衆議院

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第3号 令和2年11月20日(金曜日)

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令和二年十一月二十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 鬼木  誠君 理事 佐藤ゆかり君

   理事 関  芳弘君 理事 武藤 容治君

   理事 山際大志郎君 理事 斉木 武志君

   理事 山岡 達丸君 理事 中野 洋昌君

      畦元 将吾君    穴見 陽一君

      井上 貴博君    石川 昭政君

      上野 宏史君    門山 宏哲君

      神田  裕君    工藤 彰三君

      小林 鷹之君    佐々木 紀君

      鈴木 淳司君    辻  清人君

      冨樫 博之君    西村 明宏君

      福田 達夫君    穂坂  泰君

      星野 剛士君    三原 朝彦君

      宗清 皇一君    八木 哲也君

      逢坂 誠二君    落合 貴之君

      菅  直人君    松平 浩一君

      宮川  伸君    山崎  誠君

      高木美智代君    笠井  亮君

      美延 映夫君    浅野  哲君

      石崎  徹君

    …………………………………

   経済産業大臣       梶山 弘志君

   環境副大臣        笹川 博義君

   内閣府大臣政務官     吉川  赳君

   経済産業大臣政務官    宗清 皇一君

   国土交通大臣政務官    朝日健太郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 千原 由幸君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          山越 伸子君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           塩崎 正晴君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           長野 裕子君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官)          合田 哲雄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官)            佐原 康之君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           河西 康之君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           福永 哲郎君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            広瀬  直君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          山下 隆一君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          平井 裕秀君

   政府参考人

   (経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 佐藤 悦緒君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         小野 洋太君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        南   亮君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            村上 敬亮君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 寺田 吉道君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 白石 隆夫君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            青柳  肇君

   政府参考人

   (防衛装備庁技術戦略部長)            堀江 和宏君

   経済産業委員会専門員   宮岡 宏信君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     門山 宏哲君

同日

 辞任         補欠選任

  門山 宏哲君     神山 佐市君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官千原由幸君、総務省自治行政局公務員部長山越伸子君、文部科学省大臣官房審議官塩崎正晴君、文部科学省大臣官房審議官長野裕子君、文部科学省科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官合田哲雄君、厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官佐原康之君、経済産業省大臣官房審議官河西康之君、経済産業省大臣官房審議官福永哲郎君、経済産業省通商政策局長広瀬直君、経済産業省産業技術環境局長山下隆一君、経済産業省商務情報政策局長平井裕秀君、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長佐藤悦緒君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官小野洋太君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長茂木正君、資源エネルギー庁資源・燃料部長南亮君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、中小企業庁事業環境部長飯田健太君、中小企業庁経営支援部長村上敬亮君、国土交通省鉄道局次長寺田吉道君、環境省大臣官房審議官白石隆夫君、防衛装備庁装備政策部長青柳肇君及び防衛装備庁技術戦略部長堀江和宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。斉木武志君。

斉木委員 斉木武志です。

 本日は、まず、原発特措法に関して議論をさせていただきたいと思います。

 この原発特措法というのは、原子力の立地地域の振興法でございまして、例えば、道路をつくるときに国からかさ上げで補助を受けたりとか、あとは、新しい企業が立地地域に進出する際に固定資産税、不動産取得税の優遇を受けられる、企業の立地を促すような税制でございます。

 これが来年三月末で日切れを迎えまして、改正の必要が出てくるわけでございますが、これはそもそも、二〇〇〇年十二月に、当時の自民党、公明党、与党の方から議員立法として本委員会で審議をされて成立をいたしました。二〇一〇年に、当時、我々民主党政権が与党、そして自公、野党共同提案ということで、これも単純延長ということで成立をいたしました。ただ、その直後に三・一一、福島原発事故が起きて、今回が初めての私は議論のタイミングになると思っております。

 そこで、梶山大臣にお聞きしたいと思います。梶山大臣はたしか提出者にも名を連ねていたと思うんですけれども、同じ立地地域の議員として、この原発特措法の意義というものはどのようにお考えでしょうか。

梶山国務大臣 この原発立地特措法は、立地地域の防災インフラの整備や地域振興を目的として二〇〇〇年に制定、そして二〇一〇年に十年間延長。いずれも、私も提出者とならせていただきました。

 そういう目的のもとにつくられているものでありまして、これは議員立法として制定、延長されてきたものですから、私も中身については今の立場でお答えすることは差し控えさせていただきたいんですが、ただ、今申しましたように、私自身がこの法律の制定、延長時とも提出者としてかかわっているということで、議員立法であるという前提でお話しさせていただきますと、特に前回の延長時には、私どもは野党議員でありました。当時の与党の議員の皆様と連携しながら、いろいろな議論をしました、補助率のかさ上げの話もさせていただきましたけれども、単純延長と結果としてはなったわけでありますけれども、汗をかかせていただいた思いがあります。

 今回、与党の立地地域の議員を始めとして延長に向けて取り組んでいると聞いておりますけれども、斉木先生始め、御党にも御理解、御尽力いただいて、全党の理解の上にまた延長ができればという思いを、提出者の一人としてそういう思いを持っているということであります。

斉木委員 大変高い御関心を拝聴して、非常に得心がいっておるわけですが。

 これは、延長するためには、やはりその直後に起きた三・一一福島原発事故の知見、そして、その十年間、原子力を取り巻く現状が大きく変わりました。それに立地地域が翻弄されてあすが見出せないという、私の福井県の事情もございます。ですので、そういった立地地域の思いに応えるためには、やはり三・一一の知見も盛り込んだ本委員会での議論というものが重要になってくると思います。

 私は一つ御提案申し上げたい、この議場の皆様に申し上げたいんですが、やはりこれは今、企業誘致、企業進出へのインセンティブ、メリットというものが規定されているわけですけれども、対象業種は限定されております。法の条文では製造業、そして、政令の中で、道路貨物運送業、倉庫業、こん包業、卸売業という形で業種は限られてしまっております。

 私はこれでは不十分だと思っておりまして、今、この十年間で何が変わったか。再生可能エネルギーの値段がここまで下がるとは誰も予想しておりませんでした。FITが導入をされて、我が国においても、そして世界においても、再エネの値段がぐっと下がった。そして、経産大臣としても、梶山先生もやはり再エネを伸ばしていくということは、官邸、そして一体となって提唱されております、推進をされている。菅政権としても、二〇五〇カーボンゼロということを申し上げている。

 私は、やはり、立地地域においても、まず産業構造を複軸化していきたいという思いは非常に強く持っているんですよ。原子力というものが将来どうなっていくのか、全くこの十年間、国から明確な方針が示されないまま今日に至っている。その中で、じゃ、何で食べていけばいいのか、産業の飯の種をどこに求めていくのかというのは非常に皆さん迷っていらっしゃる。

 ですので、そこで再エネ事業者をこの品目に加えて、立地地域で再エネをやったら、じゃ、固定資産税や不動産取得税の恩恵が受けられると。太い系統は来ているわけです、電線は来ているわけです。非常にアドバンテージのある地域だと私は思っておるんですが、こういった対象業種の拡充、再エネ事業者を加えるということに関してはどのようにお考えでしょうか。

梶山国務大臣 先ほども申しましたように、これは議員立法ということで、前回の延長のときも、制定のときも、与野党一緒にいろいろな議論をいたしました。それで実現できていない部分もありますけれども、今回も、斉木議員も含めて与野党でしっかりと議論をして、やはり、立地地域ならではの思いをしっかり表現できればいいなと私自身は思っております。

斉木委員 これは立地地域の将来にかかわってくる非常に重要な議論ですので、この原子力をめぐっては、さまざまな、各政党、そして各個人、選挙区ごとにさまざまな思いがあると思います。

 ですけれども、ここは、私は与党側の理事の方に申し上げたいんですが、先生も御承知のとおり、臨時国会で全部成立してきているんですね、二〇〇〇年、二〇一〇年。今回はこの臨時国会を逃してしまうということ、私は非常に残念だなと思っておりました。本国会で本当はこういった本質的な、三・一一の知見を受けて初めての議論になるわけですから、充実した時間をとって本当は議論させていただきたいということは先ほど理事会では申し上げました。もし、仮に今回できないということであれば、通常国会ではしっかりとした議論をして、一条の目的規定が本当に三・一一後にフィットしているのかどうか、そういった根本的な議論をやはり改める必要があると思うんですよ。

 人類が、この日本、国家として、あの事故を経験をした知見というものをしっかり盛り込んだ形にこの条文を改正して、議論していきたいと思うんですが、最後にその思いというものをまたお聞かせいただければと思います。

梶山国務大臣 何度も繰り返しになりますけれども、議員立法だということで、与野党の議員でまたしっかりと議論をしていただきたいと思いますし、現実に、もう立地地域として存在をしているということですから、今の状況も踏まえてどうあるべきかということを、しっかりとした議論の上での法律の延長なり、また改正に向けてやっていただきたいと思っております。

斉木委員 ありがとうございます。

 吉川政務官、済みません、お時間がなくなってしまいました。どうもありがとうございました。

 では、続いて、これも実は北陸に絡む大きな、これは残念なニュースなんですけれども、整備新幹線が遅延するという、開業延期というニュースがこの十一月になって入ってまいりました。今、北陸地域は非常に困惑をしているところです。経済的な影響も非常に懸念されますので、まずその点について、北陸新幹線金沢―敦賀間の開業延期について伺いたいと思います。きょうは、国土交通政務官や鉄道局次長にも来ていただいておりますので、伺いたいと思います。

 まず、無責任じゃないかという声が圧倒的です。二〇一五年、今から五年前に、二〇二六年春になっていたものを二〇二三年春まで三年前倒しをした。いよいよ、もう開業が目に入ってきているこの年末の時期において、突然、一年半延期します、おくれるけれども、二千八百八十億円工賃がかかるので出してください。おくれるけれども、お金を下さいみたいな、もうむちゃくちゃな要求だと私は思うんですけれども、そもそも二〇一五年に三年前倒ししたのが無理筋だったのではないかという声が、JR、鉄道機構、そして地元からも非常に今噴出しております。できない約束を国交省はするなよと。

 整備新幹線が整備がおくれるというのは、遅延というのは、我が国の歴史上初めてだと私は思っておるんですが、鉄道局次長若しくは政務官、今回、整備新幹線が開業延期なんというのは初めてだということでよろしいですか。

寺田政府参考人 お答え申し上げます。

 整備新幹線として開業目標を設定して遅延するというのは今回が初めての事例と承知しております。

斉木委員 事の重大さを国土交通省や政務官には認識をしていただきたいと思います。

 整備新幹線は、今、駅周辺の再開発、そして、もちろんテナント企業そして誘致企業、この二〇二三年春を見据えて全てのまちづくりが北陸地域では進行してまいりました、特に福井県においてです。それが、一年半お預けです、延ばしてくださいと。じゃ、並行在来線の会社を県が用意していますが、どうするんですか。物すごく甚大な影響が及んでおります。

 特に私が懸念しているのはコロナなんです。新型コロナウイルスの影響で、地元経済はともかく今我慢に我慢、これは日本全体ですが、我慢をしている状況です。今も感染拡大がとまりません。その中で、二〇二三年春までは、特に観光事業者であるとか進出予定企業であるとか、何とかこらえて、希望の光だったんですよ、二〇二三年春の開業というものが。ここまでは、お弁当屋さんも飲食業も何とか今は、JRさんが入ってくれば駅弁が売れるんじゃないか、飲食が、そして県外から観光客がやってくるんじゃないか、ホテルも潤うんじゃないか、ずっと心待ちにしていた希望の光を、直前で一年半、更に遠くに延ばしてしまって。

 私は頭に浮かぶんですね。地元のお弁当屋さんとか、JRさんが非常に今乗客が少ないですよ、売れない。だから、何とか雇調金でつないで、持続化給付金でつないで、従業員の八割はお休みをいただいて何とか雇用を維持して、二〇二三年春を待っている。待っているのに、更に一年半延ばされた。この影響の大きさというものは、国交省、理解していますか。

寺田政府参考人 お答えをいたします。

 北陸新幹線金沢―敦賀間の開業に向けまして、沿線自治体における駅周辺まちづくりなど、さまざまな取組が進められているということは私どもも承知しております。

 今後、影響をできる限り小さくするためにも、まずは可能な限りの工期短縮に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

斉木委員 まさに型どおりの答弁という。

 私、レクの段階から、いろいろやりとりをしていて非常に、今の答弁をお聞きになって議場の皆さんもおわかりになった、お感じになったと思うんですが、非常に当事者意識が鉄道局は薄いと危機感を持っております。おくれたのは機構のせいだ、私たちじゃありませんと。この前、福井県にいらっしゃって、機構の理事長さんは平謝りに謝っていたけれども、鉄道局の方は一切謝らない、機構が悪い。こんな姿勢ではだめだと私は思っておるんですが、政務官、いかがですか。

朝日大臣政務官 お答えいたします。

 北陸新幹線の金沢―敦賀間において、平成二十七年一月の政府・与党申合せによって令和四年度末の完成、開業を目指すところですが、今月十一日に開催された与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームにおいて、建設主体である鉄道・運輸機構より、現在、一年半程度の工期遅延が生じていること、約二千八百八十億円の工事費の増額が生じる見込みであることが報告されました。

 金沢―敦賀間の開業については、まちづくり等の取組を進める沿線自治体始め地元の皆様の期待は大変大きいものと承知をしており、このような事態が生じたことについて、大変遺憾です。

