衆議院

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第2号 平成30年11月16日(金曜日)

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平成三十年十一月十六日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 谷  公一君

   理事 伊藤 忠彦君 理事 岩田 和親君

   理事 金子 恭之君 理事 根本 幸典君

   理事 松本 文明君 理事 矢上 雅義君

   理事 津村 啓介君 理事 中野 洋昌君

      秋本 真利君    安藤 高夫君

      鬼木  誠君    加藤 鮎子君

      門  博文君    神谷  昇君

      工藤 彰三君    熊田 裕通君

      小島 敏文君    古賀  篤君

      田中 英之君    高木  毅君

      谷川 とむ君    津島  淳君

      土屋 品子君    中谷 真一君

      野中  厚君    鳩山 二郎君

      福田 達夫君    藤井比早之君

      古田 圭一君    細田 健一君

      三谷 英弘君    宮内 秀樹君

      望月 義夫君    盛山 正仁君

      八木 哲也君    簗  和生君

      荒井  聰君    福田 昭夫君

      道下 大樹君    森山 浩行君

      浅野  哲君    伊藤 俊輔君

      小宮山泰子君    下条 みつ君

      関 健一郎君    伊藤  渉君

      北側 一雄君  もとむら賢太郎君

      宮本 岳志君    井上 英孝君

    …………………………………

   国土交通大臣       石井 啓一君

   国務大臣

   (海洋政策担当)     宮腰 光寛君

   内閣府副大臣       左藤  章君

   国土交通副大臣      大塚 高司君

   国土交通副大臣      塚田 一郎君

   防衛副大臣        原田 憲治君

   内閣府大臣政務官     安藤  裕君

   国土交通大臣政務官    工藤 彰三君

   国土交通大臣政務官    田中 英之君

   国土交通大臣政務官    阿達 雅志君

   政府参考人

   (内閣官房国土強靱化推進室審議官)        石川 卓弥君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 藤井 直樹君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         五道 仁実君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            栗田 卓也君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         野村 正史君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        塚原 浩一君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  池田 豊人君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  石田  優君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  蒲生 篤実君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 奥田 哲也君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  水嶋  智君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  下司 弘之君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  蝦名 邦晴君

   政府参考人

   (観光庁長官)      田端  浩君

   政府参考人

   (気象庁長官)      橋田 俊彦君

   政府参考人

   (海上保安庁次長)    一見 勝之君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 森田 治男君

   国土交通委員会専門員   山崎  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十六日

 辞任         補欠選任

  加藤 鮎子君     古田 圭一君

  中谷 真一君     野中  厚君

  福田 達夫君     細田 健一君

  宮内 秀樹君     熊田 裕通君

  山本 公一君     安藤 高夫君

  小宮山泰子君     関 健一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤 高夫君     山本 公一君

  熊田 裕通君     宮内 秀樹君

  野中  厚君     中谷 真一君

  古田 圭一君     加藤 鮎子君

  細田 健一君     津島  淳君

  関 健一郎君     浅野  哲君

同日

 辞任         補欠選任

  津島  淳君     八木 哲也君

  浅野  哲君     小宮山泰子君

同日

 辞任         補欠選任

  八木 哲也君     福田 達夫君

    ―――――――――――――

十一月十六日

 海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律案(内閣提出第五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律案(内閣提出第五号)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

谷委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として、国土交通省大臣官房長藤井直樹君、同じく大臣官房技術審議官五道仁実君、総合政策局長栗田卓也君、土地・建設産業局長野村正史君、水管理・国土保全局長塚原浩一君、道路局長池田豊人君、住宅局長石田優君、鉄道局長蒲生篤実君、自動車局長奥田哲也君、海事局長水嶋智君、港湾局長下司弘之君、航空局長蝦名邦晴君、観光庁長官田端浩君、気象庁長官橋田俊彦君、海上保安庁次長一見勝之君、内閣官房国土強靱化推進室審議官石川卓弥君、防衛省大臣官房審議官森田治男君、以上十七名の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。伊藤忠彦君。

伊藤(忠)委員 おはようございます。自由民主党の伊藤忠彦でございます。

 大臣所信につきまして、何点かお尋ねを申し上げたいと存じます。

 本日の質疑につきましては、ことしの災害対応、そしてまた、安心、安全にかかわります案件が幾つか出てまいりましたので、そのことについて、また、それを通じ、国土交通省がこれまで培ってこられました生産性革命に向けてのプロジェクトもやっていただきましたけれども、その先のことについて幾つかお尋ねを申し上げてまいりたいと思います。

 本年は、大阪北部地震、平成三十年七月豪雨、台風第二十一号、二十四号、北海道胆振東部地震により、全国各地で甚大な被害が発生をいたしております。お亡くなりになられた方の御冥福をお祈り申し上げますとともに、その御家族、被災されました皆様方に心からまずお見舞いを申し上げておきたいというふうに思います。

 まず、防災、減災の取組について伺いたいと存じます。

 大臣所信の最初に触れておられます大規模災害からの復興や防災・減災対策については、まさに待ったなしの課題であります。

 本年は非常に多くの災害が発生をいたしました。昨年の九州北部豪雨など近年の甚大な自然災害を考えますと、ことしだけが特別な年であったというわけではない、それは明らかであります。これまでの、いつ起こるかわからないが、備えあって憂いなしというタイミングの防災の考え方では対応し切れない、そういうときを迎えていると思います。むしろ、常時こうした対応を考えなければ国民の安心、安全を確保することができない時代に入ったと見るべきだと思います。

 気候変動の影響につきまして、集中豪雨の増加や洪水発生の危険性の増加が指摘されております。気候変動は洪水など自然災害の発生にどのような影響を及ぼすのか、そして、その傾向は今後どのように変化をしていくのか、まず見解を伺います。

橋田政府参考人 お答えいたします。

 近年、災害をもたらすような短時間の強い雨、大雨の発生回数には明瞭な増加傾向があらわれております。

 例えばアメダスの観測では、この三十年余りの変化を見ますと、一時間当たり五十ミリ以上の非常に激しい雨の発生回数は約一・四倍に増加しております。このような増加傾向には地球温暖化が影響している可能性があります。

 気象庁では、地球温暖化をもたらす温室効果ガスの排出が高いレベルで続く場合の将来の気候の変化を予測計算をしております。この最新の結果では、一時間当たり五十ミリ以上の短時間の強い雨、あるいは一日当たり二百ミリ以上の大雨の発生頻度が、今世紀末には二十世紀末の二倍以上になると予測しております。これに伴い、豪雨災害の拡大が懸念される状況であります。

 今後とも、気候変動の監視、予測に努めてまいります。

伊藤(忠)委員 ただいま気象庁より、答弁によれば、これは、傾向はどんどん拡大していく、そういうことを認識をさせていただいたところでございます。

 平成三十年七月の豪雨では、大きな雨が広範囲に、かつ長時間継続し、またダムの放流などもございまして、西日本を中心に河川の氾濫、土砂災害が発生をいたしました。甚大な被害をもたらしたわけでございます。

 今後も、水害、土砂災害等の頻発、激甚化が懸念をされております。最近のこれまでの災害の教訓を生かしまして、今後の治水対策をどう進めていくのか、ダムの放流のあり方も含めまして、御見解を伺いたいと存じます。

大塚副大臣 お答えをいたします。

 国土交通省では、平成二十七年関東・東北豪雨を受けまして、施設では防ぎ切れない大洪水は必ず発生するとの考えに立ち、社会全体で洪水に備えるということでございます。また、水防災意識社会を再構築するための取組を進めてまいります。

 また、平成三十年七月豪雨では、西日本を中心に全国的に広い範囲で記録的な大雨となり、広域的かつ同時多発的に水害、土砂災害が発生し、逃げおくれる人的被害や社会経済被害が発生をいたしました。

 これらの災害にハード、ソフト両面から対応するために、本年九月に、対策の方向性を総合的に検討する委員会を設置し、年内に取りまとめていく予定でございます。その結果も踏まえまして、水防災意識社会を再構築するための取組を充実させてまいります。

 また、御指摘ございましたダムの放流につきましては、本当にさまざまな方向から御指摘をいただいておりますが、国土交通省といたしましても、ダムの下流で甚大な被害が発生したことは重く受けとめております。

 そうした中で、学識経験者等により構成される検討委員会を九月に設置をいたしております。この検討会におきましても、住民の避難行動につながるようにダムに関する情報等を改善すること、利水のための容量を、関係者の協力のもと、洪水調節に更に活用することなどの意見をいただいております。更に検討を進めた上で、年内を目途に提言をまとめていく予定でございます。その結果を踏まえまして、具体的な対策を進めてまいります。

 引き続き、水災害から国民の生命と財産を守るため、全力を挙げて防災・減災対策に取り組んでまいります。

伊藤(忠)委員 先ほど気象庁からも、雨の量がふえていく、そしてまた、これがとどまることなく大きな影響を及ぼす。そんな中で、少し老朽化したダムも多いわけでございますけれども、私たち、今までにない手当てをしなければならない中の一つの手段としてのダムの放流というのがございます。

 ぜひ、ただいまお話がございましたとおり、地域の人たちに対する情報提供のことも含めて、しっかりと、命を守るための水害対策実行に向けて、私たちも努力をしなければなりませんが、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 重要インフラの緊急点検についてお伺いをいたします。

 本年一連の自然災害において明らかになった問題点を踏まえまして、安倍総理の指示のもとに、本年九月より、災害時の重要インフラの機能確保について緊急点検を実施中でございまして、本年十一月末を目途に対策が取りまとめられる、先ほど副大臣からもお話ございました。

 我が国がこれまで築いてきたインフラについては、今後老朽化が急速に進行することに加えまして、近年相次ぐ自然災害により大きなダメージを受けている状況でございます。防災、減災、国土強靱化のための取組は不可欠であります。また、今後、高齢社会を見据えると、より迅速な避難や災害時の情報提供の方法など、ソフト面での対策の強化充実も必要となってまいります。

 重要インフラの緊急点検は、全体で百三十項目に上りますが、国土交通省については、道路、鉄道、港湾、空港など交通インフラ、河川そして砂防などの防災インフラなど、六十三項目にも上っている対象があるわけでございます。国民生活に密着した分野を担当する国土交通省における取組は極めて重要だと言わなければなりません。

 さて、ここで、重要インフラ緊急点検について、具体的な点検内容、点検の進捗状況についてコンパクトにお答えをいただければありがたいと思います。よろしくお願いします。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十年の七月豪雨、平成三十年台風二十一号、北海道胆振東部地震など、最近の災害による国民生活への影響を踏まえまして、重要インフラの点検に関する関係閣僚会議において、電力インフラ、交通インフラを始めとする重要インフラの災害時の機能確保について緊急点検を行い、対応方策を取りまとめるよう、総理指示があったところでございます。

 これを受けて、空港、港湾、河川、道路のほか、電力、病院、通信、農業などのインフラを対象といたしまして、非常用電源、浸水対策、施設の耐震化などについて、国土交通省を始め計十二府省庁において、十月末現在で百三十項目の重要インフラの緊急点検を実施しているところでございます。

 その結果と対応方策は十一月末を目途に取りまとめる予定であり、現在、内閣官房におきまして、関係府省庁と調整しつつ、取りまとめ作業を進めているところでございます。

伊藤(忠)委員 重要インフラの緊急点検の結果を踏まえまして、これから三年間で集中的な対策を講ずるということになっておりますが、三年間の対策後においても、到底三年間で事が足るとは私は思っておりません。緊急点検の結果を踏まえつつ、第二弾の補正予算、そして平成三十一年度の予算、その後の予算についても含めて、十分な公共事業予算の確保をいたしまして、防災・減災対策を更に強化していく必要があると考えられますが、大臣の御決意をお伺いしたいと存じます。

石井国務大臣 昨年の九州北部豪雨、本年の平成三十年七月豪雨、台風第二十一号、北海道胆振東部地震など、地域に深刻な影響を与える大きな災害が続いております。

 現在、総理からの御指示を踏まえ、交通インフラや防災関係インフラ等の重要インフラを対象に、災害時の機能確保について、ソフト、ハードの両面から緊急点検を実施をしております。

 現在実施中の点検で明らかになってきた課題を踏まえまして、災害から命を守るために必要なリスク情報の充実、旅客への情報提供体制の強化などのソフト対策、さらに、人命への危険性が高い箇所の堤防強化対策、道路ののり面、鉄道の隣接斜面等の防災対策、ターミナルや電源設備の浸水、耐震対策、鉄道河川橋梁の流失、傾斜対策などのハード対策を組み合わせた対応方策の取りまとめを今月末をめどに進めているところであります。

 緊急点検の結果や、これまでの災害を通じて培ってまいりました経験や教訓を踏まえまして、災害から国民の命と暮らしを守るため、三年間集中で講じる緊急対策を始めといたしまして、必要な公共事業予算を確保しつつ、現場力を最大限活用し、総力を挙げて防災・減災対策に取り組んでまいりたいと考えております。

伊藤(忠)委員 私ども自由民主党では、二〇一一年のあの東北大震災の前に、津波のことで実は国土強靱化のスタートを切っております。ずっとやってまいりました結果を申し上げれば、地震、津波から、台風、風水害、本当に多くの災害が加わりまして、手当てをしていかなければならないことが次々に目の前にやってまいります。大臣がおっしゃったとおり、いろいろな方策を講じながら、こうしたことで国民の命を守っていけるように、しっかりと先手先手の手はずを整えていけるよう、私たちも努力をしてまいらなければならない、そう思った次第でございます。

 続きまして、近年の、安心と安全を脅かす不適切事例が相次いでいることについてお伺いをしたいと存じます。

 最近では、KYB株式会社等による免震・制振ダンパーの不正、あるいはANAやJAL等のパイロットによる飲酒、SUBARUを始めとする自動車メーカーの完成検査での不正などが連日新聞をにぎわせております。どれも、人の命にかかわる、安全、安心が危ぶまれる出来事でございます。

 KYB、川金ホールディングスによる免震・制振オイルダンパーの不適切事案では、問題となる物件に、国土交通省が入る中央合同庁舎三号館を始め、災害発生時の拠点となるべき地方自治体の庁舎や、地域医療の中核を担う病院、災害情報の伝達を担うNHK放送局などまで、次々に含まれている事実が発覚をしてまいりました。問題物件の全容はもちろん、ダンパーの取りかえがいつまでに終わるかも明確でない状況がございまして、首都直下型地震や南海トラフ地震等について万全の備えが必要である今、建築物の安全性に対する国民の信頼を大きく損なうものとなっております。

 国民の信頼の回復に向け、国土交通省として、本件につきましてどのような取組をしていくのか、見解を伺います。

石田政府参考人 お答えさせていただきます。

 KYB、川金コアテックなどにおいて、出荷時の検査データを改ざんし、大臣認定や顧客との契約に不適合又は適合が確認できない免震・制振オイルダンパーが出荷されていたということは、所有者や使用者などに不安を与えるだけでなく、建築物の安全、安心に対します国民の信頼を揺るがす行為であって、極めて遺憾であります。

 国土交通省としては、まずは第一に、建築物の所有者などの不安を払拭し、その上で、同様の事案の再発防止に取り組む必要があると考えております。

 一点目の、建物の所有者などの不安の払拭に向けましては、国土交通省より関係各社に対して、事案の発覚後直ちに、所有者など関係者に丁寧に説明すること、構造の安全性の確認を行うこと、迅速な交換を実施すること、出荷製品の品質の確保、相談窓口の設置などを指示しているところでございます。特に、交換の実施に当たっては、所有者と調整の上で、交換計画を策定し、国土交通省に報告を行うよう求めているところでございます。

 二点目の、同様の事案の再発防止につきましては、各社に対して、原因究明及び再発防止策の提出を指示しますとともに、専門的な見地から国土交通省に対して提言を行っていただくことを目的として、外部有識者委員会を設置し、去る十一月九日に第一回目の開催をさせていただきました。

 今後は、事業者が設置した外部調査委員会などによる原因究明の取りまとめの状況なども踏まえた上で検討を進め、年度内をめどに委員会から報告いただく予定としており、国土交通省としては、いただいた提言を踏まえて、国民の信頼回復に向けて必要な措置を講じてまいります。

伊藤(忠)委員 これは、ぜひ、交換が完了するということが極めて重要です。そして、それを知らせるということが国民の皆さんには安心につながります。交換完了宣言というのは、しっかりと、国土交通省も責任を持って事業者と取り組んで完了させていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 続いて、パイロットの件でございます。

 パイロットの飲酒によるトラブルが相次いでおります。ANAウイングスのパイロットは、沖縄で飲酒をし、体調不良により翌朝の乗務ができず、出発遅延を生じました。JALのパイロットにおいては、アルコール検査で規定値を大幅に超える状態で乗務しようとして、ヒースロー空港で警察に拘束をされました。一昨日の十四日も、スカイマークの機長からアルコール検査で陽性反応があり、出発が遅延をする事案が発生をいたしました。

 このような言語道断の事案がたび重なっていることは、航空の安全を脅かすゆゆしい状態であります。航空会社に対して毅然たる対応を求めるべきかと存じますが、このことについて見解をお聞かせいただきたいと存じます。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 運航乗務員の飲酒に起因いたします不適切な事案が連続して発生したことは、航空の安全を脅かす重大な事態であると強く認識をいたしております。

 これらの事案を受けまして、各事案発覚後直ちに、ANAウイングス及び日本航空に対しまして、事実関係の詳細調査、コンプライアンス及び法令遵守の徹底を指示いたしますとともに、今月一日、全ての国内の航空会社に対して、飲酒に関する航空法等の遵守の徹底や、講じた措置の報告を求める文書を発出をいたしております。

 また、今月五日には、石井大臣からの御指示も受けまして、全日本空輸及び日本航空の社長に対しまして、詳細な調査を行うとともに、より効果的な再発防止策をグループ会社も含めまして早期に実施するよう改めて指示をするとともに、この調査結果及び再発防止策を本日、十六日までに報告するよう指示をいたしております。

 こうした状況の中で、一昨日、スカイマークにおきましても運航乗務員の飲酒に起因する不適切な事案が発生しておりまして、昨日、同社の社長に対し、事実関係の調査及び再発防止策を早急に報告するよう指示をいたしたところでございます。

 さらに、今回の事案を踏まえまして、石井大臣からの御指示も受けまして、数値基準の新設やアルコールチェックの義務づけなど新たな基準を検討する有識者検討会を早期に設置をいたしまして、年内にも運航乗務員の飲酒に関する基準案を策定するよう、今月二十日に第一回の検討会を開催して検討を進めてまいりたいと考えております。

 いずれにいたしましても、航空の安全に対する信頼をできる限り早期に復旧できますよう、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。

伊藤(忠)委員 空は、全自動で飛んでいるわけではありません。人が運航しております。極めて重要なポイントでございますので、しっかりと航空局として指導していただきますように、そして安全を、安心を確保していただけるように、よろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、自動車の完成検査をめぐる不正が後を絶ちません。国土交通省は、これだけ各社で不祥事が続くことを真摯に受けとめていただきまして、完成検査のルールや国の監督を強化するのはもちろんのことでありますが、自動車メーカーの経営にまで踏み込んでいただきまして再発防止を徹底するべきだと考えますが、まず御見解を伺いたいと存じます。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のいわゆる完成検査につきましては、自動車メーカーが国にかわりまして自動車の保安基準適合性を確認するものでございまして、厳正に実施されることが必要であるにもかかわらず、昨年の秋以降、複数のメーカーにおいて不適切事案が続発していることは極めて遺憾でございます。

 自動車メーカーにおきまして不適切事案が続発していることにつきましては、自動車製造業界全体の構造的かつ体質的な問題に起因するのではないかと厳しい視線が向けられかねない重大な問題であると認識をいたしております。

 これら不適切事案の再発防止を図るためには、御指摘のとおり、自動車メーカーの経営にまで踏み込むことが重要であるというふうに考えております。

 ことし三月二十日の「適切な完成検査を確保するためのタスクフォース中間とりまとめ」におきましても、経営層が自動車関連法規の遵守及びコンプライアンスの徹底を含む内部統制の構築を行うなど、積極的に関与していく必要があると指摘をされておりまして、適切な完成検査の確保のためには、会社の施策が不適切な取扱いを発生させるリスクにまで目を向けながら、現場の第一線までコンプライアンス重視を浸透させることを含めまして、経営層のリーダーシップのもと、実効性のある対策が必要であるというふうに考えております。

 なお、SUBARUにつきましては、完成検査の現場業務の把握、管理について再点検を行う等、必要な措置を講ずる必要があることから、一昨日、大臣より、経営層の責任の重大さを指摘しつつ、道路運送車両法に基づく自動車型式指定規則による完成検査の実施に関する改善の勧告を行ったところでございます。

 今後、国土交通省といたしましては、十月十二日に公布いたしました、完成検査の確実な実施のための省令改正の内容の着実な実施により、ルールの遵守と不正の防止を図るとともに、これに加えまして、経営層に対する取組状況の聴取でありますとか効果的な監査の実施に取り組む等により、適切な完成検査の確保を図ってまいりたいというふうに考えております。

伊藤(忠)委員 私たちの国は、すぐれた技術を持った物づくりの企業によって、すばらしい経済成長をしてまいりました。そこから、安全とか検査とかというところがなぜ剥がれ落ちていくのか、ここをやはりよく私たちが見直していかなければならない。単に国土交通省だけの問題ではないとは思いますが、しかし、検査という、安全というところについて、私たち、国土交通省がやらなければならないことについて、しっかりと、そうしたことを、失ってしまったものを取り返すことができるように、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 安全、安心を損なうということは、今申し上げましたけれども、みずからの企業の命運を左右しかねないはずの企業において、あえて不正はなぜ起きたのか。一方、不適切事案を起こした各社の調査報告書では、品質の根幹である検査データに不正を加えた背景として、設備の老朽化や人材不足が挙げられております。

 私は、国内の、物づくりの力が衰える工場になって、我が国の競争力の源泉である技術力の低下が、そう見えてしまうということの現実化が、大変危ういことだと感じております。こうした、あってはならないことが頻発していることに強く危惧を感じているものであります。

