衆議院

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第2号 令和2年11月18日(水曜日)

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令和二年十一月十八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 鬼木  誠君 理事 佐藤ゆかり君

   理事 関  芳弘君 理事 武藤 容治君

   理事 山際大志郎君 理事 斉木 武志君

   理事 山岡 達丸君 理事 中野 洋昌君

      畦元 将吾君    穴見 陽一君

      井上 貴博君    石川 昭政君

      上野 宏史君    神山 佐市君

      神田  裕君    工藤 彰三君

      小林 鷹之君    佐々木 紀君

      鈴木 淳司君    辻  清人君

      冨樫 博之君    西村 明宏君

      穂坂  泰君    星野 剛士君

      三原 朝彦君    宗清 皇一君

      八木 哲也君    逢坂 誠二君

      落合 貴之君    菅  直人君

      松平 浩一君    宮川  伸君

      山崎  誠君    高木美智代君

      笠井  亮君    美延 映夫君

      浅野  哲君    石崎  徹君

    …………………………………

   経済産業大臣       梶山 弘志君

   内閣府副大臣       堀内 詔子君

   財務副大臣        中西 健治君

   経済産業副大臣      長坂 康正君

   内閣府大臣政務官     和田 義明君

   厚生労働大臣政務官    こやり隆史君

   経済産業大臣政務官    宗清 皇一君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 古谷 一之君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 海老原 諭君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 佐藤  暁君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           間 隆一郎君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局地域経済産業政策統括調整官)          桜町 道雄君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          山下 隆一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         小野 洋太君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            村上 敬亮君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 白石 隆夫君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 土居健太郎君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官) 山田 知穂君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          市村 知也君

   経済産業委員会専門員   宮岡 宏信君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官海老原諭君、内閣府大臣官房審議官佐藤暁君、厚生労働省大臣官房審議官間隆一郎君、経済産業省経済産業政策局地域経済産業政策統括調整官桜町道雄君、経済産業省産業技術環境局長山下隆一君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官小野洋太君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長茂木正君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、中小企業庁事業環境部長飯田健太君、中小企業庁経営支援部長村上敬亮君、環境省大臣官房審議官白石隆夫君、環境省大臣官房審議官土居健太郎君、原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官山田知穂君及び原子力規制庁原子力規制部長市村知也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。関芳弘君。

関(芳)委員 自由民主党の関芳弘でございます。

 それでは、トップバッターとして質問させていただきたいと思います。

 ことしの夏は本当に暑かったですね。三十五度を超える地域が幾つもあったし、何日もまたそういう日が続きました。また、今週に至っても、また二十四度とか五度に東京もなりそうだとかいうふうな予測もありまして、本当に地球の温暖化ってすごいな、進んでいっているなという感じがいたします。

 また、激甚災害、大雨、また台風とかも、非常に今激しくなっております。本当に気候変動という問題は人類共通の問題だと思いますし、また国際社会全体がみんなで力を合わせてこの課題に取り組んでいかないといけないと思います。

 こうした中、菅総理は、所信表明演説で、グリーン社会の実現を成長戦略の柱とする、そして二〇五〇年のカーボンニュートラルを高らかに宣言をなさいました。日本は、二〇五〇年までに、今まではCO2は八〇%削減、温室効果ガスの八〇%の排出削減という長期目標を掲げていたところでございますが、これも本当に、考えますと、内容を積み上げていきますと、非常に高度な、難しいほどの高い目標でございました、これを更に菅総理は進められて、カーボンニュートラルと。

 今までは八〇%ですから、二〇%は削減ができずに残っているという形だったわけで、CO2を出す人たちは、自分たちの分野がその二〇%に入るんだというふうな都合のいいような考え方もしていた分野もあるかもしれません。しかし、今後は、カーボンニュートラル、ゼロですから、みんなが協力をして、漏れなく全ての分野の方々が逃げ道なくこのカーボンニュートラルに挑戦をしていかないといけない。本当に新しい挑戦だと思います。

 この挑戦なんですが、いろいろ調べてみますと、突然に生まれたわけではないようでございまして、昨年の六月に、当時の官房長官であられた菅現総理が指示を出されまして、ことしの一月に革新的環境イノベーション戦略というものが決定をされております。

 この革新的環境イノベーション戦略ですが、この内容は、何を決めて、どのように取り組んでいこうとされているのかをまずは伺いたいと思います。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 本年一月に決定されました革新的環境イノベーション戦略では、革新的なイノベーションによりまして、脱炭素社会を実現する技術のコスト、これを社会実装可能なレベルにまで引き下げていくことが必要といった問題意識に基づきまして、三十九の技術テーマを特定した上で、それぞれのコスト目標などを定めているところでございます。

 本年七月には、この戦略を実行するための府省横断の司令塔として、グリーンイノベーション戦略推進会議、これを立ち上げまして、脱炭素社会の実現に向けて克服すべき技術面での課題について検討を深めてきたところでございます。

 今回の、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に成長戦略として取り組むという新たな目標を踏まえまして、年末に向けまして、革新的イノベーションの加速、そして社会実装を見据えた対応策について、更に検討を深めていく予定でございます。

 引き続き、二〇五〇年カーボンニュートラルへの挑戦を我が国の産業競争力の強化、経済成長にしっかりとつなげられるよう取り組んでまいりたいと思っております。

関(芳)委員 ありがとうございました。

 非常に具体的に体系立てて戦略をつくっていこう、しかも、非連続的なイノベーションを起こしていってコストを下げると。コストを下げるというのが、本当に非常に大切なことだと思います。それはもう、イノベーションに裏づけされるからこそコストを下げられる、そして、それをもって社会に実装していこう。非常に理屈の通った内容でございますし、その前の、技術面の課題を明らかにしたというところが、私は非常に重要なポイントだったと思います。

 何をどのように取り組んでいかないといけないか、その具体的なターゲットがしっかりと見えてこそ、それに対する挑戦がなされていくものと思いまして、ぜひ我々も、この宣言を踏まえまして、しっかりと応援をしてまいりたいと思います。

 この菅総理の御英断でございますけれども、国内では経団連、一方また、世界の方では国際エネルギー機関、IEAや欧州委員会、このそれぞれのところからも非常に歓迎の声が上げられております。

 世界でも、カーボンニュートラルを宣言している国はございます。例えば、英国やEUではシナリオをもう示しているということが言われておりますが、この海外におけるシナリオですが、どのようなものが示され、また、その示唆が得られているのかを伺いたいと思います。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 EUや英国では、二〇五〇年までの脱炭素社会を掲げまして、その実現のための参考として、複数の技術や行動変容を前提といたしましたシナリオ、これを示しているものというふうに認識しております。いずれも、技術の進展あるいは消費者の選択の長期の不確実性が大きいために、予測することは不可能だということで、削減の道筋にはさまざまなオプションが考えられることが大前提になってございます。

 その上で、既存の技術を最大限に活用しつつ、新たな技術の社会実装に重点的かつ計画的に取り組むこと。それから、省エネ、電化、それから電源の脱炭素化、水素化、これを進めてもなお、化石燃料を使わない姿というのは現実的ではなくて、CO2を回収、利用、そして貯留するネガティブエミッション技術、これを活用すること。三番目に、脱炭素化が難しい産業分野における技術、対策については、長期の不確実性があるために、複数のオプションで取り組んでいくこと。これが二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて重要である、こういった示唆が得られたところでございます。

 これらの示唆を生かしまして、二〇五〇年のカーボンニュートラルを目指す道筋について、引き続き、総合資源エネルギー調査会とグリーンイノベーション戦略推進会議で集中的に議論をしてまいります。

関(芳)委員 ありがとうございます。

 今答弁していただきましたように、既存の技術の延長線上では達成が困難な目標だ、そういう認識であるということですね。長期的な不確実性もあると。こういうふうな観点から、非常に重要なことが今述べられたと思います。いわゆる一つの道筋ではなくて、複数の選択肢をしっかりと持って、それに挑戦していこうということだと思います。

 さて、そのような中、この温室効果ガスでございますけれども、その八割はエネルギー分野から出されているということで、我々も、経済面としまして、エネルギー政策が極めて重要になってくると思います。現実が大変本当に困難な目標であるからこそ、あらゆる選択肢を捨てずにやっていくわけなんですが、そのエネルギー分野におきましては、再生可能エネルギー、これも最大限導入していくべきだと思います。

 しかしながら、この再生可能エネルギーも、考えてみますと、コストですとかまた系統面の問題、さらには日本の自然環境といいました制約、課題がございます。エネルギー需要の全てを再生可能エネルギーで賄うことは、それはできればいいんですけれども、なかなか現実的には難しい面があると思います。

 そうなってきますと、火力発電につきましても、今までよく言われましたCCSに加えまして、CCUS、炭素を使う、そういった次世代の技術を組み合わせていくことによりまして、そして、何よりも重要な脱炭素技術であります原子力もしっかりと活用していくこと、このことは私はもう避けて通れないと思います。

 そこで、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けまして、原子力を含めましたあらゆる選択肢を念頭に置いてエネルギー政策を検討していく必要があると思いますが、その点につきまして、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

梶山国務大臣 委員御指摘のとおり、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けましては、温室効果ガス排出の八割以上を占めるエネルギー分野の取組が特に重要であると考えております。

 他方、その実現は簡単なことではなく、日本の総力を挙げての取組が必要であります。今委員からも御指摘ありましたし、先ほど山下局長からも答弁がありましたように、EUやイギリスでも複数のシナリオを上げてその達成への道のりを模索しているという状況であります。EUやイギリスにおいても、カーボンニュートラルの実現に向けて原子力の利用を前提とする、またさらに、CCSを利用した化石燃料というものも、調整電源としての活用というものも考えているということであります。日本でも、再エネ、原子力など使えるものを最大限活用するとともに、水素などの新たな選択肢も追求することが重要と認識をしております。

 その上で、原子力については、まずは国民の信頼回復に努め、既存の原発の再稼働を進めることが重要であると考えております。

 あわせて、安全性の向上を絶えず追求していくために、原子力のイノベーションも大きな政策課題であると認識をしております。従来の軽水炉の安全向上に加えて、米国や欧州、さらには中国やロシアといった諸外国の取組も踏まえつつ、さまざまな革新的原子力技術の開発を、民間の創意工夫を生かしながら進めてまいりますし、政府もかかわっていくということであります。

 今後、二〇五〇年カーボンニュートラルを目指す道筋について、エネルギーの安定供給を確保しつつ、経済と環境の好循環をつくり出していけるよう集中的に議論をしてまいりたいと思っておりますけれども、エネルギー分野、特に電力などの分野においては、ネットワークのあり方も含めて、技術的なもの、利活用の方法も含めてしっかりと議論をしていかなければならないと考えております。

関(芳)委員 ありがとうございます。

 大臣のおっしゃるとおりで、私も本当にその点を大切にしながら、我々の政党の方も支援、応援をしっかりとさせていただきたいと思います。

 まず、安全性が確認された原発、この原発は再稼働を進めていくべきでございますけれども、また私自身も、個人として、スリーEプラスSという基本的なエネルギーの考え方があるわけなんですが、この中におきまして、そういうふうなものを統括しながら原発の再稼働を進めてくれております、方針を出してくれております規制委員会、この審査などにつきましても、しっかりと、どのようにあるべきなのかも含めまして、関心を持って見てまいりたいと思います。

 世界の原子力発電所の数を、それぞれの国が持っている原発の基数をちょっと見てみました。これはちょっと古いんですが、二〇一一年状況ですが、アメリカは百四基、フランスは五十八基、ロシアが二十八基、韓国は二十基、インド、イギリスは十九基、ドイツは十九基となっておりまして、日本は、そもそも五十四基持っていたんですが、再稼働を今できているのは九基というふうな状況と伺っております。

 このように世界で一番基数をたくさん持っているアメリカでございますけれども、世界の中におきまして最大の基数を持っているこのアメリカが、このような原子力の運営につきましてどのように進めていったらいいのかというふうな、政府の組織のあり方などにつきましても非常に研究に値すると思いますので、日本の政府機関の、それぞれの政府機関のあり方などと並行して比較検討していくようなことも非常に示唆に富むことだと思いますので、政府におかれましては、そういう点も含めまして、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 私、これは個人の考え方なんですが、先ほどから申し上げております、菅総理が二〇五〇年にカーボンニュートラルということを言われておりまして、これは非常に高いハードルであるのは皆様の見方も一致するところだと思います。それを実現していくためには、私個人は、原発におきましては、リプレースや新増設も、今後におきましては、安全性を確保するという点から含めまして、スリーEプラスSの考え方に基づいてしっかりとまた議論も深めていく価値が大いにあると思いますので、次期のエネルギー基本計画に向けましては、深い議論そして御検討を政府の皆様とともに我々もしっかりとやってまいりたいと思います。

 さて、カーボンニュートラルでございますけれども、エネルギーや産業部門のみならず、国民一人一人の意識改革やライフスタイルの変革にも取り組んでいく必要があると思います。それなくしては実現はできないと私は思っております。その際には、自治体の力、これも非常に重要なポイントになると思っております。菅総理の所信表明演説では、国と地方で検討を行う新たな場を創設する、このカーボンニュートラルに向けまして国と地方で検討を行う新たな場を創設する、このようにおっしゃられております。

 その点につきまして、どのような取組を、お考えを今されておるのか、また、どのようなライフスタイルの変革に結びつけていこう、どのような考え方を現段階ではお持ちなのか、今それを環境省に伺いたいと思います。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、地域、国と地方のお話でございますけれども、昨年来、環境省は、自治体単位で、それぞれ二〇五〇年にゼロカーボン、ネットゼロを目指す、いわゆるゼロカーボンシティーという宣言をしていただくように、そこを積極的に後押ししてまいりました。その取組を進めてまいりましたけれども、今回、総理の所信表明で、国と地方で検討を行う新たな場を創設するという方針が盛り込まれまして、政府全体で地方を含めた取組を後押ししていくということになろうというふうに考えてございます。

 地域のゼロカーボンの実現におきましては、再生可能エネルギーの導入など、あらゆる分野での取組を支援していくことが必要だということは言うまでもございませんけれども、その際、地域の活性化、それから防災につながるような地域の実情あるいはニーズ、こういったものを的確につかみながら、国と地方が緊密に連携して進めていくということが必要だろうというふうに考えてございます。総理の所信にございました国と地方で検討を行う新たな場というものを今構想してございますけれども、こうしたことをまさに検討してまいりたいというふうに考えてございます。

 それから、議員御指摘のライフスタイルの件でございますけれども、二〇五〇年実質排出ゼロの実現に向けては、産業部門のみならず、ライフスタイル、国民一人一人のライフスタイルを脱炭素型に転換していただく必要があるというふうに考えてございます。

 この脱炭素型のライフスタイルへの転換を促す各分野での取組、すなわち、断熱のリフォームでございますとか、あるいは、住宅につきましてネット・ゼロ・エネルギー住宅、いわゆるZEH、それから、運輸部門では電気自動車等の普及を図るということを各般で推進しながら、AI、IoTにより個人の行動変容も促すといった取組なども進めてまいりたいというふうに考えてございます。

関(芳)委員 本当に、まさにおっしゃるとおりだと思います。国民の方々一人一人、また、先ほどからお話もございましたが、経済主体の一人一人が、みんなが意識を持って同じ方向に走っていかないといけない、私は本当にそのように思います。

 今せっかく環境省の方から、我々の、人間の生活についてお話があったわけですが、少し話が脱線しますが、私が好きな分野に、山際筆頭と同じかもしれませんが、生き物が非常に好きで、特に昆虫が私は大好きなんですね。小学校の卒業文集、六年生の卒業するときの文集に、将来は昆虫学者になりたいというふうに書きました。そうしたら、親が、やめておいた方がいいんじゃないかということがあったりして、もう少しお金を稼ぎなさい、そういうふうに言われたわけですが。

 ちょっと昆虫について申し上げますと、三十五度という、ことしも夏は三十五度をよく超えましたけれども、私の好きな昆虫、セミもそうなんですが、セミとかは三十五度を超えるとばたばた死んでいっちゃうんですよね。三十五度を超えた日の翌日、よく木の下にセミが、たくさん道に死んでいる、死骸が見つかったりするんですね。ああ、昆虫というのはやはり非常に気温に敏感だなと。

 しかしながら、こういうふうな状況というのは実は世界でも非常に見られていまして、ちょっと調べてみたんですが、これはネットにも出ておりました。ドイツで博物学者が中心となって、アマチュアグループではございますが、クレーフェルト昆虫学会というのをドイツではつくられております。このクレーフェルト昆虫学会が、一九八九年から二〇一六年、この二十七年間ですけれども、ドイツの六十三カ所で、自然保護区で昆虫を採集して調査した結果を発表しております。

 自然保護区でございますから、例えば人が入ってきたりして昆虫をとって荒らしたりするようなことではありませんが、ですから保護されている地域ですね、そういう地域の中において、この二十七年間で、三月から十月において何と昆虫が七六%減っているんですね。八〇%近く減っている。真夏においては八二%昆虫が減っていると。

