衆議院

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第5号 平成29年4月12日(水曜日)

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平成二十九年四月十二日(水曜日)

    午後一時五分開議

 出席委員

   委員長 木村 太郎君

   理事 池田 道孝君 理事 後藤 茂之君

   理事 新藤 義孝君 理事 田中 英之君

   理事 山口 俊一君 理事 坂本祐之輔君

   理事 宮崎 岳志君 理事 桝屋 敬悟君

      秋本 真利君    伊藤 達也君

      江藤  拓君    大西 英男君

      大野敬太郎君    加藤 寛治君

      勝俣 孝明君    菅家 一郎君

      小泉進次郎君    佐藤ゆかり君

      坂井  学君    菅原 一秀君

      助田 重義君    谷川 とむ君

      中谷 真一君    長坂 康正君

      平井たくや君    福田 達夫君

      牧島かれん君    三ッ林裕巳君

      宮川 典子君    山田 賢司君

      菊田真紀子君    郡  和子君

      佐々木隆博君    高木 義明君

      武正 公一君    横山 博幸君

      江田 康幸君    吉田 宣弘君

      田村 貴昭君    宮本 岳志君

      椎木  保君    丸山 穂高君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (まち・ひと・しごと創生担当)          山本 幸三君

   内閣官房副長官      萩生田光一君

   文部科学副大臣      義家 弘介君

   農林水産副大臣      齋藤  健君

   内閣府大臣政務官     長坂 康正君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官補)       末宗 徹郎君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 松尾 泰樹君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局長)          佐々木 基君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局次長)         川上 尚貴君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        奈良 俊哉君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     巻口 英司君

   政府参考人

   (総務省統計局統計調査部長)           千野 雅人君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           白間竜一郎君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局生涯学習総括官)    佐藤 安紀君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           椎葉 茂樹君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           橋本 次郎君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  織田  央君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     塚原 誠一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十二日

 辞任         補欠選任

  加藤 寛治君     大西 英男君

  小泉進次郎君     秋本 真利君

  福田 達夫君     助田 重義君

  小川 淳也君     佐々木隆博君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     小泉進次郎君

  大西 英男君     加藤 寛治君

  助田 重義君     福田 達夫君

  佐々木隆博君     菊田真紀子君

同日

 辞任         補欠選任

  菊田真紀子君     郡  和子君

同日

 辞任         補欠選任

  郡  和子君     小川 淳也君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方創生の総合的対策に関する件


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     ――――◇―――――

木村委員長 これより会議を開きます。

 地方創生の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官補末宗徹郎君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長松尾泰樹君、内閣府地方創生推進事務局長佐々木基君、内閣府地方創生推進事務局次長川上尚貴君、内閣府地方創生推進事務局審議官奈良俊哉君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長巻口英司君、総務省統計局統計調査部長千野雅人君、法務省大臣官房審議官佐々木聖子さん、文部科学省大臣官房審議官白間竜一郎君、文部科学省生涯学習政策局生涯学習総括官佐藤安紀君、厚生労働省大臣官房審議官椎葉茂樹君、農林水産省大臣官房参事官橋本次郎君、林野庁森林整備部長織田央君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。勝俣孝明君。

勝俣委員 自由民主党の勝俣孝明でございます。

 本日は、一般質問でございますので、特にまち・ひと・しごとのしごとの部分ですね、地方の声を中心に御質問させていただきたいというふうに思っております。

 まち・ひと・しごと創生法が平成二十六年に定められまして、昨年三月までに地方版総合戦略が全国の市町村から出されて一年が経過しておりますから、早いところではそろそろ成果や新たな課題が見え始めているのかなというふうに思っております。

 地方創生という言葉は随分浸透してきているとは思うんですけれども、こうした各地の成果や課題を共有していくこと、いわゆる横展開をしていくことがこれから大事なことなのかなというふうに思います。

 私の地元の静岡県の伊豆半島でも、御多分に漏れず、人口減少、少子高齢化が大分進んでいるんですけれども、毎年地元の成人式にお伺いするんです。沼津は二十万人の町なんですけれども、ことしは千八百八十人の皆さんが成人を迎えました。多くの方が地元を離れて大学や専門学校に行っている、また就職をしている方もいるんですけれども、実に八五%の皆さんがその日に地元に帰ってきて成人式を迎えたそうで、大変これは驚きました。

 毎年、こういった成人を迎えた皆さんとお話をするんですけれども、皆さん一同に、地元に帰ってきて就職したいんだけれども正社員として働く場所がないですとか、自分のやりたい仕事が地元にないから帰ってきたくても帰れない、こういった声がよく聞かれます。

 ちなみに、昨年、沼津で生まれた赤ちゃんの数は約千三百人でございました。ですから、この赤ちゃんが二十年後に成人式を迎えるとなると、単純に考えて三〇%の成人の人口が減るということなんですね。ただでさえも人口減少の中で、さらに東京や大都市圏に就職して地元に帰ってこないとなると、さらなる地方の人口減少が進むわけでございます。

 これはどこの地方都市でも同じ現象が起きているわけでございます。こうした、進学によって地元を離れた若者が、もう一度愛するふるさとに帰ってこられるインセンティブをつくっていくということが大切であるわけでございます。

 最初の質問になりますけれども、企業版ふるさと納税によって、福井県や徳島県などは、ふるさとに帰ってくれば奨学金の返済の支援を行うという事業を始めました。地方の優良企業が地方出身の学生や若者を採用するということは大変すばらしいことだというふうに思っております。我が町の沼津市でも奨学金返済支援制度創設に動いているわけなんですけれども。

 そこで、もう四月になりましたので、こうした奨学金返済支援制度を利用してふるさとに帰って就職した若者がいらっしゃるのかどうか、実績はどうだったのかということですね。また、こうした若者がふるさとに帰ってくるインセンティブをそのほかにもつくっていくことが必要であると考えますけれども、大臣の御所見をお聞かせください。

山本(幸)国務大臣 お答え申し上げます。

 東京一極集中の是正を図って地方創生を推進していくためには、若者がふるさとに帰って就職し、地元に定着することが大変重要であります。そのために、都市部の大学等から地元企業への就職を促進する奨学金返済支援制度を構築したところでございます。

 具体的には、大学等進学時に、日本学生支援機構が優先枠、地方創生枠を設けて無利子奨学金を貸与するとともに、地方企業等への就職時に奨学金の返還を支援する基金を地方公共団体と地元産業界が協力して造成する取り組みに対して、総務省が特別交付税による支援を行うこととしております。

 奨学金返還支援制度の進捗状況についてでありますが、二十七年四月にまず二県、鳥取県と徳島県で制度が開始され、その後、二十八年四月に秋田県、新潟県、福井県、山口県、鹿児島県の五県、それらを含め現在十八県において奨学金返還支援制度が設けられております。

 二十九年三月時点の利用実績として、最初の二県、鳥取県、徳島県の七十六人の方が本制度を活用されており、今後順次増加していくものと承知しているところであります。ほかの県は、実績が一年たってからというようなことでありますので、これから増加していくものと承知しております。

 このほか、若者がふるさとに帰るインセンティブ施策として、産官学を挙げて地元企業でのインターンシップの実施等を支援する、地方創生インターンシップ事業の推進等、多岐にわたる施策を推進してきたところであります。

 引き続き、奨学金返還支援制度の全国展開を進める等、若者がふるさとに帰るためのインセンティブにつながる施策を強力に進めてまいりたいと思っております。

勝俣委員 ありがとうございます。

 実績が上がってきているということで、大変安心をしております。

 次に、私の地元もそうなんですけれども、こうした大都市圏の近郊にある地方都市に言えることなんですが、大きな会社の工場や事業所があるんですけれども、大学を卒業して、大都市近郊の地方都市に勤務になったとして、しばらくたつと結婚をされます。このときに若い夫婦が考えることというのは、子供が成長したときに、やはり地方都市には教育の選択肢がないという心配があります。それを考えたときに、家族は教育の選択肢のある大都市圏に住むことを選択して、そして自分が地方に通っていく、また単身赴任をする。結局、地方から人がいなくなってしまうわけですね。

 有識者会議の提言においても、「保育所、幼稚園から高校までの長い子育て期間を楽しめる地域であることが、子育て世帯が住居を選択する大切な要素となる。」という提言があります。

 そこで、地方がやらなければならないことというのは、やはり地方を生かした、地域を生かした教育をやっていかなければならないというふうに思います。人材育成です。親が安心してこのふるさとで子供を育てることができると思える教育が必要だというふうに思います。

 先ほどの奨学金返済支援制度というのは、地元で育った若者が帰ってくるためのインセンティブでございましたけれども、逆に、子供を地方で育てるインセンティブというのもつくっていかなければならないというふうに思います。岡山県奈義町など、企業版ふるさと納税によって特色ある教育を提供したり、またICTを駆使した教育など、さまざまな特色のある教育を提供していくことで、若者の流出を食いとめていく必要があるというふうに考えております。

 子供を地方で育てるというインセンティブをつくっている地方都市が余り見受けられないように感じますが、具体的な事例があれば御紹介いただきたいのと、政府としての取り組みをお伺いいたします。

佐藤政府参考人 お答えします。

 全ての子供が、地方でも都市部でも、希望する質の高い特色ある教育を受けられることは重要であります。

 このため、文部科学省としては、地域全体で子供たちの成長を支え地域を創生する地域学校協働活動を小中学校区の単位で取り組みを進めておりますが、地域住民が積極的に学校にかかわることで、逆に子供たちからは、地元の商業や産業、伝統的な祭りなどに関心を寄せていくという事例が全国各地で見られます。

 また、ICTを活用して遠隔地間で双方向による合同学習の指導方法を開発する実証研究を進めており、交通が不便であったり小規模な学校におきましても、ICTを活用して教育の質の向上に取り組んでいる事例がございます。

 高等教育の段階では、地方大学が自治体や地域の企業と協働し、それぞれの強みを生かして雇用創出を図る、地(知)の拠点大学による地方創生推進事業、COCプラスを進めております。

 例えば、静岡大学の事例では、日本有数の製造業の集積や多彩で高品質な農林水産物という静岡県の優位性や、地域資源の豊かさを利活用する発想と行動力を持った人材育成のため、インターンシップの拡充や企業と学生のマッチング強化に努め、県内就職率を五年間で四五%から五五%に引き上げるという目標を立てて取り組みを進めていると伺っております。

 今後とも、こうした地域の魅力ある教育資源を生かした活動を推進することにより、地方における教育環境の充実を図ってまいります。

勝俣委員 今、ICTのお話が出ましたので、光ファイバー等の超高速ブロードバンドについて質問をさせていただきたいなというふうに思います。

 地方創生においてICTの活用は必要不可欠であります。総務省においても、国、地方、企業、個人それぞれが、全ての地域においてICTの恩恵を受けられるように、情報通信基盤、事業環境を整備し、世界最先端の社会全体のICT化を進めるというふうにされております。

 そこで、人口減少が進む地方に行けば行くほど、テレワークの推進などによる就労、子育てができる環境の整備、支援、防災の観点からも、ICTの活用が有効になってくると認識をしています。ICTの活用により、大都市圏とのさまざまな差、例えば先ほどの教育であったり通勤時間であったり、そういったものを縮めていくというふうに思っております。また、多くの地方都市で抱える農業や林業の生産性向上にICTの活用が重要なファクターとなっている事例も出てきております。

 しかしながら、逆に言うと、こうした人口減少が進む地方ほど光ファイバー等の超高速ブロードバンドが届いていないというのも現実でございます。私の地元の伊豆半島においても例外ではなく、光ファイバー等の超高速ブロードバンドが十分に整備されておりません。

 整備には多くの費用がかかるわけですけれども、整備する場合、国庫補助が事業費の三分の一、市町村の負担が三分の二となっております。整備するときに、例えば面積は大変広い自治体でも人口は少ない、こういう地方都市が大変多いわけで、面積が広い分、逆に言うと、整備する費用も大変多くかかるわけです。それでは、地方都市は財政も大変脆弱ですので、諦めてしまうということになります。

 このような地方の地形といった事情を配慮し、情報インフラの整備を行っていかなければ、ICTの活用による地方創生も思うように進んでいかないのではないかなというふうに考えておりますが、御所見をお伺いします。

巻口政府参考人 委員御指摘のとおり、光ファイバーなどの固定系の超高速ブロードバンドにつきましては、過疎地域などの条件不利地域を中心に、依然として整備が進んでいない地域がございます。

 このため、総務省といたしましては、地方公共団体が条件不利地域において固定系超高速ブロードバンドを整備する場合、事業費の一部を補助することでその整備を推進してきているところでございます。

 この補助率は原則三分の一でございますが、地域の実情に応じ整備を加速するため、平成二十五年度から離島市町村への補助率を三分の二に、また平成二十八年度からは財政基盤が脆弱な市町村への補助率を二分の一にかさ上げするなど、支援の拡充を図ってきているところでございます。

 総務省としましても、光ファイバーなどの情報通信基盤の整備は地方創生のために不可欠と認識しております。委員の御指摘も踏まえ、引き続き、地元自治体の御要望も聞きながら、地域の実情に応じた整備の推進に努めてまいりたいと思います。

勝俣委員 次に、農林水産業の活性化抜きにして地方創生は語れないというふうに思っているんですけれども、特に林業についての取り組みをさせていただきたいなというふうに思います。

 我が国の国土は約七割が森林で覆われているわけでございます。私の地元静岡県も、伊豆半島は、総面積が約十三万三千ヘクタールのうち森林面積は九万七千ヘクタール、約七五%が森林なわけでございます。

 昭和三十九年、一九六四年ですけれども、木材の輸入全面解禁が行われました。くしくもその年は東京オリンピックの年でございますけれども、それまでは、住宅や家具など、ほぼ一〇〇%国産材が、もちろん木材が使用されておりました。昭和四十四年には、国内産の木材と輸入木材が完全に逆転をします。ようやく現在では国内産の木材が三〇%まで回復をしましたけれども、依然として、北米、北欧などからの輸入木材がいまだに大半を占めているのが現状でございます。

 輸入木材がふえ、国産木材の利用が少なくなると、これはもちろん林業が衰退していくわけですね。その結果、間伐等の管理ができなくなり、森林が崩壊し、森が荒廃するわけです。そして、有害鳥獣がふえ、人里におりてくる。ゲリラ豪雨等により土砂崩れが起きやすくなる。さらに、昨今では、花粉症等の、昔ではなかったアレルギー性の病気が出てきました。

 今こそ、こうした森林の再生を行っていかなければならないんですけれども、そのためには国産木材を利用することが重要でございます。逆に考えると、ふるさとには豊富な森林資源があるというふうに考えております。

 そこで、御質問でございますけれども、国産材の需要をどのように高めていくかということでございます。大量消費地である都市部等における建築物の木造化、木質化を推進するため、国産材、CLTや耐火部材等の開発普及を着実に推進するとともに、公共建築物の木造化推進を一層強化する必要がございます。

 また、森林資源のフル活用に向けて、製材品や集成材それから合板、また木質バイオマス発電等のバランスのとれた需要の創出と、需要に応じた国産材の安定供給体制の確立が課題であると考えますが、政府の具体的な取り組みをお伺いいたします。

織田政府参考人 お答えいたします。

 戦後造成されました人工林が本格的な利用期を迎えた中で、林業の成長産業化に向けまして、豊富な森林資源を循環利用することが重要な課題であると認識しているところでございます。

 このため、昨年五月に見直しを行いました森林・林業基本計画におきましては、国産材の利用量を平成二十六年の二千四百万立方メートルから、平成三十七年には四千万立方メートルまで引き上げることを目標として設定したところでございます。

 農林水産省といたしましては、この目標の達成に向けまして、CLT等新たな木質部材の開発普及ですとか、公共建築物や民間の非住宅建築物の木造化、木質化、また土木分野等における木材利用や木質バイオマスエネルギーの利用、さらには付加価値の高い木材製品の輸出などの幅広い取り組みを進めることによりまして、バランスのとれた木材需要を創出しますとともに、需要者のニーズに対応した国産材の安定的、効率的な供給体制の構築に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

勝俣委員 いずれにしましても、森林の再生を各地域で計画的に行い、林業の活性化によって地方に雇用を生み出す地方創生につなげていくことが重要であるというふうに思っております。

