衆議院

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第11号 令和元年5月15日(水曜日)

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令和元年五月十五日(水曜日)

    午前八時三十分開議

 出席委員

   委員長 赤羽 一嘉君

   理事 穴見 陽一君 理事 梶山 弘志君

   理事 小林 鷹之君 理事 國場幸之助君

   理事 西村 明宏君 理事 落合 貴之君

   理事 斉木 武志君 理事 富田 茂之君

      青山 周平君    井野 俊郎君

      石崎  徹君    岩田 和親君

      尾身 朝子君    大隈 和英君

      大野敬太郎君    神山 佐市君

      神田  裕君    木村 哲也君

      佐々木 紀君    笹川 博義君

      繁本  護君    杉田 水脈君

      田所 嘉徳君    冨樫 博之君

      中曽根康隆君    野中  厚君

      福山  守君    穂坂  泰君

      星野 剛士君    細田 健一君

      堀井  学君    三原 朝彦君

      宮澤 博行君    務台 俊介君

      八木 哲也君    簗  和生君

      吉川  赳君    菅  直人君

      田嶋  要君    松平 浩一君

      宮川  伸君    山崎  誠君

      浅野  哲君    泉  健太君

      太田 昌孝君    笠井  亮君

      足立 康史君    笠  浩史君

    …………………………………

   経済産業大臣       世耕 弘成君

   財務副大臣        鈴木 馨祐君

   経済産業副大臣      関  芳弘君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 田川 和幸君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      菅久 修一君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 吉川 浩民君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     秋本 芳徳君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 桑原  進君

   政府参考人

   (財務省主税局国際租税総括官)          安居 孝啓君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房総括審議官)         田中 茂明君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           新居 泰人君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           上田 洋二君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           成田 達治君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          西山 圭太君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    安藤 久佳君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    前田 泰宏君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            木村  聡君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            奈須野 太君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局公共交通政策部長)     城福 健陽君

   経済産業委員会専門員   佐野圭以子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十五日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     堀井  学君

  石川 昭政君     木村 哲也君

  尾身 朝子君     大隈 和英君

  岡下 昌平君     繁本  護君

  神山 佐市君     田所 嘉徳君

  八木 哲也君     福山  守君

  簗  和生君     井野 俊郎君

  山際大志郎君     務台 俊介君

同日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     簗  和生君

  大隈 和英君     尾身 朝子君

  木村 哲也君     石川 昭政君

  繁本  護君     岡下 昌平君

  田所 嘉徳君     神山 佐市君

  福山  守君     八木 哲也君

  堀井  学君     青山 周平君

  務台 俊介君     杉田 水脈君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     中曽根康隆君

同日

 辞任         補欠選任

  中曽根康隆君     大野敬太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     笹川 博義君

同日

 辞任         補欠選任

  笹川 博義君     山際大志郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二六号)


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     ――――◇―――――

赤羽委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長田川和幸さん、公正取引委員会事務総局経済取引局長菅久修一さん、総務省大臣官房審議官吉川浩民さん、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長秋本芳徳さん、外務省大臣官房審議官桑原進さん、財務省主税局国際租税総括官安居孝啓さん、経済産業省大臣官房総括審議官田中茂明さん、経済産業省大臣官房審議官新居泰人さん、経済産業省大臣官房審議官上田洋二さん、経済産業省大臣官房審議官成田達治さん、経済産業省商務情報政策局長西山圭太さん、中小企業庁長官安藤久佳さん、中小企業庁次長前田泰宏さん、中小企業庁事業環境部長木村聡さん、中小企業庁経営支援部長奈須野太さん及び国土交通省総合政策局公共交通政策部長城福健陽さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。松平浩一さん。

松平委員 どうもおはようございます。立憲民主党、松平浩一です。

 まず、ストックオプション税制の改正、こちらについて伺いたいと思います。

 今回、税制適格ストックオプションの付与対象者を社外の高度人材に広げるということで、そういう改正と理解しているんですが、そもそも税制適格ストックオプションというものはどういうものか、簡単に教えていただいてもいいでしょうか。

新居政府参考人 お答え申し上げます。

 ストックオプションというのは、新株予約権の一種であって、企業が基本的にその役員とか従業員に報酬として付与するものであります。そして、このストックオプション税制とは、一定の要件を満たす場合、権利行使時における所得課税を、株式売却時まで繰り延べて、その売却時に譲渡所得として課税する制度であります。

 現行のストックオプション税制の適用要件についてですが、三つほど制限がございまして、一つは、権利行使価額の上限が一千二百万円、二つ目に、対象者の範囲は社内の人材に限定、三つ目に、権利行使期間は新株予約権の付与決議日の二年後から十年後までといった要件がございます。

 以上です。

松平委員 今回、今おっしゃっていただいたストックオプション税制、これ、社外高度人材に広げるという改正なんですけれども、スタートアップに実際に人材が集まる効果というもの、これが今回の改正の目的だと思うんですが、それを考えると、付与対象者を広げる、実はそっちじゃない気が私はしています。

 今、先ほど、この要件をおっしゃっていただいたんですけれども、年間の権利行使価額の上限について、千二百万円という上限があると思います。私、こっちじゃないのかなというふうに思っています。

 というのは、私も議員になる前によく現場で話していたんですけれども、この千二百万円というのが、正直、インセンティブとして低過ぎるという声をよく聞いていました。ですので、この権利行使価額というもの、こちらの上限を広げるという方がニーズが高いという実感があります。

 そういう意味でいうと、人材を集めるという効果は、権利行使価額の上限の方を改正してもらうといった方が、その効果、高いんじゃないかと思っています。

 そういう意味でいうと、この権利行使価額について、過去、御検討されたこと、また対応されたことってあるんでしょうか。

新居政府参考人 お答え申し上げます。

 現行のストックオプション税制において、御指摘のとおり、権利行使価額の年間上限、これは一千二百万円ということになっております。

 経済産業省においては、いろいろな声を、ベンチャー企業の声も聞いております。上場に向けて成長を加速させるいわゆるレーターステージの未上場ベンチャー企業が企業価値の水準を急速に上昇させる局面でもストックオプション税制を有効に活用しやすくなるよう、平成三十一年度税制改正要望においても、権利行使価額の制限の緩和、上限の引上げも要望いたしました。

 しかしながら、諸外国の制度とのバランス、課税の公平性の観点等から、平成三十一年度改正においては権利行使価額の上限引上げは実現しておりません。

 以上です。

松平委員 ありがとうございます。今お話しさせていただいた問題意識、認識されていらっしゃるというふうに思います。

 そういう意味では、ちょっと実現できなかったということで、今後は、じゃ、どうなさるんでしょうか。お聞かせください。

新居政府参考人 お答え申し上げます。

 最初に申し上げましたように、現行のストックオプション税制においては、御指摘の権利行使価額の上限、これを含めて、権利行使期間や付与対象者等さまざまな制約があると認識しております。

 まずは、この平成三十一年度税制改正において措置する付与対象者の拡充について、制度の利活用を進めて、ベンチャー企業に優秀な外部人材が集まるようにしていく、これがまず第一ということであります。その上で、権利行使価額の年間上限額の問題についても、引き続き、改正に必要な情報を経済産業省としても集めてまいりたいと思っております。

松平委員 ありがとうございます。この権利行使価額のところ、私、ニーズが高いと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 それから、ちょっと今スタートアップの話になりましたので、その関連で、J―Startup、経産省の育成支援プログラムについてお聞きしたいと思います。

 このJ―Startup、ホームページを見るとこう書いてあります。トップベンチャーキャピタリスト、それからアクセラレーター、大企業のイノベーション担当などが、日本のスタートアップ企業約一万社の中から一推し企業を推薦。外部審査委員が推薦内容を尊重しつつ企業をチェック。厳正な審査で選ばれた企業をJ―Startup企業として選定と。

 こちらは、選定を受けたら政府の支援も受けられますし、民間の支援も受けられます。政府の支援として、J―Startupのロゴ使用、それから各種補助金の支援策優遇、規制等への要望の対応とかさまざまな支援策があるわけです。

 このプロジェクト、立ち上げのときに、世耕大臣も、あまたのベンチャーから有望な企業をえこひいきして育てるというふうにおっしゃっておられました。

 ここで、厳正な審査で選ばれてえこひいきされる企業、J―Startupとして選定される企業、どんな基準で選んでいるのか教えていただけますでしょうか。

新居政府参考人 お答え申し上げます。

 J―Startupプログラムでは、まず、実績あるベンチャーキャピタリスト、アクセラレーター、大企業の新事業担当者等の推薦委員に対し、ミッション、独創性、成長性等の観点から、有望スタートアップの推薦を依頼します。

 そして、推薦のあった企業を事務局で取りまとめ集計し、推薦委員とは異なる学識経験者や弁護士などの有識者で構成される外部審査委員会において、評価方法や選定プロセスの妥当性等を審査いたします。

 このプロセスを経て、二〇一八年六月に九十二社のスタートアップをJ―Startup企業として選定したということでございます。

松平委員 推薦と外部委員で審査ということのようです。

 セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズという会社があります。これは衣服の全自動折り畳みロボットで有名になった会社です。ロボットの名前、ランドロイドといいます。これはランドリーという英語にかけたんだと思います。去年の五月には、サンフランシスコで開催されたスタートアップワールドカップ、そちらに日本代表として参加して、話題となりました。洗濯のために失われている時間を取り戻すというこの会社の社長の言葉は、非常に印象的でした。

 それが、先月、四月の二十三日に破産開始決定がなされてしまいました。子会社合わせて負債総額三十一億八千万円と、結構大きいです。去年の六月にJ―Startupの認定を受けています。その半年後に、二〇一八年九月に十億の出資を受けています。

 去年の九月に十億の出資を受けて半年で倒産という期間の短さも若干気になるところではあるんですが、思うのは、経産省から選ばれたというのが、十億の出資に一種の信用になったという側面があるんじゃないのかな、実際聞いたわけじゃないのでわからないんですけれども。もちろん、この会社に限らずそうだと思います。出資する際、若しくは融資を受ける際に、経済産業省に認定されたというのが信用になっているという側面は十分にあると思います。

 このセブン・ドリーマーズに関してこういう話があります。社長がある対談記事でおっしゃっていたんです。

 資金調達のためにシリコンバレーのVCを数社訪問しました。この会社、いびきの矯正器具でナステントという製品、それからゴルフシャフト、それから今話しました服の自動折り畳み機のランドロイドを販売している、三事業をされているんですけれども、いびきの医療機器のナステントだけが何か評判がよかったらしいんですね。それで、ランドロイドの衣服の折り畳みロボットの話をすると、どのVCも顔を曇らせて、鼻の医療機器のナステント以外の事業を売り払ったらもう一度来いと言われてしまったらしいんです。

 それで、社長が理由を聞いたら、こういう理由でした。ハードウエア系のスタートアップは一%成功するかしないかの世界だ、厳しい世界だ、一つに専念するならまだしも、全く新しい製品を三つ同時に開発するなんてあり得ないと言われたと。それで結局、アメリカで資金調達できなかったらしいんです。今回、結果的にこういったアメリカのVCの方々が正しかったことになりますけれども。

 もちろん、挑戦して失敗することというのはあり得ると思います。ですので、施策自体に私も反対しているわけじゃないんですが、ただ、国の信用を与える、そういったものであるので、ちょっと心配になっているんです。

 私も、日本も、どんどん挑戦して、潰れて、また新しいことに挑戦してもらえるという社会になったらいいと思います。ただ、経産省がお墨つきを与えた会社が倒産ばかりというのもまずいと思います。スタートアップが盛んな米国でもスタートアップの成功は七%ぐらいというふうに言われています。ですので、ちょっと、その辺の懸念について大臣から御所見をお伺いできればと思います。

世耕国務大臣 J―Startup企業として選定されたセブン・ドリーマーズ・ラボラトリー社、これは私も結構注目をしていました。

 ナステントも、よく、私も自分でも使ってみたことがありますし、あと、折り畳む機械、私も家事の分担で、洗濯物を畳むというのが私の分担分野でありますので、これが自動化されるとすごくいいななんて思っていたんですけれども、一方で、あれは二百万円ぐらいして、そのために二百万で機械を買うというのはどうなのかなとかいろいろ思って、非常に注目していた会社ではありましたけれども、その会社が、資金繰りの悪化などによって二〇一九年四月二十三日に破産手続開始の申立てを行ったわけであります。

 J―Startupプログラムでは、これは外部の有識者のしっかりと目ききをいただいて、有望なスタートアップを選定をして、そして、ともすれば何となく悪平等的に行われる支援策を集中的に、そういった支援策を集中させることによって、ユニコーンに育つようなスタートアップの成長を後押しするという政策であります。

 このセブン・ドリーマーズも有望なスタートアップの一つとして革新的な製品開発に挑戦をしていたわけですけれども、結果として破産手続ということになったというのはこれは残念だというふうに思っていますが、今委員からもおっしゃっていただいたように、スタートアップを始めとする新たな挑戦にはリスクがつきものでありまして、結果として倒産に至るようなケースは今後もあり得ると思いますけれども、やはりそんな中から、起業家の皆さんも学ぶし、我々政策担当者も、学びを得ることによって更にプロジェクトを改善しながら、粘り強く支援をしていくということが日本のスタートアップを育てていく上では非常に重要なポイントではないかというふうに思っています。

 今おっしゃっていただいたように、複数のプロジェクトを並行でやったというところ、これがある意味、だけれども一方で、お金を確実に稼げるやつで稼ぎながら難易度の高いやつをやるという考え方だってあるわけでありますけれども、我々も、今回この会社がなぜ失敗したのかということ、我々の支援策にどういう問題点があったのかということはよく検証した上で、更にスタートアップの支援を続けていきたいというふうに思っています。

松平委員 今、プロジェクトを改善していくというふうにおっしゃられました。私、それについてはちょっと一つ言いたいことがあります。

 J―Startupの個別の会社の選定理由についてはどこにも公開されていないんです。今、推薦人の目ききを信頼というふうにおっしゃっておられたんですけれども、私、これだけのやはり優遇措置もあり、もちろん倒産リスクもあるというので、せめて、個々の会社がなぜJ―Startupに選定されたのかという理由は載せるべきだと思っております。この点はひとつお願いしたいなというふうに思います。

 次に行きます。

 ちょうど一昨日、ジャパンディスプレイから適時開示が出ました。この件についてお聞きしたいと思います。

 出された適時開示、資料一で用意しました。これの下から三行目、「各出資予定者より、当社の事業の見通しを再精査した上で内部の機関決定を行う予定である旨の報告を受けております。」というふうに書いてあります。

 前の適時開示で、ジャパンディスプレイのこの一つ前の適時開示で六月上旬と六月中旬までに機関決定を行うというふうにされていたのが、今回の適時開示は、いわば期限を定めず延期、かつ、再精査が必要というふうになっています。これは私、相当心配です。特に、条件面で足元を見られた交渉になってしまっていないかという点です。

 このジャパンディスプレイ、JDI、私、前回の質疑のときもちょっとキャッシュフローの点を御指摘させていただきましたが、どの程度、私はわかりません、資金がもつのかわかりませんし、どの程度水面下で他の出資先候補と交渉を行っているのかも知らないんですが、やはりここまで税金を使ってきて支援してきた。そして、技術開発もして、国際競争力も有すると前回おっしゃられていました。決してゾンビ企業の再生ではないと前回おっしゃられていました。そのジャパンディスプレイを、足元を見られた交渉で、不利な条件で買収されてしまうというのはやめていただきたいというふうに思っています。

 この点、大臣、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 今委員から御指摘があったように、四月十二日に、ジャパンディスプレイは台湾・中国連合から金融支援を受けて事業展開を図っていく方針を発表しました。その後、五月十三日には、各出資予定者から、当社の事業の見通しを再精査した上で内部の機関決定を行う予定である旨の報告を受けているという旨の適時開示が行われたわけであります。

 これは現在関係者において精力的に出資に向けた調整が行われているまさにその局面の最中でありますので、私の方からその内容についてコメントをするのは適切ではありませんし、まずは状況をしっかり見守ってまいりたいというふうに思っています。

松平委員 おっしゃりたいことはわかりますが、やはり大株主ですので、大株主としてしっかりとチェック、そして必要な指導をしていっていただければというふうに思っております。

 次、中小企業強靱化法に戻りまして、中小企業政策についてお聞きしたいと思います。

 SDGs、こっちは当然御存じだと思うんですが、二〇三〇年までに持続可能な社会を実現するための重要な指針ということで、十七のゴール、そして百六十九のターゲットから構成される持続可能な開発目標ということで、国連で採択されたものです。

 経済界も、SDGs、取組を推進しています。経団連は、SDGsを取り入れて企業行動憲章を改定したり、昨年はSDGs特設サイトも開設されたりしています。ソサエティー五・〇フォーSDGsというもの、これの推進を一層強化するとそのサイトで言っています。

 こういった団体、それから大企業、それから自治体で、SDGsの達成に向けて取り組みましょうというのは最近よく聞くんですけれども、中小企業からそういった声というのは余り聞こえてきません。

 SDGsへの取組、中小企業は、じゃ、そもそもやるべきなのかどうか、中小企業にとって意義があるものなのかどうか。その点、どうお考えなのか、大臣、お考えをお聞かせ願えますでしょうか。

世耕国務大臣 SDGsとか、あとESG投資とかソサエティー五・〇とか、いろいろな最近よく似た分野の言葉が出ているわけですが、なかなかまだ中小企業の経営者の皆さんに浸透しているというところまでは全然いっていないなというのは、これは私も実感をしているところであります。

 しかし、一方で、持続的な社会を実現をするため、経済面、社会面、環境面といった幅広い課題の解決を目指す目標でありますSDGsは、現在、世界じゅうでさまざまなセクターでの取組が広がりつつあるというふうに思っています。

 中小企業、小規模事業者にとっても、このSDGsの目標を事業活動に取り入れるということは、これは単なる社会貢献ではなくて、社会課題の解決だけではなくて、事業活動にもプラスになる、新たなビジネスチャンスにつながるきっかけになり得るんだろうというふうに思っています。

 例えば、実際に、外国人居住者が多い神奈川の横浜市の印刷会社は、このSDGsの目標を、中小企業の印刷会社であるんですけれども、SDGsの目標を掲げて事業にチャレンジをして、市民団体と連携をして、日本で初めて、日本語に加えて英語、中国語、韓国語の四カ国語のプリントをしたお薬手帳というのを発売したところ、その利便性が評価をされて、各国の大使館からの注目も集めて新たな販路拡大につながった。こんな事例も、ささやかな事例ではありますけれども、生まれてきているところであります。

 経産省としても、こういった成功事例を広めながら、中小企業、小規模事業者もSDGsに積極的に取り組む環境を整えていくことが大切だと思っています。

松平委員 ありがとうございます。中小企業にとっても重要ということで、了解いたしました。

 しかし、このSDGs、日本はそもそも認知度が低いというふうに思っています。

 電通が行ったジャパンブランド調査二〇一八という調査によると、世界二十カ国・地域におけるSDGsの平均認知度は五一・六%、日本はそれに対して一四・八%しか認知度がない。私、この認知度の低さは、やはりSDGsが、その理念が日本で広まらない原因なのかなというふうに思っています。

 経産省もアンケートを行われていまして、中小企業のSDGs認知度・実態等調査結果という、アンケートを去年の十二月に行われています。アンケート結果を資料二としてお配りしました。

 こちらを見ると、一番上の表ですけれども、それの、一から五まで数字があって、その四と五ですね。これは中小企業を対象としたアンケートですけれども、何と、SDGsについて対応、アクションを検討しているというのが〇・八%しかない。そして、SDGsについて既に対応、アクションを行っているというのが一・二%しかない。

 だから、動いている、動こうとしている、SDGsに対して何か取り組んでいる企業、取り組もうとしている企業というのは、合計で二%しかないんですね。ここまで低いのかというふうに思いました。

 先ほど大臣からこの意義を聞きまして、中小企業のSDGsは大切だということでしたけれども、そうなると、やはりもっとSDGsの活用を周知する必要があるというふうに思っています。周知についてお聞きしてもよろしいでしょうか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十年度に関東経済産業局と日本立地センターが共同で実施した調査でございますが、御指摘のとおり、SDGsの中小企業の認知度は一五・八%と低いです。中小企業からは何から取り組めばいいのかわからないという声も多くて、中小企業と小規模事業者にとってSDGsがまだまだ自分のものになっていない、身近なものになっていないというのが現状であろうと思います。

 中小企業、小規模事業者にSDGsについての理解醸成を図るために、例えば二〇一七年十二月以降、近畿経済産業局及び関東経済産業局におきまして、SDGsに積極的に取り組む自治体、有識者、大学、研究機関等の地域のステークホルダーとともに地域におけるプラットフォームを立ち上げております。その中で、中小企業、小規模事業者を巻き込み、SDGsの事業に取り組んだいい事例、成功事例を見つけ出して展開をするということに取り組んでおります。

