衆議院

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第3号 平成31年3月19日(火曜日)

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平成三十一年三月十九日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 松野 博一君

   理事 池田 道孝君 理事 加藤 寛治君

   理事 中山 展宏君 理事 山本 幸三君

   理事 義家 弘介君 理事 今井 雅人君

   理事 白石 洋一君 理事 桝屋 敬悟君

      石原 宏高君    大西 宏幸君

      加藤 鮎子君    金子万寿夫君

      神田 憲次君    小寺 裕雄君

      小林 茂樹君    後藤 茂之君

      佐藤 明男君    杉田 水脈君

      平  将明君    高木  啓君

      谷川 とむ君    中曽根康隆君

      中谷 真一君    長坂 康正君

      福田 達夫君    穂坂  泰君

      本田 太郎君    牧島かれん君

      宮川 典子君    宮路 拓馬君

      渡辺 孝一君    大串 博志君

      亀井亜紀子君    長谷川嘉一君

      福田 昭夫君    松田  功君

      斉木 武志君    緑川 貴士君

      太田 昌孝君    浜地 雅一君

      宮本 岳志君    杉本 和巳君

      広田  一君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (まち・ひと・しごと創生担当)          片山さつき君

   総務大臣政務官      古賀友一郎君

   文部科学大臣政務官    中村 裕之君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官補)       伊藤 明子君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 川合 靖洋君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長)

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        中原  淳君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 高橋 文昭君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長)

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        辻  庄市君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室次長)         山野  謙君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        村上 敬亮君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)

   (文部科学省大臣官房サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官)      菱山  豊君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        佐々木 浩君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 多田健一郎君

   政府参考人

   (総務省統計局統計調査部長)           佐伯 修司君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 石岡 邦章君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 小野平八郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           玉上  晃君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     杉浦 久弘君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局農村政策部長)       高橋 孝雄君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           島田 勘資君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           清瀬 和彦君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           眞鍋  純君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  正田  寛君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 森田 治男君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十九日

 辞任         補欠選任

  佐藤 明男君     杉田 水脈君

  長坂 康正君     穂坂  泰君

  丹羽 秀樹君     高木  啓君

  福田 達夫君     宮路 拓馬君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     佐藤 明男君

  高木  啓君     丹羽 秀樹君

  穂坂  泰君     長坂 康正君

  宮路 拓馬君     本田 太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  本田 太郎君     福田 達夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方創生の総合的対策に関する件


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     ――――◇―――――

松野委員長 これより会議を開きます。

 地方創生の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官向井治紀君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官補伊藤明子君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長川合靖洋君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長、内閣府地方創生推進事務局審議官中原淳君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長高橋文昭君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長、内閣府地方創生推進事務局審議官辻庄市君、内閣府地方分権改革推進室次長山野謙君、内閣府地方創生推進事務局審議官村上敬亮君、内閣府地方創生推進事務局審議官、文部科学省大臣官房サイバーセキュリティ・政策立案総括審議官菱山豊君、総務省大臣官房地域力創造審議官佐々木浩君、総務省大臣官房審議官多田健一郎君、総務省統計局統計調査部長佐伯修司君、法務省大臣官房審議官石岡邦章君、財務省大臣官房審議官小野平八郎君、文部科学省大臣官房審議官玉上晃君、文化庁審議官杉浦久弘君、農林水産省農村振興局農村政策部長高橋孝雄君、経済産業省大臣官房審議官島田勘資君、国土交通省大臣官房審議官清瀬和彦君、国土交通省大臣官房審議官眞鍋純君、環境省自然環境局長正田寛君、防衛省大臣官房審議官森田治男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松野委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小林茂樹君。

小林(茂)委員 おはようございます。

 本日は、このように地方創生に関する特別委員会、質問の機会をいただき、ありがとうございます。大臣そして政府参考人の皆様、よろしくお願いいたします。

 私は奈良県議会議員出身でございます。約五年半務めておりますが、それ以前は奈良県において不動産業の経営をいたしておりました。更にさかのぼれば、ふるさと奈良を離れて、学生時代は四年間東京で過ごし、そしてさらにサラリーマン時代も約三年間東京に勤めておりましたが、そんな私が、いろいろわけがあって奈良へ戻り、事業を行い、そして今現在このような、地方政治、国政という立場でありますが、大変いい委員会に所属させていただいているなと感じております。

 今、地方の問題は、ふるさとを離れた若者をどのように戻すのか、そのためには地方でどのように仕事をつくるのかということが課題でありますが、私自身がそのようにふるさとを離れた人間であり、どのような思いでまたふるさとに戻るのかということを身をもって体験してきたわけでありますので、私自身のこれまでの短い人生が政治の場で何かお役に立つことがあるのではないかな、そのように考えて、そのような思いを持って委員会に所属をしております。

 みずからの思いを話すことも大事でありますが、これまで開催をされてきたこの委員会の中で委員の皆様方が投げかけた質疑であるとか、それに対してお答えになられた大臣や参考人の御意見もしっかり聞かねばならないな。以前に、地方議員の方々と良好な関係をつくらねば、幾らいい法案をつくってもこれが浸透しない、地方議員同士がいい人間関係をつくらねばならない、こういうふうな問題提起をされた委員がおられ、大変参考になるなと思いながら聞いていたところであります。

 時間がなくなるといけませんので、早速質問に入ります。

 本日私が用意いたしました質問は三点でございまして、まず、これから改正されていく法律案に関して二点。そして最後に、これは非常に大きなテーマでありますが、地方における人口減少、人口流出をどう食いとめていくかということを、中長期的と申し上げるよりも、むしろ長期的にと申し上げた方がいいと思うんですが、こういうお尋ねを大臣にいたしたいと思っております。

 質問の一点目、地域再生法の一部を改正する法律案についてでございます。まず初めに、このたび閣議決定された地域再生法改正案についてお尋ねいたします。

 言うまでもなく、我が国が現在直面している最大の課題は少子高齢化問題であります。空き家の多い既存の住宅団地を一体どうやって再生させるのか、大変難しい問題であります。

 一九七〇年以降の高度成長期に各地でつくられた住宅団地はもうそろそろ半世紀たちます。奈良県においても、奈良市に平城ニュータウンと名づけられた、およそ数万世帯に及ぶ大規模住宅地がございますが、こちらも間もなく町開きから五十年を迎えようといたしております。

 さらに、平成バブル期には、都心の土地価格が高騰し、開発の波が地方にも拡大をいたしました。このころの住宅も築三十年を迎えようとしております。

 これらの住宅地に暮らす人たちは、定年を迎え、便利な都心に回帰する流れができました。同世代が一斉に入居した団地は、高齢化も一斉に迎えます。現在、これら多くの団地は空き家が目立つ町となっています。人口減少により、ショッピングセンターや商店が採算が合わずに撤退、バス便も減少。不便な町は魅力を失い、人口減少に歯どめがかからないという悪循環に陥っています。

 このような状況で、古い住宅団地を再生させる取組は注目すべきと私は思います。このたび、地方再生法を改正し、住宅団地を再生させる取組が始まるということです。

 以下の二点についてお尋ねをいたします。

 この事業の概要について、そして、この事業を行うことによって得られる効果についてどのようにお考えなのか、お聞かせください。

中原政府参考人 ただいま委員から御指摘のありました地域住宅団地再生事業についてお答え申し上げます。

 住宅団地は、高度経済成長期を中心に、首都圏に集中する人口の受皿等として開発が進められ、平成二十九年から三十年の国土交通省の調査によれば、五ヘクタール以上の住宅団地は全国に約三千カ所存在しております。これらの団地では、御指摘のように、居住者が一斉に高齢化し、若者世代が転出することで、地域コミュニティーの活力の低下、生活利便施設や介護サービスの不足、地域公共交通の衰退等、さまざまな課題が顕在化しているところでございます。

 このような多岐にわたる課題を解消し、住みよい団地の再生に向けて迅速に取り組むため、市町村が区域を定めて事業計画を作成し、コンビニなどの生活利便施設とかシェアオフィスなどの働く場などの多様な施設の誘導、それから、福祉サービスの充実、コミュニティーバスなどの地域交通の利便性の向上などについて、個別に必要となる手続をワンストップで処理できる仕組みを設けるものでございます。

 これらの取組により、住民の高齢化のみならず、少子化や共働き型の社会にも対応した多世代、多機能型のまちづくりへの転換がスピーディーに進められるようになると考えております。

小林(茂)委員 ありがとうございます。

 先ほどおっしゃった五ヘクタールという面積ですが、世帯数でいうと百五十世帯から二百世帯ぐらいだと思いますが、全国に随分たくさんありますので、市町村のリーダーシップというか自主性によって町を再生させる、こういう考えが大事であろうと思いますので、積極的にこの事業を地域に持って帰って推進したいと思っております。

 これに関連いたしまして、もう一つお尋ねいたします。農家住宅に関することでありますが、これも既存の社会資本と考えれば、規制を緩和すれば移住者を募集できるということであります。

 私の地元奈良県、ちょっと前は人口が百四十万人あったんですが、既に百四十万人を切りまして、同じ近畿地方の滋賀県と人口が逆転しておりまして、奈良県が百三十四、五万人、滋賀県は百四十万人を超えている、こういう状況であります。この理由は、奈良県は住宅開発の波が一旦一段落している、そして、対する滋賀県はこれからまだまだ若者に人気がある住宅開発を進める余地があるということで逆転をしていくわけですが、ともかく、住み続ける若者を引きとめねばならない、こういうふうに考えております。

 私、奈良市の平城京近くに住んでおるんですが、この近くには歌姫町、山陵町という古い町があります。決して不便な町ではないんですが、随分人口が減っておりまして、特に若者がいない、子供がいない、一学年で小学生が一人もいない、そういう町でありますが、新しい町の開発が認められない地域、つまり市街化調整区域となっているわけであります。

 基本的には農家住宅以外は建築が難しいという都市計画上の制限がありますが、農家でない新住民が必ずしも歓迎されるかどうかはわかりませんが、この法律を改正をして、農家住宅を購入する人がいればなと。このまま町から人が消えれば、歴史的景観も町並みも維持されないと危惧をいたしております。都市計画法上の制限を残しながらも、農家住宅の移住者をふやすことが実現できるか、期待をいたしております。

 お尋ねいたします。

 今回、地域再生法を改正して、市街化調整区域内においても農家でなくとも空き家を取得できることになるということでありますが、この事業の概要、得られる効果についてお聞かせください。

中原政府参考人 地方では、人口減少による活力の低下や空き家の増加が課題となっております。これに対して、自治体が空き家バンクを運営し、移住を促進する取組が広がっているところでございます。

 地方への移住者の中には農業に対する関心を持つ人も多いことから、空き家と農地をセットにした農地つき空き家の取得を推進することは、農村地域への移住を促進する上で大変有効であると考えております。

 空き家やこれに付随する農地を移住希望者が所有者から取得する際には、まず、都市計画法に基づく都道府県知事による市街化調整区域における住宅の用途変更の許可が必要となるほか、農地法に基づく農業委員会による農地の権利移動の許可及び当該許可要件となる下限面積の引下げなどの行政手続が必要となっておりまして、これらの規制は、処分権者の裁量があって、地域ごとの運用もさまざまであるため、移住希望者が空き家バンクを通じて移住先の物件を探しても、取得等に必要な手続に時間を要する、あるいは許認可を得られないなどのリスクがございます。

 こうしたリスクを解消し、農地つき空き家等を活用した移住を促進するため、市町村が主体となって事業計画を作成し、空き家バンク等の情報提供の仕組みとあわせて、連動した空き家や付随する農地の取引について、まず、農地については、農業委員会の同意を得て、新規就農者でも耕作しやすい小規模な農地の取得が可能となるよう面積要件を緩和できるようにするとともに、家の方については、都道府県知事と調整し、市街化調整区域において既存住宅の用途変更の申請があった際、原則許可して差し支えない運用とすることにより、当事者の予見可能性を高めるとともに、手続の円滑化、迅速化により取引を促すことができるものと考えております。

小林(茂)委員 ありがとうございます。

 たとえ件数が少なくても、こつこつ一つ一つ、いい事例を積み重ねていくことが大事であろうと思います。

 項目、二点目の質問に移ります。地方大学・地域産業創生交付金についてであります。

 総合大学がない地方は、若者が県外に流出をするわけでありますが、また、せっかく県内大学に進学をしてくれた学生も、就職は他府県に流出をしてしまいます。産業の基盤の弱い地方でありますが、地域ならではの地場産業はあります。大学は、純粋に学問を修める場所でもありますが、地元経済界が望む人材を輩出をする、こういう役割も求められております。現在、新たな大学の設置というものは困難でありますが、既存の地方大学がどのように地方を活性化させる機能を持つかを考え、実行させねばなりません。地方大学・産業創生法はこのような趣旨で始まったかと思います。

 以下のとおりお尋ねをいたします。

 大学を支援をする交付金、これをなぜ文部科学省でなく内閣府が担当されるのか。大事なポイントかと思います。また、短期間で成果は上がらないと思いますが、何年ぐらい続ける予定なのか、お聞かせいただきたいと思います。

菱山政府参考人 委員御指摘の地方大学・地域産業創生交付金につきましては、首長のリーダーシップのもと、産学官連携により、地域の中核的産業の振興や専門人材育成などを行うすぐれた取組を重点的に支援するものでございます。

 一方で、文部科学省におきましては、大学における革新的研究成果を用いてグローバル展開を目指した新事業を文科省の直接支援のもと地域の大学が主体となって立ち上げる取組や、地域が求める人材を養成するための教育改革など特色ある教育研究の実施等を支援してきたところでございます。

 私ども内閣府の事業の特徴につきましては、第一に、大学主体ではなく首長がリーダーシップをとること、第二に、地方大学の役割として地域産業への貢献を重視すること、第三に、首長が主導することにより地域全体に波及する中核的な産業の振興を推進すること、第四に、地域における中核的な産業振興とそれを担う専門人材の育成等を一体的に推進することなどが挙げられるところでございまして、これまで文科省が行ってきた産学官連携の取組とは異なる地方創生の取組として、内閣府において支援をするものでございます。

 また、期間でございますけれども、本事業の御支援は原則五年間としているところでございます。これは、地域における取組を中長期的に支援しつつ、将来的には取組が自走できるよう、地域が作成するおおむね十年程度の計画につきまして、その立ち上げに際して事業の推進を集中的に支援するという観点から、計画期間の前半の五年間を国が支援することとして、後半は地域の参画主体や金融機関が資金や人材等の資源を拠出し合う仕組みとしているものでございます。

小林(茂)委員 ちょっと時間がなくなってきたので次に移りたいと思いますが、御答弁ありがとうございました。

 三点目の、人口維持をどうしていくかという大きなテーマでありますが、二〇一四年ごろから地方創生という言葉を使って政治課題としてきたわけですが、片山大臣への質問でございます。

 私が本日取り上げた質問、団地の再生、農村移住、地方大学の活性化、仮にこれら全てをなし遂げて成功しても、人口減少は容易にストップできるものではありません。

 私、手元に、二〇五〇年の日本の人口分布というものがあるんですが、ほとんどの地域でやはり人口は二〇五〇年でも減少してしまう、増加するところは本当にピンポイントで、点のようにしか赤い点がない、こういう状況なんですが、残念ながら、この二〇五〇年の予想は当たると思います。しかし、さらに、二一〇〇年の人口の予想というのがあるんですが、これは日本の人口が八千四百万人になるわけであります。

 もしこれが的中するということでは日本の危機であると私は思うんですが、これを的中させないように、人口をどう維持していくのかということを、将来の世代の責任にしていくのか、私たちが今ある程度のことを考えるべきなのか、ここが重要であろうと思うんです。

 それに対して私も考えてみたんですが、限られた時間で考えても結論は出ないんですが、私の質問というよりも大臣のお答えに期待したいところなんですが、私は、端的に言えば、長期的には自然との共生というふうに回帰するのではないかなと。都市部は都市機能を発揮する、しかし、地方は、都市機能ではなくて、自然に回帰をして、人間らしい暮らしをするというふうに回帰するのではないか、自然共生の思想を生かして、新しい、既存の町の再開発を行うということが大事であると思います。

 衣食住の衣食は自然共生できているんですが、住ということについては、先ほど話題にしたとおり、なかなか自然との共生というのは実現できておりません。

 ということで、中長期的に人口減少を克服するということについてどのようにお考えであるのか、片山大臣の御所見をお尋ねいたします。

片山国務大臣 委員御指摘のように、特に地方において人口減少が深刻になるということを克服するためには、地域での交流も深めつつ、人々が地方において心豊かに安心して住み続けられるようなまちづくりも含めて進めていくことが重要と考えております。

 中山間地におけるコミュニティーづくりとして、生活サービス機能を確保する小さな拠点づくりを進めておりまして、例えば、奈良県の上北山村においては、廃校となった小学校の利活用でコミュニティーカフェ等を整備し、地域運営を進めておりますし、ICTの活用により、人々が自然豊かな地方で生き生きと暮らしながらも、就労も、子育てができるような環境整備も重要でございまして、徳島県の神山町におきましては、古民家のサテライトオフィスの企業誘致を進めているところです。

 また、子供たちの農山漁村体験の充実等により、地方への中長期での新しい人の流れをつくるとともに、その地域の活性化を図るということも重要で、武蔵野市で自然豊かな農山漁村でのセカンドスクールに取り組まれておりますし、こういった豊かな自然を生かした地域での交流を深化させ、地方ならではの取組をやっていくということで、地方創生推進交付金等を活用し、引き続き全力で後押しをしてまいりたいと思います。

 また、現在、第一期のまち・ひと・しごと総合戦略におきまして、最終年、五年目を迎えるところなので、総仕上げを行うとともに、二〇二〇年度以降のさらなる展開に向けた検討を進めるということで、第二期まち・ひと・しごと総合戦略策定に関する有識者会議を私のもとに設置いたしまして、地方創生の次のステージに向けまして検討を進めております。この上では、できるだけ多様な主体から幅広く御意見を伺いながら、地方における人口減少の克服に向けて必要な政策を総動員してまいりたいと考えております。

小林(茂)委員 ありがとうございました。

 今回質問いたしませんでしたが、中枢中核都市、これは、東京圏に行かずとも就業、就学等の自己実現を果たす、豊かな生活環境を享受する、こう書いてあるんですが、ここも非常に重要なポイントかなと思っております。

 片山大臣、全国をまた行脚をされて、よき事例を持って帰って、またそれを全国に広げていただきますよう、地方に広げていただきますよう、よろしくお願いいたします。

 これをもって終わらせていただきます。ありがとうございました。

松野委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 この地方創生特別委員会でやっと大臣と議論ができること、大変うれしく思っております。

 我が党も、地方創生については、活気ある温かなまちづくり推進本部をつくりまして、ずっと政府に負けないぐらい取り組んできたわけであります。

 大臣は、所信の中で、地方の若者が五百三十二万人減少した、東京圏への転入超過は十三万六千人、外国人を入れると十四万人という話もありますけれども、表現をされました。こうした一極集中を是正するため地方創生に取り組んでいるわけでありますが、なかなかこれがとまらないという状況であります。

