衆議院

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第3号 令和5年4月12日(水曜日)

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令和五年四月十二日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 下条 みつ君

   理事 池田 佳隆君 理事 江渡 聡徳君

   理事 斎藤 洋明君 理事 中川 郁子君

   理事 梅谷  守君 理事 松原  仁君

   理事 美延 映夫君 理事 浜地 雅一君

      青山 周平君    上杉謙太郎君

      高村 正大君    佐々木 紀君

      櫻田 義孝君    辻  清人君

      藤井比早之君    細田 健一君

      本田 太郎君    山口  壯君

      義家 弘介君    太  栄志君

      池下  卓君    金城 泰邦君

      鈴木  敦君    笠井  亮君

    …………………………………

   外務大臣         林  芳正君

   国務大臣

   (拉致問題担当)     松野 博一君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 谷  公一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  齋藤 秀生君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  平井 康夫君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 早川 智之君

   政府参考人

   (警察庁サイバー警察局長)            河原 淳平君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 山碕 良志君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 實生 泰介君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 池上 正喜君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長)            市川 恵一君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 田部井貞明君

   衆議院調査局北朝鮮による拉致問題等に関する特別調査室長          那須  茂君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十二日

 辞任         補欠選任

  加藤 鮎子君     本田 太郎君

  亀岡 偉民君     青山 周平君

  中川 宏昌君     金城 泰邦君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     上杉謙太郎君

  本田 太郎君     加藤 鮎子君

  金城 泰邦君     中川 宏昌君

同日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     亀岡 偉民君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 北朝鮮による拉致問題等に関する件


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     ――――◇―――――

下条委員長 これより会議を開きます。

 北朝鮮による拉致問題等に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官齋藤秀生君、内閣官房内閣審議官平井康夫君、警察庁長官官房審議官早川智之君、警察庁サイバー警察局長河原淳平君、総務省大臣官房審議官山碕良志君、外務省大臣官房審議官實生泰介君、外務省大臣官房参事官池上正喜君、外務省総合外交政策局長市川恵一君及び防衛省大臣官房審議官田部井貞明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

下条委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

下条委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。細田健一君。

細田(健)委員 自由民主党の細田健一でございます。

 質問の機会をいただきましたことを、委員長始め、理事の先生方に心から御礼を申し上げます。また、両大臣もわざわざ御出席いただいたこと、本当にありがとうございました。御礼を申し上げたいと思っております。

 本日は、北朝鮮による拉致被害者家族連絡会、いわゆる家族会と、北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会、いわゆる救う会というのがございますけれども、この両会が本年の二月二十六日に今後の運動方針を発出いたしました。この運動方針について、私も救う会の方からいろいろとお話を承りまして、そのお話に基づいて、まず質問させていただきたいというふうに思っております。

 この運動方針の骨子といいますのは、親の世代の家族が存命のうちに全拉致被害者の即時一括帰国が実現するならば、家族会、救う会は人道支援に反対しないというものです。これは、同趣旨の金委員長へのメッセージも発出をされております。三月一日に官邸で岸田総理にこの運動方針を手渡したというふうに承っておりますので、両大臣ともこれは御覧になっておられると思います。

 これまで、家族会、救う会は、二〇一九年と二〇二一年の二回、金委員長へのメッセージを出しております。一回目は、全拉致被害者の即時一括帰国が実現するならば、日朝国交正常化には反対しないとし、二回目、二〇二一年のものには、親の世代の家族が存命のうちに全拉致被害者の即時一括帰国が実現するならば、日朝国交正常化に反対しないというものでございました。

 今回は、ある意味でそれを転換いたしまして、親の世代の家族が存命のうちに全拉致被害者の即時一括帰国が実現するのであれば、家族会、救う会は人道支援に反対しないというふうにしたわけでございます。

 これまで、家族会、救う会は、過去に人道支援に反対して、自民党の本部や外務省の前で座込みを行ったこともあるというふうに承っております。本来であれば、拉致は本当に許し難い国家犯罪でありまして、被害者である家族会が、いわゆる犯人である北朝鮮に対して人道支援などは全く口にすべきではないというような批判もあったというふうに承っているところでございます。

 ただ、一方で、皆さん御存じのとおり、救出運動の先頭に立ってこられた初代家族会代表の横田滋さん、また、二代目家族会代表の飯塚繁雄さんらが本当に残念ながら力尽きて逝去される中で、親の世代の家族会メンバーは、有本恵子さんのお父さんの明弘さんと、横田めぐみさんのお母様の横田早紀江さんの二人だけになってしまったという状況があり、解決への時間が時間的には非常に切迫しているということ、また、今年に入って北朝鮮は非常に経済的な苦境にあるということを理由にして、新しい運動方針に転換したというふうに承っております。

 本来であれば、再度申し上げますけれども、北朝鮮による国家犯罪、これは絶対に許すことができないものでございます。全く条件をつけずに全拉致被害者を即時一括帰国させよということだと思いますけれども、しかし、親世代の御家族が高齢化する中で、一刻も早く解決してほしいという御家族の思いが新しい運動方針に結実したわけでございまして、御家族の思いを考えると、本当に胸が詰まるような気持ちがいたします。

 まず、この運動方針について、これを書き込んだ御家族の気持ちをどう受け止めておられるかということ、また、この新しい運動方針を政府としてどのように評価しておられるのかということを拉致の担当大臣にお伺いしたいと思います。

松野国務大臣 細田先生にお答えをさせていただきます。

 本年二月二十六日に拉致被害者家族会、救う会の合同会議で決定された今後の運動方針については、先月一日に岸田総理が手交を受けた際にも私も同席をし、御家族の方々の思いをお伺いをいたしました。

 この新たな運動方針については、拉致問題の解決に向けた御家族の方々の強い思いの表れと、厳粛な思いで受け止めています。

 御家族の方々からは、これまでも様々な機会に長年にわたる苦しみと悲しみを直接お伺いをしてきていますが、拉致問題の解決はもはや一刻の猶予もないという切迫感を改めて痛感しています。

細田(健)委員 ありがとうございます。

 本当に厳粛に受け止めていただいて、また、一刻の猶予もないという切迫感をというお話でございましたけれども、この新運動方針についての評価については、大臣、いかがでしょうか。

松野国務大臣 この新しい方針を受けた思いは先ほど申し上げさせていただきましたけれども、拉致問題は時間的制約のある人道問題であります。御家族の皆様の思いを重く受け止めながら、政府として、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現に向け、引き続き全力で果断に行動していく決意であります。

細田(健)委員 ありがとうございます。

 今の大臣のお言葉は本当に貴重なものだというふうに思っております。厳粛な思いで受け止めていただいて、果断に行動していくという強い決意も披瀝されました。私からも、今のお言葉で家族会あるいは救う会の皆様は大変心強く思われておられるんじゃないかと思いますけれども、大変力強い答弁をいただいたと思っております。

 それでは、次に、林外務大臣にお伺いしたいと思います。

 今の新しい運動方針、必要であれば人道支援に反対しないということ、これも当然、一刻も早い全ての拉致被害者の即時一括帰国というのが前提になっているわけでございますけれども、これを受けて、今後、政府として、拉致被害者の即時一括帰国に向けてどのように北朝鮮と交渉するのかということについてお話しいただければと思います。

林国務大臣 先般、拉致被害者家族会、救う会の合同会議で決定されました今後の運動方針、そして北朝鮮指導者への三回目のメッセージ、これは拉致問題の解決に向けた御家族また救う会の皆様の強い思いの表れであり、私も厳粛な思いで受け止めておるところでございます。

 今後、北朝鮮とどのように交渉するかという点に関しましては、今後の交渉に影響を及ぼすおそれがあるため、明らかにすることは差し控えたいと思いますが、北朝鮮への対応について、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決に向けて何が最も効果的かという観点から不断に検討を行ってきておりまして、今後も検討してまいりたいと思っております。

 拉致問題は時間的制約のある人道問題であります。全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現に向けて、政府として全力で取り組んでまいりたいと考えております。

細田(健)委員 林大臣、ありがとうございました。

 大臣からも非常に力強い御決意の披瀝をいただいたものというふうに受け止めております。大変厳粛に受け止めていただいて、また、全力でやるということで、是非外務省の皆さんを督励していただいて、林大臣のリーダーシップで新しく事態を打開していただくように改めてお願いをしておきたいというふうに思っております。

 次に、私は新潟二区の選出でございます。今度区割りが変更になりますけれども、旧新潟二区は、佐渡あるいは柏崎といった、まさに拉致が行われた現場が含まれた地区でございまして、曽我ひとみさんあるいは蓮池薫さんには、いろいろとお目にかかり、また、お話を伺う機会もございますけれども、拉致の現場を見ますと、これは全く私の個人的な感想でございますけれども、土地カンがある現地の人間が手引きをしたのではないか、そういう可能性があるのではないかということを強く感じております。

 例えば、佐渡ですと、真野という地区で拉致が行われたわけでございますけれども、想定されるいわゆる犯人の逃走ルートをたどっていきますと、およそ土地の方でないと分からないような小路を通ったりしているわけでございまして、もちろんこれも強い推定にとどまっているわけでございますけれども、その意味では、現地のスリーパーというんでしょうか、現地に在住している工作員が支援をした可能性もあるのではないかというふうに個人的には強く感じられるわけでございますけれども、この点についての捜査当局の見解はいかがなものでしょうか。

 また、当然、実行犯以外に、拉致の幇助犯の可能性も否定できないというふうに考えておりますけれども、この点について捜査当局としてどうお考えなのかということを御説明いただきたいと思います。

早川政府参考人 お答えいたします。

 警察におきましては、北朝鮮による拉致容疑事案等の全容解明に向けて、拉致に関与した国内協力者の存在も念頭に、あらゆる可能性を視野に入れて捜査、調査に取り組んでいるところでございます。

 拉致の幇助犯の捜査についてのお尋ねでありますが、幇助に当たるかの判断は、事案の内容や事案ごとの関係者の態様等によるものであり、正犯、幇助犯のいずれに当たるかなどを含め、事実関係を解明した上で行う必要があると考えております。

 警察といたしましては、拉致容疑事案等の全容解明に向けて、国内に幇助犯が存在する可能性があることも含めまして、あらゆる可能性を視野に捜査、調査に取り組んでまいりたいと考えております。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 今お話があったとおり、国内でのいわゆる補助者といいますか、手伝った人間の可能性も排除せずということですので、是非しっかりと捜査をしていただきたいと思いますし、また、私の認識が間違いなければ、いわゆる幇助犯の人間が指名手配されたりとか、そういうことはこれまでないと思いますけれども、そういうこともちゅうちょせずに捜査活動を是非頑張っていただきたいというふうに思っております。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 同様に、私の選挙区の中には、いわゆる政府の拉致認定は行われておりませんけれども、いわゆる北朝鮮に拉致された可能性が高いのではないかとされる特定失踪者の方がおられます。特定失踪者の家族会の方とも様々なやり取りを行う機会がございますけれども、特定失踪者の家族会の皆さんも非常に切ない思いをされておられて、そもそも、なかなかその位置づけが難しいところもございますし、また、これは政府に対する批判というよりも、報道その他が当然のことながら政府認定の拉致被害者あるいはその家族の方に集中するようなこともございますので、その意味では、やや、特定失踪者の家族の方は、自分たちは置き去りになっているのではないかという思いを強く持っておられる状況もあるのではないかというふうに考えております。

