衆議院

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第8号 令和2年4月14日(火曜日)

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令和二年四月十四日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 土井  亨君

   理事 小里 泰弘君 理事 金子 恭之君

   理事 工藤 彰三君 理事 根本 幸典君

   理事 三ッ矢憲生君 理事 小宮山泰子君

   理事 福田 昭夫君 理事 岡本 三成君

      秋本 真利君    小田原 潔君

      大塚 高司君    大西 英男君

      岡下 昌平君    鬼木  誠君

      門  博文君    神谷  昇君

      小林 茂樹君    古賀  篤君

      佐々木 紀君    笹川 博義君

      田所 嘉徳君    田中 英之君

      谷川 とむ君    土屋 品子君

      中村 裕之君    長坂 康正君

      西田 昭二君    藤井比早之君

      堀井  学君    三谷 英弘君

      宮内 秀樹君    簗  和生君

      山本  拓君    青山 大人君

      荒井  聰君    伊藤 俊輔君

      西岡 秀子君    広田  一君

      古川 元久君    馬淵 澄夫君

      道下 大樹君    矢上 雅義君

      谷田川 元君    伊藤  渉君

      北側 一雄君    高橋千鶴子君

      井上 英孝君

    …………………………………

   国土交通大臣       赤羽 一嘉君

   国土交通副大臣      御法川信英君

   国土交通大臣政務官    門  博文君

   国土交通大臣政務官    佐々木 紀君

   政府参考人

   (内閣官房日本経済再生総合事務局私的独占禁止法特例法案準備室次長)    中原 裕彦君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   多田 明弘君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           長谷川周夫君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 稲岡 伸哉君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 住澤  整君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           出倉 功一君

   政府参考人

   (水産庁漁政部長)    森   健君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           島田 勘資君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            奈須野 太君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官)  瓦林 康人君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  池田 豊人君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  水嶋  智君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 一見 勝之君

   政府参考人

   (観光庁長官)      田端  浩君

   国土交通委員会専門員   宮岡 宏信君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十四日

 辞任         補欠選任

  大塚 高司君     藤井比早之君

  大西 英男君     笹川 博義君

  古賀  篤君     西田 昭二君

  鳩山 二郎君     岡下 昌平君

  古川 元久君     青山 大人君

同日

 辞任         補欠選任

  岡下 昌平君     鳩山 二郎君

  笹川 博義君     大西 英男君

  西田 昭二君     古賀  篤君

  藤井比早之君     大塚 高司君

  青山 大人君     古川 元久君

    ―――――――――――――

四月十四日

 道路法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)


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     ――――◇―――――

土井委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官瓦林康人君、道路局長池田豊人君、鉄道局長水嶋智君、自動車局長一見勝之君、観光庁長官田端浩君、内閣官房日本経済再生総合事務局私的独占禁止法特例法案準備室次長中原裕彦君、内閣府政策統括官多田明弘君、地方創生推進室次長長谷川周夫君、総務省大臣官房審議官稲岡伸哉君、財務省大臣官房審議官住澤整君、農林水産省大臣官房参事官出倉功一君、水産庁漁政部長森健君、経済産業省大臣官房審議官島田勘資君及び中小企業庁事業環境部長奈須野太君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

土井委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中村裕之君。

中村(裕)委員 おはようございます。自由民主党の中村裕之です。

 質疑の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 本日は、地域公共交通活性化法の質疑でありますけれども、地域公共交通の重要な担い手でありますバス会社にも新型コロナウイルスの影響というのは大きく及んでいるというふうに認識をしております。

 貸切りバスのキャンセル、予約の取消し、また今後の予約が入っていないという状況があって、恐らく貸切りバスでいうと九割方、それ以上の売上げの減少になっているというふうに思います。

 路線バスを考えたときに、路線バスというのは地域公共交通の重要な担い手でありますけれども、路線バスを担っているバス会社が、その会社の中には貸切りバスの部門も持っている会社というのがあるんだと思うんです。例えば、福岡みたいにたくさんのクルーズ客船が訪れるような地域では、貸切りバスのウエートが非常に高くなっているバス会社もあるのではないかというふうに思います。

 インバウンドの需要増で貸切りバス部門の事業を拡大していたところにこのコロナショックが訪れているわけですけれども、そうした貸切りバス部門の売上げの減少がバス会社の経営自体に大きく影響すると、路線バスの担い手を失うことにもつながりかねないというふうに、私は大きな危惧をしているわけです。

 国土交通省としては、そういったバス会社の経営について、今私が申し上げた点も踏まえまして、どのような認識を持っていて、なおかつ、どのような対策を行っていこうとしているのか、その点について伺いたいと思います。

一見政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、新型コロナウイルスはバス事業に大きな影響を及ぼしております。

 貸切りバスでは、九〇%あるいは九五%、運送収入が前年同月に比べて落ちているというところもございます。

 また、バス協会がアンケートをしましたものでは、三月の運送収入でございますが、前年よりも七割以上減少しているという事業者が何と全体の約八割にも及んでいる、こういう厳しい状況でございます。

 一方、乗り合いバスにつきましては、外出の自粛などの影響を受けまして、一般路線バスの運送収入、これは三月は約一五%減少の見込みとなっておりまして、貸切りバスに比較すれば収益に与える影響は現在は大きいとは言えないものでありますが、相手が目に見えないウイルスということもありまして、予断を許さない状態であることに変わりありません。

 また、委員御指摘のように、乗り合いバス会社はほとんどが貸切りバス事業を経営しておりまして、貸切りバスの収入の減少がバス事業全体の収支に影響を与えております。

 国交省におきましては、関係省庁と連携しまして、先般の緊急経済対策で決定をされました雇用調整助成金の拡大の措置やあるいは各種の資金繰り対策の活用に取り組むとともに、今後も、利用者や事業者の声に耳を傾けまして、必要な措置を適宜適切に講じていきたいと思っております。

中村(裕)委員 貸切りバス部門では九五%の売上げ減少という大変な状況だと思いますが、そうしたことが地域住民の公共交通、必要な公共交通を失うことにつながらないように、万全の対策を講じていただきたいと思います。

 次に、タクシーですね。タクシーについては、先日の委員会でも伊藤渉議員始め多くの議員が、タクシー会社の経営また運転手さんの所得の確保について質問がございました。

 タクシー会社のドライバーさんは歩合給ですので、非常に手取りが落ちているという状況でありますけれども、一方で、雇用調整助成金を活用して、休んでいただいて、その休んでいる運転手さんに対して、雇用調整助成金では六割をきちんと支払うということで支えようということでありますし、国土交通省としても目配りをして、幅広に支援を考えているという答弁でもありました。

 しかし一方で、出勤する運転手さんは、歩合給の中で六割に届かない給与しかもらえない、お客さんが少なくなっているので。それで、休んだ方が得だということであったり、また、最低賃金に届かないものだから、会社として足りない分を補填しないと最低賃金の法律に違反するということで、会社側が負担しているという話も聞いているわけであります。

 雇用調整助成金の幅広の適用というのは非常に大事なことでありますけれども、こうした、会社の方もゆるくない、運転手さんもゆるくない大変なときに、タクシー会社には更に支援をする必要があると考えるわけですけれども、どのような見解か、お伺いいたしたいと思います。

一見政府参考人 タクシーにつきましても、先ほどのバスと並んで、国民生活、いわゆる国民経済の安定に不可欠な公共交通機関でございまして、緊急事態宣言の基本的対処方針でも、事業の継続を要請する対象として挙げられているところでございます。

 そうした公共交通機関としての使命を全うするために、事業を継続してもらって、タクシー運転手さんの雇用の維持を図る、これは非常に重要なことだと考えておるところでございます。先般も御質問いただきましたけれども、特定の会社に対して、私ども、きちんとウオッチをしていきまして、また、こちらからも声がけをしているところでございます。

 タクシー会社さんの経営に関しましては、緊急経済対策で雇用調整助成金の助成率の引上げや残業相殺の停止などが盛り込まれております。また、これに加えまして、担当省庁に教育訓練費の増額につきましても働きかけをしておるところでございます。

 さらに、私ども国交省の措置としましては、需要の急減に伴います臨時減車を特別に認めるといったような柔軟な運用を講じているところでございますし、また、今度の一次補正におきましても、感染防止のための設備につきまして私ども盛り込むことができないかということで、今調整を行っているところでもございます。

 今後も、引き続きまして、必要に応じてきめ細やかなさらなる支援というのも検討してまいりたいと思っております。

中村(裕)委員 ありがとうございます。

 バス会社にしてもタクシー会社にしても、そうしたものが破綻をした場合には、地域住民の移動の自由を失うことになりますし、大変重要なインフラである地域公共交通が損なわれることになりますので、さらなる支援ができればいいなというふうに私も思っていますので、ぜひ今後検討いただきたいと思います。

 さて、地域公共交通活性化法でありますけれども、地方では、人口減少に伴って、幹線で大型のバスで運行していたバス路線が小型バスやワゴン車の運行に切りかわっているというような例も多く見られています。

 こうした運行形態の変化に対応するために、地域の関係者が一堂に会して地域公共交通マスタープランを策定し、利用者の移動手段を確保すべきでありますけれども、一方で、ほんの二、三年前とか数年前に公共交通網形成計画を作成したばかりの自治体もたくさんあるわけであります。

 この地域公共交通網形成計画と本法案で述べている地域公共交通マスタープランの違い、また新しいプランを作成することによる効果、その点について確認をさせていただきたいと思います。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正案におきましては、市町村などが協議会方式で策定する現行の地域公共交通網形成計画につきまして、計画の内容や対象、位置づけ、実効性確保のそれぞれの面で拡充させまして、地域交通に関する各種の取組を更に促進していくこととしております。

 具体的に申しますと、まず、計画の対象や内容の面では、現行の計画がバス路線などの専らネットワークの確保、充実を対象としているのに対し、改正後の計画では、ダイヤや運賃などの面からもサービスの水準を総合的に捉えまして、改善や充実に取り組めるようにするとともに、過疎地などではスクールバスなど地域の輸送資源を総動員する具体策を盛り込むことができるようにすることとしております。

 また、計画の位置づけにつきましては、地域公共交通計画に名称を変更した上で、市町村等による策定を法的に努力義務化するということで、地域交通に関するマスタープランの位置づけを明確化いたしまして、改正後は、基本的には全ての市町村等におきまして策定や実施に取り組んでいただくこととしております。

 さらに、計画の実効性確保の面におきまして、定量的な目標の設定や毎年度の評価などの仕組みを制度化しておりまして、具体的なデータに基づくPDCAサイクルの展開を強化することとしております。

 国土交通省におきましては、市町村等による新たな計画の策定とこれに基づく事業が円滑に進むよう、改正後の計画制度の適切な運用に取り組んでまいります。

中村(裕)委員 従来の計画よりは相当充実した中身のマスタープランになっていくのではないかというふうに、今の答弁を聞いて感じたところです。

 さて、そうしたマスタープランを策定していく自治体に対して、国土交通省としてはどのような支援を考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

瓦林政府参考人 地方公共団体が中心となって地域の移動手段を確保する取組を効果的に進めていく上では、計画づくりの段階と計画に盛り込んだ事業の実施の段階それぞれにつきまして、国として、財政面及びノウハウ面でしっかりバックアップする必要があるというふうに認識しております。

 特に、市町村の約八割では公共交通の専任担当者が不在であるとの調査結果も出ていることから、計画づくりを担う市町村における人材や組織体制の不足を国の支援でどのように補っていくかが重要な課題となってございます。

 このため、国土交通省におきましては、国費補助により計画づくりと事業実施のそれぞれについて財政面で支援するとともに、国土交通大学校における市町村職員等に対する研修、計画策定のためのガイドラインの作成や充実、地方運輸局主催のセミナーでの各地の優良事例の横展開等の取組を強化していくこととしておりまして、ノウハウ面や地方公共団体の体制強化の面でも支援の充実を図ってまいります。

中村(裕)委員 ただいま、計画づくりの段階また実施の段階、それぞれで人的また財政的支援を行っていくということであります。

 ただ、これまでも赤字のバス路線に対しては二分の一の補助を出して国として支えているわけですけれども、フィーダー線、末端の方の線で、例えばワゴン車ですとかディマンドバスですとか、そうしたものを活用したところに対する補助については、国が掲げている二分の一の補助の予算枠組みに対して、要望がどんどんふえているものですから、なかなか二分の一の補助まで至っていないという状況も伺っているところです。

 こうした法律を策定し、マスタープランの策定を地域にやっていただいても、予算が伴わなければ実効性に疑問が出てくるわけであります。国土交通省としてどのように取り組んでいく考えか、大臣の所見を伺いたいと思います。

赤羽国務大臣 今委員御指摘のように、地方のフィーダー線につきましては、実態としては、九割以上が市町村がみずから運営するですとか委託で運行しているコミュニティーバスですとかディマンドタクシーが大半でして、利用客が極端に少ないとか、やはり、もうけよりも安い金額でみたいなことなので、収支率が一〇%を割り込んでいるという事業も大変多いわけでございます。

 そうしたことから、国費の助成が十分に行き届いていないという現状がございます。こうしたことをやはり今回の法改正で抜本的に変えていかなければいけないということで、地域フィーダーもそれぞれやはりもう少し分析をして、効率性も上げて、持続、継続可能なものにしていかなければいけないというのが今回の法改正の思いでございまして。

 国交省といたしましては、こうした分析、効率的な運行ですとか利用者ニーズへの的確な対応を両立させていく、小型化を導入したりとかそんなことをやりながら、今回の法案による地域旅客運送サービス継続事業という新しい制度もしっかり活用しながら、地域における検討や取組を促進して、少し責任を持って地域地域の公共交通をしっかり支えていかなければいけない、こう思っているところでございます。

中村(裕)委員 ありがとうございます。

 利用実態に合った交通手段を地域地域できちんと確保していく、余り過大な体系をとるべきではないというのは、私はそのとおりだとは思います。

 しかし一方で、国が責任を持って地域の公共交通の手段を財政的に支えていくということがしっかり担保されなければ、これはなかなか住民の安心にもつながらないと思いますので、予算の確保についても引き続きお願いしたいと思います。

 次に、MaaSについて伺います。

 MaaSというのは、複数の交通モードを横断的に、経路検索やフリーパスの設定、料金体系を確立するなど、非常に利便性につながるというふうに私も期待をしているところでありますけれども、一方、過疎地では、目的地につながるラストワンマイル、最後の交通手段が、例えば地域のバスが一時間に一本か二本しかないというような状況で非常に脆弱であるために、なかなかMaaSのよさが発揮されないのではないかというふうに私も危惧しているところです。

 そういったラストワンマイル対策等についてどのような方策を考えていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、MaaSの全国への早急な普及に取り組んでございますが、普及を進めていく上では、MaaSの導入だけを自己目的化することなく、導入にあわせて、委員御指摘のラストワンマイルあるいはラストマイルと呼ばれる区間、区域につきましても移動手段の確保を図っていくことが極めて重要な課題であるというふうに認識しております。

 このため、昨年度から開始しました国費助成によるMaaS導入の実証事業におきましても、このラストワンマイルに相当する区間などについて新たな移動手段を導入する取組を優先的に採択をしてございます。

 昨年度、全国十九地域で行われた事業のうち十一の地域で、例えば、駅からの移動手段が不十分な地域でAIによる配車を活用したディマンド交通を導入した例でございますとか、あるいは、ホテル専用の送迎バスを一部自動運転化した上で公共交通として活用し始めた例など、MaaS導入と連動した移動の利便性向上に取り組んでいただきました。

 今後とも、MaaSの導入に取り組む地方公共団体あるいは交通事業者に対しまして、先進事例の横展開を図りながら、過疎地などのラストワンマイルの区間などにおける移動手段の確保を、取組を促進してまいりたいというふうに考えてございます。

中村(裕)委員 MaaSの導入によって、ラストワンマイルの交通手段を確保していく取組につながっていくんだということで、期待をしたいと思います。

 最後になると思いますが、公共交通を支える路線バスも、地方で需要が減っているために、本当に路線を維持できるのかというような状況になってきているわけでありますが、言ってみると、人口増加期、そして経済成長期にバス会社というのは幾つもふえていって、パイが大きいところの体制が整ったわけですが、それから人口は減少し、ドライバーも高齢化したり不足したりしていく中で、住民の重要な移動手段としてのインフラである公共交通というのは、ピークのときの体制ではもうもたなくなってきている、もたなくなっているところに、独占禁止法で禁止されているようないろいろなことを実際に行わなければ維持できないという状況になってきているわけです。

 例えば、北海道でも、高齢化が進んでいるために、除雪のオペレーターが新しい人が入ってこないものだから、十年たったらオペレーターがいなくて除雪できなくなるのではないか、そういう話も出ているわけです。

 社会の変化に合わせて、今までの公共サービスの担い手がどんどん、例えば価格競争にさらすことが適していないという状況になってきているわけですけれども、そうした公共サービスを国土交通省としてたくさん担っているわけですから、今後どのように支えていこうとしているのか、国土交通大臣としての決意をお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

土井委員長 赤羽大臣、簡潔に答弁をお願いをいたします。

赤羽国務大臣 今委員おっしゃるように、社会の状況が変わる、人口がふえ続け経済が伸びているときと、今のように、人口が減少する、経済もシュリンクしていく、そうすると、今までのルールでやっていると無駄が見られる、もう少しバス路線も効率化した方がいいんじゃないか、競合同士がうまく手を組みたいというような御要望もございました。

 今回、独占禁止法の特例法案も今審議をしていただいておりますが、ここと連動して、バス会社同士が連携して、共同経営の手法により利便性の向上またサービスの維持に取り組める新たな制度が実現しようとしているわけでございまして、こうした取組に対して、国としては、財政面、ノウハウ面の支援を行いながら、やはり時代に合った公共交通機関の構築に努めてまいりたい、こう思っております。