 私の地元、伊豆半島の中央に位置する伊豆市では、林野庁の林業成長産業化地域創出モデル事業に応募し、林業の成長産業化を目指しております。まさに、地方創生のもと、地方が主体となって林業再生に取り組む動きが出てきました。

 そこで、最後の質問でございますけれども、今回、森林法の一部が改正され、都道府県による地域森林計画における森林施業の共同化や合理化に関する事項の変更等に係る国への協議を届け出に改めることになりました。今回の森林法改正は大変部分的なものにとどまっておりますけれども、今後、届け出の対象となるものの拡大や、協議、同意の廃止を行い、より地域の自主性を尊重し、手続を迅速かつ簡素化していく見込みをお伺いいたします。

織田政府参考人 お答えいたします。

 地域森林計画の計画事項のうち、今般、協議から届け出に移行する、森林施業の合理化等に関する事項につきましては、施業の合理化を推進するための森林経営計画制度という制度が創設されました平成二十三年の森林法改正で計画事項となったものでございますけれども、森林経営計画制度の創設から五年が経過しまして、森林施業の合理化の考え方が全ての地域森林計画に記載され、協議において国が意見を出すことがなくなったということ、また、持続的な森林経営を確保する森林経営計画そのものの作成も進み、当該制度が定着してきていることといったような状況を踏まえまして、協議を行わなくても計画達成に支障が生じる可能性が低いと判断をいたしまして、見直すこととしたものでございます。

 今回の改正につきましては、地方からの提案の全てに応えるものではないものの、地域森林計画に係る国への協議事項の一部を見直すことによりまして、最近の状況に対応した必要な手続の簡素化が図られるものと考えているところでございます。

 なお、他の協議事項につきましては、全国森林計画の目標達成ですとか、あるいは全国的な公平性の確保を図る観点から、引き続き協議事項とする必要があるというふうに考えているところでございますけれども、今後、また地方からの意見もよく伺ってまいりたいというふうに考えてございます。

勝俣委員 いずれにしましても、スピード感を持った対応をお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

木村委員長 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 公明党の吉田宣弘です。

 前回に引き続き質問の機会を賜りましたこと、委員長、また理事各位、委員各位の皆様に心から感謝を申し上げます。

 限られた時間でございますので、早速質問に入らせていただきます。

 地方創生は、地域における急激な少子高齢化と人口減少、それによる地域経済の縮小といった構造的な課題に真っ正面から立ち向かうための取り組みであるというふうに私は承知をしております。当然、一過性の対症療法を使って一朝一夕で効果が出るということは難しく、複数年度にわたって腰を落ちつけて、しっかりとした対策を講じていかなければならないというふうに思っております。

 このため、地方創生の取り組みは、平成二十六年、二十七年度において、国と地方がそれぞれ総合的な戦略を策定し、その上で、平成二十八年度からは、その戦略に基づいて本格的な事業展開に取り組むという段階となっております。

 こうした中、地域が地方創生に向けた取り組みをさらに深めていく上で重要な役割を果たす地方創生関係交付金について、地方創生の発展段階に応じて、それぞれの状況に即した形で措置をされてきているというふうに承知をしております。

 そこで、まず、地方創生関係交付金のこれまでの措置状況について、改めて、簡潔に御説明いただければと思います。

奈良政府参考人 お答えいたします。

 平成二十六年度補正予算に一千七百億円が計上されました地方創生先行型交付金は、まち・ひと・しごと創生総合戦略を先行的に実施するものとして、地方版総合戦略の早期かつ有効な策定と、これに関する優良施策の実施を支援することを趣旨とした、いわば地方創生をスタートアップする支援でございました。

 平成二十七年度補正予算には、一千億円が計上されました地方創生加速化交付金でございます。これは、地方創生の動きを切れ目なく全国的に加速化させ新型交付金につなげていくとの観点に立って、地方版総合戦略に基づく先駆的な取り組みを支援する、こういうものでございました。

 平成二十八年度当初予算には、補助率二分の一として一千億円が計上されました地方創生推進交付金でございます。これは、地方創生に資する先導的な事業を支援することとし、安定的、継続的な制度運用を確保する観点から、地域再生法に基づく交付金とし、かつ複数年度の事業構築が可能な仕組みとしてございます。

 このように、地方創生の発展段階に応じて姿を変えてきてはございますが、地方公共団体が自主的、主体的に実施する仕組みを支援すること、事前にKPI、重要業績評価指標を設定し、その達成度合いについて効果検証を行うことでPDCAサイクルを回す仕組み、こういったものを備えていることは共通してございます。

 以上でございます。

吉田(宣)委員 御説明ありがとうございます。

 今御説明をいただいた地方創生関係の交付金については、いずれも地方公共団体が事前に成果目標型のKPIを設定し、それに基づく効果検証を通じてPDCAサイクルを回していくことが仕組みとして備わっている点、非常に画期的なものであると私は高く評価をしております。

 このため、このKPIに基づく効果検証の結果については、地方公共団体だけではなく、国でも大いに活用すべきでありますが、ちょうど昨日、国におかれまして、平成二十六年度補正予算に計上をされた、先ほど御説明がありました地方創生先行型交付金等を活用して実施された事業の効果検証結果について取りまとめを行われたとお聞きいたしました。

 そこで、山本大臣、昨日発表された地方創生先行型交付金の効果検証結果について御紹介をしていただければと思います。

 また、あわせまして、今後、国において、このような地方創生関係交付金の効果検証について、どのように進めていくおつもりなのか、お考えをお聞かせいただければと思います。

山本(幸)国務大臣 お答え申し上げます。

 平成二十六年度の補正予算に計上されました地方創生先行型交付金において、地方公共団体がみずから設定したKPI、重要業績評価指標でございますが、の目標値を一つでも達成したという事業は全体で三分の二程度となっております。

 このうち、申請内容について外部有識者の評価を行った上で支援対象を決定した上乗せ交付タイプAにつきましては、KPIの達成率が七七%、八割近い水準となるなど、それ以外のタイプよりも高くなっておりまして、特徴的な結果が出ているものと認識しております。

 本交付金につきましては、地方公共団体において、個々の事業の検証結果を踏まえて、事業を終了する、または地方創生加速化交付金や地方創生推進交付金を活用して継続するなどの対応を講じているところであります。

 国においては、効果の大きかった事業やKPIが達成できなかった事業等について要因分析をしっかりと行い、今後の地方創生推進交付金等の運用の参考とすることとしております。

 なお、今年度は、地方創生加速化交付金及び地方創生推進交付金を活用した事業について効果検証を行う予定であります。

 特に、地方創生加速化交付金の効果検証につきましては、平成二十八年度第二次補正予算に計上されました効果検証事業に関する予算を活用して、今後の地方創生の取り組みの参考となるよう詳細な分析を行ってまいりたいと思っております。

吉田(宣)委員 大臣、本当に丁寧な御説明、本当にありがとうございます。

 先ほど私がお話をさせていただきましたとおり、地方創生関係交付金において、成果目標型のKPIとそれに基づく効果検証は、まさに一丁目一番地であるというふうに私は思っております。ただ、地方創生は、構造的な課題に真正面から対峙をする、極めて骨太な政策に取り組むことこそ重要なはずでございますので、たとえ本質的に有効な事業であったとしても、一年という短期間で十分に効果があらわれないことも往々にして起きてしまうのではないかというように思っております。

 このため、仮にKPIが達成できなかった場合、その結果を交付金の採択の判断に単純に当てはめてしまうというようなことがあれば、地方は安心して地方創生という極めて骨が太い取り組みに果敢に挑戦することができず、これまでどおりの、言ってみれば対症療法的な、一過性の政策に終始をしてしまうのではないか、そのような危惧を、私は思っております。

 そういった意味におきまして、その成果目標であるKPIの達成に向けて懸命に取り組むことは、これは大切な前提であるというふうに私は承知をしておりますけれども、今後、KPIの達成が期待できない事業について、交付金の執行上、どのように取り扱われるのか。各自治体も関心が高い分野であろうかというふうに私は承知をしておりますが、簡潔な御説明を賜れればと思います。

奈良政府参考人 お答えいたします。

 地方創生関係交付金におけるKPIにつきましては、事業を実施した地方公共団体においてPDCAサイクルを回すことによって達成状況を検証し、達成されていなければ、その理由を分析の上、事業について必要な見直しと改善を図る、これが主な目的として設定していることとしております。

 このため、KPIの達成度が極めて低いことを理由として、直ちに交付停止や交付金の返還を求めていくことは想定しておりません。また、翌年度以降の交付金の活用に当たっても、地方公共団体に報告されたKPIの達成状況を機械的に当てはめて交付金の交付に反映させることは想定しておりません。KPIの達成状況について、その理由を含めて検証した上で判断する、このようにしてございます。

 したがいまして、KPIの達成度合いが低い事業であったとしても、その理由に合理性があり、必要な見直しがなされていれば、直ちに交付金を打ち切る、そういったようなことは想定していないということでございます。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。

 KPIの達成、未達成で機械的に判断するのではないということです。また、KPIに基づくPDCAサイクルの実施状況を踏まえて総合的に判断するということが大変に、非常に大切になってくるというふうに思っております。各地域でしっかりと地方創生に向けた取り組みが進めていかれるよう、国において、KPIや効果検証の仕組みを有効に活用していただくように、強く御要望をさせていただきたいと思います。

 さて、昨年度の補正予算に計上された地方創生拠点整備交付金は、現場からのニーズが多かった地方創生の拠点づくりに効果的な施設整備事業を重点に支援するという点で、非常に特徴的であると理解をしております。私は、地方創生のさらなる深化に非常に有効であったろうというふうに考えております。

 そこで、山本大臣、今回の地方創生拠点整備交付金を活用して実施をされておられる事業のうち、特徴的で、あと、地方創生の高い効果が期待をできるような取り組み、事例がございましたら、ぜひ御紹介を賜れればと思います。

山本(幸)国務大臣 御指摘の地方創生拠点整備交付金は、本格的な事業展開の段階を迎えた地方創生について、全国知事会等から施設整備事業に対する支援を充実してほしい旨の要望を受け、平成二十八年度第二次補正予算に九百億円を計上したものであります。

 地方創生とは地方の平均所得を上げることであるとの観点から、本交付金は地域の稼ぐ力を引き出す拠点となる施設の整備等を重点的に支援することとし、本年二月に、八百九十七件、国費で五百五十六億円、事業費で一千百十三億円の事業を採択したところであります。

 特徴的な事例を幾つか申し上げますと、例えば観光振興の分野において、議員の御地元の北九州市では、遊休資産化していた明治期の邸宅である旧安川邸について本交付金を活用してリノベーションし、中国や台湾の人々に人気の孫文が滞在したという歴史を生かし、インバウンド向けの観光拠点として利活用する取り組みが進められております。

 また、ローカルイノベーションの分野では、長野県飯田市ほか十三町村が共同で、従来日本メーカーが実施できなかった航空機関連部品の環境試験を実施する施設を旧飯田工業高校跡地に整備する事業が採択され、飯田市、下伊那地域における航空機産業の企業集積をさらに推し進める取り組みとなっております。

 さらに、農林水産業の分野でいえば、秋田県で採択された秋田県立大学木材高度加工研究所における耐火試験施設の整備事業は、試験施設において木質材料や木質構造の試作、実証機能が強化されることで、木質部材の一層の高付加価値化、ひいては輸出の拡大にもつながるものとなっております。

 このように、地方創生拠点整備交付金を活用した特徴的な事例がさまざまな分野、地域で出てきているところでありまして、本年三月に実施した第二回募集を通じて、より多くの特徴的な事例を支援することにより、地方創生のさらなる深化につなげていきたいと思っております。

吉田(宣)委員 大臣、本当にありがとうございます。

 私の地元、また大臣も御地元であられる北九州市の取り組みについて御紹介いただきましたこと、心から感謝を申し上げたいと思います。

 聞きたいことが終わりましたので、終わらせていただきますけれども、私は、この北九州の事例、実は、孫文がこちらに、安川邸にかかわっているということについて非常に関心を高くしております。

 と申しますのも、実は私、生まれた土地は熊本県の荒尾市というところなんですけれども、この熊本の荒尾市というところには、孫文が宮崎滔天の兄弟のもと、かくまわれていた歴史もあるということで、私は個人的にライフワークとして、この孫文の日中にわたるいわゆる革命の闘争といいますか、そういったものについてライフワーク的に研究もさせていただいておりまして、この安川邸が、孫文が宿泊をしたという歴史的に大変重要な場所であるということも、私は非常にうれしく思ってお聞きをさせていただきました。

 また、この施設や土地について、施設については北九州市に無償譲渡していただいているという取り組みのようでございますし、土地についても無償で貸与していただけるということで、やはり地域の社会的な実在である大きな会社もこの地方創生の取り組みにしっかり協力をしていただいているところに一つ大きな特徴もあろうかと思いますし、私は、地域が一体となってこの地方創生を絶対に成功させたいという強い思い、また熱い思いに、非常にうれしく思うところでございます。

 今回御紹介をしていただいたこの事例、各地でさまざまな取り組みが交付金を活用して行われているということでございますけれども、ぜひとも、今後とも地方創生のさらなる深化に向けて積極的に、大臣、お取り組みいただきますよう心からお願いを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

木村委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民進党の武正公一です。

 きょうは、山本大臣そして萩生田官房副長官、御出席をいただきましてありがとうございます。

 まず、今回、特区についてお話を伺いたいというふうに思っております。

 既に他の委員会でも大臣も答弁をされておりますが、加計学園の獣医学部の設置認可、これは今回の国家戦略特区、広島県・今治市において、五十年間新設が認められなかった文部科学省の告示が、ことし一月四日には内閣府文部科学省告示第一号ということで変更されるという規制緩和、規制改革、これによって四日から十一日まで公募、加計学園一校のみ手を挙げるということで決定を見たわけであります。

 加計学園に獣医学部設置を認可するに至った今回の規制改革の見直しのポイント、これを大臣としてどのように考えているか、御紹介いただきたいと思います。

山本(幸)国務大臣 まず、今回の獣医学部新設というのは、長年全く実現できなかった改革を、慎重派の御意見にも十分に配慮して、まず一校で成功させるべく今治市を選定したということであります。したがって、かつて手を挙げておられた新潟市や最近登場した京都府の提案も、落としたという認識ではなくて、今後引き続き検討していくということでありまして、その具体化が期待されるところであります。

 そこで、歴史を振り返りますと、この獣医学部新設は、平成十九年から八年近く、今治市が唯一の提案者として提案を続けてきておりました。これに応えた民主党の鳩山政権時代、従来の対応不可から、実現に向けた検討に格上げされました。そして、それを受けて安倍政権がさらに前進させて、昨年十一月の規制改革の決定、ことし一月の制度化にこぎつけたということであります。そして、今治市がこれをいち早く事業化すべく即座に構成員を公募し、区域計画に位置づけて、ことし一月二十日の計画認定に至ったということであります。

 獣医学部新設には、十年間に及ぶ多くの主体の多くの判断、多くの議論、多くの合意が積み重なっております。また、地域活性化や国際競争力強化のための提案を続けた四国の一地方都市であります今治市の熱意が最大の原動力となっているということであります。

 事業者であります加計学園について申し上げますと、平成十九年に今治市が初めて構造改革特区の提案を行ったときの提案書には、市のパートナーである加計学園の名前が明記されております。その提案を、これまでの歴代政権が実現に向けたステップを一段一段と積み上げてきた結果が現在の姿であると理解しております。

 地域を限る、そしてまた一校に限るということについて申し上げますと、約五十年にわたり定員増加すらなかった獣医学部の新設に獣医師の方々が大きな不安感を抱くのは当然でありまして、その声に耳を傾けつつ、新たな分野と切迫する需要に対応した獣医学部の新設をいち早く実現するために、まずは地域と数を限ったものであります。

 この、十年に及ぶ歴史を念頭に置いて、最近の経緯でありますが、制度改正を決めた昨年十一月の諮問会議取りまとめ、それから、一校に限った昨年十二月の三大臣の合意の確認を初めとする論点について把握いただければと考えております。

 まず、獣医師等の需給の関係でありますが、産業動物獣医師は、地域偏在により現に確保が困難な地域がある、また、近年、ライフサイエンスなどの分野で具体的な需要が高まっている、このことから、地域を限って新設を認めることを基本的な方針といたしました。

