衆議院

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第5号 平成31年4月3日(水曜日)

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平成三十一年四月三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 赤羽 一嘉君

   理事 穴見 陽一君 理事 梶山 弘志君

   理事 小林 鷹之君 理事 國場幸之助君

   理事 西村 明宏君 理事 落合 貴之君

   理事 斉木 武志君 理事 富田 茂之君

      青山 周平君    秋本 真利君

      石川 昭政君    石崎  徹君

      岩田 和親君    尾身 朝子君

      鬼木  誠君    神山 佐市君

      神田  裕君    佐々木 紀君

      繁本  護君    津島  淳君

      冨樫 博之君    野中  厚君

      鳩山 二郎君    福田 達夫君

      船橋 利実君    穂坂  泰君

      星野 剛士君    堀内 詔子君

      三原 朝彦君    宮澤 博行君

      八木 哲也君    簗  和生君

      山際大志郎君    吉川  赳君

      菅  直人君    田嶋  要君

      松平 浩一君    宮川  伸君

      山崎  誠君    浅野  哲君

      太田 昌孝君    笠井  亮君

      足立 康史君    笠  浩史君

    …………………………………

   経済産業大臣       世耕 弘成君

   経済産業大臣政務官    石川 昭政君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 杉本 和行君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局内閣審議官)         清水 正博君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局審議官)          三田 顕寛君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            古澤 知之君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    小林  渉君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        佐々木 浩君

   政府参考人

   (総務省統計局統計調査部長)           佐伯 修司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 飯島 俊郎君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    重藤 哲郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 北條 憲一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    藤木 俊光君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           新居 泰人君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長)     飯田 陽一君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          西山 圭太君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            松山 泰浩君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   経済産業委員会専門員   佐野圭以子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月三日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     秋本 真利君

  岡下 昌平君     鳩山 二郎君

  細田 健一君     福田 達夫君

  宮澤 博行君     船橋 利実君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     青山 周平君

  鳩山 二郎君     繁本  護君

  福田 達夫君     津島  淳君

  船橋 利実君     鬼木  誠君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     堀内 詔子君

  繁本  護君     岡下 昌平君

  津島  淳君     細田 健一君

同日

 辞任         補欠選任

  堀内 詔子君     宮澤 博行君

    ―――――――――――――

四月二日

 即時原発ゼロを求めることに関する請願(宮本徹君紹介)(第六四八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

赤羽委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣人事局内閣審議官清水正博さん、人事院事務総局人材局審議官三田顕寛さん、金融庁総合政策局審議官古澤知之さん、消費者庁審議官小林渉さん、総務省大臣官房地域力創造審議官佐々木浩さん、総務省統計局統計調査部長佐伯修司さん、外務省大臣官房審議官飯島俊郎さん、国税庁課税部長重藤哲郎さん、厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官北條憲一さん、経済産業省大臣官房長糟谷敏秀さん、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官藤木俊光さん、経済産業省大臣官房審議官新居泰人さん、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長飯田陽一さん、経済産業省商務情報政策局長西山圭太さん、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長松山泰浩さん及び資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。佐々木紀さん。

佐々木(紀)委員 自由民主党の佐々木紀です。

 きょうは一時間の質疑時間をいただいておりますので、よろしくお願いします。

 私が調べた限りですけれども、与党質疑で、一人で一時間を委員会質疑でやったというようなものが最長ということでございますので、しっかりやらせていただきたいというふうに思います。

 質疑に入る前に、四月一日に新元号が発表されました。令和ということでございます。万葉集からの出典ということで、初めての国書からの出典ということで、その意味合いも、またその響きも大変いいなと思っておりまして、多くの国民の皆さんも大変な歓迎ムードだというふうに思っています。これで奉祝ムードも一気にこう高まったなというふうに思うわけでございますけれども、大臣の所見をお伺いしたいと思います。

世耕国務大臣 「若の浦に潮満ち来れば潟をなみ葦辺をさして鶴鳴き渡る」、これは万葉集の山部赤人の歌でございまして、この若の浦という地名が今の和歌山の起源になっている。和歌山も万葉集起源でありますので、今回、令和という万葉集起源の元号が選ばれたということを私も非常にうれしく思っておりますし、また、これは梅の歌三十二首の序文のところから引かれたということであります。この場所は太宰府ということなんですけれども、和歌山も県花が梅の花でありますので、そういう意味でも二重にうれしいというふうに思っております。

 この元号が今後とも人々にしっかり愛される元号として使われていくことを期待したいというふうに思っています。

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。

 そういう形で、それぞれの、日本も含めて、そのふるさとへの思いというものもやはり至ることができる大変いい元号だなというふうに思います。これで世の中がぱっと明るくなって更に景気がよくなればいいな、そういうふうに思うわけでもございます。

 それでは、質疑の方に入っていきたいと思います。

 きょうは、キャッシュレス・消費者還元事業についてお伺いをしていきたいと思います。予算委員会の分科会でもお尋ねをしたんですけれども、当時まだ決まっていないことも大変多かったものですから繰り返しの質問になるかもしれませんけれども、御理解をいただいて、質疑に入らせていただきたいというふうに思います。

 まず、このキャッシュレス・消費者還元事業の事業目的と概要についてお伺いしたいと思います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねのキャッシュレス・消費者還元事業でございますが、一つは、消費税率引上げ前後においての消費の平準化ということを目指しておりまして、一つは、実はこの価格設定について、ガイドラインということで、柔軟な価格設定が行えるということをガイドラインの方で明らかにしたわけでございますが、大企業がそういったみずからの経営資源を活用して価格の引下げを行うという環境がある一方で、中小・小規模事業者はこれに比べて体力が弱いということがございますので、今回の、中小・小規模事業者のお店でキャッシュレス決済を行った場合にこれを支援する、こういった事業をやることにし、消費税率前後の価格の変動あるいは需要の変動というものをなだらかにするということが一点でございます。

 もう一点は、キャッシュレス化の推進ということでありまして、これは、消費者にとっても、それからお店の方にとっても、それぞれ利便が上がるあるいは生産性の向上につながるというものでございますが、残念ながら他の先進国に比べて立ちおくれているという状態でございます。

 こうしたことから、このポイント還元原資について、中小・小規模企業については五%分を補助する、さらに、中小・小規模企業でキャッシュレスを導入される際に必要になる端末については、三分の二を国が補助する、残り三分の一は決済事業者が負担するということで、実質負担ゼロで導入できるようにする、ないしは、加盟店手数料についても三・二五%以下に抑えていただき、かつそのうちの三分の一を国が補助するといったようなことで、中小・小規模事業者の方がキャッシュレス決済を導入するきっかけ、あるいは消費者の方がこれを利用するきっかけ、こういったようなものにつながっていくということを期待しているわけでございます。

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。

 消費税税率引上げに伴っての需要の平準化対策ということとそれに伴う中小企業対策、さらには、二つ目としてはキャッシュレス決済の推進という、この大きな二つの事業目的があるということでした。

 私は、これに加えて、ポイントということに対して着目をして、このポイントの法的な位置づけであるとか、どう管理していくんだという、そういう仕組みづくりもあわせてしたらいいのではないか、あるいは、このポイントを、せっかく発行するポイントですから、発行しただけでなくてさらにそれをどう有効に使っていただけるか、さらに、それが地域に裨益して地方の小規模店舗なんかでも使えるようになれば更にこれはいいわけでありますから、地域振興にもつながるというわけでありますから、そういった観点でちょっと質問を続けていきたいというふうに思っています。

 キャッシュレス決済の推進という事業目的は大変いいというふうに思っておりまして、実際、制度設計も、これがしっかり実行されればキャッシュレスが大変進むだろうというふうに期待をしているわけでありますけれども、そこで、現在どれだけの国民の皆さんがキャッシュレス決済を利用しているか、利用者率というんですかね、そしてどれだけの事業者がこのキャッシュレス決済の端末を、設備を導入しているか、店舗導入率というんですかね、そして、それぞれどう引き上げていくのか、目標、それについてお伺いをしたいというふうに思います。

 恐らく、キャッシュレス決済率、金額ベースで見た決済率は捕捉をしておいているんだろうと思うんですけれども、利用者率、導入店率、それぞれ現在の数値と目標、わかれば教えていただきたいと思います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず一つは、消費者側、ユーザーの方でございますが、これに関しましては、済みません、民間の統計で、例えば、クレジットカードですと一人二枚以上持っているというような統計でございますとか、電子マネーを含めると一人七枚以上持っているといったような統計がありまして、ある意味かなり普及はしているのではないかと思っておりますが、その意味では、普及されている割に使われていないというところが問題だと思っておりますので、まさにどれくらい使われているか、これが利用率ということになるわけでございますが、これが日本の場合は約二〇%ということで、中小企業の、中小のお店に限ると一四%ぐらいということになっておりますので、まさにこの利用率をどれくらい上げていけるかというのは一つのメルクマールになると思っております。

 それから、大変恐縮でございますが、これもまた、どれくらいのお店が導入しているのかということについて、これも重複等々ございましてなかなかちゃんとした統計がございません。主要事業者からの聞き取りに応じて推計すると大体百万店舗くらいというふうに言われておりますので、ざっくり申し上げますと、全体、中小六百万と言われる中では十数%というところにとどまっているのではないかというふうに思っております。

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。

 ぜひ今後は、そういったデータをとって、どれだけこの事業によってキャッシュレス決済率が上がったか、あるいは国民の中でどれだけ浸透したのか、使われるようになったかということを捕捉していっていただきたいと思いますし、このキャッシュレス決済を普及させるには、利用者はもちろんなんですけれども、やはり使われる側ですね、店舗側もその設備の導入が進まないとやはり進まない、両輪でやっていかなきゃいけないということだと思いますので、この事業の運用に当たっても、そういう観点をぜひ大事にしていただけたらなというふうに思っています。

 次の質問に移ります。

 キャッシュレス決済は、高齢者には大変ハードルが高いイメージがございます。この高齢者のキャッシュレス決済について、総務省統計局の家計消費状況調査において、世帯主の年齢階級別電子マネーの利用状況というものを統計をとっているわけなんですけれども、その中で高齢者のキャッシュレス決済についてどのように読み取れるか、教えていただければと思います。

佐伯政府参考人 お答えいたします。

 総務省の家計消費状況調査で、平成三十年の電子マネー利用世帯の割合を年齢階級別に見ますと、二十代から五十代は五〇%を超えていますが、六十代は四四%、七十代は二九%、八十代以上は一九%となっています。

 なお、電子マネーを利用した世帯の平均金額を見ると、総世帯全体では一カ月当たり一万六千七百七十七円となっています。世帯主の年齢階級別に見ると、六十歳代は一万八千二百二十九円、七十歳代は一万五千六百八円、八十歳代以上は一万三千二百六十円となっています。

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。

 確かに、電子マネーを利用した世帯員がいるという項目では、七十歳以上になると急激にやはり落ちるんですよね。ただ、使っている人の金額を見るとさほど悪くないということは、使うようになれば高齢者の方であっても大変便利なんだろうというふうに思うんです。ですから、このキャッシュレス決済がいかに高齢者の皆さんにとっても便利なんだよということをやはり大いに広報することも大事なんだろう、やはり使う側のメリットをもっともっとPRするということがこの普及には大変効果があるのではないかなというふうに思います。

 例えば、最近ですとポイント機能みたいなものを使って見守りみたいなことをやっているところもございますし、キャッシュレス決済は少額の小銭なんかを出し入れしなくていいというメリットもあると思うので、高齢者こそこのキャッシュレス決済のメリットが多いんだというようなこともぜひ広報いただければ導入も進むのではないかなというふうに思いますし、今回は消費税の平準化対策、需要の平準化対策ということも含まれておりますから、そういった観点からも、広く多くの国民の皆さんに使っていただくというようなことをぜひ推進していただければなというふうに思います。

 そこで、今さらでございますけれども、このキャッシュレス決済を推進していくメリットということについて、事業者サイドと消費者サイド、それぞれのメリットについて御説明いただきたいと思います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず第一点目、消費者にとりましては、今ほど委員から御指摘ありましたように、その都度ATMから現金を引き出したりあるいは細かい小銭を持ち歩くといったような手間もございませんし、現金そのものを持ち運ぶのに比べていろいろな意味でセキュリティーの安心もあるといったようなこともございます。また、こういった消費履歴がデータ化されるといったような特色、特徴もございますので、それによる家計管理といったようなことも可能になってくるといったようなメリットがあるのではないかと考えております。

 また、事業者にとりましては、現金取扱いに係る直接、間接のコストというのはございます。例えば、レジ締めに係る手間でございますとかあるいは釣銭を用意するといったような手間がございますけれども、こういったようなものが省かれることで生産性が高まっていくということがございますし、さらには、昨今急速に拡大しておりますインバウンドのお客様ということになりますと、一々日本円に両替してということではなくて、やはりキャッシュレスでと、キャッシュレスが使えればもっとお金を使ったのにといったようなアンケートも出ておりまして、こういった効果もあるのではないかというふうに思っております。

 また、あわせまして、こういったキャッシュレス決済によって得られたデータを使ってどうマーケティングに生かしていくかといったような効果もあるというふうに考えているところでありまして、御指摘のように、こういったキャッシュレスのメリット、こういったようなものをしっかりとPRしていきたいというふうに思っております。

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。

 消費者の皆さんにすれば、今御説明いただいたように、現金の出し入れの煩わしさとか、あるいはそれを管理するリスクが軽減されるということだったり、家計管理もできますねといったようなこと、メリットは、利用者は大変感じやすいというふうに思うんです。ただ、事業者にすると、今ほど言われたような、生産性の向上につながるであるとかセキュリティーのことであるとかマーケティングやインバウンド、よくわかるんです、ただ、そのメリットはわかるんだけれども、やはり導入するということになるとコストがかかる、そことの見合いだというふうに思うんですね。

 ですから、今回の事業では、端末の導入支援というんですかね、これは事業者にするとお金がかからないわけですから、ぜひそういったこともあわせて広報して、この機会にどんどん導入をしていただくということが大事だと思います。

 繰り返しますけれども、キャッシュレス決済の普及というのはやはり両輪で、使う側と使われる側、両輪で進めていかないとなかなか普及が進まないということでありますし、特に使われる側、店舗側の、メリットはわかるんだけれどもコストがかかるからどうしようかなという、ここをどう踏み込ませるかということがすごく大事でございますので、ぜひ今回の事業を使ってそういった山を越えていただいて、一気に両輪で加速させていっていただきたいな、そのように思います。

 それでは、次の質問を伺います。

 今回の事業でございますけれども、予算額として二千七百九十八億円ついておりますけれども、この内訳について教えていただきたいと思います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 内訳でございますが、消費者への還元に係る五%、二%のポイントの原資として千七百八十六億円、端末の導入それから手数料の補助ということで、中小・小規模事業者の対応支援ということで三百二十九億円、それから、この支援策の広報でございますとかあるいはこの支援策に係るシステム改修といったような費用として六百八十三億円ということを見積もって、予算額として計上しているところでございます。

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。

 当初、分科会の段階ではこの内訳がちょっと見えなかったものですから、それぞれ、四つの事業があるというのはわかっていたんですけれども、どう使われるのかなというふうには思っておったんですが、消費者への還元、そしてキャッシュレス対応支援、決済端末の導入支援と手数料の補助、広報、システムということですね。

 これは、それぞれの予算なんですけれども、それぞれ使い切ってその事業目的を達成していくということはすごく大事だとは思うんですけれども、仮に、例えば、予想以上にキャッシュレスを使う人がぼっとふえて、予定の消費者への還元が何か足りなくなったというときは、やはり、むしろ広報はもう十分なので広報のお金を少し回すとか、できれば柔軟に対応していっていただければなというふうに思いますので、お願いだけ申し上げておきます。

 次の質問に移ります。

 この事業において、決済事業者の登録というものを三月二十日まで仮登録という形で行ってきました。現在の登録状況について教えていただきたいと思いますし、今後、本登録に至るプロセスについても教えていただきたいと思います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のように、三月十二日から、事業に参加するキャッシュレス決済事業者の仮登録の受け付けを開始しまして、二十日に締め切ったところでございます。

 現在、合計で百社を超える事業者から申請をいただいておりまして、今、その審査を行っているところでございます。

 審査を経まして、できるだけ早い段階で、仮登録手続を受けた決済事業者のリスト、暫定的なリストというのを発表したいと思っております。これがありませんと、中小企業の加盟店の皆さんもどれが対象になるのかわからないということがございますので、このリストを発表したいと思います。

