衆議院

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第14号 平成30年5月16日(水曜日)

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平成三十年五月十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 西村 明宏君

   理事 鬼木  誠君 理事 金子 恭之君

   理事 新谷 正義君 理事 土屋 品子君

   理事 盛山 正仁君 理事 矢上 雅義君

   理事 小宮山泰子君 理事 赤羽 一嘉君

      秋本 真利君    岩田 和親君

      大塚 高司君    大西 英男君

      加藤 鮎子君    門  博文君

      神谷  昇君    工藤 彰三君

      鈴木 憲和君    田中 英之君

      高木  毅君    谷川 とむ君

      中谷 真一君    中村 裕之君

      根本 幸典君    鳩山 二郎君

      藤井比早之君    三谷 英弘君

      宮内 秀樹君    望月 義夫君

      簗  和生君    山本 公一君

      初鹿 明博君    道下 大樹君

      森山 浩行君    早稲田夕季君

      伊藤 俊輔君    森田 俊和君

      山岡 達丸君    北側 一雄君

      高木 陽介君    広田  一君

      もとむら賢太郎君    宮本 岳志君

      井上 英孝君

    …………………………………

   国土交通大臣       石井 啓一君

   国土交通副大臣      牧野たかお君

   国土交通大臣政務官    秋本 真利君

   国土交通大臣政務官    簗  和生君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           福島  章君

   政府参考人

   (内閣府総合海洋政策推進事務局次長)       北村 知久君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 筒井 健夫君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   富山 一成君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         五道 仁実君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            由木 文彦君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            野村 正史君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  栗田 卓也君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        山田 邦博君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  石川 雄一君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  伊藤 明子君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  藤井 直樹君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 奥田 哲也君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  菊地身智雄君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  蝦名 邦晴君

   政府参考人

   (国土交通省国際統括官) 篠原 康弘君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    中島  敏君

   国土交通委員会専門員   山崎  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十六日

 辞任         補欠選任

  大島  敦君     山岡 達丸君

同日

 辞任         補欠選任

  山岡 達丸君     大島  敦君

    ―――――――――――――

五月十五日

 所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案(内閣提出第五二号)

同日

 精神障害者の交通運賃に関する請願(門山宏哲君外一名紹介)(第一二五五号)

 同(義家弘介君紹介)(第一二七八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案(内閣提出第五二号)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

西村委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房技術審議官五道仁実君、総合政策局長由木文彦君、国土政策局長野村正史君、都市局長栗田卓也君、水管理・国土保全局長山田邦博君、道路局長石川雄一君、住宅局長伊藤明子君、鉄道局長藤井直樹君、自動車局長奥田哲也君、港湾局長菊地身智雄君、航空局長蝦名邦晴君、国際統括官篠原康弘君、海上保安庁長官中島敏君、内閣府規制改革推進室次長福島章君、総合海洋政策推進事務局次長北村知久君、法務省大臣官房審議官筒井健夫君及び財務省理財局次長富山一成君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西村委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。藤井比早之君。

藤井委員 藤井比早之でございます。ありがとうございます。

 本日は、国土交通行政の基本施策に関しましてお伺いさせていただきたいと思います。

 まず、先日、四月十三日の改正バリアフリー法案の参考人質疑の後、気になることがありましたので、お伺いさせていただきます。

 参考人質疑の後、竹下参考人が四階のそこの多目的トイレに入られました。守衛さんも私も、ドアの閉め方の説明、ここに手をかざしたら閉まりますよというこの誘導の仕方とか説明の仕方がわからない。かわりに、中に入って手をかざしたら一緒にトイレの中で閉じ込められるというような状況になりまして、やはり場所がわかっていても、使い方の情報提供の難しさというのを実感させていただきました。

 こうしたバリアフリー情報の提供のあり方につきましては、実際に使用する障害者の皆様や各皆さんの声、現場の皮膚感覚、利用実態を知っていただくことが必要です。

 改正バリアフリー法案における市町村のマスタープランの作成、作成だけじゃなくて、フォローアップ、また、国の施策内容の評価等を行う会議への障害者等の皆様の参画についてお伺いします。

 また、ことし三月三日から、神戸市営地下鉄西神・山手線三宮駅でホームドアが稼働いたしております。ホームドアは、視覚障害者の皆様だけに必要なものではありません。お酒に酔われた方など、ホームからの転落件数は年間約三千件にも達すると言われております。

 ホームドアの設置は、首都圏では随分進んできていると認識しますが、首都圏以外ではまだまだだと実感するところです。

 こうした整備方針を含めまして、今後のホームドア設置の方針についてお伺いいたします。

由木政府参考人 お答えいたします。

 バリアフリーのハード面の整備は一定進んできてまいっておりますけれども、一方で、御指摘をいただきましたように、バリアフリー化された施設がどこにあるかわかりにくいとか、あるいは、その施設の使い方がわかりにくいといったような御意見があると承知しておりまして、できるだけわかりやすい情報提供を進めていくことが重要であるというふうに認識しております。

 特に使い方の面についてでございますけれども、設備でございますので、この設備をまず標準化を進めまして、操作しやすいものとなるように、それをまたきちんと周知をするということが大切だというふうに思っております。

 そのために、建築物の設計や、あるいは旅客施設整備に当たってのガイドライン、こうしたところにおきまして、例えば、図面や事例を用いましてトイレの器具の形状とか配置等についてまずJISに基づくものにしていただきたいということ、それから、お話しをいただきました自動扉の開閉ボタンにつきましても、できるだけ手かざし式ではなくてボタンにしていただく、さらに、そのボタンは下から一メートルの高さにしていただく、そういったようなガイドラインを定めておりまして、これの周知をやはり進めていくことがまず大切だというふうに思っております。

 そうした基準をつくる際にも、御指摘をいただきましたように、障害者の方々の視点を的確に反映をさせるということが大変重要だというふうに思っております。

 これまでも、今御説明をいたしましたガイドラインを定めます際等には、検討会議の中に障害者の方の参画を求めて適切に意見を伺いながらやっておりますけれども、今回提案をさせていただいております改正法案におきましても、国には評価会議、地方ではマスタープランを導入する際の協議会、それぞれ関係の方に御参画をいただくことが重要であると思っております。

 特に、障害者につきましては障害種別が多岐にわたりますので、参考人質疑でもそういう御指摘ございました。さまざまな障害特性に応じた御意見が適切に反映できますように、国の評価会議につきましては、今後、法律成立後に構成員を決定してまいりますが、そうした御意見が的確に伺えるように措置してまいりたいと思います。

 また、地方に対しましては、そうした意見の反映の重要性でございますとか会議の構成員のあり方について基本方針に明記をするなど、市町村に対して適切に周知徹底を図ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

藤井政府参考人 引き続きまして、ホームドアについてお答え申し上げます。

 平成二十七年二月に閣議決定をされました交通政策基本計画におきまして、ホームドアの設置駅数を平成三十二年度に八百駅にするという目標を設定しております。平成二十八年度末の現在で、六百八十六駅にホームドアが設置されているという現状にございます。

 今後、一日当たり利用者が十万人以上の駅のうち、車両の扉位置が一定であるなど、ホームドア整備が可能な駅について、原則として平成三十二年度までに整備を行うとともに、利用者数十万人未満の駅についても、駅の利用状況等を勘案した上で、必要と認められる場合には整備をする。さらには、車両の扉位置のふぞろいやコスト面の課題に対応可能な新たなタイプのホームドアの技術開発を推進し、その導入を促進する。そういったことによりまして、ホームドアの整備の加速化を図っていくこととしております。

 なお、兵庫県内におきましては、神戸市営地下鉄西神・山手線の三宮駅におきまして本年三月に整備が完了し、さらにJR西明石駅におきましては、今年度から整備に着手をしたところでございます。これらにつきましては、国からの補助を行って整備を進めているところでございます。

 今後、JRの神戸駅、三ノ宮駅、明石駅及び姫路駅、さらには、神戸市営地下鉄西神・山手線の全駅に設置の計画があると承知をしております。

 国土交通省としましては、こういった東京以外のエリアにつきましても、今後適切に対応してまいりたいと考えております。

藤井委員 ありがとうございます。ぜひ参画を障害者等の皆さん、よろしくお願いします。

 また、神戸市営地下鉄全駅へのホームドア設置、また、特例的な西明石への整備、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 次に、お配りさせていただいた資料一ページ、平成三十年地価公示、全国の変動率上位、商業地の六位と十位に神戸市三宮が躍り出ています。これは三宮再開発への期待のあらわれと認識しますが、この三宮再開発を三宮というピンポイントの発展、活性化にとどめてはいけない。点から線、線から面への展開が必要と考えます。

 そこで、神戸市営地下鉄西神・山手線と阪急電鉄の乗り入れを実現する、また、三宮に西日本の中核となるバスターミナルをつくる、バスタ新宿のように。特にこの二点についてお伺いいたします。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 鉄道における乗り入れにつきましては、首都圏では、東京メトロや都営地下鉄へ多数の事業者が乗り入れております。さらに、関西においても、阪神なんば線において近鉄と阪神の間で乗り入れが行われているなど、これは、所要時間の短縮あるいは乗りかえ回数の減少といった利用者利便の向上に大きく資するものだと考えております。

 鉄道プロジェクトの推進に当たりましては、沿線の関係地方公共団体あるいは鉄道事業者等において、ニーズを把握した上で、事業主体や費用負担のあり方も含めた具体的な検討を進めていただくことが重要と考えております。

 今御指摘のございました神戸市営地下鉄西神・山手線と阪急電鉄神戸線の乗り入れにつきましては、現在、地元の関係者において検討が進められているものと承知をしております。

 国土交通省としましては、こうした検討の具体化に向けて必要に応じて助言を行う等、適切に対応してまいりたいと考えております。

石川政府参考人 バスターミナルについてお答えいたします。

 国土交通省では、バスタ新宿を始め、道路空間を有効活用しながら多様な交通モードの接続を強化するモーダルコネクトの強化につきましても、積極的に取り組んでいるところでございます。

 委員御指摘の神戸三宮周辺地区における取組につきましては、国道二号線に接して高速バスターミナルや大規模なトランジットモールを官民連携で実現しようとするものでございまして、モーダルコネクトの強化にかかわる全国の先進事例にもなるものと考えております。

 このため、国土交通省といたしましても、神戸市が中心となって設置をいたしました検討会に平成二十九年七月より地方整備局も参画し、バスタ新宿の成果や課題を踏まえながら、計画の具体化に向け、積極的な支援を行っているところでございます。

 今後は、国道二号線における交通課題の解消など、直轄事業としての役割分担も含めまして、市街地再開発事業と調整しながら、具体の事業スキームにかかわる検討を加速してまいります。

藤井委員 ありがとうございます。

 神戸市営地下鉄と阪急の乗り入れにつきましては、最大の問題の一つが、三宮が通過駅になってしまうのではないかという懸念があるということだったと考えております。

 このたび、三宮は地価が上がっていますので、まさに三宮再開発によりその懸念を払拭するとともに、沿線全体の価値を上げていく。乗り入れはバリアフリーにも資するものでございます。ぜひ実現に向けて、地元とともに、地元の要望状況を受けて支援をよろしくお願い申し上げます。

 また、バスタ新宿のように、国直轄事業でのバスターミナルの整備、これをよろしく要望申し上げたいと思います。

 次に、資料一ページ、平成三十年地価公示、商業地上昇率二位、大阪道頓堀、三位、四位、六位の京都、資料二ページの、平成二十九年地価公示、商業地上昇率一位、二位、三位、四位、五位の大阪、六位の京都祇園と全国の商業地域上昇率の上位は、これはもうインバウンドが原因だと考えられます。資料一ページ、平成三十年地価公示、住宅地上位に並ぶ北海道、沖縄県もインバウンドの影響が大きいと考えます。

 やはり、地域の発展のためにはインバウンドの振興が非常に効果的であるというのが、地価の上昇が物語っていると思います。

 訪日外国人増加に向けたクルーズ船受入れ体制の整備、航空需要受入れ体制の整備、特に神戸空港は、関西三空港一体運営が始まりましたので、関西三空港の受入れ体制の充実を含めてお伺いいたします。

菊地政府参考人 お答えいたします。

 近年、我が国の港湾へのクルーズ需要は大変急増しておりまして、平成二十九年は、訪日クルーズ旅客数が前年比二七%増の二百五十三万人、クルーズ船の寄港回数は前年比三七%増の二千七百六十五回となり、いずれも過去最高を記録したところでございます。

 政府が目標として掲げております、訪日クルーズ旅客を二〇二〇年に五百万人、この実現に向けましては、さらなるクルーズ船受入れ体制の整備が必要であると考えております。

 このため国土交通省では、クルーズ船の寄港増加や大型化に対応した港湾施設の整備を進めておりまして、この一環といたしまして、地方公共団体等が実施をするクルーズ旅客の利便性、安全性の向上を図る事業に対しまして国が補助をいたします、国際クルーズ旅客受入機能高度化事業を平成二十九年度に創設をしたところでございます。

 委員御地元の神戸港におきましても、この事業を活用いたしまして旅客ターミナルビルの機能強化が進められているところでございます。

 国土交通省といたしましては、政府目標の実現に向けまして、こうした取組により、クルーズ船受入れ体制の整備を積極的に推進してまいりたいと考えております。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 訪日外国人旅行者数、二〇二〇年四千万人、二〇三〇年六千万人を受け入れるためには、首都圏空港を始めとした、全国の空港の機能向上を図ってまいる必要がございます。

 まず二〇二〇年に向けましては、羽田空港の飛行経路の見直しや成田空港の高速離脱誘導路の整備などによりまして発着枠を約八万回増加させることなどを通じまして、首都圏における訪日客の受入れ体制の整備に取り組んでまいります。あわせて、那覇空港の滑走路増設等、地方空港の機能強化も進めてまいりたいと思っております。

 さらに二〇三〇年に向けましては、これらの取組に加えまして、第三滑走路の整備などの成田空港のさらなる機能強化や、福岡空港の滑走路増設等の取組を進めてまいります。

 委員御地元の神戸空港につきましては、本年四月一日から、関西国際空港、大阪国際空港を運営いたします関西エアポート株式会社の一〇〇%子会社でございます関西エアポート神戸株式会社による運営が開始されたところでございます。

 このたびの関西三空港の一体運営が実現をしたというところでございますけれども、関西エアポート株式会社におきましては、これまでに培いました空港運営に関するノウハウを生かしまして、地元の関係自治体などと協力をしながら、三空港それぞれの役割を十全に発揮をして、関西圏全体あるいは日本全体の航空需要の拡大に努めていただきたいというふうに考えております。

藤井委員 ありがとうございます。

 神戸港のクルーズ船受入れ体制整備も答弁していただいてありがとうございます。また、三空港一体運用が進んで、便数増など、神戸空港の利活用拡大を要望いたします。

 次に、資料一ページ、平成三十年地価公示、商業地上昇率一位は、北海道の倶知安町なんです。住宅地上昇率一位、二位、三位も倶知安町です。これは、リゾート、インバウンドもあるでしょうが、北海道新幹線建設に向けた期待効果というのも考えられます。少なくとも、資料四ページ、平成二十七年地価公示、商業地上昇率全国一位は石川県金沢、資料三ページ、平成二十八年地価公示、商業地上昇率七位金沢は、北陸新幹線効果と考えられます。こうした新幹線の整備効果についてお伺いいたします。

 また、さらなる財政投融資の活用、山陰新幹線など、昭和四十八年運輸省告示第四百六十六号に規定された新幹線の新たな整備についてお伺いさせていただきます。

藤井政府参考人 新幹線は、地域間の移動時間を大幅に短縮をし、駅その他周辺地域の開発を促進することにより、我が国の経済活動や国民生活の向上に極めて大きな効果をもたらすものでございます。

 例えば、平成二十七年三月に開業した北陸新幹線長野―金沢間については、開業以来三年にわたって、輸送人員が開業前の約三倍の水準で推移をしております。また、平成二十八年三月に開業した北海道新幹線、これは新青森―新函館北斗間でございますが、これは、開業一年目の輸送人員が開業前の約一・六倍、二年目には一・三倍ということでございます。

 あとは、各地の観光入れ込み客数も増加するなど、各新幹線とも地域の活性化に大きな役割を果たしているものと考えております。

 この新幹線の整備でございますけれども、現在、全国新幹線鉄道整備法に基づきまして整備計画が決定されました整備新幹線、具体的には、北海道新幹線、北陸新幹線、九州新幹線の西九州ルート、この三区間の整備を、政府・与党申合せに基づき、順次進めているところでございます。

 さらに、北陸新幹線の敦賀―大阪間の整備等も課題として残されているというところでございます。

 こういった整備計画路線の確実な整備にまずめどを立てるということが最優先の課題だと考えておりますけれども、一方で、こういった整備の推進状況を踏まえて、各地域から、整備計画、その次にあります基本計画路線の鉄道整備に関するさまざまな御要望もいただいているところでございます。

 国土交通省としましては、平成二十九年度から、この基本計画路線を含む幹線鉄道ネットワークのあり方に関する調査に取り組んでいるところでございます。これを引き続き三十年度も行うことにしておりまして、これによって、今後の幹線鉄道ネットワーク等のあり方についてしっかり検討を行ってまいりたいと考えているところでございます。

藤井委員 ありがとうございます。

 もう時間となりますので最後の質問でございますが、高速道路、このゴールデンウイーク、新名神が開通して、非常に渋滞が少なくなったと思っております。

 また、資料一ページ、平成三十年地価公示、工業地上昇率三位、茨城県五霞町、圏央道ですね、久御山町は新名神、こういった効果が考えられると思うんですが、新名神高速道路、圏央道など、高速道路の整備効果と今後の整備についてお伺いいたします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 新名神高速道路におきましては、今年三月の川西インターチェンジから神戸ジャンクションまでの開通によりまして、全国有数の渋滞発生区間でございました中国道宝塚トンネルを先頭とした渋滞につきまして、発生回数が開通後一カ月で九割減少、ゴールデンウイークにおきましては七割減少するなど大幅に緩和されるとともに、沿線地域におきましては、物流施設等の立地が加速されるなどのストック効果があらわれております。

