衆議院

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第5号 平成30年7月19日(木曜日)

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平成三十年七月十九日(木曜日)

    午前八時三十分開議

 出席委員

   委員長 谷  公一君

   理事 亀岡 偉民君 理事 菅家 一郎君

   理事 高橋ひなこ君 理事 根本  匠君

   理事 藤原  崇君 理事 山崎  誠君

   理事 小熊 慎司君 理事 高木 陽介君

      秋葉 賢也君    安藤 高夫君

      伊藤信太郎君    泉田 裕彦君

      岩田 和親君    上杉謙太郎君

      小田原 潔君    神田  裕君

      木村 次郎君    木村 哲也君

      国光あやの君    小泉進次郎君

      小寺 裕雄君    小林 茂樹君

      古賀  篤君    杉田 水脈君

      橘 慶一郎君    津島  淳君

      辻  清人君    冨樫 博之君

      中曽根康隆君    長坂 康正君

      藤丸  敏君    穂坂  泰君

      堀内 詔子君    宮澤 博行君

      宮路 拓馬君    宗清 皇一君

      阿久津幸彦君    岡本あき子君

      日吉 雄太君    矢上 雅義君

      近藤 和也君    階   猛君

      下条 みつ君    森田 俊和君

      浮島 智子君    中野 洋昌君

      金子 恵美君    玄葉光一郎君

      高橋千鶴子君    森  夏枝君

    …………………………………

   国務大臣

   (復興大臣)       吉野 正芳君

   復興副大臣        土井  亨君

   内閣府副大臣       あかま二郎君

   環境副大臣        伊藤 忠彦君

   復興大臣政務官      長坂 康正君

   厚生労働大臣政務官    田畑 裕明君

   経済産業大臣政務官    大串 正樹君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  多田健一郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 米澤  健君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 荒木 真一君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     黒田 憲司君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     小糸 正樹君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 稲岡 伸哉君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 林  禎二君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           下間 康行君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  宇都宮 啓君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       田中 誠二君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           小野  稔君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  織田  央君

   政府参考人

   (水産庁漁政部長)    森   健君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  星野 岳穂君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            米村  猛君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        森山 誠二君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官) 片山  啓君

   参考人

   (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長)           文挾 誠一君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     井東 辰晃君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月七日

 辞任         補欠選任

  細野 豪志君     伊藤 俊輔君

同月十四日

 辞任         補欠選任

  伊藤 俊輔君     下条 みつ君

七月十九日

 辞任         補欠選任

  安藤 高夫君     泉田 裕彦君

  伊藤信太郎君     岩田 和親君

  国光あやの君     藤丸  敏君

  小泉進次郎君     宗清 皇一君

  園田 博之君     杉田 水脈君

  本田 太郎君     小林 茂樹君

  三谷 英弘君     宮路 拓馬君

  岡田 克也君     玄葉光一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  泉田 裕彦君     安藤 高夫君

  岩田 和親君     伊藤信太郎君

  小林 茂樹君     本田 太郎君

  杉田 水脈君     園田 博之君

  藤丸  敏君     国光あやの君

  宮路 拓馬君     木村 哲也君

  宗清 皇一君     辻  清人君

  玄葉光一郎君     岡田 克也君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 哲也君     三谷 英弘君

  辻  清人君     小泉進次郎君

    ―――――――――――――

七月十八日

 被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案(階猛君外五名提出、衆法第二号)

 災害弔慰金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案(階猛君外五名提出、衆法第三号)

 東日本大震災復興特別区域法の一部を改正する法律案(階猛君外五名提出、衆法第四号)

 東日本大震災からの復興の推進のための相続に係る移転促進区域内の土地等の処分の円滑化に関する法律案(階猛君外五名提出、衆法第五号)

五月二十八日

 被災者の住宅再建支援制度の抜本的拡充に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一三一六号)

 同(笠井亮君紹介)(第一三一七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一三一八号)

 同(志位和夫君紹介)(第一三一九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一三二〇号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一三二一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一三二二号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一三二三号)

 同(藤野保史君紹介)(第一三二四号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一三二五号)

 同(宮本徹君紹介)(第一三二六号)

 同(本村伸子君紹介)(第一三二七号)

同月三十一日

 被災者の住宅再建支援制度の抜本的拡充に関する請願(岡本あき子君紹介)(第一六四二号)

六月五日

 被災者の住宅再建支援制度の抜本的拡充に関する請願(階猛君紹介)(第一七六九号)

 同(金子恵美君紹介)(第一八六一号)

同月八日

 被災者の住宅再建支援制度の抜本的拡充に関する請願(矢上雅義君紹介)(第一九七〇号)

同月十二日

 被災者の住宅再建支援制度の抜本的拡充に関する請願(日吉雄太君紹介)(第二一五八号)

同月十三日

 被災者の住宅再建支援制度の抜本的拡充に関する請願(金子恵美君紹介)(第二二七八号)

 同(吉川元君紹介)(第二四〇〇号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二四八二号)

同月十四日

 被災者の住宅再建支援制度の抜本的拡充に関する請願(小宮山泰子君紹介)(第二七四八号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第二七四九号)

 同(中川正春君紹介)(第二七五〇号)

 同(青山雅幸君紹介)(第二八二六号)

 同(池田真紀君紹介)(第二八二七号)

 同(今井雅人君紹介)(第二八二八号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第二八二九号)

 同(武内則男君紹介)(第二八三〇号)

 同(岡島一正君紹介)(第二八三九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 閉会中審査に関する件

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件


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     ――――◇―――――

谷委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。

 このたびの平成三十年七月豪雨による災害でお亡くなりになられた多くの方々とその御遺族に対しまして深く哀悼の意を表しますとともに、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 これより、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。

 全員の御起立をお願いいたします。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

谷委員長 黙祷を終わります。御着席願います。

     ――――◇―――――

谷委員長 東日本大震災復興の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、去る六月十八日、東日本大震災の復旧・復興状況等調査のため、福島県を視察しましたので、参加委員を代表して、私からその概要を御報告申し上げます。

 当日の参加委員は、理事亀岡偉民君、菅家一郎君、高橋ひなこ君、藤原崇君、山崎誠君、小熊慎司君、委員金子恵美君、高橋千鶴子君、森夏枝君、そして、私、谷公一の十名であります。

 このほか、現地参加議員として、上杉謙太郎君及び玄葉光一郎君が参加されました。

 それでは、調査の概要について御報告申し上げます。

 まず、楢葉町と広野町にまたがって立地するJヴィレッジにおいて、株式会社Jヴィレッジの小野専務取締役から施設の概要等について聴取しました。

 Jヴィレッジは、平成九年に開設以来、サッカーの大会、合宿等で多くのチームに利用されてきました。震災後、福島第一原子力発電所の事故収束の対応拠点として政府及び東京電力に使用されることとなりましたが、その役目を終え、新たな宿泊棟などを建て、本年七月二十八日に一部再開、さらに、芝の整備などを終えて、来年四月から全面再開されるとのことでした。

 その後、楢葉町において、松本楢葉町長、宮本富岡町長と意見交換を行いました。

 楢葉町は、平成二十七年九月に町全域の避難指示が解除されました。本年六月には商業施設が、七月末には交流館がオープンする予定であるなど、着実に復興が進んでいるとのことでした。一方で、帰還者はまだ少なく、人口減少と高齢化が進んでいることから、よりきめ細かな行政サービスの提供が必要となっているとのことでした。

 富岡町は、昨年四月に帰還困難区域を除いて避難指示が解除され、本年三月に帰還困難区域に特定復興再生拠点を設ける計画が認定されました。四月には、ふたば医療センター附属病院が開院し、地域住民に大変喜ばれていること、また、小中学校が再開され、子供たちの声が町に活気をもたらしているとのことでした。

 次に、町全域に避難指示が続いている大熊町に入り、渡辺町長などより、特定復興再生拠点や大川原地区の整備計画について説明を聴取しました。大川原地区は、来年春の避難指示解除を目指し、にぎわい拠点等を整備しており、新庁舎の建設工事、災害公営住宅、商業施設予定地等の造成工事が行われていました。まず、住める環境として帰還町民と新住民の居住地をそれぞれ整備し、医療、福祉等生活を支える施設も整備予定とのことでした。

 その後、車中にて、特定復興再生拠点である下野上地区及びJR大野駅を視察しました。大野駅周辺は、常磐線が全線開通する来年度末ごろまでの避難指示解除を目指し、今後、除染と家屋解体作業が行われるとのことでした。

 次に、同じく全域が今なお避難指示のままの双葉町に入り、JR双葉駅において、伊澤町長より特定復興再生拠点の概要等について説明を聴取しました。双葉駅を中心とする区域に住民の新たな生活の場を設けるとともに、中野地区に新たな産業、雇用の場を整備するとのことでした。

 次いで、車中から、駅周辺の帰還困難区域を視察しました。町長から、あちこちに崩れて放置された家屋、傾いた電柱、生い茂った草など、七年以上荒れたまま手つかずの人のいない町は、イノシシが闊歩している状況であるとの説明がありました。

 その後、中間貯蔵施設予定地等を町役場の屋上から視察し、町長からは、復興拠点と隣接しているが、中間貯蔵施設の徹底的な管理と、住民に対し安全性を積極的に公表する取組が重要であるとの説明がありました。中野地区では、既に二十社ほどの企業が誘致に対し名乗りを上げているとのことで、急ピッチで造成工事が行われていました。

 最後に、相馬市に入り、立谷市長とモニタリングポストの撤去の対応などについて意見交換を行いました。市長からは、除去土壌を中間貯蔵施設へ輸送する走行ルート周辺はしっかり放射線量を測定すべきであること、放射線は正しく恐れて賢く避けることが重要であるとの意見が出されました。

 以上が調査の概要であります。

 震災から七年三カ月余を経て、帰還困難区域の特定復興再生拠点の整備が開始されるなど、福島の復興は一歩一歩前に進みつつあります。一方で、避難指示が解除された地域については、住民の帰還状況は厳しいものがあり、復興への道のりはまだまだ長いと実感しました。

 福島の復興再生のためには、粘り強く着実に施策を実行していくことが重要であり、当委員会においても、被災地の声に真摯に耳を傾け、積極的に議論するとともに、政府に対し、実情を踏まえたきめ細かな復興施策の推進を働きかけていくとの決意を新たにした次第であります。

 最後になりましたが、今回の調査に御協力いただきました多くの皆様に心から御礼を申し上げまして、報告とさせていただきます。

    ―――――――――――――

谷委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長文挾誠一君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官多田健一郎君、内閣府大臣官房審議官米澤健君、内閣府大臣官房審議官荒木真一君、復興庁統括官黒田憲司君、復興庁統括官小糸正樹君、総務省大臣官房審議官稲岡伸哉君、外務省大臣官房参事官林禎二君、文部科学省大臣官房審議官下間康行君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官宇都宮啓君、厚生労働省労働基準局安全衛生部長田中誠二君、農林水産省大臣官房審議官小野稔君、林野庁森林整備部長織田央君、水産庁漁政部長森健君、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官星野岳穂君、観光庁観光地域振興部長米村猛君、環境省環境再生・資源循環局次長森山誠二君及び原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官片山啓君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。根本匠君。

根本(匠)委員 おはようございます。自由民主党の根本匠です。

 まず冒頭、このたびの西日本豪雨により亡くなられた皆様に心からお悔やみを申し上げ、そして、被災された皆様に心からのお見舞いを申し上げます。

 まず、復興・創生期間後の対応についてお伺いいたします。

 東日本大震災からの復興再生、これは着実に進んでおりますが、一方で、地震、津波に加え、原発事故による被害を受けた福島県は、帰還困難区域を除くほとんどの地域で避難指示が解除され、本格的な復興再生に向けてスタートをしております。そして、帰還困難区域における特定復興再生拠点の整備、これは一部は既に事業が始まっており、避難指示解除に向けて大きな一歩を踏み出しております。

 先日も私は葛尾、富岡、双葉、大熊、楢葉、広野など現地に入ってまいりましたが、自治体の皆様からは、復興・創生期間後どうなるのかという不安の声も聞いています。国は、復興・創生期間にできることは全て行うという方針で、自治体が復興・創生期間を超えて継続する事業については、スムーズに着手できるように支援する必要があると思います。さらに、復興再生については中長期的な対応が必要で、特に、原発事故による被害を受けた福島県については、復興・創生期間後も継続して国が全面的に取り組んでいくことが不可欠だと思います。

 自民党、公明党の第七次提言にも具体的に提起をしたいと思いますが、復興・創生期間後の対応についての復興大臣の決意をお伺いしたいと思います。

吉野国務大臣 まず、七月の豪雨災害においてお亡くなりになられた皆様、そして被災を受けた皆様に、心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。

 さて、おただしの根本元大臣におかれましては、今の復興庁の礎を築いていただきました。特に、新しい東北という新しい考え方を最初に提唱をさせていただき、今それに取り組んでいるところであります。これからも御指導のほどよろしくお願いしたいと思います。

 さて、おただしの期間後の復興庁のあり方についてでございますが、おただしのように、創生期間の間にできることは全てやり遂げるという気概を持って取り組んでまいりたいというふうに思っております。特に、福島については中長期的な課題がございます。ですから、国が前面に立って取り組んでいくことが不可欠だというふうに思っております。

 このような観点や復興施策の進捗状況を踏まえながら、復興・創生期間後の復興の進め方について検討していくことになるというふうに思っております。

 今年度末に予定をされております基本方針の見直し作業の中で、まずは、被災三県と連携して、今行っている事業の実施状況を詳細に把握するとともに、諸課題について検討をしてまいりたい、このように考えております。

根本(匠)委員 復興大臣にはしっかりと取り組んでいただきたいと思います。私も一体となって取り組んでいきたいと思います。

 次に、風評被害についてお伺いしたいと思います。

 風評被害をいかにして克服するか。これは、福島県は今なおさまざまな課題を抱えています。風評払拭のため、幾つかはこれまでも取り組んでまいりました。

 例えば、予算面においては、二十九年度から、農林水産業の再生を図るために、福島スペシャルの四十七億円の予算。これは、GAPの取得促進や量販店における販売の促進、農林水産品のブランド化の向上、生産から流通、販売に至るまで、風評を乗り越えるための取組を支援する予算であります。

 そしてさらに、買いたたき防止。いまだに買いたたきがある。これは流通の実態調査をしようではないか。福島特措法を改正して根拠条文も規定して、やってまいりました。

 これらの問題は、我々自民党で立ち上げたプロジェクトチームで、加速化本部の議論を踏まえて、そして政府に申し入れて、実現してきたものであります。この議論の中には県も参加してもらった。そして、現場の声を反映した施策として、我々が一体となって取り組んできたものであります。

 そして、昨年十二月には、自民党復興加速化本部の申入れを受けて、政府において、風評払拭・リスコミ加速戦略、我々の提言を受けていただいて、まとめてもらいました。今、本戦略に基づいて、学校教育で使われる放射線副読本の改訂や、メディアミックスを活用した正しい情報発信などの取組を進めております。

 私は、さらなるリスコミ加速戦略の深掘りが必要だと思います。特に、リスコミの前提となっている除染の実施基準、あるいは食品規制値の考え方、あるいは放射性物質の循環メカニズム、この七年間で科学的知見も集積されました。この科学的知見に基づく正しい理解を進めていく、これが重要だと思います。

 まず、除染の実施基準について、考え方をお聞かせいただきたいと思います。

 除染の実施基準、すなわち市町村における除染実施区域の対象基準、これは、長期的に年間一ミリシーベルトを目指すとして、この年間一ミリシーベルトを、あくまでもこれは長期目標だけれども、これを一時間当たりに換算して〇・二三マイクロシーベルトという数値を基準として除染を行った、この基準の設定の考え方を改めてお伺いしたいと思います。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 放射性物質汚染対処特措法におきましては、毎時〇・二三マイクロシーベルトを基準に汚染状況重点調査地域を指定し、市町村が除染を実施することとしております。

 この数値は、総合的な放射線防護策により達成すべき長期目標であります個人の年間追加被曝線量一ミリシーベルトという数値を、便宜上、空間線量率に置きかえたもので、安全側に立った特定の生活パターンの条件下で計算を行っております。

 具体的には、一日のうち、屋外に八時間、木造家屋に十六時間滞在するとし、また、木造家屋に滞在する間は被曝量が〇・四倍となるとの仮定を置いて計算したものでございます。

根本(匠)委員 そのとおりの考え方で設定した。ただ、この七年間の知見では、今の御説明いただいた空間線量率から保守的な仮定に基づく換算式で推定される個人の被曝線量と、実際にガラスバッジで測定した被曝線量、実は実際の被曝線量の方が非常に低い、こうわかってきました。

 例えば、私が復興大臣のときに作成した放射線リスクに関する基礎的情報、こういう冊子を一年間でまとめた。この冊子をまとめたのは、私も、放射線に関するいろいろな不安を抱えている方がおられるので、これを科学的にどこまできちんと説明できるか、これが鍵だと思ったので、放射線リスクに関する基礎的情報というのをまとめた。これは、専門家の意見も全部入れてあの当時まとめたもので、これを読めばほとんどの疑問や不安に応えられる、そのつもりでまとめました。そして、このまとめた冊子の中でも、当時既に、例えば伊達市などでやった事案から、実際の個人の被曝線量は空間線量率から推定される線量の七分の一から三分の一、こうなっている。

 そして、最近は、福島県立医科大学の宮崎先生と東京大学の早野先生、このお二人が、伊達市の住民の個人線量測定結果をもとにまとめた論文を出した。これによれば、換算式で推計したものよりも実際の被曝線量は、換算式で推定した空間線量率からする推計に対して〇・一五倍という結果が出ています。

 これは何を意味するか。すなわち、一ミリシーベルトから換算された一時間当たりの〇・二三マイクロシーベルトという基準となる数値、これは、現実的な値としては、科学的、専門的に分析すると、一マイクロシーベルト程度と考えるのが合理的ではないかという専門家もおられる。私も、なるほどそうだと思います。つまり、年間一ミリシーベルトに相当する個人が受ける実効線量は、一時間当たりだと一マイクロシーベルト程度なのではないか、こういうことであります。

 さらに、別な論点として、年間一ミリシーベルトという数値をどう考えるか。

 もともとこれは健康に影響があるかどうかの境目を示すものではありません。こういう数値は、私は、相対的に考える必要がある。例えば、世界の人口のうち、年間五ミリシーベルト以上のところに住んでいる皆さんが一千万人もいる。これは、国連科学委員会、UNSCEARで出されている。こういう相対的な比較が必要だと思う。さらに、個人が、日本人が平均で受ける線量で一番高いのは医療機関で、平均三・八七ミリシーベルトは医療機関で受けている。