 国土交通省としては、まずは、一連の不祥事を起こした企業を厳しく監督し、今後、似たような事案が発生しないよう再発防止を万全に講じていただくことが重要だと考えますが、人員不足や技術力の低下といった構造的な課題への対策が講じられなければ、根本的な解決にはなりません。そのためには、働き手の減少を上回る生産性の向上を促す政策が必要だと考えますが、国土交通省の行政の分野において、安全、安心にもつながる我が国の企業の生産性を高めるための取組について、大臣にお伺いをしてまいりたいと思っております。

 生産性を高めるための取組にあわせて、産業の担い手である人材を確保するための取組も必要だと考えております。大臣は、所信におかれまして、生産性向上の取組に加え、担い手の確保、育成に向けた取組についても述べられ、新しい制度による外国人材の受入れについて、建設業、造船業、宿泊業等の分野における対応を検討されておられます。最後に、国土交通分野における新たな在留資格による外国人材の活用に対する大臣の御期待と、国土交通省の今後の取組についても含めてお答えをいただければありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

石井国務大臣 二つの御質問をいただきました。

 まずは、一連の不適切事案を起こした企業に対しましては、厳正に対処するとともに、原因究明、再発防止に全力で取り組んでまいります。

 人口減少、超高齢化社会を迎える我が国では、潜在的な成長力を高めるとともに、新たな需要を掘り起こしていくため、働き手の減少を上回る生産性の向上が求められております。加えて、産業の中長期的な担い手の確保、育成等に向けまして働き方改革を進めることも重要であり、この点からも生産性の向上が喫緊の課題であります。

 このため、例えば建設業では、適切な工期の設定や週休二日の実現、適切な賃金水準の確保、社会保険の加入徹底等を、まず直轄工事で率先をして取り組んでおります。また、建設現場の生産性向上を図るi―Constructionの推進等によりまして、ICTの活用や施工時期の平準化等を進めております。

 また、国土交通省全体といたしましては、平成二十八年を生産性革命元年と位置づけまして、私を本部長といたします国土交通省生産性革命本部を設置をし、これまで三十一の先進的な生産性革命プロジェクトを定めまして、強力に推進をしているところであります。

 今後とも、国土交通省のあらゆる分野における生産性革命のさらなる推進を通じまして、持続的な経済成長や豊かな国民生活の実現に加え、国民の安全、安心の確保に努めてまいりたいと考えております。

 また、国土交通省所管の一部の分野におきましては、近い将来の高齢者の大量退職や生産年齢人口の減少等により、現場における担い手を確保していくことが重要な課題となっております。

 このため、国土交通省では、業種ごとに異なる雇用情勢、政策的な要素、業種の特性、事情等を踏まえまして、建設業、造船、舶用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業の五分野における新たな在留資格による外国人材の受入れを検討をしております。

 今回の新たな在留資格による外国人材の受入れは、生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお労働力が不足する分野を対象とするものとされております。

 国土交通省におきましては、これらの取組が着実に進むよう、しっかりと取り組むことも重要と考えております。

 これらの分野におきまして人手不足が我が国の経済社会基盤の持続可能性を阻害しないよう、法務省を始めとする関係機関と連携をいたしまして、しっかりと準備を進めてまいりたいと考えております。

伊藤(忠)委員 国土交通省は、我が国の安全と安心をつくり上げていく大切な基盤であるということを認識していただきまして、これからの経済成長に向けて、またしっかり頑張っていただきたいと思います。

 以上、終わります。ありがとうございました。

谷委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 今回初めて国土交通委員会に所属をさせていただきます。どうか御指導のほど、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 ことしは大変に災害の多い年でもございました。振り返りますれば、大阪北部地震もございました。そして、西日本を中心とした七月の豪雨、そして台風二十一号、北海道胆振東部地震を始め、大変に多くの災害がございました。亡くなられた方々に改めて哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。

 国土交通省におきましては、こうした災害の復旧復興、まずは全力をしっかり尽くしていただきたいということを冒頭お願いを申し上げる次第でございます。

 私ども公明党は、非常に災害も激甚化をしておる、こういう状況の中で、防災、減災、復興、こうした取組を改めて政治の主流、社会の主流へ押し上げていかないといけない、こういうことを今訴えさせていただいております。それが実現をしていくために全力を尽くしてまいる決意でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。

 まず冒頭、防災、減災に関して質問をさせていただきたいと思います。

 このたび、西日本を中心とした七月豪雨、私の地元である兵庫県も大変な被害がございましたけれども、これを見てもわかりますとおり、雨の降り方が非常に激甚化をしておるというのが現状であるというふうに思います。この集中豪雨の対策、ハード、ソフトともにしっかりと進めていかないといけない、こういうことであるというふうに思います。

 現在、さまざまなインフラを総点検をしていただいております。ハードに関しては、今後集中的にこれを投資をしていく、こういうことも示されておりますけれども、ソフトの取組というのも非常に重要であるというふうに考えております。

 例えば、地元の兵庫県では、神戸新聞が、実際に被害があった、土石流が起きた地域、ここに対しましてアンケートを実施をいたしました。そうしたところ、実際に避難勧告が出たのを知っていたか知っていなかったか、こういうアンケートをとりますと、本当に土石流が起きた地域ではございますけれども、知っていた方が四割だった、こういう現状がございました。この四割の方の中、実際にどのくらいの方が避難をしたのか。これに関してはわずか一五%ということでございました。

 これは、避難勧告が起きた全域の話ではなくて、実際に土石流が起きた地域でございますので、かなり危険性が高いであろうというふうに恐らく地元の方も認識をされていた地域ではありますけれども、こうした結果ということでございまして、やはり避難のあり方ということも含めて対策を抜本的に強化をしていかないといけない、このように思っております。

 我が党が推進をしておりますマイタイムラインという取組もございます。それぞれの個人に落とし込んで、どういう状況になればどういう対応をしていくのか、こういうことを個々人の方でやはり準備をしていただく、こういう取組も非常に大事でございますし、こういうことも含めてさまざまな対策を講じる必要がある、このように思います。

 集中豪雨対策の今後の進め方ということで、まずは石井国土交通大臣に答弁いただきたいというふうに思います。

石井国務大臣 国土交通省におきましては、平成二十七年の関東・東北豪雨を受けまして、施設では防ぎ切れない大洪水は必ず発生するとの考え方に立ちまして、社会全体で洪水に備える水防災意識社会を再構築するための取組を進めております。

 このような中、本年七月の豪雨では、西日本を中心に広域的かつ同時多発的に水害、土砂災害が発生をいたしまして、多数の犠牲者が出るなど痛ましい被害が発生をいたしました。

 この豪雨で明らかとなりました、広範囲に長時間継続した大雨により各地で水害や土砂災害が複合的に発生、またハザードマップ等のリスク情報が住民の避難につながっていない、こういった課題につきまして社会資本整備審議会等で検討を進めているところでございます。

 委員御指摘の、住民みずからが作成する避難計画でありますマイタイムラインにつきましては、住民一人一人が適切な避難行動をとっていただくために重要な取組と認識をしており、自治体を始めとする関係機関と連携をして充実を図ってまいりたいと考えております。

 また、住民お一人お一人に適切に情報を届けることが重要であり、そのため、テレビ、ラジオ、インターネット関係企業など、情報伝達を担うメディア関係者との連携を図ってまいりたいと考えております。

 国土交通省では、年内をめどに対応方針を取りまとめまして、ハード、ソフト両面から水防災意識社会再構築に向けた取組を更に加速させてまいりたいと思います。

中野委員 年内をめどにしっかりと対策を国交省の方でも考えていただくということで、答弁もございました。

 やはり、この集中豪雨対策、国としてもしっかりと対応を示し、そして、それぞれの自治体でも取り組む必要があるというふうに思っております。私ども公明党、それぞれの地方の議会におきましても、しっかりとネットワークの力、こういうものを発揮をいたしまして防災、減災に尽くしてまいりたい、こういう決意をまずは申し述べさせていただきたいというふうに思います。

 続きまして、高潮対策について質問をしたいというふうに思います。

 台風二十一号、大変な被害が生じました。私の地元では、兵庫県尼崎市でございますけれども、大変な停電もございまして、飛来物等によりまして電線がかなり切れたりしまして、非常な停電というものも生じた。それとともに、やはり高潮による被害というのも大変大きなものがございました。

 ニュースで大きく取り上げられました関西国際空港、これについても大きな被害が出たということで、復旧に全力を尽くしていただき、早期の復旧ということでやっていただいておりますけれども、交通機関にも大変に大きな支障も生じておりましたし、やはり防潮堤、こういうものを実際に乗り越えて被害が出た部分もございました。

 この防潮堤の高さの再点検あるいは必要な対策、こういうものはもちろん国交省としてはしっかり進めていっていただきたい、このように考えておりますけれども、神戸港など、防潮堤のいわゆる外の部分、堤外地、ここの部分も今回かなり大きな被害が出たというふうに思っております。

 こうしたところ、日本の港というのは本当に物流そして国民生活を支える非常に重要なインフラでございますし、堤外地、防潮堤を高くするだけではなくて、その外の対策というのもしっかり進めていかないといけない。コンテナ、ガントリークレーン、あるいはトラックを始めさまざまなものが流されて非常な被害が出た、こういうこともございます。

 今回の補正予算におきましても、こうした被害に対する設備というものに対しては非常にさまざまな支援もしていただいておりますけれども、やはり今後の高潮対策のあり方というものもしっかりと進めていかないといけない、このように思っております。

 特に港湾施設におきまして、今後こうした高潮対策をどのように進めていくのかということにつきまして、政府の方から答弁をいただきたいというふうに思います。

下司政府参考人 お答え申し上げます。

 台風二十一号に伴う高潮は、大阪湾における観測地点で第二室戸台風を超える過去最高の潮位を記録し、神戸港等の海岸保全施設より海側、いわゆる堤外地が浸水をいたしました。

 この結果、コンテナの倒壊や漂流、電気系設備の故障等が発生し、船舶の入出港や荷役作業を始めとする港湾の利用が一時的に困難となったことから、港湾における高潮対策の推進は大変重要な課題と認識してございます。

 現在、国土交通省では、学識経験者等から成る港湾における高潮リスク低減方策検討委員会を開催し、コンテナの効果的な固定方法、電気系設備のかさ上げ、タイムラインの考え方を取り入れた事前防災行動等について検討を進めているところでございます。

 さらに、政府を挙げて実施しております重要インフラの緊急点検の中で、全国の港湾における高潮対策の状況確認を総力を挙げて行っており、その結果を踏まえた対応方策について十一月末を目途に取りまとめる予定となってございます。

 国土交通省としましては、委員会での検討や緊急点検結果を踏まえ、港湾における高潮対策を重点的に進めてまいります。

中野委員 続きまして、建設業の担い手確保ということで質問をさせていただきます。

 現在、新たな外国人労働者の受入れをどうするか、こういう議論もなされておりますけれども、やはり、そもそも建設業というのは非常な人手不足が続いている、有効求人倍率も大変に高いということでございまして、私は、そもそも日本人の担い手をしっかり確保していくための取組、こういうものをしっかりしていかなければ建設業が成り立たなくなっていってしまう、こういう大変に強い危機感を持っております。

 私ども自公政権の中で、こうした処遇の改善に向けていろいろな取組をしてまいりました。労務単価も引き上げてまいりました。現在、働き方改革ということで、やはり若い方はしっかり休みがとれる職場でないとなかなか定着をしない、こういうことでございます。

 こうした働き方改革などを進めて、建設業の現場というのは、危険とか、そういう三Kというふうに呼ばれておりましたけれども、これを、新しい三K、給与がある、そして休暇があり、そして希望がある、こういうふうな職場にしていかないといけない、こういうことを国交省として力を入れていただいたと思いますけれども、これをぜひ実現をしていかなければやはり本質的にこの人手不足の対策というのは解決をしていかない、このように思っております。

 ですので、まずはここに向けた取組というのを更に加速化をさせていくことが必要なのではないか、これについて政府に質問したいと思います。

 あわせて、現場からこうしたお声もいただきました。実際に建設現場で、働く方の管理体制というか、こういうものも非常に不十分なのではないか。例えば、現場で働く、誰が一人一人働いているのか、名前も連絡先も把握をできていないんじゃないか、こういうお声をいただいたことがございます。例えば、技能実習生を含め、失踪者が出たであるとか、あるいは急な事故のときになかなか対応がとれないということであるとか、こういうものはやはり現場の管理体制の強化、こういうものも必要なんじゃないか、こういうお声もいただいているところでございます。

 この建設業の担い手の確保に向けた取組、現場の管理体制の強化も含めまして、どのような取組を行っていくのかということを答弁いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

野村政府参考人 答弁申し上げます。

 建設業は、まさに地域の守り手として国民生活や社会経済を支える役割を担っているところでございますけれども、その一方で、現在、他産業を上回る高齢化が進んでおりまして、近い将来、高齢者の大量離職による担い手の減少が見込まれていることから、若い年齢層からの入職者の確保が喫緊の課題となっているところでございます。

 このため、業界とも連携しながら、適切な賃金水準の確保や、あるいは社会保険への加入徹底など、処遇改善につながる取組を推進するほか、適正な工期設定、あるいは施工時期の平準化などによる長時間労働の是正など、建設業における働き方改革について取組を進めているところでございます。

 また、建設現場における建設技能者の氏名、連絡先などが把握できていないという御指摘に関してでございますけれども、現在、技能労働者に係るデータベースの役割を果たす建設キャリアアップシステムの構築を来年度からの本運用に向けて鋭意進めているところでございまして、このシステムを活用することにより、現場に入場する技能労働者一人一人の情報を特定することが可能となります。

 今後は、このシステムによって技能者の就業履歴や保有資格を業界横断的に蓄積し、適正な評価と処遇を受けられる環境の整備を図ってまいりたいと考えております。業界とも連携しながらシステムの構築とその普及を推進してまいる所存でございます。

 国土交通省としては、これらの施策を通じて、委員御指摘のとおり、給料がよく、休暇がとれ、そして希望が持てるような魅力ある産業へと変えていけるよう、取組をこれからも進めてまいりたいと考えております。

中野委員 いわゆる新三Kに向けた取組、やはりかけ声倒れでは私はいけないというふうに思います。これがしっかり実を結ぶように取組を進めていただきたいと思います。

 時間も残り五分になってまいりましたので、少しスピードも進めてまいりますけれども、運送業、トラック業に関する働き方改革について、これも質問させていただきたいというふうに思います。

 長時間労働が常態化をしている、適正な運賃が収受をできない、いろいろなお声をいただいておりまして、働き方改革を進めないといけないということを私も国会でも訴えておりました。

 しかし、発荷主、着荷主等々、荷主との関係もありまして、なかなか自分の力だけでは変えていけない、こういうお声もいただいております。

 国交省におきましても、標準運送約款を改正をしていただいたり、いろいろな取組を進めていただいておりますけれども、まだまだ足りないというのがやはり現場のお声であろうというふうに思いますので、このトラックの貨物の運送業の関係、働き方改革をどのように進めるのかということを国交省の方に答弁いただきたいと思います。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 トラック運送業の働き方改革におきましては、先生から御指摘いただきましたとおり、荷主や配送先の都合により荷待ち時間が発生するなどといった業務の特性、取引慣行の問題があるなど、個々の事業者の努力だけでは解決できない問題もございますことから、荷主とも一体となった取組を進めることが大変重要であるというふうに考えております。

 このため、国交省では、トラックドライバーの長時間労働の改善や適正取引の推進を図るため、御紹介いただきました標準貨物自動車運送約款の改正でありますとか、荷主勧告制度の新たな運用等について、関係省庁と連名でリーフレットを作成し、関係者に幅広く配布、説明するなどの取組を行っております。

 また、厚労省と共同で、トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会を中央及び各都道府県に設置をいたしまして、特に、各都道府県の協議会におきましては、トラック事業者と荷主も連携した長時間労働の改善に取り組むパイロット事業を二カ年度にわたって百二件実施をいたしました。この成果につきましては今月六日に公表したところでございまして、関係者に幅広く横展開を図っていきたいというふうに思っております。

 またさらに、自動車運送事業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議におきまして五月に政府行動計画を取りまとめましたけれども、そこも、幅広い関係者が参画したホワイト物流推進運動を実施するなどの施策を推進してまいりたいというふうに考えております。

 いずれにしましても、今後とも、関係省庁と連携をして、荷主にもしっかり働きかけを行いながら、トラック運送業の働き方改革に取り組んでまいります。

中野委員 最後に、UR住宅についてお伺いをしたいというふうに思います。

 私も地元にもURがございますけれども、現在、大変に高齢化も進んでおりまして、年金暮らしの方の割合も非常に高い、こういう状況でございます。

 こうした中で、安心をしてURに住み続けられるようにしてほしい、こういう御要望を大変にいただいているところでございます。例えば、その御要望の一つの中に、高齢者向け優良賃貸住宅という、家賃の減額をするような制度がございまして、この期間が二十年で切れるということになっております。これは、一番早い方ですと二〇二〇年に期限が、来年度中に期限が到来をする、こういう住宅もございますので、来年度予算においては何らかの対応をしないといけない、このように考えております。

 こうしたことも含めて、安心して住み続けられるUR住宅の確保ということに向けまして、今後どのように取り組んでいかれるのかを、大臣に最後に御答弁をいただきたいと思います。

石井国務大臣 少子高齢化が進展する中、UR賃貸住宅では、多様な世代が安心して住み続けられるよう、これまでもさまざまな取組を行っておりまして、国もこうした取組に対して支援をしております。

 このうち、委員御指摘の高齢者向け優良賃貸住宅の家賃減額措置につきましては、低所得の入居者に対して行っているところですが、家賃減額に係る国庫補助は、制度上、管理開始から二十年間とされておりまして、平成三十二年二月には家賃減額措置の適用が終わる住戸が生じ始めます。

 一方、高齢化が進む居住者の住まいの安定の確保を図ることは重要であります。このため、国土交通省では、二十年間の家賃減額措置の終了時点でお住まいの方については、退去するまでの間、減額措置を継続できるよう、必要な予算を平成三十一年度予算概算要求に盛り込んでいるところであります。

 国土交通省としましては、引き続き、URとともに、居住者が安心して住み続けられるよう取り組んでまいる所存であります。

中野委員 概算要求に盛り込んでいただいているという答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 URについては、家賃のさらなる低廉化あるいは支援の拡充、こういうさまざまな御要望もございますので、また、しっかりと声を受けとめて、大臣にも取組を進めていただきたい、これを最後にお願いを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。

谷委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 立憲民主党の福田昭夫でございます。

 平成二十八年十二月二十日、最高裁判所第二小法廷で、地方自治法第二百五十一条の七の規定に基づく不作為の違法確認請求事件のびっくりするような判決がありました。判決は、とても民主主義国家の判決とは言えず、政治的なものでありました。最高裁判所も、政府の機関である沖縄防衛局が、一般の私人、事業者として、行政不服審査法に基づく請求人としての資格があるものを前提に判決文を書いております。これは明らかに違法であります。それはこれから指摘をしてまいりたいと思いますが、それでは、質問に入ります。

 まず、沖縄に米軍海兵隊は必要かであります。

 防衛副大臣にお伺いをいたします。

 一つ目でありますが、新日米ガイドライン、平成二十七年四月に制定をした新日米防衛ガイドラインでありますけれども、と離島防衛についてであります。

 そこには、離島防衛は自衛隊が主体、米軍は支援、補完と書いてありますけれども、沖縄の海兵隊は一体何をするんでしょうか。海兵隊は、実動部隊はどこにいてもいいということになっておりまして、既に司令部はグアムの方に移設するようなことで準備が進められているわけでありますが、沖縄に残る実動部隊は何をするのか、お答えをいただきたいと思います。

原田副大臣 お答えをいたします。

 我が国の国土は多くの島嶼を有しておりまして、我が国の平和と安全を確保する上で、島嶼の防衛は重要な課題でございます。

 平成二十七年四月に策定した日米ガイドラインにおいても、自衛隊は、島嶼に対するものを含む陸上攻撃を阻止、排除するための作戦を主体的に実施し、必要に応じ、島嶼を奪回するための作戦を実施することといたしております。また、米軍は、自衛隊が行うこれらの作戦を支援、補完するための作戦を実施することとしております。

 自衛隊と米軍の共同作戦の具体的態様は、現実の事象に即してさまざまあるので、島嶼防衛における米海兵隊の具体的な態様について一概に申し上げることはできませんが、例えば……(福田(昭)委員「簡潔でいいです、簡潔に、もういいです」と呼ぶ)在沖海兵隊ヘリコプターに陸上要員を乗せて現場に急行するなど、そのすぐれた機動性、即応性及び水陸両用作戦能力を生かした作戦を実施し、島嶼防衛において極めて重要な役割を果たすことが可能でありまして……(福田(昭)委員「もういいですよ、副大臣、いいですよ」と呼ぶ)

谷委員長 議事の進行は委員長がしておりますので。

福田(昭)委員 はい。ありがとうございます。

 副大臣、もっと短く答えてください。そんなに長く要りません、回答は。

 二つ目でありますが、辺野古は普天間飛行場の代替施設の唯一の解決策だということであります。

 資料の一をごらんいただきたいと思いますが、失礼しました、資料の一ではないですね。辺野古の、返還条件の一つに、普天間飛行場代替施設では確保されない長い滑走路を用いた活動のための緊急時における民間施設の使用の改善、これがなければ辺野古に飛行場をつくっても普天間飛行場は返ってこないというんですね。

 この長い滑走路を有する民間の飛行場、その確保のめどがついているのかどうか。どこにもなければ辺野古が完成しても返ってこないわけでありますが、そうなると辺野古が唯一の解決策にならないんですが、そのことについてはどう考えておりますか。簡潔に答えてください。

原田副大臣 平成二十五年に日米両政府で作成し、公表した、沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画においては、普天間飛行場代替施設では確保されない長い滑走路を用いた活動のための緊急時における民間施設の使用の改善が、普天間飛行場の返還条件の一つとして記載をされております。

