衆議院

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第3号 平成28年11月1日(火曜日)

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平成二十八年十一月一日(火曜日)

    午前八時四十五分開議

 出席委員

   委員長 吉野 正芳君

   理事 亀岡 偉民君 理事 島田 佳和君

   理事 谷  公一君 理事 橋本 英教君

   理事 藤原  崇君 理事 金子 恵美君

   理事 郡  和子君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    秋本 真利君

      石川 昭政君    岩田 和親君

      小野寺五典君    大串 正樹君

      門  博文君    門山 宏哲君

      菅家 一郎君    工藤 彰三君

      小泉進次郎君    小松  裕君

      古賀  篤君    坂井  学君

      鈴木 俊一君    鈴木 憲和君

      瀬戸 隆一君    田野瀬太道君

      高橋ひなこ君    辻  清人君

      土井  亨君    西村 明宏君

      根本  匠君    野中  厚君

      八木 哲也君   山本ともひろ君

      和田 義明君    若狭  勝君

      小熊 慎司君    大畠 章宏君

      岡田 克也君    落合 貴之君

      黄川田 徹君    玄葉光一郎君

      鈴木 義弘君    角田 秀穂君

      中野 洋昌君    真山 祐一君

      高橋千鶴子君    畠山 和也君

      浦野 靖人君    木下 智彦君

    …………………………………

   国務大臣

   (復興大臣)       今村 雅弘君

   復興副大臣        橘 慶一郎君

   復興副大臣        長沢 広明君

   内閣府副大臣       松本 洋平君

   経済産業副大臣      高木 陽介君

   文部科学大臣政務官

   兼復興大臣政務官     田野瀬太道君

   厚生労働大臣政務官    堀内 詔子君

   厚生労働大臣政務官    馬場 成志君

   国土交通大臣政務官    藤井比早之君

   環境大臣政務官      井林 辰憲君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 緒方 俊則君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 鈴木 三男君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     関  博之君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     小糸 正樹君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 加藤 俊治君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 井上 裕之君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          藤原  誠君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           谷内  繁君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           丸山 雅章君

   政府参考人

   (農林水産省生産局農産部長(政策統括官付))   天羽  隆君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  平井 裕秀君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           星野 岳穂君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    木村 陽一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         津田 修一君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 平垣内久隆君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            加藤 庸之君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 室石 泰弘君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     宇佐美雅樹君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月一日

 辞任         補欠選任

  伊藤信太郎君     岩田 和親君

  勝沼 栄明君     青山 周平君

  古賀  篤君     辻  清人君

  坂井  学君     和田 義明君

  瀬戸 隆一君     工藤 彰三君

  階   猛君     鈴木 義弘君

  岡本 三成君     角田 秀穂君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     八木 哲也君

  岩田 和親君     伊藤信太郎君

  工藤 彰三君     瀬戸 隆一君

  辻  清人君     古賀  篤君

  和田 義明君     若狭  勝君

  鈴木 義弘君     階   猛君

  角田 秀穂君     岡本 三成君

同日

 辞任         補欠選任

  八木 哲也君     勝沼 栄明君

  若狭  勝君     山本ともひろ君

同日

 辞任         補欠選任

  山本ともひろ君    坂井  学君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件


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     ――――◇―――――

吉野委員長 これより会議を開きます。

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官緒方俊則君、警察庁長官官房審議官鈴木三男君、復興庁統括官関博之君、復興庁統括官小糸正樹君、法務省大臣官房審議官加藤俊治君、財務省大臣官房審議官井上裕之君、文部科学省初等中等教育局長藤原誠君、厚生労働省大臣官房審議官谷内繁君、農林水産省大臣官房審議官丸山雅章君、農林水産省生産局農産部長(政策統括官付)天羽隆君、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官平井裕秀君、経済産業省大臣官房審議官星野岳穂君、中小企業庁次長木村陽一君、国土交通省大臣官房技術参事官津田修一君、国土交通省航空局次長平垣内久隆君、観光庁観光地域振興部長加藤庸之君及び環境省大臣官房審議官室石泰弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石川昭政君。

石川委員 おはようございます。自由民主党の石川昭政でございます。

 本日は、大臣の所信表明に対する質疑ということで質問させていただきます。

 まず冒頭、橘副大臣それから田野瀬政務官、そして吉野委員長におかれましては、御就任まことにおめでとうございます。今後とも御指導のほどお願い申し上げたいというふうに思います。

 特に吉野委員長におかれましては、きのうとおととい、私と一緒に北海道の泊原発と幌延町の深地層研究センターに御一緒させていただきました。地下三百五十メートルまでおりまして、そこで行われている放射性廃棄物の地層処分に関する研究に理解を深めさせていただいたところでございます。福島で事故を起こしました原発が更地に戻るまで死ねないという強い覚悟でこの復興に取り組まれていることに、まずもって敬意を申し上げたいというふうに思います。

 それでは、大臣所信に対して、順次質問させていただきます。

 所信の中では、インフラの復旧はほぼ終了したというふうに触れられております。

 そこで、お聞きしたいのは、当委員会でもたびたび取り上げてきた問題といたしまして、インフラ復興、防災集団移転事業の足かせであった所有者不明の土地の収用問題であるとか、建設人材の不足それから資材の高騰など、この復興事業のおくれというのはおおむね解消されたとお考えなんでしょうか、お伺いしたいと思います。

橘副大臣 お答えいたします。

 御指摘のインフラ復興の状況でありますけれども、用地の手当て等を積極的に進めてまいりまして、また、被災地における人材や資材の対策といたしまして、市場の実勢を反映させる形で公共工事設計労務単価の引き上げを行ったり、また公共におきまして生コンプラントを設置するなどの措置を講じ、支援をしてまいったところであります。

 これらの施策によりまして、平成二十八年八月末時点でありますが、災害公営住宅につきまして、計画戸数約三万戸の六六%に当たる約二万戸が、また高台移転につきましては、計画戸数約二万戸のうち五〇%に当たる約一万戸が完成をしている状況であります。災害公営住宅と高台移転を合わせまして平成二十八年度末までに八割が完成する見込みであり、復興事業は全体として着実に進捗しているという認識を持っております。

石川委員 前回の委員会で私が質問に立たせていただいた際には、JR常磐線、とりわけ浪江―富岡間の開通のめどと計画がまだ立っておらなかったわけですけれども、現時点でJR常磐線全線開通のめどというのは立ったんでしょうか。お伺いしたいと思います。

橘副大臣 お尋ねのJR常磐線でありますが、逐次開通が進んできまして、ことしは、十二月十日に浜吉田―相馬間の運転が再開することになっております。

 お尋ねの、最後に残される区間につきましては、平成三十一年度末までに全線開通ということで今作業が進捗しておりまして、引き続き関係者とも緊密に連携をして対処してまいりたいと思っております。

 今後とも、復興道路初めインフラの復旧復興には全力で取り組んでまいる所存です。

石川委員 ぜひ前倒しで開通できるような勢いで頑張っていただきたいというふうに思っております。

 次に、IOCのバッハ会長から、東京オリンピック・パラリンピックで、野球・ソフトボールは被災地で開催をという御提案がございました。復興を進める上で、オリンピックの正式競技が被災地で実施されることについて政府としてどのように受けとめて進めていくつもりか、お伺いしたいと思います。

田野瀬大臣政務官 ありがとうございます。お答え申し上げます。

 IOCのバッハ会長が、野球・ソフトボールの福島での開催は選択肢の一つ、このように発言されたことにつきましては、これが実現されれば、復興しつつある被災地の姿を世界に発信するとともに、被災地の復興の後押しにつながるものでありまして、大変喜ばしい、そのように考えております。

 委員御承知のとおり、追加種目の競技会場につきましては、大会組織委員会がIF、国際競技連盟等々そしてIOCと協議をした上で、IOC理事会において決定されるものと聞いておるところでございます。

 そのような中、復興庁といたしましては、福島での野球・ソフトボールの開催について、今村大臣が丸川オリパラ担当大臣や小池都知事と会談するとともに、大会組織委員会への働きかけなどを行っておるところでございます。

 引き続き、この実現に向けまして関係各所への働きかけを行ってまいりたい、そのように考えております。

石川委員 ありがとうございます。

 正式追加競技が被災地で開催されるということはすばらしいことであると同時に、日本が金メダルを獲得できる可能性が高い競技が被災地でできるということはすばらしい意義があると思います。ぜひこの機会を捉えて大胆に計画を進めていただきたいと思います。

 あわせまして、聖火リレーについてお伺いいたします。

 聖火リレーを被災地に走らせる方針だというふうに私は承知をしているわけですけれども、被災地であります茨城県もぜひその通過ポイントに入れていただきたいと思っております。これにつきまして、政府の現状についてお伺いします。

田野瀬大臣政務官 お答え申し上げます。

 被災地での聖火リレーにつきましては、委員御指摘のとおり、オリパラの基本方針また復興の基本方針におきましても、その実施に向けた取り組みを進めるとされているところでございます。

 聖火リレーのコースにつきましては、大会組織委員会を中心に検討が進められて、IOCの承認を得て決定されるもの、そのように聞いておるところでございます。

 議員の御地元でございます茨城県も含めまして、東日本大震災の被災地を通る聖火リレーについて、復興庁といたしましても、今村大臣が丸川オリパラ担当大臣や小池都知事等々と会談いたしまして、実現に向けた連携をしっかりと図るとともに、大会組織委員会への働きかけなどを行ってきておるところでございます。

 引き続き、被災者の声を十分にお伺いしながら、関係各所への働きかけを行ってまいりたい、そのように考えております。

石川委員 組織委員会の森先生と田野瀬先生のお父様は現役時代非常に親しくしていたと承知しておりますので、ぜひともよろしくお願いしたいというふうに思います。

 次に、被災者の心のケアと、コミュニティーの再生についてお尋ねしたいと思います。

 先週、大川小学校の裁判の判決が出されたところでございます。現地で何度か私もお線香を手向けましたけれども、そのたびに胸が締めつけられる思いをいたしたところでございます。子供さんや御家族を失った御家族の傷はなお深く、なかなか癒えることはないだろうと思います。心のケアは政府が計画したからといって簡単にできるものではございませんけれども、追悼と慰霊によって少しでも犠牲者のみたまをお慰めしていきたい、このように考えております。

 今村大臣は心の復興ということを掲げていらっしゃいます。被災者支援総合交付金によりまして、相談体制の強化、コミュニティー形成支援、閉じこもり高齢者の生きがいづくり支援、さまざまな高齢者の見守り事業などを展開していることは承知しているところでございます。

 今後、避難している住民に住んでいたふるさとにそれぞれ帰還していただくには、やはり住まい、それから仕事の再生にあわせまして、私は、ふるさとで行われておりますお祭りの復活というのも一つのきっかけになるのではないかというふうに考えております。

 とりわけ、被災地であります東北地方は、全国的に有名な相馬の野馬追、田植踊、それから石巻市では、雄勝法印神楽だけでなく、大小さまざまな伝統芸能やお祭りが色濃く残されているところです。

 しかしながら、これらのお祭りも、高齢化で存続が危ぶまれ、東日本大震災で追い打ちがかかっている状況でございます。

 私は、地域のお祭りや伝統芸能の復活によりまして被災地の心の復興が遂げられるのではないか、そしてまた地域住民のコミュニティーの再生に資することができるのではないかなというふうに考えているところでございます。

 これに加えまして、例えばこうしたお祭りをインバウンドに、皆様に来ていただくためのお祭りの広場のようなものの整備も、私は一考に値するのではないかと考えている次第でございます。

 政府はこれまで伝統芸能やお祭りの復活に対してどのように取り組んでこられたか、お尋ねしたいと思います。

田野瀬大臣政務官 お答え申し上げます。

 地域に根差した祭りや民俗芸能などの無形の民俗文化財は、地域のきずなを強め、そして被災地の復興にもつながる力を持つものだと私ども考えておるところでございます。

 文部科学省におきましては、このような祭りや民俗芸能などの保存、継承を図るため、後継者養成や用具の修理、新調に要する経費に対して支援を行っておるところでございます。

 例えば、福島県におきましては、これまでに、民俗芸能等に用いられる用具の被災状況を調査し、その調査結果に基づいて計画的に用具の修理、新調を実施することにより、一例でございますけれども、先ほど御指摘もいただきました南相馬市の田植踊など、実際に多くの民俗芸能等が復活をしておるところでございます。

 平成二十三年度から二十八年度にかけて、この新調、修理のプログラムを延べ九十一団体に御活用いただいておる、そのように認識いたしております。

 文部科学省といたしましては、今後とも、被災地域のきずなの再生、復興が図られるよう、地域の誇りでもある祭りや民俗芸能に対する支援に努めてまいりたい、そのように考えております。

石川委員 ぜひともその取り組みを広く強力に進めていただきたいというふうに思っております。

 次に、東日本大震災においては、非常に多くの神社やお寺など宗教法人の施設も被災をしているところでございます。

 とりわけ、福島県双葉郡内には、原子力災害による避難指示区域内に二百三十九社の神社がございまして、中には、いまだ放置されたまま、傾いた社殿の修理はおろか、立ち入りも制限されているという神社もあるそうでございます。また、氏子の帰還のめども立たない中で、神社運営の最大の行事でありますお祭りができないまま、焦りや諦めが入りまじった思いで日々を過ごされているそうでございます。

 また、宗教法人ゆえの課題もございます。津波の被害を受けた地域では、高台への防災集団移転、町ごとそっくり高台に移転してしまいまして、宗教法人の神社やお寺はそもそもその移転計画に盛り込まれていないであるとか、宗教法人を理由に解体費用が出なかった、あるいは罹災証明が出なかった。ほかにも、火葬場への入場制限、避難所へのカウンセリングで法衣を着ることを制限されている、あるいは役所で檀家さんの避難先を教えていただけないとか、被災住宅への訪問を行政から断られた、政教分離の原則ゆえに被災者としても取り扱われていないというふうに言っているわけでございます。

 こうした宗教法人の置かれている苦しい現状について、復興に際してどのような支援策があったのでしょうか。お尋ねしたいと思います。

 また、あわせまして、神社の再建に際しまして、指定寄附金制度というのがございます。この認定期限が平成二十九年三月の末までとなっているわけでございますけれども、帰還困難区域の解除の見通しは現時点ではないわけでございます。神社の再建に際しまして、指定寄附金制度そのものを知らなかったという宗教法人も多いわけでございます。この制度の延長と特例について、政府のお考えをお伺いします。

井上政府参考人 指定寄附金のお尋ねがございました。

 指定寄附金税制とは、高い公益性、緊急性があるとして財務大臣が指定した寄附金について、税制上の優遇措置を講ずるものでございます。

 東日本大震災に関して、現状、震災により滅失、損壊した公益法人、宗教法人などの建物などの原状回復費用に充てるための寄附金について、主務大臣の確認を受けた場合、確認後三年間、指定寄附金とする告示を行っておりまして、これまで、財団法人、学校法人、宗教法人の十九法人が確認を受けた実績がございます。

 御指摘のとおり、この告示における主務官庁の確認の期限が二十九年三月末に到来することとなっております。今後の対応につきましては、関係省庁から被災地における公益法人の実情などをよくお伺いしながら検討してまいりたいと考えております。

石川委員 ぜひ前向きに、前広に取り組んでいただきたいと思います。

 次に、風評被害の対策についてお伺いいたします。

 これまで政府は、さまざまな対策を講じてきたところでございます。五年七カ月取り組んできた結果、風評被害対策は功を奏したというふうに言えるのか、その成果を具体的にデータでお示しいただきたいと思います。

 あわせまして、農林水産品の輸入規制解除の進捗状況をお尋ねしたいと思います。

 安倍政権では、農林水産品の輸出目標額一兆円というものを掲げているわけでございますけれども、茨城県内の農業者は、農林水産品の輸出をしたいが、現在制限されている状況だと承知しております。この輸入制限の緩和に向けた外国政府への働きかけもあわせてお答えいただきたいと思います。

天羽政府参考人 お米の価格の水準につきましてお尋ねをいただきました。

 お米の価格の水準につきましては、生産量と需要量のバランスで決定されるのが基本であるというふうに考えております。福島第一原子力発電所の事故に伴う風評被害の影響をどのように評価するのかにつきましては、難しい面もあるところでございます。

 こうした中でありますが、福島県浜通りのコシヒカリの近年の相対取引価格、相対取引価格と申しますのは全農などの出荷団体や出荷業者と卸売業者との間で取引されている価格のことでございますが、この価格の近年の推移につきまして見ますと、全銘柄平均の六十キロ当たりの相対取引価格との価格差でございますが、二十五年産では二千七百円のマイナス、二十六年産では二千円のマイナス、二十七年産では二千百円のマイナスというふうに縮小傾向となっており、二十八年産につきましても、九月現在で比較すると千二百円程度のマイナスと、このマイナス幅がさらに縮小するということで、価格差が縮小している傾向が見られるところでございます。

丸山政府参考人 輸入規制についての規制緩和、撤廃に向けた諸外国への働きかけの状況についてお答え申し上げます。

 東京電力福島第一原子力発電所事故に伴い、諸外国・地域において、我が国産の農林水産物、食品に対し、放射性物質に関する輸入規制が設けられたところでございます。

 こうした輸入規制に対してこれまで政府一丸となって撤廃、緩和に向けた取り組みを進めてきました結果、昨年八月以降、昨年十一月にはボリビア、本年二月にはインド、五月にはクウェート、八月にはネパールにおいて日本産食品に対する規制が撤廃され、規制を設けている国・地域の数は、昨年八月時点の三十九から三十五となりました。また、昨年八月以降、EU、米国、エジプト等、十二の国・地域が規制を緩和しました。

