衆議院

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第1号 令和6年3月8日(金曜日)

会議録本文へ
本国会召集日(令和六年一月二十六日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 岡本 三成君

   理事 鈴木 隼人君 理事 関  芳弘君

   理事 宮内 秀樹君 理事 落合 貴之君

   理事 山崎  誠君 理事 守島  正君

   理事 中野 洋昌君

      井原  巧君    石井  拓君

      尾崎 正直君    大岡 敏孝君

      神田 憲次君    国光あやの君

      小林 鷹之君    鈴木 淳司君

      冨樫 博之君    中川 貴元君

      福田 達夫君    細田 健一君

      堀井  学君    松本 洋平君

      宗清 皇一君    山際大志郎君

      山下 貴司君    吉田 真次君

      和田 義明君    若林 健太君

      大島  敦君    菅  直人君

      篠原  孝君    田嶋  要君

      馬場 雄基君    山岡 達丸君

      市村浩一郎君    小野 泰輔君

      山本 剛正君    吉田 宣弘君

      笠井  亮君    鈴木 義弘君

令和六年三月八日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 岡本 三成君

   理事 小林 鷹之君 理事 鈴木 隼人君

   理事 関  芳弘君 理事 松本 洋平君

   理事 宮内 秀樹君 理事 山下 貴司君

   理事 荒井  優君 理事 落合 貴之君

   理事 山岡 達丸君 理事 山崎  誠君

   理事 守島  正君 理事 中野 洋昌君

      井原  巧君    石井  拓君

      大岡 敏孝君    加藤 竜祥君

      神田 憲次君    国光あやの君

      鈴木 淳司君    高木  啓君

      冨樫 博之君    中川 貴元君

      福田 達夫君    細田 健一君

      堀井  学君    宗清 皇一君

      山際大志郎君    吉田 真次君

      若林 健太君    小山 展弘君

      重徳 和彦君    田嶋  要君

      森田 俊和君    池畑浩太朗君

      市村浩一郎君    山本 剛正君

      吉田 宣弘君    笠井  亮君

      鈴木 義弘君

    …………………………………

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力経済被害担当)

   (GX実行推進担当)

   (産業競争力担当)

   (ロシア経済分野協力担当)

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      齋藤  健君

   国務大臣         自見はなこ君

   内閣府副大臣       工藤 彰三君

   経済産業副大臣      上月 良祐君

   内閣府大臣政務官     古賀友一郎君

   経済産業大臣政務官    石井  拓君

   経済産業大臣政務官    吉田 宣弘君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 古谷 一之君

   政府特別補佐人

   (公害等調整委員会委員長)            永野 厚郎君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月二十六日

 辞任         補欠選任

  菅  直人君     荒井  優君

  篠原  孝君     重徳 和彦君

  馬場 雄基君     小山 展弘君

同月三十一日

 辞任         補欠選任

  尾崎 正直君     加藤 竜祥君

三月八日

 辞任         補欠選任

  和田 義明君     高木  啓君

  大島  敦君     森田 俊和君

  小野 泰輔君     池畑浩太朗君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     和田 義明君

  森田 俊和君     大島  敦君

  池畑浩太朗君     小野 泰輔君

同日

 理事大串正樹君一月二十五日委員辞任につき、その補欠として山下貴司君が理事に当選した。

同日

 理事関芳弘君、宮内秀樹君、落合貴之君及び山崎誠君同日理事辞任につき、その補欠として松本洋平君、小林鷹之君、山岡達丸君及び荒井優君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

一月二十六日

 新型コロナウイルス感染症等の影響を受けている中小事業者等に対する緊急の支援に関する法律案(山岡達丸君外九名提出、第二百八回国会衆法第三号)

 新型コロナウイルス感染症等の影響を受けている中小事業者に対する金融の円滑化の促進に関する法律案(落合貴之君外九名提出、第二百八回国会衆法第二四号)

