衆議院

メインへスキップ



第3号 令和6年3月15日(金曜日)

会議録本文へ
令和六年三月十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 長坂 康正君

   理事 あかま二郎君 理事 泉田 裕彦君

   理事 小林 茂樹君 理事 武井 俊輔君

   理事 城井  崇君 理事 白石 洋一君

   理事 三木 圭恵君 理事 國重  徹君

      石橋林太郎君    尾崎 正直君

      大岡 敏孝君    大西 英男君

      金子 俊平君    金子 容三君

      菅家 一郎君    小島 敏文君

      小林 鷹之君    小林 史明君

      佐々木 紀君    櫻田 義孝君

      鈴木 英敬君    高木  啓君

      谷  公一君    谷川 とむ君

      土井  亨君    中根 一幸君

      中村 裕之君    中山 展宏君

      古川  康君    武藤 容治君

      保岡 宏武君    山口  晋君

      山本 左近君    吉田 真次君

      石川 香織君    小宮山泰子君

      神津たけし君    野間  健君

      伴野  豊君    馬淵 澄夫君

      谷田川 元君    赤木 正幸君

      漆間 譲司君    高橋 英明君

      伊藤  渉君    日下 正喜君

      山崎 正恭君    田村 貴昭君

      高橋千鶴子君    古川 元久君

      福島 伸享君    櫛渕 万里君

    …………………………………

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   国土交通副大臣      國場幸之助君

   国土交通大臣政務官    石橋林太郎君

   国土交通大臣政務官    こやり隆史君

   国土交通大臣政務官    尾崎 正直君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  門前 浩司君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       浅野 敦行君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉田 易範君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            黒田 昌義君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  平岡 成哲君

   政府参考人

   (観光庁次長)      加藤  進君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 針田  哲君

   国土交通委員会専門員   國廣 勇人君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十五日

 辞任         補欠選任

  金子 俊平君     金子 容三君

  菅家 一郎君     山本 左近君

  小林 鷹之君     山口  晋君

  小林 史明君     鈴木 英敬君

  小森 卓郎君     保岡 宏武君

  田中 英之君     中山 展宏君

  谷川 とむ君     吉田 真次君

  枝野 幸男君     野間  健君

  日下 正喜君     山崎 正恭君

  高橋千鶴子君     田村 貴昭君

  たがや 亮君     櫛渕 万里君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 容三君     金子 俊平君

  鈴木 英敬君     小林 史明君

  中山 展宏君     大岡 敏孝君

  保岡 宏武君     小森 卓郎君

  山口  晋君     小林 鷹之君

  山本 左近君     菅家 一郎君

  吉田 真次君     谷川 とむ君

  野間  健君     枝野 幸男君

  山崎 正恭君     日下 正喜君

  田村 貴昭君     高橋千鶴子君

  櫛渕 万里君     たがや 亮君

同日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     田中 英之君

    ―――――――――――――

三月十五日

 危険なライドシェアを許さず安全な公共交通を守ることに関する請願(末松義規君紹介)(第三二七号)

 同(末松義規君紹介)(第三五三号)

 同(阿部知子君紹介)(第三六七号)

 同(吉川元君紹介)(第五一四号)

 建設労働者の雇用改善、担い手確保・育成に関する請願(尾身朝子君紹介)(第三四四号)

 同(小渕優子君紹介)(第三五二号)

 同(井上信治君紹介)(第三六六号)

 同(吉田はるみ君紹介)(第四〇〇号)

 同(小倉將信君紹介)(第四三五号)

 同(橋本岳君紹介)(第四三六号)

 同(鈴木隼人君紹介)(第四五六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

長坂委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省国土政策局長黒田昌義君、航空局長平岡成哲君、観光庁次長加藤進君、内閣官房内閣審議官門前浩司君、文部科学省大臣官房学習基盤審議官浅野敦行君、厚生労働省大臣官房審議官吉田易範君、資源エネルギー庁資源・燃料部長定光裕樹君及び防衛省大臣官房衛生監針田哲君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

長坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

長坂委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。保岡宏武君。

保岡委員 自由民主党の保岡宏武です。

 本日、地元を代表して質疑の機会をいただきましたこと、誠にありがとうございます。そして、本日、あかま筆頭理事始め、また小森委員始め多くの先生方の、同僚議員の御理解をいただきまして、この質疑に立たせていただいております。本当に感謝を申し上げたいというふうに思います。

 そして、父や祖父の思いもこもったこの法案に対して質問させていただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。(発言する者あり)ありがとうございます。

 それでは、質問に入ります。

 生まれ故郷に帰る、年老いた親に会いに行く、孫の顔を見せに行く、冠婚葬祭に参加する、人として基本的な交わりで、遠い離島であるがゆえに困難であるという状況は解消していかなければなりません。

 例えば、島に住む親の不幸があった際、急な帰省で安い運賃も利用できないので、子供連れで大阪から徳之島の飛行機を取ろうとすると、一家族、夫婦と子供二人で約四、五十万はかかります。親の不幸のときですら金銭的な理由で、おいそれと島に戻れないということが、多くの島民、島出身者にとってどれだけつらいことか、多くの憤りの声が聞かれます。

 現在、住民や、島外の学校に在学する子女など準住民が対象となる航空・航路運賃軽減事業が奄振の交付金事業、いわゆるソフト事業においてありますが、島出身者が冠婚葬祭や帰省する際、又は移住、定住の下見など、補助対象を拡充して交流人口の促進を図ることは本改正の趣旨にも合致すると思いますが、当局の見解をお聞かせください。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 奄美群島は、本土から遠く離れた外海にありまして、本土との往来にかかります航空運賃、今先生御指摘のとおり、かねてから課題となっております。住民と、その扶養に入っている本土の在住の学生を対象に、奄美群島と鹿児島本土間の航空運賃、これが通常の約半額となるように、現在、奄美群島振興交付金で支援をしてまいってきたところでございます。

 また、近年、奄美群島の高齢化率、これが全国及び鹿児島県全体の平均よりも高くなっているということから、今後、介護を目的とした帰省者が増えるというふうに見込まれております。地元からも、介護帰省者を運賃軽減の対象とするよう御要望をいただいているところでございます。

 このため、令和六年度の予算案につきましては、要介護認定などを受けている親族の介護のための帰省をする者を、同交付金による運賃軽減の対象に追加をすることとしております。

 委員御提案いただきました、冠婚葬祭などで奄美に帰省する方々についても、この御事情、離島ならではのことというふうに拝察をいたします。引き続き、自治体からの意見をしっかりと伺ってまいりたいというふうに考えております。

保岡委員 温かい御答弁、ありがとうございます。

 マイナンバーカードとSuicaなど交通系ICカードのデータをひもづけて、高齢者がICカードでバスの運賃を払う際に、年齢に基づいた、簡単に割引を適用できるような自治体の取組というものも今実施をされています。

 同じように、マイナンバーカードと、例えばJALカード、ANAカードをひもづけして割引ができれば、本籍が島内にある場合、年二回は準住民として割引が受けられるとか、簡便で、人的交流促進にも寄与する方法があるように思います。是非、様々な視点から、実現に向けて努力をしていただきたいというふうに思います。

 次に、教育、子育てに関する質問です。

 奄美群島に暮らす親御さんの大きな悩みの一つが、子供の部活やクラブ活動の遠征費です。奄美群島内の小中高校の県大会は、鹿児島本土での開催です。また、群島大会の際も、奄美大島以外の島の子供たちは大島まで遠征をしなければなりません。

 奄美の親の所得は多くはありません。その移動や移動費用、滞在費用の負担は奄美の保護者には重く、そのために様々な活動を諦める家庭もあります。現在も、県や各島内の自治体の負担で、それら遠征費の一部補助はありますが、引率者部分も含め、十分なものとは言えない状況です。奄美という特殊な条件下の離島において、少なくとも、子供たちの様々な教育の機会において格差があってはなりません。

 子供や引率者の遠征費用を助成する制度、教育の振興という交付金の枠の中での対応ができないか、できれば基金のようなものでもつくっていただければなおよいのでありますが、御見解をお示しください。お願いいたします。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御答弁させていただきましたが、奄美群島振興交付金を活用いたしまして、住民と、その扶養に入っている本土の在住の学生を対象にいたしまして、奄美群島と鹿児島本土間の航空運賃軽減を支援をしておりまして、今般、介護帰省者も支援対象とすることとしたいというふうに考えているところでございます。

 御指摘のございました、島外での出産、また部活動の遠征費につきまして、現在、御案内のございましたとおり、鹿児島県を始めまして地元自治体が、妊婦健診であるとか出産待機、鹿児島本土で行われる部活動の大会に参加するための交通費や宿泊費などを、それぞれの支援メニューで用意している、助成しているというふうに承知をしております。

 島外での出産、また部活動の遠征費、これにつきましての、やはり離島ならではの御事情というふうに拝察をいたします。引き続き、しっかりと地元の御意見を伺いながら対応してまいりたいというふうに考えています。

保岡委員 ありがとうございます。

 今御答弁にもございました、出産や産後のケアなどにも、是非お力添えを賜りたいと思います。

 例えば、与論島などでは産科がないもので、出産の際には沖縄や鹿児島本土に行かなければなりません。出産前の、飛行機に乗れる期間が一か月前までとなっておりますので、出産準備、産後ケアのために、沖縄、鹿児島本土に一か月以上滞在する方も多くいらっしゃいます。

 そんな妊産婦のために、沖縄や鹿児島本土で安価な滞在施設を準備して、島の出産、育児に寄り添った支援をしようと、与論島には、NPO法人あんまぁ〜ずなどの民間の支援団体も最近は立ち上がっております。是非、そのようなNPO法人などとも連携をしながら島での出産環境なども整えていただければ、大変ありがたく存じます。

 続いて、輸血用血液製剤の安定供給に対しての質問です。

 奄美では、委託を受けて血液備蓄を行っていた業者が撤退し、輸血用血液製剤の安定供給の懸念が、奄美、医師会を始め、地域で高まっています。血液備蓄所の新たな開設は、その開設費用、運用コストの面から、困難な点も十分に承知はしております。

 しかし、輸血用血液製剤の不足による事故があってはなりません。現在、病院間で融通し合うブラッドローテーションで対応している状況ではございますが、万が一の事故が発生しないよう万全の体制を取る必要があると考えますが、保存体制、各病院への供給体制など、このままでよいのか、改善策などはあるか、厚労省の見解をお示しください。

 あわせて、もう一つ、昨今、自衛隊における血液の備蓄が検討されているとも聞いております。安全保障上の意義から考えても、南西諸島、奄美の地域住民の安心、安全に自衛隊が寄与することは、住民と自衛隊の信頼を深め、ひいては国の安全保障にも資するものというふうに考えます。

 通常時の輸血用血液製剤の供給体制に加えて、災害時や大事故など緊急的に輸血用血液製剤が不足する事態への対応として、自衛隊の備蓄輸血用血液製剤の供給も、備蓄を始めるに当たって検討していただきたいというふうに思いますが、防衛省の見解も併せてお示しください。お願いいたします。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 血液製剤の安全性の向上や安定供給の確保については、血液法でも国の責務として定められており、厚生労働省では、血液製剤の確保等についての基本方針を定め、地方自治体や日本赤十字社等とも連携し、災害時などに必要な輸血用血液製剤を含む血液製剤の安定供給に努めております。

 日本赤十字社は、災害などの緊急時にも輸血用血液製剤などを供給いたしますが、離島などで供給不足が生じた場合には、厚生労働省としても、医療機関が他の医療機関とも輸血用血液製剤を融通できるよう、医療機関の連携を推進しているところでございます。

 これを踏まえ、現在、奄美大島では、日本赤十字社や鹿児島県内の医療機関と連携し、輸血用血液製剤を島内の医療機関に多めに配送し、使用していない製剤は他の医療機関で使用する、いわゆるブラッドローテーションの活用に向けた実証を行っております。さらに、その結果などを踏まえ、緊急時などの医療機関間の融通マニュアルの作成なども検討する予定でございます。

 また、今年の一月には、有効期間が十年と長い凍結赤血球製剤が承認されたところであり、今後は、こうした凍結赤血球製剤の活用も検討しております。

 引き続き、地方自治体や日本赤十字社などとも緊密に連携しながら、島民の皆様に安心していただけるよう、安定的な血液供給を図るため、体制の維持、構築に取り組んでまいりたい、このように考えております。

針田政府参考人 お答えいたします。

 負傷した隊員の命を救うためには、爆傷、銃創等による失血死を防ぐことが重要であり、血液製剤を受傷現場の近傍に確保することが大きな課題と考えております。

 このため、防衛省・自衛隊は、自律的に各種血液製剤を製造、備蓄する体制構築を目標としており、その一つとして、長期保存可能な凍結赤血球製剤を備蓄できるよう進めているところでございます。

 委員御指摘のとおり、凍結赤血球製剤の備蓄に当たりましては、災害時等での日本赤十字社による血液供給が困難な場合に、自衛隊で備蓄する血液製剤を活用することにつきましても、厚生労働省等を含めた関係機関と連携してまいりたいというふうに考えております。

保岡委員 ありがとうございました。

 最後の質問になります。

 今回の奄振法延長に際し盛り込まれた、沖縄との連携についての質問でございます。

 戦後、沖縄や奄美群島、小笠原は、GHQの直接統治が続き、当時の関係者の大変な思いから本土復帰が果たされました。

 奄美振興特別法は、そうした時代背景の中で、当初、本土と格差のある離島の復興、そして振興を目的としてスタートし、その後、交付金の導入で、ハード面でなく、ソフト面の支援もメニューに加えられました。それは、沖縄との均衡ある発展を一つの目的としていました。例えば、農産物について沖縄が運賃補助をすると、本土では奄美の農産物が割高になり、奄美には不利益条件となりかねない状況の是正などです。

 今日、奄美、沖縄の連携は、自然遺産登録による観光面においても、また、安全保障の面でも、その重要性は増しています。今回、奄振延長に新たに記された奄美と沖縄の連携をしっかりとしたものにし、奄美振興におけるハード事業、ソフト事業共に、沖縄との均衡ある発展を旨として政策展開をすることが、今後、極めて重要と考えております。

 沖縄御出身で、何度も奄美にも足を運んでいただいている國場副大臣、そして、昨年、奄美復帰七十周年に際し御来島いただき、島民の皆様と一緒に六調を踊っていただきました斉藤大臣、お二人に、今後の奄美の振興、輸送コストの問題、農業振興、台風災害時の備えなど、課題は多くございますが、とりわけ、沖縄との連携と均衡ある発展について、最後に、政治家としてのお考えや思いを是非お聞かせいただきたいというふうに思います。

