衆議院

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第2号 平成28年11月22日(火曜日)

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平成二十八年十一月二十二日(火曜日)

    午後一時二十分開議

 出席委員

   委員長 三原 朝彦君

   理事 岩田 和親君 理事 高木 宏壽君

   理事 土井  亨君 理事 中村 裕之君

   理事 山際大志郎君 理事 田嶋  要君

   理事 初鹿 明博君 理事 中野 洋昌君

      青山 周平君    池田 道孝君

      池田 佳隆君    石川 昭政君

      うえの賢一郎君    江渡 聡徳君

      大西 英男君    大野敬太郎君

      加藤 鮎子君    勝沼 栄明君

      小松  裕君    今野 智博君

      佐々木 紀君    斎藤 洋明君

      助田 重義君    鈴木 憲和君

      高木  毅君    高鳥 修一君

      野中  厚君    鳩山 二郎君

      堀井  学君    宮路 拓馬君

      宗清 皇一君    村井 英樹君

      八木 哲也君    簗  和生君

      阿部 知子君    荒井  聰君

      逢坂 誠二君    菅  直人君

      木内 孝胤君    伴野  豊君

      輿水 恵一君    塩川 鉄也君

      藤野 保史君    足立 康史君

      木下 智彦君

    …………………………………

   復興副大臣        橘 慶一郎君

   環境副大臣        伊藤 忠彦君

   経済産業大臣政務官    中川 俊直君

   経済産業大臣政務官    井原  巧君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  吉田 幸三君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  吾郷 進平君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 進藤 秀夫君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 山本 哲也君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 池田 憲治君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 大菅 岳史君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           板倉周一郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官) 小澤 典明君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 早水 輝好君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 小川 晃範君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   中井徳太郎君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   荻野  徹君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房緊急事態対策監)      大村 哲臣君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官) 片山  啓君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          青木 昌浩君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          山田 知穂君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          櫻田 道夫君

   参考人

   (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長)           山口  博君

   衆議院調査局原子力問題調査特別調査室長      関  武志君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十二日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     八木 哲也君

  白石  徹君     池田 佳隆君

  高木  毅君     今野 智博君

  津島  淳君     鈴木 憲和君

  額賀福志郎君     小松  裕君

  宮路 拓馬君     加藤 鮎子君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     青山 周平君

  加藤 鮎子君     鳩山 二郎君

  小松  裕君     額賀福志郎君

  今野 智博君     高木  毅君

  鈴木 憲和君     池田 道孝君

  八木 哲也君     佐々木 紀君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     白石  徹君

  池田 道孝君     大野敬太郎君

  鳩山 二郎君     宮路 拓馬君

同日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     津島  淳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 原子力問題に関する件


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     ――――◇―――――

三原委員長 これより会議を開きます。

 原子力問題に関する件について調査を進めます。

 この際、原子力規制委員会の活動状況について説明を聴取いたします。田中原子力規制委員会委員長。

田中政府特別補佐人 原子力規制委員会委員長の田中俊一でございます。

 衆議院原子力問題調査特別委員会における御審議に先立ち、原子力規制委員会の活動状況について御説明申し上げます。

 原子力規制委員会は、原子力に対する確かな規制を通じて人と環境を守るという使命を果たすため、さまざまな課題に取り組んでおります。

 まず第一に、原子力施設等に係る規制の厳正かつ適切な実施について申し上げます。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故の教訓を踏まえ制定された新しい規制基準への適合性審査については、これまで、発電用原子炉について十一の事業者から二十六基の原子炉に係る申請が、核燃料施設等について九つの事業者から二十の施設に係る申請が出されております。

 これまでに、九州電力川内原子力発電所一号炉及び二号炉、関西電力高浜発電所一号炉、二号炉、三号炉及び四号炉、美浜発電所三号炉並びに四国電力伊方発電所三号炉の計八基に対して設置変更許可を行い、この中で、高浜発電所一号炉及び二号炉並びに美浜発電所三号炉について運転期間延長の認可を行いました。また、九州電力玄海原子力発電所一号炉、日本原子力発電敦賀発電所一号炉、関西電力美浜発電所一号炉及び二号炉並びに中国電力島根原子力発電所一号炉の計五基について、廃止措置計画の認可申請に基づき審査を実施しております。

 さらに、試験研究炉について、本年五月に設置変更承認及び許可を行った国立大学法人京都大学原子炉実験所の臨界実験装置及び近畿大学原子力研究所原子炉に続き、九月二十一日に国立大学法人京都大学原子炉実験所の研究用原子炉についても設置変更承認を行うなど、原子力施設等に関する審査、検査を順次進めております。

 第二に、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けた取り組みの監視等について申し上げます。

 原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所の早期かつ安全な廃炉や汚染水対策の実施に向け、規制当局としての立場から、積極的な監視、指導を行うとともに、周辺地域のモニタリングに取り組んでおります。

 東京電力福島第一原子力発電所においては、事故発生から五年が経過し、さまざまなトラブルに緊急的に対応していた事態対処型の状態から、現在は、廃棄物の管理や汚染水対策、廃炉に向けた対策全般について、計画を一つ一つ十分に検討し、着実に対策を進めることのできる計画的対処の状態に移行したと認識しています。

 これらを踏まえ、安全上の観点から優先順位を明確にした中期的リスクの低減目標マップを改定し、完了した措置と引き続き監視が必要な措置を明示いたしました。

 第三に、原子力災害対策及び放射線モニタリングの充実について申し上げます。

 原子力規制委員会では、昨年八月に改正した原子力災害対策指針に基づき原子力災害時における医療体制の着実な整備を進めており、今年度も引き続き原子力災害拠点病院の指定促進に向けて支援を行っているところです。また、最新の国際的知見を積極的に取り入れるなど、防災計画の立案に使用する判断基準等が常に最適なものになるよう、原子力災害対策指針の充実を図っております。

 放射線モニタリングについては、地方放射線モニタリング対策官事務所における人員の増強等により、緊急時モニタリング体制の充実強化を図っております。また、総合モニタリング計画に基づき、東京電力福島第一原子力発電所の事故に係るきめ細かな環境放射線モニタリングを継続するとともに、モニタリング結果について、関係自治体、その他の国内外への情報発信にも努めています。

 最後に、組織体制及び運営の継続的改善について申し上げます。

 原子力規制委員会は、より実効性の高い規制の実現を目指して、国際原子力機関、IAEAによる総合規制評価サービス、IRRSにおいて明らかになった課題を踏まえ、原子力施設に係る検査制度及び放射性同位元素使用施設の規制等について見直しを行い、また、新たな規制を遂行できる組織体制を整備すべく検討を行っています。

 以上、原子力規制委員会の活動状況について御説明いたしました。

 我が国の原子力規制に対する信頼の回復は、まだ道半ばにあります。原子力規制委員会では、与えられた職責を踏まえ、真の安全文化を構築し、原子力利用の安全が確実に担保されるよう、今後とも努力してまいります。何とぞよろしくお願い申し上げます。

三原委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

三原委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長山口博君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣参事官吉田幸三君、内閣官房内閣参事官吾郷進平君、内閣府大臣官房審議官進藤秀夫君、内閣府大臣官房審議官山本哲也君、総務省大臣官房審議官池田憲治君、外務省大臣官房審議官大菅岳史君、文部科学省大臣官房審議官板倉周一郎君、資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官小澤典明君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史君、環境省大臣官房審議官早水輝好君、環境省大臣官房審議官小川晃範君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長中井徳太郎君、原子力規制庁次長荻野徹君、原子力規制庁長官官房緊急事態対策監大村哲臣君、原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官片山啓君、原子力規制庁長官官房審議官青木昌浩君、原子力規制庁長官官房審議官山田知穂君及び原子力規制庁原子力規制部長櫻田道夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三原委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高木宏壽君。

高木(宏)委員 自由民主党の高木宏壽です。

 当委員会では初めて質問に立たせていただきます。よろしくお願いをしたいと思います。

 冒頭、本日早朝、福島県沖でマグニチュード七・四、震度五弱の地震が発生し、津波が観測をされました。被害の全容はまだ明らかになっておりませんが、被害を受けられた方々に心よりお見舞いを申し上げるとともに、地震、津波の備えを万全に進めていかなければいけないと思います。

 そこで、昨日通告はしておりませんけれども、今回の地震で、今廃炉作業が進んでおります福島第一原発を初め原子力関連施設に異常、被害等はあったのかどうか、お尋ねをいたします。

田中政府特別補佐人 福島第一の方は、水を処理していますサリーという、そういった装置は直ちにとめまして、特別の被害はありませんでした。

 それから、第二の方は、三号炉の燃料プールの横に、プールの上の方に汚れたごみとか何かが入るので、スキマサージポンプといって、それを取り除くようなポンプがあるんですが、地震の揺れで水位がちょっと下がったことによってどうもとまったという報告を受けておりますけれども、それでその循環ポンプがとまりました。その結果、復旧に一時間ぐらいかかって、一時間後には順調に冷却というか、今は回っております。

 そもそも、この福島第二の燃料ですが、もうとまって随分時間もたっていますので、おおよその計算ですけれども、六十五度Cというのが一応規格、プールの温度ですけれども、そこに至るまでには、とまったままでも一週間ぐらいは時間があったということであります。一時間で復旧したということですので、特段そこに問題はありません。

 それから、商用電源の停電がどうも一部あったらしくて、ダストモニターがついています、二基ほどとまりましたけれども、これも現在は復帰しております。

 以上です。

高木(宏)委員 ありがとうございます。引き続き、監視、情報収集をしっかりお願いしたいと思います。

 本題に入らせていただきます。

 今、原子力規制委では、新規制基準に基づいて、申請のあった原発の適合性審査を実施されております。再稼働に向けたプロセスとしては、規制委による原子炉設置変更許可が出た後は、経産大臣名の再稼働政府方針文書が立地自治体に提出されて、議会議論等を得て知事が判断を表明するという流れになっております。

 いずれにしても、この立地自治体住民の再稼働に向けての理解というのが非常に重要なわけですが、地域の声を聞くと、新規制基準により安全性が向上しているという点がなかなか浸透していないという印象を持っております。

 新規制基準は世界一厳しい基準とも言われておりますけれども、浸透し切っていないという理由、幾つか考えられますが、大きく二つあると考えております。

 一つは、福島事故の主原因が津波によるものなのか地震によるものなのか明確な結論が出ておらず、そうした中で制定された新規制基準は大丈夫なのかという認識が一部にございます。

 福島事故後に設置された四つの事故調査委員会、国会、政府、民間、東電でありますが、このうち政府、民間、東電の事故調は、津波によって全交流電源と直流電源を喪失し、原子炉を安定的に冷却する機能が失われたことが今回の大事故の直接的原因と結論づけておりますが、国会の事故調は、安全上重要な機器の地震による損傷がないとは確定的に言えないと地震による機器の損傷の可能性を指摘しており、事故の原因がいま一つ曖昧になっております。

 その後、規制委員会では、改めて事故原因を検証し、平成二十六年の十月に中間報告で、直接的な原因は津波と結論づけております。

 そこで、改めて伺いたいと思います。

 新規制基準は福島事故の原因も踏まえた上で制定されたわけですが、原子力規制委員会として、福島事故の原因については津波によるものとして結論づけられているのか、事故の直接的な原因について整理ができているのか、お伺いします。

田中政府特別補佐人 まず、結論から申し上げますと、地震の後は正常に、原子炉はとまりましたけれども、動いていた、その後、津波が一時間ほどたって来て、その結果、電源が全部失われたということ、それから、二次系の海水ポンプ等が流されたというようなことで、直接的には津波、その結果、電源が全て失われたということであります。

 そういったことは、事故当時のプラントデータから見ますと、原子炉の水位とか圧力に大きな変化は津波が来るまでは生じておりません。それから、炉心損傷とか炉心溶融に至ったのは、そういうことを考えると津波が来た後だということであります。それまでは、一応、緊急時の冷却はきちっと行われていたということです。

 国会事故調では、先生御指摘のように、配管の微小な漏れがあって、そこから漏れて、原子炉内の水が下がって炉心損傷とか炉心溶融に至る可能性もあるということでしたけれども、先ほどこれも先生御指摘のように、私どもとしても、そのことについて、かなり放射線のレベルの高いところですけれども、現場にも職員が立ち入りまして調査して、十月に中間報告書を取りまとめております。

 そういったことも踏まえて、とにかくいろいろ解析もしましたけれども、十時間程度の漏えいが継続しても漏えい量というのはそんなに大きいものではない、電源機能とかそういったものの機能が健全であれば炉心損傷が発生することはなかっただろうというふうな結論を出しております。

高木(宏)委員 津波が主原因と結論づけているということでありますが、新規制基準の安全性向上が浸透し切っていない二つ目の理由として、福島の事故においては広範囲にわたり避難や移転が生じた事実から、一度原子力事故が発生すると、UPZの圏内、さらには広範な地域まで長距離避難を余儀なくされるという認識が広く住民の間に浸透している点が挙げられます。

 福島の事故を踏まえて、原子力災害対策を重点的に実施すべき地域が、従来の十キロから三十キロに拡大をされました。新たに制定された原子力災害対策指針では、五キロ圏内を予防的防護措置を準備する区域、いわゆるPAZ、これは即時避難となる区域でありますが、三十キロ圏内を緊急時防護措置を準備する区域、UPZでございます、これは、屋内退避を基本として、一定の放射線量を超えた場合には段階的に一時移転を実施するとしております。

 規制委では、重大事故時における放射性物質、セシウム137でありますけれども、この放出量を福島の百分の一である百テラベクレルに抑えることを目標としており、百テラベクレルを下回ることにより、長期避難を余儀なくされる事態となる可能性は少ないと考えるわけであります。

 新規制基準では、多重、多様な安全対策を講じることで、この新規制基準に適合した原発においては、福島の事故のように放射性物質を大量に放出することがなく、UPZ圏内までの広範囲において長期避難といった事態が生じる可能性はかなり減じられると考えますが、見解を伺いたいと思います。

田中政府特別補佐人 御指摘のように、新しい規制基準は、福島第一原子力発電所の厳しい反省、それは一つは外的要因、津波とか地震とか、台風もそうですし、洪水もそうです、そういったものについて、今まで抜けていたところについて全部規制を厳しく求めております。

 そのほかに、今度は、まず、そういった条件と同時に、いわゆる過酷事故、シビアアクシデントが起きたときにも対応できるようにということで、電源の多様化とか炉心の冷却の多様化、そういったものも求めておりますので、先生がおっしゃるように、実際にこれが全て失われて住民が避難しなければいけないというような事態は極めて少なくなる。基本的には、我々としては、そういった確率は限りなくゼロに近づけようということで規制をしております。

 しかし、これは非常に難しい問題なんですけれども、だから事故はないとか大丈夫だと言うと安全神話というつぼにはまってしまいますので、そういったことのないように、やはり事故は起きるという可能性を考えた上で避難準備をしていただく。

 一F事故のもう一つのあれは、放射線被曝によっては、サイト内は相当の被曝量になって、サイト外も被曝しているわけですけれども、急性障害を起こすような被曝は今のところゼロです。確率的には、今後のことだからわかりません。ただし、緊急に避難したことによって、既に長期避難も含めて二千人近い方が亡くなられたというような反省があります。ですから、そういったことで犠牲者をなくすということも非常に大事なことだということで、今の防災指針をつくらせていただいております。

 今後とも、新しい規制基準の前に防災指針をつくっておりますので、その適用については幾らか見直しも必要かと思いますが、基本的にはそういう考え方でつくらせていただいておりますので、先生のおっしゃるようなことも、ぜひ御理解いただけるように、今後我々としても努めていきたいと思います。

高木(宏)委員 今、田中委員長から御答弁いただきましたけれども、安全性について正確な情報を発信して、新規制基準に適合することにより、これまで以上に安全性が向上した施設になっているということについて、立地地域の住民等に理解してもらうことは重要であると考えております。

 日本原子力文化財団が実施した平成二十七年度の原子力利用に関する世論調査によれば、原子力についての広報で、情報発信者への信頼を尋ねた質問では、情報源の信頼として、大学教員、研究者などの専門家が四七・四%で圧倒的に高く、次いで、国際原子力機関などの国際機関が二二・九%となっております。ちなみに、政府関係者は七・八%と下位に低迷をしておりますが、こうした状況は改善していく必要があるわけで、根拠に基づく情報体系というものをしっかりと整備して、原子力利用の安全にかかわる国民理解を促進していく必要があると考えますが、どのような取り組みを行っているのか、お伺いします。

進藤政府参考人 お答えします。

 東京電力福島第一原子力発電所事故以降、国民の皆様の原子力への不信や不安は依然として根強いところですけれども、原子力安全を含めまして今後の原子力政策を考えていくためには、国民の皆様一人一人が、科学的に正確な情報に基づいて理解を深め、合理的に御判断いただき、その上で合意を形成いただくことが不可欠と考えております。

 このためには、双方向の対話や広報等のコミュニケーション活動をより一層進めることが大事ですけれども、これとともに、国民の皆様が御自身で疑問に思ったときに、インターネット等を活用してみずから調べ、みずから疑問を解決し、みずから理解を深められるような環境づくりが重要と考えております。

