衆議院

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第3号 平成28年12月9日(金曜日)

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平成二十八年十二月九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 三原 朝彦君

   理事 岩田 和親君 理事 高木 宏壽君

   理事 土井  亨君 理事 中村 裕之君

   理事 山際大志郎君 理事 田嶋  要君

   理事 初鹿 明博君 理事 中野 洋昌君

      石川 昭政君   うえの賢一郎君

      江渡 聡徳君    尾身 朝子君

      大西 英男君    勝沼 栄明君

      金子万寿夫君    佐々木 紀君

      斎藤 洋明君    白須賀貴樹君

      助田 重義君    高木  毅君

      高鳥 修一君    津島  淳君

      額賀福志郎君    野中  厚君

      堀井  学君    宮路 拓馬君

      宗清 皇一君    村井 英樹君

      八木 哲也君    簗  和生君

      阿部 知子君    荒井  聰君

      逢坂 誠二君    菅  直人君

      木内 孝胤君    伴野  豊君

      輿水 恵一君    斉藤 鉄夫君

      塩川 鉄也君    藤野 保史君

      足立 康史君    木下 智彦君

    …………………………………

   復興副大臣        長沢 広明君

   内閣府副大臣       松本 洋平君

   経済産業副大臣      高木 陽介君

   国土交通副大臣      末松 信介君

   財務大臣政務官      三木  亨君

   厚生労働大臣政務官    堀内 詔子君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 進藤 秀夫君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           瀧本  寛君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           板倉周一郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官) 小澤 典明君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  鎌形 浩史君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   荻野  徹君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房緊急事態対策監)      大村 哲臣君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          山田 知穂君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          櫻田 道夫君

   参考人

   (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役社長)            廣瀬 直己君

   衆議院調査局原子力問題調査特別調査室長      関  武志君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月九日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     白須賀貴樹君

  白石  徹君     八木 哲也君

  高木  毅君     尾身 朝子君

  津島  淳君     金子万寿夫君

同日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     高木  毅君

  金子万寿夫君     津島  淳君

  白須賀貴樹君     佐々木 紀君

  八木 哲也君     白石  徹君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 原子力問題に関する件


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     ――――◇―――――

三原委員長 これより会議を開きます。

 原子力問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として東京電力ホールディングス株式会社代表執行役社長廣瀬直己君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府大臣官房審議官進藤秀夫君、文部科学省大臣官房審議官瀧本寛君、文部科学省大臣官房審議官板倉周一郎君、資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官小澤典明君、環境省地球環境局長鎌形浩史君、原子力規制庁次長荻野徹君、原子力規制庁長官官房緊急事態対策監大村哲臣君、原子力規制庁長官官房審議官山田知穂君及び原子力規制庁原子力規制部長櫻田道夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三原委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津島淳君。

津島委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の津島淳でございます。

 本委員会での質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 先日報道されました、福島から神奈川県そして新潟県に避難している小学生がいじめに遭っているという事案でございますが、その事案について、大変私は心を痛めております。

 過酷な事故によって故郷を離れざるを得ない方々、あるいは、事故後も福島に残ってふるさとの再生、復興を目指して頑張っている、そういった方々、そういった全ての福島の皆様の心に寄り添うこと、また、戦後のいわゆる都会の発展を支えてきた電力供給というものは原子力発電所立地地域の住民の皆様の深い御理解とさまざまな思いによって成り立っていたということを、この際、国民がひとしく共有する必要があるんだろうと私は思います。

 このような私の思いを申し上げた上で、原子力規制行政のあり方について、きょうは真摯な議論をさせていただきたいと思っております。

 では、まず一問目でございます。立地地域とのコミュニケーションの実態についてお伺いをしたいと思っております。

 皆様御承知のことと思いますが、原子力規制委員会の活動原則には、以下申し上げますようなことが掲げられているわけです。二番目に「実効ある行動」とありまして、「形式主義を排し、現場を重視する姿勢を貫き、真に実効ある規制を追求する。」。三番目の項目に「透明で開かれた組織」という表題があって、「意思決定のプロセスを含め、規制にかかわる情報の開示を徹底する。また、国内外の多様な意見に耳を傾け、孤立と独善を戒める。」。これは、よき規制行政を行うためには、活動原則に基づいて、立地地域との信頼関係醸成が重要な要素である、そのように私は思うんです。

 田中委員長にお尋ねしたいんですが、委員長就任以来、立地地域にどのくらい足を運ばれ、また何人の首長さんと面談されたのか、お尋ねをいたします。

田中政府特別補佐人 就任以来、原子力発電所立地地域へは、福島県に七回、島根県に一回、鹿児島県に一回足を運び、原子力発電所の視察、立地地域の首長との面会などを行っております。

 福島県を重点的に回っておりますのは、一F事故の後、やはり福島第一の廃止措置についての不安というのが帰還の大きな妨げになっているということもありますし、ほかの地域の原子力発電所の審査においても、そういったことを十分に頭に置いて、地域の状況を踏まえながら進めなければいけないという思いで行っております。

津島委員 今お答えにあったように、立地地域に足を運ばれているということでございましたが、私が申し上げたいのは、そこでどのくらいのコミュニケーションがなされたかということは、あえて疑問として呈しておきたいと思うんです。つまりは、もっと実情を見て意見に耳を傾ける、まさに活動原則にあるとおりでございます。

 ここで、私の地元青森県、東北電力東通原発がございますが、そこが立地している東通村の村長、越善靖夫村長さん、去る十二月一日に東京都内で開催された大会でこう発言されているんです。事故から六年を迎えるが、企業の収支、自治体の財政、地方経済は疲弊している、見通しがつかない中で、原子力政策に協力してきた立地地域をないがしろにしてもらっては困る。これは、私は全く同意見であります。

 下北地域というのは、かつてのむつ精糖、それからむつ小川原開発、そして原子力施設の立地と、いわば国策に三度、地元はその都度理解を示してきたという歴史がございます。そういった中で、現状というものが地域経済に大きな影響をもたらしている、そういった思いを込められた越善村長の発言である、そのように思うわけであります。

 そこで、改めて、規制機関が目指すべきは立地地域との信頼関係の醸成ではないかということ、これは機関の長として、田中委員長の御見解はいかがなものでございましょうか。

田中政府特別補佐人 御指摘のように、私としても、規制機関のあり方として、組織内外との十分なコミュニケーションを図るということは重要であると考えております。立地地域はもちろんのこと、特に一F事故の後は、国民全体についての信頼をいかに回復するかということを極めて重要な我々のミッションであるというふうに思って進めております。

 私個人的なことになりますけれども、数多くの審査案件が今ありまして、緊急時の即応体制とかこういったことから、規制委員会の責任者としていろいろな業務を抱えておりますし、国会開催中はなかなか自由に出歩くということもできませんので、こういったことを踏まえて、できる限りの努力はしているところでございます。

 立地自治体からの面会とかいろいろな御要望、御意見はたくさんいただいております。それに対して、私自身で全て対応できないので、長官あるいは次長等と手分けしながら対応させていただいています。

 いずれにしても、そういった御意見を拝見しておりますと、原子力に関してはいろいろな立場からいろいろな論点とか意見があります。そういったことについてもきちんと耳を傾けながら、究極的には、やはり国民とか地元の信頼が得られるような、科学的、技術的観点からきちんとした規制行政を進めるということが最も大事なことだというふうに認識しております。

津島委員 改めて申し上げたいのは、立地地域との信頼関係醸成、そしてコミュニケーションを図るということが、この規制委員会のいわば権威を高める、そして下した判断というものに重みをもたらす、そういう趣旨で申し上げているということをあえてここで申し上げておきます。

 次の質問に移ります。IAEAのIRRSミッションの内容についてお尋ねをいたします。

 本年一月、IAEAによって行われたIRRSミッションにおいて、規制委員会の方には十三ほど勧告を受けられていると思います。このうち四番目の勧告には、「原子力規制委員会は、現在の組織体制の有効性を評価し、適切な横断的プロセスを実施し、年度業務計画の立案に際して利害関係者からの情報収集を強化し、さらに、自らの実績と資源利用を測るツールを開発すべきである。」とされております。

 これは、私なりに解釈するに、委員会及び規制庁の組織体制を効果的かつ効率的か検討することが非常に有意義なものであり、利害関係者からの情報収集が任務の実施に必要な資源を一層正確に効率的に配分できることを示唆しているものだと思っております。

 例えば、米国のNRCには、スタッフが約三千八百名ほどおります。フランスのASNでは、IRSNと合わせ二千百八十九名という、委員会メンバーを支える十分な体制ができております。

 日本の規制委員会を支えるスタッフの充実についても鋭意図られているということは承知しておりますが、この勧告を踏まえ、より一層の改善を図るという点において、アメリカやフランス、あるいはイギリスの組織体制、全体の組織体制のありようも踏まえて改善を図っていく必要があろうかと思います。どのような受けとめをされているでしょうか。

田中政府特別補佐人 IRRSの勧告については、真摯に受けとめております。

 それで、私ども、勧告されるまでもなく、私どもの組織がまだ不十分である、いろいろな意味で不十分であるということを認識しておりまして、特に、IRRSの評価の中で、今後は、審査の後の、原子力発電所が動くと検査というものが重要になります、そういった点において十分な強化を図るべきだということで、それについては私どももそのとおりだと思いまして、今その強化については、法改正も含めて先生方にお願いする予定であります。

 それで、検査の方の充実ということで、NRCの検査制度を一応とりあえずひな形にしようということで、今、五名、先遣隊を一年ほど派遣して勉強させていただくというようなことをしております。

 ただ、私自身の少し個人的なことを申し上げれば、フランスはIRSNとか、アメリカの場合にはいろいろな国立の原子力研究開発機関がたくさんありますけれども、我が国は極めてそういう点で貧弱であります。ほとんどないに等しいような状況にあります。JNESを統合しましたけれども、長い目で見れば、もう少しきちっとした、私どもをサポートしていただけるようないわゆるTSOというような組織も整備していただきたいと思っております。

 なお、ステークホルダーとのコミュニケーションについての御指摘もありました。

 これにつきましては、これまで、ほぼ二回ですけれども、二回りしましたけれども、各電力事業者のトップと直接私ども委員会が意見交換をする場を設けておりまして、二回りになりまして大分率直な意見交換ができるようになりました。こういったものを続けながら、少しコミュニケーションを図っていきたいと思います。

 特に、いつも私の方から申し上げているんですが、何か御要望がございますかと言うと、今のところは特段のことはないという御意見をいただいておりますが、私どもとしても、そうはいいつつも、やはりお互いに情報共有に努めながら、いわゆる審査あるいは検査についても、そういった内容の共有化、コミュニケーションというのを図りながら合理的に進めるように心がけたいと思っております。

津島委員 規制庁さんにお答えを求めていたところ、委員長にお答えいただいて、大変ありがたく思っております。

 規制庁さんは、付言することはありますか。

三原委員長 何か付言することはありますか。

荻野政府参考人 若干補足をさせていただきます。

 ただいま、IRRSの勧告四でございまして、利害関係者の情報収集等により、年度業務計画の立案に際してもそういったものを活用せよということでございます。

 来年度の年度業務計画の策定に当たりましては、事業者、あるいは民間規格の策定に当たる学協会と言われる団体がございますけれども、そういったところからヒアリング等を行いまして、この勧告の趣旨に沿った効率的な業務運営に努めてまいりたいと思います。

津島委員 ありがとうございます。

 先ほど委員長からの答弁にございました事業者さんから特段の要望はないということは、私もいろいろ調べたところ、審査に当たって解釈にそごが生じないように、いわば事前のすり合わせというか、そういったことを引き続き丁寧にやってほしい、そういう意味で、それ以上特段の要望はない、そういう趣旨だというふうに思っております。

 ちょっとスピードアップしていきたいと思います。

 四番目です。同じく、ミッション、勧告の十一です。

 本年の五月二十日、参議院の東日本大震災復興及び原子力問題特別委員会において、公明党の新妻議員がこの内容について質疑を行いました。同議員は、規制基準等の見直しのプロセスに関する文書及び規制基準等の見直し計画をどのようなスケジュールで進めるのかという問いをしたのに対し、答弁されていたのが大村政府参考人ですが、「今年度中の早い段階で作成をする」との答弁がございました。

 この規制については、対象のリスクの程度に合わせた柔軟な規制、グレーデッドアプローチが必要だという指摘もされておりますが、この点も含めて、ミッション、勧告十一に対して現状どのような対応をされているかという点をお尋ねします。

大村政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力規制委員会としましては、規制基準等の見直しの検討を継続的に行っていくということは非常に重要な課題であると認識をしてございます。

 今回のIAEAの勧告を踏まえまして、去る十一月二十二日、規制基準等の見直しに係る課題と対応ということで方針を定めたところでございます。

 その中におきましては、最新知見を規制に反映するためのプロセスといたしまして、安全研究の実施等による最新知見、IAEA等の国際的な知見、それから新規制基準の適合性審査の実績等、こういった情報を収集、整理をして、担当部署でスクリーニングをきっちりと行った上で、原子力規制庁の技術情報検討会、それから原子炉安全専門審査会等で対応方針等を検討いたします。その上で、原子力規制委員会で審議を行いまして、随時に規制基準等への反映を実施していくという方針でございます。

 また、こうした随時の見直しの対象とならなかった知見等につきましても、原則五年程度の期間ごとに、見直しの課題と要否、見直す場合の要点を整理して見直し計画を策定していく、こういう方針で臨んでいく所存でございます。

 規制基準等の見直しを検討する際には、原子力施設の特徴、リスクの程度等に応じまして安全要件、対策等を適用するグレーデッドアプローチ、先ほど御指摘ございましたが、このグレーデッドアプローチというものを適用して検討していくということに留意してまいりたいと考えてございます。

津島委員 ありがとうございます。

 本年十一月三十日に、規制庁さんから、このグレーデッドアプローチに対する文書が出されているということを承知しております。しっかりそれを踏まえて今後も進めていただければと思います。

 次に参ります。もしかするとこれが最後の質問になるかもしれません。

 この審査について、ちょっと長期化しているという懸念があります。平成二十五年の十一月二十七日の規制委員会の決定で、審査の標準期間として二年というものを定めているんですが、実際にはそうはなっていない。

 私は、安全を最優先に審査を行うことに全く異論はないわけでありますけれども、平成二十七年度までに十四・四兆円もの国富が流出している点も踏まえて、やはり効率的な審査を行うことが大変重要であると考えております。そのために、規制委員会側からも事業者に提案するなど、これから特にいわゆるBWRの審査の効率に努めていくべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか。

田中政府特別補佐人 私どもとしても、審査を効率的に進めるというのは非常に大事なことだと思っておりまして、そのためにいろいろな努力をしております。

 PWRの場合は、先行的なプラントを決めて、それの審査のひな形をつくって、その後、PWRについてはかなり進んだというふうに認識しておりますが、先生御指摘のように、BWRについてはなかなか進まないというところがあります。

 我々も非常に困っているという面もございますので、事業者の方にもそのことは努力していただくということの中で、できるだけ効率よく、かつ、安全の点での規制を緩めるということではございませんけれども、きちっとした審査を進めたいというふうに思っております。

