衆議院

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第7号 令和2年4月10日(金曜日)

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令和二年四月十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 土井  亨君

   理事 小里 泰弘君 理事 金子 恭之君

   理事 工藤 彰三君 理事 根本 幸典君

   理事 三ッ矢憲生君 理事 小宮山泰子君

   理事 福田 昭夫君 理事 岡本 三成君

      秋本 真利君    小田原 潔君

      大塚 高司君    大西 英男君

      鬼木  誠君    門  博文君

      神谷  昇君    小林 茂樹君

      古賀  篤君    佐々木 紀君

      田所 嘉徳君    田中 英之君

      谷川 とむ君    土屋 品子君

      中村 裕之君    長坂 康正君

      鳩山 二郎君    堀井  学君

      三谷 英弘君    宮内 秀樹君

      簗  和生君    山本  拓君

      荒井  聰君    伊藤 俊輔君

      西岡 秀子君    広田  一君

      古川 元久君    馬淵 澄夫君

      道下 大樹君    矢上 雅義君

      谷田川 元君    伊藤  渉君

      北側 一雄君    高橋千鶴子君

      井上 英孝君

    …………………………………

   国土交通大臣       赤羽 一嘉君

   国土交通副大臣      御法川信英君

   国土交通大臣政務官    門  博文君

   国土交通大臣政務官    佐々木 紀君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 稲岡 伸哉君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁在留管理支援部長)       丸山 秀治君

   政府参考人

   (財務省大臣官房総括審議官)           神田 眞人君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           蝦名 喜之君

   政府参考人

   (スポーツ庁スポーツ総括官)           豊岡 宏規君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           辺見  聡君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           春日原大樹君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         江崎 禎英君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    鎌田  篤君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 野村 正史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官)            山上 範芳君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         東川 直正君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            蒲生 篤実君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         青木 由行君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        五道 仁実君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  池田 豊人君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  眞鍋  純君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  水嶋  智君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 一見 勝之君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  和田 浩一君

   政府参考人

   (国土交通省北海道局長) 水島 徹治君

   政府参考人

   (観光庁長官)      田端  浩君

   政府参考人

   (気象庁長官)      関田 康雄君

   国土交通委員会専門員   宮岡 宏信君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

土井委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長野村正史君、大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官山上範芳君、大臣官房技術審議官東川直正君、総合政策局長蒲生篤実君、土地・建設産業局長青木由行君、水管理・国土保全局長五道仁実君、道路局長池田豊人君、住宅局長眞鍋純君、鉄道局長水嶋智君、自動車局長一見勝之君、航空局長和田浩一君、北海道局長水島徹治君、観光庁長官田端浩君、気象庁長官関田康雄君、総務省大臣官房審議官稲岡伸哉君、出入国在留管理庁在留管理支援部長丸山秀治君、財務省大臣官房総括審議官神田眞人君、文部科学省大臣官房審議官蝦名喜之君、スポーツ庁スポーツ総括官豊岡宏規君、厚生労働省大臣官房審議官辺見聡君、経済産業省大臣官房審議官春日原大樹君、商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官江崎禎英君及び中小企業庁次長鎌田篤君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

土井委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。荒井聰君。

荒井委員 立憲民主党の荒井聰でございます。

 きょうは大臣と真面目な質疑をしたいと思いますので、よろしくお願いしますね。

 新型コロナウイルスの蔓延が続いていますけれども、大臣、これはどのぐらい続くとお思いですか。まあ、突然の話なので、大臣にもわからないのかもしれませんし、それもやむを得ないのかもしれませんけれども。

 前回、日本のパンデミックスというのは、二〇〇九年に始まった鳥型インフルエンザの案件でありました。これは二年から三年ぐらい続いているんですね。あのときは一千五百万人の感染者が出ました。あのときにつくった法律が今回の改正する基本になった法律であります。

 私はやはり前回と同じぐらいのことを想定をして対策を立てるべきではないかと思うんですけれども、まず、大臣、そのあたりはどうお考えですか。

赤羽国務大臣 荒井委員のおっしゃるのはもっともだというふうに思っておりますが、私の立場は、もちろん、政府の一員としてこの感染をできるだけ短期間に収束させるということに、その目標を持って、国土交通大臣としてできることを果たさなければいけないと思っておりますし、経済的に見て、こうした状況が長期になればなるほど、今でも相当、観光関連、その周辺の産業、大変厳しい状況が続いておりますので、そうしたことはとにかく一日も早く回復をしなければいけないという思いで取り組んでいるところでございます。

 ただ、客観的に、疫学上というか、どうしたことかというのは、それは専門家の会議も持たれておりますので、そうしたことで冷静な、合理的な検討と分析、また判断がなされるものというふうに思っております。

荒井委員 検疫という言葉は、十五世紀のベネチアで出てきた言葉のようであります。ベネチアというのは貿易立国ですから、今の日本とよく似ているんですけれども、定期的に貿易船が入ってくる。その貿易船の中で疫病が発生したときに、四十日間隔離をする。ベネチアの首都から離れたところ、島のようですけれども、そこに船を隔離して、四十日間そこで停泊をさせ、そこで乗員は下船をさせて、病気の人は治療する、病気でなくても四十日間そこにとどめ置くというシステムをベネチアはつくったようであります。これが検疫の原点になっているんですね。

 この観点からいくと、日本は、一番最初のクルーズ船の対応でうまくいかなかったのではないか。それは、この検疫の考え方とかそういうシステム、そういうものが不備だったからではないだろうかというふうに思います。四十日間とは言わなくても、きちっとした隔離の仕方ということをもっと事前に、港湾を整備するときに考えておくべきだったのではないか。

 私は、非常にショックだったのは、クルーズ船の検疫に行った人、あるいは千歳の飛行場なんかでも、検疫官がコロナにかかっているんですね。これは、病気を、このコロナのウイルスを非常に軽視したことから始まったのではないかなというふうに思います。それから、設備としても非常に不十分だったのではないか、検疫というものに対して、そんなふうに思います。

 ところで、今大臣もおっしゃいましたけれども、今度の経済影響というのはどのぐらいの影響になるのかということを、そろそろ推計をしながら、それに対する対策が必要なんだろうと思うんです。

 マッキンゼーという世界的に有名なコンサルタント会社が私的にマッキンゼーのお客さんたちに配ったレポートの中で、これは一月の時点でのレポートなんですけれども、一番早くて六月、普通に見て八月、ひょっとすると十二月という見方を一月か二月のレポートで出しておりました。しかし、今や、この見方は甘過ぎる、一年以上、一年半は続くのではないかという見方をする専門家あるいは経済評論家が多くなっています。

 そこで、総合政策局長にお聞きをしますけれども、国交省関係の企業あるいは業界の中で大きな影響を与えるのが、観光、宿泊、航空、鉄道、バス、タクシーでありますけれども、これの現状は今どのぐらいの被害状況になっているのかということをお聞きしたいというふうに思います。

 ちなみに、北海道で札幌が一番早くにコロナの蔓延が出たんですけれども、今現在でも、札幌市の市営の地下鉄の乗車率というのは二割から三割というふうに言われています。二割、三割減なのではなくて、八割減という状況が札幌の地下鉄の場合には生じているというふうに言われています。

 現状、特に航空それから観光、宿泊が非常に大きなダメージだと思うんですけれども、いかがでしょうか。総合政策局長にお聞きします。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省におきましては、アンケート調査や聞き取り調査等によりまして、新型コロナ感染症による所管の各業界における実情の把握に努めてきているところでございます。

 委員お尋ねの各業界におきましては、大変厳しい経営状況を裏づける数字が得られているところでございます。

 具体的には、三月三十一日時点でございますが、宿泊業につきましては、予約が七〇%以上減少と回答した施設が、二月の約二%から四月は約七割まで大幅に増加する見込みでございます。

 旅行業につきましては、中小事業者で見ると、三月の予約人員は前年同月比で七四%減、四月は七〇%減と、ともに大幅な減少の見込みでございます。

 航空につきましては、輸送人員は、前年同月比で三月は国際線が約七割減、国内線が約五割減、四月は現在までのところ国際線が約九割減、国内線が約七割減と、大幅に減少する見込みでございます。

 鉄道につきましては、新幹線につきまして、三月の輸送人員が前年同月比で約五割から七割減となっているところでございます。

 貸切りバスにつきましては、運送収入が七〇%以上減少と回答した施設が、二月の約二%から三月以降は約八割に急増する見込みとなっているところでございます。

 タクシーに関しましては、前年同月比の輸送人員が三月は約四割減、四月は約五割減となる見込みでございます。

 ただいま申し上げましたように、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりまして、観光関係業界、交通関係業界等におきましては利用者数や予約が大幅に減少しております。引き続き状況把握に努めてまいりますが、今後も更に減少が続く可能性が高く、経営に極めて大きな影響を与える深刻な状況であると受けとめているところでございます。

 以上でございます。

荒井委員 今局長から現状あるいは減少の数字をお示しいただきましたけれども、非常に深刻な状況だと思うんですね。それはそうですよね、動くなと言っているわけですから、人と接触するなと言っているわけですから。その接触をしない、動くなの動く手段というのは交通機関であり、あるいはその趣旨がビジネスとそれから観光というところに特化されるわけですから、そういう数字が出てくるんだろうというふうに思います。

 これは、観光で成り立っている地域というのが今の日本のGDPの随分大きなウエートを占めている、あるいはそれを引っ張っているのがこの数年間観光だったわけです。

 特に北海道では、観光の占めるシェアというのは非常に高くて、これの状況というものが地域経済に与える影響というのは非常に大きいというふうに思っております。

 そこで、観光庁長官、この観光に与える影響、そしてそれに対する対策ということを、今補正予算を考えておられると思いますけれども、そういうものについてどういうふうに考えておられるのか、お聞かせ願えますか。

田端政府参考人 今委員御指摘の、観光に与える影響は非常に大きくなっています。

 特に、インバウンドの関係は、中国政府は本年一月二十七日から海外への団体旅行を禁止、また、多くの国々で政府による入国制限また海外旅行の禁止などをしていますので、日本向けだけでなく全世界的に旅行者の往来が大幅に減少しています。インバウンドでは、本年二月の訪日外国人旅行者数、対前年同月比マイナス五八・三%となっています。

 さらに、三月以降についても、我が国が水際対策を逐次強化をしたということで、全国各地からの訪日の旅行者数は大幅に減少していくものと考えています。航空便も大幅に減少をして運航している影響が出てまいります。

 また、消費額の部分についても影響が、インバウンドの実績に伴いまして大きく出てくるんだろうと思っています。一―三月期の値はまだ明らかになっておりませんけれども、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による訪日外国人旅行者数の減少ということが消費額、地域経済に大きく影響を与えるものと考えています。

荒井委員 消費額推計は四半期ごとに出していますけれども、もうすぐ二月、三月のやつが出ると思うんですけれども、そのあたりについては、国交省関係、特に観光関係では、全体として対前年でどのぐらいの減少になるというふうに見込んでおりますか。

田端政府参考人 観光の消費額は、昨年は四・八兆円というので、訪日外国人の旅行消費額でございます。

 一―三月期につきましては、まだ現時点では集計中ということでございますが、四月中旬ごろに一―三月期の消費額の影響、これを発表をしていきたいと思いますが、今申し上げましたが、数字が非常に落ち込んでいますので、消費額につきましても大きな影響が出るものと推定をしております。

荒井委員 恐らく半分以下になるんだろうというふうに思います。

 それで、観光行政は今まで国交省関係の行政の中では非常に成功した事例だったと思うんですね。この数年間で二千万、三千万というインバウンドがふえているわけで、それに伴うGDP押し上げ効果というのは非常に高かったと思うんですけれども、しかし、その反面、本来やっておくべきことに手抜かりがあったというか、そこが十分準備されないうちにツーリズムが一方的に振興してしまったのではないかと。

 例えば、おととしだったでしょうか、大型クルーズ船が停泊できるような港の整備ということについて、法律までつくってやったわけですけれども、しかし、それだけの大型の船が来たときの検疫システムをどうするのかということまで考えなかったと思うんですね。私もそのときは考えていませんでしたよ。

 しかし、本来、大型クルーズ船の停泊が、そういう病気が発生するということが起きたならば、首都に近いところで検疫をするというのは、このベニスの例で冒頭に話しましたけれども、本来はするべきじゃなかったんじゃないか。そうすると、港のあり方、あるいは港のつくり方ということは、再検討するべきなのではないかというふうに思います。

 きょう港湾局長は来ていないんですけれども、総合政策局長、お答えできますか、今みたいな話。

蒲生政府参考人 今先生から御指摘のありましたように、ある意味、インバウンドに関しまして、我々の想像を超えるような伸びがあったということでございます。

 これに関しまして、インフラの整備が追いつかなかった、又は、ソフト面についてもまだまだ足りない部分があったのではないかということにつきましては、今回のコロナウイルスの状況を鑑みまして、しっかりとその辺を検証する必要があろうかというふうに感じているところでございます。

荒井委員 オーバーツーリズムの問題というのは、既に京都なんかでも大きな課題として発生をしておりましたけれども、こういう新型コロナウイルスの蔓延を契機に、もう一度大きく見直しをするべきだということを伝えたいと思います。

 ところで、これは国交関係の業務なんですけれども、日本の経済を支えている自動車産業、そのあたりについても大きな障害が生じているのではないか。先ほどのマッキンゼーのレポートでは、自社の職員を守るということ、そしてサプライチェーンを守るということ、そのことに各企業は全力を尽くすべきだという、そういうアドバイスが結論でありました。

 今、自動車産業は、かなりの部分のサプライチェーンを中国ほかアジアに求めていますので、それらが今、切れようとしているわけで、切れたのかな、国内での自動車産業の問題というのは相当大きくなっていると思うんですけれども、このあたり、きょう経産省、誰か来ていましたよね、お答え願えますか。

春日原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、自動車産業、非常に我が国の経済、それから国外でのサプライチェーン、それからマーケット、非常に大きなものがございまして、今回、新型コロナウイルス感染症拡大による欧米での販売停止などによりまして、自動車メーカーの生産稼働の停止や減速が生じているというふうに承知をしてございます。

 今後、サプライヤーを始めとした関係者の影響をしっかり見てまいらなきゃいけないというふうに考えております。

 これまで、第一弾、第二弾の緊急対応策として、一・六兆円規模の金融措置を盛り込みまして、強力な資金繰り支援を行ってきたところでございますけれども、さらに、先日発表いたしました緊急経済対策におきましても、政府系金融機関で実施しております無利子無担保かつ最大五年間元本据置きの融資を民間金融機関にも拡大するとともに、特に厳しい状況にございます中小・小規模事業者の皆様に対しまして、事業を継続するための給付金制度を創設するといった一層の支援強化策を盛り込んでおるところでございます。

 また、工業会と共同いたしまして、新型コロナウイルス対策検討自動車協議会を立ち上げておりまして、サプライチェーンへの影響についての業界大の迅速な情報共有も行っているところでございます。

 こうした取組を通じまして、各国の動向それから企業の声を丁寧に把握をいたしまして、自動車業界の直面する課題にスピード感を持って対処できるように万全を期してまいりたいと思っております。

荒井委員 私、二週間ほど前に、札幌の保健所とそれから札幌市立病院を視察いたしました。

 コロナのPCR検査という検査が、極めて手間暇がかかるというか、あるいは時間がかかるんですね、ウイルスを培養するシステムですから、培養する期間が必要ですから。

 それと、意外と知られていないのが、せっかく検体をとってもそれを検査所に運んでいく人がいないとか交通機関がないとか、運ぶ人がある意味では恐怖を感じて運べないとかというそういうことがあるんだそうであります。それならば、誰か特定の人が一日に二回ぐらいそういう検査のところを回っていくというような、そういう仕組みをつくればいいのになと思うんですけれども、今、厚労省関係はもうしっちゃかめっちゃかな状況で、マスクの配分の話は考えられても、こういう本当の肝心なところをしっかりと検証する人がいなくなっている。

 保健所の人は今一番何に時間をとられているかというと、相談窓口をつくっていますので、その相談窓口にどんどん時間と人材をとられているということをおっしゃっていました。

