衆議院

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第2号 平成31年3月13日(水曜日)

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平成三十一年三月十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 赤羽 一嘉君

   理事 穴見 陽一君 理事 梶山 弘志君

   理事 小林 鷹之君 理事 國場幸之助君

   理事 西村 明宏君 理事 落合 貴之君

   理事 斉木 武志君 理事 富田 茂之君

      青山 周平君    石川 昭政君

      石崎  徹君    岩田 和親君

      尾身 朝子君    岡下 昌平君

      神山 佐市君    神田  裕君

      木村 次郎君    佐々木 紀君

      繁本  護君    冨樫 博之君

      野中  厚君    百武 公親君

      福山  守君    穂坂  泰君

      星野 剛士君    細田 健一君

      三原 朝彦君    宮澤 博行君

      八木 哲也君    簗  和生君

      山際大志郎君    菅  直人君

      田嶋  要君    松平 浩一君

      宮川  伸君    山崎  誠君

      浅野  哲君    泉  健太君

      太田 昌孝君    笠井  亮君

      足立 康史君    笠  浩史君

    …………………………………

   経済産業大臣       世耕 弘成君

   経済産業大臣政務官    石川 昭政君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君

   政府参考人

   (内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室内閣審議官)           時澤  忠君

   政府参考人

   (内閣官房健康・医療戦略室内閣審議官)      小川  壮君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 荒木 真一君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電波部長)         田原 康生君

   政府参考人

   (財務省大臣官房参事官) 三村  淳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           小野  稔君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官)    福島  洋君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    藤木 俊光君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  新川 達也君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           風木  淳君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   松永  明君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          石川 正樹君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            井上 宏司君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          西山 圭太君

   政府参考人

   (経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 岸  敬也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            松山 泰浩君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (特許庁長官)      宗像 直子君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    安藤 久佳君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            木村  聡君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         宮武 宜史君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局次長)            島  雅之君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 上田 康治君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        森山 誠二君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制技監)          櫻田 道夫君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          山田 知穂君

   参考人

   (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長)           文挾 誠一君

   経済産業委員会専門員   佐野圭以子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十三日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     木村 次郎君

  神山 佐市君     福山  守君

  神田  裕君     百武 公親君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 次郎君     青山 周平君

  百武 公親君     神田  裕君

  福山  守君     神山 佐市君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

赤羽委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長文挾誠一さんの出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室内閣審議官時澤忠さん、内閣官房健康・医療戦略室内閣審議官小川壮さん、内閣府大臣官房審議官荒木真一さん、総務省総合通信基盤局電波部長田原康生さん、財務省大臣官房参事官三村淳さん、農林水産省大臣官房審議官小野稔さん、経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官福島洋さん、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官藤木俊光さん、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官新川達也さん、経済産業省大臣官房審議官風木淳さん、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長松永明さん、経済産業省貿易経済協力局長石川正樹さん、経済産業省製造産業局長井上宏司さん、経済産業省商務情報政策局長西山圭太さん、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長岸敬也さん、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長松山泰浩さん、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史さん、特許庁長官宗像直子さん、中小企業庁長官安藤久佳さん、中小企業庁事業環境部長木村聡さん、国土交通省大臣官房技術審議官宮武宜史さん、国土交通省自動車局次長島雅之さん、環境省大臣官房審議官上田康治さん、環境省環境再生・資源循環局次長森山誠二さん、原子力規制庁原子力規制技監櫻田道夫さん及び原子力規制庁原子力規制部長山田知穂さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小林鷹之さん。

小林(鷹)委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の小林鷹之です。

 本日は、質疑の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、大臣所信で触れられました、自由で開かれたデータ流通網の構築、知的財産の保護、そして原子力発電の今後のあり方、この三点につきまして質問をさせていただきます。

 まず、最初のデータ流通網の構築についてですけれども、大臣所信で触れられているように、ソサエティー五・〇を実現していくに当たりまして、コネクテッド・インダストリーズという考え方のもとでデータドリブンの社会が形成されつつあって、今後も国内外でさまざまなプラットフォーマーが出現してくるものと考えられます。

 既にGAFAやBATが市場を席巻している中で、私たちの生活の利便性は高まりました。一方で、こうした巨大プラットフォーマーが個人情報を含めた膨大な情報を収集し利活用している、このことに対する規制や課税のあり方が国際的にも大きな課題となっております。

 現在、デジタル課税のあり方をめぐりましては、巨大プラットフォーマーを有する米中とそれらを有しない欧州とで立場が大きく二分されておりまして、課税強化を主張する欧州の一部の国では、既に独自に課税していく動きも見られています。

 また、規制のあり方をめぐりましても、企業の自由な経済活動に相対的に重きを置くアメリカと個人情報保護に重きを置く欧州とでは、スタンスがおのずと異なります。

 こうした規制や課税のあり方につきまして、我が国が本年のG20議長国としてルールづくりを主導し、意見を集約していくに当たり重要なことは、各国の見解を公平に調整することではなくて、まず日本としてどうすべきなのかを明確にした上で、日本の国益に最大限沿う形で調整を進めていくことだと私は思っています。

 巨大プラットフォーマーなどに対する課税や規制のあり方につきまして、あくまで我が国の国益にかなう観点からどうあるべきと考えるのか、その大きな方向性につきまして世耕大臣の御見解を教えていただければと思います。

世耕国務大臣 巨大デジタルプラットフォーマーに対する競争政策上の規制のあり方と、そして課税について御質問をいただきました。

 御指摘のように、やはりこのプラットフォーマーというのは経済上いろいろなメリットをもたらしています。小売事業者等にアンケート調査を行うと、新規顧客の獲得、機会が獲得しやすいなどのメリットを強調する声もあります。しかし、一方で、個別の交渉が困難であるとか、規約を一方的に変更されるケースがあるとか、検索結果が恣意的であるとか、いろいろな競争上の問題点も指摘をされているところであります。

 そういった観点から、まず、競争政策については、二月十三日、未来投資会議において、安倍総理の方から、取引慣行の透明性や公平性確保に向けたルール整備、データなどの独占による競争阻害への対応、そして専門的知見によるスピーディーな対応に向けた新しい体制の整備について御指示があったところであります。

 これを踏まえて、ことし夏の成長戦略での具体的な行動計画の策定に向けて、経産省としても、公取などの関係省庁と連携して検討を進めていきたいというふうに思います。

 また、課税については、これは国際的にも各国ごとにさまざまな立場から議論が行われています。OECDでは、二〇二〇年までにこうした課税上の課題に対するグローバルな解決策を取りまとめる方針でありまして、現在、OECDを中心に議論が進められているところであります。

 日本としての立場を明確にせよということであります。

 まず、日本は今、このデジタルの世界のルールづくりを主導しようという決意で、いろいろな場を日本が主導する形でつくってきております。

 まず一つは、日米欧の三極貿易大臣会合、ここでこのデジタルについて大きな課題として取り上げています。まさに米欧が対立している面もあるんですけれども、一方で、この日米欧はある意味デジタルの世界における価値観を共有している三極だとも言えますし、この三つが力を合わせれば非常に大きな経済規模も持っているわけでありますから、まずこの日米欧で一つの方向性を取りまとめていくということが非常に重要だ、特に、価値観を共有するという意味では、例えば、検閲はだめだとか、個人情報がしっかり保護されているとか、そういった観点のルールづくりを進めていくということが重要だと思っています。

 もう一つは、WTOの場において、これも日本が、シンガポール、オーストラリアと呼びかけ人になって電子商取引の有志国会合というのを立ち上げまして、今、七十六カ国が参加の意思を明確に表明してくれております。こういった場でも新たなルールをしっかりとつくっていくということが非常に重要だと思います。

 WTOの場では、特にTPPで我々が導入に成功した現代型のデジタル貿易ルール、例えば、サーバー設置義務の禁止ですとか、ソースコードの開示を求めてはいけないとか、これはまさにTPPで日本が主導してつくった極めてレベルの高い現代的なルールでありますので、こういったことをWTOにも導入していくという面で日本が主導を果たしていきたいというふうに考えております。

小林(鷹)委員 ありがとうございました。

 ぜひ、我が国として、今後、夏に向けて、またG20に向けて、あくまで国益をしっかりと踏まえた形でルールメーキングをリードしていただくことを期待しております。

 その上で、現時点では日本にはGAFAに匹敵する巨大プラットフォーマーは存在しませんが、こうした新たなプラットフォーマーが我が国から生まれやすい環境整備や、既存の国内プラットフォーマーがビジネスを拡大できる環境を整えていくことが重要だと思います。

 こうした環境づくりを考える上でまず気になる点は、国産プラットフォーマーが国内でビジネスを展開する上で、海外プラットフォーマーに比べまして競争上明らかに不利に置かれていることでございます。例えば、現行の我が国の個人情報保護法のもとでは、外国企業に対して個人情報保護委員会は命令の権限はありませんし、罰則の適用の執行もないと伺っております。

 そこで、政府に伺いますけれども、こうした現に存在する国内法上の規制の適用や執行については内外無差別の実現を図るべきだと考えますが、具体的にどのようにお考えでしょうか。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま、日本発のプラットフォーマーの育成に向けて、特に内外無差別の点について御質問がございました。

 委員の御指摘のとおり、まず、内外無差別の確保というのは当然重要でございまして、政府としてもこれまで幾つかの取組をしているところでございますが、特に、御指摘のプラットフォーマーに関しましては、先ほど既に個別に御指摘がございましたけれども、例えば個人情報保護の観点からの域外適用、例えば課徴金の適用等々についてイコールフッティングの確保をすべきではないかということについては、既に、いわゆるデジタルプラットフォーマーについて検討してきておりました検討会の中でも指摘をされております。

 それを踏まえまして、昨年の十二月に開催されましたIT本部で、こうした個人情報保護法の適切な措置も含めて具体的に検討していくこととなっているところでございます。

小林(鷹)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、必要な法整備に加えまして、執行の実効性を担保するためにも海外当局との連携をお願いしたいと思いますし、また、国内への代理人の設置の義務づけなど、こうしたいろいろな観点から検討をお願いしたいというふうに思います。

 また、さらに、個人的な意見といたしましては、内外無差別を実現することは必要最小限のことであって、私は、日本発のイノベーションを促進していく観点からは、むしろ国内のベンチャー企業や新たなプラットフォーマーが競争上有利になるような仕組みづくりをするぐらいの方針があってもいいというふうには思っております。

 次に、総理がダボス会議で提唱されました自由で開かれた国際データ流通網の構築の実現のために、政府ではIT政策大綱の策定などを進められているものと認識しています。

 その中で、我が国としてまずやらなければいけないことは、米中に比べておくれをとっているあらゆるデータのデジタル化と、そのデジタルデータの集積、分析、利活用の場をしっかりと整備することだと思います。

 まず、行政手続のデジタル化、いわゆるデジタルガバメント、この実現を早急に進めていただきたいと思います。世耕大臣からは例として中小企業の補助金申請や事業者の行政手続が挙げられていますけれども、あらゆる紙ベースの情報をデジタル化して、そのデジタルデータを省庁間でつなげていくことで行政全体の効率化が図られるんだと思います。

 ただし、今国会での提出を目指している法案では、行政手続のオンライン化原則に関しまして、地方自治体については現段階で努力義務となっているものと承知しています。自治体間で人的資源に差があることを考えれば国と同じタイミングでというわけにはなかなかいかないかと思うんですけれども、一定の猶予期間を設けた上で、期限をしっかりと切って自治体に対しても義務化していくべきだと考えますが、政府の方針を教えていただければと思います。

時澤政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねのデジタル手続法案、今、提出に向けて準備を進めておりますけれども、地方公共団体の手続のオンライン化につきましては、御指摘のありましたように努力義務というふうにする予定でございますが、地方公共団体がスピード感を持って計画的にデジタル化を進めていくことは極めて大事だというふうに考えております。

 このため、政府では、昨年六月に閣議決定をいたしました官民データ活用推進基本計画、これにおきまして、全ての地方公共団体に対して地方版の官民データ活用推進計画の策定をいたすことを促しております。この地方版の計画におきましては、その実情に応じまして、手続のオンライン化の目標や達成時期、実施する施策を盛り込むということを求めておりまして、特に都道府県につきましては二〇二〇年度までに計画の策定を終えるということを求めているところでございます。

 政府といたしましては、関係省庁と連携して、地方版計画に盛り込まれた施策の実現に向けた取組を支援していきたいと考えております。例えば、総務省では、地方公共団体におけるオンライン利用促進指針というものをつくっておりまして、今年度、原則として全ての手続をオンライン化によるとの方針のもとに、重点的に取り組むべき対象手続を拡大するなどの改正を行い、また、助言を希望する団体に対してはアドバイザーの派遣等を行っているところでございまして、こうした取組を通じまして、更に地方のデジタル化の推進あるいは支援ということを拡充してまいりたいと考えているところでございます。

小林(鷹)委員 やはり全国の全ての行政手続がデジタル化されて初めて、国民の皆様がデジタル化による利便性を享受できることになるんだと思います。本当にそこは、支援を頑張っていただくことは当然のこととして、一方で、余り悠長なことを言っている場合でもないというふうに思いますので、ぜひ、地方自治体も含めて、できれば期限を区切って早急に進めていただきたい、そのことを強く希望いたします。

 私が全国的にデータのデジタル化を早急に進めるべきと申し上げるのは、その先には、集積されたデータが新たな資源となって、それらを分析、利活用することによって新たなイノベーションが生まれる源泉になると考えているからです。そうした観点から、今後、日本発のイノベーションを生み出していくことを考えたときに、これから、GAFAの後追いをするんじゃなくて、日本に強みがあって独自で築けるプラットフォームを構築していくことを私は考えるべきだというふうに思うんです。

 その一つの例として、昨年来、厚生労働委員会での質疑とか党の部会で申し上げてきているんですけれども、我が国が他国に比べて優位にある国民皆保険制度、これをベースとした莫大な健康、医療データの活用、これが肝だというふうに思っています。

 世界でデータの争奪戦が繰り広げられる中で、我が国の重要な資源である健康、医療データを保護し、かつ適切に利活用していくためにも、早急にデジタル化を進めて、健康、医療データのプラットフォームを構築すべきだと考えます。そして、それを条件付で民間にも開放することによって、創薬を始めとする多くのイノベーションが生まれ、また、結果として医療費の削減にもつながっていくんだと思います。

 こうした健康、医療の包括的なデータプラットフォームを国家として構築していくことについて、政府の方針をお聞かせください。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律、いわゆる次世代医療基盤法が昨年五月に施行されているところでございます。この次世代医療基盤法は、医療分野の研究開発のために、医療機関等で保有されているカルテなどの診療行為の実施結果を含む大規模な医療データの利活用を可能とするものでございます。

 こうした大規模な医療データの利活用によりまして、先生の御指摘にもありましたように、例えば、異なる医療機関や診療領域の情報を統合した治療成績の評価、あるいは医師の診療支援ソフトの開発、こういった新しい医療技術やヘルスサービスの創出といったイノベーションにつながっていくものというふうに期待しているところでございます。

小林(鷹)委員 ありがとうございます。

 次に、先ほども申し上げましたけれども、データドリブンの社会が進行する中で大きな課題になるのは、集積される膨大なデータの送受信速度やデータ処理能力をつかさどる情報インフラの整備だと思います。

 すなわち、現行4Gの百倍とも言われる通信速度の5Gが整備されることによって、自動運転を始めとする新たなサービスが可能となります。そのために早急に整備する必要がある重要インフラとしては、資料をお配りしておりますけれども、ここにある、スマホ等から無線で情報を受信する5G基地局、そして、その基地局間同士などを有線で結ぶコアネットワーク、さらには、それらの大量のデータを集積、分析するクラウド型データセンターの三つだと私は思います。

 まず、無線アクセスのポイントである5G基地局についてなんですけれども、米中の対立の中で話題となっているファーウェイの5G基地局についても、部品の多くは日本製だと認識しています。であるにもかかわらず、なぜファーウェイに対抗できるだけの日本製の5G向け基地局ができないんでしょうか。また、5Gをフルスペックで利用するためには、基地局の数も今の十倍以上必要となりますし、それらの基地局間をつないでいくコアネットワーク、すなわち、5Gに対応できるだけの通信容量と伝送速度を持つ光ファイバー網の構築が必要です。

 こうした光ファイバー網や基地局は未来の公共インフラであって、このようなインフラ整備こそ国が早急に行うべきと思いますが、お考えをお聞かせください。

田原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、二〇二〇年の実用化が期待されている第五世代移動通信システム、5Gと呼ばれるものでございますが、高速道路や新幹線同様、地域の活性化、活力の向上を図るために不可欠な二十一世紀の基幹インフラになるというように私ども思っております。

 この5Gの実現に向けてでございますけれども、私ども総務省では、我が国の基地局メーカーですとかさまざまな企業、通信事業者などの関係団体、そのほか関係団体の協力も得まして、二〇一五年から、要素技術の研究開発ですとか、あるいは、地域でどのように使うのかということも含めた実証試験というのを実施してきたところでございます。

 また、本年一月に告示いたしました、5Gへの電波の割当ての方針を示す開設指針というものがございますけれども、こちらにつきましては、地方を含む全国各地で5Gを早期かつ安全に利用できるようにということで、まず、通信事業者に対しては、5G通信システムのサプライチェーンリスク対策などを促している、このほか、また、二年以内に全都道府県でサービスを開始することということなどを、電波の割当てを受ける際の最低限満たすべき基準ということで設けているところでございます。

 さらに、この5Gの基地局の展開に必要な光ファイバー等の整備というものにつきましては、まずは通信事業者みずからが整備していただきたいとは考えておりますけれども、整備がおくれがちな条件不利地域といったようなところにつきましては、光ファイバー整備費用の一部を補助する事業を来年度予算案に計上させていただいているところでございます。

 いずれにしましても、私ども総務省といたしましては、5Gや光ファイバーなどの通信インフラが地方を含む全国各地で早期に整備され、幅広く利用されるよう、必要な支援というのを今後とも実施していきたいと考えております。

 以上でございます。

小林(鷹)委員 ありがとうございます。

 頑張っていただきたいんですけれども、本当に民間事業者に最初任せておいて間に合うのかというところもありますので、ぜひ検討いただきたいと思います。

 続きまして、基地局やコアネットワーク整備とともに重要なのがデータセンターです。国内のデータセンター市場におきましては、二〇一七年から二〇二二年の年平均成長率は八・六%、二〇二二年の市場規模は約一・八兆円になるとの予測もあります。

 一方、GAFAなどによる超巨大データセンターの世界市場は、二〇一八年第三・四半期のみで二・八兆円、前年同期比五三%の増加であって、中でもグーグル、アマゾンは世界じゅうでデータセンターの拡大計画を進めておりまして、四半期ベースでも数千億円規模の投資を進めています。最近では、グーグルが、二・五億ドルの税制優遇を受けて、ネバダ州に、七十三万平米の土地に七百億円を投じてデータセンターを新設する予定とも言われています。

 その中で、IDCジャパンによると、日本国内においては、データセンターの新たな増設投資額は昨年は約千五百億円。ただし、国内にあるデータセンターは、数は八万カ所を超えているものの、小規模のもの、老朽化したものも含まれています。

 コネクテッド・インダストリーを実現するためには、クラウド型のデータセンターをふやすことと、その大規模化が重要だと思います。また、データセンターは電力消費量が大きくて、現在、小規模のデータセンターが集中している首都圏においては全消費電力の一二%にも当たる電力を消費しているとも言われています。

 今後、米中と比肩できるデータドリブン社会を構築するためには大規模なデータセンターの建設が必要であって、そのためには、広大な土地と、安定した大容量の電力供給ができる場所が必要です。また、サーバーや空調など、さまざまな機器が大量に必要になりますから、大きな経済効果も期待できますので、地方にデータセンターを誘致することで地方創生の一助となることも期待できます。

 そこで伺いますけれども、GAFAが建設するデータセンターとは規模は違いますけれども、いずれにしても大規模な設備投資が必要になりますので、我が国も、日本企業によるデータセンターの建設を後押しすべく、税制上の優遇措置を含めた大胆な投資策を講ずるべきだと思いますが、見解をお聞かせください。

西山政府参考人 お答えを申し上げます。

 いわゆるデジタル経済、デジタル社会のもとでのデータセンターの重要性については今委員から御指摘があったとおりでございますけれども、また、足元の日本の投資動向につきましても、今御紹介ございましたとおり、市場規模が急ピッチで伸びる中で、二〇一八年においては前年比で約二倍の投資が国内のデータセンター投資に向けられたというふうな試算があるというふうに承知をしております。

 ということでございますので、一定程度の投資は民間ベースで着実に行われているとは承知しておりますけれども、今委員御指摘のとおり、課題もさまざまあるかと思っております。そうしたことに対応いたしますために、例えば、重要なデータを扱うデータセンターが地震等によりまして脆弱化するような事態を避けるために、経済産業省としましても、国土強靱化の観点から、平成三十年度の第二次補正予算におきまして、データセンターに併設されます自家発電設備等の費用に対して支援していくことを決定をしているところでございます。

 また、総務省におきましても、先ほども地域活性化の御指摘がございましたけれども、地域活性化や首都直下地震等に備えた国土強靱化を図ることなどを目的といたしまして、例えば、東京圏以外の地域におけるデータセンターの整備に対する助成や税制上の措置といったような支援策を講じているというふうに承知をしております。

小林(鷹)委員 ありがとうございます。ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。

 加えて重要なことは、アマゾンが、企業やアメリカ政府を始めさまざまな機関の機密情報を管理するサービスを提供し始めている点です。CIAは、二〇一三年時点でこのサービスを利用して、クラウド化を図って、セキュリティー性とアクセス性の向上に成功しています。また、ペンタゴンにおいても同様の検討がなされているというふうに聞いております。

 我が国におきましても、政府が取り扱う全てのデータを早急にクラウドに移行していく必要があると私は思います。そのためには巨大なデータセンターが必要ですが、現時点では、残念ながら、日本にはアマゾンに比肩し得る能力を持つ国産プラットフォーマーが存在しないので、日本政府としてデータセンターを建設するなどの対策が必要ではないでしょうか。

 先ほど申し上げました5G基地局、コアネットワーク、そしてクラウド型のデータセンターの一体となったシステム構築を政府としてお願いしたいと思いますが、世耕大臣の御見解をいただければと思います。

世耕国務大臣 やはり、クラウドサービスを使うというのは、いろいろな意味で利便性が高まりますし、情報システムの柔軟性が高まるという意味で非常に価値がある。私も、かつて理事長を務めていました学校法人でクラウドサービスに切りかえたら、情報システム担当の負担というのが物すごく軽くなって、その分、学生向けのアプリとかそういったものの開発に集中できるようになったというような経験もあります。

 政府においても同じことが言えるんだろうと思いますが、やはり政府の場合は、特段、セキュリティーというのが極めて重要になります。今委員御提案のように、5Gの基地局からネットワークからデータセンターまでを全部国独自で組み立てるとなると、これはかなりの投資も必要になってきますから、その辺は費用対効果のバランスもよく考えなければいけないと思っています。

 やはり、情報の中身によってセキュリティーレベルを変えていく。物によっては、場合によっては、海外にサーバーがあってもいいかというものから、少なくともサーバーは国内に閉じていないと困りますよねというものから、やはり政府そのものがサーバーそのものを直接運営しているような形態の方が好ましい、あるいは、特許庁が持っているような技術情報のように、そもそもインターネットにつながない方がいいというようなケースもあり得るんだろうというふうに思います。

 いずれにしても、クラウドなのかクローズドネットワークなのかにかかわらず、政府機関の持っている情報に関するサイバーセキュリティーの確保というのは、これからもどんどん重要になってくるわけであります。

 昨年末、政府の情報システム調達におけるサプライチェーンリスクへの対応強化を目的として、特に、データセンターが国内にあっても、そのシステムを構成している部品などが何か海外とつながるような動作をするようなものがあっては困りますので、そういった構成部品の情報を事前に入手することなどを関係省庁と申合せを行ったところであります。

 こういった申合せも踏まえて、情報セキュリティーの確保、向上に向けて、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

小林(鷹)委員 ありがとうございました。ぜひいろいろな方策を検討していただければと思います。

 次に、イノベーションを支える知財の保護について伺います。

 昨年来、アメリカは、中国による知的財産の窃取や技術の強制移転、不公正な貿易慣行などを理由に、中国製品に新たな関税を課すなどの制裁を始めています。さらに、アメリカでは、輸出管理改革法と外国投資リスク審査近代化法に基づきまして、先端十四分野につきまして技術の国外流出に対する規制強化を図っています。この規制対象には、安全保障とは一見関係がなく、また実用化には時間がかかるけれども有望と見込まれる技術の種、いわゆるシーズも含まれています。

 一方で、我が国では、東芝の半導体に関する研究データが韓国のSKハイニックスに漏えいされた事件、あるいは新日鉄住金の高級鋼材の製造技術がポスコに漏えいされた事件をきっかけに、二〇一六年に不正競争防止法が改正されました。また、加えて、一昨年には外為法が改正されて、安全保障に関する機微技術や貨物の輸出については規制強化がなされた。私は、こうした一連の規制強化については、国益にかなうものだと高く評価をさせていただいております。しかしながら、近年では、シャープが鴻海に買収されて、東芝メモリが日米韓企業連合へ売却され、タカタも中国企業に売却され、その技術が合法的な形で他国企業に流出している状況にあります。

 そこで伺いますけれども、このように、現行の外為法などでは規制対象にはならないけれども、我が国の競争優位をもたらす戦略的資産である最先端のテクノロジーを有する企業の買収に対して、国として何らかの対応はできないんでしょうか。また、我が国の外為法上の規制は主に安全保障上の理由などに限られていますけれども、今の時代、どの技術、どの部品が軍事転用されるかわからないし、というより、軍事転用可能性があるという前提で、我が国においても外為法上の対内投資の規制の枠を広げるべきではないかと思いますが、見解をお伺いできればと思います。

