衆議院

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第17号 令和元年6月19日(水曜日)

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令和元年六月十九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 赤羽 一嘉君

   理事 梶山 弘志君 理事 小林 鷹之君

   理事 國場幸之助君 理事 西村 明宏君

   理事 簗  和生君 理事 落合 貴之君

   理事 斉木 武志君 理事 富田 茂之君

      青山 周平君    穴見 陽一君

      石川 昭政君    石崎  徹君

      岩田 和親君    尾身 朝子君

      岡下 昌平君    神山 佐市君

      神田  裕君    木村 哲也君

      佐々木 紀君    冨樫 博之君

      野中  厚君    星野 剛士君

      細田 健一君    三谷 英弘君

      三原 朝彦君    宮澤 博行君

      八木 哲也君    山際大志郎君

      吉川  赳君    逢坂 誠二君

      菅  直人君    田嶋  要君

      松平 浩一君    宮川  伸君

      山崎  誠君    浅野  哲君

      泉  健太君    鰐淵 洋子君

      笠井  亮君    足立 康史君

      長島 昭久君

    …………………………………

   経済産業大臣       世耕 弘成君

   内閣府副大臣       あきもと司君

   経済産業大臣政務官    石川 昭政君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           新居 泰人君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            井上 宏司君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          西山 圭太君

   政府参考人

   (経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 岸  敬也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         小澤 典明君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            松山 泰浩君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 松澤  裕君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          山田 知穂君

   経済産業委員会専門員   佐野圭以子君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十九日

 辞任         補欠選任

  穂坂  泰君     木村 哲也君

  菅  直人君     逢坂 誠二君

  太田 昌孝君     鰐淵 洋子君

  笠  浩史君     長島 昭久君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 哲也君     三谷 英弘君

  逢坂 誠二君     菅  直人君

  鰐淵 洋子君     太田 昌孝君

  長島 昭久君     笠  浩史君

同日

 辞任         補欠選任

  三谷 英弘君     穂坂  泰君

    ―――――――――――――

六月十七日

 原発再稼働をやめ、エネルギー基本計画を見直し、再生可能エネルギーの比率を大幅に増加させることに関する請願(笠井亮君紹介)(第二二五三号)

 国と東京電力が責任を果たすことに関する請願(穀田恵二君紹介)(第二二五四号)

 原発・核燃・プルトニウム利用をやめることに関する請願(阿部知子君紹介)(第二三三八号)

同月十九日

 即時原発ゼロを求めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第二五六七号)

 同(志位和夫君紹介)(第二七六四号)

 原発・核燃・プルトニウム利用をやめることに関する請願(笠井亮君紹介)(第二五六八号)

 原発再稼働をやめ、エネルギー基本計画を見直し、再生可能エネルギーの比率を大幅に増加させることに関する請願(志位和夫君紹介)(第二七六五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

赤羽委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房審議官新居泰人さん、経済産業省製造産業局長井上宏司さん、経済産業省商務情報政策局長西山圭太さん、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長岸敬也さん、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官小澤典明さん、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長松山泰浩さん、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史さん、環境省大臣官房審議官松澤裕さん及び原子力規制庁原子力規制部長山田知穂さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。逢坂誠二さん。

逢坂委員 おはようございます。立憲民主党の逢坂誠二でございます。

 まず冒頭に、昨夜の地震で、新潟、山形、被災されました皆さん、被害に遭われました皆さんに心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 また、我が党も今さまざまな手段で情報収集しておりますけれども、政府の皆さんにおかれましては、迅速な情報収集、被害の把握、そして被害への対応をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、冒頭、大臣、きのう閣議決定された件について、ちょっと本題とは外れるんですけれども、お伺いさせていただきたいんですが。

 きのう、政府は、金融庁の二千万円老後足りなくなるんだというあの報告書に対して閣議決定を行っております。内容は何か。あの報告書を受け取らないことを決定した、それから、その報告書を前提にした質問には答えない、そういう閣議決定をされて、大臣もその閣僚の一員ですから、それに署名をされているわけです。

 これは、あの報告書を前提にして質問には答えない、そういうことをやるということは適切なことなんでしょうか。閣議決定すればそれは答えないで済むというふうに、大臣、お考えでしょうか。

世耕国務大臣 これは私の経産大臣としての所掌は離れますので、ちょっとお答えは控えさせていただきたいというふうに、これは金融庁マターだというふうに思っております。

逢坂委員 閣議決定した閣僚の一人でありますし、これは、何も金融庁だけの問題ではなくて、今後、さまざまな審議会、諮問、答申という行政のルール、これにかかわる問題でありますので、あえて聞かせていただきました。

 私は、これは、民間の全く政府に関係ない団体が何らかの報告書をつくって政府に提出をする、それは政府が受取を拒む、こういうことはあり得ると思います。しかも、その民間の、政府に関係ない団体がつくった報告書の中身について政府に質問されてもそれは答えられない、そういうことはあるというふうに思います。

 だがしかし、今回の報告書というのは、政府が、政府の職員が事務局になって、税金を使ってやっているものです。そのことについて、受け取らない、答えない、これは全く無責任なことであるということを冒頭強く指摘をさせていただきます。しかも、これは金融庁だけの問題ではありません。政府全体にかかわる問題ですのであえて聞かせていただきました。

 それでは次に、きょうの本題に入らせていただきます。

 原発のことについて聞かせていただきますけれども、まず、エネルギー基本計画によれば、政府の基本姿勢は、原発の再稼働については規制委員会の判断に委ねる、こういうことがエネルギー基本計画で書かれております。

 規制委員会というのは一体何を審査するところなのかというところでありますけれども、規制委員会は、プラント、いわゆる電力を発生させる工場としてのプラント、発電所、この安全性を審査するところ。万が一事故が起きたときに、その避難計画、こういったものを審査する場所ではないという理解で、大臣、よろしいでしょうか。

世耕国務大臣 この避難計画は、原子力防災の枠組みでいろいろとスキームが決まっているわけであります。その中に、当然、規制委員会の関与というのはあるんだろうというふうに思っております。

逢坂委員 規制委員会の関与がある、ただし、避難計画の妥当性を判断するものではないという理解はよろしいですか。

 関与があるというふうにあえて大臣がおっしゃられましたので。本当はそこまで聞く気はなかったんですけれども、関与があるとおっしゃられたので。避難計画の妥当性は規制委員会は判断しますか。

世耕国務大臣 規制委員会、避難計画策定に関しては、政府としては、自治体の避難計画の策定を支援をするということ、そして、原子力災害対策指針などに沿った具体的で合理的なものであるということを自治体とともに確認をするということ。そして、ここが今私が申し上げているポイントなんですが、原子力規制委員会の委員長も参画をする原子力防災会議において、国として了承するということになっているわけであります。

 こういった仕組みについては、原子力規制委員会が持っている専門的、技術的な知見、これが原子力災害対策指針という形でまとまるわけですけれども、これを踏まえながら、地域の実情を反映したしっかりとした避難計画を策定するという形になるわけでございます。

逢坂委員 原子力規制委員会が、災害対策指針、それを設けていることは私も承知をしております。それから、防災会議に規制委員会の委員長が出ることも私は承知をしております。だからといって、原子力規制委員会が地域の避難計画についてお墨つきを与えているのかどうか、そういう性質のものであるのかどうかということを聞いているわけです。

 あえて関与があるというふうに言われたので、これは質問する予定がなかったんですけれども、いかがですか。

世耕国務大臣 ですから、逆に、私は、原子力規制委員会が何も原子力防災に関係がないというふうに申し上げているわけでは、ではないですよ、関与はしていますよということを申し上げたわけであります。

 原子力防災会議というのは、議長は総理大臣でありますから、基本的に、政府の責任において原子力防災体制というものはしっかり組むということだと思っています。

逢坂委員 私が聞いているのは、規制委員会が避難計画について、これは妥当なものであるというふうに判断を下す、そういう仕組みになっていますかということを聞いているんです。

世耕国務大臣 避難計画の妥当性については、政府と自治体がともに判断するということになるんだろうと思います。

逢坂委員 じゃ、規制委員会が直接そのことについて判断を下しているわけではないということでよろしいですね。

世耕国務大臣 指針という形で全体は見ておられますけれども、個々の避難計画に関して原子力規制委員会が何かお墨つきを与えるとか、ゴーサインを出すとか、判断をするということはないと思います。

逢坂委員 最初からそう言っていただければよかったのでありますけれども。

 そうなんですね。原子力規制委員会は、防災計画の指針は示しておりますけれども、個別計画に立ち入るというようなことは審査の中でもやっていないと私は承知をしております。

 その上で、これも大臣の御認識を伺いたいんですが、どんなに規制委員会の審査を通ったとしても、原子力発電所の事故は起こり得るという認識でよろしいですね。

世耕国務大臣 これは、原発に限らず、いかなるプラントであっても、あるいは自動車、飛行機その他、我々がふだん使っているものであっても、一〇〇%の安全やゼロリスクということはないわけであります。

 むしろ、これは過去の我々の教訓として、絶対的に安全という考え方が安全神話につながっていくというようなことは絶対に避けなければいけないわけであります。

 安全神話に陥ることなく、原子力規制委員会と事業者の双方が継続的に安全性の向上に取り組んでいくということが極めて重要だというふうに考えております。

逢坂委員 あらゆる科学技術、あるいはそれをもとにしたいろいろな装置、仕組み、システム、そういうものは、誤りがないとか事故が起きないということはあり得ない、全くそれはそのとおりだと思います。

 ただ、特に原子力災害が重篤なのは、やはり、他の災害と随分違った側面を持っているというふうに思います。きょうはそこはあえて説明しません。前にこのことは大臣と議論させてもらったことがありますので、きょうはあえて説明しませんが。

 それで、政府のエネルギー基本計画によれば、原発を稼働させるということの中で、いかなる事情よりも安全性を全てに優先するということが書かれているわけでありますが、ここで言う安全性というのは、私は、プラントの安全性だけではなくて、実際に事故が起きたときに住民の皆さんがきちんと避難できるかどうかということも含まれている。全てに優先される安全性というのはそういうものだと理解をしておりますけれども、この点は、大臣、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 これは、避難計画というものがあるわけであります。当然、我々が、まず再稼働に当たっては、そのプラントの安全性について規制委員会から了解をとるわけであります。その上で、当然、避難計画というものも、これは何か法的、制度的にリンクをしているわけではありませんけれども、もう一つ我々が常に申し上げているのは、地元の御理解をいただきながらということを申し上げています。その地元の御理解というものの一つの要素の中には、いざ何かが起こったときにきちっとした避難計画があるということが含まれるんだろうというふうに思っています。

逢坂委員 理解の中に避難計画がある、地元の理解の中に避難計画があると。

 政府が言うところの、いかなる事情よりも安全性を全てに優先させる、この安全性の中に避難計画はない、そういう意味ですか。

世耕国務大臣 もう一度、まとめて申し上げますけれども、原発については、いかなる事情よりも安全性を最優先するというのが政府の方針であります。

 今度は避難計画ですけれども、これは、原発の再稼働する、しないと関係ないんですね。いずれにしても、地域住民の安全、安心の観点から早期に策定していくということが重要です。再稼働しなくても、今原発が存在する地域に関しては、できるだけ早く避難計画をしっかりつくっていくということが住民の安全、安心につながるわけであります。

 しっかりとした避難計画がない中で、原発の再稼働というものが実態として進むことはないというふうに考えているところであります。

逢坂委員 実態として進むことはないの実態としての意味を教えてください。

世耕国務大臣 ちょっと非常にばくっとした言い方になりますけれども、我々は、やはり地元の御理解もいただきながらというのも再稼働に当たっての一つの考え方としているわけであります。その御理解をいただくに当たって、やはり避難計画がまだできていないということであれば、これは実態として再稼働をなかなか進めることは難しいという面があるんだろうというふうに思っております。

逢坂委員 今、実態としての説明の中に、避難計画ができていないとなれば実態として再稼働はあり得ないという話でしたが、避難計画ができていない、避難計画がつくれない、そういうことも場合によってはあると思うんですけれども。できていないというよりも、物理的につくれない、そういう事情もこの中に入ると理解してよろしいですか。

世耕国務大臣 我々は、再稼働していようがしていまいが、避難計画というものは非常に重要だというふうに思っておりますので、基本的には避難計画はしっかりつくっていくというのが我々の方針であるし、つくれないということは想定はしておりません。

逢坂委員 つくれないことは想定していないと。わかりました。非常に重要な答弁だったと思います。

 それで、原子力防災担当のあきもと副大臣にきょう来ていただきましたが、あきもと副大臣も、原発については事故が起こり得るという御認識をお持ちなのかどうかと、ストレートに直接お聞きしたいんですけれども、全国の立地自治体、原発の立地自治体で、有効な避難計画、万が一事故が起きたときに地域の住民の皆さんが避難できる避難計画、有効なものがつくれるというふうにお考えですか。二点。

あきもと副大臣 お答え申し上げます。

 今、原発における事故が起きるのか起きないのかというお話でございましたけれども、これは、今世耕大臣がお話、答弁されていましたように、原発においても、例えば自動車においても飛行機においても、こういったものが一〇〇%事故が起きないということはなかなかないであろうということの中で、万が一に対する備えをどうするかということが大事だろう、そのように認識をいたしております。

 その上で、今避難計画等のお話がございましたけれども、この地域防災、避難計画につきましては、現在、地域原子力防災会議の枠組みのもと、関係自治体と国が一体となって、地域が抱えるさまざまな課題に対応できるよう着実に検討を重ねているところでございまして、また、より実効性のある計画となるよう訓練の実施等も支援しております。こういった取組を通じまして、有効に機能する計画を策定していけるものと考えております。

 今後とも、地域の実情や課題をよく把握しながら、有効に機能する計画が策定できるよう、国が前面に立ちまして、関係自治体と一体となってしっかりと検討を進めてまいりたいという思いであります。

逢坂委員 有効な避難計画が策定できるものと考えているって、そういうふうに考える根拠は何ですか。全てのプラント立地地域で有効な避難計画がつくれるものと考えている、そう判断する理由は何ですか。

あきもと副大臣 確かに、さまざまな避難計画、そしてまた原発に対する万が一の事故に対する対応、これは終わりとそして完璧はないということを思っておりますけれども、ここは本当に関係自治体と協議をしながら、しっかりと、さまざまな、いろいろな過去の経験やそして地域の実情というものをしっかりと把握しながらそれをつくり上げていくという、そういったものの中で構築していくものだというふうに理解しております。

逢坂委員 余り答弁になっているとは思えないんですが。

 なぜ私がこういう質問をするかといいますと、日本の原発立地地域は、原発を立地する際に、有効に避難計画がつくれるかどうかを事前にチェックして立地地域を決めてきたわけでは歴史的にはないわけです。従前は、事故は起きないんだということを前提にしてやっていますから、避難計画をつくることすら一時とめていた時期もあるというふうに私は承知をしております。

 だから、そういう歴史的な経過があるので、後になってから避難計画の有効性というものを考えなければいけない。立地地域としてそもそも避難計画をつくることが難しい、そういう場所もあるのではないかということを政府はきちんと認めるべきだと私は思うんですけれども、防災計画担当副大臣、いかがですか。

あきもと副大臣 繰り返し答弁になりますけれども、やはり地域の実情に合わせた、さまざまな課題を一つ一つ解決していく、そのために地域原子力防災会議、これを枠組みとして我々も動かしているところでございますので、やはりこれは、引き続き関係自治体と一体となって検討を重ねていくことで避難計画が策定できる、そのようなことを考えております。

逢坂委員 だから、有効な避難計画が策定できるという根拠が全くわからないじゃないですか。これこれこうだから有効な避難計画が策定できるんだということが、説明があればいいですよ。例えば、原発立地地域から人口が密集しているところまでの距離は、日本の原発というのは歴史的に何キロの範囲につくらない、こういうルールがあるんだ、だからそれは大丈夫なんだとかというのならまだしも納得できますけれども、何の根拠も示さずに、ただ有効な避難計画がつくれる、そう思っているって、無責任じゃないですか。