 その上で、更に細部の調整をして本登録ということにいたしますし、また、今回仮登録にエントリーされていない方についても、引き続き登録の受け付けをしていきたいというふうに思っております。

佐々木(紀)委員 四月の早い段階で発表されるということですから、そして、その後も随時受け付けているということでありますので、その辺もまたあわせて広報していただいて、より多くの事業者の皆さんに参加していただく、そして国民の皆さんに幅広くキャッシュレス決済を導入していただく機会を提供するということがすごく大事なんだろうなというふうに思っております。

 それでは、次に参ります。

 今回、基本的にはポイントを発行するということでございますけれども、決済事業者のシステムにおいてはポイント発行の仕組みを持っていないというところもあるわけでありますけれども、こういった事業者にはどのように対応するのか、教えていただきたいと思います。

藤木政府参考人 今ほど委員御指摘ございましたように、今回のポイント還元事業におきましては、中小・小規模事業者の方それから消費者の方の選択肢をできるだけふやすということが重要だと思っておりまして、多様な決済事業者の参加を促していくということが重要だと思ってございます。

 したがいまして、今回、補助の対象となるポイント還元の方法ということでございますが、原則としては、今おっしゃったように、決済額に応じたポイントを消費者に付与する、あるいは、その分のチャージを電子マネーでチャージするといったような方法が原則であるというふうに思っておりますが、ただ、システム対応の関係でこういった対応が難しいといった事業者の方については、事務局で個別に承認をしてということでございますが、例えば、店頭でキャッシュレス購買時に購買金額にもうポイント相当額を充当するといったような方法でございますとか、あるいは、毎月の締めの際に引き落としと同時にポイントを発行するといったようなシステムでとられている業者さんもいますので、こういったようなものも、ポイント還元と同視できる方法ということについてはできる限り認めていきたいというふうに思っているところでございます。

佐々木(紀)委員 あくまでも、ポイントを発行するということなんだろうというふうに思います。ですから、キャッシュバックとか現金還元とかということではなくて、そこは何らかの方法というか便法でポイントを渡していくということになっていくんだろうというふうに思います。

 むしろ、そういった、消費者の皆さんに誤解を与えるような、何かキャッシュバックとかというようなことは慎むように、ぜひ言っておいていただければなというふうに思います。

 今ほどもありましたように、決済額に応じたポイント又は電子マネーで渡すといったようなお話もありました。

 この電子マネーというのは前払式支払手段というふうに法律用語ではいうんですけれども、この前払式支払手段というのは、例えば、お金同様に使える、前もってプリペイドで、ポイントを買うというかお金を買うというか、電子マネーを買うわけなんですね。これは、言ってみれば、消費者は事前に一万円なら一万円事業者に渡して、電子マネーとして、一万円分使える電子マネーを買うというかもらう、こんなような形のことを前払式支払手段というんですね。

 これはポイントと違って、これについては法規制があるんです。これはやはり、現金の対価としてもらっているということでありますから、これはしっかりとした消費者保護が必要ですし、法律で一定の額、供託をしなきゃいけないというようなことでありますから、ポイントと類似なんですけれども、ポイントに似ているんですけれども、実は法律上は大きく違うということなんです。

 したがって、今回、ポイントを渡す又は電子マネーでも渡しますということの説明だったんですけれども、実は、電子マネーで渡すということはちょっと法律が違うということなんです。

 ポイントというのは、簡単に言うとおまけなんですよ。ですから何の法規制もないんですけれども、電子マネーで渡すということになると、これは金融庁が所管している法律に抵触するおそれがあるということでありますので、今回補助金を原資に発行される電子マネーについて、前払式支払手段に当たるか当たらないかということを、ちょっと金融庁、教えていただきたいと思います。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに先生のおっしゃるとおりでありまして、前払式支払手段とポイントと申しますが、違うということでございます。

 前払式支払手段については、先生御案内のとおり三つ要件がございまして、価値を保存するということと、それから利用者から対価を得て獲得する、発行されるということと、それから商品、サービスの代価の弁済に使用される、三つございます。その二つ目の要件が、先生が御指摘のポイントですとかそれから今回発行される電子マネーについては該当しないということでございますので、資金決済法上の供託義務も発生しないというふうに考えてございます。

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。

 前払式支払手段というものに該当するには、価値の保存と対価発行と権利行使、この三つの要件が満たされないとだめだということで、今回は対価発行というところが違うから当たらないという説明だと思います。

 ですから、今回は電子マネーで渡したとしてもそれは供託の対象にならないということだというふうに思いますので、そこも事業者には周知していただければというふうに思いますし、むしろ、今後、ポイント発行、いろいろ事業を進めていくに当たってさまざまな省庁が関係してくることもありますので、ぜひ今後は、これまでもやっておいでだと思いますけれども、省庁間の連絡をとり合って、そごのないように進めていただきたいなというふうに思います。よろしくお願いします。

 それでは、次の質問に参りたいと思います。

 ポイントというところについて少し焦点を当てて考えていきたいというふうに思います。

 キャッシュレス決済の推進ということも大事ですけれども、私、最初に申し上げたように、今回の事業は、消費税の平準化対策、需要の平準化対策とキャッシュレス決済の推進、この二つの事業目的を持っているというふうに経産省は説明いただきました、そこに私は更に加えて、このポイントをどう使っていただくか。ポイントにまつわる仕組みであるとか、使われ方についても、もう少し研究をしていただくというか考えていただいたらいいんじゃないかなというふうに思っているんです。

 ポイントというのは、消費喚起効果というのがすごくあるんですね。例えば、一ポイント一円で使える場合であっても、五百ポイントたまるまで使えないということになると、何か心理的に、五百ポイントをためよう、ためて使おうというふうになるんです。そうすると、ちょっと無駄な買物もしてしまうということもあります。

 例えば、有効期限がついていると、あと一カ月で失効してしまうと思うと、何か無駄な買物、例えば三百ポイントが失効すると思うと何か五百円のものをちょっと買ってみたりとかするということでありまして、やはりポイントというものをうまく使うと、消費喚起効果が大変多く出るんじゃないかというふうに思っているんです。

 あるいは、更に言えば、そのポイントも、例えば近所の商店でキャッシュレス決済で今回購入しました、そこで五%のポイントを得ました、さらに、この五%のポイントを使うに当たって、更に何かその地域の店舗でも使えたり、あるいはその店舗の商品がもらえたりということにつながれば、これまた地域の、地方の経済にも資するわけなんですね。

 ですから、こういう仕組みづくりを、どう使わせるかという仕組みづくりも大事なのではないかなというふうに思うんですけれども、その辺について御見解をお聞かせいただきたいと思います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のように、地域の中でキャッシュレスをうまく使っていく、それを地域の活性化につなげていくという視点は大変重要だというふうに思っております。

 一般的に、地方圏では都市部に比べてキャッシュレス化が進んでいないというふうに言われているわけでありますが、一方で、地方圏においては、やはり人手不足の深刻化という中でできるだけ効率化を図っていく、それから、昨今でありますと、インバウンドの観光客の方も相当地方圏に入ってきているという中で、キャッシュレス化の必要性は急速に高まっているというふうに思っております。

 こういう中で、例えば、自治体でございますとか、あるいは地域の金融機関、あるいは地域の商工団体といったようなところが中心となって、地域ぐるみでキャッシュレス化に取り組んで、そこで出たポイント等を地域の中でうまく使っていくといったような取組も数多く出てきているというふうに承知してございます。

 私どもといたしましても、今回の事業とあわせて、こういった地域ごとの取組というところとうまく連携を図りながら進めていけるように、いろいろな御相談、いろいろな御協力関係を探ってまいりたいというふうに思っております。

    〔委員長退席、富田委員長代理着席〕

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。

 今は、どちらかというとキャッシュレス決済の推進ということを念頭に置きながら、それで得たポイントをどう使うかという御説明だったんですけれども、私の質問はちょっとそれは切り離して、ポイントをどう使うかということをもう少し考えてほしいなという御提案なんですね。

 それで、ポイントというのは、現金で物を買う場合もポイントをためているよという人はもう既にいるんですね。キャッシュレスでなくてもポイントをためている人、います。現金であってもポイントをためている人はいます。この機会に、このためたポイントをどう使っていくかということを少し考えていただけませんか。

 多分、今まではもうほとんど、このポイントというものに対して、おまけだからという感覚で余り政策的に重視されていなかった側面があります。しかし、今回ポイントを政府がお金を出して発行するわけですから、ぜひこのポイントということも少し考えていただきたいと思うんですね。もちろん法的にどうなんだということも含めて考えていただきたいという御提案をこれからずっと私してまいりますので、そういう観点から少し考えていただけたらなというふうに思います。

 そこで、このポイントによる地域振興策というものを、総務省がマイナンバーカードのマイキープラットフォームを活用してやっていくというようなものも提案されていて、実際に自治体ポイントとして取り組んでいるところがあると思いますけれども、その御説明をいただきたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 総務省では、現在、クレジットカード会社のポイントを特定の自治体ポイントに交換し、商店での買物や地域の特産品のオンライン購入などに活用することが可能となる、マイナンバーカードを活用したマイキープラットフォーム構想を推進しているところでございます。

 これは、未使用のクレジットカードのポイントや航空マイレージなどを、おのおののポイントプログラムではなく、自治体ポイントに一旦変換の上、各市区町村が決めた使途に利用できるようにすることを通じ、地域での消費の活性化につなげようとする取組でございます。

 また、今後、この稼働中のシステムを改修することで、消費税率引上げに伴う反動減対策である、マイナンバーカードを活用した消費活性化策を二〇二〇年度に実施するということにしておりまして、その際には、このマイキープラットフォームを全ての自治体が利用可能な単一のクラウドサービスとして活用する予定としております。

 総務省としては、引き続き、多くの自治体が事業に参加できるよう積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。

 ためたポイントを自治体ポイントに変換して地域でも使えるということですから、今回、このポイントを単に発行するだけじゃなくて、このポイントをどう使っていただくか、今ほどのマイナンバーの活用も含めて広報すればマイナンバーの普及にもつながっていくということでもありますので、発行するだけじゃなくて、発行したポイントをどう使っていただくかというところまで踏み込んでぜひ考えていただけたらなというふうに思います。

 きょう皆様にもお配りしております二ページ目の資料ですけれども、これはマイキープラットフォーム構想ということでございまして、そういった、クレジットカードとか航空会社でためたポイントを自治体ポイントに変換をして地域のお店で使えるこういう仕組みがもう既にあるわけでありますから、これはただ導入が余りにも進んでいないものですから、ぜひこれを進めることによって、今回政府が発行したポイントでも地域のお店でも使えるようになるということになりますので、ぜひこういった取組を省庁間連携してやっていただくということを申し上げておきたいというふうに思います。よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、ここ先月あたりから出ている新聞報道を少し取り上げていきたいと思うんです。

 三月二十六日の新聞によると、JCBなど加盟店手数料引上げへ、ポイント還元終了後というふうにあったんです。

 つまり、今は加盟店の手数料三・二五%以上取っているケースでも、今回事業が始まれば、三・二五より超えた分に関しては政府が持ちますよと。だから三・二五%以上加盟店は手数料を払う必要がないわけなんですけれども、これは事業終了後はもちろん政府が補助しないわけですから、戻すということは至って事業者にとっては当たり前なんだろうというふうに思うんだけれども、でも、やはり、今回、国挙げてキャッシュレス決済環境を整えて多くの皆さんに利用していただくという、本来決済事業者がやるべきような仕事を国が肩がわりしてやる、それでパイを広げて決済比率を高めていくということを国が応援をしているわけでありますから、できれば、この還元期間終了後も引き続き手数料三・二五%を最低でも維持していただく。

 あるいは、各社キャッシュレス決済に今回登録して、事業者が横並びになるわけでありますから、それぞれ手数料を比較して、できれば手数料の引下げ合戦みたいなことが始まれば本当は一番よかったんだろうというふうに思うんですけれども、この新聞報道を受けて、経産省の考え方というのをちょっと教えていただきたいと思います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のように、今回の事業実施期間中は国がポイントの分を補助するということになりますので、その間の条件として、三・二五%以下の手数料に下げていただくということを設定しているわけでございます。

 したがいまして、この補助期間が終了した後については、これは各社の御判断で手数料率を設定していただくということが原則になるわけでございます。

 ただし、当然、今回の事業を通じて新たにキャッシュレスを導入される事業者の方もいらっしゃいますので、そういった方に、じゃ、九カ月終わった後どうなるのかということがわからないまま参加していただくということではフェアでございませんので、各事業者からは、九カ月間、料率を何%にするのか、そしてそれが終わった後どうするのかということをあらかじめ明らかにしていただいて、中小企業の皆様にはそれを見た上で御判断いただくということを可能とするシステムにしてございます。

 実際に、今、登録の審査をしているところでございますが、料率、かなり多様なものが出てきておりまして、今回を機に、かなり安い手数料率で、かつ、終了後もそういった水準を継続するといったようなお申出も出てきているところでございまして、こういった取組を通じまして、決済事業者間の御指摘のような競争が促進されて、手数料率の低減ということにつながっていくということを期待したいというふうに思っております。

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。

 このキャッシュレス決済を進めるには、やはり加盟店の導入費用と、そして毎回の決済ごとに発生する手数料というのは、これは実はすごく大きな要素なので、ぜひここは十分に御理解いただいて対応していただくように、お願いをしていただきたいというふうに思います。

 その次ですけれども、もう一つ、三月二十八日の新聞記事に、還元策、実質大企業は対象外というふうにありました。これは、私は前回分科会でも指摘をさせていただいております、いわゆる過少資本企業のことなんですね。資本とか従業員数から見れば法律上は中小企業なんだけれども実質は大企業と同じ事業規模の企業のことを指すわけでありますけれども、これも中小企業扱いということになりますと、同様に競合している大企業との間で大変不公平感が出ますので、ここについて、ここをどう考えられるか、経産省の見解をお聞かせください。

藤木政府参考人 御指摘のように、中小企業基本法では、中小企業を業種ごとに、資本金又は従業員の数という二つの要件から定義しているところでございます。

 今回も基本的にはこの定義にのっとって実施するということにしているわけでございますが、一方で、今御指摘のように、いわゆる過少資本企業という問題があるということは、これはかなり昔からいろいろ議論をされてきているところでございます。

 今回、この四月から租税特別措置法が変わりまして、こういった過少資本企業についての取扱いということも、新たなルールが施行されたというふうに認識されてございます。

 私どものこのポイント還元事業におきましてどういうふうに取り扱うかということは、この税法の例も参考にしながら、早急に、適切な基準を決めるということで検討してまいりたいと思っております。

佐々木(紀)委員 ぜひお願いしたいと思います。

 租税特別措置法に基づく中小企業向けの優遇税制の対象から除外するということを行われますから、ぜひそれに準じた取扱いをしていただければいいのかなというふうに思います。

 続きまして、対象事業者についてもお伺いしたいと思います。

 一部の業種については対象外というふうにされております。中小企業であっても、一部の業種についてはポイント還元の対象にしないよというふうになっておるんですけれども、例えば風営法上の風俗営業等は除外というふうにあるんです。この風営法上ということになると旅館みたいなことも入ってくる可能性があるわけでありますけれども、この旅館はポイント還元の対象業種にぜひしていただきたいというふうに思うんですけれども、その辺の見解と、あと、通販やECビジネスというんですかね、についても対象となるのかどうかということを、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

藤木政府参考人 まず、一点目でございます。

 風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律で規定されております風俗営業については、例えば、これまでの国の補助制度において補助対象外としてきた例がかなり見受けられます。一方で、今御指摘の旅館というものについては、旅館業法の許可をとっているということもあって、個別の補助金、税制で、仮に風俗営業に該当していてもこれを対象としてきているという例もあるというふうに認識しておりまして、現在、細かい点は調整中でございますが、こういった取扱いを参考に、できるだけ広い業種を認められるようにということで検討をしているところでございます。

 それから、二点目でございます。

 通販、ECでございますが、今回の消費喚起による需要平準化という観点からは、その通販の事業者の方が中小・小規模事業者であるということである、さらに、それについてクレジットカードなどの電子的なキャッシュレス決済が行われるということであれば、今回の制度としては対象になるということでございます。

