を中心に潜在的な連携の可能性が大きい国であります。

 また、大規模なサイバーアタックを受けた経験も持っておりまして、サイバーセキュリティーに関しても非常に高い意識と経験を持っている、そういう国だというふうに思います。

 こういう観点を念頭に、先週十日、パロ大臣と会談した際には、ITですとかサイバーセキュリティー分野における両国間の連携を一層深めていこうということで一致をいたしました。

 また、私の方からは、ジェトロによる企業ミッションの派遣、ぜひエストニアのITに関するいろいろな知見ですとかあるいは先進的な取組をやはり日本企業もしっかり取り込むべきだと思っていますので、そういう企業ミッションを派遣するということ、そして、専任の連絡員を設置をすることなど、日本とエストニアの間の企業間交流の促進につながる具体的取組を紹介をさせていただいたところであります。

 今後は、デジタルガバメントですとかサイバーセキュリティーなどの分野における協力関係の強化を通じて、両国の経済関係を更に発展をさせていきたいというふうに考えております。

中谷(一)委員 御答弁をいただきました。

 やはり私も、エストニアを見て、日本とはまだまだ大きな開きがあるなということを体感をしてまいりました。世耕大臣におかれましては、こうした分野にも非常に見識の深い方だと思いますので、率先的にデジタルガバメントの推進、ひいては日本の産業力強化にデジタル化がしっかりと浸透していくような流れをつくっていただければと要望させていただきたいと思います。

 そして、その中で、セキュリティーの話もいただいたんですけれども、私、インターネット投票とか行政の内部でこういったIT化を進めていくときには、やはりこれが一番大事なんだという話を先方から伺ってまいりました。セキュリティー分野に関しても、もっと日本はしっかり知見を積んで、そして、やはりそういったサイバーアタックを受けたときにも対応できるような、そういった仕組みづくりというのが私は必要になってくると思いますので、そのあたりに関しましてもしっかりと進めていただくことを要望させていただきます。

 そして、各論に入らせていただきたいと思うんですけれども、そういった中で、私からは法人設立のワンストップ化に向けた見直しについても伺わせていただきたいと思うんですけれども、こちらもエストニアでは非常に進んでいるんですが、世界銀行が行った百九十カ国のビジネス環境に関する調査によれば、日本の起業のしやすさについての総合点というのが出ているんですけれども、これが百九十カ国中百六位という大変低い水準にありまして、もともとは八十何位か、そういったものだったものですから、それに比べてもまた下がってしまったという現状があります。

 それで、現在日本で会社を登記しようとすると、非常に面倒な手間が多くかかる上に、完了するまでに一週間から十日の時間がかかるということが言われておりまして、一方で、世界最先端の処理スピードを誇るエストニアでは、何と最短十八分で会社が設立ができるということであります。

 彼らが言っていたのは、例えば、ビジネスで昼間に会議をしているときだけじゃなくて、例えば夜、懇親をしながらいろいろな意見が深まっていって、それはいいね、ビジネスにしていこうよという話の後に、じゃ、今その会社を一緒につくろうということでスマートフォンを出して自分たちならつくれるよという紹介がされておりまして、なるほど、それじゃもうスピード感が全く違うわなと、すごいなと思って聞いていたんです。

 やはり、日本でもこうした状況を改善をしていくためには、データの自動処理による業務の自動化であったりとか、技術の進展に応じて、規制、制度そのものの必要性や従来の業務のあり方、これを抜本的に見直していくという発想で検討、対応をしていくことが必要なんだろうなということを思っております。

 具体的に言えば、公証人の面前確認を含めて、対面原則、書面交付原則、押印原則のあり方を見直した上で、よりよい方向に再構築をすることなど、現状行われている具体的な作業工程をしっかりと改善をし、利用者本位の行政事業を目指すべきであると考えますし、これができなければ、政府が掲げておられる世界で一番ビジネスのしやすい国へというスローガンは残念ながら空虚なものになってしまうんじゃないかと心配をしております。

 そうした中で、現在政府では、スマートフォンを活用したオンライン手続を目指し、最短一日で会社登記が終えられる環境を整備するということを方針として示されているということでありますが、現在進められている法人設立のワンストップ化に向けた見直しはどのような状況であるのか、政府の所見を伺います。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、我が国の法人設立手続は、必要な手続数や所要日数が多く、一部に、御指摘のとおり、面前や書面による手続が存在しております。また、登記申請や国税、地方税、社会保険に関する届出など、手続ごとに窓口が異なっておりまして、それぞれ個別に手続が必要である、それが非常に申請者にとりまして大きな負担となっていると聞いております。

 こうした課題を解消して、法人設立手続を利用者がオンライン、ワンストップで処理できるようにするため、平成二十九年九月より有識者検討会というのを開催しまして、具体的な対応方針を、主としては五つの論点を中心にしまして検討してきたところでございます。

 その論点、一つ目でございますけれども、まず、先生も御指摘ございました公証役場への出頭の件でございますが、いわゆる電子定款に関する株式会社の原始定款の認証につきまして、現在、公証人役場において公証人の面前による定款認証というのが必要とされておりますが、特定の場合にその定款認証を一部撤廃する、あるいはテレビ電話による認証、いずれかの方法によってそうした出頭が不要になるよう合理化してはどうか。

 二として、今、設立登記申請に当たり義務化されております会社代表者の印鑑の届出については、電子申請の際に商業登記電子証明書を申請するという場合にはこれを任意とするということでございます。

 三番目でございますけれども、オンラインによるいわゆる法人設立登記の二十四時間以内の処理の実現ということで、これについては、登記申請処理業務を抜本的に見直しまして、効率的な審査が可能となるシステムを開発することによってこれを実現していくということを目指す。

 四番目といたしまして、いわゆるワンストップサービスでございますけれども、これは、いわゆるマイナポータルというのを活用しまして、登記申請、税、社会保険について、それをワンストップ、オンライン化を図る。

 最後、五番目に、いろいろ、登記後の各種手続におきまして、申請者から各機関に登記事項証明書というのを提出することをされているんですけれども、それにつきまして、行政機関間の情報連携の仕組みを構築しまして、そうした登記事項証明書の添付の省略を図るということを目指して、現在、取りまとめに向けて最終調整を行っているという状況でございます。

 以上でございます。

中谷(一)委員 ありがとうございます。

 今るる御答弁をいただきました。やはり、私自身は、今の言っていただいた方針がしっかりと進んでいくということが重要だと思っています。

 ベンチャー企業をつくる方からすれば、そういった手続に手間がかかるということやコストが大きくかかってしまうということは、やはり、グローバルで比較したときにも、起業しづらいなと思う方は非常に多くいると思います。

 安全性の担保という部分はもちろん重要になってくるんですけれども、エストニアでも、韓国でも、スイスでも、もちろん、これができるということを彼らは要するにモデルとして示してやっていこうとしているわけでありますから、日本もやはりこれをしっかりと追いかけるような形でやっていかなければならないんじゃないかと私自身は考えております。

 そういった中で、大臣にも伺わせていただきたいんですけれども、起業したい人が起業しやすい環境を整備をすることは、今後の産業育成においても、雇用、労働的な観点においても非常に重要であると思いますし、世界の動きから見ても必要な措置であると考えております。

 こうした観点から、私は、法人設立のワンストップ化などデジタルガバメント化の推進と起業しやすい環境をつくることは、日本がグローバルマーケットで戦っていく中で必要な措置であると考えますので、世耕大臣はこのことについてどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。具体的なビジョンなどがあれば、見解を教えていただきたいと思います。

世耕国務大臣 法人設立のワンストップ、オンライン化というのは、起業の際の手続負担を軽減するものでありまして、これは、経産省としても、国内のみならず、外国人起業家の起業を促す上でも重要な取組だと認識しています。

 私も起業家の知人は非常に多いんですけれども、彼らにとって、最初会社を立ち上げるときというのは、本当に一人か二人で作業をやっているわけですね。たかが手続といっても、そのために法務局へ行ったりとか、そういうこと自体が彼らにとっては物すごい無駄であり、ロスになるわけでありますから、そういう負担をできる限り軽減をしてあげるというのは、起業促進のために非常に重要だというふうに思っています。

 また、経産省は、それだけではなくて、起業環境を整備するために、補助金ですとか、政府系金融機関の融資ですとか、税制面の優遇といった資金面の支援もさせていただいていますし、あるいは、市町村が地域の創業支援事業者のネットワークを構築をして、創業したいという人に対してワンストップで支援する体制の整備も行ってきたところであります。

 それに加えて、経産省自身がやはり率先をして行政手続のデジタル化に取り組むことによって、日本のビジネス環境を国際的にもトップレベルに押し上げたいというふうに思っておりまして、グローバルな競争環境下における日本の優位性確保に努めてまいりたいというふうに思っています。

中谷(一)委員 ありがとうございます。

 私も思いを一にするところであります。

 私もまさに起業家の友人も多く、そして私自身も起業をしていた経験から、やはりそれをやることに対して非常に工数がとられるというのは機会損失になるのかなということを思っておりますので、ぜひそのあたりを進めていただきたいということと、今るるやっている支援についての御答弁をいただきましたので、次の質問もそういったことを実は触れさせていただきたいと思っていたんですが、ベンチャー企業やスタートアップを育てていく意味合いについて質問をさせていただきたいと思います。

 今も、こうしたこれから創業しようとする企業に対しての支援を経産省としても行われているということなんですけれども、じゃ、何でこれを支援するのかということなんですが、一般的に、限られた資源の中で経済成長を果たしていくためには、既存の生産者の生産性を高めるということが第一、そして第二に、生産性の高い企業は低い企業に取ってかわる、そして第三に、生産性の高い新規企業が会社をつくり、成長をしていくなどということが挙げられるということが言われております。

 その中で、起業の増加、ベンチャー企業、スタートアップの成長による経済的な意義や効果は大きく分けて三つあるということを私自身は考えております。

 第一に、直接効果としての雇用の創出が期待できることです。これは、特に成熟経済においては、既存の企業で大幅に雇用をふやすことが見込みにくい中で、ベンチャー企業は、成長過程で雇用を純増させることが期待をされます。

 そして第二に、イノベーションを促進する効果があります。既存企業は、既存の生産体制や商品、市場、供給源を維持発展させていくことを重視する中で、ベンチャー企業は、新しい商品や生産方法の開発だけではなく、新市場開拓、新しい供給源獲得、新組織の実現など、既存体制外の革新的な商品や経営体制を創造することが期待をされます。

 そして第三に、産業の生産性の向上が期待できることです。ベンチャー企業は、新技術などのイノベーションを産業界にもたらします。それに加えて、既存の生産性の低い企業が生産性の高い新規企業に入れかわることによって、産業の新陳代謝や新規参入に伴う競争激化を通じて、経済全体の生産性を向上させ、経済成長を進めることにつながります。

 このように、起業及びベンチャー企業、スタートアップの成長を促すことは、経済成長、国民生活の向上に大きく寄与するものであると考えておりますが、こうした観点から、私は、このベンチャー企業、スタートアップの育成支援を今後もしっかりと行っていくべきであると考えているんですが、政府としては、今私の言ったことと同様の見解をお持ちであるのか、あるいは違う見解をお持ちであるのか、政府の考えるベンチャー企業、スタートアップを育てる意味合いについて、大臣の御所見を伺います。

世耕国務大臣 委員とほとんど同じだというふうに思っています。

 特に、やはり、経済を活性化して成長を持続していくためには企業の新陳代謝というのが必要でありまして、そのときにやはり新しい分野で、大企業が今まで気づいていないような、既存の企業が気づいていないような分野で新たにビジネスを始める。そういう意味で、このベンチャービジネスをしっかり育成をしていき、支援をしていくということは非常に重要だというふうに思います。

 ただ、問題は、そのことに別にことし気がついたわけじゃなくて、もうずっと前から気がついていて、私が初当選した二十年ぐらい前から、当時私、自民党のベンチャー小委員会の事務局長をやっていまして、そのころからずっと言われていて、そしてこの二十年間何もやってこなかったわけではなくて、予算、税制、その他を使って、ベンチャーそのものの支援、あるいはベンチャーを育てるベンチャーキャピタルの支援、民間のベンチャーキャピタルが少なかったら、じゃ、官民ファンドでいくかということで官民ファンドの立ち上げ、いろいろなことをやってきたんですが、なかなかまだ、特に日本の開業率というのが上がっていかない。明らかにスタートアップ、立ち上げる人がまだまだ少ないというのが、今、日本の経済にいま一つパワーがない大きな要因の一つだというふうに思っています。

 最終的に、私、最近思っているのは、やはりマインドセットじゃないかなと。やはり、大学を卒業して、新卒一括採用で大企業に入って、そしてそこで定年まで働き続ける。大分最近変わってきていますが、やはりまだ、そこが一番いいコースだという感覚が抜けていないんじゃないか。ちょっと最近は、ここの質疑でも申し上げましたけれども、やはり教育とか、そういったことからしっかり取り組んでいくことも極めて重要だなというふうに考えております。

中谷(一)委員 大臣のおっしゃっていること、私よくわかります。逆に、もう二十年ぐらいやられてきた大臣が今まさに経済産業大臣をやられているということで、私、期待も込めて、ぜひ支援を、形に見える、何というか、成果が出る形で進めていただきたいなということを思っているんです。

 その中で、マインドセットという話があったんですが、きょうは質疑でちょっと触れ切ることができないかなと思っているんですが、またその議論、次回以降させていただければと思うんです。

 何というか、国民のマインドセットというのはもちろんあると思うんですけれども、国民にそういうことを感じていただくための、やはり行政サイドの、仕組みづくりを行う際のマインドセットというのも私は当然あると思っていて、その中で触れさせていただきたいんですけれども、ベンチャー企業、このスタートアップを育てることに対するやはり明確なKPI、これをしっかり設定して、目標があって、だから何をしていくんだということで事業を設定して、しかも、目標達成ができなかったら、じゃ、何が悪かったんだろう、どうすればこれがもっと自分たちの望む形になるんだろうということを考えた上で事業というのは執行していかなければならないと思っているんですね。

 その中で、例えば韓国のソウルのスタートアップのエコシステム、これがあるんですけれども、この中では、このKPIが非常に明確で、年間の事業者の登録企業数、そして創出雇用人員が何人出たか、支援事業の累計売上高が幾らだったか、そしてエンジェルの投資家数が何人集まって、知的財産権の取得数はどれぐらいとれたか、そしてユニコーン企業の候補数はどれぐらい育てることができて、起業家への支援を行う施設数はどれだけつくることができたかなど、具体的なゴール目標を持ってやはり事業を設定されているんですね。

 そして、今までの成果に関しても、八年間彼らは支援を行ってきたそうなんですけれども、その中でも、起業数六千三十一件、雇用創出人員一万一千百九十四人、給与スケール一千四百二十億ウォン、起業後の残存確率が四六%、公的支援を受けて設立した割合が七〇%など、効果測定や成果報告、これもしっかりと行っているんですね。

 このように、ベンチャー企業、スタートアップの育成支援を図るに当たっては、明確な定量的目標となるやはりKPIの設定をしっかりと行った上で、効果検証、その事業を進めていくことが必要になると思いますし、政府におかれましても、こうした観点で支援をしていって、結果どうしていくのか、こうした具体的なKPIを設定した上で私は事業を進めていただきたいと思うんですが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

世耕国務大臣 今の御指摘のやつは、ソウル市という一つの町がKPIをつくってスタートアップ育成を図っているということだと思います。日本でも、福岡市なんかは、まさに国家戦略特区の枠組みを使いながら、どういうKPIをセットされているかはちょっと記憶にありませんけれども、かなり具体的にスタートアップ支援をやって、スタートアップの町を目指すということをやっておられるというふうに思います。

 国レベルでいいますと、我々、KPIがないわけではありません。例えば、創業分野全体の長期の目標としては、開業率一〇%を達成するということを一つの目標にしていますし、また、その補助指標として、起業者あるいは起業予定者の割合を示す起業活動指数というのがあるんですが、これを今後十年間で倍増するということも掲げています。あるいは、ベンチャー投資に係る目標としては、ベンチャーキャピタル投資額の対名目GDP比を二〇二二年までに倍増といった具体的なKPIを掲げて政策を推進をしているところであります。

中谷(一)委員 私、実は神奈川の県議会議員をしていたことがございまして、そのときにも、もちろん自治体単位だったので、やったんです、この質問。そうしたら、彼らに言われたのは、そこに対してやはり予算を自分たちは割き切ることができなくて、国と連携して、やはり、そういう大目標を打ち出して、ベンチャーにそぐうような、スタートアップにそぐうような目標設定をみんなで達成していくような状況をつくっていかなければなかなか難しいだろうということを言っていました。

 なので、私からすると、もちろん、大目標をビジョンとして掲げていただいて、それを進めていただく、これは大変重要だと思っておりますし、それはぜひやっていただきたいと思うんですが、その下にひもづく、じゃ、何が積み上がったからこういう目標値が達成できるんだということを示していかないと、私は、何というか、やはり事業検証ができないままこうしたものがどんどん進んでいってしまうんじゃないかなという懸念を持っているんですけれども、世耕大臣自体は、このスタートアップやベンチャー企業、これを育てていく大目標はどういったものを持っていて、そのためには何が達成されていけばいいということをお考えかということを問わせていただいてもよろしいですか。

世耕国務大臣 少し先ほどとかぶったお答えになりますけれども、やはり、最終的な目標は、開業率を高めることによって産業の新陳代謝をしっかり進めていくということだと思います。

 それともう一つは、やはり、今の既存の我々の概念では考えつかないような新しいビジネスが、例えば世界のプラットホームを押さえていくことによって日本全体の成長の推進につながるということも、ベンチャー育成上非常に重要だというふうに思っています。

 今おっしゃるように、それぞれ補助指標を細かくつくった方がいいんじゃないかというのは、これは全くおっしゃるとおりでありますので、そういったことも少し検討しながら、ベンチャー育成のKPIをしっかり把握をし、設定をし、そしてPDCAを回しながら進めていくということが非常に重要だと思っております。

中谷(一)委員 ありがとうございます。

 時間もあと一分程度となりましたので、最後に、要望も兼ねていろいろなお話をさせていただきたいと思うんですけれども、KPIを設定していただく際に、やはり、世界を見渡したときに、いろいろな国が非常にすぐれたKPIを示しながらそういった事業を執行されておりますから、ぜひベンチマークをしていただきながら、日本に即したものを組み立てていただきたいなということを考えておりますのと、残念ながら、今掲げているKPI、開業率の話も前、世耕大臣ともやらせていただきましたが、一〇%の目標に対して、進んでいるんですが、残念ながら五%前後と、それがうまくいっていない現状があるということは、やはり、打ち出している政策がそれでいいのかということを見直していかなければならないんだと思うんですね。

 なので、私自身は、ただ、そういうことがわかっただけでもこのKPIを設定するということが非常に意味のあることだと思っておりまして、何というか、今行っている事業や措置事項ではKPIを達成することはできない、だからこそ、自分たちの何がだめだったのか見直すきっかけにしていただいて、そしてPDCAサイクルをしっかりと回していくこと、このような視点からも、やはり私は、KPIを設定をし、何をいつまでにどういうふうにやって、どれぐらいのめどで成果を出していくのか、具体的なこうしたベンチャーにおけるスタートアップに即したKPI設定を行っていただくことを要望させていただき、効果検証、見える化を進めていただくことを要望させていただきまして、私の質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

稲津委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 国民民主党の吉良州司です。

 きょうは、先日トランプ大統領が表明したイラン核合意からの米国の離脱というものが日本経済にどういう影響を及ぼしていくのかということで質問をさせていただきたいというふうに思います。

 質問に先立って、私自身は、世耕大臣を何か責め立てるとか岡本政務官を責め立てるとか、そういうような気持ちはもう全く持ち合わせていなくて、日本の抱える課題というものがどういうものがあるのかということを委員の皆さんと共通認識を持ち、それから情報も共有し、そういう前提で政府と実りある議論をしたいというふうに思って質問させていただきますので、余り身構えることなく、四角四面の答弁ではなくて、思い切った持論を答弁として展開いただければなと思っています。

 まず冒頭、今言いました米国のイラン核合意からの離脱についての日本政府の公式な立場というものを、まず外務省からお聞きしたいと思います。

岡本大臣政務官 吉良先生には、外交政策、さまざま御指導いただいておりまして、ありがとうございます。

 我が国は、イランの核合意、これを引き続き支持をしております。それは主に二つの理由でございまして、国際不拡散体制の強化並びに中東の安定に資するからであります。

 今回の米国の発表によりまして核合意の維持を困難とする大きな影響が出るとすれば、それは大変に残念なことだというふうに思っております。

 日本といたしましては、今後も核合意の維持に向けて関係各国と協力を続けていきまして、今回の発表が及ぼす影響について注意深く分析をしてまいりたいと思っております。

吉良委員 ありがとうございます。

 TPP11もそうですけれども、時には、最重要同盟国であり、一番大事な国であるアメリカとも方針をたがえたとしても、日本の国益に向き合う。もちろんアメリカへの配慮は必要だけれども、それでも日本の国益のためにまっしぐらにそこに向かっていくという姿勢、大変高く評価をいたします。

 同じ観点からですけれども、日本経済それから日本企業を所管する立場として、世耕大臣から、この核合意離脱に対しての所見を伺いたいと思います。

世耕国務大臣 これはもう外務省が先ほどお答えになったとおりでありますが、日本としては、国際不拡散体制の強化と中東の安定に資するこの核合意を一貫して支持する立場でありまして、アメリカによる今回の発表後も、この核合意を支持する立場には変わりはありません。

 また、経済を所管する立場から申し上げますと、日本とイランの経済関係なんですけれども、二〇一六年、核合意に伴う制裁解除以降、自動車分野を中心に輸出が増加傾向にあります。また、イランからの日本への原油の輸入は、過去の制裁を受けてどんと減少をして、その状況がまだ続いているわけですけれども、二〇一七年現在でも、日本の原油の輸入の約五・五%を占めるという状況であります。

 イランとビジネスを行っている日本企業の活動ですとか、あるいは日本経済及び日本のエネルギー供給への影響を可能な限り低減ができるよう、核合意の維持に向けた関係国の協議の動向ですとか、あるいは今回の米国の発表による影響を注視するとともに、関連情報の収集に努めてまいりたいと思っております。

吉良委員 ありがとうございます。

 外務省の立場、それから、今、世耕大臣がおっしゃった経済、日本企業を所管する立場としての見解を、私自身も力強く支持したいというふうに思います。

 その上で、きょうは、冒頭申し上げましたように、この核合意が、地政学的影響を及ぼしていく、または経済的に石油価格への影響を及ぼしていく、それらも含めて日本経済に影響を及ぼしていくという観点で議論をつなげていきたいと思っているんですが、その前提となる、現時点の、世界における石油の需給関係を含めた世界の石油市場の状況というものについて、これは事務方でも結構です、答弁いただきたいと思います。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、世界の石油需給についてでございますけれども、需要は、中国、インドなどの経済成長を背景に堅調に拡大している。一方、供給でございますけれども、米国シェールの増産がございますけれども、中東、ロシアなどの産油国による協調減産の影響もございます。これを全部トータルしますと、在庫は減少しておりまして、需給バランスは徐々にタイトに向かっているというふうに認識しております。