 具体的には、国民の皆様が理解を深めるためには、単純に主張を提示するのみでは不十分でございまして、それらをわかりやすく解説したものをつくる必要がございます。さらに、国民の方々が、関心に応じて、順繰りに、主張や解説からより専門的な科学的知見、論文等までたどろうと思えばインターネットでたどり、より一層の理解を深められるような情報のトレーサビリティーを整備することが必要と考えております。

 原子力委員会では、現在、このような考え方を議論しておりまして、十二月上旬には見解として取りまとめる予定でございます。その後、電気事業連合会や日本原子力研究開発機構等、十程度の関連機関とともに協議会を設置しまして、情報の編集方針や今後の進め方などについても検討していく予定でございます。

 よろしくお願いいたします。

高木(宏)委員 次に、審査体制についてお伺いします。

 これまで、規制庁の審査体制も順次整備されて、現在では、百二十名ほどの職員を七つの班に分けて、P型が三班、B型が一班、地震、火山二班、それに、特定重大事故等対処施設一班という体制で臨まれていると承知をしております。

 現在稼働中の五基、許可を受けた二基はいずれも加圧水型原子炉、PWRで、申請中のP型でまだ許可がおりていないものは、私の地元にある北海道の泊の一―三号機など少数になっております。

 限られた人員とリソースの中で迅速に審査を進めるために頑張っておられる規制庁の職員の皆さんに改めて敬意を表しますが、規制庁の発足は平成二十四年、そして新規制基準の制定が平成二十五年ということで、足かけ四年になりますが、まだ約半分のプラントの審査が終わっていない状況であるのも事実であります。

 そこで、改めて、安全性を第一として審査に慎重を期すこと、審査対応に係る事業者の努力、これは大前提でありますけれども、迅速、効率的な審査に向けての取り組みについてお伺いします。

櫻田政府参考人 お答えいたします。

 原子力規制委員会におきましては、審査全体を効率的に進めることが重要と考えてございます。

 先生の御指摘のとおり、事業者の対応にも工夫が必要なところはございますけれども、私どもとしてできる工夫も行ってございます。

 例えば、事業者があらかじめ審査において準備すべき内容について、その準備ができるように、主要な論点もあわせて審査結果をまとめるというようなことをやってみたり、それから、審査で確認すべき事項を整理して、これを文書にまとめて公表するといったようなことをやってございます。また、複数の申請が出てございますけれども、共通する論点がある場合には合同で審査をする、こういった工夫も重ねてきているところでございます。

 一方、事業者の方においても、さまざまな対応をする必要がございます。

 こういったことがあるので、時間がかかることもございますけれども、体制の強化という面で申し上げますと、継続的に実務経験者を中途採用するでありますとか、関係省庁からの人的支援を得るといったようなことをやってございまして、審査を担当する職員の増強も順次図ってきております。

 今後とも、こういった努力を引き続き進めて、効率的な審査を進めるように体制の充実を図ってまいりたいと考えてございます。

高木(宏)委員 今、審査体制について御答弁いただきましたが、原子力先進国の米国では、連邦政府のもとに原子力規制委員会、ニュークリア・レギュラトリー・コミッション、NRCといいますが、これが置かれて、約四千名のスタッフ、年間十億ドルの予算を有する独立した機関が原子力規制のほか業務を行っております。

 米国の規制機関は、規制や審査に加えて放射性廃棄物の管理、原子力技術の調査研究などを行っていることから、原子力工学の専門家はもとより、プラント設備にかかわる機械工学、原子炉建屋や防波堤などの土木工学や建築工学といった幅広い専門性と、設備の設計、施設の施工などさまざまな知見を有する人材が所属をしております。

 規制委、規制庁も、新規制基準に基づく原発の再稼働に係る審査業務に加えて、運転する原発の検査業務も非常に多く、効率的で専門性や知見の高い組織が必要と思料いたします。

 そこで、お伺いいたしますけれども、原子力本体に限らず、原発に関する幅広い専門性や知見を有する組織が必要と考えるわけですが、原子力規制庁における今後の体制構築の展望について委員長にお伺いいたします。

田中政府特別補佐人 御指摘のように、原子力規制を確実に運用していくためには、これを担う組織体制、それのもとになる人材というのをいかに確保するか、またその人材をいかに教育するかということが大事です。さまざまな御支援をいただきながら、相当短期間に人員強化を図らせていただいています。

 そういった数少ない人員ですけれども、NRCと比べると、私ども一千名ですから四分の一ですね、そういった状況の中でも、研修用プラントシミュレーターを活用した実践的な研修を行うとか、できるだけ、中途採用でいろいろなところから来ていただくというようなことで、専門人材の確保に努めております。

 もちろん、原子力は非常に幅広い分野をカバーしなければならないので、土木建築から機械工学、電気工学、地震とかそういったところまで含めた専門家、数は少ないですけれども火山の専門家まで今採用しております。

 実は、私ども、これは発足当時から繰り返し申し上げているんですけれども、我が国の原子力界全体を見たときに、人材がもう本当に払底していると言っても過言ではないと思います。これは、大学の原子力関係の学科がほとんど皆無に近くなっているということ、それから、いろいろな意味で原子力研究開発機関の力量も下がっているということで、非常に心配しております。

 そういった教育とか人材育成に必要な施設も老朽化してほとんど使えない状態になってきているということですので、そういったことを含めて、我々原子力規制委員会はもちろんですけれども、全体として、やはり安全を確保するのは、事業者でもありますし、いろいろな立場の人ですので、そういった点での強化というのもぜひ国全体として考えていただければ幸いです。

高木(宏)委員 時間が参りましたので、質問を終わります。

三原委員長 次に、石川昭政君。

石川委員 自由民主党の石川でございます。

 冒頭、委員長から、福島の地震に関しまして、福島第二原発のポンプがとまったという御説明がございました。

 ちょっと通告にないわけですけれども、お尋ねしたいと思います。

 そのポンプがとまった原因なんですけれども、これは、地震の揺れによって何らかのセンサーが起動して、その結果、モーターがとまったのか、それとも、予期しないシステムトラブルが生じた結果、ポンプがとまったのか、この辺の原因についてお尋ねしたいと思います。

田中政府特別補佐人 報告を受けている限りにおいては、水位が移動して、その取水部、表面の方から水を引き込んでいるわけですが、そこが空になってとまったというふうに聞いております。

 ただ、原因が本当にそうかどうかということについては、もう少し詳細に調べてみないとわかりませんので、それについては引き続き今、調査を継続中でございます。

石川委員 ありがとうございました。

 恐らく、ポンプが空回りというか、過熱しないように何かしらサーモスタットみたいなものがあって、それで電気がとまったとか、そういう見方もあろうかと思いますので、この件についてはよく原因を究明していただいて、今後の規制行政に生かしていただきたい、このように冒頭お願いを申し上げます。

 それでは、通告もございますので、若干変更しながらお尋ねしたいと思います。

 ことし一月、IAEAの総合規制評価サービス、IRRSが来日しまして、日本の規制行政についてレビューを行ったところでございます。

 その結果ですけれども、GP、良好は二つ、R、勧告は十三、S、提言は十三個でありました。今回、規制委員会が船出して四年目でございますけれども、この評価について、率直に言って私はまだまだ評価が低いというふうに認識しております。

 田中委員長、この評価につきまして、田中委員長の規制方針とIRRSの規制の評価、これは委員長の考えに沿ったものであるのかということをお尋ねしたいと思います。

 あわせまして、自民党の原子力規制PTから、緊急提言並びに三年の見直しの、二回の提言を規制委員会に提出しております。この提言につきまして、委員長は内容をごらんになっていると思いますけれども、通読してごらんいただいて、どう取り組んでおられるのか、あわせてお尋ねしたいと思います。

田中政府特別補佐人 今回のIRRSミッション受け入れについては、二年、発足間もなくから受け入れ準備をしまして、それで受け入れました。

 もともと、このIAEAの規制サービスというのは、いい点数をとることというよりも、どこに問題があるのかということを総合的に御指摘していただくということで、幾つかの、相当の提言とかはありますけれども、これは私どもが今後改善を図るべきことで、基本的に、前回のIRRSのときに、独立性とか中立性というのが非常に大きく問題にされたわけですけれども、そういったことについての指摘はなかったし、今、今回御指摘いただいたことについては、検査制度を含めて積極的に一つ一つ取り組んでいるところであります。

 それから、自民党PTからの提言については、一度目は塩崎原子力規制PT座長と吉野事務局長、それから二度目は吉野原子力規制PT座長と井上事務局長より直接私が受け取っておりまして、つぶさに拝読させていただいております。

 その中で幾つか、全てそれはもっともだと言うわけにはいかないところもありますけれども、私どもとして反省して、あるいは取り入れるべきところは取り入れさせていただいているというふうに御理解いただければ幸いです。

石川委員 IRRSの勧告の一を読みますと、それぞれが所管する規制が調和するように、政策、許認可、検査及び規制監視を実施しということを指摘されております。例えば「もんじゅ」への勧告に関しましては、これは、調和したり、それから協力的で効果的なプロセスを規制委員会が実施しているとは私はちょっと思えないわけでございます。

 今回日本がレビューを受けるのは二回目で、前回は二〇〇七年の旧保安院時代でした。この際にも、独立性、安全文化不十分、それから審査の法的枠組みが不必要に複雑であるなど、十項目の勧告を初めとする指摘を受けております。それを訂正する、修正する間に福島原発事故に至ってしまったということでございます。

 しかも、三年以内にフォローアップレビューを受けるのが本来通例でありましたけれども、前回はなぜかレビューを受けることがありませんでした。その理由と、今後、三年後のレビューを受ける計画があるのかどうか、お尋ねします。

田中政府特別補佐人 二〇〇七年のIRRSのレビューがなぜその後フォローアップミッションを受け入れられなかったかについては、私も直接の当事者じゃないので、耳にしているところでは、いろいろ国内的に忙しいことがあって、IAEAに猶予をしてもらって延ばしている間に一F事故が起きたということであります。

 一方、今回のIRRSのレビューについては、私どもは、三年以内にフォローアップミッションを受け入れるべく、今、精力的に組織を挙げて取り組んでいるところでございます。

石川委員 しっかりレビューは受けていただきたいと思います。

 それでは、各論に入ってまいります。

 まず、安全目標についてお尋ねしたいと思います。

 大飯原発差しとめ請求判決で、裁判官が、かような事態を招く具体的危険性が万が一でもあるかが判断の対象とされるべきということを指摘しております。つまり、福島原発事故の前と後でどの程度原発のリスクが下がったのかということを明確にする必要があるというふうに思います。世界の原子力先進国は、それを安全目標という形で決めております。

 皆様にお配りの資料をごらんいただきたいと思います。きょうお配りしているのは、死亡リスク、人間がさまざまな要因で死亡する、その原因のリスクを数値であらわしている表であります。

 これを見ますと、やはり病気とか事故、自殺、そういったものよりも、この十のマイナス六乗で指している安全目標、このあたりまで実際に原発の事故のリスク、死亡リスクというのは下がっているんだということが一目瞭然であります。

 ところが、規制委員会では、この死亡リスクを決めないということを委員会で決めているようでございますが、私はこれはやはりきちっと決めるべきだと考えております。

 改めて委員長にお聞きしますけれども、この死亡リスクを含めた安全目標を設定しない理由をお尋ねします。

田中政府特別補佐人 まず、安全目標というこの数値、リスク評価というか、リスク計算をして数値を出すわけですが、そういうことで米国とか英国とかいろいろな諸外国で決めている。

 国際的にはこれまでは、原子力事故による被曝による急性死亡確率が大体全体として、例えばがんなんかによる死亡が〇・一%程度ふえないようにするというような基準で、大体そういうのを決めてきております。

 しかし、今回の福島の事故を考えてみれば、先ほども申し上げましたけれども、放射線被曝による死亡というよりは、環境が汚染されることによって長期に避難しなきゃいけないことによって今までに五年間で二千人もの方が犠牲になっている。

 そういったことを踏まえると、今、国際的には、一Fの事故を踏まえて、放射線被曝によるリスクで物を考えるのはどうも不十分である、環境のリスクを考えるべきだという議論がだんだん出てきています。IAEAでもそういう議論になってきております。

 そもそも、死亡リスクというそういう考え方が、今私から申し上げるのはちょっとあれですけれども、やや古い考えです。セシウム137で百テラベクレルというのは、福島第一の事故の約百分の一です。百分の一であれば、長期の避難とかあるいは被曝のリスクはもちろん、この前もUNSCEAR国連科学委員会が来て言っていましたけれども、ほとんど放射線障害リスクはふえないだろうということです。その百分の一ですからもっと少ないと思います。

 それよりは、環境も、その程度であればそんなに長期の避難は必要ないということになりますので、そこを目標にいろいろな規制を求めているということで御理解いただければと思うんです。

 安全目標というのは、いろいろなお考えがありまして非常に難しい概念ですので、必ずしもそれが万人に納得していただけるようなものにはなかなかならないというのが私どもの議論であります。

石川委員 最新のリスク評価、やはり死亡リスクではなく環境リスクの方も含めるべきだという委員長のお考え、こういうことをもっと発信していただきたい。我々は、なぜそういった死亡リスクをとらないのかということを含めて、きちっとこうやって議論すれば理解していただけるものだと思っておりますので、そのことを重ねてお願い申し上げます。

 次に、IAEAの基準についてお伺いします。

 IAEAの安全基準については、リスクの発生確率を最小限にするということで、等級別扱い、グレーデッドアプローチを重要な規制指針として明記しております。IRRSの勧告の九でも同様の日本の検査プログラムを実施すべきだということで勧告をしております。つまり、IAEAの基準に照らすと、日本の原子力規制の中には等級別扱いが生かされていないという指摘だと思います。

 この等級別扱いを日本の規制に取り入れるべきだと私は考えますが、委員長のお考えをお伺いします。

田中政府特別補佐人 いわゆる等級別、リスクの大きさに応じてという、グレーデッドアプローチと俗に申しておりますけれども、これについてはもう既に私どもは取り入れまして、いわゆる一般の発電炉と試験研究炉とか、試験研究炉も出力によって大分大きさが違う、リスクが違いますので、そういったことを考慮しながら、今、発電炉は比較的似ているんですけれども、試験研究炉になりますと出力も型式も違いますので、そういったことを、一つ一つの個性を踏まえながら審査をさせていただいております。

石川委員 いわゆる田中私案についてお尋ねしたいと思います。

 平成二十五年三月十九日の規制委員会で示されました田中私案は、現時点でどのような法的位置づけになっているのか。また、これがもし私案のままとどまっているのであれば、田中委員長が交代したら変更もあり得ると思いますけれども、これについての御見解をお尋ねします。

田中政府特別補佐人 今御指摘のものはバックフィットのことについてでしょうか。はい。

 バックフィットについては、福島第一原発事故の教訓として、各種の事故調査報告書において、新知見を基準に取り入れてバックフィットさせる法的仕組みが必要との提言がなされたことを受けて、原子炉規制法が改正され、必要な手当てがなされておるところであります。

 この枠組みにおいて、規制基準は委員会規則として定めることになり、新たな基準を定めたときには、委員会規則の附則に猶予期間など必要な経過措置を記載することとなります。つまり、何か新しい基準を決めたら、すぐに原子炉をとめてすぐに適用するというようなことにはなかなか、それでは実効性が出てきませんので、そういうことではありません。

 委員長私案も踏まえて、平成二十七年十一月、委員会で決定した「新たな規制基準のいわゆるバックフィットの運用に関する基本的考え方」は、バックフィットをかける際に、当該基準の安全上の重要性、被規制者が対応するために必要な期間等を総合的に判断して猶予期間を個別に設定することなどを基本的考え方として示したものでありまして、この方針そのものは規則に記載すべきものではないと考えて、委員会決定として、平成二十七年十一月十三日の原子力規制委員会で決定させていただいております。

石川委員 次に、四十年のライセンス更新についてお尋ねします。

 我が国の更新につきましては、一年三カ月前から一年前に申請をするというふうに定められております。もし仮に、何らかの理由で延長審査が未了だった場合、この原子炉は廃炉となるというふうに見解を示されております。

 この点については、やはり、何らかの事情で審査が長引いた場合でも廃炉になるということでございますので、これについての法律の規定がないのは恐らく欠陥ではないかと私は考えます。

 また、設置から四十年ということでございますけれども、やはり、震災から五年余り、そして、工事も含めると今後数年間かかるわけでございます。そうしますと、約十年間がとまった状態であるということでございまして、その間の廃炉費用の積み立てや賠償金の積み立てに支障が出る、不足を生じると私は考えております。

 であるならば、やはりこれは、運転期間、EFPYというんですが、運転期間で四十年ということを評価すべきだというふうに思いますが、委員長の見解をお尋ねします。

田中政府特別補佐人 まず、今、二つの御質問があったかと思います。

 運転期間延長については、申請可能日を四十年期限の一年から一年三カ月前とさせていただいています。運転期間延長という審査は経年劣化に着目した審査を行うもので、これは十分、一年もあれば審査は終わる期間であります。