中村(裕)委員 ありがとうございます。

 終わります。

土井委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。

 毎回申し上げていることですけれども、この緊急事態におきまして、現場で支えてくださっている医療関係者の皆様はもとより、都市機能を麻痺させないために日々運行を続けていただいている公共交通各関係者の皆様にも心から敬意を表して、質問に入っていきたいと思います。

 また、この緊急事態を受けまして、国交省も積極的にテレワークを導入するなど、私が思うのは、ぜひ、この危機的状況を乗り越えたときには世の中の景色が少し変化をしている、いい方向に変化をしている、その一つが、一極集中の是正の糸口みたいなことを見つけていく可能性があるのではないか、そんな期待も持ちながら日々業務に取り組んでおるわけですけれども、そのためにも、地方の公共交通の維持のためのこの法案は極めて重要ですので、きょうは各論を中心に、確認の意味で質問させていただきたいと思います。

 まず初めに、自動運転技術の進捗についてであります。

 今、中村委員の質問にもございましたけれども、特に地方に行きますと、ラストワンマイルをどう支えるのか、極めて重要な課題であります。現在、福井県永平寺町、沖縄県北谷町でそれぞれ実証実験を実施をしていると承知をしておりますし、また、中型自動運転バスの実証実験も準備中というふうに承知をしております。それぞれの取組について、現状と課題、実用化のめどについてお伺いをしたいと思います。

一見政府参考人 お答え申し上げます。

 国交省では、二〇二〇年までの限定地域での無人自動運転移動サービスの実現という政府目標の達成に向けまして、二〇一七年度より、経済産業省と連携をしまして、いわゆるレベル4の自動運転でございますが、ラストマイル自動運転の実証実験を五カ所で実施をしております。

 御指摘の永平寺町、これは京福電鉄の線路跡を利用した自動運転でございます。これまで一人の遠隔監視操作者が二台の車両を担当するということで実験を行っておりましたが、さらなるコスト低減に向けまして、一人が三台の車を担当するシステムの開発が今後の課題となってございます。

 また、沖縄の北谷町では、路上駐車車両を回避するためにドライバーがどうしても手で操作をしなきゃいけないというような問題が発生しております。そういう意味では、さらなる技術開発が課題でございます。

 さらに、輸送定員をふやしまして事業採算性を確保する観点から、昨年度、従来よりも大型の国産の自動運転中型バスを開発をしております。本年度は、このバスを利用しまして、兵庫県の三田市なども加えまして五カ所で実証実験を行うこととしております。

 課題はありますが、あと一歩までは来ておりますので、今後とも、政府目標の達成に向けまして、さらなる技術開発や実証実験に取り組んでまいる所存です。

伊藤(渉)委員 きょうは地方公共交通活性化法案の審議ですけれども、今国会に提出をされている道路法の方では、自動運転に近い、道路に何らかのマーキングといいますか、電子的なマーキングを施すことによって、自動運転よりはより簡易に、自動運転に近いようなといいますか、そういう交通手段も設けられるように道路法の改正も視野に入れられていると承知をしておりますので、引き続き、ラストワンマイルを支える手段としての自動運転技術のさらなる進捗に力を入れていただきたい、こう思います。

 続きまして、地域旅客運送サービス継続事業について御質問いたします。

 多様な移動手段を確保した上で、地域のアクセシビリティーを確保するために新たなサービス提供事業者等を選定をする、その際、可能な限り同一の乗り合いバス事業者等による同一路線の継続を目指すとしております。それが困難な場合には、順次コミュニティーバス等の検討を行うとしておりますけれども、例えば、一定の合理性があれば、タクシーとスクールバスなど、複数の事業者による複数の移動手段を混在させることを許容しているのか、この点を確認しておきたいと思いますが、国交省に答弁を求めます。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案におきましては、地域旅客運送サービス継続事業を創設いたしまして、路線バス等の維持が困難となると見込まれるに至った段階で、市町村等が、関係者とサービスの継続のあり方を協議して実施方針を策定し、公募により代替する輸送サービスを導入することができる制度を盛り込んでございます。

 この新たな制度により、地域の実情に応じて、コミュニティーバス、ディマンド交通、タクシー、自家用有償旅客運送等の中から路線バスにかわる最適な旅客運送サービスを選択していただくことができるようになります。

 その場合、地域や時間などによって、委員御指摘のように、一つのサービスだけでなく複数のサービスを組み合わせて提供することもできることとし、地域のニーズに柔軟に対応できるようにすることが適切というふうに考えてございます。

 このような取組は既に各地で始まってございまして、例えば、鳥取県西部地域では、路線バスや自家用有償旅客運送がエリアごとに役割を分担しながら運行されております。また、愛媛県八幡浜市では、自家用有償旅客運送とスクールバスの乗りかえ地点を設定いたしまして、両者を連携させて住民の移動手段の確保が図られているところでございます。

 国土交通省におきましては、本制度を適切に運用しまして、地域の実情に応じ、必要な場合には複数の旅客運送サービスの組合せにより移動手段の確保が進むよう促進を図ってまいります。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 多種の移動手段を混在をさせることは許容しているという答弁でございました。ありがとうございます。

 また、当然、こういうことをしなきゃいけない自治体というのは、そんなに大きくない自治体が多いといいますか、地方の自治体ですので、いろいろな事業スキームをうまいことまぜて地域の足が成り立つようにすると口で言うのは簡単なんですけれども、実際にやるのは結構難しいことで、そういう意味では、しっかりノウハウを持った国交省が地方運輸局等と連携をしながらよくサポートをしていただく、このこともぜひお願いをしておきたいと思います。

 その移動手段の一つとして、かねてから存在しますけれども、自家用有償運送というものがございます。今回、この自家用有償運送の中で、交通事業者協力型自家用有償運送というのが検討をされております。

 この自家用有償運送の話になると、現在、コロナウイルスのことで大変厳しい経営状況に追い込まれておりますタクシー事業者の皆さんが、必ず、この自家用有償運送の話が出てくると、白タク行為の解禁につながるのではないか、このことを大変御心配をいただくわけでございます。

 ここはぜひ大臣に御答弁をお願いしたいんですけれども、白タク行為の解禁にはつながらない、その点について、しっかり大臣の方から御表明をお願いしたいと思います。

赤羽国務大臣 伊藤委員よく御承知だと思いますが、そもそも自家用有償旅客運送は、道路運送法による登録を受け、また、市町村等が運行管理等の措置や事故の際の賠償を行う体制を整備しているということでございます。

 他方、いわゆる白タク、ライドシェアは、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態を前提としておりまして、国民の安全、安心の観点からは認めるわけにはいかない、これは従来から言っていることでございますし、この法改正においてもその考えは全く変わりません。

 本法案におきまして、若干、数点改正をするわけでございますので、そこに懸念を持たれているかと思いますが、まず、観光客を含む来訪者のみであっても輸送対象とすることとしておりますが、この登録の申請に当たりましては協議会等において協議を行うことが必要な点、これはもう法改正後も全く変更はございません。また、観光客を運送する際にも、例えばオンディマンド型の輸送であれば当該観光客が事前に窓口に連絡する必要があるなど、無限定な運送は行われないというものでございます。

 またさらに、今お話ございました事業者協力型の自家用有償旅客運送は、交通事業者が持たれているノウハウを活用して、市町村等が交通事業者に運行管理等を委託することで、より安全、安心な運行の実施を図ろうとするのが目的でございまして、私どもは、むしろ、白タク行為やライドシェアを防止するために必要なものであるというふうに考えております。

 繰り返しになりますが、今回の法改正を契機にということではなくて、これからも国民の安全、安心が担保できないライドシェア、白タク行為は認めるわけにはいかないという考えは変わりません。

 以上です。

伊藤(渉)委員 言明をしていただきまして、ありがとうございました。これで安心いただけると思います。

 白タクの行為は、かねてから再三にわたって議論をされておりまして、最大のポイントは、今大臣おっしゃっていただいたように、安全を誰が担保するのかということだと思います。

 今御答弁いただいたとおり、今回の自家用有償運送、交通事業者協力型というのは、あくまでも運行管理、つまり、安全の担保を事業者サイドが担う、そのために交通事業者、ノウハウがある事業者などの方に御協力をいただくというものでありまして、いわゆる白タク行為というのは、完全に、普通の人が普通の人を運ぶので、安全のリスクをお客様が保険等でリスクをヘッジする、そういう発想に立つのがいわゆる白タク行為でありまして、そうしたことが今後も絶対に発生しないように、我々もしっかり注視をしていきたいと思います。

 続きまして、地域公共交通利便増進事業について、これは一つ大きな取組かと思います。

 今回、この事業を使いまして、国交大臣による共同経営の認可に当たっては、必須条件として、収支が不均衡な状態にある路線が存在すること、これ以外にも選択で幾つか条件があるんですけれども、この収支が不均衡な状況にある路線が存在すること、このことは必須条件になっていると承知をしております。

 では、具体的に、収支が不均衡とはどういう状態を指しているのか、また、この条件を必須としたのはどういう理由からか、国交省にお伺いをしておきたいと思います。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、独占禁止法特例法案におきましては、バス事業者の共同経営が適用除外となるための認可基準の一つといたしまして、共同経営の対象となる区域内に収支が不均衡な状況にある乗り合いバスの路線が存することを定めております。

 この場合の収支が不均衡と申しますのは、当該区域内の乗り合いバス事業を路線ごとの収支で見た場合、赤字の路線が最低一路線あることの趣旨でございまして、これを前提に運用を行っていくこととしております。

 これは、今回の独占禁止法特例法案が、地方都市などで厳しい経営環境に置かれている乗り合いバス事業につきまして、独占禁止法の制限を特例的に緩和することにより、事業者間の連携により利便性を向上させてサービスを維持していくことを目的としていることを踏まえ、採算性が十分に確保されている黒字路線のみで構成されている大都市部などの乗り合いバス事業については、独占禁止法の特例を認める必要性は乏しいとの判断のもと、このような基準を設けることとしたところでございます。

 国土交通省といたしましては、この独占禁止法特例法案と本法案の両法案の制度を一体的に運用して、地方都市などにおけるバス交通の利便性向上や運行効率化を促進し、サービスの維持を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 赤字の路線が一つでもあるという、大事なお話をいただきました。字面だけ見ると、全部赤字でも均衡だったらだめなのかと私は思ったものですから、一応、念のため確認で質問させていただきました。

 最後の質問にさせていただきます。

 MaaS事業について、鉄道やバス、タクシー、レンタサイクルなどを乗り継いで移動する際、経路検索や予約、料金支払いをスマホでまとめてできる次世代サービスを普及をさせるため、交通事業者が割引料金などを設定する際の手続を簡略化するとしております。これも非常に大事な取組だと思います。

 既に、福岡市、北九州市ではトヨタと西日本鉄道などが実用化をしているなど、多くの地域で導入が進んでおります。実験には、フェリーや海上タクシーなどの事業者も参加をしていると承知をしております。利用者の利便性向上、地域の新たなモビリティーサービスの創出という観点からも期待が寄せられております。

 これは、実際にやろうとするとこういうことが多分難しいんだろうなと思うので質問しますが、複数の事業者間の調整、当然、それぞれにある程度利益が出ないといけませんし、利益をどういうふうに分配するのかとか、そういう調整が多分ポイントになってなかなか協議が始まらないといいますか、本当に厳しいところはもう背に腹はかえられなくて始まるんですけれども、積極的に導入しておこうと思うとそこが結構大変だな、こういう印象を持つものですから、その辺の、いわゆる複数事業者間の調整に国交省としてどういう支援を行っていく意向でおるのか答弁をいただいて、私の質問を終わります。

瓦林政府参考人 MaaSの普及を円滑に進めていく上では、委員御指摘のとおり、関係する事業者間の連携が極めて重要でございまして、公共交通も含め、移動を担う複数の事業者間の連携はもとより、移動目的となるサービスを提供する交通以外の業種の事業者との連携も効果的に促進していくことが大きな課題となっております。

 このため、今回の法案におきましては、MaaSの事業計画ごとに、事業エリアの地方公共団体、交通事業者及び交通以外の他業種の事業者等が構成する協議会の制度を盛り込んでおります。この協議会には国土交通大臣が助言することができることとしてございまして、この制度を活用することで、幅広い地域の関係者が協議会の場で適切に連携し、実施事業の詳細などに関する合意形成を円滑に進めることができることになるものと考えてございます。

 また、国土交通省におきましては、MaaSに参加する交通事業者が利用者向けのサービスあるいは路線、ダイヤ、運賃などに関するデータ提供の面でも連携しやすくなるよう、今年度予算におきまして、キャッシュレス化でありますとか交通情報のデータ化への国費補助を盛り込んでいるほか、先月には、有識者の助言に基づきまして、MaaS関連データの連携に関するガイドラインを取りまとめてございます。

 今後、これらを効果的に活用しながら事業者間の連携を更に加速させ、全国への普及の実現に取り組んでいくこととしてございます。

伊藤(渉)委員 地域公共交通の活性化に向けて、引き続き国交省の全国的なサポートを心からお願いし、質問を終わります。

土井委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 立国社の福田昭夫でございます。

 本日は、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案の審議の時間でありますけれども、後半は新型コロナウイルス感染症緊急経済対策について政府の考えをただしてまいりますので、簡潔にお答えをください。なお、厚生労働省への質問には回答を求めておりません。

 まず、地方の移動手段をめぐる現状と、地域がみずからデザインする地域交通についてであります。

 まとめてお伺いします。地方の移動手段をめぐる現状について、そして、地域がみずからデザインする地域交通についての国交省の認識と考え方を教えてください。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、多くの地域で、人口減少の本格化に伴いまして、バスを始めとする公共交通サービスの需要の縮小や経営の悪化、運転者不足の深刻化など、厳しい状況に直面しております。他方、高齢者の運転免許の返納が年々増加し、受皿としての移動手段を確保することがますます重要な課題となっております。

 このような状況に対しまして、国土交通省といたしましては、まずはバス、タクシーの労働力の確保とサービスの維持や改善を図りながら、過疎地などについては、スクールバスなどの地域の輸送資源を総動員して移動ニーズに対応すること、その際、MaaS、AIによる配車、自動運転などの最新技術も最大限活用して生産性を向上しつつ、地域の高齢者はもとより、外国人旅行者も含めた幅広い利用者に使いやすいサービスが提供されることが必要であると考えております。

 このため、本法案におきましては、地域のニーズにきめ細やかに対応できる市町村等が、地域交通に関するマスタープランとなる計画を策定した上で、交通事業者を始めとする地域の関係者と協議しながら公共交通の改善や移動手段の確保に取り組んでいくことができる仕組みなどを盛り込んだところでございまして、国土交通省におきましては、市町村などによる計画の策定やこれに基づく取組に対しまして、財政面やノウハウ面でしっかり支援してまいりたいというふうに考えてございます。

福田(昭)委員 ありがとうございます。何か二の方の質問まで答えていただいたような気がいたしますが。

 二番目の、地域の移動ニーズにきめ細かく対応できるメニューの充実についてであります。

 これもまとめてでありますが、今お答えいただいたような気がしますが、輸送資源の総動員による移動手段の確保について、それから、既存の公共サービスの改善の徹底についてで、MaaSまでありますけれども、質問通告しておりませんが、ぜひ予算額を全部教えてほしいと思います。

 まず、マスタープラン、地域公共交通計画を作成するための作成費の助成金があります、それから地域旅客サービス継続事業があります、さらには貨客運送効率化事業があります、さらに、地域公共交通利便増進事業、新モビリティーサービス事業、こうしたものがありますけれども、こうしたものについての予算額はどれぐらい予定をしているのか、教えていただきたいと思います。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 一連の地域の足を確保するための予算、地域公共交通確保維持改善事業の名称で予算計上してございます。

 幾つかに分かれてございまして、地域公共交通確保事業、これは、幹線バス交通や地域内交通の運行、あるいは離島航路、航空路の運航、これに対する支援でございます。また、地域公共交通バリア解消促進事業、これは高齢者の方々の移動円滑化のためのさまざまな施設、福祉タクシーの導入なんかに対する補助でございます。また、調査事業といたしまして、先ほどの計画策定に対する補助がございます。

 これらにつきましては、全体として、令和二年度の予算におきまして二百四億円を計上してございます。

 内訳については、これは実施の段階でそれぞれ適切に配分していくということにしてございます。

福田(昭)委員 ありがとうございました。

 さらに、三番目、交通インフラに対する支援の充実についてでありますが、独法鉄道建設・運輸施設整備支援機構による資金の貸付制度の拡充ということで、多様な関係者の連携による鉄道インフラや物流拠点の整備ということでありますが、これについては回答は要りませんけれども、国交省の、独占禁止法の特例法の改正など、これは内閣官房提出のようでありますが、こうしたものを含めると、国交省が今回、地域公共交通をいかに充実させようかという、その意思はよくわかります。

 そこで、大事なことは、地方公共団体がちゃんと取り組めるかどうかということなんですね。そのためには、地方公共団体のスタッフを充実させることと、皆さん方が予定してくれるこうした補助事業などがしっかりと運営できていくということが大事だと思うんです。

 そこで、赤羽大臣に、これも質問通告はしておりませんが、要請をしたいと思っていますが、それは、とまらない少子高齢化、人口減少、にもかかわらず、東京一極集中もとまらない。そうした中で、やはり地域の公共交通を維持可能なものにしたいというのが国交省の考えだと思いますけれども、ぜひ総務省と連携をして、普通交付税の基準財政需要額、個別算定経費に、地域公共交通行政費のような項目を設けることを検討してほしいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

赤羽国務大臣 ちょっと突然の御質問なんですが、地域公共交通を充実させていくためには、財政面の支援とノウハウ面の支援の両面が必要だというふうに認識をしております。

 財政面といいましても、国交省の予算を増額するというのもなかなか簡単なことではないので、今委員が御提案の総務省との連携というのもしっかりと検討したいと思っておりますし、加えてノウハウの面も、人材不足というのはよくわかっておりますので、しっかりとした形でできるように努めていきたいと思っております。