 次に、調整の経緯でありますが、昨年十月下旬に、私の指示のもとで、内閣府の事務方が取りまとめの原案を作成いたしました。十月末に、内閣府の事務方が文科省の高等教育局、農水省の消費・安全局に提示し、省庁間調整を行ったものであります。そして、十一月初めに、特区のワーキンググループの委員、そして関係各省間で事務的な調整を終えまして、最終的に私が内容を確認して、十一月九日の諮問会議の取りまとめ案としたところであります。

 一校に限った経緯について申し上げますと、昨年十二月八日に日本獣医師会から、一校とするよう要請がありました。また、十二月十七日に締め切りのパブリックコメントで約八割が慎重な意見だったことを踏まえ、十二月二十日前後に、私が一校に限ることを最終的に決断して、通常と同様に事務方に指示しました。十二月二十二日に、事務方の原案に私が目を通し、内閣府から文科省と農水省に提示いたしまして、十二月二十二日夕刻までに、その調整後の案をそれぞれの大臣に報告し、異議なしということで、三大臣合意となったものであります。それを受けて、今年一月四日に、一校に限る旨を明記した告示を制定しました。

 その上で、最終的には、京都府よりも今治市の方が事業の早期実現性という観点から熟度が高いということを踏まえて、私の判断で、今治市の区域会議で事業者募集を行うことを決定し、本年一月四日の公募を開始したものであります。その公募に対して加計学園だけが応募して、最終的に、一月二十日の区域会議、特区諮問会議で認定を受けたということであります。

武正委員 かなり詳しくお答えをいただいて、今のお話で、なぜ一校に絞ったのか、また、京都からも手が挙がっていたのにというようなお話もあったわけです。

 資料の方は、この間、四国の関係の先生方もいらっしゃいますが、獣医師法に基づく獣医師さんの、偏在とよく言われるところなんですけれども、四十七都道府県で四国四県の獣医師は千三百四十七名、率でいくと三・四%ということなんですね。これについては、大体ほかの項目の数字は三%、高いものは六%。よく言われる、家畜衛生の公務員が足りないということなんですが、実は、これは二百九名で、六%おります。

 一方、では四国における家畜、家禽飼育頭数はどうなのかというのが二ページでございまして、ここでいきますと、やはり、全国的に見ると、乳用牛一・四%、肉用牛二・三%、豚三・二%、鳥五%、ブロイラー五・八。鳥が若干、先ほどの、三・四%の全国的な獣医師の割合からいくと高いということですが、牛、豚などは低いというようなこともあるわけです。

 そしてまた、これもよく取り上げられる鳥インフルエンザ等の発生状況ということで見ますと、四国での発生はないといったこともこういったところからわかるということであります。

 今回、先ほど獣医師会のお話があり、要請があったということで一校に絞ったというふうにされておりますが、それまでやはり五十年間獣医学部の設置を認めないということで来た中で、先ほど触れられたパブリックコメントも、合計九百七十六件中八割が反対ということでありました。

 特に、獣医師会からの意見表明では、二〇一五改訂日本再興戦略の四項目、これでこの間ずっと議論をしてきたわけですよね。ですから、その四項目については、今治市の提案については必ずしも、地域的な偏在は見られるものの獣医師総数は不足していないと。また、青森県に所在する北里大学の卒業生も青森県にはごくわずかしか就職していないというようなこととか、既存の、やはり十六国立、私立獣医系大学が協力して国際水準の獣医学教育にも取り組んでいるんだということ。それから、危機管理、地の拠点となるとともに、国際的見地から対応ということについても、これは、獣医系大学が家畜防疫の拠点となって危機管理を担うことは今の家畜伝染病予防法では想定されていないんだというようなことと、宮崎県の口蹄疫などは全国を挙げて取り組んだ。そしてまた、獣医学教育をさらに動物から人へという新しいパラダイムについては、日本獣医師会では日本医師会との間で協定を結んでやっていますよと。

 るる、こういったことで、獣医師会とすれば、やはり獣医学部の新設は認められないということでかねてより来たわけなんですが、これが五十年間のそうした告示を変えてまで決定を見るといったことについては、果たして何らかのやはり圧力というか力が加わったのではないかと見る向きが多いところが、巷間言われるところでございます。

 この加計学園、加計孝太郎理事長と総理との関係、非常に親しい、腹心の友と総理が千葉科学大学の十周年の式典でも述べておられる。あるいはまた、加計学園の附属校である御影インターナショナルこども園の名誉園長に安倍昭恵夫人が二〇一五年九月、これは森友学園の予定される小学校の名誉校長就任と同じとされておりますが、そういった関係もあってというようなことがあって、そんたくという言葉ではありませんが、やはり何らかの力が働いたのではないかというふうに言われるわけですが、この点、山本大臣、いかがでしょうか。

山本(幸)国務大臣 全くそんなことはございません。

 国家戦略特区は、地域を限定することで、長年実現できなかった岩盤規制改革を行って、我が国の経済社会の構造改革を実現しようとするものであります。

 その意味では、長きにわたって、ある意味で既得権益が守られてきた、しかし、そのことによって経済社会の活力が失われるということは私は望ましくないと考えておりまして、それを打ち破るのが、特区の責任者であり、規制改革を担当している私の責務であると考えて、この点で、こうした改革を急がなければいけないと考えたわけであります。

 獣医師、地域の偏在等の話は農水大臣ももう言っておられますし、そしてまた、四国においては、かつての感染症、鳥インフルエンザ等のときに頼るところがなかったということが非常な不安を生じたというような意見表明もありました。そういうことを含めて、私は、そうした獣医学部が存在していないところに優先的にまず認めることが適当であると考えたところでございます。

 そして、そのことによって、そういう刺激を与えることによって、従来の獣医学部についても、ぜひお互いに競争して頑張るようにしてもらいたいと思っております。

 世界の獣医学部のランキングを見ますと、五十位に入っているのは、東京大学が三十四位に入っているだけであります。その意味では、まだまだ日本の獣医学部も、国際競争力という面については、むしろ、余りに長きにわたり競争がないという形で、少し劣っているのではないかというところもありまして、そういうことも打ち破る意味で、私は断固改革をやるという気持ちでやっているだけでありまして、御懸念のようなことは一切ありません。

武正委員 参議院の予算委員会でもこの件が取り上げられて、特に昨年の十一月九日の国家戦略特別区域諮問会議で、広域的に獣医師を養成する大学の存在しない地域に限り獣医学部の設置を可能とするための特例を設けるとされたことが、今回、この今治市そしてまた加計学園というような形に結びついた、それまでこうした地理的条件はなかったと。

 当初は、先ほど触れたような四つの、日本再興戦略二〇一五改訂版の条件だったわけですから、なぜここで今のような特例が設けられたのか、再度伺いたいと思います。

山本(幸)国務大臣 これは最初にもお答えしたところでありますけれども、地域を限るということにいたしましたのは、おっしゃるように、昨年十一月、諮問会議の取りまとめで決められたわけでありますが、産業動物獣医師が地域偏在により現に確保が困難な地域がある、また、近年、ライフサイエンスなどの分野で具体的な需要が高まっている、こういうことから、ワーキンググループの委員、そして特区の審議委員、有識者等が、地域を限って新設を認めることがよろしいんじゃないかということで、最終的には私の判断で、そうした地域で限定していくことを適当と考えるというふうに決めたわけであります。

武正委員 先ほど触れたように、決して四国だけが偏在ではないというようなことや、また、十六大学の立地を見ますと、例えば北信越にはありませんし、もちろん沖縄にもありませんから、大学がないからということだけでは必ずしも、なぜ広島、今治なのかという説明にはやはり当たらないのではないのかというふうに思います。

 国際的な五十位以内に入っていないということですが、先ほど触れましたように、既存の十六獣医系大学は懸命な努力をされているといったところで、先ほどのパブリックコメント、九百七十六件のうち八割の意見、例えば、今回の獣医学部の設置は獣医師の質の低下につながる、三百二十八件。産業動物獣医師をふやすのは処遇改善が必要だ、例えば県の職員の方は年俸が四百万円で、獣医系の施設に勤められる方が七百万円というようなこと。それから、既存大学助成が先じゃないのか、百六十一件。獣医師の偏在解消はできません、百二十三件。既存獣医師、獣医学部で可能だ、百十五件。

 こういった意見が出ているので、どうも、先ほどの、大臣の判断で一校に絞った、そして地域的な、広域的に獣医師を養成する大学の存在しない地域に限り獣医学部の設置を可能とするための特例を設けるといったところが、何らかのやはり力が働いたからこういうふうになったのではないかというふうに思うところ、多く指摘をされるわけであります。

 そこで、官房副長官もお見えでございます。資料五ページ、六ページ、七ページは、政と官のあり方、平成二十四年十二月二十六日閣僚懇談会申し合わせでございます。本来であれば官房長官にお聞きをするところですが、閣僚懇申し合わせでありますので、改めて、この政と官のあり方について、特に六ページ、対応方針の(一)、(五)、これが今国会でも大変、森友学園について政治家の関与を特に財務省理財局長にただすと。

 この一番で、大臣に報告がないから政と官の接触はありませんと。これが政治家からの圧力だったり関与を否定するために、この対応方針の(一)を理由にされる。

 本来、この政と官のあり方は、平成二十一年の九月十六日、当時、民主党政権で、やはり政治主導ということでつくったものがひな形になっております。二十四年十二月二十六日には、五ページの上から二行目、「誤った政治主導を是正し、」、このように書いていただいていますけれども、あとはほとんど変わっておりません。

 ただ、平成二十一年九月十六日には、今申し上げました六ページの(一)と(五)は、別添として別に設けて、一緒にはなっておりません。それは、「別に定めることとされている事項が定められるまでの間は、以下の措置をとるものとする。」と、暫定的な措置として、今、現政府、内閣が申し合わせをした、対応方針(一)、(五)を定めております。

 それがそのまま対応方針にされたんですが、今国会では、これをもって、大臣に報告が上がっていないから政官接触はないんだと。これは極めて、この政と官のあり方の、なぜこうした閣議申し合わせをしているのかという本旨からそれているというふうに思うんですが、官房副長官の御所見を伺いたいと思います。

萩生田内閣官房副長官 今先生も御披露いただきました、平成二十年に制定された国家公務員制度改革基本法においては、いわゆる口ききと言われるような政と官に対する圧力等を排除する趣旨で、職員が国会議員と接触した場合における記録の作成、保存その他の管理等のための措置を講ずることとされております。

 この点において、国家公務員制度改革基本法の法案質疑におきまして、職員と国会議員との接触を全て記録することは事務を煩雑化させるのではないか、事務をいたずらに膨大化させないことにも留意する必要があるといった趣旨の議論がありました。

 この趣旨を踏まえ、平成二十四年の閣僚懇談会で「政・官の在り方」の申し合わせが行われ、その際、官は、国会議員やその秘書からの個別の行政執行に関する要請や働きかけであって、政府の方針と著しく異なる等のため、施策の推進における公正中立性が担保されないおそれがある、また対応が極めて困難なものについて、大臣等に報告し、報告を受けた大臣等は、要請、働きかけを行った国会議員に対し、内容の確認を行うなど、みずからの責任で適切に対処するものとされております。

 引き続き、このような基本法の趣旨を踏まえた閣僚懇談会申し合わせにのっとり、各府省において、各大臣等の指揮監督のもと、記録の作成や管理について適切に実施されるべきものと考えておりまして、今回、この書類の存在がないということは、特別、政府の方針に大きく反する事案ではなかったという現場の判断にのっとってのことだというふうに認識をしております。

武正委員 ただ、多くの国民の方が、鴻池参議院議員の会見だったり事務所の関与だったり、あるいは籠池理事長の証人喚問で国会議員の名前を挙げられたり、あれを見て、なぜ政治家の関与がないと言い切れるのか。

 極めてやはり国民の皆さんも、我々はもちろんですが、理解に苦しむところでありまして、この対応方針の(一)の、大臣等に報告するものとする、(五)で、日時、経過、内容等、経過を記録し、大臣等の確認を経た上で保存すると。つまり、文書がないから、大臣に報告が上がっていないから政治家の関与はないんだと逆論法で位置づけることが、これはやはり、とても説明責任を果たしているとは思えないわけです。いかがでしょうか。

 例えば、これは先ほど触れたように、平成二十一年九月十六日の、当時民主党政権で、「別に定めることとされている事項が定められるまでの間は、以下の措置をとるものとする。」と、暫定的な措置だったわけですから、やはりこの際、この後触れる公文書管理法との関係も含めて問われることなので、国民に対する説明責任を徹底するためにも、この政と官のあり方について、見直しをするべきではないかと思うんですが、御所見を伺いたいと思います。

山本(幸)国務大臣 国家公務員制度改革基本法は、いわゆる口ききと言われるような、政の官に対する圧力等を排除することを趣旨とされております。一方で、委員会の審議でも指摘されたわけでありますが、事務をいたずらに膨大化させないことなどにも留意する必要がございます。

 したがいまして、引き続き、このような国家公務員制度改革基本法の趣旨を踏まえた閣僚懇談会申し合わせにのっとり、各大臣等の指揮監督のもと、適切に対応すべきものだと考えております。

武正委員 政と官のあり方は閣僚懇談会申し合わせですから、官房副長官、お答えをいただきたいと思います。

萩生田内閣官房副長官 武正先生は、書類がないことをもって、政府側が、政治的な働きかけがなかったんじゃないかという言いわけにしているんじゃないかという御指摘がございました。

 私どもとしては、いわゆる政治的なやりとりの中に、何か政府の基本方針がゆがめられるようなやりとりがなかったからこそ書類が残っていなかったんだという説明をさせていただいているつもりなんです。

 しかしながら、しかしながらです、結果として、この土地の売買に当たっては、瑕疵担保責任を相手方に譲るというような、言うならば非常に例外的なやりとりで売買が行われていますから、土地の存在そのものについて、国有地であった時代から産業廃棄物が発見をされていたわけです。そうしますと、普通の土地じゃないという感覚を役人がもし持っていたとすれば、政治家とのやりとりはともかくとして、もう少し詳しいやりとりが残っていてもよかったんじゃないか、私個人的にはそう感じる部分もございます。

 ですから、今回の問題をきっかけに、もしこの閣僚懇の中で申し合わせた事項で網羅ができない部分、あるいは国民の皆さんに誤解を与える部分があるとすれば、これは検討に値するというふうに承知をしております。

武正委員 ありがとうございます。

 ぜひ、前向きに御検討いただきたいというふうに思います。

 官房副長官、ここでお引き取りをと思うんですが、せっかくおいでいただいたので、ちょっと一言だけ伺いたいんです。

 官房副長官、プロフィールなんかを見ますと、この加計学園のグループである千葉科学大学の危機管理学部の客員教授をお務めだった、あるいは、もしかしたら今もお務めなのかもしれませんが、ということでありまして、報道では、加計孝太郎理事長とは文部科学大臣政務官であったときに知り合ったので、安倍さんと親しいということは後になって偶然知りましたということなんですが、今、これも報道ですけれども、今月二十三日投開票の銚子市長選挙ですか、こちらの方に立候補されている方が、この千葉科学大学に、やはり国家戦略特区を利用して水産・獣医学部を新設することを掲げている、こういうような報道もあるわけなんですけれども、これはまた、今治、この加計、獣医学部と同じじゃないのかというようなことも報じられているんです。

 例えば、加計理事長から、今や内閣のかなめである官房副長官に何らかの、やはり、こうした点について、科学大学について、あるいはまた、今の、これまでの今治について、何らかのそういう働きかけ、こういったものはなかったんでしょうか。

萩生田内閣官房副長官 私のことで御質問がございました。

 千葉科学大学の客員教授を務めていた事実はそのとおりでございます。また、現在は授業を持っておりませんけれども、引き続き、毎年四月一日に委嘱を受けて客員教授を続けております、立場上は。

 武正先生は御存じないかもしれませんが、私、実は党内では文教政策を中心にやっておりまして、割と教育関係の皆さんと御縁があって、この学校に限らず、地元の中央大学ですとか、明治大学などでもたびたび授業を持たせていただく中で、特に、私、議席を失った時期がございまして、このときには、客員講師等々も他の私学でも務めさせていただいた中の一校が、この学校でございます。