 それから、今まで、時間がないじゃないかとか切れるじゃないか、そういう御意見がありますが、これは、新しい規制基準に適合するための審査が長引いているというものであります。それについては、幾ら前に申請していただいても構わないわけですので、まず、それをクリアして、その上で四十年の延長という申請をしていただくということで、一年から一年三カ月ということで、十分な時間的余裕はあるというふうに思います。

 ただ、余りぎりぎりに申請されると、今度は私どもとしても困るということで、一年程度は猶予を見てくださいということであります。

 今まで四十年延長の審査に該当しているのは、高浜の一号炉、二号炉、それから美浜発電所の三号炉でありますが、これは、新しい規制基準への適合プラス経年劣化とかそういった経年変化の審査をしたということで、非常に時間的には厳しい審査になってきた、そういうことがあるということでありますので、これが常にそうであるということではないということだけは御理解いただければと思います。

 それから、実際に運転した期間を四十年とすべきではないかというお話です。

 運転中に劣化が進むもの、それから、とまっていても劣化が進むものといろいろありまして、いろいろな機器とかいろいろなコンポーネントについて、一つ一つそういうものを評価するという考え方はあるのかもしれませんけれども、今はそういう考え方をとっておりません。

 原子炉規制法においては、運転を開始したときから起算して暦の上で四十年と定められており、その期間の満了に際し、原子力規制委員会の審査を経て認可を受ければ、運転期間を一度だけ最長二十年延長することができるとされておるところであります。

 この趣旨については、立法時の国会審議において、原子炉設置許可の審査に際して、設計上の評価が運転開始後四十年の使用を想定して行われていることが多いこと等も考慮し、原則四十年とした旨の説明があったと認識しております。

 原子力規制委員会としては、法に基づき審査を行うことが役割であり、法の趣旨を踏まえ、事業者からの申請内容が審査基準に適合しているかどうか厳格に確認していくということにしておりますので、これは法的な決められたことに従ってやっているということでございます。

石川委員 残りの質問はまた次回ということで、以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

三原委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 通告に従いまして質問をさせていただきます。

 私も、まず冒頭、本日早朝に福島県沖で地震が発生をいたしまして、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 先ほど来、原子力施設関連の状況ということで質問は出ておりますので、私の方からは特にあえて繰り返してお伺いはいたしませんけれども、今回の地震で、津波の警報、また実際に津波も発生をしたということでございます。

 特に、今、福島第一の廃炉そしてまた汚染水対策、こういうものをやっている。それだけでもなかなか前例のない、非常に難しい作業をやっていく中で、こうした津波、地震を初めとした自然災害、こういうものにも対処していかないといけないということで、やはり今回、いざ津波が発生をして、改めて、この廃炉、汚染水対策、こういった災害への備えも含めて万全にやっていかないといけない、また、そういう思いで規制委員会の方にもしっかりと規制をしていただきたい、こういう思いを新たにしたわけでございますので、改めてお願いを申し上げたいと思います。

 これについて、委員長の方からもしコメントがございましたらお願いできればというふうに思います。

田中政府特別補佐人 私どもとしても、できるだけ速やかに一Fのリスクを下げるということ、汚染水については、今集中的に私どもが求めていますのは、高濃度の汚染水がまだ炉内にありますので、これをできるだけ早く取り除いて、まずできるだけ速やかに処理をしてしまうということです。

 津波に対しては、今、大体十五メートル程度までは耐えられるような措置を求めております。ただし、それ以上の津波というのも想定されますので、防潮壁をつくるという考え方もありますけれども、それをつくるよりも、早く汚染水を除去する方が短期間でできるということで、今そちらの方を求めているというようなことで、御指摘のように、汚染水を含めまして、そういった自然災害に対する対策についてはできるだけ合理的に進めるよう心してまいりたいと思います。

中野委員 ありがとうございます。

 改めまして、通告に従って質問をさせていただきます。

 私から、本日は、大きくは二点、一つは原子力施設の検査体制の見直し、もう一つは避難計画の充実、これにつきまして質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 原子力規制委員会の、福島第一原子力発電所の反省を踏まえて、新規制基準、これ自体は非常に高い、世界でも最高水準の規制の基準をつくった、このように考えておりますけれども、では、実際に現場の運用でどのような検査になるのか、どのようなチェックになるのか、これが非常に重要であるというふうに考えております。

 本年、IAEAの総合規制評価サービス、IRRSの受け入れをされまして、この報告書では、特に検査について、検査制度の改善、要は、今までのリスク情報を活用した規制が行えるように柔軟性を持った規制検査プロセスを構築するとともに、検査官のフリーアクセス権限を確保し、対応型検査の実施を現場に近いレベルで決定できるよう、こういう指摘がなされたところでございます。

 今までの検査というのは、厳しいチェック項目ではありますけれども、同じ時期に同じ項目を決まった形でチェックする、こういうものであるというふうに聞いておりまして、誤解を恐れず言えば定期テストというか、時期が決まっている、聞かれることも決まっている、こういうことでありますけれども、そうではなくて、ある意味抜き打ちテストというか、そういう意味で事業者の安全に対する姿勢というのもさらに高めていく、恐らく、こういう形に大きく変えていった方がいいんじゃないか、こういう指摘であるというふうに認識をしております。

 この検査プロセス、やはり改善をぜひしていただいて、事業者もどうやったらもっと安全になっていくんだろうか、規制当局としてもどうすればもっと高い安全性というものが確保できていくんだろうか、こういうお互い高い水準をどんどん求めていくような、そういう工夫がなされていくような、そういう検査、規制のプロセスというものをぜひ求めていくべき、このように思いますけれども、今後の取り組みの方向性またお考えについてお伺いできればというふうに思います。

田中政府特別補佐人 検査制度については、IRRSの主査を務めたジャメ委員長からも特別に私の方にコメントがありまして、我が国の今審査が進んでいるけれども、これからは検査が重要ですよという御指摘がありました。これを受けまして、今、検査制度の抜本的な見直し、それから人材、人が大事ですので、そういったことに取り組んでおります。

 結局、原子力施設の安全確保というのは事業者が第一義的責任を持つんだということは言われているんですが、我が国においては、ともすると、事業者が規制上の最低限の要求を満足すればいいんだというようなところに陥っていたところがあります。そうではなくて、今御指摘のように、規制側それから事業者側双方が知恵を出して、よりよい、高いレベルの安全を求めていくということです。そのためには、ある程度事業者の責任も明確にするとともに、私どもとしても、フリーアクセスといいますか、自由にいつでも入って検査ができるような体制をつくっていくとか、そういったことによって継続的に安全の水準を上げるということです。

 こういったことについては若干法律改正等も伴いますので、改正の必要性もありますので、今、私どもの組織の中に検査制度見直しのチームをつくりまして、精力的に取り組んでおります。これについては多分次の国会ぐらいに提案させていただくことになると思いますが、そのときにはぜひ御支援いただければ幸いでございます。

中野委員 こうした考え方は恐らく、先ほども出てきたアメリカのNRCとか、そういう規制のある意味先進的にやってこられたあり方だというふうに考えておりまして、そういう意味では、過去の状況も聞いておりますと、やはりかなり試行錯誤で確立をしてきたものだというふうにお伺いをしております。

 どういうやり方の検査にするのかという基本的な思想というのが幾つかあって、パフォーマンスベースという考え方であるとかリスクインフォームドという考え方であるとか、こうした一貫した規制の理念のもとで、検査のあり方をいろいろやりながらある意味継続的に改善をさせてきたのがアメリカのあり方だというふうに伺っております。

 そういう意味では、同じような考え方で導入をするということであれば、今回の検査の見直しのあり方というのも、規制の理念自体はしっかりと一貫をさせて、それをプロセスの中で改善させていく、こういう仕組みをやはり同じようにやっていくべきではないかと私は思いますけれども、これについてはコメントはいかがでございましょう。

田中政府特別補佐人 規制対応の必要性を検討するときには、やはりリスク情報を活用する、いわゆるリスクインフォームドの考え方をとる、それから、事業者の保安活動に係る安全確保の実績を反映する、これはパフォーマンスインデックスとかそういう形で評価されます。こういったことを踏まえて検査を進めていくということになります。

 私ども、まさにNRCをとりあえずお手本にするという考え方で、今現在、この夏から五名ほど、NRCの検査制度の実習に一年間の予定で派遣しております。もう一チームぐらい派遣して、その方たちが戻ってきたら検査の中核部隊として機能していただくようにということであります。

 事業者とも検査制度については綿密に意見交換をしておりまして、事業者の方もリスク評価のようなシステムをだんだん整備しつつあるというふうに伺っております。

中野委員 こうした新しい検査のあり方、やはり抜き打ち検査ということでございますので、評価のあり方が例えば検査官によって少し変わってきたりですとか、恣意的な評価ということもあるんじゃないか、こういう指摘も導入当初はいろいろあったやに伺っております。

 やはり、評価の基準であるとかある程度のプロセス、こういうものはしっかりと示していって、より高い安全の水準をお互いが求めていく検査にする一方で、余り人によって検査のあり方が変わるというのもそれはそれでよくないというふうに思いますので、そうしたある程度の基準、プロセスみたいなものはしっかり示していく必要があるというふうに考えるんですけれども、これについてはどう考えておられるか、御答弁願います。

山田政府参考人 今検討させていただいております新たな検査制度というものにつきましては、従来定型的でありました検査の内容を見直しまして、対象や方法について柔軟に実施できるようにということで考えているところでございますので、先生御指摘のとおり、恣意的な制度運用に陥ることなく、検査の透明性ですとか予見性を確保することが従来にも増して一層重要になってくるというふうに認識してございます。

 このため、公開の文書として検査の方法ですとか規制判断に係る基準や判断プロセスなどを明確化いたしまして、かつ、これを継続的に改善していくということが必要だというふうに考えてございます。

 今後、その内容や手順などの詳細につきましては検討して、文書によって公開できるようにということで、準備を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

中野委員 検査の中で、やはり先ほど来お話が出ておりましたのは、検査官の質、そして、質もさることながら、恐らく量もしっかり確保しないといけないのではないかなと思います。

 先ほども、アメリカが四千名で日本が千名ぐらいというふうなお話もございまして、炉の数ですとか状況が違いますので、直接比較するのが本当にいいかどうかはまた別として、充実した検査の人員の体制についても確保しないといけないと思いますし、そしてまた、検査官の質、新しい検査にしっかり対応できるような質というものを高める取り組みというのをやっていく必要があると思います。

 この取り組みについてどうお考えか、答弁いただきたいと思います。

山田政府参考人 新たな検査制度を実効的に運用するためには、これを担う組織体制を強化するとともに、人材育成策を抜本的に強化いたしまして、検査を遂行する能力を高めることが不可欠だというふうに認識してございます。

 また、原子力施設の安全審査や検査のみならず、放射性同位元素に係る規制につきましても、原子力規制に係る専門人材を確保することが重要であるというふうに考えてございます。

 原子力規制委員会におきましては、検査官を初めとした職員の力量向上に向けて、研修用プラントシミュレーターを活用したより実践的な研修の実施を含め、研修、育成体系を抜本的に充実するとともに、経験者の中途採用を積極的に行い、専門人材の確保に努めているところでございます。

 さらに、原子力規制に係る知識や考え方を身につけた人材を幅広く育成するということが極めて重要な課題であるというふうに認識してございまして、大学等と連携した原子力規制人材育成事業などにも取り組んでいるところでございます。

 これらを通じまして、今後とも、意欲ある人材の確保、育成に着実に取り組んでまいりたいと考えてございます。

中野委員 ありがとうございます。

 今後の原子力施設の安全に対する信頼というのは、今はどうしても基準そのものについての議論が多いわけでございますけれども、やはり、検査のあり方というものをしっかり見直すことによって安全というものを高めていくことができると思います。これは非常に大事だと思いますので、しっかり対応していただければというふうに思っております。

 余り時間がなくなってまいりましたが、避難計画についても何点か御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 避難計画については、私は、まだまだ充実を図っていく必要があるというふうに考えております。それぞれの地域で、実際に自治体を中心に、また広域でも連携して計画をつくっていく、こういう取り組みをしておりまして、そして、国もしっかりと策定については支援をする、避難計画の策定そしてまた充実というものに対して国がしっかりと後押しをしていく、支えていく、こういう体制で今取り組んでおりまして、現在、この避難計画に基づきましてさまざまな訓練も行われているところでございます。

 関西ですと、福井県を中心として、どういう形で広域に避難をしていくのか。例えば高浜地域での避難計画では、広域の避難先という意味では私の地元の兵庫県も入っているということでございまして、やはり、さまざまな自治体が連携をしていく中で、そしていろいろな災害の想定をしながら進めていく中で、恐らくいろいろな課題もまた出てくるんだろうというふうに思っておるんです。それを踏まえてしっかりPDCAをしていくというのが大事であるというふうに思っております。

 例えば、関西の地域という意味では、この夏にも訓練が行われたりしておるところでございますけれども、こうしたものを踏まえて、PDCAという意味で、今後の避難計画の充実あるいは避難計画の改善をどのように図っていくのか、また、今どのような意見が出ているのか、こういうものについても現状をお伺いできればというふうに思います。

山本政府参考人 原子力防災の立場をお答えいたします。

 先生御指摘のとおり、この避難計画というのは、一旦策定したらそれで終わりではございません。避難訓練など、そういう訓練を通じまして課題を抽出して、それをもとに継続的な改善をやっていくということが大変重要でございます。

 それで、私ども内閣府におきましては、もちろん、避難計画の策定段階から、地域原子力防災協議会という仕組みがございますので、策定段階から関与をしておりますし、それから、先ほど御指摘ありました高浜地域の避難計画でございますけれども、これについても、ことしの八月に、三府県とそれから私ども内閣府が共同する形で訓練を実施いたしました。そして、この訓練の結果を踏まえて、さらに避難計画の充実を図っていきたいと思っております。

 特に、御指摘のように、福井県民の方が兵庫県という極めて広域の避難を計画されたり、あるいは、一部の地域で孤立をするというようなことを想定した実動訓練などもいたしました。

 いずれにしましても、たくさんの教訓事項が今出てきているところでございますので、これを早急に取りまとめた上で、現行の避難計画の充実、改定に結びつけていきたいというふうに考えておるところでございます。

中野委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 最後、もう時間もありませんので一問だけにいたしますけれども、通常の防災もそうなんですけれども、やはり、防災の対策をやったことがあるかどうかという経験はすごく大事でありまして、そういう意味では、災害対応のできる人材をある程度ストックしておくというか育てていくというか、これが非常に大事だと思います。

 特に原子力災害というのは、かかわった経験のある人が恐らくほとんどいないというか、誰もが初めてやらないといけないようなことが非常に多いんじゃないか、このように思いまして、通常の防災以上に、実際に起きたときにどうするのか、こういう現場で担当する人材を今のうちからしっかり育てる、これが非常に大事だと思いますので、ぜひこれについてはしっかりと進めていっていただきたいと思いますけれども、最後に答弁をいただきたいと思います。

山本政府参考人 御指摘のとおり、原子力防災を担う人材育成は極めて大事でございます。

 一つは、この人材育成のためのさまざまな研修事業を現在も実施しているところでございます。あるいは、避難を担っていただくバスの運転手さんの研修でありますとか、地方自治体の職員の方々の研修、これも現在もやってございますが、さらに、今御指摘にありましたように、実際災害が起きたときの高度な意思決定を担うような中核的な人材、こういう方々の育成も極めて大事だと思っております。

 それで、来年度の予算要求の中でこういう研修事業の拡充について今お願いしているところでございますので、そういう予算がつきましたらしっかり対応していきたいと思っております。

 それからもう一つは訓練でございます。国が毎年、総合防災訓練をやっておりますが、これは単に訓練をやるだけではなくて、その過程において、やはりそれに参画している人たちの教育という面も大変多うございます。

 したがいまして、そういう訓練と研修を通じまして人材をしっかり育てていくようにしていきたいというふうに考えているところでございます。

中野委員 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

三原委員長 次に、荒井聰君。

荒井委員 民進党の荒井聰でございます。

 冒頭、ことしの四月、尊敬する三原さんが委員長になられましたので、私から、この委員会が成立した際の議運での申し合わせ事項、すなわち諮問機関、アドバイザリーボードを設けるといったことについて、ぜひ委員長としてお骨折りをいただきたいというふうに思います。もう既に三年半、約四年ぐらいたとうといたしております。国会の場で約束されたことはしっかり守っていくということが大事なのではないかというふうに思いますので、冒頭、お願いをいたします。

 さて、けさの地震で、福島第二原発の三号炉のプールのポンプがとまった。原発の事故というか、原発の安全性にかかわるものというのは、ほとんど水にかかわるというか、水がいろいろなキーワードになっているというふうに思います。多くてもだめだし、少なくてもだめだと。

 今度の場合には、プールの水が、ポンプが停止することによってなくなるかもしれない、蒸発してしまうかもしれない。これは、福島第一原発の四号炉で、アメリカも含め、日本じゅうが戦慄をしたわけであります。あそこに本当に水がなくなっていれば東京さえも住めなくなる、そういうことが心配されていたわけであります。