 主要な輸出先である香港、台湾、中国、韓国に対しましては、これまで、農林水産物、食品や海洋のモニタリングデータを提供しつつ、二国間あるいはWTOのSPS委員会の場等で規制の撤廃、緩和を働きかけてまいりました。

 特に、輸出相手先として一位となっております香港に対しましては、本年八月に農林水産大臣が香港を訪れた際、大臣から、ラム政務長官及び高食物衛生局長官に、科学的根拠に基づき、輸入規制を早期に撤廃、緩和するよう申し入れたところでございます。

 また、日本産水産物等への輸入規制を強化している韓国に対しましては、昨年九月に、我が国の要請に基づき、WTO協定に基づくパネルが設置され、現在、パネルにおいて検討が行われているところでございます。

 引き続き、あらゆる機会を捉えて、科学的根拠に基づく輸入規制の撤廃、緩和が進むよう、粘り強く働きかけを行ってまいりたいと考えております。

石川委員 ありがとうございます。引き続きの取り組みをよろしくお願いいたします。

 最後に二問、あわせてお伺いしたいと思います。

 福島原発事故の汚染水処理後のトリチウムの処理方法が検討会で検討が加えられてきたところだと承知しております。その方針は今現在固まっているのか。あわせまして、凍土壁の凍結状況、地下水汚染水対策というのはどうなっているのか。

 最後に、被災地の犯罪についてお伺いします。

 大規模災害が発生しますと、その避難者の留守宅を狙って窃盗を働く火事場泥棒を働く者がいるわけでございます。福島県の被災地におけます大震災において起きた犯罪認知件数、それからその内訳などもお伺いしたいと思います。

 そして最後に、この窃盗罪なんですけれども、罰則規定は十年以下の懲役または五十万円以下の罰金となっているわけです。これは、私は、いかなる事情があろうとも、被災者に二重の苦しみを与えるという意味では、非常に軽いのではないか、このように考えているわけでございます。法務省、警察庁の見解等もあわせてお伺いしたいと思います。

吉野委員長 平井経済産業省原子力事故災害対処審議官、答弁を簡潔明瞭にお願いしたいと思います。

平井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、トリチウム水の処理についてでございますけれども、多核種除去設備等で浄化処理した水につきましては、その長期的な取り扱いの決定に向けて、社会的な観点も含めた総合的な議論を行うために、本年九月、汚染水処理対策委員会のもとに多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会を設置したところでございまして、十一月中旬に第一回を開催する予定でございます。

 現時点においては取りまとめ時期も含めてスケジュールは決めておりませんけれども、地元の方々や専門家の御意見を丁寧にお伺いしながら、しっかりと検討を進めてまいりたいと思います。

 あわせて、凍土壁の凍結状況についての御質問がございました。

 本年三月末より凍結を開始した海側につきましては、地中の全ての地点で零度以下になりまして、地中部分の凍結が完了したところでございます。護岸エリアからの地下水のくみ上げ量も減少傾向を示しておりまして、現在、その遮水効果を慎重に見きわめているところでございます。

 約九三%まで凍結が進展する山側につきましては、現在、地下水の流れが速く、凍結しづらい部分に薬剤を注入する補助工法を実施しているところでございます。完成に向けて着実に作業を進めているところでございます。

 他方、凍土壁内部の水位を急激に変化させないよう、凍結の第一段階として原子力規制委員会から認可されている山側の範囲は、まだ九五%というふうにされております。したがって、凍土壁全体として見ると、まだ造成の最中でございます。

 引き続き山側からの地下水の流入がある状況でございますが、今後、原子力規制委員会の認可を得て、段階的に山側の凍結を完了することで凍土壁による遮水効果が発揮されてくるもの、こう考えているところでございます。

鈴木政府参考人 東日本大震災が発生をいたしました平成二十三年三月の前後一年の福島県内における侵入窃盗の認知件数を見ますと、平成二十二年三月から平成二十三年二月までの間が二千百件、平成二十三年三月から平成二十四年二月までの間が二千六百十三件であり、五百十三件、二四・四%の増加となっている状況でございました。

加藤(俊)政府参考人 窃盗罪に対する対処でございます。

 震災によりさまざまな困難を強いられている被災者の方々を狙った窃盗罪は悪質な犯罪であり、したがって厳正に対処すべきものだと考えられます。

 委員御指摘のとおり、現行刑法における窃盗罪は、十年以下の懲役という重い刑を科し得るものとなっているものであります。これに加えましてさらに法定刑を引き上げるということについては、具体的にどのような行為を切り出して引き上げの検討の対象とするのか、あるいは十年以下の懲役という現行の法定刑で賄えないような状況が生じているのかなどの多角的な観点から、その要否を含めて慎重に検討することが必要であると考えております。

 いずれにいたしましても、検察当局においては、被災者の方々の窮状につけ込むなどして悪質と認められる事案については、現行法の範囲内において厳正に対処するものと認識しております。

石川委員 以上で私の質問を終わります。どうもありがとうございました。

吉野委員長 次に、真山祐一君。

真山委員 おはようございます。公明党の真山祐一でございます。

 本日は、所信に対する質疑ということで質問の機会をいただきましたことに心から感謝申し上げるとともに、今村大臣を初め副大臣、政務官の皆様におかれましては、就任以来精力的に被災地を回っていただいておりますことに心から敬意と感謝の意を表したいというふうに思います。

 きょうは、限られた時間でございますので、二つの点について主にお聞きをさせていただきたいと思います。前半は福島の復興に関することでございます。そして後半には東北全体に関することについてお伺いをさせていただきたい、このように思っているところでございますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、今村復興大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 本年八月に、帰還困難区域の取扱いに関する考え方が取りまとめられました。復興・創生期間となって、これから双葉郡内の復興を考えていくときに、やはりこの帰還困難区域をどのように扱っていくのか、今までのように手をつけないままではもう許されない状況に来ているという中でございました。そういう中で、政府におかれましても、また与党としても提言を出させていただきまして、また地元の皆様からも提言をまとめていただきまして、その意を酌んでいただく形で政府として取りまとめていただいた、このように認識をしているところでございます。

 具体的な中身の話でございますけれども、今現在、帰還困難区域に指定をされているエリア、地図で見るとよく赤色に指定をされている地域でございますけれども、この帰還困難区域の中でも比較的線量が低い地域が存在するということもございますし、また、これからの町、村の復興を考えるときに、やはりその帰還困難区域をある意味活用というか、解除に向けた動きをとることで町の復興が進む、逆に言うと足かせになっているという場面も多々あるわけでございます。

 そういう観点から、復興のまちづくりに必要不可欠な地域を復興拠点というふうに定めて、その復興拠点に定めた拠点において除染を行う、またインフラ整備を行うということが今回決まったわけでございます。この帰還環境整備を進める計画を県また自治体と相談の上取りまとめて、それを国が認定する、このように私は認識しているところでございます。

 そこで、この復興拠点について確認しておきたいことがございます。

 各市町村によっていわゆる帰還困難区域が分布している場所というかエリアはさまざまでございます。例えば、双葉町は、まさに旧市街地のある意味ど真ん中がこのエリアに指定をされております。また、富岡町のような場所は、いわゆる旧市街地が居住制限区域と帰還困難区域に道路一本で分断をされているというような状況でございますし、一方、飯舘村の長泥地区のような場所は、町の中心部からは外れた地域といいますか、山合いの地域が指定になっている。

 各市町村によってその状況がさまざまあるという状況でございまして、この取扱いに関する考え方の中でも市町村の実情に応じて適切な範囲を設定というふうにありますので、この市町村の意向を酌んだ形で復興拠点の認定ということ、対応いただけるものと思っておりますけれども、これに関しまして、復興大臣のお考えをお伺いさせていただきます。

今村国務大臣 お答えいたします。

 先般、八月三十一日でありますが、与党の第六次提言を踏まえまして政府が決定した帰還困難区域の取扱いに関する考え方におきましては、五年を目途に、線量の低下状況も踏まえて避難指示を解除し、居住を可能とすることを目指す復興拠点を、各市町村の実情に応じて適切な範囲で設定し、整備するという方針を示したところであります。

 議員が御指摘のとおり、各市町村の状況はそれぞれ異なる面があります。そういった市町村の実情に応じて適切な範囲で復興拠点を設定することが必要でありまして、ここをまず手がかり、足がかりにして復興の加速化をしていくということであります。

 また、これに関連して、帰還困難区域に復興拠点を整備することが困難な市町村もあり得ることでありますから、当該方針においては、このような市町村に対しては、地域の実情に応じた支援のあり方について、国は柔軟に検討するというふうにしております。

 今後、それぞれの市町村の実情をよく踏まえ、またよく御相談しながら、必要な検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

真山委員 この件に関しましては、恐らく自治体の方も今さまざまな検討を行っている段階でございますので、ぜひその意を酌んでいただいて、また、五年を目途にというお話もございました。これはある意味目安であって、これが一年でも二年でも数カ月でも短縮されることがやはり町の復興の加速につながるということでございますので、ぜひそういった意向も酌んでいただいて御尽力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げる次第でございます。

 そして次に、現在、避難指示が解除された地域、また解除に向けて帰還環境整備が進んでいる中にありますけれども、生活インフラを支える上で重要な項目の一つに生活上必要なものが近くで購入できるということが、これは食料品もそうですし、生活雑貨もそうでございますけれども、こうした商業施設の再開ということも実は重要な柱でございます。これまで解除がなされた広野町であるとか楢葉町とか、そのほかの市町村も含めてそういった商業施設に取り組んでいるわけですし、またさらに、今現在でも来年の三月の解除に向けてそういった準備を整備しようとしている市町村もあるわけでございます。

 そこで、避難指示が解除され、帰還を促していくといいますか、帰られる方の生活インフラを整えていくわけでございますけれども、私も先日、広野町に行ってまいりまして、住民の方と少し懇談をさせていただきました。確かに、「ひろのてらす」という商業施設ができまして、そこで購入できるようになったことは大変ありがたいわけでございますけれども、しかし、恐らく事業者の方もいろいろな理由があって、品ぞろえがそろっていないようなところもあるようで、住民の方の中では、やはりいわき市の方に買いに行っているという話も聞いたわけでございます。

 事業主の視点から見ますと、やはり将来的な人口見通しもなかなか見通しにくいということ。さらには、物流が分断されている中で運んできますので、そういう意味では物流コストというのもやはりかぶさってきているのではないか。さらに、人手が集まりにくい。また、集まっていただける人手の賃金も、福島県の最低賃金は七百二十六円なんですけれども、このエリアで例えばコンビニの時給は千二百円とかそういった状況でございまして、人件費も非常にかさむという状況があります。やはり経営的には事業再開また新規出店になかなか踏み出しにくいという現状もあって、今、来年の解除を目指して検討している自治体においてもいろいろ苦慮されているお話を伺っているわけでございます。

 そうした事業者支援、幾つか支援メニューはあるわけでございますけれども、特に、イニシャルコストの部分も当然なんですけれども、やはりランニングコスト、将来人口また商圏が見通せないという中で新規出店ないし再開しているということを酌んで、人件費や水道光熱費、こういったランニングコストについてもできるだけ手厚い支援というのも必要ではないか、さらに拡充していくべきではないか、このような思いもするわけでございます。

 避難指示解除区域における商業施設の再開支援について政府としてどのように取り組んでいくお考えか、これは経済産業省にお伺いをさせていただきます。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、住民の方々が帰還してふるさとでの生活を再開するためには、商業施設の整備、再開が極めて重要だと認識をしてございます。

 政府といたしましては、商業施設を整備し再開するための設備投資を御支援申し上げますとともに、事業者の方々が帰還しやすい環境を整備するために、地元の商店や商業施設での購入を促して需要を喚起するといった市町村の取り組みを支援しているところでございます。

 御指摘のランニングコストの支援でございますが、これにつきましては、現在、福島県におきまして、市町村が整備をされた商業施設に対しまして、水道あるいは光熱費等々の運営経費の一部を補助する事業を行っていると承知してございます。

 私どもといたしましては、引き続き、こうした福島県さらには復興庁を初めといたします関係省庁と密接に連携協力をいたしながら、住民の方々が一日も早く御帰還できるような環境整備に向けて取り組んでまいりたいと思っております。

真山委員 今、水道光熱費についての県の取り組みなどの話もありました。

 また、きょうはちょっと取り上げませんけれども、厚生労働省においてもまた人件費の部分である程度メニューはあるわけでございますけれども、細かい点を言いますといろいろ地元の実情が合わない部分もありまして、この問題自体はまた別の機会に改めて取り上げさせていただきたいと思います。

 次に、いわゆる旧緊急時避難準備区域の住民を対象といたしました、医療費窓口負担また介護保険料などの免除措置についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 この免除措置は来年の二月が期限となっておりまして、これについては、南相馬市、田村市、広野町、川内村の四市町村から復興庁に要望が上がっているというふうに私は認識をしているところでございます。

 この旧緊急時避難準備区域につきましては、確かに今現在解除もなされ、人々の生活も行われているところでございますけれども、しかし、平穏な生活が戻ったかというと決してそうではない現実がありまして、さまざまな苦労、先ほど買い物の件もありました、また医療機関が再開しないということもございます、さまざまなふぐあいを感じながら生活を送られているのが実態でございます。そういったことも踏まえて、この免除措置の継続について前向きに考えていただきたいというふうに思うわけでございます。

 これにつきましては、まず所管する厚生労働省にお伺いをさせていただいた上、この件に関しては、私も現場で、長沢復興副大臣に懇ろにお願いをしましたという話も聞いてございましたので、長沢副大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 現在、東京電力福島第一原発事故に伴いまして避難指示がなされている区域の全ての被災者と、避難指示が解除された区域の上位所得者を除いた被災者についてでございますけれども、国民健康保険、後期高齢者医療、介護保険におきます窓口負担及び保険料を免除しておりまして、それについて国が全額財政支援をしております。

 また、避難指示が解除された区域の上位所得者の住民及び避難指示が行われていない被災区域の住民の窓口負担及び保険料につきましては、被災状況に応じて保険者の判断により減免を実施し、その減免に要する費用の負担が著しい場合には、減免に要した費用の十分の八以内を国が財政支援しております。

 これらの財政支援についての平成二十九年度の扱いについてでございますが、厚生労働省といたしましては、復興庁ともよく連携して、予算編成過程において検討していく所存でございます。

長沢副大臣 真山委員にお答えいたします。

 今厚生労働省から説明がありましたとおり、避難指示区域等におきまして、その住民を対象として市町村が国民健康保険の医療費の窓口負担及び介護保険料などの減免を行う場合、それに要する費用に対しては原則国が全額の財政支援を行っております。この財政支援の取り扱いは、これまでも毎年度、国の予算編成の過程の中で検討されてまいりました。

 二十九年度につきましては、復興庁としても、この財政支援の実施に必要な費用を二十九年度予算の概算要求に盛り込んでいるところでございますので、今後とも、引き続き厚生労働省と連携して対処してまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

真山委員 ぜひ、概算要求に上がっているわけでございますので、成立に向けて御尽力を賜りたくお願い申し上げる次第でございます。

 次に、東北の観光復興についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 本年三月から、東北は五年の節目を迎えまして、復興・創生期間で、新たなステージに入りました。東北地方のいわゆる風評被害の払拭ということとともに、日本は今、インバウンドが、先日も、本年の一月から十月時点で二千万人を超えたということで、ある意味インバウンドによる経済効果は非常に大きいわけでございますけれども、なかなか東北地方に至っては、東日本大震災の要因もあってか、このインバウンド需要が取り込めないという実情がありまして、そういった状況から東北観光復興が打ち出されたわけでございます。そして、東北観光復興対策交付金が創設をされまして、二十八年度予算に計上されました。

 この交付金が今現在どのように活用されているのか。また、この交付金は、被災三県の岩手、宮城、福島のみならず、青森県や秋田県、山形県も対象にしております。これは、やはり広域的に連携して受け入れていく体制を整えなければいわゆる観光需要を取り込むことはできないという観点から、東北全体として活用できるものとして創設されたものと私は理解をしているところでございます。私はこうした広域的な取り組みは重点的に応援をしていくべきというふうに考えておりますけれども、この取り組み状況について観光庁にお伺いをさせていただきます。

加藤(庸)政府参考人 お答え申し上げます。

 復興・創生期間に入った今年度、東北観光復興対策交付金を設けさせていただきました。この交付金では、東北六県におきまして実施いたしますマーケティング調査や地域における取り組み体制の整備、あるいは体験プログラム造成などの滞在コンテンツの充実強化、無線LANなどの受け入れ環境の整備、海外へのプロモーションの強化、こういったようなインバウンドを呼び込む取り組みを支援してございます。

 また、委員の御指摘がありました広域的な取り組みについてでございますけれども、以前から、東北の観光振興におきましては、自治体の連携が不十分であったという点もあろうかと思います。

 この交付金におきましては、複数の地方公共団体が連携して広域的に行う事業も対象としておりまして、例えば東北六県と仙台市が連携して実施するレンタカーを活用したドライブ周遊観光促進事業、こういったものも支援をさせていただいております。

 この交付金を活用しまして、さらに東北の観光復興を促進してまいりたいと考えてございます。

真山委員 そうした取り組みの中で一点、個別にお聞きしたいのが、先ほどインバウンドをなかなか東北が取り込めないというお話がありましたけれども、その中でも青森県は、平成二十二年と二十七年の比較でございますけれども、一八六%ということで、比較的健闘している県でございます。

