衆議院

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第3号 平成30年3月14日(水曜日)

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平成三十年三月十四日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 西村 明宏君

   理事 鬼木  誠君 理事 金子 恭之君

   理事 新谷 正義君 理事 土屋 品子君

   理事 盛山 正仁君 理事 赤羽 一嘉君

      秋本 真利君    岩田 和親君

      大塚 高司君    大西 英男君

      加藤 鮎子君    門  博文君

      神谷  昇君    工藤 彰三君

      國場幸之助君    鈴木 憲和君

      田中 英之君    高木  毅君

      谷川 とむ君    中谷 真一君

      中村 裕之君    根本 幸典君

      鳩山 二郎君    藤井比早之君

      三谷 英弘君    宮内 秀樹君

      簗  和生君    山本 公一君

      北側 一雄君    高木 陽介君

      井上 英孝君

    …………………………………

   国土交通大臣       石井 啓一君

   国土交通副大臣      あきもと司君

   国土交通大臣政務官    秋本 真利君

   国土交通大臣政務官    高橋 克法君

   国土交通大臣政務官    簗  和生君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  石川 雄一君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  菊地身智雄君

   国土交通委員会専門員   山崎  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十四日

 辞任         補欠選任

  望月 義夫君     國場幸之助君

同日

 辞任         補欠選任

  國場幸之助君     望月 義夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 道路法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)


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     ――――◇―――――

西村委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ち、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会及び日本共産党所属委員に対し、御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

西村委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会及び日本共産党所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 内閣提出、道路法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣石井啓一君。

    ―――――――――――――

 道路法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

石井国務大臣 ただいま議題となりました道路法等の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 近年の道路を取り巻く社会情勢に鑑みると、国民の安全、安心の確保や生産性向上の観点から必要な道路整備を引き続き着実に進めていくことが必要であるとともに、災害や占用物件に起因する道路閉塞の発生等を踏まえ、道路管理の充実による安全性のさらなる向上が急務であります。加えて、ドライバー不足が深刻化する中で、国際海上コンテナ車の増加やトラックの大型化に対応し、道路の機能強化により物流生産性の向上を図ることが喫緊の課題となっております。

 このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第であります。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、地方公共団体に対する道路の改築に関する国の負担又は補助の割合の特例措置の適用期間について、平成三十年度以降十年間延長することとしております。あわせて、道路の老朽化に対応するため、補助国道の修繕についても特例措置を適用することとしております。

 第二に、道路管理の充実による安全性のさらなる向上を図るため、道路占用者による占用物件の維持管理義務を創設するとともに、幅員が著しく狭い歩道において歩行者の安全かつ円滑な通行を確保するため、占用の禁止又は制限を行うことができることとしております。あわせて、道路区域外からの落石等を防ぐため、沿道の土地等の管理者に対し、損失補償を前提とした措置命令を行うことができることとしております。

 第三に、平常時、災害時を問わない安定的な輸送を確保するため、国土交通大臣が物流上重要な道路輸送網を重要物流道路として指定する制度を創設し、国際海上コンテナ車等の円滑な通行を図るため、通常の道路より水準が高い特別の構造基準を設定するとともに、重要物流道路及びその代替・補完路について国土交通大臣が道路啓開及び災害復旧を代行することができることとしております。

 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由であります。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

西村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

西村委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省道路局長石川雄一君、港湾局長菊地身智雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西村委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。藤井比早之君。

藤井委員 藤井比早之でございます。ありがとうございます。

 道路法等の一部を改正する法律案につきまして質問をさせていただきます。

 まず、今年度末に期限が切れる道路財特法に基づく国費率のかさ上げ措置の延長についてお伺いいたします。

 この制度につきましては、どの自治体に行きましても、延長してほしいという熱望、切望が寄せられておるところでございます。自治体にとってはなくてはならない延長でございます。