 なかなか困難な面があると思いますけれども、これまで政府としても特定失踪者の家族会に対しても様々な配慮をいただいてきたと思いますけれども、今後とも、必要に応じて、特定失踪者家族会に対しても、拉致を認定された被害者家族に対するのと同等の情報提供を行っていくべきではないかというふうに考えておりまして、この点についての政府の御見解をお願いいたします。

平井政府参考人 お答え申し上げます。

 政府といたしましては、拉致被害者として認定された十七名以外にも北朝鮮による拉致の可能性を排除できない行方不明者が存在するとの認識の下、認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国のために全力を尽くしているところであります。

 拉致の可能性を排除できない行方不明者の御家族に対しましては、拉致問題に関する様々な情報を提供しているほか、御家族からの問合せや相談にも誠意を持って応じてきております。

 今後とも、御家族に寄り添った対応を行ってまいりたいと考えております。

細田(健)委員 どうもありがとうございます。御家族に寄り添った対応ということで、大変心強く思っております。

 質問のときに申し上げたように、特定失踪者の家族会の皆さんは、自分たちがややもすれば置いてきぼりになっているんじゃないかという思いを抱かれる方も非常に多いというふうに承っておりますので、是非その点に配慮して対応していただければ大変ありがたいというふうに思っております。

 最後に、質問の通告はしておりませんけれども、問題点の指摘だけさせていただきたいと思っております。

 日本経済新聞の九日の朝刊に、これは両大臣あるいは事務方の皆さんも御覧になったと思いますけれども、北朝鮮の密輸に関わった可能性のある船六隻が三年間で三十八回我が国に寄港したという報道がございました。

 記事にはいろいろな指摘がございましたけれども、いわゆる国連の制裁リストに基づく日本の制裁の今の法令の体系にはいろいろな限界があるということが記事の中では指摘をされておられまして、有識者の意見として、船の船舶自動識別システムというんですか、このシステムによる位置情報の開示を求めて、開示に応じない場合は何らかの処分の対象にすべきではないかというような提言もございました。

 こういう点について、非常に大事なポイントだと思いますので、私も与党の中でいろいろな議論をしていきたいというふうに考えております。

 両大臣、本当にありがとうございました。家族会そして救う会の皆さんは非常に心強く感じられたのではないかというふうに思っております。

 こういう機会をいただきまして本当にありがとうございました。

 終わります。

下条委員長 次に、梅谷守君。

梅谷委員 立憲民主党の梅谷守です。

 本日は、三大臣そろっての御出席をいただきまして、本当にありがとうございます。心から感謝申し上げます。

 そして、今日のこの質疑を通じて、広く国民の方々が、日本政府は本当に真剣にこの問題に取り組んでくれているんだな、そして最重要課題として取り組んでくれるだけあるなというふうに感じていただけるような御答弁を期待し、質問に入らせていただきます。

 まず、特定失踪者の拉致被害者認定についてお尋ねをします。

 私は、新潟、新しい五区というところの選出ですけれども、新潟県では、現在、六名の県出身の特定失踪者の方々がおられます。

 四十九年前、佐渡で失踪した大澤孝司さんもそのお一人です。特定失踪者問題調査会では七十七名の方を北朝鮮に拉致された可能性が高いと発表していますが、大澤さんもその中に含まれます。

 孝司さんのお兄さんの昭一さんは、今年の二月に内閣府の和田副大臣に孝司さんの認定を改めて求めました。また、新潟市議会は、昨年、特定失踪者を含めた拉致問題の早期解決を求める条例を施行しています。

 そこで、まずお尋ねしますが、こうした御家族、地元の努力を大臣はどのように受け止めていらっしゃるでしょうか。よろしくお願いします。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 県議会また市議会を始めとした、意見書もおまとめをいただき、また御提出をいただいておりますし、また、それぞれの地域においてこの拉致問題に関して解決に向けての御努力をいただいておりますことに、心から敬意を表し、感謝を申し上げる次第であります。こういった意見書については、全ての拉致被害者の方々の一日も早い帰国を願う痛切な思いと切迫感に裏づけられたものと認識をして、重く受け止めております。

 拉致問題の解決のためには、日本国民が心を一つにして、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現への強い意思を示すことが重要であります。御指摘の意見書、また地方自治体や地方議会の様々な活動をしていただいていることは、拉致問題解決に向けた力強い後押しになると考えております。

梅谷委員 今、実は二つ目の質問を先にお答えいただいてしまったんですが、私、今質問させていただいたのは、新潟市議会が昨年条例を施行しました、こういった努力についてどう受け止めていますかということだったんですが、後でまた何かのときにちょっと追加でいただきたいと思います。

 それで、二番目の質問はいただいたので飛ばしますが、政府認定の拉致被害者は松本京子さんを最後に認定は行われておりませんが、今も認定作業は行われているんでしょうか。そして、なぜ大澤さんは拉致被害者として認定されないのか、お尋ねをします。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 お尋ねの大澤孝司さんについては、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案として、関係府省庁が連携して鋭意捜査、調査を実施しているところでありますが、これまでのところ、北朝鮮による拉致行為があったことを確認するには至っていません。

 政府としては、大澤さんの事案も含め、今後も、拉致の可能性を排除できない事案の真相究明に向けて全力を挙げて取り組んでいく考えであり、北朝鮮による拉致行為があったと確認された場合には、速やかに拉致認定をしてまいります。

 いずれにしても、政府としては、認定の有無にかかわらず、北朝鮮に拉致された全ての拉致被害者の一日も早い帰国の実現に向けて、全力で果断に行動をしてまいります。

梅谷委員 今大臣は確認するに至っていないというふうにおっしゃっていましたが、じゃ、そこで国家公安委員長にお尋ねをしますが、これは一義的に県警の捜査次第ということなんですけれども、警察庁は県警と情報をどれだけ共有をされているのでしょうか。といいますのも、新潟県警の捜査でたどり着かない点でも、他県を含めた全国的に捜査状況を共有すれば、違う側面が見えてくる可能性があるのではないかと私は考えております。

 そこで、お尋ねしますが、拉致認定は政治判断で行うものではないでしょうけれども、大澤さんの認定に向けて捜査を進展させるために、県警に任せるだけでなく、もっと国を挙げて努力すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

谷国務大臣 お答えいたします。

 拉致の問題は内閣として大変重要な課題でございますので、都道府県警察に任せるだけではなくて、警察庁とも常に連携を密にしながら当たっているところであります。

 北朝鮮による拉致行為という定義でございますけれども、国内外において本人の意思に反して北朝鮮当局により行われた、主として国外移送目的拐取、難しい言葉でございますが、刑法第二百二十六条にある拐取、その他の刑法上の略取及び誘拐に相当する行為と考えているところでございまして、警察では、これまでも、警察庁及び地元警察、県警本部などとも十分連携を取りながら捜査又は調査を通じて行ってきたところでございますが、現在のところ、客観的な証拠あるいは関連情報を総合的に判断したところ、拉致容疑事案との判断にはまだ至っていないというところであります。

 そうはいいましても、今後、捜査、調査の結果、北朝鮮における拉致行為があったことが確認された場合には、速やかに拉致容疑事案として判断するものと承知しているところであります。

梅谷委員 ありがとうございます。

 まだ至っていないということでして、ただ、今後も連携をされて調査をしっかり行っていただく、分かったならば、認められたならば認定していただけるというふうに受け止めました。

 いずれにしても、大澤さんの御家族は、こういう拉致問題が動かず、認定すら全く事態が動かない中で、四十九年間、ずっと蚊帳の外に置かれ続けているんです。対北朝鮮で隙を見せたくないという話も理解をしますけれども、北朝鮮が宣伝に利用するというのは、もちろん大きい問題ですけれども、それほど決定的なことなんですか。当事者である御家族を四十九年間蚊帳の外に置くことを本当に正当化できるほどのことなのか、私は、このことを是非大臣に申し上げたいと思います。

 もう一つ、せめて、この特定失踪者の会、以前も質問にありましたが、総理との面会を実現していただけないですか。是非ここは強くお願いをしたいんですけれども、御答弁をお願いします。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 政府としては、拉致被害者として認定された十七名以外にも北朝鮮による拉致の可能性を排除できない行方不明者が存在するとの認識の下、認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国のために全力を尽くしているところであります。

 拉致被害者の認定については、北朝鮮側に反論する材料を与えないよう慎重に対応しているところであり、拉致の可能性を排除できない行方不明者の方々の御家族に対しては、拉致問題担当大臣である私がお会いをしてお話をお伺いさせていただいており、要望の内容等については総理にも報告をしているところであります。

 今後とも、情報提供や要望の聴取など、御家族の気持ちに寄り添いながら、丁寧な対応に努めてまいりたいと考えております。

梅谷委員 前回と同じ答弁ですけれども、政府は、認定の有無にかかわらずと事あるごとにおっしゃっていますが、認定のない方の御家族は、現状、今おっしゃったように官房長官で、総理に会うことはできません。総理に直接物を言うことが、話すことができないんです。だから、せめて総理の面会を実現していただきたい、これを私は強く求めます。よろしくお願いします。

 次の質問に移ります。

 拉致被害者御家族等への情報提供についてお尋ねをします。

 新潟県は、今現在、本当に頑張っています。これまでもずっと頑張っていますが、映画上映会、若者向けの啓発活動、様々な世論喚起、機会を捉えて政府に対する要望活動、十二月には全国知事会から要望し、松野官房長官にお会いした。

 国民の意識、関心を維持し、高めるために、このことが解決につながるんだと信じて、県の方々は、御家族、支援団体と一緒になって活動されています。

 県政のこうした現場で汗をかかれている方からお話を伺うと、政府がどのような取組をしているのか、今どんな状況にあるのかなど、一片だけでも、断片でも情報を出していただきたいといった切実な声をおっしゃいます。意識を落とさないためにも、決して落としているわけじゃないんだけれども、落とさないためにも、県民の意識啓発にもつながるのだが、情報提供の観点で、この辺が明確になっておらず、ここが課題だとはっきりおっしゃいます。加えて、こうもおっしゃっています。家族にも何も知らせてもらえない、御家族の方々だけにでもお願いしたいと、県政で、現場で汗をかかれている方は言います。

 令和二年の三月十六日の参議院予算委員会において、安倍元総理のこういう答弁がありました。被害者の御家族の皆様には、お目にかかったときには、ここでお話をしている以上のことを実はお話をさせていただいています、この皆さんは、この交渉に影響が出てはいけないということで沈黙を守っていただいておりますが、皆様方には、私たちがどのようなことをどういう戦略の下に考えているかということについては、ある程度概要についてはお話をさせていただいているところでございます、このようにおっしゃったんです。