 これが、実は専門的な、科学的な知見であります。言いたいことはまた後で言いますけれども。

 次に、食品の基準値。

 食品の基準値については、当時の政府、念のため、これは現在の自公政権ではありませんが、平成二十四年四月、すなわち大震災の一年後の平成二十四年四月に、一般食品で一キログラム当たり五百ベクレルとしていた暫定規制値を百ベクレルに引き下げました。なぜ引き下げたのか、その考え方を改めて確認したい。お願いします。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 食品中の放射性物質の規制値につきましては、平成二十三年三月十七日に、事故後の緊急的な対応として、当時の原子力安全委員会が年間線量五ミリシーベルトに基づいて飲食物摂取制限に関する指標として設定した五百ベクレル・パー・キログラムを暫定規制値としたところでございます。

 その後、厚生労働省といたしましては、長期的な状況に対応する新たな放射性セシウムの基準値を定めることといたしまして、厚生労働省薬事・食品衛生審議会などの議論を経まして、平成二十四年四月一日に、食品から受ける線量の上限値を食品の国際規格を策定してございますコーデックス委員会が採用している年間線量一ミリシーベルトとした上で、現行の基準値の百ベクレル・パー・キログラムを設定したということでございます。

 なお、現行の基準値を設定するに当たりまして、我が国は事故の発生国でございますことから、国産品全てが放射性物質を含むと仮定しまして、放射性物質を含む食品の割合を五〇%と設定し、一般食品の基準値を定めたということでございます。

根本(匠)委員 なるほど、そういう考え方で引き下げたんですね。

 私があの時点でもちょっと疑問に思っていたのは、一つは、要因は二つしかない、五ミリシーベルトを一ミリシーベルトに引き下げた。そしてもう一つは、占有率という概念ですが、今おっしゃられるように、平成二十四年四月の時点で、国内の食品が一〇〇%放射性物質に汚染されているという仮定を置いた。これは、原発事故の発生国であることを踏まえてということなんですね。

 私は、原発事故の発生国だったからということで日本国内の食品が全部汚染されているということを仮定した、これは本当に科学的、合理的であったのか、ここは論理が飛んでいるんじゃないかと思いますよ。あの二十四年四月の時点では、どこまで放射性物質が飛散したか、これはクリアにあのときわかっていた。一〇〇%、全国じゃありませんよ。クリアにわかっていた。だから、クリアにわかっていたから、私はそれを加味すべきではないかと思っていました。

 そしてもう一つは、じゃ、例えば一人で一〇〇%汚染された食品を食べる人がいるのか。避難指示を受けた皆さん、みんないないんだから。そして、避難指示を受けたところでは農産物はつくっていませんよ。だから、たった一人であっても、一〇〇%放射性物質で汚染された食品を食べる人がいるのか。私は、ちょっとこれは現実的ではないと。

 一方で、コーデックス委員会やEU、これは占有率を一〇%としている。チェルノブイリ事故のあったEUは一〇%ですよ、占有率は。そして基準値は、その結果、一ミリシーベルトと占有率は一〇パーだから、基準値はEUは千ベクレルになっている。

 もう事故から七年経過しました。そして、いろいろな測定結果の蓄積が進んでいる。この現在においてもなお国内食品一〇〇%汚染されているという仮定を置いているのは、私は再度検証が必要ではないかと思います。私は、基準値を変えろと言っているつもりはありません。しかし、工夫は必要ではないか。少なくとも、考え方を丁寧に説明して、理解してもらう必要があると思います。

 そして、あの五百ベクレルの暫定規制値を変えたときに、私も記憶にある、あのときには、あの時点で安全は確保されていたが、より一層食品の安全と安心を確保するためとして百ベクレルに引き下げた。福島県の農林水産業は大打撃を受けましたよ。なりわいが成り立たずに、農業をやめる、漁業をやめる方々がたくさん出てきた。

 一方で、百ベクレルということはどういうことを意味するのか、これは正しく理解してもらった方がいいと思う。

 百ベクレルの食品、汚染された食品、一キロ当たり百ベクレルのセシウム137を含んだ食品、これを三十年間毎日食べ続けても、約三十年間で累積被曝線量は年間十四ミリシーベルト。これは、人間ドックに入ってCTを一回から二回浴びたと同程度だと言われております。

 そして、今、流通している米も野菜も、基準値を超えるものはありません。ただ、一つだけあるのは、山の山菜。山の山菜が食べられない。中山間地域の道の駅の特産、これは山の恵み、山の幸、山菜ですよ。これが売ることができない。山の山菜、福島県の調査によれば、基準値を超えるものは毎年どんどん減ってきている。二十九年度は一件しかありません。しかし、たまたま出る。ただ、出たとしても、二百ベクレル未満なんですよ。百ベクレルをちょっと超えるぐらいだから、これをどう考えるのか。

 私は、消費者の安心と生産者のなりわい、そして中山間地域の生活、暮らし、このバランスをどう考えるかということだと思います。こういう問題意識で、私は、今までの、これまでの蓄積された知見に基づいて、やはり実態の検証が必要な時期に来ていると思います。

 放射線審議会にお伺いしたい。

 放射線審議会は、現在、空間線量と個人線量の関係、あるいは食品基準値について検証作業を進めていると聞いていますが、放射線審議会についての取組、しっかりした検証、そして得られた検証結果をしっかりと周知していくべきだと考えますが、放射線審議会の考え方をお伺いしたいと思います。

片山政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、放射線審議会におきまして、東京電力福島第一原子力発電所事故に関連して策定されました放射線防護の基準のフォローアップにつきまして審議を進めているところでございます。

 これまで、食品に関する基準や空間線量率と実効線量率の関係につきまして、委員御指摘のいろいろな論文なども踏まえて、科学的、技術的に整理を行ってきているところでございます。

 今後、緊急時被曝状況、事故直後の状況、あるいはその後の現存被曝状況におけます技術的基準策定の考え方という観点から、今回の事故で得られた教訓をまとめることといたしております。

 取りまとまりました結果につきましては、放射線審議会の事務局といたしまして、関係省庁の方に周知をしてまいりたいというふうに考えてございます。

根本(匠)委員 しっかり取り組んでもらいたいと思います。特に、今は緊急被曝状況ではなくて、落ちついた現存被曝状況という概念だから、このときにしっかりと検証して取り組んでいただきたいと思います。

 復興・創生期間の終了まで、あと二年余りになりました。そして、専門家の御努力によって科学的知見も集積された。放射線や放射能の自然界の循環メカニズムなども解明されてきています。

 例えば、山林に飛散した放射性物質、これはほとんど下に落ちて、今残っているのはセシウム137だけ、地中下五センチに土と固着して動かなくなっている、雨が降っても流れない、こういうことも解明されてきている。だから、新たに風で飛んでくるものはないということですよ。これも専門家がそういう分析をしている。東大の農学部でもしっかりとしたものを出していただいている。

 そして、今、米や野菜が根っこからセシウム137をどの程度吸収するか、これは移行係数、吸収の程度、これも実は明らかになっているし、どんどんしかも下がっている、ほとんど吸わない、こういうことも解明された。

 私は、リスコミのベースになるこういう根源的な課題について改めて総点検して、科学的、合理的、専門的に、国際的知見も加えて集大成を図るべきだと思います。復興庁を中心に、政府を挙げてリスコミの一層の深掘りに取り組んでもらいたいと思います。

 復興大臣の決意、簡単で結構ですから、お願いします。

吉野国務大臣 根本元大臣が自民党の加速化本部で、リスコミの強化戦略をつくれということで、承って、復興庁はきちんとリスコミ強化戦略をつくらせていただきました。それを踏まえて、パンフレットまでは各省庁つくっていたんですけれども、それをどう国民に伝えるかというところが余りできておりませんでした。ですから、SNS、テレビ等々、メディアミックスを使って、その中身をいかに国民に伝えるかというところをこれからやってまいります。

 御指導ありがとうございました。

根本(匠)委員 次に、我々が取り組んできた用地取得抜本改革についてお伺いしたいと思います。

 西日本の今回の豪雨によって、広島、愛媛、岡山などで甚大な被害がありました。

 最大で二十六万戸に上っていた断水、これも現在は三県で六万九千戸まで減りました。しかし一方で、避難者は四千七百人、そして住宅浸水は三万二千戸。これは、ライフラインを始め、政府を挙げて全力で復旧に取り組まなければならないと思います。私も、三・一一のときに体験をしましたので、いかに過酷なものか、身をもって感じます。特に復旧を急がなければなりません。

 これから被災地で復旧復興が本格化していくことになる。小規模な市町村を含めて広範囲に膨大な復旧復興が行われるということになる場合に、新たな用地確保を行う事業、あるいは一時期に大量の工事を発注しなければいけない、あるいは所有者不明などの対応、東日本大震災で我々が講じた住宅再建・まちづくりのさまざまな復興加速化措置を活用すべきだと思います。この観点から質問したいと思います。

 安倍内閣の最重要課題は復興加速ですから、私も、一番大事なのは各省庁を動かすことだと、タスクフォースをつくって各省庁の責任者を集めて、テーマごとに徹底的な討論をして加速化措置を進めた。大事なのは、問題の所在がどこにあるのか、そして、現行の制度でどこまで可能か、さらなる加速化措置を講じてどこまでスピードアップできるか、現場の体制は十分か、こういう視点から、現場が使える加速化措置を矢継ぎ早に打ち出しました。

 復興庁については、この用地取得抜本改革や工事の加速化、具体的にどのような措置を講じたか、そしてその成果をお伺いしたいと思います。

黒田政府参考人 お答えをいたします。

 東日本大震災におけます住宅再建・復興まちづくりにつきましては、平成二十五年二月に復興大臣を司令塔にタスクフォースを設置し、一年余の間に百近い加速化措置を講じたところでございます。

 このうち、用地取得の加速化措置としましては、財産管理制度や土地収用制度を被災地に特化する形で抜本改革いたしました。財産管理制度では、財産管理人の候補者の確保、裁判所の体制面の強化などを行いました。土地収用制度につきましては、任意買収と収用手続を並行して進めることの徹底、収用裁決の迅速化、また、所有者不明の場合の手続の簡便化、さらには専門的な知識を持つ国の職員による実務支援などの措置を講じました。

 この結果、防災集団移転促進事業の用地取得率は、平成二十五年九月の四九%から翌年九月には八九%へと約一年で急激に上昇し、また、工事の着工率につきましても、平成二十四年十二月の一二%から二十六年九月には九五%に上昇するなど、大きな成果を上げたところでございます。

根本(匠)委員 ありがとうございました。

 簡単に、私もかいつまんで申し上げたいと思います。資料を用意いたしました。

 まず、ポイントは財産管理制度。

 これは、私があのとき調べたら、一年以上手続に時間がかかっていた。財産管理制度というのは、裁判所で財産管理人を選定してもらう、そして裁判所の許可を得て用地が売却できる、二つ、裁判所が手続に関与する。これについては、財産管理人、最初はいないと言われた。だから、団体にお願いして、弁護士会、司法書士会、一年で五百八十七人用意してもらった。裁判所もよくやってくれましたよ。書記官を二十五名増員する、QアンドAをつくる、相談窓口をつくる。極めて柔軟な対応をしていただきました。

 そして、土地収用法。これも、土地収用法、被災地特化型収用手続七本柱。

 特に、これは所有者不明土地なんだから。収用法というのは伝家の宝刀ですよ。伝家の宝刀だけれども、所有者がわからないんだから、最初から、実は、三年八割ルールというのがあって、八割任意買収する、あるいは幅ぐいを打って三年、ここで初めて伝家の宝刀を切る、こうなっていた。これは所有者不明の土地なんだから、最初から収用手続をやるべきだ、これで一気に早まる。

 そして、事業認定手続は、三カ月かかるところを二カ月にした。これも法律で後で補強した。

 あるいは、緊急使用の活用をしようと。収用委員会に裁決申請している間に工事着工できる緊急使用手続、これも活用する。これも法改正で補強して、六カ月を一年に延長した。

 収用手続の迅速化も必要なので、これも、収用委員会によって遅いところもあるから、これは法律で努力義務を課す、こういうことをやりました。

 そして、例えば、今、高台移転事業、一年間で四九から八九、用地取得率が上がりましたよ。

 高台移転の加速化三本の矢。

 一つは、財産管理制度の今申し上げた画期的な迅速化、これが一本。

 二つ目は、被災したところで、市町村が農地や住宅を買って、高台に移ってもらう。農地の転用許可が必要だ。私は相馬の市長から言われた、これは合理的ではないと。これは前々から言われていたらしい。陳情、要望は出していたと言っていた。これは農林大臣と話をして、二週間で転用許可を不要にした。これで一気に、農地の買取り面積が当時一・六ヘクタールだったのが、一年で二百四十八ヘクタールまでぐうっと続きました。これが二本目の矢。

 三番目が、高台移転事業、防災集団移転事業、大臣同意が必要なんですが、ちょっとした軽微な変更はもう届出でいいよ、こういうことをやった。これで一気に進んだ。

 実は、こういうことが加速化措置で、大事であります。

 多少まだ私は時間をもらっているので、もう一点お伺いしたいのは、例えば、何か被災地で住宅の整備がおくれた、あるいは、所有者不明土地問題があって、その対応がおくれたから復興がおくれたという意見があるんですが、果たしてこれは事実かどうか。

 私は、平成二十五年三月に住まいの復興工程表をつくった。これは、各県がこの三年間ぐらいでやりたいと思っていたのを当時はとりあえずちょっと束ねて見える化をした。だから、当時の記憶では、平成二十七年度までの計画があって、二十八年度以降はまとめて何万戸、これが最初だった。しかし、これは四半期に一遍ローリングをしていって、計画的に進捗を図るような仕掛けも講じた。

 災害公営住宅の進捗状況と所有者不明土地問題、これが絡んで何か整備がおくれたとか、災害公営住宅の用地取得が、確保が難航したとか、この点についてお伺いしたいと思います。

黒田政府参考人 お答えをいたします。

 災害公営住宅につきましては、被災者の方が住まいの確保について見通しを持っていただけるように、平成二十四年十二月より、住まいの復興工程表により、その整備計画のお示しをしております。

 ただ、当初の整備計画といいますのは、県や市町村が具体的な内容を固める前の段階で、標準的なスケジュールをもとに作成したものでありました。そのため、当初計画には一部スケジュールの変更は生じておりますが、その後は工事着工の時期を見定めながら丁寧に工程管理を行ってきた結果、災害公営住宅の整備は今年度中に概成をする見込みとなってございます。

 また、災害公営住宅の用地取得でございますが、高台などでありますと、防災集団移転促進事業を通じて用地取得を行いますが、先ほど申し上げましたとおり、用地取得の加速化措置を講じたことによりまして、短期間の間に一気にこの事業の用地取得率を高めることができました。

 また、三十年度以降に完成する災害公営住宅について確認したところ、おくれの原因として所有者不明土地問題を挙げる市町村はございませんでした。

根本(匠)委員 ありがとうございます。

 用地取得だけじゃなくて、実は、工事の、施工体制の飛躍的効率化、これも必要なんですね。これも講じました、六ページに書いてあるけれども。

 例えば、埋蔵文化財発掘。

 これも迅速化した。最新デジタル技術を導入する、専門員の倍増、これによって短縮をする。

 あるいは、人材、資材不足、入札不調克服。

 これは、労務費単価を上げる、そして、工事費割増し、現場管理費あるいは共通仮設費について、復興係数を掛けて、入札不調がないように加算する。

 そして、専門人材の投入。

 これは、URや国の専門職員、全国の自治体職員、青年海外協力隊OBを投入して、用地取得そして施工の効率化を推進させた。

 特に、用地は、用地加速化支援隊というのをつくった。工事は、工事加速化支援隊というのをつくった。国の専門家を集めて現地に投入する、その場で解決策を生み出す、これもやった。

 もう一つは、UR、都市再生機構。URはまちづくりのプロだから。我々が復帰したときに、まだURは残っていた、辛うじて。URを投入しよう。URは、十数の市町村と提携して、やりました。一番効果的だったのは陸前高田市。津波被災地に高台の移転の土を運ぶ。一日二百台、六年から七年かかると言われた。これは、ベルトコンベヤーを投入して、一年で、つまり六年短縮して、やった。

 実は、我々はあらゆる加速化措置をあのときは夢中になってやったから、講じてきた加速化措置のこのノウハウは、私はこれからの西日本の集中豪雨で被災された地域の復興に必ず役立つと思いますので、この加速化措置をこれからの復興にぜひ活用するように、復興庁がリードして頑張っていただきたいと思います。

 終わります。

谷委員長 次に、上杉謙太郎君。

上杉委員 自民党の上杉謙太郎でございます。

 きょうは、谷委員長そして根本理事始め委員の皆様、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 まず冒頭、西日本の災害におきまして亡くなられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災された全ての皆様にお見舞いを申し上げます。

 先日、私も視察に同行させていただきました。現地福島県に住んでおりますので、直接伺わせていただきました。住んでいる者として、もろもろ見えてきている部分がございます。

 また、根本先生の関連の質問ということで、先生の質問の初めの方に放射線がありました。その放射線について、いろいろと伺っていきたいというふうに思います。

 風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略において、また復興庁さんの方で、ことしは特に、知ってもらう、食べてもらう、来てもらうということをされております。

 特に、知ってもらう、放射線に対して正しい理解をするというのがまずベースに出てくるんだろうというふうに思います。その正しい理解があるからこそ、じゃ、来てもらうというときに、国交省さん、観光庁さんで観光を、どんどん福島県に人が来てもらうということになるでしょうし、また、食べてもらうであれば、食品流通もそうですけれども、福島県の米、酒、さまざまな農林水産物に対して、全国そして海外の皆様も安全だ、安心だと思って購入をしていただける、そういうもののベースになるのが放射線の教育、知ってもらうということであると思います。また、その知ってもらう教育ということにおいては、放射線に対して、子供たちに対して正しい教育をするということも大事だというふうに思います。

 まず、きょう、幾つか、農林水産関係、国交関係、文科関係、この知ってもらう、食べてもらう、来てもらうに関して質問を用意させていただきましたが、まずは文科省さんにお伺いします。

 一番基本となる知ってもらうの教育についてでありますが、被災当初は確かに放射線に対して、大丈夫なのかと、みんなある意味無知であったと思います。先ほど根本先生からもありましたが、この七年間でさまざまなエビデンスが、各種研究がなされてきて、しっかりとした知見そして根拠が十分そろってきたというふうに思います。