 また、圏央道におきましても、同様に沿線の物流施設の立地が増加しておりまして、委員配付の地価公示とは別の統計でございますけれども、国土利用計画法に基づき都道府県知事が判定する基準地価格で見ますと、平成二十九年の工業地の上昇率は、全国上位十地点のうち八地点が圏央道と新名神の沿線地域であるなど、目に見える効果が出ております。

 国土交通省といたしましては、本年三月の道路法改正により創設いたしました重要物流道路制度の活用や、これを契機とした広域的な道路ネットワークの見直しなどを行いながら、平常時、災害時を問わない安定的な輸送や、生産性向上に資するネットワークの強化を進めてまいります。

藤井委員 ありがとうございます。

 時間となりました。終わります。

西村委員長 次に、鬼木誠君。

鬼木委員 自由民主党の鬼木誠でございます。

 本日は、私の身の回りで見聞きした国土交通施策の諸課題について質問をさせていただきます。

 少子高齢化を迎えまして、現在、さまざまな職業分野におきまして、人材の確保が喫緊の課題となっております。

 建設業においても、産業構造の変化や労働人口の減少から、人手不足が問題となっております。今の人手不足は、将来的に、後継者の不足、技術継承者の不足、ひいては日本の建設業の衰退へとつながっていきます。人材を建設業に招き入れ、技術を継承する道筋をつくることが必要であります。

 そうした中で私が大事だと考えているのが、工業高校でございます。高校進学時に建設業を志向してくれた若者たちにしっかりと技術を与え、自信を持って建設業に進んでいただかなければなりません。

 福岡県では平成六年から、職業に関する学科で学ぶ高校生が、専門的な知識の習得や技術に習熟し、学習意欲を高め、将来にわたって豊かな職業生活を営むための資質を育成することを目的として、全国的にも先進的な取組である、福岡県高等学校職業教育技術認定制度を実施してまいりました。

 このうち、建築製図技術に関する試験では、産官が連携して筆記試験、実技試験を課し、国家資格である二級建築士と同等の高度な知識や技術を認定、評価しておりまして、これまでの二十二年間で三千四百名を超す高校生が本認定制度において合格をしております。

 国土交通省は、福岡県でのこうした取組を御存じでしょうか。御存じでありましたら、この取組への評価を伺いたいと思います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 福岡県高等学校職業教育技術認定制度に関しましては、福岡県教育委員会及び福岡県高等学校職業教育技術認定委員会が、福岡県内の工業高校等の生徒を対象に、測量及び建築製図に係る技術、技能の習熟度をはかるために、筆記試験及び製図試験を実施し、その合格者を福岡県知事が認定する制度であるというふうに承知しております。

 こうした福岡県の取組は、工業学校等に通う生徒の学習意欲の向上に資するとともに、委員御指摘のとおり、早い段階で技術、技能を身につけることで卒業後の建築業界への入職促進につながることから、非常に有意義なものであるというふうに考えております。

鬼木委員 高校生にとっても、自分の将来につながっていく実践的な試験として意欲的に取り組んでくれております。取組を支える産学官の関係者の熱意もありまして、二十二年も続いてきたわけであります。

 しかし、この取組は国家資格の取得に直結していないわけであります。せっかく努力をするんだけれども、合格しても資格につながらないということであれば、頑張りがいも半減するということであります。よし、僕も工業高校に入って、頑張って勉強して国家資格を取るぞとならないわけでございます。

 平成二十七年の中央教育審議会初等中等教育分科会の特別部会における論点整理では、社会や職業で必要となる資質、能力を育むために、一人一人の社会的、職業的自立に向けたキャリア教育の重要性が述べられております。これは、社会と学校との接続をより重視し、学校教育の改善を求めると同時に、学校教育における成果が職業選択や職業人としてのキャリア形成に反映されるべきとの考え方が示されたものと言えます。

 こうした教育と職業の接続を考えるならば、福岡県高等学校職業教育技術認定制度や他都道府県独自の認定制度における合格者に関して、二級建築士試験の一部免除など、新たに優遇措置を創設することができないかと考えますが、いかがでしょうか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 二級建築士になるためには、二級建築士試験に合格し、都道府県知事の免許を受ける必要がございます。

 同じ条件のもとで共通の試験を通じ、設計及び工事監理に必要な知識及び技能の有無を審査、判定する二級建築士試験につきまして、一種模擬試験的な性格を有する御指摘の認定制度に合格したことをもって、直ちに試験の全部又は一部を免除する仕組みとすることは、公平性の観点から難しいというふうに考えております。

鬼木委員 全国統一基準の試験であるということで、地域ごとの試験結果に基づいての一部免除は難しいということは理解できます。

 しかしながら、こうして一生懸命にスキルアップに励む工業高校生、また、彼らを育てようと必死に取り組む産学官皆さんの思いを受けまして、二級建築士の受験資格等に関して何かインセンティブを与えることができないかと考えますが、いかがでしょうか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 二級建築士の試験を受験するためには、告示で定める建築に関する指定科目について必要な単位を取得し、卒業後、一定期間の設計等に関する実務経験を積むことが必要とされております。

 また、各高校での授業科目が受験に必要な建築に関する指定科目として扱われるためには、各学校が試験機関に対して申請を行い、試験機関において、その授業科目が告示に定める指定科目の基準に適合していると判断される必要があります。

 このため、例えば、高校側が福岡県高等学校職業教育技術認定制度の認定試験の合格を建築に関する科目の単位として扱い、かつ、試験機関がそれを指定科目の基準に適合すると判断すれば、結果として、認定試験の合格者が受験資格上求められる単位の上で優遇されることになるというふうに考えております。

 こうした条件が整えば、認定試験への合格を建築士の受験資格に必要な科目の単位として扱う学校に通う生徒は、認定試験に合格した場合、二級建築士試験の受験に向けて必要な単位を取得したことになるというふうに考えております。

鬼木委員 ありがとうございます。

 少しでも彼らの励みに、そしてインセンティブになり、工業高校に進もうという若者たち、そして、建設業にそこからまた向かおうというインセンティブになるように、ぜひまたお力添えをいただきたいと思います。ありがとうございました。

 続きまして、有人国境離島について質問をいたします。

 私の母方の里が対馬でございまして、祖父が福岡に出てきてから私は福岡で生まれ育ったわけでありますが、対馬で起こる出来事というのは私の関心事でもあります。

 有人国境離島法という法律ができまして、おかげさまで、本土と特定有人国境離島地域を結ぶ離島住民向けの航路についてはJRの運賃並み、また、航空路については新幹線並みの引下げを支援することとなりました。大変ありがたいことでございます。

 しかしながら、対馬の方とお話をしておりますと、まだいろいろ課題が残っております。島民が逆に島の外に気軽に行けるようになってしまいまして、買物をしに島の外に行って、結果的に島の中での消費が減少してしまったということをおっしゃいます。

 対馬への航空運賃が片道三万五千円かかるとして、グアム島に行くというのが、ツアーが三泊で二万円台というのが出ている。これでは、片道三万円台かかる対馬に対してグアム島に遊びに行けば二万円で三泊できるということであれば、なかなか国内の人が離島に遊びには、観光には来れないわけでございます。

 したがって、むしろ島民以外の方が島にやってくる運賃を低くして、島に来てもらって観光してもらってお金を落としてもらうということが経済振興のためには必要ではないかと考えますが、国交省のお考え、これからの方針についてお聞かせください。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 国境離島は我が国の領海等の外縁を画する根拠となるものであり、その保全、管理は、領海保全等の観点から大変重要な政策でございます。特に、人が住んでいる国境離島地域につきましては、引き続き居住していただくということが領海保全活動等の機能の維持のために重要だということでございます。

 特に、対馬などの特定有人国境離島地域につきましては、本土から遠く離れ、交通に要する時間や費用の負担が大きいという条件不利性を有しておりますので、島での生活に係る条件不利性を緩和し、島民の流出を防ぐことにつながるということで、現在、運賃低廉化事業は島民を対象としているところでございます。

 一方、先生御指摘のとおり、観光客に島にやってきていただいて、そこで滞在していただく、お金を落としていただく、これも大変重要な観点だと思います。

 したがいまして、現地で体験メニュー等を利用してなるべく長く滞在してもらう、それが島の雇用の創出、拡大にも結びつくということでございますので、このたび、本年度から、地域が連携して提供する体験メニューなどのそういったことを利用する観光客につきましては、乗船券を島民並みの割引で購入できる、こういったような新たな制度を導入したところでございます。

 今後とも、各地域と連携して、新たな企画乗船券の仕組みの活用などを含めて、滞在型観光をしっかりと促進してまいりたいと思います。

鬼木委員 やはり、島が疲弊して人口減少していくというのは、そこでの経済が一つの問題になりますので、そうした形で今の御答弁のような支援がいただけるというのは、島の経済、国境離島を守る上でも大事な施策だと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、国連ハビタットについて質問をいたします。

 福岡に、国連ハビタット、人間居住計画のアジア太平洋本部がございます。発展途上国に暮らす人々の居住問題、都市化に伴う諸問題の解決に当たっているのが国連ハビタットであります。

 世界的には今、SDGs、サステーナブル・ディベロップメント・ゴールズということで、持続可能な発展目標が推進されております。この発展目標、ゴールが十七あるわけでございますが、貧困や飢餓対策、安全な水やトイレ、住み続けられるまちづくりなど、まさに国連ハビタットが果たす役割は、SDGsを推進する世界の時流にかなっているわけでございます。

 国連ハビタットアジア太平洋本部の果たす役割の評価、また、その拠点が日本にあることの価値について所見を伺います。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 昨今、世界の人口の半数が都市で生活するなど、世界的に都市化が加速しておりますけれども、このような中で、二〇一六年十月のハビタット3で採択されましたニュー・アーバン・アジェンダ、これを実施していくことは、SDGsの十七の目標の十一番目、持続可能な都市の達成などを通じて二〇一五年九月の国連総会で採択されました持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダに掲げる、誰一人取り残さない持続可能な社会の実現に貢献するものであると考えております。

 国連ハビタット福岡本部はアジア太平洋を統括する事務所として一九九七年に設立をされまして、アジア太平洋地域でのSDGsの達成に向け、持続可能なまちづくりなど、幅広い分野で事業を実施しております。

 アジアのゲートウエーである福岡にアジア太平洋本部が置かれたことは、当該アジア地域で活動を行う国連ハビタットにとりましても、大きな強みとなるものと考えております。

 同本部は、地元の自治体、大学、企業などと協力し、例えば福岡方式と呼ばれる埋立て廃棄物処分場の整備など、低コストかつシンプルな日本の環境技術の海外移転事業を行っており、各国からも高い評価を得ています。

 このような我が国の先端的な取組と連携した活動を通じて、アジア太平洋地域の持続可能な開発に資するとともに、我が国の都市や住環境の整備にかかわる各分野の海外展開にも資するものと考えております。

 国土交通省としまして、引き続きその活動を支援してまいりたいと考えております。

鬼木委員 日本にある国連の本部の役割、本当に、このSDGsの大事さと相まって、その重要性は増してきていると思います。私もしっかり応援していきたいと思います。

 最後に、老朽マンションの建てかえについて御質問させていただきます。

 高度経済成長期に建てられた団地などが、築四十年、五十年と経過いたしまして、老朽化が進んでおります。マンションの建てかえがうまく進まないと、人が減って老朽マンションがゴースト化するということが懸念されております。

 ただ、このマンション建てかえにはネックがございまして、非常に法的に合意形成に高いハードルがあります。区分所有者の五分の四、また、議決権を持つ者の五分の四、それぞれの合意というハードルがありまして、それが大変高い。これが、老朽マンションの建てかえが進まない一因となっております。

 どういう根拠でそうなっているのかをお尋ねいたします。

筒井政府参考人 お答えいたします。

 区分所有建物の建てかえは、個々の区分所有者の有する区分所有権の処分を伴うものであり、民法の原則からすれば、区分所有者全員の同意を要することになりますが、それでは建てかえが極めて困難となり、建物の老朽化等に適切に対応することができません。

 そこで、区分所有法におきましては、区分所有建物が物理的に一体不可分であり、区分所有権が相互に密接な関連性を有していることに鑑み、多数決に基づく建てかえの制度が設けられております。

 他方、反対者の意思に反する建てかえを認める以上、反対者への財産的補償が必要となりますため、区分所有法では、建てかえ決議の賛成者から反対者に対する時価での売渡し請求の制度が設けられております。

 区分所有法における建てかえ決議の要件につきましては、御指摘のとおり、区分所有者及び議決権の各五分の四以上とされておりますが、これは、建てかえ決議により反対者の区分所有権を強制的に喪失させる点で、全員同意の要件を緩和するには一定の限界があることを考慮するとともに、賛成者による買取り費用の負担という面では、多数決要件を緩和するほどその負担が増加し、建てかえの実現が困難となることも考慮したものであるというふうに理解をしております。

鬼木委員 そうして、難しい中でどうやって老朽化……

西村委員長 既に申合せの時間が経過しておりますので、簡潔に願います。

鬼木委員 はい、終わります。

 どうやって進めるのかということを最後の質問としておりましたが、時間が来ましたのでこれで終了とさせていただきます。ぜひ国土交通省、その点も頑張ってください。

 以上です。

西村委員長 次に、早稲田夕季君。

早稲田委員 立憲民主党の早稲田でございます。

 それでは順次質問をさせていただきます。

 一問目は、二十九年十二月十六日、東海道・山陽新幹線のぞみ三四号、この重大なインシデントということで前回も質問をさせていただいておりますけれども、これについて引き続きの質問をさせていただきます。

 国土交通省から、この原因の一つと考えられる不備な台車を製造した川崎重工に対する調査というものをしていかなければならないと思っておりますが、その調査というものが始まっているのかどうか。そしてまた、川崎重工、この事業者に対しての再発防止策ということを国土交通省としてどのように指導をしていくのか。また、業者へのペナルティーということも含めてどのように考えられるのか、大臣に伺います。

藤井政府参考人 お答えをいたします。

 今委員御指摘の、新幹線の台車の重大インシデントでございますけれども、これは、一歩間違えば大事故につながりかねず、高速で走行する新幹線の安全性、信頼性を揺るがしかねない重大な事象であると認識しておりまして、まことに遺憾であると考えております。

 今回の事象の原因につきましては、運輸安全委員会において、新幹線が運行を継続した経過や台車の亀裂の発生原因等について専門的見地から調査を行っているところでございます。

 一方で、本年二月二十八日にJR西日本は、亀裂が台車の側ばりと軸ばね座の溶接部を起点に発生をし、製造時の不備によって側ばり底面が研削をされ、板厚が薄かったことで亀裂が大きく進展したと推定されること等を公表しております。

 同日、川崎重工業も、作業指示が十分でなく、削ってはならない側ばり底面を研削し、その工程が検査では確認されないなどの問題があったことを公表しております。

 これを踏まえて国土交通省としては、直ちにJR西日本と川崎重工の公表内容を全鉄道事業者及び鉄道車両メーカーに周知するとともに、川崎重工へのヒアリングを行い、作業工程や組織体制等、今回の事象に至った背景等について調査を進めているところでございます。

 国交省としましては、今後、この調査結果を踏まえて、鉄道の安全確保の観点から、同社に対して適切な措置を求めるなど、しっかりと指導を行ってまいりたいと考えているところでございます。

早稲田委員 川崎重工に対する調査についてもお答えいただきましたが、これまでのこうした重大なインシデントの中で、JRという会社以外の事業者に対してという調査が国土交通省として行われたことがあったのでしょうか。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 私どものいわゆる監督権限というのは基本的に鉄道事業者に対するものでありますけれども、今回は、こういった原因について川崎重工からも発表があったということで、そういった製造メーカーについても、いわゆるヒアリングという形で行わせていただいている。そういった状況にございます。

 いずれにしましても、原因がはっきりしてきた時点におきまして、当然、製造側の責任があるということであれば、そういったものについての再発防止ということについては、製造メーカーに対してもしっかり求めてまいりたいと考えているところでございます。

早稲田委員 これまでそういうことはなかったのだと思います。

 そして、メーカーの方から発表があったということですが、これが大きな要因に考えられる、一つの大きな要因だということで、国交省もここまでヒアリングをしていただいているのだと思いますので、ぜひ、次の質問でもいたしますが、まだこれも台車が百三十数台そのまま、そういう不適切だと認められるものをつけたまま走っている。そして、一年もかかってかえるということですけれども、そこのところはもう少し早くしていただく。そして、とめてでも台車の交換を、これが今すぐに事故につながるようなことはないという判断のもとに、こうやって一年かかるとかおっしゃっているのかもしれませんが、それでは、本来の意味での国民の命と安全、安心を担う国土交通の行政として、少し私は遅い、甘いのではないかと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。

藤井政府参考人 お答えをいたします。

 今委員からも数字について言及ございましたところでありますけれども、JR西日本、JR東海及び川崎重工業は、今回問題になりました側ばり底面の板厚に薄い部分がある台車、これが百四十七台ということでございます。これが判明しておりまして、その中で、その薄い部分、溶接部に傷が認められているもの、これが十台ございます。これがある意味、一番危険性が高い、切迫しているということで、これについては全て交換済みでございます。

 その薄い部分の溶接部がありますが、それに傷が認められないもの、これが残り百三十七台あるわけですけれども、これは、いわゆる台車の交換準備が整ったものから一年以内に順次交換をし、それまでの間については超音波の探傷試験で傷の確認を行うという対応を考えているところでございます。