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。

 ぜひ旅館はポイント還元の対象にしていただきたいと思います。これはインバウンドでも大変大事な要素でございますので、お願いをしたいと思います。

 続きまして、そういった、どの店舗というか事業者をポイント還元の対象にするかというのは、これは個別の店舗ごとに決済事業者が見ていくということになるんだろうというふうに思いますけれども、その辺、どのような仕組みでやっていくのか、教えていただきたいと思います。

藤木政府参考人 個別の企業が今回の支援対象になるかならないかということについては、一義的には決済事業者が登録受け付け時に判断を行い、事務局の方で確認をさせていただく、こういったような手続で進めてまいりたいと考えております。

佐々木(紀)委員 大変加盟店も多いわけですから、決済事業者が、これは五%、これは二%、これだめねとかって、一義的にはこれを見ていくということで、相当な作業なんだろうなというふうに思います。

 仮に、今後事業が始まって、それぞれ売上票が上がってくるわけですね。最終的に消費者にポイントを渡さなきゃいけない。それも、今までだったら、仮にクレジットカードであれば、明細書が来て、全部で例えば今月幾ら使いました、十万円使いました、そうしたらポイントは何ポイントですよ、最終的な支払い金額にポイントをつけていけばよかったわけですね。でも、今回は、五%事業者もいれば二%事業者もいる、しかも、全てそれは税込み金額で決済されて上がってくるわけなんですね。

 そこで、一つは、税込み金額に対してポイントがつくのかどうかということ。そして、もう一つは、電子マネーの決済というかチャージにクレジットカードをひもづけしている人もいますので、そうなると、クレジットカードの売上げ、電子マネーのチャージ金額がここに出てきて、電子マネーにチャージされて、さらに、電子マネーで買物をすると、電子マネーでもポイントがつく、あるいは電子マネーが還元される。こちらでも、クレジットカードでもということになると、やはりポイントの二重取りみたいなことも起こると思うんですけれども、この辺についてどう考えていらっしゃいますか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、税込み、税抜きの問題でございますが、多くの決済事業者においては、決済金額に対するサービスということでございますので、税込み価格に対するポイント付与ということが多数になってございます。

 したがって、今回、税込み価格に対する消費者還元ということを原則としておりますが、一方で、今回は既にあるシステムを有効活用させていただくということがポイントだというふうに思っておりますので、あえてこのために、違うシステムをとっていらっしゃる方にシステム改修を迫るということではなくて、税抜きでやっていらっしゃる事業者の方、決済事業者もありますので、こういったようなものについてはこれも認めていくということで、それぞれ既存インフラの活用という観点でやってまいりたいと思います。

 ただ、消費者の皆さんにはそういった点がわかりやすく伝わるようにしていきたいというふうに考えてございます。

 それから、電子マネーのチャージへクレジットカードを利用した場合どうなるのかということでございますが、これは、例えば商品券でありますとかそういったようなものを購入した場合はポイント対象外ということになってございますので、それと同様、電子マネーへのチャージについてはポイント還元の対象外ということで扱わせていただきたいと思っております。

佐々木(紀)委員 そうですね。大概、商品券とか金券類を買うときは、そもそもクレジットカードがお店で拒否されるというか、いや使えませんと言われるので、売上票にも上がらない可能性がでかいですけれども、今回は上がってきますから、その辺も一つ一つ決済事業者が見なきゃいけない。五%事業者、二%事業者、これは相当大変な事務作業なのかなというふうに思っております。

 そして、税込み金額に対してポイントがつくということに対して少し違和感は覚えますけれども、あくまでも今回はキャッシュレス決済普及のための事業ということで捉えれば、そういったことを既存のインフラを使ってやるという以上、これはやむを得ないのかなという一定の理解をしたいというふうに思います。

 次に、使われなかったポイントについて、いわゆる死蔵ポイントというものをどう処理していくかということです。

 ポイントというのは、有効期限があるものもあります。もし、政府がお金を払って、ポイントを発行してもらって、それをもらった消費者が使わなければ、これは決済事業者にとどまって、最終的には決済事業者の利益になっていくものなんですね。

 ですから、この辺、しっかり使われたかどうかということを本来確認した上で補助金を交付しなければいけないものなんだけれども、その辺、失効ポイントとか死蔵ポイント、使われなかったポイント、この辺についてどのように取り扱われますか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の制度におきましては、当然のことながら、そうした失効するポイントの分まで補助を行うということになりますと決済事業者に不当な利益が生ずるということになりますので、今回、そういったことを我々としては防ぐという観点で、各決済事業者のポイントについて失効率の実績というのを出していただいて、これを差し引く形で補助額を決める。具体的に申し上げますと、三〇%失効しているという決済事業者については、一〇〇のポイントを出していても七〇分しか補助をしないといったような形で、失効率を算出してやっていきたいというふうに考えているところでございまして、決済事業者に不当な利益が生じないような仕組みとしたいというふうに考えております。

佐々木(紀)委員 ぜひ、それはお願いしたいというふうに思います。

 補助金の交付するタイミングなんですけれども、どういう形で交付するのか、事業が終わってから交付するのか、その辺のことを教えてください。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 タイミングとしては、まさに、消費者にポイントをつけた後、それを精算するという形で補助をさせていただくということでございます。

 それで、決済事業者の方もさまざまな御事情がございますので、一カ月単位でやるか又は三カ月単位かということの選択制でやろうというふうに考えております。

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。

 やはり、今ほどの死蔵ポイントというか使われなかったポイント、失効率をもとに補助金を交付するということなんですけれども、つまり、ポイントビジネスというか、ポイントの一番の大きな問題は、どれだけポイントが発行されているか、それがどれだけ使われたか、どれだけ残っているかという全容が全くわからないのが実は問題なんだろうというふうに思います。

 今では、ポイントは現金とか電子マネーに次ぐ通貨と言ってもいいくらい、もう当たり前のように使われているんですね。もちろん、現金の出し入れとか電子マネーというのはしっかり法律で規制されておりますから、会計上も税務上もしっかり管理をされています。しかし、第三の通貨的な位置づけのポイントは、全く規制がないということなんですね。ですから、できればこの辺、会計上は明確にしていくべきだろうというふうに思います。

 会計上明確にすると、ポイントを発行した企業側も、発行しただけじゃなくて、その発行したポイントをやはり使ってもらおうというふうに、そういうインセンティブも働くわけなんですね。ですから、もっと、先ほどの総務省さんのマイキープラットフォームみたいなものも、事業者も積極的に消費者の方に広報したりとか、やはりポイントを使わせるインセンティブというのが働き始めるんだというふうに思うんですね。

 ですから、ポイントの会計処理について現在どうなっているのか、金融庁にお伺いしたいと思います。

古澤政府参考人 お答え申し上げます。

 企業経理で用いられます会計基準につきましては、民間の独立した主体でございます企業会計基準委員会でつくられておりますけれども、御指摘の商品販売に関連しましたポイントの会計処理につきましては、昨年の三月に、企業会計基準委員会の方で会計基準を発表してございます。

 その中で、ポイント発行時において、販売価格のうち将来使用が見込まれるポイント相当分については負債として計上する、その上で、ポイントの使用に応じて負債額を取り崩して、その時点で売上げを計上するということが明確化されたものと承知してございます。

佐々木(紀)委員 今後明確にしていくということでありますので、そういうことをして、発行したポイントを使っていくインセンティブをぜひ持たせていただきたいというふうに思います。

 ちょっと時間も迫ってきたので、せっかく消費者庁と国税庁にお越しいただいておりますので、その質問にちょっと移りたいというふうに思います。

 ポイントというのは、これは法規制が本当にないんですね。きょうお配りしている資料を見るとわかるんですけれども、キャッシュレス決済事業者という名前、大ざっぱですけれども、クレジットカードがあって、電子マネーがあって、デビットがある、銀行引き落としという意味なんですけれども。クレジットは割賦販売法で、電子マネーは資金決済法で、銀行引き落としに関しては銀行法ということであるということでございまして、ただ、ポイントというのは、これは景品表示法なんですね。

 それで、発行の決まりがないということなんですよ。ただ、今までは、百円で一ポイント、一還元くらいであれば、明らかに景品なので、まあまあほったらかしでもいいわというような話かもわかりませんけれども、今回五%還元する、百万円のものは五万円還元するということですから、これはもう景品とは言えないんじゃないかというふうに思うんですけれども、この辺、消費者庁はどのように考えていらっしゃいますか。

小林政府参考人 お答えいたします。

 景品表示法では、事業者が自己の供給する商品や役務の取引に付随して相手方に提供する経済上の利益を景品類と定義し、一般消費者の自主的かつ合理的な選択を確保するために、景品類の価額等に一定の制限を設けております。

 ただし、その定義の中で、正常な商慣習に照らして値引きと認められる経済上の利益を提供することは、景品表示法で規制される景品類には該当しないものとされております。

 御質問のポイント還元につきましても、クレジットカード会社などのキャッシュレス決済事業者が付与するポイントが次回以降の支払いに充当される場合には、値引きと認められる経済上の利益であって、景品表示法で規制される景品類には当たらないものと考えております。

佐々木(紀)委員 何か、二〇%くらいだったら景品を出していいですよというようなこともあるようなので、まあまあ五%だったらいいですねということだと思います。

 似たような話が何かふるさと納税でもありましたけれども、余り景品合戦にならないようにしていただきたいというふうに思います。

 同様に、国税庁にお伺いしますけれども、税務上、これは贈与に当たるのではないかなというふうに思うんですけれども、その辺、どのようにお考えでしょうか。

重藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、ポイントに関しましては、さまざまなものがございますので、その課税関係を一概に申し上げることは困難だというふうに思っております。

 例えば、家電量販店などにおきまして商品を購入したときにポイントが付与されて、その後そのポイントを、そのお店でまた商品を購入するときに使用するといったような、ポイントの付与あるいはその使用が実質的な値引きとして課税上特に問題がないような場合というのも考えられますし、また、ポイントの付与の仕方やポイントの使用によって得られる経済的価値のいかんによっては課税関係が生じるような場合というのも考えられるというふうに思っております。

 したがいまして、課税関係については、それぞれの実態に応じて適切に判断するということになろうかと思います。

 それから、今、贈与というお話がございましたが、贈与税というのはございますが、一般論として申し上げますと、贈与税というのは、個人が他の個人から贈与によって、贈与契約等によって対価性なく財産を取得した場合に課されるというものでございます。

 したがいまして、経済的価値のありますポイントが商品の販売等によって交付される場合というのは、それはまた、今申し上げました贈与税の対象となるような取引とはちょっと性質が異なるのではないかというふうに考えてございます。

佐々木(紀)委員 問題はないということでございますので、ぜひお願いします。

 これは本当に、実施時期がどんどん近づけば近づくほど国民の皆さんは注目しますから、ぜひしっかりと、さまざまな省庁が絡んできますので、省庁間の連絡もしっかりとって、制度設計もしっかりやっていただいて、このキャッシュレス決済、事業が終わったら、ああ、キャッシュレス決済、日本でも大きく導入が進んだねと言っていただけるようにぜひやっていただきたいと思いますし、このポイントビジネスということにもぜひ着目をしていただきたいと思います。

 これは別にキャッシュレスでなくても、現金でももう既に使われているポイントというものもあるわけですから、これをどう使っていただくかということについてもぜひこれを機会に研究をしていただくということで、私個人的には、ぜひ何か協議会でもつくって、今回、関係してくれた人と引き続き、ポイントビジネスということについても、消費喚起効果もあるし、大変日本ならではのビジネスだと私は思うんですよね。日本の民族性に合っているというか、ポイントをこつこつためていく、それを消費喚起効果につなげるというのは、これは非常に何か日本的なビジネスだと思いますので、ぜひこの辺についても研究をしていただいて、キャッシュレスも進むし、ポイントも多くの皆さんが使えるようになって、地域振興にもつながるんだというような環境をぜひつくっていただきたいと思います。

 きょうは、プレミアムキャッシュレスフライデーについてもちょっと言及しようかなと思ったんですけれども、ちょっと時間がないのでこの辺でやめておきます。

 何とか一時間の持ち時間を走り切りましたので、本当に御協力、本当に藤木審議官には、大変、毎回毎回出てきていただいて恐縮でございました、本当にありがとうございました。ぜひよろしくお願いします。

 以上です。

富田委員長代理 次に、落合貴之君。

落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。

 本日は、前回の続きから質問させていただければと思います。

 先日の質疑の中で、公取委員長に、デジタルプラットフォーマーに対する調査の意図について伺わせていただきました。

 振り返ってみますと、例えば小売業界、これは二十年前でしたら、デパートですとか、あと総合スーパーが、大型のものがどんどん出てきました。そういったところが主役だったわけですけれども、どんどんネットの通販に侵食をされていっているわけでございます。お客さんだけではなく流通網も、ネット通販に対応した流通網が今できつつあります。それから、国民が消費に使うお金、これもネット通販中心に動き始めている。そして、個人情報も、ネット通販がどんどん吸い上げられる状況ができてきているわけでございます。

 お客さんも、流通網も、お金も、個人情報も、ビジネスをする上で重要なもの、経済にとって重要なものがどんどんデジタルプラットフォーマーに吸い上げられていく。日本の中小企業事業者も実質的に、巨大な、外資もたくさんありますけれども、プラットフォーマーの下請のような状況にだんだん配送業者も含めてなりつつあって、日本人が、我々が働いたものがどんどんある意味吸い上げられていっているというような状況も見えつつあるわけでございます。

 そして、残念ながら、本社が外国にあったりですとか巨大な外資系の企業ですと、日本の小売企業と比べても明らかに納税額も少ないというような新しいさまざまな問題が起きている。経済の構造が、恐らく五年後、十年後にはかなり大きくこれによって変わっていくということが見えてきました。

 今、この状況を、大臣、どのようにお考えでしょうか。

世耕国務大臣 今、大分質問の中でお話しいただいたと思っていますけれども、ネット通販を始めとするデジタルプラットフォーマーというのは、一つは、イノベーションの担い手として、消費者や取引先企業にいろいろなメリットをもたらすという点はあるんだと思っています。

 ただ一方で、今御指摘のように、データを寡占、独占をするようなことを通じて支配力を強める傾向があって、不公正な取引慣行を生じやすいといった課題も内包するというふうに捉えているところであります。

 この間、公取に御質問になっておられましたけれども、公取がオンラインモールやアプリストアの運営事業者の取引実態に関する調査を実施をしているというふうに承知をしております。中小企業を支援する立場である経済産業省としても、迅速に調査が進められることを期待をしているところであります。

 デジタル市場のルール整備については、二〇一九年二月十三日の未来投資会議で安倍総理から、取引慣行の透明性や公平性確保に向けたルール整備、データ等の独占による競争阻害への対応、専門的知見によるスピーディーな対応に向けた新しい体制の整備に関して御発言があったところでありまして、これらに関して、今回の公正取引委員会の実態調査の結果も踏まえて、ことし夏の成長戦略での具体的な実行計画の策定に向けて、経済産業省としても、公取などの関係省庁と緊密に連携をして検討を進めてまいりたいと考えています。

落合委員 デジタル化というのは、いい面もかなりたくさんあります。それから、我々は、イノベーションを今起こしていかないと、特に我が国は少子高齢化で働く人たちの数が減ってきている中で世界の中で生き残っていくためには、絶対に世界でも誇れるような大きなイノベーションを我が国からつくっていかなければならないという状況は確かなことであると思います。

 一方で、いろいろな政府が発表している文書も読ませていただきましたが、この分野は独占化ですとか寡占化が進みやすいということは政府もしっかりと認識をしていて、明文化しているわけでございます。

 今、新しい体制の整備ですとか、それから実行計画をこれからつくっていきますというようなお答えでしたが、具体的には、ある程度ルールをつくって、適正な規制ですとかそういうのをかけていくことを検討しているということでよろしいでしょうか。

世耕国務大臣 政府としては、ことしの二月に、デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会というのを、これは前からあったんですけれども、再開をしたところであります。また、三月二十九日には、内閣官房デジタル市場競争評価体制準備室というのを立ち上げているところであります。

 今まさに検討を始めているところでありまして、現段階では、予断を持って、どういうことを、どういうアウトプットになるかというのはちょっと控えさせていただきたいと思いますが、いずれにしても、六月にまとめる予定であります成長戦略には何らかの形で盛り込んでまいりたいというふうに思っています。