 今回の改正ではまた、補助国道の修繕に係る国費率のかさ上げ措置の新設、市町村道の改築に係る国費率のかさ上げ措置への拡充など、新設、拡充事項が存在しますけれども、この延長、新設、拡充の趣旨と目的をお伺いします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 道路財特法による国費率のかさ上げ措置につきましては、これまで、国民の安全、安心の確保や生産性向上による成長力の強化等の観点から、必要な道路の整備、機能強化を図る上で重要な役割を担ってきたところでございます。

 このため、かさ上げ措置の継続につきましては、全国の地方公共団体から強い要望をいただいているところでございます。

 今回の改正におきましては、地域の意見も踏まえつつ、今後も引き続き計画的に道路の整備、機能強化に取り組んでいく観点から、適用期間を平成三十年度以降十年間延長するとともに、補助国道の修繕の国費率を二分の一から十分の五・五にしてかさ上げの対象に追加するなど、地方公共団体による老朽化対策への支援の強化、交付金事業のかさ上げ措置の対象を重点配分対象事業に重点化、財政力の低い地方公共団体への支援の強化などの措置を講じます。

 これらの措置を講じることによりまして、今後も引き続き計画的に必要な道路の整備、機能強化に取り組んでまいります。

藤井委員 メンテナンスも非常に大切でございます。また、全市町村から要望が寄せられておるというふうに伺っておりますけれども、まさに自治体にとってなくてはならない改正事項でございまして、今年度末の期限が切れる前に何としてもこの改正法案を早期に成立させる必要がある。このことを切に訴えさせていただきたいと思います。

 また、身近な道路という点では、通学路の改築とか、そういったところへの支援をよろしくお願い申し上げたいと思います。私の地元でも、桃坂バイパスや河内と明楽寺の間のバイパスなど、通学路で危ない箇所がいっぱいありますので、こういうのに対してのかさ上げ措置が活用されるということが非常に大切だと思っております。予算の確保もあわせて要望するところでございます。

 次に、通学路という点では、まさに、幅員の狭い歩道に電柱があった場合、これは非常に危ないということになります。車椅子の皆様にとっても、ベビーカーの皆様にとっても、安全で円滑な通行に支障が生じます。

 今回の改正では、道路法三十七条に基づく占用制限の対象に、幅員が著しく狭い歩道で特に必要な場合と追加することとしておりますけれども、この改正趣旨と効果、また、無電柱化の推進の必要性とあわせてお伺いいたします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、通学路や福祉施設周辺の道路などにおいて、電柱によって歩行者や車椅子利用者などの安全、円滑な通行に支障が生じている場合があるところでございます。

 しかしながら、現行の占用制限規定では、歩道における歩行者の安全、円滑な通行の確保を目的として電柱の占用を制限することはできないという課題がございます。

 今般の法改正では、幅員が著しく狭い歩道で特に必要がある場合にも道路管理者が占用制限できることとするものでございまして、これによりまして、通学路や福祉施設周辺などの道路上の歩道における安全、円滑な通行の確保が図られるものと考えております。

 また、無電柱化は、安全、円滑な交通の確保に加えまして、災害の防止や良好な景観の形成などの観点からも重要な施策でございます。

 国土交通省では、無電柱化の推進に関する施策の総合的、計画的、かつ迅速な推進を図るため、無電柱化推進計画の策定を進めておりまして、占用制限の拡大に加え、低コスト手法の導入によるコスト縮減の促進、財政的措置等、さまざまな施策に取り組むこととしております。

 無電柱化の推進に当たりましては、本計画を着実に実行できるよう、地方公共団体及び電線管理者等とも連携し、積極的に取り組んでまいります。

藤井委員 ありがとうございます。

 まさに無電柱化、安全、円滑な交通確保の観点、それ以外にも、やはり防災や、それから良好な景観、観光にとっても、非常に景観形成の観点を含めて大切なものだと思っております。

