衆議院

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第9号 平成31年4月24日(水曜日)

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平成三十一年四月二十四日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 赤羽 一嘉君

   理事 穴見 陽一君 理事 梶山 弘志君

   理事 小林 鷹之君 理事 國場幸之助君

   理事 西村 明宏君 理事 落合 貴之君

   理事 斉木 武志君 理事 富田 茂之君

      池田 道孝君    石川 昭政君

      石崎  徹君    今枝宗一郎君

      岩田 和親君    尾身 朝子君

      岡下 昌平君    神山 佐市君

      神田  裕君    佐々木 紀君

      笹川 博義君    津島  淳君

      冨樫 博之君    穂坂  泰君

      星野 剛士君    細田 健一君

      三原 朝彦君    宮澤 博行君

      八木 哲也君    簗  和生君

      山際大志郎君    吉川  赳君

      菅  直人君    田嶋  要君

      松平 浩一君    宮川  伸君

      山崎  誠君    浅野  哲君

      太田 昌孝君    笠井  亮君

      足立 康史君    笠  浩史君

    …………………………………

   経済産業大臣政務官    石川 昭政君

   参考人

   (神奈川県中小企業団体中央会副会長)       栗原 敏郎君

   参考人

   (古賀茂明政策ラボ代表) 古賀 茂明君

   参考人

   (弁護士)

   (日本弁護士連合会・日弁連中小企業法律支援センター事務局長)       高井 章光君

   参考人

   (気仙沼本吉民主商工会副会長)          千葉 哲美君

   経済産業委員会専門員   佐野圭以子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十四日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     今枝宗一郎君

  野中  厚君     池田 道孝君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     笹川 博義君

  今枝宗一郎君     青山 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  笹川 博義君     津島  淳君

同日

 辞任         補欠選任

  津島  淳君     野中  厚君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二六号)


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     ――――◇―――――

赤羽委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより質疑に入ります。

 本日は、本案審査のため、参考人として、神奈川県中小企業団体中央会副会長栗原敏郎様、古賀茂明政策ラボ代表古賀茂明様、弁護士、日本弁護士連合会・日弁連中小企業法律支援センター事務局長高井章光様、気仙沼本吉民主商工会副会長千葉哲美様、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言御挨拶申し上げます。

 本日は、御多用のところ朝早くから本委員会に御出席を賜りまして、心から感謝申し上げます。本当にありがとうございます。

 本日の議題は、先ほど申し上げましたように、中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律案が議題でございます。日本の経済を支えております中小企業の経営強化につながるよう、よい議論をさせていただきたいと思いますので、参考人の皆様におかれましては、それぞれの専門、お立場から、限られた時間でございますが、忌憚のない御意見を賜れればと思っておりますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。

 それでは、まず栗原参考人にお願いいたします。

栗原参考人 ただいま御紹介をいただきました神奈川県中小企業団体中央会副会長を仰せつかっております栗原でございます。

 本日は、この場で意見を述べさせていただきます機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。

 私どもが加入をしておりますメッキの業界、神奈川県では神奈川県中小企業団体中央会、上部団体の全国鍍金工業組合連合会、こちらの方は全国中小企業団体中央会さんに加盟をさせていただいております。本日は、我々の業界のことにつきまして、絡めましてお話をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、メッキの団体の概要でございますが、平成三十一年四月一日、ことしの四月一日現在でございますが、現在全国会員数が千二百六十八社でございます。平成元年には二千七百十九社ございました。残念ながら、百四十五社この平成の中で転廃業ということになっております。そして、従業員が三十名以下が七〇%、その中で一名から三名までの企業さんが一一%という非常に小さな中小の集まりの団体でございます。

 しかしながら、五一%が創業五十年以上、そして、後継者としまして二代目が約五〇%、現在そこで頑張っております。そして、創業者でございますが、もう一二%というふうに大分少なくなってきております。ということは、若い方がふえているということは、活発に若返りを図って活動をしているということでございます。

 そして、このメッキの業界が取り組んでいる一つが、災害時の連携でございます。

 私どもの神奈川県のメッキ工業組合が最初に、今からさかのぼること十一年前、平成二十年六月に、防災力と経営革新を図る横浜市中小企業製造業事業継続方策推進検討委員会というものが設置されまして、その中に我々も参加をさせていただきました。そして、組合の中で、もちろん大小ございますので、やはりなかなかこういう中小の集まりで事業に取り組めないという会社が集まって、八社でもってとりあえずメッキ分科会というものを立ち上げました。

 そして、二十一年の九月に、横浜市のNPO法人立会いのもとに、神奈川組合の二社が代替生産を可能とする協定書を交わしました。単体の中小企業同士では全国初めてのケースでございます。これも、東日本大震災発生の一年半前のことでございます。

 そして、二十三年四月、震災の年でございますが、四月に、災害時でのメッキ製品の代替生産をするということで、神奈川県と新潟県の同じ業界が県境をまたぎまして協定を結びました。これも、県境をまたいでこういう協定をしたというのが多分初めてのことではないかというふうに思っております。

 その中での考え方、協定を結ぶ上の考え方ということでございますが、お互いさまの精神で、信頼関係に基づく事業継続計画の応援ということで、目的としては、被災から早期復旧、お客様に安心を提供し、事業継続を確保する、事業継続への成長、相互交流による技術、事業の創出、そして、特徴としては、お互いに負担にならないよう緩やかな関係ということで、やる内容につきましては、応急支援物資、資材の供給、応急対策及び復旧に対する要員の派遣、代替加工の紹介、これは県境を挟んでおりますので、組合が窓口になってお互いを結びつけるということでやりました。原則としては、応援を申し出た側の金銭の負担がございます。

 ということで、お互いさま、助け合いとして協定を結びましたが、そうそう震災というのはあるものではございません。ただし、災害というのは常にやはり起きます。

 その中で、最近ありました事例を二つほど挙げさせていただきたいというふうに思います。

 そのうち一つは、これは、済みません、東日本大震災のときもありましたので、それを含めて言わせていただきますと、宮城県の空港の近くのメッキの業者が津波に遭いました。それで、危うく二階建ての二階に避難をしたところ、一階が全部海水で埋まってしまった。ということは、機械が全て海水の中に入ってしまった。

 そういう中において、一時は諦めようかと思ったんですが、後継者がございました。その方が、ぜひやりたい、もう一度何とかしたいということで、父親であります社長が、それでは何とか頑張ってみようということで、いろいろあちこちに手を打ちました。

 そのときに、同じ宮城県内の仲間のメッキ屋さんが、うちのラインがあいているからうちのラインを使っていいよ、もしあれならば、時間がつけば夜なら幾らでも使ってもらっていいよとか、又は、こういうメッキはうちでできるから、うちでもって処理をしてあげるよというようなお声があちこちから上がりまして、おかげさまで、丸二年かけて、お客様の流出もなく、その会社は今も頑張って稼働をしております。

 それともう一つ、これは火災なんですが、三年前に愛知県で、平成二十八年の二月、忘れもしない二月十五日、休みの日だったんですね。休みの日に、誰もいないところで火事が起こった。三階建ての建物が全部全焼してしまったということで、これも本当に途方に、連絡をいただいて行ったときにはもう全て火にくるまれていてどうしようもなかったということで、消防の方も、メッキ屋さんというといろいろな原材料がございます、勝手に、簡単にホースで水をかけるというのはなかなかできないらしいですね。そういうことで全部燃えてしまったということなんですが。

 そのときも、やはり仲間の、愛知県の、これは名古屋でしたから、名古屋のメッキ屋さんがみんな、我々のところで何とかするよ、お手伝いするよ、もしあれだったら、東北と同じように、ライン、あいているやつを使ってもらっていいよ、夜でもいいよというようなことで、材料だとかそういうのは全部自分のところで持ち運ぶ。

 一つ、あいているラインをお借りするというのは、変な話なんですが、ノウハウの流出にならないわけですよ。その会社さんが、ふだんやっている方が行ってやるわけですから、原材料の使い方だとか温度だとか、いろいろな条件というのがありまして、そういうものを自分たちでふだんやっているようにできるということで、こちらの方は半年ぐらいで全部復旧させましたね。それで、お客さんの流出がなかった。

 すばらしいと思うのは、そのときに、いただいたところに、お客さんの方で、何、あそこでもできるの、ほかでもできるのというような話がありまして、声もかかったところもあるやに伺っております。しかしながら、そういう流出したということは一切ございませんでした。

 やはりこれもふだんからのつき合いなんですね。地元でのおつき合い、そういうものがやはり、BCPにしてもこういう災害においても一番大切なことだというふうに思っております。

 それともう一つ、事業承継の件についても話せということでございますので、私どもの事業承継の件についてちょっとお話をさせていただきますと、私は二代目です。息子が今社長をやっていますが、三代目になります。創業者が今から六十五年前に工場をつくりまして、今はもうこの世にはおりませんが、私が平成二年に社長を継ぎました。

 そのときに、本当は、私も息子も会社に入ったわけじゃないんですよ。違う会社に勤めました。メッキ屋はやりたくない、もっとほかの仕事をやりたいということでほかのところへ就職したんですが、三年、五年やっていくうちにだんだんだんだん、親の背を見ていますと、やはり自分が後を継がなきゃいけないのではないかということで、私も息子も両方とも、頭を下げて戻らせていただいたということです。

 そのときに、私もそうですけれども、私の親も一切、戻ってこいとかやれという話は一言もなかったですね。でも、そういうことがございましたので、一応、本人がやりたいという、その意思でもって全部継がせているということで、そうなりますと、やはり設備投資が違ってきます。後継者がいないとなれば、そういう無駄な投資はしなくなりますが、やはり借金してでもそういう設備投資をしようという前向きな会社としてやり方ができてきたということで、非常によかったのかなと。

 ただ、私のときはそれほどでもなかったんですが、今、息子の代になりますと、全国にやはりネットワーク、いろいろ若手の方のつながりができまして、メールでのやりとり等を常にやっておりまして、何か災害のときには必ず応援をしているというような状況でございます。

 ですから、今後、この業界というのは非常に明るくなってくるな、数は減ってきても、業界全体としてはますます活性化してくるのではないかなというふうに思っております。

 最後になりましたが、私どもメッキの業界というのは、今お話ししたように、非常に中小零細でございます。そういう業界で、なかなか大きな声を上げることができない。そういう中において、神奈川であれば中央会だとか、業界としては全国中央会さんに、我々のやはり苦難とか窮状をお話をして、そちらの方からお話を国の方にしていただく。そういうことで、本日の委員の皆様方、御出席の先生方には、そういうことも踏まえながら、こういう業界もあるんだということで、ぜひ御理解をいただければというふうに思います。

 私からは以上でございます。本日はありがとうございます。(拍手)

赤羽委員長 ありがとうございました。

 次に、古賀参考人にお願いいたします。

古賀参考人 本日は、お招きいただきましてありがとうございます。

 時間もないので、ポイントだけお話しさせていただきたいと思います。

 まず、私は、経産省の官僚時代に、中小企業庁の経営支援部長、それから中小企業基盤整備機構の理事、そういうことで中小企業支援政策全般にかかわりました。それから、産業再生機構の執行役員として企業再生も担当したことがあります。あるいは、経済産業政策局の経済産業政策課長として産業政策の取りまとめもやりましたし、産業組織課長として競争政策の取りまとめもやっておりました。それから、大臣官房会計課の法令審査として省の予算の取りまとめも行い、あるいは内閣審議官として公務員制度改革もやりました。

 実は、これらの仕事は全て中小企業政策と密接にかかわっております。そうした経験も踏まえた上で、自己反省も含めて、きょうは本質的な議論をしていただく材料提供という意味も込めましてお話しさせていただきたいと思います。

 まず、この法案をぱっと見たときの所感ですけれども、以前私が中小企業の経営者の方に、中小企業庁の政策で何か経営の方針が変わったことがありますかと聞いたことがあります。そのとき、こんな答えでした。いや、そんなことは全くないですね、むしろ中企庁は、我々に話を聞いて、ああ、それはおもしろい、それを政策にすればこういう形になるのかなということで法案をつくるんですよねと。ところが、法律にするものですから、はっきり言って、一律にいろいろなことを書くから、使い勝手が悪過ぎる、だけれども、それをうまく調整して支援策をもらえるようにしてくれるのが中小機構で、非常に助かっております、感謝しておりますと。これが実態だと思います。

 この法案でもまた同じようなことをやっているなというふうに私は思います。もう余りこういう細かいことを決めて政府が認定するというのはやめた方がいいな、これはもう私、経営支援部長をやっているときにずっとそういうふうに思っておりましたが、自分ではできなかったということでございます。

 この複雑化の象徴とも思えることなんですけれども、中小企業等の経営強化に関する基本方針、読まれた方いらっしゃいますか。これは非常に重要なことが書いてあるはずのものですね、基本方針ということです。でも、一見しただけで、まず読む気になりません。普通の人が読んでもわかりません。内容もかなり、ピント外れ、時代おくれのものもあるなというふうに思います。

 今重要な課題として、もちろん災害とかありますけれども、やはり人手不足の問題、一番重要ですよね。この点について余り書かれていないですね。

 来年からは、働き方改革で、労働基準法、中小企業には適用が猶予されていたものがかかり始めます。これは、はっきり言って中小企業にとっては地獄になります。三十年前からやらなくちゃいけなかったのを突然やれと言われるわけですから。

 この対応策というのはどうなっているんでしょうか。

 例えば、賃金もどんどん引き上げざるを得ないですね。それをどういうふうにやっていくのかな。例えば、最低賃金、五年で千五百円を目指しましょうとか、あるいは平均給与でも三年間で、あるいは五年間でこれだけ上げましょうというような目標を掲げた方がいいんじゃないかと思いますが、そういうこともありません。

 それから、時代おくれなこともあります。

 例えば、海外展開するときに本社は日本に残しましょうとか、雇用は減らしちゃいけませんとか、そんなことが書いてあるんですね。これはもう、ほとんどナンセンスです。今、そんなことを言っている時代じゃないと思うんですね。

 ですから、こういうことを見ていると、国がビジネスの細かい点について指針を示して認定していく、この仕組み自体がもう無理があるというふうに思います。

 次に、ではどうしてそういう法律になっちゃうのかなということで、日本の中小企業政策の根本的な問題を幾つか指摘したいんです。

 一つは、経産省の職員の能力の問題があります。

 これは、一人一人が、頭が悪いとかいう意味じゃなくて、ビジネスの経験がないんですね、基本的に。毎年何十人も採りますけれども、新卒で採るんじゃなくて、もう新卒採用を本当一割ぐらいにして、あとはビジネス経験のある人を採っていくというようなことをしないと、とてもこういうビジネスを扱う仕事はできないんじゃないかなというふうに思います。

 それから、支援組織の問題があります。

 いろいろなものがありますけれども、特に海外の状況についてノウハウを持っているところが非常に少ない。地域の経産局でもやはりそういうところが非常に弱いんですね。

 僕は、いろいろやっていまして、どうかすると県に行った方が結構プロを雇っていて、そういう人たちの知見の方が優位にあるという経験もしました。むしろ、現場に近い県の方に人員とか予算を移して、中小企業政策は現場の方に近いところでやるというふうにした方がいいんじゃないかなというふうに思います。

 これまでの中小企業政策の基本というのは、私から見ると、中小企業を永遠に中小企業として生き長らえさせるというのが中小企業政策の目的なのかなと思います。その結果、日本は成長できなくなった。これは農業と全く同じ形ですね。

 ある中小企業の方に、非常に厳しく私は怒られたことがあります。それは、補助金がなければやっていけないようなことはビジネスじゃないでしょう、ゾンビみたいに生き残っている弱いところに補助金を出して延命させると、ダンピングで優良企業の足を引っ張るんですよね、そういうことはもうやめてくださいというようなことを言われました。やはり、中小企業の方でさえそういう認識を持っているんだなというふうに思います。

 弱者保護の対策というのは、必要な場合もあります。例えばリーマン・ショックとかあるいは今議論している災害とか、そういう、自分の責任じゃないというようなことについてはやはり国が手を出さなきゃいけない部分もあると思いますけれども、それ以外について細かいことをいろいろ言うというのはもうやめた方がいいんじゃないかなというふうに思います。