 これは、原因は幾つかあるんだと思います。地球温暖化だけではないんだと思われますが、やはり主に地球温暖化、先ほどもセミの話をさせていただきましたけれども、そういうことが非常に影響しているのではないかという発表がされておりました。もちろん、昆虫学者の人たちが、アマチュアのグループとはいえども、リードしていただいて、たくさん入っていらっしゃる方々の研究発表でございますので、こういうふうな状況はもう既に地球温暖化でいろいろ起こっているということに、我々は本当に真摯に目を向けないといけないと思うんです。

 これは翻って言いますと、私もCOPの会議に行かせていただいたことがございますが、昆虫とか、森羅万象の中における生態系、その中の一生物が人類、人間でございますけれども、あらゆる生態系の中において、一部分の昆虫という世界ででもそのように死滅が行われていくというのは、生態系全体にも物すごく、まだ解明され尽くしていないような大きな影響がやはり今後あらわれてくると思います。

 ですので、我々は、そういうふうな森羅万象全体において地球温暖化というのをしっかりと認識をして、見据えて、地球温暖化対策、菅総理は本当に大事な、二〇五〇年カーボンニュートラルを宣言してくださいました、これについて全力で、いわゆる技術の革新とともに、これはまた経済の発展にもつながると思いますので、取り組んでいくべきだと思います。

 先ほど環境省から御回答いただきましたように、グリーンを将来の成長分野と考える、複数年度で大規模な対策をとっていこう、こういうふうなところで、しっかりと日本も本当に真剣に取り組んでいかないと、経済の分野において、技術面においても、技術革新においても、私は、おくれをとってしまうんじゃないか。これは非常にやはりまずくて、逆に、今後、技術面の競争が地球温暖化対策に関係したところで主に行われていくのであれば、我々は、その分野に特化をしたあらゆる政策も進める価値は非常に、大いにあると思いますので、ぜひ、その点につきまして、皆様とともにまたこの調査研究を進めてまいりたいと思います。

 総合いたしますと、あらゆる選択肢を追求する、そして、既存の延長線ではない、これが大事だと思います。既存の延長線ではない、長期的な非連続なイノベーションを起こす、そしてコストを下げる、そして迅速に社会に実装していく、このことを我々は頑張っていかないといけない。この実装される技術こそが、いわゆるグローバルに競争力を持った日本の経済へ成長させて、しかも、競争力を強めることによって豊かにまた国家自身がなっていく、そして経済と環境も好循環でウイン・ウインの関係が生み出される、そのようなことに私はつながっていくんだと思います。

 それでは、最後の質問になるわけでございますけれども、こうしましたイノベーション、社会実装の中心を担いますのはやはり産業界、この産業界の協力なくしては私は進んでいかないと思います。産業界が真摯に課題に向き合っていただいて、そして腰を据えて取り組むことができるような国家としないといけないと思いますし、長期的な支援、環境整備を我々もしっかりと後押しをしていかないといけないと思います。この点につきまして、今、政府のお考えをお聞きしたいと思います。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇五〇年カーボンニュートラルへの挑戦は、先生御指摘のように、日本の成長戦略そのものでございます。あらゆるリソースを最大限投入して、経済界とともに経済と環境の好循環を生み出していく、これが重要だと思っております。

 その実現に向けては、温室効果ガスの八割以上を占めるエネルギー分野の取組が特に重要でございます。また、鉄鋼あるいは化学、こういった産業分野も革新的なイノベーションを推進し、製造プロセスを大きく転換させていく必要がございます。エネルギー、産業の全体を俯瞰して取り組むことが重要でございます。

 これまで、政府といたしましても、産業革命以降累積したCO2の量を減少させるいわゆるビヨンドゼロ、これを可能とする革新的技術の確立を目指しました革新的環境イノベーション戦略を策定し、カーボンニュートラルに向けて克服すべき技術面での課題について検討を深めてきているところでございます。

 こうした検討を踏まえまして、カーボンニュートラルを目指す上で不可欠な、水素、蓄電池、洋上風力、カーボンリサイクルなどの分野につきまして、具体的な目標年限やターゲット、そして、規制あるいは標準化、こういった制度整備、社会実装を進めるための支援策、こういったものを盛り込んだ実行計画を年末を目途に取りまとめる予定でございます。

 水素は、これまで自動車用中心だったものを、新たな資源と位置づけて、幅広いプレーヤーを巻き込んで社会実装への道筋も検討してまいりたいと思います。

 蓄電池につきましては、モビリティー分野において電池の投資拡大と技術向上を進めて市場を確保するとともに、電池の供給網、この強靱化を進めてまいりたいと思います。

 それから、カーボンリサイクルは、化石燃料の利用により排出されたCO2の対応として必要となる、これはまさにキーテクノロジーでありまして、具体化に向けた方策を検討してまいりたいと思っております。

 また、今後最も拡大が期待されるのは洋上風力でございます。ポテンシャルを踏まえた系統整備を進めるとともに、洋上風力産業育成のための国内拠点整備を進めてまいりたいと思ってございます。

 また、企業が安心して高い目標に向かって大胆な投資を行うことができる環境が必要でございます。長期にわたってカーボンニュートラルに果敢に挑戦していく企業に対しまして、国も長期間にわたって支援することが必要であって、具体的な対応を検討していきたいと思っております。

関(芳)委員 ありがとうございます。

 総合的な取組の大切さ、今、非常に力強くうたっていただいたと思います。年末に向けましてのその取組を、ぜひ進めていただきたいと思います。

 私は、このような中、よくテレビでニュースなんかを見ておりますと、この日本だけでなくて、これは、世界、フランスなんかでもよく同じようなニュースが流れるんですが、この地球温暖化で気温が高温になり過ぎて、前に言ったように、人類が、人間が、亡くなった方がいらっしゃると。

 私は地元が神戸なんですが、地元をよく回っておりますと、御高齢の方で家に空調機を設置されていない方、まだたくさんいらっしゃるんですね。夏などは、窓をあけて風を入れて涼をとっていらっしゃるという方はまだまだたくさんいらっしゃるようでございますし、また、本当に熱帯夜のときに、でも、寝る前に空調機のを持っていってもそのボタンを押すのを忘れる御高齢者、それで家の中でさえも脱水症状を起こして亡くなる方とか、こういういろいろな問題につながっていって、本当に命にかかわることだとも言えると思います。

 さらには、ちょうど二年前ですか、台風の十九号、二十号で、関西の方で非常に大きな、二、三年前だったと思うんですが台風が起こって、神戸の海沿い、瀬戸内沿いなんですが、非常に高波が、今まで計算していた以上の予想外の高波が来ました。そのときに、神戸市漁業協同組合が私の選挙区にあるんですが、その漁業協同組合のノリをつくる工場に、その高波で、海沿いに置いていたコンテナ、あんなに重たい、トラックに乗せて運ぶコンテナ、船に積むコンテナが、その高波に当たって、何と、ばんと吹き飛ばされて、そのノリ工場にばっと突っ込んじゃったんですね。機械が非常に破損したという事故も起こりました。

 今までは、工場の建物自身には火災保険をかけているんですが、ノリをつくる機械自身には保険がかかっていなかったんですね。それでもう大変なことになりまして、私もそれで大分動いたんですけれども、こういうふうなこともたくさんありました。

 また、それと同じ時期に神戸で、ちょうど私の同級生が社長をやっているジーライオンという会社なんですが、海沿いのポートアイランドに車を、フェラーリ五十一台をとめているんですが、それが全部水没しちゃったということですね。社長に聞くと、一台が幾らですかと言うたら、三千万円らしいですね。五十一台水につかった。これを一回引き上げたんですが、海水につかった車というのは、エンジンをつけると発火したりするので使えないらしいんですね。

 そういうふうなことで、我々、神戸ではポートアイランドのところをしっかりと、経済的にも、またいろいろな面でも有効活用を土地としてしたいんですが、そういうところの安心、安全までも脅かされるように、経済のいろいろな面に、地球温暖化による高波で影響を受けたりしていますし、さらには、北極海の氷も解けて海面が上がると、ずっとこの海沿いに住んでいる方々の家が水没してしまったり、また太平洋なんかの島嶼国が、国自身がもう海面の下に沈んでしまったりと、本当に国際的な大きな問題につながる内容が多々あるかと思いますので。

 こういう面まで含めまして、我々は、先ほどからございました、みんなで力を合わせて地球温暖化をとめる、二〇五〇年のカーボンニュートラル、そのゼロに向けて頑張っていきたいと思いますので、これからもぜひ指導のほどよろしくお願い申し上げまして、少し早いですが終わりとさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

富田委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。質問の通告に従いまして質問させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

 まず冒頭、先ほど来話題になっております二〇五〇年カーボンニュートラルということにつきまして、私からも、少し議論が重複するかと思いますけれども、質問をさせていただきたいと思います。

 冒頭、まず梶山大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

 地球温暖化というのは、もう本当に、先ほどもまさにお話がずっとあったとおりでございますけれども、大変な問題だというふうに思っております。そして、災害が激甚化をしていく中で、これを本当にどうやって対応していけばいいのか、やはり日本も野心的な目標をしっかり立ててこれを大きく前に進めていくべきだということは、私ども公明党も以前よりも訴えさせていただきました。例えばことしですと、通常国会の代表質問でも、二〇五〇年のカーボンニュートラルというものをしっかりと目指していくべきではないか、こういうことも訴えさせていただいたわけであります。

 菅新政権におきまして、自民と公明、自公の政権合意の中に脱炭素社会の実現というのをしっかり盛り込もうということで我が党からもお話をさせていただきまして、政権合意の中にこうした脱炭素社会の実現というのが入り、そして総理がこのたびこうした大きな目標を掲げてしっかりやっていこうということで大変に大きな決断をしていただいた、こういうふうに思っておりますし、また、その中でも梶山大臣が経済界の中でまさにリーダーシップをとっていただいてこの政策を進めていくということで、その御奮闘に改めて敬意を表する次第でございます。

 今までも、二〇五〇年の八割、温室効果ガスの削減という目標がありまして、これも長期的な目標として、やはり今までの技術だけでは難しい、イノベーションが必要、そして非連続な政策を進めていくことが必要だということで、今までも野心的な目標であったわけでありますけれども、これを更に大きく前倒しをしていく、そして待ったなしということで技術革新というのを進めていく、それがまさに二〇五〇年のカーボンニュートラルであるというふうに思っておりまして、大臣が所信表明でおっしゃっていただいたとおり、あらゆるリソースを最大限投入をして、長期間にわたる支援策、こういうものもないとやはり実現はおぼつかないというふうに考えております。

 EUを見ましても、かなり大規模の基金、こういうものも創設をしながら進めていくわけでございまして、やはり日本としても大きな支援策というものがないとなかなか実現が難しい、こういうことも指摘をしておるわけでありますけれども、まず冒頭、二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けた実際の戦略、そしてまた大臣の御決意というものをお伺いしたいというふうに思います。

梶山国務大臣 二〇五〇年のカーボンニュートラルへの挑戦は、日本の成長戦略そのものであると考えております。あらゆるリソースを最大限投入をしてまいります。

 そして、これは、環境問題の課題解決ということもありますけれども、日本の産業政策ということでもあります。海外においてやはりいろいろな技術に投資をしていく、そういった中で日本の技術が本当に海外の市場で通用するかどうかということも含めて、そういった状況も見据えながらしっかりと取り組んでいかなければならないと思いますし、経済界、産業界とともに経済と環境の好循環を生み出してまいりたいと考えております。

 その実現に向けましては、温室効果ガスの八割を占めますエネルギー分野の取組が特に重要であります。また、鉄鋼や化学などの産業分野も、革新的なイノベーションを推進し、製造プロセスを大きく転換をさせていく必要があります。これもやはり世界各国の同業者との競争ということになっていくかと思います。

 カーボンニュートラルは簡単なことではなく、エネルギー、産業全体を俯瞰して産学官が本気で取り組むことが重要でありまして、特に省エネとイノベーションということでありますが、イノベーションの分野は政府がしっかりと支援をしていかなければならないと思っております。

 これまで、政府としましても、産業革命以降累積したCO2の量を減少させるビヨンドゼロを可能とする革新的技術の確立を目指しました革新的環境イノベーション戦略を策定し、カーボンニュートラルに向けて克服すべき技術面について、課題について検討を深めてきているところでもあります。

 こうした検討を踏まえて、カーボンニュートラルを目指す上で不可欠な、水素、蓄電池、洋上風力、カーボンリサイクルなどの分野について、具体的な目標年限やターゲット、規制や標準化などの制度整備、社会実装を進めるための支援策などを盛り込んだ実行計画を年末をめどに取りまとめてまいりたいと考えております。

 高い目標に向かって大胆な投資を行う、果敢に挑戦していく企業に対して、国も長期間にわたって、これまでの期間よりずっと長い期間を支援するということも検討してまいりたいと思っております。

中野委員 ありがとうございます。

 まさに大臣がおっしゃっていただいたような産官学、しっかりと連携をして、そして国も長期間にわたってこれをコミット、支援をしていく、そういう方向性、まさにこれから年末に向けて実行計画というお話もございましたけれども、しっかりと我が党としてもどういう形で後押しをしていくのかというのをまた党内で議論もし、また政府に提言もさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 そして、先ほどまさにお話ししていただいた、少し各論に入っていきたいと思いますけれども、水素、蓄電池、洋上風力といった要素技術のお話もございました。

 私、この水素社会の実現というのが一つの大きな大事なポイントだというふうに考えておりまして、しかもこれは、やはり日本が先進的な技術開発でこの分野で世界をリードする、こういうふうな形にしていかないといけないのではないかというふうに思っております。

 今までも、水素基本戦略というものを政府でつくりまして、しっかり取組を行ってきたわけでありますけれども、それを大きく前倒しをして、やはりこれを進めていかないといけないのではないかと思います。

 先日、地元の兵庫県で、水素の運搬船というものが初めて実証実験ということで完成をしたということで、この具体の現場も私も見させていただきました。水素の運搬をする運搬船、貯蔵をする施設、また保管をする施設、発電用のプラント、こうしたものをさまざま実証実験という形で行っている、そういうお話もお伺いもいたしましたし、その現場を見る過程の中で、やはり水素社会の構築に向けては、大規模に調達するようなサプライチェーンをしっかり構築をしていくであるとか、あるいはコストの面でもまだまだ縮減をしていく必要もありますし、そして、水素を具体的に、発電も含めて、さまざまな場面で活用する技術等々、やはり進めなければいけない課題というのがまだまだあるというふうに感じたところでもあります。

 この水素関連の取組の今後の政府の進め方についてお伺いをしたいというふうに思います。

茂木政府参考人 御指摘いただきました水素の普及を進めるためには、水素の大量供給やコスト低減とあわせまして、今御指摘いただいた、発電、産業、それから運輸などの幅広い分野での需要を一体で創出していくということが極めて重要だというふうに考えております。

 まず、大量かつ安価に水素を供給するという面では、先ほど言及ございました、豪州から褐炭で液化水素を製造しまして、これを日本まで海上輸送してくる、そういうプロジェクト、国際水素サプライチェーンの実証というのがございます。こうしたプロジェクトや、福島県の浪江町で、再エネから水の電気分解で水素を製造する、こういった技術の実証などを通じまして、低コストに水素を供給する技術を確立してまいりたいと思います。

 また、あわせまして、水素の需要の創出、これが非常に重要であります。

 具体的には、大量の水素の需要が期待できます発電分野、こちらで水素の専焼技術の開発、こういったものを進めてまいります。また、産業分野では、例えば製鉄プロセスで水素を活用するための水素還元製鉄技術の開発支援、それから運輸でございますが、乗用車に加えてトラックなどの商用車、少し大型の車ですね、こういった分野での水素の利用をふやしていくということで、このために、こうした大型モビリティー向けの水素充填技術の開発支援なども今進めてまいるということで進めております。

 こうした幅広いプレーヤーを巻き込みながら、水素の社会実装に向けた取組を進めてまいりたいというふうに考えています。

 これらの取組を、具体的な目標年限ですとか、それからターゲット、規制や標準化などの制度整備、さらに、社会実装を進めるための支援策などを盛り込んで、年末までに具体的な実行計画をまとめてまいりたいと思います。

中野委員 水素で先ほど言及していただいた、浪江町にある再エネ由来の水素の製造の拠点のことで少しお伺いをしたいんですけれども、私も経済産業政務官、また内閣府で復興大臣政務官もさせていただいておりましたので、本年の、ことしの三月にまさに完成した、この福島水素エネルギー研究フィールド、現場も視察をさせていただきました。再エネを利用した水素製造の実証事業ということであります。

 具体的に、今後、この実証フィールドにおいて水素を製造していくということをやっていくわけでありますけれども、それをどのように展開をしていくのか、これについてはまだまだ検討の途上であるというふうなことも感じましたし、また、このカーボンニュートラルの実現に向けて、先ほどあった、水素の供給をどうしていくかという点で、一つは、国際的なサプライチェーンというのはもちろんあるわけでありますけれども、再エネ由来の水素というのも非常に大事なところかというふうに思います。また、福島の復興という意味でも非常に大事な要素であるというふうに思っておりますし、こうした福島の水素の活用を更に前に進めていく、これが重要であるというふうに考えますけれども、今後の具体的な方策につきましてお伺いをしたいというふうに思います。