福田(昭)委員 ぜひ、国交省との連携を進めて、普通交付税の中に算定できるようにお願いしたいと思っております。

 それでは次に、四番目ですけれども、新型コロナウイルス感染症緊急経済対策について質問させていただきます。

 何といっても感染症対策についてはスピードが大事だということは誰もがおっしゃるところであります。私も三月の十八日の国土交通委員会において、旅館、ホテル業、観光業などの悲惨な状態をお伝えをして、しっかり急いでやってくれるようにというふうに申し上げてまいりましたが、しかし、今回の政府の対策は余りにも遅過ぎて、唖然としているというのが実は私の率直な感想でございます。

 そこで、一つ目でありますが、一つ目は、感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発についてであります。これは答弁は求めておりません。

 新型コロナウイルス感染症対策で最も大切なことは、誰もが言われるとおり、やはり国民の命と暮らしを守ることだと思います。私の地元栃木県、まだ緊急事態宣言は出ておりませんけれども、実は医療従事者から、このままでは医療崩壊が起きてしまう、東京都のように、軽症者はホテルとかほかのところに入ってもらって、重症者のみ病院に入院できるような環境をぜひ一刻も早くつくってほしいという、悲鳴にも似た声が届いております。

 そのためには、やはり一日も早く、新型コロナウイルス感染症の患者を減少していくための防止策、そういったものをしっかりつくる、それから、医療体制の整備ということで、今申し上げたようなこともしっかりやる、治療薬の開発が必要だということであります。そして、感染拡大を鎮静化してもとの生活を取り戻すということが実は最大の経済対策だということが言われております。

 しかし、残念ながら、先ほども指摘をいたしましたが、政府の対応は最初からちょっと遅過ぎて、やはりこれも、東京オリパラがあったので、きっと、どうしようかということで迷っていたのだと思いますけれども、しかしながら、安倍内閣の責任は重大だと考えております。

 二つ目でありますが、二つ目の、雇用の維持と事業の継続についてであります。

 第一点は、雇用の維持、雇調金についてであります。これも答弁は求めません。

 国民の命を守りながら暮らしを守るためには、雇用の維持と事業の継続は絶対条件であります。そのための施策の一つとして雇調金がありますけれども、今回、緊急対応期間の令和二年四月一日から六月三十日までにおいて、助成率を中小企業は五分の四、大企業は三分の二に引き上げ、さらに、解雇等を行わない場合には、中小企業は十分の九、大企業は四分の三に引き上げるとともに、雇用保険被保険者でない非正規雇用労働者も対象とするという拡充が行われることになりました。

 このことについては一定の評価をしたいと思いますが、問題なのは、やはり申請書類の多さと交付まで二カ月もかかるということであります。

 ぜひ、内閣府の人も来ているかと思いますので、厚生省によくお伝えをしていただいて、やはり一刻も早く交付できるような態勢をとれるように御努力をお願いしたいというふうに思っております。

 第二点は、資金繰り対策、利子補給を組み合わせた実質無利子無担保の融資についてであります。

 今回は、中小・小規模事業者や中堅企業、大企業の資金繰り対策に万全を期すとして、利子補給を組み合わせた実質無利子無担保の融資、また既往債務の実質無利子無担保の融資への借りかえ、あわせて地方公共団体の制度融資を活用した民間金融機関による実質無利子無担保の融資及び既往債務の借りかえを可能とするなど、さらには、医療福祉事業者、農林漁業者、外食事業者、食品流通事業者などの資金繰り支援にも万全の措置を講ずる、こうしております。

 これらの資金繰り対策に四十五兆円を見込んでいるということでありますけれども、その中身をぜひ教えてほしいと思います。融資枠がどれぐらいあるのか、それから三年間の利子補給がどれぐらいあるのか、それから保証料の免除額がどれぐらいあるのか、そのほかの経費が幾ら入って四十五兆円と見込んでいるのか、これをぜひ教えてほしいと思います。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の無利子無担保の融資の限度額でございますけれども、枠は三千万円というふうになっております。

 その期間でございますけれども、当初の三年間ということでございます。当初の三年間というのは、新型コロナウイルス感染症の影響による経済の停滞が解消して再び売上げが確保できるまでの期間の資金繰りの確保の観点から、当初の三年間というふうにしているというものでございます。

 以上でございます。

福田(昭)委員 全体を言っているのであって、さまざまな融資機関から融資をすると言っているけれども、全体が約四十五兆円と経済対策に書いてあるわけですから、問題はその中身を、一つ一つ聞いているんじゃなくて、全体の中身を聞いているのであって、全体でどれぐらいの融資枠を、そして、利子は三年間無利子となっているけれども、その三年間の無利子の給付金はどれぐらい全体で予定しているのか、あるいは、信用保証協会の保証料を免除すると言っているが、それが全体でどれぐらいなのか、あるいはその他の経費がどれぐらいあるのか。四十五兆円の内訳を聞きたいと言っているので、それがわからなければいいですよ。

奈須野政府参考人 失礼しました。

 お答え申し上げます。

 まず、政府系金融機関の実質無利子化の方でございますけれども、事業規模としては約十二・六兆円、そのうちの予算規模は約一兆円というふうになっております。

 また、民間金融機関を経由しての融資の実質無利子化でございますけれども、事業規模としては二十四・二兆円、それから予算規模としては約二・七兆円というふうになっております。

福田(昭)委員 何か、四十五兆円にはどうも数えてもならないようですけれども。

 この辺は大変重要なポイントだと思います。しかも、実質無利子といっても、三年間しか無利子じゃないということで、四年目からはちゃんと利子も払ってもらうし、後で元金も払ってもらう、こういう仕組みですので、これがどれだけ役に立つかということだと思います。

 第三点は、事業継続に困っている中小・小規模事業者への支援、いわゆる持続化給付金についてであります。

 特に厳しい状況にある幅広い業種、事業形態の中堅・中小・小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者に対して、まだ仮称でありますが、持続化給付金として、事業収入が前年度比五〇%減少した事業者について、中堅・中小企業は上限二百万円、個人事業主は上限百万円の範囲内で前年度の事業収入からの減少額を給付する、こういう話でございますけれども、しかし、これらについての、二百万円以下の給付金はどれぐらいの予算を見込んでいるのか、あるいは百万円以下の給付金はどの程度の予算を見込んでいるのか、そして支給できるのはいつごろになると考えているのか、教えていただきたいと思います。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 持続化給付金でございますけれども、百万円をもらえる方と二百万円をもらえる方で分けては考えてはおりません。合わせて二・三兆円というふうに考えております。

 給付の時期でございますけれども、これは補正予算をお認めいただく時期にもよりますけれども、私どもとしては、できるだけ早く、できれば連休明けには給付したいというふうに考えております。

福田(昭)委員 当然このことについては、与党も野党もありませんから、補正予算を審議をして早目に通すということについてはみんな理解をしているんだと思いますが、問題は、こうした困っている人たちに本当にちゃんと現金が給付されるかどうか、しかも、できれば本来なら連休前に支給されないと、これは遅過ぎることにもなりかねないということであります。

 そのことについては、実は諸外国の例がございます。少し時間がありますので。

 先日の、四月十日の金曜日の日経新聞によりますと、アメリカでは、雇用維持や給与支払いなどで融資を使う場合は返済不要だ、こうなっています。それからスイスなどは、無利子無審査で融資、早ければ当日に振り込み。それからイギリスは、最初の六カ月の利子は政府が負担する。ドイツは、従業員五人以下の企業や個人事業主は最大九千ユーロを一括で支給する、日本円に直すと百七万になりますけれどもね。それからオーストラリアは、中小企業の経営破綻や人員解雇を防ぐため最大十万豪ドルを給付する、これは七百万円を超える。

 世界の各国は非常にスピーディーに中小企業などの支援を、あるいは雇用を守るための支援をしっかりしているということに比べれば、我が国は非常に遅過ぎるし規模も小さいということを申し上げておきたいと思います。

 四番目に、生活に困っている世帯や個人への支援、いわゆる生活支援臨時給付金についてであります。

 感染症の影響を受け、休業等により収入が減少し、生活に困っている世帯に対して、生活維持のために臨時の支援を行うものでありまして、具体的には、世帯主の月間収入、本年二月から六月の任意の月が、新型コロナウイルス感染症発生前に比べ減少し、かつ年間ベースに引き直すと住民税非課税水準となる低所得世帯、それから、新型コロナウイルス感染症発生前に比べて大幅に減少、半減以上し、かつ年間ベースに引き直すと住民非課税水準の二倍以下となる世帯等を対象として一世帯当たり三十万円を給付するとしていますが、給付の総額は幾らと見込んでいるのか、また、これまた詳細はまだ決まっていないようでありますが、いつごろ、どれぐらいの世帯に給付すると考えているのか、教えていただきたいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 生活支援臨時給付金についてのお尋ねでございます。

 まず、総額でございますけれども、これは補正予算案に計上する段階で確定をするわけでございますけれども、私どもとしては四兆円程度の予算を計上する方向で検討を進めているところでございます。

 それから、いつごろということでございますけれども、こちらにつきましては、御案内のとおり、今回は市町村の事務として処理をさせていただくことを考えてございます。

 今回の給付金、お困りになっていらっしゃる方々に一日でも早くということで、そういう趣旨でございますので、できるだけ早く支給できますように、早急に市町村との調整を進めまして、協力を得ながら、早い人には五月中にも届けることを目指して、全力で取り組んでいきたいと考えてございます。

 以上でございます。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 このことについては、私も、これもやはり連休前に給付するというのが最高のやり方だったと思っていますが、これは、野党の共同会派が提案したように、一人十万円を早急に、申請のあった人には全て支給をして、もし課税所得に該当する人がいれば後で所得税を年末にしっかり納めていただく、そういう仕組みであれば、しっかり公平に対応できて、しかもスピーディーに対応できる。これは野党共同会派の提案でありましたが、そうしたことが採用された方が一番よかったんじゃないかな、こう思っております。

 次に第五点でありますが、第五点、税制措置、国税、地方税及び社会保険料の無担保かつ延滞税なしで一年間納税猶予、欠損金の繰戻しによる法人税等の還付制度の適用等についてであります。

 収入に相当の減少があった事業者の国税、地方税及び社会保険料について無担保かつ延滞税なしで一年間納税を猶予する特例を設ける、また、資本金一億円超十億円以下の企業に生じた欠損金について、欠損金の繰戻しによる法人税等の還付制度の適用を可能とする、同時に、厳しい経営環境にある中小事業者等に対して、令和三年度課税の一年分に限り、償却資産及び事業用家屋にかかわる固定資産税及び都市計画税の負担を二分の一又はゼロとするなどとしております。

 これらの税制還付措置は総額約二十六兆円、こう見込んでおりますけれども、猶予であってなぜ免税でないのか、その辺の事情をお聞かせいただければと思います。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 三月十八日の当委員会におきまして、福田委員より、こういった苦しい中小企業等の事情に配慮して、納税猶予等にしっかり取り組むべしと御指摘を受けたところでございます。

 今般取りまとめました税制の案におきましては、こうした中小企業の状況も踏まえまして、一月であっても昨年の同時期と比べて二割以上の収入の減少が見られる事業者等に対しまして、無担保かつ延滞税なしで一年間納税を猶予する特例を設けることといたしたところでございます。

 それに加えまして、今御指摘がありましたように、法人税の繰戻し還付制度を中堅企業、資本金一億円から十億円の企業についても適用するという特例もまた講ずることといたしております。

 御指摘は、今回納税猶予を受けても来年の納税の時期になりますと税額を払わなければいけなくなるという御心配かと思いますけれども、今申し上げました繰戻し還付制度を併用いたしますことによって、所得税でありますとか法人税につきましては、ことしの納税時期には納税猶予を受けた上で、来年は、ことしが赤字になって税額が発生せず、また赤字になるということで、この赤字をことしの黒字に合算をいたしまして、払い過ぎている税金の還付を受けるということが可能になります。

 納税猶予制度とこの繰戻し還付制度を併用することによって、来年の納税額が大幅に減少したり、あるいは税額そのものが生じなくなったりという効果も期待できるところでございます。

 また、地方税におきましては、後ほど御答弁あると思いますが、固定資産税の減免を来年度決定分について講ずることといたしております。

 こうした措置によってもなお納税が難しいという方につきましては、この特例による延滞税なしの猶予期間が終了した後も、現行の納税猶予制度でありますとか、あるいは換価の猶予制度の適用を受けることは可能でございます。

 これによって、最長で六年間ないし七年間については納税を猶予し続けることが可能であるということでございます。

稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 固定資産税等の軽減についてでございますけれども、今般の緊急経済対策において、厳しい経営環境にある中小事業者等に対して、償却資産及び事業用家屋に係る固定資産税及び都市計画税の軽減措置を創設することとしております。

 具体的には、売上高が前年と比べ大幅に減少した場合に償却資産及び事業用家屋についての令和三年度分の固定資産税及び都市計画税をゼロ又は二分の一とする措置を講ずることとしているところでございます。

福田(昭)委員 まず、固定資産税の方から申し上げますけれども、これは令和三年度じゃなくて令和二年度をやらないとだめなんじゃないですか。

 先日ちょっと聞いたら、もう既に納税通知書が出ちゃったからという話ですけれども、しかし、困っているのは今年度、令和二年度の問題であって、令和三年度というのは、確かにそういう手続上の問題はあるかもしれませんが、私の地元などではまだ固定資産税の納税通知書は届いておりませんので、そういう意味ではまだ間に合うと思うので、これはやはり令和二年度分を対象にするべきだと思いますよ。

 それから、先ほどの財務省のお答えですけれども、資本金一億円超十億円以下の企業の欠損金についてしかこれは対象にならないわけですよね。資本金一億円以下については、一番厳しい中小企業があるわけですが、これについてはどうお考えなんですか。

住澤政府参考人 お答えいたします。

 御説明が不十分で申しわけございません。先ほど申し上げましたのは、資本金一億円から十億円までの中堅企業についても追加して今回特例を設けることとしたということでございまして、資本金一億円以下の中小企業でありますとか青色申告をされている個人事業者の方については、もともとこの繰戻し還付の制度が適用されてございますので、対象になるということでございます。

 法人の中で、この中堅企業まで含めますと九九%以上の方がこの繰戻し還付を適用することが可能でございます。

福田(昭)委員 そうすると、中小企業の方もそういう制度が既にあって、この繰戻し制度をちゃんと適用される、こういうことでよろしいですか。

住澤政府参考人 中小企業につきましては、もともとリーマン・ショックのときにこの繰戻し還付制度を復活しておりまして、現在も適用がございます。そういった点も含めて、丁寧に御説明をしてまいりたいと思います。

福田(昭)委員 これは先日も申し上げましたが、私が日光、鬼怒川のホテルの経営者たちと意見交換したときに、東日本大震災のときには東京電力の損害賠償金があったので何とか切り抜けることができた、しかし、今回、そういうものがなければ、なかなか、四月、五月、六月まで仕事がなかったらとてもじゃないがもたない、こういう切実な話を申し上げたと思いますが、ぜひそんなことも踏まえての対応をお願いしたいというふうに思っております。

 それでは、次に参ります。

 三番目の、次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復については、これについては一点、二点ありますけれども、まあ、ゴー・トゥー・キャンペーンはいいでしょう。二点目の地域経済の活性化、仮称新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金、農業及び水産業における労働力確保緊急支援事業等についてであります。

 この地方創生の臨時交付金は、総額幾らで、どのような基準で地方自治体へ配分する考えなのか、お伺いをしたいと思います。加えて、農業及び水産業における労働力確保緊急支援事業は、予算額幾らを見込んで、どのような形で労働力を確保して現場で活用してもらうように考えているのか、教えてください。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金につきましては、新型コロナウイルス感染拡大を防止するとともに、感染拡大の影響を受けている地域経済や住民生活を支援し地方創生を図るために、緊急経済対策の全ての事項についての対応として、地方公共団体が地域の実情に応じてきめ細やかに必要な事業を実施できるよう創設するものでございまして、予算額としては一兆円を計上させていただいております。

 交付方法につきましては、緊急経済対策に掲げられた四つの柱に対応する事業として、地方公共団体に実施計画を作成していただきまして、その計画の中の国庫補助事業の地方負担分、それと地方単独事業の所要経費の合計額に対しまして、地方公共団体ごとに設定された交付限度額を上限として交付金を交付させていただく、こういった方向で検討しております。

 また、今申し上げた交付限度額につきましては、緊急経済対策における本交付金の趣旨を踏まえまして、人口、新型コロナウイルスの感染状況、国庫補助事業の地方負担額等に基づいて算定することを想定しておりまして、いずれにいたしましても、具体的な交付方法など制度の詳細につきましては現在政府全体で検討しているところでございます。

出倉政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして、中国や東南アジア等からの外国人技能実習生の受入れ、これを予定していた農家や農業法人で人手不足による営農への影響が懸念されている、こういう状況にございます。

 このため、農作業の経験のある即戦力人材に加えまして、他産業からの人材も受け入れ、研修した上で農作業に従事していただけるよう、農業労働力確保緊急支援事業、これを補正予算に約四十六億円ということで盛り込んでいるところでございます。

 具体的には、地域のJAや農業経営体が人材を集めるための費用や、援農、就農する際に必要な交通費、宿泊費、保険料、研修費、それに人材の確保のために必要なかかり増しの労賃、また、農業大学校や農業高校等の研修機関に対し、研修用の機械、設備の導入、これを支援することとしております。

 これによりまして現場での人手不足を解消し、農業生産の維持を図ってまいりたい、こんなふうに考えてございます。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 漁業、水産加工業におきましても、農業と同様に、新たな技能実習生等の受入れの見通しが立たないということで、今後の労働力不足が懸念される状況にあるという状況でございます。

 このため、今般の経済対策におきましては、水産業労働力確保緊急支援事業といたしまして、人手不足となった漁業、水産加工業の経営体が地域の作業経験者などを雇用する場合に要しますかかり増しの賃金などを支援するということとしております。また、遠洋漁船におきまして外国人を現在雇用している場合に、この外国人船員を帰国させずに継続雇用するという場合に要するかかり増し経費についても支援をするということにしているところでございます。予算額としては三億円ということでございます。