石川政府参考人 お答えさせていただきます。

 御指摘がありました外為法でございますけれども、法律におきまして、対外取引を原則自由としつつ、国の安全などの観点から懸念を生じさせ得る業種に関し、外国投資家からの投資について事前届出義務を課しているところでございます。

 こうした観点から、従来、一部の機微な貨物に関する製造業を対象業種としてきたところでありますが、平成二十九年十月には、国際的に合意されている全ての機微な貨物や技術に関して対象を拡大しますとともに、製造業のみならず、ソフトウエア業や自然科学研究所などについても対象に追加するなど、大幅に範囲を拡大してきているところでございます。

 御指摘のありましたように、技術進歩の加速化に対応することはもとより、主要な先進国で投資規制の見直しの議論が行われておりますことから、今後とも、こうした状況を踏まえつつ、不断の検討を行うとともに、他の、不正競争防止法なども含めたさまざまな制度との連携も含めて検討してまいりたいと考えております。

小林(鷹)委員 ありがとうございます。

 続きまして、官民ファンドである産業革新機構、いわゆるINCJ、この投資対象であるルネサスエレクトロニクスが、昨年よりアリババと連携を開始しています。ルネサスは半導体技術を保有しています。また、有機ELパネルの技術を保有しているJDIに関しましても、中台企業連合が買収を検討しているとの報道があります。

 国が出資して技術開発をしている企業が安易に他国企業と連携したり買収されたりすることは、私は国益を毀損して我が国の経済戦略にも反すると思うんですね。

 そこで伺いますけれども、JDIのような企業については、他国企業による買収を許容するのではなくて、国が守るべきものではないんでしょうか。また、国の出資だけではなくて、補助金も含めて、国の資金が入っている企業の買収案件につきましては、例えば事前に政府への届出を義務づけて審査をするなどの対応が必要ではないでしょうか。世耕大臣の見解をお伺いできればと思います。

世耕国務大臣 まず、ジャパンディスプレイ、JDIについては、一部報道があるわけでありますけれども、現時点で決定している事実はないという適時開示がJDI自身によって行われているということをちょっと申し添えておきたいと思います。

 その上で、一般論として申し上げますが、産業競争力を維持強化していくためにも、やはり先端技術の流出防止というのはいろいろな角度から取り組まなければいけない、それは、政府の官民ファンドが出資しているか、補助金が入っているか、純粋民間なのかにかかわらず、先端技術の流出防止というものについては、ここは細心の注意を払っておかなければいけないんだろうというふうに思います。

 しかし、一方で、今、グローバルにサプライチェーンがつながっていて、そして自国の、あるいは企業一社に閉じたイノベーションだけではなかなか対応できない、やはりオープンイノベーションで対応していく必要があるという観点も我々は忘れてはならない。そのことも、一方で先端技術流出防止を意識しながら、グローバルにアライアンスを組んでビジネスを展開していく、イノベーションを進めていくということも重要だと思っていまして、そこのバランスが極めて重要だと思っております。

 今御指摘の産業革新機構、INCJについては、これはあくまでもオープンイノベーションの投資ということが大前提になっております。ゾンビ企業の救済とか、あるいはコモディティー化した技術をいつまでも国内に残しておく、そういうための投資は行わない、あるいは、コモディティー化したものについては、場合によっては売却も含めて考えていくということが重要だと思っています。

 ただ、いずれにしろ、これはもともと国の資金を投じている投資でありますので、INCJについては、出資している案件で、それを売却するということになった場合は、これは経産大臣から事前に意見を聞くという仕組みになっています。

 そういった中で、技術流出の観点でこれは懸念があるぞという場合には、当然、経産大臣としてその意見をしっかりと伝えますので、それを踏まえてINCJが慎重に判断するということになります。

 また、国から補助金を受けている企業が例えば買収によって経営主体が変更になるというときには、補助対象設備が例えば買収先の企業によって本来の補助目的を超えて何か別の形で使用されるようなことになった場合には、補助金の返還請求等の措置を講ずることになるわけでございます。

小林(鷹)委員 大臣、ありがとうございました。

 いろいろなバランスをとっていく必要はあると思いますけれども、アメリカなどは、非常に安全保障の定義を広く解して、やはり国を守るというところにかなり意識を高く持っていると思いますので、ぜひ、我が国もそうした先端テクノロジーをしっかり守れるような体制を築いていただけたらと思います。

 ちょっと、時間が来ましたので、指摘だけにとどめさせていただきたいと思いますが、こうした外為法上の我が国の対内投資に関する審査体制というのは、現在、財務省と各事業官庁とが共同して審査することになっていますけれども、実質的には、各事業官庁のみが、しっかりと、単独で審査をする体制となっています。私は、そうじゃなくて、より複眼的な審査を可能にするためにも、アメリカの対米外国投資委員会、いわゆるCFIUSのように合議制にするとか、あるいは、NSCの下に新たな機関を設けて、その対内直投に対して、しっかりと厳しく、いろいろな点から見ていくということが必要だというふうに思っていますので、ぜひ御検討いただけたらというふうに思います。

 きょうは指摘にとどめさせていただきたいと思います。

 最後に、原発の今後のあり方について伺います。

 第五次エネ基では、原子力は重要なベースロード電源と位置づけられる一方で、大臣所信では、依存度を可能な限り低減していく方針ということで、今後、原発について国としてどう向き合っていくのかが、やや私はわかりにくいというふうに感じています。

 私としては、電力価格の低減ですとかエネルギー安保、あるいは温室効果ガスの抑制、高度な技術を通じた海外貢献、こうした観点から、原子力政策を国策として、より明確に位置づけていくべきだと考えています。

 国内では再稼働が進んでいないし、海外案件も事実上ゼロになった今、特に、原子力の技術の承継や技術者の育成は喫緊の課題だと思います。原子力に未来や希望がないとすれば、大学などで原子力を専攻する学生は減少の一途をたどるでしょうし、そうなれば、高い技術と長い期間を要する廃炉すら、円滑に行うことは私は困難になっていくと思います。

 もちろん国民による原発の安全性、必要性に対する理解は大前提なので、民間事業者などで構成される、ATENAと呼ばれる組織がありますけれども、こうした組織が速やかに確立をされ、規制当局との対話を通じて、科学的知見に基づいた冷静な議論がこれから透明性を持って行われることを期待をしています。

 ちょっと時間が来ていますので一つ飛ばさせていただきますけれども、私個人の意見としては、国内で再稼働を進めていくことはもとより、第五次エネルギー基本計画に盛り込まれなかったリプレースや新増設についても、安全性をしっかりと確保した上で、国が一歩踏み込んで進めていくべきだと思っております。

 その上で、海外についてなんですけれども、コスト面が合わずに日本企業が事実上撤退せざるを得なかったとの報道がありますけれども、国としてどのように関与されたのでしょうか。また、今後もインフラシステム輸出の柱として原発を位置づけるという理解でよろしいでしょうか。そうであるならば、交渉の入り口までだけではなくて、契約を締結した後も、国がさまざまな支援をして、国策として、てこ入れしていくべきだと考えますが、政府の見解を教えていただければと思います。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 インフラ輸出としての原発輸出の案件につきましては、案件獲得に向けた支援といたしまして、優先交渉権を獲得するためのトップセールスなどを通じまして、積極的に支援を行ってきたところでございます。また、案件獲得後のプロジェクトの具体化の段階におきましても、相手国政府や民間事業者からの要請も踏まえまして、公的金融機関による支援を含めた議論を行っていくといった方針で対応してきたところでございます。

 今後のインフラシステム輸出戦略につきましては、現時点でまだ決まっていない状況ではありますけれども、なお、現在のインフラシステム輸出戦略におきましては、原子力は先進的な低炭素技術の展開支援の対象といたしまして位置づけられておりまして、各国の日本の原子力技術に対する期待の声に応えて、世界における原子力の平和利用、気候変動問題への対応にしっかりと責任を果たしていくという方針に引き続き変更はないということで、しっかり取り組んでまいりたいと考えてございます。

小林(鷹)委員 しっかりと進めていっていただきたいというふうに思っています。

 最後に、この原発に関しまして、これからは、中国やロシアのような国が原発輸出をどんどん活発に進めていくことが容易に想定されます。こうした諸外国が、周辺諸国を含めて、多くの国々のエネルギー政策の根幹を握ることが国際社会におけるパワーバランスに少なからず影響を与えるということは、私は確実だと思います。

 そこで伺いたいんですけれども、エネルギー安全保障という枠組みを超えて、我が国の外交政策上の観点からも、国策としての原発輸出を検討すべきであると私は考えておりますが、残念ながら、NSCなどの場で議論された形跡が見えません。速やかに国家としての方針をオール・ジャパンの体制で議論すべきと考えますけれども、世耕大臣の御見解を伺えればと思います。

世耕国務大臣 NSCでの議論をこの場でちょっと申し上げることはできないということになるわけでありますけれども、今御指摘のように、実際に今、原発を輸出できる能力というか、現実に輸出をしている国というのは、例えば、東ヨーロッパではロシア、そしてイギリスでは中国がフランスと共同で原発の建設計画を進めているという現状になっているわけであります。

 やはり、原子力市場をめぐる国際環境の変化を踏まえれば、日本が世界の原子力市場で技術の供給国としての地位を維持し続けるということは、世界のエネルギー安全保障にとっても極めて重要な観点ではないかというふうに思います。

 特に、世界では、エネルギー安保、地球温暖化そして発電コストといった観点から、原子力への期待は依然大きいというものがあるわけでありまして、日本の原子力技術に対する期待の声も大きいわけでありますので、しっかりとそういったことも踏まえながら今後の対応を考えていきたいと思っています。

小林(鷹)委員 時間が来たので終わりますが、ぜひ、原発に関しましても、エネルギー安保という観点だけではなくて、さまざまな複眼的な角度から、これからも政府として検討していただければと思います。

 終わります。

赤羽委員長 次に、富田茂之さん。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 世耕大臣は、所信表明で、地域・中小企業に関して、このように述べられておりました。

 全国三千万人を超える雇用を支える中小企業、小規模事業者は日本経済の屋台骨です。この屋台骨をより強固にしていくためには、三つの課題に取り組みますということで、一つ目は、後継者不足です。昨年の法人版事業承継税制の抜本拡充に続き、ことしは承継時の税負担を実質ゼロにする個人版事業承継税制を創設します。また、経営者保証問題への対応やMアンドAを通じた第三者への引継ぎ支援、そしてマッチングのためのデータベースの拡充を行いますというふうに述べられました。

 大変大事なところだと思いますので、この点につきまして何点か御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 実は、私、千葉県に住んでおりますので、二月十一日付の朝日新聞千葉版とか、二月十六日付の地元紙であります千葉日報に、次のような記事が掲載されていました。

 少し紹介させていただきますが、帝国データバンク千葉支店の千葉県内の「休廃業・解散」動向調査によると、二〇一八年に休廃業又は解散した企業は八百二十六件に上り、倒産件数の二百五十四件の約三・三倍だった。休廃業、解散した企業の代表者の年齢別では、七十代が全体の約四割となる二百八十五件で最多。八十代も一割超を占め、高齢化が年々進行している。経営者の高齢化や人手不足など、企業経営を取り巻く環境は厳しさを増すと見られ、中小企業での事業承継や引継ぎがスムーズに進まなければ、廃業などで消滅する可能性がある。この報道には本当に驚きました。

 参議院の予算委員会で、我が党の矢倉議員が同じような観点から質問させていただきましたが、そのときの安藤中小企業庁長官の答弁によれば、全国規模での調査ですと、二〇一八年の廃業は二万三千二十六者、倒産は八千六十三件で、廃業は約二・九倍、やはり三倍近くが廃業しております。また、代表者の年代構成で、六十代以上の高齢者の割合は全体の七七・七%といった高い水準に至っていることもわかりました。

 一昨年から、二〇二五年には約二百四十五万者で経営者の年齢が七十歳を超え、そのうち百二十七万者が後継者が未定ということがこの委員会で何度も答弁に出てきましたけれども、本当に大変なことだなというのがこの動向調査でもはっきり数字として出てきたと思います。

 日本に存在する企業約三百八十万者のうち、実に三分の一が後継者未定ということになります。後継者が決まらず廃業がふえてくると、そこで働く人たちの雇用も失われ、日本経済全体に大きなダメージとなると思います。

 そこで、昨年の税制改正で、後継者への事業承継を促進するため、株式の贈与、相続に関する納税猶予制度が大幅に改善され、親から事業を承継する際の課税を全額猶予することが可能になりました。この制度改正で、実際に事業承継はどの程度促進されたんでしょうか。

安藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 今御指摘のとおり、少子高齢化、人口減少時代におきまして、中小企業の事業承継というのは大変大事である、このように認識をさせていただいております。

 御指摘の法人の事業承継税制でございますけれども、株式に対します相続税、贈与税を実質ゼロにする一〇〇%納税猶予を中心といたしまして、大変大幅な拡充をさせていただきました。

 その結果でございますけれども、拡充前は、十一年間、累計でございますけれども、二千五百件の事業承継税制の御利用をいただきました。他方、拡充をいたしましてまだ日が浅いわけでございますけれども、昨年の四月からことしの一月末までの十カ月間でございますけれども、二千件を超える申請、二千二百二十六件という数字でございますけれども、申請をいただいております。

 かなり大きな関心を持って御利用が進んでいるものと認識をさせていただいております。

富田委員 これ、しっかり取り組んでいただいて。なかなか事業承継を担当してくれる税理士さんがいないというようなお話も聞きます。税理士の先生方に聞くと、企業の顧問はやっているけれども、事業承継まで担当するとなると、やはりスパンも長いし、それに見合うお金もなかなか取りにくいというようなこともありますので、ぜひ制度を周知していただいて、いい方向に持っていっていただきたいと思います。

 この国会には、これと同様の仕組みを個人事業主にも拡大するための法案が提出されております。きょうも参議院の方で審議予定というふうに伺っておりますが、これによって、どの程度事業承継が促進するというふうに予想されているんでしょうか。

世耕国務大臣 これ、中小企業向けにやったところ、今、中小企業庁長官が答弁したように、目の子十倍ぐらいのペースアップが進んだわけであります。

 御指摘のとおり、今回の、来年度の税制改正に向けて、個人事業主の集中的な事業承継を後押しするため、十年間の時限措置として、土地、建物、機械、器具備品などの承継時の贈与税、相続税の一〇〇%納税猶予制度を創設をする予定になっております。これによって、三百五十八万者の中小企業のうち五割以上が個人事業主ということになりますので、この方々にも税制を御利用していただくことが可能になるわけであります。

 明確にちょっと予測の数値はなかなか難しいんですけれども、いわゆる法人企業向けが十倍ぐらいにふえたということでありますので、個人事業主に対しても非常に大きな効果が期待できるのではないかというふうに思っています。

 ただ、やはり、おっしゃるように周知することが非常に重要です。特に、個人事業主の方は団体に加盟されていない方とかもいらっしゃいますので、まさに税理士の先生方ともよく連携をして、しっかりこの制度を使っていただけるようにしてまいりたいというふうに思っています。

富田委員 ぜひ積極的な取組をお願いしたいと思います。

 また、これも大事なんですけれども、他方、親族間の事業承継というのは実は急速に減少傾向にあるのではないか。この十年で見ると、既に親族間の事業承継は四割を切っているというような調査報道もありました。

 そうすると、ここをどうしていくかということで、税制優遇措置に加えて、親族外への事業承継を促進することが急務だというふうに思います。

 現在、全国に四十八カ所ある事業承継支援センターが中心となって、都道府県単位で事業承継ネットワークが構築されており、この枠組みを通じまして、行政、金融機関、民間支援機関、それと弁護士、税理士、中小企業診断士等の専門家が連携する仕組みが形になってきているというふうに言われております。ここは大事だと本当に思うんですね。

 世耕大臣は参議院の予算委員会で、事業承継支援センターのデータベースを抜本拡充して、また、アクセスしやすくするというふうに答弁されていました。ぜひここを積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 ただ、やはり後継者不足企業への支援は待ったなしの状態であります。支援に取り組む専門家の人材層の拡大が急務だというふうに思います。先ほどの税理士さんの話じゃありませんけれども、本当に支援していただける人がいないと個人事業主の人たちもなかなか大変だと思いますので、この点についてはどのように中小企業庁は取り組んでいくんでしょうか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、事業承継は、まず最初に経営者のお気づきをいただく、気づきの段階から始まりまして、税務の専門家、そして金融の専門家、法務あるいは労務、こういった方々のさまざまな分野の専門的知見が求められる、いわば総力戦のような作業だというふうに認識をさせていただいております。

 私ども、認定支援機関というものを御用意させていただきまして、プッシュ型の事業承継診断を進めさせていただいております。平成三十年度、十一月までで既に約十万件の、気づきを促していただく十万件の診断を実施をさせていただいております。

 先ほど御指摘がございました、抜本拡充をさせていただきました法人向けの事業承継税制につきましては、特例承継計画というものをお出しいただくことになっておるわけでございますけれども、事前にこうした認定支援機関による指導助言を受けることをお願いをしております。さまざまな分野での専門家による支援のもとで事業承継を進める仕組みとなっておるところでございます。今般創設をお願いをしております個人版の事業承継税制についても、同様の仕組みとさせていただく予定でございます。

 また、こういった専門家の皆様方、認定支援機関同士の連携を図っていただくということも大変大事でございます。現在、全国九ブロックで、認定支援機関同士の連携を深めていただくための、事業承継推進会議と呼ばせていただいておりますけれども、こういった会議を随時開催をさせていただいております。

 全国の津々浦々で、事業承継を後押しする機運、そしてそれを支えていただけます専門家の皆様方のしっかりとした連携を全国で高めていきたい、このように思っております。

富田委員 今ありました認定経営革新等支援機関の連携を深めるというのは本当に大事だと思うんですね。数字をいただいたんですが、現在、三万二千八百五十二の認定支援機関がある。この方たちをどう活用していくかというのは、本当に大事な問題だと思います。

 特に、地方の銀行、金融機関の方たちがやはり地元のいろいろな情報を持っていますから、この人たちを、本当に連携していく、今言われた九ブロックでの事業承継会議というのはこれから大事になっていくと思いますので、ぜひしっかり支援をしていっていただきたいというふうに思います。

 もう一点、ちょっとこの事業承継について、二月八日付の朝日新聞に次のような記事が掲載されていました。事業承継が大変だということをシリーズでやっていた記事の一環だったんですが、こんなふうに書いてありました。

 事業承継に関する悩みを受け、取引銀行のみずほ銀行が動いた。取引先企業がスムーズに後継者を選び、事業を拡大できれば、銀行のメリットも大きい。検討を重ねて、昨年、MBO、経営者の自社買収という手法をみずほ銀行がその企業に提案したという記事でした。

 後継候補を含む会社幹部たちが出資して別会社を設立し、その別会社が創業者から全株式を買い取る、こういうスキームだそうです。別会社が新たな会社のオーナーという形になり、スムーズに後継体制に移行できる。別会社への出資は幹部十人が十万円ずつで計百万と、個人負担はかなり少なくて済む。

 ただ、この別会社が元会社の全株式を買い取るには十億円以上の資金が必要。そうなると、これは足りない。ひとまず銀行から借りたとしても、資本金百万の会社には過大な借金になってしまう。

 そこでみずほが考えたのが、ファンドの活用だと。以前設立した、取引先の代がわりを専門に支援する五十億円規模のファンドを活用して、ファンドが新会社に約八億出資して資本を増強して、その上で、創業者から株を買い取るための多額の融資に見合う財務基盤ができたということで、きちんとこれから手続を進めていくというような記事でした。創業者は、今後五年をかけて次の社長を育てたいというふうに話されていました。

 みずほ銀行は、このような方式を三月末までに七件実行する。なお五十件超の要望があるというような記事でありました。ファンドの規模は年内に百億円まで拡大する予定だと。この手法を取り入れたい地方銀行からの問合せが相次いでいるという、ここを私はすごい注目したんですが、やはり地方の銀行も、こういったことに興味を持って、どうやって地元の中小企業の承継を手助けしていくかということに大変興味を持っていると思うんですね。

 こういったいろんな方法があるんだということを、ぜひ中小企業庁の方から全国に周知していく必要があると思うんですが、その点、どうでしょうか。また、中小企業庁として、この承継方法への支援、何か新たな仕組みを考えることができないでしょうか。その点についてお聞かせ願いたいと思います。

安藤政府参考人 大変重要な御指摘だとお伺いをいたしました。

 先ほど来出ております事業承継税制は、いわゆる相続税、贈与税の一〇〇%納税猶予ということでございます。いわゆる第三者の方によります買取りでございます。全くの別人ではなく、今御指摘がございましたように、役員の方あるいは従業員の方が別会社をつくって買取りを行う、こういったお話がこれからふえてくると思っております。その際、やはりその多額の資金が必要だという大きなハードルがございます。

 私どもで、事業承継ガイドラインという、実務家の皆様そして事業承継をお考えの皆様方に御参考にしていただけますようなさまざまな実務的な内容を紹介をさせていただいているもの、あるいは、より身近な形で御理解をいただくためのマニュアルというものを整備をさせていただいておりまして、その中で、今御指摘のようなケースを十分しっかりと周知をさせていただいているところでございますが、より御理解を得やすいような形で、御理解を賜るような形で広報をさせていただきたい、このように思っております。

 また、今御指摘がございました、会社が買取り資金の借入れを行う場合でございますけれども、その会社が経営承継円滑化法上の認定を受けていただければ、いわゆる信用保証協会によります保証の特例、別枠化でございます、これを受けることが可能でございます。

 また、事業承継ファンドを通じて大規模法人から一定割合を超える出資を受ける、こういった場合に、その中小企業の方は、中小企業投資促進税制といったようなもろもろの中小企業税制が、いわばみなし大企業ということで利用できなくなるという、こういった問題がございました。このため、今御審議をお願いをしております三十一年度税制改正におきましては、ここに中小企業基盤整備機構が関与いたしましてこれが出資をした事業承継ファンドから出資を受けられる中小企業の方につきましては、引き続き、中小企業税制、一般的な中小企業税制を御利用しやすくなるような措置をお願いをしているところでございます。

 いずれにいたしましても、御指摘のような事業承継ファンドの活用を最大限進めさせていただきたいと思っております。

富田委員 ぜひ積極的にやっていただきたいというふうに思います。

 この記事に載っていた創業者の方は、外部にMアンドAで売ってしまえば自分は利益を得られるけれども、一緒に企業を育ててきた仲間にやはり承継してもらいたい。そういった場合に、大臣も参議院で言われていましたが、個人保証の問題がどうしても出てきてしまうので、今のようなさまざまな仕組みを活用して、ぜひ事業承継がスムーズにいくように、経産省を挙げて支援をしていただきたいというふうに思います。

 残り、ちょっともう時間がありませんので、最後に、再エネ海域利用法に基づく公募による事業者選定について、何点かお尋ねしたいというふうに思います。

 経産省の洋上風力促進ワーキンググループと国交省の洋上風力促進小委員会が、合同会議をずっと続けております。私もそのたびに資料をいただいているんですが、今後の事業者選定の流れはどんなふうになっていくんでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の臨時国会で成立しました再エネ海域利用法につきましては、ことしの四月一日の施行を目指しまして、現在、政省令の整備及び関連の手続の準備を進めているところでございます。

 法律の仕組みと申し上げますと、まず政府の基本方針を定めた上で、その促進の対象となります促進区域の指定を行い、その上で事業者の公募を行い、事業選定をするという仕組みになってございます。

 今委員から御指摘ございました、この具体的な手続を定めるために、現在、国交省と経産省の合同審議会を開いて進めてございます。

 まず、区域の指定でございますけれども、さまざまな情報をお持ちの都道府県及び事業者の皆様方から今情報及び意見の提供をお願いしているところでございまして、そういったものをもとにしまして候補となる有望区域というのを選定し、その上で協議会の開催や国による詳細調査の実施、さらには関係行政機関の長への協議、調整、そして都道府県への意見聴取などの手続を経て指定をすることとしてございます。

 また、事業者の選定はその上でということになるわけでございますけれども、各促進区域、指定された場合、その地域についての公募占用指針の策定を行った上で公募を実施し、占用計画の審査、評価を行って決定していく、こういう手続を今のところ検討してございます。

富田委員 この合同会議に一般社団法人日本風力発電協会からの要望が出ていたと思うんですが、私も昨年視察してきたヨーロッパの例を見ても、政府が中期的な公募に関するスケジュール及び規模を策定する際に、事前に公表することで成功をおさめていました。

 オランダでは、二〇一五年から五年間、毎年七百メガワット、隣接する二つのサイトそれぞれ三百五十メガワットの洋上風力プロジェクトを入札する方針を立てて、そのとおり入札が実行されて、二〇二三年には三千五百メガワット全てが完成する予定だというふうに聞いてきました。

 この三百五十メガワットを一つのブロックとして、年間で七百メガワットのプロジェクトを入札にかける。プロジェクトの規模をそろえることで、事業の参入希望者は準備スケジュールが立てやすくなる。間隔をあけてプロジェクトを実施することで、先行するプロジェクトの経験を後続プロジェクトで活用できるというような利点もあるというふうに伺いました。

 我が国においても、促進区域の指定と公募を実施することを機会に、中長期の公募計画を定めて、事前に公表することで、事業者の予見性を高めるべきだ、協会の方からもこういう要望が出ていましたけれども、私もこれはやっていったらいいんじゃないかなと思うんですが、この点はいかがでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年七月に改定いたしました第五次のエネルギー基本計画におきましても、再生可能エネルギーの主力電源化を目指すということを定めているところでございます。その中では、コスト低減と大量導入が期待されます洋上風力というものは大変重要なものだと我々も認識してございます。