 北海道新幹線の影響とかさまざまな要因はあろうかと思いますけれども、一つ注目しているのはやはり大型クルーズ船の受け入れでございまして、青森県はクルーズ船の受け入れが非常に多い県でございます。一方で、お聞きしたところによると、日本船社が多いということもありますので、一概にそう言えるのかどうかというのは当然いろいろ検証が必要だと思います。

 この大型クルーズ船の受け入れには港湾整備も必要でございますので、そういった寄港状況、港湾整備状況について国土交通省にお伺いをさせていただきます。

津田政府参考人 お答えいたします。

 観光立国の実現や地方創生のために、クルーズ船の寄港を全国各地の港湾に展開することが重要です。

 東北地方の各港湾へのクルーズ船の寄港は、東日本大震災以降少しずつ増加しており、昨年は六十五回、ことしは六十九回が見込まれております。このうち、十万総トン以上の大型クルーズ船の寄港は毎年十回前後となってございます。

 今後、東北地方でもクルーズ船の寄港がふえていくと見込まれますことから、ハード、ソフト両面からクルーズ船の受け入れ環境を整備してまいります。

 ハード面では、既存岸壁の防舷材や係船柱の改良、岸壁の延伸など、クルーズ船の受け入れ能力の向上を図ってまいります。平成二十八年度第二次補正予算においては、青森港、酒田港などにおいて、大型クルーズ船に対応するための既存岸壁の改良などの事業を実施することとしております。

 ソフト面では、自治体で構成される全国クルーズ活性化会議とクルーズ船社との商談会の開催等により、東北への寄港誘致に積極的に取り組んでまいります。

 国土交通省といたしましては、これらの取り組みを進め、より多くのクルーズ船の東北地方への寄港を促進することにより東北の観光復興を後押ししてまいります。

真山委員 時間となりましたので、以上で終わりますけれども、東北観光復興にとってクルーズ船は非常に即効性のある重要な取り組みだと思いますので、ぜひ御支援をよろしくお願い申し上げます。

 以上で終わります。

吉野委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 民進党の小熊慎司です。

 今村大臣に質問するのはこれが初めてであります。

 内閣改造は総理の専権事項ではありますが、やはりこの復興、五年八カ月がたとうとしている中で、解決していく課題もありますし、いい状況に向かっていく課題もありますが、時間が経過するごとに課題が積み上がって多層化していくという部分もあるのは御承知のとおりであります。この夏、こうして大臣また政務三役がかわられた中で、地元の人間としてやはり、こうころころかわると、復興って何だろうと。

 留任する大臣もいながら、復興にかかわる経産大臣、環境大臣もかわっていく。内閣改造が行われた当時、さすがの温厚な内堀知事も、今の福島はかくかくしかじかと一から話さなきゃいけない、本当は会った瞬間からこの仕事をどうするかという話をしていきたいんだという発言をされています。これは知事だけじゃなくて多くの県民がそう感じているところで、復興大臣はそんな窓際の大臣なのかな、名誉職なのかなという印象を与えてしまっているのも事実でありますし、そうしたことがやはり、与野党関係なく、被災地において政治の信頼を獲得できない一つの象徴的な事象なのかなと思っています。

 そういう中でも、私は、今村大臣に関しては、お世辞じゃなくてですよ、地元の人たちには、今村大臣はこれまで復興の委員長を務めていたのでしっかりいろいろな流れも知っていますし、人物的にもすばらしい方ですから、前任者は不幸にして違う話題でいろいろな話題を振りまいてしまいましたけれども、今度の大臣は大丈夫だと思いますという話もさせていただいていますし、今回、吉野委員長が就任されましたので、次は吉野委員長が大臣かなという地元の期待感もありますが、なるべくなら私は、ころころかわらずに内閣改造二回ぐらいはそのまま留任していただくというのが福島の被災地の信頼を獲得することになると言うと吉野委員長の大臣が遠のくので、これ以上は言いませんが、いずれにしてもそういう状況です。だから、真摯に向き合っていただきたい。

 そういう中で、大臣所信の中でも、これまで誰しもが言っていますけれども、国が前面に立って全力で取り組むというふうにしているところでありますが、地元に派遣している官僚も二、三年でかわるという中で、国が前面に立つといっても、なかなかそこの信頼醸成ができない。また、いろいろ多岐にわたっていますから、それは経産省です、それは環境省です、それは観光庁ですとか、いろいろそういう言いわけも出てくる、説明が出てくるというところも否めないわけでありますが、やはり復興大臣が全てを束ねなければいけないというふうに思います。それは、委員長の経験の中でも、これまでのいろいろな議論なんかを見ていても、そう確信しているはずでありますので。

 とりわけ福島県においては、地震、津波だけではありません、原発事故災害は今でも続いている災害でありますので、そういったことも含めて、政治が前面に立つという発言について、もう一度改めて意気込みをお伺いしたいと思います。

今村国務大臣 ただいま御指摘の点、大臣の任命の問題等々、そういう面もあるかと思います。

 しかし、今委員が言われたように、私も災害の多い九州の出身でもありますし、またこの特別委員会の委員長もやっておりまして、東北あるいは福島の復旧、復興、再生については全力を挙げてやっていく、そして、ああ今村大臣でよかったなと言われるようにしっかり頑張っていきたいというふうに思っておりますので、またいろいろ御指導を賜りたいというふうに思います。

 その上で、私も、八月にこの重職を担って以来、いろいろなところに出かけてまいったところであります。感じることは、特にインフラストラクチャーの関係等々については着々と進んで、いろいろな形で姿があらわれている、しかし、これからの課題は、ある意味ではそういったものをベースにしながら、なりわいの再生あるいは教育等々の課題が出てきているということを一つ感じます。

 もう一つは、やはり福島の問題ですね。これはやはり津波だけの災害と違って非常に難しい問題だなということを改めて感じているわけでありまして、まさにこれからのなりわいの再生とともに福島の復旧、復興、再生というのは全力を挙げて取り組んでいかなきゃいけないし、恐らく今後、いろいろな負担の問題等々も含めて、また改めて全国的な支援の仕組みも考えていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思ってもいるところであります。

 その上で、当面こういったものに取り組む姿勢でございますが、まず、避難を指示されたところの問題であります。帰還困難区域を除きまして、御案内のように、田村市、川内村、楢葉町、葛尾村、南相馬市において避難指示が解除され、また、飯舘村、川俣町は来年三月三十一日の解除が決定したところであります。

 この辺のことについては、先ほども話がちょっと出ていましたが、まず徹底した除染をやって拠点整備をしていく、そしてそこをまず足がかりにして、手がかりにして地域の復興を図っていきたいというふうに思っているところでありますし、その意味で、まずは除染を徹底的に着実にやっていく、次にいろいろなインフラ整備、道路、上下水道等々含めてこういったものもやっていきますし、それから買い物環境、医療、介護、そういった生活環境の整備を着実に進めていきたいというふうに思っております。

 さらに、今後は、まさにいろいろなところ、世界じゅうと言ってもいいと思いますが、人材を引きつけるような新しい産業を福島に育てて雇用の場をつくっていく、そしてまたF1の事故に伴う風評の払拭や、観光復興による交流人口の拡大ということにも取り組んでいかなきゃいけないというふうに思っております。

 福島の復興なくして日本の再生はないということ、この言葉がまさに風化しないように、まさに長期的な対応が必要でありますから、こういったものについて、国が前面に立って、また関係省庁あるいは地元と密接に連携をしながら、全力で取り組んでいきたいというふうに思っております。

小熊委員 細かな点までありがとうございました。この後の質問の部分もちょっと答えていただいたような感じで。福島の復興なくして日本の再生なしというところだけでも十分だったんですけれども、心意気は感じさせていただきました。

 そういう大臣の姿勢のもとに、質問に移っていきますけれども、風評被害についてなんです。

 浜通り、中通り、会津と、大きく分けると三つの地方に福島県は分かれていますが、全県的に風評被害の状況は根強く続いていますし、お配りさせていただいた政府の、食品中の放射性物質等に関する意識調査で、これまで、民主党政権から自民党政権になっても、たゆまぬ努力の中で、ある程度のリスクコミュニケーションが進んで御理解をいただいてきたところでもありますけれども、どうしてもやはり二割弱ぐらいの人が福島のものを避けるという、固定化している状況でもあります。しかしながらそういう状況が改善をしていない、残念ながら固定化している部分がある、一定程度の割合がある、二割ぐらいの方々が。

 そういう中で、営業損害に対する指針が変わりました、御承知のとおり。二年分前倒しをして、二倍払って。

 これは、払うといっても、今まで払った人に全部払っているわけじゃないのも大臣御承知のとおりで、ADRに持ち込まれたり、いろいろまだ合意をとれていない案件も多数ありますけれども、これで打ち切りだという印象になっちゃっているんですね。でも、風評被害というのは、原発事故が完全収束するまで、収束したとしてもそのイメージというのがどうなるかわかりませんから、それ以上続くものだと私は認識して、厳しく対応していかなきゃいけないというふうに思っています。

 この営業損害の指針が変わったことによって、非常に県内の風評被害に困っている人たちに不安を生じさせています。新たな対応があるのかといえば、それが明確に示されている状況でもありませんし、それがしっかり伝わっているわけではありません。

 そうしたことにおいて、この風評被害の実態、これはまだ続いていると意識調査でも明らかになっています。それによって、県内経済、福島県内における経済に対する打撃も大きいものがあります。この指針が発表されましたけれども、これは相当な因果関係を示せということなんですけれども、なかなか大変です、一つ一つの事業者が示すのは。

 はっきり言えば、風評被害がないということを東電に示してほしいぐらいですよ。これは悪魔の証明になりますから、それはできないんですけれども。でも、こうして意識調査を見ても、二割程度が買わない、インバウンドも成果が上がらない、教育旅行も成果が上がっていないという数字は出ているわけですから、そういう意味においては今後も柔軟な対応が望まれます。

 営業損害に対する指針が変わりましたが、今後の取り組みについてお伺いをいたします。

高木副大臣 営業損害の問題でございますので、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 まず、商工業の営業損害、先ほど御指摘がありましたように、平成二十七年六月に閣議決定されました改訂福島復興指針を踏まえまして、事故との相当因果関係のある損害が生じている場合に、直近の年間逸失利益の二倍相当を一括して支払うこととしております。二年分ということで、これで終わりじゃないかというふうな思いがあるという今の御指摘、そこのところを丁寧に御説明していかなければいけないなと思います。

 そういった中で、一括支払い後においても、やむを得ない特段の事情により損害の継続を余儀なくされ、相当因果関係が認められる損害が支払い額を超過した場合には、個別の事情を確認の上、適切に対応する。ただ、これがなかなか証明が難しいというふうにおっしゃっておられます。

 ただ、これも、東京電力で事業者への説明、相当因果関係の確認に当たりまして、これまでも県内に、商工会、商工会議所含めて五十二カ所の相談窓口をつくらせていただきました。ただ、それだけではいけませんので、お支払いの内容について東電との間で考え方が異なる全ての方に対しては、現地で直接東電の方が御訪問をさせていただいて、個別に事情を確認し丁寧な対応に努めている、このように認識しておりますが、今後も、さらに丁寧に個別の事情を確認しながらやりなさいということは指導してまいりたいと思います。

 もう一つ申し上げたいのは、風評被害というのが、なかなか抽象論で、風評という言葉で捉えられておりますけれども、実は、これは一つの例でございますが、福島県のお米というのは震災の前までは都道府県四十七あるうち四番目の出荷量でありました。ところが、出荷制限が行われましたので七位に下がりました。しかし、現在は五位まで復活しております。

 しかし、その五年の間、福島産のお米が出なかったことによって、それぞれの商店の棚は福島産がなくなりました。そこで、現場はどうなったかというと、他県に頭を下げて、仕入れをして棚を埋めました。五年たって福島が戻ったからその棚をどけというふうに言っても、それぞれの販売店のところではなかなか難しい現状があるというのがございます。

 では、その福島の米はどこに行ったかというと、外食の方に行きました。これまでアメリカ産等の安い外食のお米だったのが、安い値段で引き取られて、それが今までの福島の、農家の方々も含めて、安い米を売らざるを得ないという状況でございます。

 ここで、今村復興大臣のリーダーシップのもとでタスクフォースがこの間行われまして、そういった現実、どこで行き詰まってその値段が下がっているのか、そういったものをしっかりと調査するということで、各省庁に指示がございました。

 そういう形にして、風評の実態、これは観光もそうでございますが、そういうものを正確に把握して打てる手を打っていくということも、政府を挙げて取り組んでまいりたいと思います。

小熊委員 ありがとうございます。ケース・バイ・ケースで、一つ一つ丁寧にやっていく。

 現状では、高木副大臣のところにも届いていると思いますけれども、震災直後と最近では東電の担当者の態度が明確に変わっているのも事実ですし、二年分前倒しといっても、今までもらっていたのに、二年分前倒しとなったら、もらえない人も出てきている、今までと何が違うんだ。抗議したら、一年分出します、じゃ、抗議しなかったらゼロだったのかよ。こんな状況を聞いていますよ。

 あと、担当者に電話しても、次の日電話すると担当者がかわっていて、また一からだ、そのうち根負けさせることを狙っているのか。言葉遣いは丁寧だけれども、心がこもっていない。そんな状況がありますから。中には、あした電話しますから待っていてくださいと、待てど暮らせど電話が来なくて一日潰しちゃったという社長もいましたよ。

 高木副大臣、丁寧にケース・バイ・ケースで見ていくというのは、これはしっかり見て、明らかに震災直後より東電の対応は悪いですから。二年分前倒しの話も、全員もらっていませんから、いきなり切られたわけですから。これはしっかり見ていっていただきたいと思います。

 今の市場調査の関係も、これは時宜にかなったことです。県内で県庁の職員が研修会をやったときに、ニーズがないから値段が下がっているのではなくて、実は市場関係者が福島県ということで値段を下げてしまっている実態もあるということですから。これは、消費者だけではなくて、まさに市場関係者も含めて、この値段の低下、需要のバランスの悪さというのもしっかりと見きわめていただきたいというのもあります。

 でも、今の事情、ほかの県のを入れていましたと。これは震災がなければ起きてこなかったことですから。風評ではないけれども、これは災害における損害ですよ、なければ起きなかった事実ですから。そういうことも含めて、営業損害というのにしっかり柔軟な対応をしてほしいということなんです、確実にマイナスになっているわけですから。それは、その個々人の経営努力が欠如していたわけじゃないんです。そういうことも踏まえて柔軟に対応していくこと。今ほど言った、不安が払拭できていないというのは事実ですから、しっかりと説明を果たしていくこと。

 また、風評被害はこれからも続きます。それに対してどう支援をしていくのか。個別の支援なのか、それとも地域ごとの支援なのか、業種ごとの支援なのか。これを県民が納得する形でぜひ進めていっていただきたいというふうに思います。

 次に移ります。

 風評被害の一つには観光の方もあります。これもお配りさせていただきました。

 先ほど真山委員から、インバウンドについて明るい兆しもあるということもありました。

 資料の三枚目、二千万人を超えて、これから四千万人を目指すと政府も言っていますが、現在の状況でいうと、これは二〇一五年ですから二千万人を超えていませんが、大体の数字でいうと、中国、韓国、台湾、香港、これで七割を占めているんです。日本へインバウンドが二千万人来ているといっても、世界各国から来ていただいていますけれども、七割以上がアジアの近隣の諸国です。

 しかし、御承知のとおり、この近隣諸国はさまざまな制限を福島県にかけています。

 だから、そういうハンディを背負いながらインバウンドを頑張ってくださいといっても、結局、残念ながら、その次の表にあるとおり、宿泊者数、都道府県ごとにやると、二〇一〇年と比べて二〇一五年は、これは赤字になっているのがマイナスです。秋田もそうなんですが、いろいろ事情を聞いたら、韓国便の定期便がなくなったとかいろいろ言っていましたけれども。それはおいておいて、比べると、福島県だけこれだけ大幅にインバウンドの恩恵を受けていません。

 そして、戻って二枚目の資料でも、教育旅行も半分以下です。政府においてもさまざま、教育旅行については文科省の方でも通達を、全国の市町村の教育長、小中学校校長、PTA会長などにもさまざまな要請をしていただいていますけれども、要請して依頼しているといったって、それはペーパーにしかすぎませんから、努力はしているんでしょうけれども、成果は上がりません。もっと踏み込んだ対応が必要だというふうに思います。

 こういう中でも、今村大臣が委員長のときに私は高木大臣に言いましたけれども、やはり個々の政治家も頑張ってほしい、それぞれの地元のPTAともしゃべってほしい。被災地だけが現場じゃない。皆さんの家庭でも福島県のものを食っているのか。皆さんの地域でもPTAの人は反対する人もいると思います、福島県に行くということを。それを真剣に向き合って議論しているのか。こういうことも大事だと思います。

 また、中には、私の個人的な情報として知り得ていないだけかもしれないんですけれども、福島県内に毎年、政治家の後援会を送っていただいているというのも、細野さんなんかは五年間も続けているんですね、三百人ぐらい、毎年福島県に。大臣の佐賀県から来るというのはなかなか大変なんですが、ぜひそれはお願いしたいなというふうに思うところでありますし、そうした個々の積み上げも必要なわけで、インバウンドにしても、これは外務省が努力して今、輸入のいろいろな規制を外そうとはしていますが改善が見られませんし、そういう中ではとりわけしっかりとした対応が必要だというふうに思っています。

 教育旅行も成果が上がっていない、そしてインバウンドも成果が上がっていないという中で、こうした点について、さらに一歩踏み込んだ、新しいアプローチでの努力が必要だと思いますが、答弁を求めます。