 まず、側ばり底面が削られて板厚に薄い部分がある台車でありましても、走行中に発生する応力に対して強度的には問題がないと認識をしております。

 一方で、先ほど申し上げましたけれども、薄い部分の溶接に傷がある場合には、そこを起点として疲労亀裂が発生する可能性があることから、これはもう速やかに交換をするということとしたところでございます。

 なお、傷が認められない台車につきましては、車両の全般検査あるいは台車検査というそれぞれの検査のステージがありますけれども、そういった検査に加えまして、その中間の時期においても探傷検査をし、疲労亀裂の起点になる傷の有無を継続的に確認することによって、安全を確保できると認識をしております。

 さらに、JR西日本及び東海は、全ての台車の当該箇所について二日に一度の入念な目視検査を行う。さらには、東海道新幹線の二カ所において全ての台車の温度を走行中に計測できる機器がございますので、こういった事象が起こって異常な熱が発生したというようなそういった事象については地上側で監視、把握をする。こういった複数の手段を用いまして安全確保に万全を期することとしております。

 いずれにしましても、交換をするということについては、一年以内に順次交換ということを今言っているわけですけれども、それは準備の整ったものからできる限り速やかにということでありますので、その交換を速やかにするということについては、改めて徹底をしてまいりたいと考えているところでございます。

早稲田委員 大変詳細な御説明をいただきましたが、結局、基準値に達していない、基準で定められたものよりも薄いものを使ったまま、百三十七台がそのまま今取りかえられていないわけですから、とにかく、一年と言わず、検査は詳しくしていただくにせよ、早く、半年とか縮めていただくことはできると思うんですよ、もう十台既にすぐにかえていただけたわけですから。そういうことをJRの方に引き続き働きかけをしていただきたいと思います。

 次の質問ですが、この十二月の重大インシデントの前にのぞみ三一号の方の、これは歯車箱ですが、そういう事故も、事故というか列車トラブルがございまして、これは初鹿委員が指摘をされておりますけれども、これが同じ年内に起こっているということ。

 まさに、三一号のときは列車をとめたわけですけれども、今回は、いろいろ異臭、異音があっても三百キロ走らせてしまったということが、この三一号が教訓と言えるかどうかは、また種類が違うという御説明だから教訓と言えるかどうかわかりませんけれども、少なくともこの基準がはっきりしていない。

 何かというと、列車をとめるかどうかの判断基準ですよ。そこが明確ではないということが素人目にもよくわかるわけですけれども、この点について、端的に、簡潔にその明確な基準を決めるべきではないかということについてお答えをいただきたいと思います。

石井国務大臣 昨年一月二十五日、山陽新幹線の小倉駅から博多駅間を走行中ののぞみ三一号におきまして、床下から異音等を確認をし、緊急停車するという事象が発生をいたしました。

 緊急停車後に目視点検を行いまして、異音があった車両の駆動装置を使用しないための処置を促した上で博多駅まで移動し、床下点検を実施いたしましたところ、歯車装置が破損していたため、同型車両の緊急点検を行い、異常がないことを確認をしたところであります。

 一方、昨年十二月十一日、博多駅発東京駅行きのぞみ三四号において、走行中に異臭等が認められ、名古屋駅で床下点検を実施し、前途運休となりました。その後の点検で台車の亀裂等が発見をされ、運輸安全委員会において重大インシデントの調査を開始したところであります。

 本事象では、亀裂にまつわるにおいや音等さまざまな予兆があったにもかかわらず、それらへの対処の基準が明確でなかったこと等によりまして、三時間以上も運行が継続される等、安全確保の面から大きな問題があったと認識をしております。

 このため、国土交通省では、昨年十二月二十七日、異音や異臭等により異常が感じられる事象が生じた場合は、現場の判断を最優先とし、速やかに点検を実施する等、安全を第一とした適切な対応をとること等の指示を行いました。

 JR西日本は、本事象につきまして、車両の状況に関する認識のずれ、指令間の協議をせずに運行の引継ぎ、関係者間での判断の相互依存の三点について問題があったとの認識のもと、におい、もや、音、振動等が複合的に発生した場合は直ちに列車等を停止させて車両の状態を確認することを徹底すること等、判断基準の明確化などの対策を順次講じているところであります。

 国土交通省としましては、本年二月に鉄道の輸送トラブルに関する対策のあり方検討会を設置をいたしまして、安全が確認できない場合はちゅうちょなく列車をとめることを徹底する等、本年夏をめどに必要な対応策等を取りまとめることとしております。

 高速で走行する新幹線の安全輸送が確保されるよう、JR西日本を始めとするJR各社に対しまして、引き続きしっかり指導を行ってまいりたいと考えております。

早稲田委員 大臣から御答弁いただきましたが、JR西日本は、二〇〇五年の福知山脱線事故の際にも、安全憲章を定めて、そして、判断に迷ったときは最も安全と認められる行動をとるということを決めているわけですけれども、それがまさに生かされなかったということであろうと思います。

 ですから、この問題は、台車側、台車枠というのですか、その製造の問題と、それから、なぜとめられなかったという問題の大きな二つに分かれる中で、これを単にヒューマンエラーということで終わらせるのではなく、いろいろな、そのヒューマンエラーを犯した背景には何があるのかという、組織事故という視点でしっかりと国土交通省も指導をしていただきたいし、こうした問題が更に起きることがもちろんあってはならないし、再発防止策をしっかりと組織事故という視点から考えていただくことを要望をいたします。

 次の質問ですが、私の地元でございます横浜市栄区を横断するように建設の工事が進められております横浜環状南線についてお伺いをいたします。

 この道路の建設に当たりましては、国土交通省そしてNEXCOと、共同主体でやっておられるということはわかっておりますし、住民とも長く話合いを続けながらのこの計画ということも承知をしております。

 現在、工事が進行しておりますわけですけれども、地域の方々からは相変わらず環境の悪化への懸念が示されておりますので、そうした視点から質問をさせていただきます。

 栄区のこの道路の箇所に神戸橋の橋梁部というのがございまして、これに関しては、住民の方からは、環境悪化をしないように、ぜひ全部ふたをかけるような形で橋を覆ってほしいというような要望が出ていたと思われますけれども、これの完全なふたがけを検討されたのか。今の計画では違う方法になっているわけですけれども、このことについて伺います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 横浜環状南線の建設に伴う沿道の環境対策につきましては、環境保全目標を達成するため、環境予測に基づき必要な対策を行うこととしております。

 平成六年に実施いたしました環境影響評価におきましては、道路構造、周辺の地形的条件、住居の存在状況等を勘案して設定した全ての予測箇所につきまして、窒素酸化物等の大気に関する環境保全目標を満足すると評価をされております。

 また、横浜環状南線は、平成二十四年に国土交通省関東地方整備局の事業評価監視委員会から、地域住民との十分な対話を基礎に置きつつ、環境対策に現実的な範囲で最善を尽くす必要があるとの意見をいただいておりまして、事業者である国土交通省と東日本高速道路会社は、これまで環境負荷軽減に取り組んできたところでございます。

 委員御指摘の神戸橋につきましては、当初の構造で環境保全目標も満足しておりましたが、この御意見を踏まえまして、さらなる環境対策として、排出ガスの漏れ出し等を抑制するルーバー構造に変更したところでございます。

 こうした経緯から、神戸橋を完全にふたかけとする構造の検討は行っておらず、現時点では追加的な環境対策を行う予定はございません。

早稲田委員 環境予測を十分に満たしているからということで、この完全なふたかけの検討はされなかったということでございますが、それでは、このルーバー構造でどのくらい更に軽減をされるんでしょうか。また、第一種住居専用地域で騒音に関しては規制を超えることがないのかどうか。伺います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 具体的にどれだけ緩和するかという数字はちょっと今持ち合わせておりませんが、ルーバー構造というのは、細長い板を枠組みにすき間をあけて平行に組みまして、道路上部に設置するものでございまして、トンネル坑口の明暗緩和による視認性対策や騒音対策、排出ガスの漏れ出しを抑制するものでございまして、当初の環境影響評価においてもこれは満足をされている中で、さらに、この対策によりまして、環境対策として環境の負荷軽減に役立つということの理解でございます。

早稲田委員 さらにというお答えだけでございましたけれども、やはり丁寧に住民の方には説明をしていただき、今後も、いろいろな箇所でいろいろな課題があると思います。このことについては、もう幾ら言っても平行線なのかもしれませんが、ほかにも課題がございますから、真摯に向き合っていただきまして、更によいものになるようにお願いをしたいと思います。

 それから、本年二月に、事業者であるNEXCOと、周辺住民の方に対する説明会が行われたと思いますが、そのときにNEXCO側が、特定の自治会以外の方々には説明会には御参加いただかないようにみたいなそういう状況であったと伺っておりますが、これは少しおかしいのではないか。

 幾ら、すぐ近くの方ではない、周辺、近隣よりは少し遠い方かもしれませんけれども、沿線という意味では、また、問題意識を持つということでは同じなのですから、もうそういうところは排除をすることなく、これからはしっかりと説明会に出ていただいている方全員に御説明をいただくようにお願いしたいと思いますが、国土交通省のお考え、御指導を伺います。

石川政府参考人 お答えいたします。

 平成二十七年に構造変更を行いました神戸橋のルーバー構造につきましては、東日本高速道路会社は、地域住民の方に対し、自治会単位で順次説明会を行っているところでございます。

 委員御指摘の、平成三十年二月に開催いたしました神戸橋近傍の自治会に対する説明会におきましては、事前に別の自治会の住民の方が参加を希望する旨連絡がありましたが、お断りをしたとの事実は東日本高速道路会社から聞いております。

 その詳細な経緯についてはよく承知をしておりませんが、これまで自治会単位で意見を集約した経緯も踏まえ、お断りした方も含めて、引き続き自治会単位での説明を実施するなど、機会を捉えて対話をしていくというふうに聞いております。

 いずれにいたしましても、横浜環状南線の建設事業につきましては、地域の御理解と御協力をいただけますよう、丁寧に対話を行いながら事業を進めてまいりたいと考えております。

早稲田委員 お断りしたかしないか、自治会単位でということではあるでしょうけれども、それでも入れないわけじゃないですから、会場に。いらした方については、自治会以外の方であっても丁寧な対応をしていただきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 次の質問に移ります。森友学園の問題でございますが、二〇一六年当時、近畿財務局が大阪航空局に対してごみの積算量をふやすように依頼したとされる件について伺ってまいります。

 この報道がございましたのが四月十二日の朝日新聞でございましたが、このことに関して、調査をすると太田理財局長も答弁をされております。また、私たちの野党合同ヒアリングでもそういうふうにお答えをされておりますが、もう大分時間がたっておりますので、調査の結果がどうであるのか伺います。航空局と財務省に伺います。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の、報道されておりますそうした持ちかけがあったということの点につきまして、大臣からも御指示をいただきまして、それに基づきまして調査を進めているところでございます。

 現在、大臣官房の立会いのもとで、本省航空局によって、当時、本件見積り作業にかかわったと考えられます大阪航空局の職員を中心に聞き取りなどを行っているところでございますけれども、本件見積りにつきましては、二年以上前の事案でございまして、既に本件の担当を離れ、別の部局で業務に当たっている者もおります中で、当時の大阪航空局の職員一人一人の記憶を繰り返し丁寧にたどっていかなければならないということから、現時点におきまして、何らかの調査の結果をお示しするに至ってはいないというところでございます。

 いずれにせよ、委員の御指摘なども踏まえまして、可能な限り早期に調査結果をお示しできるよう作業を進めてまいりたいと考えております。

富山政府参考人 お答えをいたします。

 地下埋設物の撤去費用の積算につきましては、さまざまな報道が出ていることを受けまして、財務省として、その事実関係について、関係する職員に聞き取りを行うなどして調査をしているところでございます。

 一方で、近畿財務局の職員は捜査当局から聴取を受けておりまして、さらに、三月以降、さまざまな報道がなされ、自宅までマスコミが追いかけてくるような中で、家族も含め、精神的に不安定な状況にある者も出てきております。

 このように、捜査当局の聴取との関係がある中で、ただ、国会に対してきちんとどういうふうに答えるのか、確認の対象となる個々の職員には非常に大きな負担がかかっておりまして、職員に過度の負担をかけることは避けなければなりませんけれども、殊さらに引き延ばすこととならないよう、ただ、最終的な段階まで慎重に調査をしているところでございます。

早稲田委員 何か過度な負担をかけているような私たちの野党の質問だと言わんばかりのお答えには、少し残念な気持ちがいたします。一カ月ですから。

 それから、航空局に伺いますが、それでは、捜査当局から航空局も捜査を受けているのでしょうか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 職員の中には、そういった大阪地検による事情聴取を受けている職員もおりますので、そうした職員の置かれている状況にも配慮しながら慎重に調査を進めているというところでございます。

早稲田委員 起案にかかわっていらっしゃるのはたしか四人だと思います。そして、補償課長が決裁をされている。八億円もの値引きで、本当は、一億円以上の発注の場合は航空局長であるということが決められているんですけれども、値引きに関しては八億でも補償課長のみの決裁で足りるということも御答弁されているわけですけれども、四人の方に伺うのに、幾ら部署が転換していたとしても、やはりそれはもう一カ月もたっているのですから、早くやっていただくということは、与野党超えて、これは国民の方に対してしっかりとお示しをする。おかしいごみの調査だというのは、誰もが、多くの方が思っていることです。もっとスピード感を持ってやっていただくように、このことについては要望をさせていただきます。

 そして、もう一点ですが、四月十三日に、この事業者が必要であれば再調査に全面的に協力をすると述べておられまして、これはNHKの報道ですけれども、これに関して、それでは、その再調査に協力をするという藤原工業社長について、国土交通省として照会のコンタクトをとられたのか。

 そして私も、ごみの再調査が必要だからぜひやってほしいというところでは、事業者が今これの留置権を主張しているからできないんだという御答弁も大臣からいただいているところですけれども、その事業者、留置権を主張している方と協力をすると言っている事業者は同じ藤原工業さんではないですか。でしたら、当然のこと、国民の財産ということでは、再調査のために協力をしてほしいと要請を強く、御協力を求めていく必要があるのではないかと思いますが、大臣のお考えを伺います。

石井国務大臣 本件土地につきましては、現に校舎が存置をされ、建物と土地の工事代金が未払いであることから、工事事業者が建物については所有権を、土地については留置権を主張し、本件土地を占有している一方で、国は、管財人及び工事事業者に対し本件土地の更地の返還を求めておりまして、現在も、森友学園の管財人との間で、土地や存置されている建物の取扱いを含め、さまざまな交渉を行っているという状況にありますので、直ちに本件土地の調査を行うことは困難であると考えております。

 その上で、大阪航空局が行った見積りの大部分を占める校舎部分の調査は困難であり、この調査によって見積り全体が適正であったかを結論づけるわけではないとは考えておりますが、工事事業者が、国の要請があればごみの再調査に協力すると述べているとの報道については承知をしておりますので、本件土地の再調査を含めて、本件土地を今後どのようにしていくかについて、管財人や工事事業者と相談をしているところでございます。

早稲田委員 一点、今の質問にお答えいただいていない部分がございます。コンタクトをとられたのかということをまず伺っております。お答えください。

西村委員長 蝦名局長。

 既に申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

蝦名政府参考人 交渉中の内容でございますので詳細は差し控えさせていただきますけれども、相手方の見解というのは確認をさせていただいている、コンタクトをとっているということでございます。

早稲田委員 わかりました。相手方に照会をされたということは理解いたしました。

 以上です。ありがとうございました。

西村委員長 次に、道下大樹君。

道下委員 立憲民主党の道下大樹でございます。

 私からは、交通政策について何点か伺いたいというふうに思います。

 まず、地域公共交通について、特化しますと地方のバス事業について伺いたいと思います。

 現在、バス事業においては、民営バス事業者の六割、七割弱が赤字でございます。都市部では収支率は一〇三・一%という辛うじて黒字、地方は収支率八七・四%という、これはほとんどが赤字でございます。これは国土交通省が二〇一六年度分として調べた数字でございます。

 地方のバス事業においては、人口が減少する中で、バス事業者が経営合理化を進めたり、黒字路線や高速バス、貸切りバス、また、他の事業などによる利益で内部補助を行いながら、公的補助とあわせて路線を維持をしているところでございます。

 この補助については、国、国土交通省から、後ほど質問いたしますけれども、地域公共交通確保維持改善事業、幹線系統補助というようなものなどいろいろとありますが、この補助制度においても、ずっと維持はされ続けていますけれども、毎年、これを減額するだとか対象を狭めていくだとか、また、ハードルが年々高くなってきているということで、バス事業者に対しては、生産性向上も含めて大変厳しいハードルが求められている状況であります。

 こうしたバス事業者の状況の中で、ことしの二月にショッキングなニュースが流れました。岡山県を中心にバス事業などを営む両備グループが、二月八日、傘下二社の七十八路線のうち、赤字三十一路線を一斉に廃止すると国土交通省に届け出たことを発表したということでございます。

 これは、割安運賃を売り物にする他の事業者が、両備グループにおける数少ない黒字路線への参入を計画し、それについて国に対して認可をし、国も認可を認めるということで、これでこの両備グループは非常にこれに危機感を感じて、赤字路線三十一路線の廃止を届け出るというような行動に踏み切り、その後、廃止届を出した。その後は、その地域からの意見だとか、また、利用者からの意見等で廃止届は取り下げたわけでありますけれども、今現在、これは裁判が行われているということでございます。

 これについては多くの方も御存じだと思いますし、二月二十二日の予算委員会、また、同日の総務委員会、そして二月二十三日の予算委員会第八分科会、国土交通省所管において、この第八分科会では我が党の高井議員、また、予算委員会では、他党でありますけれども津村委員が質問されて、第八分科会では石井国交大臣も答弁されたということで御承知かというふうに思っております。

