衆議院

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第4号 平成28年12月8日(木曜日)

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平成二十八年十二月八日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 吉野 正芳君

   理事 亀岡 偉民君 理事 島田 佳和君

   理事 谷  公一君 理事 橋本 英教君

   理事 藤原  崇君 理事 金子 恵美君

   理事 郡  和子君 理事 高木美智代君

      秋本 真利君    伊藤信太郎君

      石川 昭政君    小野寺五典君

      大串 正樹君    大見  正君

      勝沼 栄明君    門  博文君

      門山 宏哲君    金子万寿夫君

      神山 佐市君    菅家 一郎君

      小泉進次郎君    小松  裕君

      古賀  篤君    坂井  学君

      鈴木 憲和君    瀬戸 隆一君

      田野瀬太道君    高橋ひなこ君

      土井  亨君    長坂 康正君

      西村 明宏君    根本  匠君

      野中  厚君    小熊 慎司君

      大畠 章宏君    岡田 克也君

      落合 貴之君    黄川田 徹君

      玄葉光一郎君    階   猛君

      岡本 三成君    中野 洋昌君

      真山 祐一君    高橋千鶴子君

      畠山 和也君    浦野 靖人君

      木下 智彦君

    …………………………………

   国務大臣

   (復興大臣)       今村 雅弘君

   復興副大臣        橘 慶一郎君

   復興副大臣        長沢 広明君

   環境副大臣        伊藤 忠彦君

   総務大臣政務官      冨樫 博之君

   文部科学大臣政務官    樋口 尚也君

   厚生労働大臣政務官    堀内 詔子君

   農林水産大臣政務官    細田 健一君

   経済産業大臣政務官    中川 俊直君

   経済産業大臣政務官    井原  巧君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  多田健一郎君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     関  博之君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     樺島  徹君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    小川 秀樹君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    堀江  裕君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     鍜治 克彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 正田  寛君

   参考人

   (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長)           山口  博君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     宇佐美雅樹君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月八日

 辞任         補欠選任

  門山 宏哲君     神山 佐市君

  小泉進次郎君     長坂 康正君

  鈴木 俊一君     大見  正君

  高橋ひなこ君     金子万寿夫君

同日

 辞任         補欠選任

  大見  正君     鈴木 俊一君

  金子万寿夫君     高橋ひなこ君

  神山 佐市君     門山 宏哲君

  長坂 康正君     小泉進次郎君

    ―――――――――――――

十一月十四日

 原発事故被害者の救済に関する請願(奥野総一郎君紹介)(第四七六号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第四八二号)

 同(荒井聰君紹介)(第四八三号)

 同(池内さおり君紹介)(第四八四号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第四八五号)

 同(大平喜信君紹介)(第四八六号)

 同(笠井亮君紹介)(第四八七号)

 同(菅直人君紹介)(第四八八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四八九号)

 同(斉藤和子君紹介)(第四九〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第四九一号)

 同(清水忠史君紹介)(第四九二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四九三号)

 同(島津幸広君紹介)(第四九四号)

 同(田村貴昭君紹介)(第四九五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四九六号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第四九七号)

 同(畑野君枝君紹介)(第四九八号)

 同(畠山和也君紹介)(第四九九号)

 同(藤野保史君紹介)(第五〇〇号)

 同(堀内照文君紹介)(第五〇一号)

 同(真島省三君紹介)(第五〇二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第五〇三号)

 同(宮本徹君紹介)(第五〇四号)

 同(本村伸子君紹介)(第五〇五号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第五一二号)

 同(階猛君紹介)(第五一三号)

 同(田島一成君紹介)(第五一四号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第五一五号)

 同(鈴木克昌君紹介)(第五一六号)

 同(阿部知子君紹介)(第五二〇号)

 同(河野正美君紹介)(第五四八号)

 同(篠原孝君紹介)(第五四九号)

 同(高井崇志君紹介)(第五五〇号)

同月十八日

 原発事故被害者の救済に関する請願(小沢鋭仁君紹介)(第五七五号)

 同(本村賢太郎君紹介)(第五七六号)

 同(横路孝弘君紹介)(第六二七号)

 同(辻元清美君紹介)(第六七七号)

 同(吉川元君紹介)(第六七八号)

 同(初鹿明博君紹介)(第七二六号)

同月二十四日

 原発事故被害者の救済に関する請願(黄川田徹君紹介)(第七五七号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第七五八号)

 同(升田世喜男君紹介)(第八〇六号)

 同(近藤昭一君紹介)(第九七一号)

 同(玉城デニー君紹介)(第九七二号)

 同(落合貴之君紹介)(第一〇三四号)

 同(郡和子君紹介)(第一一六八号)

 同(中島克仁君紹介)(第一一六九号)

 同(井坂信彦君紹介)(第一二六七号)

 同(田嶋要君紹介)(第一二六八号)

 同(泉健太君紹介)(第一四五七号)

 同(津村啓介君紹介)(第一四五八号)

 被災者生活再建支援制度の抜本的拡充を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第九七〇号)

 政府は直ちに福島原発事故収束宣言を撤回し、原発即時ゼロ、子ども・命・暮らしを守ることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一四五五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一四五六号)

十二月八日

 原発事故被害者の救済に関する請願(太田和美君紹介)(第一四八三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件


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     ――――◇―――――

吉野委員長 これより会議を開きます。

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 去る十一月二十一日、東日本大震災の復旧・復興状況等調査のため、福島県に視察を行いましたので、参加委員を代表いたしまして、私からその概要を御報告申し上げます。

 当日の参加委員は、理事島田佳和君、谷公一君、橋本英教君、藤原崇君、金子恵美さん、郡和子さん、高木美智代さん、委員菅家一郎君、高橋千鶴子さん、木下智彦君、そして、私、吉野正芳の十一名であります。

 それでは、調査の概要について御報告申し上げます。

 まず、復興庁福島復興局より福島の状況と復興の加速に向けた取り組みについて説明を聴取しました。

 福島の避難者数は約八万四千人と震災直後の約半数となり、県内における避難者は減少してきているものの、県外への避難者は帰還しない傾向にあるとのことであります。

 政府が目標とする来年三月の帰還困難区域を除く避難指示区域の解除に当たっては、県、市町村、住民との十分な協議が要件の一つとなっており、除染を初め放射性物質の除去等に取り組んでいるとの説明がありました。

 その後、富岡町において、夜ノ森地区及び廃炉国際共同研究センター国際共同研究棟の建設予定地等を視察し、宮本町長より説明を聴取しました。富岡町では、町が目標とする平成二十九年四月の避難指示解除に向け、災害公営住宅等の整備が進められておりました。桜の名所として知られる夜ノ森地区では、帰還住民の安心確保のため、居住制限区域に隣接する帰還困難区域の一部で先行除染が開始されておりました。

 次に、楢葉町にて、松本町長より復興の現状と課題について説明を聴取しました。昨年九月に避難指示が解除された楢葉町は、平成二十九年春を帰町目標と定め、来年度より町内で学校を再開する等、町民受け入れの最終段階に来ているとのことであります。一方で、里山の除染や定住人口の回復が今後の課題であるとの説明がありました。

 意見交換の場では、児童生徒の帰還に向けた魅力ある学校づくりについて、参加委員から、教育特区制度の利用や小中連携の教育、さらには認定こども園との連携といったアイデアが出されました。

 次に、浪江町で、馬場町長の案内により本年十月に開業した仮設商店街まち・なみ・まるしぇを視察しました。同施設は町民の生活利便性向上と地域コミュニティーの維持を目的としたもので、準備宿泊で一時帰宅している町民の方々に喜ばれているそうであります。

 次に、双葉町の帰還困難区域に入り、JR双葉駅において、伊沢町長より駅周辺の生活拠点整備に関する基本構想を聴取しました。町長より、町内の九六%が帰還困難区域に指定されている双葉町にとって復興期間内における復興の達成は難しく長期的支援が必要であること、政府は復興拠点を設定、整備する方針を打ち出したが帰還困難区域全体の取り組みを早急に示してもらいたいこと等の要望がありました。

 次に、大熊町に入り、除染土壌等の保管場、ストックヤード及び中間貯蔵施設建設予定地を視察し、環境省福島環境再生事務所より説明を聴取しました。中間貯蔵施設は十一月十五日から本格的な施設整備に着手したということですが、用地取得率は全体の約一割とのことであります。その後、居住制限区域にある大川原地区を視察しました。同地区では、平成二十七年の福島復興再生特別措置法の改正により創設された一団地の復興再生拠点整備制度の活用により三十九ヘクタールの復興拠点の整備を進め、農地転用の手続が行われているところであります。一方で、大熊町議会の鈴木議長より、復興拠点外の地区の農地についても転用を進めたいため、復興特区制度等の柔軟な運用を検討してほしい旨の要望がございました。

 次に、広野町において、JR常磐線広野駅東側開発整備事業の進捗状況を視察し、遠藤町長より説明を聴取しました。町は、福島再生加速化交付金を活用した広野みらいオフィスの建設など、駅東側を核とした新しいまちづくりを目指しているとのことであります。

 その後、昨年四月に広野町に開校した福島県立ふたば未来学園高等学校を視察し、丹野校長より説明を聴取しました。同校は、原発事故による転校やいじめといった心の痛手を受けた生徒が少なくないため、生徒の心のケアが教職員にとって重要な役割の一つであること、各界の有志による教育復興応援団が授業に協力していること、生徒みずからが課題の解決に向けた研究や実践学習を行うことにより福島の復興に寄与するグローバルリーダーの育成を目指していることなどの説明がございました。

 以上が調査の概要であります。

 今般視察を行った双葉郡の各町からは一様に、原子力災害という困難な状況に置かれた地域にとって復興・創生期間後も政府の支援が不可欠である、また、部分的な復興拠点の整備だけでは復興は成り立たず、復興拠点外地区も含めた全域の再生が町民の強い要望であるとの声が聞かれました。

 震災から五年八カ月余りを経て、福島では避難の長期化による震災関連死の増加といった課題も生じており、また、視察の翌日には福島県沖を震源とする地震とそれによる津波が発生し、被災地では今なお不安な日々が続いております。福島の復興再生への取り組みは、被災地の声に真摯に耳を傾け、継続的な支援を行うことが重要であると強く再認識いたしました。

 最後になりましたが、今回の調査に御協力いただきました皆様に心から御礼を申し上げまして、報告とさせていただきます。

    ―――――――――――――

吉野委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長山口博君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官多田健一郎君、復興庁統括官関博之君、復興庁統括官樺島徹君、法務省民事局長小川秀樹君、厚生労働省労働基準局安全衛生部長田中誠二君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長堀江裕君、経済産業省大臣官房地域経済産業審議官鍜治克彦君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史君及び環境省大臣官房審議官正田寛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小熊慎司君。

小熊委員 民進党の小熊慎司です。

 まず、十二月三日、今村大臣におかれましては、福島県を御視察いただきまして、私の選挙区にも訪れていただきましたことは、復興は党派を超えて取り組まなきゃいけない課題でありますので、大変ありがたいなというふうに思っておりますし、いろいろな考え方もまたいろいろお持ちになったというふうに思います。御連絡いただければ私もいろいろ御案内さしあげたんですが、今度来るときはぜひお知らせいただきたいというふうに思います。

 ちょうど今、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックについては、いろいろな課題を抱えながらもオール・ジャパンで取り組んでいこう、またそういう中でも復興の姿も世界に発信をしなきゃいけない。ボートに関しては残念ながら東北宮城の長沼に決まらなかったことはいたし方ないというところもありますけれども、福島県で一部試合開催を目指している野球・ソフトに関しましても、いろいろな施設等の条件整備に関しても幾つか課題を解決しなければならない点があります。

 復興の姿を示すというのは、もちろん福島県、当該自治体の努力もあるところではありますが、これは国をかけてやらなければいけないところでもありますので、一義的には組織委員の決定するところとかいろいろ責任の所在はありますが、国としてオール・ジャパンで取り組む、また復興の姿を示すという意味で、福島県内での野球・ソフトボールの一部試合開催に向けて解決しなければいけない課題があるわけでありますから、これに対する支援、国としてはどう取り組んでいくのか、まずお伺いをいたします。

多田政府参考人 お答えをいたします。

 二〇二〇年の東京大会につきましては、復興五輪として、被災地が復興をなし遂げつつある姿を世界に発信することは、大会の大きな目的の一つというふうにされております。

 福島県におきます野球・ソフトボール競技大会の開催に関しましては、ルールとしましては、競技会場については大会組織委員会が国際、国内競技連盟等と協議をした上でIOC理事会において決定されるものでございますけれども、本年十月にIOCのバッハ会長からの申し出を受けまして安倍総理が面談をされた際にも、バッハ会長から野球・ソフトボールを念頭に被災地での競技開催を御提案いただくなど、関係者の皆様に福島での競技開催の意義について十分な御理解をいただいて、現在、関係者間で協議が続行しているところと考えてございます。

 オリンピック・パラリンピックに関します政府としての支援につきましては、平成二十三年の十二月に、東京都のオリンピック・パラリンピックの招致に当たりまして、政府としての対処方針を閣議決定してございます。

 具体的には、大会の開催に係る施設については既存施設の活用を図ること、また、施設の新設、改善その他の公共事業については、その必要性について十分検討を行い、多様な財源の確保に努めつつ、その規模を通常の公共事業の中での優先的配分により対処し得るものとし、国庫補助率等国の財政措置は通常のものとすることとされていることから、これらを踏まえまして、関係の府省等あるいは地元とよく協議をしながら対処してまいりたいと考えてございます。

小熊委員 今御説明のとおりですが、大臣からは国が前面に立って復興をやっていくんだと先日の委員会の答弁でもありましたけれども、福島県、被災地も、いろいろな課題を抱えながら、県民挙げて今努力をしているところであります。その施設整備に関しても、それは今の通常のルールの説明でありましたけれども、ちょうど今ローザンヌに森会長が行かれていて、評価委員会の一つの形も出てきたところではありますが、森会長からあとは福島がどうするかだという発言もありましたけれども、いや、私はこれは国がどうするかだと思うんです。もちろん開催地の努力もそれは必要なことでありますけれども、復興をどう示すかというのは福島のテーマではなくて、日本のテーマですから。

 そういう意味では、既存の今の支援のルール、いろいろな施設整備のルールはありますが、被災地開催ということに関して言えば、より国が前面に立ってどう支援できるのかというのがどうでしょうかというのが私の質問の真意です。これは今すぐに細かい制度をいじる、仕組みを変えるということにはならないんでしょうけれども、これはもう政治決断ですから、大臣、どうですか。

 被災地開催に関しては、ほかの、千葉で開く、埼玉で開くのとはまた違って、被災地の場合は特段やはり国が前面に立って復興の姿を示すんだというのが、だからこれは、今言ったとおり、被災地のテーマじゃないんです、日本のテーマですから。大臣、そういう方向の御検討をちょっと、方向性として、具体的に、どうですか。方向性として、国がどう支援できるかというのを再検討していただきたいと思います、この被災地開催に関して。

今村国務大臣 お答えいたします。

 今、小熊委員の御指摘、私も正直言って、福島はもう少し順調にいくのかなと思っておったところが意外やそうでもないようなという感じがあって、ちょっと正直言ってこれはと思っております。私も関係箇所にはお願いをしてきたつもりでありますし、感触はよかったように思っておったんですが、ここに来てこういうことなので、もう一回、何とかやってくれ、特に復興五輪の中でも福島は特別な位置づけがあるわけですから、それはもっと大事にしてよということを、しっかりまた申し入れに行こうと思っております。

 以上です。

小熊委員 ありがとうございます。そういう認識のもとにしっかりと、具体的に形も出していただきたいというふうに思います。

 次に移ります。

 今、御承知のとおり、福島県民は全国のさまざまな地域に避難していて、それぞれの避難先で大変皆さんにお世話になっているというのも事実であります。少ないケースだというふうになっているのかどうかわかりませんが、残念ながら、ここ最近、避難している児童生徒、子供たちのいじめ問題が続きました。非常に悲しい出来事でもありますし、こういったことが起きてはならない。また、子供だけではなくて、先生までそれにかかわっていたというようなこともあったことは、大変残念なことであります。

 また、被災以降、震災以降、原発事故災害以降、原発事故に関する教育といったものも、副読本とかをつくって、今教育現場でも子供たちへの理解というものを深めようという取り組みがされていますが、これは今までやったことがないことですから、教育現場でもいろいろな混乱、また経験の積み上げができていない中で手探りで進んでいるところもあるというふうに思います。ただ、これまでの取り組みというのは科学的なリテラシーを上げていくというところにちょっと集中していたのかなというふうに思いますが、今回のいじめ問題を契機に、やはりこういったことに対してもしっかりと教育現場で理解を広めていく、こういうことが起きないように徹底をしていくということが必要だというふうに思います。

 そういった意味では、まず、二件だけ起きたわけではないというふうに思いますし、全てのところでこんなことが起きているということでもないと思います。今言ったとおり、本当に温かく御支援をいただいている地域また学校もあるというふうには思いますが、これはしっかりともう一回調査をした上で、この再発の防止をどう教育現場で指導していくのか、またその地域、PTAも含めてどう理解を深めていくのかという取り組みを今改めてやはりやっていかないと、またどこかで起きて対症療法的にやっていくだけになってしまうというふうに思いますので、この問題に関して、まず調査、そしてその上で再発防止、どのようにしていくのか、お伺いをいたします。

樋口大臣政務官 小熊先生御指摘のとおり、原発事故により福島県外に避難した児童生徒がいじめを受けたにもかかわらず、学校や教育委員会が適切に対応していなかった事案が発生したことについては、極めて遺憾であります。