 きょうは本当は厚労省にも来てもらってそのあたりの議論もしたかったんですけれども、国対で申合せがございましたので、それはまた別の機会にしたいと思いますけれども、この検査の体制、そして検査数をどうやったら多くできるかというのは、これは閣内全体の問題だと思います。厚労省の問題だというふうに投げるのではなくて、閣内全体でこの問題をぜひ議論してほしいなと思います。

 特に、PCR検査じゃなくて、ドイツやシンガポールでは抗体検査を併用している。イギリスもそのようでありますけれども。抗体検査というのは、ウイルスを培養する必要がありませんから、すぐ結果が出るんですね。インフルエンザのあれと同じです。そういう状況ですので、ぜひ、抗体検査というのを現実に検討するべき時期に来たのではないだろうかというふうに思いますので、閣内での検討をお願いいたします。

 いずれにしても、私は、このコロナの問題というのは、当初専門家やあるいは政府が想定していた以上に長く続かざるを得ない、長く苦しい戦いになるだろうということを覚悟するべきですし、そのための人材あるいは資金というものを重点的に配分していくということがぜひ必要だというふうに思います。

 それでは次に、きょうはこのことをずっとやりたかったんですけれども、余り時間がなくなりましたけれども、令和元年の東日本台風による河川被害についてであります。いろいろなところで、栃木県だとか、あるいは茨城県だとかも大きいんですけれども、千曲川水系における国管理の河川についての被害状況について、これを踏まえながら少し議論したいというふうに思います。

 国土保全局長、被害状況、特に千曲川の被害状況というのはどういうことであったでしょうか。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 千曲川では、令和元年東日本台風により、立ケ花上流の二日当たりの流域平均雨量が約二百ミリとなるなど記録的な豪雨となり、水位も観測史上最高を記録したところでございます。これにより、千曲川を含め大規模な河川の氾濫等が発生し、長野県内では、約二千四百ヘクタールの浸水被害と八千戸を超える家屋被害が発生したほか、鉄道橋の流失など、甚大な被害があったところでございます。

 また、千曲川の国管理河川の河川管理施設についても、長野市穂保地先での越流による堤防の決壊が発生したほか、護岸の損壊、堤防ののり崩れといった五十カ所を超える被害が発生したところでございます。

荒井委員 この十九号台風で、その前後もあったかもしれませんけれども、民間の保険会社の被害額の支払い額が約一兆円なんです。その前の年も一兆円でした。

 つまり、洪水被害を中心とする洪水のあり方が、まあ温暖化ということも言っているんですけれども、私は、温暖化だけではなくて、社会のあり方が随分変わってきたという、その社会のあり方、あるいは気象のあり方に、十分、国交省の行政がついていっていないのではないか、国交省だけではなくて政府全体がついていっていないのではないだろうか、そんな思いがありますので、今、千曲川の話をいたしました。

 私の見方はまだ立証はされていませんけれども、中山間地と言われている山地と平地の間の、昔はここが日本の文化の起点といったような、そんな感じで人がたくさん住んでいたんですけれども、この中山間地から、コンパクトシティーみたいな考え方でどんどん人がいなくなりました。結果的には、山を治める、あるいは水を治める、それを治めていく人たちの民間の組織が私は崩れていったのではないだろうかと。それが大きな治水の被害の原因の一つなのではないだろうかというふうに思います。

 河川局長、そんな考え方、いかがですか。

 それで、私は、この河川のあり方というのは、ダムで今まで管理をしていく、堤防でコントロールしていく、そういうやり方から脱する時期なのではないだろうかというふうに思います。今でもまだ、一つのダム、一つのダムずつ管理をしている、そういうやり方ではもはや水をコントロールしていくのは不可能なんだと思います。

 そこで、官房が中心になって、幾つかの利水ダムを含めた管理の体制をつくろうという動き、この動きを私は大変評価をいたしますけれども、このあたりについて最後に大臣からお答えいただきたいと思うんですけれども。

 この河川管理のあり方、例えば整備計画をつくり直そうと今していますけれども、その整備計画の中に、その地域の関係者、例えば山林組合の人たちだとか、あるいは土地改良の組合の人たちだとか、利水関係とか地域管理の人たち、そういう人たちが入っていないんじゃないでしょうか。そういう人たちも含めたあり方が必要だと思うんだけれども、河川局長、どうですか。

五道政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば、先ほどの千曲川でございますけれども、現在の河川整備計画の目標流量である約七千六百立方メートルを上回る九千九百立方メートルが流れると推定されております。

 これまでの河川整備計画に基づく治水の施設の整備だけでは再度災害防止を図ることができないということで、本年一月に、流域内の国、県、市町村が連携して、ハード、ソフト一体的に、また緊急的に進める信濃川水系緊急治水対策プロジェクトをまとめたところでございます。

 このプロジェクトにおいては、現在の河川整備計画に位置づけられた施設に加えて、さらに、河道掘削であるとか堤防強化、堤防整備、また遊水地などを新たに行うこととしているところでございます。

 これらの新たな対策を河川整備計画に位置づけるために、本年一月には、学識経験者に意見をいただくための信濃川水系流域委員会を開催するなど、計画変更に向けた取組を進めております。この取組を進めていく上においては、流域委員会を通じて学識経験者の意見もお聞きするとともに、広く関係住民の御意見もお聞きをして、河川整備計画の変更を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

荒井委員 約一月くらい前だったでしょうか、気象庁が主催をする、博覧会じゃないですけれども、そういう大きな会がございました。そこへ行ってみてびっくりしたんですけれども、気象庁関係の企業も含めて、大きな展示会になっていました。

 私はそれを見たときに、気象庁とそれから水管理局が一緒になって、大きなイベントというか大きな展示会、民間企業を巻き込んで、大学も巻き込んで、そういうものをもっとやっていったらいいんじゃないだろうか。それぞれ、気象庁は気象庁、水管理局は水管理局という時代はもはや終わったのではないだろうか。むしろ、国土保全という考え方からいけば、それに林野庁だとかあるいは農林省も含めた、そういう大きなイベントといいますか、下水道展が非常にうまくいっていますよね、あれは大きな企業をたくさん巻き込みながら毎年毎年大きくなっていますけれども、そういうものをやっていく、そういう時期に来ているのではないかというふうに思います。

 せっかく気象庁長官が来ておられますので、気象庁長官に、その件も含めて、この十九号台風のときには、四日前か五日前ぐらいにもうかなり正確な気象情報の予報を出していたと思うんですけれども、それらが十分に水管理局が利用できていなかったというふうに私は思うんだけれども、そこのところは気象庁は言えないんでしょうけれども、長官としての御見解をどうぞ。

関田政府参考人 お答えいたします。

 昨年の台風第十九号、東日本台風でございますが、上陸の三日前に気象庁として異例の記者会見を行って注意を呼びかけたところでございますが、もうその以前から水管理・国土保全局とは緊密に連携をとって、実際に台風十九号の際にも各地方整備局とそれから管区気象台が共同で記者会見をするなど、緊密に連携をとりながら、災害の防止について呼びかけを行ったというふうに理解しております。

荒井委員 国土保全局長と気象庁が一体となって記者会見をこれからもどんどん行うべきだと思います、災害のときにはですね、そういうふうに思います。

 既存ダムの洪水調整機能については、官房が中心になって今回大きな仕掛けをしておりますけれども、私は非常に、遅いくらいだ、今回、この状況を踏まえてそれをやり始めたというのは、国交省として大きな一歩を踏み出したなというふうに思いますので、大臣、その点を進めていただきますようにお願いを申し上げます。

 最後に、時間がなくなりましたので、もう一つ、JR北海道の経営問題です。

 これは北海道にとって大きな課題なんですけれども、JR北海道は年間約三百億円の経常赤字を出しております。この三百億円の経常赤字をどう解決するのかということに尽きるわけなんですけれども、私の考えでは、一般の、一般のと言ったらおかしいな、例えば稲盛さんのようなすぐれた経営者だったらこの三百億の赤字をどういうふうに対処するだろうか。私は簡単にやると思いますね。

 三百億の赤字、どこでどういうふうに出ているか。一つは、新幹線で百億出ています。

 それから、貨物を、アボイダブルコストというコスト方式でそれを運用させていますので、そして、最もゴールデンラインと言われている札幌―千歳間、これの八十本以上が貨物用として使われているんです、これを開放するならば、ここでは約百億円ぐらいの収益が出てくると思います。あるいは、貨物をどうするのか。この貨物の問題と切っても切り離せません。

 そして最後は、赤字の地方ラインです。地方ラインで約百億です。今、これを廃線にしようとかなんとかという議論が北海道の中で大きな課題になっているんですけれども、わずか三百億の中の百億なんです。この百億をどう出すのか、結果的にはここがまとまらなかったんですけれども。

 私は、北海道開発予算あるいは公共予算という大きなポケットがあって、交通関係のインフラを整備する予算として非常に効果があるんですね。その部分を柔軟に転用していくということを考えるべき時期に来ているのではないだろうかと。交通は道路だけに使うという時代ではなくて、そのほかの交通インフラにも使っていく、そういうことがそろそろ議論されてしかるべきなのではないかというふうに私は思います。道路の人は反対するでしょうね。

 それについて、鉄道局長、どうですか。

水嶋(智)政府参考人 お答えを申し上げます。

 北海道開発予算そのものは、私自身、所管外でございまして、なかなかお答えしにくいところでございますけれども、JR北海道の現状そのものにつきましては、地域の人口減少や自動車交通の発達など、そういった他の公共交通インフラの発達などございまして、大量高速輸送という鉄道特性を生かすことができない路線が増大をしておりまして、大変厳しい経営環境に置かれているところでございます。

 このため、JR北海道におきましては、平成三十年の七月に国土交通省が発出した監督命令に基づきまして、昨年四月、長期経営ビジョン、中期経営計画及び事業計画を策定、公表していただいているところでございます。

 先ほど、JR北海道の収支改善について、荒井委員の方からさまざまな御指摘ございました。現在、JR北海道におきましても、こういったビジョンなどに基づきまして、まず、昨年十月に年間四十億円程度の増収につながる運賃値上げを行っておりますほか、これも委員の方から言及がございましたけれども、新千歳空港アクセス輸送の強化を行うなどの増収策も講じております。また、さまざまなコスト削減策にも取り組んでいるところでございます。

 国土交通省といたしましても、四半期ごとにこれらの取組の実施状況の検証を行っているところでございますけれども、JR北海道が本年二月に公表した令和元年度の連結の通期業績予測では、これは新型コロナウイルスの影響が顕在化する前でございますけれども、経常損失が百八億円ということで、計画比では赤字が四億円縮減されるという効果が出ていることが見込まれていたところでございます。

 一方で、JR北海道は今回の新型コロナウイルスの感染拡大の影響も受けておりまして、大幅に旅客が減少しておるという、一層厳しい状況に直面しておるところでございます。

 現在、JR北海道に対しましては、鉄道・運輸機構の方からさまざまな支援策は講じておるところでございまして、この支援の期限も参るということでございます。

 このJR北海道の構造的な問題に対してどうしていくかということにつきまして、新型コロナウイルスの感染拡大が同社の経営に及ぼしている影響も踏まえまして、JR北海道の経営改善に向けた取組も評価した上で、令和三年度以降の支援の継続等についても必要な対応を検討してまいりたいと考えているところでございます。

荒井委員 そこで、ちょっと細かい話なんですけれども、北海道の中では、特に鉄道関係者が非常に憂慮しておりますのは、二〇三〇年に、オリンピックのときまでに新幹線を札幌まで延伸をするということが大きな課題なんですけれども、その大きな障害になっているのが、トンネルから出てくる残土、これはリニアでも同じだと思うんですけれども、重金属を含んでいるんですね。これについて、残土処理をどうするのかということが大きな課題になっているんですけれども、鉄道局長、回答できますか。

土井委員長 水嶋局長、時間が経過しておりますので、簡潔に御答弁をお願いいたします。

水嶋(智)政府参考人 北海道新幹線の新函館北斗―札幌間におきまして、建設残土の発生が見込まれております。また、この発生土に自然由来の重金属等が含まれる場合には適切な処理をしなければいけないということもございます。

 現在、発生土に関しましては、札幌市の二カ所で受入れ地の確保が必ずしもうまく進んでいない状況にはございますけれども、事業主体の鉄道・運輸機構においては受入れ地の確保に向けた協議を進めておりますし、国土交通省も地元自治体との調整を行うなど、受入れ地の確保が円滑に進むよう促進しているところでございまして、予定どおり北海道新幹線の建設が行われるよう、適切に対応してまいりたいと考えておるところでございます。

荒井委員 以上です。終わります。

土井委員長 次に、田所嘉徳君。

田所委員 おはようございます。自由民主党の田所嘉徳です。

 この機会をいただきまして、本当にありがとうございました。

 さて、新時代を迎えまして、誰しも平穏で豊かなものにしたいと願うものであります。しかし、現実は大変厳しくて、令和になってからでも大規模な風水害に見舞われ、今般の新型コロナウイルスという災害も相まって、本当に過酷なものであります。今は新型コロナウイルス問題一色でありますが、それで思考停止になってはならないというふうに思っております。

 さきの台風十九号関連でも、十三都県に大雨特別警報が出され、恐ろしい緊迫感の中で、住家三万三千戸が全半壊し、百人近くの犠牲者が出たという大惨事であったこと、これも忘れてはならないというふうに思うのであります。

 桜の花が咲きまして、そして確実に季節が移り、これから梅雨期そして出水期を迎えるわけであります。さきの台風十九号により七十一河川百四十カ所が決壊し、その河川の脆弱性は失われていないのであります。復旧する河川ごとに緊急治水対策プロジェクトが立ち上げられまして、五年から十年間で全体事業費約五千四百億円をかけてこれから本格的に整備を進めようとしているわけでございます。

 広範な地域における大事業ですが、これをどのように進めようとしているのか、再度災害防止が果たせるものになるのかどうか、赤羽大臣にお伺いをいたします。

赤羽国務大臣 近年の気候変動によりまして激甚化、頻発化する自然災害から国民の皆様の命と暮らしを守るために、治水対策でも、本川、支川の流域全体を見据えて、また、国、県、市町村連携の中で抜本的な治水対策の見直しをしなければいけないということで進めておるところでございます。

 そうした中で、今、先生の御地元でもございます那珂川、久慈川などを始め、国で七つの一級水系におきまして本年一月に緊急治水対策プロジェクトを作成しまして、今回と同様の台風災害が来ても再度災害を防止できるということを目標にハード、ソフト一体となった対策を進めているところでございます。

 具体的には、まず、ことしの出水期までに決壊した堤防の復旧を完了させるということが第一でございます。そして、その後、おおむね五年から十年で、上流における遊水地の整備、また、下流から計画的に行う堤防整備、河道掘削等の改良復旧を集中的に実施してまいりたい、こう考えております。

 それに加えまして、流域における対策として、雨水の貯留施設の整備ですとか、浸水が想定される区域の土地利用の制限、また、マイ・タイムラインなどの作成で実効性のある避難体制づくり、こうしたこともしっかりと進めていきたい、こう考えております。

 いずれにしましても、国交省として、こうした激甚化、頻発化する大災害に対して、防災・減災が主流となる安全、安心な社会の実現に向けて全力で取り組んでまいりたい、こう決意をしております。

田所委員 さきの補正予算の国土交通関係の部分、その一兆二千六百億円のうちの約九〇%が災害からの復旧復興に関するものでありますので、着実に成果が出るように進めてもらいたいというふうに思います。

 次に、BCP、事業継続計画についてお伺いをいたします。災害への備えということであります。

 物理学者の寺田寅彦は、災害は最後通牒もなく突然襲来する、国家を脅かす敵としてこれほど恐ろしいものはない、この世の地獄の出現は決して杞憂ではなく、歴史の教えるところである、さらに、人々が時に災害のことを忘れるのは、これは常におびえていたのでは社会生活もままならないので仕方がないとしても、一国の枢機に参与する者は健忘症ではならず、常に平時において科学的備えと訓練を怠ってはならないというふうに言っております。