 兵庫県は東京都に次いで無電柱化の整備状況が全国二位ということになっておるんですけれども、それでも約三%にすぎないというところでございますので、無電柱化への推進、予算確保を含めまして要望を申し上げたいと思います。

 次に、スマートインターチェンジの整備についてお伺いいたします。

 既存のサービスエリア、パーキングエリアを活用して大規模商業施設、工業団地や物流施設に直結できるスマートインターチェンジの整備は、地域経済の活性化に非常に効果的です。

 今回の改正では、民間負担によるスマートインターチェンジの整備が可能となる制度改正が盛り込まれていますが、この趣旨と効果、取組方針についてお伺いいたします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省では、これまで、高速道路の有効活用や地域活性化を図るため、スマートインターチェンジの整備を進めてきたところでございます。

 例えば三木スマートインターチェンジについて、今年度から国による準備段階調査を実施をいたしまして、現在、国、三木市、兵庫県等で構成される準備会において、スマートインターチェンジの位置、構造等を検討しているところでございます。

 このスマートインターチェンジに加えまして、国土交通省では、物流拠点や商業施設等の民間施設と高速道路を直結する民間施設直結スマートインターチェンジにつきまして、民間事業者の発意と負担により整備する制度を昨年七月に具体化し、募集を開始したところでございます。

 国土交通省は、このインターチェンジにより、周辺の道路の交通の円滑化、一般交通の高速道路へのアクセス性向上とあわせまして、民間事業者の生産性、民間施設の利用者の利便性等を向上させ、地域の活性化に寄与することを期待しているところでございます。

 民間施設直結スマートインターチェンジの整備を促進するため、今般の道路法等の一部を改正する法律案におきまして、国と地方公共団体が民間事業者に対し、整備に充てる資金の一部を無利子で貸し付ける制度を創設することとしております。また、民間事業者が事業用地を取得した場合に登録免許税を非課税とする措置の創設も予定をしております。

 国土交通省といたしましては、民間施設直結スマートインターチェンジの整備に向けて、関係機関と連携しつつ、民間事業者の取組に対し適切に支援を行ってまいります。

藤井委員 ありがとうございます。

 私の地元の三木サービスエリアのスマートインターチェンジ準備段階調査についても触れていただきまして、ありがとうございます。

 まさに、民間の発意を活用して民間施設直結のスマートインターチェンジを整備していただけるということでございます。やはり、スマートインターチェンジ、本当に地域経済の活性化には大切な施策でございますので、どうか、この改正を活用してよろしくお願い申し上げたいと思います。

 まさに、高速ネットワーク、これがやはり重要なんだと思います。大規模商業施設、工業団地、物流施設の立地そして誘致という点では、地域経済の活性化にはなくてはならないものだと考えます。

 そこで、例えばということで、圏央道の整備促進効果をお伺いいたします。

 圏央道は東京、首都圏の環状道路として重要なんですけれども、これは、北関東と成田空港を結ぶ、また横浜港を結ぶということで、北関東、関東内陸部が空と海でつながるという点で重要なものと考えますが、その経済活性化の効果をお伺いいたします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 首都圏におきましては、昨年二月に圏央道の茨城県区間が開通したことによりまして、東名高速、中央道、関越道、東北道、常磐道の六つの放射道路が圏央道を通じてつながりました。

 物流面におきましては、圏央道により、都心部を通過せずに地方間を結ぶことが可能になるとともに、首都圏から各地への物流の効率化につながることから、圏央道沿線における物流施設の年間立地件数が、二十年前と比較して四・六倍に増加をしております。

 特に、平成二十一年から二十六年の五年間におきましては、神奈川、東京、埼玉、茨城の一都三県の圏央道沿線市、町における大型物流施設等が、新たに約九十件、従業員数が約九千人増加しておるところでございます。

 また、企業立地等による市、町の税収増加につきまして、法人住民税が約百五十億円、建物の固定資産税が約六十億円増加をしております。

 しかしながら、東名高速以南におきましては、藤沢―横浜の間が圏央道でつながっていない状況でございます。現在、横浜湘南道路及び横浜環状南線につきまして、国及び東日本高速道路会社が事業主体として用地買収及び工事を実施しているところでございます。