 あれはたまたま、原子炉の改築工事が行われていて、水が満たされていて、その水のふたが開いてプールに浸入したということが後でたしかわかったはずでありますから、そういうことが再び起きかねないということなんだろうと思います。

 また、水が多過ぎてもだめだと。これはことしの九月でありましょうか、北陸電力の志賀原発で起きたことでありますけれども、あのとき集中豪雨が起きて、排水路を通って原子炉建屋の中に大量の水が流れ込み、原子炉冷却装置の分電盤だとか非常用電源が水没する危険性があったという事故が起きています。

 これらについても事なきを得たわけですけれども、まだまだ私は原発の安全性についてはいろいろな問題があるのではないだろうか、その意味では、原子力規制委員会の果たす役割というのはとても大きいと思います。

 ただ、田中委員長は民主党政権下で委員長に指名をされた方でございますので、陰に陽にさまざまなプレッシャーを受けられているのかなというふうに心配をしていますけれども、事は国民の安全性にかかわる問題であります。信念をしっかり通して、安全性についてしっかりとしたお仕事をされるようにお願い申し上げます。

 冒頭、きょうの東京新聞の「大人の偏見」、自主避難者の子供がいじめに遭っているという記事でありました。

 この記事をちょっと読ませていただきますと、「いままでなんかいも死のうとおもった。でも、しんさいでいっぱい死んだからつらいけどぼくはいきるときめた」。小学校六年生の子供です。「ばいきんあつかいされて、ほうしゃのうだとおもっていつもつらかった。福島の人はいじめられると思った」。

 これが今、福島の被災者の子供たちの置かれている状況なのではないかというふうに私は思います。しっかりと教育の分野やあるいは国を挙げてそういうことを避けていくというのが国の役割だと私は思うんです。

 それで、子ども・被災者支援法という法律、これは、自主避難者も含めて、避難者に対する超党派の唯一の法律であります。この法律の中で、このことを既に想定していたんです。被災者生活支援等を講ずるに当たっては、被災者に対するいわれなき差別が生ずることのないよう、適切な配慮がなされていなければならないという条項を、これは私が入れさせました。入れてあるんです。

 被曝をしたということで、その地域、被災者の場所でいわれなき差別、いじめというのはある種の偏見とそれから差別だと思いますので、そういうことに対しても十分配慮するべきだ、こういうことを学校の先生がほとんど理解していなかったんじゃないだろうかということはとても残念に思います。

 もう一つは、今、自主避難者で一番不安にさいなまれている、困っているのは、もう五年たつわけですけれども、自主避難地における住宅の確保であります。

 来年の四月でこの住宅の確保策が打ち切りになるということで、このままでは生活ができないというような、そういう自主避難者からの悲鳴に近いような声が出ています。

 国策で行った原発政策です。それで起きた事故ですから、私は、国が前面に出て、この避難者の人たちに対する住宅の確保策ということは継続をさせるべきだと思います。そのことは、被災者支援法の中に、避難した人も、それからとどまった人も、あるいは帰還する人もひとしく支援を受けるべきであるという思想が、理念が書かれているんです。

 だから、この被災者支援法を、しっかりとこの理念を守っていくということで、私は、復興庁、総務省あるいは環境省、全ての関係省庁を挙げてこの人たちを支援していくということが必要だと思いますが、きょうは復興庁から副大臣が来られていますので、御答弁をお願いします。

橘副大臣 荒井議員に御答弁申し上げます。

 避難指示区域外からの避難者への応急仮設住宅の供与終了につきましては、福島県が住居の確保の市町村ごとの状況等を踏まえて判断をし、災害救助法に基づいて内閣府に協議がなされ、決定したものと承知しております。

 応急仮設住宅の供与終了に当たり、福島県では、自主避難者の方々に対する仮設住宅の供与終了後の支援策を策定し、民間賃貸住宅での家賃補助、公営住宅等の確保、県内帰還時の移転補助を行うものと認識をしております。

 また、復興庁におきましても、住宅確保に関しまして、雇用促進住宅での受け入れを関係団体に協力要請し、住宅の一部提供が行われることとなったほか、国土交通省とも連携をしながら、公営住宅への入居円滑化への支援を行っているところであります。

 さらに、避難者の皆さん方への相談支援などを通じて、この福島県の支援策が円滑に進むように支援してまいりたい、このように考えております。

荒井委員 四月に承った答弁と全く同じなんですよ。私は、この半年間、復興庁は何をやっていたんだというふうに思います。

 その次のものも同じなんですけれども、もっと国が前面に出るべきだと私は指摘をしたつもりでいます。いつでも、福島県がやることだからといって、私は逃げていると。国策民営化だと片一方で言いながら、被災に遭ったその人たちに対しては全部福島に預けている。それは違うんじゃないでしょうか。

 そのことを指摘して、これ以上議論しても何もないんでしょうから、そのままにしておきますけれども。

 今、皆さんのお手元にこのペーパーを、新聞記事ですけれども、お渡しをいたしました。この件もことしの四月に私が指摘したことです。せっかく被災に遭った人が帰ってきて、定住をしようとして家を買った。土地を買って、家を建てた。そしてそのときに、除染が終わった土をあなたが買った土地のどこどこに埋めてありますという簡易なペーパーをもらったので、そこを避けてその土地に家を建てた。そうしたら、家の下からフレコンバッグが出てきたんですよ。

 これは、住んでいる人にとっては、集めた除染土の上に住んでいるわけですから、とても安心して住めない、不安でたまらないというのが私たち普通の人の一般的な考えじゃないでしょうか。

 それを指摘したのが、私、四月ですよ、四月七日ですよ。今、十一月。十一月になってもこのフレコンバッグは運び出されていません。

 なぜ運び出されないのか、その理由を副大臣、答弁できますか。できない、準備していないですか。

早水政府参考人 除染を担当しております環境省よりお答えいたします。

 今御指摘にございました福島市内の住宅の地下からフレコンバッグが出てきた件ですけれども、住宅建設の際に、建設業者及び住民の方が保管場所を正確に把握できていない事態が生じたというものと聞いております。この件につきましては、現在も引き続き、福島市それから住宅の建設業者及び居住者との間で対応策を協議中というふうに聞いております。

 環境省といたしましては、同様の事態の発生を防ぐべく、関係地方自治体を通じまして、除去土壌等が保管されている土地の所有者、宅地建物取引業者等に対しまして、特措法に基づき作成された保管場所を明らかにした図面等の閲覧ができる旨の周知を図っているところでございます。

 引き続き、関係市町村等に対しまして、保管場所の記録や管理、それらの情報の住民への正確な伝達の徹底を求めながら、除去土壌等の適切な管理、それから安全確保に万全を期すとともに、搬入先となります中間貯蔵施設の整備に全力を尽くしてまいりたいと考えております。

荒井委員 その答弁も半年前、ほとんど同じ答弁だったですよ。この半年、環境省は何をやっていたんですか。

 苦しんでいる人は、せっかく家を買って、借金も毎月毎月返済しながら、不安にさいなまれているんですよ。しかも自分の責任じゃない。それを、これは福島市がやるものですから、業者がやるものですからと。どこへ言ったらいいんですか、その人たちは。そういう感覚、被災者に寄り添うという感覚がなければ、私は、福島の復興あるいは福島の安全をもう一度確保するということはできないと思いますよ。

 そして、それができるのは、私は環境省だと思うんですよ。環境省がそこの被災者に寄り添っていくという姿勢を示して、直接福島市と当たるぐらいじゃないとできないでしょう、これは。もっとも、環境省は地方自治体との関係が非常に希薄ですから難しいのかもしれません。しかし、それだったらば、それに適応できるような体制をつくったらどうですか、環境省だけではなくて。

 こういう人たちが恐らくたくさん出てくると思いますよ。なぜか。それは中間貯蔵施設ができていないからですよ。中間貯蔵施設ができていれば、何もそんな住宅の下に埋めることはなくて、そこへすぐ持っていけたんでしょう。しかし、中間貯蔵施設、今、土地買収はどのぐらいできていますか。一〇%もできていないでしょう。まだまだできないですよ、あれ。そうすると、こういう事態は福島市内、あちこちで起きますよ。福島の市内じゃなくて福島県下で。

 どうですか。こういう件については、政治の話だから、副大臣。

橘副大臣 中間貯蔵施設の整備、これが福島の復興に必要不可欠であるということは、全く荒井委員のおっしゃるとおりであります。地元の皆様の御理解、双葉町、大熊町、また、住民の皆様の御理解、地権者の御理解を得ながら、着実に取り組みを進めていくことが重要と認識しております。本年三月に閣議決定した復興の基本方針でも、「中間貯蔵施設の整備と施設への継続的な搬入を進めるため、政府一体となって取組を進める。」こととしております。

 用地交渉の状況でありますが、十月末時点で、努力を積み重ねながら、契約実績で民地の百七十ヘクタール、一〇・六%に今到達をしたところであります。そして本格施設の整備に着手ということで、十一月十五日、着工を見たところでございます。

 これを、とにかく整備を進めながら、そして搬入できる量を少しでもふやしながら、環境省と連携をしつつ、復興庁としても取り組みを強化して、一日も早くいい状態にするように努力してまいります。

荒井委員 私は努力規定じゃもうだめだと思うんですよ。半年もたっているんですよ、私が指摘してから。そのときも、皆さん、えっ、こんなことがあったのかとみんなびっくりしていたけれども、それを指摘して何か動いたかって、何にも動かない。関係省庁は何をやっていたんだと思います。

 その理由はわかるんです。それを掘り出してどこへ持っていったらいいかわからない、中間貯蔵施設ができていないからね。しかし、掘り出したらどこかに持っていかないとだめだけれども、その経費は今のところどこも出す当てがない。最初の除染で、最初の中間貯蔵までは認められているけれども、中間貯蔵の中間貯蔵に運ぶ、あるいはその経費については誰も見てくれない。

 環境省が見たらいいじゃないですか、その費用を、制度的に。

早水政府参考人 お答えいたします。

 今の御指摘の点でございますけれども、現場保管されている除去土壌につきましては、最終的に中間貯蔵施設に持っていくわけですけれども、その途中段階で例えば中間貯蔵へ輸送するために積み込み場等へ搬出する、あるいは、中間貯蔵施設へ搬出するための準備として地下保管していた除去土壌等を地上保管に変えるといった途中段階につきましても、特措法に基づく財政措置の対象となり得るということでございます。

 これらにつきましては、個別に御相談をいただいているところでございます。

荒井委員 いや、そういうことであるならば、私はそこは誤解をしていまして、そういう制度があるというのならば、そのことをしっかり福島市に伝えたらいいですよ。そして、幾らお金がかかってもそれを掘り出してやる、そういうことをすることが私は福島の復興の第一歩につながると思いますよ。それを指摘したいと思います。

 きょうは「もんじゅ」の話だとかいろいろな話をしたかったんですけれども、余り時間がありませんのでもう一件だけ。せっかく田中委員長が来られているので、田中さんと討論をする時間を楽しみにしていましたので。

 今、新聞で、四十年廃炉の原則がうやむやになったんじゃないかと。原子炉規制法という法律は、これは民主党政権時代につくった法律です。私もこの法律をつくるのに努力いたしました。しかし、ともすると、この法律は民主党政権のときにできたので、もう重要視しなくてもいいんだという雰囲気が何となくあるんじゃないだろうか。その中で一人で抵抗して頑張っているのは田中さんかなという気もするんですけれども。

 しかし、四十年廃炉の原則というのは、あのとき物すごい議論をして、先ほども話をされていましたけれども、決して田中委員長ともあろうものがこの四十年廃炉の原則というものをおろそかにしてはいないというふうに思っているんですけれども、ここは委員長の見解をお尋ねいたします。

田中政府特別補佐人 荒井先生に法律の話を説明するのはちょっと控えさせていただきたいと思いますが、私どもは、法律、原子炉規制法に基づいて審査を進めております。そこに書いてあるのは、四十年を迎える日までに工事認可まで受けたものについては二十年延長できるということになっております。

 私どものミッションとして、事業者から申請があれば、一応それについてはきちっと審査をする。ただし、そこは、四十年ですから、新規制基準にきちっと適合すると同時に、四十年から六十年まで二十年延長しても大丈夫だという確信が得られるような審査をして、その結果として、今まで三つの炉については、事業者からそういう対応をするということで、私個人的に見れば、随分厳しい要求に対して対応するなというふうにも思います。一基当たり一千億とか二千億というお金がかかる措置ですから、そう簡単なことではなかろうと思いつつ、関西電力ですけれども、関西電力の当時の社長にも、呼んで、本当にそういうつもりがあるのかということを確認しつつ、審査を進めてまいりました。

 ですから、これは規制委員会、規制庁の一つのミッション、法に定められた仕事をしているということです。

 ただ一方では、やはりそういうことを考えて、民間事業ですから、六つの原子炉についてはもう廃炉を決定してしまっている、だから申請してきていないということです。いずれも古い炉です。

 ですから、そういう点では、この四十年の定めが形骸化しているとは思っていませんし、今後も、出てきた場合には、私どもとしては、これまで従来どおり、新しい規制基準と経年変化というのをきちっと審査してまいりたいと思います。

荒井委員 委員長の、四十年原則というのは形骸化していないというお話を聞いたので、安心をいたしました。

 バックフィットに一千億とか二千億お金がかかる、原発一基つくるときの半分ぐらいの値段がかかるようなところもあるみたいで、それにもかかわらず四十年を延長したい。私には、採算性が合うとはとても思えない。電力の自由化という中で本当に耐えられるのかどうか。

 これは経産省に聞いた方がいいんでしょうけれども、そういう点からも、一度、この四十年を延長して申請してくるという原発については、私は、委員会でしっかりとした議論をした方がいいのではないかなというふうにも思いますけれども、その機会はまた別途お願いをしたいと思います。

 もう一つ、地域に住む人たちにとっての最大のテーマはやはり除染なんですよね。除染の最大の根っこのところは中間貯蔵施設なんですよ。先ほども言いましたけれども、中間貯蔵施設がなかなかできない。

 私は、中間貯蔵施設の建設については、もう四、五年たっているわけですから、ある種の政治的な決断、大胆な決断をするべきときに来ているのではないだろうか。中間貯蔵施設の特別立法をつくって、用地の買収については強制買収ができるような法律をつくるべきではないだろうか。

 私は、民主党政権のときに、この地域について国有化をしたらどうかということを提案しました。あのとき、そういうことにもっと時間を割いて議論するべきだったと思いますけれども、強制買収が難しければ、三十年なり、中間貯蔵施設を置いておく間の強制的な土地利用ということを認めるような、そういう役割というか仕組みというか、そういうことを考えなければ、幾らたっても、先ほどの、土地の下から出てきたとか、あるいは帰ろうとしてもなかなか帰るきっかけができないというようなことがずっと続いてしまうというふうに思います。

 どうですか、副大臣。

橘副大臣 先ほども申し上げたわけでありますけれども、現在、鋭意、土地の買収そして工事の着手ということで進めてきております。大変多くの人員も割きながら、地権者の方々お一人お一人の御理解を得るべく今努力をしておりまして、数字も少しずつ、九月、十月と着実に上がってきているところであります。

 まず今のスキームの中でしっかり努力をし、そしてまた、中間貯蔵施設の本格施設の整備が進んでまいりますと、受け入れの量も着実にふえてまいります。平成二十八年度は三十七市町村から十五万立米を輸送する予定であり、また、大熊町の町有地を活用した保管所へ、学校に保管されている除染土壌等の輸送を追加して実施する、こういったことで取り組んでおります。

 まずは一日一日しっかり頑張ってまいりたいと思います。

荒井委員 中間貯蔵施設の土地というのは古い土地ですから、地権者が江戸時代から生きていることになっているようなところがたくさんあるんですよ。これは日本の国土行政あるいは土地行政の欠陥ですよ。

 国交省に地籍という仕事があるんですけれども、その地籍の業務を進める、あるいは、住民税だとか固定資産税だとか、そういう税のところと連携をしながら地権関係を整理していくということ、ここだけではなくて、制度として、仕組みとして行う必要があるということを国交委員会なんかで指摘をしていますけれども、そういうものが間に合わない。間に合わなければどうするのかということは、それは環境省だけの話ではなくて、私は政治の話だと思います。

 ぜひ与党を挙げて、私はしっかりとした議論をしてほしいということを指摘させていただいて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

三原委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 民進党の阿部知子です。

 冒頭、委員長には通告をしてございませんが、けさ方の東京電力福島第二・三号炉の冷却用のポンプの停止、一時間半ほどで復旧をして、他のルートからの冷却水が入っているようでございますが、ここにおいて、委員長がまだこれから原因あるいは今後の対策等もお考えになろうかとは思いますが、少し確認をさせていただきます。