 よろしくお願いいたします。

國場副大臣 本日は、私も黒田局長も、大島つむぎのネクタイを締めておりますので。

 昨年十二月二十五日、奄美の本土復帰七十周年、本当におめでとうございます。私は国頭村の出身でありますので、辺戸岬の方からは鹿児島県の与論島がはっきりと見えます。

 奄美、沖縄はいろいろな課題がありますけれども、それ以上に多くの可能性もあります。世界自然遺産に同時登録もされましたし、歴史、伝統、文化、さらには奄美の人の心の奥深さ、優しさ、私は、こういったものは、すばらしい生命力をもって、奄美の発展のみならず、沖縄と連携を深めていけば、多極多彩な国づくりにも貢献すると確信をしております。

 ですから、是非とも、奄美との沖縄の連携というものは、私も沖縄県出身の政治家として一生懸命に応援していきたいということをお約束を申し上げます。

 その課題の中でも、多くの首長の皆様方からも言われましたのは、何といっても輸送費の、航空運賃の、アクセスの問題でありました。

 そのため、今回の法改正においては、基本理念に沖縄との連携を追加するとともに、令和六年度予算案において、奄美群島振興交付金のメニューを拡充し、住民を対象とした沖縄と奄美群島間の航路・航空路運賃の軽減や、農林水産物等の沖縄向け移出を支援することとしており、これらを通じ、沖縄との更なる連携強化を図ってまいります。

 国内外から多くの観光客が訪れ、一大消費地となっている沖縄の活力を奄美群島にしっかりと取り込んでいくことができるよう、沖縄振興特別措置法に基づく施策も参考に、引き続き、奄美群島の振興開発に努めてまいります。

斉藤(鉄)国務大臣 私も、昨年十一月に奄美に行かせていただきました。そして、首長の皆様、また民間事業者の皆様とゆっくりお話をさせていただき、そのときに、地理的、歴史的に本当に近い沖縄との一体となった振興、これを是非お願いしたい、こういう強い御要望をいただきました。そして、今回の改正の中に、沖縄との連携、移住の促進ということを盛り込ませていただいたところでございます。

 これは、沖縄振興法とも、まさに精神を一にするものでございます。この沖縄振興法とともに、一体となった沖縄、奄美の振興に全力を挙げていきたいと思います。

保岡委員 ありがとうございました。質問を終わります。

長坂委員長 次に、日下正喜君。

日下委員 公明党の日下正喜でございます。

 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案について質問させていただきます。

 奄美、小笠原の振興については、公明党は長年にわたり、関係議員による現地調査を行い、地元自治体や住民の皆様との意見交換を通じて、節々で提言をまとめ、政府に要望してまいりました。昨年六月には離島振興ビジョン二〇二三をまとめ、七月十三日、斉藤鉄夫国土交通大臣に申入れを行ったところでございます。

 五年前も同様に国交大臣に申入れを行っておりますが、その後五年間で、奄美群島、小笠原諸島、それぞれ特措法に基づいてどのように取り組み、どのような成果があったのか、また、今後五年間に向けた課題は何か、まず総括的に斉藤国土交通大臣の御所見をお伺いします。

斉藤(鉄)国務大臣 この五年間の進歩ということでございます。

 五年前から一貫して行ってきましたのは、特別措置法の下での公共事業の補助率のかさ上げや、ソフト事業の支援などを行ってまいりました。

 その結果、道路、港湾や農業生産基盤などのインフラ整備、産業振興や自然環境の保全などに一定の成果を上げてきた、このように考えております。そして、奄美群島におきましては、前回、奄美法の延長を検討したときに課題となっていた、沖縄と併せた世界自然遺産への登録が、令和三年に実現したところでございます。

 しかしながら、両地域につきましては、本土から遠く離れた外海にあることなどから、今なお本土との間に経済面、生活面での格差が存在する、これが今日的な課題です。

 例えば、奄美群島におきましては、近年、島外からの移住者などの住まいの確保、移住の希望が非常に多いんだけれどもその住まいがないというような問題、また、人流、物流のハブとなる沖縄との連携強化などが課題となっております。

 また、小笠原諸島におきましても、日本復帰直後に整備した各種公共施設の老朽化や、住宅用地の不足に起因する住宅供給不足が喫緊の課題となっております。

 このため、奄美、小笠原の両特別措置法の期限の延長を行うとともに、必要な施策の充実を図ることによりまして、この五年間に新たに起こってきた、そういう課題に対して、しっかりこの改正法で対応していきたいというのが、今回の改正法提案の趣旨でございます。

日下委員 ありがとうございます。

 我が党の離島振興ビジョン二〇二三においては、奄美、小笠原に係る両法案の延長を求めるとともに、特に奄美に関しては沖縄との連携強化を強く要望してまいりました。その主張が実り、今回の奄振法の改正案において、基本理念の中に沖縄との連携強化が盛り込まれました。

 奄美群島においては、島民が生活圏域として沖縄県の医療機関や商業施設などを利用している実態があります。両地域間の人流、物流の活性化へ向け、さらに、航路・航空路での運賃軽減、農林水産物の輸送コスト支援、観光客の誘致などを進めるため、奄美群島振興交付金の活用を積極的に行うべきであると考えますが、具体的に、奄美と沖縄のどのような連携強化を期待し、国としてどのような支援を推進されるのか、国土交通省の御見解をお聞きします。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 奄美群島と沖縄は、地理的、歴史的につながりの深い地域でございます。両地域の連携に当たりましては、生活圏域として一体性のある沖縄との人の往来を促進するとともに、一大消費地でもございます沖縄に向けた農林水産物等の移出、これを増加させていくことが大事なことだというふうに考えております。

 このため、国土交通省といたしましては、令和六年度予算案におきまして、奄美群島振興交付金につきまして、住民を対象とした沖縄と奄美群島間の航路・航空路運賃や、沖縄に向けた農林水産物等の輸送コストの軽減、また、奄美、沖縄周遊観光の促進のための支援メニュー、これを盛り込んでいるところでございます。

 こうした支援策も活用いただきながら、奄美群島と沖縄との人流、物流の活性化が図られることによりまして、奄美群島の更なる発展が期待できるというふうに考えているところでございます。

日下委員 今回の特措法改正に当たって、両法案とも移住の促進が盛り込まれ、それぞれ、空き家改修等による住宅整備や住宅用地確保の推進を目指すとされています。

 また、近年、若い方々が自然豊かな離島への移住を志すことは大変好ましい傾向ですが、移住者が増えても島全体の人口は減少しています。移住してこられた御家族においても、成長したお子さんが高い教育環境を求めて島を出ることも少なくないと思います。

 これほど情報通信が発達した時代です。今回の法案にも、配慮規定として、遠隔教育、先端的な情報通信技術の活用がうたわれておりますが、まずは、ICT教育を指導できる支援員を派遣するなど、島にいても高度な教育が受けられるような基盤づくりが求められると思います。

 また、全国トップレベルの子育て支援を誇る大分県豊後高田市では、無償の市営塾、学びの二十一世紀塾を行っておりますが、こうした離島についても、それぞれの学習レベルに合わせた補習学習支援を行う場を公設で設置するなど、学力向上に向けた取組を行ってはどうかと思いますが、文部科学省の御所見をお聞かせください。

浅野政府参考人 お答えいたします。

 地理的条件によらず質の高い学びを実現できる環境の整備は、重要な政策課題と認識しております。特に、GIGAスクール構想で整備された一人一台端末の十全な活用にはICT支援体制の充実が必要ですが、現状では自治体間での大きな差が出ております。

 このため、文部科学省といたしましては、御指摘のICT支援員の配置拡充に資する地方財政措置の継続はもとより、支援人材の養成研修への補助や遠隔支援の充実、国費でのアドバイザー派遣等の施策を総合的に講じてまいります。

 また、御紹介のありました豊後高田市のように、地域の方々の参画を得て、放課後等に学習の機会等を提供する取組も意義があるものでございますので、文部科学省としても、そうした取組に対して、予算事業を通じて支援を行ってまいりました。

 引き続き、地域の実情に応じた取組が実施できるよう、好事例の周知やコーディネート人材の配置促進等を進め、地域全体で子供たちの学びを支える活動の充実を図ってまいります。

日下委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。

 島の魅力を知ってもらうには、物流と人の交流が重要な鍵を握っています。奄美群島について言えば、奄美群島と沖縄は元来、産業や医療分野を始め関係が強く、二一年に奄美大島が徳之島、沖縄島北部などとともに世界自然遺産に登録され、観光での連携にも期待が高まっています。こうした物流や人の往来を更に発展させるためには、まずは観光客や関係人口を増やすことが大事であると思います。

 例えば、一部民間での取組もありますが、本法律改正を機に、例えば東京で奄美の特産品や文化を伝えるキャンペーンを行うなど、本土からの観光客を増やす、こうしたイベントに対する政府としての支援を強化してはどうかと考えますが、国土交通省の所見をお聞きします。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 奄美群島への本土からの観光客を増やすため、これまでも奄美群島振興交付金によりまして、首都圏等で開催されるイベントにおいて、観光関係者への情報発信や、航空事業者と連携した観光プロモーションについても支援を行ってきたところでございます。

 また、令和六年度予算案におきましては、地元自治体と民間事業者が連携した観光消費を促進するための取組に対しまして、同交付金の交付率をかさ上げをして支援することを考えておりまして、委員御紹介のございました、東京で奄美群島の特産品や文化を伝えるキャンペーン、こうしたものにも活用できるというふうに考えております。

 さらに、観光庁におきましては、奄美群島の魅力の向上に向けまして、大島つむぎの泥染め体験や、奄美群島のみで製造が認められている黒糖焼酎の酒蔵見学ということの特別な体験ツアーの造成についても支援を行ってきたところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、これらのイベントを始めとする奄美群島への誘客促進に向けた取組につきまして、地元自治体の要望を踏まえまして、連携して支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

日下委員 ありがとうございます。

 小笠原諸島については、東京から南へ約千キロ離れた太平洋上の隔離した外海に位置しており、豊かな自然環境に恵まれ、世界的に見ても特異な生態系を有する重要な地域であり、他の地域にない魅力と価値を有しています。奄美群島同様に、インバウンドを始め観光集客を増やすためにも、島民の悲願である航空路の開設が不可欠であると思います。

 現在、東京都と小笠原村において協議会による検討がなされておりますが、小笠原における航空路の開設に向けた現在の検討状況並びに今後の見通しについて、国土交通省より御説明ください。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 現在、飛行場の建設予定地につきましては、東京都におきまして、父島の洲崎地区に絞り込んで検討を進めております。今年度は、東京都が、候補となり得る航空機の性能や飛行場の配置等に関する調査を実施しているところでございます。

 他方、候補となります航空機、これはいずれも現在開発中のものでございまして、東京都におきましては、今後、開発の進捗状況を踏まえまして、飛行場の詳細な施設案の検討を進めるというふうに伺っております。

 また、東京都と小笠原村が設置をしております小笠原航空路協議会におきまして、各種の調査の進捗状況や航空機の開発状況につきましても、関係機関で情報共有を図っているというところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、東京都と情報共有を図りながら、技術的な見地からしっかりと必要な助言を行ってまいりたいというふうに考えております。

日下委員 一つ質問を飛ばしまして、最後の質問を先にさせてもらいたいと思います。

 奄美群島、小笠原諸島ともに、我が国本土から遠く離れた島々でありますが、昨今の我が国海域を取り巻く不安定な環境を考えると、それぞれに、国土保全、国土防衛の基盤的要素の点で、重要な役割を担っている島々でもあります。

 その意味からも、これらの島々を守り、発展させていくことは、国政においても重要な課題であると考えますが、最後に、奄美群島、小笠原諸島の振興、発展に向けた斉藤国土交通大臣の御決意をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 これまで議論にありましたように、奄美群島及び小笠原諸島、いずれも格差がございます。これまでの特別措置法の基本的精神は、その格差をどう埋めていくかということでございました。今回の措置も、まさにそれが基礎になっていることは確かですが、今回新たに、我が国の領域の保全や海洋資源の利用、自然、文化の保全などの観点からも、両地域の振興開発を図り、地域の自立的発展、生活環境整備、移住、定住を促進することが不可欠だ、このように考えておりまして、こういう観点からの改正点ということも今回の大きな特徴でございます。

 私自身、奄美群島へ行きました。また、小笠原村の村長、村議会議長ともお会いをし、しっかりお話をさせていただきました。格差是正とともに、先ほど申し上げたような観点からの発展を促進するために、国土交通省も全力を挙げていきたいと決意しております。

日下委員 大変ありがとうございます。

 日本にとっても大変重要な地域であると思いますので、どうぞこれからもしっかり支援を進めていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

長坂委員長 次に、野間健君。

野間委員 立憲民主党の野間健と申します。

 先ほど質問に立たれた保岡宏武議員と同様に、鹿児島県選出の議員の一人として、今日は奄振法の延長改正について質疑をさせていただきたいと思います。質問の時間をいただきましたことに心から感謝を申し上げます。

 まず、この奄振法の期間がずっと、昭和二十九年から、今年で七十一年になりますけれども、五年、五年でずっと区切られてきております。これは、非常に変化の早い時代でもありますので、それはそれでうなずけるんですけれども、地元の首長さんたちや様々な地域の方のお話を聞くと、これは、沖縄の振興特別措置法が十年という期間で行われています。奄美においても、確かに、五年、五年というのも分かるんだけれども、十年という単位でどっしり落ち着いて、自分たちも様々な地域振興に取り組んでいきたいという思いがあります。

 と申しますのも、昨年、奄美群島の、十二の市と町がありますけれども、この市町の皆さんが一堂に会して、今後十年間の、二〇三三年までの計画を作りました。奄美諸島成長戦略ビジョン二〇三三ということで、様々な群島内の人的、自然的資源を生かして、いい方向に持っていこうという思いを結集させたものがあります。これが十年という単位になっていますので、政府も、これは今すぐできることではないと思うんですけれども、長期的なビジョンを与えていただくことによって、腰を落ち着けて地域の課題を解決することができるんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 奄美群島振興開発特別措置法と小笠原諸島振興開発特別措置法は、それぞれ限られた特定の地域を対象としております。委員御案内のございましたとおり、短期間で経済状況が変化することが想定をされているところでございます。

 そうした変化を的確に受け止めて、その都度機動的に法を見直していくことが適切でありますから、両特別措置法におきましては、延長する期間、これを五年間でお願いをしているところでございます。

 今般の改正に当たりましても、例えば、令和三年に奄美大島及び徳之島が沖縄と一緒に世界自然遺産に登録されたことを踏まえまして、奄美法の基本理念に沖縄との連携を追加して、所要の改正の措置をお願いをしているところでございます。

 いずれにしましても、今後も自治体の意見をしっかりと受け止めながら対応していきたいというふうに考えております。

野間委員 是非、群島の市長さん、町長さん始め、地域の皆さんの意見をよく聞いていただいて、少し中長期的な展望を開いていただければと思います。

 次に、この法案の中身に入っていきたいと思うんですが、先ほどから、今回は沖縄との連携強化ということがうたわれたことが非常に大きな改正点だと思われます。ということで、沖縄とのやはり対比、様々な条件の対比ということが、よく奄美群島では行われるわけであります。