 今回の問題についてこのような、国が新規事業者に対して認可を出したことによって既存の事業者の経営が混乱するという、また、利用者などに混乱を招いたというこの事態について、まず石井大臣の認識を伺いたいと思います。

石井国務大臣 御指摘いただいた件につきましては、道路運送法に基づき厳正に審査を行った結果、審査基準を満たしていることから中国運輸局が認可を行ったものであります。

 今後、岡山市におきまして、地域公共交通活性化再生法に基づく法定協議会が設置をされ、地域公共交通網形成計画を策定するため、関係者による協議が行われると聞いておりまして、国土交通省といたしましては、その協議に参画をし、全国の事例を通じた助言や各種支援策の活用など、積極的に協力をしてまいりたいと考えております。

道下委員 大臣、今このように、地域公共交通活性化再生法を活用した取組、また、地域における法定協議会での意見を踏まえて、これは国も参画するわけでありますけれども、そういったところで取り組んでいくというお話でございましたけれども、そういった取組も必要ですが、そもそもでいけば、認可をしたその根拠であります道路運送法の問題が非常にクローズアップされているわけであります。

 以前も高井議員がこの道路運送法の問題について取り上げて、特に道路運送法三十条における「一般旅客自動車運送事業者は、一般旅客自動車運送事業の健全な発達を阻害する結果を生ずるような競争をしてはならない。」という文言があることを取り上げて、これに当たるのではないかというふうにお話しされました。

 これについては、これはそもそも認可をされて事業に参入をして、それ以降、運賃のダンピングなどが発生したときにこれがかかってくるという担当されている局長の答弁ではありました。

 でも、これは、事業に参入してから運賃をダンピングしたら、そういうような事業の停止だとかを国が命令するということでありますけれども、そもそも認可を申請するときに、こういう、運賃を安く出しますよ、はっきり言って運賃のダンピングを先に予告をしておいて、それについて、それでいいですよというふうに国が認可をする。つまり、予告ダンピングを国が認めることにつながるのではないかと私は考えるわけでありますが、こうした点について国交省の見解を伺いたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 大臣から先ほどございましたように、本件につきましては、道路運送法に基づき厳正に審査を行った結果、審査基準を満たしている、運賃についても満たしているということから中国運輸局が認可を行ったものでありまして、御指摘のようなダンピング運賃というふうには認識をいたしておりません。

 あと、三十条の運用につきましては、先生から今お話があったとおりというふうに認識をいたしております。

道下委員 これは、道路運送法と同じような中に、四条と三十条、この中にそれぞれ認可の基準とそして停止の命令の基準が書かれているわけでありまして、この解釈については、法律が制定された当時のことにこだわるのではなくて、今現在、人口減少が進んで地方のバス路線を何とか支えている事業者が数多くいる、赤字路線を黒字路線の利益で埋めているというところをしっかりと踏まえた上で、国として今進めている、国交省として進めている地方の路線、公共交通の維持確保というものに当たっていただきたいというふうに私は思うわけであります。

 そういった意味で、今回の岡山におけるこうした混乱については全国には広げてはならない。この混乱を全国に広げてしまう、私の地元でもこういう一つの長い路線の中で、一部の路線、都市部では利益が上がる黒字の区間なんだけれども、それ以外の区間では赤字というところがあって、もしそこに、黒字のところだけ新規参入されてしまったら、長い赤字区間も含めて何とか地域の人たちの足を守っているバス事業者が赤字区間を廃止せざるを得ないというところがありますし、他の地方でも数多く見られると思います。

 こうした今回の混乱を二度と起こさないために、今後、国として、国交省としてどのように取り組んでいくのか、伺いたいと思います。

石井国務大臣 我が国におきまして、人口減少や高齢化が進む中、地域において必要な公共交通の維持を図っていくことは重要な課題であると考えております。

 一方で、新規参入は、事業者間の競争を促進をし、事業者の創意工夫を生かしたサービスの提供等により、利用者利便の向上が図られるという点もあると承知をしております。

 国土交通省といたしましては、岡山を含め各地域におけるバス事業の状況も把握、検証しつつ、地域公共交通活性化再生法を活用した地域における公共交通維持への取組を支援することを始めといたしまして、地域公共交通政策をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

道下委員 御答弁ありがとうございます。

 自由競争を私は阻害する気持ちはありませんが、ただ、もうかっているところで独占している事業者がいたら、そこに新規参入を進めていくということは必要かと思いますが、赤字も含めて何とか支えているところに、もうかるところだけ、クリームスキミングという、いいところ取りで新規参入をさせるということは私はいかがなものかというふうに思いますので、その点も強く指摘をさせていただきたいと思います。

 先ほど、地域公共交通確保維持改善事業について説明をさせていただきましたけれども、これは、私はしっかりと進めていただきたい。逆に、予算を拡充して、この改善事業を拡大していただきたいというふうに思っております。

 生産性向上、また、さまざまな計画づくりなど、ハードルを上げるのではなく、それは必要かもしれませんけれども、それだけではなくて、十分、人口減少を迎える地方において公共交通を守っていくという、これを大前提とすれば、事業の維持拡大が重要かと思いますが、国交省の見解を伺いたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 路線バスにつきましては、地域の足を守る観点から、路線ごとの赤字額の一定割合を国が補助いたしております。

 路線バスは、地域の公共交通機関における中心的な役割を果たしていることを踏まえまして、その赤字の補填のための助成につきましては、最優先で必要額を確保しておるところでございます。

 一方、今後の人口減少が見込まれる中で、地方部を中心に路線バスの赤字が拡大をいたしておりまして、持続可能な地域公共交通ネットワーク形成のためには、路線バス事業の生産性向上の取組が不可欠であるというふうにも考えております。

 このため、国交省といたしましては、関係者と密接な意見交換を行いながら、各バス事業者に対しまして、地域の特性を十分踏まえた生産性向上のための取組の推進を促しまして、これにより赤字幅の縮小も図ることといたしております。

 このような取組を行った上で、赤字路線の補助につきましては、必要額を確保すべく、引き続き最大限の努力を行ってまいります。

 また、地域間幹線系統補助の制度のあり方に関しましては、この生産性向上の取組の状況を踏まえながら、引き続き検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

道下委員 生産性を上げるためにさまざまなアイデアをお互いに出しているというふうには承知しておりますけれども、そうした中でも根底となるのが、そこで働く人がいる、バス運転手さんがたくさんしっかりといるということが必要かと思いますけれども、今現在、御承知のとおり、深刻な運転手不足でございます。

 例えば、国内最大手の西鉄グループは、路線バスの最終便の繰上げに踏み切った。その理由は、運転手の待遇改善を図るため、また、将来的なバス路線網の維持をするために労働時間を削減するという苦渋の決断を行ったということでありますし、また、北海道のニセコバスにおいては、長時間勤務が難しい高齢運転手がふえた営業所管内の四路線の日曜祝日便を運休としたということなど、運転手不足の中で、事業者が大変苦渋の決断など、減便、廃止などで対応を迫られているところでございます。

 その一方で、静岡市のしずてつジャストラインというところでは、営業所長に女性を初登用するなど、女性も働きやすい職場環境の整備を進めているというふうに伺っております。

 このように、今現在、バスの運転手の方の労働条件は、不規則、長時間労働と賃金のバランスがとれていないということで、これは女性の就労の障害にもなっているわけであります。

 そうした点で、労働環境の改善、長時間労働の是正、そして若年層の就労に対する支援というものが大変求められているわけでありますし、政府が進めようとしている働き方改革では、今現在では自動車運転者の時間外上限規制適用まで猶予期間が設けられてしまっており、その後も、九百六十時間という、一般則七百二十時間より長時間の上限の導入が予定されております。

 これは、高齢化が進むバス運転手の健康と安全輸送の観点からも、早期の一般則適用が求められている事業者、また、運転手、労働組合からは求められているわけでありますので、そうした点も踏まえて、バス運転手の不足の解消に向けた国の取組を伺いたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 バス事業は、我が国の日常生活や経済活動を支える重要な公共交通機関としての役割を担っていることから、その担い手の確保は非常に重要であるというふうに認識をいたしております。

 しかしながら、バス運転者における有効求人倍率は平成二十九年度で二・〇九と、全職業平均一・三五と比べ高い状況となっており、他の産業よりも人手不足が深刻な状況にございます。

 また、平成二十八年四月に日本バス協会が実施をいたしました事業者アンケートによりますと、乗り合いバス事業者の八一%、貸切りバス事業者の七五%が運転者不足を感じていると回答しているところでございます。

 バス事業の労働環境の実態を見ますと、長時間労働、低い賃金水準、運転者の高齢化、女性の担い手の少なさなどが課題であるというふうに認識をいたしております。

 具体的には、バス運転者の平均年間労働時間は二千五百二十時間で、全業種平均の二千百三十六時間と比較して長い一方で、平均年間所得は全業種より低いものとなっております。また、運転者の平均年齢は平成二十九年で約五十歳でありまして、運転者の高齢化が進んでおり、女性の割合も一・七%と、全産業平均と比べて低い割合となっております。

 このような現状におきまして、必要な運転者を確保するためには、労働生産性を向上させるとともに、多様な人材の確保、育成を図る取組が重要であるというふうに考えております。

 このため、バスを含みます自動車運送事業につきまして、省庁横断的に対策の検討を行う自動車運送事業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議というものを設置をいたしまして、昨年八月に、「直ちに取り組む施策」を取りまとめたところでございます。

 国土交通省といたしましては、労働生産性を向上させる取組として、貨客混載の促進でありますとか大型バスドライバーの融通のための検討を行うとともに、女性が働きやすい職場環境の整備や二種免許の取得支援などを関係省庁と連携して取り組んでいるところでございます。

 また、日本バス協会におきましては、ことしの三月に、バス事業における働き方改革の実現に向けたアクションプランを策定いたしまして、バス事業における働き方改革の実現に向けて、業界として取り組む事項や時間外労働の削減に関する数値目標などを定めまして、積極的に取り組むことといたしております。

 政府といたしましても、今後、先ほど申し上げました会議において、関連制度の見直しでありますとか支援措置等を取りまとめた行動計画を策定、公表することといたしておりまして、運転者不足の解消に向けて、関係省庁や事業者団体とも連携を図りながら、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

道下委員 ありがとうございます。そういったさまざまな課題を認識し、取り組んでいくことをしっかりと進めていただきたい。

 ただ、これは、事業者のみということじゃなくて、ハンドルを握る方々の意見もしっかりと聞き受けて、取り組んでいただきたいというふうに強くお願いをしておきたいと思います。

 次の課題に移ります。札幌冬季オリンピック・パラリンピックと、北海道新幹線の札幌開業についてでございます。

 冬季オリパラ招致活動を進めてきた札幌市は、当初目標としていた二〇二六年開催を二〇三〇年に変更し、先日、札幌の秋元市長がJOC会長と会談して伝えたと承知しております。

 この変更した理由は幾つもありますけれども、その一つの要因には、二〇三〇年度の北海道新幹線の札幌までの開業も、その開催年を変更した要因というふうに言われております。

 二〇三〇年二月、三月ごろに行われることを目指す札幌冬季オリパラに間に合わせるためには、この新幹線の札幌開業を一年半前倒しする必要が出てくるわけであります。まだ札幌市などからは、そうした前倒し開業の要望等は国には寄せられていないと承知しておりますが、まずもって、本当にこれは実現可能なのか。トンネルがたくさんある中で、実現可能性や、また、課題を含めて今現在の国交省の見解を伺いたいと思います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 北海道新幹線の新函館北斗―札幌間につきましては、平成二十七年一月の政府・与党申合せにおきまして、二〇三〇年度末の完成、開業を目指すとされたところでございます。

 新函館北斗―札幌間では、工事延長約二百十二キロのうち、約八割の約百六十九キロがトンネル区間となっております。現在、整備事業はこのトンネル部分において進められているところでございます。なお、トンネル以外の区間につきましては、現在、北海道土地開発公社等に委託する形で用地買収を順次進めているところでございます。

 国土交通省としましては、地元の協力もいただきながら、一日も早い開業が可能となるように、今後とも最大限努力してまいりたいと考えております。

 なお、開業前倒しの実現可能性ということに関しましては、現時点でそういった要請は受けておりません。そういうことで、現在の段階では特段の検討は行っていないという状況でございます。

道下委員 残すところ十一年、十二年、期限がありそうでなさそうで、これはわかりませんが、札幌冬季オリパラの招致が二〇三〇年で決定したというときから、では札幌開業が前倒しできるのかということを考えると、これは遅いと僕は思うんです。

 なので、札幌市からの速やかな要請があることが重要かと思いますけれども、国土交通省としても、先のことを見越して、想定して、この実現可能性も含めて省内で検討していただきたいというふうに強く指摘をさせていただきたいと思います。

 次に、ちょっと時間がもう来てしまったので、空港民間委託について伺いたいというふうに思っております。

 今現在、福岡空港の民間委託において二次審査が行われており、五月ごろ結果公表をされるというふうに伺っております。この福岡空港の民間委託においては、その選定基準において、運営権対価の配点割合が三〇%ということで、他と比べると高い状況でございました。

 一方で、八月十六日、一次審査募集の締切りを迎える新千歳空港を含めた道内七空港の一括民間委託においては、運営権対価は、一次で二〇・七%、二次でも二〇・六%と、福岡空港と比べると低い状況になっております。

 これは、一昨年の年末に、北海道の道議会や地域の経済界、また、各自治体などからの意見をしっかりと集約して国に提案した北海道初の提案というものを踏まえて、審査、評価が資金力の有無に偏らないようにするとともに、道内七空港、さらには道内十三空港全体を巻き込んだ活性化と、地元と連携した地域振興策を重視したものというふうに私は考えておりますけれども、この運営権対価の配点割合について見解を伺うとともに、もう一つは、去る五月九日に、道内七空港を管理する国、道、旭川市、帯広市の四者による運営事業者募集のための説明会が、この東京都内、霞が関で開催されたと承知しております。

 その中で国土交通省の担当者は、北海道のために一番いい提案をした企業に運営をお願いしたい、また、一貫したストーリーを持った御提案をいただきたいというふうに、何度も説明会に集まった企業の方々に述べたと承知しております。

 これは、こうした担当者の方々は、その地域の意見をできる限り反映した内容の応募をしてほしいということで述べられたというふうに思っておりまして、私としては、こういう説明は大変評価をさせていただいているところでございます。

 こうした説明も踏まえて、今現在の道内七空港の一括民間委託に向けた国土交通省としての方向性というか狙いについて、二問まとめてになりますけれども、大臣に御答弁いただければ幸いに存じます。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 空港運営の民間委託に当たりましては、安全かつ健全な空港運営が行われることや、航空ネットワークの充実や空港、地域の活性化が図られること、財政健全化が図られることなどを総合的に評価して優先交渉権者の選定を行っております。

 運営権対価の配点比率につきましては、空港個々の事情に合わせて、財務当局等とも調整の上、設定をしております。

 北海道内七空港におきましては、地元関係者の要望や提言、あるいは、管理者であります旭川市、帯広市及び北海道の御意見なども踏まえまして、設定をしているというものでございます。

 また、北海道七空港の民間委託につきましては、四月二十五日に、旭川市、帯広市、北海道とともに、民間事業者の公募選定に関する募集要項を公表いたしまして、五月九日に四管理者合同説明会を開催をいたしました。

 その中で、先生が御紹介いただきましたようなことを国の担当者が述べたというふうに報道されておりますけれども、本案件は、管理者が異なる複数空港の一体的な運営委託という前例のない重要な取組でございまして、七空港を一体的に運営するというメリットを生かし、北海道全体の観光振興や各地域の活性化を図ることを狙いとしております。

 今後、有識者等から構成されます審査委員会において、航空ネットワークの充実や空港、地域の活性化を始め、安全かつ健全な空港運営、あるいは財政健全化等の観点から総合的に評価をした上で、新たな運営主体となる民間事業者が選定されるものと考えております。

 国土交通省といたしましては、平成三十二年からの一体的な運営委託開始に向けて、着実に手続を進めてまいりたいと考えております。

西村委員長 道下君、既に申合せの時間が経過しておりますので、御協力お願いします。

道下委員 はい、承知いたしました。

 この空港民間委託については、北海道の多くの方々の思いが集められたものでございますので、ぜひ、今の御答弁を踏まえてしっかりと取り組んでいただきたい。北海道の人たちの気持ちを踏まえて進めていただきたいというふうにお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 国民民主党の小宮山泰子でございます。

 少々風邪を引いておりますのでお聞き苦しい点があるかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。

 さて、公共建築物等における木材の利用促進に関する法律が平成二十二年五月成立し、同年十月、施行され、現在に至っております。

 近年、公共建築物への木材利用は、国土交通省、林野庁を始めとした関係省庁での取組により、前進しております。今国会提出の建築基準法改正などを通じて更に拡大が期待されているところでもあります。公共建築物を含むさまざまな建築物での木造並びに木材利用の推進を願う立場の議員といたしまして、大変期待をしているところでもございます。

 公共建築物への木材利用の推進を考えるときに、全国各地での木材利用公共建築物の建設予定、計画、検討中の状況などについての情報が広く容易に入手できる環境が整っていることというのは、大変望ましいことかとは思います。

 こうした情報を得ることによって、さきに述べた公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律を所管される国土交通省官庁営繕部整備課木材利用推進室並びに林野庁林政部木材利用課に尋ねたところ、網羅して情報を収集、集積している機関や民間団体はなく、個別に都道府県や各自治体に問い合わせていただくことになるのが現状であるというふうな説明を受けてしまいました。

 ただし、農水省、防衛省など一部工事に関しては、JACIC、一般財団法人日本建設情報総合センターの提供している入札情報サービスにて入札情報の検索が可能であり、木材利用公共建築物について多少なりとも情報を得ることができるものとなっております。

 JACICのシステムは、国の機関のみに情報登録を限っているのではなくて、広く各地方自治体からの利用も可能とされております。現状では横浜市及び岐阜県のみがシステムを使用されており、入札情報などの登録が見られます。