あきもと副大臣 今申し上げましたように、この避難計画につきましては、関係自治体とともに検討を進めさせていただいているところでございますが、今御指摘にあった人口等の問題につきましては、やはり人口が多い地域では住民の避難先確保が大きな課題であるということは認識しておりますので、県内に加えて県外にも避難先を確保すべく、関係自治体の広域避難にかかわる協定締結などを進めているところでございまして、また、移動手段といたしましては、自治体とバス会社等とも緊急時の協力協定、こういったものも締結しながら、また、その実効性確保のためにもしっかりと研修等も進めていきたい、そんな思いであります。

逢坂委員 今の答弁を聞いていると、原発については、以前は安全神話というのがあった。今はさすがに、安全神話はもうないんだということに変えていますよ。避難計画も安全神話じゃないですか、それだったら。有効に機能する避難計画がつくれると根拠もなしに言っている。避難計画に対する安全神話じゃないですか、それは。全国の立地地域、きちんと見て、本当に避難計画がつくれると思っているのかどうか。実際に見ただけでわかりますよ、それは。

 いかがですか、原子力防災担当副大臣として。本当は大臣とやりたいんですけれども、経産委員会には原田大臣は来ませんので、今度原田大臣の出るところでこの問題をやりたいと思いますけれども、副大臣の立場でいかがですか。私は、そういうところをきちんと認めないと、また事故が起きたときに悲惨なことになる、そう思っているんですよ。

あきもと副大臣 どうしても繰り返し申し上げることになってしまいますけれども、今御指摘のことも踏まえまして、やはり地域の事情に応じたさまざまな課題を一つ一つ解決していくしかないという思いでございまして、そのために、地域原子力防災協議会をしっかりと機能させていきながら、やはりこれは地域の事情に合わせて関係自治体と一緒になって検討を重ねていく、このことで避難計画をつくっていく。

 そしてまた、この避難計画を実効性に移していくためにも、防災訓練等をしっかりと定期的に行いながら、万が一のためにしっかりと備えていく、これをやはり積み重ねていくしかないというのが、私の今の現在の答弁でございます。

逢坂委員 その答弁ってなぜ出てくるのか。稼働を前提にしているからでしょう。稼働させないんだ、この原発はやめるんだとなれば、避難計画をつくれないところではもう稼働させない、そういう方針が明確になっていれば、今のような答弁にはならないはずなんですよ。

 あらゆるものを稼働させる前提だから避難計画が全部できると言わざるを得ない。おかしいんじゃないですか、その前提は。なぜ前提がおかしいかというと、エネルギー基本計画に書いてあるからですよ。いかなる事情よりも安全性を全てに優先させると書いてある。

 国民の安全を犠牲にして稼働すると言っているのに等しいんじゃないですか、今のは。

あきもと副大臣 お答えします。

 我々のこの地域防災計画また避難計画は、もう御案内のとおり、そこに原発が存在し、そしてまた核燃料がある限り、稼働するか否かにかかわらず策定して、継続的に充実強化を図っていくべきものとして理解しております。

逢坂委員 実は、それは全くそのとおりでありまして、そもそも避難計画をつくれるかどうかわからないところに使用済み核燃料や使用前の核燃料が、稼働する、しないにかかわらず存在しているということそのものが極めて危うい状況なんですよ。その状況でもつくり出してきたのは、これまでの日本の原子力政策の上にそれができている。だから、私は、まず避難計画優先に考えないとこれからの日本の原子力行政は考えられない、そういう指摘をさせてもらっているんですよ。

 そのときに、相変わらず、全国のどこでも有効な避難計画がつくれるんだという認識だったら、万が一事故が起きたときにどうするんですか。逃げられないところに危険なものがあるということなんですよ。その危険な状況を認識するというのは政治の役目じゃないんですか。政治しかこの判断はできないですよ。

 私は、何であえてこんなことを繰り返し繰り返し言うかというと、東日本大震災の直後に浪江村に行きました。浪江村の馬場村長さん、亡くなられましたけれども、避難している体育館で、馬場村長さん、泣いていましたよ。実際に事故が起きて、何の情報も来ない。そして、あらかじめ決められている防災計画も何にも機能しない。そして、自分の判断で村民を避難させた。避難させた当初はすごい批判も受けた。だけれども、それしか自分にはやる道はなかったと。本当にその判断がよかったのかどうかと、私に話しながら泣いていましたよ。

 そして、馬場村長はこう言いました。逢坂さんは自治体の長の経験があるからわかるだろうけれども、こういうときの自治体の首長のつらさ、何とかして村民の命を守りたいと思う、でも、あらかじめの約束が何にも機能していない、こんな絵そらごとの上で、本当につらい思いをしていると。

 そういうことをやはり二度と起こさないために、避難計画に対しても真正面から向き合わなきゃいけないんですよ。そのことを申し上げさせていただきます。

 失礼しました。浪江村と言いましたが、浪江町でした。失礼しました。

 それで、世耕大臣、改めて確認です。この避難計画のことは、これ以上言っても多分副大臣はお答えになられないと思いますので。

 避難計画、これが自治体の納得なしに、これでは十分な避難計画ではない、こんな状況ではこの地域の住民は万が一の事故の際には避難できないという状況の中では、安全性が確保されたと言いがたい、そういう認識でよろしいでしょうか。

世耕国務大臣 やはりこれは、再稼働する、しないとは避難計画は我々は関係ないと思っています。先ほどいみじくもおっしゃったように、使用済み燃料がプールに存在する限りは、やはり住民の安心、安全の観点から、この避難計画というのは早期に策定することが重要だというふうに思っています。

 先ほどから御指摘のように、住民の人数によっては、避難先のマッチングが難しいとか、バスなどの移動手段の確保がなかなか大変だとか、計画の策定の作業量が多くなることは事実だというふうに思いますが、地域の実情を熟知する自治体が中心となってしっかり策定を進めることが必要だと思いますし、自治体のみでは解決が困難な課題については、自治体任せにせず、政府を挙げて支援することになっているわけであります。

 避難計画の確認、了承というのは、再稼働に当たっての法令上の要件ではありませんけれども、これは、再稼働する、しないにかかわらず非常に重要なものだというふうに思っていますし、立地自治体との信頼関係の上でも極めて重要なものだというふうに思っておりますので、我々としては、自治体がしっかりと避難計画を策定できるようサポートしていくことが何よりも重要だと思っています。

逢坂委員 私の今の質問は、再稼働するかしないかの判断を聞いたのではありません。避難計画がつくれない状況というのは安全が確保されていないということでよろしいですかという質問をしたんです。稼働するかしないかを聞いたわけではありません。いかがですか。

世耕国務大臣 いずれにしろ、安全という観点では、再稼働しない場合でも、使用済み燃料がプールの中にある以上は早期に策定することが重要だと思っています。

逢坂委員 有効な避難計画をきちんと策定することが重要なのは、私はそれは認識は一緒です。ただ、そういう計画が策定できないという状況は安全性が確保されたと言えないという理解でよろしいですかと私は聞いているんです。

世耕国務大臣 お答えしているつもりなんですが、再稼働しようがしまいが、地域住民の安全、安心の観点から、避難計画というのは早期の策定が重要だと思っています。

逢坂委員 なぜ早期の策定が必要なんですか。

世耕国務大臣 それは、安心していただくためには、十分な避難計画があるということは当然安心の大きなポイントになるわけですから、立地している地域においては、できるだけ早くそういった計画があった方がいいんだろうというふうに思っています。

逢坂委員 安心のために避難計画が必要だ。じゃ、その避難計画ができなければ安心が確保されていないという理解でよろしいですね。

世耕国務大臣 そこはちょっと私ものりを越えてくるところがあるわけです、経産大臣としての。

 いずれにしても、地域住民の安心、安全の観点から、避難計画の早期策定は重要だというふうに思っていますし、しっかりとした避難計画がない中で、原発の再稼働が実態として進むことはないだろうと思っています。

逢坂委員 私、再稼働のことを聞いているんじゃないんです。避難計画がなければ安心できない、あるいは安全性が確保できない、そういう認識がどうかだけを聞いているだけなんです。

 それは、稼働する、しないにかかわらず、そこに使用済み核燃料があり、使用前の燃料がある、原子炉がそこに存在しているわけですから、危なさにおいては、稼働しているときと稼働していないときは若干の差はありますけれども、似たような状況であることはこれは間違いないわけでありまして、避難計画がきちんとつくれていなければ安全性が確保できていないというふうに判断するのが私は妥当だと思いますけれども、なぜそのことが言えないんですか。

世耕国務大臣 これは、私が安全とかそういうことをお墨つきをする立場にないわけであります。これは原子力防災の議論ということになるわけであります。

 それを前提にして申し上げると、たとえ、じゃ、避難計画ができたとしても、この避難計画でそれで完璧というわけではないわけです。常に状況に応じてその避難計画をバージョンアップしていくということが、ある意味、広い意味での安全神話に立たないということになっていきますし、計画を立てて終わりではなくて、当然、防災訓練とかを通じて、何か穴がないか、抜けているところがないかということを不断に点検していくことも極めて重要であります。

 そういう意味で、私は、避難計画があれば安全ということは、これは逆に、言うのは非常に適切なことではないというふうに思うわけであります。

逢坂委員 私は、避難計画があれば安全だという質問はただの一度もしておりません。避難計画がつくれない状況は安全性が確保されていないのではないか、少なくともそう言えるのではないかということを言っているわけです。避難計画がちゃんとできれば一〇〇%安全などということも言うつもりもありません。

 今大臣のお話にあったとおり、避難計画ができていたとしても、それは必ずしも安全ではないといったような趣旨の答弁をされました。であるならばなおのこと、避難計画ができていなければもっと安全じゃない、そういうことになるんじゃないですか、論理的に。

世耕国務大臣 当然、避難計画は、地域住民の安全、安心の観点から、早期に策定することが重要でありますので、政府としても、自治体をしっかりとサポートをして、自治体とある意味一体となって積極的に避難計画の具体化、充実化に取り組んでいきたいというふうに思いますし、各地域の計画の内容が、これは規制委員会が定めている原子力災害対策指針などに照らして具体的で合理的になっていることを原子力防災会議で確認をして了解をしていく、そういう流れになっているわけであります。

逢坂委員 流れの話を聞いているわけじゃないんですよ。

 それから、大臣、非常に重要な答弁をされました。自分が避難計画の安全性にお墨つきを与える立場ではないんだと。全くそれはそのとおりだと思いますよ。ここが実は日本の原子力行政の問題点なんですよ。

 避難計画について誰もきちんとした責任を持たない、そういう構造になっているんじゃないですか。協力してやるとかサポートするとか支援するとか、そういう言葉ばかりですよ。計画がきちんとしなければ稼働できないというのは、世界のいろいろなルールの中にあるわけですよ。アメリカにおいては、きちんとした避難計画が機能しないのであるならば、完成した原発の稼働すらさせなかった例だってあるんですよ。

 そういう立場にきちんと立たないと、国民の命なんて守れないんじゃないですか。そのことを申し上げて、終わります。

 ありがとうございます。

赤羽委員長 次に、山崎誠さん。

山崎委員 こんにちは。立憲民主党、山崎誠でございます。

 質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。今国会もいろいろな場面で御質問させていただきましたエネルギー政策、きょうも、エネルギー政策について、総括的にいろいろと御質問をしてまいりたいと思います。

 まず冒頭ですが、きのうの新潟、山形を襲った地震でございますが、柏崎刈羽原発の柏崎市も震度六弱という報道だったと思います。大変心配で、今のところ無事という報道は流れていますが、この後の余震もございますし、厳重な安全確保、最善を尽くしていただきたいと冒頭申し上げさせていただきます。

 それから、被災された皆さんには、本当に心からお悔やみを申し上げる次第です。

 今、逢坂委員とのやりとりの中で、私はこれはまた許せない発言がありました。よく、リスクの問題、絶対安全はないんだというときに、車や航空機の事故、原発、同じで、絶対に安全はないんだというお話をされています。だから、車の事故と航空機の事故と原発を比較すること自体に非常に私は違和感がありますし、大問題だと思います。

 原発事故というのは、国の存亡にかかわる、そういう事故なんですよ。福島のあの事故、まだ緊急事態ですからね。こういう事態を想定したときに、今のような比較を安易にされるのは大変失礼だし、間違っていると思います。

 絶対安全はないというお話がありますが、前もこの委員会の中でも議論があったと思います、絶対安全というのは、求めようと思えば、あるんですよ。廃炉を決定して安全な状態に持っていく、時間はかかっても原発をとめること、その決断をすることが、絶対安全をつくる唯一の方法です。国家存亡の危機を、このリスクを回避する方法はあるんですよ。だから、私たちは、原発ゼロ基本法案というのを出して、審議を求めています。

 この後お話しするいろいろな再エネにかかわるお話も、全部、皆さんの方針の私は間違い、私たちが示している方針の道筋をとれば、世界の標準、世界が進んでいく方向についていくことができる、そして、それをキャッチアップして日本の産業を立て直すことができる、そういう思いで質問をさせていただきます。

 まず冒頭、再エネの導入の目標について、資料一をつけました。政府の皆さんに求めましたら、上の表が出てきました。「主要国の再エネ発電比率」という表でございます。これを見ても、グラフの一番下のところに「再エネ導入目標比率」と書いてあって、日本は、おなじみの数字でございます、二〇三〇年に二二から二四%。これはキャップではないので、どんどんどんどんこれを上積みするんだというお話をいつもされています。横並びにずっと見ていただいて、日本よりも低い国はこの中にはありません。

 その下に表があります。これは自然エネルギー財団の表を借りてきましたが、これを見ても、一番右の欄を見ていただいて、例えばドイツでも、二〇三〇年までに六五%、再エネの比率です、二〇五〇年までには八〇%以上。フランスも、二〇三〇年までに四〇%。それから、EU、アメリカ、特にアメリカは、各州、州といっても大きいですからね、各州の単位で、カリフォルニア州は二〇三〇年までに六〇%、二〇四五年までに一〇〇%にしようと。こんな目標をそれぞれ立てている中で、一番下、日本は、二〇三〇年に二二から二四%です。

 私は、これではG20で世界のリーダーシップをとって、このエネルギーの問題、まともに議論ができないんではないかと大変危惧をしています。

 それから、日本の軽井沢の会合を見ますと、要するに、新技術に力を入れるんだ、CCSとかCCUとか、炭素を固定するようなそういう技術に力を入れるんだという議論も出てきています。それについて反対する国はないと思いますよ。やりたいんだったらやってくださいと。

 でも、どうでしょうか。この今の数字を見ていく中で、例えばCCSとかCCUに期待をする国というのが、どれだけあるか。こう言うと、いや、途上国は石炭火力とか安い火力発電所にまだ期待をしているんだと言いますが、二〇三〇年、二〇五〇年の世界になったら、例えば太陽光あるいは風力発電、そういったものと蓄電池を組み合わせたシステムで十分安定電源になる、そういう見通しが今はもう見えていると思います。

 そういう中で、CCS、CCUを、例えば二〇三〇年、二〇五〇年に実現した、実現した技術を使うところはないですよ。石炭だって有限な資源を燃やすんです。燃料費がかかります。そうした燃料費をかけて、例えば電気を発電する、CO2を排出しちゃいけないから、CCU、CCSで処理をするからいいんだ、そんな選択肢が残っていますか。

 私は、二〇三〇年、二〇五〇年にはもうそういう選択肢はないと。極端な話ですけれども、ないです、その技術をせっかく開発しても、いい技術になっても。だって、石炭火力がとまっているのに誰がそのCCU、CCSを使うんですか。私は、本当に皆さんの政策は世界の動向を読み間違っていると思います。