 こうした需給に対して今回のイラン制裁がどういう影響を与えるかということが問題になりますけれども、まず、足元では、制裁が適用されるまでに半年間の猶予の期間が設けられているということもございまして、現時点におきましては、直ちに大きな影響が出ているものではございません。

 ただ、今後でございますけれども、世界輸出に占める割合がイランは四%ということ、比較的小さな数字だということと、各国に増産余力があることなどを勘案いたしますれば、世界的な供給不足が生じる事態にはならない、そういうような見方もございます。

 さらに、原油の価格についてでございますけれども、今回のイラン制裁復活による影響というのは市場は既に織り込み済み、そういう指摘もございまして、現在までのところ、急激な変動は生じていないというふうに認識をしております。

 今後につきましては、イラン制裁への各国の対応、それから、中東地域を始め国際情勢次第では大きく変動する可能性もあるというふうに認識しておりますので、引き続き注視していく所存でございます。

吉良委員 ありがとうございます。

 前段では、まだまだ供給余力があるということで、足元では大きな影響が出ていないということ、それから、今後もそれほど大きな影響は出ないという見方もあるという話を伺いましたが、後段では、やはり変動要因もあるというお話でありました。

 その観点、後段の変動要因というのは、私が思うに、主にやはり地政学的な影響、それが単なる市場の需給関係にとどまらない、そのような影響を及ぼす可能性があると思っています。

 その観点から、今回の核合意からの離脱が及ぼす、世界、主に中東地域における地政学的影響というものをどう見ておられるのか。これも政府にお尋ねしたいと思います。

岡本大臣政務官 お答えいたします。

 中東情勢が及ぼす影響については、予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますが、今委員から御指摘のありましたように、日本企業に万が一にも大きな影響が及ぼされるようなことがあってはいけませんので、引き続き関連情報の収集に努めてまいります。

 以上です。

吉良委員 それでは、さっき言った米国のイラン核合意からの離脱とは直接関係ないんですけれども、中東情勢に大きな影響を及ぼすであろうということがつい最近起こりました。イスラエルにおける米国大使館をエルサレムに移転したということであります。

 このことが世界に、また主に中東地域に及ぼす影響というものについて、答弁いただけますか。

岡本大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘のとおり、五月十四日、米国は、イスラエルの米国大使館をエルサレムに移転をいたしました。

 我が国といたしましては、これを契機として、今後の中東和平をめぐる状況が一層厳しさを増したり、また、中東全体の情勢が悪化していくことを懸念しております。

 本件に関しましては、大きな関心を持って今後も注視をしてまいりますけれども、現時点で、どのような影響があるかということは、予断を持ってコメントをすることは差し控えたいと思います。

 ただ、外務省は、全力を挙げまして、引き続きこの動向を注視して、分析をしてまいります。

吉良委員 イラン核合意とは直接関係のない、このイスラエルにおける米国大使館のエルサレムへの移転もお聞きしたのは、これはもうここの委員は皆さん御承知していることではありますが、あえて議事録にも残したいと思います。

 それは、イランの核合意からの離脱ということは対イランという観点で見なければいけないと思いますが、対イランということになりますと、例えば今の中東情勢、いろいろな切り口がありますけれども、一つは、シーア派の大国であるイラン対スンニ派の大国であるサウジ、この覇権争い、中東におけるそれぞれの影響力をどちらがどれだけ伸ばしていくかということを、それは今、対シリアを見てもそう、対イエメンを見てもそう、まさにサウジ対イランというのが覇権争いをしていると言っても過言ではないというふうに思っています。

 ただ、事これがイスラエルということになりますと、シーア派対スンニ派とかいうような域を超えて、これはイスラエル対アラブ諸国、イスラエル対イスラム教国というある意味では争いになってきますので、局面がまた変わってくるわけですね。

 だから、そういう意味で、残念なことに、トランプ大統領が、先ほど言っていただいた日本政府の公式な立場というのは核合意の維持ということでありますけれども、それに反するような行為を行う、そしてまた、今言いました、世界全体、また、中東諸国にとどまらず、イスラエル対イスラム諸国というような構図を招いてしまう、こういうトランプ大統領の、米国の行動というものについては、私自身は深く本当に懸念をしているところであります。

 核合意破棄ということになると、イランもかなり強気の発言をしています。破棄ということになれば、じゃ、もう一回、核開発再開だ、表面上は原子力エネルギーというものの確保に技術的な対応をする、確保するという言い方になるかもしれませんけれども、世界の見方は、核開発を再開するという見方をされかねない。

 そうすると、過去にもありましたけれども、イスラエルは、最近ですらゴラン高原に展開するイランの革命防衛隊に対して直接的なミサイル攻撃をしている。これが、核開発をイラン本土でやるということになると、イスラエルとしても自国防衛のためということで、これまたイランに対しての直接的な攻撃等、ないとも言えない。そういうことになってしまうと、先ほど言いました、市場だけ見たときには需給関係はそれなりに安定している、足元それから今後についてもそれほど心配する必要はないという見方もあるし、私はそれが今現時点では大宗だと思っていますけれども、これが大きく変化してくる可能性がある。

 そういう意味で、これは外務省にお願いなんですけれども、先ほどの核合意の維持ということについて明確にし、アメリカに対して破棄することなかれということを引き続き強調していただきたいと思いますし、一方、もう動かしてしまって、これだけの人的被害も出るような状況にはなりましたけれども、それでも、この米国大使館、エルサレムへの移転を、もう一度戻すようにというような働きかけをぜひしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

岡本大臣政務官 今回の米国の大使館の移転に関しましては、大変状況が悪化していることを憂慮しております。

 今先生御指摘にあったように、報道等におきましても、パレスチナのデモ隊に対してイスラエルの治安部隊が実弾を発砲して多くの死傷者が出ているということに関しても、大変憂慮をしております。

 当然、パレスチナの国民の方は平和的にデモをする権利を有しているわけですけれども、報道だけを見ておりますと、必ずしも全てが平和的なデモに見えないところもありますし、一方、イスラエルの治安当局も実弾をもって鎮圧をするというような行動に関しては、自制していただきたいというふうに思っておりますので、最終的に、当事者間で平和的な合意がなされる唯一の道を探すべく日本としても協力していきたいと思っておりますけれども、米国に対しましても、我が国の立場、河野外務大臣も既にさまざまなところで発信されていますけれども、しっかりと我が国の平和に向けた立場ということを今後も強調してまいりたいと思います。

吉良委員 ぜひその立場を貫いていただきたいと思いますし、私としては、もう少し米国に対して、同盟国として、仲間として、やはり米国の国益を損なっていくことになると思いますので、ぜひ日本政府からも強く働きかけをしていただきたいと思っています。

 次に、石油価格への影響ということについてもう少し細かく伺いたいと思っています。

 先ほどは需給関係ということで概要についてお聞きしましたが、石油価格に影響する個々の要因も踏まえて、一方的に上がるか下がるかという分析ができないということは十分承知していますけれども、少なくともどういう要因が石油価格に影響を与えるかということについて、答弁いただければと思います。

小野政府参考人 まず、原油価格の要因、構造的にどういうものになっているかということでございますけれども、まずファンダメンタルズということがございまして、需要供給がどういう関係になって、そしてその結果、在庫が減っているかふえているかということが問題になります。

 まず、二〇一七年でございますけれども、需要は、これは経済成長次第というところもございまして、二〇一七年は経済成長は比較的よかったということで、需要量は大体百六十万BDぐらい伸びている。これに対して供給が追いつくかということが問題になりますけれども、協調減産もございまして、シェールを含めた米国の増産もございましたけれども、結果として需給バランスはマイナスになって、二〇一七年度は需給がマイナスになったものですから、これで需給が逼迫して、原油価格が上がってきて、七十ドルぐらいということでございますけれども、今の状況にあるということでございます。

 今後につきましては、予断を許さないわけでございますけれども、IEAがそのような数字を一応、予測、見通しというものを発表しておりまして、それによりますれば、二〇一八年も、比較的経済成長がよければ百五十万BDぐらい伸びていくということでございます。

 これに対して、米国の増産、これもしかるべく、これは追いついていくだろうということでございますけれども、ベネズエラの減産等不確定要因もあるということでございまして、全体として見れば、IEAは、二〇一八年も、需給はマイナスということで、この逼迫基調は続いていくというふうに予測をしているところでございます。

 さらに、金融要因というのがつけ加わってまいります。投機筋が買いをふやせば原油価格が上がっていくわけでございますけれども、これは、二〇一七年でいえば、ドル安基調ということで、かなりお金が入ったということがございます。

 さらに、これに地政学的要因がどのように当たっていくかということで、この金融的な要因も影響を受けていくということでございまして、二〇一八年、これがどうなるかというところは予断を許さないものでございますから、ここのところは、繰り返しになりますけれども、状況をしっかり注視してまいりたいというふうに考えているところでございます。

吉良委員 ありがとうございます。

 今の答弁も主に市場という観点からのお話だったと思います。それはそれで十分わかりますけれども、私、冒頭言いましたように、委員の皆さんとも共有したいと思うのは、地政学的な影響ということです。

 一つは、先ほどの答弁でもあった、需給がある程度安定しているということの背景は、OPEC諸国が減産について協調体制をとって、それがうまく回っていたということですよね。けれども、このイラン核合意からの離脱、先ほど言いました、それに伴う、それ以前からもありますけれども、サウジとイランの反目、これが前面に出てくると、イランは必ずしも減産協調に協力しなくなってしまう可能性がある。

 それで、もう一つ、米国とサウジアラビアは同盟国であります。トランプ大統領になって、対イラン、それから親イスラエルという意味で、それがより強くなっておりますけれども、ただ、一方で、石油価格だけ見てみると、これはある一定程度まで上がることについてはサウジもハッピー、けれども、ある一定以上上がると、これは米国のシェールオイル、シェール企業を勢いづかせてしまって、米国がある意味では石油の価格決定権を持つ。そういう意味で、米国もサウジとは協調しなければいけないんだけれども、シェールオイルの増産、シェール企業を勢いづかせるかどうかということで、必ずしも米国とサウジが一致しない状況になっている。

 これに加えて、サウジアラビアとイラン、先ほど言いました、政治的な反目による減産協調への協力体制が壊れる可能性があることに加えて、サウジアラビアは、つい最近のストックホルムの平和研究所ですか、あそこが出す軍事費の統計において、ロシアを抜いてサウジアラビアが三位に躍り出たというような発表がありました。

 すなわち、サウジアラビアは、それでなくてもポスト石油時代を狙った社会経済投資をしようとしている。そして、国家財政のためには、当然ながら、石油を売り続けなければ、それもできれば高値で。けれども、一方で、今言った中東情勢の不安定化、対イランへの対抗上、軍事費への投入を余儀なくさせられている。ということで、サウジも、さっき言った、シェール企業を勢いづかせてしまうところまで行くと困るけれども、それでもできるだけ高値がいいと。

 一方、イランについては、こういう、ずっと制裁が続いていましたので、ある程度採算ラインが低くても国家財政は何とかもつ、回る。最近聞いた話では、イランの採算ラインというのは六十ドルから六十五ドルで十分だというふうに聞いています。サウジの方はこれが八十五ドルぐらいまでいかないと、さっき言った軍事費、そして国家財政、そして将来への投資というのが賄えない。

 こうなってくると、今言った、これまで減産協調してきた国々の間でも大きく足並みが乱れてくる可能性がある、私自身はこういうふうに思っていますけれども、この見方については、事務方又は外務省の方で何らかのコメントがあれば、いただきたいと思います。

小野政府参考人 委員御指摘のとおり、サウジは、原油価格が上がってしまいますと、シェールが増産されて、またそのシェアをとられてしまうということで、ある程度の適正な価格の維持ということを目指しているというふうに推測されるところでございます。

 これも委員御指摘のとおりでございますけれども、この減産の体制というのは、産油国が一致団結してということでございますので、中東の平和ということが前提になると思いますけれども、平和について、紛争があればこの減産の合意が維持されなくなる可能性はもちろん否定できないと思いますけれども、現時点において、その減産合意が否定される、あるいは、そのような方向に向かって議論がされているというようなことについては承知しておりません。

 ただ、今後については予断を許さないわけでございますので、しっかり情報収集、注視してまいりたいと考えております。

吉良委員 私自身が言ったこと、それから、これまでの議論とも重複する部分もあるんですけれども、米国が原油生産世界一になる、ロシアか米国かというような状況になる、そういう状況が、今後、地政学的、それから地経学という言葉が最近、ジオエコノミクスという言葉も出てきていますけれども、米国が世界ナンバーワンの原油産出国になってきているということの、世界また中東に及ぼす影響というものについてはいかがでしょうか。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、石油市場をめぐってでございますけれども、アメリカは、輸入国だったものが輸出国に転じるということで、全てのエネルギーを自国で生産できるということになりますので、アメリカの独自性が、エネルギーインディペンデンスというふうに言われておりますけれども、高まっていくということでございます。

 これの地政学的な影響もあるというふうに我々は認識しておりまして、中東の安定というものが、原油の調達という面からは、アメリカは自分で自給できるようになるわけでございますので、その目が中東からほかにもしかしたら移っていくのではないかな、そういうところの懸念もございますので、そのような状況について、しっかり注視してまいりたいというふうに考えております。

吉良委員 ありがとうございます。

 私自身も、一番聞きたかったところは最後のところでありまして、米国がエネルギーの自給ができるようになったということで、中東に対するコミットメントの必然性が薄れてくる。きょうは余り深くは立ち入りませんけれども、厳密に言えば、油の中でも重質油があり、軽質油がありといったことで、中東は軽質、米国の場合はどちらかというと重質が中心になっているというような状況で、シェールはまた軽質油だ。だからこそ、シェールに基づく油の輸出余力があるという理解をしています。

 そういう意味で、アメリカも完全に中東にコミットしなくてもいいという状況ではありません。けれども、重質油を前提とした設備を軽質油でも対応できるように変えていけば、アメリカは、おっしゃったように、必ずしも、油の調達という観点だけからは、中東にこれまでのようにコミットする必要がなくなってきている。

 そこは、ある時期、今もそうと言えるかもしれませんけれども、世界の警察官であった米国の行動に影響を及ぼして、それが中東地域、そして、ひいては我が日本にも大きな影響を及ぼしてくるというふうに思っています。

 今回のトランプ大統領のイラン核合意からの離脱も、そして、さっき言ったエルサレムへの米国大使館の移転も、もっと中東の安定を大事にしなければいけないという切実な背景があった場合には、さすがのトランプさんもここまでの行動をとらなかったのではないかと私自身は思っております。

 そういう意味で、今、今後も注視していくということを言っていただきましたけれども、米国がシェールオイルを中心に世界一の産油国になったということの地政学的、地経学的意味というものを、引き続いて政府においても検討、そして、それに対する対応をしていただきたいと思います。

 続いて、先ほど世耕大臣の方から、日本企業の状況ということについて少し答弁をいただいたんですけれども、このイラン核合意からの米国離脱を受けて、経産省というか日本政府として、特別、イランに対して何かをする、又は日本企業に対して何かをするというようなことがあるのか。

 こういうことを申し上げる背景は、五月十一日、ドイツのアルトマイヤー経済大臣が、あるドイツ国内のラジオ放送番組の中で、トランプ米国大統領のイラン核合意離脱表明によるドイツ企業への影響を最小限に抑える準備があるということを表明しています。米国内で活動するドイツの企業に対して、ドイツ政府として保護する手段はないけれども、イランで活動している、又はイランでの活動を希望しているドイツ企業に対する支援や助言を行うということをドイツの経済大臣は表明しています。

 そういう観点から、経済産業省、また経済産業大臣として、何らかの手を打つということを考えておられるのか、お聞きしたいと思います。

世耕国務大臣 アメリカが核合意を離脱したことによってこれから再適用する制裁が具体的にどういう内容になるかというのは、ちょっとまだ、なかなか見えていないというところがあります。

 しかも、九十日又は百八十日の猶予期間もあるということでありますので、今すぐ何か、もう来月から制裁が適用されて日本企業に影響が出るというような状況ではないというふうに思っていますけれども、いずれにしても、イランに輸出している企業ですとか、あるいはイランからの原油輸入には影響が出てくるだろうと思いますので、その辺についてはよく我々も情勢を注視して、日本企業の活動への影響をできる限り最小限にとどめられるよう、いろいろな行動を考えてまいりたいと思っております。

吉良委員 今おっしゃった観点でいくと、二〇一二年の制裁の際に私が聞いている中で一番効果があったのは、欧州の保険会社がイラン産原油を積んだタンカーの再保険を受けなかったことによって、実際、生産しようとも、持っていくすべがなかったということが一番大きな効果だったと聞いています。

 今回は、それに対して、米国は離脱するけれども、欧州は維持しろと言っているし、今のドイツの経済大臣の方針でもあるように、今回については、欧州は、アメリカがどういう行動をとろうとも、自分たちはイランが間違った方向に行かないように最大限支援するという対応をとり続けるのではないかという期待をしています。

 そういう意味で、私自身は、米国が実際に離脱しようとも、少なくともイランから輸入してくるタンカーについて、再保険も、さっき言いましたように、欧州は継続するんだろうと思います。そういう中で、日本が米国に歩調を合わせることなきよう、お願いをしたいと思っています。

 それもこれも、やはり日本経済にマイナスの影響が及んでは困るという観点で私、ずっと申し上げておるんですけれども、日本の交易条件と、その交易条件の特に悪化がもたらす日本経済へのマイナスの影響について、政府参考人からでも結構ですから、御答弁いただければと思います。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 交易条件は輸出物価指数と輸入物価指数の比率によって算出されるものでございますが、原油の大部分を輸入に頼ります我が国におきましては、原油価格が上がることによりまして、交易条件は悪化する方向に働くわけでございます。その結果、一般的には、原油の輸入金額の増加につながり、貿易収支が悪化するおそれがございます。また、原材料価格が上昇して企業収益が押し下げられたり、あるいは、消費者物価が上昇して家計所得が実質的に押し下げられたりするおそれもございます。

 このように、原油価格の上昇による交易条件の悪化は、日本経済にとってマイナスの影響を及ぼし得るものであると考えてございます。

 以上でございます。

吉良委員 ありがとうございます。

 私も今答弁いただいたことを物すごく心配しておりまして、資料を二枚届けております。一枚目は、ちょっとこれも詳しく入り込みたかったんですけれども、時間がないので、ぜひ、現在の石油の生産、消費、輸出、輸入についての状況を情報として共有させてもらいたいと思います。

 資料二です。この資料二は、今答弁いただきましたけれども、交易条件指数、これを悪くする一番の原因は原油価格の高騰になるわけですけれども、交易条件指数が悪化する、図でいいますと、右下に矢印が行ったときです。この右下に矢印が行ったときが交易条件指数が悪化しているとき。その後に、ちょっと紫色の帯がありますけれども、ここは景気が悪くなった時期を指します。

 つまり、日本経済は、交易条件が悪化すると景気後退局面に入るという体質を持っておりますので、これを見ても、日本経済を維持向上させていくために、やはり石油価格の高騰というものは抑えていかなければならないというふうに思っています。

 ちなみに、今も中身についても答弁いただいたんですけれども、日本経済の苦しいところは、製品の売りについては常に国際競争にさらされている、だからここについては価格を上げることはできない。けれども、では、原材料を含めた買いについては、今もずっと議論してきましたけれども、国際情勢の変化、国際的な資源の、市況の変化によって高騰局面があって、買いが膨らんでしまう。

 その中でも、国際競争力、売りの値段を低く維持していくためには、どうしても固定費を抑えぎみにしなければならない。これによって設備投資がなかなか、これだけ金融緩和が続いてもいかない。

 もう一つは、固定費の中でかなりの多くを占めるやはり人件費を上げられない。調子がいいとき、一時金では払えたとしても、退職金を含めて、固定されていくこの人件費を上げるわけにはいかない。これが賃金の上昇を阻んでいる。

 そして、個人消費が六割強を占める日本のGDPをなかなか、設備投資においても個人消費においても押し上げることができないということがありますので、なおのこと、石油価格が余り上がることなきよう、外務省そして経済産業省で足並みをそろえて対応いただきたいというふうに思っています。

 もう時間がなくなったので、日本のエネルギー安全保障について質問をしようと思いましたけれども、私の方から一言申し上げるならば、野党を中心に、原発の即時停止、ゼロということをよく言う政党、議員がおります。

 私自身も、将来的には原子力エネルギーに依存しない社会を目指していく、そのために、経産中心に、原子力エネルギーにかわるエネルギー源を社会的、経済的に確保すべく、大胆な投資を、技術に対する投資を行ってもらいたいと思っているんですけれども、ただ、資源の大半を輸入に頼る我が国が、世界がどう動こうとも、中東情勢がどうなろうとも、エネルギー源を確保していくためには、当面は、やはり高い安全基準をクリアした原子力発電所の稼働が必要だと私は思っています。

 ですから、将来は原子力エネルギーに頼らないという道をずっと追求しつつ、現時点では、世界のあらゆる情勢変化の中でも、日本経済が、そして日本の生活がきちっと耐え得るような対応が苦しくとも必要だというふうに思っていることを申し上げたいと思います。

 最後になりますけれども、これもちょっと、質問すると時間がなくなるので、大変恐縮ですが、原子力エネルギーにかわるエネルギー源の一つとして、水素エネルギーというのがあります。

 私は、再生可能エネルギー、これは非常に重要なエネルギーだと思いますけれども、かなり気まぐれなエネルギーなので、一番いいのは、やはり、太陽が照っているとき、風が吹いているときに起こす電気で水素をつくって、そしてためておくというのが将来的に必要になるのではないかというふうに思います。

 その際に、一つ思うことは、水素ということに対する国民の理解なんですね。原発でも水素爆発というのがあったり、やはりまだ、水素というのは圧縮、加圧すると何か危なっかしいんじゃないかというイメージを持った国民が大変多いと思うんですね。そういう中で水素エネルギーを普及させていくというのは非常に難しい。

 そして、日本は、言霊というのがあるように、言葉をかえることによってアレルギーがなくなることがある。典型的な例がユナイテッドネーションズですよね。ユナイテッドネーションズは連合国という意味ですけれども、日本は、同じユナイテッドネーションズなのに、それを国際連合と言いかえることによって、国際連合と協調することの理解を得ている。これが、連合国のままで、連合国中心主義とか連合国協調主義とか、これを言ったら、やはり反目する人はたくさんいますよ。それを国際連合と、ほかの国々は全部ユナイテッドネーションズと言っているのに、日本だけ国際連合と言うことによって、協調していこうと。

 だから、そういう意味で、宇宙の、ダークマターだとかいうものを別にして、質量のある物質の七五%、四分の三はいわゆる水素ですけれども、あらゆる宇宙の根源の質量を持った物体が水素。我々がそれを水素と名づけているだけですから、それをもっと、くまモンじゃないけれども、何かすごく親しみを感じるネーミングをつけることによって、水素エネルギーの大いなる普及を図っていただきたい、このように思っています。