 JACICは、昭和六十年に建設大臣の許可を受けて設立され、平成二十四年には一般財団法人に移行しております。この設立目的、事業概要などについて、まずは確認のために御説明をいただければと思います。

    〔委員長退席、鬼木委員長代理着席〕

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 一般財団法人日本建設情報総合センター、JACICは、建設情報システムの調査研究を行い、これを広く普及するとともに、建設情報の提供を行うことにより、建設技術の向上、建設事業の効率化等を図り、国民生活の高度化及び経済の活性化に寄与することを目的として設立された団体でございます。

 具体的な事業としては、各発注者による建設企業等の工事や業務実績の検索、確認が可能な工事・業務実績情報システムの運用、工事や業務についての発注見通し、入札公告、入札経過等の検索、閲覧が可能な入札情報サービスの提供、積算システムの開発、運用などを実施しております。

 これらの事業により、計画から調査、測量、設計、施工、維持管理、更新までの一連のプロセスの生産性向上と社会資本の品質の確保が図られるものと考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 JACICにおいてのサービスによって入札情報がより幅広く登録されることが望ましいと考えております。横浜市及び岐阜県以外の自治体で登録促進に向けていかに対応していかれるのか、また、国交省、農水省、防衛省以外の国の機関についての登録となっていないのはなぜなんでしょうか。お聞かせいただければと思います。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 公共工事等の円滑な施工確保や建設現場の生産性向上に資する施工時期の平準化等の推進を図るため、国や地方公共団体などの各発注者の発注見通しを統合、公表する取組は重要であるというふうに考えてございます。

 国土交通省では、東日本大震災の復旧復興事業における施工確保対策として、東北地方において地域単位の発注見通しの統合、公表を平成二十五年に開始し、現在では、施工時期の平準化等を推進する観点から、この取組を全国に拡大しております。

 一方、JACICの入札情報サービスについては、工事の発注見通しの情報のみならず、入札公告時の資料の閲覧、入札の経過や結果等の情報提供も含まれており、そのサービスの内容はホームページで周知されております。

 このサービスを利用するか否かについては、サービスの内容や利用料金等を勘案の上、各発注者の判断によるものですが、公共調達の透明性、公正性等に資するものであると考えております。

 国土交通省といたしましては、発注見通しを始めとしたさまざまな建設情報の活用を進め、関係機関と連携しながら、円滑な施工確保や施工時期の平準化等、効率的、効果的な公共事業等の実施に努めてまいります。

小宮山委員 ありがとうございます。

 昨今ですけれども、空き家であったりとかストックの有効活用をということを随分国交省の方ではしていただいております。また、各自治体におきましては、入札が不調に終わることも多々ありますし、また、さまざまな専門的な知識の必要な公共の入札というものもふえていますが、これもなかなかその地域ごとだけでは難しいこともあるかと思います。こういった既にある制度というものをぜひ活用していただきたい。

 後ほどまた触れるものですが、伝統的構法など、これもユネスコの無形文化遺産の登録の方に向けて動き出しております。こういった技術のある方たちというのは全国に散らばっているところもあり、一カ所にはもう既に技術者がいないというときもあります。

 そのときに、多くの方がまたこういった情報集積をすることによって活用し、歴史的な意義ある、また、地域にとって資産となる価値を生み出す、そんな入札というものがしっかりと可能になるように、これからも各省庁、また、今含まれていないところも公共的な入札にはかかわってくることも、文科省など考えられますので、この点の御検討もいただければと思います。

 さて、今ちょっと触れましたけれども、土地の利用等さまざまなもの、今、国交省、この数年やっております。

 例えば、昨年の都市緑地法等の一部改正の成立後の状況についてまず伺いたいと思います。

 改正によって、生産緑地地区における直売所や農家レストランの設置ができることとなるようになりました。まだまだ活用が見えないところではありますけれども、近隣の営農者等が共同で設置、運営することに対する検討結果及び法律成立後のこの状況はいかがでしょうか。まだ十分な告知や、また動きにつながっていないのではないかと心配しておりますので、この点について御報告をお願いいたします。

栗田政府参考人 昨年御審議いただきました都市緑地法等の一部改正法の施行状況等につきましてでございます。

 まず、都市公園法改正によりまして新設しました公募設置管理制度、いわゆるPark―PFIというものでございますが、平成二十九年度に、北九州市の勝山公園あるいは名古屋市の久屋大通公園など四つの公園におきまして、公募設置等指針の公示、さらには事業者の選定が行われておりまして、運営開始に向けた準備が進められております。さらに、四十以上の自治体においても検討が進められておりまして、今年度は更に多くの公園で活用が見込まれているところでございます。

 また、都市緑地法改正によりまして新設しました市民緑地認定制度でございますが、既にさいたま市及び柏市、二カ所が認定されておりまして、さいたま市では自治会が、柏市ではNPO法人がそれぞれ市民緑地の管理を開始しております。さらに、六十以上の自治体におきまして制度活用の検討が進められているところでございます。

 生産緑地法改正によります生産緑地地区内の直売所及び農家レストランの共同設置につきまして、昨年、委員からお尋ねを頂戴したところでございます。

 この点、昨年六月十五日の法律の一部施行にあわせまして都市計画の運用指針を既にお示ししておりますが、その中で、「当該生産緑地に係る農林漁業の主たる従事者が複数の近隣農家と任意組合等を構成して農家レストランの経営、管理を行うことも想定される。」という旨、考え方を明確化したところでございます。

 ただ、生産緑地に関する改正は、そのうちの特定生産緑地制度あるいはその関連税制につきまして、本年四月一日の施行ということであります。今後、生産緑地の所有者が法律の内容を踏まえまして、自分の土地をどう扱っていくか本格的に検討されていく、こういうような段階に入っていかれるものと認識しております。

 国土交通省としまして、改正法の周知徹底、制度の活用促進に引き続き努めてまいりたいと考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 せっかく改正したならば、しっかりと活用されないとだなと思っております。都市再生法も、先般質問させていただきましたけれども、制度はつくっても実際には活用されていない事例というのも見受けられます。ぜひこれは、地域生産緑地の問題、また、都市農業の振興にあわせまして、この改正については関係の方々とも連携をとって推進をしていただけるよう、国交省においても努力いただくことをお願いいたします。

 さて、今国会には建築基準法改正案が提出されて、もう既に参議院で先議となって、本委員会においても今後審議することとなると思っております。

 今般の建築基準法改正案では、建築物の用途変更を行う際について確認申請が求められる床面積が、百平方メートルから二百平方メートルへと変更されることとなります。

 用途変更の基準床面積が広くなる、つまり規制緩和されることは基本的に歓迎されるものと考えられますけれども、リフォームやリノベーションが最近はよく取り上げられ、また、推奨される中において、過去のさまざまな案件をあわせて考えますと、建築士が介在する場面が減ることとなって、適法に、すなわち、安全、安心して利用できる建築物となるような改修が行われない可能性についても考えておかなければならないと思っております。ややもすれば、危険な建築物となりかねない改修が行われてしまわないかという懸念もございます。

 国土交通省としての見解をお聞かせください。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 増改築を伴わない建築物の用途変更については、百平米以下の場合に建築確認を不要としているところでございますが、今御指摘いただきましたとおり、今回の改正法案により、この対象を二百平米以下にすることとしております。

 これは、既存建築物は構造上の安全基準を新築時に確認していること、また、今回の改正法案において、三階建て以下で二百平米未満の用途変更の場合には、避難安全性の確保を前提に、壁、柱等を耐火構造とするような大規模な改修工事を不要とし、警報設備等の設置による対応で可とするなどの規制の合理化を行うこととしていることと平仄を合わせるということでございます。

 確認手続は不要となっても、基準への適合義務は引き続き課されることから、基本的には、建築主の責任により用途転用の際に求められる措置を講じることになりますが、建築士が関与した場合には、この建築士が基準への適合性を判断し、必要な措置を講ずることになります。

 なお、用途変更に当たっては、間取りの変更などを伴う場合が多いというふうに、先ほど御指摘いただきましたように、リフォームなどを行うという場合が多いと考えられますが、その中で、柱や壁などの構造躯体にかかわる改築等に該当するものについては建築確認が必要となりますので、建築士が関与するということになります。

 また、火災時等に配慮が必要とされる高齢者福祉施設等への用途変更については、福祉部局との連携により、建築部局としてもその把握に努めることとしておりまして、特定行政庁による是正指導等を徹底するなど、用途変更に当たっても安全性の確保を図ってまいりたいと考えております。

小宮山委員 ぜひこの点、やはり構造をさわる場合とか、さまざまなことが考えられると思います。また、既存の建物を生かすことが可能にはなりますけれども、その分、最初につくられたときの構造的な設計図であったりとか、さまざまなものが引き継がれていないということも考えられます。

 そういう意味では、建築士がきちんと介在することによって、また、それが確認ができる体制が整ってこそ、安全で、そして、今回の法改正によっての建築物を更に生かしていく、そこにつながっていくんだと思います。

 特に今回の法案に関しては、防火に関してを重点に置いておりますので、この点に関しては非常に心配するところでもあります。

 私自身は、「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験」検討委員会に関連して、伝統的構法をより採用しやすくなるためのデータ整備や告示などの整備を進めていきたいということで質疑をこれまでも行ってまいりました。

 伝統構法の振興についても、建築基準法を始めとした関係法令に則した、安全、安心して使用する、暮らせる建築物となることは大前提でありますけれども、その上で、気候風土に根差して培われてきた構法、たくみのわざが生かされた建築のあり方、住まい方、暮らし方についてどのようにありたいのかという個々人の人生観、生活観に照らしつつ、現代社会の中で使っていくことができるというものが重要だと考えております。

 今回の建築基準法の改正に関して言えば、伝統的構法が採用しやすくなる改正ではなく、状況に変化はないのかなという部分も少々心配しております。

 この伝統的構法の取組についての昨年五月の質疑以降の進捗状況について簡潔に御説明をいただければと思います。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 仕様規定に適合しない伝統的構法による場合、地震に対する安全性の確認のために、建築基準法により、精緻な構造計算が要求されております。

 このため国土交通省では、この精緻な構造計算の際に活用可能な継ぎ手や仕口の接合部のデータベースの整備を進めており、専門家の確認が終了したものについて平成二十九年三月から公開しております。

 昨年五月以降も、当初公開した四十一件に加えまして、追加で確認できた十二件の接合部等のデータを追加したところでございます。引き続き、データの追加作業を行ってまいります。

 また、精緻な構造計算を行うことなく伝統的構法を採用しやすくするため、仕様規定については、実験等により安全性が確認できた壁や接合部について追加してきているところです。

 昨年五月以降におきましても、九月に、一階の柱と土台を鉛直方向に固定しない接合方法や、土塗りの垂れ壁、腰壁等の仕様について、仕様規定として告示に追加したところであります。

小宮山委員 ありがとうございます。

 伝統建築工匠のわざ、木造建築物を受け継ぐための伝統技法というのは、本年の二月にユネスコ無形文化遺産の提案案件として決定をしていただきました。十四件ありまして、建築物の修理や木工、彩色、漆塗り、左官などさまざまな伝統的構法や、日本の気候風土に即した、また培われた技法というものが、二年後には早ければこれが指定されるということで、うれしい方向になってきました。

 これもやはり、これまでのこういったさまざまな実証実験とデータの積み重ね、また、サステナブル建築物先導事業というんでしょうか、多少あの森友で有名になりまして、気がつきましたら、木質というよりかは木造先導型に特化もしていかれるということでもありますが、この点に関してもやはり、伝統的構法の振興に対して大臣の認識と取組の意欲をぜひお伺いさせていただきたいと思います。

    〔鬼木委員長代理退席、委員長着席〕

石井国務大臣 伝統的構法による木造建築物は、各地域の気候、風土、文化に根差したものであり、我が国の木造文化の伝承につながるとともに、日本らしさを感じさせる空間づくりを通じて、観光振興や地域活性化に資するという役割を担っていると考えております。

 このため、今後とも、個別の実験や検証等の安全性の確認に向けた検討を続けまして、データベースの追加や仕様規定の充実等を通じまして、伝統的構法がより採用しやすくなる環境整備に向けて着実に取り組んでまいりたいと考えています。

小宮山委員 ぜひ着実に大臣進めていただきたいと思いますし、また、これから観光立国としても、また、地域での気候、風土、歴史を反映したすぐれた建築こそ有効活用すべきだと思います。そのときに、この技術が伝承されること、また、それが生きた技術であるということは大変重要な観点だと思っております。

 ぜひ、この点に関しまして安全、適法にストック利用するためにも、伝統的構法に関する防火と構造の適正な検証を国土交通省においても引き続き実施していただくことを要望いたしまして、あわせて、サステナブル建築物先導事業ですけれども、木造もこの点に重点を置いていただいたというのは大変ありがたいんですけれども、あわせましてやはり、CLT等の、本来、新たな木質建築材料の有効活用ということも言われております。三階建てや四階建て、高層の木造建築というのを目指すにはこの検証も大変重要なものでもございますので、この点もあわせてしっかりと検証していただき、木材利用を更に進めていただくことも要求いたしまして、終了いたします。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、山岡達丸君。

山岡委員 山岡達丸と申します。

 本日は、この国土交通委員会におけます一般質疑ということで貴重な質問の時間をいただきましたことを、委員長、理事の皆様、そして委員の皆様に心から感謝を申し上げさせていただきながら、御質問に入らさせていただきたいと思います。

 私は、北海道で活動させていただいている、選出の議員でございまして、今回は主にいわゆるJR北海道のことと、そして、残りの時間の中で、いわゆる漁業者の方が海難の際にさまざま救助に当たっている水難救助所員のことについて、少し、大臣の御見解も含めて伺わさせていただければと思います。

 資料をお配りもさせていただいているんですけれども、いわゆるJR北海道の問題、最近の報道でも、赤字が出て非常に深刻であるということも今お話にもございますが、この質問をさせていただく前提として、では、JR北海道という位置づけが国土交通省との関係の中でどういう位置づけにあるのかということをまず明らかにさせていただきながら質疑に入らさせていただきたいと思うんです。

 お配りさせていただいた資料にもありますが、いわゆる独立行政法人の鉄道建設・運輸施設整備支援機構というところがJR北海道は一〇〇%株を持って、もちろん、JR北海道だけじゃなくて、四国とかも含めてそうなんですけれども、そうした運営形態になっているわけでありますけれども、では、この機構というのがどういう位置づけのものなのか。

 この機構の人事権、いわゆる理事長は国土交通大臣が任命する、そんな機構であります。これは、独立行政法人の通則法にのっとって明確に書いてあることであります。監事も国土交通大臣が任命する。そして、副理事長や理事は、国土交通大臣が任命した理事長が副理事長、理事を全て任命する。この理事長以下、理事含む十人のうち四人が旧運輸省の出身者、こういう状況になっています。

 別に、この運輸省出身の方がやっていることを追及したいわけではなくて、私が申し上げたいのは、この機構というのが、言うなれば、本当に国土交通省の直轄、人事、権限も持って、そうした機構であるということは前提として明らかにしていきたいと思います。

 あわせて、JR北海道は当然、一〇〇%この機構が株主でありますから、毎年、経営の状況等については、「経営上場」、済みません、これは誤字です。経営の状況を報告しているということになっておりますけれども、同時にこのJR北海道は、国土交通省にも毎年経営状況を報告している。これはJR会社法によるものだということを、昨日、国土交通省の担当者からも聞いております。

 毎年、もちろん機構も聞いている、そして機構自体も国土交通省の直轄である上に、国土交通省御自身も、きちんとこのJR北海道を含めて状況を聞き続けてきた。

 民営化から三十年、そうした日時がたって、今さまざま、地域、私、北海道の胆振、日高というエリアにおいても、本当に地域住民を巻き込んでさまざま大きな問題が起こっているわけでありますけれども、これまで、国土交通省の御答弁等を含めて議事録を拝見させていただきますと、JR北海道がやることであるとか、あるいは、地域、地元住民が決めることであるとか、そうした御答弁が非常に多くあるわけでありますけれども、私は、こうした機構の組織図、関係性からいえば、この三十年、また、私のエリアに、JR日高線そして室蘭線を始め、本当に先行きはどうなるんだろうという住民の方も多くおられますけれども、これは地域が決めることとかJR北海道の問題というスタンスは私は通用しないものだと強く考えております。

 そのことは、きょう質問をさせていただくに当たって、ぜひまた踏まえさせていただきながら入らさせていただければと思うんです。

 資料の二枚目でございますけれども、これは地元北海道新聞の新聞でありますけれども、今もお話しさせていただきましたが、JR日高線、不通になってから、通らなくなってから三年もたったということで、鉄路はさびつき、進まない地元協議という今新聞報道もございます。

 今、JR北海道は、皆様御存じのとおり、今後どうしていくのか、鉄路をどうしていくのかというさまざまな議論がありますけれども、この日高線に当たっては、およそ三年前に本当に台風を含めた災害に遭って、災害の中で鉄路が不通になった。

 しかし、その不通になった鉄路の災害復旧がされないまま、まさに先行きの議論に巻き込まれて、この災害復旧の議論は先行きの議論が終わらない限りはやらないというそうした中で三年間、今、列車が全く通らないままこの状況になっているところであります。

 私は、まさに復旧とそしてこの先行きの話というのはまた別の議論だということで、この日高線の復旧というのはもう早急に進めていただきたいというその立場でありますけれども、では、三年間、この中に巻き込まれてもう鉄路の中に列車が通らなくなってどういう状況が起こっているのかということについて、次の紙の写真にいろいろ記載をさせていただいているところであります。

 これは、二月十九日、ことしです、雪が大変積もっているところでありますが、改めて現場に視察に行ったときの様子であります。私も写っておりますが、参議院議員の鉢呂吉雄参議と、そして国土交通省本局から担当室長も立ち会っていただきながら、現状を見に行かさせていただきました。