 もう一つ例を挙げます。

 RE一〇〇という、今、トレンド、流れが起きています。資料の二をつけさせていただきました。RE一〇〇、要するに、国際的なイニシアチブでグローバル企業の再生可能エネルギーの導入をとにかく進めて、二〇五〇年までにはその企業活動における電気は全部再エネ一〇〇%にするという宣言をして、目標を持ってこれに取り組んでいる企業がどんどんふえている。最新のデータもいただきましたけれども、これを見ると、世界で百八十社、うち日本企業は十九社、そういう状況です。

 このRE一〇〇は、いいですか、自然エネルギー一〇〇%です。原発の電気は認めていますか。どなたか答えられますか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 RE一〇〇と我々承知しておりますのは、再生エネルギーを念頭に置いたものと認識してございます。

山崎委員 なんですよ。

 この主要企業を見てください。この二についている表、GAFAはもちろん入っているし、世界をリードしている企業はみんなここに入ってシフトして、再エネでやっていこうと言っているんですよ。

 日本企業は残念ながらまだ十九社、そういう状況で、じゃ、例えば日本企業、例えば日本で製造するときに、原発の電気が入っていたらRE一〇〇の基準を満たさなくなる。いいですか、そうなったときに、日本企業は海外で勝負できなくなりますよ。部品も供給できなくなる。海外の企業から、自然エネルギー一〇〇%のそういう工程でできた製品だということを証明しろと言われる。そのときに、原発の電気を使って、安いから、安くないですけれども、安いからって使ったら、もう世界の企業の仲間入りができなくなるんです。

 そういう中で、いまだにまだ、先ほどお示ししたような自然エネルギー二二から二四%、原発二〇から二二、そういう枠組みを持っている日本というのは、本当に世界の中に取り残されていく、そのように私は強く感じております。

 では、次の話題に行きます。固定価格買取り制度についてです。

 固定価格買取り制度は、私は、大変重要な制度で、大きな再エネ後押しにはなったと思います。ただ、今の固定価格買取り制度の議論を聞いていて、すごく違和感を感じるんです。

 それは賦課金の話。賦課金の話をするときに、常に、再エネは高いな、再エネには賦課金、いやあ一年間に二兆円もかかるんだ、あるいは三兆円もかかるんだ、そういう情報、データ、あるいは発信が多くて、私は国民の皆さんみんな誤解をしていると思います。

 で、私は、この次の資料三をつくりました。

 この三の資料を見ていただきたいんですが、あ、そうだ、賦課金の性格について、麻生大臣に一言御答弁をいただきたいんですね。あ、ごめんなさい、世耕大臣、賦課金、FITの賦課金はどういうものですか。

世耕国務大臣 FIT制度というのは、長期固定価格での買取りによって投資回収の予見可能性を担保することで再エネの導入拡大を進める、そういう趣旨だと思っています。

山崎委員 大変淡泊な御説明でございまして、この賦課金の性格が私はすごく大事だと思うんですよ。それをどう皆さんが発信をし、それをどう活用するかで、今の再エネのエネルギー転換、エネルギーシフトを進められるかどうかの私は瀬戸際だと思います。今まだそれがきちっと、せっかくのFIT、賦課金の効果が出ていないというのが私の認識です。

 資料三を説明します。

 二つ四角を置きました。上が原発、下が再エネです。

 電気料金というのはどういうふうに考えているかというと、例えば再エネを見ていただくと、発電の原価があって、賦課金があって、一部政府が応援をしている研究開発費だとか広報費みたいなものも入っています。これ全体が、電気代というか、電気に係るお金というのが構造です。

 上を見ていただくと、原発です。

 原発も、発電原価があって、その上に研究開発、電源立地交付金、JAEA、「もんじゅ」等の研究開発、広報費等が乗っかって、これは政策経費と言われていますが、乗っかって全体が、この原発というシステム、これを動かしていくための負担になっているという構造だと思います。

 下の賦課金について。賦課金は、これは一時的な制度でございまして、下にちょっと下手くその山のグラフを描きましたけれども、賦課がずっと、負担が毎年毎年積み上がるんですが、最終的には、このFITの、固定価格、賦課金をゼロにできますから、すうっと負担は終了に向かっていきます。よろしいでしょうか。

 そうすると、毎年、例えば、今、上っていく中で、最高では三兆円にもなるんではないかと言われていますが、トータルで賦課金の累計というのは、これは私もざっくりですけれども、二十兆円とか三十兆円とかというお金を再エネのためにつぎ込むことになる、そういう考え方でいいと思います。

 これがFITの性格です。

 上の原発の経費は、政策経費、これは二〇一四年の数字、とりあえずありましたので載せました。三千四百五十億円というのが一年間にかかる。これに対して運転期間がありまして、これを掛けることで、毎年毎年この三千四百五十億というのが政策経費で出ていっている。

 これまでの累計、これは私が計算、ちゃんと、本当は政府の皆さんにしてもらいたいんですけれども、例えば二十五兆円とか三十兆円とか、そういうお金が今まで出ていったはずです。

 このお金は交付金、補助金で賄われていまして、それは電源開発促進税、それは電気料金に乗っているということでございますから、私が言いたいのは、上のこの政策経費と再エネの賦課金というのは性格が似たような性格でございまして、再エネだけが賦課金で高いんだというイメージではなくて、原発にも同じような、政策にかかわる経費、支援するための経費が乗っかっている、この事実をしっかりとまずは皆さんに共有していただかなければいけないのではないかということでございます。

 それで、この賦課金というのは、今お話ししたように、もう一定の金額が積み上がればそれで終わりなんです。ですが、原発は、運転すれば運転するほど、どんどんどんどんこの経費はかかっていくものです。

 これからまた、何十年かわかりませんが、皆さんの計画で再稼働していけば、このお金はどんどんどんどんふえていく。恐らく、二十五兆じゃなくて、五十兆になるかもしれない、四十兆、五十兆になっていくんでしょう。

 FITの賦課金は、もうこれ、終わります。終わったら、それが、一定の再エネ支援のお金として負担は終了する、そういう性格です。ここの賦課金の性格が私はとても大事だと思うんですよ。

 先ほどすごい淡泊な説明をしていただきましたが、この賦課金というのは、再生可能エネルギー導入を進めるための国家的な、国民に協力いただいた投資です。この再エネのメリット、安全で、そしてクリーンで、これがうまく動き出せば燃料費がかかりませんから、今、年間二十兆円というお金が外に出ているものを例えば半分にすれば、十兆円毎年浮くんです。そういう新しいシステムに切りかえるための投資なんですよ。それが、二十兆、三十兆というお金なんですよ。毎年十兆浮くと考えれば、もうこの投資の回収というのは、ちゃんと進めば、本当に二年、三年、四年で取り返せるぐらいの投資です。そういう投資をしているんだ、そういう認識を皆さんは持たなきゃいけないと思いますよ。

 それから、もう一つは、これが本当にうまくいけば再エネが伸びる。そうすると、新産業ですよ。前回質問させていただきましたけれども、今、日本、新産業としての再エネのビジネス、みんな失敗している。本当は、それを伸ばすためにもこの賦課金は大事なんですよ。そういう認識でこの賦課金を捉えて、国民の皆さんにも説明をして理解してもらう必要があるんじゃないですか。参考人で構いませんので、御意見を聞かせてください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御質問を頂戴しておりますFIT及びFITの賦課金のお話でございますが、御指摘のように、再生可能エネルギーが、もともとは、技術的にまだ未熟なところがあったものですから、これが市場の拡大を通じて自立できる、補助なしで市場に、そして社会に定着できるというものを実現していくための初期の段階での導入支援策、先ほど大臣が御答弁されたように、投資の予測可能性を高めることによって投資を拡大し、市場を拡大し、自立的なメカニズム、産業をつくるというものだと認識してございます。

 現在、このFIT制度を通じまして、日本は相当量の、太陽光中心でございますけれども、再エネ及び再エネ産業が国内に成熟してきつつございます。

 一方で、これまた従来から申し上げていますように、この初期の導入のためのコストというのも非常に大きなものに膨れ上がってきているのも事実でございます。年間二兆円、二・四兆円というところまで賦課金が来てございます。買取り総額も三兆円を超えた感じになってございます。これがしっかりとした自立したものになれるかどうか、これはもう待ったなしの状況でございますので、ゆえに、太陽光の自立、さらには再エネの自立ということを目指すためのFITの抜本的な見直しということが緊急の課題だというふうに認識して、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

山崎委員 今もう、くしくもおっしゃいましたよ。だから、そういう新産業を伸ばしていくために大事で、今もまたおっしゃっています、二兆円、三兆円の初期の負担が大きいんだという話を。だから、それは投資なんですよ。投資なんですよ。再エネで、例えば化石燃料の分、本当に半分賄えたら、それで十兆円浮くんですよ、毎年。その投資を、今、計算をすれば、二十兆、三十兆かかるかもしれません。毎年十兆円取り戻すために、その投資ができない、私はそれはないと思いますよ。そこを、今の答弁も、私は間違った印象を植え付けていると思いますよ。これは投資ですから、全体があって、それが次の経済につながるんですよ。

 今、FITの見直しの話がありました。いろいろなFITが残念ながら日本で伸びない理由というのがあります。この後も御説明したいんですけれども、時間がなかなかないので言うと、まだ原発依存で、原発を動かす、あるいは化石燃料をたくさんたく、そういうシステムに依存している日本の電力システムが、再エネを結局潰しているんですよ。ばあっと入りました、再エネ、太陽光。これはほとんどが投資目的ですよ、申しわけないですが。もちろん、すばらしいプロジェクトもある。でも、投資目的で、一回つくってもうければいいやというようなプロジェクトにお金が吸い取られている、そういう問題もありますよ。

 だから、今回、見直しの中で、資料四につけました、二つの成長モデルというのを出していただいている。競争力ある電源への成長モデルと地域で活用される電源としてのモデル、このモデルは私はとてもいいと思います。だから、地域で成長するようなモデルをこれから伸ばしていくように、FITをまだまだ使っていただかなきゃいけない、生かしていただかなきゃいけない。

 もっと言うと、太陽光だけではありません。風力発電、まだまだこれからです。水力発電、地熱発電、まだまだ伸ばしたい、伸ばさなきゃいけない。それが日本のエネルギーの安定にもつながる大事な分野がたくさん残っている中で、十把一からげでFITを終わらすとか、この競争力ある電源へという入札制度、これを過度にやることによって、地域で本当は伸びなきゃいけないような、そういう電源が落ちていく、そういう改革には絶対していただいてはいけないと思います。せっかくいいモデルを皆さん認めているんだから、それを進めていただきたい。御要望しておきます。

 次に、コストの問題、お話をさせていただきたいと思います。

 いつもこれは、麻生さん、麻生さんじゃないや、何で間違えちゃうんだ、世耕さん。何か年金の問題が頭にあって。世耕さんは、原発は安い安いと言っている。何を根拠におっしゃっていますか、世耕さん。

世耕国務大臣 それはコスト試算に基づくものでありまして、二〇一五年に外部有識者のもとで、原子力、そして再エネともに同じ土俵で、資本費、運転維持費、政策経費、社会的費用など全ての費用を含めて、建設から廃炉までのライフサイクルで計算したものであります。モデルプラントで計算をしています。

 二〇三〇年におけるモデルプラント試算という形で数字が出ておりまして、原子力は十・三円、キロワットアワーということになりますが、十・三円以上、そして太陽光は十二・七円から十五・六円、そして風力は十三・六円から二十一・五円となっているわけであります。

 コスト低減が太陽光では進んでいますけれども、足元の二〇一八年の平均的なコストは二十二・六円キロワットアワーとなっておりまして、現時点では二〇三〇年のモデルプラント試算よりも高い水準になっています。

 一方で、原子力については、当時のコスト検証に際しては、建設費等に加えて、追加的安全対策費用、事故リスク対応費用など全て含んだ試算となっていまして、福島事故費用の増加など、その後の状況を踏まえても、原子力発電は引き続き低廉な電源だと考えているわけであります。

 このように、直近のコスト検証から大きな構造に変化が生じているわけではないと認識をしておりまして、現時点ではやはり原発は安い。

 このコスト計算のやり方は、民主党政権のときにやられたモデルプラント方式というものを現代的に変えるべき数字を変えて計算をした結果であります。

山崎委員 私、きのうもらった資料と今麻生さんの答えが違うんで、あっ、済みません、何かね。何で、おかしいな、世耕さん大好きなのに。済みません。世耕さんのお話とちょっと違うんで、ちょっとあれですが、下を見てください、資料の五の下。

 例えば、原発のコストが安い安いと言っているモデル計算、私もモデル計算については熟知したつもりです。考え方としては、まあそういう考え方だというのはわかった上で、ただ、これ、二〇一四年の計算なんですよ。(世耕国務大臣「一五年」と呼ぶ)一四年の数字をとって一五年に計算したんですよ。じゃないですか。これ、資料に一四年と書いてありますよ。

 一四年なんですよ。なぜか。原発はもう新設がないから、だから、よって立つ見積りがないんですよ。建設コストを見てくださいよ。四千四百億円ですよ。今、原発、四千四百億円で建てられる国がありますか。どんな原発ですか、それ。少なくともこれは八千億とか一兆円に届くと言われているのが今の相場ですよ。それで、だって、イギリスも失敗しているわけでしょう。アメリカだって同じですよ。なのに、日本は四千四百億円で原発の建設コストを計算して、例えば、これは倍になっただけで三円は違いますよ、モデル計算で。だから、十・何円という話じゃないんですよ。今はもう十三とか十四、十五円にはなっているんです、皆さんのモデルをとって正しい数字に入れかえるだけで。

 こんな話をすると、いや、日本の建設技術は進んでいまして、日本には優秀なエンジニアがいるので、ほかの国でつくるよりも原発を安くつくれるんです、だから八千億円なんてかかりませんと。どこに根拠があってそんなことを言っているんですか。

 かように、このモデルはもう古いんですよ。風力だとか太陽光だって同じです。最新のデータに入れかえたら、今もお話しになった、もっと安くなります。

 今世耕さんが言った数字というのは、トップランナーの数字ではありません。平均的な数字と言っています。平均的な数字というのはどういうことか。FITの価格にも影響を受けて、決してトップランナーでないところ、高いコストが見込まれているプロジェクトも入れての金額なんですよ。トップランナーだけだったら、もっと安いプロジェクトはたくさんありますよ。八円、九円、そういうプロジェクトもたくさんあって、それを推奨するだけでも風力、太陽光の方が全然安くなるんですよ、原発よりも。それが皆さんの、安いと言う根拠の問題点です。

 原発だけ昔のデータを使って、安い安いと言っている。太陽光、風力については平均的な、トップランナーのしっかりとしたプロジェクトの数字をとらない。こういう、私も、申しわけない、言葉は悪いけれども、インチキなコストの説明はやめていただきたい。これは間違っています。

 それから、もう時間がないので最後ですが、系統の問題。

 系統の問題も、今、例えばコネクト・アンド・マネージをやりました、系統のあきをふやしましたと言う。でも、全国の再エネ事業者が一番困っているのは系統の接続です。全然改善していない。これをどう改善させるのか。

 きのうもいろいろ議論しました。結局、今の系統の整備は誰がやっているか。送配電事業者です。送配電事業者、大手電力会社ですよ。所有権分離もできていない。その大手の電力会社は、基本的には、今の原発や火力発電所をベースにしたシステムの中で再エネを入れようとしています。

 証拠が出てきました。私はびっくりしました。揚水発電所の稼働率、今どうなっているのというのをお聞きしました。電力広域的運用推進機関の二〇一九年の資料を見たら、揚水発電の稼働率、二〇一八年二・五%、二〇一九年一・七%。大変低いんです。揚水発電所というのは蓄電池の機能をしていますから、再エネの、皆さんが言う不安定だ、不安定だというのを吸収する、そういう機能があるはずです。でも、全然使われていません、一・七%です。