津島委員 あと一問、文科省さんに原子力教育についてお尋ねしたかったんですが、時間になりましたので、またの機会ということで、大変申しわけなく思っております。

 以上をもちまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

三原委員長 次に、助田重義君。

助田委員 おはようございます。自由民主党の助田でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきました三原委員長を初め理事、委員の皆様方に感謝を申し上げます。

 津島先生に引き続き、真摯な議論をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 では、早速質問を進めてまいります。

 私の出身は、全国最多の四原発十三基、一市三町にわたり、それにまた加え、高速増殖原型炉「もんじゅ」が立地する福井県でございます。しかしながら、県内の原子力発電所は、再稼働を初め、四十年超運転延長、廃炉、使用済み燃料の処分など多くの課題を抱えているところでございます。

 エネルギー資源が乏しい我が国にとりまして、核燃料サイクルの確立が必要であり、特に、ウラン資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の減容化、また、有害度低減等の観点から、高速増殖炉の開発は極めて重要でございます。

 また、国におきましては、平成二十六年に閣議決定いたしましたエネルギー基本計画において、「もんじゅ」を核燃料サイクル政策の中核施設と位置づけたことを踏まえ、長期的視野に立ち、覚悟を持って取り組む必要があると思います。

 福井県は、県民の安全、安心の確保を大前提に、「もんじゅ」をエネルギー研究開発拠点化計画の中核施設と位置づけ、国の核燃料サイクルの確立に協力してきたところでございます。

 しかしながら、去る九月二十一日、政府の原子力関係閣僚会議におきまして、立地地域に全く説明がないままに、「もんじゅ」については廃炉も含め抜本的な見直しを行うという方針を示されたことは、これまで長年にわたり国策に協力してきた地元を無視するような無責任きわまりない態度であります。まことに遺憾でございます。また、今、二十日にも廃炉決定との報道が先行しております。地元では憤りさえ覚えているところでございます。

 そうした観点から、「もんじゅ」、高速炉開発、核燃料サイクル政策について質問をさせていただきます。

 「もんじゅ」の議論に際しましては、国策に長年協力してきた立地地域の意向を十分に酌み取りながら進めることが重要であると考えております。まず、見解をお聞かせいただきたいと思います。お願いします。

板倉政府参考人 お答え申し上げます。

 「もんじゅ」につきましては、本年九月に開催されました原子力関係閣僚会議におきまして、廃炉を含め抜本的な見直しを行うこととし、その取り扱いに関する政府方針を、高速炉開発の方針とあわせて、本年中に原子力関係閣僚会議で決定することとしております。したがいまして、今後の高速炉開発の方針と切り離して、現時点で「もんじゅ」の廃炉を決めたわけではございません。

 この九月に開催されました原子力関係閣僚会議においては、政府の意見集約を直前まで詰めておりまして、会議の開催自体も直前の決定となったことなどの理由から、地元への御説明が遅くなってしまいました。このことについては、まことに遺憾と考えてございます。

 その後、高速炉開発会議の結果につきましては、会議終了後、その都度、速やかに文部科学省から地元へ直接御報告させていただいているところでございます。

 また、先月、十一月二十五日には、福井県から要請をいただいておりましたもんじゅ関連協議会を開催し、政府の議論の状況や地元への対応等に関する意見交換を行う中で、地元の御意見をお伺いいたしました。

 西川福井県知事からは、「もんじゅ」の取り扱い方針について、机上の議論に陥ることのないよう、県民や国民の目に見える形で具体的に議論し、地元が納得する結果を出すこと、「もんじゅ」を安全に保守管理するための運営体制の方向性を責任を持って明らかにすること、「もんじゅ」の成果をどう生かすのか、福井県、敦賀市においてどのような研究開発や人材育成を行っていくのか、今後、国の具体的方策を示すことなどの御意見をいただきました。

 さらには、「もんじゅ」の方向性によって、地元雇用への影響を懸念する声もいただいているところでございます。

 これら地元からの御意見をしっかりと踏まえ、年内に結論を出すべく検討を行ってまいりたいと考えてございます。

助田委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。

 地元は、国策の重要性を理解し、長きにわたりまして誇りを持って協力してまいりました。今答弁にありましたが、雇用につきましても、地元では非常に逼迫した状況でございます。よろしくお願い申し上げます。また、「もんじゅ」の歴史を十分に認識し、地元の思いをないがしろにすることのないよう、改めて強くお願いを申し上げます。

 次に、「もんじゅ」でこれまで得られました成果、知見について伺いたいと思います。

 「もんじゅ」は、これまでに四〇%の出力運転までの経験しか有しておりません。また、近年は停止したままでございます。「もんじゅ」でこれまで得られました成果、知見についてどのように考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。

板倉政府参考人 お答え申し上げます。

 「もんじゅ」につきましては、国内技術に基づき設計、製作及び建設がなされ、四〇%の出力運転まで行われております。このことは、国産の自主開発技術によって、我が国の高速炉発電システムに係る設計手法や製作技術の基盤を確立し、高速増殖原型炉の発電プラントシステムを成立させるための基盤技術を獲得したという重要な成果であると考えております。

 また、さまざまなトラブル、事故により運転期間は短いものの、これらトラブル等への対応や停止期間中に行われたさまざまな取り組みを通じて、安全確保と安全運転に係る知見と技術を高め、それを実機に反映させるなど、数多くの成果、知見を獲得しております。

 このような過程で獲得されたさまざまな研究開発成果は、今後、我が国が高速炉を実用化していく上で活用されるべき価値ある知見であると認識しております。

 これらの成果については、文部科学省の有識者会議、もんじゅ研究計画作業部会でございますが、こちらにおいて専門的見地から議論をいただき、妥当であるとの所見をいただいているところでございます。

助田委員 ありがとうございました。

 「もんじゅ」は、これまで、国内技術に基づき設計、製作及び建設がなされ、四〇%の出力運転の経験を有しており、将来炉につながる数多くの成果、知見を獲得しているということがわかりました。

 一方で、高速炉開発会議におきましては、フランスのASTRIDについて議論されております。一部報道でも、あたかも「もんじゅ」の代替のように取り上げられております。「もんじゅ」においてこれまで蓄積された数多くの知見のある中で、フランスのASTRIDへ協力する意味は何か、お教え願います。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 「もんじゅ」で得られた知見、これは非常に重要でございます。その上で、高速炉開発を継続する国において、安全性や経済性を追求する上で新たな知見が獲得されつつございます。

 その中で、二国間及び多国間での国際協力のネットワークが広がり、その活用の可能性も広がっております。我が国としても、こうした国際協力の場を戦略的に活用して、開発の合理化あるいは最先端の知見の獲得を図っていかなければならないというように考えております。

 この国際協力の活用の一つとして、日仏ASTRID協力を二〇一四年から開始してございます。

 具体的には、我が国はまず、三つの設計、それから二十六個の研究開発にフランスと共同で取り組むこととしております。我が国から成果を提供するだけではなく、仏国からも成果の提供を受けており、相互に恩恵のある協力が進められているところでございます。

 また、我が国が担当する分野の中には、高速炉の安全対策のうち、シビアアクシデント対策として重要な手段となる崩壊熱除去系あるいは原子炉停止系に関する技術なども含まれております。

 過去三年間の協力を通じて、我が国は、最新の設計、ノウハウ等を取得してきているところでございます。今後とも、我が国が獲得し得る枢要技術へのアクセスが拡大していくよう、フランス政府としっかりと協力を進めてまいりたいと考えております。

助田委員 ぜひとも、協力して前に進めていただくように、よろしくお願い申し上げます。

 次に、高速炉開発について伺います。

 高速炉開発会議では、経済産業省を中心に、今後の高速炉開発の方針が議論されているところであります。「もんじゅ」につきましても、廃炉を含め抜本的な見直しが行われている中で、今後の高速炉の開発の主体、責任が非常に不明瞭になっているのではないかと懸念を持っております。

 今後の高速炉開発について、どのような主体がどのように進めていくことになるのかをぜひお聞かせいただきたいと思います。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 現在、関係閣僚を含め、我が国の高速炉開発に関係する主体で構成される高速炉開発会議を設置いたしまして、今後の高速炉開発の方針案について、年内に取りまとめるべく検討を進めているところでございます。

 先月末の第三回高速炉開発会議では、高速炉開発の方針案の骨子について議論をいたしました。安全性と経済性の両立といった、これまで以上に高い目標を掲げていく方向性、あるいは開発に当たって踏まえるべき四つの原則などにつき認識を共有したところでございます。

 具体的な今後の開発体制等については、引き続き検討を進めているところでございますが、メーカー、電力、研究機関が密に連携し、オール・ジャパン、かつその役割を明確化した上で、責任関係を一元化した体制を構築していくということが重要であるというように考えております。

助田委員 よろしくお願いします。

 高速炉開発の方針やロードマップの作成に当たりましては、地元を含め、国民の理解が得られるものとなるよう、しっかり検討いただきたいと思います。

 続きまして、最後になりますけれども、核燃料サイクル政策について伺いたいと思います。

 「もんじゅ」について廃炉を含め抜本的な見直しが行われている中で、核燃料サイクルの維持に課題との報道もされておる中でもございます。こうした状況を踏まえ、改めて今後の核燃料政策について質問いたします。

 我が国がこれまで進めてきた核燃料サイクル政策の今後につきまして、どのように考えをお持ちになっているのか、政府にお聞かせ願いたいと思います。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 我が国は、高レベル放射性廃棄物の量の減少、放射能レベルの低減、資源の有効利用などの観点から、エネルギー基本計画で閣議決定したとおり、自治体や国際社会の理解を得つつ、使用済み燃料の再処理等を行う核燃料サイクルを推進する方針でございます。

 このような核燃料サイクルとしては、まずは、プルサーマルの実施を通じた軽水炉サイクル、これを実現することが重要でございます。

 こうした観点から、電力自由化等の新たな事業環境下でも再処理等が将来にわたって滞りなく行われるよう、この十月には、使用済燃料再処理機構が青森県において設立されたところでございます。今後は、六ケ所再処理施設の竣工も含めて、機構がその工程の管理、計画の策定を行い、これに国も関与することで、再処理事業が着実かつ効率的に実施されるよう取り組んでまいります。

 また、本年八月に再稼働いたしました伊方原発三号機において、さらに、現在は停止中でございますけれども、高浜原発三号機、四号機においては、MOX燃料を使用するなど、プルサーマルの取り組みは進展しているところでございます。プルサーマルの実施についても、着実に進むよう、しっかりと取り組んでまいりたいというように考えております。

 加えまして、高速炉サイクルにつきましては、これが実現すれば、核燃料サイクルのそれぞれの利点について、現在取り組んでおります軽水炉サイクルに比較いたしまして、より大きな効果が期待できるものでございます。高速炉の研究開発は、核燃料サイクルの有効性を高める観点から重要であると考えており、引き続きしっかり取り組んでまいりたいというように考えております。

 今後とも、エネルギー基本計画の方針に基づきまして、高速炉開発会議あるいは原子力関係閣僚会議の議論、検討などを踏まえながら、核燃料サイクルを推進してまいりたいというように考えております。

助田委員 ありがとうございました。

 エネルギー基本計画に位置づけている核燃料サイクルについて、必要な資源を投入し、安全対策を大前提に、国内において政府の責任で着実に推進することを要望いたしまして、時間も余っておりますけれども、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

三原委員長 次に、輿水恵一君。

輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、心より感謝を申し上げます。

 今回、この原子力問題調査特別委員会で初めて質問をさせていただきますので、事故の発生より五年と半年がたったあの福島第一原発の現状等について、まず確認をさせていただきたいと思います。

 現在も非常に厳しい状況の中で、本当に、その問題の解決のために必死に努力をされ、そしてさまざまな取り組みをされている皆様に、心から敬意を表するものでございます。

 そんな中で、まず規制委員長にお伺いしたいんですけれども、この福島第一原発の廃炉に向けての取り組み、並びに、まだまだ続いている汚染水対策等について、原子力規制委員会としての現状の認識と今後の見通しをどのように考えているのか、まずお聞かせ願えますでしょうか。

田中政府特別補佐人 福島第一原子力発電所の廃止措置というのは、非常に多くの課題があります。

 それで、もう大分改善された面から申し上げますと、まず、最初のころは、労働災害のようなことも起こりましたし、敷地が非常に高濃度に汚染されていて被曝も多いというようなことがありましたので、まず働く環境をよくする。それから、食事もまともにとれないとか、休憩所もないということで、今は、そういった大型休憩所をつくっていただいて、シャワーも浴びられるようになりました。

 そういったことで、少しずつそういった点の改善はされておりますが、依然として多くの課題があります。

 それで、全体としては四十年程度の期間が廃止にかかると言われておりますが、私どもとしては、全体を見通すということはなかなか今の段階で難しいところがありますので、随時、中期的なリスク低減マップというのをつくりまして、課題を整理させていただいております。

 特にその中で、海側海水配管トレンチからの高濃度汚染水の除去あるいはタンク内の高濃度汚染水の処理というのが非常にリスクが大きい課題でしたので、これについては緊急に対策を行っていただきまして、相当対策が進んだと思っております。

 しかし、最終的に処理した水を処分することができずに、十一月中旬時点ですけれども、約千基以上のタンクに九十万トン余りの処理水が貯留されている状況にあります。

 この中、どうしてそれが排水できないかということですが、基準レベル以下であれば、私どもとしては、海洋放出等をすべきだということを再三にわたって申し上げておりますが、当然、そういったことになれば、いろいろな風評被害とか何かというのはありますので、社会的、政治的な判断が、漁業者等とのネゴシエーションが必要になるということは理解しておりますが、廃止措置を進める上では、やはり処理した水を規制基準以下になったら捨てるということをしていかないと、継続的な廃止措置がなかなか進まないということを私自身は大変懸念しております。

 そのほか、現在、タンクを広範囲に、ほぼ敷地も空き地がなくなりつつあるぐらいタンクを設置しておりまして、その影響もありまして、伐採した樹木とか瓦れき、あるいは廃止に伴っていろいろな、さまざまな廃棄物が出てきております。こういった廃棄物については、きちっと処理して、長期に安全に保管できるような対策を進めていただきたいということが当面の大きな課題であります。

 デブリの問題が、炉心の中で溶けた燃料の取り出しの問題がよく話題になりますけれども、これはまず、今の段階で、私どもとしては、どういった状況で溶けているのか、どういう状況にあるのかということを調べることが先で、どういった方法で取り出すかどうかというところまで決められるような状況ではないと思っています。

 事故から五年余りたちまして相当冷却も進んでおりますので、緊急にデブリから大きな危険が生じるというふうには判断しておりませんので、そういった点は着実に進めていけばよろしいというふうに判断しております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 まさに、汚染水対策、コントロールはされているものの、処理水のその後の処理の問題と、あと燃料デブリ、これは、計画というよりも、実態をまずきちっと把握することが必要だというふうな認識であるということがよくわかりました。

 そんな中で、実際にこの作業を進めていくのは経済産業省であり東京電力であるわけでございますが、まず、福島第一原発の一号機から三号機の使用済み燃料プールからの燃料棒の取り出し、そこもきちっと処理をしないと、なかなかその先に進まないと思うわけでございますけれども、その現状の取り組み状況と見通しについてお聞かせ願えますでしょうか。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 使用済み燃料プールからの燃料の取り出しでございますけれども、これはまず四号機について、二〇一四年の十二月に、千五百三十三体の全ての燃料の取り出し、これが無事に完了してございます。その後、現在の中長期ロードマップに基づきまして、一号から三号機について、ダストの飛散防止あるいは作業員の被曝低減など安全、安心対策を実施しながら、燃料取り出しに向けた準備を進めているところでございます。