 この緊急時における民間施設の使用の改善につきましては、引き続き米側と協議を進めて、辺野古移設が完了し、米側の運用が開始される段階で普天間飛行場の返還が実現するよう取り組んでまいります。

 防衛省としては、辺野古移設完了後も普天間飛行場が返還されないという状況は全く想定をしておりません。

福田(昭)委員 想定していないのはいいけれども、約束が決まってからもう二十一年もたつのにどこの民間飛行場にするのか決まっていなきゃ、そんなのできっこないんじゃないですか。

 それで、三つ目でありますが、元駐日大使アマコスト氏の指摘についてであります。

 資料の一をごらんいただきたいと思いますが、これは平成二十七年六月二十三日、朝日新聞の真鍋弘樹さんというニューヨーク支局長がインタビューした記事であります。

 「沖縄に海兵隊は必要か」というタイトルがついております。ここに、時間の関係で短く言うと、政治的コストが高く、嘉手納の空軍基地と違い、戦略的価値に疑問だと。この中でアマコスト氏は、沖縄に海兵隊が必要だというその理由を、納得のいく説明を聞いたことがないと言うんです。これはアマコスト氏がですよ。そしてさらに、二枚目の方を見ていただきますと、安保強化は重要だ、移設強行なら同盟のリスクになると。これは、もし沖縄の人たちがどうしても嫌だというんだったら、やはり、厳しいけれども、決断をする必要があるんじゃないか、こういうふうにアマコスト氏は言っているんですね。

 この真鍋氏の取材を終えての記事の中には、米国の戦略上、必要不可欠でないとしたら、沖縄に基地を押しとどめている本当の理由は何なのか、理由がよくわからない、このことについてアマコスト氏がその必要性を聞いたことがないと言うんですけれども、防衛省はどう考えているんですか。

原田副大臣 政府としては、米国の識者の発言のおのおのについてコメントすることは差し控えさせていただきますが、沖縄は、米国本土、ハワイ等と比較して、東アジアの各地域に近い位置にあると同時に、我が国の周辺諸国との間に一定の距離を置いているという利点を有しており、また、南西諸島のほぼ中央にありまして、我が国のシーレーンにも近いなど、安全保障上極めて重要な位置にございます。

 こうした地理上の特徴を有する沖縄に幅広い任務に対応可能な米海兵隊が駐留することは、日米同盟の抑止力を構成する重要な要素でございますし、我が国の平和と安定を確保する上で必要なものと考えております。

 普天間飛行場の辺野古移設をめぐる問題の原点は、市街地に位置し、住宅や学校に囲まれて、世界で一番危険とも言われている普天間飛行場の危険性除去と返還でございます。

 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性除去を考え合わせたとき、辺野古移設が唯一の解決策でありまして、この点については米国政府との間で累次にわたり確認をさせていただいておりまして、政府としてこの考え方に変わりはございません。

福田(昭)委員 原田副大臣、簡潔にと言っているんだから、簡潔に答えてください。時間がなくなります。

 四つ目でありますけれども、二度の沖縄県知事選の結果を受けて、米国と再交渉すべきではないかということでありますが、実はアマコスト氏も、この二十年、普天間という二流の基地の問題が日米の大きな課題となっていることに当惑を禁じ得ません、もし事故が起きたら日米同盟に壊滅的な影響を及ぼしますと言っています。そして、政治的なコストも高過ぎるということなんです。

 先日、玉城新知事がアメリカを訪問して、こういう提案をしています。日米両国と沖縄県の三者による話合いの場を設けるというようなことはどうかということを、アメリカの国務省のマーク・ナッパー副次官補代行を訪ねて、そのように提案をいたしております。

 いかがですか、防衛省、政府としても、三者による再交渉をやはりやるべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。

原田副大臣 お答え申し上げます。

 今御指摘をいただいた点につきましては、沖縄県当局と話合いをさせていただいておる最中でございますので、明確な答えは、今ここでは差し控えさせていただきたいと思います。

福田(昭)委員 そのとおりだと思いますが、二回ほど協議をしたようですが、全く何も進まないようですが、しかし、三者による話合いの場をぜひ設けるべきだということを改めて申し上げておきたいと思います。

 次に、二つ目ですが、行政不服審査法第七条第二項の制定経緯と国の請求人としての資格について質問させていただきます。

 一つ目は、行政不服審査法第七条第二項、適用除外の規定についてであります。

 資料の二をごらんいただきたいと思います。これは総務省がつくった資料でございますが、これを読んでいただきますとよくわかりますように、行政不服審査法は平成二十六年に改正をしました。それは、平成五年に制定された行政手続法に、国の機関等が固有の資格において受けた処分を明文で適用除外としてありますので、その経緯も踏まえ、行政不服審査法上も適用関係を明確にする観点から確認的に規定したものであります。

 したがって、旧行政不服審査法のときからそういう趣旨で仕事を進めておりましたけれども、改めて平成二十六年に指定をしたわけであります。

 したがって、まさにこの平成五年にすると、国の機関等が、一般の私人、事業者の立場ではなく固有の資格において受けた処分を適用除外とされている、それが明文化されたものでありますが、国土交通大臣はそういう認識をされておりますか。

石井国務大臣 今委員がお示しをいただいた資料にもございますとおり、行政機関が一般の私人、事業者と同様の立場で処分の相手方となった場合には不服申立てをすることができるが、一般の私人、事業者が立ち得ないような立場、固有の資格において処分の相手方になる場合には不服申立てをすることができないということは承知をしてございます。

 今回の埋立承認の撤回につきまして、沖縄防衛局は、行政不服審査法第二条の処分を受けたものであって、固有の資格、すなわち一般私人が立ち得ないような立場で撤回を受けたものではないと認められることから、審査請求をすることができると判断をしたところであります。

福田(昭)委員 全くおかしな解釈ですね。

 二つ目の方へ行きますけれども、埋立承認撤回の処分は、沖縄防衛局が固有の資格においた処分であります。後からまた質問の中で明らかにしていきますが、ですから、行政不服審査法に基づく請求人としての資格がないと私は考えております。

 それでは、ここで伺いますけれども、ここでちょっと、通告しておりませんが、防衛副大臣、突然ですけれども、普天間の代替施設、辺野古の飛行場は一般の私人、事業者にもできますか、いかがですか。簡単な答えだからできるでしょう。

森田政府参考人 お答えを申し上げます。

 沖縄防衛局が受けました埋立承認の撤回処分につきましては、一般私人たる事業者が埋立ての免許につきまして撤回処分を受けるのと同様に、埋立てを行うことができる法的地位を失わせるものでございますので、一般私人が権利利益を害された場合と同様で、行政不服審査法に基づき、審査庁である国土交通大臣に審査請求を申し立てたものでございます。

 それによる影響につきまして、普天間飛行場の危険性の除去が困難となることや、我が国の安全保障体制への悪影響を主張したものでございます。

福田(昭)委員 そんなこと、本当、一般人がやるわけないでしょう。沖縄防衛局の仕事でしょう。沖縄防衛局がやる仕事でしょう、普天間の代替施設をつくるのは。違うんですか。一般人が飛行場をつくれるんですか、どうなんですか。短くていいよ。

森田政府参考人 沖縄防衛局につきましては、普天間飛行場代替施設建設事業の事業者として審査請求を行ったものでございます。

福田(昭)委員 おかしいでしょう。沖縄防衛局にしか普天間の代替施設ってできないんですよ。だから、国の固有の資格でしかできない、固有の事務なんです。

 三番目、次に行きますけれども、行政不服審査法に基づく執行停止申立書の有効性についてであります。

 まず一つ目ですけれども、石井大臣の基本的認識をお伺いします。

 平成三十年十月十六日、沖縄防衛局長中嶋浩一郎から国土交通大臣宛て、執行停止申立書が出されておるわけですが、沖縄防衛局長は一般の私人、事業者として審査請求してきたと考えているんですか、お聞かせください。

石井国務大臣 行政不服審査法第二条において、審査請求をすることができる者につきましては、「行政庁の処分に不服がある者」と規定をしております。すなわち、沖縄防衛局のような国の機関でありましても、この行政不服審査法第二条で言うところの処分を受けたものと言える場合には、一般私人と同様の立場で処分を受けたものであって、固有の資格、すなわち一般私人が立ち得ないような立場で撤回を受けたものではないと認められることから、審査請求することができると解釈をされます。

 この点、前回の承認取消しの違法性が判断をされた平成二十八年の最高裁判決におきましては、承認の取消しが処分であることを踏まえた判断を行っております。今回の承認の撤回も、埋立てをなし得る法的地位を失わせる点で承認の取消しと変わらないことなどから、沖縄防衛局は行政不服審査法第二条の処分を受けたものと言えます。

 したがいまして、沖縄防衛局は、一般私人と同様に、今回の承認の撤回について審査請求ができると判断をしたところであります。

福田(昭)委員 そんな法律の解釈はないでしょう。いいですか。次の質問で明らかにしますけれども、先ほど防衛省の森田審議官が言ったように、普天間の代替施設は防衛局しかできないんですよ、沖縄防衛局しか。それは国の事務じゃないですか。国の事務、まさに防衛省の固有の仕事じゃないですか。

 申立て理由に一般の私人、事業者としての理由があるのか。大臣、きのう、質問取りで、担当官に、大臣に沖縄防衛局長の申立て書をよく読んでくるように言いましたけれども、読んできましたか。

石井国務大臣 申立て書につきましては、そのポイントを事務方から説明を受けております。

福田(昭)委員 だめですよ。こんな重要な判断をするのに事務方の説明だけで決断をしたのでは、大臣失格ですよ。

 いいですか。申立て書、これですね。十二ページまでありますね。一ページから十二ページまで書いてあります。特に、実は、二ページから今回の申立ての理由が書いてあります。その理由を読むと、一般私人、事業者としての理由は一つも書いてありません。一つも書いていないですよ。もう沖縄防衛局の理由だけです。そうしたら、これは国の固有の事務ですよ。まさに固有の資格ですよ。いいですか。

 では、一つだけ申し上げます。この申立て書を持っていますか。事務方、大臣に渡してください。申立て書の五ページを見てください。五ページの(a)と書いてあります。aのうちの(a)。よく読んでください。いいですか。「本件承認処分は、普天間飛行場代替施設の建設を目的としたものである。」こう書いてあるんですよ、これは。

 普天間飛行場の代替施設の建設を目的としたものである。これが一般私人、事業者ができますか。これは自白しているようなものじゃないですか、沖縄防衛局が。国が固有の、沖縄防衛局が固有の資格として出したんですよ。こういうことだらけですよ、これ、書いてあるの、理由書、時間の関係で全部は言いませんけれども。こういうことをちゃんと大臣が理解していない、あるいは事務方も理解していない、裁判所も理解していない。私は、日本の国は法治国家だと思っていますけれども、これは法治国家と言えませんよ。

 それで、次、三つ目に行きますけれども、石井大臣が、請求人として資格のない沖縄防衛局長の申立てを審査して埋立承認撤回の執行停止をしたことは行政不服審査法違反で、これは無効となりますけれども、いかがですか。

石井国務大臣 これまでお答えしてきたとおり、沖縄防衛局は埋立承認の撤回について審査請求をすることができると判断をしているところでございます。

福田(昭)委員 裁判所がインチキだからそんなことになっちゃうんだけれども、あなたたち、では、国土交通大臣、それから原田副大臣、行政不服審査法、平成二十六年に改正された行政不服審査法を読んでいますか。どうですか。

石井国務大臣 関係する条文については読んでおります。

原田副大臣 一読はさせていただいております。

福田(昭)委員 残念ながら、読み落としがある。

 行政不服審査法の第八条、何と書いてあるか。第七条は、先ほどから話のあるように、適用除外を書いてあります。明示してあります。第八条は何と書いてあるか。「前条の規定は、同条の規定により審査請求をすることができない処分又は不作為につき、別に法令で当該処分又は不作為の性質に応じた不服申立ての制度を設けることを妨げない。」と書いてあります。

 ですから、この条文を生かす気になれば、今回のように普天間飛行場の代替施設をつくるに当たって、防衛省がちゃんと適用除外じゃない法律をつくらなきゃだめじゃないですか。法律をつくって、制度をつくらなくちゃ。審査請求人としての資格はないじゃないですか。それ、つくれば出てきますよ。つくっていないんだから、法律。どうですか。

石井国務大臣 重ねてのお答えになりますが、現行の行政不服審査法におきまして、沖縄防衛局は埋立承認の撤回について審査請求をすることができると判断をしているところであります。

福田(昭)委員 だから、言ったでしょう。現行の法律を読んだの。読んでいないんじゃないですか。第八条、何て書いてあるか読んでください。

石井国務大臣 行政不服審査法の第八条でありますが、「前条」、第七条ですね、「前条の規定は、同条の規定により審査請求をすることができない処分又は不作為につき、別に法令で当該処分又は不作為の性質に応じた不服申立ての制度を設けることを妨げない。」こういう条文でありますが、私が申し上げておりますのは、現行の第七条の規定により審査請求をすることができるという判断をしているということであります。

福田(昭)委員 大臣、それは違うでしょう。

 第七条の第二項、これも平成二十六年に新しく入れたんです。いいですか。第二項、「国の機関又は地方公共団体その他の公共団体若しくはその機関に対する処分で、これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の相手方となるもの及びその不作為については、この法律の規定は、適用しない。」いいですか。二十六年の改正でこれも入れたんですよ。

 ですから、沖縄防衛局には、残念ながら、行政不服審査法に基づく不服審査請求の請求人の資格はないということを申し上げておきたいと思います。

 それでは、あと五分になりましたので、あとのところに入れておきたいと思いますが、そこで、次に、沖縄の民意をどう受けとめているのかであります。

 一つ目でありますが、普天間基地周辺の危険性除去や日米関係にも重大な影響を与えるこの辺野古移設の件について、石井大臣は今回の大臣所信でなぜ一言も触れなかったのか、教えてください。

石井国務大臣 今回の行政不服審査法に基づく手続は、沖縄防衛局より審査請求と執行停止の申立てを受けたことから、審査庁という立場で、法の規定に基づき対応しているものでございます。

 普天間飛行場代替施設建設事業自体は沖縄防衛局が行っているものでございますので、国土交通行政の諸施策について述べる場において言及する性質のものではないと考えております。

福田(昭)委員 そういうふうに逃げたんじゃだめですよ。

 それこそ日米関係にまで大きな影響を与える、それだけの大変重大な決断をしたんですよ。ですから、これについて一言も触れないんだなんて、沖縄県民だけじゃなくて、日本国民までばかにしていますよ。

 二つ目ですけれども、二度の沖縄県知事選結果と、また、台風で、どうも土砂を搬出する予定の本部港が使用できないことになっちゃった。そうしたら、埋立工事ができないんですよね。

 だから、どうでしょう。この執行停止をしたものをもう一回取り消したらどうですか。

 だから、沖縄防衛局のにあるように、緊急の必要性があるからということで出したわけでありますが、しかし、緊急性があってもできなくなっちゃった、実際の埋立ては。どうですか。もう一回取り消したらどうですか。

石井国務大臣 今回の執行停止の決定につきましては、行政不服審査法上の審査庁といたしまして、沖縄防衛局及び沖縄県の双方から提出された書面の内容を検討いたしまして、行政不服審査法の規定に基づき適切に対応したものでございます。

福田(昭)委員 大臣にはあきれますけれども。

 三つ目ですけれども、沖縄県は辺野古移設の是非を問う県民投票を来年二月にも実施するとしておりますが、その結果を尊重すべきだと思いますが、それは、先ほどから申し上げておりますように、行政不服審査法違反の判断であるし、さらには、二回の知事選挙で沖縄の県民の皆さんが辺野古の基地ノーとはっきりと意思を表示しておりますし、さらには、県民投票ということになれば、この県民投票は、まさしく憲法九十五条に規定する沖縄県だけに適用されるような法律、先ほど申し上げましたけれども、行政不服審査法第八条に基づいてもし防衛省が制定するとしたら、沖縄だけに適用される法律をつくることになりますから、沖縄がやる県民投票は、実質、憲法九十五条に基づく、法律によるものだというふうな解釈もできます。

 ですから、沖縄がやる県民投票、これをやはり尊重して、しっかりと、辺野古に基地はつくらない、そういう判断を政府はすべきだと思っておりますが、県民投票を尊重する考えは国土交通大臣そして原田防衛副大臣にはありませんか。

石井国務大臣 普天間飛行場の代替施設建設事業自体は防衛省の所管に係るものでございますので、私からはお答えを控えさせていただきます。

原田副大臣 お答えを申し上げます。

 県民投票の条例につきましては、十月二十六日の沖縄県の議会本会議で可決されておりまして、条例の規定により、公布から六カ月以内に県民投票が実施されることとなりました。

 現時点において、県民投票の具体的な時期を含め詳細がまだ明らかになっていないことや、地方自治体の条例に関することでございまして、防衛省としてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

福田(昭)委員 民主主義国家において大切なことは、やはり民意を大切にすることです。したがって、選挙結果や県民投票の結果を尊重する必要があると思います。

 私が旧今市市長時代、思川開発事業、大谷川取水に反対をして立候補したときに、国土交通省は、その選挙結果を見て、実は大谷川取水を中断する決断をいたしました。そのときの国土交通省は立派だと思いますよ、私は。選挙の結果を尊重した、ちゃんと。しかし、選挙の結果を尊重しないんじゃ、この国は民主主義国家とは言えません。

 安倍総理は外遊するたびに法の支配という言葉を使いますけれども、しかし、まさに言うこととやることが全く違っています。使ってはいけない行政不服審査を使って辺野古に飛行場建設をすることは法治国家としてやるべきことではないということを申し上げて、私の質問を終わります。

谷委員長 次に、道下大樹君。

道下委員 立憲民主党の道下大樹です。よろしくお願いいたします。

 まず一点目は、障害者雇用水増し問題について伺います。

 中央省庁における障害者雇用水増し問題は、障害者の方々そして当該団体の皆様のみならず、障害者雇用に努力をされてこられた民間企業も含めて、多くの方々が怒り心頭、非常に腹立たしく、そして、中央省庁のこれまでの取組に本当に失望したわけでございます。私も、障害者の方々との意見交換会で、今回の水増し問題、本当に許せないという強い怒りの声をあちこちで伺っております。

 そうした中で、国土交通省は残念ながら、国税庁に次いで二番目に水増しをした、六百二十九名を今年度は水増しをしたというわけで、非常に責任は重い、国土交通大臣と国土交通省の責任は重いというふうに思っております。

 その責任を、本来であれば石井国土交通大臣に、先日の十一月十四日の国土交通委員会の所信発言で何らかの説明や、また謝罪のようなものがあるかなというふうに思っていたんですけれども、よくよく聞いても、また発言原稿を見ても、それらについて何ら触れられたところはないというふうに思っておりますけれども、なぜ大臣は発言でその点について触れなかったのか。私は、これは触れるべきだった、謝罪すべきだったというふうに思いますが、石井大臣の見解を伺います。

石井国務大臣 国土交通省におきましては、相当数の障害者の不適切な計上がございまして、法定雇用率を達成していない状況が明らかとなりました。民間事業者に率先して障害者雇用に積極的に取り組むべきことが当然の責務であるにもかかわらず、このような事態が続いていたことはあってはならないことであり、深くおわびを申し上げます。

 一方で、十一月十四日の衆議院国土交通委員会におきましては、大規模災害からの復興等、防災・減災対策を始めとする国土交通行政の諸課題についての考え方を述べさせていただいたものでございます。

 障害者雇用につきましては、関係閣僚会議で決定をいたしました、公務部門における障害者雇用に関する基本方針に基づきまして、政府全体で取り組むべきものと考えております。

 国土交通省といたしましても、公務部門における障害者雇用に関する基本方針に基づきまして、再発防止はもとより、法定雇用率の速やかな達成と、障害のある方が活躍できる場の拡大に向け、全力で取り組んでまいりたいと存じます。

道下委員 今、おわびの言葉がありましたけれども、私はやはり、問題が発生してその後の初めての委員会で発言をしていただきたかったというふうに思いますし、そして、これは全省庁に関する問題でありまして、本来であれば、これは臨時国会召集日の総理大臣の所信表明のときに総理大臣みずからがおわびをすべきだったというふうに考えておりますので、こういった点は今の政権の非常に怠慢ではないかというふうに思っております。右倣えではなく、率先してこういった課題に、石井大臣には発言そして取組を進めていただきたいと思っております。

 ちょっと細かい話になるんですが、今回、六百二十九名の水増しが発覚したわけでありますが、民間企業に課している障害者雇用納付金制度を今回の水増し分に適用した場合、納付金額は幾らになると計算していますでしょうか。

石井国務大臣 御質問の件につきまして、障害者雇用納付金制度を所管をいたします厚生労働省に確認をいたしました。

 厚生労働省の返事でありますけれども、障害者雇用納付金については、その対象となる事業主が月単位で不足数を確認し、十二カ月分の合計により年度分の納付額を算定し申告することとなっている、国は障害者雇用納付金制度の対象となっておらず、月単位の不足数について把握する仕組みとはなっていないことから、厚生労働省として仮定のお話についてお答えすることは困難、こういう回答をいただいているところでございます。

道下委員 仮定の話ではなくて、試算ができると思います。六百二十九名です。先日のヒアリングでは、国交省としては試算をしたというふうに伺っています。幾らで試算したというふうに大臣は伺っていますか。

藤井政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど大臣からお答えを申し上げましたけれども、この制度を所管しております厚労省の方におきまして、この納付金制度につきましては、民間企業に対して設定されている制度だということでありますので、その制度と異なる国について、先ほど申し上げたように、不足数について把握する仕組みもないということも含めまして、そういった試算についてはできないということが制度所管官庁としての厚労省の見解であるということでございます。

道下委員 先ほどせっかく石井大臣からおわびの言葉があり、これから障害者雇用の積極的な推進を図るというふうに国交省としてはされるんだろうなというふうに思ったんですが、その反省の根拠となるような企業に課されたものが、今回、国交省で課した場合、幾らなのかということを試算はされていないんですか。