 そこで、じゃ、子供たち、例えば公教育現場、小中高校に対してどのように文科省さんで放射線の教育をされているのかについてお伺いします。

 お手元に資料をお配りさせていただきましたが、例えば小学校の方でいえば、これが原本なんですけれども、小学生のための放射線副読本という形で小学校に配られていると思います。私の次男はことし小学校一年生でして、確かに、四月、入学してからこれを持って帰ってきました。学活という授業でちゃんと先生が教育をしてくださっています。

 資料の方ですと、一枚目、左側に星印を書かせてもらったんですけれども、平成二十五年と書いてあるんですね。一枚おめくりいただきますと、また二枚目もそうなんですが、随分古い記載事項になっているわけなんですよ。

 例えば、一枚おめくりいただいた、ちょっと汚いですけれども、二と書いてあるところは、まだ何だかすごく避難しているというような印象を受けてしまいます。もう一枚めくりますと、先ほど根本先生からもありましたが、右側、放射線、各種、米にしてもキノコ、山菜類にしても検出されていると。

 学校現場でしっかりと先生が子供たちに対して、この資料をもとに、こうなっているけれども今は違うんだよと説明してくれているんだったらいいですけれども、まあ、福島県の小学校は先生がちゃんと教育していますよ、でも、全国、違うところは、ただこれを配って終わっているかもしれない。そうしたら、これを見た小学生は、何だ、福島県のは危ないなと、せっかく風評払拭のために放射線教育、正しい理解を求めようとしているのに、読んだ子供たちがかえって風評になってしまうということもあるんですね。

 文科省さんにお尋ねいたしますが、今、新しいものをおつくりいただいていると思いますけれども、これはいつでき上がって、いつ配付されますか、教えてください。

下間政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、現行の副読本は、平成二十六年三月に作成し、全国の小中高等学校に配付したものでございまして、作成から四年が経過いたしまして状況が変化しておりますことから、現在、内容や構成の見直しについて検討してございます。

 その見直しの方向性としては、まず、放射線に関する科学的な知識を理解した上で、原発事故の状況や復興に向けた取組を学ぶという、章立ての構成の見直しでございます。それから、いじめは決して許されないということについて強く言及すること、また、復興が着実に前進している様子を紹介することなどを考えてございます。

 今後、速やかに内容を確定させまして、今年度中のできるだけ早い時期に全国の小中高等学校等に改訂した放射線副読本を配付できるよう、検討を進めてまいります。

上杉委員 ありがとうございます。

 つくっているのであれば、途中の段階でもぜひ見せていただいて、私も協力させていただきたいと思います。

 あとは、しっかりこれを配付して、しかも学校の先生たちに、文科省さんの方から教育委員会を通じて、こういうふうに教えてくださいですとか、そういうことをされていますか。教職員に対して、学習指導の方向性、方針みたいなものはどういうふうになっているのか、やっていらっしゃるのか、教えてください。

下間政府参考人 各学校において、放射線教育の充実を図る上で教職員が放射線について十分に理解しておくことが重要であるということから、教職員等を対象とした放射線教育に関する研修を実施しているところでございます。

 今年度についても、積極的な周知を行うとともに、教育委員会や学校等の希望に応じて開催回数を増加するなど、充実を図っているところでございます。

上杉委員 ありがとうございます。

 正しい教育をするに当たって、まず、そもそも学校の先生が正しい理解、認識をしていないといけないと思うんですね。

 このリスコミ戦略の中にある正しい理解、正しい知識。正しい知識、正しい理解のその言葉の裏側にあるのは、しっかりと、放射線に対して、安心なんだという気持ちを学んだ人に持ってもらうことだと思うんですね。

 そういう意味でいえば、子供たちがしっかり、ああ、大丈夫なんだと思うためには、先生たちも思っていないといけない。また、ちゃんとその学校現場で教えたかどうかを、子供たちが大丈夫だというふうに思ってくれたかどうかというのをしっかりと検証しないといけないと思うんです。

 ですから、じゃ、来年度からもしこれが新しくなったとしたら、しっかりと来年の三月ぐらいにはアンケートを学校にとって、どんな教育をしたのか、また先生はどう思っているのか、子供たちはどう思っているのかというのをしっかりとアンケートをとった方がいいと思います。そうじゃないと、この知ってもらうということの本当の効果というのは見えてこないと思うんですね。ぜひお願いしたいと思います。

 もう時間になってきましたので、一言だけ。

 文科省さんは、文部科学委員会でもお伝えしましたが、今にあって、未来をつくる省庁であります。つまり、未来の子供たちを今教育してつくっているわけですから、ぜひそのことを重く思っていただいて、子供たちに対してしっかり放射線教育をしてこないと、今、復興庁さん始め全部の省庁で風評払拭をやっているわけですから、子供たちが放射線に対して誤った理解をしたまま大人になったら、十年後、二十年後、風評がまた復活するということになってしまいますから、ぜひ、しっかりと風評払拭の正しい教育というものを進めていただきたいと思います。強くお願いをいたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 通告に従いまして質問をさせていただきます。

 私からも、冒頭、平成三十年七月豪雨で亡くなられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。政府におかれましては、とにかく人命救助、そしてまた復旧復興、これに向けて全力で取り組んでいただきたいとお願いを申し上げる次第でございます。

 さて、東日本大震災から七年四カ月、復興・創生期間もいよいよ折り返し、こういう状況でございます。

 私も、ことしの三月に福島県の浪江町また双葉町始め各地を訪問させていただきまして、また県下のそれぞれの首長の皆様とも意見交換を行ってまいりました。また、今回の質疑を行わせていただくに当たりまして、公明党の福島県本部とも連携をさせていただきまして、現地でどんなお声が上がっているかということで、いろいろなことを伺ってまいりました。本日はそうしたさまざまな声をもとに質問をさせていただきたい、このように思います。

 まず、私からも、先ほど来お話が出ております風評被害、風評の払拭の問題、これについて質問をさせていただきたいというふうに思います。

 よく、私ども公明党も、復興というのは、風評そして風化、この二つの風というものとしっかり闘っていかないといけない、こういうことを申し上げさせていただいておるんですけれども、政府におかれましても、今、いろいろな取組をさせていただいております。

 例えば、農業の問題。今、実態調査を行っていただきました。いろいろなデータも出てきております。引き続き調査も行っていただく。それぞれの、消費者がどう思われているのか、あるいは卸の段階でどう思われているのか、いろいろなところでしっかり調査をしていって、そうして必要な取組を行っていく。

 こういうふうな取組も行っていただいていると承知をしておりますけれども、今回お伺いをしたいのは、特に観光、観光業の風評、この問題についてお伺いをしたいというふうに思います。特に、その中でもやはり福島県の観光についてお伺いをいたします。

 私も、観光業の風評の実態をいろいろ伺っております。状況がかなり、場所によってさまざまなんだなということを改めて感じております。東北全体で見ますと、戻ってきているところもある。もちろん福島県も、トータルで見ますとそれなりに戻っている部分もある。

 しかし、県内でも、会津、中通り、浜通り、それぞれの地域で状況も異なる。同じ地域の中でも、もともとどういう観光資源によって人が来ていたのか、こういう状況もございますし、もともとどういう顧客層が多かったのか、教育の修学旅行みたいなものが多かったのか、あるいはそうではないのか、いろいろな状況によって観光客の戻る状況も異なってきているな、これを感じております。また、浜通りの地域ですと、一旦、除染の作業員の方ですとかいろいろな宿泊ニーズというものが、時期によってかなり異なってきている、経営環境がかなり激変をしている。ある時期は、除染作業員の方がすごくわっと来られた時期もあったり、しかし、除染が進んでくるとそういう方も徐々に減ってくるという状況もあったりという、こうした、環境もさまざま変化している中でなかなか対応できていない部分もあるというふうな、いろいろなお声を伺っているところではございます。

 ですので、まず国土交通省にぜひお願いしたいのは、観光に関しまして、風評の実態というのを果たしてどう認識しているのかを、私も、国土交通省、復興庁ももちろんそうなんですけれども、政府としてもしっかりと把握していただきたい。その実態の認識に基づいて、特に観光が戻ってきていない地域、また戻ってきていないそうした方々に対してやはり支援をしっかり強化していかないといけないんじゃないか、こういう認識を強く持っております。ぜひとも御対応いただきたい、このように思いますけれども、取組について答弁を求めたいというふうに思います。

米村政府参考人 お答え申し上げます。

 東北地方の宿泊者数でございますが、全体としては震災前の水準にとどまっておりますほか、訪日外国人についても、増加はしているものの、全国的なインバウンド急増からはおくれている状況でございます。

 また、福島県につきましては、外国人延べ宿泊者数が昨年にようやく震災前の水準に回復したように、東北地方全体に比べてさらにおくれておりますほか、福島県の調査によりますと、同県における一昨年の教育旅行の宿泊延べ人数は、震災前に比べて六割程度にとどまってございます。

 また、福島県が調査をいたしました観光客の入り込み者数、延べでございますが、これについては、震災前に比べまして、二〇一六年において、中通り地域、会津地域の両地域の合計といたしましては一〇二・六%になっておりますけれども、一方、浜通り地域では六六・一%と、大変大きくおくれているところでございます。

 このように、福島県、特に浜通り地域におきましては東日本大震災による影響がいまだに大きいと考えてございます。

 このため、政府では、二〇二〇年に福島県を含む東北六県の外国人延べ宿泊者数を百五十万人泊とする目標を掲げまして、その実現に向けまして、二〇一六年を東北観光復興元年として、東北観光復興対策交付金を創設して、さまざまな地域の取組を支援しますとともに、JNTOによる集中的な訪日プロモーションとして、東北に特化をいたしました海外主要市場向けのデスティネーションキャンペーンを実施しているところでございます。

 また、福島県におきましては、御指摘のとおり、浜通りの地域を主たる対象フィールドとして、最先端の研究施設の見学ですとか地元の方々との意見交換などを通じまして、学生が対話型で学ぶ教育旅行モニターツアーやその展開などの取組を県が実施しておりまして、それに対する支援を行っているところでございます。

 こうした支援を継続して行うことによりまして、外国人延べ宿泊者数については、二〇一六年から二〇一七年にかけて全国の伸びが一二%でありましたのに対して福島県では三二%と、同県の伸びが全国の伸びを大きく上回っているところでございます。

 今後とも、引き続き、これらの制度を活用しながら、事業内容のグレードアップをしっかり図ってまいりまして、実施主体である福島県や県内の市町村あるいは復興庁等々の関係機関の連携をしっかり強化してまいりまして、浜通り地域を含む福島県の観光振興に全力で取り組んでまいります。

中野委員 しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 この状況の中、大変に取扱いが難しい問題として、原子力事故の損害賠償の問題もございます。

 経済産業省はきょう来ていただいているかと思いますけれども、平成二十七年にこの二年分を一括払いということで賠償しておりまして、その後の追加の賠償というのを、今まさに申請が出て、取り扱っているという状況だというふうに伺っております。

 先ほど申し上げたとおり、特に観光の分野、風評被害の実態がさまざまであるということもございます、全体として戻ってきているじゃないか、こういうような指摘もあるやに伺っておりますけれども、やはり場所場所によってかなり状況が違うということもございますので、これはやはり非常に丁寧に、また事業者の現場の皆様の状況に寄り添った対応というものをぜひ東電にしていただきたい、このように思います。

 これについて、政府の答弁を求めたいというふうに思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 観光業を含みます商工業の損害賠償につきましては、先ほど御指摘いただきましたとおり、東京電力は、将来にわたる損害として、個別事情を確認した上で、事故との因果関係がしっかりと確認できた場合には、年間の逸失利益の二倍相当額を一括で賠償してございます。その上で、平成二十七年の六月に閣議決定をされました福島復興指針を踏まえまして、東京電力は、損害が一括の賠償額を超過した場合には、個別事情を勘案の上、追加賠償をするということにしてございます。

 被害者の方々の置かれた状況というのはさまざまでございますので、経済産業省といたしましては、東京電力が個別の状況をしっかりと踏まえて丁寧に対応するように指導しております。

 東京電力におきましては、個別の請求者の方々への電話連絡あるいは御訪問などをみずからが行い、直接事情をお伺いするという取組を強化しているものと認識しております。

 本日御指摘もいただきましたので、今後とも、こうした取組を通じて、被害者の方々に寄り添った取組をしていくよう、改めて東京電力にしっかりと指導してまいりたいと考えております。

中野委員 原子力事故の災害の被災地域では、帰還困難区域を除く地域におきまして避難指示の解除というものも進んでおります。

 先日、浪江町に行かせていただいた際には、帰還をされておられる住民の皆様とも懇談をさせていただく機会をいただきました。ある若い方が、ふるさとの復興にとにかく取り組んでいきたいということで、本当に涙ながらにその思いというものを語られておりましたのが非常に私の印象として強く残っておりまして、こうした方々の気持ちにお応えができるように、やはり帰還、復興について国がしっかりと後押しをしていかないといけない、このように感じております。

 この点について、何点か質問をさせていただきたいというふうに思います。

 帰還あるいは復興を進めていくためには、特に浜通り地域で産業、雇用、仕事というものをしっかりと生んでいかないといけないというのが大きな課題だと認識をしております。そのために、今、政府で一丸となって進めていただいております福島イノベーション・コースト構想について、それを、更に取組を前に進めないといけない、このように思っております。

 先日、ちょっと状況もお伺いをさせていただいたんですけれども、いろいろな計画がありますけれども、例えば福島ロボットテストフィールド、ドローンでありますとかさまざまな実験ができる、こういう地域も間もなく、一部開所ということで、スタートするということもお伺いをいたしましたし、また、浪江町では、再エネに由来した大規模な水素を製造する拠点、こういうものも着工するということで、このイノベーション・コースト構想について具体化が今まさに進んでいる状態だというふうに聞いております。

 やはり、こうした取組、政府一丸としてこれは進めていっていただきたいというふうに思いますし、こうしたさまざまなものを今つくっている中で、いかにこれが持続的に地元の産業として発展をしていくのか、あるいは地元の企業としっかり連携をして産業が集積をしていく、こういうことをぜひ目指していかないといけない、このように思っております。

 この福島イノベーション・コースト構想のさらなる推進ということで、今後どのように取り組まれていくのかということをお伺いしたいというふうに思います。

星野政府参考人 お答えいたします。

 福島イノベーション・コースト構想でございますが、これは、福島復興の切り札となる非常に重要なプロジェクトと位置づけてございます。

 委員に御指摘いただきましたとおり、南相馬、浪江町に整備中の福島ロボットテストフィールドでございますが、通信塔が利用可能となりまして、明日、一部開所を迎える予定になっております。来年度末には全ての施設が開所する予定としております。また、浪江町の再エネ由来大規模水素製造実証拠点でございますが、これは今月上旬に着工しておりまして、イノベーション・コースト構想の具体化が進んでいるところであります。

 今後は、これらの拠点を最大限活用いたしまして、福島イノベーション・コースト構想推進機構を中心とした広域的な企業誘致体制を構築して、浜通り地域等への企業誘致を進めまして、雇用創出にしっかりと取り組んでいく所存でございます。

 さらに、この機構と官民合同チームが緊密に連携をいたしまして進出企業と御地元の企業とのマッチングを進めることで、持続的、自立的な産業発展、産業集積の一日も早い実現に向けた取組をしっかりと進めてまいる所存でございます。

中野委員 このイノベーション・コースト構想の推進に当たりましては、経済産業省、復興庁もございますけれども、関係省庁も含めて、しっかりと政府が一丸となって、これはまさに福島に新しい産業、先進的な産業を集積していくという大変に大事な取組だというふうに思いますので、しっかり推進をしていただきたいと改めてお願いを申し上げる次第でございます。

 時間が迫ってまいりましたので、次の質問に移ります。

 浪江町でさまざま懇談をいただく中で、これは本当に避難指示を解除した区域でいつも御要望いただくことでございますけれども、例えば生鮮野菜のようなものがなかなか買えない、こういうふうな御要望をいただいたり、あるいは医療や介護サービス、こういうものがなかなか受けられなくて不安だ、こういうお声をいただいたり、帰還を進めるために、生活施設であるとか医療・介護施設の受皿の整備、これがないと進んでいかないというのが非常に重要だということを改めて感じる次第でございます。

 この避難指示解除の区域においてこうした生活に必要なサービスが受けられるような支援、これについても引き続き取り組んでいただきたいと思いますけれども、答弁いただきたいと思います。

吉野国務大臣 お答え申し上げます。

 避難指示を解除された地域は、生活再建、いわゆる日常の暮らしができるようにしていくということが一番大事でございます。学校の再開等々、また買物環境等々、医療・介護施設等々、たくさんございます。こういうところの支援を今行っているところです。

 学校の再開では、教員の加配等々、またスクールカウンセラーの配置などを今やっているところです。また、心のケア、これも重要でございます。

 ただ、これらのソフト事業はなかなか長期的にかかるものでございますので、創生期間後もきちんと関係町村と相談を、意見を聞きながら、実態を把握しながら進めていきたい、このように考えております。

中野委員 大臣、ありがとうございます。私が次にしようとしていた質問もまとめて答えていただきまして、済みません。

 答えていただきましたので、最後に、私から、引き続きのお願いというところで、改めて申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 大臣に最後にお答えいただきました心のケアの問題というのは、非常に重要な問題だと思っております。特に、私は兵庫県ですので、阪神・淡路大震災、震災が起きてからかなり長くたってもやはり心のケアというものが必要だ、こういういろいろなお声というのを伺ってきたわけでございます。

 そうしますと、例えば福島県につきましては、今、政府の方も、これは引き続き国が前面に立ってしっかりやっていくということで、そういうことを言っていただいておるんですけれども、例えばその他の地域、岩手県であるとか宮城県であるとか、津波の被害が大変に大きかった。今、復興公営住宅がどんどん完成をしていくということで、インフラのハード面の整備、そういう意味ではほぼこれが完成をしていくというフェーズに入っていくというふうに思うんです。

 しかし、仮にそのインフラが完成をしたとしても、じゃ、阪神・淡路のときに何が起きたかといいますと、仮設から復興公営住宅に移っていく段階でやはりコミュニティーがまた変わっていったりですとか、あるいは、昔、実際にこういう震災に遭って、東日本大震災のようなまた大きな災害の映像を見たときにまたトラウマがフラッシュバックしてきたりですとか、かなり心の問題というのは長期にわたる問題ということがあろうなというふうに思っております。例えば、見守りの問題であるとか、インフラがたとえ完成をしても、長く支援が必要なものが私は必ずあろうというふうに思います。

 こうしたものについて、何が必要なのか、何をしっかりやっていくのかというものをしっかりと政府の方でも検討していただきまして必要な対策をとっていただきたいというのが、私のこの質問の最後に当たりましてのお願いでございます。