 そこで、お尋ねするんですが、岸田総理は、御家族とお会いになる際に、今、安倍元総理がおっしゃって、答弁されたような、国会で話されている以上のお話を御家族に伝えているのでしょうか。私の知る限り、何も情報がないことから、御家族の御不安、苦しみしか聞こえてこないんですけれども。

 安倍政権では、総理が内々に御家族とお会いになる際でも、少なくとも官房長官は話を共有されていたと聞いています。長官を兼任される松野大臣に、改めて御家族に対する岸田総理の情報提供の状況をお伺いします。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 拉致被害者御家族に対しては、いずれの内閣においても、総理や拉致問題担当大臣が様々な形で御家族の声を直接お伺いするとともに、可能な限り情報提供に努めているところであります。

梅谷委員 そうすると、私の耳に届かないだけなんですね。私の知る限りでは、繰り返しますが、何も情報が入ってこないという御家族の御不安、苦しみの声が聞こえてくるわけなんです。私は、そういう意味では、今の大臣の御答弁を信じて、情報提供されていると信じたいと思います。

 その上で、先ほどもちょっと触れていましたが、特定失踪者の方々にも、一人一人状況は違いますが、違いを踏まえつつ、御家族に、こちらの御家族の方々にももっと情報提供をすべきことを強く求めますが、先ほど、様々な情報提供をされている、相談にも乗っている、寄り添った対応をされているという御答弁をされていましたが、改めて心ある御答弁をお願いします。

谷国務大臣 警察では、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案につきましても、拉致の可能性を含め、事件、事故等、あらゆる可能性を念頭に捜査、調査を進めているところであります。

 こういう過程で把握した情報あるいは捜査の経過などにつきましては、捜査、調査に支障のない範囲で、可能な限り御家族に対して説明するよう努めているところであります。具体的には、各都道府県警察の方から御家族などに説明をしているところでございます。

 今後とも、御家族のお気持ちを十分受け止め、平素から連絡体制を維持しながら、御家族に対し丁寧に説明するよう警察を指導してまいりたいと考えております。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 今後とも、情報提供や要望の聴取など、御家族の気持ちに寄り添い、丁寧な対応に努めてまいりたいと考えております。

梅谷委員 言うまでもなく、現場の方々は大変な御苦労を続けていらっしゃるわけでして、しかし、余りにも長い年月が過ぎて、進展も見られない中で、先の見えない活動に、いつまで続ければ、本当に役に立っているのかという、気持ちが切れそうな思いを抱えておられる現実もあることをどうか御理解ください。

 大臣、これらの方々も、拉致問題で政府とともに北と闘う同志ではないですか。是非とも、共に闘う仲間に思いを致して、一片だけでも、今おっしゃった御答弁、丁寧にとおっしゃっていただきました、政府の取組を出す努力をしていただきたいと思います。

 次の質問です。

 所信表明についてなんですが、三大臣の所信を聞いて、気になることが一つありました。外務大臣と国家公安委員長の所信には、我が国の対北基本方針として、拉致、核、ミサイルを包括的に解決すると述べられました。しかし、拉致担当大臣は拉致のみしか入っていなかったんですね。この三点セットへの言及がなかったんです。

 なぜこのような違いが所信で出たのか、教えてください。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 さきに本委員会において述べた私の所信は、拉致問題担当大臣としての立場から、拉致問題をめぐる現状及び拉致問題解決に向けた今後の方針に焦点を絞って報告をしたものであり、日朝国交正常化に向けた方針を表明したものではございません。

 北朝鮮に対しての政府の方針は、本年一月二十三日に行われた岸田総理の施政方針演説において、「日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指します。」と述べたとおりであります。

梅谷委員 日朝国交正常化に向けてなのか否かで違いが出たというんですけれども、私は、三大臣の所信は、それぞれの大臣の方針ですけれども、この拉致特においても政府の方針を示すものでありますから、これがばらついているというのは、政府の対北朝鮮、拉致問題についての方針が、閣内不一致とまでは言いませんよ、申し上げませんけれども、政府内でどこまですり合わせがされているのか、意思統一されていないと見られても仕方がないのかという問題意識を持ちました。もっと言えば、ワンチームとなってどこまで真剣に向き合っているのかが問われかねないのではないかというふうに受け止めます。

 岸田内閣にとって拉致が最重要課題だといいつつ、拉致問題の政策上の重要性を、拉致、核、ミサイルという言葉の中でごまかしているのではないかと思っています。何が最重要かを曖昧にするために、拉致こそ最重要課題との文脈と、拉致、核、ミサイルを包括的に解決の表現が併存することを避けようとしていないかというふうにも考えてしまいます。

 拉致、核、ミサイルの表現は、核やミサイルだけの先行解決を認めないという意味では大事だと理解していますが、拉致、核、ミサイルの中でも拉致こそが最重要であり、それが日本の方針だというのが私の理解です。

 岸田内閣としてそれをきちんと断言できるのか、改めて大臣の御答弁を求めます。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 先ほど申し上げましたとおり、岸田内閣としての北朝鮮に対しての姿勢に関しましては、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指す、このことは内閣に共通の意識として統一されたものでございます。

 その中にあって、これは総理も私も常々申し上げますとおり、拉致問題というのは岸田内閣において最優先課題だということの認識でございます。

梅谷委員 そこまではっきりおっしゃっていただけて、是非それをやっていただきたいですし、また、誤解がないような所信をお願いしたいと思います。

 次に、北朝鮮の工作及び資金源についてお尋ねをします。

 先日、四月の十日付のニューズウィーク日本版の記事に、朝鮮日報の引用の形で、北朝鮮の指示を受けた団体が韓国内で、福島沖で怪魚の出現などのデマをインターネットで大量にばらまき、反日感情をあおるため活動していたという報道がありました。

 このようにだけではないでしょうけれども、北朝鮮のスパイや工作員の暗躍についてはいろいろなうわさがありますけれども、我が国において北朝鮮の拉致を含む工作活動で被疑者を逮捕ないし起訴したケースがどれだけあるのか、あるならばどのようなケースがあったのか、御説明いただきたいと思います。政府参考人で結構です。ああ、もし大臣にお答えいただけるのであれば。

谷国務大臣 北朝鮮につきましては、過去に重大な国際テロ事件や拉致容疑事案を引き起こし、また、近年においても北朝鮮が関与する諸工作が活発に行われており、諸工作の中には、今御指摘のような偽情報も当然あろうかと思います。十分な警戒が必要であるとまず基本的に認識しているところでございます。

 その上で、今御質問の、北朝鮮による工作活動で逮捕したり起訴したケースがあるかどうかというお話でございますが、それは、例えば、平成二十五年に、軍事関係情報に関するデータを不正に複製した上、北朝鮮の軍関係者の疑いのある人物に提供した者が著作権法違反で逮捕、起訴されたケースがございます。また、この同人は、北朝鮮側の要望に応えて、軍事関係資料の収集などを行い、提供するなどの工作活動を行っていたことが捜査を通じて判明をいたしているところであります。

 引き続き、諸外国の機関等による違法な情報収集などの対日有害活動に関し、情報収集、分析に努めるとともに、違法行為に対しては厳正な取締りを行うよう、警察を指導してまいりたいと考えております。

梅谷委員 ありがとうございます。

 次に、時間も限られてきたので、北朝鮮の資金源についてお尋ねします。

 このところ立て続けに、北朝鮮のミサイル発射を始め、北朝鮮が核・ミサイル開発に巨額の投資を行っていることがうかがわれます。経済が非常に厳しい中で、北がどうやって資金を確保していると分析されているのか。ペンタゴンの報告書に、統一教会が北朝鮮に巨額の資金を提供していた事実が記載されていることを紹介した記事もありました。

 拉致問題の解決のためには、北朝鮮の資金源を断つことが非常に重要だと考えます。政府は、この北朝鮮の資金源をどのように考えていらっしゃるんでしょうか、御答弁をお願いします。

林国務大臣 北朝鮮による核・ミサイル開発の動向の資金的な詳細につきまして、事柄の性質上、お答えすることは差し控えたいと思いますが、例えば、国連安保理の北朝鮮制裁委員会の専門家パネルによる報告書において、北朝鮮が、まず一つ目、石炭等を不正輸出していること、二番目に、金融機関や暗号資産取引所等へのサイバー攻撃を通じて、暗号資産を窃取して資金洗浄をしていること、そして三つ目として、海外において北朝鮮労働者の雇用が継続していることなど、北朝鮮による制裁違反、回避が疑われる事例が報告されております。

 我が国としても、引き続き、北朝鮮による核・ミサイル開発の動向について情報収集、分析に努めてまいります。また、関連の安保理決議の実効性を確保するとともに、我が国として取っている措置の実施も徹底をしてまいります。

梅谷委員 北朝鮮の資金源としては、瀬取り、IT技術者の送金、サイバーなどが指摘をされています。今大臣から御答弁いただいたことも、もちろんそこに含まれます。

 瀬取りは安保理に報告することになっているんですが、件数や金額など、もし分かれば御説明いただきたいです。

實生政府参考人 お答えいたします。

 我が国は、北朝鮮による国連安保理決議違反が疑われる活動について、平素から情報収集、分析に努めており、その一環として、米国及び関係国と連携して、航空機による警戒監視活動を行うとともに、艦艇による洋上での警戒監視活動を行ってございます。

 こうした中、我が国は、二〇一八年一月以降、これまで二十四回、安保理決議違反が強く疑われる瀬取りの行為を確認しており、それらを公表するとともに、安保理北朝鮮制裁委員会等への通報や関係国への伝達ということを行ってきております。

 また、北朝鮮のIT労働者についても、例えば、国連安保理北朝鮮制裁委員会の専門家パネルによる報告において、北朝鮮のIT労働者が違法に外貨を獲得してきた事例が報告されているというふうに承知しています。ただ、このパネル報告書に具体的な件数であるとか金額についてまでの記載はないという状況でございます。

 政府として、引き続き、関連情報の収集、分析を行うとともに、関連安保理決議の実効性の確保に向けて取り組んでいく考えでございます。

梅谷委員 時間が来ましたので、これで終わりにしますが、外務省がこういう情報収集、資金源の解明に向けたメインですけれども、私自身は、事前のヒアリング、レク等で、各省庁がばらばらで、まだまだ集約され切れていないんじゃないかなという印象を受けました、率直に。

 そこで、最後に申し上げて終わりにしますが、資金源を含めた北朝鮮の情報収集、分析をきちんと集約する司令塔となる部署を置くべきだと私は考えておりますので、是非このことを指摘申し上げ、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

下条委員長 次に、太栄志君。

太委員 神奈川十三区の太栄志でございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日の拉致特の開催に向けて、委員長を始め関係者の皆さんに、開催、そしてまた質疑の時間をいただきましたこと、まず心から感謝申し上げます。

 この拉致問題、まさに北朝鮮による我が国への主権侵害であり国家犯罪、そして、もちろん人道上も人権侵害ということですので、我が国としては、断固として北朝鮮に対して、我が国のまず国家意思を明確に示していくこと、そして、我が国は何としても拉致被害者を奪還するという確固たる意思を示さなきゃいけないというふうに思っておりますし、そういった意味でも、この国会での活発な議論ということが北朝鮮に対するメッセージとして大事だと思っておりますので、本日もどうぞよろしくお願いいたします。そして、この問題は、まさに我が国の総力を結集して、何としても解決に向かっていくということで質問させていただきます。