 本件については、現在の工期短縮策の検証、さらなる工期短縮策、事業費縮減策の検討、今般の工期遅延、コスト増に至った事実関係の検証、原因究明、再発防止策の検討等の観点から検証が必要だと考えており、組織のガバナンスの有識者や工事の専門家等の第三者から成る検証委員会を設置し、今週十七日より検証作業を開始していただいているところです。

 国土交通省としては、この検証委員会での検証結果も踏まえ、鉄道・運輸機構とともに、可能な限りの工期短縮、コスト縮減に努めてまいりたいと思います。

斉木委員 そこで、検証委員会で、この短期間でどれだけ原因究明と再発防止ができるのか、私は大いに疑問だと思っております。

 そもそも、私が大きく疑念、というか国民の皆さんが疑念を持つのは、この二〇一五年の段階で、三年早く完工できます、開業できます、北海道においても同じタイミングで、五年早くできますとおっしゃいました、発表しました。その責任感を私は自覚してほしいと思うんですよ。

 政治家の口約束ではない、国土交通省、国として、政府として、ここでできますと言うことは、地方自治体も民間企業もそれに向けて、国ができると言ったんだから、これは当然信用するわけです。それで全てのビジネスプランが動き始めて、いよいよあと少しというところで突然延期というのは、余りにも、私は、国の信用性、国土交通省の信用性、政府の信用性が大きく失墜したと思っておるんですが、その自覚があるか、端的にお答えください。

寺田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど政務官からの御答弁もございましたけれども、今、この工期の短縮あるいは事業費の縮減、こうしたものにしっかり取り組むために、専門家から成ります第三者による検証委員会というのを設置して御議論をいただいているところでございます。

 国土交通省といたしまして、当然のことでございますけれども、この検証委員会での検証結果をしっかり踏まえて、鉄道・運輸機構とともに、可能な限り工期短縮、コスト縮減にしっかりと努めてまいりたいというふうに考えてございます。

斉木委員 次長、そういう姿勢だと、私は、また再発するんじゃないか。また、いや何とか半年更に縮めて一年後にはできますと言ってもまた一年半、いやトンネルを掘ったら今度は水が出てきたから二年おくれますとか、またぶれるんじゃないかと非常に危惧をします。当事者意識とか、国土交通省鉄道局としての、国民や地元、地方団体、企業に対する説明責任なり責任感というのが全くうかがえないんですね。

 これは、要は私は、もうこれ以上、地元とか民間企業とかを振り回してくれるなと申し上げたいんです。一旦この期限を切れば、そこに対して動くのが、また、今、自覚があるのかと言って、一切お答えになりませんでした。これは、政治に対する説明責任として、国土交通省の姿勢が私は問われておると思うんですが、朝日政務官、どうですか。今の答弁で、この事業の持つ、整備新幹線事業の持つですよ、地元や民間企業に対する責任というものが、私は鉄道局次長の答弁からは全くうかがい知れなかったんですが、政務官、今の答弁で十分だと思いますか。政務官に聞いています、政務官。

朝日大臣政務官 お答え申し上げます。

 北陸新幹線については、平成二十七年一月の政府・与党申合せにより、完成、開業目標を三年前倒しし、令和四年度末の完成、開業を目指すとされました。開業が三年前倒しになった際、建設主体である鉄道・運輸機構においては工期短縮策を策定し、予定どおりの開業ができるものと考えておりましたので、三年前倒しが実現不可能な計画であったとは認識しておりません。

 今般の工期遅延については、敦賀駅と加賀トンネルの二カ所において、工事を進める中で新たに判明した要因により生じたところであり、そのほかの工区については現時点では工期の遅延が生じない見込みであることから、平成二十七年一月の開業前倒し時点において、令和四年度末の開業は実現不可能な工期ではなかったと認識をしております。

 なお、開業前倒しの経緯も含めて、今後、第三者委員会による検証委員会で検討を行ってまいりたいと考えております。

斉木委員 要は、新たな盤膨れ、地下水とコンクリートの接触のような予測不可能な事態が生じたからしようがないんだという答弁ですが、私は何を言っているんですかと申し上げたい。

 自然相手の商売じゃないですか。トンネルを掘り、レールを通し、高架をつくり、当然、地下鉄にしたって地上のトンネルにしたって、トンネルを掘れば地下水が出たり、それとコンクリートが接触をしたり、土砂崩れが起きたり、また、自然災害、台風が来れば遅延したり。そんなものは、日本の戦後の歴史の土木の経験を国土交通省鉄道局は営々と積み重ねて、当然わかっているはずじゃないですか。

 予想外の事態が、想定外の事態が起こることは事前に予想がつくんですよ、土木の世界においては。なぜ、地下水とコンクリートが接触をしたら一年半おくれてしまいます、計画全体をちゃぶ台返しするような、そんなかつかつの日程を組んでしまったのか、疑念を持たざるを得ないんですよ。

 これは何も北陸だけではないんです。私は、同じことが北海道整備新幹線においても起きるのではないかという非常に強い懸念を今持っております。

 北海道のトンネル予定地、ルートにおいて、土壌から砒素が検出をされた。有害性土壌、これは火山性の、人為的なものではなくて天然由来の有害物質が含まれていることがわかったので、じゃ、まだトンネルは掘っていないけれども、その取った土を、普通の処分はできませんから仮置きをする。仮置きをする場所を札幌市民の方々が反対をされて、有害土壌は嫌だと反対をされていると聞いております。まだ仮置場が決まっていないというふうに鉄道局からも説明を受けました。まだそういうところはトンネルを掘れないわけですよ。

 ここも五年前倒し、たしか二〇三〇年には開通しますと五年間前倒ししましたね、北海道においても。こういった、掘れば砒素が出てくる、有害性土壌が出てくる、掘れば地下水が出てくる、想定外、これぐらいは織り込んで整備新幹線計画というのは立てるものなんじゃないですか。それを織り込んで五年なり三年なり前倒しをするというのが、私は責任を持った技術者としての、責任感ある判断だと思うんですが、次長、どうですか。

寺田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、委員から御指摘がございました、想定外のものであってもしっかりとそれに備えるべきという御指摘については、確かに、自然現象などなど工期の遅延あるいは工事費の増嵩につながる、そういった想定外の要因がございますので、できる限りそれに備えておくべきだというふうに私どもとしても考えてございます。まさにそうした観点も含めまして、今回の第三者による検証委員会においてしっかりと検証作業を進めていただきたいというふうに考えてございます。

 それから、盤膨れの話でございますが、盤膨れにつきましては、トンネルを掘った際に、トンネルの底の部分の下にあります土が化学反応を起こしまして膨れて、トンネルの下部の部分が膨れ上がるという現象でございます。これは、事前に地質の関係でそういったことがあり得るということは把握できておりまして、一定の対策を講じた上で、加賀トンネルについては工事を行っております。

 ただ、結果として、それでもなお盤膨れが生じているということでございますので、こうした点も含めまして、専門家から成ります検証委員会で、しっかりとこれまでの経緯なども検証、検討していただきまして、今後の再発防止策なども含めて御議論をいただきたいというふうに考えてございます。

斉木委員 北陸においても北海道においても、これ以上地元を振り回すような、無責任な工期短縮であったり、また、短縮したものができませんというふうにまた延期したりとか、こういう行ったり来たりをこれ以上私は繰り返してほしくないし、させるわけにいかないんです、国民の代表として。

 私は、今回の、そもそも二〇一五年の北海道における五年前倒し、北陸における三年前倒し、もっとここは、鉄道局として矜持を持って冷静な判断をしてほしかったと思っております。それが、今回求められる改善点ではないかなと思います。

 当然、私も地元議員ですから、一日も早く地元に鉄道を通してほしい、新幹線を通してほしいというのは、この議場にいらっしゃる、いや、国会にいらっしゃるどの議員もそう言うと思います。それが使命です、我々、地元で選出されている者にとって。

 ただし、それに振り回されて、できない口約束をしてくれるなということです。それに振り回されて、国としての約束を軽々しくしてほしくない。それによって起きる事の重大性というのは、今回やっとわかったんですか。私はそれを、もっと鉄道局に、政治との距離感、無理なことは、あくまでできるものを、本当にできるものを提示してほしい。我々は、一日でも早く通してくれとみんな言いますよ。でも、それに振り回されたらいけないんです、鉄道局。

 できるだけ早く、なおかつ、本当にできて、自然災害が起きてもここなら通せるという期限を国民に提示すべきだと思うんですが、政務官、いかがですか。

朝日大臣政務官 お答えいたします。

 金沢―敦賀間の開業については、まちづくり等の取組を進める沿線自治体始め地元の皆様の期待は大変大きいものと承知をしており、このような事態が生じたことについて、大変遺憾です。

 国土交通省としましては、この検証委員会での検証結果を踏まえ、鉄道・運輸機構とともに、可能な限りの工期短縮、コスト縮減に努めてまいりたいと考えております。

斉木委員 まだ得心しかねるんですが、もう一つ得心しかねるのがお金の問題です。

 おくれるけれども二千八百八十億円下さい。これは、例えば家の納期で、完工はおくれるけれども追加工賃が発生したので一千万下さいと言われたら、施主に怒られると思いますよ。そんな工務店はどこにも存在しないと私は思います。

 国が今回、二千八百八十億更に要りますと。しかもこれは二度目ですよね。二〇一八年に二千六百三十億かな、値上げをしました。さらに、今回二千八百八十億ですから、結局、三年早くしようとして五千億円以上値上がりしちゃったんですね。しかも、一年半後ろへ行くわけですから、一年ちょっとしか工期は短縮されませんでした。

 こんなことが事前にわかっていたら地元だって、知事に説明するときに、いや、一年ちょっとしか早くならないですけれども五千億円余計にかかりますよと最初に言ってくれないと。だったら、それだけ、一年で五千億円もかかるんだったら、無理しないでいいですと私は言われたと思いますよ。

 値上げするのは、契約じゃないですか。民民契約で、後から、いや、実は追加で二千八百八十億、二千六百三十億円で五千億円以上要求する業者がどこにいますか。しかもおくれてですよ。私は、民間のビジネスの世界からしたら考えられないことを、今、国土交通省として地元に求めている、これはちょっと、余りに無責任だと思うんですよ。

 この費用負担、私は、これをJRの貸付料でやれという声もありますけれども、それは無理だと思います。今、皆さん新幹線に乗車されていて、乗車率が低い、そして、JRグループとしても数兆円単位の減収がこれで発生するだろう、東日本単体で一千億円以上ことし減収だ、終電を早める。今、昔のような旅客業界の潤沢な利益はないんです。

 その中で、じゃ誰に費用負担を求めるのか。じゃ財務省とかけ合ってでも国土交通省の責任として見つけてきますというのがまずは筋だと思うんですけれども、費用負担をどこに求めるおつもりですか。

朝日大臣政務官 第三者による検証委員会において、今般の工期遅延、建設費増加に至った事実関係の検証を行うとともに、可能な限りの工期短縮、コスト縮減の検討を行った上で、財源確保に向けた具体的な方策について、予算編成過程の中で幅広く検討してまいります。

斉木委員 幅広くというのは、非常に、やるともやらないとも、全くしんしゃくできない答弁なんですけれども、私は、ぜひこれは、国の責任でおくれるんだから国で責任を持ちますと言ってほしいし、言うまで委員会でも要求したいと思います。

 最後に、梶山大臣、この経済への影響、北陸全体で、新幹線ができるのに合わせて出店を計画していたホテルが、じゃ、開業をやめようか、進出そのものをやめようか、レンタカー会社の方が駅にレンタカーの拠点を設けるつもりだったけれども、じゃどうしようかと、皆さん、今頭を抱えています。北陸経済全体に、三県全体にこの開業遅延の影響というのが及び始めておるんですが、このコロナ禍の最後の望みの綱だった、希望の光だった敦賀―金沢間の開業延期、おくれたことに対して、北陸経済へ、ぜひ、経産大臣、中小企業の応援団としても、影響を最小限に抑えるという意気込みを語っていただきたいんですが、いかがですか。

梶山国務大臣 金沢―敦賀間の開業というのは、大きな期待を持って皆さん臨まれていたと思っております。そういった中で延期になったということでありまして、地域経済への影響というものを注意深く見守ってまいりたいと思いますし、しっかりと対応してまいりたいと思います。

斉木委員 本当に、国としての矜持を持った、鉄道局には、しっかり政治との距離感も考えて、できる約束をしてください。これ以上地元を振り回さないこと。

 そして、政務官には、ぜひこれは、財務省からしっかり予算をとってくる。おくれたのは国の責任なんですから国の責任で何とかしますということを求めて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。

 本日は、梶山大臣の所信に対する質疑を行わせていただきたいと思います。

 本日は、大きく三つのテーマ、一つは、新型コロナ拡大を受けた中小企業支援、そして二点目は、CN二〇五〇、そして三点目は、RCEP、日英EPAを予定しております。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、中小企業支援について大臣にお伺いしたいと思います。

 中小・小規模事業者は、これまでの厳しい経営環境に加えて、新型コロナによる影響も加わり、事業継続の見通しが立たない未曽有の危機に直面しているというふうに認識をしております。