 きょうは大臣と、我々は、昭和の時代、平成の時代、そして次の新しい時代、もう今目の前でありますが、そういう大きな時代の流れの中で、この一極集中というのは一体どういうふうに見ておられるのか、大臣のまずは御所見を伺いたいと思います。

片山国務大臣 お答えいたします。

 まさに東京圏への転入超過というのは、ある意味、歴史的なトレンドもありまして、中長期的に見ますと、景気がよくなると大きくなる傾向はございまして、終戦後の転入超過のピークは、高度経済成長期の一九六二年で年間約三十八・八万人に上っておりました。最近の転入超過の傾向は、バブル期にピークで約十六・四万人、それからリーマン・ショック前にピーク、約十五・五万人というのがありましたが、それよりは小さいんですけれども、残念ながら、十一万人、十二万人、今回は外国人を除いて十三・六万人という増加傾向をたどっているというのは事実でございます。

 とにかく、地方への人の流れをつくる取組を強力に進めていくということが非常に重要と考えておりまして、その中でも、十代後半や二十代の若者であるということを考えますと、進学や就職などの影響がありますので、東京一極集中の是正には、地方において魅力のある進学先それから就職先をつくるなど、地方の魅力と活力を高めることが重要と認識して、委員の御意見も伺いながら取り組んでまいりたいと考えております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 私も昭和の時代を生きてきましたけれども、昭和というのは、やはり東京に憧れもありまして、私も東京の大学に来たわけであります。ただ、その中で、さっき大臣がおっしゃった、経済が堅調になって日本経済全体が盛り上がる、それで東京へ来るというような流れもあったのでありますが、やはり最近の流れというのは、まさにバブル経済崩壊後、地方の経済は打撃を受けて、地方に住めなくなったみたいなところもあったりしまして、この平成の時代の二十二年続いた東京一極集中、転入超過、ここを何とかしなきゃならぬな、こう我々も思っているわけであります。

 ただ、昭和の時代、私の記憶にもありますように、一九七〇年、昭和四十五年ぐらいから三十年ぐらいは、あの昭和の時代でも東京への人の流れというのはある程度均衡しておりまして、東京から地方へ行くというケースもあったわけでありまして、そのこともしっかり頭に入れなきゃいかぬと思っております。

 当時、ふるさと創生事業というのもありましたし、私は地方の公務員で、例えば、一つ一つの町をしっかりつくり上げていこうということで、本当にきめ細かな施策を相当やった。例えば障害者福祉都市推進事業、障害者にとって住みやすいような町をつくっていこうというような、相当、昭和の時代も取組があって、私は、地方が元気になった、そしてやはり人口移動も均衡したというふうに思っております。

 バブル崩壊以降のこの平成の時代、先ほども言いましたように、二十二年も転入超過が続いている。ここを、地方創生を五年やってきましたけれども、何としても改めて取り組まなきゃならぬ。地方創生を五年やってきて、推進交付金も、当初一千億、そのうち地方も一千億、二千億も使って五年もやれば一兆円になるわけでありますから、そろそろ成果が出なきゃいかぬな、こう思っているのでありますが、先ほど二期という話もありましたが、これからに向けての大臣の御決意をまとめて伺いたいと思います。

片山国務大臣 まさに、歴史の流れというか、身につまされる御指摘でございまして、過度の一極集中を是正するという観点からは、地方において意欲と熱意を持っていただいて、その地方ならではの強みや魅力を生かした取組を行わないと難しいという、より対策が難しい時代になっていると思います。

 工場法の関係がありまして、私の親族も、東京都内ですとか東京周辺に持っていた工場を更に外側に移す、そういう動きがわっと行われた時期が、ある程度、地方に仕事をつくることが比較的一律にできるパターンがあった時期ですが、今は非常に生産性向上が進んでおりまして、大きな工場を誘致しても必要人数は五十人以下というようなこともあり、むしろ人の世話をするサービス産業に雇用がシフトしておりますから、かなり難しいんですが、総じて申しますと、やはり、その地方の強みや、どういうことでサバイバルを図っていただきたいかということを決めていくということがないと、なかなか一律の中央集権的な地方分権は無理な時代というのが、ますますそういう傾向になっているということで、まさに、地方版総合戦略をほぼ全ての地方公共団体につくっていただいて、自主的、主体的な取組を進めていただいて、それを一千億、一千億の地方創生推進交付金などで御支援をしてきたわけでございます。

 議員の御地元の山口県においては、特に活用が九十四件もありまして、ワーク・ライフ・バランスの問題ですとか、高齢者の雇用促進、女性の雇用促進、それから職場体験研修、マッチング支援と、非常に付加価値を、新たに地域商社を設立して、地域の木材を再活性化させるとか、これは萩ですけれども、非常に優良事例を生んでおられる地域の一つでございます。

 こういった枠組みの中から成功例をどんどんつくって、津々浦々に広めていくということが一つ王道であるのかなというふうに考えておりますが、隗より始めろですから、政府関係機関の地方移転の問題もございますし、先ほど御質問もありましたが、きらりと光る地方大学づくり、これは十月三十日に第一回の事業採択をさせていただいたばかりで、先般広島で見てまいりましたが、まさにことしからやっと効果が出ます。ということで、また本年度も選定いたしますが、またさらに、予算をお認めいただければ、UIJターンにより地方で起業、就業する若者たちに最大で三百万円を支給する新制度をスタートさせることができることになりますので、順次、こういった成果も見ながら、さらなることも検討するということで、できることは何でもやるの精神で取り組んでまいりたいと思います。

桝屋委員 できることは何でもやると。ぜひやっていただきたい、こう思うわけでありますが、先ほど大臣がおっしゃった、いよいよ、地方創生、まち・ひと・しごとも二〇一九年で五年目を迎えるわけで、大臣がおっしゃったように、第二期の新しい体制づくりを今準備しているということでありました。

 私も、本部の活動として、いろいろな自治体の地方創生の、まち・ひと・しごとの総合戦略、あるいは人口ビジョンを見てまいりました。もう見事に紋切り型なんですよ、金太郎あめ。それを、最初の取組としてはどうしても国がリードしなきゃいかぬということもあったんでしょうが、いよいよ第一期を終えて第二期というのは、やはり地方がもっともっと主体性を持って、次の総合戦略は、更に我が地域の活性化のために創意工夫を凝らすような、こういうサポートをしっかりお願いしたいな。

 ただ、ちょっとこれから大変ですよ。最初のときは、安倍総理は見せ方が上手な方でありますから、地方創生、まち・ひと・しごとというのは、ちょうど統一地方選挙がありましたよね、ばちっとはまったんですよ。その前に、増田寛也さんが創成会議を立ち上げられて、消滅可能性都市、あれは極めてショッキングなデータでありまして、相当、地方創生に対する大きなうねりが私は起きたと思っておりますが、二期に向けては、ちょっとアクションをしっかり、片山大臣らしいアクションを、総理ともよく相談をされて大きなうねりを起こしていただきたいな。

 さっきの三百万、東京圏から移住すると百万、地方へ就職すると百万、さらに起業するとプラス二百万、この見せ方もまだまだ、まあ、予算がまだ成立していませんからあれですけれども、相当上手に、これは究極の策でありますから、こんなことももっともっとPRといいましょうか、多くの若い人が、あるいは地方へ移住する、希望される方が大きな関心を持って取り組めるような見せ方が私は大事だと思いますが、どうでしょうか、大臣。

片山国務大臣 現在、第一期のまち・ひと・しごと総合戦略について最終仕上げを行うとともに、二〇年度以降のさらなる展開の検討を進めておりまして、第二期のまち・ひと・しごと創生総合戦略の有識者会議というのを設置させていただいて、検討を進めているんですが、その具体的なテーマとして、まず未来技術と地方創生、それから人材、組織の育成と関係人口、それから、これは非常に重要なことですが、稼げる仕事と働き方、稼げる仕事をつくらなきゃしようがないということで、さらに全世代活躍のまちづくりという、まず四つのテーマについて専門家会合を設けて、重点的に検討を進めております。

 各自治体さんに非常に、あっ、これはいいね、目指したいなということで反響を得ておりますのが地方創生とSDGsでございまして、これに取り組んで未来都市になっているところには、黙っていても、国内、海外から手伝わせてくださいという声が集中をしております。ことしも選定する予定でございますが、かなりこのバッジも広がってきておりまして、そういう動きとか、四月からは入管法改正も施行ですから、多文化共生のテーマにつきましても地方創生の中にしっかり取り込んで進めているところでございます。

 いずれにいたしましても、一極集中については、企業の拠点や従業員の移動動向というのは一つ大きな要因なので、今、経済団体にも、おととしから去年についてふえてしまった要因、これはオリパラだけなのか、そうじゃないのかということも調査も依頼をしている、我々も一生懸命、真摯にお声を聞いておりますが、産業界との連携強化が非常に重要でありますと自覚しておりまして、私自身としても関係者にしっかりと働きかけをして、できるだけ、産官学金労言士及びプラスアルファの多様な主体から幅広く御意見を聞いて、そのPRも含めて、その点におきましては一番わかりやすく国民に御説明されている御党の御意見をしっかりと踏まえさせていただいて、六月を目途に策定するまち・ひと・しごと創生基本方針二〇一九において第二期総合戦略の方向性を示したいと考えております。

桝屋委員 我が党もしっかり議論を進め、現場の声もいただきながら、第二期をおつくりになるのであれば、また機会があれば提言も申し上げたいというふうに思っておりますので。

 前の大臣がやられたわくわく地方生活実現政策パッケージ、これも、最初の地方創生、まち・ひと・しごとが始まったときに比べるとちょっとパンチがなかったのではないか、こう思っておりまして、やはり発信力といいましょうか、地方が主体であることは事実でありますけれども、国がどこまでムードをつくれるかということが極めて大事だろうというふうに思っている次第であります。

 さて、残された時間でありますが、実は、地方創生の事業に取り組みながら地方も頑張っていますが、既にもう限界、頑張っても限界、限界集落が方々に見られる。せっかく合併したけれども、小さな町ばかりが合併してできたんだけれども、本当に基礎自治体の中で、生活圏域、その集落が限界に来ているというようなこともありまして、実は与党の中でも、あるいは野党の中でも、国会で、例えば、地域人口の急減に対処するための特定地域づくりの事業に資する法律案、きょうこれは詳細は言いませんが、大臣には資料をお届けしております。あるいは、私がタッチしております労働者協同組合法案等の動きもありまして、いずれも、地方の疲弊をこれ以上看過できないという動きであります。

 申し上げたように、労働者協同組合法案、実は二年前から、与党政策責任者会のもとでワーキングチームを立ち上げて、今まで検討してきました。一言で言いますと、自分らしい主体的な働き方あるいは多様な就労の機会の創出のために、そしてさらに地域貢献あるいは地域の課題解決のため、新たな法人制度をつくろう、こういうことであります。

 全員が出資をして、全員で事業を運営し、全員で事業に従事する、いわゆる働く者のための協同組合。NPOとか企業組合はありますけれども、なかなか地域の課題に取り組むために一長一短がある、NPOは出資ができない、企業組合はどうしても営利法人であるというようなこともありまして、やっとこの法案が固まりそうでありまして、概要を大臣にお届けしました。

 ぜひこの成立を目指したいと思っておりますけれども、こういう新しい法人制度は、地域おこし協力隊の三年後の定着という大きなツールになるのではないかとも私は考えている次第でありまして、いずれも議員立法の動きでありますが、この労働者協同組合法案について、お届けしておりますので、大臣の御所見、私見で結構でございます、ぜひとも伺って、強く関心を持って御協力をいただきたいなということをお願いしたいのでありますが、いかがでしょうか。

片山国務大臣 桝屋委員を中心に議員立法で御検討されている労働者協同組合は、まさに地域において働く意欲ある方々が、高齢や子育て、介護といったさまざまな御事情をお持ちでも、協同組合という形態をうまく活用して主体的に働けることができるようになるものでございまして、人口減少、担い手不足の課題に直面する我が国において、多様な就労の機会を創出する効果的なものというふうに考えさせていただいております。

 また、労働者協同組合は、地域ニーズを酌み取って地域課題解決を目指すものとして、持続可能な地域社会の維持、実現につながるということで、地方創生の観点からも非常に有意義な取組と考えさせていただいて、地方創生担当大臣の私といたしましても、今後の検討状況を見守ってまいりたい、かように思っております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 成立すべく全力で頑張ってまいりたいと思いますので、また相談をさせていただきます。

 きょうはありがとうございました。

松野委員長 次に、長谷川嘉一君。

長谷川委員 私は立憲民主党の長谷川嘉一でございます。きょうは冒頭に二つのテーマについて片山大臣に御質問させていただきます。

 私は、平成三年に群馬県太田市というところの市議会議員になったのが政治に入ったきっかけでございまして、その前は地域の歯医者としてお口の中をずっと見てきて、患者さんとのやりとりの中で政治が大切だなという思いを強くして、なぜか市会議員に進んだということでございました。

 変わらぬテーマは、命と暮らしと、その暮らしを育んで未来にそれを引き継ぎたいという思いで、現在まで二十八年間になりますけれども、歩んでまいりました。その中で県議会議員も若干務めさせていただきましたので、今回、地方創生という部分については大変興味ある部分が多くございます。

 そういった中で、今回、まず片山大臣にお聞きしたいところは、この地方創生の事業実施も第一期の、いよいよ三十一年で最終年度を迎えるというところになると思いますが、これまで取り組んでこられた部分についての所管大臣としての評価について、まずお聞かせいただければと思います。

片山国務大臣 御指摘のように、二〇一四年に地方創生の取組をスタートさせて以来、まず人口減少克服、東京一極集中の是正といった大きな目標に向けて、多岐にわたる政策を推進してまいりまして、意欲と熱意のある地方公共団体に対しまして、情報の支援、人材の支援、財政の支援、これを地方創生版三本の矢と呼んでいるんですが、これで支援してまいりまして、その結果、ある程度見える形となってきたものとしては、全ての都道府県で有効求人倍率が一を超えるなど、地方にもしっかりと働く場所が生まれてきた、雇用情勢が全般的に改善したということ。

 それから、中堅・中小企業に即戦力の人材をマッチングするプロフェッショナル人材事業についても、これは二〇一五年に制度創設したんですが、これまでに五千件を超える成約が実現されました。御地元の群馬県におきましても、ことしの一月末現在で九十八件ということでございます。

 そして、外国人の観光客は昨年三千万人の大台に乗りまして、訪日外国人旅行消費額も過去最高の四・五兆円、いわば一つの産業が地域に生まれたということでございまして、群馬におきましても、二〇一一年と比べると六倍の二十八万人が宿泊客として訪れていらっしゃいます。

 さらに、農林水産物の輸出が六年連続で過去最高となり、現在は九千六十八億円まで来ております。

 また、これらの支援をしてまいりましたツールの一つとしての地方創生の関係交付金につきましては、例えば、御地元の群馬県では、二〇一五年度から二〇一八年度までの間に百二十九件の案件が創出されておりまして、もともと絹織物があった地域、うちは太田、伊勢崎にも親族がいるものですから、地場産品のブランド力の強化、海外販路拡大といった農業と商工業の産業拠点形成の案件ですとか、あるいはイチゴなど地方の農産物についての販路開拓の取組、それから物流強化、これは太田市で手を挙げられている農業を強化する交付金制度でございますが、こういった大変優良な事例も生まれてきてはおります。

 こういったことがある反面、東京圏が景気がいい、それからオリパラのこともあるということがあってのことかもしれませんが、十三・六万人の転入超過数ということで、一極集中の傾向は続いて、残念ながら、二〇二〇年の均衡目標の達成というのは非常に厳しいということは認めざるを得ないと思います。

 現在、次のステージに向けて、やはり今までの形の延長だけではこの結果が出つつあるわけですから、次元を超えた総合戦略にするべく取組を強化しようと検討しているところでございますので、委員の御指摘もしっかり踏まえて、あらゆる施策を動員してまいりたいと考えております。

長谷川委員 的確なる御答弁をいただき、ありがとうございました。また、私の群馬県にも触れていただいて、本当に感謝を申し上げたいと思います。

 私も群馬県から資料をもらっておりますが、かなり分厚い資料で、国との細かいやりとりをしている、また、地方の基礎的自治体との連携も非常にとれているというのは身をもって感じる部分がございます。

 そういった中で、今、群馬県が取り組んでいるのが、県境にまたがる三国峠とか、そういった県境のハイキングコースを売り出そうとか、ニジマスがありますけれども、これを特産にしようとかいうのが、私が見ている限りの目立った地方創生に対する要望事項でございます。そうした部分から見ると、群馬県から、地方創生のこの事業によって人口増加が図られる可能性は、ちょっと今のところ期待できないのかなというのが、残念ながら、率直な御意見でございます。

 ちなみに、今現在、群馬県の人口は年間一万人ずつぐらい減少して、私が県会議員だった平成二十年度には二百三万人いたのが、今は百九十七万ぐらいにまで減少してしまっているというところで、関東近県であってもそんな状況があるというのが極めて残念な部分。この原因をしっかり掘り下げていけば何か解決策はあるのかなと思っておりますが、国が掲げているこの四つの部分、地方に仕事をつくり、安心して働ける、地方に新しい人の流れをつくる、若い世代の結婚、出産、子育ての希望をかなえる、時代に合った地域づくり、安心な暮らしを守るとともに、地域と地域を連携する、私はこれが精いっぱいの取組なのかなと思わざるを得ないんです。

 そういった中で、私が県会議員をやっていた平成十一年の七月に地方分権一括法が施行され、いわゆる機関委任事務が廃止され、地方主権という時代もあったわけでありまして、あのときは道州制というのがあって、まず、省庁の再編もその時代にあったかと思います。

 私の群馬県は、栃木県と茨城県と、その辺と一緒になるのかな、場合によっては長野県と一緒になって一つの州になるのかなと私も思っていたところでありますが、道州制はもうあれ以来ぷっつりと出てこなかったわけですけれども、片山大臣の所信の中の後段に、道州制は、地方経済の活性化や行政の効率化にも資する手段の一つとして考えており、国会における御議論も踏まえつつ取り組んでまいりますということが残されているということは、私にとっては一つの希望がここにあるのかなと思いますが、御所見で結構ですから、一言、この辺についても触れていただければありがたいと思います。

片山国務大臣 委員まさに御指摘されたように、道州制というのは、国家の統治機能を集約、強化するということとともに、住民に身近な行政はできる限り地方が担うことによって地域経済の活性化や行政の効率化を実現するための手段でございまして、国と地方のあり方を根底から見直す非常に大きな改革でございます。

 このように非常に大きな改革でございますので、その検討に当たっては、地方の声は十分に聞いて、国民的な議論を行わなければ、丁寧に進めていかなければということが重要でございまして、地方六団体とも私は定期的に会合を行っておりますが、率直にいろいろ御意見があります。反対を正式に表明されている団体もあります。