 そのほかにも、中小企業基盤整備機構が二〇一八年度に全国八カ所で中小企業に対してのSDGsのセミナーを開催するなど、認知度向上に向けた取組をしておりますが、今後とも、そのような中小企業、小規模事業者にSDGsに関する理解が促進され、取組が広がるように支援していきたいというふうに考えております。

松平委員 お願いいたします。

 それで、次のアンケート結果です。

 SDGsの印象というアンケート結果なんですが、回答で一番多かったのが、SDGsの必要性を理解するが、取り組む余裕がないというもの、これは五〇・六%あります。やはり、取り組む余裕がないというのも大きな課題なのかなと思います。

 本来ですと、支援せずともみずから対応してもらう、そういう会社であることが望ましいんですが、やはり中小企業は人手不足もあってなかなか厳しいと推察されます。それで、やはりある程度の支援が必要なんだろうなというふうに思います。

 では、どのような支援策がいいか。こちらも調査を行っていらっしゃいます。

 それを見ると、右下の表ですけれども、有効な支援策として大きいのが、三一・八%、SDGsに取り組む際に受けられる投資、直接金融投資。それから、補助金、その左にある三〇・〇%。それから、取り組んだ企業に対するお墨つき、認定ですね、これは二七・二%ある。

 こういうアンケート結果がありますけれども、実際、今、中小企業がSDGsに取り組むに当たって、これを取り組むことを支援するその支援策、検討しているもの、若しくは既に行っている施策、あるのかお聞きしてもいいですか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、その調査によりますと、SDGsに取り組む際に受けられる投資、それからSDGsに取り組む際に活用できる補助金、SDGsに取り組んだ企業に対するお墨つき、認定ということについてニーズが高いことは認識をしております。

 このような中小企業の声を踏まえ、先ほど申し上げましたが、関東経済産業局では、二〇一八年に立ち上げました長野県と連携する地域SDGsコンソーシアムの中で、産学官金の地域ステークホルダーとともに、SDGs達成を通じた企業価値向上、競争力強化の効果的な手法の検討を行ってまいりました。その成果として、長野県におきましては、SDGsに取り組む企業を登録するという制度を創設すると聞いております。今月の下旬から第一弾登録の受け付けをする。

 登録した後には、登録された企業との間のマッチングであるとか金融機関とのつなぎであるとかいうことを聞いておりますが、さらに、SDGsに取り組む事業者への重点的な融資や金利の引下げを行う等、金融面でのサポートを行う金融機関が出てきております。そういうところの連携も大事じゃないかというふうに思っております。

 その他、政府といたしましても、SDGsに関するすぐれた取組を行っている企業等の表彰も行っておりまして、こういった先行的な取組の効果も踏まえつつ、中小企業、小規模事業者の皆様が積極的にSDGsに取り組まれるよう、環境整備をしてまいりたいというふうに考えております。

松平委員 どうもありがとうございます。やはり大臣からもおっしゃられた意義、大切だと思いますので、ぜひお願いします。

 それで、SDGsについては外務省が中心となってされているということなので、外務省にも、中小企業が取り組むに際しての何か支援策を行っているかどうか、お聞きしてもいいでしょうか。

桑原政府参考人 お答え申し上げます。

 持続可能な開発目標、SDGsの掲げる誰一人取り残さない社会を実現するため、中小企業を含むあらゆるステークホルダーの力を結集していくことが重要です。

 二〇一八年十二月に安倍総理を本部長とするSDGs推進本部第六回会合にて決定されたSDGsアクションプラン二〇一九においても、中小企業に対してSDGsの取組を強化していくこととしております。

 政府としては、SDGs達成に向けた企業、団体等の取組を促すため、SDGsに資するすぐれた取組を行っている企業、団体等を表彰するジャパンSDGsアワードを二年前に創設し、毎年年末に表彰を行ってきています。

 二〇一八年十二月の第二回ジャパンSDGsアワードでは、捨てられてしまう食品を活用した液体飼料の製造により循環型社会の構築に貢献する中小企業である日本フードエコロジーセンターが総理大臣賞に選ばれました。これ以外にも、複数の中小企業が受賞をされています。

 こうした取組を通じ、SDGsの力強い担い手たる日本の姿を国内外に示すべく、引き続きオール・ジャパンの取組を推進してまいりたいと考えています。

松平委員 どうもありがとうございました。積極的な御支援をお願いしたいと思います。

 これにて、時間が来ましたので質疑を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

赤羽委員長 次に、宮川伸さん。

宮川(伸)委員 立憲民主党の宮川伸です。

 きょうは、中小企業強靱化法に関して質問いたしますが、鈴木財務副大臣にもいらしていただきまして、ありがとうございます。

 まず、この中小企業強靱化法を質問するに当たりまして、その前に、冒頭に、大臣日程表の保存期間について質問させていただければと思います。

 昨年、森友学園の問題、そしてイラク日報の問題等がありまして、公文書の保存、公文書の管理に関して非常にずさんな状況であったということが明らかになって、大変大きな問題になったと思います。国民の多くは、国民のためにしっかりと公文書を管理してほしいと思っているというように思います。

 そういった中で、最近、大臣日程表の保存期間について問題が上がっておりますが、経済産業省において大臣日程表の保存期間がどうなっているのか、まずお答えいただけますでしょうか。

田中政府参考人 お答えいたします。

 大臣日程表は、当日、役割を終えた時点で廃棄させていただいているところでございます。

宮川(伸)委員 即日廃棄ということだというふうに思いますが、じゃ、実際に即日廃棄が明確にされるようになったのは、いつからされるようになったのでしょうか。

田中政府参考人 これまでの経緯について申し上げます。

 現在、行政文書の保存期間は、行政管理法とそれに基づいて策定されます経済産業省の行政文書管理規則、これを根拠として、一年未満で廃棄することができる文書ということとされているところでございます。

 それ以前には、平成十三年の情報公開法施行に先立ちまして、平成十二年に各省庁の事務連絡会議申合せとして行政文書管理方策に関するガイドラインが制定されまして、そこの別表におきまして、週間、月間予定表が一年未満の保存期間とされておりまして、当該ガイドラインを根拠として管理していたところでございます。

 その後、平成二十三年に、公文書管理法、これの施行に当たりまして、行政文書の管理ガイドラインが制定されました。これを踏まえまして定められました当省の文書管理規程におきまして、一年以上の保存期間に分類される文書の範囲が定められましたけれども、ここには日程表などは含まれてございません。

 この規程では、ここに分類されていない文書につきましては、文書管理者が所掌している事務事業の性質、内容等に応じて保存期間を定めるというふうにされておりまして、先ほど申し上げましたとおり、週間、月間予定表あるいは日程表につきましては一年未満の保存期間とされていましたことから、従前の運用を踏まえて管理されてきたものでございます。

 このように、大臣日程表につきましては、昨年四月の行政文書管理規則の改正以前より、保存期間を一年未満とする文書として、役割を終えた時点で廃棄をしているということでございます。

宮川(伸)委員 もう少しちょっと簡潔にお願いしたいんですが、即日廃棄という形で明確にやり始めたのはいつからなんでしょうか。

田中政府参考人 日程表につきましては、平成三十年四月の規程以前からも、当日、役割を終えた時点で廃棄をしているところでございます。

宮川(伸)委員 私が聞いている範囲では、四月に、今御説明があったようにガイドラインが出て、その後、規程が変わって、昨年の四月から即日廃棄というのが明確になったというふうに聞いているんですが、じゃ、そのガイドラインが出る、例えば三月は即日廃棄をしていたんでしょうか。

田中政府参考人 先ほどもお答えしましたとおり、その改定の以前も、当日、役割を終えた時点で廃棄をしていたということでございます。

宮川(伸)委員 わかりました。

 私は、やはり、大臣日程表というのは非常に重要な公文書だと思いますので、即日廃棄で本当にいいのかというと、必ずしもそうではないというように思いますが、大臣、今これは非常に大きな問題の一つになっているので、経済産業大臣として、大臣日程表が即日廃棄でいいと思われるかどうか、御答弁いただけますでしょうか。

世耕国務大臣 役割を終えた時点で日程表は廃棄されているわけでありますけれども、経産省では、公文書管理法の趣旨に従って、経産省の政策立案過程や事務事業の跡づけ、検証に必要な行政文書はルールに基づいて作成、保存しているわけでありまして、公文書管理上の問題はないというふうに思っています。

宮川(伸)委員 公文書管理法上は問題がないかもしれませんが、私は、国民が、あれだけ大きな公文書の問題があった中で、即日廃棄というのはいかがなものかと思っている、政府の信頼を取り戻す上で、こういうやり方ではやはり国民の信頼を取り戻せないのではないかということを申しまして、次の質問に移ります。

 中小企業強靱化法について入っていきますけれども、この法案は毛色の違うものが幾つもまざったような法案でありますけれども、私は、こういってまざった形で出すことに関して、国会審議を軽視しているということで、改めてこういう出し方はやめてほしいということを申し伝えたいと思います。

 そういった中で、幾つか入っている中で、私が問題意識を持っているものの一つが、先ほどの松平議員からもあったストックオプション制度の問題が非常に問題があると思っています。きょうは、そこに注力して質問していきたいと思います。

 もともと、このストックオプション制度の改正に入っていくに当たっては、第四次産業革命に向けてのイノベーション、あるいは、新しい産業をつくっていく上で、それを促進していくためにこういうものが必要だということだというふうに理解をしておりますが、ベンチャー育成という意味でいえば、やはりベンチャーをつくっていく上で重要な役割をしていたのが産業革新機構あるいは産業革新投資機構、JICであります。

 今回のこのストックオプション税制も報酬の問題なわけですけれども、その前に、このJICの報酬に関してどういう状況だったかというのをお伺いしたいと思います。

 JICに関しては、昨年末に九名の役員が全員辞任をしてしまい、そして、ベンチャー支援ができない状況がいまだに続いている。これはベンチャー支援という意味で私は非常に大きな問題だというふうに感じておりますが、では、当初、JICに提案をした役員報酬、業績連動も含めて、一番最初に提案したのは、最高額は幾らだったんでしょうか。

新居政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年九月に経済産業省の事務方が提示した「株式会社産業革新投資機構の取締役の報酬等について」、これにおいては、代表取締役社長であれば、年額報酬として一千五百五十万円、短期業績連動報酬として最大四千万円、さらに、投資回収がうまく進んだ場合には、長期業績連動報酬、キャリー報酬として原則最大七千万円を支給することとなっており、合計で原則最大一億二千五百五十万円を支給することとなっておりました。

宮川(伸)委員 大臣は、この金額に関しては御存じであったのか、あるいは、この金額は適当だったというふうに思われていますでしょうか。

世耕国務大臣 JICの役員報酬については、昨年四月の改正産業競争力強化法の成立以降、事務方には、ある程度の報酬水準の確保という面と、やはり、国が出資をしているということを踏まえた一定の相場観、あるいは関連の、横並びの確保、バランス、そういったことが重要だということを伝えて、具体的な報酬額の検討を委ねてきたところでありました。

 私は、節目節目で検討の進捗の報告は受けておりましたけれども、例えば、詳しい報酬額がこういうふうに決めたいとか、あるいは旧経営陣、おやめになった経営陣に具体的な金額を提示するというような説明、報告は受けていなかったわけであります。

 昨年十一月に、新聞報道が出まして、その内容に関して説明を受ける際に、検討中の金額についても一報を受けまして、その金額をJIC経営陣に対して、これは公式かどうかという議論はありますけれども、少なくとも向こうが正式に紙で提示を受けたという認識をする形で提示をしていたということも、このとき私は知ったわけであります。

 その後、事務次官から、九月にJIC経営陣に報酬額を提示をしたけれども、事務的な検討の結果、撤回し、仕切り直したいとの報告を受けまして、私もその方針を了解をいたしました。

 あのとき報道されていたJICに提示をした数字というのは私は適切ではなかったというふうに思っておりまして、私からは、見直すべきは見直して、JICとしっかり調整するように指示を出したという形になっているわけであります。

宮川(伸)委員 そして、見直して、田中社長と交渉になったわけですが、経産省の方が提示された、もう一度再検討して、これだったら適当だろうということで再検討された、提示をされた金額というのは、役員報酬は幾らだったんでしょうか。

新居政府参考人 お答え申し上げます。

 JICの旧取締役とは、昨年十一月の上旬、一度提示した報酬オファーを撤回した後も、グローバル人材を確保すること、これと、国の資金を活用する組織として適切な報酬水準を確保する、この二つの両立という難しい課題について、事務レベルで継続的に議論してまいりました。

 その過程で、お互いに知恵を出し合うブレーンストーミングのため、さまざまな論点についての議論のたたき台を提示したことはございました。

 議論の中では、ほかの公的機関の報酬額などを参考に、例示的に金額も示しながら議論が行われたが、新たな報酬額を先方に提案したものではございません。

宮川(伸)委員 報道によると、三千百五十万というような数字が出たりもしているんですが、今、政府の方から正式な数字は言っていないということかもしれませんけれども、だけれども、これだけ大きな問題で、それで、田中社長と会談が決裂をしてJICが動かなくなってしまった、そのときに、じゃ、経産省として幾らがJICの報酬として適当なのかということをきちんと説明できないというのは私はちょっといかがなものかと。

 今、ずっとその後、専門家がこれからのJICをどうするかという話をしていて、これからJICをやる上で、じゃ、役員報酬をどうするのか、こういったことももう少し明確に国民に理解できるような説明が必要なんじゃないかと思いますが、ちょっとこれはここでやめておきまして、続いて、前身である産業革新機構、INCJの方の役員報酬についてお伺いしたいと思います。

 INCJの、業績連動も含めて、最高額は今幾らになっているんでしょうか。

    〔委員長退席、富田委員長代理着席〕

新居政府参考人 お答え申し上げます。

 INCJの役員報酬については、固定給が約二千三百万円、業績連動報酬、キャリー報酬が年間最大で七千万円支給されることとなっておりまして、投資回収がうまく進んだ場合には合計で最大約九千三百万円が支給されることになります。

宮川(伸)委員 それでは、今までにこの業績連動報酬が支払われた時期と金額を、総額を教えていただけますでしょうか。

新居政府参考人 お答え申し上げます。

 INCJにおいて、業績連動報酬、キャリー報酬が支払われたのは過去二回でございまして、二〇一四年度に約三億円、二〇一八年度に約二十一億円が支払われております。

宮川(伸)委員 それでは、役員一人当たりということで見ると、いつ、幾ら払われているんでしょうか。

新居政府参考人 役員一人当たりという御質問でございますが、INCJにおいては取締役全体について公表しているということで、その数字でお答え申し上げます。

 取締役全体に対する業績連動報酬の支払いは、二〇一四年度に約六千六百万円、二〇一八年度に約一億九千万円が支払われております。

宮川(伸)委員 ということでありますが、産業革新機構、INCJは二〇二五年で解散するということでありますが、INCJが解散されたときに、トータルとして、投資額に対してそれが回収されなかった場合、いわゆるクローバック条項と言われるものですが、INCJのルールの中には、最終的にマイナスになった場合に、支払われた今の業績連動の報酬が返還されるというようなルールはあるんでしょうか。

新居政府参考人 お答え申し上げます。

 INCJの業績連動報酬規程には、業績連動報酬を支払った後に業績が悪化した場合に一定額を払い戻す趣旨のいわゆるクローバック条項は設けられておりませんが、業績連動報酬の支給時には、取締役会において、将来、投資損失が発生する可能性を考慮して、支払い割当て率を定めることとされております。過剰な支払いとならないような仕組みが導入されております。

 以上です。

宮川(伸)委員 今、既に業績連動報酬が支払われている、それが二十億、三十億近くも支払われているということでありますけれども、最終的にこの事業が、INCJがどうなるのかということ。松平議員もジャパンディスプレイの話を何度かしていると思いますが、そう簡単ではないわけです。

 それで、JICの役員の方々が、INCJにはクローバック条項がないのが問題だ、だから、JICにおいてはクローバック条項をちゃんと入れなきゃいけないというような発言をされているわけでありますが、INCJにおいてクローバック条項がないままでこのままやっていくこと、今の状況がこれでいいのかどうか。大臣、どのように思われていますか。

世耕国務大臣 いいのかどうかと言われると、私も申し上げたいことはいろいろあるわけですけれども。

 一方で、まず、クローバック条項がないという背景には、今事務方が説明したように、少し一般の投資ファンドとは違う報酬体系になっているわけであります。特に、支払い割当て率というのをぐっと低く抑えて、やはり長期的にきちっと業績が出るかどうかというので、普通のファンドだと、一年でもうかったものを、ある意味、その報酬分をみんなで山分けするという形になるんですけれども、そこはかなり抑えた、抑制的になっているわけでありますし、また、毎年度の支払いには上限額が設けられています。そういう意味では、いわゆる一般のファンドでクローバックがあるのとは少し違う枠組みになっているんだろうというふうに思います。

 INCJの報酬に関しては、いろいろ私も考えはあります。そういったことも含めて、これからJICの報酬体系はしっかり定めて明らかにしていきたいというふうに思っていますが、INCJの成果報酬については、二〇一一年九月に業績連動報酬規程というのが定められておりまして、個人個人の役職員とその時点でそれに基づいて、二〇一一年時点で契約が行われていて、そして、役職員の皆さんはこれまで何年にもわたってその契約に基づいて業務に従事をされているという現実もあるわけでありまして、この規程に従って、契約に従って対応していかざるを得ないという面があると思っています。

宮川(伸)委員 今、そのクローバック条項、もう一度、JICの役員だった方々、かなりこの分野の専門的な方々が、このクローバック条項がINCJにないのはやはりおかしいということを指摘しているということをまず申し上げたいです。

 その上で、なぜ私が今、この中小企業強靱化法、ストックオプション制度の問題でJICとINCJの話を挙げているかといえば、私は、イノベーションという言葉を使って、ある意味、経産省は少し大盤振る舞いし過ぎている部分があるのではないかと。

 出ていくのは税金が使われているわけであるけれども、それに対して、先ほど、二〇一一年からのルールがあったと言いますけれども、それはそこでつくってしまったらそういう意見もあるかもしれませんが、だけれども、つくってきた、あるいはJICの報酬を提案したのは経産省なわけであって、経産省の物の考え方が、イノベーションの分野における報酬の考え方が、本当に理解をしているのか、きちんと精査をして、税金が出ていくことに関して十分考えているのかということが私の問題意識なわけであります。

 その上で、ストックオプション制度、今回の制度改正についてお伺いをしていきたいと思いますが、先ほど、この制度の内容は政府の方から御説明があったので、省きます。

 そして、今この問題の私の一番の大きな問題意識は、これから消費税が上がる、多くの国民に消費税をお願いをしていく中で、ストックオプション制度の今回の話は、一部の人の減税なわけです。一部の人の減税を認めることが、本当にこれは正しいのかどうか、それだけ重要な、減税をしなければならないようなものなのか。

 まず、消費税増税が目の前にある中で、本当に減税をやっていいのかどうか、経産大臣、お願いします。

世耕国務大臣 ベンチャー企業は、一方で、新たな雇用の創出ですとかイノベーションの創出、そして産業の新陳代謝の促進の担い手として、ある意味、社会の役に立つ、極めて重要な存在だというふうに思っています。そうしたベンチャー企業の創出ですとか成長支援は重要な課題だというふうに思います。

 一方で、ベンチャー企業は内部の人的リソースに限りがありまして、しっかりと成長を続けるためには、成長段階に応じて、例えば、エンジニアやプログラマー、あるいは知財戦略を担う弁護士、弁理士といった外部の必要な人材を確保していくということが不可欠だと思っています。

 そのため、今回の改正では、成長に必要な知識、ノウハウを持つ人材をベンチャー企業が外部から機動的に獲得し、その人材がベンチャー企業の企業価値を高めることにインセンティブを持たせるようにするために、ストックオプション税制の対象を社外の人材へ拡大することとしたいというふうに思っています。

 このことによって、ベンチャー企業がさまざまな外部のリソースを活用して成長することを後押しをして、イノベーションの創出、日本経済の活性化につなげたいと考えておりまして、国民経済全体にとって裨益できる政策だというふうに思っています。

宮川(伸)委員 きょうは財務省の方からも副大臣にいらしていただいていますので、国民に増税をお願いするときに、一部の方の減税を本当にやっていいのかどうか、御答弁いただけますでしょうか。

鈴木(馨)副大臣 宮川先生はベンチャーの世界におられた先生でございますから、先ほどからいろいろと御指摘を傾聴しているところでございますけれども。

 やはり、税制の全体のバランス、基幹税については、公平、中立、簡素という原則、あるいは社会政策と経済政策のバランス、こうしたところからその判断をしていく。そして、それに加えて、政策減税については、やはりそうした基幹税のあり方とその現状との間でいろいろなギャップが出てきますから、そこでどういう例外措置が必要なのかという判断で進めているところであります。

