衆議院

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第11号 平成29年4月21日(金曜日)

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平成二十九年四月二十一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 西銘恒三郎君

   理事 今枝宗一郎君 理事 岩田 和親君

   理事 中根 一幸君 理事 西村 明宏君

   理事 宮内 秀樹君 理事 津村 啓介君

   理事 本村賢太郎君 理事 佐藤 英道君

      秋本 真利君    大塚 高司君

      大西 英男君    鬼木  誠君

      加藤 鮎子君    金子 恭之君

      神谷  昇君    神田 憲次君

      木内  均君    工藤 彰三君

      小島 敏文君    佐田玄一郎君

      鈴木 憲和君    田所 嘉徳君

      津島  淳君    中谷 真一君

      中村 裕之君    根本 幸典君

      橋本 英教君    藤井比早之君

      古川  康君    堀井  学君

      望月 義夫君    荒井  聰君

      黒岩 宇洋君    小宮山泰子君

      玉木雄一郎君    福田 昭夫君

      松原  仁君    水戸 将史君

      村岡 敏英君    横山 博幸君

      伊佐 進一君    北側 一雄君

      中川 康洋君    清水 忠史君

      宮本 岳志君    本村 伸子君

      椎木  保君    野間  健君

    …………………………………

   国土交通大臣       石井 啓一君

   国土交通副大臣      田中 良生君

   国土交通副大臣      末松 信介君

   国土交通大臣政務官    藤井比早之君

   国土交通大臣政務官    根本 幸典君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  槌道 明宏君

   政府参考人

   (内閣官房日本経済再生総合事務局次長)      宇野 雅夫君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           刀禰 俊哉君

   政府参考人

   (財務省大臣官房長)   岡本 薫明君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    佐川 宣寿君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   中尾  睦君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 吉田 光市君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官)            東井 芳隆君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         谷脇  暁君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  栗田 卓也君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        山田 邦博君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  石川 雄一君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  奥田 哲也君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 藤井 直樹君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  菊地身智雄君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  佐藤 善信君

   政府参考人

   (国土交通省航空局安全部長)           高野  滋君

   政府参考人

   (国土交通省国際統括官) 奈良平博史君

   政府参考人

   (観光庁長官)      田村明比古君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    中島  敏君

   国土交通委員会専門員   伊藤 和子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十一日

 辞任         補欠選任

  前田 一男君     神田 憲次君

  水戸 将史君     玉木雄一郎君

  村岡 敏英君     福田 昭夫君

  清水 忠史君     宮本 岳志君

同日

 辞任         補欠選任

  神田 憲次君     鬼木  誠君

  玉木雄一郎君     水戸 将史君

  福田 昭夫君     村岡 敏英君

  宮本 岳志君     清水 忠史君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     前田 一男君

    ―――――――――――――

四月二十日

 道路運送車両法の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)

同月二十一日

 ライドシェア(白タク)の合法化に反対し、交通の安全・安心を守ることに関する請願(吉川元君紹介)(第八二三号)

 同(古川元久君紹介)(第八四一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 道路運送車両法の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

西銘委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長吉田光市君、大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官東井芳隆君、土地・建設産業局長谷脇暁君、都市局長栗田卓也君、水管理・国土保全局長山田邦博君、道路局長石川雄一君、鉄道局長奥田哲也君、自動車局長藤井直樹君、港湾局長菊地身智雄君、航空局長佐藤善信君、航空局安全部長高野滋君、国際統括官奈良平博史君、観光庁長官田村明比古君、海上保安庁長官中島敏君、内閣官房内閣審議官槌道明宏君、日本経済再生総合事務局次長宇野雅夫君、内閣府規制改革推進室次長刀禰俊哉君、財務省大臣官房長岡本薫明君、理財局長佐川宣寿君及び理財局次長中尾睦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西銘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西銘委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮内秀樹君。

宮内委員 おはようございます。本日のトップバッター、自由民主党の宮内秀樹でございます。

 気合いを入れてやりますので、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。

 きょうは、二つのことについて御質問をしたいというふうに思います。その一つは、貸し切りバスの下限運賃の問題、それからもう一つは、社会資本整備交付金の問題、この二点について御質問をしたいと思います。ちょっと欲張りしていっぱい質問していますので、簡単に答えてどんどん行っていただけたらありがたいというふうに思います。

 昨年のスキーバス事故の教訓は大変なものがあって、我々は、大変深刻に悩んで、もうあのような事故を起こしてはいけないということで、法律改正を含め、検討の上、結論を出したわけでありますので、このことが実体社会の中でちゃんと反映されるということが必要なことでありますし、そのことに向かって、我々は、なお引き続きしっかりとチェックをしていかなければいけないというふうに思っております。

 今回のスキーバス事故の教訓は、しっかりルールを守ってください、ルールを守らない人はその市場から退場してくださいというのが私は大きな方向の結論だったというふうに思います。

 ところが、このスキーバス事故のときに問題になった下限運賃割れのことについてですが、この実態がどうも、現在のところは全然解消されていないんじゃないか、こういう危機感に基づくところの御質問でございます。

 資料をお渡ししておりますけれども、一枚目の資料、ちょっと、少ないノリ弁当みたいになっていますけれども、これは、実は私の友人のバス会社の方が勇気を持って提供していただいた資料でございます。この発信元というのが旅行会社でございまして、送信先がバス会社であります。このバス会社から貸していただいたといいますか、いただいた資料でございまして、旅行会社からバス会社に対する、バスの予約といいますか、契約についての文書でございます。

 これは、博多港のクルーズ船の訪日旅行客がやはり相変わらずふえておりまして、毎日のように着いております。それを、大型のクルーズ船でありますから、百台ぐらいのバスが着くようなことが毎日のように行われておりまして、貸し切りバスはその博多港に集まるわけでありますけれども、ここの仕事をしているバス会社であります。

 一番下の欄のところを見ていただくと、料金が六万円になっています、毎日六万円。それから、税込みで回送なしということになっておりまして、こういう書類が来て、わかりました、やりますといって送信を返して、それで契約になってやっておるというようなことでございますけれども、この六万円というのが、どうも下限割れ運賃になっているんじゃないかなということでございまして、この下限割れ運賃が当たり前になっている現状があれば大変深刻な状況だなというふうに思っていまして、質問をするわけであります。

 改めまして、貸し切りバスの下限運賃についての考え方と調査方法について、また違反に対するペナルティー、それらの現状についてお聞きしたいと思います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 軽井沢のスキーバス事故を踏まえまして、その対策の一環でございますけれども、貸し切りバスの下限運賃の遵守、これは非常に大事な遵守事項であろうと思っているところでございます。

 これについては、昨年の二月に、貸し切りバス事業者千三十五社に対してアンケートを行っております。この結果を見ますと、国に届け出た額の範囲内で運賃・料金を収受している、下限が割れていない貸し切りバス事業者の割合というのは、二十六年四月に新運賃・料金制度が開始されたその前後で見ますと、一八%から八〇%に増加を見せている。ただ、逆に、二割はなお問題があるということだと認識をしております。

 これにつきましては、昨年八月に国土交通省に下限割れ運賃に関する通報窓口を設置いたしまして、昨年度末までに六十六件の通報を受け、これについて調査を進めているところでございます。

 なお、こういった下限割れ運賃で運行を行った事業者に対しては、車両停止の処分を科しております。この処分については、軽井沢のスキーバス事故を受けまして、昨年十二月に量定を引き上げました。具体的には、車一台二十日というのを六十日ということに、三倍にしたわけでございます。

 現時点において、新しい処分基準によって、事業者二社に対しまして処分を科しております。さらに、十七事業者に対して処分の手続を進めているところでございます。

宮内委員 やはり、事業者に聞いてみますと、通報窓口ができても取引の中の話はなかなか言いづらいということが当然あるんだというふうに思います。実態は、旅行会社から一方的にこういう書類が来まして、受けないと仕事がありませんよというようなことで、体力の少ない小さい事業者は、受けないと会社が潰れてしまうというような現状もやはり一方であるということであると思います。

 また、福岡においては、貸し切りバスのクルーズ船対応の実態がほかの旅行関係のバスの料金についても市場価格をつくっているというような状況があると思いますので、やはりもう少し踏み込んで調査なりあるいは指導なりをしていかなければ、万が一のことが起こるんじゃないかという心配であります。

 そこで、バス会社の取り締まりだけで下限運賃を守らせることができるのかという観点でございます。きのうも、NHKのニュースとか朝日新聞にランドオペレーターの脱税事件みたいなことが出ておりましたので、これは、もう少し踏み込んでチェックしていかないと、とんでもないことになるような気がしてなりません。

 そこで、旅行会社やランドオペレーターに対するチェックの必要性とその方法についてお聞かせいただきたいと思います。

田村政府参考人 旅行の安全、公正な取引の確保等のために、旅行会社やランドオペレーターが、貸し切りバスの運賃規制など、他の関係法令を遵守するということは非常に重要であります。

 このため、観光庁におきましても、昨年の軽井沢スキーバス事故を受けまして、旅行の安全確保策の一環として、旅行会社に対しまして監査等を行ったわけでございます。その結果として、昨年度末までの間に十社が下限割れ運賃での契約にかかわっていたことが判明して、それを理由に、これらの適正化を図るために行政処分を実施したところでございます。

 また、この事故におきましては、下限割れ運賃での貸し切りバス手配にランドオペレーターが関与していたことも判明しました。

 このため、本通常国会に提出しております旅行業法の一部改正法案におきまして、現在は無規制のランドオペレーターに対しまして、登録制の創設、営業所への管理者の選任義務を課すとともに、旅行業者、ランドオペレーターの双方に対しまして、下限割れ運賃による手配を禁止行為として法令上明示いたします。それから、契約の書面交付の義務づけでございますとか、研修受講義務の創設でございますとか、いろいろな措置を講ずることといたしております。

 この法案が御審議をいただいて成立した場合には、これらの新たな取り組みや行政処分等を強力に推し進めることによりまして、さらなる旅行の安全確保、取引の公正化を図ってまいりたいと考えております。

宮内委員 いずれにいたしましても、民間の取引に公が関与するというのはなかなか難しいわけでありますけれども、下限運賃ぐらいは守ってもらいましょうよ、ルールを守らない人は退場してもらいましょうというのが我々の今回の哲学でありますから、しっかり自動車局とそれから観光庁さんに対応していただきたいというふうに思っております。

 また、今回こうやって資料を提供してきた方に対しましても、私は、博多港におけるクルーズ船対応についての心配があります。

 そこで、下限運賃の遵守やルールの違反が大変心配であるわけであります。事故が起きてからでは遅いわけでありますので、私としては、ぜひ一斉の調査をやっていただきたいと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 インバウンド観光の急速な拡大の中で、クルーズ船で来日した外国人観光客が周辺の観光に貸し切りバスを利用する、こういったケースも急増しているところでございます。こういった観点からも、クルーズに関するものとして、貸し切りバス事業の安全、安心の確保は非常に重要な課題であると考えております。

 御提案のありました調査につきましては、こういった貸し切りバスの運送実態を把握し、的確な対策を講ずるために効果的な施策であると考えております。今後、観光庁とも連携して、速やかに実施方法等について検討を進めてまいりたいと考えております。

宮内委員 ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。

 それでは、二つ目でございますけれども、社会資本整備交付金の件でございます。

 この交付金は、地方公共団体にとって自由度が高くて、創意工夫を生かせるということでつくられたわけでありますけれども、どうもこの交付金の配分が大変低い状況になっておって、まさに、二枚目の資料をごらんになっていただけたらと思いますけれども、要望額に対して配分額が本当に低いんですね。平成二十八年は、何と合計でも五四・五%、要望に対して五四・五%しか配分ができていないということが実態でございます。

 これは、国として優先的に取り組むべき政策が現実には現場で生きていないということだというふうに私は思っておりまして、まさに、地方公共団体においても、目標を定めてそれがしっかりと現実化していないという状況、この実態があるというふうに思っております。

 そもそも予算総額は余り変わりがないのに、その事業事業が個別に現場ではなかなか進んでいないということでございます。これについての認識及び受けとめ方についてお聞かせいただきたいと思います。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 社会資本整備総合交付金は、地方にとって自由度が高く、創意工夫を生かせる総合的な交付金として、平成二十二年度に創設されたものでございます。具体的には、地方公共団体が作成した整備計画に対しまして国が配分を行い、計画内の各事業については各地方公共団体が自由に配分することができる、このような制度となってございます。

 一方、委員御指摘のように、優先的に取り組むべき事業にきちんと交付金が充てられていないのではないか、こういった御指摘もいただくわけでございます。

 そこで、平成二十八年度からは、国として重点的に取り組むべきと考える事業、例えば空港へのアクセス道路ですとか、長寿命化計画を踏まえた老朽化対策、こういったものをあらかじめ明示いたしまして、地方公共団体と認識を共通にした上で、こういった事業については重点的に配分を行う取り組みを開始したところでございます。また、今年度からは、この取り組みを本格化させることとしてございます。

 このような取り組みを通じまして、優先的に取り組むべき課題に着実に対応できるように努めてまいりたいと考えてございます。

宮内委員 今、官房長から御答弁いただきましたけれども、まだまだその種類というのは少ないし、量も少ないわけであります。

 そもそも、こんなに措置率が低い状況になっているのはどうしてなんだというようなことを私も考えます。恐らく、地方公共団体が要望を取りまとめるに当たって、従来の補助金の制度のときは、一つ一つの事業について、国の方が、国の政策の方針に合うかどうかということでチェックしていた、チェック機能が働いていたんじゃないかと思いますが、それが結果的にとれちゃったことで、要望がどんどんどんどんふえちゃっているということが背景にあるんだと思うんですね。

 ですから、一つ一つのことについて、はい、わかりました、やりましょうということで要望がふえたら、その要望に対して、それが実現するまでには大変な金額が必要になってきている。一方で、予算がふえるような状況がないということが、こういうことをどんどんどんどん毎年毎年助長しているということに結果的になっているんだと思います。

 例えば連立立体交差事業なんかを考えたときに、なかなか新規に連立立体事業は従来は認めてくれなかったのが、今、かなり要望が多くなってきて、それが認められてくるという状況になっている。一つ一つはかなり予算規模が必要になるものですから、なかなか進まない。措置率が一五%とか、そんなようなことも全国にいっぱいあるようなことになっているんだというふうに私は思います。

 ですから、私は、やはり一つ一つの事業が必要かどうかというチェック、それから、これが必要だと思ったら、なるべく早く速やかにつくっていくというのがインフラについての必要な考え方だというふうに思います。

 そこで、なぜこのようなことが起こっているのかということとか、これらの事業を提出する際にBバイCなんかのチェックをもっともっと厳しくする必要があるのではないかと私は思いますが、その点についての考え方を聞かせてください。

吉田政府参考人 地方公共団体からの要望額に対します予算措置の割合、いわゆる要望措置率は、委員御指摘のとおり、ここ数年ずっと低下してきてございます。これも委員御指摘のとおりでございますけれども、交付金に対する地方公共団体からの要望額がどんどんどんどん膨らんできている、これが基本的な要因だというふうに考えてございます。

 ただ、足元、平成二十九年度を見ますと、ここ数年来で初めてこの要望額が減少してございます。結果として、要望措置率も、二十八年度の五四・五%から五七・二%、若干ではございますが上昇してございます。これは、昨年、二十八年度は、久々に大きな補正予算、二次補正予算がございまして、一定程度地域の課題に応えられる、交付金の方も四千百億ほど増加することができました。

 これによりますのと、もう一つは、先ほど申し上げましたように、計画を重点化してきてございますので、そういった効果もあるのかなというふうに思ってございます。

 さらに、委員御指摘のBバイCを導入すべきではないかということでございますが、現行では、この交付金事業の性格から、BバイC等の事業評価の対象外となっているわけでございますけれども、交付金事業の効率性等を明らかにする観点からこれを導入すべしといった各方面からの御指摘も踏まえまして、平成二十九年度、本年度からは、一定の新規事業については、原則としてBバイCの算出を支援の要件としたところでございます。これによって、計画もより締まったものになることを私どもも期待しているところでございます。

 引き続き交付金事業の効率化に努めてまいりたいと考えてございます。

宮内委員 そこで、私は、社会資本のつくり方として、地方公共団体に自由度を高くして、創意工夫をしてくださいということで、うまくいっているような内容の事業もあると思いますが、あるいは、国が法律をつくるなり方向性をつくる中で、国として進めなければいけないというような性質のインフラ事業も結構あると思うんですね。そこをもう少しすみ分けをして、社会資本総合交付金でやったらいい事業と、それから、もう一回、国の方がしっかり政策を実現できるというような項目については補助事業にして、それで進めていくというような、そういうバランスをしっかりとってやっていくことが私は必要なんじゃないかというふうに思っております。

 それを、両方、地方公共団体でやる場合は地方公共団体がしっかり責任を持ってやってください、国がやるものは国がしっかり責任を持ってやりますというふうなことで考えた方がいいんじゃないかと私は思うんですね。