 その際、委員御指摘のとおり、事業者の予見可能性を高め、同時に、これにつながる産業の振興及びこれを通じたコストダウンということを図っていく観点からも、再エネ海域利用法を基盤といたしまして、計画的、継続的に導入を進めていくことが重要だというふうに考えてございます。

 その際、エネルギーミックスの再エネの比率ですとか、風力についての導入の目標、さらには、この再エネ洋上風力の、この法律のKPIの五区域といったものはそれぞれございますけれども、これはキャップではございませんで、国民負担の問題、さらには系統制約の問題、地元の御理解、さまざまなところがうまく乗り越えていけるのであれば、これを超えて最大限の導入を進めていきたい、このように考えてございます。

 一方で、具体的な水準の検討に当たりましては、今申し上げましたさまざまな課題、状況、取組についてのまずは情報の収集が極めて重要だと考えておりますので、国による調査の結果も活用しながら、計画的な洋上風力発電の促進のあり方については検討していきたいと考えてございます。

富田委員 ありがとうございました。

 終わります。

赤羽委員長 次に、田嶋要さん。

田嶋委員 立憲民主党・無所属フォーラムの田嶋要でございます。よろしくお願いします。

 きょうは、大臣所信ということで、お願いいたします。

 世耕大臣の所信を先週お伺いしました。肩書が多いですね、大臣。(世耕国務大臣「六つ」と呼ぶ)六つも。一人で大丈夫ですか、大臣。

世耕国務大臣 しっかり務めてまいりたいというふうに思っております。

田嶋委員 大臣ですから、官僚ではないわけだから、細かいことを一々ということではないので、有能であればいろいろと仕事が来るのはいつものことだとは思うんですが、私は、今回のこの大臣所信、昨年の世耕さんの大臣所信も改めて読みました。読みましたか、きょうに備えて。読んでいないですね。今回、まあちょっとがっかりですね、はっきり言って。

 最初の質問なんですけれども、日本経済の今後に関してどういうように御認識されているかということを改めてお尋ねをしたいと思います。

世耕国務大臣 この間の所信表明の中では、最初に消費税率引上げへの対応を挙げさせていただきました。やはり、ことしの政府の一つの課題としては、消費税が上がることによるインパクトをいかに緩和をして、しっかりと日本経済の成長軌道を維持していくかということが足元の一番の課題、ことし一年の所信という意味において、消費税というのを掲げさせていただいたところであります。

 この後も答えていいですか。(田嶋委員「どうぞ」と呼ぶ)

 あと、やはり、今度は中長期的な視点に立てば、経済成長にとっては人口減や少子高齢化というのが大きな壁になってくるということは当然認識をしているわけでありまして、この壁に立ち向かうために、全世代型社会保障の構築ですとかあるいは生産性の上昇ということもあわせて所信表明の中で指摘をさせていただいているところであります。

田嶋委員 経済産業大臣は、以前も申し上げたかと思うんですが、ほかの大臣と少し役割が違うのかなという感じがするのは、未来の飯の種をつくっていく、パイを広げていく、そういうことですよね。分配ももちろん大事なんですが、ほかの省庁とはちょっと違う役割がやはりあるのかなと。私は、難易度は高いと思うんですね。未知、これからのことですから、インダストリー四・〇も含めて、やってみなきゃわからないところがたくさんありますから、任務は重いし、難易度は高いというふうに思います。

 であればこそ、やはり、目の前の消費税、これはみずから、軽減税率も導入するということで、より難易度を上げている感じがするんですが、しかし、安倍総理も国難突破と、たしかそういう言葉を使いましたよね、国難突破内閣というようなことをおっしゃっていました。その国難のうちの一つが、今おっしゃった人口減少、高齢化なわけでありまして、その国難というのは、私の認識は、これからこそいよいよ本格的に迫ってくるという認識なんです。

 目の前の消費税はもちろん触れるなとは言いませんけれども、経産大臣、もう大分長いことやっていますね、官邸時代から含めるとずっとこの安倍政権の中枢におるわけでありますが、これは後世から責任が問われますね。あのときのあの節目の経産大臣が何をしたか、これも後世が評価をすることになろうかと思いますが、やはり国難のある意味クライマックスというか、迫ってくるのはまさにこれからだと思いますよ。

 そういう意味では、私は最初に言わなければいけないのは、日本の状況が今どれだけ厳しい状況に置かれているか、そしてこれから我々が立ち向かっていかなければならない経済の情勢は大変厳しい状況だということがまず最初にうたわれる必要があるというふうに、その心構えが大臣にあるかどうかということを私は改めて問いたいと思います。

世耕国務大臣 私も、海外のエコノミスト、アナリスト等といろいろ議論することもあるわけですけれども、やはりそういう中で、日本がこれから人口が減っていく、人口が減っていくこと自体、世界の国は経験したことがないわけですけれども、人口が減っていく、労働力人口が減っていく、その中でも成長を維持することができるのか、普通はできないでしょう、経済学上はということをよく指摘を受けるわけであります。

 そういう意味では、我々はこれから極めて難しいナローパスを通りながら成長戦略をやっていかなければいけない。しかし一方で、手がないかといったら、そういうわけではなくて、やはり分母を広げていくという政策、生産性を向上させていく、あるいは、今まで日本の場合少しおくれていた女性の労働参加やあるいは高齢者の労働参加といったこともしっかり進めていくことによって、そういった課題を乗り越えていくことは十分可能なのではないかというふうに思っております。

田嶋委員 日本の未来について、経済について、大臣は楽観的ですか、悲観的ですか。

世耕国務大臣 私は、性格的に楽観的なタイプなので、基本的には楽観をしております。

 根拠を言えと言われると、例えば第四次産業革命。第四次産業革命に関する人工知能等の論文の数は、日本はまだ後塵を拝しているところがあるかもしれませんが、一方で、第四次産業革命から生まれてくるいろいろな製品やサービスを使いこなしていく上での社会的ニーズは、逆に、高齢化、過疎化といった問題でたくさん存在をする。必要なところにこそ発明が出てくるわけでありまして、そういう意味で、私は日本の将来は特に悲観はしておりません。

田嶋委員 お互い政治家でありますので、余り悲観的ですとは言えないよね。楽観的で私もありたいと思うんですが、しかし、強い危機感がまず前提にはなければいけないというふうに思います。

 お配りした資料の一番に、改めて、よく見かける、下のグラフでありますが、明治維新以来の、四倍ぐらいの人口増でありますね。しかし、その同じような角度で、私はつるべ落としのようなという印象を持つわけでありますが、我々は生きていないにしても、二〇五〇年で既に四分の三になるんですね。上のグラフでありますが、二〇六〇年になると三分の一の人口がなくなるんですね。誰も人類が経験したことがないようなことを日本は経験する、今、世耕さんがおっしゃったとおりであります。課題が今、目の前に一番ぶら下がっている。

 私も改めて思うんですが、ほかの国と比較すると極端に大きい人口減少なんですね。これはドイツも人口が一割強減るという表になっておりますけれども、日本だけは別格に小さい国にしぼんでいくわけであります。このような状況を見ると、相当強い危機感を持って、経産大臣、この間の国家の運営に経済の側面から取り組んでいかなければいけないというふうに思います。

 それで、よく安倍総理も、自画自賛というか、これは次の質問になりますけれども、政権下での有効求人倍率のことをよくおっしゃいますけれども、これはどのように大臣は御評価されていますか。

世耕国務大臣 基本的には、有効求人倍率が一を割り込んでいるよりは、一を超えていて、仕事が欲しいという人以上に仕事の数があるというのは、経済全体にとってはいいことだろうというふうに思います。

 しかし、一方で、これは当然我々の耳にも入ってくるのは、地方の中小企業を中心に人手不足が深刻である、事業は黒字なんだけれども、人手がないから事業をやめざるを得ないといったような状況も入ってきているのは事実であります。

 そしてまた、我々は、ただ単にそれを手をこまねいているだけではなくて、しっかりとした対策も打っていかなければいけないし、今までも一定程度打ってきているつもりでございます。

田嶋委員 今おっしゃったように、有効求人倍率、一を超えないよりは超えた方がいい、私もそう思います。しかし、全てにはコインの裏表のような話がありまして、片方から見ると、有効求人倍率は大きい方がいいというふうにもとれるわけですが、安倍総理の説明の仕方は、大きければ、大きくなればいいことだというようなニュアンスで常に聞こえるんですね。

 世耕大臣、御存じですか。中小、特に小規模企業の有効求人倍率というのはどのぐらいですか。

 通告していないので、これは。私、今、一を超えたから、超えないよりはいい、そのとおりですが、おっしゃるとおり、小規模企業になってくると、分野によっても違いますが、九とか二桁の有効求人倍率ですね。そういう大きい数字も日本社会にとって望ましいですか。

世耕国務大臣 それは望ましいことではない。業種や規模によって大分違いはあるとは思いますが、望ましいことではないと思っているからこそ、我々政府としてもいろいろな対策を打たせていただいております。

田嶋委員 そういう、まず有効求人倍率に関して政権が発するメッセージというのは、若干私は国民に誤解を与えているというふうに思います。有効求人倍率は大きければいいという話ではなくて、大きいことによって、仕事を探している側ではなくて雇う側から見れば、人が雇えなくて苦しい状況にある企業はたくさんあるんだというふうに、両側から説明する必要があるんだろうというふうに思います。

 そこで、次の質問に行きますけれども、今、生産性の向上の話も出ました。一体、世耕大臣のもとでの生産性を上げるための政策というのは、具体的にどういう取組がなされてきたでしょうか。

世耕国務大臣 日本はヨーロッパに比べても生産性が低い。何となく肌感覚としては、こんなに働いているのになという思いはあるわけですけれども、やはり時間の使い方が悪いんだろうというふうに思っています。

 いろいろな角度から取組をやっています。例えば働き方改革というのも、ある種生産性の向上の一環だと思っています。限られた時間を、今までだとちょっとだらだらしていた面もあるかもしれないけれども、そこをきちっと集中的に、働く時間はしっかり働いて生産性を高めていこうということであります。

 あるいは、今、中小企業のIT補助金、ものづくり補助金、これも生産性を高めていく一環であります。しかも、特にIT化、日本のサービス産業の現場は非常におくれておりますので、なかなかIT補助金だけでは焼け石に水というようなところがありますから、そのIT補助金を使ってうまくいった成果を幅広くサービス産業全体に広げていくというようなプラットフォームをつくるという取組もやらせていただいています。

 また、この間の、去年の通常国会で成立をした生産性向上特別措置法、この中で、特に目玉は規制のサンドボックス制度であります。こういったものを活用して、新たな投資とかイノベーションを生み出していくということも重要だというふうに思っています。

田嶋委員 一個一個の説明を聞くと、悪いとは思わないんですね。

 しかし、今、いみじくも大臣もおっしゃいました。私は、焼け石に水が多いと思うんです。やらないよりはやった方がいいかもしれないけれども、補助金だって、やはり予算制約がありますから、その部分だけ見れば効果はあったと言えるかもしれないけれども、だけれども、全体の今抱えている課題の中で、非常に小さい件数のことが多いじゃないですか、どれぐらい申請件数がありましたかという話も含めて。

 補助金よりは、税制によって、固定資産税のような制度改革も行いましたね。それもかなりな反響だといって、去年も、法人に関する固定資産税の話も事務方からも伺いました。

 しかし、それはある程度やっているかもしれないけれども、日本の直面する生産性の問題に真っ向から立ち向かう、私はそういう感じは印象として受けておらないんです。

 安倍総理の所信、少子高齢化、「世界で最も速いスピードで少子高齢化が進む我が国にあって、もはや、これまでの政策の延長線上では対応できない。次元の異なる政策が必要です。」この総理大臣の施政方針演説でもそのようにうたっておるわけでありますし、なおかつ、昨年の、世耕大臣のここの場での一年前の所信は、生産性という言葉が四回も出てきている。大分何かトーンダウンしているような印象が私はありますよ。

 資料の二をごらんください。

 これは先ほど大臣がおっしゃったことでありますが、経済の成長率というのは人口の増加要因と生産性の要因があるというのはもう当たり前のことでありますが、これを見ると、本当によくぞここまでという感じが私はするんですね。何でこんなに低いんだろうということで、失われた三十年、平成、ずっとそうだということがよく言われるわけでありますが、今や、先ほどから言っている人口減少もいよいよこれから本格化をしてくるということであれば、この生産性の要因、この部分をよほど高めていかなければ、ほかの国並みの成長がないということですね。そうですね。

 下のグラフをごらんください。

 これも非常に残念でありますけれども、世耕さん、課題に直面しているから取り組むんだと言うけれども、もうずっと前からこんな低い生産性なのに、ずっと低いですよ、日本って。本当にこの間何をやっていたのかなというふうに私は思うんです。

 私も十五年間政治家をやっていますが、子ども手当とか高校授業料無償化とか、そういう政策で、人生の早い時期の支援あるいは教育への支援、そういうことを私はもっとやれる国に早くから変えていかなければいけなかったと思うんですが、着手するのが非常に遅い。

 この二つの表とグラフをごらんいただいて、生産性に関する取組は弱過ぎると思いませんか。

 今回の所信で、中小企業に関して三つの点が御指摘がありましたね。より強固に、この屋台骨をと。今は全然強固じゃないと思いますよ。より強固なんというような甘い状況じゃないですよ。

 そういう中で、一つ目、二つ目、三つ目。私も事業承継も大事だと思っていますが、しかし、やはり経産大臣の一番肝心な仕事は、日本の何十年も続いているこの低い生産性をどうやって上げていくかということ、少し補助金をつけたり、ちょこちょこっとやった結果数字がよくなった、そんなふうに喜んでいる事態じゃだめだと思うんですよ。

 ほかの先進国とは違って、人口増による要因はもはや期待ができないんだから、ほかの国とは違う覚悟が求められると思うし、政策も求められると思いますが、世耕大臣、改めて、この第二の表、資料を見ていただいて、どのようにお感じですか。

 それからもう一つ、次の資料をごらんください。

 これは最新の白書から持ってこさせていただきました。小規模企業に特化した白書があるわけでありますが、その中で特に、よく言われる問題の、いわゆる製造業ではない分野、それから、この課題というのは、やはりすこぶる中小企業、小規模企業の課題なんですね、生産性の問題は。そして、やはり非製造業の問題なんです。中には、大企業並みの生産性の小規模企業は一割ある、左側には書いてありますけれども、しかし、ここ、ちょこっと意欲のあるところに補助金をつけるようなレベルじゃないですよ、日本。これから本当に、私は奈落の底に落ちるような国になるんじゃないかという危機感を持っているんです。

 大臣、その危機感を共有していただいていると思いますが、どう思いますか。

世耕国務大臣 今資料でお示しいただいているグラフは、まさにもう数字で結果が出ているわけですから、日本はこの生産性向上に、はっきり言って、過去うまくいってこなかったということだと思っています。

 我々は何も、補助金をちょこちょこつけて済まそうなんということは全く思っておりません。

 生産性向上というのは、何か一つの政策で大ホームランが出るような話ではないと思っています。いろいろな分野から、先ほども少し言及がありましたけれども、教育だって重要ですね。教育に対する投資もしっかりと行っていかなければいけません。あるいは、我々、税制でも、利益が上がっているのに積極的に設備投資をしないような企業に対してはもう税制上の特例を取り上げるというような大胆な仕組みも取り入れて、企業が企業の中にたまっているキャッシュをしっかり新たな分野に投資をするような取組もやってきています。

 そもそも、生産性を上げていく上で一番重要なのは私は企業の投資だと思っていますけれども、企業が投資をしてこなかったというのは、ある意味、サラリーマン経営者がずっと四年か六年で定期的に交代してということですから、やはりそこを改めるためにはコーポレートガバナンス改革が重要だということで、これは安倍政権になって大分取り組んできて、かなり成果も上がってきているというふうに思いますし、もっと短絡的に生産性を上げようと思ったら、給料を上げることが重要でありますので、賃上げにも熱心に取り組んでいる。

 ありとあらゆる政策を多面的に取り組んで生産性を上げていくということが、何よりもの方法ではないかというふうに考えています。

田嶋委員 補助金しかやっていないとは申し上げておりませんけれども、更に踏み込まないと、時間がないと思います。

 と同時に、二〇〇四年以後、人口ボーナスから人口オーナスに転じたわけですから、まさに今までとは全く違う。そういう意味では、総理がおっしゃっているとおりです。今までとは全く違う局面に入ったわけです。日本も経験していない、何十万人ずつ人口が減る時代、なおかつ労働人口が更に大きく減っていく時代ですから、世耕大臣には、いろいろやっている、そのことを評価していないわけじゃないですが、私はきょうはもう一つ提案をさせていただきたいというふうに思います。

 資料の四をごらんください。

 最賃であります。今、給料を上げるということをおっしゃいました。それをやっていらっしゃるのはもちろん存じ上げておりますが、きょうは特に最低賃金のことに関して、私自身も御提案をさせていただきたい。

 上の表、日本は人材評価は非常に高いわけでありますが、まずは下の表をごらんいただきたい。生産性の議論を今してまいりましたが、生産性とその国の最賃には、かなり強い、はっきりとした相関性があるというグラフでございます。ドイツもイギリスもフランスも、そしてお隣の韓国も、日本よりは最賃がかなり高いわけであります。日本は、この狭い国土で各県単位の最賃、なおかつ、世耕さんが所管大臣ではないというところが私は問題だと思っているんですね。

 そして、私が先ほど申しました、人口ボーナス時期が終わって人口オーナスの時期に入っている。人口ボーナスの時代には、失業者をふやさないという目的の社会政策としての最賃政策であったから、それが私は厚生労働省の所管にあるのはある意味自然かなと、失業者を吸収するための雇用をつくるということで。

 しかし、今は人がいないといって大変な状況にあるわけですから。私は、これは質問通告には入っていませんけれども、世耕大臣のもとで、経済政策としての最賃、最賃を経済政策のツールとしてこれからは取り上げていかなければいけないのではないか、そういう問題意識を持っております。

 ここに、懐かしい、二年前の、「すべる経産省」という雑誌も、出てきたので持ってきましたけども、要は、視野狭窄に陥っているんじゃないか、昔の経産省はもっと日本の政策全体を見ていた、日本の経済全体を見ていた、だけれども、今は役所の非常に閉じた部分だけでとどまっているんじゃないか、こういう御指摘があるわけでありますが、私は、今、厚生労働省の所管かもしれないけれども、今こそ、人口オーナスの時代に入った今こそ、経済政策ツールとしての最賃政策ということを考えるべきではないかというふうに思います。

 もう一つ、この上のグラフをごらんください。これはまさに格差の象徴じゃないですか。アメリカと日本、一人当たりGDPに対する最賃の割合が極めて低い。そういう国なんですよ、日本は。これはもうファクトですから。世界に比べて非常に見劣りする。

 この二つの状況、生産性とやはり連動するのが最賃であるし、そして、格差の大きい原因をつくり出しているのも最賃である。最賃を上げているのは知っていますよ。一年間に三%という目標を立てているようでございますけれども、私は、経済政策として、経産大臣のもとにこの最賃制度を置いて、そしてもっと高いスピードで最賃を上げていかないと、日本はもたないんじゃないかという問題意識を持っておりますが、いかがですか。

世耕国務大臣 以前の経産省のことはさておき、私が経産大臣になって以降は、経産省の中に閉じるのではなくて、積極的に、他省庁の関与しているところも取り組んでいこうということで、例えばリカレント教育なんかは、これは厚生労働省と連携をして、経産大臣が認定した講座に厚生労働省から補助金が出るというような仕組みもつくらせていただいているところであります。そういう姿勢が、一方で、霞が関では、領空侵犯といって嫌われる面もあるんだろうというふうに思います。

 私も、最低賃金を、これは制度としては厚生労働省の所管でありますけれども、経産省としてもしっかり取り組んでいかなければいけないテーマだと思っています。

 今、現場の中小・小規模事業者から上がってくる声は、最低賃金ではもう人は雇えない、現実問題として、そういう悲鳴に近いような声も上がってきているわけでありますから、我々の役割としては、やはり生産性の向上をしっかりすることによって、中小企業の経営環境の改善をしっかりやって、高い給料が払えるような、賃上げが中小企業も小規模事業者もしっかり行えるような環境をつくっていくということが経産省の果たすべき役割、それに後から最賃がついてくるというような状況が重要だと思っています。

 最賃だけをいじると、今お隣の韓国も大変なことになっているわけでありまして、我々はやはりそういう環境整備を経産省が先頭に立って頑張ってまいりたいと思っています。

田嶋委員 そういう悲鳴のような声が出ているんだったら、チャンスだと思いますよ。最賃で雇えるような状況じゃないということを、中小企業の経営者の方から悲鳴が上がっているんだったら、まさにこれはチャンスだし、最賃が低過ぎるということですよね。

 だから、今までは、今の最後の表現だと従属変数だということですよ。結果として最賃が上がってくればいいということですけれども、私が提案しているのは、そうじゃない、逆なんです。最賃をさわることが必要だということと、もう一つは、世耕さん、今勝手におっしゃいましたが、最賃だけさわるということを私は提案していないんですよ。その次にリカレント教育の話もしますから、セットで。

 だけれども、私は、結果として最賃が上がっていく社会じゃなくて、韓国の悪い例ではなくて、イギリスの成功事例を少し研究するべきじゃないかなというふうに思っております。ブレア政権の、教育、教育、教育というふうに始めた二十世紀の終わりの十年間は、実は、そのセットで最賃の制度の導入があった。九九年から毎年四・一二%ですか、ずっと上げ続けてきているんです。今の安倍内閣の目標と一%以上の差があったら、これは十年たったら大きな差ですよ。

 これをやはり本来は、我々が、こうした人口オーナスの時代に入ってきたころから導入しておけば、今既に十年も二十年もたっているわけでありますから、その間に大変大きな生産性のアップができたかもしれない。

 これはあくまで、先ほど申したとおり、未知との闘いでありますから、経産省の仕事は。しかし、世耕さん、これはやはり、補助金やいろいろなことに手を尽くしているけれども、まださわれていないのが私はここではないかと思いますよ。

 自民党の中にもたしか最賃の議員連盟が最近立ち上がったようであります。そして、厚生労働省の課長さんが変な発言して、すぐ官房長官が撤回したみたいな話も聞きましたけれども、しかし、これはやはりそういう時期に来ているんです、そういう時期に来ている。

 業界ごとの最賃なのか、しかし、地域単位の最賃なんてそんなに多いわけではないですね、アメリカと日本のような。やはり一国全体での最賃にすれば地域経済にとっては大きなプラスになる。一極集中が日本の大きな課題であれば、私は、全国均一の最賃ということも研究に値するし、しかし、何よりも一番大切なことは、もう少し上げていくスピードを速めなければいけない。一千円ということの目標では私は低過ぎる。先ほどのこのグラフを見ていただいても、一千円になったって相当低いんですよ、日本は、世界の標準からして。

 したがって、その辺を私は意識をして、これから生産性アップの、この最賃に関する検討を本格化していただきたいというふうに思いますが、改めて大臣に御決意をいただきたいと思います。

世耕国務大臣 私も、地元の和歌山の経済の状況を見る限り、全国一律の最賃というのはなかなか大変なんじゃないか。これは中小企業の経営に直結してまいりますので、ここはやはり、私は、ある意味急がば回れみたいな感じになるかもしれませんけれども、中小企業の生産性を高めて、いい給料が払える環境をしっかりとつくっていくということが何よりも重要。

 その前提として、やはり人への投資ということも考えていかなければいけないし、これは単なる学校教育の段階ではなくて、経営者がみずからの会社に所属する人材に対して教育投資をしていくというような考え方も重要なんだろうというふうに思っています。

田嶋委員 さっき、どなたかの委員のときに、ゾンビ企業という言葉を言われましたね。宮沢大臣のときも私もこの議論を少しさせていただいて、お互いに、大臣と、こういう話は地元に帰ると余り言いにくいよねと言っていましたよ。

 確かに、中小企業、いろいろ御支援もいただいているし、いろいろ親しくさせていただいているから、中には頑張っている中小企業もある、ゾンビだというような感じもあるかもしれない。しかし、私は、事ここに至って、非常に日本はこれから危機的な状況に直面すると思いますよ。それを申し上げているんです。

 大臣は相当長い期間やっていますから、もう相当わかっているわけですよ、いろいろな状況。いろいろな手段を今まで講じてきているのはわかっているけれども、これで本当にいいんですか。いまだに先進国とは思えない生産性なんですよ、この国は。

 そして、どの辺に問題があるかわかっているんですよ。大企業じゃないですよね。中小・小規模企業のあたりに問題がある。しかも、製造業よりサービス業に問題がある。わかっているんですよ。

 そして、従属変数なんですかと。最賃は結果として最賃がついてくるものだという考え方の逆張りをしたのがイギリスの事例なんですよ。成功事例があるということを申し上げているんです。韓国は、いきなり二桁の最賃引上げをして失敗しているんですよ。だから、そこは、別に最賃だけさわれと言っていないですから、最賃だけ。

 そして、最後に一問質問ですけれども、資料五をごらんください。

 これも本当に、日本は何でこんな国になっちゃったのかと、私、本当に悲しい。リカレント教育、そんな横文字使わなくたって、子供の数が減っていくんだから、大学、これから日本じゅう空っぽになりますよ。留学生入れるといったって追いつかない。もうこれからの常識は、社会人になってもう一回大学に戻ることでしょう。奥さんもやりましたよね。おめでとうございます。

 そういう状況の中で、何ですか、これ。話にならないよね、日本って。私、本当に、何でこんな、教育立国だったはずの日本が、気がついたらもう先進国じゃないんですよ。私は、この一月から日本のことを先進国と呼べないと思っているんですけれども。