 その中で、第六条の中で、様々な助成措置の補助率のかさ上げという問題があります。とりわけ、これは沖縄も同一だと思うんですが、離島ですので非常に塩害が多いです。そして公共住宅に入りたいという方が物すごく多いんですね。ところが、今、奄美群島の公営住宅、七割がもう築三十年を超えて、非常に老朽化をして、早く建て替えなきゃいけない、更新してほしいという声が強いわけでありますけれども、公営住宅の整備が、補助という対象に奄美の場合はなっていない。沖縄は、七五%の補助という非常に高い率が出ているわけであります。これを見ますと、もちろん沖縄並みにしてくれということは言ってはいませんけれども、同じような条件のところで、もうちょっと公営住宅に対する補助率を上げてもらえないだろうか。

 こう言ったらなんですけれども、奄美群島の一人当たりの所得、これは、日本全体、国全体を一〇〇としたら七二・二です。沖縄県が七二・八です。鹿児島県の本土が八〇・九%。非常に所得が低いというのが現実の問題であります。そして、生活保護率、これは令和三年のデータですけれども、四四・四ポイントとなっています。これは、全国平均は一六・二ですね。沖縄でも二六・六。沖縄の一・八倍ぐらい生活保護率が高いわけであります。

 ということもあって、どうしてもやはり公営住宅に入りたいという方が多いです。しかし、そういった補助率の現状がありますので、これは何とか、この別表の中に入れていただいて、国の補助を高めてもらえないだろうかという声が非常に多いわけですけれども、どうでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 奄美群島におきましては、奄美法に基づきまして、道路や港湾を含みます公共事業につきまして、内地に比べまして高い補助率を設定し、社会資本整備を着実に進めてきたところでございます。

 一方、奄美群島の抱える課題には依然として厳しいものがございまして、今後も、社会資本整備、産業振興をしっかり進めていくこと、これが重要であると認識をしております。

 委員御案内ございました補助率の更なるかさ上げの対象となる事業の追加、これも非常に重要なことであると認識しておりますけれども、一方で、予算が非常に限られている中で、例えば、無電柱化などの防災対策、また、農業基盤整備の必要な事業、こうしたことも優先的に行わなければいけないという御事情も、地元の方からも聞いております。

 引き続きまして、しっかりと予算の確保にも努めながら、また、自治体の御要望をしっかりと受け止めていきたいなというふうに考えております。

野間委員 是非、この実情をよく把握していただいて、いい方向に持っていっていただければと思います。

 そしてもう一つ、これも奄美群島に特徴的なことなんですけれども、これは、沖縄振興特別措置法、令和四年に改正がされた際に、子供の貧困対策ということが新たにつけ加えられました。これはもう、奄美群島においても同様な現象が、数字的にいいますと、もっと悪い形で起きております。

 先ほども申し上げましたけれども、生活保護率が非常に高いということ、そして、離婚率が、奄美群島の場合は二・五四、全国平均が一・七でありますので、全国平均の二倍以上、三倍近い離婚率があります。したがって、一人親家庭が多いです。それはやはり子供の貧困にもつながっているわけであります。

 地元では、子供食堂とか、いろいろなボランティアで、NPOとかいろいろな方々がこういったものの解消に頑張ってはいるんですけれども、やはり、この奄振法の中でも、沖縄の振興法と同様の、これは沖縄の場合も、子供の貧困対策には努力義務規定ということになっていますけれども、是非この規定を奄振法の中にも入れていただきたい、強い要望があります。いかがでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 奄美群島におきましては、委員御紹介のございましたとおり、様々な指標が県本土よりも高くなっているという事情がございます。

 このため、現在、鹿児島県は、奄美群島におきまして、子供食堂の立ち上げ支援であるとか出張子供食堂の開催であるとか、また、子供に対する学習、修学支援、こうしたものに取り組んでいるというふうに伺っております。

 国土交通省といたしましても、今回の法改正におきまして、配慮規定に児童福祉の充実ということを追加をいたします。また、令和六年度の予算案におきましても、教育の振興というのを奄美群島振興交付金の支援メニューに追加をいたしまして、委員御紹介ございましたような、子供の貧困、第三の居場所づくり、こうした学習環境の支援というのがしっかりと行えることとなっております。

 これらの取組を通じまして、奄美群島における様々な生活環境の整備にしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。

野間委員 今回、そういった形で様々な配慮ができる規定が入っているということで、是非、様々な困難にある子供たちを助けていただきたいと思います。

 続いて、これは有人国境離島法にある規定なんですけれども、奄美群島も、他のいわゆる離島、島々と同様に、本土と比べて物価が高い、距離的な問題があるということで、様々な物資の費用の負担軽減に関する、有人国境離島の場合ですと、費用の負担の軽減については適切な配慮をするものとするという配慮規定が入っているんですけれども、奄美についてもこれは入れてもらえないだろうかという声がありますけれども、いかがでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 現行の奄美法の第二十三条におきまして、人の往来であるとか物資の輸送などに要する費用の低廉化につきましては特別の配慮をするものというふうにされております。これまでも、奄美群島振興交付金におきまして、奄美群島から鹿児島県本土に向けた農林水産物や黒糖焼酎などの戦略産品を移出する際の輸送コストの軽減、これを実施しているところでございます。

 今回、令和六年度の予算案におきまして、奄美群島から沖縄向けの農林水産物等の移出につきましても、輸送コストの支援を実施するということとしておりまして、引き続き、地元のニーズを踏まえまして、奄美群島における物資の輸送に関する費用の軽減、これはしっかりと行っていきたいというふうに考えております。

野間委員 そして、もう一つ、これは固定資産税の問題なんですけれども、工場ですとか旅館などを営む方が施設や設備を新設、増設したときに、この設備に固定資産税を課さないという優遇措置が取られていますけれども、これについて、自治体がその分減収になるわけですけれども、それは今国が補填をしていただいているわけですが、設備を、新増設だけでなくて、改修をする、少し変える、こういったときにも、課税の免除の、補填を是非やってほしいということの要望が出ていたと思うんですが、これには何らかの対処をされていると思うんですけれども、教えていただきたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 奄美法に基づきます固定資産税の減免に係ります減収補填措置、これにつきましては、今年度末で期限を迎えることとなりましたが、奄美群島の市町村につきましては全域過疎地域に指定されております。過疎法に基づきまして、同様の減収補填措置を受けることが可能となっているところでございます。

 今般、過疎法に基づきます減収補填措置につきましても、今年度末に期限を迎えるということでございましたけれども、関係省庁と調整をした結果、三年間の延長が認められたところでございます。また、御指摘の施設の改修、これにつきましても、延長された過疎法に基づく減収補填の中で支援ができるというふうになっております。

 今回のこの延長によりまして、奄美群島の市町村、減収補填措置の対象が拡充されるということになってまいりますので、改修を含めた減収補填措置がしっかりと活用されるように、その周知徹底、これをしっかり図ってまいりたいというふうに考えています。

野間委員 そういった対処がされたということで、本当にありがとうございました。

 実は、私ども立憲民主党は、以前から離島対策のプロジェクトチームというのをつくっているんですが、昨年から、離島対策という言葉をやめました。

 離島というのは、離島の方に言われるんですよ。私たちが本土ですよ、あなたたちが離島じゃないですか。確かにそうなんですね。上から目線じゃないですか、何で離島ですか、こう言われます。ですから、ああ、確かにそうだな。私たちは、このプロジェクトチームの名前を変えました。島々政策プロジェクトチーム、島々なんですね。ですから、どっちが離島でどっちが本土か、こういう上下関係は、目線はよくないということで、私たちは島々ということを、今、訴えさせていただきます。ただ、法律の名前が離島が入るので、言わざるを得ないところなんですが、そういったことの御理解をいただきたいと思います。

 もう一つ、これは奄美群島の本土復帰、米軍から、昭和二十一年の二月に占領下に置かれ、五二年、昭和二十七年に本土に復帰したんですけれども、ここで一つ取り残されている問題がございます。それは、鹿児島本土から奄美群島にかけて、中間にトカラ列島という、十島村とか三島村、幾つかの諸島、現在どうでしょう、七百名ぐらいしか人口はないんですけれども、そこに住む方々がいて、トカラ列島であります。ここも昭和、終戦後、米軍の占領に置かれ、一九五一年、奄美の本土復帰の前年に本土に復帰した方々、島々があるわけであります。

 彼らからすると、自分たちは奄振の対象には当然なっていないわけですね。様々な有人離島、離島振興法等を使えばということで、もちろんそれを適用を受けながらやっているんですけれども、自分たちは、一時は、奄美、大島支庁の管轄下、行政圏にも入って、同じ仲間として、米軍の占領を受けながら、本土復帰運動も一緒にやってきた人たちであります。ですから、彼らが今でも、なぜ自分たちは奄振の対象にならないんだろうか、いろいろ経緯は分かるんだけれども、非常に素朴な疑問として、今でもこれは望んでいるし、何とかならないんだろうかということをよく聞かれます。いかがでしょうか、大臣。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 トカラ列島の十島村につきましては、戦前、現在の三島村と同一の村を形成をされておりましたけれども、委員御指摘のとおり、戦後、奄美群島と同様に、米軍政府の統治下に置かれたことがありました。その後、十島村につきましては、昭和二十七年に日本本土に復帰をいたしまして、三島村とともに、その翌年に制定をされました離島振興法の対象として振興が図られている、これが今日に至っているということでございます。

 他方、奄美群島につきましては、十島村よりも一年遅い昭和二十八年に日本本土に復帰をしております。その翌年に制定されました、今回御審議をいただいております奄美振興法の対象として開発振興が図られるという事情でございます。

 このように、十島村、奄美群島、歴史的な背景が少し異なった事情がございます。そうしたことから、奄美法の制定時から、この法律の対象範囲というのが、奄美群島、すなわち、現在の鹿児島県奄美市と大島郡の区域というのに限定されているという事情でございます。

野間委員 確かにそのとおりではあるんですけれども、彼らのそういう思い、これはやはり酌み取っていただかなきゃいけないと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 三島村、十島村については、離島振興法に基づき、公共事業の補助率のかさ上げや、離島活性化交付金などによる支援措置を講じております。

 また、有人国境離島法の特定有人国境離島地域にも指定されており、内閣府において、住民向けの航路運賃の支援がなされるなど、関係省庁とも連携して、両村の離島振興に取り組んでいるところでございます。

 他方で、三島村、十島村は共に、複数の島に分散して住民が居住し、島と本土を結ぶ航路が毎日運航されておらず、村役場が鹿児島市内にあるなど、他の離島市町村と比べても特に厳しい環境にある、このように認識をしております。

 このような認識の下、両村の今後の振興策について、国土交通省と鹿児島県が両村と直接意見交換する場を、今年度、新たに設けたところでございます。

 鹿児島県とも連携しながら、先ほど野間委員おっしゃったような特別な事情があるということも踏まえまして、両村の置かれた特に厳しい環境に寄り添って離島振興に取り組んでまいりたいと思います。

野間委員 是非、直接そういう形で対話をしていただけるということ、よろしくお願いしたいと思います。

 十島村は、これは大臣も御存じかと思いますけれども、十数年前、島から、島民が五百人ぐらいになってしまって、このままではもう消滅してしまうということで一生懸命子育て支援等をやりまして、今これが七百名に、島外、東京とかいろんなところから若い人たちが移住してくる、そういう島になっていますので、是非、奄美群島共々、更にいろんな形で支援の手を差し伸べていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 次に、これは奄美、小笠原も含めて、いわゆる離島、我々は島々でありますけれども、政策についてちょっとお伺いをしたいと思うんです。

 これは私どももいろいろ調べていきますと、もう御承知のとおりですけれども、外国、例えば、フランスにせよイギリスにせよ、例えばフランスのコルシカ島、これなんかは、フランスの本土と一体、連続しているんだということで、国土の連続性ということで、航路についても国道のような扱いをして、海の国道だということを言って、大変ないろんな優遇措置といいますか、格差を是正するための措置を取っております。また、税制面においても、いわゆる我々が言うような消費税、これを本土よりも半分にしたり、様々な、また、法人の投資に対しての減税をするとか。

 これは、フランスのみならず、例えばアメリカですと、バージン諸島とかグアム、こういったところは、法人税、所得税、固定資産税等が減免、低く、零%というものもありますけれども、そういった、とにかく島が、少しでも本土との様々な条件を、格差を縮小するための政策を打っています。

 また、イギリス王室属領、マン島とかジャージー島というのがありますけれども、こういったところも、これはちょっとタックスヘイブンのような形で利用されている面もありますけれども、所得税、法人税などの減免措置も行われているということであります。

 スペインでも、カナリア諸島、これは法人税の減免が行われている。韓国の済州島も法人税や所得税が減免されている。

 こういう、世界中を見ますと、やはり島々に対して本当にいろいろな形の優遇措置や条件を緩和するということがなされているわけですけれども、我が国でももちろん離島振興法を始めいろいろ行われているんですが、これが本当に、本土との格差の是正や、あるいは人口減少とか過疎化、これに有効な手段になっているのか、それは効果が上がっているのか、そこについてはいかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 離島は、我が国の領域や排他的経済水域の保全、それから自然、文化の継承など様々な役割を担っている一方、人口減少、高齢化が急速に進み、医療、介護、教育、交通など様々な分野で課題を抱えているもの、このように認識しております。

 このような中で、一昨年に改正、延長いただいた離島振興法の下で、住民生活を支える取組の更なる推進はもとより、定住促進住宅の整備を始めとする離島への移住、定住に向けた環境整備、交流促進のためのソフト事業や施設整備を通じた島外の人々を巻き込んだ関係人口の拡大などにもしっかりと取り組むとともに、離島における遠隔医療などのデジタル技術やドローン輸送などの新技術の実装に向けて、スマートアイランドの取組を一層推進していくこととしております。

 今、野間委員御指摘の諸外国の施策につきましては、我々もよく承知しておりますが、それぞれの地域の地理的、歴史的背景に起因する特殊な事情から設けられているものも多い、このように考えております。国から独立しないようにとか、いろいろな歴史的事情があるようでございますが、我が国の離島の置かれた状況をよく認識しながら、引き続き、先ほど申し上げましたような施策を充実させて、離島振興に全力で取り組んでまいりたいと思っております。

野間委員 そうした様々な政策、今までやってきたこと、分かるわけですけれども、残念ながら、今までどおりのいわゆる離島振興策を続けていくことで本当にそういったものが解消されるんだろうか、なかなかこれはそう簡単ではないなというふうに思っております。