 私は、けさ方このニュースを聞いて、ああ、こういうことでも冷却用の水はとまってしまうんだろうかと、一つは驚き、そして、当初の報道ですと、一時間とまると〇・二度の温度上昇だと言われておりましたが、一時間半の停止で二十八・七度から二十九・五度、〇・八度上昇しておりました。当初、一週間くらいはお水がなくてもと言われましたが、もしこの上昇幅が違えば、もっと実はこの事態が進行するのが早いというふうに思いましたので、二点お尋ねをしたいです。

 冷却用のポンプの停止、そして予測よりも早い温度上昇は、何か委員長としてお考えになるところはおありでしょうか。

田中政府特別補佐人 まず、温度の点が非常に明快なんですけれども、実は、先生がどこで入手された情報かわかりませんけれども、私どもが得たところですと、二十八・七度というのはポンプの出口に近いところ。それで、実際にプールの温度をはかりますと、二十九・三度だったのが二十九・五度という、やはり〇・二度ということで、そこには間違いはないんだということでありまして、はかった場所が違うのに、何かちょっとそういう誤解を招くような報道があったのではないかということでありますので、もしそうであれば、やはりきちっと間違いのない報道をするように私どもとしても注意したいと思います。

 それから、このポンプの性格ですが、プールの上面、上の方に浮かぶごみのようなものを取り除くことも兼ねたようなポンプで、ポンプの水の吸い込み口がかなり表面にあったということで、それが空になってとまったということで、それだけで冷却が完全にとまってしまうというようなものでもありませんので、ただ、そういうふうにしてもポンプはとまるということも十分に反省材料として、今後原因をきちっと根本原因も含めて検討して、その上で対応させていただきたいと思います。

    〔委員長退席、山際委員長代理着席〕

阿部委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。稼働していなくても、使用済み燃料プールの問題は非常に危険のあることですので、今の委員長の御指摘の点も踏まえて、また原子力規制庁としてもより安全な方向に進めていただきたいと思います。

 私のこれからの質問は経済産業省の政務官にほとんどお聞きをいたしますので、委員長には、お聞きになっていただいているということでお願いをいたします。

 私が本日取り上げたいのは、原子力にかかわる費用負担の問題でございます。

 ことしの九月でありましたけれども、毎日新聞の報道で、福島の第一原発の廃炉費用と、またそれ以外の一般の原発の廃炉費用を、今後、託送料金、送電の料金に乗せるというような記事が出た後、九月の二十日に、政府の方で、東電改革・一F問題委員会と電力システム改革貫徹小委員会、さらに原子力損害賠償制度の専門部会という三つが立ち上がりました。

 私はもともと、例えば廃炉の費用をこれからの託送料に乗せるなんて、よもや、まさかお門違いだなとはっきり言えば思っておりましたが、この三つの委員会の審議が進めば進むほど、何だか託送料金の可能性がクローズアップされておりまして、ちょっとここで明確にさせていただきたいと思います。

 まず、お手元の資料の一枚目を見ていただきますと、ここには、事故を起こした福島第一原発事故の費用負担の問題で、国民負担の現状というものを、これは私の事務所で鋭意いろいろピックアップいたしまして作成したものでございます。

 実は、こういうものを作成しようと思ったきっかけは、これも二週間ほど前、NHKスペシャルで廃炉シリーズの三弾として、今、東京電力福島第一原発の廃炉や賠償や除染などで生じている費用負担がよくわからず、そして、結果的にその七割が国民負担ではないかという指摘がありました。そうであれば大変なことですし、まず見える化するということが国民合意の上でも大事であろうと思って、私の方でつくらせていただきました。

 少し例を挙げさせていただきますが、一F安定化維持費用というのは、例えば防護服とかマスクとか、今一Fを安定させるために使っているいろいろな道具というかそういうものも含めた費用で、八百三十六億が二〇一五年度。

 そして、その下の廃止措置資産償却費というのは、例えば、以前であればALPS等の装置を使って、それを費用として認識していたわけですが、実は、二〇一四年の三月末以降でここが幾らになっているのか、それ以降が明確でありませんので、現段階における廃止措置資産償却費というのがわかりません。これは何を言っているかというと、事故が起きた後、廃止のためにいろいろな設備をつくりました、それの減価償却費の積み重ねでありますが、これがいろいろなものを見ましても明確に記載をされておりません。

 また、廃炉研究開発費というのは、これはもともと税金で出ておりまして、これも二〇一四年までは出ておりますが、その後は出ておりません。

 さらに、原子力発電施設解体引当金、これは、既にこれまで積んでいる、二〇一一年度分までの国民負担でありますので、今からではございませんが、これまで負担しました。

 次の、原賠機構法の一般負担金は、各電力会社が原賠機構のために負担しておりますが、実はみんな電気料金に乗せられておりますので、これも国民負担。

 賠償対応費用のうち、ここに書いてある二百五十九億は二〇一四年度までのコールセンター等々のですが、一五、一六はどうなったのかはどこにも出ていない。

 除染費用は、国が立てかえて、これまで三・八兆円。

 中間貯蔵施設費用が一・一兆円。

 これはあくまでも私の方でピックアップしたもので、また、途中まで、探してもないので、ここまでしか自力ではできなかったというものですが、経済産業省の方から、これは既に国民負担ないしは負担していただいたものですから、明確にしていただきたいが、いかがでしょう。

    〔山際委員長代理退席、委員長着席〕

村瀬政府参考人 お答えさせていただきます。

 先生御指摘のとおり、全体の一F事故に係る費用に関する情報提供、これをしっかり国民に提示していくべきだという点については重要な点だというふうに理解しております。

 これまでも費用負担のあり方等の情報につきましては可能な範囲で御説明してきているところではございますけれども、より一層、情報提供等はしっかりやり、対応し、全体の数字についてもわかりやすい説明を心がけていきたい、このように考えております。

阿部委員 これはくれぐれもお願いいたします。いろいろな資料をひっくり返しても、どうしても出ていないので、お役所の方できちんと提示をしていただきたい。

 資料の二枚目でございますが、これは電力システム改革貫徹のための政策小委員会の財務会計ワーキンググループで今検討している検討事項、通常炉の廃炉、事故炉の廃炉、原子力賠償などで、おのおの検討課題が出てございます。でも、これもまたすごくわかりづらくて、国民から見て、何を検討していて何が自分たちの負担にかかわってくるのかよくわかりません。

 そこで、私の方で、またもう一枚あけていただきまして、これは、この間のさまざまなワーキンググループ等々の検討の中で、託送料金に転嫁されるということが検討されているものの一覧をつくらせていただきました。これも私どものオリジナルでありますので、これ以外にもあるかもしれませんが、例えば、事故を起こした一号炉から四号炉、あるいは廃炉を決めた事故炉以外のものも、いわゆる廃止措置資産というものは、今後、託送料金にかけていく、あるいは、廃炉時の資産の残存簿価も、これは事故炉以外をかけていく。

 ここでとても重要なのは、四十年廃炉した場合も、六十年廃炉の予定だったということで、その費用も加わっていく、あるいは、解体引当金の未引き当て分も加わるなど、事故の廃炉費用、損害賠償費用も、一号炉から四号炉まで託送料金にかかわってくる。

 これは非常に、本当にわかりづらかったですけれども、引っ張り出してこれだけをつくりましたが、これは村瀬さんの方で、これで確かであるか、まだあるか、お願いいたします。

村瀬政府参考人 お答えさせていただきます。

 きょう御提示いただいているこの資料、ワーキングにおける主な検討事項というのは、いわゆる貫徹小委員会という審議会において提示された資料でございます。このほかにも幾つか数字も含めたものを提示させていただいているところでございまして、そのような中で、数字についてはできる限りお示ししていきたいと思っておりますけれども、今、審議会でまだ方向性といいますか結論が出ていない論点が多いものですから、そのような審議の進捗も踏まえまして、しっかりとした数字をできる限りお示ししていきたいというふうに思っております。

 今配付されているこのゼロの会の事務局まとめというものの中には、いわゆる一般廃炉と、あと事故廃炉、賠償・廃炉費用ということを取り出して書いていただいているようでございますけれども、これは例えば、一般負担金以外に特別負担金といったようなものもございますので、できるだけ全体像がわかりやすいように、我々の方で工夫して、今後しっかりとした情報提供に心がけていきたいというふうに思っております。

阿部委員 要は、まだあるということで、そして、これらが明示されないのに託送料だ何とかだって決めないでいただきたいんですね。大体、論議する場もないんです。私は、大変おかしなことだと思います。わかりづらくて、論議の場がなくて、結果だけが国民負担に押しつけられるというのは、民主主義の原則に反していると思いますので、くれぐれも政務官にもお願いを申し上げます。論議が先行し過ぎていると私には見えます。

 さらにお尋ねをいたします。

 その次の資料をめくっていただきますと、この四というのは、先ほどの御答弁にも含まれておりますので、廃炉会計制度、これから、事故を起こしていない原子炉やあるいは事故炉の廃炉にかかわる費用も託送に乗せられるということを書いたものですが、これは見ていただければよくて、次の資料の五というところをごらんください。

 これは、原賠機構法に基づく一般負担金、何を言っているかというと、原子力賠償機構法ができたときに、東電はもちろんのこと、他の電力会社も、これから起き得る事故についてもおのおの負担をしていきましょうというところで、一般負担金というもののあり方が決められましたが、ここで注意していただきたいのは、今後、電力自由化が進展するという環境の中で、もしもこの一般負担金をこれまでの原発の電気事業者にのみ課した場合には競争力が損なわれるから、託送料でみんな均等で負担しましょうと、簡単に言えば託送料の出てくる根拠であります。

 しかし、あくまでもこれはおかしい。だって、電力を発電する事業と送電事業は別でありますから、今電力会社が担っている一般負担金のために託送料金を利用しようというのは、お門が違うと思いますが、政務官、いかがですか。

 では、どうぞ、村瀬さんでいいです。

村瀬政府参考人 お答えさせていただきます。

 御指摘の、審議会における議論でございますけれども、福島事故の以前から、原賠法第十六条に基づく国の措置を具体化するものとして機構法を整備していなかった事実を踏まえました上で、自由化が進展する環境下において受益者間の公平性の観点から適切な負担のあり方ということを議論、検討していただいているという状況でございます。

 いずれにいたしましても、現時点で何らかの方針、方向性が決まったということではございません。外部の有識者の意見をいただきながら、徹底的に御議論いただいて、国民が納得できるような解決策を見出していきたい、このように考えているところでございます。

阿部委員 村瀬さんは言葉がすらすらと出ていますが、これは実は、今まで原発は安い安いと言って費用に乗せてこなかった。そのことが、事故が起きてしまって、もう取り立てられないから、将来の託送料でカバーしてもらおうと、簡単にわかりやすく言うとそういう構造をとっているんですね。

 だったら、安い安いと言わないで。だって、それでも安いかどうかもここで言ってくださったので、これから論議をしますが、これはあくまでも過去分なんですよ。過去に積み立ててこられなかった。気がついたら、事故が起きちゃったら一般負担金が大変になる、自由化してこれを電力会社に課したら負けちゃう、だから託送料で均等になんていうのは、やはりもともとの備えがないからですよ。備えあれば憂いなしなんですね。この構造は、やはり原則が違うと私は思うんですよ、これまで語られてきたことの。

 政務官、今私は簡単に言いかえましたけれども、そういうことをこそ政治の場は論じていかないと。私は、自由化されて託送料金が高くなるのは反対ですよ。だって、私たち、自由化は電気をより安く産業発展のために役立てようと思って、皆さん賛成してやることです。でも、気がついたら、昔の分を取っていなかったから、これからの託送料に乗せさせてねと言われたって、おいそれと言えない。

 そうであれば、なぜこんな事故が起きて、誰が何を負担すべきか、もう一度きちんと負担の額を定めて、全体像を見せて論議すべきだと思いますが、いかがですか。

井原大臣政務官 阿部議員にお答えを申し上げます。

 議員おっしゃるとおり、まず見える化というのは納得化ということですから、そのことについてはできる限り努力してまいりたいと思いますが、福島の廃炉等について特殊事情も当然あるわけで、どこまで見積もれるかということを、ひとつ、できる限り見識のある方々で、幅は広くなるかもわかりませんが、見積もりもとりながら見える化については取り組まなければならないとまず思っております。

 福島第一原発事故について、まず、さきに責任のお話をされておりましたけれども、政府及び原子力事業者は、いわゆる安全神話というのは確かにあったんだと思うんです、そのことに陥りまして、十分な過酷事故への対応ができずに、あのような悲惨な事故、事態を防ぐことができなかったことへの深い反省はひとときなりとも忘れてはならないと私どもも考えております。

 御指摘の審議会で、さまざま、こういう託送料に付加するかどうするかという話でありますが、御指摘の審議会での議論は、福島事故の以前から、原賠法第十六条に基づく国の措置を具体化するものとして機構法を整備していなかった事実を踏まえた上で、自由化が進展する環境下という新たな事態が生まれておりますから、その中で、受益者間の公平性等の観点から負担のあり方をどのように考えるかについて、現在、まさに検討を行っているところでありまして、いずれにいたしましても、現時点で何らかの方針が固まったということではございません。

 外部の有識者の意見をいただきながら、徹底的に検討した上で、国民が納得できるような解決策を見出してまいりたいと考えております。

阿部委員 もちろん経済産業委員会でも取り上げさせていただこうと思っておりますが、この国会はなかなか本当にそういうエネルギー政策の負担と受益の論ずる場がないと言ってもいいほどのものだと思います。

 簡単に言えば、安全投資を低く踏んでいたから事故が起きたら賄えないという事態が現在で、それについての負担の問題でもあると思いますし、実は、こうやって託送料を使い回そうというのは、使用済み燃料の再処理費用についてもかつて問題になり、PPSの皆さんにも負担してもらおうといって問題になったことがあるんだけれども、その一回限りね、これでもうないからねといってそのときは認めたということでありますので、もう二匹目のドジョウはいない、同じことはやっていただきたくないと申し添えます。

 そして、これで最後になるかと思いますが、実は、東京電力の広瀬さんが、十月の五日の記者会見で、東京電力が、もし今の負担の増加、例えば賠償、除染、廃炉、これを明示した場合は、債務超過になって東電が倒れてしまうリスクがあると述べられて、初めて広瀬さん御自身の口から債務超過ということが出ました。そういう認識がおありなんだと思います。

 私もそうだと思います。廃炉費用が二兆円と言っていたのがあと四兆円とか、除染だってあとプラス四、五兆円とか、賠償だって足りないとか、これ全部どうするよと、新たな仕切りが今必要となっていると思います。

 そこで、これから先ということもありますが、そして繰り返しになりますが、東電の責任分、株主の責任分、銀行の責任分、国民の負担すべき分、それが電力料金か税金かはまたあると思います。そういうことのための論議の大枠をきちんと経産省でおつくりいただきたいが、いかがでしょう。

村瀬政府参考人 委員御指摘のとおり、国民が納得するような形で解決策を提示していくということは大変重要だと認識しておりますので、できる限り全体像としてわかりやすい説明、こういうことをしっかり取り組んでまいりたい、このように考えております。

阿部委員 きょうは東電問題を主に取り上げましたが、一般炉の廃炉も同じようなだまし絵のような構造がございますので、それについてもまた取り上げさせていただきます。

 ありがとうございます。

三原委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民進党の逢坂誠二です。

 引き続きまして、原子力の関係をやらせていただきます。

 先ほど阿部委員の方から、お金がどこでどう決まっているのかわかりにくいという話があったんですが、私もそのことをちょっと言わせていただきたいんです。

 お手元に資料を用意しました。これは、政府の原子力関係の審議会、名前は、研究会とか検討会とかワーキンググループとか、いろいろあるんですけれども、それがどれぐらいあるかというのを調べたものであります。

 一枚目が経済産業省、二枚目が原子力規制委員会、三枚目も規制委員会、四枚目も規制委員会、五枚目が内閣官房関連、六枚目も内閣官房関連、七枚目が内閣府と内閣官房、それから八枚目が文部科学省の関連ということであります。

 これだけ原子力に関する会議体がいっぱいあって、正直申し上げまして、国会でいろいろ議論したいんですけれども、どこで何を話し合われているのか、その情報収集をするだけで二十四時間過ぎちゃうんですよ。しかも、いつの間にか会議ができたり、いつの間にか会議が休眠したり、あるいは生きているのか死んでいるのかわからない会議があったりということで、全くよくわからないんですね。

 気がついてみたら物事が決まっていたとか、なぜこんなことが決まっているんだと思ったら、いや、あっちの委員会で話し合っていましたとか、いや、実はその問題は今度は別な委員会で話し合うことになりましたとか、全くこれは国民にはわからない。それで、決まってしまってから、実はこう決まりました、実はこうこうこういうプロセスで決まりましたなんて言われても困っちゃうんですよ。

 そこで、これらの委員会というか審議会というか会議体というか、わかりやすく国民に、どこかが集中管理をするとか、コントロールをしてやってもらえないかというお願いを何度も何度もするんですが、なかなかそれが実現しないんですね。これほど会議体があったら、もうどうにもならないというのが実態なんです。