 私は、最賃を上げるのとセットで、リカレント教育、さっきやっているとおっしゃったけれども、これもまた、なんちゃってということじゃないんですか。やっているふり。少しはやっている。だけれども、これは本格的に、人によっては、義務化しないと無理だという話もありますよ。義務化していなかったら、やった人が引っこ抜かれるという、いわゆるフリーライドが起きるから、人材の。

 そうじゃなくて、全ての、何十代、四十代、五十代、そういうリカレント教育を義務化していくようなことも含めて、この恥ずかしい国際比較、せめてOECDの真ん中ぐらいに、社会に出た人が学び直す、これができないから日本は生産性が上がらないんじゃないですか。特に中小企業の生産性を上げるために、私は、最賃とセットで、このリカレント教育の圧倒的な強化がこの国には必要だと思いますが、最後に大臣、御答弁をお願いします。

赤羽委員長 申合せの時間が経過をしておりますので、簡潔によろしくお願いします。

世耕国務大臣 リカレント教育は大変重要ですので、我々、いろいろなメニューをつくって取り組んでいます。

 ただ、今議員御指摘のこのグラフに出てきているような大学院への進学率とかそういったテーマになってくると、やはり日本社会全体の価値観を変えていかなきゃいけないという面もあると思いますよ。新卒一括採用で定年まで勤めるという文化ではなくて、途中でやめて、スキルを身につけて、また別の会社に就職するというような習慣を根づかせていくということも重要で、これは経産省だけでできることではありませんので、これも大きな問題としてこれからも取り組んでいきたいと思います。

田嶋委員 おっしゃるとおりです。一括採用は問題だとずっとおっしゃる大臣ですから、それも含めてやってくださいよ。すべる経産省じゃない形で、頑張っていただきたいと思います。

 以上です。ありがとうございます。

赤羽委員長 次に、斉木武志さん。

斉木委員 国民民主党の斉木武志です。

 きょうは、原子力のバックエンド、特に今、私の地元の福井県の美浜、おおい、高浜など立地市町で、ドライキャスクによる暫定貯蔵を受け入れてもいいのではないかというような声が上がり始めておりますので、この乾式貯蔵の抱える課題について、世耕経産大臣、そして担当の霞が関の担当者と議論したいというふうに思っております。

 まず、その前提として、世界のバックエンドの潮流について確認をしていきたいというふうに思います。

 日本の原子力規制行政の範となっているのは、一つはアメリカがございますけれども、アメリカでは、最終処分場としてユッカマウンテンを長年模索をしてきた、ただ、今頓挫をしているというふうに承知をしております。このユッカマウンテンがなぜ頓挫をしているのか、担当者、お聞かせ願えますか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 米国における最終処分場の選定につきましては、一九八二年から候補地の絞り込みを開始いたしまして、二〇〇二年には、ネバダ州のユッカマウンテンを処分場とする計画をアメリカとして正式に、公式に策定をしてございます。

 その後、政権交代がございまして、前政権、オバマ政権時代に計画を中止としたものの、現政権におきましては、このユッカマウンテンにおける計画を継続する方針を示してございまして、現在、二〇二〇年度の予算における関連予算の確保に向けた取組が具体的に進められているというように承知してございます。

斉木委員 地方議会レベルでたしか反対があったので、それは多分、連邦政府の言い分だと思うんですが、現状、地方議会で反対があってうまくいっていないというふうに聞いておるんですが、どうでしょうか。

村瀬政府参考人 御指摘のとおり、地方の、このネバダ州におきまして反対の声もありまして、こういったようなことも踏まえて前政権時代には計画を中止したというふうに承知してございますが、現政権におきましては、こういった地元の声も踏まえつつ、引き続きこの計画を継続する方向で取り組んでいくという方針を示しているというふうに承知してございます。

斉木委員 ただ、事実上、地元、日本も各県知事さんの同意がないと再稼働できないという状況ですので、やはり、地元議会、ネバダ州議会が同意をしなければユッカマウンテンを最終処分地とすることはできないと私は思うんですけれども、どういう理解でしょうか。

村瀬政府参考人 まず、再稼働について地元の同意というものが必要条件ということになっているわけではないと思います。

 アメリカの制度の詳細について持ち合わせておりませんけれども、現政権としては、そういった地元の理解をしっかり得ながら進めていきたいというふうに考えているものと承知してございます。

斉木委員 アメリカでも、最終処分が決まらないということは、いわゆる暫定貯蔵という名の事実上の一番お尻の部分の貯蔵が行われていると思いますが、それは、燃料プールと、そしてドライキャスクでのものが併用されていると思います。

 で、実際に、ドライキャスクというのはオンサイト、施設内に置かれているのか、それとも施設敷地外、むつのような中間貯蔵施設で行っているのか、どのような現状ですか。

村瀬政府参考人 アメリカにおきましては、使用済み燃料は、一つには各発電所サイト内のプールで貯蔵されておりますが、各サイトにおける乾式貯蔵施設での貯蔵も進められておりまして、一部でございますけれども、施設外、サイト外での貯蔵も行われているところでございます。

斉木委員 現実としては、なかなか最終処分場が地元の反対で進んでいないので、各発電所のサイト内であるとか敷地外の中間貯蔵施設、そしてまた、まさに構内の燃料プール、こういったところに使用済み燃料が置かれているという現状ということです。

 もう一つ、ヨーロッパの例も聞きたいと思います。

 ドイツは原子力発電から撤退を決定いたしましたけれども、ドイツも、ゴアレーベンを最終処分場として考えていたけれども、これもうまくいっていないというふうに聞いておりますが、どのような理由でこれは進んでいないんでしょうか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 ドイツにおける最終処分場選定につきましては、御指摘のとおり、一九七九年からゴアレーベンでのサイト調査を実施してまいりましたけれども、二〇一二年にはゴアレーベンでの調査は中断されてございます。これは、やはり御地元の反対があったといったような背景の中で中断されているものでございますけれども、二〇一三年には新たな関連法制度も整備されまして、この新たな法制度に基づく選定プロセスが二〇一七年から開始をされておりまして、現在、その新しいプロセスのもとで処分場の選定に向けた取組が進められているものと承知してございます。

斉木委員 アメリカの例、そしてドイツの例を聞いておりますと、最終処分、アメリカもドイツも、たしか直接処分を採択している国ですので、やはり最終処分地となると、どうしても地元の反対に遭ってなかなか立地選定が進まない。これは世界的な現状だろうというふうに思っております。

 日本も同じです。最終処分地というものは、全く今検討というか、全く当てもない、今まさに模索をしている、ずっと模索をしているというのが日本の現状だと思います。

 そういう中で、福井県も大飯、高浜が再稼働しまして、関西電力さんは、旧年中の県外への中間貯蔵施設の候補地選定を約束しながら果たせなかったということで、では、暫定的に県内に置くには、規制委員長も、プールよりは乾式の方が、ドライキャスクの方が安全だということを発言しておりますので、地元の美浜、おおい、高浜等の町長さんが、プールよりも乾式、ドライキャスクで暫定的に貯蔵することも検討するべきではないかというような発言を相次いで最近なされているところでございます。

 一方で、これをしてしまうと、やはり、ネバダ、ユッカマウンテンであるとか、そしてドイツのゴアレーベン、アメリカやドイツのように、その発電所のある地域、立地市町が暫定貯蔵という名の核の最終処分場になってしまうのではないかという懸念も当然出てくるわけでございます。

 これに関しては西川県知事もいろいろ発言をしておりまして、そもそも、西川県知事の発言では、福井県は一九七〇年に原子力発電所、日本原電の敦賀、そして関電の美浜が運開したわけですけれども、これを、原子力を受け入れるというふうに同意した際に、福井県は原発の発電はする、けれども更地にして戻すんだという約束があるんだということを何度も発言をされております。

 要は、今の青森県のように、持ち込むけれども最終処分地にはしないんだという約束があるというふうに西川知事は何度も会見等で発言をされておりますが、こういった青森県のような覚書であるとか協定であるとか約束であるとか、関西電力、日本原電等の事業者と、若しくは国と福井県との間で、一九七〇年、この原子力を受け入れてから今日まで、県外搬出、使用済み核燃料をですね、そういったような約束や覚書はあるんでしょうか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 福井県と国との間で、御指摘のような、最終処分場にしないという趣旨の約束を結んだとの事実は承知していないところでございます。

 その上ででございますけれども、委員御指摘のように、西川知事が、最終的には更地にして返していただくというような御発言をされているというようなことは承知してございます。

 そのような中で、事業者が策定をいたしまして国に報告しております使用済燃料対策推進計画におきましては、関西電力は、福井県外における中間貯蔵に取り組む旨を公表しているところでございまして、これは社長もその旨述べているところでございます。

 したがいまして、関西電力においては、その計画に従ってしっかり使用済み燃料対策を推進するものと認識してございまして、国としても、それが進むように取り組んでまいりたいと考えてございます。

斉木委員 ただ、そもそもの事の起こりは、旧年中でしたね、二〇一八年中に福井県外の中間貯蔵施設を選定し福井県に対してお示しをするというのが関電の岩根社長がおっしゃっていたことでした。それが果たせなかったから、今、暫定的にどうしようかという話が出てきているのではないですか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 御地元でどのようなやりとりがあったかについては承知をしていないところでございます。

斉木委員 それはちょっと無責任な答弁ではないかなと思いますね。

 まさに、バックエンド、使用済み核燃料をどうやって持っていくのかというのは、六ケ所村が稼働していない状況で、再処理もできない状況で、全国の原子力の立地市町が抱えている大きな課題なんですよ。それを、地元のやりとりを承知していないって、四基も動いている自治体ですよ。日本の半分が動いている自治体と電力会社で、何で、把握していないというのはちょっと無責任じゃないですか。

村瀬政府参考人 申し上げた趣旨は、個別の会社と自治体とのやりとりの詳細を存じ上げていないという趣旨で申し上げたわけでございまして、我々といたしましては、先ほども申し上げましたとおり、関西電力が、福井県外における中間貯蔵に取り組むといったことを社長の会見において公表しているということは承知してございますし、それをベースにしっかりと御地元とお話合いをしていく、それから、地元とお約束したことはしっかり果たしていくべく会社が取り組むように我々としても取り組んでいきたいと考えているところでございます。

    〔委員長退席、富田委員長代理着席〕

斉木委員 立地県との関係でいいますと、これは青森県との例も私は参考になるというふうに思います。御存じのように、六ケ所村を受け入れている、そして、むつの中間貯蔵施設を受け入れていただいている。

 そもそも、こういった核燃サイクルであるとか、むつの中間貯蔵施設を受け入れるときに、青森県と国や事業者との間ではどのような協定、覚書があるんでしょうか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 青森県と政府、経済産業省との間では、青森県を最終処分地にしないという約束がございまして、引き続きこの約束は遵守していきたいと考えてございます。

斉木委員 福井県民としては、十三基の商用原発があり、今、「もんじゅ」の廃炉作業が行われ、「ふげん」も今また廃炉作業を行っている。十五基の高速炉であるとか商用原発を抱えている自治体です。そういったところが、関電さんが県外に候補地が見つからなかったという去年の会見がありました、十二月末に。そうしたら、もう福井県が今後、事実上の、暫定貯蔵という名の最終処分地になっていってしまいはしないかという、県民は当然懸念を持つわけですね。

 そういったときに、西川知事は、いやいや、約束があるんだ、会社や国と約束があるんだ、更地に戻すんだ、福井はごみ捨場にはしないという約束があると何度も何度も会見でおっしゃっているんですが、先ほど国とのことはおっしゃいましたけれども、これは対事業者、例えば、関電や原電と福井県、そして経産省と福井県、こういった関係の中で、そういった約束や覚書、口頭でもいいですけれども、そういったものは一切、福井県をごみ捨場にはしないんだという約束は存在しないということでよろしいんですか。

村瀬政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、福井県と国との間で、御指摘のような、最終処分場にしないという趣旨の約束を結んだ事実は承知していないところでございます。

 他方、その上で、こちらも繰り返しになりますけれども、関西電力は、使用済燃料対策推進計画において、県外における中間貯蔵に取り組むという旨を公表しているところでありますし、使用済み燃料につきましては、現時点で中間貯蔵されているもの、今後発生するものが貯蔵されるものも含めまして再処理をしていくという方針でございますので、この使用済み燃料は、六ケ所再処理工場が竣工いたしましたら、そちらに搬入されて、再処理をされて、最終処分のプロセスに向かっていく、こういうことになっているわけでございます。

斉木委員 ということは、国と福井県との間で、そういう最終処分地にはしない、県外搬出をしますという約束はないということです。

 じゃ、関電や原電との間でも、今、努力は言いましたけれども、そういった、最終処分地にはしない、全て県外に搬出しますという約束、書面でも口頭でも交わされていないということですね、一九七〇年から今日までないと。

村瀬政府参考人 我々として、承知しているものはございません。

斉木委員 それを聞いてしまいますと、青森県であれば、経産省、国と青森県、自治体との間で最終処分地にはしないという明文の協定があるというふうにおっしゃいました。

 一方で、福井県、まさに代表的な立地地域、原子力発電の集中地域でございますけれども、そういった地方自治体と国との間ではないし、そして事業者との間でもないということになると、これはどうしても、搬出する最終処分地が決まらなければ、たとえ六ケ所村が稼働したとしてガラス固化体ができても、ガラス固化体を埋める最終処分地が決まらなければ、結局、六ケ所村にも持っていけないことになります。

 ですので、二〇二一年以降、あそこが竣工して以降も、最終処分地が決まらないと、どうしても、各発電所内、原発の敷地内にどんどんどんどん使用済み燃料はたまっていくことになりますので、やはりそこが最終処分場になってしまうのではないかという国民全体の不安は、これは福井県だけではなくて生まれてくると思うんですが、その立地地域の住民の方の不安の声にはどうお応えするつもりですか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 使用済み燃料は、二〇二一年上半期に竣工予定の六ケ所の再処理工場に持ち込まれることになってございます。したがいまして、国としては、事業者、原燃が六ケ所の再処理工場の竣工を予定どおり進められるようにしっかりと指導していきたいと思いますし、事業者としてもしっかり取り組んでいただきたいというふうに考えてございます。

斉木委員 私がまず言ったのは、六ケ所が動いて、二〇二一年に竣工するのは申し上げましたが、動いても、ガラス固化体が順調につくれたとしても、ガラス固化体を持っていく最終処分場がなければ、いずれ六ケ所もいっぱいになるわけです。ですので、最終処分場がない限りこのごみ問題は解決しなくて、やはり、各サイトで、使用済み燃料を生産している発電所のある地域の不安には応えられないんじゃないかと思うんですけれども、それはお答えをお持ちじゃないんですか。

村瀬政府参考人 国の方針としましては、再処理を行って、ガラス固化体という形で、最終処分場を見つけてそこに最終処分していくという方針は明確にしているところでございます。

 そういったことをしっかり御説明をしながら、御地元の不安にもお応えしていきたいと思いますし、昨年閣議決定いたしましたエネルギー基本計画におきましても、使用済み燃料対策を抜本的に強化し、総合的に推進していく方針、それから、全体としての貯蔵能力を拡大して政府の取組を強化していくといったような方針を明確に打ち出しております。

 こういった取組の中で、しっかりと御地元に安心感が生まれるように前進を見せていきたいというふうに考えてございます。

斉木委員 世耕経産大臣に聞いておりませんので、世耕経産大臣にもお聞きしたいと思います。

 まさにこういった福井県のような立地地域を核の使用済み燃料のごみ捨場にしない、最終処分場にはしないんだというお覚悟をお聞きしたいんですけれども、経産大臣としてどう臨まれますか。

世耕国務大臣 使用済み燃料の貯蔵については、その発生者である事業者の責任において安全に保管できるよう、そして、立地自治体などを含む関係者としっかりコミュニケーションをとりながら適切に取り組んでいかなければいけないと思っています。

 その上で、経産省としても、関西電力を含む事業者が策定をしました使用済燃料対策推進計画が着実に実現されるよう、使用済燃料対策推進協議会を開催をしているところであります。

 この中で、私自身も、関西電力を含む全ての原子力事業者のトップをこれまで三回にわたって経産省に招集をして、直接、具体的な取組を着実に進めるよう要請をしているところであります。

 さらに、使用済み燃料の貯蔵能力や貯蔵量に応じた額が立地自治体に交付される交付金制度を整備するなど、使用済み燃料対策も推進をしてきているところであります。

 引き続き、関西電力の取組も含めて、使用済み燃料対策がしっかりと進むよう、国としても取り組んでまいりたいと思います。

    〔富田委員長代理退席、委員長着席〕

斉木委員 今、交付金制度についても言及がありましたので、お聞きしたいと思います。

 やはり、乾式貯蔵を暫定的にやるということであれば、当然、受け入れていただく地元に対する交付金というのも必要になってくるというふうに思うんですが、現在、乾式貯蔵に対する交付金制度、私は、これはプールでウエット、湿式貯蔵するよりも優遇されている、優遇を二年前か三年前にしたと聞いておるんですが、どのような交付金制度になっていますか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘いただきましたように、二〇一六年より支援を強化しているところでございまして、内容といたしましては、使用済み燃料の貯蔵能力や貯蔵量に応じた額が使用済み燃料を貯蔵する立地自治体に交付される交付金制度を整備しているところでございます。

 具体的中身を申し上げますと、原子力発電所敷地内での乾式貯蔵につきましては、立地市町村に対しまして、貯蔵能力一トン当たり四十万円、貯蔵量一トン当たり二十万円を限度額として交付する制度を整備しているところでございます。

斉木委員 それは、燃料プールよりもドライの方が優遇されているということですか。

村瀬政府参考人 プールでございますと、貯蔵能力一トン当たり十七万円、貯蔵量一トン当たり十三万円となりますので、乾式貯蔵の方がいわゆる交付金支出額が大きくなるということにはなります。御指摘のとおりでございます。

斉木委員 二〇一六年に、そうしたドライを優遇するという方向にかじを切ったということだと思いますけれども、そういう理解でよろしいですね。

村瀬政府参考人 御指摘のとおりでございまして、乾式貯蔵につきましては、特に、維持管理の容易さ、設置場所の柔軟性の高さ、それから輸送の利便性などにすぐれているということから、二〇一六年四月から重点的な支援をするという方針になりまして、先ほど申し上げたような制度というのに改めさせていただいたところでございます。

斉木委員 先行的に今、愛媛県の伊方であるとか佐賀県の玄海、そして静岡県の浜岡、こういったところでも、ドライの敷地内貯蔵を事業者が申請してきているというふうに思います。これは恐らく、その二〇一六年にドライキャスクでの貯蔵を優遇するということで、やはり地元もある程度柔軟になって、そのような経緯になってきているというふうに思いますけれども、そういう理解でよろしいですか。

村瀬政府参考人 御指摘いただきましたように、日本原電東海第二では既に乾式貯蔵を行っておりまして、それから浜岡発電所では新規制基準適合審査を対応しているところでございます。それに加えまして、二〇一八年の五月に伊方、ことし一月に玄海が設置を申請してまいりまして、その背景には、こういった交付金制度があったことも一つの要因になっていると思います。

斉木委員 更田原子力規制委員長は、やはりドライの方が圧倒的に安全性が高いというふうにおっしゃっておりますけれども、これは、国としても、ドライの方が圧倒的に安全で、今後も推進していくんだというお考えなんでしょうか。

山田政府参考人 規制の立場でございますので、推進するかどうかというところについて、ちょっとお答えがしにくいところでございますけれども、更田委員長がいつも申し上げておりますのは、プールで貯蔵する場合とそれから乾式キャスクで貯蔵する場合において、この比較においては、乾式キャスクで貯蔵する方が安全性としてメリットが大きい、そのように説明させていただいております。

斉木委員 世界の潮流としてはどうでしょうか。プールよりもドライという流れになってきているんでしょうか。

山田政府参考人 私が承知している範囲で申し上げさせていただきますと、国際的には、どちらがより選択されているかというような、優劣は存在していないというふうに承知をしております。

斉木委員 実際、資源エネルギー庁の補助制度、交付金で、二〇一六年からそういうふうに優遇を、傾斜配分をして、ドライの方を厚く交付金制度をつくっているということですので、これはそちらの方向に誘導しようということですが、今後もそういった傾斜配分は続けていくということでよろしいですか。

村瀬政府参考人 今後のことにつきましては、現在の運用の状況も踏まえて、慎重かつ丁寧な検討を行った上で考えていきたいと思っております。

 ただ、先ほど規制委員会の方からも規制的観点で話がありましたけれども、プールはプールの特性もありますので、どちらだけがすぐれているということではないのではないかというふうに考えてございます。

斉木委員 ドライでも一旦冷やすためのプールは必要なので、それは、ずっと置くかドライに移行するかということの問題だということは私も承知しております。

 事ほどさように、最終処分場が決まっていない、アメリカもドイツも、世界でほとんど決まっておりませんので、日本もですけれども、発電所のある地域の住民からは、結局持っていくところがないので、事実上、発電所を引き受けている我々の地域が使用済み燃料も半永久的に負わなきゃいけないんじゃないのか、やはりそういった懸念が非常に強いですので、ぜひ、そうはならないんだ、覚書はないけれども、そうはさせないんだという決意を最後にお聞かせ願えますか。

世耕国務大臣 使用済み燃料については、現時点で中間貯蔵されているもの、あるいは今後貯蔵されるものも含めて再処理を行うということが日本の基本的な方針でありまして、これは閣議決定されたエネルギー基本計画にもその趣旨が盛り込まれているわけであります。また、再処理の工程で発生した高レベル放射性廃棄物については、ガラス固化体にしていずれ最終処分をすることになるわけであります。

 ですので、使用済み燃料が乾式貯蔵施設で保管されたからといって、そのまま永久保管されるということは政府としては想定をしておりません。

斉木委員 ありがとうございました。

 終わります。

赤羽委員長 次に、浅野哲さん。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。

 本日は、大臣所信に対する質疑をさせていただきます。

 私、本日、六十分間の時間をいただいておりますので、きょうは大きく二点、キャッシュレス決済の促進とポイント還元事業についてと、あとは知的財産権の活用促進に向けた知財紛争処理システムのあり方について、この二つのテーマで質疑をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 私も先週大臣の所信を伺っておりまして、最初に、ことしは消費増税対策、全世代型社会保障という項目で大臣の方から所信がありました。その中で、ポイント還元の部分については、思い切ったポイント還元を行うと。この思い切ったという言葉がついていたのがとても印象的だったんですけれども、これはちょっと通告はしていないんですが、思い切ったポイント還元、どのような思い切りがそこに含まれているのか、御見解をお伺いします。

世耕国務大臣 まさに、この消費税に伴う駆け込み需要、反動減対策という意味であれば普通は二%というのが相場感だろうと思うわけですが、今回はそれをあえて五%還元というのは、それも国が行う、これはなかなか前例のないことであります。その思いは、もちろん需要の平準化対策という趣旨もありますが、一方で、世界に比べて大変おくれているキャッシュレスを日本で一気に進める、そういう決意も込めた政策という意味で、思い切ったという表現を使わせていただいております。

浅野委員 ありがとうございます。

 需要平準化、キャッシュレス促進のために思い切ってやるというその姿勢自体は私もとても歓迎をすべきだと思いますが、今回はこの思い切りによって二%と五%、複数のポイント還元率を設定したことが一部現場の混乱を招きかねないのではないか、そういった懸念も含めて質疑をさせていただきたいと思います。

 まず冒頭、再び大臣にお伺いしますけれども、改めまして、このポイント還元事業の目的について、今少し御説明をいただきましたが、御説明をいただけますでしょうか。

世耕国務大臣 まず一つは、駆け込み需要、反動減の平準化というのが一つの目的であります。

 もう少しそこを詳しく申し上げますと、実は、今回、需要の平準化という視点から、五%から八%に上げたときと比べてちょっとガイドライン上の対応を変えているところがあるんですね。それは何かというと、五から八に上げるときは、我々は非常に価格の転嫁ということを重視しましたので、セールとかは基本的にはだめよという姿勢でありました。ただ、今回は、やはり需要の平準化ということを考えたときに、十月一日を契機にセールとかポイント還元というものはやってもらって結構ですというガイドラインになっています。ただし、消費税もらいませんとか消費税返しますはまずいですけれども、それ以外、十月一日を契機に何らかのセールやポイント還元を行っていただくということは構いませんというガイドラインを出しております。

 そうしますと、資金力のある大手はみずからの力でセールとかポイント還元を行う可能性が高いわけですけれども、一方で中小・小規模事業者の小売店等はなかなかそういったことについていけない、そこをまさに今回このポイント還元制度によって支援をすることによって、中小・小規模事業者であってもセールなどに対応できるということも目指しております。

 それとあわせて、今、日本はキャッシュレス比率が、全支払いで、クレジットカードを入れたとしても二〇%です。お隣の韓国は九〇%です。中国は地方部も含めて全国平均で六〇%まで行っています、都心部ではもうほぼ一〇〇%と言われています。ここのキャッシュレスにおくれているという状況をやはり改善しなければいけないというのも、大きな政策目的ということになります。

浅野委員 ありがとうございました。

 今、消費増税の際に示すガイドラインの中身が変わったことについても触れていただきました。

 ということは、次の質問に行きますけれども、今回のポイント還元事業というのはこのガイドラインの変更に伴うものであると。このガイドライン自体は増税の際の市場の対応方針を示したものでありますから、もし仮にことしの十月に消費増税が延期された場合に、このポイント還元事業というのはやらない、こういう理解でよろしいでしょうか。

世耕国務大臣 なかなかちょっと私レベルで仮定の御質問にはお答えしにくいところがあるわけでありますけれども、今御指摘の消費税増税に伴うガイドラインへの対応という側面と、一方でキャッシュレス促進という側面、両方がある大きな政策なのかなというふうには思っておりますけれども、消費税率を引き上げることができる経済環境をしっかり整えて円滑に税率引上げを実施する、そのために措置する政策だというふうに考えております。