 自動車産業における脱炭素化の推進に関する法律案(重徳和彦君外十五名提出、第二百八回国会衆法第三五号)

 中小企業正規労働者雇入臨時助成金の支給に関する法律案(後藤祐一君外八名提出、第二百八回国会衆法第四六号)

 分散型エネルギー利用の促進に関する法律案(山崎誠君外六名提出、第二百八回国会衆法第五六号)

 国等によるその設置する施設の省エネルギー・再生可能エネルギー源利用改修等の実施等に関する法律案(田嶋要君外五名提出、第二百八回国会衆法第五七号)

 発電に関する原子力の利用に係る責任を明確化するための改革の推進に関する法律案(小野泰輔君外二名提出、第二百十一回国会衆法第九号)

 電力の取引における公正な競争の促進に関する法律案(小野泰輔君外二名提出、第二百十一回国会衆法第一〇号)

三月五日

 岸田政権の新原発推進政策の撤回に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一八九号)

 同(笠井亮君紹介)(第一九〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一九一号)

 同(志位和夫君紹介)(第一九二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一九三号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一九四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一九五号)

 同(牧義夫君紹介)(第一九六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一九七号)

 同(宮本徹君紹介)(第一九八号)

 同(本村伸子君紹介)(第一九九号)

 気候危機打開へ、原発ゼロ、石炭火力廃止を決断すること等に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二四四号)

 同(笠井亮君紹介)(第二四五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二四六号)

 同(志位和夫君紹介)(第二四七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二四八号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二四九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二五〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二五一号)

 同(宮本徹君紹介)(第二五二号)

 同(本村伸子君紹介)(第二五三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 国政調査承認要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件

 鉱業等に係る土地利用の調整に関する件


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     ――――◇―――――

岡本委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。

 この度、令和六年能登半島地震によりお亡くなりになられた方々とその御遺族に対しまして、深く哀悼の意を表します。また、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 これより、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りをし、黙祷をささげたいと存じます。

 全員の御起立をお願いいたします。――それでは、黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

岡本委員長 黙祷を終わります。御着席お願いいたします。

     ――――◇―――――

岡本委員長 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事関芳弘さん、宮内秀樹さん、落合貴之さん及び山崎誠さんから、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事の辞任及び委員の異動に伴い、現在理事が五名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に

    小林 鷹之さん    松本 洋平さん

    山下 貴司さん    荒井  優さん

 及び 山岡 達丸さん

を指名いたします。

     ――――◇―――――

岡本委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 経済産業の基本施策に関する事項

 資源エネルギーに関する事項

 特許に関する事項

 中小企業に関する事項

 私的独占の禁止及び公正取引に関する事項

 鉱業等に係る土地利用の調整に関する事項

以上の各事項につきまして、議長に対し、国政調査の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

岡本委員長 経済産業の基本施策に関する件、私的独占の禁止及び公正取引に関する件並びに鉱業等に係る土地利用の調整に関する件について調査を進めます。

 この際、経済産業大臣から、経済産業の基本施策について所信を聴取いたします。齋藤経済産業大臣。

齋藤(健)国務大臣 第二百十三回国会における経済産業委員会の御審議に先立ち、経済産業行政を取り巻く諸課題及び取組につきまして、経済産業大臣、原子力経済被害担当大臣、GX実行推進担当大臣、産業競争力担当大臣、ロシア経済分野協力担当大臣、内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償・廃炉等支援機構)として申し上げます。

 冒頭、元日に発生した令和六年能登半島地震によって亡くなられた全ての方々に、心より哀悼の意を表します。また、被害に見舞われ厳しい生活を送っておられる被災者の方々に、改めてお見舞いを申し上げます。

 経済産業省としては、発災以降、電力の復旧や燃料、日用品といった物資の供給に万全を期して対応してまいりました。引き続き、被災された事業者の皆様に寄り添いながら、被災者の生活となりわい支援のためのパッケージを着実に実行するとともに、更なる支援策の具体化を進め、なりわいの再建に全力を尽くしてまいります。