 私はされたと伺っております。それは、藤井官房長のところにも御連絡が行っていると思います。試算額は幾らですか。

藤井政府参考人 先ほどお答えしたとおり、制度所管官庁として、国にない制度についての仮定の計算はできないということでございます。

道下委員 先日のヒアリングで、国交省の担当の方から聞きました。同じような説明はされましたけれども、あくまで単純計算した場合、一人当たり一カ月分で五万円の納付金でありますので、六百二十九掛ける十二カ月の五万円ということで、約四億円弱という説明を私はいただきました。

 これ自身、私は、国交省の方から答弁をされるべきだというふうに思いました。私の言葉から申し上げるのは非常に残念だというふうに思っております。

 今回のような試算もありますけれども、先ほどの大臣の答弁もありました。これは全省庁として、もう絶対に水増しなんかはしてはならないし、さらには、民間事業者に対しても、積極的に障害者の雇用を推進していく旗振り役になるべきだというふうに思っておりますので、今回、これまでずっと水増ししていたということは、障害者の雇用の機会を奪ったという本当に断じて許されない行為でございますので、これらについて、先ほどの私が申し上げた試算額も含めて、今後、国交省は省庁の中で二番目に多い水増し人数だったわけでありますから、反省をしっかりとした上で、障害者雇用に取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 大きく二点目であります、外国人労働者受入れ拡大についてであります。

 やっとというか、先日、法務委員会の方で、今回の特定技能一号の、新たな在留資格による受入れ・人材不足の見込み数などというものが発表されました。その十四業種のうち国土交通省所管の業種は、建設業それから造船、舶用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業、この五つというふうに伺っております。この五業種の受入れ見込み数の積算根拠を伺いたいと思います。

野村政府参考人 まず、建設業について御説明をさせていただきます。

 建設業につきましては、新たな在留資格である特定技能一号により受け入れる対象は、大別して二つのルート、すなわち、一つ目は、受入れ分野で適切に働くために必要な技能あるいは日本語能力水準を試験などにより確認された者、二つ目は、技能実習二号を修了した者と考えております。

 そして、業界の実態などを踏まえれば、新制度開始当初は、技能実習からの受入れが大宗を占めると考えております。そこで、現在の技能実習制度での受入れ数などを根拠といたしまして、制度開始初年度は五千人から六千人程度の受入れとなると推計しております。

 一方、高齢の熟練労働者の離職やあるいは働き方改革の進展を踏まえますと、制度開始五年後、二〇二三年には二十一万人の労働力が不足するものと見通しております。

 このうち、国内人材の確保、そして生産性の向上、これらの取組を行ってもなお不足する数が外国人の受入れ数となると考えており、その数を三から四万人と推計しているところでございます。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 自動車整備業では、技能実習生からの移行と、試験による受入れを想定をいたしております。

 まず、技能実習修了者につきましては、業界の実態を踏まえまして、技能実習二号修了者及び同三号修了者の一定割合が特定技能一号へ移行すると見込んでおります。

 試験につきましては、必要となる外国人材の規模でありますとか自動車整備工場の受入れ体制も踏まえながら、段階的に規模を拡充することを想定いたしております。

 これらによりまして、初年度は三百人から八百人程度、五年後までに六千人から七千人程度の受入れを見込んでおるところでございます。

水嶋政府参考人 続きまして、造船、舶用工業に関しましてお答え申し上げます。

 造船、舶用工業における新たな在留資格による受入れ見込み数でございますが、制度導入初年度に千三百人から千七百人、五年後に一万人から一万三千人と見込んでいるところでございます。

 これらの数値でございますが、外国人技能実習二号の修了者及び外国人造船就労者受入事業、いわゆる特定活動の修了者の一定割合が特定技能一号へ移行するとして見込んだ人数と、新たに実施する試験の合格者の想定数との合計で推計したものでございます。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 航空業につきましては、現在の技能実習の運用状況や受入れに関する業界の声を踏まえまして、新たな在留資格、特定技能一号につきましての制度開始初年度の受入れ数は百人程度というふうに見込んでおります。

 一方で、訪日外国人旅行者数の政府目標の達成に向けた国際線旅客の増加などから、五年後の人手不足数は約八千人と推計しております。

 このうち、国内人材確保や生産性向上の取組を行ってもなお不足する労働力として、今後五年間で千七百人から二千二百人程度の受入れを見込んでいるところでございます。

田端政府参考人 宿泊業につきましては、制度開始初年度は、業界団体からのヒアリング等を踏まえ、九百五十人から一千五十人の受入れを想定しております。

 また、今後の訪日外国人旅行者の増加に伴う宿泊者数の増大等によりまして、五年後、二〇二三年には十万人程度の労働力が不足すると見通しています。

 このうち、国内人材の確保や生産性向上の取組を行ってもなお不足する人数が外国人の受入れ数となると考えておりまして、二万人から二万二千人と推計をしております。

道下委員 今、それぞれから御説明いただきましたけれども、これは、業界団体などから聞いたところもあれば、実は聞いていないところもあると。想像、推計というところがあるということであります。これは、それぞれのところから、どれだけの人材が必要か、足りないかということを具体的に聞いて積み重ねた、積み上げた方式ではないということであります。そういう意味であれば、この見込み数の積算根拠は非常に不確かであると私は思わざるを得ません。

 そういった意味で、これは余りにも急に、これだけ必要だと。私は、過大な見込み数を積み上げているのではないかというふうに疑わざるを得ないというわけでありまして、全くもって、積算根拠というように言えるとは思っていません。

 そうした意味で、本来であれば、本当にどれだけ人手不足なのかということは、国会においては十分な時間を要して審議をすべきでありますし、さらには、それぞれの業界団体、そのトップレベルだけではなくて現場の声、そして個々の企業、さらには、今、外国人技能実習生が特定技能一号に移行するというふうな、何割が移行するという、その想定に基づいてありますけれども、技能実習生の方々にそうしたアンケート調査はしていないと聞いておりますので、そうしたこともしっかりとした上で、どれだけの方が移行するのか、どれだけの方が新しくこの試験を受けるのか、しっかりと計算した上でこのような見込み数は出すべきだというふうに強く指摘をさせていただきます。

 このままでは、外国人労働者の受入れ拡大、このまま拙速な形で進めるべきではないというふうに思います。

 次に、三番目に移ります。

 七月豪雨時のダムの緊急放流についてでありますが、七月豪雨災害、それから大阪北部地震、台風二十一号、そして、私の地元北海道における胆振東部地震において犠牲となられた方々に深い哀悼の意を表しますとともに、被災者の方々に心よりお見舞いを申し上げたいというふうに存じます。

 その中で、四国・愛媛において、肱川のところで河川が氾濫をして、そして、私の知る限りには九名の方が犠牲となられたということでありますが、この肱川のところの上流にあります西予市の野村ダム、そして、そのちょっと下流の大洲市の鹿野川ダム、ここで、今回の豪雨時には、異常洪水時防災操作、緊急放流が行われたわけであります。

 時系列でちょっと見ていくと、例えば、緊急放流するという連絡があってから、実際に緊急避難の連絡が住民に行き渡ったのは、野村ダムの所長さんから市長さんに行って、そして緊急放流された時間帯は一時間十分であります。また、鹿野川ダムの方で緊急放流をするということで、それを受けて地元の大洲市の市長さんが市内全域に避難指示を出したのが七時三十分ということで、これは実は、避難指示してから、もうその五分後に緊急放流しているんですね。

 これはもちろん、ダムからその地域まで流れが達する流達というのがタイムラグがあるのは存じておりますけれども、しかしながら、緊急放流をするダム側として、これについて、いつまでに流れるからいつまでに避難してくださいというその切迫感や、何時までに避難してください、そういう具体的な指示があれば、もっと被害は食いとめられたのではないかなというふうに思っております。

 そうした意味で、今後の緊急放流実施と、そして住民に対する避難の伝達、そこまでのシステムの問題、それから、事前に豪雨が来るということを察知した上での事前放流、もっと早目にできなかったのかという課題もありますけれども、今回の野村ダムそれから鹿野川ダムにおけるこうした異常洪水時防災操作、これを実施したことによってどのような課題が浮き彫りになったのか伺いたいというふうに思っております。

塚原政府参考人 お答えいたします。

 野村ダム及び鹿野川ダムにおきましては、今回、異常洪水時防災操作に移行するに当たりまして、あらかじめ関係機関との合意の上で作成をいたしました操作規則に基づきまして、関係機関への通知、サイレン等による放流の周知、また、数回にわたり市長等へのホットラインによる情報提供などを行いまして、西予市及び大洲市において避難指示を発令したもの、このように認識をしております。

 今回の豪雨を踏まえまして、今、四国地方整備局におきまして、より有効な情報提供や住民周知のあり方などにつきまして検証等の場を設置しておりまして、検討を進めているところでございます。この結果を踏まえまして、改善すべき点があれば速やかに改善してまいります。

道下委員 今回の事象を十分に参考にした上で、また、今検討作業が行われているということでありますので、これらの検討作業ができる限り早く最終的な報告書が出されて、そして全国のダムに行き渡って、今後、今回のような豪雨災害が今頻発しておりますけれども、こういうダムの限界を超える洪水による河川の氾濫、また犠牲者の発生、これは絶対に二度と繰り返してはならないというふうに思いますので、ぜひ今後しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 次に、四番目なんですけれども、北海道胆振東部地震と観光復興について伺います。

 御承知のとおり、九月六日に地震が発生して、地震による被害もさることながら、全道でブラックアウトが発生しました。この影響が非常に大きいわけであります。

 そうした中で、今現在、北海道庁が九月三十日時点で、これ以降新しい調査はしていないんですけれども、北海道内における観光消費影響額推計は三百五十六億円という計算が出ております。前年同月比、九月の時点では二割減のキャンセルということでありますので、もっと実態は厳しい状況だというふうに思います。

 そういった中で、国は予備費を活用して、元気です北海道キャンペーンの中で北海道ふっこう割という事業を進めています。この北海道ふっこう割というのは、観光庁が八十一億円、そして北海道から二億円の補助金を北海道観光振興機構に交付をして、そこから、旅行業者がつくる旅行パッケージに割引価格の差額を支援するということになっております。

 交付されている額は全体で八十億円ということでありますけれども、観光庁に伺いますが、今のところの販売実績等について伺いたいと思います。

田端政府参考人 お答えいたします。

 観光庁としましては、九月六日に発生しました平成三十年北海道胆振東部地震に伴う北海道観光への支援といたしまして、先生御指摘の北海道ふっこう割や各種割引運賃など、官民を挙げて、元気です北海道、ウエルカム北海道ジャパンキャンペーンを九月二十八日から展開をするということと、JNTO、日本政府観光局によるSNSによります観光地の情報発信などを実施をしています。

 北海道ふっこう割につきましては、十一月十三日現在、北海道観光振興機構から旅行業者等に対しまして四十億八千万円が交付決定されています。また、各事業者によります販売実績の合計でありますが、約二十五億円でありまして、国費により割引支援に充当される補助金の約三二%分となっております。

道下委員 ありがとうございます。

 北海道ふっこう割が実施されたことによって、九月から比べると道内の宿泊の落ち込みは縮小したという、日本旅館協会北海道支部連合会が十一月十二日に発表したところによると、九月には三割近く落ち込んだわけでありますけれども、ふっこう割によって落ち込み幅は縮小したということで、ふっこう割の効果はやはりあるということでありますが、一方で、このふっこう割に関して、大きなホテルなどはふっこう割の効果はあるんですけれども、民宿やペンションなど小規模な宿泊施設、そして零細業者にはふっこう割の効果が少ないというふうな意見が多かったり、また、札幌など都市部に効果が集中していて地方に少ない、そういう意見が多く集まってきております。

 こうした課題についての認識と、この解消に向けた検討というか取組について、何かありましたら伺いたいと思います。

田端政府参考人 まず、北海道ふっこう割の効果が小規模宿泊施設、零細業者に少ないという御指摘についてでございますが、ふっこう割の商品を販売いたします旅行会社や、オンライン・トラベル・エージェント、OTAの各社は、大規模なホテル、旅館からペンションに至るまで、相当数の施設との契約があります。小規模宿泊施設においても一定数の販売、取扱いが可能となっているものの、旅行会社やOTA各社との契約がない施設もあると認識をしています。

 現在、その対策といたしまして、北海道観光振興機構から、北海道内の観光協会又は宿泊施設の組合に対しまして、旅行会社やOTA各社との契約がない宿泊施設の窓口となり、ふっこう割の申請を行うよう働きかけている状況と聞いています。

 また、効果が都市部に集中して地方に少ないという御指摘についてでございますが、道央圏におけるふっこう割の利用率、現時点で六四・二%となっています。昨年度の道央圏におけます宿泊者の延べ数の割合は五七・七%でありますので、若干ここは高くなっているということであります。

 北海道ふっこう割では、広域に北海道各地を周遊することを促進するために、二市町村以上の宿泊を伴う周遊型旅行商品に高い割引率を設定をしているところであります。

 今般、北海道観光振興機構によります十一月十五日からの二次募集においては、この周遊型旅行商品については、道央については一泊に限るという交付要件にすることといたしまして、北海道内の他のエリアを訪れていただく、地方部への旅行を促進をするというふうにしているところであります。

 観光庁といたしましても、御指摘の小規模零細事業者や地方部を含めまして、北海道におけます旅行需要がバランスよく喚起されますよう、北海道観光振興機構や北海道庁と連携をして努力してまいりたいと考えております。

道下委員 今私が申し上げたような小規模の宿泊施設や零細業者、また地方にふっこう割の効果が行き渡るようにぜひ進めていただきたいと思いますが、このふっこう割は、実は二月二十八日宿泊分までしか適用されないわけであります。今、十一月中旬。これから二月下旬までは、本当に短い期間であります。

 私は、少なくとも、これは、会計年度というものがあるのかもしれませんから、その中で、二月二十八日までを三月末までにまず広げるということと、それに伴って追加的な財政措置を求めたいと思います。さらには、これを、年度をまたいでゴールデンウイークまでまた延ばすということで、この地震による観光への影響を、少しでも多く復旧復興、前年度に戻していくために、期間の延長ということも求めたいと思います。

 同じような意見は、先日、総務委員会で、我が会派の同僚議員の高井議員がこの点について質問しましたし、他の委員会では、公明党の若松謙維議員もこの点について要望をされました。私からも、ぜひ、この追加財政措置、そして期間の延長を求めたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

谷委員長 観光庁長官、申合せの時間が過ぎておりますので、答弁は簡潔に願います。

田端政府参考人 観光庁といたしましては、まずは、残りのふっこう割を活用しながらキャンペーンをしっかりと展開をし、官民挙げて北海道の旅行振興策を着実に実施することが、早期の風評被害の払拭に向けて重要と考えておりますが、今後の宿泊動向等も注視しつつ、状況に応じて必要な対応を検討してまいります。

道下委員 どうもありがとうございました。よろしくお願いします。

 ちょっと時間の関係で、鉄道、JR北海道問題、また次回にします。どうも済みません。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

谷委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、追加の政府参考人として総務省自治行政局選挙部長大泉淳一君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 次に、津村啓介君。

津村委員 工藤政務官の政治資金問題について、冒頭伺わせていただきます。

 先月、政務官の政治資金につきまして、それぞれ独立した三つの報道がなされたと承知をしておりますが、大臣、この報道については御存じでしょうか。

石井国務大臣 委員御指摘の報道については承知をしております。

津村委員 御所感を伺いたいと思います。

石井国務大臣 それぞれ、工藤政務官、コメントの発表あるいは説明等なされていると思いますので、今後も必要に応じてしっかり説明責任を果たされるものと考えております。

津村委員 それでは、工藤政務官御本人に伺わせていただきます。

 まず一つ目ですけれども、会費制の集会を開かれた、五年間で五回ですかね、何度も開かれているんですけれども、その収支を政治資金収支報告書に記載しなかったという報道でございますが、事実関係を御自身のお言葉で説明してください。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 一部マスコミより、二〇一三年から二〇一五年に開いた集会の収支が政治資金収支報告書に記載されていないのではないかとの問合せがありました。

 当時収支報告書の作成を担当していた元秘書に確認したところ、元秘書は、政治資金法の解釈を誤解し、これらの集会については、参加者から実費をいただき、それで支払いをする、いわゆる収支均衡の事業であったため、収支報告書に記載する必要がないと判断していたことが判明しました。

 このため、私といたしましては、収支報告書の訂正手続を進めるとともに、報道があった日にコメントを発表し、これまでの経緯や対応等を明らかにしてきたところです。

 今後、二度とこのような同じようなミスが起こらないよう、事務所職員に政治資金法の研修を行うなどして注意を徹底させていきたいと考えております。

津村委員 委員の皆様に何枚かプリントをお配りしております。その一枚目が工藤先生の政治資金団体彰友会の収支報告書、これは平成二十七年分でございます。二ページ目がその収支の状況でありまして、こちらは本年九月五日に訂正されるまでは収入がゼロ、支出もゼロということでございました。記者さんからの照会の後ということでございますが、収入として百九十万円、支出として百六十二万円、差引き二十七万円の利益が出たということで訂正をされたということであります。

 当時の報道で、これは政治資金団体の方ですけれども、もう一つ、自民党愛知県第四選挙区支部についても収支を確認して修正をするということを述べられているんですけれども、修正はされたんでしょうか。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 二〇一五年の集会では約二十七万円の余剰金が出ているという報道がありましたが、このことですが、御指摘の集会は、参加者から実費をいただき、それで支払いをする収支均衡の会合としていることを前提として開催したものです。

 当初から収益を予定した集会でないため、政治資金規正法第八条の二の規定による政治資金パーティーではありませんし、現在、収支を修正することを事務所に伝えております。

津村委員 もう一カ月以上たっているんですけれども、自民党の支部の収支報告書についてはまだ訂正を終えていないということでよろしいですか。

谷委員長 工藤政務官、挙手を願えますか。いや、今回は結構です。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 まだできておりません。

津村委員 先ほど、私が問うていない政治資金パーティーか否かということについても御説明いただきましたけれども、二十七万一千九百七十二円の利益が出ていますので、収支とんとんの事業だったというのはもう事実として間違っていますけれども、この二十七万一千九百七十二円という決して小さくはないお金ですが、収支報告書に載せていない間はどういう扱いをしていたんですか。

 答えられないなら速記をとめてください。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 当日の出欠の状況により誤差が生じたと聞いております。そして、今そのことをしっかり事務所で精査している途中でございます。

津村委員 私が伺ったのは、その二十七万円をどこに置いていたのか、そして、それが会計上どういう扱いであったのかということです。

 もう報道から一カ月以上たっていますし、収支報告書を訂正されてから二カ月半たっていますけれども、まだ精査をされているんでしょうか。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 まだ精査の途中でございます。

津村委員 この収支の不記載というのは、政治資金パーティーであるにもかかわらず、それを一事業として今回訂正して記載をされています。その結果、政治資金パーティーであれば、私たちが皆義務として負わなければいけない、例えば、誰が幾ら買ったかであるとか、あるいは、案内にきちんとこれは政治資金パーティーですよということを記載しなければいけないとか、政治資金規正法上、政治資金パーティーについては幾つかの取決めがあるわけですけれども、その義務が全て該当されない、つまり、誰に買っていただいたか、しかも、制限の金額を超えているかどうか、そうしたチェックが働かない形になるわけです。

 そういう意味では、政治資金の透明性を高めるための政治資金規正法の趣旨に反すると思うんですけれども、政務官はどうお考えですか。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 御指摘の集会は、当日参加者から実費をいただき、それで支払いをする収支均衡の会合であり、政治活動に関し支出を目的で開催されるいわゆる政治資金パーティーではないと考えております。

津村委員 政治資金パーティーか否かによって、パーティー券購入者の公開基準、支払い者に関する告知義務、匿名等による対価の支払いの禁止、量的制限、こういったことが変わってくるわけであります。

 報道によれば、名古屋市中心部のホテル、ヒルトン名古屋というところで、二〇一五年八月二十一日、岩屋先生の記念講演の後、麻生財務大臣も激励に駆けつけられて、会費二万円で百人が参加、これに参加された医療法人偕行会グループの方のメールには、パー券につきまして、十六席確保できましたと工藤さんの秘書さんに送られた、こういう報道もございます。

 これは政治資金パーティーじゃないとおっしゃるわけですか。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 今の御指摘のパーティーは、政治資金法のパーティーでないと考えております。

津村委員 今、御指摘のパーティーとおっしゃったんですけれども、これだけのお金を扱って、しかも収入が出ているものは、当初の政務官の認識はそうだったかもしれませんが、事後的、客観的に見て、今御自身がパーティーとおっしゃったとおり、政治資金パーティーだと思いますけれども、違いますか。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 当時のことは、パーティーとは私は考えておりませんでした。身内の集まりで、当日会費をいただいて、利益を上げる、収益を上げるための会ではないと考えておりました。

津村委員 当日会費をいただいてということを強調されますけれども、事前には会費を一切いただいていなかったということですか。

工藤大臣政務官 お答えいたします。

 振り込みやパーティー券というものがございません。そして、当日に会費をいただいて、参加者からいただいて会を催したと考えております。

津村委員 パー券につきまして、十六席確保できました、パー券というふうに書いているんですけれども、これは報道が間違っているということですか。

工藤大臣政務官 お答えいたします。

 当日のパーティー券というものは存在しておりません。

津村委員 皆さんも政治家でいらっしゃいますからいろいろお感じになると思うんですけれども、これが政治資金パーティーに当たらなければ何が政治資金パーティーに当たるんでしょうか。

 工藤さん、今の、工藤さんの会が政治資金パーティーでないとすれば、どういったものが政治資金パーティーになるんですか。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 今御指摘の会でありますが、あくまで、当日、収支均衡の会と考えておりますし、私は、政治資金法第八条二項のパーティーというものは、あくまで、支援をして、政治活動を深めていくために、支援していただくために、ある程度の枚数を、支援していただきたい、そういうものが政治資金パーティーと私は考えておりました。