 圏央道が全通することにより、首都圏各地域で製造された完成自動車等の輸送に際して、都心部を通過せずに国際戦略港湾である横浜港に輸送できることから、生産性の向上が期待されるところでございます。

 引き続き、物流効率化による我が国の経済のさらなる活性化を目指し、圏央道を始めとする首都圏の道路ネットワークの強化を進めてまいります。

藤井委員 ありがとうございます。

 五年間で九十件、九千人、また、百五十億、六十億と非常にまさしく景気のいい話なんですけれども、こういった地域経済の活性化、そのために非常に必要だと思います。

 六つの放射道路をつなぐという話でございますけれども、ただ、まさしく横浜港にとっては一直線で内陸部とつながる道路という形になります。自動車の輸出ハブ拠点になっている横浜港なんですけれども、では、その自動車はどこから来るのか。実は横浜だけじゃなくて、群馬から、そして埼玉狭山から、日野からなど、関東内陸部各地の自動車メーカーの主力生産拠点から集結してくるという形になります。

 こうした内陸部や生産拠点から陸路で港を結ぶ、空港を結ぶ、そうした、貨物を集める集貨のネットワークというのが大切だと思いますけれども、そこで、次に神戸港についてお伺いさせていただきたいと思います。

 神戸港のコンテナ貨物取扱量は、阪神・淡路大震災の前年、平成六年の二百九十一万六千TEUを抜いて、昨年、平成二十九年に二百九十一万七千TEUと最高記録を更新いたしました。二十三年たってとうとう神戸港が復活を遂げたということになります。関係者の皆様の御尽力に心より感謝を申し上げるところでございます。

 そこでお伺いいたしますが、過去最高となった主な要因が何だと分析されておられるでしょうか。また、日本海側地域の貨物はどこに向かっているのか。神戸港に集貨される場合にはどのようなルートで向かうのか。お伺いいたします。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省では、我が国港湾への基幹航路の維持拡大を図るため、集貨、創貨、競争力強化の三本柱から成る国際コンテナ戦略港湾政策に取り組んでいるところでございます。

 この中でも、国内外の貨物を集約する集貨につきましては、基幹航路を維持拡大するために必要な貨物量を確保するという観点から、特に重要な取組になっております。

 こうした取組によりまして、委員御指摘のとおり、神戸港におきましては、平成二十九年のコンテナ取扱貨物量は過去最高となる二百九十一万七千TEUを記録したところでございます。

 その要因でございますが、九州、瀬戸内地域からの集貨について、平成二十六年度から阪神国際港湾株式会社が国の支援を受けて開始をいたしました集貨事業の結果、主に海上輸送により集貨を図るための国際フィーダー航路の寄港便数が、事業開始前の平成二十六年四月時点の週六十八便から平成三十年一月時点では週百一便と、五割増加したことがあるというふうに認識をしてございます。

 他方で、日本海側地域からの集貨でございますが、現状では国際フィーダー航路がないため、全て陸上交通により行われておるという現状でございます。

 今後の道路ネットワーク整備の進展によるアクセス性の向上を踏まえまして、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

藤井委員 ありがとうございます。

 復活の理由は集貨にある、そしてまた、九州、瀬戸内各地からの海上輸送、これによるというお答えでございました。

 ただ、日本海側の地域につきましては、これはやはり陸路をとるしかないということなんだと思います。実際のところ、海で行く場合はすぐ釜山に行ってしまいますので、向こうにとられてしまう。それを引き寄せるためには陸路が大切だということなんだと思います。

 今回の改正では、まさに物流生産性の向上のために重要物流道路制度の新設が盛り込まれています。この改正は、まさに港への集貨を陸路でスムーズに行うための改正と理解しますが、この制度趣旨をお伺いいたします。