茂木政府参考人 今御指摘いただきました浪江の福島水素エネルギー研究フィールドでございます。ことしの三月に開設をいたしまして、現在、水素の製造実証を行っています。

 この施設で今行われていることですが、これは、商用化に向けまして、再エネを活用した水素の製造効率の向上に向けた研究開発を行うとともに、製造した水素を活用して、近隣の地域に対して燃料電池の活用ですとかあるいは燃料電池自動車の導入などの支援をしているというところであります。既に製造された水素については、福島県内の幾つかの施設で使われております。先月には福島県で、関係省庁、県、市町、それから企業なども加えまして、水素の利活用のさらなる拡大の議論をする場を設置しまして、ここで検討を始めています。

 政府としては、引き続き、関連予算を確保して、福島県とも連携しながら、駅や公共施設、こういったところへの燃料電池の導入ですとか燃料電池自動車の導入を推進しまして、福島県内の水素の積極的な活用に向けて検討を進めていきたいと思っています。

中野委員 ありがとうございます。

 まさに復興の大きな取組として、まさにこの浜通り地域の、公明党としても福島イノベーション・コースト構想というものも推進をしてまいりましたし、また、福島県全体のやはり新エネ社会構想、こういうものも今後どういう形で進化をさせていくかということも非常に大事だというふうに思います。しっかりと県とも連携をしていきながら、こうした構想のさらなる具体化、そして、復興の加速、こういうものを経済産業省としてもしっかり後押しをぜひしていっていただければと思いますので、あわせてお願いを申し上げたいというふうに思います。

 もう一つ、再エネの主力電源化ということもお伺いをしたいというふうに思います。

 これも党として強く訴えてきたテーマでありまして、エネルギー基本計画の中でも、二〇五〇年、再エネは主力電源化をさせるということで明記をしているわけでありますけれども、カーボンニュートラル、こういう議論になってまいりますと、やはり発電に関して本当に一〇〇%近い非化石化というか、こういうものを視野に入れてやっていかないとなかなか実現が難しいのではないか、こういうことも思っております。

 その中で、再生可能エネルギーというのがどこまで進めていけるのかというのは大変に大きなテーマであるというふうに思います。今既に、二〇三〇年のエネルギーミックスの中でも、二二から二四%、電源構成の中で、こういうのを目指していく、こういうことで取組を進めているわけでありますけれども、進めていく過程の中で、今ある課題というのも既に見えているものもあるかというふうに思います。

 国民負担のコストの問題をどうしていくかですとか、あるいは、もちろん再エネを進めるわけでありますので、実際に調整力というか、再エネのバックアップとしての火力の問題というのをどういうふうに考えていくか、調整力をどう確保していくのかというのが非常に大きなテーマであるというふうにも思っておりますし、また、系統をどのように安定をさせていくかというのも技術的には重要な課題であるというふうに思います。

 もちろん、経済産業省としても、前回も再エネ特措法の改正などもあり、FIP制度という新しい制度も創設をしましたし、また、系統の増強のようなことも議論の俎上にのって進めていくということにはなっておりますけれども、これを更に力強く前に進める、再エネの主力電源化を早期に実現をするということでありますので、先ほど来あった議論でもありますが、技術の開発についてはやはり国が力を入れてしっかり支援をしていかないといけないでしょうし、国としてしっかりとした導入目標を高く掲げて、産官学が一体となって目標達成に向けて取り組んでいく、こういうことが必要であるかというふうに思います。

 この再エネの主力電源化につきまして、今後の方向性をお伺いしたいというふうに思います。

茂木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただいたとおり、再エネを最大限導入していくというためには、国民負担、それから調整力、系統の問題、さまざまな課題がありますので、こうした点も踏まえまして、今、エネルギー基本計画の検討の中で、しっかり検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

 また、技術の動向も含めて、どんな技術をこれから開発していくべきか、こうした点もはっきりさせていきたいと思っています。例えば経済対策においても、カーボンニュートラルに向けた技術開発等のグリーン社会の実現に向けた措置を講ずるというふうにされておりますので、こうした中でも、再エネ導入促進の観点から必要な措置を講じてまいります。

 それから、将来の見通しをしっかり出していくという意味では、例えば洋上風力については、本年の七月に官民協議会というのを立ち上げておりまして、この場で、将来の導入見通しですとか、それからインフラ整備や、低コスト化に向けた技術開発支援のアクションプラン、こういったものを提示したいと考えております。これを年末までには大きな方向性を取りまとめて、その上で、官民連携しながら導入拡大と産業競争力強化、こういった好循環を生み出してまいりたいというふうに考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 この議論につきましても、年末までに一つまたしっかり議論を進めていただくということでありますので、時間は限られてはおりますけれども、しっかりとした、こうした前に進む計画というものをぜひお願いをしたいというふうに思います。

 続きまして、新型コロナ感染症への対応ということで、少しテーマをかえまして質問をさせていただきます。

 先日、GDPの速報値の発表もありまして、緊急事態宣言が発令をされた四月から六月期に比べて大きく反発をしている、数字的にはそういう報道もございます。また、実際に地元でさまざまお話を伺っても、業種にもちろんよるわけでありますけれども、かなり持ち直しつつある状況もあるものの、やはり苦しい状況も依然として続いている、こういう状況であるかなというふうに思います。そうして苦しんで何とか経営を継続していこう、こういう形で必死に取り組んでおられる事業者の皆様を経済産業省としてもしっかりと後押しをしていく必要が今後ともあるのではないか、このように考えております。

 その中で、一つ、現在行っております持続化給付金や家賃支援の給付金など、あるいは資金繰り対策など、現在行っているこうした経営を支える対策、この執行をスムーズに図っていくというのは非常に大事なことであろうかというふうに思います。

 その上で、この持続化給付金や家賃支援給付金の執行の運用の改善というところにつきまして、一つ取り上げさせていただきたいのは、具体的にはNPOの取扱いというものについて少し取り上げたいというふうに思います。

 もちろん、このさまざまな給付金、さまざまな事業主体というものを応援を、経営継続を支えていくというわけでありますけれども、NPOというのももちろん対象になっております。

 いわゆる非営利法人のNPO法人なども社会の中で大きな役割を果たしておりますし、例えば、今回の新型コロナウイルスの感染症の発生から、やはり、こうした人々の生活課題、あるいは貧困といった課題、こうした形がかなり浮き彫りになってきたというふうに思っておりまして、こうした方々を官民力を合わせて支援をしていく、そういうためにも、NPOというのは非常に欠かせない役割を果たしているというふうに考えております。ですので、こうした支援策、営利企業だけではなくて、こうした皆様からも広く活用していっていただきたい、こういうことで主張してきたところであります。

 その一環として、九月の二十九日から、持続化給付金につきましては、寄附金収入の多いNPO法人につきましては、事業収入だけではなくて寄附金による収入もその収入の算定根拠に入れる、こういう形の運用改善というのをしていただいたわけであります。これは、NPO法人制度を所管する内閣府と経済産業省が、縦割りをまさに排してという形で、しっかりと連携をしていただきましたので、今回、この制度の改善というものが実現をしたというふうに思っております。

 今回、持続化給付金について対象にしていただいた中で、もちろん家賃を支払ってやっておられる方も多いということでありますので、家賃支援給付金についても同じような形で対象としてほしいということも、党として要請をしてまいりました。

 今回、いわゆる寄附型のNPO法人申請の家賃支援給付金についても対象にするということで経済産業省の方から発表がありまして、具体的に、十一月の十九日から受け付けを開始するというふうに聞いております。

 そこで、具体的にどういう形で今後この手続が進んでいくことになるのかというのを、少し詳しくお伺いをしたいというふうに思います。

村上政府参考人 御案内の機会をいただいて、ありがとうございます。

 NPO法人は、これまでは、事業収益や会費のところで売上げ減少要件を見てまいりました。ただ、NPOによりましては、事業性が強いものでも寄附金という形で実際にいただいているケースもあるということで、今回、十九日より、御案内いただいたとおり、内閣府と連携して運営してございます事前確認事務センターのところで事前確認を受ければ、寄附金も含めて売上げ減少要件に含めると。

 具体的には、事前確認書の交付というものを、私どもの申請にいただく前に、内閣府とやっておりますその事前確認事務センターの方でいただくということになるんですが、そちらのセンターの方では、寄附金等が事業活動と密接に関連していることでありますとか、その場合の寄附金等と事業収益の合計額が前年度比で一定程度減少しているといったようなことについて、そちらで検討を受けていただいて、事前確認書というものを得ていただきます。その事前確認書と一緒に、あとは通常と一緒でございます、私どもの方に御申請をいただければ、持続化給付金の場合もそうでございますが、同じように対象にすることができるということでございます。

 なお、もう既に持続化給付金を申請する際に事前確認をとられている場合につきましては、改めて重複して事前確認書の交付を受ける必要はないというところで、そのあたりもできるだけ効率的に運用したいと考えているところでございます。

中野委員 ありがとうございます。詳しいやり方を御答弁していただきました。

 今回、制度、運営改善をしていただきまして、大変喜びの声も上がっておるわけでありますけれども、他方で、少し気になっておりますのが、家賃支援給付金の申請期限が来年の一月十五日までということでございまして、実際に、持続化給付金と違って、今回の家賃支援の給付金というのは、準備をする書類もかなり多いということもございまして、特に賃貸借契約を結んでいることがはっきりわかる書類とか、準備に時間がかかるというお声も他方でいただいているところであります。

 新たに対象に入れていただいた寄附型のNPOについて、確実に給付金の申請を済ませてお手元に届くように、これはしっかりと制度上も工夫をしていく必要があるというふうに思っております。

 これにつきまして、今後どのような形で対応していくのかというのを、長坂副大臣の方にお伺いをしたいというふうに思います。

長坂副大臣 家賃支援給付金につきましては、申請件数の約四分の三に当たる五十三万件、約四千六百億円が給付済みでございます。必要な体制を確保しつつ、寄附金等を主な収入源とするNPO法人を含め、事業者に対して適切かつ迅速に給付が届くよう、運営に努めているところでございます。

 家賃支援給付金事業は、審査や不備対応を含めた処理を年度内に終了する必要があることから、申請期限そのものを延長することは難しいという事情がございますけれども、今般対象とするNPO法人を含めた事業者の方々に申請期限をしっかりと周知をしていく、また、本年度内に全て必要な手続が終わるように、申請後の不備対応、サポートにも万全を期してまいります。

 さらに、万が一、こうしたNPO法人が事前確認書の取得に時間を要した場合であっても、まずは、申請期限の来年一月十五日までに事前確認書以外の必要書類を添付して申請していただければ、事後的に事前確認書を提出できるようにするなど、柔軟に検討してまいります。

 このように、まずは申請期限までに申請をしていただくことが重要でございまして、この旨を家賃支援給付金事務局のホームページ等で周知するほか、NPO制度を所管する内閣府からも周知をしてまいりたいと考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 内閣府側の手続と二つあるということで、やはり通常の申請とは少し違った形態になると思いますので、しっかりとサポート、また、先ほどおっしゃっていただいたような対応も含めてお願いしたいというふうに思います。

 内閣府の方にも来ていただいておりますので、内閣府の方でもしっかりと同様に、こうした確実な受給というものに対してサポートしていっていただきたいというふうに思いますけれども、どう対応されるか、お伺いしたいと思います。

海老原政府参考人 私ども内閣府といたしましても、中企庁としっかり連携して取り組んでいきたいと思っております。

 特に、私ども、周知が大事であると思っておりまして、今回の取扱いの変更につきましては、今週の十六日から内閣府のNPOホームページなどで公表いたしまして、団体側への周知を行っているところであります。具体的には、手続の概要等につきましてQアンドA形式で解説をする、あるいは、昨日、十七日でありますが、フリーダイヤルで受け付けるお問合せ窓口の情報などを掲載したところであります。

 また、これらの情報をNPO法人に周知いただけるよう、所轄庁、都道府県や政令市に情報提供を行っております。また、今後は、全国にネットワークを持つ団体への周知の協力依頼なども行ってまいりたいと考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 しっかり御対応をよろしくお願いしたいというふうに思います。

 時間も迫ってまいりましたので、最後にNPOの事業継続の支援ということについて、もう一件、ちょっと経済産業省の考え方というものをお伺いしたいというふうに思います。

 と申しますのも、NPOについては、事業性の観点から、いろいろな支援であるとか補助とか、そういうものを受けられるケースも受けられないケースもあるというふうに思っておりまして、例えば、受けられないものとしては、NPOを運営されている方からお伺いしたんですけれども、小規模企業の経営者や個人事業主向けの小規模事業共済、こういうものには加入できないというふうなお話もお伺いをしました。

 今回、こういう経営環境の激変という状況もありますので、こうしたものがないとなかなか困るというふうなお話も伺っておりまして、この小規模事業共済についてNPOが加入することを検討できないのか、こういうことについて、今、経済産業省としての受けとめをちょっとお伺いをしたいというふうに思います。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御存じのとおり、小規模企業共済制度は、小規模企業者である会社の役員や個人事業主を対象とした制度でございます。

 正直、それぞれの分野でそれぞれの仕組みがその間にあるという状況の中で、NPOは個人事業主にも会社にも該当しないことから、現時点では加入資格を有してございません。

 経産省としましては、NPOを所管しておられます内閣府でありますとか、監督権限等を有する都道府県等を含めて、関係各所における議論をよく注視して今後とも議論してまいりたい、こういうふうに考えてございます。

中野委員 ちょっともう時間がありませんので、きょうはこの議論はここまでにいたしますけれども、やはりこうした事業性の観点の議論であるとか、あるいはこうした非営利法人の経営の継続みたいな観点でございますとか、今回のコロナでいろいろな、今までの平時ではわからなかった課題というのがさまざま浮き彫りになったところもあるかというふうに思っておりまして、やはりこれは幅広い議論というのを引き続き続けていく必要がある、こういうふうに思っております。

 また今後とも議論させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 時間となりましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

富田委員長 次に、山岡達丸君。

山岡委員 山岡達丸と申します。

 本日は、大臣所信に対して貴重な質疑の時間をいただきました。委員長始め委員の皆様に感謝申し上げながら、私も、また限られた時間ではありますので、質疑をさせていただきたいと思います。

 さまざま、経済産業省を取り巻く政策的課題は多くあろうと思いますが、私は、北海道で活動させていただいている身として、地域を歩く中で、本当に今身近に、大変深刻な課題として感じるのは、やはり新型コロナウイルス。もちろん感染拡大防止のために本当に多くの医療関係の方も御努力されている中でありますが、経済産業委員会でありますので、経済面から本当にさまざまな影響が出ているということを、本当に委員の皆様始め皆様が感じておられることだと思いますが、改めて私の立場からも申し上げさせていただきたいと思います。

 特に、今、第三波とも言われるような、そんな事態で全国に広がっている中で、北海道は広がりが深刻でございます。北海道においては、百九十七人というのが最新の状況でありますが、人口比にすれば全国でも本当にもう最大級の感染の広がり方の中で、いわゆる外出自粛という要請まで改めて出まして、これから、今十一月でありますけれども、年末年始、私のところに届いていたさまざまな御案内も、今急遽、中止、中止という状況が広がっているところであります。

 北海道の感染がなぜ多いのかということは、例えばGoToの人の移動ではないかとか、あるいは寒く乾燥しているからではないかとか、さまざま言われているわけでありますけれども、原因は明確にはわからないところでありますが、しかし、事実として、この状況が続けば、本当に地域経済、大変厳しいというのが更に拡大するというのは肌で感じているところであります。

 この北海道特有の事情で、例えば政府が業界団体につくらせたというか、そういう各業界にコロナ対策としてあるマニュアルに、換気をせよというのがあるわけでありますが、これから、御存じのとおり、気温はマイナスという中で、私も先日地元のクリーニング屋さんに行きましたら、やはり窓を全開にされておられて、今もう時期的にはゼロ度前後なのにもかかわらず、従業員の方の安全の面もありますから、しっかり換気をしているという状況が北海道の中でもあるわけでありますが、経済的な面でいえば、これから光熱費も、恐らく例年に比べては大きくかかっていく可能性もある。

 たまたま同じ灯油であるジェット燃料が、飛行機の需要の低下で、もしかしたら価格面では今回に関しては少し安く済むんじゃないかという見立てもあるようですが、しかし、総合的に見ると、やはりコストがさまざまかかる地域が、この北海道、北のエリアという中で広がっているという事態を、せっかくの機会ですので大臣に、まずこの第三波の見解といいますか、受けとめをどう考えているか。

 そして、私は北海道で活動させていただいている身でありますから特に身近に感じるわけでありますが、地域ごとに濃淡があるという実態であります。私の立場から申し上げれば、こういう地域に、四月、五月は全国に向けていろいろな措置をしていますけれども、例えば経産省のさまざまな事業においても、こういう出ている地域に対策をしっかり充実させていただきたいという思いなんです。

 大臣に、せっかくの機会ですので御見解を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

梶山国務大臣 今山岡委員がおっしゃるように、地域によって濃淡があるということで、地域ごとの制度やそういった施策というものも必要な時期なのかなという思いを持っております。

 国の施策では十分にカバーすることのできない地方の実情に応じて対応、取組を支援するために、自由度の高い財源であります総額三兆円の地方創生臨時交付金を今までに措置をしているところであります。