 もう時間が終わっていますので、もし一言あれば、短くお願いします。

世耕国務大臣 水素社会を構築していくためにいろいろな取組をやっていきたいと思いますし、そのためには、イメージも非常に重要だと思います。

 ただ、熊は縫いぐるみにするとくまモンになるわけですが、水素は水素なので、ちょっとこの辺はどうしたらいいかよく考えてみたいと思います。

吉良委員 ありがとうございました。終わります。

稲津委員長 次に、大見正君。

大見委員 自由民主党の大見正です。質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 IoTやAIなど、ICTの技術革新によりまして、第四次産業革命が世界的規模で社会構造の急激な変化を起こしております。アマゾンやグーグルなどといった米国企業が、インターネット上から得られるビッグデータを囲い込んで、プラットフォーマーとしての付加価値を総取りするような、そうした構造が生まれつつあるというふうに認識をしております。

 こうした第四次産業革命による急激な変化は、我が国の基幹産業であります製造業にも大きな影響を与えており、この変化をしっかりとチャンスに変えていかなければいけないというふうに考えております。

 私の地元の安城市や刈谷市というのは、トヨタグループの本社や自動車産業を支える製造業の拠点が多く立地をしておりまして、燃料電池や電気自動車、自動運転などの世界最先端の技術を研究開発する最前線にあると言えます。

 特に、自動車を取り巻く環境というのは今は百年に一度と言われる変化を迎えておりまして、EV化の波は欧州、中国で急激に進み、自動運転ではインターネット上のプラットフォーマーがものづくりの産業構造を根底から覆そうとしている中、大手企業を問わずに、ものづくりの現場に強い危機感と将来への不安が伝わってくるという現状であります。

 中小企業を含めた日本の企業が、ものづくりの強みを生かしながら、IoTやビッグデータ、あるいはAIなどの新しい技術開発を推進し、国際競争力に打ちかっていくことが必要であるというふうに考えます。

 そうした中、四月十八日に自動車新時代戦略会議が経産省で立ち上がりましたが、政府として、自動車産業のEV化や自動運転などの支援をどのように行っていくのか、まず経済産業大臣に伺います。

世耕国務大臣 御指摘のように、今、自動車産業には百年に一度という大変な変化の波が押し寄せているというふうに思います。その大きなポイントは、やはり電動化であり、また自動走行ということだろうというふうに思います。

 そういう中で、例えば、今まで自動車産業として想像もしていなかったような分野の人たちとも競争していかなければいけない。グーグルが自動車をつくったり、センサーの会社が自動走行を主導したりとか、いろいろな動きが出てくるわけであります。

 やはり日本は、自動車産業、これを中心に成り立っているというところがあると思います。自動車産業がもし完全に空洞化してしまったり完全に負けてしまったりすると、日本は豊かな国ではいられないというぐらいの私は危機感を持っているわけであります。

 そういう中で、自動車産業がそれぞれこれまで培ってきた技術などに更に磨きをかけるということも重要ですし、また、時代に即した、今まで考えていなかったような新たな取組を進めることも重要であります。

 このためには、日本の自動車産業全体として、あるいは自動車産業だけではなくて、部品も含め、あるいはIT関連も含めて、全体での共通利益を確認して、協調的取組を拡充強化していくことが極めて重要だというふうに考えております。

 具体的には、次世代の電池技術開発の産学官連携ですとか、あるいはサプライヤーの新規分野への展開ですとか、自動運転技術の開発に必要となるソフトウエア人材の確保といった取組を強化していくことが重要だと思っています。

 こういった検討を自動車産業及びその周辺が一体となって深めていくために、私が主宰者となって、有識者や自動車メーカーの経営トップ層と日本の戦略を共有し検討する自動車新時代戦略会議を開始したところであります。

 自動車産業を取り巻く大変革を攻めの機会と捉えて、官民一体となって積極的に対応することで、日本として、世界の自動車産業にまつわるイノベーションを引き続きリードしていきたいと考えております。

大見委員 詳細な御答弁をいただきました。

 大手の皆さん方もこうした世界の波に乗りおくれないように競争の中で頑張っておられるわけでありますけれども、これが中小企業になりますと、自分でつくっている部品が果たして新しい時代の車に使ってもらえるかどうかだとか、あるいは、特に電気自動車の場合ですと部品点数が三分の二ぐらいになって大きく減ってくるということもありますので、どういうふうな今後の展望が開けてくるのかということについては非常に不安を持っておられる方が多いというふうに思います。

 しっかりと、そういう意味では、中小企業対策というのもこれから行っていかなければいけないという点も踏まえて、中小・小規模事業者の施策について伺っていきたいというふうに思います。

 今回成立をいたしました生産性向上特別措置法では、設備投資をする企業に対して、自治体の判断により固定資産税をゼロにできるという意欲的な制度が導入をされました。中小・小規模事業者の皆さんからも、生産性向上への期待が非常に高まっているというふうに思っております。また、固定資産税をゼロにするという自治体も、当初経産省が想定をしておりました予想よりも大幅にふえたというふうに聞いているところであります。

 そこで、こうした機運を実績にしっかりと結びつけて、新しい技術への対応や人手不足、賃金の上昇など、厳しい経営状況に置かれる中小・小規模事業者の生産性向上に寄与するものに確実にしていかなければならないというふうに思っております。

 そのためには、当初の計画より、採用するところがふえたということもありますので、一段ステップアップした目標をしっかりと定めていただいて、それに見合うような予算も確保して取り組むべきだというふうに考えますけれども、中小企業庁長官に具体の施策を伺いたいというふうに思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに大企業との生産性格差、そして人手不足、また経営者の高齢化と後継者の不在、こういった深刻な問題に中小企業、小規模事業者の皆様方は今直面をしております。これを解決していくためには、生産性の向上が喫緊の課題でございます。

 今委員御指摘がございましたように、自治体の御判断によりまして固定資産税をゼロにする画期的な制度につきましては、私ども、今現在、千四百九十二の基礎自治体の皆様方から導入の意向をいただいているところでございます。今御指摘がございましたように、これを具体的に、中小企業、小規模事業者の皆様方がお一人でも現実に制度を活用していただけるよう、しっかりと周知を図ってまいりたいと思います。

 また、その他の関連施策について一言申し上げますと、二十九年度の補正予算で手当てをしていただきました、ものづくり・商業・サービス補助金でございますけれども、中小企業一万社の設備投資の支援を目指してまいります。

 また、IT導入補助金につきましては、これも現在、御案内のとおり、クラウドサービス等々を御利用していただきますと、非常に安価で効果の大きなバックオフィス業務の効率化や新たな顧客の獲得、こういったことが可能になってきております。こういったITの導入を支援させていただきたいと思っております。

 また、小規模事業者の皆様方に特化をいたしました持続化補助金、いわゆる持続化補助金がございます。これもさまざまな、ほんのちょっとした工夫で大きな効果が出る事例がたくさんございます。これまでに延べ約八万五千者の小規模事業者の皆様方を御支援させていただきました。

 また、大変大きな御指導をいただきました、事業承継税制の拡充でございます。今後、MアンドA、いわゆる第三者承継による事業承継の支援なども大変大事になってまいります。

 以上、申し上げましたように、予算、税、そして法律、さまざまな支援ツールを総動員いたしまして、また、課題に対応したさまざまな専門機関のノウハウ、こういったものを総結集させていただく必要があると思っております。予算も含めまして、御支持と御理解をいただきながら、最大限、充実した施策の獲得に努力をしてまいりたい、このように思っております。

大見委員 ありがとうございました。

 安藤長官には、月曜日に地元の碧南市に来ていただきまして、経済講演会でさまざまな、今お話にありましたような経産省の支援メニューというものをお話をいただきました。地元の皆さん方にも大変好評でございまして、この場をかりて御礼を申し上げたいというふうに思います。

 ただ、ものづくりを支えておりますのは、商店街などの小規模事業者や個人事業者も含めてのことでありまして、こうした事業者の生産性の向上というのが非常に喫緊の課題だというふうに思います。

 例えば、月曜日にありました経済講演会のようなところに出てこられる方というのは、非常に地域の中でも中堅的な方が多いということで、本当に規模が小さくて収益力が必ずしも高くないような事業者の皆さん方の中には、商工会議所あるいは商工会そのものに入っていないというような方もお見えになりますし、事業者自身が最前線に立って、あるいはお店に立って仕事を行っているので、相談や必要な書類をつくる時間がないということも事実だろうというふうに思っております。

 また、以前、地元の建設業の皆さん方とお話をして、設備投資をやるといいですよというようなお話もさせていただいたんですけれども、建設業の皆さん方の多くは今、建設の重機というのはリースで行っているので、我が社で何を設備投資を今からしていったらいいのかというのも、はっきり言ってよくわからないというようなお話も聞きました。

 そういう意味では、比較的規模が小さくて、忙しくて相談窓口に余り来ないような事業者であるとか、あるいは、結構年配になっておりますので、先ほどお話がございましたけれども、IT補助金を使ってIT導入で生産性向上にどういうふうに取り組んでいいのか、実は効果がよくわからないという事業者に対して、今回の施策をどのように働きかけていくのか。

 また、業種ごとの、先ほどの建設業の皆さん方のように、具体にどういうものに取り組めるのかというような、ヒントが載っている事例集のようなものが欲しいということも聞いたことがございます。

 そういうことも含めて、本当に、小規模の皆さん方にどのように、せっかくたくさんあるメニューでありますので、アプローチをしていったらいいのかということを伺いたいというふうに思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 施策をつくること、そして、それを周知徹底をさせていただくこと、そして、現実に御利用いただくこと、これが大変大切であることは言うをまたないと思います。

 私どもも、さまざまな支援ポータルサイト、いわゆるミラサポ、あるいはメールマガジン、ツイッター、そしてまた商工会、商工会議所といった支援機関の皆様方、さらには金融機関、税理士といった皆様方の御協力をいただきながら、さまざまな形で周知、広報を進めているところでございます。

 他方、今御指摘がございましたように、まだまだ不十分であります。また、折に触れて大臣からも、団体に所属されておられない中小企業、小規模事業者の方たちにどうやって手の届くような御支援をするのかということを常々考えろという御指示をいただいております。

 一例でございますけれども、使っていただく側に立った広報、周知体制を徹底していくということで、例えば、今回の中小企業、小規模企業白書でございますけれども、昨年の倍に当たります百十三の事例を豊富に、できるだけ最大限載せさせていただきました。中小企業、小規模事業者の方の置かれた状況とそして課題、そして、それを克服していった具体的な手法等々をできるだけ豊富に載せさせていただきました。

 また、それは、なかなか中小企業の方は御相談の窓口に来られるのも大変な方々が多いと思いますので、さまざまなSNS的な手法、さまざまなIT技術等々も活用した、手軽に御利用いただけるような、具体的な事例の集積と周知にこれから最大限努力をさせていただきたいと思っています。

 また、支援機関の皆様方のある種の業績、そして特性、こういったものの見える化を図って、御利用いただける皆様方に対する支援機関の質の向上、こういったこともあわせて行わさせていただきたい、このように思っております。

大見委員 ありがとうございました。

 きめの細かいPRも含めて周知を図っていただくことで、せっかく多くの自治体が設備投資に対して御理解をいただき、動き出したということでもありますので、たくさん使ってくれるような形になるように、さまざまな機会を通して行っていただきたいということをお願いをさせていただきたいというふうに思います。

 次に、灯油を扱います小規模な事業者についてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 ことしの冬は、福井県での、国道八号線に約千五百台の車両が立ち往生したり、あるいは、新潟県では満員電車に四百三十人が約十五時間にわたり閉じ込められるなど、各地で豪雪によります市民生活の混乱が起こりました。

 こうした豪雪地帯では、高齢者による雪おろしの負担などが課題として挙げられておりますけれども、ガソリンや灯油の確保というのも命にかかわる大変重要な課題だというふうに認識をしております。

 中央防災会議の基本計画や国土強靱化アクションプランにおける石油製品などの調達や確保、備蓄に対する、きょうは内閣府に来ていただいておりますので、内閣府の基本方針をまず伺いたいというふうに思います。

伊丹政府参考人 お答えいたします。

 災害時において、国や地方公共団体等による応急対策活動はもとより、被災者の生活にも欠かすことのできない燃料を確保することは、重要な取組であると認識しております。

 このため、委員お尋ねの防災基本計画においては、例えば、災害応急対策における物資の調達、供給活動の総論部分で、被災者の生活の維持のため、必要な食料、飲料水、燃料、毛布等の生活必需品等を調達、確保し、ニーズに応じて供給配分を行えるよう、関係機関は、その備蓄する物資、資機材の供給に関し、相互に協力するよう努めると位置づけるとともに、調達や供給に関する国や地方公共団体等のそれぞれの役割について記載しているところでございます。

大見委員 ガソリンについていいますと、FCV、EV化というようなことで、ガソリンを使わないような車をつくっている方も悪いのかもしれませんけれども、それに加えて、人口減少というのもありますので、最近は、ガソリンや灯油を扱うサービスステーションなどの揮発油販売業者さんというのが、一日四軒といいますから相当な数でありますけれども、一日四軒前後のペースで急激に減少しております。特に、過疎地でのSSの存続というのは、生活の維持のためにも死活問題になってきているということが言えるのではないかというふうに思います。

 そこで、エネルギー供給の最後のとりでとされておりますSSの存続に対して、資源エネルギー庁はどのような取組を行っていくのか。

 また、揮発油販売業者、いわゆるSSよりも小さな、特にガソリンは扱わないような中小・小規模燃料業者であります石油製品販売業者も、灯油等の身近な燃料供給を使命として、厳しい経営環境の中で懸命に地域社会を支えていただいておりますけれども、残念ながら、国の石油製品安定供給確保支援補助事業の灯油配送用のタンクローリーや灯油配送用貯蔵タンクへの補助事業の対象になっておりません。

 ことしの豪雪でも、当面、国道にとまっている車にはガソリンをすぐに届けないと大変なことになるけれども、同時に、各家庭への石油の配送というのは更に重要だというようなことで、緊急に取り組まれたということも聞いておりますけれども、そうしたところへの補助というのが小規模な事業者に対してはなされていないということであります。

 これから、自動車はないけれども、灯油だけは必要だというような高齢世帯には、地域密着の燃料業者が命をつなぐという存在にもなってまいります。揮発油販売業者と同様に、石油製品販売業者も国の石油製品安定供給支援事業の対象に加えることや、SS過疎対策と同様に、自治体との連携が必要だというふうに考えておりますけれども、あわせて所見を伺いたいというふうに思います。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 需要減少などを背景に、SS、ガソリンスタンドでございますけれども、その減少が進む地域におきまして、自動車や農業機械の給油、それから高齢者宅への冬場の灯油配送などに支障を来す、いわゆるSS過疎地問題が課題になっていると承知しております。

 こうした地域におきまして、SSを維持するために、供給設備などインフラの維持コストの低減を図るとともに、地元自治体のリーダーシップのもと、事業者や地域住民などの関係者が連携し、地域の実情に応じた対策を検討する、こういうことが必要だというふうに考えております。

 このため、資源エネルギー庁におきましては、本年二月に次世代燃料供給インフラ研究会を設置いたしまして、過疎化や人手不足に対応した新たな燃料供給のあり方を検討するとともに、自治体が地域の燃料供給拠点の確保に向けたアクションプランを定める、いわゆるSS過疎地対策計画、この策定を支援すること、それから、先進的なビジネスモデルの構築やインフラ維持のコストの低減に向けた技術開発などを進めていくこととしております。

 さらに、委員御指摘のありました補助金の件でございますけれども、これは、厳しい財政制約の中、地域の災害対応能力を向上させるという政策の費用対効果を最大限高める趣旨で、ガソリン、軽油、灯油等の複数の油種を取り扱う給油所、いわゆるSSを対象としているということについて御理解いただきたいと思います。

 ただ、委員御指摘の過疎地対策、これは大変大事でございまして、御指摘のとおり、SSに限らず、灯油販売事業者を含め、地域の燃料供給を担う事業者と自治体、住民などの関係者が広く連携して対策を検討する、これが重要だというふうに考えておりまして、これをあわせて我々は支援していくという方針でございます。

大見委員 時間が参りましたので終わりたいというふうに思いますけれども、ガソリンスタンドがどんどんと減っていく現状の中では、恐らくそうした過疎地域のスタンドというのは相当早い段階から減っていくのではないかなというふうに考えられます。そうしますと、配送のコストも含めますと、やはり地元に密着した、最後に残るのは石油ですとか身近なものの燃料の確保ということになろうかというふうに思いますので、確かに費用対効果というのはあるわけでありますけれども、命をつなぐという点でも、ぜひそうした中小零細の燃料供給業者に対しても石油と同じような形でしっかりとお取り組みいただけますように、強くお願いをさせていただきまして、質問を終わりたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

稲津委員長 次に、星野剛士君。

星野委員 自由民主党の星野剛士でございます。

 本日は、貴重な質問の時間をお与えいただきまして、委員長始め、各党理事の皆さんに心から感謝をし、早速でありますが、質問に入りたいと思います。

 もう皆さん御承知のとおり、現在は、第四次産業革命の波が世界を覆っております。人工知能、AI、IoT、ビッグデータの利活用、ロボット、ドローン、自動運転などの話題が出ない日がないと言っていいほどでもございます。

 実は、今ちょうど平成三十年でございますが、昭和から平成への御代がわりの時代、私は新聞記者をしておりました。当時、携帯電話は、A4判の大きな箱を肩からかけて運ぶ、その名もショルダーホンと言っておりました。今はスマートフォン、スマホ一つでほとんど何でもできます。たった三十年間でこれほど変わってきたということも、もう一度、私たち、今を考える上でしっかりと認識をしておいた方がいいのではないのかなというふうに思っております。

 また、技術的には、たった一年間で七年間も進むドッグイヤーでありまして、二〇四五年には、技術的特異点、シンギュラリティーを迎えるとする科学者もおります。グーグル、アマゾン、アイフォン、ドイツでは国を挙げてインダストリー四・〇に邁進をしておりますし、中国でもバイドゥやアリペイなどが躍進をしております。

 我が国では、インダストリー四・〇の一つ、一歩先を行くという意味で、あえてソサエティー五・〇という大目標を掲げております。その意味するところは、その心は、全ての科学技術は融合し、昇華をして、人々にとって使いやすい手足となる、又は、使いやすく安全な道具として世のため人のために役立つものとなるべきだという考えだというふうに思います。

 そこでお伺いをしたいと思いますが、まずこの名称なんですが、私も、今、大串政務官が座っているところに座って、経産省の政務官を務めさせていただきましたが、そのときからもずっと、ソサエティー五・〇を日本は目指すんです、インダストリー四・〇じゃありませんということを繰り返しここでも自分自身で答弁をさせていただきましたが、今、ややこのソサエティー五・〇という言葉が余り使われなくなってきているので、ここは経産省としてもしっかりと認識をし直していただきたいというふうに強く申し上げたいと思います。

 そこで、今、世耕大臣がお気に入りのコネクテッド・インダストリーズ、ここは笑うところじゃないんですけれども、コネクテッド・インダストリーズを推進した結果としてソサエティー五・〇が重要だと考えますが、省としての認識をしっかりとお答えをいただきたいと思います。このごろ、この言葉は本当に使われていないですよ。どうぞ。

大串大臣政務官 お答えいたします。

 昨今のグローバル競争の主戦場がバーチャルデータからリアルデータを活用したビジネスに移行してきておりまして、ここで、日本の強みである現場力や現場の良質なデータを生かせるチャンスが到来していると考えております。

 他方、日本におきましては、製造業を始めとする多様な分野において、中小企業も含めた多くの現場が高い技術力を持ち、個別に良質なリアルデータを蓄積しております。そのため、リアルデータを介して、機械、技術、人など、さまざまなものがつながることで新たな付加価値創出と社会課題解決を目指すコネクテッド・インダストリーズの実現が重要であるというふうに考えております。

 この実現に向けて、日本の産業の強み、市場成長性、社会的意義の大きさ等から、重点的に政策資源を投入すべき分野として、自動走行・モビリティーサービス、ものづくり・ロボティクスなどの五分野を特定し、データの協調領域の拡大などに向けた検討を加速しております。

 さらに、横断的な政策といたしましては、生産性向上特別措置法案において、民間事業者によるデータ共有の取組を認定し、税制措置や公共データを提供する仕組みを設けるとともに、データの利用権限に関する契約ガイドラインを抜本的に改正いたしまして、産業ごとの特性を踏まえ、データの利用に係る権利、責任関係を明確化することとしております。

 また、中小企業の参画を促すべく、ものづくりのための設備導入やサービス業などのIT導入を促進するための補助、加えて、成功事例を共有するためのプラットホーム構築などを行っております。

 なお、ソサエティー五・〇は、第四次産業革命が進む中で、日本が目指すべき社会像を示す概念として、平成二十八年に第五期科学技術基本計画で提唱されたものでございます。具体的には、先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れることにより、少子高齢化や環境・エネルギー制約などのさまざまな社会課題を解決する試みであると認識をしております。

 そのため、コネクテッド・インダストリーズはソサエティー五・〇を実現するための産業のあり方だと考えておりまして、このコネクテッド・インダストリーズの取組を進めて産業変革を促すことで、ソサエティー五・〇の実現に貢献してまいります。

星野委員 敬愛し尊敬をする大串政務官から前向きな答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 私は別にコネクテッド・インダストリーズを全く否定もしていませんし、まさにそのとおりだと思うんですが、大目標というのは大事なんですね。やはり、大臣を始め政務三役が、常に何かあるときに必ずソサエティー五・〇と言うということが、これは国の大方針を示す意味で非常に大事だと思っていますので、大臣がかわるたびに何かまた違う名称になっていくというのは、ここは僕は違うなというふうに思っているので、あえてソサエティー五・〇と必ず何かのときにはつけてください。

 それと、これは一つ提案なんですけれども、さきの予算委員会で私が質問をさせていただいたときに、実は、規制のサンドボックスについて世耕大臣から答弁いただいたんですけれども、そのときに、この規制のサンドボックスというのはいい言葉じゃない、わかりにくいですよね、何かいい言葉があったらぜひ考えてくださいと僕が振られた。今一生懸命考えていますので。

 一番いいのは、これもまたちょっと経産省で御検討いただきたいんですけれども、政務三役の中で。規制のサンドボックスと言ったってわからないですよ。わからない。規制の砂場と日本語に訳したらわかるのかというと、余計わからないでしょう。わかりますか、規制の砂場って。何ですか、それという話になるんです。ですから、わかりやすく言うのであれば、今私も一生懸命、大臣から宿題をもらっていますから、考えていますけれども、言うのであれば、もっともっと自由化特区。

 今も、国家戦略特区で神奈川県全域が指定されていますけれども、この中でもまだまだ、なかなかやりにくい実証実験なんかありますから、この規制のサンドボックスを使って、地域限定版ですよ、地域限定版の規制のサンドボックスを使うことによって、もっともっと自由に実証実験を行うことができる、そういう区域ができますよということですから、砂場なんてわかりにくいことを言っていないで、特区という名前自体は浸透しているんですから、もっともっと自由化特区、自由化特区でも構いませんし、ぜひちょっとここは御検討いただきたい。よろしいでしょうか。