 そこで、一つ、昨年も議員立法で、委員会の皆さん方に大変お世話になりましたけれども、無電柱化事業というのを法律としてつくらせていただいたわけであります。これは、今、社会資本総合交付金の世界で対応するということになっております。

 三枚目の資料を見ていただいたらと思うんですけれども、無電柱化事業というのは、ずっと六十一年から進めておりますけれども、毎年この事業は延長が長かったんですけれども、社会資本総合交付金の世界になってからはぐっと落ちているわけであります。

 ですから、やはり社会資本総合交付金の世界でこのような無電柱化事業をやった場合には、私は、結果的に、なかなか具体的に進まないんじゃないかなというふうな気がしておりまして、法律もつくって国として進めましょうということになった事業は補助事業として別建てして、そこでちゃんと決められた予算額についてしっかりと事業が進んでいくようなことをつくるべきじゃないかと私は思います。

 最後の質問でありますが、無電柱化事業などは個別の補助事業化すべきではないか、このことについてお考えを聞かせてください。

田中副大臣 交付金でありますが、これは、地方にとっては自由度が高くて、創意工夫を生かせる制度として、一定の評価を受けているものと認識はしておりますが、交付金事業によって、より効果的、効率的な執行を図っていくということが重要であります。

 その中で、平成二十八年度より、先ほども申し上げましたが、港湾、空港、高速道路のアクセス道の整備ですとか、緊急輸送道路における無電柱化、そしてまたPPP、PFI活用による下水道施設の整備、またインフラの老朽化対策、こうしたものに関しては、国として重点的に取り組む事業として予算の重点配分を行っているところであります。

 いずれにいたしましても、予算が限られる中、委員御指摘のように、国の重要な政策に対する事業が着実に進むように、また地域の抱える課題に対して適切に支援が行えるように、公共事業の予算の効率的、効果的な執行にしっかりと努めてまいりたいと思います。

宮内委員 ぜひ、補助事業化につきましてもしっかり御検討いただけたらありがたいと思います。

 どうもありがとうございました。それでは、二番バッターにバトンをお渡ししたいと思います。

西銘委員長 次に、中川康洋君。

中川(康)委員 おはようございます。

 二番バッターの公明党の中川康洋でございます。しっかりと三番バッターにつながるよう、つなげていいのかどうか、ちょっとよくわからないですけれども、頑張ってまいりたいと思っております。

 きょうは、三問質問をさせていただきたいと思っております。

 一つ目は、四日市港の今後の政策課題について、二点ほどお伺いをいたします。

 一つ目は、クルーズ船寄港促進に向けた四日市港の港湾機能の向上について伺います。

 私は地元が三重県四日市市でございますが、これまではどちらかというと工業港のイメージが強かったこの四日市港に、平成三十年、来年ですが、二隻の外国客船が初めて寄港することになりました。これは、官民で結成する四日市港客船誘致協議会の活動が実ったものでございまして、乗船客らは伊勢神宮を初め県内の観光地を周遊するために、今後の三重の観光振興にも寄与すると大変に期待をされているところでございます。

 この二隻はイタリア船籍のコスタ・ネオロマンチカとイギリス船籍のダイヤモンド・プリンセスで、ネオロマンチカは来年一月二日に寄港し、伊勢神宮の初詣でや伊勢志摩への観光プランを、また、ダイヤモンド・プリンセスは、六月から十一月に計五回寄港し、伊勢や伊賀への観光ツアーを行うということでございます。

 ちなみに、このダイヤモンド・プリンセスについては、昨日、横浜港において開催された二〇一七日本発着クルーズ就航記念イベントにおいて、その寄港日程が発表されたばかりでございます。

 このクルーズ船の寄港については、四日市港が、三重県内の観光を初め、実は京都や奈良へも最も近い、利便性の高い港であるために、今後はさらに大型のクルーズ船が寄港することが想定されるわけでございますが、残念ながら、実は、三百メーターを超える客船は、今の四日市港の岸壁では受け入れることができません。ちなみに、このダイヤモンド・プリンセスは、全長が二百九十メーターでございます。

 そこで、私は、この四日市港については、現場の声にも対応しながら、今から、クルーズ船の大型化に対応した岸壁など、施設整備を計画的かつ着実に進めていく必要があるかと思いますが、国交省の御見解をお伺いしたいと思います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 四日市港におきましては、これまで、日本船社が運航する最大五万トン級のクルーズ船が寄港しておりまして、昨年の寄港実績は五回、本年は八回の寄港が見込まれております。

 一方、ただいま委員の方からもお話がございましたとおり、地元関係者の熱心な誘致活動の成果もございまして、来年一月には五万トン級のコスタ・ネオロマンチカの初寄港が決定しておりまして、さらに、先ほどもお話しのとおり、プリンセス・クルーズが運航する十一万トン級のダイヤモンド・プリンセスにつきましても、昨日、四日市港に来年六月から十一月にかけまして五回の寄港が発表されたところであります。

 四日市港におきましては、現在、クルーズ船のさらなる寄港促進を図るため、港湾管理者である四日市港管理組合におきまして、十一万トン級を超える超大型のクルーズ船受け入れに対応するための具体的な方策について、検討が進められているというふうに伺っております。

 国土交通省といたしましては、四日市港管理組合の検討結果を伺いながら、寄港需要も踏まえつつ、四日市港における超大型クルーズ船の受け入れ環境整備について、しっかりと検討してまいりたいと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 今、局長からは、しっかりと検討してまいりたいというお言葉をいただいたところでございます。今、現場で検討を進めておるところだと思いますが、そこに向けて今の局長のお言葉をいただくと、さらに現場に弾みがつくのではないか、こんなふうに感じておりますし、既に三百メーターを超える大型客船の問い合わせ等も来ているやに伺っております。やはり、今から計画をし、着実に整備を進めていくこと、これが非常に重要かと思いますので、またさまざま御指導を賜りながら、よろしくお願いできればというふうに思っております。

 もう一点、四日市港の今後の海岸保全施設の整備についてお伺いをいたします。特に、耐震、耐津波、高潮対策の海岸保全施設、ここについての状況をお伺いいたします。

 三重県が実施した地震被害想定調査によれば、理論上最大クラスの南海トラフ地震が発生した場合、実は、三重県では五万三千人の死者が発生する、このような想定がされているところでございます。このような中、県下最大の都市であります四日市港の背後地域においても、一部地域が津波による浸水域となるというふうに想定されておりまして、住民生活や企業活動の安全確保が喫緊の課題でございます。

 また、四日市港の臨海部には我が国有数の石油化学コンビナートが立地しておりまして、火力発電所や製油所から背後圏に、例えば電力でありますとか燃油等を供給するエネルギーの一大拠点としての役割を担うとともに、原油精製によって得られたナフサ等の原材料を使った高度な基礎素材、さらには部材の供給拠点にもなっているのがこの四日市港でございます。

 このような中、南海トラフ地震など大規模地震に伴う津波被害により、例えばエネルギー供給の断絶や機能低下が起こった場合、市民生活への影響が出ることが懸念されるとともに、基礎素材や部材の供給が滞ることによりまして、我が国の経済活動とか産業活動、ここに大きな影響が出ることは必至でございます。

 このため、やはり重点的な事前防災・減災対策として、コンビナートを守る四日市港の海岸保全施設の耐震、耐津波化は早急な対応が私は必要であるというふうにも思っておりますが、こうした取り組みを円滑に進めていくためには多くの事業費や高度な技術力を要するために、私は、この四日市港、とりわけ四日市港管理組合が管理する海岸保全施設の整備については、今後、国による直轄事業として整備を検討していただきたい、このように思うわけでございますが、この部分についての国交省の御見解を賜りたいと思います。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 四日市市の住民の皆様の安全、安心を確保するとともに、コンビナートを中心として、四日市港を中心とする経済活動を維持していくという観点から、四日市港における地震、津波あるいは高潮への対策を推進していくことは、大変重要な課題であると認識しております。

 このため、現在、海岸管理者であります四日市港管理組合が、防災・安全交付金によりまして、海岸事業として、護岸あるいは樋門の液状化対策を実施しているところでございます。

 委員御指摘の海岸事業の直轄事業化でございますが、これにつきましては、海岸法の規定に基づきまして、事業の必要性、緊急性に加えまして、工事の規模が著しく大であること、工事が高度の技術を必要とすること等の要件を満たすことが必要となります。現在、四日市港管理組合におきましては、防護範囲、概略の改良断面、あるいは事業規模や技術的難易度等につきまして、総合的な検討を行っていると聞いております。

 国土交通省といたしましては、四日市港管理組合が行っている検討の結果も踏まえながら、今後の当該地域の海岸整備につきまして検討を進めてまいりたいと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございます。

 私は四日市で生まれ育った一人でありますけれども、やはりこの四日市のコンビナートは、燃油でありますとか、こういったエネルギーの全国への一大供給拠点であります。さらには、石油精製をする中で出るナフサ等、こういったものが基礎素材とか部材として全国に提供されている。こういった状況を考えると、やはりここの部分をどう守っていくのか、これは非常に重要な課題であるわけです。

 しかし、四日市港というのは、非常に歴史が古くて、いわゆる長寿命化しているというか、老朽化しているような護岸とか岸壁が多いわけです。

 加えて、きょうは四日市港管理組合が管理する岸壁についてお話をしたわけですが、例えば、その岸壁の一帯を見ると、三重県が管理している、市町村が管理している、さらには民有護岸があるという、非常に入り組んだ管理の中で護岸がつながっているという状況があるわけですね。

 その部分を本当は一体的に整備をしたいわけですが、まずは、管理組合が管理する、そこを、これは非常に大きなお金がかかりますし、高度な技術も要するという中で、さまざま課題はあるというか、今お話しいただいたように条件は当然あるかと思うんですが、現場との御協議をしっかりしていただきながら、私は、将来的には直轄で進めていただくこと、これが、市民生活を守ることにもなるんですが、やはり我が国の経済活動、いざというときにそれが滞らないような状況をつくり上げる、そこにつながるのではないかなというふうにも思いましたので、今回、この質問をさせていただいたわけでございます。

 非常に丁寧な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 続きまして、大きな二点目に伺います。市町村が実施する災害復旧事業への今後の支援のあり方についてお伺いをいたします。

 今般、やはり我が国においても、多くの災害が頻発をしている状況でございます。そこにどう対応していくのか、この観点からの御質問でございます。

 今の基礎自治体、市町村、特に小規模の市町村では、職員数が年々減少しており、特に災害復旧を担う技術系の職員の数は大きく減少しております。また、過去十年の間に災害復旧事業を経験したことがない市町村、これは実は約四分の一に上りまして、特に小規模市町村では、災害経験の蓄積が既に困難な状況になっている自治体がございます。

 さらに、これまでの岩手県岩泉町や熊本県の御船町のように、被災町村では、少人数の職員が、災害査定など、ふだんは経験しない膨大な業務量を実施する必要があり、市町村、特に小規模市町村は、大規模災害時に非常に厳しい状況に置かれているのが現状としてございます。

 そのような中、国交省は、このような状況に対して、例えば、TEC―FORCEの派遣など被災直後の初動対応での支援や、また、先日、私も当委員会で取り上げさせていただきました大規模災害時の災害査定の効率化及び事前ルール化など、災害復旧段階での支援を行っていただいております。

 私は、今後のさらなる支援、特に技術系職員の少ない小規模市町村への支援の形として、例えば公共土木施設の被害報告や査定設計書の作成、さらにはその後の災害査定の申請など、現状では被災した市町村の業務として位置づけられている一連の災害復旧事業を市町村にかわって行うことができる仕組み、これを整備することの必要性があるのではないかというふうにも思っておりますが、いかがでしょうか。

 市町村の、特に小規模市町村が実施する災害復旧事業を支援する仕組みの必要性について、国交省の御見解をお伺いしたいと思います。

山田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、大規模な災害におきましては、TEC―FORCEの派遣ですとか、災害査定の効率化それから事前ルール化など、被災市町村の一日も早い復旧に向けまして支援をしてきたところでございます。

 これらと並行いたしまして、熊本地震、あるいは昨年八月の一連の台風によります北海道・東北豪雨などの大規模災害の発生を受けまして、市町村へのさらなる支援のあり方につきまして、有識者懇談会を設置して有識者や被災自治体の関係者から御意見を伺い、三月十七日に提言をいただいたところでございます。

 具体には、今後行うべき支援といたしまして、研修、訓練の充実等によりますTEC―FORCEのさらなる強化や、先生言っておられましたが、市町村が実施いたします災害復旧事業の設計書作成や監督、検査等の一連の災害対応につきまして、民間事業者がパッケージで支援できる仕組みの検討等が必要との提言をいただいているところでございます。

 これらを踏まえまして、市町村の体制等に関する厳しい状況を少しでも改善できるよう、支援に向けた取り組みを検討してまいりたいと思っております。

 今後も、国土交通省では、被災市町村ができる限り早期に復旧できるよう、全力で支援を行ってまいります。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 三月十七日に提言をいただいたというところでの、そのお話の内容、まさしく私が懸念していたところに対する、そのお答えが一つあったのかなというふうにも思っております。

 今、国は、被災直後の初動対応については、本当にTEC―FORCE等を中心に一気に行っていただいている。初動態勢は非常に大きな成果を上げているわけです。そして、復旧を具体的にどう進めていくか、ここにおいても、この前の事前ルール化等を含めて、やはり国の支援というのがしっかりと充てられている。

 しかし、実は、真ん中の災害査定の調査とか査定設計書の作成とか、さらには申請、ここは、今でもやはり市町村がやるべき事業として残っているわけなんですね。

 しかし、現場を見ますと、私も現場をよく歩いていろいろと話をするんですけれども、やはり今、技術系の職員が本当に減っている状況が市町村等において見られる。そうすると、いざ災害が起きたときにどう動くのかというところに対して不安を感じている市町村もあるわけでございます。

 そこに対して、今のお話によりますと、査定、申請等の一連の災害対応、この段階において、パッケージで、民間等も活用しながらの支援ができるのではないか、こういったお話をいただいたところでございますので、ここを具体的にどう進めていくのか、これをさらに国交省の中で御検討いただき、関係機関とも協議を進めながら、実現の方向でまたよろしくお願いしたいというふうにも思っております。

 最後、海上保安庁に御質問をいたします。

 私は、先日、海上保安庁に、尖閣の領海体制の強化とか、また、大規模事案の同時発生に対する対応、こういったものをお伺いしましたが、きょうは、特にアジア太平洋諸国との連携、パートナーシップ、こういった観点で質問をさせていただきたいと思っております。

 海上保安庁は、二〇〇〇年以降、海賊対策の一環として、東南アジアを中心とする海域沿岸国へ巡視船や航空機を派遣し、アジア各国との情報交換や海賊対処などの共同訓練を行っていただいております。

 具体的には、昨年一月には、チェンナイ沖にてインド沿岸警備隊との連携訓練、また、昨年四月には、ベトナムのダナン港に寄港し、ベトナム海上警察との海賊対策、さらには海難の対応訓練、こういったものを行い、実践的な対処能力を高め、また、相互協力を深めていただいております。

 さらには、長官級の会議においても、各機関との連携の維持発展を目的に、例えば、インドとの海上保安機関長官級の会合や、さらにはアジア海上保安機関の長官級の会合、こういったものを毎年開催していただいております。

 私は、このアジア太平洋地域の海域を取り巻く情勢が近年さらに厳しさを増す中で、開かれ、安定した海洋の維持発展を目的とするこれらの合同訓練や会合は、国家安全保障戦略上、極めて重要であるというふうにも考えております。

 そこで伺いますが、このアジア太平洋地域の海上保安体制の強化に向けた海上保安庁とアジア各国の海上保安機関とのさらなる連携とその戦略について、海上保安庁のお考えをお伺いしたいと思います。

中島政府参考人 お答えいたします。

 近年、アジア諸国では、海上法執行機関が相次いで設立されていることや、東シナ海、南シナ海を初め、海洋安全保障環境の変化に伴い、海上法執行機関の重要性がますます高まっていることから、他国海上保安機関との連携は必要不可欠であると考えております。

 海上保安庁は、二〇〇四年を第一回とする、アジアの十九カ国、一地域の海上保安機関のトップが一堂に会するアジア海上保安機関長官級会合を主導し、アジア諸国の海上保安機関との信頼関係を築いております。

 また、御指摘のように、二〇〇〇年以降、海賊対策の一環として、東南アジアを中心とする海域沿岸国へ巡視船、航空機を派遣し、関係機関との情報交換、海賊対策に関する研修や洋上での連携訓練等を積み重ねてまいりました。

 さらに、二〇一五年十月からでありますが、法の支配に基づく海洋秩序の強化に向けた各国の連携協力さらには認識共有醸成のため、修士レベルの教育を行う海上保安政策課程を実施しております。

 今後の取り組みにつきましては、これまで同様、国際協力の継続実施に加えまして、このたび、他国海上保安機関との信頼関係のさらなる深化及び技術指導等の支援要請の質的、量的増加に適切に対応することを目的に、他国海上保安機関に対する能力向上支援の専従部門を立ち上げることとしております。