 また、集貨を行うためには、港へのアクセス、高速ネットワークの整備が不可欠でございます。阪神港への集貨のためにも、国際コンテナ戦略港湾、神戸港と大阪港を一体化させるために、大阪湾岸道路西伸部、神戸湾岸道路の整備が重要と考えますが、国土交通省の見解をお伺いいたします。

 なお、日本海側地域から神戸港への集貨は陸路ということです。実は日本海側地域から神戸港への進入ルートは限られておりまして、舞鶴若狭道から行く場合は、一旦大阪に向かってから戻る。播但を使った場合は、一々姫路まで行って迂回してこないといけない。また、大渋滞する。そういったところであり、また、中国自動車道、山陽道からの抜け道は、通行に支障を来して、コンテナ、トラックがよくとまってしまう。

 南北の円滑な重要物流道路ネットワークの整備も必要と考えますが、全体的な、こうした港といわば内陸部、そして、違う海をつなぐ高速ネットワーク整備の必要性についてお伺いいたします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 重要物流道路制度は、平常時、災害時を問わない安定的な輸送を確保するため、国土交通大臣が物流上重要な道路輸送網について計画路線も含めて重要物流道路として指定して、あわせて、機能強化や重点支援を実施するものでございます。

 委員御指摘の大阪湾岸道路西伸部は、人口や産業が集積する大阪、神戸の沿岸部における重要な路線でございまして、神戸港を始めとした物流拠点へのアクセス向上による物流の効率化などの効果が期待されることから、重要物流道路の趣旨に合致する道路であると認識をしております。

 この事業は、平成二十八年度に直轄事業として事業化し、阪神高速道路会社への事業許可を経て、平成二十九年度からは直轄事業と有料道路事業で事業を進めておりまして、現在、地質調査や設計を実施しているところでございます。

 今後とも、地元自治体などの協力を得ながら、早期開通を目指し事業を進めるとともに、そのほかの港湾との有機的な連絡も含めて、物流の生産性向上に資する広域的な幹線道路ネットワークの強化を進めてまいります。

藤井委員 大阪湾岸道路西伸部にも触れていただいて、ありがとうございます。

 港湾との有機的な連携、非常にありがとうございます。

 オホーツク海のホタテは、高速道路を通って苫小牧港、小樽港から輸出されます。全国市区町村の平均所得額の全国三位、四位というところで猿払村、また、オホーツク海の各自治体がホタテの輸出でもうかっているという形になります。熊本など九州各地の果物や野菜は、高速道路を通って博多港から輸出されます。東海北陸道は、富山、新潟、北陸と名古屋を結ぶ大量の物資輸送ルートとなりました。昇龍道、観光の道ともなっています。

 国土交通省が創設されて十七年、建設省と運輸省が一緒になって十七年、道路と港湾が連携して集貨を行う新たなネットワークを形成する。そのことによって、工業団地等生産拠点や物流拠点が形成され、創貨も行われる。その地域に新たな富が生まれる。

 今回の改正、重要物流道路の創設の重要性を訴えさせていただくとともに、日本海側と太平洋側をつなぐ、また、内陸部、中山間地と港を結ぶ新たなネットワークの形成、港湾と道路を結ぶネットワークの形成と日本経済の生産性向上をお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

西村委員長 次に、加藤鮎子君。

加藤(鮎)委員 山形三区選出の、自由民主党の加藤です。本日も質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 今回の法案は道路法等の一部を改正する法律案と伺っておりますので、地方に住む方々の気持ちに思いをはせながらしっかりと質問をしてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず初めに、重要物流道路についてお伺いをいたします。

 平成二十九年、私の地元の酒田港では、輸出の量が前年比二五・一%増、輸入の方が一二・〇%増、合計で前年比一九・九%増となり、コンテナの貨物量が四年連続で過去最高を更新をしております。