浅野委員 今の答弁ですと、需要平準化に加えてキャッシュレス化の促進という目的もあることから、消費増税が仮に延期された場合でもやる可能性は排除できないというふうに理解をいたしましたが……(世耕国務大臣「仮定の御質問」と呼ぶ)まあ、仮定の話ですから。ただ、このポイント還元事業を誰が一番期待しているかといえば、やはり消費者たる国民の皆さんなんです。ですから、今回この事業のたてつけが消費増税の際の方針を示すガイドラインによって規定されているものであれば、やはりそこはわかりやすく政府としても方針を出すべきだと思います。

 今、キャッシュレス決済の促進に向けて各中小企業、小規模事業者の皆さんは一生懸命この準備を進めてくれているわけですね。ただ、自分が今頑張った努力がちゃんと十月以降報われるのか報われないのか、それがわからないまま準備をしろと言われても、現場の事業者の方々、ふだんお忙しい中で、しかも、国から、行政からの補助は出るにしても、さまざまな労力をかけて準備しているわけですから、そこに対してしっかり政府としての誠意を示していくという意味では、このあたりの方向性ははっきりと示していくべきだということを申し上げさせていただきます。

 続いて、次の質問に移ります。

 まず、先ほど大臣もおっしゃっていただきましたが、キャッシュレス比率の現状と今後の政府目標について御説明をいただきたいと思います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、日本のキャッシュレス比率は、近年増加傾向にあるものの、約二〇%にとどまっております。諸外国と比較すると依然低い水準にあると認識してございます。

 政府といたしましては、今回のポイント還元事業も含めまして、二〇二〇年代半ばまでにキャッシュレス決済比率四割程度の実現を目指すという目標を掲げてございます。

 このために、一つは、キャッシュレス決済について利用者が便利に安心して使用できる環境を整えるということで、昨年七月にキャッシュレス推進協議会というのも立ち上げまして、現在、例えばQRコードのデータフォーマットの標準化でございますとか、あるいは不正利用対策といったようなものについて協議を進めているところでございますし、また、あわせまして、今回のポイント還元事業で、単にポイントを補助するということに加えまして、端末導入費用についての補助、手数料についての補助といったような措置も講じまして、こういった事業を契機として、日本のキャッシュレスが広がっていくということにつなげていきたいというふうに考えているところでございます。

浅野委員 さまざまな補助事業ですとか、協議会を立ち上げて業界に対して周知活動を行っていく、これはしっかりとぜひやっていただきたいと思うんですが、きょう議論したいのは、これは政府目標。

 きょうの資料、二をごらんいただくと、現状、日本がキャッシュレス比率が約二〇%、諸外国は、特に中国や韓国などは非常に高い今普及率を示しています。それに対して、日本政府は四〇%とこの目標を掲げているわけですけれども、この四〇%というのを諸外国と比較すると、今から七年後、六年後に四〇%ですから、そのときの諸外国はもっと更に比率が伸びているんじゃないかというふうにも思いますし、この四〇%という目標、果たして妥当なのかどうか、非常に疑問を持たざるを得ませんが、この点について、もう少し補足の説明があればよろしくお願いします。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、おっしゃるように、欧米の先進国、見てみますと、五〇%台から六〇%台というところが多うございます。それから、先ほど御答弁申し上げましたように、韓国、中国というのは大変高い比率になっているというところでありまして、四〇%というのは少し低いのではないかというような御指摘はあろうかと思っております。我々も、できればこれ、更に伸ばしていきたいというふうには思っているところでございます。

 ただ、いろいろ、これは商慣行の問題、それから消費者の方の現金に対する考え方の違いということもございます。キャッシュレス比率が低いのは安全、安心な社会の裏返しであるというようなことを御指摘される方もいらっしゃいます。

 そうはいっても、これからまさに情報化時代という中で、キャッシュレス比率を上げていくということは重要だと思いますので、まずは四〇%を目指すということでありまして、我々としても、更に高みを目指すという必要があるという御指摘は重々踏まえているつもりでございます。

浅野委員 ぜひ、これは閣議決定された目標が四〇%なんですけれども、経産省は、コネクテッド・インダストリーズも掲げていて、これから、キャッシュレスも含め、世の中にあるさまざまなデータを使った新産業の創造を目指しているんですよね。ですから、経産省としてはもう少し野心的な高目の目標設定でもいいんじゃないかと思います。

 ですから、経産省の事業ですから、もう少しリーダーシップを発揮していただいて、今は四〇%でも、今後の事業見直しの中でどんどん加速をしていくべきだと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

 続いての質問ですけれども、予算の妥当性について質問させていただきたいと思います。

 資料の三をごらんいただきますと、これまで予算委員会等でさまざま質疑が繰り返されてきましたので、この予算自体の御説明はされなくても結構です。消費者への還元分が今回約千七百八十六億円、キャッシュレス対応支援が三百二十九億円、支援策の広報やシステム改修費等が六百八十三億円という内訳ということは、これまでの質疑の中で既に説明がされてきております。

 そして、やはり多くの議員の方から質問があったのが、この消費者への還元分千七百八十六億円が妥当なのかどうか。この部分についてきょうは少し掘り下げていきたいと思いますが、次の資料をごらんいただきますと、この千七百八十六億円をどういうふうに算出したのかという部分、政府資料をいただきましたので、こちらに記載されています。

 例えば、これは、千七百八十六億円のうち、九百四億円は五%を還元するために使う予算、八百八十二億円は二%の還元を行うために使う予算ということで、それぞれ具体的な算出要素が含まれておりますけれども、それぞれの中に中小・小規模事業者の参加見込みという要素があるんですね。中小・小規模事業者で還元率が五%の対象となり得る事業者は約二一%が参加するだろうという見通しを立ててこの積算がされているわけですけれども、一方、例えばフランチャイズ形式の店舗、還元率二%の事業者の場合は五九%が参加するだろう、そんな見通しでこれは組まれているわけであります。

 問題は、五%の方の、五%還元の対象となる事業者が二一%しか参加しない。これは中小企業支援ですから、二一%という見通し、とても少ないと思うんですけれども、いかがお考えでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 当然、予算を積算するに当たりまして、一定の見通しを置くということが必要でございます。その中で、ポイント還元事業への中小・小規模事業者の参加見込みということで、正確にするということは極力努めたわけでございますが、基本的には、さまざまなクレジットカード事業者等々への聞き取り等々を踏まえて、その中で必要な数字を抽出したということでございます。

 今御指摘のように、キャッシュレスで売上高ベースで約二〇%、それから、フランチャイズについては、これはチェーンの方で一括してやられるということもあって、比較的高い約六〇%という数字をこの聞き取り調査等を踏まえて置いたところでございます。

 もちろん、我々としてこれで十分だということを申し上げているわけではないんですが、過去のさまざまな中小企業関係の補助金の執行状況等を見ますと、二〇%というのも相当高い水準ではないかというふうに思っております。もちろん、二〇%以上なったからそこで頭打ちにするということではなくて、我々としては、一人でも多くの、一者でも多くの中小企業の方に参加していただきたいと思っておりますが、積算の考え方としては一定の見通しを置かざるを得ないということでございます。

浅野委員 二一%でも相当高いという言葉がちょっと出るとは思わなかったんですけれども、どう考えてもこれは少ないと思いますよ。

 今、フランチャイズの方は五九%という見通しがあるんですが、実際にはコンビニエンスストアだとかスーパーマーケット形態のものだとか、もうある程度、今の日本国内では、大体電子マネーやクレジットカード対応、あるいは場合によってはセルフレジまで出てきているんですよ。ですから、この制度に五九%しか参加しないというのは私としてはまだ少ないんじゃないかなと思いますし、ただ、その一方で、中小・小規模事業者、個人商店の場合、この店舗というのは、今現状、クレジットカード対応もしていない、電子マネーもまだまだ普及していない、ましてやQRコードを使ったスマホ決済のインフラなんというのはほとんど整っていないわけです。こうした人たちにキャッシュレス化を推進してもらおうというのがこの事業の主目的ですよね。ですから、この二一%というのが相当高いというのは認識として甘いと思います。

 もっとこれを上げる努力を経産省はしないといけませんし、ここをふやすことがこの事業の主の目的ですから、ぜひここは、まず認識をもっと改めて高い目標を設定していただいて、事業を更に加速してもらいたいと思います。

 これについては、大臣の方から、じゃ、よろしくお願いします。

世耕国務大臣 これはどうしても、予算額の査定という過程の中で、やはり金額をしっかり出していかなければいけないので、これはどうしても、キャッシュレス事業者に聞き取りをした結果、今のキャッシュレスの金額の中の二一%ぐらいの金額が今回のこのポイントに参加した支払いになるだろうという推定のもとにやらせていただいております。

 ただ、これが本当にぴったり当たるかどうかというのはなかなか消費者の行動としてもわかりませんし、今おっしゃっているように、我々も、今まで全くキャッシュレスに対応していないところに参加してもらうことが重要だと思っているから、端末の補助もつけますし、またハンズオン型支援ということで、決済事業者が一軒一軒を説得してキャッシュレスへ移れるような仕組みも入れさせていただいております。

 それによってどういう効果が出てくるかというのはなかなかわからないわけですが、この制度を十月一日から始めた後も、一カ月なら一カ月で、きちっとモニタリングを繰り返して、どういう状況になっているかということをしっかり把握をしながら、必要であれば軌道修正も図っていくということをやっていきたいと思っています。

浅野委員 ありがとうございます。

 臨機応変な対応は必要だと思いますし、小規模事業者の方々がキャッシュレス化に対応することで、地域の利便性も上がり、店舗の売上げも伸びるポテンシャルが出てきますし、国内経済にとってはプラスだと思いますから、ぜひよろしくお願いしたいんです。

 ちょっと、この質問については最後にしますけれども、経産省の方に伺いたいんですが、先ほど聞き取りをしたというふうに伺っていましたが、聞き取りをした結果、小規模事業者の方々が二一%になってしまっているような要因についての情報があればぜひ教えていただきたいんですけれども。答弁可能だったらよろしくお願いします。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 幾つか要因はあろうかと思いますけれども、一つは、やはり、中小・小規模事業者の方、そもそもキャッシュレスへの取組、今先生御指摘のように、興味はあるけれども、やる手間がかかるんじゃないか、あるいはコストがかかるんじゃないかということで、なかなか中小・小規模事業者の方が乗ってきていただかないという実態があるということ。

 それから、二つ目に、なかなか、装備はしたけれども、それほどやはり使われていない、そういったような実態もあるということを私どもさまざまな事業者の方から聞いておりまして、そういったことで、これまで中小のところについてなかなか進んでこなかったというようなことが大きな背景であるというふうに認識してございます。

浅野委員 ぜひ、その認識されている課題を踏まえて御対応をお願いしたいと思います。

 それでは、次の質問に移りますが、質問を一つ飛ばさせていただきまして、制度の複雑さに関する質問をさせていただきたいと思います。これも、これまで予算委員会でもたびたび触れられておりますけれども。

 まず、資料の五をごらんいただきたいんですが、今回、フランチャイズ加盟店の場合はポイントが二%分還元されるという制度であります。しかしながら、フランチャイズの店舗なら無条件で全てこの対象になるかというと実はそうではなくて、この図にあるように、フランチャイジー、要するに看板を借りて店舗を経営しているオーナーが中小・小規模事業者に該当する場合にのみ国からポイント還元が受けられる、そして、店舗運営の主体が、つまりオーナーが大企業だったりあるいはフランチャイザーの直営店だった場合はこのポイント還元の対象にならないということなんです。

 ということは、直営店や大企業が運営する店舗については還元は受けられない、国からの還元はおりませんから、消費者はメリットを享受できないという理解でいいのかどうなのか。そこの答弁をお願いします。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 この補助制度の趣旨に関しましては、冒頭大臣から御答弁申し上げましたように、大企業に比してなかなかセールスキャンペーンを行いづらい中小企業への支援であるということでございますので、今回、補助の対象となるものについては中小企業の小売店、サービス業に限られるということでございます。

 したがいまして、コンビニエンスストアなどのチェーンで、同じ看板を掲げていても、運営主体によって中小に当たる場合は国の補助対象となるということでございますが、そうでないものについては国の補助対象とならないというところでございます。

 一方で、じゃ、実際にどう対応されるかというのは、これはチェーン本部のそれぞれの御判断でございまして、例えば、今私ども聞いている範囲では、大手のコンビニエンスチェーンについては、中小については補助を受ける、補助を受けられない分については自分たちのもともと予定しているさまざまなキャンペーンの中で同じように二%還元ということを取り組む、したがって、チェーンとしてはどこへ行っても同じサービスが受けられるという形にしたいというようなことを、今、大手のコンビニエンスチェーンからは、私ども、検討状況を聞いているところでございます。

浅野委員 大手のコンビニエンスチェーンはそう言っているかもしれませんが、制度上は、特に大企業や直営店に対して、消費者に対して還元しなさいという責任は発生しないわけですよね。ですから、ある意味企業任せになっているんです。

 消費者からしたら、自分の家の近くにあるコンビニで買ったときは還元が受けられたけれども、出張したとき、都内の大きなコンビニで買ったときには還元が受けられないとか、非常にこれもわかりづらいんですよ。

 ですから、そのあたりの複雑さ、わかりづらさというのはぜひ是正するように、これは法律で決めてほしいとかルールをつくってほしいとかではなく、まずは大手事業者に対して経産省から要請なり協力依頼を、出しているとは思うんですが、そのあたり、どうでしょうか。

世耕国務大臣 フランチャイズチェーンというのは、やはりブランドの統一感とかそういったものが極めて重要でありますから、本社直営の大企業に当たる店舗であっても、恐らく私は統一的にやっていくだろう。今、我々も濃密にコミュニケーションをやっております、こういうフランチャイズのチェーン店とも。我々の感触では、統一的に二%で対応をしていただけるのではないかというふうに考えています。

浅野委員 コミュニケーションをとっていただいているということですが、大事なのは、大手は確かにそういう余裕があるかもしれませんが、やはり会社の、フランチャイズを運営している本部の運営状況、経営状況によっては、異なる判断をする場合もゼロではありません。可能性でいえばゼロではありませんから、そこをしっかりゼロに限りなく近づけるような取組もお願いをいたします。

 そして、次の資料六をごらんいただきたいんですけれども、これもよく指摘されています、軽減税率とポイント還元制度が組み合わさると、消費者にとって非常にわかりづらい仕組みになってしまうということであります。

 消費税が一〇%で、軽減税率も受けず、キャッシュレス決済もしなかった場合は一〇%がそのまま乗っかりますし、軽減税率が適用されれば八%、さらに、キャッシュレス決済を組み合わせることで、八%から更に六%になり、三%になる、軽減税率の対象でない商品についてもキャッシュレス決済は適用されますから、それぞれ八%と五%という実質負担になるわけです。これを見るだけでも六パターンあるわけです。非常にわかりづらい。

 国の方でもわかりづらさに対策はするという方針を示されているんですけれども、ポイント還元率が二%か五%かというのをしっかり常に頭に入れて買物に出かける消費者というのはいないわけです。店舗に行って、この店舗がどうなんだろうというのを知らなければいけないんですけれども、それに対して具体的にどういうことを考えているのか、お聞かせ願えますか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、五%の還元となるお店と、フランチャイズチェーンなどのように二%の還元となるお店ができるということでございますので、今御指摘のように、消費者が混乱しないように、参加店舗それから還元率の違いということを一目で認識できるような統一的なポスターを店頭に掲示していただくということで、まず取組をしていきたいと思います。

 その上で、例えば、お店に行かなければわからないということではなくて、あらかじめ、例えばアプリのようなもので、この地域ではこういうお店がポイント還元を行っていて、そこについて五%である、二%であるといったようなことがわかるといったようなものを用意するといったようなことも準備を進めていきたいと思っております。

 いずれにしても、制度の意義、内容について、わかりやすく消費者の皆さんにお伝えしていくということで、努力をしていきたいというふうに思っております。

浅野委員 店頭に明示するという話なんですけれども、ここはぜひ注意していただきたいのは、ポスターとかを張って一目でわかるようにするというのはいいと思います、それで十分かどうかは別としても。ちょっとケアをしていただきたいのは、今回、この制度に、事業に参加されていない事業者についてはポスターも何も張っていないわけですね。ですから、はたから見たときに、このお店は得だ、この店は得じゃないというのがわかりやすいのは一方でいいんですが、裏を返せば、消費者がこれまで以上にその事業参加企業、店舗に偏ることになると思います。

 参加していない事業者にとっては非常に売上げが落ちてしまうかもしれない、経営がかなり傾いてしまうかもしれない、そんなことも起こり得るわけですから、この部分をどうケアしていくかというのは非常に難しい問題だと思います、消費者心理の問題なので。

 ですけれども、だからこそ、先ほどの二一%という割合を上げなきゃいけない、上げる努力をしなきゃいけないと思うんですね。ですから、ぜひ、またそこに戻りますけれども、お願いしたいということであります。

 それでは、続きまして、まだこの事業についてはいろいろな懸念点がございます。ポイント還元にかかわるさまざまな問題が指摘されていますけれども、ここからは、いわゆる税込み、税抜きの問題、そして未使用ポイントをどうするんだという問題、これについてちょっと個別に伺っていきたいと思います。

 資料の七をごらんください。

 資料の七は、「ポイント還元制度の「税込み/税抜き問題」」と書いてありますけれども、左側に表が掲載してございます。これは、総務省統計局が平成二十九年に出した家計調査報告の情報を一部抜粋したものになります。

 二人以上の世帯が大体月平均どれくらい支出をしているかというのを調査した結果なんですけれども、月平均の消費は二十八万二千百八十八円ということであります。その下に各費目が並んでいます。食料に充てたお金、住居に充てたお金、光熱費、水道料金に充てたお金と、それぞれ記載していますけれども。

 これは、ちょっと我が家のケースで恐縮なんですが、我が家がキャッシュレス決済をしている項目に星印をつけてあります。食料品を買うとき。光熱費、水道代。あとはお洋服や靴を買うとき。あとは保険料ですね、病院での決済。そして携帯電話などの交通・通信費。

 こういったものを抜き出しますと、これを、大体我が家の場合はもう八割、九割の比率でキャッシュレス決済をしていますけれども、仮に五割でこの項目をキャッシュレス決済して、九カ月これを続けたことを仮定したときには、大体七十万円ぐらいになるわけですね、平均支出から単純計算すると。

 では、どれくらいポイント還元されるか。頑張って五%還元のお店で全てを買った場合、この還元金額は三万五千三百十円になります。税込み価格に対して還元されればこの金額ですし、税抜き価格に還元された場合は三万二千百円になるという試算で、その差三千二百十円なんです。

 それで、今、税込みに対してポイント還元をするのか、税抜き価格に対してポイント還元をするのかというのは、決済事業者によって異なっているということも聞いているんですけれども、実際、その実態について御説明いただけますでしょうか。

世耕国務大臣 これは、星印をつけていただいて、計算していただいて、おもしろいんですけれども、ちょっと幾つか申し上げますと、光熱・水道というのは、これは恐らく、電力会社、ガス会社は、これは大企業になりますのでそもそも対象にならない可能性、中小の、例えば太陽光発電の新電力に御加入でクレジットカードで払っておられたら対応になるかもわかりませんけれども、これは基本的にはならないし、水道は、これは公営事業ですから、ならないわけであります。

 また、保健医療も、これがいわゆる医療費ということ、あるいは調剤薬局で買う薬ということになると、これはそもそも消費税がかかっておりませんので対象になりません。ただ、一方で、ドラッグストアで胃薬を買われたりとかということだと入ってくるわけであります。

 交通・通信に関しては、これもほとんど大企業であります。通信はほぼ大企業だと思いますし、交通も、高速道路は全て大企業に当たりますし、鉄道で一部、中小企業に当たる鉄道、例えば和歌山では紀州鉄道という数千メートルの鉄道会社がありますが、それがキャッシュレスであれば対象になりますが、これもおおむね対象にはならないのかなというふうに思っておりまして。

 ちょっといろいろ、何が対象になるかというのは、基本は中小企業で、かつ消費税がかかっているものをキャッシュレスでというふうに考えていただければわかりやすいのかなというふうに思っているところでございます。

藤木政府参考人 税抜き、税込みの議論でございます。

 基本的に、私ども、税込み価格に対してポイントを付与するということを原則にするということで考えてございます。実際に、多くの決済事業者において、税込み価格に対するポイント付与というような実態があるというふうに承知してございます。

 一方で、私ども、今回の事業の一つのポイントといたしましては、既存の決済インフラを使わせていただく。要するに、このために新しいシステムを大々的につくるということでは、確かにコストの面でも問題がありますし、それから、その後に続いていかないという問題もありますので、既存の事業者の方の決済インフラを使わせていただくということを重点に置いておりまして、その観点から、一部のポイントシステムにおいて税抜き価格ということでポイントを出されている方もいらっしゃるということでございますので、こういったものについては統一はなかなか難しいということでございますので、例外としてこういったものについても認めるということにしたいと思いますが、その場合は、消費者に対してわかりやすく明示していただくというようなことを求めていきたいというふうに思っているところでございます。

浅野委員 まずは冒頭、大臣の方から御指摘をいただきまして、ありがとうございます。

 おっしゃるとおりで、消費税がかかるものなので、光熱費、水道代なんかは、このポイント還元の対象にならないことはあるんですけれども……(世耕国務大臣「大企業」と呼ぶ)大企業の場合はですね。ただ、消費者はそのくらいの理解しかしない状態でこの事業を活用することになると思いますので、そういう意味では、更にシンプル化は必要なんじゃないかと思います。

 今の税込み、税抜きの対応方針なんですが、既存インフラを使うので税抜きに対するポイント還元も例外的に認めなければいけないし、その際には消費者に明示をしていくということなんですが、やはり、消費者からしたらその差は納得できるのかどうかというところについて言えば、私は、やはりそこに不公平さを感じる消費者の方はたくさんいらっしゃるんじゃないかと思うんです。できるだけ条件をイコールにする努力をすべきだと思います。

 そこで、ここは提案なんですけれども、税抜きでポイント還元をする事業者の場合は、まあ、税込みか税抜きかというのは、要するに消費税分一〇%を対象にしているかしていないかですよね。これは逆算できますよね。ですから、税抜きでポイント還元をしている事業者については、その分、逆算をするプロセスを回していただくとか、国の方からも、その部分を算術計算に一部入れていただければ済むんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 一つは、先ほど来御答弁しておりますように、今あるシステムをそのまま使うということでございますので、消費者の方は、今持っていらっしゃるカードがそもそも税抜きでポイントがついているのか税込みでついているのか、今現在も違った状態になっているということでございまして、我々は、その状態をあえてここでは変更するのは難しいので、そのまま使わせていただくということでございますので、新たにここで不公平が生じるということでは必ずしもないのではないかと思っております。ただ、一方で、確かに、わかりやすく明示をしていくということは重要だと思っています。

 それから、もう一点といたしまして、実際に私どもが補助するのは、実際にカード会社ならカード会社が消費者の方につけたポイント、これに対して補助を払うということでございますので、当然、税抜きでつけられた事業者の方はポイントは少なくついているわけでございますので、当然、国からの補助はその分少なくなっているということではないかと思っております。

浅野委員 消費者からしてみれば、確かに、自分の持っているカードが税込みに対してつけているのか税抜きに対してつけているのかなんというのは一々気にしていないと思うんです。だからこそ、そこは国がちゃんとイコール条件にすべきだという話なんですけれども、ここは考え方の違いなんでしょうから。ただ、消費者としては、その部分、制度上はやはり平等にする努力をするべきだと思います。

 これはシステムの改修の問題なのか、それとも、システムの中で入れる係数の問題なのか。ひょっとしたら数字を一つ変えれば済む話かもしれません。ぜひそこは事業者の方々とよく相談をしていただいて、できることなら検討を実施をしていただきたいと思います。

 では、続いて、未使用ポイント問題の方に移らせていただきたいと思います。

 資料の八をごらんください。

 これは、ちょっと私が経産省の方から聞き取りをして、それをイメージにまとめてみたものなんですけれども、今、経産省の方ではポイントの還元の方法を二種類考えているということだそうですよね。一つは、支払った金額に対してポイントを付与して、そのポイント自体は後日使うという一般的なポイント制度、もう一つは、その場で商品の価格からその還元分を差っ引いて、少し安い金額で買えるというやり方、即時使用というふうに書いてありますけれども、この二つの使い方を想定しているということであります。

 問題は、きょう指摘をしたいのは、この二つの使い方によって経産省から決済事業者に補助されるお金が変わるということをお伺いしたので、そのあたりをまずは確認をさせていただきたいんです。

 これはちょっとわかりやすく一万円の商品を買った絵を準備していますけれども、後日ポイントを使うような形で購入した場合と即時その場で値引きをする形で使った場合とで、国から決済事業者におりる補助金の内容は変わりますでしょうか、変わりませんでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 この書いていただいた絵で申し上げますと、(一)のパターン、これがいわゆる典型的なものでございまして、我々もこれが原則であるというふうに思ってございます。このケースで申し上げますと、ポイントを付与した、この付与した分について我々は補助を行うということになるわけでございます。

 一方で、ただ、これが原則ではありますけれども、先ほど申し上げましたように、今のシステムをなるべく有効活用するという観点で、こういうやり方ができない事業者の方がいらっしゃいます。そういう方については例外的に右側のようなやり方も認めるということで、これは端的に申し上げれば、お買物をした段階で直ちにクーポンのようなものが出てきて、それがその場ですぐ使えるというようなタイプのサービスをされている事業者の方でありますが、そういったような方については、まさにその場でポイントが出てその場でポイントが消費されるという形でお使いいただくということでございまして、これも同様に、同じような考え方で、出てきたクーポン、即時相殺されたわけでありますが、相殺分について補助をさせていただくということだと思っております。