 放射線に関する教育については、先生御指摘のとおり、副読本をこれまで千二百万部配付して活用しているところでございますが、こうしたいじめの再発防止について調査をという御指導であります。大変難しい問題だと考えておりまして、寝た子を起こすことになってもいけないとも思いますので、慎重な検討が必要であります。今は、全国の自治体に対して、こうした被災児童生徒に対する心のケアの必要性について、改めて今般、十一月の十八日に周知を行ったところでございます。

 横浜の事案については、義家副大臣を派遣し、横浜市に対して実態の把握や再発防止策の検討等について指導を行ったところでございます。

 こうしたことが二度と起きないように、引き続き全国の自治体に対しまして必要な指導助言を適切に行ってまいりたいと存じます。

小熊委員 ぜひしっかりやっていただきたい。また、子供のこと、教育のことですから、次世代を担う重要な人材でありますし、いじめられた側だけじゃない、いじめる側もよくない形で大人になっていくということは、そのまま見過ごすわけにはいきませんから。

 ただ、今の寝た子を起こすという表現は余りよくない、何かしっくりこない、臭い物にふたみたいに聞こえましたから。事を荒立てて、ほかに問題が行かない、慎重にやらなきゃいけないというのはわかります。ちょっと今の表現は今後は使わないでいただきたいなというふうに思います。

 いずれこうしたことが二度と起きないように、しっかりまた注視をしていくということは必要なことでありますし、ただ、全てがこういうことではない。これも私も改めてもう一回、本当にいろいろなところで温かく御支援をいただいているということも、そっちの方が多いわけでもありますので、そうしたいい部分も生かしながら、それをしっかり広めていくということをお願いしたいというふうに思います。

 次に、最近また、営業損害、風評被害における補償の問題というのが急に変わっているんですね。二年前倒しで、打ち切りではないといっていながら、その先が見えていないというのも現状ですし、かつ、農林業の方の営業損害、風評被害の賠償に関しても、過日もやりましたけれども、その後、そうなれば、ではもう一年分プラスして三年だとか、ちょっと意見を言ったら二年を三年にするという、そんなことなのかなと。そういうことではないんじゃないかなというふうに思っているんですが。

 まず、最初は二年と示して、今度いろいろな関係団体から来たら三年にしようかというような検討をしているみたいなことが伝わっていますが、今後どうなっていくのか、改めてお伺いをいたします。

井原大臣政務官 小熊議員にお答えを申し上げます。

 平成二十九年一月以降の、御懸念の農林業の営業損害賠償についてでありますが、まず時系列でお話ししますと、東京電力がことしの九月に素案を提示されました。それに対しまして農林業関係の方々からさまざまな御要望が寄せられたということでございまして、例えば十一月十五日にはJAグループ東京電力原発事故農畜産物損害賠償対策福島県協議会からも、例えば避難指示区域内の出荷制限等に係る賠償基準とかあるいは避難指示区域外に係る賠償基準等、さまざまな御要望も寄せられたところであります。

 東京電力は、こうした御要望や、十一月三十日には自民党の復興加速化本部長からの申し入れもございました、それを受けて、十二月一日に福島県原子力損害対策協議会に対して見直しの案を提示されたところでございます。

 その内容を申しますと、まず一つには、損害がある限り賠償をするという方針を変更しないということでございます。また、農林業の風評被害は当面は継続する可能性が高いという認識を共有して、損害の実態に合わせて適切に賠償するとの考え方が明確に示されたということになっております。

 国としては今後とも、農林業には固有の特性があることを十分踏まえていきながら、事故との相当因果関係のある損害については、損害がある限り賠償をするとの方針に沿って適切に対応していくよう、今後とも東京電力を指導してまいりたい、このように考えております。

小熊委員 尊敬する私の大学の先輩の井原大臣政務官にもう一回お聞きしたいんですが、損害が続く限りと。

 過日、今村大臣にも答えていただきましたけれども、今回もいろいろな風評被害の実態を見ていただいたと思いますが、例えば、廃炉に向けてずっと取り組んでいく中で、県民挙げて、また国の方の支援もあってポジティブな情報発信を福島県はしていますが、やはり廃炉が終わったとしても多分ネガティブな情報発信も残念ながらされていくということで、永久にというか、ずっとこの風評被害との戦いは続くと思います。どこかで終わる、どこかで消えるという話ではありません。御承知のとおり、福島県産だからと科学的根拠もなく買わないという人が一定程度、これは固定化もしているところでもありますし、国際的な風評被害もある。

 もう一回、井原さんにお聞きしたいのは、認識として、この風評被害というのはいつかなくなる問題ではない、これは永続的に続いていくということが推測されるという認識なのか、いつかはどんどんフェードアウトしていくと思っているのか。まずその認識をお伺いいたします。

井原大臣政務官 ありがとうございます。

 基本的には、風評被害というのは、我々国が責任を持ってしっかりと払拭していく努力を常に継続していくことが大変重要だというふうに思っております。しかし、その風評被害の実態というものは当然市場価格等に反映されてくるわけでありますから、それが続く限りという認識をしっかり国が持ちながら努力を続けていく、こういうお答えになろうかというふうに思っております。

 なくなるか、なくならないかという言葉を使うのではなくて、なくなるように努めていくということのお答えが適切ではないか、このように思っております。

小熊委員 私は会津が選挙区で、被災地からは遠く離れていて実害というのがほとんどない、風評被害の色濃く残る地域であります。

 今言われたとおり、なくなるのがいいことでありますけれども、実際、ほかの世界の国の、これはチェルノブイリだってそうです、あとはいろいろな公害、そういったことで苦しんだ地域、科学的にはもう何もないのに風評が残っているという実態を見れば、なくなればと努力もみんなしていますよ、政府も努力しないと言わないし、県民挙げてもやっています、党派を超えてもやっていますが、そう簡単な話ではないという認識なのか。努力してなくすというのは当たり前、それを否定しているわけではありません。ただ、そう生半可ではない、だから心してかからなきゃいけない。

 そういう意味では、ではもう年数がたったからあと三年分やれば何とかなるんじゃないのという発想ではないでしょうということをまず確認したかったということでありますので、しっかりと実態を見ていく中で取り組んでいただきたいと思いますし、今は、いろいろ指摘されているとおり、風評とか、風化をして応援、支援もなくなってきている。この間、報道にもありましたけれども、大学生のいろいろなボランティア活動も東北各地で減ってきているということもあります。そういう意味では、時間とともにいろいろな変化がある中でも問題が残されていくということがあることも推測をされるわけですから、そうなるということが推測をされることに関してはしっかりと対応していく、最善の努力をしていくということも確認をさせていただきたかったわけであります。

 ぜひ、これは一朝一夕に解決しないという認識をいただいたというふうに思っていますから、しっかり取り組んでいただきたいというふうに思っています。

 次に、これも地元で風評被害のことでこれはどうなんだろうといういろいろな議論があるのは事実ですが、米の全袋検査をしています。これは逆に、していることによって消費者からうがった見方をされる側面があるというのも事実で、これはもうやめた方が安全に見えるんじゃないのと言ってくる生産者もいるんですが、でもやはり科学的根拠をしっかりと示していかなければいけないというのも、これもいろいろ両面あるんですが、やっていくしかないなというふうに私は思っています。

 この経費に関しては基金によって財源の手当てをしているんですが、これがもう枯渇しようとしています。これからも全袋検査はまた永続的に、今言ったように風評被害対策としても、まだ払拭はされていないわけですから、やり続けなきゃいけないという意味で経費もかかってきます。国のお金で基金から出している状況でありますが、これが足りなくなってきて底が見えている状況ですから、これを今後どうしていくか、お伺いいたします。

細田大臣政務官 御質問ありがとうございました。

 現在、福島県が実施されている米の全量全袋検査でございますが、福島県民健康基金により経費が賄われております。先生が御指摘のとおり、この基金が二十八年度、本年度で枯渇するということから、二十九年度以降も検査が継続できるよう、福島県から支援を要請されております。

 このため、私ども農林水産省では、来年度予算において、福島県の御意向に沿う形で、米の全量全袋検査を含め、風評払拭に向けて、生産から流通、販売に至る必要な取り組みを行うための予算を新規に要求しておりまして、現在財務省と折衝を行っているというところでございます。

 二十七年産米以降、米の全量全袋検査の結果、お米については基準値の超過の発生の事案というのは報告されておりません。

 したがって、こういう実態を踏まえまして、検査の継続を含めて、風評の払拭に向けて今後どのように取り組んでいくかということについては、まず福島県の御意向が第一だというふうに考えておりますが、私どもといたしましても、福島県とよく相談をして取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。

小熊委員 今おっしゃったとおり、私の地元でも実は意見が分かれていて、やはりやり続けなきゃいけないというのと、やらない方が安全と見られるんじゃないかと。だからこれは慎重にやらなきゃいけないですし、流通業者また消費者の理解も得られなきゃいけないところですから。これは県の判断もあるでしょうけれども、逆に、国として全体の、流通、消費者との関係なども、しっかりと状況を把握しながら適切な判断をしないと間違った結果を生み出しかねませんし、もし続けるということであれば、今言った予算要求をしっかりと獲得していただきたいというふうに思っています。

 まだ原発事故は現在進行形の災害ではありますが、いろいろな背景、状況も各場面場面で変わってきているというのも事実であるんですけれども、避難自治体というのは、いまだに避難を余儀なくされている自治体が幾つかありますし、状況が変わっている、好転しているというわけでもありません。その中で、住民税の減免に係る自治体の減収分については復興の特別交付税で賄われていました。今年度、九月に交付される予定だったものが現在留保されています。だからこれは、今言ったとおり、まだ復興半ばであるし、自治体自身が避難をしているという中で何も好転している部分ではないんですが、何で留保されているのか、また今後それは打ち切るのか、継続していくのかをお聞きいたします。

冨樫大臣政務官 東日本大震災に伴う地方税の減免により生ずる地方団体の減収に対しては、震災復興特別交付税により補填措置を講じております。

 福島県内市町村が行う住民税の減免については、避難指示区域が存在する地方団体の間でも実施の有無や高額所得者の取り扱いなどの基準に大きな違いがあったことから、九月交付の算定においては一旦措置を見送り、減免に係る市町村の考え方等を確認した上で、三月交付において改めて判断することとしております。

 また、現在、福島県において、市町村の考え方や方針等を踏まえ、県としての考え方をまとめているところであり、これらについて丁寧にお伺いしながら、三月交付の算定において適切に対応してまいりたいと考えております。

 いずれにしても、総務省としては、被災地の復興に真に必要な事業等の実施に支障が生じないよう、適切に対処してまいります。

小熊委員 確かにこれは被災地域でも町村によって実態が違いますけれども、やはりとりわけ自治体が丸ごと避難しているところは、住民サービスの提供をがっちりやっているかといえば、できていないわけですから、そこから住民税をがさっと取るというのはなかなかしんどい話でありますから、今言ったように丁寧に、その地域地域、自治体によっても状況が違いますから、対応していかなければいけませんが、その説明をしっかりしないで、いきなり九月は保留ということで、伝わっていませんから、地元自治体には。

 まず丁寧な対応の前に丁寧な説明、今回の九月の保留した分、今までと変わったわけですから。今までやっていたのを留保した、保留したわけです。それに対する説明をしっかりされていないから、地元自治体ではどうなっているんだということになるわけですよ。これをしっかりまず説明する、適切な対応のために説明するということをまずしていただきたいというふうに思っています。

 次に移ります。

 帰還困難区域のところで復興拠点の話がいろいろあって方針もありますが、この前提となる、帰還困難区域ですから線量もかつては高かった、今少し下がってきている部分もありますが、除染に関しては徹底的にやっていかなきゃいけない。この帰還困難区域の除染、今後どう対応していくのか。今までもいろいろな除染をやって予想した以上にお金もかかっていたり、まだ方針の決まっていない森林除染もどの程度やるか、徹底してやるのであれば兆円規模の事業にもなってきますけれども。まだ方針の決まっていない帰還困難区域の除染について今後どう取り組んでいくのか、まず方針をお示しいただきたい。

井原大臣政務官 お答えを申し上げます。

 帰還困難区域の取り扱いということでございますが、八月にお示しいたしました政府の考え方におきましては、まずは五年を目途に、まだまだ線量も、線量は低下しているところもありますけれども、なかなか困難な地域もまだあります、そういう中で、まずは避難指示を解除し、居住を可能とすることを目指そうということで、復興拠点というものを設定し整備する方針を示しました。また、その整備に当たりましては、除染とインフラを一体で行うということといたしました。

 こうした方針を踏まえまして、現在、この帰還困難区域の中で復興拠点ということでありますから、その関係法案の次期通常国会への提出とかあるいは来年度からの必要な予算等の措置を行うべく、復興庁を初めとする関係省庁と連携し、作業を進めているところであります。

 また、今月五日には、福島県の内堀知事から今村復興大臣に対し、復興拠点の整備実現に向け、福島復興再生特別措置法の改正を行うよう要望がございました。

 また、先生がおっしゃるように、その先がどうなるのかということでございますが、この復興拠点の整備に五年を目途に向かいながら、その拠点の計画の見直し等がございましたら、それが一体となって除染に向かっていく、このような理解をしていただけたら大変ありがたいと思います。

 以上です。

小熊委員 ありがとうございます。

 時間がなくなったので、ちょっと指摘にとどめたいんですが。済みません、堀内政務官も来ていただいているのに。

 例えば介護の問題も、全国的な人手不足というのがあります。あと鳥獣害の被害も全国で今広がっていて、私も小熊ですから、うちの地元も熊がいっぱい出て、人口密度は減っていくのに熊密度が上がっていると、私が怒られているような感じで本当にじくじたる思いでもあるんですが、実際、全国でも広がっているんですけれども、とりわけ被災地域は人がふだんいないので、より深刻なんですね。今ジビエだといってはやっているけれども、これは規制がかかって食えないわけですし、私の地元でも熊をとって熊汁とかを昔は食べていましたけれども、今はそれも出せないというところでもあります。

 これは全国的に同じような課題ですが、とりわけ福島県だからこそ、全国一律の支援ではなくて、介護の人材不足もあちこち地方は困っているところで全国的な問題ですが、やはり被災地だからこそ、なお支援が必要だったりしますので。

 こうしたどこにでもある課題、これを、一律の支援ではなくて、やはり被災地だからもう少しかさ上げして対策をとっていただくということ、これがまさに必要だというふうに思いますので、ぜひそういった件についても今後御検討いただいて対応をとっていただきたいというふうに御指摘を申し上げて、堀内政務官、もしあれば。ありますか、介護の人材確保、それはどこでもやらなきゃいけないんですが。もう一言でいいです、時間もないので。

堀内大臣政務官 覚悟を申し上げます。

 さまざまな被災地の介護人材の確保対策について、厚生労働省としてもしっかりと取り組んでまいる所存でございます。

小熊委員 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、金子恵美さん。

金子(恵)委員 民進党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 福島視察の翌日、二十二日に福島県沖地震が発生し、福島県そして宮城県に津波警報、そしてまた青森県太平洋沿岸、岩手、茨城各県と千葉県の九十九里、外房に津波注意報が発令されました。テレビでも、東日本大震災を忘れないでください、直ちに避難してくださいという、本当に切迫した口調で呼びかけというものがありました。

 福島県では、東電の福島第二原発第三号機の使用済み燃料プールの冷却装置が自動停止しまして、不安の中、あの三・一一の恐怖がよみがえった状態で県民の皆様が過ごされました。

 総務省消防庁の調べでは、被災三県の岩手、宮城、福島三県で避難指示、勧告の対象となったのは、最大数で合計二十万三千九百十六世帯、四十九万四千四百七十四人であったということでございます。実際の避難者数は、被災三県からの情報では、合計九千六百四人だったということでございます。最も多かったのは、五千五百五十八人の宮城県。そして、岩手県は九百二十七人。福島県では一時、五十九カ所の避難所に三千百十九人の方々が避難したということでございました。

 復興のゴールは、災害に強いまちづくり、そしてまた災害弱者をつくらない地域づくりだというふうに思います。それを基本として、今、被災地で復興に向けてさまざまな対策が講じられているということだと思います。これを本当に基本としていただきたいと思っております。

 そこで、お伺いしますが、今回の福島県沖地震では、五年前の東日本大震災の教訓というものがどのように生かされたのでしょうか。

今村国務大臣 お答えいたします。

 二十二日の震災の件につきましては、私も正直言って、嫌な揺れだなと思いました。直ちに見ましたら、非常に震源地も近いし、津波のこともすぐ心配になって、どうしているんだということで、すぐいろいろな指示をしたところであります。長沢副大臣にはすぐ福島へ行ってくれということで行っていただきましたし、私自身も、次の日でありますが、宮城と岩手の復興局に行って、どういう状況だったということを早速聞いたところであります。

 いろいろな情報を総合してでありますが、やはり正直言って、あのくらいで済んだからよかったけれども、もうちょっとこれが大きかったらどういうことになっていたんだろうな、そういう心配の種というのは若干あるような気がします。例えばいわき市あたりでも、避難するときに道路が非常に混雑したというような話とか、なかなか皆さんが動かれなかったというような話も伺っております。

 それからもう一つは、津波警報の出し方ですね。これは、当初は注意報と言っていたのが警報に変わって、場所によっては、宮城県の方では二メートル近いものが来たとか、そういったこともありますので、やはりもう一回、今回はこのくらいで済んだけれども、もうちょっと真剣にといいますか、もうちょっと大きかったらどういうことになったんだろうという検証もしながら、いろいろな対策を立て直すことが必要じゃないかなという気もしたところであります。