 平時は、企業の人材とか設備、それをなるべく生産性の高い優秀なところに移していく。もちろん、倒産とか淘汰ということはいろいろな混乱がありますから、その混乱をいかに小さくするかというところに焦点を当てていくべきなんじゃないかなというふうに思います。

 そういうふうに考えていくと、でも、やる気と能力のある経営者を支援しましょうといったってなかなかわからないですよねという話になると思いますけれども、そういうことは、まず、政策を、細かいのを全部一回やめて、出資、融資、税制あるいは知財関連の支援というようなことに、それも細かい要件を定めるんじゃなくて一般的な要件だけにして、支援策数本にまとめるというようなことをやる。

 それから、公正取引委員会の機能強化というのは非常に大事だと思います。やはり、大企業と中小企業、格差があって、私もいろいろ実態を見ましたけれども、相当大企業にやられちゃっているという部分が多いんですが、ここをやはり公正取引委員会はもっと頑張ってもらわなくちゃいけない。そのためには人もお金も足りません。それを抜本的に強化してもらいたいなというふうに思います。

 そういうことをしていくときに、では、誰も中小企業を助けないのかということになり、もちろんある程度はやるとして、そのときの目ききとかそういうもの、あるいはその指導を誰がするのかということになりますけれども、やはり、リスクをとっている人にやってもらうのが一番だと思うんですね。

 それは誰かというと、金融機関とかあるいはファンドとかそういうところの人たちが、この企業はよくなる、あるいは頑張っている、だから融資する、出資する、そういう対象に対しては、だったら国がその分を助成しますよという形にしたらいいんじゃないかなというふうに思います。

 規制緩和も必要ですけれども、地銀がどんどん中小企業に出資をするというような形も必要だと思います。事実上、根雪のような融資というのがありますよね、長期間にわたって。これは実態は出資なんですけれども、融資だと金利が何もしなくても入ってくるのである程度利益が確保できるんですけれども、出資だったらその企業がもうけないと配当は出てきませんから、やはり出資に切りかえていくというようなこと、デット・エクイティー・スワップとかそういうことも使って切りかえていくということを考えていただいたらいいんじゃないかなと思います。

 それから、やはり中小企業は弱い、弱い、こういう感じで何か議論されることが多いんですが、やはりもっともっと元気な新しい企業が出てくるということが必要だと思うんですけれども、そういう意味で、ベンチャー政策について、これがやはり日本は非常に問題だと思います。

 官民ファンドはもう全部やめた方がいいと思います、はっきり言って。余りにもレベルが低過ぎるんですね。

 私は、アメリカで起業している日本人の若者とこの間も話をしましたけれども、クールジャパン機構の人と会ったら、話にならない、もうやめてくれというようなことを言っていました。それでも何かお客さんが来るのはどういうことかというと、今はベンチャーバブルですから、まともなところにはお金は幾らでも来るんですよ。どうしようもないところが官民ファンドに寄ってきます。だから、絶対失敗するんですよ。ですから、これは早くやめた方がいいなというふうに思います。

 それから、きょうは中小企業団体の方もお見えになっています、余り悪口みたいなことは言いたくないんですけれども、皆さん頑張っておられるのはよくわかるんですけれども、商工会とか商工会議所も、やはり組織によって非常にレベル、格差があります。地域によって違うんですけれども、さっき、県境を越えて協力しましたという中央会の話がありましたけれども、そういう、やはり県境で区切っているというのはやめた方がいいと思うんですよ。とにかく競争する、組織同士が。それで、お客さんがたくさん集まるところに支援を集中していくというようなことにした方がいいんじゃないかなというふうに思います。

 それから、より一般的な話として、資料をお配りしたんですけれども、日本のビジネス環境が非常に、ランキングが低い、世銀のランキングですね。これは実は、ビジネス環境ランキングというと大企業のためかと思うかもしれないんですけれども、実態は、新しい企業を起こす、あるいは中小企業がどれぐらいビジネスをやりやすいか、そこにかなり焦点を当てられているので、中小企業政策の通信簿みたいなものだと考えていただければと思います。

 安倍総理は成長戦略で、先進国三位という目標を立てました、最初に。この目標の立て方がまず非常に不真面目だと思うんですね。何でかというと、何で先進国に限るのか。考えたらおかしいでしょう。企業の皆さんがどこに工場をつくるかというときに、日本とアメリカとイギリスとフランスしか考えないということはないですね。日本なのか、韓国なのか、シンガポールなのか、中国なのか、ベトナムなのか。先進国、途上国、関係ないんですよ。

 ですから、ビジネス環境は、選ばれるという立場から見れば途上国にも勝たなきゃいけないんですけれども、なぜか先進国三位という目標を立てた。なぜかというと、途上国を入れると三位は絶対無理だからですよ。つまり、見かけをよくすればいいという、そういう形で目標を立てるということ自体非常に不真面目だなと、僕はこれを見たときに本当に驚いたし、憤りを感じるぐらいでした。

 この順位がどうなっているかというと、安倍政権発足直前のランキングでは世界で二十四位だったんですけれども、これが今や三十九位まで下がりました。順調に下がっていきます。

 日本が何もやっていないわけじゃないんですよ。日本もやっているんです。だから点数は上がるんですけれども、ほかの国はもっと頑張っているので、どんどん追い越されていく。もう冗談みたいな状況になっていまして、私は最初これを見たときに、いや、何か日本はロシアに抜かれちゃったりしてねという冗談を講演で言っていたんです。そうしたら、本当に抜かれちゃうんです。もう中国が迫ってくるぐらいになってきますから。

 ですから、これを、例えば、本当に本気を出して、もう細かい政策なんかいいと、十位以内に本気で上げるというぐらいのことをやったらどうかなというふうに思います。

 だけれども、実際にはなかなかそういうこの細かい政策というのはやめられないんですよ。僕は中にいたからよくわかるんですけれども、余りその内情をばらすというのもよくないかもしれないですけれども、やはり、毎年何かやっているというのを出さないといけないんですね、経産省は、特に中小企業庁は。だから、僕は、中小企業庁長官とか経営支援部長とか来られていますけれども、かわいそうだと思いますよ。もうやらないといけないんです。

 ことしもやりました、ことしも新しいことをやるから新しい予算をください、これをやらなくちゃいけなくて、これは何でかというと、自分たちのやはり天下り先は確保しないといけない。団体が困らないようにしなくちゃいけないんですよ。そうしないと天下りポストというのは維持できないということですから、まあ天下りもやめた方がいいと思いますけれども、そういうところを根本から直していかなきゃいけないなというふうに思います。

 全体として危機感がちょっと足りないなというふうに思うんですけれども、中小企業政策の議論をしていますけれども、実は、やはり大企業を含めた産業政策全体の問題でもあるんですね、これは。

 経産省は非常にいろいろな間違いを犯してきました。私も相当反対した政策が多くあったんですが、例えば、すり合わせなんていうのを礼賛していましたよね。これは汗水垂らすのが美徳。だけれども、これで長時間労働と生産性を本当に低くするということに非常に大きく貢献しているんですね。

 ほかの国は何をやっていたかというと、そんなことはやめて、3Dプリンターにしようというので、二十年前からずっとやっていました。日本はここで完全におくれました。GEは、今、航空機部品を3Dプリンターでつくっています。そうすると、部品は数が一気に減るんですね。しかも、切削とか、溶接とか、組立てとか、研磨とか要らなくなっちゃうんですから、日本のすり合わせというのが陳腐化するということになります。GEは、ついに日本にこのビジネスで上陸してきました。

 資料にも書きましたけれども、日本の主な製造業というのはほとんどだめになりました。本当に悲しい感じで、全てが過去の栄光で、しかも新しいものもなかなか育っていない。有機ELなんかもまだ日本はつくれない状況ですよ。韓国や中国が折り畳み式のスマホを出しましたというと、指をくわえて見ている。あっ、シャープが出したと思ったら、台湾の企業になっていたという状況ですし。

 ジャパンディスプレイも、経産省が何かこの間まで日の丸といってやっていましたけれども、これも、中国、台湾企業の傘下になりますと発表された途端に株が上がりました。どういうことかというと、経産省の日の丸でやっていたらだめだとマーケットは思っていたけれども、中国、台湾の傘下だったらよくなるんじゃないかと。つまり、経産省の日の丸主義というのはマーケットから完全に見切られているということだと思います。

 エネルギーでも、原発にこだわって、太陽光パネルはもうベストテンに一社もないですよ。もうこれは惨たんたるものですね。昔はシャープがずっと常に一位で、ベストテンに三社か四社は入っていました。風力も、日立はこの間撤退とか出ていましたけれども、もう壊滅です。

 新しいものがないでしょう。自動車でも、電気自動車はもう全然置いていかれましたし。これは経産省が間違ったんですね、完全に。水素にかけるといって水素ばかりやっていた。水素の政策はたくさん並んでいますよ、見ると。電気自動車をやらなかったので置いていかれちゃった。自動運転もしかりですよ。もうグーグルに完全に水をあけられて、トヨタでも全くおくれていますよね。

 ですから、そういういろいろなことがありますけれども、もう一つすごく心配なのはAIですね。AIで、日本はアメリカと中国に完全に水をあけられています。これは日経新聞なんかでもいろいろ特集とか出ていますけれども、もう競争できないというふうに言われています。

 ですから、生きる道としては、下請ですね。下請大国になる。あるいは、中国やアメリカがつくったものを利用して、それをもうちょっと改善するみたいな、日本的な生き方かもしれませんけれども、もうそういうレベルに落ちてきているということです。

 全体として感じるのは、やはり政権としての危機感のなさですね。ですから、今回の法案を見ていても、全体としては、もう津波が目前に迫っているのに、それに背中を向けて家の雨漏りの修理をしているという状況だなというふうに思うんですね。

 この危機感を非常に端的にあらわす言葉として、お配りしましたけれども、ジム・ロジャーズさん、世界三大投資家の一人ですけれども、言葉が、これは非常によく引用されています、今。私がもし十歳の日本人なら、直ちに日本を去るだろう、これはそのとおりだなと思います。私はもう六十歳を過ぎましたけれども、私でさえ、どうやって日本を出ようかなと考えるぐらいの状況になっていますから。

 そして、こういう投資家というのは、余り人の悪口は言わないんですよ。特に、特定の政権を批判するなんということはないんですね。だって、投資してもうけなくちゃいけないから、仲よくしたいので。ところが、この人は、安倍が日本をだめにしたと振り返る日が来るだろう、ここまではっきり言われているんですね。

 ですから、そういう危機感というものを持って、僕は、この間、安倍さんたちのブレーンをやっている人とも話をしましたけれども、さすがに六年やってだめじゃないか、本当に安倍さんは改革なんかできるのって聞いたら、できない、はっきり言っていました。

 だから、そういう、周りにいる人でも、これは本当に危ないな、二周、三周おくれているな、ようやくそういう危機感が出てきたという感じですね。いや、五年遅いだろうという感じがしますけれども、でも、危機感が出てきたというのは非常にいいことなので、そういう危機感を持ってもう一回、中小企業の政策を一から見直して、いいものをつくっていただけたらというふうに思います。

 以上です。ありがとうございました。(拍手)

赤羽委員長 ありがとうございました。

 次に、高井参考人にお願いいたします。

高井参考人 おはようございます。

 本日は、このようなお話をさせていただく機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私は、日本弁護士連合会で、日弁連中小企業法律支援センターという中小企業を扱うセクションにおります。また、実務において、弁護士実務においても、中小企業問題について携わることが多くあります。

 本日は、法案の一部になっておりますけれども、民法特例に関しまして、事業承継につきまして、実務の観点からお話をさせていただきたいというふうに思っております。

 レジュメも配付させていただいておりますが、二ページ目から御説明申し上げます。

 皆さんよく御承知のとおり、中小企業、今回は事業者がテーマでございますが、小規模な企業、事業者の存在意義というものについては、全面から否定するということはないかと思っております。

 地方でニッチな分野にて、多くの企業、事業者が広範に事業活動を行っている。すき間を埋めた活動は非常に広範でございます。地域社会の生活を支える存在となっております。

 例えば、地方の小売店であったとしても、大企業の経済効率からは外れてしまう、そういうところをカバーしております。廃業して全滅すれば商店街がシャッター街になってしまう、そうすると地域住民の生活に大きな影響が生じてしまう、そういう存在だと思って取り組んでおります。

 では、その事業承継、中小・小規模事業者に関する事業承継の問題点というのはどういうところにあるかということについて御説明いたしたいと思います。

 まず、事業承継、経営の交代になりますけれども、親族内承継に偏りがちという傾向がございます。ただし、問題になっているのが後継者不足ですね。親族が、継いでくれるような方がその事業にかかわっていないというところで承継ができないというところが大きな問題になっております。

 また、事業、経営環境が不安定なことが多く、それではMアンドAをできるかといいますと、簡単にMアンドAの対象にならない、なかなか難しいというような企業も多くあります。一般的に、安定的な収益確保が難しいというところが理由になっているかというふうに思っております。

 さらに、事業規模に比べて負債が多くなっている傾向にある、債務超過の企業も多いということが障害の一つかと思っております。

 また、企業、事業と経営者の資産がほぼイコールという状況ですので、その承継というのは、その資産の承継、相続なり贈与になりますけれども、必ず税の問題が出ますので、それをどうクリアするか、それがかなり大きな問題になってきます。相続税の納税資金を別途に、事業資金と別に持っているというような経営者は少ないわけでありますので、これは大きな問題というふうに理解しております。

 三ページ目ですが、そのような事業承継の問題を抱えた中小企業については、しかしながら早期な対応が重要だというふうに思っております。

 経験例を申し上げます。

 一番目は、事業上欠かせない技術を有していた社長が認知症になってしまった、そういったところから、最終的には廃業に至ってしまった事例についてかかわったことがございます。

 これは、養鱒場という、マスを生けすの中で育てて、それで出荷する。ある地域においては、あちらこちらに養鱒場がありまして、山の中なんですけれども、湧き水が出るということで、その一帯の地場産業となっておりました。

 家族経営で社長が経営者だったわけですが、卵から稚魚をかえして、それをまた育てる、そこがかなり技術があるわけですが、そこは社長しか持っていなくて、長男がかかわっていたんですけれども、長男はまだ外回りしか事業にかかわっていなかった。そういった事業上必要な技術についてはまだ承継されていなかったというところで、ふと、あけてみると、ことしの稚魚は少ないじゃないか、おかしいというところから、見てみるとおやじの状況もおかしい、そこで、痴呆症になってしまって仕事もなかなかうまくいかなくなってしまったということが発覚した。

 そこで、少し債務超過だったんですが、とんとんでやっていたんですが、もうこれだと次の出荷するマスが育たないじゃないか、そうすると、一年間の売上げが上がらない、そういうところも見えてきてしまいまして、廃業となってしまいました。

 事業規模に比べて負債が多かったので、それをどうするかということで、破産ではなくソフトランディングをしようということで、特定調停という手続で金融機関と調整をして廃業に至っております。

 その施設は、生けすなんですけれども、宅地が近くにあるわけですが、宅地造成化するとどこから湧き水が出るかわからないということで、かなり高価格で、なかなか適用できない。同業者がそれを使うのが一番適当だということで、金融機関の方が同業者をその購入先に選定して、同業者がそこを買いました。そうすると、つき合っていた餌屋さんとかそういう出荷卸屋さんも、またそこにそういうような製造元が入ったので、地域産業が守られたというような状況ではございました。

 これが、残念ながら、認知症ということで廃業に至ってしまったというような事例でございます。

 もう一例、昨年、事業承継を検討中に社長が急死してしまったという事例もかかわっております。

 有限会社でございまして、社長一人の取締役、株式も、社長と奥さん、社長がもう九〇%持っていた。そこで突然亡くなってしまいますので、社長が亡くなってしまうと、普通は、皆さん、株主が株主総会で社長を選ぶ、そういうことになるわけですが、その株主も社長だったわけなので、いわゆる組織上、法律上、機能不全に陥ってしまったということになります。