 そんな中で、先日、財政制度等審議会は、十月二十六日の会合の中で、持続化給付金や家賃支援給付金を当初の計画どおり来年一月の申請期限をもって終了するという提言をされました。先日の山岡委員の質疑の中でも取り上げられておりましたけれども、ただ、感染が再拡大するなどの収束の見通しが立たない中では、今後の状況に応じて柔軟に対応できる政策的、財政的余地を残すべきだと考えております。

 現在編成中の第三次補正予算案において、このような中小企業を支援するためにどのような視点で対策を検討しているのか、また、どの程度の予算規模が必要だと考えているのか、施策についてはできるだけ具体的に御答弁をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

梶山国務大臣 新型コロナウイルス感染症の影響により急激に悪化をした中小企業の経営環境は、足元で一部持ち直しの動きが見られるものの、依然として全体的には厳しいものと認識をしております。

 こうした状況の中、十一月十日に総理から、感染拡大防止と社会経済活動の両立という基本的考え方に基づいて、新たな経済対策を策定するように指示があったところであります。

 具体的な内容については、現在検討中でありますけれども、中小企業の年度末の資金繰りに万全を期すための支援がまず第一点。そして、ポストコロナに向けて、事業再構築や生産性向上に挑戦する中小企業に対する支援ということで、コロナ禍の中で事業をどう変えていくかということを思案している企業が大変多かったと思います、そういったものに対する支援であるとか。

 やはり、ポストコロナ、ウイズコロナの時代にどう事業を進めていくかということに対する支援をしっかりとさせていただきたいと思いますし、経営資源の散逸を防ぐための事業承継や事業再生の円滑化のための支援ということで、第三者の事業承継も含めて、例えば、MアンドAという手法で、しっかりとそういったものを使うことができるようにガイドラインを引いたり、また税制をつくったり、またさらには、コンサルティングの費用というもののガイドライン等もやはり明確にしていくという必要があると思っておりますので、そういったものも含めて、どういった支援ができるか、今検討をしているところであります。

 中小企業の事業継続や雇用維持に万全を期すために必要な額を確保できるように、財政当局ともしっかりと議論をしてまいりたいと思いますし、機動的に柔軟に対応してまいりたいと思っております。

浅野委員 ありがとうございます。

 続いて、今おっしゃっていただいたような支援策、ぜひ具体化をしていただきたいと思いますが、一方で、これまでのコロナ対策の中で、各種支援策の運用に当たっては、申請が殺到したことによる現場の混乱や手続のおくれといった課題が顕在化をいたしました。

 このような教訓から、今後はスムーズな給付や金融支援が受けられる体制又は仕組みの整備が重要だと思っておりますけれども、具体的な方策について、政府にお伺いをしたいと思います。

平井政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省といたしましては、事業者の視点に立ちまして、利便性の高い行政サービスを実現するため、デジタルシステムの整備を進めてきているところでございます。

 具体的には、事業者が一つのIDとパスワードを持ちまして、さまざまな手続ができる認証システム、我々はGビズIDと呼んでおりますけれども、これを構築いたしまして、これまでに約二十三万者にIDを発行してきているところでございます。補助金申請ですとか社会保険関係の手続などに利用できるようになってきておるところでございますけれども、引き続き、利用可能な手続の拡大に取り組んでいるところでございます。

 また、汎用的な補助金申請システムといたしましてJグランツ、これを構築しております。これまで七省二十三自治体における百を超える補助金、これが申請できるようなシステムとなってきておりますが、さらなる拡大、システムのバージョンアップに取り組んでいるところでございます。

 さらに、中小企業が容易に最適な支援制度を検索し、支援を受けられるよう、中小企業向けの補助金総合支援サイトのミラサポプラスの整備も進めているところでございまして、引き続き、事業者の皆様の視点に立って、行政サービスのデジタル化に向けて経済産業省としても取組を進めてまいりたいと思っております。

浅野委員 御紹介いただいて、ありがとうございました。

 ぜひ、この支援の内容だけでなくて、手続の円滑化というのが非常に重要なことが今回顕在化しておりますので、今紹介いただいた仕組みだけでも、三つほど紹介いただきました、これでも現場からしたら複雑に見えるし、どこに行けば何をできるのかというのがわかりづらいといった声もいただいております。ワンストップサービスという言葉も今政府は使われておりますけれども、そういったものを統合的にガイドできるような仕組みもぜひ御検討いただきたいというふうに述べさせていただきます。

 次に、今度は大臣にお伺いをしたいと思いますが、やはり先日、きょうの資料の一をごらんいただきたいんですけれども、先日の予算委員会でも国民民主党の玉木代表がOECDの経済成長率予測というのを引き合いに出しまして、来年度以降の経済成長率の予測、日本が他国におくれをとっているのではないかというような指摘をさせていただきました。

 やはり、世界を見渡してみれば、欧米や中国、インドを始め多くの国々で、二〇二一年には平均成長率がプラス五%というふうに見通されております。一方、日本の成長率予測はプラス一・五にとどまる見通しでありまして、このことが来年、再来年以降も続くということを想像するだけでも、かなり深刻に捉えなければいけないというふうに思っております。

 なぜ日本が他国に対して大きくおくれをとっているのか、その理由と今後の対策をお伺いしたいと思います。

梶山国務大臣 委員御指摘のとおり、九月のOECD中間経済見通しでは、日本の実質経済成長率は二〇二〇年にマイナス五・八%、二〇二一年にプラス一・五%となっていると承知しております。

 各国・地域の成長力に対する見方の違い、世界貿易量が低調なことで貿易依存度の高い日本の輸出が伸び悩むとの想定、日本における二〇年度補正予算の効果が二一年には剥落するとの想定が置かれていること等によって、日本経済の回復が弱いと見込まれているものと認識をしております。

 我が国の七―九月期の実質GDP、速報値ですけれども、前期比で年率プラス二一・四%と大幅なプラス成長となるなど、四、五月を底として持ち直してはいるものの、経済活動は依然としてコロナ前を下回る水準にあると認識をしております。

 今月十日には、総理から、ポストコロナに向けて、経済の持ち直しの動きを確かなものとして、民需主導の成長軌道に戻していくための新たな経済対策を策定するように指示があったところであります。

 経済産業省としては、カーボンニュートラルに向けた技術開発などのデジタル改革、グリーン社会実現、地域の中小企業の経営転換支援やサプライチェーンの強靱化の実効性向上など、経済構造の転換、イノベーション等による生産性向上といった方向性に沿って、経済対策の検討を着実に進めてまいりたいと思っておりますけれども、テーマではなくて実効性があるようにどうすればいいのかということもしっかりと検討しながら進めてまいりたいと考えております。

浅野委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 今、七―九月の景気がプラス二一・四%という数字を御紹介いただきました。確かに一部持ち直したところはあるかと思いますけれども、一方で、今まさに起きているように、新型コロナウイルス感染者数がまた再拡大傾向が見えて、その後、一旦また経済が冷え込んだり、勢いが減速をしたりといったことも十分に予測をされております。ですから、一回上がり始めたからこのまま上がり続けるという前提では決してないというふうに思っておりますので、その成長の後押しと、あとはこれ以上また減速しないような対策をぜひ進めていただきたいというのが一つ。

 もう一つは、やはり、今テレワークなどが普及する中で、生産性の向上を同時に求められている環境ではありますけれども、産業現場においては、テレワークが結果的にいい効果をもたらしている職場と、そうではない職場が混在しているのもまた事実であります。

 やはり特に中小企業、小規模事業者の方々にとっては、これが非常に仕事がやりにくい環境の創出にもつながっている現状がございますので、中小・小規模事業者に対するデジタル化、IT化の推進、現在、既に補助金等もありますけれども、ぜひその内容拡充のみならず、導入のさらなる後押しというものをお願いさせていただきたいというふうに思っておりますが、もし大臣から所見、ありましたら、お願いいたします。

梶山国務大臣 これはデジタル機器の導入だけでなくて、人材の派遣も含めて、より実効性が上がるようにしっかりと対応してまいりたいと思っております。

浅野委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 続いて、二〇五〇年カーボンニュートラルのテーマに移らせていただきます。

 このCN二〇五〇の実現には、既存電源を最大限活用する必要があるというふうに思います。

 電力自由化の流れの中で、最近では、容量市場の創設や、エネルギー供給強靱化法改正などを実施してまいりましたが、事業予見性、そして収益性の確保、さらには既存電源の高度化や新増設等の継続的な設備投資の実現に向けた整備環境は、これで十分とは言いがたいのではないかというふうに感じております。

 今後のさらなる対応の必要性や方向性について、政府の御認識を伺いたいと思います。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けましては、温室効果ガスの八割以上を占めますエネルギー分野の取組は特に重要でございまして、再エネの導入はもちろんでございますけれども、あらゆる選択肢を追求し、安定供給の確保とともに、必要な対応策を進めることが必要だと考えてございます。

 例えば火力発電につきましては、現時点において発電量の七割以上を占める重要な供給力でありますとともに、再エネの導入を拡大していく場合に、自然の変動によって出力が変わってくるということを補うための調整力としての役割も大きいと考えてございます。

 一方で、環境負荷が高いという課題もあるわけでございますので、高効率化、次世代化、こういった取組も必要でございますし、非効率石炭のフェードアウトに取り組むことによって、新陳代謝を進めていかなければならない。さらには、二〇五〇年に向けましては、CO2の分離回収技術の低コスト化ですとか、革新的なカーボンリサイクル技術の開発といった、さまざまな意味での投資、次なる設備の導入ということが必要になってくるわけだと認識してございます。

 その中で、委員御指摘のように、電力自由化がされているところでございまして、安定供給をいかに確保していくかということが課題だと認識してございます。

 これまでも、容量市場の創設など、発電事業者の事業予見性の確保や、経済性の改善のための制度設計に努めてきたところでございますけれども、今後、原則的に短期的な電力取引市場ベースでの価格設定となることが予想される中で、発電事業者にとって長期的な予見可能性をいかに確保していくか、こういうことを克服しないと電源投資が進まない可能性があるということは、私どもよく認識しているところでございます。

 現在、審議会において検討を進めているところでございますけれども、電力の安定供給の確保、カーボンニュートラルの実現、こういった議論を踏まえつつ、電源投資の安定的な確保のための具体的な制度の内容について、今後更に検討を深めていきたい、このように考えてございます。

浅野委員 ありがとうございます。

 今取り上げていただきましたけれども、例えば火力に対しては、やはり低炭素化というのが非常にこれから重要な要素になってまいりますが、アンモニア混焼あるいは燃料電池との組み合わせ等の革新的な技術開発も現場では既に、もうかなり前から進められてきております。ぜひその後押しをしていかなければいけないというふうに思っているんですが、そこで、次の質問を、大臣にお伺いをしたいと思っております。

 この既存の技術を最大限活用するというのはもちろんなんですが、やはり、革新的技術の開発と経済合理的な社会実装というのがなければ成り立ちません。イノベーションの源泉となる技術開発、社会実装への投資を誘導する仕組みづくりが重要であると思っております。

 具体的には、エネルギー分野に対する投資、とりわけESG投資を再び活性化させるためにも、グリーン投資減税制度の復活、あるいは、再エネ電源以外にEVや燃料電池等を含む蓄電機器類や需給調整システムなど、対象範囲も拡充すべきというふうに思っておりますけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。

梶山国務大臣 浅野委員御指摘のとおり、民間投資を二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けた取組に誘導することは、大変重要なことであると思っております。

 カーボンニュートラルを目指す上で不可欠な水素、蓄電池、洋上風力、カーボンリサイクルなどの分野について、具体的な目標年限やターゲット、規制や標準化などの制度整備、社会実装を進めるための支援策などを盛り込んだ行動計画を、年末を目途に取りまとめていく予定であります。

 実行計画の策定により、二〇五〇年のカーボンニュートラル実現に向けた取組に係る具体的な目標年限やターゲット等が明確になり、民間投資をこうした取組に誘導することができると思っておりますけれども、さらにまた、企業への評価をどうするのか、また、融資を誘発するための、先ほど委員がおっしゃいましたESG投資、そういったものに対するかかわり方をどうしていくのかということも含めて、金融や、また技術の移行も含めて、どういう段階でどういう制度を入れていったらいいのかということも含めて、真剣に考えていかなければならないと思っております。

 こうした長期の視点での支援に加えて、足元でも、二酸化炭素の排出削減に大きな効果を有する製品の早期投入を促すことでイノベーションのさらなる加速を図るとともに、製造業においては、生産性の向上と二酸化炭素の排出削減を両立する設備投資を促すことで産業部門の二酸化炭素の排出削減に弾みをつけることが重要であると思っております。

 財政措置や税制措置を含め、あらゆるリソースを投入したいと思っておりますし、委員がおっしゃるように、もう実用化段階のものもたくさんあるんですね。そういったものが実装できるように、また、その後のCCS、CCUSにつながるような仕組みづくりというものもしっかりとしていかなければならないと思っております。

浅野委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 今、投資を誘発するような環境整備についても言及をいただきました。そのために大事なのは、やはり、事業者の立場から見たときに、投資しようとしている対象のマーケットが今後も継続的に伸びていくあるいは存在し続けること、そして収益性が確保できる見通しが立つこと、この二つが必要になってまいりますが、そのためにも、これからの第六次エネ基の議論、あるいはそのほかの関連する協議の中では、目標値をどう置くのか、そしてどのように産業界に発信をしていくのか、この視点をぜひ省内でも御議論いただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 続いて、もう一問させていただきたいと思います。