 その中で、やはりこれは例外の措置でありますから、なるべく慎重に判断をしなくてはいけませんし、なるべくそうした例外は最少でなければいけないというのが基本的な考え方であります。

 しかし、その一方で、今経産大臣からもありましたけれども、日本のこれからの経済を考えたときに、やはりスタートアップというのをしっかりと支援をしていかなくてはいけない。そういったところから、そうした必要性、実際にどういったニーズが将来にわたって発生をして、実際どういった効果があるのか、そういったものをきちんと検証しながらそうしたものは設定していく必要があるというふうに考えております。

宮川(伸)委員 この減税に関して、ほかに手だてはなかったのか、あるいはこの減税でどの程度の効果が期待できるのか、細かく御質問したかったんですが、ちょっと時間がなくなってきたので。

 私は、今回ストックオプション税制で減税をしなくても、しっかりとインセンティブを与えることができる、ほかにやることが十分あるじゃないかというように考えています。

 先ほど松平議員の方から、年間権利行使限度額千二百万円の、ここをもう少し上に上げるということでも十分インセンティブが働くんじゃないかという御指摘がありましたが、私もそのとおりだというように思います。

 そういった中で、私がつくった資料をお配りをしておりますが、ちょっとごらんいただきたいと思います。

 一枚目に、右肩に1というように書いてあるものでありますが、これは一つの例示といいますか、モデルとして私がつくってみたものであります。

 最初に、左の下の方から。会社設立時に一株千円で会社をつくった。これはまだ公開していない会社なわけです。その後、ファイナンスを何回かしていく中で株価がどんどん上昇していく。そして、ファイナンス三回目をやったときに、一株十倍で一万円になった。その後、IPO、株式公開をして一株一万千円になって、その後、市場で売却をしたというようなモデルをつくってみました。

 このときに、従来の税制非適格の場合には、ストックオプションを株にかえるとき、行使時に税金がかかってしまう。今私は最高税率の五五%を例示をしておりますが、そうすると、この場合、付与された方が千株持っていたとすれば、一千百万円の株の中で五百五十万円の税金を払わなければいけないということになります。そうすると、これはAさんということをモデルにしていますが、株を売却した後のもうけとしては六百十万円のもうけがあるというのが、私のまず一つ目の例であります。

 次、2という次のページを見ていただきたいんですけれども、これが今回の新制度になった場合どうなるかということですが、いわゆる行使をしたときの税金五五%、これは最高税率です、がかからなくなるわけであります。そうすると、最終的に株の約二〇%の税金しかかからないということで、もうけは九百六十万円のもうけになるということですが、旧制度であれば六百十万円の報酬が、新制度だと九百六十万円になるということであります。

 この違いで高度人材が入れられるか入れられないかというようなことは、高度人材の方はやはりいい仕事をしたいと考えているので、内容がいい会社であれば、これがインセンティブでこの会社に行くとか行かないとかというような判断にはならないというように私は思いますが、大臣、どう思われますでしょうか。これは本当に、減税、必要なんでしょうか。

世耕国務大臣 私は、例えば弁護士の皆さん、弁理士の皆さんとも話していますけれども、こういう制度は非常に自分たちにとってもインセンティブになるというお話を伺っているところであります。こういう税制は必要だと考えています。

宮川(伸)委員 では、次の3という方をちょっと見ていただきたいんですけれども。

 まず、前提として、これは減税ですから、当事者で減税に反対する方はいないと思うんですよ。皆さん、減税だったら、ああ、ぜひ減税してくださいと言うわけで、当事者に聞けば、いや、それはもうぜひやってくださいということになるわけです。

 ですから、結局、今回消費税を増税するわけですから、増税しているけれどもこのメリットを受けない人たちがどう思うのかというところが私は争点になると思います。

 株というのは、御存じのとおりで、価格があってないようなもので、いろいろ変動するわけです。ですから、例えば3の場合は、これは、外部人材が一生懸命やって、IPO、株式公開のときに株価が、前回の場合は一万一千円の株価の例にしましたが、今回、二万一千円で株式公開できた場合の例を書いたわけです。もし二万一千円で株式公開できれば、さっきと同じ条件でも収入は一千六十万円になるわけで、減税をした場合の九百六十万円より高くなるわけです。

 ですから、一生懸命働いてちゃんといいイノベーションをすれば収入はしっかり獲得できるというのが、私は株の世界のロジックなのではないかと思います。

 それプラス、もう一つ、もっと簡単な方法は、ストックオプションを二倍渡せばいいわけですよ。今まで例えばストックオプションを十渡していた、これではインセンティブ湧きませんねというふうに外部人材が言うのであれば、二十渡せばいいじゃないですか。そうすれば、ちゃんと収入は倍になるわけですから。そうすれば、減税をしなくてもストックオプションを倍出せば、十分なインセンティブになるわけです。

 そういった中で、私が従来の制度で問題だというように思っている問題意識でありますが、今度、4というところを見ていただきたいんです。

 外部人材の方というのは、IPO、株式公開をしたときにストックオプションを行使するわけですが、そのときに税金を払わなければならない。これが私の今の例だと、五百五十万円の税金を払わなきゃいけない。ストックオプションを行使するときにそのお金も払わなきゃいけないので、この場合、六百五十万円を払わないと行使ができないわけです。

 だけれども、株を売却したときであれば、収入があるわけだから税金を払ってもまだ利益が来るわけですが、行使をしただけでは株の収入は入ってこないわけなので、収入がない段階で六百五十万円を払わなければならないわけです。これがなかなか、収入がない中で税金を何百万も払わなきゃいけないというのが大きな足かせになっているわけですね。

 ですから、私は、例えば、使い勝手がいいストックオプション制度をするのであれば、この税金の支払いを株売却時に一緒に払うというような形にすれば、実際に収入がない中で払わなきゃいけないというようなことが起こらないので、もっと使い勝手がよくなるんじゃないかというようなのが、例えば一つの考えるところとして重要な点だというように思います。

 もう一つ、次に、5というところに行っていただきたいんですが、これも非常に大きなストックオプション制度のポイントだというふうに私は思っています。

 ベンチャー企業が成長していって株式公開するまでの間には、今、ファイナンスの一、二、三というふうにつくっていますけれども、そのステージごとで必要になる人材が変わってくるケースが多々あります。

 スタートしたばっかりのときには、やはり技術系の方だとか、あるいはそういった最初のスタートアップに必要な人材が必要なわけですが、IPOに近づいてきた場合には、もう少し、マーケティングができるだとか、あるいはIPOの専門的知識があるとか、そういった高度人材が必要になってくるわけであります。

 しかし、今の制度の場合には、ストックオプションを発行してから一年以内に、株主総会で決めてから一年以内に付与しなければならない。ですから、例えば、会社設立した一株千円というようなストックオプションというのは、レートステージではなかなか渡せなくなってしまうんですね。

 今、私のこの5の例でいうと、ファイナンスの三を行ったときに、例えばIPOするために新しい社長を連れてくるよという場合、この社長は、細かいところは省きますが、先ほどと同じようなケースであるにもかかわらず、二百五十万円しかストックオプションの収入が入ってこなくなるわけであります。

 ですから、例えば、ストックオプションを付与する期間を延ばすというようなことができれば、一株千円のストックオプションが付与できるようになるわけだから、レートステージから入ってくる方々も十分インセンティブが湧くわけです。しかも、これは税金もちゃんと入ってくるわけですから、だから、減税をしなくてもしっかりとインセンティブ高く働いてもらえるような仕組みというのが私はほかにもあるというように考えているわけですけれども、もう一度、大臣、いろいろな考え方がある中で、増税する中でこの減税、本当にやって大丈夫なんですか。

    〔富田委員長代理退席、委員長着席〕

世耕国務大臣 現在の税制適格ストックオプションについては、御指摘のとおり、権利の行使期間、これが制限をされていまして、付与をされてから十年以内の行使ということになっているわけであります。

 ベンチャー企業においては、やはり、研究開発に時間がかかる、結果として上場までに十年以上を要するケースもあるわけですから、経産省としては、もともと、また、平成三十一年度税制改正要望においても、この権利行使期間の延長というのを強く要望してきたところであります。

 しかし、残念ながら、諸外国の制度とのバランスなどの観点もありまして、今年度、令和元年度の改正は実現をしなかったわけであります。

 一方で、兼業、副業が進展する中で、内部の人的リソースが限られるベンチャー企業にとって外部人材の活用に対するニーズは高く、今回の改正では、税制適格ストックオプションの付与対象を拡充することにさせていただいたわけであります。

 まずは、今回の改正内容を適切に執行しながら、今委員からも御提案のあった権利行使期間など他の要件については、さらに情報収集をして、今後チャレンジしていきたいと思っています。

宮川(伸)委員 今の権利行使期間の延長というのも私は非常に重要な一つだというふうに思っていますが、もう一度、ストックオプション、安いストックオプションを渡せるということもぜひ検討していただきたいというように思います。

 改めて、私は今説明をしてきましたが、今回減税をやらなくても、例えば、今回消費税を上げるタイミングじゃなくて、国民の皆様にも比較的減税の政策がたくさん出ているようなときであればやってもいいと思いますが、今の、消費税を上げなければいけない、こういった状況の中で減税をやるということは、ほかにもやることがあるわけだから、私はもう一回これは見直すべきだということを強く申し上げたいというように思います。

 その上で、この制度をもし取り入れた場合に、高度人材じゃない、実際はそれほど大したことをやっていないのに減税対象になってしまう。先ほど申したように、ここの分野の中の人は減税なんだからみんなハッピーなわけです。例えば、雇う側、経営者側は、高度人材じゃない方が、いやいや、高度人材にちょっと認定してくださいよと言われれば、いやですという理由がないわけですよ、減税なわけですから。

 では、そういったモラルハザードが起こらないように、どのような対策を経産省としては考えているんでしょうか。

新居政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の税制優遇措置は、社外の人材がスタートアップの成長に貢献できることについて主務大臣の認定を受けることで適用されるという仕組みにしております。

 主務大臣に提出する計画においては、当該社外の人材が、国家資格等の一定の専門知識や実績を有すること、スタートアップの成長に貢献することを要件とするとともに、主務大臣は認定された計画の実施状況について調査を行うということになっております。

 御懸念のような事態が生じないよう、適切に認定事務を行ってまいります。

宮川(伸)委員 少し細かな話になって、大臣、恐縮なんですが、モラルハザードが起こらないようにするための一つの方法として、株式公開をするときに、その人たちがどういう株数を持っているかというのは公開になるわけです。ですから、そのときに、外部人材で税制適格を受けた方に関しては、しっかりと税制適格を受けたということを公開をするということをやれば、かなりモラルハザードをとめることができるんじゃないかというように思いますが、大臣、こういうことをやった方がいいと思いませんでしょうか。

世耕国務大臣 現行のストックオプション税制においては、付与したストックオプションが税制適格か税制非適格であるかということについては、株式公開時の情報開示項目にはなっていません。

 また、一般論として、付与されたストックオプションが税制適格か否かについては、個人の納税情報に属するものだと思っておりまして、行政機関の保有する情報の公開に関する法律における非開示項目の個人に関する情報に該当すると考えています。

 このため、今回の改正による社外高度人材に対するストックオプションに係る情報を公開することについても、慎重な検討が必要だと思っています。

宮川(伸)委員 ちょっと繰り返しになりますが、このイノベーションの分野、ベンチャーの分野の中にいる人たちの減税なので、何らか、報告書と計画書だけでは私はチェックができないと思いますので、ぜひ、この公開に関しても前向きに御検討いただければというように思います。

 もう一つ、最初に、大臣日程表の公文書の管理、公開、国民に対する情報のあり方ということに関して質問させていただきましたが、私は、この高度人材を認定するための計画書と、そして調査結果、こういったこともしっかりと管理をして、何か疑義が生じたときに見れるようにすべきだというように思いますが、最初の大臣日程表の話等を伺うと、これは本当に大丈夫なのかというように不安になってしまいますけれども、大臣、これはちゃんと管理をして、何か後から疑義が出たときに、あるいは情報公開請求が出たときに見れるような状況というのはつくっていただけるんでしょうか。

世耕国務大臣 大臣日程表とは全く別の話だと思いますが、この認定した計画書及び調査結果については、行政文書として十から十五年間の保存対象となります。

宮川(伸)委員 ぜひ、モラルハザードが起こらないようにしっかりとやっていただければと思います。

 もう一つ、一番最後のページに、税金の所得税負担率という絵を載せさせていただきました。

 これはもう皆さんよく御存じの、大臣もよく御存じのことだというように思いますが、株に関しては今税率が約二〇%ということで、そして、高所得者の方の方が株をたくさん持っているので、こうやって、これは横軸が所得になっています、それに対して縦軸が税金の負担率になっていますが、この絵で見ると、一億円の収入を持っている方が大体税のマックスに来て、その後、もっと多く持っている、二億、五億、十億、二十億というように収入がふえている方々に関しては、株の二〇%の影響で、所得に対する税率が下がってきて、こうやって右肩に下がっていくということがあります。

 これがこのままでいいのかどうかということが議論になっていたわけでありますが、まさに今回のストックオプション税制の減税は、株のこの議論に近い話であって、やはり株をやっている方々が得をする、メリットがある、そういう税制改正になっているわけです。

 ですから、ちょっと時間になったのでここで終わりにしますが、もう一度、国民に増税をお願いしているときでありますから、ぜひ安易な減税はしないようにしっかりやっていただければと思います。

 私の質問を終わりにいたします。ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、浅野哲さん。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。本日もよろしくお願いいたします。

 本日は、中小企業強靱化法の法案審議ということなんですが、それに先立ち、一つだけ伺っておきたいことがございます。

 現在、連日報道されておりますように、米中の通商摩擦が、今、世界経済において大きな懸念材料になりつつあると思います。

 先日、五月九日から十日にかけて米中通商協議が行われましたけれども、現在、米国側は、中国に対して、知的財産の保護、あるいは、中国による為替操作の防止等々を要求しているわけでございますが、それがまとまらないという報道がされておりまして、現段階では、三千億ドル、日本円にして三十三兆円相当の製品に対して最大二五%の関税をかけるという措置に出る可能性が出てきたということであります。

 これを受けたIMFは、米中間の貿易が長期的には三〇%から七〇%程度落ち込む可能性もあるということで、産業界、日本も含めて大きな懸念の目でこの状況を見守っている状況でございます。

 そこでまず本日は、この米中通商協議の内容と結果について、概要をわかる範囲で教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

関副大臣 大前提としまして、世界第一、第二の経済大国でございます米中両国ですが、安定的成長と発展につながります関係を構築することが、日本を含む世界経済にとっても非常に重要だと認識しております。

 先週、ワシントンDCで行われました閣僚級協議の内容や結果の詳細は必ずしも明らかではないところでございますが、協議の終了後、先ほど委員もおっしゃられたとおり、米側は三千億ドル相当の品目に対して、一方、中国の方は六百億ドル相当の品目に対してそれぞれ追加関税を発表したというところでございますが、他方で、トランプ大統領が、今後の交渉次第で関税を撤廃する可能性や、また、来月六月に大阪で開かれますG20サミットにおきまして米中の首脳会談を開催する意向が示されているところでございます。

 協議の動向につきましては、どのように推移するかというところは本当に見通しがたいところもございますけれども、しっかりと注視してまいりたいと思っております。

浅野委員 ありがとうございます。

 関連してもう一問だけお伺いしたいんですが、この問題が今後日本の国内経済にどのような影響を及ぼすのかという部分についても、やはり多くの、きょうは中小企業を対象とした法案審議ですけれども、中小企業の経営者も含めて、日本の産業の中で頑張っていらっしゃる方々というのがこの状況を大変不安の目で見ているのは事実であります。

 報道ベースでは、アメリカが二五%の関税をかけた場合、今回、多くの消費者向けの製品が関税の対象にも含まれているということで、米国民が、米国内の景気が影響を受ける可能性がある。それを受けて、逆に中国も、中国国内ではなく、海外に製造拠点の移転が進む可能性もあるということでありますが、それがめぐりめぐって、日本国内の企業の受注量であったり、あるいは、日本国内を流通している製品の価格に影響するということも想定をされ得る話ですので、どういった影響が今後あるのかという部分についても、現段階で見通されている部分について御答弁をいただきたいと思います。

関副大臣 米中間の協議が今後どのように推移するかのところは見通しがたいところではございますが、複雑なサプライチェーンを通じました影響も含めまして、委員もおっしゃられましたとおり、日本企業や日本経済への影響について、これは非常に影響はいろいろ考えられるところだとは思うんですけれども、一概に申し上げるのは困難なところでございます。

 産業界への影響を把握する観点から、追加関税の発動状況、また、米国経済や中国経済の状況、日本を含む関係国間の貿易の動向、また、金融市場の動向、中国や米国に進出している日本企業の活動状況、これをしっかりと注視してまいりたいと思っております。

 米中の貿易摩擦に限らず、一方、我が国の中小企業が海外展開を行うに当たりましては、我々経済産業省、先ほど委員も大変御心配してくださっておりますが、そのとおりでございまして、我々もきめ細かな情報提供は、これはやっていかないといけないと思っております。

 我々の組織の一つでありますジェトロ、このジェトロを通じました情報提供そして相談体制をしっかりと構築して、委員も御指摘のとおり、これは心配なところ多々ございますから、注視をしっかりとして、そのような応援体制、構築してまいりたいと思っております。

浅野委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 海外に駐在しているジェトロの職員の皆様を始め、世界じゅうに日本政府の情報ネットワークというのはあるということでありますから、今は米国と中国に注目が集まりがちですけれども、その周辺諸国も含めてやはり経済の状況というのは見きわめて、適時適切に情報発信をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 では、本日の中小企業強靱化法の内容に入ってまいりたいと思いますが、まず最初に伺いたいのは、今回の法案の中で、中小企業の、自然災害等緊急事態が発生したときに事業を継続できるようにするということで、その一環でBCPの策定の推進も行っているわけであります。これは私は非常に重要だと思っておりますが、もちろん、全ての中小企業が策定をしてくれればいいものの、現段階でBCP策定率というのは約一六%にとどまっている現状があります。

 ぜひ政府には引き続きこの啓発活動を含めて取り組んでいただきたいんですが、とりわけ、一昨年に選定をされた地域未来牽引企業というのが、現在三千七百社ほどございます。これは、地域の産業の中心を担い得る、将来に向けたリーダー企業というような位置づけだと認識をしておりますけれども、こうした地域未来牽引企業がどのくらいBCPを策定しているのか。

 ここはしっかり政府としても、政府主導の取組の中で選定が進められた企業ですから、そういった部分についてもしっかりフォローをしていくべきだと思うんですけれども、まず、このBCP策定の現状についてお答えをいただきたいと思います。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでに三千六百九十一社を選定してございます地域未来牽引企業でございますが、これらの企業には、地域経済を牽引する事業に取り組んでいただきますとともに、自然災害等に対しまして高い事業継続力を身につけていただくことが期待されるところでございます。

 そうした地域未来牽引企業には、BCP、事業継続計画でございますけれども、これへの積極的な取組が期待されます一方で、一般に、BCPには、従業員の安否確認等の初動対応だけを定めた簡素な計画から、そうした対応に加えまして、防災・減災関連の設備投資、リスクファイナンス対策、あるいは、取引先との連携等を含めた包括的な計画までさまざまなものが存在いたしますことから、現時点におきまして、お尋ねのございました地域未来牽引企業におきますBCPの策定状況の数値は正確には把握できていないところでございます。

 他方、本法案に基づく計画策定でございますとかあるいはその計画策定への支援に関しまして、地域未来牽引企業に対しまして、非公式な形ではございますが、ニーズを伺いましたところ、四月中旬までで約五百社から前向きな意向をお聞かせいただいているところでございます。

 経済産業省といたしましては、本法案成立後に、地域未来牽引企業が率先して本法案に基づき事業継続力強化に取り組んでいただけるように、制度の紹介や働きかけを行ってまいりたい、このように考えてございます。

 以上でございます。

浅野委員 ありがとうございます。

 今、五百社程度から前向きな回答があったというアンケートの結果、御報告いただきましたけれども、やはりそれをもっともっとふやしていく必要は当然お感じになっていらっしゃると思いますので、ぜひ、引き続きの取組をお願いしたいと思います。

 また、今答弁いただいたように、BCPといってもその内容はさまざまで、本当に、従業員の安否確認システムをつくるところから、もしも製造ラインが壊れてしまったときにいかに代替生産手段を確保するのか、非常に多岐にわたる内容です。