 ただ、店舗は普通に営業してやっているわけですが、それをどうするかというところで、数カ月間は社長不在となってしまいました。

 保証債務があったので、相続放棄を相続人はされてしまったということですので、相続財産管理人というものを、選任を私の方で裁判所にしてもらって、その相続財産、株が相続財産なんですが、価値はそれほどないので、それを譲ってもらって株主が決まって、その上で社長を選任したといった、非常に時間がかかってしまうのと、法律的な手続が余計にかかってしまう、そういったところで事業承継が円滑にいかずに停滞してしまったケースを経験しました。

 ほかにも、事業承継後、MアンドA直後に社長が亡くなったという事例も昨年経験しておりまして、経営者が亡くなってしまうというのは結構な、最近はよく耳にすることで、危機感を覚えております。

 そういうことから、事業承継は早期な対応が重要だということでございますけれども、なぜ時間がかかってしまうかということについて述べたいと思いますが、経営者は自分のことは後回しにしてしまう。商売が忙しい、商売は苦しいし忙しい。それから、何か、例えば納期があるようなわけではなくて、いつまでに何をやらなければどうなるのかということがございません。自分が頑張ればもう少し先へできるという状況でございます。締切りがないということでございますので、なかなか着手しても進まないというのが実態として実感をしております。

 そうすると、七ページ目ですけれども、そういった早期対応をしなきゃいけないという場合の課題について、少し中身を見てみますと、後継者を早く見つけなきゃいけない、これはもう第一の課題でございます。まずは、身の回り、親族、従業員、それから知人の経営者、知人の経営者がだめであれば、そこから紹介していただく。さらに、それでもだめであれば、外部のフィナンシャルアドバイザーと呼ばれているFAとかマッチング業者から紹介してもらう。

 ただ、結婚と同じですので、どういう相手に託したらいいのか、向こうもどういう企業なのか、なかなか思いがうまく当たらないでMアンドAがうまくいかないということもございますので、信頼関係があるところから始めるのが成功率が高いというのが私の実感です。

 先ほど、MアンドAの、一般的には難しいんじゃないかと言いますけれども、結構、探してみると、そういった支援先が出てくることもございます。それは少なくはありません。ただ、一般化できないというのが中小企業、零細企業でございます。

 ニッチな事業内容について、MアンドAとしてそれを対象とするというようなこともございまして、これは経験例として、債務超過であったが得意先へ事業譲渡した事例を昨年経験したんですが、社長を含めて四名のちっちゃな町工場でしたけれども、もう高齢なのでやめたい、ただ、借金が少し大きいのでこのままではやめられないということで、取引先に相談したところ、そこが借金ごと引き取ってもらったというような事例がございます。

 それから、税務対応でございますが、これは、事業承継税制が昨年、それから個人版につきましてもできつつあるということで、活用されてくるとかなり大きな税務メリットがあるということで、今後の活用を私としては期待しております。

 その中で、特に、特例承継計画等の計画を事前準備しなきゃいけないというのが、なかなか難しいところで、これはメスを入れて条件になっております。先ほど、後回しになるというところを、計画をつくらなきゃいけない、じゃないと税金上のメリットがないということが、これが一つのきっかけとなって、事前準備に経営者が励むということになってくれないかなと思っております。

 そうなった場合には、次は相続ということが問題になります。そこで、遺留分、これはまた避けて通れない問題でございます。

 遺留分に係る民法特例の確認件数は、それほど多くありませんが、見ていただくとおり、少しずつですが上がっております。ニーズはあるという状況です。特に、個人版事業承継につきまして、さっき申し上げたように、事業資産イコール個人資産、それで、税務の問題が必ずある、相続の問題が必ず出てくる。そうすると、遺留分の問題は必ず処理しなきゃいけないという状況にございますので、今回の民法特例の活用ということについては、私は期待しております。

 それからもう一つ、問題としては負債処理ですけれども、過大な負債で、債務超過であったとしても、金融機関の支援によってそれを適切に処理した上で事業承継する。若しくは、場合によっては、第二会社方式といいますが、一部事業を切り出して処理をする。最悪廃業となってしまっても、何らかの事業資産を従業員が引き継いで第二創業、そういうことも実務としてさせていただいております。

 最後に、今回の民法特例につきましては遺留分対応ということですが、それを我々、実際にやるプレーヤーとしてどういう位置づけを持っているかだけを御説明させていただきたいと思います。

 原則としては、遺言書をつくろうということになります。資産があるところで、会社の資産、事業用の資産については後継者に渡す。もちろん、事業にかかわらない娘さんとか息子さんがいる場合については、預金などほかの資産で分け与える、公平に相続を行う。そうすると、遺留分を侵害しない形でできます。遺言書をつくるときに、全部この人に渡したいよという相談を受けたとしても、後々争いになるので、こういうような、遺留分を十分に考慮した内容での遺言書を作成しましょうというような指導を我々弁護士としてはしております。

 ただ、これは、ほかの資産がある場合はこういうふうに分けることができるんですが、中小零細企業はそういうことがないことが多いです。先ほど申し上げたように、もう事業用資産でいっぱいです、ほかに預金なんかありません。そういう場合につきましては、それでももう少し中規模な企業ですと、じゃ、株を分ければいいじゃないかと。ただ、株を分けると、その事業にかかわっていない娘、息子が経営権を持っちゃう、議決権を持っちゃう、そこでなかなか思い切った経営ができないじゃないか、これが事業承継の問題です。

 では、無議決権株式にして渡せばいいじゃないかと。ただ、無議決権だと意味ないじゃないかということで、じゃ、配当ができるのであるから優先配当権というのをつけて、お金の面ではプラスです、ただ、議決権はありませんよ、こういった形で処理をする、対応するというのが我々の一つのパターンとしております。

 ただ、これも、配当ができる中小企業なんてほとんどありませんので、なかなか実務的には機能しない。

 そこでどうするかが、今回のテーマになっておる民法特例で、そこで皆さんに、じゃ、こういう事情だからということで法定相続人の合意をとって、それで適切な対応をする、そういったことを我々として検討準備として考えております。

 今回の民法特例については、全事業者が事業承継のときに必ず使わなきゃいけないというわけではないわけですね。ただ、必要となる場面は多くあるわけです。そういったことでは重要なものだというふうに認識しております。

 御清聴どうもありがとうございました。(拍手)

赤羽委員長 ありがとうございました。

 次に、千葉参考人にお願いいたします。

千葉参考人 おはようございます。

 宮城県の気仙沼市からやってまいりました、気仙沼本吉民主商工会副会長の千葉でございます。

 民主商工会は、全国に約六百近くある、主に従業員九人以下の小規模企業あるいは小企業が参加する団体です。

 震災で間近に経験しましたので、その点から意見を述べさせていただきたいと思います。

 民主商工会は、気仙沼では一九七四年三月に設立されて、現在、気仙沼市と南三陸町の業者の一割以上が加入しています。その人たちの多くが、この震災で被災しました。私は当時事務局長でしたので、幸い事務所は水が来ませんでした、ただ、電気も水道も、そしてガソリンもないところに都合三週間泊まり込んで、会員の連絡、安否確認に努めました。

 以後、地元業者の被災地復旧の奮闘を目の当たりにし、グループ補助金など公的支援の取得に一緒に苦労し、グループ補助金の果たした決定的な役割をつぶさに見てまいりました。

 その経験を踏まえて、法案審議の参考に意見を述べさせていただきます。

 八年前の東日本大震災は、御存じのように、八年たった現在でも復旧し切れない深刻な打撃を気仙沼地域全体に与えています。

 地元業者は、震災直後から、被災地支援あるいはライフライン復旧に奮闘しました。

 家族を行方不明にしたある業者は、その捜索もしながら、五百人以上入った避難所での運営に携わり、被災した人々が仮設住宅に移り切るまでお世話をしました。また、家や工場を失ったある業者は、地元消防団の幹部でしたので、寝ずの番にずっと出動しました。

 震災の翌日、早朝から道路確保のために動いたのは地元の土木業者でした。私は、震災時、丘の上の避難所におりましたが、次の日の朝十時におりてみると、主要な道路が本当に確保されている、これにはびっくりしました。

 水道業者は、被災した業者も被災しない業者も、市水道事業所の依頼を受け、震災翌日から漏水をとめる作業に従事しました。被災地の至るところで漏水していたのですが、本管をとめると、被災していない地域の水道もとめることになります。それを避けるために、津波が押し寄せた地域を一軒一軒回って、瓦れきを撤去して、手作業で止水管を探してそれをとめる、一度通水しても、水が噴き出すとまた戻ってそこをとめる、こういう作業を約二カ月半かけたとのことです。

 建設土木の業界では、自主的に協議会を立ち上げ、共同受注で瓦れき撤去に取り組みました。

 こうした中で、地元業者復旧の決定的な支援になったのがグループ補助金です。

 被災直後の二〇一一年五月、民主商工会の事務所に、店を失った業者が、これは何の役に立つのかと言って店の被災証明書を持ってきました。今でも鮮明に覚えています。当時は、住宅の被害には国から支援金が出ましたが、営業資産への支援は何もありませんでした。一体この紙が何の役に立つのか、そのときは全く何も答えられませんでした。

 そういう中で、グループ補助金が発表されたのが、たしか一一年の六月のことでした。この補助金に応募しよう、呼びかけました。奥さんと工場を失ったある会員は、あのときは仕事をやめようと思っていた、あの呼びかけをもらって前向きに考えられるようになったと最近話しています。

 気仙沼では、全体で延べ九百者に及ぶ事業者に五百億円を超える補助金が決定されています。グループ補助金は、金銭的にはもちろん、精神的にも、気仙沼の地域経済復旧に大きな、決定的な役割を果たしたと思います。

 ただ、震災から八年経過しまして、このグループ補助金にも新たな課題が生じています。

 それは、復旧に要した期間が長かったために、お客さんが戻らず、営業が思いどおりに回復しない、こういう事態になっている方がいます。そうした業者の中には、自己調達分の借入金を返済できなくなっているケースがある。そしてまた、補助金で取得した財産、建物や設備ですが、事業継続が困難になり処分をせざるを得なくなったが、処分制限期間の処分のために補助金の返還を求められている、こういうケースも生まれています。

 この補助金の取得についての処分は、昨年初めて県の方から説明がありました。補助金を受けるときはこんな説明はなかった、うちはグループ補助金で建てた工場の上に住まいがある、万が一のときにはどうしたらいいんだ、こういう声もその説明会の場ではありました。県の担当者の方は、中小企業庁と相談し柔軟に対応すると話していますが、関係する法律の制約もあると思いますけれども、補助金が被災者支援ということを踏まえて、柔軟に対応していただくようお願いしたいと思います。

 グループ補助事業あるいは国の補助事業の改善点についても、この機会に聞いていただきたいと思います。

 このグループ補助金ですが、まず、申請するのが大変難しいものでした。

 まず、類型区分というのがあります。サプライチェーン型、経済・雇用拡大型、地域に重要な企業集積型、水産加工業型、商店街型、このグループ類型を申請者が選択しなければならない。そして、グループを組む。誰とグループなのかというのはなかなか見えない。サプライチェーンの場合ははっきりしますが、そうでない場合はなかなか見えません。

 地域の多くは第三類型の地域に重要な企業集積型を選びましたが、その産業がその地域の主要な産業であることの説明、申請したグループがその産業の中心的なグループであることの証明、この記述が求められました。気仙沼では水産業や造船業が中心産業だとはわかるが、建設業が主要な産業だというのを説明せよ、そして、あなたのグループがその建設産業の中の中心的なグループであることを証明してほしい、こういう説明を求められたのです。そのために、グループをなかなか構成できない、補助金を受けることを断念する、こういう事業所もありました。また、情報が得られずに、グループに参加できなかった事業所もありました。

 そしてまた、もう一つは、業種それ自身が除外された業種もありました。店舗賃貸業、あるいはアパート賃貸業、物品レンタル業。このために、店舗の賃貸業、店舗を借りてやったけれども、建ててもらえない。そのために、商店街の店舗形成がおくれたところもありました。

 そしてまた、三つ目の問題として、募集が短期間で細切れに行われました。予算が小出しにされました。町の中心的なグループ、三百者以上が参加したグループですが、二次、三次と応募をして、最終的には、震災の翌年、第六次の募集で認定されました。これは地元業者の復旧に深刻なおくれをもたらしたと思います。

 そもそも、なぜグループを構成しなければならないのか。グループを構成しないとなぜ補助金が得られないのか。被災した事業所の中では、グループを組めない、あるいはグループに参加できない事業所がありました。これではせっかくの復旧支援が受けられない、こういうことです。

 こうした現実を前に、県や市は、被災した個別企業に事業の再開や継続を支援する補助事業を実施する。最近、市の担当者に聞いたら、なかなかグループを受けられない、難しい、グループが組めない、こういう人がいるので、うちは個別に、独自に補助事業を実施した、こういう話がありました。

 今後、災害からの復旧支援の補助制度を実施する場合には、グループ構成を求めず、個別企業に直接補助できるようにしていただきたいと思います。

 今、地域経済は、震災被害の長期化と人口減の中で大変先が見えなくなっています。

 地元の人口減は、まず子育ての世代からの移住から始まりました。残されたのは高齢者です。高齢者は、最初はうちを建てようかという計画もありましたが、だんだん出費ができないということで、災害公営住宅に入る、あるいは集団移転事業の中の賃貸住宅に入る、こういう状況になっています。ひとり暮らしの高齢者が目立ち、買物難民、医療難民、ATM難民が生まれています。近くに郵便局がないので年金がおろせない、ATM難民というんだそうです。

 そしてまた、事業主の高齢化、後継者不足が追い打ちをかけています。業界ごとに見ると、例えば建築業界は復興需要がなくなり、いわゆる崖を迎えています。

 防災集団移転事業や災害公営住宅は、おおむね二〇一六年にはほとんど完成しました。一七年の建築確認件数を見ると、前年比三〇%にまで落ち込んでいます。これはなかなか今後回復する見通しがないんじゃないかと言われています。

 加えて、小さくなった市場はパワービルダーやハウスメーカーがどんどん参入し、地元建築業界は全体の一〇%とか二〇%しか受注できていないんじゃないか、こういうことがささやかれています。このままでは、災害時のライフライン確保、これが果たせなくなるのではないかという心配が出ています。

 また、養殖業界を見ますと、御存じのように、福島原発被害のホヤの輸出、これが解禁されていません。ホヤは大体七、八割がこれまで韓国が輸入していたのが、全然輸入できないということで大変な状況になっています。

 こうした中で、人口減の中でも地域を支えているのが小規模企業、小企業です。

 おおむね、気仙沼域外から売上げを上げて、そして気仙沼の地域経済を豊かにする業種や企業があります。あるいは、サプライチェーンを支える中小企業や小企業があります。

 ただ、そうした中で、何よりも人口減社会に抗して、住民の暮らしに密着し、日常の暮らしを支える役割を持っている業種あるいは事業者が多いと思います。あわせて、万が一の際に住民のライフラインを確保するのも小規模企業、小企業の役割です。そして、地域の伝統や習俗、文化を継承する、この役割も小規模企業、小企業の経営者や事業主が担っています。

 経済政策あるいは中小企業対策を考えるときに、こうした業者の社会的な貢献、役割に目を向けていただきたい、これこそが、ある面、持続可能な地域経済に資するのではないかと考えています。

 その上で、小規模企業、小企業をフォローする中小企業強靱化法についてです。

 日ごろから災害に備えることは大切なことであり、BCPを持つことは大切だと思います。しかし一方、BCPの奨励に当たっては、小規模企業、小企業の状況を踏まえた運用を行い、BCPの有無を各種支援助成の判断基準にしないようにしていただきたい。小規模企業、小企業を漏らさないようにお願いしたいと思います。

 気仙沼では、中小企業・小規模企業振興基本条例に、災害時における中小企業、小規模企業への支援を規定しました。全国の自治体においても、小規模企業、小企業振興条例を制定する動きが多くありますが、その際には、災害時の小規模企業、小企業への支援を規定するよう、ぜひ政府の方からも促していただきたいと思います。