 今先生御指摘の点は、恐らくポイントの失効という問題ではないかと思っております。

 左側のポイントの場合、後日使うということですけれども、ポイントの場合、例えば一年で期限が来てしまうというようなものについては、一年間使わないと失効してしまうというケースがあります。ここの分まで含めて補助をしてしまいますと、これは決済事業者の方に不当な利益が残るということになりますので、この失効分については割り引いて補助をさせていただくという考え方でございます。

浅野委員 今の最後の部分、失効分については割り引いて支給するということでありますが、具体的に、今、どの程度割り引くのかという点について、答弁をお願いできますでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 どういうタイプのポイントを使っているかによって違いはありますし、また、各社の、一年で失効なのか半年で失効なのかによっても数字が違うわけでございますが、私ども、基本的には、各社、各事業者が把握されている過去の失効率、これを差し引いて補助をするということを原則といたします。

 ただし、この失効率が算定できない事業者の方が仮にいらっしゃる場合には、こちらで一定の数字を置いてということでございまして、例えば、店舗で直接使用できるポイントを出されている事業者の方は八%、それから、そうでない一般的なポイントの場合は四〇%という数字を置いているところでございます。

浅野委員 八%と四〇%分を差っ引いて支給するということでありますけれども、これは、私も経産省の方から伺いました。実際、過去の実績に基づいてこの八%と四〇%、差っ引く分を算出しているんだと。

 ただ、今回見落としていると私は感じるのは、クレジットカードだったりポイントカードのポイント還元率というのは、大体今あるものですと〇・五パーとか一%の還元なんですね。皆さんがお持ちのクレジットカードのポイント還元率を多分見ていただくと、〇・五%還元とか一%還元、最近では一・五とか二%というのも出てきたようなんですが、やはり一%前後なんです。今回は、そこに加えて五%上乗せ、ないし二%上乗せされて還元されるわけです。要するに、何が起こるかというと、ポイントががんがんたまるんですよ。

 何でポイントが消費されないかといえば、たまるまでに時間がかかるので消費されないという要素と、それ以外には、システムが使いづらいとか交換できるサービスが少ないとかいろいろあるんですけれども、決定的にこれまでとこれからで違うのはポイントのたまるスピードなんです。それだけ早くたまれば、ポイントの失効率も上がるはずです。上がると思います。

 ですから、その部分について、今八%、四〇%というふうに仮置きをしていますけれども、先ほど大臣がおっしゃったように、一カ月ごとに数字を見るのであれば、ぜひそこもモニタリングをして、この差っ引く分というのはしっかり実態に合ったものにしていただきたい。

 これは、決済事業者が、このポイント還元事業に協力をしていただく事業者が、自分の自腹を切ってどんどんどんどんそれをやることにもなりかねませんので、ぜひそこは是正をする方向で検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

藤木政府参考人 済みません。先ほど御答弁した中で、少し誤解があったら恐縮なんですけれども、四〇%、八%というのは、あくまでも自分の過去の実績データを出せない事業者の方についてその数字でやらせていただくということでございまして、基本的には、各事業者のきちっとした過去の実績データ、これに基づいてやらせていただくということでございますので、我々としては、そういったきちんとしたデータを出していただいて、それに基づいて補助制度を執行していきたいというふうに考えているところでございます。

浅野委員 実績がある決済事業者と、これからQRコード決済でどんどん顧客をふやしてやっていこうという事業者が当然いますよね。

 私が指摘しているのは、これまでの実績がない企業で、これからどんどん実績が積み上がってポイントをどんどん消費する、消費を促進するカード会社だってあるはずなんです。そのカード会社に対しては、決済事業者に対して、いつまでも八%、四〇%、九カ月間という期限付ですけれども、相当な金額規模になることだって想定されますから、その部分についてのお話をしています。いかがでしょうか。

世耕国務大臣 モニタリングは一カ月とか三カ月単位でやっていきますけれども、ポイントの使用状況となりますと、これはなかなか、もうちょっと時間がかかるんじゃないかなとも思われるわけでありますが、今、藤木審議官がお答えしたように、基本的には、過去実績のある事業者はきちっと実績の数値に基づいてやっていきますし、その他の事業者についてはおおむねの数字でやらせていきますけれども、いずれにしても、よく状況は見てまいりたいと思います。

 事業者にとっては、我々かなり厳しくやります。決済事業者がこのことでもうかるようなことがあってはいけないと思っています。決済事業者にとっては、多少損が出たとしても、やはり顧客の囲い込みという大きなメリットはあるんではないかというふうに考えています。

浅野委員 この未使用ポイントを事業者の利益にしてはいけない。それは私も同感です。ですから、ぜひ実態に合わせた運営というのはお願いしたいと思います。

 ちょっときょうは時間の関係で、このキャッシュレス決済については次の質問を最後にさせてください。

 恒久的なキャッシュレス決済促進策について質問させていただきます。

 今回は九カ月間の期限付の事業ですけれども、その先に、二〇二五年四〇%という目標があるわけですが、その間の対応についていかように考えているのか、答弁をお願いいたします。

藤木政府参考人 お答えを申し上げます。

 まさに、今回のポイント制度、ことしの十月から始まりまして九カ月間ということになるわけでございますので、その先、更にキャッシュレスを進めていくためにということでございます。

 一つは、先ほど申し上げましたように、なかなかキャッシュレス決済が進まないということの一つの原因に、お店の側の負担、手数料の負担であったり、あるいは機器の負担であったりというようなことがあるわけでございます。こういったものについて、今回こういった補助制度を行うことによって、決済業者間の一種の競争のようなものが生まれて下がっていくといったようなことを、我々としては引き続き促していきたいと思います。

 それから、最近あらわれてきておりますQR決済のように、比較的コストが低く導入できるような決済事業者の方も出てきています。これに関しましては、先ほど御答弁申し上げましたが、例えばQRコードの標準化というようなことを進める中で、より参入しやすい、新しい方が参入しやすい環境をつくっていくということでコストを下げていくというのが、一つのポイントだと思っております。

 それから、もう一つは、消費者の方にとって安全で、そして便利であるという環境をつくっていくということが重要であると思っております。今でも、セキュリティー対策、一生懸命取り組んでおりますけれども、更にこれのグレードを上げて、より安心、安全な環境をつくっていく。そして、さらには、消費者の皆さんに使って便利なサービスを提供していただくということで、これは決済事業者の方といろいろ知恵と工夫で取り組んでまいりたいというふうに思っております。

浅野委員 ありがとうございました。

 特に、私は、最後、意見にとどめますが、最後の利便性の向上、これが非常に大事だと思います。手数料を削減するというのは、あくまで導入をする事業者側のメリットであって、消費者にとっての直接のメリットではありません。じゃ、キャッシュレスの装置が日本全国あらゆるところに普及したという場合であっても、現金の方がいいとか、キャッシュレスに付加価値を感じてもらえなければ、やはり浸透はしていきません。そこで、付加価値を生む新しいサービスの創造ですとか、キャッシュレス決済データを活用した国民生活の利便性向上といった部分で、ぜひこちらについても重点的に取り組んでいただきたいというのを申し上げさせていただきます。

 キャッシュレスについては以上で質問を終わらせていただきまして、残りの時間で知的財産権の活用促進に向けた知財紛争処理システムのあり方について質問をさせていただきます。宗像長官、よろしくお願いいたします。

 まず最初に、現状認識をしたいと思いますが、今の国内の特許、商標、意匠などの出願実態と、企業規模ごとによる違いについて、簡単に御紹介をいただけますでしょうか。

宗像政府参考人 お答えいたします。

 二〇一八年における、海外を除きまして、国内からの出願件数は、特許について二十五万四千件、商標十四万五千件、意匠が二万三千件でございます。

 このうち中小企業による出願件数は、二〇一七年の値となりますけれども、特許が四万件、商標が九万四千件、意匠が九千件でございます。

 この国内からの出願に占める中小企業の割合は、いずれも増加しておりまして、二〇一三年と一七年を比較いたしますと、特許は一二・二%から一五・三%、商標は五三%から六〇・七%、意匠は三五・五%から三七・四%となっております。

浅野委員 ありがとうございます。

 今の御紹介いただいた数字、以前もこの委員会の中でお伺いしたことがありますけれども、特に特許については、中小企業が全企業の九九%近くを占めるにもかかわらず、出願比率としては一五%と、なかなか出願活動が活性化しないという現状であります。

 今回、今国会で提出を予定されている特許法の改正案に向けたその前段の議論をきょうはさせていただきたいんですけれども、まず、要するに、この法改正の前提にある課題認識というのはどういうものなのか。そしてまた、昨年は特許法の改正でインカメラ手続というのが創設されましたし、まだそれは施行されていません。前回の法改正が施行される前の段階で矢継ぎ早に今回改正をしようと思っているその意図についてお伺いをします。

宗像政府参考人 お答えいたします。

 先生の配付資料でも資料十などにデータが出されておりますけれども、今の実態といたしましては、特許訴訟の課題の中に、製法特許とかソフトウエア特許など、製品を見ただけでは侵害の有無を確認できないものがあるという状況がございます。調査能力に乏しい中小・ベンチャー企業にとっては、こういう類いの特許が侵害されたらどうしようもないということになりがちでございます。

 昨年の法改正でございますけれども、これは、裁判所が非公開で書類などを確認する手続、これを拡充するものでございまして、今般提出された法案における査証制度というものは、対応する課題が異なっておりまして、つまり、昨年の法改正は、裁判所が書類提出命令などによって適正かつ迅速に証拠を集められるようにするということで、それ以前は、裁判所の書類提出命令が発令をされて、それを受けた当事者が提出を拒む場合に、その正当な理由があるかどうかを裁判所が確認するためにのみ使われていた非公開の手続を、そもそも、書類提出命令を出す前に、その書類が提出されることが確かに必要だということをあらかじめ裁判所が確認しようとする際にも使えるようにするというものでございました。

 他方、冒頭申し上げました製法特許とかソフトウエア特許など、買ってきて分解しただけじゃわからないとか、そもそも手に入らないといったものが侵害の有無を確認できないといった問題は引き続き残っております。今回の改正案は、この問題を解決するために、専門家が現地で必要な情報を収集できる仕組みを創設するものでございます。

 制度の見直しは、関係者の合意ができるところから少しずつ前に進めていかざるを得ないところでございまして、本件につきましては、海外の特定の制度についてもいろいろ懸念の議論はあったんですけれども、それを、特定のものを念頭に置くというよりは、では日本の環境で機能する制度とは、今目の前にある問題を解決できるような制度というのは一体どういうものなんだろうかという制度の詳細な設計につきまして、特に昨年の秋以降、産業界そして裁判所とさまざまな場で集中的に議論を重ねまして、その中で関係者の懸念を一つ一つ解決してまいりまして、最終的に了解が得られたところでございます。

 オープンイノベーションが進む中で、中小企業が、いろいろなチャンスがあります、その中で、権利処理をお取引先に任せるのではなくて、みずから権利処理をするということが当たり前になっていただきたい、そのために私どもできることはスピード感を持って取り組みたいと考えておりまして、今国会にこの法案を提出させていただいたところでございます。

浅野委員 対象が異なるからということなんですけれども、ちょっと私の理解が違っていたらまた答弁をいただきたいんですが、私の認識では、昨年のインカメラ手続も、ことし予定されている法改正も、権利訴訟になったときにいち早く証拠の顕在、証拠を出しやすくして、訴訟を早く収束させるための法改正だと思っているんですね。

 昨年はインカメラ手続の部分だけが創設をされましたが、その効果を検証せずに、ことしいきなり、現場に立ち入って査察をすることができるような法改正をしようとしているわけで、なぜそんなに急ぐんだろうか、昨年創設した制度をしっかり検証してからでもいいんじゃないかというふうに感じているんです。

 なぜそこの部分、急ぐのかという部分については、今の対象が違うからという答えだとちょっと聞いている方にとってもわかりづらいと思いますので、もう少しわかりやすく答弁をいただけますでしょうか。

宗像政府参考人 ありがとうございます。

 対象が違うということに加えて、そもそも、文書提出命令の発令を円滑にするということだけで解決できる問題というのは限られていたということでございます。

 そして、BツーB製品で市場に出回っていないからなかなか中小企業では入手できないとか、買ってきて分解しただけではつくり方などはわからないといったようなものについて、これは、文書提出命令を出しやすくするというだけでは問題が解決しません。この問題については、もちろんその認識はされていたんですけれども、それを具体的にどういう制度で解決すればいいのかということについて、なかなか関係者のコンセンサスができなかったということがございます。

 現場に専門家が立ち入れば、その専門家の身分を、非常に公正中立なものになるような仕組みを設けてはおりますのですけれども、やはり営業秘密が漏えいするのではないかという心配もございます。

 そこで、例えば、発令要件を非常に厳格にいたしまして、確かに侵害の立証に必要だとか、ほかの手段ではできないとか、受ける側の負担が余り過度にならないといったような発令要件を設けますし、営業秘密も、非常に、具体的にさまざまな措置を講じまして、営業秘密の漏えいを防ぐという設計をいたしております。

 これを一つ一つ手続のフローに沿って、いろいろな御懸念を伺いながら、では、こうしたらどうだろう、ああしたらどうだろうという議論を重ねる中で、特定の、海外の制度で、ああいうことはちょっと日本ではなかなか心配だねという議論である種とどまっていたものを、もう少し掘り下げて、では、今目の前にある問題を日本で解決するために、どういう制度ならば回るだろうかということを、制度を使う側、使われる側双方の意見を聞いて議論を重ねた結果、こういう設計であればそこは、懸念はクリアされるなということで、法案として提出させていただく素地が整ったということで、今国会に出させていただきました。

 では、なぜ前の文書提出命令を出しやすくするということの施行を待たなかったのかということでありますけれども、明らかに文書提出命令を出しやすくするということだけでは解決されない問題が残っているということでございましたので、その制度の改正効果を見るだけではなくて、合意ができた以上は、少しでもスピード感を持って前に進んでいくということで出させていただいたところでございます。

赤羽委員長 浅野委員、申合せの時間が経過をしております。簡潔にお願いいたします。

浅野委員 はい。

 では、最後、きょうの質疑を総括をする意味でも、まず、今の特許の関係ですけれども……

赤羽委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、よろしく御協力をお願いいたします。

浅野委員 はい、わかりました。

 では、ポイント還元事業について、最後、お願いです。

赤羽委員長 時間が来ているんです。

浅野委員 ぜひ消費者にとってわかりやすい制度にしてください。

 以上です。

赤羽委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

赤羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。宮川伸さん。

宮川(伸)委員 立憲民主党の宮川伸でございます。

 きょうは、東京電力から文挾副社長いらっしゃいまして、まことにありがとうございます。

 さて、福島第一原発の事故から八年がたちました。復興、賠償、廃炉と、多くの方々が携わり、そして多くのお金が投入されたわけでありますが、一定の成果はあったというように思いますけれども、しかし、まだ、いまだ復興は途上であり、多くの方々が故郷に戻ることができないという状況になっているというふうに思います。

 そういった中で、八年たって、あのときの恐怖あるいは悲しみ、そういったものが風化してきているのではないか、そして政府においても、あのときの緊張感が少しずつ、あるいは責任感が薄れてきているのではないか、そういった問題意識も持って、きょうは原発に関して御質問させていただきます。

 まず最初に、原子力損害賠償紛争解決センター、いわゆるADRに関して質問いたします。

 二月の二十五日の予算委員会で、我が党の枝野幸男代表もこのことに関して世耕大臣に質問をしておりますが、「三つの誓い」あるいは和解仲介案の尊重というものとともに、枝野代表があのときつくっていた当時は、東京電力がADRセンターの和解案に対して拒否するということは想定していなかった、そして、何度も社長と会って、しっかり和解案に関しては受け入れてほしいというような趣旨のことを申していたというようなことが、この予算委員会の中でも議論がされていたというように思います。

 そして、これまでに東京電力側がADRの和解案を拒否した件数でありますが、百二十一件という答弁がありました。そして昨年、平成三十年に関しては、五十件近い案件に関して東京電力側が和解案を拒否したということでございます。

 これをちょっと人数で、枝野代表の質問のときも人数がちょっと出ていたんですが、人数でいうと、東京電力が和解案を拒否したというその対象の人数、そして申立人総数に対する割合というのは、どういう数字になっていますでしょうか。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十年十二月末現在で、ADRセンターが公表している資料でございますけれども、東京電力に和解案を拒否された申立人の人数は一万七千七十三人であるというふうに承知しております。(宮川(伸)委員「パーセンテージは」と呼ぶ)

 パーセンテージは、その申立人の総数に占める割合は一五・八%と承知しております。

宮川(伸)委員 一五・八%が拒否されている、人数でいうとそういうことだということでありますが、最後の一人まで賠償を貫徹するというような、そういったものとはやはりまだほど遠い状況になっているのではないかというように思います。

 時間が余りないので、幾つものケースは見れませんが、ちょっと一つ、具体的なケースを一つだけでも見れればと思います。

 福島市の渡利地区のケース、二〇一四年九月に、自主避難に申立てをしているケースがありますが、これがどのような概要であるか、簡単に御説明いただけますでしょうか。

松永政府参考人 福島県の渡利地区の住民による集団ADRのケースでございます。

 二〇一五年七月以降、福島市の渡利地区の住民から三千百三十九名が、精神的損害についてADRセンターに対して申立てを行ったというふうに承知しております。

 これに対しまして、一時金を和解案として、四百七十六名の申立人に対しての和解案が出ているところでございますけれども、東京電力、和解に至らず、この渡利地区のADRについては打切りになったというふうに承知をしております。

宮川(伸)委員 今の説明に私の理解も含めて少しつけ足すと、この福島市の渡利地区というのは自主避難地域ということでありますが、その中に、スポット、スポットで非常に線量が高いところがある、そういうところを特定避難勧奨地点としてやるわけですが、この申立てでは、この特定避難勧奨地点に匹敵するような高線量が出ている、そういった中で、三千百三十九名から申立てがあったわけですが、これをADRセンターの方は、その高線量のところから半径五百メートルの中の四百七十六名に関しては十万円の賠償を認めたらどうだという和解案を出したということだというように私は理解をしています。

 これに対して、東京電力が和解案を拒否をしたということでありますが、これが正しかったかどうかというのはちょっとここでやるべき話ではありませんけれども、このような例が百二十一件近くあるというふうに私は理解をしているんです。

 私自身は、この話、幾つかほかの例も、私、実際に弁護士さんとも、ちょっとお話を聞いたりもしたんですけれども、やはり、事故から八年が過ぎて、被災者の方々に寄り添う気持ち、あるいは事故に対する責任感というのが薄れつつあるのではないかというように思います。そして、この「三つの誓い」あるいは和解仲介案の尊重というのをもう一度確認する必要がある。

 そういったものに基づいて、この今の東京電力の拒否ということに対してどうしていくのか、大臣の方からコメントをいただけますでしょうか。

世耕国務大臣 今、集団ADRのことをお話しになっているわけでありますけれども、東京電力は、集団ADRであるからという理由で拒否をしている、受け入れられないというわけではなくて、実際に、集団ADRであっても、個別具体的な事情に応じて相当因果関係のある損害と認められる場合には、受け入れたものもあるというふうに聞いております。

 また、仲介委員がどのようなお考えのもとに和解案を提示をされたかということは、これは我々知る立場にはないわけでありますけれども、東京電力からは、個別事情を考慮しても事故との相当因果関係のある損害を認めることが困難な場合や、一定の集団が主張する個別事情における共通の事情が既に中間指針における損害額の算定において考慮をされている場合などでは和解案を受け入れることができないというふうに聞いております。

 東京電力は、このいわゆる集団ADR案件の和解案を受入れ拒否した後であっても、個別にお話を伺うことで和解に至ったケースもあるというふうに聞いています。

 そのため、東京電力が和解案を受諾拒否したことによって一旦打切りとなった集団案件については、被害者の方に、個別事情に応じた損害については適切に対応する旨周知をするとともに、別途お申出があった場合は、改めて御事情を丁寧にお伺いしながら、きめ細かく適切な対応をするよう、東京電力を指導していきたいというふうに思います。

 いずれにせよ、経産省としては、被災者の方々の個別の事情を丁寧に伺いながら、適切な対応をするよう、東京電力を引き続き指導してまいりたいと思います。

宮川(伸)委員 今、集団ADRということで話がありましたが、私が少し聞いている範囲では、やはり高齢化も進んでいる、御高齢の方もいらっしゃる、あるいは若い息子さん等が県外に出ていってしまっている、個人個人でなかなかそういった主張ができないような方もたくさんいらっしゃるというように私は聞いています。

 最後の一人まで賠償を貫徹する、そして被災者の方々に寄り添ってこの仲裁をやっていくという最初の気持ち、そして「三つの誓い」あるいは和解仲介案の尊重、こういったところをしっかり、大臣、これにのっとってやっていっていただければというように思います。

 ちなみに、今のこの福島市のケースの賠償額は、私が計算すると四千八百万円ぐらいの賠償額ということであります。

 こういったケースが幾つもあるわけですが、次に、ちょっと話題をかえまして、東海第二原発の経理的基礎について質問をしたいと思います。

 これは前回も質問させていただいたんですが、この賠償額の方は一億円とかこういう金額ですけれども、こちらの東海第二原発の方は何千億というお金が動いているわけです。これを、こういった被災地の方々、ADRで今なかなかうまく認めていただけないような方々がいる中で、この何千億というお金がしっかりと説明されて使われているかどうか、質問をしていきたいと思います。

 東海第二原発は、御承知のとおりで、首都圏に最も近い原発でありますが、東日本大震災のときにも被災をしていて、被災原発と言われているものです。本来、四十年で廃炉になる原発でありますけれども、昨年十一月に二十年延長が決まったということであります。

 この二十年延長の審査の中で一つ問題として上がっているのが、経理的基礎がしっかりあったのかどうかということでありますが、私、この二十年延長も含め、再稼働も含めて、原発を再稼働していくときにやはり国民にしっかりとその理由を説明をしていく、大丈夫だということを説明をしていく、あるいは国民の方から質問、疑問があればそれにしっかり前向きに答えていく、これが、私は、福島の経験をもとに、あるいは新々総特に基づいてもやっていくべきなのではないかと思いますが、大臣は、その点に関して、説明責任に関してはどのように思われますでしょうか。

世耕国務大臣 東海第二発電所への資金的な協力については、東京電力、これは東京電力だけではありませんね、他の電力事業者も資金的な協力を行っているわけでありますから、そういった受電をする側の会社が、みずからの経営責任において判断すべき事項であるというふうに考えています。

 特に、東京電力については、福島事故への責任を果たしていく主体であるわけでありますから、経営陣みずからがしっかりと判断をした上で、説明をしっかり行っていくことが重要だというふうに思っています。

 経産省としても、こうした考えのもと、個別の経営判断の内容それ自体について確認や指示を行うというのではなくて、経営陣が判断を行うに当たって、福島への責任を貫徹するという観点をしっかりと踏まえているかどうかについて、必要に応じて経営陣への確認を行い、適切に指導してまいりたいと思っています。

宮川(伸)委員 この今の資金、経理的基礎に関しては、新規制基準、新安全性基準に基づいて安全性の工事が行われるわけでありますが、これが千七百四十億円必要だ、これが事業者である日本原電が資金が用立てられないので東京電力が資金援助するというスキームになっているわけですけれども、前回のときにもちょっとお伺いをしましたが、文挾副社長の方に、今現状でこの資金援助をするというのは東京電力は決めたんでしょうか。

文挾参考人 東京電力の文挾です。よろしくお願いいたします。

 お答えさせていただきます。

 当社の資金的協力につきましては、現時点では何ら決定した事実はありません。

 以上でございます。

宮川(伸)委員 このことに関しては質問主意書でも何回か質問したんですが、ちょっとすっきりこない。それでやはり、私自身は、このやりとりの中で、規制委員会の判断が不十分だったのではないかという疑問を今持っているんですけれども、更田委員長、もう一度、今このように東京電力さんの方が資金援助を決めていないという中で、なぜ経理的基礎があったという判断になったのか、説明いただけますでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 御指摘の経理的基礎に係る審査というのは、原子炉等規制法に基づいて、申請者が原子炉の設置変更のために必要な工事に要する資金を調達できる見込みがあるかどうかを、調達計画や調達実績などから確認するものであります。

 日本原電は、東海第二発電所の新規制基準適合のための工事に要する資金について、自己資金及び借入金により調達するとしており、借入金の調達に関しては、受電会社である東京電力と東北電力が資金支援を行う意向を表明した書面を提出いたしました。

 また、東京電力が資金支援を行うことについては、電気事業及び原賠機構法を所管する経済産業大臣に対して意見を聴取し、同大臣から、同法の趣旨及び新々・総合特別事業計画の内容に照らして問題はないとの見解が示されたところであります。

 これらのことから、日本原電にはその工事資金を調達できる見込みがあると認められることから、原子力規制委員会としては、経理的基礎があると判断したものであります。

宮川(伸)委員 今、東京電力さんの方はまだ決めていない、そして、御承知のとおり、周辺自治体が再稼働には今反対している状況で、いつ再稼働できるかわからないような状況だという中で、どう見ても資金的な援助があるというようには私はちょっと思えないんですけれども、もう一度、更田委員長、お願いできますでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 設置変更許可の審査というものは、設計の内容が安全対策として十分なものであるかということを確認するためのものです。

 仮に資金が得られなくてショートした場合には、工事が行えないわけですから、日本原電としては申請した設計内容をそのまま実現することができないということで、要するに、後段の規制において工事計画の認可を受けられない、工事が行えないということが予想されます。

宮川(伸)委員 規制委員会の方が根拠にしている文書なんですが、意向があるということは書いてあるんですけれども、そのもとに、法的拘束力のある約諾を行うものではなく、弊社における最終的な決定については、弊社内での総合的な検討結果を踏まえて判断するというふうに、ですから、これは通常法務的に読めば、何の約束もない手紙のように私は思えるわけです。