津村委員 でも、利益が出ているじゃないですか。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 当日の参加者人数が若干変わりましたので、そのときの飲食等の誤差が生じたと考えております。

津村委員 今、政治資金パーティーかどうかというところにちょっと焦点を当てたんですが、仮にこれが政治資金パーティーでなかったとしても、ただの収支とんとんの事業だったとしても、事業収入と事業支出は収支報告書に記載する義務がございます。この記載すべき事項の不記載及び虚偽記載ということであれば、その行為者には罰則の適用がございます。

 また、工藤政務官は、この監督不行き届きは御自分の責任だということを、潔くというか、立派なコメントだと思いますけれども、政治団体の会計責任者の選任及び監督に相当の注意を怠った場合には、監督に相当の注意を怠った場合にはですよ、政治団体の代表者にも罰則の適用があるんです。これは禁錮又は罰金、こういうことなんですけれども、御自分の責任ということであれば、どう責任をとられるんでしょうか。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 津村委員御指摘のとおりでありまして、この任命責任、監督、これはいかなることがあれ政治家の私に責任があるわけでありまして、秘書が間違いを起こした、ミスを起こしたといっても、やはり最終的なチェックができていなかった私に責任があると痛感しております。

津村委員 ということであれば、工藤政務官は政治資金規正法に違反をされていたということですか。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 そのようには考えておりませんでした。

津村委員 私は先ほど、政治資金規正法の内容を皆さんに御説明して、工藤政務官にもお伝えして、それに当たるという話をさせていただきました。工藤政務官はその責任を御自身でお認めになりました。なぜ違反でないんでしょうか。もう少し論理的に答えてください。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 政治資金法に対して、自分の読み込み、解釈が非常に曖昧で甘かったと、御指摘を受けたとおりでございまして、自分の非才を痛感しております。

 この場を、委員の皆様始めに、私はおわび申し上げたいと思います。

津村委員 総務省の大泉選挙部長に伺いたいんですけれども、二つ三つあります。

 一つは、今、事実関係、政務官がお述べになったとおり、二十七万円の利益が出ているパーティーであります。これは政治資金パーティーに当たるのか当たらないのかということを一つ伺いたいと思います。

 そしてもう一つは、自民党の支部についてはまだ訂正がなされていないということであります。つまり、収支報告について不記載の状態が今も続いているんですけれども、これは政治資金規正法の違反状態である、この後訂正されればそれは解消されるのかもしれませんが、現時点で政治資金規正法に違反しているということでよろしいのかどうか。この二つ、伺いたいと思います。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 まず一点目、政治資金パーティーか否かということでございますけれども、政治資金規正法八条の二に規定がございまして、政治資金パーティーとは、対価を徴収して行われる催物で、当該催物の対価に係る収入の金額から当該催物に要する経費の金額を差し引いた残額を当該催物を開催した者又はその他の者の政治活動に関し支出することとされているものをいうというふうな定義がございますので、今申しましたとおり、収入から経費の額を差し引いたものを政治活動に関し支出することとされているというのに当たるかどうかが基準になります。

 それは、具体的な当てはめは、私ども、実質的調査権がございませんので、個別の政治団体の活動についてはコメントは差し控えさせていただきたいと存じます。

 また、政治資金規正法の十二条におきましては、政治団体の会計責任者は収支報告書を提出しなきゃいけないということになっておりますが、全ての収入について、その総額及び総務省令で定める項目別の金額などについて記載しなきゃいけないということとなっております。

 また、現在の状態につきましては、私ども、実質的調査権がございませんので、何とも申し上げようがございません。

 以上でございます。

津村委員 二十七万円の利益が出ていて、それを今回、九月の五日に政治資金の収支報告書に載せられたんですよ。二十七万円載っているのを、もしこれは未来永劫政治資金に使わないということだったら別ですけれども、政治資金団体のところに載せているわけですから、この残額を政治資金として使うわけですよね。だったら、もう一〇〇%これは政治資金パーティーじゃないですか。工藤さん、いかがですか。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 その時点で、今御指摘のパーティー、会合は、収支が均衡の会合と考えておりまして、政治資金法のパーティーとは考えておりませんでしたし、二十七万円については、使途をしっかり、どのようであったのか、今事務所で精査している途中でございます。

津村委員 選挙部長に伺うんですけれども、今もまだ不記載ですし、さらに、五年間ずっと不記載だったものが訂正で済まされるということであれば、これまで小沢さんの事案とか小渕さんの事案とか、政治資金規正法にのっとった正確な記載がなされていないということで裁判になったケースもあります。

 選挙部長、これは訂正すれば済むんですか。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 政治資金規正法上の収支報告書の訂正でございますけれども、法律上には訂正について特段の定めは明記されておりませんが、収支報告書の内容は事実に基づき記載されるべきものと考えておりますことから、政治団体の会計責任者において事実に基づき訂正の申出があった場合は、これは訂正を認める取扱いとしておるところでございます。

 また、実際にどうだったかということは、行為時の行為がどのように法的に評価されるかということでございますが、訂正したとしても、それは、行為時に行われた行為につきましては、そのときに判断されるということと承知しております。

津村委員 石井大臣、今の政務官の御説明で、先ほど石井大臣がおっしゃった説明責任は果たされたと思われますか。

石井国務大臣 津村委員の鋭い追及になかなか的確にお答えができていない部分もあったかと思いますけれども、御本人はしっかりと説明するように努力をされていると思いますし、今後も必要に応じてしっかりと説明をしていただきたいと思っております。

津村委員 政治資金パーティーではないと思いますか、大臣。

石井国務大臣 私、政治資金規正法の担当ではございませんので、コメントは控えます。

津村委員 二つ目の問題に移らせていただきます。

 こちらも報道によればですけれども、二〇一四年の衆議院選挙におきまして、医療法人偕行会の理事長さんが、この方は工藤政務官の後援会長さんだそうですけれども、偕行会の業務の一環として、選挙運動に三十人以上の勤務中の職員を派遣された、残業代も出たということが報じられていますけれども、これは事実でしょうか、政務官。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 二〇一四年の選挙に当たって、多くのボランティアの方々にお手伝いいただいております。報道されている医療法人関係者の方々がお手伝いのボランティアの中にいたことがあることは承知はしておりますが、報道にあるような、組織で対応されたかどうか、私は知る立場ではありませんでした。

 いずれにいたしましても、選挙運動についてはボランティアでお願いしており、公職選挙上問題もないと考えて選挙戦を戦ったと考えております。

津村委員 いや、ボランティアじゃないから問題なんです。そこを確認されていないんですか。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 選挙戦はボランティアの方で運動していただいたと私は考えておりまして、その偕行会の法人がどのようなことをしたかということは、私は全く聞き及んでおりません。

津村委員 これは報酬が支払われていたら公選法上の運動員買収に当たるんですね。そして、それを指示された方が後援会長さん。後援会長さんというのは組織的選挙運動管理者にこれまでの事例で何度も該当しているわけです。そうすると、連座制の適用になってしまって、一歩間違うとこれは政務官の身分にかかわることなんですよ。

 そのことについて、一カ月前に報道があったわけですけれども、みずからの潔白を示すためにきちんとした調査をされていないですか。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 お手伝いいただいたボランティアの皆様が有給休暇を取得したのかどうか、時間外手当などが支払われたのかどうかは事務所で全く把握しておりませんし、それで、今御指摘の、調査はしたのかということでございますが、当時の担当者、私の事務所も、偕行会の方々の、その選挙戦に顔を出された方は現在おみえになりませんので、私は知る余地がございません。申しわけございません。

津村委員 これは候補者が知らなくても連座制適用になるんですよ。だから、事実としてそういうことがあったかどうかで白か黒かが決着ついてしまうので、当然お調べになった方がいいと思いますし、これは告発されたら、報道は既にされていて、一定の事実確認をされた上で報道されている方々がいるわけですから、非常に政務官にとっては危ない案件だと思うんですけれども、なぜ一カ月お調べになっていないんですか。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 当時のことを調べようにも調べられない、電話での問合せはしたことはございますが、後は先方からも回答がございません。

津村委員 これは偕行会さんの名誉にかかわることだと思うんですけれども、理事長さんがかわられたとか職員の方がみんな総入れかえになったとかいうのであれば別ですが、理事長さんはかわられていないわけですよね。

 さらには、これだけ大きな組織ですから、当然、出勤の勤怠簿はあると思うんですよ。それを確認したらすぐにわかることだと思うんですけれども、その御確認はお願いされていないんですか。後援会長さんですよ。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 後援会長であると同時に、医療法人の会長でもございます。そして、私が医療法人の中で行われたことを問い合わせてとやかく尋ねることではないなというふうに考えておりました。

津村委員 さらにもう一つございます。

 今、電話で聞いただけだ、ほとんどコミュニケーションをとっていないということをいみじくもおっしゃったんですけれども、政務官は、その偕行会さんから毎月三十万円、顧問料を受け取られているわけです。

 勤務実態がないという報道に対して、いや、勤務実態はあって、さまざまなアドバイスを後援会長さん、医療法人さんにされているとおっしゃったのと、先ほどの御答弁、ちょっと矛盾すると思うんですが、いかがですか。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 先ほどのボランティアの話と、人の出入りという話のことについては、当時の誰がどのように行ったか、私は本当に存じ上げておりません。

 また、顧問の話が今御指摘がございましたが、私は、平成二十五年に医療法人偕行会と顧問契約を締結し、現在の国土交通大臣政務官に就任するまでの間、顧問として、医療法人のさまざまな問合せに対し、みずからの知見、経験でアドバイスを行ってきました。

 そして、受け取った顧問料は個人所得として確定申告し、所得税を納めるとともに、国会議員として、政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律に基づき、所得等報告書に記載した上で、衆議院議長宛てに適正に報告しております。

津村委員 問題は、勤務実態があったかどうかなんですよ。それがなければこれはただの寄附でして、政治資金規正法にのっとってきちんとこれは収支報告を、資産としてではなくて、政治資金としてきちんと報告しなければいけないわけですけれども、その勤務実態がなかったということを偕行会の元幹部の方がインタビューでお答えになって、それが報じられているわけです。

 もう一度申し上げますけれども、さっきの連座制の件も、政務官が知っていたかどうかじゃなくて、事実としてそういうことがあったかないかが問題なんです。

 毎月三十万円もの顧問料をいただかれるようなアドバイスをされて、その勤務実態があったとおっしゃっていることと、運動員買収に当たるような、報酬の払われた選挙応援はあったかなかったかがわからない、電話で一度聞いただけだというのは矛盾する答弁だと思うんですけれども、いかがですか。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 顧問として勤務実態がなかったわけではございません。いろいろな面でアドバイスが欲しいと言ったり、私からも、偕行会の方には、地元に戻ったときにちょくちょく顔を出し、月に、定時ではありませんが、何日かは偕行会に出向いており、そのときにお話を、アドバイスをしたことは過去に何回もございました。

津村委員 例えばどんなアドバイスをされたのかというのが一つと、先ほど、電話でしかコミュニケーションをとっていないとおっしゃったのに、今、月に何度も訪ねたとおっしゃっていますけれども、何度も訪ねたなら、何で運動員買収じゃなかったということの確認をされなかったのか、教えてください。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 何度か顔は出しております。それはアドバイス、顧問としての立場で、例えば、脆弱な地域であり、海抜ゼロメーター地帯でありますので、地震、津波対策のアドバイスをしたり、そういうことをしてきましたし、職員の皆さんの、生活に対して不安な部分があると言われたら、その相談に乗った、そういうのが顧問としてのアドバイスだと考えております。

 そしてまた、選挙のお尋ねがありましたが、そのことは全く私は、事実、選挙中のことは、来ているな、ボランティアの方が手伝っていただいて、頑張っていただいているなというのはわかりますが、その先のことまで、細かなことまでは実際わかりませんでしたので、尋ねてはおりません。

津村委員 ゼロメートル地帯の津波対策とか、あるいは従業員の方々の暮らしについての御相談というのは普通の政治家の仕事じゃないですか。それは私たち特にお金をもらわずにやっていますし、逆に、一般の有権者の方からお金をもらったら、それはカンパであって、寄附であって、それは載せているじゃないですか。それを顧問料という名目で、事実上、政治資金報告書に載せないというのは、やはり非常に政治家としては不誠実な対応だと思うんですけれども、いかがですか。医療法人の経営じゃないですよね。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 何度も申し上げますが、受け取った顧問料は個人所得として確定申告し、所得税を納めるとともに、国会議員として、政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律に基づき、所得等報告書に記載した上で、衆議院議長に適切に報告していると考えております。

津村委員 例えば、ある町内会から津波対策について相談を受けて何らかのアドバイスをしたとします。その町内会の方々から個人献金をいただいたとして、それは、いや、ただの顧問料だったということで載せなくていいんですかね。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 私から顧問料のことでどうのこうの、偕行会自体が私を顧問として報酬を出されたということでありますので、私としては、先ほど申し上げましたとおり、個人所得としてしっかりと所得税を納めて、政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開に関する法律に基づき、所得等報告書に記載した上で、衆議院議長に適切に報告していると考えております。

津村委員 この一連の問題について、政務官は、最初の報道、政治資金パーティーの報道があった直後にぶら下がりに応じられて以降は記者会見等を開かれていないということですけれども、それは説明責任を果たされたことにならないと思いますが、いかがですか。記者会見はされないんですか。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 今のところ、考えておりません。

津村委員 大臣が先ほど、説明責任は御本人が果たされるべきというふうにおっしゃいましたし、菅官房長官も同様のことを御発言になっていると認識しております。きょうは私が質問しているから政務官として御答弁になっているだけで、みずから進んで説明責任を果たされようという姿勢がうかがわれないんですけれども、いかがですか。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 先ほど委員御指摘の、まだ収支報告書の修正ができていないじゃないかという問いがありまして、そのようなものが全て決裁が済んだ時点で、私はそのときしっかりとした説明責任をしようと考えております。

津村委員 随分訂正に時間がかかっているようですけれども、いつまでに訂正されるんでしょうか。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 期日を何日というふうには、まだこの場で申し上げることはできかねますが、最低でも年内、そして、できましたら、相手のあることなんですが、元の秘書の方と早急に、もう一度事務所に来ていただいたりして記憶を呼び戻していただいて、もう一度修正申告をせなきゃいけないと思うんですが、そのことをきちっとしなければ、今度、今いる私どもの事務所、そして私たちが虚偽記載になってしまうおそれがありますので、もうしばらく時間をいただきたいと思います。

津村委員 政務官への質問はこれで終わりにしますけれども、こういった御身分にかかわる非常に深刻な懸案を抱えての政務官のお仕事というのは大変御苦労が多いと思うんですけれども、先ほどの説明責任がきちんと果たされているかということと含めて、石井大臣の御見解を伺いたいと思います。

石井国務大臣 政務官御自身がおっしゃったように、今後も、必要に応じ、しっかり説明をしていただきたいというふうに思ってございます。

 工藤政務官には、引き続き国土交通行政に邁進をしていただきたいと思っております。

津村委員 それでは、大臣に、西日本豪雨のことについて伺いたいというふうに思います。

 幾つか通告をさせていただいておりますけれども、まず一つは、非常災害時に、道路法六十八条では、道路の災害復旧のために必要に迫られた場合には、近くの土地を使ったり、近所の方のお力をかりたり、そういうことができるという規定があるんですが、鉄道にはそういう規定がございません。

 その結果、ことし広島で起きた土砂災害において、鉄道事業者の方が、JR西日本ですけれども、一日も早く鉄道を復旧させようということで作業をしようとしたわけですが、重機を使わないでくれという近隣住民の方の要望によって、重機を使えばよほど早くできた復旧作業を、みんなで手作業で行わなければいけないという事例がございました。

 この道路法と鉄道の扱い、どちらも公共的なものだと思うので、鉄道についてもそういう規定を設けるべきかと思いますが、大臣、いかがですか。

石井国務大臣 御指摘のとおり、道路法では、道路管理者が、道路に関する非常災害のためにやむを得ない必要がある場合には、災害の現場において、必要な土地を一時使用し、又は土石、竹木その他の物件を使用し、収用し、若しくは処分することができるとされております。

 本年七月の豪雨災害では、鉄道におきましても、鉄道事業者が管理をしていない隣接斜面から土砂が流入する災害が発生をしており、鉄道事業者は、必要に応じて、隣接斜面の所有者と協議の上、流入土砂の撤去等を行っているところであります。

 このような状況を受けまして、被害を受けた鉄道事業者からは、道路法に規定されているような、土地の一時的な使用などが可能な制度が求められているところでございます。

 これを受けまして、現在、鉄道局におきまして、道路法の規定などを参考にいたしまして、民間事業である鉄道においてどのような対応が可能か検討しているところでございます。

 今回の七月豪雨等で被災した鉄道につきましては、道路や河川などの関連事業と連携して早期復旧を図る取組などを実施をいたしましたが、国土交通省といたしましては、引き続き、被災した鉄道が早期に円滑に復旧されるよう、必要な措置を講じてまいりたいと考えています。

津村委員 皆さんにお配りいたしましたプリントの四ページ目になりますけれども、今回は幹線鉄道であります山陽本線も長い間不通になってしまったために、バスの代行が、ごらんのとおり、大変混雑をきわめたわけですし、新幹線による代行輸送ということも行われました。

 国交省として、この代行バスの台数、新幹線の臨時便の本数等を把握されているかどうか、そして、事前通告の質問を二つあわさせていただきますけれども、このバスの代行は、今、車両や運転手の確保、運行経費を鉄道事業者が負担しているわけですけれども、今回は非常に大きな負担になったものと思います。新幹線も使ったということでございます。

 地域住民の移動手段を確保するという公益性を考えましたら、こうしたバス代行については、国や沿線自治体等が一定の支援を連携、共同のもと進めるべきだと思いますけれども、大臣、いかがですか。

石井国務大臣 平成三十年七月豪雨の被害によりまして、最も多くの路線が運休いたしましたJR西日本におきましては、最大で一日当たり約四百八十台の代行バスと、上下合わせて三本の新幹線の臨時便を運行していたと承知をしております。

 鉄道事業者が実施をいたします代行バスの輸送は、定期券の利用者や切符購入者に対して、通常の鉄道輸送のかわりに提供するものでありまして、一義的には鉄道事業者が費用を負担して実施すべきものと考えております。

 一方、代行バス輸送の実施に当たりましては、災害の状況や地域の特性に応じまして、停留所や待機スペースの確保、利用者への周知等につきまして、鉄道事業者と地方運輸局や地方自治体等の関係者が連携して対応することが重要でございます。

 このため、国土交通省といたしましては、円滑な代行バス輸送の実施に向けまして、鉄道事業者を適切に指導し、関係者間の連携を積極的に進めてまいりたいと考えております。

津村委員 上の写真の方、三ページ目の写真もぜひごらんいただきたいと思うんですが、こちらは芸備線の橋梁が流されてしまったというものであります。こうしたトンネルや橋梁などの鉄道構造物は、既にできてから百年以上経過したものも特に地方においてはたくさんございまして、この流れた橋脚も一九一五年につくられたものだというふうに聞いております。

 問いを少しさかのぼる形になりまして、事前通告の六番ですけれども、こうした鉄道構造物の老朽化が進んでいく中で、修繕のための費用負担という問題が出てくると思いますが、これを鉄道事業者の負担ということにすると、経営状況が鉄道事業者によって全然違いますので、地域によって相当格差が生じてしまうのではないかと思うんですが、これについて、大臣、いかがお考えですか。

石井国務大臣 トンネルや橋梁等の土木構造物につきましては、経年とともに劣化が進むことから、予防保全という観点から、鉄道事業者において適切に維持管理、更新を行う必要があると考えております。鉄道事業者は鉄道施設の老朽化対策に計画的に取り組んでいるところであります。

 国土交通省といたしましては、鉄道事業者に対しまして、構造物の定期検査の実施や記録の保存を義務づけるとともに、経営の厳しい地方の鉄道事業者に対しまして、将来的な維持管理費を低減し、長寿命化に資する鉄道施設の補強、改良に対する補助制度を設けて支援を行っているところであります。

 また、本年のたび重なる災害を受けまして、今、総理指示のもとで重要インフラの緊急点検を行っておりますが、現在実施中の緊急点検を踏まえまして、鉄道河川橋梁の流失、傾斜対策、鉄道隣接斜面の防災対策などの対応方策の取りまとめを今月末をめどに進めているところでありまして、三年間集中で講じる緊急対策を始めといたしまして、鉄道施設のさらなる防災・減災対策に取り組んでまいります。

 鉄道施設の老朽化は、自然災害が頻発化、激甚化する中で、今後も重要な課題でございます。国土交通省といたしましては、鉄道事業者に対しまして、引き続き適切に維持管理、更新を行うよう指導するとともに、先ほど申し上げました安全対策に関する補助制度等を活用し、引き続き鉄道の安全、安定輸送が確保されるよう、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

津村委員 委員の皆さん、五ページ目の新聞記事をぜひごらんいただければと思うんですが、これは三日前の日経新聞でございます。政府の統計、GDP統計について、つくり方にさらなる工夫が必要なのではないか、それによって政策判断が大きく変わってしまいますという警告を発した記事です。人手不足、予算等の問題があるということでございます。

 実際、内閣府あるいは総務省が中心となって、今、各省でGDP統計を構成するさまざまな統計の見直しを進められていまして、最後の六ページ目、これは国交省さんが既に努力されていることなんですけれども、建築物のリフォームの費用については、これまでGDP統計に載っていなかったんですね。これが次の改定からGDP統計に載るということで、大体二兆円から三兆円、GDPがかさ上げされることになります。これは他の先進国も同じように扱われていますから、グローバルスタンダードにも沿ったものですし、望ましい改善なんですけれども、それをよく見ると、これまでの政策に対する評価が変わりかねない中身になっています。