 我が国経済は今、デフレ構造から新しい経済ステージへ移行する千載一遇のチャンスを迎えています。昨年は、賃上げや設備投資が共に三十年ぶりの高水準となるなど、明るい兆しが生まれました。今年は、こうした潮目の変化を大きなうねりに育て、コストカット型経済から投資も賃金も物価も伸びる成長型経済への転換を図っていく、まさに正念場というべきときです。日本経済にしみついたデフレからの完全脱却を必ずや実現してまいります。

 そのためには、国民の実感を伴う形で生活が豊かになっていくことが重要です。物価高を上回る所得の実現。そのためには、賃上げが大きな鍵を握ります。

 賃上げと経済の好循環を産業界全体に波及させなければなりません。企業の賃上げを強力に後押しすべく、政策を総動員して取り組んでいきます。

 とりわけ、中堅・中小企業や小規模事業者も含めた賃上げを実現することが何よりも重要です。賃上げ原資を確保するための価格転嫁対策としては、価格交渉促進月間に基づく取組を行ってきています。足下、三月の月間においても、積極的な交渉、転嫁を呼びかけていくだけでなく、労務費の指針の取引現場での遵守を促進していきます。その上で、公正取引委員会を筆頭に各省とも連携し、規制法たる下請法の執行を強化することで、サプライチェーン全体での取引方針の改善と価格転嫁の実現を図っていきます。

 また、赤字でも人材確保のために賃上げに挑戦する中小企業や、地域において賃上げと経済の好循環の担い手として期待される中堅企業を後押しすべく、賃上げ促進税制を抜本強化します。

 さらに、中堅・中小企業が構造的な人手不足に直面する中でも生産性向上や事業規模の拡大を実現できるよう、即効性のある省力化投資や拠点新設等の大規模な設備投資、新商品、サービス開発に向けた設備投資等を支援します。

 企業が賃上げの原資を生み出すためには、稼ぐ力を強化することも不可欠です。日本経済を反転させるまたとないチャンスを迎えている今こそ、一歩踏み込んだ産業政策を進めなくてはなりません。

 GX、DXなどの社会課題解決分野を成長の源泉と捉え、官も民も一歩前に出て、大規模、長期、計画的に国内投資とイノベーションの促進に取り組んでいく。こうした取組を通じ、経済安全保障を確保した上で、日本経済の成長を実現します。

 半導体については、生産拠点整備や研究開発支援等の取組を加速させるとともに、地域の理解を得ながら、産業立地の際の土地利用転換の迅速化や工業用水等のインフラ整備に取り組みます。既に半導体投資が進む九州地域で投資と賃上げの好循環が生まれつつある中で、この流れを成長型経済のロールモデルとしていきます。

 加えて、蓄電池、重要鉱物など特定重要物資に係る国内生産設備の導入や海外権益獲得等によるサプライチェーン強靱化支援や、宇宙、バイオ、量子等のディープテック分野の研究開発支援といった点への投資にも取り組みます。

 中でも、生成AIは、経済社会に革命的な変化をもたらす技術であり、規律、開発、利用促進を一体的に進めることが肝要です。AIの安全性評価の確立に向けた国際的な議論に積極的に貢献しつつ、計算資源の確保、開発力強化、利用促進等を強力に支援していきます。

 これら今後の経済成長の種ともいうべき分野は、投資額の大きさゆえのリスクも内包しています。当該分野における国内投資、研究開発、人材育成等を政府として強力に支援する中で、政府支援を呼び水とした民間投資を呼び込み、官民による投資拡大を更に促していきます。

 さらに、経済成長及びその先にある産業構造転換を実現する上で不可欠なイノベーションを促進する環境整備も進めます。

 世界を変えるイノベーションを生み出し、様々な社会課題を解決する主体として、スタートアップに大いに期待しています。

 今般の能登半島地震においても、使用した水を再生利用するシャワー設備等の供給、ドローンを活用した孤立集落への医薬品の運搬、砂防ダムの水を浄化した飲み水の提供等、技術力を有するスタートアップの活躍が被災地の復旧復興の助けになりました。