落合委員 ぜひ、発表する前に、この委員会でもある程度の議論をさせていただければと思います。これは重要な問題ですので、また大臣から小出しにもいろいろな会見等で発信があると思いますので、改めて取り上げさせていただければと思います。

 委員長に改めて、この前の質問と同じ意図なんですが、違う聞き方で伺えればと思うんですが、デジタルプラットフォーマー、これは、全てのネット上の取引の、そこを介さないと取引ができないというような状況もつくられやすいわけでございます。これは、昔というか、今までの感覚でいう大企業とそれから下請、大きな大企業と下請企業と同じように、力関係というのがこれからどんどんはっきりとしていくと思います。

 これは下手をすると、今までの下請いじめのようなことが起こり得るというふうに委員長は認識をされていらっしゃいますでしょうか。

杉本政府特別補佐人 先ほど経産大臣の方からも御答弁ございましたように、プラットフォーム企業というのは、ネットワーク効果もありますので、非常に独占化、寡占化しやすいような企業だと考えております。

 こうしたプラットフォーム企業は、消費者に対して、それから中小企業者に対して多大な利便を与えているという実態もございますが、同時に、今申し上げましたように、独占化、寡占化しやすい状況でございまして、現実問題として、マーケットにおいて支配的地位を獲得しているプラットフォーム業者も数多く存在するんじゃないかと認識しております。

 そうした業者がいわゆる支配的地位の濫用的な行為を行っていないかどうか、そういうものに対して公正取引委員会としては絶えずモニターをしていく必要があると考えておりまして、そういった観点から、プラットフォーム企業が反競争的な行為、優越的地位の濫用を含むような行為を行っていないかどうか、そういう行為があれば適切に、厳正に対応していくという必要があるというふうに認識しているところでございます。

落合委員 適正な正しい競争がなければ経済はうまく回っていかない、それを監視するのが公正取引委員会の大きな仕事であると思います。これは、今までの優越的地位の濫用とは少し具体的には違うかもしれないけれども、実際には優越的地位の濫用に当たるというようなこともこれからどんどん起こってくると思いますので、ぜひそこに注力をいただければと思います。

 それでは、次の話題に移らせていただきます。

 ここ数カ月、コンビニFCの問題、いろいろ調べてみると、二十四時間営業だけの問題じゃなくて、かなりたくさん、いろいろな論点があるんだなということが、私も勉強になりましたが、コンビニFCの問題について取り上げさせていただければと思います。

 まず初めに、公取委員長に伺えればと思いますが、九〇年代ぐらいですか、店舗がわあっと、コンビニもふえました。そのときは、まだアルバイトで働く若い人たちもいっぱいいたわけですよね。そういうアルバイトをしてくれる若い人たちを中心にして人繰りを回して、二十四時間営業というビジネスモデルが成り立ってきたわけでございます。

 しかし、若い人材が減ってきて、アルバイトも確保するのが大変になってきた。最近は、コンビニの夜の店員はほとんど外国人だとか、そういうことも言われるようになってきましたが、いろいろ探しても、もう夜のアルバイトを見つけるのが本当に大変になってきているというふうに、やはり、二十年前、三十年前と比べると、社会の状況はかなり変わってきてしまっていると思います。

 こういう変わってきている中で、昔契約したFC契約が、二十年前、三十年前に思っていたのと全然変わってきちゃって、その契約内容の履行が難しくなってきている。一方で、コンビニの本部自体のネットワーク力はかなり大きくなってきていますので、FC店とそれから契約している本部の力関係というのはどんどんどんどん差がついてきているんじゃないかなと、私は実際に見て考えています。

 これらの時代の状況が変わってきていることについては、委員長はどのように捉えられていらっしゃいますでしょうか。

杉本政府特別補佐人 先生の御質問は、二十四時間営業についての問題が念頭にあるのかと思いますけれども、一般論で申し上げますと、今先生の御指摘にありましたように、加盟時に本部が加盟店に対して二十四時間営業を条件としてフランチャイズ契約を締結することについては、第三者に対する統一したイメージを確保するというようなコンビニの目的もございますので、そういった点が十分に説明がなされており、加盟店がこれに同意している場合には、直ちに独占禁止法上問題になるものではないと考えております。

 ただし、契約締結後に、例えば、本部が加盟店に対して一方的に営業日や営業時間を変更することなどにより加盟店に不当に不利益を与えることになる場合には、独占禁止法上問題になるということでございます。

 先生が今御指摘になりましたように、環境が変わってきているじゃないか、そういうものをどういうふうに評価するのかということについては、私ども、個別のケースについて考えていかなければならないということでございますので、その点については具体的にコメントすることは差し控えさせていただきたいと思っております。

落合委員 原理原則は、契約に注目して見ていくということは確かなことだと思います。

 時代が変わってきてしまって、コンビニといえば二十四時間営業というふうに我々はそのイメージがあって、それが最大のコンビニの特徴であると我々多くが考えているわけですけれども、それがだんだんと、一番重要な柱の部分が難しくなってきているところがあるというところで、一方で、大臣も、プッシュ型の支援ですとか、災害のときにコンビニに公的な役割を担ってもらいますということも、だんだん政府もコンビニというインフラを活用し始めているわけですし、これから、基礎自治体でも、住民票をコンビニでとれるようにしようですとか、公共の役割を担わせようという動きが一方であるわけでございます。今言ったように、その一方で、二十四時間というか、コンビニ自体を維持することもだんだん難しくなってきている。

 いろいろな調査を調べたんですけれども、この分野を調べているある大学教授の調査によりますと、大手チェーン加盟店の四割のお店が、営業利益が年間四百万円以下という数字の調査もあります。二十四時間三百六十五日働いても、利益率がどんどん下がってきてしまっているという傾向があることは確かであると思います。

 これは、役割はふえているのに維持が難しくなってきている。ここは、やはり問題点に政府も手を打っていかないと、ある程度手を打っていかないとならないと思うんですが、今、大臣もヒアリングをしたというニュースも拝見しましたが……(世耕国務大臣「これから」と呼ぶ)あ、これからですね。今、どのようにお考えですか。

    〔富田委員長代理退席、委員長着席〕

世耕国務大臣 今御指摘のように、コンビニを取り巻く状況というのはかなり変化をしてきている、我々もその認識を持っております。

 そういった中で、この間、簡単なアンケート調査を大手コンビニの全店舗を対象に行わせていただきました。余り細かい調査をしちゃうと、ただでさえ忙しいオーナーさんを忙しくしちゃいますので、簡単に答えてもらえるような内容でやったところでも、かなり深刻だなという問題が出ています。

 これは二〇一四年も同じような調査をしているんですが、二〇一四年にやった調査では、例えば、人手不足を感じているという人は二二%だったんですが、これが今回の調査では六一%になりました。あるいは、不満だ、フランチャイズの本部に対して不満を持っているという人が、二〇一四年では一七%だったのが、三九%に今回ふえていたりとか、あるいは、二〇一四年の調査では六八%の人がこのまま続けたいという反応だったんですけれども、今、このまま続けたいという人が四五%に減っているという、それぞれ加盟店オーナーの状況でありました。

 やはり、これは非常に深刻だというふうに思っておりまして、社会インフラの役割を果たしていただいているという面もあるコンビニの持続性の観点からも、これはなかなか放置できない状況だと思いますし、コンビニ本部にとってもこれは深刻な問題だというふうに思っています。

 ですので、まず、私自身が大手コンビニ各社の経営者と対話を行って、本部とオーナーさんの共存共栄を図る自主的な取組についてお話を伺って、ぜひ行動計画として打ち出すようにお願いをしたいというふうに思っています。

 また、今後、その対話の結果に基づいて、有識者を交えたり、あるいは各地のコンビニオーナーやコンビニユーザーの声も聞くというようなこともやって、各社の行動計画の評価とかフォローアップ調査といったこともやっていきたいというふうに思っています。

 フランチャイズ本部とコンビニのオーナー、この関係は決して敵対関係ではなくて、やはり共存共栄を図っていかなければいけない。

 しかも、コンビニのあり方、例えば、じゃ、二十四時間をやめますかということになると、深夜勤務をしている方々が、今、そこで、夜、小腹がすいたのを満たせて助かっているというような人だっている、公共料金をそこで払えるから助かっているという人だっているという状況の中で、これは国民的なコンセンサスも必要になってくるのではないかというふうに思っておりまして、少ししっかりと議論をしていきたいというふうに思っています。

落合委員 今回、アンケートを、私も幾つかの、実際お店をやっている方々とかにも私自身も聞きに行って、アンケートも教えてもらったんですけれども、スマホでも答えられるようになっている。

 こういう、今までの政府のやり方であれば、恐らく本部からの話ばっかりを聞くことに偏ってしまって、実際にフランチャイズからの声は、加盟団体の何か代表者からちょっと聞くぐらいということで偏ってしまいがちだったとは思うんですが、こうやってスマホでアンケートをとって、しかもフォローアップもしていくという形で、だんだんとそういうやり方をとっていくいい点というのは、今回のような加盟店が物すごくたくさんあるような業界には有効であると思います。

 コンビニの問題を調べてみますと、そもそも昔から価格設定の問題もあったようでして、これもいろいろ公取とのやりとりも昔あったようで、価格設定も柔軟にできるようにしていこうという改善が行われているようでございます。これも実際に店舗に聞いてみると、価格設定、柔軟にできるようにはなったんだけれども、手続が物すごく面倒くさくて、私の聞いた範囲では、値下げ等をして販売をしている店舗というのは数%しかないということはいろいろな店舗から伺っております。

 それから、ネットでも話題になりましたが、恵方巻きの問題、ああいう食品廃棄物が大量に出てしまう、本部の営業方針に従って頑張ってやればやるほど廃棄物もふえてしまう。これは社会的な問題でもあると思います。やはり、コンビニというものが我々の生活に根づけば根づくほど社会的な問題というのは出てきますので、ぜひ大臣、ここには注力をしていただければと思います。

 いろいろと回っていますと、もともと地域の酒屋さんだったお店もかなり多いんですよね。コンビニの店長が商店街の役員をしていたりですとか、地元のお世話もしてきた。そういう中で今コンビニという社会インフラも担っているということで、やはり、新しい地域の担い手として、コンビニというものは適正に残していかなければならない業界であると思います。

 いろいろと調査をするということで、今のルールでは対応できないところはしっかりルールをつくったり、法整備の検討をしたりですとか、そこまで踏み込むこともあり得ると考えてよろしいでしょうか。

世耕国務大臣 今のところ、それは考えていません。あくまでも、今も中小小売商業振興法というものでフランチャイズの契約のルールというのが定められているわけでありますから、やはりまずはその範囲内で、民民の契約行為としてきちっと対応していくことが重要。

 先ほども申し上げたように、フランチャイズ本部とコンビニオーナー、敵ではありませんので、これはフランチャイズ本部にとっても、オーナーさんがやりやすいような環境を整えるというのは重要なことだというふうに思っておりますので、まずは、この民民の対応というものをしっかりと進めるよう後押しをしていきたいというふうに思っています。

落合委員 先ほどのデジタルプラットフォーマーも絶対これからの世の中必要ですし、コンビニも、この二十年、三十年で我々の生活に必要なものになってきました。

 一方で、そこで働いている人たちの不満はやはり数年でも、今大臣の答弁でも、高まっているということで、先ほどのデジタルプラットフォーマーと取引をしている業者の八割がやはり不満を持っている、これも把握されていると思います。

 やはり、新しい問題に対してはしっかりと政治が対応していかなければならないと思いますので、ぜひ、これも私も追いかけていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。

 それでは、次に、カード手数料の問題ですね。キャッシュレス決済のポイント還元等にまつわる問題について、私も取り上げさせていただければと思います。

 消費税の今回の増税に合わせて、経産省としても、中小零細の事業者に対してはポイント還元を税金で補助しますよという政策が発表されました、キャッシュレス決済に関しては。

 小売の方々、多く話してみますと、今回これだけ政府が後押しして、宣伝もしているので、今うちはキャッシュレス決済をやっていないけれども、ペイペイの営業も来たし、カード会社も商店街を一軒一軒回っているから、今回はちょっと入らないといけないかなと考えているという声はかなり多いことは確かだと思います。

 やはり問題なのは、消費税が一〇%にもなるのに、プラスして、上限規制があるといっても三・二五%、それに三分の一補助を入れたとしても二・一七ですか、二・二%の手数料。要は、一〇%以上、税込みの価格からそういったものを中小零細の事業者が払わなきゃいけないという、負担が二%でも三%でもふえる。

 先ほどの質問にもありましたけれども、このポイント還元が終わったら、手数料がまた上乗せになる確率が高い、まあ、必ずしもそうなるかはわからないですが。政府の施策によって、中小零細の事業者の売上げは上がったとしても、負担はふえるという関係はあるわけでございます。それはしっかり、大臣、認識をされていますでしょうか。

世耕国務大臣 確かに、負担がふえるという面はあるだろうと思っています。

 ただ、今、キャッシュレス事業者は激しい小売店舗の囲い込み競争というべき状況にもなっていまして、これはキャンペーンということになりますが、一部のQRコード決済事業者は、手数料当面ただというような施策もとっているわけであります。

 ですから、まずはそういった競争でかなり手数料といったものが引き下がっていくんじゃないか。我々のポイント還元策が終わった後、もとへ戻します、例えば七%に戻しますよというようなクレジットカード事業者は、その後どうするのかなというふうに思いますけれども、そういう競争があるということ。

 もう一つは、じゃ、そういうことがないとしても、一定の手数料の負担は出てくるわけであります。今度、決済事業者が、その手数料に見合う付加価値をどのように提供するかだと思っています。

 キャッシュレスというのは、決してお金を使わなくなるだけではなくて、例えば、そのキャッシュレスで買物した人のデータを小売店に還元することによって小売店の生産性を高めていくということ、こういったサービスというのが今後いろいろな形で出てくるだろうというふうに思います。

 あるいは、そういったことなしにしても、キャッシュレスがきちっと普及をしていけば、例えば、この間も、私、オールキャッシュレスの飲食店に行きましたけれども、そうすると、いわゆるレジカウンターがないんですね。その分そこに客席を数席置けるということで、それだけでもやはり売上げのふえる要因になる。

 ですから、キャッシュレスを通して小売店の生産性を高めていく、そのことによって手数料分を上回る利益が小売店に渡るようにするという考え方が重要ではないかと思っています。

落合委員 いつも私が取り上げている、地域を支えているような中小零細の事業者、これは、残念ながら利益率はやはり低い商売をされている。そういう中で、中期的、長期的なメリットがあったとしても、やはり目の前の手数料負担、これは大きいことは確かでございますから、中小企業行政をやっていく上でも、ここにもしっかり目を向けていただければと思います。

 これも、制度が始まりましたら、具体的に問題点等ありましたら取り上げさせていただきたいと思います。

 公取委員長に伺えればと思うんですが、カードもある意味プラットフォームなわけでございまして、カードインフラを持っている会社が、加盟している小売店等に対して、カードに加盟していないなら買物をやめようかなとかいう問題もあるわけですから、ある意味、カード会社の方がある程度優越的地位があって、加盟店の方が弱い立場にあるというふうに考えているのかどうだか、どう整理されているのか伺えればと思います。

杉本政府特別補佐人 クレジットカード会社が加盟店に対しまして優越的な地位にあるかどうかということにつきましては、加盟店のクレジット会社に対する取引依存度、それから、クレジットカード会社の市場における地位、加盟店の取引先の変更の可能性等を総合的に勘案いたしまして、考慮いたしまして、個別の事案ごとに判断する必要があるということでございますので、一概に全てがどうだというふうにお答えするわけにはいかないと思っております。

 ただし、一般論として申し上げますと、自己の取引上の地位が加盟店に対して、先ほど申し上げました基準からして優越していると判断されるクレジットカード会社が、一方的に手数料を上げているとかいうことによりまして、加盟店に対しまして不当に不利益を与えるといった場合には、これは優位的地位の濫用として独占禁止法上問題となるおそれがあると考えているところでございます。

落合委員 これは、はっきりと優越的地位の濫用にそういういろいろな事例が当たらないとしても、見えないプレッシャーみたいなものはあることは確かですので、今回の政策に当たってそういう新しい問題というのが出てくると思います。