 具体的には、まず一号機につきましては、先月、震災後、建屋を覆っておりました壁パネルというものがございますけれども、これの取り外しを完了し、現在、瓦れきの積み重なった建屋上部の詳細な調査を実施しております。調査結果を踏まえまして、本格的な瓦れき撤去に向けた準備というものを進めていきたいというふうに考えております。

 それから、二号機につきましては、新しい燃料取り出し設備、これの設置へ向けて、建屋の上部を全面解体する予定でございます。現在、解体工事の準備を行っているところでございます。

 三号機につきましては、建屋上部にございました瓦れきの撤去あるいは除染作業は既に完了いたしました。年内には線量を低減させる遮蔽体などを敷き詰める作業を終えまして、年明けにも燃料取り出し設備の設置作業、これに着手する予定でございます。

 引き続き、安全確保を最優先にいたしまして、地元の皆様の御理解を得ながら着実に進めてまいりたいと考えております。

輿水委員 燃料棒の方は着実に作業が進められている中でも、やはり何かが起こると大変なことになると思いますので、慎重な作業をお願いできればと思います。

 続きまして、先ほどお話がありましたデブリの問題なんですけれども、やはりそこの調査を進めることが必要だということで御指摘がございましたが、その調査に向けての取り組みの状況についてお聞かせ願えますでしょうか。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 燃料デブリの取り出しにつきましては、これはもちろん、安全そして確実に行う必要がございます。

 このため、まずは、先ほど田中委員長からも御指摘がございましたように、原子炉あるいは格納容器の内部状況を可能な限り調査、把握することにしております。

 このため、これまでに、一号機において、ロボットを格納容器内部に投入いたしまして、内部の画像、放射線量、温度等の情報を取得いたしております。また、一号機及び二号機において、透過力の強い素粒子というものを利用いたしました透視技術による炉内調査というものを行っております。こうした形で内部状況の把握に現在努めてきているところでございます。

 今後、一号から三号機の全てにおきまして、遠隔操作ロボットを投入し、順次調査を進めていくことにしております。

 こうした調査の結果も踏まえ、来年の夏ごろを目途に、号機ごとの燃料デブリ取り出し方針、これを決定したいというように考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 本当にどういう状況になっているかわからない、また相当厳しい状況が予想される、そういった現場の中にありまして、やはり、作業も十分注意をされることと同時に、国内外の英知を結集していただき、適切にその調査を進められることをまず望むものでございます。

 それでは次に、先ほどお話にありました汚染水対策なんですけれども、汚染水対策といえば凍土壁ということで今政府が取り組まれているんですけれども、その凍土壁の状況と今後の見通しにつきましてお聞かせ願えますでしょうか。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 凍土壁の状況と見通しでございます。

 本年三月末から凍結を開始いたしました凍土壁、海側につきましては、十月に地中部分の凍結、これが完了したところでございます。護岸エリアからの地下水のくみ上げ量、これも減少傾向を示しておりますので、現在、遮水効果を慎重に見きわめているところでございます。

 山側につきましては、建屋内の水位と建屋周辺の地下水位、これが逆転が起こらないようにしっかりと管理しながら凍結を進めているという状況でございます。具体的には、凍土壁の内側の水位を急激に低下させないように、七カ所の未凍結箇所というものを残した対応をとっておりました。うち二カ所につきましては、原子力規制委員会から凍結を認可されまして、十二月の三日から凍結を開始したところでございます。

 今後、原子力規制委員会の認可を得まして、山側の残り五カ所の凍結、こういったものを完了することで、凍土壁による遮水効果が発揮されていくということを期待している状況でございます。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 まさに凍土壁、当初は、どうなるのか、きちっとした機能を果たすのか、そういう課題もあったんですけれども、今のお話の中で、その機能をきちっと果たしながらも、規制委員会の指導のもとに、しっかりと水位を保ちながら今コントロールがされているということがわかりました。

 その上で、先ほど田中委員長からお話がありましたとおり、多核種除去設備等で処理した処理水、一定の基準以下のものなんですけれども、やはりいろいろな課題がある、それを今後きちっと処理する方向性もつけなければ、敷地もいっぱいになってしまうし、その後の見通しがつかないということでございましたが、この今後の取り扱いの見通しについて、経済産業省というか現場の方はどのように考えているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 多核種除去設備等で浄化処理をした水の取り扱いにつきましては、これはやはり非常に重要な課題だというように認識をしております。

 原子力災害対策本部の汚染水処理対策委員会のもとに設置いたしましたトリチウム水タスクフォースにおきまして、本年六月までにさまざまな選択肢を検討してまいりました。主に五つの選択肢についての技術的な評価結果を取りまとめたところでございます。

 これはあくまで技術的な評価結果でございますので、さらにその上で、本年九月、同委員会のもとに、多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会というものを新たに設置いたしまして、十一月十一日から議論を開始しているところでございます。この小委員会では、技術的な観点に加えまして、風評被害などの社会的な観点も含めて総合的に検討したいというように考えております。

 今後、地元の方々、あるいはさまざまな専門家の御意見を丁寧にお伺いしながら、処理水の長期的取り扱い、その決定に向けてしっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 ただいま、多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会ということで、今後検討が進められるということで、地元、現場の意見、総合的に配慮をしていただきながら結論を慎重に出していただければ、このように思いますので、よろしくお願いいたします。

 さて、こういった中で、先ほど委員長よりもございましたけれども、廃炉というのは非常に時間がかかる、また、そこの対策というものは中長期的な展望に立ってきっちり進めなければいけない、そういう課題であるわけでございます。

 そんな中で、やはりその主体としてしっかり最後まで責任を持たなければいけないのが東京電力ということでございまして、責任を持ってこういった作業、終わるまできちっとなし遂げる、そういった意味では、事業の運営のあり方も含めた改革も必要だと考えますけれども、その点の見通しについてお聞かせ願えますでしょうか。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 福島第一原子力発電所の事故の収束、それから福島の復興をなし遂げる、これは震災後のエネルギー政策の原点でございます。しかし、事故から五年半を経過した今も避難指示は続いております。また、事故収束も道半ばにあるという状況でございます。一方、賠償あるいは除染など、事故に伴う費用は増大傾向にございまして、東京電力の競争力確保は加えまして途上にあるという状況でございます。これらを放置すれば、事故の収束あるいは福島の復興の歩みというものが滞りかねないという懸念を持っております。

 この課題にしっかりとした解を見出すために、この十月から、東京電力改革・一F問題委員会というものを経済産業省で設置をいたしまして、議論を進めているところでございます。

 この委員会では、東京電力が福島への責任と電力自由化の中での競争とを両立させること、それから、原発事故を起こした東京電力が原子力事業を継続させ、国有化を卒業し早期に自立するためにいかなる東電改革を行うべきかについて、有識者に検討いただいているところでございます。

 まだ引き続き議論が続いている状況でございますけれども、福島の安心、それから国民の納得、それから気概に満ちた現場を実現する東電改革の提言にぜひつなげていただきたいというように考えております。

輿水委員 ありがとうございます。しっかりとこういった責任を果たせるように、東電の改革につきましても取り組みをよろしくお願いを申し上げます。

 最後の質問になるかと思うんですけれども、今原子力発電はとまっている状況でございまして、そのために、石炭火力発電が一気に、急激にふえて、これからも多くの計画されているものもあるわけでございます。また一方、我が国も、二〇三〇年度には二〇一三年度比で二六%のCO2の削減、そういった目標も掲げてしっかりと取り組まなければならない。

 このような状況にある中で、こういった総合的な現実、現状をしっかり見定めた上で、このCO2の削減への取り組みのあり方、また、総合的にさまざまな機関と連携しながら考える、そういった大事なときでもあると思うんですけれども、環境省の見解についてお聞かせ願えますでしょうか。

鎌形政府参考人 CO2削減に関してのお尋ねでございます。

 電力部門の温暖化対策につきましては、ことし五月に閣議決定いたしました地球温暖化対策計画に基づき、再生可能エネルギーの最大限の導入や徹底した省エネルギーの推進に取り組んでいくということとしてございます。

 御指摘の石炭火力につきましては、石炭火力の新増設が制約なく進むと国の削減目標の達成が危ぶまれる、こういう状況だと考えてございます。

 このため、ことし二月に、環境、経産両大臣の合意に基づきまして、引き続き、電力業界の自主的枠組みの実効性、透明性の向上を促すとともに、省エネ法やエネルギー供給構造高度化法に基づく基準の設定、運用の強化などの政策的対応を行うことにより、電力業界全体の取り組みの実効性を確保することとしてございます。

 また、こうした取り組みが継続的に実効を上げているかどうか、これを毎年度、進捗状況をレビューするということとしてございます。目標が達成できないと判断された場合には施策の見直し等について検討する、こういうこととしてございます。

 こうした取り組みを通じまして、環境省として、我が国の削減目標の達成に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。

輿水委員 本当に一つ一つの問題が難しくて、また、非常にさまざまな関係性というか課題を抱えているとは思うんですけれども、そういったものを丁寧に、慎重に、そして確実に進めていただければと思います。

 大変にありがとうございました。以上で終わります。

三原委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 民進党の阿部知子です。

 本日は、三原委員長初め与野党筆頭理事の熱心なお取り組みで本委員会が開かれましたこと、心から私は感謝を申し上げたいと思いますし、また、先ほど来、田中委員長が日ごろから多様な業務に携わられて非常に御尽力いただいていることにも感謝申し上げたいと思います。

 あわせて、経産省からは高木副大臣にお越しをいただきました。高木副大臣には後半の質問をお願いしたいと思います。

 まず冒頭、田中委員長にお伺いをいたします。

 実は、十一月の二十二日に、ちょうどその日は福島県と茨城県でマグニチュード七・三の地震がございまして、津波も心配されている中、東京電力の福島第二原発の三号炉で冷却ポンプがとまるという出来事がございました。

 私は、十一月二十二日にそのことを取り上げさせていただきまして、当初の東電発表に基づいて質問をしたわけですが、プールの水温が二十八・七から一時間半余りで二十九・五となっているという発表がございましたので、予測されるより温度上昇が早いではないかというふうに質疑をいたしました。

 委員長にあっては、私の質問に対して、先生がどこで入手された情報かはわかりませんけれども、あるいは誤解を招くような報道があったのではないかというような御指摘を御答弁の中でされました。

 お手元に私が三つ資料をつけさせていただいておりますが、いずれも東電のホームページのものが二枚と、そして規制委員会のものからが一枚でございまして、私は、これらをもとに質問をさせていただいたものであります。

 ところが、その後、足立委員等々が、私の質問について、デマで、あるいは誤った情報で質問したというふうに大々的に取り上げていただきまして、議事録も残っておりまして、私としては、デマでも何でもない、東京電力の公式な発表に基づいたものである、このことは私の名誉のために言っておかないとならないと思いまして、前半、お時間をいただきます。

 まず、委員長に三つ確認をしたいと思います。

 お手元の資料にあるように、最終的に、測定場所の違いによって温度の誤差が出たという御発表があったのは、私の質問が終わった後の十六時四十分の規制委員会のホームページであるという点と、そして、御答弁の際に、冷却水二十八・七並びに二十九・五という水温が東電の発表であるということは委員長は御存じであったはずでありまして、これが二点目です。そして、最終的には、原子力規制庁も、御自身がまずこの水温の発表に疑問を持たれて、東電側に確認をされて、東電から訂正が発表されたというふうに私は理解しておりますが、この三点、事実確認、イエス・オア・ノーでお願いします。

田中政府特別補佐人 私が十一月二十二日の本委員会で阿部先生からの御質問を受けた時点では、東京電力がそういう発表をしているということはわかりませんでした。承知しておりませんでした。

 ただ、こちらに来る前に、〇・二度程度の温度上昇だから一週間ぐらいはもつということについては聞いておりましたので、それならそんなに心配することはないなということでここに参りましたけれども、そういった御指摘がありました。

 私がそういう情報をきちっと捉えていなかったということの不明についてはおわび申し上げたいと思います。

 結局、その後、先生の御質問もありましたし、私もちょっと気になりましたので調べてみましたら、やはり東京電力から、先生御指摘のような発表が当初なされました。

 その後、違った場所ではかっていてそういうことになったということはここでもお答え申し上げましたけれども、そのことについて東京電力は誤った情報を出してしまったということですので、それについてはきちっと注意をしまして、訂正を求め、その情報に基づいて、規制委員会の方の、規制庁の方のホームページにも掲載させていただいております。

阿部委員 委員長から謝罪をしていただきましたので、私は別に、これだけ頑張っておられる委員長を責めたいのではなくて、やはり東電発表というものが国民に与える影響の大きさですね。特に、事故の後は、水温がどうかとか使用済み燃料プールの状況というのは、国民も瞬間的に四号炉の問題を思い起こしますので、慎重なるが上にも慎重に、また、東電の発表もきちんと、測定する場所も同じにして発表していただかないと混乱を来します。

 委員長が善処していただきましたので、その後正しい報道になったことというのは、規制庁のお仕事としてありがたく受けとめております。

 そして、これからの、今後のこともございまして、ぜひ委員長のお考えをお伺いしたいんですけれども、使用済み燃料プールの持つ危険性というものは、東京電力福島第一原発事故の四号炉の問題でも、NRCからも一番先に指摘をされておりました。

 我が国では、今、使用済み燃料プールにおいて、一部は、ドライキャスク、ある程度粗熱がとれればというか、低下してくれば乾式貯蔵に変えてございますし、またそういう国も幾つかあると思います。

 特に、使用済み燃料が多くて、リラッキング、積みかえをしていくような場合は、やはり、非常に水の漏れ出てしまう、揺れて出るなどの影響も、なかなか私は予測しがたいものがあると思うので、委員長にあっては、今後の汚染水プール管理において、原子力規制庁としての基本的な方向性、認識などあれば、お願いをいたします。

田中政府特別補佐人 初めにお断りしなければいけないのは、プールに使用済み燃料を貯蔵するということについては、規制上許されていることです。ただ、一Fの事故の反省を踏まえれば、やはり、プールに無限に、無限にというのはちょっと語弊があるかもしれませんが、多くの使用済み燃料を貯蔵しておくというのは、潜在的リスクが大きくなるということが明らかになりました。

 一般的に、国際的に見ても、ある程度冷却が、原子炉から取り出した使用済み燃料は、五年から七年ぐらいたてば、乾式容器に入れてサイト内に貯蔵しておくというような方策がとられております。

 今回の一F事故でも、東京電力は、一部乾式容器に入れてあった燃料があります。建物は相当むちゃくちゃに壊れましたけれども、乾式容器の中に入っている使用済み燃料は、容器も含めて健全であったということが確認されておりますので、私自身が先日も規制委員会の中で規制庁の方に検討をお願いしましたけれども、できるだけ乾式容器に入れてサイト内に貯蔵できるような方法を検討していただくようお願いしたところであります。

 ただし、乾式容器に入れてサイト内に貯蔵することについては、地元も、そのままになるのではないかというような御懸念もあって、なかなかそういった点での難しさはありますけれども、よりよい安全を求めるという観点からは、乾式容器に入れる方がよいというふうに考えております。