 そして、中小企業、小規模企業を支援する際には、BCP推進に当たって、中小企業同友会や民主商工会など、中小企業、小規模企業を支援している団体あるいは支援しようとしている団体にも広く協力を呼びかけて、広くBCPの推進をお願いしたいと思います。

 最後になりますが、中小企業、小規模企業の営業と暮らしを守るために、ぜひお願いしたいことがあります。

 その一つは、十月の消費税増税は絶対行わない、延期していただきたいと思います。二つ目は、経営と暮らしを圧迫する社会保険料、国民健康保険税の引下げを図ること。三つ目は、地方自治体に対し、全事業所調査への大胆な支援など、小規模企業支援法に基づくきめ細かい小規模企業支援を促進すること。四つ目は、大災害時には、中小企業の幅広い役割を考慮し、全ての被災企業を対象にする支援事業を実施すること。

 以上をお願いして、私の意見陳述とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

赤羽委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。八木哲也さん。

八木委員 改めまして、おはようございます。

 参考人の皆さんの貴重な意見をお聞きして、本当に参考になりました。

 質問の前に、私は、自由民主党でございますけれども、愛知県の豊田市というところにおりまして、選挙区は豊田、みよしというところで、まさに企業城下町のようなところでありまして、私自身も二十四年間、部品をつくっている会社に勤めておりまして技術屋として働いておりましたけれども、その間、二年間、購買をやらせていただきまして、仕入れ先さん等とたくさんおつき合いする機会がありました。そういう中であって、三件の倒産を経験いたしました。このことは、本当に今でもそのことが鮮明に思い出される場面がありました。

 そういうことから思いますと、やはり大企業を支える中小企業の皆さん、仕入れ先の皆さんがいかに経営的体質、そしてまたいろいろな面において強くなっていくということが大事ではないか、こんな思いがしているわけでありまして、私も経産委員会にずっと所属させていただいておるんですけれども、そういうような立場で中小企業問題に取り組ませていただいておる、そんなわけであります。

 そういう中にあって、今、ちょっと古賀参考人の方から、安倍が日本をだめにしたと振り返る日が来るという辛辣なお言葉を引用されまして、見方によってあるのかと思いますけれども、やはりそうなってはならないという思いが当然のこと、これが我々政治の責任だ、こういうふうに思っておるところです。

 それが、安倍政権になりまして六年が経過して、七年目に入っているわけでございますけれども、私も中小企業等々と非常におつき合いが長かったわけでございますけれども、やはり中小企業政策自体は大きく進展したと私は実感しております。

 特に、中小企業というものと小規模事業者というものをきちんと分けることによって小規模企業振興基本法を制定したということは、非常に小規模事業者にとっては明るい材料だったことは言うまでもないと思います。

 その後の、しっかりした施策をどのように打ってきたのかということが大事なことでありまして、一昨年、世耕プランが出されまして、これも、未来志向型の取引慣行、それから原価低減要請の改善、そして型管理の適正化、下請代金の現金化等を打ち出したわけでありますが、まさに私も企業にいた関係で、的を得ている、こういうふうに思ったわけであります。

 しかし、私も自動車部品をつくっておったという関係からすると、まだちょっと足りぬな、こんな思いがしておりましたけれども。

 といいますのは、モデルチェンジというのをやるんです。そうすると、これが廃車になっていくわけでありまして、その後、二十年間部品を供給する義務が出てくるわけであります。そうすると、その間の部品の供給に対して、廃車になったから、それはたくさん来るわけではありませんが、ですから、そういうことも本当は入れておかなければいかぬかったなという思いが今でもしております。

 そのように、よかった面、たくさんあると思うんです。しかしながら、やはり今回、事業承継もその一つだったと思います、またこの件については後ほどお話ししますけれども。

 しかし、このところ、災害が非常に多いということは、今の気仙沼さんのお話でもありましたけれども、昨年の広島を襲った豪雨におきましても、広島はマツダがあるんですけれども、マツダは操業を一週間ぐらいとめた。そのために約二百八十億円ぐらいの損失がある、これは企業としての損失かもわかりませんけれども。したがって、関連企業だとかまたサプライヤーとかそういうことになるともっと大きな損失になったのではないか、こんな思いがしております。

 このように、よかった点もあるし、まだまだ課題もあろうか、こういうふうに思います。

 そこで、参考人に共通して一度お聞きしておきたいと思いますのは、今までの施策で、評価できる政策、さらに、まだまだ深掘りしていかなければいけない問題、今回の問題もあるかもわかりませんけれども、その辺、どのように考えているのか。まず冒頭、そのお話を聞いて質問に入りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

栗原参考人 栗原でございます。

 ただいまの八木委員のお話に対しまして、非常にうれしいのと、ひとつお願いということで、先ほど来、お話の中で、部品のサービス価格、要は、車の製造が終わった後、二十年間、部品のキープをしなきゃならない。それは、当然のことながら、何万台もつくっていたものが何百台、何十台になってくるわけですね。それを同じような価格でやるということ自体、これは問題なんですよ。それはぜひ入れていただければうれしい話で、ひとつよろしくお願いしたいと思います。

 それと、私、震災の後、いろいろ皆さんに伺っていますと、政府系の金融機関さんがかなり応援をしてくれる、復旧に対して応援をしてくれていただいているという話を伺っています。

 ですから、そういう面で見れば、金融面でもってかなり、災害に遭ったときに早い対応をしていただけているのかな。これは、私の知っている企業さんだけでございますのでほかの企業さんはちょっとわからないんですが、ほかの業界さんはわからないんですが、できるだけ、困っているときにはやはりタイムリーに、そういう資金の供給だとか何かをしていただければ。そうしないと、やはり生き残れるものも生き残れないというふうになっておりますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。

 ありがとうございます。

古賀参考人 先ほど申し上げたこととも重なりますけれども、やはり問題だなと思うのは、政府、経産省が細かい要件を、こういうモデルがすばらしいんですよというのを、いろいろな細かい要件を決めて、それに合っていたら補助金を上げますというようなタイプの助成措置というのは、僕はほとんどきいていないなというふうに思っておりまして、そこら辺が何か今でも延々と続いているというところはぜひ変えていただきたいなと思うんですけれども。

 逆に、よくなっている点という意味では、さっき、小規模企業政策を分けた、これは非常にいいことだと思うんですね。やはり産業政策と、それから少し弱者を保護する、そういう政策というのは分けないと、それまでちょっとごっちゃになっているところがあったんですけれども、そうすると全体が低レベルのまま残るということになるので、分けていくことはいいことだと思います。

 それから、公正取引委員会との協力というのもあると思いますけれども、そういう大企業に対して小企業は非常に虐げられてしまう。

 これは、大企業というのは非常に頭がよくて、弁護士も優秀な人がついているので、なかなか、ちょっとやそっとじゃ手が出せないようにうまくやっていくのが普通で、私も、いろいろな現場の声で、こんなひどいことをされているのかという例はたくさん見ましたけれども、そういうところにかなり今中企庁も経産省も力を入れているなというところは、非常にいいことだなというふうに思うんですね。

 そういう意味では、そういう細かい、こういうビジネスのやり方がいいですよというのを細かく役所が指導して、そこに合ったらいいけれども合わなきゃだめよということはやめていただいた方がいいけれども、もう少し一般的な業種で、ビジネスの形とかいうこととは関係なく、今申し上げたような公正取引の話とか、あるいは小規模政策を分けるとか、あるいは、もうちょっとやはり民間の金融を使っていただいて、商工中金であんなひどいスキャンダルもありましたけれども、ああいうのがうやむやになっちゃっていますけれども、やはりこの際はっきりそういうところは整理して、もっと民間の金融を使うような形にしていったらいいんじゃないか。

 そういうための、一般的な政策に統合していっていただきたいなというふうに思います。

 ありがとうございました。

高井参考人 先ほど、小規模事業者と分けて考えてと。これは私も非常にいいことだと思っております。

 ただ、その中でも更にいろいろな、中小企業、小規模事業者が今困難な岐路に立っていると思っております。事業承継しかりですが、事業承継だけでなくてもそうだと思っております。中規模企業で、これから海外展開しようというような発展的なことを考えている企業においてもいろいろな問題が今出ていますし、中小零細企業もいろいろな問題が出ています。

 そういったいろいろな岐路に立っている中小企業を、今のいろいろな施策の中若しくは制度の中でどうやって自然に無理なく円滑に導いていく形になるのかというところが今後の課題になってきまして、そこでいろいろな、残念ながら退場しなきゃいけない廃業のこともありますし、大企業より成長するところもあるかと思います。

 そういったところをうまく円滑にどうやっていくのかというところに注力することが一つと、そこから更にまたいろいろな問題が出てくるかと思っていますので、そこをまた、先を見据えた検討をいただければというふうに思っております。

 以上でございます。

千葉参考人 他の参考人の方もお話がありましたけれども、小規模企業基本法、これは本当に小企業の希望になっていると思います。

 ただ、それがまだまだ自治体まで届いていないというのが現状です。この間、先ほど紹介しました振興基本条例、気仙沼でもつくってもらいましたが、その中で私たちがお願いしたのが、この小規模企業基本法を踏まえた、小企業にもっと目を向けてほしいという話をさせてもらいましたけれども、なかなかそれが届いていないというのが状況ですので、これを改めて国の方からも指導していただきたい。

 特に、全事業所の悉皆調査に対して補助金を出すとか、いろいろな形で応援して、全国的に、それは各自治体の独自のものではありますけれども、機運をつくっていただきたい、そういうことをお願いしたいと思います。

 以上、よろしくお願いします。

八木委員 ありがとうございました。

 要は、統計上を見ていろいろな政策を出してはいけない、その統計の大もとは末端の現場にあるということを、もっともっと足を運んで現実を見なければいけないということではないか、こういうふうに思うんですね。

 そういう中にあって、今回、災害の問題が非常に大きいわけでございまして、事業活動の継続法、このことにつきましては、ちょっとお話を栗原さんにお聞きしたいと思います。

 栗原さんの会社は非常に先進的な取組をしておられて、実はきのう、障害者の雇用の促進に関する法律の一部改正する法案というのを出したんですけれども、もう既に、神奈川県の障害者雇用優良企業ということで非常に積極的に取り扱っていただいておりまして、本当に感謝を申し上げたい、こういうふうに思います。

 そういう中にあって、今BCPのお話がありました。BCPの問題で、今後このBCPを、やはり一社だけではなかなか難しい、特に中小企業、小規模事業者。そうしたときに、いかに仲間と一緒に、お互いさまというお話がありましたけれども、そういう形をつくっていかなければいけない。

 そういうふうに思いますときに、今、大企業では六四%、中堅企業で三一%、全体で一六・九%の策定率ですよ、こういうような統計も出ているわけでありまして、まだまだやらなければいけないことが多いような気がしております。

 そういう中で、やはりそれは、千葉さんもお話しになっておるんですけれども、同じ業種、業態といいますか業種、そういうものがやはり互換性を持つことが一番効率的ではないか。そういう意味において新潟さんとBCPをやった、こういうふうに思うわけでございます。

 しかし、やはり業種と業種ではなくて、そこの中の、今お話もありましたけれども、メッキというのは装置産業でありますので、その装置でどういう特性のどういうメッキをやっておるのか。樹脂なのか鉄板なのか、いろいろあるんですね。ですから、そういう部分の技術の互換性という部分をやっていく必要があると思うんですけれども、そういう部分において、どういうきめ細かな部分に配慮したものをやらないといけないのかということをお聞きしたいということが一点。

 それと、もう一点、時間がありませんので切りますが、やはり自分たちではできない、千葉さんも同じなんですけれども、そうしたときに、行政、市役所とか町だとか、それがやはりどれだけ強く関与したかということに、いろいろその影響があると思うんですね。その辺の関与の仕方をどういうふうにしていかなければいけないのかということについて、お聞きしておきたいと思います。

栗原参考人 それでは、お答えをさせていただきます。

 まず最初に、障害者の話をされましたので、ちょっとその辺もお話しさせていただきますと、私どもの会社では、六〇%強が障害を持った方でございます。ほとんどが自動機で動いておりますので、そこの反復の作業をやっていただいている。横浜と福島、両方の工場で、現在三十四名の障害を持った方が働いております。

 それで、先ほどちょっと言い忘れましたが、ものづくり補助金、もの補助は非常にいいですね。言い忘れましたが、私ども使わせていただいています。あれについては非常に助かっております。

 それで、技術の互換性の件なんですが、当然のことながら、おのおのノウハウがあるわけです。私どものやっているメッキは、かければ自動でぐるっと回ってできてしまう、そういうものはどこでもできる。ですから、助けていただくのは、そういうものはどこでもできるんですが、先ほどラインを借りてというお話をさせていただいたと思うんですが、それはやはりノウハウがあってなかなかできない、今現在やっている会社じゃなきゃできないというものがあるわけで、その人たちが材料とかいろいろなものを持ち込んで、お借りした設備でもって物をつくるということでないとなかなかできないものもあるということです。

 ですから、一概にメッキといっても非常に幅広くございますので、お互いが何でもかんでも助けられるという問題ではない。でも、そこでなきゃできないものもあるということで、その辺が企業が存続していく意義があるわけでございまして、その面では、おのおのが常日ごろ研さんをしていくというのは非常に大切なことだと思っています。

 それと、行政の件なんですが、これについては、余りよくお答えできる回答がないもので、違うことを言ってしまうとまずいので、ちょっと保留をさせていただければというふうに思います。申しわけございません。

 ありがとうございます。

八木委員 終わります。

赤羽委員長 次に、富田茂之さん。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 四人の参考人の皆さん、本当に、きょうはそれぞれの経験に基づいた含蓄のあるお話、大変勉強になりました。

 私の方から、ちょっと事業承継について御質問したいと思います。

 実は、この委員会で、三月十三日に大臣所信に対する質疑の中でちょっと事業承継のことをお伺いしたんですが、そのきっかけになったのが、帝国データバンク千葉支店が二〇一八年の千葉県内の「休廃業・解散」動向調査というのをされまして、それを新聞記事で見ました。

 それによりますと、千葉県内で二〇一八年に休廃業また解散した企業が八百二十六件、倒産件数が二百五十四件なんですね。休廃業の方が三・三倍だというこの数字、ちょっと驚きまして、全国的に見ますと、全国で二〇一八年の廃業が二万三千二十六で倒産が八千六十三だと。やはり約三倍ということで、この休廃業をこのまま放置しておいたら、本当に日本の中小企業は大変なことになる。

 その後、帝国データバンクで、千葉県内でどれだけの損失が出るかという報道もされていまして、このまま放置すると九千五百億円の損失だというような数字も出ていました。これは、千葉県内の総生産の約五%、失われる雇用も、県内労働者の約一〇%に当たる十六万人の雇用もなくなってしまうという、ちょっと驚くべき数字が出ていました。

 企業の方の事業承継税制は、この前、一昨年から昨年にかけてやって、そこでかなり数字的にも出てきているというふうな報告でした。中小企業庁の方では、過去十一年間で事業承継税制を利用したのが約二千五百件なのに、昨年の四月からことしの一月までの数字で二千二百二十六件、ほぼ十倍以上、新しい税制に取り組んできているという数字も出ていて、やはり大事だなと。

 今回は、企業から、個人版の事業承継税制が組み込まれたわけですけれども、これによって事業承継が本当に進んでいくのかどうか。今回のような仕組みに加えて、何かこういうアイデアがあったらもっといいんじゃないかという、もしそういうお知恵がありましたら、参考人の皆様からそれぞれ、全員の皆様からまず教えていただきたいというふうに思います。

高井参考人 高井でございます。

 法人の税制につきましては、実は私は、事業承継計画をつくるのがなかなか皆さんうまくいかないものですから、利用が五年のぎりぎりとか、最初から利用されるのかなと思っていたんですが、そこは逆に驚きでして、かなり使われている感覚を持っております。