 これは、鹿児島県も本当に離島の多いところですので、どこに行っても、子供たちもなかなか本土に出れば帰ってこないし、一体どうなるんだろうかと、思いを強くするわけであります。これはどこの離島、島々でもそうだと思うんですが。

 それで、私ども、やはり少し思い切った手を打たないと本当に離島振興にならないだろうということで、日本中の離島全て消費税はゼロにするということをやったらどうかと思うわけですけれども、これは離島振興法の中で可能でしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 消費税につきましては、財務省の所管でございますので、私どもの方からコメントすることは差し控えさせていただきますけれども、いろいろな支援措置、現行の離島振興法の中でも、予算措置、また、先ほど御紹介しました減税の措置、こうしたものも取られておりますので、しっかりそうしたことを組み合わせながら、日本全体、有人の離島というのは二百五十ございますので、そうした一つ一つの離島の状況を踏まえてしっかりと対応していきたいというふうに考えております。

野間委員 離島振興法の第十九条に、「離島振興対策実施地域の振興に必要な税制上の措置その他の措置を講ずるものとする。」こうあるんですけれども、これは消費税等についても読み込めるということになるでしょうか。ちょっと所管外ということかもしれませんけれども。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 税制上の措置としては、離島につきましては、現行で、地方税の不均一課税の措置が取られておりますので、そうした措置が今現行では取られているということでございます。

野間委員 もちろん、これはお答えにくいことかと思うんですけれども、私どもで試算をしてみると、もし全部我が国の離島の消費税をゼロにしたとき、幾らぐらい国が減収になるんだろうか。七百十七億円という数字があります。まあ、そんなに大きな数字ではないなというふうに思われるかと思います。五%に減税しても三百三十八億ということで、こういうことで、ああ、あそこの島に行けば消費税がないんだということであれば、これは行く方も出るんじゃないかと思いますので、私どもはこういったことまで考えて離島政策のプロジェクトとしているわけであります。

 もうちょっと奄美の問題に戻っていきたいと思うんですけれども、沖縄との連携強化ということで今回うたわれているわけですけれども、先ほど申し上げましたように、様々な沖縄との交流が、これは歴史的にも古くからありますし、深いものがあります。沖縄で奄美から行って働いている方も多いですし、沖縄から来られている方も多いです。

 ただ、先ほどからの話なんですが、この両地域のいろいろな、ある意味交易条件が違う場合に、どちらかがやはりいろいろなビジネス上でも不利になるということで、それで先ほどの公共事業等についての補助率のかさ上げの問題等があるわけですけれども、連携強化ということで、どうなんでしょうね、大きく見て、両地域をある意味で平等化するといいますか、均一化させていく、様々な意味で。こういう大きなビジョンについてはどこまで連携強化という意味を考えておられるんでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 奄美群島と沖縄、これにつきましては、先ほども議論がございましたけれども、これまでも、地理的、歴史的なつながり、これが非常に深い地域でございます。そうしたことが今回、世界自然遺産の登録ということを契機にいたしまして、生活圏域また観光圏域としても一体性が更に深まっているという事情がございます。

 実際、人の流れ、また物の流れを見ていきますと、奄美群島と沖縄との関係、これは本土と鹿児島県と比べても非常に深くなっております。また、物流につきましても、沖縄がいろいろな移出拠点となっているということもございまして、奄美群島から非常に多くの物資が移出をされているということでございます。

 そうした経済的、社会的な一体性というのがかなり深まっているという事情がございますので、今回の法律の目的の中にも沖縄との連携ということを入れさせていただきまして、また、予算案の中でも、交付金の中で、住民を対象としました奄美と沖縄の航路・航空路運賃の軽減などなどの支援メニューを盛り込ませていただいているところでございます。

野間委員 沖縄に米軍基地の七割が集中しているという現実があります。そして、今、南西諸島自体が、好むと好まざるとにかかわらず、やはり防衛の最前線になっているということで、奄美においても自衛隊基地が新設、増設、ずっとされているわけですけれども、そういった意味で、奄美にも防衛上の負担、そして、世界自然遺産ということもあって、そういった文化やまた自然を守っていかなきゃいけない。よく言われるのは、そういった国民的な役割、ある意味人類的な役割、それと、そういう防衛という国家的な役割、この二つを担っているのが奄美群島であります。

 そういった意味で、確かに、沖縄との様々な、先ほどの補助率の問題等の格差はあるんですけれども、できれば、そういう意味では、非常に条件が近づいてきているといいますか、沖縄と同様なことをせざるを得ない国家的な役割がだんだんだんだん担わされるように今なってきていると思うんですね。

 その辺の、奄美群島に住む皆様の気持ち、思い、全て、防衛等についてももろ手を挙げて賛成しているというわけではありません。ただ、やはり地域の過疎化とか、様々な問題を考えると、やむを得ないなという思いの中で受入れをしてやっているわけでありますので、その辺の、奄美群島に住む皆さんの思いをしっかりと酌んでいただいて、また次の改正の時期もめぐってまいりますので、なるべく沖縄並みの様々な優遇をしていただきたいと思っているんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 私も、昨年十一月に奄美に行きまして、いろいろな方からお話を伺ったときに、沖縄との一体的な発展を願うという声をたくさん聞きました。

 直接的には、漁協の方とお話をしたときに、沖縄には新鮮な魚を全国に配送する設備があるけれども、奄美にはない、できるだけ早く、奄美で取れた魚を沖縄に持っていって、そこから全国、また世界に発信したい、その連携をしっかり取りたいというお話。

 それから、観光関係の方からは、世界遺産に同時になったんだけれども、例えば、本土から、また世界からの交通機関を考えると、島としては同じぐらいの大きさなのに、沖縄と奄美を比べると、非常に、入ってくる航空機も少ないし、船も少ないし、交通的にも大変まだ格差がある。そういうことも、沖縄と一体となった交通網の整備等をやってほしい。

 それから、先ほど、最初に質問のございました、いろいろな公共インフラへの補助、その補助率も違う、こういう話もあったところでございます。

 こういう話をお聞きしまして、本当に、今回新たに法律に理念として加えました、沖縄との一体となった開発、また発展、これをしっかりやっていかなきゃいけないなということで、今回いろいろな形で施策を盛り込ませていただいたところでございます。この沖縄との関係はしっかりやっていきたいと思います。

 そして、防衛的な観点も、今、野間委員からお話がございました。

 今回、私が行ったときには、その話は地域の方から出ませんでしたけれども、今後の、南西諸島の置かれた立場もしっかり我々は頭に入れながら、施策を考えていかなければならないと思っております。

野間委員 是非よろしくお願いします。

 ちょっと、最後に二点。

 今もお話に出ました、沖縄も同様ですけれども、この奄美群島、小笠原もそうですが、台風の常襲地帯であります。必ず、台風が来るといえば、奄美、沖縄から鹿児島本土に上陸するという形になっております。

 台風の常襲地帯なんですが、とりわけ、条文でいいますと二十四条に、農林水産業のことが、振興のことが書いてありますけれども、農業に対する台風の被害というのが、御承知のとおり、かなり毎年出るわけであります。これに対して、やはり、台風の常襲地帯に位置する奄美群島の特性に即した農林水産業を守っていくこと、こういったことについても、是非、生産基盤の強化、あるいは鮮度の維持等、こういった必要なものを是非盛り込んでほしいという声が出ていますけれども、いかがでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、奄美群島は台風の常襲地帯でございます。台風などの被害に強い農業基盤の整備、これが非常に重要なことだというふうに認識をしております。

 このため、国土交通省といたしましては、これまで、奄美群島振興交付金におきまして、台風に強い平張りハウスの整備などに対する支援を実施をしてきたところでございます。

 また、今回の法改正では、防災対策の推進についての配慮規定、これを充実をさせまして、災害時に地域経済の円滑な運営が著しく阻害されることを防止するという規定を現行の奄美法三十一条に盛り込ませる案をお願いをしているところでございます。

 具体的には、昨年の台風六号のように、物流が長期間停滞し、出荷時期を迎えていたマンゴーなどの移出ができなかったという事態を伺っております。こうした事態を防ぐために、六年度の予算案におきまして、マンゴー等の農林水産物を保管することができる備蓄倉庫の整備に関する支援、これも行えるということとしている案を検討しているところでございます。

 引き続き、奄美群島におきます台風に強い農業基盤整備について、しっかりと進めてまいりたいというふうに考えております。

野間委員 今のこととも関連するわけでありますけれども、台風の際の防災対策、とりわけ台風時の物資の確保、今もお話がありましたように、船舶がしょっちゅう欠航しますね、台風になりますと。これで物資が、物が入ってこないということで、食料を含め、油も含めて、生活が止まってしまうような状況があります。

 これも、この三十一条の中に防災対策の推進という項目がありますけれども、この中に台風のことが入っていないんですが、是非、台風時の物資の確保ということも盛り込んでいただければ、これらの課題に対処することが可能となりますけれども、いかがでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御答弁申し上げましたけれども、奄美群島は台風の常襲地帯であるということで、災害に備えた生活関連物資の備蓄、これが非常に重要であるというふうに認識をしております。

 昨年、鹿児島県におきまして、奄美群島の小売店舗などに対しまして、台風時の品物不足の状況、また、今後の対策に対する調査、これを行っております。その中で、備蓄のための追加のコンテナ整備の必要性、また、非常用発電機の導入についての御意見があったというふうに伺っております。

 現在、この調査結果を踏まえて、地元自治体において必要な対策の検討が進められているというふうに承知をしております。

 国土交通省といたしましても、これまで、奄美群島振興交付金によりまして、避難所の新設、改修であるとか備蓄品の充実、こうした支援を実施をしてきておりますけれども、先ほどの調査結果を踏まえまして、地元としっかり連携をしてまいりたいというふうに考えております。

野間委員 ありがとうございました。

 奄美群島の振興、発展は、これは党派と関係ない問題であります。超党派で共に手を組んで進むように頑張っていきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

長坂委員長 次に、古川元久君。

古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。

 我々、今回の法案には賛成の立場でありますけれども、今日は、我が国において、こうした、我が国は島国で、多くの島があります。島が国境になっている、そういう島々は、我が国の領土保全という観点から極めて重要である、そうした考え方に立って、少し大臣と議論を交わさせていただきたいと思います。

 今、日本は本格的な人口減少時代に突入しておりますけれども、多くの島の人口も、減少しているところがほとんどであります。よく沖縄県は人口が増えているというふうに言われていますが、人口が増えているのは沖縄本島とか宮古とか石垣とか大きな島ぐらいで、ほかの多くの島では人口が減って、中には、住む人がいなくなってしまって、無人島になった島が増えているというふうにも言われています。

 こうした無人島になった島が国境の島である場合には、やはり国土を守るという観点からは、極めてゆゆしき問題が起きる危険性が高まるんじゃないかと思うんですね。なぜなら、知らないうちに外国人が上陸してきて、そして島を占拠してしまう、そういう可能性も無人島になるとやはりリスクは高くなりますし、また、そこまでいかなくても、要は、無人島だと、隣の国がその領有権を、ここは俺のところの島だなんということを主張しかねない、今の尖閣のような。そういうこともあり得るわけであります。

 尖閣諸島も、以前はかつおぶし工場があって、人が住んでいた。ちゃんとそのまま日本人が住み続けていたら、今、中国が領有権を主張するような状況というのは生まれなかったんじゃないかなというふうに思います。

 こうしたことを考えると、領土保全の観点から、国境の島になります奄美群島や小笠原諸島のような島というもの、ここに住民がいて、島で暮らしていただいている、そういう場が存在し続けるということは極めて重要であって、もし本当にいなくなっちゃったら、これは自衛隊を駐屯させるとか、そういうこともしないといけないと思うんです。

 だから、人が住んでいるということは、これは自衛隊に駐屯してもらう以上に、同じかそれ以上に、やはりこれは住民がちゃんといて、そこで生活が営まれているということは、これはやはり領土保全の観点からは極めて重要で意味があると思いますが、大臣はどのようにお考えになられるでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 南西諸島に位置する奄美諸島と、我が国の排他的経済水域の約三割を占める小笠原諸島は、我が国の領海及び排他的経済水域の保全に極めて重要な役割を果たしていると考えております。今、古川委員御指摘のとおり、私も全く同感でございます。

 こうした国境離島は、住民の方々が継続的に、また歴史的に居住しているからこそ、領海等の保全に関する活動の拠点として重要な役割を担っていると考えております。本当に、継続的に住民がいるかいないかというのは非常に大きな差がある、このように思います。

 そのため、両地域への定住の促進を目的として、これまで特別措置法に基づき、社会資本整備や産業振興などの振興開発を図ってきたところでございますが、今般の改正により、法目的に、定住のみならず、移住の促進を盛り込み、両地域における生活環境の整備と社会、地域の維持に、より一層努めてまいりたいと考えております。

古川(元)委員 そういう認識を共有していただいていることは、ありがたいというか、いいことだと思うんですけれども、ただ、本当に、定住や移住の促進で、今の、そしてこれからやろうとしていることが十分かどうか、今日の議論でもいろいろありますけれども、行われていますが、ちょっと、ほかの国と比べると、私はやはり、日本はそこはまだまだ弱いんじゃないかと思うんですね。

 例えば、これはロシアに不法占拠されている北方領土でありますけれども、大臣は北方領土をビザなし交流とかで行かれたことはありますか。歯舞、色丹、国後、択捉。ないですか。

 私、かつてビザなし交流で色丹島を訪れたことがあります。そのときに、向こうの、色丹島、あそこは三千人ぐらいの住民なんですね。僅か三千人余りなのに、常駐のお医者さんが何人もいる立派な病院が、ちゃんと産科もあるように建てられたりとか、また、学校の教室は全て電子黒板だったんですね。日本の国内でも、まだそんなところはない。それこそ、日本で大体三千人ぐらいの集落だったら診療所ぐらいしかない。それが、島に立派な病院も造って、学校へ行くと先端、最新式の電子黒板があって。

 私は、そのときに、ビザなし交流だと家庭訪問をするんですけれども、私が訪問した御家庭というのは若い御夫婦と息子さんの三人家族でしたけれども、サンクトペテルブルク、あの大都会から移住してきたというんですね。何でそんな移住をしてきたかというと、これは、島に来ると、税制を始めいろいろな優遇措置があるんですね。だから、大都会のサンクトペテルブルクに住むよりも、北方四島に、こっちに住んだ方がすごくいろいろな意味でメリットがあって、長く住むと何か年金も多くなるとか、そんなような話も聞いた覚えがありますけれども、ここまでやるのかというぐらいに本当に手厚い。

 私が行く前は、物資とか何かも、結構、余りないのかなと思ったら、スーパーマーケットに行って並んでいるものを見てみると、本当に何でもあるんですよね、これは。どこからどういうルートで入ったか分からないけれども、日本の国内で売っているビールがあったりとか、本当に商品も豊富で非常に手厚い。やはりロシアは、そうやって北方領土に住む人を増やして実効支配を強化しようとしている。本当にけしからぬ話です、これは。