 これを中小企業の方々が全てを網羅的に取り組むといいますか、策定に取り組まれるのだけでも大変なことですし、それに必要な知識や人材というものも、一般論的には中小企業の方々はそれを持ち合わせていない企業が多数ありますので、この部分についても十分な支援体制を充実確保していただく必要があるのかなと思いますので、あわせてちょっと要望させていただきます。

 続いての質問になりますが、今回、この持続化計画を策定、認定された企業に対しては、ある一定のインセンティブを付与するといったような法案の内容になっております。

 具体的に例を挙げれば、認定を受けた企業が信用保証枠を二倍にふやすことができるですとか、補助金、補助制度の優先採択を受けることができるとか、こういうインセンティブが用意されているわけであります。

 私も地元の中小企業の経営者の方々に少し聞いて回ったところ、BCPを策定すること自体は、これは大事なことだと言うんですが、ただ、BCPを策定するために特段の投資が要るかというと、そんなに必要ないんじゃないかという声もたくさんございまして、例えば、今回、異なる複数の企業同士が連携をしていざというときに代替生産や人の融通を図るということ自体は、お金をかけずに協定を結ぶだけでできる話ですから、そこに大型の投資が発生するとかそういうわけでは必ずしもないという声をいただきました。

 ですので、インセンティブとしてこうした今準備をしている内容が不要だというわけではないんですけれども、それだけではなくて、例えば、認定を受けた企業が、この企業はいざというときにしっかりと経営を持続する準備をしているということを見える化をして、その見える化をした結果、例えばマークをつくったりあるいは何か公表したりして、その企業自身の社会的信頼性を上げてあげるような、そういった取組も必要じゃないかと思うんです。

 こうした取組の現状あるいは検討状況について、まずお伺いさせていただきます。

木村政府参考人 認定企業の見える化についてお答え申し上げます。

 法律に基づきまして事業継続力強化計画の認定を受けた中小企業は、自然災害に対しまして一定の対応力を有する者として、ある意味国のお墨つきを得た事業者でございます。大企業を含めた多くの事業者の方々あるいは公共調達を行う地方自治体がそうした中小企業と安定的な取引を行うきっかけを提供するという観点から、認定を受けた中小企業の見える化を進めまして、当該中小企業の持続的な発展につなげていくことは、重要な課題であるというふうに認識いたしております。

 そのため、本法律案の施行後には、認定を受けました中小企業を取りまとめまして、中小企業庁のホームページで一括して公表いたしますほか、認定制度のロゴマークを作成いたしまして、認定を受けた中小企業の方の会社案内やあるいは名刺等で有効に御活用いただきますなど、見える化の取組を進めてまいりたいと考えてございます。

 加えまして、大企業でありますとか地域金融機関、あるいは地方自治体などの関係機関に対しまして、制度の概要を記したポスターやチラシを配布することによりまして、認定制度の内容や意義について周知、広報に努めてまいりたい、このように考えてございます。

 以上でございます。

浅野委員 ぜひそうした取組は推進していただきたいんですけれども。

 この件については大臣の御見解も伺いたいんですが、やはり、企業が努力をしてそういった認定を受けた際に、見える化をして社会的な信頼性を上げる制度も準備をしているということなんですが、これまでの場合ですと、国の例えば中小企業庁のホームページで公表されたり、そういうことはされているんですけれども、中小企業の方々というのは、いつも中小企業庁のホームページを見たりチェックをしたりしているわけではないんです。

 どちらかといえば、地域の商工会、商工会議所のポスターであるとか、あるいは地元の商工会のホームページであるとか、そういう地域の機関のホームページあるいは広報物を見てそういったものを認知をされているということなので、中小企業庁とか経済産業省本体だけで公表するのではなく、該当する地域における公表というものもぜひ検討いただきたいと思うんですが、これに関してお願いします。

世耕国務大臣 せっかくこれは認定するわけですから、認定企業がちゃんと認定されているということをお取引先とか地域でしっかりと周知をされて、認知をされて、そして、その中小企業の信用力向上あるいは付加価値の向上につながっていくということは極めて重要だと思っています。

 地域未来牽引企業では、ロゴマークをつくりまして、認定証をそれぞれの企業にきちっと額に入った状態でお渡しをし、かつ、ロゴマーク自由に使っていただいて結構ですとやったら、これは結構好評でありまして、名刺にロゴマークを刷り込んでいただいたりとか、そういったことをやっていただきました。

 その経験も踏まえて、今回も、この認定企業にはまず何らかのロゴマークの使用権というか、そういったものは付与していきたいというふうに思います。また、御提案の、地域の方々がよく見るようなホームページに紹介をしていただくというようなことも少し検討してまいりたいというふうに思います。

浅野委員 どうもありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。

 では、続いての質問に移らせていただきますが、続いての質問は、今回、複数の企業が連携をして、災害が起こったときなどに製造ラインが壊れてしまった場合、別の企業が代替生産を行うということをちゃんと取り決めてくださいというようなことを中小企業にお願いをしている内容になっています。

 これまでの制度ですと、被災をした企業については、製造がとまってしまった期間の一時的な資金繰り支援というのは国の方で行っておりましたけれども、これからは、被災した企業に対して支援を与える、代替生産をする企業というのもかかわってくるようになるわけで、こちらの企業についても資金繰りの支援というものをできる余地をつくっていくべきではないかというのが、私のきょうの課題意識であります。

 資料の一をごらんをいただきたいんですけれども、こちらは、セーフティネット保証四号という制度の概要を記載してございます。

 このセーフティネット保証四号というのは、いわゆる自然災害等の突発的事由によって経営の安定に支障を生じている中小企業者への資金支援の制度でありますけれども、この赤い線が引かれているところをごらんください。対象となる中小企業者というのは、指定した地域において一年間以上継続して事業を行っていることというのが条件に盛り込まれています。

 この指定地域というのは、その都度政府の方から指定を受ける地域になるんですが、従来の場合ですと、被災した地域が指定地域になるわけです。ですので、その地域にいない、例えば代替生産をする企業というのはその被災地域にない地域の企業も十分に考え得るわけですから、この企業はこの制度の対象には現状ならないことになります。

 ですので、今後、リスクヘッジという観点では、できるだけ物理的、地理的に離れた場所にある同業者同士でアライアンスを組んで、いざというときに代替生産をするということが望ましいわけですけれども、代替生産をした企業に対して資金繰り支援をするような制度構成にはなっておりませんので、このあたりの改善をする必要があるのではないかというふうに思っております。

 この点に関して、経済産業省の方の御見解、お伺いします。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 連携事業継続力強化計画におきまして、被災中小企業にかわって生産をする取組につきましては、例えばでございますけれども、事前の準備段階におけます設備資金でありますとか、あるいは、実際の代替生産段階におけます運転資金などの資金ニーズが見込まれるところでございます。

 御指摘ございましたセーフティネット保証につきましては、自然災害等の被害を受けた地域における売上高の減少などを要件としておりますことから、連携事業継続力強化計画に基づきます代替生産の取組に必要となる資金につきましては、通常、適用されないものと考えてございます。

 一方で、本法案では、中小企業信用保険法の特例を措置いたしまして、通常とは別枠の信用保証枠を追加させていただくこととしております。この制度を御活用いただけますれば、事前の準備段階及び実際の代替生産段階ともに、必要な資金調達を円滑に行っていただくことが可能である、このように考えてございます。

 また、本法案が成立いたしました場合には、連携事業継続力強化計画に基づく取組で必要となります設備資金についてでございますけれども、代替生産に係る部分を含めまして、日本政策金融公庫によります低利融資を可能とさせていただく、こういう方向で検討させていただいているところでございます。

 さらに、連携事業継続力強化計画に基づきます代替生産に取り組む中小企業には、それに要する経費に係るリスクファイナンス対策につきまして、あらかじめ当事者が十分な協議、相談を行えますように、わかりやすい先行事例もお示ししたい、このように考えてございます。

 中小企業庁といたしましては、関係機関との連携のもとで、これらの制度を有効に御活用いただくことを通じまして、連携事業継続力強化計画に基づく代替生産に係る資金繰りをきめ細かく支援してまいりたい、このように考えてございます。

 以上でございます。

浅野委員 ありがとうございます。

 今、答弁を伺っていますと、信用保証枠の増額というのを事前準備以外に事後的な対応にも活用できる、そして、リスクファイナンスの資金の制度によって、低利融資をするような制度も設けるということだと理解しました。

 これまでは被災地の企業の資金繰りに集中をして施策をしてきましたけれども、これからは本当に、地理的には離れていても関与する企業はふえていくということになりますので、こうした離れた企業もしっかり相互支援の輪の中に連携し入りやすくなるような、要するに、代替生産をする側の企業が安心して代替生産の枠組みに入っていけるようなそういう制度をしっかりとつくり込んでいただきたい。そして同時に、該当する中小企業に対しても、わかりやすくそれを説明できるようにしていただきたいというふうに思います。

 この点について、ぜひ引き続きの検討をお願いしたいと思います。

 では次の質問に移りたいと思いますが、次の質問は、今回、国が取り決める、経営持続化計画を策定する際に中小企業が取り組むべき項目をまとめた基本指針、この基本指針について質問をさせていただきたいと思います。

 東日本大震災のときの例を挙げると、私の地元茨城では、ある自動車向けの機構部品をつくっておりまして、それは世界シェア六〇%程度を当時有していた製品でありました。この製品の製造ラインが東日本大震災によって被災をして製造できなくなった。そして、原子力発電所の事故もあり、その該当する地域が立入禁止区域になってしまったということで、早急に製造ラインの機材を運び出さなければならなかったという事態が発生をいたしました。

 当然ながら、中小企業のみの力では運び出すことはできないということで、当時、親事業所がトラック等を出しまして緊急でそれを運び出したという事例があるんですけれども、中小企業の声としては、代替生産に対する備えとか、そういうことは中小企業自体の努力でできるんだけれども、発災直後、そういう少し規模の大きな応急処置というのはどうしても単独では難しい、親事業所の協力が必要不可欠である、こうした声が多く聞かれております。

 したがいまして、親事業所による発災直後の初動対応支援といったものをこの基本方針にぜひとも盛り込んでいただきたいということをきょうは要望させていただきたいと思うんですが、これについて政府としての見解をお伺いしたいと思います。

木村政府参考人 親事業者によります初動対応支援についてお答え申し上げます。

 御指摘ございましたとおり、親事業者にとりまして、取引先中小企業には重要な部品の供給者として大切な役割を担っておられる者もございます。そうした中小企業が被災し事業が中断すれば、親事業者はもとよりでございますけれども、サプライチェーン全体にも大きな影響が生ずるおそれがございます。

 こうした点に加えまして、経営資源の乏しい中小企業が単独で事前の備えを進めることには一定の限界があることも踏まえますれば、サプライチェーンの親事業者にとって、共存共栄の関係にございます中小企業の災害への備えの強化を後押ししていくことは極めて重要な課題である、このように認識してございます。

 このため、本法案及び基本方針では、サプライチェーンの親事業者を、事業継続力強化に取り組む中小企業の外部の協力者として位置づけますとともに、中小企業が取引関係を有する大企業等の外部の協力者と一体となって計画策定ができることとさせていただいたところでございます。

 大企業等の親事業者によります協力の事例といたしましては、例えば、自然災害の発災後、被災した取引先中小企業の早期復興のために人的、技術的支援を実施する等の初動対応支援に加えまして、取引先中小企業との生産復旧に向けた勉強会の開催等が想定されるところでございます。

 なお、昨年十二月には、下請中小企業振興法に基づきます振興基準を改正して、親事業者にとっての留意事項といたしまして、天災等によって影響を受けた下請中小企業の復興支援などを明記させていただいたところでございます。

 本法案とその基準に沿って、今後、大企業等の親事業者によります中小企業の事業継続力強化の支援の取組が拡大、充実していくということを期待したいと考えてございます。

 以上でございます。

浅野委員 ありがとうございます。

 そういった今説明をいただいたような例もぜひ基本指針の中に要素として盛り込んでいただいた上で、やはりそういうところがかなめなんだ、そういうところをちゃんと押さえなきゃいけないんだという意味では、今後ガイドライン等も準備をしていく可能性もあるのかもしれませんが、そういう啓発活動もぜひ盛り込んでいただきたいというふうに思います。

 では、続いての質問に移りたいと思います。

 今回の法案で前提としているのは、複数の企業が連携をするというのは、大変私は有効な対処法だと思います。

 しかしながら、今回ちょっと法案の中身をよく読んでみますと、例えば、同じような同業者が全国散り散りになっているという前提であればそれもできると思いますが、実は私も初めて知ったんですけれども、例えばばねとかねじ部品、こういう基本的な工業用の部材については、日本国内の製造拠点がある程度偏りがあるという話を伺いました。

 具体的にねじの例を挙げれば、東大阪地区ですとか九条の地区に国内の大半のねじ製造メーカーが集中をしていて、もし南海トラフ地震のような大きな地震が発生をして大阪周辺の地域がかなり打撃を受けた場合に、企業同士が連携をしていたとしても、その連携していた企業が根こそぎ被災をしてしまうというケースも想定しなければならないということであります。

 ちょっときょうはねじの例を挙げましたけれども、政府として特定業種あるいは特定品種の地域的な偏在についてどの程度把握をしているのか、現状について教えていただきたいと思います。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十九年工業統計調査によりますと、ねじにつきましては、中小企業を含む全国の事業所数は千二百二でありまして、うち上位五都道府県は、大阪府三百五十七事業所、愛知県百二十四事業所、東京都百二十一事業所、埼玉県八十八事業所、兵庫県四十五事業所となっております。

 また、同様にばねにつきましては、全国の事業所数は八百十二でありまして、上位五都道府県は、愛知県の百十一事業所、大阪府百一事業所、東京都九十四事業所、埼玉県七十六事業所、兵庫県四十七事業所というぐあいになっております。

浅野委員 どうもありがとうございます。

 今、それぞればねとねじの部品を例に挙げて国内の状況を御説明いただきましたけれども、ねじに関していえば、大阪で三百五十七、愛知県で百二十四、東京で百二十ということで、神奈川もありましたけれども、もし南海トラフ地震が起きた場合に、この太平洋側の一帯が、まさに今製造されていた上位五つの都道府県の周辺で地震が発生することになるわけで、やはり、このあたりのリスク管理というのもしっかりとしていかなければいけないんじゃないかというふうに思います。

 国内では、今から今言っていただいたような地域以外にこうしたメーカーを設立するという話は余り現実的ではないですし、できたとしても時間がかかる話になりますので、そういうときに備えて、海外とのアライアンスというのも場合によっては必要なんじゃないかというふうに感じております。

 ですので、海外との代替生産あるいは何らかの形での協力、アライアンスの構築というものについて政府がどのように考えているのか、現時点のお考えを伺いたいと思います。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 特定の地域に所在する一部の中小企業が特定の部品や製品の多くを製造しております場合、仮にそれらの中小企業が被災し事業停止に陥りますと、当該部品や製品の供給を受けるサプライチェーンに大きな影響が及ぶということも懸念されるところでございます。

 とりわけ、そうした特定の部品や製品の分野では、自然災害に備えまして、あらかじめ、海外も含めてでございますけれども、遠隔地に所在する同業の中小企業との間で、一方の中小企業が被災した場合に、もう一方が代替生産を行うという相互支援の体制を構築しておくことは極めて有益である、このように考えてございます。

 他方、経営資源の制約がございます中小企業が単独で遠隔地に所在いたします代替生産の担い手の候補者を探すことには、通常、困難が伴います。

 このため、今回の法案に基づきます基本方針におきましては、サプライチェーンの親事業者でありますとか、あるいは中小企業団体中央会等の商工団体に期待される取組といたしまして、中小企業間の代替生産に係る連携の仲介を明記させていただきたい、このように予定してございます。また、中小企業同士のマッチングに関する先行事例を紹介することによりまして、中小企業を取り巻く幅広い関係者に対しましてそうした積極的な取組を促してまいりたい、このように考えてございます。

 以上でございます。

浅野委員 ぜひよろしくお願いします。

 では続いて、この中小企業強靱化法としては最後の質問になりますけれども、最後は大臣にお伺いをいたしますが、冒頭申し上げたように、今回、BCP策定率だけを見ても、現在、国内の中小企業の策定率は一六%から一七%ぐらいというふうに、まだまだ低調な状況です。

 しかし、これまでの議論にありましたように、中小企業というのは紛れもなく国内経済を支える屋台骨でありますし、しっかりとこうした災害等に対する備えはしていただかなければいけないということで、より一層意識づけをしていかなければいけないと思うんですけれども、事業継続力強化に対する経営者の意識というのが今どのような現状なのか。そして、もっと動機づけをして意識を高めていってもらうためにはどのような対策を行っていくべきなのか。経産省としてのお考えを伺いたいと思います。

世耕国務大臣 最近は、やはり気候変動の影響もあって、豪雨災害とか非常に多くて、そのたびに私、現場に入って、被災した中小企業の現場を見てきているわけですけれども、その場で茫然としている経営者あるいは嘆き悲しんでいる経営者をたくさん見てきて、これを何とか事前に手を打つことができないんだろうかということをずっと考えてきたわけであります。

 そういった中で、しかし一方で、中小企業における防災・減災対策の取組というのはまだまだ全然十分ではない。民間企業が行った調査によりますと、中小企業は、この事前防災について何から始めていいのかわからない、非常に複雑で、取り組むに当たってのハードルが高い、あるいは、人手不足の中でそんなところまで手が回らないといったような声が上位を占めて、そしてこの防災、減災になかなか取り組めていないという状況にありました。

 そうしたことを踏まえて、中小企業庁で中小企業強靱化研究会というのを立ち上げまして、中小企業の防災・減災対策の取組をどういう形で支援していけるか、政策対応のあり方を検討して今回の法案をまとめさせていただきました。

 この法案を成立させていただいて施行した後には、計画策定に具体的に中小企業が取り組みやすいように、BCPに関する具体的な取組事例を基本方針としてお示しをしていきたいと思いますし、サプライチェーンのトップにいる発注元の大企業、あるいは地方自治体、金融機関、保険会社といった、中小企業を取り巻く関係者による支援も促していきたいと思いますし、さらに、計画認定を受けた中小企業に対しては、補助金を選定するときの加点ですとか税制措置といったインセンティブも講じていきたいというふうに思います。

 そして、全国各地でシンポジウムとか計画策定を支援するセミナーも開催して、過去、事前防災をやっておいてよかったというような事例なんかも紹介をして、経営者のやる気を喚起していきたいというふうに考えています。

浅野委員 ぜひよろしくお願いします。

 最後に、本日の資料四をごらんいただきたいんですが、こちらは、中小企業庁の二〇一九年版中小企業白書の中にある、下請業務を行う事業者における取引先から働きかけを受けた事項というものを、アンケート調査をこれは記載してあります。

 上から二つ目、災害発生時に被害状況の報告を親事業者に、取引先にするように言われているというのは約半分あるんですけれども、本日議題となった、例えばBCPの策定を要請されているというのは全体の一五・五%にすぎない。そして、代替生産などの協定を結ぶように促されているという事業者は全体の五%程度しかいないという状況になります。

 中小企業の経営者の方自身が自分の意識でこういう対策を打つというのは非常に大事なんですけれども、一つのきっかけとして、親事業者、取引先からの働きかけというのは非常に強い影響力を持つと思います。

 働きかけという意味ではまだ十分にはなされていないと私は感じたんですが、こうした部分に対しても、サプライチェーン上でお互いがお互い準備をしよう、対策をとろうというような働きかけをし合う環境づくりをすることが非常に産業界の全体のレジリエンスを向上させることになると思いますので、そういった部分で、政府が働きかけを行うことも大事なんですけれども、サプライチェーンの中で循環的にそういった声かけが行われるような仕組みをぜひ検討していただきたいというふうに思います。

 最後、残された時間がもうわずかですので、この後ちょっと今後の中小企業に期待される新しい役割についても議論したかったんですけれども、これは今後の議論に回すことにして、きょうはここで終了したいというふうに思います。

 どうもありがとうございました。

赤羽委員長 次に、斉木武志さん。

斉木委員 国民民主党の斉木武志です。

 きょうは世耕大臣と政府参考人に、今、日本でも急速に広まっております海外プラットフォーマー、GAFAを筆頭といたします海外プラットフォーマーにどう日本が向き合っていくのかというテーマで御質問させていただきたいと思います。

 御存じのように、この十年間ですけれども、日本でもスマートフォンが爆発的に普及をいたしました。そのほとんどが、アップル社のiOS、そしてグーグル社のアンドロイド、この二つのOSを搭載したものが、日本国民のほとんどが携帯をしているというのが日本の今のスマートフォン市場です。