 それで、その先なんです。この資料には、二〇二三年、二〇二八年の予測の数字も出ているんですよ。二〇二三年の揚水発電の稼働率は何%だと思います。二・二%ですよ。二〇二八年の揚水発電所の稼働率、三・七%ですよ。

 全然、再エネをたくさん入れて、それを、不安定と言われている、皆さんが言う不安定、私はそうは思わないけれども、不安定と言われるものを吸収するための施設があるのに、その活用を何も考えていない。こういう人たちが系統の整備をしよう、系統の運用をしようとしているんですよ。全くルールは変えていないんです、今までどおりで。これが証拠ですよ。揚水発電、全然使わないじゃないですか。これでどうやって再エネをたくさん入れるんですか。

 皆さん口だけで、二・二から二・四%、これはキャップじゃないと言う。でも、計画づくりはその数字をもとにして、ごめんなさい、二二から二四%と言うけれども、でも、計画は、原発を生かしたそのモデルで計算しているんですよ。だから、こんなことになっている。系統なんか整備が進むわけないじゃないですか。この数字の意味を教えてください。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、再エネを入れるために接続ルールがございまして、いわゆる揚水運転を、発電所を使う前に火力を抑制して、つないでいくということにしているわけでございます。

 実際に九州でも、再エネをつないでいくために、火力を抑制して、必ず再エネを抑制する前には揚水発電を使うということにルールとしてなってございまして、このルールを今も九州でも実際守って対応しているところでございます。

 まず火力抑制をした上で、最後に揚水発電において受けとめるということにしているわけでございまして、このルールに基づいて、しっかりと再エネが入っていくように今後もしっかり運用してまいりたいと考えてございます。

山崎委員 時間になりましたので終わりますが、何の説明にもなっていませんよ。私は、二〇二三年、二〇二八年の話をしているんです。足元も大事ですけれども、将来どういうシステムをつくるのか、どういうシステムに移行するのか。世耕大臣もいつも言っているじゃないですか、ドイツと日本はネットワークが違うんだと。ネットワークを変えていかなかったら再エネは入らないですよ。思考や考え方、全く古いままで、何がキャップじゃないと。

 本当にこの再エネの問題というのは重要でございまして、日本の産業、国、社会、大きく変革するためにも大変大事なきっかけになる事業です。まともな政策議論をしていただいて、私たちの法案も審議していただいて、国民の皆さんといい議論をしなければ、このままでは日本は本当におくれてしまいます。

 終わります。

赤羽委員長 次に、宮川伸さん。

宮川(伸)委員 立憲民主党の宮川伸でございます。

 引き続き、エネルギーそして原発に関して質問させていただきます。

 我々は原発ゼロ法案を出しておりますが、結局、また審議をしていただけないまま終わるような状況になってしまっています。きょうの機会を使いまして、私の原発政策に対する考え方と政府の考えている原発政策の考え方、どちらが本来あるべきかということが少しでも議論できればと思って質問させていただきます。

 まず最初に、指定廃棄物について質問いたします。

 福島第一原発事故があって、そしてセシウムを中心とした放射性物質が飛散をしました。そして、福島県そして周りの自治体にそれが降り注いでしまいました。そういった中で、焼却灰を含めて放射性レベルの高いごみが、廃棄物が出てしまい、一キログラム当たり八千ベクレル以上のものは指定廃棄物として、出た県で最終処分場をつくって処理をするということで進んでいると思います。

 最初に質問しますが、福島県以外で、今この最終処分場が決定したところはありますでしょうか。

松澤政府参考人 お答えいたします。

 福島県以外の指定廃棄物でございますが、宮城、栃木、千葉の三県におきまして長期管理施設の詳細調査候補地を選定しておりますが、現時点では、長期管理施設の設置が決定した県はございません。

宮川(伸)委員 私、千葉の議員なので、もう少し千葉県の様子を話していただければと思いますが、なぜ最終処分場、千葉県は今決まらないような感じなのか、簡単に御説明いただけますでしょうか。

松澤政府参考人 お答え申し上げます。

 千葉県では、二〇一五年の四月に千葉市内の土地を長期管理施設の詳細調査候補地として選定いたしましたが、残念ながら、詳細調査の実施について地元の御理解をいただくまでに至っておりません。詳細調査の実施に向けて、引き続き千葉市などの関係者との対話の努力を続けてまいります。

 詳細調査の候補地を選定した二〇一五年四月以降、六月から八月にかけまして、市内で計五回の住民説明会を開催いたしましたけれども、残念ながら地元の御理解を得るに至っておりません。

宮川(伸)委員 私も何回か説明会はほかの県も含めて出させていただいておりましたが、じゃ、例えば、千葉県でここ一年間、どういう動きがあるんでしょうか。答えられる範囲内でお願いします。

松澤政府参考人 お答え申し上げます。

 この一年前後でございますけれども、大体、東葛の柏市、松戸市など、こちらの東葛地域の市が現在保管を継続されております。こういった市の首長様が大臣あるいは副大臣のところに今後の対応について御要望に来られて、我々の方で、柏市で例えば地元の説明の要望があれば職員がそちらに行ったり、あるいは千葉県庁と協議をしたり、こういうようなことをいろいろ進めてはおりますけれども、残念ながら進捗が見られる状況ではございません。

宮川(伸)委員 私、今、最終処分場の選定というか、どうなっているかというものもちょっとお聞きしたかったんですが、私が理解している限りでは、ここ数年、ほとんど何も動いていないということだと思います。私は、環境省の担当者の方、本当に御努力されていると思いますが、やはりなかなか最終処分場を決めるというのは困難である、厳しい、なかなか地元の了解が得られないというのが実態なのではないかというように思います。

 そこで、きょうお配りしている最初のページですけれども、絵があります。この絵、ポンチ絵で棒グラフみたいになっていますが、左側の緑が指定廃棄物、これは八千ベクレルなわけですが、原発から出る高レベル放射性廃棄物というのは、その右側のオレンジのものです。これは、出る放射性レベルが全く違う、一億倍ぐらい違うわけですね。

 こういう状況でありますが、世耕大臣にお伺いをしたいんですけれども、これから、この廃棄物、本当に最終処分場が決められるというようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

世耕国務大臣 これは、原発の再稼働の有無にかかわらず、高レベル放射性廃棄物の最終処分場を確保するということは、これは現世代の責任として、決して次の世代に先送りしてはいけない重要な課題だというふうに思っています。

 高レベル放射性廃棄物は、指定廃棄物とは放射能の濃度や処分方法など根本的に違うことがたくさんあるわけでありますけれども、処分を進めていく上で、国民や地域の皆さんの御理解と御協力をいただくことが重要であるという点では共通している面もあろうかというふうに思っています。

 高レベル放射性廃棄物の最終処分の実現に向けては、国が前面に立って対応するべく、二〇一七年七月に科学的特性マップを公表いたしました。広く今全国で、国民の理解を得ていくための対話活動を精力的に行っているところであります。昨年の十月からは、特にグリーン沿岸部を中心とした説明会を実施するなど、きめの細かい取組を更に進めているところであります。

 今、世界で唯一処分場を建設をしているフィンランドも、これは私も現場に行って地域の政治家とも議論してまいりましたけれども、長い歳月を重ねて、国民の理解、地域の理解にたゆまない努力を重ねてきた。最終処分の実現というのは全ての原子力利用国の共通の課題でもあるというふうに考えています。

 そこで、先週末のG20、軽井沢のエネルギー大臣会合の合間を使って、これは、日本、アメリカ、ロシアなどに加えてフィンランドにも参加をしてもらいました、あるいはOECD・NEAという国際機関にも参加をしてもらった国際ラウンドテーブルの立ち上げに合意をいたしました。フィンランドを始めとする各国の経験や教訓にも学びながら、対話活動を丁寧に粘り強く行って、一歩ずつ着実に前に進めていきたいというふうに思っております。

宮川(伸)委員 私、やはり大臣、この最終処分場を決めるのがいかに大変かというのがまだ御理解されていないんじゃないかと思います。説明会に行って、その周りの住民の方がどういう思いをされるのか、よく私は御理解していただきたいと思います。

 そして、福島第一原発事故がありました。それ以前とそれ以後では、私は大きく異なっていると思います。国民の多くも、福島第一原発事故以降は、できる限り原発を低減していくべきだということ。そして、核燃料サイクルに関しても、「もんじゅ」があんな状態で終わってしまいましたし、ASTRIDだってめどがないわけであります。こういった状況の中で、最終処分場のめどがほとんど立っていないような状況で再稼働していくというのは、政治として無責任だというように私は思います。

 今、指定廃棄物、これはさっき絵を見せましたが、八千ベクレルの指定廃棄物ですら最終処分場が見つからないんです。今、グリーンベルト、いろいろ説明されましたが、できるんだったら、じゃ、先にこの八千ベクレルの指定廃棄物の最終処分場をつくればいいじゃないですか。それもできないのに、無責任に高レベル放射性廃棄物を子供たちの世代に出していくというのは、私、政治としてこれは正しいやり方なんでしょうか。大臣、お答えください。

世耕国務大臣 指定廃棄物の最終処分については、これは環境省の所管ですから、私はコメントは控えさせていただきたいと思いますが、私は先ほど明確に申し上げたわけであります。高レベル放射性廃棄物の最終処分場の確保は次の世代に先送りをしてはいけない重要な課題だということを申し上げました。

 その上で、フィンランドが今唯一、世界でほかにできているところはないんです。フィンランドだけなんです、実際に建設までたどり着いているところは。だから、そういう意味では、非常に難しい、これは、世界各国、いろいろな難題に直面している難しい問題だというふうに思っています。だからこそ、国際ラウンドテーブルも立ち上げて、現世代の責任として、これは世界も連携してこの問題にしっかりと正面から向き合ってまいりたいというふうに思っています。

宮川(伸)委員 私はなかなかそう簡単にはいかないというように、私の考え方は、やはり、最終処分場のめどがない状況でこれ以上廃棄物をふやすのは無責任だということを、改めて、もう少しやりたいんですが、次のテーマに移りたいと思います。

 次に、上関原発に関してお伺いをします。

 これは山口県の原発でありますが、大臣は繰り返し、新増設、リプレースはしないという答弁をされていましたが、今も、新増設、リプレースはしないということでよろしいんでしょうか。

世耕国務大臣 これは、現時点において、原発の新増設、リプレースということは想定しておりません。

宮川(伸)委員 この上関原発、山口県、まだ何もない、更地の状況でありますが、これは、もし建設してつくった場合は新設の原発になるんでしょうか。お答えください。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 上関原子力発電所につきましては、まだ設置許可がおりていないため、仮につくる場合には新設に当たるというふうに考えてございます。

宮川(伸)委員 そうすると、大臣、今おっしゃられたことをかみ合わせると、上関原発は、経産省、大臣としては建設は想定していないということでよろしいですか。

世耕国務大臣 現時点において、原発の新増設、リプレースは想定していない、そのことに尽きると思います。

宮川(伸)委員 二枚目というか、裏に新聞記事を載せました。今、中国電力が六月十日に、この上関原発の建設のために、埋立免許の期間延長の申請書を山口県に出したということであります。

 その申請書の中では、海上ボーリング調査六カ月、そして埋立工期に三年というようなことが書かれているということでありますが、大臣、今、経産省としてはつくらない、想定していないという中で、こういった工事が行われる、そして山口県がこれをいいですよと言う、まだこれはいいですよという結果は出ていませんが、言うだろうと言われていますが、こんなことがあっていいんでしょうか、大臣。

世耕国務大臣 あくまでもこれは、経産省のエネルギー政策全体の中で、原発については、現時点で、新増設、リプレースというのは想定していないということであります。当然、各事業者とか自治体の判断でなされることというのはあるんだろうと思いますが、少なくとも経産省としては、今、原発の新増設、リプレースは想定しておりません。

宮川(伸)委員 ちょっと私、全く理解できないんですが、新設、リプレースしない、新しいのをつくらない、これは安倍総理も言っていると思います。にもかかわらず、埋立工事していいんですか。大臣、もう一度お願いします。

世耕国務大臣 ですから、現時点において、原発の新増設、リプレースは想定していません。埋立工事の許可というのは、これは私の権限ではありません。

宮川(伸)委員 大臣の権限があります。これは、山口県が承認するという理由の一つに、重要電源開発地点にここが指定されているから、国がこれを指定しているからという理由で、山口県はこの認可をおろそう、延長を認めようとしているわけであります。

 そして、次のページ、法律が書かれている、重要電源開発地点の指定に関する規程というのをきょうお配りしましたが、この中に、なぜ八年もたってこれが解除されていないかということなわけでありますが、左側に赤ペンで私が丸をしましたが、第七条、経産大臣は、指定を行った重要電源開発地点が第四条第五項に掲げる要件のいずれか適合しなくなったとき、その指定を解除することができるものとすると。だから、大臣がこれは解除できるわけですね。

 じゃ、どういう要件かというのがこの右側に丸をした赤でありますが、五の、十二項目あるんですが、全部これはやれないので、四というところだけやっています。「電源開発の計画の具体化が確実な電源であること。」と書いてあるわけです。これは、開発が確実でなければ大臣が解除できるんですね。

 今、新設やらないと言っている。何でこれは、計画が具体的な、確実なんですか、大臣。お答えください。

世耕国務大臣 上関原発については、事業者が有する計画や地元状況に変化がなく、また、事業者から重要電源開発地点の解除の申出がないという中でありますから、その指定を国がみずから解除する事情はないと考えています。

宮川(伸)委員 大臣、これは、規程、法律と、本当に立憲主義といいますか、法治国家なんですか。法律をここに私は出しましたよ。出しまして、大臣が変えられると書いてあるわけですよ、大臣の権限で。その要件として「電源開発の計画の具体化が確実な電源であること。」と書いてあるわけです。

 何で、新設をしないと言っているのに、御自身で言っているわけですよ、新設しませんよと言っているのに計画の具体化が確実なんですか。何で計画の具体化が確実なのか教えてください。

世耕国務大臣 繰り返しになりますけれども、政府としては、現時点において、原発の新増設、リプレースは想定しておりません。

 その上で申し上げますと、上関原子力発電所については、事業者が計画を遂行する意向でありまして、法令上の必要な手続や一定の地元理解が進んでいるという状況でありますから、計画の具体化が確実な電源であると考えています。

 ただし、その原発を新設を認めるかどうかというのは、これは規制委員会が判断することでありますし、政府としては、現時点においては、原発の新増設、リプレースは想定しておりません。

宮川(伸)委員 恐らく、多くの国民はその説明は全く理解ができないと思います。

 じゃ、ちょっと切り口を変えますけれども、電源立地交付金というのが出ていると思いますが、原発がとまりました二〇一一年から、上関町にこの電源立地交付金、毎年幾ら出ているか、お答えください。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 上関地点におきましては、二〇一一年度以降、毎年度約八千万円の電源立地地域対策交付金が交付されてきているところでございます。

 このほか、原子力発電施設等立地地域特別交付金といたしまして、二〇一一年度から二〇一二年度にかけて総額約二十二億円が交付された実績があるところでございます。

宮川(伸)委員 大臣が新設しないと言っているのに、なぜか国の方から自動的にお金が、三十億円ぐらいお金が流れているわけです。それも、毎年毎年、さっき八千万円とおっしゃっていましたが、一億円ぐらいのお金が毎年出ていっているわけですね。

 何で原発はつくらないと言っているのにお金が流れるの。これはいいんですか、こんなことで、大臣。

世耕国務大臣 電源立地地域対策交付金についても、これは重要電源地域指定と同様に、事業者である中国電力が持っている計画や地元自治体の置かれた状況に変化がないわけであります。また、事業者から重要電源開発地点の解除の申出などがない中で、交付を終了する事情はないと考えています。

 その上で、あえて申し上げさせていただければ、震災直後の二〇一一年度、あるいは、民主党政権下で革新的エネルギー・環境戦略なるものが策定をされて原発ゼロが打ち出された二〇一二年度においても、この上関地点に対する電源立地交付金は継続していたわけですね。なぜそのときやめなかったのかというのを逆に私もお伺いしたいぐらいですけれども。