 大臣は先ほど、それをしっかりと検討していくということで、もう先に答弁をしていただきましたので、最後、改めてまた答弁いただければ。

吉野国務大臣 私自身も、今になって津波の映像を見たくないんです。ですから、時間がたてばたつほど新たな心のケアというのが本当に大事になっております。

 あと、復興庁が、創生期間が終わったらば全ての心の復興、心のケアというところを切ってしまうというのは、どうしても避けていかねばなりません。岩手、宮城の津波、地震被害地でもそういうところが起きておりますので、きちんと継続できるようにこれから頑張っていきたい、このように考えています。

 以上です。

中野委員 済みません、以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

谷委員長 次に、岡本あき子君。

岡本(あ)委員 立憲民主党・市民クラブの岡本あき子でございます。

 冒頭に、西日本豪雨災害で犠牲になられた方々並びにその御遺族の皆様に改めて哀悼の意を、そして、行方不明の方々の一日も早い救出を、そして、住宅や家財、ライフラインを失って今なお苦しんでいらっしゃる方々に心からお見舞いを申し上げます。

 政府の役割は、現場の声を幅広く吸い上げ、現場で活動しやすく、制度の適用をしやすくすることであり、また、必要な予算措置をしっかり講ずることです。国会も、与野党を超えて、西日本豪雨災害への対応を最優先で考えていかなければなりません。発災直後ももちろんですが、今後の被災者の生活再建の見通し、なりわい再建の支援については、それこそ、復興庁が持っているノウハウ、横断的で、かつ専門的なノウハウが必要になります。広範囲にわたる今回の災害復旧復興にも、復興庁も全力を尽くしていただきたいと申し上げさせていただきます。

 豪雨災害については後ほど触れさせていただきますが、まずは東日本大震災の復興について伺います。

 本日の委員会でも風評被害の話が続いておりました。私からも伺わせていただきます。

 風評被害と風化を防ぐという二つの風の闘いがまだ続いています。風評被害の一つがやはり放射線被害であり、食品に関する安全です。諸外国における農水産物の輸入規制の継続が今なお残念ながら続いています。韓国政府は、水産物の輸入禁止措置是正を、WTOの紛争処理小委員会から勧告が出されたにもかかわらず、上訴されました。大変残念に思っています。

 宮城県では、東日本大震災前に、ホヤの養殖、約七割を韓国に輸出しておりましたが、二〇一六年は一万三千トンのうち約七千六百トンを焼却処分、十七年も六千九百トン処分をしております。ことしは、そもそも養殖をする量自体を三分の一にまで減らさざるを得ない状況になっています。

 これでは、なりわいの復興とはほど遠いものとなっています。科学的根拠をもとに根強く行っているとは伺っていますが、それこそ風評被害の典型的な状況だと思います。

 韓国のみならず、香港、中国に対してもですが、政府を挙げて、この風評被害、更に尽力をすることを求めますが、お答えください。

森政府参考人 お答えいたします。

 原発事故に伴います諸外国、地域において講じられている放射性物質関係の輸入規制に対しましては、さまざまな機会を捉えて、その撤廃、緩和を求めてきたところでございます。その結果、水産物に対して何らかの規制を設けている国、地域の数は、事故直後の五十三から、現在二十七にまで減少しております。最近ではロシアですとかEUにおいて緩和が実施されるなど、諸外国、地域の輸入規制の撤廃、緩和が進められているところでございます。

 ただし、一方で、今なお輸入規制を維持している国、地域の中には、国産水産物の主要な輸出先でございます香港、中国、台湾、韓国などが含まれております。これらの国、地域に対しては、一刻も早く輸入規制の撤廃、緩和が行われるよう、引き続き、科学的な根拠に基づき、政府一体となって粘り強く働きかけてまいります。

 なお、委員御指摘のありました、韓国による宮城県産ホヤを含む日本産水産物等の輸入規制についてでございますが、本年二月、WTOが、韓国の輸入規制措置がWTO協定に反すると認定し、この措置を協定に適合させるよう勧告するパネル報告書を公表したところでございます。韓国側は、この判断を不服として、本年四月にWTO上級委員会へ申立てを行ったところでございます。

 我が国としては、我が国の主張が上級委員会においても認められるよう、しかるべく対処してまいります。

岡本(あ)委員 WTOが、科学的根拠をもとにしっかりとした勧告をしていただきました。残念ながら上訴になっていますけれども、やはり、この実績をしっかり伝えて、そしてその結果を出すということ、それをきっかけに、香港、中国、他の国に対してもしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 もう一つ、風化という意味でいきますと、復興五輪があります。風化をさせないために、ぜひ復興五輪。

 東京オリンピック誘致の際に、復興五輪として復興を世界に発信し、復興を後押しするとおっしゃいました。誘致成功後、国会において安倍総理御自身が東京オリンピック・パラリンピックという言葉を実は九十二回使われているんですが、一方で、復興五輪という言葉は、わずか、九十二回のほかに、十二回です。衆議院では三回のみなんです。所信表明に盛り込まれた二回と、予算委員会で福島選出の小熊議員の、復興五輪とはと問われて、答えに復興五輪という言葉を使ったもののみなんです。

 総理自身にとって東京オリンピック・パラリンピックというのは力が入っているのはわかるんですが、残念ながらこの復興五輪という言葉が出てこないということに対して、私は本当に残念ですし、風化を防ぐためには、やはり官邸も含めて、政府挙げて復興五輪という言葉を使われるべきだと思いますが、改めて、復興五輪の取組、積極的に発信をされているのか、伺います。

吉野国務大臣 ありがとうございます。

 二〇二〇年東京大会は、復興しつつある被災地の姿を国内外に発信する絶好の機会と認識をしておるところでございます。この機会を利用して、被災地が力強く復興してきた様子や、観光名所、食材等、地域の魅力を多くの方に知っていただくことによって、インバウンドの増大や地場産品の消費拡大等につながることを期待しております。

 このような観点から、復興庁では、昨年の十二月にIOCの調整委員会がやってまいりまして、そこの公式夕食会を開催し、役員の皆様に直接、被災地の食材のよさや安全性をPRするなどの取組を行ってきたところでございます。

 また、聖火リレー、これも、森組織委員会会長の御英断によって被災地から出発をするということでございまして、これも復興の発信の大きな、絶好の機会をいただいた、このように理解をしているところです。

 引き続き、被災地での競技開催、聖火リレーの実施、選手村での被災地食材の活用などを通じ、被災地の姿や魅力をしっかり発信し、復興の後押しをしてまいりたい、このように思っておるところです。

 以上です。

岡本(あ)委員 大臣、もう一言いただきたいんですけれども。

 聖火リレー、福島から始まるということが決まりました。被災地としても大変喜ばしいことだと思っています。ただ、多分、オリンピックでスタート地点が福島だということが、被災地だということがどう伝わるかということにかかっているんだと思うんですね。

 例えば、リオ・オリンピック、聖火リレーのスタートはどこでしたかと聞かれて、わかる方、どのぐらいいらっしゃいますか。平昌のオリンピック、スタート地点、聖火スタートがどこだったかというのを覚えていらっしゃる方、残念ながら少ないと思うんです。

 聖火台で最後火をつけた瞬間は、結構皆さん覚えていらっしゃるんですね。平昌だと金妍児選手、その前が南北統一の、南北の選手がリレーをして最後に火をつけたという瞬間は何となく言われると覚えているんですが、スタートがどこだったかというのは、実は、そこの土地は盛り上がってわかりますよ。でも、残念ながら、世界じゅうで、ああ、東京オリンピックのとき被災地の福島だったね、あるいは、被災地を重点的に回ったね、そういうのが伝わるかどうかにかかっているんですね。

 ちなみに、リオ五輪のときはブラジリア、それから平昌のときはソウルで、要は首都からスタートしているんです。一九六四年の東京オリンピックは沖縄からスタートしているんです。

 そういうことがちゃんと伝わって初めてこの聖火リレーの意味があるのかなと思うので、先ほど発信を頑張るとおっしゃっていただきましたが、改めてもう一度、この聖火リレーが、被災地をめぐって、被災地スタートするんだということの発信を、特に復興庁挙げて、各省庁に伝えて、国民だけじゃなくて世界に知ってもらう御努力をいただきたいと思いますので、もう一言いただけますか。

吉野国務大臣 今度のオリンピック、パラリンピックは復興五輪でございます。そういう意味で、被災地から聖火リレーがスタートするということは、まさに復興五輪を体現したものというふうに理解をしております。

 今おただしのように、では全世界の方々が覚えているか、印象に残っているかということでございますけれども、これは、印象に残るように、これから県並びに関係当局と議論を重ねて、印象に残るような被災地出発ということを行っていきたいというふうに考えております。

岡本(あ)委員 ぜひお願いしたいですし、今申し上げたとおり、世界じゅうでいきますと、どちらかというと、最後、聖火を、聖火台に火をつけたという印象がやはり聖火というのは大きいものですから、ぜひ、そこのシーンにもやはり復興というところをしっかり盛り込んでいただきたいなと思いますので、大臣、よろしくお願いします。

 西日本豪雨災害の対応について触れさせていただきます。ちょっと質問を飛ばさせていただきますけれども。

 広域的な災害で、土砂災害や洪水、山間部や平地など地域によっても差があることへの対応の場合、迅速かつ柔軟に判断し、対応できる権限が現場にあることこそが重要だと私は考えています。

 その意味でも、政府が県から今回についても情報を待つのではなく、現場に政治的判断も含めてできる者を置いて、その場でできる判断、それから、政府の災害対策本部との連絡、連携もできる形で進めるべきだと思います。

 基本的には内閣府になると思いますけれども、復興庁でも、今回、発災からその後に続く支援のあり方というノウハウは、復興庁にこそ、私、持っていると思うんですね。なので、この西日本の豪雨災害においても、現地に対策本部を置いて、そして、政務三役である復興副大臣や政務官というのを広島、岡山、愛媛など現地に派遣をする、そういう、現地対策本部を設置して、政務三役を配置して、常時現場の状況を把握するように努めるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

吉野国務大臣 今の段階は、まず人命救助でございます。復興庁は、復興に関して、復旧復興に関してのノウハウはたくさん持っている省庁でございますので、今の段階で現地に政務官等々を派遣するというステージではないのかな、このように考えています。

 ただ、加藤統括官は、前の仕事が防災でございますので、すぐ内閣防災の方に兼務という形で、統括官でありながら内閣防災の仕事もできる、そういう形で兼務をさせておりますので、彼は大変優秀な方でございますので、復興庁でのノウハウもこれからです。

 本当にいい御意見を賜って、ありがとうございます。

岡本(あ)委員 やはり現地の情報を得るということは非常に大事ですし、今であれば、本来だったら、防災の担当と一緒に引き続き支援ができる、そういう形で体制も検討していただきたいと思います。

 そして、今回、残念ながら、東日本大震災で得た私たちのノウハウ、教訓というのが本当に現場で生かされているんだろうか、そういう細かいところをいくと、もっとこういうところに手厚くできるんじゃないか、そういう思いを抱えております。多分、大臣、副大臣とも被災地の出身ですので同じ思いではないかと思います。

 大規模な災害対応は、職員だけでは限界があることを示しました、東日本大震災でも。被災者に寄り添った支援の実践には、NPO、NGOや民間団体、資金援助も含めて、行政以外の機関との連携による被災者支援、復興の取組が大きな成果でした。特に心のケアなど、被災した場面のほか、その方の年齢や育ち、家庭環境や地域環境など、個別に対応する必要性や、そこに専門機関がつながる横断的支援も行われました。また、現場に権限があり、現場の状況に応じた臨機応変な対応ができる柔軟な体制も必要だということも学びました。

 こういうノウハウというものは、復興庁にこそ、私、持っていると思います。今すぐ西日本でも使えるノウハウを持っていますので、常時必要なノウハウをしっかり伝えること、あわせて、この持っているノウハウをしっかり蓄積をして、ちゃんと後に残せる、それから、関係する省庁にもそのノウハウを伝え切って、いざというときに使える状態にするということが必要なんだと思います。

 このノウハウの蓄積、それから、それをどう使える状態にしていくのかということ。それから、私からすれば、まだまだ風評被害、風化を防ぐ取組が長く続く中であれば、本来は復興庁という形がまだまだ続くことを望んでおりますが、このノウハウをしっかり蓄積をして、それをどう引き継いでいくのか、あるいは、どこまで長く体制として必要と考えていくのか、そのことも、最後、ごめんなさい、ちょっとまとめての質問になりますが、お答えいただければと思います。

吉野国務大臣 委員おただしのこと、本当に大事なことでございます。

 復興庁に蓄積された、心のケアや民間団体による支援等、復興に関するノウハウの整理、引継ぎは、今後起こり得る大災害へ備える上で大変重要であるというふうに認識をしております。

 そして、このノウハウを、必ず大災害というのはやってくる時代に突入したわけですから、きちんと、いわゆるポスト復興庁の議論の上でも、このノウハウを蓄積して、大災害が起こればすぐこのノウハウを適用できるようなそういう体制をこれからとっていきたい、このように考えているところです。

 そういう意味でも、関係省庁ときちんと、あと与党の加速化本部等々ともきちんと議論しながらやっていきたい、このように考えています。

岡本(あ)委員 今後起き得る災害とお答えになりましたが、今まさに西日本でも災害が起きておりますので、しっかりと、復興庁で支援できること、それから現場でできること、力を発揮していただきたいということを申し上げ、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、山崎誠君。

山崎委員 立憲民主党、山崎誠でございます。

 早速、貴重な時間ですので、質問をさせていただきます。

 まずは、二〇一八年七月の豪雨災害、私からも、お亡くなりになりました皆様に哀悼の意をお伝えするとともに、被災者の皆様にお見舞いの言葉を申し上げさせていただきたいと思います。

 今、被災地、ボランティアの方々を始め、自衛隊の皆様、行政関係、自治体の皆様、本当に努力をされています。私も、避難所・避難生活学会という方々と、段ボールベッドを避難所に入れようということで、そのお手伝いを陰ながらさせていただいています。少しずつ広がっていって、いろいろな効果が出てきていると思います。

 皆さん、これはもう総力戦で、今までの経験あるいは知見を生かして、少しでも避難所での生活がよくなり、そして復興が加速できればと思っている次第でございます。今後とも、政府の全力の御努力、そして私たちも応援をしてまいりたいと思います。

 この豪雨災害に関連しまして、一点、追加をしました、三番の放射線防護施設の危険区域の状況についてという質問からまず入らせていただきます。

 これは何かと申し上げますと、原発事故のときに屋内避難をするということで、原発から三十キロ圏内でこの放射線防護施設の整備をされているということでございます。

 この避難をする大事な施設が、今、数えますと、平成三十年の六月末現在で全国で二百五十七施設あるということなんですが、実は、その施設のある、立地している場所が、土砂災害警戒区域、あるいは土砂災害の特別警戒区域、これはレッドゾーンと言われて、大変厳しい、危ないと言われているところ、あるいは浸水想定区域、あるいは津波の浸水想定区域。この三つ、四つのカテゴリーで数えますと、二百五十七ある施設、これは、皆さんが避難しなければいけない、あるいは、避難ができないお年寄りとか病気の方とかそういう方々が入っている施設がこういう危険な区域に入っているというのが、二百五十七施設のうちに六十七施設あるんですよ。四分の一がこの施設に相当します。

 よく見ると、例えば福井県は、三十五件こういう施設があるんですが、そのうち、こういう区域に入っているものが十六件です。三十五件中十六件。特に、土砂災害特別警戒区域、レッドゾーンに入っているものが四件もございます。例えば、伊方原発のあります伊方町は十カ所あるんです。そのうちの九カ所がこういう区域に属しているという状況でございます。

 これは、いざというときに、例えば、大きな地震が来て、原発が危ない、避難しなさいという話になったときに、当然、土砂災害も並行して発生する可能性があると思います。こういった事態に対して今どう対応しようとしているのか。今、現状把握と、それから今後の対応についてお話を聞かせてください。

荒木政府参考人 内閣府の原子力防災担当でございます。

 先ほど、数字につきましては、山崎委員の方からお話があったものでございまして、現在、平成三十年六月末現在におきまして、全国の整備中を含みます放射線防護施設二百五十七施設のうち、今御指摘のあったような区域が一部でも含まれている施設は六十九施設あると承知してございます。

 国におきましては、避難により健康リスクが高まるなど屋内退避を継続する必要のある要配慮者が現におられる既存の病院や福祉施設などにつきまして、放射線防護対策の支援をしているところでございます。

 既存施設の放射線防護対策という事業の性質上、一般災害に係りますリスクはその立地環境によるものの、これまでも、耐震性や、津波による被害又は施設の上層階など浸水被害を受ける可能性が低いことなどを要件としてきたところでございます。

 また、平成二十八年十二月には補助金の交付要綱を改正いたしまして、原則として土砂災害その他の災害に対しても安全な区域に立地していることを求め、やむを得ず安全区域外に立地する場合には、一般災害のリスクが高まった際には近隣の安全な施設に避難する計画を立てておくなどの対策を行うことを要件としているところでございます。

 土砂災害等の自然災害と複合災害が発生した場合には、住民の生命を最優先に対応してまいる所存でございます。

山崎委員 私がいただいたリスト自体が、平成三十年六月末現在でこれだけこういう危険な地域があるということで、今対応していると。どういう対応をされているのか、一つ一つ本当は確認しなければいけないと思いますが、時間がないのであれですが。

 担当者の皆さんと議論していると、当然、土砂災害で危険があれば逃げていただきますと言うんですよ。だけれども、原発災害が起こっているわけですよ。だから、外に出れば被曝の危険があるから中にいなさいという指示が出ている中で、命の危険があるから土砂災害は当然逃げるんですというそういう発想では、とても被災者のことを守れるとは思えません。

 なので、基本的には、こういうものを見た段階で、例えば伊方は十カ所あるうちの九カ所がそういう区域なんですよ。ということは、もうこれは再稼働できない、この問題が解決できないのであれば再稼働できないというのが私は適切な判断だと思います。

 時間がないのでこれ以上の見解を求めることはいたしませんが、この問題はやはり重要だと思います。今後も、対応一つ一つについて確認をさせていただきたいと思います。

 では、次、質問を戻りまして、避難者の皆さんの現状について、特に自主避難者の問題について改めて御質問をさせていただきます。

 前回の復興特別委員会、この特別委員会、四月三日、この御質問をさせていただきました。吉野大臣からも御答弁をいただきました。その答弁の中で、さまざまございますが、例えばこういう御答弁をいただきました。

 「住まいの確保等々、本当に困っておられる方々に対して、福島県と国が一体となっていろいろなアドバイス、相談業務を行っております。例えば、お仕事がないといえば就労の支援等々の施策も行っているわけであります。」大事なのはここからです。「関係省庁とそういう意味の連携をとりながら、一人一人がさまざまな課題を抱えておりますので、一人一人に寄り添った施策をこれから進めていきたい、このように考えています。」これは四月三日の御答弁でございます。