 この交付金は、今までに千七百八十八地方公共団体に対して交付が行われております。さまざまな取組に活用されておりまして、例えば、苫小牧市ではコロナ関連融資の保証料の補給、室蘭市では小規模事業者に対する給付金の給付といった、コロナ対応のための自治体独自の取組が行われているものであります。

 ただ、今の状況を踏まえて、さらに、一昨日のコロナ対策本部において、協力要請推進枠の創設が決定をされたところであります。これは五百億円ということでありまして、それぞれの地方で対応できるものにしようということであります。これにより、地方公共団体による機動的な取組を更に支援をしてまいりたいと思っております。

 こうした支援に加えて、経済産業省としても、地域ごとに異なる支援ニーズにも対応できるように、地方自治体が講じる中小企業施策に係る費用の一部を国が支援する地域企業再起支援事業を実施しているところであります。

 国として、さまざまな支援を総動員し、省庁間の連携をしながら、地域の中小企業、小規模事業者の事業継続、雇用維持に対して全力で支援をしてまいりたいと思いますし、今の感染状況も注視をしてまいりたいと思っております。

山岡委員 これから具体的にも、北海道、さまざまな関係者から、経産省にも経産大臣にも、あるいは関係省庁にまたさまざまな声があると思うんですが、ぜひ、地域の、全国さまざま、エリアによって感じ方が違うのかもしれませんが、本当に危機的な思いを持って年末を迎えようとしているということを御理解いただければと思います。

 あわせて、ちょっと具体的な課題で、今の制度のことについて、年末もう一回来るのではないかという視点で、少し私も懸念することがあるので伺いたいんですけれども、金融措置とかあるいは補助金の制度の、まあ小規模事業者持続化補助金とかありますが、申請等も、これはまたしっかり継続して続けていただきたいと思うのもあるんですが、私が目下ちょっと気になっていますのは、この委員会でも議論で取り上げられておりますが、持続化給付金と家賃支援給付金と、一月十五日が申請の締切りだということです。

 経済産業省の考えとしては、十五日までに何らかの手挙げをしてくれれば、そこから先おくれた資料が出ても何とかカバーできるようにするんだと。しかし、十二月三十一日に会計が締まって、年末危機が起こる。十二月の段階で、もしかしたら、四月、五月に申請することがなかった方も、五〇%を切って、これは本当に大変だという事態が起こり得るという状況なんです。そこから二週間です。

 私もいろいろな方の相談を受けているけれども、ああ、私も申請対象になるんだ、申請できるんだという思いになる、そこに気づくまでに、二週間以内にそのアクションをしなければ、しかも金額も大きい、この申請の権限がなくなってしまうというのは、この制度をつくったときは、恐らくです、これは私の予測ですが、年末まで引っ張るものの、この事態自体は四月、五月とか、六月、七月が大体ピークで、十二月までバッファーをとっているけれども、まあそこまでは広がらないんじゃないかということも見立てとしてあったのかなと思うわけでありますが、現実として十二月も危機的な状況であります。

 やはり、私は、年度内に処理しなきゃいけないというのは行政側の都合だというふうに受けとめます。現場の方が、本当に困っている方が一月十五日を越えてもこれは申請できるようにしていただきたいんです。率直に言えば、期限の延長をしていただきたい、検討していただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

梶山国務大臣 先ほど来の議論でもこの件はあるわけでありますが、持続化給付金、家賃の給付金も本年十二月までを対象としており、その申請期限は二〇二一年一月十五日となっているのが現実であります。

 持続化給付金事業は令和二年度の補正予算事業であり、審査や不備対応も含めた処理を、先ほどお話がありましたように、事業年度内に終了するためには申請期限そのものを延長することは難しいという事情があって、こういう設定になっているわけであります。

 ただ、いろいろな方面から、今委員がおっしゃったような声があるということで、まず、事業者の皆様には、残された申請期間が短いことを事務局ホームページで広報することでしっかりと周知をしていく、また、本年度内の全て必要な手続が終わるように、申請後の不備対応、サポートも含めて万全を期してまいりたいと思いますけれども、この年末年始の非常に忙しい時期の話であり、また、申請書類、家賃に関しては結構申請書類があるものですから、そういったことも含めて柔軟に対応してまいりたいとは思っております。

山岡委員 大臣から最後に、柔軟に対応していきたいということがありましたが、行政の都合ではなくて、本当に困っている方のための制度であると思っていますので、これはきちんと行き届くようにしていただきたいし、一方の議論で一月十一日まで休んだらどうかなんて話も出たりさまざまあって、書類をそろえようにも税理士事務所だって例えば休みだったりとか、本当にいろいろな事情がある中で、四月に対象になった方は申請期間が八カ月、九カ月もあるのに、十二月になった方は二週間しかないというのは、やはりちょっと制度上、私はこの制度は延長すべきだと思っていますので、申請期限の話、これはよく検討していただきたいと思いますので、問題提起をさせていただきたいと思います。

 あわせて、持続化補助金の件ですが、これもすごくニーズがあり、コロナの対策として、皆様、小さい各事業者さんが一生懸命自分たちで計画を考えて申請するわけでありますが、もう既に三回、四回と申請期限があるわけですが、一回目、二回目は採択率が八割を超えているんですが、三回目から三三%、三人に二人は落ちてしまったという事態であります。

 経済産業省の説明によれば、基準等は変えていないという話でありますが、しかし、皆さんは必死の思いで、自分たちもコロナのさまざまな対策をするために設備投資したいといろいろ申請している方がいる、自分もいろいろ頑張ろうと思っている方が、一回落ちてしまうと、ああ、やはり自分はもう申請できないのかという思いで、本当に、精神的にもさまざま、ふだん申請なれしていない方が挑戦しているという実態を考えたときに、やはり三三%というのは低過ぎるのではないかということを思います。

 これは予算の都合ではないということでありますが、しかし、必要としている人が採択されるために、私のアイデアとしては、点数制であるんだったら、追加試験的なものでも設けるのか、あるいは、採択の枠そのものを広げていただくというのが一番いいかもしれませんが、それは一、二回目の方とのいろいろバランスもあるんだと思いますが、これを広く、皆さんが書いて提案したものが採択される環境をつくるべきだと思いますが、これも大臣にお伺いします。

梶山国務大臣 委員御指摘のとおり、第三回の公募分のコロナ特別対応型の持続化補助金の採択率は、これまでの公募分と比較すると低いものになっております。

 持続化補助金の申請に際しましては、商工会と商工会議所による経営計画の確認を必須としてきたところでありますけれども、新型コロナウイルスの感染リスク軽減のために要件の緩和をしているということでして、第三回公募分からはこの申請要件を緩和いたしました。

 この結果、特に、支援機関の確認を受けていない申請件数が大幅にふえたことから、採択に至らない、内容が余り詰まっていないという言い方はよろしくないかもしれませんけれども、一、二回目に比べての内容というところで、そういう案件がふえたということでもあります。

 現在、コロナ特別対応型の第五回の公募申請を十二月十日まで受け付けているところでありますが、新型コロナウイルス感染リスク軽減のために、経営計画の確認を必須としていませんけれども、経営計画を磨き上げていただくことは大変重要なことでありまして、これまで、対面以外に、電話やメールなどで遠隔での相談を受け付けている商工会、商工会議所などもあることから、持続化補助金の申請に関しましては、これらの支援機関を積極的に活用していただきたいと思いますし、私どもから支援機関に対してもしっかりとお話をしていきたいと思っておりますので、電話、遠隔等でもしっかりとやりとりをしていただいて、書類を仕上げていただきたいと思っております。

山岡委員 給付金と違って、補助金でありますから、一定の計画が必要だというのは理解するんですが、コロナのあのいわゆる特別の対応というのは、どの事業者でも、必要な中身が詰まっていて、きちんと書けば皆さん通るはず、そういう必要性がある補助金だと思っていますので、やはり、そこの採択率を上げていくための、皆様にそういう計画をしっかり練っていただくための努力と、それと、きちんと諦めずに申請していただける、そういう呼びかけを、これはしっかりやっていただきたいと思いますし、私としては、採択率をきちんと上げていくという結果を出していただきたいと思いますので、やはりこれはよく対応していただきたいと思います。

 経営ということでいえば、少し、事業者だけじゃなくて、医療機関のことでも、せっかくの機会なので質疑をしたいんですけれども、これも大臣を始め委員の皆様はよく御承知のとおりですが、新型コロナウイルスでは、医療機関の従事者の関係者が、本当に厳しい中でも最前線に立っていろいろ御対応いただいているという状況であり、そのことについて、本当に心からの敬意を私もこの場で表明させていただきます。

 ところが、この病院等の経営状態、やはり一般の方がコロナだということで受診を控えるという中で、総合的に言えば、非常に経営は厳しいという状況であります。結果として、コロナに向き合って最前線で行われている医療機関の従事者の方々、医師の方も看護師の方もいらっしゃいますし、いろいろな、事務の方もいらっしゃいますが、人件費にまで影響が出る、そういうぐらいにこの経営状況が厳しさが出ているという話が、私の北海道の地元の医療機関の皆様からも悲痛な思いで、もちろん頑張るんだけれども、何とかしたいと思っているんだけれども、やはり、生活等にもかかわる、そういう部分が更に減るというのは非常に厳しい、神経も使い、本当に細心の注意を払いながら、自分の身も守りながらやっている中で、こういう実態だという切なる声も、私のところにも届けていただきました。

 きょうは、厚労省のこやり政務官、わざわざお越しいただいて、ありがとうございます。

 厚労省のこやり政務官にも伺いたいんですけれども、今、いろいろな委員会での御説明では、この医療機関に対して新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金というのを三兆円用意していますという話をされているわけでありますが、この実態もなかなか、そのうちの二・七兆円は、地方自治体を経由するから、議会を通じなきゃいけないので、それもまた、お届けになるのも時間がかかるようでありますし、この中身自体はどうも、伺うと、設備投資が中心であるというお話であります。

 そうすると、直接的には人件費にプラスになるものではなくて、医療機関が何か、コロナ対策でもいろいろなことがあると思うんですけれども、それも必要なんですが、そういうお金に対しての支援であるので、これが、働いている方々の本当に評価につながるそういうものに、直接的なお金につながっていくかどうかというのは、事業自体ではなかなか見えてこないという危惧もあります。

 しかし、先ほど申し上げましたように、最前線で頑張っていて、コロナの患者さんを受け入れているにもかかわらず、その病院の経営がなかなか芳しくないばかりに医療関係者の方の本当に処遇まで悪くなるようなことであれば、これは長期的に言えば、本当に人材確保の面からも大きな課題だと思います。

 これは、しっかりその方々の人件費も上がっていくような手だてを講じていただきたいと思うんですが、政務官、いかがでしょうか。

こやり大臣政務官 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、今大変厳しい状況にある医療機関も多々ございます。

 これに対しましては、御指摘のとおり、約三兆円、一次、二次、予備費合わせて措置をいたしておりまして、まさに、新型コロナ感染症患者を受け入れていただいている医療機関に支援を行っているところです。

 他方で、御指摘にもございました、この交付金等については、都道府県には申請どおり交付をしておりますけれども、その先、医療機関にはまだ十分届いていないというお声があることも承知をしております。

 このため、都道府県とともに、この執行をなるべく早くしていただくこと、これを今全力を挙げてしているところでございまして、現状で、今、十月末時点で、申請額に対して六割ぐらいの給付金が医療機関に渡っているという状況でございます。

 現状も大変厳しい状況の中で、まずは、こうした支援の給付金を現場に届けていただくということが大事であるということでございますので、これをしっかり都道府県とともに協力してお届けするということとともに、これからの感染状況、あるいは地域医療の実態等を踏まえながら、類型ごとの医療機関の経営状況もしっかり把握して、これからも必要な地域医療の体制を確保するために支援を続けていきたいというふうに思っております。

山岡委員 今、政務官からるる御説明いただきましたが、医療機関の経営の話を通じて、その先には、そこで働いておられる方々が本当に必死な思いでやっておられる、これは、言わずもがな、政務官も始め皆様とも共有できる思いだと思いますが、ぜひ、この人たちに思いを寄せた対応を急いでいただきたいと思いますので、改めてお願いいたします。

 あわせて、医療機関だけではないんですね。ここであえて取り上げさせていただきたいんですが、医療機関は当然いろいろな、ガーゼとかマスクとかさまざま使う中で、ごみと言われているものも排出するわけであります。いわゆる医療ごみといって、感染性廃棄物というのが環境省さんの正確な用語なんですけれども、それを取り扱えるそういう業者さんも限られてくる、資格が必要だという状況であります。

 医療機関は非常に注目されます。本当にそれはそれで敬意を表するわけでありますが、実は、そういうごみを処理する業者さんとかも、そこでコロナを出してはいけない、従業員に出してもいけないけれども、やはり自分たちしか担えない職場をとめてしまうわけにはいかないと、紫外線のいわゆる殺菌的なものもかなり緻密に行ったり、あるいは時間をかけて、人も出して、非常にコストがかかりますし、コストをかけながら現場を支えておられるという状況が、医療の周辺にもおられるという状況であります。

 きょうは環境省さんにも来ていただいているんですけれども、ここであえて感染性廃棄物のことを取り上げさせていただくんですが、こういうコスト、本来であれば医療機関にコスト転嫁してください、かかったらかかった分転嫁してくださいというのが基本的な考え方なんでしょうが、医療機関もこういう状況の中で、やはりこういう実態をしっかりと把握した上で、行政としてここの部分のコストを支援する、そういうことも含めた検討もすべきじゃないかと思いますが、環境省、いかがでしょうか。

土居政府参考人 廃棄物の処理につきましては、日々の国民の生活、また経済社会活動を支える必要不可欠な社会インフラであると考えております。

 特に、病院から排出されます廃棄物の処理を適正に行っていくということに関しましては、病院等の業務の遂行、ひいては国内の新型コロナウイルス感染対策の観点からも非常に重要だというふうに認識しております。

 廃棄物処理業務に従事されている皆様方にありましては、感染が拡大する中であっても事業を継続いただきまして、適正な廃棄物処理の確保に御尽力いただいているということに関しましては、改めて感謝を申し上げたいというふうに考えております。

 そのような状況でございまして、廃棄物の処理に従事する皆様方から、処理に当たりましては不安の声も寄せられたということもございましたので、それを払拭するべく、環境省といたしましては、医療関係機関から発生します感染性廃棄物の処理に関しますマニュアル、これを改めて周知させていただくとともに、関係省庁や専門家の皆様から知見を収集いたしまして、新型コロナウイルスに係る廃棄物、これを処理するに当たりまして特に留意すべき点につきましてわかりやすくまとめて、チラシやQアンドAにしました。また、ガイドラインなどでも工夫をさせていただきます。

 また、病院の感染性廃棄物につきましては、処理にマスクであるとか防護服、これが必要だということがありましたので、環境省といたしまして、それをあっせんするということであるとか、手続などの特例を設けて業務の軽減を図ったところでございます。

 引き続きまして、事業者の方々のお声をきちんと把握をさせていただきまして、それに伴いまして必要な対策を講じていきたいというふうに考えております。

山岡委員 きょうは問題提起なので、この問題はまたいろいろ環境省さんとも詰めていきたいと思うんですが、いろいろされているという御努力は聞くんですけれども、本当に、そういうコストをかけながら、誰にも、世間的にも注目されないような状況でも頑張っておられるという実態も踏まえて、いろいろ検討を進めていただきたいと思います。

 ちょっと残り時間が限られてきていますので足早に伺いたいんですが、いわゆる二〇五〇年CO2実質ゼロ方針の件について、いろいろ、産業全体とか政策全体の話もあるんですが、私は地域という視点から大臣にちょっと幾つかお伺いしたいと思うんです。

 私は北海道の苫小牧というエリアで、そこでの活動を多くしているところなんですけれども、御存じのとおり、苫小牧はCCS、いわゆる地中に二酸化炭素を埋めるという実証実験、これが一定の成果が出て、この後カーボンリサイクルというところに踏み出す踏み出さない、実行可能性を調査するしないということで、大臣にもいろいろ御答弁をいただいて、前向きに取り組んでいるという状況なんですが、こういう政府方針が出る以上、先ほど、さまざまな御答弁でも、新技術こそ鍵だという中で、地域にしてみれば、これまでの役割も果たしてきた中で、やはり加速して、今、可能性調査と言っていますけれども、実証実験、例えば船舶で運ぶとか、さまざま可能性調査をしていると思うんですが、そういうことについて踏み込んだ対応をしていただきたいという思いなんですが、大臣、いかがでしょうか。

梶山国務大臣 当然、これまで培ってきた技術というものをしっかりと加速をして対応していくということになろうかと思います。

 CCS、カーボンリサイクルは、二〇五〇年のカーボンニュートラルを実現するためのキーテクノロジーの一つだと思っております。

 経済産業省では、苫小牧市において、日本初の大規模CCS実証実験として、二〇一六年からCO2の圧入を実施して、昨年十一月に当初目標としていた三十万トンの圧入を達成いたしました。あわせて、カーボンリサイクルの導入に向けて、先ほど委員からありましたように、実現可能性調査を行ってきたところであります。