 二〇一九年以降、FIT制度期間満了を迎える大量の太陽光発電設備が発生しております。このような卒FIT電源というのは、今後、電気自動車や蓄電池と組み合わせて自家消費を推進する方針が示されておりますけれども、EVや住宅用蓄電システムはまだまだ高価であります。経産省や環境省は、このEV購入支援や、再エネ電源と蓄電池を組み合わせた自家消費型設備の導入支援を行っておりますけれども、これまでの支援内容では不十分だというふうに感じております。

 再エネの普及を促進するためにも、EV購入補助や自家消費型の設備普及に向けた実証導入支援を大幅に拡充することを求めたいと思いますが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。また、あわせて、その後、環境省の見解もお願いいたします。

梶山国務大臣 EVや蓄電池は、FITの買取り期間終了後の家庭用太陽光発電を自家消費するために有効な手段であると思っております。再生可能エネルギーを効率的に活用することに寄与するものと考えておりまして、さらなる蓄電池の開発そして性能向上というものが必要だと思っております。

 このため、経済産業省では、EVの購入支援や蓄電池の導入補助金を含む住宅のネット・ゼロ・エネルギー化への支援のほかに、環境省と連携して、自家消費型の太陽光発電と蓄電池を同時に導入する際の支援を実施をしているところであります。

 こうした措置を継続して行うべく、来年度概算要求にも盛り込んだところでありまして、EVや蓄電池の普及につながるよう、拡充も含めて財政当局と調整を進めてまいりたいと思いますし、需要がふえることによって、コストにも大きな影響が与えられるものだと思っております。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 地域におきまして再生可能エネルギーを最大限導入するためには、EVや蓄電池を有効活用していくことが重要と考えてございます。

 環境省といたしましては、経済産業省と連携しながら、昨年度より、再エネ、蓄電池、自営線等を活用した自立分散型の地域のエネルギーシステムを構築支援する事業を実施してございます。また、今年度より新たに、バッテリー交換式電動車の導入支援による配送拠点のエネルギーステーション化を支援する事業、それから自家消費型の太陽光と蓄電池の同時導入を支援する事業を実施してございます。

 本年十一月の成長戦略会議や経済財政諮問会議でも、小泉環境大臣から、動く蓄電池としての電動車の普及拡大、再エネ主力化と地域のレジリエンス強化を両立させる取組を加速化していくことの重要性を説明してございまして、経済産業省を始め関係省庁と連携しながら、更に何ができるか検討してまいります。

浅野委員 ありがとうございました。

 本日の資料の四をごらんいただきたいんですが、今環境省の方から御紹介いただきました再エネ電源と蓄電池の同時導入の際の補助制度、既にございます。資料にも書いておりますが、これはEVの場合、蓄電池、一台当たり最大三十万円まで補助が出るような制度になっているそうでございます。一方で、経産省の方がEV購入支援に補助を出す場合、最大でEV一台で四十二万円程度というふうにされているんですが、これと組み合わせたら七十万円ぐらいになるんですけれども、聞いたら、これはどっちかしか使えないということになっているらしいんです。

 なぜかというと、ほかの、内燃機関エンジンを搭載した自動車との価格差の点で、市場競争力上、公平性が保てないからというような理屈もあるそうなんですが、自動車分野を超えた、エネルギー分野でも、そしてこれから目指すべき社会にも資するものと思いますので、そのどっちか一方ではなく、両方使えるような形にしていただくなど、政府の中でぜひ御議論をいただきたいというふうに思っております。

 そろそろ時間も参りましたが、最後の質問とさせていただきます。

 最後は、日英EPAの質問です。

 日英EPAの中で、原産地規則の拡張累積が設けられたことは評価をいたします。一方、日・EU・EPAの中では、英国産品に対する拡張累積の規定は設けられておりません。

 今後の英国とEU間のFTA交渉が円満に締結するよう日本の働きかけを継続するとともに、その結果に応じて、日・EU・EPAにおいても英国産品の拡張累積が認められるように日本政府として働きかけをしていくことを検討すべきではないかと思うんですが、最後、政府の御答弁を求めたいと思います。

広瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 イギリスとEUとの間のFTA等の交渉でございますけれども、年末に予定されている移行期間の終了を見据えまして、現在、集中的な協議が行われているというふうに承知しておりまして、私どもとしても状況を注視しているところでございます。

 委員御案内のとおり、イギリスからEUに物品が輸出される場合に、現在は関税は課されておりませんけれども、今進められておりますイギリスとEUの間の交渉が年内に妥結をしないといった場合には、移行期間が終了後、WTOルールに基づきまして関税が課される見込みでございまして、そうしたことも含めまして、ヨーロッパにおります日系企業のビジネスに甚大な影響が生じるというふうに考えております。

 経済産業省といたしましても、関係省庁と連携をしながら、イギリスとEUの間の交渉が速やかに妥結するよう、あらゆる場面を通じてイギリス、EU、双方に働きかけを行っているところでございまして、引き続き取り組んでまいる所存でございます。

 また、委員御指摘のとおり、日英のEPA、ここでは、EU産の材料あるいは生産工程、これを日英原産のものとみなす拡張累積の規定がございます。これに対しまして、既に発効しております日・EUのEPAでは、英国産品を日・EU原産とみなすという拡張累積の導入をするためには、EU側と改めて交渉をして、そして日・EUのEPAを改正する必要がございます。

 今現在進んでおりますイギリスとEUの間の交渉状況も踏まえながら、今後、まずは産業界の意見も聞きながら、日・EU・EPAでの英国産品の拡張累積の必要性について検討してまいりたいというふうに考えております。

浅野委員 以上で終わります。ありがとうございました。

富田委員長 次に、山崎誠君。

山崎委員 立憲民主党、衆議院議員、山崎誠でございます。

 きょうは、質問の時間をいただきましてありがとうございます。貴重な時間ですので、早速質問に入らせていただきます。

 まずは、二〇五〇年カーボンニュートラル宣言ということでありまして、温室効果ガスの排出実質ゼロの目標設定を二〇五〇年という期限で設定されたこと、私も大賛成でありまして、我が意を得たりという思いであります。

 これからの課題は言うまでもありません。これをどのように実現をしていくか。これはエネルギー分野をどうするかだというのが大きな課題でありますが、そのほかにも、運輸だとか熱だとかそういったものも含めて、本当にこれは大きな社会の変革、仕組みの大転換、あるいは、産業、暮らし方の改革、いろいろなものにつながってくる、私は大事な大きな変革だと思います。

 これは、決して日本が先頭に立っているわけではなくて、世界はどんどんどんどん先に行っているという認識のもとで、やはり、日本の取組を加速していく、そして、いいものにしていくということがこれから求められるんだろうと思います。

 我々も、この二〇五〇年という目標については、脱炭素社会の実現、共有をするんですが、実現の道筋というのはかなり私はやはり違ってくると思っています。

 一つの大きな違いは、やはり原発の扱いであります。原発について多くを語りませんが、我々はとにかく原発は早く停止をして、廃炉を進めていくというスタンスをとっています。

 あの福島の東京電力福島第一原発事故の教訓、使用済みの核燃料の問題、あるいは、コストも今もう本当に高くなっています。そういったことを総合的に判断をすると、私は、原発依存というのは日本のやはり足かせに今残念ながらなっているというこの実態に即して、こういう判断をさせていただいています。かわりに、私たちは自然エネルギー一〇〇%、ここに大きな違いが私はあるということだと思っています。

 そしてまた、もう一つ、私が明確に皆さんのスタンスがわからないのが、省エネなんです。省エネをどこまで深掘りをしていくのかというのも非常に重要でありまして、例えば、断熱の義務化のような話というのを早く踏み切っていって前に進めていかないと、我々が自然エネルギー一〇〇%でやるためにはやはり省エネを、例えば二〇三〇年であればやはり三〇%ぐらいエネルギーの消費を落としていかないとなかなか難しい。これは決して夢物語ではなくて、今ある技術を積み重ねれば十分に可能な範囲であります。

 こういうお話をした上で、二〇三〇年の目標設定がやはり私は大事でありまして、二〇五〇年に向けて、二〇三〇年をどういう絵姿を描いていくのか。来年、エネルギー基本計画の改定も控えていると思いますけれども、そこでさまざまな方針が決まると思います。二〇五〇年のカーボンニュートラルの目標と二〇三〇年の目標設定をどういうふうに整合していくのか。

 私、気になっているのが、梶山大臣が、年内、年内、年内と、さまざまな、蓄電池だとかカーボンリサイクルだとか、みんな年内に目標設定をする、計画をつくると言っているんですよ。私は、それがすごく不安であります。エネルギー基本計画は来年ですよ。年内というのはあと一カ月しかないんですよ。この期間にこれだけ重要な、そして新しい計画づくりができるのかどうか。

 今ちょっといろいろなことを話してしまいましたが、二〇三〇年のエネルギー基本計画、それに向けてどういう計画をつくろうとされていくのか、お答えください。

梶山国務大臣 ちょうど先月から総合資源エネルギー調査会基本政策分科会で議論が始まったところでありまして、その後に国会が始まって、菅総理の宣言もございました。それらも織り込んだ上で、しっかりと今議論を重ねているところでありますけれども、エネルギー政策を進める上では、安全性の確保を大前提に、経済性、気候変動の問題への配慮、エネルギー供給安定性の確保、スリーEプラスSのバランスをしっかりとることが重要であると思っております。

 これらをバランスよく同時に達成するぎりぎりの姿としてお示しした現在の二〇三〇年度のエネルギーミックスの実現に向けた取組は、着実に進展はしているものの、まだ道半ばであります。まずは、現在のエネルギーミックスの確実な実現に向けて全力で取り組んでまいりたいと思いますし、これまでも取り組んできたということであります。

 その上で、現在進められているエネルギー基本計画の見直しに向けた議論においては、先ほど申しましたように、二〇五〇年のカーボンニュートラルを目指すとの宣言も踏まえて、二〇三〇年度エネルギーミックスを含めたエネルギー政策全体について、結論ありきではなくて議論をされることになっておりますし、私もできる限りその場に出席をしたいと思っておりますし、私が方向性をつけるのではなくて、皆さんの議論の上で集約をしてまいりたいと思っております。

山崎委員 ぜひそういう形をつくっていただきたいんですよ。

 私たちは、二〇三〇年に、例えば、省エネを二〇一〇年比で三〇%以上、原発は停止、自然エネルギーを四〇%以上、LNG火力を中心に残りの電源を賄う、石炭火力はできればバックアップに回したい、そんなエネルギーミックスをつくって検証しています。

 このエネルギーミックスで十分に、今の系統をうまく生かして、特別な大きな投資をしなくても安定的な電源供給が可能な、そういう検証も進めています。これはまた数字をこの後お出しできるようになると思いますが。

 こういうエネルギーミックス、要するに、原発ありきではない、あるいは、石炭火力だとか今あるシステムをうまく使って、再生可能エネルギーを大きく入れることで電力供給ができる、そういうシナリオも書けると思います。ぜひ、こういうシナリオも皆さんの検討の中に入れていただいて、その検証も踏まえて、比較検討の上でベストなエネルギーミックスを選んでいただきたい。

 今私がお話ししたような、再生可能エネルギー四〇%以上、LNGを中心にしたエネルギーミックスで、エネルギー起源のCO2は半減できます。大きな削減が可能なんです。ぜひこうしたシナリオを検討いただきたいので、それをお答えいただけますか。

梶山国務大臣 全ての手法、技術というものを想定に入れながら、しっかりと検討していくという前提であります。ただ、御党とは考え方が少し違うところが原子力についてはあるわけですけれども、御意見についてはしっかりと参考にさせていただきたいと思っております。

 ただ、EUと、今、イギリスが二〇五〇年に向けてのシナリオをつくっております。EUの場合は、シナリオが八つあります。それは、どういう手段を使っていくか、どういう削減率でやっていくかということで八つある。これは行政が出したものであります。イギリスの場合は、独立委員会、議会の下にある独立委員会が出したもので、やはり三つのシナリオがあるということで、複数のシナリオを考えながら、どういう方向に持っていくかということを、その時々の技術の進展の度合いで取捨選択もしていかなければならないと思っております。

山崎委員 ですから、排除しないでいただきたいんですよ、いろいろな選択肢を。ぜひそれを比較した上での議論を続けていただきたい。だから、シナリオが三つあるのであれば、私たちの考えているようなものも、これは別に我々だけの独自の考えではありません、自然エネルギー一〇〇%でいきたいという声は一定しっかりとした流れとしてあります。世界でもそういう流れはありますよね、当然。原発はもう使っていない国々もあります。そういうシナリオを入れていただきたい。

 その前提でないと、やはり私は、未来の、二〇五〇年のカーボンニュートラルがゆがんでしまうんじゃないか、あるいは実現が難しくなるのではないか、あるいは、成長戦略と言っている、その成長のエンジンとして弱くなってしまうんじゃないか、そこをすごく危惧します。

 次の問題に移ります。

 原発の新増設についてお聞きしたいと思います。

 これは、予算委員会の我々の枝野代表との質疑でもその矛盾が指摘されたところであります。

 二〇五〇年のエネルギーミックスに原発を残す、その想定がある。まあ、残すかどうかはあれですが、とにかく選択肢に入っている。二〇五〇年以降も原発を動かす、原発依存を続ける、そういうふうに考えていながら、現時点では新増設を考えていないと。原発の新増設がなければ、二〇五〇年の原発依存というのは事実上ほとんど意味がありません。現時点でという、こういう枕言葉をつけているということは、将来は新増設をすると言っているに等しいと私は思うんですよ。