 もう一つ、「避難を余儀なくされている方々にとって、住まいの確保、これは最重点でございます。 例えば、福島県では、民間のアパート等を借りた場合、自主避難者の方々に対して家賃補助をしております。」という御答弁をいただいています。

 状況はこの四月の段階から変わっておりません。私が応対した皆さんの住まいに対する不安は払拭できていません。今、例えば東京の公務員住宅にお住まいの方々、来年の三月三十一日で出なさい、そういう契約を結ぶようにと言われています。四月以来、そういう方々のいろいろな声を聞いてまいりました。新潟にも参りました。それぞれ大変厳しい状況にあることがわかります。

 こういう方々に、とにかく、生活の基盤であります住まいの問題をどうやって国として解決していくのか。これを本当に真剣に、避難者の皆さんが納得いく対応をやはりとっていかなければいけない。あくまでも、自主避難の皆さんも被災者でございまして、被害者でございます。この視点でどうしてもこの問題をきちっと解決をしないと、来年の三月、一律に、もう七年以上たったんだ、八年たつんだから出なさいということでは決してないということをお伝えしたいと思います。

 この住まいの問題、出口の戦略に関しては、地域差はありますけれども、大きく言うと、二つでございます。

 基本的には、経済的にやはり大変皆さん厳しい中で住まいを確保しなければいけないという状況でございます。経済的に余裕のある方はもう出ていらっしゃる方もいらっしゃる。今残って、歯を食いしばって頑張っていらっしゃる方々は、やはり経済的にも大変苦しいという現状があります。

 そうなりますと、二つの出口。一つは、公営住宅でございます。各市町村で持っている公営住宅への入居。それからもう一つは、民間賃貸住宅に入った場合の補助、支援でございます。この二つを何としても実現をして、この住まいの問題の出口をきちっとお示しをしないと、来年の三月三十一日に出ていきなさいと、その先が決まっていない段階では、それはどうしてもクリアできない、大きな問題でございます。

 公営住宅に関しては、これは各地さまざまでございます。公営住宅のない地域ももちろんあります。その場合は民間の賃貸住宅を頼ることになります。それぞれ、自治体の皆さんも一生懸命配慮をいただきまして、優先入居をやったりとか、そういうことでございます。ただ、物件がすぐ見つからないとか、あるいは物件が見つかっても入居までに時間があるとか、さまざまでございます。

 国交省の方をお呼びしなかったですが、国交省の皆さんとお話をしても、この点に関して、もう一度、各自治体に働きかけをする、何とか被災者の皆さんが入れるように配慮していただきたい、そういう働きかけをする準備はあるということはお聞きをしています。

 それから、民間賃貸住宅です。これもやはり、家賃補助を何とか実現をしないと、今、お話を聞くと、収入の半分近くを家賃にとられる、半分以上を家賃にとられる、そんな世帯もあります。こうなってくると、本当に生活がその時点で成り立たなくなる。困窮、そういう状態になっていっています。

 福島県としてはこの支援は来年の三月末で打ち切るというようなお話もございますが、ぜひとも再検討していただきたい。

 復興庁として、先ほどの御答弁にもありました、やはり住居の問題というのは本当に最重点でございまして、これは復興庁も全面的に支援をして、来年の三月三十一日、これでどういう出口を示せるのかというのを、まず最善を尽くしていただきたいのが一点。

 三月三十一日で切っても、出口が見つからない方々がたくさんいらっしゃいます。子供の教育の問題がございます。転校しなければいけない、でも、いじめの問題があるから転校できないんだという切実な声も聞きます。何とか子供が卒業するまではここにいて、同じ学校に通わせてもらいたい。あるいは、仕事の問題。今パートを二つかけ持ちをしている、そんなような方々もいらっしゃいます。移動ができないんだ、職の関係で移動ができないと。あるいは、病気の方もいらっしゃいます。病気で近くの病院に通い始めている、そこでの検査の結果を待っている、だから移動できないんだ。そんなような事情を皆さんお持ちなんです。

 こういった方々には、この公務員住宅の来年三月三十一日打切りというのではなくて、きちっと出口が見つかるまで安心して住んでくださいと。それを、復興庁として、国として、東京電力とも協力し、そして自治体とも協力し。財務省の皆さんにも確認しています。丁寧に検討しますとまでは言ってくださっています。延長について、丁寧に検討しますよということまでは言ってくださっている。延長を認めますとは言っていただけていませんが、検討の余地は大いにあるよというお話はいただいています。

 復興庁、ぜひリーダーシップをとって、この問題、出口を、そして本当に生活の再建、これを目指した動きを、道筋を示していただきたい。吉野大臣、いかがでしょうか。

吉野国務大臣 いわゆる自主避難者の方々、全国に、福島県だけで約三万三千人近く避難をしております。そういう方々に対して、福島県はきちんと支援をしております。例えば、全国に二十六カ所のよろず相談所を設けております。

 私もこの間、沖縄に行ってきまして、二十二カ所歩いてまいりました。これはNPO等々、自主避難者の支援の団体でございますけれども、今のステージは生活再建でございます。この間の沖縄では、生活保護に一回落ちちゃうと、なかなか、その状態から引き上げるのが大変困難だということで、生活保護に陥らないように、きちんと仕事を世話し、今支援をしているというお話を伺ってまいりました。

 まさに、被災者、避難者は一人一人がいろいろな課題を抱えて、十人十色ということわざがあるとおり、一人一人の課題が違っております。そういうところをきちんと相談して、まず、委員おっしゃったとおり、住まいの確保がこれは一番大事でございますので、福島県はいろいろな、国交省等々を通じて、公営住宅等々また民間住宅等々の相談業務をやっております。また、二十六カ所のよろず相談所でも相談業務をやっているところです。

山崎委員 時間になりましたので終わりにしますが、今の答弁は、四月と全然変わらない。後退だと思いますよ。もう本当にせっぱ詰まっていますから、ぜひ前向きに、本当に一つ一つ誠意を持って御対応いただきたいと思います。

 終わります。

谷委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 国民民主党の小熊慎司です。

 四月三日以来の開催となりました。この間、大阪北部地震、また、まだ行方不明者のおられます西日本豪雨で亡くなられた皆様方、また被災された皆様方に、心よりお見舞いを申し上げます。

 時間も限られています。三つありますけれども、オリンピックについては先ほど岡本委員もやりましたので、ぜひ、福島県が聖火の出発地点になったということは大変喜ばしいことだと思いますので、これはいかに情報発信を、世界に発信できるかということはしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 次に、東京電力の第二原発廃炉の方針が示されました。これが示されたときに、党派を超えて多くの方が私によかったねとも言っていただきましたけれども、先日の、先ほど委員長からも報告があった視察の際に、視察でよかったなと思ったのは実は委員長の発言でありまして、この第二原発にも言及していただきましたけれども、よかったとはいえ、やはり遅きに失したという言葉を委員長からも発していただきました。決まったことはいいんですけれども、やはり遅かったというのも、これは否めないわけであります。

 しかし、逆にこれが新たなスタートでありまして、今まで何も始まっていなかった、復興に関してこれが足かせになっていた部分もありますから、逆にこれからまさに始まったということで、方針は示されましたが、工程表がどうなっていくのか、どのぐらいの年月がかかるのか、また、使用済みの核燃料が県外に持ち出せるのかといったことが、また新たなテーマとして、県民の不安、また先行きが不透明な部分もあります。

 この点について、現時点では明確なことは多分言えないとは思いますけれども、できる限りの説明をお願いしたいと思います。

文挾参考人 御質問ありがとうございます。

 工程についてお答えをさせていただきたいと思いますが、六月十四日に福島県知事を訪問させていただいた際に、福島第二原子力発電所につきまして、全号機を廃炉の方向で具体的な検討を進めるということを、遅きに失しましたが、公表させていただきました。

 今後、この具体的な検討を進めてまいるわけでございますけれども、本日、実は七月十九日付でございますけれども、社長直轄のプロジェクトチームを立ち上げるということといたしました。

 このプロジェクトチームにおきまして、福島第一原子力発電所の廃炉作業も含めました人的リソースの確保ということとか、あるいは福二の安全な廃炉、そして経営全般に及ぼす影響というものが多岐にわたるものですから、この多岐にわたる課題を整理しまして、具体的な廃炉に向けた工程、その中で廃炉の判断時期とか廃炉のスケジュール等につきましてもしっかり検討させていただいて、改めて公表させていただきたいというふうに存じます。

 よろしくお願いいたします。

小熊委員 方針が示されたときに、廃炉に至った理由を述べられていましたけれども、福島県民の皆さんに寄り添うとか言っていましたけれども、それはもう、もっと早い段階から、ではそれで判断できたんじゃないのというのがあって、ある意味、まだ信頼は一切ないので、今後の廃炉に向かう工程表のあり方についても、しっかり、より丁寧に、県民の理解を得ながら、早い段階で示していただきたいと思っています。

 次に移りますけれども、四月三日の委員会でも質疑させていただいた、いわゆるADRについて、真摯に対応すると言っていながら、その数日後にこの和解打切りが発表されました。

 先月二十七日の九時半、浪江町長の馬場有さんがお亡くなりになりました。私は県議会の同期です。一緒に過ごした時間も多かったです。出張の際には同部屋になって、本当にいろいろな御指導もいただきました。ある意味、殉職でした。この馬場町長が牽引をしたこの和解打切り後、今度は集団訴訟に入っていかなければいけない。

 そもそもADRは、迅速な紛争解決処理のために設置されているんです。業務規程の第一条にありますよ、それが。これは、東電の、和解案を六度も拒否したということも大変な問題ですけれども、このADRの設置目的も果たされていない。

 大臣も、四月三日の答弁では、経産省を通じてしっかり指導していきたい。でも、結果はこれですよ。今月に至っては、飯舘村も打切りです。

 大臣、どう思いますか、これ。どうしていきますか、これから。

吉野国務大臣 浪江の馬場町長と小熊委員は県議同期であります。私は、同じ年齢、昭和二十三年生まれで、本当に親しくしている仲でございます。

 今のおただしのADRでございますけれども、ADRセンターは、個別事情に応じた公平かつ適正な賠償が迅速に実現されるよう、中立公平な和解案を示していると承知をしております。

 東京電力が賠償を実施するに当たっては、個別の事情をよく伺って丁寧な対応を行うことが最も重要でございます。復興庁として、経済産業省に東京電力に対するさらなる指導の徹底を求めてまいりたい、このように考えているところです。

小熊委員 大臣、それは、この間、四月三日も、東電もそれは個別の事情と言っていますけれども、この和解案は、そもそも、全員に共通して個別の事情があるというふうに認定をして和解案を示しているんですよ、ADRは。個々のことがあるから和解案が決裂しているんじゃないんですよ。ADRが、これは全員に共通してあるということで示しているんです。今さら聞く話じゃないんですよ、個々の事情は。そうじゃないんですか、大臣。

 和解案が打ち切られたときに、またその前から馬場町長は、東電に関しては、原発事故の原因者、加害者としての意識のかけらもないと。その証左です、これは。何かありますか、東電の皆さん。

文挾参考人 御質問ありがとうございます。

 今なお多くの皆様に御迷惑、御心配をおかけしておりますことに対しましては、心よりおわびを申し上げる次第でございます。

 ただ、今のADRにつきましては、先ほど大臣の御答弁からもありましたとおり、個々の事情に基づきまして、それぞれの被害者の方の御事情をきちっとお伺いした上でその賠償に応じるということで、丁寧に対応してまいりたいというふうに思います。

 今般、ADRが打切りになった件につきましても、ADRで打切りとなったものにつきましては、その後、申立人より個別の請求がある場合には、個別の世帯ごとの御事情をきちっとお伺いし、丁寧にその手続を進めてまいりたいというふうに存じますので、よろしくお願いいたします。

小熊委員 これは迅速であることが大事です、大臣。これは集団訴訟の方々も、集団で提訴された方々も、もう八百人以上亡くなっているんですよ。

 これは、ADRが何で設置されたのか。そして、今も個別、個別と言っているけれども、だから、ADRとしては共通した事情として認定したんです。だから和解案を示したんです。でも、東電がこういった見解を述べている。この違いをしっかり丁寧に説明できるものがないんですよ。だから、今後、裁判になっていきます。更に長期化します。その闘いの中で馬場町長は亡くなったと思います。これは単に、浪江町の人の意思、馬場町長の個人の意思ではありません。まさに福島県が抱えている事情の象徴的な事象です。

 大臣、どっちの側に立って仕事をしていくのか、この訴訟についてどういう態度をとるのか、どう働くのかは、福島県民の一人として問われています。ぜひとも被災者の心に寄り添った今後の対応を求めますし、東電においては、口では何とでも言えますよ。それが続いてきたんですよ、ずっと。震災の前からも。言葉ではきれいに繕っても、何にも形に示さない、それが東電の本質です。

 今後も厳しく対応していきますので。大臣、みんなが見ていますよ。よろしくお願いします。

 以上で終わります。

谷委員長 次に、階猛君。

階委員 国民民主党の階猛です。

 私からも、まず、このたびの西日本豪雨で亡くなられた皆様の御冥福をお祈りいたしますとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。

 昨日、日経新聞で見ましたところ、西日本豪雨で避難されている方が直近で四千七百二十八人いらっしゃるということでした。大変な数でありました。

 そこで、私も、いま一度、東日本大震災の避難者がどういった状況にあるのかということで、復興庁で出している資料を見させていただきました。

 資料の一ページ目につけさせていただいておりますが、六月十四日現在、トータルで見ますと、全国津々浦々に避難されている方が今も六万一千五百六十一人もいらっしゃる、この数字もまた大変な数字だというふうに改めて感じたところです。

 その中で、先ほど小熊さんは福島の問題について取り上げていただきましたが、私は、岩手、宮城の問題について取り上げたいと思います。

 岩手県と宮城県、今の避難者の数字で、それぞれの県において避難している方々、岩手県六千三百九人、宮城県が五千五百七十九人という数字になっております。直近で見ますと、岩手県の方が八百人程度上回っているような状況ではないかと思います。

 ところで、被災直後どういう数字だったのかということを見ますと、実は、被災された直後ではこの数字は大きく異なっておりまして、岩手県では四万六千四百五人だったのに対して、宮城県では二十万三千九百五十三人もいらっしゃったということで、当初は四倍ぐらいの開きがあったんですが、先々月ですか、五月ぐらいからこの数字が逆転して、岩手の方が避難者が大きい状況になっているということです。

 ちょっと、この数字はニュースにもなったので気になりましたので、大臣にお尋ねしたいんですが、最近になって岩手県の避難者数が宮城県を上回ることになったその理由について、大臣の御見解をお願いします。

吉野国務大臣 お答え申し上げます。

 復興庁においては、各地方公共団体の協力を得まして、東日本大震災による避難者数を調査し、公表しているところでございます。

 議員御指摘のとおり、本年五月、委員は六月のデータでしたけれども、五月の調査において、岩手県の避難者数は七千百四十一人、宮城県の避難者は七千十九人であり、岩手県が初めて上回っております。

 宮城県の避難者数が大きく減った要因については、さまざまなものがございます。一概には申せませんが、全体の傾向から推定すると、既存の民間宅地などで自力再建される方が多かったせいではないか、このように考えております。

階委員 つまり、既存の住宅地で住宅再建された方が宮城県には多いけれども、岩手県ではそのような土地の手当てがなかなか難しかったということだと思います。

 次の資料、二ページ目に、今の大臣の御答弁にも関係あると思うんですけれども、これも、復興庁の方といろいろ議論する中で、なぜ避難者の数が逆転するような状況になったのかという、その要因についてちょっとまとめていただいたものです。

 大臣の御答弁に関連するものとして、一番の「住宅再建の進捗状況」というのがあるんですけれども、宮城県では、平成三十年度末、今年度末で、住宅再建の部分ですね、災害公営住宅の手当てあるいは高台移転の土地の手当て、これがほぼ終わるということなんですが、岩手県では、三十年度末でなお九六%の進捗状況、全部終わるのが何とオリンピックが終わった後、平成三十二年度末ということで、大変この点に時間がかかっているような状況だと思います。

 この住宅再建に関する事業が宮城県に比して遅いということについても、大臣はどのようにその理由をお考えになっているか、お答えいただけますか。

吉野国務大臣 お答え申し上げます。

 各地域は、被害状況、地形、住民意向等を考慮しながら事業計画を立て、必要に応じ変更も加えながら、おのおの計画的に事業を推進しております。

 岩手県においては、沿岸部からの人口流出につながる内陸部での災害公営住宅の整備という苦渋の決断に時間を要したこと、また、もとの市街地を可能な限り再生したいという強い思いのもとで大規模な宅地造成を選択したことから、途中では多少の進捗率の差は生じております。

 しかし、今年度末には、宮城県一〇〇%、岩手県九六%と、各県とも住まいの再建は概成する見込みでございます。

階委員 今、二つ、事実関係について、その理由を大臣にお尋ねしましたけれども、改めて大臣の御決意を伺っておきたいんです。

 大臣の御地元の福島を始め、今なお避難者の数が大変な数多い状況である、それからまだ住宅の再建に関する事業が道半ばであるということから、私は大臣に対して求めたいんですけれども、避難者を一刻も早くゼロにする、それから住宅再建に関する事業を一刻も早く終わらせる、この決意をぜひ大臣からお答えいただきたいと思います。

吉野国務大臣 災害公営住宅へとか自立再建とか、住宅の確保は、被災を受けた方々にとっては一番大事なことでございます。そういう意味でも、復興庁として、私個人として、全力を尽くしてその住宅の再建に向けて頑張っていきたい、このような決意でございます。

階委員 ありがとうございます。

 その上で、更に議論を深めていきたいと思いますが、仮にこの住宅再建に関する事業が進んで一〇〇%に達したとしても、なお避難者が、岩手、宮城を念頭に置いていますけれども、この岩手、宮城においては残るんじゃないかという懸念を私は持っています。

 どういうことかといいますと、避難者、資料の一ページ目を見てみますと、欄外の方に、自県外への、自分の県以外への避難者の数というのも載っていまして、宮城県四千四百四十六人、岩手県から千九十九人という数字が出ています。ですから、今現在の避難者の数は、県外にいらっしゃる方も含めると、岩手は七千人ぐらい、宮城は一万人ぐらいというのが概算の数字ではないかと思っています。

 他方で、住宅再建が、残り数が大体、岩手だと二千件ぐらい、それから宮城だと一千件ぐらい、こんな数字だと思います。つまり、住宅再建、合わせると三千件ぐらい。仮に一世帯二人ずつ住むとした場合、そこに入れるのは六千人ぐらいだと思います。