阿部委員 今、委員長は災害などにおける安全性の問題で御指摘いただきましたが、同時に、テロとかいろいろな問題があるかもしれませんし、ぜひまたお地元の、受け入れてくださっている地域住民の皆さんにもいろいろお話をこれからいただきまして、より安全な管理ということでお願いをしたいと思います。ありがとうございます。

 では、引き続いて、高木経産副大臣にお伺いをいたします。

 けさの新聞は一斉に、東京電力福島第一原発事故の事故費用の見積もりがこれまでの倍近くに膨れ上がっておるという報道、各社ございましたと思います。この間、私は、先回この委員会でも取り上げさせていただきましたが、廃炉にしろ、除染にしろ、賠償にしろ、費用がかさみ、それをどのような形で負担していくのかということは、まず国民論議でなければならない。起きた事故自身は責任は東電にございますけれども、全体、巨額ですので、どのような形でこれを乗り越えていくかということは、国民の合意のもとで運ばねばならないと思っております。

 副大臣にあっては、本日発表の経産省からの数値ということで、まだ公式発表ではないのかもしれませんが、新聞紙上に言われております、二十一・五兆あるいは二十二兆という数値だけががさっとつかみで出ておりますが、これを今後どのような形で国民に伝え、事故が起きて、十分な賠償がこれでできるのかなどについて、どう運んでいくのかということについての経産省としてのお考えをお願いします。

高木副大臣 今御指摘いただきましたように、本日、けさ開催されました東京電力改革・一F問題委員会におきまして、復興加速化の観点から必要となる制度の整備、また資金の確保に資するように、福島第一原発事故に係る賠償、また、除染、中間貯蔵施設事業の費用の見込みについてお示しをさせていただきました。

 具体的には、被災者、被災企業に対する賠償ということで約八兆円、除染、中間貯蔵施設事業で約六兆円を見込んでおります。

 また、福島第一原発の廃炉に要する資金につきまして、現時点では、燃料デブリ取り出し工法が決まっておらず、合理的な見積もりはなかなか困難ではございますけれども、同委員会の中で、原賠機構の提出した資料において、有識者が、現時点で得られる福島第一原発事故の情報をもとに、過去の事例、これはスリーマイル等を参考にしておりますけれども、一定の仮定を置いた上で機械的に算出した結果、約八兆円と示されたというふうに承知をしております。

 その上で、今、国民議論というふうな御指摘もございました。やはりこれだけの巨額のお金でございますので、まずはこの東電委員会でしっかりと議論を進めていただいて、その中で提示をさせていただいた上で、最終的な決定をさせていただきたいと考えております。

阿部委員 東電委員会は基本的に非公開ですし、会議の後、数値が発表されたりはいたしておりますが、国民的には確認するすべがないわけであります。

 それのみならず、例えば今副大臣が御答弁いただいた数々の数値を、結局、どこからどなたに何を負担していただくかというときに、託送料金、これから電気をどなたの御家庭にも企業にも送りますが、その託送料金に上乗せしようというようなお話がもう既に先行して出ているんだと思います。確かに、国民から見ても、今までの言っている額ではおさまるまいなとは思います。こんなにかかるんだ、では、電気を使っているあなたたちねと言われても、これは到底納得できない。

 ちょうど、おとといになりますでしょうか、私ども、原発をゼロにするための政策提言をしている議員の会でも記者会見をやらせていただきまして、原子力基本法においても、自主、民主、公開、公開というところは非常に大事で、民主とは国民をきちんと入れ込んで論議しなければならないということですので、今回発表された今の数値がどこで検証され、そのどこで国民がかかわれるのかということも、今後しっかりと経産の中でも御検討をいただきたい。

 私は、国会にそういう場が実はほとんどないんだと思います。復興関係の会議の中でももちろん扱えるかもしれませんが、これは電力総体の、今後の日本の産業もかかわってまいります。また、賠償には将来の医療もかかわってくるかもしれません。本当はこういう東電問題の特別な委員会なりエネルギー特別委員会なりがふさわしく、きょうは三原委員長の御高配で、先回もそうですが、この場で取り上げさせていただいていますが、国民が多くこのことを理解し、どのような形で納得していくのかというプロセスについて、もう一回お願いいたします。

高木副大臣 委員の御指摘のことは至極もっともなことだと私も認識をしております。

 私も、この経産副大臣、そしてまた原子力災害の現地対策本部長に就任して三年目に入りました。福島にこれまで百九十五日通っておりますけれども、その中で感じたことは、例えば賠償一つとってみてもそれぞれ事情が違うなと。やはり、それぞれの被災者の皆様方に寄り添ってこの賠償の問題も解決しなきゃいけない。一方で、廃炉と汚染水の問題。これも、オンサイトの中も私も十回入らせていただきました。凍土壁の問題、または廃炉、デブリの取り出しということでさまざまな試みをさせていただいておりまして、やはり、今まで想定した以上の経費がかかることは事実だと思います。

 そういった中で、どれだけかかる、または、それをどうやって負担していただくかということについて、今、東電委員会の中で議論はしていただいておりますが、最終的には、委員御指摘のように国民の理解を得なければそれは実行できませんので、やはりまたこの委員会等でも、そういった問題、最終案という形で取りまとめた場合にはいろいろな形で御議論をいただく、そういう場面が出てくるであろうと思いますし、私たち経産省としても、やはりここのところは、ただ単なる、委員会で決定したから、ではそれで終わりですというふうな認識も持っておりません。やはり、一つ一つ丁寧に御説明をしながら、そして理解を得ていくという努力を最大限してまいりたいと思います。

阿部委員 私が改めて今の点を指摘させていただきますのは、前回も本委員会で取り上げさせていただきましたが、今後の費用のみならず、現状においても費用は多く国民が負担しております。それを私が整理したものを前回資料提出させていただいて、きょう、お手元の資料の六でございますが、これだって、ほとんどの国民は、ああ、今、電気料金に加わっているのね、あるいは、特に除染など国が立てかえているのね、いろいろな形の隠れた負担になっております。

 私は前回、井原政務官に、私が整理したこれでよいか、よければ、これの現状の額、既にですよ、これからじゃなくて、既にどれだけがここで費用発生しているか、項立てをして区分立てして国民に説明してほしいと申し上げましたが、これについてもいつごろ出していただけましょうか。

高木副大臣 今提出していただいているこの資料、また、前回これをもとに御質問されたというふうに伺っておりますけれども、今現在、例えば原賠・廃炉機構は交付国債を通じてやっております。これらについては、まだ、東京電力は長期の期間でもってこれを返済するということになっておりますので、現時点でどれだけかかっているかということについては、今御指摘をいただきましたので、なるべく精査をしながら御提示できれば、このように考えております。

阿部委員 ぜひお願いしたいと思います。

 先ほど申し上げましたように、今後託送料金に乗るというのは電力自由化の本旨からも外れておるということを申し上げましたが、既に計画の中でも、託送料金にという項目が余りに多過ぎます。これもお手元に資料をつけさせていただいたので、後ほど資料の四、五などを見ていただければと思います。

 そして、もう一つきょうは、これだけはちょっと、だけはというか、どれもやめていただきたいですが、この問題はどうかということで、いわゆる、今、電力業界、特に東電以外の電力業界が、起きました東京電力事故に対して一般負担金という形で賠償のための費用を負担しております。今後電力が自由化されました場合に、これがどのような形で電力会社が負担金を持っていくのかということも含めて、実は、これまで十分に総括原価方式の中で価格に転嫁してこなかった、事故があることを想定してこなかった過去分というものが発生をしております。

 お手元の資料七ページに「「過去分」のイメージ」という図がありますが、二〇一一年から二〇一六年、これは、この期間には今の原子力賠償機構法ができまして、今のような電力会社の負担の仕組みができましたが、それ以前というのは、残念ながら、事故はないという想定でありましたので、その分電力料金を安くして売っておった。ところが、事故があったら、足りない、どこからお金を取ろうか。もう既に売ってしまった人からは、本当はもっと高かったともう一回取るわけにもいかないだろうと言われて、では、これから電気を使う人に過去分を、未来の人に過去分を押しつけようという考え方であります。

 私は、電力料金を安く設定してきた、それで十分だと思ってきた国の責任、あるいは、東京電力を含めて株主などはその上がった利益で配当を受けてきた、企業が栄えてきた。まずはお金を出すべきはそうした部分ではないか。未来に乗せたら、責任が曖昧になると思います。一億総ざんげみたいなものになってしまいます。

 誰が責任があってこういう制度で来たのか。誰が安全神話の、国民全部といえばそうなのです、でも、やはりそれのもとに料金がつくられ今日まで来て、足りないからといって先に乗せるというのはいかがなものかと思いますが、高木副大臣の御見識を伺います。

高木副大臣 これは委員御存じだと思いますが、今回の廃炉と、さらには除染、または中間貯蔵、そして賠償、これはやらざるを得ないということの認識は共通していると思います。

 その負担をどういうふうにするか。お金が天から降ってくれば全然問題ないんですが、また、東京電力がまず第一義的に責任をとらなければいけないというのはもっともであります。しかし、ここで東電が破綻をしてしまう、そうしますと、その負担は全部国民負担ということになるのは当然であります。税金でやらざるを得ない。

 しかし、ここのところは、さまざまな議論がある中で、東電委員会でも一案、二案、三案、四案というふうに示しました。なるべく負担を減らしていこうじゃないか、こういう考え方のもとに今回は議論が進められているというふうに認識をしております。

 その一方で、御指摘もありましたように、一F、第一原発の事故において、政府及び原子力事業者、いわゆる安全神話に陥って十分な過酷事故への対応ができず、あのような悲惨な事態を防ぐことができなかったことへ深い反省をいっときたりとも忘れてはならないと私たちは思っております。

 そういった部分で、この審議会で今議論されているのは、福島事故以前には、原賠法第十六条に基づく国の措置を具体化するものとして機構法を整備していなかった事実を踏まえた上で、自由化が進展する環境のもとにおいて、受益者間の公平性等の観点から、負担のあり方をどのように考えるかについて検討を行っている。これは前回、井原政務官も答えたと思います。

 回収する額について、必ずしも過去分の全額ということではなくて、委員の御指摘のような責任のあり方等を総合的に勘案して検討していく必要があるとも考えております。

 いずれにせよ、現時点で何らかの方針がこれで決まったわけではございませんので、外部の有識者の意見をいただきながら徹底的に検討した上で、やはり最後は国民が納得をしていただくような解決策を見出していくべき、このように考えております。

阿部委員 国民は、新電力といって、原発以外の再生可能エネルギーなどを使った場合も、送電線を使ったというので託送料金で上乗せして、いや応なく取られてしまうという構造をとっておりますので、この託送料金問題は、またきっちりと論議の場を設けていただきたいと思います。

 いただきました時間が終わりますので、最後に委員長にお願いがございますが、前回のこの委員会の足立委員の質疑の中のデマという言葉は削っていただきたい。議事録訂正をしていただきたい。デマでも何でもなく、東電の発表でございますので、よろしく御検討のほどお願い申し上げて、終わらせていただきます。

三原委員長 理事会で話をして、正しい方向に持っていきましょう。

 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 おはようございます。民進党の初鹿明博です。

 きょうは、質問をする機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私がきょう取り上げさせていただくのは、皆さんのお手元に東京新聞の記事を配付させていただいておりますが、日本の国内ではそれほど報じられていないんですが、今、フランスの原子力政策は非常に混乱をしているというか、大変厳しい状況になっております。

 こちらに記事を載せておりますので、ごらんになっていただきたいんですけれども、二〇一四年に問題が発覚するわけですけれども、二〇一四年に、原子炉容器の一部の部品で強度不足がある、そういうことがわかって、調べていったところ、クルゾ・フォルジュという会社の鋼材の中に強度不足がある可能性があるということで、フランスの原子力安全局、ASNが調査を指示していき、この強度不足の疑いのある部品が使われている原発が二十基程度あるということがわかって、停止をしてそれを調べていくということが行われているということであります。

 そして、その中には、我が国のメーカーであります日本鋳鍛鋼のつくった部品も含まれているということで、フランスの安全局からも我が国の原発に対して懸念をするような、そういう指摘もされてきているということであります。

 ここでまず、委員長にちょっと確認をさせていただきたいんですけれども、今回、稼働中の原発をとめてまでフランスは調査をしているんですね。その結果、電力の値段も上がっている。かなり国民に対して負担をかけるようなことまでして調査をしている。それだけ重大な問題だという認識なんですよね。

 ここで、今回部品が見つかったところは原子炉の圧力容器、そして、さらに詳しく調べていったところ、蒸気発生器の中でも強度不足ではないかという部品が見つかったということでありました。それぞれクラス1の施設になるということなんですけれども、このクラス1の施設で強度が不足をしているという状況があり、こういう場合に最悪の事態というのはどういう事態が想定されるんでしょうか。

田中政府特別補佐人 今先生の御指摘の強度不足という問題ですけれども、これは、圧力容器とか蒸気発生器に使われている鋼材の中の炭素の濃度が一定レベルを超えると、かたくなって強いんですけれども、もろくなるという性質があります。それで、そういったことで、我が国においても炭素の濃度については規制を設けてコントロールしております。

 一番典型的なもので心配されることは、どうしてそういう基準を設けたかというと、原子炉圧力容器の水が減った場合に緊急炉心冷却というのが働きます。温かいところに冷たい水が入ると、いわゆる急激に冷やされることによって割れやすくなる。粘りが、もろいガラスみたいなものは、やはりそういう温度差が急激にありますと割れるということ、これはPTSというふうに呼んでおるんですけれども、そういったことが心配されます。そういうことのないようにということで、今、炭素の濃度については、我が国、世界じゅうどこでもそうだと思いますが、コントロールされているということでございます。

初鹿委員 つまり、緊急停止をして、温度が急激に下がっていったときに、強度不足があると割れるということですよね。これが、原子炉のまさに中核である圧力容器または蒸気発生器でそういう割れる状態が起こってしまうと、それはもう甚大な事故になる、そういう理解でよろしいわけですよね。このような非常に大きな問題であります。だから、フランスは、五十八基ある原発のうち二十基をとめてまで、現物に当たって調査をしているんですね。

 フランスのASNが調査を行ったということですが、では、誰に対して調査を命じて、どのような調査を行ったのかをお答えいただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

櫻田政府参考人 お答えいたします。

 私ども、フランスの規制機関、ASNとは情報共有をするということでいろいろな情報をいただいておりますが、その中で知り得た範囲で我々が理解したところを御説明いたします。

 今先生御指摘のこの問題については、まず、フランスのASNが昨年の四月に、建設中のフラマンビル三号機という発電所ですけれども、この圧力容器の上ぶたと鏡板、これは圧力容器の底のおわんの部分ですね、の鋼材の中に炭素濃度が基準より高い部分があるということを発表したということであります。

 それから、そのことを踏まえて、さらにフランスの中では調査を広げていったところ、本年六月、フランスの安全機関が、運転中の十八基で用いられている蒸気発生器においても、炭素偏析の問題によって、その鏡板、これも底の部分でございますけれども、の機械的強度が想定より低い可能性があると、これはフランス電力、EDFの報告を受けた、こういう発表がなされたということであります。

 それで、その後、フランスの安全機関では、調査を電力会社に対して求めて、さらに、本年十月には、まだ定期検査に入っていなかった五基の発電所、これはまだ調査が始まっていなかったということでございますけれども、これについても非破壊検査を三カ月以内に行うように指示した、こういうことを聞いております。