 我々としては、経営者というのは孤独なものですから、そういう後継ぎ問題、なかなかオープンにできないので、そういうところがある意味オープンにできるのは意外でした。

 そういう意味では、やはり状況として需要がかなりあった、そこにぴったり合った形で出てきた税制かなと思っております。

 最初の千葉県の廃業の話につきましては、非常に我々実感しているところでございまして、今回の、いろいろな施策をつくられているところも一つカバーできる部分があると思いますが、ただ、民法特例につきましては、後継者がいることを前提としている。だから、後継者がいない場合の対応が重要になってくるかなとは思っております。ちょっと時間があれですので、そういう認識を持っております。

 以上でございます。

古賀参考人 一つは、休廃業が悪いことだというふうに決めつけるというのもちょっと僕は問題だと思っていまして、休廃業はあってもまた新しいものが出てくるという、その両方をやらなくちゃいけないんです。

 そこが、ただ、休廃業が、突然ばたんといっちゃうとか、あるいはいろんな、雇用が急に失われてほかに行けないとか、あるいはそこにある設備なんかが完全に無駄になってしまうというような、そのところをどうやって、親子で承継するとか人的関係で承継するということではなくて、どうやったらもうちょっと経済全体の仕組みの中で吸収していけるかという観点で政策をつくっていただけたらと思うんですけれども。いろんな事業承継の話はどんどんどんどん進んできてはいると思いますけれども、やはりこれは相当これから大変だなというふうには思うんですね。

 だけれども、よく考えていただきたいのは、雇用情勢というのは非常に逼迫しています。ですから、今までは、企業が潰れたら失業が出るということで、何が何でも企業を守らなくちゃいけない、こういう感じでやっていたと思いますけれども、そこをちょっと頭を切りかえて、むしろ休廃業もいいことだよ、でも、やるんだったら早目にやろうね、少しでもいいところにその働いている人が移動できるとか、そういうことも含めて考えていただけたらいいんじゃないかなと思います。

 以上です。

千葉参考人 事業承継の問題、本当に深刻な問題になっています。

 どんどん、後継者がいない問題があって、承継どころか、承継できない、どう承継するかというよりは承継できないという問題が今地域ではあるんじゃないかと思います。

 その上で、ただ、材料的には余り持ち合わせていませんので、詳しい話は御容赦願いたいと思います。

 以上です。

栗原参考人 私どもの業界というのは、先ほどお話ししましたように、小さい企業さんが多いということで、今までもやはり転廃業はかなり進んできています。

 しかしながら、転廃業は進んできていますが、先ほどももうお話ししましたように、大分若返ってきているということで、二世から六世までの企業主さんが今約八割強いますので、ですから、かなり業界としてはやる気のあるところもあるんですが、ただ、そうはいっても、転廃業したいというようなところもやはりないわけではない。

 ただ、そのときは、自分の方から、これは失敗例なんですが、失敗例と成功例があるんですが、失敗例が、自分の方からお客さんの方にいついつでやめたいということでお話ししましたら、メッキの業界というのは、これは新規参入できないんですよ。ですから、買い手が入るんです。買い手が入りまして、要は、金額を言って申しわけないんですが、一億で買いたいとか一億数千万で買いたいという企業さんが三者ほど出たんですが、売りたいという方が三億じゃなきゃ売らないという。そのうちにやめるという日が来ちゃいまして、そうしたら仕事がなくなっちゃいまして。ということは、お客さんがみんな散っちゃったんですね。ですから、それはまずいやり方だと。

 もう一カ所は、やはり、銀行さんなんかから裏でずっと来て、こういう仕事をやって、メッキをやっています、これだけの規模でというようなことで、いろんなお話が裏で入ってきます。そうすると、やはり高く売れるというようなこともございます。そうすると、事業継承、もう他の会社でもってうまくいくということで。

 ですから、我々の業界というのは、やめるのも大変なんですが、ただ、ほかに新規でできないという業界でございますので、そういう面では、ある面ではイニシアチブがとれるのかなという感じがいたします。

 それと、今、税制で、株の譲渡で、十年間にわたって、後継者に無税で渡せるという話が出ていますので、我々も近いうちに制度を活用したいなというふうに思っております。

 以上でございます。

富田委員 古賀参考人にちょっとお尋ねしたいんですが、先ほど、地方銀行が融資ではなく出資の方に向かうべきだという御提言がありました。私も本当に大事だなと思うんですが、この委員会でみずほ銀行の取組を紹介させていただいたんですが、経営者が自分の会社をどうにかしたい、会社の幹部たちが十人でそれぞれ十万ずつ出して別会社をつくって、ただ、それだと元会社の株は全部買い取れないので、ファンドを利用して、みずほ銀行がそのファンドから別会社に資金を出資して、提供して、株式を買い取って、経営者もまだ残って、ちゃんと引継ぎできるようなところまでやりたいというような報道があったので、それを紹介させていただいたんです。

 国の施策だけではなく、やはりそういう民間の金融機関が地元のことを一番よくわかるわけですから、そういった形で事業承継をバックアップしていくのも大事だと思うんですが、そこはどうでしょうか。

古賀参考人 今おっしゃられたとおりだと思います。

 やはり、民間の銀行は相当ネットワークも広いですし、銀行が入ることによって、なかなか難しいなと思っていたところでも承継がうまくいったり、あるいは事業転換をうまくしていったりとか、いろんな形で付加価値を上げていくということができると思うんですね。もちろん、ビジネスですから、うまくいくと思わなければやらないわけですし、それをやはり、例えば銀行だと出資ということについてはいろいろ規制がありますので、やはり中小企業向けだったら、そこを少し、大幅に緩和していくとかそういうことも、それでも本当に銀行がやってくれるかというのはありますけれども、でも、これは相当ビジネスチャンスにはなると思うんですね。

 ですから、環境はどんどん整備するようにしていただけたらと思います。

富田委員 高井参考人にお尋ねしたいと思います。

 私ももともと弁護士ですが、もう四半世紀やっていませんので、ちょっと、高井参考人のいろいろな資料を読んで、今こんな状況なのかというのを非常にびっくりしたんですが、特定調停をうまく活用されて、廃業していく人の中から、できるだけ債権者に迷惑かけないようにされているという記事を読みました。昔は特定調停って任意整理か破産のちょっと間みたいな感じに受けとめていたんですが、ここは特定調停を使うことによってかなりうまく機能しているんでしょうか。それが一点。

 もう一つ、先ほど、やはり事業承継に弁護士がかかわってもなかなか難しいというようなお話もありました。税理士の先生たちに伺いますと、顧問先の事業承継をやはりやりたくない、時間もかかるし、顧問料以外に別にお金もらえない、高いお金取っちゃうと会社が危なくなるというようなのもあって、なかなかそことのバランスが、やはり事業承継税制に税理士とか弁護士の専門家がかかわるときに士業の方の負担も大変だという、そのあたりをどういうふうにバランスをとっていったらいいか。

 この二点、ちょっとお伺いしたいと思います。

高井参考人 高井でございます。

 一点目の特定調停につきましては、日本弁護士連合会でも、全国の簡易裁判所で安価でできるということで、利用を進めております。弁護士の方で利用を進めているところでございます。

 破産に至らずに、保証人である社長の保証債務を含めて、経営者保証ガイドラインを利用しながら円滑に廃業をしていく。その中で、時間をかけて円滑にやっていきますので、利害関係人のニーズにも一定程度は応えながらやっていくというところで、廃業になってしまう、若しくは第二創業などでは利用がかなりできるところだと思っております。

 利用頻度につきましては、少し目新しい制度でありますので、金融機関の方々にもう少し普及をさせていただきたいということと、信用保証協会がついている場合があるんですが、一部の信用保証協会の地域では債権カットが特定調停では条例が整備されていなくてできないという問題がありまして、そうすると、そこで行き当たってしまうということがちょっとネックの一つになっております。

 二点目につきまして、私も事業承継のお仕事が来るときに、税理士さんの方から来ることが多いんですが、それはやはり親子、親族内の承継で、MアンドAなどはおっしゃるような状況があるんじゃないかなと思っております。

 MアンドAに相当するような事業承継のお話がほかの士業さんから来る場合ですと、公認会計士の方とか、少し別の切り口でそれに携わった方から御紹介いただいて対応することが多いと思っています。

 ただ、御自分の顧問のところで事業承継が、例えば第三者に買われてしまうと自分の仕事がなくなるという士業の状況はあるわけですけれども、全体的に見ると非常に、売ったり買ったりというような、今後はそういう流れが出てくるかと思いますので、そこは各士業団体においても、そういう状況を見据えた上での対応というのを普及というか、研修していかなきゃいけないのではないかなというふうに認識しております。

 以上でございます。

富田委員 ありがとうございました。

 終わります。

赤羽委員長 次に、落合貴之さん。

落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。

 本日は、皆様、まことにありがとうございます。

 まず、参考人の意見陳述のところで、ちょっと追加で伺いたいところを伺えればと思います。

 まず、古賀参考人になんですが、お配りいただいた資料の一番最後のページのところ、恐らく時間がなくて、これからの中小企業政策のあり方について、多分用意されてきたとは思うので、この最後のページについて詳しく伺えればと思います。

古賀参考人 これは中小企業政策だけではないと思いますけれども、やはり日本は、先進国になったという段階はもう相当、何十年か前にあったと思うんですけれども、本来は、そこから本当の先進国になるための改革をいろいろ進めなくちゃいけなかったと思うんですね。

 私は、ですから、改革というと、何か弱肉強食でよくないことだと思うような方もふえていますけれども、今、安倍政権も、改革、改革とおっしゃっておられるわけですけれども、その改革のポイントというのは、経済的正義を実現するための改革だというふうに考えています。それは先進国になって初めてできることじゃないかな、衣食足りてという言葉がありますけれども。

 その中で、今ここに、資料に書いたとおり、三つぐらいポイントがあるなと思うんですけれども、特に中小企業との関係でいうと、やはり人が希少資源になってくるという中で、それに応えるビジネスモデルに変えていくというのが、これは大企業でも大変で、ヨーロッパは、要するに、二十年、三十年かけてようやく克服しつつあるんですけれども、日本は、私は実は三十年前に、残業規制を強化しろというレポートを経産省にいたときに出して、共産党の不破委員長に非常に褒められた記憶があるんですけれども、そのころからやって、やっと乗り越えられるぐらいのものなんですが、それをすごく短期間でやらなくちゃいけない。

 これは働き方改革と言っていますけれども、実はこれは企業淘汰の話なので、これをやはり中小企業政策としてはしっかり受けとめて、総合的な対策をしていかなくちゃいけないんじゃないかなというふうに考えております。

落合委員 では、次に、高井参考人になんですが、先ほども休廃業の問題もありましたけれども、この高井参考人の九ページ、九と書いてあるところ、負債処理対応のところで、第二創業ということに言及されています。私、これは大変重要だと思いますので、さらっとおっしゃっていたので、ここの部分の重要性について、御経験等も踏まえて伺えればと思います。

高井参考人 第二創業といいますのは、基本的に、プレーヤーは従業員が担っていると思っております。どこのMアンドAができるわけでもないわけですけれども、廃業してしまう、場合によっては倒産してしまうという局面において、ですけれども、番頭格の従業員の方々が、今までの取引先若しくは事業用資産を譲り受けて、若しくは独立する形でやっていく。

 例えば、三店舗、小売でやっているような店舗があった場合に、一店舗だけは店長さんがほかの従業員と守っていきたいとかそういう形で独立していく、そこも需要があったりなんかする場合ですので、全滅するのではなくて、事業基盤、事業資源を、一部有効なところについては、担っていく人間が担っていくというようなことでやっております。

 ですので、破産の場合でも、状況によって、破産管財人と相談しながら、従業員の方が事業資産を破産管財人から購入して、それで一部独立して事業をやっていくというようなケースも多々、非常に多く、私としては実務でやっているところです。

 以上です。

落合委員 千葉参考人からは、最後の方で消費税増税についての言及がありました。ことしそれが行われる予定ということで、事業者に対する影響が大きいということで言及されたと思うんですが。

 栗原参考人に、事業者側の立場、それから、いろいろな経営者の横のつながりもあると思いますが、本音で、今のこの一〇%への消費税増税についてどのようにお考えか、お聞かせいただければと思います。

栗原参考人 一〇%につきましては、これはある程度やむを得ないというふうに思っております。

 私どもの業界は、五%から八%になったときに、これは全部の組合員が値切られないように、転嫁をできるようにということで、新聞紙上にもキャンペーンを打ちましたし、かなり大きく取り上げていただきました。これはカルテルを結んだわけです、業界として。ですから、三パーから五パーになったときに上げていただけなかったところもあったんですが、そのかわり、八%になったときは全部上げていただきました。

 ですから、要は、それがうまく我々の業界に対して上げた分がそのまま転嫁をしていただけるというのが大前提なんですね。そのときに、そうでなくて、いや、少しまけてなんて言われちゃうと今度成り立っていかなくなりますので、その辺の調査というか、転嫁をしてもらっているかどうかというその内容については国の方でもよく調べていただいて、そうでないところについては厳罰をもって臨んでいただきたいなというふうに思います。

 以上でございます。

落合委員 重要な御指摘をありがとうございます。

 それでは、この消費税増税について、古賀参考人、どのようにお考えでしょうか。

古賀参考人 消費税を今回このタイミングで上げるというのは多分難しいんじゃないかなというふうに思います、経済情勢等の関係で。ただ、消費税の増税を一切やるなと言うつもりは私はありません。

 ただ、やはり、六年間アベノミクスをやってきて、今は非常に景気がいいということを言われているわけですけれども、その中でも、いや、上げていいのという話が出てくるというのはどういうことなのかということをやはりよく考えていただいた方がいいと思いますね。やはり、消費税増税に耐えられるような経済情勢をつくっていくというのが政府の責務だと思っていて、増税ありきで決めちゃったからやるということではないと思います。

 それから、軽減税率を入れるというのは本当にやめた方がいいなというふうに感じるんですけれども、ほとんどこれはマスコミ対策というか新聞対策なのかなとも思いますけれども、これだけ複雑なことをやるので、増税の上にまた複雑さが増すということで、これもあわせて考え直していただきたいなと思います。

落合委員 では、言及された千葉参考人からも伺えればと思います。

千葉参考人 ありがとうございます。

 消費税について、日ごろから業者の立場から勉強させていただいています。

 一つは、業者自身、特に個人事業者については暮らしを圧迫するというのが、非常に大きな問題があると思います。あわせて、軽減税率、これは本当に、事務負担をふやす、ただいたずらに事務負担を強制するということになろうかと思います。

 マスコミでさまざまに、軽減税率については、こういう場合、こういう場合といういろいろなケースの中で言及されていますのでそれは差し控えたいと思いますが、もう一つは、インボイスの問題です。

 適格証明書を発行して、その適格証明書を持っている者がインボイス制度ということになるんですが、いわゆる免税業者が適格証明書を持っていないということで取引から排除されかねないという問題、そのために、一千万以下の免税業者であっても無理に課税業者にならざるを得ないという、そういう問題がこれから出てくるんじゃないか。

 もう一つは、ポイント制度についてです。

 ポイント制度について、買物したときにポイントがつくんだというお話ですけれども、これは全業者に及ぶことになろうかと思います。

 例えば、住宅の新築についてですが、住宅を新築した場合は別な控除制度があるということでポイントから除かれますが、その業者が中小業者で、そしてまた、仕事をする例えば水道業者、土木業者あるいは左官とか、そういう人たちが中小業者の場合、ポイントがあるかどうかで判断されかねないという問題が出てきています。それも、少なくとも一%は新たな経費として負担せざるを得ない、それがたった九カ月。

 そういうことでいうと、この九カ月の中でお客さんがポイントがあるかどうかでもって業者を選択する、これはとてもやっていられないと思いますが、どれをとっても、小規模企業、小企業には大変な重荷になる、存続の危機になるのではないかというぐあいに思っています。

 よろしくお願いいたします。

落合委員 消費税増税の設計は財務省がやっているわけですが、今言及されましたポイント還元の制度は、ここの経済産業省の目玉の一つの政策として、中小企業政策の一つとして掲げられているわけでございます。