 あわせて、このソサエティー五・〇なんですけれども、本当の意味でいうならば、私はこの前に一言つけた方がいいと思っているんです。それは、ヒューマン。ヒューマンソサエティー五・〇という名称に変更する。これは社会のための五・〇じゃないんですね。人間社会のための五・〇のバージョンアップであるべきだと私は思っていますので、ぜひこの点についても。

 名称というのは非常に大事だと思うんですね。特にこういう産業分野になると、一般の国民の人はなかなかイメージが湧かない。人工知能だとかIoTなんて言われたって、言われた瞬間にもう話を聞きたくないという方が多いわけですから、そういう方々にも御理解していただけるようなわかりやすい名称に随時変えていくということはぜひ御検討いただきたいと思います。これは要望でございます。

 そして次に、そうはいいながらも、具体的に目に見える技術である自動運転とドローンについてちょっと質問をさせていただきたいというふうに思っています。

 私の地元、藤沢市では、近い将来の自動走行を想定した実証実験、ロボネコヤマトプロジェクトが約一年間にわたって行われております。黄色いボディーにロボネコヤマトのロゴが入った車が十台、藤沢市内を走り回り、宅配サービスを続けております。大変多くの方々が利用していただいております。

 ちょうど先月の二十四日の日でありますが、これも先進的な取組なんですけれども、パナソニックの跡地に、Fujisawaサスティナブル・スマートタウン、何でも英語にすればいいというものじゃないと思いますが、Fujisawaサスティナブル・スマートタウン、通称SSTというクローズドな環境の中で、まさに無人のロボネコヤマトが、あるお宅の前で、まず利用者の方の前でとまり、その利用者がドアを自分であけて、スマホのQRコードをある画面にかざします、そうしますとロッカーがカチャッとあいて、注文の品を取り出して、自分でドアを閉めて、はい、さようならと。人は乗っていませんから、さようならとはこの御婦人は言っておりませんでしたけれども、そういうことが現実に実証実験で行われて、私も、国会のちょうど合間を抜けて地元藤沢へ戻って、この実証実験に立ち会っておりました。

 現場でこの御婦人に聞きました、どうですか、このサービスを使ってみてと。いや、これはありがたいですよ、なぜならば、普通に宅配便を頼むと家で二、三時間待っていなきゃいけませんよね、これは十分刻みで来るんですよ、十分間の間だけ家にいれば荷物を自分で受け取れますから、これは大変便利で、時々使わせていただいていますというふうに言っておりました。

 ちなみに、宅配便の取扱数はここ三十年で五倍以上に、先ほどちょっとお話をさせていただいた、携帯電話のショルダーホンがスマホにかわる三十年の間に、宅配便の取扱量は五倍以上にふえている。身近でもそうですよね。アマゾンや楽天や、ありとあらゆるものを私はネットで買っています、宅配で届けてもらっています、オフィスに届けてもらっていますというような人が非常にふえたという感じがしますけれども、数量に直すと五倍以上ふえている。

 トラックドライバーが足りません。ちょうど二年後、二〇二〇年には約十万六千人のトラックドライバーが足りなくなる、二〇三〇年には約八万六千人のトラックドライバーが不足をすると予想がされておりまして、例えば、このロボネコヤマトを始めた、これはDeNAとクロネコヤマトがコラボレーションでやっていますからロボネコヤマトというんですが、じゃ、クロネコヤマトがなぜこういう実証実験を先進的に始めたのか。

 どんなに厚遇というか、いい待遇にしても、トラックドライバーが集まらない。トラックドライバーが集まらなければ、荷物を運びたくても運べない。運べなかったら、ほかの業者に切りかえられるか、もともとネットの通販をしている会社が数量を抑えるか、どちらかしかないという、もうぎりぎりのところに来ているので、こういう事業を、実証実験を繰り返しやっているということをぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

 そこで、ソサエティー五・〇で重要になります技術として、自動走行とあわせてドローンが挙げられると思います。物流業界で人手が不足する中で、特に中山間地における荷物の配送に自動走行やドローンを活用するべきだというふうに考えております。

 と申しますのも、例えば、今、交通弱者という方がどれぐらいいらっしゃるか。政務官、御存じだと思いますが、交通弱者という方は、中山間地を中心に今七百万人もいる。この交通弱者の方々というのは、中山間地に住んでいて、今までは町場まで自分で運転して買物に行きましたけれども、もう高齢になったので免許証を返した、よくよく考えてみたら町にバス路線はない、タクシーも一台も走っていないというところに七百万人の方が住んでいるという現状が今あります。

 これからもっともっとふえるということになっておりますので、ぜひ、特に、現実に目に見える形の自動運転とドローンについて、経済産業省の取組についてお伺いをしたいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに人間中心のソサエティー五・〇、それを可能とするための技術、自動走行あるいはドローン、こうしたものをしっかり社会実装していくというために、我々政府として取り組むべきことは取り組みたい、このように考えております。

 今まさに御指摘のとおり、物流業界で人手が不足する中で、自動走行あるいはドローンといったものを中山間地域などにおきまして荷物の配送に活用する、こういったものは非常に今期待が高いわけでございます。

 私ども、こうした新しい技術を社会実装する際には、四つのことが大事だと思っています。もちろん技術、この技術開発をするということが大事です。それから、あわせて、新しいものでございますから、ルール整備を含めて新しい制度をつくっていかなきゃいけない。それから、それを実際に事業としてやっていくわけですから、担い手となる事業者が出てこなければならない。そして、それらの三つとあわせて大事なのが、社会がそれを受け入れる、社会的な受容性を進めていく、高めていく。この四つを同時に進めることが大事だと思っていまして、我々、この点について、これは経済産業省だけでできませんものですから、政府全体で取り組んでいるところでございます。

 今御質問いただきました自動走行とドローンについて簡単に御紹介しますけれども、まず、自動走行につきましては、政府といたしましては、無人自動走行による移動サービス、これを二〇二〇年に実現することを目標に掲げております。

 そうした中で、私ども経済産業省といたしましては、必要となる、障害物を検知して自動で制動する、とまる、そういう技術でありますとか、あるいは、発進とか停止、これに係る遠隔操作、この技術、これらの開発を行いまして、昨年の十二月には、石川県の輪島市におきまして、車の中にまさに無人という形で自動走行を、公道、パブリックな道、先ほどの閉鎖空間ではなく公道で実証するということを開始したところでございます。

 今後でございますけれども、事業化した場合に、やはり先ほど申し上げました、担い手となることが期待されます地域の事業者、こうした方々と連携をした上で、これまでは、実は実証といっても数日間でした。これを、例えば最大は一カ月間程度、こうした形で長期化をして、よりビジネス環境に近い状況で実証実験を行うということで課題を更に洗い出しまして、これらの課題を解決していくことで事業化に向けた検討を深めてまいりたいと思っております。

 ドローンにつきましても簡単に。

 政府としては、二〇一八年に山間部などニーズの見込まれる地域で荷物配送を実施する、こういう目標を掲げておりまして、関係省庁で取り組んでいるところでございます。

 私ども経済産業省といたしましては、操縦者の視界の外でもドローンが自動で飛行して荷物を運べるように、ほかの機体や建物等を自分で検知して衝突を回避する、こうした技術でありますとか、複数の機体が同時に飛んでいるときにぶつからないように運航を管理する、こうしたシステムの開発につきまして、地域の荷物配送にドローンを活用することが期待される事業者と連携して推進しております。その際には、国土交通省とも協力して、じゃ、どういった場合に飛行していいか、そういう要件の検討も行っているところでございます。

 これらを着実に進めまして、今委員御指摘の、社会、新しい人間中心のソサエティー五・〇に役立つ技術というものをしっかり進めてまいりたいと思います。

星野委員 ありがとうございます。

 ぜひ、ドローンも含めて頑張っていただきたいというふうに思います。

 また個別にいろいろとお話をさせてもらいたいと思いますが、実は、今度、規制のサンドボックスが、法律がちゃんと制定されたら、まず、国家戦略特区に全県が指定されている唯一の県である神奈川県が手を挙げさせていただいて、そこにしっかりとした事業者にも入っていただいて、ドローン、自動運転、ありとあらゆるものをやっていきたいと思いますので、また御指導のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それで、最後の質問になりますが、自動走行やドローンの社会実装には安全性と正確性の確保が不可欠であります。そのためには、世界最高水準の3Dデジタルマップの完成が急がれます。そして、ここは、それぞれの事業者や研究機関が競い合ういわゆる競争領域ではなくて、知恵と技術を出し合い協力し合う協調領域だと考えます。日本の準天頂衛星なども順調に上がっておるというふうに聞いておりますが、自動走行やドローンの社会実装を進めるためにこの三次元マップの協調領域への支援が重要であると思いますが、経済産業省の取組についてお尋ねをしたいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、自動走行ですとかドローンといった従来なかった取組の社会実装を進めるためには、実際に協調領域を拡大することで、競争領域への経営資源の集中投入を促すことが重要であります。

 今御指摘のありました高精度三次元地図でございますが、まず、自動走行に関して申し上げますと、これは地上ですが、こちらについて申し上げますと、私どもとしては、自動車メーカー各社がばらばらに整備するのではなくて、協調して整備することが必要だということで、実際に自動車メーカー等が、これは政府なんかの議論も踏まえて、共同でダイナミックマップ基盤株式会社というものを設立をいたしました。その際、産業革新機構からも、資本金、全体は四十億円でございますが、そのうち十三・四億円を出資する、こういった取組をしているところでございます。

 既に、昨年度のうちに、全国の高速道路、自動車専用道の上下線を合わせた距離は三万キロあるんですが、そのうち一・四万キロの地図情報については整備を終えたところでございます。今年度中にはこの三万キロ全ての整備が完了する見込みであると聞いておりますし、また、これは国内だけで進めてもいたし方ないということでありまして、北米の地図、このサンプル地図をつくって、今、それを配布する、こういったような取組も進めていると承知をしております。

 また、ドローンの方、これは地上ではなくて空間になるわけでございますが、こちらにつきましても、競争領域として各企業が機体ですとかサービスの開発には取り組む一方で、協調領域として、同じ空域を飛行する多数のドローンの運航を管理するシステム、これは先ほども申し上げましたが、こうした開発をしていかなければなりません。

 この運航管理システムやドローンの衝突回避技術の開発を行うために、三年間のプロジェクト、これを昨年度から私ども経済産業省として予算を計上して進めているところでございます。今年度は三十億円強の予算を確保しているところでございます。

 このプロジェクトには、ドローンを使った物流でございますとか警備のサービスを提供する事業者、あるいは通信サービスを行う事業者など、二十以上の民間企業の方々が参加していただいておりまして、その中でドローンの運航管理に必要な空の三次元地図のデータベース、これの開発を進めておりまして、二〇二〇年度の本格運用を目標に取り組んでいるところでございます。

 引き続き、私どもとして、こうした分野を含めまして取組を進めて、社会実装を進めてまいりたいと思っております。

星野委員 ありがとうございました。終わります。

稲津委員長 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之です。

 午前中最後の質問になりますので、あと二十分おつき合いください。

 家庭の太陽光一九年問題について、まずお尋ねしたいというふうに思います。

 五月六日付の日本経済新聞が、朝刊一面で次のような報道をされておりました。

 家庭の太陽光発電が二〇一九年、試練を迎える。余った電気を高く買ってもらえる十年間の期限が切れ始め、二三年までに百六十万世帯が発電する大量の電力が買い手を失うおそれがある。政府は再生可能エネルギーを国の主力電源に育てる方針だが、家庭が太陽光パネルを維持するインセンティブは減退する。

 政府は二〇〇九年、家庭の太陽光パネルでつくった電気の余剰分を十年間にわたり一定価格で買い取る制度を始めた。

 FITのことだと思います。

 家庭の消費電力は昼は少なく夜にふえる。ただ、太陽光は昼間しか発電できないため、余った電気を誰かが引き取る必要がある。FITでは再生エネを一気に広げようと、一キロワット時当たり四十八円という破格の値段で電力会社に買取りを義務づけた。

 一般的に十年前後で設置費用の元が取れる水準で、計二百万世帯がパネルを設置。国の電源構成に占める再生エネルギーの比率は東日本大震災の前の一〇%から二〇一六年度に一五%に増すなど一定の成果をおさめた。

 ただ、買取り費用は家庭や企業が使う電気代に上乗せして徴収される。この国民負担を抑えるため、高額での買取りは十年の期間限定という条件がついていた。期限切れを迎える家庭は一九年だけで約五十三万件、二三年までに百六十万件に達する。一戸一戸の発電能力は微々たるものだが、総計では計約七百万キロワットと大型の原子力発電所七基分の電力が宙に浮くおそれがあるというふうな指摘でした。

 この事実関係に間違いないでしょうか。

高科政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の報道はおおむね事実でございまして、二〇〇九年に開始いたしました太陽光の余剰電力買取り制度の適用を受けました住宅用太陽光発電設備は、二〇一九年十一月以降、順次十年間の買取り期間が終了することとなります。

 具体的には、二〇一九年のみで約五十三万件、二〇二三年までに百六十万件以上の買取り期間終了案件が発生いたしまして、出力の総計では約七百万キロワットとなります。

富田委員 この報道が事実だとすると、高額での買取り期限が切れた後はどうなるのか。電力会社の買取り義務がなくなるので、余った電気を電力会社に無償で提供せざるを得ない世帯が大量に発生するのではありませんか。

高科政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、FIT制度における買取り期間が終了した電源につきましては、法律に基づく買取り義務がなくなるため、一つ目は、電気自動車や蓄電池などと組み合わせるなどしながら自家消費をしていただく。あるいは、小売電気事業者に対しまして、相対、自由契約で余剰電力を売電する。こうしたことが基本になります。

 こうした中で、一時的に余剰電力の買い手が不在となる場合につきましては、一般送配電事業者が無償で余剰電力を引き受けるという受皿を用意してございますが、経済産業省といたしましては、現在買取りを行っている電力会社に対しまして、買取り期間の終了の時期、それから、買取り期間終了後の選択肢、それから、自社が継続的に買い取る場合の条件などについて、買取り先の世帯に個別に連絡、周知を行うよう指導していく考えでございます。

 こうした措置を通じまして、御指摘のように、余剰電力を無償で提供せざるを得ない世帯が大量に出てくることのないよう対応してまいりたいと考えております。

富田委員 今の部長のあれだと、今買い取っている電力会社の方で相対契約するという可能性も残っているということでしたけれども、そういう相対契約になった場合は、無償にかなり近いような低価格での取引をせざるを得なくなる世帯が多くなるんじゃないでしょうか。こういうのを放置したら再エネ普及にとって逆風になると思うんですが、そこはどう考えていますか。

高科政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、FIT買取り期間が終了した電源を売電する場合には相対、自由契約となることから、買取り価格は当事者間の取引の中で決定されるということになると思います。

 したがいまして、買取り期間終了後の買取り価格につきまして、現時点で経済産業省といたしまして予断を持って申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、経産省といたしましては、買取り期間が終了した電源が、投資回収を終えた安価な電源としてビジネスの中で活用されることを期待しておるところでございます。

富田委員 ちょっと心配なんですけれども。

 先ほど立憲の山崎先生がドイツのシュタットベルケを見てきたというふうに言われまして、私もこれに興味を持っていろいろ調べたんですが、調査室の皆さんに協力していただいて、みずほ銀行産業調査部の山本武人氏が「ドイツ・シュタットベルケのビジネスモデルが持つ競争力に関する一考察」という論文を出されていまして、これが非常にわかりやすかったのでちょっと御紹介をしたいと思うんですが、山本さんは次のようにこのシュタットベルケについてまとめていらっしゃいます。

 海外の電力、ガス事業環境を見てみると、ドイツでは日本の二倍以上の小売業者が存在しており、その多くがシュタットベルケと呼ばれる都市公社である。シュタットベルケは、住民の生存に欠かせないエネルギーやサービスを良心的な価格で提供する生存配慮を目的とした都市公社である。住民の生存配慮に資するさまざまなサービスを手がける中、電力、ガス事業がコア事業となっている。

 シュタットベルケのビジネスモデルの特徴は、まず、自治体が出資している点、次に、特定地域に事業活動が特化している点、そして最後に、分散型電源を積極活用している点であるというふうにまとめられております。

 そして、自治体の出資は、シュタットベルケが公益事業者であることを明確にし、需要家に安心感を与え、ブランド力強化等に結びついている。

 次に、特定地域に事業活動が特化していることは、地域住民との接点をふやし、地域における高いプレゼンスにつながっている。また、シュタットベルケは地域の人材や資材を使うことから、地域経済活性化に寄与し、地域住民がシュタットベルケを選択し続ける経済的な裏づけとなっている。

 そして、分散型電源の保有は、政策支援を活用した長期安定収益の確保につながるほか、電力の相対調達における交渉力向上や、中長期的には、卸取引所の調達条件改善等、シュタットベルケの調達環境改善に寄与するというふうにまとめられておりました。

 資料の一に、このシュタットベルケのわかりやすいものがありましたのでちょっと提示させていただきましたので、参考にしていただければと思うんですが、再生可能エネルギーの普及には、地域の実情に合った仕組みづくりが欠かせないというふうに思います。一戸建てが多くて膨大な面積の屋根を抱える日本の国土で、どのように地産地消を促していくのか。ドイツ、シュタットベルケから学ぶ点が多々あると思いますが、経済産業省としてはどう考えているんでしょうか。

大串大臣政務官 再生可能エネルギー、特に太陽光発電は、需要地に近い場所に設置し発電することが可能であり、分散型電源として地産地消しやすいのが特徴であるというふうに認識をしております。

 これまでは、FIT制度のもとで大規模な電力会社に売電すればよいというモデルでありましたけれども、先ほどから議論がありますように、例えば、二〇一九年以降の買取り期間終了後は、投資回収を終えた安価な住宅用太陽光発電を地域でみずから使うモデルへの転機となると考えております。

 御指摘のシュタットベルケのように、地域のエネルギー会社がこうした再エネ電源を取りまとめて、地域で電気をつくり、地域で使っていくことは重要であり、経済産業省といたしましても、こうした新たな再エネ活用モデルを推進してまいりたいと考えております。

富田委員 このシュタットベルケのビジネスモデルを日本で適用するに当たっては、幾つかやはり課題があるというふうに指摘されています。

 日本の電力事業への新規参入事業者が直面する大きな課題の一つは、電力調達問題であります。

 ドイツでは、日本に比べ、電力を大手発電事業者から長期相対契約で調達しやすい環境にある。また、近年では、卸電力取引所の流動性が拡大し、低価格で電力を取引所から調達できる環境となっているようであります。

 これに対して日本の場合は、現在も発電と小売がおおむね一体となった供給構造にあるほか、取引所における取引量も、去年までは総需要の二%程度。経産省の方から資料をいただきましたら、昨年の十月にはこれが八%程度まで上がってきたということですが、ここをどういうふうにこれから克服していくと考えているんでしょうか。

岸政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、卸電力取引所における取引量でございますけれども、厳密に申しますと、平成二十八年四月時点、これは小売の全面自由化が始まったときでございますが、この時点で総需要の二・二%でございました。それで、平成二十九年、昨年の十二月時点の数字でございますけれども、七・八%というところまで増加しているところでございますけれども、やはり、みずから発電設備を保有しない事業者、これも含めまして新規参入を促していかなければならない。そのためには、卸電力市場のさらなる活性化が大変大事だというふうに考えてございます。

 このため、経済産業省といたしましては、既存の大手電力会社に対しまして、余剰電力の卸電力取引所への供出であるとか、あるいは社内取引の一部を卸電力取引所で売りと買いを両建てで行うグロスビディングといった自主的な取組を促しておるところでございます。

 加えまして、既存の大手電力会社にどうしても安価な、安いベースロード電源が偏っているという、こうした供給構造がございますので、事業者間のイコールフッティングを図り、また、競争を促進するために、ベースロード市場の創設も検討しているところでございます。

 こうした取組を通じまして、多様な事業者が新規参入しやすい環境を整備し、競争のさらなる促進と需要家の選択肢の拡大にしっかり取り組んでまいりたい、こういうふうに考えてございます。

富田委員 ここはぜひ頑張っていただきたいと思いますし、きょうの日経新聞に、東京電力が新電力に卸売という記事が載っておりました。こういったことがますます進んでいくように、経産省としてもバックアップしていただきたいというふうに思います。

 ドイツと日本における需要家の自治体に対する期待水準の違いにも課題があります。日本では、民間エネルギー事業者が長年安定的に供給してきたため、需要家が供給実績に乏しい自治体に、出資する事業者にあえてスイッチングするほどのブランド力は、現時点では確立されていないというふうに思います。

 また、地域経済に貢献する効果を需要家が認識するまでには時間がかかることも課題の一つであります。

 このような課題を克服しつつ、シュタットベルケの仕組みを日本版に発展させた先行事例として、みやまスマートエネルギーが注目されております。

 資料二にみやまスマートエネルギーの資料を添付させていただきましたので、参照していただきたいんですが、資料二の二に明らかなように、分散型再生可能エネルギーの活用が予定されております。

 みやま市では、一般家庭の太陽光だけで七・五メガワットを集めているそうです。市内の一戸建てが一万三千軒、この約九%に太陽光パネルが設置されておりまして、二〇一〇年から独自の補助金制度などの太陽光発電システム設置促進事業が功を奏したのか、こういった形でかなりの電力を集められるようになっているという状況のようです。

 また、資料の二の四から六に記載されていますように、地域への貢献、市民サービス、市民との双方向コミュニケーションも具体的に検討されており、シュタットベルケの仕組みを上手に取り入れているというふうに思います。

 しかし、残念ながら、資料二の三で、事業計画がありますが、ここで想定していた事業計画と異なって、事業開始以降、二年連続で債務超過となっておりまして、二十七年度が一千七百万、二十八年度は一千八百万の赤字で、累積赤字が三千五百万円になっている。資本金二千万ですから、これをもうはるかに上回るような形だ。

 ただ、きのう環境白書のちょっと説明を環境省の方から受けましたら、二十九年度は契約件数が三千件になって、売上げが十億だ、雇用も四十人雇うような成果になっているということで、好転はしているんだと思うんですが。

 地域に密着した日本版シュタットベルケが根づくことができるのか、このみやまスマートエネルギーが試金石になると思うんですが、経産省としては、こういったことをどのように受けとめて、日本版シュタットベルケをどのように根づかせていこうとしているのか、お聞かせ願いたいと思います。

大串大臣政務官 二〇一六年四月の電力小売全面自由化によりまして、地域自治体が出資するものも含めまして、四百五十者強が新規参入をしたところでございます。御指摘のみやまのような自治体出資の小売電気事業者は約二十八社と現在なっておりますけれども、多様な料金メニューや料金の低廉化が進展するなど、一定の成果が出ているところであります。一方で、経営状況が厳しい新電力が存在することも事実であることは認識をしております。