 しかし、こうしたロシアの対応というのは、これは、我が国がこういう国境の島を守る上では、そういう断固として守るんだという姿勢、そういうところはちょっと、北方領土、そういうことは本当に許し難いですよ。しかし、そういう国境の島を守っていくという意識、国家としてやはり意識は、これはちょっと見習うべきところはあるんじゃないかなと思ったんですね。

 今回のこの改正される法律の中に、基本理念で、我が国の領土の保全という言葉は、文言はあるんですけれども、いかに、そこに人が住んでいること、そして国境を守ってくれているんだという、そういう人たちに対して、もっともっと今よりも手厚い対応措置を国として、国家として取っていく、やはりそういうことが必要じゃないかと思いますが、大臣、いかがですか。

斉藤(鉄)国務大臣 米国の占領下に置かれた、本土に復帰した奄美群島及び小笠原諸島につきましては、一般の離島振興法とは別に、その歴史的な経緯から個別に特別措置法を定め、本土との航路・航空路運賃の軽減や製造業の振興を始めとしたソフト事業への支援、住民生活を支える道路、港湾などのインフラ整備に係る補助率のかさ上げや、小中学校の整備などの生活環境の改善支援など、様々な支援策を実施しております。

 さらに、今般の改正では、法目的に移住の促進を盛り込み、奄美群島における移住者向けの住宅整備や、小笠原諸島における住宅用地の確保支援などの施策の充実を図ることとしております。

 引き続き、地元からの要望も踏まえながら、国境離島でもある両地域の更なる振興開発を図ってまいりたいと思っております。

古川(元)委員 作られた答弁資料を読むのも大事だけれども、大臣、やはりこれは本当に、我々国会議員は国土をどう守っていくか。ですから、北方領土に対しても、しっかり声を上げていかなきゃいかぬですよ、本当にこんな状況を。だから、時がたてばたつほど、そうやってロシアはやっていくわけですから、やはりそれに対して、しっかり国として声を上げていかなきゃいけない。

 同時にやはり、我が国がちゃんと、自分たちが実効支配しているところを、しっかりそこは守るんだという強い意思を国家として示すということが大事だと思うんですね。ですから、本当に、こういうところに住んでいただいている皆さんには、私は感謝、ありがたい思いだと思って、本当に感謝の気持ちをやはり我々は持たなきゃいけないんだと思います。是非、そういった意味で、しっかり振興に努めていただきたいと思います。

 さて、先ほどもちょっと、野間さんの中でも少し災害のことがありましたが、今、能登半島地震で、能登半島の皆さん方は一時期孤立して、本当に大変な状況に置かれました。今、本当に地域の皆さんも頑張って、そして、みんなで応援しようということで復旧復興に向けての措置が取られていますが、これは島も、先ほどの話じゃないですけれども、災害が起きたときには孤立する可能性が高いので、やはり日頃からその場合の備えが大変重要だというふうに思います。

 この今起きた能登半島地震で、大臣と一緒に、大臣が副会長で私が幹事長を務めております医療・防災産業創生推進議員連盟でこの間推奨してきた、命のコンテナと呼んでおります、トイレとか、あるいはキッチンカーとかお風呂とか、そういう高機能、高付加価値コンテナの有用性というのは改めて明らかになったと思います。

 議連では、これまで、こうした命のコンテナの配備というのは、まずは全国の防災道の駅からスタートしようというふうに考えてきましたけれども、先日、大臣はお忙しいからちょっと来られなかったですけれども、議連を開催しまして、今回の能登半島地震なんかの教訓も踏まえて、災害時にこういう孤立する可能性がある地域、半島だとか島だとか、そういうところには高機能コンテナ配備、これもやはり同時並行で推進していくべきだということを議連としても確認したんです。

 ですから、奄美群島や小笠原諸島についても、こうした命のコンテナを、災害が来て孤立した場合、そうした場合に備えて、やはり優先的に配備していく、そうした施策を取ったらいいと思いますが、大臣、議連の副会長としてのお立場も含めて、意欲をお聞かせいただきたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 この高機能コンテナにつきましては、平時にはいろいろな観光振興の目玉になる、また、災害時にはまさに命を守る拠点になるということで、これからの日本、災害の多い日本においては、非常に大きな一つの、世界に提案していくべき産業の一つの中心になるのではないかと我々は認識しております。トイレ、物販施設、宿泊施設など、多様な活用が可能とされており、平時の地域活性化や、災害時の防災機能が期待される施設でございます。

 国土交通省としましては、奄美群島と小笠原諸島における高機能コンテナの配備につきまして、能登半島地震での災害対応の検証結果、また、現在、道の駅で試行設置されている状況などを踏まえた上で、地元自治体と情報共有を行いながら検討してまいりたい、このように思います。

古川(元)委員 検討使にならないように、検討だけじゃなくて実行してください。よろしくお願いします。

 最後に、観光について一点お伺いします。

 この奄美や小笠原、インバウンド客を海外から呼び込むのも大事なんですけれども、同時に、国内観光客の誘致もやはり非常に重要だと思うんです。安定して国内観光客を受け入れることができれば、さきのコロナ禍のような、そういう事態に対する耐久力も高まりますし、またやはり、観光に来た人の中から、ああ、この島いいなということで、島を気に入って移住する、そういう人も出てくる可能性が高まることも期待できるんじゃないかと思います。

 今、ちょっとこれは混乱をしているみたいですけれども、北陸の応援割がありますけれども、こういう、やはり離島、島に対しては、国内といっても、これは定常的に、そういう島に観光に行くというのについては、例えば離島応援割とか、そんなような形で、そういう島に行くにはなかなかお金もかかるし、だから、ちょっと観光に行こうといっても、ほかの、京都や大阪に行くのとはやはりちょっと違うわけですよ、本州の中を回るのとは。ですから、やはりそういうところ、国内の観光客にとっても、こうした離島に積極的に行ってもらうような、そういう支援スキーム、そうしたことを、観光支援策を考えたらどうかと思いますが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 離島応援割の御提案をいただきました。

 現在は、奄美群島におきましては、交付金によりまして、群島全体への誘客、周遊を促進するための旅行商品の開発、宣伝、販売促進の支援をしてきておりますし、また、令和六年度からは、体験型観光プログラムのモデル対象地域といたしまして、そういうプログラムの造成、そして観光消費の促進に係る取組に対して、交付率をかさ上げしていくということとしております。

 また、小笠原諸島におきましては、ツアーガイドの育成支援によりエコツーリズムを推進するほか、観光客も利用する自然公園施設の改修支援をしております。

 今、こういう形での支援をしているところでございますが、離島応援割はどうかという御提案につきましても、御提案として受け止めさせていただきたい、このように思います。

古川(元)委員 時間になりましたので終わりますけれども、我が国にとって、国土の保全という意味で国境の離島は大切です。是非、そこで住んでいる人たちに、これからも、これまで以上に、しっかり支援していっていただきたいということ、私たちもそれを応援していきたいということを最後に申し上げて、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

長坂委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 奄美群島、小笠原諸島振興特措法改正案について質問します。

 まず最初に、小笠原諸島について伺います。

 移住者が毎年三百人前後、推移していると伺いました。就農希望者も多いと聞いております。そして、戦後、島に帰れなかった人の農地が放置され、ジャングルのようになっている、そういう土地を活用できるようにしてほしいとの声も聞きました。

 農業ができるようにしたいとの要望、これはいかがでしょうか。住宅の確保と併せて対策をお伺いします。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 小笠原村におきましては、住宅用地の不足に起因する住宅不足が喫緊の課題となっております。特に子育て世帯、本土に転出せざるを得ない状況というのも今生じているところでございます。

 このため、東京都におきまして、まず住宅不足の解消に向けた土地利用計画の見直しを行いまして、住宅用地の確保を行い、計画的な宅地整備、これを推進するというふうに伺っております。

 委員御指摘のございました就農希望者、これにつきましても、これまで、国交省と東京都におきまして、圃場整備などに対する支援も行ってまいりました。また、農水省におきましては、新規就農者の育成、確保に向けた経営開始資金の交付などの支援が行われているところでございます。

 国土交通省といたしましては、地元自治体と連携して、小笠原諸島の農業振興と生活環境の改善、移住者の住宅確保や就農希望者への支援、こうしたことをしっかりと行ってまいりたいというふうに考えております。

田村(貴)委員 しっかり要望に応えていただきたいと思います。

 次に、奄美について伺います。まず、斉藤大臣に質問します。

 この五年間の間に、奄美大島は世界遺産の登録を受けました。二〇二一年七月二十六日のことであります。世界遺産の登録の受け止めについて、そして、自然環境を保全していくことと、奄美群島の振興に向けて、これは両立させていかなければいけないと思います。そのことについて、大臣の所見、お伺いしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、世界自然遺産登録の対象となった奄美大島、その受け止めという御質問でございます。

 奄美大島と徳之島は、令和三年に沖縄島北部及び西表島と一体として世界自然遺産に登録されました。平成十五年に候補地に選定されてから約十八年越しの悲願ということもあり、アマミノクロウサギを始めとする生物多様性が高く評価され、世界遺産に登録されたことは非常に喜ばしいことだと思っております。

 現在、コロナ禍を経て、再び人の動きが活発になっていることから、世界自然遺産の登録地である魅力を生かして、国内外からの更なる観光誘客につなげていきたい、このように思っております。

 そして後段の、自然環境保全との関係ということでございます。

 国土交通省としては、世界自然遺産に登録された沖縄と連携した観光プロモーションの実施や、奄美―沖縄間の周遊促進に加え、自然環境の保全と観光振興を両立させるため、国立公園を所管する環境省と連携いたしまして、アマミノクロウサギなどの希少種を捕食するマングースなどの外来種の駆除や、原生林を案内するエコツアーガイドの育成に対する支援を実施することとしております。

 これらの取組、環境省との連携ということになりますけれども、奄美群島の貴重な自然環境と観光振興の両立を図りながら、その更なる振興につなげていきたいと思っております。

田村(貴)委員 これに関連する質問は後で行いますので、大臣、ちょっとお聞きいただきたいと思っております。

 航路・航空運賃の支援は、これは島の居住者の方々、それから島外の方々からも強い要望が寄せられています。現行の制度、それから奄美群島振興交付金による新しい支援策について、説明をしていただけますか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 奄美群島は、本土から遠く離れた外海にございますので、先ほど来お話をさせていただいておりますとおり、本土との往来にかかる航路・航空路運賃、これが課題となっております。

 現在は、住民とその扶養に入っている本土在住の学生を対象に、奄美群島と鹿児島本土間の運賃が通常の約半額となるように、奄美群島振興交付金で支援をしてきたところでございます。

 一方で、奄美群島の高齢化率、これが全国や鹿児島県全体の平均よりも高くなっております。今後、介護を目的とした帰省者が増えることが想定されているところでございます。こうしたことから、令和六年度予算案におきまして、交付金による運賃軽減の対象に、介護のために帰省する者の追加というものを盛り込んでいるところでございます。

田村(貴)委員 介護のための帰省も、五割の割引といったところの進展もあります。大変これは大事なことだと思っております。

 いろいろ聞きますと、冠婚葬祭で帰島しなければならない、あるいは島の行事もある、あるいは島に移住して新たに仕事に就きたい、そうして来島する人もおられますよね。そうした就職に向けての活動、様々島に行く、それぞれ島を行き来する理由があると思うんです。そうしたときに、やはり航路・航空運賃というのが大きな壁になるのは、これまでも問題でありました。

 こうした運賃補助制度の拡充を、もっと広げていくことはできないのか、その展望についてお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 航路・航空路運賃の問題につきましては、この交付金の中で住民、準住民、また今回の予算案の中で、介護を目的とした帰省者も対象に拡充するというような取組をしっかりやっているところでございます。

 離島ならではのいろいろな課題、現状というのは私どもも拝察をさせていただいておりますので、しっかり自治体の声を聞きながら対応していきたいというふうに考えております。

田村(貴)委員 法案にある沖縄との交流促進について伺います。

 奄美空港と那覇空港との直行便は今ありません。与論を経由する便です。今後の展望について、利便性は拡充されていくでしょうか。また、航路・航空運賃の支援についてはどうでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、現在、奄美大島から那覇には直行便がなく、与論島経由となっておりまして、地元からは、沖縄との交流促進に当たって、アクセスの改善についての御要望があることは承っているところでございます。

 こうした御要望につきましては、現在、鹿児島県とも意見交換を行っておりまして、県からは、航空会社の人材や機材の配置なども踏まえた検討が必要であるという報告を受けているところでございます。

 国交省といたしましては、来年度の交付金におきまして、航空会社と連携した観光プロモーションへの支援であるとか、奄美群島の住民を対象としました奄美群島―沖縄間の航空運賃の軽減支援、こうしたことを実施することで新たな航空需要を喚起をするということと、引き続き、地元自治体とも意見交換を重ねて、沖縄との交流促進、これをしっかりと支援をしていきたいというふうに考えております。

田村(貴)委員 分かりました。

 次に、奄美の採石事業について質問します。

 大臣、是非聞いていただきたいんですけれども、長年にわたって奄美市住用の戸玉集落が、ダンプカーや重機による騒音、粉じんなどの被害を受けています。

 一九九四年の操業開始以来、採石場での土砂の崩落や流出が相次ぎ、二〇〇四年には集落の裏山に亀裂が入り、土石流の危険性から避難勧告が出されました。このとき、住民は大変不自由な生活を余儀なくされました。こういう経過をたどっています。

 経済産業省に伺います。

 長年、採石で住民が苦しんでいることを知っていますか。どう受け止めていますか。奄美大島は、先ほど言いましたように、世界遺産として登録されました。自然環境、住環境を損なわないために国として関心を持っていただき、自治体と連携して対応に当たっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 奄美市住用の戸玉地区において、二つの事業者による採石事業が行われており、戸玉集落の住民から騒音、振動などによる被害に関する意見が出ていることについては承知してございます。

 これについては、採石事業者と戸玉集落区長との間で、粉じん防止や騒音防止対策に関する公害防止協定が既に結ばれておりまして、採石法に基づく採取計画の認可に当たって、鹿児島県は公害防止協定の遵守を事業者に求めていると認識してございます。

 採石法では、事業者が他人に危害を及ぼすなどの公共の福祉に反することがないよう、都道府県知事が、先ほどの採取計画の認可に際して、必要に応じて条件を付すことが認められておりまして、御指摘の、周辺住民の方への騒音、振動などを防止するための適切な措置を講じることについても、一義的には、地域の実情を把握する都道府県知事の責務であると考えてございます。

 その上で、採石法を所管する経済産業省といたしましても、この制度を都道府県が円滑に運営できるように、都道府県の担当者などへの研修、他の地域の執行事例の共有化、あるいは自治体からの法運用に関する個別相談に対応するなどを通じて、都道府県とも密に連携をしてきたところでございまして、今後とも、各地域の実情を踏まえた法律の適切な運用がなされるよう、都道府県とも協力しながら努めてまいりたいというふうに考えてございます。