 したがって、それについても、古賀参考人からも、どのように考えるか伺えればと思います。

古賀参考人 先ほどちょっと申し上げかけたんですけれども、今回、増税を本当にやるとして、増税というものに対応しなくちゃいけない、しかも、軽減税率という複雑な仕組みに対応しなくちゃいけない、さらに、キャッシュレスというのに対応しなくちゃいけないという、これを一遍にやれというのを中小企業に押しつけるというのは、僕はちょっと普通の感覚としてはあり得ないなというふうに思うんですね。

 それから、クレジットカードでやってくださいというために、その手数料を下げろというのを政府が半ば押しつけましたけれども、これは非常に問題だと思います。手数料というのは、はっきり言って商品の価格なんですね。企業に対して何かのものを幾らで売れという指示をするというのは、ちょっと資本主義としては、というか自由経済では考えられないなと思うんですが。

 私、取引信用課長というポストで三年ぐらいやっていまして、アメリカなんかにも随分クレジットカードの勉強に行ったんですね、シティバンクとかいろいろなところに行きましたけれども。そこでわかったのは、なぜ日本の手数料が高いか、これはもう皆さんよく御存じだと思いますけれども、リボルビングとかキャッシングでもうけられないからなんですよ、日本は。そんなことは経産省の取引信用課長に聞けばすぐわかることなんですね。だから高い。

 では、それを下げろということは何を意味するかというと、リボルビングとキャッシングでもうけろということを無理やり強制するということになりますから、それは多重債務者をふやすとか過剰なショッピングに持っていくというようなことにつながりかねないようなことで、期間を限定しますということですけれども、こういうことは、本来は市場経済の中で競争させていけば自然に下がるんですね。今、いろいろな、クレジットカード以外のキャッシュレスの方法が出てきていますので、そういう企業に無理やり強いていくというやり方というのは非常に問題があるなと。

 もし、無理やりやれというのであれば、例えば、政治資金は、使うときは全部キャッシュレスの記録が残るものにしてくださいというのを政治家に義務づけますというようなことでもやって、それからじゃないのかなというふうに思うんですね。多分、そういうふうにやれば政治資金の使い方は物すごく透明化すると思うので、ぜひそういうことから始めていただければと思います。

落合委員 では、最後に一問ですが、休廃業がふえてきているという中で、起業というものがやはり重要になってくると思います。

 今、産業革新機構というものもあるんですが、かなり頓挫をしているような状況でございます。産業再生機構の執行役員もされていました古賀参考人に最後伺えればと思うんですが、この産革機構はどうあるべきでしょうか。

古賀参考人 これはもうかなり言い尽くされていると思いますけれども、産業革新機構、ほかのいろいろな官民ファンドと言われるものも同じようなところがありますが、特に、やはり実際にはゾンビ企業の延命に使われたというところが非常に、そういう性格のものになってしまったなという印象を持っています。そして、報酬の問題で相当いろいろなけちがついてしまったんですけれども。

 やはり、こういう仕事というのは、要するに市場に任せるということだと思うんですね。昔、産業再生機構、私、法律をつくって、自分で執行役員になっていったんですけれども、そのときはそういうノウハウが全然なかったんですよ。

 ですから、期間限定、五年ということで、絶対五年でやめましょうねというふうに決めてやって、実際には四年で潰しました。でも、もう二年目、三年目から、つくったら、経産省とか財務省から天下りを送りたいという話が来て、そういうのに抵抗するのはすごく大変だったし、そういうものになっていくんです、政府がやると。

 ですから、こういうものは早くやめちゃった方がいいなというふうに思います。

落合委員 終わります。ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、浅野哲さん。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。

 参考人の皆様、本日はありがとうございます。

 本日の前段で皆様からいただいたさまざまな御意見をベースにこれから質疑をさせていただきたいと思いますけれども、まずは栗原参考人の方にお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 参考人の方から開陳いただいた御意見の中で、地域の異なる組合と協定を結んだ、その際、ノウハウの流出に対する懸念があったということなんですが、そこはお互いの信頼関係で乗り越えることができたというふうにおっしゃっていたように記憶をしておりますが、実際に、具体的な、例えば契約を結んだとか、ノウハウの流出を防ぐために行政から何らかの助言や指導があったのかどうか。このあたり、まずはお伺いできればというふうに思っています。

栗原参考人 ただいまの行政からのというようなお話なんですが、取決めをやるに当たりまして協定書を結ぶ、それには弁護士さんの書いた書面でもってやはりやっているんですね。ですから、例えば県境を挟んだ場合、もし何かあってふぐあいを生じた場合は保証するという、そこまでうたっているんですよ。

 地域の場合ですと、仲間内ですから、その取決めだけはやっていますけれども、ただ、そこまで保証するところまではやっていませんけれども、弁護士さんの書いた書面で一応提携はしております。

 以上でございます。

浅野委員 ありがとうございます。行政ではなく、弁護士さんからの助言あるいは指導でそういうことをされたということで。

 では、次の質問なんですけれども、今回、中小企業の強靱化法をこれから議論するんですが、それに当たっては、やはり、連携をする相手とどのように出会うのか、どのように見つけるのか、これが恐らく中小企業や組合の皆さんからしてみたら一つ目のハードルではないのかなというふうに思っておるんです。

 先ほどの議論でもありましたように、組合といってもやはり活動のレベルの違いというのがありまして、組合自体がそういう相手を見つける能力を持っている場合であればいいんですけれども、そうでない場合も十分に考えられるということで、実際には少ないというふうに私は考えるんですけれども、企業あるいは組合としてどのような支援が今後必要になっていくかというふうにお考えか。そのあたりについても御意見をお願いします。

栗原参考人 非常に難しい御質問だと思います。

 連携といっても、ただ協定書を結んで知らないところとやるということは絶対できないんですよ。やはりふだんからおつき合いがあって気心が知れているから、それができる。そうでないと、なかなか仕事をお願いしづらいし、受ける方も、なかなか、それを受けたからといって、じゃ、変な話、ちょっとほかのお客さんのところへ行ってみようかなというふうになってしまっても困る。

 だから、これはふだんのおつき合い、コミュニケーションの、ふだんからこういうおつき合いができているからということでできるのであって、県境を挟んだというのも、全国のメッキ工業組合で、そこの理事長さんとは常に懇談を深めておりますので、そういうことで理事長同士でもってお話をできた。

 ですから、もし何かあればということで組合が窓口になって、保証だとかそういうのがあれば、組合が窓口でもって全部対応しますよということでやってきております。

 そういうことでよろしゅうございますか。

浅野委員 どうもありがとうございます。

 やはり、日ごろからの信頼関係ができた上で、そういう連携という形に発展させていくべきだと。その前段の信頼関係の醸成というところが非常に大事だというふうに理解ができました。

 続きまして、古賀参考人の方にお伺いをしたいと思うんですけれども、中小企業、小規模事業者のBCPの策定状況を見ますと、およそ一五%前後という数字を伺っておるんですが、やはりまだまだ少ないという印象を受けております。

 経産省としても、これまでさまざまな啓発活動はしているとは思うんですけれども、BCP策定の必要性を中小企業の経営者の皆様により広く認識して行動を起こしてもらうためには、経産省あるいは国として今後何をすべきなのか。そのあたりの御意見を伺えればと思います。

古賀参考人 これはすごく難しいと思うんですよね。

 普通の企業、事業をやっていない人でも、災害の怖さというのは相当、いろいろな形で目にしたり耳にして感じているはずなんですね。ですから、事業をやっている人だけがそれを感じていないはずはなくて、むしろ事業をやっていればなおさら感じているはずだけれども、それにもかかわらず、BCPをちゃんとつくれるところは一五、六%しかないということですから、じゃ、残りの八割をどうしていくのかということになるわけですけれども、多分、そんなことを考える余裕がないとか時間がないとか、それから、つくれと言われても人がいないとか、そういうレベルの会社がたくさんあるんだろうなと思うんですね。

 ですから、やはりそういうことを考えるということで、どっちかというと、それってマイナスだ、負担になるという感覚ですよね。ですから、いや、今はそれはできないとか、もうちょっと先にしようかということで先送りになると思うんですけれども、やはりそれをつくることがむしろ今の自分の事業にとって得ですよという環境をいかにつくっていくかということじゃないかと思うんです。

 そうすると、すぐに、今いろいろやっているように、BCPをつくったらこういう措置がありますよということなんですけれども、やはり僕は、一つは、金融機関にそういうところの役割を果たしてもらいたいなというふうに思うんですね。

 ですから、そう言うと、また、じゃ、BCPがないと金を貸さないぞという排除になるんじゃないかとかいろいろあると思いますけれども、でも、やはりそういうことを金融機関なんかが積極的に指導していく、自分の融資先に。そういうことをやっていくということ。何か、経産省が幾ら音頭をとったからといって、その一六%というのがぼおんと上がっていくということにはならないかなと。

 ただ、一つ思いますのは、やはりそれを深く認識してもらうというためには、紙に細かく書くというのはもう読む時間がないので、僕は、もっと映像とかそういうものを使って、実際にそういう、悲惨な体験をした方っていっぱいいるじゃないですか、そういう方たちの声を本当に短い映像にして、それをたくさん流して見ていただくというようなことで、何となく差し迫ったものとして感じていただくというようなことはあるかなと思っています。

    〔委員長退席、富田委員長代理着席〕

浅野委員 ありがとうございます。

 続いて、再び古賀参考人にお伺いをしたいと思うんですが、少し視点を変えまして、今、中小企業、小規模事業者の皆様の中には、国内ではなく海外と一緒に仕事をする方たちもふえてまいりました、いわゆるグローバル化ですけれども。

 今回、いざ何かが起こったときに人の融通をする、これはやはり物理的に近距離にいないといけないので、国内の誰か相手を想定しているということになるかもしれませんが、原材料ですとかあるいは代替生産、この部分で危機を乗り越えるという分野については、国内だけでなく海外にも目を向けながらBCPを策定していく必要性というのが、今後の世の中を考えると必要があるんじゃないかと思うんですね。

 そこで、BCPを策定するときに、海外を相手として考えることで何らかの難しさあるいは障害が出てき得るのかどうか。そのあたり、もし御見解をお持ちであれば伺いたいと思っております。

古賀参考人 いや、難しいと思うんです。やはり企業には、中小企業といってもいろいろなレベルがありますよね、もう既に海外展開しているところもあると思いますし。そういうところは、当然、BCPをつくるときに海外も含めて考える力はつけつつあるところはたくさんあると思いますが、一方で、まだ全然海外に進出したこともないし、考えたこともないというような人たちに、いきなり海外も入れてBCPをつくりなさいと言っても難しいんだと思うんですね。

 ただ、サプライチェーンはもうどんどん今アジア中心に広がっていますので、仮に、自分たちがいろいろ原材料を仕入れているというのもずっとたどっていくと、やはり海外のことを考えないといけないよというケースもあると思うので、まず、そういうところの認識を深めていただくということは必要じゃないかなというふうに思うんですね。

 それから、仮にそういうことを考えたいという場合のアドバイスというのを、じゃ、誰がやるのかということで、これはさっき私も申し上げましたけれども、経産省、経産局とか、あるいは現場のいろいろな商工会とか商工会議所とか中央会とか、そういうところでできるかというとなかなか難しいところがあるので、ここはやはり国際化というのを重点を置いてサポートする仕組みというのを少し組み立てていく必要が、BCPだけじゃないと思いますけれども、組み立てていただけたらと思います。

浅野委員 ありがとうございます。

 続いて、高井参考人の方にお伺いをしたいと思っているんですが、これまで、高井参考人御本人あるいは日弁連の皆様が対応してきた中で、中小企業のBCP策定が進んでいる分野とそうでない分野というのがあるとは思うんですけれども、そのあたり、ちょっと現状認識をお伺いできればと思うので、よろしくお願いいたします。

高井参考人 私の方で把握している限りにおいては、中小企業といっても広いものですから、広い中小企業とその場で一対一でつき合っているものですから、なかなか、うまくいっているところもあるんでしょうけれども、うまくいっていないところも多く見えておりますので、どこがどうかというよりも、全般的にいろいろなところで、うまくいっているところといっていないところがあるかなというようなことを考えているような状況でございます。その程度でございます。

浅野委員 どうもありがとうございました。

 もう一つ高井参考人にお伺いしたいのは、今回議論を予定している法案の中に、ストックオプション税制の適用範囲の拡大というのがあるんですけれども、この対象になるのが、現在、起業してからあるいは事業をスタートしてから十年以内の企業というのを対象に議論する予定なんですが、ただ、起業してから十年間に限定する妥当性というんでしょうか、やはりいろいろな、これからさまざまなアイデアで老舗の企業が爆発的な成長をすることも考えられる中で、ストックオプションを起業後十年間という限定をかけることに対してどのようにお考えか。このことをぜひお伺いしたいと思います。

高井参考人 今回の制度について、私の方で理解が十分できていないところもあるかと思いますけれども、一般的に、いろいろな中小企業が局面を迎えております。事業承継を超えたところで新しい事業にトライしていくところもありますので、そういう意味では、こういったような税制について幅広く適用を考えていくということも一つあるかなとは思っております。

 以上でございます。

浅野委員 最後の質問になりますけれども、千葉参考人の方に伺いたいと思っております。

 先ほど、参考人の方からは、グループ補助金に触れながら、グループではなく企業単独も全てを救済対象にしてほしいというような御要望をいただいたんですけれども、そうなったときに、私が中小企業の経営者の方から伺うのは、その企業経営者本人がやはり手間暇がかかるということで、その負担をどのように軽減させるべきかというところがやはりどうしても議論になっていくのではないかというふうに思うんですが、全てを対象にした際に、経営者本人の負担を軽減するにはどういった施策が望ましいか、この部分について最後に御意見を伺えればと思います。

    〔富田委員長代理退席、委員長着席〕

千葉参考人 グループ補助金そのものにつきまして、一つは、自分が被災しました、それで、被災したんだけれども、どういうグループを組んだらいいかというのは全然見えないわけですね。外の人が見るしかないというのが一つあります。

 それともう一つは、グループ補助金の中の申請についても、グループ全体で書かなきゃならぬ書類もあるんですが、自分が書かなきゃならない書類が物すごくあるんですよ、自分が申請するというか、グループの一員として。そうすると、単独でやってもほとんど事務量は同じなんだと思うんですよ、多分、事業主の事務量のお話だと思うんですが。

 そういう点で、なぜ、別の人が見て、誰が見てそのグループを組むのかというところでいうと、被災者本人とはまた別な意図が入ったりするので、その辺はぜひ個別の支援をお願いしたいということでございます。

浅野委員 ありがとうございました。

 終わります。

赤羽委員長 次に、笠井亮さん。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 きょうは、栗原参考人、古賀参考人、高井参考人そして千葉参考人、貴重な御意見を、お忙しいところありがとうございました。

 今回の法案の大きなポイントというのは、中小企業に災害への事前の備えとして事業継続力強化計画の策定を促すことにあるわけで、BCPの策定状況を見ますと、先ほどもありましたが、従業員二十人以下で小規模事業者、あるいは五人以下の小企業と、規模が小さいほど進んでいないのが現状であります。

 そこで、まず栗原参考人に伺います。

 東日本大震災後の二〇一一年の四月に、神奈川県のメッキ工業組合と新潟県鍍金工業組合が災害時の相互連携協定を結んだというお話がありました。

 お互いさまの精神で助け合いというのは私も大変重要だと思うんですけれども、それを本当に進めていく上でもやはり国の役割があるのかなと思うんですが、国にその点ではぜひやってもらいたいということがあれば伺えないかということが一点と、そういう中で、BCPの取組を小規模事業者の中でも普及をして、中小企業全体での防災・減災対策を推進するには、どんな課題があって、どのような国の支援が要るかな、必要かなと思っていらっしゃるか。二点、伺えればと思います。

栗原参考人 ただいまの笠井委員のお問合せにお答えします。

 まず、神奈川、新潟、県境を挟んでということでやったというのは、やはり近場ですと被災を受ける地域というのは限られちゃう場合がありますので、神奈川、東京ですとお互いに被災をする場合もある。新潟であれば、それを逃れられるだろう。そのときに、新潟でも新潟地震ということもありましたし、かなり新潟県として、地元の県が力入れをしていたんですね。ですから、補助金もついた。