 経済産業省といたしましては、さらなる電力市場の競争活性化に向けて、先ほども言及がありましたけれども、卸電力取引の活性化であったり、旧一般電気事業者等が保有するベースロード電源に新規参入者がアクセスすることを可能とするベースロード市場の創設などを行うこととしております。

 加えまして、地域の特性を生かした地産地消型のエネルギーシステムの構築を後押しするべく、再生可能エネルギーやコージェネレーション等の分散型電源を複数施設で融通、利用する先導的な取組に対する支援を行っているところでもございます。

 地域新電力によるこうした施策の積極的な活用も期待しているところでありまして、経済産業省といたしましては、小売電気事業者間のさらなる競争活性化を図り、電力システム改革の果実が全国の消費者にしっかりと還元されていくよう、引き続き改革に全力で取り組んでまいりたいと考えております。

富田委員 政務官中心にしっかり頑張っていただけるというふうに思います。

 これで終わります。ありがとうございました。

稲津委員長 午後一時二十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十一分開議

稲津委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山岡達丸君。

山岡委員 御質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。山岡達丸でございます。

 大臣におかれましては、衆参渡り歩きながら、さまざま答弁、お答えされていることに心から敬意を表させていただきながら、私、また、きょうは一般質疑ということで、ちょっと幅広く幾つかのことについて大臣に見解を伺えればと思っております。

 まず、ちょっと、私の北海道も、私のエリアもものづくりが非常にかかわっているエリアで、室蘭という地域も抱えていることは皆様にもお伝えしているところなんですけれども、やはり新日鉄の会社もありまして、鉄鋼等の国際情勢といいますか、それについて非常に気にしているという思いもございまして、私、たまたま先日、本会議、TPPの国内対策法の登壇の際にも、外務省側にはいろいろ見解を伺う機会はあったんですけれども、経産大臣にも伺いたいんです。

 いわゆる米国の鉄鋼、アルミニウム、この輸入規制というか輸入制限といいますか、そのことについて伺いたいんですけれども、四月の十七日から十八日にかけて、米国のトランプ大統領と総理も対話したということでありましたけれども、このことについて、解決したという道筋のことではないということは報道もされているところであります。

 あわせて、これもきのう報道で少し見た話ではありますけれども、米国は、輸入車といいますか、輸入する車にも関税をかけることを検討するような報道といいますか、これは確定ではないんでしょうけれども。さらに、輸入車はアメリカ国産車よりも厳しい排ガス規制をかけるようなことを業界団体と話したやのような報道もございまして、はっきり言ってWTOの無差別原則にも反するんじゃないかというような動きもあるという状況であります。

 もちろん、新日鉄でつくっているいわゆる鉄鋼製品は、自動車のパーツの保安上にかかわる部分であったりして、代替品がなかなかないものであるということなので、かなり競争力はあるものをつくってはいるといっても、ここに不当に関税が乗るという形になっているわけであります。

 一方で、米韓FTAでは、韓国側は、交渉の経過は十分に明らかではないんですけれども、関税ではなくて輸出量を規制するといいますか、輸出量制限、およそ七割に輸出を制限することによってこの関税規制を外してもらっている。数量規制ですから、事実上規制はかかっているわけでありますけれども、そうしたことも伝わってくるところであります。

 数量規制というのも、まさに生産縮小につながりますから、これはものづくりの国としては非常に、先行きかなり産業縮小というか大きな影響を及ぼすというものであります。それも含めて、こうした輸出規制、あるいは関税措置もそうですし数量規制もそうですけれども、産業を取り扱われる経済産業大臣として、国内の企業もたくさんこの動向に注目しているところでありますけれども、そうした数量規制はもちろん受け入れない、そして輸出規制については強く撤回を求めていくということについて、その考え方、大臣にお伺いさせていただきたいと思います。

世耕国務大臣 鉄鋼、アルミニウムについては、アメリカは今回、通商拡大法二百三十二条というのを使って、安全保障上の理由で追加関税ということになっているわけでありますが、日本からの輸出品がアメリカの安全保障に悪影響を及ぼすということは、これは我々は同盟国でありますから、全くないわけでありまして、それどころか、高品質で非常に多くが代替困難な日本製品でありまして、これらはアメリカの産業や雇用にも多大に貢献をしているというふうに思っております。

 こうした日本の立場は、私からライトハイザー通商代表やロス商務長官には累次伝えているところでありますし、安倍総理からトランプ大統領にも直接主張をされたところであります。引き続き、この立場に立って、粘り強くアメリカに働きかけていきたいというふうに思います。

 一部、除外された国があるじゃないかということを言われるわけですけれども、基本的にアメリカは、みずからの方から見て貿易黒字を計上している国ですとか、あるいは別の貿易交渉を今行っている最中の国との間で暫定的な除外を与えた。一種、これをレバレッジにして、別の交渉を有利に展開しようというふうに考えているのではないかと推測されます。

 また、韓国は、期間を定めずに、一応、永久除外的な扱いになったわけですが、これは、アメリカと韓国の間では、KORUSの再交渉とあわせてこの件に関する交渉が行われて、二〇一五年から二〇一七年の輸出量に対して七割の水準まで制限するという輸入割当てに合意がなされたことから、除外されることになったのではないかというふうに思っています。

 日本としては、輸出の自主規制ですとか輸入割当ても含めて、いかなる形態の輸入制限についても受け入れるつもりはありません。

 これは、一般論として申し上げれば、セーフガード協定十一条の一の(b)は、輸出自主規制を導入、維持し、またこれを他国に要請することを禁止ということになっています。また、ガット第十一条は、割当てを含む数量制限の一般的禁止を求めているところであります。

 したがって、このようなルールへの抵触を正当化する事由がなければ、こういった数量を規制するということはWTO違反というのが一般的な考え方であります。

山岡委員 大臣、明快な御答弁、ありがとうございます。

 一般論と断っていただきながらも、これはWTO違反に抵触する可能性があるということも含めて、力強い御答弁をいただきました。安全保障上の問題があるということをアメリカは言っておるということも、まさに大臣がおっしゃったとおり、同盟国に対して、安全保障上の問題があるということに対してのそうした表明というのはいかがなものかということを思うわけであります。

 ですから、相手様の国があっての外交交渉ではありますが、ぜひ、お話しいただいたお立場、しっかり守っていただきながら、地元も含めて全国のものづくりの産業に非常に力強く、大臣として安心感を与えていただきたいという思いをお伝えさせていただきたいと思います。

 そして、きょう、また次のテーマなんですけれども、皆様には資料もお配りしておるところなんでありますけれども、CCSということについて、きょうはちょっと大臣の見解もお伺いしたいと思います。

 CCSというと、アルファベットが並びますから、世の中にはまだまだ十分そのことが認知が進んでいないようにも感じられる分野ではありますけれども、いわゆる工場や発電所などから排出される二酸化炭素、CO2を、大気に放散させる前に地中に埋めてしまおう、地下へ貯留しよう、その技術のことを指しているわけであります。

 エネルギー基本計画にも、この実用化を目指した研究開発について、二〇二〇年ごろまでにやっていくんだということを書かれている中で、日本で唯一、今実証試験を行っているのが北海道苫小牧という場所であります。

 このCCSは、パリ協定において、CO2削減手法の一つで、日本において、工業とか、あるいは火力発電などを活用するためには、ぜひ確立しなければいけない技術であると思うとともに、さまざま課題もあるわけであります。

 まず、経産大臣に、世耕大臣に、このCCS技術の、これはまた研究していくその意義について、これは北海道苫小牧という場所が担っているわけでありますけれども、大臣からこの意義について御答弁いただければと思います。

世耕国務大臣 二酸化炭素回収、貯留技術、CCSは、工場や発電所などから排出される二酸化炭素を分離して、回収して地下へ貯留するという技術でありまして、一度に大量のCO2を削減することが可能ということになります。

 IEAによれば、パリ協定が掲げる二度目標の達成に向けて、二〇六〇年にはCCS技術が世界のCO2削減量の一六%を担うことが期待をされているわけであります。

 私自身も出席をしたエネルギー情勢懇談会、二〇五〇年に向けてのエネルギー政策を御議論いただいた場でも、CCS技術は化石燃料を脱炭素化する手段として期待されているという議論もあったところであります。

 このように、地球温暖化対策に大きく貢献する技術として、CCSは世界的に大きく期待をされておりまして、これまで、北米、ノルウェーを中心にプロジェクトが進展をしてきているところであります。日本では、今御指摘の苫小牧でチャレンジが行われているわけであります。

 このような世界的な潮流の中、経産省としてもCCSを地球温暖化対策に資する重要な技術として位置づけて、エネルギー基本計画に従って、二〇二〇年ごろのCCS技術の実用化に向けた取組を実施をしているところでございます。

山岡委員 ありがとうございます。

 今お話にもありました、世界的な潮流であるんだ、そして非常に大きな期待が寄せられていることなんだというお話をいただきました。

 今お話にもありましたけれども、IEA、この報告書によれば、まさに二〇六〇年に、量に直すと四十九億トンだそうでありますけれども、これをCCSで担う、CO2の削減を担うということでありまして、まさに、全世界でいえば六分の一から七分の一ということであれば、日本においても、恐らくこのCO2の削減はそれ以上です。この技術が確立すれば、私たちの地域で、この日本において、ものづくりにおいて大きな追い風になる技術であろうと思っております。

 今お話にもございました、きょうは経産省の専門の皆様にもお越しいただいております。大臣がお話しいただきましたけれども、世界的な潮流であるとともに、これは世界的な競争もあるんだと思っております。世界のいわゆるCCSの状況、そして、その中における日本の位置づけ、立ち位置というのがどういう位置づけにあるのかもあわせて、経産省、きょう政府参考人としてお越しいただいていますので、そのことをお伺いしたいと思います。

岸本政府参考人 まず、世界的な動きでございますが、これまで、アメリカ、カナダ、ノルウェー、UAE、サウジなど、世界で十七件の大規模なCCSプロジェクトが実施されております。現在、さらに、各国でCCSプロジェクトの計画や研究開発が進められているところです。

 日本におきましては、二〇二〇年ごろのCCS技術の実用化を目指して、大規模なCCSの実証実験、コスト削減に向けた研究開発、CO2貯留に適した地層を確保するための地質調査を実施しているところです。

 実証実験につきましては、北海道苫小牧市で、三十万トンの圧入を行うことを目指して、これまでに十六・五万トンのCO2を圧入することに成功しております。

 この苫小牧の実証事業では、陸上から沿岸の海底下まで井戸を掘削して、大量のCO2を圧入する方式を採用しております。この圧入方式は世界でも初の試みで、低コストでCO2を貯留できる技術として世界的に注目され、米国を始めとして、海外からも研究者が多く訪問し、海外との共同研究も進めているところであります。

山岡委員 ありがとうございます。

 日本で行われているのは、世界唯一の地上から海中に物を運ぶ技術であるという、CO2を運ぶというようなお話もいただきました。

 まさに、世界規模で見ると非常に期待も持てるし、日本としても、そうした技術に乗り出して、私はまた北海道、この苫小牧も活動エリアでありますけれども、そうしたところが、そうした地域のエリアがそうした先端の技術の研究を担うということは誇らしいことではある一方で、極めて地域のことで申し上げますと、やはり、海中の土の下にCO2を大量に入れるということについては、非常に地元の理解がなければこの研究は進まないものだと思っております。

 あわせて、これから、もし広く行うに当たっても、それぞれのエリアの、それぞれ、例えば漁協の皆様とか、あるいはそこにお住まいの皆様とかの御理解をいただかないと、これは本当に、最先端であるだけに、CO2が仮に水中にまた出てくるようなことが起こらないのかどうか、起こるとは言っていません、その起こらないのかどうかという心配を地元はするわけでもありますし、誇りである一方で、そうしたやはり地元の方々の非常に思いもあるわけであります。

 この研究を進めるに当たって、経産省の皆様も十分御地元には留意いただいていると思っておりますけれども、漁協に対してとかあるいは地域の皆様に対して、これまでと、今後どういうような対応をとっていきたいと考えておられるのか、経産省にお伺いしたいと思います。

岸本政府参考人 このCCS実証事業を進める上で、地元自治体、企業、市民の皆様からの御理解、地元の漁業関係者からの御協力というのは必要不可欠と認識しております。

 まず、苫小牧市におきましては、平成二十二年に、CCS実証試験の苫小牧地域への誘致を目指して、苫小牧市長が中心となり、商工会議所、漁業協同組合等を会員とする苫小牧CCS促進協議会が発足しておりますが、この促進協議会の総会を年に一度開催し、会員へCCS事業の進捗状況の報告、広報紙の作成を行うなど、CCSの必要性や安全性を広く周知する活動を行っていただいております。

 第二に、本実証事業においては、海洋汚染防止法に基づいて、経済産業省が適切な監視計画を策定の上、海洋環境調査、地質のモニタリングを実施し、CO2が漏れていないかどうかを確認しております。

 この海洋環境調査につきましては、調査用船舶の確保や漁業活動との調整など、苫小牧漁業協同組合の協力をいただきながら実施させていただいているところでございます。

 第三に、地元の方々の理解を得る取組といたしまして、実証事業にかかわる情報公開を行うとともに、これまでも延べ六千人以上の施設見学者の受入れ、講演会などを通した情報発信を行っているところでございます。こうした取組を続けながら、今後も、地元自治体、漁業関係者と協力いたしまして、丁寧に事業を進めていきたいと考えております。

山岡委員 今、取組についてのお話もいただきました。どうか本当に、地域を活用しながらの実証実験でありますので、漁協の、今お話もありましたけれども、特に漁業者の皆様は、海中の下の土の下のことでありますから、誇りに思う一方で、本当に経産省とまたこれからも密にコミュニケーションさせていただかないことには、やはり非常にまた心配事としてこれがまた広がってしまうということもありますので、そこは十分に配慮していただきながらこの研究を進めていただきたいと思っております。

 今お話にもありました、一つ前の御答弁にもあったんですけれども、三十万トン中十六・五万トンが今海中の下の土の下に入れたというお話をいただきましたけれども、二〇一六年四月から始まったこのプロジェクトでありますけれども、実はさまざまな、やはり実証実験ですから、いろいろ思いどおり進まないところもあって、二〇一六年の七月から翌年の二月までのおよそ七カ月間実施がとまっていた期間がありましたよね。これは報道にも出ていますし、一般に知られていることなんですけれども、今お話しいただきますと、三十万トン中十六・五万トンとおよそ半分であるということであります。後ろはたしか二〇一九年の四月までということでありますけれども、半分以上の期間が過ぎてはいるんですけれども、半分程度ぐらいまでしか入っていないという数字の状況もあるところであります。

 進捗状況としては、これは予定どおり終わるんでしょうか。このこともあわせて確認させてください。

岸本政府参考人 今お話しのとおり、当初計画では、累計三十万トンの二酸化炭素を圧入することを目標にして開始いたしました。

 事業開始から二年が経過した現段階において、最新では約十八万トンの圧入が達成しております。半年ほど海洋汚染防止法遵守に必要となる諸手続で圧入を停止していたということで、当初計画に若干のおくれが生じていることは事実でございます。

 経産省といたしましては、当初目標である三十万トンの圧入達成に向けて二〇一九年三月以降の圧入期間の延長も含めて考えておりまして、十分地元関係者と相談をいたしながら、引き続き着実に事業を推進してまいりたいと考えております。

山岡委員 済みません、私質問で二〇一九年四月と言ったかもしれませんけれども、三月というふうに今おっしゃっていただきました。

 計画どおり、若干のおくれがあるというお話もいただきましたが、実証実験でもあるということで、急ぎ過ぎて何かトラブルが起こっても困るわけであります。これはやはり、きちんと三十万トンの目標が、しっかりそれが科学的に証明された数字であって、そこに達成することが実証実験の目標であるのであれば、時期については、仮にもともとの期間よりも後ろ倒しになったとしても、それはやはり地元の皆様によく理解をいただかなきゃいけないところではありますけれども、着実にこの実証実験はやっていただきたい、進めていただきたい、そのこともあわせてこれは要望させていただいておきたいと思います。

 そして、まさにCCSという、先ほど大臣にも御答弁いただきましたけれども、世界的にも冠たるこうした技術の研究、今、進捗状況と世界の情勢も経産省の皆様にも伺いました。大臣にこの後御答弁をいただきたいと思うんですけれども、私たちの地域としては、そうした先端の研究に苫小牧としてかかわれるということは非常に誇りでもあると思っております。その苫小牧のことに関して、苫小牧に対して、大臣としてまず御所見があられたらお願いしたいというのが一つと、もう一つは、このCCSという技術、これから本当に未来に向けてどういうような発展をしていくことが望ましい、日本はどういうふうに世界の中でこのCCSをやっていくのが望ましいのか。そのことも含めて、これからの展望について大臣に御答弁をいただければと思います。

世耕国務大臣 まず、このCCSという新しい、そして地球温暖化対策に資する技術に関して、しっかりと御理解と御協力をいただいている地元の関係各位の皆さんには、心からまず感謝を申し上げたいというふうに思いますし、実証実験ですから、いろいろな問題も出てくると思いますけれども、引き続き地元に寄り添いながら、この事業をしっかりと推進をしていきたいというふうに思っています。

 このCCSの技術は、まさに地球温暖化対策の切り札の一つだと思っております。二〇五〇年を目指してのエネルギー情勢懇の中では、いろいろな技術にしっかり目くばせをしながら、科学的レビューを行いながら進んでいくということになるわけでありますけれども、その中でも非常に有望な技術だというふうに思っておりますし、また、特にこれから注目していかなければいけないのは、水素の製造、これをローコストで行おうと思うと、いわゆる褐炭という、余り利用されていない質の低い石炭から水素を分離するというのが一番コストが安くできるんですが、そのときにまたCO2が発生するので、この褐炭から水素を製造するのとこのCCSを組み合わせると、まさに水素社会実現に向けても非常に大きな技術になってくるというふうに思っておりますので、これからもCCS、しっかりと着目をしながら、本格的な実用化に向けてしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。

山岡委員 ありがとうございます。

 本当にそういったことに北海道として、地域として協力していけるということは大変ありがたいことでもあるという思いでありますし、今大臣からお話がありました、いわゆる水素の製造に関して、褐炭と。もし、その褐炭から水素をつくる際に出るCO2をCCSで地中に埋めて地上に出さないことができるのであれば、本当の意味でCO2がゼロにできる、世の中に出すCO2をゼロにしながら、エネルギーの使用ができるんじゃないか。二〇五〇年、二〇六〇年と大分先の話ではあっても、今巨額の投資があったり、あるいはうまく、スムーズに進まないところも若干あったとしても、本当にこのCO2とエネルギーという関係性においては革新的、革命的な研究になるかもしれない、技術になるかもしれないということの中で、本当に有望だというお話を大臣からいただきまして、どうかこのことについては経産省を挙げて、また皆様で取り組んでいただきたい、そのこともあわせてお伝えをさせていただきたいと思います。

 最後になりますけれども、私が活動させていただいているエリアの室蘭というエリアで、少しものづくりのメーカーの動きについて御紹介をさせていただきながら、大臣の御見解を伺いたいと思います。

 資料の二枚目にも皆様にはお配りしているんですけれども、これは新聞の報道でありますけれども、日本製鋼所という大手メーカーが室蘭にはあるわけでありますけれども、当時は、ものづくりが盛んなころは、工場をフル稼働して、物をいっぱいつくって、世界に売り出していたわけでありますけれども、さまざまな事情の中で、工場の一部が使われていない。そこに、ほかのエリアから、月島機械というメーカーがその工場にいわゆる引っ越してきた。そして、その工場を、日本製鋼所の工場の一部を、あいているスペースを、ほかのメーカーの方がそこを使いながら物をつくる。そして、日本製鋼所は、当然従業員の方がたくさんおられますが、若い方も多くて、これから技術をどうやってまた次世代につないでいくかという大きな課題がある中で、中小の製造所が、いわゆる月島機械さんがこのケースでいえばやってきて、そしてそこに四十人程度、例えば従業員の方を出向してもらって、そこで技術的なコミュニケーションもとりながら学ばせていただきながら、お互い、あいた工場のスペースを使い、そして一方で、そこに進出してきた企業は従業員の出向をいただきながら物をつくっていくという事例が、このたび、これが始まることになりまして、これはまさに、先日、経済産業省で、また法案として通りました地域未来投資促進法で、町もこのことを挙げて応援したいと言っていて、どうもその同意を得て、こうした取組を後押しをしていこうという動きになっています。

 あいた工場を使って企業ごと引っ越してくるというのは、それはそんなにたくさんあるケースではないとは思いますけれども、マッチングが非常に難しいことなのかもしれませんけれども、ただ、一つの形として、ものづくりの町の中で、工場、これから生産をどうしていくのか、一方で、各地域の中で、ものづくりの、また中小の企業が協力しながら、まさに会社ごと一緒に協力しながらやっていくというこのケースは、私は、非常に珍しいケースである一方で、非常にこれは先々にとって有望な、必要なケースなんじゃないかなと思っております。

 時間も限られている中ではありますが、一言、経産省に、こうした企業同士の協業というケースが全国的によくあることなのかどうか、そのことについてお伺いさせてください。

及川政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘のありましたようなケース、今回であれば、日本製鋼所と月島機械が発表した合意と申しますのは、日本製鋼所が室蘭における操業を続ける中で、現状では十分に生かされていない工場や周辺設備を、子会社等ではない、元来、他の地域に製造拠点を持つ企業に対して貸し出し、製造の受託や人の派遣を行うことで将来にわたって協業するといった点が特徴だと思ってございます。

 このような特徴を全て備えた合意がほかにあるか、私ども、まだ網羅的に調査をできておりませんため、確実なお答えというのはできかねるのでございますが、似たような取組としては、例えば、化学メーカーが自社の事業所内の土地を他社に貸し出し、蒸気、電気、水などのユーティリティーや排水処理といった用役、サービスを提供して、積極的に誘致を図っている例があると承知してございます。

 ただ、現時点では、日本製鋼所と月島機械と全く同じような協業形態をとっている事例というのは承知してございません。

山岡委員 御答弁、ありがとうございます。

 全く同じケースはないというお話もありましたけれども、このお話は、もともと、この月島機械の方が室蘭に大変ゆかりがあるということで、個人的なつながりの中でマッチングしたようでありますけれども、なかなか難しいとはいっても、こういうケースがこれからふえていく、ふえていけるんだとしたら、これはやはり経産省としては後押しをぜひしていただきたいと思いますし、こういうケースはぜひ必要だと思うんです。

 大臣、どうか、御答弁、御見解をいただければと思います。

世耕国務大臣 今回のケースは、単に敷地の中に工場をつくるというだけではなくて、両社の発表の資料によれば、製造に係る要員の一部を日本製鋼所から月島機械の方へ出向させるとか、あるいは、月島機械は一部の機械加工を日本製鋼所に業務委託するとか、あるいは、今度は逆に、石油精製設備向け圧力容器については、今後、日本製鋼所が受注した場合は月島機械に製造委託するとか、物すごく濃密な協力関係だというふうに思っていまして、こういう企業の経営資源を最大限に生かして地域経済の活性化にも貢献するという観点で、すばらしい取組だというふうに思っています。