 例えば、私もアイフォンを使っておりますので、ここにはアップストアというアプリのストアが必ず入っております。そして、アンドロイドにはグーグルプレーという同じようなアプリストアがあって、結果的に、全て、グーグル社の提供するもの、そして、アップル社の提供するものを通じてしかダウンロードができないというのがスマートフォンの仕組みになっておりまして、そこが中小事業者の方から見ると、例えばゲームを開発した中小事業者の方が売るとしたら、アップストアで販売するか、そして、グーグルのグーグルプレーで販売するか、どちらかしか選択肢がない状況だと。

 ただ、中小企業者の方といろいろお話をしておりますと、そのときに取られるコミッション、手数料がばか高いんだということを皆さん異口同音におっしゃいます。いわゆる売上げ、レベニューの三〇%は必ずアップルかグーグルに抜かれるんだ。三〇%売上げを抜かれてしまうと、実際、日本国民にゲームを販売しよう、そして中古販売のオークションアプリを売ろう、また、地図アプリを売ろうとしても、絶対この二社の土管を通さなければ販売ができないのが今の現代社会である。

 そこで、三〇%必ず、プラットフォーマー、今ここで言うグーグルとアップルに抜かれてしまっては、とても彼らとまともに競争できるような環境にないんだけれども、何とかここの三〇%という手数料を下げるような方策はないんだろうかということは、やはり中小企業者の方はどの経営者の方もおっしゃいます。

 まず冒頭、世耕大臣、こうした二社が寡占をしている状況において三〇%という、要するに、中小企業者、開発者からとってみればほかに選択肢がない状況で必ず三〇%をとられるという、国富が流出しているとも言える状況なんですが、これに対して日本経済の応援団長としてどう向き合っていかれるつもりか。まず御所感をお聞きしたいと思います。

世耕国務大臣 今御指摘の問題というのは実は結構古い問題でして、昔、NTTドコモがiモードというのでいろいろなサービスを始めたときも、そのiモードがプラットフォームになってしまっていて、公正競争条件が確保できていないんじゃないかというような議論も当時あったわけであります。

 今それがまさに、アイフォン、iOS、アンドロイドという世界の中でアップストアとグーグルプレーが、一つのある意味独占的なプラットフォームになってしまっている。そこを通さないとアプリが提供できない。

 ただ、そういうことによって、例えば、セキュリティーが確保されているとか、公序良俗に反するようなアプリが排除されるといった社会的メリットも一方であるにはあるというふうに思っています。

 常に、これはほかの、例えばネット通販の舞台でも手数料が高いのか安いのかという議論はいろいろ行われるわけでありますけれども、これは必ずしも私がコメントをするというよりは、それが独占禁止法上どうなのか、優越的地位の濫用に当たっていないのかどうか、これはそういった公正取引委員会において判断されるべきものだろうというふうに思っています。

斉木委員 今まさに独禁法の話が出ましたけれども、こうした二社の寡占というのは何も日本だけではございません。ヨーロッパでもアフリカでも、そしてアジアでも、ほとんどの国でこの二社が寡占状況にあるというのはこの地球上どこも同じです。中国は除くと思いますけれども。

 そうした中でヨーロッパの規制当局もこの問題に今向き合い始めておりまして、域内のフィンランド企業であるスポティファイ、これは音楽の配信業者でありますけれども、これがアップルに対して、やはりアップルのアップストアでしかダウンロードできないこと、三〇%の手数料を取られること、これは著しく独占禁止法上の優越的地位の濫用に当たるのではないかということを、域内企業である、フィンランド企業であるスポティファイが欧州委員会に提訴いたしまして、今月ぐらいに入ってイギリスのガーディアン紙などは、欧州委員会がアップルの調査に入る予定であるということを相次いで今報道し始めております。

 日本だけではなくて、このプラットフォーマーとどう向き合うのかというのは欧州でも非常に今大きな問題になっているわけですけれども、きょう公取にも来ていただいておりますので、世界的に、この海外プラットフォーマー、特にアメリカの巨大プラットフォーマー、GAFAを始めとするプラットフォーマーに対して、どのような独禁法当局や各国政府の対応があるのかということをまずお聞かせいただきたいと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 欧米の多くの国におきましては我が国の独占禁止法に相当する競争法がございまして、デジタルプラットフォーマー、今寡占というお話がございましたが、この寡占にあるという状況だけでは直ちに競争法に違反するということは言えないわけでございますが、このデジタルプラットフォーマーによる競争制限行為、これについてはそれぞれの競争法が適用されるということになりまして、実際に法的措置がとられたり、また調査が行われているものというものもございます。

 また、欧州におきましては、例えばオンライン仲介サービスにつきまして、取引条件の公正性、透明性の確保の観点から、契約条件の明確化などを定めました、オンライン仲介サービスのビジネスユーザーにとっての公正性、透明性の促進に関する規則案、この策定に向けた調整も行われているというふうに承知しております。

斉木委員 日本でも同じように、アップル社のアップストア、そしてグーグル社のグーグルプレーは、ほぼ全ての国民のスマートフォンにインストールされているものでございます。

 では、同じように、日本の公取として、こうした海外プラットフォーマーに対して独占禁止法を適用しよう、寡占状況にあるかどうかの調査に入ろうというようなベクトル、お考えはお持ちですか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 公正取引委員会としましては、独占禁止法に違反すると考えられる行為、これに対しましては、これまでも対処してまいりましたし、これからも厳正に対処していきたいと考えております。

 例えば、これまで公正取引委員会は、審査事件といたしましては、アマゾンジャパン合同会社に対する件、また、アマゾン・サービシズ・インターナショナル・インクに対する件、さらに、エアビーアンドビー・アイルランド及びエアビーアンドビー・ジャパンに対する件、こうした件について対応してきたところでございます。

 また、現在、公正取引委員会におきましては、アプリストアなども含めましてデジタルプラットフォーマーの取引慣行などに関する実態調査を行っているところでございます。この実態調査によりまして、デジタルプラットフォーマーの取引実態を十分に把握しまして、競争政策上の考え方を整理していきたい、このように考えております。

斉木委員 課徴金についてもちょっとお伺いしたいんです。

 昨年の七月十八日だったと思います、グーグル社が欧州委員会から課徴金を課された事例を把握されていると思いますけれども、これは何が問題になったかといいますと、グーグルが、基本ソフト、アンドロイドを使う携帯端末に対して、自社の検索、閲覧及びアプリストアのソフトの抱き合わせ搭載を求めるなど、EUの競争法、これは独占禁止法ですね、における支配的地位を濫用していると欧州連合欧州委員会が判断をして、四十三億四千万ユーロ、日本円にして五千七百億円の制裁金を支払う課徴金命令を発出いたしました。

 これは、欧州委員会による独禁法をめぐる単独企業への制裁金では過去最高額ということなんですけれども、先ほど、アマゾンであるとかエアビーアンドビーの例も申されましたが、日本の独禁法当局として海外プラットフォーマーに対して制裁金を課した例はありますでしょうか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の点でございますが、これまで、結論としては、いわゆる課徴金を課した例はないということでございます。

 先ほど申し上げましたような事案につきましては、調査の過程で、当事会社が公正取引委員会の懸念する契約の条項などを廃止する、やめるということでありましたので、審査の途中で審査を終了しているということでございます。

 もちろん、例えば優越的地位の濫用、こうした行為、この違反行為が認められますと、法律に定められた算式に基づきまして課徴金を課すということになろうかと考えております。

斉木委員 まさに今ヒントがあった答弁だと思うんですけれども、こうしたことを、欧州委員会が制裁金を課すぞということを言ったから途中でグーグル社が態度を変えたということなんでしょうか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 公正取引委員会が調査していた行為とグーグルの行っている行為、これが異なりますので、相手方の考え方はわかりませんが、公正取引委員会といたしましては、公正取引委員会が調査に入ったということで、その過程でその方針を変更したというふうに理解をしております。

斉木委員 これは世耕大臣にお聞きしたいんですけれども、やはり国内の中小事業者、まさにアプリ開発業者の経営者たちとお話をしておりますと、ぜひ日本政府もそうした強い対応をしてほしいと。要は、三〇%というこの一律のコミッション、手数料をアップルとグーグルが取っているけれども、彼らはある意味、日本市場をなめているんだ、日本政府をなめているんだと。

 今、米中が関税競争というのを、トランプさんと習近平さんが拳を振り上げて、お互いにいわゆるバトルを繰り広げております。

 一方、やはりこれは交渉事なので、アップル社そしてグーグル社が日本企業から三〇%取っているけれども、日本の公正取引委員会であるとか経済産業委員会の公聴会に彼らが呼ばれて、こういうふうなものは優越的地位の濫用に当たるんじゃないかと調査を始めるなり、課徴金を課す検討に入ったであるとか、やはりある程度強い態度を出さないと、国際社会における交渉事というのは、日本政府としても強い態度をとりますよということを見せる必要が私はあると思うんですけれども、そのあたりの交渉のタクティクスはどのようにお考えですか。

世耕国務大臣 このいわゆるデジタルプラットフォーマーに対する対応というのは、これは私も非常に重要だというふうに思っています。

 残念ながら、日本には代替するプラットフォーマーがなかなか存在しないというのはとても残念ですけれども、いずれにしても、公正取引委員会ともよく連携をしながら、政府一体となってこの問題にはしっかりと取り組んでいきたいというふうに思います。

 不当に、アプリを開発している業者等が扱いを受けるようなことがないように、よく配意をしていきたいというふうに思います。

斉木委員 まさにアプリを開発している業者が不当な扱いを受けた例というのが、これは、二〇一九年、本年の二月十一日の日経新聞に掲載してありました。

 ちょっと長いんですが、引用させていただきます。

 二〇一八年十一月、ある国民が、千葉県の会社員の方が、日課にしていたLINEの電子ペット育成ゲームたまごっちが突然使えなくなった。一カ月間、改修がかかりますよということで、どういうことだということになりました。LINEの社内も混乱に陥っておりまして、事前に確認したのに、大工事になると、担当者が頭を抱えている。一八年の九月にゲーム配信をLINEが始めました。三百万人超の利用者を大量に国内で集客をした直後、アップルから、このサービスは問題があるという警告が来たんですね、LINEに対して。

 アップルのアプリ配信サービス、まさにアップストア、アップストアを介さずに、LINE上で新たなゲームを楽しめる仕組みだったからだ。急速に広告収入をLINE社がふやしていて、これがアップルの怒りを買ったという。圧力の件は話すなと。公正取引委員会も調査に動いたけれども、LINE社内では、報復を恐れて箝口令がしかれた。日本経済新聞社の取材に対して両社は、要するにアップル社とLINE社は、個別案件にはノーコメントであるというふうに回答して、いまだに完全復旧に至っていない。

 日経新聞は、これを、競合と争うより、みずからつくった市場を強力に支配するのが新独占、ニューモノポリーだ、アップルのアプリ配信サービス、このアップストアは、十年で十億人が使う規模に育っている、規約の変更だけで五十万社ものアプリ企業、開発者の命運を左右して、日本の大手のLINEですら逆らえないんだということを、二月十一日の記事で指摘をしておるんです。

 私、まさにこれは不当な扱いそのものではないか、アップストアを介さないで、三百万人の顧客を獲得したら排除しよう、これはまさに優越的地位の濫用ではないかと思うんですが、大臣として御所見いかがですか。

世耕国務大臣 それが優越的地位の濫用に当たるかどうか、私も今初めて伺って、ほかにもよく似たような例も私も幾つか聞いていますけれども、それが優越的地位の濫用に当たるかどうかは、これは公正取引委員会において判断されるものだと思っています。

斉木委員 公正取引委員会は御所見はどうですか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の事案に関することのお答えというのはなかなか難しいところがございますが、一般的に申し上げますと、自己の取引上の地位、例えばアプリストア運営事業者とアプリベンダーの関係で申しますと、運営事業者の取引上の地位、これがアプリベンダーに優越しているという場合に、その相手方に対しまして不当に不利益を与えるようなやり方で取引条件を変更する、そうしたことをしますと、優越的地位の濫用として独占禁止法上問題となり得るということでございます。

斉木委員 当委員会は、日本経済の応援団、まさにその旗振り役でございますので。

 こうしたLINE社のほかにも五十万ものアプリ企業、開発者があって、日本にも少なからぬアプリ開発会社が存在をしている。

 クールジャパンと言っていますね。クールジャパンを稼ぎ頭にしよう、大臣もおっしゃっておられますけれども、そのためには土管が必要なんです、売るための。アップストアを介さなければそのコンテンツを売れない、でも、三〇%コミッション、手数料を外国に持っていかれてしまうという不利な競争条件がまず一つ。そして、そこでヒットタイトルをつくってしまったら、要するに、土管を通さないで、新たな土管で三百万人という顧客を獲得したら、それを、サービスに問題があると、いわゆる一つの寡占状態にある外資の提供会社から指摘をして規約変更とか不利な扱いを受ける。

 これは、日本発でアプリ開発業者を育てよう、中小事業の新たな成長の芽を育てようというときに、私は成長戦略として阻害要因になりかねないと思っておるんですが、成長戦略上、こういった今の日本の状況、高い手数料、そしてプラットフォーマーによる一方的な規約の変更、これをどうお考えですか。

世耕国務大臣 まさにそれが、このデジタルの時代におけるプラットフォームを他国の企業に押さえられたということの一つの象徴的なことだと思います。残念ながら、日本でそういうプラットフォーマーがなかなか育たなかったということだというふうに思っています。

 独禁法上の扱いとか課税の扱いについてはそれぞれつかさつかさでいろいろ御判断いただくんだろうと思いますが、経産省の産業政策としては、今後もまたいろんなプラットフォームが出てくる可能性があります。こういったスマホ上のプラットフォームで起こったようなことが、全く日の丸プラットフォームが関与できないというような状況が再び他の分野で起こらないように取り組むことが極めて重要だというふうに思っております。

 もう既に、例えば自動運転とか、そういった分野でもプラットフォーム的なものが出始めています。そういった中で日本がしっかりと勝ち残っていけるような取組をしていくということが重要ではないかというふうに思っています。

 いずれにしても、今あるスマホ上のいわゆるデジタルプラットフォーマーの扱いについては、これは、公取杉本委員長もかなり強い姿勢でこのGAFA問題に取り組むということも言っていただいておりますので、関係省庁と連携してしっかり取り組んでいきたいと思います。

斉木委員 ここはやはり欧州委員会が五千七百億円もの課徴金を課すぞというふうに動いたからこそ、アルファベット傘下のグーグル社、ここも変わってきているというものがありますので、ある意味、伝家の宝刀を持っているのは、日本政府、公正取引委員会、そして、その関係所管省庁であります経済産業省、やはりここがプラットフォーマーに対してある程度強い交渉態度を持ってかからないと、一企業ではいかんともしがたいというのが中小企業の本音なんですよ。

 もうモノポリーで押さえられている、まさにプラットフォーム、プラットフォームに乗らなきゃ競争できない、でも、プラットフォームに乗ると三〇%取られるし、プラットフォームを新たにつくろうとすると邪魔される。これでは、新たなプラットフォームを生みたいと今おっしゃいましたけれども、それはアップル社やグーグル社に邪魔されませんか。

世耕国務大臣 いや、別に、新たなプラットフォームというのは、これはもう自由な競争のもとでつくられるべき話だというふうに思っております。特段邪魔されるようなことはないし、邪魔をするようなことがあれば、それはまた公正取引委員会等で対処をしていく必要があるんだろうというふうに思います。

 日本にだってバーゲニングパワーはあると思っています。恐らく、アプリとかゲームのダウンロードというのは、日本は非常に高い、かなりの頻度でやっている、かなり独特な国だというふうに思いますから、そういった消費者の力も活用しながら、フェアな状況ができるようにしてまいりたいというふうに思います。

斉木委員 ありがとうございます。ぜひ強い態度を私は発揮をしていただきたいというか、発揮をすべき局面にもう何年前からも来ているのではないかなというふうに思います。

 もう一つ、今、米中の戦争が経済で行われておりますけれども、今までは、アメリカ発のGAFA、グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル社に関して御質問いたしましたので、もう一方の、経済の第二位は中国でございますので、対中でのデジタルプラットフォーム問題というのも取り上げさせていただければと思います。これはプラットフォームというよりもコンテンツの話になってくるんですが、ゲーム市場を例にとってみたいと思います。

 今、日本のスマートフォンゲームで何が一番売れているのかということなんですが、スマートフォン広告の出稿量で見ていけばこれは見ることができます。

 今、スマートフォンの日本における広告推定出稿量上位二十銘柄、これは二〇一八年四月から九月の推計値なんですけれども、一位が荒野行動というゲームです。荒れ野の行動ですので、想像するに、これはシューティングゲームなんでしょう。これはネットイースという中国企業が配信をしております。二番手がティックトック、これは動画配信アプリですね。これも中国企業が配信をしております。

 一位、二位が中国である。そして、八位、十一位、十二位がネットフリックス、スポティファイなどなど、これは米系やヨーロッパ系。トップテンのうち一位、二位が中国系が占めて、半数が外国系が占めているというのが日本の今のスマートフォン市場の実は実態でございます。

 これを見ると、日本はまさにコンテンツで稼ぐんだ、クールジャパンで稼ぐんだというふうに言ってきましたが、実は今、アプリ開発会社、ゲーム開発会社の方とお話をしますと、とんでもない、もうクールチャイナですよ、日本人が楽しんでいるゲームのトップは実はもう中国製になってしまっていて、それで日本には一円も入ってこないんですよということを非常に嘆かれます。

 要は、配信している彼ら、日本人がどうやってダウンロードするか。アップストア、そしてグーグルプレーでダウンロードして荒野行動を楽しむ。そうしたら、お金は全て、グーグルの広告、アップルの広告は彼らに入るし、アメリカに入るし、そして、手数料三〇%はアメリカに入るし、そして、荒野行動のアイテムの課金であるとかそういったものは全部、中国企業が持っていく。

 要は、日本人が楽しんでいるゲームは、全てコミッションはアメリカに行き、そして、課金アイテムは全て中国系に富が落ち、日本の市場が全部中国とアメリカに食い荒らされているのが、厳しいけれども、今の日本のゲーム市場なんですよというふうにおっしゃいます。

 私は、これはゆゆしき事態だ、国富の流出がもう非常に進んでいるのではないかというふうに思うんですけれども、世耕大臣、これは今、まずどのようにお考えでしょうか。

世耕国務大臣 恐らくこれは、使っている人はどこの国かというのは余り意識していないんだろうと思います。

 そういう意味では、やはり日本のゲームメーカーも、魅力あるアプリを開発をしていくということが極めて重要なのではないかというふうに思っています。

斉木委員 これで話はちょっと戻るんですけれども、そのときに、やはり三〇%の手数料というのは問題だと思うんですよ。

 例えば、アップル社そしてグーグル社が独自にコンテンツやゲームを開発しようとすると、彼らは、三〇%の手数料を日本のゲーム会社から取って、有利な資金力をため込んだ上でゲーム事業に投資ができる。でも、日本企業は、その三〇%のげたを海外企業が履いちゃった不利な競争環境でコンテンツの制作に励まなければいけない。これでは、幾らやはり経産省、中小企業庁がコンテンツ育成のための補助金をつけても、焼け石に水だと思うんですね。

 このスマートフォンゲーム市場というのは一兆五千億円市場ですので、そこで三〇%抜かれたら、とてもじゃないけれども経産省の補助金で対抗できる領域ではないと思うんですが、私はやはり、コミッション、前提の三〇%という、海外プラットフォーマーが日本企業から抜いているお金、ここを二〇なり一五なりに下げる交渉というのは日本政府としてすべきだと思うんですけれども、どうでしょうか。

世耕国務大臣 これは商取引に関することでありますので、経産省として何かそれを引き下げる権限はないわけでありますから。ただ、課税の問題とか、あるいは優越的地位の濫用の問題というのは、これは財務省なり公正取引委員会で判断される問題だと思います。

西山政府参考人 今大臣から御答弁申し上げたとおりなんですが、補足的に申し上げれば、今先生から御指摘の、具体的な水準そのものが高い低いというのは、一つには民民の問題でございますし、また、今の競争法上の違法性については公正取引委員会で判断をされるということになっているわけでございますが、昨年来、まさにデジタルプラットフォーマーと競争法の関係については政府の中でずっと検討を進めてきておりまして、昨年の十二月に基本原則というのを公表しておりますが、その中の一つとして、より透明性、公平性を高めるための規律を定めることを検討しようということになっております。

 と申しますのは、今るる委員から御指摘のとおり、今の競争法上の取組というのは、ある種、法律があって、独禁法なら独禁法があって、それにまさに優越的地位の濫用等々に抵触するかどうかを事後的に判断するという仕組みになっているわけですけれども、例えば今の先生の御指摘の領域でいうと、まさにアプリの開発、販売をしている者とそのプラットフォームを提供している者が重なっている場合に、例えばどういう行動が公平、透明と言えるか言えないかといったようなことも含めて、公平性、透明性を高めるような規律を導入するということを、私ども経済産業省、公正取引委員会さん、それから総務省とともに検討しておりますので、そうしたことも、規律が導入されることとなれば何らかの貢献をできるということではないかと思っております。