 一枚目、これはちなみに海岸沿いであります。本当に、波を受けたり、台風、災害の後、こうした状況のまま、まさに三年間過ぎている。そして一枚目の下の写真、これはわかりにくいかもしれないんですけれども、鉄路の下の土がえぐれている状況であります。

 二枚目を見ていただくともっとわかるんですけれども、本当に、波によって下がえぐれ、そして鉄路は、その二枚目の下の写真はひしゃげています。当然、下の土がないわけでありますから、こういう状況になっています。これは海岸沿いでありますから、まさに波が入り続けたり、あるいは強い風が吹いたりして、水とともに土がどんどん持っていかれるという状況がずっと続いたままになっています。

 三枚目は波消しブロックが置かれている写真で、当然、私たちが視察に行かさせていただけるときというのは天候穏やかなときでありますからこういう波のぐあいの写真ではありますけれども、事実上、応急処置として波消しブロックを置いているんだということを言っていただいても、現実は、前の二枚に置いてある写真のとおり、えぐれた土が日々放置されながらここまで来ているという状況であります。

 今回、この視察には国土交通省からもわざわざ担当室長もお越しいただいていることでありますので、せっかくの機会なので、国土交通省として、現場に来ていただいてこの状況をどう把握されたのか。そのことについてまずお伺いしたいと思います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 今委員から御指摘ありましたとおり、本年二月に、山岡委員がこの護岸の崩壊した現場、その御視察をされた際に、国土交通省の担当者、鉄道局の担当者も同行しているところでございます。

 国土交通省としましては、このJR日高線、平成二十七年一月の低気圧による高波により線路脇の盛土の土砂が流出する被害が発生した後、たび重なる台風により護岸等の倒壊や橋梁の流失等が発生し、被害が拡大をしているものと認識をしております。

山岡委員 私は視察をされた結果を聞きたかったんですけれども、いずれにしても、被害が拡大しているものだと認識しているというお話はございました。被害は拡大しているんですよ、この三年間の中で特に。

 そして、この写真は、線路沿いを、JR北海道の皆様の御好意の中で入らさせていただいているわけでありますけれども、この上は道路なんです。国道が走っています。北海道の日高というエリアは山と海に挟まれていますから、国道はおおむねこの一本でございまして、JRが土削られていくということは、いずれその上にある道路にも、当たり前ですけれども影響するんですよ。国土の保全が行われないまま、このJR北海道の問題が片づかないからということで放置されてきた。

 このことは、本当に地域住民に大きな不安と、そして不満が広がっている。これが現状であります。

 そして、このJR北海道が一〇〇%株主である支援機構、これはまさに人事権も国土交通省が持っておられる機構だということも申し上げましたけれども、一枚目の一番下にも載せさせていただきましたが、この支援機構も法律できちんと目的が明言されています。前半割愛しますが、この機構の目的は、「地域の振興並びに大都市の機能の維持及び増進を図り、もって国民経済の健全な発展と国民生活の向上に寄与する」。

 この日高方面は、まさにこのJR日高線と、そして道路、一本の国道の中で人口六万七千五百六十五人が住んでおります。この法律に基づけば、こうした国民も含めて、地域の振興と生活の向上がある。日高に国民はいないのか、そうした考え方を持っているのかということを、そういう思いを持ちたいぐらい国土交通省のこれまでのスタンスは、JR北海道の問題が片づかない限りこの問題は進まないんですというお話をきのうも御担当の方からも伺いましたけれども、これは国土交通省設置法にまさに、「国土交通省は、国土の総合的かつ体系的な利用、開発及び保全、そのための社会資本の総合的な整備」ということを任務として任されている国土交通省として、この日高線の放置された結果、ずっと海に掘られ続けて、そしてこの状況のままずっと来てしまった。そして担当者の方もはっきり言っていましたけれども、この海岸沿いのものはJR北海道だから、JR北海道自身が直してくださいと発議しない限り私たちとしては動けませんと。

 JR北海道は、まさに国の直轄そのものじゃないですか。そのことを踏まえた上で、今の状況を踏まえて、大臣にこのことに対しての考え方、見解を伺います。

石井国務大臣 日高線におきましては、JR北海道におきまして、被災箇所の被害の拡大防止及び第三者である道路や民間家屋等に対する被害防止のために、大型土のうや消波ブロックの設置等応急対策工事を実施するとともに、定期的に沿線の巡回を行い、必要な対策を講じていると聞いております。

 被災箇所の被害の拡大防止の責務はJR北海道にあり、国土交通省といたしましては、JR北海道に対し、そのために必要な対策が確実に実施されるよう、引き続きしっかりと指導を行ってまいりたいと考えております。

山岡委員 私は今写真までお見せして、応急復興では足りていない、実際被害は広がっているという話まで担当者がおっしゃり、そして地域住民の声は広がり、新聞報道にも出ていますけれども、そして私は、国土交通省の設置法も含めて、国土の保全が任務であるということも申し上げました。

 JR北海道のこれは責務だというそのことの以前に、JR北海道そのものも国土交通省が直轄している組織だと思っておりますけれども……(発言する者あり)事実上の直轄だと思っておりますけれども、その上で、まさに国土の保全、国土交通省としての任務が果たされていないんです。この状況をずっと広げれば、地域住民に非常な不安、そして、この後どうなるんだという声は強く広がっています。

 これは大臣に、国土交通省を代表される大臣としてこの地域の住民に対して、大丈夫だ、保全はきちっとやる、そのことを明言してほしいんです。大臣いかがですか。

石井国務大臣 重ねてのお答えになりますが、被災箇所の被害の拡大防止の責務はJR北海道にございます。国土交通省としては、JR北海道に対しまして、そのために必要な対策が確実に実施されるよう、引き続きしっかりと指導を行ってまいりたいと考えております。

山岡委員 本当に地域住民の思いと声が届かないということは非常に残念な思いでありますけれども、きょうは時間も限られている中でありますので、また機会をいただいたときにこの話はしていきたいと思っておりますけれども、まさにJR北海道、これまでのこの三十年も含めて、国土交通省は毎年報告を受けている、そして地域もこういう状況になっている、このことについては本当にこれからも強く訴えたいし、強く受けとめていただきたい、そのことは申し上げさせていただきたいと思います。

 あわせて、このJR北海道に絡んで、先々どうしていくのかということも大きなテーマとして上がっているところでありますけれども、北海道というのは、まさに新千歳空港が中心にあって、そして私たちのこのエリアがあるわけでありますけれども、そこに、苫小牧を含めて、新千歳空港から札幌圏だけじゃなくて、ほかの都市にもJRをつないでほしいという声もあるところであります。

 外国人観光客もふえる中で、こうしたJR北海道と空港のアクセス、このことについてどのように考えられるか、大臣にお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 新千歳空港駅とその周辺の路線を改修することにより、道南から新千歳空港駅を経由して札幌方面へ、あるいは新千歳空港駅から道東方面へ、それぞれ直通列車が運行できるようにする構想について検討が行われているとの報道があったことは承知をしております。

 この構想についてはJR北海道において検討中のものでありますので、国土交通省としては、現段階でコメントすることは差し控えさせていただきます。

山岡委員 この件についてもまた国土交通省にも見解を問うていきたいと思いますけれども、スタンスとしてお任せするというようなことは、私は本当に残念な思いです。

 話はかわりまして、きょう、海上保安庁の長官もお願いさせていただいているので、最後の残りの時間で、水難救助の所員の方の処遇について伺いたいと思います。

 時間も限られているので資料をさっと御紹介しますが、次のページの新聞は、まさに苫小牧で十一月に海難が起こったときに、海保の人ももちろん活躍されたんですけれども、漁業者の方がいわゆる活躍をされて、そして、準備を万端に行われたことを感謝されるという署長の発言であります。

 あわせて、こうした海難所員の方の処遇が、消防団の方と比べて、非常に立場も伴っていなければ金銭的にも伴っていないということを、次の資料にも書かさせていただいております。

 消防団員はまさに法律でもその身分を規定されている中で、水難救助員というのは同じく漁業者の方がやっているのにもかかわらず、ボランティア。しかも、運営費も、消防団員は地方交付税でそれぞれ措置されているのに、この水難救難所員というのはまさに寄附のみで成り立っている。同じ命を張っていただいている方々に対してこの処遇はないんではないかという問題提起をさせていただきたいと思います。

 きょうは海上保安庁長官にお越しいただいておりますので、漁業者の方々がこうした水難救助に携わっているということ、その上で、この処遇の問題、非常に現場からも、これを何とかしてほしい、私たちは頑張るし、命を張るし、海の仲間だと思っているけれども、消防団員と比べたら非常に立場が確定されていないし、処遇も悪い、その声も上がっているところであります。長官にぜひここの部分の見解を伺いたいと思います。

中島政府参考人 お答えいたします。

 四面を海に囲まれた我が国沿岸海域においては、船舶海難や海浜事故等多様な海難が発生していることから、これらの海難全てに対して、海上保安庁を始め公的機関の勢力だけで迅速かつ的確に対応することは困難であり、これまでの水難救済会には、海上保安庁等の救助活動を補完していただいているところであります。

 委員御指摘、御提供の資料の事案につきましては、昨年十一月十八日でありますけれども、午前五時ごろ、約十二メートルの風が吹きまして、五メートルの波浪が押し寄せる荒天下において北海道の苫小牧港沖合で貨物船が座礁をして、乗組員四名が取り残されているという海難が発生をし、苫小牧海上保安署から北海道海難防止・水難救済センター苫小牧救難所に対して救助協力要請を行ったものであります。

 本救助活動に従事をされました主に漁業者等の救助員の方々が、早朝かつ荒天下にもかかわらず、長期間にわたって、救助員、所員ですね、これを待機させる等、救助体制を整えていただいたものと承知をしており、その活動に対しては高く評価をさせていただくとともに、深く感謝をしております。

 一方、水難救済会の救助所員と消防団員との間の処遇の御質問でありますけれども、これの処遇については、異なっているということ、それと、北海道の関係者の方々から改善の要望がなされているということについては承知をしております。

 また、水難救済会救助所員は、厳しい環境の中で救助活動に従事していただいているということも承知しております。

 これらを踏まえまして、民間ボランティア団体として救助活動に当たっている日本水難救済会等に対する処遇のあり方については、日本水難救済会等と協議をしながら対応してまいりたいというふうに思います。

山岡委員 長官、御答弁ありがとうございます。

 まさに、海の命を守るために漁業者の方も、これからも先々も協力していきたいという思いを持っております。崇高な思いとともに、本当にそうした国家としてこれからも海難の救助、さまざま海洋国家として当たっていくに当たって、ぜひ、漁業者の方々、そして、こうした今の水難の方々の立場のことも考えていただきたいという思いを最後に伝えさせていただきまして、質問を終わらさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、もとむら賢太郎君。

もとむら委員 無所属の会、もとむら賢太郎です。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、ライドシェアについてお伺いしてまいります。

 五月八日付で新経済連盟から新たな提案がなされておりますが、政府の中でどう取り扱われているのか、お伺いいたします。

福島政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の、新経済連盟からの提案につきましては承知をしておりますが、内閣府の規制改革推進会議におきましては検討を行う等の取扱いは行っていないところということでございます。

もとむら委員 プレスリリースによりますと、国交大臣、経産大臣、規制改革担当大臣、情報通信技術政策担当大臣、経済再生担当大臣宛てに提出したということでありますけれども、これは、手元に届いているのか、それとも電子メール等での対応なんでしょうか。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと済みません。紙で送られてきたのか、メールで送られてきたのか、担当から確認をしておりませんが、私は、インターネットから打ち出したものを受け取りまして、内容を拝見しました。

もとむら委員 大臣にお伺いいたしますが、これは国交大臣にも提案をされたということでございますが、手元に届き、ごらんになっていらっしゃるでしょうか。

石井国務大臣 自動車局から概要の報告を受けております。

もとむら委員 次に、新経済連盟の提案について国交省としてはどのように受けとめているのか、お伺いいたします。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 新経済連盟から五月八日に「「ライドシェア新法」の提案」が提出されたところでありますが、今回の提案におきましては、運行管理や車両整備等について自家用車のドライバーが責任を負うことが明確化されておるところなんですが、内容的には、これまでの提案と変わらず、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態でありまして、安全の確保、利用者の保護等の観点から問題があり、極めて慎重な検討が必要なものと考えております。

もとむら委員 次に、新経済連盟の資料において、タクシーが不足していると指摘がありますが、タクシーの需給の現状について、改正タクシー特措法がありまして、供給過剰問題の解決を図るためにつくられた議員立法でございます。現在、この法律に基づいて減車を行っているところもありますし、タクシーが供給不足という指摘は当たらないではないかというふうに考えますが、タクシー供給の需給の現状についてお伺いいたします。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 タクシー事業の全国的な需給について見ますと、輸送人員では、平成十八年をピークに減少傾向にございまして、平成二十八年度はピーク時から約二八%減少いたしております。また、延べ実働車両数を見ますと、平成十五年度をピークに減少傾向にございますが、平成二十八年度にはピーク時から約二五%減少しているということでございまして、これらを見ますと、供給よりも需要の減少の方が多くなっている、ギャップが開いているということかというふうに認識をいたしております。

 また、一日一車当たりの営業収入を見ると、規制緩和前の平成十三年度の三万九百五十一円をピークといたしまして、平成二十一年度には二万六千六円まで減少し、それ以降回復に転じておりますが、地域別に見ますと、依然として多くの地域において、規制緩和前の平成十三年度と比較して低い水準となっておりまして、供給過剰を解消し、労働環境を改善することが必要な状況にあると認識をいたしております。

 このような状況を踏まえまして、先生からお話しいただきましたけれども、いわゆるタクシー特措法に基づきまして、特定地域として全国六百三十一の営業区域のうち二十七の地域を、また、準特定地域として百十四地域をそれぞれ指定をいたしまして、これらの地域におきましては、それぞれの地域の協議会におきまして計画を定め、減車への取組を始め、タクシー事業の適正化、活性化の取組を推進している状況にございます。

もとむら委員 この新経済連盟の資料の中で、タクシー業界においても人手不足が大きな課題とか、本当に新経済連盟の立場に立った書きっぷりが非常に目立つものですから、ここはしっかりこれからも注視しながら追いかけてまいりたいと思います。

 次に、規制改革推進会議が、五月十一日に、多様なニーズに応える新たなタクシーサービスについての意見が出されております。これについて国交省はどのように受けとめていらっしゃるでしょうか。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 規制改革推進会議から五月十一日に、多様な移動ニーズに応える新たなタクシーサービスについての意見というものが出されたというふうに承知をいたしております。

 規制改革推進会議におきましては、タクシー事業者から出されましたコストカットした別モードのタクシーという提案、具体的には、二種免許を不要とし、講習を受けた一種免許の自家用車の運転者を活用したいという提案を受けまして、これまで議論が行われてきたところでございます。

 今回の意見の内容といたしましては、これまでの規制改革推進会議の議論を踏まえまして、タクシー事業者が経営主体として、すなわち、事業として自家用車を運転するドライバーを活用し、サービスを提供する仕組みを検討できないかというものでございまして、これは、いわゆる白タクをタクシー事業者が行うことを認めよというものであるというふうに考えられますことから、国土交通省といたしましては、これはなかなか受け入れがたいものであるというふうに認識いたしております。

もとむら委員 この六月に規制改革推進会議が答申を出してくるということのお話も伺っておりますが、今お話があったように、タクシー事業者を経営主体とする白タクの解禁を、このこと自体もまた掲載してくるのではないかというふうに考えておりまして、今局長からお話があったように、この多様な移動ニーズに応える新たなタクシーサービスについての意見について、今後、答申に関しても注視をしていきたいと思いますが、自動車局としても十分注意をしていただきたいというふうに思います。

 最後に、ライドシェアの問題で、きのうも参議院の経済産業委員会の中で、法案の中でライドシェアの問題が附帯決議で記されたというふうに伺っておりますが、ありとあらゆる手で今ライドシェア解禁に向けて進めようとする方々もいらっしゃいますが、自動車局長のお話を聞く限り、今回の新経済連盟のこのライドシェア新法に関しても慎重な御意見をいただいております。

 そこでライドシェアに関して、大臣の御見解を改めてお伺いいたします。

石井国務大臣 自家用車を用いたいわゆるライドシェアは、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態を前提としております。

 国土交通省としては、このような形態の旅客運送を有償で行うことは、安全の確保、利用者の保護等の観点から問題があり、極めて慎重な検討が必要だと考えております。

もとむら委員 次に、道の駅についてお伺いをいたします。

 私も、神奈川県相模原市が選挙区で、あらゆる地方に行く中で、平成五年からこの道の駅がスタートしまして、市町村又は市町村にかわり得る公的な団体が運営をするというふうに伺っておりますし、道の駅となるには国交省への登録が必要ということでありますので、きょうちょっと質問させていただきたいと思っているんです。

 現在、全国に千百四十五の駅があって、関東に百七十四駅、私どもの神奈川県、地元には三駅あるというふうに伺っております。

 その中で、地方創生の観点からも注目をされているというふうに認識をしておりますが、道の駅はつくって終わりではなく、そこからどう運営し、集客し、地域と連携していくかが欠かせない課題だと思っています。

 また、平日と土日の集客ギャップなどの共通課題が明らかになる中、民間の活用や成功のノウハウの共有が求められているというふうに考えております。

 道の駅の役割と国交省の支援について、石井大臣の御見解をお伺いいたします。

石井国務大臣 道の駅は、地方創生、特に小さな拠点の形成という意味でも有効な手段として期待をされております。

 今委員から御紹介いただいたとおり、現在、全国で千百四十五カ所まで広がっておりまして、その役割は、地域外から活力を呼ぶゲートウエーとして、また、地域の元気をつくる地域センターとしての多様な機能を有しております。地域の特産品の販売拠点やインバウンドを含めた観光拠点、さらには、役場機能などの住民サービス拠点や防災拠点としてなど多様な役割を担っております。