 ところが、神奈川県はなかったんですよ。言いに行ったんですが、それはないですというふうに、にべもなく断られちゃったんですけれども、動いて、そういうようなことでも進めていくためには、やはり何かそういう補助なりアシストが必要だと思います。それが県なのか地元の市町村なのかまた国なのか、これは別にして、ぜひそういうことがあれば、非常にうれしいと思います、また進んでいくのではないかなというふうに思います。

 それで、中小企業の課題というのはやはり、なかなか我々のところも、大手企業は自前で全部BCPを作成できるんですよ、できない中小企業をどうするかということなんですね。

 ですから、先ほどメッキ分科会をつくったというのが、ある面では、十人前後の会社を八社、手を挙げてもらったところを一緒にやろうということで勉強会を開いたわけです。そうすると、やはり中央会だとかいろんなところから補助金がつくんですね。やはりグループでやらないと補助金がつかない。

 我々もそれを目当てにやったわけじゃないんですが、やるのであれば、できれば、そういう小さいところがなるべくお金の負担がないようなことをしていただければ助かる。また、ほかの業界でも同じようなことが言えるんじゃないかなというふうに思っております。

 以上でございます。

笠井委員 ありがとうございます。

 千葉参考人に伺いますが、東日本大震災の被災地ならではで、地元業者の御苦労に裏づけられたお話だったと思います。

 小規模事業者、小企業の中でまだまだBCPというのは知らないという声も聞くわけですけれども、認知度は率直に言ってどのぐらい感じていらっしゃるかということ。

 その上で、陳述の中でも、BCPの奨励に当たっては、小規模事業者の状況を踏まえた運用を行って、策定の有無を支援制度の判断基準にしないでほしいと言われました。小規模事業者、小企業にとってBCPを作成すること自体が一種のハードルになっているというのはそのとおりだと思うんですけれども、策定の有無を支援制度の判断基準にしないでほしいというところをもう少し、その意味のところを伺えればと思うんですが、いかがでしょう。

千葉参考人 ありがとうございます。

 実際のところ、このBCPについてほとんど知られていないというのが、私の周辺の現状です。

 そういう中で、計画をつくるそのものについては非常に大事なことだと思います。ただ、それを全体に行き渡らせるには相当な時間がかかるし、しかし、そういう中でもしも災害が出たときにそれが判断材料になるのは、この小規模企業、小企業については非常に酷な話じゃないかというぐあいに考えているところです。

 以上でよろしいでしょうか。

笠井委員 引き続き千葉参考人に伺いますが、小規模企業や小企業にはBCPをつくれない業者もいるということで、全ての業者が商工会議所や商工会に加入しているわけではないということであると思うんですけれども、そうした事業者を含めて中小企業、小規模企業が地域経済や雇用創出に貢献しているという認識のもとで、気仙沼市では、たしかことしの四月施行だというふうに伺ったんですが、中小企業・小規模企業振興基本条例がつくられたということでありますけれども、この制定に至る問題意識と取組の経験と課題というのはどんなことで考えていらっしゃるでしょうか。

千葉参考人 かねてから、中小企業振興基本条例については何としてもつくらなきゃならないと考えていました。といいますのは、やはり町の中小企業対策を、きちんとした条例を持つことによって長期的な中小企業支援が図られるということだろうと思うんです。

 そういう中で、ただ一方で、中小企業対策といいますと、中も小もというぐあいに思われがちなんですが、どちらかというと中中心、中企業中心の中小企業対策になって、小規模企業、小企業が置き去りにされているというのが今までの現状だったと思うんですね。

 そういう点で、この間、小規模企業基本法が制定されまして、その中で改めて小企業とか小規模企業に目が向いてきたわけですが、私たちの観点は、とにかく町の住民の暮らしを守る、そこに貢献する小規模企業あるいは小企業に目を向けた振興条例をつくっていただきたいというところで取り組んでまいりました。

 条例の中にぜひ小規模企業基本法を踏まえてという条文を入れて、それで、その一つ一つの条文の中にその役割を明示するということで、本当にこの小規模企業、小企業に根差したものをつくるという条例を目指してきて、一部ですが、小企業に目を向けた条例に今回なったのではないか。これを、基本条例なので、実際のところどう生かしていくかというのはこれからの課題になろうかと思います。

 以上です。よろしくお願いします。

笠井委員 もう一問、千葉参考人に伺いたいんです。

 グループ補助金のことですが、地元業者復旧の決定的な支援となったのがグループ補助金だったというお話がありまして、そこで端的に二点伺いたいんですが、一つは、震災復興融資などの支援施策があった一方で、グループ補助金が地元の企業や自営業者に待たれていた背景と理由というのはどこなのか。それからもう一つは、このグループ補助金をめぐる新たな課題として、自己資金分として借り入れた資金の返済が困難になっている事例の紹介があったわけですけれども、ちょっと、その辺のところ、どんなことなのか、詳しく伺いたい。

 それで、地元業者への支援をめぐって、国への要望で一番力点を置かれるところはどの辺かなと。いかがでしょうか。

千葉参考人 グループ補助金の待たれていた背景ということですけれども、先ほどもちょっと触れましたが、本当に大変な被害でした。本当に、町全部といいますか、中心街が流されてしまうという状況なんですが、それは、本当に地元の業者の自力では何とも回復しようのない、そういう点で国の援助が本当に欲しかったところだったんですが、当時は何もありませんでした。先ほどちょっと話しましたけれども、住宅に対する支援制度それだけだったんですね。

 そういう点で、本当に中小企業に対する直接支援を、グループを構成しようと何しようと国が直接手を下して支援するという点では本当に画期的だったし、結果として、これがなければとてもとても町の再建は成り立たなかったんじゃないかというぐあいに考えています。

 それと、ごめんなさい、何でしたか。(笠井委員「新たな課題のところで」と呼ぶ)新たな課題といいますか、今そのグループ補助事業が動き出していまして、問題なのは、耐用年数があるわけですけれども、耐用年数内に処分せざるを得なくなったときに、補助金を返してくれ、返さなきゃならないという話になっているんですが、これは確かに補助金適正化法という法律に規制されますけれども、ぜひ被災者支援という観点から柔軟に対応していただきたいというところと、あともう一つは、これから実際につくっていく上では、先ほど申しましたように、できるだけ個別企業の支援の制度を考えていただきたいということです。

 以上です。

笠井委員 高井参考人に伺います。

 二〇一一年に書かれた被災地における個人事業主の債務整理というのがありましたが、その中で、東日本大震災によって窮地に陥った中小企業の債務整理の手続が用意されていないのは遺憾だというふうに御指摘をされておりました。

 その後、二〇一二年に事業者再生支援機構が設立をされて、二重債務の問題の対応に当たってきたわけですけれども、被災中小企業の債務整理問題について、今なお残っている課題ということがあれば伺いたいと思うんですが、いかがですか。

高井参考人 やはり被災地、被災の状況になりますと、いろいろな情報が分断される、サプライチェーンも分断される。今までの中小企業につながりがあったのが、個々の中小企業がそれぞれの被災の程度に応じてどうするか。今までのレベルはもちろん維持できないわけですので、そういったところを的確に迅速に対応、むしろ我々民間も、そこに我々士業もかかわっていかなきゃいけないとはずっと思っているところで、日弁連でも取り組んでいる話ですが、そういった状況ができる、つくっていくことが重要かと思っています。

 そこら辺がどういうふうにうまくいくか、被災の状況はそれぞれ、一つ一つが異なってきますので、それによってきめ細やかな対応が重要かと思っております。

笠井委員 最後に古賀参考人とそれから千葉参考人に伺いたいんですが、今回の法案というのは、中小企業の事業活動の継続に資するためということで提案されているわけですけれども、同時に、やはり目前に迫った消費税一〇%増税によって、ある意味、そういう意味では、事業の存続自体に重大な影響が及んでくるということになってくると思うんですね。

 古賀参考人は、先ほどのお話の中で、危機感を持って中小企業の政策をつくり直した方がいいと、大きな意味でのことを問題提起もされて、また、質疑の中でも、キャッシュレス普及について言及をされて、廃業に追い込まれる中小が出てくるんじゃないかという警鐘も鳴らされていることもあったと思うんですけれども、やはり、そういう点でこの問題をどう捉えていくか。

 それから、千葉参考人も、中小企業、小規模事業者の営業と暮らしを守るために十月の消費税増税は絶対行わないことと、それから、社会保険料や国保料の引下げを図ることを求めておられたわけですが、お二方に、一言ずつで結構なんですけれども、今回やられようとしている消費税一〇%増税ということなどが、中小企業とりわけ小規模事業者や小企業に与える事業の存続にかかわる影響についてはどう見られているか。いかがでしょうか。

古賀参考人 増税ということが一つの大きな負担になりますね、それから、軽減税率ということにもあわせて対応しなくちゃいけない、そして、キャッシュレスにも対応しなくちゃいけないというのが一遍に来るということになりますから、これはやはり規模の小さいところほどその衝撃は大きいと思うんですね。ですから、おっしゃったとおり、もうこれでやっていけないなというところも出る可能性は十分あると思うんです。ですから、本来だったらそれぞれ分けてやる話だろうなというふうに思います。

 特にキャッシュレスというのは、政府が無理やり手数料を幾らにしろとかやることよりも、やはり本当に、利便性という観点から市場の中で浸透していくというのがあるべき姿だと思うので、今回のように三つ一遍にやって全ての負担を中小企業で対応してくださいというのは、大きな問題なんだというふうに思います。

千葉参考人 消費税、本当に、一〇%に増税することによって物すごく経済が縮小すると思うんです。そういう点では、転嫁できるかどうかも含めて、事業主の経営そして暮らしについて物すごい圧迫する。

 もう一つは、ポイント制度、キャッシュレスの話ですけれども、これは中小企業対策という側面もあるんだということですが、全く中小企業対策にならないんではないか。逆に言うと、中小企業の経営を圧迫する。新たにポイント制度の手数料が経費になるんですね。これは今までなかったものなんです。そして、それを導入するための費用を補助されるということですが、その後の問題もありまして、九カ月で、お客さんから選択される制度が定着されるというのが、非常に負担が多くなると思います。

 以上です。

笠井委員 終わります。ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、足立康史さん。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうは、参考人の先生方、ありがとうございます。

 きょうは、まず私から皆様に、参考人の先生方にお伺いしたい最大のポイントは事業承継です。ただ、細かいことは伺いません。改善の御要望とか、これは尽きないというのはもちろん承知をしていますが、ただ、ここ、三十年度改正あるいは三十一年度ということで、自民党の、私は野党ですから自民党とはいつも闘う立場でありますが、この事業承継だけは、これはすごいと。正直、感動しているんですね。長年できなかったこの事業承継税制の深掘りが、宮沢税調会長のリーダーシップのもと、また安藤中小企業庁長官の頑張り、事務方みんなすごい頑張られているのは私はふだんからよく拝見をしていますが。これはいろいろ注文はあると思うんですけれども、これはすごいという認識なんですけれども、私は。

 四人の参考人の皆様、すごいということでいいでしょうか。

栗原参考人 先ほども私、お話ししました。本当に助かります。ありがとうございます。

古賀参考人 私も、これは基本的に、いい方向に向かった政策だと思っております。

高井参考人 私も、最初は先ほど申し上げたように使われるのかなと思いましたが、すごく使われているということで、非常にタイムリーないい政策だと思っております。

千葉参考人 私の周辺では具体的にはなかなか見えてこないところですけれども、本当に、この事業承継がきちんと行われるような、そういう後継者ができてくればいいなというぐあいに思っております。

 以上です。

足立委員 ありがとうございます。

 千葉参考人はいろいろまた独特の分野で活動されていますから見えてこないかもしれませんが、私が国会議員として聞いても、これはもう遅いぐらいだったと思いますが、経済産業省はずっと、当局、財務省に強く要望し続けてきたわけでありましたが、ようやく政治のリーダーシップでこれが突破できたということで、この一、二年のこの取組は経済産業省の存在意義を物語って余りあるんですね。また、政治のリーダーシップの大切さ、これを示唆して余りあるものがあると私は思っています。

 さて、きょう四人いらっしゃっていますが、私は実は参考人の選定には余りかめていませんで、落合野党筆頭から、足立さんの政党は小さいから余り意見は聞けない、任せてくれと言われたので余りかんでいないんですけれども。あっ、こっち見ていないですね。まあ、いいや。

 時間の限りがありますので、ちょっと古賀参考人に集中して御意見交換、御意見を賜りたい、こう思います。

 きょうは、古賀参考人から出していただいている資料、大変興味深いというか、経産省と安倍政権をここまで批判するかという紙になっていまして、ジム・ロジャーズの言葉が出てきたときにはちょっとびっくりしましたが。これは、いや、でも大変興味深い御指摘でして、中小企業庁は無用な法律を毎年出してくると。これは、先ほど古賀参考人みずから御経歴をおっしゃっていましたが、古賀参考人も当事者でいらっしゃったわけですが、当事者でいらっしゃったときはどうでしたか。

古賀参考人 その年によって担当する部局が変わったりするんですけれども、私のときは、私が担当した法律は主に組合関係の、共済の関係で、保険の、実質的な保険を、やや非近代的な仕組みでやっていたのを近代的な普通の保険の仕組みに変えていくというような法律改正をやらせていただきました。これは結構組合にとっては大変難しい問題だったと思いますけれども、そこをクリアしていただいて、非常によかったなと思うんですが。

 もう一つ、僕のところじゃなく、隣の部を中心に、やはり毎年恒例の新しい補助金の仕組みをつくるというのをやっていまして、これは相当議論が、大体毎年そうなんです、僕が会計課で予算をやっていたときもそうなんですけれども、毎年出てくるんですが、どうしてもやはり毎年やらないと予算を確保していくというのが難しいというのがあるんですね。

 ですから、そこをちょっとやはり見直していかないといけないなというふうに思って、僕は中小企業庁にいて、一年いて、それから今度、基盤機構に行って、もうちょっと現場に近い方に行って、それからあと、大臣官房付というのを長いことやっていたことがあるんですけれども、そのときに当時の官房長から、全国津々浦々視察に行ってくれ、それで報告を出してくれというので、全国回って報告書を出したりしたこともあるんですね。

 そのときに、やはり、さっき紹介したような中小企業の方々の中で、我々はどうしても目につく中小企業の方と話をすることが多いんですよ。そうすると、いろいろおもしろい取組をやって頑張っておられるところがたくさんある。ああ、これはいいねという話になって、それって、じゃ、新しい政策になるんじゃないのということで、一生懸命それを法律に書いていく。

 だけれども、じゃ、その人に聞いてみると、別にそれ、あるからやるとかないからやらないとかそういうものじゃなくて、もともとやるんだけれども、どうせだったら、お金くれるんだったらもらった方がいいねと。あるいは、経産省がお墨つき与えてくれるとちょっと箔がつくかなという程度のことなんですよねと。

 それを、でも、やはり普通に法律を読んだり何かいろいろなものを読んでもわけわからないので、中小機構に、たまたまその人は中小機構を使っていたわけですけれども、中小機構に相談に行ったら、いやいや、ここはこういうふうに書いた方が合うんだよというようなことでやっているというような、そういうものが多いということで、僕は中小企業政策を全部やめろというつもりは全然ないんですよ。

 だから、事業承継の話とかあるいはBCPも、余り細かい要件を決めてどうこうしろということじゃなくて、例えば自治体とか金融機関とかそういうところを使うような仕組みに変えていくとか、そういうことをもうちょっと一般化してやっていくのがいいと思っているんですけれども、そういうところがまだまだ。ただ、ちょっとずつよくなっているとは思いますよ。それは何でかというと、やはり経産省の職員も日々勉強していますから。