田村(貴)委員 採石法は、一九五〇年、昭和二十五年制定の法律です。そして、採石促進の事業法です。この法律の制定において、自然環境保護の視点もありません。それから、住民合意の観点もありません。

 大臣、私、去年の九月に、現地、戸玉集落に行ってまいりました。そして、現場確認しました。砕石の船の積出し場は、まさに住家と隣接しているんですよね。それで、騒音、振動、粉じん。昨日今日の話じゃないんですよ。もう三十年ぐらいにわたって、この問題、ずっと続いているんですよね。そして、四方を山に囲まれ、その山は大きく削られています。土砂が海に流れ出したことも聞きました。世界遺産登録の島なのに、まるで別世界の現実を私は見てまいりました。

 採石法を所管する経産省は、いつまで住民の苦難を、これを放置しておくんですか。国としても、もっと関心を持って、現実的な対応が必要になってくると思いますけれども、世界遺産登録の島です。県の許認可だから、それから他人に危害を及ぼしていないから、これでずっと放置していいのですか。もう一度答えてください。

定光政府参考人 お答え申し上げます。

 一義的には、採石法の認可は都道府県知事の責務ということになってございますけれども、今委員御指摘のように、採石事業者が周辺の住民の方の生活環境を脅かしているというケースについては、これは我々としてもしっかり実態を把握する必要があるというふうには考えてございます。

 その上で、やはり地元のことは、直接、その市町村あるいは都道府県が一番把握しているということでございますので、我々としても、いろいろ情報を把握しながら、関係の自治体としっかり連携しながら対応させていただきたいというふうに考えてございます。

田村(貴)委員 状況把握と、そして自治体と連携して対応するという回答がありました。すぐに進めていただきたいと思います。

 筑波大学大学院吉田正人教授は、NHKの取材に対して、次のように述べています。「最近は遺産地域に加え周辺地域も守っていくことが世界的な潮流になりつつあります。そのため、自然と集落が近い奄美大島では、国内の世界自然遺産では初めて島全体が周辺管理地域に指定され、島民に保護への意識をつけてもらおうとしています。周辺管理地域に法的な拘束力はないですが、世界遺産の価値を損ねないようにどうするべきか、話し合いを重ねてほしい」、重要な指摘ですよね。

 そしてもう一つ、日本自然保護協会の安部真理子主任も、世界遺産の持続可能な利用を進める上で開発業者と地元住民の合意形成は世界の潮流だ、行政側も法律に縛られることなく広い視野が必要になっている、こういうことを新聞の取材で述べておられます。

 政府、各省の皆さん、こうした指摘、非常に重要ではないでしょうか。まず、奄美振興を所管する国土交通省、いかがですか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 今お話のありました採石業の話につきましては、先ほど経産省さんの方からお話がございましたとおり、採石法に基づきまして、鹿児島県において認可や指導監督を行っているというふうに認識をしております。

 その上で、世界自然遺産にも登録されました奄美群島、この振興開発に当たりましては、産業の振興と自然開発、保全の両立、これを図ることは極めて重要であるというふうに認識をしております。

 先ほど経産省さんからの答弁にもございましたように、まずは、現場の鹿児島県、地元自治体におきまして、住民の皆様も含めた関係者の御意見を聞くことが重要であると考えておりますけれども、奄振法を所管する国交省としましても、経産省としっかりと連携をしていきたいというふうに考えております。

田村(貴)委員 斉藤大臣にお伺いします。経緯は今述べたところであります。

 それで、大臣は先ほど、観光と自然との両立について触れられました。既存産業、今の事業と自然環境との両立、そして住環境への影響、ここについても是非関心を持っていただきたいと思っております。

 奄美大島の世界遺産登録は、これは日本だけに課せられたものではありません。国家や民族を超えて人類が共有し、次世代に受け継いでいくべき価値、これが世界遺産であります。

 大臣は、昨年十一月、奄美大島日本復帰七十周年で、奄美を訪ねられました。そのとき、会見で大臣はこう述べておられます。奄美群島のすばらしい自然、長年継承されてきた独自の文化を肌で感じることができた、振興開発とともに、こうした自然文化を次世代に継承していくことの重要性を改めて認識したと。この答弁に変わりはないと思いますけれども、振興開発も、世界遺産登録で、見直しや工夫がまさに求められてまいります。定住促進と島の振興は、豊かな自然環境を守ること、これが大前提です。そして何よりも、島民の平穏な生活環境を守ることが前提となってまいります。

 採石問題についても大臣に関心を持っていただき、政府として、長年の問題解決に力を尽くしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほど、観光と自然環境の保全の両立、これが大事だという答弁をさせていただきました。

 そして、今の田村委員の御指摘は、いわゆる産業開発、産業振興と自然環境の保全、その両立、これも大事だ、このように指摘をされ、私もそのとおりだと思っております。地域住民の方の御意見もよく聞きながら、その両立が図られるよう、我々もしっかりと関係省庁と連携しながら頑張っていきたいと思います。

田村(貴)委員 国と自治体が一体となって今ある問題の解決に向き合い、そして世界遺産を守り、離島振興に力を尽くしていただきたい、そのことを重ねて申し上げて、質問を終わります。

長坂委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。本日もよろしくお願い申し上げます。

 私の地元の笠間藩の、笠間藩士の友五郎という方がいらっしゃいまして、咸臨丸で勝海舟らとともに訪米したことのある江戸時代の方ですけれども、万延二年、一八六一年に小笠原諸島を測量したんですね。それがその後、小笠原諸島が日本領土になる一番の根拠になっておりまして、今日は、そうした先人の日本の領土画定にかけた思いを込めながら、質問させていただきたいというふうに思っております。

 今回、法改正で、法目的に、奄美群島への移住の促進とか小笠原諸島への移住の促進というのが挙げられております。移住ですから、よそから人が入ってくるわけです。今まで定住だけだったのが、新しく移住というのが入って、奄美法では、空き家の改修等により移住者向けの住宅の整備を支援するとか、小笠原では、土地利用計画の見直しにより住宅用地の確保を推進するということを掲げておりますが、移住は、どういう人が移住するかが一番問題だと思うんですね。

 かつて対馬では、移住ではありませんけれども、多くの、韓国からの人がいっぱい来て、もう対馬が韓国の島みたいになっちゃったなんということも、かつてはありました。

 私は、フランスの田舎を調査に行ったことがあるんですけれども、フランスのプロバンスにメネルブ村というちっちゃなところがあって、ただ、人気があって、世界中から移住者が訪れてくるんです。私が村議会を見たときに、その村議会で、移住したい人がこの村にふさわしいかどうかというのを審査していたんですね。ちょうど私が行ったとき、アメリカの資産家の女性で移住したい人がいたんですが、ただ、この方の経営していた会社が軍事関係の会社だから、我が村にふさわしいかどうかというのを、かんかんがくがくの議論をしていたことを私は思い起こします。

 今回、これだけの移住を促進をすれば、今は入ってこないと思っても、移住を促進して、気がついてみたら、日本人の移住じゃなくて、外国人の移住が増えるということもあり得るんですね。今回、この法律は、領域の保全とか海洋資源の利用を基本理念とはしておりますが、その理念とは反する結果にもなりかねない。

 登記を見てみますと、人口は微減なんですけれども、外国人の住民は微増しております。でも、これが根本的に増えちゃったら、人口が日本人と外国人で逆転することだって出かねない状況なわけでありますけれども、そもそも、現在、奄美群島とか小笠原諸島、外国人がどのぐらい土地を持っているのか、あるいは外国人がどのぐらい投資を行っているのか、政府は把握しているのでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 奄美、小笠原両地域におきます外国人の土地所有につきましては、安全保障の観点から、内閣府所管の重要土地等調査法に基づきまして、区域が指定をされ、状況把握が進められているというふうに承知をしておりますけれども、国土交通省におきまして、奄美、小笠原両地域全体におきます外国人の土地所有及び投資状況、こういうことについては把握はしていない状況でございます。

福島委員 ということなんですね。今までも把握していないし、重要土地等調査法の注視区域というのはごく一部にしかすぎませんから、島丸ごと買われちゃったりすることもないわけじゃないと思うんですね。

 ですから、私は、今回、当然、移住の促進というのは必要だと思うんです。ただ、ちゃんとした人に、ちゃんとした人というのは語弊がありますけれども、その地域にとって必要、役に立つ、役に立つというのも語弊がありますね、地域の振興につながるような移住の在り方じゃなきゃならないんですけれども、とりわけ今、円安になって日本の経済的な地位が低くなっている中で、仮に小笠原に航路をつくったら、その飛行機を利用して大規模なリゾートを、外国資本が島一つ丸ごと買うなどということもないわけじゃないと思うんですね。

 ですから、今回、奄美群島とか小笠原への移住の促進に関する基本的事項というのを計画で定める、基本方針に定めることになっておりますけれども、その基本方針の中できちんと、どういう移住が望ましいか、どういう移住を目指していくかということを書き込むべきだと思うんですけれども、大臣、御見解はいかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 外国の方が日本の土地を買うということについて、内外無差別の原則がある、こういうまず基本的なところがございます。

 その上で、先ほどの福島委員の御指摘でございます。国土交通省におきましては、奄美、小笠原の特別措置法に基づく予算措置により、海外の活力を両地域の更なる振興につなげるため、外国人観光客の誘致や、黒糖焼酎を始めとした特産品の海外向けのプロモーションなどの取組を支援してまいりました。

 今後、両地域の振興開発基本方針を策定するに当たっては、観光の開発や国内外との交流促進が、地域と共生し、真に振興開発に資するものとなるよう、両特別措置法に基づくそれぞれの審議会において御議論いただきたいと考えております。

 この審議会におきまして、真にその地域の振興開発に資するようなものになるような開発ということを、きちっと議論していただくということが大事だと思います。

福島委員 お願いします。特に、今はちょっと観光客の方だったので、移住に関して新しく盛り込まれることですから、そこを明確にしていただければと思います。

 続いて、次の問題です。

 二点目なんですけれども、資料一というのがあります。これは、沖永良部島で再生可能エネルギー一〇〇%での電力供給を目指すゼロカーボンアイランドおきのえらぶというのが、環境省の脱炭素先行地域に選定され、補助金をいただいて事業を行っております。ちょっとこれはコピーが見えづらくて恐縮なんですけれども、これは、マイクログリッドという、再生可能エネルギーを使って発電して、そばの何軒かに供給するというやつとか、ソーラーシェアリングで畑の上にパネルを張って、その電気を自営線で近所の家に送るというのを複数実施するというプロジェクトです。

 裏を見ますと、これはマイクログリッドですから、小さな単位で電気の供給をするんですけれども、最終的には、この裏のページの白い丸のように、そのマイクログリッドをいっぱいつなげていって、沖永良部島を一〇〇%再エネでやるという事業を目指しているんですね。

 電気というのは、需要と供給が即時同時同量でやらなければなりませんから、今、油をたいた発電を行っておりますけれども、やはりそれをやるためには、本来はそうじゃなきゃならないんですが、蓄電池とか、いろんなクラウドシステムというのを使ってやる技術というのは、私の先輩がこれに関わってやっているんですけれども、確立しております。ただ、問題は、これはまず、資金の面と規制の面なんですね。

 奄美振興法の第五条に基づいて、鹿児島県は再生可能エネルギーの利用に関する事項を定め、奄美群島振興計画というのを定めることができて、八条で、振興開発計画に基づく事業に、交付金の事業計画を対象として交付金を入れることができることになっております。

 今般の改正で、産業の振興に関する事業とか、産業振興の基盤となる自然環境の保全及び再生に資する事業というのが掲げられておりますが、具体的なものは政令で定めるとされているんですね。

 今までの奄美振興法施行令一条の二は、農業とか情報通信、観光、人材の確保、航路・航空路の確保といったものはあるんですが、この再生可能エネルギーがございません。新しくできる政令も含めて、こうした再生可能エネルギーを事業として行って、そこの島の人に電気を供給するというような事業は、今後、こうした交付金の対象になるように政令を改正していただけるのかどうか、その点を政府参考人、お伺いいたします。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 奄美群島振興交付金につきましては、同交付金の要綱に基づきまして、再生可能エネルギーの利用促進に係る地元自治体の取組に対して交付をすることが現行でも可能となっておりまして、さらに、地元自治体が同交付金を活用して民間事業者を支援することも可能となっているということでございまして、現行の施行令の中で対応ができるというような形になっております。

福島委員 ありがとうございます。

 今の施行令でも対応できるし、今後も恐らくそのまま活用できるということなのだと思います。

 問題は規制的な対応でありまして、今、ここは九州電力の供給区域でございます。新しく再生可能エネルギー一〇〇%を供給するとなると、九州電力じゃない、別の会社が一般の需要家に対して送るというふうになるんですね。これは、特定送配電事業とか、そういう事業になるんですけれども、電気事業法。ただ、それと九州電力の一般送配電事業の供給区域を一緒にすることは、今の法律ではできないと思うんですね。

 私は、かつて構造改革特区というのをつくるのに携わりましたけれども、特区制度なのか、あるいは、こうした奄美振興法とか小笠原振興法は、規制の特例措置というのを法律の条文として特別に列挙している部分がありますけれども、そうしたところで入れるのか。いずれにしても、本格的に再生可能エネルギーで、一般の御家庭も含めて一〇〇%、この島で電力を供給するとなると、制度的な対応が必要になる場合もあると思うんですね。

 これはまだ、すぐ、来年とか再来年ということじゃないと思うんです。まず環境省のモデル事業でやってみて、それを更に箇所を広げていって、最終的には全部をつないで、一〇〇%、この島の電気は再生可能エネルギーですよというふうになると、制度的な対応が必要になると思うんですけれども、そうしたことも、次の改正になるかと思いますけれども、是非検討していただきたいと思うんですけれども、大臣の御見解、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 今回の法改正にも、その方向性で、再生可能エネルギーの利用促進を、基本理念や配慮規定に入れたところでございます。

 そして、特に奄美群島の沖永良部島では、環境省の脱炭素先行地域に指定されております。国土交通省としても、奄美群島振興交付金により、小型風力発電の実証や、EVの導入促進等の取組を支援しているところでございます。

 こういう先行的な取組の進捗状況を踏まえて、更なる再生可能エネルギーの利用促進に向けて、地元自治体としっかり議論を進めていきたいと思います。

福島委員 前向きな答弁、ありがとうございます。

 法律を変える必要があれば、それはちゅうちょなくやっていただきたいと思いますので、それをお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