 特に室蘭は、前もおっしゃっていたように、JXTGの製油所が閉鎖という中で、雇用が減るという危機感の中で、こういう新しい取組でまた別の企業がやってくるというのはすばらしいことだと思います。

 室蘭市では、地域未来投資促進法に基づいて、鉄鋼業などの産業集積を活用した成長ものづくり分野などを支援する基本計画を策定していただいていまして、昨年九月に国として同意をしたところであります。

 経産省としても、こういった取組はしっかりと後押しをしてまいりたいというふうに思います。

山岡委員 ありがとうございます。

 まさに、人材交流も含めて、こうした踏み込んだ形でのあり方というのは、これはモデルケースにしていかなきゃいけないんだと思っております。簡単に全てが、そうしたことが成立するとは思いませんけれども、ぜひ、経済産業省として、今力強い御答弁もありましたし、こうしたケースを一つのモデルとして皆様に紹介していただきたいと思いますし、こうしたケースを全国的にも多く進めていただきたい、そのことを申し上げさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

稲津委員長 次に、田嶋要君。

田嶋委員 無所属の会の田嶋要でございます。貴重な時間をいただきまして、ありがとうございます。

 まず冒頭に、世耕大臣、大臣よりも、この数週間、有名になった大臣の部下についてお尋ねしたいと思います。

 柳瀬さんが参考人で答弁もされました。聞いておられると思いますけれども、御所見をいただきたいと思います。

世耕国務大臣 基本的には、これは内閣官房へ出向中の話でありますから詳細なコメントは控えさせていただきますが、彼は、ずっと国会の求めに応じて誠実に説明をさせていただくということを述べておりました。そのとおり、国会の求めに応じて出席をして、参考人として誠実に説明を尽くした、記憶の限り説明を尽くしたのではないかと思っております。

 また、参考人としての答弁の中で、個別の案件について答えてしまったがために全体をわかりにくくしたことで国会審議を混乱させた、そのことについて彼はおわびをしておりました。これも極めて誠実な姿勢だったのではないかなというふうに考えております。

田嶋委員 誠実でなかったとは、全部を否定するものではございませんが、愛媛の知事などの反応を見ても、やはりそこに国民の受けとめが凝縮されているのかなという感じがいたします。決してあれで全部わかったということは私も言えるような状況ではないというふうに考えておりますが、もう一問だけ大臣に。

 私も、かつて政務官時代、いろいろお世話になった方でもあるし、大変有能な方であるということは承知をいたしておりますが、こうした一連の状況、大変不幸なことだというふうに思いますが、この柳瀬さんのことも含めて、こうした森友や加計やということがやはりどういうような本質的な問題を引き起こしているかということに関して、大臣、もし何かありましたら御意見をいただきたいというふうに思います。

世耕国務大臣 基本的には、これは経産大臣としてお答えすべき立場ではなくて、これは総理を始め皆さんが答弁されているとおりだというふうに思いますけれども、やはり行政は国民からの信頼に基づいて成り立っているわけでありますから、その信頼をしっかりと、信頼に応える姿勢で臨まなければいけないというふうに、私自身は常日ごろ考えているところでございます。

田嶋委員 これでやめますが、おっしゃるとおりだと思います。私も信頼してきたし、信頼し続けたい。

 例えば、経産省の説明、出していただく資料、そうしたことに、ああいったことが延々続きますと、あるはずの資料を出していないんじゃないか、そういうふうに疑いを今まで以上に強めてしまうのは正直なところであるし、ひょっとしたら、野党のみならず与党の先生方にも役所は持っているものを全部出していないんじゃないかとか、そんなようにやはりうがった見方をするような癖が出てきてしまうような気がいたします。

 改めて、こうしたことの再発防止も含めて、そして、国民に対して正直であり続けるというところを大臣以下しっかりと貫いていただきたいというふうにお願いをしたいと思います。大臣、よろしくお願いします。

 それでは、本題に入らせていただきますが、前回までの質疑で、私は、重要な姿勢としての時間軸と空間軸を常に意識して政策をやってもらいたいということを申し上げました。言い方をかえれば、それはPDCAをしっかりと遵守していくということでもあるし、場合によっては、一つの政策に関する定点観測を行うことの重要性ということだと思います。

 また日を改めて、PDCAに関してもやはりちょっと首をかしげたくなるような事案がございましたので、これは次回に回したいと思いますが、私のきょうの質問で最初に取り上げたい最終処分場の選定の説明会の問題に関しましては、二年前の平成二十八年四月一日、林当時の大臣に対して質問をさせていただきました。私自身の質疑のときに、これから検討しますということを少なくとも三回おっしゃっていただいておりますので、それに関する定点観測をきょうはさせていただきたいと思います。

 いろいろと問題があったようでございますが、今日までの説明会の取組の経緯を、簡単で結構でございますので、副大臣からお願いします。

西銘副大臣 まず、平成二十七年、最終処分法に基づく基本方針を改定しております。この改定によりまして、国が前面に立って取り組むこととしております。

 その具体的な取組の例として、地層処分について広く国民の皆様の関心と理解を深めていただくべく目指しておりましたが、昨年の七月に科学的特性マップを公表しました。対話活動をこれまで以上にきめ細かく実施していくこととしたところであります。具体的には、昨年の十月から十二月まで全国二十八カ所にて意見交換会を開始しております。

 その中で、NUMOの委託契約や参加者募集のあり方等で管理の不徹底がありまして、国民の皆様から不信を招く事態が起きました。対話活動のあり方の抜本的な見直しを実施するべく、十二月の末に調査をしております。

 具体的には、これまでの委託の形式から、手づくりで直営の運営に改める、場所も、公民館や図書館などの場を活用して、また時間帯につきましても、平日の昼、夜、あるいは土日、休日と、国民の目線で柔軟に設定して開催するなど、新たな形の対話活動をまずことしの二月から三月、首都圏五カ所にて実験的、試行的に実施した結果も踏まえまして、先週、五月の十日から本格的な対話を開始したところでございます。

 広く国民の皆さんの理解を得られるように丁寧な説明を心がけ、その中でさまざまな課題が見えてくると思われますが、改善を重ねながら一歩ずつ着実に進めてまいりたいと考えております。

 以上です。

田嶋委員 定点観測と申しました。この問題は私が二年前に取り上げた以降の問題でございますが、やはり国民に対して正直に、誠実にということを強調させていただきましたが、以来、大臣もかわって、残念ながらそういったことは組織としては継承されていないんではないかと思います。

 ちなみに、副大臣、どれか出られましたか。

西銘副大臣 残念ながら、出席しておりません。

田嶋委員 大臣は出られましたか。

世耕国務大臣 出ておりません。

田嶋委員 お忙しいから仕方がないかもしれませんが、これはやはり大事ですから、一回様子を見た方がいいですよ。

 いつも言いますが、大体中央官庁が失敗するのは現場の住民と向き合うときなんですね。これは常にそうですから。おもしろいぐらい常にそうですから。やはり軽く見るんですよ。そこの失敗がないようにということを申し上げておるところでございます。

 今副大臣からおっしゃっていただきましたが、二十八回やって二億七千万かけているんですね。一回大体一千万円かけてやっているんですよ。私は、悪魔は細部に宿るという言葉がありますが、こういう細かい話は本当はしたくはない。しかし、細かい話を詰めていかないと問題はなかなか改善できない。ぼやっとした話だけではいけない。

 そういう板挟みの中で、こういうことをちょっときょうやらせていただきますけれども、千六百十一人参加したけれども、先ほど副大臣おっしゃったとおり、百六人は本物じゃなかったということですよ。そうですよね、副大臣。本当の地域住民が自分の自発的に参加をした人じゃない人がたくさん、百六人もいた、それが皆さん方から出てきた資料です。

 お金をもらって集まってきた学生や、原発関係者が集まってサクラみたいにして参加するということが横行していた。金も一カ所一千万もかけている。私たちのミニ集会なんかじゃ絶対そんな金はかけられませんよね。数十人集めるのに何でそんな金がかかっているんだ。しかも、それを委託先が再委託してやっていた。本当にオンパレードでございます。

 しかも、二年前、私がこの問題を取り上げたときに、マスコミに対して行政に対する説明会が非公開だと言って問題になっているんです。大分昔の話ですけれども。つまり、情報を公開しない姿勢、それから、事業仕分でよく問題になった、委託先が更に再委託をする問題で、税金の無駄遣い。しかも、金を払って動員をするしぐさ、あるいは原発の関係者のサクラ動員。

 そして、しかも、そういうことは当然やっちゃいけないんだけれども、あうんの呼吸だけで、口頭では言ったというけれども、契約書の中にそんなことは入れなきゃだめじゃないですか、禁止行為を、こういうことはやっちゃだめだよと。そういうことを何一つしなかったということなんです。

 私は、二年前にこういうことを心配していたんですよ。初動でつまずくと、不信感は募る一方です。さっきのモリカケと一緒ですよ。またどうせやりかねないと思われるのが関の山です。

 私はそのときにも申し上げたけれども、こういう問題というのは、では、フィンランドでもやはり起きたんですか。同じ、原発の最終処分地を探す、苦労してフィンランドが、世界でも唯一か、場所が決まりましたね。では、フィンランドでは、こういう問題は起きたという、そういう状況があるんですか、副大臣。

西銘副大臣 お答えします。

 田嶋委員御指摘のフィンランドでは、地層処分に、行うと決めて三十年以上の歳月をかけて、国民の理解や地域の理解にたゆまぬ努力を重ねてきたと承知をしております。このような中で、御指摘のような事実があったかということにつきましては、具体的に承知をしておりません。ですけれども、丁寧なコミュニケーションを三十年間かけて地道に継続してきたというふうに承知をしております。

 委員御指摘のように、初動で国民の不信を、疑念を抱いたということは、大いに反省をしなければならないと思います。

田嶋委員 フィンランドも別に聖人君子じゃないでしょうから、問題は何かあるかもしれない、いろいろ。だけれども、私が申し上げたのは、空間軸、時間軸、つまり、横の国で何をやっているかですよ。横の役所の環境省が指定廃棄物で失敗した、何でその事例をしっかり学ばないのか。その二つを申し上げたんです。ほかの国から学べ、ほかの役所から学べ。ただでさえ事例がないんだから、この案件は。そのことを申し上げさせていただきました。

 要するに、学ぶべき教訓は、正直であらねばいけないということだと思います。正直であり続けないと、結局この問題はますます泥沼に入っていく一方だと私は思います。誰が向き合っても難しい問題です。

 大臣に、一問飛ばしましてお尋ねします。

 二年前にもそういったことを指摘しましたが、環境省にも学ぶ。連携ですね。そして、フィンランドにも学ぶ。どれだけ実践してきたか。

 先ほど申しました議事録を改めて読み直してみましたけれども、少なくとも三カ所で、検討をさせていただきたいという言葉がございます。

 林大臣、フィンランドとの人事交流のもうちょっと深い関係を構築できないか、それを含めて検討をさせていただきたい。そして、林大臣、更に深めた対応ができないか、検討を進めていきたい。これはフィンランドに関してもありますけれども、環境省との関係でもそういった御答弁がございました。環境省は、当時の多田政府参考人、環境省の方々としっかりと連携をとってやらせていただきたい。

 こういうふうに前向きなお約束を私はいただいたつもりだと思っております、二年前に。

 今日まで、その二つとの連携あるいは協力関係、どのように構築してきたかを大臣に御答弁お願いします。

世耕国務大臣 やはり、今御指摘のような過去の事例から学ぶべき本質は、公正性や透明性をしっかり確保して住民や国民との信頼構築につながる対話活動となっているかどうか、また、住民や国民の不安や懸念に寄り添って共感を持ってもらえるような対話活動になっているかどうか、これが私は本質だというふうに思っております。

 これらの点について、私自身も昨年フィンランドを訪問して、オンカロの立地自治体の首長や議会議員の皆さんと話をさせていただきました。その際にも、やはり住民の理解、地域の理解を得ていく上で、公正で透明かつ丁寧なコミュニケーションを本当に地道に積み重ねて信頼関係を構築していくことの重要性について改めて認識をした次第であります。

田嶋委員 前回も同じような御答弁は林先生からもいただいたんですけれども、要するに、そのときの議事録にも残っていますが、オンカロは結構みんな行くんですけれども、私も行きましたが、オンカロからもリーダーが来てくださって、経産省とかがお金を出して、時々シンポジウムも東京都下でもなされています。

 かつて、それにも私も出たときに、この最終処分場を決めるに当たってのリーダーの女性の方のお話を聞かせていただきました。ピープル・トラスト・ピープル、つまり、組織じゃないんだ、人を信じる。あなたがそこまで言うならわかったよというところまでやはり特定のAさん、Bさんがコミットして、こういった難問中の難問に長年取りかかった。

 その女性の場合は、二十八年間、そのポストでフィンランドの中から適地を選出する努力を重ねてこられた。本当に気の遠くなるような話でありまして、役所の方が二年置きに交代し、大臣が、二年置きかどうかわかりませんが、交代し、こういう今の日本のありようの中で、それだけコミットできる体制がどうやってつくれるのかなというふうに私は心配であります。

 少なくとも、経産省ではなくて、直接向き合っている組織の方で、そうした長年にわたって住民から信頼をされるような方、そういう方がやはり出てこないと私は難しいというふうに思いますけれども、そういった人事も含めて、大臣、検討の余地はございますか。

世耕国務大臣 まさに、NUMOの件は、これはPDCAを回していかなきゃいけない件だと思うんです。

 担当も決して悪気があったわけじゃなくて、きちっとした説明会にしようということで代理店に委託をした。そして、その代理店が、ここから先は本当にけしからぬことですけれども、孫請に出していて、そこがお金を払って学生を動員していたということでありました。このときに、これは私の代で起こった事案でありますから、ここで私はPDCAを回したわけなんです。

 担当者は、一次下請の代理店とはもう契約があるし、ここが直接悪いことをしたんじゃないんだから続けようという話でありましたけれども、私は、先ほど田嶋委員がおっしゃったように、こういう集会、説明会をやるのに、そもそも代理店にお願いをしているということ自体おかしいと。やはり手づくりで、自分たちでパイプ椅子を並べ、資料をつくり、配り、そしてそこで、来た人たちの反応を見ることによってまた学ぶことがあるんじゃないかということで、これはもう私が強く指示をして、手づくりでやれということを今徹底させてもらっているところで、こういうことをこれからもちゃんと組織の中で引き継いでいきたいというふうに思います。

田嶋委員 二年前からそうしていただきたかったというのが本当の気持ちですね。

 悪意があったとは私も断定はしませんけれども、やはり、やっちゃいけないことのオンパレードを結果としてやっているんですよ。情報を出さない、お金を使って人を動かす、あるいは再委託をする。そういうことだらけでありますから、非常に残念な実態がありますので、ぜひとも、またマイナスからのスタートですよ、信頼が落ちていますから、だから、マイナスからのスタートだということを肝に銘じて、しっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、順序を入れかえまして、ようやく国際連系線の話をさせていただきたい。

 過去三回、質問通告だけをしていて、まことに申しわけないんですが、そこまで行けなくて。この質問も、二〇一四年に安倍総理に対して、もう相当前ですが、四年前に、ちょうど五月ですね、質問いたしました。そして、二年後の二〇一六年の十月には世耕さんに、経済産業大臣に質問をさせていただきました。三回目でありますが、これも定点観測をさせていただきます。

 資料でお配りをしておりますけれども、一枚でございますが、二〇一六年の九月三日、東方経済フォーラムというものの第二回が開かれました。

 そこで、プーチン大統領、そして安倍総理ということで、会合が開かれたわけでございますが、私が世耕大臣に質問した前の月なわけですが、その時点で、実はロシアの方からは、下線の引いてある、エネルギー・スーパー・リングの創設に向けたロシア、日本、韓国、中国のイニシアチブを支持し、国際的な作業部会の創設を提案したということがプーチン大統領側からあったわけでありますが、世耕大臣はロシアとの関係でも特命の大臣をやっていらっしゃると思いますが、この件は実際に提案は実現をしているのかどうか、創設されているのかどうか、その確認をさせてください。

世耕国務大臣 国際送電線に関しては、今御指摘のあった日ロ間の国際送電線、日ロエネルギーブリッジと呼ばれていますが、このことについて申し上げれば、制度、技術、コスト面など、検討すべき複雑な課題が多いことから、具体的な検討に入る前に、まずはこれらのさまざまな課題について、結果を予断せずに、ノンコミッタルベースで共同研究を行うことになっておりまして、昨年から、資源エネルギー庁とロシア・エネルギー省との間で議論が開始をされているところであります。

 その中で、これまでのところ、日ロ両国における電力市場の現状ですとか、電源の状況、電力需要の見通し、送電量の変動による影響などについて意見交換を行ってきているところであります。

 引き続き、こうした研究をしっかりと進めていきたいと思っております。

田嶋委員 何もしていないようではないわけでございますが、私に言わせれば、非常に遅いというふうに言わざるを得ないと思います。

 二年前に世耕さんとお話をさせていただいたときも、多面的かつ十分な検討が必要だということでありますので、民間は、これはロシアとの関係も韓国との関係もございますが、非常にやる気になっている事業者もいらっしゃると伺っておりますので、ここは、人によっては、政治だけが後ろ向きなので前に進まないというような話も聞いているわけでございまして、これはぜひとも、事業性の評価とか、安定供給のリスク分析とか、そういうのを早急に行っていただきたいというふうに考えております。

 お手元に資料をお配りしておりますけれども、これを改めて見ていただくと、よく安倍総理が、いや、日本はドイツと事情が違うんだ、島国だからとすぐおっしゃるわけですが、ごらんいただくと、イギリスはたくさんつながっているわけですね。しかも、イギリスがつなげている他国との海を渡った距離は、比較にならないぐらい長距離でございます。

 今、オランダとノルウェーの間は五百八十キロ離れたところが海底ケーブルでつながっていますし、今度の計画は千百キロも離れた計画があるわけでありまして、日本とロシア、日本と韓国、それも当然フィージビリティーはあるものというふうに私は考えておりますし、つながることで、需給の調整等、さまざまなメリットが期待をできるのも、これは事実だというふうに思います。

 改めて、世耕大臣にそのことを御認識いただいて、このスピードアップをお願いをしたいというふうに思いますが、もう一度御答弁をお願いします。

世耕国務大臣 国際送電線を通じて隣国と電力を融通するということは、我が国のエネルギーの確保と、そして価格の低減を考える上で、一つのアイデアだというふうに認識はしています。

 一方で、でも、これを実現するとなると、まず、地政学を含めた安全保障上の問題があります。それと、国内法、国際法上の制度整備の必要もあります。今、法律上、これは認められておりません。そして、事業としての経済性の問題、これも考えなければいけない。こういったことを丁寧に検証した上で進めなければいけないというふうに考えております。

田嶋委員 地政学上の、安全保障上の理由は当然誰でも考えることでありますし、ヨーロッパがほかの国と線をつなげるときに、そういうことを考えないわけがありませんね。同じことでございます。

 私は、前も申し上げましたが、それはやはり、共同で同じ方向を向いた経済プロジェクトをやることで、地政学上のリスクを下げていく側面、お互いの信頼感が高まっていく側面も強いのではないかということを強調させていただきたい。前回も、安倍総理からも、そういったリスクがあるからということをおっしゃられておりましたけれども、だったらずっとやらないのかということであります。前向きなプロジェクトを共同で取り組むことが両国の関係改善にもつながる。

 ちなみに、先ほど、ヨーロッパで今一番遠い距離で実現しているのがオランダ―ノルウェーの五百八十キロと申しましたが、日本とロシアの間は四十二キロであります。ちなみに、韓国と日本が百八十キロから二百キロだということで聞いております。

 一点だけ、では、ロシアと日本がお互いに顔を合わせたときにどんなことを言っているか、安倍総理が先ほどのプーチン大統領と同じ会場でどんな演説をされたかということを若干だけ読み上げます。

 日本とロシアの経済は競合関係にはありません。見事に補完する間柄だと私は確信しています。需要面でも供給面でも互いに刺激し合って伸びていく未来を思いましょう。両国民がそこに明るい未来を託せるように、必要なことを全てやっていきましょう。

 こういうふうに、ばくっとしたことで、これはリップサービスかもしれませんけれども、こういうことの具体的な事例として、私は、地政学的なリスクもしっかり分析していただきながら、この連系線をぜひとも一日も早く実現していただきたいというふうに考えております。

 まだ時間がございますね。

 それでは、次の質問をさせていただきますが、エネルギー政策でございますが、新たなエネルギー基本計画の策定が大詰めになってきていると伺っておりますが、そこでの原発の位置づけをお尋ねします。

保坂政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年八月から、基本政策分科会でエネルギー基本計画の見直しの議論を開始しているところでございます。二〇三〇年に向けてはエネルギーミックスの実現重視、二〇五〇年はあらゆる選択肢の可能性を追求といった視点で検討が積み重ねられてきているところでございます。

 新たなエネルギー基本計画の素案におきまして、原子力につきましては、二〇三〇年に向けては、原発依存度については可能な限り低減させるとの方針のもと、エネルギーミックスにおける電源構成比率の実現を目指し、必要な対応を着実に進めるとし、二〇五〇年に向けては、経済的に自立し脱炭素化した再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り原子力発電への依存度を低減するとしてお示しをしてございます。

 今まさに、この素案につきまして、今この時間帯、基本政策分科会で御議論いただいているところでございます。

田嶋委員 原発の比率はどういう数字なんですか。

保坂政府参考人 二〇三〇年については、前回と同じ二〇から二二%でございます。

田嶋委員 これは、それぞれ聞いていると、それぞれ何か、なるほどという感じもするんですけれども、これは両方どうやってあわせ読むのかなと私は思うんです。

 可能な限り原発依存度を低減といいながら、なぜ目標のパーセンテージが先に決まるのか。よく考えたら変な話でありまして、どんどん現実の事情は変わっていく、技術革新も進んでいくのであれば、私は、最初からこの原発の目標比率を定めること自体が非常にマイナスだというふうに思います。

 ここに向かっていけばいいんだと。今、再稼働も始まって、ふえてきておるわけでありますが、可能な限り減らすという目標と矛盾しているんじゃないかなと私は思うんですが、大臣、いかがですか。

世耕国務大臣 現行のエネルギー基本計画、今、改定の作業、大詰めですけれども、現行のものは、原発依存度については、省エネルギー、再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などによって可能な限り低減するということになっているわけです。これを踏まえて、将来のエネルギー需給構造の見通しを示したエネルギーミックスをつくりました。

 エネルギーミックスの意味を改めて申し上げると、達成すべき政策目標を想定して施策を講じたときに実現するであろう将来のエネルギー需給構造の見通しであって、あるべき姿。そして、これが、東日本大震災前に約三割を占めていた原発依存度が二〇から二二%程度へと大きく低減するとしているものであります。

 特に矛盾はしていないというふうに考えています。

田嶋委員 原発依存度を可能な限り低減というのはもう言わない方がいいのかなと私は思うんですけれども、大臣、いかがですか。

世耕国務大臣 これは閣議決定された内容でありますから、私としては繰り返すしかないんですけれども、やはり、可能な限り低減というのが政府の方針ということになるわけであります。