 これらの取り組みを通じまして、我が国のみならず、アジア太平洋地域における海上の安全を確保するため、アジア地域における海上法執行能力向上に貢献してまいりたいと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 前回に引き続き海上保安庁に御質問させていただいたわけですが、私は、アジア太平洋地域を取り巻く情勢、この厳しさを感じると、やはり海上保安庁の役割というのは非常に大きいと思っております。

 しかし、一国では守り切ることができない。そこを、やはり連携を図りながら、さらには信頼を深めながら、さまざまな体制をとり、また対話を進めていくこと、これが非常に大事であり、その中において我が国の海上保安庁がしっかりとリーダーシップを図っていく、ここの必要性が私はあるというふうに思いますので、このことを取り上げさせていただきました。

 以上で公明党の質問を終わらせていただきます。大変にありがとうございました。

西銘委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民進党の福田昭夫でございます。

 本日は、国交委員会の皆さんの御配慮をいただきまして質問の時間をいただいたこと、感謝を申し上げます。

 一般質疑ということなので、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律と思川開発事業の問題点について政府の考えをただしてまいりますので、簡潔にお答えいただきたいと思います。この問題については、昨年から国交省の考えを伺っておりますが、なかなか考えを変えないようでありますので、今回、また質問をさせていただきます。

 まず、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の問題点についてであります。

 一つ目は、JR北海道の路線見直し方針への対応についてであります。

 国鉄の民営化から三十年、JR北海道は、年間千五百億円の費用がかかる会社でありながら、収入は一千億円しか見込まれず、どう頑張っても年間五百億円の赤字が出る会社としてスタートいたしました。

 そのJR北海道は、このたび、全路線二千五百五十二・〇キロメートルのうち千二百三十七・二キロメートル、約半分の見直しを、半減の見直し方針を発表いたしました。廃止が五区間、地元の維持負担が必要が八区間です。

 この方針を大臣はどう思われますか。

石井国務大臣 JR北海道におきましては、地域における人口減少やマイカー等の他の交通手段の発達に伴いまして、路線によりましては、輸送人数が大きく減少し、鉄道の特性を発揮しづらい路線が増加している厳しい状況に置かれていると認識をしております。

 国といたしましても、これまで、JR北海道に対しまして、経営安定基金の運用益の下支え、経営安定基金の実質的な積み増し、設備投資に対する助成や無利子貸し付けなど、累次にわたる支援を行ってきたところでありますが、今後、地域における持続可能な交通体系を構築していくために、関係者において速やかに協議を始めていただく必要があると考えております。

 国といたしましても、北海道庁と連携をいたしながら、これらの協議に参画をし、地域における持続可能な交通体系の構築に向けた対応につきまして検討してまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 JRは、五区間は廃止とバス転換、八区間は上下分離方式を提案しています。政府は大きな課題を提案されたと思いますので、これは時間の関係で深くは質問しませんが、ぜひ真剣に取り組んでいただきたいと思います。

 二つ目でありますが、二つ目は、鉄道事業再構築事業についてであります。

 資料の一をごらんいただきたいと思いますが、これは、地域公共交通特定事業の一つ、鉄道事業再構築事業の一覧であります。

 事業内容を見ると、重要な資産の譲渡等による路線の維持と、それから、上下分離等による路線の維持と、二通りあるようでありますが、それぞれ、資産をどのように譲渡したのか、有償なのか無償なのか、また、経理はどのようにしているのか、特別会計でやっているのか一般会計でやっているのか、あるいは減価償却は見込んでいるのか見込んでいないのかなどをぜひ教えていただきたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 鉄道事業再構築事業につきましては、現在、八事業が実施をされております。

 この鉄道事業再構築事業の類型でございますが、鉄道事業法に基づく事業の種類に応じて整理をいたしますと、第二種鉄道事業者と第三種鉄道事業者に分かれて事業を行ういわゆる上下分離という類型、それから、従来どおり第一種鉄道事業者という形態のままで鉄道用地や鉄道施設の一部を譲渡する、重要な資産の譲渡という類型の、大きく二つに分けられます。

 まず、上下分離の類型に当たりますものは五事業ございまして、このうち四事業につきましては、鉄道事業者が地方公共団体に鉄道施設や鉄道用地を無償で譲渡し、これを無償で借り受けており、一事業につきましては、第一種鉄道事業者であった第三セクターが第三種鉄道事業者となり、民間の第二種鉄道事業者に有償で貸し付けていると承知をいたしております。

 また、重要な資産の譲渡の類型に当たるものは三事業ありまして、このうち、二事業につきましては、鉄道事業者が地方公共団体に鉄道用地や鉄道施設を無償で譲渡し、一事業につきましては、鉄道事業者が地方公共団体に鉄道用地を有償で譲渡いたしておりまして、いずれの場合も、これらを無償で借り受けていると承知をいたしております。

 なお、いわゆる公設民営の方式につきましては、自治体の方は全て公共事業方式で対応しているというふうに承知をいたしておりますので、その部分については減価償却は行われていないということであります。

 なお、区分経理もしくはそのための会計を設けているかということについては、済みません、ちょっと今、手元に資料がございませんが、例えば、この中で申し上げますと、資料の二十六年度、三種、四日市市は、一般会計の予算書の中に、鉄道事業のために支出した費目及び経費を明記しているというふうに承知をいたしております。

福田(昭)委員 それでは次に、三つ目でありますが、資料の二をごらんいただきたいと思います。

 これは、地域公共交通特定事業の一つ、軌道運送高度化事業の一覧です。富山、札幌、芳賀・宇都宮と、宇都宮の場合はまだこれからであります、実施されておりませんが、三事業がありますが、補助率のよさに驚くばかりであります。自治体によってそれぞれ考え方が違うようなので、それぞれ事業ごとに条例を制定しているのか、特別会計を設置して減価償却費を計上しているかについて教えてください。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 三事業につきましては、まず、札幌市については、これは地方公営企業としての運営かというふうに承知をいたしております。それから、富山と宇都宮の例でございますが、これは公共事業方式でやっておりますが、たしか富山市も宇都宮市も、特別会計を設ける予定、ただし、その特別会計というのは公共事業方式のもとでの特別会計でありますので、減価償却等は計上されないというふうに承知をいたしております。

福田(昭)委員 それでは、富山と宇都宮については特別会計を設けるということであれば、例えば、新たに市道を整備してそこに軌道を走らせる、あるいは、都市計画決定をして今までの道路を拡張して、そこを整備する、そういう費用も全てこの特別会計に計上されますか。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと、その点につきましては御通告をいただいていなかったと思いますので、どういう費目、どういう額が計上されているかというのは、申しわけありません、今、手元に資料がございません。

福田(昭)委員 こんなものは通告しなくたってわかる話じゃないですか。どういうふうにして整備して、道路を拡張したときの費用は都市計画事業の補助金から出るかもしれないけれども、それも特別会計に入れなかったら、この高度化事業に幾らお金がかかったかわからないじゃないですか。そんなことを部長がわからないの。それはおかしい。ほかにわかる人いるの、いないの。では、後でしっかり答えてください、これは。

 委員長、済みません。

西銘委員長 質疑を続けてください。

福田(昭)委員 はい。

 ちゃんと後で答えるようにね。質疑が終わっちゃうので、後で私の部屋に答えに来るように言ってください。しようがないね、全く。これじゃ話にならないね。

 それでは、四つ目ですけれども、公設民営型上下分離方式の問題点、これは脱法行為についてであります。

 時間の関係で三点申し上げますが、第一点、公設民営方式は、特別会計の設置も減価償却費の計上も必要ないなど、公営企業方式より非合理的な運営が行われております。地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の目的は、持続可能な公共交通をつくることですから、当然のことながら、投資した経費の減価償却費を見込んでおくべきだと思いますが、いかがですか。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 自治体が実施いたします鉄道事業でありますとか軌道事業につきましては、地方公営企業法に基づく地方公営企業として実施をするか、一般会計で公共事業として実施をするか、双方の形態がございまして、いずれを選択するかは、自治体の判断によるものというふうに承知をいたしております。

 公共事業形態をとります事業につきましては、減価償却によって設備投資を費用化して料金収入等で賄う形をとることなく、一般会計からの拠出等により自治体が施設を適切に維持更新することにより、事業を持続可能なものにしているというふうに認識をいたしているところでございまして、将来にわたり、そのようなスキームの中で適切な対応が図られていくものというふうに考えております。

福田(昭)委員 それでは、第二点目でありますけれども、第二点目は、公設民営方式は地方公営企業法等の自治法制、公益企業は地方自治法、地方財政法、そして地方公営企業法の法律としての裏づけがありますが、しかし、今回の場合は、まさに公設民営方式は補助金が出て一般会計で事業をやることになっておりますけれども、それ以上の法的な明確な位置づけは与えられていないと思います。

 基本的に、条例を制定して、特別会計を設置して、減価償却費が計上されなければ、この地域活性化に関する法律にこうしたことは定められていないんですけれども、地方公営企業法に基づくような経営ができるように、この地域公共交通の活性化及び再生に関する法律も、一般会計であれば減価償却費は見込まなくていいんだというようなことではなくて、そこは自治体の判断だということではなくて、やはりしっかりそこも見込むような法律改正というか、そういうものが必要だと思うんですけれども、いかがですか。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 鉄道事業法に基づく第三種事業、もしくは地域公共交通活性化再生法に基づく鉄道事業再構築事業及び軌道整備事業につきましては、自治体が地方公営企業として実施する場合、または一般会計で公共事業として実施する場合、それぞれいずれも法で規定する事業に該当し得ると考えております。そういうような運用をしているところでございます。

福田(昭)委員 ですから、例えば、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づけば一般会計でやれると言うんですが、しかし、それが本当に持続可能なのかということですね。これは最後に大臣に聞きますけれども。

 民営方式は住民サービスと密接な関係があり、地方公共団体の負担が軽くないにもかかわらず、これからどんどん重くなるわけでありますが、公営企業に比べて議会の関与が弱いなど、住民による民主的統制がききにくいことがあります。やはり、条例を制定し、特別会計を設置して、減価償却を見込んで経理を明確にするとともに、議会や住民の皆さんのチェックがきくようにして、持続可能な公共交通を形成すべきだと思いますけれども、いかがですか。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 地域公共交通活性化再生法などに基づきまして上下分離を実施し、自治体が第三種鉄道事業者または軌道整備事業者となっている、いわゆる公設民営型上下分離方式を導入しているケースにつきましては、それぞれの自治体の判断により、地方公営企業として実施するのではなく、一般会計で公共事業として実施されているものというふうに承知をいたしております。

 したがいまして、これらの公共事業における施設の維持更新のための支出につきましては、ほかの一般的な公共事業と同様に、議会における予算審議の過程において適切なチェックがなされるものというふうに考えております。

 また、自治体によりましては、先ほども申し上げましたけれども、一般会計の予算書において鉄道の維持更新に係る費用を明示している事例もございます。さらに、自治体によりましては、鉄道の維持更新などに要する費用について、ホームページにおいて公表することにより、広く周知し、住民の理解を得る取り組みを行っている事例もございます。

 このような取り組みを通じまして、それぞれの自治体において、事業についての適切な情報開示がなされることにより、議会や住民に対する適切な説明がなされていくものというふうに考えております。

福田(昭)委員 それでは、最後に大臣に伺います。

 これからはJR北海道ほど大きな事例は出てこないかもしれませんけれども、しかし、こうした事例は、既に出てきているように、全国各地に出てくると思います。本来なら、地方公営企業法の適用を受ける事業が、軌道事業などは法定七事業、あるいは地方鉄道事業も法定七事業の一つに入っておりますけれども、しかし、そうしたものが、公設民営型上下分離方式を導入することによって、地方自治体の経営をこれからますます厳しくすると思います。

 こうした欠陥だらけの方式をこのまま続けていくということになると、北海道庁、あるいは先ほど申し上げた八区間の沿線の市町村、これは大変厳しい選択を迫られるものと私は考えておりますけれども、こうした欠陥だらけの方式をこのまま続けていっていいものかどうかということについて、大臣からお伺いをしたいと思います。

石井国務大臣 地方公営企業として実施しない公設民営型上下分離方式につきましては、一般会計からの拠出等により施設を適切に維持更新することにより、事業を持続可能なものとするよう自治体として判断をし、採用しているものと認識をしております。将来にわたっても、そのスキームの中で適切な対応が図られていくものと考えております。

 また、施設の維持更新に対する支出につきましては、議会における予算の審議を通じ、透明性が確保されるものと考えております。

 いずれにいたしましても、地方鉄道の維持に関する問題につきましては、各地域において、利用促進を初めとする活性化に向けた取り組みを行いつつ、地域の実情に応じた運営方式のあり方を含め、それぞれの地域において十分御議論していただくことが重要と考えております。

福田(昭)委員 大臣、自治体の判断に任せているようでありますけれども、そうすると、財源の豊かな自治体はできるかもしれないけれども、財源の乏しい自治体は、とてもとても対応できる話じゃなくなるんです。やはり国土交通省としてはそこをしっかり考え直すべきだということを指摘しておきたいと思います。

 それでは次に、二点目でありますが、思川開発事業の問題点についてであります。

 一つ目は、これは、時間の関係で私の方から一方的に話をしておきたいと思います。南摩ダムを中止した場合の点検項目についてであります。

 大きく五点ぐらい点検する必要があるかと考えておりますが、まず、古河市、小山市、五霞町へ法定水利権を与えることであります。

 南摩ダムは継続がいいという判断が下されたようでありますけれども、しかし、ダム完成まで八十一カ月、六年と九カ月かかるということでありますから、そうしますと、暫定水利権を、古河市は約五十三年、小山市は二十九年、五霞町は二十八年も申請して許可をもらうことになります。ダムができたときに水をやるよという約束をして暫定水利権を取らせているわけでありますが、しかし、半世紀も水をとっていても何の影響もなかったわけですから、これはダムがなくても大丈夫なんですね。ですから、これはやはり、しっかり法定水利権を与えるということが大事だと思います。

 それから、鹿沼市の水道水の確保対策であります。

 鹿沼市はダムから水道水をとらないと言っておりますが、もし、大渇水があって非常時のときには困るということであれば、隣接市の日光市や宇都宮市から水道水をつないでおけば、幾らでも補充できるんじゃないかなと思っています。

 それから、栃木市、下野市、壬生町の水道でありますけれども、これは今でも十分確保されているわけであります。わざわざ地下水から表流水へ六〇%も転換して、何倍も高い水道水を確保することはないと思っております。

 先日、日本政策投資銀行が発表いたしましたけれども、政策投資銀行の試算によると、三十年後には、利用者減や設備の更新費増で水道料金は一・六倍になる、こういう発表をいたしております。こんなことを考えると、これから新たにつくって水を供給するということになれば、それはそれは、何倍高い水になるかわかりません。

 栃木県の企業局が、栃木市、下野市、壬生町と、今後、県南広域水道事業供給計画を策定するということでありますけれども、水道水が高くなることがわかったら、計画はきっと策定されないおそれが高いんじゃないでしょうか。既に栃木市、下野市では、市民による反対団体もできているようであります。

 次に、埼玉県、千葉県、東京都の水道水も十分確保されていること。

 湯西川ダムの完成、八ツ場ダムの整備などが進んでおりまして、こうしたダムの完成によって十分確保されるというふうに思っております。どうしてもというときには、用途の変更をすれば、水は十分確保されていると考えております。

 それから、五つ目、ダムを中止した場合の清算方式。

 これは、民主党政権時代に検討していたダム事業の廃止等に伴う特定地域の振興に関する特別措置法案があります。そうしたものをぜひ制定して、事業を清算することが必要だと思っております。

 以上、るる申し上げてきましたが、南摩ダムは中止することが十分可能だということを申し上げたいと思います。

 そこで、二つ目の質問でありますが、思川開発事業の関係地方公共団体からなる検討の場で出した結論についてであります。

 資料の三をごらんいただきたいと思います。

 今回、見直しの検討をしたのは、国も地方も全て行政関係者ばかりであります。これでは、継続の結論が出るしかないと思います。やはり、もし本当に必要かどうかを検討するんだったら、ダムの推進派、反対派、そうした人を同数集めてしっかり議論させて、その上で、やはりダムは継続するのが適切か、中止するのが適切か、そういう検討、比較をすべきだと思います。

 思川開発事業は、総事業費約千九百七億円、残事業費は約千十一億円であります。人口減少は明白であります。また、水道水の一人当たりの使用量が減っていることも明白であります。

 大臣、どうですか。ダムをやめて税金をもっと有効に使いたいと思いますが、いかがですか。

石井国務大臣 ダム検証の進め方につきましては、第三者から成ります今後の治水対策のあり方に関する有識者会議において取りまとめられました全国共通のルールに沿って行うこととしております。