 現在、与党におきまして道州制に関して検討がされておるところでございまして、多分、御党においてもされておられると思いますが、政府としても、こういったものを見つつ、いろいろと取組をしていくということが今の我々のスタンスであるということでございます。

長谷川委員 どうもありがとうございました。

 抜本的な地方創生、人口減少を考えるのであれば、その辺まで踏み込んだ改革をしないと今の日本の病根は絶てないだろうなという思いを述べさせていただきまして、次の質問に移らせていただきます。

 二つ目でありますけれども、東京一極集中です。

 この是正に向けたこれまでの取組としては、地方創生推進交付金、これも厚く、きめ細かく施策もされているようであります。あと、地方創生応援税制、地方大学の振興等々が行われておりますけれども、この効果については今のところ出ていないというのが現状ではないかと思います。

 共同通信社が一月二十九日に出された記事をちょっと見させていただきますけれども、総務省が二十九日公表した二〇一七年の人口移動報告によると、東京圏、埼玉、千葉、東京、神奈川は転入者が転出者を十一万九千七百七十九人上回る転入超過だった、転入超過は二十二年連続で、超過人数は二年ぶりにふえ、二〇〇九年以降で最大、市町村の七六・三%は転出超過で、東京一極集中が加速している、地方創生を掲げる安倍政権は、施策の抜本的な見直しを迫られそうだということであります。

 これは私、もちろん同感ですし、国民の皆様方も共感できる部分ではないかと思いますが、この部分について、大臣の所感をお聞かせいただければと思います。

片山国務大臣 御指摘ありましたように、二〇一八年の直近の東京圏への転入超過数は、外国人の方を含めて、移動者数では十四万人増、総合戦略の方では日本人移動者をKPIにしているんですけれども、十三・六万人という非常に重たい結果が出たわけで、今回の結果を踏まえまして、まず、先ほどおっしゃったように、私たちも、去年、きらりと光る大学につきまして、十月三十日に第一次の選定をして、入学してくるのはどんなに早くても四月ですから、そういった意味で、効果は今回出始めるものでございますし、それから、三百万円のUIJターンの新制度も、これはこの予算でお認めいただければできるものでございますので、これもこの春以降で、いずれにしても、昨年の数字には織り込まれることはなかなか難しいんですが、御趣旨は我々も、より以上に、非常に重たい危機感を持っております。

 まず、その要因としての正確な研究、それから調査分析も踏まえて、さらなる手だてを検討するということで、第二期まち・ひと・しごと総合戦略の中には、やはり次元を超えたさまざまな制度を盛り込んでいかなければならないということは非常に強く自覚、認識しているところでございます。

長谷川委員 どうもありがとうございました。

 次元を超えた、党派を超えた、国のためを思う心は一つでありますから、この辺がしっかりと解消に向けて前に進むことを御期待申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。

 これは三問目として、地方へのUIJターンによる起業・就業者の創出等の支援策に対するニーズ及び当該支援策の仕組みという部分について、具体的にどのような形になっているのかを、まず担当の方からお聞かせいただければと思います。

川合政府参考人 お答え申し上げます。

 若者を中心としまして、地方から東京圏への転出超過が続くとともに、地方において、中小企業を中心として人手不足感が高まっております。その一方で、若い世代を中心に、地方移住への関心が高まっていることも事実でございます。

 こうした中、地方へのUIJターンによる起業・就業者創出支援に関しましては、昨年開催いたしました有識者会議におきまして、UIJターンの拡大を図るため、移住者の経済的負担を軽減することにより、地方移住を後押しする大胆な施策を行うべきと。さらに、昨年七月に、全国知事会から、東京圏の若者が地方で就業又は起業する際の移住経費の直接給付、さらには、UIJターン希望者が各都道府県の企業等の情報を一括入手できるようにするための全国規模のマッチングを支援する仕組みの構築というものが要望をされたところでございます。

 こうしたニーズ、要望を踏まえまして、三十一年度予算におきまして、東京二十三区在住者あるいは東京二十三区へ通勤されている方、こういった方々が地方に移住し、地方公共団体がマッチング支援の対象といたしました中小企業などに就業された場合には最大百万円を支給する移住支援事業、さらに、これとあわせまして、地方で地域課題解決に資する社会的事業を起業されます方に、事業費のうち最大二百万円を支給する起業支援事業、こういったことを行うという地方公共団体、具体的には県、市町村に対しまして、三十一年度予算におきまして、地方創生推進交付金を活用して支援するものでございます。

 合わせますれば、地方に移住し、かつ起業された場合には最大三百万円が支給されることになるという仕組みを実施いたしたいというふうに考えているところでございます。

長谷川委員 ありがとうございました。

 最大三百万円というのは大きな金額でありますし、また、就業した場合だけでも百万円、これは一万人が対象になるわけでございましょうか。

川合政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の移住支援事業によりまして、UIJターンによる起業・就業者を来年度からの六年間で六万人創出をするということ、一年当たりにいたしますと各年一万人ということを創出することを目標といたしております。

長谷川委員 どうもありがとうございました。

 これは最大効果を発揮したとしても年間一万人、六年間で六万人の増が期待できるというところでありますので、これは知恵をお絞りになって、今できる範疇で一生懸命やってきてこの事業を実施したということで評価はさせていただきたいと思いますけれども、ただ、大きく見てみれば、人口の東京圏の集中に歯どめがかかるものの目玉商品とは言えないものということも含めて御指摘はせざるを得ない。もっとしっかりしたものが、来期、来々期でしょうか、出てくることを御期待を申し上げたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 これは四番目の質問で用意させていただきましたけれども、地方における外国人材の活用の推進に向けた地方自治体の外国人受入れ体制のあり方という部分についてでございます。

 今回の中にもこの外国人材という部分の文言が触れられてはおりますけれども、これについては法務省の方の所管になるのではないかというふうな御指摘をいただいたんですけれども、私としてはちょっと腑に落ちない部分がございます。

 法務省から御答弁いただければ結構ではありますけれども、この施策の中にも外国人という文言があるわけですね。わくわく地方生活実現政策パッケージの、包括的かつ大胆なわくわく地方生活実現政策パッケージを策定、実行するという部分で、一から七までありますが、その三に、地方における外国人材の活用、それから、在外親日外国人材を地方公共団体のニーズ、地方創生業務とマッチングさせる仕組みの構築、そして、外国人留学修了者が円滑に就労しやすくするための在留資格の変更手続の簡素化等というふうに触れられておりますので、できれば法務省以外に、地方創生の所管の方からの御答弁もいただければありがたいと思います。

 以上であります。

石岡政府参考人 お答え申し上げます。

 私の方からは、法務省の方からは、ことしの四月から始まります新たな外国人材の受入れの地方における活用促進について御答弁させていただければと思います。

 新たな外国人材の受入れが地方で活用され、大都市圏に過度に集中しないようにすることについては、法務省としても極めて重要と受けとめております。

 そのためには、地方における外国人の受入れ体制の整備が重要と考えておりまして、昨年末に関係閣僚会議で了承された総合的対応策においても、暮らしやすい地域社会づくりのための施策が掲げられておりまして、具体的には、外国人が理解できる言語で必要な情報をワンストップで受け取れる、地方公共団体における一元的相談窓口の整備の支援、あるいは、新たな制度に基づく外国人の受入れ支援や共生支援を行う受皿機関の立ち上げなど、地方公共団体が行う先導的取組に対する地方創生推進交付金による支援などを行っていくこととしております。

 また、外国人に地方で就労することに魅力を感じていただく必要があると考えておりまして、そのため、地方の企業等に対しまして、既に外国人を受け入れている企業における生活、就労環境の整備に係る優良事例を紹介すること、あるいは、大都市に比べ家賃や生活費がかからないことなど地方で就労するメリットを周知すること、このようなことを通じて、外国人が地方での就労を希望し、また定着が進むように取組を推進していく予定でございます。

 さらに、法務省におきましては、分野別、地域別の受入れ数を把握の上、定期的に公表することを予定しております。また、各分野の所管省庁が設置し、受入れ機関等が参加する分野別の協議会においては、地域別の人手不足の状況を把握し、これを踏まえ、地域ごとに偏りのない受入れに向けた取組が行われることが期待できると考えております。

 これらの各種取組を通じまして、地方への受入れを促進し、大都市圏への過度の集中を防止してまいりたいと考えておるところでございます。

長谷川委員 入管法の改正がありましたけれども、このとき話題になったのが技能実習生の失踪問題。昨年、一昨年になりますか、約七千人を超えた。今年度末で集計すれば、恐らくは、年度途中の集計からすると八千人を超えるんですよ。その前の年は五千人。極めて急速に失踪者がふえて、その居どころがわからないわけですよね。

 こういった中で、実はこの間、群馬県には上毛新聞という群馬県下の新聞がありまして、ここで東京福祉大学の例が載っておりました。留学生の七百人が除籍になったということなんですね。これは伊勢崎市ですから、御親戚のある伊勢崎市は非常に大きい集住都市の、一万人以上いらっしゃいます。そこにキャンパスがある東京福祉大学で、所在不明などで除籍処分を受けた留学生が昨年四月から約七百人に上っていることが大学への取材でわかったと。除籍となる留学生が急増しており、報告を受けた文科省が実態調査に乗り出しているというのが現状だと思いますね。

 こういった中で、この福祉大学ではどのくらいの推移でこれが行われたかというのがわかってきました。

 これは一つには、二〇一六年に入学者千百五十人に対して二百六十四人が除籍になっている。翌年、一七年には千八百九十人に対して何と四百九十三人が除籍。二〇一八年の例でいくと、二千六百二十七人をふやしたわけですけれども、七百人が除籍。これは、行方の知れない人たちもこの中には含まれている、授業料を払わないだけではなくて。

 こういう実態が、私の住んでいる伊勢崎市、太田市、それからあと、有名になってしまっていますけれども、大泉町にはございます。こういったところの治安は極めて厳しい部分もございます。多文化共生というのは、一生懸命やろうとしていますけれども、国が勝手にやってしまうので地方がそれに追いつかないというのが実態なんです。

 私の友人で、大泉町で外国人専門の行政書士、ペルーとか日系ブラジルの人たちを専門に十五年間、それで、始めたら全部外国人になってしまったという方がおりまして、神谷大輔という方なんですが、この方が三年前からこの辺の問題に大きな危機感を抱いて、地方での勉強会をしながら、一般社団法人移民問題総合研究所を立ち上げて今活動しているんですけれども、こうした中で、ちょっと事例が離れてしまうかもしれませんけれども、外国人に期待をすることは、多文化共生ですから大切だ、労働人口が少ないから大切かもしれませんけれども、こういった問題を解決してほしいということは指摘しておきたい。

 それは、ある自治体、基礎的自治体は、外国人の登録者が住民の一八・一%です。その中で小中学生が二〇%にまで上っています。何とその町においては、生活保護において外国人の占める割合が三割を超えているという状況もあるわけであります。

 今後、こういった人たちは、正式に永住権がなければ生活保護は受けられないわけですから、そういうふうにはならないかもしれませんけれども、犯罪に巻き込まれてしまったり、いろいろな問題を起こしてしまうということも考えられるわけでありますので、この辺については本当に慎重にやっていただかないといけないと思いますが、この点についての御所見を伺えればと思います。

石岡政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりでございまして、留学生あるいは技能実習生、さらには新たに受け入れる外国人材が所期の目的の活動を適正に行っていただけることが重要だと考えておりまして、そのために、法務省といたしましても、適切な形の在留管理をしっかりやっていければと考えております。

長谷川委員 外国人の問題は非常に大きな問題です。多文化共生、それから、日本では、移民ではないそうなんですけれども、五年就業すると、申請でまた五年、更に申請後五年、ずっと居続けられる。いつかは、病気になったり、けがをしたり、働けなくなった場合は、人道的観点から、その人たちは生活保護受給をさせなければいけないような事態になるのかなと危惧しております。

 かつての厚生省においては、人道的観点から、永住権をもって外国人の生活保護を認めるというふうな部分がありますけれども、最高裁ではこれはもう違憲だという判断がされているわけでありますけれども、この辺についての御所見をちょっとお聞かせいただけますか。

片山国務大臣 お答えいたします。

 今委員のお話を伺っておりまして、大変、身につまされまして、私は国会に出たのが十四年前でございましたが、当時は小選挙区で、浜松と湖西市、郊外でございまして、外国人集住自治体の連携会議がございました。その中で、日系ブラジル人の方が、最高時、ピークで、浜松に生活の実態がある方が数万人いらっしゃったんですよね。ブラジル系の銀行も、ATM、CDをオープンされまして、そのコミュニティーの方もたくさん来られて。

 ところが、リーマン・ショックの後、派遣切りになりまして、派遣村も東京だけではなくて浜松でも開かれまして、私もそこに、実態として、行政書士や司法書士の方と御一緒に相談に行きました。ポルトガル語で出稼ぎという言葉が日本語になって、できれば帰りたいという方が多かったので、例のその三十万円の制度が党本部の方で設定されて帰ったわけですが、その前後に、お子さんのひき逃げの問題とレストランへの襲撃の問題という問題が二つ起きまして、ブラジルとの間は犯罪人引渡条約が結べないんですよ、あちらの国が憲法上禁止していますから。何回もお願いをして代理処罰をしていただいたんですが、それは非常に軽い罪であったということで、逃げた母親も、小さな子供を連れて、とても払えないから逃げて帰って、失ったお子さんも二歳だったんですね、ずっとおつき合いをしておりますが。

 そういう問題も含めて、地方が負うということは、私は実感として、政治家としてシェアをしております。そのときに、大泉ですとか太田、伊勢崎、群馬とも随分お話をしました。

 ですから、今回、その問題につきまして、法務省さんの方でもきちっと制度をつくって、センターをつくって対応されるんですが、それ以外に地方創生の方でも交付金の枠をとりまして、実際に予算でお認めいただければということが前提ですが、申請をしてきておられる自治体がいらっしゃいますので、法務省とよく話し合って、好事例をシェアしながら、そういったことがないように、受入れという部分、地方創生でもきちっと考えていくということは、私どもは自覚をして動いているところでございます。

長谷川委員 どうもありがとうございました。

 この地方創生の中でも、地方における外国人材の活用で具体的な項目が入っております。ぜひ片山大臣には今の御発言をしっかりやっていただくよう御期待を申し上げたいと思います。

 また、最後に、在留資格手続等についての簡素化というのは、あれがあってから驚くほどスムーズになったと地元の行政書士等々は言っておりますので、行政指導がしっかり行われると結構いい方向に行く場合も多いのではないかと思いますね。

 以上、お願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

松野委員長 次に、亀井亜紀子君。

亀井委員 おはようございます。立憲民主党の亀井亜紀子でございます。

 人口減少が進む過疎地、島根県を地元としておりますので、この地方創生のテーマについてはたくさん申し上げたいことがございます。きょうはよろしくお願いいたします。

 初めに、大臣所信の文章から一つ質問いたします。

 実は、昨年もこの委員会で大臣所信についての質問をして、規制のサンドボックスとは何ですかと、片仮名がよく政府の文書に使われますけれども、そういう質問をいたしました。

 ことしも、国家戦略特区のところのこのパラグラフがすごくわかりにくいんですね。国家戦略特区、岩盤規制改革をスピード感を持って進めていく、ここはいいんですけれども、この次から、規制のサンドボックス制度を創設し、近未来技術の実証の加速を図るとともに、第四次産業革命を体現する最先端都市、スーパーシティー構想の実現に取り組んでまいります、これ、全然私はイメージできないんですね。

 まず、加速している近未来技術、加速しているんですから、今現在、何かがあるわけですよね。その近未来技術の事例とはどんなものなんでしょうか。また、第四次産業革命、これは漠然とおっしゃっているのか、それとも、今あるこの技術が何かそういうものに発展していくという期待感があってのことなのか。また、最先端都市、スーパーシティー構想、これは何でしょうか。さらに、これが地方創生とどう関係してくるのか、どう役立つのかということについて、もう少し御説明いただきたく、お願いいたします。

片山国務大臣 お答えいたします。

 第四次産業革命とは何かということは、日本政府でも、未来投資戦略二〇一八において、頭脳としてのAI、人工知能、筋肉としてのロボット、神経としてのIoTなど、人間の能力を飛躍的に拡張する技術に支えられるものであって、豊富なリアルデータを活用して、従来の大量生産、大量消費型の物、サービスの提供ではなくて、非常に個別化された製品やサービスの提供を通じて、さまざまな社会課題を解決できて、大きな付加価値を生むものというふうにしているんですが、この言葉を最初に考案されて世界的に広められた方がシュワブ博士という方で、世界経済フォーラムを主宰されておられまして、先週来日されて、私も小一時間議論をさせていただきました。

 まさにこの第四次産業革命の、第三次まではいわゆる機械化であったりコンピューター化だったりするわけですが、第四次が違うところは今言ったようにいろいろありますが、この第四次産業革命の成果というのは、今までに比べて、一番あらゆる人に、地球的に見ればグローバルに、各国で見れば地域的にも、全ての人に裨益するという意味では、その可能性が最も高いということを強調をされておりました。

 つまり、よくステークホルダー、これも片仮名で英語だからわかりにくいんですけれども、関係者です、関係者全部に行き渡りやすいという意味では、今、国民の半分が、昔では考えられなかった、高性能パソコンが事実上入っているアイフォンを持っているわけですが、そこでアプリ同士でもう既に展開できるという意味では、クラウド型ですから、そういう意味で、何が地方創生に役立つかということを体現しているのが、ある意味「スーパーシティー」でございます。

 バルセロナで行われていることは、ごみの収集管理がもう自動的にできます。お年寄りであっても、大変であっても、山の上でも。それから、交通渋滞、バスであったりあるいは救急車であったりの管理はもう中国の杭州でできるというように、それに、さらに教育の遠隔化、医療、介護の遠隔化も踏まえますと、むしろ日本では、中山間地のクオリティー・オブ・ライフを下げないために極めて有用な技術ではないかということがあるので、人口減少、高齢化に悩む地域においてこそ役立つ取組で、住民合意に基づいて、こういう最先端技術を実際の暮らしに導入できるように、ワンショットで規制緩和が行われるようにする枠組みがスーパーシティーであるということで考えている次第でございます。

亀井委員 ありがとうございました。

 人口減少は始まっていて、間違いなく人間が減っていくわけですから、そこはテクノロジーでカバーしていくしか方法はないんだろうと思いますので、シュワブ博士ですか、その博士の主張というのをもう少し勉強してみたいと思います。ありがとうございます。

 次の質問に移ります。

 この委員会は少子化と切り離せない委員会だと思います。大臣所信でも最初に人口減少のことを触れられておりますので、少子化について質問したいんですけれども、昨今、少子高齢化という言葉にかわって人口減少社会という言葉がよく使われるようになったと思います。そして、何かまるで自然災害であるかのように大変だ大変だと、いきなりそれがやってきたような騒ぎ方をしているんですけれども、私から見ると、そんなことはわかっていたでしょうと思うんですね。