 その背景には、花王の酒田工場のおむつの生産拡大ですとか、また、官民一体となったポートセールスの展開もありますが、太平洋側に集中している自動車関連会社が、災害時のリスク回避の観点から日本海側の企業との取引を開拓しているという話もあります。

 また、山形県庄内地方で畜産が盛んな庄内豚ですけれども、この庄内豚のために庄内地方のJAが仕入れる飼料は、JA全農北日本くみあい飼料という企業が石巻港から輸送をしておりますが、そのときに、国道四十七号線を利用して庄内地方へと入荷をしております。

 宮城県石巻市と私の地元の山形県酒田市を結ぶこの国道四十七号線は、東北地方におきましては、日本海側と太平洋側の地域を最も短い距離で結ぶくびれのライン、ウエストラインとして、広域的な地域連携の強化、産業の振興などを担う非常に重要な路線であります。その酒田石巻道路の一部でありますが、余目酒田道路が今週末全線開通予定となっております。

 一方で、石巻―新庄間におきましては、整備を進める妥当性などについての基礎的な調査を実施する候補路線には指定されておりますが、指定されてから二十年近くも経過をしております。

 国道四十七号線のこれまでの部分開通や開通見通し公表を受けまして、新庄中核工業団地では企業立地数が増加をしておりますし、先ほども申し上げた酒田港では、コンテナ貨物量の増加が著しく、また外航クルーズ船の寄港の方も増加をしておりまして、非常に効果があらわれておりまして、その分だけ地元の期待も非常に高まっております。

 そこを踏まえましてお伺いをいたします。

 今回、物流生産性の向上のため、重要物流道路制度を新設されるということでありますけれども、重要物流道路の指定のあり方についてはどのように考えておられますでしょうか。よろしくお願いいたします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 重要物流道路は、平常時、災害時を問わない安定的な輸送を確保するため、物流において基幹的な役割を担っている高規格幹線道路や地域高規格道路、直轄国道をベースとして、これらと主要な物流拠点を連絡するネットワークを基本に検討することとしております。

 また、主要な物流拠点につきましては、他の交通との連携強化や災害時における緊急物資輸送などの観点から、拠点として機能する空港、港湾や鉄道貨物駅などを想定をしております。

 委員御指摘の国道四十七号線は、日本海側の酒田港、太平洋側の石巻港、仙台港などの物流拠点を連絡し、地域の経済、産業を支える重要な道路でございます。

 例えば、酒田港では、国際海上コンテナ貨物取扱量の大幅な増加に伴い、酒田港を発着して国道四十七号を通行する国際海上コンテナの通行許可台数も、この四年間で約一・七倍に増加をしております。

 いずれにいたしましても、国道四十七号を含めまして、今後の具体的な重要物流道路の指定に際しましては、地域や有識者等の意見や沿道の利用状況等を踏まえながら検討を進めてまいります。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 酒田港でコンテナ貨物の陸送を扱う事業者の方々のお話では、次のような声も上がっております。

 四十フィートコンテナでは、月山道路が勾配が激しいので、庄内地域から山形市に向かうときは、距離では月山道の方が近いんですが、国道四十七号線を利用することが多いというお声。

 また、太平洋側からの輸送については国道四十七号線と月山道路の二本しかないので、寸断されると、雪の多い地域でありますので、どうなるのかが不安の種となっているというお声。

 また、冬場は、国道四十七号、月山道路のどちらも路面の凍結で大変な思いをしている。特に国道四十七号線は、最上川の風のために、通行上、非常に滑りやすくもなっており、危険で困難、深刻であるということであります。そういう声が上がっております。

 国道四十七号線は、線形不良や幅員狭小による走行速度の低下や渋滞、事前通行規制や冬期の雪害による通行どめが多く発生し、特に平成二十五年七月の豪雨の際には、内陸部をつなぐ国道百十二号線と同時に、先ほど申し上げている月山道です、同時に通行不能となりまして、内陸と庄内が完全に分断されるなど、多くの課題が顕在化しております。