 今後は、苫小牧をCCUS、カーボンリサイクル実証拠点と位置づけて、カーボンリサイクルの一環として、CO2を利用したメタノール製造の実現に向けた調査、そして二四年には世界に向けて液体CO2船舶輸送の実証に向けた調査を実施していくなど、段階的にCCUS、カーボンリサイクルの実証を進めていきますけれども、しっかりと加速をして、こういったものを一つ一つ実証して、実装できるような形にしてまいりたいと考えております。

山岡委員 ぜひ、本当に、地域として取り上げていくこの話について、これからも大臣としてコミットしていただきたいと思います。

 一方、室蘭という町も私の地域にありまして、非常に物づくりの歴史のある町なんですけれども、CO2を実質ゼロにしていくというと、一般的に言えば向かい風の状況になっていく中でも、地域として工夫して、水素の研究をかねてから進め、また洋上風力にも乗り出し、新しい物づくり産業の町のあり方というのを地域として支えていこうとしています。

 どうしても大きな話になるんですけれども、地域として努力していくという町についても、ぜひ経済産業省として、大臣として、これはしっかりそこに目を向けて、そしてこういう地域を育ててほしいと思うんです。

 室蘭というこういうような町についても、大臣として御見解でどう思われるか、伺います。

梶山国務大臣 室蘭市につきましては、鉄鋼、製鋼、造船などを基幹産業とする物づくりの町だという認識がございます。今委員おっしゃるように、こういった産業をどう利活用していくかということは、大変重要な課題であると思っております。

 近年は、室蘭グリーンエネルギータウン構想を策定し、環境産業の振興というものを推進し、水素ステーションの整備や、風力発電由来の電気で水素を製造し地産地消する実証事業など、水素社会実現に向けた意欲的な活動をされていると承知をしております。

 先ほどもお話ありましたけれども、地方と国のあり方というものも環境に関して話し合う場があります。そしてまた、その地方で中心となっている産業、特にやはり転換が迫られる鉄鋼とか化学とかそういったことは、これを逆にチャンスにして、一歩進んで対応しようじゃないかという会社の意欲というものも見受けられますので、しっかりと支援をしてまいりたいと思います。

山岡委員 ありがとうございます。

 本当にいろいろな形の支援があると思うんですが、地域、地方の経済、これを支えるものであってほしいというふうに強く思っておりますので、またこの件についても委員会等で議論を深めさせていただければと思います。

 最後に、実質ゼロのことで、少し、前向きな話ばかりじゃなくて、現場のことということで、ここで大臣の見解を伺っておきたいことなのでありますが、いわゆる火力発電所、これは、CO2実質ゼロという方向性に行くのであれば、大きく見直していくような方針も打ち出されている状況でありますが、それがパリ協定の八〇%から更に深掘りになるということの中で。

 ただ、例えば北海道電力ですけれども、全国もそうですが、いわゆる非効率と言われている火力発電所が、例えば北海道でいえば全発電量の四割を占めていて、そこで働いている方もおられたり、地域経済を支えている側面もあったりして、転換をしていくとか、方針として打ち出しても、現場の皆様にしてみれば、これはどうなっていくんだろうかという思いもありますし、あるいは、火力発電所という役割そのものも、安定供給とか再エネのエネルギーを使っていく上でも役割を果たし、そして、北海道胆振東部地震という全道停電という事態もあった中でも、砂川という火力発電所が最初に種火を出してから、一週間もかかるんじゃないかと言われていた停電が、一日後には少しずつ回復するきっかけを得たとか、さまざま役割があるわけであります。

 その中で、二〇五〇年に向けたプロセスをいろいろ踏んでいく中で、事業者もそうですし、あるいはそこで働いている方々もそうなんですが、これはもう時間もないので多くを語りませんが、さまざま簡単ではないハードルがある、そこには生活もある、暮らしもある、経済もある、そういう中で、やはり十分な配慮をしながら大臣として進めていただきたい。

 これは、進めていくことそのものを何か否定する話ではないんですが、ただ、御存じのとおりそういう実態があって、しかも、それが小さいボリュームではなくて相当程度の実態として、今まだ古い形での火力発電所が残っている。もし高効率の火力発電所に直すのであれば、それはしっかり支援もしていただきたいと思いますし、やはりそういう現場に配慮した対応をしていただきたいと思うんですが、きょうは最後に大臣の見解だけ伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

梶山国務大臣 資源がある国があれば、日本のように資源のない国もある、それは日本の地域によっても同じだと思います。それぞれの特色があると思っております。

 ただ、この二〇五〇年カーボンニュートラルという宣言のもとに、各産業にも影響があることは十分承知しておりますので、そういった個別の企業また個別の産業についてしっかりと話合いをして、方向性を決めてまいりたいと思っております。

山岡委員 質問を終わります。ありがとうございました。

富田委員長 次に、落合貴之君。

落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。

 なかなか国会が開かれなかったので、半年ぶりに質問をさせていただきます。

 まず、古谷公正取引委員会新委員長にお越しをいただきました。

 杉本前委員長は、何年も前から、世界に先駆けてデジタルプラットフォーマーの問題、これに目をつけられまして、実態調査なども行ってまいりました。

 最近は、デジタルプラットフォーマーへの規制という議論が、本国のアメリカの議会でもかなり活発に行われ始めた。それから、意外ですが中国も、自分の国のデジタルプラットフォーマーに対して厳しい規制に乗り出す姿勢を見せております。もともとは日本がこの議論を先行していたわけですけれども、だんだん、行動の局面になるとおくれ始めているというような感がありますが、古谷新委員長、この分野にどう、厳しく対応するのか、姿勢を伺えればと思います。

古谷政府特別補佐人 お答えをいたします。

 デジタルプラットフォーマーをめぐる問題につきましては、御指摘がありましたように、近年、諸外国でさまざまな議論や対応がなされていると思います。我が国におきましても、内閣官房長官を本部長としますデジタル市場競争本部というのを設置いたしまして、関係省庁が連携して取り組んでおります。

 こういう中で、公正取引委員会としましても、こうした取組に率先する形で、杉本前委員長のもとでこれまで、デジタル分野における個別事案の審査はもとより、実態調査の実施ですとかガイドラインの策定などを行ってきておられます。

 経済のデジタル化ですとかプラットフォームを活用したビジネスの拡大というのは、これから、デジタルとリアルの融合などと言われておりますけれども、今後とも続いていくと思います。公正取引委員会としましては、デジタル化の進展に合わせて、公正かつ自由な競争環境の整備を図っていくという大変重要な役割を担っていくんだと思っております。

 私といたしましても、杉本前委員長の取組をしっかりと引き継がせていただいて、国内外の関係当局とも十分連携をしながら、反競争的な行為に対する独占禁止法の厳正な執行を含めまして、デジタルプラットフォーマーをめぐる問題にしっかりと対処していきたいと思っておりますので、どうぞ御支援をよろしくお願いいたします。

落合委員 これは、あらゆる分野がデジタル化しますので、デジタルプラットフォーマーがあらゆる分野に入ってくるということになります。

 梶山大臣、コロナで消費者が外出を自粛するようになったこともありまして、実際の、例えば百貨店の店舗は売上げが残念ながら急激に落ちてしまいました。一方で、GAFAと言われる巨大なデジタル企業は世界的にも売上げが急増しているわけでございます。

 菅総理は、前の内閣と比べても、デジタル化を一生懸命やるんだというふうに言っています。それから、前内閣を引き継いで、経済のグローバル化も、海外からの参入障壁もなるべく下げていくんだというような、グローバル経済への対応ということもおっしゃっています。海外からの参入障壁を下げてデジタル化が進めば、GAFAがいわばやりたい放題できるようになる。そうなると、あらゆる分野で日本の企業がGAFAに駆逐される可能性もあり得るということでございます。

 そういったこともあるからこそ、さきの通常国会ではデジタルプラットフォーマーに関する法案というのを通したわけですが、第一段階ということで、かなり、規制というよりも振興法的な要素が強いという指摘もさせていただきました。そういったところを、大臣は、規制の強化は第二段階で、改正するときに考えていくんだというようなことでございました。

 ただ、この数カ月で、先ほど申し上げたように、アメリカもどんとやっていく、中国もやっていく、もうこの数カ月で一気に状況が変わりましたので、適切な規制も真剣に我が国も考えていかなければならない段階に来たと思いますが、大臣、いかがですか。

梶山国務大臣 今委員からもお話がありましたように、さきの通常国会で成立をしましたデジタルプラットフォーム取引透明化法の来年の運用開始に向けて、オンラインモール市場やスマートフォン等におけるアプリ市場を対象にした準備を今進めているところであります。

 ことしの年初来のコロナ禍において、デジタル化が進むような状況になってまいりました。更にまた加速をして対応をしていかなければならないと思っております。

 また、法の効果的な執行に向けて、附帯決議の内容を踏まえて、EUや米国等の国際的な動向、また中国の動きというものも委員御指摘のようにあるのも承知しておりますけれども、多様な市場で取引実態等を迅速かつ適切に把握するための調査体制の構築、これは予算を要求して人員等もしっかり張りつけるということで今体制整備をしているところでありますので、対応をしてまいりたいと思いますし、公正取引委員会と連携をしながら、情報共有をしながら、しっかりと対応してまいりたいと思っております。

落合委員 この分野は早く取り組まなければいけない問題ですので、あらゆる分野の我が国の事業者、産業を適切に育てて守っていくためには絶対に必要な分野ですので、ぜひこれからも取り上げていきたいと思います。

 きょうは、財金の委員会もやっている中で、財務副大臣にもお越しをいただきました。ありがとうございます。

 一部からは、コロナの支援にお金がかかるので、財源として増税しなきゃいけないというような声も聞きました。今はそんな状況ではないというふうに私も思います。

 絶対にそういう状況ではないと思うんですが、強いてどこか税を強くする分野があるかといえば、これは、GAFAなど巨大なグローバルなデジタル企業へ課税をするという議論が国際的にも進んできました。二年前ぐらいから、二〇二〇年の年末には国際間で大枠で合意をするんだということがずっと言われて、政府も答弁してきたにもかかわらず、コロナということもあり、あと大統領選挙の影響もあったかもしれませんが、先送りということになりました。

 イギリスですとかフランスですとかイタリアは、もう国際間の合意の前に自分たちでやっちゃいます、課税をしますということをそれぞれ発表して、年明けですとか四月あたりから、それぞれヨーロッパの国は独自に課税をかけていきます。

 我が国もしっかりやるべきである、受け身ではなくて、独自課税も含めて早期に検討していくべきだと思いますが、副大臣、いかがでしょうか。

中西副大臣 御質問ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、ことしの末までに合意を取りまとめようということで作業をしてきたわけでありますけれども、コロナへの対応等で税務当局、各国、ずっとそちらの作業もしておりましたので、この合意の取りまとめというのは半年間おくれるということになりました。

 日本としては、これまでこのBEPSに関する議論を国際社会の中でリードしてきたという自負を非常に強く持っておりますので、できれば来年の年央に向けて合意をしっかりと取りまとめていくということ、現時点ではそのために議論をリードしていくということを考えているというところであります。まずはそちらの方に努力させていただきたいと思います。

落合委員 最近の税の問題点というのは、本当の基本の基本である応能負担、払える人が負担をしていくというところが崩れているというのが問題だと思います。取りやすいところから取っていく、そういう税の形態に残念ながらバランスが崩れてしまっているというところが問題だと思います。

 GAFAは国の予算よりか売上げが大きいぐらいの、それぐらい巨大な企業であるというようなことですから、これは、官庁だけではなくて、政府にいる政治家の誰かが一生懸命体を張ってやらないと課税をすることはできない。国際的な問題ですし、これは誰かが体を張ってやっていかなければならない問題だと思います。ぜひ、副大臣に体を張っていただいて、お願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

 それでは、公取委員長に、時間がないのでお申し添えだけさせていただければと思いますが、今、コロナで中小企業は大変な思いをしています。そもそも、消費税増税が去年はありました。価格転嫁の問題、これは、増税の次の年は価格転嫁に関する指導ですとか、そういうのが物すごく多いはずです。その中でコロナも来てしまっている。それから、二年前は働き方改革で、その翌年である昨年、指導数が一番、下請への仕事のしわ寄せですね、それが今までで過去最高であったという状況です。これは中小企業、小規模事業者にとっては何重苦にもなっている。しかし、一方で、コロナで調査もしづらい、コロナの話題ばかりでほかの問題が見えてこないというところがあります。

 これは、公正取引委員会のやるべき役割というのはまさに物すごく大きくなっていますので、ぜひお力を入れていただければと思います。

 公取委員長、ここまでで大丈夫ですので。どうもお越しいただきましてありがとうございました。

 それでは、中小・小規模事業者の問題について移りたいと思います。

 持続化給付金、この委員会でもいろいろ、いい面、悪い面ともに取り上げられていきました。アンケート、中小企業者向けのを見ますと、もらえてよかったという支援項目の中でかなり上の方に持続化給付金が入っています。一定の効果はあったと思います。

 ヨーロッパですとか北米は一足先に、先ほどの北海道もそうですが、冬が来ました。そうすると、やはり感染者数がかなりふえてしまっているのが現状です。今までよりも、もしかしたらもっと厳しい状況がこの冬来るかもしれない。こういった中で、持続化給付金、期限延長して二回目の支給まで考える段階だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

梶山国務大臣 これまで、事業者の皆様が置かれている状況に応じて多層的な対策というものをとってまいりました。まずは現行の対策を活用いただきたいと思っておりますけれども、今後につきましては、引き続き、内外における感染症の状況や経済の動向を注意深く見きわめていくということで、私どもも見きわめてまいりますし、また政府全体としても、会議を通じてこのコロナの状況というものを十分に把握した上で対応してまいりたいと思っております。

落合委員 持続化給付金を給付している間は倒産件数ががくんと減りました。なので、効果はあったと思います。

 一方で、調べてみると、廃業の件数は、自主的な廃業の件数はどんどんふえている。特に消費税増税したあたりから、もう、これを機にいいかなというような事業者がふえているわけです。これは、輸血をとめてしまうような状況になりますので、かなり力を入れて検討していかなければならない問題だと思います。

 それから、もう一個の施策で、中小企業者からよかったというのが、これもいろいろ問題は取り上げられていますけれども、雇用調整助成金です。

 これは厚労省の管轄ではあるんですけれども、これが十二月末で期限が切れてしまう。いろいろな大臣ですとか官房長官の会見を聞いていますと、恐らく延長するんだろうなというような感じは、ニュアンスはするんですが、これは当初、本当は九月末が期限で、十二月末まで延ばされたわけですけれども、そのときの発表も、八月末に厚労省は発表しているんです。今、もう十一月の下旬なのに、十二月末から先、どうなるかも事業者はわからない。

 普通、企業は、従業員が会社をやめるときも、二カ月以上前には言ってくれと言っているわけで、雇用というのはそんなに急に決めることができないにもかかわらず、政府は雇用調整助成金をどうするかも、ぎりぎりまで発表しない。これは、事業者はかなり多くの方々が困っている。その声も大臣にも届いていると思います。

 雇用調整助成金が使いづらいという声もありましたが、やはり、実際の経済の実態と、この雇用調整助成金の制度が合っていない、延長も発表が遅過ぎる、こういう実態はやはり経産大臣からしっかりと言うべきであると思うんですが、いかがですか。

梶山国務大臣 産業界から私どもにも、そういう声が聞こえております。前回の延長のときも、そういう声も聞こえておりまして、政府内で議論をしてまいりました。

 今も、厚生労働省がまずは決めることでありますけれども、私の方からも厚生労働省にも話をしてまいりたいと思っておりますし、これまでもしておりますけれども、更にそういう産業界の声を伝えてまいりたいと思っております。

落合委員 本来は、縦割りではなくて、総合的な給付金みたいなのがあれば一番よかったわけですけれども、実際にはそのようにはなりませんでした。ただ、総理の側近でもございますし、経産大臣の力というのは重要だと思いますので、ぜひリーダーシップを発揮していただければと思います。この冬を、しっかり、事業者、それから働く人たちが乗り越えていけるように、しっかりとした対策を打ち出していくことを求めたいと思います。

 では、中小企業政策、続きですけれども、日本の企業というのは九七・七%が中小企業で、雇用の大体七割ぐらいを押さえています。特に、私は選挙区、東京ですけれども、東京以外はもっと中小企業の力というのは強い、貢献というのは大きいわけでございます。

 しかし、先ほど申し上げたように、消費税増税があり、それから、今回、複数税率だったので、その事務負担もある。それから、経産省の打ち出したキャッシュレスへの対応もある。それから、今後、インボイスも導入される。それから、働き方改革で下請へのしわ寄せもある。そして、コロナもある。この一年ぐらいで中小・小規模事業者はもう何重にも苦難が来ているわけでございます。

 これは先ほど申し上げましたが、倒産だけじゃなくて廃業も見れば、断然、ぼんと上がってしまっていますという問題もあります。

 こんな大変なときに、中小企業淘汰論というものが出てきてしまいました。これは、菅総理のブレーンの方のインタビューですとか、全部見たんですけれども、雑誌のインタビューの見出しが、中小企業の数は半分でいい、半分消えていい、中小企業の半数は消えていいと。こんなことが見出しになるようなインタビューもされているわけでございます。これを機に、財務省も、もう中小企業支援の支出をできれば絞りたいなというような声も上がっているというようなことも聞くわけでございます。