 このルールにおきましては、検討に必要となる情報等を保有しております事業主体が検討主体となって、みずから責任を持って検討し、主要な段階でパブリックコメントを行い、広く意見を募集すること、学識経験者、関係住民等の意見を聞くこと、専門家から成る事業評価監視委員会の意見を聞くことなどの手続を経て、対応方針案を作成いたします。また、検討主体から国土交通省本省に報告を受けた後、今後の治水対策のあり方に関する有識者会議の意見を聞いて、対応方針を決定することとしております。

 今委員御指摘の関係地方公共団体からなる検討の場でございますが、一連のプロセスの中で、関係機関が相互の立場を理解しつつ、検討内容の認識を深めるために設置されるものでありまして、結論を出す場ではございません。

 思川ダム事業につきましても、このダム検証のルールに沿いまして検証を行い、平成二十八年八月に継続とする対応方針を決定いたしました。

 本事業は、治水上、利水上重要であるとともに、地元自治体からの推進の要望も踏まえ、引き続き、着実に事業を進めてまいりたいと考えております。

 なお、全国ではこれまでに七十九のダム事業がこのルールに沿って検証を完了しておりまして、五十四事業が継続、二十五事業が中止となっておりまして、このルールで全てが継続というわけではございません。このルールに沿って適切に検討を行いまして、思川につきましては、今後とも着実に事業を進めていく考えでございます。

福田(昭)委員 大臣、そこまで聞いていませんよ。

 まあ、わかりました。その見直しのルールそのものがだめなんですよ。そこだけ指摘しておく。そんなアリバイづくりの見直しのルールでやったってだめですよ。

 それでは、三つ目でありますが、ダム事業を中止して、既存の多目的ダムを活用した水力発電の推進についてであります。

 元国土交通省の河川局長だった竹村公太郎氏が、水力発電が日本を救う、今あるダムで年間二兆円超の電力をふやせるということで、発電施設のないダムにも発電機をつけるなど、既存ダムを徹底的に活用せよ、今のダムだけで十分だ、こう言っております。

 私は、すばらしい考えだと思っております。ですから、南摩だけでも一千億円の残事業費、これを中止すれば、もしかすると、全国のダムに全部水力発電ができるような施設が整備できちゃうかもしれない。運営は、それこそ民間に任せればいい話で、やはり、今求められているのは脱原発と脱炭素なんですよ。これは、人類が解決すべき大きな課題であります。

 したがって、ぜひ、大臣、こうした水力発電を積極的に推進するためにも、無駄なお金は使わない。行政改革の党、公明党じゃないですか。その出身の大臣が、もう少し指導力を発揮してほしいと思います。

 以上で質問を終わります。

西銘委員長 次に、本村賢太郎君。

本村(賢)委員 民進党、本村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 北朝鮮との関係について、数点お伺いしてまいります。

 国交省や海上保安庁における北朝鮮措置の運用状況はどうなっているのか、また、効果についてどのように分析しているのか、国交省の見解をお伺いいたします。

東井政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省としましては、北朝鮮への人や物の輸送を規制するといった観点から、まず、北朝鮮に寄港した全ての船舶などの入港禁止、それから、北朝鮮との間の航空チャーター便の乗り入れの禁止、また、北朝鮮を仕出し地あるいは仕向け地とする貨物の検査、こういった措置などを講じてございます。

 その効果でございますけれども、例えば、船舶の入港禁止措置につきましては、昨年二月に入港禁止の対象といたしました北朝鮮に寄港した第三国籍船舶、これは、前年の平成二十七年には五十八隻入港してございましたけれども、禁止措置以降、我が国には入港できないことになっておりますし、現に入港も確認されておりません。

 このように、国土交通省の措置につきましては、政府全体の措置と相まちまして、一定の効果を有しているものと考えてございます。

本村(賢)委員 次に、海上保安庁において、朝鮮半島有事の際にはどのような態勢をとっているのか、お伺いいたします。

中島政府参考人 お答えいたします。

 海上保安庁では、さまざまな事態に対応できるよう、平素から関係機関と連携し情報収集に努めるなど、状況に応じ必要な態勢を確保しております。

 引き続き、関係省庁と緊密に連携し、適切に対処することとしております。

本村(賢)委員 次に、四月十八日の報道で、韓国からの邦人退避を想定し、民間航空機使用を政府が全日空と日本航空に打診したとされているが、その事実があるのか、大臣にお伺いいたします。

石井国務大臣 報道があったことは承知をしておりますけれども、国土交通省といたしまして、韓国国内の邦人避難に民間航空機を使用する可能性につきまして、航空会社に打診をしたという事実はございません。

本村(賢)委員 今大臣から、打診した事実はないという御答弁をいただきましたが、在外邦人の退避に、民間船舶や民間航空機との協力体制はどのようになっているのか、大臣にお伺いいたします。

石井国務大臣 政府におきましては、朝鮮半島におきまして在留邦人の退避が必要になった場合を想定いたしまして、平素から、関係省庁間で連携いたしまして、必要な準備、検討を行っております。

 在留邦人の退避におきましては、状況に応じ、民間の航空機や船舶も一定の役割を有すると考えておりまして、個別具体の状況に応じまして、政府全体での検討のもと、必要な場合に協力要請を行うこととしております。

 国土交通省といたしましては、このような認識のもと、常日ごろから政府全体での準備、検討に参画をしているところでありまして、引き続き、関係省庁と緊密に連携し、適切に対応してまいりたいと考えております。

本村(賢)委員 政府が、北朝鮮に寄港した日本籍の船舶の入港も禁止する措置を閣議決定されておりまして、実施の承認を国会に求めておられますが、国交省として、ここで国会承認が得られれば、大体、国交省ができる大抵のことは北朝鮮に対してやってきたんじゃないかと思いまして、そこは敬意を払ってまいりたいと思いますし、また、私たちも応援をしていきたいと思っております。

 また、海上保安庁におかれては、特に平成十三年の九州南西海域沖における工作船事件で三名の乗組員が負傷したということでありまして、北朝鮮が工作船として後に認めたわけでありますが、今後も、海上保安庁、日本の海域を守る強いリーダーシップを期待しておきたいと思っております。

 また、今大臣からも二点御答弁いただいた件に関しましては、まず、日本政府が守る責務を負うのは邦人であるということは事実でありますけれども、そのほか、邦人以外にも、韓国にいる友好国の国民、例えば韓国人を輸送するということも想定されてくるのではないかと思いますので、そういったことも今後よく検討しながら、しっかりと連携を推進していただきたい、そのように思います。

 次に、私の地元である相模ダム、相模湖について一点お伺いしたいと思います。

 完成から七十年を迎えて、大規模改修を行う計画が上がっております。相模ダムは、上水道、工業用水、発電などに利用する利水ダムであって、昭和二十二年に竣工され、七十年を迎えるんですが、平成三十六年ごろから、この大規模改修の着工を県が目指しております。工期約十五年、総工費約二百億円の大工事となるわけでありまして、同規模の大型ダムの大規模改修は、全国でも例がない事例ということであります。

 その改修に当たりまして、国交省の協力が不可欠であるというふうに考えておりますが、どのような御支援をされていくのか、お伺いいたします。

山田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、相模ダムは、一九四七年に完成いたしました、水道用水、工業用水及び発電を目的として神奈川県が建設し、管理をしております利水の専用ダムでございます。

 相模ダムにつきましては、ダム放流設備の老朽化等に対処するため、洪水吐きゲートの改良を含みます大規模な改修が神奈川県により計画されているところでございます。既に、関東地方整備局や国土技術政策総合研究所の担当者が、計画の概要等の話を伺っているところでございます。

 今後、設計時の調査等につきまして具体的な相談があると聞いておりますので、国土交通省といたしましては、これまでの経験やノウハウに基づく技術的な助言を行いまして、支援してまいりたいと考えているところでございます。

本村(賢)委員 この工事は、出水期を除いた十一月から五月ごろを工事期間としておりますので、一年間のうち半年しか工事期間がないということで、約十五年間ございます。

 その中で、国交省や国土技術政策総合研究所などの技術や英知を結集していただきまして、ゲート両脇のピアの形状についてとか、それから下流のコンクリートの構造物とか、地質のボーリングなど、神奈川県から、既に三月十日の県議会の答弁でも国に対するさまざまな要望が出ておりますので、ぜひともまた前向きな御協力をお願いしてまいりたいと思います。

 次の質問に入ります。次は、タクシー政策について数点お伺いしてまいりたいと思います。

 四月の五日にもこの国土交通委員会で、未来投資会議の事務局である内閣官房に質問させていただきまして、海外の動向、国際比較について関係省庁から御説明をいただいているところでございますが、「ライドシェアについてそれ以上の議論は行われておりません。」という御答弁をいただいております。

 参考人の御答弁の中で、議論と検討という言葉を使い分けていることが多くあるんですが、例えば、それ以上の議論は行われていないという言葉からすれば、既に議論しているのではないかなというふうにも想定されてくるし、また、議論する予定がなければヒアリングも行わないのではないのかなということも想定されるわけでありますが、ヒアリングを行うのであれば、何か目的があるはずだなというふうに思うわけであります。

 何を目的として関係省庁からヒアリングを行ったのか、ちょっとそこは疑問に思うところでありまして、内閣官房に、ライドシェアの検討状況と検討予定について簡潔にお答えください。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、これまで、未来投資会議のもとに設置した構造改革徹底推進会合で、日本におけるシェアリングエコノミー一般に関連する施策の現状、あるいは、ライドシェアを含むシェアリングエコノミー全体の海外の動向について、関係省庁から報告をいただいたことは事実でございます。しかし、先般申し上げましたとおり、ライドシェアについては、現段階でもそれ以上の議論は行われておりません。

 未来投資会議構造改革徹底推進会合では、技術革新の社会実装や構造改革をめぐるさまざまな課題について幅広い観点から審議を行うこととしておりまして、御質問のライドシェアに焦点を当てて議論をする予定はないと承知しております。

 以上でございます。

本村(賢)委員 検討していないということでありまして、ライドシェアについて、当然、導入をしないということだと思います。

 それならば、ことし半ばに取りまとめられる成長戦略にはライドシェアの記載が掲載されないということでよろしいでしょうか。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる未来投資会議におきまして具体的にどのような事項が今後盛り込まれるかということは、委員各位の今後の御議論により決定されるということになっておりますので、今の段階で予断を持って申し上げることは、ちょっと、残念ながらできません。申しわけございません。

本村(賢)委員 今、答弁者の方は笑って答弁しましたけれども、失礼じゃないですか。失礼ですよ。こっちは真剣に質問しているわけであって、笑って答弁することは大変失礼だなということを指摘しておきたいと思うのと、あと、今のお話だと、やはり掲載される可能性があるんじゃないかなということを感じたわけでありまして、そのことは、これからもまた追いかけてまいりたいと思います。

 次の質問に入ります。

 新経済連盟の提案は内閣府の規制改革ホットラインに提出されておりまして、国交省の見解は、既に回答をまとめてホームページに掲載されていることは承知をしておりますけれども、規制改革推進会議としても、国交省と同じように、新経済連盟の提案に対して対応不可という判断でよいのか、内閣府の対応状況をお伺いいたします。

刀禰政府参考人 お答えいたします。

 ただいま議員御指摘ございました、いわゆるライドシェアに関します新経済連盟からの提案につきましては、内閣府規制改革推進会議のホームページに設置しております規制改革ホットラインで平成二十八年十一月に受け付けたところでございます。

 今議員からお話ございましたように、国土交通省からの検討結果の回答につきましては、本年の四月十一日に内閣府のホームページに公表したところでございます。現時点でそれ以上の内容はございません。

本村(賢)委員 ライドシェアについて、また今後も追いかけてまいりますが、未来投資会議の事務局である内閣官房については、これからもほかの委員会でも確認をしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、ジャスタビについてお伺いしてまいりたいと思います。

 これは、エイチ・アイ・エスが出資をされておりまして、レンタカー旅行会社と地元ドライバーのマッチングを行っているわけでありまして、旅行者が借りたレンタカーに対してドライバーのあっせんをするという話であります。このサービスが沖縄でスタートし、三月から東京、北海道でもサービスを開始しているわけでありますが、二種免許を持っていないドライバーができるということで、ここも少し問題があるのではないかという報道も多くございます。

 ジャスタビが東京、北海道でもサービスを開始しているようでありますが、白タク行為には当たらないのか、大臣にお伺いいたします。

石井国務大臣 レンタカーにつきましては、借り受けた者と運転する者が同一であることは求められておりません。レンタカーを借り受けた者にかわって運転を行うことや、そういったドライバーを仲介すること自体は、法令に抵触するものではありません。

 一方、道路運送法におきましては、他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して旅客を運送する事業については旅客自動車運送事業の許可が必要とされているとともに、レンタカー事業の許可は、自動車の貸し渡しの態様が自動車運送事業に類似している場合には行われないこととされております。

 すなわち、レンタカーの貸し渡しとそのレンタカーを運転するドライバーの仲介が一体として行われる場合ですとか、あるいは一体的なサービスであることを強調する場合などは、このような類似行為に当たると考えられるわけでありまして、こういった類似行為が行われることのないよう、今後の具体的な事業展開の状況を注視してまいりたいと考えております。

本村(賢)委員 このジャスタビに関して、白タク行為ではないかとちょっと疑問な点も多くあります。例えば、当事者間で料金を決めているからオーケーだという話もありますが、ドライバー代が八時間八千円という明記があったり、ちょっと疑いがあるような部分もありますので、このジャスタビに関しても、引き続き注視をしてまいりたいと思っております。

 次に、けさの朝日新聞の一面に、「タクシー相乗り都市部も」「タクシーに他人同士を相乗りさせる営業が、全国の都市部を中心に解禁される見通しとなった。」ということで、記事が一面トップに出たわけでありますが、それについて数点お伺いしてまいりたいと思います。

 まず、この問題は、二種免許、青ナンバーでの効率的な輸送でありますので、その点は十分承知した上で質問させていただきますが、今回、どういう目的で、どこで、どんな内容で行っていくのか、お伺いしたいと思っております。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のタクシーの乗り合いサービスということでございますけれども、これについては、タクシーのサービスをいかに高度化するか、そういった利用者のサービス向上の観点から検討を開始しているものでございます。

 具体的には、スマートフォン向けの配車アプリを活用して、目的地が近い利用者同士をマッチングさせてタクシーを配車し、一台のタクシーに相乗りすることで割安でタクシーを利用できるサービスを想定しているということでございます。

 具体的には、本年度、国土交通省におきまして、この相乗りタクシーの実証実験を実施し、その結果を踏まえて、必要な制度を検討していきたいと考えているところでございます。

本村(賢)委員 確かに、相乗りに関しては、過疎地で限定的に認められていたり、それから、現在も、利用者同士が相乗りの相手を募って一台のタクシーを利用するアプリなどがあって、利用されていることは承知をしておりますけれども、これまで、タクシー業界では、年間利用者がこの十年間で三割減ったということもありまして、こうした取り組みは、相乗りで一人当たりの料金が安くなるという可能性もあることから、また、二種免許の方がドライバーということでありますので、安全面からも評価していきたいと思っております。

 今、参考人の方からも実証実験のお話がありましたが、いつごろから、どのあたりで始めていく予定なんでしょうか。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 これにつきましては、平成二十九年度の私どもの予算の中で行いますので、いずれにしても、年度内に行うということを念頭に、今、準備を進めております。

 場所については今後の検討でありますけれども、基本的に、今まで地方部で認められたものを大都市部において広げていくということですので、大都市部を念頭に、こういった実証実験の場所についても検討を進めてまいりたいと考えております。

本村(賢)委員 将来的には、相乗りが、実証実験をやって効果が出た場合、この記事では、「全国の都市部を中心に解禁される見通し」というふうに書いてありまして、「来年度にも 五輪時の不足に対応」という見出しもありますけれども、実証実験が成功した場合、例えば東京都内だけで限定してやるのか、それとも全国の都市部を中心に解禁されていくのか、この記事に書いてありますが、どちらでしょうか。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 この件については、実証実験をこれからということですので、まだ明確に方針を決めているわけではございませんけれども、基本的にタクシーの運賃は地域ごとに決まっておりますので、その中で、こういった乗り合いの運賃を決めていく。そういう意味では、地域を、ある一カ所でやった上で広げていく。これは、例えば初乗り運賃の短縮というのを東京で一月に行っておりますけれども、これが、徐々にほかの都市部でも同様の申請がなされている。それと同じような体系をとるのではないかというふうに考えているところでございます。

本村(賢)委員 この記事にもありますが、例えば、異性との相乗りは避けたいとか、自分の家を知られたくないとか、そういった点も今後課題点かなと思っておりますので、ぜひ、国交省として、そういった課題も頭に入れながら実証実験に取り組んでいただきたいと思います。

 最後に、大臣、このタクシー相乗りに関して大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 国土交通省は、タクシーの利用の促進を図るために、初乗り運賃の引き下げ等さまざまな取り組みを実施しておりまして、この相乗りの実証実験につきましても、その一環として考えてございます。ですから、タクシーを乗りやすくして需要をふやしていくという方向性で考えていきたいというふうに考えています。