 私自身もいろいろ見ていて、例えば、原子力規制委員会であれば、ああ、これは規制をやるんだなとか、原子力委員会だったら推進側なんだろうなとか、しかしながら、でも、経済産業省とか文科省とか内閣官房に至っては、一体何がどうなっているのか、もう因果関係が全くわからないんです。

 そこで、それぞれの役所で、これらを統合してわかりやすく国民に発信をするというような取り組みをすべきではないかと思うんですけれども、誰か一括して答えていただける方はおりますか。

進藤政府参考人 内閣府科学技術・イノベーション担当から、まずはお答えさせていただきます。

 原子力は、エネルギーはもとより、研究開発、放射線利用等の広範な分野に活用されておりまして、関係省庁がおのおのの所掌のもと、責任を持って関連会議の運営等所要の取り組みを行っているものと認識しています。

 私ども内閣府科技担当ということですと、原子力委員会等を所掌する立場として、まずは、原子力委員会の定例会議及び専門部会における配付資料や議事録を会議開催後速やかに関連ホームページに掲載することで、諸会議の活動状況について、国民の皆様に対してわかりやすく情報発信するように心がけております。

 また、これらのホームページにおきましては、原子力委員会等の活動状況にとどまらず、資源エネルギー庁さんですとか原子力規制委員会等の原子力関連府省のホームページへのリンクを掲示する等、政府の原子力関係の情報の一元化にできるだけ努めていきたいと思っております。もちろん、議員の御指摘のような複雑の整理にはなっておりませんけれども、そういった形でと考えております。

 しかし、今回の議員の御指摘を踏まえて確認しますと、私どものところでも、例えば事務局を私どもが担当している原子力立地会議のように、内閣府ではなくて首相官邸のホームページに掲載されているものもあったりしまして、こういったものについて、まずリンクをきちんと張るなど、私どもとしては対応できるところからさらなる情報一元化及び国民の皆様にわかりやすい情報発信に努めてまいりたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

逢坂委員 このまま順番に各省に答えられたら二十五分終わっちゃいますので。

 資源エネルギー庁はどうですか。考え方は何かありますか。簡潔に。

村瀬政府参考人 経済産業省は、エネルギーに関する原子力政策を担当して、所掌しております。この観点から、エネルギーに関する原子力政策につきましては、できる限り全体像がわかるように、これまでもホームページ等で公表してきているところではございますが、さらに適切な情報発信に努めてまいりたい、このように考えております。

逢坂委員 各省は、私は何をやっている、何をやっているとみんな縦割りで答えるんだと思うんですよね。でも、国民は、それは縦割りのものを全部集めて、そして自分が走り回って情報を集めるなんてことは一般的にはしない。国会議員ですらわからないものを、こんな会議体がたくさんあるというのは、私はどう考えてみてもおかしいと思う。

 これは、各省が整理できないのであれば、政務官に聞くのは酷かなとは思いつつも、何とかしないとまずいんじゃないですか。政治家として何か一言お願いしますよ。

中川大臣政務官 委員に御質問いただきまして、ありがとうございます。

 やはり国民にしっかりと開かれた形で、しっかり説明を尽くしていくということが大事だというふうに思っておりますので、そういった御指摘というものをしっかりと受けとめてまいりたいというふうに考えております。

逢坂委員 きょうは、これ以上この問題はやりません、答えが出ないと思いますので。ただ、委員長にも御理解いただきたいんです。こんなに数多くあったら、わけわからないですよ。覚えられないですよ。

 したがいまして、これを何とかしなきゃならないという問題意識を明確にさせてもらって、この質問は終わりますので、各省の皆さん、どうぞお下がりください。ありがとうございます。結局は縦割りでしか答えられないというのが現実だということなんです。では、これは以上でございます。

 では次に、きのうに引き続いて、外務省に来ていただいておりますので、日印原子力協定の話をちょっとさせてもらいたいと思います。

 みんなどうぞ。この縦割りの役所のことについては、答弁してもらったら二十五分過ぎちゃうので、申しわけございません。

 それで、外務省に来てもらっていますので、日印原子力協定についてちょっと、きのうに引き続いてお伺いをしたいんです。

 日印原子力協定は、十一月の十一日に署名をした、まだ発効はしておらないということでありますが。今回の日印原子力協定には、核拡散防止条約あるいは包括的核実験禁止条約への加盟をインドにお願いするような文言は含まれておりますか。

大菅政府参考人 お答えいたします。

 この協定の中では、インドのNPTそれからCTBTへの加入、こうしたことを条件づける規定は設けておりません。

 御参考までですが、インドが他の国と結んだ原子力協定におきましても、同様の条件づけというものはないと承知しております。

逢坂委員 ただ、今回、日印原子力協定の署名をするに当たって、署名した後に政府が発表した共同記者会見における安倍総理の発言によれば、日本は、NPTの普遍化、CTBT早期発効など、これらの進展に向け対話を続けていきたいと考えておりますと言っているんですよね。それから、インドが日本とともに核兵器のない世界を目指していくことを期待しますとまで言っているので、協定に盛り込まないというのは、やはり相当に課題がある。

 特に、これまで協定を結んできた国と違って、インドは核兵器を持っている国でありますから、これまでの国とは少し違っているというふうに思うので、この点、答えは出せないと思いますけれども、明確に指摘をしておきたいと思います。

 それから次に、協定には、再核実験、インドがもう一回核実験をやったときの協力の停止を直接明記はしておりますか。

大菅政府参考人 この協定の上では、核実験を行った場合に協力を停止するという明示の文言はございませんが、理由のいかんを問わず、協定の終了及び協力の停止を可能とする、こういった規定を設けております。

逢坂委員 明確な規定はないということでありますけれども、でも、これは、インドが核実験するかどうかということが、日本がこの原子力協力をするかどうかの根幹部分を握っているところだと思うんですね。それが明確な規定がないというのは、これはやはりどう考えてみても、私は、この協定は十分なものとは思えないというふうに思います。この点も指摘をさせていただきます。きょうは、これ以上議論はしません。

 それから次に、これまで日本がほかの国と原子力協定を結んでいたものが幾つかあります。例えば日本とヨルダン、あるいはUAE、ベトナム、これらの原子力協定については、このそれぞれの両国間の同意がなければ核燃料の再処理はされないという規定があるんですね。協定は結んでいても、さらに同意をしなければ再処理ができないという。それから日本とトルコの原子力協定においては、協定は結んでいるんだけれども、さらに書面により合意がなければ再処理ができないということになっているわけであります。

 ところが、今回の日印原子力協定は、協定を結んだだけで再処理ができるというふうに読めるんですが、それはそれでよろしいんでしょうか。

大菅政府参考人 インドとの原子力協定におきましては、再処理を認める規定を置いております。

 この規定を置くかどうかという点につきましては、核不拡散の観点、相手国が再処理技術を既に有しているかどうかといった相手国の事情、相手国の原子力政策、不拡散に対する取り組み、それから我が国との間で想定される原子力協力の具体的態様、国際的な議論、こうしたことを総合的に考慮した上で、交渉を行って、その結果として現在の規定となっておるところでございます。

逢坂委員 大変申しわけないんですけれども、もう少し質問に真正面から答えていただきたいんです。

 私は、例えばトルコと日本の原子力協定は、協定を結んでいる、でも、協定を結んだ後に両国の書面による合意というもう一つの手続がなければ、再処理はできない。ただ、今回の日印原子力協定は、協定を結んだだけで再処理ができる、協定を結んだ後に特段の手続がなくても再処理ができるというふうに読めるんですが、それでよろしいですかという質問であります。

大菅政府参考人 協定の第一条二項、それから附属書B、ここに定める厳格な条件を満たす、こういった条件のもとで再処理を認める、こういった内容になっております。

逢坂委員 すなわち、ベトナムやトルコ、UAEなどとの協定と違って、インドとの協定は、協定を結びさえすれば再処理ができる、その後の特段の合意の手続、書面による確認などということはなくてもいいということだというふうに思います。

 しかし、これは私はおかしいと思うんですよ。インドの場合は、一九七四年に、独自の技術でプルトニウムを抽出して、核実験をやっている。それから核不拡散という観点でいうと、インドの方がより厳格にこれをやらなければならないのではないかというふうに思うんですが、なぜ、核兵器を持っていない国とは書面で合意をするとかそういうことが必要であって、核兵器を持っている国はそういう二段階目の手続なしにやれるのか。この点、いかがですか。

大菅政府参考人 書面による追加の手続がないということは御指摘のとおりでございますが、先ほど答弁させていただいたとおり、厳格な条件を満たすこと、この条件、無条件で再処理を認められているということではございません。

逢坂委員 この問題、これ以上きょうはやりません、また、どこかの機会でやりますが。それでは、トルコあるいはベトナム、ヨルダン、UAE、無条件で再処理を認めているわけではないはずなんですよ。そちらについても条件がかかっているんです。その点においては同じなんですよ。だから、今の答弁というのは、そういうのを私は誠実な答弁ではないというふうに思います。

 それでは、次、再処理をした後にプルトニウムができるわけです。プルトニウムは平和的利用に用いるんだ、民生用の発電に用いるということをこの協定の中では言っているわけでありますけれども、私、日本において、それでは、四十八トンあるプルトニウムをうまく使えているのか。残念ながら、プルサーマルもフルMOXも、日本においてはうまく進んでいない、そういう状況であるにもかかわらず、インドに対して、平和的利用をしてください、プルトニウムの抽出、いいです、では、きちんと民生用の発電に使ってくださいねと。

 我が国自身ができていないのに、それをインドに平和利用に使ってくださいと言うのは、私は少し筋が悪いんじゃないかなという気がするんですが、いかがですか。

大菅政府参考人 我が国として、インドの原子力政策、今後の見通し、こういったことについて申し上げる立場にはございませんけれども、インドは、既に再処理能力を有していて、使用済み燃料を再処理する、こういった方針をとっているわけでございます。

 こうした中で、インドによる再処理を明示的に認めるということで今回合意したわけでございますけれども、それに際しては協定上さまざまな条件がつけられているということでございます。

逢坂委員 私がここで懸念するのは、再処理できる能力は持っている、インドは独自にプルトニウムを取り出せる、そこまではそれは事実としてそうでしょう。だがしかし、その後、そのプルトニウムを使って発電できるかどうかについては必ずしも十分な検証があるわけではないと私は思っています。

 そうすれば、何が起こるんですか。使えないプルトニウムが残るということじゃないですか。核不拡散という観点でいうと、本当にそれが適切なのかどうかですよ。日本と同じ状況が発生するんじゃないかということを私は懸念します。

 では、次、今回、この協定上、インドがもし核実験をやったら、この協定の規定、十四条の1の規定に基づいて協定が終了するということを日本は通告するんだ、通告と同時にこの協力についても停止をするというふうに言っているわけですが、それまで、協定が停止するまでに提供した資機材や原子力発電所は一体どうなるのか、あるいは協力が停止する以前に抽出したプルトニウムはどうなるのか。協力期間中に発生したものについて、あるいは提供して発電をしている発電所について、あるいは資機材について、協力を停止したらそれはどうなるのか、お答えください。

大菅政府参考人 お答え申し上げます。

 十四条4の規定がございます。協定のもとでの協力が停止された後、我が国は、協定に基づいて移転された核物質、核物質ではない資材、設備、回収され、または副産物として生産された特殊核分裂性物質、これらの返還を要求する権利を有するというふうに定めております。

 したがいまして、先生から今御指摘のございました資機材それから核物質なども、我が国は返還を要求することはできるということでございます。

逢坂委員 返還を要求することができるということは、文言上、私もそれは読み取りました。

 ただ、問題は、事実上、その協力の停止によって返還をしてもらうのかどうかということなんですね。協力を停止するということは、協力によって生み出された相手国の利益、これをやはりそのままにしておくのであれば、協力の停止ということにはならないと思うんですね。

 要するに、核実験をやったら協力を停止しますよということは協定上書かれているわけですが、それは実効力のある協力の停止になるのかどうかということなんですよ。今の話だけだったら、そういう権利は有しているけれども、それは行使するかどうかについても明言はしておりませんし、それよりも何よりも、私は、その権利を行使することは非常に非現実的だと思うんですね。

 発電をもうしている発電所を、ではとめましょうかということは人道上も問題あるし、あるいは仮に汚染された資機材が日本へ戻ってきた、その管理は、それじゃ日本が日本のコストをかけてやるのか、これも非常に非現実的だと思うんですけれども、これは通告していないんですけれども、協力の停止というのは、それは実効性があって現実的なものなんでしょうか。

大菅政府参考人 今回の日印協定に限らず、我が国が締結しております他の協定におきましても、協力の停止またそれに伴う返還請求権、こういった規定が設けられております。この日印の協定におきましても、十四条の5から8までの間に詳細に、返還を請求する場合に考慮すべき要素、協議等の手続、こういったことが規定されております。

 まさに、協定十四条5の規定に基づいて、協力停止、返還を求めるという事態になった場合には、二国間で協議をして解決を探るということになると思います。

逢坂委員 文言上は協力の停止というのはわかるんですけれども、実務を考えてみたときに、本当にそれが実効力があって、インドに対して、協力が停止するんですよ、だから核の実験はやらないでくださいよという本当の意味での核の実験をとめる、抑止になっているのかというと、私は、実務を考えるとなかなか厳しいんじゃないかなという印象を持ちます。

 きょうは、この点はこれでとどめます。

 それでは次に、日本が今回提供する、協力する原子力の資機材だとか原子力発電所、これには保証期間のようなものはあるんでしょうか。

村瀬政府参考人 お答えさせていただきます。

 原発資機材の保証期間につきましては、個々の機材によっても異なるものと認識しております。民間事業者同士の契約でこれらの保証期間というものは定められるものと理解しております。

逢坂委員 保証期間は、個々の資機材によって違う、それから、民間企業者同士の契約によってそれは決められる、だから、政府としては必ずしもつまびらかにわかっておらないというようなニュアンスに聞こえましたけれども。

 それでは、もう一つ突っ込んで、日本が提供した資機材や、あるいは日本が提供してつくった原子力発電所が、日本側が提供した資機材などの瑕疵、その原因によって何らかの事故を起こす、そうなった場合、日本の政府は、何らかそれを補償するとかお金を出すとか、そういう責任というのは負うんでしょうか。

村瀬政府参考人 お答えさせていただきます。

 海外の原子力発電所においての安全は、基本的に立地国の国がその責任のもとに確保するということになっておりまして、万が一事故が起こった際の責任につきましては、企業の契約内容もしくは立地国の原子力損害賠償に関する国内法などに照らしまして、発電事業者と我が国の輸出企業との間で責任範囲が規定されていく、このように承知しております。

 日本企業がみずからの判断として輸出した原子力関連資機材により発生した事故に係る損害について、日本政府がこの場合に賠償に係る責任を負うといったようなことはない、このように承知しております。

逢坂委員 ただ、日本の国は、あの福島第一原発といった非常に過酷な事故を経験した国です。原子力発電所がああした事故が起こらないということはないんだということは、私たちはこれは体験をしているわけであります。先ほどの阿部委員の質問でもわかるとおり、そして、その福島第一原子力発電所の廃炉、事故処理のためにどれぐらいお金がかかるかわからないというのが今の状況だと思います。

 そうした事故が起こり得る原子力発電所を海外に輸出して、その事故の原因が、私はこれは最悪のケースを考えて言っているわけでありますけれども、日本が提供した資機材や、日本がつくったと言っていいかどうかわかりませんけれども、原子力発電所に何らかの瑕疵があって事故が起きた、重篤な事故が起きてしまった、それでは、リスクを本当に、それは相手国の問題ですね、それは民民の契約ですねということで放置できるような程度のものなのかどうか、最悪のことまで考えておかないと、私はまずいんじゃないかと思うんです。

 それは、なぜこんなことを言うかというと、先ほどの阿部委員の質問にもかぶさるんですが、過去に実はお支払いいただいていなかったお金がありました、だから今後回収させていただきますみたいなことになってはいけないんですね。この点はいかがでしょうかね。

村瀬政府参考人 お答えさせていただきます。

 国際的には、原発の安全確保は立地国が行うのが基本ではありますけれども、その上で、福島第一原発事故を経験した我が国といたしましては、原発の輸出に当たりましては、民間事業者とも協力しながら、相手国が高い安全性、信頼性の確保に取り組んでいることなどを適切に確認しつつ進めていく、このような姿勢で臨んでいきたいと考えております。これは、世界の原子力安全の向上にも貢献する、そういう観点からも必要なものと認識しております。

 具体的には、日本の経験を十分に説明をいたしました上で、安全最優先で臨むという相手国の姿勢を政府間でも確認するといったようなこと、特に、新興国などに対しましては、必要に応じて、人材の育成ですとか制度面での整備ですとか、そういったことの支援をしっかりやっていきたい、このように考えます。

 日本の企業に対しましても、福島の教訓を踏まえた知見や技術を生かして取り組むよう、我々としても徹底して周知、指導をしていきたいというふうに考えております。

 加えまして、原発を輸出するということに当たりまして公的信用を付与するといったような場合におきましても、相手国がその実情に応じつつ、緊急時の対応のあり方など、福島事故を踏まえて強化されたIAEAの安全基準に沿って安全に関する制度を整備しているか否かということにつきまして、IAEAのレビューなどを通じまして確認をしていく、こういった対応をしていきたいと思っております。