金子(恵)委員 ありがとうございます。検証をしっかりやっていくべきだという御意見でございました。

 石巻では高台に上れない高齢者の方が自宅に残ったケースがあったとか、今おっしゃっていただいたいわき市でも、あるグループホームでは津波警報の発令後も入所者の避難を見合わせてしまったという状況もありました。とにかく、高齢者の方々、認知症の方々であって、寒さに弱いため、靴は脱いだまま、出口の近くで待機していたという状況であったりとか、避難ということについても判断が大変難しい状況の要援護者、要支援者の方々がいるという事実もあります。

 そういう方々を含めて、しっかりと本当に、再び申し上げます、先ほども申し上げましたけれども、災害に強いまちづくり、地域づくりをしていく、それがやはり単なる東日本大震災からの復旧ではなくて復興なんだということで、それを進めていただきたいというふうに思っているところであります。どうぞよろしくお願いします。

 そしてまた、今回、福島県では、先ほども申し上げましたけれども、東電の第二原発三号機の使用済み燃料プールの冷却浄化系ポンプが停止いたしました。このトラブルは、東日本大震災から、そして原発事故からあらゆる課題を抱えている福島県民にとっては本当に大きなことでありまして、不安感だけではなく恐怖感すら持ったということであります。原発でトラブルがあるたびに、復興や風評払拭を目指す福島の取り組みに水を差しているという状況にもなっています。

 福島県議会では、国、東電の両者は直ちに福島の第二原発の廃炉を決断すべきだ、そういう県民の声を届ける意見書を国に提出することを今検討中であるということでもあります。

 そこで、福島県の原発の全基廃炉、国の責務でしっかりと早急に実現していくということを県民は求めていますが、この県民の声にぜひ応えていただきたいと思います。いかがでしょうか。

井原大臣政務官 お答えを申し上げます。

 福島第二原発につきましては、福島県の皆様の心情を察すると、これまでに新規制基準への適合性審査を申請しているほかの県の原発と同列に取り扱うことは難しいと私どもも認識をいたしております。

 ただし、同原発の取り扱いにつきましては、まず事業者でございます東京電力が地元の皆様の声に真摯に向き合った上で判断を行うべきものと考えておりますし、行っていただきたい、このように考えておりまして、先日も都道府県知事会議で内堀知事からこのような御要望もいただいたところでございます。

金子(恵)委員 今おっしゃっていただいた、知事から直接、第二原発の廃炉の要望という言葉があったということですけれども、その場におられた方々の印象というものは、経産省は大変冷たい対応だったと。どうも、その言葉を黙殺するような状況だったというふうにも聞いております。

 本当にこの福島の復興について本気で取り組みをし、そして福島県民に寄り添う姿勢があるのかということも問われることになっていくと思いますので、ぜひ再度、福島県議会はこのような福島県民の声を届けるという形で今申し上げた意見書の取りまとめをしているということでありますので、しっかりと受けとめていただきたいということをお願いさせていただきたいと思います。

 今の段階での仕組みでは例えば国が関与できないとか、国が前面に立てないということであれば、新たな仕組みをつくればいいわけですので、その仕組みづくりも一緒に考えていただきたい。ぜひ県民に寄り添ってください。お願いいたします。

 そのことと、また、福島県外に避難している子供たちのいじめの問題。本当に県内の我々も苦しんでおりますけれども、県外にいる子供たちにまでさまざまな課題がまだまだあるということは本当に残念でなりません。

 原発事故で横浜市に自主避難した中学一年生がいじめによって不登校になって、いじめ防止対策推進法に基づく調査の結果、横浜市の教育委員会の第三者委員会が避難直後からのいじめがあったことを認定しました。市教育委員会や学校の対応を教育の放棄などと批判する報告書がまとめられ、十一月九日にはこの一部が公表されたということです。

 同級生から菌とか放射能と呼ばれていた、賠償金をもらっているだろうとせがまれ、百五十万円も支払った。ひどいいじめです。今まで何度か死のうと思った、でも震災でいっぱい死んだから、つらいけど僕は生きると決めたという手記を公表されています。

 市教育委員会は謝罪しましたけれども、謝罪で終わることではない。この男子と御家族の皆さんの傷は癒えないし、福島県民の私たちの心にも本当に大きな傷を残しているという状況であります。

 先ほどもこの件については質問があったわけですけれども、やはり根っこのところには福島県民に対する偏見とか先入観とか差別というものがあるんだと思います。そして、振り返りますと、震災直後も、福島県外では福島ナンバーの車が駐車できないというケースがあったり、やはり同じように直後、避難されている子供が放射能がうつるからということでいじめられたりというケースもありましたが、そこから五年以上が過ぎた、年月が過ぎても、やはり同じように差別、先入観、偏見、こういうものが残ってしまっているということだと思います。

 今も差別を受け続け、いじめられている子供たちを救うために、このようなことを決して起こさない、そういう再発防止対策をしっかりと進めていかなくてはいけませんが、国としてはどのようなお考えで進めていらっしゃるんでしょうか。

樋口大臣政務官 金子先生から横浜市の事案について、横浜市に転入した児童がいじめを受けたにもかかわらず、学校や教育委員会が適切に対応しなかったことにつきましては、極めて遺憾であると考えております。

 文部科学省といたしましては、児童生徒のなれない環境への不安感を十分に理解した上で、児童生徒に対する心のケアや、いじめの問題を許さず、児童生徒の学校生活への適応に向けた必要な指導などを適切に行うように、この十一月十八日に文書の発出等により改めて周知を図ったところでございます。

 横浜市の事案については、義家副大臣を派遣し、この被災生徒に対する心のケア等について指導したところでございますが、こうした事案が二度と起きないように、引き続き全国の自治体に対しまして必要な指導助言を行ってまいります。

金子(恵)委員 文書はどのようなものを発出されましたか。

樋口大臣政務官 過去に文書はさまざまなものを出しておりますけれども、それをまとめまして、十一月の十八日に一括しまして全国の教育委員会に発出したところでございます。さまざまな内容がございますけれども、東日本大震災により被災した児童生徒に関する通知というものをこれまで幾多にわたって出しておりますが、それの総括をしたものでございます。

金子(恵)委員 今おっしゃったように、過去に発出したものを取りまとめ、今回出した、それだけじゃないんでしょうか。

 私も手元にあるものを見ますと、平成二十三年の段階で出した通知というものを取りまとめ、過去にこういうものをお願いしているので確認してください、そういうものを出したということだと思うんですね。そういうふうにレクのときも説明を受けたんですけれども、それで足りているのかということ。

 そして、毎回毎回おっしゃるように、東日本大震災からの復興なくして日本の再生はないとか、福島の復興なくして日本の再生はないという話をしていて、この福島の問題、東日本大震災からの再生の問題、そういう課題の中で苦しんでいる子供たちの問題というのは、国の問題ですよね。文書を発出して終わりじゃないと思うんですよ。国の責任としてやるべきことはこれだけですか。もう一度お願いします。

樋口大臣政務官 先生御指摘のとおり、十一月十八日に文書を出させていただき、その後は国の協議会を、各都道府県の皆様、教育委員会の皆様に来ていただきまして行ってまいります。これまでも行ってまいりましたけれども、その際にもしっかりと周知徹底を図ってまいりたいと思います。

金子(恵)委員 十一月に協議会を開催した。そこに来られた人も、来られなかった方々も、教育の現場にはいらっしゃると思います。足りないというふうに思います。もう一回、十二月には協議会が開催されるということも伺っていますので、もう少し丁寧な説明、指導あるいはお願いができるように、現状をしっかりと御理解いただけるような対応を、ぜひ次の機会ではそのようにしていただきたいというふうに思っています。よろしくお願いいたします。

 福島県の内堀知事は今度は、五日の定例会見で、新潟市内の男子児童が担任から菌と呼ばれたことについて、大変重く受けとめているという認識をお示しになられています。避難先の関係機関に情報提供をして、必要に応じて協力をお願いする、そういうことで解決に努めていくという対策をしっかりと講じたいという考えも示しています。

 福島県は、新潟を初め、宮城、山形、栃木、茨城、埼玉の近県六県に教職員十八名を派遣し、避難先での本県の子供のケアも実施しているわけなんですが、今回の問題を受けて、電話相談窓口など被災者支援に関する情報を紹介するチラシを県外避難者一万六千世帯へ配付するということも言っています。

 また、こういうことがありましたので、双葉町や川内村でも、教育委員会が避難先でいじめに遭った場合は町や村に相談をするようにというような呼びかけをしているということでもありますし、また県も、避難者支援団体が全国二十五カ所で運営する生活再建支援拠点のほか、繰り返し申し上げますけれども、電話相談窓口ふくしま二十四時間子どもSOS、フリーダイヤルなどに連絡するように呼びかけるということをやるということであります。

 一つの大きな要因は、放射能とか放射線に対する正しい知識が欠けているのではないかというふうに考えることもできますし、今申し上げましたように、窓口の対応をしっかりとやっていく、窓口機能を強化していくということも大切だと思っています。

 このような、県あるいは基礎自治体、町や村がやっている対策を国はどのように支援するのでしょうか。

樋口大臣政務官 金子先生御指摘のように、まず、十二月の協議会でもきちんと、充実した協議会にしてまいりたいと思います。

 今御指摘のとおり、福島県そして双葉町、川内村において県外に避難している児童生徒が相談できる窓口を設置しておることは承知しておりまして、それぞれの自治体において効果的な取り組みがなされていると認識をしております。

 文部科学省としましては、被災された児童生徒の心のケア、教職員、保護者等への助言、援助等さまざまな課題に対応するため、緊急スクールカウンセラー等活用事業を十分の十で実施させていただいておりますのと、被災地の学校等にスクールカウンセラー等の派遣や電話相談事業に必要な経費を、これも十分の十でございますが、支援させていただいているところでございます。

 また、子供たちが全国どこからでも、夜間、休日を含めて、いつでもいじめ等の悩みを簡単に相談できるように、二十四時間子供SOSダイヤル、〇一二〇―〇―七八三一〇、悩み言おうでございますが、このダイヤルを開設しております。もしこのようないじめが起きた場合には、学校、教育委員会へはもちろんのこと、文部科学省が設置しております二十四時間子供SOSダイヤルなどを通じてすぐに声を上げていただきたい、このように思っております。

金子(恵)委員 情報提供というのは、窓口に対する情報提供をすることだけではなくて、国がやるべきことというのは窓口の機能を強化することなので、そこで対応する人たちを人的な配置も含めてどのように支援するかということだと思うんですよ。先ほど申し上げました川内村等も結局人手が足りない状況になっているわけですから、そういうところはどうするのかということをもう一度お聞かせいただきたいと思います。

樋口大臣政務官 お答えいたします。

 緊急スクールカウンセラー等派遣事業の予算ということで二十九年度も予算要望をしておりますので、しっかり獲得できるように、そしてそれを活用していただけるように行ってまいりたいと思います。

金子(恵)委員 今までやってきたスクールカウンセラー事業自体も、足りているのかというとそうではない状況があると思いますし、いずれにいたしましても、今後しっかりとした対応もお願いしたいというふうに思っています。

 そこで、国がもしこういう対策を講じる上で動きにくいということであれば、何が問題なんだろうか、仕組みなんだろうか、そこをしっかり考えていかなくてはいけないと思うんですけれども、子ども・被災者支援法の基本理念の第二条の四項を御存じでしょうか。

 第二条第四項は、被災者生活支援等施策を講ずるに当たっては、被災者に対するいわれなき差別が生じることがないよう、適切な配慮がなされなければならないとあります。さらに、国民の理解、第十八条では、国は、放射線及び被災者生活支援等施策に関する国民の理解を深めるため、放射線が人の健康に与える影響、放射線からの効果的な防護方法等に関する学校教育及び社会教育における学習の機会の提供に関する施策その他の必要な施策を講ずるものとするとありますが、この十八条の部分は差別の防止に資するものでもあるというふうに考えられます。先ほど副読本の話もありましたけれども、的確な情報提供をして、放射線、放射能がうつるとか、そんないじめがないようにしなくてはいけないということでもあります。

 まずは、この法律によって、国の責務として、福島差別から生じているいじめをなくすために、しっかりとした国の取り組みをしていかなくてはいけないと思いますが、いかがでしょうか。

今村国務大臣 先般、横浜あるいは新潟で起きた件については大変遺憾に思っております。

 これはなぜかというと、何といっても教育現場でこういうことが起きたこと、そして、本来放射能に関する知識というのを学校の先生にはちゃんと持っておいてもらわぬといかぬのにもかかわらずこういうことを言ってしまう、第三点は、何といっても子供たちに対する配慮といったものがやはり余りにも欠けているんじゃないか、そういったところで大変遺憾に思っております。

 そういう意味で、今御指摘の今のやり方でいいのかということがあったわけでありますが、私は、今の法の仕組みでもこれはまず十分やっていけると思っております。問題は、この精神を受けて、しっかりとしたそういった指導なりなんなり、あるいは対処の方法をどうしたらいいかということを、もう一度原点に立ち返って、やり方を点検してやっていくということが必要じゃないか。

 よく私が時々例に引くのは、重大事故が起きることに関してハインリッヒの法則というのがあるんですね。大きな事故が起きる、それを形づくっている因子、素因、インシデントといいますが、それは何十倍もあるんですよ。だから、それを一つずつやはり潰していくということ、そういったことの取り組みがこれから大事だと思いますから、子供たちを見て、何かちょっとこれは変だなと思ったりなんかしたときには、すぐそういうところを一つずつ潰していく、そういう具体的なやり方をもう一回よく検討することが必要じゃないかと思います。

金子(恵)委員 今、今村大臣から、一つずつ問題、課題というものを潰していく、解決していくということであります。

 この子ども・被災者支援法、私も法案提出者の一人ではありますけれども、基本方針をしっかりとつくりまして、そしてその中にニーズに対応することをしっかりと盛り込むというところが重要なわけでして、それが本当に盛り込まれているのかどうかということは、復興庁がきちんと判断していかなくちゃいけないことだと思うんですね。基本方針をつくっているのは復興庁ですから、そこが恐らく問題になっているんだと思います。

 今、今村大臣がおっしゃったように、本当にしっかりとそのニーズに対応するということをしているのであれば、恐らく、例えば国民の理解というところの十八条の部分は、具体的な取り組みというものが幾つか、それぞれ、復興庁でやるべきこと、環境省でやるべきこと、文科省でやるべきこと、消費者庁そして法務省でやるべきことが書かれていますけれども、それが本当にきちんと実現されているのかどうかということをチェックされているかということが問題だと思うんです。

 例えば、きょうはおいでいただいてはいないんですけれども、答弁はお願いしていないんですけれども、放射線被曝を懸念する国民の不安から人権侵害が生じないよう啓発活動等を実施、そういう内容も実はあるんですね。そういうことを各省庁の皆さんがわかっているかということなんです。

 子ども・被災者支援法について、やはり各省庁でしっかりとこの認識を持っていただきたいという思いはあります。いかがですか、大臣。

今村国務大臣 今言われましたように、復興庁としても、もう一回、今回の事件を総括しながら、各省庁に対してしっかりとした指導を、そしてまたどういうところに問題があるのかということを点検して、今後の対策に生かしていきたいと思います。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 基本方針を改定するぐらいの、本当に中身をしっかり変えていって、子供たち、あるいは県外に避難されている方々も含めて被災者の方たちをしっかりと支援できる、そういう仕組みづくりをしていただきたいと思います。

 次に参ります。

 前回の十一月一日の本委員会で、富岡町の避難指示解除の時期について、政府が示した来年の一月解除の案について私は質問させていただきまして、町や町民の皆様の意見を聞かずに政府の方針を押しつけることがあってはならないということを申し上げました。その後、一月解除の政府提案は撤回されたわけですけれども、町としては四月の解除に向けて政府と協議する考えを示しました。

 私たちも視察で富岡町の復興現状を見させていただきまして、例えば帰還困難区域と居住制限区域が道路一本で分かれてしまっている、居住制限区域だけ解除になっても、帰還困難区域の除染が実施されないとやはり帰還ができないんじゃないかということで、環境整備はしているということであったり、いろいろな工夫はしていかなくてはいけないということであります。

 そういったことから、やはり解除の前にも、先ほど来申し上げていますけれども、住民の方々の意見をしっかり聞きながらニーズに合わせた形で対応し、その上で解除の時期等を決定していくということをしなくてはいけないと思いますし、町と丁寧な、そして住民の皆さんと丁寧な協議をしていくべきだというふうに思っています。

 そこで、これから富岡だけではなく浪江、大熊、双葉も避難指示解除の時期ということを考えていかなくてはいけないということでありますけれども、単に来年の春でいいのか。それだけではなく、いろいろ慎重に考えて丁寧な議論をしていかなくてはいけないと思いますが、いかがでしょうか。

井原大臣政務官 お答えを申し上げます。

 まず、先日の会議で先生が御指摘されたということですが、富岡町の避難指示解除に向けた件についてはお話しのとおりでございます。

 避難指示の解除に当たりましては、何より地元自治体や住民の方々との十分な協議が必要でありますし、行ってきております。

 例えば、昨年九月に解除されました楢葉町では計二十回、本年七月に解除された南相馬では計十五回など、繰り返し住民説明会を開催するとともに、住民の方々への戸別訪問も行い、丁寧に御意見を伺ってまいりました。また、何より、いただいた御意見を踏まえてしっかりと、除染、買い物環境の整備や防犯対策など、帰還環境の整備を丁寧に進めてきたところでもございます。