 まさに、しっかりと備えをしておくこと、これは政治行政の要諦であると思っています。そこで、平時の災害への備えとして、BCP、事業継続計画の活用が大変有効であると思いますけれども、これをどのように捉えて、そして現在の策定状況はどのようになっているのか、赤羽大臣にお伺いをいたします。

赤羽国務大臣 私も、最大の防災というのは日ごろからの備えに尽きるというふうに思っております。

 国交省といたしましては、国交省自体、ライフラインまたインフラの多くを所轄しておりますので、国民の皆様の生活また経済活動に直接かかわる分野を多く責任を持たせていただいております。ですから、大規模災害によって例えば職員の参集が困難になる場合でも、その執行に重大な影響を及ぼさないように、あらかじめ優先すべき重要業務を取り決めて、これらの業務を切れ目なく執行するための体制づくり、準備をしておくことは極めて重要と考えております。

 こうした考えのもとで、国交省として、平成十九年に業務継続計画を策定をいたしまして、代替庁舎、また発電等の非常用設備の確保などを進めるとともに、時あるごとに計画の見直しを重ねてきたところでございます。

 また、平成二十一年におきましては、感染症の蔓延を想定した業務継続計画も策定しておりまして、さまざまな危機管理というものを心がけているところでございます。

 引き続きまして、あらゆる災害、今回の感染症、こういった危機的な事態に向けて備えに万全を期してまいりたい、こう決意をしております。

田所委員 赤羽大臣には、忙しいようですので、ここで退席をしていただいて結構でございます。

 今般の新型コロナウイルスは致死率が比較的低くて、厚生労働省は、感染者のうち八割が軽症、無症状であり、それらは自宅等での安静、療養を原則とするとしておりますけれども、これは私は、比較論で言えば、非常に恵まれている、救われたことだというふうに思っております。これがもしMERSやエボラ出血熱のように致死率の高い強毒性のものだったら、感染者を陰圧室で隔離する必要も生じ、医療崩壊にもつながり、企業や行政がその機能を果たすことが難しくなって、大変な混乱を招くということであるからであります。

 しかし、いかなるときでも決死の覚悟で守らなければならない業務があります。例えば、国土交通行政では、航空管制や治安維持、災害の情報提供業務などは何としても残さなければなりません。BCPにおいて、守るべき業務、体制を優先順位をつけて、社会的使命を全うすることが大変重要なのであります。

 そこで、今、新型コロナウイルスの感染者が急増し、緊急事態宣言が出されている中で、今後どのように事業継続を図っていくのか、お伺いをいたします。

山上政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省におきましては、危機管理、感染防止対策に関する業務に加えまして、公共交通機関の安全確保、航空管制、生活関連施設の管理など、国民生活や国民経済の確保に必要不可欠な業務を行ってございます。

 これら業務の継続のため、職場における感染対策を徹底するとともに、万が一省内に感染者が発生した場合でも、国土交通省の機能が著しく損なわれることのないよう、業務の遂行体制を確保していくこととしてございます。

 このため、これまでも、職員のテレワーク、時差出勤を鋭意進めてきたところでございますが、今般の緊急事態宣言を受けまして、まず、真に必要な最小限の業務を精査し、出勤職員数を極力減らして業務を継続する、職員を複数のグループに分け交代制とする、在宅勤務や時差出勤を最大限活用し、時間や空間を分けて業務を執行する工夫を行う、いわゆる三密回避の措置を講ずること等によりまして、今回の緊急事態宣言の対象七都府県における出勤職員を七割削減することを目指す取組を始めたところでございます。

 こうした取組を行いつつ、情勢の変化に応じて適切に見直しを行い、国土交通省として業務継続に万全を期してまいります。

田所委員 従前の災害とは違う、抗体を持たない新型感染症の強力な蔓延力というものがあるわけでありますので、あらゆる形態を想定して対応してもらいたいというふうに思っております。

 いよいよ緊急事態宣言が発出されました。法的根拠をもって各種行為や自粛を要請、指示等ができるなど、広い分野の措置が可能となります。

 国交省の所管では、公共交通機関は通常どおり運行させると説明されていますが、人々の行動自粛化の不利益にもかかわらず運行を継続させることをどのような施策によって可能とするのか、また、緊急物資の運送が必要になるなど、緊急事態宣言により招来される事態にどのように対応するのか、御法川副大臣にお伺いをいたします。

御法川副大臣 公共交通や物流は国民生活や経済活動等を支える重要なインフラでございまして、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づいて、緊急事態においても必要な機能を維持することが求められております。

 特措法においては、必要な輸送を確保するために、公益的事業を営む法人である運送事業者をあらかじめ指定公共機関又は指定地方公共機関として指定をして、緊急事態においては、指定公共機関等は、それぞれの業務計画で定めるところにより、旅客及び貨物の運送を確保するために必要な措置を講じなければならないこととしておりまして、また、国や都道府県は、運送事業者である指定公共機関等に対して緊急物資の運送の要請を行うことができ、正当な理由がなく要請に応じない場合には運送を指示することができるとしております。

 国土交通省におきましては、七日の緊急事態宣言の発出を受けまして、大臣から、直ちに国土交通省新型コロナウイルス感染症対策本部を開催し、業務の継続に向けた体制の確認、感染対策の実施などの必要な措置を講ずるよう事業者に要請すること、特に緊急物資輸送については、要請が行われた際に速やかに対応するために体制の確認に万全を期すよう指示が出ているところでございます。

 状況が日々変化していることを踏まえまして、感染症の発生状況、国民生活や経済活動の動向等、最新の情勢を丁寧に把握して運送事業者と共有すること等により、事業者に必要な準備を促してまいりたいと思います。

 引き続き、必要な輸送機能が確保されるよう、事業者、地方公共団体あるいは関係省庁等と緊密に連携をして取り組んでまいりたいというふうに思っております。

田所委員 わかりました。よろしくお願いいたします。

 次に、新型コロナウイルス関連で打撃を受けた産業の支援についてお伺いをいたします。

 国土交通省所管では、特に観光やバス事業、運送、航空産業が大きな打撃を受けていますが、この状況をどのように把握しているのか。企業が倒産して社会的役割を担うことができなくなってしまうことや、雇用が維持できなくなってしまうことは何としても避けなければならないというふうに思います。

 そこで、新たな経済対策においてどのように対応するのか、観光庁の対策の内容も含めてお伺いをしたいと思います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省におきましては、アンケート調査や聞き取り調査等によりまして、新型コロナウイルスの影響を受けている所管の各業界の状況につきまして丁寧な把握に努めているところでございます。こうしたアンケート調査等の結果からも、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、観光業、運輸業におきましては、利用者数や予約が大幅に減少し、経営に極めて大きな影響が出ている深刻な状況が確認されております。

 このような切迫した状況や業界から寄せられた要望を踏まえまして、今週七日に閣議決定されました新型コロナウイルス感染症緊急経済対策におきましては、経営の維持や雇用の確保のため、もう一段強化した対策のほか、事態の収拾後、間髪を入れずに反転攻勢に打って出るための施策が盛り込まれているところでございます。

 具体的には、雇用調整助成金の助成率の引上げ、民間金融機関による無利子無担保融資の実施、法人税、所得税等の支払い猶予と延滞税の減免などの業種横断的な施策のほか、特に甚大な影響を受けている観光業、運輸業を対象に、ゴー・トゥー・キャンペーンといたしまして、新型コロナウイルス感染症の拡大が収束した後の一定期間、宿泊・日帰り旅行商品の割引と、地場の土産物店、飲食店、観光施設、交通機関などで幅広く使用できるクーポンの発行による観光需要喚起策、これに合わせました、観光需要喚起に向けた国を挙げた運動の展開、観光施設等における感染症対策の推進や、公共交通機関を含む外国人旅行者の受入れ環境の整備、誘客多角化に向けた地域の観光資源等の魅力的な滞在コンテンツの磨き上げなどの施策を強力に講じていくこととしております。

 国土交通省といたしましては、今般の経済対策を迅速かつ着実に実行することで、来るべき反転攻勢のときまでに事業者の方々が経営を維持し、雇用を確保するとともに、その上で、感染症収束後早期にV字回復を実現できるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

田所委員 次に、インフラの老朽化に対する安全確保についてお伺いをいたします。

 我が国では、高度経済成長期に多くのインフラが整備されましたが、それらが一斉に老朽化しているわけであります。建設後五十年以上経過する施設の割合が急増しております。人災を招いてはならないというふうに思っております。

 そういう中で、老朽化対策と長寿命化を怠ることは、安全性が損なわれるだけではなくて、より多くの費用を要するようになってしまいます。

 安全性の確保とコスト縮減のためにも、計画的なインフラの老朽化、長寿命化対策が必要と考えられますけれども、どのように進めようとしているのか、お伺いをいたします。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、災害が頻発化、激甚化する中、整備したインフラが事前防災として大きな効果を発揮するためには、平素からの維持管理が不可欠でございます。

 高度経済成長期以降に整備し老朽化したインフラの割合が加速度的に高くなる中で、国民の安全、安心や社会経済活動の基盤となるインフラの維持管理・更新を計画的に進めていくことが重要でございます。

 しかしながら、例えば橋梁につきましては、約七十二万橋ある橋梁のうち一〇%程度の約七万橋がふぐあいが生じる可能性が高い状態であり、それらのインフラへの早期の対策が必要でございます。

 そのため、地方自治体に対しまして、老朽化対策に係る個別補助制度を令和二年度に創設し、地方自治体が計画的かつ集中的に老朽化対策を進めることが可能となるよう支援を行ってまいっているところでございます。

 また、二〇一八年度に将来の維持管理・更新費を推計したところ、インフラにふぐあいが生じる前に対策をする予防保全の場合、ふぐあいが生じてから対策をする事後保全と比較しまして、一年当たりの費用が三十年後には約五割減少との見込みとなりました。このため、今後は予防保全への取組を更に徹底していくことが重要だと考えております。

 国土交通省といたしましては、この予防保全への取組を更に進めるとともに、新技術の開発導入等を促進することにより、維持管理に係るトータルコストの縮減、平準化を図ってまいります。

 インフラ老朽化対策は喫緊の課題であり、引き続き全力で取り組んでまいります。

 以上でございます。

田所委員 次に、ICT、新技術の活用についてお伺いをいたします。

 新たな技術によってさまざまな災害に対応するというようなことが重要でありますし、今、生産性の向上を図ったり改革をする大きな転換期であるというふうに思っておりますので、ここでi―Constructionについてお伺いをいたします。

 第四次産業革命などと言われますけれども、これから、ICTやロボットの活用によって、利便性の高い快適な時代を迎える大きな転換期にあると思っております。

 建設業は三Kと言われ、若者が敬遠する厳しい環境で仕事をしなければなりませんが、ICTの全面的な活用等を進めることによって生産性向上を図り、魅力ある建設現場を目指すとしております。

 現実的にどのような取組がされているのか、お伺いをしたいと思います。

東川政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、建設現場の生産性向上に向けまして、平成二十八年度から、調査、測量から設計、施工、維持管理・更新までの全ての建設生産プロセスにおきましてICTの活用などに取り組むi―Constructionを推進しているところでございます。

 例えば、ICTを活用した盛土を行う工事におきましては、従来は現地に目印を設置していたところ、三次元データを建設機械に入力することで機械の画面上で確認が可能となること、ドローンにより撮影いたしました写真データなどの活用によりまして現地に立ち入ることなく施工状況の確認が可能となることなどによりまして、生産性の向上が可能になっているところでございます。

 このICT施工については、直轄工事で対象になり得る工事のうち約六割で実施しておりまして、また、土工工事で延べ作業時間が約三割縮減するなど、一定の効果があらわれているところでございます。

 加えまして、さらなる生産性向上や受発注者双方の働き方改革を図るため、大容量の通信環境を実現する5Gなどを活用いたしまして、より高度な無人化施工技術の現場試行、部材の情報を三次元データとすることによりまして、正確な情報共有や手戻り防止などに貢献するBIM、CIMの活用拡大、映像と音声のデータ活用によりまして、現場での確認を机上で行うことによりまして監督、検査の省力化をすることなど、ICTなどの活用による新技術の開発、現場実装に取り組んでいるところでございます。

 今後も、i―Constructionの取組を推進し、ICTの積極活用による建設現場の生産性向上や働き方改革を進めてまいります。

田所委員 時間が参りましたので、一言言って終わりたいと思います。

土井委員長 簡潔にお願いします。

田所委員 国交省は、テレワークの推進役を担っているわけであります。そういう中にあってなかなか進まないのは、職場に出てこなければ仕事とみなせないような、そういう既成概念、あるいは管理技術の向上、こういったものが課題だと思っておりますので、積極的にその推進役の役割を果たしていただくことを願いまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

土井委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず初めに、この新型コロナウイルス対策にかかわっていただいている全ての関係者の皆様に心から敬意を表し、引き続き取組を進めていただけますことをお願い申し上げます。

 この国土交通行政にかかわる業界でも大変厳しい経営環境が続いておりまして、まず初めにその資金繰りの支援について、これは財務省の方にお伺いをしたいと思います。

 この資金繰りの相談を受ける政府系の金融機関、日本政策金融公庫などにも大変多くの相談が来ておりまして、人手不足も深刻な状態になっていると聞いております。少し前の報道では、退職者を支店ごとに採用いたしまして改めて人手不足の解消を図る、全国で約五十人集めたという話も報道で拝見をいたしました。

 我々議員関係の事務所にも個別の相談がたくさん来ているかと思いますけれども、その中で少し気になったことを財務省にお伺いをしたいと思います。

 これまで御相談のあった融資案件等を見ておりますと、運転資金、大体二カ月程度を御融資をするというのがどうも相場のような印象を持っております。一方で、総理からも発言がありますとおり、この新型コロナウイルス対策への対応は長期戦になることも覚悟していかなければならないと思っております。そうすると、二カ月分の運転資金融資ではなかなか見通しが立ちづらくなってきているのではないか、こう思います。

 時々刻々と状況が変化しておりますので、既に御対応いただいていればいいんですけれども、例えば、二カ月と言わず、六カ月程度はまずは運転資金を融資していった方がいいのではないか、あわせて、決裁までのスピードの向上、こうしたことをぜひ現場にお伝えをいただきたいと思いますけれども、財務省の御答弁をお願いいたします。

神田政府参考人 お答え申し上げます。

 伊藤先生御指摘のとおり、特別貸付制度の運用開始に伴いまして、日本政策金融公庫には融資申込みが急増してございます。

 既に先月六日と十六日の二度にわたりまして、官民の金融機関に対して、事業者の実情に応じた対応に万全を期していただくよう麻生財務大臣から要請を行っておりまして、また、一昨日には安倍総理からも、官民の金融機関に対して、支援策の積極的な活用、貸付条件の変更に係る迅速かつ柔軟な対応、迅速な融資実行などをお願いいただいてございます。

 さらに、日本政策金融公庫では、相談審査要員といたしまして、約五百五十名の応援派遣、約六十名のOB職員の活用、年度末の定期人事異動の五月までの凍結、休日電話相談対応の実施、審査プロセスの簡略化、現場への決裁権限の移譲、民間金融機関との連携強化などなどの取組によりまして、特に、少額の融資につきましては、通常二週間以上かかる融資実行までの期間を、極力一週間以内で決定できるよう審査の迅速化を図ってございます。

 また、この新型コロナウイルス感染症特別貸付制度、貸付限度額は、既往債務とは別枠で、小規模事業者は六千万、それから中小企業の事業主は三億円といたしておりますが、実際の平均貸付決定額を見たところ、これまでのところ、小規模事業者では約千三百万円、中小企業の事業主で約八千四百万円と承知してございます。

 しかし、この上限金額を超える方がおられれば、ほかの貸付制度との併用、また、今般の緊急経済対策に盛り込まれてございます、地方公共団体の制度融資を活用した民間金融機関による実質無利子無担保の融資もあわせて、しっかりと資金繰り支援を行ってまいりたいと存じます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。事業者の方も、何とか雇用を維持しながらこの局面を打開しようと努力されておりますので、引き続きよく相談に乗っていただきたいと思います。