田嶋委員 これは、私はどう考えても両立し得ないと思います。

 可能な限り低減させるんだったら、本当にゼロに向かって頑張るのが当然なわけだし、場合によってはゼロでいけるという人はたくさん世の中にもいるわけなので、可能な限り低減というのはそういうことだと思うんですが、今から二〇三〇年のゴールが決まってしまえば、今の動いていることは、実際にはもっと動かそうという、再稼働がどんどんふえている状況ですね。可能な限り低減にはなっていないわけでありますから、それは大臣、かなり苦しいですよ。ということで申し上げたいと思います。

 それから、石炭火力に関しても最後に一点お伺いしますけれども、これは国内に関してもさまざま批判がありますが、海外輸出に関してもやはりこれはいろいろ問題があるのかなと思います。

 昔、私もここで、例えばその途上国にとって唯一石炭が選択肢であればやむを得ないことも場合によってはあるかなという感じもしたわけでございますが、しかし、これはよくよく考えると、例えば、有楽町や幕張メッセでの展示に行きますと、再生可能エネルギーの展示と並んで、私が行ったときには、二階に石炭火力を売り込むメーカーさんの展示をたくさん私も見てきたんです。そういうのを見るにつけ、彼らはそれで飯を食っているわけだから、だから、彼らの目線からいったら、当然、風力の方がやはりおたくの国にはいいですよとはならないわけでありまして、やはり石炭火力の売り込みに全力をかけるのは当たり前のことですね。

 そう考えてくると、石炭火力の技術が我が国は他国に比べてすぐれている、そのことはわかっているつもりでありますが、やはり、石炭火力の輸出に関して我が国が力を入れていくというのは、大変これは難しい問題ではないのか、非常にこれは注意をしていかなければいけないのではないかと私は改めて感じるわけでありますが、大臣、いかがですか。

世耕国務大臣 とはいっても、途上国などでは、いきなり原発とかLNGのような高出力の電源を入れても、送配電網が整備されていないとかという事情でやはり使いようがないという国があるわけです。やはり石炭火力を入れて安定的な電源を確保するしかないという国があるわけでありますから、そういった国に対しては、これはもう既にOECDできちっとルールも決まっています、国際的な金融がつく範囲というのは決まっておりまして、その中で、世界最新鋭である超超臨界圧以上の発電設備について導入を支援していくというのが日本の方針です。

 そして、ただそれだけで済ますわけではなくて、例えば、先ほども議論になっていました、CCSをセットで導入をしていくとか、あるいは、将来的には、我々、水素社会を目指しています。水素になれば、まさにカートリッジで持ち運びができて、もう少し小規模な、水素エネルギーによるエネルギーの供給というのも可能になってくるわけでありますから、そういったことを通じて、いろいろな技術で途上国のエネルギー供給をしっかりとサポートしていきたいというふうに考えています。

田嶋委員 時間になりました。

 水素社会も、きのう、ある有識者の方から、大分クエスチョンマークがついている、旗振っているのは日本だけじゃないかという意見も聞きましたけれども、それが正しいかどうかは私もまだ勉強不足でありますが、石炭火力に関しては、少なくとも、国際社会では相当孤立をし、指弾をされている。国際ルールにのっとっているからいいだろうでは私は済まないような状況に来ているということを最後に申し上げまして、終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

稲津委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 今も議論がありましたけれども、政府のエネルギー基本計画の見直しをめぐって、本日、審議会がこの時間帯に開催をされていると伺っております。

 この間に示された第五次の計画の骨子案によれば、原発はベースロード電源の位置づけということで、そして、二〇三〇年度で電力に占める割合を二〇%から二二%とする目標も原発については書いていない。他方で、再生可能エネルギーは、「主力電源化に向けた取組」として、目標は二二%から二四%ということに据え置いているというのが骨子案と承知しております。

 この骨子案に至る事務局による作成過程がわかる全文書ということで、ドラフトがあり、コメントがあり、そして修正の履歴があるなどの写しをぜひ提出していただきたいと資源エネルギー庁に求めたところ、開示は困難だという回答でありました。

 世耕大臣に伺いますが、国政調査にかかわってやはり重要な問題、そして国民的にも大きな議論がある問題ですが、なぜ、こうしたドラフト、原案作成過程について開示ができないんでしょうか。

世耕国務大臣 今御指摘の基本政策分科会では、闊達な議論を促すため、さまざまなデータを提供するとともに、その分科会での議論は、これはもうフルオープンであります。インターネット放送などを通じても全てオープンにしております。可能な限り情報は公にして、多くの方々が検討状況、議論の状況をしっかりと見ていただける、フォローできるようにしているところであります。

 ただ、一方で、お尋ねのような、政府内の意思決定が済んでいない途中段階の情報を公にするということは、政府内での率直な意見交換ですとか意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあると考えておりまして、困難であります。

笠井委員 これは非開示にするときの決まり文句なんですね、今の、最後の答弁で言われたのは。

 国民共有の知的財産である公文書が今こんなに大問題になっているときに、いまだに国民の視点ではなくて行政の都合で解釈していると言わなければなりません。

 世耕大臣に伺いますが、内閣府の原子力委員会でありますけれども、ことし四月二十四日の会議で、技術開発それから研究開発に対する考え方というのを取りまとめております。

 ここにあるんですけれども、この会議の事務局である内閣府の原子力政策担当室に対して、この文書の作成過程がわかる、そうしたものについて全て出してよねということで求めたところ、ここにありますが、三月二十三日付の原案というのがありまして、そしてその後、一次修正、真っ赤にいろいろ入っていますが、コメントが入ったりして、要するに、修正が、プラスマイナス、一次修正があり、さらに二次修正があり、そして三次修正がやられ、四次修正があって、そして原子力委員会、四月二十四日の当日、これを議論したのはこの一回ですけれども、このときに出された、配付された資料、これで取りまとめられた。

 これだけ、六種類のものについて、いわば政府部内で検討しているという文書についても明らかにしたわけですよね。開示されました。

 今、大臣は、政府部内のもので率直な意見交換などが不当に損なわれるおそれがあると言われたけれども、片や、こうやってやっているわけでしょう。

 なぜ今回の、これだけ大きなエネルギー基本計画の骨子案をめぐっても、審議会では議論する、それはオープンにしていますと言うのはいいですよ。その前段階で、何を事務局側から、提起している側で案が出されるか、どんな議論をしたかということについても、やはりこの原子力委員会みたいにきちっと過程がわかる文書があるんだと思うんですけれども、開示すべきじゃないですか。隠さなくちゃいけないという話はないと思うんですが、どうでしょう。

世耕国務大臣 今お示しの文書が一体どういう性質のものか私はちょっとわかりませんし、これは経産省からはもう完全に独立をしている原子力委員会のお話でありますので、コメントは控えさせていただきたいというふうに思います。

 経産省としては、経産省にある文書の中で、今お求めのあった文書については、これは、意思決定の済んでいない途中段階の情報を公にすることで内部での率直な意見交換や意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあると判断しておりまして、開示することは困難だと考えております。

笠井委員 片や、原子力委員会の方は内閣府の方でその管轄ですが、そうやって、結局のところ、政府内で原案をつくる過程のものについても出している、政府内で率直な意見交換をやっていることが出ているということですから、事は今後の日本のエネルギー政策を左右して国民の安全や生活に大きな影響を及ぼす問題であります。大問題。

 東京電力の福島第一原発事故から七年余りで、国民の多数が原発再稼働反対と、原発ゼロの決断と一体に再生可能エネルギーの飛躍的普及を求めているときに、その声を無視して、あるいは、国会でも我が党を含む野党四党が衆議院に原発ゼロ基本法案を出していますけれども、共同提出していますが、こうした方向とも全く逆の方向で計画づくりなんてことをどんどん進める。断じて許されないと思います。

 公文書の管理と情報公開というのは車の両輪であります。行政は、どう政策が決まったかを国民に説明できるように文書を作成する、国民はその情報にアクセスをして、そして内容をチェックして評価する、その積み重ねが、主権者国民の責任を果たして、民主主義の根幹を支えていく。これに逆行するような政府の姿勢というのは、根本から改めるべきだと強く申し上げておきます。

 そこで、テーマはかわりますが、中小企業の問題で伺います。

 中小企業の経営者の高齢化によって、事業承継が喫緊の課題となっておりますが、その際に大事な視点は何か。中小企業憲章では、「中小企業は、経済を牽引する力であり、社会の主役」、「国の総力を挙げて、中小企業の持つ個性や可能性を存分に伸ばし、自立する中小企業を励まし、困っている中小企業を支え、そして、どんな問題も中小企業の立場で考えていく。」と宣言をしております。また、小規模企業振興基本法は、従業員二十名以下の小規模事業者の持続的発展の重要性を高くうたっています。

 大事だと思うんですが、これらの精神を政府の施策のど真ん中に据えることがやはり事業承継の問題をめぐっても何よりも必要だと考えるんですけれども、世耕大臣、同じ思いだと思いますが、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 この十年間で、平均引退年齢である七十歳を超える中小企業、小規模事業者の経営者は約二百四十五万人と見込まれていまして、その半数の百二十七万人が後継者がまだ不在と推定されるわけであります。この状況を放置すると六百五十万人の雇用の場と二十二兆円のGDPが失われるおそれがありまして、事業承継は日本経済全体の問題として捉えるべき、待ったなしの問題だというふうに承知をしております。

 今御指摘の精神にのっとって、今回は、事業承継税制を抜本的に拡充をして、承継時の贈与税、相続税の支払い負担をゼロにできるようにしたところであります。

 また、予算面でも、中小企業の身近な支援機関が連携をして、経営者に事業承継の必要性に対する気づきの機会を提供する事業承継ネットワークを全国展開するとともに、後継者不在の事業者と引継ぎによってビジネスを拡大しようとする事業者をマッチングさせる事業引継ぎ支援センターの体制も強化をいたしました。

 加えて、事業承継をきっかけとして経営革新や事業転換に取り組む後継者に対しては、設備投資などの資金支援を行う事業承継補助金の大幅拡充も実現したところであります。

 これらの施策を集中的に行うことによって、中小・小規模事業者の事業承継を強力に支援していきたいと考えております。

笠井委員 大臣、まさに言われたように、中小企業は雇用の支え手であり、地域経済の担い手であります。小規模企業振興基本法では、従業員五人以下を小企業者と定義をして、政府として特別の考慮を払う必要があるとしております。小企業者の多くが家族経営の自営業者、手厚い支援が文字どおり必要だということだと思うんです。

 そこで、全国商工団体連合会青年部協議会の全国業者青年実態調査二〇一七というのがありまして、ここに取りまとめたものがあるんですけれども、これによりますと、家業を継ぐというのが五八・九%、継がないというのが一四・二%、迷っているが二六・九%。親世代の事業も決して楽ではないけれども、それでも自分の代で事業を発展させたい。何より、その商売がなくなったら困るお客様のために喜ばれる仕事がしたいと願っている。

 そこで、世耕大臣、この業者青年の姿、やはり私は頼もしいと思うんですけれども、大臣もそう思われますよね。

世耕国務大臣 ちょっと今、御指摘のアンケートについて詳細は存じ上げないんですけれども、事業承継政策を我々一生懸命進めている中で、家業を継ぎたいという若者が多いということであれば、これは極めて歓迎すべきことだというふうに思います。

 一方で、事業を引き継ぐ意思のある後継者が円滑に事業を承継する上で、事業に将来性がないとか、あるいは承継時の税負担が重いといった点が課題になっているというふうに認識をしております。

 したがって、事業に将来性を持たせるための磨き上げのための支援ですとか、あるいは事業承継の際の税負担の軽減といったことに取り組んでいるところであります。

 また、若者の側がそういう気持ちであっても、先代の経営者がちゃんと引き継ぐという気持ちがなければいけませんから、先代経営者が承継に向けた準備をなるべく早目に進めていくことも重要だというふうに思っていまして、地域の支援機関が連携して経営者に気づきの機会を提供する事業承継ネットワークの全国展開にも取り組んでいるところであります。

笠井委員 実は六年前のこのアンケートによりますと、継ぐというのが七三・五%だったんですが、一四・六%も減っている。そして、家業を継ぎたいけれども継げないという意味で、さまざま原因があるということになってくるわけですが、やはり、継ぐかどうか迷っているという四人に一人が安心して事業承継できるようにするにはどうしたらいいか、ここは本当に知恵と力、本当に総力を結集するところだと思うんですね。

 その困難な要因の一つというのが、負担という点でいうと、例えば社会保険料の負担の重さであります。

 経産省に伺いますが、売上げに占める社会保険料負担の割合というのは、大企業、中堅企業、中小企業でそれぞれどれぐらいになっているか。二〇〇三年と、直近で恐らく二〇一六年の数字があると思うんですが、端的に示してください。

吾郷政府参考人 お答えいたします。

 売上総利益に占める社会保険料負担の割合につきまして、法人企業統計それから国民経済計算年報によりまして、事業規模別の売上総利益と社会保険料負担を算出いたしまして、社会保険料負担を売上総利益で除してこれを求めますと、まず、資本金十億円以上の大企業につきましては、二〇〇三年が八・三%、二〇一六年が九・七%、それから、資本金一億円から十億円未満の中堅企業につきましては、二〇〇三年が一一・九%、二〇一六年が一三・八%、そして、資本金一億円未満の中小企業は、二〇〇三年が一一・四%、二〇一六年は一三・六%となっております。

笠井委員 今紹介いただきましたが、中小企業の負担率は大企業よりも高く、更に高まってきている。

 都内で従業員七名の印刷業を営む方は、リーマン・ショック後の売上高減少から何とか持ち直す中で、従業員の必要家計費を保障しつつ、社会保険にも加入しました。二〇一六年度は、約一億九百三十万円の売上高のうち、事業主の社会保険と労働保険料で約四百三十万円にも上って、社会保険料の事業所負担分がマイナス決算につながって、保険料の負担の重さを痛感すると話をされておりました。

 日本商工会議所の平成二十七年度最低賃金引上げの影響に関する調査でも、最低賃金引上げに対応するために必要と考える支援策は、社会保険料負担の軽減が最大の五五・五%と一番多くて、社会保険料の負担の大きさが示されております。

 この問題に正面から向き合うということは極めて大事だと思います。

 そこで、大臣に伺いますが、国会でも、二〇一四年の小規模企業振興基本法、二〇一六年の中小企業新事業活動促進法を審議した当委員会で、社会保険料の負担軽減を求める附帯決議がいずれも全会一致で採択をされましたが、この附帯決議を受けて、政府、経産省は具体的に何をやっていらっしゃるんでしょうか。

世耕国務大臣 社会保険料の支払いについては、中小・小規模事業者から、これは赤字でも支払い続けなければならないので雇用を守る上でも大変重荷であるという声は聞いているところであります。

 今、我々の、社会保険制度そのもののあり方については、これは厚労省で検討が進められるものと承知をしておりますけれども、経産省としてどういう取組をしているかといいますと、まず、やはり生産性を向上してしっかりと付加価値を生み出していく、そして、中小企業はかなりの部分が大手企業の下請関係にあるわけでありますから、そういった取引先との取引条件の改善などで付加価値がしっかりと中小企業に残っていくようにすることが重要だと考えております。そのことによって、社会保険料をしっかり負担できる体力を中小企業、小規模事業者につけていくことが重要ではないかというふうに考えております。

 生産性向上の施策とか、話し出すとちょっと長くなりますので、そういう考え方で取り組んでいるということを申し上げておきたいと思います。

笠井委員 個々の施策はあると思うんですけれども、しかし、製品開発や販路開拓の以前に、やはり社会保険料の重い負担が事業存続の障害になっている。附帯決議もそういう趣旨だったはずであります。

 そこで、世耕大臣、国民健康保険料、一人平均というのは五万六千三百七十二円から九万二千百二十四円へと、国民年金が月額八千円から一万六千四百九十円ということで、この三十年間ということではなってくる。やはり上がってきている傾向はあると思うんですね。医療費、介護保険料等も軒並み増加をしているという状況が一方である。

 例えば、新潟で内装工事業を営む方でありますけれども、事業所得は三百万円、一方の国保、介護保険料は五十一万三千五百円ということで、国民年金保険料は三十八万六千二百二十円というので、合計八十九万九千七百二十円ということで、事業所得のほぼ三割に当たる。

 こういうことも事業存続、発展の大障害になっていると思うんですけれども、こういうことを含めて、やはりこうした負担の重さというのが負担能力を超えていて、承継にも、それから存続にも本当に大きな障害になっている。ここは何とかしなきゃいけない、そこの点では認識は一致していらっしゃるということでよろしいですね。

世耕国務大臣 何とかしなければいけないという問題意識は同じであります。ただし、それを公費で肩がわりするとなると、これは財源をどうするのかといった問題も出てくるわけであります。

 ですから、我々は、生産性を高めたり下請取引条件の改善をすることによって、しっかりと中小・小規模事業者に付加価値がふえて、そして、そのことによって社会保険料の負担をしっかりできる体制をつくっていくというアプローチをしたいと考えています。

笠井委員 いろいろ議論はあると思うんですけれども、年々重くなる負担について、やはり、そうはいっても、中小企業は大変だけれども我慢してねという話ではもうだめなわけで、そこは、公費をどう使うかも含めて、優先的にどこに、国民の払った税金、そしてまた、いろいろなお金を使っていくかということでの抜本的な軽減策は考えていく必要があるということを指摘したいと思います。

 さて、社会保険料だけではなくて、消費税は、導入された一九八八年から三十年間で、税率が、当初ゼロ%ですけれども、八%に上がってきたわけであります。そして、そういう中で、二〇一五年の四月から国税の猶予制度が見直しをされました。事業継続、生活維持困難といった状態にある納税者について、所得税や消費税など国税が一括で納められないときに活用できるという制度で、その中で申請型の換価の猶予ということが制度化をされてきた。これは、二〇一四年の四月からの消費税の税率が八%に引き上げられると新規滞納が急増することを見越して創設されたものであります。二〇一四年度で千八百四十七件だったんですが、消費税八%引上げ後の二〇一六年度において、約三万五千件がこの申請型を活用するということになってきている。

 国税庁は、申請に対して九六%を許可しているということで、そうした延納を認めるとなっているわけですが、利用者からは、一気に納税すると資金繰りが悪化するために、払いたくても払えずに困っていた、分納が認められたので事業が続けられる、早く完納して仕事に打ち込みたいといった、そうした声も上がっております。

 この問題に関連して、麻生財務大臣は、全ての税務署に新たな猶予制度のリーフレットと申請の手引を置いて周知徹底を図れという要求を受けて、全ての窓口で周知されていないのはこちらの落ち度だ、きちんと対応させていただくと国会で答弁をされております。これが適用されれば、原則一年間財産の差押えを猶予することができて、納期限から二カ月経過以降の滞納税も、通常は年率八・九%のところが一・六%に軽減をされるということになります。

 そこで、世耕大臣に伺いたいんですが、財務大臣はそういう形で、落ち度だというので、ちゃんとやっていくと言われたんですけれども、経済産業大臣としても、中小企業の事業継続の大きな壁になっている問題でありますので、経産省、中小企業庁として、この制度についても、もっともっと広報するというのが大事ではないか。

 例えば、経産省が、中小企業庁が、中小企業施策利用ガイドブックというのを毎年、これも平成三十年度版ですが、出されておりますけれども、こういう中にでも、今申し上げたような申請型の換価の猶予という制度もありますよということもちゃんと知らせていくというのも一つの案ではないかと思うんです。

 また、経産省、中小企業庁が駆け込み寺としてももっと積極的に相談に乗り出すということもあると思うんですけれども、そういうことをやることが廃業にもストップをかけることにもつながる、一助になると思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。提案いたします。

世耕国務大臣 この猶予制度の見直しについては、これはやはり中小企業、小規模事業者の資金繰りにとって非常に助かる制度であるというふうに思います。

 国税庁が今、ホームページを通じてとか、あるいは税理士とか青色申告会などを通じて、中小・小規模事業者に対してこういった情報が届くように努めておられるというふうに認識をしておりますけれども、経産省としても、必要があれば、中小・小規模事業者に対してこういった情報を周知徹底するために協力をさせていただきたいと考えております。

笠井委員 今、そういう立場に立たれているというなら、ぜひ、こういうガイドブックに入れるとかいうことも含めて検討いただきたいんですが、いかがですか。

世耕国務大臣 御提案については、しっかり検討させていただきたいと思います。

笠井委員 やはり省庁縦割りではなく、中小企業施策の横串を刺すのが中小企業庁、経産省の役割でありますので、それをしっかりやるのが大臣の仕事ということで、ぜひやっていただきたい。

 中小企業憲章も、中小企業庁を始めとして、関係省庁がこれまで以上に一体性を強めて総合的に中小企業政策を進めると言っているので、この点が非常に重要だということを申し上げておきたいと思います。

 そして、今議論してきましたが、これほど小規模企業での税、社会保険の負担が大きくなっているのに、二〇一九年の十月に政府が予定している消費税一〇%は、更に負担を増大することになります。今でさえ、赤字でも納税、転嫁できずに身銭で納付などと深刻な実態があって、一〇%など耐えられない、こういう声が上がっています。

 物価の負担はますます重くなって、実質賃金が低下する中で、飲食、生活必需品の値上げが起こると、景気を冷やして、そして被災地での復旧それから復興の足かせにもなる。小規模企業に更に負担を押しつけることは許されないと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 消費税については、これはもう決まった形で実行されていくわけであります。その間で、中小企業、小規模事業者へしわ寄せが行かないように、しっかりと施策を徹底してまいりたいというふうに考えております。

笠井委員 消費税は決まったことと言いますが、社会保障を社会全体で支えると言われるわけですけれども、税でも社会保険でも多くの部分を担っているのは中小企業です。そして、企業から発生する所得税では、三・四兆円、約四割、社会保険料の負担は、十二・八兆円で約五割を中小企業が担っている。消費税一〇%にすることで多くの中小企業が廃業することになれば、社会保障の担い手がどんどん減って、空洞化していく事態に拍車をかけることになる。このことは強く警告をしておきたいと考えております。

 そして、一〇%だけでも大変なのに、複数税率にインボイス制度導入ということになって、そして、大混乱を招くことは必至だと思うんですが、国税庁に伺います。

 免税事業者と簡易課税制度を選択している事業者の数というのは、それぞれ幾らになるでしょうか。

山名政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年度における消費税の課税事業者数は、個人事業者、法人、合わせて約三百十六万社であり、このうち、簡易課税制度を適用している事業者数は約百十八万社となっております。

 消費税の免税事業者数につきましては、消費税の申告を行わないため、国税庁として把握しておりませんけれども、総務省の平成二十七年国勢調査等をもとに財務省が機械的に試算したところでは、約四百八十六万社と推計されているところでございます。

笠井委員 更に伺いますが、簡易課税といっても、経理や税務計算が簡易なわけではありません。煩雑な実務をこなさなきゃいけない。

 例えば、肉屋さんでは、卸と小売と加工で税額計算をどう分けなきゃいけないというふうになりますか。端的に説明ください。

山名政府参考人 お答え申し上げます。

 消費税の簡易課税制度は、売上げに係る消費税額に事業区分に応じたみなし仕入れ率を掛けて計算した金額を仕入れ控除税額として売上げに係る消費税額から差し引いて、納付すべき消費税額を計算することとされております。