今村国務大臣 ただいまの御指摘、私もまさにそういうふうに感じることが多々ございます。

 特に、先ほど来、風評云々の話が出ておりましたが、やはり、これだけ安全なんだ、大丈夫だよということのアピールをもっともっとやる必要があるなということも感じておりまして、先般もお米の全量検査、全袋検査の現場にも行きましたが、そこで、日本一あるいは世界一厳しい基準に合格しているんだよということ、そういったことが余りまだアピールされていないような感じがしておりますから、今、全力を挙げて、どうしたら安全だよというアピールができるかということを、先ほど話がありましたタスクフォース等々を含めて、私もしっかり指示しているところであります。

 特に観光もそういう意味では今言ったとおりでありまして、しっかり取り組ませていただきますし、教育旅行、これは若干早目に計画しますので、具体的な旅行の対応等々を含めて、それに合った対応をしていきたいと思います。

小熊委員 教育旅行はなかなか、校長が決めてもPTAの何人かが反対するとやりにくいというのがありますから、これは大臣だけじゃなくて委員の皆さん、全ての国会議員にも言いたいですけれども、地元でしっかりと、いろいろなPTAの人と、やるやらないは別として話し合ってみてほしい。被災地に行くことだけが大事な話じゃないです。自分の生活しているところも現場だというふうに思って、これは大臣からいろいろな議員にも働きかけていただきたい。

 大臣は真面目ですから、情報発信、安全というのはもうずっとやってきているんですよ。安全と安心が離れてしまっているから、別世界のところにあるから、なかなか風評といったものがなくならない。だから、ソフト的なアプローチが必要で、その答えの一つは実は大臣の地元にあるんですよ。

 大臣の地元の佐賀県、民間のシンクタンクの魅力度ランキングでは残念ながらワースト二位です。だけれども、ここ最近のタイの観光客の伸び率、伸び率ですよ、実数ではなくて、伸び率は全国一位ですよ。なぜか。わかりますか、大臣。これは、いろいろな映像を誘致したからです。情報番組だけではなくて映画も撮って、タイの人の佐賀県の認知度が上がって、どっと行くようになった。

 ですから、被災地における情報発信というのは、科学的根拠を示すということも大事なんですけれども、風評対策強化指針でもいろいろな予算がついていますが、メディアの招致ということもやっていますけれども、ドキュメンタリーみたいなことでやって、かたいのじゃなくて、大臣の地元でやっているソフト的な、映画を撮るとか旅番組を撮るとか、そういう映像誘致をしていくという新しいアプローチが必要だと思いますので、大臣は真面目だからそういう方向ですけれども、ちょっとやわらかくして、そういうアプローチの仕方での情報発信というのは今まだ少ないです、はっきり言えば。そういうやわらかい情報発信というのをぜひ検討していただいて、強化指針にのっとって、そしてしっかりと予算をつけていく。

 外務省の予算の方では観光立国としてメディアの招致というのがあるんですけれども、でもやはり報道関係みたいなことなんですが、そういうことじゃない、映画とかバラエティーとかみたいなことの誘致にぜひこれから取り組んでいただきたいと思います。

 最後の質問に移ります。

 一番目の質問で、国が前面に立つということの強い言葉をいただきました。

 東電の福島第二原発のことですが、御承知のとおり、全基廃炉が県民の総意です。しかしながら、これまでのこの委員会での質疑、さまざまな委員会でも質疑してきましたが、残念ながら、そこは事業者の判断ですというのが答弁です。福島の県民の皆さんの思いは重々承知をしている、ほかの原発と同列には扱えない、だけれども最終的には事業者の判断。現行法上ではそうなるんですけれども、それを聞くと、政治が前面に立っていないな、そういう印象を持たざるを得ません。

 まして、中には、福島第二は運転開始が一九八二年、八四年、八五年、八七年ですから、ここ数年の中で四十年を迎えるからそれでいいんじゃないのと言っているような人までいるんですよ。こんなことは到底受け入れがたいんです。

 大臣、政治が前面に立つという意味で、第二の廃炉に対する取り組みはいかがなものか、お伺いをいたします。

今村国務大臣 法律のたてつけ上は、事業者が判断ということになっているわけであります。

 しかし、今回のいろいろなすさまじい被災、そういったものを考えたときに、そう簡単に割り切れるものではないということも承知しております。そういう意味では、しっかりと政治が前面に立ってこれについては対応していきたいということをかたくお誓い申し上げます。

 以上です。

小熊委員 では具体的にはどうするかなんですよ、言葉だけじゃないんですよね。ただ、政府答弁は事業者の判断なんですから。一義的じゃないんですよ。それだったら、政治は前面に立つけれども、第二の廃炉に関しては前面に立てません、一義的には東電ですと、注釈を入れてしゃべってほしい。前面に立つと言うんなら、ちゃんとやってほしい。

 これは資料の一番最後ですけれども、私の地元の新聞、九月二十四日に、廃炉を政府が検討している、法案でと。これは時事通信の配信のもとでの地元新聞ですが、一面に飾られたときに県内関係者はもう喜びましたよ。政府もよくやった、これこそ政治が前面に立つことなんだと。こうやって法案をつくれば、この報道のとおりになるんじゃないですか。これは用意されているんですか。

高木副大臣 原発関係でございますから経産省の方からお答えさせていただきますが、この記事は、政府の方では全く検討しておりません。

小熊委員 これだけ一面を飾って、県民も喜んだ方々が多かったんですが、今の副大臣の答弁では非常に残念であります。

 でも、こうやって法律をつくれば、政治が前面に立てるんですね。現行法では確かに事業者の判断でしょう。だけれども、法律をつくればできます。なおかつ、大株主は政府です。一義的には東電といっても、株主の立場から、これをやったらという政治的な促し方もできるんじゃないですかね。

 そういう意味で、高木副大臣じゃない、復興大臣として、前面に立つというのはどう具体的にやりますか。あくまでも一義的に東電ですか。それとも、自然と四十年を迎えるのを待ってほしいというんですか。

 前面に立ちますと言って何も動かないのであれば、それは信頼をなくします。信頼を得るためには正直に言ってほしいですよ、ここは前面に立てませんと。もしくは、自然と廃炉を待ってくださいと。正直に言ってほしいんですよ、できないならできないと。大臣、どうですか。

今村国務大臣 先ほども申しましたが、まさに福島の第二についてはほかとは同列に論じられないだろうということをしっかり言っておりますから、その言外に含まれた意味をしっかりと評価していただきたいというふうに思います。

小熊委員 それは優等生の答弁で、いや、言外にじゃだめ。前面に立つと勢いよく言ったんですから。

 法律改正する予定もないんですね。株主として、東電に強くその判断を求めることもないんですね。この二点について、イエスかノーかでお答えください。

今村国務大臣 そういったことも含めて、しっかりと取り組ませていただきます。

小熊委員 時間が来たので終わりますけれども、いずれにしろ、大臣、すばらしい能力と人格をお持ちの方で私も評価していますが、この点については政治が前面に立つと言っていて、それは福島県民からすれば立っていないなという印象になってしまいますし、今村大臣だけではなくて、与野党を含め政治全体の信頼にかかわってくる、だからこそ被災者の立場に寄り添うという言葉が浮ついてしまう。それは私も含めてですよ。

 こういう慎重な物言いというのが政治にとっては正しいのかもしれませんけれども、被災地においてはそれが信頼を裏切っている、その積み重ねになってしまっているということを御指摘申し上げ、より具体的な一歩をぜひとも踏み出すことをお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、金子恵美さん。

金子(恵)委員 民進党の金子恵美でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 今村大臣におかれましては、この特別委員会の委員長としても被災地にお入りいただいておりました。その当時から、各地のニーズに対しては本当にお心を持って、しっかりと把握をしてこられたのではないかというふうに思っています。

 今村大臣、今回、就任以降も各地を回られておられます。その上で、新たな課題というものも把握されたのではないかと思いますので、それについてどのようなお考えを持っていらっしゃるかということをお聞きしたいということ。そしてまた、先ほど来お話がありますけれども、やはり被災地あるいは被災者の方々と信頼関係を結んでいくということはとても重要なことです。ここから本当に復興を加速するそのエネルギーというものをつくり上げることが私はできると思っていますけれども、どのように被災地そして被災者の方々に向き合っていかれるのか、お伺いしたいと思います。

今村国務大臣 先ほども答弁いたしましたが、就任以来、いろいろなところに出かけて、またいろいろな方のお話も伺ってきております。そういう意味で、着々と進んでいるところ、そしてまたこれからの課題というもの、そういったものも私も認識しておりまして、特に、なりわいの再生あるいは福島の再生の問題等は非常に大きいなというふうに思っております。

 しかし、常に状況も刻一刻と変化しますので、そういったところをしっかり的確につかみながら、迅速かつ的確に対応していきたい。そして、何よりも被災者の皆さん方に寄り添いながらと言っておりますが、まさにそのつもりであります。

 ここにバッジもつけておりますが、これはいろいろありますが、オリパラのバッジもあるし、それから、これは陸前高田の一本松のシンボルマークであります。こういったものを常に置いておりますし、また、手元にはいつも復興関連データ集というのも持って、今、進みぐあいをずっとチェックしております。また、もう一つ言いますと、この「復興の状況と取組」というパンフレットもあります。

 いろいろな機会に、こういったものを会合等でもお知らせしながら、オール・ジャパンでみんなで応援していこうじゃないかということもやっているつもりでありまして、いろいろな課題にこれからしっかりとまた全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに思っておりますので、よろしく御指導願います。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 いろいろな課題があるということでございますが、一つ一つどのように取り組んでいくかということも本当にこれから伺っていきたいというふうに思います。

 復興を加速するためには、とにかく人の手が必要になっています。でも、被災地ではやはり人手不足というのが問題になっています。

 ちょうど、被災地には全国の自治体から応援で派遣されている職員の方がいらっしゃるということは御存じのとおりでありますけれども、実際に、四月一日時点の数でありますけれども、昨年の十月一日時点と比べて大きく減少したということが総務省の調査でわかったということでございまして、大変その応援職員派遣というのは大幅減になっている。復興を加速化しなきゃいけないということで大臣の御決意というのもおっしゃってはいただいているんですけれども、この状況の中でどのように人手不足を解消していくかということ、これは重要な課題であります。

 そして、任期つき職員はふえているということでありますから、新しい仕組みづくりが必要ではないかということで、全国知事会は八月に被災地への人的支援の強化を復興庁に要請しているということを伺っています。国が任期つき職員を一括採用して被災自治体に派遣することなどを提案、復興庁は一括採用には消極的である、しかし人材の確保策は今模索しているというふうにも伺っているんですね。

 大臣としての御決意というのはよくわかるんですが、やはり新たな仕組みというのをこのようにつくっていく、重要なフェーズにもう来ているというふうに思うんです。一言あればお願いいたします。

今村国務大臣 今御指摘のとおりの状況が起きておりまして、そういったものにどう対応するか。先ほど知事会の話もありましたが、それも一案としながら、しかし国で一括して採用するのがいいのかどうか、そういった問題もあります。それぞれでやってもらった方がいいという意見もありますから、そういったいろいろな方々の御意見を聞きながら、この問題には対応していきたいというふうに思います。

金子(恵)委員 しっかりと対応していただきたいし、やはり被災地の声をしっかりと聞いていただきたいと思います。

 今村大臣が頑張っていらっしゃる中で、今村大臣の足を引っ張るようなことも起きてしまっていました。台風十号の被害に遭いました岩手県の岩泉町の被災地で、務台政務官がおんぶをされて視察されたということであります。大変残念です。これについては、御本人も大変反省しているということではありますけれども。

 今まで、多くの国会議員が被災地に入っていると思います。そしてまた、自然災害等が発生したときに、とにかく我々もその現場に足を運ぶということをさせていただいておりますが、このような行動をした人というのはいないと思うんです。初めてのケースです。

 このような政務官を被災地に送った政府に対して、岩手の被災地の皆さんは完全に不信感を持つという事態となっています。極めて残念なことだというふうに思います。どのようなお考えをされていますでしょうか。

今村国務大臣 御指摘のとおりでありまして、本人にも私も強く注意をしましたし、本人も深く反省しております。ぜひ、これからしっかり頑張っていただいて、失敗の分を取り返すように頑張っていただきたいというふうに思っています。

金子(恵)委員 失敗の部分を取り返してもらうようにということなんですが、どうしてこういうことが起こったかということで、しっかりと考えていただきたいと思うんです。

 九月の十三日に、今村大臣は閣議後の記者会見で、記者のお一人が、被災地に行くときに長靴も履かないで行くというようなことは、復興大臣政務官として、なる資格があるのかどうかと大臣に聞いた。大臣はこの中で、長靴まで必要だったかということ、その辺はやはりスタッフの皆さん方の対応も、ちょっとまずかったんじゃないかという感じはしていますとお答えになっているんですね。

 職員の方々の緊張感が足りなかったということも、本当にまず一つ大きな問題だというふうに私も思います。その現場には、内閣府、復興庁、厚労省、農水省、経産省、国交省など総勢二十一名、政務官を入れて二十一名の視察団だったということで現場にいらっしゃったということでありますが、それぞれがとにかく緊張感が足りなかったということだと思います。

 以前に、復興庁の職員の皆さんがもっと緊張感を持つべきだというふうにおっしゃった大臣がいらっしゃいまして、それがギアアップされて、きちんと本当に緊張感を持って今頑張っていただいているのか、そういう部分をまずは確認させていただきたいと思います。

今村国務大臣 この点については、長靴を云々ということ以前に、あくまでも本人の心構えの問題ということです。しっかりとそういうことは本人にも注意をしてあります。

金子(恵)委員 わかりました。そうすると、今村大臣は、特に職員の責任ということではなく、本人の責任でしっかりやってもらいたいということ。

 でも、繰り返して申し上げますけれども、周りの方々、これだけ二十一人の視察団、どのようなお考えを持ってその現場に入ったかということだと思うんですよ。恐らく、視察団のほかの方々も全て、長靴を持っていないで現地に足を運んだんじゃないかと思うと、被災者の皆さんに申しわけないと思います。水害で九名の方が亡くなられました。おんぶをしてもらいたかったのは、地域で苦しんでいる被災者の方々です。高齢者の方々だというふうに思います。

 大臣でしたら、そこにいたらどのような対応をなさったんでしょうか。私は、長靴を履いている、履いていない、そういうのは関係なく、びしょぬれになっても泥まみれになっても、とにかくいち早く多くの方々のニーズに対応する、把握をするために走り回るということをしたと思います。大臣はいかがですか。

今村国務大臣 私は今まで、そんなふうにしてやってきたつもりでございます。

金子(恵)委員 どうか、これからも、大臣、期待をしているわけですから、そのように御対応いただきたいし、周りにいらっしゃいます復興や災害対応にかかわる人たちにもどうぞどうぞしっかりと指導していただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 集中復興期間が終わって、復興・創生期間が始まって半年が過ぎて、被災三県のそれぞれをごらんになって、復興が進んでいる地域、そうでない地域の格差というものも今回生じていると思います。

 つまりは、復興が進んできたなと思った岩手県でも新たな自然災害の被害を受けるという状況であったり、さらに、福島県の場合は、これから避難指示区域解除という問題もありますけれども、まだ多くの課題を持っている。そしてまた、宮城県においても、復興が進んでも、コミュニティーやなりわいの再生や心のケアの問題、本当にたくさんの課題を抱えています。

 このさまざまなところで起きている格差については、どのような認識をお持ちでしょうか。

今村国務大臣 これについては、いろいろな状況が刻一刻と変わっていくということ、これは私もよく認識をしております。そういう意味で、今の格差の問題等もしっかりとこれを把握しながら、先ほども申しましたように、迅速かつ的確に対応していきたいというふうに思っております。

 そういう意味では、復興庁というのはある意味では自己完結型の極めて動きやすい組織になっておりますから、必ずそういうことができるというふうに思っております。

金子(恵)委員 今申し上げました福島の問題ですけれども、復興が進んでいる地域がある一方で、来年の三月の避難指示解除準備区域そして居住制限区域の解除を政府が目指すという中で、やはり帰還に向けた取り組みというのが本当に十分であるのかということが課題になっています。

 実際に住民の皆さんが帰還か否かの判断をできずにいるということも大臣御存じのとおりでありまして、さまざまなお考えというものを調査などを通して吸い上げていただいているというふうにも思います。このような福島の現状については特にどのような認識をお持ちか、そしてまた、今申し上げました、避難指示解除後の帰還か否かの判断となり得る材料というものをどういうふうに考えていらっしゃいますか。お聞かせいただきたいと思います。

今村国務大臣 特に福島の場合は、原発の被災そしてまたなりわいの再生というものが複雑にある意味では絡まっているというふうに思っております。

 そういう意味では、帰還していただくためにもいろいろな形で生活基盤の整備あるいはインフラストラクチャーの整備等々もやって、とにかく帰ってきてほしい、ぜひ、こういうことでちゃんと受け入れ体制は整っていますよということをしっかりやってまいります。

 そういうことで、こうやって人がまた戻ってくれば、それにつられてまた、では僕も行こうか、私も行こうかということで加速化していくと思いますので、最初のその呼び水といいますか、そういったことが極めて私はハード面、ソフト面でも大事だというふうに思っておりますので、そういう観点からしっかり取り組んでいきたいというふうに思います。

金子(恵)委員 政府は、二十五日に、富岡町の避難指示解除準備区域と居住制限区域の避難指示を来年一月中に解除したい意向というのを議会の全員協議会に示しました。しかし、町としては来年の四月の帰還開始を目指しているということで、今回このような政府の意向というものが示されても、町、町議会からは当然反発の声が出ている状況であります。