長坂委員長 次に、櫛渕万里さん。

櫛渕委員 れいわ新選組、櫛渕万里でございます。

 今回の法案について、特に小笠原諸島について質問をいたします。

 私は、二〇一八年、小笠原諸島返還五十周年の夏に現地に行ってまいりました。八月十五日の終戦記念日には、小笠原諸島戦没者追悼式典にも参列させていただき、献花をしてまいりました。

 父島は、暑さの和らぐ五時から追悼式典が開会されるんですね。本土防衛の最前線として大激戦地の一つであった現地には、今も山の中に、例えば昭和十八年と刻まれた水筒や茶わん、あるいは防空ごうなど、戦争の傷痕がそのまま残っており、人々はそのような日常の中に現在も生きています。

 また、島で最初にできた教会の牧師さんは、偶然ですが私の大学の大先輩であり、残念ながら三年前に他界されてしまったんですけれども、お名前は小笠原愛作さん。無人島であったと言われる小笠原に一八三〇年以降入植したポルトガル人の末裔五代目の方で、ゴンザレス・アイサックさんという祖先の名前を引き継がれ、愛作さんというふうなお名前であるということをお聞きいたしました。もちろん日本国籍です。

 小笠原諸島は、こうした西洋と我々東洋、そしてポリネシアという南洋、このような人々が交差する土地であったというわけです。

 小笠原諸島、この法律は、アメリカの占領期を経て、島の振興開発を促進する、これが内容でありますけれども、このような歴史を背負ってこの島に生きる人々のための大切な法律であるということをまず冒頭確認をさせていただきたいと思います。

 さて、まず、小笠原諸島のこの十年間の人口増減率を見ますと、全国がマイナス一・五%、離島地域はマイナス一八・二%と大幅に減少しているのに比べて、小笠原諸島は逆にプラス五・二%と増えているんですね。これは小笠原諸島振興開発特措法の一つの効果ではないか、そう思います。しかし、もう少し期間を延ばして見てみますと、やや気になる点も見えてくるんです。

 一つは、ここ三十年間、世界遺産に登録された時期を除くと、内に住む人よりも外に出ていく人の方が多い、つまり、人口の社会減が続いているということです。反対に自然増はずっと続いて、これはいいことなんですが、しかし、そのペースが平成二十年ぐらいから明らかに落ちている、これは懸念材料ではあると考えます。

 さらに、小笠原村の人口構成、これを年齢別に全国と比較してみました。パネル一を御覧ください。

 このパネル一の図からは、二つの大きな特徴が読み取れます。一つは、十代後半から二十代前半にかけて全国と比べて大きく落ち込むこと、これは、高校を卒業した後、ほとんどが島外に出てしまう、他の離島とも同じ課題を抱えています。そしてもう一つの特徴は、二十代後半から四十代、これは全国平均を逆に大きく上回っていることが分かります。小笠原諸島は若い人が少ないのではないんです。その反対に、子供を産み育てる世代の人は全国平均よりもかなり多い比率になっている。では、なぜ自然増が減りつつあるのか。

 理由の一つが、小笠原では出産ができないことがあるのではないかと考えます。島では、二〇〇二年以降、出産ができません。一年で二十人くらいいる妊婦さんは、全員が内地で出産するのですが、船の関係で、妊娠八か月で離島、出産後もしばらくはそこにとどまらなければいけないそうです。事実、島で暮らすことの魅力と難点を挙げてもらった具体的なアンケートでも、若い夫婦世代から、子供を産めないという声が多数ありました。また、全世代共通の課題として、医療に不安があるという声もあるんです。

 パネル二を御覧ください。小笠原に住み続けられなくなる事情について、約二千人に聞いた村民調査の結果です。

 産科に限りませんが、医療、介護、福祉への不安、島に住み続けられない理由として、これが圧倒的に多いんです。このことが、島からの転出が続き、自然増が鈍っている大きな原因ではないでしょうか。

 さらに、パネル三を示します。

 望ましい村の人口規模について、これを見てみますと、私もちょっと驚いたんですけれども、村の人々は、これ以上人口は増えなくていいという声の方が圧倒的に多いことが分かります。

 この法案には期待していますが、しかし、この三十年間、移り住む人よりも外に出ていく人の方が多いという状況を逆転させるのはなかなか難しい。何より、小笠原の人々はそれを望んでいないということを考えますと、今回の法改正で、定住に加えて、新たに移住に期待するよりも、周産期を含む村の医療をもっと充実させて、自然増をもう一度増やしていく、そのような流れをつくることの方が重要であると考えます。

 国交大臣にお伺いいたします。小笠原で出産ができなくなっている現状について、どのような認識をお持ちでしょうか。そして、今回の法案で妊婦さんの支援はどうなっていくのか、お聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、現状でございますけれども、小笠原諸島では、産科医師の確保、分娩体制の問題などにより、島内では出産できない状況になっており、また、本土で出産する際には、妊婦に係る定期船乗船の制限があるため、妊娠八か月の時点で島を離れ、本土で出産準備を行う必要があると聞いております。

 このため、小笠原村が、出産支援金の支給や、長期の宿泊滞在が可能な病院の紹介などの支援を行っております。そして、それに対しての対応は、まだよろしいですね。

櫛渕委員 現状についての取組、お答えいただき、ありがとうございます。

 しかし、まだまだ足りないということと、やはり、まだ、もっともっと危機感が私は必要であると思います。

 そして、もう一点御指摘したいのは、審議会、これは報告書を見ますと、例えば、交通、情報通信の基盤整備であるとか、DXの推進などは大きな項目で長々と書かれているんですが、実は、医療や福祉や子育て、大分見劣りするんです。それはなぜなのか。更に調べてみますと、審議会のメンバーにこのような専門家が一人も実はおりません。奄美も同じ状況です。

 是非、大臣、小笠原の振興開発を考える審議会のメンバーに、このような専門家、医療、福祉、子育ての専門家を入れていただきたい。そして、村の人々が医療や福祉を一番の課題としているのに、村の将来を決める審議会に専門家がいないのはやはりおかしいと思うんです。これは指示を出していただきたいんですね。そして、先ほどお話がありました厚労省との連携です。是非、そこを更に強化するということをお約束いただきたいんですが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 確かに、この審議会の中に、医療、出産にお詳しいというか、それを専門にされる方がいらっしゃらないのは確かでございますけれども、例えば、令和五年四月に実施した審議会におきましては、委員より、小笠原村における医療、出産面における本土との格差に関する御指摘が委員の中からございました。

 そして、それを受けまして、この審議会において、昨年七月に取りまとめられた意見具申には、保健医療提供体制の確保を図るほか、島内で出産ができないことを踏まえた妊産婦への支援が引き続き必要であることや、デジタル技術を活用した遠隔診療の推進が盛り込まれているところでございます。

 今後、小笠原諸島の振興開発に関する基本方針を策定するに当たっては、審議会において、医療、出産面におけるこうした課題についても一層御議論いただくように、しっかりとしていきたい、このように思っております。

櫛渕委員 村の人々の一番の課題ということにもっともっと寄り添っていただき、是非強化をいただきたいと思います。

 定住や移住の促進を今回の法案で目指すならば、それは、この島に生きる人々の安全と安心があってこそです。でなければ、移住を考える人もそれを決断できないと思うんですね。

 小笠原のボニンブルーと言われる真っ青な海は、世界一です。私もダイバーでもありますので、何度も海に潜り、イルカの群れや大きな回遊魚に遭遇をしてまいりました。また、森では、固有種の植物や生物多様性の豊かさも肌で実感してまいりました。それらの世界遺産を守り、持続可能な地域振興を図るには、まずは、この島に生きる人々の安全と安心、それが最優先であるということを重ねて申し上げ、私の質問といたします。

 終わります。

長坂委員長 次に、漆間譲司君。

漆間委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の漆間譲司です。

 私、漆間と申しますが、沖縄のうるまとは関係ありませんでして、奄美も小笠原もちょっと行ったことがないんですが、本日は質疑をさせていただきます。

 一問目、問題意識は、先ほど、古川委員と全く一緒でございまして、奄美群島、小笠原諸島は共に広範囲な領海、排他的経済水域を我が国に帰属させておりますが、我が国を取り巻く安全保障環境が、最近、一層厳しさを増す中、その国境離島、離島と言ってはいけないと先ほど野間委員から、国境の島としての役割はますます大きくなっていて、そこに国民が住むことの重要性というのもますます増していると考えておりますが、政府の見解をお伺いいたします。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 奄美群島は、南北二百キロの海域にわたりまして群島が点在していることによりまして、群島の面積をはるかに超える広範囲な領海、排他的経済水域を我が国に帰属させる大きな役割を果たしております。

 また、小笠原諸島につきましても、我が国の排他的経済水域の約三割を占めておりまして、領海等の保全や海洋資源の利用に大変重要な役割を果たしているというふうに認識をしております。

 国土交通省といたしましては、両地域が、引き続き、こうした役割を果たすためにも、住民が継続的に居住し、地域社会が維持されていくことが極めて重要であるというふうに認識をしております。両地域の特別措置法の延長、改正と、施策の着実な実施、これを努めてまいりたいというふうに考えております。

漆間委員 特に、これは近年の安全保障環境の激化というところも踏まえて是非答弁いただきたかったんですけれども、そういったところも非常に重要になってくると思っておりまして、法案は、十年単位で普通変わっていく振興法と比べて五年ということで、先ほど、十年単位でどっしりとさせてほしいという意見も野間委員からもありましたけれども、五年ということは、やはり近々の、そういった社会や経済や安全保障環境も取り入れられるということでありますので、こういう安全保障の激化ということも是非この法案の中に取り込んで、そして、やはり国境の島々であることの重要性というものをより国民に理解してもらうこともあっていいのではないかと思います。

 あわせて、両島ともアメリカから返還されたという経緯がありますけれども、それは同時に、やはり外国から攻められやすい場所でもあるということでもあると思うんですね。

 そういった観点から、住民の方々の安全について、先日、報道では、沖縄のことなんですけれども、政府は国民保護法に基づき、武力攻撃予測事態を見据えて沖縄県全域を要避難地域にする想定での図上訓練を行ったとありました。同様に、奄美群島、小笠原諸島における他国の武力攻撃への備えの状況、例えば住民避難、そういったものは大丈夫なのか、政府の見解、対応状況など、お伺いしたいと思います。

門前政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の図上訓練は、国、沖縄県及び先島諸島の五市町村による共同訓練として、武力攻撃予測事態に至った場合を想定し、本年一月に図上訓練を実施したものでございます。

 また、鹿児島県におきましても、本年一月、国、鹿児島県、屋久島町等による共同訓練として、同じく武力攻撃予測事態に至った場合を想定した離島避難に係る訓練を実施したところでございます。

 御指摘の奄美群島や小笠原諸島では、これまで、こうした国民保護共同訓練は実施されておりませんけれども、万一の際の離島住民の避難に当たりましては、島外に避難する場合、輸送手段に大きな制約があることから、関係自治体が平素から検討、訓練に取り組むことが重要であると考えており、政府としては、自治体の取組を促進することが必要であると認識をいたしております。

 鹿児島県におきましては、先ほど申し上げましたこれまでの訓練の成果を奄美群島の市町村に横展開していくと伺ってございまして、政府としてはこうした取組を支援してまいりたいと考えております。

 また、小笠原諸島の自治体につきましても、東京都など関係自治体の意向も踏まえつつ、政府として国民保護の取組を促してまいりたいと考えております。

漆間委員 先ほど申し上げました報道なんですけれども、他国からの南西諸島への侵攻という言葉が、文言が報道の中にあって、そういう報道を現地の方が見られると不安になると思いますので、是非取組をよろしくお願いいたします。

 私も地元が大阪の豊中市と池田市というところで、空港がある場所なんですけれども、二年前にウクライナが侵攻された際に、初日はたしか空港がロシアによってばあっといきなり侵略されて、そのニュースを見た方々が、うちらも空港の近くやけれども大丈夫なのみたいな声で、国民保護法のことだとか、そういったことを結構説明させていただいておりましたので、こういう南西諸島の侵攻ということがニュースにたくさん出てくるということであれば、やはり住民の方も不安に思われると思うので、政府の方、取組をしっかりよろしくお願いいたします。

 続きまして、これもざっくりとした質問なんですけれども、両地域における特措法の、七十一年間ですか、ずっとあってきて、どの程度、これまで両地域それぞれに関連予算がつぎ込まれてきたのか、その成果と近年の課題についてお答えいただきたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 両地域の振興開発につきましては、特別措置法の制定時から、奄美群島におきましては約一・八兆円、小笠原諸島におきましては約九百四億円の予算が計上されてきていたところでございます。

 両地域におきましては、こうした予算を活用いたしまして、今日まで、道路、港湾や農業生産基盤などのインフラ整備を行い、生活環境の整備を進めてまいったところでございます。

 また、産業振興や自然環境の保全といった分野におきましても、奄美群島振興交付金や小笠原振興開発補助金によりまして地元自治体の創意工夫によるソフト支援による支援を行い、一定の成果を上げてきたというふうに認識をしております。

 他方、両地域におきましては、今日的に増加をしております移住者の方、また、そのための住まいの確保、沖縄との連携などの今日的な課題があり、その対応が求められているところでございます。

 このため、奄美、小笠原両特別措置法の期限の延長と併せまして、必要な対策の充実を図るための改正法案を今日お願いしているところでございます。

漆間委員 今改正は、定住に加えて移住の促進が法の目的に追加されておりますけれども、移住といいますと、定住に比較してほかから呼び込んでいくというイメージがあります。そういう定住と移住の違いについて政府はどう思っているか。今回の法案の改正の目玉だとも思うんですけれども、その意気込みも含めて、先ほど櫛渕委員からは、やはり定住、自然増というお話もありましたけれども、奄美はちょっとどうか分からないということもありますので、是非この意気込み、定住と移住の違いの、言葉の違いを踏まえた意気込みをお伺いしたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 移住と定住には、共通して、ある土地に住むという意味がございますけれども、定住には、一定の場所に住居を定めて住むことに力点が置かれまして、他方、移住につきましては、今委員御指摘もございましたとおり、他の土地へ移り住むことや別の場所に引っ越しをするということに力点が置かれているというふうに考えてございます。

 今般、奄美群島では移住者の数が平成三十年度から約二倍に増加しているという状況がございます。また、小笠原諸島では転入者が年間三百人程度で推移しているということで、両地域におきましても、移住者の確保、また、地域社会の維持とそれに伴う課題を解決をするということが非常に喫緊の課題であるということでございます。

 そうしたことから、今回の法改正におきましては、法目的に移住の文言を追加するとともに、例えば、首都圏における両地域のプロモーションであるとか、空き家の改修による移住者向けの住宅整備、そうしたことを交付金、補助金の対象に加えることによりまして、両地域に移り住んでいただくために力点を置いた施策を新たに展開していきたいというふうに考えております。