 財務省への御質問はこれで終わりますので、退室していただいて結構です。

 続きまして、法務省にお伺いをしたいと思います。

 このコロナの話がぐっとクローズアップされてきたときというのは中国の春節の時期と重なっておりまして、現場で何が起こっているかというと、当然、春節なので、中国から日本にお越しになる方もかなり話題になりましたけれども、日本で日本人の方と結婚して、配偶者在留資格で日本に在留している方が母国に帰っているというケースもかなり、今もあります。これが、在留資格が切れてしまう人が大分出てきているんですね。

 この在留資格に関しては、切れる前だと、原則配偶者本人が再申請に行かなければならないんです。今は、配偶者が日本に戻っているのが原則で、日本に戻ってきていれば代理申請をすることもできる、こういうふうに聞いています。

 例えば、日本に戻ってくることは可能だけれども、入国拒否対象国になると日本には入国することができないので、仮にこのような状況の中で在留資格が切れてしまった場合は、法務省に確認したところ、コロナウイルスの収束状況を待って検討するというのが、これもタイムラグがあります、もう変わっているかもしれません、最初に聞いたときはそういう答えだったんです。

 ちなみに、配偶者の在留資格が切れてしまいますと、配偶者の国民健康保険も失効して、失効した場合は再度申請しなければならない。じゃ、再度申請すればいいじゃないかとそれだけ聞くと思うんですけれども、通常、この在留資格発行というのは二、三カ月かかるんですよ。そんなことやっていられないというのが現場のたくさんの声なんです。

 四月一日には米中韓も含めて四十九カ国・地域を入国拒否対象国に加えておりますし、今やっていただきたいのは、現場で、皆さんこの在留資格の問題が更に不安になると思いますので、早急な対応の検討と、こういうふうにしますよと、考え方だけでもいいので、関係者の皆さんに御案内をお願いしたいと思いますが、御答弁お願いします。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況を踏まえ、出入国在留管理庁におきましては、再入国許可により出国中の方に対する特例的な取扱いを行っております。

 一つは、今月三日からでございますが、出国前に既に在留期間更新許可申請等を行っている場合であって新型コロナウイルス感染症の影響により再入国できないときは、本邦の関係者による在留カードの代理受領を認めることとしております。その場合は、四月二日以前に再入国許可を得て出国中の日本人の配偶者等の方は、特段の事情があるとして上陸許可をすることが可能でございます。

 もう一点は、委員の御指摘の切れてしまった方でございますが、再入国出国中に在留期限を経過してしまった方で出国前に在留期間更新許可申請等を行っていなかった方については改めて在留資格認定証明書交付申請を行う必要がありますが、その手続に際しては、原則として、改めて立証資料等の提出を求めることなく、申請書と受入れ機関や配偶者などからの理由書のみをもって迅速に審査を行うこととしておりまして、この点についてはホームページで公表させていただいているところでございます。

 出入国在留管理庁としましては、引き続き、個々の外国人の置かれた状況に十分配慮しながら柔軟に対応していくとともに、こうした措置については適切に周知を図ってまいります。

 以上です。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。まだなかなか、このコロナウイルス対策も、日々、各省庁にいろいろな紙も含めて出していただいているので、現場もついていけなくて、現場の窓口に聞くと今みたいなお答えがいただけないケースも残念ながらあります。なので、引き続き周知徹底にも努力をいただけますことをお願いしておきたいと思います。

 法務省への御質問はこれで終わりますので、退室していただいて結構であります。

 次に、タクシー事業等における雇用調整助成金のことで御質問をしたいと思います。これは厚生労働省所管ですから、国交省には、国交省でできることでちょっとお願いをしていきたいので質問させてもらいます。

 ちょっと事情を説明しますけれども、タクシーの勤務体系は日勤勤務とか隔日勤務とかがありまして、厚生労働省が定める自動車運転者の労働時間等の改善のための基準において、ここでは、例えば日勤に限って話をしますと、拘束時間は労働時間と間の休憩時間を含めて十三時間というのがタクシーは原則になっているんです。それで、最長十六時間まで働いていいよと。状況によっては遠方まで送迎さらには急遽な乗車もありまして、十三時間を超えて最長十六時間になる場合もあって、この三時間が時間外労働という整理になっています。

 雇用調整助成金は、経済的理由によって事業所の業務量が減少した状況下において、事業主が労働者を解雇せずに休業等によって雇用を維持した場合に助成を行うものであります。

 労働者を休業等させる一方で、出勤日に残業、さらには休日だったにもかかわらず出勤をさせた場合、それが突発的、一時的なものであったとしても、労働者を休業等させずに働かせる必要性が新たに発生したことになるため、助成の対象となる休業等の延べ日数からその残業や休日出勤をさせた分は控除することになっているというのが通常の制度なんですね。なので、出勤日に残業が増加した分、本来休業に当たる日数から残業分が差し引かれてしまうので、助成金額にも影響が出てくるということが課題になっていました。

 それは、今回、既に四月一日付からこの残業相殺の停止が特例で認められることになりましたので、実は解消しています。

 タクシー事業等は、公共交通機関としての役割を担って、今ニュースでもよく流れるとおり、大変な状況でありますので、この新型コロナウイルスの甚大な影響を受けておりますから、助成率のかさ上げも四月一日から動き出しておりますので、この残業相殺の停止の特例なども含めて、関係諸団体への周知徹底を国交省にはお願いをしておきたいと思います。

 ここまでが通告です。ちょっとこの先は通告外で、あわせて要望なので、答弁のあるなしはお任せします。

 もう一つは、そうはいっても、本当に車があいているものですから、最終的には車自体を減車したい、このコロナの状況に鑑みてと。だけれども、基本ルールだと勝手に減車できないんですが、国交省に問合せをさせていただくと、コロナの特例減車というものもありますよと。これもやはりまだ知られていないところがありますので、あわせて周知徹底をお願いしたい。これは要望です。

 もう二つ言っておきます。

 一つは、これはまだ実現できていないんですけれども、現場から上がってくるのは、雇用調整助成金の適用が今四月一日からなんですけれども、これは我々の仕事でももちろんあるんですけれども、計画書の事後届けが認められているのは一月二十四日からなんですね。だから、一月二十四日まで遡及して今回の雇用調整助成金の緩和、拡大を適用できないかということと、これもずっと言っていますけれども、教育訓練給付の支払いの拡張、これは我々政党としても政府にしっかり要望していきますけれども、国交省からも、省庁間協議において等、こうした業界の要望をしっかりお伝えをいただけますことを御要望したいと思いますが、御答弁をお願いいたします。

一見政府参考人 お答え申し上げます。

 雇用調整助成金につきましては、厚生労働省のホームページにおきまして、四月一日から、委員御指摘の助成率の拡大、残業相殺の停止が行われることなどを盛り込んだ特例措置の拡充に係る方針が公表されました。私ども国土交通省におきましても、同日タクシー事業者さんにお知らせをしたところでございます。

 また、四月七日に発表されました経済対策の際には、経済的な部分、予算的な部分を含めまして、先ほど委員御指摘もいただきました特別減車などを含む非予算的な運用につきましても私どもお知らせをしているところでございますが、まだ十分にお知らせをできていないところもあるというふうに思っておりますので、引き続きお知らせを続けていきたいというふうに思っております。

 具体的には、各地方運輸局や全国五十二カ所の運輸支局、ここに設置しました窓口を通じて、相談はいつも受け付けておりますけれども、こちらからもプッシュ型の情報提供を進めていきたいと思っています。

 また、今後公表されるさまざまな措置があろうと思いますが、公表され次第、業界団体への周知徹底を図ってまいりたいと思います。

 また、特別減車につきましては、制度がなかなか難しいところがございまして、準特定地域という地域では原則増車が認められておりません。したがって、一旦減車しますと増車することができないので減車できないという制度になっているんですが、今回、コロナ対策ということでございまして、これは特別の減車を認めようということにしてございます。これも更に周知をしてまいります。

 また、事後届けあるいはさかのぼりにつきましても、私ども、しっかり対応していくように、制度設計の問題だと思いますので、厚生労働省さんともお話をさせていただきたいと思いますし、教育訓練費につきましては、現状千二百円でございます、これは、リーマン・ショックのときは六千円に上げていただいて、事業者の方々は随分活用されたというふうに聞いております。これも引き続き厚生労働省さんにお願いをしてまいりたいと思います。

伊藤(渉)委員 よろしくお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

土井委員長 ここで休憩に入るはずでありましたが、大臣がお戻りになっておりますので、質疑を続行させていただきます。

 次に、矢上雅義君。

矢上委員 立国社会派の矢上雅義でございます。

 今回の新型肺炎で亡くなられた皆様方に哀悼の意を表するとともに、療養中の皆様方にもお見舞いの言葉を申し上げ、質問に入らせていただきます。

 まず、昨今の状況でございますけれども、産経新聞、四月八日、東京商工リサーチ調べでは、新型コロナ倒産四十五件、飲食店最多と報道されております。また、けさの朝六時のNHKのニュースでは、日銀の景気判断、全地域で引下げ、同じく、都内の感染者最多の百八十一人、全国で五千五百人超、また、東京都知事が休業要請職種をきょう発表する予定との報道もあり、更に新型肺炎の影響が拡大しております。

 これに対しまして、今、世の中の風潮としまして、大変厳しい方は、インバウンド客に依存し過ぎて経営努力をしてこなかったのではないかとか、これまでもうけたからいいだろうとか、一、二カ月で資金繰りに困るような企業はそもそも退場してもらっていいとか、手厳しいことをおっしゃる方もおられますけれども、そもそも、インバウンド対策は安倍政権の目玉事業です。現在の日本の少子高齢化、人口減少化の中で、日本人の観光客が減少していく、その上で外国人観光客をターゲットにしたことは決して責められるべきものではないと考えます。

 また、先ほど以来質問の中で、多発する災害やまた日韓問題の影響で、九州地方や大阪ではかなり韓国人観光客の客足が遠のいていることが長期化しておりました。その上で追い打ちをかけたのが、今回、新型肺炎に起因する外出自粛や休業要請などで、ダブルパンチの状態でございます。

 大規模地震にしましても、皆様方も覚えておられるでしょうけれども、昔から数えますと、この十年間で、二〇一一年に東日本大震災、二〇一六年に熊本地震、二〇一八年には大阪府北部地震及び北海道胆振東部地震という四つの地震が立て続けに起こっております。

 また、台風、豪雨災害におきましても、二〇一二年の九州北部豪雨、二〇一八年には西日本の平成三十年七月豪雨、二〇一九年には、記憶に新しいですけれども、令和元年東日本台風が日本を襲い、大変な状況でございます。

 月末や決算期を控え、人件費や各種固定経費、また納税などの支払いが迫り、資金繰りに困る企業が急増しております。

 四月七日に政府より新型肺炎に関する緊急経済対策が発表されました。細目の決定はこれからですが、これから救済スキームの大枠等についてお聞きいたしたいと思います。

 まず、先ほど以来述べましたように、特に観光、宿泊、飲食の分野では、常に自転車操業を強いられ、今現在、資金繰り対策として、信用保証協会のセーフティーネット四号、五号や、また、総理が発言されました日本政策金融公庫の無利息無担保の融資制度が設けられています。

 先ほど以来質問にありました関係団体からお聞きしたところによりましても、銀行や日本政策金融公庫の窓口が混雑して大変だ、なかなか月末の支払いには間に合わないということでございましたけれども、既に三月末は過ぎまして、もう四月に入っております。また、異例のことで、まだ決算も済んでいないのにどのようにして前年度と今年度の比較をしたらいいのかよくわからないという声もあります。

 そういう中で、各種団体より、資金繰りのための融資の申請手続の緩和と融資枠の拡大について要望がたくさん出されておりますけれども、このことについて中小企業庁にお伺いいたします。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、申請手続の簡素化、迅速化、事業者の負担軽減は極めて重要だというふうに考えております。

 こうしたことから、政策金融機関及び全国信用保証協会連合会との関係では累次要請を行ってきているところでございますけれども、三月十六日には、経済産業大臣からそれぞれの団体のトップに対しまして、直接、最大限のスピードで審査手続を行うように要請を行ったところでございます。

 また、信用保証に係ります市区町村の認定手続、こちらの方につきましても、三月二十三日に市区町村に対しまして、必要最小限の書類で認定審査を行うようにといった形で配慮要請を行ったところでございます。

 これを受けまして、例えば、日本政策金融公庫ですと、通常提出を求めている資金繰り表、これを原則不要とするなど、提出書類の簡素化をするとともに、実地調査を省略するといった形で審査手続も簡略化しているところでございます。

 また、今御指摘ございました事業者の方がどうやっていいかわからないという点でございますけれども、政府といたしまして、広報活動を引き続き全力で取り組ませていただくとともに、各政府系金融機関、信用保証協会におきましても、それぞれのホームページなどで必要な書類の一覧の掲示といった形でできるだけわかりやすく事業者の皆様に情報が得られるように取り組んでいるところでございます。

 こういった形で、引き続き事業者の皆様のために全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

矢上委員 書類の手続面とかを含めまして、実地検査も要らないとか、かなり手続が簡素化、緩和されているとお聞きしました。

 先ほど申しましたが、そもそも三月末という月末を迎えるに当たって、先ほど、倒産がたくさん出ておりますけれども、月末の支払いに間に合わずに、例えば手形の不渡りによる銀行取引停止による倒産とかいろいろなことも生じていますでしょうし、実はセーフティーネット四号の融資について、各地方銀行が企業等に問い合わせた時点で、ちょうどニュースで総理の政策金融公庫の無利子無利息の話もありますよということが出まして、セーフティーネット四号は二・三%の利息なんですけれども、総理がおっしゃった無利子の方に引かれちゃって、地方銀行に問合せする前に政策銀行に行ったり、ピンポンゲームが起きまして、どうしようか迷っている間に政策金融公庫も窓口が満杯、慌てて地方銀行のセーフティーネットの窓口に行ったらそこも窓口が満杯ということで、この融資申請がかなりおくれております。

 そこで、このままいきますと納税証明書がもらえないような企業も出てまいります。納税証明書がありませんと、セーフティーネット四号の保証協会の保証も受けられないということになりますので、このことも実態として把握していただければと思います。

 次に、従来の救済資金、いわゆるセーフティーネット四号では、基本的に借金の借りかえには対応していませんので、二重ローンの負担が生じることになり、借りたくても借りられないという声があります。今回の対策では、二重ローンを防止するための借りかえは可能でしょうか。財務省にお伺いいたします。

神田政府参考人 お答え申し上げます。

 今般決定いたしました経済対策では、事業の継続を強力に支援すべく、中小・小規模事業者や中堅企業、大企業の資金繰りに万全を期すことといたしておりまして、具体的には、民間金融機関による融資についても実質無利子無担保とすることができる制度の創設に加え、日本政策金融公庫等の特別貸付制度などの融資枠拡充を含め総額四十五兆円規模の金融支援策により、質、量ともに万全の金融措置を講ずることといたしております。

 その中で、矢上先生御指摘の既往債務の借りかえにつきましても、新たにこれを行うことができるようにいたしました。すなわち、現在、新型コロナウイルス感染症特別貸付制度では、小規模零細事業者は六千万、中小企業は三億円を上限として、一般の貸付利率から引き下げた利率により融資を受けることができ、そのうち、特に売上げが多く減少いたしました小規模零細事業者は三千万、中小企業は一億円を上限として実質無利子で融資を受けることができるところでございますが、今回の対策では、新規融資分だけではなくて既往債務分についてもこの制度の対象といたしておりまして、従前の契約を借りかえることによりまして、より低い利率が適用されることによって、事業主の負担軽減が図られることになります。

 こうした施策を通じまして、今後とも、事業者の資金繰りに支障が生じることがないよう、適切に取り組んでまいりたいと存じます。

矢上委員 借りかえができるようになったということで本当に感謝いたします。

 実は、東日本大震災でも熊本地震におきましても、資金繰り融資の返済が始まってから二重ローンに苦しむ倒産が急増しておりましたので、今回の既往債務の借りかえについて、可能となったということは本当に感謝いたします。

 それでは次に、特に打撃を受けております観光地のホテルとか旅館、こういうところは設備投資も大きく、固定資産税等の支払いもたくさんありますし、例えば、今、入湯税の話も出ております。この固定資産税や入湯税の支払い猶予や減免について、それぞれのお考えを総務省よりお伺いいたします。

稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、猶予についてでございますけれども、四月七日に閣議決定されました新型コロナウイルス感染症緊急経済対策において、固定資産税や入湯税を含めた地方税につきまして、収入に相当の減少があった事業者に対し、無担保かつ延滞金なしで一年間徴収猶予できる特例を創設することとしております。

 次に、軽減についてでございますけれども、厳しい経営環境にある中小事業者等に対して、償却資産及び事業用家屋に係る固定資産税及び都市計画税の軽減措置を創設することとしております。

 具体的には、売上高が前年と比べ大幅に減少した場合に、償却資産及び事業用家屋についての令和三年度分の固定資産税及び都市計画税をゼロ又は二分の一とする措置を講ずることとしているところでございます。

矢上委員 大胆な猶予とか減免制度の創設ということでこれも感謝いたしますけれども、納税猶予ということで、結局、お金が手元に残るという意味では実質的に資金繰りと同じ効果を持ちますので、この売上げの大幅な減少とはいかなる程度なのか等も含めまして制度設計を急いで、各事業者に安心感を与えていただきたいと思います。

 ところで、話はかわりますけれども、先ほど以来、納税猶予という話も出ておりますが、基本的に納税証明書がないと銀行から新たな融資をできないというのが原則でもございますし、特に国土交通省にかかわる公共工事の入札参加資格におきましては、入札参加資格を得るための前提として、毎年、経営審査を受けることになります。この経営審査を受ける際には、添付書類として納税証明書が基本的に必要となりますので、今回、納税猶予とか各種支払い猶予によって、健全であったはずの中小の建設事業者が経営審査を受ける際に納税証明書を添付できずに、結局、入札参加資格を喪失することがないようにお願いいたしたいと思います。これは質問ではございません。

 また次に、観光客の急減や外出自粛、そしてテレワークの要請により、夜の町も閑散としております。特に、インフル特措法の緊急事態宣言が発令されて以来、更に拍車をかけている状態ですけれども、売上げ減少や休業で苦しむ飲食店の家賃支払いの猶予についていかなる対策をお考えか、国土交通大臣にお伺いいたします。

赤羽国務大臣 先生御指摘のように、新型コロナウイルスの影響で、特に外食産業、飲食店の皆さんは大変な苦境に陥っているというふうに承知をしております。

 ほとんどお客さんが来ない中で、固定費、特にテナント料の負担というのは大変大きなものというふうに認識をしておりまして、先月の三十一日に、ビル賃貸事業者に対しまして、新型コロナウイルス感染症の影響によりテナントさんが賃料の支払いが困難な場合には、その置かれた状況に配慮し、賃料の支払い猶予などの柔軟な措置を検討いただくよう、不動産関連団体を通じて要請を行わせていただきました。

 加えて、今回の緊急経済対策も踏まえまして、ビル賃貸事業者の方々に対し、賃料の減免等を行った場合を含め、経済的損失が発生した場合には損失額を損金算入できる措置など、活用の可能性があると見込まれる支援策につきまして、昨日、不動産関連団体を通じて周知を行ったところでございます。

 ビル賃貸事業者さんにとっても、テナントさんにとっても、パートナーシップというか、よりよいパートナーであって、出られたら、あきっ放しになれば賃貸事業者も困るわけですし、そのままだとなかなかテナントさんも経営が継続できない、両方、お互いが助け合うような形で、そのためのできるだけの支援策を講じなければいけない、こう考えているところでございます。

矢上委員 私も、先日報道で、国土交通省よりそのような家賃支払い猶予のお願いを出されたということをニュースで見ましたけれども、いずれにしましても、家賃支払い猶予に協力するテナントビルの経営者におかれましても、銀行に借金を抱えていたり、その日その日の生活があるわけでございます。この方策につきまして、かなり、テナント経営者及びその背後にあります金融機関等、連鎖反応を起こす分野もたくさんございますので、前向きな取組をお願いいたしたいと思います。

 また、観光、宿泊、飲食の分野につきましてでも、今回、政府・与党の方で出されました中小・小規模事業者向けの持続化給付金制度が適用できるということですけれども、具体的な申請方法とか時期は大体いつごろのめどで、目安で決まるのか、経済産業省にお伺いいたします。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 本制度につきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりまして特に大きな影響を受けている事業者に対しまして、事業の継続を支え、再起の糧となる、事業全般に広く使える給付金を支給するものとして設計をしております。

 具体的には、この年末までに売上高が前年同月比で五〇%以上減少している月が一月ある場合に、中堅・中小企業などの法人に二百万円、個人事業者などに百万円を上限といたしまして、現金給付を行うものでございます。

 御質問のございました具体的な給付の開始時期ですとか申請の方法につきましては検討中でございますけれども、まず、給付時期につきましては、補正予算が成立しましたら直ちに申請を受け付けを開始いたしまして、できれば五月初めには給付を開始できるように準備を進めたいというふうに考えております。

 また、申請方法につきましては、必要書類を極力簡素化するとともに、ウエブを活用した電子申請を基本とすることで、手戻りなく迅速に手続を可能としたいというふうに思っております。

 ただ、電子申請にふなれな方もおられると思いますので、感染症のリスクにも配慮した対策を講じた上で、対面での申請支援の仕組みも用意することとしております。

 以上でございます。

矢上委員 補正予算成立後速やかにということで期待しておりますけれども、特に緊急事態宣言の発令後で更に経済的損失が大きく膨らむ予想がございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、経済対策に載っておりますけれども、今後、新型肺炎が収束した場合のV字回復に向けた対策、三点ほどございますけれども、具体的な内容についてお聞きいたします。

 まず、二点ですけれども、観光施設等における感染症対策や公共交通機関を含む外国人旅行客の受入れ環境の整備が一つ。次に、誘致多角化に向けた地域の観光資源等の魅力的な磨き上げとございますけれども、具体的にどのような内容なのか、観光庁長官にお伺いします。

田端政府参考人 まず、受入れ環境整備緊急事業の関係でございますが、この事業は、観光需要の回復に向けての反転攻勢のための基盤を整備するために、観光施設における感染症対策を推進するということとともに、観光地や公共交通機関における訪日外国人旅行者の受入れ環境整備の取組などを支援するものであります。

 具体的には、まず、観光施設におけるサーモグラフィーによる体温のモニタリングなどの感染症対策を支援することとしております。

 あわせて、交通事業者その他の民間事業者等が行う、多言語表記の強化、キャッシュレス決済の普及、また、観光列車あるいは観光のバス、観光地での周遊、観光消費の増加を促す仕組みなどに関します受入れ環境整備の取組を支援することとしております。

 また、二点目の魅力的な滞在コンテンツ造成の関係ですが、この事業は、集客力の高い観光イベントの実施や魅力ある滞在コンテンツの造成等を促進をし、観光地の誘客の多角化や高付加価値化を図るものであります。

 具体的には、全国各地の観光イベントや観光資源について、外部専門家と連携してアドバイスをすること等を通じて魅力を向上させるとともに、より多くの方に知っていただくためのプロモーションを行うこととしています。

 このような施策を通じまして、これまで以上に多くの観光客の方々に全国各地を訪れていただけるように、全国の観光地の取組をしっかりと支援をしてまいりたいと考えております。

矢上委員 ありがとうございます。

 特に、V字回復に向けた、また収束した後ということも大事でございますけれども、今現在におきまして、例えばバス、タクシー、鉄道とか旅館とか、今来ていただいておるお客様に対しても安心なんだと宣言できるような、安心した消毒体制、防疫体制、このようなことが、例えばバスとかタクシーとかそれぞれの分野において、これだけやったら大丈夫なんだよというようなガイドラインもつくっていただき、バス、タクシー等の事業者や利用者の皆様方に対する安心感を与えた上で、最終的には安全宣言が出ますことを望みます。

 続きまして、三番目の、日本政府観光局を通じた外国人旅行客の需要回復のための大規模なプロモーションとは、具体的な内容につきまして国土交通大臣にお伺いいたします。

赤羽国務大臣 まず、今、国交省としまして、観光関連の皆さんに対しては、早期の感染の封じ込め、これは最優先だと思っております。そして同時に、事業が継続が大変な事業者の皆さんが事業継続ができるように、また雇用が継続確保できるように、関係省庁の所管でもございますけれども、そうした支援策をとっている。

 そして、この状況が落ちつき次第、私も何回も言っていますが、間髪入れずにV字回復ができるような取組ということで、今回、経済対策の目玉の一つとして、大型の観光の需要喚起策ということで、幅広く使用できる割引クーポンの発行等々、今準備をしているところでございます。

 こうしたことをしながら、まずはやはり国内旅行から回復が先かなと。同時に、順調な状況の中で、世界的なこの感染症の収束の状況を見きわめつつ、今、航空会社も大変な状況でありますから、航空会社が行うキャンペーンと連動した大規模な形でJNTOが共同プロモーションをして、キャンペーンを行っていきたい、こう考えておるところでございます。

 いずれにしても、JNTOはこれまでもコールセンター等々で、来ていただいていた訪日外国人の皆さんにも正確な情報を出すような、またコールセンターも相当設置をして対応させていただいたところでございますので、こうしたツールは活用しながらも、来るべきときに大型の大規模なキャンペーンをしっかりと計画していきたい、こう考えております。

矢上委員 それでは、今国土交通大臣がおっしゃいました施策につきましても期待するところでございます。

 続きまして、これらに関連しまして、通訳業若しくは通訳案内士の問題についてお聞きします。

 外国人観光客の激減が通訳の世界を直撃しております。特に、インバウンド政策の担い手として重要な通訳案内士の皆さんの生活を直撃しているところです。通訳案内士の経済的影響についてどのように把握しておられるか、また、新型コロナが収束するまでの間、観光地のアドバイザーとして通訳案内士を派遣するという施策を検討されているとお聞きしましたけれども、多くの通訳案内士が生活に困っております。できるだけ幅広く通訳案内士の方の登用をしていただきますようお願いいたします。

 以上、観光庁にお伺いいたします。

田端政府参考人 通訳案内士の方々でございますけれども、インバウンドが減少して仕事や収入が大幅に減少していることと承知しております。

 具体的には、通訳案内士団体の調べによりますと、前年に比べ、二月の実績では、稼働日数あるいは金額、両方のベースともに三割程度の減少、三月から五月の見込みでは、稼働日数、金額のベースともに七割から九割程度減少するということなど、大幅な影響が出ているものと承知をしております。

 令和二年度の補正予算案におきまして、この新型コロナウイルスの状況が落ちつき次第、反転攻勢に転ずるべく、地域の観光人材のインバウンド対応能力を強化をしていくということのために、地域の宿泊施設等に専門家を講師として派遣をして、接遇能力等を高める事業を盛り込んでいます。

 この専門家としては、主として、高い語学能力を有し、また外国人向けホスピタリティーや地域の文化、歴史などの知識を有する通訳案内士の方々の活用を想定をしております。

 専門家として通訳案内士を派遣をする際、英語のほか、また中国、韓国語といった対応の言語ということや、また、各地域の観光資源に関する知識といった、そういうそれぞれの専門性を踏まえるほか、通訳案内士としての経験が浅い方も経験の豊富な方と一緒に派遣をしてあわせてスキルアップを図るなど、全国各地の幅広い人材の活用を図りたいと思っています。

 こういう取組を通じまして、通訳案内士の活躍の場を広げるとともに、宿泊施設を始めとする地域の観光人材のインバウンド対応能力の向上にしっかりと取り組んでまいりたいと考えています。

矢上委員 今長官がお話しされましたベテランと初心者の組合せ派遣ということですけれども、確かに、人材育成とともに幅広い収入確保の道をつくるということで、ぜひとも進めていただきたいと思います。

 続きまして、今回の通訳案内士の問題ですけれども、個人事業主に対する給付金の支給対象にこの通訳案内士も含まれるのか、簡潔にその可能性についてお答えください。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 給付対象者につきましても、詳細は検討中でございますけれども、業種的には、可能な限り幅広い業種を対象とする考えでおります。

 現時点で個別の業種につきましては言及することは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、今後できるだけ早期に具体的な対象業種についてもお示ししたいというふうに考えております。

 以上でございます。

赤羽国務大臣 ちょっと済みません、簡単に補足して。

 実は、三月十九日に通訳案内士の代表の皆さんとお会いさせていただいて、実情を聞かせていただきました。

 私、一つだけ思っていることは、V字回復するときに、通訳案内士の皆さんが例えば廃業されてしまうとしたら、観光の重要なインフラというか、大事なパーツが欠けてしまうということは大変大きな影響が出るというふうに心配をしておりますので、こうした皆さんが本当に廃業に追い込まれないような状況で、できるだけ我々仕事をつくろうということで、先ほど長官から御答弁したようなこともありますし、また、今、中企庁から発言があったように、できるだけそうした支援策も講じていかなければいけないと思っております。

 加えて、大事なことは、これはちょっと中長期的だと思いますけれども、文化庁とか文科省と一緒になりながら、やはり、ヨーロッパなんかは美術館、博物館でアドバイザーとか通訳士とかということの起用というのを物すごく大事に考えているので、こうしたことはインバウンドを回復させていくための重要なインフラとして考えなければいけない、検討課題かなというふうに私は思っております。

矢上委員 私の友達にも通訳案内士がおりまして、今回の件で赤羽国土交通大臣がかなりリーダーシップをとっていただいているということで聞いております。ありがとうございます。

 続きまして、四月七日に、加藤厚生労働大臣が、政府がマスクを購入するから思い切り増産してくれと経済界の代表に要請しているという報道がございました。この質問とは直接関係ありませんけれども、経済産業として、現在、マスクとか消毒液の増産体制の支援についての具体的な取組を経済産業省にお聞きしますとともに、続きまして、このマスクや消毒液の観光、宿泊、運輸分野への優先的配付が功を奏しているのかどうかにつきまして、国土交通省にお伺いいたします。

江崎政府参考人 お答えいたします。

 海外からのマスクの輸入が停滞する中、国内におけるマスクの供給増を速やかに実現するため、マスクの生産経験のある事業者を主な対象といたしまして、二月から補助金による設備投資支援を行ってきたところでございます。

 本事業を通じまして、マスクにつきましては累計十三件の支援を行っておりまして、導入後、約一カ月で月産四千八百万枚以上の増産が実現できる見通しとなっております。

 また、この三月には、同じく不足が懸念されるアルコール消毒液につきましても生産等の支援対象製品を拡大しまして、今般、四件の支援をしたところでございます。

 こうした取組を行ってきたところではございますけれども、マスクや消毒液につきましては、需要の急激な増加に伴って引き続き品薄状態が続くことが考えられますことから、さらなる供給増を実現するため、御指摘のありました閣議決定の中で、令和二年度補正予算案におきまして、追加的な設備投資支援策を盛り込んだところでございます。

 引き続き、関係省庁と連携しながら、こうした品薄状態の解消に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。

山上政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省におきましては、公共交通の乗務員、旅館、ホテルの従業員等における感染拡大を防止するために、関係省庁とも連携し、事業者のマスク、アルコール消毒液の調達支援に取り組んでいるところでございます。

 特に、利用者との対面距離が近いタクシー、バス乗務員のマスクの調達につきましては、国土交通省から厚生労働省、経済産業省に協力を要請し調整をしてきた結果、これまでに、マスクメーカー等から約八十万枚のマスクをバス、タクシー事業者に提供してまいりました。

 また、国土交通省では、鉄道分野において、事業者間でのマスク融通の調整を行いまして、マスクを保有する事業者からマスクが不足するおそれがある事業者に提供をしてございます。

 さらに、経済産業省等の協力を得て、公共交通のみならず、旅館、ホテル、宅配などの事業者に対しまして、海外のマスク、アルコール消毒液の供給業者をあっせんし、その結果、マスクにつきましては計千三百五十万枚が調達をできる見通しが立っております。消毒液につきましても、調達に向けた調整が進んでいるところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、関係省庁と連携し、事業者が必要なマスク、消毒液を確保できるよう支援してまいります。