 これだけ廃業もふえていて、自然に厳しい状況なのに、わざわざ淘汰論のような積極的な声が出てくるというのは非常に危険である、不況のときにそういうことが出てくるというのは非常に危険な状況であると思います。

 中小企業淘汰論などというのは、特にこのコロナの中で、絶対にあってはならないし、政府の方針にしてはならないと、大臣、はっきりおっしゃっていただけますでしょうか。

梶山国務大臣 政府でそういったテーマで議論をされている事実はございません。

 私も、中小企業の会合とか、いろいろなところへ出ますけれども、中小企業の基盤強化をしっかりしていくんだ、そして、中小企業というのは多種多様、いろいろな業種もあり、それぞれの地域によって役割のあり方も違うということで、しっかりと中小企業をこれまで以上に支えていくということを申し上げておりますので、そういったことが中小企業政策の柱になっていくはずであります。

 また、私自身も、正直言いますと気になったものですから、総理に問うてみました。そうしたら総理は、私が先ほど申しましたように、中小企業の基盤強化をしていくんだ、そして、小さな企業が中堅企業になっていく、そして場合によっては大きな企業になっていく、そして海外でも太刀打ちできるような企業になっていくような支援をしてほしいということでしたので、そういった方向でしっかりと対応してまいりたいと思っております。

落合委員 この二十年の統計を見ましても、自然に、従業員十人未満の企業で働く人の数というのはずっと減っていまして、二十年で恐らく一六%ぐらい減っています。一方、五千人以上の企業で働く人の数というのは、二十年で五九%もふえている。これは自然にそういう方向に向かってきました。

 それから、選挙区を持っている政治家はみんな気づくことですけれども、これはいつも申し上げるように、小規模事業者や中小企業が地元のコミュニティーを半ばボランティアで支えてきた。これを、数を減らせば、各地域、ボランティアで支えてきた人たちがいなくなってしまう。経済以外の大きな問題が出てくると思います。

 それから、これは生産性生産性というあれですけれども、総需要がふえれば、生産性も、コストが変わらない場合は上がっていくわけですから、これはマクロの問題でもあって、中小企業者だけの問題でもないというようなことがありますので、ぜひ、この淘汰論のようなことが世論にならないように、我々政治家も気をつけていかなければならないと思います。

 財務副大臣にお伺いします。

 小規模事業者がかなり心配をしているのは、インボイスの導入です。これは五百万者と推計がありますが、消費税を払わなくていいですよというふうに、要は、消費税を払っている事業者の方が払っていない事業者より少ない。払っていない事業者の方が今、現状、我が国は多い、そういう状況です。

 これは、この前の税制改正で二〇二三年の秋から導入しますと。もう来年の秋から登録が始まります。なので、実質的には来年の秋から始まってしまう。とめるには、この次の通常国会でとめなければ、とめることができない状況でございます。

 今までの非課税業者の人たちが取引から排除されてしまうか、若しくは課税業者になる。どちらにしても、特に一人親方と言われる建設業の方々ですとか、あと、フリーでライターなどをやっている方々もそうですけれども、大増税になってしまうということでございます。

 本来、逆進性を緩和するということで複数税率を入れたのに、その財源としてインボイス導入という、ちょっとおかしい理由じゃないかなと私は思うんですが、延期してくれという声が中小企業団体からも税理士の団体からも多く出ていると思いますが、これは決断するべきじゃないですか。

中西副大臣 落合委員おっしゃるような声が出ているというのは、承知をしております。

 そもそも、中小事業者にとっての事務負担が大きくなるんじゃないかですとか、免税事業者の取引に対する影響があるのではないか、こうしたことも重々承知した上で、昨年、複数税率を入れたときに、すぐさまインボイス制度を入れるのではなくて、四年間、準備期間を設けるということになっております。

 ですから、おっしゃられたように、二〇二三年十月一日ということになっておりますし、さらに、そこから六年間、また猶予期間というか、一定程度、一定の仕入れ税額控除を認める経過措置というのもとられておりますので、これは、延期するということではなくて、この時期に導入できるように、円滑に導入できるような取組、必要な取組をしていきたい、こう考えています。

落合委員 時間がないので大臣には申し上げるだけにしますが、これは中小・小規模事業者からかなり声が上がっていますので、ぜひ大臣からも関係機関に実態を伝えていただければと思います。

 それから、私が問題だと思っていますのは、そもそも、インボイスを理解している非課税業者がそんなに現状多くない。知った人の中でアンケートをすると、それだったらちょっと廃業しようかなという割合もそれなりにいるわけです。インボイスの導入が小規模事業者の大廃業に追い込んでいく可能性もかなりあるわけですから、これは慎重に検討をしていかなければならない、かなり大きな問題だと思います。

 次に行かせていただきます。

 地方銀行の再編についてですが、菅総理が積極的に地方銀行再編ということをおっしゃっていますが、これは本当に具体的に進めるのかということと、それから、信用金庫ですとか信用組合も地方にはありますが、そこら辺はどういうお考えでしょうか。

和田大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、地域銀行は、人口減少など、経営環境が厳しい中で、みずからの経営改革を進め、経営基盤を強化して、地域に貢献していただく必要がございます。

 こうした観点から、銀行の再編ということにつきましては、個々の銀行の経営判断を前提にではありますが、経営改革の一つの選択肢である銀行の再編といったものも行われていくものというふうに考えております。

 また、銀行の経営基盤強化にとどまらず、地域の中小企業の成長の、地域経済の活性化につながっていくこと、これが大事だと考えてございます。銀行の数の大小がポイントではなくて、やはり、一番大事なことというのは、この地域経済の活性化、これを実現していくこと、そして、銀行そのものが経営基盤を強化することといったことになると思います。

 政府としても、独禁法特例法の制定や規制緩和など、地域銀行の経営基盤の強化に向けた環境整備に取り組んできたところがございます。引き続き、銀行の再編等によって生じる果実が金融仲介機能の発揮や地域経済の活性化などの形で地域に還元されるよう、しっかりとモニタリングを含めて対応してまいりたいと思っております。

 信用金庫、信用組合につきましても同様というふうに考えてございまして、地域における金融仲介の担い手でありますので、地域に貢献できるよう、経営改革、そして経営基盤の強化、これを進めていただくことが重要と考えております。

落合委員 これも地方銀行独自の問題というのがあるかもしれないですけれども、メガバンクと比べて手数料収入が少なくて、貸出しの利ざやで地方銀行は商売をしてきた、そういう中で、金利を下げる政策を国がやってきたので、利ざやが減ってきてしまった。これは国の政策の原因も大きくあると思います。

 そういった中で集約していけば、県庁所在地や東京にまた集中が進んでしまう。そして、各地域の中小企業者からすると、今まで二つ銀行があったのが一個になれば、その銀行の力というのは取引先に対してかなり強くなっていくわけでございます。これは、地方創生をしていくのであれば逆行した改革であると私は思いますので、また改めて取り上げさせていただきたいと思います。

 本日はありがとうございました。

富田委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 逢坂誠二でございます。よろしくお願いいたします。

 大臣は原発問題に詳しいというふうに聞いておりますので、議論するのを楽しみにしておりました。ぜひよろしくお願いしたいと思います。きょうを皮切りに、原子力の問題、やりとりをさせていただきたいと思います。

 まず冒頭に、事故のことについてお伺いをしたいんですが、原子力規制委員会の新規制基準に適合した原発であっても過酷事故が発生する可能性はあるんだという理解を大臣が持っているかどうかということと、それから、有効に機能する避難計画がなければ原発の稼働はできないんだということに、そういう考えを持っているかどうか、この二点、まずお伺いします。

梶山国務大臣 原子力発電所につきましては、高い独立性を有する原子力規制委員会が科学的、技術的に審査をし、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めたもののみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるというのが今の政府の方針であります。

 その上で、原子力に限らず、いかなるプラントであっても一〇〇%の安全やゼロリスクというのはありません。むしろ絶対的な安全という考え方は安全神話につながったり、また事故につながる可能性、またミスにつながる可能性もあるということですので、こうした事態は避けなければなりませんし、原子力規制委員会と事業者の双方がさらなる安全性の向上を不断に追求していくことが重要であると思っております。

 また、避難計画についてお話がありましたけれども、しっかりと避難計画がない中で原子力発電所の稼働が実態として進むことはないと考えております。

逢坂委員 私も同じ認識でありますけれども、それで、まず、それじゃ、そのしっかりとした避難計画というのは一体いかなるものであるのかということなんですけれども、例えば過酷事故なども想定しての避難計画であるのかどうか、どのようなものをしっかりした避難計画というふうに位置づけているんでしょうか。

梶山国務大臣 二〇一一年の三・一一の事故は過酷事故でありました。それらの事故というものを想定した上で、原子力規制委員会の定める原子力災害対策指針というものができていると思っております。そういったものに従ってこの避難計画を立てていくということで、それがしっかりとした実効性のある避難計画ということだと思います。

逢坂委員 じゃ、今の答弁からすると、過酷事故も想定している、その上での避難計画だということでよろしいですね。

梶山国務大臣 過酷事故を経験した上で、原子力規制委員会が原子力災害対策指針等をつくっているということでありますので、それらの教訓というものを生かしているものだと思っております。

逢坂委員 私は、避難計画というのは、原子力発電所が稼働していようが稼働していまいが、そこに例えば使用済み核燃料があれば、それは必要なものだというふうに思っているんですよね。

 でも、逆に言うならば、稼働していない原発、まだ核燃料が装着されていない原発に関しては、しっかりとした避難計画ができるまでは核燃料を装着してはならないというふうに思っているんですけれども、この点、いかがですか。

梶山国務大臣 一般的な考え方として、核燃料が装着されるまでにはそういったものをつくる必要があると思っております。

逢坂委員 そうですね。核燃料が装着されるまでにしっかりした避難計画がなければ、それはやはり装着できないと考えるのが私は道理だというふうに思っています。この点はまた後日やらせていただきたいと思います。

 そこでなんですが、二〇一一年の東日本大震災以前の日本の原発についてですが、過酷事故は起きないという認識を持っていたということでよろしいですか。

梶山国務大臣 原子力の平和利用、昭和三十年の基本法ができてから来ているわけでありますけれども、先人たちがしっかり安全というものを築き上げてきました。その間、長い間、安全が続いたことによって、また気の緩みもあったのかなという思いがいたします。そういった中で起きた事故でありますし、また、事故が起きないという安全神話がひとり歩きをしていた部分もあるのではないかと私自身は思っております。

逢坂委員 ということは、二〇一一年以前は、過酷事故が起きることを想定はしていなかった、その中での原発の立地であるという理解でよろしいですか。

梶山国務大臣 その時点で想定できるものは想定していたと思いますけれども、現実に起こったときの対応ということで今申し上げたところであります。

逢坂委員 いや、例えば、過去の答弁でいえば、これは一九九二年、我が国の原子力発電所等につきましては環境に放射性物質が大量に放出されるというような事故が発生することは技術的に考えられない。これは九二年の衆議院の予算委員会の分科会の答弁です。

 あるいは、古く七四年、日本は地震国でありますけれども、原子力発電所の建設は全く心配ございません。あるいは、八五年、スリーマイルアイランドのような事故が我が国においては起こらないということを確信している。

 こういう累次の答弁を一九七〇年代からしているわけですから、長い間原発を使った上で慢心があったということではなくて、当初から、原発は過酷事故が起きないんだという、そういう立場だったんじゃないのかという質問なんですけれども、いかがですか。

梶山国務大臣 そういう安全神話が生きていたということでありますけれども、二〇一一年の三月十一日以降は、過酷事故が実際に発生したわけでありますから、これを大前提にした上での審査基準ができているということで、それに従ってしっかりと対応していくということであります。

逢坂委員 私は二〇一一年以後のことを聞いているのではなくて、二〇一一年以前のことを聞いているので、かみ合わないんですけれども。

 それじゃ、具体例を申し上げますと、例えば大間原子力発電所、これは、二〇一一年以前に設置が認可されて、建設が進められていたわけですね。この大間原発の設置を認可するときの事故の及ぶ範囲というのは、大臣、どの範囲だったと認識していますか。

梶山国務大臣 今その詳細な資料を持ち合わせていませんから、お答えできませんけれども、今言われておるのは、大体、UPZ、三十キロ圏内ということと、あと、二〇一一年の三月十一日の事故では、放射性物質がかなりの範囲で飛んでいるということで、それらが雨によって落ちたプラスということで、各地域のモニタリングポストにもそういったものが出ていたという現実もございます。

逢坂委員 大臣、話がかみ合わないです。私は、以前の話を聞いているんですね。

 大間原発の以前の認可というのは、事故の及ぶ範囲というのはどこか、原発の敷地内に限るなんですよ。そこから外へ出ないというのが実は当時の認可のときの条件なんです。ということは、過酷事故が起きないということは、これは大間では示していると私は思うんですね。UPZですらないんですよ。

 だから、大臣に改めて確認したいんですけれども、二〇一一年より前は、過酷事故は起きないんだという、その前提のもとに原発を立地していたのではないですかという質問なんです。

梶山国務大臣 過去の答弁を全て私も見たわけではありませんけれども、委員がお調べになったそういう答弁というものは現実のものであると思っております。

逢坂委員 私が紹介した答弁は現実のものであるというふうにお認めをいただきました。

 もう一つだけ言うと、これは九〇年の参議院の外務委員会、シビアアクシデントが起こるとは現実的には考えられない程度にまで安全性が高められている。だから、シビアアクシデントなんて起こらないんだと、もう言い切っているわけですね。

 そこでなんですが、大臣にお伺いするんですが、それじゃ、二〇一一年以前に立地を決定した原発というのは、過酷事故を想定していないわけですから、過酷事故に相当するような避難計画を私はつくっていなかったという理解をしているんですが、過酷事故に相当するような避難計画を、二〇一一年以前、おつくりになっていましたか。

梶山国務大臣 私も、東海村の原発から七、八キロの圏内に住んでおりますので、そういった計画というか、過酷事故を前提とした避難計画というものはできていなかったと思っております。

逢坂委員 過酷事故を想定した避難計画はできていなかったという答弁をいただきました。

 私も実はその体験をしておりまして、私がかつて町長を務めておりましたニセコというのは泊原発から三十キロ圏内にあるんです。かつて町議会で、原発の災害が起きたときに対応するための避難計画をつくるべきだと随分激しく責められまして、それじゃ、その議会の要請に応じてつくろうとしたんですよ。そうしたところが、北海道庁から、過酷事故は起きないことが前提なんだから、いたずらに不安をあおってもらうようなことは慎んでもらいたい、慎重に対応してもらいたいと、こういう経験が私はあるんですね。

 だから、当時、二〇一一年より前の原発というのは、過酷事故なんか起きない、もしそれに対応するようなことを自治体がやろうとすれば、どちらかといえばブレーキをかけるような雰囲気があったということは、私の体験からもそう思うんですね。ぜひ、この点は大臣にも共有していただきたいと思います。

 そこでなんですが、ということは、今の日本の原発というのは全て二〇一一年以前に基本的には設置認可がされているわけですね。過酷事故が起きないことを前提に設置認可がされているわけですから、今の日本の原発は、例えばUPZ内に避難計画をつくりましょうといったときに、全ての原発で十分な、大臣の言うところのしっかりした避難計画が策定できない可能性があるというふうに私は思うんですが、いかがでしょうか。

梶山国務大臣 それは、三・一一の事故後に新たな規制基準ができたということですから、そしてまた、プラントに関してはそれに対応するような対策工事というものもやっております。

 避難計画につきましてはおっしゃるとおりだと思いますけれども、ただ、今後、こういう新しい基準が、指針ができておりますので、これに基づいて、実効性のあるというのは、私は例えば、天気がどうだかわからない、夜か昼かわからない、そういった中で、渋滞するときに本当にこの道路が大丈夫なのかどうなのかということも含めて、その地域で真剣に考えた避難計画があってほしいと思っております。

逢坂委員 大臣の最後のその避難計画があってほしいという望みは私も理解できますけれども、私は、過去の原発の立地の経過を思うとやはり、UPZ、三十キロ圏にも相談もされないで原発がつくられているわけですよ。例えば、今私が住んでいる函館、目の前に大間原発がありますけれども、三十キロ圏ですよ。避難計画については全く相談も何もない中で進んでいるわけですね。だから、改めてもう一回お伺いしますけれども、その大臣の言うところのしっかりした避難計画というのは、日本の今の全ての原子力発電所の地域においてつくれる可能性というのは、一〇〇%つくれるという保証はないでしょうということなんですけれども、いかがですか。

梶山国務大臣 一〇〇%というのはどこのプラント自身もありませんけれども、避難計画も一〇〇%というのはないと思います。そのときの条件次第だと思っております。それに対応してしっかりと改善を重ねていくというのが避難計画であると思っておりますし、ただ、自治体ごとではなくて、距離でやはり見ていかなくちゃいけないという私は感覚があります。五キロ圏内でも自治体の一番端の方にあるところは次の自治体にかかるということもありますし、そういったことも含めた実効性のあるものをつくっていかなければならないと思っております。