 スタートアップを我が国経済成長の起爆剤とすべく、世界で戦えるスタートアップを生み育てるためのエコシステムの構築に全力で取り組みます。

 国内投資の促進、賃上げ、イノベーション。これらの重要な政策課題に対応していくために、新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案を今国会に提出しました。電気自動車やグリーンスチール等といった戦略分野への国内投資を促進する減税措置や、知的財産から生じる所得に関して減税を行うイノベーション拠点税制、成長発展を図る中堅企業等が複数の中小企業をMアンドAした場合の税制措置、スタートアップがストックオプションを機動的に発行できる仕組み等の制度整備に取り組みます。

 本年は、GX実現に向けた具体化とともに、エネルギー基本計画の見直しに向けた議論を開始する、我が国のGX、エネルギー政策にとって重要な年です。

 昨年末に産業、暮らし、エネルギー等の重点分野において取りまとめられた分野別投資戦略に基づき、二十兆円規模のGX経済移行債を活用した投資促進策を実行していきます。さらに、カーボンプライシング制度の本格導入に向け法定化を進めていくなど、GXの実現に向け包括的な取組を加速させます。

 エネルギー分野については、エネルギー危機にも対応できるエネルギー安全保障や安定供給を確保することも重要です。

 資源外交や国産資源開発、徹底した省エネ、地域との共生を前提とした再生可能エネルギーの最大限導入、蓄電池の導入を進めます。

 原子力の活用に当たっては、高い緊張感を持って安全最優先で万全の対応を行うことを大前提に、原発再稼働や運転期間の延長、次世代革新炉の開発、建設等を進めます。

 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けては、鉄鋼や化学等の脱炭素化が難しい分野においてもGXを推進していくことが不可欠です。このため、こうした分野における低炭素水素等の活用を促進すべく、日本技術を活用した先行的で自立が見込まれるサプライチェーンの創出等を目指す、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案、そして、排出された二酸化炭素を回収し、これを地下の地層に貯留するCCSに関する事業環境を整備するための、二酸化炭素の貯留事業に関する法律案を今国会に提出しました。

 GXについては、アジアの同志国も巻き込んだ取組にしていくことも重要です。初の首脳会合を開催したアジア・ゼロエミッション共同体を通じ、各国の事情に応じた多様な道筋の下、日本の技術力、金融力をかけ合わせ、経済界も交えて成長の果実を共有していきます。

 これらの総合的な取組を通じ、エネルギーの安定供給を大前提に、GXに向けた取組を着実に推進していきます。

 進む人口減少に適応していくためにも、DXによる省力化、システムの高度化が不可欠です。デジタルの恩恵を全国に行き渡らせるべく、共通規格に準拠した、ハード、ソフト、ルールにわたるインフラであるデジタルライフラインの全国的な整備や、二〇二五年度に全国五十か所程度での自動運転の社会実装実現に向けた一般道での通年運行事業の倍増等に取り組みます。

 インターネット取引の拡大に伴い、国内外の事業者がオンラインモール等を通じて国内消費者に製品を販売する機会が増大しており、海外から国内の消費者に直接販売される製品の安全確保や、子供用の製品による事故の未然防止が重要です。こうした観点から、国内消費者が製品を安全に使用する環境を整備すべく、消費生活用製品安全法等の一部を改正する法律案を今国会に提出しました。

 デジタル化の進展に合わせ、サイバー攻撃への強靱化を図ることも不可欠です。セキュリティークリアランスや産業界全体でのサイバーセキュリティー強化に取り組み、経済安全保障の抜本的強化につなげていきます。

 ロシアによるウクライナ侵略、深刻化する中東情勢など、我が国を取り巻く環境は日に日に厳しさを増しています。我が国の経済社会、サプライチェーンにも大きな影響が生じる中、経済安全保障の重要性もますます高まっています。そのような中で、経済安全保障を確保しつつ自由で公正な貿易体制を発展させるという難しいかじ取りをしなければなりません。