 また、大臣、研究開発として、小型原発、SMR、高速炉などの研究を続けるとしています。これは将来、原発の新増設を考えているということにほかなりませんよね。何のための研究か。この小型原発、SMRができ上がった暁には、それを実用化するために研究するんじゃないですか。この小型の原発というのは、皆さんが言っている新増設には含まれない原発なんですか。

 この新増設に関する考え方、この矛盾を解いてください。

梶山国務大臣 委員からもありましたけれども、現時点での新増設、リプレースというのは政府では考えていない、想定をしていないということであります。

 ただ、その技術開発というのはしっかりとやっていかなければならないというのは、安全性で今あるものにもフィードバックできるということもあります。さらにまた、経済性というものも含めて、開発をしていく中でそういうものがフィードバックできるという技術があるわけでありまして、一切技術開発をやめてしまうという選択肢はないと思っております。

 さらにまた、そういう技術開発をすることによって新たな部素材というものも誕生してくるわけであります。

 原発の軽水炉をつくっていく中で、やはり、ステンレスの、腐食に強い、更にまた強いステンレスであるとか、また、炭素繊維であるとかというものも生まれてきました。さらにまた、そういった温度に強い被覆管、高熱に強いものというものもこういう開発によって生まれてくるものだと思いますので、研究開発は続けていくということであります。

山崎委員 わかりました。

 研究開発を否定する、それはいろいろな考え方があると思いますよ。ただ、であるならば、やはり新増設についての立場は明らかにしないと。では、新増設はしないけれども研究開発はするというお話ですよね。

 もう一つ、私の前半の御質問に答えていただいていないんですよ。質問に答えていただいていない。二〇五〇年、新増設なくしてどうやって原発依存を残すんですか。

梶山国務大臣 今ある電源を全て駆使しながら、これから考えていくということになります。

 二〇三〇年、二〇五〇年に関しては、総合資源エネルギー調査会で、結論ありきではなくて、しっかりとした議論をして、二〇三〇年のエネルギーミックスのあり方、また第六次のエネルギー基本計画というものを考えてまいりたいと思っております。

山崎委員 今のは重大な発言ですよ。

 では、二〇三〇年のエネルギーミックスが来年発表になった、そして二〇五〇年の見通しがついたら、その時点で原発の新増設を決めるんですか。

梶山国務大臣 何度も申していますように、現時点では、リプレース、新増設は想定をしていないということであります。

 ただ、先ほど来申し上げていますように、エネルギー基本計画、第六次のエネルギー基本計画について先月から議論が始まりました。そこでは、結論ありきではなくて、全てゼロベースでお話をさせていただいているということで、それぞれの委員の議論をしっかりとまとめてまいりたいと思っております。

山崎委員 現時点ではというのは、いつまでなんでしょうかね。

 再稼働に注力をする十年が、梶山大臣、やはりそれが信頼回復のための大事な十年だということであれば、その再稼働の様子を見ながら新増設については考えるというふうに私は一つ考えているんですが、それは正しくないですか。

梶山国務大臣 ある全国紙のインタビューに答えたもので多分おっしゃっていると思うんですけれども、インタビューのやりとりの中で大分ニュアンスが違っているとは思うんですけれども、ただ、私は、今現在、経済産業大臣というエネルギーを所管する大臣の職務を担っている者としては、今、信頼を失った原発、再稼働に向けて信頼回復をしっかりとやっていきたいということを申し上げたまでであります。

山崎委員 これは、私はとても残念です。やはり、どっちつかずのこの矛盾した状況、この異常さが日本のエネルギー政策をゆがめていくと思います。ここは、やはりどういう時点が現時点で、何があれば次のステップとして新増設について考えるのか、あるいは結論を出すのか、そこをはっきりしないと、いつまでたっても新増設については結論なしですよ。

 具体的に、新増設の計画、新設の計画で、中国電力の上関原発のお話をお聞きしたいと思っています。

 現在、建設予定地で、十一月に入って、建設に向けてのボーリング調査の準備工事が進められようとしていまして、反対している皆さんには、今、大きな衝撃となって、この問題が動いています。これまでもずっと、準備工事もなかなか着手できないということで来たわけでありますが、私は、この二〇五〇年のカーボンニュートラル宣言が原発新増設に弾みをつけたのではないかとすごく危惧しています。

 現時点では新増設を考えていないという立場から、このボーリング調査の強行について、どのようにお考えですか。

梶山国務大臣 今回のボーリング調査は、中国電力の判断でこれまでも実施してきた地質調査の一環として、発電所の安全、安心に資するさらなるデータ補強を行う目的で、必要な許可をとって行うものと認識をしております。

山崎委員 これは新設ですよ。

 大臣、現時点で新設を認めない、新設を考えていないという中で、新設のための準備工事が行われるということは、大変な矛盾じゃないですか。中国電力が勝手にやっているからいいんだと。原発をつくろうとしているんですよ。原発をつくるためのボーリング工事ですよ。

 次に行きます。

 さきの委員会で、逢坂誠二委員との質疑で、過酷事故を想定したしっかりとした避難計画をつくることが原発の運転の大前提であるという認識が示されたと理解しています。うなずいていただきました。

 今、この上関の予定地、長島という島なんですが、そこを本土とつなぐ上関大橋という橋が突然、これは資料一をつけました、二十センチの段差ができて通行どめになってしまった。突然です。長島と本土を結ぶこの上関大橋がなければ車で行き来ができないんです。わかりますか。避難しようとしたときには、今のこの橋が命綱なんですよ。それが、突然こうやって大きな段差ができてしまって、通行どめになってしまった。今も片側通行です。こういう島に原発をつくろうとしている。

 これは前も御指摘したことがあると思います。向かいには祝島という島があり、そこにも住民の方が住んでいる。四キロ圏内です。どうやって、船で逃げるしかありません。海も荒れますよ。定期船もよく運航が中止になる、そういう地域です。これは、明らかに避難計画をつくるのは難しいし、避難計画をつくるのはできないのではないか。こういう事態を想定して、私は極めて難しい立地だと思っています。

 だから、大臣に言わせれば、しっかりとした避難計画をつくれない、こういうところにやはり原発をつくらせるべきではないし、大臣もそのつもりはないと思っている。

 それからもう一つ、きょうは、環境副大臣、お越しいただきまして、ありがとうございます。次の、これも大きな問題であります。この上関原発の建設予定地は、この海は奇跡の海と呼ばれている。これも資料二ページ目につけましたが、希少生物の宝庫でありまして、カンムリウミスズメとか、ナガシマツボですかね、貝類、鳥類、スナメリ、こういった生き物が生息をする、瀬戸内海の生態系を残す希少な生物の生息域であることがわかっています。

 原発とは離れて、どうでしょう、環境省として、この自然環境をどのように評価されるか。私は何としても守っていかなければいけない環境の一つだと思うんですが、御所見をお伺いしたいと思います。

笹川副大臣 山崎委員には、自然環境にも思いを寄せていただきまして、大変ありがとうございます。

 上関の原子力発電所については、委員ももう御承知というふうに思いますが、環境影響評価法に基づいて、平成十二年二月に、貴重な生物の保全を求める環境庁の長官意見を提出させていただきました。同意見の中では、計画地及びその周辺にスナメリやハヤブサ等が確認をされていることを踏まえた上で自然環境の保全に配慮すること、もう一点は、新たに希少な生物が確認された場合についても適切な対応をとること、この二点を求めております。

 本事業の事業者である中国電力においては、環境庁長官意見を踏まえた通産大臣の勧告も踏まえ、環境監視を実施していると承知しております。

 環境省としては、事業者から随時聞き取りを行った上で、新たに確認された、今委員が御指摘いただきましたカンムリウミスズメ、カラスバトなどを含む希少生物の生息状況調査や専門家ヒアリングの実施状況について確認をさせてもらっております。もちろん、委員の懸念もしっかり受けとめて、今後も適切な環境配慮がなされるように、環境省として注視をしてまいりたいというふうに思っております。

山崎委員 副大臣、ありがとうございます。

 もう一つお聞きしたいんですよ。

 少なくともですよ、現時点では建設が認められていない原発の準備工事のためにこの自然環境が壊される、これは許されないことだと思います。少なくとも現時点では建設が認められていない原発の工事の準備工事のためにこの貴重な自然が失われることというのは許されない、そのように思うんですが、環境副大臣、どうですか。

笹川副大臣 本事業については、長官意見を提出させてもらっていますし、今お話しがあった、答弁をさせてもらいましたが、いずれにしても、新たに確認された希少生物の生息状況、これについて我々も関心を強く持ちながら、状況を随時確認をさせていただいておりますので、委員の懸念も改めて受けとめながらしっかりと注視をしてまいりたいというふうに思っています。

山崎委員 ありがとうございます。

 梶山大臣、こういう状況で、避難計画も危ういよ、自然環境も大変貴重なんですよ。そういう中で、副大臣にわざわざここまで御答弁いただけました。

 少なくとも、今の準備工事はちょっと待ってくださいと、現時点では新増設は考えていないと言っているんだから、それを中国電力にどこかでお伝えいただけませんか。

梶山国務大臣 中国電力は、経営判断のもとに、適切な許可をとった上でボーリング調査というものをしているものだと承知しております。

山崎委員 それが矛盾なんですよ。私が言っている、新増設、態度が明らかになっていないから、世の中でいろいろな矛盾が、貴重な自然を破壊する、日本の成長を妨げているんだと思いますよ。断固としてそれはどこかでお伝えをいただきたいと思います。

 それでは次、時間がなくなってまいりましたが、容量市場について質問をさせていただきます。

 これはなかなかわかりにくい制度で、私もまだ十分理解できたかどうかわからないところもありますが、端的に申し上げると、再生可能エネルギーがふえてきました。そして、安定的な電源を確保するという意味で、確かに調整電源的なものは必要であります。それに対するコストの回収がなかなか難しくなってきた。卸売市場のコストの回収が難しくなったそういった火力発電所などを救うために、容量市場という、設備のコストを特別に負担をする、そういう制度、市場をつくったということで私は認識しておりますが、いかがでしょうか。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の容量市場は、電力の自由化というものが長年、日本のみならず世界じゅうが取り組んできている中で……(山崎委員「私の認識が合っているかどうか」と呼ぶ)では、端的に申し上げます。

 これは、自由化の中で卸市場の拡大がされて、電力設備の維持さらには新規投資というのが実現できるような市場整備をすることが重要だということは、先ほど委員会の中でも議論もあったところだと思いますけれども、これを補うものとして、世界の議論を横に見ながら日本に適した市場設計をしたものが、この容量市場の現状でございます。

山崎委員 私の認識は間違っていないと思いますよ、今の説明。

 それで、今回オークションがありましたが、この入札の対象に、例えば減価償却を終えたような古い発電所、あるいはCO2の排出係数が高いような電源も含まれていると思いますが、含まれているかどうかだけお答えください。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のような、電源によって入札についての差別は設けてございません。

山崎委員 そして、入札が行われました。実にこれはすばらしい入札が行われたと思います。資料三番をおつけしていますが、これを見ていただくと、入札上限額にうまく張りついて入札が終わりまして、一万四千百三十七円という約定額。そして、この総額は実は一・六兆円になるということでございます。およそ一・六兆円。

 この一・六兆円というのは、回り回って、全部が全部ではないかもしれないけれども、国民の負担になるでしょう、電力料金として。全部ではないと思いますよ、いろいろな業界の努力などもあって、そういう話になるのではないか。少なくとも、小売の電気事業者に聞けば、値上げは必至であります。小売の電気事業者、今いろいろな種類がありますよ。だけれども、そういったところに聞くと、どうしても値上げをしなければいけない。それは国民負担です。

 私は、再生可能エネルギーのFITの賦課金が大きいということで問題になって、それは年間二兆、三兆というお金が出ていくので、大変その負担は大きいということでございます。これについて、例えば容量市場でも、これは一兆六千億というお金が動くという話でありまして、これはやはりこの負担がどういうふうになるのか明らかにしないといけないと思いますが、いかがですか。

梶山国務大臣 これは落札価格全てということではありませんでして、委員がおっしゃったように、二〇一〇年以前に建設された電源、これは約八割ありますけれども、この受取価格は約定価格の五八%ということになります。ですから、一万四千円で入札上限を組んでおりますけれども、経過措置価格は八千二百円ということになりまして、平均でやって、キロワット当たり九千五百円ということになるわけでありまして、本来コストに含まれていた金額が見える化をされたという認識でおります。

山崎委員 約定価格、ほかの国を見ると、英国、二千八百三十円、アメリカのPJM、六千四百十二円、フランス、千百九十七円。これはいろいろな制度の違いもあるとは思いますよ。でも、同じような趣旨で動いている価格と大きく違います。

 今お話ししたような経過措置もあるのでしょう。でも、棚ぼた的に、この入札でうまくはまった発電所にお金が落ちるということが今指摘されています。そういったことはないのかどうか。本当に必要な発電所に必要な支援が届いているのか。それをちょっと確認をしなければいけないと思います。