 漁業者、水産加工業者が事業の継続が図られるように、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

福田(昭)委員 この地方創生臨時交付金については、全国の各都道府県が医療崩壊をさせないように、ちゃんと使えるように適正な配分をぜひしてほしいと思います。

 時間が来ましたので終わりにしますが、IMFの専務理事が先日、今回のコロナ危機は一九二九年に発生した世界大恐慌以来の、非常に、短期的には最悪の不景気に陥るとの見通しを示したり、日銀が全国九地域において全て景気判断を引き下げたということもありますので、ぜひ、やれることは何でもやるということで政府には取り組んでほしいと思います。

 以上で終わります。

土井委員長 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 立国社の馬淵でございます。質疑の機会をいただきました。

 まず、本法案の質疑に入る前に、地域公共交通の現状ということについて確認をさせていただきたいというふうに思います。

 私、地元は奈良でございますが、交通事業者からさまざまな声をいただいております。奈良は、多数の世界遺産、また豊かな自然を抱えて、本当に多くの観光客の方が来られたわけであります。もちろん、こういった中で、人口減少、高齢化によって地方のバス利用者は年々減少するということもありましたが、近年はインバウンドの観光客の増加によって辛うじて前年並みの乗客数というものを、輸送人員というものを維持してきたわけであります。

 ところが、今回のコロナウイルスの感染拡大、これによりまして大変な打撃を受けている。もう既に、これは二月の段階でありましたが、訪日外国人客数は前年同月比の五八・三%減ということで、百八万五千百人でありました。これは過去二番目に大きな減少幅でありました。この三月期は、これは恐らく十九日ごろではないかと思いますが、さらなる減少が確実であるというようなことから、大変な打撃を受けている中で、地域公共交通を担うバス事業者からも私のもとに軽油引取税の減免措置を望む声など次々と寄せられております。

 そこで、こうした状況の中で、国交省としては、地域のバス事業者支援については、事業継続に困っておられる方々ということで、その資する道路運送法等の柔軟な運用というものを用意をされているということでありました。お手元に資料をお配りをしておりますが、これが緊急経済対策の中でのバス関係の主な施策ということであります。

 ここにありますのは、「新型コロナウイルスの影響による経営状況の悪化を考慮して貸切バスの許可の更新の可否を審査」あるいは「乗合バスの運行計画の変更届出の柔軟な対応等」とあります。

 確認をしてみますと、高速バスや定期観光バス、これらの減便申請等は七日前ということの規則を三日前等と緩和する、あるいは、貸切りバスの許可の更新の可否の審査というのは五年ごとの更新でありますが、旅客減による赤字を不適格とみなさないといった緩和の措置をとる、さらに、乗り合いバスに関しましても同様でありまして、減便申請三十日前届出というものについて、これももう少し弾力的に短くするというようなお話を聞いております。

 しかし、大臣、これは私から見れば、緊急的な必要性の高い支援というのにはちょっと及ばないのではないか、旅客事業者に対してはやはり予算措置というものを含めた緊急経済対策というのが求められるのではないか、私はそのように思うわけであります。

 もちろん、担当官からお話を聞くと、いや、財務省と協議をしてと。これは、常に財務省からは厳しく査定を受ける事業官庁でありますから、財務省の声というのは大変厳しいものだというのはよく私も承知をしておりますが、検討すべきことではないのかということを私は改めて大臣に問いたいというふうに思います。

 旅客事業者に対して、こうした予算措置を含む経済対策を求めるべきではないのかということでありますが、いかがでしょうか、大臣。

赤羽国務大臣 今御指摘のように、バス事業は、貸切りバスにしましても乗り合いバスにしましても大変厳しい状況だということは、数値、手元にありますが、よろしければ。結構ですか。(馬淵委員「いいです」と呼ぶ)

 この間、貸切りバス事業者は特に中小・小規模事業者が多いものですから、こちらから全社に連絡をとって状況を聞いて、支援できることを徹底してプッシュ型で対応しようということで、実は、全社、四千三百二十四社あるんですが、その中で千七百四十五社から回答を受けて対応しているところでございます。

 今言われたように、現状は、緊急経済対策、この表にも示されておりますが、雇用調整金の拡大の措置ですとか、売上げが大幅に減少した事業者、これは恐らくほとんど対象になると思いますが、いわゆる最大二百万円までの持続化給付金、また、セーフティーネット保証等の各種の資金繰りの対策の活用、また、ここにも出ておりますが、税制の猶予ですとか減免とか、そうしたことをすると同時に、特にバス事業者からは、バス車両のリース料の支払いの負担が大変だということで、これは実は、経済産業省と連携して、自動車リースに係る業界団体に対して、支払いの猶予など柔軟な対応を行っていただけるよう、三月九日、そして二十五日と働きかけ、通達も出してお願いしているところでございます。

 このことは、一部の事業者において実際に支払い猶予を受けているという例も確認をしているところでございますが、いずれにしても、この状況がどのぐらい続くのか、早期に感染拡大防止をなし遂げるということが最大の使命だと思っておりますが、どのぐらい続くのかということはよく状況を見ながら、長く続くようでしたら第二弾、第三弾の支援策も必要だと思いますので、今後も現場の声に耳を傾けて、必要な措置を講じてまいりたいと思っています。

 加えて、一番下に、反転攻勢策として、先ほど出ていますが、ゴー・トゥー・キャンペーン、このことは相当大きな規模を考えておりますので、そのときには、貸切りバスの事業者を含めて、バス事業者の皆さんに裨益をしていただけるような仕組みをしっかりと考えていきたいと思っております。

馬淵委員 雇用調整助成金や、あるいは無担保無利子の貸付け、また軽油引取税減免措置、これは、でも、残念ながら国交省ではなく他省の所管ということになります。経産省であったり、あるいは総務省であったりというようなことになるわけであります。

 また、ゴー・トゥー・キャンペーンのところでも、観光施設や観光事業者に対してのさまざまな施策ということでありますが、やはり直入れですよね。何といっても直入れの助成ということについては、これは国交省としても、こういう未曽有の危機ですよ、かつてない危機なわけでありますから、なかなかに直入れというのは難しいということを財務省は常に言ってくるんですが、所管する立場として、勇気を持って、私は、予算措置を含む助成ということについて踏み込むべきだと思いますよ。検討すべきだと思います。

 もちろん大変な厚い壁があるのは承知しておりますが、ぜひその点は緊急の補助ということをしっかりと御検討いただきたいということを、これはもう答弁は結構ですから、私の方から申し添えておきたいというふうに思います。

 それでは、この法案に関しましての質疑をさせていただきます。

 まず、地域公共交通計画についてであります。

 今回のこの法案で、バス事業者等々が複数の自治体にまたがって運行する路線バス、これを、今回、法改正後では、自治体に作成の努力義務を課して、いわゆるマスタープラン、地域公共交通計画というものをつくっていただくような形になるということであります。

 地元のお話をしますと、インバウンドというのは、回遊型のいわゆるルーティングというような形で移動される観光客が多数いらっしゃいますので、こういった方々は、例えば奈良県南部の寺社仏閣、それに、今度、かてて加えて和歌山の熊野古道等々、縦断といった広い範囲の観光で、複数の自治体にまたがることになります。また、特性としては、県南部などを考えますと、学校や病院も、これも県を超えて、あるいは自治体を超えてということが多数出てまいります。その意味で、自治体を超えた地域の交通計画の策定というのは非常に重要な観点であると私も承知をしているところであります。

 しかしながら、今までつくられてきたいわゆる交通網形成計画、この交通網形成計画に関しましては、これは単独で計画を立てるのがほとんどであるというのが実態であります。昨年末、令和元年の十二月末時点で、市町村単独の地域公共交通網形成計画策定、これは四百八十四件、そして複数市町村で策定された計画はわずか二十六件にとどまっています。今後、これを新たに地域公共交通計画の策定へと切りかえる中で、単独の自治体だけで計画をつくっているのでは、今までの流れを引き継ぐという中で、自治体ごとで閉じた状況の中で混乱を招きかねない、あるいは非効率な計画が生まれてくるということが懸念されます。

 そこで大臣にお尋ねなんですが、今回、従来の地域公共交通網形成計画からこのマスタープラン、地域公共交通計画に変わることによって、複数の自治体をまたいで運行している長距離路線のバスなど、いわゆる幹線の補助対象の要件というのはどのように変わっていくのか、さらに、所管官庁として、地方の出先機関、運輸局、この役割はどういったものになるのか、また、交通網形成計画から交通計画に変わっていく間の経過措置、これは一体どの程度のものをお考えになっておられるのかということを、あわせて御答弁いただけますでしょうか。

赤羽国務大臣 近年、地域における公共交通の維持というのが大変難しくなってきたというのは、これはもう衆目の一致しているところでございます。ですから、これまでも、地域公共交通の維持については、地元の市町村を始め、しっかりと責任を持っていただきたいという思いで法改正もし、また今回も法改正をするわけでございますが、今、馬淵委員御指摘のように、これまでの地域公共交通網形成計画は路線の再編ですとか路線の新規整備といったことに限られておりましたので、加えて、今言われたような広域的な視点も取り入れて、今回の法改正では、隣接する市町村が都道府県とともに計画を策定できることとしておるところでございます。

 また、路線の再編といったようなことだけではなくて、ダイヤですとか運賃などのサービスの改善ですとか、また、過疎地域によってはなかなか輸送資源が限られているので、これまで活用されてこなかったスクールバスですとかゴルフ場のバスですとかさまざまなことを活用して、総動員をして、基本的には市町村が地域公共交通計画の名称でそれをつくるというのを努力義務にして地域交通に関するマスタープランの位置づけをはっきりさせる、そこに必要であれば複数にまたがるところは県もしっかりと関与していくということでございます。

 予算案につきましては、今回この計画に位置づけられたものに補助を出すということにしますが、今言われたような、経過措置が大事だという御指摘、これももっともでございますので、今これも財政当局と調整中でありますが、おおよそ三年程度の経過期間を設ける方向で検討しているところでございます。

 また、各地方の運輸局は、これからは市町村に対して、市町村は専門人材ですとかなかなか組織体制が十分でないということもこれは現実でございますので、市町村職員の皆様に対する研修ですとか、地方運輸局もさまざまなセミナーを開催しておりますので、そこで各地の優良事例を紹介して横展開していただくなど、予算面とノウハウ面もしっかりと責任を持ってフォローしていきたい、こう考えておるところでございます。

馬淵委員 まず、経過措置に関してはおおむね三年ぐらいということをお考えだということであります。

 市町村が、これは今まで単独がほとんどでしたが、なかなか、今大臣、先ほど中村さんの御答弁にもされていました、市町村はこういったノウハウをお持ちの職員が少ないんですね。ですから、一、二年程度かかってしまう。こういう状況の中で、今回は、マスタープラン、これは複数にまたがっていきますから、更に時間がかかるかもしれない。でも、経過措置が長ければいいというわけではありません。したがって、今おっしゃっていただいたおおむね三年程度ということで一刻も早くマスタープランへと切りかえていただく、こうした支援が必要だと思います。

 その上で、先ほど、出先機関、地方運輸局の役割ということでお話があったのは研修であったりセミナー、ガイドラインの提示ということでありますが、これはもう一歩踏み込んだ対応が必要だと私は思います。

 特に市町村の問題というのは、なぜ前回の形成計画で閉じられた単独の計画になってしまったかというと、自治体は他の自治体との連携というのはそれほど強くはできないんですね。どうしても、首長がトップですから、その中で閉じた活動になってしまいます。しかしながら、国の出先機関というのは省を代表するわけです、国を代表しますから、地方の運輸局がそこに入って、どことどこの地域の連携を更に強化させるとか、余りトップダウンはよろしくないとは思いますが、私は役割は相当あると思います。

 単にセミナーの開催やあるいは研修程度ではなくて、やはりここは大臣のリーダーシップで、運輸局の位置づけというものを、より一歩踏み込んだ形で取り組むべきではないかということを私は感じるわけでありますが、大臣、その点に対して御所見はいかがですか。

赤羽国務大臣 おっしゃるとおり、現実は、今、地方自治体、また市町村は特に専門的な人材がいない。やったことのないところで法改正だけをして、あとは現場で任せるといっても、絵に描いた餅に終わることはもう目に見えておりますので、地域地域、過疎地域も含めての地方公共交通機関をどうするかというのは、地元の市町村の問題だけではなくて国を挙げての問題と捉えて、各地方運輸局、もう一度、この法改正を機に姿勢を正して、積極的にこちらから市町村にかかわるように指導していきたい、こう思っております。

馬淵委員 ぜひその点はお願いしたいと思います。

 東日本大震災のときも、各市町村がそれこそ壊滅的な状況からいかに都市計画を立てて復興を行うかというときに、当時は本省から、さらには出先機関と地方の整備局ですね、直接に入り込んでいってというようなことまで行ったわけです。

 今回も、地域公共交通を極めて重要だという位置づけに大臣がお考えでいらっしゃるということのあらわれの法案だと私は思っておりますので、そこは運輸局にさらなる一歩を踏み出させるように、ぜひ御指導、リーダーシップを発揮していただきたいということをお願いしておきたいというふうに思います。

 次に、今回、この法案の中にあります共同経営についてお尋ねをしたいというふうに思います。

 今回、バス事業者の経営について大変大きな変化が生じているのは、この共同経営に関する独禁法の適用除外の部分であります。これにつきましては、もう皆さん御承知だと思いますが、複数の乗り合いバス事業者が、等間隔運行や定額乗り放題、あるいは乗り継ぎ運賃の割引などといった共同経営の締結によって、よりシームレスな、非常に効率的な運営が可能になるということであります。

 そこで、この共同経営がどういうプロセスになっているかということであります。

 お手元に資料をお配りさせていただきましたが、共同経営、カルテルの認可ということでありますが、ここに、今回は、カルテルの適用除外とすることによって、共同経営計画の提出、法定協議会への意見聴取、国土交通大臣の認可基準、公取委との協議、このようにプロセスが示されています。

 このプロセス、法案が成立した後に、具体的にどのような経過を経て、そして、どのようなタイムスケジュールでこの共同経営が可能となるのか、これは内閣府の事務方の方にお願いしておりますが、国交省でもいいですよ、これにつきまして、端的に事務方の方から御答弁をお願いいたします。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 この共同経営に係る特例の具体的なプロセスにつきましては、まず、共同経営に係る認可の申請を行おうとする、これは複数の乗り合いバス事業者になりますが、場合によっては鉄道等も含む場合がございますが、これが、共同経営により行おうとする具体的なサービスの内容等を定めた共同経営計画を作成するということ。そして次に、その計画の内容につきまして、地域公共交通活性化再生法の法定協議会等へ意見聴取を行っていただく。その上で、国土交通大臣への認可の申請を行っていただくことにしております。その後、認可の申請を受けました国土交通大臣におきましては、公正取引委員会に協議を行うとともに、利用者に対して不当な不利益を生ずるおそれがないこと等の認可基準への適合性を判断した上で認可を行うこととしております。

 この認可手続に要する期間につきましては、乗り合いバス事業者等による認可申請があった後、なるべく早く手続を行い、例えば、一、二カ月などの期間で認可がなされるように、今後の制度設計を検討してまいりたいと考えてございます。

馬淵委員 ありがとうございます。期間を御明示いただきました。一、二カ月、なるべく早くということですね。

 私、この期間を、これも昨日役所の方に、どれぐらいのものになるのかということを何度もお尋ねさせていただいたわけです。と申しますのは、事前の調整、協議というのが当然かかります。したがって、申請から認可までが、またこれがいつになるかわからぬみたいな、こんなことでは話にならぬのですよ。しっかりとそこは、一、二カ月と今御答弁いただきましたので、なるべく早くということでありますから、事前協議、事前調整は、それは多少地域の事情によって異なりますけれども、申請から認可まで、一、二カ月ということであります、役所としては、できるだけ早くにこうしたプロセスを完遂できるように進めていただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 その上で、こうした形で共同経営というものが行われて、合理的な路線の整備や利用者目線に立ったダイヤの調整が可能になるということになるわけでありますが、一方、こうした地域における事業者と、あるいは自治体も含めて、共同経営の形をつくっていくと、ほぼほぼ全ての事業者、ほとんどの事業者がそれに合意をする。言いかえれば、競争がなくなるんですね。その場合には、収益の見込める路線にリソースを集中配分するというのは当然経営としては考えられるわけであります。

 そうなりますと、赤字の不採算路線、こういったものが廃止に追い込まれてしまう可能性がある。本来の考えでいえば、地域の足の確保ということでありますから、このユニバーサルサービスをしっかりと守るという部分で、そのようなことがないようにということが極めて重要だと思います。

 そこで、これは大臣に確認をさせていただきたいんですが、この共同経営計画の認可又はその更新、あるいは延長に当たって、バス事業者の共同経営計画を審査する際に、安易な赤字路線の切捨てを防ぐということで、赤字路線を維持するということが認可の際の大きな考慮要素の一つとなると考えてよろしいんでしょうか。大臣、御答弁をお願いいたします。

赤羽国務大臣 今回、独占禁止法で特例を認めるということになるのは、その背景として、地方都市などで厳しい経営環境に置かれている乗り合いバス事業について、一定の場合に制限を特例的に緩和する、大変だから特例的にやることを認められたということでありますので、まず、理念的に申し上げれば、こうした赤字路線が切られるということはあってはならないことだと思います。

 加えて、法的にも、この適用除外を受けるためには、共同経営計画の基準として、区域内に一路線以上の赤字路線が存在していること、もう一つは、当該赤字路線も含めた区域全体のサービスの維持が図られることということが趣旨として定められております。

 加えて、今お話がありましたが、許可申請前の地域公共交通活性化再生法の法定協議会への意見聴取、また、認可後、これは国土交通大臣による是正命令ができるということになっていますので、これらが担保する法的な仕組みとなっているところでございます。