 御存じのとおり、富岡町の町民意向調査の速報というものが復興庁から出されたわけですので、それを見ますと、帰還の意向に関する質問では、戻りたいとおっしゃっている方々は一六%、戻らないとおっしゃっている方々は五七・六%だというふうにも聞いています。

 丁寧な対応をしていかなくてはいけない、そして丁寧な説明と意見交換が必要でありますけれども、先ほど来申し上げていますけれども、政府と被災地の皆さん、地元の皆さんとの本当に重要なコミュニケーションがとれているのかどうかというところが今課題になっているのではないかと思います。

 やはりそこに必要なのは信頼関係なんですけれども、このことについて大臣の所見をお伺いしたいと思います。

今村国務大臣 一月云々という話は私も承知をしておりますが、これは、それだけ戻っていただく体制がもうそろってきていますよ、どうですかということをある意味ではアピールしているというふうに受け取ってもらっていいんじゃないかと思います。

 それをもとに、戻るか戻らぬかというようなことについてはまたいろいろ地元の皆さん方の考え方もあるでしょうし、先ほど言いましたように、とにかくしっかり受け皿をつくって戻ってもらう、戻ってもらって、またそこに人が来る、そういったいい方向に進めばというふうに思っている次第であります。

金子(恵)委員 そうしますと、戻れる環境というのはどういうものなんでしょうか。

 実際に今、町役場など公共施設の改修工事を進めているということでありますけれども、とても来年の一月には工事が終わらないということなんですね。ですから、町役場が戻る前に避難指示解除というのは考えにくいんじゃないか、そういう意見がありますが、いかがですか。

今村国務大臣 そういった役場の問題等々も含めて、総合的に、これでいかがでしょうかという提案だというふうに思っておりますから、これから先は、そういった状況等を踏まえて、地元でもよくその辺は検討していただいて、よく密接に連絡、連携をとりながら進めていくということでやりたいと思います。

金子(恵)委員 密接に連携をとりながらということでありますが、重要なのが、住民の方々が判断できるような資料を出してほしいという意見があったということなんです。裏を返して言えば、そういう資料も何も出されないまま、来年一月に解除したいんだ、それだけでは到底、信頼関係を結んで密接に連携をとりながらの議論というのを進めることはできないと思いますが、いかがですか。

今村国務大臣 どういう説明状況であるのかを含めて、もう一回我々もよくそこをチェックして、対応していきたいというふうに思います。

金子(恵)委員 避難指示区域の解除、大きな問題です。どこまで本当に双葉地方の再生というのが成り得るのか、多くの方々が悩み苦しんでもいます。

 富岡町は、先ほど申しましたように、戻らないと言っている方が本当にたくさんいらっしゃる。また、浪江町においても、これはちょっと前の調査の数字ではあります、先ほどのは速報の数字でしたけれども。こちらは平成二十七年の調査のものですけれども、四八%は戻らない、そして戻りたいと言っている方は一七・八%ということにもなっています。帰還困難区域が多い大熊町や双葉町、大熊町は六三・五%が戻らないとおっしゃっている、そして双葉町は五五%が戻らないとおっしゃっている。本当にいろいろな環境が整っていなければ、当然こういう意向というものを示されることになると思います。しっかりと情報を提供して、そして密にコミュニケーションを、いいコミュニケーションをとりながら進めていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 次の質問をさせていただきたいと思います。

 これはもう既に解除した旧警戒区域等の中で起こっている問題でもありますけれども、放射性物質汚染対処特措法に基づく汚染廃棄物対策地域内の廃棄物についておただししたいと思います。

 まずは、解体ごみというのは国でやる、環境省で対応する、そして家の片づけごみも環境省で処分するということでありますけれども、震災前からの事業活動によって発生したということが明らかである廃棄物については、対策地域内の廃棄物ではあるけれども、八千ベクレル以上は特措法上は国が処分するとなっておりますけれども、八千ベクレル以下のものは産廃として事業所が処分することになっている。それから、事故後のリフォームなどで発生したものというのは完全に産業廃棄物として処分するということで民間がやるということになっていて、さまざまなルールというものにのっとって今進められているということになっています。

 やはり問題になるのが、先ほど言ったように、震災前からの事業活動によってもう既にそこに置いてあったもの、でも、これがもう放射能によって汚染されているわけです。その汚染されているものが実際になかなか民間の方々にお願いしても引き取っていただけないという状況もあるということで、以前私もこの特別委員会で同じ質問をさせていただいたことがあるんですが、そのときは、国も産廃協会さんにお願いして引き取っていただけるようにそれを進めるんだというお話もありました。いろいろなところで少しずつは改善されているけれども、しかし、国がやること、そして国ではなく実際に廃棄物は有償で廃棄処分しなければいけない、そういう分断されたような状況になっているという複雑な状況になっているんです。

 やはり、地元の意見としましては、住居のリフォームで新たに発生する産業廃棄物も、事故当時野外にあった廃棄物も、線量の八千ベクレル以下のものも含めて国が処分するというふうにすべきではないかというふうな意見があります。今の現段階のルールではなかなかそれが進まないということであります、できない状況にあります。ルールを変えて、今言うように、やはり国がもっと前面に立ってこの廃棄物等を処理していかないと、やはりこれからの旧警戒区域等の復興というのは進まないと思うんですが、いかがでしょうか。

井林大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、リフォーム等の事業活動に伴って生じました廃棄物につきましては、八千ベクレル・パー・キロを上回る指定廃棄物に該当するものを除きまして、廃棄物処理法に基づいて、一義的には事業者の責任で処理を行っていただくということにしておりまして、実際に民間の処理業者による処理もかなり進められております。

 一方で、そうした放射性物質に汚染された廃棄物の処理先が見つからないのではないかというような不安の声、また、今後、リフォームごみ等の廃棄物の増加が予想され、処理が滞るのではないかというような声も寄せられております。

 このため、環境省といたしましては、委員御指摘の、五月にもお答えをいたしましたが、まずは福島県産業廃棄物協会等と連携して、処理業者の紹介等にさらに力を入れていくとともに、八千ベクレル・パー・キロ以下の処理の安全性の普及啓発に努めるなど、今後も最大限対応してまいりたい、そういうふうに考えております。

金子(恵)委員 前回と同じ答えになってしまっているんですけれども、一言で言うと、民間でやれ、民間に委ねているということなんです。ですが、それが進まない状況なんです。廃棄物がそのまま放置されていけば、本当にふるさとは再生しません。そしてまた、八千というところの区切りを入れてしまっているんですけれども、ただ単に八千ベクレル以下のものが安全なんだということを普及啓発したとしても、引き取り手というのがふえるわけではないと思うんです。

 ここは、やはり処分というのはしっかりと国が前面に立ってやっていただきたいと思います。いかがですか。

井林大臣政務官 委員御指摘のとおり、ただ、八千ベクレル以下の処理につきましては、かなりいろいろなところで処理が進んできている実態もございますので、まずは安全性の普及啓発ということでしっかり御理解をいただいて、そして処理が進むように今後も努力をしてまいりたいというふうに考えております。

金子(恵)委員 ぜひ、努力を積み重ねて、そしてまた、現場には入っていただいていると思いますが、処理ができないで放置されている廃棄物のチェックをしていっていただきたいというふうに思います。

 帰還困難区域について御質問させていただきたいと思います。

 政府方針が、先ほどもほかの委員の質問でありましたけれども、八月末に出されました。そして復興拠点というものをつくり上げるということですけれども、その中で、帰還困難区域が九六%ある双葉町や八〇%ある浪江町は、帰還困難区域が五%のみである飯舘村、あるいは南相馬は六%でありますけれども、こういう地域とは全く違うと思います。

 ですので、繰り返し質問させていただきますが、まずは、それぞれの自治体の実情を踏まえた形で、帰還困難区域の方針に基づいた具体策というのをしっかりとおつくりいただきたいということが一点。そして、私は、やはり津波瓦れきの処理の問題というのがこれから出てくると思うんですけれども、帰還困難区域の津波瓦れきの対応というものについても、しっかりとこの具体策の中の一つに入れ込んでいただきたいと思っております。

 復興大臣、いかがでしょうか。

今村国務大臣 今委員御指摘のとおり、私も先ほど言いましたが、いろいろな課題が出てまいります。そういったものについて、今の御指摘の点につきましても的確に対応していきたいというふうに思います。

金子(恵)委員 帰還困難区域の今の瓦れき処理の部分を、政務官、お願いできますでしょうか。

井林大臣政務官 帰還困難区域の瓦れき処理について、今後の処理方針というお尋ねだと思いますが、帰還困難区域における災害廃棄物の処理方針につきましては、放射線量の見通しですとか、今後の住民の方々の帰還の意向、さらには将来の産業ビジョンや復興の姿などを踏まえ検討することとしております。

金子(恵)委員 いつも津波瓦れきの処理等についておただしするときに私はこのことを申し上げているんですが、今現在でも帰還困難区域にお入りになって、瓦れきの山の中から生きたあかしを一生懸命捜している人たちがいらっしゃるということをよく御理解いただきたいと思います。そして、やはりまだ行方不明でいらっしゃる方々がいるということでありますけれども、そこに生きたあかしが積み重なっている状態。

 だからこそ、とにかくその具体策の中でどう、この瓦れき、瓦れきではないんです、実際には多くの方々にとっては宝物かもしれません、それについて対応していくかということをしっかりと考えていただきたいと思っているんです。もう一度、よろしくお願いします。

井林大臣政務官 委員御指摘のとおり、私も廃棄物というふうに申し上げましたけれども、そういう思いのこもったものがそこの場に実際にあるということを重々承知しておりまして、そうしたことをしっかりと私どもは胸に秘めまして、今後の方針、いわゆる帰還方針ですとか、そういうものに沿いながらしっかりと検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

金子(恵)委員 人材育成をどのようにしていくかという質問もさせていただく予定でしたけれども、きょうは時間がありませんので、次の機会にさせていただきたいというふうに思います。

 最後に、先ほど小熊委員からもありました、東京電力第二原発の廃炉、これは福島県民の総意でございます。福島県議会としても全会一致で廃炉の決議がなされているということでございまして、これをやはり国が前面に立った形で進めていただきたい。国が責任を持ってやはり決断させるべきだというふうに思いますが、まずはその点についていかがでしょうか。

 そして、大臣は東電の株を八千株持っているわけなんです。この第二原発の廃炉や第一原発の廃炉について、その影響というのはあるのかないのか、お答えいただきたいと思います。

今村国務大臣 第二原発の件につきましては、先ほど小熊議員の方にも話をしましたが、とにかく、国が前面に立って、いろいろな形で、福島県の皆さん方の心情をおもんぱかってしっかり対応していきますということで申し上げた次第であります。

 私の東電の株については、これは一切関係ない。これは被災、発災前から持っている株でありますし、この間も一切売買もしておりませんし、これからもする気はありません。影響はありません。

 以上です。

金子(恵)委員 原発のないふるさとをしっかりとつくっていくという福島県民の意思というものを御理解いただいて、しっかりと復興を進めていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、郡和子さん。

郡委員 民進党の郡和子です。

 不覚にも風邪を引いてしまいまして、少々聞きにくいところがあるかもしれませんけれども、お許しをいただきたいというふうに思います。

 まず、今村復興大臣には、安倍総理と御一緒に、おとといの日曜日、宮城に入られて被災地を回っていただきました。感謝申し上げたいと思います。三陸沿岸道の三滝堂から志津川インターチェンジ間の九・一キロの開通が行われて、その記念式典にも参列をいただいたと承知しております。本当にありがとうございました。

 私自身は残念ながら伺えなかったのですけれども、とても感慨深くなりました。この道路は、復興道路、沿岸部の動脈と位置づけて、民主党政権下で着工したものでございます。津波で国道が寸断され、被災地が孤立したことで、三陸沿岸道を災害時の代替輸送を可能にする命の道と位置づけて、特段のスピードで整備を急いだわけであります。途中、大雨の被害などもありまして、私自身も工事の進捗状況を心配いたしましたけれども、ようやく、津波の最大の被害地でもあった南三陸まで無事届いたということです。

 せっかくおいでいただいた安倍総理には、祝辞で、民主党が英断を下して今日があるということを、民主党政権の悪口ばかりではなくて、ぜひおっしゃっていただきたかったなというふうに思ったところでございます。

 当日、当初は十一時半から記念式典が行われる予定でございました。関係各所にそのように御案内が回されていたわけでございます。しかし、総理が急遽おいでになるということで、この開会式を一時間半早めるということになり午前十時から、付随するイベントもそれに合わせて前倒しという予定変更の混乱のおまけもついておりました。そして風のようにすぐ移動されたというふうに聞きましたけれども、被災地のことを本当に考えていただいているのかしらと私は思ったということを、まず冒頭、厳しく申し上げさせていただきたいと思います。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 住まいの復興について、これも徐々にではありますが進んでまいりました。仙台では、プレハブ仮設から全ての人たちが退去されまして、仙台市内で一番大きなプレハブ仮設住宅であったところの解体工事も進んでおります。

 このことは大変喜ばしいことではあるのですけれども、災害公営住宅のこの六月までの完成率は、先ほど八月の数字をちょっと御紹介になっていましたけれども、六月の数字で私は申し上げますと、六三%。それから、防災集団移転事業の完成率は七八%、土地区画整理事業はわずか一八%、漁業集落防災機能強化事業、漁集と言われているものですけれども、これも七一%で、住宅の建設のピークというのはまだまだこれからだというふうに申し上げてもいいかもしれません。自宅再建を願う被災者も、宅地の造成のおくれや資材の高騰などで当初の計画を変更せざるを得ない状況も生まれているんです。

 そこで、伺いますけれども、被災者生活再建支援金の自宅の再建のための加算金の部分、加算金の執行状況と今後の見通しについてお示しをいただきたいと思います。この申請を二〇一八年四月十日までと四年間延長されたのも、この進捗状況を見越してのことだというふうに思います。いかがでしょうか。

松本副大臣 被災者生活再建支援金のうちの特に加算部分についてということでお尋ねがありましたので、お答えをしたいと思います。

 東日本大震災に係る被災者生活再建支援金のうち、建設や補修などの住宅の再建方法に応じて支給する加算支援金でございますけれども、平成二十三年四月の支給開始から二十八年九月末までに約十三万世帯、約一千七百億円を執行しているところであります。

 このうち、岩手、宮城及び福島県の三県につきましては、概数ではありますけれども、平成二十三年度は五万九千世帯に対し六百四十億円、二十四年度は二万七千世帯に対しまして三百七十億円、二十五年度は一万一千世帯に対して百九十億円、二十六年度は七千五百世帯に対して百四十億円、二十七年度は六千九百世帯に対して百三十億円、加えて、二十八年度は九月末まででございますけれども四千世帯、六十一億円を支給しておりまして、累計、約十二万世帯に対しまして一千五百億円を支給しているところであります。

 今後の見通しについてでありますが、加算支援金の申請期限が平成三十年四月十日となっております。また、過去の災害における加算支援金の支給実態等を踏まえれば、今後も一定程度の申請が見込まれるものと考えております。

 以上です。

郡委員 今詳しくお示しをいただきましたけれども、住宅を全く新しく建てられた場合には加算金三百万円が支給をされるということであります。今お示しをいただいた世帯数と支給額を見てみますと、必ずしも、三百万円をもらっているという方がどれぐらいになっているのかわからないわけなんですけれども、行政事業レビューを見させていただきましたところ、不用になっているものもかなりあるんですね。つまり、当初は、もっと多くの方々が早い段階でこの加算金を必要として住宅の再建をなさるんじゃないだろうか、そういうふうに見積もられていたものが、特に、まるっきり新しいところに住宅を再建される、そういう御予定を立てていた方々がおくれているというのも、その行政事業レビューを見てもわかるなというふうに私は思ったわけであります。

 今、そういうふうに数字を挙げていただいたけれども、不用額については私も問わなかったのでお答えいただけなかったわけですけれども、これからもさらに加算金が必要な方々はおられて、そしてその方々は、特に深刻である沿岸の高台移転ですとか、土地区画整理事業ですとか、それから漁集だとかそういうところの事業が終わるのを待って住宅再建をされる、つまり三百万円の加算金を待っておられる方々だと思うんですけれども、先ほど申し上げましたように、余りにも時間がたち過ぎて、資材の高騰もあって諦めざるを得ないという皆さんたちも多くなっている。加算金の予算の見積もりにも大きな差が出ているんだと思うんですね。

 そこで私たちは、ぜひ、そういう方々の背中を押すように、この加算金の増額をしてはどうかと考えているわけです。これについて政府はどうお考えになるか。

 それからまた、震災関連死、これも地域で大変ばらつきがございます。新たに発生をいたしました熊本の地震でも関連死の方がもう既に生まれておりますけれども、この関連死の認定にかかわる災害弔慰金支給法の見直し、認定基準というのでしょうか、そういうものをちゃんとつくるべきではないかというふうに考えているんですけれども、これに対してはいかがかということをまず聞かせていただきたいというふうに思います。

 そして、これは答弁者が別になるというふうに思いますけれども、これは東日本大震災だけの問題ではないんですね。今もちょっと触れましたけれども、熊本地震ですとか鳥取地震などでお困りになっている被災者の方々、大規模な災害でもケアすることが可能だということを申し上げたいと思うんです。土地収用の特例を認める特区法の改正、それから土地の処分のネックになっている相続の問題、これを円滑化する、これも、移転先ではなくて、これからどうしていくんだということが大きな課題になる移転元の土地についてもかかわってくる問題なんですけれども、これについてはどのようにお考えか、御答弁願います。