 これは時間がないので、入札条件についてお聞きをしたいんです。

 この入札の上限額をどういうふうに決めているのかという話、一つあります。これは新設LNGのコストをベースにしてつくったと言いますが、それよりもはるかに高い上限額が設定されているというふうに聞いています。それは事実かどうか。

 それからもう一つ、量。

 この調達目標量も、これは私は大きな問題だと思います。過去の最大需要の実績に一一三%掛けて設けている目標値であります。これはかつてのベースロード電源的な発想、電力システム改革の前の発想がそのまま残っていると思いますよ。フレキシビリティー、もっとそういったものを生かして、有効にシステムを構築していくという発想をすれば、最大需要をそのままとるというのはおかしいと思います。

 それで、それを質問すると、例えばディマンドレスポンスがもっときいて、最大需要のピークを落とすことができるんじゃないかと質問しました。いや、入札にそういったものも入っていると言います。三%しか入っていないんですよ。二〇二四年に、ディマンドレスポンスがきく、最大需要のピーク時の数時間にきくディマンドレスポンスは三%しかとっていないんです。例えば、五%あるいは八%、ディマンドレスポンスをきかそう、そういう方針があれば十分に私はできると思う。そういうものを入れたら目標額は減りますよ。目標額は減ります。そうしたら、負担が減るんですよ。先ほども言ったような入札の設定額も、もっとリーズナブルなものに変えれば減るんですよ。

 私は、今回の入札の結果、そして入札のこういう条件設定、プロセスに問題があると思いますが、大臣、どうお思いですか。

梶山国務大臣 新聞等でも大きく取り上げられましたけれども、先ほども申しましたように、平均額は下の方だ、下になるということなんですけれども、今回の入札、一回目の入札ということで、第一回目、初回であります。こういった中で、目標調達量の設定であるとか、上限の金額の設定であるとか、また、そのほかのさまざまなものについても、検討課題として、今後、次の入札に生かしてまいりたいと思っております。

山崎委員 時間になりましたので終わりますが、最後の資料をつけました。これは、英国の入札結果が、こうやって発電所のリストとして公開されています。日本の今の入札結果はわかりません。ぜひ、情報公開、そして、本当にこの入札が公正なものだったのかどうか検証した上で、この約定価格でいくのかどうかというものも含めて、再検討をいただきたいと強くお願いします。

 委員長、時間が足りません。ぜひ次の質疑を準備をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

 以上です。

富田委員長 次に、宮川伸君。

宮川委員 立憲民主党の宮川伸でございます。

 まず、コロナウイルス第三波が押し寄せてきているということで、多くの国民が大変心配に感じているんじゃないかなというふうに思います。

 そういった中で、大学生の就職内定率、七〇%を割り込むということで、リーマン・ショックに次ぐ下げ幅だということで、これは本当に問題だと思っておりますが、こういった若者もしっかりと救っていかなきゃいけないなというふうに思っています。

 それとともに、廃業に関しても私はちゃんとウオッチをしていく必要があると思っています。少し前のニュースになってしまうんですけれども、東京商工リサーチの方の記事ですが、二〇二〇年一月から八月に全国で休廃業、解散した企業は三万五千八百十六件、前年同期比の二三・九%増だった。このペースが続くと、年間五万三千件を突破して、調査以来の最多になるだろうというようなことも予想されています。

 今、コロナがやはり長期化している。それで、持続化給付金なんですけれども、五月に最初の支給が始まりましたが、これだけ長く続くと、一回の持続化給付金で本当にもつかということが起こってきます。二回目の持続化給付金等もやるかどうか検討する必要があると思うんですが、私、大事なのは、たくさん廃業が出てしまったり倒産が出てしまってから慌てて持続化給付金の発表をしても遅い。そうではなくて、やはり早目に、こういう状況になったら、持続化給付金、二回目出して、ちゃんとやるよと、そういうことがあれば、事業者さんも、ではもう少し頑張ろう、ちょっと廃業をもう少し待とうという気になると思うんですね。

 その一つが、やはり、自粛要請だとかそういったものが出るかどうか、緊急事態宣言はもちろんですが、もう既に北海道でそういう動きになっている中で、考え始めなきゃいけない時期だと思いますが、大臣、この持続化給付金、二回目も含めて、どのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

梶山国務大臣 政府全体で、どういう対策をするかということを常に議論をしております。

 これまでも、細かくは申しませんけれども、持続化給付金、家賃の支援給付金、さらにまた、さまざまな融資の仕方などをやってきたところでありますけれども、今委員がおっしゃったように、少し患者数がふえてきている。ということで、サービス業を中心として制限のお願いをする可能性があるということで、今週の本部の会合で、そういう協力要請推進枠というものをつくって、五百億円の枠をつくったところであります。これは自治体によってその色合いというのは違いますから、そういったもので、自治体が多分都道府県単位で使えるような形で、そういうものを創設したものであります。

 さらに、今後の話でありますけれども、感染症の状況や経済動向も注意深く見きわめながら、これは毎週しっかり議論していますから、その上で、委員がおっしゃるように、できるだけ早くそういうものは周知してほしいということも念頭に置きながら考えてまいりたいと思います。

宮川委員 ありがとうございます。

 もう一つ、PCR検査の件なんですが、PCR検査をしっかりふやしてほしいということをずっと言い続けてきております。経済を回しながら何とか前に進んでいくために私はすごく重要だと思うのは、やはり死亡者数を上げない、医療破綻が起こらないようにする、医療崩壊が起こらないようにする、これが非常に重要なわけですね。

 ですので、私、ずっと言ってきているのは、少なくとも介護士さんや看護師さんやこういった命に近いところで働いている方々は、仮に症状が出なくても、例えば家族に発熱者が出ちゃってちょっと心配だとか、そういうときでも受けられるようにPCR検査をしっかりと整えていくべきだということをずっと、もう何カ月も前から言い続けています。

 厚生労働省は、こういった介護士さんや看護師さん、あるいは高齢者の方に対して行政検査の幅を広げているわけでありますけれども、ただ、現場はどうかというと、実際に、PCR検査の数がやはり少ないので、そういったニーズまで応えられていないんですね。ですから、しっかりとPCR検査の数をふやしていかなきゃいけないということでありますが、以前から、プール方式という複数人のサンプルを集めて測定をする、これをやるべきだというのも、何カ月も前。世界ももう既にやっているわけでありますが、いまだにこれが動かないということで、自治体からも何でこれは動かないんだということが質問で来ているんですが、政府、今、現状はどのようになっていますでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 一度に複数の検体を検査するいわゆるプール検査につきましては、現在、国立感染症研究所において、その検査性能及び再検査を含む総コスト、時間等について研究を実施しているところでございます。

 プール検査については、こうした検査性能に係る課題のほか、技術者が慎重に複数の検体を異物の混入がないよう一つにまとめることは非常に手間がかかるなど、実用化に向けても課題があると聞いており、どのような方法が適切か研究を進めているという状況でございます。

宮川委員 私、もう本当に三カ月くらい前からこれを言っていて、ほとんど内容は変わらないんです。私は、経産大臣にお願いをしたいのは、これは余り、そんなすごいイノベーションが必要な話じゃないんですね。

 私、幾つかのそういう企業とお話をしていますけれども、感度の問題があるんですが、一回精製をすれば、量がふえるのは余り関係ないんです。例えば磁気ビーズを使うとか、そんなに大きなイノベーションは必要ないわけですから、例えばNEDOがばんとお金を出して、こういうのをやるんだというふうにやって、お金をつぎ込んで、それでサポートすべきだと思うんですよ。そういった、経産省がこういったPCR検査、プール方式のやつをちゃんと測定できるようにサポートしているのかというようなことを業界の人にちょこっと聞いてみても、いや、ちょっとわからないというような感じなんですね。

 私はもっと、経産省も厚労省任せじゃなくて、技術部分に関してはバックアップをして、本当に国難なわけでありますから、ぜひ力を入れていっていただければと思います。ちょっと、これで。済みません。

 それで、次の話題に移りたいと思いますが、日本学術会議の問題が大きく取り上げられています。

 この問題なんですが、まず、予算委員会でも、六人の学者さんが排除されたことが何でなんだという質問がたくさん出ましたが、菅総理がきちんと答えていらっしゃるかということですけれども、閣僚の一人として、大臣は、この問題についてちゃんと政府は答えているというふうに思われますでしょうか。

梶山国務大臣 まず、私は所管外であるということ、そして、日本学術会議の会員の任命については、これまでも日本学術会議法の規定に基づいて、任命権者であります内閣総理大臣が適切に判断したものであるとして説明がなされてきているところと認識をしています。

 その上で、一般論として、政府の説明が十分であるか否かにつきましては、内閣の一員である私が判断すべきものではなく、国民の皆様が判断されることであり、必要ならば丁寧な説明を続ける姿勢が重要と考えております。

宮川委員 しっかり国民に丁寧な説明をするように、大臣からも閣僚の一人として菅総理に言っていただきたいと思いますが、そういった中で、今、もう一つ、六人の先生の話のほかに、日本学術会議の組織の見直しの話も出ています。

 これは、菅総理が、学術会議自体に官房長官時代からさまざまな懸念を持っていたというような、以前から懸念があるということをおっしゃっています。私は、この一つの懸念が軍学共同研究の問題ではないかと。軍学共同研究に関して日本学術会議はコメントを出しているわけでありますが、これのことも含まれているんじゃないかというように思っております。

 少しその点に関して質問していきたいわけでありますが、前の安倍政権のときには、武器輸出三原則が撤廃をされて、防衛装備庁がつくられて、武器を海外にじゃんじゃん売っていくということが推し進められてきているわけでありますが、政府の方に、では、実際に、アメリカ以外の国で防衛装備品で売れた実績はあるのか、ある場合は、何を、いつ、どこの国に売ったのか、端的にお答えください。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 我が国から米国以外の国に対する完成装備品の移転実績は、無償譲渡を除けば、フィリピンへの警戒管制レーダーの移転一件でございまして、これについては本年八月に契約が成立したところでございます。

宮川委員 最近、一件がフィリピンに売れたということでありますが、以前、潜水艦がオーストラリアに売れなかったり、P1哨戒機がイギリスやニュージーランドに売れなかったりということで、なかなか売れなかったわけであります。

 そういった中で、軍学共同研究を進めて、基礎研究、最先端の武器の研究をすることによって、海外にそういった技術が売っていけるようにということが推し進められてきたわけでありますが、そういった中で、防衛省の方から安全保障技術研究推進制度という制度ができて、このものが進んでいるわけでありますが、政府の方に、今年度と来年度の予算額は幾らでしょうか。数字だけお願いします。

堀江政府参考人 お答えいたします。

 令和二年度の予算額は約九十五億円、令和三年度概算要求額は約百二億円でございます。

宮川委員 これは結構な額の予算がついているわけです。

 では、この制度に大学が応募した割合、過去も含めて何%大学が応募をしてきているか、過去のものも、数字だけ教えてください。

堀江政府参考人 お答えいたします。

 安全保障技術研究推進制度における大学等の応募の割合は、平成二十七年度は約五三%、平成二十八年度が約五二%、平成二十九年度が約二一%、平成三十年度が約一六%、令和元年度が約九%、令和二年度が約八%となっております。

宮川委員 資料の一にそれをちょっとまとめてありまして、少し数字が違っているのであれかもしれませんが、資料がついておりますのでごらんください。

 そういった中で、三年目からどんどん大学の申請件数が減っているんですね。何で減っているかといえば、これがさっき言っていた、恐らく菅総理の懸念点だと思うんですけれども、日本学術会議が声明を出した年から減っていっているわけです。

 では、日本学術会議がどういう声明を出しているのかということを少し紹介をします。

 日本学術会議は一九五〇年に戦争を目的とする科学研究には絶対に従わない決意の表明を、また一九六七年には軍事目的のための科学研究を行わない声明を発出した。半世紀を経過し、近年、再び軍事と学術とが各方面で接近を見せている。

 ちょっと飛ばして、二度にわたり声明を出した背景には、科学者コミュニティーの戦争協力への反省と、再び同様の事態が生じることへの懸念があった。科学者コミュニティーが追求すべきは、学術の健全な発展であり、これを通して社会からの負託に応えることであるが、学術の健全な発展への影響について慎重な検討を要するのは、軍事的な手段による国家の安全保障にかかわる分野であると。

 少し飛ばしまして、科学者が、みずからの研究成果がいかなる目的に使用されるかを全面的に管理することは難しい。研究の出口を管理し切れないからこそ、まずは入り口において慎重に判断を行うことが求められる。

 飛ばして、科学者の研究成果は、時に科学者の意図を外れて軍事目的に転用され、場合によっては攻撃的な目的のために使用され得る。大学等の各研究機関は、施設、情報、知的財産等の管理責任を有し、自由な研究環境や教育環境を維持する責任を負うことから、軍事的安全保障研究とみなされる可能性のある研究については、その適切性について、目的、方法、応用の妥当性の観点から、技術的、倫理的に審査する制度を設けることが望ましいということが、日本学術会議が言っていることであります。

 それでは、政府の方にお聞きしたいんです。

 きょう、文科省の方から政務官もお願いしていたんですけれども、ちょっと来られなくなってしまったということであれなんですが、令和元年の安全保障技術研究推進制度、全採択件数と物質・材料研究機構が採択した件数、件数だけ教えてください。