 ですので、我々は、二〇一三年度以降もその扱いに変化がないという状況が続いているということだということは申し添えておきたいと思います。

宮川(伸)委員 少し過去のことも聞きましたが、しかし、気がついたときにしっかりやるというのが私は大事だというように思います。

 今ちょうど、これから埋立ての認可が延長するかどうかという議論があるわけですから、もう一度お伺いしますが、なぜ、新設しないと言っているのにお金がこのまま、これは延長されたら、またそのままお金が出続けるわけですよ。今気がついているわけですよ。

 もう一度お伺いしますが、もしかして、本当は新設するんだというような何らか密約か何かあるんですか。あるいは、安倍総理の山口県だから、それは何かお金が落ちるようになっているんですか。そうじゃなければ、何か、理由はなくないですか。新設しないと言っているのに、なぜこの重要電源開発地点が解除されなくて、毎年毎年お金が落ちるんですか。これは、もうちょっと国民にわかりやすく、大臣、お答えいただけますか。

世耕国務大臣 何度も同じお答えになりますけれども、原発については、現時点において、新設、リプレースというものは政府としては想定をしておりません。

 今御指摘の交付金については、重要電源開発地点の指定と同様に、事業者である中国電力が持っている計画や地元自治体の置かれた状況に変化があるわけではありません。また、事業者から重要電源開発地点の解除の申出がないという中で、その交付を打ち切る理由はないというふうに思っていますし、民主党政権下においても、原発ゼロを宣言された後でもこの交付金は支払い続けておられたわけであります。

宮川(伸)委員 改めて、私は、その説明は国民は理解しないと思います。怒ると思いますよ、国民。

 そして、気がついたときにしっかり直していくということが、今気がついているわけですから、しっかり直していくということを申したいと思います。

 ちょっと時間がなくなったので、もう少しやりたいんですが、最後、資料がありますので、もう一つだけやらせていただきます。

 プルトニウムに関する話です。更田委員長にもいらしていただいていますので、四十年廃炉ルールに関してまずお伺いをします。

 福島の事故があってから、国民のそういった声も聞いて、古い原発はもう動かさないということで四十年廃炉ルールがつくられました。そういった中で、細野大臣も、原則として四十年以上の原子炉の運転はしない、そして、延長においては極めて限定的なケースになるというように話をされています。

 更田委員長、この四十年廃炉ルールという考え方は今もしっかり生きていて、これに基づいてやるべきだということでよろしいですか。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 運転期間の延長の審査においては、いわゆる新規制基準への適合性のみならず、運転に伴って生じた設備の劣化状況を詳細に把握するための特別点検や、それを踏まえた劣化状況の技術的な評価等も確認することとしており、今後とも、厳正な運用、審査に努めていく所存でございます。

宮川(伸)委員 ちょっとはっきりと理解できなかったところもあるんですが、過去の委員長の答弁も含めて、やはり法律に基づいてということでありますが。

 時間がなくなってきたのでちょっと飛ばして、私は、こういう変なグラフをきょうお持ちをしました。これは自分で、市民グループの方々とも一緒に計算をしたものであります。

 もし、四十年廃炉ルールということを守って、そして、このモデル一というもの、上の段にあるやつですけれども、これは、東海第二、美浜三、高浜の一、二はもう六十年が決まっていますから六十年と仮定をして、そして六ケ所村の再処理工場が稼働するということを仮定をして計算をします。

 その場合のプルトニウム量がどうなるかということですが、今、四十七トンのプルトニウムが日本にあって、これは六千発近い核爆弾に相当する量で、これが適正かという問題があるわけですけれども、四十年廃炉ルールにのっとってやっていった場合、この線になりますが、これは右肩上がりで減らないわけですよ、プルトニウム。ずっとふえて、二〇六〇年には百四十トンぐらいのプルトニウム量になるわけですけれども、大臣、最初からこれは六十年動かす予定でいらっしゃるんですか。

世耕国務大臣 六十年動かすかどうかというのは、これは事業者の判断と規制委員会の判断でありまして、私は全く関与する部分はございません。

宮川(伸)委員 全く無責任な答弁だと思いますが、ということは、プルトニウムが右肩上がりで上がっていくこともしようがないというふうに大臣はお考えでいらっしゃるんですね。

世耕国務大臣 利用目的のないプルトニウムは持たないというのが政府の大原則でございますし、国際社会に対してもそういう形で説明をしてきているところでございます。

宮川(伸)委員 全く理解ができません。

 これは右肩上がりになっているのに……(世耕国務大臣「それはフル稼働させているからですよ」と呼ぶ)いや、違いますよ。今ある核廃棄物一万八千トン、これを再処理していってプルトニウムがどんどん出てくるんです。これから出てくる量もありますけれども、それは大した量じゃないんです。今残っている廃棄物を再処理することで出てくる量が非常にきいているんです。これは右肩上がりですよ、大臣。なぜ利用しないプルトニウムが右肩上がりで、説明できるんですか。

世耕国務大臣 これは二〇一八年七月に公表いたしましたプルトニウム利用の基本的な考え方というのに明確に記載されていますが、再処理等拠出金法の枠組みに基づいて、プルトニウムの回収量を経産大臣がコントロールできる仕組みがあります。これを活用することなどによって適切な管理と利用を行って、利用目的のないプルトニウムは持たないという原則を堅持していくことになっています。

宮川(伸)委員 時間が来ましたので終わりにしますが、私は、今の原発政策、きちっと説明できていないと思います。そして、新設ありき、新設がなければ成り立たないような計画のままだと思いますので、これは引き続きまたやりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、松平浩一さん。

松平委員 こんにちは。立憲民主党の松平浩一です。

 きょうは、最近立て続けに適時開示が出ていて、ちょうどきのう株主総会が行われましたジャパンディスプレイについてお聞きしたいと思います。

 資料一としてお配りさせていただきました。

 これは、今までのINCJによるジャパンディスプレイに対する支援をまとめました。これは、二〇一六年以降、数字を足すと、何と、全部足すと二千六百二十億円になる支援額。当初の、一番最初の二〇一二年の支援、こちらを含めるとトータルで四千六百二十億円の支援になっている。結構、一民間会社に対しては大きい額なんですけれども。

 まず、この最近の支援の中で金額の大きい二〇一七年八月に行われた債務保証、こちらについてお聞きします。

 これは、備考のところに書いていますけれども、みずほ銀行、三井住友銀行等からの融資枠についてINCJが連帯保証しているという話です。連帯保証というのは、御存じのとおり、保証の時点では何ら出捐はないわけですね、出費がないわけです。ですので、実際にこのINCJのBSを見ると、負債の欄に載っておりませんでした。平成二十九年のですね。債務保証って大抵注記事項なので、個別注記表を見ると、やはり記載されています。これは九百八十億円であると。つまり、繰り返しますと、負債としての仕訳ではないですね。

 ちょっと確認したいんですが、この保証債務、今どうなっているのか。例えば、これがJDIにかわって、既にみずほ銀行ですとか三井住友銀行に返済したりですとか、かわって、INCJが、そういう話なんですか。これ、今どうなっているか教えてください。

西山政府参考人 お答え申します。

 今委員から御指摘ございましたとおり、二〇一七年にINCJがJDIに対して債務保証一千七十億円を行うということを決定いたしておりまして、これは引き続き債務保証として提供されております。

松平委員 じゃ、まだ債務保証の状況だということなんですけれども、先日、四月十二日と五月三十日の適時開示を見ると、新規貸付け及び優先株によるリファイナンスを行うとされているんです。

 四月十二日の適時開示、これは資料二としてお配りしました。

 資料二の下から四行目のところ、当該INCJ新規支援により当社が取得する総額千五百二十億円を原資に、INCJ既存支援のうち、本連帯保証の被担保債務である本コミットメントライン契約、これの千七十億と、それから本短期貸付け及び劣後CBについて、当社が速やかに弁済又は買入れ消却をするということを書いてあるんです。

 これは、当初は七百七十億の新規貸付けと七百五十億円の優先株という形だったのが、それが五月三十日の適時開示で変わっていまして、優先株式の枠が広がっているんですよね、千二十億の引受けになっている。これが資料三の三ページ目にあるんですけれども、これは上から六行目ぐらいで、「それぞれ変更すること、」と書いてあるので、ここの部分なんですけれども、ちょっと紹介だけさせていただきますと、これは簡単に言うと、先ほどお配りした資料一、これの米印二の、劣後CBと債務保証とシニアローンが五百億の新規貸付けと優先株の千二十億の引受けに変わっている、そういうことなんです。これは、先ほどちょっと御答弁で出捐が発生していないといった状況がこういった状況になるというのは、恐らくみずほ銀行とかにINCJが返済するような約束をしているのかもしれない。

 ですけれども、その上で、このJDIに対する債務となった上で、これをリファイナンスして、優先株にデット・エクイティー・スワップをしているわけです。DESをしているわけですね。

 これは、すごく私が不思議だと思ったのが、不思議というかどうなのかなと思ったのが、優先株になっているというのは、優先株はローンと違って返済義務がないわけなんですね。だから、今までは返済しなきゃならないローンだったのが、返済しなくていいエクイティーになっている。それで、もともとは負債計上されてもなかったわけですよ。それが千二十億の、五期連続純損を出している会社のエクイティーになっているんですよ。継続企業の前提に関する注記がついている会社のエクイティーになっている。もう大変価値が低くなっていると思います。これは、リファイナンスという言い方をされていますけれども、大変な金額の新たな支援と言っていいと思います。

 しかも、もう一つつけ加えると、この優先株ですね、五月三十日の適時開示をよく読んでみますと、これは資料三の三ページ目の、最後のページです、真ん中ぐらいにあるんですけれども、JDIに、下線のうちの最後の下線、本優先株式に付される上記の金銭を対価とする取得請求権を行使しないことについて合意しましたと。これは、最初の約束は、払込金額で買い戻される約束がしてあったんですね。だから、つまりそれはローンと変わらなかったわけですよ。その権利をもう行使しない合意をしている。つまり、もう上げますよという話なんです、千二十億。

 今回のこのリファイナンスというのはとんでもない金額の新たな支援なのかなというふうに思うんですけれども、その認識でいいんでしょうか。

西山政府参考人 今委員から御指摘がございましたいわゆるリファイナンスにつきましては、これはもう委員よく御案内のとおり、かねてよりJDIが、いわゆるグローバルパートナーの経営への参画、具体的には出資を含むわけでございますけれども、その調整の中で出てきた考え方でございます。したがいまして、これはあくまでも、今のところ、台中連合あるいはSuwa等々と名称はございますけれども、そうしたグローバルパートナーとの提携が成立した場合に、それを実現するための対応として行うものというふうに承知しております。

 したがいまして、今先生御指摘のとおり、これまで債務保証、ローンとして提供されていたものが新たに優先株というふうに、いわゆるDESという形で変化をしているということは事実でございますけれども、それはあくまで、これまでの出資者に加えて、今のところは、台中連合と呼んできておりますけれども、の新たな出資者が参画をする、それを実現するための対応として今のところ議論をしているものだということでございます。

松平委員 台中連合の参画を実現するための対応、だから、つまり支援を前向きに検討してもらうための対応ということなんですよね。だから、条件交渉の材料だという話なんですけれども、余りにも、私は、その材料としては金額が大き過ぎるんじゃないかなと思います。

 ただ、そこまでしても、月曜日、一昨日か、新たな適時開示で、台湾のTPKホールディングスは見送りだ、そしてCGLグループも離脱の可能性ありという話だったわけです。

 今回、それだけじゃないんですよね。もう一つのリファイナンスとして、これはローンのかわりにということで、今までローンを持っていた、そのかわりにJOLEDの株式を代物弁済するということも約束されているんです。

 資料三の、やはり真ん中くらいで下線を引きました。資料三の……(発言する者あり)そうですね、二ページですね。済みません、二ページ、「ブリッジ・ローン契約としての金銭消費貸借契約に基づく」云々というところですね。こちら、四百四十六億九千五百四万円の分のローンを代物弁済している、JOLEDの株式で。

 私、ちょっと驚いたのが、もう一つ五月三十日に適時開示されているんです。これは資料四としてお配りしたんですけれども、こちらを見ると、本件譲渡に伴い、この本件譲渡、これは代物弁済の、JOLED株式の譲渡のことですけれども、当社、当社というのはJDIですけれども、当該特別利益として約二百億を想定しておりますと。特別利益二百億を想定しているんですね。

 普通、代物弁済って、同等の価値のものでかわりに弁済するものなのかなというふうに思っていました。これは何でJDIに特別利益が発生するのか、しかも二百億も、代物弁済で。逆に言うと、INCJ、これは二百億を損する取引になっているんです。

 この代物弁済、JOLEDの株式へ、これは株価算定をちゃんとしているのか、フェアネスオピニオンをちゃんととっているのかと思うんですね。とっていないのであれば、取締役の株主に対する忠実義務とか善管注意義務違反にもなりかねないかなと思います。

 又は、この二百億というのは新たな支援だと割り切っていらっしゃるのか。この二百億について、新たな支援なのかどうか、お聞きしたいです。

西山政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま委員から御質問がございましたのは、JDIがこれまで保有しておりましたJOLED株をINCJに譲渡することをもって、株式を譲渡することをもって代物弁済をした取引のことを御指摘なわけでございますけれども、JOLEDは、御案内のとおり、印刷用の有機EL技術を開発するために設立されたものでございます。いわゆるベンチャーでございますが、当然、JDIが出資をいたしました時点と比べると、その印刷式のOLEDの技術の開発が進展している、あるいは具体的な事業計画が具体化をしているということがございますので、そうした点を勘案して、現時点において最も公正な価格を評価をして算出することとしているものだと承知しております。

 ただ、先生今御指摘のございました適時開示にございますとおり、今の段階では、五月三十日段階では特別利益として約二百億円を想定しておりますが、「詳細が確定次第、」というふうに記載されていると承知しておりますので、今先生が御指摘になりましたようなさまざまな、公正な価格かどうかについては、きちんと審査をした上、また、当然でございますけれども、それぞれの会社において会計監査人の監査もいずれ受けることになるというふうに承知しております。

松平委員 今御答弁いただきましたように、公正な価格、では、もしかしたらまだ決まっていないということであれば、ちゃんと外部の意見を聞いて評価していただきたいと思います。

 それから、また別の支援もありまして、資料一の最後のところ、ブリッジローンですね。最後の行ですけれども、これは、ちょっとタイミングを見ると、資料五として用意したJDIの純損の推移の表なんですけれども、最大六百億のブリッジローンの約束、これは九百八十五億の純損をFY二〇一八の第四クオーターに計上しているんですが、そのタイミングだったということなんですね。

 それから、先ほどちょっといろいろお話ししたリファイナンスのところですね。このリファイナンスのところを、またちょっと資料三に戻っていただきたいんですけれども、一ページ目の最後、リファイナンスのところですね。下線を引いてあるんですけれども、これを読むと、「会社を取り巻く事業環境が厳しさを増してきたこと等の要因から、当社の資金繰り及び収益力が急激に悪化するに至りました。このような状況を踏まえて、」云々と。それで、「当社筆頭株主かつ最大債権者であるINCJからリファイナンスを含む各種支援を受けて、」というふうに書いてあるんですが、リファイナンスは資金繰りのためということも、もうちゃんとこれはJDIの方から認めているんですね。

 前回、委員会で大臣から、このINCJの目的、投資基準というものを御答弁いただいたときに、オープンイノベーションを実現し新たな付加価値を創出する目的で投資しているんですよと。そして、「ゾンビ企業の延命ということは、INCJの業務としてはあり得ません。」と、これははっきりおっしゃっていらっしゃいます。