本村(賢)委員 ぜひ、年間利用者が十年間で三割も減っている業界でありますので、国土交通大臣としても、お客様が使いやすく、また、タクシー業界にとっても、こうした新たな対応で営業力がまた前向きになるように、応援のほどをお願いしてまいりたいと思います。

 次の質問に入りますが、次は、くいのデータ利用についてお伺いしてまいりたいと思います。

 今回の再発防止策で、適正な施工に係る新たな規制強化が見送られまして、国土交通省告示と工事監理ガイドラインとを公表、さらに、くい工事における一般施工ルールを決め、各主体の役割の明確化、主体間の連携等を促す業界の自主的な取り組みを求めているわけであります。しかしながら、強制力がなく、改善につながるか、疑問が持たれております。

 昨年七月の、いわゆる旭化成建材を中心にしたマンションのくいデータ利用に関する再発防止策を実効性あるものにしていかなきゃいけないわけであります。

 ここで、大臣に一問お伺いしたいと思うんです。

 建設業界の重層下請問題、技術者の確保などの問題が根底にあるのではないかと思いますが、建設業の発展のためにも課題の改善を目指すべきと考えますが、大臣の御見解をお伺いいたします。

石井国務大臣 くい基礎問題の再発防止策としてはさまざまな施策を講じてきたところでございますが、今委員御指摘がありました建設業の構造的な課題の改善に向けましては、重層下請構造やそれに起因する片務的な下請取引の改善、技術者も含めた担い手の確保、育成などが必要であり、さらには、長時間労働の是正などの働き方改革、ICTの活用などによる生産性向上など、多岐にわたる課題に取り組んでいく必要があると考えてございます。

 最近の取り組みとしては、例えば、施工時期を平準化する、このことによって、人をちゃんと確保できるということにつながるんですね。そのために、二十九年度予算で初めて、当初予算としてゼロ国債の設定を行ったりですとか、あるいは、下請取引の改善ですが、本年三月に建設業法令遵守ガイドラインを改定いたしまして、下請代金をできるだけ現金払いにするとか、手形払いの場合には手形期間の短縮に努めるなど、元請、下請間の取引改善にも取り組んでございます。日本建設業連合会におきましても、国土交通省からの要請を受けまして、下請取引の改善に関する自主行動計画を策定していただいたところであります。

 技術者の確保につきましても、若年層の入職を促進するために、技術検定における二級学科試験について高校二年生から受験できるように要件の見直しをしたほか、二級学科試験の年二回化などの取り組みを行っているところでございます。

 こういった取り組みに加えまして、十年後におきましても建設産業が生産性を高めながら現場力を維持できるよう、建設業関連制度の基本的な枠組みにつきまして、昨年十月より建設産業政策会議を設置し、現在、検討を進めているところでございまして、本年六月ごろをめどに取りまとめを行いたいと考えているところでございます。

本村(賢)委員 最後の質問にしますが、スマートインターチェンジについて、アクセス利便性の向上のためにも、スマートインターチェンジの普及促進を行うことは有効だと思いますし、既に二十八年末で開通済みのスマートインターチェンジは八十七カ所ということでございます。私どもの神奈川県も、まだゼロでありますが、これから二十九年度、実施をされるということであります。

 このスマートインターチェンジの普及促進を行うことは有効だと考えていますが、普及に対する大臣の見解を最後にお伺いいたします。

石井国務大臣 これまで、全国で九十六カ所のスマートインターチェンジが開通済みでありますけれども、具体的な効果として、交通渋滞を回避して高速道路にアクセスが可能になった、あるいは、商業施設や工場の立地が促されて雇用が創出された、高次医療機関への搬送時間が短縮された、アクセス向上によりまして観光施設への入り込み客数が増加したなどのさまざまな効果が確認されております。

 スマートインターチェンジの整備は、地方公共団体、高速道路機構、高速道路会社及び国が適切な役割分担のもと進めていくものでありまして、国土交通省におきましては、検討段階における国直轄の準備段階調査、高速道路会社が行いますランプ部の整備に対する無利子の貸し付け、アクセス道路整備に対する地方公共団体への個別補助など、計画の具体化や整備の各段階において促進のための支援を行っているところでございます。

 引き続き、必要な支援を行いながら、地方公共団体や高速道路会社等と連携し、スマートインターチェンジの整備を進めてまいりたいと考えております。

本村(賢)委員 これで質問を終わりにします。ありがとうございました。

西銘委員長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 玉木雄一郎です。

 本村委員に引き続きまして、冒頭、北朝鮮の緊迫した状況に対する対応について伺います。

 先般、四月十六日にミサイルが発射されました。結果として失敗ということだったんですが、私が問題だと思うのは、この第一報を日本国民が知ったのは、朝八時前後、韓国聯合ニュースが発したニュースを日本のメディアが報じたこと、多分、これが一番最初だったと思います。

 後に、同日午後三時ぐらいに、防衛省から正式に、朝六時二十分ぐらいにミサイルが発射されたという報告がありましたけれども、そもそも、極めて緊迫した状況の中で、我が国の国民も関心がある。そのときに、日本の政府から情報を得ることなく、韓国のメディアの情報を一次情報として知らざるを得ない状況について、私は、これは問題があると思いました。

 そこで、伺います。

 今、国民保護ポータルサイトへのアクセスがふえておりますが、これを見ると、こういうふうに書いています。

 「弾道ミサイル落下時の行動について」ということで、近くのできるだけ頑丈な建物や地下街に避難してくださいということを書いているんですが、どういうときに退避するのかというと、「弾道ミサイルは、発射から極めて短時間で着弾します。」そうでしょう。ミサイルが日本に落下する可能性がある場合には、Jアラートを活用して緊急メールなどにより緊急情報をお知らせする、これに基づいて頑丈な建物に避難してくださいということになっていますが、先ほどあったように、今回は、先般の十六日は、Jアラートは鳴りませんでした。というのは、日本に着弾する可能性がないから鳴らさなかったという説明だと思うんです。

 改めて伺います。

 Jアラートあるいはエムネットは、どのような場合にこれを情報として発出するのか。そして、一番国民が知りたいのは、Jアラートが鳴ったときに、鳴ってから着弾するまでにどれぐらいの時間的余裕があるのか。五分なのか、六分なのか、十分なのか、十五分なのか、教えてください。

槌道政府参考人 お答えいたします。

 まず、どのような場合にということでございますけれども、北朝鮮などから発射されたミサイルが日本に飛来する可能性がある場合、このような場合に、Jアラート、エムネットを用いて情報を伝達するということにしております。

 その場合に要する時間につきましては、発射の方法等により一概に申し上げることはできないんですけれども、過去の実績で申し上げさせていただきますと、平成二十八年二月七日に、北朝鮮が人工衛星と称して弾道ミサイルを発射した事案がございます。

 これは、あらかじめ日時についてある程度幅を持って予告があったケースではございますが、この際は、九時三十分ごろにミサイルの発射があり、九時三十四分ごろにJアラート、エムネットによって情報提供を行ったところでございます。なお、その際、幾つかに分離したものが沖縄上空を通過しておりますが、その時間は、九時四十分から四十一分ごろであったというところでございます。

玉木委員 発射して、破片も含めた着弾まで十分から十一分ですね。今の例でいうと、Jアラートが鳴り始めるのが発射から四分後。こういうことからすると、仮にJアラートが鳴って国民が備えるために許される時間は、五分から六分ですね。

 私、これはもちろん、建物、どこかかたいところに入ればいいんですが、冒頭申し上げたように、今回も、発射したということは、韓国のメディア、公開情報から知っているわけですね。

 例えば、年がら年じゅう鳴らす必要はないんですが、破壊措置命令が出ているような場合については、緊張がそれなりに高まっています。こういう場合は、結果として日本に、領空、領土あるいはEEZに着弾しなくても、発射した時点で国民に事前にお知らせをするような運用の改善をした方がいいのではないかなと思うんですね。これはぜひ検討していただきたいと思います。

 もう一つ、飛行中の民間航空機、そして航行中の船舶に対しての連絡体制はどのようになっていますか。

東井政府参考人 お答え申し上げます。

 ミサイルが発射された際の情報伝達でございますけれども、防衛省からの連絡によりミサイルに関する情報を把握した内閣官房からの情報を受けて、まず船舶、航空機に流すというのが基本でございます。

 具体的には、船舶につきましては、海上保安庁から船舶に対して航行警報等を発出しております。また、海運事業者や国際航海船舶などに対しても、内閣官房からの情報を自動転送により伝達しているということでございます。

 また、航空機につきましても、内閣官房からの情報を受けて、国土交通省航空局に所属する管制機関から航空機に対して注意喚起等を行っております。また、船舶と同様に、航空運送事業者に対しても伝達をしている、こういうことでございます。

玉木委員 先ほど紹介があった、人工衛星と称するものを南方向に撃った際には、Jアラートは鳴りましたね。具体的には、では、あのときは航空機や船舶に対する連絡はいつやりましたか。

東井政府参考人 先ほどのケースでございますけれども、そのようなケースに関しても、手順は同じ形でやってございます。

 また、ああいうものにつきましては、事前に北朝鮮の方から、期間を設けて発射の予告等の情報がございますので、事前の注意情報についても発出している、こういうことでございます。

玉木委員 いやいや、過去の例、九時三十分ですね。九時三十分で、三十四分にJアラートを鳴らして、それで、九時四十分ぐらいに部品が落ちた、四十一分。そのときに、航空機や船舶に対して、当時、九時三十分に発射して、民間航空機や船舶に連絡したのは何時ですか。

槌道政府参考人 内閣官房で把握している範囲でまずお答えさせていただきますが、当時、二月七日の発射の際には、九時三十七分に海上保安庁が航行警報を発出し、九時四十分にノータムを出されたというふうに承知をしております。

東井政府参考人 先ほどの事例でございますけれども、国土交通省からは、九時三十九分に注意喚起情報を発出しているということでございます。

玉木委員 皆さん、お聞きいただきましたか。九時三十九分に海上保安庁が出して、部品の一部が落ちたのが、早いものは四十分です。間は一分です。

 これは、当時、撃ちますよと言って予告があってこれです。例えて言うと、センターにノックを打つぞと言って、センターが何とかとれるという感じ。実戦では、打ちますよ、そこに打ちますよと言って打ちませんから。

 ですから、今回、二十五日も、朝鮮人民軍の設立記念日があります。国民や航空機や、特に海上船舶に対しての連絡体制については、もう一度関係部局でよく相談をして、今の伝達システムで本当にいいのかどうか、過去の例も検証しながら、ぜひ国民に対する、これはもちろん、そもそも短い時間です。だからこそ、一分でも一秒でも、より早く伝えるやり方について、改めて改善、検討を行っていただきたい。これはお願いをしておきたいと思います。

 次に、森友学園の問題について伺いたいと思います。

 この間、いろいろなことが議論されましたが、私、もう一回原点に戻りたいと思います。

 資料一を見てください。

 これは当委員会でも何度か議論させていただきましたが、いわゆる八億円の値引きについて、ちょっと絞って伺いたいと思います。

 まず、この八億円はそもそもどのような計算で行われたのかということを資料一に書きましたが、対象面積が五千百九十平方メートル、これは全体の六〇%ですけれども、主に校舎の部分。それに、くい打ち部分は九・九メートルの深さ、そしてその他の部分は三・八メートルの深さに、廃材、ごみ等の、混入率四七・一%のごみがあるので、合わせて一万九千五百トン、これを撤去しなければならないということで、もろもろ、管理費とか消費税を入れて、八・二億円、八億二千万ということが計算されたわけですね。

 きょう、まずお伺いします。

 この混入率四七・一でありますけれども、これはどのように計算されましたか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 大阪航空局が行いました地下埋設物の撤去、処分費用の見積もりでありますけれども、本件土地の売買契約におきまして、将来にわたって本件土地が抱える一切の瑕疵について売り主である国の責任を免除する特約が付されることを前提として、土地の価値を算定するに当たって想定しておくべき地下埋設物の撤去、処分費用を見積もったものでございます。

 このような前提のもとで、委員御指摘の埋設物の混入率につきましては、平成二十二年に大阪航空局が実施いたしました地下構造物状況調査におきまして、廃材等を確認した箇所である六十八カ所のうち二十八カ所における廃材等混入率の平均値、これは、全体で六十八カ所試掘をいたしまして、そのうち二十八カ所で廃材等を確認したということでございますけれども、この二十八カ所の廃材等の混入率の平均値四七・一%ということでございます。

 それで、平成二十八年の二月から三月にかけて行われました九・九メートルのくい掘削工事において現地で確認された廃材等の廃棄物、及び、平成二十八年三月に実施されました工事関係者による試掘において、三・八メートルの深さまで確認された廃材等の廃棄物、これらを含む土壌が平成二十二年調査時点のものと同じような様相を呈しているということを勘案いたしまして、地下埋設物の撤去、処分費用の見積もりに当たりまして、埋設物の混入率を四七・一%と設定したということでございます。

玉木委員 資料二を見てください。

 確かに、今局長から説明があった平成二十二年一月の調査があります。これは私も見ました。国土交通省大阪航空局と、ある探査技術株式会社の連名の調査報告書であります。六十八カ所調査をしていますね。これは大体三メートルぐらいまで全部レーダー調査をしていますが、いろいろなごみがそのレーダー調査で確認されています。そのうち、今局長がおっしゃったような廃材、ごみが確認されたのが六十八カ所のうち二十八カ所だということで、これも、国土交通省からもらった、この資料二の右側につけています、番号が三十二、三十三、三十四、ずっと行って五十九までの、この二十八カ所には確かに、この資料を見たら、二十二年一月の報告書を見ると、廃材、ごみがこのポイントでは全て確認されていますので、平均値をとって四七・一ということでありました。

 私、きのう説明を受けてから、改めて、どこが、廃材、ごみがどれぐらいの混入率があるのかなと見ていったら、確かに高いところ、低いところはあるんですが、ちょっと一つ気づいたのは、あるということで、廃材、ごみというふうに書かれているところのうち、赤で書いているところが全部そうなんですね。北側に寄っています。これは、かつての地図を見てもいわゆる池や沼が北側に寄っていますから、この辺にあるのかなというのは推察できるわけですが、問題は、青で書いている二十九です。

 白で書いているところは、二十二年一月の調査を見ると、確かに廃材、ごみはなくて、コンクリート殻とかコンクリートとか、ほかのいろいろなごみがあるので、それは取り除いているんですが、この赤のところは、廃材、ごみがこの地点では出てきていますが、実は、二十九番でも廃材、ごみは確認されています。二十九は廃材、ごみの混入率が幾らかというと、そこは実は一四・一%なんです。

 これをずっと見ていただくと、混入率が三〇%台、六〇%台と高い中で、この二十九のポイントは、二十二年一月のレーダー調査で廃材、ごみが確認されているにもかかわらず、この平均値の計算から外しているのはなぜですか。

佐藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成二十二年の調査につきましては、試掘をいたしました各箇所について、そこでどういったものが見つかったのかということをきちんと整理してございますが、委員提出の資料の赤のところは全て、廃材、ごみの層が見つかったということが明記されているところでございます。これに対しまして、青のところにつきましては、廃材、ごみの層ということが明記されていないために、この計算から外したというふうに聞いてございます。

玉木委員 そんなことはないですよ。報告書の二十九番のところには、内容として、廃材、ごみとして明確に書かれていますよ。混入率も一四・一とあります。これは報告書の何ページでしょうか、見てください。

 ちなみに言うと、とりわけ、廃材、ごみがあるんだけれども、一番低い一四・一を入れて計算すると、混入率は、四七・一じゃなくて四五・二に、約二ポイント下がります。二ポイントと言うんですが、パーセンテージにして約四%。ただ、ここが変わることによって、八億二千万値引きしましたけれども、実は、四五・二で計算すると、約三千万値引きの額が減ります、七億九千万円ぐらいに。実は結構大きいんですね。

 廃材、ごみと書いてある全ての、これは最後に表がついているから見たらわかると思うんですが、そのうち、廃材、ごみと書いてある、一番低い二十九だけ平均値の計算から除いているのは、恣意的な計算であって、かつ、そのことを除くことによって、より大きく値引きをするということが可能になっていると思うんですが、客観性を欠いた計算になっているのではないですか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お手元にお持ちのようでございますけれども、平成二十二年の調査の結果でございますけれども、確認埋設物状況という欄がございます。この中で、廃材、ごみの層と明記されている箇所の平均値をとったということでございまして、二十九番については、廃材、ごみの層ということが明記されていないので外したというふうに聞いてございます。

玉木委員 しかし、レーダー調査で廃材、ごみが出ているではないですか。明確に書いていますね、そこは。廃材、ごみの混入率一四・一ということも明記されています。

 このことを外して計算していることは、私はこれは問題だと思いますよ。なぜこの一カ所だけ外すのか、そして、外したことによって値引きの額が三千万も変わってくるということは、私は、まず、種々いろいろな問題が今回ありますけれども、混入率についてもやはり問題があるのではないかと言わざるを得ないと思っています。