 きょう取り上げている三つとも、公正取引委員会の新しい仕事がふえていく分野だと思いますので、ぜひ注視をいただければと思います。

 それでは、あと三分か四分ですが、レジの補助金について最後に取り上げさせていただきます。

 消費税増税と複数税率が決まったときに、私は、各商店街で絶対に、複数税率なので、計算というか、支払い金額の計算の問題が起きるので、レジを対応していかなきゃいけないということを経済産業委員会でも取り上げてまいりました。そして、レジの補助金等もやっていきますとどんどん発表になっていったわけですけれども、今いろいろとヒアリングをしますと、私は二つ問題が起こり始めているのかなと思います。

 税理士会等のアンケートでも、三分の一ぐらいしかこのレジの補助金のことを知っていないというようなアンケートも出てきているのと、先週、日経新聞にも、経産省が三十万件補助金を出す目標なのに、三分の一ぐらいしかまだその申請が来ていませんと。これもやはり六割、七割ぐらいがまだということで、この六割が補助金を知らないというのはそんなに大きな数字ではなくて、実際そうなんじゃないかなというようなことが現実だと思います。

 これについては、大臣、どのようにお考えでしょうか。

世耕国務大臣 確かに、なかなか認知をされていないという面はあると思います。

 今御指摘の税理士会の調査は、これはたしか去年の六月の調査だったと思います。十一月で我々が調査したところでも、三七%の人が準備を始めている、具体的にということになっています。それが更に今、四月に入っていますので、もっと認知はふえているだろうというふうに思っています。

 現に、昨年十二月には問合せ窓口への電話相談は四千件程度だったわけですが、三月は一万件にふえておりますので、相当、やはり時期が迫ってきている、そして、この国会審議やニュースなどで軽減税率のことが言われているという中で、中小の小売店舗の皆さんも、これはちょっとそろそろ準備にかからなきゃということになってきているんだろうというふうに思います。

 多分、これからわあっと集中的に補助金の申請というのがふえてくると思いますので、そういったことをきちっと事務処理できるような体制も構築をしながら、この十月一日に各店舗が軽減税率対応に準備が間に合うように努めてまいりたいと思っています。

落合委員 これは、商工会ですとか法人会ですとか、そういったところの勉強会等にパンフレットを配ったりですとかで広めていったと思います。

 今大臣、対応できるようにやっていきたいということでございますが、二つ目の問題として、いろいろな方から言われるんですが、かなり補助金が入ってくるのが遅いんだよねと。私が言われた何件かあるのは、何カ月かして書類が間違えていますという連絡が来て、もう一回やり直して、またやってと。去年の春だか夏だかにやったのに、年明けになってやっと正規の手続が始まったんだよというような事例もあるわけで、補助金で、三十万件も対応する補助金なんて普通はないわけで、しかも、東京に書類を集めている、一カ所に集める。大変なことをこの施策でやろうとしているわけです。

 これは事務的にも大丈夫だという御見解を伺えればと思います。

世耕国務大臣 大体、このレジ補助は、二カ月から二カ月半で処理をさせていただくようにしています。

 他の補助金と違って、割とチェックすべき内容はそんなに複雑ではありません。レジを入れるということでありますし、軽減税率対象のものを扱っているということを確認すれば対象になるわけでありますから、他の、例えば持続化補助金とかものづくり補助金に比べると、審査その他にかかる手間は割と軽いと思いますので、しっかりと遅滞ないように、必要があれば対応人員をふやしてでも対応していきたいというふうに思っています。

落合委員 これはアンケートをとっているわけではないのでわからないですが、二カ月から二カ月半というのはスムーズにいった場合で、恐らくスムーズにいっていない事例がかなり割合があると思います。これから駆け込みでどんどんどんどん来ると思いますので、そこが混乱しないよう配慮をいただければと思います。

 終わらせていただきます。ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、宮川伸君。

宮川(伸)委員 立憲民主党の宮川伸でございます。

 きょうは障害者雇用の問題について質問したいと思います。

 昨年、中央省庁におきまして、障害者雇用の水増し問題がありました。民間企業に対して模範となるような形でやっていかなきゃいけない中でああいう問題があったということで、大変深刻に捉えております。そういった中で、その問題の検証だとか責任の問題があると思いますが、これは前回、落合議員の方からも質問があったと思います。

 今回、私の方からは、今の雇用の状況あるいは今後の雇用の方針、そういったところに関してちょっと御質問できればというように思っています。

 まず最初に、お手元にお配りをしている紙の一枚目、一ページ目になりますが、これは昨年出されている各省府の採用予定数について表になっております。全部で三千八百七十五人が水増しというか不足していたということでありますが、きょうは経済産業委員会なので、経済産業省について特にフォーカスをしてお聞きをしていきたいと思いますが、真ん中よりちょっと下ぐらいのところに経済産業省、あります。

 百三・五名が不足をしているという中で、今ちょうど三十年度が終わりましたが、四十二・五名を目標に雇用していく、そして三十一年度までで六十三名を雇用していくということに予定ではなっておりますが、実際に今雇用状況がどのようになっているか、経済産業省の方からお答えいただけますでしょうか。

糟谷政府参考人 障害者雇用の人数を考えますときに、実員とそれから障害の程度を勘案した換算値というのが、両方ございます。この目標は換算値、換算人数で記載をされておりますので、そのベースでお答えを申し上げます。

 平成三十年度の採用目標人数、経済産業省で四十二・五人、特許庁で十八人とされているところでありまして、また、平成三十一年十二月末までに、経産省で百五・五人、特許庁で七十二人の採用を予定しております。

 これに対して、三十年度の採用状況は、経産省が五十七・五人、特許庁が九・〇人の採用実績となっております。また、人事院試験により採用した者など本年四月以降に働き始める者を加えますと、経産省で百十八・五人、特許庁で四十二・五人、つまり、目標合計百七十七・五人に対しまして百六十一人の採用を決定しているところでございます。

宮川(伸)委員 ちょっと、今の私の理解ですと、最初の、昨年出た予定数よりもかなり多く、前倒して採用が進んでいる。三十一年度末までの採用人数が今回の三十年度末まででほぼ完了しているというような、そういった理解でよろしいんでしょうか。

糟谷政府参考人 百七十七・五人という目標に対しまして、百六十一人を採用し、又は内定をした状況でございます。

 まだ不足もございますし、また、目標を達成すればそれで十分というふうにも考えておりませんので、引き続き取組は続けてまいりたいと考えております。

宮川(伸)委員 私、最初は目標を達成しないんじゃないかという懸念をしていたんですが、なぜ逆にこれほど多く前倒したんでしょうか。理由が何かあるんでしょうか。

糟谷政府参考人 今回、人事院の障害者選考試験においては、人事院や厚生労働省から、採用予定数に達した府省においても追加内定の可能性を検討するようにという要請を採用過程、プロセスの中でいただいたところであります。こうした要請も踏まえながら、経済産業省においても能力や適性を有しているかどうかなどの人物本位の選考を行ったところ、たくさんの優秀な方にお越しいただくことができたため、結果として計画以上の人数を採用させていただいたところでございます。

宮川(伸)委員 かなり前倒して積極的に雇用されたということでありますが、その中で、障害を持った方々、今回、手帳をちゃんと持っていないといけない、前回の中では手帳がない方もいろいろいらっしゃったということで、手帳が一つの目安になっていると思うんですが、身体の手帳の方、精神の手帳の方、療育手帳の方、それぞれ何名ずつの雇用になっているんでしょうか。経済産業省。

糟谷政府参考人 これは、直接採用で雇用した職員、換算値で百七名、特許庁を含めた経産省で百七名でございますけれども、ちょっと、人数というよりも比率でよろしいでしょうか。(宮川(伸)委員「はい、比率で」と呼ぶ)

 身体障害手帳を保有されている方の割合が五八・九%であります。それから、療養手帳を保有されている方、これは知的障害の方でありますけれども、一・九%。精神障害者保健福祉手帳を保有されている方の割合は三二・五%でございます。

宮川(伸)委員 ありがとうございます。

 ちょっときのうまでこの数字が私は聞けていなかったので、きょう数字が出てきたということで、ありがとうございます。

 そういった中で、療育手帳の方が非常に少ないというふうに、今一・九%ということなんですけれども、この療育手帳が一・九%で少ないというところに関してはどのように考えていらっしゃるんでしょうか。経済産業省、お願いします。

糟谷政府参考人 経済産業省の選考採用におきまして、人事院や厚生労働省からの通知等に基づいて、障害の種別にかかわらず人物本位の採用を行うことを原則としております。そういう形で、障害の種別にかかわらず人物本位で採用した結果、そういう割合になったということであります。

 実際問題として、知的障害の方で応募をされた方の人数が少なかったことというのが背景にあろうかというふうにも考えております。

宮川(伸)委員 私がお配りした三枚目のところなんですが、これは人事院の方から発表されているもので、下のところに表があります。

 やはり雇用するときに、人事院からの試験を通した雇用と経済産業省が直接雇用するパターンと、大きく二つの雇用方法があるわけですが、人事院の方からの雇用に関しては、合格者のところが、身体の方が四二・三%、療育手帳が〇・四%、精神の方が五七・三%ということになっていますが、これ、人事院の方は、なぜ療育がこのように少ないとなっているのか、ちょっと御説明いただけますか。

三田政府参考人 お答えいたします。

 今回の障害者選考試験は、能力実証等の一部を統一的に行ったものでございまして、障害の種別にかかわりなく同一の筆記試験による第一次選考を行ったものであることに御理解を賜りたいと存じます。

宮川(伸)委員 ですから、最初に一次試験が、ペーパーの試験があるので、どうしても療育手帳あるいは知的障害を持った方々が人事院を通しての採用だと入りにくいということがあるんだと思います。

 そこに対して、直接経済産業省の方から雇うときに、そこのところをどう補うのか、どういうふうに考えていくのかということがあるんだというように思いますが、もう一度、経済産業省の方で、知的障害の方々の雇用に関してどのような考え方、方針を持っていらっしゃるんでしょうか。

糟谷政府参考人 今の御質問に御答弁申し上げます前に、先ほどの答弁で、精神障害者保健福祉手帳を保有されている方の割合、三二・五と御答弁申し上げたかもしれませんが、三九・二%でございます。申しわけございません。

 今の御質問に対するお答えでございますけれども、経済産業省の選考採用におきましても、人事院や厚労省からの通知等に基づき、障害の種別にかかわらず人物本位の採用を行うことを原則としております。

 ただ、障害種別ごとの特性をよく理解をし、採用に臨むことが重要だというふうに考えておりまして、厚生労働省による雇用促進セミナーに採用担当の職員が参加をするなどを通じまして、障害種別ごとの特性の理解をちゃんとできるように努めているところでございます。

宮川(伸)委員 関係閣僚会議の方から基本方針というのが出ていますが、その中にも書いてあるんですけれども、法定雇用率の速やかな達成に向けた取組を進める際に、身体障害者、知的障害者、精神障害者のそれぞれの障害特性等を適切に踏まえて、広く働きやすい就労機会を提供することに努めるものとするということで、今ある職場に来てくださいというのではなかなか適応するのが難しい、障害を持っている方々もしっかり働ける部分があるのでそこを切り出して、しっかりこういう職場、こういうところで働けますよというようなことを各省庁が出していかないと、なかなか雇用、そこに入ってこられないんじゃないか。

 この一・九%ということですけれども、これでいいのかどうかということも、しっかり各省庁挙げて、厚労省も人事院も含めて考えていただきたいなと思うんですが、仮にもう少し上げないといけないんじゃないかということであれば、そこにこういう仕事があるんですよという情報の提供をもっとしっかりやっていく必要があるんじゃないかなというように思います。

 そういった中で、昨年、部会も通して、では経済産業省さんとしてはどのような障害を持った方々にどのような仕事をうまく提供できるのかというようなことを質問して議論をしていた中で、テレワーク勤務というのを考えていますよということをおっしゃっていました。

 では、今、このテレワーク勤務に関しての現状を、経済産業省、御説明いただけますでしょうか。

糟谷政府参考人 テレワーク勤務制度については、これは障害を持つ持たないにかかわらず、省内で整備はしているところでございます。

 ただ、今回採用をさせていただきました障害者の方、常勤採用の方については、今のところテレワークの実績はございません。この背景には、新たに採用した常勤採用の方々の多くがこの四月一日、おとといからの勤務であるということも一つ背景にございます。

 ただ、今回のテレワークの勤務について、今回の障害者の方の常勤採用に当たっては、選考段階の説明会において、テレワーク制度やフレックス制度などの柔軟な勤務形態が活用できるということをお伝えするなど、募集段階から周知を行ってきたところであります。

 今後、常勤、非常勤を問わず、職場勤務と同等の職務環境を、執務環境を確保することを前提に、最大限テレワークのニーズに応えてまいりたいというふうに考えております。

宮川(伸)委員 この基本方針というのが出されたときに、経済産業省さんの方からも個別に取組計画というのがあったわけですね。その中で、先ほど申したように、我々の部会の中でも、このテレワーク勤務というのをかなり、そういう形で障害を持った方も生き生きと働けるような職場をつくっていくんだという説明を私は受けていました。

 このテレワークなんですけれども、テレワーク勤務というのはどういうものかといえば、やはり満員電車に乗って来て帰るというのがなかなか大変な方がいるかもしれないけれども、だけれども、経済産業省の場合は、いろいろな統計データの整理だとか、いろいろなデータ処理があるんだ、こういうものは、わざわざ本省まで来なくても、自宅でエクセルで作業するとか、そういった情報を処理をすることができる、ですから自宅で電話を使ったりして仕事ができる、こういうような職場をつくっていくから、だから経済産業省独特に、障害を持った方も幅広く雇用できるんじゃないかというような、そういう趣旨の説明を私は受けていたわけであります。

 それで、私、きょう、今回この障害者雇用の質問をしているのは、三十年度が終わって、先ほどの目標の人数がある程度雇用された、採用された、だけれども、その間どういうふうに障害を持った方を雇用していくのかというのがいろいろな議論がある中で、また、一度反省をして、あるいは足りない部分をつけ足して、更にこの残りの一年でそこを雇っていく必要があると思うんですが、ちょっと最初に驚いたということですが、経済産業省はわあっともう雇ってしまって、更にもっと法定雇用率を超えて雇えばいいわけですけれども、ただ、もういっぱいぐらいまで今来ているわけですね。

 ですから、最初にこの説明でテレワークということを言っていたのに、結局、テレワークのところをきちっとやらないでもう既にほとんどの方は雇っちゃっているというのは、ちょっと私はいただけないんじゃないかというように思いますが、ちょっと大臣、そのことをどう思われますでしょうか。

世耕国務大臣 テレワークは、私自身も今も月一回は必ずやるぐらい、経産省挙げて、障害のある方ない方にかかわらず進めているところであります。

 きのうも、四月一日ということで、障害のある方も、いわゆる新卒の入省者と一緒に入省式に参加をしてもらいました。その際にちゃんと、音声認識ソフトで画面に文字で映し出すもので私の訓示を聞いているというか見ていただいている方もいて、こういう取組は本当に重要だなというふうに思っています。

 ただ、何しろおととい採用ですので、よく本人のお話も伺いながら、どういうふうにやっていけばいいか、その中の重要なツールとして、テレワークもしっかり活用していきたいと思います。

 我々は、これを今回雇用して終わりというつもりは全くありません。雇用した方がより働きやすい環境を整えていかなければいけないと思っていますし、そのために、障害者雇用の専門家をアドバイザーとして採用をして、どういったところを改善していくともっと能力を発揮していただけるようになるかということを不断に追求をしていきたいと思いますし、そういう環境が整えば、更にもっと新しい、障害を持っている方々を雇用することができるというふうに思っています。

 テレワークも、障害を持っている方々にとっては非常に働きやすい重要なツールの一つとして、しっかりと進めていきたいと思っています。

宮川(伸)委員 最初の、知的障害者の方々、療育手帳の問題ですが、一・九%ということですけれども、確かに、雇用してからテレワークがありますよというのもあるかもしれませんが、私は、もうちょっと、こういう働き方がありますよ、もしかしたらこういう働き方なら働ける方がいるんじゃないですかという募集をして、今まで民間企業だとやはりハードルが高いんじゃないかと思った方も応募ができるような、そういった取組をぜひやっていただければなというように思います。