矢上委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

土井委員長 次に、道下大樹君。

道下委員 共同会派、立国社の道下大樹です。

 まず冒頭、新型コロナウイルス肺炎で亡くなられた方に御冥福をお祈り申し上げますとともに、感染されて今治療に当たっている方々の一日も早い御回復、そして、治療に懸命に当たっている医療関係者の方々、そして国や地方、さまざまな関係される方々に心から敬意と感謝を申し上げます。

 そして、今回の質問に当たって、お忙しい中対応していただきました国交省を始め職員の皆様に感謝を申し上げます。

 それでは、質問を始めさせていただきたいと思います。

 まず、新型コロナウイルス関連でございます。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、私の地元札幌でも、この間、さっぽろライラックまつり、北海道神宮例祭神輿渡御、YOSAKOIソーラン祭り、また、世界的な指揮者レナード・バーンスタインが札幌で創設したPMF、パシフィック・ミュージック・フェスティバルなど、春、夏の名物イベントが次々と中止となりました。

 そして、国土交通省及び内閣官房所管の北海道白老町のアイヌ文化復興拠点、民族共生象徴空間、ウポポイの開業と開園記念式典も延期となってしまったことは非常に残念でございます。

 報道によりますと、内閣官房アイヌ総合政策室の方が、北海道に出かけてと言うのにふさわしくなくなってしまった、次にどんなPRができるのか見通せないと頭を悩ませているとのことであります。

 そこで、開業は五月二十九日に変更されましたが、ウポポイの知名度向上など、PR活動の再取組を検討しているのか、そして今後の新型コロナ感染状況によっては再延期もあり得るのかどうか、今後の見通しを伺います。加えて、年間百万人という来場目標はそのままにするのか、見直しの検討をしているのか、伺いたいと思います。

赤羽国務大臣 ウポポイにつきましては、改めて申し上げるまでもなく、アイヌ文化のすばらしさを多くの方々に伝え、御理解をいただく大変重要な、また意味のある事業だと考えておりますし、国としても直轄事業で取り組んできたところでございます。

 私自身、先週の四月三日の記者会見の際には、その時点で北海道の新型コロナウイルスの感染症の状況は大変落ちついているということもあり、また、特に地元の白老町では感染者もまだ確認をされていなかったことから、そのときには予定どおり四月二十四日に開業させていただきたいということを申し上げました。

 しかしながら、全国的な最近の感染状況を勘案し、また御地元の思いというのも一番大事だということで、加えて、ウポポイは、大変重要な、また期待も大きい事業でございますから、お祝いの気持ちの中で、最高の形でスタートをさせていただきたいということで、御地元とも種々相談をさせていただきながら、四月七日の記者会見において、延期をさせていただく、開業の記念式典につきましては五月二十三日土曜日、そして開業につきましては翌週の二十九日金曜日からというふうにさせていただくことを発表させていただいたところでございます。

 我々、この一月間延びるということを、この期間を新たな開業日までの攻めの準備期間と位置づけまして、ウポポイのさらなる認知度の向上、また、新たな開業に関する情報の発信など、本格開業後の来場を一段と加速できる取組をしっかりと進めてまいりたい、こう考えております。

 再延期かどうかというのは、今はこの五月二十九日ということを念頭に進めていこうと思っておりますが、当然、専門家会議の皆さんの適切なアドバイスを受けながら、必要であればそのときにまた再検討する可能性も、それはもう否定したものではございませんが、現時点では五月二十九日の開業を目指して全力を挙げていきたい、こう考えております。

 また、年間来場者数百万人という目標は大変大きいものでございますが、これだけ大きい目標を掲げながら、できるだけアイヌ文化のすばらしさを一人でも多く伝えたいということで設定した目標でございますし、環境が整い次第、V字回復を目指しての旅行割引クーポン券、できるだけ北海道に人が行っていただきたいという思いもございますので、この百万人の目標というのは変えずに開業させていただきたいと考えております。

 また、加えて、これまでも国として、よく御承知だと思いますが、国道三十六号線白老の拡幅による四車線化ですとか、また、JR北海道も、JR白老駅の特急停車本数の増便、こうしたことの受入れ環境の整備もしているところでございますし、中身もさまざまな充実をしているところでございまして、しっかりと、大事なことでございますので、このウポポイの開業をもって、でき得るならば日本の観光政策全体の反転攻勢ののろしとなる重要なイベントとして成功するようスタートを切りたい、こう決意をしておるところでございます。

道下委員 しっかりと、今後、ウポポイ、これの知名度向上に向けて全力を挙げていただきたいと心からお願い申し上げたいというふうに思います。

 そこで、今、一カ月近く開業が延期されました。施設内には飲食店や物販店がございます。そこのテナントへの補償をどのように考えているのか、伺いたいと思います。

水島(徹)政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねのウポポイ開業延期に伴う施設内の飲食店や物販店などへの対応についてでございますけれども、現在、飲食、物販サービスを行う五つの事業者が開業に向けた準備を進めているところでございます。

 今回の開業延期に伴い、アイヌ施策推進法に基づき国からの委託を受けてウポポイの管理運営を行うアイヌ民族文化財団が、まずは、各テナントに対しまして、ウポポイの開業延期を公表した四月七日当日にその旨を連絡したところであり、今後は、開業延期に伴いどのような問題が生じるかなど、各テナントの事情を丁寧に聞き取り、適切に対応していくこととしております。

 国としましても、テナント事業者の開業準備が円滑に進むよう、アイヌ民族文化財団に対しまして必要な助言を行うなど、適切に対応してまいりたいと考えております。

道下委員 御答弁にありますとおり、各テナントの皆様とともに、相談、連絡を密にして取り組んでいただきたいというふうに思っています。すばらしい環境の中での開業を迎えていただきたいと思います。

 次に、航空関係について伺います。

 新型コロナの世界的な感染爆発によって、航空会社は何千億円減収見込みという本当に甚大な影響を受けています。

 政府は、着陸料等の支払い猶予などの支援策を講じるとしています。これについては一定の評価をいたしますが、しかし、現行制度では、着陸料や航空機の固定資産税の支払い猶予、納税猶予の期間が経過した後は、猶予分と当月分のダブル支払い、ダブル納税となってしまうのではないでしょうか。そうならないよう措置すべきと考えますが、見解を伺います。

和田政府参考人 お答えを申し上げます。

 支払いを猶予した空港使用料等につきましては、新型コロナウイルス感染症の収束が現時点では見通せない状況にあることから、今後の航空会社の資金繰り等を見きわめながら、その取扱いを検討してまいります。

道下委員 今、ずっと猶予し続ける、コロナの感染状況が残念ながらずっと続いたらずっと猶予し続けるということで、まだ考える時間はあるというふうに思います。しっかりとこの点、動いていないんだからということでいろいろお考えになるかもしれませんけれども、着陸料もかからないとかお考えかもしれませんけれども、しかしながら、やはり収益ががくっと下がっているわけですから、そういうふうに考えれば少しでも支払い分や納税分は少ない方がいいと私は考えますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 同様に、航空機燃料税についてです。

 国内の空港施設は整備されて、航空機燃料税の役割は既に果たし終えたというふうに思います。海外航空会社との競争の障壁にもなっている航空機燃料税は廃止すべきです。廃止できなくても、今回の新型コロナウイルスによる甚大な減収から航空会社の経営を回復させるためには、さらなる軽減、若しくは一時的に全額免除した方がよいと考えますが、伺います。

和田政府参考人 お答えをいたします。

 航空機燃料税は、空港整備等の財源として徴収しているものであり、近年の社会情勢も踏まえまして、首都圏空港の機能強化など国際競争力の強化や防災・減災対策など、必要な事業に充てられております。

 その税率につきましては、令和二年度の税制改正において本税の軽減措置が二年間延長されたところでございます。また、緊急経済対策におきましては、航空会社の足元の資金繰り対策として、航空機燃料税を含む国税、地方税等の納税猶予の特例が盛り込まれたところでございます。

 国土交通省といたしましては、緊急経済対策に基づき、航空会社の早期経営回復を支援してまいりますけれども、委員御指摘の航空機燃料税の減免につきましては、空港整備等の財源確保の観点や今後の航空会社の資金繰り等も踏まえまして、総合的に検討すべきものと考えております。

道下委員 航空機燃料税を徴収している国は日本以外にないと私は聞いております。そうした意味で、これからV字回復を目指すのであれば、私は、航空機燃料税は不要だ、航空会社の回復の足かせになるというふうに思いますので、その点、ぜひ御考慮をいただきたいと思います。

 同様に、航空関係と学校の問題でございます、学校の修学旅行について伺います。

 新型コロナの影響を受けまして、修学旅行を中止したり、また日程を延期する学校が出てきています。そうした修学旅行の中止、延期に対する各航空会社の対応に差があり、困惑しているという意見が寄せられました。

 例えば、二〇二〇年二月から八月の出発予定日を延期するに当たり、ある航空会社は、振りかえ対象期間を二〇二〇年度内、つまり、二〇二一年三月までいいですよとしていますが、別の会社では、二〇二〇年十二月一日から十二月二十五日までと、二〇二一年一月四日から二月二十八日までとしているところもあるようです。

 この期間は、中学校三年生にとっては高校受験や卒業シーズンで大変な時期でありまして、修学旅行の時期には向いていないと私は思います。もしその振りかえ時期以外で修学旅行を計画すると、追加料金が発生したり、やむなく行き先を変更したり、近距離などに変更せざるを得なくなるのではないでしょうか。こうした動きに対して、修学旅行先の一部の自治体は、観光協会やDMOを通じて追加負担分を補助するところもあるという話も聞きます。

 もし修学旅行日程の振りかえ時期が限定されていたり、その時期以外は追加負担が発生するというのでは、学校や保護者、旅行代理店等に混乱や不安が広がってしまうのではないでしょうか。事実確認と今後の対応について、国交省に伺います。

和田政府参考人 お答えをいたします。

 新型コロナウイルスの影響により延期された修学旅行につきましては、一定の期間、運賃据置きで振りかえ可能としていると承知をしております。

 この期間につきましては、各社で相違が生じておりますけれども、これは、予約状況等に応じて各航空会社の経営判断により決定されているものと認識をしております。

道下委員 経営判断によってということでありますけれども、学校等によっては、航空会社、旅行代理店に言われてここの会社と選択して、それでこちらの方では追加負担分なしですよ、期間も今年度だったらいつでもいいですよ、ある会社では限定されていますよということであれば、これは余りにも格差が生じてしまう、私はこれは解消すべきではないかなというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

赤羽国務大臣 文部科学省と連携をとりながら、例年どおりできるように、できるだけの努力はしたいと思っております。

道下委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。

 そこで、文部科学省にお伺いいたします。

 令和二年度の補正予算では、こうした修学旅行の中止や延期により発生したキャンセル料等について、保護者の経済的な負担軽減を図るため、財政的な支援を行うとしています。しかし、私が聞いた説明によりますと、その支援対象は、安倍総理が一斉臨時休校の要請を行った三月二日から三月末日までとのことであります。なぜ現段階でその期間に限定をしてしまうのか。

 新年度に入って、学校や児童生徒、保護者が修学旅行の計画の、もしかしたらもうその計画の大詰めを迎えている中、どうしようか、キャンセルするか、延期するか、いつにするのか、これでは不安な中で計画をせざるを得ません。

 四月以降の今年度いっぱいを対象期間とすべきではないでしょうか。文科省に伺います。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 去る二月二十八日に、政府として、三月二日から春季休業の開始日までの間の学校の一斉臨時休業要請をしたところでございます。その際、臨時休業中の児童生徒等の監督者の確保などの保護者の負担等が生じないよう、政府として責任を持って対応する旨の方針もあわせて示したところでございます。

 これを踏まえまして、四月七日に閣議決定をされました令和二年度の補正予算案におきましては、学校の一斉休業に伴い修学旅行を中止又は延期した場合に発生したキャンセル料等について、保護者の経済的負担軽減を図るため、国が一定額を支援することとし、このための所要の経費を計上しているところでございます。

 委員御指摘の、四月以降に予定をされる修学旅行を中止又は延期した場合のキャンセル料等につきましては、各自治体等における対応状況などの把握に努めながら、関係省庁とも連携を図りつつ、今後どのような対応ができるか検討を進めてまいりたいと考えております。

道下委員 もう四月の新年度に入って、今もう既に六月とか修学旅行を予定していて、七月もあります、夏休み前にもあります、こうしてもう計画が大詰めの学校、子供たち、保護者がたくさんいるんですよ。十分に検討してって、時間がないんですよ、学校現場においては。早く決めてください。ぜひよろしくお願いします。

 続きまして、鉄道に関して伺いたいと思います。

 JR各社や私鉄も、輸送実績が前年比で大幅減となっています。

 JRなどは、手数料なしで通学定期等の払戻しに応じています。国、地方自治体による学校休校要請で払戻しが発生しているという点を考慮すれば、鉄道事業者全体からの要望であります定期の払戻しによる減収への支援を検討すべきと考えますが、国交省から見解を伺います。

水嶋(智)政府参考人 お答えを申し上げます。

 新型コロナウイルスの影響によりまして、通学者のみならず全般的に人の移動が減っておりまして、多くの鉄道事業者において、二月以降、利用者が大幅に減少するなど、経営に大きな影響が生じていると受けとめているところでございます。

 具体的には、例えば三月の輸送人員が、新幹線では前年同月比で約五割から七割減、中小民鉄においても前年同月比で約二割から七割減となっているところでございます。

 国土交通省といたしましては、鉄道事業者の状況をきめ細やかに把握して支援に努めているところでございます。

 経営の観点からも、日本政策金融公庫の特別貸付け等の資金繰り支援や、雇用調整助成金等の雇用維持のための対策を講じているところでございまして、鉄道事業者につきましても、必要に応じてこれらの制度を活用して事業が継続できるよう、支援をしているところでございます。

 他方、鉄道業界として、通学定期の払戻しにより生じた減収への支援を求める御要望があることは承知はしておりますけれども、民間事業者の個別の損失を補償することは難しいと考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、今後とも、鉄道事業者が安定して事業が継続できるよう、必要な支援に取り組んでまいります。

道下委員 残念ながら、政府の減収補填は一切行わないという姿勢に、私は、国民を代表して、残念であるというような意見を述べざるを得ません。

 コロナウイルスが広がって旅行客が減ってとか、通勤客が減って減少しているわけではありません。学校の一斉休校、国や地方自治体の要請に基づいたものであります。そういったことを考えれば、国や地方自治体に一定程度の責任があると思います。そういった意味で、今は払戻しの補填には応じられないということでありますけれども、これはもう一度考え直すべきだというふうに強く指摘をさせていただきたいと思います。

 次に、ハイタクに関係して伺いたいと思います。

 皆様も最近の報道で御承知かと思いますが、東京都内のタクシー事業者ロイヤルリムジンが、新型コロナ感染拡大による外出自粛で業績が急激に悪化し、政府が緊急事態宣言を出したことで今後も回復が見込めないとの理由で、グループ会社を含む五社で約六百人の乗務員を解雇し、タクシー事業を一時休止する方針との報道がありました。

 会社側は、乗務員に対し、感染拡大が収束したら希望者は全員再雇用すると説明したという報道と、再雇用は明言しなかったという報道もあります。前者の場合、失業保険の受給資格を満たさない可能性があると労働基準監督署が述べたということも聞いておりますが、一方で、東日本大震災においては、雇用保険の特例措置を実施した前例もあります。

 会社は、休業手当を払うより解雇して雇用保険の失業手当を受けた方が乗務員にとって不利にならないと判断したとのことであり、休業手当のもととなるであろう雇用調整助成金では申請してから給付を受けるまで遅いだとか、また不十分であるというふうに経営者側が判断したのではないでしょうか。

 ほとんどのタクシードライバーの給与が歩合制であることから、こうした今回の事例は今後ドミノ的に連鎖するおそれがあります。政府は、解雇より継続雇用を業界団体に強く働きかけるとともに、解雇せずに継続雇用を選択する方が有利になるよう、既存制度の拡充や新制度を検討すべきと考えますが、本来であれば厚生労働省の方にお聞きしたいんですけれども、今回、申合せでちょっと聞けないものですから、国交省から対応をお聞きしたいと思います。