 次に、伺います。

 これも前回、予算委員会の分科会でも聞きましたが、この三・八メートルの根拠であります。かつて私の質問に対してお答えいただきましたけれども、三・八メートルは、業者が試掘をして、その業者の試掘の中で三・八メートルのごみが出てきたということなんですが、二つ伺います。

 前回、業者の試掘は八カ所やったということで答弁がありましたが、それが正しいのかということ。財務省の理財局長は七カ所と言っていましたが、七カ所が正しいのか、八カ所が正しいのか、教えていただきたいのが一点と、そして、三・八メートルを確認した試掘の場所は具体的にどこなのか、教えてください。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 大阪航空局は、委員の提出資料にもありますように、平成二十八年の四月の五日でございますかに現地に赴きまして、そこに設計業者が同席をしておりまして、当該設計業者から、試掘坑においてごみの層の深さをメジャーで計測し、三・八メートルを指し示している工事写真を用いながら説明を受けたということでございます。

 それで、まず、この当日、四月五日に今申し上げました工事写真を入手し、さらに、後日、工事関係者から、試掘場所を図示した図面の提供を受けているということでございます。

 その図面によりますと、委員のお配りになった資料でいいますと、ちょうど1から左の方に矢印が出ておりますけれども、およそそのあたりで三・八メートルが確認されたというふうに聞いてございます。(玉木委員「八カ所でいいんですか」と呼ぶ)

 大変失礼いたしました。

 試掘の箇所は八カ所でございまして、そのうち、三・八メートルのところからごみが出たというところにつきましては、先ほど申し上げた場所だということでございます。

玉木委員 およそそのあたりなんですか。前も聞いたんですけれども、八億円も引いて、その根拠となるのが、その三・八というのは実は大きな数字なんですね。くい打ち部分以外のところの三・八のところで四億五千万ぐらい。実は、その半分以上の積算の根拠はこの三・八というところから出てきているんです。

 今、三・八のところの写真があるんですか。先ほど、写真を工事業者から見せてもらって、それを確認した。それを一切我々は見ていないんですけれども、当委員会に提出いただけますか。局長、いかがですか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 試掘時の写真でございますけれども、これにつきましては、工事関係者から提供を受けたものであるため、当該工事関係者より、提出することについて了解を得る必要があると考えてございます。

 これは、今までも、実は別の委員の方から御提出の御要請を受けておりまして、現在、工事関係者と連絡をとっているところでありますけれども、現時点では了解を得られていないというところでございます。

玉木委員 ちょっとそれは、だって、ほかのものは業者からいっぱい写真をもらっているじゃないですか。この八億円も引いたことの最大の、一番最初に資料一で示しました大きな数字の三・八というところの根拠が、写真を確認したということで、その写真を出してくださいと言ったら、業者の了解が得られないから出せない。そんなことはあり得ないでしょう。出せないんですか。

 では、もう一点、それを出せるかどうかと、要は、皆さん自身で三・八メートルは確認していないんですね。全部、業者が言っていた、業者の写真を見て皆さんが判断したので、航空局としても財務局としても、みずから、自分で現認は一切していないということですね。ここは明確にしてください。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、写真の提出でございますが、今まで、九・九メートルの関係でございますとか、そういったところにつきましても写真を提出させていただいていますけれども、これにつきましても、工事関係者の了解を得た上で提出させていただいているところでございます。

 それから、確認の仕方でございますけれども、四月五日に、現地におきまして、大阪航空局の職員、それから近畿財務局の職員でありますけれども、同席をしておりました設計業者が工事写真を用いながら説明をしておりまして、それと現場とを、いわば見比べて確認しているということでございます。

玉木委員 現に確認していないことがわかりました。また引き続きやりたいと思います。

 ありがとうございます。

西銘委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 森友学園に対する国有地売却問題について質問いたします。

 まず、森友学園への国有地売却結果について、石井大臣の評価をお聞きしたいんですね。

 これまで、政府は、私たちの質問に対して、財務省も国交省も国有地売却の手続には問題はないとの答弁を繰り返してまいりました。しかし、国民は全く納得しておりませんし、適正だったとは思っておりません。

 時事通信の四月の世論調査でも、国有地売却問題をめぐる説明について、納得していないが六八・三%と七割近くに上っております。納得しているというのはわずか一二・三%にとどまっております。

 大臣にお伺いしますけれども、国民がまだ納得していない、このことはお認めになりますね。

石井国務大臣 各種世論調査によりますと、まだまだ御理解が広がっていないのかなというふうに考えております。

 国土交通省といたしましては、引き続きわかりやすい説明に努めてまいりたいと考えております。

宮本(岳)委員 何といっても国民が納得できないのは、先ほども議論がありました八億二千万円にも上る大幅値引きの根拠とその説明なんですね。不動産鑑定価格九億五千六百万円の国有地が、地下埋設物撤去費用として八億二千万円も値引きをされたわけであります。

 売買以前の昨年四月六日には、森友学園があらかじめ行った汚染土壌やコンクリート殻の撤去費用として、有益費一億三千二百万円が空港整備勘定から支払われました。そして、その二カ月余り後の昨年六月二十日には約一億三千四百万円で土地を売却したのでありますから、差し引き、わずか二百万円でこの八千七百七十平米もの国有地が売り払われたことになります。

 大臣は、この事実をどう評価されておりますか。

石井国務大臣 有益費と差し引いてというふうに今おっしゃったんでしょうか。有益費は実費を提供しておりますから、それと差し引いて考えるのは適切ではないんじゃないかと思っています。

宮本(岳)委員 では、一つ別のことを聞きます。

 そもそもこの土地は、伊丹空港の騒音被害対策のために大阪航空局が買い上げた移転補償跡地でありますけれども、これは航空局に聞きますが、幾らで買いましたか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 本件土地は、伊丹空港周辺の騒音対策の一環として、公共用飛行場周辺における航空機の騒音による障害の防止に関する法律に基づき、騒音対策区域内の住民の求めに応じて、大阪航空局が昭和五十年より順次買い入れを行ったものであります。

 一方で、航空機の低騒音化の進展によりまして、平成元年に当該土地が属する騒音対策区域が解除されたことを踏まえまして、行政財産から普通財産に組みかえを行っております。

 その後、平成八年に豊中市による土地区画整理事業の事業計画決定が行われまして、平成十七年の豊中市から大阪航空局への換地処分によりまして、本件土地を取得したというものでございます。

 このため、本件土地は、騒音対策区域内の住民の求めに応じて大阪航空局が買い入れました土地と同一のものではなく、一対一の関係にございませんので、本件土地の換地前の買収額は不明だということでございます。

宮本(岳)委員 わからないんですね。

 財務省の佐川理財局長は、二月二十二日の財務金融委員会で、私の、なぜ今回の土地を豊中市に無償貸し付けしなかったのかとの質問に、国土交通省大阪航空局より豊中市に対して時価で売り払ってほしいという事務委任を受けたからだと答弁されました。

 なるほど、二〇一〇年の豊中市への公園用地売却が審議された第百十六回国有財産近畿地方審議会の議事録というものを見ますと、当時の和田管財部長が、今回お諮りした国有地は大阪航空局が行政目的で買い上げをしたという経緯があり、空港整備のための歳出予算となるという歳出歳入のバランス関係にある、このため、大阪航空局が買い上げた移転補償跡地については時価売り払いを原則とする、この国有財産審議会でそう答えております。

 航空局長に聞くんですけれども、この移転補償跡地を大阪航空局が幾らで買い上げたのかがわかりもしないで、歳出歳入のバランス関係など論じられないのではありませんか。このときの議論はうそだったということですか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、先ほども申し上げましたように、本件土地は、伊丹空港周辺の騒音対策の一環として、住民の求めに応じて買い入れを行ったということでございまして、そのときのある種の支出というのは、騒音対策としてなされた支出ということになります。

 これは、その時点におきましてこの土地が行政財産であったということでございますので、そういう意味では、行政財産であるときのこの土地に関する歳入と歳出、あるいはその効果という点からすると、騒音対策に対してお金を支出したということで、これは、そこで一旦、ある種閉じられているというふうに私どもは評価をしてございます。

 その後、先ほども申し上げましたように、騒音対策区域が解除されましたので、行政財産として保有し続ける意味がなくなったものですから、普通財産に組みかえをしたということでございます。

 そこから後につきましては、普通財産になったものの売り払いについては全て財務局に委任をしているわけでございますけれども、その後については、時価で売るという考え方でやっていただいているということでございます。

宮本(岳)委員 それだったら、豊中市の土地も全く同じ性格の土地ですから、このときの説明というのはつじつまが合わないということになると思うんですね。

 有益費と土地売却代金とは性格が違うと大臣が御答弁になりました。

 有益費一億三千二百万円は、国土交通省が所管する自動車安全特別会計の空港整備勘定から出たはずであります。また、この土地の売却代金一億三千四百万円も空港整備勘定に入るはずであります。これは、航空局長、間違いないですよね。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと範囲が広くなるかもしれませんが、まず、本件土地の有償貸付契約に係る貸付料それから売買契約に係る即納金は、自動車安全特別会計の空港整備勘定に係る収入であり、有償貸付契約に係る有益費は、同勘定に係る支出ということでございます。

宮本(岳)委員 売却したときの土地の代金はどうなりますか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 売却をしたときの土地の代金につきましても、空港整備勘定の収入ということになります。

宮本(岳)委員 昨年四月六日、空港整備勘定から森友学園側に、紛れもなく有益費一億三千二百万円弱が支払われました。

 昨年六月二十日の売買契約によって、この豊中の国有地は一億三千四百万円で森友学園に売却されました。しかし、この売却金額の支払いの方は即金ではありません。

 国交省に確認いたしますけれども、これも局長に確認しますが、現時点で土地の売却代金は幾ら受け取っておりますか。

西銘委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

西銘委員長 速記を起こしてください。

 佐藤航空局長。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年六月に森友学園と売買契約を締結いたしまして、平成二十八年度中に収納した額は二千七百八十七万円でございます。

宮本(岳)委員 大臣、空港整備勘定の出入りだけを見れば、有益費一億三千二百万が既に出ていって、入ってくるべき売却代金は、まだ頭金の二千七百八十七万円のみであります。差し引き一億円以上のマイナスに現時点でなっているというのは疑いのない事実であります。それでもこの売買の評価は変わりませんか、大臣。

石井国務大臣 それは、適切に評価をした、あるいは適切に取引をした結果であるというふうに考えています。

宮本(岳)委員 この土地は、そもそも豊中市が、隣の同規模の国有地とあわせて、防災公園用地として取得を希望しておりました。豊中市に売却しておれば、土壌改良のみで、このような膨大な埋設物の撤去は必要なかったんです。無駄な支出も必要なかったと思います。

 なぜ今回のような売却になったのか、大臣、今後のために分析し、反省することは当然じゃないですか。いかがですか、大臣。

石井国務大臣 今回、いろいろこの件について取り上げられておりますから、それについては、私どもは適切に行っているというふうに思っておりますけれども、なかなか国民の皆様の御理解も広がっていないという状況は、今後の我々の行政の進め方の糧にはなるかなというふうに考えています。

宮本(岳)委員 ぜひ、しっかりと総括、反省をしていただきたいと思います。

 次に、私が二月二十四日、衆議院予算委員会で示した、二〇一五年九月四日の近畿財務局九階会議室における打ち合わせメモについて聞きます。

 財務省は、衆議院財務金融委員長の指示を受けて、この文書に名前が出ている近畿財務局池田統括官に確認し、その結果を文書で財務金融委員会に報告いたしました。

 昨日確認したところでは、国土交通省も、二〇一五年九月四日の打ち合わせなどに関する記録は既に廃棄したということでありましたけれども、これを廃棄したのはいつですか。

佐藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 事案終了時ということでございますので、有益費の支払いが行われた後かと考えております。

宮本(岳)委員 全然違うでしょう。事案の終了時というのは六月二十日じゃないんですか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御指摘は、平成二十七年九月四日の打ち合わせの関係でございますけれども、当時の担当に確認をいたしましたところ、平成二十七年九月当時は、まさにこの有益費の方の関係で、低深度の土壌汚染等の除去工事が実施されていたところであり、貸付契約上、その費用は国が有益費として償還することとされておりましたので、九月ごろに近畿財務局とともに関係業者と工事内容等について打ち合わせを行った記憶はあるということでございました。

 すなわち、当時の担当者は、この九月四日は有益費に関する打ち合わせをしていたということを言っておるわけでございまして、有益費につきましては、平成二十八年四月六日に支払われておりますので、先ほど私が答弁したのは、そういうことでございます。

宮本(岳)委員 では、四月六日に破棄したんですね、国交省については。

 その担当者は、では、その会議、そういう打ち合わせがやられた相手側、森友側から誰が出席していたか、どういうところから出席があったかということはおっしゃっていましたか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 当時の担当者に確認をしたところ、関係業者と工事内容等について打ち合わせを行った記憶はあるということでございますけれども、その関係業者の詳細についてまでは、当時の担当者から回答はなかったということでございます。

宮本(岳)委員 きのうもそう聞いたんですよ。これは奇怪な話ですよ。森友学園側の工事関係者というものは、この当時、キアラ設計と中道組、この二つしかありません。わからぬとか忘れるとか、本気でそんなことをおっしゃっているのかと、極めて奇異な御答弁だというふうに思いました。

 では、ちょっと関連して聞くんですけれども、証人喚問で籠池証人は、昨年一月に、有益費の支払いについて、稲田防衛大臣の夫の弁護士事務所で、近畿財務局及び大阪航空局の担当者と会って話し合ったと証言をいたしました。さらに、籠池氏は、私に対して、その担当者について、近畿財務局は池田統括官、航空局は安地氏だったと証言しましたけれども、当時、大阪航空局に安地という職員はおりましたか。また、稲田弁護士の事務所に行った事実は確認いたしましたか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 その前に、先ほど私、九月四日の件に言及いたしましたけれども、当時の担当に確認したところ、九月四日という確定の日にちについての記憶はございませんで、平成二十七年九月当時に近畿財務局とともに関係業者と工事内容等について打ち合わせを行った記憶があるということでございました。

 それから、今御指摘の方でございますけれども、本件土地につきましては、森友学園において有益費に関する工事が行われました平成二十七年七月から十二月にかけてと、その後、有益費の支払いについて森友学園、近畿財務局、大阪航空局の三者で合意した平成二十八年三月三十日にかけまして、大阪航空局は、近畿財務局とともに、工事関係者などと、現地確認のほか、工事内容の確認等、有益費の支払いに必要なやりとりを行っております。

 したがいまして、御指摘の時期の前後におきまして、有益費の支払いに必要なやりとりを森友学園関係者と近畿財務局、大阪航空局の間で行っている可能性はございます。

 今御指摘の安地でございますが、当時、大阪航空局空港部の補償課に在籍をしてございました。が、今申し上げましたように、その時期の前後におきまして森友学園関係者とやりとりを行っている可能性はございますけれども、個別具体的に担当者に確認は行っておりません。

宮本(岳)委員 個別具体的に確認していないということであります。

 この日時も含めて、ちょっと僕は奇異に思うのは、弁護士事務所でそういう打ち合わせをするというのは日常的にやられていることなんでしょうかね。余りそういうことは多くはないと思うんですが、そういうことを日常的にやっているんですか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもの理解では、大阪航空局は、近畿財務局とともに、工事関係者など、森友学園の関係者と必要なやりとりを行っているというふうに認識をしているということでございます。

宮本(岳)委員 ちょっと要領を得ませんね。

 委員長にお願いいたします。

 この九月四日の打ち合わせ記録に出席者として記載されている大阪航空局高見調整係に対して、会議の開催の有無や会議の内容について確認し、当委員会に報告するよう、委員長の名前で御指示をいただきたい。

 同時に、証人喚問で指摘された大阪航空局安地氏についても、国土交通省から直接御本人に確認していただいて、御報告を文書で提出していただきたい。

 ぜひとも理事会で御協議をいただきたいと思います。

西銘委員長 理事会で協議します。

宮本(岳)委員 高見調整係のパソコンや報告などの公文書の保存はどのようなシステムになっているのか。これは財務省とこの間私はやってきましたけれども、財務省のように、職員が手作業で消去して、消去した過去のデータは二週間で消え、復元できないシステムになっているんですか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 行政文書につきましては、電子データにつきましても、公文書管理法及び国土交通省文書管理規則に基づき、事務及び事業の性質、内容等に応じた一定の期間保存されるとともに、保存期間満了後には廃棄等の措置をとることとされております。

 その際、これら廃棄された電子データにつきましては、システム上に一定期間残存いたしますが、当省のシステムでは、大阪航空局の場合、一カ月で、システムの負担軽減のため、システム上からも消去され、復元できなくなっております。