 国交省としましては、独禁法の特例法案と今回御審議いただいています地域交通活性化法の制度を一体的に運用して、地方都市などにおけるバスサービスの利便性の向上、また運行効率化を促進してしっかり公共交通機関の路線を維持していきたい、こう考えております。

馬淵委員 ありがとうございます。大臣から明確に、安易な赤字路線の切捨てはないんだ、まさにこの法案の立法趣旨そのものがこうした地域の公共交通の足を守るということだということで御答弁をいただきました。ぜひここはしっかりとその旨を守っていただきたいというふうに思います。

 そして、こうした法律が、一方で、これは資料の2にありますように、十年以内に本法を廃止するものとする旨が附則で書かれております。

 この附則を読む限りでありますと、せっかく地域のバス事業者間で協議を重ねてつくった共同経営が認可されても、十年後に解散などということになれば、これは利用へのインセンティブが働きません。

 そこで、これは事務方の方にお答えいただきたいんですが、この附則事項の解釈でありますが、本法は、十年以内に廃止が決まっているわけではなくて、地域交通の状況次第では、新たな立法措置によっての延長を含めて、共同経営が十年より後も維持できる可能性を残しているという理解でよろしいでしょうか。お願いいたします。

中原政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるこの独占禁止法の特例法案と申しますのは、独占禁止法という公正な競争を担保する重要な法律に例外を設けるというものでありますことから、他の立法例を踏まえまして、附則に、十年以内に本法を廃止するものとする旨を規定することとしております。

 この法案は、十年経過後に自動的に廃止となるものではなく、別途、本法案を廃止するための法律を制定する必要があるというふうに思っております。

 このため、本法案を廃止する際には、十年後の基盤的サービスの維持の状況等を踏まえ、国会において再度御審議をいただくということを想定してございます。

馬淵委員 ありがとうございます。十年で終わるものではないんだということ、一応時限ではつくっていますが、その趣旨をしっかりと鑑みながら、状況を見守るということでの御答弁をいただけたと思います。ぜひ、こうした特例で地域の足が守れるように進めていただければというふうに思います。

 もう余り時間がないので、一点、これは私の方から、質問ではなく、申し上げておきたいと思いますが、こうした中で、共同経営の認可が進みますと、アクセス情報の開示、明示化というのも重視されるべきだと思っております。

 いわゆるダイヤの変更やアクセス、乗り継ぎ含めた情報の開示等々なんですが、こういうものに対しては、これは役所の方からも昨日私の方に説明がありましたが、どのような形でそれを周知徹底を行うのかということについては、優良事例を各自治体にはしっかりと、あるいは主体者に伝えていきたいというお話もありましたので、これに関しては、先ほどの運輸局の、出先機関の積極的な関与という部分で、これもぜひお願いをしておきたいというふうに思います。

 それでは、自家用有償旅客運送の活用についてお尋ねをいたします。

 これは、今回、地域住民のみならず観光客をパラレルで扱えるようになるということであります。それに対しては、ライドシェア導入の一つの先駆けとなるのではないかという懸念の声が寄せられていますが、先ほども、また本会議で大臣も御答弁をされています。自家用有償旅客運送の実施の円滑化がライドシェアの導入につながるとは考えておりませんと三月二十四日の本会議でも御答弁をいただいておりますし、先ほどもそうでありました。

 その上で、不信感を払拭していくという意味で、少し中身のことを確認をしておきたいと思います。

 今回の自家用有償旅客運送業の改正では、既存のバス、タクシー事業者がそのノウハウを活用して運行管理や車両整備管理に協力するということでありますが、具体的には、この運行管理、車両整備管理の協力というのはどういうことでしょうか。これは事務方の方で端的にお答えください。

一見政府参考人 お答え申し上げます。

 運行管理と申しますのは、運転者の健康状態、とりわけ乗務しようとする運転者に対して、例えば、発熱の状況があるかどうか、あるいは、飲酒その他の理由によって安全な運転ができない、こういうおそれがあるかどうかを点呼とかあるいは体温測定などで確認をすること、また、乗務記録の作成や保存をすることでございます。

 整備の管理につきましては、運行の開始前点検や一定の期間ごとに行います定期点検などを受託すること、これを想定しているところでございます。

馬淵委員 ありがとうございます。いわゆる個人のドライバーの皆さん方がなかなかできにくいことをやるということだということでお答えをいただけたわけであります。

 その上で、では、この協力事業者がどれだけの利益やあるいは責任というものを負うのかということを確認させていただきたいと思います。

 まず、バス、タクシー事業者が協力することになった場合には、住民ドライバーと事業実施主体との利益の配分、これはどれぐらいになるんでしょうか。

一見政府参考人 お答え申し上げます。

 実施主体は市町村やNPOでございまして、これが利用者から収入を得ます。また、場合によると、市町村が持っているお金、これを加算しまして委託を受ける事業者に対してお支払いする、例えばこういうような形になろうかと思っております。

馬淵委員 実績値で結構ですから、数字だけお願いします。取り分は、利益の分配というのはどれぐらいでしょうか、ドライバーと実施主体者では。

一見政府参考人 一概に決まったものはございません、個々の運送形態がございますので。

 例えば、一例で申し上げますと、兵庫県の養父市で行われております自家用有償旅客運送、これは旅客から収受しております対価のうち七割を運転者の人件費として設定をしておるところでございます。

馬淵委員 ドライバーが七割、そして実施主体者が三割程度、これはそういう実績値であるということであります。

 こうした中で、事故の責任をどう請け負うかということもあります。

 事故の責任に関しては、当然ながらその範囲内でということで、事故の様態によってドライバーがということになったり、あるいは、基本的には実施主体者が負うということだというふうに理解をしております。

 そこで、最後に大臣にお尋ねをしたいと思います。

 多額の利益が決して得られるものではなくて、また事故の責任もそれなりに背負うということである中で、今回のこうした事業者、ニーズがどれぐらいあるのかということ、また、こうした状況で既存の事業者の協力を仰ぐということの意義について、大臣、最後の質問となりますが、御答弁をいただければというふうに思います。

赤羽国務大臣 各地域で、さまざま、地域の公共交通の維持が困難なところがたくさんあります。いろいろなところで地域の人たちが集まってコミュニティーバスの運営とかさまざまなことをしているけれども、なかなかこれが継続しない、持続がしない。

 高齢化が進むというようなことがある中で、今回、事業者協力型自家用有償旅客運送を入れるということは、こうした地域でも交通事業者のノウハウを活用して移動手段を確保できる、また、市町村等が運行管理等を委託することで、これまで以上により安全、安心な運行の実施ですとか市町村等の業務負担の軽減が図られる、また事業者にとっても委託費が確保されるということで、それぞれこの事業に参加する人たちについてはウイン・ウインになる制度だと期待しておりますし、そうしたことで継続可能な制度として育成していきたい、こう考えておるところでございます。(馬淵委員「ニーズは。さっきの答弁漏れなんですけれども」と呼ぶ)

一見政府参考人 現在、地域で交通事業を担っておりますバス事業者、タクシー事業者はかなり経営が厳しい状況でございまして、今、実際に自家用有償旅客運送を実施をしております市町村団体は四百五十二団体ございます。これに対して、多くのバス事業者あるいはタクシー事業者が、自分のところで委託を受けられないかという話で問合せが来ているというふうに承知をしているところでございます。

馬淵委員 ありがとうございます。

 ニーズもあるということで、今回のライドシェアに対する不安等々を払拭することも極めて重要だと思いますし、今まである意味対立していた構図と言われていたバス、タクシー事業者と自家用有償旅客運送事業者、これを両立させていこうという試みは大変評価すべきものだと思いますので、ぜひしっかりとその点は説明責任を果たしながら進めていただきたいということを最後に申し上げて、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

土井委員長 次に、道下大樹君。

道下委員 共同会派、立国社の道下大樹でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私からも、地域公共交通活性化及び再生法の改正案について伺いたいと思います。

 今、先輩、同僚議員の皆さんからもお話がありましたので、一部割愛等させていただくところがありますことをお許しいただきたいと思います。

 まず、地域公共交通計画の作成の努力義務化について伺いたいと思います。

 地方公共団体は、地域公共交通計画、いわゆるマスタープランの作成に当たって、地域のまちづくりと公共交通の確立を一体的に推進できるように、担当部局の設置及び公共交通専任担当者の配置をすることが私は望ましいというふうに考えております。

 なかなか、こういうことについてノウハウを持っている職員の方がいらっしゃらない、そういった方がトップになっていないというところが多くありますので、それらの設置並びに育成のため政府としてどのような支援を行っているのか、伺いたいと思います。

 先ほども、運輸局等からノウハウの研修、育成というのはありましたけれども、私は、それだけじゃなくて、職員をしっかりと確保するためには予算面での支援も必要だと思います。その点について伺いたいと思います。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 地方公共団体が中心となって地域の移動手段を確保する取組を効果的に進めていくためには、計画づくりの段階、そして計画に盛り込んだ事業の実施の段階、それぞれにつきまして、国として財政面及びノウハウ面でしっかりバックアップする必要があると認識しております。

 特に、市町村の約八割では公共交通の専任担当者が不在であるとの調査結果もございまして、計画づくりを担う市町村における人材や組織体制の不足、これを国の支援でどのように補っていくかが重要な課題になっています。

 このため、国土交通省におきましては、国費補助で、まず、計画策定そのもの、計画づくり、これに対する補助を行いますし、また、その後の事業実施につきましても、財政面で支援してございますが、加えまして、今委員御指摘の国土交通大学校における市町村職員等に対する研修あるいはガイドラインの作成等々ございます。

 また、委員御指摘の、担当部局の設置、そして公共交通専任担当者の配置につきましては、運輸局主催のセミナーにおきまして、他の市町村ではどのような組織を置いてどのような担当者を置いて成功しているか、こういった例も具体的に御紹介するような優良事例の紹介、この取組を強化していくこととしておりまして、これらを通じまして、ノウハウ面また財政面の支援も含めまして、体制強化の面での支援の充実を図っていきたいというふうに考えてございます。

道下委員 ありがとうございます。

 これはマスタープランの作成も重要なんですが、その後どのように実行していくかというときには、やはり、人とお金が必要なんです。そういった面を、もう十分御理解いただいていると思いますが、その点を含めてぜひ御支援の継続をよろしくお願いいたします。

 次に、都道府県の関与についてでありますが、先ほど御質問で答弁いただきました、現行の地域公共交通網形成計画が、馬淵議員が説明されたように、市町村単独で作成されたものが約九割ということでございまして、やはり、マスタープランの作成に当たっては、都道府県も含め、地方公共団体が中心となって、面的な公共交通ネットワークを形成していくことが重要であると思います。

 今回の改正案の第五条の八、九では、二つ以上の市町村が都道府県にこの策定を求めることができるということで、都道府県も作成をするということで書かれてありますので、これをしっかりと国がバックアップをしていただいて、市町村と都道府県とのつながり、連携を強めていただくように、国の関与を積極的に進めていただきたいと思います。

 次に、協議会に公共交通従事者を加えることについてであります。

 改正案第六条二に定める、地域公共交通計画、いわゆるマスタープランの作成及び実施に関し必要な協議を行うための協議会、これを設置するということになっていますが、公共交通事業者と同様に、地域の公共交通についてより把握している、その地域に関係している公共交通従事者の代表を加えることはできるのでしょうか、見解を伺いたいと思います。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の地域公共交通活性化再生法第六条第二項第三号、この規定によりまして、協議会には、公共交通事業者や地域住民などに加えまして、そのほかの当該地方公共団体が必要と認める者も参加することが可能となっております。

 また、この法律に基づく基本方針におきましては、地域公共交通網形成計画、この計画の策定に当たりまして、多様な主体が参画し、活発な議論を行い、それぞれが相互に連携協力をしつつ、主体的に地域公共交通の活性化及び再生に取り組むことが重要である旨を定めておりまして、改正後におきましてもこの方針を維持することとしております。

 したがいまして、公共交通の従事者の方々につきまして、サービスの現場を熟知している等の理由から地方公共団体において必要と認める場合には協議会に参加できるというふうに考えてございます。

道下委員 公共団体が必要と認める者ということでありますので、公共交通従事者、やはり、労働組合の組織の代表者とかそういったことが、公共団体が必要と認めれば協議会に入れるということで理解をさせていただきました。

 次に、いわゆるクリームスキミング防止についてであります。

 一般乗合旅客自動車運送事業の運行計画の届出等の処理要領、ちょっと長いんですけれども、これにおいては、オフピーク時間帯の利用者利便の低下にのみ着目することにより、クリームスキミング、いわゆるいいとこ取りの要件として、通勤通学時間帯など需要の多いピーク時間帯のみの参入を定義しております。同処理要領が定められた二〇〇一年は運輸行政における需給調整規制の廃止が政策課題とされていましたけれども、二〇〇七年の地域公共交通活性化再生法及び二〇一三年の交通政策基本法の成立を契機として、日本の国土交通行政は、少子高齢化の進展という人口動態の変容を踏まえながら、地域の多様な主体の連携、協働によって地域公共交通を面的ネットワークとして維持していく方向に大きくかじを切ったはずであります。

 しかしながら、皆様も御存じだと思いますけれども、岡山でのクリームスキミングによる既存バス事業者が赤字路線を廃止すると発表するということで、大きな混乱が生じたわけであります。

 したがって、同処理要領におけるクリームスキミングの要件は現在の国土交通行政の政策課題とはそごを来しておりまして、運賃などを含む公平な競争を担保するための見直しが必要と考えますが、今回の法改正ではどのように検討されたのか、伺いたいと思います。

一見政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、岡山の事例につきましては、当時の法律に基づきまして、クリームスキミングを防止するということが実は十分にできておりませんでした。それは、通達に基づいて対応しますクリームスキミングが当時は運行回数のみに着目していたというところがポイントでございます。

 今回の法改正におきまして、乗り合いバスの新規参入などの申請がありました場合には、関係する地方公共団体へ新規参入者の申請情報を通知する制度を創設しております。これによりまして、地方公共団体が入ってくるんだなということを把握することが可能になります。

 さらに、この通知を受けました地方公共団体は、協議会を開催しまして、新規に入る事業者あるいは従来の事業者、これから意見を聞きまして、実態に基づいて議論を行うこととなります。

 そういった中で、新規事業者がいわゆるクリームスキミング、これは、運行回数だけではなくて、既存事業者を追い出そうとするような運賃についても入ってまいりますけれども、そういうような状況であるということで、公衆の利便が著しく阻害されると考える場合には、国に対しまして、新規参入に対する意見を申し出るということができることになっております。国は、それを受けまして適切に対応してまいる予定でございます。

道下委員 地方公共団体、協議会から国の方に報告するということでありますけれども、これはまあ一歩前進かなというふうに思います。今までは運輸支局の、ここまででとまっていたということでありますので、国土交通大臣まで届くということだと私は思いますので、これは一歩前進だと思いますが、しかしながら、これで前例のようなクリームスキミングの混乱が絶対発生しないと言えるかどうかはちょっとまだ心配なところもありますので、その点、十分、地方公共団体、事業者間の利害調整含めて、しっかりと見ていただきたいというふうに思っております。

 次に、独占禁止法特例法案附則、十年以内の廃止についてであります。

 先ほど馬淵委員が質問され、答弁されました。私もここが心配でございました。附則第二条で、本法は十年以内に廃止するということにしております。私は、これはやはり恒久化すべきだと思っておりました。答弁では、これは十年後自動的に廃止になるものではないということで、いろいろな状況を鑑みて、そして延長も十分あり得るということで、それは立法の役割なのかなというふうに思いますので、こうした点、我々としても、今後十年内、十年の間にどのようにこれらが活用されていくのかということを見守りながら進めていきたいというふうに思っております。

 次に、ライドシェアの合法化の阻止についてであります。先ほど来何名かの委員さんが質問されましたけれども、私からも改めてこれは大臣に質問をさせていただきたいと思います。

 今国会に提出されております道路運送法第七十八条二の改正によりまして、自家用有償旅客運送の輸送対象として、観光客など来訪者も対象とするということになっております。これによりまして、自家用有償運営協議会における協議や地元住民の登録というものが必要なくなるというふうに思います。これでは、限定なしに誰でも運送できるということを意味するのではないでしょうか。この制度が将来的にいわゆるライドシェアの合法化につながるのではないかと多くの方々が大変危惧しております。

 ライドシェアの合法化につながらないという説明を大臣にお願いしたいと思います。

赤羽国務大臣 本法案におきまして、今御指摘のような、観光客を含む来訪者のみであっても今回の輸送対象とするという改正をするわけでありますが、この事業の登録の申請に当たりましては、協議会等において協議を行うことが必要だという点は現行法と法改正後も全く変更ございません。

 また、観光客を運送する際にも、例えばオンディマンド型の輸送であれば、当該観光客が事前に窓口に連絡する必要があるなど、無限定な運送が行われるものではないと承知をしておるところでございます。

 そもそもでございますが、この自家用有償旅客運送は、道路運送法による登録を受け、市町村等が運行管理等の措置や事故の際の賠償等を行う体制を整備して、利用者の皆さんの安全、安心を確保するものであって、いわゆるライドシェアとは全く異なるものと認識をしております。

 重ねての発言になりますが、ライドシェアは、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態を前提としており、私どもは、国民の安全、安心が担保される制度ではないと考えておりますので、認めるわけにいかないという考えは従来から全く変わっておりません。

道下委員 力強い御答弁、ありがとうございます。

 ただ、一方で、今いろいろな省庁で実証実験が進んでおります。タクシーのないところだとかそういったところでいわゆるこういうサービスを行っていて、三年間で実証実験をやって、そして一年ごとに報告を受けるということが今行われている。

 もともとタクシー事業者がないところ、若しくは人手不足で営業時間が限られているところ、そういったところにこういう実証実験を通じてライドシェアが入り込む、そしてタクシーのないところからタクシーのある地域に侵食されていくだとかが、私は非常に懸念が十分残るわけでありますので、こういった点も含めて、中央省庁間で連携して、ライドシェア、ぜひ国交省が先頭に立って合法化阻止に向けて取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 次に、財源確保について伺います。