逢坂委員 そこでなんですが、大臣の今おっしゃるのは、それはそのとおりの部分もあろうかとは思いますけれども、それで、この原子力防災の計画はどこがつくるのだというところでありますけれども、これは、市町村防災会議がまず一番最初にこのことを議論するわけですね。市町村防災会議で、地域の実情に精通しているところで、ほかの地域防災等も含めて原子力防災のことをいろいろ議論するわけですが、市町村防災会議の段階で、今のような立地の経過ですから、もともと相談されない中で立地されている地域もあるわけですから、市町村防災会議でいろいろ議論をした、でもやはりこれは、実効性のある、大臣で言うところのしっかりした避難計画はできないという判断をされるところも私はあると思うんですよ。大臣、この点、いかがですか。

梶山国務大臣 地域の防災協議会でそういう判断というお話ですけれども、これは国も入ってしっかりとした避難計画というものをつくる協力をしていくということであります。

 そして、例えばですよ、現状でできないということであっても、何がネックになっているのか、何がその障害になっているのかということも含めて、知恵を出して解消していくということが避難計画であると思っております。

逢坂委員 大臣の今の答弁、一つちょっと誤認識がありまして、地域原子力防災協議会というのは市町村防災協議会の次の段階ですから。だから、そこはお間違いのないように。国が入っているのは次の段階ですから。市町村防災会議というのは自治体の首長がトップになってやるものですから。だから、この段階でちゃんとした計画ができなければ、これは次の地域原子力防災会議へは進まないわけですよね。

 それで、今回、原子力防災に関しての指針、規制委員会で原子力防災指針を策定していますが、規制委員会はこう言っているんですね、規制委員会が受け持っている業務は原子力防災指針の策定までです、実際の防災、避難計画は立地市町村がこの指針をベースに策定するということになっていますと。

 このことの意味を田中前委員長が説明しているんですが、この意味は、各地域にはそれぞれの特性があって、住民の安全に一義的な責任のある自治体が防災、避難計画を策定することが最も適当であるという考え方に基づいているものでありますということで、日本の原子力規制基準の中には、万が一の避難計画が入っていないわけですよね。

 だから、そういうことを考えてみると、私は、自治体の首長の経験も踏まえて言うならば、地域で原子力防災に対する計画、これは有効なものはこの地域ではつくり得ないということは私はあり得ると思うんですよ。

 そういうケースというのはやはりあるというふうに思いませんか。

梶山国務大臣 最初から断定ということもあるかもしれませんけれども、知恵を出していくということも必要だと思うんですね。

 避難道路がないということをよく、私も全部のサイトを以前回ってみましたけれども、半島にあって避難道路がない、そして、海上をどう使うか、ヘリをどう使うか、ありとあらゆる手段を考えていく必要があると思いますので。道路等については、後からつくることも含めて、ただ、後からつくるというのは、しっかりと避難が起こるようなときまでにつくるという意味ですけれども、私が申しているのは。

 そういったことも含めて、ありとあらゆる可能性というものを探っていくということだと思っております。

逢坂委員 大臣のおっしゃるとおり、例えば伊方原発なんというのは、細い半島の真ん中に原発があって、原発よりも沖側の先の半島に住んでいる方は逃げるところがないというのが多分現実ではないかと私は思うんですね。

 実際に私も行って、そこに住んでいる方にも話を聞きましたよ。万が一の事故のときにはまさか原発に向かっていくわけにいかないし、海に行くしかないんだと。だけれども、そこの住民が乗っていく船なんかちゃんと用意できるのか。物理的には何らかの条件をつければ用意できるかもしれませんけれども、事故なんていつ起こるかわかりませんから、そのときにいつも二十四時間対応で船を置いておくなんということは非現実的だ、こういう話でありますね。

 だから私は、市町村の防災会議で、やはりこれは避難計画をつくるのは大変だね、これ以上はちょっとなかなか現実的じゃないよということはあり得ると思うんですね。きょう大臣はそこはなかなか認めたがらないようでありますけれども。バージョンアップしていくということは、私もそれはそれで、そうだというふうに思うんですが。

 だから、市町村防災会議でこれは避難計画はつくれないというようなことがあった場合は、地域防災協議会、そこへ持ち上げて、地元がつくれないと言っているのに、無理やり、いや、大丈夫です大丈夫ですなんということは、大臣、ないですよね。

梶山国務大臣 そういう判断をしたときの現状のまま大丈夫だということはありません。ですから、何かしらの手段を考えるということであります。

逢坂委員 何かしらの手段を考えるということは、私はそれはそれで姿勢としては理解はしますけれども、でも、やはりできないということはないと。

 できないということはないんですか。それとも、どんな手段を使ってでも必ずしっかりした避難計画をつくるという意味なんですか、それは。

梶山国務大臣 二〇一一年の三月十一日の事故以降は、しっかりとしたものをつくらなければならないと思っておりますし、私の地域においても、私の周りでも、原子力への理解者と言われた人たちがやはり反対に回っているような状況もあります。

 そういったことも含めて、皆さんが理解できるような対策、避難計画というものをつくるということだと思っております。

逢坂委員 この先、市町村防災会議が避難計画をつくるときに、さまざま工夫をして進化をさせていくという基本姿勢は理解はいたしますけれども、市町村防災会議が認めない、イエスと言わない限りは、これは地域協議会で確認をするなんということはないということだけは明確に言っていただけますか。

梶山国務大臣 まだ議論が起きていないことであり、議論が起きていないというか、実際の組織と組織としての議論が起きていない時点でありますから、一〇〇%ないとは私は言い切れないと思っております。

逢坂委員 極めてゆゆしき答弁だと私は思いますよ。

 市町村防災会議で了解もしていないのに、地域協議会でそれを確認をすることは一〇〇%ないとは言えないって、それはおかしいんじゃないですか。

梶山国務大臣 市町村の防災会議でそういう結論が出たという場合において、更にそれが改善できないということはないという意味で私は申し上げたということであります。

逢坂委員 それは、市町村防災会議でこれはできないという結論が出た段階で、更に国として、例えば道路をつくりましょうとかヘリコプターを用意しましょうとか、いろいろなことはやれると思うんですよね。それをやったとしてもなお、市町村防災会議が納得しないという場面も私はあると思うんですよ。だから、そのことを、これからそれではもう少し議論をさせていただきたい。きょうはこの程度にさせていただきます。

 それで、最後、残り五分なんですが、大臣、私、非常に驚いたことがあるんですが、使用済みMOX燃料の放射能、使用済みMOX燃料ですね、この放射能が人体に悪影響を及ぼさない程度までに低減をする、それにはどの程度の年限を要するというふうに政府は考えているんでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 使用済みMOX燃料を直接処分した場合におきましての放射能の減衰期間に関する試算については、現時点では承知していないところでございます。

 なお、一般論で申し上げますれば、炉から取り出しました直後の放射能は、使用済み燃料と使用済みMOX燃料で大きな差はございません。他方で、放射能の減衰期間について申し上げますと、使用済みMOX燃料はプルトニウム等を多く含みますものですから、使用済み燃料より長くなることが想定されると考えてございます。

逢坂委員 大臣、核燃料サイクルのメリットを政府はいろいろと言ってくれるんですけれども、使用済みMOX燃料が人体に害がない程度に低減する年限はどれぐらいかと聞いても、実は政府はその数字を持っていないんですよ。こういう状況の中で、実は、核燃料サイクルが有利だ有利だと言っているんですね。私、今回いろいろ調べて、これは本当に驚きました。この点は、きょう時間がないので余り深入りできないんですが。

 そこで、大臣に、原子力発電所の根源的な問題、これは最初から言われていたこと、トイレのないマンションと言われている、使用済み核燃料の処理ができないんだということでありますが、今の軽水炉の核燃料サイクルをやることによって、このトイレのないマンション問題、使用済み核燃料の処理というのは解決するんですか。トイレのあるマンションになるんですか、これで。いかがですか。

梶山国務大臣 原子力発電に伴って発生する使用済み燃料の処理の問題につきましては、核燃料サイクルを推進し、使用済みMOX燃料を含めて使用済み燃料を再処理するとともに、再処理に伴い発生する高レベル放射性廃棄物の最終処分を実現することで対応することが政府の現時点での基本的な考え方であります。

 使用済みMOX燃料の再処理につきましては、国の内外、フランスであるとか、またJAEAの東海の再処理工場であるとかという既存の施設で試験的に再処理した実績もあり、使用済みMOX燃料の発生状況とその保管状況、再処理技術の動向、関係自治体の意向などを踏まえながら、引き続き、研究開発に取り組み、検討を進めていくということであります。

逢坂委員 私も、理論上、使用済みMOX燃料の再処理ができるということは承知はしております。それから、海外で試験的にやってみた例があるということも承知はしております。ですけれども、これはまだ実用上の技術として確立されたものでは全くありません。

 原子力の問題の難しいところは、理論上や、あるいはラボラトリーベースでいろいろなことがやれるということはわかっていても、それを実用の技術として使えるかどうかというところが物すごく大きなハードルなんですね。その意味でいうと、どんなに使用済み燃料を再処理してMOX燃料をつくって核燃料サイクルを回しても、相当長い間、私の今の感覚では、使用済みMOX燃料が残らざるを得ないというふうに思うんですよ。世界の各国でも核燃料サイクルから撤退するいろいろな理由があるんですけれども、これも一つの理由なんですね。

 だから、私は核燃料サイクルにいつまでもこだわるべきではないというふうに思っているんですが、いかがですか。

梶山国務大臣 先ほど申しましたように、政府の方針は、核燃料サイクルを回すということであります。

 直接処分ということも、まだデメリットもあるわけでありますから、メリットもあるしデメリットもあるということでありますから、そういった議論を続けて、しっかりと明確にしていきたいと思っております。

逢坂委員 きょうはどうもありがとうございました。またよろしくお願いいたします。

 終わります。

富田委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 九カ月に及び、しかも第三波の感染拡大というコロナ禍によって、中小・小規模事業者は、昨年の消費税増税に加えて、深刻な状況であります。持続化給付金も焼け石に水、年末までもたないという悲鳴が上がっております。

 中小・小規模事業者、そしてフリーランスなど、一社も一店も潰さない、そして一人も路頭に迷わせないためにも、あらゆる手段を駆使して、困難に直面している事業者を支える、そういう梶山大臣の思いを五月十三日の当委員会の私の質問でも確認をさせていただきました。

 そこで改めて、大臣、感染拡大防止とともにこの立場が今いよいよ重要になっていると思うんですけれども、いかがでしょうか。

梶山国務大臣 今の状況を考えますと、私の所管の事項のみならず、政府全体でしっかりと助言をし合いながらやるべきことをやる時期だと思っております。

    〔委員長退席、山際委員長代理着席〕

笠井委員 持続化給付金の申請期限は、家賃支援給付金とともに、来年一月十五日と、あと二カ月に迫っております。

 十一月六日の参議院予算委員会で、我が党の小池晃議員が、一回限りとしないで、コロナ収束まで事業が維持できるように継続的な支援をやるべきと求めたところ、梶山大臣は、今後については引き続き内外における感染状況や経済の動向を注意深く見きわめてまいりたいと答弁をされました。

 今、第三波の感染拡大や、それから、七月―九月期のGDPから見ても、今こそ給付金を届け切って、それをやった上で第二弾を打って、継続的支援を決断すべきときではないかと思うんですが、この点いかがでしょうか。

梶山国務大臣 先ほどの質疑にもあったんですけれども、地方でそれぞれに濃淡があるということ、そして、地方でそれぞれの店舗、飲食業を中心とするサービス業の店舗等にいろいろなお願いをする場合には、そういったものに対応する交付金ということで、五百億円の枠を一昨日つくったところであります。

笠井委員 引き続きということに対して直接的な答えはないんですけれども、全商連、全国商工団体連合会が十月二十八日に発表した営業動向調査の自由記載欄というのがあるんですね。

 そこには、もういろいろな声があります。売上げが戻らず、給付金をもらっても月ごとに負債がふえている、二月から全く仕事がない、持続化給付金はあっという間に人件費等で消えた、あと数度あればいいが、廃業も考えているという痛切な声であふれております。

 第三波、経済の落ち込みが続く中で、今、中小業者を廃業、倒産に追いやっていいのか、この点を改めて確認したいんですけれども、どうですか。

梶山国務大臣 中小企業政策を所管する大臣であります。一つの会社もやはり潰れてほしくないという思いで対応しているということでありますけれども、政府内での議論をそういった思いで続けております。

笠井委員 持続化給付金を改善して、必要な全ての事業者に届くようにするとともに、やはり継続的支援はどうしても必要だということを強く求めておきたいと思います。

 同時に、我が党は、地域や業種別の実情なども踏まえた支援ができるように、新たに地域事業継続給付金という制度を創設して、国がそのための交付金を地方に支給するということを提案いたしております。

 梶山大臣は、今も、地方に濃淡があるとおっしゃいました。十一月六日の参議院予算委員会でも、おっしゃるようにということで、答弁の中で、中小企業は多種多様、地域によってそれぞれの役割も違ってくる、その利益だけを追求せずに地域に貢献している企業もある、地方の自治体が中小企業に目を向けてくれることはいいことだというふうに答弁されました。

 そこで、先ほど、答弁の中では、地方にも交付金という話もありましたが、やはり、一般的な交付金というよりも、もっと目的を明確にして、制度をちゃんとつくってやはりやっていくと。この間の給付金の支給を見ても、大臣が言われるように、そういう中で多様な実態に即して給付する制度をちゃんとつくること自体はいいことではないかと。大臣、いいこととおっしゃったので、どうですか。

梶山国務大臣 地方創生の臨時交付金という形で今三兆円の枠でお渡しをしておりますけれども、これは国の制度を補完するような形で、また、その地域独特の産業があったり、状況があったりということですから、そういったものに対応できるようにしている中で五百億円を枠でつくったということでありますから、いろいろな形、その地域の産業を間近に見ている自治体こそがそういった対応ができるものだと思っておりますので、全国一律につくるというよりも、そういった対応でできるものだと思っております。

笠井委員 これは本当に国を挙げての問題なので、やはり国としての制度というのをつくって、そこに交付金をちゃんと充てますよというふうにやることが大事だと私は思うんです。

 この年末、中小企業者にとっては、先ほど来ありますけれども、一刻の猶予もないと。安心して年を越せるように早急に検討して、やはり、どういうものが一番いいのかという結論を出すべきだと思います。

 また、給付金の対象から外れている、漏れているフリーランスや個人大家の皆さん、みなし法人ということでずっと議論してきましたが、全ての事業者をやはり誰一人取りこぼすことのないように、地域のそれこそ実情、実態に即した、柔軟で、そして迅速な支援策に踏み出すということが必要だということも改めて述べておきたいと思います。

 そこで、そもそも現在の給付金制度が現場の実態に合っているのかということも改めてやはり検証、改善が必要だと思うんです。

 持続化給付金は申請開始から六カ月たちました。私の事務所にも、やっと一息つけたという喜びの声が寄せられる一方で、今なお毎日のように相談が寄せられております。取り残されているんです、まだもらえていないんです、申請も受け付けられていないんですという形で相次いでいるんですね。

 そういう中で、初日、五月一日の申請者の未給付の件数というのも、なお約三千件もあるということも言われております。

 こういうふうに半年やってきて、これで本当にこのままでいいのかということも含めて、改善と検証が必要なときになっているというふうに思います。

 そこで、資料の一をごらんいただきたいんですけれども、持続化給付金の事務局から不備解消のお願いと題した通知が一部の事業者に十月末ごろから届いております。事務局として、給付要件を満たさない、又は、不給付要件に該当すると判断している方に送付とありますけれども、大臣、これは十一月五日の参議院予算委員会で立憲民主党の森ゆうこ議員が取り上げたことでありますが、この通知というのは何件送付されているというふうに把握されていますか。

    〔山際委員長代理退席、委員長着席〕

梶山国務大臣 十一月の十三日時点で四万六千件であります。

笠井委員 四万六千件の方々にこういう通知が行っていると。

 この依頼書の送付から十四日以内に、そこにありますけれども、不備が解消されず、かつ、申請の取下げの手続も行われない場合、当事務局は、給付要件を満たさない、又は、不給付要件に該当する旨判断したことを中企庁に報告するというふうに書いてあります。さらには、給付金が給付されないこととなる予定、再申請を受け付けることができなくなるとまで書いてあるんですね。最後には、丁寧に、取下げを希望する場合の手続まで案内をしております。

 大臣、これをごらんになって、これはもう、申請者から見ると、事務局によって一方的に打ち切るぞという宣言をされたということになるんじゃないですか、受けとめられる方は。

梶山国務大臣 可能な限りお支払いをするという前提で対応をしてまいりました。そして、現時点の数字でいうと、三百七十七万件お支払いをしている、そして四兆九千二百二十九億円お支払いをしている、そして予算は五兆円を超える予算がありますけれども、これらも多分全部お支払いをするような形になると思っております。

 そういった中で、五月一日のお話がありましたけれども、五月一日に受け付けをしたものでも、やりとりをしてずっと連絡のないものもあります。そういったもの。そして、あと、受け付けをして一カ月以上連絡のないものもあります。さらにはまた、やりとりをしていますけれども、どうしても書類の要件を満たさないものもあります。そういったものに対してこれを送らせていただいているということでありまして、変な形ではなくて、これで不備が解消されれば支払いの対象となるということでありますし、十四日というものは少し短いかもしれないということで、より柔軟な対応をするということで、二十八日以内とか、そういう形でできるように今検討をしているところであります。