 一方で、避難指示解除というのは決してゴールではなくて、本格復興に向けたスタートだという認識が必要と考えておりまして、解除後も引き続き、地元自治体や住民の方々との懇談を通じて、医療、介護、教育など、さらなる生活環境の整備を進めてまいりたいと存じております。また、働く場の創出などについても、設備投資や人材確保等の支援を通じて事業再開の後押しをしたいと思っておりますし、楢葉町の議員の皆様方に先日お越しいただきまして、先生と同じ意識を共有させていただいたところであります。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 そしてまた、環境整備という点では、解除後も人がどのように戻ってこられるか、若い人たちが戻ってこない現状の中で、やはり学校の整備、教育施設の整備、人材育成を進めるということも重要かと思います。

 時間がなくなってしまいましたので、ふたば未来学園への支援とか、小高産業技術高等学校、来年開校ですけれども、この件についてはしっかりと対応していただきたい、支援を継続するなり、国が関与し、支えていただく仕組みというのをつくっていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 また、先ほどもありましたけれども、やはり安全、安心のためには医療、福祉、介護のサービスをしっかりと提供していく、それが必要なんですが、その人材の不足というのは、もちろん全国的にもありますけれども、福島県は最も深刻ではないかというふうに思っています。県が住宅の家賃の支援とか新任地への赴任支援というものもしているんですけれども、それでもなかなか人材が確保できない。

 そういった中で、来年四月に、今まで休校していました公立双葉准看護学院も南相馬原町区で再開するというような話であります。準備を進めていますが、繰り返しになってしまうんですが、やはり今後、特例の財政的支援というのが必要になってくると思います。お考えをお聞かせいただきたいと思います。堀内厚生労働大臣政務官、おいででございます。ありがとうございます。

堀内大臣政務官 お答えいたします。

 厚生労働省としては、看護師養成所における教育の充実などに向けて、看護師等養成所の運営に関する指導ガイドラインにおいて具体的な教育の内容や教育体制等を全国的に示すのみならず、福島県が開催する教員や病院等における実習指導者の養成のための講習会の内容をガイドラインで示すこと等により、福島県を支援させていただいております。

 これらの講習会や養成所の運営に対する財政的支援は、地域医療介護総合確保基金を活用して、都道府県が地域の実情に応じて実施することとなっております。この基金においては、地域住民の参入促進のための入門的な研修等を介護福祉士養成施設が実施する場合の経費についても支援メニューとさせていただいております。

 今後とも、福島県と協力して、養成施設への支援を含めた介護福祉人材の確保対策が着実に実施されるように努めてまいりたいと思います。

 また、具体的にお尋ねの公立の双葉准看護学院につきましては、平成二十九年度より南相馬市に移転して再開することを目指していると承知しております。そして、福島県が策定している医療の復興計画を踏まえて活用されている地域医療再生基金により施設整備費用を支援しており、今年度中に完成する予定となっております。

 現在、相双地域における看護師等養成所は一校のみであり、本校の再開によって看護職員の方々の養成がふえることは、相双地域の看護職員の確保に貢献するものと考えております。

 厚生労働省としては、今後とも福島県と協力して、教員の継続教育や実習指導者の確保による指導の充実等によって教育の質が向上していくよう努めてまいりたいと存じております。

金子(恵)委員 ぜひしっかりと御支援をお願いいたします。

 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

吉野委員長 次に、階猛君。

階委員 おはようございます。民進党の階猛です。

 小熊議員、金子議員からは、福島について主に御質問をいただきました。私の方からは、まず岩手について、特殊事情といいますか、台風十号の被害があったことに関連しまして御質問をさせていただきます。

 台風十号は、被災地である宮古市にも大きな被害をもたらしました。私がちょっとお聞きしたところ、宮古市の中で事業主さんの被災がどういうものだったのか。

 東日本大震災で百六十一ぐらい被災をして、そしてその後、グループ補助金その他の公的な補助制度によって補助を受けた。この百六十一のうち、今回、台風十号で被災した事業者が七十四あったということであります。つまり、ダブルで被害を受けた割合は四六%、こういう大きな割合に上っています。また、商工会議所の会員に限ってみると、これは補助を受けたか受けていないかにかかわらず、ヒアリングすれば大体七割ぐらいがダブルで被害を受けた、こういうことであります。

 他方で、中小企業庁さんなどにお話を聞きますと、当初、震災の後、グループ補助金をいただいた、そして復興に向けて立ち上げた、ようやく軌道に乗ったところでまた台風十号で被災しましたというときに、もう一度そういうグループ補助金の制度で立ち直るチャンスはあるのかということをお尋ねしたところ、やはりこれは、一回グループ補助金を得て立ち上げて、その後に被災した場合は対象にならないんだというお話でありました。

 しかし、まだ復興期間は続いておるわけでございまして、せっかく立ち上がってもここでまた挫折するようなことがあれば、今まで国が支援してきたものは全部水の泡になってしまうわけですね。

 そこで、大臣に根本的なところをお尋ねしたいと思うんですが、こうしたダブルで被害を受けた事業者についてどういった救済方法をとるべきと考えていらっしゃるか、お尋ねいたします。

今村国務大臣 台風十号に係る被害につきましては、激甚災害に指定するなどして、政府一丸となって今全力で対応しているところであります。

 今御指摘の東日本大震災の被災事業者について言いますと、例えば、グループ補助金による事業再建の完了前に台風による被害を受け、工程等に変更が生じた場合には復興予算の対象となり得るというふうに考えております。

 しかし、今委員も御指摘になりましたように、一応もうこれで済んだというところがまた受けたときにはこのグループ補助金を適用するのはなかなか難しいんじゃないか。というのは、このグループ補助金の対応は、やはり大きな、広範囲にわたる地区を対象にしておりますから、ちょっと難しいんじゃないかなと思っております。

 そのかわりと言ってはなんでありますが、経済産業省で、激甚災害の指定を受けた四市町の中小企業、小規模事業者に対しては、資金繰りの支援の拡充、特例的に各種補助金の上限額引き上げあるいは遡及適用など、支援策を総動員して今きめ細かな対策をやっているところであります。

 現地の事情もいろいろ聞きながら、ほかにどういう手だてがあるのかも含めて検討しながら、今後対応していきたいと思います。

階委員 通常の単発的な台風の被害であれば激甚災害という対応でよろしいのかもしれませんが、先ほど申し上げましたとおり、人間でいえば、瀕死の重傷を負って、五年たってようやく日常生活に戻れてきたところでまた大けがをした、こういうものであります。ですから、通常の台風の被害とは違う対応をぜひ考えていただきたいということで、今、資金繰りの手当てなどをされるということでしたけれども、ぜひ、現地からもいろいろなお話を聞いて、しかるべき対応をとっていただきたいということをまず申し上げます。

 その上で、きょうは、私ども民進党、それから野党にも一部共同で提出してもらっていますけれども、いわゆる復興推進四法案について取り上げさせていただきたいと思います。

 資料の一ページ目から四ページ目まで簡単な法案の説明をつけさせていただいておりますけれども、これは、時間がないので説明は省略させていただきますが、被災者生活再建支援金の上積みを図る法案、それから、災害弔慰金を支給する上で災害関連死を認定する、その基準を明確化する法案。そして、これから取り上げたいのは、被災地の土地、行方不明、権利者不存在、こういった事由によって被災地でのさまざまな事業が滞ってしまう、これを解消するための法案であります。それが三つ目、四つ目であります。

 そこで、まず、三つ目、四つ目の法案に関連して御質問をこれからしていきたいと思っておるんです。

 資料の五ページ目、私の方でつくったチャート図をごらんになっていただければと思います。津波跡地の類型ということでちょっとまとめさせていただきました。

 津波の跡地、防集でいえば移転元地ということになるわけですが、もともと私有地のものと、もともと公有地のものがあります。もともと私有地のものについては、買い取り対象になったものと、買い取り対象外となったものがあります。買い取り対象外のものは私有地、そのままでいいわけですが、買い取り対象となったもので問題なのは、買い取りがまだ未完了のものであります。

 この未完了のものについても三つぐらいの類型に分かれる。

 まず、買い取りの意向があるというものであります。

 このうち、権利者が確定していればいずれ買い取りが終わって公有地になる、これも問題は少ないかと思います。

 その次に、買い取り意向はあるけれども権利者が未確定。これはどういう場合かといいますと、まず、現地に事実上その物件を管理なり利用している人がいる、ただし、遺産分割協議等がなされていなくて共同相続人がたくさんいる、しかもその人たちは音信不通であったりして、いまだ誰が共同相続人として現存しているのかということがよくわからないような、つまり、権利者のうち少なくとも一人は現存して買い取りしてほしいという意向を示しているわけですけれども、その他複数の方がよくわからない状況になっている。こういうものについて、どうやって権利を確定していくかということなわけです。

 普通にやっていくとすれば、権利調査、戸籍を使って、さかのぼって家系図をちゃんと調べて、誰が共同相続人でいるかということを調べて、その共同相続人に連絡をとって、そして一堂に会して遺産分割協議をして誰が所有権者であるかということを確定する流れになるわけですけれども、相続登記とかがずっとなされておりませんと、大変膨大な関係者の数に上るわけです。実際にはなかなかそれは困難だということで、私たちの方でつくったものがこの資料の四枚目の法案であります。

 資料の四枚目は、東日本大震災からの復興の推進のための相続に係る移転促進区域内の土地等の処分の円滑化に関する法律案、大変長い法律名ですけれども、今申し上げたようなこういうケースにおいて、権利者のうち、現存している人はいいわけですけれども、行方不明の方を代表する形の不在者財産管理人、この方を、原則は不在者一人につき一名の管理人が必要なんですが、不在者複数名、五人でも十人であっても一人だけ選任して、現存する権利者の方と協議をしてまとまればどなたかが所有権者として買い取りの手続に進める、こういうものでございます。

 こういう法律が私は必要なのではないかと思っていますけれども、まずバックデータとして、政府参考人にお尋ねしますけれども、防集移転跡地で買い取り対象となった土地のうち、権利者の一部が不明のため買い取りがなされていない土地の箇所数とその比率についてお答えいただけますか。

樺島政府参考人 お答えいたします。

 防災集団移転促進事業の移転元におきまして未買い取りの土地は存在しておりますけれども、買い取っていない要因について調査したものがございませんで、復興庁として、お尋ねの箇所数、比率については把握をしていないところでございます。

 なお、定量的把握には及んでおりませんけれども、用地取得の加速のための措置を講ずるとともに、土地の買い取り時における課題については、復興庁としても、きめ細かく市町村の相談に応じているところでございます。

階委員 NHKの報道で今申し上げた数字が実は発表されていまして、買い取り希望があった登記上の土地約四万四千七百二十五カ所のうち、相続人の全員と連絡がとれないなどの理由で今も買い取りが進んでいない宅地が全体の一七%、何と七千五百九十二カ所に上るということであります。

 これはことしの一月十一日のニュースでございますから、今はまた数字はちょっと変わっているかもしれませんけれども、このニュースの数字が正しいとすると、先ほど私が申し上げた法案は早急に手当て、成立させなくてはいけないというふうに思うわけであります。このような報道ベースの数字ですけれども、復興庁が調べていないので反証、反論するすべもないんだと思うんですね。

 私は、NHK、政府が右と言ったら左と言うわけにはいかないという会長ももうやめられて、多分この数字も、しかるべきところで調査をして正しい数字が出ているんだと思っていますけれども、こうした数字を背景にすれば、先ほど私たちの方で出していると申し上げた法案について早急に成立させることを政府としても考えていくべきではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

今村国務大臣 この問題は、被災地の問題でももちろんあるわけですよ、今提起されているわけですけれども。そもそも論として、田舎に行くと結構、山林の私有地がよくわからないとか、いろいろな問題がやはりあることは確かなんですよ。そういったことを今後どうやって整理していくかということは、一般論としての課題でもあるというふうに思っております。

 そういう中で、復興事業のための用地確保についてでありますけれども、今言われたような問題点があることは承知もしておりますが、これまでも、土地収用制度とか財産管理制度の活用、そういったことを図って対応してきたところでありまして、例えば財産管理制度については、これは先生も御存じのとおり、弁護士会とかあるいは司法書士会の協力を得て、これは結構十分な数の財産管理人候補者を確保してきております。また、裁判所においてもできるだけ手続に要する期間を短縮する措置をとってもらっていること等々のいわゆる運用改善によって多くの事業で活用されて、成果を上げているというふうに思っております。

 まだまだ不十分かとは思いますが、それから先はなかなか、非常に個人の私有財産権の問題に入ってくる、その対応はどうするかということでありますので、復興庁だけでやれる話じゃないというふうにも思っておるところであります。

階委員 個人の私有財産の問題とはちょっと違うと思います。防集移転事業で、買い取り希望があったら公共で買い取るという公の事業があるわけです。そして、実際買い取り希望があるんだけれども、権利者の一部が不明であることによってそれが進んでいない、それは公にも影響が及ぶことであります。

 かつ、先ほど参考人の方から、実態を把握していないという答弁がありました。成果が上がっていると大臣はおっしゃいますけれども、成果が上がっているとは、先ほどのNHKの数字を見たら言えないと思いますよ。もし成果が上がっていると言うんだったら、数字で示してください。それがないと納得できません。私は、このNHKの数字は正しいものとして今認識しておりますが、反論したいのであれば、しっかりした数字をこの国会に出してください。大臣、いかがですか。

今村国務大臣 NHKさんがどういう根拠でそういう発表をされたのか私も承知はしておりませんが、我が方としても、いろいろな対応をしながら調査を進めてきたところであります。(階委員「だから、調査していないということですね」と呼ぶ)いやいや、それは、つかめていないところがあるということは事実でありますが、やってきたということだけはお認め願いたいと思います。

 ただ、先ほど、これはちょっと一般論と違うと言われますが、当然、一般論としては、こういった収用の制度をやる、あるいはこういった対応をする中でも、個々人の権利関係にやはりかかわってくるわけですよ。そういうところをどういうふうに整理するかということの議論があるから、だから復興庁だけでは対応できないんじゃないですかということをさっき申したつもりです。

階委員 復興庁はまさに、省庁横断的な問題を横串を刺して解決するためにわざわざ役所をつくっているわけですよ。縦割り行政みたいなことを復興庁が言うのは自己矛盾だと思います。

 時間がないので、次の質問に行きます。

 防集移転跡地で買い取り対象となった土地のうち、先ほどのチャート図をまたごらんになっていただければと思うんですが、チャート図でいいますと右側に「?」と書いておりますけれども、「?」の一番上のところは今の御議論のとおりです。そして、その下の「?」のところ、権利者が不存在、だから買い取り意向も当然不明なわけですけれども、この権利者が不存在というものについては、民法二百三十九条二項によれば国庫に帰属するということになっております。こういう理解でいいのかどうか、法務省にお尋ねします。

小川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のありました権利者が不存在ということが所有者のない土地を意味するのであれば、「所有者のない不動産は、国庫に帰属する。」と規定する民法第二百三十九条第二項によりまして、当該土地は国庫に帰属するものと考えられるところでございます。

階委員 国庫に帰属するということなんですが、実際、国で管理しているとは思えないわけですね。

 こういう土地について、仮に国庫に帰属したものでないということで扱われているとしますと、私有地でありますから固定資産税を徴求する、そういう話になるんですが、固定資産税を徴求しないで放置されているという実態があるんじゃないですか。総務省、お答えください。

冨樫大臣政務官 御承知のとおり、固定資産税は土地や家屋の所有者に課税されるものであるため、所有者が不明であれば税を課税することはできません。そのため、真の所有者を確定するため、市町村の現場では、日ごろより、所有者の特定に向けて、例えば死亡した方の住民票や戸籍をたどり相続人を調査するなどに取り組んでいるものであります。

 いずれにしても、そういう取り組みを進めながら進めているということを承知しております。

階委員 そこで、では復興庁にもお尋ねします。

 結局、法務省の見解によれば、権利者すなわち所有者が不存在のものは国庫に帰属すると。それで、固定資産税の徴求漏れがないようにやっているということでありましたけれども、固定資産税を徴求しない国庫に帰属したものについては、これは国が所有者であるということで、もし市町村がその土地を何らか復興事業に供したいと考えた場合は、市町村は国に相談すればいい、こういうことになるということでよろしいですか。

樺島政府参考人 お答えいたします。

 実例としてそのような事例があったということは聞いたことがございませんけれども、御相談があれば担当がしかるべく対応する、こういうことになるのではないかというふうに考えております。

階委員 それでは、このチャート図でいうと上から二つ目の「?」は、権利者不存在の場合は国に所有権が帰属するということで整理がついたというふうに理解したいと思います。

 そしてもう一つ、買い取り意向が不明、そして権利者も、先ほど言った、相続登記とかがなされていないなどの事情で不明の状況になっている場合。これも被災地では大変問題になったわけですけれども、こうした問題について、実は二年前に議員立法で法律をつくって、土地収用法の特例措置で緊急使用の期間を延ばしたりといったようなことをやりました。しかし、それではまだ不十分だった面もあると思います。

 そこで、私たちから出している法案、資料の三ページ目をごらんになってください。

 これは、通常の土地収用の手続でいうと、まず権利者を確定した後で権利取得裁決というものをやりまして各人別の損失補償額を確定して、明け渡し裁決を経てその補償金を支払うということで、結構な時間がかかるわけです。

 ところが、私どもは、権利調査をやっていると大変手間暇がかかるということで、その権利調査の前に手続中使用裁決ということをやって事業に取りかかれる、そしてその後に権利を確定して、もともとしかるべき金額を、事業に着手する前に補償金を預けておくわけですけれども、そのプールしていた補償金を権利が確定した後に各人に払う、こういったスキームを考えているわけです。

 こういう特例を設けて、権利者が不明の土地についても、津波跡地で市町村等が土地区画整理などの事業を行う場合に活用できるようにすべきではないかというふうに考えております。