 平成二十五年度、平成二十六年度のところを見ていただきまして、上から二つ目の升が住宅投資の対前年比なんですけれども、平成二十五年度は一一・五%プラス、翌年は六・七%のマイナスとなっていまして、これは安倍内閣の評価では、平成二十六年四月一日の消費税三%引上げの直前の駆け込み需要とその後の落ち込みということで、消費税が上がるというのはこういう景気変動を生むという説明をこれまでされてきました。

 しかし、このリフォームの数字を、それから三つ升を下がっていただきますと、一一・二からマイナス六・四ということで、坂が大分縮まるんですね、〇・六%ですけれども。

 こういったことで、確かに新築住宅については消費税の影響が大きかったかもしれませんが、リフォームも見ると、そんなに急激に変化したわけではない。

 事ほどさように、こうしたGDP統計の精度を増していくと、カバレッジを広げていくと、より正確な政策評価ができるということが、これは今回初めて外に出していただいた数字なんですけれども、なっていきます。

 もう一つ、実は国土交通省の宿題がありまして、非住宅、つまりビルのことなんですけれども、ビルの売買取引の仲介手数料についても、これまでGDPに載っていなかったものが、次の改定からは載ってくるということなんですが、同じようにこの数字を出していただきたいと思うんですけれども、今どういう検討状況になっているか、大臣に伺いたいと思います。

石井国務大臣 非住宅の売買取引の仲介手数料につきましては、これまで、利用可能なデータの制約から、産業連関表の推計対象外とされておりました。

 しかしながら、不動産取引件数や価格に関するデータを平成二十四年度より公表していることから、本年三月に閣議決定をされました公的統計の整備に関する基本的な計画におきまして、これらのデータ等を用いた推計方法を検討し、平成三十一年六月の産業連関表作成時までに結論を得ることとされたところでございます。

 これを受けまして、非住宅の取引件数、取引価格、仲介手数料率をもとにした推計方法について、有識者の御意見もお聞きをしながら検討を進めてきているところでございます。

 今後、関係府省との調整を経て推定額を確定をいたしまして、平成三十一年六月に公表予定の平成二十七年度産業連関表に反映することとしているところであります。

津村委員 最後の質問にいたしますが、今、入管法改正について、本日、職権で強行な審議入りということも報道されていますけれども、少し政策の中身について伺いたいと思います。

 今回、十四業種が今議論の対象になっていますが、本当にその十四業種が対象として適当なのかということをやはり客観的なエビデンスを持って確認していかなければいけない、そうでなければ労働市場をゆがめてしまいますし、政治的な介入があってはならないというふうに考えております。

 そう考えたときに、例えば漁業なんかは、求人倍率が一・六四の全産業平均を下回っているものも対象になっているんですが、国土交通分野ですと、例えば、タクシーについては有効求人倍率が四・五五、トラックについては二・五〇、バスについては二・一三と、かなり有効求人倍率が高い状態になっていますが、今回対象業種には選ばれていません。

 私も日本人の雇用確保というのが最優先だと思いますし、何よりも安全が最優先ですので、そういった意味で、これらの業種について慎重にこれは議論していくべきだと思うんですが、国土交通省さんから業種別の検討状況をいただきました。それによりますと、業界のコンセンサスが十分得られていないためという少し含みのある表現になっていまして、業界の中には外国人労働者の受入れについて前向きな動きもあるようにもとれる表現になっていますが、ここは相当丁寧に検討しなければいけないと思うんですね。

 今の検討状況、そして今後の見通しについて、大臣の御見解を伺いたいと思います。

石井国務大臣 タクシー、トラック、バスの運転者につきましては、現時点では、新制度での外国人材の受入れに関し、業界全体としてのコンセンサスが得られている状況にはないことから、新制度での受入れ業種とはしていないところでございます。

 これらの業界の中には、運転者不足を背景に外国人材の受入れを希望する意見がある一方で、日本語能力が十分でない場合、輸送の安全性や利用者や荷主に対するサービスの質の確保が困難になるおそれがあるのではないか、サービスの提供に関して、地理不案内、文化、慣習等の違いから顧客との間でトラブルが生じるおそれがあるのではないか等の懸念の声もあると聞いておりまして、業界全体として方向性が定まっている状況にはございません。

 こういった状況で、新制度の内容や運用について関心は有しているものの、現時点において、業界としての方針の決定について具体的な予定はないものと承知をしております。

 国土交通省といたしましては、業界における議論を引き続き注視するとともに、必要な助言を行ってまいりたいと考えております。

津村委員 時間が参りましたので、終わりたいと思います。

 工藤政務官、お言葉どおり、年内に訂正をして記者会見を開いてください。

 終わります。

谷委員長 次に、もとむら賢太郎君。

もとむら委員 無所属の会のもとむら賢太郎です。どうぞよろしくお願いいたします。

 今、津村委員からも、外国人労働者の入管法改正に関するタクシー業界の方で有効求人倍率が四・五倍ということで指摘もございました。

 そのタクシー施策について、まず冒頭からお伺いしてまいりたいと思いますが、これまでもライドシェア問題、この委員会でも取り組んでまいりまして、国土交通省では、平成三十年五月八日の規制改革ホットラインに、新経済連盟から「「ライドシェア新法」の提案」がなされ、五月十六日の国土交通委員会で受けとめを伺ったわけでありますが、奥田局長からも、「安全の確保、利用者の保護等の観点から問題があり、極めて慎重な検討が必要」という答弁がありました。なかなか提案への検討がなされず心配していたところでございますが、十月三十日には、しっかりと、提案内容は適切でないという回答があったところでありまして、一安心したわけであります。

 それに対して、未来投資会議、内閣官房では、産官協議会の中で、次世代モビリティー、スマートシティーを重点分野として、内閣府国家戦略特区諮問会議では、竹中平蔵さんを座長とした「スーパーシティ」構想の実現に向けた有識者懇談会が設置をされておりまして、ライドシェア解禁を検討しているのではないかという懸念が持たれております。

 また、特に経済産業省では、今資料をお配りしておりますが、デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会が十一月五日に公表した中間論点の整理案の中では、明確にライドシェアと記載がされておりまして、既存の業法が障害となっていると指摘をされております。さらには、サンドボックスの制度を活用することも考えられるとございますし、しかしながら、このサンドボックス制度においてライドシェアのような規制法令に違反するものが認定されることのないよう対応することは、既に参議院経済産業委員会の附帯決議にも示されておりまして、民間議員の皆さんが審議したといえども、国会での決定事項をひっくり返すようなことであれば大変な問題であります。

 そこで、今、国交省、内閣官房未来投資会議、そして経産省の検討会のお話をさせていただきましたが、規制改革ホットラインに出された新経済連盟の提案に対し毅然とした回答が国交省からなされており、先ほどもお話ししたように安心したところでありますが、他方で、今述べたように、この未来投資会議や経産省、デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会など、さまざまなところでライドシェアの解禁を検討するような動きも見られておりまして、改めて、石井国土交通大臣のライドシェア解禁に対する姿勢は変わらないと信じておりますが、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

石井国務大臣 国土交通省といたしましては、自動車による旅客の運送におきまして、安全、安心の確保が最重要の課題と認識をしております。

 自家用車を用いたいわゆるライドシェアは、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態を前提としております。国土交通省といたしましては、このような形態の旅客運送を有償で行うことは、安全の確保、利用者の保護等の観点から問題があり、極めて慎重な検討が必要と考えております。

もとむら委員 大臣からは、引き続きの変わらない御姿勢を聞けたわけでありまして、ぜひとも、他省庁のこうした動きもあり、国交省にはしっかりと旅客の安全確保のために頑張っていただきたいということを冒頭に質問させていただきます。

 次に、他方で、タクシーも公共交通でありまして、皆さん御承知のとおり、旧タクシー特措法で初めて公共交通として位置づけられておりますが、これまで補助金や助成金をほかの公共交通に比べて受けていないという特徴もございます。

 こういった中で、移動弱者の救済や訪日外国人の増加などで多様化する移動ニーズに適切に対応していくことが必要だと思いますが、どのような取組を行っているのか、また政府はどのような支援を行っているのか、お伺いいたします。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 タクシーは、利用者のニーズに応じたドア・ツー・ドアの輸送を提供することができる公共交通機関として、地域を始めとするさまざまな利用者の足の確保に重要な役割を担っております。

 地域住民の日常生活の足の確保のためのタクシー事業者の取組といたしましては、通常のタクシーサービスを提供することに加えまして、地方公共団体と連携をして、乗り合いタクシーの運行を積極的に行っております。平成二十八年度末時点で、全国四千百七十四コースの乗り合いタクシーが運行されております。

 国土交通省といたしましては、地域公共交通確保維持改善事業において、乗り合いタクシーによる地域内の生活交通の運行を支援させていただいております。

 また、タクシー事業者は、継続的に地方公共団体を訪問いたしまして、地域のニーズに応じたタクシーサービスの提案というものを行いまして、地域の移動手段の確保に更に貢献すべく取り組んでおりまして、国土交通省といたしましても、地方運輸局を通じまして、事業者と地方公共団体との連携強化について支援をしてまいります。

 さらに、高齢化の進展、人口減少の中で、障害者や高齢者を始めさまざまな方が利用しやすいタクシー車両の普及促進は、こうした方々の移動の確保のために不可欠であるというふうに考えております。

 国土交通省といたしましては、ユニバーサルデザインタクシーを含む福祉タクシー車両を平成三十二年度までに約二万八千台導入するという目標の達成に向けまして、地域公共交通確保維持改善事業及び訪日外国人受入れ環境緊急対策事業において車両の購入支援をいたしております。

 加えまして、訪日外国人旅行者がストレスなく快適に観光を満喫できるための環境整備も重要でございます。タクシーを利用する際の言葉や決済面での不安を解消し、サービスを向上させることが不可欠でございます。

 このような観点から、全国ハイヤー・タクシー連合会において、ことしの一月に、訪日外国人向けタクシーサービス向上アクションプランというものが策定をされました。国土交通省といたしましては、タクシー事業者によるこれらの取組についても必要な支援をしてまいります。

 これらの取組を通じまして、タクシーが多様なニーズに応え利用者に選ばれる交通機関となるよう、後押しをしてまいりたいというふうに考えております。

もとむら委員 タクシー業界がきめ細やかなニーズに対応していくことが、白タクのつけ入るすきをつくらないために必要でありまして、例えば、鳥取県日野町では、町がタクシー運賃の半額を補助することで高齢者の外出が活発化、早期に受診することで医療費も減少したというお話もございます。駅やバス停まで家から距離がある地方にこそタクシーは必要な公共交通でありますし、また、事業者だけで維持するのも困難という実態もございます。ほかの公共交通のように行政の支援も必要かなと私も考えておりますので、今後検討をお願いしていきたいと思います。

 また、今局長からもお話がありましたように、タクシーは、拾うから選ばれる時代となっておりまして、先ほどの三十二年度の福祉タクシーの目標のお話もいただきましたが、その中に、キッズタクシーとか、それから運転士さんが介護資格を持っているサポートタクシーとか、それから東京都内の妊婦の方のお二人にお一人が登録されている陣痛タクシーというものもあって、産院と出産の予定日を登録すると優先して来てくださるということで、大変好評というお話も伺っていますが、こうしたさまざまなサービスが展開されておりまして、タクシー配車アプリも展開されており、業界も努力をしているところであります。

 大臣が所信で述べられた世界最高水準の快適な旅行環境実現のためにも、タクシーも訪日外国人のニーズに応えていくことが求められていることを指摘をさせていただきたいと思います。

 次に、航空保安体制について質問させていただきます。

 大臣所信でも、輸送機関の安全確保に向けた指導、訓練等の取組を推進します、災害時の重要インフラの機能確保について緊急点検を実施しますとか、航空機の整備や運航乗務員の飲酒に関する不適切事案等の御指摘もあったり、それから、首都圏空港の容量を世界最高水準に拡大するため、地元の理解を得ながら、羽田空港及び成田空港の機能強化を進めます、そして、観光は地方創生の切り札、成長戦略の柱です、世界最高水準、快適な旅行環境実現、観光地の渋滞対策、航空路線やクルーズ船誘致等に取り組みますと、航空関連に関しても非常に多く触れられておりまして、二〇二〇年に向けて訪日外国人四千万人を目標としておりまして、政府も受入れ環境の整備に努めているところは承知をしておりますが、四千万人を受け入れるための空港におけるハード、ソフト両面における環境整備は間に合っているのか、お伺いいたします。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 明日の日本を支える観光ビジョンの目標に基づきまして、訪日外国人旅行者数を二〇二〇年に四千万人受け入れるためには、全国の空港においてハード、ソフトの両面で機能向上を図っていく必要がございます。

 まず、ハード面では、羽田空港の飛行経路の見直しや成田空港の高速離脱誘導路の整備などによりまして、発着容量を約八万回増加させることなどを通じて首都圏空港の機能強化を図りますとともに、那覇空港の滑走路増設などによりまして、地方空港の機能強化にも取り組んでまいりたいと思います。

 また、ソフト面につきましては、空港の機能を支える人員を確保することも重要でございます。

 このため、まず、航空機の誘導や、手荷物、貨物の搭載等を行うグラウンドハンドリングにつきまして、機動的な要員配置を可能とするための車両運転要件の見直し等の規制緩和、ランプバスの自動走行等の省力化、自動化に向けた先端技術の活用の促進、業界による労働環境改善の取組を通じた人材の確保などに取り組んでいるところでございます。

 さらに、航空機搭乗時に保安検査を行う保安検査員につきましても、爆発物の自動検知等の先進機器の導入によります保安検査員の負担軽減や効率化、保安検査員の教育訓練のための国による研修などにも取り組んでおります。

 こうしたハード、ソフト両面の施策を通じまして、四千万人の外国人旅行者をしっかりと受け入れられますように、必要な環境整備を着実に推進してまいりたいと思います。

もとむら委員 三月二十日の国交委の閣法の中でも今の問題に少し触れさせていただいておりまして、ハード、ソフト面で対応されているということでありますが、我が国は昭和四十九年から今の保安検査員の仕組みがありますが、テロ活動の脅威などの状況は変わっておりまして、アメリカも、九・一一以降に保安検査が民間検査員から連邦政府職員にかわっていたという経緯もございます。

 その中で、日本は民間検査員の質が高いということは世界的にも評価をいただいているところでありますが、処遇、待遇がいま一つということもあって離職率が高いという問題などを含めまして、やはり、発着枠をふやしたとしても、受け入れるためのグラウンドハンドリングや保安検査員が充足していなければ、環境が整ったとは言えません。以前にも保安検査員の不足について指摘をさせていただいたところでありますが、続いての質問に入ります。

 東京五輪の際には外国から要人も多くお越しになることだと思いますが、厳重な保安体制が求められる中、我が国では民間企業が保安を行っている。先ほど御指摘をさせていただきましたが、時代や環境が変わってきており、航空保安に関する国の責任を明確化すべきだということは以前から指摘をさせていただいたところでありますけれども、この航空保安体制について、国が責任を持って強化していくべきだと私自身は考えているんですが、大臣の見解をまた改めてお伺いしてまいりたいと思います。

石井国務大臣 国際ルールにおきましては、国が航空保安対策に関する制度を定め施行する義務を負う一方で、これらの対策の実施責任主体は各国に委ねられているところであります。

 我が国におきましては、国が航空保安対策基準を定めまして、関係者は、これらの基準に従って具体的な対策を講じることとなっております。さらに、国は、関係者への監査を行い、適切に対策が講じられるよう厳しく指導監督をしておりまして、これらにより米国等の諸外国と同等の安全が確保されているものと考えております。

 一方で、保安検査機器の整備費用や保安検査業務を行う検査員の費用につきまして、国管理空港における空港管理者として費用の二分の一を負担するなど、積極的な支援を行ってきております。

 さらに、昨今におきましては、国際テロの脅威が高まる中で、航空保安対策を速やかに進めることが喫緊の課題となっておりまして、ボディースキャナーを始め先進的な保安検査機器について、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催までに国内の主要空港に導入することとしております。

 この先進的な保安検査機器の整備に当たりましては、国際テロ対策として、従来の空港管理者による航空会社への二分の一補助に加えまして、国が新たに航空会社に二分の一補助を行う制度を創設をいたしまして、昨年度から航空会社の負担を大幅に軽減することにより普及を図っているところでございます。

 今後とも、航空会社を始め関係者と連携を深めつつ、国として責任を持って航空保安対策に万全を期してまいります。

もとむら委員 今大臣から、米国等の諸外国と同等の安全が確保されていると御答弁ございましたが、我が国もテロの標的になる現在、テロ、ハイジャック対策は国家レベルの課題でありまして、日本が島国であることを考えれば、航空保安体制の強化は国家における最重要課題であるというふうに私は考えております。

 そういった中で、現在、日本における航空保安の責任は民間の航空事業者が負っておりまして、二分の一の負担があるとは言っておりますが、他国では類を見ない責任体制となっているということは指摘をさせていただきます。

 また、航空保安に関する国の責任を明確化して法制化すべきだというふうに考えておりまして、通常国会でも、航空法に関する議員立法を提出をさせていただいております。

 米国では、九・一一以降に保安検査員が先ほど話したように民間検査員から連邦政府職員にかわったことによって、検査員の処遇、待遇も大きく変わったというふうに言われております。そのことをぜひ御理解いただきたいというふうに思っておりまして、その中で、航空事業者が半額負担している保安費用についても国が一般財源によって全額負担をすべきじゃないかというふうに考えておりますけれども、保安費用を負担するケースは世界でも類を見ないため、将来的には他国の航空会社が日本の空港を選ぶ際のネガティブ要素にもなり得るんじゃないかなというふうに思っております。

 例えば、羽田、成田空港を合わせても国際線の就航先数は、我が国は九十二カ国、そしてロンドンが三百三十四カ国、ニューヨークが百三十九カ国、ソウルが百三十七カ国と、おくれをとっている現状もありますので、今指摘をしましたように、将来的には、他国の航空会社が日本の空港を選ぶ際の、この負担がネガティブ要素にならないか、気になっているところでありますので、そのことはどうお考えでしょうか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 他の国におきましても、航空保安の費用負担について、必ずしも詳しい内容を承知しているというわけではございませんけれども、他の各国におきましても、旅客に課される保安料を充当している、あるいは航空券に転嫁するなど、最終的には旅客に御負担をいただいているものと認識をしております。

 我が国におきましても、先ほど御説明申し上げましたとおり、航空保安検査費用につきましては、航空会社と空港管理者が二分の一ずつ負担をしているというところでございますけれども、これらの費用の財源につきましては、多くの主要国と同様、旅客等の利用者が負担する形になっているものと承知しております。

 今後とも、航空会社を始め関係者と連携を深めながら、国として責任を持って航空保安対策に万全を期してまいりたいと考えております。

もとむら委員 次に、ちょっと通告と順番が変わりますので失礼いたしますが、石井大臣は、先日、相模原市にお越しをいただきまして、リニア中央新幹線の予定地や小田急多摩線延伸予定地などを御視察をいただいたというふうに、国交省のホームページや相模原市のホームページからも理解しているところでありますが、視察いただいた感想をぜひ伺いたいと思います。

 また、リニア中央新幹線の車両基地予定地を観光資源にという声や、回送線を旅客化したいという声が地元の団体からも上がっておりますが、かつてもこの質問は太田大臣の時代から続けておりますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 本年九月に、小田急多摩線延伸予定地の相模原駅周辺、リニア中央新幹線の建設予定地である橋本駅周辺等を視察をいたしまして、それぞれの現状について説明を受けたところであります。

 この視察を通じまして、小田急多摩線延伸につきましては、相模原市及び町田市が事務局となる関係者会議において精力的に検討が進められている、また、リニア中央新幹線の予定地である橋本駅周辺では、工事の契約手続を進めるなど事業が本格化していることなどを実感をしたところでございます。

 御指摘のリニア中央新幹線の車両基地の観光資源としての活用につきましては、JR東海の車両基地の運営上の安全問題やセキュリティー上の問題など、さまざまな課題があると認識をしております。

 また、現段階では、地元自治体からJR東海に対しまして具体的な相談がされているという報告は受けておりません。

 いずれにいたしましても、地元の関係者におきまして、開業までの間に十分に御議論いただくとともに、営業主体であるJR東海ともよく御相談いただくことが必要と考えております。

もとむら委員 大臣も所信の中で、リニア中央新幹線等の効果の最大化というお話がございまして、私ども、中間駅でありますが、車両基地を含めた、神奈川新駅ですか、という新駅が九年後、供用を開始する予定でありまして、地元の津久井地域商工会連絡協議会や相模原商工会議所、相模原市観光協会などから、この車両基地を観光資源としたいというお話や、回送線を旅客化したいという御要望の声も大きくなってまいりましたので、今大臣から御指摘をいただきました、地元市が積極的にJR東海にも働きかけなければいけないという課題もあることは認識をしておりますので、今後、地元選出の与党の国会議員の皆さんとも連携をしながら、しっかり進めてまいりたいと思います。

 また、次の質問に入りますが、今大臣が、小田急多摩線延伸について、小田急の唐木田駅からJR相模原駅に入ってくる計画があるわけでありまして、交通政策審議会の答申でも、東京圏の都市鉄道が目指すべき姿を実現する上で意義あるプロジェクトの一つとして位置づけられているということもうたわれておりますし、ことしの十月にも、大臣宛てに、私どもの地元の関係自治体議員でつくる議員連盟の皆さんが、これは超党派で、周辺自治体を含んだ議員連盟でありますが、大臣のところに要望に伺ったというふうに伺っておりますが、大臣の受けとめをお伺いしてまいりたいと思います。

石井国務大臣 小田急多摩線の延伸につきましては、平成二十一年に関係自治体議員から成る小田急多摩線延伸を促進する議員連盟が設立されて以来、例年御要望をいただいており、本年は十月の五日に御要望をいただいたことは承知をしてございます。

 小田急多摩線の唐木田から上溝までの延伸は、平成二十八年四月に取りまとめられました交通政策審議会答申におきまして、地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクトに位置づけられておりまして、相模原市及び町田市と都心部とのアクセス利便性の向上に意義があると認識をしております。