 まず、外務大臣にお伺いいたします。

 現在の日朝交渉、この進捗に関して教えてください。お願いいたします。

林国務大臣 我が国といたしましては、日朝平壌宣言に基づきまして、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化、これを目指す考えでございます。

 拉致問題の解決に向けては、米国を始めとする関係国と緊密に連携しつつ、我が国自身が主体的に取り組むということが重要でございます。これまで、岸田総理自身、条件をつけずに金正恩委員長と直接向き合う決意を述べてきているところでございます。

 拉致問題は時間的制約のある人道問題であります。御家族も御高齢となる中で、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現に向けて、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で取り組んでまいります。

太委員 大臣、ありがとうございます。

 大臣を始め、松野大臣も御尽力いただいているということは重々承知しておりますが、一方で、我が国は、この二十一年間、前回の小泉訪朝以降、一人も拉致被害者が帰ってきていない、これが現状です。

 そういった意味で、この局面をどう打開していくのか、そのことは大変重要だと思っていまして、大臣、ここはちょっと事前にお伝えしていなかったんですが、先ほど日朝交渉の進捗ということを教えていただきましたが、まだなかなか、首脳会談、条件をつけずにとおっしゃっていましたが、そこも、この二十一年間、北朝鮮の近隣の国で、米国を含めて、トップ会談をやっていないのは我が国だけですね、こういった状況。

 そういった中で、どういった形で、これは家族会からも再三要請は来ています、首脳会談に向けてどういったロードマップなのか、そこを、大臣、御見解を含めて教えてください。お願いいたします。

林国務大臣 日朝の首脳会談でございますが、現時点で決まっておらないわけでございますけれども、北朝鮮にはこれまでも様々な働きかけを行ってきておるところでございます。

 その上で、交渉内容、そして現在までの状況、これは、今後の交渉に影響を及ぼすおそれがあるために、明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。

太委員 分かりました。いずれにしましても、この局面を打開するために、どうか引き続きの御尽力をお願いいたします。

 次に、松野大臣に、面会されたときは官房長官という形だったと思います、官房長官にお伺いしたいと思います。

 三月二十三日に、韓国の権統一相と会談されました。そこで、拉致問題の解決に向けて緊密に連携をすると確認されたということで、あと、統一相の方から、韓国人拉致問題なども含めた人権問題を扱う定期協議の窓口設置を提案されたということなんですが、現在、先ほど林大臣の話もありました、各国との協力を含めながらこの解決に向けてやっていく、米韓ですね。その中で、やはり韓国は大事です。

 そういった意味で、今回の韓国側からの、統一相からの提案に対してどういった形で答えられたのか、あと、日韓関係、日韓の協力体制、そこら辺を含めて御説明をお願いいたします。

松野国務大臣 太先生にお答えをさせていただきます。

 先日、訪日中の権寧世韓国統一部長官の表敬を受け、北朝鮮をめぐる情勢について意見交換を行いました。私からは、拉致問題の即時解決に向けた理解と協力を求め、権長官から支持を得るとともに、両国間で緊密に連携していくことを確認をいたしました。また、権長官からは、北朝鮮情勢に関して日韓の事務レベルで協議したいとの意向が示され、引き続き緊密に意思疎通をしていくことで意見が一致したところであります。

 我が国としては、拉致問題の即時解決に向け、引き続き、韓国を始めとする関係国と緊密に意思疎通をしていく考えであります。

太委員 大臣、確認させてください。

 定期協議の窓口設置、これは提案があったんですか、なかったんですか、そちらを。それで、どういうふうに答えたのか。お願いいたします。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 権長官からは、北朝鮮情勢に関して日韓の事務レベルで協議したいとの意向が示され、緊密に意思疎通をしていくことで意見が一致しました。

 それ以上の詳細については差し控えさせていただきたいと思います。

太委員 大臣、ここは大事なところだと思っていますし、新聞報道では、官房長官は、韓国からのこの提案に対して検討すると答えたということだったので、検討すると答えたのかどうか。これは新聞報道です。検討するというふうに、官房長官、大臣ですね、答えられたということなんですが、そこら辺、事実ですか、教えてください。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 権長官から、北朝鮮情勢に関して事務レベルで協議をしたいという意向が示されました。そのことに対しまして、緊密に日韓で意思疎通をしていくということで一致をしたところでありますが、外交上の問題もございますので、それ以上の詳細については差し控えさせていただきたいと思います。

太委員 これは三月二十三日の共同通信のニュースで出ているんですが、もし、大臣、そのように、詳細をお伝えしていないのであれば、これはちゃんと抗議した方がいいんじゃないですか。検討すると、物すごく後ろ向きな対応をされたんだなということで、私、大変驚いたところでありました。

 韓国の統一相からこういった形で、事務レベルじゃなくて大臣から、もちろん、事務レベルでいろいろな形で既に協議を行っていると思っています、進んでいると。いろいろ調べたら、こういった統一相からの提案があったこと自体もなかったはずなんですけれども、それに対して検討するという返答だということで、どうしてこういった後ろ向きな姿勢なのかということで、私、大変これはおかしいと思って本日質問させていただきましたので、もし、今、大臣、これは違うのであれば訂正するなりしていただきたいということを、これは私からのお願いということでさせていただきたいと思います。

 今、韓国が政権が替わりまして一年近くたちましたけれども、私も、昨日、韓国の国会議員で、今、国際的な、まさに人権の視点から北朝鮮の拉致問題に取り組んでいこうということで活動している議員のグループと面会しました。昨年九月に、アメリカで国際会議にも参加させていただきました。

 そういった中で、韓国も五百人以上、五百六十人以上ですか、拉致被害者がいる中で、やはり、我が国と韓国、相当これは緊密にやっていかなきゃいけないと思っていますし、どうしたら韓国といい形で協力していけるのか、そういった視点からも、まさに日韓での協力というのは大事だと思っていますので、これは誤ったメッセージを国内にも送ってしまっているんじゃないかと。

 これはまた私も確認させていただきますが、どうか引き続き、せっかくのよい提案だと思っておりますので、そこへ向けて早急に、やはり定期協議の窓口設置、そういった形で進めていただきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 では、次に移ります。

 次は、我が国は今年一月から国連安保理の非常任理事国を務めていますが、その立場を生かして、この間、拉致問題解決に向けてどういったことをしてきたのか、今後どういったことをしていく予定があるのか、そこを、これは外務大臣ですね、よろしくお願いします。

林国務大臣 拉致問題を含む北朝鮮をめぐる問題について国際社会が高い関心を持って取り組む、これが重要だと考えておりまして、安保理においても、拉致問題を含む北朝鮮の、まさに今委員がおっしゃった人権状況について議論を行う機会、これを模索していきたいと思っております。

 一例でございますが、最近、三月十七日に、日本も共催する形で、北朝鮮の人権状況に関する安保理の非公式の会合を開催しております。同会合には、安保理の理事国以外の国連加盟国や地域も参加をしていただきまして、多くの国が拉致問題について言及をしたところでございます。

 我が国は、米国を始めとした安保理の理事国とも緊密に意思疎通を行いつつ、引き続き、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて全力を尽くしてまいりたいと考えております。

太委員 ありがとうございました。

 まさに今大臣がおっしゃった国連での、三月十七日ですか、これを見させていただきまして、いろいろな形で進んでいるというふうに思っておりますが、引き続き、この二年間、もう二年を切りましたが、有効に非常任理事国としての地位をしっかりと活用して具体的に御対応いただきたいと思います。

 次に移りたいと思いますが、いよいよ約一か月後に迫りましたG7広島サミットに関してなんですが、ここでは拉致問題はどういった形で議題となる予定なのか、そこを、こちらも外務大臣に。教えてください、お願いいたします。

林国務大臣 拉致問題の解決のためには、我が国自身の主体的な取組、これは当然ですが、それに加えて、G7を始めとする国際社会と緊密に連携することが重要になってまいります。北朝鮮による拉致問題、これは極めて重要な課題であり、G7の長野県軽井沢外相会合、そしてG7広島サミットにおいてしっかり議論していきたいと考えております。

 全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現に向けて、政府として全力で取り組んでまいりたいと考えております。

太委員 大臣、ちょっと、議論したいということで、具体的にまだ決まっていないということなんでしょうかね、どういった形で扱われていくのか。私としては、主要議題としてこれは扱うべきだと思っております。その点に関して御見解をお願いいたします。

林国務大臣 サミットや外相会合、これは、特定の議題を何か一つだけ重要議題、こういうふうにする形は御案内のように取っておりませんで、それぞれの議題を設定いたしまして、限られた時間の中で、こういうテーマについてやっていこう、こういうことでございますので、適当な議題の中でしっかりと我々から提起をし、ほかの国の、既に何度もやっておりますので理解と支持を得ておるわけでございますが、さらに、このG7の機会を捉まえて、それを再確認するとともに、対外発信ができればと思っております。

太委員 大臣、御指摘のとおりで、毎回なさっていると思います。ですけれども、毎回やっている中で進展がないのが現状だと思いますので、そこを変えるために、やはり今回、いい機会ですので、まさに広島サミットで、これは、実際にセッションを設けてやるぐらい、それぐらい我が国として主導していただきたいということをお願いして、次に移りたいと思います。

 次ですが、朝鮮総連に対する制裁措置について、これは外務大臣にお伺いしたいと思います。

 まず、我が国において北朝鮮公館の役割を担う朝鮮総連と北朝鮮当局との関係に関しての御認識を教えてください。

林国務大臣 御質問、通告いただいておりましたのは、資産凍結措置を講ずるべきではないか、こういうことでございましたので、まさに我が国の基本的な立場は、日朝平壌宣言に基づいて、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決して、不幸な過去を清算し、国交正常化を目指すというのが我が国の対北朝鮮外交の基本方針であります。

 政府としての具体的な対応については、こうした諸懸案の解決のために何が最も効果的かという観点から不断に検討してきておりまして、引き続き検討していきます。

 その上で、朝鮮総連についてですが、外為法上の要件の下で資産凍結等の措置の対象として指定すべき者に該当するものという認識はしていないわけでございますが、北朝鮮当局と密接な関係を有する団体であると認識しておりまして、各種動向について、引き続き、関係省庁間で連携しつつ、重大な関心を持って情報収集等を行ってまいりたいと考えております。

太委員 北朝鮮当局と密接な関係にあるということを、これまでも大臣は繰り返してまいりましたので、ということを了解いたしました。

 それでは、朝鮮総連は日本人拉致に関して関与したかどうか、このことに関してはどういった御認識なのか、教えてください。

實生政府参考人 日本人拉致につきまして、日本国内で行われているものについては、いろいろ捜査上の状況とかがございます。むしろ外務省の方からお答えすることではないかもしれませんけれども、そうしたいろいろな我々の捜査であるだとか情報把握の関係のことに関わることから、何を我々が承知しているかということについてこの場で明らかにすることは差し控えたいというふうに思います。