 それで、その上で、では、今までの投資は有機ELの量産に向けた開発であるとかという形をおっしゃっていたんですけれども、今回はさすがに、今回のリファイナンスとブリッジローンもそうですけれども、これはさすがに延命のためじゃないですか、運転資金のため。JDIも認めていますから、適時開示で。だから、さすがに今回は目的外とお認めいただいてもいいんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

世耕国務大臣 今御指摘のように、ジャパンディスプレイが設立された二〇一二年当時、まさにオープンイノベーションの理念のもと、日本の高い技術力を結集して、当時急成長が見込まれていたモバイル向けの液晶パネルを中心に、グローバル市場で競争力を高めていくという戦略を持っていた。そういう戦略を実現するために、INCJは支援基準に適合する形で出資を行ったわけであります。

 一方で、出資を行った後、その企業に対して、INCJとしては、オープンイノベーションの実現を図るというのはこれはもう当然ですけれども、一方で、過去に行った投資の回収を最大化するですとか、あるいは国内雇用を含む事業の安定化の実現も目指して、適切な役割を果たしていくことになるわけであります。

 ジャパンディスプレイは、ディスプレー市場における競争環境が激変したことを受けて、二〇一六年十二月の中期経営計画で、グローバルパートナーを確保して、量産投資に必要な資金力を確保する必要があるという戦略を明確にして、それ以来、グローバルパートナーの確保に向けた検討、調整を続けてきているわけであります。

 こうした中、今回、中国ファンド等から成るSuwaコンソーシアムとの提携実現のために、関係者の調整の中で、INCJとして、債務の優先株化等の既存債務のリファイナンスによってジャパンディスプレイの財務体質の改善を図っていく必要があると判断したものと認識をしています。

 ゾンビ企業に一から投資をするという話とは、根本的に異なっていると思っています。

松平委員 財務体質の改善、過去の投資の最大化ということなんですけれども、過去の投資の最大化を図るために今回みたいにまた支援をしていくということであれば、これは何でもできちゃう気がしますね。だから、もし過去の投資の最大化をして財務体質の改善を図るための支援もするということであれば、やはりそれはちゃんと、支援目的としてこのようなことに使いますよということは僕は書くべきだと思います。それを言ったら、本当に、単にゾンビ企業を延命させているということを何か言いかえているだけのようにしか聞こえない、申しわけないですけれども。

 だから、私は、ここはやはりちゃんと真正面から、ブリッジローンという言葉の使い方もそうですし、JDIがみずから資金繰りのためと認めることもそうですので、やはりそこは真正面から認めて、INCJの投資基準を変えていくというアプローチが正しいのかなというふうに思っています。だから、これは感触として、やはりローンのままだと潰れたら返ってこないわけですよね、ただ、それじゃ困るので、新たな支援を引き出すために、圧縮して、リファイナンスしましたよ、それが僕は真実のところなんじゃないかなというふうに思っています。

 それで、六月十四日の適時開示を見ると、これは、ちょっとごめんなさい、資料にはないですけれども、Suwaコンソーシアム、中台連合からの機関決定の通知は来なかったと。それで、六月十七日の適時開示で、台湾のTPKホールディングスが交渉から離脱しましたよ、そして、もう一社のCGLグループからも機関決定の通知を受けていませんと。この台湾の二社が離脱すると、当初予定していた八百億から四百億弱足りなくなるという報道もあるぐらいです。ただ、一方で、もう一社の中国のハーベストグループが出資予定額を上げるですとか、他の香港の投資ファンドですね、出資を検討しているとか、あと、やはり気になったのが、国内企業を中心としたグループからも出資の意向表明があるという形なんです。

 それで、私、これだけ、資料一でまとめたように、四千六百二十億円も支援し続けてきた企業が最終的に外資のものになるというのはやはり納得いかないんですね。やはり、国内のイノベーションを支援していくということでやってきたのですから、あくまで国内企業を中心としたグループから支援してもらえるようにすべきじゃないかなというふうに思っているんですけれども、その辺というのはどうです、大臣の所感として。

世耕国務大臣 JDIが、中国のファンドなどから成るSuwaコンソーシアムとは別に、国内の事業会社を中心としたグループからも出資に関する意向表明を受けているということについて適時開示をしたことは承知をしているわけであります。

 ジャパンディスプレイは、ディスプレー市場における競争環境の激変を受けて、二〇一六年十二月の中期計画で、グローバルパートナーを確保して、量産投資に必要な資金力を確保する必要があるとの戦略を明確にして、それ以来、グローバルパートナーの確保に向けた検討、調整を続けているというふうに承知をしております。

 今は引き続き関係者で出資に向けた調整が行われているわけでありますので、まずはその状況をしっかり見守りたいというふうに思います。

 ディスプレー業界は、やはり、量産体制に向けた膨大な投資が必要という、これが厳しい現状でありますので、そこに向けてどういう対応をするかというのをしっかりジャパンディスプレイが判断をしていかれるべきなんだろうというふうに思っています。

松平委員 ちょっと先ほど質問を一つ飛ばしてしまったんですけれども、私、これも確認したかったので、ちょっと教えていただきたいんですけれども、リファイナンスですね。Suwaコンソーシアムが最近の適時開示でちょっと怪しくなっているというところなんですけれども、そうなった場合って、する、すると言っていたリファイナンスというのはどうなるのか、これを教えてもらってもいいですか。これは、だから、Suwaコンソーシアムが前提なのか、支援先、第三者割当て先が変わったときにまた新たな枠組みを検討し直すのかどうかというところ、教えてください。

西山政府参考人 先ほど委員から御指摘ございましたとおり、今、適時開示として公表しておりますいわゆるリファイナンスにつきましては、Suwaコンソーシアムとの提携を前提として、それに当たり公表し、そのコンソーシアムが実現した際に実際に実行されるものというふうに承知しております。

 他方、これも今委員から御指摘ございましたとおり、いわゆるSuwaコンソーシアムとは別のグループからも出資に関する意向表明を受けておりますが、これについて、仮にそうしたグループと提携することになりました場合には、当然でございますけれども、それぞれ先方が提供する内容そのものも変わってまいりますので、それぞれとの相手先と必要な対応についての調整が行われるものと承知しております。

松平委員 済みません、時間がなくなりましたので、最後に一問だけ、済みません、クイックでやります。

 これは、五期連続赤字になっていて、それで、六月十二日にリストラが発表されています。それで、白山工場も減損して四百から五百億特別損失を計上するということで、INCJも未回収分が二千八百億ぐらいあるわけです。

 これは、株主が経営責任を問える数少ない制度で株主代表訴訟とかあるんですけれども、それも含めて、責任について、最後、大臣、どう考えているのかお聞かせください。

世耕国務大臣 責任という点では、代表取締役社長が業績低迷の責任をとって九月末で辞任することを発表しています。また、役員報酬の削減も決定をしています。こういうことになったのは大変残念でありますが、INCJとして、投資価値最大化を図るべく、引き続き構造改革の徹底などによって経営改革に努めるJDIを支援していくことを期待したいと思っています。

 代表訴訟については、一般論として申し上げれば、企業の経営判断については取締役に広い裁量が認められるべきであるとされておりまして、その判断の過程や内容に著しく不合理な点がない限りは、取締役としての善管注意義務に違反することには当たらないのではないかと思っています。

松平委員 国民が納得する支援それから監督を行っていただければというふうに思っております。

 これにて質問を終わります。

赤羽委員長 ただいま質疑時間を超過されましたが、立憲の会派としての質疑時間は変わりませんので、よろしくお願いいたします。

 次に、田嶋要さん。

田嶋委員 立憲民主党・無所属フォーラムの田嶋要でございます。

 私からも、まず、昨夜起きました、新潟、山形を中心とした大きな地震がございました。被害に遭われた方々へのお見舞いを心から申し上げたいと思いますし、また、政府の万全な対応をよろしくお願い申し上げます。

 きょうは、私は、エネルギーに関してお尋ねをしたいというふうに思います。安倍総理が中東に行っているときに、少し中東情勢が、ある意味懸念されていたことが現実のものになって、タンカーが攻撃を受けた、そのようなニュースが流れていたわけでございますけれども、まずは火力発電、我が国、火力発電をやっておるわけでございますが、中東リスクに関してお尋ねをさせていただきたいと思います。

 まず政府参考人にお尋ねしますが、エネルギー資源を海外に依存する我が国でございますが、我が国の電力供給に必要な化石燃料資源、具体的には三つだと思いますけれども、発電用途の石油、石炭、天然ガス、それぞれがどのぐらい中東に依存しているのか、そして、その三つを加重平均した発電用の化石燃料全体ではどのぐらい中東に依存しているのか、まずお答えをいただきたいと思います。

村瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の二〇一七年度の発電電力量は約八割を化石燃料に依存している状況にございまして、このうち、約四割がLNG火力発電、約三割が石炭火力発電、約一割が石油火力発電によるものでございます。この状況においては、現時点でも大きく変わらない状況と認識してございます。

 その上で、今年度計画において、電気事業用に調達しているLNG、一番比率が大きいわけですけれども、この約二割が中東地域由来のものになっているところでございます。石油につきましては、電気事業用の石油燃料の中東依存度は約七六%と承知してはございますけれども、電力会社が直接調達している低硫黄、ローサルファーの原油は、全て非中東由来のものと承知してございます。また、石炭については全て中東以外から調達している、このように承知してございます。

 こうしたこと全体を踏まえまして、我が国の電力供給の何割が中東地域に依存しているかと申し上げますと、約一割が中東地域の燃料に依存している計算になる、このように認識してございます。

    〔委員長退席、富田委員長代理着席〕

田嶋委員 ありがとうございます。

 資料一、ごらんをいただきたいと思うんですが、経産省からもらったこの資料、今あった三つの燃料ですけれども、LNGと石炭と原油でありますが、それぞれ中東依存は書かれております。原油は大変高い。しかし、それが発電にどのぐらい利用されているかということを今掛け算をしていただきました。

 それから、原油に関しては、電力会社として、原油の成分等も違いますね、C重油とか、いろいろなものの成分によって。実は中東の原油は余り発電に向かないという話をきのう伺ったところでございますが、これは単純に掛け算をすると二割ぐらいですが、実際には発電用には中東依存は一割だということが、今おっしゃっていただいたことだと思います。私も、そんなに低いというのは非常に意外な感じがしたわけでございますけれども。

 そこで、大臣にお尋ねしたいと思います。我が国は、電力の安定供給の源泉を中東に頼り過ぎているというふうに御認識されていますか。

世耕国務大臣 日本は、電力供給の約八割を化石燃料である石炭、LNGそして石油に依存しているわけであります。

 このうち、電力用LNGの中東依存度は約二割であることなどから、先ほどお答えしたように電力供給全体の中東依存度は約一割ということになるわけであります。

 日本の電力用途以外も含めた原油輸入全体の中東依存度は約九割であるということと比べれば、電力供給という意味でいくと、それと比較すれば中東依存度は相対的には低いということになるわけであります。

 加えて、電力用のLNGについても、これは、東日本大震災前の二〇〇九年時点のデータでは中東依存度が約三割であったわけでありますけれども、それと比べても、LNGは今二割になっているわけですから、中東依存度を低下させる傾向にあるんだろうというふうに思っています。

田嶋委員 頼り過ぎているかどうかという、どういう御認識ですか。

世耕国務大臣 なかなか、頼り過ぎているかどうかというのはコメントしづらいんですが、たとえ一割であっても、それは途絶すれば、やはり、何らかの影響、もちろん備蓄その他によってカバーができるとはいっても、電力に何らかの影響は出てくるんだろうというふうに思っております。

田嶋委員 おっしゃるとおりだと思います。

 五月十五日に、大臣、こういう答弁をされているんですね、これは足立委員とのやりとりの中でありましたけれども。今、日本の電力供給は結果として化石燃料に八割以上も依存する構造となっておる、これはそのとおりですね、がありまして、しかも、その大部分が今いろいろな問題が起こっている地域を経由しているという点であります、こういう指摘がございました。文脈からこれはホルムズ海峡のことを、そうしか読めないですよ、これ、どう読んでも。ホルムズ海峡の話に対しての答弁ですからね。

 これは今お手元にあるのかもしれませんが、議事録を配付しようとしたら、まだ未定稿しかないということで、最終確定していないのは、多分この部分を修正する御意図が多分あるんだろうな、事務方にはもう言いましたのでね、私、先週。

 これは明らかに認識間違い。今おっしゃっていた御答弁と、ここに書いてあること、全然違いますね。ここでおっしゃっていることは、八割は化石燃料に依存し、その大部分が今いろいろと問題が起こっている地域を経由しているという、これが五月十五日の認識なわけでありますから、ちょっと大臣、改めて、このときは何らか、魔が差したのか勘違いがあったのかよくわかりませんけれども、これは全くの誤認だったということでよろしゅうございますか。

世耕国務大臣 誤認とは思っておりません。

 答弁の趣旨は、エネルギー供給を海外に依存するということはさまざまな地政学的なリスクや不測の事態を考慮せざるを得ないわけでありまして、自国内でコントロールできる国産エネルギーとは異なるという趣旨で申し上げました。

 もう具体的に、ちょっと私、ここでいろいろな問題を列挙すると、これはちょっといろいろ問題、逆にいろいろな問題になる可能性がありますので言いませんが、ホルムズ海峡や中東以外にでも、あるいは産地という考え方においても輸送ルートにおいても、いろいろな問題が今起こっている、不安定な状況になっている場所もあるわけでありますし、今後も起こり得る状態にあるわけであります。

田嶋委員 これは、きょう議事録を配れないのでまことに残念なんですけれども、これは文脈を読めば明らかですよ。だから、八割以上が化石燃料で、しかもその大部分ですからね、その大部分ですから、これは電気の、発電の話をしているに決まっているんですよ、その大部分が今いろいろと問題が起こっている地域を経由しているということだから、素直に勘違いを認められた方が僕はいいと思うんですね。

 ただ、私は、ちょっとこれは一番の根っこの部分ですから、今御指摘があったようにわずか一割、まあ、わずかという言い方が正しくないかもしれませんが、一割が中東に依存をしているということはもう一度改めてしっかり押さえたいというふうに思います。

 そこで、次の資料、ごらんをいただきたいというふうに思うんですが、資料の二ですけれども、これは非常に興味深いですね。今申し上げた五月の大臣の認識とぴったり合っている認識で、ホームページに上げておられるのが電事連、電気事業連合会なんですね。電事連の真ん中から下のところですが、「私たちは、電力の安定供給の源泉を、中東に頼りすぎているのです。」というふうに書いて、原油と天然ガスに関してこういう表記がなされているわけであります。

 これは、不思議だというふうに思いませんか、大臣。これをごらんになられて、何となく不思議だと思いませんか。大臣、いかがですか。

世耕国務大臣 タイトルはエネルギーの中東依存度と書いていますから、恐らくファクトに基づいたデータなんだろうと思います。

田嶋委員 これは非常にうまくできているような感じもするんですが、しかし、この下の部分は電力の安定供給の源泉を中東に頼り過ぎているということなんですね。だから、中東に一切頼っていない石炭に関しては円グラフもないんですよ。次のページももちろんないんですけれども。

 だから、これを普通の人がぱっと見ると、やはり、こういう状況にある日本の脆弱な電力の供給だから原発ももっと動かさなきゃいけないとか、そういうような考えにもつながっていくのかなというような感じがするんですね。

 これはやはり、先ほどの五月の大臣のお考えでおっしゃっていた、まさに、大部分が今いろいろと問題が起こっている地域を経由しているという発想と同じなんですよ、同じなんですよ。まあ、だから、仲よく同じような勘違いの中で、あるいは、こういうふうに国民に思ってほしいというような意識が私はあるような気がしてならないんですね。

 そこで、私の次の質問、大臣にお尋ねしますけれども、中東依存は、安定供給が非常に求められるこの電力に関して、一割今あるということであります。それが頼り過ぎているかどうかの評価は主観が入るとは思うんですが、私も、当然、さらなるリスクを低減させる必要性は一割であってもあるのであろうというふうに考えています。