 自由で公正な経済秩序の維持強化、サプライチェーンの強靱化に向けても、WTOなどの多国間の枠組みやCPTPP等の経済連携協定、G7、IPEFなどの同盟国、同志国との枠組みを活用することが引き続き極めて重要です。

 昨年のG7における合意を議長国イタリアに引き継ぎ、サポートしつつ、産業、技術、デジタル、気候、エネルギー、環境、経済的威圧や非市場的措置への対応を含む貿易といった分野で議論を更に深めます。

 本年大統領選挙を迎える米国との連携は、引き続き対外経済政策上の最重要課題です。日米経済版2プラス2などの枠組みを活用し、経済安全保障や産業協力などの議論を深め、更なる関係強化を進めます。

 成長著しいグローバルサウス諸国との連携も重要です。強靱で信頼性のあるサプライチェーン構築の重要性について、認識共有を図ります。加えて、アジア有志国との連携により、自由で開かれたインド太平洋の実現に貢献するとともに、ASEAN諸国との次なる半世紀を共に形作っていきます。

 また、ロシアによるウクライナ侵略が継続する中、影響を受ける日本企業を引き続き適切に支援するとともに、官民が連携し、ウクライナ復興にも積極的に取り組んでいきます。

 福島復興と東京電力福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水・処理水対策は、引き続き経済産業省の最重要課題です。

 昨年八月に開始された、復興の大前提となるALPS処理水の海洋放出について、処分が完了するまで、政府として全責任を持って取り組むとともに、安全性の確保、風評対策、なりわい継続支援に全力で取り組みます。特に、漁業者の皆様が安心して漁業を継続できるよう、輸出減が顕著な品目の販路拡大や加工体制強化、加工業者等への資金繰り支援等を実施しているところ、今後も迅速かつ着実に実行していきます。

 あわせて、着実な廃炉の進展に向け、燃料デブリの取り出し等のための技術的難易度の高い研究開発も支援します。

 さらに、帰還困難区域の避難指示解除に向けた取組や、事業、なりわいの再建、新産業創出、交流人口の拡大、スタートアップエコシステムの構築、芸術文化を通じた新たな魅力づくり等を通じ、被災地の復興を着実に推進します。

 加えて、福島以外の地域においても、文化芸術コンテンツ産業等の海外展開やロケ誘致によるインバウンド需要の取り込みを進め、地域経済の活性化、地域における文化の再創造を支援します。

 こうした取組を通じ、インバウンドとソフトパワーのかけ合わせによる価値の創出を図ります。

 最後に、大阪・関西万博の開催まで、残すところあと一年となりました。新型コロナを乗り越え、能登半島地震に見舞われた今、そして緊迫の度を増す国際情勢の中にあって、改めて、命の重み、社会の在り方が強く意識されています。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げる大阪・関西万博は、世界の英知を集約し、イノべーションにより諸課題を乗り越え、未来を切り開く道筋を示していく場です。引き続き、万博関連の工事、調達等によって能登復興に支障が生じないように留意しつつ、万博を必ずや成功に導いてまいります。

 以上、申し述べましたとおり、経済産業行政は多くの課題に直面しております。様々な御意見に耳を傾けながら、経済産業大臣として全身全霊で職務に取り組んでまいります。

 岡本委員長を始め、理事、委員各位の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。(拍手)

岡本委員長 以上で大臣の所信表明は終わりました。

 この際、自見国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。自見国務大臣。

自見国務大臣 公正取引委員会に関する事務を担当する大臣として、御挨拶を申し上げます。

 初めに、令和六年能登半島地震により亡くなられた方々とその御遺族に対し深く哀悼の意を表し、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。

 公正取引委員会による厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用が確保されるよう、公正取引委員会の体制について、質的、量的な充実を図ることに努めます。