 この道の駅の運営は民間の指定管理者が担う場合が約七割となっておりまして、効率的な管理や運営を行うためには民間の力を最大限発揮していただくことが必要であり、成功事例などのノウハウの共有が有効と認識をしております。

 このため国土交通省では、道の駅の好事例や先進的な取組につきまして、道の駅の設置主体であります市町村に対して情報提供を行っております。

 具体的には、全国の模範となる六カ所の全国モデル道の駅、道の駅の構想が独創的である七十三カ所の重点道の駅、住民サービスや地域交通拠点などの特定テーマの模範となる十三カ所の道の駅をそれぞれ選定をしまして、先進的な取組や運営状況等について、道の駅の設置自治体で構成されております全国「道の駅」連絡会等を通じて情報提供を行うなどの支援を行っております。

 道の駅は、市町村がみずからの創意工夫で、地方創生を具体的に実現していくための有力な役割を果たすと考えております。

 国土交通省といたしましては、今後とも、道の駅の運営の参考となる情報提供などを通じまして、地方創生に資する質の高い道の駅の育成に努めてまいりたいと考えております。

もとむら委員 千葉県の保田小学校の廃校の跡地に道の駅保田という場所がありまして、そこの大塚校長によりますと、今御指摘あったように、平日と土日、休日のギャップをいかに埋めるかが重要な課題で、そのためには地元の人に来てもらいやすい道の駅であることも必要、アクセスや品ぞろえの工夫が求められるという点がまず一点。

 そして二点目として、成功している道の駅は、民間、特に流通関連のノウハウが活用されているケースが多い。

 三点目に、建設段階から管理者がかかわることが重要で、建設が終わってから管理すると、動線が悪かったり、コンセントの位置が悪かったりなどの管理上ふぐあいが生じることがあるという問題。

 そして四点目が、地域の特産品を使った加工品をつくるためのアドバイスメニューがあると助かるといったようなお話も伺ってまいりました。

 今後、私どもの地元の相模原市も、道の駅、リニア中央新幹線が相模原市緑区に、神奈川県に建設予定でありまして、観光資源として道の駅は恐らく手を挙げてくるんじゃないかと思いますが、その際にはぜひともまた、国交省からの貴重な御意見をお願いしてまいりたいと思っております。

 次に、自転車道についてお伺いいたします。

 昨年、私の地元相模原市内を通る国道十六号線に幅三メートルの自転車道が開通をいたしました。評価、歓迎する声もある一方で、障害物の間隔が狭くてぶつかってしまうとか、道路に面する店舗からは客数減少の声なども聞こえてまいります。

 こうした評価について国交省がどのように把握されているのか、お伺いいたします。

石川政府参考人 お答えいたします。

 国道十六号の相模原駅周辺地区、これは延長約二・六キロでございますが、ここにおきまして、自転車、歩行者のふくそうによる事故低減や自動車、自転車双方の視認性の向上を目的として、自転車道の整備を推進してきたところでございます。

 なお、本自転車道につきましては、相模原市が設定した自転車通行環境整備ネットワークの一部を構成していると伺っております。

 本自転車道の整備に当たりましては、相模原市、警察、地元商店街、自治会等で構成されます、国道十六号相模原駅周辺自転車道に関わる懇談会での議論等を踏まえまして、片側二車線の道路及び側道で構成される既存道路空間を再配分し、側道部を新たに幅三メートルの双方向の自転車道としてきたところでございます。

 本自転車道は、平成二十一年度以降、順次開通しておりまして、平成二十九年一月に全線完成したところでございます。

 実際に、自転車道の開通後、開通前と比較して自転車関連事故が約四割減少するなど、自転車道整備による安全性向上の効果があると確認をしているところでございます。

 他方で、自転車道開通後、国道十六号相模原駅周辺自転車道に関わる懇談会におきまして、関係者から、一時停止の遵守等自転車利用のマナーを改善すべきでありますとか、沿道施設の駐車場への円滑な乗り入れに配慮すべきである等の意見をいただいているところでございます。

 これらの意見に対応するため、これまで、自転車道での走行位置を明示するための区画線設置、沿道施設からの出入りや交差部市道等において、自転車道への車進入を抑制するために設置した車どめ、ボラードを視認性の高いものへ改良するなどの対策が可能なものについて実施をしてきたところでございます。

 今後、本懇談会の場も活用いたしまして、委員からの御指摘もありました沿道地域の利用者からの意見を丁寧にお聞きした上で、対応可能なものについて随時実施していくことで、自転車道を安全に利用していただけるよう、ハード、ソフト両面から必要な改善に取り組んでまいります。

もとむら委員 それから、この自転車道の中に車どめの障害物のポールがございまして、二本あるところと三本あるところとありまして、どうしても高齢者の方が三本あるポールのところにひっかかって骨折したとかいうお話も伺っておりますので、できるならば、これは車どめのための障害物、ポールというふうに伺っておりますが、二本であるところもございますので、三本を二本に御検討いただくこともお願いしてまいりたいと思います。

 五月五日が自転車の日でありまして、五月は自転車月間であります。自転車活用推進法が平成二十九年五月一日に施行されまして、自転車活用推進本部が設置をされました。その本部長を務めるのは国土交通大臣でありますけれども、この自転車道の有効性や今後の展開について大臣にお伺いいたします。

石井国務大臣 安全で快適な自転車利用環境を創出するためには、歩行者、自転車、自動車が適切に分離された自転車通行空間の整備を進めることが重要と認識をしております。

 このため、国土交通省では、警察庁と合同で平成二十八年七月に、安全で快適な自転車利用環境創出ガイドラインを改定をしまして、自転車ネットワーク計画の策定や、その計画に基づく自転車通行空間の整備を推進をしております。

 特に、歩行者、自転車、自動車が構造的に分離された自転車道については、自動車及び自転車の交通量が多く、自動車の速度が高い幹線道路等で有効な整備形態であることから、沿道地域や利用者の方々と十分に調整を図りながら、今後とも着実に整備を推進してまいります。

 さらに、私を本部長とする自転車活用推進本部では、自転車活用推進法に基づいて自転車活用推進計画の策定を進めているところでありまして、今後とも引き続き、自転車道の整備を始め、安全で快適な自転車利用環境の整備に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。

もとむら委員 ぜひ本部長として、自転車に乗る方々のマナーの徹底も引き続き御指導をお願いしてまいりたいと思います。

 最後の質問になりますが、汚水、雨水管の、下水道の破断についてお伺いします。

 四月三十日、小田急線の伊勢原市石田の部分でございますが、線路脇で陥没が発見をされて、小田急線電車が、ゴールデンウイーク中にもかかわらず、四時間半にわたって運転が見合せとなりました。

 原因は汚水管の破断によるもので、国交省は全国に目視での緊急点検を要請したというふうに伺っておりますけれども、今回事故につながらなかったわけでありますが、過去には下水道管の破裂が原因で事故となったケースはあったのか。また、もし下水管が原因で事故が起きた場合には責任や補償は誰が行うのか。お伺いしたいと思います。

山田政府参考人 お答えをいたします。

 下水道管の損傷が原因で発生をいたしました鉄道の敷地内の陥没により事故となったケースは、平成二十八年度末までの十年間ではゼロ件でございます。

 なお、道路における陥没により事故となったケースは、十年間で約二百七十件となっております。

 一般的に、下水道管の損傷の原因につきましては、管の老朽化ですとか、あるいは、他の埋設物事業者による工事などが考えられるところでございます。

 そのため、下水道管の損傷により陥没が発生し事故が起きた場合の責任の所在につきましても、下水道管の損傷の原因により異なるものというふうに考えているところでございます。

 いずれにしましても、こうした事故の未然防止は重要と考えてございます。

 これまでも、平成二十七年に改正をいたしました下水道法に基づき、下水道管理者に対して、下水道管の点検方法と頻度を定めた事業計画の策定を義務づける措置を講じておりまして、この計画は本年の十一月十八日までに策定することとなっております。

 さらに、今回の事案を受けた今回の伊勢原市における原因究明等の結果を踏まえまして、国土交通省としても適切な措置を講じてまいりたいと考えているところでございます。

もとむら委員 今回の下水道管は五十年以下で、老朽化が理由ではないということのようでありますけれども、全国で約四十五万キロにわたって下水管が整備をされております。

 その多くが昭和四十年代につくられたもので、耐用年数は約五十年というふうに伺っておりまして、私が三年前、平成二十七年四月十七日の国交委員会の下水道法改正において、国交省から、一千四百自治体ある中の約二割の自治体が維持管理を行っているという答弁をいただいて、当時のうえの政務官からも、「約二割ということで、大変低い水準にとどまっている。我々もそれは大変懸念をしております。」と答弁をされておりまして、計画的な維持管理を行うための法改正であり、老朽化について、財政面、技術面、体制面など、さまざまな形で協力してまいりたいというふうに述べられておりますように、下水管のお話で地元の首長の方々からもお話を聞いてきたのは、新設時には国としての支援が大きいけれども、やはり老朽化対策等々の国の支援が非常に薄いということで、このうえの元政務官のお話もありますように、財政面での支援も十分にお願いをして、私の質問を終わりにします。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 たび重なるNEXCO西日本、新名神高速道路の建設現場の事故について伺いたいと思います。

 去る四月二十二日、二〇一六年の有馬川橋桁落下事故から二年たったとして、二度と繰り返さないと刻まれた工事安全誓いの碑が設置されました。

 まず、この間、建設工事現場において労働災害に遭われた皆様に、私は心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。

 この式典後、NEXCO西日本関西支社長は、この事故の後も死亡事故が相次ぎ、断腸の思いだと語っておりますけれども、まさに、二度と繰り返さないどころか、重大事故が繰り返されてまいりました。

 三月十八日には高槻ジャンクションから神戸ジャンクションまでが開通したわけですけれども、その後の事故も含めて、この有馬川橋の事故から現在まで、NEXCO西日本が新名神建設現場で起こした重大事故について、これは事務方でいいですので、件数、死者、負傷者数を挙げていただけますか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 工事作業員の死亡や第三者被害が発生するなどの重大事故につきまして、平成二十八年四月の有馬川橋橋桁落下事故以降の合計で、事故件数は六件、死者数は六名、負傷者数は八名となっております。

宮本(岳)委員 きょうは、それを一覧にして配付をいたしました。

 配付資料一を見ていただきたい。およそ二年の間に、六件もの事故、六名のとうとい命が失われております。また、重大事故にはカウントされておりませんが、五番と六番の間、昨年十一月十四日にも、兵庫県猪名川町で鋼材落下で負傷者が出ております。

 先日の開通式には石井大臣も出席されておりました。まず確認いたしますけれども、もちろん大臣も、このような痛ましい事故はあってはならない、こうお考えだと思いますが、よろしいでしょうか。

石井国務大臣 新名神高速道路の建設工事におきましては、平成二十八年四月以降で六件の重大な事故が発生をいたしまして、六名の作業員の方が亡くなられております。

 亡くなられた方に対しまして、心より御冥福をお祈りを申し上げます。

 国土交通省といたしましては、これらの事故の発生のたびに、NEXCO西日本に対しまして、安全確認及び再発防止の徹底的な対応を繰り返し指示をしてきたところであります。

 また、NEXCO西日本においては、当該工事及び関連する工事を一旦中止し、事故原因の究明と再発防止策を講じた上で工事を再開してきたところでありますが、結果として重大事故が相次いで発生していることは、大変遺憾と考えております。

 建設工事におきまして作業員の安全確保は当然のことであり、高速道路会社には安全対策に万全を期していただきたいと考えております。

宮本(岳)委員 ところが、資料一の最後の事故を見ていただきますと、六番というのですけれども、これは、三月十八日の高槻―神戸間の開通直前の三月十五日、今度は高槻―八幡間の工区で事故がありました。淀川にかける橋のための仮桟橋から作業員が足場ごと落下したものでありまして、私は去る四月九日、枚方市の事故現場に行って、この目で確かめてまいりました。

 配付資料二を見ていただきたい。私が事故現場で撮影した写真であります。

 事故のたびにNEXCO西日本は技術検討委員会や安全対策本部会議を開催し、注意喚起を行っております。現場には「5S運動実施中」という大きな看板があり、発注者のNEXCO西日本、元請業者ともに、安全帯のフックの二丁がけも励行されておりました。しかし皮肉なことに、この事故ではそれがあだとなってしまったんです。

 配付資料三を見ていただきたい。私が現場でNEXCO西日本から提出を受けた事故現場の写真であります。

 先端が水没しているのが作業員の落下した足場でありますけれども、これは手前のAと同じように、Bのブラケットも先の橋脚のCというところに溶接されておりました。その先端に作業員が乗って作業していたところ、溶接が外れて、足場とともに深さ四メートルの水中に転落。逆にフックを二丁がけしていたがために、足場とともに水没し溺死をしたという、まことに痛ましい事故でありました。

 国交省はこの事故の発生要因を把握しておりますか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のように、事故の状況は、淀川橋の橋脚基礎を施工するため、仮桟橋の組立て作業を行っていたところ、仮桟橋に溶接していた鋼材が剥がれ、鋼材上で作業していた作業員の方が鋼材とともに河川内に落下したものでございます。

 事故発生要因といたしましては、NEXCO西日本からは、当初の施工計画で予定していました鋼材設置用の鉄船、これは河川側から工事をするための工事用の台船でありますけれども、及びその鉄船のオペレーターが手配できなかったことから、受注業者において鉄船を使用しない不安定な工法に安全性の照査を行うことなく変更され、その結果、鋼材と仮桟橋を溶接でつなげていましたブラケットに荷重が集中したことから、鋼材が剥がれて落下したものと聞いております。

宮本(岳)委員 今の説明、資料四に出ております。配付資料四です。

 これはいただいたものでありますけれども、まずは鉄船を用意して、二本のくいで安定させてから初めて作業員が足場に乗るという施工計画だったものを、鉄船も用意せずに、右のような危険な作業に勝手に変更されていた。

 確かにけしからぬ話でありますけれども、業者が不心得者だったということで済ませるわけにはいかないと思うんです。工期設定の重圧が現場を焦らせて、施工計画の勝手な変更や作業工程の省略を招いた。こういうことではありませんか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 先ほどお答えしましたとおり、淀川橋工事では、受注業者において、当初の施工計画で予定していた工法を安全性についての照査を行うことなく不安定な構造に変更したことが事故の発生要因と伺っております。

宮本(岳)委員 いや、だから、確認することなく勝手に変更したのは、工期に追われて焦っていたのではないかということを申し上げているんです。

 資料五というものを見てください。これは、国土交通省水管理・国土保全局から提出を受けた、今回の事故現場、淀川橋の作業工程表であります。

 この工程表によりますと、この仮桟橋工事は一月中に完了していなければならないはずだったわけでありますけれども、事故が起きたのは、先ほどもあったように三月十五日でありまして、大幅におくれておりました。

 その一方で、今の資料五の大きい方の赤丸にはっきり書き込まれておりますけれども、淀川の第一出水期は六月十六日から十月十五日までとなっております。出水期は河川の中の工事ができないので、この六月十六日までに工事を終えなくてはなりませんでした。お尻が切られている中で、工期を気にする余り、工程を変更したということではないんですか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 淀川橋工事におきましては、委員御提出の資料にありますとおり、平成二十九年七月の河川協議等におきまして、P10橋脚の仮桟橋を平成三十年一月までに設置した上で、橋脚基礎工事に移行する計画でございました。

 しかしながら、その後の工事進捗を踏まえまして、平成三十年一月に受注会社からNEXCO西日本に提出された施工計画書では、P10橋脚の仮桟橋は平成三十年四月までに設置をして、橋脚基礎工事に移行する計画に変更されております。

 このように、工事途中におきましても、現場の具体の工事進捗に応じまして、受発注者の協議の上で現実的な工程に随時見直しておりまして、当初設定した工程をかたくなに固持しているものではないとNEXCO西日本より聞いております。

宮本(岳)委員 NEXCO西日本はそういうふうに言うと思うんです。

 ただ、私は、現場の労働者やゼネコン関係者からもこの間、話を伺ってまいりました。確かに元請が請け負った道路は供用開始日に間に合えばいいかもしれないけれども、下請になればなるほど作業は細かく区切られ、納期に間に合わないと仕事を切られるというおそれから、何が何でも間に合わせるという構造になっている。

 元請であるゼネコンにしても、旧道路公団、旧国鉄の工事は、利益は薄いそうなんですが、売上高が大きい。一件請け負うと営業目標の達成率が高くなって、そして、受注をとるためには発注者の無理難題を聞かざるを得ない状況だ、こういう現状もあるというふうに語っておられました。

 これだけ繰り返されるということはどこかに無理が生じていると私は思うんですけれども、大臣、現場の声でいうと、やはりそういうひずみが現場にある、また、ありはしないかとしっかり見る必要があると思うんですが、大臣いかがでしょうか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、現場の具体の進捗に応じまして現実的な工程を随時見直しておりますので、そのあたりは適切に管理されていると認識をしております。

宮本(岳)委員 適切だったらこんなに繰り返されないんです。六人もの方が亡くなっているんですから、適切であるはずがないと言わなければならないと思います。

 事故直後にNEXCO西日本は、安全対策のためといって、落札評価を変更いたしました。このときNEXCO西日本がとった、落札評価が不利になる措置というのは一体どのような措置なのか。工事関係者について、NEXCO西日本はホームページに何と書いてありますか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 NEXCO西日本におきましては、工事安全対策の取組を一層強化するため、当該工事の工事成績評定の減点、指名停止措置という従前の措置に加えまして、本年の五月に工事の総合評価落札方式の改定を行いまして、社会的影響のある工事中事故を起こしている者がNEXCO西日本の新たな工事に入札をしようとする際、著しく不利となるように設定をしております。