 それとともに、ステップアップ制度だとかフレックスタイムだとか、そういうのもやりますと昨年おっしゃっていました。そこもちょっと確認をしたいところなんですが、時間の問題もあるのでまた別途ちょっとお聞きをしていきたいと思うので、しっかりと、次質問するときに、ちゃんとできているというようにお答えいただけるような状況にしておいていただきたいと思うんです。

 やはり、民間企業も含めて、こういった知的障害を持っている方々を、どうやってその雇用を促進していくかというのは、非常に大きな問題だと私は思っています。

 そういった中で、例えばソーシャルファームというようなものを、以前から厚労省も、勉強したりとか、民間企業に対してそういった後押しをしたりということをしてきていると思いますが、このソーシャルファームに関して、厚労省の方から、どういうもので、こういうのをやっていった方がいいのかどうかということを、少しお話しいただけますでしょうか。

北條政府参考人 このソーシャルファームでございますけれども、一般的に、障害者でありますとか高齢者でありますとか、働きづらさを抱えていらっしゃる方のための、いわば民間でのビジネスベースでの取組だというふうに認識しております。一般労働者と一緒に働くということを通じて、公的補助を受けるような福祉的な就労ではなく、民間ベースでやるというような形で就労を進めていく取組であるというふうに思っております。

 このソーシャルファームでありますけれども、主にヨーロッパで一般的になりつつあるわけですけれども、日本ではまだまだ一般的ではない。日本におけるこれに相当するものとしては、民間企業における特例子会社というものがございます。この特例子会社、相当我が国でも一般的になりつつありますけれども、こういう取組を我が国においては推進することによって、ちょうどソーシャルファームと同じような考え方で、趣旨を生かしたような考え方で障害者の雇用を進めているという状況にございます。

宮川(伸)委員 今、企業という話でありますけれども、私は、中央省庁がこういうような考え方を取り入れて、模範となるように何か進めていければすばらしいんじゃないかなというように思います。

 もう一つ、特別支援学校がありますけれども、この特別支援学校では、専門的な教育というのも行われております。例えば、住居の管理だとか花壇の管理、印刷、商品の管理、販売、清掃、事務、こういういろんな専門的な教育も行われて、文科省が力を入れているわけですが、こういった特別支援学校で学んできたことが、それを生かして雇用するという、職につくというのが必ずしもきちんとできていないというように私は聞いています。

 ですから、先ほどの一・九%、療育手帳という話もありましたけれども、こういったことも踏まえて、障害を持った方々が経済産業省の中でも生き生きと仕事ができるような環境をつくっていくべきだと思いますが、最後、大臣、お願いします。

世耕国務大臣 私自身も、知的障害を持った方々の雇用促進というのは、これは若手の議員のころから結構取り組んできております。

 また、知的障害があっても、やはり、非常にすばらしい能力を持っている方々というのはたくさんいます。例えば、コンピューターのソフトウエアのバグを見つけさせると物すごい、効率よく見つける人とか、あるいは、この人は芸術の世界を行っていますけれども、街角の人混みをぱっと一瞬見ただけで正確に絵で復元ができるとか、そういう方々がいらっしゃいますので、経産省の仕事の中でも、そういった能力を生かしてもらえるように取り組んでいきたいと思っています。

 今、障害者雇用に当たっては、民間企業で障害者を雇用している職場の見学ですとか、障害者就労支援センターへの訪問ですとか、あるいは厚労省が主催している知的障害者雇用促進セミナー、こういったところに経産省の担当者を出席をさせて、障害者が活躍しやすい職場づくりですとか、障害種別ごとの特性の理解、業務の切り出し方などを今学んできたところであります。

 今回も、専門家の方々からいろいろ御意見を伺って、知的障害の方の特性をしっかり我々も理解をして、経産省では、職員募集に際して、例えば入力・集計事務、あるいは警備業務、あるいは清掃業務、あるいは郵便の受配業務といった業務を特に切り出して、ハローワークや障害者支援施設に広く募集を行ったところですが、残念ながら、知的障害のある方からの応募がなかったということで、今回採用には至らなかったわけであります。

 省全体では二名の知的障害者の方々の採用を行うことはできましたけれども、知的障害者の雇用促進に向けて、まだまだ我々も学び、改善をしなければいけないところがたくさんあるんだろうというふうに思っております。これからも積極的に取組を進めてまいりたいというふうに思っています。

宮川(伸)委員 ぜひ、大臣、よろしくお願いいたします。

 それでは、ちょっと内容を変えまして、再生可能エネルギーの話に移りたいと思います。

 系統の問題もちょっと聞きたいんですが、先にソーラーシェアリングの質問を行いたいと思います。

 このソーラーシェアリングですが、農地の上にソーラーパネルを張るというもの、太陽光発電でありますけれども、私、千葉県の選出議員でありますけれども、千葉県発の技術ということで、私も非常に将来性のあるというか、今も非常に重要な技術だというように考えております。

 しかし、このソーラーシェアリングの普及率が余り芳しくないということで、平成二十八年度よりも昨年の平成二十九年度の方が普及率も下がっているというように聞いております。

 そういった中で、太陽光全体に占めるソーラーシェアリングの割合というのが今どのぐらいあるかお答えいただけますでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 事業用太陽光発電の全体の設備容量、今御質問でございました二〇一七年度の数字でございますが、設備容量ベースで三千三百五十一万キロワットございます。この設備容量ベースでは、数字を把握している中では発電の形態による分類をしておりませんものですから、この中におけるソーラーシェアリングの割合は我々は承知してございません。

 なお、これを件数ベースで仮に試算いたしますれば、二〇一三年度から一七年度までの営農型発電設備を設置するための農地転用許可実績のうち新規分が千五百十一件と承知してございます。仮にこれが全て運転開始していると仮定すればの話でございますけれども、二〇一七年度末時点における事業用太陽光のFIT導入件数が約五十二万件でございますので、この件数割合で比較いたしますれば約〇・三%になると承知してございます。

宮川(伸)委員 ありがとうございます。

 なかなか、形が違うので、野立ての場合は詰めて置けますけれども、ソーラーシェアリングの場合は間をちょっとあけてやったりあるので比較がしにくいということですが、一%ないと。私が自分で仮定をしてキロワットアワーで計算をしたときもやはり一%ないというような計算が出ております。ですから、まだ一%もないぐらいしかソーラーシェアリングは普及をしていないということだというふうに思いますが、これをどうやって普及させていくのかということを工夫する必要があると思っています。

 それで、今、まだ未稼働の、接続契約はしてつくりますよと言っているんだけれどもまだつくっていない発電所が三千五百万キロワット程度あるというように聞いておりますが、例えば、今まだこれからつくりますよという三千五百万キロワットを全部ソーラーシェアリングにした場合、私は耕作放棄地にそれをつくっていって農地をふやすのがいいと思っているんですが、どのぐらい耕作放棄地が農地にかわるような計算になるんでしょうか。お答えいただけますでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問の数値についてでございますけれども、ソーラーシェアリングにつきまして、委員からもお話がございましたようにさまざまな形態がございまして、これが発電に要する敷地がどれぐらいになるかというのはちょっと一概に算定することは難しいところでございまして、お答えは難しいかと存じます。

宮川(伸)委員 できるだけ試算をしてわかりやすく説明をしていただきたいなと思うんですが、きのうもそういう説明を伺っていたので、自分で計算をしていて、どのぐらい正確かという問題もありますが、六ページ目のソーラーシェアリングの絵が描いてある紙の下のところに表をつくりました。

 今耕作放棄地が約二十八万ヘクタールあるわけですが、先ほどの未稼働案件を全部ソーラーシェアリングに切りかえていった場合に、私の試算だと恐らく七万ヘクタールぐらいが農地になるんじゃないかというような規模のものが今まだ残っているということであります。ですから、そのように政策誘導できないかということを私自身は考えているわけであります。

 今の農業の状況ですけれども、食料自給率がもう四〇%を切っていて非常に厳しいという中で、TPPを始めとした自由経済の流れも入ってきています。その中で、やはり、伝統的な家族農業が今崩壊しかかっている中で、そこをどういうふうにしていくのかというところで、このソーラーシェアリングというのは一つ大きな手段になるんじゃないかと思っています。

 写真に書いてありますが、これはある一例で、ある事業者の方からの話を聞いたものですけれども、例えば、千平米、一反の広さで下で耕作をすると、大豆なんかをやると年間十万円ぐらいの収入になるわけですが、これにソーラーシェアリング、一般的なものを載せると、それの売電収入で、今FITで十八円で考えても百万円ぐらいは入ってきますよということです。

 今、農業の方が苦しいのは、やはり収入が非常に少ない、ですから後継者が見つけられなくて家族型農業が厳しくなっている、だから大規模化をしていくというような考えになっているわけですが、しっかりとエネルギーと組み合わせれば、この耕作から、農業から入ってくるお金の、これは建設費用がこの百万円の中から出ていくのでどう見るかというのがあるんですが、数倍ぐらいは収入が上がるんじゃないかというように思えるわけです。ですから、これをできる限り進めることで農業も進んでいくわけです。

 それで、もう一つ、次のページの、鴨川メガソーラー問題というのを書きましたが、これは前回、昨年ですか、田嶋議員の方からもメガソーラーの乱開発の問題がこの委員会で取り上げられていると思います。

 例えば、この鴨川のメガソーラーの問題も、この山の赤い丸で囲ってあるところをこれからソーラーを全部つくるというような案があって、地元住民の方で反対されている方もいらっしゃるんです。私は、こういうところに大規模なソーラーをつくっていくのであれば、今言ったように、耕作放棄地のところに今の、この案件もさっきの未稼働案件の三千五百万キロワットの中に入っていると思うんですが、ソーラーシェアリングの方に移していった方が私はいいんじゃないかというように思っています。

 そういった中で、今、私の問題意識としては、ソーラーシェアリングであっても、野立て、地面にわあっと置くものであっても、今FITの価格が同じなわけですね。ですから、電気事業者にしてみれば、わざわざ農地の上に何かややこしいものをつくるよりは、あるいは農作物をどうするかということを考えるよりは、それは下にたったったっと置いた方が簡単ですから、そういうような形でどんどん行ってしまう。ですから、やはり、ソーラーシェアリングの方がメリットがあるんだよ、事業者としてメリットがあるんだよというインセンティブを何らか私は政策的につけていくべきじゃないかというように思うんです。

 私としては、ぜひ大臣に考えていただきたいのが、そのFITの価格を、ソーラーシェアリングの場合は今言った農業の振興にもつながるわけですから、その分を、農業分を乗せて、FITの価格を野立てとソーラーシェアリングで変えて、それで、例えば先ほどの山のようなところで大規模な工事でソーラーをつくるような計画をしている人も、いやいや、ソーラーシェアリングの方がもうかるんだよということでそっちに移っていってもらうような、そういうような施策をつくっていくべきなんじゃないかと思いますが、ちょっと大臣の見解をいただければと思います。

世耕国務大臣 今御指摘のように、ソーラーシェアリングというのは、太陽光発電の導入ポテンシャルの拡大につながるという面がありますし、また、営農と発電の両立を通じて、農業者の所得の向上、そして、ひいては地域の活性化につながる効果があるというふうに思っています。

 ただ、一方で、再生可能エネルギーの最大限の導入を進めていくためにセットで我々が常に考えなければいけないのは、やはり国民負担の抑制ということであります。もう既に日本の再エネのコストは海外と比べてかなり高いわけであります。FIT制度の導入によって既に年間二兆円を超える追加的な負担を国民にお願いしているという現状であります。ですので、今、改正FIT法に基づいて、中長期価格目標を設定したり、あるいは入札制度の徹底活用によってコスト低減の努力を行っているところであります。

 そういった中で、今委員から御提案のように、事業の効率性をちょっと横に置いた状況で、ソーラーシェアリングというだけでFIT価格を優遇するということになりますと、コストの高い案件に結局配慮した価格設定ということになりますので、これはひいては買取り価格にはね返って、国民負担が増大するおそれになるというふうに思っています。

 FIT電源については、再生可能エネルギーについては、ソーラーシェアリングであるか否かにかかわらず、より効率的な案件からの導入を促して、国民負担を抑制しながら、再エネの最大限導入を進めていきたいというふうに思っています。

 ソーラーシェアリングも、この今のFIT価格の制度の中でもいろいろ両立するやり方は私は十分あるんだろう、そこは電力事業者と農業者がよく話し合って考えていくことが重要ではないかと思っています。

宮川(伸)委員 最初にちょっと話しました、経済産業省としてはそういう見解になるのかもしれませんが、農業の今の食料自給率の状況や家族型農業の本当の危機的な、大臣も歩いていらっしゃるからわかると思いますが、あの状況を考えれば、私は考えていく必要があるんじゃないかというふうに思うのと、もう一つ、私は未稼働案件の話をしているわけで、その十八円とかというのが、今、未稼働案件でまだ三十六円案件や三十二円案件が残っているわけですから、ですから、工夫をすれば、やる気があれば、今言ったその価格の、国民負担の問題も大きなマイナスがないような状況で私はやれるのではないかと思いますので、時間が来たので終わりにしますが、ぜひ前向きに御検討していっていただければと思います。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、松平浩一さん。

松平委員 立憲民主党、松平浩一です。どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうは、まず、コンビニの二十四時間営業の問題、こちらについてお伺いさせていただきたいと思います。

 報道で結構されていたので、もちろん、先ほど落合委員からも質問、質疑がありましたので御承知のことと思うんですけれども、東大阪市にあるセブンイレブンの加盟店のオーナーの事案、こちらがまず結構注目を集めた事案だと思います。

 これは、人手不足からコンビニの二十四時間営業をやめたことをめぐって本部と対立していたという話ですね。当初、本部から千七百万円の違約金を求められたという報道もなされていました。ただ、店のオーナーは、その後取材で、その後に本部から契約解除や違約金の支払いを求めないと伝えられたというふうに話しているようです。

 このコンビニの営業形態に関して、今の報道とは別に、並行してですけれども、経済産業省さんの方で、フランチャイズ店に労働環境のアンケート調査というものを行っていらっしゃると思います。先日の三月二十四日まで実施されていたものと思います。

 それで、そのアンケート結果を受けて、世耕大臣、二十六日に記者会見されていらっしゃいまして、それでどうおっしゃられているかというと、このアンケート結果で、オーナーの満足度の低下や人手不足の深刻化などが確認されたと。それとあと、コンビニ大手四社の経営トップの皆様と直接、意見交換の場を設けて、各社に行動計画の策定を求めてまいりたい、また、有識者を交えて、コンビニオーナーやユーザーの声を聞くとともに、策定を求める各社の行動計画、フォローアップ調査も行いたいというふうに思っておりますとおっしゃられました。

 これは三月二十六日の話ですけれども、今現在、この問題に関する大臣のお考えについてまずお聞かせいただいてもよろしいでしょうか。

世耕国務大臣 御指摘のように、コンビニオーナーに対して、ちょっと簡易な形でアンケート調査をさせていただきました。これは対象者が約三万人強に対して一万一千人の回答数ですから、この手の調査としてはかなり回答率も高い、それだけオーナーも問題意識が高いんだなということも思った次第であります。

 先ほど落合委員にお答えしましたので重複しないようにしますけれども、いろいろな意味で、このアンケート結果、簡易なアンケートではありましたが、コンビニの事業の持続性に関してちょっと危機的な状況になっているのではないかなというふうに思ったわけであります。

 今、コンビニは災害時の指定公共機関にもなってもらっています。そして、二十四時間営業のコンビニというのが、住民にとってはこれはある種生活のインフラになっているという面もあるわけであります。そういったところで持続可能性にちょっとクエスチョンが出ているというのは、これは私は看過できない問題だというふうに思いまして、まずは、私自身と大手コンビニの経営者で対話、あくまでもお話をよく伺いたいと思っています。その上で、行動計画の策定を要請したいというふうに思っています。

 これはあくまでも要請でありますし、あくまでもコンビニ各社の自主的な取組を促すという趣旨でやらせていただくものであります。その上で、その行動計画をしっかりフォローアップをしていく。これは、例えば大手の下請取引の適正化に関しても、我々は、このような取組、自主行動計画を定めてもらって、それをしっかり見ていくというやり方をさせていただいています。そのやり方をコンビニに関してもできれば使っていければというふうに思っています。