 この点について、復興大臣の見解を伺いたいと思います。

今村国務大臣 今、御党でつくっておられる法案を御案内していただいたわけであります。

 これについては、先ほども言いましたように、いろいろな現状の認識の違いといいますか、あるいは浅い深いの違いもあるかもしれませんが、今我々が考えているのは、土地収用制度とか財産管理制度の活用を、先ほど言ったようにいろいろな形で加速化を図っているところでありますので、そういったことをもっとさらにうまく使えるということで対応できるのではないかというふうに思っております。

 また、先ほども言いましたように、この問題は復興の地域に対する特別措置ということもあるかもしれませんが、その根幹には個人の財産権の保障あるいは公益性とかそういったものもやはりあるということも頭に置きながら、こういったものには対応していかなきゃいけないんじゃないかなというふうに考えております。

階委員 参考人に聞きますけれども、こういった権利者が不明となっているものについては、そのまま放置されるということでいいんですか。権利者の全部が不明のものについては、買い取り意向があるかどうかも判明していないわけですけれども、これはそのまま放置されるという理解でよろしいんですか。

樺島政府参考人 お答えいたします。

 防災集団移転促進事業につきましては、強制ではございませんで、移転対象となる移転促進区域内の地権者の買い取りの御希望に応じて市町村が宅地等を買い取る制度となっております。

 このため、市町村としても、待ちの姿勢ではなく、権利の確定、なるべくそういったような努力は払うわけでございますけれども、仮に、地権者が全部不明、こういったような事情で買い取りの御希望が最終的にないような場合には、その土地については、買い取りに至らず、権利者が不明の状態が存続するということはあり得ると考えております。

階委員 先ほどもお聞きしたんですが、権利者不明の状況がずっと続くとなると固定資産税はどうなってしまうんだろうか、公平な徴収という意味で問題なのではないかと私は思っていますけれども、こうした不明状態が続くということは総務省としてどういうふうに考えられますでしょうか。総務省、もう一回お答えいただけますか。

冨樫大臣政務官 先ほどの繰り返しになりますけれども、真の所有者を確定するため、市町村の現場では、日ごろより、所有者の特定に向けて地道に調査などに取り組んでいるものと承知しています。

階委員 いやいや、地道に調査するといっても、先ほどの津波の跡地ですら不明の状態が続いているということでありまして、こういう状況が続いているということがまさに復興の足かせとなるわけですね。

 それで、要するに、整理しますと、チャート図で「?」を三つ書かせていただきました。上から二つ目のチャートは、権利者未確定で、長い時間をかけて調査して、いずれは公有地になり得るかな。そして、権利者不存在なのは国有地、権利者不明なのは放置。公有地か私有地か国有地か放置、こういう四つのパターンに分かれるわけですね。こういう、いわば津波の跡地がモザイク状になってしまうことが被災地の復興の妨げになるということなんですね。

 この問題というのは、冒頭で大臣もおっしゃられました、これは被災地だけの問題じゃないかもしれません。これからどんどん所有者不明あるいは所有者が不存在、こうした土地が全国津々浦々、特に土地の資産価値が低い地方部ではそういう傾向が強まると思うんですね。

 ぜひ皆様にごらんいただきたいのは、この問題について大変しっかりとしたまとめをされていた資料を私は拝見しまして感銘を受けたので、きょうは資料の六ページ目につけております。「土地の「所有者不明化」問題の全体像」という表題がついておりますが、東京財団の吉原さんという研究者の方がまとめられたことです。

 土地の所有者不明化拡大の要因として、硬直化した制度。すなわち、これはX1というところに書いていますが、国土情報基盤の不備、不動産登記制度など各種台帳の課題、地籍調査のおくれ、それからルールの未整備、すなわち売買規制、利用規制、こういったものがまずあると。

 それから、X2として社会の変化。それは、下に書いてありますとおり人口減少。それは土地需要の減少であるとか資産価値の低下とか土地への無関心、こういったものにつながってくると。それから、高齢化、相続が増加し、管理者が不足してくる。また、不在地主の増加ということで、土地の所有者が別なところに住んでいる、これも所有者不明の原因となっているということであります。

 それから、こうした制度の問題、社会の変化の問題があるわけですけれども、解決の先送りがされてしまっているということがあります。X3のところに書いていますけれども、基礎情報の欠如、財産権の問題、複数省庁、責任の所在が不明瞭、費用対効果の問題といったことで、きょうの答弁でもややこのX3の問題があらわになってきたかと思うのですが、まさにこうした問題が土地の所有者不明化を拡大して、これは、被災地だけではなくて、全国津々浦々に波及する問題になり得るということであります。

 復興大臣、これは復興庁の所管に必ずしもとどまらないかもしれませんが、被災地の復興を日本全体の再生につなげるということがこれからの復興のあるべき姿だと私は思っています。津波の跡地をモデルケースにして、権利者不明ないし不存在の土地が放置され続けないようにするための法制度をぜひ速やかに考えるべきだと考えます。大臣の御見解をお願いします。

今村国務大臣 まさにいろいろなモデルが、モザイク状と言われましたけれども、パターンが、事情があると思うんですね。だから、そういったものをよくまた分析しながら、まさにこれは被災地だけにとどまらない課題になっていくと思いますので、しっかり取り組んで勉強してみたいと思います。

 以上です。

階委員 調査をし勉強する、これは本当に喫緊の課題だと思いますのでぜひやっていただきたいのですが、その参考として、資料の七ページ目、同じ吉原さんの調べた結果なんですけれども、全国千七百十八の自治体にアンケートをとって、八百八十八の自治体から回答が得られたというアンケートの結果です。

 死亡者課税がふえる、もしくはどちらかといえばふえると思う理由ということですが、そもそも死亡者課税について若干説明をしますと、死亡者課税というのは、相続があったのだけれども登記がなされないまま放置されていた、このときに、実務上は、その方が亡くなっているということが判明していれば死亡者にではなくてその相続人に固定資産税の徴収の連絡が行くということになるんですが、それを知り得ない。これは地元の人じゃないと、不在地主の場合だったりすると、地主さんが生きているか死んでいるかというのは地元の役場、役所ではわからないんですね。そうすると、死亡者にそのまま納税通知が届き続ける。

 もういませんよということでこれが返送されてくれば亡くなったなというのはそこでわかるんですけれども、奇特な相続人とかが、不在地主なんだけれどもたまたまその郵便が届いたのでかわりに黙って払い続けていた、こういう場合がまず死亡者課税の一類型です。それから、先ほど申し上げました、亡くなったことはわかっているんだけれどもまだ相続の未登記のままなので、便宜上相続人の一部の人に払ってもらっている、こういったものも死亡者課税の一類型です。

 いずれにしても、課税の態様としては本来の姿からちょっと外れているわけですね。

 この死亡者課税がふえるか、あるいはどちらかといえばふえると思う理由ということが七ページ目に書かれてありますけれども、その理由として一番多いのが、相続の未登記は減らないというところです。それから、自治体外在住者の死亡把握が困難、私が今申し上げたようなことであります。それから、相続人調査の困難化。吉原さんの方で三つ色をつけていただいたのは、これは制度として何か打つ手があるんじゃないかということで色をつけたものであります。

 ですから、こういうデータも参考にしながら、例えば相続登記について登録手数料を減らしていくとか、法務局からきちんと連絡をして、あるいは啓蒙するとか、あるいは自治体外で亡くなった方の情報が登記所に行ってそこから地元の役場に届く、そういうシステムをつくったりとか、相続人調査についてもより簡便な方法はないかどうかということを考えていく。

 あとは、そもそも財務省は、土地の現物を寄附するということについてはなかなか受け付けてくれないのが、過去の通達に基づく運用のようです。ただし、今後、行き場のない土地がふえてくるという中では、例えば死因贈与というのを活用することによって、私は身寄りがないので亡くなったらこの土地は市町村に寄附しますといったようなことも認めてあげて、それで行き場のない土地をなくしていく、こういったことを考えていくべきではないか。

 ぜひ、津波跡地をモデルにして、大臣、こういったことを全省庁にハッパをかけて進めていってもらえませんでしょうか。

今村国務大臣 先ほども言いましたように、これはあちこちにある問題ですから、これを一つの契機として、これからどうするんだという問題解決のスタートにしていきたいと思います。

階委員 そろそろ時間で、終わりますが、法案の一つ目、二つ目、これはもう前から何度も言っています。被災者生活再建支援金の上乗せの問題、それから災害弔慰金、災害関連死の認定をきちんとやって払うべき人に払う、こういったことについてもぜひ成立させていきたいと思いますので、委員皆様の御賛同を切にお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、菅家一郎君。

菅家委員 自民党の菅家一郎です。質問の機会を与えていただきまして、厚く御礼を申し上げます。

 さて、東日本大震災から五年を経過したわけでありますが、今でも風評被害は大変深刻であります。

 その要因を振り返って考えてみますと、あの原発事故後、旧政権ではありますけれども、まず、福島県内の農林水産物のモニタリング調査をされたわけであります。品目はホウレンソウですね。ホウレンソウが一番放射性物質が吸収されるということでありますから、これを実施された。

 当時は暫定規制値、これは三月十七日に設定されて、それ以降だと思うんですが、この福島県内の農林水産物、ホウレンソウをモニタリングした。しかし、きめ細かな調査ではないんですね。限られたポイントで調査される。会津地域におけるサンプリングはないんですね。その結果が、五百ベクレルを超えたということになったんですね。

 しかし、対応が問題ですね。このホウレンソウが出荷並びに摂取制限だというならわかるんですけれども、福島県内にある全ての農林水産物を、ホウレンソウ以外もそうですよ、対象にしたわけですね。福島県の農林水産物はだめですよ、これで実はやはりみんな大変ダメージを受けたわけですね。これを知った国民は、福島県の農林水産物はだめになったというふうに受けとめるんじゃないですか。

 それで、会津でも、これはモニタリングしていないわけですから、モニタリング調査を実施したわけです。当時の五百ベクレル、全てが範囲内だったんですね。ああ、よかったと。だけれども、一方的に福島県のものはだめですと出された後に、いや、ここは大丈夫ですと言っても、ダメージを受けるのは当然じゃないですか。

 だけれども、我々はやはり実際の規制値以下だというものを証明しなくちゃならない。マスコミを呼んで安全宣言もしたんですよ。会津地域の農林水産物は安全ですよというふうにしたんですが、やはりそういうスタートから始まっていますから、大変なる風評被害が発生したということですね。これも私は要因の一つかなと今でも思っているんです。福島県産品はだめだという不安ですね。

 次は、実は食品中の放射性物質の基準値の設定にあるのではないかと思うんです。

 資料一を見ていただきたいと思うんですが、当初は暫定規制値五百ベクレル、これが、新基準値は百ベクレルに実は見直しをされたわけであります。放射性物質を含む食品からの被曝線量の上限を年間五ミリシーベルトから年間一ミリシーベルトに引き下げたことを踏まえた規制値、新基準値が示されたわけであります。

 資料二をごらんになっていただきますと、これは世界との比較で、皆さん御承知のとおり、一般食品を例にとれば、日本は百ベクレル、コーデックスは一千ベクレル、EUは一千二百五十ベクレル、米国は全ての食品が一千二百ベクレルなんですね、世界の基準が。日本は十分の一じゃないですか。

 ですから、いわゆる当初の暫定基準値の五百であっても、世界の基準からすると半分か半分以下ですから、全く問題のない数値であった、私はそう思っているんです。平成二十三年四月四日の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会の食品中の放射性物質に関する当面の所見というのがあるんですが、これでも、現状においてはこの暫定規制値を維持すべきものと考える、このように言っているんですね。

 しかし、この新基準値を見直すに当たりまして、資料三をごらんになっていただきたいと思うんですが、ここで、モニタリング検査から得られている実測値や流通食品に輸入食品が多く含まれる実態から、流通する食品の汚染割合を、一般食品については五〇%であると仮定したということが述べられているんですね。

 これは、日本の自給率が四五%ということを踏まえますと、国内の農林水産物は残りですから、全てが汚染されているということを前提。これはあり得ないですよね。国内で生産された農林水産物は全て汚染されているんだという前提で五〇%にしているわけですね。これはあり得ない前提で、とんでもなく厳しい計算式で基準値を示しているとしか言いようがありません。あり得ないと思っている。これが百ベクレルになった根拠になるんですね。

 平成二十四年四月三日の参議院予算委員会で、山田俊男議員の質問に、旧政権、民主党政権の当時の小宮山洋子大臣は、放射線の線量が低下している現状の中から、この基準、つまり新基準ですね、百ベクレルでやってもほとんどの農作物には影響がないという中でこういう基準を安全プラス安心ということでつくらせていただいた、このように答弁しているんですね。

 こういう認識なんですが、実は、先ほど申し上げた、ホウレンソウでやられた暫定規制値、だから地元でもモニタリングをやろうということで、当然、会津でも農林水産物のモニタリング調査を独自に実施したわけです。当然これはホウレンソウも入っているんですけれども、しかし、全てが五百ベクレル以下だったんです。これで、やはりマスコミを呼んで安全宣言をしたんですよ、ああ、よかったと、みんなほっとして。

 だけれども、事前にだめだと言われていますから、風評被害の中での戦いなんですね。戦ってきた。だけれども、それでみんなで頑張ろうと思っていた。しかし、新基準値百ベクレル、先ほど申し上げたような見直しをされた。これによって、やはりもう一回モニタリング調査が実施されるわけですね。

 会津地域においては、福島県もそうですけれども、大事な食品は何とか免れた食品もあるんですけれども、しかし、キノコとか山菜とか、川魚は例えばワカサギなんか、今までは大丈夫だったのがだめ。イワナとかヤマメなんかだめだめ、山菜もだめというのが新聞に載るんですよ、見出しで。何々が基準値を超えました、出荷並びに摂取制限ですと書かれるんですよ。これが出されれば出されるほど当然ながらダメージを受け、風評被害に実はつながってきた。まさに認識が全く違っていたのではないか。

 このような状況が、ある意味では現在の風評被害につながっている要因だと私は思うんです。そして、それが農産物の膨大な損害賠償につながったというのは、このような対応によって引き起こされたものであると私は指摘をしておきたい、このように思うわけであります。非常に残念だったというふうに思うわけであります。

 そのような御指摘をさせていただいて、質問をさせていただきたいと思います。

 まず、第一原発事故で福島県から自主避難した生徒へのいじめですね。これもいわゆる風評被害の一つだと思うんですね。

 ここで私が気になるのは、横浜、新潟もそうなんですけれども、避難児童が名前に菌をつけて呼ばれた。複数の児童からいじめを受けて不登校になった。ただ、子供たちだけではなく先生もいじめていたというのに実は私は大変なショックを受けたんですね。

 いわゆる新基準によって世界一安全だ、そして、資料四で見ていただけますように、環境放射線量も、これは世界の比較ですね、ソウルとか台北あるいはシンガポールなどと比べますと、福島県内のモニタリングの調査で、同じか低いわけですね。

 だから、福島県が不安だといったって、このような世界的なデータをしっかりと伝えてあるのか、あるいは、資料一のような全く問題のない安全な基準値で取り組んでいるんだ、世界の比較もそうですね、こういったものが伝わっていないのではないか、これは大きな問題だと私は思うんですよ。

 ですから、避難児童が通っている学校ぐらいは優先して、やはり教職員ですよ。子供、子供もいいけれども、先生がいじめているわけですから。やはり教職員、先生方のセミナーとか研修会とかそういったものをして、実際の今の安全対策であったり放射線対策であったり、食品も含めた環境放射線量、この辺の資料ぐらいはしっかりと研修してまず先生方に伝えるべきではないか、このように思いますとともに、当然、やはり児童、子供たちにも放射線教育、こういったことに取り組んでいることをしっかりと教育すべきだ、このように思いますが、いかがでしょうか。

樋口大臣政務官 先生御指摘をいただきました点につきまして、特に放射線教育の点についてお答えをさせていただきたいというふうに思います。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故以来、放射線が健康に与える影響等について関心が高い中、学校教育においても放射線について科学的な知識を児童生徒に教えていくことは極めて重要でございます。

 現行学習指導要領においては、中学校理科では放射線の性質と利用について、高等学校物理基礎では放射線の利用とその安全性の問題について指導することとしておりまして、発達段階に応じた放射線についての教育を行っております。

 また、平成二十六年三月には、放射線についての副読本を千二百万部作成、配付し、現在、ホームページにおいて公開して活用しているところでございます。

 児童生徒に放射線の知識を身につけさせるため、また理解させるためには、指導する教員自身が放射線について科学的に理解をし、適切に指導できる力を身につけていくことが先生御指摘のとおり重要でございます。そのため、平成二十五年度より、教職員等を対象とした放射線の教育に関する研修等を実施しております。

 これらの取り組みを通じまして、資料も先生の御指摘のとおり充実をさせていき、児童生徒が放射線についての科学的な知識を持ち、科学的に考え行動できるように、放射線に関する教育の充実に努めてまいります。

菅家委員 ぜひ、被災者が避難しているというのは大体データでわかると思いますから、そこは、今申し上げたようなセミナーとか研修とか教育に力を入れていただきたい。こういったものを繰り返さない、そういったことでお願いしたいと思います。

 次に、我が国の農林水産物への風評被害は、国内だけではなくて、海外においてもやはりいまだに輸入制限している国がたくさんある。これは努力されてどんどん少なくなっているのは高く評価を申し上げますが、まだ一部だめですね、輸入制限、していない国がありますから。

 やはり、どうやって風評被害を払拭したり、安全、安心を確実なものにするにはどうしたらいいかといろいろ考えているんですが、JGAPの認証制度あるいは日本版SOPEXA、こういったものを政府としては前向きに今取り組んでいきたいというのは、私は非常に期待しているんですね。