堀江政府参考人 お答えいたします。

 令和元年度の安全保障技術研究推進制度で採択した全件数は二十一件、そのうち、物質・材料研究機構の研究課題、これを採択いたしました件数は五件となっております。

宮川委員 全件数の四分の一は物質・材料研究機構が採択していると。ちょっと私の感覚からすると、すごい数を採択しているなというのが私の感覚なんですが。

 では、全期間において、このグラントで、物質・材料研究機構が採択された件数、総件数は幾つでしょうか。

堀江政府参考人 お答えいたします。

 平成二十七年度にスタートした制度でございますが、平成二十七年度から令和二年に安全保障技術研究推進制度で採択した物質・材料研究機構の研究課題の件数、これは、分担研究機関としての採択も含めまして十八件となっております。

宮川委員 十八件が採択をされていると。軍事関係の研究に関して、物質・材料研究機構だけで十八研究が行われているということなんですね。これは非常に私は数が多いというふうに思っているわけでありますが、ちょっときょうは政務官がいらっしゃらないので、政府の方に。

 では、日本学術会議がこういう声明を出している中でこの数という、今の状況をどのように文科省は認識していらっしゃいますでしょうか。

塩崎政府参考人 お答えいたします。

 国立研究開発法人における多義性のある科学技術に関する研究につきましては、法人それぞれの組織の目的に即して検討を実施されると承知しております。

 その上で、物質・材料研究機構におきましては、基礎基盤研究であること、研究成果が同機構に帰属すること、研究成果が公表できることの三基準を満たした場合のみ、防衛装備庁の安全保障技術研究推進制度等に応募できることとし、必要に応じて同機構内外の有識者の意見も参考として、応募の可否について個別具体的に決定しているものと承知しております。

宮川委員 先ほどの十八件というものですけれども、やはり多くて、ちょっとはたから見ると、物質・材料研究機構が兵器開発の下請の基礎研究をやっているように見えてしまうわけですね。

 では、日本学術会議は、ちゃんとこういうのを倫理的に大丈夫かどうか審査をする、あるいは委員会をつくる、あるいはガイドラインをちゃんとやるべきだと言っていますが、この十八件の研究は、ちゃんとそういった、委員会にかけられたりガイドラインに沿って採択されているものなんでしょうか、文科省。

塩崎政府参考人 お答えいたします。

 先ほど答弁いたしましたとおり、物質・材料研究機構におきましては、基礎基盤研究であること、それから研究成果が同機構に帰属すること、研究成果が公表できることの三基準を満たした場合のみ、防衛装備庁の安全保障技術研究推進制度等に応募できることとして、必要に応じて同機構内外の有識者の意見も参考として、応募の可否について個別具体的に決定をしているということでございます。

宮川委員 もう少しちょっと突っ込んでお伺いしたいところなんですが、政務官もいないので、この文科省の話はここで一回やめますが、私は、ちゃんとやっていないと思います。ことしになって新たにガイドラインみたいなものをつくったみたいですけれども、文科省の幾つかある機関ではガイドラインすらいまだにない、日本学術会議がそういうものをつくるべきだと言っているのに、ない機関が幾つもあるというのが私の認識ですから、その今軽い答弁ではなくて、しっかりとつくって、倫理的にも判断をしていただきたいと思います。

 資料の二枚目をごらんいただきたいです。

 ここは経産委員会なので、経産の問題で出しますが、安全保障技術研究推進制度に関して出されている研究内容とNEDOが採択している研究内容で、非常に近いものがあります。いろいろ調べたんですが、二つ例を出させていただきました、典型的なものを。

 まず一つ目の例、上の例でありますが、防衛省と書いてあるのが安全保障技術研究推進制度であります。これは、酸化ガリウムという材料を使ってデバイスを開発するという内容です。NEDOのものも、赤字で書いてありますが、同じ材料、酸化ガリウムを使ったデバイスの開発。研究する企業は同じ企業、研究期間もほぼダブっている。契約金額は一億円ぐらい入っているということです。

 二つ目の例でありますが、防衛省の方、高強度CNT、これはカーボンナノチューブでありますが、これを使った材料の開発のようなものをやっている。NEDOさん、これは、研究課題はちょっとわからない題名ですが、概要がありまして、やはりCNT、カーボンナノチューブを使った高強度の何か材料の開発をする。提出している会社さん、大学は同じであり、期間もダブっていて、契約金額、助成金、十億円を超すような金額が出ているということであります。

 これは、非常に軍事研究と近いものをNEDOがやっているというように思いますが、大臣、こういったことはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

梶山国務大臣 NEDOは、産業競争力強化等の観点から、研究開発プロジェクトの資金を企業、大学、研究機関等に配分する機関であります。

 軍事的安全保障研究を目的とした研究開発への資金提供は行っていませんが、昨今、先端技術の多くについて軍事と民生の境界線が曖昧になっております。デュアルユースと言われるものでありますけれども、開発された技術が民生用途以外でも活用されることが想定をされます。例えばドローンなんかもそうですし、さまざまな素材もそうだと思っております。

 そういったものも含めて、NEDOにおいては、実施者に対して輸出管理体制の整備を求めているところでありますし、また、しっかりとそういう認識を持った上での、技術の漏えい等がないように、安全保障上の観点にも十分に留意してまいりたいと思っております。

宮川委員 これは、しっかりと審査というか検討をしているかということが問題になると思うんですけれども、日本学術会議も言っているわけで、ちょっとこれはもう一回、後ほど、どのぐらいちゃんと審査しているのかというのをお伺いしたいと思いますが。

 次に、研究ではないんですが、武器の見本市というのが安倍政権になってから国内で幾つも行われるようになっています。

 資料の三番目にちょっとこのものを出しましたが、例えば、マストアジア二〇一七、幕張メッセで行われていますが、これは経済産業省が後援をしています。あるいは、昨年、DSEIジャパンというのが、これも幕張メッセでやられていますけれども、これも経済産業省が後援をしております。

 これは、後援をしていいかどうか、省内でちゃんと判断して後援をされているんでしょうか、大臣。

梶山国務大臣 先ほども申しましたけれども、防衛分野では、近年、AIやドローン等の技術が急速な発展を遂げておりまして、国際的な防衛装備展示会では、これらの最先端技術や製品が展示をされております。これもデュアルユースだと思っております。

 こうした国際展示会については、最先端の技術情報や人の交流を促進し、国内の防衛産業のみならず、関連産業の基盤の維持強化につながることから、当省の関連規程に基づいて、後援名義の使用を承認しているということであります。

 なお、承認の審査に当たっては、非人道的兵器など国際条約や国内法令に違反するような展示がないか、確認を行うこととしております。

宮川委員 どのぐらいちゃんとチェックされているのかということが問題になると思うんですが、四という資料をちょっとつけさせていただきました。

 これは、行った人がもらえる本なんですが、イベントディレクターから、インタビューというのがあるんですね。下に書いてあります。近年の日本国憲法の一部改正に伴い、軍備拡大、自衛隊の海外派遣、日本の防衛産業のより積極的な海外展開が可能になったこともあり、日本でこのようなものを開催しますというのがこの中に書かれて配られているわけです。

 これは、大臣、審査して、適当なんですか。

福永政府参考人 御指摘の件は、防衛装備や関連技術の展示等を行うイベントでして、経済産業省名義等の使用に関する規程に基づきまして、資料をいただいていますが、鉱工業又は商業の発展に特に寄与すると認めて後援名義の使用を承認したものでございます。

 さらに、審査においては、この規程に基づき、経済産業省の政策について誤解を生じるおそれがないこともあわせて確認させていただいておりまして、国際条約や国内法令に違反する兵器の展示等を行うイベントには後援名義の使用は承認しないということとしております。後援名義の使用を承認したイベントは、こうした兵器を取り扱ったイベントではないためということで、今回の後援は適切であると判断したところでございます。

宮川委員 審査が、さっきのNEDOの方もそうですが、やっている、やっていると言っていますけれども、ほぼやっていないというふうに私は思いますが、これは実際には審査のときにはわからなかったかもしれませんが、これが出て、これが話題になっているわけです。

 一月か二月にもほかの議員が質問しているみたいですが、ちゃんと経産省は抗議されたんでしょうか、これに関して。抗議されましたか。

福永政府参考人 抗議はしておりません。

宮川委員 やはり私は、これはどんどんなし崩し的に、これは日本学術会議が懸念をしているわけですね、声明を出して。近年、こういった軍事と、これは学術じゃないかもしれませんけれども、各方面で接近を見せている、だから注意しなきゃいけませんよ。ですから、倫理委員会なんかも設けて、ちゃんと一つ一つ丁寧に、これはやるんだ、これはだめだよとやらなきゃだめですよと。経産省は余りにもいいかげんだと思いますよ、私。

 それで、例えば、遺伝子組み換えの動物実験であったりとか人の臨床試験だったりとか、クローンなんかもそうかもしれませんが、こういった分野は、そういった倫理に関する検査というのは非常に厳しいわけです。きちっと委員もつくって、その中には、専門家の先生だけではなくて、あるいは科学技術的な話の弁護士さんだとか、あるいはある一定の人数、女性を入れたりとか、そういった倫理委員会をつくって丁寧に、これは大丈夫かどうかという判断をしているわけです。

 だけれども、こういった日本学術会議が指摘をしているのに、きちっと経産省はそういったことをやっていないというふうに私は思いますが、大臣、やっているならやっていると答えてほしいですが、どうでしょうか。

梶山国務大臣 先ほども申しましたように、承認の審査に当たりましては、非人道的兵器など国際条約や国内法令に違反するような展示がないか確認を行うこととしておりますということです。

 そして、パンフレットの一字一句までは調査をしていないと思っております。

宮川委員 この武器見本市の方もそうなんですが、特に研究の方、NEDOやあるいは産総研、私は、産総研もまだちゃんとしたガイドラインや倫理委員会がないというふうに聞いておりますので、しっかりと産総研やNEDOやそういったところもこういった軍事に関する研究に関してはチェックをする倫理委員会をつくって、どれはいいけれども、どれはだめだということがちゃんと国民に説明できるように整備してほしいということをお願いして、時間が来ましたので、私の質問といたします。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、美延映夫君。

美延委員 日本維新の会の美延映夫でございます。

 本日、質問の機会をいただき、ありがとうございます。経済産業委員会では初めての質問になりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 十一月一日に、我々維新の会の一丁目一番地の看板政策であった大阪都構想の住民投票が行われました。しかし、まことに残念ながら、結果は否決ということになりました。この結果は大阪市民の民意でありますので、我々も厳粛に受けとめております。この否決という結果を受けて、松井代表は任期満了をもって引退されることを表明されました。吉村代表代行も、この都構想に関してはもう二度と議論しないという立場をとっておられます。ただ、大阪府と大阪市の二重行政に関してはもう決して行わせてはならないと思いますので、さまざまな機会でまたこれは議論をさせていただきたいと思います。

 今回、私が一つ大問題だと思ったのは、運動期間中の十月の二十六日、ここに置いてありますが、毎日新聞の夕刊一面で、市四分割、コスト二百十八億円増、大阪市財政局が試算。この記事の出所の大阪市財政局長も、これは捏造と言われても仕方がないとお認めになりました。しかも、この二百十億円という数字は、我が党の足立議員が一昨日の内閣委員会でも指摘されたように、上振れ補正係数だけで、下振れ補正係数は全部無視して計算された、答弁に立たれた総務省の審議官の方もお認めになった、いわゆる極めて不正確な数字が載った記事なのです。

 この不正確な、捏造と言われても仕方がない記事を、一般の運動員ではなく、あろうことか政府の一員である、ここにいらっしゃる宗清政務官が、毎日新聞の拡大大判パネル、ここに持っていますけれども、大判パネルを掲示して、私の選挙区内で演説をされておられました。私は、いまだにフェイスブックに載っております毎日新聞夕刊一面の拡大パネルを掲げて演説されている宗清政務官の写真を見て、これは毎日新聞の拡張販売員さんではないかと思ってしまうほどであります。

 実際のところ私自身はこの演説を聞いたわけではないのですが、この拡大パネルを掲げ演説したということは、全く事実ではない事柄を有権者にお話しされたということが推定されます。投票結果に少なからず影響が出たと思いますが、この件に関して、宗清政務官の御感想をぜひお聞かせください。

宗清大臣政務官 お答えいたします。

 今、美延委員からの御指摘は、私の一議員として行った政治活動の、そういったことへの御指摘だというふうに踏まえております。

 私がここの場に本日立たせていただいておりますのは、経済産業省の政務官としてこの場で出席をさせていただいておりますので、私が一議員として行った活動についての回答というのは差し控えさせていただきたいというふうに思います。

 その上で、私は、これからも経済産業大臣政務官として経済産業省の政策の遂行に全力を尽くしてまいりたいと考えております。

美延委員 その答弁はどうかなと思うんですけれども。十月二十七日の、これは政務官のフェイスブックですからね、政務官のフェイスブックに、この写真とともにこういうコメントが載せられております。これはそのとおり読ませていただきます。十月二十七日、きょうの午後は宗清万博担当大臣政務官と五カ所街頭活動。正しく知ろうとする方がどんどんふえています。必要な情報を隠されていたことに信用できなくなったようです。

 このような書きっぷりで、宗清万博政務官と記載されています。一緒に街頭に立たれていた方も、宗清議員のことを政務官とおっしゃっています。本原稿を作成する段階でも、このフェイスブックの記事は削除されておりません。