 一方、今後の課題といたしまして、収支採算性の確保に必要な沿線開発等の取組を着実に進めた上で、費用負担のあり方を含む事業計画について、関係地方公共団体が協調して検討を進めることが期待をされております。

 本プロジェクトの推進に当たりましては、この答申で示された課題の解決に向けまして、引き続き関係地方公共団体等において検討を進めていただくことが重要であると考えておりまして、国土交通省といたしましては、こうした検討状況を踏まえつつ、専門的な観点からアドバイスを行うなど、必要な協力を行ってまいりたいと考えています。

もとむら委員 これまでも質疑した中で、今後の課題といたしまして、収支採算性の確保に必要な取組を着実に進めることや、費用負担のあり方の検討、関係地方公共団体が協調することなど、さまざまな御指摘もいただいておりますので、ぜひとも、本市としましても、東京都、町田市、神奈川県、相模原市と連携しながら、ここも超党派の議員連盟がございますので、与野党を問わず、みんなで力を合わせてこの多摩線の延伸問題に取り組んでおりますので、大臣にもまた御関心を広めていただきたいというふうに思います。

 次に、宿泊についてお伺いしますが、先般、ニュースでも出てまいりましたが、キューバ大使が宿泊拒否をされる事案がございました。国籍による宿泊拒否は旅館業法違反でありまして、この旅館業法の所管は厚生労働省というふうに承知をしておりますが、この事案は大変残念だなと思いました。

 訪日外国人がふえる中で、同じようなことが起きないよう厚生労働省とともに再発防止に当たってほしいと思いますが、今回の事件をどう受けとめているか、お伺いしてまいりたいと思います。

田端政府参考人 お答えいたします。

 十月二日に、ヒルトンの福岡シーホークホテルが駐日キューバ大使の宿泊を拒否したということ、このホテル側の対応は、旅館業法違反に該当するものとして、福岡市が指導されたと報道があったと承知をしています。

 旅館業法は厚生労働省が所管するものでございますけれども、本件につきましては、厚生労働省また福岡市において適切に対応されたものと認識をしております。

もとむら委員 アメリカの法律を我が国内で適用することは、日本の主権も侵害することだというふうに思っております。

 そういった中で、観光立国を目指し、東京オリンピック・パラリンピックを控える我が国において、国籍で宿泊を拒否することが許される国だという間違ったイメージが持たれないように、しっかりとここは厚生労働省とタイアップしながら検討を進めていただきたいと思います。

 次に、民泊新法がことし六月十五日に施行されたわけでありますが、闇民泊がいまだに横行しているというお話がテレビ、新聞等々で入ってくるわけでありますが、この闇民泊に対してどのように対応していくのか、お伺いいたします。

田端政府参考人 違法民泊対策につきましては、無許可営業者への罰則の強化等を定めました改正旅館業法が六月に施行されたところですが、違法民泊対策関係省庁連絡会議を設置をし、関係省庁で連携して違法民泊の取締り等を徹底することを確認をしております。

 これを受けて、厚生労働省から自治体に対して、悪質な無許可営業者について積極的に警察に情報提供をすることなど、地元の警察との連携強化等を求める通知が発出されています。

 また、住宅宿泊事業法において違法民泊の仲介サイトへの掲載の禁止等を規定していることから、観光庁においては、関係自治体と連携いたしまして、民泊仲介サイトに掲載されている物件の適法性の確認を行い、適法と確認できなかった物件については、既に仲介業者に対して速やかに削除するよう指導したところでございます。

 いずれにいたしましても、国土交通省といたしましては、引き続き関係省庁や関係自治体と連携して、住宅宿泊事業法を適切に運用するとともに、違法民泊の排除を進め、健全な民泊サービスの普及に努めてまいりたいと考えております。

もとむら委員 法施行後、大阪市は、違法民泊撲滅チームを結成して、闇民泊の疑いがある物件に対して四か月で二千件を超す指導を行ったというふうに伺っておりますし、また、八割以上が営業を取りやめたという事実もあるようでございます。残りは特区民泊又は新法に基づく民泊の手続を行ったという報道もございまして、このことは理解しておりますが、観光庁が十月十日に発表したところでは、法施行日時点で民泊仲介業者が取り扱っていた物件のうち約二割が違法であったということで、削除をしたということも伺っております。

 この民泊新法施行後、例えば京都においては、これまで二割を超えていた民泊利用者が〇・一%未満となっておりまして、かえって新法がブレーキをかけているのが現状だと感じる部分もありまして、政府としてはどのように受けとめているのか、お伺いしてまいりたいと思います。

田端政府参考人 住宅宿泊事業法は施行から五カ月を経過したところでございますが、住宅宿泊事業の届出件数は、おおむね順調にふえ続けておりまして、十月末現在において、届出の提出件数は一万件を超えているところであります。

 また、住宅宿泊事業の宿泊実績につきましても、届出件数の増加とともに、宿泊日数や宿泊者数等は堅調に増加をしております。新規の事業者も多く、また、今後宿泊実績もふえていくものと考えておりますが、いずれにいたしましても、引き続き動きを注視してまいりたいと考えています。

 また、いわゆる民泊と言われますものの中には、旅館業法に基づく簡易宿所や国家戦略特区法に基づく認定施設もあり、例えば京都市におきましては、簡易宿所の施設数が新法の施行前後においても大幅に増加をしています。これらの施設の利用者も相当数いると考えております。

 一方、住宅宿泊事業の届出に関しまして、届出のためのシステムの使い方がわかりにくいといった指摘、また、手続が煩雑であるというような指摘があるものと承知をしており、システムの利便性の向上に向けた改修を行うとともに、関係自治体へ、手続の簡素化等に向けた改善を引き続き要請してまいります。

 国土交通省といたしましては、引き続き、関係省庁や関係自治体と連携して、健全な民泊サービスの普及に努めてまいりたいと考えております。

もとむら委員 これで最後にしますが、民泊は、闇民泊を許してはなりませんが、真面目にやっている事業者まで厳し過ぎるという声も上がっていることもございまして、このままでは撤退する事業者もふえてしまうという懸念もございますので、今局長からお話あったように、手続の簡素化など、できることをしっかりやって御支援いただきたいと思います。

 これで質問を終わりにします。

谷委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 大臣の所信的挨拶を受けて質問をいたします。

 まず、中部横断自動車道、長坂―八千穂間の建設事業について聞きたいと思います。

 大臣は、先日の所信的挨拶でも、ストック効果を高める社会資本整備に関して、高速道路や整備新幹線、洋上風力発電、首都圏空港の機能強化等々を並べた上で、地元の理解を得ながら進める姿勢を示されました。

 公共事業を進める際に地域住民の理解と納得を得る努力、これは当然のことだと思いますけれども、大臣のまず御所見をお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 高速道路を始め社会資本の整備は、用地の提供をいただくことや、整備に当たりまして周辺地域へさまざまな影響を与えることなどから、地元の理解を得ることが重要であります。

 このため、地元への説明会を丁寧に行うことなどを通じまして、地域の御理解と御協力をいただけるよう努めてまいります。

宮本(岳)委員 住民の理解と納得が大事だからこそ、この中部横断自動車道、長坂―八千穂間についても、この間、住民説明会が開催されてまいりました。長坂―八千穂間は山梨県と長野県を縦断することになりますから、住民説明会は山梨県側と長野県側とで開催をされております。

 山梨県側は、資料一につけておきましたけれども、二〇一三年一月三十日から二月十六日の間に、北杜市を五つの地域に分けて二回ずつ計十回開催、長野県側は二〇一三年二月十二日に南牧村平沢で一回開催されました。

 それから五年を経て、資料二につけましたけれども、ことしの十一月一日に南牧村、今度は長野県側で二回、十五日には小海町と佐久穂町、合同で一回開催をされました。

 首をかしげたのは参加対象なんです。

 北杜市で開催された住民説明会は、資料一の注一にあるように、北杜市の住民に限らず、「住民以外の方でも参加できます。」として、実際、長野県南牧村の住民や議員さんも参加をされております。

 ところが、長野県側の説明会は、注二にありますように、「会場の都合上、対象を南牧村村民に限らせていただきます。」、資料二を見ましても、「会場の都合により対象住民以外の方の傍聴はできません」と、参加者を厳しく制限しております。

 同じ説明会なのに、なぜ参加対象を山梨県側と長野県側とで異なるものにしているのか、道路局長にお伺いしたい。

池田政府参考人 お答えいたします。

 地元説明会は、今後行う道路整備の内容を地元の皆様に御説明することや、地元の皆様からの整備内容についての御質問にお答えすることなどを目的として開催をしております。

 御指摘の、今月長野県内で開催した地元説明会は、長野県内の道路整備に関係するものであり、長野県内の住民の皆様の十分な質問時間の確保の観点から、地元自治体と調整の結果、対象を長野県内の住民の皆様とさせていただいたところでございます。

 なお、長野県内以外の住民の方につきましても、御要望を踏まえ、必要に応じて説明会などの開催を検討してまいりたいと考えております。

宮本(岳)委員 私は、この話を聞いたので、急遽、十一月一日に長野県南牧村で開催された住民説明会に二回とも参加をさせていただきました。住民以外の方はお断りというので、国会議員が行っても断られるのかと思いましたが、中に入れていただきまして、傍聴してまいりました。

 決して村長さんを悪く言うつもりはないんです。そこで次のようなやりとりを私は目の当たりにいたしました。

 国交省の説明に対して意見や質問を出した住民に、村長が、頭を下げる必要はないじゃないかと皆さん思っているかもしれないけれども、村長の立場になれば、国へ行っても、県へ行っても、どこへ行っても、全て自分が頭を下げてお願いしてきたのだ、こう言って、突っ張ったようなことを言っていては道はできないですよ、申しわけないけれども、高速道路を無料にしてほしいという意見がありますよ、だったら、それなりのやはり心構えがないと、突っ張ったようなことを言っていたのでは道もできないし、無料にはならないとまで、説明会の場で言い放ったわけですね。

 私は、説明会に来ていた国道事務所の職員がその場で否定するかと、そんなことはないですよ、別に、御意見を聞きに来たんですから意見を言ってもらったらいいですよ、あるいは、そんなにぺこぺこ頭を下げてもらわなくて結構ですよと言うのかと思いましたら、職員は何も言わなかったんです。

 これは大臣に改めて確認しますけれども、高速道路というものは、首長や地域住民が卑屈に土下座のようなことをして、自分たちの言いたいことも言わずに国のいいままにつくっていただく、こういうものではなかろうと思うんですが、大臣、これはそうじゃないでしょうか。

石井国務大臣 個別の案件について、私はそのときの状況をよく承知をしておりませんのでコメントは控えますが、一般論で申し上げれば、高速道路は、その整備により、企業の立地、観光交流が進むなど多様なストック効果が発揮される反面、既存の地域の状況に対して影響を与えるものでございます。

 したがいまして、多様なストック効果を発揮する必要な高速道路につきましては、地元の皆様の声に対しても十分に耳を傾け、適切に対応しながら整備を進めていくことが重要と考えています。

宮本(岳)委員 当然のことだと思うんですね。意見も言えず、言いなりになるというんだったら、説明会の必要はないわけです。

 理由にならない会場の都合上などを口実にして住民説明会の参加対象を制限、限定しようとするから、かえって地域住民から、建設反対の意見を締め出そうとしているのではないか、こういう批判が出るわけですね。

 十一月一日の説明会では、こうした説明会を今後も開催してほしいという要求が強く出されておりました。その際はぜひ、参加対象を限定せずに、多くの住民の意見に耳を傾けるようにしていただきたいと思います。

 さて、七月の豪雨、台風二十一号、北海道胆振東部地震など、甚大な被害が出る災害が重なってまいりました。

 大臣も所信的挨拶で、今回の災害を通じ、国民の安全、安心を守る国土交通省の使命を改めて実感したと述べられました。

 我が党は、自然災害が多発する日本列島において、国民の命と財産を守ることは政治のかなめであることを明確にし、政治が本腰を入れた対応を行うことを強く求めたいと思います。

 そこで、台風二十一号で大きな被害を受けた関西空港を取り上げたいと思います。

 まず問いたいのは、浸水の問題であります。

 関西国際空港の一期島が大規模に浸水いたしましたが、その規模と原因が何だったか、報告をどのように受けておられますか、大臣。

石井国務大臣 関西国際空港を運営する関西エアポートにおきましては、台風二十一号による空港の浸水及び冠水につきまして、発生当時の空港島周辺の海象状況や越波等を示すデータ等に基づいて検証し、今後の防災対策に生かすため、第三者委員会であります台風二十一号越波等検証委員会を設置をし、検証を進めているところであります。

 浸水被害の規模や原因につきましては、関西エアポート社より、これは分析の途中経過ではありますけれども、委員会では、越波、降雨、排水ポンプの停止による海水の逆流により空港の浸水被害が生じたと推定をしている、越波、降雨、海水の逆流による浸水量を推算した結果、浸水量の約八割以上は護岸からの越波に起因し、総浸水量は少なくとも百二十五万立方メートルと考えられると報告を受けているとのことであります。

 また、これらの推算値につきましては、より精度の高い再現を実施をし、今後の対策の検討に生かしていくと聞いているところであります。

宮本(岳)委員 少なくとも百二十五万立米の八割以上が越波だ、越波に起因するものだというのですから、少なくとも百万トン以上の海水が越波してきたことになります。

 配付した資料三を見ていただきたい。

 これは、関西国際空港一期島の二〇一七年十二月現在の護岸の高さを示したもので、国交省から提出をいただいたものであります。主に東側を越波して海水が浸入したということでありますけれども、東側の護岸の高さ、右から、三・七六メーター、四・一〇メーター、三・九五メーター、四・一七メーターとなっております。

 被災当時の東側護岸に押し寄せた波の高さはどれぐらいだったか、航空局長、お答えいただけますか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 関西国際空港の一期島におきましては、実際に護岸に到達した波の高さについて、波浪推算による検証というのが必要でございます。

 現在、関西エアポートにおきましては、先ほど大臣の方からも申し上げました台風二十一号越波等検証委員会を設置をいたしまして検証を進めているところでございまして、護岸に到達した波の高さということにつきましては、今後、検証の中で推算され、提示をされるものというふうに聞いております。

宮本(岳)委員 もう台風二十一号から二カ月以上たつんですね。今なお関空を襲った波の高さがわからないというのでは、話にならないんです。

 関西エアポートが設置した、今のお話の越波等検証委員会のレポート、その中では、大臣も先ほどお触れになったように、「現在実施中の波浪及び浸水状況の推算値と実現象を照らし合わすこと等により、より精度の高い再現を実施し、今後の対策に活用することとする。」と言っておりますけれども、この検証結果、今局長がお答えになった検証結果はいつ出るんですか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 関西エアポートでは、現在、社内に、護岸のタスクフォース、地下施設のタスクフォース及び危機対応(管理)タスクフォースという三つで構成されます災害対策タスクフォースを設置して検討を進めております。さらに、学者等による第三者委員会、先ほど申しました委員会を設置をし、被災時の空港島周辺の海象状況や越波等を検証しております。

 この第三者委員会の結果の公表時期につきましては、まだ検討中でございますために現時点では未定というふうに聞いておりますけれども、別途国土交通省で設置しております、全国主要空港における大規模自然災害対策に関する検討委員会とも連携しながら検討を進め、対策について早期に取りまとめて公表できるように取り組んでいるものと承知をしております。

宮本(岳)委員 九月四日、台風二十一号のもとで、実際に関西空港でどのような事態が起こったのかが明らかにならなければ、今後の対策も立てようがありません。

 至急明らかにして、当委員会に報告することを求めたいと思います。委員長、どうぞ御協議をお願いしたい。

谷委員長 後日、理事会で協議いたします。

宮本(岳)委員 先ほど、一期島内の総浸水量は百二十五万立米以上だったと答弁されましたが、この海水によって、地下に設置されていた電源施設が水につかり、停電が起こって空港機能が麻痺してしまったことが明らかになっております。

 そもそも、関西エアポート社は、海水が浸入してきた場合に電源を浸水から守る対策を作成していたのですか、航空局長。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 津波等の早期復旧計画、これは関西エアポートが作成しているものでございますけれども、津波被災後の復旧計画として、仮設発電設備の調達等については想定をしておりましたけれども、今回の災害のような、ターミナルの地下にあります受配電設備そのものを浸水から守ることについてまでは想定をいたしておりませんでした。

 今回の台風二十一号では、関西電力の電源設備については使用可能であり、旅客ターミナルビルの非常用電源設備についても、一階に設置されておりましたため、浸水被害を受けることはございませんでしたけれども、このターミナルの地下にあります受配電設備が浸水により機能停止をしたという事態になったために今回のような事態になったということでございまして、今後は、さまざまな事態を想定した計画を策定していく必要があるものと考えております。

 今般の事態を踏まえまして、関西エアポートにおいて、先ほども申し上げましたとおり、災害対策のタスクフォースを立ち上げ、これまで講じてきた災害対策の検証を進めているところでございまして、国土交通省といたしましても、関西エアポート等の関係者と一体となって必要な対策を講じてまいりたいというふうに考えております。

宮本(岳)委員 想定していなかったんですよ、電源を浸水から守る、そういう対策については。驚くべき答弁だと言わなければなりません。関西エアポート社はそういう対策すら持っていなかったというんですけれども、私はにわかに信じがたいんですね。

 改めて、私は、関西国際空港の歴史的経緯について調べてみました。

 ここに、関西新空港における止水壁の効果と題した論文がございます。著者は、当時の関西国際空港株式会社計画技術部技術グループの中谷行男氏であります。この報告は、二〇〇八年十月九日、国土交通省が開催した平成二十年度国土交通省国土技術研究会において発表されたものでありますけれども、これは、航空局長、間違いないですね。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の空港技術報告会と申しますのは、土木、建築、機械の各分野にまたがる総合的な空港技術の情報発信及び共有を目的として、国土交通省航空局が主催をいたしております。先ほどの論文につきましては、その報告会の中で報告をされているということでございます。

宮本(岳)委員 確かに、国土交通省で発表されたものなんですね。

 この論文では、「透水性の高い関西国際空港では、台風による高潮時や全国的な問題にもなっていた、いわゆる「異常潮位」と呼ばれる原因不明の海面上昇現象によって、空港島内の地下水位が海面と連動して上昇し、低い地盤での地下水の浸みだしや止水が不十分な地下室などでの漏水などの不具合が生じてきた。」と、事実を述べた上で、これを抜本的に解消するために止水壁を構築したと述べております。

 あなた方は、この空港が開港当初から、低い地盤での地下水のしみ出しや、止水が不十分な地下室などでは漏水、こういうふぐあいが生じてきた空港であった事実を知っていたはずなんですね。なのに、なぜ電源を浸水から守る対策をとらなかったのか。これはどうですか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 関西国際空港では、過去最大クラスの台風による潮位及び五十年に一度の確率で発生する高波を想定をいたしまして、これまで護岸の整備あるいは電源の対策なども講じてきたところでございます。

 今般、空港内、空港島内へ大量の海水が流入をするということまでは想定できておりませんで、結果として、電源を、先ほど申しました、特に地下にある、電源といっても受配電設備でございますけれども、これを機能停止にする事態に至ってしまったということでございます。

 その意味で、今般の事態を踏まえまして、これまで講じてきました災害対策の検証を踏まえて、しっかりとした対策を講じてまいりたいということでございます。

宮本(岳)委員 二言目には想定外みたいなことを言うんですけれども、そんな言いわけは通りません。

 関空の安全対策について、我が党は早くから一貫して問題にし、警鐘を鳴らしてまいりました。例えば、二〇〇〇年当時の衆議院運輸委員会では、大幡基夫議員が、空港の安全機能にかかわる問題として、関空の沈下問題を取り上げました。二〇一一年五月十三日の当委員会では、穀田恵二議員が、東日本大震災を受けて、津波対策についてただしております。その際、穀田議員は、津波の高さ一・七メートルという想定は甘い、東日本大震災では十数メートルあったのが現実であり、想定外を想定しての対策が重要だとまで指摘をいたしました。

 配付資料四を見ていただきたい。関西エアポートがホームページに公表している、昨年十二月に計測した一期島の高さであります。資料五は、今回国交省が私に提出した、同じ地点の一九九四年十月、開港時の高さであります。そして資料六は、その十二地点について、その差のグラフ、つまり、この二十三年間の沈下量であります。多いところで四メートル三十一センチ、少ないところでも三メートル以上進んでおります。まさに我が党の指摘どおりじゃありませんか。

 二〇一一年五月十三日の当委員会の質疑で、我が党の穀田議員が、空港運営へのコンセッション方式の導入について、「民間事業者では、効率化、コスト削減が優先され、安全、環境対策がおろそかにされる懸念がある。」と指摘したのに対して、当時の本田航空局長は、「もしコンセッション事業者が、安全、環境対策を含め、事業の運営を適正に実施しない場合には、新関空会社自体が、民間資金法に基づき、指示あるいは運営権の取り消しを命ずることができるとともに、私ども国土交通省も、新関空会社に対し、コンセッション事業者への指示、取り消しを命ずるといった形で、コンセッション事業者であろうとも、安全、環境対策の適正な実施を担保してまいりたい」と、胸を張って答弁をしております。

 航空局長、これは事実ですね。

蝦名政府参考人 大変申しわけございません。ちょっと今のお答えをする前に、先ほどの訂正をさせていただきたいと思います。

 先ほど先生がおっしゃった中谷先生の論文をちょっと勘違いをいたしておりまして、これは主催が国土交通省の国土技術研究会というものでございまして、航空局ではございませんで、大臣官房技術調査課と総合政策局技術政策課でございました。おわびを申し上げて、訂正をさせていただきたいと思います。

 それで、今の答弁でございますけれども、運営権者が空港運営事業を適正に実施しない場合には、必要な措置がとられることになるものであることは、御指摘の答弁のとおりでございます。

 国土交通省といたしましては、関西空港において適正な災害時対応や安全対策が行われますように、今般の検証を通じて適切な指導を行ってまいりたいというふうに考えております。