宮本(岳)委員 本当にそういう答弁が続くんですね。これはハードディスクの容量上限まで利用していると言っているようなもので、ちょっと理解に苦しむんです。

 財務省とのやりとりで、専門業者に依頼するなど、復元の方法があるはずだという私の指摘に、佐川理財局長は、専門の部局に再度確認すると答弁されましたけれども、これは、財務省、結果はどうでしたか。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 近畿財務局のシステムにおきましては、職員が公文書管理法等の規定に基づいて、保存期間が満了したものにつきましては、電子データにつきましても削除するわけでございますが、システム上、削除された電子データは、基本的には復元できない状況になります。

 ただ一方、システム上、障害が仮に生じた際の復旧を目的といたしまして、十四日間の期間であれば、バックアップ機能により、システムの専門家が作業をすれば復元が可能というシステムになっております。

 したがいまして、電子データを削除した後でございましても、このバックアップ期間の十四日間であれば復元が可能でございますが、この期間を経過すれば、このシステムの運営を業務委託しております運営会社の専門家でありましても、データの復元はできないとのことでございました。

宮本(岳)委員 犯罪捜査でも国税調査でもデータの復元というのはやられているわけで、これを完璧に消去するには、誰かがやったように、ハードディスクをドリルで破壊するというようなことをやらなきゃならないんですね。

 財務省や国土交通省の個々の職員のパソコンが、ハードディスクの容量上限まで利用しており、その全てが日々大量のデータで上書きされているというのは、荒唐無稽な話だと言わなければなりません。

 財務省の佐川理財局長は、日付までは特定できないが、二〇一五年九月上旬の時期に業者を交えた打ち合わせが行われたことについては認めております。先ほど国土交通省も、そういう時期にそういうことがやられてきたことは認めておられました。

 後に有益費として支払われることになる土壌改良や埋設物の撤去について、コンクリートやアスファルトなどの大きな殻の撤去と土壌改良にとどめた理由は何なのか。そういう打ち合わせがあらかじめあったんじゃないですか。

佐藤政府参考人 先ほども御答弁いたしましたけれども、当時の担当者に確認をしたところ、九月ごろに、近畿財務局とともに、関係業者と工事内容等について打ち合わせを行った記憶はあるということでございました。

宮本(岳)委員 その打ち合わせで、コンクリート殻そして土壌改良にとどめようということは、あらかじめ打ち合わせで決めていたということですね。

 もう一つ航空局長に聞きます。

 森友学園から、二〇一五年度内に有益費を支払ってほしいとの要望を、航空局は受け取ったことがありませんか。

佐藤政府参考人 まず、先ほど私の答弁した中で、具体的な有益費の対象となる工事の内容について打ち合わせを行ったということと委員はおっしゃいましたけれども、そうではなくて、例えば、有益費の工事でどこまで地下埋設物を撤去するかということにつきましては、それはあくまでも借り主の判断でございますので、それをあらかじめ、こちらの方とそれについて何か事前に合意したということはないというふうに考えてございます。

 それからもう一つ、森友学園側から、有益費について、平成二十七年度、二〇一五年度の予算で払ってほしいという要望を受けたかどうかということでございますけれども、そもそも、平成二十七年度の七月から工事が始まったわけでございまして、私どもといたしましては、その時点で、平成二十七年度の予算の中にそういった有益費をお支払いするような予算は計上しておりませんし、そういった平成二十七年度に支払ってほしいというようなことを仮に言われましても、それは対応ができないというふうに認識をしてございます。(宮本(岳)委員「イエスかノーで。言われたのか」と呼ぶ)

西銘委員長 要望があったかという質問です。

 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

西銘委員長 速記を起こしてください。

 佐藤航空局長。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 要望があったかどうかということは実は確認できておりませんけれども、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたような事実関係でございますので、平成二十七年度予算で有益費をお支払いするということを私どもの方から申し上げたことはないということでございます。

宮本(岳)委員 確認してください。

 では、地下埋設物撤去費用の試算の三・八メートルと九・九メートル、先ほども議論がありました、これについて聞きます。

 改めて聞きますけれども、九・九メートルまでごみがあることを確認したのはいつですか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 九・九メートルを、見積もりの際にくい掘削箇所の深さとして用いているわけでございますけれども、どういった根拠に基づいてそういったことをしているのかということでございますけれども、まず、平成二十七年三月十四日に工事関係者から、その三月十四日の前の三月十一日に九・九メートルのくい掘削工事において廃材等のごみが発見されたという連絡が近畿財務局にあったということで、これを受けて、三月十四日に現地に確認をしてございます。この際には、実際に廃材等を含む土砂が積み上がっていることをみずからの目で確認しているということでございます。

 また、この三月十四日につきましては、工事関係者からヒアリングを行っているということでございます。また、掘削中の様子を示す工事写真も入手いたしまして、これは、その後日でありますけれども、確認をしてございます。

 さらには、本件土地がかつて池や沼であった、昭和四十年代初頭まで池や沼であり、地下の深い層から浅い層にかけて廃材等を含む相当量のごみが蓄積していると考えられることを踏まえまして、見積もりに当たりましては、深さを地下九・九メートルと、これはくい掘削箇所でございますけれども、設定をして見積もりを行うことが合理的であると判断したものでございます。

宮本(岳)委員 では、九・九メートルまでごみがあるということをそこまでしっかりと確認しておきながら、その後、大阪航空局は試掘を二回やっておりますけれども、なぜ、九・九メートルまでごみがあるかどうかを確認しなかったのか、三・八メートルでやめたのか。いかがですか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の、さらに二度試掘を行ったということでございますけれども、それは大阪航空局が行った試掘ではございません。

 九・九メートルのくい掘削工事において新たな地下埋設物が発見されたことを受けまして、くい掘削工事箇所以外の部分にも地下埋設物がないかどうかということを確認するために、施工業者が三月に二度試掘を行ったというふうに聞いております。

宮本(岳)委員 では、それでもいいですよ。

 九・九メートルまであるということを三月十四日に確認しながら、その後は三・八メートルでなぜやめたんですか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 九・九メートルというのはくい掘削箇所についてのことでございまして、先ほど答弁をいたしました、その九・九メートルのくい掘削工事箇所において新たな地下埋設物が発見されたことを受けて、それ以外の部分にも地下埋設物がないかということを施工業者が試掘をすることによって調べたところ、三・八メートルの深さまで地下埋設物が確認をされたということでございます。

宮本(岳)委員 三・八メーター掘ったから三・八メーターまで確認されたわけでしょう。

 では、端的に聞きましょう。

 くい打ちでない部分は、三・八メートルより深いところにごみはあるんですか、ないんですか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 本件見積もりなんですけれども、その考え方でございますが、これは、本件土地の売買契約において、将来にわたって本件土地が抱える一切の瑕疵について売り主である国の責任を免除する特約が付されることを前提として、土地の価値を算定するに当たって想定しておくべき地下埋設物の撤去、処分費用を見積もったということでございます。

 その中で、具体的に、くい掘削箇所については、九・九メートルまでごみがあると想定して費用を見積もりましたし、それ以外の場所については、三・八メートルまでごみがあるということを想定して費用を見積もったということでございます。

宮本(岳)委員 だから、その三・八メートルの根拠が全く定かでないわけですね。

 そこで、そのリスクについて聞きましょう、将来埋設物が出てくるリスク。

 例えば、籠池氏は、将来的に小学校の用地に中学校を建てたい、そのために校舎を八階建てにしたいと何度も言っておりましたけれども、将来埋設物が出てくるリスクに、建てかえ工事の際に出てくるリスクも想定されておりますか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 地下埋設物の撤去、処分費用の見積もりに当たりましては、本件土地の売買契約におきまして、売り主の瑕疵担保責任を免除する特約を付すということを前提といたしまして、当該土地に係る過去の調査結果、職員による現地確認、工事関係者からのヒアリングや工事写真など、検証可能なあらゆる材料を用いまして、校舎や児童の生活の安全性の確保の観点も踏まえて、将来にわたってリスクとなる地下埋設物の存在範囲を設定したということでございます。

 その結果が、くい掘削場所の深さにつきましては九・九メートル、その他の深さについては三・八メートルと設定をしたということでございます。

宮本(岳)委員 全く納得できる答弁じゃないんですね。

 最後に、きょうは理財局に来ていただいていますから、佐川理財局長に聞きたいと思います。

 事前にお渡ししてありますけれども、私が森友側関係者から入手した資料で「今後の手続きについて」と題されたものがございます。平成二十六年十二月十七日時点における今後の手続の説明資料ですとあり、その後の詳細な手続が記されております。私は、籠池氏の手帳で、この十二月十七日午後一時、近畿財務局と会っている事実を確認いたしました。例えば、平成二十七年二月に予定されている国有財産近畿地方審議会で売り払いを前提とする貸し付けが適当と答申され、その後、見積もり合わせにより貸付料が決定した後に借地契約は締結される、そう具体的に書かれております。

 平成二十六年十二月十七日といえば、森友学園の小学校設置申請が継続審議となった大阪府私学審議会の前日、つまり、平成二十七年二月十日に開催された第百二十三回国有財産近畿地方審議会の二カ月近くも前であります。

 これは、近畿財務局が森友側に渡した資料に間違いないですね。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 今、宮本委員の方から御指摘をいただきました、あるいは、この前の玉木先生の方からも御指摘をいただいておりますし、昨日、辰巳先生の方からも御指摘をいただいてございますが、その近畿財務局から森友学園に渡したとされる資料につきまして、近畿財務局からの説明資料ということでございましたので、近畿財務局に聞きましたところ、当時の担当者は、そうした資料を森友学園側に渡した記憶はあるということでございました。

 それで、この資料は国有地の処分の手続についてという説明資料でありますので、これについて申し上げますと、国有地の処分に当たりましては、要望者が国有財産の取引の経験に乏しく、必要となる事務手続を承知していない場合、あるいは、要望者が想定するスケジュールが国側が必要とする期間を考慮していない場合などには、要望者が国有地を取得した後に、円滑な事業の進捗に影響が生じることとなりますので、必要となります手続あるいはスケジュール等につきまして、相手方が理解した上で事務を進めることが不可欠でございます。

 したがいまして、財務局から要望者に対しましては、処分方針の決定前におきまして、処理方針が確定していないということを明らかにしました上で、国有財産の処分に係る制度、あるいは必要となる事務手続、想定されるスケジュールなどを説明するということは、各財務局におきまして一般的に行われているところでございます。

 本件に当たりましても、今の先生の御指摘は二十六年十二月ということでございますが、一年前の二十五年九月に相手方から取得等要望書が提出されておりますので、その間、先方との間で、もともと先方は貸し付けをとってから買い受けをするという希望でございましたので、近畿財務局から、処理方針を確定していないということを明らかにした上で、このような説明を行ったというふうに聞いてございます。

宮本(岳)委員 本当に、質問妨害みたいなことはやめてくださいね。

 この資料に別添されている別添資料がここにあります。この別添資料を見ますと、有償貸付合意書や売買契約書まで、既にほとんどでき上がっていますよ。ここには所在地や面積が既に書き込まれて、あとは日にちと名前を書き入れて印鑑を押せば契約完了というところまで準備しているじゃないですか。

 こういうものをつくって私学審議会の前に籠池氏に渡していた。事実なんですね。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 土地の面積等はそもそもわかっているわけでございますし、公的取得要望が出ているわけですから、貸し付けをしてから買い受けをしたいというのも全部わかっているわけでございます。

 それから、今申し上げましたように、一年前からこういう議論を向こうとしているわけで、今先生御指摘のように私学審の前でございますので、いずれにしましても、私学審が通って、それからその後に、私学審の了解を前提として国有審で仮に適当と答申されれば、こういうような契約書が締結されることになりますという前置きをした上で、事務手続が円滑に進むように、先方に対して参考となるものを渡している、こういうことでございます。

宮本(岳)委員 いやいや、そんな甘いものじゃないですよ。単なるひな形じゃないんです。例えば有償貸付合意書の第五条と六条には、土壌汚染及び地下埋設物、いわゆる有益費の支払いについて、この間、当該土地について行われた埋設物の調査について列挙した上で、第六条において、それらの除去費用の扱い、つまり有益費について定めております。まさに個別具体的な森友との契約書そのものなんですよ。

 こんなものは近畿財務局以外につくれるわけがないし、私学審の前にはっきり示されているじゃないですか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 冒頭申し上げましたように、この資料を森友学園に渡した記憶はあると担当者は答えているわけでございますが、いずれにしても、私学審の前にこういう資料を先方とつくって、それから、今、有益費のお話をされましたが、もともとここに埋設物があることはわかっておったわけですから、そういう有益費の議論もしていただろうというふうに思いますので、そういう意味では、何ら不自然なことはないだろうというふうに思ってございます。

宮本(岳)委員 二〇一四年十二月の大阪私学審の前日には、翌日には認可適当の判断が出ることを前提に、ここまで手はずが整っておりました。だからこそ、この間発表された大阪府の検証報告書によれば、二〇一四年十二月十八日、私学審で、財務に不安があるとして継続審議となった直後に、近畿財務局は、大阪府に対して、継続審議となった理由を問い合わせ、私学審の結論を出す時期など、ある程度事務局でコントロールすることはできるのではないか、こういう趣旨の発言さえ行い、このシナリオどおりに進めようとしたんですよ。

 もちろん、大阪府だって決して被害者ではありません。規制緩和を行い、国と二人三脚でやってきたんです。契約書の中身まで事前に伝え、森友の認可のために、認可がおりる前からせっせと準備を整えて、スケジュールがおくれそうになれば汗をかいて規定路線に戻す、そんなことまで財務省はやってきた。

 佐川理財局長は、私に対して、府私立学校審議会の前に、財務省近畿財務局から森友学園に対して、予断を持って国有地売却等の是非について申し上げた事実はございませんなどと繰り返し答弁してきました。この答弁はうそだったということですね。

西銘委員長 時間ですので、佐川理財局長、簡潔に答弁ください。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 今までの答弁どおり、予断を持って処分の方針等について向こうに伝えたことはございません。

宮本(岳)委員 断じて納得できません。

 引き続き追及することを申し上げて、質問を終わります。

西銘委員長 次に、椎木保君。

椎木委員 日本維新の会の椎木保です。

 本日は、国土交通行政に関する一般質疑ということで、インフラシステムの海外展開についてお伺いいたします。

 政府は、インフラシステムの海外展開等を支援するために経協インフラ戦略会議を設置し、平成二十二年時点において約十兆円のインフラシステムの受注額を、平成三十二年までに三十兆円に拡大するという目標を設定しております。少子高齢化に伴う人口減少社会を支えるため、我が国の企業が海外で積極的に稼いでくることは大変重要であり、政府が全面的にバックアップしていくことも重要であると考えます。

 我が国のインフラの強みは、その品質の高さにあると言えます。どこの国とは言いませんが、価格が安いだけのプロジェクトは、いわば安物買いの銭失いとなり、後々高くつくことになります。相手国は税金を使うわけですから、そうした見きわめが慎重に行われてしかるべきと考えますが、必ずしもそのようになっていないのが現実です。

 我が国の質の高いインフラを広く海外に展開するためには、さまざまな機会を通して、技術力の高さ、故障、欠陥の少なさ、納期の遵守、環境、安全面への配慮、ライフサイクルコストの安さ、制度構築や人材育成への支援等の我が国のインフラプロジェクトの強みを諸外国に積極的にアピールしていくことが必要であると考えます。

 国交省でも、石井大臣を初め、副大臣、政務官が先頭に立ってトップセールスを行っていることと思いますが、それにとどまることなく、与野党の垣根を越えて、議員外交の場面も活用し、オール・ジャパンとして売り込みを図ることが大事だと思います。

 インフラシステムの海外展開に向けた大臣の決意をお聞かせください。

    〔委員長退席、西村(明)委員長代理着席〕

石井国務大臣 新興国を初めといたしまして、世界のインフラ需要は膨大でありまして、これを積極的に取り入れることが今後の日本の成長に不可欠と考えております。このため、現在、政府を挙げてインフラシステム海外展開に取り組んでいるところでございます。

 特に、熾烈化する受注競争に勝つためには、日本の強みである質の高いインフラ投資、すなわち、ライフサイクルコストが低廉であることや、プロジェクトマネジメントにすぐれていること、人材育成や制度構築もあわせて行うことなどの特徴をしっかりとアピールすることが重要でございます。

 国土交通省といたしましては、インフラシステム海外展開に戦略的に取り組めるように、国土交通省インフラシステム海外展開行動計画二〇一七を取りまとめまして、受注を目指す主要プロジェクトを示すとともに、諸外国の訪問や、首相、閣僚等へ面会を行い、精力的にセールスを行ってまいりました。

 さらに、関係する議員連盟の活動など、議員外交での取り組みとも連携を図り、オール・ジャパンで強力なセールスを行うことで、一つでも多くの成果が生み出せるよう取り組んでまいりたいと考えております。