 ああ、今までのじゃいけなかったなというようなこともあると思いますけれども、そういうところでまだまだ変えていっていただきたいことがあるということです。

足立委員 ありがとうございます。もう少しちょっと簡潔にお願いできればと思います。

 ありがとうございます。御趣旨はわかりました。

 ただ、きょう古賀参考人とやりとりさせていただきたいのは、いやいや、課題はあると思うんですが、それをどうやったらもっとよくなっていくかというときに、安倍政権だ、経済産業省だというのは私の理解では違うと思っていまして、例えば、今おっしゃった共済とか隣の部ということですが、部長でいらっしゃったときに、経営革新支援法の改正というのは部長のときではなかったですか。

古賀参考人 私が部長のときに出した法案ではないですね。(足立委員「ではないですか」と呼ぶ)はい。僕が出したのは、その共済の法律だけですね。

足立委員 まあ、細かいことなのでいいんですが、私は、恐らく、おっしゃっている、言うことはいいんですが、一番大事なことは、例えば古賀参考人がおっしゃっているようなことが、御自分が部長のときに、ではできたのかということが一番大事ですね。

 私がちょっとざっと議事録を検索した限りでは、確かに官房付のときにお名前がいっぱい出てくるんですね、国会議事録に。ただ、経営支援部長でいらっしゃったときにも中小企業経営支援法の一部改正ということで出てくるので、御担当されていたんじゃないかなと思って、ちょっときょうは御質問しているんですが。

 もし仮にですよ、もし仮に、毎年法律を出さないと、それが中身のない法律であっても出さないと仮に予算がとれないんだったら、それは経産省の問題じゃなくて財務省かあるいは国会の問題ではないんですか。

古賀参考人 いや、それはむしろ、政治的な問題というのが大きいと思いますね。

 これはやはり、政権が中小企業対策を何かやっているというふうに、そういう姿勢を見せないと票がもらえないとか、これは与党、野党、必ずしも関係ないと思うんですよ。どっちの政党であっても、やはり中小企業に対して何かやっていますよと……(足立委員「いや、与党だよ、与党」と呼ぶ)今の与党とか野党とかそういう意味じゃなくて、僕がやっているときはほとんどは自民党でしたけれども、それは民主党政権のときもあったわけですね。ですから、与党という立場にいるときに、中小企業政策でことしは新しい法律出しませんという判断をするというのは非常にやはり政治的に難しいんだと思います。

 それから、財務省もそれはよく心得ていまして、ですから、予算の査定も、中小企業の予算は別にやるんですよ。先生の方が詳しいと思いますけれども。中小企業庁を省にしろという話もあるぐらいですから。

 ですから、もちろん中小企業政策をやるのが悪いとは言いませんけれども、やはり、僕は、やっていることの中には相当無駄なことがあって、それをもっと自治体とかそういうところに移していくとか金融機関を活用するとか、そういう改革を進めてもらいたいのが一つ。

 それから、私が今資料をお配りして御説明したのは、中小企業政策という狭い範囲の問題ではなくて、日本の経済構造をどう変えていくんですかというそういう大きな観点から見て、安倍政権というのはせっかく非常に力強いパワーを持っているわけですね、議席もたくさん持っていますし、だから、今までできなかったことがたくさんできるはずなんですよ。それで、改革、改革とさんざん言っているわけですから。だけれども、はっきり言って、改革でほとんど目に見えるような大きな成果はないと思っています。

 それで、結果として出てきたのが、ほとんどの、製造業に限るわけじゃないですけれども、でも製造業を見てみれば、経産省がやってきた日の丸主義、これが失敗したというのが非常にはっきり出ています。先を読み間違えたということがたくさんあるんですね。

 それは中小企業政策の問題ではないかもしれません、ですけれども、そこを正していただきたいなという意味で問題提起させていただきました。

足立委員 もう時間になりますので質問は以上にさせていただきますが、古賀参考人の御意見を賜って、私は全く逆だと思っていまして、繰り返しになりますけれども、私がいつも国会質問とかさせていただいているのを見ていただいたらわかりますが、私は、自民党の中で、あるいは自公政権の中で、あるいは自民党、公明党の中で、安倍政権は改革派だと思っているんですね。改革派ですよ。だから加計学園とかでたたかれたわけですよね。岩盤に穴をあけようとしてたたかれたわけですよ。だから、安倍政権は自民党政権の中では改革派だと私は思っているわけですよ、国会議員としてね。

 さまざまな雇用指標を見ても、アベノミクスが失敗だというのは大変おかしな主張だし、それから、先ほどあったように、言うのは簡単だけれども、実際にもし、だから僕は先ほど事業承継税制でちょっと御紹介をしたけれども、経産省の存在意義というのはそういうことなんですよ。

 結局、改革を、普通の力学、普通の政治の力学、普通の財務省の力学では実現できないけれども、それを突破していくためのさまざまな仕事の一つの扇のかなめになっているわけでありまして、私は、その改革の重要な役割を果たしている、全部じゃないですよ、でも、その経産省と、自民党の中でも改革派である安倍政権をたたくというのは、この紙ですよ、きょう出された紙というのは、全く、むしろ改革をとめるために主張されているようにしか見えないということを、僣越ながら参考人の方に余り言うとまた懲罰動議が出ますので軽く申し上げておきますが、全く真反対であると指摘を申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございます。

赤羽委員長 次に、笠浩史さん。

笠委員 未来日本の笠でございます。

 きょうは、栗原参考人、古賀参考人、高井参考人、千葉参考人、本当にありがとうございます。

 最後でございますので、よろしくお願いいたします。

 まず最初に、古賀参考人の方にちょっと伺いたいんですが。

 私は、中小企業、もちろん小規模の事業所も含めてですけれども、やはり大事なことは、きょうもテーマになっておりますけれども、しっかりとしたいい力のあるそういった企業、小さな事業所が後継者がいなくて廃業せざるを得ないということは、これはもう非常にゆゆしき事態だし、やはりいい会社はいい次の担い手をきちっと見つけて残していくということと、ただ、先ほど古賀参考人おっしゃったけれども、その時代の流れによっては、どうしても退場していかなきゃならない、そういった企業というのも出てくると思います、これは大企業でもそうだけれども。そういった中で、ただ、常に新しい、リードしていくベンチャーなり企業なりがやはりきちっと登場していくという、その好循環をつくっていかなければ、両輪必要なんじゃないかと思っております。

 その中で、きょう、先ほど古賀参考人の資料の中で、世界ビジネス環境ランキング、本気で十位ぐらいに、十位以内に上げるんだというぐらいの覚悟を持って取り組むべきだというお話がございました。これは中小企業政策の通信簿でもあると。そのためにまず喫緊やらなければならない改革というものは、具体的な改革は何なのかということを、ぜひちょっと見解をお述べいただきたいと思います。

古賀参考人 これは物すごくテーマとしては重いんですけれども。

 一つは、今、安倍政権もすごく進めようとされていますけれども、政府のIT化ですね。やはり、ビジネスランキングで見ると、そういう政府のいろいろな手続というのが非常に煩雑だというようなことがすごく足を引っ張っているんです。

 それから、例えば税制についても、物すごく細かくてわかりにくくて手間がかかるというような、やはり、事業をやっていくときにさまざまなかかわってくる政府の手続というものが大きく足を引っ張っているというのが一つ。これは変えるのは大変だと思いますけれども、変えていかなくちゃいけないんじゃないかなと。

 それから、政府だけじゃなくて、やはり日本のIT化のレベルというのが非常におくれているんですね。これはもういろいろな要因があります。

 グローバリゼーションは、実は、日本というのは進んでいるようで進んでいないというところもあるんですけれども、ITエンジニアの数も足りませんし、より深刻なのは、これは国際的に評価されているんですが、日本のITエンジニアのレベルが非常に低いんですよ。アメリカやヨーロッパに比べて低いということが出ています。それはITエンジニアが、何か半分奴隷のように、毎日ソフトをつくるのに一生懸命パソコンに向かっているということであって、ITをどうやってビジネスの改革につなげていくかというような視点が非常に低いというようなことで、これは実は教育の問題に非常に根差しています。

 ですから、今から取り組むということですから、ちょっと十年、二十年かかっちゃうかもしれませんけれども、そういう教育レベルで、新しいITの世界、IoT、AIの時代に即した人材を輩出していくとか、まずやはりそういう環境を整備していくということが、中小企業はこれから人手不足でただ人を雇うだけでも大変なのに、そういう新しい波に対応できるような人を雇っていくためには、ベースを物すごい勢いで広げなきゃいけない。

 それから、働いている人のリカレント教育というのにももっともっと、こういうところはお金を使うべきだと僕は思うんですね。

 だから、そういうことをどんどんどんどん進めていってもらいたい。余り、こういうビジネスのやり方だったら補助金を出しますよというようなことではなくて、もっと基盤になる環境の整備に努めていただきたいというふうに思います。

笠委員 ありがとうございました。

 栗原参考人にお伺いをします。

 先ほど、新潟の方との連携の中で、本当に小規模組合員がお互いさまの精神で支え合うと。お互いに負担にならないような形での協定をというお話が冒頭あったかと思うんですけれども、その辺、ちょっと具体的にお聞かせをいただければと思います。

栗原参考人 負担にならないということなんですが、物によって、やはりノウハウを必要とするものがあるわけですね。それを、ちょっと地域が離れているということで、そちらに一方的に押しつけるというようなことはやはりやってはよくないだろうと。ですから、できる範囲ということでやらせていただく。何が何でもやってくださいということではない。

 ただ、こちらに、こういう仕事ができませんかと言われたときに、神奈川なら神奈川でもって、こういう仕事が、依頼があるんだけれどもどうですかというお話を聞いて、そこで、もしなければ、それは申しわけございませんと言うしかないんですね。何が何でもということではない。そういうことだと思います。

笠委員 私、そういう姿勢というのが実は本当に大事ではないかなというふうに思うんですよね。物すごい高いレベルでいろいろなことを余りにも細かく詰めてやろうとすれば、必ずどこかで、やはりそこにはいろいろなそごが生まれてきますので、そこはちょっとお伺いしたいところでございました。

 それで、栗原参考人、もう一問。

 先ほど古賀参考人の方から、これは私も地元で中小企業の方々から言われるんだけれども、働き方改革に伴う、あるいは最低賃金、これが厳格に引き上げられるということになると、本当にこのことがやはり一番多いですよ、我々、実際伺う話で。そういったことについて、もういよいよ本当に迫ってきたわけですけれども、どういうふうな形で見ておられるのか、あるいは何か要望的なものがあれば、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。

栗原参考人 私も困っております。

 というのは、私も神奈川県の最低賃金の審議委員なんですよ。それで、いつもいろいろと言わせていただくんですけれども、こういう言い方をしてちょっと申しわけないんですけれども、ある程度、最近の最賃のアップ額というのは決まっておりてくるんですね。全国中央会さんなんかに、何であそこを認めるんだと私はよく言うんですけれども。それがおりてきますと、それがもとに、衝になってしまうと、これが問題だと思うんですね。やはり地域地域によって、おのおののあれも違う。

 ただ、今の四段階がいいかどうかというのはこれは別問題としまして、やはり最低賃金というのは、実勢に合った金額、あてがいぶちじゃなくて、実勢に合った金額を審議して決めていくのが本筋だと私は思っております。

 以上でございます。

笠委員 高井参考人にお伺いをさせていただきますけれども、先ほど、事業承継についてかなり肯定的なお話もありましたし、中小企業のMアンドA、マッチングのいろいろな相談体制、きちっと活用されているところもあれば、まだなかなか周知が行き届いていなくてうまく機能していないところと両面あろうかと思うんですけれども、おおむね全体としてはだんだん進んでいるんだと思うんですが、そういった点での課題というか、そういったことがあれば、ちょっとまた少し教えていただければと思います。

高井参考人 中小企業のMアンドAですと、小規模になればなるほどニーズが少なくなってくる。

 ただ、例えば、こちらの方で、さっき千葉県のお話が出ましたが、千葉県のある駅でそばを営んでいる方がいらっしゃる、そこをMアンドAに求める場合、風評被害も困るわけですね。ですので、千葉のそば屋さんというので出すんですが、千葉のどこの駅のどのそば屋さんかもわからないわけですね。わかってしまうと、そこだというふうにわかってしまう。そういう意味で、不動産みたいに表に出して売買というのは、なかなか情報の流通ができないというのが大きなネックだと思っています。

 そうすると、やはり身近なところで、もっと従業員も含めて、親密取引先を含めてやっていくのが、多分、MアンドAを含めての承継の確率というか、上がってくるのかなと思っておりまして、問題としては、そういったような、なかなか情報の流通がしにくいものを扱っているというのが現場の認識で持っております。

笠委員 そして、今全国に、事業引継ぎ支援センター等々、これは経産省の方でも設置をして、それが動き出しているわけですけれども、そういったものと、例えば地場の商工会議所であったり、あるいは、場合によっては自治体ということもあろうかと思いますけれども、その辺の連携体制とか、そういった点というのはうまく機能していっているのか。その点ちょっと、もし御見識があれば、お願いいたします。

高井参考人 地域によって、やはりまだ温度差、連携の状況が違うというふうに聞いております。

 私としては、やはり連携というのが、先ほど申し上げたように、一般の平場で情報を扱うというのがなかなか難しいものですから、中小企業のいわゆる承継先がない、売り買いというんですけれども、売り側の企業の方についても、どこに相談したかよくわからないという状況もまだ解消されていないと思っておりますので、そこは今後の課題だと思っております。

笠委員 ありがとうございます。

 最後に千葉参考人に伺わせていただきたいと思うんですけれども、本当に被災地で大変ないろいろな経験もされてきているということで、先ほど来お話があるわけですけれども、今回の法改正の中で、いわゆる商工会、商工会議所による小規模事業者の支援に関しての内容があるわけですけれども、商工会議所とか商工会といっても、いろいろな、規模だったり、あるいは体力、あるいは人をどれぐらい抱えている、そういったことも含めて、ばらつきというか、やはり差がかなりあると思うんです。

 そういった中で、どういう、本当に我々が、その支援を国としてしていかなければならないのか。お立場の方から、何か要請等々、あるいはこういった点はしっかり気をつけてやってほしいというようなことがあれば、ぜひお聞かせをいただきたいんですが。

千葉参考人 お手元に、私からのお願いということで、強靱化法の関係で三点出させてもらっています。

 そういう点で、地元の商工会、商工会議所もなかなか努力しているんですけれども、そういう中で、BCPの奨励に当たって、特に小規模企業、小企業の状況を踏まえた運用、それを各種支援判断での判断基準にしないということを、まずお願いをしたい。

 それと、全国の自治体、これから振興条例を制定していくわけですけれども、その中で、災害時における中小企業、小規模企業への支援を規定していただきたい。

 もう一つは、BCP策定に当たって、もっと広くいろんな団体に働きかけて協力をもらうということも考えていただきたいというのが、私の方のお願いであります。

 以上です。

笠委員 それは先ほどこの紙の中であれだったんですけれども、もう一点、ちょっと追加で、今その三番目におっしゃっていた、広く協力をというようなところのお話があるんですけれども、これはどういう意味であれなんですか、やはり連携をもっと密にというような形での要望というふうにあれなんですか。

千葉参考人 今回、BCP策定の認定について、認定制度が商工会議所、商工会という限定をされていますけれども、もう少し、制度上の中で、ほかの団体、例えば同友会とか民主商工会とか、そういう支援団体も位置づけられるような考え方を持っていただきたいというぐあいに思っていたところです。

笠委員 時間が参りましたので、終わります。どうもありがとうございました。

赤羽委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。

 この際、参考人各位に一言御礼申し上げます。

 本日は、参考人の皆様におかれましては、早朝より、また大変お忙しい中、遠方各地より御足労いただきまして、現場に根づく大変貴重な御意見を賜りましたことに、心から感謝申し上げたいと思います。また、長時間にわたりまして、さまざまな質問にも的確な御答弁をいただきましたことを重ねて感謝申し上げます。

 きょう頂戴いたしました皆様方からの意見をしっかり参考にしながら、今後の中小企業支援政策につなげていけるように頑張ってまいりますことをお誓い申し上げまして、御礼の御挨拶とさせていただきます。

 きょうは大変ありがとうございました。(拍手)

 次回は、来る五月十日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十七分散会


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