 そこで、今後、重要物流道路に指定された場合の機能強化とはどのようなものが考えられるでしょうか。よろしくお願いいたします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 重要物流道路における機能強化につきましては、物流生産性向上の観点から、トラックの大型化に対応するため、車両の諸元が一定である国際海上コンテナ車等に対応した特別の構造基準を設定した上で、当該基準に適合するよう構造強化を図ることにしております。

 また、重要物流道路の事前通行規制区間等の脆弱な区間に対する代替路や災害時の物流拠点への補完路をあらかじめ設定し、災害時に地方公共団体からの要請に基づき、重要物流道路や代替・補完路について国が啓開や復旧を代行することとしております。

 一方、国道四十七号線につきましては、事前通行規制区間の回避や交通混雑の緩和等を目的として新庄酒田道路の整備などを進めているところでございますが、災害時におけるリダンダンシーを確保するとともに、酒田港を始めとした物流拠点へのアクセス向上による物流の効率化などの効果が期待をされます。

 また、国道百十二号につきましては、これまでに雪崩や大雨による通行どめが発生した経緯を踏まえまして、災害に強い道路とするため、防雪柵や落石防止柵の設置などを進めているところでございます。

 引き続き、各道路ネットワークの課題解消等を図るとともに、重要物流道路制度の創設により、平常時、災害時を問わない安定的な輸送の確保に一層努めてまいります。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 活況を呈して伸び盛りの酒田港、また、そこにアクセスのいい四十七号と百十二号を使っている地域の業者さんたちにとりましては、そのような強化が進められるようなことになれば、もう本当にこれ幸いといいますか、より一層民間の需要も喚起をされ、非常に地域の活性化につながるということが予想されますので、ぜひとも指定の方を御検討いただきたいということであります。

 三つ目の質問でありますけれども、酒田港の取扱貨物量の増加を受けまして、山形県内の道路も国際海上コンテナ車等の通行がふえていくと考えられます。道路構造上の制約による通行支障で物流生産性の向上が阻害されているという話でしたけれども、重要物流道路と指定をされた場合、当該基準を満たした道路については国際海上コンテナ車などの通行に係る許可を不要にすると聞いております。

 通常の道路よりも水準の高い特別構造基準を設定するというのは、どのような基準を想定していらっしゃるのでしょうか。また、許可を不要にすることによる効果はどのようなものになり得るでしょうか。よろしくお願いいたします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 重要物流道路につきましては、今後の道路整備の際の設計の前提となります構造基準を、車両諸元が車幅二・五メートル、車高四・一メートル、車両長十六・五メートル、総重量四十トン程度である四十フィート背高国際海上コンテナ車に対応できるよう措置する予定でございます。

 また、これらの構造基準に対応した重要物流道路につきましては、四十フィート背高国際海上コンテナ車の特殊車両通行許可を不要とする予定でございます。

 これらの措置を講じることによりまして、近年利用が急増している四十フィート背高国際海上コンテナの機動的な輸送が可能となることに加えまして、渋滞や事故等の交通状況を踏まえた経路選択の自由が拡大し、円滑な輸送も可能となるなどの効果が見込まれているところでございます。

 また、諸外国の多くは既にこの車両の特殊通行許可を不要としておりまして、国際競争力の強化にも貢献するものと考えております。

 具体的な目標につきましては、現在、特車通行許可を必要としている四十フィート背高国際海上コンテナ車の台数が年間約四十万台となっておりますが、十年後にはこれらをおおむね半減することを目標としております。