太委員 じゃ、特段、日本人拉致に関して朝鮮総連が関与したということは認識はないということですね。それでよろしいでしょうか、傘下の団体も含めて。

谷国務大臣 お答えさせていただきます。

 これまで、拉致容疑事案において、朝鮮総連傘下団体などの構成員の関与が確認された事例も把握しているところであります。

 警察においては、公共の安全と秩序を維持するという責務を果たす観点から朝鮮総連の動向に重大な関心を払っており、今後とも、具体的な刑罰法令に違反する行為があれば、これを看過することなく、厳正に対処していく所存であります。

太委員 ありがとうございます。

 そうであれば、これは、大臣、先ほど御答弁なさっていましたが、外為法に基づいて、やはり私は朝鮮総連に対しても資産凍結措置を講ずるべきだと思っております。

 そこで、大臣、先ほどお話しされましたけれども、もう一度、もしされないのであれば、その理由を分かるように教えていただけますでしょうか。どうかお願いいたします。

林国務大臣 先ほども申し上げましたように、外為法上の要件というものがございますので、そういう外為法上の要件の下では資産凍結等の措置の対象として指定すべき者に該当するものという認識はしていないわけでございます。まさに、先ほども申し上げたように、北朝鮮当局と密接な関係を有する団体という認識はしておりますので、各種動向について、今御答弁がありましたけれども、警察等々の関係省庁間で連携しながら、情報収集を行ってまいりたいと思っております。

太委員 残念ながら、理由がよく分からないですね。外為法に当たらない、そういったことかもしれないんですけれども、これは実際、拉致問題に絡んでいるということも認識されている、政府としては。そういった中で、法律を変えてでも、これはしっかりと資産凍結できるように私はすべきだと思っております。

 次に、これも関連して、移ります。

 現在、我が国政府は、ロシアのプーチン大統領に対して個人資産を凍結する制裁措置を講じています。そういった視点からも、やはり金正恩氏に対しても同様の措置を講ずるべきだと思いますが、この点に関して、これも外務大臣の方に御見解をお願いいたします。

林国務大臣 北朝鮮に対しましては、度重なる核実験また弾道ミサイル発射等を受けまして、安保理が国連憲章第七章の下で行動し、国連憲章第四十一条に基づく措置を取るとして、累次の安保理決議、これが採択されておりまして、特定品目の輸出入禁止や資金移転防止措置等、極めて厳しい措置が課されてきております。

 これに加えて、我が国自身の措置として、北朝鮮との全ての品目の輸出入禁止等の措置を取ってきておりまして、北朝鮮への人、物、金の流れ、これを厳しく規制する措置を実施してきております。

 政府としては、こうした状況も踏まえつつ、北朝鮮に対する対応については、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて何が最も効果的かという観点から不断に検討してきておりまして、また今後も検討してまいりたいと思っております。

太委員 大臣、今の現状はよく分かりました。

 ですが、先ほどから繰り返していますが、この二十一年間、我が国は一人も拉致被害者を帰還させていないです。この局面を何とか打開するために、やはり今はまさに圧力に、しっかりと意識して、踏み込むべきだと私は思っております。

 トランプ大統領、米朝首脳会談、二〇一八年でした。その一年前に何があったかというと、大統領令で、トランプ政権発足直後でした、金正恩と北朝鮮指導部に対して資産凍結を行っています。そういった強いアクションを我が国からもやっていかないことには、これは、局面は打開しないですよ。もう二十一年たっています。

 そういった意味で、この問題、私も引き続き追求していきますので、どうか御認識いただければと思っています。よろしくお願いいたします。

 次ですが、国際刑事裁判所がロシアのプーチン大統領に対して、ウクライナ戦争での戦争犯罪容疑で逮捕状を出しました、これは三月十七日。国際社会に対する強いメッセージになったというふうに認識しておりますが、北朝鮮における人道に対する罪について金正恩氏を国際刑事裁判所に付託するべきだと考えていますが、このことに対する我が国政府の見解を、外務大臣、お願いいたします。

林国務大臣 政府として、現時点でICCへの付託を具体的に検討しているわけではございませんが、北朝鮮に関する対応は、先ほど来申しておりますように、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて何が最も効果的かという観点から不断に検討してきておりまして、今後も、米国を始めとする関係国や関係国際機関とも緊密に連携しながら検討してまいりたいと考えております。

太委員 どうか、引き続き、この点も含めて、北朝鮮に対する圧力を更に強化していくべきタイミングだと思っておりますので、大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、やはり我が国として、様々な状況というのを想定していかなきゃいけないと思っております。北朝鮮の、まさに、政権のいろいろな国内での情勢が変わったときに、じゃ、本気で我が国として拉致被害者を救出する意思があるのかどうか。

 その際に、私は、これは昨年も聞かせていただきましたが、自衛隊による拉致被害者の救出の可能性についてですね。これは、いろいろな法律の制限はあると思います。ですが、救出に際して、最低限のまさに国家としての責務です。

 そういった意味では、法的なところというのは分かりますが、我が国として、自衛隊の在外自国民の保護には相手国の事前同意が必要ですが、自衛隊を派遣する際に、韓国政府に対して、これは我が国としては事前同意を得る相手なのかどうか、そこを政府はどういうふうに考えているのか、教えてください。朝鮮半島において、北朝鮮領土においてということで、御返答をお願いします。

實生政府参考人 まず、北朝鮮による拉致被害者の奪還、取り戻すということのための救出活動ということでございますけれども、基本的に、仮定の質問にお答えをするということは難しゅうございますということをまず申し上げます。

 その上で、あくまでも一般論としてでございますけれども、平和安全法制により、海外の邦人を守るための制度の充実を図ったところでありますけれども、一方で、在外自国民の保護、救出は、一般的には領域国の同意又は要請を得て行われるものでありまして、こうした国際法上の観点に加えて、我が国憲法上の制約があり、自衛隊の活用には限界があるということは事実であるということは、これまでも累次の国会での答弁でお答え申し上げているところでございます。

 いずれにしても、今後とも、全ての拉致被害者の方々の一日も早い帰国の実現のために何ができるかについて、不断の検討を継続してまいりたいというふうに思っております。

太委員 この問題、国際法上も、これはできないとかではなく、実際、米国とかドイツなんかは、軍隊を派遣して人質救出をやっています。

 そういった意味で、我が国としても様々な想定をして私は動くべきだと思っておりますので、その点をお願いいたしまして、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

下条委員長 次に、池下卓君。

池下委員 日本維新の会の池下卓です。

 今回、初めて拉致特の方で質問をさせていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。

 私は大阪府議会議員の出身でございまして、地方議会の目から見ますと、なかなか拉致問題の解決が進んでいないというのを地方の目線から見せていただいておりました。被害者御本人、また御家族の高齢化という問題もありますし、そして、拉致問題の解決が待ったなしということは国民の方でも共有をさせていただいていると思います。

 ただ、一方、これが今も続いている問題ということを忘れられている方、また、特に、若い世代の中には拉致問題自体を知らないという方も多くいらっしゃいまして、政府があらゆる機会に、またあらゆる方法で周知啓発を行っていくことが必要であると考えております。

 また、北朝鮮に対して、日本の国会は全ての拉致被害者を帰国させることを決して諦めていないということをしっかりと見せるためにも、本委員会の活動は必要でありまして、その使命は重要であると考えているところであります。

 本委員会において長年拉致問題について議論してきたことは承知しておりますし、実際に北朝鮮等と直接交渉するのは外務省等の政府の役割であるということは承知をしております。

 その上で、政府として、本委員会のこれまでの取組の成果についてどのように考えられているのか、また、拉致問題解決のために本委員会が果たすべき役割はどのように考えられているのか、行政府、立法府、この枠組みを超えて、松野大臣にお伺いをしたいと思います。

松野国務大臣 池下先生にお答えをさせていただきます。

 拉致問題の解決のためには、日本国民が心を一つにして、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現への強い意思を示すことが重要であります。

 国会において拉致問題について御議論いただくこと、様々な御意見、御提案をいただくこと、また議論を通じて様々な発信にもつながっていくことは大変意義深いことだと考えています。

 本日の議論も含め、本委員会でいただいた御意見や御提言をしっかり受け止めながら、今後の対応に当たってまいりたいと考えております。

池下委員 ありがとうございます。

 やはり国内で、我々は国会で今議論をさせていただいているわけなんですけれども、現場といいますか、被害者の御家族の意見、様々な情報等が政府の方に集まってくるかと思いますので、そういう意見をしっかりと酌み取っていただきながら、一刻も早い解決に向けて動いていただきたいなと思っております。

 そこで、次に、国連安保理による制裁についてお伺いをしたいと思います。

 北朝鮮に対しましては、国連安保理が二〇〇六年から一七年にかけまして、人、物、金の流れを規制する十一本の制裁決議というものを行っています。また、日本やアメリカを始めとする国々も独自の制裁を科しているところであります。

 こうした状況であるにもかかわらず、膨大なコストがかかるミサイルを多数発射できるということは、サイバー攻撃で奪った暗号資産を資金源に充てているという話も聞いております。

 日本国内においてもこのようなサイバー攻撃による事件が発生しているところでありますが、こうした資金源を断つために今後具体的な対策が必要と考えられますけれども、御見解をお伺いしたいと思います。

河原政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、北朝鮮による暗号資産の窃取による被害が世界各地で発生している中、我が国では、警察庁のサイバー特別捜査隊の捜査等により、国内の暗号資産関係事業者が北朝鮮当局の下部組織とされるラザルスによる攻撃の標的とされていると強く推認される状況が明らかとなったことから、昨年十月、金融庁、NISCと連名で広く注意喚起を行ったところでございます。

 具体的には、暗号資産関係事業者等に対し、関係者を装ったフィッシングメールを送るなどのサイバー攻撃の手口とともに、それへの対処例を示し、適切なセキュリティー対策を講ずるよう呼びかけたところでございます。

 このように、北朝鮮は外貨獲得等を目的として様々なサイバー攻撃を行っていると見られますところ、警察としましては、サイバー攻撃の主体及び手口に関する実態解明や、攻撃の主体を公表し非難することでサイバー攻撃を抑止する、いわゆるパブリックアトリビューションなどの諸対策を、国内外の関係機関と連携し、強力に推進してまいりたいと考えております。

池下委員 サイバー攻撃に対する今やられている対策というのは認識をさせていただきました。

 ただ、デジタルの社会といいますのは、どんどんどんどん進化といいますか、進歩していきますので、そこに対する対策といいますのは、イタチごっこになるかもしれませんけれども、しっかりとやっていただきたいと思いますし、相手方は国家ぐるみでやってきております。このサイバーの問題もそうですけれども、先ほど議論に出ておりました瀬取りの話もありましたけれども、そういう中で、あらゆる手段を尽くしていただきまして、まずは資金源というのをしっかりと断ち切っていくことがその次につながっていくかと思いますので、しっかりとやっていただきますようよろしくお願いしたいと思います。