 公正取引委員会は、カルテル、入札談合、優越的地位の濫用行為を始めとした独占禁止法違反行為及び下請法違反行為を取り締まるとともに、これらの行為を未然に防止します。独占禁止法、下請法の執行強化の取組を進めることや、迅速かつ的確な企業結合審査も重要です。また、デジタルプラットフォームをめぐる取引分野を始めとして、様々な分野における取引実態の把握や競争の活性化に関する唱導などを通じて、競争環境の整備を進めることも必要です。

 中小企業の賃上げ実現には、労務費の転嫁が課題となっている中、公正取引委員会は、優越的地位の濫用に関する特別調査を行い、業界ごとの労務費に係る実態を踏まえ、内閣官房とともに、昨年十一月、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針を策定、公表しました。引き続き、関係省庁と緊密に連携して、指針の周知徹底に取り組みます。

 これらに加え、昨年五月に公布されたフリーランス・事業者間取引適正化等法については、本年秋の同法の円滑な施行に向けた準備や周知徹底を進めてまいります。

 さらに、モバイルエコシステムの分野における必要な法整備に関して、諸外国における情勢を踏まえつつ、検討を進めております。

 岡本委員長を始め、理事、委員各位の一層の御理解、御協力、また御指導を賜りますようにお願いを申し上げます。

 ありがとうございました。(拍手)

岡本委員長 次に、上月経済産業副大臣から発言を求められておりますので、これを許します。上月経済産業副大臣。

上月副大臣 昨年十二月に経済産業副大臣を拝命いたしました上月良祐でございます。

 齋藤大臣をお支えし、岩田副大臣、また吉田、石井両政務官とともに、経済産業行政の推進のために全力を傾注してまいります。

 岡本委員長を始め、理事、委員各位の先生方の御指導、御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)

岡本委員長 次に、令和五年における公正取引委員会の業務の概略について説明を聴取いたします。古谷公正取引委員会委員長。

古谷政府特別補佐人 令和五年における公正取引委員会の業務について、その概略を御説明申し上げます。

 公正取引委員会は、以下に申し述べる施策に重点を置いて、独占禁止法等の厳正な執行や競争政策の積極的な推進に取り組んでまいりました。

 重点施策の第一は、厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用です。市場分割カルテル事件及び入札談合事件について、排除措置命令及び課徴金納付命令を行いました。なお、当該納付命令による課徴金額については、延べ十九名の事業者に対して、総額一千十七億四千七百五十三万円となっております。このほか、不公正な取引方法に係る事件について三件の確約計画を認定して、令和五年においては、八件の法的措置を行いました。

 また、グーグルLLCらの独占禁止違反被疑行為に対して審査開始するなど、社会的ニーズに対応した多様な事件に対処しております。

 合併等の企業結合事案については、企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針等に基づき、当事会社との意思疎通を密にしつつ、また、第三者からの情報収集などもしつつ、対象市場の実態に即して、迅速かつ的確な企業結合審査に努めました。

 重要施策の第二は、中小事業者に不当に不利益を与える行為の取締りです。市場における公正な競争を確保するため、中小事業者に不当に不利益を与える不当廉売、優越的地位の濫用といった不公正な取引方法に該当するおそれのある行為等に、厳正かつ積極的に対処しました。

 まず、下請法の運用については、下請代金の減額、返品、買いたたき、不当な経済上の利益の提供要請といった違反行為に対処し、八件の勧告、公表を行ったほか、八千百六十八件の指導を行いました。

 また、労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分の円滑な価格転嫁の実現に向けた取組を進めております。特に、中小企業の賃上げ実現には、労務費の転嫁が課題となっている中、優越的地位の濫用に関する特別調査を行い、業界ごとの労務費に係る実態を踏まえ、内閣官房とともに、昨年十一月、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針を策定、公表しました。