 それから、言うまでもなく、石油火力というのは極めて電気代が高いということは大臣もよく御存じのとおりでありますけれども、私は、そうした中において、短期的に大臣に考えていただきたいことは、これは資料の三をごらんいただきたいと思います。

 何年か前に一度だけ取り上げたことがございますけれども、石炭火力とかLNG火力が主力の中で、石油火力というのは歴史的にだんだん役割は小さくなってきておるのは事実でありますが、大臣、こういう比較グラフをごらんになったことがあるかもしれませんが、日本は、このグラフでは、八%が石油火力依存ですね。世界の平均が三・七%ですね、一番上ですね。そして、きのうか何かにいただいたこのエネルギー白書の中でも、主要国と書いてあるのが丸をつけたところですが、アメリカ、ドイツ、フランス、イギリス、ほとんど依存度はゼロに近いような数字なわけでございますが、我が国だけは八%もいまだに石油火力に依存している。三・一一の後は二桁になりました。まあ、あれは非常時で、仕方がない面があったのかもしれませんが、今なお八%だということでございます。

 これは、電気代が上がっている、FITによって大変だ、そういうふうにいろいろ騒いでいるわけでありますから、少しでも中東依存を今よりも更に下げて、そしてなおかつ国民の電気代負担を下げるという目的に合致して、私から言わせれば、世界の中で異常なこと、異常値であるところの、日本の八%も今なお石油火力を使って国民に電気を供給しているというありようを、私は短期的にも変えていくべきだと思います。

 大臣、そこをどのようにお考えですか。

世耕国務大臣 こういう資料三のようなグラフを見せていただくといつもまず真っ先に感じるのは、ドイツって石炭の比率が高いなというところなんですが、それはさておきまして、我が国の電力発電量に占める石油火力発電の割合は、二〇一七年度約一割となっています。このグラフにあるように、もうアメリカが一%を切っている。ヨーロッパも平均すると大体二〇一六年ベースで三%ということでありますから、国際的に見て高い水準になっているわけであります。

 どの発電設備を活用するかについては、一義的には電力事業者の判断ということになるわけでありますが、この一番の原因は、やはりLNG火力発電を持っていなかった電力事業者がどうしても償却済みの火力発電に頼りがちだ、活用しがちだというところが一つの要因ではないかというふうに思っていますが、一方で、例えば昨年からことしにかけて、LNG火力発電所を今まで全然持っていなくて、石油への依存度が二五%ぐらいだった北海道電力及び北陸電力が、それぞれ新たにLNG火力発電所の運転を開始するなどの動きも出てきているわけであります。

 政府としては、CO2削減などの観点から、二〇三〇年のエネルギーミックスでは石油火力の割合を三%程度まで減少させることを方針としております。この方針に沿って、エネルギー供給構造高度化法によって、二〇三〇年度に非化石電源比率四四%の達成を事業者に課すことなどによって、石油火力発電から、相対的に燃料価格が安い他の電源への代替を促してまいりたいと考えています。

田嶋委員 二〇三〇年でそうやって下げていくのは私の思いと同じでありますけれども、現時点でこんなに高いというのは、私はちょっと問題だと思いますよ。これは電気代の押し上げ要因にもなりますし、それからCO2、温室効果ガスも、石炭に続いて高いのが石油だということはもう大臣もよく御存じのとおりだと思いますね。ここはやはりもう少し踏み込んで、やはり抑制をしていく、石油火力の抑制、そして基本的には火力であればLNGしかないわけであります、大きな方向性としては。そちらにシフトしていくように業界に働きかけていただきたいというふうに思います。

 短期的なアクションとして、二〇三〇年に三%だ、そうすると今の世界と大体同じぐらいになるわけですが、そういう悠長なことを言うんじゃなくて、もう少し、エネルギーの適正化ということで、石油火力の削減というのをやはりやらなければいけない、石炭と同等に石油もやらなければいけないということを考えておりますけれども、大臣、改めてそこの部分、短期的なアプローチでお願いしたいと思います。

世耕国務大臣 私も、できる限り、これはもうLNG。地球環境のことを考えても、あるいはコストのことを考えても、短期的にも引き下げていくべきだと思いますし、先ほど申し上げました北海道、北陸は、それぞれLNGが新たに稼働したことで、二〇一八年、北海道は石油依存度が一四・六%でしたが、二〇一九年一一・六%まで下がりました。北陸エリアでは、二〇一八年八・一%でしたが、ほぼ半減、二〇一九年は四・四%に下がっています。こういった傾向はしっかり後押しをしていきたいと思います。

田嶋委員 それでは、もう一つのテーマに入りたいと思います。自治体による公営電気事業についてです。

 これは少しマイナーな話なのかどうかよくわかりませんが、資料の四をごらんください。我が国は、都道府県が中心ですけれども、かなりな量の発電事業をやっているというのは委員の先生方はよく御存じなのかもしれませんが、この表を見ていただくと、右下が集計でありますが、大体二百五十万キロワット、原発二、三基分という言い方をよくされますけれども、ということであります。

 そのうち、下線を引いた四県、東京都、新潟、三重、熊本、この四つが競争入札をしている。競争入札の比率は、右下の括弧のところで見ていただくと、十八万キロワット。二百五十万キロワットの中の約十八万キロワットですから、大体七・三%ということでございます。

 そこで、まず最初に政府参考人に伺いますが、東京都は、記憶にもありますけれども、猪瀬知事のときに大分やり合いましたね、東京電力と。そして契約を解除して競争入札に向けたということで、一番最初は東京都なわけですが、まず政府参考人、今日、東京都以外に、一般競争入札による新電力との売買契約を結んでいる三つの自治体、ここに書いてありますね、下線の三つの自治体の中で、東京都と同様に、電力自由化前に結ばれた相対契約を途中解除して入札を行った例があるのかどうか、御答弁ください。

岸政府参考人 お答えいたします。

 電力・ガス取引監視等委員会の方で、卸電力取引の活性化に向けた地方公共団体の売買契約の解消協議に関するガイドラインを踏まえた、定期的に関係者からの聞き取り、実態把握を行っておりますが、現時点で、一般競争入札を経た売電契約が行われている自治体は、御指摘のとおり、東京都以外に新潟、三重、熊本の三県でございますが、この中で、熊本県は、入札の結果、九州電力が落札をしてございますので、これを除く東京都と新潟、三重において新電力が落札をし売買契約を結んでおりますが、この中で、新潟と三重県は、契約期間が切れた更新時に入札に移行したものでありますので、よって、東京都以外に途中解約をした例は今のところないと承知しております。

田嶋委員 そういうことでございます。

 競争入札は四県、その比率もわずか七%強で非常に少ないというふうに私は思うわけでありますが、東京都のように、速やかにそうした随意契約、本来、地方自治法上は、今はそれは認められない原則でありますけれども、それを解除して、一般競争入札として、いわゆる市場への玉出しを行ったところはないわけであります。

 次の、最後の資料をごらんください。資料の五でございます。最後から一つ手前ですね。資料五をごらんください。

 既存の受給基本契約の満期時期でございますけれども、今のお話で、東京都以外の三つの自治体も満期が来たから次は競争入札に切りかえたということでございますが、今後どういうふうになってくるかというと、前のページの、いろいろな都道府県で持っている水力発電を中心とした電気の発電の供給契約がいつ切れるかというグラフがこのグラフでありますが、これを見ておりますと、来年二〇二〇年にかなりなボリュームが契約満期を迎えるわけでありますが、更に大きな部分が二〇二四年から二〇二六年、まだ大分先であります、そういう状況に置かれているということであります。

 そこで、私は問題意識としては、これは世耕大臣も、あるいはその前の大臣、茂木大臣の時代から、電力自由化をずっと三つの法律を通して三段階でやってきましたが、しかし、自由化がなかなか進んでいないんじゃないか。

 特に、この自治体が持っている発電は、新電力から見ると非常に魅力的な電源であるということは、私も確認をさせていただきましたが、今でも、今日でも全く変わっていないわけでございまして、そういう状況にあるにもかかわらず、かつて一緒の政党でおりました馬淵委員が、平成二十五年の六月五日にこの問題を茂木大臣と大分確認をいたしまして、そして質疑をして、そして、非常に重要だからこれを前に進めていくという話合いがいろいろ行われたにもかかわらず、現時点まで非常にお寒い状況にある。具体的には、契約を途中解除して競争入札に持ち込んだものは、東京都以外には実は一つも、六年たった今も、何もないんだということであります。

 そこで、政府参考人にお尋ねしますが、東京都は、東京電力との契約を解除するに際していわゆる幾らの違約金を支払ったのか、また、市場に電力を供給することで、従来の東京電力への随意契約と比較して売電収入が年間幾らふえたのかを御答弁ください。

岸政府参考人 東京都からの聞き取りによれば、一つ目の東京電力との既存契約を解除するために東京都が支払った解決金でございますが、十三・八億円と承知してございます。

 二つ目の売買収入額についてでございますが、東京電力と契約していた平成二十四年当時は年間九・八億円でございましたが、年により変動するわけでございますけれども、最新の公表数値である平成二十九年度におきましては年間十四・五億円となってございまして、売電収入は、あくまでも入札の結果次第ではございますが、年間四・七億円増加したと承知してございます。

田嶋委員 要は、いろいろ訴訟もあって大変だったと思うんですけれども、東京電力との契約を打ち切って、東京都は、毎年の九・八億が十四・五億円とかなりな増収になった。それだけ都民に対してお返しができる状況になったわけでありますので、それは、違約金、何とかという違う名前ですけれども、十三・八億円を支払っても十分元が取れるものでありますし、そして、そうした決断をすることが、電力自由化に資する、そして経産省が主眼としている自由化の推進と新電力を応援していくということでも大変大事な玉だったということが確認できたわけであります。

 大臣、これは、なぜ東京都以外に後が続かないんですか。ガイドラインも、経済産業省、しっかり出していただいているというふうに聞いておりますけれども、何の実績もない、その後。私はこの状況というのは是正されるべきだというふうに考えておりますけれども、いかがですか。

世耕国務大臣 御指摘のように、二〇一五年にガイドラインを示すなど、我々としても後押しする取組はやってきているわけですが、余り進んでいないわけであります。これも実態だろうと思います。

 今後、月内に電力・ガス取引監視等委員会の審議会が開催されますので、その中で電力市場のモニタリング報告が行われます。その中において、公営電源の契約解消に関する問題提起をしっかり行って、そして実態調査を開始したいというふうに思います。また、その調査結果を公表することなどによって、自治体の、まあ意識改革と余り私が言っちゃいけないんですが、自治体の取組を後押しする、国民からもしっかり見えるようにしていきたいというふうに思います。

田嶋委員 ありがとうございます。

 きのうまでの事務方の答弁にはない部分も入っていましたので、評価はしたいと思うんです。

 いずれにしても、これは、じゃ、新電力のシェアをどのぐらい上げるのかという質問をしましたところ、ざっくり一%というぐらいでいいんですかね、まあそこは余りはっきりは言えないのかもしれませんが、今一五%ぐらいです、新電力のシェアが、全面自由化されて。それに対して当然押し上げ効果があるわけでありますが、しかし、その量以上に、私がヒアリングしたところによると、水力発電から出てくる玉というのは非常に魅力的だ、新電力にとって、なぜならばということで、いろいろ聞いてまいったんです。

 ベースロード市場というのが七月から始まるということでありますけれども、それでも恐らく火力が中心なのではないか。そしてまた、指摘があったのは、高度化法というものに基づいて二〇三〇年までに再エネ比率を四四%まで上げなきゃいけないという制約が新電力もあるんですね。そういう意味では、水力発電から入ってくる玉というのはどうしたって買いたいわけですから、これは、大臣今おっしゃったとおり入札ですから、それが自治体にとってプラスになるのかマイナスになるのかは、やってみなきゃわからないのは事実ですよ。しかし、東京都がこういう一つのモデルをつくったわけでありますので、道は既につくられているわけであります。

 ぜひ大臣、改めて、やっていただくのは大いに結構なので、全ての自治体、知れていますよ、数が数十ですから、全ての自治体、そして相対契約の相手は十電力に決まっているわけですから、その間の契約一つ一つに関して、東京都のように残りの残存期間を早期に解除してそして玉を市場に出す方が、市民のため県民のためになる、あるいは電力市場の自由化に資するというふうに判断、結論づけるのか。あるいは、途中解除してまでやるのは、それはメリットがないというふうに結論づけるのか。白か黒かを全ての既存の契約に関してはっきりとさせて、それを大臣から御報告いただきたいということでよろしゅうございますか。

世耕国務大臣 これは地方自治にも関するところでありますから、なかなか強制というわけにはいかないんですけれども、先ほど申し上げたように、監視等委員会の審議会でしっかり契約解消に関する問題提起を行って、実態調査をちゃんと実施して、その結果は公表したい、委員にもちゃんと御報告したいと思います。

田嶋委員 ありがとうございます。では、またフォローアップをさせていただきたいというふうに思います。

 最後に資料六をつけてありますので、これは白書から引かせていただきました。

 大臣、おとといか何かに国連から新しいレポートが出まして、日本というのは世界一のスピードで人口が減っていくと改めて確認されて、しかも、それが加速をしているということであります。二一〇〇年には七千万人台の国になるという報告でありましたから、今のドイツよりも小さい国になる。そして、その結果として、もう一個残念な、ショッキングなのは、世界一働く世代の負担の大きい国になっていくということですね。

 要するに、六十五歳以上と以下の人口比が一対一の国になっていくということで、本当に憂うつになるような、そうした世界一位が二つ並んだわけでありますが、そういう意味でも、先ほど山崎委員もおっしゃっていたとおり、日本が急いで自然エネルギー社会をつくっていくということがその一つの大きな切り札だと思っています。

 だから、世耕さんは私とは同じ文化を共有した世界から議員になっているわけですが、残念ながら、今、相当文化の違うところにいるということで、残念ながら、原発、原発なんて言っているうちに、日本は本当に世界から落ちこぼれますよ、これ。本当に強い危機感を持っていただきたいと思う。ただ、その世界にどっぷりつかっているからなかなか目が覚めないというふうに残念ながら思うんですが。

 白書も、これ、結構世界から笑われているんじゃないでしょうか。特に、私はある専門家の方に聞きましたけれども、びっくりされていますね。一つ参考でつけたこのグラフ、再エネの導入にかかわる状況、日本は世界で第七位だとか八位だとか書いていますが、国土面積で、分母で割っている。機械的に国土面積で割ると日本は世界で八番目だなんて言って、よくこういう見当違いなグラフを平気で出してくるなと。そこまで劣化したかと私は思いますよ。

 コラムですから、これ。コラムですから、若干冗談が入っていてもいいとでも思っているのかわかりませんけれども、白書の中でコラムというのはどういう位置づけかわかりませんけれども、よくこういう根拠のない割り算をして、これで一般国民の目をごまかせるとでも思うのか。

 また、別の専門家からこういうメールもいただきました。どちらにしても、一貫して方向性は、日本は条件が厳しい、でも、頑張っている、その結果、再エネも省エネもエネルギー安全保障でも見事に順調だ、この国のここ、あの国のあそこと比べて、幾つもスタンダードを用いて、日本すごいというトーンがこの白書に感じられます、何だかそれがいじましくも感じますと。私も共有しますよ。

 それで、二〇一二年以降のエネルギー白書では、そういった強い作文者のトーンは影を潜めていたけれども、それが事故から八年経過して、担当官僚が三、四回入れかわって、完全復活したな、そういう印象を持ちました、そういうことと、東京電力の原発事故に関しても、反省というトーンが消えている、そういう指摘も外部からも、専門家からもいただいております。

 大臣、最後、一個の例でありますが、これ、ぱっと見て、どうですか。私が申し上げたような、私は、意外というか、何でこういうグラフを誇らしげに出しているのかというのは本当に疑問です。これ、大事な白書でありますから、客観性が大事でありますし、これがエネルギーそんたく白書にならないように、しっかりと取り組んでいかなきゃいけないと思いますが、大臣、最後に、このグラフに関してのコメントをいただきたいと思います。