斉木委員 ありがとうございます。

 中小企業の方に聞いても、要は、公平な土俵で競争できるようにしてくれというのが皆さん異口同音におっしゃることなんですよ。日本政府として我々に不必要なげたを履かせてくれる必要はない、少なくとも、アメリカや中国の企業、プラットフォーマーを含め、同じ高さの土俵で競争させてほしい。

 例えば、そのコミッション、三〇%の手数料であるとか、あとは、対中でいえば、これは一つお聞きしたいのが、ゲームでいうと、日本市場は、そういったネットイースであるとか、そういった荒野行動であるとか、ヒットタイトル、王者栄耀とか、中国市場で大ヒットしたものを日本で売ることができます。日本で、ティックトックを含め一位、二位を今中国系が占めているというのが日本のアプリ市場、ゲーム市場の現状です。

 でも、じゃ、中国のテンセントであるとかアリババがプラットフォームを提供して、彼らのエコシステムの中でゲームを皆、中国の十三億人は楽しんでいる。そこで一位、二位は、やはりテンセントが開発した、内製なんですよ。国内産のものが十三億人市場を食べてどんどん成長している。

 実際、今、プラットフォーマーとしても、テンセントはたしか時価総額は世界で五位ぐらいですね。五、六十兆円企業まで成長した。日本にそういったゲーム開発会社は育ちましたか。全くないですよ。中国はそうやって、政治的理由、情報統制の名をかりて、私は、国内のテック産業をうまくこの二十年間育成してきたなと。はっきり言って、日本政府よりも中国政府の方が国内のデジタル産業の育成には成功したのではないか。私は学ぶべきものもたくさんあると思うんです。

 そういったときに、ゲームの認可のシステムなんですけれども、たしか中国では、ことしの四月ぐらいまで、中国製のゲームすら新しい認可がされないという状況がありましたね。これは、中国の国家当局が認証システムを全てのスマートフォンゲームに対しても行っているからです。それが四月に解除された途端、中国でいろいろなタイトルがまたどんどん出だした。でも、全部中国製です。

 こういったものが、日本企業、日本のコナミであるとかカプコンであるとかセガであるとか、いろいろなゲーム開発会社、任天堂であるとかありますけれども、そういったところが私は中国でメガヒットを飛ばしているなんということは全く聞いたことがないんですね。これはやはり、参入障壁、そういった認証によって、国が、中国政府が日本のゲームを入れさせない、でも日本では売りたい放題だ、日本政府は規制していない。

 私は、これでは余りにも片務的であろう、イコールじゃないと。中国の方がよっぽど有利な条件で戦っているというのが、日本の中小企業者たちの言い分なんですよ。

 これに対して、日本政府として、中国の例えばテンセントなどの巨大ゲーム開発会社と日本のアプリ開発会社が対等に戦えるように、それぞれのマーケットをそれぞれが進出できるようなイコールフッティングの状況にどうやって持っていく、その可能性を、どういう方策があるとお考えですか。

西山政府参考人 お答えを申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、中国の今のゲーム市場を見ましたときに、日本発のいわゆるコンテンツが非常に高いシェアを占めているかどうかということであれば、非常に高いシェアを占めているという状況にはないというふうには認識をしております。

 それで、そのことについてはもちろん幾つかの課題があります。

 一つは、これも委員よく御案内のとおり、いわゆるゲーム市場ということの中で、日本の場合はどうしても、家庭用ゲーム機とか、コンソールと言っていますけれども、そうしたものを使うゲーム市場が先に発達いたしました、モバイル市場の前に。それが中国の場合は、そういう市場が現在でもほぼない状態で、モバイル、あるいは、いずれにしてもオンラインのゲームというのが先に発達したという状況があり、これは率直に申し上げて、中国市場に限りませんけれども、日本のゲーム産業、コンテンツ産業が抱えている一つの課題だとは思います。

 それから二つ目は、もちろんこれは中国に限りませんけれども、やはり、海外展開にはそれなりに、言語等々も含めて壁がございますので、それは乗り越えていく必要があり、額の多寡は別といたしまして、私ども経済産業省としても、そういう国内発のコンテンツが海外展開をしやすいように、翻訳費用等々の観点も含めて一定の支援を行うという措置を行っているところでございます。

 それから最後に、これは委員からお話のございました各種の規制の話でございますけれども、これは、私ども理解しておりますところ、今の中国の規制というのは、基本的には、まずその主体、配信ゲームそのものをつくって配信する主体についてのいわゆる外資規制、内資でなきゃならないという規制と、それから、先ほどお話がございましたように、それに加えて、実際に個々のコンテンツを配信することについての、これは内外どちらかということではありません、委員御指摘のとおり中国発のものも含まれますけれども、個別審査が行われているという状況がございまして、これらの点については、私どもとしては、特に、内資一〇〇%でなければならないという点については、それをオープン、より開放的にするよう、二国間の場あるいは多国間の場で適宜課題を提起しているところでございます。

 以上でございます。

斉木委員 これはまさに国際交易、経済交渉の分野になってくると思います。

 世耕大臣にお聞きしたいんですけれども、日本のマーケットに中国は入りたい放題だけれども、日本が中国に入れないのはおかしいじゃないかということを、日中、少なくともバイの席では提起をし、これは、例えばほかの交渉、自動車であるとか農産品であるとか、さまざま上ると思いますけれども、やはり、お互いに最恵国待遇、お互いに開かれた市場というふうに持っていくためには、一方的に、ゲームの分野というのは政治も絡んできますので、中国は、国家の社会不安を取り除くために情報統制するんだという理屈をとっております。

 ですので、なかなかゲーム市場を開かせるということは難しいと思うんですけれども、日中の経済交渉の検討課題として今後上せていくという、若しくは、これまでこういうふうにやっているんだというようなことがありましたら、御所感をお聞かせ願えますか。

世耕国務大臣 二国間の貿易関係というのは、このデジタル、ゲームも含めて、これは相互主義的であるというのが当たり前のことだというふうに思っています。

 今議員がおっしゃったようなゲームにおいては、必ずしも対称になっていない、相互主義になっていないという面があるというふうに思っております。

 日中韓の、これは韓国も入っているんですが、政府間会合として日中韓文化コンテンツ産業フォーラムというのを毎年各国回り持ちで開催をしておりまして、そういった中で中国当局に対しても問題意識の共有や懸念の伝達というのを行っているところであります。

 例えば昨年十月のフォーラムでは、日本から出席をした磯崎経済産業副大臣が、中国の于群文化観光副部長とのバイ会談において、コンテンツ回りの規制について日本企業の懸念を明確に伝えているところであります。

斉木委員 でも、なかなか成果となって日本企業が中国市場でゲームを配信できているというところまではいっていませんので、ぜひ継続して、あらゆる、やはりこれは国際交渉ですので、先ほども、三〇%のコミッションに対してもっと強い態度をとったらどうか、公取ももう少し欧州委員会を範にして行動したらどうかということを申し上げましたけれども、これは中国に対しても、なかなかタフな相手だということはわかっておりますけれども、ぜひそうした深謀遠慮の強い態度というのを望みたいなというふうに思っております。

 もう一つ、競争の公平な土俵をつくってくれというときに中小企業の方がおっしゃるのが、税金の問題なんですね。課税逃れ問題がございます。

 きょうは財務省の参考人にも来ていただいておりますのでそのあたりのことをお聞きしたいんですが、日本の中小企業事業主、何が不満かといいますと、日本企業は日本の当該法令に基づいて法人税も全て日本に対して払っている。けれども、アマゾン、そしてアップル、そしてグーグル、こういった海外プラットフォーマーは、日本でデジタル市場で上げた利益、これが全く日本政府に対して税金として還元されていないのではないかというような御不満がございます。

 そうすると、例えば法人税三〇%としますと、三〇%納税すれば、日本企業は三〇%日本政府に貢献するけれども、海外企業は自国に持ち帰ってしまって、しかもタックスヘイブンを利用するなどして非常に低い実効税率に逃れていったり、この税金の面でも全く競争になっていないんですよという御不満があるんですが、この海外プラットフォーマーに対してどのように課税逃れを規制をしていくお考えなのか。今の多国間の枠組みも含めて、ちょっと現状をお聞かせ願えますか。

安居政府参考人 お答えいたします。

 ただいま海外デジタルプラットフォーマーについての課税について御質問いただきました。

 個別の会社の話は、済みません、ちょっと申しわけありませんけれども、それからまた、いわゆるデジタルプラットフォーマーの事業の形態というのはさまざまございますけれども、現在の国際課税制度について申し上げますと、海外企業の事業所得に対して課税するためには、自国内に支店などのようないわゆる恒久的施設、PEと英語で言いますけれども、その存在が必要でございまして、PEがなく事業を行っている海外企業の事業所得に課税できるようにするためには、国際課税原則自体の見直しが必要ということになります。

 このような経済の電子化に伴う課税上の課題に関しましては、二〇二〇年までにグローバルな長期的な課題を取りまとめようということで、現在、OECDを中心として、我が国や米国、それから中国なども参加いたしまして、国際的な議論を進めているところでございます。

 二月になりますけれども、OECDが経済の電子化に伴う課税上の課題に関するコンサルテーションペーパーというものを公表しておりまして、この中で、解決策として、市場国あるいはデジタルサービスのユーザーがいるような国に対して多国籍企業の所得に対する課税権を配分するというような、国際課税原則を見直す提案を現在行っているところでございます。

 ちょっと技術的になりますけれども、具体的なことを申し上げますと、例えば、検索エンジンでありますとかソーシャル・ネットワーク・サービスの使用といったユーザーの参加というのに着目する考え方でありますとか、マーケティングを行うことによって発生した無形資産に着目してはどうか、ないしは、一定の売上高といった重要な経済的存在に着目するといったような考え方が示されておりまして、これらのいずれか、あるいはそれらの組合せに基づいて国際課税原則を見直すということが今検討されているところでございます。

 今後でございますけれども、今回公表されました提案に基づきまして、民間部門から出された意見も取り入れながら、日本も参加しまして、OECDを中心に更に検討を進めていくということになってございます。

 日本といたしましては、ことしはG20の議長国でもございますので、解決策の合意に向けた国際的な議論に引き続き参加をしていきたいというふうに考えております。

斉木委員 もう時間が参りましたので、きょうはここまでにさせていただきまして。

 物がなければ課税できないという旧来の税法が適応しなくなっているのが今の地球です。それにどう課税していくのかというのは、インタンジブルマーケティングであるとか、非常におもしろい税の概念が出てきているなと。こういうものをうまく援用していかないとプラットフォーマーから我々日本政府が果実を得るということはできませんので、そういった税法も含めて、経産委員会は独禁法も閣法で提案されているようでございますので、ぜひまた引き続き、その独禁法審議になりましたら議論させていただければと思います。

 どうもありがとうございました。

赤羽委員長 次に、笠井亮さん。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 四月十七日の当委員会で、休廃業、解散と倒産が二〇一八年には五万四千九百五十九件と、五年間で約二割もふえた、こういうふうに私がただしたのに対して、世耕経済産業大臣も、看過できない事態だとお答えになりました。事業承継は喫緊の課題だと言わなければなりません。

 そこで、ことし二月五日の中小企業庁の資料によれば、今後十年間に、七十歳、平均引退年齢を超える中小企業、小規模事業者の経営者は二百四十五万人で、うち約半数の百二十七万人の後継者が未定とあります。どんな企業がどんな支援を必要としているのか、まず的確な把握と対策が必要だと考えます。

 そこで伺いますが、帝国データバンクは、昨年十一月十三日、全国「後継者不在企業」動向調査二〇一八年を発表いたしました。約二十七万六千社を対象にした調査でありますけれども、この調査で従業員数別後継者の不在率というのはどうなっているでしょうか。

安藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 今御指摘の帝国データバンクの公表しました動向調査によりますと、二〇一八年時点で日本企業のうち後継者候補が不在となっている企業は全体で六六・四%、このような数字になっております。

 ちなみに、事業承継が間近に迫っておられるという意味において、代表者年齢別の数字をちょっと申し上げますと、六十代では五二・三%、七十代では四二・〇%、八十代以上では三三・二%でございます。

 その上で、従業員規模別でございますけれども、五人以下の中小企業の皆様方については七五・〇%が不在、このようなお答えでございます。六人から二十人が六八・二%、二十一人から五十人が六二・六%、五十一人から百人が五八・二%、百人以上が四八・四%ということで、おおむね従業員規模が小さい企業の皆様ほど後継者の不在率が高い、このような傾向が出ておると思っております。

笠井委員 今長官が言われたように、小さい企業ほど後継者が不在だ。

 先ほどの中小企業庁の資料では、現状を放置すると、中小企業廃業の急増によって、二〇二五年ごろまでの十年間の累計で、約六百五十万人の雇用、約二十二兆円のGDPが失われる可能性があるといいます。小規模企業支援がとりわけ重要になるということだと思います。

 このもとで、二〇一九年度の税制改正では、個人事業者の集中的な事業承継を促す十年間の時限措置として、土地、建物、機械、器具備品等の承継に係る贈与税、相続税の一〇〇%納税猶予制度を創設したわけです。

 今回の改正案では、遺留分の民法特例を個人事業者に拡大することが盛り込まれております。これ自体は、中小企業や関係団体が従来から求めてきたものであり、歓迎できるもので、後継者が既に決まっている企業は新制度を活用して事業承継が進むことが期待をされます。

 一方で、伺いたいんですが、そもそも後継者不在ではこの税制は使えないわけですが、特に後継者未定が多い小規模企業での担い手づくりというのは、これはどういうふうに進めるというふうになるんでしょうか。

安藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 今御指摘がございました法人の事業承継税制、そして今年度の個人版の事業承継税制につきましては、相続税、贈与税の特例ということでございますので、主として親族内の方の後継者がおられる方を想定をしている制度である、このように認識をしております。

 御指摘の、そもそも後継者がおられない皆様方の事業承継をどうしていくのかという課題でございますけれども、一つは、事業引継ぎ支援センターというものを私ども運営をさせていただいております。全国四十八カ所で運営をさせていただいておりまして、そもそも後継者が不在の事業者に対するいわゆるマッチング支援を行わせていただいております。三万六千件を超える相談をこれまでお受けして、二千四百件を超える仲介に至っておるところでございます。

 まだまだ不十分でございますので、これを更に全国大でのマッチング事業に拡充をした事業の拡大に取り組みたい、このように思っております。

 また、いわゆる第三者承継のMアンドA型による事業承継を行う際の、引き継がれた方への恩典でございます登録免許税、そして不動産取得税の軽減措置、そして許認可の承継が面倒だというお話が一部ございますので、こういったものについての特例、こういったものをあわせて整備をさせていただいておりまして、さまざまな手段を講じて後継者不在に対応しなければいけない、このように思っております。

笠井委員 中小企業庁の資料でも、地域金融機関による事業承継支援も年商三億円以下の領域はほとんど行われていない、小規模企業三百二十五万社について、民間の担い手不在というふうにしております。小規模、それから小企業の事業承継支援というのは余り利益にならないからと、金融機関や民間ビジネスはなかなか手をつけないのが現状である。

 そこで世耕大臣に伺いますが、公的支援としての、今ありました事業引継ぎ支援センターが重要な役割を担っておって、従業員五人以下の小規模企業でも成果を上げていることは評価できると思うんですが、一方で、実現の件数というのは相談件数の一割弱ということになっていて、まだ伸び代はある。どう実現件数をふやしていくか、大臣のお考えを伺います。

世耕国務大臣 事業引継ぎ支援センターによるマッチング件数というのは、これは毎年増加はしてきておりまして、二千四百件を超えるマッチングを実現しているところですけれども、今、後継者不在の企業の多さを考えたときに、これに甘んじていてはいけない、このセンターによるマッチング件数を更に増加をさせることが重要だというふうに思っています。

 そのため、先ほども少し長官が答弁しましたけれども、事業引継ぎ支援データベース、これを抜本拡充をして、第三者承継を促進するための登録免許税、不動産取得税の軽減措置による支援を進めるほか、今後は、MアンドA型の事業承継の広報活動を強化してまいりたいというふうに思っています。

 具体的には、事業引継ぎ支援センターから事業者に対して、ダイレクトメールを送付をしたり説明会を実施する、これは今も行っているわけでありますし、商工会、商工会議所などの支援機関にポスターを配布するなどの広報活動、これも行っているところですけれども、今後引き続き、こういった取組を更に強化をしていきたいというふうに思います。

 また、事業引継ぎ支援センターにおけるマッチング件数を増加させるためには、このセンターでの専門家の数もあわせて拡充することが重要であります。

 このため、専門家の数は、二〇一一年発足時の十四人から着実に増加をさせて、今年度は百八十八人の専門家に活動いただいているところであります。こういったことに伴って、このセンターにおける予算も大幅に増額をさせてきたところであります。

 今後引き続き、マッチング支援の体制を強化するために、必要な予算も計上してまいりたいと考えています。

笠井委員 活動を強化する、そして、個々のケースにきめ細かに対応するということでは、それができるだけの人員と体制が必要だろうと思うんです。

 今、大臣から体制についてもありましたけれども、現状では、一つのセンターでいうと三、四名の体制と聞いているんですけれども、どれぐらいの人数増加が必要だと大臣としては今考えていらっしゃるでしょうか。

安藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 事業引継ぎ支援センターで活動される人そのものについて、私どもは特に目標値を持っているわけではございませんが、先ほど来委員がまさに御指摘をされておられますように、大変な数の中小企業の皆様方の事業承継、そして第三者承継を進めていかなければいけないということから考えますと、指導していく人数については大幅に更に必要ではないかと思っております。

 他方、人をふやしていくのと同時に、今大臣からも御答弁申し上げましたけれども、良質のデータベースをつくりまして、全国大で、いわばIT技術も活用しながら、あるいは民間の皆様方のビジネスも参画をしていただきながら、良質のマッチング情報を収集をしてお見合いをさせていただく、こういったことも大変大切でございますので、人数の増加とあわせまして、そういったある種の基礎的なインフラも必要である、このように思っております。

笠井委員 支援センターの強化ということでありますから、それにとどまらず、四十七都道府県ごとの商工会、商工会議所などでつくる事業承継ネットワーク、よろず支援拠点とか、そういうことも含めていろんなことがあるんだろうと思うんですが、いずれにしても、先ほど言われたような点はしっかりとやはり強化しないと、実際、実現件数はなかなかふえていかないということになると思います。

 次に、事業継続力強化計画について伺います。

 認定に際しては、中小企業等経営強化法の改正案の第五十条第二項第二号のハで、損害保険契約の締結その他の事業活動を継続するための資金の調達手段の確保に関する事項を計画に記載しなければならないというふうにしております。

 そこで伺いますが、自然災害に対応する損害保険、火災共済の加入状況は、中小企業と小規模企業を比較すると、端的に言ってどうなっているでしょうか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもが、昨年の十二月でございますけれども、シンクタンクに委託をしました調査がございます。

 従業員規模二十名ということでちょっと切らせていただきましたけれども、従業員が二十一名以上の中小企業の方につきましては、損害保険に加入しておられる方が五五・八%、火災共済に加入をしておられる方が三一・二%でございました。

 従業員が二十名以下の方につきましては、損害保険に加入しておられる方が三六・七%、ちょっと低うございます。他方、火災共済につきましては四八・九%ということで、こちらは高い数字が出ておる、このように認識をしております。

笠井委員 小規模企業は中小企業よりも損保加入が少なくて火災共済加入が多いと、相対的には。損保の加入では二〇ポイント近くも差があるということで、損保の方が火災共済よりも保険料が高い分補償も手厚いというのが一般的でありますが、そういう状況にある。

 では、損害保険と火災共済ではどちらが認定の際に有利になるのかという問題があります。

 そこで世耕大臣に伺いたいと思うんですけれども、補償される額をある意味しゃくし定規に認定の要件にすれば、小規模企業では計画の認定が進まないんじゃないかというふうに思うんですけれども、認定要件というのは今後どのように決めていくことになりますか。

世耕国務大臣 災害のリスクというのは各事業者によってまちまちだというふうに思いますし、また、各事業者が持っている手持ち資金の多寡というのも、これもさまざまであるわけでありまして、そういう意味で、この法案に基づく計画認定の要件として例えば損害保険契約などの締結を必須化するようなことになると、それがハードルとなってそもそも認定を受けようとしないということになるというふうに思っていますので、損害保険契約等の締結を必須化することは考えていません。