松平委員 ありがとうございます。

 今おっしゃられた、コンビニオーナーの抱える問題というところから、コンビニの持続可能性が危機的状況にある、生活のインフラであるので大変な問題であると。それで、その観点から、あくまで対話を行って、その後、自主的にと今おっしゃられたと思うんですが、行動計画を要請するというお話なんですけれども、ちょっと私、対話まではすばらしいと思ったんですが、行動計画の要請という部分、これがちょっとひっかかりまして、この行為、法的根拠をまずお聞きしたいと思っています。いかがでしょうか。

世耕国務大臣 コンビニを規律する法律というのはありませんから、そういう意味では、法的根拠というと、あえて言えば経済産業省の設置法ですね。我々は、やはり経済全般、小売事業全般についていろいろな、適正な運営ができるように見ていくというのが我々経産省のそもそものレゾンデートルでありますから、それに基づいてであります。

 でも、何か法的根拠がある強制的なものという思いではなくて、まずはお話を伺ってみたいし、ちゃんとした行動をお願いしたい、そういう、法律というよりは、今社会のインフラであるコンビニがちゃんと続いてほしい、本部とオーナーさんがちゃんと共存共栄でいてほしいという、どちらかというと政治家としての思いというところが強いというふうに思っています。

松平委員 わかります。大臣のお気持ちもよくわかります。

 今、経産省の設置法ということでおっしゃいました。

 それで、私も、先ほど申しましたように、対話をするというところはもう本当にすばらしいと思うんです。ただ、行動計画の要請というところ、設置法で経産省管轄であるのは間違いないと思うんですね。それで、要請となると、行政手続法という法律がございまして、行政指導という言葉が定義されています。

 行政指導とは何かといいますと、役所が特定の人や事業者に対して、ある行為を行うように又は行わないように具体的に求める行為だ、指導、勧告、助言など。だから、助言も含めるんですよね。これは行政手続法の二条六号にあります。だから、私は、行動計画の策定まで要請するのは、これはすなわち行政指導に当たるのかなというふうに理解します。

 そこはさておいて、先ほどおっしゃった、要請する計画策定、この内容というのはどういったものを想定されていらっしゃるんでしょうか。

世耕国務大臣 まず、これは行政指導に当たるかどうかという議論はあると思いますけれども、私は、何かそういう法律に基づいた行為というよりは、共存共栄でしっかり持続できるように、我々ももしできることがあったらやりますからということで、具体的行動計画、その中で例えば経産省にこういうことをお願いしたいという話があれば我々もやっていく。あるいは、もう行動計画なんてつくらない、うちはちゃんとやっているんですという判断であれば、それはそれでというつもりでお願いをしたいというふうに思っているところであります。

 どちらにしても、基本的には、何か決まったフォーマットをお願いしたいとも思っていません。ちゃんとオーナーとの共存共栄関係を図るためにどういうことをやろうとしていらっしゃるのかということについて見せていただければというふうに思っています。あくまでも、共存共栄をどういうふうに図っていきますかということを見せていただければというふうに思っています。

松平委員 本当に大臣のお気持ちは痛いほどわかるんですけれども、やはり、経産大臣が、あくまで任意とはいえ、お願いするというのは、相当な強制性を持つと受けとめられてもおかしくはないと思います。そこでいうと、行動計画の策定を求めるというのは、やはり、何かちゃんとした計画をつくって提出をして、それに沿って実行していかなければならないのかなと思うのが普通の会社さんなのかなというふうに思います。

 やはり、共存共栄を図っていく、これはもちろん本当に大事だと思います。

 そこでなんですけれども、じゃ、この行動計画を要請して、具体的にどうなのかといったところも私は重要なのかなと思っています。

 というのは、既に、コンビニ本社とオーナーとの間にはフランチャイズ契約というものがあるわけです。それで、策定される行動計画に沿って行動するとなると、既に締結しているコンビニ本部と加盟店のフランチャイズ契約、これを強制的に変更させていこう、そういう意図までおありなのか、そこをちょっと御確認させていただきたい。

世耕国務大臣 そういう意図は全くありません。あくまでも、今締結されているフランチャイズ契約の中でいろいろな対処ができるのではないか。

 先ほどの東大阪のケースについても、やはり柔軟な対応は、あれだけちょっと大きな問題になったということがきっかけであるとはいえ、結果としては一応対応ができたわけでありますから、そういう意味では、私は、フランチャイズ契約という民民の契約は極めて大切なもので、守らなければいけない。

 一部、テレビ朝日が、経済同友会の小林会長の定例会見でのコメントで、世耕経産大臣に苦言なんていう表現で報道しましたけれども、後で動画は全部見ましたけれども、世耕のセの字も、経産省のケの字も出てきていなくて、逆におっしゃっていることは、いわゆる国による過度な関与は反対だというお立場。それは私も全く一緒であります。

 これは、党によっては法規制をした方がいいんじゃないかとおっしゃるところもいる。あるいは、労使関係に整理し直すべきではないかという考え方もあるわけですが、私としてはそういう考え方には立たない。あくまでも、フランチャイズの契約に基づいてやる。その契約の運用の中で持続可能な共存共栄というのをぜひ実現をしていっていただきたいし、そのための行動計画をできれば見せていただきたいというふうに考えているわけであります。

松平委員 どうもありがとうございます。

 私も、経済同友会の小林代表幹事、あのニュースを見ましてちょっと不安に思ったものですから、今回お聞きしました。やはり、今、民民の契約は守らなければならないとおっしゃられたこと、私も非常に重要だと思います。

 一方で、今回のような問題があって、社会的に大切なインフラということで、共存共栄を図るという視点、これは大事だと思うんです。

 それで、今大臣も御答弁でおっしゃいましたが、いろいろな整理の仕方があるというふうにおっしゃられました。私としては、今回の問題は、独禁法上の問題にやはり帰結するのかなというふうに思っています。

 このフランチャイズ制度に関して、公正取引委員会は、フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方という、いわゆるフランチャイズガイドラインというものを公表されていらっしゃいます。このフランチャイズガイドラインで非常に大事なこと、重要なことが記載されておりまして、御紹介させていただきます。

 コンビニ本社と加盟店との間で、販売方法や営業時間、営業地域等の各種の制限を課すことが、正常な商慣習に照らして不当に加盟店に不利益を与える場合には、独占禁止法上の優越的地位の濫用等に該当する可能性があるということが記載されております。

 裁判例でも、加盟店が本部に二十四時間営業を強制されていたということで、コンビニの加盟店主、オーナーがその強要を撤回する、そういうことを求めた事例がありまして、こちらでも優越的地位の濫用というものが争点になっています。

 この裁判、二〇一二年に東京高裁で判決が出ていまして、どういうふうに言っているかというと、深夜営業は契約条項に基づく加盟店側の法的義務である、契約上の義務であると。それとあと、二十四時間営業をやめると会社の統一的イメージが損なわれる、そういったことを理由として、独禁法上の優越的地位の濫用に当たるとは言えないという内容の判決でした。

 私がちょっと言いたかったのは、裁判でもここの部分が争点になっているということで、やはり独禁法上で規制されるべき話ということで、公正取引委員会の方も積極的にこの問題に関与していただきたいなというふうに思っているんです。

 それで、オーナーの満足度の低下、それから人手不足の深刻化、このアンケート調査の結果でもありました。これが確認されたというお話。それで、先ほどの落合委員からの、今、時代も変わってきている、フランチャイズ契約の内容も変えていくべきじゃないかというお話もあったと思います。

 そこで、このフランチャイズガイドラインの内容、これを改定するようなおつもりですとかはありますでしょうか。公正取引委員会にお聞かせください。

杉本政府特別補佐人 先生御指摘のように、公正取引委員会では、フランチャイズ・システムに関する独占禁止法の考え方について、いわゆるフランチャイズガイドラインというものを制定しております。

 このガイドラインにおきましては、加盟店に対して取引上優越した地位にある本部が、加盟店に対して、フランチャイズシステムによる営業を的確に実施する限度を超えて、正常な商慣習に照らして不当に加盟店に不利益となるように取引条件を設定する等の場合には、フランチャイズ契約又は本部の行為が独占禁止法第二条第九項第五号、いわゆる優越的地位の濫用でございますが、これに該当すると記載されているところでございます。

 フランチャイズ本部が加盟店に対して、第三者に対して統一したイメージを確保すること等を目的として営業時間等に制限を課すことが独占禁止法に違反するかどうかにつきましても、この考え方に沿って判断すべきだと考えているところでございます。

 従来から答弁させていただいておりますが、一般論として申し上げますと、加盟時に本部が加盟店に対して二十四時間営業を条件としてフランチャイズ契約を締結することについては、第三者に対する統一したイメージを確保する等の目的で行われており、十分な説明がなされていて、加盟店がこれに同意している場合には、直ちに独占禁止法上問題となるものではございませんが、契約締結後に、例えば、本部が加盟店に対して一方的に営業日や営業時間を変更するなどにより加盟店に不当に不利益を与えることとなる場合には、独占禁止法上問題になるわけでございます。

 先生御指摘のように、状況をどう勘案するかということも踏まえまして、具体的な、個別的なケースに関しましても、このガイドラインの考え方に沿って私どもとしては判断すべきだと考えております。

松平委員 今の御答弁、本当に至極もっともな御答弁だと思うんですけれども、私が聞きたかったのは、最近の問題を踏まえてガイドラインを変えるべき議論をすべきじゃないかという点なんです。その点に関してどうお考えかということをお聞きしたかったんですが、いかがでしょうか。

杉本政府特別補佐人 すなわち、ガイドラインには、今申し上げました、先ほど御答弁したとおりのことを記載してございまして、その考え方は、今の状況をどう判断するかということについても基準になる考え方だと思っておりますので、その考え方に基づいて、具体的な個別のケース、問題となる、疑いのあるような事実に接した場合は判断していくということで対応していけるんだと私は考えておるところでございます。

松平委員 今の御答弁、簡単に言うと、ガイドラインを現時点では変えるつもりはないというような御答弁と理解いたしました。

 やはりここで、世耕大臣の、先ほど、オーナーと意見交換をするといったところの出番なのかなというふうに思っています。そういったところで、やはり世論も喚起していただいて。

 ただ、私としては、ちょっとしつこいんですが、そこからフランチャイズガイドラインの改定といったところに持っていくべきであって、行動計画を出させて、それに沿った対応をさせるというのは、いささか、やはりやり過ぎなのではないかなというふうに思っています。

 というのは、もちろん、人手不足、これは本当に大変な問題だと思いますけれども、この人手不足の全体に関していえば、やはりこれは入管法の改正という形で、四月から対策を立てているわけなんですよね。

 それで、先ほど申しましたように、やはりフランチャイズ制度の内容については、契約で規律されているべき話なんです。

 そして、小林喜光代表幹事の話も出ましたけれども、やはり、任意の要請といいましても、受ける側にはこれは強制的な意味合いも事実上も持ってくるというふうに思っているんです。

 ですので、小林代表幹事が、企業の選択の問題だと思っています、国家が企業のいろいろな構造に対して余り関与するのはいかがなものかと懸念を表明されたというものは、私は重いと思っております。

 済みません、それを踏まえて、最後にもう一度、大臣、御見解、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 私も、国家によるフランチャイズ契約への介入は本当によくないと思っています。ただ、この状況を、アンケート結果でも明らかになっている状況を放置すると、やはりそういう声が当然高まってくるわけであります。ですので、私は、まずコンビニ経営者と対話をしたい。

 これは何も、余り裏側を言うのはどうかとは思いますけれども、一方的に呼びつけるわけではありません。当然、御意向を伺って、来てもらえますか、行動計画のようなものはある程度策定する御意向はあるかということもある程度打診をしながら、そういう場を設定しているわけでありまして、決して、強制的に何かをやるということは考えていません。

 ここまででも、二十四時間問題について、契約は二十四時間になっているけれども、柔軟な対応があったり、あるいは、恵方巻き問題なんかは、やはり食品廃棄でオーナーさんの大変な負担だったんですけれども、ことしから予約販売に切りかえられたりとか、前は見切りの値引きというのがだめだったんですけれども、これは公取の御指導によって、見切りの値引きが、期限ぎりぎりのところで値引きがそれぞれオーナーの判断でできるようになったり、今、いろいろな運用の改善で対応できているところがあります。更にほかにありませんかということです。

 例えば人手不足。これはお間違えのないように言いますが、入管法改正では、今回、コンビニは対象にしておりませんので、ですので、そういった中で、例えばIT化とか無人化とかそういったことでの対応ということも、ぜひコンビニには考えてほしい。

 いずれにしても、ですから、テレ朝は何か世耕大臣に苦言という報道をしましたが、私は全く小林代表幹事と同じ思い。そういうことにならないように、経産省としてもしっかり汗をかいて、社会のインフラであるコンビニを、しっかりと共存共栄の形で持続可能なものにしていきたいというふうに思っています。

松平委員 承知いたしました。ありがとうございます。

 経済活動の自由を阻害しないように、公正取引委員会ともぜひ共同していただいて、適切な対応をしていただければと思っています。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。ジャパンディスプレイの話ですね。

 旧産業革新機構、今のINCJ、この投資先に、ジャパンディスプレイ、JDIという会社があります。二〇一二年に、JDIは、日立製作所、東芝、ソニーの液晶パネル部門が統合して事業を開始した会社です。

 JDIは、つい先日の一日に適時開示しています。

 内容を御紹介させていただきますと、現在、当社は当該、この上にちょっと文章があったんですけれども、当該提携に伴う六百から八百億円規模の株式及び債券の発行による資金調達及び株式会社INCJによる既存債権に対する優先株式の引受けを含めたリファイナンスによって総額一千百億円の資本増強について関係者と今週中、まさに今週中です、の合意を目指しているというような内容でした。

 先週末から、この件に関する、資金調達の件に関する報道が非常に多くて、それを見ると、どうやら、この六百から八百億円規模の外部からの資金調達というのは、中国ファンド、台湾の電子部品メーカー、そして台湾の金融大手の企業連合のような話があります。

 それで、ちょっと事実関係の確認をしたいんですが、このINCJ、今のJDIの筆頭株主であると思うんですけれども、今まで、旧産業革新機構時代も含めてどの程度の支援をJDIにしてきたのか、確認させてください。

西山政府参考人 お答えを申し上げます。

 今委員からお尋ねの、現在、INCJと言っておりますけれども、旧産業革新機構からJDI、ジャパンディスプレイへのこれまでの支援の実績についてお答えを申し上げます。

 これまでの支援決定に基づきます支援の実績を時系列に申し上げますと、まず、先ほどこれも委員からお話のございました、三社の部門を統合しまして二〇一二年の四月にジャパンディスプレイが設立されるに当たりまして二千億円を出資しております。

 その後、上場を経まして、二〇一六年の十二月でございますけれども、当時最先端でございました有機ELの量産に向けた技術開発を支援するということで、劣後ローン三百億円、それから劣後CB四百五十億円の支援を決定し、その後、供与をしております。

 それから、二〇一七年の七月になりますけれども、赤字体質を脱却するための構造改革など企業価値の向上に向けた取組を支援するために、貸付け及び債務保証を行うことを決定をいたしまして、その一環として、翌月、すなわち二〇一七年の八月に債務保証一千七十億円を供与するとともに、翌年、二〇一八年の六月にシニアローン二百億円を融資をしております。

 以上でございます。

松平委員 ありがとうございます。

 二〇一六年の十二月の七百五十億円というのは、恐らく、おっしゃいましたか。ああ、そうですか、済みません、失礼しました。(世耕国務大臣「三百と四百五十」と呼ぶ)なるほどですね。わかりました。

 あと、もう一つ、二〇一八年に能美工場を二百億円で譲り受けたという話とかというのも報道で見たんですが、いかがでしょう。

西山政府参考人 今先生御指摘のとおり、当時、先ほど御紹介をさせていただきましたとおり、いわゆるJDI、ジャパンディスプレイとしては、赤字体質脱却のための構造改革に取り組んでおるところでございます。

 また、これもINCJ、産業革新機構から出資をしておりますJOLEDというのが、当時、事業を立ち上げる途上でございました。それに合わせまして、構造改革の一環として、当時ジャパンディスプレイが持っておりました能美工場について、一旦、INCJ、当時の産業革新機構が譲り受け、それを今はJOLEDの工場として活用しているということでございます。