 といいますのは、一・五七ショックと言われた、これが話題になったのは一九九〇年なんです。一九八九年の人口動態調査で判明して、一九九〇年に大変だと、合計特殊出生率が一・五七で大騒ぎになったわけです。一九八九年というのは平成元年ですよね。ことし、間もなく平成が終わろうとしています。つまり、平成の三十年間、少子化は毎年叫ばれていたわけですけれども、そして対策も打ったはずですけれども、とめられなかった。ということは、一生懸命やったけれども少子化対策には失敗したんですよね。では、なぜ失敗したのかというところを見ないと、またその人口減少という言葉だけが躍って、同じことが続いていくだろうと思います。

 そこで質問なんですけれども、片山大臣はずっと第一線でキャリア女性として働いていらっしゃいましたが、客観的に見て、一体、その少子化対策の何がうまくいかなかったとお考えですか。

片山国務大臣 地方創生、規制改革、まち・ひと・しごととともに女性活躍、男女共同参画も所管しておりまして、大変毎日この問いは自問するところでございますが、出生数が過去最少になってしまった、自然増減もマイナスになっているという中で、歯どめをかけることが喫緊の課題ですが、かけ切っていないから今があるのでございます。

 それはもう認めざるを得ないんですが、まさに委員御地元の島根県ですとか鳥取県のお話を聞き、また、鳥取の方は、私は着任して最初に行った地方の出張先なんですけれども、小さな自治体で社会増を実現されているところがありまして、非常に勇気づけられるんですが、何をやられたかというと、徹底的に若いカップルへの御支援をなさっていますよ。その受入れ、金銭的な部分も、住むところの部分も、あるいは地域全体でやわらかく温かく抱える部分も、お仕事も含めてですね。ですから、そこまでやれば、実際に人口比では驚くべき人口増と人口吸引パワーを発揮しておられます。

 ですから、それが全国的に展開できれば、これはもう明らかに変わってくるのでございまして、それは、やはりまだ若者の経済的な安定感が確保されていない、長時間労働も、四月からの働き方改革で解消されねばならないと思っておりますが、現実にはあるし、仕事と子育ての両立はまだまだ困難で、そのために、我々、十月からの無償化もやるわけですが、保育士が足りないということも、今現在、この瞬間ではあるわけですね。

 それから、教育費の負担も、これから十月にどどっと下げますが、負担がゼロになるわけではない御家庭もたくさんあるわけですから、そういうことの中で、更にこれを、財源と相談しながらではありますが、飛躍的に進めていくということで、島根や鳥取型の効果をどこまで全国的に生むことができるんだろうということがあるのが一つ。

 それから、今、ワーク・ライフ・バランスを非常に重視される若い方が多いんですよ。我々の猛烈働き世代とは違いますね。そういうことを考えながら、地域にこそ、職住隣接で、子育てとエコの両立という意味でも、いい環境があるんだということをお知らせして、そういうところで子育てしませんかという形のUIJターンも、今回の補助制度と相まって、多少は効果を生んでいただけるのではないかと思っております。

 また、団地の問題も、先ほども別の委員からも御質問がありましたが、職住近接型のまちづくりを行いやすくするような改正法案も出させていただいておりますので、そういったことの総合的なことを一つ一つ詰めていきますと、女性の本音に寄り添い切れなかったので、今必死に寄り添おうとしているところでございますので、まさに御地元の島根県の好事例が全国になりますように、委員からも御指摘を更にいただいて、これを第二期の戦略に生かしてまいりたいと思っております。

亀井委員 ありがとうございます。

 島根県に言及していただいて、大体どこのことをおっしゃっているのかわかります。例えば邑南町などはよい取組をしておりますし、その成果を上げている一つのやり方として、やはり、国から人口減少だと漠然と言われても、では、何に取り組んだらいいんだかわからないんですよね。地元では、ミクロに落とし込むことをやっています。

 研究者で藤山浩さんという方がおられるんですけれども、彼などが地元を回って、もっと具体的に、邑南町のどこどこ地区で、例えば五年の間に何カップル、Iターン者をそこに入れたらこの集落は維持できます、現状維持はできますという具体的な、落とし込んだ数値を集落に伝えて、それに向かって動いているということがありまして、私はこの取組をもっと広げていくことが大事だと思います。

 「地方消滅」、あの本が出て、それに対して、いや、そんなことはないよ、過疎が進んでいるところほどむしろ好転してきているんだという、そういう反骨精神で一生懸命やった部分もあるんですけれども、やはりミクロに落とし込んで、地域の人に現実的な、できそうな目標を示すということが非常に大事だということを申し上げたいと思います。

 次の質問に移ります。やはり人口減少がテーマです。

 当面、少子化対策がうまくいかず、三十年少子化が続いたわけですから、人口減少していくのは避けられないわけですよね。それを見据えた上で政策を立てていかなければいけないんですけれども、果たして人口減少というのは悪いことばかりなのかということについて考えてみたいと思います。

 大臣は参議院にいらしたので参議院のことをよく御存じだと思いますけれども、調査会があります。私も参議院を一期やっていましたから、当時、調査会におりまして、国民生活・経済という調査会で、二〇〇七年から三年間、人口減少問題について取り組みました。

 幸福度の高い社会の構築というテーマで仮説を立てました。それは、人口減少によって一人当たり国民所得は高まり、国民幸福度も向上する、この仮説についてどう思うかということで、いろいろな参考人を呼んで御意見を伺いました。

 残念ながら、この仮説を証明することはできなかったんですけれども、いろいろ来ていただいた参考人の中で私がすごく印象に残ったのが、先日亡くなられた堺屋太一さんでした。彼がお話ししたことを引用させていただきます。

  少子化が一人当たりの所得を増やし豊かな世の中をつくるかどうかを検証すると、歴史の中ではいろいろな例がある。ヨーロッパで一三四〇年から一五〇〇年までの間に人口の激減時代を迎え、そのとき幸せになった国と不幸せになった国がある。スペイン、フランス、イタリア、ドイツは人口が減るが、中でも激しかったのはイタリア半島である。ところが、イタリアでは、生産性の高い土地や都市に人口が集中し、一人当たりの生産額は増加し、文化的な支出が増大し、ルネッサンス文化の華が開いた。貿易が自由化されて、祭りも盛んになり、教会への寄附も増えた結果、ミケランジェロやダビンチが絵筆を振るうような輝かしい時代になった。同じく人口が減少したドイツでは、封建諸侯の力が強く、農民を農地に縛り付け、いわゆる農奴化する現象があったため、都市への流入人口が減少し、都市の商業が衰退し、経済全体が衰えた。以上のように、人口が減少しても、自由な移動と転職があれば経済、文化は発展するが、それがなければ経済、文化は衰退するであろうと言われている。

こういう指摘があったんですけれども、これを踏まえまして、果たして人口減少というのはそれほど恐ろしいものなのか、それとも、人口が都市に集中していることが問題なのか。

 結局、江戸時代は人口は一億もなかったわけですから、ずっと少なかったわけで、でも、もっと日本全国に分散して、それぞれの藩で文化は開いていました。ですから、人口減少そのものが問題じゃないかもしれませんね。そういった観点で大臣はどのようにお考えでしょうか。

片山国務大臣 人口減少につきましては、いいことか悪いことかということとは別の次元で、我が国においてはもうそれは所与のファクトでございます。日本の一番楽観的なシナリオを見ましてもふえる想定はございませんので、これは我々が直面するファクトでございまして、二〇一四年十二月に閣議決定させていただいたまち・ひと・しごと創生長期ビジョンにおいては、中長期展望として、二〇六〇年に一億人程度を維持することを展望として示して、人口減少の克服に向けて中長期にわたって地方創生に取り組む必要があるとしているのは、そういった意味でございます。

 堺屋太一さんの御指摘ということであれば、あれだけ有名な方ですから、そういった考え、一つの理論として当然あり得ると思いますが、我が国は、人口の減少、つまり、疾病や戦争などで急に減ったということではなく、高齢化も急速に進展する中で人口減少でございますので、社会保障費が増大し、相対的に働き手の割合が減るということによる経済規模の縮小など、経済や社会全体に大きな影響が出ることは、これは否めません。それが幸福度とどうかということは議論はあるかもしれませんが、それは否めないので、やはり克服すべき課題だというふうに認識されるのは当然なことだと思っております。

 また、過度な東京一極集中が、生活環境上の問題も、それから、今現在では地方よりも出生率が相対的にはっきり低い東京圏への人口集中の問題が全体の低下を及ぼしかねないということもある上に、我が国の場合は、国土強靱化の観点から、レジリエンスの観点からいって、非常に高い確率で首都圏の直下型地震も予測されておりますので、そういった問題も含めて、日本国全体の国土保全の観点も含めて、やはり人口減少克服、東京一極集中の是正ということは引き続き全力で取り組む課題と考えているわけでございます。

亀井委員 なぜ少子化がとまらないのかということについて、更に考えたいと思います。

 ちょっと質問を一つ飛ばして次に行きますが、劇作家で平田オリザさんという人がおられて、彼が、やはり劇作家なので、政治家とは全く違う視点で少子化について指摘をしております。それがおもしろいので紹介をしたいと思います。

 スキー人口はなぜ減ったかということを例に出しております。スキー人口について、確かに減っているんですね。一九九三年から二〇一二年までの二十年の数字ですけれども、この間に三分の一、この間、スノーボーダーはふえているんですが、これを足しても、千八百万から七百九十万ですから、半減以下なんです。

 この原因として、若者の人口が減ったからだというのが一番言われている説です。けれども、この期間に、では若者がどのぐらい減ったかというと、一千万人以上、かなり減っています。でも、それでも全体の二割五分減なんですね。ですから、スキー人口が半減以下になったということに比べると、それほどでもない。

 では、原因はなぜなのでしょうねということで、彼のおもしろい理論があるので、これもちょっと紹介をいたします。

 「日本中の観光学者たちが口を揃えて、「少子化だからスキー人口が減った」と言う。しかし、劇作家はそうは考えない。「スキー人口が減ったから少子化になったのだ」」

  かつて二〇代男子にとって、スキーは、女性を一泊旅行に誘える最も有効で健全な手段だった。それが減ったら、少子化になるに決まっている。当たり前のことだ。

  もちろんスキーは、ひとつの喩えに過ぎない。だが、ここにはある種の本質的な問題が隠れていると私は思う。

  街中に、映画館もジャズ喫茶もライブハウスも古本屋もなくし、のっぺりとしたつまらない街、男女の出会いのない街を創っておいて、行政が慣れない婚活パーティーなどをやっている。本末転倒ではないか。

中略します。

  大学の教員を一五年やっていて、「地方には雇用がないから帰らない」という学生には、ほとんど会ったことがない。彼らは口を揃えて、「地方はつまらない。だから帰らない」と言う。そうならば、つまらなくない街を創ればいい。あるいは、地方に住む女性たちは口を揃えて「この街には偶然の出会いがない」と言う。そうであるなら、偶然の出会いが、そこかしこに潜んでいる街を創ればいい。

これは私はすごく本質的な指摘だと思います。

 過疎地、島根を歩いていまして、島根県でも西部の石見地方というのが過疎が進んでいるんです。ここは石見神楽が盛んな地域です。神楽というのは、若者も子供もやっていまして、後継者がいます。この神楽に一生懸命な若者に話を聞きましたら、彼は神楽をやりたいから、続けたいから地元に残ったんだそうです。地元で一生懸命職を探した。

 ですから、実は文化というのは、人をそこにとどまらせるだけの力があると私は思います。少子化対策に欠けているのは、実は、少子化と関係ないように見える、遠いように見えるけれども、教育、文化予算、ここに力を入れてこなかったからじゃないかな。だから、みんな都会がおもしろく見えて、楽しそうに見えて、出ていってしまったんじゃないかなと思うんです。

 ここで伺います。

 教育、文化に力を入れると、地方が活性化して若者が定住すると思うんですけれども、文科省政務官、いかがお考えでしょうか、お伺いいたします。

中村大臣政務官 お答え申し上げます。

 教育、文化を通じた地域活性化の事例については、文部科学省としては網羅的には把握しておりませんけれども、具体的な例として、島根県海士町のように、急激に生徒数が減少する高校において、地域との協働のもとに、教育魅力化に向けた取組を行って、生徒数の増加や人口の社会増につながった例があるほか、鳥取県三朝町では、文化財の外国人向けの発信強化によって、また新潟県十日町市では、地域における芸術祭の実施によって、外国人観光客の増加や地域への経済波及効果につながった例があるということを承知しております。

 文部科学省では、こうした事例も参考にしながら、高等学校が市町村、高等教育機関、産業界等と協働してコンソーシアムを構築して、地域課題の解決等の探求的な学びを実現する取組や、日本遺産等の魅力ある文化資源の磨き上げや、芸術祭を中核とした国際発信力のある拠点の形成等を通じて外国人観光客の地方誘致や、地域活性化を目指す取組等の推進によって教育や文化を通じた地方創生を進めてまいる所存でございます。

亀井委員 海士町の事例を出していただいてありがとうございます。あれは本当に成功事例だと思います。

 人材ですよね。島留学というコンセプトを打ち出した岩本さんという、学生時代に「流学日記」という本を出版した、一年間放浪した記録を書いた人なんですけれども、彼が島にやってきて、地域学というんでしょうか、そういう授業をつくって取り組んだ結果として、島前高校が、一クラスしかなかったのが二クラス化できたという事例で、今、高校魅力化コーディネーター、地域おこし協力隊の人を高校魅力化コーディネーターとして学校の中に入れて、教育を魅力あるものにしていくという取組をしております。これは私は非常にうまくいっている事業だと思います。

 次の質問に行きます。

 去年の通常国会で、東京の大学の定員数を十年間据置きする法律、そして地方の大学を魅力化するという法律が通りまして、地方大学・地域産業創生交付金が創設をされました。

 この交付金を地元の島根大学がとったんですね。私は、これは大変いいことだと思って、それで大学の関係者によかったですねというふうにお話ししましたら、いや、それが大変なんです、心配なんですという声が現場から来まして、心配になったので指摘をさせていただきます。

 この委員会で、鶴岡の慶応先端生命科学研究所に行きました。あの研究所では、クモの糸を人工的につくり出すという大学院生の研究がまずあって、それが成功して、そしてスパイバーという会社がその研究所の横にできました。まず最初に自由な発想の研究があり、その結果として、その成果に対して企業がついてきた、起業につながったということなんですね。

 今やろうとしていることは、地元の企業に役に立つような研究を国立大学でやりましょうという、順序が逆なわけです。そうすると、現場の懸念としては、その地元企業に役立つ人材に大学の職員が置きかわっていくんじゃないかということなんですね。

 五年間予算がつきます。五年間で六十億円、物すごい予算ですね。これで人を雇うことができます。五年の契約で誰かを雇う。そして、国立大学ですから、今いる教授にやめなさいということはできません。ただ、五年間の間に定年退職していきますね。他の分野の教授が退職をしたときに、臨時で入れている研究所の職員をそこの教授のポジションにはめていくような形で、何年かたつと、今、島根大学は、日立金属があるので、金属素材の研究に力を入れようとしているんですが、その人材に置きかわっていくんじゃないだろうかと。

 だけれども、大学というのはもっと自由に学問をするところなので、国の予算で企業の研究所みたいなものが大学の中にできてしまっては問題だ、そういう問題意識があるんです。

 今回、文科省の法律で、学校教育法等の一部を改正する法律案が提出されています。この中に、大学の学長の職務を行う大学総括理事の新設ですとか、学校法人の役員の職務及び責任に関する規定の整備等と書いてあるんですが、もしかすると、研究所などが今度できて、トップの所長はイギリスから招聘するそうですが、副所長のところに今の大学の人と日立と両方入って、それで、企業から来た人の人事権が強くなると本当に置きかわっていくようなことが起きるわけですけれども、それと関連があるのではないかとちょっと疑っております。

 この私の疑問について、御説明いただけますか。

中村大臣政務官 お答え申し上げます。

 議員御懸念の地方大学・地域産業創生交付金は、これは内閣府の事業でありますけれども、首長のリーダーシップのもと、産官学連携によって、地域の中核的産業の振興、金属であれば金属ということでしょうけれども、その中核的産業の振興や専門人材の育成などを行うすぐれた取組を重点的に支援するという内閣府の事業であるということを承知しております。

 一方、今国会に文部科学省が提出させていただいている学校教育法等の一部を改正する法律案については、大学等の教育研究の質の向上や管理運営の改善等を図るものでありまして、国立大学法人に大学総括理事を新設することについては、国立大学法人が複数大学を設置する場合などに、各法人の自主的な検討、判断によって、経営と教学を分担することができる制度的な選択肢を新たに設ける趣旨であります。

 本法律案においては、国立大学法人に大学総括理事を新設する改正は、大学等の教育研究の質の向上や管理運営の改善等を図るものであって、地方大学・地方産業創生交付金とは直接関連することはございません。

 御懸念は当たらないと思っております。

亀井委員 注意深く、懸念に当たらないということですけれども、私も注意していきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 せっかく総務政務官に来ていただいたんですけれども、時間が来たようですので、大変申しわけないんですけれども、次回とさせていただきます。地域おこし協力隊について質問したかったんですけれども、済みません。ありがとうございます。

 これで質問を終わります。

松野委員長 次に、大串博志君。

大串(博)委員 おはようございます。立憲民主党・無所属フォーラムの大串でございます。

 きょうは、地方創生特別委員会、大臣に対する、所信に対する質疑ということで、片山大臣、どうぞよろしくお願いします。

 地方に関する悩み、思い、皆一緒だというふうに思います。喫緊の課題であるということはもう間違いないことだと思いますので、この委員会でもぜひ熱心に議論をさせていただきたいと思います。

 その上で、まず大臣に、所信質疑でございますので、まず大枠から具体論に議論をしていきたいと思います。

 地方創生担当大臣、片山大臣、ちょっとお尋ねしたいと思いますけれども、大臣は地方に住まれたことはおありになりますか。どんな経験でいらっしゃいますか。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 大串委員とはかつて同じ職場でございましたが、地方というか、私は長らく、生まれ育って埼玉県に住んでおりましたが、それはほとんど首都圏と考えていただいて、勤務で一年一カ月、広島県に住んでおりました。税務署長をかつてしておりました。それ以外は、住んだこと自体はありませんが、四年間、静岡の七区というところのときに、住民票も戸籍もそちらにございましたし、ほぼ事実上住んでおりましたので、そういう意味では、拠点をこちらに持ってきたのはつい最近ですから、何年と勘定すればいいかわかりませんが、東京の、首都圏外に七、八年ぐらいはおったということかなというふうには思っております。