一見政府参考人 お答え申し上げます。

 タクシーにつきましては、国民生活、国民経済の安定確保に不可欠な公共交通機関でございます。今回の緊急経済対策においてもそのように位置づけられておるところでございます。したがいまして、緊急事態の宣言の際、事業の継続を要請をしております。

 そのような公共交通機関の使命を全うするためには、事業を継続してタクシー運転者の雇用の維持を図ることは大変重要でもありますし、またさらには、社会不安を引き起こさないというためにも極めて重要な事項だと考えております。

 雇用の維持と事業の継続に向けましては、雇用調整助成金の特例措置のさらなる拡大、これを三月二十八日に公表されました。また、資金繰り対策、これを含みまして四月七日に取りまとめられました緊急経済対策、これで拡充をすることができるというふうに考えておりますが、例えば雇用調整助成金の教育訓練費のさらなる拡充だとか、そういったものも私ども求めていきたいと思います。

 また、委員御指摘いただきました当該事業者に関しましては、昨日より私ども運輸局から連絡をとっておりますし、また、本日は東京労働局とともに関東運輸局におきまして臨場して話をしたいというふうに思っております。

 今後とも指導を強めていきたいと思っておりますが、今後、このような事態があれば、加えて指導をさせていただきたいと思っておるところでございます。

道下委員 全国で、特に、消費増税によって実質運賃改定が十月一日からできなかった、それで非常に厳しい経営を余儀なくされた、二月一日から実質運賃改定になったということで何とか息を吹き返して、そしてこの影響ですから、結構厳しいところはたくさんある。最低賃金以下というふうに言われているところがたくさんあるわけですね。そう考えれば、これは早急に対策を厚生労働省とともにとるべきだというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 時間も押し迫っていますので、ちょっとごめんなさい、次は国内の観光需要喚起策について伺います。

 コロナ収束後の国内向け並びに訪日外国人観光客向けの観光需要の喚起策、一兆六千七百九十四億円が公表されました。しかし、観光業界にとっては、今必要なのは、コロナ収束後の観光需要喚起策ではなく、今まさに資金がなくて困窮している状況を何とか乗り越えるための減収補填や大型給付金など、今のお金が必要なんです。そういう支援策が必要なんです。見解を伺います。

 また、世界的な新型コロナ感染状況を考慮すると、インバウンドの回復はしばらくは残念ながら見込めません。もし観光需要喚起策を講じるのであれば、コロナ収束後、まずは即効性の高い国内旅行に重点を置くべきと考えますが、その見解、検討方針について、観光庁長官から伺います。

田端政府参考人 今、観光業界は、需要の落ち込み、国内旅行も控えられておりますから、大変厳しい状況でございまして、また、地域経済全体に深刻な影響が出ていると考えています。

 御指摘ありました、今の現状況では、まずは雇用の維持と事業の継続というのが喫緊の課題であると認識しています。雇用調整助成金の助成率引上げ、また、民間金融機関による無利子無担保融資の実施であるとか、あるいは、法人税、所得税等の支払い猶予や延滞税の減免、あるいは中小企業に対する固定資産税の減免など、こういうような対策ということ、今般の経済対策において業種横断的な対策を盛り込んでおりますので、まずはこういう対策によって雇用の維持あるいは事業の継続を図るということが重要かと考えています。

 また、状況がよくなるタイミングで反転攻勢をしていくということにおいては、我が国の観光消費額では日本の国内旅行が占める割合が約八割でございまして、国内旅行の促進というのが地域における消費の拡大とか地域経済の発展に極めて重要である、このように考えています。

 でございますので、今般のコロナウイルス感染症、インバウンドのみならず、今申し上げました国内において非常に大きな影響が出ていますので、状況が落ちつき次第、国内における人の流れをまずつくり出すということ、それで地域の再活性化を図るということが重要であると考えています。

 このため、先日閣議決定いたしました経済対策におきましては、国内の宿泊・日帰り旅行商品の割引と地場のお土産品やあるいは飲食店、アクティビティーなどなど、幅広く使用できるクーポンを発行する施策を盛り込んでいますので、これにより観光需要を強力に喚起をしていきたいと考えています。

道下委員 需要喚起策はわかります。これも準備しておくことが必要ですが、私は、今、観光業界、ホテル、宿泊、旅行代理店や貸切りバス事業者、今のお金が必要なんです、今の対策が必要なんです。ぜひその点を御考慮いただきたいと思います。

 最後に一点、バリアフリーについて、せっかく……

土井委員長 簡潔に。

道下委員 はい。

 文科省のスポーツ庁から来ていただいていますので、去る四月七日の衆議院本会議で可決されたバリアフリー法についてです。

 私も参考人質疑で参考人の方々から御賛同いただいたんですが、二〇二〇東京オリンピック・パラリンピックの一年延期が決まりました、コロナ収束後に、新築並びに改修を進めてきた新国立競技場などの競技施設と交通施設について、障害当事者や専門家、パラリンピアンに視察、調査してもらって、バリアフリー状況について意見を伺うとともに、高く評価された点については全国に広報すべきと考えますが、スポーツ庁並びに総合政策局から見解を伺います。

土井委員長 スポーツ庁豊岡スポーツ総括官、時間が来ておりますので、答弁は短目に、簡潔にお願いします。

豊岡政府参考人 競技施設に関してお答えを申し上げます。

 平成二十七年十一月に閣議決定が行われました東京大会の準備及び運営に関する施策の推進を図るための基本方針におきまして、「ユニバーサルデザインに基づく競技会場整備をはじめとして、過去最高の環境整備を進める。」ということとされております。

 東京大会のメーン会場となります国立競技場につきましても、世界最高のユニバーサルデザインを基本理念の一つに掲げまして、その設計及び施工に当たりましては、障害者団体を中心といたしまして、高齢者団体、子育て支援団体も含めた十四の関係団体から丁寧に御意見を、御要望を伺う場を設けるとともに、その御要望に配慮した形で整備を進め、昨年十一月末に完成をしたところでございます。

 また、その後、昨年十二月に開催されました国立競技場のオープニングイベントなどでは、障害のある方々に陸上トラックを走っていただき、またスタンドから観戦していただくなど、実際に完成した競技場でバリアフリーの状況を確認していただいてまいりました。

 国立競技場などの競技施設につきましては、新型コロナウイルスの収束の状況もよく見据えながら、引き続き、組織委員会など大会関係者と連携しつつ、各種競技のテストイベント等の機会を活用いたしましてバリアフリーの状況を確認していただくなど、必要な対応を進めてまいりたいと考えております。

土井委員長 蒲生局長、簡潔にお願いします。

蒲生政府参考人 はい。

 整備された、バリアフリー化された交通施設が高齢者、障害者等の方々に使いやすいものになっているかどうかという視点は大変重要だと考えております。

 したがいまして、オリパラ競技大会が延期となった期間を活用いたしまして、御指摘の公共交通機関の視察、調査につきまして、新型コロナウイルスの収束の状況もよく見据えながら、障害当事者の方や関係事業者等の御意見も伺った上で、実施時期や実施方法等を検討してまいりたいと考えているところでございます。

 よろしくお願いします。

道下委員 どうもありがとうございました。

 道路局長、済みません、また次回、質問させていただきます。

 ありがとうございました。

土井委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 緊急事態宣言が出されてから三日目になりましたが、感染者が日々広がっております。休業を要請する事業者が国と東京都で意見が一致しないというわかりにくい状況がありましたけれども、その根っこはやはり補償だと思います。

 補償を渋るために休業を強く求められないのだとしたら、感染を封じ込めることができません。経営難や仕事を奪われるという大変な犠牲を払って休業に従っている人たちの苦労を無駄にしてしまいます。自粛と補償は一体で、政府の、絶対に封じ込める、そのために休業補償に責任を持つから休んでほしいという明確なメッセージを求めていきたい、このように思っております。

 そこで、まず、国交省所管の業界がコロナでどのような影響を受けているのでしょうか。国交省がつかんでいるのはどんな業種か、また、そのうち観光関連について具体的に伺います。

蒲生政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省におきましては、アンケート調査や聞き取り調査等によりまして、新型コロナ感染症による所管の各業界における実情の把握に努めているところでございます。

 現時点で、宿泊業、旅行業、貸切りバスといった観光、運輸業界におきましては、大変厳しい影響が出ているものと認識しております。

 具体的には、三月三十一日時点におきまして、宿泊業につきましては、予約が七〇%以上減少と回答した施設が、二月の約二%から、四月は約七割まで大幅に増加する見込みでございます。

 旅行業につきましては、中小事業者で見ると、三月の予約人員は前年同月比で七四%減、四月は七〇%減と、ともに大幅な減少の見込みでございます。

 貸切りバスにつきましては、運送収入が七〇%以上減少と回答した施設が、二月の約二%から、三月以降は約八割に急増する見込みでございます。

 タクシーに関しましては、前年同月比の輸送人員が、三月は約四割減、四月は約五割減となる見込みでございます。

 今後も更に減少が続く可能性が高く、経営に極めて大きな影響を与える深刻な状況であると受けとめております。

 また、建設業界に関しましては、民間建築工事におきまして一部設備機器や建築資材の納入におくれが生じた影響が出ているものの、現時点では新型コロナウイルス感染症による深刻な影響は出ていないものと認識しておりますが、今後の民間投資の落ち込みなどを懸念する声もございます。引き続き、状況をしっかりと注視してまいりたいと考えております。

 国土交通省といたしましては、引き続き、新型コロナ感染症による所管業界への影響等の状況把握に努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 七日に緊急経済対策と二〇二〇年度補正予算案が発表されました。五つの柱があるんですけれども、一つ目の感染拡大防止策と二つ目の雇用の維持と事業の継続、ここには国交省の予算がないということであります。もちろん、きょうずっと出ていますように、各種給付金や資金繰り支援などは、厚労省や経産省のメニューあるいは総務省の臨時交付金、こうしたメニューがあることは理解をしておりますが、本当にそれだけでよかったんでしょうか。

 例えば、先月視察したはとバスは、プラズマクラスターイオン発生装置を装備しておりました。みんなでバスに乗り込んで録画を見せていただいたわけですが、バルサンをたいて真っ白になった車内をエアコンを入れるだけで九分でもとに戻すという録画を見せていただきました。また、実際に座席を一つ一つ消毒するなど、大変な苦労をされていたんですけれども、そのときにバス協会として要望されていたのは、統一的な車内の消毒作業方法などの基準を示してもらいたい、これによって、事業者の行う消毒作業が十分に効果的であることを示すことができるようにしてほしいというものでありました。

 これについてのお考えを伺いたいのが一点と、また、もし、これはバスに限らないんですけれども、そうした感染予防対策で設備導入や改修などが必要になった場合、こうしたことに対しても本来支援をしていくというのが必要だと思いますが、伺いたいと思います。

赤羽国務大臣 まず最初の一次補正予算に関しましては、今高橋さんおっしゃっていただきましたように、バス、タクシーにおける感染予防対策を含めた公共交通機関における感染症対策を推進する費用を盛り込むことを検討しています。これが一つです。

 また、バス事業者については、現在、エアコンにより外気を導入することですとか、乗客降車後にドア、窓を開閉して換気する対策に加えて、除菌シートで手すり、つり革、肘かけ等を清掃することなど、車内消毒に自主的に取り組んでいただいていると承知をしております。

 バス協会からは、こうしたバス事業者の行う消毒作業が十分に効果的であるということを周知していただきたいという要望が当省にもありますので、バス事業者の皆さんは車内消毒をしているということをしっかり国交省のホームページに掲載することといたします。

 消毒のガイドラインというのは、今やっていただいているので十分だと思いますが、より精緻なものをということになりますと公衆衛生上の知見が必要でありますので、厚生労働省に情報提供、これはもう依頼をしているところでございますので、その結果を待ちたいと思っております。

 以上です。

高橋(千)委員 今、予算を検討しているということを明確にお答えいただきました。ありがとうございます。

 自粛と補償は一体と我が党も訴えてまいりましたし、全国知事会なども要望している、今や大きな声になっていると思っております。

 七日の衆参議院運営委員会での質疑で、総理はこのような答弁をしておりました。例えば飲食店等々についてそういう、要するに休業要請をしたとすると、飲食店そのものだけではなくて、そこに仕入れをしている人たちもこれは当然大きな影響を受けていくわけであります、だから要請された人だけに補償することはできない、こういう答弁だったわけです。

 私、関連業種がさまざまあるという認識自体は大事だと思うんです。学校が休んだときに、例えば給食の食材を納入している業者とか輸送している業者だとかさまざま関連しているのに、子供を持つ保護者への支援しかできていなかった、そういうところに政府が気づいてくれたんだとするならば、私は、これは歓迎すべきことであって、それに合わせた仕組みをちゃんとつくっていくということが必要なのではないかと思うんですね。

 今回の二百万円あるいは百万円の事業者支援、あるいは一世帯三十万円という支援が実際に必要とされるところとうまくかみ合うのか、これは見ていかなければならないと思うんですね。

 例えば、国交省所管の業界でいいますと、建設業。最初の答弁ではまだ影響は余り出ていないなどということが言われておりましたけれども、一人親方が多い、多重下請構造の中で救済の道があるかという問題や、きょう随分出ておりましたタクシー運転手の方は、休業はしていないんだ、でもほとんど売上げがなくなった、固定給があるので、歩合制の部分のところはほとんどなくなっちゃっているんだけれども、半減とまでは当たらないということなんですね。

 ちょっと聞いてみたら、六万の、一日の分が二万円になって三分の一だとか。そうすると半分ではないわけなんですね。五時間空で走っていたとか、あるいは、大手のタクシー会社は、都内の話ですけれども、交互に一定期間をまとめて休ませる、だけれども、そうすると六割しか出ないので、到底これはやっていけないなというふうな、こうした深刻な声が出ております。

 国交省の所管する業界の特徴というんですか、業界の特徴と実態をつかんで、今回の制度が合わなければ、合うような制度を提案していくということが必要だと思いますが、大臣に伺います。

赤羽国務大臣 今御指摘の一人親方とかタクシーの運転手というのは、多分いわゆる弱い立場にいらっしゃるというふうに思います。ただ、一人親方とタクシーというと、立場が少し違うと思っております。

 まず、建設業につきましては、感染拡大に伴う工事の一時中止などによりまして、経営基盤が脆弱な下請建設企業に追加費用の発生等のしわ寄せが生じることのないように対応しなければいけない、こう考えて、そうした対応をしているところでございます。

 また、国交省としても、下請契約においても、工期の見直しまた一時中止の措置等を適切に講ずるとともに、適正な請負代金の設定及び適切な代金の支払い等を行うなど、元請と下請の間の取引の適正化、これはもう法律もつくっていますので、このより一層の徹底に努めるように求めているところでございます。

 加えて、一人親方の場合、今週七日の緊急経済対策において、多分、個人事業主として対象としている、給付金の制度の創設ですとか納税の猶予の特例などが対象となるところだと思いますので、そうしたことについても周知をしていきたい、こう考えております。

 他方、公共交通機関であるタクシーの運転手さんにつきましては、これは公共交通なので、雇用をしっかり維持してもらいたい、こう思っております。

 確かに、歩合制の賃金の部分があって、日ごろから運転手さんの収入自体大変な状況であるということはよく承知をしておりますが、雇用を切ってとか、ちょっと、先ほど質問のやりとりもありましたが、偽装的なところというのは感心しませんので、こうしたことが起きないように、雇用調整助成金を始めとする支援策がしっかり活用していただけるように、関係省庁とも連携しながらしっかりと取り組んでいきたいと思っております。

 雇用調整助成金について、他省庁の所管ですけれども、いろいろなヒアリングをしますと、やはり申請が難しいとか時間がかかるといったことも指摘をされておりますので、政府の一員として、厚生労働省等、しっかりと検討をお願いしていきたい、こう考えておるところでございます。

 国交省は大変所管の広い分野でありますので、立場的に弱い方も少なくないと承知をしておりますので、できるだけ寄り添いながら、この難局を乗り越えられるように、最大の努力をしていこうと決意をしておるところでございます。