 引き続き、関係省庁と緊密に連携して、指針の周知徹底を進めるとともに、労務費の上昇分の価格転嫁について重点的に状況を把握するための調査を行うなどフォローアップを行い、独占禁止法や下請法の積極的な執行を進めてまいります。

 さらに、フリーランスに係る取引適正化に関して、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律が令和五年四月二十八日に成立し、翌月五月十二日に公布されました。本法の周知活動を行いつつ、本法施行に必要な政令、公正取引委員会規則等の整備を行い、施行に向け、準備を進めております。

 重要施策の第三は、競争環境の整備への取組です。各種のガイドラインを策定し、独占禁止法上の考え方を明らかにするとともに、市場における公正かつ自由な競争を促進する観点から、様々な調査研究などを行いました。

 デジタル分野について、モバイルOS等に関する実態調査報告書、ニュースコンテンツ配信分野に関する実態調査報告書をそれぞれ公表したほか、コネクテッドTV及び動画配信サービス等に関する実態調査を開始をいたしました。また、モバイルエコシステムの分野における必要な法整備に関しては、内閣官房と連携しながら、諸外国における情勢を踏まえつつ、検討を進めております。

 また、電力分野、使用済みペットボトルのリサイクル、高速道路における電気自動車充電サービスなどの分野について、独占禁止法や競争政策の観点から、取引実態を把握するための調査を行ったほか、温室効果ガスの削減に向けた事業者等の取組を後押しすべく、グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方を策定をいたしました。

 さらに、私が議長を務めたG7エンフォーサーズ及びポリシーメーカーズサミットにおいて、デジタル市場における競争を促進し維持するための取組等を示したデジタル競争コミュニケの採択に尽力するなどし、競争環境の整備のための国際的な連携協力にも積極的に取り組んでおります。

 以上、簡単ではありますが、業務の概要について御説明を申し上げました。

 今後ともよろしく御指導のほどお願い申し上げます。

岡本委員長 次に、令和五年における鉱業等に係る土地利用の調整に関する事務の概要について説明を聴取いたします。永野公害等調整委員会委員長。

永野政府特別補佐人 公害等調整委員会は、公害に係る紛争の迅速かつ適正な解決を図るとともに、鉱業等と一般公益又は他の産業との土地利用に関する調整などを行うことを任務とし、総務省の外局として置かれている委員会でございます。

 当委員会が令和五年中に行った鉱業等に係る土地利用の調整に関する事務について御説明申し上げます。

 第一に、当委員会は、鉱業法等に基づく特定の許認可等の処分に不服がある者からの申請について裁定を行い、一般公益や他の産業との調整を図っております。

 令和五年に当委員会に係属した事件は、岐阜県において、砂利採取業者が行った砂利採取計画の期間延長の変更認可申請に対し、県の認可基準の要件に該当しないことを理由として処分庁が行った不認可処分について事業者がその取消しを求めた不服裁定申請事件など二件あり、いずれも同年中に終結いたしました。例に挙げた事件は、処分庁の不認可処分を取り消すとの裁定を行いました。

 当委員会は、不服裁定の制度を必要とする国民の確実な利用、裁定を踏まえた行政の運営改善に資するため、制度の周知及び結果の情報提供に努めてまいります。

 第二に、土地収用法に基づく審査請求に対して国土交通大臣が裁決を行う場合などには、当委員会の意見を求めることなどとされております。

 令和五年に当委員会に係属した意見の照会等は、同一事案についての百名を超える当事者からの申請を含め百十六件であり、そのうち、同年中に処理した事案は九件でございます。

 以上が、令和五年中に行った鉱業等に係る土地利用の調整に関する事務の概要でございます。

 なお、以上のほか、当委員会は公害紛争の処理に関する事務を行っており、令和五年には七十九件の公害紛争事件が係属しております。

 公害等調整委員会としましては、今後とも迅速かつ適正な紛争解決に向けて鋭意努力してまいる所存でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。

岡本委員長 以上で両委員長の説明は終わりました。

 次回は、来る十三日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時一分散会


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