 そして、次に、国連安保理の話の続きをさせていただきたいと思うんですが、国連安保理は、二〇一七年の十二月採択の決議第二千三百九十七号で、北朝鮮が更なる核実験やICBMの開発に資する弾道ミサイルを発射した場合には、北朝鮮に対する石油の輸出を更に制限するための行動を取ることと決定をしております。しかしながら、ICBM級を含む弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮に対しまして、制裁の強化を求める欧米と、それに反対する中国やロシアが対立していることから、一致した対応を取ることができていない状況であります。

 先ほどの太委員と若干重なる部分があるかと思いますけれども、二〇二三年一月に非常任理事国に就任しました日本は、このような中でどのような役割を今後果たしていく必要があるのかにつきまして、外務大臣にお伺いをしたいと思います。

林国務大臣 北朝鮮が前例のない頻度と態様で弾道ミサイル発射を繰り返しているということは、我が国の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であるとともに、地域や国際社会の平和と安全を脅かすものでもあり、断じて容認できないと考えております。

 今お話がありましたけれども、安保理が、一部の国々の消極的な姿勢によって、北朝鮮による深刻な挑発行為と度重なる安保理決議違反に対して行動できていないということは、大変遺憾に考えております。

 我が国は、安保理理事国として、北朝鮮への対応に関する議論に積極的に参画をいたしてきた、先ほど申し上げたとおりでございますが、さらに、米国を始めとする他の理事国と緊密に意思疎通を行って、安保理が本来の役割を果たすよう努力をしてまいりたいと考えております。

池下委員 非常任理事国という大事な日本の立ち位置、役割というところでありますけれども、当然、今大臣がおっしゃったように、緊密な連携というところももちろんそうですし、安保理の役割といいますのが、ウクライナの戦争の方を見ましても、なかなか役割が果たせていないのではないかと非常に危惧しているところであります。そういう中で、是非、日本の国がリーダーシップを取ってやっていただきますよう、切にお願いをしておきたいと思います。

 そして、次の質問に行かせていただきたいところなんですが、順番を変えさせていただきまして、核とミサイル開発の議論が続きますので、核とミサイル開発について次に質問させていただきたいという具合に思います。

 北朝鮮については、昨年来より、七度目の核実験を行う可能性があると指摘をされております。こうした中、北朝鮮国営の労働新聞は、二〇二三年三月二十八日、金委員長が、核の兵器化事業を指導し、兵器級の核物質の生産を拡大し、引き続き威力ある核兵器の生産に拍車をかけなければならないと表明したと報じました。また、北朝鮮分析サイトの38ノースは、四月一日、北朝鮮の核施設がある寧辺で活発な活動が捕捉されたという形で報じられております。

 こうした情報を踏まえて、北朝鮮が核実験を行う可能性につきまして、最新の分析情報についてお伺いをしたいと思います。

田部井政府参考人 お答えいたします。

 北朝鮮につきましては、二〇一八年に爆破を公開しました核実験場を復旧しているとの指摘を始めとし、核実験に向けた活動が顕著になっていると指摘されているところでございます。

 実際に核実験を実施する時期や具体的な兆候の有無などの詳細につきましては、事柄の性質上、お答えすることは困難でございますが、防衛省といたしましては、北朝鮮が核実験を実施するための準備が整っている可能性はあると考えており、今後、核実験の実施を含め、更なる挑発行為に出る可能性もあると考えているところでございます。

 この点、北朝鮮はこれまで、多弾頭個別誘導技術や戦術核兵器の研究開発に言及してきており、ICBM級弾道ミサイルの多弾頭化や戦術核兵器を実用化するために、更に、核実験を通して、核兵器の一層の小型化を追求するとの指摘もございます。

 北朝鮮が、核、ミサイル関連技術を更に進展させ、米国に対する戦略的抑止力を確保したとの認識を一方的に持つに至ることがあれば、北朝鮮による軍事的挑発行為の増加、重大化につながる可能性もあります。

 こうした北朝鮮による核、ミサイルの開発の進展は、我が国、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものでございます。

 防衛省といたしましては、北朝鮮の軍事動向について、引き続き、必要な情報の収集、分析及び警戒監視に全力を挙げてまいるところでございます。

 以上でございます。

池下委員 一部お答えできないというところも理解をさせていただきます。ただ、聞いているところによりますと、ますます日本に対する危機というものが高まってきているのではないかなと危惧をしているところであります。

 そこで、北朝鮮による弾道ミサイルがもし発射された場合なんですけれども、二〇二二年十月と十一月に、全国瞬時警報システム、いわゆるJアラートが約五年ぶりに発出をされました。その当時、不正確で遅いという不満が相次ぎました。また、日本水産学会は、二〇二三年三月二十九日、弾道ミサイルの着弾点が日本漁船の操業海域と重なり、現実的な脅威となっているということも併せて発表しています。

 政府は、二〇二二年十二月に、送信時間を短縮するなどのシステム改修を行うと発表いたしましたが、その後の進捗状況についてお伺いをしたいと思います。

 また、あわせて、Jアラートが発出された際、即座に住民行動につなげる必要があると考えますが、国が都道府県やいわゆる市町村といった自治体と連携して訓練等々をしっかりと全国的にも行っていくべきだと考えますけれども、御見解をお伺いしたいと思います。

齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 Jアラートにつきましては、特に送信時間を一層早めることについて御意見をいただいたことも踏まえ、国民の皆様の避難行動の時間を少しでも長く確保する観点から、必要なシステム改修を行うこととしたところであります。

 既に改修作業を開始しているところであり、また、一部の運用は前倒しで実施をしているところでありますが、本格的な運用開始は本年夏頃を予定いたしております。

 今回の改修を着実に実施することを含め、今後とも、国民の安全、安心のため、より迅速かつ的確な情報提供に努めてまいります。

 また、弾道ミサイル落下時にどのような行動を取るべきか、住民の皆様に理解を深めていただくことは大変重要であると認識いたしております。

 弾道ミサイルを想定した住民避難訓練につきましては、令和四年度は、国と地方公共団体が共同で実施する共同訓練について、十道県、十二の市町村において実施済みであり、これ以外にも、地方公共団体が単独で実施する単独訓練が全国で実施されているものと承知しております。

 これらに加え、全国の地方公共団体がより効果的かつ実践的な訓練を実施できるよう、訓練実施要領の例や留意点などを弾道ミサイルを想定した住民避難訓練等の手引として取りまとめ、三月二十四日に提供したところであります。

 今年度の訓練実施予定につきましては現在調整中でありますが、政府としては、地方公共団体に対し、訓練の必要性を丁寧に説明の上、訓練実施に向けた働きかけを行い、全国各地のより多くの地域でより効果的かつ実践的な訓練が実施されるよう、積極的に取り組んでまいります。

池下委員 これで質問を終わらせていただきますけれども、自治体を含めた訓練に関しましては、まだまだ広がりがこれからになるかと思っておりますので、是非、うちの自治体でもまだやっていないということを聞いておりますけれども、広がりをしていただきますようお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

下条委員長 次に、美延映夫君。

美延委員 日本維新の会の美延でございます。池下代議士に続きまして質問させていただきます。

 今日、聞いておりましたら、同じような質問もありますので、問題意識が同じということで、どうぞ御容赦願いたいと思います。

 さて、改めて、繰り返しの説明になるんですけれども、短波放送「しおかぜ」は、特定失踪者問題調査会が、NHKが管理する茨城県内のKDDI八俣送信所から北朝鮮に向けて、被害者救出のために流している短波放送です。私も視察に行かせていただきました。

 NHKは、合理化や予算削減の見地から、二〇二四年度に、現在ある送信機七機のうち、まず初めに、「しおかぜ」に使用されている老朽化した百キロワット送信機二機、その後、三百キロワット一機も廃棄とし、残された四機体制へと移行する方針を固めており、先月、三月九日に開催されたNHK、KDDI、調査会の三者会議においても、NHKは老朽化送信機破棄を進めると明言し、新設する予定はないと聞いております。

 この「しおかぜ」の重要性と老朽化した送信機の問題に関しては、私自身、昨年の十月十三日、安保、外務、拉致特の合同審査会で質問させていただき、我々の同僚である中司議員が昨年の十月二十七日、十一月十七日、そして本年の三月十六日、総務委員会で質問をさせていただいていますが、政府側の答弁は、特定失踪者調査会、KDDI、NHKの三者で協議し、前向きに検討するとの一点張りで、本当に検討しているのか、申し訳ないですけれども、疑いたくなります。

 私自身は、今回の老朽化した送信機の処分は、NHKの予算削減の一環として行われるものであり、あくまでもNHKの都合だと思います。

 そこでお伺いしたいんですけれども、今回の二四年度に送信機が破棄される問題は、国の最重要課題と位置づけられている拉致問題の解決と密接に関係するものであり、国益を損なうことにもなりかねません。破棄予定の送信機は既にNHKの予算削減計画の一環として行われるものであり、いかんともし難いと思います。しかし、拉致問題が国の最重要課題と位置づけられているのであれば、政府が責任を持って、拉致問題解決のため、NHKに対して予算づけを促すべきだと思いますが、政府の見解を伺います。

山碕政府参考人 お答え申し上げます。

 「しおかぜ」の設備の使用関係につきましては、短波放送施設を所有、管理するKDDI、「しおかぜ」の免許人であり、設備を賃借している特定失踪者問題調査会、同様に、設備を賃借しているNHKとの三者間での取決めに基づき定められておりまして、これら関係者の間で、現在、運用面の調整を行っておられると伺っております。

 なお、NHKからは、今御指摘のありました老朽化した送信機二台について、廃棄する計画と聞いてございますが、その場合でも、残る送信機によって、NHKの国際放送及び「しおかぜ」を継続して運用することができるというふうに聞いてございます。

 総務省といたしましては、三者の関係者間で協議をしていただきました上で、「しおかぜ」の担う重要な役割等を踏まえ、拉致被害者等に向けた情報発信に支障が生じないよう、適切に検討してまいります。

美延委員 今の質問に対して、申し訳ないけれども、NHKは問題ないと言っているということは私もよく存じています。でも、特定失踪者会の皆さんというか、放送を担当されている方が、そうされると何か月間とかいうようなことが出てくるので、それで何とかならぬかということで、最重要課題であるんやったらその答えは全く私は納得できないんですけれども、もう一度お答えください。

山碕政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省といたしましても、御指摘のとおり、拉致問題は内閣の最重要課題であるというふうに認識しております。

 ただいま御指摘のありました送信機の廃棄に伴う移行工事期間中は一時的に一波での送信となると聞いておりますが、この作業は、今後とも「しおかぜ」がその後に二波体制で安定的に継続していくために必要な作業であるというふうに認識してございます。

 繰り返しとなりますが、総務省といたしましては、関係者間で協議をしていただいた上で、「しおかぜ」の担う重要な役割等を踏まえ、拉致被害者等に向けた情報発信に支障が生じないよう、適切に検討してまいります。

 委員からただいまのような御指摘がございましたことにつきましては、NHKを始めとした関係者にも伝達させていただきます。

美延委員 多分、何回言っても押し問答で、前向きな答えは出てこないんだと思いますけれども、今、NHKには伝えるということなので、しっかり伝えてください。

 次の問題に行かせていただきます。

 先ほどもお話がありましたが、現在、十七人について法律上の拉致認定をされております。実際には、それよりはるかに多くの日本人が拉致されていることが見込まれ、特定失踪者問題調査会には約四百七十人の特定失踪者リストがあります。警察のリストは九百人近くに上ります。身寄りがなかったり御家族の事情などで、調査会や警察に届けていない拉致被害者のケースも少なくないと聞いております。