高橋(千)委員 大事な答弁をしていただいたと思います。

 制度の中で、しっかりと守らせることで逆に労働者を守っていく、一人親方も守っていく、そういうふうなことができるということを大臣におっしゃっていただいたので、そこはそこでしっかりやっていただいて、もしかしたらいろいろな給付金、納税猶予を使えるんじゃないかと思っていても、周知されていなかったり、どこかが突っかかっていたり、半分のところがひっかかったり、そういうことがありますので、よく見ていただきたいということを重ねてお願いをしたいと思います。

 資料の一枚目は、七日に決定した改正基本的対処方針の中で示された事業の継続を求める事業者の一覧であります。

 やはり、医療が必要だよね、介護などの福祉が必要だよね、そして、国民の安定的な生活の確保としていろいろなインフラや食堂や金融やというふうなところが出てきて、社会の安定の維持という点で、今言ったような交通、輸送などが本当に大事だよねということで入っていると思うんですね。ですから、社会を支える役割を果たしながら、感染リスクを負いつつも実は減収になっている、こういうことにならないように、しっかりと捉まえていただきたいということを重ねて述べたいと思います。

 次に、資料の二枚目なんですが、補正予算の目玉ともいうべきゴー・トゥー・キャンペーン、一兆六千七百九十四億円、これが経産省の予算の中に、ゴー・トゥー・トラベルが観光庁の予算なわけでありますが、ただ、一兆三千五百億円と聞いていますので、これは自治体に対する臨時交付金よりも多い、大変な規模なわけであります。

 それで、感染の流行が収束した後に、半年間などと聞いていますが、キャンペーンを打って、旅行商品を購入すれば、その半額、最大二万円のクーポンなどを付与するというキャンペーンなんですけれども、出口の見えない感染流行と、七割、八割売上減だと言われている観光業者にとっては、そこまで生き延びるかどうかが難しいわけですよね。なぜこういうメニューにしたんでしょうか。

    〔委員長退席、工藤委員長代理着席〕

田端政府参考人 委員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症で、旅行業、宿泊業はもとより、バス、ハイヤー、タクシー、飲食業など全て、地域経済全体に影響が出ています。

 そのため、まずこういう事業においては雇用の維持と事業の継続が喫緊の課題である、こう認識をしていますので、そういう認識のもと、雇用調整助成金の助成率引上げ、それから民間金融機関による無利子無担保融資の実施、また、いろいろな税制の支払い猶予とか延滞税の減免、あるいは中小企業に対する固定資産税の減免など、こういうもう一段強化した業種横断的な対策を盛り込んでいるところであります。

 こういう対策をしっかりとるということがまず大事で、こういうことによって雇用の維持と事業の継続ということを図った上で、その上で、新型コロナウイルスの状況が落ちつき次第、間髪入れずに反転攻勢に転じていく、そういうことで、かつてない規模の観光需要喚起策、こういうことにしていきたいという中身であります。

 具体的には、資料でも書いてありますように、観光需要をきちっと強力に喚起をするということ、V字回復の実現を図っていくという政策をここに取り込んで、入れているところであります。

高橋(千)委員 大臣にこれは提案として質問いたします。

 V字回復ということをずっと大臣もおっしゃってきたわけなので、言いたいことはよくわかるんですね。ただ、今言ったように、まだ出口が見えないという中で本当に生き延びられるかということ、そこを励ましていくことが本当に大事なわけです。

 そのときに、例えば、同じ企画だとしても、ちょっと考え方を変えて、今同じ旅行商品を買っていただく、それで、収束したら実際に旅行に行くんですよという予約をすることにすれば、今困っている観光業者の収入にもなり、かつ、収束後に集客が見通せる、そういう励ましにもなる、そういうキャンペーンというふうな形でやったらどうかなと思うんですが、いかがでしょうか。

    〔工藤委員長代理退席、委員長着席〕

赤羽国務大臣 今高橋さんのおっしゃっていることは、多分目の前のキャッシュをふやすという意味だと思います。そうしたことを一部の料亭がやっているというようなことも承知をしております。

 この今回のキャンペーンは、全国津々浦々で地域の消費に結びつくように、地域の関係の皆様へどういう仕組みなのかというのを十分御説明をさせていただいて、幅広い関係者と丁寧に準備を進めるためには、やはり一定の期間が必要だというふうに考えております。

 加えて、今、現状では、よく御承知だと思いますが、ほとんど旅行関係は予約が入っていないような状況でございまして、政府としても、国民の皆さんに今外出自粛を全面的に御協力いただくことを要請している段階で、なかなか、国交省が旅行を今キャンペーンする、始めるということは、国民の皆さんから理解が得られるかどうかというのは、これは大変ナイーブなというか、慎重に判断する必要があるというふうに思っております。

 このキャンペーン自体も、収束をして間髪と言っていますが、具体的にその辺が一番難しいというふうに考えていますので、御意見は御意見として承って、このゴー・トゥー・キャンペーンのゴー・トゥー・トラベル・キャンペーン、このことをどういいものにするかというのはしっかりと検討していきたい、こう考えています。

高橋(千)委員 最初に言ったように、予算の規模が物すごく大きいんですよ。だけれども、どのくらいかかるかわからない期間を乗り切った人だけがそのゴー・トゥー・キャンペーンが来るんだよというのではなくて、今励ますという意味で提案をしています。

 これは実は、仙台市の商工会議所のアイデアを伺ったんです。売上げが落ちて本当に大変だという牛タン屋さんが、予約商品券、収束したら食べに行くよというので、一口二千円から十万円の形で、クラウドファンディングのような形になるんですけれども、募ったら、一日で百四十万円も集まったんだそうです。それだけ支えようとする人がいた。この発想というのを少し応用したらどうかなということを考えたんです。

 今本当に困っている人たちに直接キャッシュが入る、同時に、この先、今頑張ったらお客さんが来てくれるんだというのが見えてくる、そういうことがいいのかなと思って提案をしましたので、一言述べさせていただきたいと思います。

 それでは次に進みますが、コロナ肺炎を契機にリストラされた労働者が一千人を超えると発表がありました。更にふえていると思います。年度末に重なったために、直前に契約を短期に切りかえるなどして派遣切りされた労働者も多いんです。

 七日のNHKクローズアップ現代でユニオンみえの取組が紹介されておりましたけれども、ここは、二〇一八年の末にシャープの日系外国人大量雇いどめがあって、私も国会で取り上げました。この人たちに、せめてマスクをつくるんだったらつくらせてという申入れなどもして、継続して支援をしているんですね。

 ところが、そのユニオンにひっきりなしに労働相談がありまして、一昨日も、愛知県の自動車工場で百人弱のリストラがあった、コロナ切りで住まいを奪われ、中には、妊娠、出産、小さなお子さんを抱えた状態で身動きのとれないまま途方に暮れているなどという相談もあって、リーマン・ショックを上回る規模なんだという指摘がされております。しかも、リーマン・ショックのときと違って、一時避難するネットカフェも今はコロナだから休業しているんですね。だから、本当に、いきなり路上ということもあるんです。そういう意味で、住まいの確保は待ったなしだと思っております。

 それで、大変申しわけないですが、厚労省にここだけ質問させていただきます。

 通告の順番を変えておりますので、資料の6に飛ぶんですけれども、住居確保給付金、二〇一三年の生活困窮者自立支援法によって必須事業とされました。つくったときから私は、大変条件が厳し過ぎると指摘をしてきたわけです。離職者で六十五歳未満、若い人が自立して働くまでの短期的な支援であって、月二回以上ハロワに通い、職業相談を受け、自治体での月四回以上の面接を受けるというのが要件となって、今はコロナなので相談には行けない、それは認めてくれているわけですけれども。

 制度をつくった当初の実績と法定化してからの現在の実績を伺います。その上で、緊急経済対策にある支給対象見直しによる支援の拡充がどういう中身なのか、そしてそれをどのくらい活用を図っていく考えか伺います。

辺見政府参考人 住宅確保給付金の支給決定の実績でございますけれども、予算補助として開始いたしました平成二十一年度は約二万件、平成二十二年度は約三万七千件、二十七年四月に生活困窮者自立支援法において制度化されたところでございますが、平成二十七年度は約七千件、平成二十八年度が約五千件、平成二十九年度が約四千件、平成三十年度が約四千件という実績となっております。

 この住宅確保給付金につきましては、四月七日の緊急経済対策におきまして支給対象の見直しによる支援の拡充を盛り込んだところでございますが、具体的には、現行、離職や廃業した方で住居を失うおそれがある方を支給対象としているところでございますが、現下の状況を踏まえまして、離職や廃業に至っていないが、こうした状況と同程度の状況に至り住居を失うおそれが生じている方についても対象とする予定でございます。新たに対象となる方々については、四月二十日から申請を受け付ける予定としております。

 また、これらに必要な経費として、リーマン・ショック時における支給対象決定数等も踏まえまして、令和二年度当初予算に加えまして補正予算案に二十七億円を盛り込んでいるところでございまして、支援を必要としている方に適切に支援を行ってまいる所存でございます。

高橋(千)委員 予算措置で始まったものが、法定化されると実績がぐんと下がっちゃったと。つまり、必要ないようになってしまったというんだったらいいんですけれども、実際は、私は、住居に困っている人たちというのはまだまだいると思っておりますので、今回、コロナ切りに対応して、離職と同程度の状況を踏まえながら、また、リーマン・ショックくらいの対応ができる予算をつけるというお話でしたので、これはぜひ活用していただきたい、使えるものにしていただきたいと思っております。

 それで、その通知をつけていましたけれども、ちょっと時間の関係で飛ばします。

 8を見ていただきたいんですが、社協が窓口になる緊急小口融資の紹介リーフであります。右側の上の方は主に休業された方向け。特例で二十万円、その他十万円以内。下は失業された方向けで、二人の世帯であれば最大月二十万円を三カ月ということで、無利子、無保証人。さらに、今回の特例措置では新たに、ちっちゃく下に書いていますけれども、償還時においてなお所得の減少が続く非課税世帯の償還を免除することができる。

 これは非常に踏み切ってくれたなと感謝をしておりますが、さまざま制度がある中で最も早く手に入り、効果も期待できるのではないかと思っているんですけれども、どうでしょうか。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の影響を受けまして、収入の減少等により当面の生活費が必要な方について、生活福祉資金貸付制度に特例を設け、従来の低所得者の要件を緩和し、償還時に所得の減少が続く住民税非課税世帯の償還を免除することができるなどとしたところでございます。

 さらに、緊急経済対策におきまして、必要な貸付原資の積み増しとして三百五十九億円を計上したところでございます。

 この特例貸付けにつきまして、必要とされる方々の相談をしっかりと受けとめて迅速な貸付けを行うことが重要と認識しておりまして、市区町村社協の中の他の部署からの応援職員の配置ですとか、社協の元職員の臨時職員の雇用による相談体制の強化、また、当座の生活費が手元になく生活が切迫しているケースにおける事務の前倒しによる貸付けの迅速化などを行っているところでございます。

 こうした取組によりまして、支援が必要な方にスピード感を持って対応してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 ありがとうございました。制度がさまざまできても時間がかかるというのがやはりあるので、まず当座をしのげるという点で活用していただきたいなと強く思っております。

 厚労省はこれで退席していただいて結構です。大変お忙しいところ、申しわけありませんでした。

 公営住宅について今度は質問したいと思うんですけれども、現在入居している方で離職や休業などを余儀なくされて家賃を払うのが困難になった方への支援策、それからもう一点は、コロナ切りで住まいを失った方への優先提供あるいは入居あっせんを行うべきだと考えますが、どのように取り組むでしょうか。

眞鍋政府参考人 公営住宅における取組について御質問いただきました。お答え申し上げます。

 公営住宅におきましては、これまでにも、やむを得ず家賃が支払えない状況にある世帯に対しては、各事業主体、つまり地方公共団体において、収入などの状況や事情を十分把握した上で、家賃の支払いの猶予あるいは家賃の減免の適用などの負担軽減策を講じてきたところでございます。

 今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴いまして、収入が減少し、家賃を滞納している現在の入居者に対しましても、家賃の支払いの猶予あるいは家賃減免の適用などの負担軽減策を講じるなど、適切に対応していただくよう、三月の二十三日に国土交通省から各事業主体に要請しました。

 あわせて、これから公営住宅に入居を希望される方々もおいでになります。こういう方々のために、各事業主体が条例で独自に設定している入居要件の適用などについて弾力的な取扱いを要請した、またさらに、四月の七日には、一時的な利用のために公営住宅を目的外使用するときの簡便な手続についても示して、要請したところでございます。

 以上のようなことで、公営住宅に対する対策を更に事業主体において取り組んでいただくよう、私どもも指導に努めてまいります。

高橋(千)委員 今答弁いただいた通達については、資料の3につけておきました。家賃の減免というのは本当に大事なので、しっかりと対応していただきたいというふうに思っております。

 それから、セーフティーネット住宅も今回緊急経済対策に盛り込まれていますが、具体的にどういう中身か、一言でお願いします。

眞鍋政府参考人 セーフティーネット住宅についての御質問にお答えします。

 高齢者、障害者、子育て世帯、低額所得者などのいわゆる住宅確保要配慮者の入居を拒まないものとして登録されているセーフティーネット住宅でございますが、今回の経済対策におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した住宅確保要配慮者の住まいの確保を図るために、要配慮者の一時的な収入減などに対しまして、セーフティーネット住宅の家賃低廉化に関する支援について、現行制度の同一入居者への補助総額を超えない範囲内で一定の柔軟な対応を可能とする、こういう制度にしたところでございます。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 最後に、本当は大臣に住まいは人権についての認識を伺う予定でしたが、残念ながら時間が来てしまいました。

 今いろいろな取組をしてくださっているんですが、いずれにしても、連携をうまくとって、やはり住まいの確保と家賃の補助と一体じゃないとだめだということもありますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思って、また次に譲りたいと思います。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

土井委員長 次に、内閣提出、持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣赤羽一嘉君。

    ―――――――――――――

 持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

赤羽国務大臣 ただいま議題となりました持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 地方部を中心とした人口減少の本格化、運転者不足の深刻化等に伴って、公共交通サービスの維持、確保が厳しさを増している中、高齢者の運転免許の返納が年々増加するなど、地域の暮らしと産業を支える移動手段を確保することがますます重要になっております。加えて、交通ネットワークの充実等を図るために、地域経済社会の発展に資する交通インフラを着実に整備していくことも必要となっております。

 このような状況を踏まえ、全ての地域において持続可能な運送サービスの提供を確保するため、地方公共団体が、公共交通事業者等と連携して、最新技術等も活用しつつ、既存の公共交通サービスの改善充実に主体的に取り組むなど、地域の輸送資源を総動員する取組を推進する必要があります。

 このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、地方公共団体は、国が策定する基本方針に基づき、地域旅客運送サービスの持続可能な提供を確保するための計画を作成するよう努めなければならないこととしております。また、乗り合いバスの新規参入に係る地方公共団体への通知制度を創設し、地域公共交通サービスの維持、確保に向けた議論を深めていただくこととしております。

 第二に、維持が困難となった旅客運送事業の路線などについて、地域において多様な選択肢を検討、協議し、地方公共団体が公募により選定した者が地域に最適な旅客運送を実施する地域旅客運送サービス継続事業や、同一の車両を用いて旅客及び貨物の運送をあわせて行う貨客運送効率化事業の制度を創設し、国の認定を受けたこれらの事業については、関係法律の特例措置等各種の支援措置を講ずることとしております。また、過疎地などで市町村等が行う自家用有償旅客運送について、地域住民のみならず観光客を含めた来訪者も対象として明確化するなど、その実施の円滑化を行うこととしております。

 第三に、利用者目線による路線、ダイヤの改善や運賃の設定等を促進するための地域公共交通利便増進事業の制度を創設することとしております。また、新たなモビリティーサービスである、いわゆるMaaSの全国への速やかな普及を促進するため、複数の公共交通事業者による運賃の設定に係る手続を簡素化する事業計画の認定制度や幅広い関係者で構成される協議会制度を創設することとしております。

 第四に、交通インフラに対する支援の充実を図るため、多様な関係者の連携による鉄道インフラや物流拠点の整備への資金の貸付けを行うことができることとしております。

 そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由であります。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

 以上です。

土井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十四日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十五分散会


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