宮本(岳)委員 部や課が違えども、あなた方がやった研究会ですよ。

 それで、では、この関西エアポートというコンセッション事業者は、ここで国交省が大見えを切ったような安全、環境対策の適正な実施を担うに足るものであったかどうかを議論したいと思うんです。

 気象庁に確認いたしますけれども、関西航空地方気象台は、台風の前日、九月三日十三時の時点で、台風第二十一号に関する説明会を開催しております。この説明会には関西エアポートも参加しておりましたね。

橋田政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話がありました九月三日の関西航空地方気象台が開催しました台風説明会には、関西エアポート株式会社も参加をしておりまして、二名の参加がございました。

宮本(岳)委員 資料の七に気象庁の提出資料をつけておきました。

 説明内容は、資料の赤線を引いたところ、四日昼前から影響が大きくなる、四日昼過ぎがピークであるとか、飛行場大雨警報発表の可能性がある、南風強風による越波に留意などが並んでおります。九月三日、つまり前日の十三時には、既に翌日の台風二十一号による大きな影響について気象台から警戒が呼びかけられ、それは関西エアポートに伝わっていた。ところが、この翌日、九月四日の台風当日に、関西エアポートの社長は関空にいませんでした。

 石井大臣、あなたは台風当日、関西エアポートの山谷佳之社長と大臣室で会っておりましたね。

石井国務大臣 本年の九月四日、関西国際空港全体構想促進協議会の方々からの御要望がありまして、その面会者の中に関西エアポートの社長がいらっしゃいました。

宮本(岳)委員 大阪府の情報提供資料を資料八に配付しておきました。

 十三時十五分に国交省四階大臣室で要望を受けております。しかし、このときには既に台風二十一号は関空を襲っていたわけであります。

 気象庁に聞きます。

 気象庁が九月四日、関空に対して飛行場台風大雨高潮警報を発表したのは何時何分でしたか。

橋田政府参考人 お答え申し上げます。

 関西国際空港に対しまして飛行場警報を発表いたしました。それは台風、大雨、高潮の飛行場警報でございますが、これは九月四日十一時八分でございました。

宮本(岳)委員 既に午前十一時過ぎには飛行場台風大雨高潮警報を、大臣、あなたが所管する気象庁が発していたわけです。その二時間後に、関西エアポートだけじゃないですよ、関西エアポートと新関西国際空港の社長がそろってやってきて、大臣、あなたは、何をしているんだ、早く帰って台風に対処してくれと言わなかったんですか。

石井国務大臣 先ほども申し上げたところでありますが、当日は、関西国際空港全体構想促進協議会からの御要望を承ったところであります。

宮本(岳)委員 承る二時間前に、あなたが所管する気象庁が、気象庁長官が言ったように、十一時八分には関西空港に警報が発令されていたと。あなたは、それがあったら、関西エアポートの社長、新関西国際空港の社長、そろって来たら、何しているんだ、大変なことだと言わなかったのかと聞いたんですよ。

 なるほど、それは別に社長だけで対応しているんじゃないでしょうよと思われるかもわかりません。この関西エアポート社には、代表権を持つ取締役はこの社長以外にもう一人おります。フランス資本から乗り込んできたエマヌエル・ムノント氏という副社長がおられます。

 では、これも航空局に聞きますけれども、社長が霞が関で大臣と会って関空を留守にしていた台風の日に、このムノント副社長は日本国内におりましたか。

蝦名政府参考人 関西国際空港での当日の状況を詳細には把握しておりませんけれども、出張に出られていたというふうに伺っております。

 災害発生時において、被害を最小限にとどめて空港としての機能を維持するためには、さまざまな被害を想定した事業継続計画を策定するとともに、災害の発生が予想される際には、適切な危機管理体制を構築していくことが重要であると考えておりまして、今回の関西エアポートにおきましては、運用担当の執行役員が責任者として対応することとしていたというふうに聞いております。

宮本(岳)委員 出張と言うんだけれども、国内にいたのか国外にいたのか、どっちなんだ。

蝦名政府参考人 申しわけございません。そこは承知しておりません。

宮本(岳)委員 昨日確認しましたよ。海外です、国内じゃないんですよ。話になりません。社長は霞が関、副社長は海外、二人の代表取締役は、空港島はおろか大阪にさえいなかったんです。

 これが適切な対応だと思われますか、大臣。

石井国務大臣 今回の災害時の対応につきましては、関西エアポートで、タスクフォースを立ち上げ、災害時対応のあり方について検討を進めております。

 また、国土交通省におきましても、全国主要空港における大規模自然災害対策に関する検討委員会を開催をいたしまして、空港の機能確保に必要な対策の検討を行っております。

 国土交通省といたしましては、まずは関西エアポートによる検討結果についてよく検証した上で、適切な危機対応が行われるよう、必要に応じて指導等を行ってまいりたいと考えております。

宮本(岳)委員 何が「安全、環境対策の適正な実施を担保してまいりたい」ですか。

 空港の安全、環境対策は、コンセッション事業者任せではなく、国が直接責任を持つべきであるということを改めて強く指摘をして、きょうの私の質問を終わります。

谷委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 日本維新の会の井上英孝です。

 それでは、時間も限られていますので、早速質疑に入りたいと思うんです。

 きょうは災害対策についてをメーンで聞かせていただこうと思っているんですけれども、ちょっとその前に、冒頭、十一月六日十一時四十九分配信のデジタルのニュースで、私も報道ベースで初めて目にしたんですけれども、「日本、韓国をWTOに提訴へ 造船企業への支援を問題視」という、ここはもう書いている記事をそのまま今読ませていただいたんですけれども、このWTOへの提訴についての経過、プロセスを説明いただけますでしょうか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、世界の造船市場でございますけれども、リーマン・ショック前の新造船の大量発注とその後の需要の低迷によりまして供給能力過剰の状態にございまして、各国の造船業は厳しい状況にございました。

 二〇一八年に入りまして我が国造船業の受注シェアは回復傾向にはあったんですが、韓国では、数年前から、経営難に陥った自国造船所の救済等の公的な助成が大々的に行われておりまして、結果、供給能力過剰問題の解決をおくらせるとともに、我が国造船業に大きな悪影響を及ぼしているところでございました。

 これまで、我が国は、OECD造船部会や日韓造船課長会議の場におきまして、韓国政府や公的機関による自国造船業に対する過度な支援は造船市場を歪曲するものであり、造船業の供給過剰問題の早期解決を阻害するものであると累次にわたり指摘をしたところでございます。

 また、先月には、私ども海事局と韓国の産業通商資源部との局長協議を実施をいたしまして、韓国に対して、我が国の懸念を改めて伝えるとともに、本問題の友好的かつ迅速な解決の必要性を強く訴えたところでございますけれども、措置の撤廃には至っておらないということでございます。

 このため、関連業界の要望も踏まえまして、関係省庁と協議の上、WTO協定に基づく紛争解決手続を用いて本問題の解決を図ることといたしまして、十一月六日、韓国政府に対して、当該手続に基づく二国間協議を要請したところでございます。

 この手続を通じまして、造船市場における公正な競争環境の確保に努めてまいりたいと考えておるところでございますけれども、また、国土交通省におきましては、我が国造船業の生産性向上などを通じまして、二〇二五年に世界新造船建造シェア三〇%の獲得を目的といたしまして、海事生産性革命、i―Shippingというのを推進しているところでございまして、公正な競争環境の確保とあわせて、我が国造船業の競争力強化に向けた取組を総合的に推進してまいりたいと考えておるところでございます。

井上(英)委員 もう一つ、先ほども言いましたけれども、結局、造船業の世界のシェアでいうと、日韓もそうですし、非常に限られた国になっていると思うので、そこの答弁と、それから、公的支援というのが一回だけではないというふうにお聞きをしているので、その回数もお答えをいただけますか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、世界の造船市場の様子でございますけれども、これは、日本と韓国と中国の三カ国がメジャープレーヤーとなっておりまして、この三カ国の建造量で大体世界の九〇%を占めておるということでございます。

 戦後、日本は長らく、半世紀近く世界ナンバーワンの建造量を誇っておりましたけれども、二〇〇〇年に韓国に首位の座を奪われまして、その後は中国にも追い抜かれておるという状況になっておるということでございます。

 また、韓国による公的支援でございますけれども、これは、特に二〇一五年の秋以降、大宇という韓国の造船所がございますけれども、こういったところに対しまして、累次の公的金融機関による融資策でございますとか、またその融資をデット・エクイティー・スワップという形で出資に切りかえるというふうな累次の支援が行われてきたところでございまして、繰り返しこういった支援策の充実が図られてきたというところでございます。

井上(英)委員 ぜひ、もう提訴した以上は、何とか勝訴できるように頑張っていただきたいというふうに思います。それでは、この件の質問は終わります。

 では次に、災害対策について、本題に入らせていただきたいと思いますけれども、我が国日本はこれまでも長年にわたって災害への備えというのを重ねてまいりましたが、近年の日本列島は想定を超える自然の猛威に翻弄され続けていると言ってもいいと思います。

 ことしにおきましても大小さまざまな災害が発生しましたけれども、特に被害の大きかったものでいいますと、六月十八日に大阪府北部を震源として発生した大阪北部地震から始まり、六月の終盤から七月の上旬にかけて、長期にわたってずっと長雨の状況が続いた、西日本を中心に被害が及んだいわゆる西日本豪雨。また、先ほど宮本委員からもありましたけれども、九月四日には台風二十一号で大きい被害もありました。そして、その二日後の九月六日には北海道の胆振の東部地震。

 本当に、この年だけでも各地で甚大な被害をもたらしているという状況にあります。さらなる備えというのを講じるべきだというふうに思うんですけれども、まずは、きょうはブロック塀についてお聞きをしたいと思います。

 四十年前の一九七八年に発生した宮城県沖地震で、ブロック塀などの下敷きになって十八名の方がお亡くなりになった。そしてまた、二年前の熊本地震では、四メートルの高さから落ちてきたブロック塀の下敷きとなってお亡くなりになられた方がいてる。そして、ことし起きた大阪北部地震では、小学校のブロック塀が倒れて、女の子、児童が亡くなるという非常に痛ましい事故が発生をいたしました。

 その大阪北部地震で倒壊したブロック塀は、現行の建築基準法の基準を満たしていないというふうに発表されています。ブロック塀の安全のルールというのは強化されてきたと思いますが、違法なブロック塀や建築当時は適法だった既存不適格建築物というのが長く放置されて安全を脅かしているというのは大きな問題だというふうに考えます。

 そこで、まず、ブロック塀の構造の基準がどのように変化し、それに伴ってブロック塀が具体的にどの程度強化されてきたのか、お答えいただけますでしょうか。

大塚副大臣 お答えをいたします。

 補強コンクリートブロック造の塀、いわゆるブロック塀につきましては、過去の地震による被害を踏まえ、昭和四十六年の建築基準法施行令において基準を制定しております。そして、昭和五十六年に高さの基準を強化いたしましたが、それ以降の基準の強化を行っておりません。

 こうした中で、本年六月、大阪北部地震が発生しましたが、被害の度合いが著しい十カ所の塀につきましては、建築研究所が調査したところ、いずれも現行の構造基準に適合しないものであったとの報告を受けております。

井上(英)委員 今お答えいただいたように、結果的に建築基準法の基準を満たしていないブロック塀がやはり崩れていたということで、この大阪北部地震、直近に起きましたけれども、この大阪北部地震を受けて、文部科学省が全国の学校のブロック塀の安全点検というのを行ったところ、ブロック塀がある学校のおよそ七〇%で安全性の問題というのが見つかったというふうに聞いています。

 ですから、やはり今でもブロック塀の安全性が疑われているという状態が続いているわけでありますけれども、ブロック塀の構造の基準が順次強化されているというふうになっているんですけれども、結果的には違法建築物や既存不適格建築物と言われるものが多く混在をして、災害により倒壊するリスクというのは先ほど申し上げたように残ったままであります。

 こうした建築物については、行政が点検や改修、撤去というのを積極的に進めて、早期に現行の構造の基準というのに適合するように改めて周知徹底していくべきだと思うんですけれども、それが、先ほど言われたように、一九七一年、昭和四十六年に建築基準法ができて、八一年、五十六年に改正されて以降、ずっと言われているはずなんですけれども、やはり今回のような事故というのが起きてしまうというのはなぜなのかということをお答えいただけますでしょうか。

大塚副大臣 お答えをいたします。

 ブロック塀の中には、現行基準の制定前に制定された古いブロック塀があります。それらにつきましては、その危険性について、また所有者等に十分浸透していなかったということもございます。また、撤去等に要する費用の負担の問題などから、現行基準に適合しないものが存在しているという状況にあるというふうに考えております。

 こうしたことを踏まえまして、国交省では、これまでに、塀の所有者等に向けた安全点検チェックポイントの公表、地方公共団体に対する、壁の所有者等に向けた注意の喚起、また支援措置の周知、そして建築士関係団体への協力依頼や関係団体連絡会議の開催等も行っておるところでございます。

 また、一部の地方公共団体におきまして、所有者への周知のほか、相談窓口の設置や防災・安全交付金の効果促進事業等を活用した支援に取り組んでおります。国土交通省といたしましても、ブロック塀の撤去等に対する支援を推進してまいります。

 さらに、今後のブロック塀等の安全対策といたしまして、通学路を含む避難路沿道のブロック塀につきましても、建築物と同様に耐震診断を義務づけることができるよう、耐震改修促進法の政令等の改正に向けてパブリックコメントを行っているところでございます。

 これにあわせて、ブロック塀等の耐震診断や、診断の結果、撤去等を行う場合の費用に対する支援につきまして、平成三十一年度予算概算要求に盛り込んでおるところでございます。

 今後とも、ブロック塀等の安全対策に向けまして、関係業界や地方公共団体と連携して対応してまいりたいと考えております。

井上(英)委員 この周知徹底を何とか実効性のあるものにぜひしていただいて、先ほど答弁いただいたように、今、建築基準を満たしていないブロック塀が崩れているというのが現状ですから、ぜひ、世に言う違法建築物や既存不適格建築物というのがこの社会から減るように、なくなるように、ぜひ周知徹底を改めてお願いをしたいと思います。

 同じ塀なんですけれども、次は、石づくりの塀についてお伺いをいたしますけれども、当然、ブロック塀のように鉄筋が入っていませんので、石づくりですから非常に弱い。建築基準法の施行令、先ほど言われた昭和五十六年の建築基準法の施行令の改正でも、二メーターだった上限が一・二メートルの高さの上限に変更されたということであります。

 国交省では、建築基準法施行令の基準に従って塀をつくればひび割れはほとんど生じないというふうには説明はしていますけれども、今のルールづくりで石づくりの塀の安全確保というのができるのか、また、安全確保にどのように取り組まれるのか、御答弁お願いいたします。

大塚副大臣 お答えを申し上げます。

 大阪北部地震では、ブロック塀の倒壊により一名の方が亡くなられたほか、石づくりの塀の倒壊によっても一名の方が亡くなられておられます。

 こうした石づくりの塀につきましても、現行基準に適合する形で適切に維持管理されているものは所要の安全性が確保されているものと考えておりますが、適合しないもの、そういったものには、地震により倒壊し、被害が発生するというおそれがあることから、国土交通省といたしましても、ブロック塀と同様に、所有者等に対する注意喚起、撤去等に係る支援の措置の周知を行っているほか、避難路沿道の一定規模以上の石づくりの塀につきましては、ブロック塀と同様、耐震診断の義務づけ等を可能としていく予定でございます。

井上(英)委員 ぜひ、よろしくお願いいたします。

 この塀に関しての質疑は最後にさせていただきたいと思うんですけれども、今回の大阪北部地震のブロック塀の被害を受けて、大阪市では、道路などに面した一定の高さ以上のブロック塀の撤去や、それを軽量フェンスへ変更することによる新設工事に要する費用の一部というのを補助する制度というのを導入し始めました。しかし、この補助制度では、来年度までは三分の二の補助率で、限度額は撤去で二十万円、新設で三十万円、再来年度以降は二分の一の補助で、限度額は撤去で十五万円、新設で二十五万円、一定額は個人負担になっているんです。

 こういう危険な塀、なかなか一掃できない危険な塀を一掃するために、自治体の取組にプラスして、更に国として補助制度も含めた支援策というのを何か検討するものはないか、副大臣、よろしくお願いいたします。

大塚副大臣 お答えを申し上げます。

 ブロック塀等の安全対策につきましては、防災・安全交付金等の効果促進事業によりまして、地方公共団体の取組を支援しているところでございます。

 この効果促進事業を活用いたしましてブロック塀等の安全対策に取り組んでいる地方公共団体の数は、本年九月十日時点で、井上委員のおられます大阪市など百六十五団体となっているところでございます。

 このブロック塀等の耐震診断や、診断の結果、撤去等を行う場合の費用に対する支援につきましては、平成三十一年度の予算概算要求に盛り込んでいるところであるわけであります。

 今後とも、地方公共団体と連携して対応してやっていきたいと思います。

井上(英)委員 副大臣、よろしくお願いいたします。

 副大臣、ありがとうございました。

 時間も限られていますので、ちょっと飛ばして、大臣に聞きたいi―Constructionの件を取り上げさせていただきます。ちょっと台風二十一号の件は、またこの後一般を多分つくっていただけるかと思うので、またそのときにやらせていただこうと思います。それでは、i―Constructionで。

 人口減少や高齢化での建設業の担い手不足というのが懸念されています、今回の外国人労働者の受入れでも建設業というのが明記されていますけれども。ICTなどの活用で建設業の生産性を向上して、これまでより少ない人数や工事日数で同じ工事量を実現する、いわゆる効率性を上げることだというふうにお聞きをしています。

 コンストラクション二〇二五というのを推進しているイギリスでは、ビルディング・インフォメーション・モデリング、頭文字をとってBIMというのを義務化して、三次元モデルの活用などにより二〇二五年までに三三%のコスト削減、五〇%の工期短縮という大きな目標を立てているというふうにお聞きをしています。

 では、我が国では、このi―Constructionの導入によって、どれぐらいのコスト削減が、そしてどれぐらいの工期短縮というのを目標にされているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

石井国務大臣 国土交通省では、調査、測量から設計、施工、維持管理・更新までの全ての建設生産プロセスにおけるICTの活用や、施工時期の平準化等に取り組む建設現場の生産性革命、i―Constructionを二〇一六年から推進をしております。

 具体的には、土工、舗装工やしゅんせつ工等へのICTの導入、二カ年国債の活用等による施工時期の平準化、大規模構造物へのBIM、CIMの導入、産学官の連携による新技術の導入促進等に取り組んでいるところであります。

 土工にICTを導入した現場では、従来施工と比較をいたしまして延べ作業時間が約三割縮減するなど、取組の効果があらわれてきております。

 このように、i―Constructionの取組によりまして、これまでよりもより少ない人数、より少ない時間で事業を進めることを通じまして、建設現場の生産性を二〇二五年度までに二割向上することを目指しているところでございます。

 その効果は、建設業に従事する方々の休日の拡大や賃金の上昇による働き方改革や担い手の確保にも結びつくものでありまして、引き続き取組を推進してまいりたいと考えております。

井上(英)委員 最後に、大臣、また、コスト削減も工期短縮も含めて、ぜひ目標を達成していただきたい。険しい道かもわかりませんけれども、これからのためにぜひお願いしたいと思います。

 また、このi―Construction自体を、日本の国で主導するというか、先導するような役割を担っていただいて、ぜひ我々の、日本国で起きるこのi―Constructionというのを他の国にも国際展開できるように頑張っていただきたいと思うんですが、答弁をお願いします。

石井国務大臣 i―Constructionの海外展開に当たりましては、国際標準化等の動向と連携をしつつ、i―Constructionの取組に基づく技術基準類等が広く各国で活用されることが重要と考えております。

 このため、i―Constructionの産学官連携の場でありますi―Construction推進コンソーシアムの中に海外標準ワーキンググループをつくっておりまして、ここにおいて三次元モデルの利活用等に係る海外動向を調査をし、情報共有をする取組を進めてきたところであります。

 また、本年十月十六日から十九日には、世界十八カ国以上の参加のもとで、建設分野における三次元モデルの国際標準化を進めますbSI東京サミットが開催をされました。国土交通省からは、我が国におけるi―Constructionの取組を世界に広く発信するとともに、道路、橋梁、鉄道、港湾など各分野における三次元データの仕様のあり方について議論が行われたところであります。

 今後とも、三次元モデルの国際標準化等に対しまして我が国の取組を世界に発信するなど、i―Constructionの海外展開の取組を積極的に進めてまいりたいと考えています。

井上(英)委員 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

谷委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国務大臣宮腰光寛君。

    ―――――――――――――

 海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

宮腰国務大臣 ただいま議題となりました海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律案の提案理由及び内容の概要につきまして御説明申し上げます。

 海に囲まれ、かつ国土の面積も狭隘な我が国にとりまして、海洋再生可能エネルギー発電事業の長期的、安定的かつ効率的な実施が重要であることに鑑み、海洋基本法に規定する海洋に関する施策との調和を図りつつ、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用を促進することは、我が国の経済社会の健全な発展及び国民生活の安定向上に寄与するものであります。

 このため、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に関し、関係者との調整の枠組みを定めつつ、海域の長期にわたる占用が可能となるよう、所要の措置を講ずることが必要であり、この法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の内容の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、政府は、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用は、海洋に関する施策との調和を図りつつ、海洋の持続可能な開発及び利用を実現することを旨として、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針を定めなければならないこととしております。

 第二に、経済産業大臣及び国土交通大臣は、我が国の領海及び内水の海域のうち一定の区域であって自然的条件が適当である等の基準に適合するものを、関係行政機関の長への協議等を行った上で、海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進区域として指定することができることとしております。

 第三に、経済産業大臣及び国土交通大臣は、海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進区域内の海域において海洋再生可能エネルギー発電設備の整備を行うことにより海洋再生可能エネルギー発電事業を行うべき者を公募により選定し、当該区域内の海域の長期にわたる占用等に係る計画を認定するものとすることとしております。

 そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願いいたします。

谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時五十七分散会


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