 この社会的影響のある工事中事故とは、具体的に、入札公告から過去二年以内に発生した事故であって、第一点目、工事中事故により第三者に死者が出た場合又は第三者に重症者が二名以上出た場合、二、工事関係者の死者が二名以上出た場合、三、公共施設等への甚大な損害を与えた場合、いずれかに該当するものとなっております。

宮本(岳)委員 今の二だけ答えてくれとお願いしたんですけれども、過去二年間に工事関係者の死者が二人以上出た場合、こうなっているんです。

 これに私は大変驚きましたよ。死者二名以上なら落札評価が不利になるんだけれども、死者一名ならば落札評価を下げもしない。言語道断だと言わなければなりません。

 大体、猪名川町広根の転落死亡事故は午後十一時四十分、昨年の下止々呂美の転落事故で十九歳の作業員が死亡したのは午前四時過ぎ、滑りやすい集中豪雨のもとでの作業で、前後の期間、昼夜二本の工事を並行させておりました。危険な夜間作業をせずとも、工期延長して昼間に作業することもできたはずだと思うんです。

 ことし三月十六日、一番最初の重大事故である有馬川橋桁落下事故について、業務上過失致死傷の疑いで、元請業者横河ブリッジの当時の現場所長ら四人が書類送検されました。報道によりますと、事故の数日前から地盤沈下しているのを把握しながら、早く工事を終わらせたかったと工事を続行したとされております。

 NEXCO西日本は、二〇〇九年、新名神の起工式で、供用開始二年前倒しを発表いたしました。そもそもこの工期の前倒しが、現場にとっての重圧となり事故に結びついた、事故が繰り返される遠因になっているのではないか、私はそう思いますが、いかがですか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 新名神高速道路の高槻ジャンクションから神戸ジャンクションの間の開通目標につきましては、平成二十一年に、用地取得や文化財調査などの進捗が順調に図られることを前提として、NEXCO西日本が平成二十八年度を目標とする旨を発表したものと聞いております。

 なお、工事工程につきましては、適正な時期に発注し、また、適正な工期を確保することを前提として、全体工事計画を組み立てたものと聞いております。

宮本(岳)委員 だから、適正でないから事故が起こっていると言っているじゃないですか。

 現場で働く作業員の方々からも直接話を伺いました。納期、工期設定の期間設定がもともと短過ぎる。事故が起きないように人命尊重、人命優先のはずなのに、余裕のない工期、納期になっている。そのため、雨の日に外で電気工事をするといったことが行われている。報道される事故内容は信じられないぐらい防げる事故だ。同じ工区でこれだけ繰り返されるのは異常としか言えない。NEXCOやゼネコン大手への抜本的な手だてが行われなければ変わらないだろうと話しておられます。現場労働者の声が真実を語っていると思うんです。

 国交省はNEXCO西日本を監督指導する立場にありますけれども、立て続けに事故が起こり、工期設定に無理はないかなどを改めてつかんで指導するということはやらなかったんですか。

石川政府参考人 お答えいたします。

 新名神高速道路を始めとするNEXCOが施工する工事の工程につきましては、受注者と発注者で協議して変更を行うことが可能とされております。

 国土交通省としては、適正な工期設定は当然のことでございまして、一方で、新名神の工事におきましては、作業員の不安全行動による事故等が発生したことから、NEXCO西日本に対して安全確認及び再発防止の徹底的な対応を繰り返し指示してきたところでございます。

 さらに、国土交通省といたしましては、公共工事の品質確保の促進に関する法律に基づく発注関係事務の運用に関する指針、建設工事における適正な工期設定等のガイドライン等を、高速道路会社に国土交通省公共工事等発注機関連絡会議等を通じて周知をすること等によりまして適正な工期の設定を徹底しているところでございます。

宮本(岳)委員 六名ものとうとい命が奪われているわけです。

 国土交通省は事故のたびに事務連絡を出しておりますけれども、それでも一向に根絶されていないわけです。

 これも大臣に御決意をお伺いいたしますけれども、NEXCO西日本に対して今後ともしっかり指導監督していく、その御決意をひとつお聞かせいただきたいと思います。

石井国務大臣 新名神高速道路におけます一連の事故を受けまして、国土交通省といたしましても、高速道路会社や建設業団体等に対し、直接、安全対策に関する注意喚起等を行っております。

 また、NEXCO西日本におきましては、受発注者が一体となって、現場への監視員の配置等による不安全行動の直接防止、リスクの事前抽出や安全対策の二重化などフェールセーフの実施、新規入場者を中心とした安全教育の強化などの再発防止策に取り組んでいると聞いております。

 こうした再発防止策は、元請企業はもとより、下請企業の作業員に至るまで、全ての工事関係者に周知され、遵守徹底されることが必要と考えております。

 国土交通省といたしましては、国直轄事業はもとより、NEXCO西日本を始め高速道路会社六社に対しましても、適切な工程管理のもとで安全第一に工事を進めるよう、引き続き指導をしてまいります。

宮本(岳)委員 今回取り上げた新名神高槻―八幡間のルートをめぐっては、私には特別の思いがございます。

 このルートは、十四年前の二〇〇四年五月二十日、私が、参議院国土交通委員会において、道路公団民営化関連四法案の質疑の際、当時の石原伸晃国土交通大臣に対し計画中止を求めた二区間三十五キロに当たる区間です。

 当時の石原大臣は、この三十五キロに限らず、抜本的見直し区間の五区間百四十三キロ、これは現行の計画のままで整備を進めることはないなどと大見えを切りました。

 よもや十四年たって、結局は当初計画どおり全部つくることになり、ましてや、その工期の前倒しによってこのような痛ましい死亡事故が起こり、十四年後のきょう、国土交通委員会で自分が質疑をすることになろうとは、ゆめゆめ思いませんでした。

 NEXCO西日本に発注者責任を果たさせることや国土交通省の指導監督は当然でありますけれども、この際、改めて、高槻ジャンクションから大津ジャンクションまでの二区間三十五キロというようなものはきっぱり見直すことを求めて、私の質問を終わります。

西村委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 日本維新の会の井上です。よろしくお願いします。

 大塚委員も楽しみにしているので、質疑に入りたいと思います。

 この間、統括官がちょっと答弁が足りなさそうな雰囲気だったので、引き続いて海外インフラ法について、昨日本会議で成立して参に送られたんですけれども、足りなかったところを少しやらせていただきたいなと思います。

 前回の法案審議の際にも質疑をさせていただいたんですけれども、海外インフラシステムの受注額というのを、二〇二〇年、東京オリパラの年までに三十兆円に引き上げていこうという目標を持っているということであって、インフラシステムの輸出戦略についてとか、インフラシステムの海外展開行動計画だとかについて聞かせていただいた。詳細には水です。これは総務省からもお越しをいただきまして、各自治体は、恐らく委員の先生方もお気づきだと思うんですけれども、あくまでも公営企業という枠組みの中でまずは自分のところの自治体に水供給というのを徹底してやる。それを滞ることなくやった上で、そういう海外展開というのを特例の附帯事業として認めるという位置づけなんです。

 ただ、特例の附帯事業という位置づけだと、何かあったときには本当に総務省は最後まで責任を持ってバックアップを地方自治体にしてくれるのかどうかということを、先日、総務省にもお越しをいただいて聞かせていただいたということで、その主たる、自分のところの自治体に水を供給する事業と同じ、肩を並べるような位置づけにはならないという感じではありましたけれども、それぞれの自治体が、当然、議会、それからまた、その地元の市民、町民、村民に理解さえ得られれば、ある程度の事業の拡大といいますか、海外での事業拡大というのは決して否定するものではないという、たしか答弁だったと思うんです。

 新幹線のように、先日は藤井局長にも来ていただいて、新幹線は独特の軌道があって、なかなかほかの線とは線路を共有しない。その一方でやはり、衝突事故だとかそういったものを防げるとか、非常にタイトなタイムスケジュールでも運行が可能だとか、そういう利点もあるんですけれども、なかなか海外の方々に理解をしてもらえないということで、カスタマイズの必要性というのをお聞きしたわけでありますけれども、きょうは、人材育成について少しお話しをまずはさせていただきたいと思います。

 我が国のインフラシステムの海外展開では、相手国に対して我が国の有する技術力を移転するのみならず、将来的に相手国においてみずからインフラの整備、運営を適切に実施できるようにするために必要な制度構築支援や人材育成支援というのもあわせて行うことを強みの一つにしています。

 人材育成支援については、土地・建設、鉄道、道路、防災、港湾、造船、船員教育、物流、自動車整備、海外交通、気象等極めて多岐にわたる分野において国土交通省に対する要請があり、海外展開の拡大に伴い、相手国からの要請が急速に拡大しつつあるというふうにお聞きしています。

 こうした相手国からの要請に迅速かつ的確に対応できるように、人材育成ということに関しての取組の強化についてお聞かせをいただけますでしょうか。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘をいただきましたとおり、相手国がみずから適切にインフラの維持管理、運用を行えるようにするというための人材育成は、我が国のインフラ展開の強みになっているというふうに考えてございます。

 このため今国土交通省では、国内における研修の受入れ、あるいは相手国への人材派遣といったことに加えまして、我が国企業の中に人材育成の受入れ機関となりたいというふうなニーズもございます。そこの企業のニーズと相手国の人材育成の要請とをマッチングするといったようなこともやってございます。

 さらに、我が国の企業が現地に入りまして現地人材を雇用する、あるいは現地企業を設立する、あるいは現地企業とパートナーシップを組むといったようないわゆるローカライゼーションといったようなことについても、しっかりと支援をしていきたいというふうに思ってございます。

井上(英)委員 インフラシステムの海外展開では、特に大型プロジェクトが注目される傾向にあります。それらに注力することは、結果としては、大手のゼネコンやメーカーなど大企業にしかやはり恩恵が行かないのではないかなというふうに思うんです。

 我が国のインフラ整備の場合、建設に現地の中小企業を活用するという工夫がなされますが、海外でも同じスタンスで用いられると、我が国の中小企業というのはやはり出番がないんです。ですから、そういう人材も含めてなかなか出番がない。しかしながら、インフラシステム海外展開の恩恵をあまねく行き渡せるという観点からは、我が国の中小企業の海外展開というのが積極的に必要ですし、後押ししていかなければならないという取組が必要だと考えます。

 中小企業といっても関与の仕方はさまざまで、例えば、建設の分野で大手と手を組んで出ていくケース、それから、大手にはない独自の技術を持つ企業が、単独、又はJV、他企業と手を組んで出ていくケース、あるいは、厳しい経営環境を切り抜けてきている中小企業がそのノウハウというのを生かして進出するというケース、さまざまな場合が考えられると思いますが、中小企業の海外展開についてどのように取り組んでいかれるのか、お答えいただけますでしょうか。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の中堅・中小企業は大変すぐれた技術、ノウハウを持っておりますので、御指摘のように、海外市場に進出する企業の裾野を広げるという観点からも、中堅・中小企業を応援していきたいと思ってございます。

 そのポイントは、意欲の喚起と海外進出のきっかけづくりということだと思っておりまして、国土交通省では具体的には、昨年の六月、中堅・中小建設業の海外展開推進協議会というものを立ち上げまして、セミナーの開催ですとか海外へのミッション団の派遣をいたしておりますし、また、ことしの三月には、海外において先導的に活躍している中堅・中小建設関連企業の表彰制度を創設をいたしております。

 さらに、先般御審議いただきました法律、海外社会資本事業への我が国事業者の参入促進に関する法律案におきまして独立行政法人等が海外業務をできるようになりますので、独立行政法人等が中堅・中小企業への情報提供、支援をしっかりやっていくといったことを通じて、さらなる積極的な後押しができるというふうに考えてございます。

井上(英)委員 ぜひバックアップをお願いしたいなというふうに思います。

 次には、この海外のインフラ整備の計画等も含めて、これは大企業でも中小企業でも関係ないんですけれども、やはりリスクです。結局、リスクがあるかもわからないということで二の足を踏むケースというのがあるというふうに聞きます。

 事業リスクの点では、海外交通・都市開発事業支援機構が出資によりリスクマネーを提供することになっていますが、一時的にしか最大出資者になれない。結局は民間企業が相応のリスクをとらざるを得ないという仕組みになっています。

 また、海外インフラの整備計画では、事業スキームや整備期間が現実的でないケースが散見され、真面目な日本人としてはこれに適合させようとかなり苦悩するのですが、結局、そういったネックを解消できずに参入を断念するというふうな話もよく聞きます。

 いざ着手まで行ったものの、用地買収が難航したり相手国の政治情勢が不透明であったりとして結果的に順調には進まないということが起きてくるんですけれども、このようなリスクをやはり低減するようにどのように取り組まれるか、お答えいただけますでしょうか。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 リスクの低減、大変重要な課題であると思っておりまして、まず、先般御審議いただいた法案で、独立行政法人が公的な信用力あるいは交渉力を活用いたしまして、我が国の会社の参入しやすい環境づくりというのができるようになるかと思っております。

 また、御指摘いただいた海外交通・都市開発支援機構、いわゆるJOINですが、これは単体ではなく、さらに、公的金融機関のJBICあるいはNEXIなどとも効果的に組合せをして、ファイナンス面でより有利な条件の提案をしていくということもやりたいと思ってございますし、さらに、相手国のスキームのところがなかなか乗りにくいような場合には、トップセールスを含めて突破口を開いていくですとか、さらに、案件受注後のいろいろなトラブルに対してハイレベルで相手国に働きかけを行うトップクレームなども行いながら、しっかりとリスクの低減に取り組んでいきたいと考えてございます。

井上(英)委員 世界各地で有望なインフラプロジェクトというのは多数あると思うんです。我が国で着実に受注を重ねていくためには、それを可能とする人手の確保というのがやはり必要となります。

 しかしながら、民間企業においても、今回の法案で対象となる独立行政法人等においても、人手不足の状況というのが続いているのではないかと懸念をしているところです。

 特に海外プロジェクトは、不透明な部分が多く、かつ、外国語のやりとりということになることから、ある程度人海戦術にならざるを得ないという部分がありますし、一つのプロジェクトにかかり切りになってほかのプロジェクトに手が回らないというような状況もあると聞いています。

 インフラシステムの海外展開を着実にするために、それに従事する人員を官民でしっかり確保することについてお話しいただけますでしょうか。

篠原政府参考人 海外業務に必要な人材の確保についてでございますが、まず、今回、海外業務を追加実施することになります独立行政法人ですけれども、今回、本来業務ということになりますので、海外業務に必要な人材の採用、育成、こういったものを計画的にやる、あるいは、法人内部の体制構築、予算の配分なども積極的に行うことで、人員の確保が、体制の強化が図られていくものと考えてございます。

 また、民間企業でも人材の確保、育成が大変重要でございますので、国といたしましても、例えば産官学で協力をいたしまして、民間企業の職員を対象として、インフラ海外展開に必要な実務的な知識やスキルを習得できるような研修の機会、こういったものを含めて、第一線で活躍できる人材育成の充実に努めていきたいと考えてございます。

井上(英)委員 昨日もう本会議も通過したんですけれども、改めて大臣に、このインフラの海外展開についての決意をお伺いいたしたいと思います。

石井国務大臣 先般御審議いただきました海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律案は、公的機関が有する交渉力や技術、ノウハウを活用して日本企業の海外展開を支援するものでありますが、官と民が有する資源を効果的に投入し、官民一体となって成果につなげていくことが重要と考えております。

 また、外務省等の関係府省やJICA等の関係公的機関とも一体となって取り組むことも不可欠であります。

 このような政府一体、官民一体となった対応を実現していくためには、国土交通大臣が強いリーダーシップを発揮いたしまして、関係者が共通の方針のもとで、情報共有を図りながら取組を進めていくことが必要となります。

 このため、先般御審議いただいた法案では、国土交通大臣が海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進のための基本方針を定めることとするほか、国土交通大臣が関係者に対しまして、必要な情報、資料の提供や指導、助言を行い、また、関係者が相互に連携を図りながら協力しなければならない旨の規定も設けております。

 国土交通大臣が先頭に立ちまして、積極的にトップセールスも行いながら、インフラシステムの海外展開にオールジャパン体制で取り組んでまいりたいと考えております。

井上(英)委員 よろしくお願いいたします。

 以上です。

     ――――◇―――――

西村委員長 次に、内閣提出、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣石井啓一君。

    ―――――――――――――

 所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

石井国務大臣 ただいま議題となりました所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 近年、人口減少、高齢化の進展に伴う土地利用ニーズの低下や地方から都市等への人口移動を背景とした土地の所有意識の希薄化等により、所有者不明土地が全国的に増加しており、公共事業用地の取得等の場面で、所有者の探索に膨大な労力等を求められるという問題に直面しております。このため、所有者不明土地の利用の円滑化に向けた施策を総合的に講じる必要があります。

 このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第であります。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、所有者不明土地の利用の円滑化を図るため、反対する所有者がおらず、建築物がなく現に利用されていない所有者不明土地につきまして、公共事業における収用手続の合理化、円滑化を行うとともに、公園や広場等の地域住民のための公共的事業に一定期間の使用権を設定する制度を創設することとしております。

 第二に、土地所有者の探索の合理化を図るため、探索のために必要な公的情報について、行政機関等の利用を可能とする制度を創設いたします。また、長期間にわたり相続登記等がされていない土地について、登記官が、登記名義人となり得る者について探索した上で、その結果等を登記簿に記録すること等ができる制度を創設することとしております。

 第三に、所有者不明土地の適切な管理を図るため、地方公共団体の長等が家庭裁判所に対し、財産管理人の選任等を請求することが可能となる措置を講じることとしております。

 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由であります。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

西村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

西村委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る二十二日火曜日午前九時三十分、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十八日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十二分散会


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