椎木委員 石井大臣らしい誠実な御答弁、ありがとうございます。

 次に、海外にはさまざまなインフラプロジェクトがあり、世界各地で熾烈な受注競争が繰り広げられております。インフラプロジェクトは、事業規模が大きく、分野も広範にわたり、かつ長期間にわたるものであり、日本企業が全ての案件を受注しようとするのではなく、重点的に狙うプロジェクトを特定し、オール・ジャパンとして戦略を持って臨むことが重要であると考えます。

 政府はインフラ輸出の政策方針をインフラシステム輸出戦略として定めておりますが、総花的な印象もあります。国交省は所管するインフラプロジェクトが多岐にわたるので、省として統一的な取り組み方針や重点プロジェクトの特定が必要と思うのですが、取り組み状況はどのようになっているでしょうか。

奈良平政府参考人 お答え申し上げます。

 国交省の統一的な取り組み方針についてのお尋ねでございます。

 この点につきましては、全世界で受注競争が熾烈化する中、戦略的にインフラシステム海外展開を進めるために、昨年三月に、国土交通省としての統一的な行動指針となる国土交通省インフラシステム海外展開行動計画を策定いたしております。本年三月には、状況変化に即しましてこれを改定し、新たに強化する取り組みを追加いたしました。

 具体的には、関係民間企業等の御意見などを広く伺い、国別の取り組み方針を定めた上で、今後、三から四年に注視すべき七十六の主要プロジェクトを掲げました。

 また、新たに強化すべき取り組みといたしまして、例えば、相手国の要請へスピーディーに対応していく点、海外展開の推進プレーヤーの体制強化を図る点、民間資金を一層活用するため、官民の適切なリスク分担とモデルとなるファイナンスパッケージの普及を図る点、我が国と補完関係を有する他国とともに第三国の海外市場に進出していく点などを挙げております。

 これらによりまして、我が国のインフラシステム海外展開を強力に支援してまいりたいと考えております。

椎木委員 次の質問に入ります。

 現在、新興国を中心に世界のインフラ需要は膨大であり、国土交通分野のインフラ輸出を支援するために、平成二十六年に、株式会社海外交通・都市開発事業支援機構、JOINが設立され、既に幾つかのプロジェクトについて日本企業と協調して出資を行っていると聞いております。

 JOINは、設立されてから二年半しか経過しておらず、インフラプロジェクトは長期間に及ぶものであることから、真価を発揮するのはこれからだと思われます。今後、どのようなインフラプロジェクトの海外展開を行っていこうと考えているのでしょうか、石井大臣にお尋ねいたします。

石井国務大臣 インフラ海外展開は、政治リスクなど、さまざまなリスクへの対応のほか、膨大な初期投資等のため、黒字化に長い期間がかかるという課題がございます。

 また、新興国では、膨大なインフラ需要を公共投資だけで賄い切れず、また、現下の世界経済状況を踏まえ、対外債務の増加に消極的な国がふえておりまして、民間資金を活用するPPP方式のインフラ整備、運営の要請が多くなっております。

 JOINにつきましては、PPP方式のプロジェクトに対応するために、金融支援のみならず、経営参画、人員派遣などを含めて、総合的に支援を行っております。

 今後、JOINには、さきに述べた課題や要請を踏まえて、既に事業運営をしている案件や、空港等多くの分野に支援を拡大していくこと、さらに、先導的な役割を果たしていくことが求められていると認識をしております。

 国土交通省といたしましては、引き続き、JOINの活用による民間企業の海外進出支援を通じまして、我が国の質の高いインフラの海外展開を積極的に進めてまいりたいと考えております。

椎木委員 ありがとうございます。

 次に、インフラ輸出のためには、具体的なプロジェクトが形成される前段階で、各国が抱える社会的課題にどのように対応するのか、その国の政府が解決策を模索している段階からソフト面で協力していくことが重要であると考えます。

 例えば、東南アジアの都市では交通渋滞が問題となっておりますが、その解決策を我が国主導で提供できれば、日本の交通システムの導入につながる可能性もあるのではないかと思います。

 国交省として、個別のインフラ輸出案件の受注のみならず、前段階からの取り組みも強化すべきと考えますが、いかがでしょうか。

    〔西村(明)委員長代理退席、委員長着席〕

奈良平政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国では、高度成長期以降の成長段階に応じまして、国土計画や交通網整備計画を策定し、インフラ整備や社会問題の解決を図ってきた多くの経験がございます。そうしたノウハウを活用し、諸外国にソフト面で協力していくことが可能であり、また、我が国のインフラ海外展開の強みになると考えております。

 例えば、ASEAN地域では、二〇一五年末にASEAN経済共同体が発足し、巨大な単一市場の実現に向けた地域の連結性強化が重視されております。また、モータリゼーションの進展により、交通事故や交通渋滞といった社会問題が深刻になっております。こうしたことから、既存の交通マスタープランを見直したいというニーズが高まっているものと認識しております。

 さらに、これらの国々では、解決策を導くノウハウや人材を有しないところも多くあるため、現状把握や制度構築面での支援を必要としているものと認識しております。

 これらの状況を踏まえまして、我が国の経験、知見で国土、地域開発計画や交通網整備計画の策定、見直し提案を行い、さらには、交通渋滞、交通事故の減少のための具体的な支援を行うことで、プロジェクトに川上段階から参入し、我が国企業の受注環境を整備していきたいと考えております。

椎木委員 次に、我が国は、世界に類を見ない自然災害大国と言えます。災害のたびにさまざまな社会インフラが破壊され、その都度、再構築がなされております。そのような環境の中で、防災に関する先端的な技術が培われてきました。

 同じように自然災害の多いASEAN諸国に対し、我が国が持っている防災技術等のノウハウを提供することは大きな意味があると思うのですが、国交省としてどのような対応を考えているのでしょうか。

奈良平政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国は、地震や津波、台風など、多様な自然災害が頻発し、そのリスクにさらされながら経済発展を遂げてまいりました。この経験で得た災害に強いインフラは、同じように災害の多い国々に対する防災技術のインフラ海外展開の強みになるとともに、我が国の技術の高度化に寄与してきた側面があると考えております。

 途上国政府の中には、防災分野の投資への関心が低いところもあることから、各国が防災を優先課題と位置づけるなどのいわゆる防災の主流化を我が国が主導いたしまして、防災技術の紹介や制度構築、人材育成支援などを行っております。

 具体的には、二国間の防災協働対話などを通じまして、我が国の防災のすぐれた技術や知見を紹介し、アジアを中心とする新興国等の防災機能の向上に取り組むとともに、JICAを通じた防災に関する長期専門家の派遣や、国立研究開発法人土木研究所における防災対応能力向上の研修などによる制度構築、人材育成に取り組んでいるところでございます。

 国土交通省といたしましては、このような取り組みを通じまして、各国における防災技術の向上を図るとともに、我が国の防災技術のインフラ海外展開を推進していきたいと考えております。

椎木委員 ぜひしっかり推進していただきたいと思います。

 次に、現在、マレーシアとシンガポールを結ぶ高速鉄道計画が検討されており、ことし後半にも入札が行われる見込みであると聞いております。同プロジェクトは、今後のアジアにおける高速鉄道受注競争を見据えると、ぜひとも受注すべき案件であると思います。

 政府としても、これまで以上に積極的に働きかけを行い、日本企業の受注に向けて後押ししていくべきと考えますが、マレーシア―シンガポール間高速鉄道プロジェクトの現状はどうなっているのでしょうか。また、日本企業の受注に向けてどのような取り組みを考えているのでしょうか、答弁を求めます。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 マレーシアのクアラルンプールとシンガポールを結びます高速鉄道につきましては、昨年十二月、マレーシア、シンガポール両国の二国間協定が締結をされまして、二〇二六年中の開業を目指すことや、車両や信号システムなどの入札を本年中に行うということが合意をされました。

 また、ことしの二月には、車両や信号システムなどの入札について両国政府に助言を行うコンサルタントが決定されたところでありまして、今後、両国において入札に向けた検討がさらに進められていくものと承知をいたしております。

 本高速鉄道につきましては、これまで、官民で緊密に連携をいたしまして、新幹線導入を両国関係者に働きかけてきております。昨年七月には、石井大臣が両国を訪問いたしまして、両国間で高速鉄道に関する覚書が署名された直後の機会を捉えまして、新幹線システムの採用に向けてトップセールスを行ったところでございます。

 具体的には、シンガポールにおいて高速鉄道シンポジウムを開催するとともに、両国の関係閣僚と精力的に会談を行い、新幹線の優位性等をアピールしてまいりました。特に、半世紀以上続きます死亡事故ゼロに象徴される卓越した安全性、信頼性、すぐれたライフサイクルコストといった優位性を訴えかけるとともに、技術移転、人材育成に積極的に取り組むことが我が国の方針であることを具体に説明してまいったところでございます。

 これに対しまして、両国からは、我が国のマレーシア―シンガポール間高速鉄道計画への参画に期待する等の発言がございました。

 昨年十一月には、日・マレーシア首脳会談が行われまして、総理から新幹線導入への強い期待を表明したのに対しまして、ナジブ首相から、日本からの提案に期待する旨の発言もあったところでございます。

 ことしに入りましてからも、両国に対して、ハイレベルで新幹線導入の働きかけを継続して行っております。

 国土交通省といたしましては、年内に予定されます入札に向けまして、今後一層、トップセールス等により両国への働きかけを強化していくとともに、人材育成やファイナンス、さらには現地企業との協働を含む具体的な提案の検討を加速化いたしまして、新幹線システムの導入に向け、官民の関係者と緊密に連携して、積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

椎木委員 ありがとうございます。期待どおりの答弁をいただけたと思います。

 次の質問に入ります。

 人口が急増しているアフリカ諸国では、膨大なインフラ需要が見込まれると聞いております。

 平成二十八年にケニアで開催された第六回アフリカ開発会議において、安倍総理は、二〇一六年から二〇一八年の三年間で、約一千万人の人材育成、インフラ整備を初め、官民総額で三百億ドル規模のアフリカの未来への投資を行うと表明しておられます。

 アフリカ開発会議は、今後三年ごとに開催される予定であり、次回は平成三十一年に我が国で開催されるとのことですが、次回会合をにらみ、インフラシステムのアフリカ展開に向けてどのような取り組みを行っていくつもりでしょうか、答弁を求めます。

末松副大臣 お答え申し上げます。

 アフリカ地域は、急激な人口増加等を背景に、近年、目覚ましい経済成長を遂げております。さらなる経済成長やアフリカ諸国間の交通の利便性向上などを図るためのインフラ整備に対し、極めて大きな需要があると考えております。

 先生御指摘のとおり、二〇五〇年には、世界の全人口の二五・五%をアフリカ地域が占めることになります。二〇〇〇年から二〇一五年のサブサハラ・アフリカの年平均の経済成長率は五・四%と、世界平均が三・八%、先進諸国が平均一・九%でありますから、相当大きな伸びを示してございます。

 このため、国土交通省といたしましては、昨年八月にケニアのナイロビで開催されましたTICAD6の機会に、質の高いインフラに対する理解促進と日本企業の進出を支援すべく、日・アフリカ官民インフラ会議を開催いたしました。同会議には私も参加をいたしましたが、アフリカ十二カ国より参加があり、四カ国のインフラ担当閣僚とともに、質の高いインフラ投資の推進に向けました閣僚宣言を採択いたしたところでございます。

 また、同会議に合わせまして、アフリカ各国の閣僚と直接会談を行いまして、日本の質の高いインフラの魅力を発信してまいりました。

 このような取り組みをさらに発展させるため、我が国企業、団体百四十二社から構成されますアフリカ・インフラ協議会を昨年九月に立ち上げ、精力的にアフリカ展開に向けた取り組みを一層強化しておるところであります。

 本年一月には、微力ですが、私が団長になりまして、同協議会の会員企業とともに、ウガンダ及びザンビアにおきまして官民インフラ会議を開催しまして、また、来月五月には、ガーナにおいて同様の会議を開催する予定でございます。

 平成三十一年に開催されます次回TICAD7をにらみまして、これらの取り組みを通じて、アフリカ・インフラ協議会と最大限連携しつつ、より多くの国にトップセールスを行ってまいりたいと考えております。

 さらに、官民一体の案件形成や受注活動を行うなど、我が国インフラシステムのアフリカ諸国への展開を推進してまいります。

 よろしくお願い申し上げます。

椎木委員 ありがとうございます。

 次に、港湾は、新興国の経済発展に欠かすことのできないインフラです。

 我が国は、鹿島臨海工業地帯に代表されるように、戦後、臨海部において港湾整備と工業地帯の造成を一体的に行い、雇用の創出と所得の向上に成功した実績があります。

 我が国における産業立地型港湾開発のノウハウを活用して、港湾インフラの海外展開を推進していくことは有効と考えますが、いかがでしょうか。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 我が国におきましては、鹿島港等の例にあるとおり、臨海部の産業立地と港湾インフラ等が一体となった臨海工業地帯の開発を通じまして、地域における雇用と所得を目に見える形で創出してまいりました。

 こうした我が国の経験を生かしまして、国土交通省におきましては、ミャンマー国ヤンゴン港ティラワ地区において、SEZと一体となった港湾開発への支援を通じて、ヤンゴン首都圏における雇用、所得の創出に貢献するなど、積極的な港湾インフラの海外展開を推進しております。

 こうした港湾インフラの海外展開に当たりましては、計画策定から管理、運営まで、いわゆる川上から川下まで一貫した取り組みが重要でございまして、官民の意見交換あるいは情報共有の場として設置をいたしました海外港湾物流プロジェクト協議会を活用いたしまして、インドネシアのパティンバン港開発事業を初め、各プロジェクトの推進に官民協働で取り組んでいるところでございます。

 国土交通省といたしましては、民間企業や関係省庁、またJICAやJOINといった関係機関との連携をさらに強化いたしまして、積極的な港湾インフラの海外展開を進めてまいりたいと考えております。

椎木委員 次に、我が国のインフラ輸出は、単に日本企業が海外で稼いでくること以外にも、国益に資する意味合いがあると考えます。国交省関係では海上保安の分野だと思います。

 東南アジアを中心に、巡視船艇の供与や人材育成への協力等を通じて海外保安機関の能力向上を図り、その結果、我が国周辺海域の安全確保に貢献し、我が国船舶の安全航行を確保することになります。

 そこでお尋ねいたしますが、我が国による海外保安分野での国際協力の現状はどうなっているのでしょうか、また、今後の取り組みについてお伺いいたします。

中島政府参考人 お答えします。

 海上保安庁は、過去四十年にわたり、アジア沿岸国に対する海難救助や油防除、海上法執行や海上交通の安全確保等に関する能力向上支援を継続実施してまいりました。

 近年におきましては、東シナ海、南シナ海を初め、アジアにおける海洋安全保障環境の変化に伴いまして、海上法執行機関の重要性がますます高まる中、アジア諸国では海上法執行機関が相次いで設立をされております。

 このような中、海上保安庁では、アジア諸国の要請に基づき、巡視船の供与、及び海上保安に係る研修、並びに巡視船、航空機を派遣した連携訓練を実施しているほか、海上保安政策に関する修士レベルの教育を行う海上保安政策課程を実施しております。

 また、アジアの十九カ国、一地域の海上保安機関のトップが一堂に会するアジア海上保安機関長官級会合を開催し、アジア諸国の海上保安機関との信頼関係を築いております。

 今後の取り組みにつきましては、これまで同様、国際協力の継続実施に加えまして、このたび、他国海上保安機関との信頼関係のさらなる深化、及び技術指導等の支援要請の質的、量的増加に適切に対応することを目的に、他国海上保安機関に対する能力向上支援の専従部門を立ち上げることとしております。

 海上保安庁としましては、これらの取り組みにより、アジア諸国を中心に、海上保安機関の能力が一段と向上するものと考えております。

椎木委員 ちょうど時間が参りましたので、きょうは十問用意させていただいたんですが、九問質問させていただきました。

 前回も申し上げていますけれども、私の前日の午後の早い時間の通告で、本当に詳細にわたった答弁がいただけていると思っております。これは、地元で国政報告等々でも、一般の国民の皆さん、有権者の皆さん、議事録を読んで本当にわかりやすいということで、大変好評です。これからも早い通告をしますので、より丁寧な答弁をいただければと思います。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

西銘委員長 次に、内閣提出、道路運送車両法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣石井啓一君。

    ―――――――――――――

 道路運送車両法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

石井国務大臣 ただいま議題となりました道路運送車両法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 昨年発覚した我が国自動車メーカーによる型式指定審査における燃費の不正事案や、海外メーカーによる排出ガスの不正事案の発生を踏まえ、このような不正事案の再発を防止し、自動車の性能及び型式指定制度に対する国内外からの信頼を確保するため、自動車の型式指定制度の適正な実施を図る必要があります。

 このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、不正の手段により自動車等の型式の指定を受けたときは、国土交通大臣は当該指定を取り消すことができることとしております。

 第二に、型式の指定を受けた者に対する報告徴収等において虚偽の報告等を行った者に対し、罰則を強化することとしております。

 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由であります。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

西銘委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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