 他方、さっき言いました避難者の数は、概算ですけれども、一万七千人ぐらいいらっしゃるということで、差引きすると、一万七千人から六千を引くと、一万一千人ぐらい避難者の数がなお残るのではないかという懸念を持っています。

 この残る避難者の数をゼロにしていくための方策、住宅再建に関する事業を完了した後も避難者が残らないようにするための方策、これも重要ではないかと思うんですが、この点について大臣のお考えをお聞かせください。

吉野国務大臣 災害公営住宅や高台移転については、事業主体である自治体において、被災者の住まいに関する意向を丁寧に把握し、計画戸数を決定しており、十分な戸数が整備をされております。

 また、各自治体においては、応急仮設住宅に入居されている方々に対し、災害公営住宅への入居、自力による持家の再建、民間の賃貸住宅の物件探しなど、恒久住宅の確保に向け、各世帯の再建方針を把握し、住宅再建のための支援を行っております。

 復興庁としても、各市町における住まいの再建が進むよう、住宅・生活再建支援の相談活動に取り組む自治体への支援を行っているところです。建築士や弁護士など、こういう専門家も相談業務に乗ってもらっております。

 以上です。

階委員 大臣も、この住宅再建に関する高台移転とか災害公営住宅の事業が完了したからといって、それは必要条件ですけれども、それだけで避難者ゼロにする必要十分条件にはならないということは御認識いただいていると思うんですね。

 そこで、必要十分条件にするために私どもの方から提案したいのが、被災者生活再建支援制度の見直しということであります。

 私も何度も取り上げさせていただいておりますけれども、資料の三ページをごらんになってください。資料の三ページには、岩手県、宮城県の住宅の工事単価ということで、最近の数字を出しております。今現在、震災前と比べてどれぐらい上がったかということで、幾つか数字があるんですけれども、大まかに言うと二〇%ぐらい上がっているということです。つまり、一千万の家を建てようと思えば二百万円かかり増しになっている、こういう認識です。

 つまり、二百万円というのはどういう数字かといいますと、被災者生活再建支援金で、住宅再建をした場合に加算支援金というのが得られます。これが二百万円です。値上がり分で二百万円の加算金が全部消えてしまうということは、このお金をもらっても実質的な補助にはならない。すなわち、この二百万円もらえるからといって、家を建てようという気にはなかなかならないんじゃないか。

 そのことから、私たちは、せめてこの二百万円のかかり増し分ぐらいは加算支援金を上乗せする、つまり、トータルでいいますと、現行三百万円の被災者生活再建支援金の上限額を二百万円上乗せして五百万にしたらどうか、こういう提言がまず一つあります。

 それからもう一つは、現行制度の問題点として、大規模半壊以上しか支援金の対象にならない、こういうことで、半壊からもう住宅を再建した場合には支援金を出したらどうか、こんなことも常々申し上げてきました。

 ちなみに、資料の四ページ目を見ていただきますと、これは岩手県の町村会からの要望書、つい先日、七月十二日にいただいたものですけれども、真ん中あたりに「被災者の住宅再建が十分図られるよう、被災者生活再建支援金の増額」という話が出ています。私の地元の岩手日報でも、この話が六月十日ぐらいに出ていたと思います。

 それからもう一つ、資料の五ページ目を見ていただきますと、これは、平成二十六年八月、被災者に対する国の支援の在り方に関する検討会の中間取りまとめということで、一番下の方の三、四行ぐらいを見ていただくと、「被災者生活再建支援の在り方については、被災者を取り巻く状況・ニーズが変化している中で、災害救助法の応急修理と支援法との関係整理、「住まいの確保」等も含めた被災者に対する支援策はどうあるべきかなど地方公共団体の意見も聞きつつ総合的な観点から、今後も引き続き検討を行うべきである。」ということで、検討を行うべきだというのがこの検討会の中間取りまとめ。もう今から四年も前になります。

 まさにこの被災者を取り巻く状況であるとか、四ページ目の地方公共団体の関係者の意見なども聞くと、先ほどの支援金の上限額の引上げ、あるいは大規模半壊にとどまらず半壊以上を支援対象にするということについてはもう実行に移していいと思っております。

 なぜ見直しが進まないのか、この点について、大臣の御答弁をお願いします。

吉野国務大臣 お答え申し上げます。

 支援金の増額等の本制度の拡充については、東日本大震災を始め過去の災害の被災者との公平性、他の制度とのバランス、国、地方の財政負担などを勘案する必要があるというふうに考えております。

階委員 内閣府の防災担当にも来ていただいているので、ここでお聞きしておきますけれども、先ほどの私の資料の五ページ目、最後のところで、今後も引き続き検討という話がありました。それからもう一つ、見直しのポイント二つ目で挙げた、半壊以上も対象にすべきではないかということにつきまして、私は、平成二十八年の五月二十七日に河野当時の防災担当大臣とやりとりをしまして、この件については、「さまざまな御意見を頂戴しながら検討していきたい」という答弁をいただいております。

 そういったことも踏まえて、今現在どういった検討状況なのか、教えてください。

米澤政府参考人 被災者生活再建支援制度の見直しにつきましては、ただいま吉野大臣から御答弁をいただいたことに尽きるわけでございますけれども、私どもといたしましては、平成十九年の法の改正に際しまして、法施行後四年を目途として制度の見直しを行うという附帯決議を踏まえまして検討を進めてまいったところでございます。

 御紹介をいただきました先般の検討会の中間取りまとめに基づきます各論点につきましては、例えば保険の加入の促進ですとか住まいの確保全体という大きな視点での検討は引き続き進めながら、同一災害同一支援の観点での見直しにつきましては、引き続き、予算編成過程の中で検討をしているところでございます。それに際しまして、全国知事会を始め各方面の御意見をお聞きしながら検討を進めてございます。

 ただ、支援金の増額ですとか対象を半壊以上とするといった制度の拡充につきましては、先ほど吉野大臣から御答弁がありましたように、公平性あるいは国、地方との役割分担を踏まえながら慎重に検討すべきということが現段階での考え方でございます。

階委員 過去の災害の公平性などという言葉がありました。ただし、私は、別に公平は害されないと思うんですね、特に支援金の引上げについては。なぜならば、値上がり分を補填するという意味での支援金の増額ですから、実質的な補助の金額について、別にそれを上乗せしようというわけではないので、ここは考えていただいていいのではないか。

 それから、地元の負担については、確かにそれはあります。今のところは二分の一県の負担ということになっていますが、私ども、国会に野党六党で共同提出した法案の中で、そこでは国庫補助の割合を、東日本大震災では国が五分の四なんですが、そこまでとは言わないまでも、二分の一ではなくて、三分の二ぐらい国の補助にすべきではないかといったような法案もまとめております。

 こういうことを考えたり、あるいは、保険で対応できるんじゃないかというお話もありましたけれども、実際問題、今度の岡山始め各地の豪雨の災害で使用不能となった住宅について保険でどの程度カバーできるのか私は寡聞にして知りませんが、そういったことも考えると、保険というのも、なかなかそれだけに委ねるわけにはいかないのではないかと思っています。

 大事なところなので、もう一度大臣にお尋ねしたいんですが、避難者の早期解消のためにも、復興庁として、野党提出、我々が提出している被災者生活再建支援法の案などを参考にしつつ、制度見直しを積極的に検討した方がいいのではないかと思いますが、復興大臣としての御見解をお願いします。

吉野国務大臣 私も被災者の一人でありまして、自宅は大規模半壊という被災を受けておる者でございます。この生活再建支援金をいただいた一人でございます。

 委員の今の御主張、本当に大事な観点だというふうに思います。ただ、国と地方との財政的なバランス、階委員の方は国が三分の二、地方が三分の一という案でございますけれども、このことについても、これから議論を重ねていかねばならない大きな課題になる、このように今思っているところです。

階委員 本当に毎年のように異常気象あるいは異常な災害が起きるという中で、早くこの制度を本当に被災者の住宅再建が迅速に進むようなものに変えていくということをぜひ政府として検討していただきたいと思っております。

 もう一つだけお尋ねしますけれども、東日本大震災の被災地、私の地元でいいますと陸前高田市とか大船渡市というところから、こういった要望が出ています。

 資料の六ページ目ですけれども、移転跡地に係る土地利用対策の推進についてということで、上から七、八行目ぐらいなんですが、防災集団移転促進事業においてこういった土地の買取りを進めているんだけれども、これらの土地は連担しておらず、全てが売却希望地ではないことから、買い取る土地が点在することになり、新たな土地利用を図る際の大きな懸念材料となっていると。

 いわゆる跡地のモザイク問題ということで、これも何度かこの委員会で取り上げさせていただいております。最近では、所有者不明の土地問題というのは政府としても全国ベースで取り組んでいることは承知しておりますけれども、被災跡地におきましては、所有者不明の土地というよりも、そもそも、もう所有者が不存在になっているという問題があるのではないかと思っています。

 その点について、最後のページを見ていただきますと、今申し上げましたとおり、一番下の丸、「未取得の要因が「権利者不明の土地」と回答した市町はなかった。」ということが一つ書いてあります。ただ、その上を見ますと、「未取得の要因は以下のとおりであった。」ということで、三に「意向不明 約一割」というのがあります。所有者不明の土地でもないのに意向が不明だということは、要は、土地の権利者がいないということで不明なんだろうというふうに推察します。この一割という数字、面積でいうと、上の方の数字から逆算しますと大体三十ヘクタールにも上るわけですね。

 こういう権利者がいないような土地について、放置しておくのではなくて、アメリカなんかの例だとランドバンクといったような組織をつくって、そこに土地を集めて、そのランドバンクが中心となって再利用を進めていく、こういったことも復興の一助として活用すべきではないかと思っています。

 最後に、この点について、大臣の御所見を伺います。

吉野国務大臣 お答えをいたします。

 所有者不明土地は、被災地を含む全国的な課題でございます。関係閣僚会議のもと、政府全体として検討が今進められているところでございます。

 閣僚会議で決定された方針に従い、所有者不明土地の対策が更に進むことを期待しているところです。

階委員 ちょっと私の通告の仕方が悪かったかもしれませんが、所有者不明の問題はないというのが、私の通告と前後して、さっきの資料の七ページで出てきたので、私は質問の内容をちょっと変えまして、所有者不明の土地は問題ないんだけれども、そもそも権利者がいなくなっていて放置されてしまっている、こういった土地を放置しておくんじゃなくて、ランドバンクというところで買い取ったらどうかというようなことを申し上げました。

 時間がないのでこれはここでとどめますけれども、ぜひこの点についても問題意識を共有していただければと思います。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、玄葉光一郎君。

玄葉委員 玄葉光一郎です。無所属の会に属しております。

 本日は、復興庁の後継の体制、さらには平成三十二年以降の財源の確保を中心に、短い時間ですけれども、お尋ねをしたいと思います。

 六月と七月、先般、当委員会での視察にも参加をさせていただきましたが、それらの視察地以外も、先月も含めて、私も訪問をしてまいりました。

 被災も多様でありましたけれども、同じ避難指示が出た地域の復興も、かなりスピードがそれぞれ違うというか、多様だなというのが私の実感でありました。

 例えば、川内なんかは、私が見るところ、部分的には三・一一前よりもよくなっているような姿もかいま見えるんですね。明らかに次のステージに行っています。

 あるいは、小高なんかは、私も定点観測で定期的に行っているのでありますが、まだ帰還率は二割ですけれども、着実によくなっているなというふうに感じるんです。

 浪江は、駅の近くの「まるしぇ」という商店に行って、また町をずっと歩いたのですが、ようやく一歩という感じですね。ただ、先行きは長いな、こういう感じでした。

 この間、委員会でお邪魔をさせていただいた双葉あるいは大熊は、それぞれ頑張っていると思います。全力で頑張っておられると思いますけれども、ただ、避難指示解除がスタートラインだとすると、やはりまだスタートラインに立てずに、そこに立とうと思って全力で準備をしている、こういう感じかなというのが、私の一言で申し上げたそれぞれの感想でございます。

 そう考えていくと、論をまたないのは、平成三十二年のこの復興庁の役割、基本的には、あの当時私も法律をつくった方でありますけれども、復興庁の設置法で、この復興庁は二〇二一年、平成三十三年三月三十一日までに廃止をするということになっているわけでありますけれども、当然それ以降も長い長い道のりに、特に双葉とか大熊、浪江、富岡、このあたりは長い長い道のりになるわけでありますけれども、この後継組織のあり方、復興大臣、どういうふうにお考えでありましょうか。

吉野国務大臣 玄葉委員におかれましては、同じ福島県人として、被災地、特に原発災害を受けた地域を本当に小まめに歩かれて、ありがとうございます。

 ポスト復興庁の議論でございます。

 私も同じ思いを持っておりまして、復興大臣在任中に道筋をつけるということを言いました。自民党、与党の加速化本部等でも、ポスト復興庁について議論を始めなさいという、ある意味のキックオフの提言が出されようとしております。

 ですから、まず、今、復興庁としてやらねばならないことは、岩手、宮城、福島を通じて、二〇二〇年度までにどこまでの仕事ができて、どこの仕事が続くのかという、ハード、ソフトを含めて、詳細に今、実態調査をしているところでございます。そして、その詳細な実態調査がわかれば、それはどのくらいのお金がかかるんだという財源の手当ても大事でございますので、その財源まで含めて、では、この財源とこれだけの仕事をどういう組織ですれば円滑にできるのか、そういうある意味の事実、データ等々を今収集しているところでございます。

 創生期間が始まって、基本方針というのをつくりました。三年後見直し規定がそこには書かれております。二十八、二十九、三十年、まさに今年度が見直しの年度でございますので、そういう見直し規定も活用しながらきちんとこれから検討していきたい、このように考えております。

玄葉委員 まず一つは、本当に福島の復興は長い長い長い年月が残念ながらかかると思います。したがって、福島の復興というものを最重要課題として捉えていく組織であるべきだというのが一つです。

 もう一つは、今回の西日本の集中豪雨、私からも、犠牲になられた方々にお悔やみを申し上げつつ、被災された方々にお見舞いを申し上げたいと思いますが、毎年のようにこういう未曽有の災害というか、初めての災害だのようなことが起きるんですね、最近。

 復興庁もあるいは防災担当の方々も、大体、国交省始めいろいろな省庁からの出向者で占められるんですね、防災の組織というのは。今後、本当に大丈夫なのかなというふうに思うんです。

 それぞれでどういう議論がなされているのか、私も余りつまびらかにはしておりませんけれども、やはり一つは、福島の復興は最重要課題として捉えていただく。もう一つは、やはり危機管理とかいわゆる防災関係とか、集中豪雨が起きました、大地震が起きましたというときの、いわばスペシャリストがそこにきちっと何十人、何百人常にいる、これは全然違うと思うんですね。その組織にそれらがいて、それらの方々は、出向者というよりは、そこにずっといる、こういう組織をやはりつくっていくのがベターなのかなと最近思い始めているんですね。

 今までの経験とかがきちっと継承されていく、そして何があっても我が日本国の行政組織は対応できる、そういう組織にしていったらどうかなと思いますけれども、大臣、いかがですか。

吉野国務大臣 私も、大臣になる前ですけれども、今から三年くらい前、アメリカのようなFEMA、いわゆる危機管理組織を、三次提言だと思っていますけれども、加速化本部の提言の中に書いた記憶がございます。そのときは、副大臣会議で、まだ時期尚早だというような、FEMAまではいかないという、今のような、災害が起きれば対策本部をつくってという形でございました。

 でも、この七月の大豪雨を見ると、災害は毎年やってくるというふうに私も思います。そういう意味で、今委員おただしのとおりのような組織をこれからつくっていくというのも一つの案であるというふうに私も理解をしているところです。

 組織のあり方についてはこれから大いに議論を重ねて、すばらしい組織をつくっていきたい、このように考えています。

玄葉委員 いわば今の復興庁と内閣府の防災部局をミックスしたような、そういう組織でスペシャリストを常に確保しておくというのが一つの考え方かなというふうに思いますので、もちろん与党の議論も大事だと思いますけれども、国会の議論あるいは野党の議論にも耳を傾けていただいて、ぜひよい組織を、大臣として、吉野大臣がいらっしゃる間に、いらっしゃるというのは、大臣としていらっしゃる間に道筋をやはり一定程度つけてもらいたいなというふうに思っています。

 もう一つ、先ほどもおっしゃっていただきましたが、道筋をつけてもらいたいものに財源の確保というのがあって、私も、あの三・一一のときに最初にやったことの一つは、当時私は閣僚と与党の第一党の政調会長を兼任しておりました、ねじれていたので、当時、石破自民党政調会長と公明党の石井当時政調会長と相談をしながらだったのですが、個人の所得税に二・一%上乗せをする、しかも二十五年間先食いして十兆つくると。JT株を売ったり、あるいは剰余金等々で全部で二十兆、あのときつくりました。でも、これは使い切りました。

 その後、今の政権になってまた十兆つくってもらって、事実上、三十二兆を今使おうとしています。三十二年までに若干余るかもしれませんけれども、でも、これからの長い期間を考えるととても耐えられないし、あとは、おっしゃっていただいたように、どこまでF1由来、特に原発事故由来の需要として見込むかどうかだと思うんですよ。

 その際に、一つだけ私としてこれはというのがあるので申し上げて終わりたいと思うんですけれども、山ですね、福島の山、吉野大臣は山は専門家なので。

 これは、あの避難指示が出た山だけじゃないんですよ。私の選挙区も含めて、避難指示が全然出ていない山まで全部、事実上、山のものを今食べられないわけです。これが戻らないと、はっきり言って豊かになったと言えません。戻った、復興したと言えません。山のものを食べられません。

 でも、じゃ、全部除染しろというのは、これは私も無理な話だと思います。だから、里山の再生事業とか森林再生事業とか、避難指示地域にかかわらずやっているわけですね。

 私は、これはぜひ三十二年以降も続けてもらいたいんです。これは、きちっとF1由来の、もともと原発事故がなければ大丈夫だったんだから。それが、いや、そんな森林の再生なんというのは原発事故と関係ないということで、需要に見込みませんみたいな話にはならないようにしてもらいたい。私は、これは一つのこれからのメルクマールだと思っている。だから、大臣にきょう、具体的な例を挙げて指摘をするのであります。