 そういうものを通して、輸出の窓があいたところにはやはり被災地の農林水産物を、全て安全をクリアしたものでありますから、そういったものを連携しながら認証してSOPEXAで販売するというような、こういったことに私は非常に期待をしていきたいと思いますので、これらの政府としての取り組みについてお考えをお示しいただきたいと思います。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 まず、現在流通している福島県の産品は、全く問題なく安全であるというふうに私どもとしては認識をしております。したがって、福島県内の農林水産品の生産者の皆様方は、ぜひ前向きに輸出の拡大に向けて取り組んでいただきたいと思っております。

 先生御指摘のとおり、農産物の輸出促進に向けては、JGAP等々の国際水準のGAPの取得を促進することは極めて重要でございまして、農林水産省といたしましては、生産者の皆さんによる認証取得に要する費用の支援などに取り組んでいるところでございます。福島県の生産者の皆様方にこのような取り組みを活用していただきたいというふうに思います。

 また、今般策定をいたしました農業競争力強化プログラムにおきまして、福島県産を含む日本産農林水産物、食品のブランディングやプロモーション、あるいは輸出事業者へのサポートを強化するため、農林水産物、食品の輸出機能に特化した組織を創設することとなったところでございます。

 こうした取り組みを政府として推進することによって、福島県産品を初め日本産品の安全性や品質の高さについてアピールし、さらなる輸出拡大を図ってまいりたいというふうに考えております。

 なお、先生御指摘ございました福島県産を含む我が国の農林水産物、食品に対する放射性物質に関する諸外国の輸入規制については、これまでも政府一丸となって撤廃、緩和を求めてきたところでございますが、引き続き、あらゆる機会を捉えて、科学的根拠に基づき、輸入規制の撤廃、緩和が進むよう、粘り強く働きかけを行ってまいる所存でございます。

菅家委員 ぜひ、期待してまいりたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 さて、復興庁設置法では、平成三十三年三月三十一日までに廃止するものとなっているわけであります。あと四、五年あるわけですが、被災地の町村長さんの声をお聞きしますと、平成三十三年で復興庁を廃止せずに継続してほしいし、東日本大震災復興特別会計もしっかり堅持して福島再生加速化交付金等を継続してほしいという強い危機感と要望が寄せられているわけであります。

 五年たったからとか十年たったからではなくて、やはり福島第一原発事故を完全にブロックして安定し、まず国民の信頼を得ることが重要であり、また被災地の確実な復興を優先すべきでありまして、復興庁はそれを達成するまで必要と考えるわけであります。

 復興庁の継続について今から検討を進めるべき、このように思いますが、お考えをお示しいただきたいと思います。

橘副大臣 菅家議員にお答え申し上げます。

 復興庁の今後の組織のあり方につきまして、現時点では、政府として具体的な検討はしていない状況にあります。

 現状、被災地の復興につきましては、高台移転や災害公営住宅などの住まいの復興、また産業、なりわいの再生など、被災者の生活再建を一歩ずつ着実に進めているところであります。

 他方、被災者の心の復興や福島の原子力災害被災地域を中心とした生活の再建、産業、なりわいの再生、東北の観光復興に向けた取り組み、帰還困難区域の扱い等、全力で取り組むべき課題は山積しているという認識も持っております。一つ一つ各分野で実績を積み上げてまいりたいと思っております。

 もちろん、復興庁の設置期間は平成三十二年度末までとなっておりますので、そしてまた国として復興は最後の最後までやり遂げるという決意で臨んでいるところでもありますので、被災地の復興の進捗状況等を踏まえ、今後、適切な時期に以降のこともにらんだ議論をしていかなければいけないという認識で過ごしているところであります。

菅家委員 時間が来たわけでありますけれども、やはり、国が取り組んでいる放射線対応であったり、農作物の風評被害の払拭等に一生懸命取り組んでいる、私の示した資料も、これが国民に伝わっていないのではないか、だから誤解しているのではないか、このように思うんですね。

 一般の国民の方がわかりやすい示し方が重要だと思いますから、例えばテレビを使ったり、あるいはアニメにしたり漫画にしたり、やはりわかりやすい情報の提供といいますか、そういったものにも意を用いて対応していただきますようお願い申し上げて、時間になりましたので、これで終わらせていただきます。

 まことにありがとうございました。

吉野委員長 次に、高木美智代さん。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 震災から間もなく五年九カ月を迎えるわけでございまして、私も先般、視察に参加をさせていただいて、人の動きが徐々に感じられるようになってきた反面、まだまだこれからだという、その決意を新たにしてきた次第でございます。

 きょうは二十分という限られた時間ですので、簡潔に質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど来多くの質問がございましたが、避難児童へのいじめ問題でございます。

 先般、横浜市に自主避難している中学一年生の男子生徒が学校でいじめを受けていたことを告白する手記が報道されました。また、新潟におきましては、名前に菌をつけて呼ばれていたことなど、全国におけるいじめのさまざまな状況が浮かび上がってきております。それは、子供のみならず、大人に対するものも同様かと思っております。私は、これまで福島に通い続けてきた一人として大変強いショックを受けました。生徒やまた保護者の思いを考えますと、本当に胸が潰れる思いでございます。

 まず、文科省の認識と対応を伺います。

樋口大臣政務官 横浜市に転入をした児童がいじめを受けていたにもかかわらず、学校や教育委員会が適切に対応していなかったことについては、極めて遺憾でございます。

 文科省といたしましては、先般、義家副大臣を横浜市に派遣し、原子力発電所事故の被災児童生徒に対するケアを注意深く行うこと、重大事態として対応しなかった判断の過程を検証するとともに、改めて重大事態への対処について周知徹底を図ること、そして学校内や教育委員会の組織的な対応について、法令に基づく対応が適切にとられているか確認と体制の見直しを行うことなどを指導したところでございます。

 横浜市教育委員会におきましても、今後、本事案について検証を行う予定と承知をしておりまして、文部科学省としましても、市の要請に応えまして、職員を派遣し、いじめ防止対策の改善や被害生徒の今後のケアについてきめ細やかな指導助言また支援を行っていきたいと思っております。

高木(美)委員 私は、これについて二つ対応していく必要があると思います。その原因としても、一つは、教員を含めた、児童たちの背後にいる大人たちの放射線に対する正しい知識の不足と、あと当事者意識のなさ、思いやりのなさであると思います。またもう一つは、心のケアの継続がいかに今後重要か。この二点が必要かと思っております。

 まず最初の方ですが、根拠のない思い込みや偏見で差別することは人権侵害でありまして、福島の方たちがこれまで使っていらっしゃった電力は東北電力のものであって、福島第一原発の電力は横浜市を初め首都圏の我々に供給するためのものであったということを忘れないようにしなければいけないと思います。むしろ、自分たちのかわりになってくださっている、そういう思いをやはり首都圏の一人一人が共有すべきだと私は考えております。そういう保護者への働きかけも含めまして、学校は、また政府はさらに努力をしていただきたいと思います。

 風評被害防止のために、放射線に関する正しい知識の普及啓発が継続的に行われることが重要だと思います。学校現場での放射線教育について、私も副読本の作成、配付などを提案させていただいてまいりましたが、放射線教育の現状について簡潔に答弁を求めます。

樋口大臣政務官 放射線教育の現状につきまして、学習指導要領において、中学校理科では放射線の性質と利用について、高等学校の物理基礎では放射線の利用とその安全性の問題について指導することとしておりまして、発達段階に応じた放射線についての教育を行っておるところでございます。

 また、今御指摘のように、平成二十六年三月には、放射線についての科学的な知識の理解を助けるための放射線副読本を、小学校用と中高用の二種類作成、配付いたしたところでございまして、現在もホームページにおいて公開し、その活用を促しているところでございます。また、教員の皆様への研修も行っているところでございます。

 これらの取り組みを通じまして児童生徒が放射線についての科学的な知識を持ち、科学的に考え行動することができるよう、放射線に関する教育の充実に努めてまいりたいと思います。

高木(美)委員 できれば、この副読本、時々、例えば何年に一度とか工夫していただきながら配付していただきたいと思います。

 また一方で、教員の方が勉強してそれを指導するというのは、なかなか難儀なこともあろうかと思います。むしろ、DVDとか、またホームページにアクセスをしてそのまま教室で鑑賞できるような、そうした教育番組といいますか、資料を作成してはどうかと思います。

 お話がありましたように、それぞれの成長段階に応じてわかりやすく、しかも教員も一緒にそれを見て勉強できる、こうした身近さというものがやはり大事ではないかと思いますが、対応はいかがでしょうか。

樋口大臣政務官 副読本については大変な御支援をいただいて、ありがたく存じております。既にホームページに掲載をし、その活用を促しているところでございます。

 また、平成二十七年の三月には、副読本の効果的な活用のための参考となるように、モデル授業動画や副読本の解説、参考資料などを掲載した教員向けのDVDを作成し、全国の教育委員会や小中高等学校等に配付しているところでございます。

 今先生から御指摘がありました、わかりやすいDVDや、アクセスのできる、そのまま使える教材については、今後とも、児童生徒が放射線について科学的な知識を持ち、科学的に考え行動することができるように、こういったものを、御指摘のように放射線教育の充実が図られるためにどのような工夫、改善ができるかについて前向きに検討してまいりたいと思います。

高木(美)委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 こうした放射線学習について、全国におけるセンターの役割を果たす施設が必要ではないかと考えます。例えば、子供たちの修学旅行、教育旅行、また国民が、もっと知りたいという人が訪れることによって普及啓発につながる中心拠点でございます。恐らく、今全国の中で唯一ある施設は、福島県が福島の子供たちのためにつくった環境創造センター、三春町にありますが、ここではないかと思います。

 研究棟また本館につきましては、JAEAまた国立環境研究所と連携をしたり、そこが入っているというところですが、ここに交流棟というのがありまして、コミュタン福島という名前になっておりますが、そこで子供たちが展示や体験スペースを鑑賞しながら放射線や環境を学び、自分で判断する力を養っていく、また福島県の現状がどうなっているのかを知ることができる、そうした福島県の子供たちを主に対象としたものですが、福島県の方たちの思いは、むしろ、全国の人たちに来て知っていただきたい、そのことでございます。

 その意味では、私は、国がバックアップをしてこのセンターを強化拡充してはどうかと思います。あわせて、こうしたところがあるんだということを広く周知徹底していく、広報活動にも努めていただきたいと思いますが、文科省と環境省の対応を求めたいと思います。

樋口大臣政務官 高木先生御指摘の環境創造センターにつきましては、放射線に関する正確な情報や復興への取り組みを伝える施設というふうに認識をしておりまして、同センターを修学旅行の訪問先に位置づけ、子供たちが放射線に関する科学的な知識を学ぶ機会を得ることは大変有意義なことであるというふうに考えております。

 同センターは、福島県が作成をしている教育旅行に関するパンフレットに取り上げられており、モデルコースの一つにも位置づけられており、文部科学省といたしましても、全国の各学校が修学旅行の行き先等を検討する際の参考となるように、さまざまな場を通じて積極的に当該パンフレットの周知に努めているところでございます。今後とも引き続き行ってまいりたいと思います。

正田政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省では、文部科学省とともに福島県に福島県原子力災害等復興基金を設置し、御指摘のございました福島県環境創造センターの整備、運営を支援しております。

 また、平成二十八年四月一日には同センター内の研究棟に国立環境研究所福島支部を開設し、被災地の環境回復と環境創生に向けた災害環境研究に取り組んでおります。

 これらの研究成果につきまして、同センターに入居しております福島県、日本原子力研究開発機構と連携し、センター内の交流棟で行われます体験学習やセミナーなどの取り組みに活用することなどを通じて、放射線に対する正しい理解が進むよう、放射線学習の実施に協力をしております。

 引き続き、福島県等と連携し、同センターによる放射線学習に協力してまいります。

高木(美)委員 さらに強化をお願いしたいと思います。

 大体、こういうふうに各省庁をまたがるものはなかなか進まない。伺えばいい答弁をいただくのですが、現実がなかなか進まない、予算がつきにくいということがあります。ちょうど復興大臣がいらっしゃいますので、ここはやはり大臣にぜひとも旗を振っていただきまして、文科、環境、それぞれの省を取りまとめていただきながら、また、ぜひ一度、環境創造センター、まだでしたら大臣にもお運びをいただきたいと思っておりますが。行かれました。大臣、それでは、簡潔に一言御答弁いただけますでしょうか。

今村国務大臣 先ほども答弁いたしましたけれども、やはり放射能に対する理解というものをもっと徹底する必要があるねということをつくづく感じます。そういう意味では、今言われた三春のですね、私も行って大変勉強になりました。ですから、もっともっとこれをアピールして、いろいろな意味で、そこに人を呼び寄せるぐらいの大きな発展をしていくように、いろいろな形で我々復興庁としても全力を挙げていきたいと思います。

高木(美)委員 どうぞよろしくお願いいたします。

 もう一つのことでございますが、やはり心のケア、自主避難を含めまして、福島の子供たちへの心のケアを継続しなければならないと思います。

 子供の心のケアにつきましては、文科省で、緊急スクールカウンセラー等派遣事業であるとか、さまざまな形で実施をしていただいております。また、NPO関係者やソーシャルワーカー等が行っているということも承知しておりますし、私も後押しをさせていただいております。

 ただ、大人が受けるストレス、避難解除とあわせて、人生の選択を迫られる、幾つもの階段を上らなければいけない、こういう大人のストレスを子供はそのまま受け取る傾向があるということは多くの支援専門家が指摘をするところでございます。また一方で、大人につきましても、自主避難先での孤立であるとか、また、私も直接伺いましたが、私が東電で働いていることはないしょにしてくださいという何とも言えない心情、そうしたことに対応する必要があるのではないかと思います。

 この心のケアへの支援につきましては、まさに心の復興と関連が深いものがありまして、福島の復興が終了するまで十分な予算と人材を確保して継続すべきであると考えます。

 大臣が記者会見でもおっしゃっていらっしゃいましたが、今、福島特措法の改正を検討中であるというふうに伺いましたが、心のケアにつきましても、これから長い作業が必要でございまして、その事業の継続性を確保する意味からも、私は法律に明記すべきではないかということを申し上げたいと思います。復興庁の答弁を求めます。

長沢副大臣 東日本大震災から間もなく五年九カ月を迎えようとしております。避難生活が長期化すればするほど子供の心身の負担は大きくなりますので、適切なケアを図るということが大変重要だということは私たちも強く認識をしているところでございます。

 御指摘いただいたような取り組みのほかに、復興庁では、例えば被災した子どもの健康・生活対策等総合支援事業、これは子供の心の相談会、それから保健師が子供さんのいる御家庭を訪問して相談に乗る、こういうような事業を行っております。

 また、子供に特化せず大人ということも含めて、被災者の心のケア支援事業というのも行っておりまして、これは心の悩みに対する相談や訪問支援、あるいはケアにかかわる専門家の人材育成、こういったことに取り組んでおりまして、これからも、こういう心のケアは今特に大事になっているというふうに思っておりますので、しっかり取り組んでいきたいと思います。

 なお、福島特措法改正に係る御要望については、大事な御意見として承りました。

高木(美)委員 そこで、提案をさせていただきたいのですが、阪神・淡路大震災のときは、こころのケアセンターを兵庫県がつくりました。地域の保健師さんたちを中心にしながら、さまざまな関係者と連携をしながら、今の段階は何が必要かという分析を行いながらトータルで推進をしたと聞いております。これも我が国初めての事業でございまして、諸外国の例を参考にしたと聞いております。

 今、心のケア、それぞれに文科もあり、厚労もあり、また復興庁もそのような事業を展開してくださっており、内閣府は自殺対策を展開されているといういわばばらばらの状況もあります。また、さまざまな支援者の人たちが、専門家がいろいろな資金を確保しながら、時には財団が行うもの、また企業が展開をするもの、そうした資金をもとに実態調査また活動展開もされているのですが、それも全部ばらばらという状況があります。したがって、それがなかなか集約されていかない。今の段階、どういうことが必要なのか。しかも、単なる震災からの復興というだけではなく、ここは放射線への知識普及をどうするかという、ここへのまた偏見との戦いというのもあるわけでございます。

 私は、その意味から、阪神・淡路のときに行ったこころのケアセンターというような、やはりそうしたばらばらなものをもう一回集めて総合的に進めていく必要があるのではないか、また、そうした人材育成も含めた対応が必要ではないかと思いますが、これは文科と厚労、そしてさらには大臣の御答弁をいただきたいと思います。

堀江政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御案内のように、厚生労働省で被災三県に心のケアセンターを設置してございます。

 実績を見ていきますと、今、県内の話でございますけれども、三県合わせて、相談支援件数、面談のみのものでございまして、電話とかは別でございますけれども、二十四年度から比べて減っていない。毎年二万件のものがある。福島の方は少し減ってはおるのですけれども、やはり、福島の方でお聞きしてみると、仮設とかいうところでは減ってきているものの、御自宅に訪問させていただいて相談を受ける、内容としては健康面、居住環境の変化、家族関係などがございましてというようなことで、これについては来年度の方もしっかり予算要求しているところでございます。

 また、県外の方でございますけれども、福島県の方は県外にいらっしゃる方が多くて、そういう意味では、避難先が県外の方には、特にいつまでそこにいるのかわからないという前提での、地域環境になじみにくい、それから家族の中での意見がいろいろ食い違いが大きくなってきている、こういうような話もございまして、県外の避難者の方の心の悩みに関する部分も、しっかり、十の都道府県にお願いをいたしまして、心理士会ですとか精神保健福祉協会とかにお願いして、対応しているということでございます。