 誤った情報をもとに御自身が政務官として演説しているという事実であれば、訂正し、削除するのが正しい方法だと思うんですが、もう一度御答弁いただけますでしょうか。

宗清大臣政務官 お答えさせていただきます。

 繰り返しになって恐縮なんですけれども、本日、私は経済産業省の政務官としてこの場に出席をさせていただいておりますので、私の一議員としての活動等について御指摘を受けましたけれども、回答は差し控えさせていただきたいと思います。御理解をください。

美延委員 何回聞いても同じことで、お答えいただけないんだと思います。

 この件に付随して、地方自治体における公文書管理と地方公務員法について総務省に少し伺いたいと思うんです。

 実は、全く信じられないことが起こりました。一昨日の大阪市議会で、我が党の蔵本市会議員の質疑の中で、大阪市の財政局長さんたちが、毎日新聞の記者さんから送られてきた記事に関する公文書を隠蔽し、故意に破棄したことを認めました。しかも、担当の財政課長は、この委員会の答弁で、毎日新聞と共作したと受けとめられてしまう不安から故意に破棄したとはっきり、故意的に破棄したことを認めました。

 これは、公文書管理という観点から、地方公務員法上、その他の法律上問題はないのか、総務省の見解をぜひとも教えてください。

山越政府参考人 お答えいたします。

 総務省としては、個別の案件について具体的な事実関係を承知する立場にないため、個別案件についてのお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

 その上で、一般論として申し上げれば、地方公務員法では、三十二条におきまして、職員に対して、法令、条例、地方公共団体の定める規則及び規程に従う義務を課しているところでございます。また、同法の第二十九条におきましては、同法やこれに基づく条例等に違反した場合、職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合、全体の奉仕者たるにふさわしくない非行があった場合のいずれかに該当する場合には、懲戒処分の対象とすることができることとされております。

 職員の服務規律につきましては、任命権者が確保すべきものでありまして、職員の行為がこの懲戒処分の事由に該当するか否かにつきましては、当該職員の任命権者がそれぞれの事案に即して適切に判断すべきものと考えております。

美延委員 ありがとうございます。そういうことなんですよね。

 今回の都構想の住民投票のように賛否が拮抗したときにこのような捏造記事が出てくること自体、ゆゆしき問題だと思います。表現の自由はもちろん大切ですが、しかし、ありもしない記事を大新聞が掲載して、一方がそれを宣伝して有権者の判断を迷わすことがあれば、民主主義にとって大問題だと思います。憲法改正の国民投票法が議論されている中、このようなことは絶対にあってはならないと思います。ほかに質問もありますので、この件はここで終わらせていただきますが、この件に関しては今後ともしっかり問題提起をさせていただきます。

 次に、GoTo商店街について少し伺わせていただきます。

 本事業では、事業費の支払いは原則として事業終了後の後払いということになっています。この仕組みでは、商店街側の誰かが一旦立てかえる必要があり、後で支給されるといっても、財力が豊かでない商店街にとっては大きな負担であり、この後払いがネックとなって、申請をちゅうちょしているという原因の一つになっている声を私も聞いております。

 もっとも、一定の要件を満たす場合、概算払い、前払いが認められるということなんですけれども、この場合でも上限が事業費の七割とされています。残りの三割を後払いにする必要や合理性がどの程度あるのでしょうか。わずかな事業スキームの問題によって商店街のやる気が失われることになっては、地域の活性化はままならないと思います。

 商店街の負担をできる限り小さくするために、場合によっては全額前払いで行ってもよいのではないかと考えますが、この点について、政府の見解、そして、現在改善策を検討されているのであれば、あわせてお聞かせいただけますでしょうか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 GoTo商店街につきましては、執行後、立てかえ払いをするのが大変厳しいという御意見があったことを踏まえて、今御指摘いただいたとおり、事務局の準備が整いました十一月からの通常募集分からは、最大で事業費の七割を先にお支払いする概算払いでの受け付けを開始いたしました。

 御指摘の点につきまして、理由でございますけれども、一つは、概算払いをしたにもかかわらず契約上の義務履行がなされずに国損が発生する事態、例えば全額使わない場合とか、結構ございます。そういう場合でございますときの対応であったりとか、あと、仮に全額を先払いいたしますと、事業を効率的に実施しようとするインセンティブが働きにくくなるといったことから、前例も見つつ、高目の七割ということで設定をさせていただきました。

 いずれにせよ、感染拡大の状況も十分に踏まえながら、引き続き商店街の活性化に力を入れてまいりたいと思います。

美延委員 よろしくお願いします。

 大阪府では、国の商店街事業で採択された商店街に対して、府独自の取組として、更に五十万を上乗せする支援を実施しております。国と自治体が協力して支援を行うことは商店街にとって大きな力となり得ます。

 まず、大阪府と同様に地域独自の取組として支援額を上乗せしている地域の事例があれば、実情を聞かせてください。あわせて、国が率先して自治体に呼びかけることによって、大阪府と同様の手厚い支援策を行っていくことが有益であると考えますが、この点について経済産業省の見解をお聞かせください。

村上政府参考人 お答えいたします。

 大阪府では、御指摘のように、GoTo商店街事業で採択された事業者に対し上乗せ支援をしているということでございますが、確認をさせていただきましたところ、今のところ、都道府県では、同様の上乗せ支援をしているケースは確認できてございません。

 他方、一般論等申し上げれば、商店街は地域の暮らしに密着したサービスを提供するところが強みだと思ってございます。そういう意味では、地域の実情をよく知る各自治体が、その地域の実情に応じて、商店街が行う取組に独自の支援を行うことは好ましいことだというふうに考えてございます。

 いずれにせよ、どういった施策を講じるかはそれぞれの自治体の御判断ということではございますけれども、国との連携についてお申出があれば、国の側でも可能な協力は積極的にしてまいりたいということを基本的に考えてございます。

美延委員 どうぞよろしくお願いいたします。

 続いて大臣にお伺いしたいんですけれども、今度、募集期間の延長についてお聞かせいただきたいんですけれども、GoTo商店街事業は、先行募集が終了して、先月末から通常募集が開始されています。この事業は、募集終了日については、予算がなくなり次第終了ということになっています。しかし、目下のコロナの感染者が再び急増しており、第三波の到来といったことも実際指摘もされております。

 このような状況下では、GoTo商店街事業に対しても、感染者が増加しているにもかかわらず商店街が積極的に人集めをするのはいかがなものかといった批判が生じることが想定されます。商店街側としても、批判を恐れてなかなか手を挙げにくいという実情があるのではないかと思うのです。

 しかし、これ以上コロナの感染拡大を防ぐために、喫緊の措置として、少なくともコロナの第三波が収束するまでは、例えば募集を中断して、感染が落ちついてから再開して、その分、事業終了を、例えば来年のゴールデンウイークや夏休みごろまで後ろ倒しするという、もう少し弾力的に募集期間を設定してもよいのではないかと思うんですが、大臣の御所見を伺えますでしょうか。

梶山国務大臣 GoTo商店街事業におきましては、感染拡大防止対策として業種別のガイドラインの徹底などを求めております。これにより、感染拡大防止と需要喚起の両立を図りつつ現在募集を継続していますけれども、感染が拡大傾向にあることから、状況は注視してまいりたいと思っております。

 他方、新型コロナウイルス感染症対策分科会におきましては、医療提供体制に大きな支障が生じかねないステージ3の感染状況にあると判断された場合には、イベント開催の見直しを行うべき旨の提言をいただいているところであります。

 この提言を踏まえて、GoTo商店街事業では、都道府県がステージ3の感染状況にあると判断した場合、事業の中止要請をいただく仕組みとしております。それは、都道府県によって感染の状況の濃淡が違うということでもあります。都道府県からの要請があれば、その都道府県で開催されるリアルな商店街イベントは中止し、オンラインイベント等に限るなどの見直しを行ってまいりたいと思っております。

 引き続き、感染拡大の状況やほかのGoToキャンペーンの状況も踏まえつつ、都道府県とも連携して適切に対応してまいりたいと思っております。

美延委員 そうしたら、大臣、これからのことになるんですけれども、場合によったら、これをもう少し後ろ倒しにするというようなこともお考えになられる可能性はあるんでしょうか。

梶山国務大臣 今年度の補正予算でこれらを実施しておりますので、一応、年度の制約があるということで、そういったものも含めて勘案をしていくことになろうかと思います。

美延委員 ぜひ御検討願いますよう、よろしくお願いいたします。

 続きまして、RCEPに関して質問をさせていただきます。

 先日十五日に、テレビ会議形式の首脳会議で協定に署名されました。このことで、世界人口の約三割、国内総生産で世界全体の約三割を占める巨大経済圏がアジアで構築をされます。まずもって、約八年間の長き交渉、調整が実を結んだことに、関係者の皆様の不断の御尽力と御努力に深く敬意を表します。

 今回の協定で九〇%程度の品目で撤廃となるということを承知しておりますが、撤廃するまでの期間が十年や二十年と長くなっている品目もあります。この撤廃まで長期間を設定した経緯や理由があれば、まず教えていただけますでしょうか。

広瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 関税撤廃期間を含めて、RCEPの交渉経緯の詳細につきましてはお答えを差し控えたいと思いますけれども、交渉におきまして、日本側、相手側、双方でセンシティビティーに配慮する必要がございます。センシティビティーの高いものについては、交渉の結果、お互い、長い関税撤廃期間で折り合ったものもございまして、そうしたことを踏まえて交渉全体のバランスを図った結果でございます。

 その上で申し上げれば、RCEPにおきまして、我が国の関心品目であります自動車関連、鉄鋼を含め日本からの工業製品の輸出につきましては、十四カ国全体で約九二%の品目につきまして関税が撤廃されることが実現をしております。

 一方、守りの方では、農産品の重要五品目を全て関税削減、撤廃の対象から除外するということになっておりまして、攻めるべきものは攻めて守るべきものは守る、こうした交渉結果を達成できたというふうに認識をしております。

美延委員 さて、今回の協定で日本において特筆すべきことは、隣国である中国や韓国との初の自由貿易協定であるということではないでしょうか。

 日本にとって最大の貿易相手国である中国と第三位の韓国。経済を優先して条約締結が先行しましたが、RCEPを締結することによって、今後、我が国の安全保障面で懸案事項や現段階で将来的に留意しなければならないことに対してどういう検討をされているのか、教えていただけますでしょうか。

広瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御質問の安全保障面での留意でございますけれども、日本がこれまで締結してきましたほかの経済連携協定と同じように、RCEP協定でも、日本を含む各国が安全保障の観点で必要な措置を講ずることは認められております。

 具体的に申し上げますと、例えば、通信、電力、水道、こういった中枢的な公共インフラの防護のための措置などは、安全保障のための例外とする規定が設けられております。

 また、海外からの投資に対しましては、安全保障上の観点で必要な分野を、自由化の対象から留保をされております。

 また、情報やデータの取扱いにつきましては、データフリーフローの原則を定めつつも、各国が自国の安全保障上の重大な利益の保護のために必要な措置をとれるということになっておりまして、こうした形で、安全保障の観点で必要な措置を講ずるといったことができる十分な手当てがされているものと認識をしております。

 今後も、RCEPを含め、経済連携協定によって安全保障面の懸案が生じないよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

美延委員 中国企業であります二社を、アメリカ連邦通信委員会はネットワーク及び5Gの未来に対する安全保障上の脅威と正式に認定して、アメリカから締め出すことまで発展しております。事実上、ドイツを除くEU各国で、日本においても、アメリカの対応を念頭に法案が上げられたものと承知しております。RCEPの発効後も、日本の国益が損なわれないよう、また、安全保障面でもきめ細かく対応していただくよう、よろしくお願い、これは要望しておきます。

 最後に大臣に、今の件と、それからもう一つお伺いしたいのは、我が国としてはインドのRCEP復活を促す方針であると認識しておるんですけれども、改めて、インドの参加の意義、復活のための方策を、ぜひ大臣から御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

梶山国務大臣 RCEPは、八年の交渉を経て、先日十五日に首脳会談で合意に至りまして、署名をさせていただきました。

 インドはずっと、昨年まで入っていたんですけれども、昨年後半から、十一月の首脳会談から離脱をしているということでありますけれども、大変残念なことだと思っております。他方、十三億人の人口を抱えて経済的、戦略的に重要なインドにRCEPへの参加を働きかけていくことは、極めて重要なことだと思っております。

 このような観点から、RCEP首脳会議の共同首脳声明において、RCEPが引き続きインドに対して開かれていることを明確にいたしました。

 同時に、インドのRCEP参加に係る閣僚宣言も発出をし、インドが望む場合にはRCEPに参加した十五カ国はいつでも加入交渉に応ずると、全署名国がそういう形で合意をしたということであります。RCEPの各会合へのオブザーバー参加やRCEP加盟国を対象としたキャパシティービルディング支援への参加を認めるなど、引き続きインドの参加を歓迎する立場を明確にしております。

 インドのRCEP加入のために最も重要なこと、必要なことは、国際的なサプライチェーンにつながる競争力のある産業がインド国内に立地する環境を整備していくことだと思っております。

 日本としては、日印産業競争力パートナーシップにおいて、物流の効率化や繊維分野の競争力強化といった協力を進めておりますけれども、これを更に進めて、インドのRCEP復帰に向けて主導的な役割を果たしていく所存であります。

美延委員 ぜひ大臣、しっかりやってください。

 ありがとうございました。これで終わります。

富田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時二十三分散会


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