大串(博)委員 私は佐賀県の生まれでございまして、佐賀県で、高校卒業するまで育ちました。皆さん、いろいろな生い立ちをお持ちですから、どれがどうということはございませんけれども、地方創生担当大臣でいらっしゃるから、ぜひ地方のことを肌身で感じて活動していただけたらなというふうに思う次第でございますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それで、まず、今地方が抱える問題、いろいろあると思うんです。私、佐賀県出身ですけれども、恐らく多くの皆様、そうだと思いますけれども、地方を歩いていると、地方は大変だ、厳しい、厳しい状況であるということを皆さんおっしゃいます。だからこそ、この地方創生担当大臣が置かれ、地方創生特別委員会が置かれているんだと思います。

 大臣、今地方が厳しいというふうに、かなりの人が思っている、みんなが思っているんじゃないかと思うんですけれどもね。こうみんなが広く、地方が厳しいんだというふうに思っている、この現状の原因はどこにあるというふうに思われますか。

片山国務大臣 経済環境を含めて、地方を取り組む状況はさまざまですから、一概に申し上げるのは難しいんですが、おおむね、私は全国区でございますから、くまなくいろいろなところをこの九年間歩いておりまして、委員の御地元の佐賀にもたびたび伺っておりますが、産業構造、人口規模、都市部なのか中山間地なのか、あるいは離島なのか、地域によってさまざまでございますが、例えば、どこの県にも必ず過疎的な地域はあるわけで、そういったところを中心に、厳しい、厳しいという声は非常に大きいですし、その厳しい状況の中には、少子高齢化や人口減少、特に若い人が減っちゃってという話ですね。若年者を始めとする生産年齢人口の減少で、担い手が不足しているということは一つ背景にあると思いますが、もちろんそれだけではないと思います。

 つまり、先ほど第四次産業革命の話まで出ましたけれども、工場で仕事がつくれて、工場でコミュニティーがつくれた時代は、ある意味、頑張って誘致すればその町は相当安泰ということもありましたが、今そこまでの誘致をすることは不可能に近い産業構造になっております。

 生産性向上が極端に進んでおりますのが製造業の世界でございますから、そういった意味で、幅広く多様な産業、なかんずくサービス業がしっかりと仕事が持てるような地方創生をしていかなきゃいけないんじゃないかということで取り組んでいるわけですが、まだ残念ながらその効果を実感していただけないところも多々あるのかなというふうに自覚しておりまして、それを一生懸命、あらゆる施策を導入して進めなければいけないと思っている次第でございます。

大串(博)委員 ちょっとよくまだわからないんですね。

 今話された中で、地方が衰退している、元気がない、厳しいということの原因をよくわかっていないと、そもそも対応策なんてとれないんじゃないかなと思うんですね。そこでお尋ねしているわけです。基本論ですからね。基本論ですから、大臣がそこはしっかりと押さえておいていただかなきゃいかぬなと思ってお尋ねしているんですけれども、人口減少、少子化ということは一つかなということでおっしゃいました。それは受けとめました。

 それ以降におっしゃったのは、工場の誘致といってもなかなか難しくということをおっしゃいつつ、特にサービスセクターを中心に幅広い産業が活性化するですか、そういったことをやらなきゃいかぬな、こういうふうに後段におっしゃったわけですけれども、そうすると、工場の誘致ができないとか、幅広い産業、サービス業も含めたところがしっかり雇用の受皿になっていないといったことも、地方が厳しい原因だというふうに御認識なんでしょうか。かつ、その二つだけなんでしょうか。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 地方が厳しいという、本当に喉から絞り出るような声にはいろいろな要素がある。先ほど文化的な面のお話もされましたが、そういうところもあると思いますが、やはり我々は、まち・ひと・しごと総合戦略ということで、二〇一四年にこの取組を始めた政権ですから、まち・ひと・しごとが地域においてしっかりと確保されるのか、そういう総合戦略を組んでおりまして、地方において厳しい要因はこれら全ての総合的なことなのかなというふうに考えております。

大串(博)委員 そこなんですね。

 いろいろな要素があるということで、かつ、まち・ひと・しごと、これら総合的な要素なのかなと考えておりますということなんですけれども、そういうばくっとした、漠然とした問題意識でいいのだろうかなと、私、思うんです。

 そういう、いろいろな要素があってどれが要素なのかよくわからないというような取組で、本当にうまくいくのかなと。地方創生というものですよ。喫緊の課題ですよ。今のような極めて漠とした、なぜ地方は厳しいかということに対する要因分析で本当に大丈夫かなというのは、私、思わざるを得ないんですね。この点は一つ指摘をしておきたいというふうに思います。

 さらに、もう一つお尋ねしますけれども、先ほど冒頭の答弁の中で、一つ、割と明確におっしゃった、人口減少、少子化、これが一つ要因かなとおっしゃいました。

 では、地方で人口減少、特に生産年齢人口は大きく減っていますね。この人口減少、少子化が地方において激しい、この要因は、どういうところに要因があると思われるんですか。

片山国務大臣 人口減少局面に二〇〇八年から入っているわけですが、生産年齢人口で見ると、二〇〇〇年から二〇一五年までの十五年間で、全国では約九百十万人減少しておりまして、その大宗となる約八百十万人、つまり九割が、一都三県を除く地方圏がその減少を構成しているということでございます。

 もちろん、人口維持の出生率、つまり人口置換水準の二・〇七に比べて全国的に低い少子化であるということもありますが、地方圏では、これに加えて、若い世代を中心として首都圏へ社会減が生じているということがあって、その社会減が生じていること自体も、厳しいという根底からの意識を生んでいる大きな問題だと思います。

 社会、経済の根幹を揺るがす問題でございますので、このまち・ひと・しごと総合戦略、さっき、ばくっとしているとおっしゃいましたけれども、基本目標としては四つに分かれておりまして、まず、地方に仕事をつくって、安心して働けるようにする。第二に、地方への新しい人の流れをつくる。第三に、若い世代の結婚、出産、子育ての希望をかなえる。義務を課すんじゃないですよ。希望出生率というのを我々の政権ではとりまして、それが一・八ですから、望めばということですが、その環境を整えるのは政治の仕事、政府の仕事ということで、その意味ですが。それから、その時代に合ったような地域づくりを後押しする、安心な暮らしも守るし、地域と地域の連携も更に強化していく。

 こういうようなことを目標で取り組んでいるわけでございます。

大串(博)委員 いや、大臣、私が聞いているのは、どういう対策をしているかじゃなくて、まず、対策をとる前に、なぜ問題が生じているかがわかっていないと、対策のとりようもないじゃないですかということを申し上げているんです。

 先ほど、なぜ地方は厳しいかの一番最初の理由の一つとして、そのほかは非常に漠としていましたけれども、少子高齢化、人口減少、こういうことが地方の厳しい要因の一つだとおっしゃいましたので、なぜそれが起こっているかということを申し上げたんです。

 先ほど、その構造、どういうふうに人口が減っているかという構造の分析はおっしゃいました。構造の分析は私もわかります。それを聞いているんじゃなくて、なぜ地方において特に人口が減少して、特に生産年齢人口が減っているか、この原因を大臣がわかっていないと、まち・ひと・しごと創生のプランを立てるにしても、対策のとりようがないはずじゃないですか。

 だから、なぜ地方で人口が減っているというふうに大臣自身が思っていらっしゃるのかということをお尋ねしているんです。いかがでしょうか。

片山国務大臣 人口減少の要因という部分につきまして、地方圏では、いわゆる出生率が人口維持出生率よりも低いということ以外に、若い世代を中心として東京圏に人口移動しているという社会減があるということを繰り返し申し上げております。

 この社会減の理由としては、やりたい職場が地方ではなくて東京にあるんだとか、あるいは、やりたい学問や専門が東京にあるんだ、あるいは東京圏にあるんだ、そういうこともありますし、先ほどほかの委員が御指摘になったように、いわゆるカルチャー的な意味で楽しい場所があるのかないのか、出会いのある場所があるのかないのかとか、そういう総合的なものもありましょうが、いずれにしても、生活の場として、若年人口が、専門学校や大学に行く年齢であったり、あるいは、日本の場合はまだまだ新卒社会でございますから、第一回目の就職をするときに首都圏を結果的に選んでいる人の方が多く、政策としては何とかそれをUIJターンで戻っていただけないかということをやっているというのが現状でございます。

 認識がどうかという意味では、さまざまな統計はあるでしょうけれども、完全に全て分析し切ったものがあるのかなというと、そういう状況ではないと思いますが、今申し上げたように、どういう行動をしているかから考えれば、やはり、仕事と学問のところで、地域ではなくて首都圏が選択されているという、この事実は大きいと思います。

大串(博)委員 今、人口のそもそもの減に加えて社会減が大きいということ、これは私も感じます。社会減の中で、なぜ若年層の皆さんが地方にとどまられないのかということを問えば、仕事、学問、あるいは、そもそも、文化とか楽しさ、こういったこともあろうかというお話がありました。

 その中で、仕事ということもおっしゃいました。仕事ということをおっしゃる方々は、たくさん地方にいらっしゃいます。確かに、仕事がないんだというふうにおっしゃる方はたくさんいらっしゃいますけれども、大臣、そうしたら、今一番最初に挙げられた、なぜ地方に仕事がないんでしょうか。なぜ日本は仕事が地方にないのか、この理由がわかっていないと、これに対する対策は打ちにくいんじゃないかと私、思うんですけれども、なぜ日本の中で地方に仕事はないんでしょうか。

片山国務大臣 お答えをいたします。

 先ほど、今に至るまでの地域活性化や地方創生や、こういったことの流れの議論もしてまいりました中でありますように、我々がこの四年というか五年取り組んできて、全般的な成果と申し上げられるのは、全体として全都道府県で仕事はふえたんですね。有効求人倍率は全部一を超えていまして、こういうことはかつて起こったことがないんですよ。

 だから、仕事が全く、どんなものでも選ばなければある、ないという議論であれば、仕事の量はふやせたんですね。それはアベノミクスの最大の成果だと思っております。実際、地域で聞かれるもう一つの声として、人が足りないので業務を絞らざるを得ないという中小企業者の声も非常に聞いて、それも一つ、地方が厳しいという声として顕在化しているわけですよね。

 ですから、仕事のマッチングとしてやはりそういうことがあるから、戻ってくる人よりも出ていく人の方が多い結果になっていると考える方が自然でございまして、つまり、今の第一就職世代の方が望む仕事、そしてそれらの方が身につけたキャリア形成のための学問、それと首都圏にある仕事、地方にある仕事、これのマッチングがどうかということは非常に大きいと思います。

 また、先ほど男女別のことは申し上げなかったんですが、十三万六千人から十三万九千人の地方からの東京への流入超過の部分で、女性の方が多いんですね。女性の方の場合は、傾向としてですよ、あくまでも傾向としてですが、一度出てこられて首都圏で就職をされると、戻る確率が極めて、男性に比べれば低いです。

 そして、この十年、二十年、三十年の間に飛躍的に上がったのは女性の大卒比率でございまして、私の年代は四大の大卒比率はまだ一二%でしたが、今は四割か五割というふうに言う統計が多いですから。それで、いろいろな専門に分かれている中で、生かして仕事をしたいと思ったときに、その雇用の場は地方にどのぐらいあるのかという部分は一つ大きな要素なのかなと思っております。

大串(博)委員 そうすると、人々がつきたい仕事が地方にない、こういうことですか。そういう理解だとすると、それはなぜなんでしょうか。

片山国務大臣 今おっしゃったように、つきたい仕事がどちらかというと首都圏の方があるというのは、それは相対的には事実かなと思います。

 特に今、要因分析ということで進めております中では、性別あるいは最終学歴、さらにそれにクロスして、学術専攻分野まではまだきちっと見切れていないんですけれども、それはやっていくことは可能だと思いますが、そういった部分でやはり首都圏にまだ本社機能が集中しており、残念ながら、リサーチ関係もまだ、移転してください、移転してくださいという背中を押す税制はやっているんですけれども、さほど移転が多いという状況に至っておりませんので、これは我々が拠点移転税制で考えてきた発想ですが、それがいま一つ十分ではないのか。

 つまり、多様な仕事が生まれるような企業側の雇用の場が余りあるわけではないので、雇用をされる側になるだけが就職ではありませんから、ベンチャーも含めて、起業をしてくださいと。起業をできるだけ背中を押そうということもあって、今回、先ほどからお話が出ておりますUIJターンの中で、起業をしていただいたら三百万円というものを新たに設定したわけでございます。

 実は、地方創生という問題意識というのはアジアの各国でありまして、私どものセクションは既に韓国とは協定を結んでおりまして、中国にも先般行ってきたんですが、中国でも同じような状況があって、急速に女性の高学歴化が進んでおり、それは、都市に一応大学はあるので……(大串(博)委員「委員長、ちょっといいですか。私の問いとは違った方向の問いになっていますから」と呼ぶ)わかりました。そういう例は他国でも進んでおりますということで。

大串(博)委員 つきたい仕事が地方にはないという中で、なかなか大企業の本社機能が地方には移転しない。一部リサーチ機能だけでも地方に持っていけないか、これもなかなか進んでいない。そこで、起業、起こす業ですね、これなんかもやっていきたい、こういうことなんですけれども、確かに、本社機能をいかにして地方に持っていくかというのは非常に大きな課題ですね。そういった大きな、今、大臣、済みませんね、細かくだったけれども、私は、やはり根本認識みたいなものをきちんとしておかないと、地方創生というのは簡単には語れないと思っているんですよ。

 私がなぜこういう質問をしたかというと、どうも安倍政権になって、二〇一四年から地方創生ということが言われ、大臣が置かれ、大臣もつかれました。しかし、何となく、ちょこちょこちょこちょこっと、地方創生と言葉だけ飾って、やっている感を出している感がして、本当にこの国の根本的な問題のところにメスを入れているかというと、何となくそんな感じがしないんですよ。だものだから、私は非常に危惧をして、今、地方が厳しい、人口減少、その根本論のところを大臣がどう認識されているのかなという、その根本のところをお尋ねしたわけです。

 恐らく、ここにいられる皆さんも気づいていらっしゃると思いますよ。地方創生、そんな簡単な仕事じゃないというのはよくわかっていらっしゃる、思っていると思いますよ、みんな。

 そこで、大臣は大臣として、地方創生担当大臣としてつかれました。地方創生大臣府、今議論したように、ちょっと一言では言えないような非常に大きな恐らく課題、問題があって地方は厳しい状況になっていると思いますけれども、それに対して、地方創生大臣府というのは十分な政策ツールを持っているんだろうかという観点から質問させていただきたいというふうに思います。

 大臣は、今いろいろ、るる私聞かせていただきました、どういう理由で地方が厳しいのか。一言で説明するのは難しいぐらいの範疇の課題になると思います。これに対して十分な政策手段をお持ちだとお思いですか。それは一体何でしょうか。

片山国務大臣 地方創生の十分な政策ツールということでございますが、今まで、まち・ひと・しごと総合戦略ということで、例えば、経済財政分析システム、RESAS等による情報支援、地方創生人材支援の制度、今も展開しておりますが、人材支援、さらに、地方創生推進交付金等による財政支援という、地方創生版三本の矢というのが大きく言うとこの手段でございまして、その中に、政府機関の地方移転であったり、日本版CCRCであったり、小さな拠点づくりであったり、さらに、先ほどの、きらりと光る大学づくり、地方創生カレッジや、あるいはプロフェッショナル人材事業など、さまざま、いろいろ、企業版ふるさと納税もそうですけれどもね。拠点税制もそうですが、さまざまつくってまいりましたが、やはり政治は結果ですから、昨年十三万六千人が流入超過になった、外国人の方も含まれれば十三万九千人ですよね。これについては、ふえてしまったわけですから、それをまた更に分析を進めて、さらなるツールを持たなくてはいけないというふうに考えております。

 ですから、ツールが十分だということを私の席にいる者が仮に言うことが将来あるとしたら、そのときには、一極集中の問題がほぼ数字的に解消され、地方創生ということについてはかなりのKPIが達成されたということでないと、十分というふうに言うことはないのではないかなと思っております。

大串(博)委員 今、RESAS、情報支援、人材支援そして財政支援ということで、三本の矢ということでおっしゃいました。

 中央部への人の流れが変わっていないというその結果をもとに、結果を出していないわけだから十分な政策ツールがあるとは言えない、こういうふうに言われたわけですけれども、私は、正直に言われたと思いますけれども、さて、本当にそうかなと思うんです。すなわち、いい方向に、例えば流出入の流れが、首都圏に流れる人の流れが少なくとも少なくなってきていたりするのであれば、まだ達成していなくても、ツールとしては十分かどうかは別として、いい方向に向かっているということは言えるんだと思うんですね。

 しかし、今、どうでしょうか、大臣、もう少し評価をいただきたいんです。今、情報支援、人材支援、財政支援というふうに言われましたけれども、首都圏への、都市部への流入がいまだに多いということをもってして足りないと言われても、あっさりと認められましたけれども、足りないものをどうしようと、今後、されるんでしょうか。

 私、なぜこれを聞いているかというと、これは毎回そうなんですけれども、去年も私、この委員会に属していまして、前回も非常に気にして申したんですけれども、所信を中根副大臣が読まれて、地方創生に関する予算の説明ですということで、総額千六十三億九千万円、一千億円です、一千億円。私、大臣として、これだけ大きな課題、地方創生、地方が厳しい、全国の地方が厳しいという、極めて厳しい国家的な課題に対して担当をさせられている大臣にあてがわれている予算が一千億、これは何なんだろうなという気がしてならないんですよ。

 でも、ひょっとしたら、単なる予算の話だけじゃないかもしれないですね。先ほどおっしゃいました税制かもしれない、あるいは規制に関する権限なのかもしれない、制度、政策面なのかもしれない。

 大臣、正直言って、大臣は責任を持ってこの内閣の中で地方創生に携わられようと思っていらっしゃると思いますけれども、一千億円の予算で、この権限で地方創生の実りを上げるというふうに、自信を持って、大臣、言えますか。

片山国務大臣 御指摘ありましたように、一千六十三億円というんですか、ベースによっては、一千四十七億円ベースだと一千五十億円ということになるんですが、いずれにしても、よく一千億、一千億というふうに申し上げているところでございまして、それにあわせて、今回、UIJターン起業の最大三百万円とか就業の最大百万円とか、そういったところも含んでいるわけでございますし、また使い勝手にしても、より使いやすいものにするための運用改善を不断に続けているところでございますが、十分かどうかというのは、常に謙虚に丁寧に見据えていかなければならないことでございます。

 予算委員会の場でもいろいろ議論が行われているわけですが、結果を出していくために十分かどうかということとは別に、じゃ、具体的にどういうふうにこれが流れているかということを議員の御地元の佐賀県において申し上げますと、例えば、唐津で今非常に日本産のコスメというのがはやってきていて、その海外市場展開を御支援することができた地方創生案件、それから嬉野でDMOを中心に観光商品づくりや一元プロモーションができたものとか、優良事例で地域の方が地方創生に取り組んで元気を出そうというものもありますので……(大串(博)委員「委員長、ちょっといいですか。済みません、聞きましたから」と呼ぶ)はい、ありますので、そういったことも踏まえて考えてまいりたいと思います。