 報道にもありますとおり、私は、加計さんとお会いをしたときに、加計理事長と安倍総理が古くからの親しい仲だというのは全く存じ上げませんでした。私なりに加計さんと真摯なおつき合いをしていく中で、後でその人間関係がつながったということでございまして、何らやましい点はございません。

 加えて、現在の銚子の市長選挙のことはちょっと私よく存じ上げませんし、また、そのような請託や相談を受けたような事実も全くございません。

武正委員 ありがとうございました。

 では、官房副長官、お引き取りください。ありがとうございました。

 それでは、もう最後、残された時間はわずかですが、あわせて公文書管理法について伺いたいと思います。

 今国会で、やはり文書、一年以内の保存期間は、お手元にあるような、一番最後のページにありますが、公文書管理法のフローチャートでいうと、本来であれば、廃棄について、内閣総理大臣に協議をして、そして同意をもらって廃棄するということが八条二項で決められているんですけれども、一年未満はそれが必要ないということで、いろいろな文書が一年未満だから廃棄だ廃棄だと。本当に、これもやはり極めておかしいなと思うんですね。

 私はやはり、もともと公文書管理制度が、歴史的文書の保存に限っていたところが中心だったものですから、この一年未満の扱いとか、そういったところが若干抜けていたのではないかと思います。この点はやはり見直しが必要ではないかと思いますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

山本(幸)国務大臣 公文書管理法施行令におきましては、歴史資料として重要な公文書等については一年以上の保存期間を設定することとされております。一年未満の保存期間文書は、少なくともこれには該当しないということになります。

 歴史資料として重要な公文書等か否かの判断に関しては、内閣府に置かれた公文書管理委員会が昨年三月にまとめた、公文書管理法施行五年後見直しに関する検討報告書におきまして、各行政機関における判断を支援し、その質を向上させる仕組みについて検討すべきとの御指摘をいただいているところであります。

 私としても、この指摘も受けまして、そしてまた今回の問題も踏まえまして、確かに、どれが歴史的公文書等に当たるのかというところの規定がちょっと曖昧なところもありますので、そういうことをぜひ改善するようにしたいと思っておりまして、行政文書の管理に関するガイドラインの今年度中の見直しをしっかりやりたい。それから、各府省の職員の公文書管理に対する意識を高めるための研修の充実等を着実に進めていきたいと思っております。

武正委員 ありがとうございます。

 中間書庫なんかも、各省の、何か、設けられているかどうかもはっきりわからないというようなことを担当の方に聞いたら言っておりましたので、徹底した取り組みをお願いし、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

木村委員長 次に、宮崎岳志君。

宮崎(岳)委員 宮崎岳志でございます。

 まず冒頭、二点申し上げます。

 一点は、今委員会が始まる前の理事会において、衆議院事務局より、前、三月三十日開催の当委員会における向大野事務総長の発言についての訂正がございました。

 内容としては、籠池理事長の証人喚問をめぐる、その偽証罪に関する議論の中で、向大野事務総長から、本院において偽証罪で証人を告発し偽証罪のみで起訴された例は昭和五十一年に一件ございますという発言をされております。それを受けて、質問者である私の方が、たまたまそのうちの一人が偽証罪のみで起訴されておりますけれども云々という発言をしたということでありますが、衆議院委員部の方より、本日、偽証罪のみで起訴された例は昭和五十一年と五十二年に各一件ございますというふうに内容を訂正したい、それに合わせて、委員であります私の質問についても、そのうちの一人が偽証罪のみで云々という部分を、そのうちの二人が偽証罪のみで云々というふうに訂正をしていただきたいというお話がありました。

 内容に大きな変化があるわけではございませんので、その訂正についてはお受けをいたしましたけれども、ただ、事実関係でございますし、発言者、答弁者のみならず、議員の発言の方も修正しなければならないということは不体裁なことだというふうに考えておりますので、衆議院事務局においても、今後十分気をつけられるよう望みたいと思います。

 もう一点、厚生労働委員会で、本日、介護保険法の審議が打ち切られ、強行採決が行われました。この強行採決については、本日の午前中の総理入り質疑の中で我が民進党の議員が森友学園にまつわる質問をした、それも全編したわけではございませんけれども、そういう発言をして、それが法案の内容と関係がない、こういうことでは審議を続けられないということで、急遽、本日、強行採決になったというふうに伺っております。

 筆頭間では金曜日に質疑を続けるということで、内々に我が方は金曜日の質問者も人物を特定して内定をしていたところというふうに伺っておりまして、確かに、審議の法案に関係ある質疑をするというのは前提でありますが、時と場合により、そこからそれるということも、これはあることであります。

 まして、今回の件は、森友学園と天下り問題について集中審議を総理入りで行うべしということをずっと申し入れていた事実であります。それを応じないでおいて、今度は、総理が出てくればその関連の質問をするなというのは、まさに、森友関係の疑惑を潰すために強行採決を利用したと言われても仕方がないものだというふうに考えております。強く抗議をさせていただきます。

 さて、質問の方に入りたいと思います。

 国家戦略特区を利用した獣医学部の新設について、いわゆる加計学園問題についてお伺いをいたします。

 今回の問題の本質は、これまで五十二年間、獣医学部の新設が認められていなかった、その認められていなかった獣医学部を、今回、国家戦略特区を使って認めた。どちらかというと、その獣医学部という、一種、私が思っているわけではありませんけれども、既得権の世界があって、そこに国家戦略特区を使って風穴をあけたというふうに、やった方々は評価をされたんだと思います。

 しかし、内容を見てみますれば、ある特定の、加計学園という、総理が長年、大親友としてつき合っていらっしゃる、そこしか落とせないような条件がさまざまつけられて、そしてその学校に新設が認められたということでありまして、既得権の破壊どころか、新たな利権の獲得であるというふうに感じるところであります。

 この問題について、既にさまざまな議論が行われておりますが、具体的なお話を伺いたいと思います。

 十月十七日、昨年です、十月十七日、京都産業大学が、同じく獣医学部をつくりたいということで提案がありまして、その京都産業大学と京都府からの聞き取りが、ヒアリングが行われております。この時点ではまだ、全国のどこにできるかわからないという状況だったと思います。

 そして、十一月九日、国家戦略特区諮問会議において、空白地縛りと言われる、「現在、広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り獣医学部の新設を可能とする」と。広域的に存在しない地域に限りという文言が突然出てきて、この京都産業大学の提案は門前払いという格好に、後からなった。門をたたいて中に入ったと思ったら、入った後から門前払いになった。これがこの経過であります。

 十月十七日から十一月九日までの間にいわゆる空白地縛りが設けられたわけですが、この空白地縛りは、誰によって発案され、どのようなプロセスによって協議され、決定をされ、大臣の決裁が行われたのか、この点についてお伺いできますでしょうか。

山本(幸)国務大臣 十月の下旬ごろに、特区ワーキンググループでの文科省、農水省との議論、そしてまた、獣医師会などから提出された慎重な意見などの状況を総合的に判断して、私が決断し、内閣府の事務方に、十一月九日の特区諮問会議取りまとめの原案作成を指示したものであります。

宮崎(岳)委員 ワーキンググループでの議論は、空白地に限るべきだという議論であったんでしょうか。

佐々木(基)政府参考人 お答え申し上げます。

 ワーキンググループにつきましては、このときは京都府からのヒアリングということでございまして、制度的な検討については、それ以降の各省からのヒアリング等で始まるところでございます。

宮崎(岳)委員 ちょっと今、大臣のお話とよく合わなかったと思うんですが、十月下旬のワーキンググループで空白地に縛るべきだという議論が出て、それを受けて決断したという最初の御答弁だったと思うんですが、違うんでしょうか。

山本(幸)国務大臣 京都府からのときのワーキンググループは、それは京都府の御意見を聞いたというワーキンググループであります。

 その後、特区諮問会議を準備する上におきまして、ワーキンググループの委員であります先生方と私は非公式に意見交換をいたしまして、そういう方々も、地域的に限定した方がいいだろうというお話もございました。

 そしてまた、農水省、文科省等の意見、そして慎重派の、獣医師会ですね、意見も配慮した上で、まず地域を限定することによって何とか、軟着陸といいますか、それぞれの意見を十分配慮した上で決定することが適当だろうと判断したわけであります。

宮崎(岳)委員 特区諮問会議の委員との非公式な議論をもとに、ここで突然、空白地に限る、事実上四国に限るという議論が登場した、こういう御答弁であります。

 そして、獣医師会とも話したとか、文科省あるいは農水省とも話したとかという話がありました。そもそも、文科省なり獣医師会は、獣医師学部の新設自体に反対だったと思います。空白地のみというのは、内閣府から、あるいは大臣から御提案されたことであるはずであります。向こうから、何とか一校に絞って開校してほしいとか、四国に絞って開校を認めてほしいという意見が、文科省や農水省から出るはずはございません。

 これは、大臣なり、あるいは内閣府の側から、四国に縛るということではどうかという御提案を文科省や農水省に行ったということでしょうか、大臣。

山本(幸)国務大臣 そのとおり、私が指示をいたしまして、内閣府の事務方に取りまとめの原案を作成させました。その上で、十月末には、内閣府の事務方が文科省の高等教育局、農水省の消費・安全局に提示し、省庁間調整を行ったところであります。

 そして、十一月初めに、ワーキンググループの委員、そして関係省庁の間での最終的な事務的な調整を終えて、最終的にその内容を私が確認して、そして十一月九日の諮問会議の取りまとめ案としたわけであります。そしてその上で、諮問会議でそれが了承されたということであります。

宮崎(岳)委員 文科省と農水省に、その空白地縛りについての意向を伝えたのはいつですか、大臣。

佐々木(基)政府参考人 お答え申し上げます。

 空白地縛りといいますか、十一月九日の案文の取りまとめに当たって、文科省並びに農水省と、具体的に、どういう日付で、どういうやりとりがあったかということでございますけれども、まず、十月の二十八日に私どもの事務方が文科省の高等教育局、それから農水省の消費・安全局に対しましては十月三十一日に原案を提示いたしました。

 その後、十月三十一日に文科省から内閣府に対しての意見の提出があり、その意見を踏まえて、十一月一日に内閣府から文科省に対して最終調整案を提示いたしました。なお、農水省からは、原案についてのコメントはなかったところでございます。

 十一月二日に文科省から内閣府に意見なしの回答がございまして、関係省庁間で事務的な調整を終え、最終的に山本大臣に内容を御確認いただき、十一月九日の諮問会議の取りまとめに至った、そういう経緯でございます。

宮崎(岳)委員 文科省、お伺いします。

 十月三十一日、文科省は回答をしたということですが、この際は、四国地域に縛る、あるいは広域的に空白の地域に縛るということについて了としたということでしょうか。

義家副大臣 追加規制改革事項案については、昨年十月二十八日に、内閣府より文部科学省に対し、文案の確認依頼がございました。関係府省による調整を経て、文部科学省からは、十一月二日に、大臣まで御了承いただいた上で、了承する旨を回答しております。その後、十一月九日の国家戦略諮問会議において追加規制改革事項が決定されたものと承知をしております。

 また、内閣府との調整プロセスの中で文部科学省としての御意見を申し上げ、最終的な案文になったところでございます。

宮崎(岳)委員 その意見についてお伺いしているんです。

 十月三十一日に意見を申し上げたということですが、つまり、四国に縛るという条件で獣医学部の新設を認めるという意見を出したということでしょうか。

義家副大臣 個々の政策の意思決定過程にかかわるものなので、お答えは差し控えさせていただきます。

宮崎(岳)委員 農水省からは意見がなかったという御発言がありました。

 農水省は、かねて、大臣答弁でも、獣医師の数は足りている、新たに獣医師をこれ以上ふやす必要はない、そのような答弁をされてきたことと思います、少なくとも、この加計学園の件が表に出るまでは。

 農水省は、つまり、獣医学部が新設されるということは、これはウエルカムだということで意見を出さなかったということでよろしいんでしょうか。

齋藤副大臣 十一月九日の諮問会議の開催に当たって、内閣府が作成した、今委員御指摘の、獣医師系養成大学校等の存在しない地域に限り新設を認める旨の取りまとめ文書、これにつきまして当省に提示をされたわけです。それが十月三十一日、先ほど参考人からお話があったとおりです。

 これは、獣医学部の新設についてはそもそも当省の所管ではないので、いい悪いというようなことをコメントする立場にないので、コメントなしという回答をさせていただいたということでございます。

宮崎(岳)委員 獣医の需給については農水省の所管であるというふうに伺っております。それは違うんですか。

 獣医の需給について農水省の所管であるなら、その供給元である獣医学部の定員については、農水省として意見を言ってはいけないということにはならないんじゃないでしょうか。

齋藤副大臣 新設そのものについては、我が方がいいとか悪いとか言う話ではないということでありますが、今委員御案内のように、獣医師の需給の問題につきましては、我が方も当然、関心がございます。

 ここにつきましては、今回の獣医学部の新設については、先端ライフサイエンス研究の推進等、獣医師を含む獣医学部卒の知見を有する者が新たに取り組むべき分野における需要を勘案して設定されるというふうに聞いておりました。かつ、そういうこともあったので、獣医師全体の需給に対し大きな影響を与えるものではないというふうに考えたわけであります。

 需給に関しては、そのような判断をさせていただきました。

宮崎(岳)委員 今言われたことが、まさにおかしいところでございます。

 京都産業大学の提案は、鳥インフルエンザの研究に関する世界的なセンターを京都産業大学が設けている、これを中心として獣医学部を連携させていこう、こういう御提案であったはずであります。

 そもそも、もともと需給が足りていて、人数が十分であって、これ以上ふやすべきではないということを認めることに至ったのは、鳥インフルエンザや口蹄疫等の、そういう新たな流行病に対する対策が必要だからということで行われたにもかかわらず、京都産業大学の提案があった後で、玄関から既に入っているものを門前払いにする、そのために新たな空白地縛りという規定をつくったとしか思えませんし、それに対して、十月十七日にその京都産業大学からヒアリングをやっておいて、わずか十日ほどの間に、京都にはつくれないという事実上の規定を後からつくり、そして他の省庁に通知をしている。極めて異常な手続だと言わざるを得ません。

 先ほど大臣は、獣医師会との調整の結果、そちらの意見も踏まえてということでありました。その十一月九日までの間、獣医師会とどのような調整を行ったんでしょうか。

山本(幸)国務大臣 調整といいますか、私どもの考えを申し上げ、すぐに、いいですよなどという話にはなりませんでしたけれども、丁寧に私どもの考えを申し上げた経緯は幾つかございます。

 まず、九月七日に、日本獣医師会の酒井副会長、北村顧問が私のところに来られまして、獣医師会の考え方を述べられまして、私も、私どもの概略の考え方も申し上げました。

 それから、十一月十七日、私から、これは次の日からパブリックコメントが始まるということであります、十一月九日に諮問会議が決まりまして、パブリックコメントをやろうということになっておりまして、パブリックコメントをやる以上は私も仁義を切らなきゃいかぬと思いまして、前日の十七日に獣医師会をお訪ねしまして、蔵内会長、酒井副会長、北村顧問等との意見交換を行いました。

 その後、十一月二十八日には、日本獣医師会からの要請文書がございました。それから、十二月八日には、一校に限ってほしいという旨の要請文書もございました。そしてまた、十二月二十一日には、蔵内会長、北村顧問との意見交換もありました。

 それから、北村顧問は私どもの同じ政策グループに属しておりましたので、そのほかのところでも非公式にいろいろな、お会いをしたり、電話等でお話をしたこともあります。

 それから、蔵内会長は御承知のように福岡県の県連会長でもありますので、いろいろな会合でお会いするたびに、お互いに意見交換をしていったということであります。

宮崎(岳)委員 先ほどの答弁の中で、この空白地縛り、四国縛りというものは、文科省でも農水省でもなく、山本大臣がみずから発案をされたものだという御答弁でした。

 私は、その中で、では、獣医師会との調整というか協議というか話し合い、それはいつ、どういう形で行われたか、十一月九日までにというふうにお伺いをし、何回かのその機会のお話をいただきましたが、十一月九日以前というのは、九月七日のみであります。十月二十八日には、既に大臣はこの空白地縛りの方針を決めていたわけでありますので、この九月七日が唯一の機会だということになりますが、この九月七日の際には、大臣に対して、獣医師会は、ぜひ地域を限定して獣医学部をつくってください、こういうお話だったのか、いやいや、そもそも獣医学部をつくることはまかりならぬというお話であったのか、どちらでしょうか。