漆間委員 移住といいますと、やはり、ほかから取ってくるということで、ほかの地域でプロモーションをして、どんどん来てくれということであると思うんですけれども、一方で、いろいろ資料を見ますと、そもそも住みたくても住めないところがあるという、住宅政策ですね、ここがうまくいっていないということもありますし、先ほど櫛渕委員のお話にもありましたように、住民の方は望んでいないという声もあるということも先ほどお聞きしましたので、そういったことも踏まえて、しっかりと現地と調和した形でやっていただきたいと思います。

 もう一つ、今回、法改正、文言を見ますと、移住ということに加えて、情報通信に関する文言がかなりたくさん、新たに追加されております。

 情報通信の在り方に関してなんですけれども、こういったもの、GIGAスクールだとかそういったことのさっき御答弁もあったんですが、そもそも、例えば、離島の離島、余り離島の離島と言ったら駄目なんですけれども、報道でちょっとあったので。離島の離島と呼ばれるようなところ、例えば、人口百人未満の与路島や請島みたいなところでは、まだまだハード整備もできていないということもお聞きしております。

 そういったことも踏まえて、海底ケーブルというのはすごいお金がかかると思うんですけれども、そういうハード、ソフトの整備状況と課題、今後の展望についてお伺いしたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 奄美群島の令和五年三月末時点での光ファイバー整備率につきましては、鹿児島県に確認をしたところ、十二市町村のうち、瀬戸内町が約九三%、残り十一市町村は一〇〇%という状況でございます。

 また、小笠原諸島につきましては、父島、母島共に光ファイバー整備率が一〇〇%となっております。

 こうした情報通信基盤や技術は、両地域の条件不利性を克服するための重要なインフラであるというふうに認識をしております。地域課題の解決のために活用されていくことが大変重要であると考えております。

 例えば、徳之島町、徳之島におきましては、テレビ会議システムを使って、遠隔地の二つの複式学級による合同授業を実施し、小規模学校の課題を解消しているという話を聞いております。

 そのため、今般の法改正におきまして、先端的な情報通信技術の活用についてを追記をさせていただきたいと思っておりますし、また、予算の方でも、デジタル技術を活用した取組につきまして、交付金の交付率のかさ上げを支援していくということを考えております。

 また、委員御言及がございました与論島であるとか請島の情報通信基盤の整備、こうしたことも重要な課題と認識をしておりまして、今般の情報通信に係る配慮規定の充実、それには、その整備を推進ということも含まれているというふうに考えております。

漆間委員 いわゆる離島の離島と呼ばれるようなそういう場所のハード整備も今回の法改正に含まれているという御答弁をいただきましたので、是非よろしくお願いいたします。

 次に、自然環境の保全と観光の両立というところについてお伺いしたいんですが、これは旅行者についてなんですけれども、小笠原具申というものにおいては、「観光客にも責任ある旅行者としての意識と行動を促すレスポンシブルツーリズム(責任ある観光)の推進が重要である。」とされております。

 観光客に責任ある行動を促すため、どのような取組を進めていくのか、お伺いいたします。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、小笠原振興開発審議会の意見具申におきましては、観光客と住民の双方にとって心地よい環境をつくるため、観光客にも責任ある旅行者としての意識と行動を促す、いわゆるレスポンシブルツーリズムを推進していく重要性について御指摘をいただいたところでございます。

 小笠原諸島におきましては、こうした御意見を踏まえまして、観光客の増加によって荒れた植生の回復を図るための入域規制であるとか、ツアーガイドの育成を通したエコツーリズムの推進といった取組が行われ、国としても予算措置によって支援をしているところでございます。

 国土交通省としましては、東京都と小笠原村とも連携をしながら、引き続き必要な支援を実施をしていきたいというふうに考えております。

漆間委員 これは小笠原に限らず、旅行者のよい振る舞いというものに注目する全国的な機運醸成というのは必要なものだと思っておりますけれども、そのために必要な取組を観光庁の方にお聞きしたいと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 国内外の観光需要の急速な回復により多くの観光地がにぎわいを取り戻す中、一部の地域においては、過度な混雑や旅行者のマナー違反による自然環境への影響などの懸念が生じていると承知しておりまして、こうした影響を最小限に抑えながら、自然環境の保全と利用の好循環、これによる持続可能な観光の実現を図ることが重要だと考えております。

 このため、観光庁におきましては、例えば、マナー啓発に係る情報発信を行うためのデジタルサイネージや看板の設置、あるいは、環境への負荷の少ないバイオトイレの設置などの受入れ環境整備への支援、さらには、自然保護活動体験を観光資源とするための実証事業を実施し、自然環境の保全と観光振興の両立に向けた地域の取組を支援しているところでございます。

 さらに、旅先での自然環境や地域住民の方々へ配慮した行動例などを示す旅行者向け指針の策定に取り組むこととしております。

 こうした取組を通じて、観光振興と自然環境の保全を両立しつつ、持続可能な観光の実現に向けた取組をしっかりと進めてまいります。

漆間委員 持続可能な旅行ということで、それも本当に重要なんですけれども、何より、旅行している方が、しっかりとそういうよい振る舞いを能動的にやることで訪れた地域との交流が深まるということ、これが本当に重要なことだと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、令和五年七月に小笠原審議会が行った意見具申においては、航路の開設に関して、世界自然遺産に登録された貴重な自然環境への影響も考慮して整備を進めるべきとされております。その上で、十一月に私が空飛ぶ車の発着場の質疑、バーティポート整備指針を質疑させていただきました。その質疑では、空飛ぶ車の機体の性能次第ではどこでも発着場になり得るんだという議論をさせていただいたところであります。

 そこで、改めて、航空局長は今日お越しいただいておりまして、ありがとうございます、航空局長に、バーティポート整備指針において、空飛ぶ車の機体の性能次第ではどこでも発着場になり得るのかということをまず一点確認したいと思います。それで、どこでも発着場ということは、例えば、貴重な自然環境への影響も考慮した形で空飛ぶ車発着場の可能性があるということでいいのか、まず確認したいと思います。

平岡政府参考人 お答えをいたします。

 空飛ぶ車の離着陸場でありますバーティポートにつきましては、昨年十二月にその設置基準であるバーティポート整備指針を策定し、公表いたしました。

 空飛ぶ車は、飛行場を使用できるほか、飛行場以外の場所につきましても、国土交通省において、整備指針に基づき、機体を離着陸させるのに必要な広さや強度があること、離着陸を行う際に障害となるような建物等がないことなどについて、申請に基づき、個別に安全性を確認の上、その使用を許可するということとしております。

 したがいまして、飛行場以外の場所につきましても、整備指針に基づき、個別に安全性を確認の上、基準に合致すれば、空飛ぶ車の離着陸場に使用できるものと考えております。

漆間委員 ありがとうございます。

 十一月の質疑では、バーティポート整備指針が整備されていけば、自宅の駐車場だったり庭だったりが、電線とかがいっぱいある中でも、ヘリでは着陸できないようなところに静かに着陸できる、これこそが空飛ぶ車、すばらしいところだみたいなところも質疑の中でさせていただきました。

 その上で、空飛ぶ車による離島の航空路の開設の可能性だったり、離島の振興に及ぼす影響、局長の今後の展望や、あと、夢も踏まえてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

平岡政府参考人 お答えをいたします。

 空飛ぶ車は、速達性が高く、かつ静音性に優れ、排出ガスがないなど、環境性能に優れており、離島を含む地方では移動の活性化に寄与するモビリティーとして期待をされているところであります。

 空の移動革命に向けた官民協議会において策定されておりますロードマップにおきましても、空飛ぶ車のユースケースの一つとして離島交通が位置づけられており、航続距離などの機体の性能にもよりますけれども、離島交通としての活用も想定されているところでございます。

 これまでの船舶や航空の往来に加えまして、空飛ぶ車による往来が加われば、移動の活性化、交流の活性化などによりまして、離島の振興にも寄与し得るものと考えております。

漆間委員 もう一つやはり言っておかなきゃいけないのが、空飛ぶ車というのはやはり電動であるというところで、内燃機関を使う航空機に比べてコストがすごく安く済むというところもあると思います。これまで、やはり、離れた島々の方々というのは、移動のコストだったり物流のコストがすごくかかるということがあったと思うので、そこも空飛ぶ車というのは解決していく一つの展望なのかなと思います。そういった点も含めて、空飛ぶ車、是非しっかりと進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 続きまして、奄美群島振興開発基金に関しての質問をさせていただきます。

 奄美群島振興開発基金について、今回、総務省の独立行政法人評価制度委員会から、事業者への経営支援の強化による収支改善の指摘があったことから、コンサルティング業務が追加されたとしておりますが、その詳細と、そのほかに評価制度委員会からどんな指摘があったのか、お伺いいたします。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 総務省の独立行政法人評価制度委員会からは、昨年十一月二十七日に、奄美基金に対する指摘事項が示されまして、コンサルティング機能の強化拡充のほかに、財務内容の改善の一助となる新たな収入源の確保、また、融資勘定における預金の運用による運用益等の指摘があったところでございます。

 こうした指摘を踏まえまして、今般の法改正案の中で、コンサルティング業務の追加とともに、協調融資における融資条件の拡充であるとか、預貯金の運用についての見直しを進めていきたいというふうに考えております。

 あと一点、先ほど私の情報通信の答弁の中で与論島というふうに申し上げましたが、与路島の誤りでございました。おわびして訂正をさせていただきます。

漆間委員 そのほかに評価制度委員会から何か指摘というのはあったんでしょうか。コンサルティング業務と収支改善のほかはなかったと思っていいんですね。分かりました。

 では、続きまして、日本政策金融公庫との統合に関してお伺いいたします。

 令和四年の沖縄振興特別措置法の改正時に、沖縄振興開発金融公庫を日本政策金融公庫に統合する規定を十年延長することが決定されました。

 奄美群島振興開発基金についても、かつて、日本政策金融公庫との統合の是非について、第三者委員会が設置され、検討がなされたことがありますが、今後、奄美群島振興開発基金が日本政策金融公庫など大きな金融機関と統合する可能性についてはどのように考えているのか、お伺いいたします。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十五年に閣議決定をされました独立行政法人改革等に関する基本的な方針の中で、奄美基金については、日本政策金融公庫との統合の可能性も視野に入れつつ、人事交流、業務連携等を実施するなど、同公庫との連携を図ることとされたところでございます。

 このため、この間、同公庫において行われるOJT研修への基金職員の参加、また、審査や債権管理に関する情報交換を定期的に実施するとともに、事業承継のために同公庫の取引先と奄美群島の事業者をつなぐ協定を締結するなどの連携強化、これを図ってきたところでございます。

漆間委員 そうしますと、日本政策金融公庫などの大きな金融機関との統合する可能性というのはどういう感じで考えておられるんですか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 今回の法改正に当たりまして、奄美基金につきましては、出資者である鹿児島県及び十二市町村から、地域課題に取り組む事業者への金融支援であるとか地域に密着したきめ細かな対応ができる奄美基金は、群島の発展に不可欠な存在であり、更なる機能強化が必要だという要望をいただいております。

 こうした地元の意向を踏まえまして、先ほど申し上げましたコンサルティング業務の追加を始めとした業務改善の取組をしっかり行うこととしたいというふうに考えております。

漆間委員 可能性については余りない、地元の声も踏まえてということだという認識でよろしいですか。はい、分かりました。

 とはいえ、やはり今回、定住ではなく移住ということです。ほかから呼び込むということも法の趣旨にあって、そういったことも踏まえれば、やはりほかの方が経営に関わるというのはすごく重要なこと、人事交流もなされていると言いましたけれども、沖縄が日本政策金融公庫との統合も検討されていたということもあるわけですから、是非ここも検討課題に入れていただきたいと思います。

 それでは、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

長坂委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時三十五分休憩

     ――――◇―――――

    正午開議

長坂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 ただいま議題となっております内閣提出、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案について審査を進めます。

 本案に対する質疑は、先ほど終局いたしております。

 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

長坂委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

長坂委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、小林茂樹君外七名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会・教育無償化を実現する会、公明党、日本共産党、国民民主党・無所属クラブ、有志の会及びれいわ新選組の八会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。野間健君。

野間委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 趣旨の説明は、案文を朗読して代えさせていただきます。

    奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。

 一 奄美群島及び小笠原諸島における定住や移住の促進に資するため、医療・介護や住宅の確保といった生活環境の整備について具体的かつ充実した施策の実施に努めるとともに、両地域における交流人口の増大や物価格差の是正等のため、人の往来及び物資の流通に要する費用の低廉化に資するための施策の充実について検討を加え、所要の措置の実現を図ること。

 二 奄美群島及び小笠原諸島における子育て環境の格差解消に向け、特に奄美群島における子供の貧困について、特段の配慮を行うこと。また、両地域の子供が遠隔教育等を通じ、確実な学力を習得できるよう必要な支援に努めること。

 三 奄美群島振興交付金制度は、主にソフト面での支援施策として、地域が主体的に施策を実施するためのものである趣旨に鑑み、沖縄との連携などについても積極的な活用が図られるよう配慮をすること。また、奄美群島における住環境や情報通信等インフラの整備に当たっては、沖縄振興に関する諸施策の状況を参考にし、調和ある発展が図られるよう留意すること。

 四 奄美群島及び小笠原諸島は、自然環境面において極めて貴重な地域であることから、その振興開発に当たっては、自然環境の保護・保全に積極的に取り組むとともに、エコツーリズム等の自然環境の保護・保全と両立する持続的な観光振興が図られるよう配慮すること。

 五 離島航空路線が住民の生活路線であること、他地域との交流の活発化に欠かせないインフラであること等に鑑み、地元の意見や自然環境との調和に十分配慮しつつ、本土と奄美群島間の航空運賃の軽減について必要な措置を講ずるとともに、小笠原諸島における航空路の開設を含め、必要となる取組に努めること。

 六 奄美群島及び小笠原諸島は、台風の常襲地帯に位置するとともに、地震に伴う津波被害も想定されるなど、災害を被りやすい地理的及び自然的条件にあることから、台風に強い農林水産業の生産基盤の強化のため奄美群島振興交付金及び小笠原諸島振興開発補助金などの活用や、台風時の物資の確保など必要な防災減災対策を推進すること。

 七 独立行政法人奄美群島振興開発基金の新たな業務については、専門人材の育成等に努め、業務が同基金の確実な収益基盤の拡大をもたらすように図るとともに、更なる業務改善のための機能強化についても検討を進めること。

 八 奄美群島及び小笠原諸島は、島ごとに独立したエネルギー供給網を持つという特性をいかし、再生可能エネルギーを活用した独立した分散型エネルギー供給システムを構築できるよう必要な制度的財政的支援措置の検討を進めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

長坂委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

長坂委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)国務大臣 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝申し上げます。

 今後、本法の施行に当たりましては、審議における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長始め理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。

 誠にありがとうございました。

    ―――――――――――――

長坂委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

長坂委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

長坂委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.