大串(博)委員 私ね、安倍内閣の、地方創生と打ち出した割には取組が非常に、ミクロも大事ですよ、大事だけれども、ミクロだけにとらわれ過ぎていないか。とらわれてもいいんですよ、ミクロも大事だからやっていただいた方がいいんですけれども、それだけで解決できる課題ではないんじゃないでしょうかという話なんです。これをやった、あれをやった、これをもってして自己満足的によしとした状況でいいんですか、そういうことなんですよ。国家的な課題ですよ、皆さん、お気づきだと思いますけれどもね。

 だから、ぜひ、この地方創生特別委員会からは、一国会、議論したら、こんなんじゃだめだ、こんな予算、こんな権限、こんな地方創生大臣府の、例えばスタッフ、陣容も含めて、こんなんじゃ足りないというふうに、委員会として決議を上げるくらいのことをやらなきゃいかぬと私は思いますよ。そのぐらいの課題だと思うんですね。

 最後に、一つ聞かせていただきたいと思います。

 なぜ、こういうふうな、非常にアンバランスな状況になっているかというと、まち・ひと・しごとの長期ビジョンの、私はこのつくり方も非常に問題があると思うんですよ。

 一番大きなところは、やはり首都圏への社会的流入をとめていくということだと思うんですけれども、それ以外の基本目標とかKPIとかを見ると、かなりいろいろ達成していらっしゃるんですよね、就業の問題あるいは拠点化の問題等々、いろいろ見るとね。これも言葉のあれですけれども、ミクロ的にいうと達成している問題は結構ある。

 ところが、一つだけ大きく達成していないのが、先ほどおっしゃった人口の流入、流出なんですね。この仕事のしぶりがよくないんじゃないかと。何かちょこちょこちょこちょこ、達成した達成した達成したと言いながら、でも根本論は何も変わっていない。

 ぜひ、次期のビジョンをつくるとき、戦略をつくるときには、この根本論に行き着くために本当に実りのある目標とKPI、私はつくってほしいと思うんですよ。そうじゃないと、何かちょこちょこちょこちょこと、やったふり感だけ終わって、本丸は全然達成できない、またそうなっちゃいますよ。

 大臣、いかがでしょうか。

片山国務大臣 まさに大願成就でなくてはいけませんので、骨太に地方創生が達成されるようなしっかりしたKPI、さらに方向性ということも含めて、第二期総合戦略の策定に邁進してまいりたいと思いますので、この委員会においてもぜひ御議論も、あるいは意見も御決議もお願いできればと思います。

大串(博)委員 終わりますが、本当に国家的な課題ですから、これは私たち国会議員もみんなでその思いを持ってやっていければなと思いますので、ぜひこの委員会でも熱心な議論を続けさせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

松野委員長 次に、緑川貴士君。

緑川委員 皆さん、お疲れさまでございます。国民民主党・無所属クラブの緑川貴士と申します。

 片山大臣、質疑の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 私、地元は秋田ですけれども、今、地域でやはり、まあ全国的にも顕著に進んでいる人口減少そして少子化、それに伴う労働力人口の不足、また中小企業経営者の後継者の不在の問題、また地域コミュニティー、生活サービスの縮小、これは秋田を含めた全国の地方の持続可能な地域のあり方をめぐって、待ったなしの対策が問われている時代に来ております。そこに暮らす者として、地方創生委員の一人として、真摯に議論をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、五年前の解散・総選挙のときに、安倍総理が、地方再生に全力を注いでいくということで、各地域で訴えて選挙に勝利しておりますけれども、その翌年から始まったのがまち・ひと・しごと創生総合戦略でありますが、この取組の途中の二〇一六年の八月、当時の山本幸三地方創生担当大臣が就任会見でこのようにおっしゃっています。地方創生は、まず少子高齢化に歯どめをかけて、地域の人口減少と地域経済の縮小を克服して、将来にわたって成長力を確保することを目指しておりますと。

 これは、少子化をまず食いとめることが地方創生の大きな目的の一つであるという認識で、まず、よろしいでしょうか、大臣。

片山国務大臣 委員御指摘の人口減少、少子高齢化は地方にとって非常に深刻な課題でございまして、このため、まち・ひと・しごと創生総合戦略におきましては、東京一極集中の是正、若い世代の就労、結婚、子育ての希望の実現、地域の特性に即した地域課題の解決を基本的視点として、地域の人口減少と地域経済の縮小を克服し、将来にわたって成長力を確保するということを掲げておりますので、当時の山本大臣の御発言はこれを踏まえたものと認識しておりまして、私も、そういった認識のもとで地方創生の実現に全力で取り組んでいるところでございます。

緑川委員 やはりこれまでどおりのお考えに相違はないということで、まさに先ほどの、今私も申した言葉、これは、昨年六月に閣議決定されたまち・ひと・しごと創生基本方針二〇一八の最初に同じ言葉が書かれております。「地方創生は、少子高齢化に歯止めをかけ、地域の人口減少と地域経済の縮小を克服し、」云々という同じ言葉であります。

 確認をさせていただきたいのが、やはり少子化ということが地方創生のかなめであるのかどうかということを、改めて確認をしたいところでありました。

 今の政府は、未来投資戦略のように、人口減少してもイノベーションで成長はできるといった論調であったり、また、稼ぐ力と言ったり、ローカルアベノミクスであったり、一体どこに力点を置いているのか。政策を決め打ちしたり、ふらつくような側面がこのところ目立っているので、問題を解決していく太い軸、プロセスへの意識を確認したくてお尋ねをいたしました。

 つまり、地方創生は、その目的が日本の出生の力を回復させるということである以上、その検証はやはり出生数や出生率によってなされる必要がある。これは片山大臣、今お話しした流れに沿うものであると思いますが、この重要な出生数、地方創生によって回復するどころか、今、その縮小がますますとまらなくなっています。

 二〇一六年が出生数九十七万人台、おととし、二〇一七年が九十四万人台、そして昨年が九十二万人台で過去最少です。三年連続で百万人を割り込みながら、減少率も大きい状況が続いています。死亡数から出生数を引いた自然減も、昨年は過去最多の四十四万八千人であります。

 また、合計特殊出生率、女性一人が産む子供の数を示すこの数字ですけれども、二〇〇五年の一・二六を底として、近年、回復基調に実はあったんですが、二〇一四年に地方創生が始まってから、その二年後の二〇一六年は一・四四、二〇一七年が一・四三、これはまた再び低下傾向にあるわけです。

 この合計特殊出生率は、人口を維持するために必要とされるのが、先ほどの委員の質疑にもありましたように、二・〇七。これは置換水準にやはり遠くなかなか及んでいないところなんですけれども、出生数のこのところの減少とあわせて、大臣、どのような御所見でしょうか。

片山国務大臣 御承知のように、二・〇七が人口を維持できる出生率でございまして、まち・ひと・しごと総合戦略、それから地方創生、一億総活躍、いろいろな政策目標の中で、希望出生率一・八というのを安倍政権は掲げておりまして、これは皆様がどういう将来のプランを望まれるかということにおいて設定したものでございますので、あくまでも産めよふやせよ的な発想とは全く事を異にするものですが、一・八につきましても、まだまだほど遠い状況にあります。

 ただ、地域によって出生率はかなり差がありまして、市区町村単位であるいは県単位でかなりいい数字を示しているところもあって、おおむねそれは首都圏ではないということでございます。

 先ほど、ほかの委員の先生方の質問でも、非常にいい数字が出ている小さな市、町があって、そこはもう本当に大胆な回復策をとっている、こういった好事例が参考になるということを申し上げましたが、まさにそういった好事例の横展開とともに、出生率の回復にも、それから地方への人口の流れをつくるような取組についても資するようなKPIの検証というのは、二〇一七年度において、有識者においてKPI検証チームというのを開催いたしまして、ある程度いい方向に向かっているKPIが百二十個の中では多いんですが、まだまだ十分でないことにつきまして、若年層、抜本的なUIJターンの施策の強化というような提言を行い、それを今一つ一つ政策として実現化をしている、こういう状況にございます。

緑川委員 本来の地方での出生の機会が奪われて、それがやはり東京に回っているわけですね。若者人口が、十四万人の流入の中での、十代から二十代がほとんどだということですので、やはり、地方の出生の機会が奪われ続けてきている今のこの二十三年連続の東京圏の転入超過ということだと思います。

 全体の出生率が下がるとともに、本来、やはり最も出生率の低い東京に、その出生数に大きくかかわっている若者が集まっている、こういう状況。そして、東京一極集中を是正する、つまり、東京を変え、地方を変えて、まち・ひと・しごとの好循環によって日本の出生数、出生率の回復を図るというのが、これまでの総合戦略の目指すところであったというふうに思います。

 東京一極集中の是正ということについては、また日を改めてお尋ねをしたいというふうに思いますが、これまでの地方創生の取組がどうであったのか、KPIの議論が先ほどからありますが、確認したいと思います。

 資料一枚目をごらんください。

 地方創生の目標達成の検証に関する資料がやはり少ないので、おととし十二月になりますけれども、まち・ひと・しごと創生総合戦略のKPI検証に関する報告書で、四つの基本目標、そして、それぞれの目標ごとに、重要業績評価指標のKPI、「成果指標」というふうに書いてありますが、これがあります。

 青い色の一番右の欄に「進捗」とありますが、この項目が、例えば1であれば進捗している、つまり効果が出ている、2であれば十分な政策効果が出ていない、3であれば統計上実績値の把握がまだできないものという意味でありますが、この二つ目の目標をごらんいただいて、「地方への新しいひとの流れをつくる」というところを見ますと、全てのKPIで2です。効果が出ていないというふうになっています。その下、基本目標の三、「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」というところについては、半数のKPIで効果が出ていないというふうになっています。

 この点について、対応がどうなっているか、資料二枚目をごらんいただきたいんですが、是正の方法については、右側の、資料の中の六ページというところに今後の対応方針が書いてあるんですが、先ほども確認したとおり、地方創生のかなめは少子化対策であります。そういう意識で確認をしても、右下の、これは八ページのところ、今後の対応の中で、赤線を引いたんですが、「「地域アプローチ」による働き方改革」くらいしか触れられていないんですね。

 資料には載せていませんが、報告書の八ページ以降もあるんですが、ここを読んでも、基本目標三についての評価は全くなされていません。成果を検証する報告書のはずであるのにです。

 この出生数、出生率にかかわる、これは何度も重要なことだというふうにお話ししていますが、KPIに関する評価や対応に全く触れられていないということはどういうことなんでしょうか。

片山国務大臣 委員御指摘のKPIについては、確かに、人口減少そのものということにつきましては、別途、一億総活躍ですとか、全世代型社会保障という政策も、こちらの方に非常に大きな主眼を置いているもので、そういうふうになっている傾向があるかと存じますが、基本的な目指す将来の方向としては全く変わっておりませんで、若い世代の希望が実現する、希望出生率の問題、そういった問題を人口減少に取り組むという意義とともに目指しているということ、そのための政策展開をやっていくということは一切揺るいでおりませんので、今後、そのKPIの設定等も含めて、第二期のまち・ひと・しごと総合戦略の基本方針をこの五月末までにはまとめていきますので、今の御指摘も踏まえて、きっちりと対応させていただきたいと思っております。

緑川委員 やはり、もうこれは中間年をとっくに過ぎているわけですね。この中で目指す方向は変わらないからといって、後ろの後の方、過去の内容については全く顧みずにこのまま突き進むというのは余りにも乱暴じゃないかなというふうに思いますよ。

 二〇一五年度からこれまでの四年間で、実に、金額にすれば四兆円近く、地方創生のお金はつぎ込まれているわけです。その各種事業がうまくいっているのか、効率的であるのかということに、そういう観点に立ってPDCAのサイクル、プラン、計画、ドゥー、実行、チェック、評価、アクト、改善、これを繰り返すことで誤りが修正され、よりよい政策にやはり磨かれていく、このPDCAサイクルを実現するために設けたのが重要業績評価指標のKPIであるというふうに認識しております。

 自治体にはこういうPDCAサイクルを採用しろというふうに求めていながら、当の政府自身がしっかりこのPDCAサイクルを回していけないような、そういう体質であれば、これは、目標数値を達成しようと地域で一生懸命頑張っている自治体に対しては示しがつかないというふうに思いますよ。

 検証の際に、そうしたことをしっかりやはり盛り込んでいく。書いていなかったことに本来盛り込んでいくのが当たり前ですし、そうでなければ、やはり少子化をとめるというのは本気でないというふうに受け取られかねないと思います。

 働くことを希望する女性が安心して働くことにつなげていく上でも、これは、仕事の部分は1ですね、効果が出ているというふうにKPIの評価を出しているわけですけれども、女性が安心して働くためには、やはりこの少子化対策というところをKPIでしっかり評価をしていくというのが重要であるというふうに思います。

 また資料の一枚目に戻っていきたいんですけれども、基本目標一の、二十五歳から四十四歳の女性の就業率が地方創生の成果指標になっていますけれども、この数字が単純に上がっていることが果たして基本目標の「地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする」ということに直結しているかどうかは、これは確認する必要があると思うんですね。

 資料の今度は三枚目をごらんいただきたいんですが、図の一の全体の就業者数の前年に対しての伸び率では、二〇一八年では確かに異様に就業者数は伸びているんです。女性も伸びているかどうか見ますと、図の三、二〇一八年に女性の就業率が急激に伸びているんですね。この女性就業者数がどういう形でふえたのか、正規と非正規で比べたのがこの隣の図の四ですが、少なくとも二〇一八年、女性でふえているのは、その大半はやはり非正規ということになります。

 二〇一八年に何が起きたかといえば、配偶者特別控除が改定されました。百三万円の壁から百五十万円の壁に拡充をされて、三十八万円の控除が受けられるようになった。これが女性のパートの就労を後押ししてトータルの就業者数を伸ばしたわけです。

 夫婦共働きなど、一生懸命働くこと自体はとてもとうといことなんですけれども、一方で、このように就業率が伸びていることがそのまま地方で安心して働けるようになっているということにはならないと思いますが、片山大臣、いかがでしょうか。

片山国務大臣 長らく日本は、先進国の中で唯一M字カーブが残っている国と言われてまいりました。確かに、安倍政権になってからM字カーブのMはどんどんどんどん埋まっているんですよ。つまり、最初の現象としていろいろな政策をとってきて、仕事の量、仕事の機会がふえないことには、そこから先に展開することはないんですよね。

 ですから、その意味で、この二十五歳から四十四歳、お子さんを産み育てている年齢になりやすい世代ですよね、ということについて就業率を上げていくという目標は、私は、諸外国の過去の政策展開を見ても、決してそれは間違っていないと思いますよ。

 実際、我々は、保育のキャパシティー三十二万人ということも、欧州諸国並みに就業率が上がってきても大丈夫だというところで計算をしておりますし、その目標をまずは達成するということが一つ重要な要素だと思っております。

 もちろん、非正規が正規に移っていけば一番いいのでございますが、まず、企業のビヘービアとして、今、仕事がふえている、ある程度そういう状況にあるのであれば、最初に非正規がふえますから、非正規のところで就業者数がふえて、それがだんだんだんだん正規化し、待遇が向上し、そこに働き方改革の効果も相まってくる、こういうことを総合的に政策として考えておるわけでございまして、委員の御懸念も十分にわかりますが、ただ、我々の政権になってからは、正規雇用者もふえている、有効求人倍率も全ての都道府県で一を超えている、これはまず大変重要な要素だと思っております。

緑川委員 仕事を支えているのはやはり家庭なんですね。暮らしの満足度、安心感につながっていくものというのは、やはり就業率だけでは語れないものは確実にあるというふうに思います。

 この基本目標の三のKPIである、第一子出産前後の女性の継続就業率についても、これはやはり同じことが言えると思いますけれども、地方での安心の暮らしにつながっているかということを見るためには、やはり、女性の就業率という面だけではなくて、就業率を支えていく上でも重要な保育サービスの充実度を数値化するということや、また、今三%と低迷しているような男性の育児休暇取得率であったり、また、育児休暇を取得して継続就業できているのが今一割ほどにとどまっているパートや派遣の改善、こういうものをKPIとして、どこまで細かくするかというのは別としてですけれども、子供の最善の利益に直接つながってくるような成果指標が私は必要であるというふうに思います。

 そういう指標に基づいて検証していくことがやはり本当の暮らしの地域での安心につながっていくというふうに思いますが、いずれにしましても、地域で子供を産み育てるということについての状況の深刻さというのを、資料の三枚目の下の四の図に載せました。

 これは、済みません、二つ訂正がありますけれども、表題の後半、二〇一五年となっていますが、正しくは二〇一三年で、また、枠の中の三行目、若年女性人口が五〇%以上減少し、人口が一万人以上の、この、以上となっていますが、三行目の以上が未満であります。以上を未満としていただければと思います。失礼いたしました。

 これは、国立社会保障・人口問題研究所、日本の地域別将来推計人口の平成二十五年、二〇一三年の推計と、平成三十年、二〇一八年の若年女性人口の将来推計を、市区町村別に比べたものになります。

 若年女性人口、二十歳から三十九歳の女性人口が減り続ければ、その地域の人口の再生産の力は下がり続ける。結果として日本の総人口の減少に歯どめがかからないという関係にあります。例えば、若年女性人口が五〇%以上減少してしまえば、その地域で出生率が上昇しても人口を維持することが厳しくなる、これがいわゆる消滅可能性都市の定義にもなっているわけです。

 ここでお尋ねをいたしますが、若年女性人口が五〇%以上減少して、人口が一万人以上かあるいは一万人未満の市区町村をその数で見ますと、地方創生前の平成二十五年、二〇一三年の推計では、二〇一〇年時点を基準として二〇四〇年を推計していますが、百三十と二百三十九で、合わせて三百六十九自治体でありますが、地方創生が始まって四年がたつ平成三十年、二〇一八年の推計では、二〇一五年時点を基準とした二〇四五年の推計で、三百十二と五百三十五の合わせて八百四十七自治体。つまり、これまでの地方創生の取組にもかかわらず、消滅可能性都市が前の推計の二倍以上になるということが明らかになっていますが、少子化に歯どめをかける上で重要な年齢層で事態が悪化していることについて、片山大臣、どう御認識でしょうか。

片山国務大臣 非常に深刻な数字でございまして、子ども・子育ての本部というのもありますので、そちらとも連携しながら、今後の戦略の展開において重要視をしている数字でございますけれども、日本創成会議の推計に比べて各地域での若年の女性人口の減少が加速しているという分析であるというふうに承知しております。

 それは、今東京圏への流入、流出の話をずっとしてまいりましたけれども、近年、女性の都市部への移動が更に増加しているという傾向が影響していることは否めません。それは東京一極集中の要因ともなっておりまして、この是正にとっては、女性にとって魅力のある地域づくりにならなくてはどうにもならないんですね。