 本法に定める地域公共交通計画に定められた目標を達成するために行う事業、新地域旅客運送事業及び新モビリティーサービス事業の推進を図るため、その資金の財源の確保に努めるものとするというふうに定められておりますけれども、どのように努めていくのでしょうか。努力義務ではなくて、私は十分な財源を確保する必要があると考えるわけでありますけれども、見解を伺います。

 あわせて、地方公共団体の資金の確保に向けた支援をどのように行っていくのか、大臣にお伺いしたいと思います。

赤羽国務大臣 今回の法改正を、先ほども御答弁させていただきましたが、絵に描いた餅で終わらせないには、やはり財政面の支援とあとノウハウ面の支援というのは両方とも大変重要だというふうに考えております。

 先ほど局長から答弁させていただきましたが、国交省におきましては、まず、地方公共団体による計画の策定に係る費用、また、過疎地域における幹線バス交通、地域内のコミュニティーバス等の運送サービスで生ずる赤字の補填について、それぞれ国費による補助を行う、あわせて、地方公共団体の負担に対しましては、特別交付税の措置が講じられているということでございます。

 いきなり大きな予算をとるというのはなかなか難しいと思いますが、私はこの法改正で動くことって相当大がかりなことだと思いますので、社会的な大変大きな問題だというのは認識されつつあると思いますから、こうしたことをしっかり進めながら、国交省としても予算の獲得にしっかりと全力を尽くしていかなければいけない。

 一つ一つの事業も、コミュニティーバスなんかは採算性を度外視してやってきているというところも現実にあると思いますので、そうしたこともしっかりとかかわって、それが持続可能な、サステーナブルなものの制度にしていくためにしっかりと支援をしていきたい、こう考えております。

道下委員 御答弁ありがとうございます。ぜひ財源確保に御尽力いただきたいと思います。

 そのうちの一つに、これは御指摘なんですけれども、地域旅客運送サービス継続事業において、新たに公募する六つの実施方針に定めるメニューというのがあるんですが、この中に、タクシー事業者が選ばれた場合に、残念ながら今のところ財政支援制度がないんですね。

 この点、事務方の皆さんとちょっとお話ししたんですけれども、なかなか難しいということでありますので、ちょっとこの点についてもぜひお願いしたいということで、タクシー事業者が公募で選定された場合にも財政支援が受けられるように制度をぜひ考えていただきたい。今あるんだったらいいんですけれども、今あるんでしょうか。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 この地域旅客運送サービス継続事業は、路線バスの維持が困難と見込まれるに至った段階で、市町村等が、関係者とサービスの継続のあり方を協議し、持続可能性を重視しながら、次の輸送サービスを確保することを目的とした制度でございます。

 こうした地域の取組につきましては、国としても、計画づくりと事業実施のそれぞれにつきまして、財政面で支援するとともに、ノウハウ面でも支援の充実を図ってまいります。

 御指摘のタクシーによる輸送の確保についてでございますが、タクシーをディマンド交通の車両として活用する場合には国費補助の対象となり得ますが、乗用タクシーとしての利用に対する補助につきましては、効率的な運行と利用者ニーズへの的確な対応をどう両立させるかという観点から慎重な検討が必要と考えておりますが、今後、市町村等からの具体的な提案も踏まえながら、引き続き検討してまいりたいというふうに考えてございます。

道下委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 この法案に関して最後の質問になりますが、人材確保について伺いたいと思います。

 持続可能な地域公共交通の提供の前提となるのは、自動車運転者の人材確保であります。その人材確保に向けて、バス運転手なんですけれども、年間所得が全産業平均よりも約二割低いという実態なんですね。やはり、こういう実態に鑑みまして、現在のバス運転手の人件費の算出方法、これを見直す必要があるんじゃないかなというふうに思いますが、ぜひ、国交省として、バス運転手やハンドルを握る方々の賃金向上に向けて必要な措置を講じるべきというふうに考えますが、答弁をよろしくお願いします。

一見政府参考人 バス運転者におけます有効求人倍率は、平成三十年で二・二三ということでございまして、全職業の平均一・四五と比べまして一・五倍以上ということになってございます。

 人手不足がバス事業においても非常に深刻な状況にございますので、我々、バス運転者を確保するため、労働生産性を向上してもらう、あるいは多様な人材の確保、育成を図る取組について対応しているところでございます。

 具体的には、乗り合いバス、いわゆる路線バスの再編や貨客混載の促進などの事業者の取組を推進している、あるいは二種免許の取得促進などを関係省庁と連携して取り組んでいるところでございます。

 御指摘をいただきました運賃算定に当たりまして、現状は、人件費、実績のみで将来の賃上げは含んでいませんが、今後そうしたことが可能かどうか検討してまいりたいと考えております。

道下委員 今、人手不足で本当に会社の方も大変ですし、やはり、働いている方々も、賃金がなかなか上がらないということで、どうしようかなと思ったり、新しい人も本当に集まってこないんですよね、バス運転手さんとかを目指す方が少ないわけでありますので、そうした将来的に賃金が上がっていくという明るい見通しを国交省として示していただきたいというふうに思っております。

 次に、新型コロナウイルス関連で伺いたいと思います。

 まず、高速道路の料金についてでございます。

 経済対策として、高速道路の軽減だとか無料化という要望がいろいろとありまして、検討されていると思います。高速道路の軽減、無料化について、多くの方々は、やはり、無料になると使いやすいだとか、あちこち足を延ばして行くことができるというメリットもあると思うんですけれども、私は、その一方で、貸切りバスだとかトラック輸送だとかそういったときには、高速道路が渋滞なんかしたりするわけで、メリット、デメリットがあると思うんですね。

 その点についての認識と、政府として、今回の緊急経済対策において高速道路の料金についてどのような検討方針を持っているのか、伺いたいと思います。

池田政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症に係る経済対策につきましては、感染症の流行収束を見据えまして、間髪を入れずに国内における人の流れをつくり出す必要があると考えております。

 この観点において、高速道路料金の軽減などを行った場合のメリットとしては、観光需要の喚起が挙げられます。また、デメリットとしては、高速道路への交通集中による渋滞の発生や、鉄道、高速バス、フェリーなどの利用の大幅な減少などが挙げられると考えております。

 具体的な事例といたしましては、平成二十一年から二年間、休日千円上限料金を導入した際に、三大都市圏から全国インターチェンジへの交通のうち、高速道路の走行が二百キロ以上になった交通は約二割増加をいたしました。一方で、東名高速の休日の渋滞時間は、導入前は六十分であったんですけれども、導入後は百五十五分と、二・六倍になりました。また、全国の新幹線や在来線特急列車においても、夏季における輸送量は対前年比で一割から二割程度減少したところでございます。

 このため、人の流れの支援に当たりましては、現在、鉄道やフェリーなどの公共交通機関の利用が大幅に減少していることも踏まえまして、高速道路に交通を集中させることのないよう、他の交通機関とのバランスに留意して進めていく必要があると考えております。

 今月七日に閣議決定された緊急経済対策におきましても、かつてない規模の旅行商品の割引による観光需要喚起を行うということで、観光地全体の消費を促進するために、引き続き必要な検討を進めてまいりたいと考えております。

道下委員 まだまだ先の話だと思いますが、コロナ収束後の、特に経済や観光面における物流、人流、これが満遍なく、うまく調整されながら広がっていくように、ぜひ御検討をよろしくお願いしたいというふうに思います。

 次に、観光についてです。

 国内の観光需要喚起策について伺いたいと思います。

 先日の委員会でも私質問をさせていただきましたけれども、この点については、本当は今必要なのは、コロナ収束後の喚起策を今示すのではなくて、今示すべきは、ホテル、旅館それから貸切り観光バス等、旅行関係業界にお金をそのまま直接給付する、これで何とかしのいでいただく、これが私は重要だというふうに思っております。ただ、それらがちょっと少ないというのは残念な思いがいたしますが。

 この観光需要喚起策、ゴー・トゥー・キャンペーン事業においては、割引クーポンの発行、付与というものが示されていますけれども、私の地元北海道では、北海道胆振東部地震がありました。それ以降の観光復興支援で、北海道ふっこう割というのがありました。これは非常に利用率が高くて、さまざまなところで使われて、特に個人旅行客などが多く利用して、一定の効果があったというふうに思っております。その一方で、大人数の、バスを三台とか五台とか連ねて動くような大型の団体旅行というものにはなかなか使われなかったということで、私のところには貸切りバス事業者や大規模宿泊事業者などからは改善の意見が寄せられているところでございます。

 こうした面で、個人旅行客にも、そして大きな団体旅行客にも、こういう割引クーポン等ゴー・トゥー・キャンペーン事業で需要が喚起される、使われる、こうしたものを進めていくことが重要だと思いますけれども、観光庁長官から御答弁をお願いしたいと思います。

田端政府参考人 委員御指摘のとおり、ただいま観光関係の産業また地域経済全体に深刻な影響が出ています。

 このため、今般取りまとめました緊急経済対策でありますが、この新型コロナウイルス感染症の拡大がまさに収束した後でありますけれども、地域経済のV字回復を図るため、かつてない規模の観光需要喚起策、ゴー・トゥー・キャンペーン事業を盛り込んだところであります。

 本事業において割引支援の対象となりますのは、いわゆるパッケージの宿泊旅行のみならず、宿泊単体のほか、日帰り旅行また団体旅行についても支援の対象とすることを検討しており、これらの旅行を主に手がけます中小の旅行会社や、またこれらの旅行で利用される貸切りバス事業者、また大規模宿泊事業者にも幅広く裨益する制度設計となるように検討を進めてまいります。

道下委員 ぜひともよろしくお願いします。

 時間が参りました。これで終了いたします。ありがとうございました。

土井委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 通院や買物の足の確保など、地域公共交通問題はどこへ行っても住民の切実な要求であり、自治体の大きな課題になっております。

 路線バスはこの十年間で一万三千キロが廃止され、地域鉄道は二〇〇〇年以降全国で八百九十五キロメートル、四十一路線が廃止されました。居住地から一キロ圏内に鉄道駅もなく、五百メートル圏内にバス停もない、かつ、運行エリアに含まれない地域、いわゆる公共交通空白地は、今や日本全体の三割にも及びます。

 二〇一三年に制定された交通政策基本法には、第二条、「国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展を図るために欠くことのできないものであることに鑑み、将来にわたって、その機能が十分に発揮されることにより、国民その他の者の交通に対する基本的な需要が適切に充足されることが重要であるという基本的認識の下に行われなければならない。」とあります。

 二〇一四年には、この交通政策基本法の理念にのっとり、民間事業者の事業運営に任せきりだった従来の枠組みから脱却して、地方公共団体が中心となり、まちづくりと連携し、面的な公共交通ネットワークを再構築するため、都道府県及び市町村が地域公共交通網形成計画を策定できるよう、地域公共交通活性化再生法が大幅改正されました。昨年七月末で五百二十四の形成計画が策定されていると承知をしております。

 そこで、今回、地方公共団体による地域公共交通計画、今度はマスタープランなわけですが、その作成を努力義務化したのはなぜか、そしてまた、マスタープランと予算措置の関係はどのようになるのか、伺います。

赤羽国務大臣 今、高橋委員がお示ししていただきましたように、二〇一三年の交通基本法ですか、ここに示された基本認識が、なかなかそれぞれの、日本の各地域、地方で維持ができないという大変厳しい状況に直面する中、地域住民のニーズに一番近い立場できめ細かく対応できるはずの地方公共団体が中心となって、交通事業者ですとか住民ほか地域の関係者の皆さんと協議して、公共交通の充実、他の運送サービスの確保に取り組んで、これを国が支援していくという枠組みが必要だということで法改正をお願いしているところでございます。

 今回の法案の中では、公共交通等の将来像を定める地域公共交通計画について、これは法的に努力義務化できれば全ての市町村でつくっていただけるということを考えておりますが、そうした目標に向けて、地域交通に関するマスタープランとしての位置づけを明確にして、この改正後は、しっかりと国もバックアップしながら、その実施に取り組んでいくというふうに考えておるところでございます。

 予算面では、国交省におきましては、先ほどからも何度か答弁させていただいておりますが、計画策定に要する費用を補助するとともに、計画に基づく公共交通の改善ですとか移動手段の確保に対する支援についても必要な予算の確保に最大限努めてまいりたい、こう考えております。

 加えて、財政面の支援だけでなくてノウハウ面の支援も必要でございまして、市町村は専門的な人材が大変不足しているということが現状でございますので、そうした市町村職員に対する研修、また、先ほど御指摘もありました地方運輸局が主導的にというか積極的にかかわりを持って、しっかり現場で今回の法改正が機能してくれるように最大限の努力をしていきたい、こう考えております。

高橋(千)委員 地域のニーズに一番近い自治体がマスタープランを、全ての自治体がつくってもらいたい、そこに国もバックアップしていくんだということの御決意だったかと思います。最初に確認をしたように、交通政策基本法の基本的な需要が適切に充足されている、ここがやはり大事だし、今回の法案の目的も、いろいろ変わっていてもここは変わっていないということを出発点にして議論していきたい、このように思います。

 そこで、乗り合いバスや鉄道などの地域交通分野では、国が、各分野の事業法に基づき、新規参入について需要と供給のバランスを判断して需給調整を行って、安全かつ良質なサービスの安定的な供給の確保に取り組んできたというところでしたけれども、二〇〇〇年ごろから参入と廃止を容易にした規制緩和を行ってきました。

 三月二十四日の本会議でこの点を聞いたときに、大臣は、運賃の低下や運行便数の増加など、さまざまな面で利用者にとっての利便性の向上が図られてきたところ、本法案においても、このような基本的な考え方については変更ございませんという答弁でございました。

 何か規制緩和は問題なかったんだという認識なのかなと思って聞きましたけれども、改めて伺います。

赤羽国務大臣 平成十二年以降に行ったいわゆる需給調整規制の廃止、この規制緩和は、私、全てがメリットだけだということの認識はございません。メリットもあればやはりデメリットもあり、そのときの社会状況というか経済状況にとってどちらの面が色濃く出るかということも事実だと思います。

 平成十二年以降、やはり、固定化していたこの世界で、交通事業者の経営判断により決められることがふえてきて、その結果、先ほど申し上げたように、運賃の低下ですとか運行便数の増加といったサービス面でのさまざまなプラスが出たというところも、これは否定できないところだと思いますが、他方で、社会的には、人口減少が本格的に進む、その結果、需要が縮小する、また同時に運転手さんなんかの人手不足が深刻化する、こういったことで、現実には多くの地方で採算性の安定的な確保ができる公共交通機関の維持が大変難しくなっているというのも、これも事実でございます。

 こうしたことに対応して、今回の法案では、これはよく御承知だと思いますが、地方公共団体が地域交通のマスタープランを作成して公共交通の改善や移動手段の確保などに取り組む仕組みを強化したところでございまして、このことについて国としても財政面またノウハウ面でしっかりと支援をして、地元に丸投げするようなことではなくしっかりと取り組んでいきたい、こう考えています。

高橋(千)委員 運賃が安くなって便数がふえて、それがいいことばかりではないということを大臣もお話ししてくださったと思うんです。

 先ほど道下委員が紹介をされた岡山の事件、二〇一八年岡山の乱と言われているようですけれども、黒字の部分だけを安いミニバスが走って、それ以外のところを結局大手のバス会社が担わなければならなくなったということで、提訴まで行ったということでありました。

 でも、あのときに、やはりこれを解決するためにはみんなの知恵を出さなきゃいけないということで、行政もバス会社も、あるいは住民も法定協議会の中で議論するということが起こったわけでありまして、やはりそこが今回の法案に教訓として盛り込まれているんじゃないかな、このように思っております。

 そこで、続けますけれども、鉄道、路線バス等の廃止の代替措置としてディマンドタクシーやコミュニティーバスに取り組んできた自治体は多く、現在、地域公共交通確保維持事業による地域間幹線系統補助、これが千五百二十件、また、その支線に当たる地域内フィーダー系統補助が三千七十六件、五百五十一市町村で取り組まれております。しかし、同事業では、運営経費の赤字の半額を補助するという仕組みのために、頑張っても赤字であることに変わりはなく、とんとんなら補助もなく、そうすると自治体負担も大きく、事業者のインセンティブにもならない。

 この問題、どう考えておりますか。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 地域の移動手段をしっかり確保、維持していくためには、地方公共団体が中心となって取り組む制度の充実と並行しまして、国が財政面等でこれを支援することが極めて重要であるというふうに考えてございます。

 このため、国土交通省におきましては、過疎地域等における幹線バス交通、地域内のコミュニティーバス、ディマンドタクシー等の運送サービスで生ずる欠損等に対しまして、委員御指摘のとおり、補助率原則二分の一で国費による補助を行うとともに、あわせて、地方公共団体の負担に対しましては特別交付税措置が講じられているところでございます。

 国土交通省といたしましては、今回の法案による新たな制度、例えば先ほど御紹介申し上げました地域旅客運送サービス継続事業、これの活用によりまして移動のニーズに的確に対応することと、もう一つ、地方公共団体の負担を軽減すること、この二つの両立に資する方策について検討や取組を促進していくとともに、地方公共団体に対しましてノウハウ面でも着実に支援してまいりたいというふうに考えてございます。

高橋(千)委員 補助することは極めて重要という話でしたけれども、やはりこの枠組みを変えるということを考えてもらいたいなと。今回、本当は法改正でそこが出てくるのかなと期待していた分だけに、非常にちょっと残念に思っているんです。

 資料の1は本法案の基本スキームですけれども、今議論していた地域公共交通計画の下に、今紹介があった継続事業を含めて、これだけの事業、全部合わせて地域公共交通特定事業というわけですが、これはむやみに多くて、かなり幅があるというか、いろいろなことがあるなということを非常に考えております。