 私自身も特定失踪者御家族と直接お会いさせていただき、認定被害者御家族と何ら変わらない苦悩に満ちた心情を目の当たりにしてきました。しかし、歴代内閣総理大臣は誰一人として特定失踪者御家族と面会していただけません。拉致被害者としての認定の有無にかかわらず、全ての被害者の一日も早い帰国の実現に向けて全力で取り組む考えを政府は示していますが、度重なる要請にも総理は応えておられません。

 先ほどの松野大臣の御答弁で、北朝鮮に反論させないためということをおっしゃっておられましたが、私は、これが反論の材料になるというよりも、やはり、総理に一刻も早く特定失踪者の御家族と面会していただいて、国家の最重要課題である全ての拉致被害者救出を実現すると内外に明らかにした方がいいことだと思うんですけれども、もう一度松野大臣の御所見を伺いたいと思います。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 拉致被害者の認定につきましては、北朝鮮側に反論する材料を与えないよう慎重に対応しているところであり、拉致の可能性を排除できない行方不明者の方々の御家族には、拉致問題担当大臣である私がお会いをしてお話をお伺いさせていただいています。長年にわたり一日千秋の思いで肉親との再会を強く求める御家族の思いや要望の内容等につきましては、総理にも報告をしているところであります。

 また、国民の集いや国際シンポジウムなど、政府が行っている広報啓発活動においても、拉致の可能性を排除できない行方不明者の方々の御家族に御参加をいただき、その心情を広く世論に訴える場を設けるなどしているところであります。

 政府としては、拉致被害者として認定された十七名以外にも北朝鮮による拉致の可能性を排除できない行方不明者が存在するとの認識の下、認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国のために全力を尽くしてきていますけれども、今後とも、御家族の気持ちに寄り添い、丁寧な対応に努めてまいりたいと考えております。

美延委員 多分松野大臣も御存じだと思うんですけれども、私がお会いさせていただいたときに、特定失踪者の方の双子の妹さんとお会いさせていただいたことがあります、その方が何とおっしゃっていたかといいますと、韓国で脱北者の方と面会した際に、私はあなたと会ったことがあると。御存じのように、双子というのは顔がそっくりですから、多分会ったことはもちろんないわけですけれども、双子はそっくりだからそういう形でお話しされた。ということは、この方のいわゆるお姉さんは、私は、拉致被害が非常に濃厚と、その話を聞いたときにそう思ったわけです。

 だから、多分大臣は御存じだと思うんですけれども、そういう話を是非総理にも私は聞いていただきたいと思いますので、これ以上答弁は求めませんけれども、是非総理にお伝えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 時間が全然なくなっちゃったので、最後に、先月に来日した韓国の権統一相が、松野官房長官との会談で、拉致問題などに関する対話チャンネルを提案したと報じられております。徴用工問題の解決に向けて進展が見られるなど、韓国との友好関係が強化される好機と捉えられると思うんですけれども、拉致問題の解決に当たっては、先ほどもありましたけれども、やはり韓国との連携というのは非常に必要だと思うんですけれども、外務大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 拉致問題の解決のためには、我が国の取組に加えまして、国際社会との密接な連携も重要でございます。

 韓国との間では、例えば、三月に行われました首脳会談におきまして、拉致問題について尹錫悦大統領から改めて支持を得たところでございます。

 私自身も、朴振韓国外交部長官との間で、拉致問題への対応について累次の機会にわたり協力を確認しているほか、今お話のありました、本年三月に訪日した権寧世韓国統一部長官との間でも緊密な連携を確認したところでございます。

 このように、韓国からは、拉致問題の解決に向けて、累次の機会に支持が表明されております。

 引き続き、韓国を始めとする国際社会とも緊密に連携しながら、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現するべく、あらゆるチャンスを逃すことなく全力で取り組み、果断に行動してまいります。

美延委員 よろしくお願いします。

 最後の問題になると思うんですけれども、拉致対策本部のホームページを見ますと、政府は、拉致問題に対する取組として、拉致問題を考える国民の集いや、映画「めぐみ」の上映会の開催など、主に国内向けの啓発活動を行っているように見受けられます。

 岸田総理は、事あるごとに、私自身、条件をつけず金正恩委員長と直接向き合う決意ですと表明されておられますが、日朝首脳会談の開催、ひいては拉致問題の解決について、政府はこうした国内的な活動で十分とお考えなのか、教えていただけますでしょうか。

林国務大臣 北朝鮮による拉致が発生して長い年月がたった今も、先ほど来ございますように、二〇〇二年に五名の拉致被害者の方々が帰国されて以来、一人の拉致被害者の帰国も実現していないということは痛恨の極みであります。解決を強く求める御家族の切迫感を共有しております。

 政府として、北朝鮮に対しては、拉致問題の解決に向けて様々な形で働きかけを行うなど、あらゆる努力を行ってきております。

 拉致問題は時間的制約のある人道問題であります。引き続き、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、米国、また韓国を始め各国と連携しながら、全力で果断に行動してまいります。

美延委員 外務大臣、是非よろしくお願いいたします。

 質問が今日は残ってしまったんですけれども、また次回にさせていただきます。

 ありがとうございました。

下条委員長 次に、鈴木敦君。

鈴木(敦)委員 鈴木敦でございます。

 今日もいろいろと議論をさせていただきましたが、昨年も議論をさせていただきましたけれども、毎国会、皆さん、三大臣から同じような所信を伺って、委員会を開いても、今までの数字の確認だとか取組の確認ということで終始してしまう、内向きの議論がずっと続いているように私は感じます。そろそろ外側の議論をするべきではないかと私は思います。

 つまり、日本が単体で、岸田総理が金正恩委員長と直接向き合う覚悟は結構ですが、その見通しも立たず、こちらを興味を持って向いてもいないという状況下にあって、日本と北朝鮮の間だけ、二か国だけで解決するのはもう不可能だということはお認めになるべきです。

 なので、国際社会を利用してこの問題に当たっていかなければいけないわけですが、そのためには、我々は、日本人が拉致されたということを国際社会に広く理解してもらうだけではなくて、これは外務大臣には委員会等でもお話をしていますけれども、日本以外の国であっても、強制的に住民を移動するいわゆる強制移動か、言葉はどうあれ、拉致であろうというものについては日本国は認めないという方針はしっかり持つべきだと思います。

 今、外務委員会でも私は質問していますけれども、ロシアがウクライナから住民を強制的に移動している、子供を含めて。ウクライナのコルスンスキー大使によりますと、十九万人以上が強制的に移動されているという情報がありますが、これも、日本の考え方からしたら、自国民の拉致ではないでしょうか。これはお認めいただいた方がいいと思いますが、外務大臣、お願いします。

林国務大臣 ウクライナ人のロシアへの強制的な移送、これは、岸田総理がG7議長として主催いたしました二月二十四日のG7首脳テレビ会議の際に発出されました首脳声明におきまして、強く非難をしてきております。

 ロシアによるウクライナ侵略、そして北朝鮮による拉致問題は極めて重要な課題でありまして、G7長野県軽井沢外相会合、そしてG7広島サミットにおいてしっかりと議論してまいりたいと思っております。

鈴木(敦)委員 この点でちょっと御注意いただきたいのは、本会議で帰朝報告の際に総理にこの話をしたときに、総理の御答弁は、こういったいろいろな情報があることは承知をしておりますという御答弁だったんです。

 日本の場合もそうですが、我が国においても、自国の国民が拉致されていますと国際社会に訴えたとしても、北朝鮮は、入境していないと主張していたりするわけですね。到底認められない主張ではありますが、彼らがそう言っている以上、日本の隣国であったり近くにあったり、あるいは同志国、同盟国でなかった場合には、いろいろな意見はありますねと理解されかねないわけです。

 ですから、我が国は、何があっても、日本以外の場所であっても、強制的な移動、拉致については絶対に許さないんだ、こういうことはメッセージとして発出しなければならないと思います。

 ですから、今、外相会合等もありますけれども、それ以外の場所を使っても、国際法に違反しているような集団移転については絶対に、地球上どこであっても認めない、これは政府でもおっしゃっていただいた方がいいと思うんです。

 今ロシアがやっている強制移動については、既に国際刑事裁判所に係るローマ規程で明確に禁止されています。七条一項の(d)で、住民の追放又は強制移送、また、(e)については、国際法の基本的な規則に違反する拘禁その他の身体的な自由を著しく剥奪する行為、これは人道に対する罪ということで規定が既にされています。

 残念ながら、ロシアも中国も北朝鮮も国際刑事裁判所に入っておりませんのでどうしようもありませんが、とはいえ、我が国はそれは絶対に許さない、この三か国だけではなくて、ほかの国であっても国際法違反の集団移転、拉致は絶対認めないと外務大臣としてもおっしゃっていただきたいし、G7議長国の首脳としての岸田総理にもおっしゃっていただきたいと思います。

 なので、外務大臣からその言葉をいただけますか。

林国務大臣 既に、国際場裏での取組として、今月の四日でございますが、国連人権理事会で採択された北朝鮮人権状況決議の中に、強制的、非自発的な人々の失踪、大規模な強制失踪、これに言及をして、北朝鮮で組織的、広範かつ深刻な人権侵害が長期にわたり現在も行われていることを最も強い言葉で非難する等の文言が含まれております。我が国は、こうした表現が含まれる決議のコンセンサスの採択に共同提案国として尽力してきておるわけでございます。

 北朝鮮による拉致問題は時間的制約のある人道問題であります。この問題の解決のために、我が国の取組に加えて、まさに今委員からも御指摘があったように、国際社会と緊密に連携する、これが重要でありますので、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現に向けて、政府として全力で取り組んでまいります。

鈴木(敦)委員 国際社会との緊密な連携ということですけれども、これはあくまで、G7とかG20の枠組みという話ではなくて、日本と関係を持っているあまねく世界中全ての国々に御理解をいただかなければいけないと思います。そうしないと、北朝鮮という国に圧力をかけることは不可能です。彼らに対して友好関係を築こうとしている人たちもいるし、中には国交を持っている国もありますよね。そういう国々も含めて日本の立場をしっかり理解していただかなければいけないと思いますので、これは別件ですけれども、中国がALPS処理水の話で太平洋島嶼国と連携すると言ったように、様々な国々とのやり取りというのは、相手国に圧力をかけるという意味では非常に重要です。ですから、北朝鮮についても同様にやっていただきたいと思います。

 次の質問に入りますけれども、これはお答えにならないと思いますが、一応聞かせていただきます。

 昨年も同じように質問させていただきました。こちらが無条件で向き合う覚悟ですと幾ら言ったところで、向こうに興味がないわけであります。これは、選挙を経験している政治家ですから、私も林大臣もよく分かっていると思いますけれども、興味がありませんと言っている人たちに対して興味を持っていただく、そしてその人たちに我々の立場を理解していただく、このためには明確な戦術が必要です。北朝鮮に対して毎回毎回向き合う覚悟ですと言うだけでは彼らは応じてこないと私は思っています。だから、何かしらの一つ明確な戦略を求めるべきではないかと昨年は質問しました。