 その一要素として、学べるものがどこにあるか、学びたいものがどこにあるのか、つきたい仕事がどこにあるのかというのがあります。それだけにとどまるものではなくて、先ほど御指摘があったように、より文化的な部分とかソーシャルな部分もあると思いますよ、都市の魅力というのもありますから。

 ただ、別のことを考えますと、待機児童の問題にもずっと取り組んでいるわけですが、待機児童の問題は、すぐれてほとんど首都圏の問題でございます。地域においては、ある程度そのキャパシティーはあるし、まだまだ、地域の拠点で、地域でお子さんを見てくれるアドバイザーもたくさんいるというふうな部分もあり、よく出す例ですが、コマツさんというところでは、同じように採用して振り分けて……

松野委員長 大臣、時間が経過をしておりますので、簡潔にお願いします。

片山国務大臣 済みませんね。

 振り分けた場合に、東京の方が圧倒的に子供が少ないという実際の結果が出ているという状況もございますので、そのあたりをしっかり分析しながら第二期につなげてまいりたいと思います。

緑川委員 やはり、猪突猛進という、目標の堅持ではなくて、問題に対してちゃんとアプローチできているのかということを改めて見直すべきときに来ているというふうに思います。

 質問を終わります。

松野委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時二分開議

松野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。白石洋一君。

白石委員 国民民主党の白石洋一です。よろしくお願いします。

 地方創生で、私は、これから二つのテーマ、主に障害となっていること、悩み相談ですね、これを議論させていただきたいと思っています。

 まず第一は、有害鳥獣被害です。

 これによって、農作物が被害を受ける。さらには人的被害、人が住んでいるところにもイノシシが出てくる、鹿が出てくる。そして、それらの有害鳥獣が、例えば私のところ、愛媛の石鎚があるんですけれども、そこで希少野生植物を食べてしまう、生物多様性が被害を受けるということが出てきております。さらには、直近のところでは豚コレラ、これを伝播するのが野生イノシシということで、いろいろな面で、有害鳥獣、特にイノシシ、鹿、猿、こういったところが悩みの種になっております。

 まず第一問として、有害鳥獣による農作物の被害の状況についてどのように把握されていますでしょうか。

高橋(孝)政府参考人 お答えいたします。

 我が国の野生鳥獣によります農作物被害は、平成二十九年度で百六十四億円となっております。これは五年連続で減少しておりますけれども、営農意欲の減退など、被害額として数字にあらわれる以上に農山漁村に深刻な影響を及ぼしているもの、このように認識しております。

白石委員 全体の農業生産高も含めて、ちょっときのうお願いしたんですけれども。

高橋(孝)政府参考人 失礼いたしました。

 我が国の農業総生産額は、平成二十九年度で約九兆円となってございます。

白石委員 九兆円のうち百六十四億。少ないように見えて、実は、心理的な打撃もありますし、家庭菜園に対する被害、これは金額では把握できませんけれども、非常に大きなものとなっていると思うんですね。

 有害鳥獣による人的な被害の状況についてはどのように把握されていますでしょうか。

正田政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、毎月、都道府県から情報の提供を受けまして、ツキノワグマ、ヒグマによる人身被害の状況を平成十八年度から、イノシシによる人身被害の状況を平成二十八年度から、ホームページにて公表を行ってございます。

 まず、ツキノワグマ、ヒグマによる人身被害の件数でございますが、ドングリ類の不作等が要因となりまして、こういった熊が人里に多く出没する年に増加する傾向がございまして、毎年五十件から百五十件前後で推移をしております。このうち、死亡事故が発生しました年におきましては、一件から四件の死亡事故が報告されているところでございます。

 また、イノシシによる人身被害件数につきましては、毎年五十件前後でございまして、平成三十年度、今年度でございますが、死亡事故が二件報告されてございます。

 環境省におきましては、今後、都道府県の協力をいただきながら、鳥獣による人身被害の状況の把握と公表を行うとともに、熊の出没対策マニュアル等の周知や注意喚起を続けてまいりたいと考えております。

白石委員 私のところ、愛媛県でいえばイノシシが主なんですけれども、年間五十件で、うち死亡事故は二件。ただ、イノシシが顔を出して歩き回るだけでも子供は怖がって、親も、一人では歩かせられないということで、学校の下校なんかに親がつき合うということをするわけですね。そうすると、子育てでも相当親の負担がかかってくるということが出てきています。

 これに対応するのが従来から猟友会なんですけれども、猟友会も相当高齢化が進んできて、彼らも趣味でやっているというところがあるんですけれども、猟友会の人数についてはどういう状況になっていますでしょうか。

正田政府参考人 お答えいたします。

 大日本猟友会が公表しております資料によりますと、猟友会の会員数は、平成二十九年度、十万六千人となってございます。これは、二十年前の平成九年度から比べますと約四割減、十年前の平成十九年度から比べますと約二割減となっているところでございます。

白石委員 ありがとうございます。

 四割減、二割減と、相当なペースで猟友会の方々は少なくなってきているということで、そうすると、人口減少で耕作放棄地などが出てきて、そうするとイノシシが里におりてきて、そこで悪さをし始める、そのイノシシをとる人が少なくなっているという状況ですね。これは何とかしないといけないと思うんです。

 国としてもいろいろ手を打ってきていると思うんですけれども、まず、県の方では捕獲事業やあるいは企業の参入を促すような施策がされてきていると思うんですけれども、どのような施策をされてきていますでしょうか。

正田政府参考人 お答えいたします。

 環境省におきましては、捕獲の担い手になります狩猟人口の減少や高齢化が進行している、こういった状況に照らしまして、平成二十六年に法改正を行いまして、鳥獣の捕獲等に専門性を有し、安全性を確保しながら効果的に鳥獣の捕獲等の事業を実施できる、こういった法人を都道府県知事が認定できる認定鳥獣捕獲事業者制度を創設したところでございます。

 これまで、四十一の都道府県におきまして百四十三の法人が認定を受けております。この中には、警備業や害虫駆除業、建設業や林業等から参入した認定法人がございます。これら認定法人が、例えば、環境省が都道府県を交付金により支援してございます指定管理鳥獣捕獲等事業のほか、行政機関や民間からの捕獲事業を受注し、捕獲を実施しているところでございます。

 幾つかの例を御紹介させていただければと思いますが、まず一つは民間企業が取り組んでいる事例でございますが、例えば警備会社におきましては、わなに通報のためのセンサーを設置して、捕獲の通報を受けて現場に向かう、こういった方式を取り入れているところでございまして、本業での経験、技術、こういったものが捕獲事業に活用されると聞いておるところでございます。

 また、地方公共団体の取組事例といたしましては、神奈川県庁でございますが、捕獲の専門家を期間を定めまして県の職員として雇用し、捕獲体制を構築して、公共団体として先ほど申し上げました認定事業者の認定を受けているところでございます。同県におきましては、一般の狩猟者による捕獲が困難な標高が高い地域を中心といたしましてニホンジカの捕獲活動を行っておりまして、平成二十九年度には約三百頭の捕獲実績があったと聞いておるところでございます。

白石委員 二つ、企業のところと、そして地方公共団体、神奈川県庁の例を挙げられましたけれども、私、ここに来て質問するその趣旨、目的は、ぜひ、民間団体が有害鳥獣捕獲によって採算がとれるようにしていただきたいんですね。

 もう猟友会頼みは限界です。彼らは趣味でやっているわけですし、高齢化が進んでいます。そういう方々にはもう手に負えないような状況になっているというのが地方の現状です。地方創生どころか、それによって生活が破壊されるということですから、それに対応するには、企業の力、民間参入。参入してもらうためには、さっきおっしゃった、警備会社が駆けつけるとありますけれども、そういうサービスではなくて、要するに、ただで、副業としてやるというのではなくて、採算がとれるようにしていただきたいんですね。まず、ここをお願いします、御所見。

正田政府参考人 委員御指摘ございましたように、まず、捕獲の担い手の減少でございますとか高齢化、こういった問題があるところでございまして、先ほど申し上げましたように、法を改正いたしまして、企業が参入できる仕組みをつくったところでございます。

 こういったところにつきまして、こういった企業がしっかりそうした捕獲の体制ができているということの一つのあかしでございますので、県等の事業もございますが、あわせまして、他の民間からもそういった受注は受けていると実際聞いておるところでございますので、よく県等とその辺は相談いたしまして取組を進めてまいりたいと考えてございます。

白石委員 おっしゃった認定鳥獣捕獲等事業者、これを民間にも指定していますということなんですけれども、これによるメリットというのは、せいぜい規制緩和なんですね。ライフル銃については、十年の経験がライフル銃以外の銃によって必要なところがもっと短期化するぐらいの話で、採算をとるというところとは直接の関係がないわけです。

 こういった認定鳥獣捕獲等事業者に対する金銭的な支援というのはどのようにお考えでしょうか。

正田政府参考人 お答え申し上げます。

 直接の金銭支援というわけではございませんが、先ほどお話し申し上げました、環境省が新しく仕組みをつくりました指定管理鳥獣等捕獲事業がございます。これにつきまして、その認定を受けた事業者につきましては捕獲団体としてそういった分野を担うことができる、こういった仕組みがございまして、これは、環境省の方が都道府県に交付金を支援いたしまして、県から発注する、こういった仕組みがあるところでございます。

白石委員 県からどれぐらいの発注が来るか。県も予算がないとできないことで、もちろん、この有害鳥獣被害対策というのは重要性が上がってきているという認識で、一般財政からもそれがシフトする部分もあると思うんですけれども、やはり国からの支援が必要だと思うんですね。

 じゃ、ちょっと済みません。指定管理鳥獣捕獲等事業者に対する国からの支援というのは、年間予算、どれぐらいなんでしょう、あらあらで結構でございます。

正田政府参考人 お答えいたします。

 本年度におきましては、補正予算と合わせまして十五億円としてございました。来年度に向けましては、本年度の補正予算で十一億円を確保してございまして、当初予算におきましても五億円確保してございます。合わせて十六億円の規模で実施してまいりたいと考えているものでございます。

白石委員 ぜひ、声を上げてもっと拡大していただきたい。地元の声であります。

 加えて、神奈川県庁の例を挙げましたけれども、神奈川県庁は、これは一般財政でやっているんですか、それとも国の支援を受けてやっているんでしょうか。

正田政府参考人 お答え申し上げます。

 申しわけございません、詳細についてちょっと把握してございませんが、県として職員として確保していますという点につきましては、恐らくは県の方で手当てをされているものだと承知してございますが、今ちょっと詳細な資料がございませんので、申しわけございません。

白石委員 県の中でそういうチームをつくる、県職員の捕獲隊をつくるというところに対して、一般財政だけで、県単独事業としてやらせるのではなくて、そこのところを環境省としてもぜひ支援をお願いしたいと思います。

 次に進みます。

 自衛隊さんのサポートなんですね。これは一般市民の素朴な質問、お願いでもあるんですけれども、特に豚コレラの発生のときに、大規模に、早急に野生イノシシを駆除しないといけない。もしこれが広がっていたら、愛知県、静岡県、中部地域だけじゃなくて、いろいろなところに伝播していきかねないような、そういったときに、自衛隊、もちろん本業は国防であり、そして防災でありますけれども、そういう緊急事態に、ライフル銃を扱いなれているというところでサポートを得たいという声も強いんですけれども、この点、いかがでしょうか。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 有害鳥獣につきましては、地方自治体と関係省庁が連携をして被害対策を実施しておりまして、防衛省・自衛隊としては、これまでも、地方自治体からの協力要請に基づきまして、任務遂行上支障のない範囲で必要な協力を行ってきたことがございます。

 一例としては、北海道が実施するエゾシカ駆除計画への協力といたしまして、自衛隊ヘリコプターによりエゾシカの捜索及び生息状況の調査を行い、また、雪上車等により捕獲したエゾシカの輸送支援を行った例がございます。

 また、もう一例としては、高知県におけるニホンジカの被害対策に係る協力としまして、駆除の際の自衛隊ヘリによる生息偵察等の支援を行ってきております。

 今お尋ねの射撃による駆除につきましては、自衛隊は、猟銃等を使用した鳥獣駆除の訓練を実施していないこと、また、狩猟従事者が持つ、山野に生息する鳥獣の特性等を踏まえた狩猟のノウハウを有していないといったことから、現状、困難な事情があることはちょっと御理解いただかなければならないと思いますけれども、今後、関係省庁とよく連携し、法令に基づいて任務を適切に遂行していくとの観点から何ができるのか、引き続きよく検討してまいりたいと考えております。

白石委員 北海道では鹿の捕獲で、高知では調査ということなんですけれども、捕獲について、その捕獲は生け捕りですか、それとも駆除なんでしょうか。どちらだったんでしょう。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 北海道で実施した協力につきましては、ヘリコプターによる鹿の捜索あるいは生息状況の調査ということが一つと、もう一つは、駆除されたエゾシカを雪上車等を使って輸送するという部分、この面について支援をさせていただいたものでございます。

白石委員 わかりました。駆除そのものはほかのところがやって、それを移動させたと。

 しかし、先ほどのお話だと、地方自治体の要請によって災害派遣としてやってきたこれだけの実績があるということはわかりました。

 この先、非常に限定的な、例えば緊急避難的な豚コレラ等の対策として地方自治体からの駆除の要請があった場合は、真剣に考えていただけるんでしょうか。いかがでしょうか。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 済みません。先ほど申し上げたように、射撃による駆除という点に関して申しますと、訓練を行っていなかったりノウハウを持っていないといったことから、現状ではちょっと困難な面が大きいと思っております。

 ただ、関係省庁あるいは自治体が行う取組の中で、防衛省としても何ができるかということは、引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。

白石委員 ぜひ、受けとめていただいて、そして検討していただきたいなと思います。

 そして、最後の問いですけれども、よく、ジビエのための肉処理をすれば、出口ができるから有害鳥獣対策も進むんじゃないかということを言われるんですけれども、実際、話を聞いてみると、このジビエの肉処理というのはかなり設備投資が必要なんですね。

 ジビエとして肉処理をするのは、駆除されて二時間以内に処理しないといけない、使える部位はその全体の三、四割にしかすぎず、さらに、機材としては、金属探知機や、冷蔵庫は三種類必要で、専用浄化槽や、あるいは常駐する、その処理をする職員さん、そして使えないところというのは産廃に出さないといけないということで、相当な費用がかかるということがわかりました。

 これだけのことを、採算をとるまでの呼び水として、まず国で支援することが必要なんじゃないかなと思うんですけれども、国としてどういった支援を考えていますでしょうか。

高橋(孝)政府参考人 お答えいたします。

 委員から今御指摘がございましたジビエ利用の拡大の取組につきましては、私ども、平成三十一年度までにジビエ利用量を倍増させるという意欲的な目標の達成に向けまして、ジビエ利用モデル地区を各地に設置いたしまして、今委員からお話ございました食肉処理施設の整備、これを推進いたしますとともに、さらに、広域から個体を搬入する場合でも肉質の劣化を防止できるジビエカーの導入を推進するなど、政府を挙げてジビエ利用の拡大に取り組んでいるところでございます。

 また、ジビエ利用に係ります衛生管理の徹底を図るために、国産ジビエ認証制度の普及を推進するとともに、ジビエの全国的な需要拡大のためのプロモーションを展開しているところでもございます。

 農林水産省といたしましては、今後とも、地域の実情に応じた鳥獣対策を実施するとともに、有害鳥獣を利用いたしまして農村地域の所得に変えていく、マイナスをプラスに変えるというジビエ利用の取組を、関係省庁とも連携しながらしっかりと推進してまいりたいと考えております。

白石委員 一番最初におっしゃった、モデル事業として十七カ所、これは年間予算としてどれぐらい計上されていますか。そして、二番目のジビエカーについても、これは今何台稼働していて、どれぐらい農林水産省として予算、年間で考えていらっしゃるんでしょうか。

高橋(孝)政府参考人 お答えいたします。

 ジビエの予算的補助につきましては、三十一年度の政府予算案で百三億円、三十年度の補正予算で三億円計上してございます。その内訳は明確になっておりませんで、処理施設で幾ら、ジビエカーで幾らという内訳は出てまいりませんので、全体の額で対応しているところでございます。

白石委員 本予算三億円で、補正予算で三億円、合計六億円ということですか。(高橋(孝)政府参考人「百三億と三億」と呼ぶ)百三億と三億。百六億円ということですけれども、これをぜひ全国展開して、地方では大体、これで困っていると思います。

 各県でも、二時間以内に駆除されたその肉を運ぶという意味では、各県一つだけでも足りないんですね。愛媛県でいったら、南予は南予、中予は中予、東予は東予と、三カ所は必要なことになります。そのことを考えたら、まだまだこれは、もちろんロールモデルを確立しながらでしょうけれども、全国展開を相応の予算をもってしていただくことをお願いしたいと思います。

 ちょっとこれまで大臣には何も質問していなかったですけれども、有害鳥獣被害について、地方創生について、相当もうこれは困っていることで、大事なことだと思っているんですけれども、大臣はどのように考えていますでしょうか。

片山国務大臣 御通告はいただかなかったんですが、ずっと伺っておりまして、全くその深刻さは、本当に非常事態というように達していると思います。

 実は、先ほど環境省の方から御説明があった事業の前段階の企画をやっておりましたときに私は党の環境部会長でございまして、まさに法改正もあったわけですけれども、限界集落におきましては、人と有害鳥獣が生存領域をめぐって事実上争っている、こういう状況になっております。

 他方、ある意味で、委員が御指摘のように、商業ベースに乗せることができれば、これは大変有用な村の宝でございます。先般も、党本部の方で猟友会さんも御一緒に、東京の一流シェフの方が、いかにうまく料理すればジビエはおいしいアセットになるかということの標本のプレゼンもやらせていただきましたし、北海道なんかはそういう利用も進んでおられますが、委員の御地元の四国におきましても大変急増しておりますから、活用の道を地方創生につなげてまいれればと思っている次第でございます。

白石委員 大臣、ありがとうございます。ぜひその方向で御尽力いただければ、地方の皆さんは本当に喜ぶと思います。

 次のテーマに移ります。

 埋蔵文化財、地方の宝物、これをまず探し出す、そしてそれを調査して、保存していくというところで、私の地元である事例がありまして、それをもとに質問させていただきます。

 埋蔵文化財の発見の端緒というものは、そもそもどのようにつかんでいるでしょうか。これは簡潔にお願いします。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 文化財保護法においては、埋蔵文化財が包蔵されております土地の把握は地方公共団体が行うということとされておりまして、把握の仕方としては、埋蔵文化財が存在する土地を特定するために地方公共団体が行う調査、あるいはまた、民間事業者等や地方公共団体が開発事業を行った際、埋蔵文化財を発見した場合に行われる都道府県教育委員会等への届出などがございます。

白石委員 つまり、誰もが知っているのが一つと、そして、開発業者というふうにおっしゃいましたけれども、要するに地権者、その土地の所有者が何か破片を見つけた、工事しようと思っていたら見つけて、これは何か埋蔵文化財じゃないかということを見たということなんですね。