 最低限でもこういった森林再生事業のようなものは需要に見込んで、それを見込んだ上で財源を確保するということで明言をしてもらいたいと思います。

吉野国務大臣 福島の復興にとって、森林の再生は大変重要なものでございます。

 このため、平成二十八年三月に、復興庁、農林水産省、環境省で、福島の森林・林業の再生に向けた総合的な取組をまとめたところでございます。

 まずは、環境省の事業で住宅等の生活圏に隣接する森林除染。もう一つは、ふくしま森林再生事業で間伐や路網整備。これは、双葉郡の路網を日本一の密度、日本の平均は一ヘクタール約二十メートルなんですけれども、日本一の路網をつくる事業にこの再生事業を使って、ことしからやっております。三年たてば日本一の路網ができます。ということは、一番、日本一安い木材が搬出されるということでございます。その木材を使うということで、浪江町に大型の集成材工場を、今年度事業から始まるわけであります。

 そういう意味で、浜通り、福島県の林業にとっては、本当に今、一生懸命取り組んでいるところでございます。この事業を、次、三十二年以降も続けるかどうかはこれからの議論でございますので、一生懸命頑張らせていただきます。

玄葉委員 大臣、ちょっとポイントをもう一つだけ。

 双葉郡だけじゃないと思うんです、これは。結局、双葉郡以外も山のものが食べられないんですよ、原発事故があって。会津でさえ食べられないんですよ、今まだ会津でさえ。ほとんど放射線量はニューヨークと一緒なのに、東京と一緒なのに、会津でさえ食べられない。

 だとすれば、やはりこれは双葉郡だけじゃなくて、きちっと全県下で需要として見込んでいくということをぜひやるべきだということを私は最後にまた申し上げて、これは双葉郡だけじゃないですよということをきちっと頭にインプットしてくださいね、その上で終わらせていただきます。

 どうもありがとうございます。

谷委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 無所属の会の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 冒頭、西日本豪雨災害で亡くなられた皆様方に哀悼の意を表しますとともに、全ての被災された皆様方に心からお見舞いを申し上げます。

 これまでも、東日本大震災、原発事故を始めといたしましてのしっかりとした対応を求めてまいりました。そして、これまで得た教訓というものをもとに、やはり今回の豪雨に対しましてしっかりと政府一丸となって対応することをお願いしたいというふうに思っております。

 きょうは、私は四月の三日にも質問させていただきましたけれども、モニタリングポスト、リアルタイム線量測定システム撤去方針について伺いたいというふうに思います。

 県民の皆様が不安を抱いています。そして、モニタリングポストの問題は、その事情が知られるにつれて、県民の皆様の反対や疑問の声が大きくなっているというふうにも見えます。

 七月の二日の地元紙、民報新聞の一面に大きく掲載されていますけれども、地元紙の福島民報社と福島テレビが共同で行った県民世論調査によりますと、撤去方針に賛成だと答えた方は二五%、そして反対だと答えた方が四五・九%であります。その四割は、設置されていることで日常生活の安心につながると答えているということであります。

 また、福島県内の十の市町村議会では、六月議会において、リアルタイム線量測定システム撤去計画の中止を求める意見書等が可決されているということで、地方自治法第九十九条の規定に基づいて、衆参両院議長、そしてまた内閣総理大臣、原子力規制委員会委員長などにも送付されているということであります。

 県外の議会でも、実は、国立、つくば、小金井、所沢市の議会で、モニタリングポストの継続配置を求める意見書が可決されているということであります。

 六月二十五日に只見町で説明会が最初に開催されたということでありますけれども、西郷村などでは反対に撤去というものが急遽取りやめになるという事態が発生したり、また、この三連休の週末なんですけれども、週末の初日のやはり民報新聞の一面の記事で、今度は、これは民報新聞独自で行った調査なんですけれども、県内五十九市町村の四割を超える二十五市町村が撤去方針に反対と答えている。賛成と答えたのは三自治体だけなんですね。その三つの自治体のうち二つは会津地方で、原発から最も遠いところに存在している自治体、金山町と檜枝岐村。賛成した一つの自治体というのは鮫川村なんですが、内容は、人が多く集まる役場、学校には監視装置を残すとの条件付で賛成したと言っているので、実質これは慎重姿勢を示しているということなんです。

 ですから、ほとんどが反対であったりわからないということで、賛成しているところはほとんどないということなわけです。

 これまでも定例記者会見等で更田原子力規制委員会委員長は、強行しようとする気はもとよりないという言い方をされているということです。きょう、委員長おいででありますので、そういうことであれば、こういう段階で多くの方々が撤去について反対姿勢であるということを考えると、一方的に撤去方針を示すのではなくて、これからいろいろな形で説明会をされるということだと思いますけれども、そうだとすれば、撤去を前提とした説明会ではなくて、住民の方々の意見をしっかりと聞いていく、そういう場を設けるべきだというふうに思いますし、まずは、この撤去方針は私は白紙に戻すべきだというふうに思います。委員長、いかがでしょうか。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 東京電力福島第一原子力発電所事故の発生から七年が経過をいたしまして、避難指示・解除区域市町村以外の多くの地点で空間線量率は十分に低いレベルとなり、時間的な変動も小さく安定をしております。

 設備の耐用年数や予算的な問題なども考慮して、原子力規制委員会としては、福島県及び県内市町村の御意見を踏まえて、本年三月二十日に、リアルタイム線量測定システムの配置を見直す方向性を示したところであります。

 具体的には、避難指示・解除区域市町村以外のリアルタイム線量測定システム約二千四百台のうち、線量が十分に低く安定している地点を対象に、原則、線量の低いものから順に撤去して、平成三十二年度末までを目途に撤去を完了させることとしたいと考えております。

 なお、これ以外のモニタリングポストについては、今回撤去の対象としておりません。

 現在、御要望のある市町村ごとに住民説明会を開催することとしており、住民からの御意見、先生からの御質問にもありましたように、これまで二回住民説明会を実施しており、現在予定されているものだけで九回の住民説明会を予定しております。住民説明会では、私どもの方針を一方的に示すだけではなくて、広く線量測定についての御意見等を賜るように心がけておりまして、住民からの御意見や自治体との個別協議を踏まえて、今後の措置を検討してまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、一度、まずは撤去方針については白紙に戻して、それから、これからもっと議論を積み上げて、そして住民の方の十分な意思を尊重するというような方向性を持っていただきたいということを強く求めまして、私の質問を終わりたいと思います。

谷委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 大阪北部地震から一月、西日本、東海地方を広範に襲った平成三十年七月豪雨から既に二週間がたちました。この間被災された皆様に、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。

 連日の猛暑の中、捜索や救援活動に携わっている多くの皆様にも、心から敬意を表したいと思います。どうか、二次被害にならないように、水分、衛生、心のケアなど、政府におかれては最大限の支援をお願いしたいと思います。

 さて、既にみなし仮設住宅の受け付けですとか、東京でも都営住宅の提供などが報じられるようになりました。暑さと乾いた泥と闘いながらも、住まいの再建に被災者が今既に踏み出している、そういう状況になっているのではないか、このように思います。

 そこで、まず、簡単にお答えください。今、災害救助法の住宅の応急修理が活用できると思いますけれども、その基準が幾らで、また、周知徹底をするべきと思いますが、いかがでしょうか。

米澤政府参考人 御指摘の住宅の応急修理の基準額につきましては、一世帯当たり五十八万四千円でございます。

 このことも含めまして、災害救助法の運用につきましては、発災直後から、私ども、職員を派遣して、各都道府県、市町村に周知を行っているところでございます。

高橋(千)委員 災害救助法の活用については、やはり、自治体からいろいろな提案もあると思うんですが、国の方から本当にいろいろな活用ができるんだということを支援していくことが非常に大事だなと思っております。

 それで、実は、現状では、住宅の応急修理をすれば仮設住宅に入れないということになっております。これを知らないと大変なことになるので、まずちゃんと知らせないといけないんですけれども、私は、これはもうこの際見直したらいいのではないか、このように思うんです。

 資料の一枚目を見ていただきたいんですが、左側は熊本地震についてのやつなんです。四月八日付の西日本新聞「軒先・在宅避難 今なお 熊本地震二年」です。

 「現在も全半壊」、今、アンダーラインのところを読んでおります。「全半壊した自宅や軒先の倉庫などで暮らし、修理や再建の見通しが立っていないとして町が見守り支援の対象とする世帯が五百四十八世帯ある。」と。

 真ん中を見てください、アンダーラインのところ。仮設住宅への入居申込みは二度落選した。庭に風呂やトイレを設置するため、やむなく応急修理制度、このときは五十七万六千円だったんですね、を利用した。補助を受ければ仮設には入居できなくなると。これは本当に、この方の事情は、一刻も早く自宅を再建するつもりだった、だけれども、復旧工事の集中で建築業者が見つからなかった。当時、覚えていらっしゃると思うんですが、解体さえも思うように進まない、こういう状況があったと思います。

 それで、右側は河北新報四月二十六日付の社説です。やはり東日本を経験した立場から、教訓踏まえた支援の拡充をということで呼びかけています。

 真ん中のところを読みますけれども、震度七の揺れに二度見舞われた熊本県益城町の場合、大規模損壊した自宅や軒先の倉庫で暮らす被災世帯が今なお五百以上ある。公的支援で応急対応したために仮設住宅に入れず、復旧工事の集中で修理のめどが立たない。こういうふうなことになっているわけですね。

 政府は、直せば住めるんだから、応急修理をした人は仮設は必要ないというふうにおっしゃいます。だけれども、ここで言われている事例のように、そう思ってもすぐに修理に入れないという方たち、それは自分の都合ではなくて、全体の、工事の業者の関係ですとか、そういう方がいるわけなんですね。あるいは、今回も多分そうなると思うんですけれども、河川が氾濫したために立入禁止区域になる場合もある。そうすると、思惑だけでは決められない。

 その決められない人たちに、いきなり、仮設に入るんだったら、申し込むんだったら応急修理はだめよ、応急修理を受けるんだったらだめよと二者択一をたった今この瞬間求められるというのは非常に厳しいのではないか。ここは柔軟な見直しをするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

あかま副大臣 お答えをいたします。

 今冒頭に、先生の方から、応急修理の趣旨また応急仮設住宅の供与について、この周知というものが必要だという御指摘を賜りました。それらについては、今後、しっかりと各関係自治体には周知、また被災者にわかりやすくということを心がけてまいりたい、そういうふうに思っております。

 応急修理、それから応急仮設住宅の供与の併給という話でございます。

 まず、応急修理でございますけれども、住家が半壊等の被害を受け、そのまま住むことがかなわない、できない、その破損箇所に手を加えれば何とか日常生活を営むことができるようにするものであること、これは委員御承知だと思っています。

 他方で、応急仮設住宅の供与というものについてでございますが、住宅が滅失、みずからの資力では住宅を確保できない者に対して仮の住まいとして提供されるものであるため、制度上、併給は想定されていないわけでございますけれども、さまざまな事情という話がございました。

 その中で、応急修理に時間がかかる場合などという話であれば、二次避難所としてホテルであるとか旅館を利用することができるほか、また、それらにあきがない場合でございますけれども、そうした場合には公営住宅などを避難所として利用すること、これもできるという中での対応というふうになっております。

 ただ、被災者の個々別々、いろいろな事情、これらに対してどのように対応がということは、今後、検証も踏まえながら、検討する課題があるかどうか、それらも踏まえてまいりたい、そう思っています。

 以上です。

高橋(千)委員 少し検討の趣旨が入ってくださったかと思っております。

 今、併給はできないとおっしゃったんですけれども、厳密に言うと、併給というのはやはり違うかなと思うんです。つまり、たった今住宅を直した人が、わざわざ仮設には入らないんですよ。みんなはできるだけ自宅に戻りたいと思うわけですから、それで直せるんだったら仮設は必要ない。だけれども、それができないから今困っているという議論をしているわけなので、どっちもどっちも受けるよなんて思っている人の話をしているんじゃないんだという立場で、ぜひ検討を進めていただきたいと思うんですね。

 七月十七日に、資料の二枚目にありますけれども、今回の「平成三十年七月豪雨に係る応急仮設住宅について」の事務連絡が出されて、この入居対象者の三番目のところに、半壊であっても、水害により流入した土砂や流木等により住宅としての再利用ができず、みずからの住宅に居住できない方、この方たちを仮設住宅に入ってもいいよということを決めたという通知が出されました。私は、これは歓迎したいと思います。

 熊本地震のときは、同じ文面なんだけれども、最後に、だから壊さなきゃいけない方というふうに書いてあって、大規模半壊の人は仮設に入れるよというふうに書いてあったんですね。でも、これだと、またかなり限定をされるということです。

 ここまで来ますと、やはり対象が全然今までは違うんだよと言っていたことではなくなった。仮設住宅に半壊の人でも入れると決めた以上は、ではどうするのかということがいよいよもって問われると思いますので、先ほど言ったように、事情があって、修理をしたいんだけれどもまだ時間がかかる、待っても待っても、一定、その周辺が整わない、あるいは業者が来ない、そうした事情で待たなきゃいけない人たちの、しかし、さっきおっしゃっていただいた二次避難所として確保がきちんとできればいいんですけれども、そこもよく相談に乗りながら柔軟な対応をしていただけるということで確認をしたいと思いますが、もう一言、よろしいでしょうか。

米澤政府参考人 今般の災害に際しましては、政府全体といたしまして、不便な避難所にいる方を住まいの方にできるだけ早く移っていただくという取組を行っているところでございます。そのために、被害認定調査を早期に行うことですとか罹災証明書を早期に発行することなどにつきまして、被災県、市町村と協力して進めているところでございます。

 その上で、委員御指摘のように、半壊であっても、水害により流入した土砂や流木等により住宅として再利用ができず、みずからの住居に居住できない方を仮設住宅に入居していただくことも含めまして、全体として、避難所にいる方を早期に縮小する取組を加速してまいりたいというふうに考えてございます。

高橋(千)委員 一定、趣旨を踏まえていただいたので、ここは要望で抑えたいと思います。

 応急修理は、本来は、直せば住めるというのがその名のとおり応急修理ですから、もともとは一部損壊が対象だったのかなと思うんです。一部損壊には今何の支援もございませんので、少し今後検討していただいて、一部損壊は応急修理、そして半壊以上は支援法で、額は一定差がついたとしても、これは私は十何年同じことを言っておりますが、ぜひ検討を今後していただきたい。そして、本当に二者択一を今迫られて困るということがないようにお願いをしておきたいと思います。

 それでは、次のテーマに移りたいと思うんです。

 月曜日の河北新報、多分これは共同通信ではないのかなと思うんですが、こんな記事が載っていました。西日本豪雨、大阪北部地震、相次ぐ大規模災害、その後に、参院選にらみ歳出圧力、自民党内で災害に強いインフラ整備による国土強靱化を求める声がここに来て高まっていると。きのうの読売新聞も同様の記事がありましたが、ここまではっきりは書いていなかったかなと思います。

 毎年、大きな災害がどこで起きるかわからない状況だ、ハードとソフトをあわせ、どう備えるかを考える時期を迎えていると十四日、新潟市内の会合で竹下総務会長が強調したと。口火を切ったのは二階幹事長で、十日の記者会見で、財政的な問題も無視できないが、今は万全の対策をとっていくことが優先されるべきだと。十二日には細田博之元幹事長が、大規模ダムが必要だと大雨で確認された、こうおっしゃったと。

 私は、これはちょっとあんまりだと思う。ダムが必要だと大雨で確認されたと。そうではなくて、国交省は今、愛媛県のダムの検証委員会を始める、放流が問題であったのではないかということが今議論をされていたり、ため池の決壊ですとか、砂防ダムをつくったけれども役に立たなかった広島ですとか、さまざまなことが今問われていると思います。大震災のときも、世界一の湾口防波堤、釜石が決壊して一千名の死亡につながった問題や、田老の防潮堤、万里の長城とも言われたこの防潮堤が崩れてしまって大きな犠牲を出した問題など、さまざまあるんです。コンクリートだけで人命を守ってくれるのではない。冷静な検証が必要であります。

 私は、でも、このことは今は指摘するだけで、論じるつもりはありません。

 問題は、資料の最後を見ていただきたいんですが、東日本大震災のときも、この際だからと、復興予算のつもりが全国防災の名で、六のところです、これは一覧表がありますけれども、全国防災の名で流用が認められたということで、二十三年度千三百七十六億、二十四年度六千九百十一億、二十五年度四千八億、二十七年度までで一兆六千六百七十三億円です。

 しかし、これは当時はいろいろ騒がれましたが、この五年分の支出はどこに何をやる目的で使われましたかと聞くと、わからないと答えられました。それどころか、復興庁と内閣府防災とどっちが答えるかで譲り合いになってしまったわけです。大臣、本当にこれで予算の意味があったか、わからないじゃないですか。これは本当に受けとめていただきたい。何に使ったのか、はっきりわからないということなんです。

 そこで質問は、同じ復興という名前がついていますが、復興特別住民税について総務省に伺います。これはどういう趣旨で、いつからいつまで幾ら課税し、使途はどのようになっているのか、伺います。

稲岡政府参考人 お答え申し上げます。

 個人住民税均等割の標準税率は、東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源の確保に係る地方税の臨時特例に関する法律の規定に基づいて、平成二十六年度から平成三十五年度までの間、千円引き上げられております。これは、東日本大震災を教訓として、全国的にかつ緊急に地方公共団体が実施する防災のための施策に要する費用の財源を確保するため講じられたものでございます。

 この措置は普通税である個人住民税均等割の標準税率の引上げとして行われているものであり、目的税とは異なりまして、その税収の使途について特定されているものではございませんが、この措置によりまして全国の地方団体において防災のための施策が進められたものと考えているところでございます。

高橋(千)委員 次に、資料の三を見てください。

 今おっしゃったように、私、復興特別住民税についてと聞いたんですが、そう呼んではいるんだけれども、この左の太字で書いているのは「東日本大震災を教訓として」、だから、大震災の費用ではなくて、全国で実施する防災施策対応分なんですね。これが平成二十六年から三十五年までということで、まず、復興ではなかったということです。

 そして、問題は、三十六年度からは今度は、この資料の右側の方を見ていただきたいんですけれども、これは森林環境税を開始すると。先ほどの玄葉委員の答えになるのかもしれませんが、国民の負担を伴わずに森林整備に要する財源を確保、確かに千円がスライドしています。だから、今まで千円もらっていて、それが終わるから、終わったら次は森林環境税ね、負担を伴わずにと言っているんです。でも、これは実はこっそりやっているのと同じ意味になってしまう。

 資料の四を見てください。

 森林環境税は、平成三十一年度からもう始まるんだと。それで、その財源は、このグラフを見ていただくとわかりますように、五年間借入れなんです。前倒しで、後から入ってくるお金を先に借り入れておく。だから、初期は二百から三百億というスキームになっているんだけれども、そこから復興住民税が終わると返していくというので、これはやはりおかしいと思うんですね。