 御提案の部分につきましては、またよく政府内で検討させていただければと思います。

樋口大臣政務官 まず、児童生徒の心のケアにつきましては、中長期的に継続して取り組むことが重要だ、このように思っております。

 続きまして、人材育成でございますが、文部科学省におきましては、毎年、各教育委員会の教育相談の担当者を招致して連絡協議会を開催しているところでございます。そして、その結果を各教育委員会においても反映していくということであります。

 文部科学省といたしまして、引き続き、スクールカウンセラーの質、量両面における拡充を、そして、復興庁、厚労省さん、他の省庁としっかり連携をして行ってまいりたいと思っております。

今村国務大臣 震災以来五年たって、いろいろな問題に個別に対応してきたところであります。それはそれでよかったと思うんですけれども、ここに来て、ある意味では、そういうやってきたことをもう一回総括して、一緒にやってやるとか、そういった取り組みのあり方を見直す時期に来ているんじゃないかなという気もしております。できるだけそういったものを統合して、また力を発揮できるということで考えていきたいと思います。

高木(美)委員 今、大臣の御答弁、大変重要な点であると思っております。今まで、最初から何となく進めてきましたけれども、福島特措法の改正も含めまして、ここでもう一回検証していただいて、きょうは済みません、経産省、鍜治審議官、お越しいただいて時間がなくなって恐縮ですが、企業立地補助金の使い勝手とか、また避難解除区域、そこのところも、そこの区域の中でなければ新しい補助は受けられない、特典は受けられないとか、本当にいろいろ使い勝手が悪いところも多くあります。そうしたところをもう一度検証していただきながら、特に心のケアのところはしっかりと取り組んでいただきたいと思いますし、先般、内堀知事から御要請があった点につきましては、私ども、視察でも全く問題意識を共有しておりますので、法改正実現に向けましてしっかりと盛り込んでいただきたいことをお願いいたしまして、終わります。

 大変にありがとうございました。

吉野委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本日は、東電の山口副社長にお越しをいただいております。よろしくお願いをいたします。

 資料の一枚目ですけれども、十二月六日付の福島民報です。

 これは、見出しが「第一原発 人為ミス 冷却一時停止」と書いてあります。これが一番大きい見出し。三号機原子炉燃料デブリの注水が停止したという見出し。左側に行きますと、「二、三号機使用済み核燃料プール 六時間半停止」とあります。これはてっきり一つの出来事かと思ったわけですね。ところが、連続して起こった二つのトラブルであるということです。

 資料の二枚目に、東電のプレスリリースを、これは上と下、違うことであります、つけておきました。

 上は四日に起こったこと、使用済み燃料プールの循環冷却二次系設備停止。これは何号機と書いてありません。それは共用プールだからだと思っております。十二月四日の二十二時四十分に、プールの二次系A系で吸い込み圧力低の警報が発生をした。これでわかったことになっているんですけれども、書いてはいませんけれども、パトロールをしていた東電の社員が過って弁に触れた可能性が高い。つまり、これは、本人に自分が触れたという自覚がなかったと聞いております。

 十二月五日、これは下の方ですが、協力会社の社員がよろめいて肘を三号機のタンクの注水ポンプのスイッチにぶつけて、カバーが破損した。この写真も記事の中に載っているわけですが、これは一時間で注水を再開したというものの、燃料デブリを冷やす機能であり、極めて重要なところではないかと思います。

 これは上と下でつなげて見てしまいますと、使用済み燃料プールの冷却を再開してからわずか五時間で次のトラブルが起きております。ですから、一つは燃料プール、もう一つは燃料デブリと違うわけですが、共用であること、どちらも冷却という最も重要な機能であること、そしてどちらもヒューマンエラーであるということ、これが鍵になると思います。

 記事にあるように、福島県も同日に強く再発防止策を申し入れておりますし、周辺自治体の首長さんも一様に懸念を表明しております。

 まず伺いたいのは、思いがけないところから過酷事故につながり得るヒューマンエラーほど怖いものはないと思います。この認識と、再発防止への決意を伺いたいと思います。

山口参考人 お答え申し上げます。

 四日、五日と立て続けに冷却機能に関するトラブルを発生させまして、発電所周辺地域の皆様初め、広く社会の皆様に大変な御迷惑と御心配をおかけしており、改めておわび申し上げたいというふうに思っております。

 福島の復興は、福島第一の安全確保が大前提でございます。今回のトラブルを受けまして、社長から、原子力担当役員及び発電所の所員に対しまして社内指示を行っているところでございます。

 教育訓練はもちろんでございますが、防護等は、設備対策に加えまして、ヒューマンエラーが発生しても冷却を初めとした重要機能が停止に至らないような設備改善も行うことで、同じ過ち、同じトラブルを繰り返さないよう、徹底した対策をとってまいりたいと思っております。

高橋(千)委員 同じ過ちを繰り返さないようにということで、それは当然ですが、ただ、そういう言葉がこれまで何度も繰り返されてきたということに問題があると思うんですね。

 塩崎厚労大臣が、十月一日に第一原発に視察に入って、協力会社も含めた社員の安全衛生管理対策の現状について年内に報告するように指示をしたとあります。東電の福島第一、第二原発の設備工事で、国に設置計画や変更を届け出ていない法令違反が相次いでいた、それが背景にあったと思うんですが、その後に、十月十九日、富岡労働基準監督署が、新たに十三件の違反があったことを発表して、是正を勧告したと言っております。労働安全衛生法違反ということです。

 厚労省は、昨年八月、膨大なガイドラインを作成するとともに、死亡事故など深刻な事例があるたびに指示を出し、また東電からは報告を出していると思います。しかし、これを報じた二十日付の民報によりますと、東電によると、担当者が法令の内容を認識していなかった、こういう指摘をしているんですね。

 これは事実はどうなんでしょうか。幾ら指示を出し、また報告書をそのたびに出しても、法令に熟達する立場の人間が圧倒的に少ないということではないでしょうか。

山口参考人 お答え申し上げます。

 本事案は、労働安全衛生法第八十八条に基づき、化学設備等を設置する場合、当該工事の開始日の三十日前までにその計画を届け出すべきところを届け出していなかったものであり、労働基準監督署から是正勧告をいただいたものでございます。

 本事案の原因は、法令手続等に関する社内のルールが整備されてはおりましたけれども、一般的な記載が多く、その浸透が不十分であったこと等、また、ルールの運用管理に問題があったと認識しておりますので、改めて、八十八条はもとより、労働安全衛生法におけるそのほかの法令要件につきましても、法令手続等の不備がないか調査しているところでございます。

 今後は、社内ルールの記載の改善、関係者への教育の充実等の対策によりまして再発を防いでいきたいと考えております。

 以上でございます。

高橋(千)委員 関連しますけれども、資料の三枚目を見ていただきたい。きょうは、厚労省にも伺います。労基署の監督指導結果、昨年一年間のまとめなわけです。

 確かに、違反は減ってはいるとはいえ、二〇一五年で、廃炉作業では違反率が五四%、除染作業では六四・六%の違反率になっております。これは、率が下がってはいるんですけれども、監督実施事業者数が三百九、除染は千二百九十九と、実施数がふえているんですね。だから違反の実数がふえているということはやはり非常に重要なことかなと思っております。

 また、特に除染の方なんかを見ますと、実施事業者数が千二百九十九に対して違反件数が千五百八十六件で、件数の方が多いんですよね。つまり、一つの事業者で複数の違反をしている、こういうことが言えるのではないかなと思っております。

 こうした違反の件数や割合が依然として高いということは、やはり作業が非常に細分化されて、また下請が、協力企業と呼んでおりますけれども、二次、三次、四次と多重構造になっている、こういうことが要因としてあるのではないか。これは厚労省に見解を伺います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 廃炉作業それから除染作業の安全衛生関係等の違反率につきましては、委員御指摘のような数字になっているということは事実でありまして、経年的には低下をしておりますけれども、その是正については重要な課題であるというふうに考えております。

 重層請負構造あるいは作業の細分化といったことがその要因ではないかという御指摘でございますけれども、私どもとしては、そういったものがこの違反の比率を高める原因となっているかどうかは必ずしもはっきりしていないというふうに考えております。

 一方で、労働者の安全衛生確保の観点からは、作業間あるいは下請、元請の事業者間の連絡調整等が適切に行われなければなりませんけれども、重層構造が適切に組まれていませんと、その連絡調整がうまくいかなくなるおそれがございます。

 そういうことで、平成七年に元方事業者による建設現場安全管理指針というものを出しまして、過度の重層請負構造は望ましくないという趣旨で、労働災害を防止するための事業者責任を遂行することのできない単純労働の労務提供のみを行う事業者などにその仕事の一部を請け負わせないこと、また、仕事の全部を一括して請け負わせないこと等の指導をいたしております。

 今後とも、こういった指導を含め、現場の監督署におきまして適切な指導徹底を図ってまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 当然、その事業場を監督するに当たって、今おっしゃったような連携のあり方ですとか、指導しなければならない場合、どうなっているかとか、そういうのを見ていくわけですから、これはやはりそういう多重構造になっているなというのはおのずとわかるんだと思います。ですから、今言ったような丸投げの問題ですとかそうしたことに対してもきちんとコミットしていくことが必要ではないかということをお願いしたいと思いますし、また、そういう立場でもう一度山口副社長に人の体制の問題について伺っていきたい、このように思います。

 資料の四枚目、これは政府が主催している東京電力改革・一F問題委員会、東電委員会と呼んでいるようですけれども、東電の広瀬社長が提出した資料であります。

 これは見出しが「経営改革」「要員効率化」とありまして、「一千人規模の希望退職の実施等により、電力の安定供給と合理化・生産性向上を両立」というふうに書いてあります。

 この赤くなっているところを見ていただければ一目でわかりますが、二〇一四年は希望退職千百五十一名があって、依願と合わせて千五百三十二名の減となっております。また、その前の二年間、二〇一二年、二〇一三年は、採用がゼロだったにもかかわらず、合わせると千二百人の依願退職が出ております。

 ですから、人員はかなり縮小されていると思いますけれども、これだけの合理化が、廃炉、賠償あるいは復興推進事業などへの影響はどうなっているんでしょうか。

山口参考人 お答えいたします。

 福島への責任を果たす上で、廃炉、賠償、復興推進の業務については当社が最優先で取り組まなければならないものというふうに認識しておりますので、希望退職実施後につきましても、必要な要員を配置しておりまして、現場への影響はないものと考えてございます。

 今後につきましても、時間の経過とともに状況は変化するものと想定しておりますけれども、変化する状況に柔軟に、適切に対応してまいりたいと思っております。

 以上でございます。

高橋(千)委員 廃炉、賠償、復興推進事業については現場には影響がないという認識をお示しになりました。

 私、手元にいただいている、東電からいただいた資料ですと、例えば廃炉作業部門の社員数は千二百人から千百人、つまり事故当時からほとんど変わってはいないんですけれども、協力企業が四千二百人から倍の八千八百人にふえております。それがさっき言った多重構造にもつながっていくと思いますけれども、やはり、そこ自体が今のヒューマンエラーと関係するのではないかということを問題提起したいなと思うんですね。

 また、例えば賠償部門についてですけれども、資料の五枚目、これも同じ東電委員会に出された資料であります。左側を見ていただければわかると思うんです、賠償のところ。社員が三千四百人から二千四百人と千人減っております。そして、賠償部門を派遣や委託が六千八百人という構図になっているんですね。

 これはやはり、被災者の人生を左右するような重要な賠償業務の大部分を派遣社員などに任せているということでしょうか。

山口参考人 お答えいたします。

 まず、当社は、福島第一原子力発電所の事故によりまして、今なお多くの皆様に大変な御迷惑と御心配をおかけしておりますことを改めて心よりおわび申し上げます。

 本件の事故では非常に多くの御被害者様に多大な損害を生じさせてしまいまして、膨大な数の賠償金の御請求を頂戴しているところでございます。御被災者様の生活再建、事業再開に向け賠償金のお支払いをできるだけ迅速に進めていくために、当社の社員はもとより、多くの派遣、委託社員の皆様のお力をおかりしながら進めているところでございます。

 仕事の分担といたしましては、委託、派遣社員の皆様には定型的な業務を中心に御協力をいただいておりまして、賠償金のお支払いの可否の判断でありますとか、現地における御請求者様と直接対応するような業務につきましては、当社の社員が直接実施しているというところでございます。

 当社といたしましては、引き続き、被害に遭われた方々が一日でも早く生活を再建できるように、事故の当事者として真摯に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

高橋(千)委員 派遣や委託については定型的な業務で、きちんと重要なところは社員が受けているという答弁でありました。

 ただ、十二月二日には、賠償に関する書類の紛失があったとプレス発表がされたばかりであります。請求者から処理状況の問い合わせがあって初めて紛失したことがわかったわけです。十一月二十五日と二十九日の二件、これは農業に係る営業損害の請求書で、個人情報そのものですので警察に届け出たというわけですけれども、絶対にあってはならないと思います。

 もともと賠償業務というのはなかったわけですから、専門外の人が集められている、社員の中でも専門外なわけですよね。そういう中で無理な対応が迫られている。このことをしっかりと見て、正しい対応をしなければならないと思うんです。

 福島第一原発で賠償業務に携わり精神障害を発症したとして十月末に労災申請をした男性が、自身のツイッターの中でこのように言っているんですね。

 私の傷病発症がクレーム対応でうつと言われているのですが、実際は過重労働です。そもそもクレームではなく、正当な苦情です。被災された方々は何も悪くないから。東電社員は被災された方々のやり場のない気持ちを受けとめる覚悟を持てばいいだけとコメントしているんですね。

 被災者は何も悪くない、正当な苦情と言い切れるのは私はすごい言葉だと思いますし、頭の下がる思いです。せっかくそういう真摯に向き合う気持ちがあっても、担当者に裁量が与えられているわけでもないから、心が折れます。膨大なマニュアルを読み込む時間もサービス残業になってしまっているのではないでしょうか。

 数を出していただけなかったんですが、うつなどの病休あるいは予備軍は多いと聞いています。ストレスチェックなどの単なるメンタル対策ではなくて、実際に業務量が多過ぎるんだ、マニュアルの学習や誠実な対応をするためにも負担をぐっと減らさなければならない、このことはしっかりと受けとめて対策をしていただきたい、このように思っております。

 そこで、最初からヒューマンエラーの話から入って、やはり言いたいことは人ということなんです。安全対策も信頼回復もやはり決め手は人なんだ、そのことを考えたときに、私はやはり第二原発の廃炉ははっきりと決めるべきだと思います。柏崎刈羽原発の再稼働も諦めて、習熟した人員を一Fの廃炉、収束作業、こうしたことに集中するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

山口参考人 お答え申し上げます。

 福島第二原子力発電所の今後の扱いにつきましては、広く社会の皆様の御意見や、国のエネルギー政策の動向、福島第一廃炉作業のバックアップ機能としての役割等を総合的に勘案いたしまして、事業者として判断してまいりたいというふうに考えております。

 廃炉作業は最優先に取り組まなければならない業務でありますので、必要な人員はこれからも適正に配置してまいります。

 なお、先ほども申しましたとおり、福島第二は福島第一の廃炉作業のバックアップ機能を果たしているところでございます。今後につきましても、福島第二を初め当社の持っておりますリソースを福島第一の廃炉作業に投入いたしまして、安全かつ着実に廃炉を進めてまいる所存でございます。

 以上でございます。

高橋(千)委員 広く社会の皆様の御意見とおっしゃいました。

 でも、先ほど金子委員からも指摘がありましたように、福島県議会は既に決議を出している、町村も決議を出している。そして、十一月の福島県沖の地震による影響で第二原発三号機のプールの冷却機能が一時停止した、こうしたことを受けて、改めて第二原発廃炉を求める意見書を出したいと調整しているんです。そして、内堀知事も、開会日の提案理由説明書で、県民の強い思いである県内原発の全基廃炉を国や東電に要請すると表明しました。

 もう社会の意見というのはほぼそこに向かっている。これに応えるべきではないでしょうか。もう一言いかがですか。

山口参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの話とかぶるところがございますけれども、福島第一の廃炉作業をまずは安全かつ着実に進めるために、現在は、福島第二を含めまして当社の持っておりますリソースを廃炉作業に投入することが非常に重要だというふうに考えておりまして、今後の扱いについては、まだ判断する段階に至っていないというふうに考えてございます。

 以上でございます。

高橋(千)委員 安全かつ着実に廃炉作業を進めるためにこそ、ほかの原発を再稼働するとかそういうことはあり得ないでしょうと、人を本当に集めるべきだということを指摘しています。

 経産省に伺います。

 資料の六枚目に、今の東電委員会で改革の方向性を今いろいろまとめるところに来ているわけなんですけれども、国の関与のあり方について。

 これまでは約十一兆円と見られていた原発事故に伴う費用、今後は増大の見通しとしか書いておりませんが、二十兆円とも言われております。福島事業は、これまでは、株とか議決権を少しずつ減らしていって計画期間終了、自律的な運営ということを目指していたものが、今は、福島事業は長期関与、経済事業は早期自立と明確に分けているわけです。

 しかし、これはどういう意味なんでしょうか。国民負担は、電力の全需要家から公平回収すると言っている。これは何か過去分を取るということを言っているわけですが、そのことについて。

 そして、柏崎刈羽は重要課題と位置づけられています。委員会の中でも、刈羽を再稼働すれば、例えば年間二千億円の改善が見込めるから、多額の利益が得られて、これが廃炉事業にとってもプラスになる、そういう議論がされているわけなんですね。この関係はどうなっているか。

 そして、第二原発については全然触れていないんですね。この原発はどこに入るのか。やはり、再稼働してその利益で収束作業、これは全然おかしいと思いますが、いかがなんでしょうか。