 きょうは、その中の、地域旅客運送サービス継続事業の中に位置づけられた自家用有償旅客運送について質問いたします。

 地方公共団体が、乗り合いバスやコミュニティーバス、あるいはディマンド交通など、代替サービスを模索しつつも、なお事業者がなかった場合、自家用有償旅客運送を行うことができます。

 自家用有償旅客運送は、二種免許のない者が運転して料金を取る、免許のある緑ナンバーに対して白タク行為と言えます。過疎地域など限られた地域と地域内住民に限り現在運行している事業ですが、これを、地域限定をとって、住民だけではなく観光客もよいとしました。

 それでは、簡潔にお答えいただきたいです。

 現在、自家用有償旅客運送のうちタクシー事業者に委託して行っているのはどのくらいあるのか、また、今回対象を広げるに当たり、タクシー事業者を担い手として期待しているのか、お答えください。

一見政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、市町村で自家用有償旅客運送を行っているのは四百五十二の市町村でございますが、そこにアンケート調査をいたしまして、回答が四百二十四の市町村から寄せられております。

 そのうち、委託をしております市町村は三百五十五の市町村でございます。委託先として、タクシー事業者に委託をしているというのは百四十七の市町村、それからバス事業者に委託しているのは百五十九の市町村、それから、バスとタクシー、これの兼業者に委託しているのは百でございます。合計は三百五十五になりませんが、複数の事業者に委託をしているところがあるからだというふうに承知をしております。

 それから、今後もタクシー事業者に委託をすることを期待しているのかということでございますけれども、今回導入をすることを予定しております事業者協力型の自家用有償旅客運送に関しましては、市町村が行っております自家用有償に関しまして自治体の負担を軽減することになります。何よりも、タクシーやバスの事業者が行うことによりまして安全、安心が確保されるものでございます。さらには、タクシーやバスの事業者にとっては委託収入がふえるものでございます。

 こういったことで、先ほど大臣の答弁にもございましたが、ライドシェアが地方交通に入ってこないようにするという役割も担っておるものでございます。

 したがって、今回、事業者協力型の自家用有償に関しましては、従来の登録二年間、これを延長しまして五年間ということでインセンティブも設けておるところでございます。

高橋(千)委員 何か今みんなにとってウイン・ウインのような答弁をされたと思いますが。しかも、五年間に延ばすということであります。

 令和一年六月の成長戦略実行計画の中でも、公共団体にとっても負担軽減になり、あるいは利用者にとっても安全、安心な交通サービスが受けられる、双方にとってメリットがあるというふうに書かれて、その翌年の交通政策審議会交通体系分科会の地域公共交通部会中間とりまとめの中でも同じ方向が打ち出されて、要するにメーンはタクシー事業者ということがはっきりしていると思うんですね。

 では伺いますが、タクシー会社は国の許可を得て運行に責任を負っております。運転手は自動車二種免許を持っていることが条件であります。そもそもが違います。さらに、タクシー事業者の許可に必要な運行管理者と自家用有償旅客運送における運行管理の責任者ではどこが違いますか。

一見政府参考人 タクシー事業者は、道路運送法二十三条の規定に基づきまして、事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務を行わせるために、営業所ごとに国家資格を有する運行管理者を選任しなければならないこととされております。

 これに対しまして、自家用有償旅客運送を行う者につきましては、事務所ごとに一定の要件を満たした者から運行管理の責任者を選任するということになってございます。

 具体的には、この運行管理の責任者でございますが、運行管理者資格を有している者でもいいですし、それから、資格は持っていなくても、試験の受験資格、事業者のところで一年の運行管理に関する実務経験を有する者ということでもいいですし、あるいはそれらの者と同等の能力を有すると認める者であってもいいということにされておるところでございます。

高橋(千)委員 タクシー事業者が国家資格であるのに対して、自家用有償旅客運送の方は一年の実務経験ということで、一定の要件を満たせばということで全く違うということなんですけれども、私が聞いたのは、運行管理者と責任者がやる中身、それを聞いています。

一見政府参考人 運行管理者が行う内容につきましては、例えば、実際の乗務に当たりまして、点呼を行いまして健康上問題がないかどうかということもチェックをいたしますし、また、運行を行った結果につきまして資料を作成をする、記録をとるということもしております。また、実際の運行に当たって問題があれば、それについて指摘をするということも行っているところでございます。

 また、自家用有償旅客運送におきます運行管理の責任者、これも同様に、点呼をしたり、あるいはどのように運行したかということを記録をするということは行っておるところでございます。

高橋(千)委員 やはり、点呼をとることが健康管理のために、あるいは乗務管理のために必要なことであるというタクシー事業者と、とりあえず点呼はとるよというのとは全く意味が違うと思うんですね。

 それで、自家用有償旅客運送事業の担い手は、二種免許を必要とせず、かつボランティアでもよいわけですよね。そうすると、こうした運転する方たちの安全対策や利用者保護はどのようになっていますか。

一見政府参考人 自家用有償旅客運送におけます運送責任の所在は市町村あるいはNPO法人ということになってございまして、この実施主体が運行に関する責任を有しているわけでございます。

 もし事故が発生した場合でございますが、その対応に当たります責任者を選任する必要もございますし、旅客その他の損害を賠償するための措置を講じておかなければならないということにされております。

 また、運転者に関しましては、自家用有償旅客運送では一種免許の保有ということでございますけれども、大臣が認定した講習の受講を義務づけをしておりまして、安全運行の確保を担保しておるところでございます。

 実施主体に対しまして必要な安全対策や利用者保護の措置に加えまして、運転者本人に対しても、先ほど申し上げましたような講習を通じまして、安全に運行することへの理解を深めていただくということを行っているところでございます。

高橋(千)委員 労災はどうなりますか。

一見政府参考人 タクシー事業につきましては労災が適用ということになりますけれども、この自家用有償旅客運送につきましては、ボランティアといった方々もおられまして、労災の適用というのはございません。

高橋(千)委員 やはり、安全対策をちゃんとやるんだと言っても、明確に違うんだと思うんです、労働者だからこそ労災がきちっと保障されているのと、市町村が担い手になれば。結局、同じ人間なんだけれども、同じタクシー会社の運転手なんだけれども、それが委託という形になったときにどうなるかということが問題なんですよ。

 大臣に伺いますけれども、プロの運転手に委託する場合、タクシー事業として従事する際より処遇が下がって、あるいは無権利になるおそれがありますが、どのように考えますか。

赤羽国務大臣 今回の法案で創設することになります事業者協力型自家用有償旅客運送において、この運送の実施主体との間で委託契約を締結する相手は、運転者個人ではなくて、タクシー事業者ですとかバス事業者を想定しております。ですから、それぞれの運転手さんに係る処遇につきましては、各事業者と運転手さんとの労働契約に基づき定められるものと認識をしております。

 ですから、そうした場合でも当該事業者の従業員としての処遇は受けられることになるものと考えておりますし、タクシー事業の運転手さんがこの自家用有償旅客運送の運転業務に従事することになったとしても、処遇が下がったりとか労働者の権利が失われるものとは考えておりません。

高橋(千)委員 本来ボランティアでもいい事業をタクシー事業者に任せるときに、契約だからと言うけれども、処遇が下がらないという保証がどこにありますか。

一見政府参考人 先ほど大臣の答弁にもございましたとおり、市町村やNPOが委託をする先が事業者協力型の自家用有償旅客運送でございますと、これは事業者でございます。現に例えばバス事業者などに市町村が委託をしている例もございますけれども、そういったところでも、運転手については、バスを運転する場合、それから自家用有償の車両を運転する場合で処遇が変わっているという話は聞いておりません。

高橋(千)委員 全く担保になっていないと思うんですね。

 もしもタクシー事業者として、あるいはタクシー運転手として同じ条件でやれるんだったら、そのままやればいいんですよ。何で自家用有償旅客運送に変えるんですか。そこは意味が違うと私は言いたいと思います。そこにちゃんと支援をして、タクシー事業者として事業をやれるようにすればいいじゃないですか。

 だって、ノウハウと言いましたけれども、極端な話をすれば、運行管理者はタクシーのノウハウは持っている、でも、運転手は全員二種免許じゃなくてもいいわけですよ。そうしたら、当然、処遇が下がってもいいこと、それを念頭に置いているということじゃないですか。全く同じだなんて、どこかに担保がない限り、私はそれは言えないと思います。今の答弁でも言えないと思います。

 それで、資料の三枚目を見ていただきたいと思うんですが、新経済連盟が、ライドシェア提言、これは新法をつくるべきだというので二〇一八年に提案をしているんですけれども、その前の段階で、二〇一七年に規制改革ホットラインで提案をしたのに対して、国交省が対応不可とちゃんと答えております。何度も大臣答弁されているし、これは認めないということなんですね。その理由が、ここにあるように、運行管理や車両整備管理などの責任の主体が明確ではないということや、事故発生時の責任が問題だということ、それから雇用の問題も書いているわけですよね。

 この指摘はそのとおりだと思うんですが、それが、今はライドシェアじゃないと言っていますけれども、自家用有償運送でも全部解決しなきゃいけない課題なんじゃないでしょうか。違いますか。

一見政府参考人 お答え申し上げます。

 累次にわたりまして大臣の答弁にございますように、自家用有償旅客運送とライドシェアというのは全く異なるものでございます。ライドシェアは、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態を前提としておりますけれども、自家用有償旅客運送につきましては、市町村又はNPOが責任を有するものでございます。

 また、この事業の例えば運行管理あるいは整備管理などを事業者に委託をする場合、場合によりまして、その市町村あるいはNPO法人がプラスして費用を支弁するということもこれはあるわけでございます。

 そういったところで、ライドシェアと自家用有償旅客運送とは全く違うものというふうに考えております。

高橋(千)委員 委託先があるからと言うんですけれども、その程度の答弁だったら、きょう一枚しか資料をつけていませんが、新経済連盟が国交省が不可と言ったことに対して言い返しているのと大して違いませんよ。ライドシェアだってちゃんと担い手がいるんだ、ちゃんと責任を持ってやりますよと答えています。何の違いもないと思っております。

 それで、昨年三月七日の未来投資会議で竹中平蔵氏は、「金丸議員のペーパーで、自家用有償旅客運送制度を改善する提言がなされているけれども、これは突破口として非常に重要なポイントになると思う。」と発言をされています。突破口だ、これが正直なところじゃないかなと思うんですね。

 国交省としては、違うというのであれば、タクシー事業者の処遇改善をして、しっかり事業者として続けていける、そこに支援をしていくということがやはり一番大事なんじゃないでしょうか。一遍に要件を緩和してしまったということでの危険性はやはり否定できない、このように思っております。

 それで、時間がなくなってしまいました、問いをちょっと飛ばします。

 資料の最後なんですけれども、地域公共交通利便性増進事業として、財政投融資から鉄道建設・運輸施設整備支援機構を通して、都市鉄道に初めて千百六十六億円もの融資を予定しています。その大部分が、千百四十八億円が投入される予定のなにわ筋線であります。ことし近畿運輸局が認可をしまして、総事業費三千三百億円、うち国費七百七十億円の投入が既に決まっています。

 今回、このような都市鉄道を地域公共交通計画に位置づけたのはなぜでしょうか。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 一般に、都市鉄道の整備は、通勤通学の混雑緩和や、高齢化社会や環境問題への対応など、都市の基盤的な交通施設として都市機能の向上に寄与するものでございます。一方で、その整備には巨額の資金を要しまして、資金回収までに長期間を必要とすることなどから、公営事業者、第三セクター等の事業主体に限定して国、地方が所要の財政支援を行う制度がございまして、なにわ筋線も令和元年度からその対象となっているものでございます。

 今般の改正案におきましては、地域経済社会の発展に資する交通インフラの重点的、戦略的整備を促進するため、地方公共団体が利用者の利便を増進する都市鉄道ネットワークの整備等を実施するための計画を作成し、地域公共交通利便増進事業として国土交通大臣の認定を受けた場合には、当該事業を鉄道・運輸機構による資金の貸付けの対象として追加することとしております。

 なにわ筋線につきましては、自治体が地域公共交通計画を定め、地域公共交通利便増進事業として位置づけた上で、その実施計画について国土交通大臣による認定を受けることとなれば、鉄道・運輸機構を通じて、民間金融機関では対応が難しい長期、固定、低利の財政投融資資金を活用することが可能となります。

 これによりまして、資金調達や金利変動に係るリスクを軽減することにより事業の安定性が更に高まって、地域における公共交通ネットワークの充実がより確実に図られることとなると考えております。

高橋(千)委員 今まで議論してきた交通空白地域だとか担い手不足だとか、そういうところから地域マスタープランをつくろうとなって、その下に随分いろいろな事業がありますねと私言いました。それが、利便性向上という名でここまでできるのかなというのに非常に疑問があります。長期間と言いましたが、四十年償還、これはリニアよりも更に長いという驚きの額であります。そもそも、なにわ筋線は二〇三〇年開業予定ですが、予定地周辺には既に大阪メトロ御堂筋線など四つの路線があります。

 昨年三月八日の委員会で、我が党の宮本岳志委員がどれだけ短縮効果があるかと聞いたときに、蒲生鉄道局長は、JRを利用した場合、大阪―関空間で約五分、南海電鉄を利用した場合、約九分と答えているんですね。

 たったそれっぽっちのために三千三百億円も使うのかという質問をしているんですが、きょうの資料を見ますと、JR経由のときは六十四分から四十四分と二十分短縮になっているんですよ。下は九分で合っているんだけれども、あれっ、どうして五分が二十分になったんだろうと思ったら、この後にちっちゃく書いているんですが、「東海道支線地下化による効果を含む。」こういうふうに書いているんですね。これは、二〇二三年開業予定のJR西日本による新駅と地下化という再開発事業、これと一体のもので進められているということだと思うんです。

 大阪市は、関空―新大阪と大阪都心部のアクセスが強化され、うめきたや中之島始め都市開発に効果を発揮すると言い、経済界は、リニアや北陸新幹線の大阪延伸を強く求めてきた中で、その結節点として新大阪と関空が結ばれることで西日本全域に効果が期待できると述べていて、全く筋の違う話だと。

 これだけ地域が大変で、わずか二百億という予算しかないという中で、これだけの長期の優遇での巨額投資に対する支援というのはやはり認められない、このことを指摘をして終わりたいと思います。

土井委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 日本維新の会の井上です。

 それでは、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部改正の質疑をさせていただきたいと思います。

 もう重なるところもたくさんありますけれども、やはり法案の審議で聞きたいことというのは重なるのかなという気もしますので、御理解いただいて、お答えをいただけたらというふうに思います。

 もう鉄道局長は出ていったんですね、なにわ筋線、頑張ってもらえるようによろしくお願いしたいなというふうに思います。

 地方部においては、これまでマイカー依存が高い状態にあり、自家用車を運転して移動を行うという生活が中心となっております。しかし、高齢者の運転免許の返納が年々増加する中、高齢者を中心に、公共交通が減り、自動車が運転できないと生活できなくなるのではないかとの不安がやはり高まっており、受皿となる移動手段として公共交通の役割というのが重要になってきているというふうに考えます。

 また、人口減少が深刻化し、地域によって路線バスや鉄道の維持が困難になっており、とりわけ、バス、タクシーなどの自動車の運転業務の人手不足というのはもう年々深刻化しており、有効求人倍率は全職業平均の約二倍となっており、また、バスを運転できる第二種大型自動車運転免許の保有者数というのも重ねて年々減少しているというデータもあります。早急に対策が必要だというふうに考えます。

 地域公共交通は、地域の暮らしと産業を支えて、大都市部、地方部を問わず、豊かで暮らしやすい地域づくりや、個性と活力ある地域の振興を図る上で不可欠な基盤的なインフラだというふうに思いますが、その点を踏まえて幾つか質問をさせていただきます。

 まずは、平成十九年の地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の、当時ですね、制定、そして平成二十六年にその法律が改正になりました。地域公共交通の活性化及び再生に対して、現在に至るまでどのような効果があったとお考えか、お聞かせいただけますでしょうか。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、地域公共交通活性化再生法につきましては、平成十九年に制定されまして、市町村が主体となった幅広い関係者の参加による協議会制度とともに、地域公共交通の維持、確保や利便性向上に取り組むための地域公共交通総合連携計画が創設されました。

 また、平成二十六年には、まちづくりと連携しまして、面的な公共交通ネットワークを再構築するための地域公共交通網形成計画とともに、バス路線の再編等を実施する地域公共交通再編事業というものが創設されまして、コンパクトなまちづくりと一体となった公共交通の再編を後押しすることといたしました。

 これらによりまして、令和元年十二月時点におきまして、全国における地域公共交通網形成計画の策定件数は五百三十九件、そのうちコンパクトなまちづくりの計画である立地適正化計画もあわせて策定したものは百八十一件となっておりまして、地方公共団体が中心となったまちづくりと連携した公共交通ネットワークの形成が着実に進められていると考えてございます。

 また、バス路線の再編等を行う地域公共交通再編実施計画につきましては三十七件、地域鉄道の上下分離等を行う鉄道事業再構築実施計画、これは十件、LRTの整備を行う軌道運送高度化実施計画は三件、国の認定を受けてございまして、それぞれ整備が行われたり事業が進捗しつつあるところでございます。

井上(英)委員 今審議官からるる答弁もあったように、いろいろな効果というのは出ているということだと思うんですけれども、やはり、平成十九年、今からもう十一年前には、十二年前ですかね、こういうことになるだろうということが予想されて今日に至っているわけです。

 先ほども申し上げましたけれども、日本の人口というのは減少傾向を迎えており、今後、人口減が進むことというのは、これはもう明々白々であります。さらに、地方から都市部への人口の流入というのが続いておりますので、地方は今後も進む人口減少、さらには少子高齢化というものに対する対応というのが急務になっております。

 そこで重要なのは、住民の移動手段の確保。公共交通機関である鉄道やバスは大部分が民間事業者であり、公共性の高い分野ではあるものの、民間事業者の立場から考えると、利用者が減って市場の規模が小さくなって採算がとれなくなれば、当然、撤退する可能性というのは高くなってくる、一方で、高齢になると車の運転に危険が伴うため、免許の返納という必要も出てきます。