 最新の情報ですけれども、十二月五日にASNが行ったプレスリリースを拝見しますと、これまで提出された資料、これは恐らくASNがEDFから聴取したものだと思いますけれども、こういった資料を分析、検討した結果、今後、各プラントごとのチェックは必要ではあるものの、運転再開も認め得る、これは出力九百メガワットの十基についてということでございますけれども、そういうところまで調査、分析が進んだ、こういう発表もなされているということでございます。

初鹿委員 電力会社の方に調査を依頼して、それで、まずは書類でチェックをした後に、疑わしいところについては非破壊検査を行って、現物の、実際にここに設置されているものの調査をしているわけですね。その結果、十基の中の七基ですか、運転の再開はいいということですが、その資料の中にデマンドというのがあって、十三の条件というか要求がされているんです。全部読み上げませんが、その中にも、非破壊検査により亀裂がないか確認をすることというのがあって、現物についてきちんと当たって調査をしているということをまず御確認をしていただきたいんですね。

 その上で、では、この調査をした結果、日本鋳鍛鋼の部品で、フランスの規格の炭素偏析〇・二二%を超えた部品を使っている原発は幾つ判明し、そして、その最大の値はどのくらいの値であったのか、お答えください。

櫻田政府参考人 お答えいたします。

 今先生の御質問は、日本鋳鍛鋼の製品ということでよろしかったでしょうか。(初鹿委員「はい」と呼ぶ)

 日本鋳鍛鋼からフランスに輸出された、今問題になっているのは鍛造品ということだと思いますけれども、鍛造品については、蒸気発生器の鏡板があるということでございまして、全部で三十四ピースを輸出した、こういうことを私どもは承知をしてございます。(初鹿委員「問題があったのは、炭素偏析が超えていた部品は」と呼ぶ)

三原委員長 櫻田部長、問題があったのは。

櫻田政府参考人 お答えいたします。

 これは先ほど御説明したところでもございますが、フランスのASNのお話によれば、日本鋳鍛鋼製のフランス国内で使われている蒸気発生器の鏡板を使用しているのは十二基の原子力発電所であるということを聞いてございます。

初鹿委員 最大の値、幾らかというのをお答えいただいていないんですけれども、時間ももったいないので言いますけれども、トリカスタン原発では〇・三九%という、基準値が〇・二二ですから、〇・三九ですからね、基準値をはるかに上回る数値が出てきているんですね。

 では、それを受けて、我が国でも、この日本鋳鍛鋼の部品を使っている原発が幾つもあります。では、我が国では、日本鋳鍛鋼を初めとする鍛造品を使った部品について調査はしたということですけれども、どのような調査を行ったんでしょうか。

櫻田政府参考人 お答えいたします。

 原子力規制委員会におきましても、フランスにおいてこういう問題が発生しているということを踏まえまして、本年八月二十四日、実用発電用の原子炉の設置者、電力会社に対しまして、原子炉容器等の製造方法、それから製造事業者を調査しろと。それから、調査した結果、鍛造製品の使用が確認されたという場合にあっては、その鍛造製品が、通常、鍛造製品は、各電力会社ともJIS、日本工業規格を用いて濃度を管理してございますので、その規格に定める濃度を上回る炭素濃度の部分があり得るのかどうか、その可能性について評価をして報告するということを求めたということでございます。

初鹿委員 評価をして報告するということですが、その具体的な手法をお答えいただきたいんですよ。

櫻田政府参考人 指示の中では特に具体的にこうしろという指示はしてございませんで、実際に電力会社から提出された報告書を拝見しますと、電力会社がみずから、実際の鋼材をつくった会社等の製造記録などを確認し、また、その会社に対して聴取をし、その結果、電力会社として責任のある評価結果をつくった、こういうふうに判断をしてございます。

初鹿委員 メーカー側の製造記録を調べただけで、現物には直接当たっていない、そういう理解でよろしいわけですね。

櫻田政府参考人 現物というのは、運転中あるいは発電所に設置されているものということだと思いますけれども、そこの製品を分析したということまでは報告にはなされておりません。

初鹿委員 ここがフランスとの大きな違いでありまして、フランスの場合も、電力会社がメーカーに対して、製品をつくったときのデータに当たってそれで確認をしました。しかし、その中で、要は、許可を得るときに出した数値と生のデータが異なるところがあったということで、これはかなりの問題だということで、規則違反だということになり、こちらの方は刑事罰も含めて今調査が進んでいるということであります。そういう、数字だけでは炭素偏析がある可能性を十分に否定できないということで、実際に設置をされている原発、これを運転を停止してまで非破壊検査を行ってきたわけですね。

 それが、我が国では、実際には非破壊検査等を行わずにデータだけで確認をして、メーカー側の主張をそのままそのとおりだということで調査を終えてしまっているんですけれども、私はこれは非常に問題ではないかなというふうに思います。

 場合によっては、メーカー側を信用しないということではありませんけれども、メーカーが出している資料を見ても、最終的には予測値でしかないわけですね。その予測の計算式が本当に正しいかどうかということも、私はやはり現物の、実際に設置されているものを使って確認をする必要があるんじゃないかと思いますが、その点についての御見解をお伺いいたします。

櫻田政府参考人 お答えいたします。

 フランスにおきましても、最初から現物の検査、調査を行ったということではなくて、書類を提出されたものを確認し、その中で炭素偏析の値が規格を上回っているものがあるということが見受けられたので、実際のものを当たろう、そういうふうに判断されたというふうに承知しています。

 私どもも同じプロセスを経ておりまして、メーカーから提出されたものとおっしゃいますけれども、実際に私どもも直接、全部ではありませんけれども、工場に足を運んで、ミルシートのチェックなどもしていますけれども、まさに生データを電力会社が自分の目で確認をし、その結果を踏まえて、あと、それから製造プロセスのマニュアル、工場におけるプロセスを規定するマニュアルとか、そういう製造方法の、品質管理の方法とか、そういったことについても確認をした上で、規格品がそのとおりに製造されていて、規格の濃度を上回る可能性はない、そういう評価をしてきたということでございまして、私どもも、その評価を妥当であるというふうに判定をしたということでございます。

初鹿委員 では、ちょっと伺いますけれども、フランスで、先ほど挙げたトリカスタン原発では〇・三九という、基準をはるかに超えている部品が見つかったわけですけれども、恐らく、規制を通すときには、きちんと〇・二二の範囲内におさまっていたはずですよ。それなのに、実際の原子炉を非破壊検査で確認をしてみたら、〇・三九という数値が発見された。この現象について、どういう御見解をお持ちなんでしょうか。

櫻田政府参考人 フランス国内で今調査が行われているということでございますので、私どもから、フランス国内の発電所においてどういう管理が行われ、その結果、実際に測定された値と乖離が生じたのかというところについての見解を述べるのは差し控えたいと思います。

初鹿委員 私が何が言いたいかというと、製造メーカーが提出をしていたデータのみで判断をしていると、もしかしたら、はかっている場所が変わることによって炭素偏析が見つかっていく可能性も否定できないんじゃないかということです。

 そして、先ほど、炭素偏析の可能性があるようなところは見受けられなかったというような御発言がありましたけれども、皆さんのお手元に配っている資料をちょっと見ていただきたいんですけれども、四枚目、下から三枚目ぐらいを見てください。これは玄海原発の第二号機です。

 モックアップという模造品を比較して、同じつくり方をした、そういう商品を比較して調べていったところ、炭素濃度が〇・二六と出ているんです。JISの規格を基準にしているというお答えがありましたが、JIS規格だと〇・二五ですよね。これは超えているじゃないですか。超えていますよね。

 この前、十一月二十二日の原子力規制委員会の議事録を見ますと、その点についても少し議論になっておりますが、〇・二六と超えているんだから、私は直ちに非破壊検査をして実際の数値を確認するべきだと思いますが、いかがですか。

櫻田政府参考人 お答えいたします。

 JISによる要求値でございますけれども、〇・二五%というのはこの部材に使われている規格なんですけれども、この〇・二五%というのは、鉄をつくる際の最初の段階、溶鋼といいますけれども、鉄が溶けている段階での分析値の基準値でありまして、製品になった後での分析をする際には、溶鋼値と違う値が出ることは通常予想されるので、製品段階で得られた試験片の分析においては、濃度の分析結果について、許容される変動幅というのもまた別に定められております。実際のところは、この変動幅の中で、プラントメーカーが製品の製造メーカーに、この値でおさめてくれ、そういう要求をするというのが実際の工程でございます。

 玄海二号について申し上げれば、このプラントメーカーが定めた要求値は〇・二六%ということであったということで、この値が出ても問題はないというふうに考えてございます。

初鹿委員 メーカーが言えばJISの規格を上回ってもいいというのは、何かおかしな話だなというふうに思うんですね。

 何かプラスマイナス五以内だったらいいというようなことをおっしゃっていたと思うんですけれども、調査の対象にはなっていないんですけれども、九州電力は、廃炉になっている玄海第一も調べているんですね。

 玄海第一、これは、九電の資料によると、ブランク材の炭素濃度が〇・三%と出ています。そして、予測式で確認をしていくと、実際の製品は大体〇・二から〇・三%のいずれかになり得ると推定されているという発表になっているわけですよね。これは間違いないですよね。その上で、九電は何と言っているかというと、玄海一と二は分けて評価しない方がよいと言っているわけです。

 〇・二六はメーカーの要求したとおりだからいいといっても、分けて評価しない方がいいと言っている玄海第一で〇・三という値が出ているんですけれども、これでも非破壊検査をする必要がないとおっしゃるんですか。

櫻田政府参考人 お答えいたします。

 まず、許容される変動幅でございますけれども、これもJISで、規格で定められてございますので、その規格で定められた変動幅というものの中でメーカーが指定する、これが規格品の製造です。

 ただ、規格にも許容範囲がございますので、規格がない場合にはそれを準用してメーカーが設定する、こういう形で進められているということでございますので、メーカーが勝手に定めるということではないということは御理解いただきたいと思います。

 その上で、先生御提出の資料をちょっと使わせていただいて大変恐縮でございますが、提出されている資料の一番最後のページが、今先生がおっしゃった話だと思います。

 右側の真ん中あたりに製造プロセスが記載されてございますけれども、〇・三%という値がとられたのは、ブランク材というところの値でございます。

 ブランク材というのは大まかな成形をしたという状況でございまして、この後、二〇%さらに削り込んでいく、そういう工程を経ることになります。実際にはその後またさらに切削していくということになりますけれども、この〇・三%という値が、ブランク材二〇%を切り取った後なのか切り取る前なのか、ここがちょっとわからないということでございます。

 〇・二から〇・三%という、予測式で得られる推定値が書かれてございますけれども、これは、二〇%削る前なのか後なのかによって、前であれば〇・三%ぐらいにはなるし、削り込んだ後だと〇・二%になるというのが予測式でございますので、〇・三%というのが仮に削る前であれば問題ない、こういうふうに考えてございまして、以上、予測式を使った評価というものも、この結果を見れば整合しているというふうに考えてございますので、非破壊検査まで求める必要はないというふうに考えてございます。

初鹿委員 今答えたとおり、これは、要は切削をする前なのか後なのかわからないわけですよね。これは、削り取る前だったらもっとこの数値が下がっているかもしれないけれども、削り取った後の数値だったら、〇・三なんじゃないですか、〇・三は、超えているんじゃないんですか、JISの規格を。これは本当に、実際はどうだったのか確認する必要があると思いますよ。

 そして、玄海第一の方は廃炉になっているんですよ。廃炉になっているから、今後使う必要がない。つまり、部品を取り出して、実際の部品を破壊した検査も行うことは可能です。

 私は、まずは玄海第二については非破壊検査をきちんとするべきだと思います。そして、玄海第一は、もう廃炉になっているんだから、破壊検査をして、実際に炭素偏析があるのかないのか、そして、メーカーが出している予測値というのが本当に実測値と合っているのかどうかを確認する必要があると思いますが、いかがですか。

櫻田政府参考人 幾つか御質問されたので、順番にお答えいたします。

 まず、玄海一号は、廃炉が決まってございますので、今後使われる必要がないということで、詳しい分析を規制上求める必要は、安全上の観点からはないというふうに考えてございますが、先生御指摘のとおり、廃止措置をするところでございますので、この炭素偏析の問題にかかわらず、さまざま、いろいろデータをとって知見を高める、こういうことに使える価値が大変高いので、規制委員会としても、このプラントを使った研究をぜひ前向きに取り組んでいただきたいというふうに考えて、その旨申し上げているところでございます。

 それから、玄海二号との関係でございますけれども、玄海二号と玄海一号を九州電力は同じような評価方法で整理したということでございますけれども、玄海二号については、実際に製品のデータがとれておりまして、それを見ると、ブランク材の頂部でのデータを見ると〇・二二%という値がとれてございますので、玄海二号については確認する必要はないというふうに考えてございます。

初鹿委員 データがとれているというのは、メーカー側が提出をした資料をもとにとれていると言っているだけであって、後からきちんと調査した結果ではないですよね。私は、改めてもう一回調査をしろということを言っているんですよ、メーカーが出された資料だけを見て、安全だ、安全だと言うのではなくて。

 日本が福島で事故を起こした最大の理由は、安全だ、安全だと言って、そして、津波が来ると言っていたのも、それも大丈夫だと言っていたからこうなったんじゃないんですか。

 この委員会のときにも、更田委員長代理は、玄海一号機は廃炉になるのだから、現物でしっかり調べてどうなっているのかというのを見ることは、これはすぐに他号機にどうこうというものではないけれども、一般則として調査、分析の対象として価値があると思いますと言っているわけですから、私は、直ちに玄海一では破壊検査して、実際に炭素偏析が予測値どおりになっているのか、実測とかけ離れているのかどうか、確認すべきだと思いますよ。そして、やはり玄海第二も、本当のところどうなのかというのは、非破壊検査をするのが必要なんじゃないかというふうに私は思いますよ。

 最後になりますけれども、この前、市民団体とグリーンピースが主催をした会で、そちらにいる担当の方が来ていて、こう言っていたんですよ。規制は、安心という面ではなく、技術的に問題ないことを判断していると。私は、その考え方は間違っていると思いますよ。技術的に問題ないことを確認するのは当然ですけれども、やはり国民にきちんと信頼をされる、信用してもらえるような規制をしていかないと意味がありません。

 やはり国民に安心してもらうということが私は大切だと思いますので、数字上、微妙なラインにあって、どっちなのか判断が分かれるような結果が出ているんだったら、きちんと非破壊検査すればいいじゃないですか。そして、その上で、安全でしたと言えばいいんですよ。委員長、違いますかね。

 私は、ですから、玄海第二のように、微妙な数値が出てきているわけですから、非破壊検査をしていただきたいと思います。そして、廃炉になる玄海第一は破壊検査をして、メーカーが出している予測値がきちんと実測値と合っているのかどうかの確認を早急にしていただきたいと思いますが、委員長の御見解を最後にお伺いして、質問を終わらせていただきます。

田中政府特別補佐人 まず、安心の問題ですけれども、安心というのは信頼との裏返しみたいなものだと思いますので、そのことは、御指摘のとおり、そういう信頼されるような規制をしていかなきゃいけない。ただ、まず基本的には、科学的、技術的に安全であるということを確かめるということが原点でありますので、そのことはやりたい。