中川大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 まず、福島第一原発事故に伴う賠償ですとか廃炉の費用に関する問題ですとか、また、電力の小売の全面自由化に伴う安全とか防災、そういったものの備えなどの課題への対応については、二つの委員会、一つは東京電力改革・一F問題委員会や、もう一つは電力システム改革貫徹小委員会において議論がなされているところです。御議論の中で、全面自由化のもとで全ての需要家から公平に費用回収する方法として、一つは、税や賦課金などの制度的措置、また、託送料金の枠組みの活用などが挙げられております。

 先ほど来の高橋委員の御指摘、費用の見通しが二十兆円との御指摘もありましたけれども、福島事故に伴う賠償、廃炉の費用やその負担のあり方については、現時点で何らかの方針が固まったというものではなくて、やはり何よりも大事なのは、国民の納得が得られるということが大事だというふうに私も思っておりますので、外部の有識者の意見をしっかりといただきながら検討していく段階にあるんだろうというふうに認識をしております。

 また、柏崎刈羽原子力発電所の件ですけれども、それはやはり当然のごとく、再稼働が前提ということではなくて、安全第一が大前提であろうというふうにも考えております。そういった意味で、原子力規制委員会によって安全性が確認されることが大前提でもありまして、地元理解を得ながら再稼働を進めていくという方針に変わりはないということでもあります。

 そして最後に、福島第二原発についてお尋ねもありましたけれども、これまで東電委員会における東電改革についての議論の中では、福島第二原発について特段の議論は行われていないものと承知をいたしております。

 そもそも、同原発の扱いにつきましては、まずは東京電力が地元の皆様の声に真摯に向き合った上で判断を行うべきものと考えております。

 その上で、私ごとなんですけれども、私も先般、第一原発の方を視察させていただきました。その上で思うところでもありますけれども、福島県の皆様の心情を察すると、これまでに新規制基準への適合性審査を申請しているほかの原発と福島第二原発を同列に取り扱うことは難しいのではないかと認識をいたしております。

高橋(千)委員 時間が来たので、一言で終わります。

 大臣に、福島法の改正など来年も準備をしているということでありますが、やはり、先ほど来紹介している、全基廃炉を求める福島の声だけを無視して、ほかの要望は受けるというんですが、それで福島法の改正はあり得ないという立場で取り組んでいただきたい。

 終わります。

吉野委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 日本維新の会、木下智彦でございます。

 きょうは、お時間をいただきまして、ありがとうございます。

 十一月の二十一日、福島県に私も一緒に視察に行ってまいりました。冒頭、委員長がいろいろとおっしゃられていて、ほとんど網羅されているなと思ったんですけれども、私の感想をちょっと先に述べさせていただきたいんです。

 例えば、避難指示区域を何とか解除しようということで除染をどんどん進めているというふうなことであったり、廃炉国際共同研究センターをつくっていこうというふうな話であったり、それから仮設の商業施設をつくるということで、こういった取り組みをどんどんどんどんやっていくこと、これによって帰還が加速化していけばいいなというふうには思うんです。

 それを見ていて思ったんですけれども、やはり、どうしても行政のやるものというのは、ハードの部分に対するお金を入れていってつくっていく。当然、ハードをうまくつくっていかなければ、その中で人は利用するものですから、そういうものがなければなかなか帰還は進まないんだなというふうに思ったんですね。ただ、最後に見たところ、福島県立ふたば未来学園高等学校、これは中高一貫校だったと思うんですけれども、ここが非常に私、強烈な印象がありました。

 本当に短い時間だったんですけれども、校長先生とか、副校長の方も出てきていただいて説明されていたんですけれども、見ていてうらやましいなと思うような、教育カリキュラムをみずから考えられて、生徒が生き生きと勉学にいそしんでいる。スポーツにもいそしんでいる。本当にここが被災地だったのかなというぐらい、見ていて、端的に見ただけなのであれなんですけれども、例えば、こういう学校だったら自分の子供も行かせたいなとか、そういうふうに思うような、そういった魅力のある取り組みをされていた。

 あれを見て思ったんですけれども、やはり、ハードも必要なんだけれども、その中で通っていく血、いわゆるソフトの部分が充実していかなければ本当の意味でなかなかこういう帰還事業というのは進んでいかないだろう。だから、ハードとソフトがうまくかみ合っていく必要があるんじゃないかなというのが私の一番の印象でした。

 そういったところでちょっと本題に入っていきたいんですけれども、前回もソフトウエア云々について話をさせていただいたんですけれども、前回、ポケットモンスター、ポケモンGOについて少しお話をしたので、その続きをしたいと思うんです。

 というのは、前回、十一月頭、十月の末でしたかね、そのとき言ったのは、十一月十二日に石巻市でポケモンGOのイベントが行われる、地元の県とそれから復興庁も一緒になって、ナイアンティックというポケモンGOを開発した会社と一緒に連携をしながら、人を呼んでこようというふうな話があったと。これが前回。

 その後、結果がどうだったかというと、何と、十一月十二日、一日だけで、これは新聞の記事を見ていると、石巻市に一万人の人が来たというふうに書いてあるんです。一万人の人、県外の人もたくさんいらっしゃいました。

 もっとすごかったのが、前、副大臣が少し説明をしていただいたんですけれども、いろいろな取り組みをする中で、ポケモンGOの中身もちょっとお話しされていたんですけれども、レアポケモンといってなかなか出てこないポケモンをその中で出現させるとかそういったところまでやってしまうと、どうしても交通の問題であるとかいろいろ問題が出てくる、人が殺到するだろう、そういうものじゃなくて、もう少し知恵を絞った形で人を呼んでこようということを言われていた。

 そうはいいながら、こういうゲームを楽しむ人たちは、レアポケモンとか出たらいいなというのがネットでばっと書いてあったんですね。そうしたら、何とナイアンティックさんが、このイベントがある前日に、ホームページ上で、レアポケモンなんかも出現しますよと、大英断をしていただきまして、しかも、この十二日、一日だけではなくて、東北三県でレアポケモンが出るというふうな形のことをやっていただいた。十一月十二日から、当初予定二十三日だったところ、二十二日まで十日間、東北全体で相当な人が来られたというふうなことを聞いております。

 余り話してもあれなので、副大臣がお得意なところだということで、その辺の説明もしていただきたいんですけれども、石巻市に一万人、一日で来た。それ以外にも、この十日間の間で相当な人が東北に行ったと思うんですね。全部が算出されているわけではないと思うんですけれども、経済的な効果、それからどれぐらいの人が行ったか、こういったものというのは、今、復興庁としてある程度想定もしくは把握されているのかどうかということを教えていただきたいなと思います。

長沢副大臣 十一月十二日に宮城県の石巻市で行われました宮城県が主催するイベントで、株式会社ポケモンやナイアンティックなど民間の御協力をいただいたイベントが行われました。これは、復興庁としても後援名義を付与しておりますので、私が代表して当日お邪魔し、応援の御挨拶をさせていただきました。

 ポケストップをどこに設置するか、こういうことがイベントの柱だったわけですけれども、これについても、当日、ここにポケストップをつけてほしい、こういう応募が二百三十件あったということですし、今委員御指摘のとおり、宮城県によりますと、当日、石巻市内には一万人以上が訪れた。報道によりますと、初めて石巻市に来た、すごくよかったと。北海道や関東、中部地方からも会場にお越しになっていた方がいらっしゃいました。

 イベント前後に、今御指摘があったとおり、レアモンスターであるラプラスの三陸沿岸沿いの出現率を高める、こういう発表が直前にナイアンティック社からありまして、それを受けて、そのラプラスを目当てにいらした方が非常に多かった。十一月十一日から二十一日、二十二日の朝、地震があったものですから、ナイアンティック社がラプラスの出現をストップさせて、出ませんよとすぐアピールをしてくださった、これは非常によかったと思うんですけれども、その二十一日までの十日間の間に、この石巻市内だけで約十万人が訪れたということでございます。

 当日、私が行きましたら、仙台と石巻を結ぶ仙石線という電車がありますが、これが満員だったといって地元の人が驚いていまして、近隣の宿泊施設はほぼ満室、コンビニも、こんなに来るとは思わなかったということで仕入れが間に合わなかったと悲鳴が上がっておりました。

 それから、これは中瀬公園という公園でやったんですけれども、その会場横に石ノ森萬画館というのがありまして、あの石ノ森章太郎さんですね、仮面ライダーとか、サイボーグ009とか、そういうのを書いた人ですけれども、その萬画館の入場者数は前の土曜日の二倍以上であったというふうに聞いております。

 一部の地域ではかなり混雑したようですけれども、マナーを守っていただきたいんですが、こういうイベントを機会に被災地に足を運んでいただくということが非常に大きなことだというふうに思っておりまして、風化や風評を防ぐ効果と被災地の経済活動を活性化させる大きな効果があった、こういうふうに思っておりますので、これからもこうした民間の活力、さまざまなノウハウを活用した、観光先進地東北を目指した連携強化をしっかり進めていきたい、こう思っております。

木下委員 ありがとうございます。もうびっくりするぐらいの人が来たというふうなこと、経済効果も十分にあったんだなというふうに思いました。

 そこで一番重要なことは何だろうというと、一つは、もともとそういった被災地にいた人が戻ってきてもらうようにしなければいけない。そのために、冒頭言いました箱物をつくっていくことも重要。ただ、やはり一番重要なのは、外から人が来てもらう、外から人が来てもらってお金を落としてもらう、お金を落としてもらうということは、そこに戻ってきて商売をしようというふうな人たちもどんどん戻ってきてもらえる、こういう循環ができていくのではないかな。ただ単に形だけつくるのではなく、そういうことが重要だなというのが、今回のこういうイベントごとを見ていて強く感じるところだったと思います。

 それから、もう一つ最後に。先ほど言われました、地震が最後の日にあったということで、非常に外から人が来ていて混雑していて、避難する人もなかなか避難ができなかったと批判がちょっとあったようなんですね。ただ、そういうふうな批判にも打ちかつようなサポートということをしっかりと行政としてやっていっていただきたいなと思うんです。そうしなければ、せっかくこういう大英断を企業がやってくれている、それを、次にもう一歩また足を踏み入れよう、またこういうふうなイベントをしようといったときに二の足を踏んでしまうようなことがないように、なるだけそういうふうな環境を、やはり政府としては後押ししていただきたいなというふうに思います。

 以上にて終わります。ありがとうございます。

吉野委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いいたします。

 時間も少ししかありませんので、早速入っていきたいと思います。

 東日本大震災のときにもたくさん問題がありました。その中で、きょうは、ペットについて取り上げたいと思います。

 有名なところでは、海で漂流していて自衛隊に助けてもらった犬がいましたけれども、あの犬も、実はその後、交通事故に遭って残念ながら亡くなってしまった、非常に残念な結果だったのでちょっとかわいそうなんですけれども。飼い主さんのところに戻って数年は元気に生きていたそうですけれども、非常に残念だったということをおっしゃっていました。

 私の震災の原体験というのは阪神大震災なんですね。私は大学三年生で、大学が西宮にありましたので直撃をされまして、もちろん授業も全部なくなりました。次の日に西宮北口という大きな駅までは電車が復旧しましたので、その日からボランティアで神戸の方に入っていましたけれども、正直、そのときの私の記憶の中では、残念ながら、ペットとかそういうところまで全く目が行っていなかったです。人のことに必死で、全くそういう認識がなかったというふうに、今思い起こせば、記憶の中ではそうですね。

 もちろん、震災のときは人命優先だということで、やむを得ない部分も一定あるんですけれども、飼い主にとってはペットも大事な家族の一員だということで、最近では、鬼怒川の氾濫のときに、屋根に残っていた人たちが救助ヘリに助けてもらうときにペットも一緒に救助してもらって、あれも、自衛隊が人以外の救助をするというのはどうなのかという、自衛隊の皆さんは非常にいい仕事をしたと私は思っているんですけれども、やはりそういったところを非難される方もいらっしゃって、その当時、結構な議論になったというふうに覚えています。

 実際、今でも、これは僕はちゃんと調べられていないんですけれども、防衛省も警察庁も消防庁も、ペットに関する、そういった緊急のときにどういうふうにしていくかという決まりは、恐らくほとんどまだ決めていないんじゃないかなと思っているんです。もしあったら申しわけないですけれども、鬼怒川の氾濫時点の直近ではそういう決まりはなかった。

 もちろん、ポジティブリスト、ネガティブリスト、何も書いていないから現場の判断でできるんだという部分もあれば、何も書いていないからそれはできませんと言い切ってしまうのかというのは、現場の判断ということで今はやっておりますけれども、できればこういったところも本来はしっかりと決めていただきたいと思う部分はあります。

 今回お聞きしたいのは、ペットを避難所に同伴する、避難するときにペットを連れていくというのは、そのときになって突然するということは非常に困難なので、やはり日ごろの避難訓練とかにそういったペットを飼っている方たちにしっかりと参加していただくような取り組みをしていただきたいなと思っています。

 避難訓練は、どの市町村でも都道府県でも必ず毎年行われています。そういった避難訓練にペット同伴、そういった取り組みをもうちょっと周知してもらう手だてを考えていただきたいと思うんですけれども、国の方ではどのような取り組みをされているでしょうか。

正田政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災時の課題といたしまして、飼い主がペットを連れて避難しないケースが多くあったため、その後に負傷や死亡したペットがいたほか、取り残されたペットが放浪状態になり、その後のペットの保護、飼い主への返還などで地元に大変な苦労があったと聞いております。

 こういったことを踏まえまして、環境省におきましては、東日本大震災における被災ペットへの対応状況を検証し、災害の際の飼い主によるペットとの同行避難、そして、そのために重要な、ふだんからのペットのしつけを基本に置いた災害時におけるペットの救護対策ガイドラインを策定いたしまして、平成二十五年六月に各地方自治体に配付したところでございます。

 また、動物愛護管理法におきまして、環境大臣が、動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針を定めることとされておりますが、平成二十五年にはこの基本指針を改定いたしまして、同行避難に関する記述を追加いたしました。

 この結果、各都道府県が、基本指針に即しまして動物愛護管理推進計画にも同行避難を明記する、こういうふうになってございます。

 さらに、内閣府の防災基本計画におきましてもペットの同行避難が記載されたことから、都道府県や市町村が策定する地域防災計画にも位置づけられるようになっております。

 こうしたことを踏まえまして、自治体等が行います最近の避難訓練では、ペットの同行避難を取り込んだ訓練が徐々に行われるようになってきております。

 平素からのペットのしつけを基本とした同行避難に関する普及啓発にはこうした避難訓練への参加を促すことが非常に有効だと考えておりますことから、環境省では、引き続き、こうした訓練が行われるよう促してまいりたいと考えております。

浦野委員 環境省の方ではペットの被害状況もしっかりとまとめられていて、犬だけでも、岩手で六百頭ぐらい、福島県でも二千五百頭ぐらい。まあ犬しか登録の制度がないので確認しようがないということで、犬は数字が挙がるんですけれども、猫なんかはどれぐらい被害に遭ったかというのが正直全くわからないという状況なんですね。

 やはり、ふだんから飼い主さんたちが避難訓練できっちりと自分たちのペットを、例えば急にキャリーケージに入れたりとかすると、なれていないとなかなか入らないということもあって、日ごろからたまにそういうことをしてあげるとか、そういったことも飼っている人たちが認識しないと、そういうペットの緊急のときの対応というのはなかなかできないと思いますので、ぜひそういう避難訓練などの身近なところからしっかりとやっていただけたらと思います。

 もう一つ、それに関係して、人命救助にはDMATという対応のあれがありますけれども、動物もVMATという対応する人たちがいます。ただ、これはまだ日本全国でたったの二団体しか今組織されていません。

 地元の獣医さんたちが中心になってそういうものをつくられていると思うんですけれども、このVMATの活動についても、今後、ペットの避難がふえる中で重要になってくると思うんですけれども、その点についてはいかがですか。

正田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘ございましたVMATが活動いたしましたのが本年四月に発生した熊本地震でございますが、この地震発生後、環境省におきましては、動物愛護の担当職員を熊本県に派遣し、被災者の心のケアの観点から、避難所での適切なペットの受け入れや、仮設住宅でのペットを飼育できる環境整備等について、熊本県、熊本市そして熊本県の獣医師会等と連携して取り組んでまいりました。

 この中には、例えば環境省から要請いたしまして、九州ブロック自治体間の協定により、周辺各県等からペット対策に知見のある応援職員が熊本県内に派遣され避難所の巡回等を行ったところでございまして、環境省の職員はそのコーディネーター役を務めたところでございます。

 さらに、今先生から御指摘ございました、避難所に同行避難したペットをケアするため、福岡県の獣医師会に対し、御質問にございました災害派遣獣医療チーム、VMATと呼ばれていますが、この派遣を依頼し、ペット相談コーナーの設置、避難所の巡回等の取り組みを行っていただいたところでございます。

 今後、災害が発生した際には、飼い主の方はペットと一緒に安全な避難場所まで避難していただくこと、そして、避難所や仮設所での被災ペットの受け入れについては、飼育管理は飼い主の責任で行うことを基本として、自治体や獣医師会等々の関係団体と連携して取り組んでいくこと、こういったことが重要と考えてございます。

 環境省といたしましては、まず今年度、熊本地震での取り組みをしっかりと検証し、その上で、来年度、より具体的な取り組みを盛り込んで、先ほど申し上げました災害時におけるペットの救護対策ガイドラインを改定することを予定しております。

 引き続き、被災者の心のケアの観点から、関係者、関係団体の皆様と連携しながら被災ペット対策に取り組んでまいりたいと考えております。

浦野委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

吉野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十分散会


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