松平委員 了解いたしました。

 ところで、このINCJ、設立目的と、こういった支援、投資を行う上での基準、これを確認させていただいてもいいでしょうか。

 それは旧産業革新機構時代も同じかどうかという点も、よろしくお願いいたします。

世耕国務大臣 このINCJは、二〇一八年九月に、産業競争力強化法に基づいて株式会社JICが発足する直前の九月二十一日に、当時の旧INCJから会社分割する形で新たに創設をされた、同じ名前の会社ということであります。

 会社分割に当たっては、経産大臣が認可を行っておりまして、その際、例えば、投資を行おうとするときなどは、旧INCJの投資基準であった支援基準に従うこと、こういったことを認可の条件にしているわけであります。

 そのため、現在のINCJの目的や投資基準については、これは以前のINCJと同様に、オープンイノベーションを実現し新たな付加価値を創出するというような目的ですとか、ベンチャー投資、事業の再編統合支援などを行うという投資基準でありまして、これは旧INCJと変わっておりません。同様のガバナンスのもとで運営をされているところでございます。

松平委員 ちょっと変な聞き方をしますけれども、ゾンビ企業の延命みたいなものは入っていないということでよろしいんですよね。

世耕国務大臣 当然、これはオープンイノベーションということが基本になりますので、ゾンビ企業の延命ということは、INCJの業務としてはあり得ません。

松平委員 ありがとうございます。

 先ほど紹介させていただいた適時開示、ちょっと簡単に言うと、総額一千百億円の、増資かちょっとあれですけれども、それで、中台の企業連合で六百から八百億ということで、INCJは残りの五百億から三百億の支援のような書き方をされていますね。実際、そういった報道もございます。

 今、このファイナンス、交渉中で、報道で言われている今回のINCJによる投資が、果たして、今大臣がおっしゃられたINCJの投資基準、支援基準に当てはまるのか、非常に疑問の声が多いと、私もよく報道を見ました。そういう声も多いと理解しています。

 そこで、ちょっと見ていただきたいのが資料一ですね。これは、JDIの、今のジャパンディスプレイの業績推移のグラフと表なんです。

 売上高のほとんどがアップルとシャオミ、それのスマートフォン向け液晶ディスプレー、それのモバイル分野、これで約八割を占めているということなんですけれども、これのスマホ向け事業というのが非常に不安定だということが原因で、二〇一八年の三月期まで四期連続で純損を計上しています。特に、二〇一八年、二千四百七十億の純損失であります。

 それで、この表にはないんですけれども、通期の業績予想も二百億円超えの営業赤字だという報道もありました。JDIは、上場以来配当したことがなくて、赤字に次ぐ赤字であります。二〇一八年三月期の、これもちょっと、ごめんなさい、表にないんですが、営業利益率はマイナス八・六%、ROEが一八年の三月期でマイナス一二二%ということで、財務的には本当に全くよろしくない会社なんですね。

 それで、先ほど、幾ら今まで投資したのかということをお聞きしました。JDIは、二〇一四年三月にIPOしています。そのときの時価総額が、実は六千八百億円あったんです。そのときに、最初の投資金額である二千億円、これについて、もう既に一部エグジットして回収しています。だから、残りは全て売却益になっていたはずだったんですね。それが、先ほどのお話では、二〇一六年の十二月、追加支援しています。それから、二〇一八年も、二百億で工場を譲り受けているということだと思うんです。そして、今回のまた支援ということで。

 今というか、けさ見たんですけれども、このJDI、時価総額は今、六百七十六億円くらいですね。先ほど、IPOのときの時価総額は六千八百億と言ったので、今、ちょうど上場時の十分の一になってしまっています。ちなみに、株価も、IPOしたときの株価は九百円で、けさの時点で八十円ぐらいでした。

 仮に、今回、INCJがやはり報道で言われているように数百億円規模の支援をするのであれば、実は、INCJが支援しているほかの案件と比べて非常に高額なんですよ。

 資料二、次のページを見ていただくとわかるんですが、支援決定額、ほとんどほかの会社は四億とか七・五億とか八・五億、八億、二十七億とか十二億なんですね。一件二百億とありますけれども、この一件はJOLEDという会社で、これはJDIの兄弟会社のようなものです。平成三十年、だから、二〇一八年、これの前の年の支援金額も、私、ざっと見たんですけれども、やはりそれと比較しても、今回の言われている支援額というのは突出して高額なんですよね。

 それで、JDIのフリーキャッシュフロー、これを見たら、こちらも九四半期連続で赤字だ。特に、一八年三月期は五百三十九億円の赤字なんですね。

 フリーキャッシュフローというのが、営業キャッシュフロー、本業で稼ぐものから事業に必要な設備投資の金額を引いた金額なので、これだけ赤字だと現預金がどんどんどんどんなくなってきているんです。そのときにこの高額な支援を行うということで、この財務状況であるとか時価総額の推移、株価、それから今回の突出した支援金額等を見ると、やはり何か救済以外の何物でもないような気がしてくるんですね。

 先日、産業革新投資機構で取締役の退任騒動というのがあったと思うんです。そのときに、退任される星岳雄さんがおっしゃっている言葉があります。

 私の研究でよく知られているものの一つにゾンビ企業の研究があります。業績が悪いために正常な競争状態では市場から淘汰されるべき企業を政府などが救済するなら、新規参入は阻害され、優良企業の拡大を妨げられ、全体の経済成長は低下してしまうというものです。そして、産業革新投資機構がゾンビの救済機関になろうとしているときに、私が社外取締役にとどまる理由はありません。

 そういったことで、星さんは退任されました。実際にINCJを間近で見られていらっしゃる方がこうおっしゃっています。

 私、今回の支援、これはゾンビ企業のやはり救済なんじゃないかということを本当はお聞きしたかったんですけれども、これは恐らく、今交渉中の話ですということで、決定事項でないので答えられないという答えが容易に予想されますので、そこはお聞きしません。

 なので、今までの、ここ三年ぐらいのINCJからJDIに行われた支援、これがゾンビ企業の救済と違うのであれば、その理由を教えていただきたいと思います。

世耕国務大臣 先ほど、JICの民間取締役でおやめになった方のコメントを御紹介いただきました。確かに、ゾンビ企業の救済ということに言及をされていたわけですけれども、これは少し、まだ来たばっかりですぐやめた方ですから、十分このJICやINCJについての御理解が足りなかったんだろうと思います。

 INCJはそもそも、法律上、ゾンビ企業の再生はできないんです。オープンイノベーションという説明がしっかりと成り立たないものには投資をしないわけであります。

 JICは、さらに、まさにこの委員会でも御審議をいただいた法改正によって、なおさら個別の企業への投資は極めてしにくい。基本的に、政府が何か指図して、ここへ投資しろなんてことは絶対できないような枠組みになっているわけであります。子ファンドを通した運用ということになりますから、個別の、この銘柄をとか、この企業へということはできなくなっているわけですから、その今おっしゃった、退任取締役のおっしゃったコメントは当たらないんだろうというふうに思っています。

 そういう中で、じゃ、JDI、ジャパンディスプレイですけれども、これは今御指摘のとおり、二〇一二年の設立当初と思惑が大分違ってきたという面はありました。設立当初は、日本の高いディスプレーの技術力を結集をして、モバイル向けの液晶パネルを中心にグローバル市場で競争力を高めていこう、こういう戦略のもとで、オープンイノベーションだということで投資を行いました。

 ただ、その後、やはり市場の大きな変化がありました。それは、一つは、これは韓国勢ということになりますが、有機ELがコストを下げて急速に参入をしてきたということ。そしてもう一つ、中国を中心とする新興勢力が、液晶の分野でも技術力を高めてモバイル市場に参入をした。その結果、携帯向けディスプレー市場で多額の投資競争が発生をして、結果として、非常に激しい価格競争が起こるなど競争環境が激変をした。

 そういった中で、JDIの売上高や営業利益が大幅に減少して、株価も低迷する、時価総額も低迷するという形になったわけであります。

 そういった中で、JDIは、二〇一六年十二月に中期経営計画を立てまして、単独で事業展開を図るのではなくて、グローバルパートナーを確保をして、量産投資に必要な資金力を確保するという戦略を明確にして、それ以来、グローバルパートナーの確保に向けた努力を続けているというふうに認識をしています。

 グローバルパートナーを確保するためには、やはり自分自身が強くなければ有利な条件でパートナーシップを結べないわけでありますから、そのためにも、まず今、JDIが取り組んでいるのは、最先端の有機ELの量産に向けた技術開発、そして、構造改革など企業価値の向上に向けた取組、こういったことを並行して進めておりまして、御指摘の直近三年のINCJからの支援は、こういった取組に使われているというふうに理解をしております。

 それで、結果も出ておりまして、もちろんまだ経営状況は厳しいんです。残念ながら、ある特定の一社からの受注状況によって利益が大分激しく上下するという環境にあるのは事実でありますから、足元の経営状況は大変厳しいわけでありますけれども、一方で、技術に目を向けると、モバイルやウエアラブル向け、特に、アップルウオッチを始めとするウエアラブルがこれから重要になってまいります。そういったもの向けの蒸着有機ELの量産化技術の実現の見通しが立ってまいりました。あるいは、国内、海外の工場の閉鎖、遊休資産の減損といったことも行って、財務体質を改善をしてきているところであります。

 INCJは、投資価値最大化の観点から、投資先企業の自助努力を経済合理的な範囲で支援をしておりまして、こうした支援策は、投資ファンドの投資活動の一環として、私は十分理解できるものだというふうに思います。

 JDI、ジャパンディスプレイにおいては、今申し上げたような取組を通じて、まずは事業を安定化をして、企業価値を向上させて、国際的な競争力を持って事業展開していくことを期待をしておりますし、これまでのJDIのいろいろな資金的な支援は、そういったところに資するものであるというふうに考えております。

松平委員 ありがとうございます。

 JDIは、オープンイノベーションの推進、そういった取組に資金が使われているというお話もありましたけれども、今おっしゃられた資金使途というところ、私も非常に重要だと思っていまして、ただ、それを考えると、一つやはり気になる、一つというか、結構気になる報道もあるんですね。

 それは何かというと、ジャパンディスプレイは、二〇一六年十二月に主力液晶工場である白山工場の稼働を開始したが、その建設費用の大半はアップルからの千七百億円の前受け金、要は借金だと。そして、関係者によると、JDIがアップルが握っている返済条件を守らなければ、借金の全額即時返済又は白山工場の差押えを要求できる権利を持つというような報道もあるんですね。

 その資金使途というところで、やはりオープンイノベーションの推進に使われるような使途であればいいんですけれども、そういう借金の返済ですとかそういったところに使われると、やはり単なる延命と思えてしまうんですね。

 したがって、本当に、今おっしゃられましたけれども、その資金使途というものをいかに見ていくかというのが重要なのかなというふうに私も思っております。

 それで、今回のファイナンスで、じゃ、このジャパンディスプレイの経営権はどうなるかというところなんですけれども、資料三を、これはあるビジネス雑誌の記事を引用したものなんですけれども、これをちょっと読ませてください。

 真ん中ぐらいに、「中台連合側は、議決権を五〇%未満に抑えることは了承しているが、三〇%以上は確保する考えで、INCJに代わって筆頭株主になるのは確実だ。」さらに、「中台連合は五人の取締役を派遣する要請もしている。」そして、「今年六月の株主総会で二人の社外取締役が退任する予定で、ここに中台連合の五人が加われば、計九人の取締役の過半数を押さえられる。」というふうにあります。

 しかも、このビジネス雑誌によると、資料四なんですけれども、中国政府の補助金をもらって、浙江省に有機ELパネル工場を建設する計画もあるというふうに言われています。これを見ると、どう考えても技術流出は間違いなしだというふうに思ってしまいます。

 この技術流出の件なんですけれども、世耕大臣、二月十九日の記者会見で記者の方に問われたときに、こう回答されています。

 記者の方が、話の流れがありまして、「そこが中国、台湾に技術流出するという懸念については、特に懸念をされていないという。」という何か疑問をされたんです。そうしたら、世耕大臣は、「ちょっと、おっしゃっている意味が分かりません。全然ちょっと、おっしゃっていることは違っていると思います。具体的な経営内容については、それは、ジャパンディスプレイに御確認いただきたいと思います。」というような質疑のやりとりがありました。

 技術流出するかと聞かれて、意味がわからないという回答は、ちょっとかみ合っていないように感じまして、ただ、この記者の質問は、私、大事なものだと思っています。なので、しっかり答えていただきたかったので、私から再度質問させていただきます。

 中国、台湾の企業連合がジャパンディスプレイの筆頭株主、また役会の過半数になるとすれば、生産拠点を海外移転するという経営判断がなされたり技術流出につながる、そういう懸念が大いにあります。その点について、世耕大臣、どうお考えでしょうか。

世耕国務大臣 まず、ジャパンディスプレイが中国、台湾勢と提携するということを決定した事実はありませんので、仮定の話に今コメントはできない。

 技術問題一般で申し上げれば、この私が会見で申したことも、私の考えに沿って言っているんですけれども、何でもかんでも技術流出は一切とめるというわけではありません。我々がとめなければいけないのはいわゆる機微技術であり、日本が圧倒的競争力を持っているような技術あるいは安全保障にかかわるような技術、そういったものを我々は外為法上でとめる権限があるわけであります。技術を何でもかんでも残すために国がお金を投入するということになったら、まさにゾンビ企業の延命ということにもなるわけであります。

 私は、記者会見では、これは会見でのやりとりですからあれですけれども、そういった考えにのっとって申し上げさせていただいているわけであります。

 当然、機微技術、日本にとって重要な技術の流出につながるという投資案件に関しては、これは外為法に基づいて、経産省として厳しくチェックをさせていただくということであります。

松平委員 外為法で、日本の企業の買収を通じて機微技術の流出を防ぐという御回答だと思うんですけれども。

 このINCJ、それとは別に、イノベーションの推進を通じた次世代産業の育成という投資目的を掲げていらっしゃると思うんですけれども、この投資目的から考えると、イノベーションの推進というのは日本の産業のことを僕は指すのかなと思っていたんです。外国の産業は含まれるんですか。そんなことはないですよね。

世耕国務大臣 当然、日本の国のお金を使っての話でありますから、イノベーションというのはやはり、完全に日本に閉じたとは申し上げませんよ、ですけれども、やはり日本が何らかの形で主導権を握るイノベーションだというふうに思っています。

松平委員 私もそう思うんです。やはり、日本の税金を入れて育ってきたわけなので、日本のイノベーションを推進するという目的が第一だと思うんですね。そう考えると、もし仮に機微技術であるとか、何でもかんでも外為の告示で規制できるとは思わないので、そこは現場で判断していただいて、これが仮に機微技術だということであれば、外国の資本をやはり入れるべきではないのではないかなというのが私の意見です。

 外国の資本を入れることで、先ほど資料四で出しましたけれども、工場を中国で設置されるなんてことがあれば、仮に日本の独自の技術である機微技術であるとかというものが入っていた場合は、非常に、今までの日本の税金を、国民の税金を投入してきたのが何だったんだという話になってしまいますので、そこはちょっと私は御意見を申し上げたいと思っています。

 あともう一問、聞かせてください。

 産業競争力強化法百二十一条で、経済産業大臣は、株式会社産業革新投資機構、JICに対して監督権限を有するとされています。ただ、INCJに対しては、経産大臣の権限というものが法文上不明確なんです。そこはどうなんでしょう。経産大臣はきちんとINCJに対して監督権限はあるのか、これを確認させてください。

新居政府参考人 お答え申し上げます。

 株式会社INCJは、昨年九月、当時の産業革新機構から会社分割する形で設立されており、この会社分割については、経産大臣の認可が行われております。産業競争力強化法に基づく認可が行われております。

 御指摘のとおり、昨年改正していただきました産業競争力強化法では、経産大臣は、産業革新投資機構、JICに対する監督、これを行うことになっております。

 株式会社INCJの株式は、このJICが一〇〇%保有しております。経産省としましては、一〇〇%親会社であるJICを通じて、この株式会社INCJに対して適切なガバナンスを講じていくこととしておりまして、法改正前と同様のガバナンスを確保することとしております。

 以上です。

松平委員 時間も参りましたので、最後にちょっと一言だけ言いますと、やはり、海外企業に経営権を渡すということであれば、国民の税金を使って今まで投資してきた、支援してきた意味がないということなので、今の御回答で、経産大臣の方で指揮監督権限はあるということなので、そこはきちっと整理をして、チェックをしていただきたいと思います。

 以上で私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

赤羽委員長 次回は、来る十日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二分散会


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