 非破壊検査といっても、圧力容器、今一番問題になっているのは頂部なんですね、頂部の、一番頭のところに偏析が出やすいということで。それで、私どもとしても、ベンダー、鋼材メーカー、日本鋳鍛鋼はもちろん、日本製鋼あるいは川崎製鉄、そういうところでどういうつくり方をしているか、どういう判定の仕方をしているか、担当者も現地に行って詳細に調べて判断しております。

 非破壊検査という先生の御指摘ですが、圧力容器というのは放射線のレベルが非常に高いところで、なかなか、本当に信頼できるデータがどうとれるのかということも含めて考えなきゃいけないと思います。

 御指摘のこともありますし、玄海一号炉と二号炉というのは比較的似たようなものですので、一号機の方でどの程度のことができるか。圧力容器の一部を破壊してどの程度やれるかというのは少し難しいところがありますけれども、そういうことを含めて少し検討はしていきたいと思いますが、基本的なところは、今まで私どもとしても、いろいろなメーカー、鋼材メーカーから、その鋼材を使って原子炉をつくるメーカー、それから電力会社という形で全部確認作業をさせていただいて判断しておりますので、基本的には特に問題があるとは思っておりません。

 また、玄海二号炉は今のところとまっておりますので、稼働までにはきちっとした、その点についてももう少し確認を深めていきたいと思います。

初鹿委員 そうなんですよね、玄海第二は今とまっている最中ですから、日本は、フランスと違って、とまっている原発が多いわけですから、再稼働をするということになる前にきちんと調べて、国民の信頼を得て、その後のことを考えていただきたいとお願いをして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

    〔委員長退席、山際委員長代理着席〕

山際委員長代理 次に、菅直人君。

菅(直)委員 まず、来年の三月の末に原発被害で福島から避難されている皆さんに対する住宅支援が打ち切られるという、この問題について御質問したいと思います。

 まずお聞きしたいのは、資料も添えてはおきましたけれども、全国の原発事故避難者のうちで、来年三月末の見通しとして、現時点で、次に行く場所が決まっている、あるいは今いるところにそのままいることができる、あるいはそういうことを含めて、落ちつき先が決まっている人は何人で、逆に言うと、落ちつき先が決まっていない人は何世帯なのか、まずそれを教えてください。

長沢副大臣 お答え申し上げます。

 応急仮設住宅の供与の終了ということのお話だと思いますが、福島県が避難指示区域外からの避難者に実施した第二回戸別訪問、その結果によりますと、本年十一月十五日現在、平成二十九年四月以降の住まいが未確定と回答した世帯数は県内、県外合わせて一千三十八世帯、これは第二回戸別訪問対象世帯の約二割に相当しております。このほか、不在または未訪問の世帯数が県内、県外合わせて千五百九世帯というふうに承知しております。

 なお、住宅、そのうちの種類別の内訳については承知をしておりません。

菅(直)委員 そこで、まず打ち切りなんですが、打ち切りということを決めたのは、責任はどこにあるんですか。

松本副大臣 この応急仮設住宅の供与の打ち切りというお話でありますけれども、そもそも災害救助法による救助は都道府県知事が実施主体として行われ、応急仮設住宅に係るその供与期間につきましては、災害救助法施行令に基づきまして、内閣総理大臣が定める基準において二年以内とされているところではありますが、都道府県知事が内閣総理大臣に協議をし、内閣総理大臣の同意を得て延長することができるというふうにされているものであります。

 東日本大震災における福島県の応急仮設住宅に係る供与期間につきましては、平成二十九年三月末とされていたところではありますけれども、平成二十八年五月三十日付で、福島県知事から内閣総理大臣に対して、特別な事情があるので平成三十年三月末まで延長についての協議があり、平成二十八年六月六日付で供与期間の延長について同意をしたところであります。

    〔山際委員長代理退席、委員長着席〕

菅(直)委員 端的に聞きますが、同意をしたのは総理大臣ですね。ですから、同意をしたということは、打ち切りを決めたのは知事と同時に総理大臣だ、そういう認識でいいんですか。

松本副大臣 都道府県知事が内閣総理大臣に協議をし、内閣総理大臣の同意を得て決めるということであります。

菅(直)委員 だから、総理大臣が同意しなきゃ決められないんでしょう。ということは、総理大臣だけとは言わないけれども、知事と総理大臣が相談して、知事の提案に対して総理大臣が同意した、だから総理大臣もこれを決めた責任がある、そういう認識でいいんですね。

松本副大臣 何度も同じお答えで大変恐縮ですけれども、知事が総理大臣に協議をし、総理大臣が同意をして決めているということであります。

菅(直)委員 なぜこのことを言うかというと、この間、私も直接そういう被害を受けている皆さんから話をいろいろ聞きました、役所からもいろいろ聞きました。これまでは、何か、福島県が決めたんだから、それに沿ってやっているんだという言い方ばかりでした。

 まず、この同意があったことを政府としては公表しましたか。

松本副大臣 同意に関しましては、災害救助法上、公表義務が規定されていないことから、特段の公表は行っておりませんが、福島県は平成二十八年七月十五日に公表し、周知を図っているものと承知しております。

菅(直)委員 政府として、内閣として公表したのかと聞いているんです。

松本副大臣 災害救助法上の公表義務が規定されていないことから、特段の公表は行っておりません。

菅(直)委員 私も多くのいろいろな会議に出ました。必ず各役所が言うのは、福島県のことは言うけれども、総理の同意があったということは言わないんです。つまり、自分たちの責任ではなくて、それは福島県の責任だという言い方で、被災者の人たちにも全部それが行っているんです。しかし、実際には同意という手続があって、やっていながら政府としては公表していない。いわば隠しているんじゃないですか。

 つまり、これにはいろいろなところが絡んでいます。その絡んでいるところがどういう姿勢でこの問題に臨むべきか。これは超党派でつくられた被災者支援法の中で、さらにはそれの基本的な方針の中でもそれぞれ、支援をするようにという姿勢が出ているわけですけれども、しかし、そういう基本方針がありながら、各役所になると、いろいろな手続上の問題を盾にして、いや、もうこれ以上はできないんだ、できないんだと言うわけですね。

 そこで、幾つかの役所にお聞きします。

 まず、雇用促進事業団の雇用促進住宅について、これまでどおり住み続けたい人に対する対応はどうなっていますか。

堀内大臣政務官 お答え申し上げます。

 現在、雇用促進住宅に入居されている原発事故による自主避難者の方々については、本年度末で無償提供期間が終了となりますが、四月以降も、引き続き有償で入居することを可能とさせていただいております。

菅(直)委員 雇用促進事業団は、それ以後も使えるという今のお答えです。私は、非常にいいことだと思います。有償、無償の問題はまたいろいろありますけれども、基本的には使い続けることができる。

 私は、ほかの役所も当然そうすべきだと思うんですが、次を聞いてみましょう。

 国家公務員宿舎について、どういう扱いになっていますか。

三木大臣政務官 お答え申し上げます。

 財務省としまして、応急仮設住宅は、災害救助法にのっとり、被災県の必要性の判断に基づき、被災県からの要請を受けた所在地の地方公共団体が提供しているものと承知いたしております。

 したがって、現在、応急仮設住宅として提供されている国家公務員宿舎の供与の延長についても、災害救助法上、福島県の判断が前提になるというふうに承知いたしております。

菅(直)委員 だから、最初に言ったでしょう、福島県の判断だけじゃないんですよ、これは。総理大臣が判断しているんですよ。さらには、被災者支援法では、できるだけ支援するようにという趣旨が書かれているんですよ。

 今、雇用促進事業団の方はそういうやり方をとっているわけです。なぜできないんですか。福島県のせいにしないでください。内閣の責任として答えてください。

三木大臣政務官 繰り返しになって申しわけございませんが、災害救助法上、福島県の判断が前提になるというふうに承知いたしておりますので、福島県の判断を前提として我々としても考えたいというふうに承知しております。

菅(直)委員 先ほど言ったように、災害救助法の施行令の三条の二項で、各県知事が内閣総理大臣と相談したんですよ。

 私は、きょう朝、私の一週間前の質問主意書に対して答弁をもらいました。この中にちゃんと、答弁書に、総理と平成二十八年六月六日付で同意をしたとあるんですよ。それなのに何ですか、財務省は総理として同意したということを知らなかったというんですか。総理の責任ということは、内閣の責任でしょう。つまり、全てを福島の責任に押しつけているのは間違っているんじゃないですか。もう一回答えてください。

三木大臣政務官 財務省といたしましては、あくまでも法律に基づいて公務員宿舎を応急仮設住宅として提供させていただいておりますので、これはあくまでも、災害救助法上、福島県の要請の方が前提となっておりますので、この福島県の判断を尊重してということになろうかと思います。

菅(直)委員 同じ繰り返しになるので、いかに答弁がいいかげんかということがよくわかりましたので、次の都営住宅。

 東京の場合、都営住宅もかなりこれに提供されている。都議会でもいろいろ議論になっていますが、まず都営住宅について、今後どうなりますか。

末松副大臣 お答えさせていただきます。

 御指摘の福島県からの自主避難者等は、本年九月三十日現在、東京都内の公営住宅に二百三十六世帯が応急仮設住宅として一時入居していると承知をいたしております。

 公営住宅につきましては、住宅に困窮する低所得者に対して低廉な家賃で供給されるものであり、原則として公募により入居することになります。

 国土交通省といたしましては、子ども・被災者支援法の趣旨を踏まえ、自主避難者等の置かれている状況に鑑み、その居住の安定の確保を図る点から、平成二十六年六月に優先入居措置の実施を内容とする公営住宅の入居の円滑化措置を通知しているところでございます。

 具体的には、自主避難者等の住宅に困窮する実情、地域の住宅事情、ストック状況等受け入れ側の実情、両面を総合的に勘案しまして、優先入居の取り扱いを行うことが可能である旨、また、収入要件、住宅困窮要件等について弾力的な運用が可能である旨を通知いたしております。

 東京都におきましては、この通知に基づきまして、自主避難者がもともと住んでおられました福島県と調整をした上で詳細を定め、本年七月及び九月の二回、計三百戸の自主避難者等向けの専用枠を設定しまして、優先入居の募集を行ったと承知をいたしております。

 都営住宅の優先入居につきましては、東京都において適切に判断すべき事柄と考えておりますが、国土交通省といたしましても、復興庁等関係省庁とも協議をしながら、今後とも、子ども・被災者支援法の趣旨が生かされるように努めてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

菅(直)委員 いろいろ努力されていることは私も評価をしているんです。ただ、現実に、先ほど冒頭の話にありましたように、訪問調査で千三十八、約二〇%がまだはっきりしない、まだ会えていない人たちが千五百世帯あるそうですから、合わせれば四〇%を超える人たちが、訪問調査で会えていないということも含めて、はっきりしていないわけですよ。それなのに、あと三カ月ちょっとですよ。

 多くの人は子供を抱えています。場合によったら、場合によったらというか、そのままの同じ場所で住みたい人が多いわけですが、転居が決まったとしても、転校問題があります。中には、たしか都営住宅でしたが、いろいろなルールがあって、十五歳だった人がもう二十になっている、つまり、成人になると母子家庭の枠から外れてしまうから改めての申請ができなくなるとか。

 特に東京都は、広い意味でいえば、福島原発からの電力を受け取って、我々東京都民、私も東京都民ですが、それの利益を享受してきたわけですから、これは東京都議会でも取り上げていますけれども、少なくとも、その間をとる形になっている国交省なり復興庁は、そういう事情を鑑みて、まさに、被災者の立場に寄り添ってという言葉をよく皆さん使われますが、そちらの立場に寄り添って考えてくださいよ。

 それを、今までのしゃくし定規なルールで何とか法ではこうなっていますからと言うだけでは、私は、この問題は三月末には本当に大変なことになると思いますが、もう一回お答えください。

末松副大臣 菅先生のおっしゃる趣旨もよくわかりますし、私も、阪神・淡路大震災のときに、仮設住宅の鍵を返していただいたのは五年半ほどかかったことも記憶をいたしてございます。

 この質問に対しましては、いろいろときのうも省内で議論をいたしまして、とにかく、今先生おっしゃるように、一人世帯あるいは高齢者世帯、小さな子供のいる世帯につきましては、こういったことが条件になっていますけれども、その条件を満たさない方にとっては、五倍の優先倍率によりまして優先入居の募集ができるように、可能にできるように、今そういう施策を講じているところでございます。

 先生の趣旨を真摯に受けとめたいと思っておりますけれども、ぜひ御理解をいただきたいというように思います。

菅(直)委員 いや、本当に、これはお互いが受けとめなきゃいけない問題ですので、今の末松副大臣の答弁、私も、しっかり受けとめていただいていると思っています。

 どうか、ほかの省庁も含めて、つまりは、自然災害の場合は、大体の場合、それでももっと長くかかることもありますが、五年とかたてば何らかの形がとれるわけですが、特に放射能災害というのは、私もチェルノブイリにも行ってきましたが、三十年たったって三十キロ圏の中には一般の人は入れない。そして、みんな心配しているわけですから、特に母親は。そういう自然災害とは違った要素もあることを含めて、きちんと原発に対する被災者支援法の精神にのっとって対応していただきたい、そのことを申し上げて、次の問題に移りたいと思います。

 関係の皆さん、もしあれでしたら、退席していただいても結構です。

 では、次の課題は、きょうは東電の廣瀬社長にお出ましをいただいております。御苦労さまです。

 まず、廣瀬社長がたしか十月五日の第一回の東電委員会に出席をして、東電の債務超過のリスクについて言及したと。その後、記者会見などでも報道されております。

 私は、この社長の見方というのは、ある意味理解できると同時に、大変重要な問題を提起していると思うんです。ですから、そのことについて、残念ながら東電委員会は、せんだっての委員会でも私は言いましたが、この委員会が非公開というのは本当に私はおかしいと思っていますが、少なくとも非公開の席での発言でしたので、まず御本人から、この国会の場で、どういうことを考えられてそういう発言をされたのか、また、これからの東電のあり方について、この問題と関連してどういうふうなことを希望されているのか、お答えください。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 私、先生御指摘のとおり、十月五日の東京電力問題、通称東電委員会で発言をいたしました。その際に、私ども、事故を起こした事業者として、廃炉を、これは時間がかかる廃炉でございますけれども、なるべく国民の皆さんに御迷惑をかけないようにしっかり最後まで完遂していく、そういう覚悟で今後も取り組んでいくというふうに申し上げました。

 私どもとして、廃炉の費用につきましては、現在、合理的に見積もった概算額というのを計上しておりますので、債務超過のリスクはないというふうに思っておりますが、とはいいましても、これは合理的に見積もった概算額でございますので、今後の状況によっては上振れも下振れもする可能性のあるものでございます。万が一上振れをした場合は、私ども、しっかり覚悟を持って最後までやるといいましても、東京電力自身が倒れてしまうというリスクがございますので、そうしたことを踏まえて、そうしたことにならないように制度的な措置をお願いするということを申し上げました。