松本副大臣 お尋ねがありました中で、被災者生活再建支援制度の加算金の増額をすべきではないか、また同時に災害弔慰金の認定基準のところにつきまして、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 先ほど先生の方から、被災者生活再建支援制度の概要につきましては、御説明があったとおりであります。本制度は、被災市町村や都道府県のみでは対応が困難な、著しい被害を及ぼす一定規模以上の自然災害が発生した際に、全都道府県の相互扶助及び国による財政支援によって対応しているものであります。

 このような制度の被災者生活再建支援金の増額につきましては、他の制度とのバランス、また国や都道府県の財政負担などを勘案いたしまして、慎重に検討すべきものと考えているところであります。

 続きまして、災害弔慰金でありますけれども、一定規模以上の自然災害により死亡した方の御遺族に対しまして、市町村が条例に定めるところによって支給する、そういう制度となっております。

 認定基準の作成についてでありますけれども、被災された方々の被災状況や避難先での生活環境など個々の事情を勘案する必要というものがあると考えておりまして、こうした事情を丁寧に勘案できるのは国よりもむしろ地方自治体であると考えており、国として認定基準を示すことは考えておりません。

 しかしながら、一定の、ガイドラインではないですけれども、過去の事例等をお示しさせていただきまして、その自治体による判断の参考とするものを提供させていただいているところであります。

郡委員 今、前段は防災の方にお答えいただきましたけれども、後段は復興大臣にお答えいただくべきものと思いますけれども、大臣、いかがですか。

今村国務大臣 復興に関して、特に住宅再建に関して、極めて大規模な用地の確保が必要であったり、あるいは所有者不明とか相続未登記の問題等もあっておくれてきたわけでありますが、財産管理制度の活用促進とか、土地収用手続の簡素化、迅速化等々、できるだけこれがスムーズにいくような対応をしてきたところでありまして、用地の取得等についてはかなりの進展が見られたということで御理解願いたいと思います。

 今後ともそういった対応をしてまいります。

郡委員 今大臣はかなりの進展が見られたということをおっしゃいましたけれども、移転元地は真っさらな状況だというふうに、真っさらというのはちょっと言葉が過ぎるかもしれませんけれども、これからまた出てくる課題ではないか、私はそんなふうに思っているんです。まだもとの被害のあった土地の相続がうまくいっていないというようなところも往々にしてあるわけでして、これは、大臣の認識で正しいというふうには私は思いません。

 私たちは、それぞれにつきまして、より被災された方々が前に進めるように、既に衆議院に議員立法を提出させていただいております。ぜひこの委員会で法案の審議を速やかに行うことを委員長に求めたいと思います。

 委員長、いかがでしょうか。

吉野委員長 後日、理事会で検討します。

郡委員 よろしくお願いいたします。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 きょうもいろいろ議論がもう既にございました。きのう、二〇一六年の訪日外国人旅行者数、過去最高の二千万人を超えたというニュースが飛び込んでまいりました。大変うれしいなというふうに私も受けとめました。今後も増加が見込まれ、外国人の宿泊者数も、延べでもう既に六千万人を超えているということでしょうか。

 二〇一六年三月三十日付で発表されました政府の明日の日本を支える観光ビジョンでは、訪日外国人旅行者数を、二〇二〇年、オリンピックの年には四千万人に、二〇三〇年には六千万人にして、宿泊者数の新たな目標値も示されました。

 しかし、東北の外国人観光客というのは、この大きな伸びから見ますと、いかにもお寒いような状況でございます。私もきょう観光庁からいただいた資料をつけましたけれども、宮城県でいえば、一〇一%と震災前とほぼ同じところに戻ったというふうになっておりますけれども、韓国からの訪日客はおよそ五割、それから香港からは二割にも満たない状況でございます。

 東北地方並びに被災三県を訪れる外国人観光客の数の震災前から現在までの推移というのを教えていただきたいというふうに思います。

加藤(庸)政府参考人 お答え申し上げます。

 インバウンド、訪日外国人の旅行者数につきましては、委員御指摘のとおり、全国的に急増しておりますけれども、東北六県では、昨年ようやく震災前の水準を回復した、そういう状況でございます。

 具体的には、震災前の平成二十二年を一〇〇とした場合、平成二十七年、昨年の延べ外国人宿泊者数ですが、全国が二三二・五であるのに対しまして、東北六県で一〇四・〇という形でございます。また、特に岩手、宮城、福島の三県で九三・五という数字でございまして、全国的なインバウンド急増の現状につきましては、東北地方についてはまだ見られていない、享受できていないという状況にございます。

郡委員 ありがとうございます。

 なぜ、過去最高の外国人の旅行客、観光客が訪日しているのに東北地方を敬遠しているのか。それは、まさしく福島原発事故の影響にほかならないわけであります。先ほど小熊委員とのやりとりもありましたけれども、いまだに風評被害が払拭されていないというのが実態だというふうに私自身も思っているところです。

 ところで、東電から、原発事故との間に相当因果関係が認められた観光客減少などでの観光関連事業者の損害に対して、賠償内容が示されました。提示された賠償対象の期間は、震災のあった二〇一一年の三月十一日から二〇一二年の二月二十九日までの一年間、これは宮城県を含めたところですけれども、この一年間に限られて、しかも、福島より以北というんでしょうか、ここでは東北域内の観光客の減少による減収分を損害から除外することになっていて、これでは賠償しないというふうに言っているのも等しいのではないかと感じます。

 東電ホールディングス株式会社に対して、観光業への影響を正しく認識していただいて、福島県、北関東三県と同じような内容での賠償を行うよう、つまり、この一年という期間について撤廃を行って、逸失利益の算出方式についても北関東、福島県と福島県よりも以北の東北地方は違っているんですけれども、これについて同じようにすべきじゃないかとぜひ御指導願いたいのですが、いかがでしょうか。

高木副大臣 観光業の風評被害による減収等の損害につきましては、平成二十三年八月に策定されました原賠審の中間指針におきまして、減収が生じている場合、それが事故との相当因果関係のある損害として認められる地域として、福島県、茨城県、栃木県及び群馬県が示されたところでございました。

 本来であれば、その原賠審の指針に基づいて東京電力は賠償しておりますけれども、これら四県に加えまして、東京電力は、平成二十四年十月までに、同様に減収と事故との相当因果関係が認められる地域として、青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県及び千葉県の一部を追加いたしました。

 東京電力はこれらの地域ごとに一定期間の減収分の賠償を一律に行ってまいりましたが、中間指針では、風評被害が賠償対象となるべき期間には一定の限度がある、その終期は、客観的な統計データ等を参照しつつ、個別の事情に応じて合理的に判定することが適当であるとしております。これを踏まえまして、東京電力は、客観的な統計データから回復等が確認できる地域について、自治体または業界団体と個別に協議を行った上で、地域ごとの一律の賠償から事業者ごとの実態を個別に確認する方式へ切りかえを逐次実施してきたものと承知をしております。

 こうした確認や協議に当たりまして、地域ごとの観光業の実態を踏まえて丁寧な対応を行うこと、これは委員御指摘のとおり大変重要であると思いますので、経産省としても、今後とも、地域の実情に応じた真摯な対応を行うように東京電力には指導してまいりたいと思います。

郡委員 ぜひお願いしたいんです。宮城県は福島県と隣接をしております。逸失利益の五割程度の賠償にとどまっているんですけれども、これも、一律五割の賠償で全ての事業者が救済されるものではもちろんありませんし、現在の賠償の枠組みにとらわれず、ぜひ、被害者の求めに応じて、実態を十分に把握していただいた上で賠償を行っていただくように強く求めたいと思います。

 それでは、次の質問です。

 安倍総理は、東北観光復興元年と宣言をされまして、今年度予算で東北観光復興対策交付金が措置をされました。政府の新たな観光ビジョンでは、二〇二〇年までに東北地方を訪れる外国人旅行者の宿泊数を百五十万人泊との目標値も掲げられました。これは歓迎したいというふうに思います。そして、その観光の拠点として、仙台空港周辺を拠点都市圏と位置づけて重点支援する構想が示されましたのも、歓迎をしたいというふうに思います。

 御承知のことではありますけれども、仙台空港は、ことしの七月一日、国管理空港から第一号の民営空港となったわけでございます。民営化後の仙台空港を核として東北の復興をさらに進めることを国も後押ししていただけるんだなというふうに思っていたところ、国交省が、訪日客の誘致に積極的な地方空港を対象に、国際線の着陸料を最大三年間無料にする方針を打ち出されました。きょうの資料の三ページにつけさせていただいたものがそれであります。

 空港の収入というのは、大きく分けて、着陸料収入、商業収入、貨物手数料、この三つだというふうに思います。このうち着陸料は、国管理空港では機材の重さによって全国一律に定められていましたけれども、仙台空港が民営化されれば、仙台空港の運営会社が料金を自由に設定できるようになる。仙台空港は、早速このメリットを生かすつもりだったと思うんですね。民営化によって着陸料を自由に設定できるようになるのは、仙台空港の最大の武器だったわけです。それなのに、ほかの空港の着陸料が無料となれば、その武器は無力化されるわけですね。民営化を推進いたしました宮城県の村井知事も、これでは民営化の意味が薄れると懸念を示して、国交省への要請を行っていると伺っています。

 地元に当時は国交副大臣がおられながら、なぜこんなことになるんだろうと、私は正直驚きました。安倍総理の東北観光復興元年は、言葉だけということになるんじゃないだろうか。

 復興大臣は、事前にこのことを御承知でしたか。

今村国務大臣 話は伺っておりました。

郡委員 話をお聞きになって、何も思わなかったのでしょうか。

 この仙台空港が愛される空港になり、東日本大震災からの復興が加速することを期待するというのは、七月一日に仙台空港で行われた民営化を祝う記念式典で石井国交大臣が祝辞で述べられたものでございます。他空港が着陸料を取らないとなれば、民営化のメリットはございません。着陸料に対し、民営化された仙台空港にも特段の支援が求められるんじゃないでしょうか。

 四ページに資料をつけましたけれども、今年度、もう既に着陸料に対する支援が全国の空港で行われているんですね。これも仙台空港は、七月から対象からもう外れてしまったわけです。これらの支援も含めて、着陸料に関する何らかの支援を求めたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

藤井大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、一昨日、十月三十日、史上初めて、訪日外国人旅行者数が年間二千万人を超えました。本年三月に策定された明日の日本を支える観光ビジョンにおきましては、訪日外国人を二〇二〇年に四千万人という目標が掲げられておりまして、この実現に向けましては、訪日外国人を地方へ誘導することが何よりも大切だと理解しております。

 このため、国土交通省におきましては、地方空港における国際線の就航促進に向け、着陸料の軽減やCIQ施設整備への支援など、総合的な支援措置を講ずることとしております。

 委員御指摘の着陸料の軽減につきましては、新規就航、増便を対象といたしまして、国管理空港の割引措置のみならず、地方管理空港や、仙台空港、民間委託空港における支援措置につきましても既に平成二十九年度予算要求に盛り込み、現在、財政当局と調整しているところです。

 空港運営を民間事業者へ委託することにより、空港ビルの収益拡大等を通じまして、就航便数や路線の拡大などの空港活性化の効果を期待しているところでございます。

 まさに仙台空港は国管理空港の運営民間委託の第一号であり、これを成功させることは大変重要でございます。民間委託を通じまして、仙台空港の活性化に向けて引き続き、民間の創意工夫が十分に発揮されるよう、環境整備に努めてまいります。

郡委員 やはり、仙台空港を東北復興の核というふうに位置づけるのであれば、着陸料というのは大きなハンディキャップにならざるを得ないと思うんです。ぜひ復興大臣がリーダーシップをとってこの着陸料に関し支援、ほかのことは、いろいろ考えるというふうにおっしゃっていますけれども、ぜひ考えていただけませんか。

今村国務大臣 民営化ということで、まさにお客様がふえれば着陸料以外の収入もふえるということになってきますから、そういった総合的な観点から、この仙台空港の無料化については私もぜひお願いをしていきたいというふうに思います。

郡委員 よろしくお願いいたします。復興大臣というのは、各府省の大臣よりも一段高いところに位置づけられております。調整をぜひ図っていただいて、リーダーシップを発揮していただくことを心から願っております。

 ところで、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックですけれども、これも、復興オリンピックとして位置づけるということで、今村大臣も殊のほか強い思いをお持ちになっていらっしゃる。御承知のように、ボートの競技場の問題で揺れておりまして、当初の予算を大きく上回ることが見込まれて、その代替施設に、おとといお近くも回られたというふうに承知しますけれども、登米市の長沼ボート競技場、これがクローズアップされております。村井知事も、それから周辺自治体も、被災地でのボート競技の開催に大きな期待を寄せているところです。

 予算の面から見ても、それから復興オリンピックという名にもふさわしいと思うのですけれども、宮城県としては施設整備にお金がやはり必要だというふうに見込んでいまして、それに復興予算を活用してというふうに知事が話されました。県議会でも、これは理解が得られるのかというようないろいろやりとりがあったかと思うんですけれども、復興大臣としては、この件について復興予算を活用するということを是とお考えになるでしょうか。

今村国務大臣 この件につきましては、ぜひ東北が元気になるようにということで、関係箇所に私も復興大臣としてお願いをしているところであります。

 今後、四者協議等々でそういったものが進められていくというふうに思っておりますが、ぜひまた私たちも強く希望をしていきたいというふうに思っております。

 その上で、復興基金云々につきましては、どういう使い方をするかということ、これはなかなか難しい問題もあるかと思います。県知事さんあたりともよく相談をしながら、こういったものについて対応していきたいというふうに思っております。

郡委員 復興基金ということで、これは民間からの寄附や何かも積み上げられているもののようでございますので、ぜひ柔軟に宮城県の要望というのもお引き受けいただきたいなというふうに思います。

 では、次の質問です。

 もう余り時間がなくなりましたので、最後の質問になるかどうかなんですけれども、介護保険制度が変わって、来年の四月までに、国が行っておりました介護予防給付の一部が地域支援事業に移行されることになります。

 これまで被災地では、市町村が東日本大震災の被災者に対して利用者負担の免除を行った場合には、その免除額については、国、県、市町村及び介護保険料において応分負担するほかに、一定の要件のもと、国の介護保険特別調整交付金で被災自治体には介護保険財政への支援措置が設けられているところです。被災自治体にとっては大変ありがたい支援措置なんです。

 ですが、この地域支援事業に移行いたしますと、特別調整交付金の対象にはなりません。だとすれば、被災自治体が事業を移行した場合に、交付金の減額で財政負担が生じることになると思うんですけれども、新たな支援措置をお考えいただくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

馬場大臣政務官 お答えします。

 平成二十六年の介護保険法改正では、要支援者に対する訪問介護と通所介護を地域支援事業に移行し、市町村が地域の実情に応じたサービス提供が行えるよう仕組みを見直したところであり、市町村は平成二十九年四月までに地域支援事業に移行する必要があります。

 今、郡委員おっしゃったように、介護保険の保険給付については、災害その他特別の事情が発生した保険者の財政を調整する特別調整交付金が設けられており、市町村が被災された方に対して利用者負担の減免を行った場合に、市町村の負担が過度にならない仕組みとなっております。一方で、地域支援事業については、市町村が地域の実情に応じて実施するものであることなどを踏まえ、同様の仕組みは設けられておりません。

 この点については、被災した自治体から御意見をいただいており、厚生労働省としても、地域支援事業への移行に伴いどのような支援が考えられるか、しっかりと検討してまいりたいと存じます。

郡委員 ありがとうございます。

 これは、熊本でも今同じような措置がとられておりまして、同じことが言えるわけです。ぜひ前向きな検討をお願いしたいと思います。

 もう少々時間があります。よかった。

 最後は、福島第一原発事故の作業をしている方々の健康把握というんでしょうか、これについて問いを幾つか用意させていただいたんですけれども、全てやる時間はなくなりました。

 新たに白血病の労災認定をされた方がおられます。その方の被曝量というのは、五十四・四ミリシーベルトだったかと思うんです。今、健康管理、被曝量の管理が五年で切られて、その前までには被曝をしていたけれども、一旦離れて、また現場に戻っているという作業員の方々がおられるというニュース報道を目にしております。厚労省で医師や保健師による健康相談窓口というのを新たに設けられたようですけれども、東電では、百ミリシーベルトを超えた百二十九人が在職していて、この方々は廃炉支援業務などに配置転換されたというふうに聞きました。

 このことについてどんなふうに把握なさっているのか、お尋ねしたいと思います。

堀内大臣政務官 郡委員の御質問にお答えさせていただきます。

 冒頭に、まず、十月一日に、塩崎厚生労働大臣とともに東電の福島第一原発を視察させていただきましたが、そこで今作業中の方を拝見させていただきました。皆様方、大変士気高く作業に取り組んでいらっしゃるということに敬意を表していることを申し上げつつ、お答えさせていただきたいと思っております。

 厚生労働省としましては、適切な線量管理を行う観点から、事故後、東京電力に対して、協力会社を含めて、東電福島第一原発構内で放射線業務に従事した全ての方の被曝線量の分布を毎月報告するよう指導し、被曝線量の実態などを把握させていただいているところでございます。

 また、事故直後の約九カ月間、原子力災害の拡大を防止するために特にやむを得ない緊急作業については、被曝限度を百ミリシーベルトから二百五十ミリシーベルトに引き上げており、緊急作業で百ミリシーベルトを超えた方は百七十四人であることも把握させていただいているところでございます。