山本(幸)国務大臣 獣医師会は獣医学部の新設には反対である、そういうお話を強くしておられました。そしてまた、大臣室に来ていただいたのは九月七日、そのとおりでありますが、そのほかでも非公式にいろいろな接触がございました。

 そういうのを踏まえまして、最終的に私が、これはもう地域で限定してまずやるということから始めた方がよかろうという決断をしたわけであります。

宮崎(岳)委員 話の筋からいえば、例えば京都産業大学からの提案があって、これは鳥インフルエンザ対策等に必要であるし、世界的なセンターであるから、ここに限って認める、そういう考え方だってあったんだろうというふうに思います。別に、四国にぜひつくってくれという話ではなかったという先ほどのお話でありました。

 非公式に何回かお会いをされているという話でしたが、では、空白地に限り、広域的に獣医師系大学等の存在しない地域に限りという話は、先方からは、その十月二十八日までの間に、獣医師会からはそういう御意見とか要望はなかったということでよろしいんですね。

山本(幸)国務大臣 そういうはっきりした形ではありません。

宮崎(岳)委員 つまり、これは、無から有が生まれた。この十月十七日に京都産業大学のはた目に見てもすばらしい提案が出てきてから、十日のうちに、誰からもそのような要望はないけれども、あるいは、獣医師会や文科省や農水省を除く誰かから要望があったかどうかは存じ上げませんが、何も外形的にはそういう御意見、働きかけがなかったときに、大臣の頭の中から、四国に縛る、こういう話が生まれたということでよろしいんでしょうか。

山本(幸)国務大臣 愛媛県今治市からの提案は、もう既に十年にわたってずっとございました。そして、熱心に取り組んでいることが示されてきたわけであります。

 一方で、京都府、京都産業大学からは昨年の三月に提案がございましたが、そのときは要旨のみの簡素なものでありまして、その後、十月に詳細な提案をいただいたことを受けて、十月十七日に特区ワーキンググループでヒアリングを行ったということであります。

 ただ、私どもの判断としては、京都府等の提案は必ずしも準備が整って事業が具体化しているとは言えないという判断でありました。これに比べて、今治市の提案は事業の早期実現性という観点から熟度が高いということを判断し、これを優先するということにしたわけであります。

 例えば、今治市の方は、専任教員の確保の面で京都府と比べてすぐれている、既にはっきりとした人数まで確定して用意をしているということでありましたし、水際対策について、今治市は、四国知事会等が要望するなど、広域的な対策を強化する具体的なアクションを起こしております。他方で、京都府等は、獣医学部のある大阪府との連携が必ずしも確保されていないなど、不十分と評価せざるを得ませんでした。

 また、獣医学部の設置は地域の活性化に大きく貢献する必要があるということでありまして、京都府等の提案にその具体性がない反面、今治市は、まち・ひと・しごと総合戦略等に位置づけた上で、卒業生を地元の産業動物分野に就職させるための奨学金の仕組みなどの工夫を凝らしている。また、京都府等はライフサイエンス研究を提案しているが、水際対策に関する部分が薄い。他方、今治市は、現場体験学習などを通じて卒業後に産業動物を扱う分野に進むよう誘導するとともに、畜産業のみならず、地元の水産資源を対象とした感染症対策など、地元固有の資源に着目した、より具体的な内容になっていると評価できると考えたわけであります。

 このように、今治市の提案が、事業の早期実現が見込まれると判断したわけでありまして、この国家戦略特区による規制改革の突破口ということで、これを優先するということにしたものであります。

 なお、京都府等の提案については、当然、十分検討に値するとは考えておりまして、今後その対象になるものと思います。

宮崎(岳)委員 今、大臣るる御答弁されましたが、全く私の質問へのお答えになっておりません。

 今の話は、今治の提案と京都の提案を平等に並べてみて、どちらがすぐれていたかという御判断。今起こっているのはそうではありません。門前払いにして受験をさせなくした、京都の提案をそもそも審査対象にできないような基準を後から、提案を受けてからはめた、こういう話であるというふうに思っております。

 今、具体的な話も幾つかいただきましたので、今後さらに、私どもも調査の上、この問題の追及を続けさせていただきます。

 関連して、義家副大臣に来ていただいておりますので、一点だけ、教育勅語の問題についてお伺いしたいと思います。

 義家副大臣は、先般の国会質疑において、教育勅語の朗読は特に問題がないというふうに答弁をされました。また、松野文科大臣は、教育勅語等の教材としての利用について、校長や教員の個々の判断によるものだ、こういう趣旨の答弁をされております。

 教育勅語についてはそういう御判断なんだろうなと思いますが、例えば、私が前回、文科で松野大臣に質問した、「わが闘争」という国際的にいろいろ物議を醸している本があるが、こういったものは、学校で朗読をさせるということは可能なのか。

 あるいは、戦前の軍人の心構えを記した戦陣訓とか軍人勅諭とか、そういうものもあります。こういったものは全て、学校教育で朗読をさせる、あるいは道徳等の、つまり、歴史教育以外の、あるいは公民教育とか歴史教育以外のところ、道徳等ですね、そういったところに使うことも許されるのか。

 この点について御答弁いただけますでしょうか。

義家副大臣 お答えいたします。

 まず、誤解のないように申し上げますが、教育勅語が我が国の教育の唯一の根本とすることなく、憲法や教育基本法、学習指導要領に反しないような適切な配慮が行われている中で、授業において、教科書に記載されている教育勅語について、これを読んでみろ等の指導をすることは、これは問題ではないと申し上げた次第であります。

 その上で、ただいまの質問である、教育勅語ではなく、「わが闘争」や戦陣訓、軍人勅諭などの朗読についてでありますが、学校での全ての教科等の指導における教科書以外の教材の使用については、学校教育法三十四条第二項の規定に基づき、教育基本法の趣旨に従った有益適切なものである限り、校長や設置者の判断と責任で使用できるものであります。

 文部科学省においては、これらの教材の適正な取り扱いについて、法令等の趣旨に従っていることなどの留意点を示した上で、校長、設置者が教材について適切な取り扱いを行うよう指導を行っておりますが、まず、学校は自治事務であるとともに、私学については、私立学校法により、建学の精神に基づく指導が最大限に保障されている等の仕組みとなっておりまして、各学校における個々の教材の具体的な是非についてあらかじめ判断する立場にはございません。

 その上で、御指摘のあった書籍等については、その一部を引用した教材を使用して当時の歴史背景について考察させる授業が考えられ、また一部にはそのような例があると承知しております。

 他方、仮にこれらの書籍等が国民主権や基本的人権の尊重などの原則に反するといった形で使用されるのであれば、法令等の趣旨に合致せず、不適切であることは明らかであり、万一このような指導がなされた場合には、所轄庁や設置者において厳正に対処すべきであると考えております。

 つまり、これは社会科であろうと道徳であろうと、この原則が当てはまるということでございます。

宮崎(岳)委員 時間を少々超過しておりますが、我が党の横山議員の方から少々食い込んでも構わないという御了承をいただきましたので、あと若干ですが続けさせていただきます。

 今の御返事は、私の質問の趣旨とはやはり少々違います。

 例えば「わが闘争」について、そもそも、それを一部を切り取って道徳教育等に使うことそのものが、学校教育法の趣旨に反するのではないか。もちろん、歴史背景を学ぶとか、あるいは国民主権について学ぶとかという文脈で使えば問題ないのは明らかでありますが、それとは関係ない部分について使っても大丈夫なのか、いいのか、そこについて質問しているんです。

 もちろん、その文章の中に問題点があれば問題ですが、文章そのものには問題がないというものを例えば朗読をさせる、毎日朝礼で朗読をさせるとか、あるいは副教材に使うとか、そういったことは許されるんでしょうか。もう一度、明快に御答弁願います。

義家副大臣 お答えいたします。

 まず第一に、「わが闘争」については、一部の教科書にそのまま載っております。その上で、歴史的な背景について考察させる等の授業があるやに承知しておりますが、国民主権や基本的人権の尊重などの原則に反する使用は、これは合致せず、不適切であるということは明らかであります。

宮崎(岳)委員 私が言っているのは、そうではありません。

 今教科書に載っているものは、それを歴史の一場面として、あるいは批判的に取り扱うという歴史教育や、国民主権について考える公民教育の中で、まさに批判的な視点から取り扱うということですからいいというのは、これはほとんどの方が納得されることだと思います。

 そうではなくて、その一部分を切り取って、その文章そのものに問題はないから副教材に使うなどし、それを朗読させるということがいいのかどうか。道徳の授業でそういったものを読み上げさせるというのがいいのかどうか、そういうことを言っておるんです。

義家副大臣 お答えいたします。

 批判的に取り扱うことはいいと委員はおっしゃっておりますけれども、一つの事象に対して、とんでもない悲劇があったという歴史の中で、こういう本が出ているが、しかしながら、このナチス・ドイツが行った過去に例のないような悲惨なことについて、命について、そして政治について等々を考えさせる授業はあるのではないかと思います。実際に教科書に出ているところでございます。

宮崎(岳)委員 まるで私の質問に答えておりません。

 そんなのは歴史的なものとして、あるいは批判的な視点から取り扱うのは当たり前のことです。そうじゃなくて取り扱う場合はどうなんですか。それは許されるんですか、許されないんですか。そこを伺っているんです。

義家副大臣 だとすれば、どのように取り扱うことというふうに具体的な例示をしていただければいいのであろうというふうに思いますが、憲法、教育基本法、学習指導要領にのっとって、法令に基づいた指導が行われていなければ不適切であるというふうに思っております。

宮崎(岳)委員 私はかねて具体的に申し上げております。

 「わが闘争」の中の、特にその文章だけでは問題がないような部分、例えば不屈の精神を養うというような文章があるとして、それを道徳の副読本に載せて、そしてそれを朝礼等で毎日暗唱させる。別にその文章の中には問題点はない。しかし、それを道徳の副読本等に載せて暗唱させるということはどうなんですかと具体的にお伺いしているんです。いいんですか、いけないんですか。

義家副大臣 過去の悲惨な歴史の当事者たる人物の著作について、その当事者たる人物を教えずして、表面にある文言だけを朗読させながら肯定するというものは適切ではないと思っております。

宮崎(岳)委員 適切ではないというお答えをいただきました。

 以上、質問を終わります。

木村委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

木村委員長 では、速記を起こしてください。

 次に、横山博幸君。

横山委員 民進党の横山博幸です。

 先ほど、質疑が続いておりますけれども、加計学園の獣医学部ができる今治市を選挙区の本拠地としております。ちなみに、自民党の衆議院の先生は個性豊かな村上誠一郎先生。この方は、実は加計学園の開学に反対をしております。明確に反対しております。

 昨夜、実は、地元の今治市で市民向けの説明会がございました。公会堂で三百人近く、立ち見も出ていたそうですが、そこの報告を受けますと、やはり課題は、市民への周知ができていなかったということと、今治市の財政の悪化の中で、現実に実行してよいのかどうか。もう一つは、経済効果について。今治市は年間二十億円の経済効果を提示しておりますけれども、その集会の中で、加計学園が千葉県の銚子市で大学経営を行っておるそうでございますけれども、銚子市の経済効果の期待を裏切って、年間二億円の赤字が続いている、こういった内容の討論があったそうでございます。

 振り返ってみれば、私も県議会議員の時代からこの加計学園についてはずっと携わっておりましたので、今お聞きすると大変複雑な思いでございます。やはり地方創生というのは、最終的には地域住民のためになる事業をしていくのが非常に大切ではないかと思います。そういう視点に立って、地方創生推進交付金の件について質問をさせていただきます。

 私は、昨年十二月の本委員会において、地方創生推進交付金は要件が厳しく、使い勝手が悪いため、要件緩和などの運用の弾力化など、地方からの要望に従って見直しを行う考えがあるのかと質問しました。政府は、現在、地方からの御意見をいただいているところでございますので、それを踏まえて、さらなる運用の弾力化について検討してまいりますと答弁をいただきました。

 平成二十九年度はどのように運用を弾力化するのか、この件についてお伺いしたいと思います。

奈良政府参考人 お答えいたします。

 地方創生については、自助の精神のもと、地方公共団体の主体性を持った取り組みを実施することにより、平均所得の向上等に努めることが重要でございます。

 このため、地方創生推進交付金につきましては、こうした基本認識を踏まえつつ、意欲的な地方公共団体が先導的な取り組みを推進できるよう、地方からの要望等に沿って思い切った弾力化を行う、このようにしてございます。

 具体的には、交付上限額を大幅に引き上げることに加え、地方の平均所得の向上等の観点から高い効果が見込まれる場合には上限額を超えて交付可能というふうにしてございますとともに、いわゆるハード事業につきましても、原則として総事業費の二分の一未満との取り扱いでございましたが、今後は、二分の一以上である事業も、外部有識者の審査により、地方の平均所得の向上や費用対効果等の観点から高い効果が見込まれる場合には交付対象として取り扱う、このようにしてございます。

 このように、地域の実情を踏まえた弾力的な運用に努めることにより、地方公共団体が自主的、主体的に実施する先導的な取り組みを安定的かつ継続的に支援し、地方創生のさらなる深化につなげてまいりたい、このように考えてございます。

    〔委員長退席、池田(道)委員長代理着席〕

横山委員 ありがとうございます。

 それでは、答えを出しますと、この後に少し質問しますけれども、二十八年度は予算額がなかなか消化し切れていない。今の答弁ですと、弾力的にしたことによって昨年度のような事態は生じないのかどうか、お答えを願いたいと思います。

奈良政府参考人 お答えいたします。

 まず、二十八年度の執行状況についてでございますが、二十八年に計画された地方創生に関する事業を、地方公共団体の多くが、国の二十七年度補正で措置された地方創生加速化交付金を活用して実施したということ、あるいはまた、二十八年度は地方創生推進交付金の制度設立の初年度でございましたので、多くの地方公共団体は制度的な事業設計を行うことに時間がかかってしまっていたこと等の要因により、採択額がなかなか厳しかったということだと受けとめてございます。

 このため、二十九年度の交付金の執行に当たりましては、二十八年度の地方創生加速化交付金を活用して事業を行った地方公共団体が、二十九年度から地方創生推進交付金を申請することが見込まれることや、制度設立から一年がたちまして、事業設計を行うに当たり参考となる事例が生まれ始めていること、また、二十九年度当初からの執行が可能となるなど、二十八年度に比べ十分な執行期間を確保することができることから、二十八年度以上に多くの申請がなされることが予想されてございます。

 さらに、先ほど御答弁を申し上げましたように、運用の弾力化を行うということでございまして、意欲と熱意のある地方公共団体が地域特性を生かして特徴的な事業を構築することが可能になると考えてございます。これまで以上に、質、量ともに充実した申請がなされることを期待しているところでございます。

 また、地域の実情を踏まえた運用に取り組むことに加えまして、全国説明会や随時開催している個別相談の場を通じて、地方創生における先進優良事例の横展開等も積極的に行うことにより、地方創生のさらなる深化を促してまいりたい、このように考えてございます。

横山委員 時間の制限はありますけれども、ゆっくり読んでいただいて結構ですから。少し理解しにくいところがございました。

 それで、少し具体的に数字的なものを見詰めてみますと、平成二十八年度は八月と十一月に交付対象事業の決定が行われており、地方創生推進交付金については、一回目の申請事業数七百九十件に対して、交付対象事業数は七百四十五件でありました。二回目の申請事業数は五百五十一件に対し、交付決定事業数は四百五十六件でありました。合計すると、申請事業数が千三百四十一件、交付対象事業数が千二百一件となり、交付対象とされなかった事業が百四十件にも上る状況でございます。

 これらの事業はどのような理由で対象事業とならなかったのか、御説明をいただきたいと思います。

奈良政府参考人 地方創生推進交付金については、意欲と熱意のある地方公共団体が、複数年度にわたり継続的かつ安定的に推進する先導的な事業を支援する目的で創設されたものでございます。交付対象事業は、外部有識者の審査やそれを参考にした内閣府の事務局での複数かつ複層での審査により採択することとしてございます。