笠井委員 この通知について、一方的打切りじゃないかということを私が申し上げたら、与党の理事席からも確かにという話もありましたが、果たして、今大臣が言われたようなことで四万六千件が、そういう形で、そういうものとしてこの通知が来ているかということなんですね。

 では、具体的に言いますけれども、この通知が届いた京都市の飲食店を営む事業者の場合ですが、五月十九日にB3の事業承継特例で申請しました。昨年末で父親が病気のために廃業をして、ことし一月一日より営業を引き継いだんですけれども、開業届の税務署収受印の日付が四月一日以降のために申請を認められずに、開業を証明する公的書類の提出に苦心をしてきました。五月二十九日に不備通知がありまして、開業届収受日六月一日を提出したんですけれども、六月二十四日に不備通知がそれに対して来た。それ以降、何度も同様の内容で不備が来ていて、七月二十日には、その間の経緯を説明する申立て書、酒屋さんの領収書、父親の代からの帳面、ことし一月分の帳面を提出するとやったんだけれども、それでも不備が来た。九月四日に父親と店舗所有者である親戚が事業承継を証明する申立て書を提出してもだめだった。十月にも対応したのに不備解消依頼書が届いたということになっております。

 大臣、この事業者の場合、何も、やりとりをやっていないんじゃなくて、放っていた、ずっと来なかったというんじゃなく、この事業者は、事業の実態を示す代替書類、代替書類があればと大臣も言われてきた、柔軟にと言われたのに、そういう苦労をしながら何度も出しているけれども、要件を満たすことを示す書類が確認できない、修正書類が来ないという方だったというふうになるんですか、これは。大臣はそういうふうに言われたけれども。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 さまざまな形での開業届についてのお話もいただいております。やはり、ある程度、持続化給付金、前例のない制度という形で、形式的にいろいろな形で審査をしているところ、やむを得ないところもあると思います。個別に、これまでも複数回にわたりまして不備解消のお願いもしておりますし、サポート会場、コールセンターなどで御相談などもさせていただいていると思います。

 個別案件について、この場で承知しておりませんけれども、できる限り不備が解消できるように対応を継続してまいりたいと思います。

笠井委員 形式的審査はやむを得ないと言われたけれども、とんでもないんですよ。だって、申請者は本当に実態があって大変だといってやっているのに、形式的審査になることはやむを得ないなんて話じゃとんでもないと思いますよ、大臣、今の答弁は。

 では、広島県の大竹市の建設業者ですけれども、新規特例で八月十八日に申請しました。開業届がないために、代替書類で労働保険の成立届、労災特別加入申請書を提出しましたけれども、八月二十九日に不備通知。再度送付したけれども、八月三十一日と九月一日に不備通知が届いて、いまだに給付されていない。

 代替ということで、この方は、労基署の収受印があるということで、公的書類を出したんだけれども、それでもだめ。コールセンターからは、今まで事例がなくここでは判断できないと言われたということで、八月申請からもう三カ月です。ずるずる引き延ばして判断を先送りした上で、さっき大臣は二十八日までは猶予するふうにしたんだと言われたけれども、この方はついに、けさ、先ほど情報が入りました、ここにありますけれども、先ほど、不備解消のお願いと同様のメールが、今度は申請の取下げの御連絡となっているんですよ。取下げもできますよじゃなくて、取下げの御連絡というのが来ちゃったんですよ。こういうふうにタイトルを変えて送られてきたんですね。

 もう一方的取下げそのものじゃないですか、これは。

梶山国務大臣 先ほど数字を申し上げましたけれども、火曜日の現在で三百七十七万社に給付をしているということなんですが、四万六千社がいわゆる不備解消の送った対象になると思っております。

 と申しますのは、ほぼ、もう九九%近くお支払いをしているということなんですが、五月一日以降で先ほど申しましたように連絡応答がないものがあります、こちらから働きかけても。さらにまた、今委員がおっしゃったように、やりとりの中で、どうしても要件がそろわないものもあるということで、それらのそろった書類を出していただくことを目的にこういったものを出させていただいたということでして、それらが出ていないということでありますけれども、やりとりは電話でもやりとりをする話になっておりますので、ぜひ、詳細について、これがボトルネックになっている可能性もありますので、一度詳細を伺って確認をさせていただきたいと思っております。

 ただ、先ほど申しましたように、四万六千件がなかなかやはり書類が確認できない、やりとりしてもなかなかだ、そして応答が一切ないというものなんですね。こういった中で、九九%近くお支払いをしている。その残ったものを丁寧にやりとりをさせていただこうと思っておりますけれども、今委員がおっしゃった件は個別に確認をさせていただきます。

笠井委員 やりとりがないんじゃなくて、私、申し上げたように、やりとりしているというのがあって、そういう中でなおかつ、通知が来た上に、けさ来た方は大竹の方ですけれども、今度はとにかく申請の取下げの御連絡ですからね。下げろと、こういう話になっちゃっているので、これは本当に、今ちゃんと確認されるとおっしゃったけれども、まずやるべきは、きちっと確認して、やはり審査対応について個別の状況を確認して誠実に早急に問題解決することだと思うんですよ。

 これは、性善説に立った審査をやって、大臣も繰り返し、柔軟に、代替書類でと言われたんだから。本当に申請に苦労しながら、これでもだめかな、こうだなと一生懸命公的なものをやっても、それでもはねているという感じになっているので、ここはぜひ改善してください。

梶山国務大臣 これまでも申し上げていますけれども、性善説に立ってということで、ほぼ九九%近い支払いをさせていただいているということであります。

 ただ、開業の日というのは、この情報が流れてからの話ですから、四月一日以降というのは要件に当たらないということで、かわるものをしっかり出していただきたいということをやりとりをさせていただいていると思っております。

 確認します。

笠井委員 確認すると。

 届いている方についてはいいんですね。ただ、届いていない方が本当に大変な状況で年を越せないということになってくるわけですから、この半年間、必死に頑張って、踏ん張って、何とか書類を認めてもらおうと頑張っている事業者に対して、やはり適切な審査対応もせずに通知、届けを送りつけて、もう今度はとにかく取下げですよって話までやるというので、許されないと思うんですよ。

 やはりこれは一方的打切りということで受けとめられるわけですから、こういうやり方での、事業者を切り捨てるような、そう受けとめられるような不備解消依頼書というのは、私は直ちに撤回して、事実確認、個々にやると、やっていただきたい。

梶山国務大臣 これまでも改善はしてきております。

 そして、今までマイページでやりとりというのは定型でしかなかったんですけれども、かなり詳細にやりとりをした上で、メールでもやりとりをする、場合によっては電話でもやりとりをするという形に変えてきております。その中で残ったものということでまずは御理解いただきたいということ、この仕組みについてですね。

 その上で、今委員がおっしゃった方については、ナンバーを確認させていただいて、どういった状況なのかということを確認させていただきます。

笠井委員 よくこの不備だとかというやりとりの中で中企庁も経産省もずっと言っているのは、不正受給があるから、それを防ぐためだと言われるんですけれども、この仕組み自体がオンライン申請に特化をして形式が整ったらよしと、さっき形式的な審査という話があったけれども、そういうふうにして、オンラインで形式が整ったらいいというふうに実態を見なかったことで、逆に結果的に不正受給を許してしまったことはないのかという問題もあるんですよ。

 また、デロイトやリクルートの委託でも同様の問題があるということで指摘されていますので、やはり地域で、顔が見える関係の中で事業実態に即した迅速な給付が可能になるという点で、この点でもぜひ改善と検証をやっていただきたいと思います。これは求めておきます。

 そこで、持続化給付金と家賃支援給付金の目的というのは、事業者の事業継続の下支えであります。ところが、まだ給付金が届いていない方があるということで、やはりある意味、形式的、機械的、画一的な対応で申請をはねつけているということでやっているという、実際の現場の、外注先の事業者が一体誰なのかということでいうと、履行体制図、六十三社とかありましたけれども、一体、末端のところではそれが黒塗りのままで、それすらわからないという部分がある。

 持続化給付金では、国からの業務委託を受けたサ推協がそのほとんどを大手の広告代理店の電通に再委託していること、それから、前田中小企業庁長官をめぐる疑惑も次々明らかになりました。そして、異例の中間検査が実施をされました。十月十二日に公表された報告書には、サ推協から中企庁に対して、六月末までの事務局経費二百九十四億円が請求されたというふうにあります。

 そこで、確認したいんですけれども、これまでのサ推協からの概算払いの請求日と請求額、中企庁の支払い日と支払い額、そして概算払いの総額というのはどうなっているでしょうか。端的に答えてください。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 サービスデザイン推進協議会から十一月の九日までに合計三百二十八億円の概算払い請求があって、中企庁から同協議会に対して、十一月十六日までに同額を支払っております。

 具体的な日付でございますけれども、同協議会から、六月の十日、七月の六日、八月の七日、九月七日、十月七日、十一月九日に概算払い請求がございました。

 また、中企庁から同協議会に対しましては、それぞれ、六月十五日、七月十四日、八月十三日、九月十四日、十月十四日、十一月十六日に概算払い請求額と同額をお支払いしております。

笠井委員 配付資料二をごらんいただきたいと思います。今のことを一覧にしてみたものと、あわせて家賃給付金についてもあります。

 事業環境部長から話がありましたけれども、総額三百二十八億円に及ぶということでありますが、これは見ますと、しかも、請求から一週間後にきちっと支払っているということで、申請者という側から見ると、何度も不備と言われて給付金を受け取れずに、越年できないと悲鳴を上げているという方々がいらっしゃる一方で、サ推協や電通は、一般管理費をしっかりと概算払いで受け取っているということになります。

 一体誰のための給付金事業かということで、やはりこの点では、申請者に対して給付金を届け切るということをしっかりとやるのが先じゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょう。

梶山国務大臣 概算払いとは、委託先が事業遂行において資金繰りが困難な場合などに、概算をもって支払いをしなければ事務に支障を及ぼすような経費について、財務大臣への協議を経て支払うものであり、会計法令で認められた正当な手続であります。

 事業終了後の確定検査で、概算払いをした金額を含めて、しっかりと支出の適切性を確認した上で支払い額を確定し、必要があれば国庫納付も含めて最終的な精算を行うことになっておりまして、これは、概算払いで必要なものというのは、やはり人件費も含めて、支払いに必要なものであると承知しております。

笠井委員 今そういうふうに説明されたんですが、この給付金の申請者から見ると、大臣も先ほど言われましたが、性善説ということも言われた。私たちもその議論は大いにやってきました。つまり、本当に必要だったらまずお渡ししてということを優先しなきゃいけないんじゃないか、そして、その後、不備がどうしてもあった場合についてはお返しいただくということもあるかもしれないと。

 ただ、本当にそういうふうにせっぱ詰まっているということで、さんざんそういうことが問題になってきたのに、片やこの委託を受けている側の方でいうと、まずいただきますよ、後で概算してとにかく精算しますからいいんですよということになってくるわけで、サ推協だけではなくて、九月からの新事務局であるデロイトも八億五千万円の概算払いを受けております。家賃支援給付金事務局のリクルートは三百六億五千万円ということであります。

 こういうやり方で、やはり、一方で概算払いをやりながら、片や不備だということで、本当に性善説でやり切っているのかという問題で、そうなっていない問題があるというのでは、本当に事業者、国民の理解が得られるのかという問題があるということは強く指摘をしておきたいと思います。

 そこで、このコロナの収束が長引いた場合、全国の約三百五十八万社の中小企業のうち、三十万社を超える規模の企業が廃業の危機に瀕しているというふうに言われております。調査もある。そこで、中小企業家同友会が新政権に、一社も潰さない覚悟での強力な中小企業振興策を期待するというふうに言われたのも当然だと思うんです。

 ところが、菅政権が立ち上げた成長戦略会議には、中小企業が百五十万社まで減らなければ日本の経済はだめになる、こう主張しているデービッド・アトキンソン氏らを据えております。先ほど落合議員も、名前を言われなかったですが、そのことに触れられました。

 私、このアトキンソン氏の、著書を毎年出されていますが、最近の「日本企業の勝算」という著書もよく読んでみましたが、気になるところというか、これはと思って、おかしいな、あるいは疑問を持つところ、附箋を入れたら、こんなにいっぱいあるという状況になっている、満載のものでありますけれども。

 そこには、例えば、中小企業は無駄にたくさんの人を雇うので、現在のように労働生産性の向上が求められる時代では邪魔な存在でしかないと。それから、中小企業をふるいにかけて、国として応援すべき企業と応援する必要のない企業を分けて扱うべきと。こんなことまで言われていて、中小・小規模事業者の淘汰ということを平然と主張しているということになっていると思うんですね。

 梶山大臣は、十一月六日の、これも参議院予算委員会で答弁をされました。我々、企業を支援しているということは、その企業の存続と雇用の維持というものが一番大事だと思っている、そういう視点に立ってしっかりと対応してまいりたいということを強調されましたが、大臣は、この菅政権のもとでの成長戦略会議の副議長をなさっていると思うんですけれども、このアトキンソン氏のような主張というのは、やはり大臣が答弁された立場からすると決して容認できないということになりますね。

梶山国務大臣 アトキンソン氏の主張、また著書というのは存じ上げておりますけれども、まだ成長戦略会議では御持論は披瀝はされていないと思っておりますけれども。

 私が所管する中小企業政策ということで考えると、私はやはり、先ほど委員からお話がありましたけれども、企業の事業の維持、そして雇用の維持というものをしっかりとしていかなければならないと思いますし、地域によって、社会的な課題に対応している中小企業もあります。そういったことが社会を成り立たせている、地域を成り立たせているということも含めて、そういった付加価値というものもしっかり考えながら、中小企業の政策をやってまいりたいと思っております。

笠井委員 大臣が今言われたことは大事だと思うんですが、他方で、中小企業淘汰論については、先ほどの質疑の中でも、政府としてそういった議論をしていることはございませんと、まず単刀直入に言われました。また、菅総理は、この参議院の予算委員会の議論の中でも、アトキンソン氏お一人の意見をそのまま採用しているわけじゃないんだということも言われたんですけれども、果たしてそうかという問題があると思うんですよ。

 中小企業庁が、一週間前ですね、十一月十一日に、第一回中小企業の経営資源集約化等に関する検討会というのを開催されました。この案内があります。そこにはこういうふうに書いてあるんですね。背景、目的ですね。我が国の中小企業は、低い開業率、低い生産性、経営者の高齢化といった構造的な目詰まりに直面している、それを解消するために、経営資源の集約化等、統合、再編等を推し進める重要性が従前以上に高まっていると。

 こういうことを政府として言ったことはないとおっしゃるけれども、中小企業庁がそういう趣旨で、こういうふうな形で検討会を開催している。残念ながら、これを開催したという結果についてはまだ公表されていないので、どんな議論をやっているかわからないけれども、背景と目的がそこにあると言ったら、淘汰論の話と、実際には、政府、中企庁が主催する会議の中で、そういう検討会をやっているということじゃないんですか。

 本当に、そういう点では、コロナ禍のもとで多くの企業が年を越せるかという窮地にあるのに、中企庁自身が、ある意味、大量廃業を促進しているんじゃないかと受けとめられる、こういうふうになるんじゃないですか、大臣。

梶山国務大臣 単語だけを捉えればそういうふうにとられる方もおいでになると思いますけれども、中小企業もやはり、世代交代であるとか経営の新陳代謝が必要な時代に来ております。そういったときには経営資源を集約する必要があるということで、人材、また会社の持っている資源というものをどうしていくかということ、さらにはまた、新たな時代、このポストコロナ、ウイズコロナ時代の仕事の仕方ということで、デジタル化や大企業からのしわ寄せ防止というものも含めて、そういった議論をしていることは事実であります。

 ただ、名前を出しましたが、アトキンソン氏の言うような方向でこれらの言葉を使っているということではなくて、中小企業の事業承継にも、場合によってはMアンドAも必要ですし、事業買収というものも必要。そうした中で、中小企業が生き残れるように、より強化するような対策をしていくということであります。

笠井委員 単語だけ捉えたらそうなるとおっしゃるんだけれども、ここだけ切り取っているんじゃないんですよ。一方で、菅政権ができて成長戦略会議をつくって、そこに竹中平蔵氏らとあわせてアトキンソン氏も委員に選んで、民間議員にして、そういう形で、こういう本で公然と主張している、はっきりしている人を選んで、そしてそのもとで結局また中企庁自身が十一月十一日にこういうことをやったら、どういう意味があるかって中小企業が受けとめるかという問題なんですよ。

 二〇一四年に施行された小規模企業振興基本法は、成長発展のみならず、事業の持続的発展を積極的に評価することを基本原則と位置づけております。政府、経産省は根本姿勢を改めるべきだ。

 日産への融資一千三百億円に政府保証という報道に対して、はらわたが煮えくり返る思いだ、中小業者には自助を強要しながら大企業に税金をつぎ込むような政権をかえる以外に私たちが生き残る道はないというふうに、中小業者から怒りの声が上がっているんですよ。本当に心底の怒りだと思いますよ。これをしっかりと受けとめるべきだということを強く求めて、時間が来ましたので、きょうの質問は終わります。

富田委員長 次回は、来る二十日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時一分散会


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