 先ほど、防災に資するものだったと思うと言われたんですけれども、何に使われましたかと言われると、わからないです、答えが返ってきません。

 一人千円が何に使われたのか。では、逆に、これはスライドしちゃって、もう要らないのか。森林環境税は一人千円が適切なのか。これは一つ一つ精査する必要があると思います。単なる横滑りではありませんか。総務省、林野庁にそれぞれ伺います。

稲岡政府参考人 お答え申し上げます。

 森林環境税は、国民に対して広く定額の負担を求めるものでありますことから、国民の負担感というものに十分配慮する必要があり、平成三十一年十月に消費税率が八%から一〇%への引上げが予定されていることや、東日本大震災を教訓として全国の地方団体による防災施策の財源を確保するため個人住民税均等割が平成三十五年度まで千円引き上げられていること等を勘案し、三十六年度から課税することとしております。

 また、委員御指摘のとおり、平成三十五年度まで行われる個人住民税均等割の引上げは、全国の地方団体による防災施策の財源を確保するためのものでありますが、森林環境税は、パリ協定の枠組みのもとでの我が国の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図るため森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する、そういう観点から創設するものでございまして、その目的が異なっているということでございます。

織田政府参考人 お答えいたします。

 森林環境税につきましては、先ほど総務省の答弁にもありましたけれども、パリ協定の枠組みのもとでの我が国の温室効果ガス削減目標の達成あるいは災害の防止ということを図るために森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から、今国会で成立しました森林経営管理法を踏まえまして創設することとされているところでございまして、譲与は平成三十一年度から、課税は平成三十六年度からとされているところでございます。

 林野庁といたしましては、この税によりまして、市町村が主体となった森林整備等が進められ、森林の公益的機能等が維持増進されることを期待しているところでございます。

 なお、森林環境税の課税を開始する時期が復興特別住民税の終了後の平成三十六年度とされているところでございますけれども、これは国民の負担感にも配慮して設定されたものと承知してございます。

高橋(千)委員 時間ですのでこれで終わりますが、異なるものだったら、横滑りじゃだめなんです。一つ一つ、ちゃんと意味があるのか。まして、何に使われたのか説明もできない、こんな形で導入することは認められないし、どさくさ紛れではなくて、必要なものだったら、これこれこんなものに必要なんだということをきちんと示していただきたいと思います。

 終わります。

谷委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 まず初めに、西日本豪雨災害によってお亡くなりになられた皆様、御遺族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。また、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

 先日、福島への視察に参加させていただきました。現場でしかわからないこと、感じられないことも多く、大変貴重な機会をいただきましたことに心より感謝を申し上げます。

 それでは、質疑に入らせていただきます。

 まず、モニタリングポストの今後の取扱いについて伺います。

 相馬市役所において、立谷相馬市長から、モニタリングポストの撤去についてお話をお伺いしました。空間放射線量率も健康に問題のない数値で推移しており、相馬市内のモニタリングポストは撤去してもよいと思っているとのお話でした。そして、汚染土壌を中間貯蔵施設へ輸送する走行ルートに十カ所ほどあれば、市民の安全を確保できるとの御説明でした。

 私は、現在京都に住んでおりまして、出身は愛媛県です。大学は鹿児島県におりましたので、東北にも知り合いはおりますけれども、知り合いの多くは西日本におります。西日本に住んでいる方はモニタリングポストの存在すら知らない方も多いと思いますが、モニタリングポストの撤去の際には、空間放射線量率が健康に問題のない数値まで十分下がっているということをしっかり伝えることが必要であると考えております。安全だから、問題ないから撤去するという言葉だけでは、国民は安全だとは思いません。数値をしっかり示し、説明することが重要であると思います。

 先ほどの話に戻りますが、相馬市長は市内に十カ所あれば十分だとのお話をされておりましたが、福島県内の市町村別のモニタリングポストの今後の撤去、設置についてはどのように考えられているのでしょうか。お答えください。

片山政府参考人 お答え申し上げます。

 東京電力福島第一原子力発電所事故の後、福島県内の空間線量率は、避難指示・解除区域市町村以外の多くの地点で十分に低いレベルとなり、時間的変動も小さく安定しているところでございます。

 このようなことも踏まえ、また設備の耐用年数や予算的な問題なども考慮し、原子力規制委員会といたしましては、福島県及び県内市町村の御意見も踏まえ、本年三月二十日に、リアルタイム線量測定システムの配置を見直す方向性を示したところでございます。

 具体的には、避難指示・解除区域市町村以外のリアルタイム線量測定システム、約二千四百台ございますが、これのうち、線量が十分に低く安定している地点を対象に、原則、線量の低いものから順に撤去をし、平成三十二年度末までを目途に撤去を完了させることとしたいというものでございます。

 なお、これ以外のモニタリングポスト、具体的には、避難指示・解除区域市町村に約六百台のリアルタイム線量システムがございます。また、これ以外に、福島県内に約六百台の可搬型のモニタリングポストがございます。さらに、福島第一原発や第二原発の監視用などの目的で数十台のモニタリングポストがございます。これらのものについては撤去の対象とはしていないところでございます。したがいまして、福島県内から全てモニタリングポストをなくすというような方針を出しているわけではございません。

 これらの点につきまして、現在、御要望のある市町村ごとに住民説明会を開催させていただいているところでございます。住民からの御意見や自治体との個別の協議などを踏まえまして、今後どういった措置をとるかについて検討していきたいというふうに考えてございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 今後、モニタリングポストを撤去していく際に、モニタリングポストの撤去というニュースだけが流れると、正確な情報を知らない全国の皆さんは、本当に撤去して大丈夫なのか、今後空間線量は測定しないのかなど、不安に思われると思います。

 先ほど金子委員の質疑の中でもございましたが、モニタリングポストの撤去に対して、福島の方々も不安に思われ、多くの方が反対をしているとのことです。まず、地元の方々の御意見をよく聞き、不安を取り除く必要があると思います。不安をあおるようなことになれば、風評被害につながります。

 モニタリングポストの撤去、設置の際には、この地域には幾つ撤去します、幾つ設置しますという説明だけではなく、撤去する理由を、しっかり数値を示して、先ほどの御説明にもありましたが、十分低いという言葉であったり、低いものから撤去という言葉だけでは、国民の皆様に伝わりません。しっかりと御説明をしていただきたいと思います。

 相馬市長が話されたような、除去土壌を中間貯蔵施設へ輸送する走行ルートには、モニタリングポストを設置予定なのでしょうか。

片山政府参考人 お答え申し上げます。

 除染によって出てきた廃棄物を中間貯蔵施設の方に持っていくルートでのモニタリングというのは、環境省の方で担当しているというふうに聞いてございます。環境省の方でしっかりと空間線量率のモニタリングが行われるというものと承知をしております。

森(夏)委員 では、次の質問に移らせていただきます。

 Jヴィレッジについて伺います。

 今回、Jヴィレッジを視察させていただきましたが、私は三年前にもJヴィレッジを訪問しました。その当時は、グラウンドに除染廃棄物、フレコンバッグがあり、駐車場も雑草が生い茂り、ここにまた子供たちが帰ってこられる日があるのだろうかと思ったぐらいでした。

 しかし、今回の視察で、全天候型練習場が新しく整備されたり、芝の管理も十分にされていて、来年四月から全面再開できるとのお話を聞き、うれしく思いました。

 Jヴィレッジが再開されるに当たり、期待される効果等をどのようにお考えでしょうか。お答えください。

小糸政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ありましたように、今月の二十八日に福島復興のシンボルでありますJヴィレッジが一部再開し、来年四月には全面再開を予定しております。また、全面再開に合わせまして、JR常磐線の広野駅―木戸駅間に新駅、仮称Jヴィレッジ駅が設置される予定でございます。

 こうしたJヴィレッジ再開によりまして、一点目としては、サッカーを始めとする地域のスポーツ振興、こういった効果が期待されると思っています。それから二点目として、浜通りも含めた交流人口の拡大。三つ目として、福島が復興した姿が何といっても国内外にしっかり発信されるといったような、こうした効果が進んでいくということを期待いたしております。

 復興庁としても、既に、昨年度から、Jヴィレッジを拠点としたスポーツによる地域振興に向けた事業に取り組んでおりまして、本年一月には、多くの地元の方々の協力のもとに、Jヴィレッジスポーツフェスタ二〇一八を開催し、吉野復興大臣にも参加をしていただいたところでございます。

 福島県としっかり連携をしながら、Jヴィレッジが地域の復興を牽引する交流拠点となりますよう積極的に活用されますように、政府を挙げて協力してまいりたい、このように考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 Jヴィレッジの再開はすばらしいことだと思います。スポーツの振興においても、交流、発信という意味でも、シンボル的なものになると思います。

 実は、私は、小学校のときにサッカーをしておりましたので、サッカー関係者の知り合いも多いです。私は、体育大学の出身で、元指導者でもありますので、スポーツの力で福島、東北を元気にする、復興を更に前へ進める、これは大事なことだと思っております。期待もしております。

 二〇一七年に全国各地で開催された日本サッカー協会主催のタウンミーティングの中で、Jヴィレッジの再開に向け幾つかの質問がなされたと聞いております。

 二〇一七年の開催時の情報では、放射線量も下がりつつあり、早急に準備して、東京オリンピック・パラリンピックに向け、代表チームが合宿、練習ができるよう整備を進めたいとの説明があったようです。

 西日本で開催されたタウンミーティングの参加者から、Jヴィレッジの再開はサッカー関係者の一人として大変喜ばしいが、線量が下がりつつあるものの、周辺地域では帰還困難区域もあり、決して手放しで喜べないのが現状であると認識をしている、不安を抱えたままJヴィレッジを再開させてもよいのか、協会の考えを伺いたいとの意見があったそうです。

 また、このJヴィレッジ再開を機に、全国から、以前のように、多くの少年少女が、参加を通じて、サッカー界が原発事故の安全宣言に利用されないようにしていただきたい旨の提言もあったようですが、その内容が、日本サッカー協会のタウンミーティング報告書にも記録として記載されない。また、そうした質問や提言があったにもかかわらず、取材をしたマスコミ各社は全て削除し、原発にまつわる部分はテレビも新聞も報道しなかったと聞いております。

 こうした、一連の原発事故とJヴィレッジに関する報道や記録を意図的に扱わなかったことは、何かを隠しているととられても仕方がありませんし、何か見えない圧力があったのかと言われても仕方ないと言わざるを得ません。本当にJヴィレッジの再開が科学的に問題なければ、何も隠さずに、数値を明らかにして、不安を感じている国民に説明をすべきだと思います。

 私は、今回の視察で、数値を隠しているとは感じませんでした。福島へ行き、現地の声をお聞かせいただき、本当によかったと思っております。しかし、国民にはちゃんと伝えられていない、そのように思いました。

 これは、決してJヴィレッジ再開やスポーツの問題だけではありません。福島を中心とした原発事故にかかわる意見や提言に耳を塞ぎ、口を閉ざしている現実があります。福島の復興に向けこうした取組を続けていくのであれば、国民に正しい情報を伝えることが必要であると思います。

 次に、風評被害対策について伺います。

 復興庁として、これまでどのように取り組まれ、今後どのように取り組んでいかれるのか、お考えをお聞かせください。

小糸政府参考人 お答えいたします。

 風評対策につきましては、復興大臣のもとに風評のタスクフォースというものを従来から開催をして、まさに、風評対策、復興庁が司令塔としてこれまで取り組んできているところでございます。

 昨年十二月には、風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略、これを策定いたしまして、風評対策に政府一体となって全力で取り組んでいるところでございまして、直近でも、七月の五日にタスクフォースを開催して、この戦略のフォローアップをした上で、改めてこの戦略に基づいた取組を加速していくように復興大臣から指示をしたところでございます。

 この中で、知ってもらう、食べてもらう、来てもらうという三つの柱で、さまざまな対策、各省連携のもとに取り組んでいるところでございます。

 復興庁といたしましては、国内へのまず情報発信、正確な情報発信ということで、放射線に関する正しい知識等について、テレビ、インターネット、新聞等、あらゆる媒体を活用するメディアミックスによりまして、受信者目線で効果的な情報発信を行っていくということで、現在準備をしているところでございます。

 また、海外向けにも、風評対策のためのパンフレット、これを多言語で作成をいたしまして、在外公館あるいは国際会議等の機会を利用して直接働きかけていこうということで取り組んでいるところでございます。特に、中国、韓国、台湾、香港等、今後、海外への働きかけという中では重点を置いて取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 また、観光インバウンドにつきましては、観光庁の方でも、東北デスティネーションキャンペーンということでさまざまな取組をしているところでございまして、今後とも、県、関係省庁と協力して、風評対策、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 正確な情報発信をして、しっかりと風評被害対策に取り組んでいただきたいと思います。

 私は、福島の復興、東北の復興を願っています。だからこそ、安全であるのならば、数値を示し、国民に説明をすべきだと思います。

 特に、西日本には伝わっておりません。もちろん、西日本の方でも、正確な情報を得て正しく理解されている方もいらっしゃいます。しかし、残念ながら、今でも、福島が怖い、福島の食べ物が怖いという声を聞きます。皆さん大きな声では言いません。福島の方々がつらい思いをされていることを知っているからこそ、言ってはいけないと思っているのです。ですが、不安に思っています。安全です、安全ですでは、国民は安全だとは思っておりません。

 繰り返しになりますが、数値を示し、本当に安全である説明をする必要があります。福島が安全だということが少なくとも西日本に伝わっていないのが現状で、外国には更に伝わっていないと思います。皆さん、不安を口にしない、そして、その声が報道もされていないのが現状です。福島の復興のために風評払拭が必要です。安全ですアピールでは風評被害はなくならないことを御理解の上、対策を講じていただきたいと思います。

 次に、原発除染土の再利用について伺います。

 環境省が、原発事故に伴う除染で生じた土を、園芸作物などを植える農地の造成に再利用する方針を固めたとのニュースを拝見しました。食用作物農地への再利用は想定していないとのことですが、このニュースを見た方々から不安の声を聞きました。

 これまでに、除染土を公園を含む緑地や道路などの公共事業で再利用するとの方針で進められてきたと思いますが、どのような経緯で除染土が再利用されることが決まったのでしょうか。どのような計画で進められているのでしょうか。安全性も含め、御説明いただけますでしょうか。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 除去土壌等につきましては、中間貯蔵開始後三十年以内に、福島県外最終処分を完了するために必要な措置を講ずるとされており、最終処分量を低減するため、除去土壌等の減容、容積を減らすことでございますが、あわせて再生利用を進めることが重要であると考えております。

 福島県内における除染等の措置により生じた除去土壌を対象として、関係者の理解、信頼を醸成しつつ、再生資源化した除去土壌の安全な利用を段階的に進めるため、平成二十八年に、再生資源化した除去土壌の安全な利用に関する基本的考え方をお示ししたところでございます。

 この基本的な考え方では、除去土壌の再生利用について、利用先を管理主体や責任体制が明確となっている公共事業等に限定し、追加被曝量を制限するための放射線濃度の限定、覆土による遮蔽等の適切な管理のもとで実施することを想定しております。

 引き続き、この基本的考え方を指針として、地元の皆様の御理解をいただきながら、南相馬等の実証事業を通じまして、再生利用の安全性等の確認を進めてまいります。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 除染土の再利用というニュースで、私の周りにはかなり不安に思われた方がいらっしゃいました。この除染土の再利用についても国民に対して丁寧な説明をしていただき、御理解いただけるようにしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 最後に、中間貯蔵施設について伺います。

 先日の視察で双葉町の中間貯蔵施設予定地も視察をさせていただき、町長からは、中間貯蔵施設の徹底的な管理をされること、住民に対しては安全性を積極的に公表する取組が重要であるとの御説明がありました。

 双葉町の中間貯蔵施設については、今後どのような計画で進められるのでしょうか。お答えください。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 福島県内の除去土壌等の中間貯蔵施設につきましては、「中間貯蔵施設に係る「当面五年間の見通し」」に沿いまして用地取得を進めるとともに、施設の整備、除去土壌等の輸送を進めているところでございます。

 用地取得につきましては、地権者の皆様方の多大なる御協力により着実に進捗しており、本年六月末時点で、民有地面積の七割を超える約九百五十ヘクタールを取得済みでございます。

 施設の整備につきましては、昨年秋から一部工区におきまして除去土壌の貯蔵を開始いたしました。現在も、大熊町、双葉町の複数の工区で土壌貯蔵施設等の整備を進めているところでございます。

 中間貯蔵施設への除去土壌等の輸送につきましては、今年度は見通しの最大ケースである百八十万立方メートル程度の輸送を予定し、来年度は四百万立方メートル程度の輸送を目標としております。

 今後も、施設の整備、除去土壌等の中間貯蔵施設等への輸送及び貯蔵を安全かつ着実に進め、除去土壌等の仮置場の早期解消に努めてまいります。

森(夏)委員 しっかりお願いしたいと思います。

 上杉委員からもお話ありましたが、子供たちへの放射線教育について質問がありました。私も、子供たちへの教育も大変重要だと考えております。ですが、大人にも正しい情報、知識が必要であると思います。福島に対して不安に思われている方々がまだまだ多くいらっしゃることも知っていただき、その上で、しっかりと風評払拭に取り組んでいただきたいと思います。

 東日本大震災で大変つらい思いをされた方々、そして今も苦労されている皆様の心のケアもしっかり取り組んでいただくようお願い申し上げます。

 福島、東北の一日も早い復興を心から願い、私の質問を終わります。ありがとうございました。

谷委員長 復興大臣は御退席いただいて結構です。

     ――――◇―――――

谷委員長 この際、御報告いたします。

 今会期中、本委員会に付託されました請願は一種二十九件であります。各請願の取扱いにつきましては、理事会等において協議しましたが、委員会での採否の決定は保留することになりましたので、御了承願います。

 なお、お手元に配付してありますとおり、今会期中、本委員会に参考送付されました陳情書は六件、また、地方自治法第九十九条の規定に基づく意見書は八件であります。

     ――――◇―――――

谷委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。

 階猛君外五名提出、被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案

 階猛君外五名提出、災害弔慰金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案

 階猛君外五名提出、東日本大震災復興特別区域法の一部を改正する法律案

 及び

 階猛君外五名提出、東日本大震災からの復興の推進のための相続に係る移転促進区域内の土地等の処分の円滑化に関する法律案

並びに

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件

以上の各案件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、閉会中審査案件が付託となりました場合の諸件についてお諮りいたします。

 まず、閉会中、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣承認申請を行うこととし、派遣の目的、派遣委員、派遣期間、派遣地その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、閉会中審査におきまして、参考人から意見を聴取する必要が生じました場合には、その出席を求めることとし、日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時八分散会


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