 今後とも、そうした制度をいただいた上で、しっかり最後まで東京電力として廃炉を完遂してまいりたいというふうな、そういう覚悟で取り組んでまいりたいと思っております。

菅(直)委員 これは第二回の会でしょうか、シナリオが四つ示されていますよね、東電委員会で。その第三には、法的整理ということも入っています。第四に、国民負担とならない形で廃炉に係る資金を東電に確保させる制度を国が用意する、こういうふうにあります。今、多分社長はこのことを言われたんだと思います。

 しかし、東電の一般的な意味での債務、会計処理上じゃありませんよ、もっと言えば東電の負担になると一般的に言われているのは、一Fの廃炉処理、つまり解体処理だけじゃありません。損害賠償、賠償もそれから除染も、基本的には東電が一義的な責任とされています。それらを含めて考えると、今、交付国債を出して、会計処理上、赤字の会計処理をしていないからということを超えて、私は今の経営形態のままでやっていけるとはとても思えないんです。

 そういった意味で、この一F以外の問題を含めて、どういう見通しを持っておられるか、社長にお聞きしたいと思います。

廣瀬参考人 私は東電委員会にオブザーバーとして参加をさせていただいておりまして、その際に配られた資料につきましては言及する立場にございませんけれども、法的整理ということになりますと、今後、賠償や除染さらに廃炉という作業を一体誰が担っていくのかという問題があるのではないかと思っております。私どもは、そうした点について、最後までしっかりやっていくという覚悟を持って取り組んでまいるのは先ほども申し上げたとおりでございます。

 その上で、費用をどうやって賄っていくかということだと思いますが、御存じのとおり、廃炉は三十年、四十年かかってやる作業でございますので、廃炉の額そのものは大きくなったとしても、毎年毎年どれだけの費用をちゃんと捻出していくかということが課題だと思っておりますので、賠償や除染の費用も含めて、毎年しっかりとした私どもの努力でそれを賄っていく、そういう覚悟で今後ともやってまいりたいと思っております。

菅(直)委員 覚悟はいいんです。その見通しを聞いているんです。

 今、東電の責任体制、私も、ああ、なるほどと、この間から説明を聞きながら、こんな複雑になっているのかということを少し改めて知りました。たしか、私の理解が間違っていなければ、東電ホールディングス、持ち株会社が直接対応しているのが原発事業とそれから一Fの廃炉。一Fの廃炉ですよね、一般廃炉じゃないですよね。そして、あとは三社に分社化した、つまり、原発を除く発電事業会社と送配電会社とそれから小売会社。そして、それぞれが全部負担を抱えているんですよ。

 覚悟では済まないのがもう五年半たってわかったから、逆に言うと、この東電委員会ができ、あるいは一方では貫徹何とか委員会ができて、よくも悪くも経産省が踏み込み始めたわけです。

 改めてお聞きします。

 これはやはり、当事者である廣瀬社長も、覚悟だけ言ってだめだから債務超過のことを触れられたんでしょう。しかし、その債務超過のことは、会計処理上は今のところ、一Fの事故が起きた原発の費用だけのことをこのシナリオ四でも言われているわけですよ。しかし、実際に東電が費用をかぶらなきゃいけないものはそれをはるかに超えていることは明らかです。

 例えば株の値上がり益を充てることになっているたしか除染でしたか何とかも、破綻処理をすれば株価ゼロですからね。今国が出している一兆円はパアですから。しかし、場合によったらそういうことも含めて、責任体制と事業の遂行体制と管理体制を含めてどういうふうにするかということなんです。

 一つだけ私の多少の経験を言いますと、かつて金融国会、金融危機があったときに、グッドバンクとバッドバンクに分けて、一部の銀行を国有化したことがあります。

 そろそろ、東電の会計処理上のつじつまを合わせるために何かをやるのではなくて、本当にこれから三十年、下手をしたら五十年、チェルノブイリの例でいえば、あの四号機の上にでかいシールドをかぶせて、百年そのままじっと待とうと言っているんですよ。私は、一Fも、先ほども幾つか議論がありましたけれども、とても数十年ではいかないだろうと思っておりますから。

 もう一度聞きます。そういう長期的な展望を含めて、当事者である東電として、何かこういう覚悟だけでやれると思っているんですか。もっと本質的な改革が必要だ、場合によったら解体的改革が必要だと私は思いますが、いかがですか。

廣瀬参考人 まさにそうした問題を今東電委員会で御議論いただいているところでございます。

 もちろん覚悟だけで巨額の費用を賄っていけるということではございませんけれども、それを毎年毎年、私どものコストダウンや収支の改善で賄っていこうというのが私どもの今のシナリオでございます。それについて、それの実現性や額の多寡、可能性について、今その委員会の方で議論していただいているというふうに認識しております。

菅(直)委員 時間もそろそろですので最後にしますが、私は、責任をとって破綻処理をしろという、単純にそういうことを言っているのではないんです。

 そうではなくて、もう一Fの事故を起こした原発の廃炉処理というのは、一般の電力会社が担うにはとてもとても担い切れないような内容を持っている。チェルノブイリの例を見てもそうですけれども。そういう状況の中で、電力会社は電力会社としてきちんと、ある意味健全な電力会社として生き残る、最近報道でも出ておりますが、普通の原発についても、それは場合によったら分社化とかということも出ておりますが、いい悪いは別としてそういう考え方をする。場合によったら、一Fについては特別な機関を、多くのメンバーは東電から出ていかれるかもしれませんが、つくって、きちんと最終的には国が責任を持つ。

 ただ、責任を持つということは、費用を全部国民に負担させるということではなくて、例えば、東電が将来、送電網を発送電分離で売却するような場合に、その費用はそういったものに振り向ける、そういう大きな絵柄が必要ではないか。

 最後に、せっかくおられますから、経産副大臣に見解を聞いて質問を終わりたいと思います。

高木副大臣 一つ、今、菅委員のお話は、考え方だと思います。

 そういった中で、まさに五年九カ月が過ぎて、廃炉そして汚染水問題、さらには除染、賠償、中間貯蔵の問題、これらの現実をしっかりと認識しながら、費用がふえているのは確かでございますので、その点については、今、東電委員会でしっかりと議論を進めさせていただいております。

 一方で、非連続の改革ということも含めまして東電委員会では議論もされておりますし、やはり、最終的には、東京電力が事故を起こした責任というものは全うしなければいけないと思います。

 単純ではないというふうに委員もおっしゃいましたけれども、いわゆるバッドという形でもし分けた場合に、では、これを国が引き受けていいのかどうか。やはり、東京電力の責任というものはどこまでも負っていかなければいけない問題であると私どもは認識しておりますし、そういう中で今の東電委員会の議論というのは進められていると思います。

 そういったところで、先ほどからも議論がありましたけれども、本日、その委員会が行われましたし、今後、そういう案が提示をされた場合には、また議論を深めながら、国民の御理解をしっかりと得てまいりたいと思います。

菅(直)委員 では、質問を終わります。

三原委員長 次に、藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 私は、福井県の美浜原発三号機についてお聞きをしたいと思います。私は北陸信越ブロックから選んでいただいておりますので、福井県は地元の一つということになるわけです。

 三・一一の福島第一原発事故を受けて、四十年を超える古い原発は原則として閉じようといういわゆる四十年ルールというのが決められました。一回だけ延長が二十年間認められるわけですが、極めて例外とか、委員長自身も例外中の例外とおっしゃっていた話であります。

 しかし、ことしの六月に、四十年を超えるという関電の高浜原発一、二号機、延長審査を括弧つき合格と。さらに十一月には、今から話をする美浜原発三号機もそういうことになりました。

 私は福井に行きますと、地元ではこう言われているんですね。例外中の例外と言ったけれども、申請で手を挙げたものは全部合格だという話なんですね。全く例外ではない、全部合格だと。

 美浜三号機というのは、一九七六年十二月一日に運転が始まりまして、ことしの十一月末で四十年。いろいろ事故も起こってまいりました。ちなみに、美浜というのは、関電が最初に原発を建てたいわば発祥の地というところでもあるわけで、ですから、ことし十一月末までに延長審査を通らなければ、運転許可が取り消されて廃炉になるというぎりぎりのところだったんです。しかし、十一月の十六日という本当にぎりぎりのところで延長の認可がおりたという経過であります。

 規制委員会にお聞きすると、ことしの半ばごろまでは、規制委員会は、わざわざ関電の八木社長も当時お呼びして、たくさん申請し過ぎだ、いろいろほかの原発もあるのだから、立て込んでいるんだから、美浜の三号機は申請を取り下げるなどいろいろやって、大飯原発に審査を集中したらどうかというふうに勧めたと聞いております。

 ところが、関電の方は、それをいわば蹴って、あくまで、美浜三号を含め、全ての申請原発の審査を求めたという経過であります。

 ですから、非常に時間的にもタイトな中で審査が行われたわけですが、そこでどういう審査を行われたかというのをきょうお聞きしていきたいと思っております。

 まず、大前提として、審査の際の基本方針といいますか、規制委員会がどういう立場で臨んでいるかということの一端を御紹介したいんですが、配付資料をお配りさせていただいております。配付資料の一枚目が耐震設計に係る工認審査ガイドというものでありまして、これは、審査に当たって規制委員会が、ガイドと書いてありますけれども、規制に近いような形で留意するものだというものであります。

 ここで、なお書きのところに赤線を引っ張っておりますが、こう書いてあります。「耐震設計に関わる新たな規格及び基準等、並びに新たな知見に常に注視し、審査においてそれらを必要に応じて速やかに考慮することとする。」とあるわけであります。これはまさに、規制委員会の発足とともに、二〇一三年六月に運用が始まったと認識をしております。

 これを大前提にしながらなんですが、規制委員会にお聞きしたいんですけれども、では実際、美浜三号機と高浜の一、二号機、それぞれ老朽原発でありますが、蒸気発生器の伝熱管という、先ほどお話も出ました蒸気発生器、この伝熱管はそれぞれどういった規格基準で審査が行われたのか、お答えください。事務方で結構です。

櫻田政府参考人 お答えいたします。

 高浜発電所と美浜発電所の蒸気発生器の設計に用いられた規格基準について、そういうお尋ねと理解しました。

 まず高浜発電所でございますが、高浜発電所については、発電用原子力設備規格という名称の中の設計・建設規格二〇〇五年版、これは日本機械学会が定めたものを用いているわけであります。

 一方、美浜発電所、これは三号機でございますけれども、こちらでは、通称JEAGと称してございますが、原子力発電所耐震設計技術指針の中の四六〇一という規格が用いられているということでございます。

藤野委員 今お答えいただいたんですが、美浜の方は四六〇一というお話がありましたが、一九八四年につくられた、これは「補」という、補足というものなんですが、こういう申請でやられております。これは一九八四年です。一方、高浜一、二号は、二〇〇五年版と言われる、先ほどお話ありましたJSMEというものが使われているということですね。およそ二十年の差があるものであります。

 高浜の方が申請は先行しているんですね、先に申し込んでいる。それは二〇〇五年であります。ところが、次に行われた美浜では一九八四年という二十年前のものが、規格が使われている。

 規制委員長にお聞きしたいんですが、なぜ高浜は二〇〇五年で、そして美浜は一九八四年版なのか。先ほど御紹介したこの審査ガイドでいえば、新たな知見に常に注視し、審査において速やかに考慮しろと書いてあるんですが、このガイドの趣旨からすれば、美浜もこの二〇〇五年版を使うべきだったんじゃないですか。いかがですか。

田中政府特別補佐人 耐震設計に係る工認の審査ガイドというのがありまして、これは今先生が御指摘のように、古い方も新しい方も両方使っていい、どちらでもいいということになっています。それで、それを事業者は使い分けたというふうに思います。

 新しい方と古い方とで何が違うかと私も少し調べてみましたら、ほとんど式の形は同じ、一見評価式の形は同じなんですが、一つの係数がありまして、古い方が少しコンサバティブというか、過大評価になるような式になっております。多分、科学技術、いろいろな経験を踏まえて、新しいのは、そういったところをもう少し合理的にできるということでガイドがつくられてきていると思いますが、事業者は美浜については古い方を使ったというふうに理解しております。

藤野委員 要するに、規制としては、どっちを使ってもいいんだ、それを決めるのは事業者なんだ、こういう話なんですけれども、規制委員会は事業者任せを全ての場面で貫いているとは私も思わないんですね。

 例えば、やはり基準地震動というのが耐震基準については大変重要なんですが、この基準地震動を決める際、震源の深さというのがこれまた大変大事になってくるわけで、この震源の深さについては、規制委員会はかなり美浜についても注文をつけられたと認識をしております。

 当初、関電側は震源の深さを四キロにしたいと言っていたのが、規制委員会の意見もあって三キロになったという経過もあると聞いているんですが、この経過について、当初と変わったのではないかと思うんですが、どういう経過があったんでしょうか。

櫻田政府参考人 お答えいたします。

 先生御質問の美浜三号の基準地震動の審査の経緯でございますけれども、最も話が時間がかかりましたのは、地震を発生する地下の部分がどのくらいの深さからどのくらいの深さまでという、その範囲をどう設定するかというところでございました。

 これは地震発生層と言ってございますけれども、関西電力は当初、この地震発生層の上端が深さ四キロだ、要するに四キロより浅いところでは地震が発生しない、こういう申請をしてきているんですけれども、審査の過程におきまして、微小な地震がどこで発生しているかということを見ると、もう少し浅いところでも発生しているということでありますとか、関西電力が示しました調査の精度が低いのではないかということを考慮すると、四キロという設定ではちょっと不十分ではないかという話がありまして、やりとりがありましたけれども、最終的には、三キロに設定するという形でもう少し浅くした、そういう経緯がございました。

藤野委員 そうした経過があったと。

 それによりまして、当初関電が主張していた基準地震動Ssも、七百五十ガルから九百九十三ガルに引き上がっております。震源が上に来るわけで、それだけ揺れも大きくなるということなわけであります。

 ですから、規制委員会は、そういう点では、事業者の言い分をうのみにするのではなくて、いや、科学的にこうじゃないかということもやっていると私は認識しているんですね。

 しかし、せっかくそうやっているにもかかわらず、この耐震設計の方では古いものを認めている、事業者任せといいますか、事業者が選んだものを認めている。私は、これは震源の深さと同じく、新しいものを、修正せよと言うことも可能だと思いますし、この美浜に先立って行った高浜一、二号の審査では二〇〇五年のを使っているわけですね。

 ですから、なぜ古いものをわざわざ使ったのかということが私はやはり不思議になってまいりまして、ちょっと調べてみました。そうしますと、やはりこの基準の違いによって、導き出される、ここまでは耐えられるという基準値というのがあるわけですが、この値が大きく変わってくるわけですね。

 こことの関係で、ちょっと今からお聞きしたいと思います。

 具体的な機器で見ていきたいと思うんですけれども、配付資料の三枚目を見ていただきますと、蒸気発生器というものの写真と図を紹介しております。

 先ほど委員から、フランスでも強度不足が疑われている機器の一つとして、この蒸気発生器が挙げられました。この伝熱管という部分は、まさに、あまたある配管の中でも極めて重要な、といいますのは、中を一次系の水が通って外を二次系が通っていますから、もしそこが割れますと、一次系の水と二次系の水がまじって、それがさまざまな圧力によって外に放出される、こういう極めて重要な配管であります。ここの評価基準が問題になるわけですね。