 万が一にも事故が起きないように、最大限の取り組みをしていくということは、かような経験をした国としてしっかりと取り組むべきことだというふうに認識しておりまして、最大限の高い安全性を追求していく、このような姿勢で臨んでまいりたいと考えております。

逢坂委員 原子力発電という技術は、技術としてもっともっと精度を上げていくとか、いろいろ、人類としてそれを探求していくという姿勢は、私はあり得ると思っているんですよ。

 ただ、今回、実用上のものとして使用済み核燃料の処理がまだ日本でもうまくいっていない、それから、日本では福島第一原子力発電所の事故の収束もうまくできていない。こういう状況の中で原発を輸出するというのは、国内で解決されない問題、それを、相手国に押しつけるとは言わないけれども、実は我が国でもできていないんですけれども、まあ、お使いくださいというのは、私は、人間の倫理にもとるような気がするんですよね。これは経済性じゃなくて人間としての倫理にもとるような気がするんですけれども。

 それでは、お答えいただいて終わりたいと思います。

村瀬政府参考人 我が国は、先ほども申し上げましたとおり、福島第一事故を経験したということでございます。そのような経験も踏まえて、国によっては、そのような経験の中から高い安全性、信頼性の確保を我が国がしているというふうに認識をし、むしろ、その技術を使って自国で安全な原子力を確立したいという意向を持つ国もございます。そのようなニーズに応えていくということも、福島第一事故を経験した我が国としての責務、このように考えておるところでございます。

 いずれにいたしましても、高い安全性を追求していくということで、しっかり取り組んでいきたい、こう思っております。

逢坂委員 日印原子力協定については、まだこれは正式に国会に出ていない案件でありますから、きょうは事実確認ということだけやらせていただきましたが、後にまた、内容についていろいろ議論させていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

三原委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 田嶋要です。十分いただきました。

 私からも、きょう冒頭、けさ方の地震に関しまして、質問通告しておりませんけれども、委員長にひとつ御答弁いただきたいと思うんです。

 原子力に関しては、私も、与党時代も含めていろいろ学ぶ中で、とめる、冷やす、閉じ込める、これが大事だということをずっと最初から言われて、大事だなという思いでやってきたわけでございますけれども、今回、これはもう動いているわけではございませんので、とめるという話はないわけですから、最初からとまっているわけなんですが、冷やす、閉じ込めるということだと思います。

 けさ方、先ほど御説明ありましたとおり、冷やすためのポンプが停止をしたということでございますが、そもそも、先ほど阿部委員の方からもありましたが、えっ、こんなことでとまるのかというのが、何か非常に違和感を私も感じたわけでございます。

 冷やす、閉じ込めるということがこれだけ大事なのであれば、ちょっとやそっとのことではとまっちゃいけないわけでありまして、冷やし続けなければいけないものなんだというふうに私は認識をしておったわけでございますが、今回のこのとまったというのは、正常にとまった、本来とまるべきときにきちんととまった、そういう認識で正しいのでしょうか。そこを御答弁いただきたいと思います。

田中政府特別補佐人 とまるべきときにとまったというよりも、そういうとまる状況が生まれてしまってとまったということです。ですから、おっしゃるとおり、冷やし続けるというのは、状況によりますが、すぐ対応できるような体制をとっておかなきゃいけないということですので、一F事故の反省から、モバイル型の冷却とか、そういうことの準備も実はやっております。ですから、ポンプだけではなくて、今は少し、その一帯のとまっている炉ですけれども、ある程度の多重性というのは見ております。

 それで、炉心と違いまして、使用済み燃料でかなり冷却も進んでおりますので、先ほど申し上げましたように、実際に、六十五度に上がるのに一週間ぐらいですから、いろいろな対応はできるという状況にあります。

 ただし、使用済み燃料、BWRの場合はああいう高いところにありますので、私は常日ごろ言っていますのは、冷却の進んだ燃料はできるだけ乾式キャスクに入れて下におろしておくことを追求していただきたいということはずっと各事業者に申し上げております。これはあくまでも規制ではなくて個人的なリコメンデーションとして、リスク低減のためにはそれが一番いいというふうに思っております。

田嶋(要)委員 ありがとうございます。

 今、委員長のお話を聞いていると、要は、やはり本来とまっていいようなときじゃないときにとまったということだと思うんですね。

 そうすると、ずっと冷やし続けるのが安全のためには大事なのに、とまってしまったというニュースを朝見るだけで、やはり多くの皆さんが大変また不安を募らせたのも事実であります。一時間半というのが長いのか短いのか、あるいは〇・何度しか上がらなかったのが大きいのか小さいのかわかりませんけれども、そういうことが起きること自体が、やはりまたかという感じがするわけでございます。

 そこで、きょうはお忙しい中東京電力にお越しいただきまして、ありがとうございます。

 関連でございますが、私、もともときょうは二Fに関して、福島第二に関してお尋ねをしようとしておりましたら、きょうこういうことになったわけでございまして、新潟の知事との面会もなくなってしまったということでございますね。そうですね。

 そういう状況で大変で、御苦労されていると思いますが、私はいろいろなところで話を聞いてまいりますと、例えば、福島の県民挙げて、議会も与党、野党問わず、もう全会挙げて、二Fに関して廃炉にしてほしいということが決議をされておるのはもう御案内のとおりだと思いますが、どこまで聞いていっても、本当のところはなぜ廃炉にしないのか。一Fの六基は廃炉になっているわけでございますが、なぜ廃炉にしないのかということの本当の説明というのを私は聞いてみたいんですね。最後はやはり東電さん御本人に聞くのが一番手っ取り早いというふうに思っておりますので、どういう御説明をいただけるか。

 前回、私、世耕経済産業大臣にもこの質問をさせていただきましたが、「福島第二原発につきましては、福島県の皆様の心情を察すると、これまでに新規制基準への適合性審査を申請している他の原発と同列に扱うことは難しいと認識」と。そして、「まずは、東京電力が地元の皆様の声に真摯に向き合った上で、東京電力が判断を行うべきものと考えております。」こういうふうに言っているわけですね。

 そうすると、地元の皆さんの声に真摯に向き合うと、もう廃炉しかないわけですよ。それがなぜこういう状況のまま続いているのかということをまず御説明いただきたいと思います。

山口参考人 お答え申し上げます。

 福島県の皆様の御意見は私どもも十分認識しているところでございますが、福島第二の今後の扱いにつきましては、広く社会の皆様の御意見や、国のエネルギー政策の動向、さらには、今、福島第一の廃炉作業のバックアップ機能としまして福島第二が役割を発揮しているということを総合的に考えた上で、事業者として判断していきたいというふうに考えてございます。

 現在、福島第一の廃炉作業を安全かつ着実に進めるためにも、福島第二を含めまして、当社の持っておりますリソースを廃炉作業に投入することが非常に重要というふうに考えておりますので、今後の扱いについてはまだ判断する段階には至っていないというふうに考えてございます。

 以上でございます。

田嶋(要)委員 きのうもリソースのお話をいただきまして、リソース、物理的な部分は私も当然理解はできます。だから、今はより深刻な状況にある第一の方にリソースを注いでいただきたいというふうに思いますが、ただ、メッセージとして、国民、特にその中でも、九万人以上が自宅に帰れていない状況がある福島の方へのメッセージというのが非常に大事であるし、もう議会の意思がはっきりと示されている中で、やはり、物理的にリソースをどうとかという話じゃなくて、会社として、もう福島第二も廃止にします、廃炉にします、その一言をトップが言っていただくだけで福島県民の安心は全然変わってくる。

 廃炉に決定したって、今回のようなことは起きると思いますよ。しかし、廃炉にするという決定をまず一つ会社として判断していただくことが、やはり何よりも県民の皆さんの御苦労にある意味報いるということにも私はなるんだろうというふうに思っておるんです。

 だから、先ほどの大臣の御答弁も、これは同列に扱えるものではないと。まさかこの第二も再稼働を考えているということではないと思うんですけれども、同列に扱えるものじゃない、そして、地元の皆様の声に真摯に向き合った上で東電さんが判断するんだ、こう言っているわけですから、ここは本当に、例えば年内とか、結論を出さなきゃいけないと私は思いますよ。もう一度御答弁いただけますか。

山口参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しにはなりますけれども、現状において大事なことは、福島第一の廃炉作業を安全かつ着実に進めるということでございまして、そのために全社を挙げてリソースを投入しているということでございますので、現状においてまだ判断できる段階には至っていないというふうに考えております。

 以上です。

田嶋(要)委員 五年八カ月たってもまだ判断できないというのは、県民の皆様からするとなかなか理解できないと私は思います。

 もう一点お伺いします。

 配付資料をきょうは、元総理大臣小泉純一郎さんがやられておる活動に関してでございますけれども、私も最近新聞でこういう話を知りまして、チェルノブイリのときにも一番多く亡くなったのは事故のところですぐに入った軍の関係者だというふうに認識をし、また、子供たちも後々甲状腺がんで大勢亡くなっているということでございますが、日本の場合にもこういうことがあったんだなということは、恥ずかしながら、私も余り知りませんでした。しかし、これであれば、やはりこれは報いなきゃいけないんじゃないか、私たちが何ができるんだろうということをこれはやはり考えなきゃいけない。

 私も新聞記事で見ただけなので、この間、小泉さんの講演がございまして、初めて二時間熱弁を聞いてまいりましたけれども、涙を流しながらこの話をずっとされるんですね。やはりそれはうそはないと私は思います。事実認識が細かいところは間違っているのかもしれませんが、やはり、こういった取り組みをされているというのは私は心を打たれたし、そこは党派は関係なく、何かできないかなということを私も考えておる一人でございます。

 そこで、東京電力の方には、この話を御存じであるのかどうかという点と、それから、海の向こうのこうした被害者に対して、何かその任意の思いで、みんなで何かしようとか、そういう動きがあるのかないのか、そこをお尋ねしたいと思います。

山口参考人 お答え申し上げます。

 小泉元首相の活動につきましては、報道等を通じて承知しているところでございますが、一方で、当社は、トモダチ作戦に参加された米軍兵士等から訴訟を提起されておりまして、当社といたしましては、訴訟の手続にのっとり、当該訴訟に適切に対処していきたいというふうに考えてございます。

 なお、海外からいただいた申し出かどうかにかかわらず、個別の事情は十分に尊重して適切に対応してまいりたいというふうに考えてございます。

 以上です。

田嶋(要)委員 いろいろ、そういう訴訟の状況にあるのは理解をいたしますが、やはりこれは、こういった形で命を落とされている方がもう現に出ているということでありますので、私は、できることをみんなが考えなければいけないだろうというふうに思います。

 時間が来ていますね。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

三原委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 放射性指定廃棄物汚染対処特措法は、東電の原発事故を原因とする八千ベクレル以上の放射性物質で汚染された廃棄物を指定廃棄物として、その管理と処理を求めています。

 そこで、栃木県における指定廃棄物処分場建設問題について質問をいたします。

 二〇一四年七月三十日、環境省は、栃木県内の指定廃棄物処分場建設候補地として、栃木県塩谷町の寺島入という地域を選定いたしました。建設候補地は、環境省が選定した全国名水百選の尚仁沢湧水群や天然記念物のイヌブナ自然林を含む栃木県自然環境保全区域に隣接をし、周辺には希少生物も生息している貴重な場所であります。

 伊藤環境副大臣にお尋ねをいたします。

 このような場所への候補地選定は、町民の皆さんに大きなショックを与えるものでした。見形和久塩谷町長は直ちに反対を表明し、町議会も建設候補地の白紙撤回を求める意見書を全会一致で採択しております。住民の皆さんも立ち上がって、処分場反対同盟会を結成し、候補地選定の白紙撤回を求めて活動を始めました。人口一万二千人の町ですけれども、この間、白紙撤回を求める署名が町内外で十七万人以上集まっております。町と議会、住民が一体となって反対運動に取り組んでおります。

 副大臣にお尋ねしますが、環境省は、このように塩谷町が町を挙げて計画に反対しているということを承知しておられますか。

伊藤副大臣 塩川先生の御質疑に答えさせていただきます。

 塩谷町の方々が反対をされておられることにつきましては、環境省としても承知をさせていただいております。

 このため、塩谷町の方々との丁寧な意思の疎通が少しでもできるように努めることが重要であると私たちは考えておりまして、施設の安全性などについて御説明をさせていただく機会を得られるように、私たちも精いっぱいの働きかけを行ってまいりたい、かように考えております。

塩川委員 説明の機会を得られるように努力したいというお話がありましたけれども、そもそも、この候補地選定そのものを承服できないというのが町民の皆さんの声となっておりまして、環境省による候補地選定の二〇一四年七月以降、各種の選挙が行われました。塩谷町では、それぞれ候補地の白紙撤回を訴えた候補者が常に多数票を獲得しております。二〇一四年十二月の衆議院選挙、二〇一五年四月の県議選挙、二〇一六年七月の参議院選挙、そして八月の町長選挙。直近では、一昨日投開票が行われました栃木の県知事選挙では、建設候補地の白紙撤回を求めた小林年治候補の得票が計画容認の立場の現職知事の票を上回っております。

 五回の選挙全て、塩谷町の有権者の白紙撤回という意思が示されております。その民意は大変重いのではないでしょうか。どのように受けとめておられますか。

伊藤副大臣 確かに、私たち環境省は地域の皆様方に理解を得られていないという現下の状況を承知してはおりますけれども、しかし一方で、詳細調査候補地の選定手法等につきましては、塩谷町の町長さんも御出席を賜りました市町村長会議で御議論をいただいております。

 そして、この選定手法に基づいて塩谷町寺島入を詳細候補地として選定させていただき、提示をする前の段階では、確かに塩谷町の町長さんの意見は伺っておりませんけれども、これを理解していただくべく、私たちは今努力をさせていただいているところでございます。

 この努力とそれから町のお気持ちがまだ乖離をしておるということについては、何度も申し上げましたけれども、理解をした上で、何とかここを理解していただくべく努力をさせていただいているところでございます。

塩川委員 今、市町村長会議の話がありました。選定手法、選定基準などについて、それを議論する、環境省の方が事務局として段取りをして市町村長会議にかけるというわけですけれども、当然、その絞り込みをする際に、この市町村長会議の議論の中でも、処分場候補地の選定手法、提示方法の検討過程では、環境省は、地元の意向を十分に聴取した上で候補地の提示方法を検討すると述べているんですよね、二〇一三年十二月の第四回の市町村長会議で。

 そういう意味では、この候補地の提示前に、塩谷町の地元の意向を聴取するということを行う必要があったのではないかと思うんですが、その点はどうなんですか。

伊藤副大臣 実は、私も、この副大臣に着任させていただきまして、塩谷町に伺いました。その折、マスコミに完全オープンで町の皆様方との対話もさせていただきました。

 実際に、直接、地域の皆さんが大変御心配をされておられるということについては私も自分で伺いましたので、その場で自分でも申し上げましたが、今の段階では、信頼関係というのは非常に離れたところにあるということは私自身も申し上げたんです。

 一方で、地元の御意見を実際の詳細候補地選定に向けていろいろと伺って一つの結論をつくっていくプロセスは、地元の御意見をいただいていく本当のプロセスは、私たちは、詳細調査を実際に行って、その結果について評価をするときに厳しく頂戴をしてまいろう、こう考えているところでございまして、その際には、風評被害の防止でございますとか地域振興の観点からのしっかりとした地元のそれぞれの御意見を聞いて、それをしっかりと受けとめて対応してまいりたい、かように思うところでございます。

 したがいまして、ぜひ、詳細調査を一度させていただきました後に、そうした全ての御意見を伺って、一つの結論をつくり上げていく道すがらとさせていただければというふうに考えております。

塩川委員 いや、そもそも詳細候補地の選定手法、提示方法がおかしいというのが、町民の皆さん、町議会、そして町長の声だということこそ受けとめるべきなんですよ。

 ですから、こういった検討過程において地元の意向を十分に聴取した上で検討するという話が出たわけですけれども、実際には、その地元というのはどこかといったら、栃木県の市町村長会議を指しているんですよ。塩谷町じゃないんですよね。こんなので納得するはずがないじゃないですか。

 だから、今言ったように、信頼関係が離れていると言うんだけれども、それは、信頼関係を壊したのは環境省なんですよ。そんなもとで話が進むはずがないというのが現実の実態であるわけで、これはきちんと本当にことわりをもって行うのであれば、この住民合意のない建設候補地の選定は撤回をすべきだということを申し上げておきます。

 その上で、そもそも環境省が決めた選定基準に照らしても、候補地選定には問題があります。

 候補地選定に当たっては、「安全な処分に万全を期すため、地すべり、地震、洪水、津波等の自然災害が生じうる地域をできるだけ避けることが重要である。これらの地域を候補地から除外することで、最終処分場等の安全性をより確実に確保することができる。」としております。そして、自然災害を考慮して安全な処分に万全を期すため避けるべき地域の評価基準を示しています。