加藤(鮎)委員 具体的な目標に関しても言及をいただきまして取組の方を御説明いただきまして、ありがとうございます。

 四つ目の質問に移りますけれども、ことしは非常に雪が多く、特に寒い冬でありますけれども、春先に心配されるのが雪解けによる土砂災害であります。

 二〇一二年の豪雪地区の、ことしもすごかったわけでありますが、私の選挙区に大蔵村肘折地区というところがあります。ことしも四メートル六十に及ぶ積雪がございまして、今もまさにこの時間帯、災害特の皆さんが視察に向かわれているところでありますけれども、その大蔵村肘折地区で、幅約百メートル、長さ約五十メートルにわたって斜面が崩れるという大変大きな土砂災害が起こりました。昨年四月も、同じ大蔵村でありますが、国道四百五十八号線で斜面が崩落し、土砂が道路を塞ぎ、付近約三キロにわたって全面通行どめとなりました。

 大雨や地震、土砂崩れなどで地域が孤立するような事態が起こった場合、自治体のレベルでは早急な対応は難しいと考えておりますが、早期に交通を確保するための国の支援をどのように考えておられますでしょうか。石井大臣にお伺いをいたします。

石井国務大臣 近年、自然災害が頻発、激甚化する中、被災した道路を迅速に復旧することは、被災地の復旧復興に欠かせないものであります。

 しかし、被災した地方公共団体が行う災害復旧工事や道路啓開の多くは時間を要しておりまして、迅速に行うことが難しい状況であります。

 現在、災害復旧工事を都道府県や市町村にかわって国が行う代行制度がございますが、具体的には、都道府県が管理する国道については、道路法に基づき、損傷の規模が大きく、高度な機械力、技術力が必要な場合、災害復旧工事を代行する制度がございます。

 また、都道府県道、市町村道につきましては、大規模災害復興法によりまして非常災害として政令により指定がされた場合、災害復旧工事を代行する制度がございます。

 また、道路の啓開につきましては、災害対策基本法によりまして、自治体の行政機能が喪失するほどの大規模災害の場合に限り、国が都道府県や市町村にかわって代行できる制度となっております。

 このように、現状では、国が代行が可能な対象といたしましては、大規模な工事や災害に限定をされているところでございます。

 このため、今般の法案において、物流上重要なネットワークである重要物流道路及びその代替・補完路を対象といたしまして、災害の規模によらず、地方公共団体からの要請を受けまして、道路の災害復旧を国が代行する制度を創設することとしたものでございます。

 国土交通省といたしましては、代行制度の一層の機動的、迅速な活用を図ることを通じまして被災した地方公共団体の災害復旧活動を支援をし、早急な交通の確保に努めてまいりたいと考えております。

加藤(鮎)委員 地方の自治体に対して国として温かい手を差し伸べていただけることを引き続き御期待申し上げまして、最後の質問に移りたいと思います。

 道路財特法についての質問でございます。

 生産性向上に資する港湾などへのアクセス道路を整備する上で、あわせて県や市町村道路の整備も非常に重要だと考えます。地域の道路整備を更に進めていくために、道路財特法のかさ上げを措置しながらしっかりと支援していくべきと考えますけれども、国の御見解の方はいかがでしょうか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 最初に、先ほど、特車の通行許可を必要としている台数、年間約四十万台とお答え申し上げましたが、三十万台の間違いでございます。おわびして訂正をさせていただきます。

 財特法に基づく国費率のかさ上げ措置についてでございますけれども、地域の意見も踏まえつつ、今後も引き続き計画的に道路の整備、機能強化に取り組んでいく観点から、必要な見直しを行った上で来年度以降も継続すべく、改正法案を御審議をいただいているところでございますが、来年度からは社会資本整備総合交付金において、交通拠点連携を図り、物流の効率化など生産性向上に資する空港、港湾等へのアクセス道路につきまして、かさ上げ措置をしつつ、個別箇所ごとに計画的かつ集中的な支援を実施する交通拠点連携集中支援事業を創設することとしております。

 かさ上げ措置の継続に合わせ、このような事業も活用しながら、今後とも地域にとって必要な道路整備に取り組んでまいります。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 石井大臣、石川局長の真摯な御答弁をいただきまして心から感謝を申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

西村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時十四分散会


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