 国交省は、地域公共交通における運転者不足、先ほども言いましたけれども、運転者不足の現状についてどのように認識をしておって、運転者不足が生じた原因、また対策というのをどのようにお考えか、お答えいただけますでしょうか。

一見政府参考人 お答え申し上げます。

 高齢者の免許の返納が年々増加しております中で、地域におけますバスやタクシー、これは非常に重要な公共交通機関だと考えております。その担い手たる運転者を確保していくことも、これもまた重要だと考えています。

 バス運転者の有効求人倍率は、平成三十年度で二・二三でございまして、全職業の平均と比べて一・五倍以上となっております。これは低い賃金水準や労働時間の長さが課題となっているというふうに考えておるところでございます。

 また、タクシーの労働環境の実態でございますが、長時間労働の割に低い賃金水準、運転者の高齢化などが課題でございまして、働き方改革の推進が急務というふうに考えております。

 こういったことを受けまして、私どもとしましては、バス事業につきましては、予算を確保しまして、運転者の処遇改善の優良事例の収集や周知など、また、タクシーにつきましては、昨年運賃改定を行いまして低賃金への対策を行うなど、労働環境の改善を図っているところでございます。

 この法案におきましても、乗り合いバスの路線の再編や運行の効率化を促す制度もございますし、バスの貨客混載を導入しやすくする制度を盛り込んでおります。

 また、警察庁におきまして、今国会で道路交通法の審議、これは案を提出しておりますが、二種免許の若年化、若年労働者を確保しやすくするという制度も盛り込んでいるところでございます。

 こうした関係省庁と共同しまして、私ども、運転者不足への対策を着実に進めていくこととしております。

井上(英)委員 ぜひ、自動車局長、よろしくお願いしたいと思います。

 複合的なさまざまな理由というんですか、あると思いますので、何をすればすぐに運転者不足が解消できるかというのは、これはまた非常に複雑な問題があるかと思うので、さまざまな対策というのをしっかりととって取り組んでいただきたいと思います。

 今回の改正で、地域のニーズにきめ細かく対応できるメニューの充実のために、地域旅客運送サービス継続事業というのが創設されましたが、これは、維持が困難となったバス路線等について多様な選択肢を検討、協議するものでありますが、継続が困難な状況というのは誰がどのように判断するのか、検討、協議は具体的にどのように行われて、誰が参加してそういった実施方針というのを作成していくのか、お答えいただけますでしょうか。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の地域旅客運送サービス継続事業につきましては、バス路線などにつきまして、廃止届出が提出される前の段階から市町村等が地域の関係者等とともに今後の輸送サービスのあり方を検討しまして、これを踏まえて、公募によりまして代替する輸送サービスを導入することができる制度でございます。

 この制度の活用に際しましては、地方公共団体に対しまして、まず、今の路線バスを運営しているバス事業者等から維持が困難である旨が示された段階で、当該地方公共団体がその区間でありますとか地域につきまして運送サービスとして継続する必要性があるかどうか、これを判断しまして、地方運輸局も参加する検討作業を経た上で、代替サービスを提供しようとする事業者あるいは地域住民の方々、学識経験者などの関係者の合意を得て、代替サービスの確保に向けた計画を策定していく、こういうプロセスを想定してございます。

 これによりまして、地域の実情に応じまして、コミュニティーバス、ディマンド交通、タクシー、自家用有償旅客運送等の複数の選択肢の中から、路線バス等にかわる、地域として最適と考える旅客運送サービスを選択していただくことができるものと考えてございます。

 国土交通省といたしましては、これらの制度や措置を幅広く活用していただきまして、地域の移動手段の確保が着実に進むようにしっかり取り組んでまいりたいと考えてございます。

井上(英)委員 ぜひお願いしたいと思いますし、継続が困難なのを、そういった継続事業をすることで、そういう協議会みたいなのをやることによって、解消されて継続できるように、前向きにやはりやってもらわないとだめですし、だめを前提に何ぼ話合いをしてもなかなか難しいと思いますので、継続が困難なのを何とかやれるというような、そういう会議体というんですか、そういう事業にしてもらえたらというふうに思います。

 次に、バスやタクシーといった公共交通を活用できるのであれば最大限活用して、それでも十分なサービスの提供というのが困難であれば、ディマンド交通や自家用有償旅客運送など、さまざまな移動手段というのを活用することが重要だと考えます。

 今回の改正で、自家用有償旅客運送の実施の円滑化を図るための規制の合理化として、道路運送法の改定というのが含まれております。自家用有償旅客運送の運送対象に観光客等を含む来訪者を対象として明確化するというふうにされていますが、利用者の安心、安全に重大な懸念が生じることもあると先ほどからるる言われていますが、改めて、なぜ運送対象を追加したのか、根拠と意義をお伺いしたいというふうに思います。

一見政府参考人 お答えを申し上げます前に、先ほどの私の答弁でございますが、タクシー事業の運賃改定でございます。昨年と申しましたのは運賃改定の公示でございまして、実際に運賃改定をいたしましたのはことしの二月でございますので、言葉足らずでございました、おわびをして、訂正をさせていただきたいと思います。

 その上で、御質問にお答え申し上げたいと思います。

 現行の規定でございますが、自家用有償旅客運送、これは、市町村長が認めた場合に観光客を含めた来訪者も輸送の対象ということで、住民と一緒に運送するときには可能であるわけでございますけれども、今回の改正は、観光客の輸送のみであっても自家用有償旅客運送を実施するということを認めようとするものでございます。

 これは、実際、自治体からの要望もございました。北海道の白老町、国立アイヌ民族博物館来場者の輸送を自家用有償で行いたい、それから、山形県の鶴岡、庄内空港と湯野浜温泉への宿泊者の送迎を行いたい、こういうものでございます。

 これは、地域住民の生活に必要な旅客運送を確保するため必要な場合に限らず、観光客の輸送に限って、その場合にも自家用有償旅客運送を実施できるように規定を整備しているものでございます。

 これによりまして、公共交通がないために観光地に行けないという観光客の輸送手段を確保することが可能になりますし、また、自治体にとりましても、観光地に多くの人が訪れてくれる、こういうメリットがあるものというふうに考えておるところでございます。

井上(英)委員 観光客を含む来訪者というのを対象にしたということで、どなたもウイン・ウインになって喜んでもらえるように、ぜひ尽力していただけたらというふうに思います。

 次に、御法川副大臣にちょっとお伺いをしようかなというふうに思います。

 ICT技術などの最先端な技術を活用し、複数の交通手段を組み合わせて目的地への最適な経路を選び、予約や決済を一括で行える新しいサービス事業というのが創設されていますが、具体的な概要をお伺いしたいというふうに思います。

 また、MaaSは諸外国で導入が進んでおり、日本においても取組が広がっていますが、このようなサービスは、現状では、都市部や観光地における利便性向上を中心に使用される可能性があるところ、過疎地においてもMaaSの活用によって地域の移動課題の解決につながるのではと思いますので、この新しいサービスの普及、推進に向けた国交省の取組というのを伺うとともに、過疎地における対策というのもお聞きしたいと思います。

御法川副大臣 MaaS、モビリティー・アズ・ア・サービスということでございますけれども、複数の公共交通や移動手段の組合せによって移動の利便性を大幅に向上させることができるということで、国土交通省においても全国への早急な普及に取り組んでいるところでございます。

 この事業モデルの構築等を図るために、昨年度より各地の実証実験、全国で十九カ所ございますけれども、これに対して国費での支援を行ってございまして、今年度は更に、交通事業者のキャッシュレス化や交通情報のデータ化等、MaaSに必要な取組に対する支援を拡充してまいってございます。

 また、過疎地など公共交通サービスが不十分な地域におけるMaaSの普及ということを進めていく上では、この導入にあわせまして移動手段の確保を図っていくということが重要でございます。

 このため、昨年度の実証実験におきましても、例えば駅からの移動手段が不十分な地域におけるAIによる配車を活用したディマンド交通の導入であるとか、MaaS導入と連動した新たな輸送サービスの導入に取り組んでまいっているところでございます。

 今後とも、過疎地等において移動手段の確保を促進しながらも、このMaaS、地域によって事情が違いますので、その辺をしっかりと考慮しながら、全国への早急な普及を進めてまいりたいというふうに思います。

井上(英)委員 ぜひ副大臣、よろしくお願いをいたします。

 それでは次に、先ほどの取組で、国土交通省は、昨年四月十八日から五月二十九日に、全国各地のMaaSなど新たなモビリティーサービスの実証実験というのを支援して、地域の交通課題解決に向けたモデル構築を推進するため、新モビリティーサービス推進事業というものの公募、昨年のちょうど今ぐらいに行われたというふうにお聞きしています。

 選定された地域と、どのような実証実験、事業の支援を行ったのか、そして、何より大事な、具体的な成果というのがあったのか、お伺いしたいと思います。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の実証実験につきましては、昨年度、年度中を通してでございますが、計十九地域、具体的には、大都市近郊あるいは地方都市型といたしまして六地域、過疎地型といたしまして五地域、また、観光地型としまして八地域、これらで計十九地域の取組につきまして、導入経費等につきまして国費による支援を行いました。

 これらの実証を通じまして把握したことといたしまして、先ほどの副大臣からの御答弁にございましたとおり、過疎地などにおきまして公共交通サービスが不十分な地域では、MaaSの導入にあわせて移動手段の確保を図ることが重要であることを改めて再確認したわけでございますが、これ以外にも、例えば、移動を担う複数の交通事業者間の連携だけではなくて、移動の目的に関係する物販でありますとか、観光でありますとか、医療、教育、こういった交通以外のサービスとも連携することで、MaaSとしての付加価値や利便性が高まること、また、多様な関係者間において、合意形成を円滑化して、データの面も含めて連携することが大変重要であること等を確認いたしました。

 今回の法案におきましては、これらも踏まえまして、地域の幅広い関係者が協議、連携するための協議会制度の規定等を盛り込んだところでございます。

 今後、実証実験の支援を続けるとともに、新たな制度の運用で得られた知見やノウハウを全国各地域に横展開いたしまして、MaaSの早期普及に活用してまいりたいと考えてございます。

井上(英)委員 もう時間も来ているので、ちょっとライドシェアも聞こうかなと思っていたんですけれども。

 まあ、ライドシェアは、いろいろな議論があると思いますけれども、我々はやはり、ユーザーですね、要は、移動される方々の方法というか、それを多く選択肢を与えるということは非常に大事かなというふうにも思っていますし、課題があるのなら、当然、でも、先ほどもちょっとありましたけれども、もともと今あるものもいろいろな課題もまだまだありますし、そういう意味では、課題を一定解決していくということは大事なので、この法案自体は、決してライドシェアを中心に議論している議論ではないというふうにも理解していますし、ライドシェアを認めないというのも必要ないのかなと私は思っていますので、ぜひ今後、ライドシェアもさまざまな議論をしていったらいいなというふうに思っています。

 最後に、大臣にお聞きしたいんですけれども、地域の暮らしを支える手段の確保というのは非常に重要であります。そういった中で、公共性をより重視して、しっかりと地域交通というのを確保、維持していく決意をお聞かせいただけたらと思います。

赤羽国務大臣 地域公共交通の維持、確保というのは大変厳しいというのはもう共通の認識だと思います。ここを何とかしなければいけないということで、これまで、ややもすると、交通事業者任せなのを、市町村が中心になって責任あるマスタープランをつくり、そこについて国や県が支援をし、そしてあらゆる手段を総動員すると。

 その中で、私は、大前提は安全ということは担保されなければいけない、その安全を大前提として、さまざまな知恵を駆使しながら、しっかりとした地域公共交通、これは本当に公共性そのものですから、しっかり死守していきたい、こう考えております。

井上(英)委員 どうもありがとうございました。

土井委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

土井委員長 この際、本案に対し、高橋千鶴子さんから、日本共産党提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。高橋千鶴子さん。

    ―――――――――――――

 持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表し、持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案について、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。

 地域住民の足、移動を支えてきた路線バスは、この十年間で一万三千キロが廃止され、地域鉄道は、二〇〇〇年以降、全国で八百九十五キロ、四十一路線が廃止されました。鉄道もバスもない交通空白地の面積は日本全体の三割にも及びます。モータリゼーションが進行するもと、規制緩和政策によって加速された地域公共交通の衰退は、住民の生活に深刻な影響を及ぼすとともに、人口流出を加速させ、大都市と地方の格差拡大に拍車をかけています。

 国、自治体が、住民の移動する権利を保障して、全国で取り組まれているコミュニティーバス、ディマンド型タクシーなどを思い切って支援し、地域公共交通活性化、再生へ本格的に踏み出すことが今ほど求められているときはありません。

 地域公共交通のマスタープランとして地域公共交通計画の作成を地方自治体の努力義務とするなど、国、自治体の関与を強めることは必要なことです。

 しかしながら、道路運送法の改正のうち自家用有償旅客運送の運送対象の追加及び事業者協力型自家用有償旅客運送の新設については、旅客運送事業の根幹である利用者、運転従事者の安全性確保等に重大な懸念が拭い切れません。

 自家用有償旅客運送は、第二種運転免許のない者が運転して料金を取るいわゆる白タク行為に当たることから、運送対象や運送地域について厳しい制限が設けられています。今回の改正は、対象や地域の限定を事実上なくすことにつながり、もともとの自家用有償旅客運送制度を変質させ、際限ない白タク行為の拡大に道を開くものであります。

 交通空白地等の地域公共交通を維持、再生するために必要なのは、自治体等が主体となり、安全性確保を最優先に、通常の運送事業として運行を実施することです。

 こうした理由により、自家用有償旅客運送の運送対象の追加等の改正部分を削除する修正案を提出します。

 以下、修正案の主な内容について説明します。

 第一に、道路運送法改正のうち、自家用有償旅客運送の運送対象の追加に係る部分及び事業者協力型自家用有償旅客運送の新設に係る部分を削除することとします。

 第二に、その他所要の規定の整理を行うこととします。

 以上であります。

 委員各位の御賛同をお願い申し上げ、修正案の趣旨説明とさせていただきます。

土井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

土井委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案につきまして採決いたします。

 まず、高橋千鶴子さん提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

土井委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

土井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

土井委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、小里泰弘君外二名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム及び公明党の三会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。矢上雅義君。

矢上委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。

    持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 国及び地方公共団体は、持続可能な地域公共交通の確保及び維持のために安定的な財源の確保を図ること。また、バス、タクシーやデマンド交通の確保及び維持等、公共交通の利用環境の改善に関する取組に対しては、これまで以上に多様かつ柔軟な対応を図りつつ、財政的な支援を図ること。

 二 地域公共交通の確保及び維持のために、自動車運転者等輸送の担い手である公共交通に従事する者の確保、育成及び定着に配慮するとともに、自動車運転者等の賃金及び労働条件の改善について幅広く検討すること。

 三 地域公共交通計画を適切に作成し同計画に基づく事業計画等を円滑に推進するために、財政的支援のみならず、ガイドラインの作成、知見やノウハウの提供、人材の確保や育成といった、ソフト面での支援や助言も十分に行うこと。また、地域公共交通計画の作成に当たり、地方公共団体における組織体制の充実のための支援を強化すること。

 四 福祉輸送、スクールバス等の地域の輸送資源の総動員に当たっては、これらの担い手である関係者とともに高齢者、障害者等の移動弱者の声を代表する者が協議会に参画できるよう、基本方針やガイドラインで、明らかにすること。また、MaaSの全国的な普及やICT等最新技術の積極的な活用による既存の公共交通サービスを改善する取組を推進し、バリアフリーの視点に立った利便性及び快適性向上に向けた必要な環境整備を図ること。

 五 自家用有償旅客運送が事実上の営利事業として地域公共交通の担い手となっているタクシー事業者の経営を圧迫することにならないよう対策を講ずること。また、地域公共交通会議等における関係者の協議を経て、安全の確保、利用者の保護等に万全を期すこと。あわせて、いわゆる「ライドシェア」は引き続き導入を認めないこと。

 六 営業区域外旅客運送を行うタクシー事業については、住民の利便性の向上に資する観点から、地域公共交通会議等において十分な協議を経て、一定のルールの下で、事業者において混乱なく、また、運用の効率化ができるよう、ガイドラインの制定や通知の発出等必要な措置を講ずること。

 七 地域公共交通利便増進事業において、乗合バスの新規参入等に係る通知を受けて地方公共団体から地域の意見が提出された場合は、その意見を十分に尊重し判断を行うこと。あわせて、運行計画におけるいわゆるクリームスキミング規制について時間帯による運行本数のみならず面的なネットワークの維持に繋がるよう地域の判断を前提とした今回の制度改正の効果を検証し、必要に応じてその見直しを検討すること。また、同事業における事業者間の利害調整が円滑に進むよう環境整備に努めること。

 八 地域公共交通計画において事業の効率化に関する指標を定めた上で、毎年度、実施状況の評価等を行い、それを翌年度以降の事業予算等に反映されるという適正なPDCAサイクルが地方公共団体において継続的に実施されるよう、支援や助言を十分に行うこと。

 九 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構による民間事業者への資金の貸付制度の運用に当たっては、公的資金を原資とするものであることを踏まえ、真に地域公共交通の活性化を図る目的に合致した事業に限定するとともに、選定基準の明確化を図ること。また、貸付対象となる事業者について、客観的かつ中立的な立場から審査及び評価を行うとともに、第三者委員会を活用して選定過程の透明化と説明責任の向上を図るよう機構を指導すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

土井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

土井委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣赤羽一嘉君。

赤羽国務大臣 持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝申し上げます。

 今後、本法の施行に当たりましては、審議における委員各位の建設的な御提言や示唆に富む御意見、また、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を始め、理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。

 まことにありがとうございました。

    ―――――――――――――

土井委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

土井委員長 次回は、明十五日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十七分散会


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