 端的にお聞きしたいんですけれども、評価基準値というのは、基準地震動が発生した場合にそれらの機器が破損するかどうかを判断するために定めた許容される応力の値だと認識しておりますが、この評価基準値は、当該の対象となる機器の材質とそこに流れ込む水などの使用温度で決まる、こういうふうに認識していますが、これでよろしいですか。端的に、イエスかノーかで。

櫻田政府参考人 お答えいたします。

 基本的には先生が御指摘のとおりでございまして、材料ごとに温度を、ある材料がこの温度であるときの許容値というのが、先ほどから議論されているその規格の中に定められている、こういうことでございます。

藤野委員 そういうことなんですね。

 ですから、評価基準値という、いわば基準地震動に耐えられるかというその値を決めるメルクマールとしては、やはりその機器の用いられている材質とそして使用温度ということになるわけであります。

 そこで見ていきたいのは、まず材質なんですけれども、高浜原発の蒸気発生器伝熱管に使われている材質はインコネル690という合金なんですね。片や、美浜原発の蒸気発生器伝熱管の材質も同じインコネル690であります。

 次に発生温度、これも、高浜も美浜も、一次冷却水、これは配付資料の三の下の方にちょっと細かい字で恐縮ですけれども書いてありますけれども、一次系の水の入り口の方は約三百二十度、一次系の水の出口の方は約二百九十度ということで、これも、高浜も美浜も同じなんです。ですから、材質は同じ、発生温度も同じと。とすれば、高浜も美浜も同じ評価基準値になるはずなんですね。

 しかし、実際はどうか。次の配付資料四を見ていただきますと、高浜は、一番右の(B)というのが基準地震動評価基準値なんですが、四百八十一であります。他方、美浜は五百三十九、全く違うわけですね。これは何で違うんだとお聞きしますと、要するに、先ほど言ったように、使った規格基準が違うからだ、こういう答えでありました。

 古い二十年前の規格だと、一九八四年版だと五百三十九になるというふうになるわけで、なぜ二十年前の規格を使ったのかという点でいくと、仮にこの二〇〇五年版の規格を使ってしまうと、材質も同じですから、発生温度も同じですから、高浜と同じ四百八十一になってしまって、応力値というのが実際に発生するであろうという数値なんですが、四百八十一ですと、美浜の五百二十七という数字が超えてしまって、結局不合格になってしまう。だから、二〇〇五年版を使わずに一九八四年版を使ったのではないかというふうに思うんですが、規制委員長、この点いかがですか。

櫻田政府参考人 お答えいたします。

 関西電力がどういう考えでこの規格を使い分けをしたのかというところまで聞いているわけではございませんので、定かなところは申し上げることはできませんが、いずれにいたしましても、私ども、先ほど先生が御指摘されたガイドの中で、このどちらの規格を使ってもよいということを定めてございまして、これはなぜかというと、古い規格であっても、それを使うことによって発電所の安全機能に影響が及ぶようなことにはならないという実績もございますということがありますので、あえて、これを使ってはいけないということにはしていない、そういうことでございます。

藤野委員 これは先ほど言ったように、事業者任せにやっていない部分があるわけですね。基準地震動についてはそういう指摘もし、七百五十から九百九十三に上げた。せっかく上げたのに、それに耐えられるかどうかという本当に大事な評価基準については、事業者が二十年前の基準を急に使うことを認めている。別の電力会社じゃないんですよ、同じ関電なんです。しかも、関電は、数カ月前というか同時並行で、同じ材質、同じ使用温度の高浜については一九八四年版じゃなくて二〇〇五年版でやっているわけです。急に美浜になって一九八四年版を持ち出してきた。

 この間に何があったかといいますと、冒頭言いましたように、規制委員会自身が関電に震源の深さを修正させたこと、そして、関電の社長を呼んで、整理したらどうだ、全部審査をやるのは本当に大変だというような話もして美浜三号を諦めさせようとしたけれども、関電が固執した。こういう変化があるもとで、二〇〇五年版というそれまで使っていたものが一九八四年版になっている。

 つまり、審査のハードルが高くなった、厳しくなった、震源が上がったことによって。そのまま二〇〇五年版を使ってしまうと通らないという事態になってしまったわけですね、規制委員会の御指摘によって。そのもとでこういう変化が起きているんじゃないかという質問なんです。

 ですから、規制委員長、今度は規制委員長にお聞きしたいんですが、みずからが指摘したことによってハードルが高くなった、それによって関電が使うべき基準を変えてきた、それで規制委員会はそれを認めた。これは結局、みずからが決めた審査はこうやるべきだというガイドを規制委員会自身が守っていないということになるんじゃないですか。委員長、いかがですか。

田中政府特別補佐人 詳細なことをお答えするだけの能力はございませんけれども、ガイドの違いによって、その後にさまざまな基準地震動によって発生する先生の資料にあるような応力値とか評価基準値というものが変わってくるという一連のものだと思うんです。だから、セットとして考えるものだというふうに理解しますが、少し詳しいことはちょっと部長の方からお答えして……

藤野委員 詳しいことではなくて、そういう認識もなく、まさに事業者が使いたいと言ってきたからそれを認めたのか。震源についてはそうせずに、科学的にも検証してやったにもかかわらず、肝心のところで関電の言うがままになっている、あるいはそれを認めている。認識した上でやっているということになれば、これは本当に重大だと思います。

 最後になります。もう時間が来ましたので終わりますけれども、配付資料の五枚目に国会事故調の報告書の指摘を紹介しております。ここには、「既設炉の設計の限界から対応が困難となるような基準は、たとえ安全確保に必要なものであっても、採用が見送られてきた。」という指摘があります。

 これは福島以前の実態を指摘したものなんですけれども、まさにこれは今にも当てはまる。二〇〇五年版の基準を使えば対応が困難になるから採用を見送ってきたということになるわけで、こういうことをやっていたら、先ほど国民の信頼に足る審査とおっしゃいましたけれども、国民の信頼というのは全く得られないということを強く指摘して、質問を終わります。

三原委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうは、福島第一原発事故の当時の総理も横で聞いていただいていますので、従来から私が早くこれはしっかり解決をしていった方がいいと思っている賠償の話を中心に質問させていただきたいと思います。

 東電の廣瀬社長も、きょうはお忙しいところありがとうございます。

 皆様も御承知のとおり、ここ数日来、賠償にかかわるさまざまな議論が報道にも出ております。

 これは高木副大臣になるかわかりませんが、確認をさせていただきたいと思いますが、例えば福島原発の処理については、廃炉であったり賠償であったり、これまた御担当ではないかもしれませんが除染、そうしたことについて、費用の見通しが二十一兆、二十二兆にも上るというような報道がございます。

 また、私どもは、日本維新の会としては、原発再稼働責任法案ということで、いわゆる有限責任、無限責任の議論、これも、電力会社は、これから原発を稼働していくに当たって、今無限責任を負っているという枠組みになっていますが、これを一体どうしていくのか。さらには、ドイツの憲法裁判所が、ドイツの脱原発の方針に当たって、電力会社の財産権が侵害されているんじゃないかということで、電力会社の賠償に、しっかり国が電力会社にそこは財産権を埋め合わせなあかん、こういう憲法裁判所の判決が出た、そんなことが、るる、ここ数日ありました。

 時間も十五分と限られていますので、まず、経産省でいいのかな、福島第一原発の廃炉、賠償等の費用、これをどういうふうに試算しているか。きょう、ごめんなさい、私も忙しくて全部聞けていません、二回目になるかもしれませんが、改めて御答弁いただきたいと思います。

小澤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど阿部先生の御質問の際に高木副大臣からもお答えさせていただきましたが、けさ方開催された東京電力改革・一F問題委員会におきまして、復興加速化の観点から必要となる制度の整備あるいは資金の確保に資するよう、福島第一原発事故に係る賠償や除染、中間貯蔵施設事業の費用見込みについてお示しをしております。

 具体的には、被災者、被災企業に対する賠償で約八兆円、除染、中間貯蔵施設事業で約六兆円というものを見込んでおります。

 また、福島第一原発の廃炉に要する資金につきましては、現時点では、燃料デブリ取り出し工法、こういったものが決まっておりませんので、なかなか合理的な見積もりは困難でございますが、同委員会の中で、原賠機構が提出した資料において、有識者のヒアリングの結果をもとに同機構が機械的に算出した結果、約八兆円という数字が示されたものというように認識しております。

足立委員 これはほかの委員の方からもいろいろ議論はあったかもしれませんが、しっかりと、この費用をどう負担していくのか、電力会社の電気料金なのか、税金なのか、一体何なんだと。東電の経営はどうなんだという議論、また別途あると思いますが、きょうは時間がないので、これまた別途の議論にしたいと思います。

 そもそも、こういう、一旦事故が起こればこれだけの費用が必要になるということを改めて我々は知ったわけであります。

 当時、菅総理、当時の総理が事故に直面して、民主党政権でしたが、事故の後、支援機構法という法律をつくりました。その法律の附則にしっかりと、賠償の問題は制度の抜本見直しをすると、実はもう当時から書いてあったんですね。それも、一年、二年の間にするということが書いてあったんです。

 だから、私は、菅元総理、せっかくいらっしゃるので、横に語りかけるとまた懲罰動議が出るかもしれませんが、せっかくの機会なので申し上げたいのは、やはり民進党も、当時民主党政権が原子力政策については抜本見直しをするんだと書いたんですよ、法律に。どうするんだということを、IRもいいですけれども、ぜひ、特にこの損害賠償責任の問題、これはしっかりと民進党、野党第一党も出してほしい。日本維新の会も、法律について、額も全部出しています。

 この賠償責任の問題については、既に一回伺いましたが、結局、まだ内閣府原子力委員会の方で検討中だと思いますが、私は有限責任にせなあかんと思いますよ、民間企業なんだから。民間企業ですよね。民間企業なんだから、有限責任じゃないと経営できません。結論はいつごろ出る予定ですか。

進藤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、原子力損害賠償の見直しにつきましては、昨年五月より原子力委員会のもとに置かれた原子力損害賠償制度専門部会において、今後発生し得る原子力事故に適切に備えるための賠償制度の見直しについて検討しています。

 御指摘のような有限責任、無限責任についての議論もしておりますけれども、現時点ではまだまださまざまな論点がありまして、最終的な取りまとめにはまだ一定の時間を要するということで、具体的な時期を申し上げられる状況にはないということでございます。恐れ入ります。

足立委員 日本維新の会は、もう既に法案を出して、これは根拠を聞かれるとなかなか難しいんですが、有限責任で、五兆円のラインを引きました。五兆円のライン。しかし、こうして二十二兆とかいう数字が出てくると、またこれは議論があるのかもしれません。

 しかし、いずれにせよ、原発を稼働していながら、その原発が、いざ、万が一事故が起こったときの賠償の枠組みが基本的には見直されていないんです。民主党政権のときに、見直すと法律に書いてある。それも、一年から二年で見直すとたしか言っていたんですよ、民主党政権は。いまだにやっていない。民主党政権は、それこそ対案も出していない。対案以前に、政府が検討中だからそれは対案も出しようがないんですけれどもね。まず、政府が案を出す。

 今、日本維新の会だけですよ。原子力政策について包括的な制度案を出しているのは日本維新の会だけ。憲法改正についても、どの条文を改正すべきか言っているのは日本維新の会だけ。もういいかげんにしてほしいんですよね。まあ、そういうことを言っても仕方がないので。

 あと残りの時間、三点目。ドイツで、メルケル政権の脱原発政策をめぐって、ドイツが原発政策を変更したのは原発を保有している電力会社の財産権の侵害に当たるとして、連邦政府に対して電力会社が求めていた損害賠償について、今月六日にドイツの連邦憲法裁判所が、電力会社の勝訴という判決を下しました。

 きょう、東電の廣瀬社長にお越しいただいています。東電も大変御苦労されています。まあ、事故を起こした当事者ですから、国民の皆様は御苦労さまとは言わないと思いますが。

 私は、日本維新の会が提案している原発再稼働責任法案をしっかりと成立させて、福井もそして新潟も再稼働させて、ちゃんと法案を仕上げてです、今のままはだめですよ。今のままの再稼働は我々は反対。日本維新の会が提案している包括的な原発再稼働責任法案を仕上げていただいた上で、再稼働して、その費用をしっかり充てていくべきだと思いますよ。

 ただ、きょう廣瀬社長に伺いたいのは、政策変更で、あるいは、鹿児島の知事もいろいろおっしゃっていますが、東電ですから、新潟の選挙で、知事が、権限もないのにもかかわらず、いろいろ東電の原発の再稼働をとめています。これは賠償を請求すべきじゃないですか、司法に。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 冒頭先生からお示しのありましたドイツの裁判所の判決については、私ども報道で承知しておりますが、ちょっとまだ細かく判決文等々を読み切れていないというところもありまして、ちょっと、ドイツの事情と日本の事情、必ずしもかなというふうに考えております。

 一方で、地元の県なりと電力会社との関係は、それぞれ協定というのを結んでおりまして、その協定に基づいて御理解をいただいて、発電所の運営をしていくということだと認識しておりますので、その協定のもとでしっかりと御理解を得てやっていきたいというふうに思っております。

足立委員 私は、少なくとも日本政府は、内閣は、エネルギー基本計画で、規制委員会の安全規制にも言及した上で、安全だと確認できたものについては再稼働するが、そうでないものについては逆に言うと動かさないということで、大きな政策が、少なくとも十年前と二十年前と日本の原子力政策は変わっています。

 もう一度廣瀬社長に伺いたいのは、東電の今保有している原発を再稼働するのかしないのかというのは、民間企業としての東電の責任においてやっているんですか、あるいは政策変更によってとまっているんですか。どっちですか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 私どもは福島の事故を起こした事業者でございます。その事故によって新しい規制基準が見直され、今、その基準に適合しているかどうかという審査を規制庁、規制委員会の方にお願いしているという立場でございますので、しっかりとした審査をしていただいて、その上で、安全を確保して再稼働を進めていきたいというふうに思っております。

足立委員 新潟県とは安全協定を結んでいる。すると、今、柏崎刈羽原発をとめているのは、一〇〇%東電の経営判断だと。いいですね、それで。

廣瀬参考人 まさに今審査をお願いしている段階でございます。

足立委員 今まだ稼働されていないのは、一〇〇%東電の責任ということでいいですね。

廣瀬参考人 そういう意味では、まだ審査の終了をいただいておりませんので、その段階では、私ども、今、一生懸命審査をお願いしているということでございますので、東電の責任といえば東電の責任でございます。

足立委員 要すれば、これは三者しかいないんですよ、政府か新潟県か東電か。政府はこれの責任を負っていると思いますか。政府はどうですか。

高木副大臣 今の御質問をずっと聞いておりまして、基本的には、電力事業者が再稼働をしようと経営判断をして、それで申請をするわけですね。その申請をして、法律に基づいて規制委員会が安全審査をして、そして、それがオーケーをいただければ動かす、こういう流れであると認識をしております。

足立委員 結局、今の政府は、この三者の関係、今、不規則発言、大事な発言ですよ。先生、ありがとうございます。これは、政府は規制委員長に丸投げしているんですよ。だから、エネルギー基本計画に規制委員会の安全と書いてあるんですよ。では、規制委員会が責任を負っているのか、経産省、経産大臣か、あるいは東電か。

 これはぜひ、皆さん、憲法裁判所をつくりましょう。憲法裁判所をつくって、しっかりとこうした判断ができる当たり前の国をつくっていくよう決意を申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございます。

三原委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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