 このため、例えば、事業の自走化に向けた具体的な仕組みづくりが行われておらず、将来的に国の支援がなくとも事業を継続することが見込まれない事業、農林水産業や福祉など個別の政策分野でとどまっているため、政策間連携や官民協働が不十分であり、従来型の縦割り構造を持つ事業など、先導性が不十分な事業については交付金の対象とはならなかったということでございます。

 政府としては、今後とも、全国説明会や個別相談の場を通じまして、先進優良事例の横展開を図ることによって、意欲と熱意のある地方公共団体が地域特性や地域の固有の課題を踏まえて特色のある事業を企画、構築できるよう積極的に支援してまいりたい、このように考えてございます。

横山委員 今のスピードでちょうど理解ができるようでございます。

 それでは、もう少し具体的にお聞きしたいと思いますけれども、交付対象事業を見ますと、一回目は七百四十五事業で百八十四億円、二回目は四百五十六事業で五十四億円の事業が決定されましたが、二回目の交付対象事業数及び交付決定額が一回目に比べ大幅に減少した理由をどのように考えているのか。また、申請数に対する交付決定数の割合も、一回目の九四・三%から、二回目では八二・八%に減少しております。その理由は何か。この点についてお聞かせいただきたいと思います。

奈良政府参考人 お答えいたします。

 地方創生推進交付金につきましては、平成二十八年度におきまして、二十八年六月と九月の二回に募集を行ったところでございます。

 地方公共団体の予算の構造上、主要な事業は当初予算に計上されるため、補正予算計上となる第二回募集については、第一回募集に比べ事業数は減少しているということが考えられます。

 また、執行期間がかなり短くなってしまうことから、一事業当たりの事業規模が相当程度小さくなる傾向にあり、類似の取り組みであっても交付対象事業費が大幅に縮小する、このような傾向がございます。

 採択率の差につきましては、審査自身は同様の水準で行っておりますので、審査の結果として、第二回募集が第一回を下回ったというふうに受けとめてございます。

 こうした点を踏まえまして、平成二十九年度の運用に当たりましては、意欲と熱意のある地方公共団体が十分な準備期間を確保できるよう、募集時期等を配慮するとともに、全国説明会や個別相談等を通じまして、地方公共団体における事業構築に向けた準備や検討を支援してまいりたい、このように考えてございます。

横山委員 それでは次に、予算額のうちの残額の処理についてお伺いしたいと思います。

 平成二十八年度地方創生推進交付金の予算額一千億円のうち、地方創生整備推進交付金分の四百十六億円分を除く五百八十四億円について、一回目では百八十三・五億円、二回目で五十三・五億円の、合計二百三十七億円の交付決定が行われております。

 つまるところ、残額が三百四十七億円となっておりますが、この半分以上の残額はどのように処理されたのか、具体的にお聞かせいただきたいと思います。

奈良政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のとおりの状況が二十八年度で見られましたが、このように二十八年度におきまして交付決定額が予算額を下回った要因といたしまして、二十八年度に計画された地方創生に関する事業を、地方公共団体の多くが、国の二十七年度補正予算で措置された地方創生加速化交付金を活用して実施したことに加えまして、地方創生推進交付金の制度設立の初年度であって、多くの地方公共団体が先導的な事業設計を行うことに時間がかかってしまったというようなことが考えられるというふうに認識してございます。

 こうした点を踏まえまして、平成二十九年度にはこれまで以上に多くの事業が申請されることが予想されることから、二十八年度未執行分につきましては、二十九年度に繰り越し、二十九年予算計上分とともに執行する予定でございます。

 また、平成二十九年度からは、地方創生のさらなる深化を推進するため、冒頭、先ほども御答弁申し上げましたとおり、地方の実情に即して、地方創生推進交付金の運用を弾力化したところであり、二十八年度以上に質、量ともに充実した申請が行われることを期待しているということでございます。

横山委員 それでは続きまして、関連の質問になりますけれども、平成二十九年度は平成二十八年度と同額の一千億円を確保できているということでございますけれども、先ほどお話がありましたように、二十八年度の交付決定額が予算額の半分に満たなかった。

 こういう状況を見たときに、今後も地方創生推進交付金の予算額を十分確保できるのか、この点について御答弁いただきたいと思います。

奈良政府参考人 お答えいたします。

 地方創生推進交付金については、平成二十八年度当初予算計上額一千億円に対して、地方創生整備推進交付金も含めた執行額は六百五十二億円となっているところであり、地方創生加速化交付金の存在など、平成二十八年度に特異な要因はあるものの、予算額に比べ執行額が下回っている状況にある、このように受けとめてございます。

 一方、地方創生推進交付金は、地域再生法に基づく法律補助の交付金であり、地方公共団体が地方創生を目的として取り組む先導的な事業を支援することを目的としていることから、地方公共団体が地域の特性を生かした先導的な事業の構築が可能となるよう、必要な支援を行うことが重要でございます。

 こうした観点を踏まえ、政府といたしましては、平成二十九年度から、地方の実情を踏まえた運用の弾力化を大胆に行うとともに、引き続き、全国説明会や個別相談を通じて、意欲と熱意のある地方公共団体の事業構築を支援することにより、地方創生推進交付金のさらなる活用を促し、もって必要な予算額の確保に努めてまいりたい、このように考えてございます。

横山委員 地方創生は、中央から見たときも非常に重要でありまして、しかしながら、地方自治体が本当に積極的に取り組めているのかどうかという問題が残っていると思いますし、先ほどから答弁がありましたように、当初は具体化までに地方自治体もかなり時間がかかっていた、こういったことを踏まえますと、地方創生の推進のためには地方自治体の積極的な取り組みが必要であります。

 推進能力は自治体によってかなりのばらつきがあると考えられますが、そこで、こういう今までやってきたことの中で、全国の先進事例の紹介など、先進事例を踏まえて地方自治体などに指導するようなことが必要ではないかと思いますけれども、この取り組みについてお伺いしたいと思います。

    〔池田(道)委員長代理退席、委員長着席〕

奈良政府参考人 地方創生の取り組みは、地域の人口減少と地域経済の縮小といった構造的な課題に対応するものであり、対症療法的な一過性の政策ではなく、各分野の施策を構造的に組み立て、深みのある政策パッケージを構築する必要がある、このように考えてございます。

 一方、地方創生のさらなる深化を図り、その流れを全国津々浦々に波及させるには、国として、小規模の地方公共団体を初め、意欲と熱意のある地方公共団体からの相談等にきめ細やかに対応することが重要だ、このように認識してございます。

 地方創生推進交付金を初めとする地方創生関係交付金の募集に当たりましては、全国九ブロック、北海道、東北、関東、中部、北陸、近畿、四国、中国、九州・沖縄ごとに交付金申請の事前相談を担当する職員を配置すること、ブロックごとや随時の個別相談等を通じて直接地方公共団体の担当者が事前相談する場を設置すること、あるいは、過去の交付金等における特徴的な事例についてはホームページ上で公開することなどによりまして、交付金の積極的な活用と特徴的な事例の横展開を促してございます。

 今後とも、トップセミナーあるいはチャレンジミーティングを初めとして、さまざまな機会を通じまして、地方創生関係交付金だけでなく、その他の地方創生に向けた支援施策を活用して、先進優良事例の横展開に積極的に取り組むことにより、裁量性と責任ある地方主導の政策づくりを全力で支援してまいりたい、このように考えてございます。

横山委員 ありがとうございます。

 ぜひ積極的に、具体的に御指導いただきたいと思います。

 地方のいわゆる地方創生の事業の計画書などを見てみますと、地方創生どころか、むしろ東京のコンサルが一番利益を上げておるような状況だと思いますので、ぜひ国からの細やかな指導が必要ではないかというふうに思います。

 それでは、あと、制限時間まで、企業版のふるさと納税制度についてお伺いをしたいと思います。

 政府は、企業版ふるさと納税制度の対象事業として、平成二十八年八月に百二事業、十一月に五十五事業を認定しておりますが、申請された事業についてはどのような審査をして認定されておるのか、また、基本的に申請された事業の全てを認定しているのか、この点について御説明をいただきたいと思います。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 企業版ふるさと納税ですけれども、これは、法律で、地方版総合戦略に定められた事業であって、地方公共団体が法人からの寄附を受け、その実施状況に関する指標を設定することにより、効率的かつ効果的に行う事業を対象にしているところでございます。

 具体的な基準といたしましては、まず、地方創生の実現という法律の目的を達成するためのアウトカムベースのKPI、客観的な数値目標という形で設定をしていただくということが一つ、それから、PDCAサイクルが整備されており、事後的に客観的な効果検証を行えるということ、三点目には、少なくとも一社以上の寄附予定企業を確保していること、この条件を満たしているかどうかを審査しているところでございます。

 これまで、御指摘の一回目、二回目につきましては、申請に先立ちまして私どもも事前に丁寧に相談に応じておりまして、申請事業はいずれも認定をしたところでございます。

横山委員 ありがとうございます。

 それでは、あと一点だけ質問をさせていただきたいと思います。

 この制度については、地域再生法改正案に関する昨年の国会審議において、地方自治体と企業の癒着の疑念を招くことが懸念されておりました。公表された対象事業における寄附企業には、企業名があるものと匿名のものがありますが、どのような違いによるものか。もう一点、透明性確保に向けてどのように取り組んでいくのか。この二点についてお聞かせいただきたいと思います。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 まず一点目でございますが、違いがありますのは、寄附を行った企業が企業名の公表を希望するか否か、それをもとにしまして、申請する地方公共団体の判断に従って掲載をしているところでございます。

 二点目でございますけれども、透明性の確保ということでありますが、企業版ふるさと納税につきましては、御指摘のように、地方公共団体と寄附企業との間で癒着が生じることのないように、内閣府令におきまして、地方公共団体が企業に対して、寄附を行うことの代償として経済的な利益を供与することを禁止しております。

 具体的には、寄附を行うことの代償として補助金を交付することなど、具体の行為を列挙して、地方公共団体、企業に対しまして周知をしているところでございます。

 また、地方公共団体が事業を予算化する場合には、地方議会の審議も経ているところでございます。

 今後とも、制度の運用に当たりましては、寄附の代償としての経済的な利益の供与が伴うことがないよう、いろいろな機会を通じまして、地方公共団体に対して十分周知を図っていきたいと考えております。

横山委員 大変ありがとうございました。以上で質問を終わります。

木村委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 私は、昨年四月二十六日、当委員会で、三重県伊賀市の伊賀市意育教育特区というものを取り上げて質問いたしました。

 この伊賀市意育教育特区は、それまでは禁じられていた株式会社による学校経営を特区にのみ可能とする二〇〇二年施行の構造改革特区法に基づいて、内閣府及び文部科学省の認定を受けて設立をされました。ここに株式会社立広域通信制高校として二〇〇五年九月に開校したのが、ウィッツ青山学園高等学校であります。

 昨年の質疑でも、この学校が高等学校就学支援金に関する詐欺容疑で東京地検特捜部の捜索を受けたことを紹介いたしましたけれども、ことし三月十日、東京地裁は、この学校の運営会社ウィッツの元監査役に対して、懲役二年六カ月、執行猶予五年の有罪判決を言い渡しました。

 文部科学省は、これを承知しておりますね。

義家副大臣 承知しております。

宮本(岳)委員 資料一に新聞記事をつけております。

 判決では、被告は、学校関係者らと共謀して、二〇一五年一月、高校既卒者など受給資格がない生徒十四人分の就学支援金約二百五十一万円を国に申請してだまし取ったことが認定されました。東京地裁の室橋雅仁裁判長は、教育機会の均等を図る制度の趣旨に反する悪質な犯行で責任は重い、こう指摘をしております。

 昨年の私の質問は、山本大臣も委員長としてお聞きになられたと思います。当時の石破大臣は、聞けば聞くほどひどい話で、委員がおっしゃるように教育はやり直しがきかないので、誰が一番の被害者かといえば、それは子供たちが一番の被害者であることは間違いないと述べられるとともに、実態を文科省においてきちんと把握していただき、是正すべき点は是正をしなければならないと答弁をされました。

 そこで文科省、その後、この学校はどのようになったか、簡単に御説明いただけますか。

義家副大臣 お答えいたします。

 ウィッツ青山高等学校において違法、不適切な学校運営が行われていたことは極めて遺憾でありまして、平成二十八年三月以降、伊賀市を通じて、生徒に面接指導を改めて実施することや、違法状態の是正を累次にわたって指導してきたところでございます。

 また、同年八月には、内閣総理大臣及び文部科学大臣の連名で、伊賀市に対して構造改革特区法に基づく措置要求を行い、学習指導要領に基づく教育の実施等を求めました。また、同年九月には、この措置要求への対応として、伊賀市から、このまま株式会社ウィッツに学校を継続させることは不適当であり、学校法人等の適切な教育を行い得るほかの運営主体により学校教育が継続されるよう検討するとの報告がございました。

 その後、伊賀市において、特区学校審議会の審議を経て、同年十二月、学校法人神村学園が新たな運営主体として選定されたところでございます。

宮本(岳)委員 私は、昨年八月二十五、二十六の両日、三重県伊賀市のウィッツ青山学園高校の現地を訪ねて、学校長から説明を受けるとともに、伊賀市教育委員会からもお話を伺い、岡本栄市長ともお会いをしてまいりました。当時、同校の生徒たちは単位取得のための補習授業に取り組んでおりました。

 私からは、学校にも、伊賀市にも、最後の一人まで生徒に責任を果たしてほしいと申し上げたわけでありますけれども、これは最終的にどのようになりましたか。

義家副大臣 私も回復措置等に参加し、また教員免許も更新して、私自身も実際に回復措置を行わせていただきましたけれども、数人、本人の希望により回復措置を受けなかった生徒はおりますけれども、大半の生徒はこの回復措置を受けた上で卒業の資格は得られたものというふうに思っております。

宮本(岳)委員 岡本栄伊賀市長は私との懇談で、国の助言も受けながら、しっかりと所轄庁としても責任を果たしたいと語っておられました。

 このたび、きちんとした学校法人に学校設置者が交代し、神村学園高等部伊賀分校となったことは、ひとまずよかったと思っております。問題は、この事件からどのような教訓を引き出し、他にもまだ残されている、構造改革特区の学校設置会社による学校設置事業によって開校している学校とその所轄庁に生かしていくかということが大事だと思うんですね。

 きょうは、資料二に「株式会社立学校制度の改善について」という概要ペーパーをつけておきましたけれども、内閣府、この事件を受けて制度をどのように改善しましたか。

川上政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの伊賀市での一連の事案でございますけれども、就学支援金の不正受給の発覚や不適切な教育活動等、悪質で特殊な事例であるとは承知してございます。

 ただ、認定地方公共団体が実態を把握していない等、指導監督体制が脆弱であり、学校評価、情報公開等の運用も適切に機能していなかったことを踏まえまして、今般、運営改善を行ったところでございます。具体的には、構造改革特区基本方針の改正を、去る一月の二十七日に閣議決定すること等により実施したところでございます。

 本日、先生の御配付の資料の中身にもあるところでございますけれども、そのポイントは、もともと本特例措置において機能することが予定されている外部有識者から成る審議会の専門的意見とチェック機能を最大限活用しつつ、必要に応じて都道府県のサポートも仰ぎつつ、PDCAサイクルに基づく認定地方公共団体の指導監督体制の整備、特に学校設置会社の役員や経営実態についてのチェック体制を整備するものでございます。

 加えまして、本年二月、認定地方公共団体を対象とした会議を文部科学省と共催で開催をいたしまして、今後の運用改善を周知するとともに、適正な指導監督の徹底を求めたところでございます。

 今後とも、株式会社立学校制度が円滑かつ適正に実施されるよう、文部科学省と連携し、認定地方公共団体への助言指導に努めてまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

宮本(岳)委員 株式会社立の高等学校は、昨年は十九校あったんです。このウィッツ青山学園高校を含めて二校が学校法人立に移行し、一校は廃校して、ことしは十六校へと減っております。