 なお、緊急作業に従事した方の被曝線量管理等の徹底については、平成二十三年に、通達において、百ミリシーベルトを超えた方は放射線業務につかないこと、被曝線量が高い労働者への不利益な取り扱いがないよう十分配慮することについて指導させていただいており、これに基づいて、ことし三月末までは、百ミリシーベルトを超えた方は放射線業務以外の業務に従事していただいておりました。

 原発で働く方の被曝線量管理は、先ほどおっしゃいますようにことし四月から新たな線量管理期間になりまして、その前の放射線量期間で百ミリシーベルトを超えた方々も、ことし四月からは放射線業務に従事できることとなっております。

 そしてまた、事故当時に緊急作業に従事するなど累積の被曝線量が高い方の長期的な健康管理を行うために、緊急作業期間中に通常の被曝限度を超えた方については、労働安全衛生法令に基づく健康診断に加えて、大臣指針に基づきがん検診等を実施するように指導させていただいているところでございます。

郡委員 もう時間がなくなりましたので、また機会があれば続きをいろいろ質問させていただきたいと思うんですけれども、労災認定された作業員の被曝線量は累積で五十四・四ミリシーベルトだったわけです。ハイリスクの作業員がまた被曝のリスクの高い職場に復帰させられているわけですから、相当な管理体制と検診の体制を整えなければならないと思います。しっかりやっていただきますようにお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 岩手、北海道を中心に大きな被害をもたらした台風十号からちょうど二月が過ぎました。私は、九月二日に岩手県久慈市、岩泉町、宮古市に行き、地元議員らとともに市長らの要望も聞き、六日には防災大臣に党対策本部として申し入れを行っております。特に久慈市は、本委員会として五月に、グループ補助金を使って再建を果たした水産加工業などを視察したばかりでありました。まさに東日本大震災からの復興途上の災害となった、そこを考慮した対策であってほしいと思います。

 そこで伺いますが、東日本大震災で被災して中小企業グループ補助金などで事業を再建した事業者が、このたびの台風で再び災害を受けておりますけれども、状況をどのように把握していらっしゃるでしょうか。

木村政府参考人 御指摘の中小企業等グループ補助金でございますけれども、これまで岩手県では千三百九十六の事業者に対しまして交付決定をしてございますけれども、今回の台風十号に係る中小企業被害の、激甚災害に指定されております宮古市、久慈市、岩泉町、約三百の事業者に交付決定をしていると承知してございます。

 このうち、台風十号によって被害を受けた事業者の数でございますとか、あるいは復旧の状況、被害の状況、こういったものにつきましては、現在、地元の事業者の方を一番よく御存じの岩手県庁と連携をいたしまして丁寧に調査を行っているところでございまして、まだ現時点では取りまとまっておりませんけれども、引き続き状況の把握に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

高橋(千)委員 通告していたので答弁があるかと思ったのですが、正直ちょっとびっくりしました。県と相談してとおっしゃっているんですから、県が今つかんでいる状態をまずつかむことが大事なのではないかと思います。

 十月三十一日付の岩手県商工労働観光部の経営支援課によりますと、宮古市では、グループ補助金対象事業者が二百五十三、うち台風で再被災をした事業者は百三十八、五四・五%に上ります。久慈市は、三十六のうち九、二五%、岩泉町は、七のうち四、五七・一%という非常に高い比率で再被災をしているということがおわかりかと思うんですね。

 市長らは、商店主らがもう一度頑張ると言ってくれるだろうかと、私たちが伺ったときに開口一番、口にいたしました。それが九月二日のことなんですけれども、またその後、我が党県議団の第二次調査に対しては、宮古市や久慈市の商工会議所からは、もう一度立ち上がるのは本当に大変、大震災のときのようなグループ補助をやってほしい、融資ではなく直接的な補助をしてほしい、このような訴えが口々にございました。

 こうしたことを踏まえまして、改めて、復興途上の台風被害に対し新たなグループ補助などの支援が必要と思いますが、いかがでしょうか。

 また、返済が始まったばかり、これは四分の三補助ですので、その残りの部分が融資によっているということでは、返済がようやっと始まった、あるいは来年からということになっているんですね。これがまたダブルになっている。このことを考慮した資金繰り支援について高木副大臣に伺います。

高木副大臣 今委員御指摘のように、震災で厳しい状況の中でグループ補助金でようやく立ち上がったところに、この台風の被害で、また再び厳しい状況になったということに対しましては、本当に何とかしなければいけない、こういう思いであります。

 その中で、今御指摘ありましたようなグループ補助金の問題でございますけれども、東日本大震災また熊本地震のような広範囲ではないため、今回、グループ補助金の要件には該当しておりません。しかしながら、被災地の一日も早い復旧を目指し、あらゆる中小企業、小規模事業者向けの支援策を総動員して、きめ細かな対策を講じていきたいと考えております。

 具体的には、発生直後より実施し、激甚災害指定に伴って拡充をしました政策金融、信用保証による資金繰りの支援、直接支援をしてもらいたいというふうに今委員御指摘ありましたので、二次補正予算に計上しました革新的ものづくり・サービス関連支援事業、また小規模事業者持続化補助など、設備投資や資機材の購入に活用できる各種補助金を柔軟に組み合わせることで、被災した中小・小規模事業者の実情に即して提供してまいりたいと考えております。

 一方、もう一つの御質問にありました、グループ補助金の自己負担分についてでございますが、無利子、長期の中小機構と県による高度化融資制度があるが、返済が困難となった場合の償還猶予などにつきましては、県と連携して、被災中小企業者の個々の事情に応じて柔軟に対応することとしております。また、自己負担分について政府系金融機関から借り入れをしている場合にも、既にある借入金返済条件緩和など柔軟に対応することとしておりまして、このような取り組みを通じて、被災事業者にしっかり寄り添いながら取り組んでまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 柔軟にということと、総動員してというお答えでありましたので、しっかりとお願いをしたいと思います。

 三十日付のデーリー東北に、久慈中心街再起という記事が載りました。中心商店街で多くの店舗が営業を再開し、復活の兆しが見えるというものでした。常連客や観光客に励まされ、一時は廃業を検討した業者が翻意して再建を選択したということでありました。創業五十一年の料理屋さんが、一メートル以上浸水をした店内を、内装を一新して再建した。これは大変なことだったと思うんですけれども、五十年以上やってきた仕事だから、商売をやめれば人生が終わりみたいな感じがした、こうおっしゃっている。この商売人の心意気といいますか、決意に応えてほしいと思います。

 そこで、今村大臣にもぜひ同じ質問を伺いたいと思うんですが、復興途上の、ようやく再建できた矢先の台風災害だという立場で、特別の支援、ぜひお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

今村国務大臣 本当に、やっと立ち上がってきたところをがつんと台風被害を受けたということで、本当に大変だというふうに思っております。しかし、ぜひ、これにめげずに立ち上がってほしいと思っております。

 復興事業を実施中のところが途中でこういう被災に遭った場合、これは当然、やろうと思えば継続できるわけですけれども、終わった後をどうするかという課題はあると思います。しかし、先ほど高木副大臣の話にもありましたように、いろいろな仕組みがありますので、そういったものを総動員して、とにかく被災地の皆さんが元気を出して立ち上がっていかれるように、復興庁としてもいろいろな形でまた御支援をしてまいりたいというふうに思います。

高橋(千)委員 あとは要望にしますけれども、岩手県は、九月補正で、地域なりわい再生緊急対策交付金という形で県単事業を始めています。二〇一三年にも豪雨災害があって、盛岡市の繋温泉など有名な温泉施設が孤立し、また甚大な被害を受けたわけですね。そうしたときにつくった仕組みを参考にして今回拡充をしたということであります。国としてこういう自治体の取り組みを特別交付税で支援するなど、さまざまなことができると思いますので、重ねて要望をしておきたいと思います。

 では、次の質問に移りたいと思います。

 東日本大震災により七十四名の児童と十名の教職員が死亡、行方不明になった宮城県石巻市大川小学校の児童二十三名の遺族が市と県に損害賠償を求めた訴訟で、二十六日、学校の責任を認める判決が出されました。三十日には市議会で控訴を議決、また、宮城県も翌日、知事が控訴を決定しました。

 私は何度も現場に行っておりますが、いつ行っても、花を手向ける方が絶えません。我が子を失った親たちの深い悲しみや喪失感を思うと、打ちのめされる思いがあります。なぜ我が子が助からなかったのか知りたい、そう思う気持ちも当然だと思います。でも、本当は、裁判ではない道がなかったのか、それが言いたいことなんです。

 遺族らが提訴に踏み切ったのは、二〇一四年三月十日。訴状の序文には、津波により死に至ったのではない、学校にいたから死ななければならなかった、もし先生がいなかったら児童は死ぬことはなかった、明らかな人災であるとあったのです。そして、判決の瞬間、学校、先生を断罪という横断幕を見たときに、私は言いようもないショックを受けました。

 確かに、判断を誤った、遅過ぎたことは、既に争いのないことであります。でも、先生たちだって亡くなっています。判決では、市の広報車が来てから津波が来るまでの七分間の判断が問題となり、生存した一名を除く教員らがと特定をされ、逆に言えば、亡くなった先生たちだけが回避義務違反に問われたのです。しかし、国や行政にその責任はなかったのでしょうか。個人の過失にしてしまえば、二度と同じことがないようにという思いも生かされないと思います。

 そこで、文科省に伺います。

 ことし三月に文科省は、学校事故対応に関する指針を発表しました。大川小学校の津波被災についても保護者らからヒアリングを行ったといいますが、その声が指針にどのように反映されたのでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の学校事故対応に関する指針につきましては、これまで学校の管理下において発生したさまざまな事故の教訓を踏まえまして、今後、同様のことが起こらないよう、再発防止と事故後の対応のあり方などについてまとめたものでございます。

 この指針の策定に当たりましては、大川小学校事故の御遺族を初めといたしまして、部活動中の事故の御遺族など、さまざまな関係者の御意見を伺いながら、学識経験者等によって検討を行ったものでございます。

 そのため、特定の御遺族の意見のみを反映したものではありませんが、例えば、大川小学校事故の御遺族からは、遺族と学校双方にコミュニケーションをとれるコーディネーターの必要性があったのではないかという御意見があったところでございまして、この指針におきましては、コーディネーターの役割について記載をしているところでございます。

高橋(千)委員 今の指針によりますと、事故発生後速やかに着手する基本調査というのは、調査開始から三日以内を目途に終了して、一週間以内には保護者に結果を説明すると書いてあります。私は、まさにここが、本当に保護者の思いが反映したものだと思うんです。市教委の対応、なぜすぐ説明しなかったのか、もっと言えば、すぐに謝罪をしなかったのか、あるいは、さまざまな聞き取った証拠をなぜ破棄してしまったのか、そこに大きな不信感を抱いたことが、今回の訴訟に踏み切らざるを得ないところまでなってしまったのではないか。本当に、返す返すも残念でなりません。

 今、指針の話をしましたけれども、学校のマニュアルは、今回の安全対応のみならず、例えばいじめ、不登校対策ですとかアレルギー対策など、さまざまあるわけです。分厚いマニュアルだけが積み上がっても、生きたものにはなりません。再発防止のためには、一般的な防災教育のみならず、その立地条件や環境に即した避難計画と訓練、地域住民との連携などができていたのか、そして、するべきだという立場に立たなければならないと思うんです。

 大川小学校の危機マニュアルには、津波の発生の有無を確認し第二次避難所へ移動すると書いてあります。ところが、その第二次避難所とは、近隣の空き地、公園としか書かれていない。これは存在しないんですね。大川小学校の付近には空き地も公園もありません。こういうマニュアルをつくっていたこと、それは全体の責任だと思うんです。

 なぜ、日常的に裏山を避難場所として整備したり訓練しておかなかったんだろうか。学校の管理下にあって児童が亡くなったのは大川小学校だけであります。では、ほかの学校とどこが違うのか、徹底検証するべきではないか。教師は二年から三年で転任があって、被災地の学校も、直接津波を経験した教員が激減している状況であります。だからこそ、徹底検証とその教訓の共有、各学校独自の対策が必要ではないでしょうか。いかがですか。

田野瀬大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、東日本大震災の教訓を踏まえ、学校それぞれの実情に応じた防災マニュアルを作成するとともに、地域住民と連携した訓練等々を実施することは極めて重要であると認識をいたしておるところでございます。

 文部科学省におきましては、平成二十四年三月に、学校防災マニュアル作成の手引きをつくりました。また、平成二十五年三月には、教職員向け参考資料「「生きる力」を育む防災教育の展開」をそれぞれ作成、配付させていただきまして、学校それぞれの実情に応じた防災マニュアルの作成や、さまざまな状況を想定した避難訓練の実施等を促してきたところでございます。

 また、平成二十四年度から実施しております防災教育を中心とした実践的安全教育総合支援事業におきまして、外部有識者を活用し、各学校の防災マニュアルや避難訓練の改善を促進するとともに、同事業のモデル校において取り組まれた先進的な事例を全国に紹介し、各学校の取り組みの改善につなげてまいったところでございます。

 今後とも、全ての学校におきまして実効性のある防災マニュアルの作成や避難訓練が行われるよう、各教育委員会、学校に対し、適切に指導してまいりたいと思います。

高橋(千)委員 マニュアルが積み上がるだけにならないように、しっかりとお願いしたいと思うんです。

 そこで、ちょっと問いを飛ばすんですが、大川小学校の事故検証委員会に先立って、文科省、県教委、市教委、遺族という四者による円卓会議を二〇一二年十一月に開始していますが、これはどうなったんでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の文部科学省、宮城県教育委員会、石巻市教育委員会及び御遺族の四者から成ります円卓会議につきましては、大川小学校事故検証委員会による検証の前提となる検証の枠組みや、その進め方について意見交換をするために設けられた場でございまして、平成二十四年十一月三日と二十五日の合計二回、開催されたところでございます。

 この会議におきましては、大川小学校事故検証委員会の枠組みや検証の進め方について、御遺族と一定の合意を議論の上得たところでございまして、その後、この検証委員会による検証が実施されていったと承知しております。

高橋(千)委員 第一回の円卓会議に出席した、当時、民主党政権でありましたので、笠浩史文科副大臣は、大川小学校の裏山に入り、ここまで登れば助かったという高さまで登りました。市教委に対し不信感を募らせていた遺族にとっても、文科省が直接乗り出し、遺族も含めた協議の場に期待していたのではなかったのでしょうか。

 先ほど紹介した、事故対応に関する指針のために文科省が昨年九月に行った大川小学校遺族へのヒアリングの中で、このようなことを述べられています。

 検証委員会の設置は遺族が望んだわけではなかった。遺族は話し合いを望んでいた。いつまでも遺族対市教委という図式ではなく、子供の命をみんなで考える、そういう丸くなった話し合いをしていく方向性が示されたのに、突然、第三者に丸投げの検証委員会が市議会に提案された。

 丸くなった話し合い、それこそが円卓会議ではなかったのか。

 最後に、御遺族はこうも言っています。

 遺族に向き合ってもらいたいということが第一だ。検証委員会が始まる前の円卓会議のときに話していたが、検証委員会なんか必要なく、この円卓会議をずっとやっていればいいんじゃないか。当事者同士が、市教委、県教委、遺族、総務課長、いろんな有識者を招いて話をしていけば、本当に何かという部分が見えてくるのではないかと思う。本当は検証委員会の委員に遺族を入れてほしかったと言っているんですね。

 せっかくの遺族の期待に応え、真相に迫るチャンスを逃したと言えないでしょうか。

田野瀬大臣政務官 お答え申し上げます。

 大川小学校事故検証委員会は、その性質上、公正中立な検証を行うという必要がございましたもので、円卓会議の構成員でありました文部科学省、宮城県教育委員会または石巻市教育委員会及び御遺族、この四者からの委員の選任は行っておらないということでございます。

 ただし、先ほども御答弁させていただきましたが、円卓会議におけますこの四者の合意を踏まえさせていただきまして、御遺族との関係におきましては、同検証委員会において意見交換の場を複数回、御遺族と持たせていただいておったり、検証委員会が終わってから御遺族に対する報告会を行う等々、御遺族の御意見を十分に聴取させていただきながら検証を進めさせていただいたものだと承知をさせていただいておるところでございます。

高橋(千)委員 やはり、国としても行政としても、真摯にここに向き合うべきです。チャンスを逃したと私、今言いました。それは、確かに公正中立、第三者の委員会が必要だというのであれば、逆に円卓会議の枠組みを残してもよかったんですよ。そうやって提案をされているのに、結局、それが曖昧にされたからこそ、封印されたからこそ、今のような本当に対立する図式になっている。それを誰も望んだのではなかったということを重ねて指摘したいと思います。

 大川小学校の残った子供たちは、二俣小学校の敷地内仮設校舎、敷地内と言っていいかわからないんですが、ことし春で全員が卒業しました。しかし、再来年には、この学校は二つが完全に統合し、大川という名前がなくなります。

 この間、子供たちがどんなふうに過ごしていたんだろうかと聞きました。避難訓練で教師たちが集まって相談している姿を見るだけで、あの校庭に長い時間待機させられたときのことがフラッシュバックして、動揺するそうです。心のケアは本当に長く重要だと思います。そして同時に、その子供たちを支える先生たちも支えなければなりません。

 被災県の教職員の加配について、どのように取り組んできたのでしょうか。

田野瀬大臣政務官 お答え申し上げます。

 被災した児童生徒に対するきめ細やかな学習支援、心のケアに継続的に取り組むこと、そして学校再開に向けた指導体制を整備することは極めて重要であると、委員御指摘のとおり、私どもも受けとめさせていただいておるところでございます。