 そして、経産省、世耕大臣の手紙の方も、質問主意書の中では判断していないという回答が出ているわけですが、結局、誰も、しっかり払いますよということは言っていない中で、先ほど御答弁がありましたが、そのような状況で、経理的基礎があるといって、これだけ重要な、世の中が注目をしている二十年延長に関して、このような根拠で認めてしまっていいということなんでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 原子炉設置変更許可に係る審査において経理的基礎を確認することの目的は、例えばですけれども、全く経理的な基礎を持たない者が設計を申請することによって、非現実的な申請行為というものをはじくというところに大きな目的があります。

 再三お尋ねでありますけれども、仮に日本原電が東京電力ないしは東北電力から資金協力が得られなければ、物ができないわけですから、後段の規制において認可を受けられないという結果になるということであります。

宮川(伸)委員 私は、やはり審査が甘かったのではないかというように思いますので、しっかりとやっていただきたいという中で、ちょっと次に進みます。

 これは関連するんですが、私、これは非常に大きな問題だと思っているんですが、二〇一二年以降、東京電力を始め大手電力会社から、東海第二原発を含む原発を運営をしている日本原電に資金が流れているわけですが、総額幾らお金が行っているんでしょうか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 東京電力を含む大手電力会社が日本原電に支払った金額、二〇一二年以降でございますけれども、現在日本原電が開示している情報に基づき申し上げますと、二〇一二年度は千五百十億円、二〇一三年度は千二百四十二億円、二〇一四年度は千三百三億円、二〇一五年度は千百二十七億円、二〇一六年度は千六十六億円、二〇一七年度は千一百三億円であり、合計は七千三百五十一億円であると承知してございます。

宮川(伸)委員 そのうち東京電力さんが払った金額というのはわかりますでしょうか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 現在申し上げた数字のうち東京電力が支払ったものは二千七百七十三億円と承知してございます。

宮川(伸)委員 もしわかれば、昨年、一番直近で東京電力さんが払ったのは幾らでしょうか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一七年度でよろしいですか。(宮川(伸)委員「はい、じゃ、それで」と呼ぶ)二〇一七年度で申し上げますと、五百二十五億円と承知してございます。

宮川(伸)委員 先ほど更田委員長の方から、規制庁の方からはそういう発言でもいいと思うんですけれども、工事を始めても、途中でお金が足りなくなれば工事できないじゃないかということでありますが、実は、この東海第二原発の問題というのは、今、日本原電さんは全く発電ができていません。

 発電ができていないので、売電による収入がないわけですけれども、そこを大手電力会社さんが補助をして出して、何とか会社として成り立っているわけであります。三・一一、福島第一原発事故以降、売電ができなくなっていて、発電がゼロなのに、お金が、先ほど話にあったように約一千億円ずつ日本原電に入っているわけであります。

 ですから、再稼働ができなくて、これから先、将来においても、一年再稼働がおくれるたびに約一千億円のお金が多分入るだろう、そして、東京電力の方から恐らく五百億円ずつのお金が入るだろうということでありますから、ですから、何もしなくて、千七百四十億円が出ないから、だからいいんだという話ではなくて、これは後におくらせれば後におくらせるほど、国民負担がどんどんどんどんふえていくというような状況に今あると思っています。

 このような状況の中で、新々総特、特別事業計画の中には、廃炉や賠償の費用の捻出に向けて、企業価値を高めて、国民負担の抑制と国民還元を実現するという精神が新々総特の中でうたってあるわけですけれども、今のこのような現状は、この新々総特に本当に当てはまっているというように、大臣、思われますでしょうか。

世耕国務大臣 我々は、あくまでもこの新々総特に沿いながら東京電力がしっかりと経営を行って、福島への責任を貫徹をさせていくことが極めて重要だと思っています。

 そして、それに当たっての個々の経営判断については、これは東京電力は商法上の株式会社でもありますから、それぞれの経営者がしっかりと判断をすべきだというふうに思っています。

宮川(伸)委員 最初にADRの話をしたわけでありますが、あれだけ今、福島の方々がADRセンターのことで苦しんでいらっしゃる。そして、賠償がちゃんとできていればいいかもしれませんけれども、ADRの話を今したように、賠償の部分に関して今こういう疑義が出てきているわけです。

 そういった中で、それよりはるかに大きなお金、何百億、何千億というお金が出ている中で、これが本当に適当なのかどうかというのを、やはり監督省庁である経産省がそれなりの説明を、これは個々のことだから知りませんよ、そういう状況では、少なくとも、ADRのああいった案件がある中では私は言えないと思っております。

 その中で、もう一度、ちょっと前回も聞いたんですけれども、千七百四十億円、あるいは今のお金、あるいはテロ対策費用もこれから入っていく中で、恐らく三千億、もっとそれ以上のお金がかかるわけですけれども、これは全く再稼働しなければ焦げつくわけですね。それは何年再稼働すれば、出したものがしっかり戻ってくるのか。

 東京電力副社長、お願いできますでしょうか。

文挾参考人 お答えさせていただきます。

 経済性の見通しということとの関連だと思いますが、経済性の見通しにつきましては、今後の市場の価格の見通しとか、あるいは、原電から、これからヒアリングを通しまして、東海第二原子力発電所が何年稼働するのか等を確認をしながら、今後、引き続き総合的に検討してまいりたいというふうに考えております。その上で、資金協力等については改めて判断をさせていただきたいということでございます。

 以上でございます。

宮川(伸)委員 新々総特の中には、経営の透明性、客観性の確保に関してもコメントが入っています。そして今、これは私、しっかり説明していると思うんですね、何千億というお金がかかると。これは、出したものがちゃんと返ってくるかどうかというのは、通常、どんな会社でも検討すると思うんです。しかも今、遅延するかもしれない要素がある。これは周辺自治体がオーケーを出さないかもしれない。

 こういう状況の中でそこを見るというのは、経営の透明性、客観性の確保という意味で私は極めて重要だと思いますが、大臣は、この点、何年は再稼働しなければこれは元を取れませんよというのをしっかり原電若しくは東電の方から言っていただくというのは、必要だと思いませんか。(発言する者あり)

赤羽委員長 御静粛にお願いします。

世耕国務大臣 新々総特で掲げている、福島への責任を貫徹するための東電の経営改革というのは、本当に厳しい内容になっています。一円たりとも無駄にできるような話ではないというふうに思いますよ。今おっしゃるような、元が取れないような投資なんというのは、新々総特に照らせば、そんなこと東京電力ができるわけがないわけであります。

 個々の判断については、これは、東京電力が新々総特をしっかりと実施していく、福島への責任を貫徹するという観点から、一個一個の経営判断をされるべきものだというふうに思っています。

宮川(伸)委員 もう一つ、ADRの話をしてきましたが、この企業価値を高めるということが一つ大きなポイントになっているわけでありますが、ちょっともう一度、これは何千億というお金、相当なお金が動くわけです。これを日本原電に、東海第二原発に入れることによって、何で東電の企業価値が上がると監督省庁として考えられているんでしょうか。

世耕国務大臣 企業価値を上げるというのも、最終的に、福島事故と関連するいろんな施策に関して確保すべき資金の全体像の中で描かれているわけであります。

 これは別に、東海第二原発への資金協力が即東京電力の価値を上げるという種類のものではなくて、やはり新々総特等に沿った抜本的経営改革を東京電力が行って、収益力を高めて、そして福島への責任を貫徹をしていくという中で、東京電力の価値全体が上がっていく。最終的にそれを、我々は今株を持っているわけですから、それを売却することによって、国も一定の、今までかけてきた費用の回収が行われるという長いビジョンが書かれているわけであります。

宮川(伸)委員 私も会社勤めをしてきましたけれども、事業計画をしっかりつくる、そして企業価値を高めることができる、あるいはこの投資によってしっかりと戻ってくる、会社が大きくなるという見込みがあれば、これはやはり国民若しくは株主さんに積極的にアピールをしていくというのが私は普通だと思います。

 しかし、前回もそうなんですが、東京電力さんの方はやはり明快な説明をしていただけないような状況にありますが、私は、この状況を見ていて、東京電力さんが一つの企業として本当に独自に判断できていないんじゃないか、もしかしたら、積極的にやりたくないんだけれども、どうしてもやらざるを得なくて、だから国民に説明ができない、こういった状況ができてしまっているんじゃないかということを懸念をしています。

 これは、まさに安倍政権の原発政策に関するわけですけれども、第五次のエネルギー基本計画においても、二〇%近い原発を再稼働させるという、こういう目標を掲げて、これをやるんだということが、ひずみとしてこの東京電力さんの経営の方にも出てきているのではないか。あるいは、原発輸出のことも、最初はやると言っていたけれども経済的に合わなくてできなくなってきている。ですから、やはり経済的な問題で再稼働等が厳しい状況になってきている。これを安倍政権が、政府が押しつけているからこのひずみが出てきているんじゃないかと私は問題意識を持っていますが、最後に、大臣、どのように思われますでしょうか。

世耕国務大臣 これはもうエネルギー基本計画で昨年七月に閣議決定をされたわけでありますが、我々は何も原発の数字ありきで議論しているわけではなくて、全体の電力のコスト、CO2の排出量、そしてエネルギーの安全保障、そういった総合的な観点から判断をさせていただいています。

 また、我々の方から個別の事業者に、ここにお金を入れろとか、そういうことを言うことは全くありません。

宮川(伸)委員 引き続きこの問題に取り組ませていただきます。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、山崎誠さん。

山崎委員 こんにちは。立憲民主党の山崎誠でございます。

 きょうは時間をたっぷりいただきましたので、エネルギーの問題の議論をさせていただきたいと思います。

 これまでも何度も世耕大臣ともいろいろ御意見を交わしたところでございますが、きょうも同じようなことも出てきますが、総括でお話を、そして現状、エネルギーの課題について議論ができたらと思います。

 まず、世耕大臣が所信の中でも述べられています、責任あるエネルギー政策という言葉をよく使われます。それに対して、原発ゼロは無責任だという発言も、私にとっては聞き捨てならないんですが、よくお聞きするところでございます。その点、まず一回しっかりと整理をさせていただきたいと思います。

 まず、世耕大臣の言う責任あるエネルギー政策というのは、どういう政策でしょうか。

世耕国務大臣 徹底した省エネ、そして再エネの最大限の導入に取り組んで、原発への依存度を可能な限り低減させていく、これが政府の一貫した方針であります。

 一方で、資源の非常に乏しい日本にとって、原子力は、安全確保を大前提とした上ではありますけれども、安定的でかつ安価な電気の供給、そして気候問題への対応、そしてエネルギーの海外依存度といった点を考えれば、責任あるエネルギー政策を実行するためには欠かすことができないものというふうに考えております。

 具体的には、原発が停止して以降、震災前の二〇一〇年に比べて電気料金が上昇しているという事実があるわけであります。具体的には、一年間で、一般家庭では約一・六万円、中小企業では約九百五十万円のインパクトが出ているわけであります。CO2排出量も増加をしておりまして、中でも電力セクターでは約四千百万トンも増加をしています。これは日本のCO2排出量全体の三%に相当する量ということになります。さらに、エネルギー自給率という点で見ますと、G7各国の中でもずば抜けて低い九・五%にまで低下をしているといった影響が出てきているわけであります。

 こういった中で、原子力を含めて多様なエネルギー源を組み合わせて適切に活用することで、それぞれのエネルギー源の強みを生かして、弱みを補完しながら、スリーEプラスS、すなわち、安全性、安定供給性、経済効率性、環境適合性、これを実現することで、責任あるエネルギー政策を実行していきたいと思っています。

 もちろん、安全性が最優先であります。そのため、原子力発電所については、いかなる事情よりも安全性を最優先して、高い独立性を有する原子力規制委員会が、科学的、技術的に審査をして、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原子力発電所のみ、その判断を尊重し、地元の御理解をいただきながら、再稼働を進めることとしています。

山崎委員 ありがとうございます。

 大方、私は賛成いたします。例えば、省エネの話、それから再エネの導入の話、原発依存を限りなく、我々はゼロですけれども、限りなく小さくする。賛成でございます。そして、エネルギーの自給率を高めていく、温暖化対策をしっかりやる、コストも抑えていく。もう全く同意でございます。ただ、そのためにどういうエネルギーミックスにするのかというところは私は大きく違います。

 それで、今最後に述べられた原子力の問題。私は、この日本の原発依存の政策が責任のある政策だとは思いません。これが二〇%から二二%残っているという第五次のエネルギー基本計画のエネルギーミックスは、私は責任のある政策だとは思いません。その点、ちょっと確認をさせていただきます。

 スリーEプラスS、自給率、経済性、それから環境性能、そして安全、この基準が第一だ、今お話があったとおりです。じゃ、今の原発、こういう基準に照らしてこの基本原理に合っているかどうかが大きな問題だと思います。

 まず第一に、三・一一、八年目ということでございまして、私も南相馬に行ってまいりました、三月十一日。そして、宮城の被災地も回りました。本当にまだまだ大変厳しい状況が続いている。そして、南相馬に行ったのは、除染の廃棄物、その扱いについて皆さんが困られているということで、現場を見てまいりました。そういう経験を踏まえてお話をさせていただく。

 東電の福島第一原発事故、この取扱い、この事故の収束、これはエネルギー政策の一環ですね。世耕大臣が言っている責任あるエネルギー政策の一部として、この福島第一原発事故の対応は入っていますよね。

世耕国務大臣 ちょっと、エネルギー政策というものの定義の議論はあると思いますけれども、少なくとも、経済産業省にとっては、これは最重要課題だというふうに思っています。

山崎委員 私は、やはり、この東電の福島第一原発事故、これを切り離して原発政策は語れないと思います。この後もできれば議論はしたいんですが、過酷事故は絶対に起きない、福島のような事故は絶対に起きない、一〇〇%起きないとは誰もこの場にいる方々は言えないと思います。御質問しても、そうは絶対返ってこないと思います。それが現実でございますから、福島のようなことが起きるということも想定した上で原発政策を考えなきゃいけない。それは確率は小さいかもしれない、でも、そこはまず押さえなきゃいけない話だと思います。

 それで、今、じゃ、福島第一原発がどういう状況になっているか。資料を少し、新聞記事をつけさせていただきました。

 資料の一は、三月十二日、三・一一を含めていろいろな記事が、あるいは報道がございます。これは読売新聞の記事でございまして、読売新聞のスタンスというのは、原発については非常にニュートラルというか、そういう立場だと私は認識しておりますが、その中でも、「福島第一 遠い廃炉」という記事ですね、「増える処理水 処分未定」、それから「溶融燃料の除去 最難関」と書いてありますよね。

 ちょっと読みますね。初めの方の三段目でしょうかね。一日当たり五十から百トンの汚染水が発生しています。下線部を引いています。水素の一種である放射性物質トリチウムは除去できない。海洋放出などの処分方法を検討しているが、風評被害の懸念から結論が出せないでいる。東電は政府の方針決定を待つとの態度で、具体的な解決策は示していない。

 それから、溶融燃料の方ですね。下線を引いたところです。二号機では先月、原子炉格納器内でデブリと見られる堆積物の一部を、遠隔操作でつかんで持ち上げることに成功した。しかし、岩のようにかたく、動かせない堆積物もあったというような話でございます。大変厳しい状況で、このデブリを取り出せるかどうか大変難しい、それが現実でございます。

 東電の文挾副社長に来ていただいていますので、ここをちょっとお聞きしたいんですが、この汚染水の問題ですね。今、たまりにたまって大変苦労されていると思います。そして、前にはトリチウムの処理水だという話だったんだけれども、その中にはほかの放射能の核種も含まれていて、そのままもちろん処分することができない、二次処理もしなければいけない、そういう現実を今直面されている。こういう状況で、この汚染水の問題、解決策はあるんでしょうか。今どういう悩みをお持ちなのか。お知らせいただきたいと思うんですが。

文挾参考人 それでは、お答えさせていただきます。

 先生御指摘のように、今現在、百十二万トン、九百四十基のタンクで、その汚染水といいますか、多核種除去設備で処理した水をためてございます。

 これは、基本的には今、告示濃度を超えているということでございますけれども、これをどうするのかということですが、これにつきましては、今、繰り返しになりまして恐縮ですけれども、国の小委員会で議論を踏まえまして、国から大きな方針がこれから示されるというふうに認識してございます。

 当社は、それを踏まえまして、地元を始め関係者の皆様の御意見を伺いつつ、安全性はもちろんのこと、地元の安心とか、あるいは風評に最大限配慮いたしまして、丁寧なプロセスを踏みながら、これは適切に対応させていただきたいというふうに考えてございます。

 以上でございます。

山崎委員 国の委員会の方針を待ってということでございますが、この後どういう方針が出るか、私はわかりません。

 でも、例えば海洋放出となれば、風評の被害がある。そして、環境影響、どういうものがあるのか。トリチウムは比較的影響が少ないんだということは科学的には言われていますが、でも、今回のような大量なものをこれから何年にもわたって出していったときの環境に与える影響は、私は、ゼロではない、やはり危険性はあるのではないか、そういう声も上がっていると思います。

 それで、世耕大臣、これは明らかに、環境、エンバイロンメントの問題として、福島のこの第一原発の事故の影響、ほかにも、汚染土壌の問題もあります、除染の問題もあります。大変な大きな環境破壊を残念ながら起こしてしまった、それをお認めになりますか。

世耕国務大臣 それは当然認めて、今も福島の復興、廃炉・汚染水対策を経産省の最重要課題として取り組んでいるわけであります。

山崎委員 お認めになりました。

 私は、原発事故を起こせば、一たび事故を起こせば、この、皆さんが掲げているスリーEのEですよ、エンバイロンメントは気候変動だけではありませんよね。気候変動だけと言うんでしょうかね。環境全般でこれだけの悪影響を与えている。これは、皆さんが言っているスリーEプラスEのEの一つにはアウトだと思いますよ。

 次、行きましょう。

 原発、事故を起こしたらということは、事故は起こるんですよ。起こる前提で物事を考えなかったら問題がありますよね。原発比率二〇から二二%を確保するために必要な原発、どういう運転が必要かをお聞きいたしたいんですが。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 仮に、原子力の二〇から二二%を実現するということにいたしますと、この実現可能性につきましては、原子力規制委員会の審査を経て既存の原発を再稼働いたしまして、震災前の約平均七割のところ、例えば稼働率を八割程度まで向上させ、一部の炉については運転を行うという中で達成可能な水準だと考えているところでございまして、具体的基数をお尋ねになっておられると思います、これにつきましては、約三十基程度という数字になります。

山崎委員 三十基というのは、四十年廃炉になるものは何基ですか、そして延長するものが何基ですか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇三〇年時点で四十年未満の原発は二十三基となります。また、これを先ほどの計算と整合的に機械的に計算をすれば、七基程度を運転延長するという計算になってございます。

山崎委員 これは、今動かせる原発、三十六基あるんですよね。そのうちのほとんどのものを動かして、それも二十年延長するものも七基あって、それでようやく到達するという。これって、実現可能性、皆さんあると言うんでしょうけれども、これは実現可能性は高いですか、今の日本で。どうお考えですか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 政府の方針といたしましては、安全については、原子力規制委員会の審査を通った、高い独立性を有する規制委員会が世界で最も厳しいレベルの基準に適合すると認めた原発のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら進めるという方針でございますので、確率についてお答えするのは適切でないと思いますけれども、現時点でも九基、再稼働が進んでございます。審査のプロセスに入ったものも相当数ございますので、そういった中で、しっかりと二〇から二二%という国のミックスの目標は達成するべく、我々としても取り組んでまいりたいと考えてございます。

山崎委員 何となく、うまく逃げられたなと思いますけれども、規制委員会の審査、厳しい審査を通って、現実に今ある三十六基が全部動く、それも、稼働率八〇%ですからね、トラブルがあったらアウトですよ。そういう基準が、今、このエネルギーミックスで二二、二〇%から二二と言っている、世耕さんの言うあるべき姿ですよ。これだけのものを動かすというのが責任のある政策なんですか。

 今現在、まだこれからいろいろな審査も行われる中で、きょうはちょっと議論はできないけれども、例えば避難計画の実効性のようなものもチェックをし、そして周辺の自治体の皆さんに納得いただく、そんなプロセスも含めて、二〇三〇年までに三十六基の原発を動かす、それが責任のある政策なんでしょうかね。世耕さん、どうですか。

世耕国務大臣 そもそも、エネルギー基本計画の中のエネルギーミックスというのは、何を何基動かすということから計算しているわけではないわけであります。マクロな視点から、電力のコストを下げ、CO2の排出量を抑え、自給率を高め、再生可能エネルギーもできる限り入れ、そして原発依存度をできる限り下げというマクロな計算の中から二〇から二二%という数字が出てきているわけであります。それを、裏打ちがないといけないから、これは本当に実現できるのかと聞かれると、今エネ庁がお答えしたようなお答えになるわけであります。

 我々としては、きちっとした現実性も持ちながら、しかも、国全体のエネルギー政策に関して、このエネルギー政策は間違うわけにはいかないんです。停電を起こすわけにもいかないんです。日本の産業競争力の基盤なんです。しっかりと責任あるエネルギー政策を展開してまいりたいと思います。

山崎委員 世耕さん、それを今ここで言っていいんですか。胆振東部地震のときに、北海道、ブラックアウトを起こしたじゃないですか。あの責任はどうとるんですか。ブラックアウトで、どれだけ酪農の皆さん苦しんだんですか。今のお話は聞き捨てならないですよ。あれだけの期間、ブラックアウトですよ、北海道全域で。それで何で、停電を起こさないように、責任のあるエネルギー政策なんて言えるんですか。世耕大臣、それは大臣として余りにも無責任過ぎますよ。無責任過ぎる。(発言する者あり)原発が動いたらブラックアウトしなかったと言う方がいますけれども、原発なんてすぐに、大きな地震が来たら瞬停ですよ。どうなんですか。まあいいや。

 じゃ、今のように、今、国民の皆さん、どういうふうに御理解したか。二〇から二二というのが、実はエネルギー政策、マクロな視点から出てきて、そのために決まった数字なんだと。前、何度もこの話はしています。目標ではないというのは確認しました。じゃ、何ですかと聞いたら、あるべき姿だと言いました。あるべき姿と目標というのは、私は紙一重だと思いますよ。

 いや、いいんです。だから、私は、そうであれば、限りなく依存を低くしたいんだったら、今とまっている状態が一番いいじゃないですか。そこからスタートしたらいいじゃないですか。でも、再稼働、再稼働と言って、二〇―二二と言っている。それは、皆さんが言うのは、スリーEプラスEだの何だのありますよ。だけれども、それを別な方法から考えようとしないのに私は問題があると思います。(発言する者あり)ちょっとうるさいので、やめさせてください。

赤羽委員長 御静粛にお願いいたします。

山崎委員 まず、二〇から二二を実現する可能性というのは極めて難しい、これにコミットするあるいは責任をとるということは私はできないと思うので、とっていないとは思いますけれども、ですので、ここでも無責任だと思います。

 じゃ、もう一つ聞きます。二〇から二二%、これを動かすために、三十六基の原発を動かす、あるいは延長もしなければならない、どのぐらいのコストをかけて安全対策をしたら動くんですか。

村瀬政府参考人 個別の炉で安全対策コストは異なっておりますので、一概に言えないということでございます。

山崎委員 東海第二の今延長も入って、あれで三千億、四千億かかりますよね。そういったオーダーのお金が各炉でかかってくるということでよろしいですか。

村瀬政府参考人 これはもう、炉の置かれた状況によって全く異なるというふうに考えてございます。

山崎委員 そういうことであるのかもしれませんけれども。私は、結局、ここでもお金がかなりかかる。なので、経済の面ですよ、経済性の面でも、これ以上追加投資をして、原発、四十年、その後どうするのか、今、そういう時期で考えなきゃいけない。だから、エコノミーというEの観点でも破綻していると思います、原発は。

 資料二を見てください。これは産経新聞です。これには、やはり、再稼働定着せず、大変厳しいと。この目標達成をするためにはかなり苦労するだろうというお話が書いてあります。下の二段目のところを見てください。経済同友会の小林代表幹事、この国の目標、余り現実的ではないというようなお話をしている。その先です、一番最後。東京理科大学大学院の橘川先生、最大の問題点は国が原発の建てかえに言及しないことだ、原発を使い続けるのなら危険性の最小化が大前提になる、そのためには必要な建てかえに触れないことには、国の逃げ腰や先送り姿勢が端的にあらわれてくる、このように言っていますよ。

 二〇から二二をきちっと果たそうとするならば、建てかえも視野に入れて検討しないとだめだと言っている。専門家の意見です。これは、いろいろな委員会でも参加されている大先生でございますよ。この指摘をどうお考えですか。

世耕国務大臣 もうこれはいつも私がお答えする形になるんですけれども、現時点において原発の新設、リプレースというのは我々は全く考えておりませんし、エネルギー基本計画にも新設、リプレースというものは織り込まれていないわけであります。

 二〇から二二の数字は、先ほどから何度も申し上げているように、何を何基立ち上げて、何キロワット確保してという話ではないんです。これは、マクロな視点から二〇から二二。そして、じゃ、裏打ちがあるのか、実現性があるのかと言われたら、今、村瀬部長が先ほどから御答弁しているように、機械的に計算をすれば、一定の稼働率を前提にし、一部は運転延長することを前提にすれば、今ある原発でも実現は可能でありますということをお答えしているわけであります。

山崎委員 机上の空論はやめてください。私は、現実的に動かせるのかどうかを、責任のある立場で、責任のある御意見が聞きたいんですよ。とまっている原発を全部動かして、足して、掛ける八〇すればこれだけの電気が起きるから、それはわかりますよ、ちょっと計算ができればそれは計算できる。でも、そんな計算ができないでしょう、この原発の問題で。そんな単純じゃないんですよ。そこに責任を持てないエネルギー政策は私は無責任だと思います。