 また、今お話があったように、保険加入が支障となって小規模事業者の認定が進まないことになってはいけないというふうに考えています。

 一方で、災害になったときに、固定費の支出など資金需要がどの程度発生するかというのを事前に把握をしていくということは、これは災害への備えの第一歩だというふうに思っておりまして、保険に入る入らない、共済を掛ける掛けないにかかわらず、小規模事業者であってもそういう数字を把握するということは私は重要だと思っておりますので、事業者にみずから直面するリスクとリスクファイナンスの必要性については正面から向き合って考えていただく、このことは必須とさせていただきたいというふうに考えております。

笠井委員 今大事な点も言われたと思うんですけれども、地震保険については例えばどうかという点でいうと、経産省の二〇一七年三月の調査報告書でも、「地震については、活断層の所在等により地域によっては頻度が高い傾向があり、」「中小企業が活用しやすい保険料や契約条件を設定しにくい現状がある。」というふうにしております。

 企業努力とは関係ない活断層などの地理的条件によって保険料が高額となれば小規模企業にとっては加入は難しくなるわけですけれども、ある意味、そういう点では、大臣は前半で強調されましたが、しゃくし定規的にこういう点も認定要件にすることはないということでよろしいですね。

世耕国務大臣 そのとおりです。

笠井委員 法案には、商工会、商工会議所による小規模事業者の事業継続力強化に支援ということが盛り込まれて、これは、小規模事業者への支援のためとされております。

 そこで、現状はどうかといいますと、二〇一九年版の最新の白書を拝見しますと、従業員百一人から三百人までではBCPを策定していないが六五・八%という一方で、二十人以下の小規模企業でいいますと九七・八%が策定をしていないということで、小規模ほどBCPを策定できていないという現状にある。

 四月二十四日の参考人質疑では、神奈川県の中小企業団体中央会の栗原参考人から、大手企業は自前で全部PCBを作成できる、できない中小企業をどうするかと。十人前後の会社を八社、手を挙げてもらったところで勉強会を開いたけれども、一方で、取組への支援について、やはりグループでやらないと補助金がつかないとの指摘が参考人からありました。

 そこで世耕大臣、自前ではBCPをつくるのが難しく、かつグループ化も難しい、そういう小規模企業の支援というのはどのようにしていくか。いかがでしょうか。

世耕国務大臣 御指摘のとおり、小規模事業者は、一般の中小企業と比べても経営資源が脆弱でありまして、自前で計画策定が困難という意見があったというふうに聞いております。

 このため、今回の法案でも、申請書類の作成のための手引の整備ですとか申請書類の簡素化などによって、まず、事務手続を軽減して申請しやすい環境を整備したいと思っていますし、小規模事業者に身近な商工会、商工会議所による支援体制の強化によって、小規模事業者が計画策定をしやすい環境をつくっていきたいというふうに思います。

 さらに、グループで行うか否かにかかわらず、二〇一八年度第二次補正予算を活用して、中小企業診断士などの専門家を個別の中小企業に派遣をして、計画策定を直接支援することで、金銭的な負担が少ない形で計画策定の支援が受けられるような環境も整備をしていきたいと考えております。

笠井委員 先週、五月十日の質疑では、商工会の加入率は五七・二%、商工会議所は三三・六%ということでありました。従業員十人以下の企業の九割がBCPを策定していないという状況もあると言われる中で、商工会、商工会議所ができる支援にもある意味限界があるんじゃないか。

 さきの参考人質疑で、気仙沼本吉民主商工会の千葉参考人からは、ことし四月一日、気仙沼市で施行された中小企業・小規模企業振興基本条例で、災害時における中小企業、小規模企業への支援が規定をされたという紹介がありました。小規模企業を含めて、幅広い中小企業の全体を視野に入れて、速やかな復旧復興、それから事業継続に備えるのが、東日本大震災を経験した被災地の教訓だということでありました。

 その上で、千葉参考人からは、BCP推進に当たって、中小企業家同友会とか民主商工会など、さまざまな団体にも広く協力を呼びかけて、広くBCPの推進をお願いしたいという旨の要望が出されました。

 そこで世耕大臣、この要望にどう応えられるか。あくまで商工会、商工会議所を通じてでなければ支援を受けることはできないということはないと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

世耕国務大臣 商工会、商工会議所というのは、地域において中小企業、小規模事業者、多数入っていて、最もカバー率の高い団体ではあるわけですけれども、それでも全てをカバーしているわけではありません。そういう意味で、中小企業、小規模事業者を支援をしているさまざまな支援機関と連携をして実施していくことも重要だというふうに認識をしています。

 今回の法案においては、商工会、商工会議所が市町村とともに地域の小規模事業者に対する支援体制の強化を行うに当たりましては、例えば、中小企業団体中央会やよろず支援拠点といった地域の関係する支援機関等と連携をして事業継続力強化支援計画を策定することができるようにしているところであります。

 それに加えて、さらに、今回の法案では、地域の団体だけではなくて、サプライチェーンの発注元の大企業ですとか、金融機関ですとか、日ごろから中小企業、小規模事業者と接点のあるさまざまな主体との連携を促進することにしておりまして、官民を挙げて総力戦で中小企業、小規模事業者の災害への備えを進めていきたいと考えています。

笠井委員 まさに、そういう点では、自主的な取組をしている幅広い組織、団体を支援をして、小規模、小企業の防災・減災対策を底支えする立場に立つことが大切だと強く申し上げておきたいと思います。

 そこで、BCPは災害の事前対策についてでありますけれども、たとえ計画を策定をしていても、実際に災害に見舞われれば、保険、共済に入っていても万全の備えとは言えず、被害を全て賄えるわけではありません。

 中小企業庁が二〇一七年三月に発表した調査事業報告書では、事業再開に必要な額への保険、共済の占める割合ということを出していると思うんですが、どうなっているでしょうか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと数字がいろいろ出てきますので、大変恐縮でございますけれども、今御指摘の調査の概要を申し上げたいと思います。

 まず、災害について二つ分けました。

 水災につきましては、損害保険、火災共済によりましてほぼ全ての費用を賄うことができたという方が約一六%でございます。八割以上の費用を賄えたという方が七%。五割から八割が一七、三割から五割程度の費用という方が一三%、三割未満の費用という方が一七%ございました。逆に、二〇%の方が費用をほとんどカバーできなかった。このような御回答でございました。

 地震につきましては、全ての費用を賄うことができた方が一五%でございました。八割以上が五%、五割から八割が八%、三割から五割が一六%、三割未満が二五%ということで、こちらにつきましては、二二%の方が費用をほとんどカバーできなかった。このような調査結果でございます。

笠井委員 保険、共済に入っていても必要な額の半分もカバーできなかった事業者が約六割もいるというのが、全体的な状況です。発災後も国による直接支援が大事だ。

 そこで、東日本大震災のグループ補助金の採択企業の資本金規模別の内訳はどうなっているか。これは、細かい県ごとじゃなくて、採択された全八道県の合計の比率で、数字で端的に言ってください。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 東北経済産業局が昨年行いました交付先アンケート調査がございます。六千二百三十の事業者、全八道県の集計でございます。

 個人事業主の方が二三・九%、資本金三百万円未満が五・〇%、三百万円から五百万円未満が一四・六%、五百万円から一千万円未満が一一・九%、一千万円から五千万円未満が三四・六%、五千万円から一億円未満が六・三%、一億円以上が三・八%。結果、資本金一千万円未満の事業者が約半数、五五・四%を占めております。

笠井委員 個人事業主で約四分の一、そして資本金一千万円未満の合計で半数超の五五%ということで、小規模企業を含めて幅広い中小企業に使われているということになります。

 世耕大臣、千葉参考人は、震災後のグループ補助金開始について、地元の業者の自力では何とも回復しようのない、国の援助が本当に欲しかったところだった、そういう点で、中小企業に対する直接支援は本当に画期的だった、結果として、これがなければとても町の再建は成り立たなかったと述べておりました。

 他方で、震災被害の長期化と人口減の中で大変先が見えなくなっているということで、建設業は復興需要がなくなり、崖を迎え、養殖業界は東京電力福島原発事故被害でホヤの輸出ができないということを切々と訴えられておりました。

 こうした被災地の実態からすれば、被災地復興は道半ばで、更に支援が必要なことは明らかだと思うんですけれども、大臣も同じ認識でよろしいでしょうか。

世耕国務大臣 東日本グループ補助金では、これまで累計七百二十八グループ、一万一千五百九十五事業者に対して、国費、県費合わせて五千百六十三億円の支援を行ってきたところであります。

 一方で、今御指摘のように、グループ補助金を利用して施設や設備を復旧しても、その後の経済環境や被災地の復興状況などによって、厳しい経営状況に置かれている企業もいると認識をしています。

 例えば、グループ補助金利用企業へのアンケート結果によると、売上げ状況が震災前の水準以上まで回復している割合は四六%にとどまっています。その要因としては、既存の顧客がいなくなった、従業員が不足しているなどの課題が挙げられていると認識をしています。

 こういった課題に対処する観点から、グループ補助金だけで支援を終えるというわけではなく、東日本大震災で被災された企業に対して、販路開拓や人材確保支援などの支援に取り組んでいるところでありまして、引き続き、被災地に寄り添った対策を講じてまいりたいと思います。

笠井委員 文字どおり、被災地復興は道半ばであります。

 国の直接支援としてのグループ補助金の役割は一層大きいわけですが、同時に、改善の課題も、それ自身の中にもある。

 宮城県の石巻市でグループ補助金によって店舗を再建をして薬局を営んでいる女性は、薬剤師の免許を持つ夫が病気で他界をされ、後を継いだ長男も他界をして、現在お一人。薬剤師の免許がないために、御本人がいないために営業を続けることは難しいけれども、店を畳むと補助金の返還義務が発生するために、医薬部外品を扱って、そして細々と経営を続けている。一階は店舗、二階が自宅であるために第三者に事業承継をすることも難しいという状況にあるということでありますが、世耕大臣、こういう方のグループ補助金は返還免除とならないのか。いかがでしょうか。

世耕国務大臣 グループ補助金というのはこれはあくまでも補助金でありますので、他の補助金と同様、補助金の交付目的に適合した取得財産の管理を行う必要があるとする補助金適正化法の趣旨を勘案して、取得財産を処分する場合には、基本的には必要な金額を国庫納付ということになっているわけであります。

 ただ、こうした補助金の返還義務については、一定の要件のもとで、簿価ではなくて譲渡、その時点で譲渡された価格に補助率を乗じた額を返還することを認めさせていただくなど、被災された事業者の実情を踏まえて、国庫納付の負担を軽減する措置を講じているところであります。その結果、譲渡価格による返還が認められて、返還額が補助金交付額の数%に抑えられた事例も出てきています。

 また、震災からの復興に際して中小企業が抱える経営課題を支援するため、中小企業基盤整備機構に専門家、震災復興支援アドバイザーを配置をして、被災中小企業の販路開拓や事業計画の策定などの支援を実施しているところであります。

 引き続き、被災中小企業の復旧復興を支援するという観点から、被災地の実情を十分踏まえながらしっかりと対応してまいりたいと思っております。

笠井委員 現場で対応している宮城県の担当者からは、県としてもどうにかしたいんだけれども、法律で定められており難しいんだ、国が動いてくれたらという声が上がっております。

 石巻市でいいますと、また別の方ですが、飲料水の卸、小売業者のケースもあります。大震災で、自宅も飲料水を置いていた倉庫も全て流された。グループ補助金で倉庫を建てたけれども、業界がメーカーから直接取り扱う流れにシフトした、変えてしまった。取引相手の卸大手が突然会社を閉鎖をして、営業は困難になる。新しい商売をしようにも、倉庫を別の事業で使用することは補助金の目的外使用として返還が求められる可能性があるのでできないということでありまして、さまざまなケースが、やはり震災からもう九年目に入っていますから、起こっているということでありまして、そういう方の場合も返還免除にならないのかという声が上がっております。

 安倍総理は、昨年十一月二十六日の参議院予算委員会で、グループ補助金の処分制限問題について、「グループ補助金の運用については、引き続き、被災者の皆さんに寄り添いながら不断に見直しを行っていく考え」、こう答弁されているわけですけれども、改めて、世耕大臣、やはりそういう現状、実情がさまざまある、九年目に入っているという中で、困難を抱える被災者の実情を一つ一つきめ細やかに踏まえて、困難が一層進まないように、そして負担がふえないようにということで、個別の事情にきめ細やかに対応する、ここは徹底してやるということが必要だと思うんですけれども、その決意も込めて答弁の方をお願いしたいと思います。

世耕国務大臣 補助金の返還額を譲渡価格に基づいてやるというような柔軟な対応をとるなどしてきているところでありますが、引き続き、被災中小企業の復旧復興を支援するために、被災地の実情を十分踏まえながら、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

笠井委員 この点は非常に大事だということで、重ねてしっかりした対応を求めていきたいと思います。

 そして、最後に、やはりこうやって事業承継を円滑に進めていくということが本当に大事になっているわけですが、それとの関係でいいますと、やはり消費税一〇%、これを十月から増税するというのは絶対に相入れない。内閣府はこの十三日にも六年二カ月ぶりの景気悪化判断を発表したわけですが、まさに、ある意味非常事態にあります。そういう中で十月実施ということについてはきっぱり中止すべきだ。事業承継をしっかりやるためにもこの点は強調して、質問を終わりたいと思います。

赤羽委員長 次に、足立康史さん。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 まず、きょう、世耕大臣の御前に来させていただくに当たって、一つおわびを我が党のことでしなければなりません。

 世耕大臣は、ロシアの経済協力担当大臣も今でもお務めをいただいているわけであり……(世耕国務大臣「経済分野協力」と呼ぶ)経済分野協力担当大臣。

 報道のとおりでありまして、もう除名とさせていただきましたが、丸山議員の言動が大変問題のある言動で、旧島民の方を始めとして、北方四島のビザなし交流に係る言動について、改めて私からもおわびを申し上げたいと思いますし、特に、世耕大臣をお支えいただいている経産省の皆様にも改めておわびを申し上げたいと思います。

 さて、きょうは法案審議ということでありますが、きょうのこの中小企業の強靱化法は拝見をしていますが、大変完成度の高い、私が余り評価しても仕方ないんですけれども、余り質問することはありません。が、幾つか中小企業政策について議論したいと思います。

 ちょっと、その前に一点だけ。

 法案から離れますが、ホルムズ海峡、これは経済産業委員の皆さん御関心だと思いますが、イランがホルムズ海峡の封鎖をちらつかせている、あるいはサウジの原油タンカーに係るいろいろな議論が飛び交っております。大変危惧をしております。

 ちょっと基本的なことで結構なんですけれども、これは急なお願いだったので簡単で結構ですが、大丈夫かなと。本当にホルムズ海峡封鎖とかなったときの対応を政府全体で検討されていると承知していますが、特にエネルギーということで、私などは、原油のいろいろな取引の、余裕がどれぐらいあるのかもわかりませんが、原発についてもこういう事態になればしっかり準備を整えておくべきであると私は思いますが、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 サウジアラビアのタンカーの航行が妨害を受けたり、あるいはパイプラインへドローンの攻撃が行われるなど、国際エネルギー市場に影響を及ぼしかねない問題が起きていることはよく認識をしております。こうした状況については、日本のエネルギー供給及び日本企業の経済活動への影響を及ぼすことがないか、高い関心を持って注視をしていきたいというふうに思います。

 原油価格、原油の市場に対する影響は、今のところは限定的なのかなというふうに思っております。当然、我々は十分な備蓄も積み上げておりますし、いろいろな対応を今後も必要があれば行っていきたいと思います。

 一方で、原発についてでありますが、結局、今、日本の電力供給は結果として化石燃料に八割以上も依存する構造となっておりまして、しかも、その大部分が今いろいろな問題が起こっている地域を経由しているという点であります。

 こうした供給国周辺での状況ですとか、あるいは電気代、CO2の排出量、エネルギー自給率といった観点を踏まえれば、日本として責任あるエネルギー政策を実行するためには原子力の活用は欠かせないというふうに考えております。

 安全最優先で、規制委員会の判断に、基本的には、規制委員会が新規制基準に適合すると認めた原発のみ再稼働するという方針でありますけれども、その方針に沿って原発の再稼働を進めてまいりたいと思っております。

足立委員 御答弁ありがとうございます。

 すると、ホルムズ海峡が、一言で封鎖と言ってもいろいろな封鎖があるんだと思いますが、ホルムズ海峡の危機というものが発生しても、従来の手続、規制委員会の判断をベースに再稼働していくというこれまでのある種のルール、私は柔軟に検討してもいいんじゃないかと思いますが、やはりそれは政府としては想定していないということでしょうか。

世耕国務大臣 原発の再稼働に関しては、政府の方針、閣議決定された方針として、あくまでもこれは規制委員会が科学的、技術的に審査をして、新規制基準に適合すると認めた原発にのみ、その判断を尊重して、地元の御理解をいただきながら再稼働を行うというのが一貫した方針であります。この方針に従って再稼働を進めていきたいと思います。

足立委員 ありがとうございます。

 いずれにせよ、万全の準備をお願いをいたしたいと思います。

 さて、もう一点だけ、ちょっと法案と関係ないことをさせていただきたいと思いますが、お配りをしている資料、これは統一地方選挙で配られた資料でございます。

 なぜ今ごろこんなことをまた持ち出してくるんだという感じもおありかもしれませんが、意図はただ一つです。これ、国立国会図書館にちょっとおさめておきたいと思いましてね。この場で資料として国会で取り扱っておけば、国立国会図書館にほぼ、想定される未来にわたってこれが保存される、こう承知をしています。

 これは、委員の皆様もごらんいただいてのとおり、ひどいポスターであります。

 一応、きょう、総務省、お越しいただいています。住民投票は何回もやるもんじゃないでしょうか。ちょっと御答弁、お願いします。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 大都市地域特別区設置法では、特別区設置協議会において作成された協定書について、関係道府県の議会及び関係市町村議会の承認があった場合、その旨の通知を受けた関係市町村の選挙管理委員会は、特別区の設置について選挙人の投票に付さなければならないとされておりますが、このような手続を経て行われる選挙人の投票について、大都市法上、その回数に関する規定はございません。

足立委員 そういうことでございますので、法令上何ら問題ないと。

 それから、自民党大阪府連、これ、出典は自民党大阪府連と書かせていただきました。というのは、情報が錯綜していて、ネット番組で活動されている百田尚樹さんによると、安倍総理は知らないと。まあ、百田さんの発言ですよ。それから、自民党府会議員によると、大阪府連も知らないと。ところが、ある大阪選出の自民党の代議士は、これは自民党本部の公認だということで、情報が錯綜しております。

 ただ、もう、それを何か喧伝するつもりは毛頭ありませんで。

 きょうの産経新聞でも、自民党大阪府連の新会長に就任されました、とかしきなおみ代議士が、産経新聞の「単刀直言」という記事の中で、自民党大阪府連として、住民投票にも協力するし、都構想自体についても、都構想への反対についても、白紙、ゼロから考えるということを明言されておられますので、自民党大阪府連のスタンスが、こういうポスターが張られた当時からは全くそこは転換をしていただいているということを国民の皆様にも御紹介をして、この話は終わりにいたしたいと思います。

 さて、中小企業政策でありますが、私も中小企業庁に在籍をしたことがございまして、大変重要な分野だと思っています。その中でも、きょうは、この法案は、いわゆる事業継続ということと、それから事業承継、この二大柱になっているわけであります。もちろんストックオプションの話もございますが、中小企業政策としてはその二本柱だと承知しています。

 まず、事業継続についてですね。要は、事業継続力をしっかりと中小企業がそれを持っていただく、これは大変重要なことでありますが、それは、生産性がしっかりしている中小企業については、しっかり、多少のショックで倒れないようにしていただく。これが国の成長のためにもちろんなるんですが、倒れるべくして倒れる中小企業もあるわけでありまして、一定の、要は、リーマン・ショック級とか、あるいは大災害とかいうことにはしっかりと政府の支援も得て、中小企業の生産力というものを維持していくことが政策的にも重要だと思いますが、一方で、もろもろのショックの中で、一定の事業継続力がそもそもない中小企業が廃業するのは私は当然ありだと思っていますが、いかがでしょうか。どなたでも結構です。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論として、中小企業と小規模事業者が廃業すべきかどうか、これは誰が判断するんだろうかということでございますけれども、やはり経営者あるいは事業者みずからが判断するものであって、第三者である国とか行政が積極的に判断するものでは、なじまないんじゃないかというふうには基本的には考えております。

 廃業の理由をつぶさに見てみますと、いろいろな複合的な理由が絡まって廃業しているケースも結構多いものですから、客観的のメルクマールでどうのというのはなかなか難しいのではないかと思います。

 ただ、一方で、中小企業基本法、こちらには中小企業と小規模事業者の多様で活力のある成長発展を図るということがうたわれておるわけでございまして、経済全体の新陳代謝を図っていくということについては、当然のことながら重要な課題であるんだろうというふうに思っております。