 そこで大臣にお伺いするんですが、大臣は、この間、市場の失敗という言葉も口にされます。そもそも、学校経営はそんなにはもうからないから、国公立か学校法人立でやっているわけですね。無理にもうけようとすればウィッツ青山学園のようなことになりかねないわけでありまして、逆に、真っ当にやれば、もうかるもんじゃないんですよ、学校なんというのは。株式会社は、もうからなければ、株主を初めとするステークホルダーに対する責任が問われることになるんですね。

 大臣、これはまさに本質的な矛盾なんですよ。私は市場の失敗だと思うんですね、学校ということにこういうものを入れたことが。構造改革特区制度における政策判断の一つ誤りだったのではないかと思うんですけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

山本(幸)国務大臣 ちょっと、市場の失敗についての理解が少し違うと思いますが。

 株式会社立学校制度は、地域の特性を生かした教育の実施や地域産業を担う人材の育成、その他特別の事情に対応するための教育の実施を狙いとして措置されたものでございます。

 株式会社立学校におきましては、英語教育、情報通信技術の活用、不登校の受け入れ等、教育の多様化、生徒の地域行事への参加や世代間交流による地域活性化、スクーリングで訪れる関係者による宿泊事業等の増加、地元人材の雇用創出等の効果が報告されているところでございまして、株式会社立学校制度には一定の意義もあるものと考えております。

 一方で、伊賀市の事案を踏まえまして、認定地方公共団体の指導監督体制の確保等の再発防止策について、内閣府として、文部科学省と連携し、今般の運用改善策を取りまとめたところであり、その周知徹底を図り、認定地方公共団体の責任ある対応を確保してまいる所存であります。

 しっかりとした監督指導体制のもとでそうした制度を生かすことは可能ではないかと考えております。また、内閣府として、文部科学省に協力し、広域通信制高校の点検、調査を行っているところであり、さらなる実態把握に努めて、必要に応じて適切に対応してまいりたいと思います。

宮本(岳)委員 私、実情を聞きましたけれども、要するに、単位取得のためのさまざまな教室を開いたり講師をお願いしたりした、その分のお金も一旦は伊賀市が立てかえたわけでありますけれども、そのお金は戻っていないんですね、まだ自治体に返っていないんです。

 それで、この学校を経営していた株式会社というのは、そのウィッツという会社自身にはお金は皆無でありまして、親会社がありまして、東理ホールディングスというところがありまして、そこがやがて渡すというんですけれども、それも渡っていない。だから、私はやはり、これは株式会社立ということでやっていると、もともとウィッツというのは別に子会社だったわけじゃないんだけれども、後に東理ホールディングスの子会社になっちゃったわけですよ。

 内閣府の答弁がちょっと続きましたから、義家副大臣に、義家副大臣のお気持ちもひとつ聞かせていただけますか。

義家副大臣 この間、委員におかれましては、さまざまな心配もしていただき、実際に現地にも行っていただき、市長、教育委員会、さらにはウィッツ青山の学校長を初めとした職員にも実際会ってもらって、さまざまな御助言もいただいているところでございます。

 まず我々がしっかりと認識しなければならないのが、認定地方自治体の監督指導体制が極めて脆弱であるという問題点が明らかにあったこと。当時は専任の担当というのがいませんでした。一方で、ウィッツ青山は全国四十カ所以上の民間施設にほぼ全ての教育を丸投げして実施していて、定員が千名を超えていたわけでありまして、その職員が、どこにサポート校があって、何人の生徒がいて、どのような指導が行われているかということを全く把握できる体制になかったわけでございます。

 そういった意味で、このたび、まずは本年一月、構造改革特区基本方針の改正を閣議決定し、基本方針において、文部科学大臣の同意の要件を新たに追加し、地方公共団体が適切な指導監督体制を確保していることや、学校設置会社が資産及び役員に係る要件を満たしていることなどを文部科学大臣が主体的に確認できる仕組みとした次第であります。

 いずれにしましても、一番被害をこうむるのは子供でございまして、やめましたと言えば、子供の履歴書に高校名が複数出ていく。その一つ一つの履歴書は子供たち、これからを担っていく若者たちの大きな荷物になっていくわけですから、学校である以上、しっかりとした責任を果たす体制をつくらねばならないと思っております。

宮本(岳)委員 私は、残る十六校も学校法人に移行するべきだと考えます。

 さて、次に、私は二年前の二〇一五年五月の十五日、当委員会で、当時、大阪都構想をめぐって、大阪で喧伝されておりました二重行政の無駄というものについて、これも質問いたしました。質問では、大阪府立大学と大阪市立大学、府立図書館と市立図書館、府立体育館と市立体育館等々について、二重行政でも何でもないということを明らかにいたしました。

 最近大阪で問題になっている住吉市民病院問題というものも、実は大阪府立の急性期・総合医療センターと大阪市立の住吉市民病院が二重行政だ、二重行政の無駄を省くのだ、こういう理屈から始まっております。

 そこで、まず大臣にお伺いするんですが、大臣の地元福岡県、そして政令指定都市である北九州市には、福岡県立精神医療センター太宰府病院と、北九州市立の三つの病院がございます。大臣の地元で、これが二重行政である、二重なのは無駄だからどちらか一方をなくそう、こういう議論を耳にされたことはございますか。

山本(幸)国務大臣 私の地元であります福岡県の北九州市においては、市立病院がありますけれども、県立病院は立地しておりません。そういう意味では、そういう問題を聞いたことはございません。

 いずれにしても、各地方公共団体の判断に基づいて、地域の実情に応じた形で、効率的かつ効果的に住民サービスが提供されることが最も大事だというように認識しております。

宮本(岳)委員 それぞれに重要な役割があるのは当たり前でありまして、厚生労働省に確認します。

 大阪府と大阪市以外に、都道府県立病院と政令市立病院が両方あるのは二重行政で無駄だ、こういう議論をしている都道府県がありますか。

椎葉政府参考人 お答えさせていただきます。

 厚労省としては、医療提供体制の観点からは、それぞれの医療機関が担う役割や、それから機能を踏まえまして、適切な連携体制を構築していくことが重要だというふうに考えているところでございます。

宮本(岳)委員 当然ですね。

 資料三につけておきましたが、「住吉市民病院 やっぱり二重行政ではなかった」と。これは我が党のビラではありません。JiMiNSiMiNという、自由民主党・市民クラブ大阪市会議員団の市政報告であります。自民党がおっしゃっているわけですから、大臣も御納得いただけると思うんですね。

 昨年三月十日の参議院厚生労働委員会で、我が党の辰巳孝太郎参議院議員も質問で取り上げましたけれども、住吉市民病院がある地域は、小児科、産科がもともと不足している地域であり、地域周産期母子医療センターの認定を受けたこの病院が、小児、周産期医療に中核的な役割を果たしてまいりました。また、未受診や飛び込みによる出産を積極的に受け入れている病院でもあり、二〇一三年は大阪府下で四番目に多かった病院なんですね。さらには、児童虐待被害児の一時保護の受け入れを積極的に行ってきた病院でもあります。この病院を廃止するというのは愚の骨頂だと言わなければなりません。

 そこで、総務省に確認いたしますが、平成二十七年度の国勢調査によりますと、大阪府の人口はどのようになっておりますか。

千野政府参考人 お答えいたします。

 平成二十七年国勢調査による大阪府の人口は八百八十三万九千四百六十九人となってございます。前回調査の平成二十二年と比べますと、二万五千七百七十六人の減少、〇・三%の減少となってございまして、戦後初めて人口増加から人口減少へと転じたところでございます。

宮本(岳)委員 三大都市圏では大阪府が真っ先に初の人口減少に転じたことが大きな衝撃を与えております。

 松井知事も、インタビューに答えて、施策を集中し、さまざまなことをやって、どこかの時点で人口がふえていく形をつくらなければならない、いかに子育てをしやすい日本をつくっていくかというところになると語っております。

 そのようなときに、まさに子供を産み育てる地域の拠点病院が失われようとしているという問題なんですね。

 厚生労働省に確認いたしますが、大阪市立住吉市民病院廃止に伴う病院(医療機能)再編計画というものはどのようなものか、かいつまんで御説明ください。

椎葉政府参考人 お答えさせていただきます。

 まず、大阪府の計画でございますけれども、再編前は、大阪府の急性期医療総合センターと大阪市立市民病院それから民間病院の三者がございましたが、このうち大阪市立市民病院の方、一般病床が百九十八床ありますが、これを廃止いたしまして、そして、一般病床九十七床を大阪府立急性期・総合医療センターの方に移管する、また、残りの一般病床百床を民間病院の方に移管する、一床を削減し、そして、移管する大阪府急性期医療総合センターの方には高度急性期の新生児や周産期の方をやっていただきまして、そして民間の方には正常分娩等をやっていただく、そういった分担を図るという計画でございました。

宮本(岳)委員 病院の現地存続を求める七万人を超える署名も顧みることなく、二〇一三年三月二十九日、当時の橋下徹大阪市長が市議会に提出した住吉市民病院の廃止条例案が、本会議で、日本共産党以外の会派の賛成で可決をされました。市長与党の維新の会だけではなく、当初反対を表明されていた公明党や自民党の皆さんも、民間病院の早期誘致実施の附帯決議をつけて賛成に回りました。

 今つけた資料の最後に恐らくついている、最後のページになりますが、資料六を少し見ていただきたいと思うんですね。

 左側の三つの箱の真ん中、市立住吉市民病院の百九十八床を廃止し、上の府立急性期・総合医療センターに九十七床、下の民間病院、南港病院に百床を移管し、合計で一床を削減するというものであります。

 この再編計画は、医療法施行規則第三十条の三十二第二号、複数の病院の再編統合に向けた医療計画制度の特例に基づき、厚生労働大臣の同意が必要だと思いますけれども、厚労省、この計画にいつ同意を与えましたか。

椎葉政府参考人 お答えさせていただきます。

 医療法におきましては、都道府県が、病床過剰地域でありましても特別な事情がある場合には医療機関の病床数の変更を認めることができることとされておりまして、特例とする病床数につきまして、厚生労働大臣に協議をし同意を得ることとされているところでございます。

 委員御指摘の住吉市民病院に係る再編計画に関しましては、平成二十七年十二月に大阪府より協議の申請書が提出され、これに対し、平成二十八年二月に厚生労働大臣より同意を行っているところでございます。

宮本(岳)委員 辰巳議員がその直後の三月十日、参議院厚生労働委員会で指摘したように、この同意は極めて異例なものでございました。

 この再編計画には大阪府の医療審議会の意見書が付されてありますけれども、賛成した委員が一名、反対が十二名、賛否を保留した委員が四名となっております。

 塩崎厚労大臣も、再編統合による特例の協議は平成十七年の一月以来二十三件あったが、本件以前に反対多数の意見が付された例はないと答弁しております。

 厚生労働大臣は、なぜ反対多数の意見書が付されたような再編計画に同意を与えたんですか。

椎葉政府参考人 お答えさせていただきます。

 大阪府から提出された申請書を確認したところ、医療法施行令第五条の三第二項の要件に該当すると認められたことから同意を行ったものでございます。

宮本(岳)委員 塩崎大臣は、大阪府医療審議会の意見書に反対意見が多数を占めている事実も、大阪市南部医療協議会が反対していることも知っていると言いながら、丁寧な説明を行っていただいて再編計画が円滑に進むようにしていただきたいと大阪府知事に要請したなどと言うばかりで、この再編計画がうまくいかない場合でも撤回するとは言いませんでした。

 しかし、一年たって、この再編計画は、もはや破綻は明瞭になっております。

 資料四を見ていただきたい。

 ことし三月二十九日付朝日の記事でありますけれども、そもそも大阪市は、来年三月閉鎖予定の住吉市民病院の跡地北側に産婦人科と小児科を含む二百九床の民間病院、南港病院をつくる予定でありましたけれども、建築計画が建築基準法の日影規制にかかることが判明し、開業を、来年四月から二年延期せざるを得なくなりました。

 これは大阪市も過失を認めておりますけれども、厚生労働省、報告を受けておりますか。

椎葉政府参考人 委員御指摘の件につきましては、四月五日に聞いております。

宮本(岳)委員 その二年の延期のために、先ほどの自民党・市民クラブ市会議員団の市政報告の中にも出てきますけれども、七千万円の改修費、及び平成三十年度の十一億円の支援スキームそのものが住民訴訟の対象となってきていますと述べられております。

 大阪市は、住吉市民病院の現地建てかえ案と、府立急性期・総合医療センターに機能統合する今回の案を比較検討して、現地建てかえより機能がアップする、診療体制の充実による医師等の勤務環境の向上、イニシャル及びランニングコストの抑制を図ることができるなどのメリットがあると説明してまいりました。しかし、既に、コスト削減どころか、むしろ大変なコストが生じることが明らかになっております。

 先ほどの資料四、朝日の記事にあるように、大阪市議会は、三月二十八日、二〇一七年度一般会計当初予算案から、新病院が開業するまで南港病院が市民病院の施設を暫定利用するための改修費七千万円を削除し、予算の修正案を可決いたしました。これで市の再編計画は完全に頓挫することになります。

 厚労省、このことについて、大阪市及び大阪府から四月五日に報告を受けたと聞いておりますけれども、どのような報告でございましたか。

椎葉政府参考人 恐縮でございます、先ほど答弁しました四月五日という答弁でございますが、初めて聞いたのは二十八年の十月でございました。

 そして、四月五日ですけれども、大阪府、市の担当職員が厚労省に参りまして、今回の住吉市民病院に係る再編計画について、新たな病棟建設について計画変更が必要な状況となっているというふうに伺っております。そのため、そのときには、大阪府、市において責任を持って関係者との協議を進め、対応いただきたいというふうに助言しているところでございます。

宮本(岳)委員 資料の五というものを見ていただきたい。

 三月二十八日付産経の記事であります。「大阪府市 医療再編計画 厚労省、百床廃止検討」という大見出しが躍っております。

 厚労省、これは事実ですか。

椎葉政府参考人 御指摘の記事でございますけれども、厚労省として、こういった事実はございません。また、取材も受けておりません。

宮本(岳)委員 これは事実ではない、取材も受けていないということでありました。

 そうしたら、百床移動の時期を平成三十二年四月にずらすということは可能なのか。また、あわせて、ここまで来たら、新たな条例をつくって、府立急性期・総合医療センターに九十七床を移管した上で、住吉市民病院を百床残して建てかえるということは可能でございましょうか、厚労省。

椎葉政府参考人 再編計画につきましては、計画変更が必要な状況となっているふうに、大阪府、市から伺っているところでございます。このため、大阪府、市におきまして、責任を持って関係者との協議も進め、対応していただきたいと考えているところでございます。

 厚労省としても、大阪府、市からよく話を伺い、必要に応じて助言等を行ってまいりたいと考えているところでございます。

宮本(岳)委員 いずれにせよ、抜本的に見直すべき段階に来ていると思うんですね。

 私はやはり、医療審議会も圧倒的に反対するようなものを進めるのではなくて、しっかり住民の皆さんの声を聞いて、また専門家の声も聞いて、改めて、かけがえのない公的病院を守るという立場で、もう一度議論をする必要があるというふうに思っております。

 最後になるんですけれども、小児、周産期医療の提供の強化や、地域でなお不足する医療機能の充実を図ることを目的に、この再編計画というものは出されてきたわけでありますけれども、その再編計画が逆に地域の医療空白を生んだのでは本末転倒も甚だしい、これはもう明らかだと思います。

 厚生労働省として、医療空白を生じないようにちゃんとやってくださいと、これをはっきりお伝えいただくことはできますか。

椎葉政府参考人 お答えさせていただきます。

 厚労省としても、大阪府、市からよく話を伺い、いろいろと助言を行ってまいりたいと考えております。

宮本(岳)委員 しっかりやってくださいよ、本当に。同じ答弁が続きますけれども。

 私たちは、広範な市民の皆さんとともに、大阪市に対して、破綻済みの再編計画を撤回し、条例を変えて住吉市民病院を復活させよう、しっかり残せと要求していく決意であります。

 国においても、医療空白など許さないように適切に助言するよう強く求めて、私の質問を終わります。

木村委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 私で本日は最後だと思いますけれども、二十分、おつき合い、よろしくお願い申し上げます。