 このため、震災対応のための教職員定数の加配措置につきましては、これまでも、関係県からの要望を踏まえて、申請どおりの措置を行ってまいったというところでございます。

高橋(千)委員 申請どおりの措置をとおっしゃっているわけですが、もう少し数字なんかもおっしゃってもよろしかったと思うんですよね。被災県で合わせて千人くらいということなんですが、問題は、加配を毎年申請しなければならないんです。せっかく教師集団としてできた固まりなんだけれども、来年この人来るかしらと心配しているんだったら、これはできないわけですよ。だから、せめて三年は確実に確保すべきだ、そして、来年度以降も確実に手当てするということをお約束いただきたい。

田野瀬大臣政務官 お答え申し上げます。

 文部科学省といたしましては、被災した児童生徒に対する学習支援、心のケア、学校再開に向けた指導体制整備について、財源等も踏まえまして、中長期的に継続した対応が必要であるんだと、委員御指摘のとおり、思いを同じくいたしておるところでございます。

 平成二十九年度概算要求におきましても、前年度同様、先ほども委員おっしゃっていただきました約千人の加配措置を継続させていただいております。

 今後とも、被災地からの要望等を踏まえて、息の長い支援にこれからも努めてまいりたい、そのように思っているところでございます。

高橋(千)委員 息の長い支援と言っていただきましたので、心強く思いたいと思います。あわせて、単年度ではなくというところをぜひ、この間もいろいろな、基金ですとかそういう枠組みの中で単年度主義を乗り越えてきた分野もありますので、御検討をいただきたいと思います。

 文科省に調べていただいたら、全国で約五千人前後の教職員が精神疾患で病気休暇をしているという状態であります。先生方も本当に疲弊し切っています。安全対策、学力向上、体力向上、いじめ、不登校対策、さまざまな課題が先生方の肩に全部のしかかっている。本当に子供たちにとって学校が安全、安心の場であるためにも、本当に安心できる教職員の確保にしっかりと取り組んでいただきたい、このことを要望して質問を終わります。

 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 日本維新の会、木下智彦でございます。

 本日は、質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速お話しさせていただきたいんですけれども、復興と、きょう何度もお話があったかと思うんです。やはり復興の一番の基本というのは、人に戻ってきてもらうことだというふうに思っております。やはり人に戻ってきてもらうためにいろいろなことをしなきゃいけないということ、それを観点にきょうは質問させていただきたいと思うんです。

 まず、東日本大震災にかかわるところ、特に福島県をちょっとクローズアップして、人の状況を聞きたいんです。

 今、県の内外へ避難している人の数、ことしの九月十二日に復興庁から発表された数字があるんですけれども、これを、福島県内の避難者それから県外の避難者という形で、総量等を含めて教えていただきたいんです。お願いします。

小糸政府参考人 お答え申し上げます。

 福島からの避難者につきましては、全体で八・六万人いらっしゃいます。このうち、県内における避難者の方々は四・五万人、そして県外の方々が四・一万人、トータルで八・六万人という数字でございます。

木下委員 今の数字は、九月十二日付の数字だと。

 半年前にこのお話を、我が党のほかの委員だったんですけれども、聞かせていただいたとき、三月十日の数字と比較すると、県内で約八千人減りました。八千人戻ってきてくれているんですね。それから、県外からは二千人だと。着実に帰還されている方々がいらっしゃるんだと思うんですけれども、全体で八万人。先ほどのお話ですと、県内も県外もおおむね四万人ずつというふうな形なんですね。

 ただ、今私が言いました、県内で避難していて戻った方が八千人、県外から戻ってこられた方は二千人ということはどういうことかというと、今避難されている方は県内外で比率的に大体同じぐらい、ただ、一旦県内で避難された方と県外に避難された方を比較してみると八千人と二千人、四分の一程度。県外から戻ってこられた方は、県内から戻ってきた方に比べて四分の一程度だということなんですね。これはちょっとどうなのかな、やはり難しいところはあるんだろうなと。

 もう少し話をすると、三月に行われた住民意向調査では、被災地の半数の方々が、避難指示が解除されても帰郷しないというふうに考えていらっしゃる。ことしの三月十一日に閣議決定された復興基本方針においては、来年の三月までに除染を終了し、帰還困難区域を除く避難指示区域の避難指示解除を明記、こういうふうになっています。

 ですけれども、もう既に避難指示を解除された地域においても、今のとおり内外の違いも出てきていますし、帰還が進んでいない状況だ。数字的にぱっと大まかに見ると戻ってきていただいているというふうにいいながらも、そういう細かいところを見てみると傾向的には難しいところがあると思うんですね。

 このようになっている状況を今政府はどういうふうに分析されているか。数字のことについて私が今お話をさせていただきましたが、どういうふうに分析され、そして、どういうことをやっていったらいいと思っていらっしゃるかということを聞かせていただけますでしょうか。

小糸政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ございましたように、平成二十七年度に国、福島県、各市町村が実施をいたしました住民意向調査におきましては、避難指示が出ている市町村のうち、多いところで約六割、少ないところでも約二割の方々が戻らないというふうに回答されているところでございます。

 理由といたしましては、医療機関に不安があるから、避難先の方が生活利便性が高いから、生活に必要な商業施設などがもとに戻りそうもないから、家が汚損、劣化し、住める状況ではないから、こういった理由を挙げた方が多かったところでございます。

 一方で、戻りたいと考えていらっしゃる方々が、多いところでは四割、少ないところでも一割はいらっしゃるということで、今後も、一人でも多くの住民が安心して早期に帰還できるようにしていくことが極めて重要であるというふうに考えております。

木下委員 そうですね。ちょっと難しい問題を本当に抱えていると思うんです。

 ただ、ひところ言われていたことで、正しい分析かどうかはわからないですけれども、今の状況の中でもよく言われるのが、高齢者の方ほど帰還の意思は強く、若い人たちは帰還を考える方が少ないというふうにも言われているんですね。それは、今おっしゃられた理由と非常に合致しているのかな。というのは、雇用の確保それから医療機関の充実、教育環境の整備、交通インフラ拡充、こういったものが進んでいないから、やはり若い人はそういったところを観点に考えられている方が多くいらっしゃるのかなと思うんです。

 ここでちょっと私は思うんですけれども、復興ということをおいておいたとしても、一旦町が何らかの形で人が少なくなってきたときに、もともと住んでいた人が戻るということと、私の地元のことをちょっと言っているんですけれども、私の地元は大阪なので違うところはあるんですけれども、外から人が来てもらいたい、ただ、その手だてがないというものがあるんですね。

 私の地元の中には割と新興住宅街がたくさんあるところで、外から見るとうらやむような住宅があるところなんです。ただ、私の住んでいるところの南北に格差があって、私は南の方の地域に住んでいるんですけれども、お子さんが結構少なくなっている。

 これを前の国会でちょっと言うと地元から反発を食らったところもあるんですけれども、犯罪認知率が結構高かったり、お子さんを育てるような環境がだんだん少なくなってきて、高齢化社会になっている。うちの周りに小学校が六校ぐらいあるんですけれども、その六校ぐらいがとうとう各学年一クラスずつになってしまったんですね。これから先、これではちょっといけないということで、その六校をまとめて二校、小中一貫校というプロジェクトができて、今進もうとしています。ただ、地元ではいろいろな問題があります。小学校の子供を遠くまで通わせるのかとかいろいろな問題があるので、今けんけんがくがくやっております。

 ただ、そこで言われているのが、数が減ったからまとめますというふうに言っても、外からなかなか人が来てくれないんですね。やはり環境を整えてやらなきゃいけない。教育環境をほかよりも充実させるようなことをしないと、外から、ああ、あの地域に行ったら子供が大事に育てられるんだとか、高度な教育をしてもらえるんだとか、そういうことが言われないと、そこの地域の人たちが戻ってくるだけじゃなく外からやはり人が入ってきてくれないと、なかなかうまいぐあいにいかない。

 復興のお話を聞いていると、どうしても帰還という話になってくると思うんですね。そうではなくて、やはり周りから人が来てもらえるようなことも政府として施策を考えていかなきゃいけないというふうに思っているんですけれども、この辺の、本当にカンフル剤になるような、ハードとソフトを組み合わせたような、そういった施策というのは実際に何か考えられているのかどうかを、大臣でも結構ですし、どなたでも結構です、教えていただければと思います。

今村国務大臣 今委員御指摘のとおり、とにかくふるさとに帰ってもらうんだということ、これは一番大事なことだと思っております。

 そのためには、いろいろなインフラの整備でありますとか、あるいは生活関連の基盤整備、そういったこともやらなきゃいけない、それはしっかり今やっているところであります。

 もう一つは、やはり皆さんが、自分たちのふるさとに帰るんだ、ふるさとを守るんだという意欲に燃えてもらわなければいけないわけであって、そういったものがお互いにかみ合って、これから元気になっていくようにということを考えなきゃいけないというふうに思っております。

 そういう意味で、ハード面、ソフト面含めて、いろいろな形で今やっているところであります。今後も、今言った観点からしっかり取り組んでまいります。

木下委員 やはり看板になるようなことを掲げていただきたいと思うんですね。

 ちょっと話はかわるんですけれども、私、ことしの熊本の地震のときに、熊本のところへ一人でボランティアに行ってきたんですね。一緒に活動してもらった地元の方、若い方でした、三十中盤ぐらいの方々と一緒に炊き出しをしたり、いろいろしていたんです。

 そうしたら、一人の方がぽそっと一言言われたんですね。その方は、まだ三十中盤の方で、見た目は結構今の若者なんですね。いろいろ話をしていると、地元で米農家をやっている、しかも、家を継いだんじゃなくて自分の代で始めたという方なんですね。農協にも入っていないのでそんなにちゃんと流通ができていないんだけれども、これからそういうことをやろうと思っているやさきの地震だったと。

 その方が、支援物資がいっぱいあります、この支援物資を小分けして被災地に持っていくというふうなことをいろいろやっているときに私に言ったんです。この支援物資はいろいろなところから来ています、非常にありがたいです、ただ、本当にこの熊本が復興するというときは何かというと、この支援物資が、熊本でできた産物を被災地の中でも足りないところにしっかり回していける、こういうサイクルができ上がったときにこそ本当の意味での復興ができるんだと。

 これは地震が起こって一週間程度でしたか、そのときにもうそういうことをやはり言われているんですね。若い方々だけじゃないと思いますけれども、そういった思いが復興を本当に後押ししていくんだろうというふうに思ったんです。

 そこで、今のお話は、やはりハード、ソフトを地元で盛り上げていかなきゃいけないというふうな話をちょっと入れただけなんですけれども、もう一つ、きょうちょっと私の方から紹介したいことがあります。

 それは、皆さん、この中でポケモンGOという携帯のゲームをやられている方はいらっしゃいますか。大臣もうなずいていらっしゃるので見られたことはあるというふうに思うんですけれども、おもしろい施策を地元で、これは宮城県ですね、やられているんですね。これをきょうちょっと紹介させていただきたいと思うんです。

 きょうは十一月一日ですね。あと十日ほど、十一月十二日に宮城県でイベントを行うというふうに言われているんです。これは、宮城県と、それからポケモンGOをやっておりますナイアンティックという会社が連携してやられるということなんですね。どんなことをするかというところを、これは紹介なので、本当にしっかりとお話をさせていただきたいんです。

 何をするかというと、石巻市を中心に、中瀬公園というところを拠点にして、ポケモンGOを活用したイベントを開催する。どんなことをするかというと、当日は、石巻、東松島、女川、南三陸の四市町を対象として、スマホで撮影したポケストップにしてほしい場所の写真などを公園にある申請場所に持っていけば、それが後で審査されて通るんだと。

 ポケストップとは何かというと、ゲームをやっていたらわかるんですけれども、いろいろなところにゲームをするための拠点みたいなところがあるんですね。その写真を撮って、その写真が後でポケストップという、ゲームをしている人が集まりやすい、そういったところになるというふうな感じのことをやっています。

 私も実は、こういうふうな話を冨山和彦さんという政府のいろいろな諮問機関の委員をされている方とか京都府知事に勧められて、ことしの夏からちょっとさわっているんですけれども、結局、要は地元の活性化につながる可能性が高い、やっているこのゲームの内容自体が地域再生の事業モデルに非常に活用しやすいというふうな話を聞きまして、やっていたんです。

 なぜかというと、今言ったような写真は、例えば被災地のモニュメントであったところ、もしくはもう流されてなくなっちゃったようなところも、周りの一般の人たちが参加してポケストップに申請することができる、認められるとそこにまた人が集まってくるよと。

 その開催期間の間には、ポケモンのコイキングというコイのモンスターみたいなものがあるんですけれども、それをたくさん捕まえたら、その重量で、たくさん捕まえた人が商品をもらえるだとか、こういうふうなイベントを、知事というか県とここの会社が連携してやる。予算は三千万円だというふうに言われているんですね。

 この流れは、実は宮城県だけじゃなくて東北のほかの県、それから熊本も、これから先、こういうふうなことをやっていこうということで連携を発表しております。

 やはりこういったことは、予算は三千万円なんですね、これはもともと皆さんの税金です、いろいろ賛否が分かれるところかもしれません。ただ、これを思い切って地元の知事がみずから率先してやる、こういったことをやると、地元だけじゃなくて、やはり外から人が来てもらえる、観光事業としてはそれなりの成り立ちがあるというふうに思っているんですね。

 政府ではやはりそういった感じのことをなかなかやりにくいと思うんです。ただ、何かしらそういったことを後押ししてやることはできるのかな、そろそろやはりそういったこともこの復興のキーワードの中で考えていくべきだというふうに思っているんですけれども、ちょっと答えにくいところかもしれませんが、そういったことを紹介させていただいた上で、もう一度大臣から、本当にカンフル剤になるようなことを何か一つでも出していただければなと思います。

長沢副大臣 木下委員にお答え申し上げます。

 委員が今御紹介された熊本のケースとか、ボランティアの方々、民間の方々の力、そしてその地元の力をどう引き上げてくるかということが大事だという、行政からの一方的な復興ではなく、地域の力をどう生かすか、民間の力をどう生かすか、そういうところに非常に大事なポイントがある、こういう御指摘だというふうに思います。

 まさにそのとおりでございまして、やはり、今、日本全国が地域課題として抱えている人口減少とか高齢化とか産業の空洞化、こういった問題が被災地にぎゅっと凝縮されてあらわれてきています。こういうところには、やはり行政の一方的な働きかけだけではなくて、行政の手の届かないところをどう民間の人につないでいただくか、官民の連携とかあるいは民民間の連携を加速する、そういう働きが非常に必要になってくると思います。

 そういう意味では、私ども復興庁としても、民間と行政の力をどう連携していくか、そして融合していくかということに今力を入れて取り組んでいるところでございまして、新しい東北ということの実現に向けて、さまざまな民間の取り組みへの支援を行う、あるいは企業、自治体、NPOの連携の場というもの、この東北被災三県でさまざまな場を設置させていただいております、官民連携推進協議会といいますけれども。そのNPOの連携も、コミュニティー形成とか心の復興とか、こういう面においてはNPOの方々にある意味では大変大きな力をいただいておりますので、そうした方々のお力をさらに生かしていけるように進めていきたいと思いますし、地域の力をどう持ち上げて活力を出してくるかが大変大事なポイントだと思います。

 そこで、委員が今御紹介してくださったポケモンGOでございますけれども、まさに今月の十一月十二日、土曜日だったと思いますけれども、宮城県の石巻で、このポケモンGOを活用した復興イベントが宮城県の主催で行われることになっております。これは、御紹介いただいたとおり、ナイアンティックそれから株式会社ポケモンとか、ポケモンGOを運営されている民間の方々の協力を仰いで、その人たちの協力の上で進めていくということで、実は復興庁も後援団体に名を連ねておりまして、復興庁の後援名義を付与した上で、復興庁としても全力で後押しをする、こういうつもりでございます。

 私も、実はこの十二日のイベントにお邪魔したいと思っております。かく言う私も、このポケモンGOが配信されたその日にダウンロードいたしました。やってみないとわからない。何がいいのか、プラスなのかマイナスなのか、やってみないとわからないと、配信されたその日にダウンロードして、すぐやれなくなっちゃいまして、今、レベル八でとまっておりますけれども。

 非常に人を集める力がある。集める力があるということはわかりました。しかし、集中するがために事故が起きる危険性もある。これはやってみて初めてわかるものですから、今回のこのイベントも、レアモンスターを集めることができますみたいなことをすると、わあっと人が集まってきて大問題になる。だけれども、ポケストップをどこにつけますかという、皆さんの声を集めるというやり方、これは非常にいいやり方だと思います。その意味では、効果的で事故のないやり方を非常に工夫して現場もやってくださっているというふうに思っておりますので、しっかり私たちも応援をしていきたいと思います。

 いずれにしましても、行政と民間が連携をして、地域の力、被災地の復興をしっかり進める上で大変大事な観点だと思っております。しっかり引き続き積極的に取り組んでいきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

木下委員 私が説明するまでもなく、副大臣に全部説明していただければよかったなと思います。

 もう終わりにしますけれども、十一月十二日です、ここの中にも御地元の方々がたくさんいらっしゃると思うんです。ぜひともこういったものを皆さんに発信していただきたいんです、いろいろなところで宣伝していただいて、人が集まるように。ここで質問するだけじゃなくて、そういったことがもう一つ重要なことだというふうに思いますので、ぜひとも、皆さん、そういったところにもアンテナを広げていっていただければと思います。

 以上です。ありがとうございます。

吉野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十八分散会


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