 まず指摘をしたいのが土石流についてであります。選定基準では「地形と土砂の堆積状況、および過去の土石流の氾濫実績から、土石流が氾濫することが予想される区域を除外する。」とあります。「具体的には、」「土石流危険渓流に該当するエリアを除外する。」としていますが、この土石流危険渓流とはどういうものかについて簡単に御説明ください。

中井政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘の土石流危険渓流につきましては、土石流の発生の危険性があり、人家や施設に被害を及ぼすおそれがある渓流ということで、旧建設省の通知などで明らかにされておるところでございます。

塩川委員 土石流発生の危険性があり、人家や公共施設に被害のおそれのある渓流のことということですよね。そうしますと、近くに人家や公共施設がなければ、どんなに危険な場所であっても土石流危険渓流には該当しないんです。この選定をしている、いわゆる詳細候補地なるものになっているこの寺島入という場所は、当然、人家が近くにあるわけでもない、公共施設があるわけでもない。ですから、どんなに危険な場所であっても、今指摘をしている土石流危険渓流に該当することにはなりません。

 実際、候補地選定のルールでも、候補地から住民の住居までの直線距離を五百メートルとすることを一つの目安として挙げていますから、人家がないということが前提なので、副大臣、伺いますけれども、土石流危険渓流をそのまま選定基準に当てはめることは不適当だというふうになると私は思うんですが、この点はどうですか。

伊藤副大臣 選定の手法では、まず、一次スクリーニングにおきまして、全国一律に整備されている既存の地図情報等を用いて詳細調査候補地の絞り込みを行いました。その上で、詳細調査を実際に実行させていただいて現地固有の情報を把握して、有識者会議での評価を経まして、最終的な候補地を決定することといたしております。

 一方で、我々環境省におきましても、詳細調査候補地の一部で冠水があったものとは承知をしておりますし、御指摘の豪雨の影響も考慮すべきものと受けとめております。

 このため、一次スクリーニングでは把握していない豪雨に関する現地固有の情報については、詳細調査の中で確認をさせていただきたいものと考えております。

 町の十分な御理解をいただきながら、ぜひ詳細調査を行わせていただいた上で、有識者会議での安全性の評価もいただいた上で、最終的な候補地としての妥当性については今後判断をさせていただきたいものと考えているところでございます。

塩川委員 この土石流危険渓流というのは、具体的には谷津地形のところを指すわけですよね。ですから、幅よりも奥行きがあるようなところは土石流が起きやすい渓流なんだということで、その麓に人家や公共施設があれば土石流危険渓流になるんですよ。

 ですから、地元の塩谷町に尋ねれば、たまたま下流に民家等がないために土石流危険渓流にはなっていませんが、民家があれば危険渓流に指定されてもおかしくない場所なんです、このように述べているわけですから、環境省がお膳立てをしたこういう選定基準に照らしても、この候補地というのが不適地であるということは明らかじゃないでしょうか。

伊藤副大臣 何度も申し上げて恐縮でありますが、いまだ絞り込みの前の、候補地としての選定をさせていただいて、実際の詳細なる調査をぜひさせていただきました後、意見集約をしてまいりたい、かように思っております。

塩川委員 詳細調査に入るまでもなく、不適地だということは今言った指摘でも明らかであるわけで、候補地選定というのは、改めて白紙撤回ということを求めたい。

 もう一つ指摘をしたいのが、洪水の問題であります。

 先ほど伊藤副大臣もお話をされておりましたけれども、選定基準では「降雨により河川がはん濫した場合に浸水が想定される区域を除外する。」とあります。

 昨年九月の関東・東北豪雨では、栃木県内でも多数の浸水被害世帯が生じました。この候補地のあります西荒川沿いでも大きく雨が降って、候補地においても浸水したということを町長も環境省も認めているところであります。

 ですから、この候補地は、選定基準にあるように、降雨により河川が氾濫した場合に浸水した場所に当然該当するわけですから、詳細調査を待つまでもなく、処分場建設候補地から除外するというのが当然だと思いますが、いかがですか。

中井政府参考人 お答えさせていただきます。

 先ほど副大臣の方から御答弁させていただいたとおりでございますが、今、詳細候補地を選定するに当たりまして、一次スクリーニングということで、既存の地図情報等を用いての段階でございます。

 先般の豪雨の影響ということについては、現在挙がっております詳細候補地の一部で冠水があったということは事実でございまして、この点についての影響を考慮していくことは必要であるとは受けとめてございますが、いずれにいたしましても、このような豪雨に関する個別の、現地の固有の情報につきまして、環境省といたしましては、詳細調査をやらせていただく中で確認させていただきたい、こういうお願いをさせていただいているところでございます。

塩川委員 選定に当たって、具体的に一次スクリーニングの話とかをされましたけれども、そもそも選定基準にどういうふうに書いてあるのか。つまり、災害を受けるようなところは外しましょうねという大きな原則を掲げているわけですよ。その際に、「降雨により河川がはん濫した場合に浸水が想定される区域を除外する。」とあるわけでしょう。現に、浸水して、冠水したということを認めているじゃないですか。だったら、もう最初から対象にならないよねという話になるんじゃないか。そう思いませんか。

伊藤副大臣 冠水をしたということについては私たちも承知をしておるんですけれども、その冠水のいたし方、現場のあり方も含めてなんですけれども、ぜひ詳細調査をさせていただきました上で、全てを検討の俎上にのせて決めさせていただきたいというふうに考えているところでございます。

塩川委員 もともと、一次スクリーニングの詳細調査の候補地の絞り込みのところですけれども、一次スクリーニングに当てているのが、河川管理者提供データを用いて浸水エリアを除外するというやり方をしているわけですよね。その河川管理者というのは誰かというと、国と県に限定されているわけですよね。その点、確認です。

中井政府参考人 一次スクリーニング時点での情報につきましては、今、塩川先生がおっしゃったように、国と県の部分についてということでございます。

塩川委員 この西荒川という、建設候補地に接するように流れている川というのは、一級河川、二級河川に当たりません、普通河川ということで、市町村の管理なんですよ。ですから、そこでもし浸水が起こったということであれば、それについての判断は誰が行うかといえば、これは市町村、町長となるわけです。

 町長がここはもう浸水していますと認めているわけですから、そういう地域を候補地から除外するのは当然じゃないかと。最後に、いかがですか。

中井政府参考人 先般の豪雨の影響につきましては、一部で冠水があったということでございまして、この点につきましては、地元も立ち会いの上、環境省としての調査を出してございます。

 そのようなことを踏まえまして、今、全体として、おっしゃられましたように、一次スクリーニングで出てこなかった情報について、詳細調査をやらせていただく中で判断をさせていただきたい、こういうお願いでございます。

塩川委員 詳細調査に入るまでもなく撤回をすべきだ、住民の声にも耳を傾けず、みずから決めた選定基準に照らしても不適地である塩谷町の候補地選定作業はきっぱり撤回することを求めて、質問を終わります。

三原委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 十五分しかありませんので、質問をさせていただきたいと思います。

 まず、きょう、内閣府の進藤審議官にもお越しいただいています。きのう、ちょっと通告がおくれまして、済みませんでした。もう明るいうちに通告は終わっていたんですけれども、いわゆる原子力賠償の話をついつい経産省に通告した気になっていて、いや、実はこれは内閣府だということで、それは伺っていたんですけれども、それをちょっと伝えるのが、私のミスでして、大変遅い時間に御負担をおかけしたこと、おわびをしておきたいと思います。

 それから、委員長、きょう、私、ちょっと不規則発言を冒頭にしまして、居眠りするな、こういう不規則発言をしました。

 本当に、きょうは衆議院で久々の原子力特委でもあり、きょうの朝の地震を受けての原子力特委ですから、大変重要な、田中委員長も朝から大変な御心労だったと思います。私たち国会議員も大変心配をしたわけであります。初鹿委員も恐らく朝から心労が多くて、ついついきょうは居眠りをしてしまったんだと思いますが……(発言する者あり)失礼じゃなくて、事実じゃないですか。

 それで、私と田中委員長のちょうど間に初鹿さんが座っているんですよ。だから、本当にきょうは迷惑だったので、あえて、最前列で居眠りするのだけはやめていただくようにお願いをしておきたいと思います。

 さて、通告を四問させていただいていますが、私はいつも申し上げていますが、私の質疑順が議席数の関係でいつも民進党さんの後になるので、ついつい気になる部分がどうしても出てくるので、ちょっときょうも若干だけお時間を頂戴して。

 まず、田中委員長、きょう、田嶋委員とのやりとりの中で、今回、冷却ポンプがとまったことについて、本来とまるべきでなかったものがとまってしまったんだみたいな、これは起こってはいけないことが起こったんだみたいなことを田嶋委員がおっしゃいました。

 私は、これは自然災害ですから、地震であれ津波であれ、想定できないということがこの規制行政の基本にあるので、だから、これはぜひまたゆっくり調査、検証していただいたらいいと思いますが、冷却ポンプがとまるというのは、私は想定内だと思っているんですね。それに対して、間を置かずに冷却が再開した、むしろそちらの方が私はよかったなと胸をなでおろしているわけであります。

 田中委員長も大変きょうは御心労が多かったと思いますが、今回の、まだわかりませんが、冷却ポンプがとまったことに対する、何でとまったんだという御懸念と、いや、でも、とまったけれどもちゃんと再開できたという、ちゃんとそういう準備ができていたという安堵と、どんな感じですか。どちらが上回って、どちらが大きい印象か。規制委員長としての、まだわからないと思いますが、ちょっと御所感をいただきたいと思います。

田中政府特別補佐人 とまったということの原因がわからないから、正確にわからないから、一応想像はできているんですけれども、ただ、先ほど来申し上げていますように、今のプールの状況ですと、一週間ぐらいは間がありますので、十分それに手当てはできるということで、そうばたばたと心配するような状況ではないなということで見守っていました。

 それで、東京電力の対応についても、担当者がいろいろそこは状況を確認させていただいておりましたので、私自身はそんなに、現場におりましたけれども、心配はしておりませんでした。

足立委員 今、田中委員長から、そんなに心配はしてうにゃうにゃうにゃと、ちょっと細くなりましたけれども、田中委員長としては余り御心配はされていなかったというふうに承りました。

 私も、今回、冷却ポンプがとまったというニュースについては、私はその実態をよく存じ上げませんので、大変心配をしましたが、すぐに再開できたという点で、東電の不断の御努力、あるいは規制庁、経産省の関係の皆様に感謝を申し上げたいと思います。

 その冷却ポンプについて、阿部知子委員が、一時間とまると〇・二度温度上昇すると聞いていたが、一時間半の停止で二十八・七度から二十九・五度に上昇したじゃないかということをおっしゃいまして、それに対して、先ほど、原子力規制委員長から、いや、ちゃんと〇・二度でしたよという御答弁がありました。

 これは、質問しません。そのとおりだと思いますが、私はむしろ、阿部知子委員に、いらっしゃるかな、いらっしゃる、済みません、またこれはツイッターでも構いませんので、どこで入手した情報か、ぜひ言っていただきたいんですね。

 こういう国会の場で、何か、規制庁が言っている一時間で〇・二度というのが、もっと速い温度上昇があって、一週間の猶予というのはないんじゃないかというような、それを具体的数字を挙げておっしゃいました。

 田中委員長は、それは規制庁としては違うと思っているし、実態も違いましたよ、いや、実態も規制庁が考えていたとおりの数字でしたよ、こう説明されたので、そういう風評というか、あるいは━━というか、そういうものはここで押しとどめることができたわけでありますが、逆に、二十八・七度から二十九・五度に上昇したという情報が多分、阿部知子委員の……(発言する者あり)

三原委員長 静かに、静かに。静かに。

足立委員 よく民進党の方は、反論できない、反論できないと言うんだけれども、反論したらいいじゃない、記者会見を開いたらいいじゃないですか。大体、山尾さんも記者会見をやると言ってやらないし、みんな、説明すべきことがあるんだったら、記者会見を開いたらいいじゃないですか。

 今、東電が発表しているじゃないかと不規則発言をされましたけれども、多分、東電が発表している数字の都合のいいところだけを組み合わせて……(発言する者あり)だって、規制委員長が違うと言っているんですよ。(発言する者あり)いや、もしそうであれば、ちゃんとそれを説明してくださいよ。中途半端な情報を振りまいたら、混乱するのは国民ですよ。

 だから、説明責任というのは政府だけにあるんじゃないんです。国会も説明責任があるんです。これは、公正公平というものを重んじる日本維新の会としては、もう看過できないんですね。日本維新の会というのは……(発言する者あり)

三原委員長 静かに、静かに。

足立委員 ちょっと、みんな、落ちついてくださいよ。(発言する者あり)うるさいな、本当にもう。

 だって、阿部知子議員は言ったんですよ、二十八・七度から二十九・五度にと。それを言ったんだから、それは、どこの数字を見て言ったのか、田中委員長にきょう質問したら〇・二度でしたということを含めてちゃんと記者会見した方がいいですよ。そうしないと、一方的な情報だけが……。

 要は、阿部先生たちは、あるいは民進党は、説明責任というのは政府だけが負っていると勘違いしているんです。違いますよ。国会もちゃんと説明責任を負っているんです。(発言する者あり)えっ、負っていないんですか。(発言する者あり)でしょう。今、阿部知子委員が説明責任は国会にもあると。国会議員にもあるんですよ。

 だから、しっかりと、どういう情報に基づいて、もしそれが誤解なのであれば、謝るべきです。記者会見を開いて陳謝すべきであると申し上げておきたいと思います。

 さて、質問に入りたいと思いますが、あと五分ですね。済みません、小澤先輩にもお越しいただいていますが、きょう、四問通告をさせていただいています。汚染水の問題、原子力賠償の問題、高レベル放射性廃棄物の最終処分の問題、高速炉の開発の問題、全部やりたいんですが、ほかの委員会でもできるものもありますので、進藤審議官にちょっと御協力をいただいて。

 原子力賠償について、実は、先週末報道がありました。要は、電力会社について有限責任にするか無限責任にするかという問題について、無限か有限か、ちょっとなかなか決め切れないなということになっていますが、そういう状況でしょうか。

進藤政府参考人 お答えいたします。

 原子力損害賠償の見直しにつきましては、昨年の五月から、原子力委員会の専門部会におきまして、今後発生し得る原子力事故に適切に備えるための原子力損害賠償制度の見直しについて、専門的、総合的観点から検討を行っております。

 本年の八月に、この専門部会は、見直しの方向性及び論点に関する中間的整理を取りまとめまして、その中には、議員御指摘の有限責任とした場合を含めまして、原子力事業者の責任の範囲をどう見直すかということについて論点としています。

 現在の専門部会は、この中間的整理で示しました個別の論点を順次集中的に審議しておりまして、今月の十六日に第十五回専門部会が開催されましたが、ここで、原子力事業者を有限責任とした場合と、現行の無限責任を維持した場合について議論が行われました。

 ここで決まるものではございませんけれども、ここの議論においては、事業者の責任限度額の水準の決め方など、若干、法的、制度的に短期的に解決できない課題が有限責任の場合は多いというような御指摘もございました。

 専門部会では、引き続き、原子力事業者を例えば現行どおり無限責任とした場合の制度設計の具体的な見直し案などについて検討していく予定でございます。

 以上でございます。

足立委員 いろいろ検討されているということでありますが、きょう、東電の山口副社長においでいただいています。ありがとうございます。

 私の理解は、電力会社は民間企業ですから、無限では原子力はマネージできない、こう理解していますが、私の理解でよろしいですか。

山口参考人 お答え申し上げます。

 まず、私ども電気事業者といたしましては、安全性を高める取り組みを継続した上で、二度と福島第一のような事故を起こさないようにしていくことが責務だというふうに思っておりますので、これに向けて一層努力をしたいというふうに思っております。

 その上で、万が一、原子力災害による損害賠償が発生した場合につきましては、国の制度に基づきまして適切に対応してまいりたいというふうに考えてございます。

 以上でございます。

足立委員 もう時間が来ましたので終わりますが、きょう、副社長おいでなので、私たちは、原発再稼働責任法案という法案を出しています。これは、いろいろ批判も覚悟で、有限責任の枠組みにもうしています。これは当たり前だと思っているんですね。

 もちろん、それだけじゃないですよ。東電が負うべき責任は負う、地域が負うべき責任は負う、国が負うべき責任は国が負う、こういう枠組みをとにかく早く整備しないと、いつまでたっても、きょう田中委員長がおっしゃった人材、原子力政策がちゃんと固まらないと、原子力に人材は戻ってきません。ぜひそういう点を、また時間をいただいて、改めてこれをやりたいと思います。

 最後に、委員長に、また理事会で御検討いただきたいんですが、きょう初鹿委員にあったようなああいう居眠り、こういうことがこの大事な原子力特別委員会でもう二度とないように厳重注意をいただくとともに、どうしたら民進党の皆さんが二度と居眠りしないようにできるか、理事会で御検討いただきますようお願い申し上げて、質問を終わります。

三原委員長 聞きおいておきます。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十三分散会


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