 このみなし仕入れ率に関して、お尋ねの事例について申し上げますと、例えば、肉屋さんが、ほかから仕入れた肉の形状等を変更せず、そのまま事業者である保育園に卸した場合には、卸売業者として第一種事業、みなし仕入れ率は九〇%、ほかから仕入れた肉を細切れ等軽微な加工をして消費者に販売した場合には、小売業として第二種事業、みなし仕入れ率は八〇%、ほかから仕入れた肉に加熱等の加工を行ってトンカツやコロッケとして販売した場合には、製造業として第三種事業、みなし仕入れ率は七〇%に該当いたします。

 これら複数の事業を営む肉屋さんであれば、原則として、事業区分ごとの売上げに係る消費税額にその事業区分ごとのみなし仕入れ率をそれぞれ掛けて計算した金額を仕入れ控除税額として売上げに係る消費税額から差し引き、納付すべき消費税額を計算することとなります。

笠井委員 今説明を聞いても、本当に煩雑ですね。これだけ今でも区分しているわけですから、複数税率が加わると、仕訳上、実務をする業者は本当に大変であります。

 更に伺いますが、じゃ、複数税率になったらどうするか。酒類、外食を除く飲食料品と新聞が八%に据え置かれるために複数税率になるというわけですが、事業者にとっては本当に複雑であります。

 国税庁に伺いますが、例えば氷屋さんが飲食店に氷を卸す場合に、ワインをクーラーで冷やすための氷と飲物の中に直接入れる氷とで税率はどう異なりますか。

山名政府参考人 お答え申し上げます。

 軽減税率の適用対象となるか否かは、事業者が商品を販売する時点において、食品表示法に規定する食品、すなわち、人の飲用又は食用に供されるものか否かによって判断されることになります。

 したがって、御指摘の事例のように、町の氷屋さんが飲食店に人の飲食に供するものとして氷を販売する場合には軽減税率八%の対象となり、人の飲食に供するもの以外のものとして販売する場合には標準税率の対象となります。

 なお、適用税率の判定におきましては、購入者の実際の用途は問わないため、飲食店がクーラーで冷やすために用いたとしても、氷屋さんが人の飲食に供するものとして氷を販売する場合には、軽減税率の適用対象となります。

笠井委員 もう一問聞きますが、イートインスペースがあるコンビニで店内飲食する場合は一〇%、持ち帰る場合は八%になりますが、しかし、食べ切れずに持ち帰ると、店内で食べていて、そうなる場合はどうなりますか。

山名政府参考人 お答え申し上げます。

 イートインスペースのあるコンビニエンスストアで飲食料品を店内飲食する場合には標準税率の一〇%、持ち帰る場合には軽減税率の八%が適用されるところ、その適用税率の判定は、販売事業者がその販売時点で判断するものでございます。

 このため、御質問の、店内飲食したものを食べ切れずに持ち帰る場合には、販売時点で店内飲食するものとして販売されたものであるため、その後にその一部を持ち帰る場合であっても、テークアウトには該当せず、軽減税率の対象外、一〇%ということになります。

笠井委員 とにかくおかしなことがいっぱい起こるんですね。しかも、少人数で切り盛りしている事業者に対しては、いろいろな煩雑な負担を課すことになります。

 この複数税率導入には、日本経団連、日本商工会議所、経済同友会を始めとして、さらに、業界団体もこぞって反対してきた問題であります。

 さらに、そこにインボイスがある。これをやりますと、とにかく、免税事業者については、インボイスが発行できないために、取引先の課税事業者が仕入れ税額控除ができずに、取引してもらえなくなって、商取引から排除される危険性がある。そうすると、全国的にも、さっきやりました、合わせて六百二十万の生業層を廃業に追い込むということになってくるので、こうしたことは絶対やってはいけないということを強く言いたいと思います。

 時間になりましたので、きょうの質問はこれで終わります。

稲津委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 本日は、経済産業委員会におきまして質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速質疑に入らせていただきます。

 まず、自動車産業の未来についてお伺いをします。

 私の知人の会社には、日本を代表する自動車メーカーの下請をしている会社、そして、その下請の会社から仕事をもらっている孫請会社もございます。

 そこで、最近報道等でよく聞く話でありますが、自動車業界に百年に一度と言われる転機が訪れているということでございます。具体的には、各国の環境規制強化を背景に、電気自動車、EVの開発など、電動化の動きの加速であります。また、自動運転の開発でも各社が競争し、ライドシェア、相乗りで、車の保有台数が大幅に減るとの見方もございます。

 電気自動車、自動運転は、自動車産業をめぐる世界の流れであり、我が国の製造業、ものづくりも、日本の強みである技術力を生かし、勝ち抜いていかなければなりません。

 しかし、世の中の流れが速過ぎるため、さまざまな弊害が出るとの指摘もございます。

 後ほど、技術革新が雇用に与える影響について伺うつもりでおりますが、ここでは、大臣の率直な感想を伺いたいと思います。

 そこで、伺います。

 今まで日本のものづくりの最先端を担ってきた自動車産業、国内で自動車業界にかかわる人口は五百三十四万人、その中で、エンジン技術者を含め、機械技術者の方々は全国で約二十五万人いると言われております。電動化され、エンジンがなくなると、今までの技術者の技術力も必要なくなり、当面、ガソリン商用車の需要が見込まれるアフリカや東南アジアにシフトせざるを得ないという意見もございます。

 不要になる可能性が高いエンジン技術者の今後について、大臣の率直な感想なり御意見を伺いたく思います。

世耕国務大臣 今、電動化そして自動運転化ということで、自動車産業は百年に一度の大変革期を迎えているというふうに思っております。

 電動化は進んでいくんですけれども、私は、何も、ある日突然、全部電気自動車になるということはないと思っていますし、リチウムイオン電池の有限性その他を考えると、あるいは充電に時間がかかるとか、いろいろなことも考えると、電気自動車というのは、ある程度のところでとまっていく。逆に、一番現実的な解は、ハイブリッド車、あるいは、そこから一歩進んだ、充電もできるプラグインハイブリッド車、この辺が実は一番CO2を削減していく上でも重要な、いわゆる電気自動車ではないけれども電動車ということで、重要な位置づけになっていくのではないかというふうに思っております。

 そういう意味で、エンジンの技術が、何か、ある日突然要らなくなるというような心配は、基本的にはないのではないか。

 また、今御指摘のように、これから新興国では、やはりまだまだエンジン車の需要が拡大をしていくことが見込まれるわけであります。

 だから、そういう意味で、エンジン技術者の担い手の育成と確保というのは、引き続き重要であり続けるのではないかというふうに思っています。

 ただ、一方で、この電動化ですとか自動運転といった時代の動きにしっかり自動車産業は対応してもらわなければなりません。こういう変化に対応するために、ことし四月、私が主宰する形で、日本としての戦略を検討する自動車新時代戦略会議を開始いたしました。メンバーとしては、自動車会社のトップに加えて、自動車部品工業会の元会長である曙ブレーキの会長にも入っていただいて、電動化がサプライヤーにもたらすインパクトと対応策についても検討を進めているところであります。

 自動車産業を取り巻く電動化、そして自動運転、シェアリングの波を日本の自動車産業が攻めの機会と捉えて、官民一体となって日本の自動車産業の競争力の維持強化に取り組んでいきたいと思います。

森(夏)委員 丁寧な御答弁、ありがとうございました。

 不安に思われている方が多くいらっしゃいますが、先ほどの大臣の御答弁をお聞かせいただき、安心される方もいらっしゃると思います。

 次に心配していることは、今まで大企業を支えてきた下請、孫請の企業のことであります。

 自動車産業は、他産業に比べ、部品の多さから、車一台にかかわる企業が非常に多いと聞きます。

 そこで、伺います。

 電気自動車になると、マフラーや燃料タンクなど、エンジン車に必要な部品をつくっている企業は必要なくなり、死活問題であります。自動車業界をめぐる大きな変化の中で、私の心配などほんの一面にすぎないのだと思います。経産省の中には業界を担当する自動車課がございますが、これらの変化に対応し、どのように考え、対応を検討されておられるのか、伺います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣の方からもお話がございましたけれども、今後も、新興国でのエンジン車の需要の増、あるいは、電動化の流れの中でも、ハイブリッドあるいはプラグインハイブリッドなどに使われますエンジン関連部品の需要は今後も見込まれておりますし、引き続き重要であると思っております。

 他方で、今委員から御指摘ございましたように、エンジン関連部品が減っていくといったような話、こういう御指摘もございますけれども、今後、電動化に伴って増加が見込まれるという部品もあります。それは、バッテリーでございますとか、あるいはセパレーターですとか、モーター、インバーター、こういった部品が需要増が見込まれておりまして、日本のサプライヤーが持っている技術の強みというものを生かすチャンスは十分にあるというふうに思っております。

 加えまして、自動走行でございますとか、あるいはコネクテッド、さらには、自動車分野以外でも、航空機産業など、自動車で培いました技術を生かせる領域というのはあるかと思っております。

 こうした分野を含めまして、新規分野への展開など、サプライヤーの方々におかれましても、御自身たちの事業の将来を見据えてさまざまな可能性を追求していただくことが重要ではないかと思っております。

 時代の変化に対応するためのこうしたサプライヤーの方々の取組、こういうものに対して、設備投資でございますとか技術革新あるいは人材育成など、きめ細やかな支援を行うことで、先ほど委員からも御指摘ありました、自動車課を持つ私ども経済産業省製造産業局でございますけれども、しっかりと競争力強化を図っていくことが重要ではないかと思っております。

 大臣からもお話がありました新時代の自動車の戦略会議、こちらにおきましても、電動化時代において日本のサプライヤーの競争力が維持そして強化されていきますよう、官民が協調すべき取組を具体化していくよう、我々としてもしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 しっかり取り組んでいただけるということで、心強く思っております。

 次に、成長戦略の今後のあり方について伺います。

 先日、谷畑議員から、成長戦略において設定されたKPI、重要業績評価指標の進捗状況について質問があったと思います。今回、私からは成長戦略の今後のあり方などをお聞きしたいと思います。

 政府はこれまで、毎年、成長戦略の実行計画を策定し、重点施策の進捗状況等を記した報告書を国会に提出するなど、PDCAサイクル、つまり、計画して、改善を繰り返し、成長戦略を改定してきました。このことについては一定の評価が与えられるものと考えます。

 先日、衆議院で議決した生産性向上特別措置法では、革新的事業活動に関する実行計画に関する規定が盛り込まれました。

 そこで、伺います。

 革新的事業活動に関する実行計画と成長戦略はどのような関係があるのでしょうか。また、今後の成長戦略の策定に当たっては、限られた政策資源を有効に配分していくため、事後評価を徹底し、成果が上がらない施策については打切りも含めて見直しを行うなど、施策の効果を向上させるための政府の取組が欠かせないと考えますが、政府の見解を伺います。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 革新的事業活動に関する実行計画は、生産性向上に向けた事業者の取組を支援するための施策を集中的に実施するために策定をするものでございます。

 現在、政府の中で成長戦略の策定に向けた議論を進めているところでございますが、その中には、昨年十二月に策定された新しい政策パッケージ及び当委員会でも御審議いただきました生産性向上特別措置法の趣旨に鑑み、革新的事業活動に関する実行計画として取りまとめるべき内容が盛り込まれることになると考えておるところでございます。

 御指摘のとおり、KPIを始めとする事後評価は極めて重要でございまして、これまでも、先生御指摘のとおり、毎年評価を行い、国会に御報告したところでございます。

 当該プロセスは生産性向上特別措置法においても引き続き盛り込んでいるところでございまして、今後とも引き続き、こうしたプロセスを通じて、不断のPDCAサイクルによりまして施策の見直し等につなげていくことにしております。

 以上でございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 続きまして、政府の成長戦略は、毎年改定を重ね、最新版である未来投資戦略二〇一七では、第四次産業革命、IoT、ビッグデータ、人工知能、ロボット、シェアリングエコノミーなどのイノベーションをあらゆる産業や社会生活に取り入れ、政策資源を集中投資することにより、さまざまな社会課題を解決するソサエティー五・〇を目指すこととし、ソサエティー五・〇を実現するための産業のあり方としてコネクテッド・インダストリーズを提唱しています。技術革新が加速度的に進む昨今ではやむを得ない面もありますが、毎年のように聞きなれない新しいキーワードが成長戦略に追加され、正直なところ、戸惑う国民の方々も多いのではないかと思います。

 そこで、伺います。

 これから策定する未来投資戦略二〇一八の見通しについて教えてください。また、中長期的な成長戦略のあり方、そして、国民、とりわけ中小企業経営者に対するわかりやすい説明のあり方について政府の見解をお伺いします。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、次期成長戦略の年央の策定に向けまして、未来投資会議において議論を進めておるところでございます。そこでは、生産性パッケージに盛り込まれた施策を迅速かつ着実に実行していくとともに、更に取組を強化すべきことについても検討を現在深めておるところでございます。

 一方、御指摘のソサエティー五・〇にせよ、コネクテッド・インダストリーズにせよ、日本初の新しいコンセプトでございますので、政府としてもこれを積極的に国内外にPRしていく必要があると考えております。

 さらに、中小企業の皆様に対しましては、経済産業省におきまして、各種補助金を含めた成長戦略と関係の深い中小企業、小規模事業者への支援策につきまして、中小企業支援ポータルサイト、ミラサポへの情報掲載や、メールマガジン、ツイッターによる情報発信に加えまして、商工会、商工会議所、金融機関や税理士等の御協力もいただきながら、きめ細やかな周知、広報を進めていらっしゃると聞いております。

 今後とも、情報発信ツールの活用や関係者の御協力もいただきながら、政府一体となってわかりやすい説明に努めてまいりたいと思います。

 以上でございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 次に、技術革新が雇用に与える影響について伺います。

 人工知能、AIの進化を始めとする技術革新が雇用に与える影響について質問をいたします。

 昨今、新聞、雑誌、書籍などでAIという言葉を目にしない日はありません。少し前まではAIが人間の仕事を奪うというようなことはほど遠い未来の話だったような気がしますが、現に人間の仕事がAIによって代替されるケースも見られるようになってきているようです。それに伴い、AIは人間の雇用を奪うのかといった議論や研究も活発になっているのではないかと思います。

 確かに、世の中のあり方が変化すれば、それに合わせて雇用の形態も変化することは歴史の示すところです。技術革新に伴って雇用が減る分野がある一方で、ふえる分野もあり、人類はこれまでも柔軟に乗り越えてきたのだと思います。しかし、昨今の技術の進歩は我々の想像力をはるかに超え、世界じゅうで加速度的に進んでおり、さまざまな面で経済や社会における対応がとても間に合わない状況に陥りつつあるのではないかと危惧しているところでございます。

 そこで、伺います。

 蒸気の発明に始まる第一次産業革命、電力を用いて大量生産を実現した第二次産業革命、そしてコンピューター等の導入による第三次産業革命、これらと、AI等による今回のいわゆる第四次産業革命を比較した場合、特に雇用の面で大きく異なる部分はどこにあると考えるのか、政府の見解を伺います。

中石政府参考人 お答えいたします。

 これまでの産業革命では、定型的で標準化された作業の高機能化や省力化が進んできたというふうに考えています。

 今回の四次産業革命では、自動、無人、遠隔といったキーワードが並ぶように、産業、就業構造が劇的に変わるものと考えております。すなわち、人工知能、IoT、ビッグデータ等によって、人がこれまで五感や頭脳を使って推論、判断していた非定型型の労働、フェース・ツー・フェースの対人サービスにおいても高機能化あるいは省人化が進展する可能性があるというふうに考えています。

 しかし、同時に、例えば研究開発、商品企画といった創作性の高い業務、さらにはセキュリティー対策、データサイエンティストといったIT関連、またソリューションビジネスといった顧客密着型営業、こういったものにはまだまだ労働需要は生まれると考えています。

 そして、もう一つの特色は、こうした産業構造、就業構造の変化のスピードが極めて速いということでございまして、こうした観点から、私どもは、第四次産業革命に即応できるよう、一人一人の能力を専門的かつ多角的に高めておくこと、また、成長分野への人材シフトを迅速に行えるようにしておくことが大事だというふうに考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。しっかりとサポートをしていただきたいと思います。

 第四次産業革命は現在進行中であり、さまざまな要素が複雑に絡み合うことから、具体的に何年後にどういったことが起きるかといったことについて、あらゆる分野において正しく見通すことは難しい面があろうかと思います。しかし、経済産業省は時代をリードする役割を持ち、さまざまな施策を打つ前提として、ある程度正確な将来像を描いていることが求められます。

 この点、平成二十八年四月に取りまとめられた新産業構造ビジョン中間整理の中で、産業構造、就業構造の試算として、産業構造の変化が雇用に与える影響について試算を行っています。ここでは、現状放置シナリオと変革シナリオを制定し、二〇三〇年までにどのような分野で雇用が減少し、あるいは増加するかについて具体的に数字を示しています。

 そこで、伺います。

 この雇用の増減に関する試算の内容について、改めて簡潔に説明願います。また、平成二十八年四月から二年がたちましたが、この間の技術革新や経済社会の変化を踏まえ、その後新たな試算を行っているのか、あるいは行う予定があるのかについて伺います。さらに、我が国は変革シナリオの方向に着実に向かっていると言えるのか、政府の見解を伺います。

中石政府参考人 お答えします。

 二〇一六年四月に発表しました、先ほど委員御指摘の新産業構造ビジョン中間整理では、二〇三〇年の就業構造を見通すため、現状放置シナリオと、就業構造の転換などが実現した変革シナリオの二つのケースについて試算を行いました。

 現状放置シナリオでは、人口減少の中で、このままですと労働力人口が年率〇・八%で減少し、ほぼ全ての職業で従業員数が減少するということでありますが、他方、変革シナリオでは、労働力人口の減少は年率〇・二%程度にとどまり、他方で、人工知能やビッグデータを活用した開発業務、IoTシステム管理業務など、従業員数をふやす分野もあると予測しております。

 この変革シナリオの実現のためには、政府として、未来投資会議を策定いたしまして、また、昨年十二月には新しい経済政策パッケージを決定したところでございます。現在、例えばIoT、人工知能を活用した遠隔診療やケアプランなど、新しいビジネスが次々と生まれておりまして、この変革シナリオの方向に向かっているというふうに考えています。

 まず、私どもとしましては、変革の実現に全力を挙げていきたいというふうに考えておりますが、その中で、必要に応じて、新たな試算についても検討していきたいと思っております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 最後の質問に移らせていただきます。

 ある日突然、気がついたらAIに仕事が奪われている、あるいは、AIが使用者で人間が労働者のような支配関係ができ上がっている、そんなことが将来に絶対ないとも言い切れないのではないでしょうか。

 政府が取り組む人づくり革命の中において、生涯にわたって教育と就労を交互に繰り返すというリカレント教育を進めることとしておりますが、新しい技術を身につけてAIを主体的に使いこなすためにも、こういった取組は重要であると考えます。

 技術革新が雇用に与える影響の問題は、少子高齢化に伴う人口減少の問題と類似する部分があるとの指摘があります。すなわち、我が国の急速な少子高齢化や人口減少はかなり以前から指摘されていたのにもかかわらず、目の前に本当の危機が訪れて、実際に人口が減少し始めるまで、ほとんど有効な施策を打てずにここまで来てしまいました。これが現在の我が国の姿であり、同じことが技術革新と雇用にも起こり得るとの指摘です。

 そこで、伺います。

 大きな社会経済の構造変化に直面して、我が国企業、そして現場で日々働く労働者は、この先どのような心構えでいればいいのでしょうか。AIと共存する明るい未来に向け、政府が羅針盤となって明確な方針を示し、雇用面においても将来不安を払拭する必要があると考えますが、政府の見解を伺います。

中石政府参考人 お答えします。

 第四次産業革命に対応した人材育成につきましては、未来投資戦略二〇一七において、働き手一人一人の能力、スキルを向上させること、また、これを支える教育機関、働き方、労働市場を実現することが明記されております。これに基づき、昨年、大学協議体が設立されて、産業界との意見交換が開始されるとともに、高等教育機関での実践的な職業教育や学部横断的な数理・データサイエンティスト教育が本格化されます。また、初等中等教育におけるプログラミング教育も始まるところでございます。

 中でも、委員御指摘の、社会人の学び直し、リカレント教育が特に重要と考えております。経済産業省では、IT・データ分野における社会人の学び直しを促進するため、第四次産業革命スキル習得講座、認定講座を平成二十九年七月に創設いたしました。

 経済産業省としましても、経済界のニーズを踏まえながら、関係省庁と連携し、第四次産業革命の進展に対応するため、人材育成や企業のあり方の変革、成長分野への労働移動など、積極的に推進していきたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございました。私も、リカレント教育、大切だと思っております。

 時間が参りました。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

稲津委員長 次に、内閣提出、エネルギーの使用の合理化等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。世耕経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 エネルギーの使用の合理化等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

世耕国務大臣 エネルギーの使用の合理化等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 エネルギー資源の大部分を海外に頼る我が国は、限られた燃料資源の有効な利用を図ることが必要です。平成二十七年に策定した長期エネルギー需給見通し、いわゆるエネルギーミックスでは、石油危機後に実現した省エネと同程度のエネルギー消費効率の改善を必要とする、極めて野心的な省エネ対策を掲げています。

 エネルギーミックスの実現に向け、あらゆる施策を総動員し、徹底した省エネ対策を進める必要があります。産業部門、業務部門については、さらなるエネルギー消費効率の改善に向けて、事業者単位の取組に加えて、複数の事業者が連携する省エネ取組を促進する必要があります。また、貨物輸送については、特に近年のネット通販市場の成長に伴い、小口輸送や再配達によるエネルギー消費の増加が懸念される点に対応する必要があります。

 本法律案は、こうした課題への対応に必要な措置を講ずるものです。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、産業部門、業務部門のさらなる省エネを促進するため、複数事業者が連携する省エネ取組を認定し、省エネ量を事業者間で分配して報告することを認めることで、各事業者が適切に評価される制度を創設します。また、一定の資本関係のある複数事業者が一体的に省エネ取組を推進する場合、その管理を統括する事業者を認定し、当該事業者が定期報告等を一体的に行うことを可能とします。

 これらと同様の措置を、運輸部門についても講じます。

 第二に、貨物輸送のさらなる省エネを促進するため、現行法の荷主の定義を見直し、貨物の所有権を問わず契約等で輸送の方法を決定する事業者を荷主とすることで、ネット小売事業者を法規制の対象に確実に位置づけ、省エネ取組を促します。さらに、貨物の到着地点における荷待ちの課題に対応するため、到着日時等を適切に指示できる貨物の荷受け側を準荷主と位置づけ、荷主の省エネ取組への協力を求めます。

 以上が、本法律案の提案理由及び要旨です。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

稲津委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

稲津委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る二十二日火曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

稲津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十八日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十九分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.