 私の前回の質疑、特に特区法に関係して、外国人の失踪者数がふえているんじゃないか、その問題について、本日はその続きを伺っていきたいというふうに思います。

 前回のをまとめますと、平成二十八年時点、つまり去年一年間まで含めて、去年までの、まず特に技能実習制度に絞ってお話を聞いてきましたけれども、この技能実習制度自体の総数はまず二十二・八万人、日本に技能を学ぶためにという形で来られている。そのうち、どこに行ったかわからない、いわゆる失踪者、何をしているかもわかりません、その方々が年間五千人生まれていて、これまでの総数で二万人がどこへ行ったかわからへんという状況になっているということです。

 つまり、計算しますと、四十五人に一人が毎年失踪しているということになると思うんですけれども、日本人の方の失踪者数の年間の割合から見ても異常に高い。計算しても、日本人の失踪に比べても二十五倍以上の割合で、海外の方、技能実習で来られた方に絞っても、これだけいらっしゃる。

 ましてや、外国人総数で百万人を超えていらっしゃるということなので、それも入れればもっとだと思うんですけれども、割合で今話をしていきたい、そして、この特区の話でしていきたいので、まずは技能実習制度に限ってお話をしていきたいんですけれども、前回、そういった答弁をいただいて、まずは数字の確認から始めたんですけれども、去年の法改正をしましたので、この十一月から介護分野にも、この技能実習制度が広がります。

 ますます、恐らく人口も、来られる数もふえる、そうすると恐らく、何の対策もしなければ、この失踪者数もふえる。そして、犯罪についても聞きましたけれども、千件近い方が、失踪者だけじゃなくて技能実習生の方々の中であるという話なので、これもふえる懸念がある。

 今これをしっかりやっていかないと、介護もふやすわ、今度、この特区法、次に審議しますけれども、この特区法で農業従事者の分野の特区をさらにふやすということですから、そういった意味で、非常に私は危惧しておりますし、しっかりやっていただきたいために、お話を聞いていきたいと思います。

 まず、重ねて、この間の調査を踏まえた上でお聞きしていきたいんですけれども、今申し上げたように、外国人の失踪者数、例えば技能実習ですけれども、この技能実習制度を使って来られる方の総数分の失踪者の割合、これが明らかに高いという指摘を、今、実際にお聞きしたデータに基づいてお話をしていますし、前回のお話もそうだったというふうに思います。

 これについて、なぜこんな高い状況なのかについて、どのように考えていらっしゃるのか、政府として。これは調査されているのかどうか、また、原因についてどう考えていて、それに対してどう対策していくべきだと今思っていらっしゃるか、お答えいただけますか。

佐々木(聖)政府参考人 お答えいたします。

 入国管理局では、平成二十六年三月以降、失踪した技能実習生に関する情報や監理団体の受け入れ体制等について、監理団体等から聴取をしたり、また、退去強制容疑者として退去強制手続を開始した場合に、技能実習生本人から失踪に至る経緯を聴取するなどしてございます。

 これまで聴取を行った、失踪した技能実習生約六千九百人のうち、六割を超える約四千二百名が、賃金が安いことを失踪の動機としております。この結果から、実習先から失踪する技能実習生は、技能実習を、技能等を修得して母国に持ち帰る機会というよりも、出稼ぎ労働の機会として捉え、より賃金の高い就労先を求めて失踪する者が多いと認識をしております。

 また、失踪した技能実習生の中には、いわゆるSNS等を利用して、より賃金の高い就労先の情報を収集したり、ブローカーによるあっせんを受けたりしていた者も少なくないことが判明をしています。

 そこで、現行制度では、失踪者を多数発生させている送り出し機関や監理団体等について厳格に審査をすることはもとより、実習実施者や監理団体に対し、技能修得の意欲が認められる人を選抜するよう指示するなどしています。

 さらに、今後施行されます新制度におきましては、現行制度での対策に加えて、送り出し国との政府間取り決めにより、送り出し国や送り出し機関による技能実習生に対する制度趣旨の周知徹底を求めるほか、高額な手数料等を徴収する送り出し機関を排除し、加えて、改正入管法では、技能実習生の逃亡にも対応できる新たな在留資格の取り消し事由を創設しておりまして、引き続き、技能実習生の失踪対策に努めてまいります。

丸山委員 今、失踪された方を捕まえた、それは入管法違反で捕まえた方だと思います、そういう方に対して調査をしたところ、六割を超える方が、基本的に、安い賃金やから、もっとええ賃金で働きたいということで失踪したんだという話でした。恐らくそうなんだろうというふうに思いますし、現場でいろいろな、雇っていらっしゃる方のお話も聞きましたが、そういう意見が多うございました。

 特に、期限が切れる直前に、もう帰らなきゃいけないので、失踪される方も多くて、非常に問題だと思いますが、そもそもの根本のたてつけとして、技能を学んでほしいというたてつけで来てもらっているにもかかわらず、実情は、この国の企業も、農業にしても、労働力不足で労働力が欲しい、同時に、来られる方々も、賃金、できる限り高いお金で働きたいという部分の、本音と建前のずれが実はここの部分にあらわれていて、これが将来に対して私は禍根が残っていくんじゃないかというふうに思っているんです。

 実は、犯罪で千人、この技能実習で捕まったというデータ、お話を聞きましたけれども、そのうち四割が入管法違反ということなので、年間四百人ずつ、大体、入管法違反で捕まっているという計算だというふうに思うんです。

 そうした失踪者のお話を今少し聞きましたが、その方々が、ビザが切れた後、入管法違反となっている状態だと思うんですけれども、この方々はどのように、発見されるまでの間、生活されているのか、送っていらっしゃるのか、この辺の統計、もしくは実情について、どのように把握されているか、お伺いできますか。

佐々木(聖)政府参考人 御報告します。

 平成二十八年中に退去強制手続をとった失踪技能実習生は三千三百四十三人であり、そのうち九割を超える者が別の事業所等で稼働をしておりました。

 実態の一端ということで申し上げますと、失踪後の就労地域につきましては茨城県が最も多く、全体の約二七%で、以下、愛知県、千葉県の順となっており、上位三県で全体の約半数を占めています。

 また、失踪後に従事していた職種につきましては、農林業従事者が最も多く、全体の約三一%で、以下、建設作業者、工員の順となっており、上位三職種で全体の約七割を超えているという実態でございました。

丸山委員 つまり、場所といえば、東京近郊でアクセスもよくて、農業関係で人手が不足していると言われている茨城や千葉に多くいらっしゃって、そして、今は男女が分かれていなかったのですけれども、男女別でいくと、男性は確かに農業従事者、建設の従事者、工員の方をやっていらっしゃるというのが多いみたいですけれども、女性は、例えば農業の次はいわゆるホステスのような接客業の方が多いとか、そういうデータも聞いているところなんです。

 そういった、イメージできるような、まさにイメージどおりの形で、お金、賃金のもっといいもので働きたいということで不法滞在しているという状況で、極めて、これに対してほっておくと、そもそもの趣旨からずれていますし、なおかつ、治安面もそう。もっといけば、欧州の事例を前回出しましたけれども、欧州だって、移民の問題、そしてそこからくる、労働力の不足と言っていながら、景気の状況が変わったり、邦人との雇用が重複することで、そこに不満がたまってという形での、それが表面化しているのが欧州だと思うんですけれども、それにつながっていきかねないなというふうな危惧があるんです。

 そういった意味で、どう食いとめていくかというのが非常に重要で、先ほど少しお話しされていましたけれども、実は私、根本の部分にはなっていないと思っていまして、結局、失踪されるのは来た外国の人たちであって、事業所の方に対してしっかりやれ、しっかりやれと言っても、例えば期限が来そうなときに逃げるのをとめられるかといったら、実質とめられないと思うんですよね。

 だから、そういった意味で、まず、やっていく手順としては、優先順位をつけていかなきゃいけない、非常に難しい問題だと思うんですけれども、一番問題なのは、そもそも失踪を前提で来られるものだと思います。

 これが、先ほどもお話が少しありましたけれども、いわゆるブローカーという形で、来られる方々の母国で、その現地のブローカーが、借金させてとか、いろいろな事情があると思うんですけれども、着いたら失踪させる前提で送り込んでいるというものまであるという話です。

 これは報道記者に聞いたんですけれども、事実ですか。こういうのを把握されているかどうか、どうでしょうか。政府、お答えいただけますか。

佐々木(聖)政府参考人 今委員御指摘のような報道がなされていることは承知をしてございます。

 技能実習制度は、基本的には適正に行われているものと認識しておりますけれども、残念ながら、技能実習生の母国の送り出し機関が違法な保証金の徴収等を行ったり、いわば今御指摘のブローカー的な人物なりあるいは組織が暗躍する事例があるのも事実と認識をしてございます。

丸山委員 この対応は、今言ったように、相手の政府側にこういったものの取り締まりをまずは求めていくということでいいんでしょうか。

佐々木(聖)政府参考人 御指摘のように、こうした送り出し機関やブローカーが関与する問題は、一般に来日前に技能実習生の母国で行われるものであることから、技能実習法施行後の新制度では、このような国外で行われる不正な行為に対応するため、各送り出し国との間で速やかに二国間取り決めを作成し、各送り出し国政府において自国の送り出し機関の適格性を個別に審査し、適正なもののみを認定する仕組みを設けることとしており、相手国の協力も得ながら、送り出し機関及びその背後で不正を行うブローカーが介在することのないよう、適正化を図ることとしております。

丸山委員 しっかりお願いするしかないかなというのが正直なところです。例えば日本の捜査機関が行ってどうこうというのは限界がありますし、そもそも問題、できないという状況だと思いますので。

 本当に、海外の、まず来るところの事例からしても限界があって、来られてから日本で活動する中でどこかで失踪してしまう状態を食いとめるのも限界があるのはわかっているんです。しかし、そもそもの制度の趣旨からずれているがゆえにこうなっているんじゃないかという根本の部分にもう少し光を当てて、ある意味、建前はいいんですけれども、結局、お金を稼ぎたいという方を呼んでくるニーズと、日本国内に労働者が足らないというニーズに対してのマッチングをしているんじゃないかという部分に、このひずみが出ているんだというふうに思います。

 そういった意味で、私なんかは若い議員なので、もっと日本国民をふやす方にお金を、少子化対策にしてもまだまだ、担当大臣までいるのに予算がほとんどついていない、GDP比で見てもほかの国と比べても低いみたいな段階で、安易に、労働力が足らないからということですぐとりたいという部分ばかりに注力してしまうことを問題視しているところなんです。

 ちなみに、この方々は、難民の申請もふえているということなんですけれども、前回、難民申請数をお聞きしましたが、そのうち技能実習生はどれぐらいで、これはふえているんですよね。どうでしょうか。

佐々木(聖)政府参考人 技能実習の在留資格を有する外国人からの難民認定申請数は年々増加をしてございまして、入国管理局としても大変大きな問題と捉えてございます。

 その数、平成二十四年は四十三人、二十五年、百十八人、二十六年、四百十四人、二十七年、七百三十一人、そして平成二十八年は千百六人となっております。

丸山委員 聞いていただいたら驚きの数字だと思いますよ。五年間で四十三人から千百六人までふえているんですよ。二十倍、三十倍近い数がふえている状況で、しかも、難民申請すると半年後から働けるようになって、しかも、この間お話ししたように、延長、延長、不服申請すれば、ずっとできるわけですよ。しかも、それに対して、どちらかというと、左巻きと言ったら怒られるかもしれませんけれども、それを支援する方々がいるという状況で、いかんともしがたい難しい状況にならないかということなんですよ。これはまだまだふえていくと思います。非常に問題だと思いますので、時間も限られていますが、次にこの話も続けていきたいんです。

 農業の今回ふやそうとされている部分を最後、お時間、短うございますが、あと五分ですから、聞いていきたいと思います。

 今回特区でふやそうとされていますけれども、まず、現在の農業分野で、外国人労働者数とその滞在している内容別、聞いていきたいんですよ。多分、ほぼ技能実習生じゃないかなというふうに思っているんですけれども。

 さらに、今回特区法で提出されているものですけれども、農業従事者、どれぐらいふやす予定なのか、計画なのか、お伺いしたいと思います。

 ちなみに、今、茨城、千葉の需要があって、恐らく、東京が近いからその辺に働きたいという海外の不法滞在者が多いんだと思うんですけれども、この特区要請をしている自治体というのは、千葉や茨城、あるんでしたっけ。たしかなかったような気もするんですが、あるかどうかも含めてお伺いできますか。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 国家戦略特区に農業分野における就労目的での外国人受け入れについて提案した五つの自治体は、茨城県、愛知県、長崎県、それから秋田県大潟村、群馬県昭和村ということになっております。五つでございます。

丸山委員 ありがとうございます。後半、先に答えていただきました。

 茨城がまず、これは入っているわけですね。不法滞在をできる限りこの特区でというのはあるかもしれません。

 次に、済みません、最初にお聞きした、そもそもの通告では5でお聞きした人数、人数というかふえる予定、計画も含めてお伺いできますか。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省が集計しております外国人雇用状況届け出によりますと、農業分野において就労する外国人労働者数は、平成二十八年十月末時点において二万三千六百八十三人となっております。

 それを在留資格別で見ますと、技能実習が二万七百九十四人と最も多くなっておりまして、次いで永住者等の身分に基づく在留資格が千七百八十四人、専門的、技術的分野の在留資格が六百五十六人、それから資格外活動が三百五十一人、そしてワーキングホリデー等の特定活動が九十八人となっているところでございます。

 そして、今回、特区に農業分野における就労目的で外国人の受け入れについて提案した五つの自治体に聞き取り調査を行いましたところ、初年度は、先ほど申しました五つの自治体全体で、約三百人程度の外国人材の受け入れを想定しているという回答がございました。

丸山委員 三百人だったらもともとのこの制度で十分賄える部分だと思うんですけれども、何でわざわざ特区でというふうに、非常に気になるところですが、そもそもの部分で、今お話があったように二・三万人中二万人強がこの技能実習制度ということで、ほとんどの農業従事者は今、技能実習制度な状況なんですね。

 それで、恐らく、期限が切れる云々、もしくは、もっといいのがあるよという、SNSも含めて情報があったら失踪されて、それで、そこで就労されている。捕まった場合には強制送還。その場合の人数が、今お話を聞いて、恐らく、状況を聞いたら、そういう、より高い賃金でという状況があって、今、その人数も年々どれもふえているというのが、犯罪部分も難民部分も、そもそもの失踪者の数もというのが今の現状です。

 大臣、ずっとお聞きいただいておりましたが、今回、特区法で農業の改正をされます。でも、前回の介護をふやしたときも、これももう少しちゃんと対策が必要だということで、対策を入れているんですよ。でもこれは、まだ施行前で、状況もどうなっていくのかわからなくて、今もう結果は聞きましたけれども、今後、将来どうなっていくかという部分に関してのまだ見通しが見えない中で、私、この特区の話も慎重にしていかなきゃいけないというふうに思っているんですけれども、大臣、どうでしょうか。その辺について見解をお伺いできますでしょうか。

山本(幸)国務大臣 今お話を伺っておりまして、問題が生じているのは、お互いの考えているところ、要求するところが違っていて、それを無理やり技能研修生ということでやっていることによってできているんじゃないかと思います。そういう意味では、お互いの事情をはっきりと認め合うという形でやることの方がデメリットは少ないんじゃないかと思っております。

 そういう意味で、経営規模の拡大などによります強い農業を実現するために、一定水準以上の技能をもう既に有している、そういう農業外国人材の入国、在留を可能とする改正国家戦略特区法案を、先般、国会に提出しているところでございます。

 一方で、先ほども御指摘がありましたような劣悪な労働環境や低賃金等により、技能実習生のような失踪等の問題が生じないような、万全の対策を講ずる必要があります。

 このために、今回の制度設計におきましては、国と自治体が合同で協議会を設置して、国、自治体がみずから受け入れ企業を直接管理することで、労働時間や賃金等の労働条件等を適切に管理する仕組みを導入する予定であります。

 また、仮に問題が生じた場合は、外国人材を適切に保護できるよう、苦情、相談を直接受け入れる窓口を協議会に設置する予定であり、これらの取り組みにより万全を期してまいりたいと考えるところであります。

丸山委員 時間が参りましたので、本日はこれで終わります。ありがとうございました。

木村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時一分散会


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