 私ども経済産業省といたしましては、廃業を望む場合、経営者の保証に関するガイドラインの活用、あるいは、よろず支援拠点では廃業に関する相談も最近出てきておりまして、また、小規模企業の共済では廃業資金の貸付けもやっております。

 したがいまして、円滑な廃業が可能となるような環境整備、こういうことも一つは整えていくことが必要であろうというふうに考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 新陳代謝とおっしゃっていただきました。私流に言えば、廃業するところもあれば創業するところもある、そういう中で経済全体が回っていくというのは当然である、こう思っております。

 もう一つの、事業承継。これは本当に、先日この委員会でもたしか申し上げたと思いますが、経産省の皆様の御努力に心から敬意を申し上げたいと思います。平成三十年度税制改正、平成三十一年度税制改正で大変大胆な措置に踏み込んでいただいた。

 ただ、私は遅きに失したと。もちろん、今回の三十年度、三十一年度税制改正で救われる、当然事業承継すべき会社が、あるいは個人がしっかりと事業承継できるような環境がようやく整いつつあるわけでありますからすばらしいんですが、じゃ、間に合わなかった、二十九年度、二十八年度にその措置を受けられずに、大変ふがいないというか、残念な判断をした経営者も当然いたわけでありまして、私たち、地元で活動していて、その際どいところで、制度が立ち上がるかどうかというのを注視しながら、見守りながら、一方の方は、もう諦めて、安倍政権というか、三十年度税制改正は無理だろうと思って先に判断をした経営者もいれば、待っていた結果、制度を使えた。まあ、細かいことを言うと、いろいろ制度上の、遡及とかそういうのがあるのかもしれません。

 いずれにせよ、制度に乗れた者と制度に乗れない者があったわけでありまして、私は総じて、この事業承継の深刻さ、事態の深刻さを考えれば遅きに失したと思うんですが、もっと、五年前にやればよかったじゃないかと。もちろん、五年後よりは今やった方がいいんですよ。

 なぜおくれたんですか。これは結局、悪いのは財務省ですか、大臣。

世耕国務大臣 なかなか、遅きに失したとは私からは言えないんですが、これは私も、初当選した直後から、やはり、中小企業を承継する場合の相続税、贈与税のあり方というのはずっと与党の税調でも議論になってきたわけであります。

 そういうときに、当然、当時通産省、今の経産省も、この事業承継税制、何とかという話をするんですが、一方で、それに対する反論として出てくるのは、やはり一般のサラリーマンに比べて不公平なんじゃないかとか、そういう議論と必ずガチンコになるわけです。

 それでも、薄皮を剥がすように一つ一つ進んできて、少しずつ少しずつ進んできたんですが、ここへ来て、やはり事業承継問題がもう待ったなしだという時期になって、昨年度、法人に抜本的に全部認める、そして、ことしは個人事業主に認めるというところへ踏み込めた。私は、何とか間に合ったのではないか、これをフル活用してもらえるようにこれから頑張っていく必要があると思っています。

足立委員 ありがとうございます。

 私は、はたから見ていて、はたですからわかりませんが、とにかく、経産大臣、世耕大臣、そして党の宮沢税調会長の御尽力というか、大変すごい大きな仕事をしていただいたと改めて感謝を申し上げたいと思います。

 そして、もう一問、事業承継。

 これは三十年度で一回、私は余り詳しくないというか、余りあれですから、三十年度で終わったと思っていたんです。いやいや、まだ個人があるぞということで、三十一年度、そして今回の法改正と、こうなっているわけでありまして、これも全面的に維新の会は賛成なんですが、まだありますかという質問です。また、これで終わったと僕は素人だから思っているんだけれども、まだやり残し、事業承継を進めていく上でまだやり残した課題、これはあると御認識でしょうか、ないと御認識でしょうか。

世耕国務大臣 法人をやり、個人をやりと来たわけですが、残っているところはやはり第三者によるMアンドA型の事業承継。これもようやく買う側のいろんな支援措置というのは入れさせていただいているんですが、売る側にとってのメリットというか、納得のいく内容というのがまだまだ足りていないというふうに思っておりまして、これは経産省だけで決められる話ではないですけれども、この問題にもチャレンジをしていきたいと思っております。

    〔委員長退席、西村(明)委員長代理着席〕

足立委員 ありがとうございます。

 しかし、まさに大臣もおっしゃったように、これはもう、今やらずしていつやるかというのが経済実態であるわけですから、私は三十二年度税制改正でぜひこれはかち取っていただきたい。

 もし財務省が寝転がっていたら、野党からも、これは多分、全政党が世耕大臣の応援団になって、もう経済産業委員会では世耕大臣の邪魔はしないという、余り受けないですね、そういう立場で、この事業承継税制を第三者承継まで含めて、MアンドAまで含めてやるのは、私は、そもそも、作業が大変だから順番にやっているのかもしれないけれども、絶対やらなあかんということで、ぜひ、いろんなところで経済産業省が、また、来年度税制要望にこれは入れる御決意はあるということ、答えられますか。

世耕国務大臣 今確定的になかなか申し上げるのは難しいですけれども、これはもう差し迫った課題だというふうに思いますので、来年度税制要望に入れることも含めて、できるだけ早い対応をしていく必要があると思いますし、これは当然、反論としては、まだ第三者による例が全然出ていないじゃないかと言われてはいけませんから、これはまさに事業引継ぎ支援センターの機能をしっかり拡充をして、マッチングのニーズがたくさんあるんだということも示していく必要があるんだろうと思っております。

足立委員 いや、現場にいると、これは税が整っていないから動いていないだけで、しっかりこの税制が措置されれば当然世の中は動き出すと私は見ていますので、ぜひ、三十二年度税制要望に入れていただいて、大臣が先頭になって解決をしていただいて、いわゆる事業承継税制の問題はこれで解決だと言える仕事を世耕大臣のお力でお願いをしたいと思います。

 さて、あと若干の時間ですが、余り早く終わると採決のタイミングがずれますからね。ですよね。頑張ってもうしばらくやりますが、この法案はできがよくて、余り質問がないんですよね。

 ただ、中小企業政策ということでいうと、私は、実は、我が党日本維新の会は競争政策ということを大変重視しています。

 競争政策というと、一般に、競争当局、公正取引委員会、独禁法ということになるわけですが、それだけでは世の中がうまく競争環境が整わないということで、さまざまな中小企業政策が講じられているわけでありますが、極めて大事な、もう中小企業庁の柱はこれだ、要は競争政策だ、こう思っているわけですし、それから、まさに安倍政権の中で成長戦略ということでやられているわけですから、中小企業政策の体系の中で競争政策の重要性はますます高まっていると考えますが、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 全くそのとおりだと思っておりますし、特に私は、中小企業に向けた競争政策の中でも、やはり下請取引の適正化、アベノミクスで空前の利益を上げている大企業の利益が公正公平に中小企業にもしっかり回っていく、この取組が何よりも重要だと思っております。

    〔西村(明)委員長代理退席、委員長着席〕

足立委員 ありがとうございます。

 委員長、質問尽きちゃったんですけれども。

 ちょっと大臣と、じゃ、じっくりやりますか。あと八分あるんですけれども、大臣、何やりましょうか。

 ちょっと、競争政策の話だけ、もう一言だけ補足をしておきますと、下請政策、これはもちろん大変重要。それからもう一つは、いわゆる、僕は合法カルテルと言っているんだけれども、合法カルテルというと議論が、中小企業庁はそういう言葉を使わないのかもしれませんが、いわゆる独禁法の適用除外ということで、中小企業がいわゆる団体協約を結んでさまざまなことをやることが特別法で認められているわけであります。

 そういうところも、本当に、要はそれはバランスの問題で、やり過ぎると。中小企業政策の一番難しいところは、そこの手綱の緩めぐあい、強めぐあいでありまして、やり過ぎるとおかしくなるし、緩め過ぎるとまたおかしくなる。中小企業政策が出張り過ぎると今度は競争を阻害するし、一方で、緩め過ぎると逆の意味で競争環境が整わないということになるわけでありまして、日本維新の会は、これからも中小企業に注目をしてやっていきたいと思います。

 議事運営に問題ないですか。

赤羽委員長 全然ありません。

足立委員 ないですか。

 じゃ、世耕大臣には、引き続き、税制始めお願いをして、また、万博もまた御指導賜りますようお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

赤羽委員長 次に、笠浩史さん。

笠委員 未来日本の笠でございます。よろしくお願いします。

 先ほど、今の足立委員の議論の中で、中小企業、小規模事業者の政策としてやはり新陳代謝というものが必要なんだというようなお話がありましたけれども、私も、やはりこの事業承継、特に半分近くの企業が黒字で廃業するというような状況等々を何とかやっていくことと、あと、これはまた別途やらせていただきたいと思いますけれども、起業率というか、新しい企業をもっともっと生み出していくような政策、この両輪だというふうに思っております。

 そういう意味では、今回、法人版の事業承継について平成三十年度の税制改正で抜本拡充されたことで、先般ありました委員会でも、拡充前は十一年で二千五百件だった申請が昨年の四月からことしの三月までの一年間で二千九百件を超えた、十倍以上になっているということは評価をしたいと思います。

 今年度から個人事業者の事業承継税制についても抜本強化がされたということになっておるわけですけれども、個人はまさに今年度からということだけれども、経産省としてあるいは中小企業庁として、法人、個人それぞれに今年度どれくらいの申請を目指していくのか。何かそういう具体的な目標があれば、その点をお聞かせいただきたいと思います。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 事業承継時の重い税負担によりまして事業承継が阻害されることのないように、平成三十年度税制改正におきましては、法人版の事業承継税制を抜本的に拡充させていただいたところでございます。委員からも御指摘ございましたように、大変多くの御申請をいただいているところでございます。

 この法人版に加えまして、今年度から、個人事業者の承継時の贈与税、相続税の納税を一〇〇%猶予する個人版の事業承継税制を創設させていただきました。これらの法人版及び個人版ともに、今年度の申請件数の見込みを具体的にお示しするということは大変困難でございますけれども、事業承継に意欲のある多くの中小企業の方々には、これらの税制を積極的に御活用いただきたい、このように考えてございます。

 このため、法人版につきましては、引き続きでございますけれども、全国各地で開催されます事業承継税制に関する説明会やセミナーに職員を派遣いたしまして、事業者のみならず税理士等の支援機関の理解促進を図りますほか、新たに、この税制の活用に積極的な地域金融機関等の取組を調査させていただきまして、その横展開を図る事例集の作成、公表などを行う予定にしてございます。

 また、一方、個人版につきましては、まず、わかりやすいパンフレットを全国千六百五十三の商工会、五百十五の商工会議所などを通じて事業者の皆様にお届けさせていただきますとともに、税理士を始めとした全国三万三千百六十二、これは本年の四月二十六日時点でございますけれども、それらの認定経営革新等支援機関の協力を得まして、相談対応でありますとかあるいは制度利用の申請支援などを行っていきたいと考えてございます。

 中小企業庁といたしましては、これらの取組を通じまして、より多くの中小企業、小規模事業者の方々に法人版及び個人版の事業承継税制を御活用いただけるように、しっかりと取り組んでまいります。よろしくお願いします。

笠委員 目標というのはなかなか具体的な数字に出すのは難しいと思うんですけれども、やはり、個人事業者の事業承継が本当にどの程度進んでいくのかということは大変我々も注視をしておかなければならないし、そういった中では、非常に小規模の事業者も多いかと思いますし、そこあたりの事業承継のこれからの推移、あるいは、また進めていく上で、いろいろな問題点というのも、課題というものも出てくるかと思いますので、しっかりとそういった点については今後も引き続き対応をお願いをしたいと思います。

 先日の参考人質疑の中でも指摘があったんですけれども、ことしの四月から、まず大企業で働き方改革がもう既にスタートをいたしております。人手不足の中で、いろいろな残業の規制や有休の義務化等々、中小企業については来年、一年間の猶予を持って来年からのスタートということになるわけです。

 やはり、いろいろな今、商工会議所等々のアンケートでも、各地で行われている中でも、もちろん働く人たち、労働者の立場からすればこの働き方改革というものは非常に重要なんだけれども、他方、中小零細企業あるいは小規模事業者にとっては非常に死活問題になるんじゃないか、いろいろな不安の声も数多く聞かれますけれども、そういった点について、大臣はどういうふうな認識を持たれているか、お伺いをしたいと思います。

世耕国務大臣 今御指摘のとおり、来年四月から中小企業、小規模事業者への時間外労働の上限規制への対応について、やはり人手不足や、業務の忙しいとき、割と手がすいているときなどの課題であるとの声が上がっていることは承知をしております。一方で、働き方改革は、一人一人の事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現するために、これは大企業、中小企業、小規模事業者も含めて取り組んでいただくことが重要ではないかと認識をしております。

 特に、労働力人口が減少しているというこの現状の中で、女性や高齢者も含めて誰もが働きやすい環境を整えていくということを、これをやらなければ、中小企業、小規模事業者の人手不足が一層深刻化するおそれもあるというふうに思っております。

 実は、導入に当たっても、政府の中でもいろいろ議論をいたしました。中小企業はなかなか難しいんじゃないかという話もありました。また、中小企業団体の声も我々はいろいろ聞きましたけれども、やはり中小企業団体としても、大企業だけで働き方改革が進んでしまうと、中小企業の労働環境へのマイナスイメージが定着してしまう、そのことによって中小企業に人が集まらなくなるという懸念もあって、中小企業団体としても、大変しんどいけれども、この働き方改革は受け入れるという方向が決まったんだろうというふうに思っております。ただ、少し大企業より準備期間を設けるという意味で、一年おくらせるという形をとったわけであります。

 今回、むしろ中小・小規模事業者が働き方改革関連法にしっかり対応していただいて、これを契機に魅力ある職場づくりや生産性向上に一歩踏み出していただくことが必要だと思っております。

 経産省としても、ただ突き放して働き方改革をやれというのではなくて、IT化等を始めとした生産性向上に対する支援策もあわせて行うことによって、中小企業の働き方改革を応援してまいりたいと思っております。

笠委員 今大臣おっしゃったように、特に、やはり私も、中小企業も含めてこの働き方改革をやるということはもう賛成ですし、ただ、現実としては、やはりその規模にもよりますけれども、どうやって労務管理をするのかとか、経産省としても取り組んでおられますけれども、いろんなそういった声にはきちっと、周知徹底も含めて、引き続き力を注いでいただきたいと思います。

 それで、今、この不安の中には二種類あって、一つは、自分たちが来年からスタートさせるための環境をどういうふうに整えていくのかということと、もう一つは、もうこの四月から大企業で働き方改革がスタートしていることに伴って、やはりこのしわ寄せというのが及ぶんじゃないかというような懸念もあるわけです。

 そういった点については、常に、経産省の方で、実態がどのようになっているのかということも含めて、やはり弱い立場の中小企業に寄り添う形での対応というものも必要になろうかと思いますけれども、そうした点についての取組をお答えいただきたいと思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 下請取引の適正化につきましては、まさに世耕プランのもとで、随時、これまでと比較をいたしまして、大変、下請の皆様方に視点を当てた、総合的な対策を講じさせていただいております。

 今御指摘のいわゆるしわ寄せでございますけれども、これにつきましても、大変重要な問題だと認識をさせていただいております。

 下請Gメンによるヒアリングを今重点的に行わせていただいております。短納期発注がふえて在庫を抱えさせられている、あるいは親事業者が土日にやっていた作業をいわば回されている、こういったしわ寄せに関しますお声を把握をさせていただいております。

 こういった実態に基づきまして、昨年の十二月でございますが、下請中小企業振興法に基づく振興基準に、納期負担のしわ寄せの是正あるいは働き方改革の実現を阻害するような取引慣行の改善、この二つを重点事項として改正をいたしました。

 また、これに基づきまして、個別具体的な業種別の下請ガイドライン、そして業界の皆様方がおつくりいただきます自主行動計画にしっかりと反映をして、いわばPDCAを回して、問題行為が起きないようにさせていただきたいと思っております。

 また、仕組みといたしまして、厚労省が労働基準法違反の背景といたしまして下請法違反の取引上の問題を把握した場合には、公正取引委員会と私ども中小企業庁に情報提供を行う下請通報制度、こういったものの運用強化を昨年末に行ったところでございます。働き方改革に伴うしわ寄せに関します監督指導体制、これも一段と強くしてまいりたい、このように思っております。

笠委員 今いろんな、下請いじめあるいはさまざまな通報システムというようなことも紹介がありましたけれども、そういったことも、本当にどこにどうすればいいのかということをまだやはりわかっておられない方って結構あると思うんですね、そういう事業者が。

 例えば、大企業側にも、さまざまな通知というんですか、いろんな、きちっと取引上の配慮をしなさいよというようなことも経産省として厚労省と一緒に出されているというふうに承知をしておりますけれども、実際の下請側の方の人たちにやはりそういったことを更に徹底をしていただき、こういった窓口があるんだ、あるいは、こういったときにはすぐに相談ができるんだというようなことを、ぜひ体制を強化をしていただきたいと思います。

 最後に、今回の中小企業の法案では、中小企業、小規模事業者の自然災害への備えを強化するという観点でいえば、例えば従業員のマルチスキル、多能工化などは働き方改革にもつながる取組でもあろうかというふうに思うわけです。人手不足を補い、そして生産性をしっかりと向上させるためにも、こうしたことをかなり強く推進をしていくということが非常に重要だと思いますけれども、その点についての大臣のお考えを伺いたいと思います。

世耕国務大臣 一人の社員が複数業務に対応できるようにする、多能工化といいますが、この取組は、災害への備えにも効果を発揮するとともに、働き方改革にも資する取組だというふうに思っております。

 例えば、ある機械を扱うことができるノウハウが特定の従業員に属人的にくっついてしまいますと、緊急時にその従業員が例えば災害で出勤できないということになりますと生産活動に大きな支障が出るわけであります。

 一方で、業務の定型化や簡素化とあわせて多能工化を推進することによって、あらかじめ他の従業員もその機械を扱うことができるようにすることで緊急のときの人員不足に備えることができるようになるとともに、例えば、特定の品物の注文がたくさん入ってそれを増産しなきゃいけないというようなときですとか、あるいは担当の従業員がどうしても休暇をとるとか、あるいは介護、育児で会社へ来られないといったときに、他の従業員がカバーすることが可能となって、いわゆる業務の効率化につながっていくということもできるのではないかというふうに思っています。

 今回の法案では、BCPの記載事項のうち、災害に備えるための人的な対策として、多能工化への取組を認定対象といたします。また、多能工化を通じた災害への備えや先行事例の周知、全国各地でのセミナーや相談会の開催を通じて、普及啓発を進めていきたいというふうに思っております。

笠委員 本当に、やはり数が少ない従業員の中で、私も多能工化というのは今後の一つの大きな鍵になっていくと思います。ただ、なかなか、そういうスキルアップをするためのシステムというのは、これは経産省だけじゃなく、いろいろな場を、例えば、私は、文科省の方でいろいろな大学の活用ということも考えておる、あるいは、いろいろなそういったところも含めて、スキルアップをし、あるいは、時代に合わせた技術や能力を磨くことがそれぞれの地域の拠点でできるような形での体制づくりというものもまたしっかりとやっていくべきだというふうに思います。

 時間が参りましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

赤羽委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤羽委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、西村明宏さん外六名から、自由民主党、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、日本維新の会及び未来日本の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。山崎誠さん。

山崎委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 事業継続力強化に関する計画については、予算事業も活用し制度の普及啓発を図る他、とりわけ小規模事業者に配慮し基本方針で分かりやすい認定基準を示すとともに、計画内容を各中小企業者の実態に即したものとし、申請手続を簡素化するなど、消費税問題や働き方改革等への対応を迫られている事業者の負担軽減を図ること。また、商工会及び商工会議所に対しては、近年業務が増加傾向にあることに鑑み、小規模事業者の事業継続力強化支援事業が新設されることに加え、経営発達支援計画が関係市町村と共同して作成することとなること等を踏まえ、過度の負担とならないよう十分に配慮するとともに、地方財政措置等を通じて、関係市町村と商工会・商工会議所が一体となって地域の課題に応じた小規模事業者支援を実施できる体制が構築されるように努めること。

 二 プログラマーや弁護士等の社外高度人材をストックオプション税制の対象として認める課税特例については、合理的かつ客観的な計画認定基準を設定した上で、適切な認定を行い、認定後も計画の実施状況について継続的な確認に努めるとともに、税の公正の観点から制度全体を通じて適切な運用を行うこと。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審議の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

赤羽委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤羽委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、世耕経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。世耕経済産業大臣。

世耕国務大臣 ただいま御決議のありました本法律案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

赤羽委員長 次回は、来る十七日金曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十六分散会


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