世耕国務大臣 これ、普通に考えれば、再エネを導入していくためにはやはりそれなりの場所が要るわけですね。そういう意味で、日本はいろいろな意味で制約があるんだけれども、それを乗り越えて頑張っているというわけであります。

 そういう意味で、白書というのはあくまでもファクトに基づいて取りまとめるものだと思っていますが、エネルギー情勢についてさまざまな角度から比較、分析を行っているところであります。太陽光や風力といった再エネは国土条件に大きく左右される性質があることもありますので、その見方の一つとして、国土面積当たりの導入量を紹介したものであります。

 なお、その後には、当然、人口すなわち需要密度と再エネの関係も紹介するなど、バランスのとれた内容になっているというふうに思っております。

田嶋委員 理屈はいろいろでもつけられますけれども、ソーラーシェアリングみたいに、耕作放棄地、下で農業をしながら上でやるということであれば、新たな未利用の土地を使うということも必要ないわけでありますね。だから、こうやって機械的な計算でいかにも日本が頑張っているというようなデータは、逆に今の日本のありようを見誤るのではないかというふうに申し上げまして、私からの質問を終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長代理 次に、落合貴之君。

落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。

 冒頭、昨晩の大地震で被害に遭われた皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。

 大臣、冒頭、確認なんですが、今回、山形県、新潟県を中心に地震の被害が恐らく出ているものと思われます。経産省も万全の対応をするということでよろしいですね。

世耕国務大臣 私も、きのう、発災直後から第一報が入りまして、特にエネルギーインフラなどを中心に万全の対応をとるように事務方に指示をして、その対応をやってきたわけであります。

 山形県で最大五千九百戸、新潟県で最大三千二百戸の停電が発生しましたけれども、これは東北電力が夜通しで復旧作業をやってくれまして、けさ六時四十四分には停電は解消しています。

 ガス供給については現時点で被害情報はありません。ガソリン、軽油についても通常どおりの供給が行われています。コンビニも、大手三社の四店舗が一時営業を停止しましたが、現時点までに全店舗が営業を再開をしています。施設や物流にも問題は生じておらず、市民への食料等の供給に支障は出ておりません。

 また、避難所なども出ているようですから、現地とよく連絡をとりながら、クーラー、トイレ、ブルーシートといった生活関連物資を必要に応じて供給する必要がありますが、その量の調達というのはもう十分可能であるということが確認できておりますので、避難所から具体的な要請がある場合はきちっと対応できるよう、今、配送時間の確認等、具体的な準備を進めているところであります。

 また、製造業等の工場についての被害状況は現時点では確認をされておりません。

 いずれにしても、現地と緊密に連携をとりながら、被災者や企業の要請に迅速に対応して、万全を期してまいりたいと思っております。

落合委員 災害がふえておりますので、我々も注視をさせていただきたいと思います。

 それでは次に、先日、経産省の職員が覚せい剤取締法違反等の容疑により東京地検に起訴されるというようなことが起こりました。彼は、自宅だけでなくて、職場でも覚醒剤を使っていたということで、実際、家宅捜索等で、職場の経産省のデスクの中からも注射器が押収されたということでございます。

 これは、経産省の中で覚醒剤を使用していたということは大変な事態だと思いますが、大臣、同じようなことが今後起きないように、組織のトップとして再発防止策は示されたんでしょうか。

世耕国務大臣 経産省の職員が、五月二十四日、覚せい剤取締法違反、輸入、使用といったことで起訴されたことはまことに遺憾でありまして、これはもうおわびを申し上げるしかないと思っています。

 この職員については、五月三十一日付で懲戒免職処分といたしました。あわせて、今回、経産省の職員がこのような事態に至ったことを極めて重く受けとめて、事務方のトップであります事務次官について訓告処分とさせていただきました。

 こんなことは人として当然やってはいけないわけでありまして、そんなことを改めて周知徹底しなければいけないというのは本当に情けないわけでありますが、二度とこのような事態が生じることがないように、まず、省内の会議などを通じて法令遵守の徹底を図るなど、職員の服務規律の遵守について引き続き徹底していきたいというふうに思います。

 また、この職員は数年前からうつ病で休みがちだったわけであります。こういったことは産業医等のチェックで我々も把握をしていたわけでありますけれども、こういったことを踏まえると、職場におけるメンタルヘルス対策も重要だと思っています。

 対策として、日ごろからの健康の保持増進、不健康な兆候の早期発見、不健康な状態になった職員をサポートする体制のさらなる整備などを重層的に行っていかなければいけないというふうに思っています。

 まずは、日ごろからの健康保持増進に関しては、私自身が先頭に立って、国会対応業務の効率化ですとかテレワークの推進など、働き方改革を進めてきているところですが、この夏のテレワークデーズの機会も活用しながら、更に働き方改革を進めていきたいと思います。

 また、不健康な兆候の早期発見ということに関しては、これは実は、平成二十八年度から開始をしていたんですが、年一回、ストレスチェックというのを行ってまいりましたが、それに加えて、長時間勤務をしている職員については、毎月健康状態をチェックする仕組みをこの四月から導入したところでありまして、更に個別にきめ細やかに職員の健康状態の把握に努めていきたいというふうに思います。

 また、不健康な状態になった職員のサポート体制として、現在十八名の健康管理医を配置をしております。個別の職員の状況に応じて、上司や人事当局とも連携をしながら、健康管理医が個別面談する制度を構築をしています。今回の事案を受けて、改めて健康管理医とも相談をしながら、個別の職員の状況ごとに、職員に寄り添ったサポートを行ってまいりたいというふうに思っています。

 こういったことを重層的にやることによって、このような本当に恥ずかしい事態の再発防止に努めてまいりたいと思います。

落合委員 今回、本人は懲戒免職、それから事務方のトップが訓告処分ということです。彼は課長補佐ですので、直属の課長ですとか、それから局長、これらの方々への責任もはっきりさせた方が、組織内での再発防止のためには重要なのではないかということは付言をさせていただきます。

 いずれにしても、これは、霞が関でこういうことが起きたという大変な大きなことでありますので、国民に対してしっかりと姿勢を見せていただければと思います。

 では、就職氷河期世代の支援についてですが、先日、政府の骨太のことしの方針というものの素案が示されました。その中の目玉の一つが就職氷河期世代支援プログラムであるということでございます。これは、内閣全体としてもちゃんとやるんだという意気込みが示されております。

 私も今三十九歳ですので、この世代の中に入っております。いろいろ詳しく調べてみますと、ちょうど私が大学を卒業した年が大卒の就職率が一番低いということで、大学卒業した時点で半分ちょっとの人しか就職できなかったというような年でございました。私もこの世代の一人として、しっかりとこの問題にはさまざまな分野で取り組んでいかなければならないと考えております。

 まず、冒頭、大臣に所見を伺いたいのですが、経済諮問会議の民間議員のお一方が、この問題をわかりやすく説明しようと思ったんだと思いますが、この世代は人生再設計第一世代というふうなネーミングをして説明をされたわけですが、このネーミングについてどのように思いますか。

世耕国務大臣 済みません、私もその場にいたんです。ちょっとそのネーミング、余り記憶にないんですけれども、いずれにしても、やはり、大学卒業後、なかなか正社員として就職ができない、ということは、いろいろな組織の中でのトレーニング等を受ける機会を失って、そのことによってまた本人が自信をなくして、なかなか社会活動がしづらいというような悪循環に陥っている面があると思いますが、そういう意味で、再スタートを切らせてあげるという思いがある言葉だとしたら、私は、それなりに意味のある言葉なのかなというふうには思った。

 ちょっとそのときのシチュエーションが今思い浮かばないものですから、どういう文脈でおっしゃったか、ちょっと今記憶にないので、済みません。

落合委員 これは、事前に通告すると、大臣の所見なので、役人の方々が答弁書をつくるのは大変だというふうに思いまして、この会議に大臣も参加されているので今ぶつけさせていただきましたが、これは新聞にもはっきりとこのネーミングのことが載りました。

 最初は、内閣としてこの名前でスタートするのかなと思ったんですが、私の同世代の人たちから、かなりメールですとかLINEですとか連絡が来まして、経済状況、日本経済の状況で就職できなかった、自分たちが幾ら頑張ってもできなかったのに、自分の人生考え直せと、今、二十年たって政府が言うのはおかしいということが、多くこの世代の人たちからの発信がありました。

 やはり、これは自助でできなかった問題ですので、国が力を入れていかないと解決できない問題です。しかも、日本の就職というのは新卒一括採用が基本となっているわけですから、新卒のときにこけてしまったらやり直しがききづらいというような仕組みになってしまっているわけです。

 この世代、いろいろとレクも受けましたが、千六百八十九万人いるということで、そのうち、正規雇用を希望しながら非正規雇用で働いているというのが少なくとも五十万人いると政府は把握をしております。ほかに、就職を希望しているんだが求職活動もしていない、就職したいんだけれども求職もしていないという長期の無業者が少なくとも四十万人いる。これは三十代半ばから四十代半ばまでの十年に区切って計算しているわけで、ほかの世代にもいるでしょうし、しかも、この十年の中でも、足して九十万人、これは把握している範囲でもそれだけいるということでございます。

 これは各省横断的に、ハローワークだけではなくて取り組まなきゃいけないということで、政府も力を入れると言っているわけですが、各企業の経営をいわば管轄、統括している経産省としてどのように具体的に取り組むつもりなのか、お聞かせいただければと思います。

世耕国務大臣 先ほどの人生再設計第一世代、ちょうど民間議員ペーパーが今出てまいりましたので、ざっと見ていますが、これは決して突き放しているのではなくて、まさに再チャレンジをしっかり国として集中的に支援をしていこう、今おっしゃった九十万人の人たちをもう一度きっちり支援をすることで再チャレンジできるようにしようということだというふうに思っています。

 経産省としてもいろいろな就職支援を行っていかなければいけないと思っていますが、特に、幅広い分野でのリカレント教育プログラムの開発を検討しているところであります。

 特にIT分野ですね、IT分野が今、人手不足が非常に激しい。しかも、IT分野というのは、求められている技術とか技能というものがある程度きちっと明確化をされている。その技能にちゃんと相対した教育プログラムというものもある程度はっきりしているということで、当面はIT分野に少し軸足を置きながら、具体的なこのリカレント教育のプログラムを進めていく。何となく勉強してくださいね、その結果就職してくださいねではなくて、ある程度出口を、こういう勉強をすると、今人手不足の激しいこの分野のこういう技術で仕事ができますよということをある程度明確にしてやっていきたいというふうに思っています。

 例えば、ITパスポート試験について、ことし四月から、新たな技術であるAIやIoTなど、第四次産業革命に対応した試験内容に順次拡充しているところであります。

 また、IT・データサイエンス分野を中心とした、将来の成長が強く見込まれる分野の教育訓練を経産相が認定する第四次産業革命スキル習得講座認定制度について、全国どこでも受講できるように、Eラーニングなどを活用した講座も拡充をしていきたいというふうに思います。

 また、これは中小企業にとっても人材を獲得するチャンスにもなるわけでありますので、就職氷河期世代の方々の採用や活躍の好事例集を集めて、その内容をさまざまな中小企業向けの経営支援機関などを通じて周知し、横展開をしていきたいと思いますし、各地の経済産業局を通じて実施をしている、中小企業が多様な人材を確保するためのセミナーやマッチング事業について、就職氷河期世代の方々を支援する取組を実施をしていきたいというふうに思っております。

落合委員 人手不足、人手不足とこの数年言われてまいっております。いっぱい反対がありながらも昨年入管法の改正をして、外国人材を三十四万人入れるということを決めたわけですが、やはりこの九十万人の日本人の雇用をまず私は内閣として取り組むべきであったと思います。

 これは、年がたてばたつほどどんどん、教育の効果というのがどうなるかという問題になります。しかも、いろいろな福祉関係の試算によると、この就職氷河期世代のために将来の生活保護費が二十兆円ぐらい積み上がるというような試算も実際に出て、これは厚労省も対応しなきゃいけないとやっているわけでございます。これは正直遅かった部分もあると思いますので、ぜひすぐに効果が出るように、経産大臣も注視をしていただければと思います。

 雇用に関しまして続けさせていただければと思うんですが、昨晩、私、あるテレビの番組で、村井英樹さんと一騎打ちで年金問題の討論番組に出させていただきました。百年安心の年金プランということで、いろいろと厚労省も工夫して中長期的な年金の設計もしているんですが、そこの一つの大きな問題は、あれは現役世代の賃金の半分は保障しますよということでございます。これは、現役世代の賃金が上がらなければ、その半分が保障されても全然足りないというような問題が起きてしまうわけです。

 実質賃金の問題、ことしの予算委員会でも多く取り上げられましたが、この六年間、安倍内閣の昨年までの六年間で、四年間、四年、実質賃金がマイナスなわけでございます。これは、幾らアベノミクスの成果、成果といっても、国民の生活は、実質賃金が上がらなければ、生活も苦しくなるだけでなく、日本全体の年金のシステムも苦しくなるということでございます。

 これは、経済分野にかかわる全ての省庁が本当に本気でやらなければ全ての設計が狂ってしまう。これが、このかなめの一つとなっているのが実質賃金の問題でございます。これは大臣もしっかり認識しているとは思うんですが、早急に結果を出さなければいけない問題です。大臣、経産省としてどのようにお取り組みですか。

    〔富田委員長代理退席、委員長着席〕

世耕国務大臣 実質賃金が下がっていることについては、これは野党と与党では見解が違うわけであります。我々は、景気回復局面においては、いろいろな方が労働に参加をされるということで、一人当たりの実質賃金というのは下がる、これはもうマクロ経済の常識だというふうに私は思っていますが、いずれにしても、最終的には賃上げということをしっかりやっていくことが極めて重要だ、ここはお互いに変わりはないというふうに思います。

 アベノミクスとしては成長と分配の好循環をしっかりつくり上げていく、そして、その中でも経産省としての仕事としては企業の生産性向上を後押しする、生産性が上がれば当然実質賃金も引き上げる環境が整備されるわけですから、そういったことに取り組むことが重要だと思っています。

 具体的には、二〇一八年からの三年間を生産性革命集中投資期間と位置づけまして、賃上げや投資に積極的な企業に対する法人税の負担の引下げや、自治体の判断によって設備投資に係る固定資産税を三年間ゼロにできる中小企業向けの画期的な制度などによって、生産性向上を支援しているところであります。

 また、三十年度二次補正で計上をいたしました中小企業生産性革命推進事業によって、設備投資やIT導入支援などを通じて中小・小規模事業者の生産性向上も促していきたいというふうに思っています。

 法律、税、予算などあらゆる施策を総動員して、企業における、これはもう大企業も中小企業も小規模事業者も生産性向上をしっかりと取り組んでもらって、賃上げにつなげていきたいと思っています。

落合委員 生産性革命の柱、世耕大臣の場合は、ITについてで、大臣所信にもソサエティー五・〇ですとかいろいろといっぱい片仮名が並んでいますが、経産省ではない、総務省の調べで、日本のICTへの日本企業の投資、これは、一九九五年を一〇〇とした場合、日本は一一〇か二〇ぐらいなんですね。米国は三〇〇近くまで上がっている。

 これは、経産省がやるやると音頭をとっても、実際にそこまで結果は出ていないというのが私は状況だと思います。先ほどの実質賃金もそうですし、IT投資でもそうですし、二〇二五年にシステム六割が老朽化しているというような試算が出ております。これは、実際には全然結果が出ていない。

 これから出るというふうにおっしゃるんでしょうけれども、これはもうかなり切迫した状況が山積しているという中で、経産省としてやるべきことがたくさんあるということを本日指摘をしまして、これで終わらせていただきます。続きはまた改めて取り上げさせていただきます。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十六分散会


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