 それは手のうちをさらすことになるのでお答えいただかなかったということですが、この一年間何も動きがなかったことを考えると、そろそろそんなことを言っている場合じゃないんじゃないかと思います。

 一年というのは非常に大きな時間です。ですから、今年一年間はどうするということは、全部をおっしゃっていただくのではなくて、どういう取組を使っていくかの柱ぐらいは、この委員会は相手も見ておりますと昨年大臣がおっしゃったように、この委員会は相手に対してのメッセージ性を持っています。

 ですから、メッセージとして、ぼかしてでも構わないので、日本国の立場とどうやって対応していくかについて発言していただくことは非常に大きなことだと思いますので、外務大臣、お願いします。

林国務大臣 余り代わり映えのしない答弁かもしれませんが、北朝鮮に対しては、水面下を含めて様々な働きかけを行ってきておりますが、今後の具体的な方針やこれまでの具体的なやり取りの詳細等について明らかにすると、今後の北朝鮮とのやり取りに支障を来すおそれがあることから、お答えは差し控えたいと思います。

鈴木(敦)委員 大体同じような御発言ですね。また次回も聞かせていただきます。

 なぜこれを伺っているかというと、我々が北朝鮮に対して関心をしっかり持ち続けていますよということをしっかりアピールするためであります。ですから、毎回毎回同じお答えでも構いませんが、私は毎回毎回同じ質問をさせていただくことになるかと思います。是非よろしくお願いします。

 最後になると思いますが、皆様質問されておりますけれども、韓国の統一部長官との会談の中で行われたチャンネルの開設についてなんですが、これは、外務大臣に対してもそうですし、長官に対してもお話があったと思いますが、こういう枠組みをつくろうとしたときに我が国が一番大変なのは、カウンターパートをどこにするかということになってきます。

 このチャンネルをつくること自体、そして検討されていることも私は評価したいと思いますし、御提案いただいたその場で、はい、やりましょうというのはプロトコル上非常にどうかと思いますので、持ち帰っていただいたのはそうだと思うんですが、これを開こうといったときに、カウンターパートをどこに置くかというのをしっかり国内でやっておかないと、せっかくもらった情報が生のまま別の部署に届いたりすると全く意味がありませんので、運用するための仕組みをしっかりつくっていただきたいと思います。

 なので、別々に御提言をいただいて別々に御検討いただいているんだと思いますが、是非すり合わせをして、実効性のある組織そして実務者を決めていただかなければいけないと思いますので、是非、外務大臣にもイニシアチブを取っていただいて、どういうチャンネルで誰とやり取りをして、どこに情報を流すかということを体系的につくっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

林国務大臣 まさに、権寧世韓国統一部長官が外務省の閣僚級招聘により訪日をされて、長官にも会っていただきましたが、私ともお会いをして、事務レベルでの協議という意向が示されたところでございます。

 先ほど、報道で検討というのがありましたが、これは、一致した上で、まさに今おっしゃっていただいたことを検討する、こういう意味だろう、こういうふうに勝手に理解しておりますが、まさにきちっと、特に、官房長官というか担当大臣のところと我々を中心にしっかりと意思疎通ができる体制、こういうものをしっかりと構築しながら、事務レベルでの協議ということができるようにしてまいりたいと思っております。

鈴木(敦)委員 日韓間にはいろいろとありますけれども、是非この件については静かな環境で議論を続けていただきたいと思います。

 終わります。

下条委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 横田めぐみさんが北朝鮮に拉致されて四十五年以上たちます。めぐみさんを始めとして、いまだに多くの被害者が北朝鮮に取り残されている。御家族も御高齢となる中で、拉致問題の解決には一刻の猶予もない。

 そこで、松野担当大臣に伺います。

 この間の記者会見でも、大臣は、米国を始めとする各国と連携しながら全力で果断に行動していく、こう表明されているわけですけれども、一方で、拉致被害者の蓮池薫さんは、昨年十一月十七日に新潟市で全国の中学校長に訴えた際に、アメリカ頼みではなく、日本独自の働きかけが欠かせない、今なぜ動かないか、強調すると日本独自の対策が足りないからというふうに率直に語っておられます。このことを大臣はどのように受け止めていらっしゃいますか。

松野国務大臣 笠井先生にお答えをさせていただきます。

 蓮池薫さんが御指摘のような発言をされたことは承知しています。

 拉致問題の解決に向けては、我が国自身が主体的に取り組むことが重要であると認識しています。岸田総理自身、トップ同士の関係を構築していくことが極めて重要であるとの認識の下、累次の機会において、条件をつけずに金正恩委員長と直接向き合う決意を述べています。私自身、総理の指示の下、そのための環境整備に努めているところであります。

 全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、引き続き全力で果断に行動していく考えであります。

笠井委員 その主体的に取り組むという相手側の北朝鮮ですが、拉致という重大な国際的人権問題を起こしているそういう国、その国の指導者と緊密な関係を持っているのが統一協会です。

 文鮮明、ムン・ソンミョン創始者は、一九九一年十一月に訪朝して、金日成、キム・イルソン主席と抱き合う場面がある動画がある、統一協会グループによる北朝鮮での経済事業支援展開等で合意をして、兄弟の契りを交わしたと生前に口にしている、北朝鮮は文創始者の死去十年を前にして遺族に弔電を送るなど、良好な関係を維持していると共同通信も報じております。

 そこで、林大臣に伺います。

 朝日新聞の二〇〇九年六月十六日付によれば、その統一協会系のNPO、未来構想戦略フォーラムが中心になって開いた二〇〇八年十二月二十三日のシンポジウムを外務省が後援して、二〇〇四年の同NPO主催の会合では、日本の国際協力におけるNGOの役割と題して、当時の外務省参与、NGO担当大使が講演している。これらは事実でしょうか。

林国務大臣 今御指摘のありました二〇〇九年の六月十六日付朝日新聞の夕刊の記事によりますと、外務省は二〇〇八年の十二月に未来構想戦略フォーラムが中心となって開いたシンポジウムを後援したとされております。

 この記事からは、このシンポジウムが具体的に何のイベントを指すのか明確でないために、今の御質問にお答えすることは困難でございます。

 この未来構想戦略フォーラムのホームページには、二〇〇四年七月十三日に五月女光弘NGO大使が、日本の国際協力におけるNGOの役割というテーマで講師を務めたという記載があることは承知をしております。

笠井委員 その程度で何をおっしゃっているのかということになります。二〇〇八年の十二月二十三日のシンポジウムについても、この未来構想フォーラムの中に具体的にテーマもあり、そしてどんな中身かも書かれているわけでありまして、この記事からは何を指しているか分からないという話じゃ駄目だと思うんですね。

 このNPOの共同代表二人のうち実務を担う男性は、統一協会系の世界平和教授アカデミーの初代事務局長です。副代表の男性は、二〇〇五年に同協会系の学会の発起人となりました。事務局長は、二〇〇八年に世界平和青年連合支部長になった人物でありまして、フォーラムが主催するイベントでは、天宙平和連合用の受付を会場に設けるなどしていると、ここまで朝日が報じている。報道だけからは何か分かりません、二〇〇八年の話ということじゃ済まないと思うんですよ。

 林大臣、外務省が北朝鮮と緊密、親密な統一協会とずぶずぶの関係をつくっておいて、何が拉致問題の解決か、必死でないと言われても仕方がない問題だと思うんですね。これは是非、外務省としても、大臣が責任を持って事実関係を徹底的に調べるべきではないですか。調べるというふうに明確におっしゃっていただきたい。

林国務大臣 今委員から御指摘のあった件については、御指摘の関係について確認をさせていただきたいというふうに思います。

笠井委員 確認した上でどうするかということも、きちっと対応を考えていただかなきゃいけないと思います。それが事実であればきちっと対処するということで対応されるわけですね。

林国務大臣 これは、外務委員会の方でも、御党の穀田委員からもほかの件でいろいろ御指摘をいただいておるところでございますので、同様に、しっかりと確認した上で、その結果に対して適切に対応したいと思っております。

笠井委員 まさに適切に対応することが必要だと思います。

 松野担当大臣に伺いますが、これは外務省だけじゃないんですね。私もこのことをきっかけにしていろいろと調べてみましたが、この統一協会系のNGOのシンポジウムでは、経済産業省の課長やJICAの職員、さらには航空幕僚室長らも次々と講演をしているということが実際にホームページで発表されております。一体どれだけあるのかということになります。私が調べただけでも三人の方がいらっしゃるんです。

 金正恩委員長は、文鮮明没後、当時、党第一書記だったわけですけれども、その没後に、文鮮明創始者が亡くなったということで、花輪を贈ったということで自慢をしているという関係です。その統一協会と日本政府が抜き差しならぬ関係をつくっている。

 実際にそういうシンポジウムやあるいは行事を後援するというような形でやっておいて、大臣所信では、二〇〇二年に五名の拉致被害者が帰国して以来、一人の拉致被害者の帰国も実現していないことは痛恨の極みであり、誠に申し訳なく思っていますということで済むのかということになってきます。

 行政機関と統一協会との、あるいは関連団体との関係について、担当大臣としても、また官房長官でもあられるわけですから、ここは徹底的に真相を明らかにすべきではないか。調べて明らかにする。いかがですか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 御指摘のNPOについては、東京都の認証を受けたNPOであると承知をしていますが、その活動について政府として把握しておらず、お尋ねについてお答えすることは困難であります。

笠井委員 東京都の認証で、東京都のせいにしちゃいけないと思うんですね。

 そして、今これだけ統一協会の問題が大きな問題になっている。それと、自民党との癒着、そして政府との癒着という問題も、今提起もしたようなことが出ているわけですから、答えることは困難じゃなくて、きちっとその事実関係について、私も具体的に挙げたわけですから、調べるというぐらいはきちっとおっしゃらないと、拉致問題を解決するという上では日本の姿勢が問われますよ。いかがですか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 御指摘のNPOと旧統一教会との関係について、政府として把握していないところであります。

 また、当該NPOの活動について、その活動において何らかの違法行為や問題があったとは把握しておらず、各省庁に対し、当該NPOからどのような依頼があったかなどについて調査する考えはありません。

笠井委員 当該NPOと統一協会との関係について把握していないんだったら、きちっと把握すべきだと思うんです。これだけ報道もされて、そして、私も国会の質問で責任を持ってさせていただいております。それを、何もしないというような態度だと、政府の根本姿勢が問われると思います。

 もはや一刻の猶予もない拉致問題解決のためにも、アメリカ頼みではなくて、日本独自の働きかけが必要だということで、そして、我が国自身が主体的に取り組むというふうにおっしゃるのであれば、この点からも、統一協会との癒着を断ち切るということは不可欠だ。これはきちっと調べて、そして断ち切るということで責任を持って対応することを重ねて強く求めて、質問を終わります。

下条委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二分散会


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