 それでは、最後、幾つもありますが、最後のポイントを聞きます。

 ミサイル攻撃、安倍政権は非常に今対外的な危機を訴えていらっしゃいます。国際関係が非常に危険だと。それはいろいろな見解があると思います。例えば、ミサイル攻撃があったときに、北朝鮮が、大きな核兵器を使わなくても、小さなミサイルでも、原発に落とされれば日本は核攻撃を受けたと同じようになります。

 このミサイル攻撃に対して、原発の安全性は今どのようになっていますか。どういう対策がとられて、ミサイル攻撃に耐えますか。

世耕国務大臣 原発へのミサイル攻撃ということでありますけれども、これは、政府としては、海上自衛隊のSM3搭載のイージス艦による上層での迎撃と、航空自衛隊のPAC3ミサイルによる下層での迎撃を組み合わせて、多層防衛によって対処するということになっているわけであります。

 また、武力攻撃事態などに該当するようなことになれば、事態の状況に応じて、国民保護法等の関係法令や国民保護計画に基づいて、警報の発令や住民の避難などの措置を迅速かつ的確にとるわけであります。

 並行して、原子力発電所については、こうした事態に至れば、原子力規制委員会が、これら関係法令や計画などに基づいて、原子力発電所の運転停止を原子力事業者に命ずることになっているわけであります。

 加えて、ふだんから、さまざまな事態を想定して、関係機関が連携をして各種シミュレーションを行って、国民保護のための訓練等を実施することで、いかなる事態に対しても国民の安全を守るために備えているわけであります。

 経産省としても、これまで、関係機関と事業者との連携を密にして、こうした事態に際して事業者が迅速に対応できるよう指導してきているところでありまして、万が一、原子炉の運転停止等が発生した場合には、直ちに電力の安定供給の確保に必要な対応を講じてまいりたいと考えています。

山崎委員 今のお話でどれだけの国民の皆さんが納得して安全だと思ってくださったかと思います。

 シミュレーションを重ねて、じゃ、お聞きしますけれども、ミサイルが、済みません、何十基か飛んできた、一遍に飛んできた。比較的小型のミサイルですよ。それを全部迎撃できるんですか。例えば、数十基が飛んできました、迎撃できませんでした、一基が原発の建屋を直撃をしました、そのときに、原発停止云々の前に、原発はもちますか。原発の格納容器は強いかもしれない、でも、周りの配管だとかさまざまな機器はやられますよね。放射能が漏れたりしませんか。過酷事故になりませんか。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 ミサイル攻撃の対処につきましては、先ほど大臣から御答弁させていただいたとおり、多重的な防衛によって対応するということにしてございます。

 経済産業省として防衛省にも確認をしているところでございますが、確認した結果、防衛省からは、領域内に落下するおそれがある場合、第一義的には海上自衛隊のSM3搭載のイージス艦による上層での迎撃を行い、その上で、PAC3ミサイルによる下層での迎撃を行う多層防衛により、原子力発電所も含め、我が国全域を防衛することとしている旨の回答を得ているところでございます。

山崎委員 これは時間が無駄なのでこれ以上はやめますが、私は、やはり原発はこういう意味でも危険が伴うんだ、やはりそこは認めて、そこからスタートして、責任のあるエネルギー政策を議論しなきゃいけないと思いますよ。セーフティーでもアウトです。環境性能、Eでもアウトですよ。エコノミックでもアウトです。

 そして、これだけの、今、福島原発事故、まだ緊急事態は続いていますからね。これだけの不幸な今事故を起こしてしまって、その事故半ばで、原発依存、減らすのは賛成です、でも、二〇から二二%という目標、あるべき姿を掲げて政策を組み立てている。世耕大臣が言っているこのエネルギー政策は私は無責任だと思います。

 それでは、原発ゼロがなぜ無責任なのか、教えてください。

世耕国務大臣 スリーEプラスSが破綻しているというふうにおっしゃいますけれども、例えば、環境に関しては、やはりCO2を出さずに大きな発電ができるというのは原子力発電だけなんですよ。世界的にも、IAEAに対してしっかり態度を表明している国の大半は、原発は使い続ける、あるいは新たに使いたいと言っているんです。ですから、我々の申し上げているスリーE、スリーSプラスEというのは全く破綻はしていないというふうに思っています。

 政府としては、安全最優先で再稼働を進めていくことにしているわけですけれども、安全確保、最終処分など、さまざまな課題に直面をしていることは事実であります。こうした課題から目を背けずに克服していくことこそが責任ある取組だというふうに思っています。

 一方で、再生可能エネルギーについては、コスト面、安定供給面の課題があるわけであります。コスト低減や系統制約の克服、調整力の確保、これにはもちろん取り組んでいく必要があるわけでありますが、一方で、このためにはバックアップに化石燃料を使わなければいけないという面があります。化石燃料については、自給率ですとか環境の観点から課題があって、高効率化などの取組を進めることが必要であります。

 このエネルギーというのは、何かこう、一本足打法のような、これ一個でいけるというのはないわけであります。それぞれのエネルギー源の強みと弱みをそれぞれ補完をしながら、バランスのとれたエネルギーの供給構造を実現をしていかなければいけないということであります。

 資源の乏しい日本にとって、安定的で、かつ安価な電気の供給、そして気候変動問題への対応、エネルギーの海外依存度を低減させるということを考えた場合、再生可能エネルギーと化石燃料のみでは、バランスのとれたエネルギー需給構造を実現することは私は困難だというふうに思っています。ですので、安全確保を大前提とした上で、原子力は欠かすことができないものだと考えておりまして、原発ゼロというのは責任あるエネルギー政策とは言えないと考えております。

山崎委員 私が言いたいのは、それぞれ困難なポイントはあるんですよ、難しい問題はあると思いますよ。再エネが高いとまたおっしゃっていますよね。まあ、再エネは高いのかもしれない。安定性がないと言っています。私は、じゃ、どっちの無責任が大きいかですよ、どっちの無責任が乗り越えられるかですよ。

 再エネの無責任さというのは、今お話ししたコストの問題は……(発言する者あり)

赤羽委員長 御静粛にお願いします。

山崎委員 世界ではもう解決していますよ。世界では再エネが一番今安くなっているんですよ。日本だけです、解決できていないのは。日本が何で解決できないかを経産省は考えて、それを実行すれば、コストの面は解決できますよ。

 それから、不安定という話がありました。安定性の問題はこの後議論します。再エネは、太陽光、風力だけではありません。ほかにもさまざまあります。そういうものは安定的なエネルギーを供給できる再エネです。

 世耕さん、やはり知識が甘いと思いますよ。コストの問題、不安定ということを再エネの弱点に挙げる時点で終わっています。

 いいですか、それでもう一つ。原発の無責任さというのは乗り越えるのが本当に難しいんですよ。本当に難しいんですよ。

 例えば、使用済み核燃料あるいは核廃棄物、最終処分、本当にできますか。これはやらなきゃいけないんです。あるものはきちっと安全に処分しなければいけない、もちろんです。でも、それをどこでどういうふうにやるか、大変難しい課題があって、このどちらをとるか、どちらの難しさをとるかが本当に大きな選択だと思います。

 時間がないので少し飛ばしますが、再エネのエネルギーミックスの話をやります。

 二〇三〇年、二〇五〇年のエネルギーミックス、再エネの目標設定を教えていただけますか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 政府の作成しております二〇三〇年の電力構成としてのエネルギーミックスにおきましては、電源構成に占める再エネの比率を二二から二四%と設定してございます。

山崎委員 再エネの中のエネルギーミックス、再エネの中の内訳を教えてほしいんですよ。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 二二から二四%の内訳でございますが、太陽光発電が七%、風力発電が一・七%、地熱発電が一から一・一%、水力発電が八・八から九・二%、バイオマス発電が三・七から四・六%と設定してございます。

山崎委員 わかりますか。こうやって、エネルギーミックスはいろいろあるんですよ。

 私がお話ししたいのは、例えば、地熱発電、これは今、進捗、実はちょっと御答弁いただきたかったけれども三七%です、進んでいません。中小水力は、八六%ですかね、進んでいる。バイオマス、約五五%、進んでいません。風力も実は進んでいないが、太陽光だけ進んでいる、七四%。

 要するに、経産省のエネルギー政策、再エネの政策として、こういった安定的な再エネをもっと伸ばす努力をしなければいけない。そういったところにもっと集中投資しないと、世耕さんが言っているようなその不安定性を再エネから除去することはできないんですよ。ただ、こういったものをきちっとやれば安定性は確保できていくんだ、その点はしっかりと御理解いただいて、政策を打っていただかなきゃいけない。その点、どうですか。

世耕国務大臣 先ほど何か私が勉強不足のようなことを言われましたけれども、私も、経産大臣になって二年半、専門家とともに、これは経産省の中だけではありませんよ、外部の方々も含め、また、割と脱原発の立場に立っている方の御意見も含めて、いろいろと勉強してきています。

 それでも、まあ、勉強すればするほどというのは誰かのセリフみたいになるから余り言いたくないですけれども、やはりエネルギーのバランスをしっかりとっていくということこそが一番重要だという、私も再生可能エネルギーは極力入れていきたいと思っていますが、残念ながら、日本は他国とメッシュ状に系統を結ぶこともできないんです。そういう中で、日本固有の事情もしっかり考えなければいけない。何がおもしろいんですか。

 他国と系統を、ドイツみたいにきめ細やかにメッシュ状に結べますか、日本が。それはできないわけですよ。

 その辺はやはりバランスのとれた考え方をやらないと、停電を起こしたり、電力の質を下げたり、そういうことは我々は絶対できないわけです。日本の産業競争力は電力の質が高いことが大きな礎になっておりますから、これからも、責任ある政策をしっかり我々は、エネルギー面では進めていきたいと思っています。

 その上で、太陽光、風力以外の再エネも我々は着目をしています。バイオマス、地熱、中小の水力発電、これは、安定的な発電が可能であることや、地域の課題解決ですとか新産業創出を通じて地域活性化にも資することなどから、分散型エネルギーとして重要な役割を果たすというふうに認識しております。

 昨年閣議決定した第五次エネルギー基本計画でも、農林畜産業などとあわせて多面的に推進することで地域との共生を図りながら、コスト低減の取組を進めることで、緩やかにFIT制度からの自立化を実現しながら、長期安定的な電源の一翼を担う存在としていくことにしています。

 一方、こうした再生可能エネルギー導入拡大に向けては、その再生可能エネルギーの電源別にいろいろな課題があります。地熱発電も非常に有力ですけれども、やはり心配する地域とか声もあるわけでありますから、電源別に対応策を検討していく必要があると思っています。

 例えばバイオマス発電については、これはやはりどうしても、集落で使うとかになると小規模なものになります。そうすると、どうしても単位当たりの発電コストは高くなったりするわけであります。このバイオマス発電については、行政ですとか地域産業及び地域住民など、地域関係者と一体となった協力体制を構築をして、森林資源をマテリアルやエネルギーとして地域内で持続的に活用できる地域内エコシステムのモデルづくりというのも重要でありまして、これは、経産省だけではなくて林野庁とも連携をして、農水省とも連携をしてつくらせていただいております。

 また、具体的には、FIT制度によらずに地域内で経済的に自立して燃料調達からエネルギー利用を行う事業モデルの確立のための実証、また、バイオマス由来の熱利用設備に係る導入支援といった支援を行っているところです。こうした施策の実施を通じて、各地域に存在するバイオマスエネルギーの利用拡大を図っているところです。

 地熱や水力についても、実証事業や設備導入支援のほか、事業リスク低減に向けた資源探査の支援、コスト低減等に資する技術開発といったさまざまな対応策を適切に組み合わせて実施することによって、普及拡大を極力図ってまいりたいと思います。

山崎委員 ありがとうございます。

 いや、もうそういう取組をぜひやっていただきたいというのが私の意見でございまして、さっき笑ったのは失礼だったかもしれませんけれども、海外とつなぐとかというのは、前も私、これは議論したと思うんです。別に、海外とつなぐだけが系統じゃないですよ。

 だから、例えば、九州があります、四国があります、本州があります、北海道があります、それぞれの地域地域で、日本というのは大きな連合体のようなもので、その間の連系線をうまく使って融通をすれば、それは、例えばデンマークとドイツがつながっているように、北欧の国々がつながっているように、そういうモデルがつくれるんですよ。

 なので、海外とつながなければ融通がきかないとか安定ができないとかそういう話では決してないので、そこは、もう御理解いただいていて何か説明が足りなかったのかもしれませんけれども、御注意いただければと思います。

 私は、そういった再エネを、きちっといろんなバランスをとって、開発をしてやっていただきたいんです。でも、二〇一九年度の予算で、エネルギー関係予算のうちの四割は、残念ながら今原発です。原発に使われている、そういうデータがございます。ちょっとお手元にはないですけれども、分析をいただいた結果、四割くらいは原発のためのお金。それは福島の関係なんかもあるんで、膨らんではいます。でも、もっと再エネも、幅広くいろんなところに研究開発を進めていただいて、加速化していただきたいと強く要望しておきます。そうすれば、先ほどお話があったコストの面、安定性の面というのは再エネでも十分確保できるんだ、それが私たちの提案です。

 それでは、次に行きます。

 系統問題、電力市場の問題。やはり、系統の問題が非常にこの再エネの足かせになっているというお話があって、コネクト・アンド・マネージをやりますということでお話がございました。

 この効果、去年からスタートしていると思いますが、お願いします。

世耕国務大臣 我々も、再エネを最大限導入するためには、やはり系統を改革していかなければいけないと思っています。

 国内で融通すればいいじゃないかというお話でしたけれども、残念ながら、日本国内の電力ネットワークというのは、旧電力事業者がそれぞれ地域独占をしているということが前提になって、これがいいか悪いかの議論はしませんけれども、そういう意味で、系統が串刺し状になっているんですね。再エネというのは分散型のエネルギーですから、これをフルに活用するためには、メッシュ状のネットワークに変えていかなければいけない。そのためのまた投資をどうするのかとか、そういったいろんな議論もあるわけであります。

 この系統制約の克服に向けて、送電線を増強するには一定の時間と費用がかかります。ですので、まず、今ある系統を最大限活用するという意味で、一定の条件のもとで系統への電源の接続を認める、日本版コネクト・アンド・マネージの具体化を進めています。

 例えば、去年の四月から、過去の実績をもとに将来の電気の流れをより精緻に想定をして、送電線の空き容量を算出する手法、想定潮流の合理化といいますが、これを導入することによって、電力広域機関の試算によれば、新たに五百九十万キロワットの空き容量の増加が確認をされています。

 また、昨年十月から、事故時には瞬時に送電をとめることを条件として、緊急用に確保をされていた送電容量を活用する仕組み、N―1電制といいますが、これの導入によって、同じく電力広域機関の試算によれば、四千四十万キロワットの接続可能容量の効果が確認をされています。

 これらの合計をすると四千六百三十万キロワットになるわけですが、一定の仮定を置いて試算をした結果ということになりますが、仮にこの容量分の電源が接続した場合、二〇一八年九月時点における日本全体の発電設備の出力の合計約三億キロワットと比較をすると、約一五%に相当する規模になると考えています。

山崎委員 この一五%という数字、本当にそれが、例えば再エネの現場できちっと活用されて効果が出ていればいいんですが、ちょっとここは、私もいろんな声を聞いて、ほとんど、コネクト・アンド・マネージ、どうなんだろうという声も聞くもので、このあたりはもう少し追及したいと思います。

 ぜひ、これは、本当に前に進めていただいて、系統の問題、解決をいただきたいというのが思いです。

 電力系統の考え方、今ちょうど世耕大臣にも触れていただきました。要するに、大規模集中型の、今くしくもお話があった、電力会社、一般送配電事業者が持っている今までの体制から、再エネにふさわしいような、やはりグリッドをもっと細かく分割したようなネットワーク型の、分散型の、そういう系統への切りかえをやはり進めていくべきだと思いますが、そのあたりいかがでしょうか。

世耕国務大臣 太陽光、風力といった再生可能エネルギーは、やはり発電量の変動というのが常について回りますから、安定した供給力として見込むためには、火力発電など他の電源とバランスのとれた導入を広域で図っていくことが重要になります。

 一方で、再生可能エネルギーのような分散型エネルギーは、非常時にも活用できるエネルギー供給源を確保する点や、地域活性化にも資する点から、重要だと思っています。例えば、北海道胆振東部地震に伴う大規模停電の際も、住宅用太陽光の自立運転機能を利活用できたという実績も出てきております。

 経産省としても、これまでも、先導的な地産地消型のエネルギーシステムの構築など、分散型エネルギーの支援を行ってきたところでありますけれども、こうした中で、北海道でのブラックアウトから得られた反省と教訓を踏まえて、十一月二十七日に開催された重要インフラの緊急点検に関する関係閣僚会議においても、災害に強い再エネを導入促進するため、地域の再エネ利活用モデルの構築ですとか、住宅太陽光の自立運転機能の利活用の促進、他の電源離脱などによって周波数が低下をしたとしても発電が維持できる機能の強化などの対応策について取りまとめたところであります。

 これに加えて、先月には、再生可能エネルギーを可能な限り大量かつ効率的に導入するための電力ネットワークへの、そういった電力ネットワークへ転換をすることを目指して、託送制度の見直しなどを含めた検討の場を立ち上げたところであります。

 経産省としても、再生可能エネルギーの活用を最大限拡大すべく、電力供給システムの強靱化に向けた対策の具体化とともに進めてまいりたいと思っています。

山崎委員 ここはもう世耕さんの御答弁に本当に感謝でございます。ぜひ前向きに、再エネ、新しいやはりシステムづくりから入らなきゃいけないと思います。

 ちょっと質問を本当はしたかったんですけれども、例えば電力市場をもっと活性化をして、ディマンドレスポンスだとかバーチャルパワープラントだとか、需給コントロールの仕組みを精緻化していく、そういった取組も必要です。

 電力システムのデジタル化、これは東電の副社長にもお聞きしたかったんですけれども、ちょっと時間がないので、申しわけございませんが。

 本当に、スマートメーターの普及なんかも積極的に進めていただいて、いいデータがとれるようになってきている。これをやはりビッグデータとしてきちっと活用して、地域の電気の需要の姿、そういったものをリアルタイムで捉えて供給とマッチングをさせていく。それは変動型のものもあるでしょう。でも、それをうまく組み合わせることで、そこには新しいビジネスチャンスも生まれます。

 例えば、太陽光発電などで、太陽光で電気が余るようなときに電力料金を下げることで、その電気を買って例えば工場が運転をする、そうすると電力料金が落ちるわけですよね。そういう需要のコントロールを市場としてきちっとやる、それが今世界でも主流になっていっている。そういったものを日本でも早く取り入れていただきたいと思います。

 日本の今電力市場、一七・八%ですか、一八%から二〇%ぐらい取引が行われていると聞いていますが、もっとこれをやはり伸ばして、市場のメカニズムをうまく使った分散型、ネットワーク型なエネルギー供給の仕組みというのを目指していく。

 こう話したところでまた原発に戻るんですが、こういうシステムの中で原発が実は邪魔になっているんです。要するに、変動をきちっと吸収できて運転出力を調整できる、そういう電源が重要なときに、原発あるいは石炭火力のように、一旦動き出すとなかなか出力を変えられないというようなことがやはり非常に問題になるというのが、専門家の間でもいろいろ指摘をされています。

 そういうことも考えて、原発は要らないんじゃないかな、なしで、新しい仕組みの中で、安定的でコストも安くてそして環境にももちろん優しい、そういう仕組みづくりをぜひ経産省の皆様には検討していただきたいと思います。

 時間、残り少ないですが、水素基本戦略についてお話をしたいと思います。

 いろいろお話ししたいことを準備してきたんですが、飛ばします。水素の活用の基本的な考え方、水素をどういうふうに使用するんだ、活用するんだという考え方を手短に御説明いただけますか。

世耕国務大臣 一次エネルギー供給の九割以上を海外の化石燃料に依存する我が国において、水素エネルギーを利用するということは、エネルギー供給構造を多様化させるとともに、大幅な低炭素化を実現するポテンシャルを持っている手段だと思っていまして、エネルギー安全保障と温暖化対策、この二つに対応できる切り札というふうに考えています。

 水素基本戦略では、水素を再生可能エネルギーに並ぶ新たな選択肢として提示をさせていただきました。ガソリンやLNGなど従来エネルギーと同程度の水素コストの実現に向けて、水素の供給と利用の拡大を両面で進めていきたいというふうに思っています。

 供給面では、一つは、褐炭などの海外の安価な原料を活用するための国際水素サプライチェーンの構築と、国内の再生可能エネルギーの余剰の活用を進めるべく、国内外での技術開発や実証を進めています。

 また、利用面では、足元で普及が進みつつあるモビリティー分野を中心に利用拡大を進めていきたいと思います。燃料電池自動車はもちろんのこと、燃料電池バス、燃料電池トラックを始めとする他のモビリティーでも利用拡大を図っていくべく、技術開発や導入支援を行ってまいりたいというふうに思います。

 日本は、水素をつくる技術、輸送したり貯蔵する技術、利活用する技術、これを全部そろえて持っている私は世界で唯一の国だというふうに思っています。世界における水素の利活用のリーダーとして、これからも役割を果たしていきたいと思っています。

山崎委員 ありがとうございます。

 私も水素を否定するものではありません。でも、使い方があるというのが私の主張でございます。

 脱炭素社会を実現するために水素をうまく使いたい。何のために使うべきか。やはり、輸送面での脱炭素化で、どうしてもEVにかわることができない、電気の自動車にかわることができない領域として、私は、トラックだとかバスだとか、あるいは船舶だと思います。このあたり、本当は議論したかったんですけれども、こういったものに集中投資をする。

 私は、FCVについては悲観的でございます。

 ちょっと資料を見ていただいて、八、これはIEAのレポートからとったものですけれども、燃料電池車のシェア、販売台数の見込みというのは、上に本当にへばりついたぐらいしかないんですよ。だから、世界市場としてこのFCVの見込みというのは本当に極めて小さい。EV、プラグインハイブリッド、ハイブリッドが非常に大きくなっています。これはIEAのレポート。

 次の資料九は、これは経産省の資料です。経産省の資料を見て、二〇三〇年の燃料電池車のシェア三%以下、電気自動車、プラグインハイブリッドが二〇から三〇、こういう実態でございまして、私はある意味、ここで冷静に判断していかないと、これでFCVのために九百カ所のいろいろな水素ステーションだ云々かんぬんということに本当にいくべきか、冷静に判断していただいて、事業性、もちろん、それは今まで開発してきたものをうまく生かすために、バスだとかトラックとか、生かしていけばいいはずの話ですけれども、FCVでこれを使うという社会モデルが成り立つのかどうか、もう一回精査していただきたいと思います。これは質問できないですけれども、私からの要望です。

 もう一つ、先ほど、CO2フリー水素という話で、再生可能由来の水素を使うんだというお話がありました。私は、それを初め聞いたときに、そうか、再生可能エネルギーでつくればきれいな水素だなと思っていました。それ以外、褐炭からというような話は、残念ながら海外からの輸入でございまして、エネルギーの自給率を低めることは、できません、海外に依存するような話になりますので。

 やはり、それはいろいろなところから輸入ができるからセキュリティー上はいいのかもしれないが、水素を輸入してくるというのはやはりできるだけ避けなきゃいけない。では、再生可能エネルギーなのかと思いましたが、では、グリッドから電気をとって、わかりますか、系統から電気をとって、水を電気分解をして水素を発生させる、この水素はCO2フリーですか、再生可能エネルギー由来ですか。

世耕国務大臣 それは、グリッドのもとになる電源の成り立ちによるというふうに思います。当然、電源にCO2を排出する電源があれば、それはCO2フリーではないということであります。

山崎委員 今後、私は前も実は御質問した記憶があるんですが、原発由来の電気で水素をつくってCO2フリーだ、クリーンだという話はないですよねという話をしたら、世耕さんはたしか、いや、再生可能エネルギーでつくるんだというお答えだったと思うんですが、それでよろしいですか。

世耕国務大臣 まだ水素エネルギーというのは、これは緒についたばかりですから、いろんな議論があります。

 この間、去年も世界で初めて水素閣僚会議、東京で主催しましたけれども、やはり褐炭からつくりたいという人たちと、いやいや、褐炭からつくるやつは、褐炭からとったら当然CO2が出るわけですから、あんなものはクリーンな水素ではないんだ、やはり再生可能由来のものこそがクリーンな水素なんだという、この辺の意見対立もあったりして、非常に、二十一カ国参加した中でもおもしろい議論だったわけですけれども、これからいろいろ考えていきたいと思います。

 ただ、我々は、水素、先ほどFCVを挙げていただきましたけれども、FCVだけではなくて、家庭へのエネルギー供給も含めた社会インフラとしてやっていきたいし、最終的には水素は真のゼロエミッションのエネルギー源としてしっかり活用していくことが何よりも重要だと思っています。

赤羽委員長 山崎委員、申合せの時間が経過しておりますので、御協力願います。

山崎委員 もう終わりますので、最後。

 私の意見として考えたんです。グリッドにつないで、再エネの電気で水素はできないですよね。結局、グリッドにつないだときに、今の電源構成でいくと、原発を動かすと再エネが余る、再エネが出力制御にかかって再エネが余る。わかりますか。原発ががんとあって、皆さんがつくるエネルギーミックスの図だと再エネが余る。ところが、余った再エネを使って水素をつくっているから、いや、再生可能エネルギー由来だと言いかねないなと思って、非常に私は危惧を持っています。

 要するに、原発が押し上げて、原発があるために余ってしまった再エネを使って水素をつくるという話であれば……

赤羽委員長 申合せの時間が経過しています。終了してください。

山崎委員 それはCO2フリーではありませんし、きれいな水素ではありませんので、よく考えていただきたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

赤羽委員長 次回は、来る十五日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時二十七分散会


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