 ちょっと時間がないので私の方でも少し進めさせてもらいますけれども、開発業者がそれを見つけたら、それを県の教育委員会に報告する義務があるということで、それをもってスタートしていく。年間ベースでいうと、そういった始まりがあるものが二、三百件。土器のかけらを見つけたというような、そういったことが端緒となって始まるものが全国で年間二、三百件ある。

 それを報告して、その後、試掘し調査する、ここまでは教育委員会。その後、これはもうちょっと進めてみようということになる場合は、どのようにフローとしてなっていくんでしょうか。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 地方公共団体におきます埋蔵文化財の調査の手法でございますけれども、まず、目視で分布の調査を行いまして、その後、埋蔵文化財の有無を確認するため、数平米程度でございますけれども、その範囲で掘削を行う試掘調査を行いまして、その試掘調査により埋蔵文化財の存在が明らかとなれば、その範囲ですとか内容などを確認するための確認調査といった段取りで進んでまいります。

 埋蔵文化財は現状保存が望ましいところでございますけれども、やむを得ずその埋蔵文化財を現状のまま保存できないという場合には、確認調査の結果なども踏まえまして、地方公共団体が開発事業者に対し、開発を進める前に記録の作成のための発掘調査を行うよう指示することはございます。

白石委員 最後のところが大事で、現状保存ということであれば、これは公費でその土地を買い上げてくれる、これは地権者としても納得の上、売却するんですけれども、それはいずれはその地域の宝物、文化財、史跡となっていく。

 一方、記録保存というふうになった場合は、これは誰の負担で記録保存をしていくんでしょうか。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 開発事業等においてやむを得ず埋蔵文化財を現状のまま保存できない場合は、文化財保護法第九十三条に基づきまして、都道府県教育委員会等は、開発事業者に対して、記録の作成のための発掘調査の実施を指示することとなります。その際、埋蔵文化財の保存を不可能とする原因となりました開発事業を行う事業者に対しまして、その経費負担による記録保存のための調査の実施を求めることとされてございます。

白石委員 その経費負担は土地の所有者ですということで、これはもう一〇〇%、その土地の所有者の負担でやっていく。幾らそこの埋蔵文化財が地方の宝物になるものであったとしても、たまたまそこの土地所有者になった人が全ての経費を負担するという原則論でよろしいでしょうか。

杉浦政府参考人 おっしゃるとおりでございます。

白石委員 そこで、やはり土地の所有者としては、これ全部、自分の負担でやらないといけないの、そういうことであれば報告なんかしたくないし、無視して工事を進めていくというような、経費負担のことを考えればですよ、まあ、そういった人はいないと思いますけれども、そういう気持ちになるのもわからないではないなというふうに思うわけです。

 これはやはり地方の宝ですから、地方全体で経費負担をしていくべきじゃないかなというふうにも思うんですけれども、なぜ土地所有者が一〇〇%負担しないといけないんでしょうか。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、一般論ではございますけれども、事業者がその土地の開発をしようとなされた結果、その土地の性格などに何らかの予期せぬリスク、そういうことが生じれば、何らかの特別な政策ですとか法制度があればそれによるとしましても、一般的には、それらの原因となった開発行為を行った事業者に負担が求められてくるものと考えております。

 文化財保護法の場合は、先ほども申し上げたとおり、法令上は、国指定とか県指定とか大きな遺跡が出てきて現状保存という形にならなければ、原因者たる事業者に記録保存を行っていただく旨、指示を行いまして、それに伴う費用を事業者にお願いして、記録保存が済めばその土地の開発が進む、こういう段取りになります。

 一般的には、開発事業者は、その土地を活用するためにいろいろなリスクを織り込みながら、相応の事業費を御準備されているとは思いますけれども、実際の実務におきましては、開発事業の円滑な実施のために効率的に進めるということもこれまた重要でございますので、具体の遺跡のそれぞれの性格にもよりますけれども、発掘調査の箇所数を少し少なくしてみたりとか、民間調査の組織を導入して工期を短くするとかといった形で、開発事業者様の方の負担軽減に向けての工夫というのが普通は自治体と開発事業者との間で協議されるというふうに認識しております。

 いずれにしても、こういう形で、開発事業者の皆様にも御理解賜りまして、自治体の方も今努力しているところでございますので、文化庁としてもこれを支援、指導してまいりたい、このように考えております。

白石委員 つまり、経費負担を少なくするような相談には乗りますけれども、一〇〇%土地所有者が経費負担する、ここは変わらないということですね。ですから、二分の一、二分の一で折半しましょうかとかそういうことじゃなくて、経費を縮減することについて相談に乗りますよということがさっきの答弁だと思います。

 これを受け入れた上で、そういうふうになっていることを土地所有者が受け入れた上で、実際どんなものが発掘されたのか、あるいは、もしかしたら、より大事なのは、何もなかったよということも含めて、結局、経費負担だけして何も出てこなかった、あるいは大したものじゃなかった、こういったこともあるわけですね。

 そういったことも含めて、しっかり開示をしていくべきだと思いますけれども、そこの土地所有者が経費負担しているわけですから、顕彰していく、つまり、これだけのことを土地所有者がやってくれたということを顕彰していくということも必要だと思うんですけれども、その点、最後の質問とさせていただきます。

杉浦政府参考人 お答え申し上げます。

 文化庁といたしましては、先生がおっしゃるとおり、貴重な国民共有の埋蔵文化財につきまして、発掘調査成果の活用などによる保護推進として、発掘調査終了後に可能な限り速やかに調査結果の客観的資料化を行っていただきまして、発掘調査報告書の早期作成、その公表をお願いしているところでございまして、この点については通知等でも求めているところでございます。

白石委員 ぜひその点、徹底してください。

 終わります。

松野委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 大臣は、所信で、東京圏への転入超過は十三万六千人程度と述べられました。資料一は、二〇一三年以降の転入超過数の推移のグラフであります。

 まち・ひと・しごと創生総合戦略では、二〇二〇年に転出、転入を均衡させる、こういう目標であったはずでありますが、この目標は達成できますか、大臣。

片山国務大臣 グラフでお示しいただいたとおり、昨年の東京圏への転入超過数が十三・六万人になるなど、二〇一四年以降、地方創生をやってまいりましたが、ふえてしまっている部分がありまして、残念ながら、現状では二〇二〇年の均衡目標達成は大変厳しいものと言わざるを得ないと思っております。

 要因につきましては、ここに来るまでいろいろ議論させていただいたように、転入超過の大半が十代後半、二十代の若者が占めており、基本的には、若い世代の大学などへの進学や就職が東京への移動のきっかけとなっていると考えられますので、全国的な景気回復が進む中で、東京圏の労働需要が高く、こういった部分が転入超過の改善にまでは結びついていない。

 まち・ひと・しごと創生総合戦略で仕事づくりを進めてきてはいるが、そこまでになっていないものと大変残念に思い、人の流れを太くするためのUIJターン創出支援制度、あるいはきらりと光る大学づくり等取り組んでおりますが、いずれも、きちっと決まっても四月以降に効果が発するようなものばかりでございまして、今後も、この一極集中の動向について、要因を十分に分析により、更に手だての検討を進めてまいりたいと考えております。

宮本(岳)委員 資料一を見ていただければ、目標達成が絶望的なのは誰の目にも明らかだと思います。

 そこで、問題は、政府は東京一極集中の是正にまともに取り組んできたのかどうか、このことが問われると思うんです。具体的に聞きたいと思います。

 総合戦略では、「年間四十七万人の地方から東京圏への転入者を年間六万人減少させ、年間三十七万人の東京圏から地方への転出者を年間四万人増加させる。」、こうしているわけですね。そのために、今大臣がお述べになった、政府関係機関の地方移転、企業の地方拠点強化、地方創生に資する大学改革、地域における魅力ある仕事づくりの推進、子供の農山漁村体験の充実、地方移住の推進という六つの施策に取り組んでまいりました。

 これらの施策によって、毎年どれだけの転入者の減少、転出者の増加を見込んできたのか、それぞれ六万人の減少、四万人の増加をカバーするものになっていたのか、内閣府、お答えいただけますか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 地方への人の流れをつくるの基本目標につきましては、地方への転出四万人増、東京圏への転入六万人減により転出入を均衡させるということを設定しております。

 また、この目標を達成するために、現在、先ほど委員から御指摘いただいたような施策について推進をすることとしております。

 これらの施策の中には、例えば、子供の農山漁村体験の充実などが典型的なものだというふうに思っておりますが、将来的な人の流れをつくるのには寄与するものの短期的に効果を発現するとは限らないものなども含まれておりまして、委員御指摘の目標について、毎年どの程度カバーするかということについての算定は行っておりません。

宮本(岳)委員 年間六万人の減少、四万人の増加という目標を定めておきながら、それをカバーする各施策の転出入についての数値目標も定めていなければ、目標達成の保証はありません。

 では、その六つの施策について見ていきたい。

 資料二は、第二回検証会で配付された資料であります。「今般のKPI検証の考え方」として、下の枠に、「第一回検証会で受けたご指摘を踏まえて」と記載され、三つにランク分けしております。1は「目標達成に向けて進捗している」、ここを更に第一回の指摘を受けてABCと分類しております。2は「現時点では、目標達成に向けた政策効果が必ずしも十分に発現していない」。そして3は「その他」としております。

 そして、資料三を見ていただきたい。これは、東京一極集中の是正のKPIを検証したものであります。基本目標のKPI、つまり、地方、東京圏の転出入均衡という成果指標について、その進捗は2、「現時点では、目標達成に向けた政策効果が必ずしも十分に発現していない」、こうなっておりますね。

 間違いないですね。

伊藤政府参考人 委員御指摘のとおりでございます。

宮本(岳)委員 この基本目標を達成するために講じた二十一の各施策のKPIの検証が、その下段から、以下四ページにわたって記載されております。

 各施策の進捗について見ますと、資料3の2の五十四番、新規学卒者の道府県内就職割合、資料3の3の六十三番、子供の農山漁村体験の取組人数、資料3の4の七十番、UIJターンによる起業、就職者数を除けば、残り十八の施策全部が1、すなわち「目標達成に向けて進捗している」ということになっております。これも間違いないですね。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の今般のKPIの検証の考え方の資料でございますが、これは第一期のまち・ひと・しごと総合戦略に関する検証会の資料でございまして、一月二十八日に第一回、三月一日に第二回をやっているところでございます。

 二回やっているところでございますが、この際、第一回の検証会のときには、前回の二〇一七年の中間的なチェックのときのものを時点修正して整理をしていたところでございますが、これでは達成についての進捗がわかりにくいということもございまして、その御指摘も踏まえて、まず1、目標達成に向けて進捗をしている、それについてABCという評価、それから、現時点では目標達成に向けた政策効果が必ずしも十分発現していないというのを2番、その他ということで再度整理をしたものでございます。

 今御指摘ございましたおのおのの施策につきましては、その目標に向けて少しでも進捗しているものにつきましては1の目標達成に向けて進捗しているというふうに分類しておりまして、地方への人の流れをつくるといった個別施策の二十一のうち、十八は、御指摘のとおり、少しでも進捗がしているということで整理をさせていただいているところではございます。

 ただし、これについては、現時点で目標を達成しているというAではなく、非常にB、現時点で目標は達成していないけれども、やや上方に行っているというものがほとんどというのは、見ていただいたとおりかというふうに思っております。

宮本(岳)委員 検証会で進捗がわかりにくいからといってやったというんですが、一層わかりにくくなっております。二十一の具体的な施策のうち、十八もの施策が、目標達成に向けて進捗している、こういう評価なんですね。にもかかわらず、なぜ、基本目標のKPIの方は、現時点では目標達成に向けた政策効果が必ずしも十分に発現していないというようなことになるのか。これでは、つじつまさえ合っていないと言わなければなりません。

 各施策の評価が1であれば、それを総合的に講じた結果である基本目標のKPIの進捗も、同じ1になるはずであります。にもかかわらず、なぜ基本目標が2になるのか。

 そうなると、あなた方が各施策の評価を1、目標に向けて進捗していると評価していること自体が偽りであるのか、それとも、これらの各施策が仮に進捗したとしても基本目標は一向に進捗しないような、そもそも誤った施策であるのか、どちらかしかあり得ないと私は思うんです。大臣、どちらですか。

片山国務大臣 今回の地方創生、二〇一四年に開始しましたときに、まず、大きな前提として、やはり地方が自発的に、自主的にみずからの持続可能な社会的、経済的発展ということのためにいろいろな施策を行っていくということ、それを総合的に応援するという話でございまして、過去、いろいろな地域再生、地方活性化をやってまいりましたが、経験に学んで、単にばらまきということが言われることなく、KPIをきちっと設定していこうということで始まったものでございます。

 その今御指摘の各種のKPIでございますが、私は、設定されている目標につきましては、基本的に、こういう方向のことは、社会経済上の変化としての人の流れを巻き起こそうということの意味でも、超少子高齢化の対応という意味でも、それほど不適切なものは、今、再度見返した上でもないと思いますが、実際に評価を始めてKPIの検証ということをやってみると、そう簡単に数字が出るものではなかったということもあるんだと思います。

 その中で、項目によって進捗があるものについてはそういう判断をしたということで、委員からは大変厳しい評価が下されているわけでございますが、仮に、何か評価がしづらいようにしているとか、あるいは目標が何だかわからないようにしているということであれば、そもそも、こういったものをきちっと公表してレビューするということをしなければいいわけですから、それを全て一〇〇%お出ししてPDCAサイクルを回している、そういう私たちのアプローチということは御理解をいただければと思います。

宮本(岳)委員 そう簡単に数字が出るものでもないとおっしゃったんですけれども、私が聞いているのは、各施策については1で進捗しているといいながら、全体が進捗していないと。なぜそうなっているかということを明らかにしなければ、検証なんてできないんですね。

 大臣は、所信で、東京一極集中の是正に取り組むため、政策を総動員すると述べられました。しかし、間違った政策をどんなに総動員しても、効果など上がるわけがないんです。

 しかも、東京一極集中の是正に真面目に取り組まなかったばかりか、政府は逆に、むしろ東京一極集中をより強力に進める政策をとってきたのではないか、私は、そう、きょうは指摘をせざるを得ないんです。

 東京では再開発がメジロ押しであります。二〇一三年以降、首都圏、東京二十三区内で、タワーマンション、二十階建て以上の超高層マンションの竣工は、一体、何棟、何戸になるか。また、今後完成予定のタワーマンションは幾つあるか。国土交通省住宅局、お答えいただけますか。

眞鍋政府参考人 いわゆるタワーマンションについての御質問がございました。

 お答え申し上げます。

 今御質問いただきましたタワーマンションの竣工の実績、あるいは今後完成予定の件数、国土交通省としてぴったりとしたデータを把握してございませんが、民間企業、これは株式会社不動産経済研究所が調査、公表している超高層マンション市場動向二〇一八というようなデータによりますれば、二〇一三年以降に竣工した二十階建て以上の超高層マンションは、二〇一八年三月末現在で、首都圏で百三十棟、四万二千六百十二戸、東京二十三区内では八十八棟、二万八千九百十六戸とされております。

 また、同じ調査によりますと、二〇一八年以降に完成を予定している超高層マンションは、首都圏で百八十一棟、八万三百三戸となっております。そのうち、二十三区内で百二十三棟、五万五千五百七十戸というふうに記されております。

宮本(岳)委員 まだこれからですよ。首都圏で百八十一棟、八万戸、東京二十三区内で百二十三棟、五万五千と、全国の五一・一%をこれは占めているんですね。

 それで、政府は東京国家戦略特区で容積率の緩和を行ったために、タワーマンションがたくさん建てられる結果になりました。それだけではありません。今、東京オリンピック・パラリンピックに向けた開発が進んでおりますけれども、オリパラが終わった後も、その跡地に住宅や商業施設を建設するとされております。

 国土交通省の都市局に聞きますけれども、東京の晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業では、住宅は何戸建てる計画になっておりますか。

清瀬政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業でございますけれども、東京都が施行する事業でございまして、その住宅戸数につきましては、東京都から約五千六百五十戸というふうに聞いてございます。

宮本(岳)委員 地下一階、地上五十階、高さ約百八十メートルの超高層マンション二棟を含む、計五千六百三十二戸、新たに約一万二千人規模の町をつくる計画であります。

 この晴海五丁目だけではありません。東京都では、虎ノ門や大手町、品川など、三十二の再開発事業が進められております。

 大臣、これだけ超高層マンションや住宅を建てれば、人口が集中するのは当たり前のことではないですか。

片山国務大臣 委員におきましては、かつて、このタワーマンション問題について石破元大臣にもお聞きになっていただいておられるということで、タワーマンションについてアンケートというんですか、聞き取り調査をしたデータがございまして、それによりますと、全体の九三%のタワーマンションに新規で入られた方が首都圏から来られているんですよ。その全体の六割ぐらいはそもそも東京都二十三区内から来られているというデータがあります。

 実は、私も長らくタワーマンションの新築から入っている住人で、防災管理人もしておりましたが、知る限り、ほとんどの方がやはり近郊からの転居組でいらっしゃいまして、やはり、突然いわゆる地方圏からあのタワーマンションに住むというのは相当大きな居住環境変化なので、余りその例は、少なくとも私の地域は、三万人ぐらいの集落がこの二十年ぐらいでできたところですけれども、多くないということは実感としてありますが、いずれにしても、委員の御指摘もございますので、今後とも注視してまいりたいと思っております。

宮本(岳)委員 きょうは、その石破大臣の御答弁のあった議事録を資料四で配付をしております。

 二十三区にお住まいだった方がタワーマンションに住まれたということであって、外から来られた方ではないと答弁されていますけれども、同時に、今まで住んでおられたところに誰が入ってきたのか等々、また調べなければいかぬ、そこはよく分析をした上で対策を講じなければいけませんとも述べられました。

 内閣府、調べたんですか。

中原政府参考人 現時点において、その調査、調べておりませんけれども、石破大臣がおっしゃっておりますように、いずれにしても、ちゃんと分析をしないままお答えをしてはいけませんので、そこはよく分析をした上で対策を講じなければいけませんと述べられておりまして、東京一極集中の原因が、先ほどのように数もふえておりますので、そこの要因分析をしっかりとやってまいりたいと思っております。

宮本(岳)委員 だから、分析をしたのかと聞いたんですけれども。

 総務省に来ていただいております。総務省に聞きますけれども、二十三区の二〇〇九年から二〇一三年までの転入超過数、それから二十三区外の東京圏の転入超過数はどうなっておりますか。

佐伯政府参考人 お答えいたします。

 総務省の住民基本台帳人口移動報告により、日本人移動者の動きを見ると、東京二十三区の転入超過数は、二〇〇九年が三万七千三百九十一人、二〇一〇年が三万三千九十八人、二〇一一年が三万五千四百三十五人、二〇一二年が四万九千六百五十五人、二〇一三年が六万一千二百八十一人となっています。

 また、二十三区を除く東京圏の転入超過数は、二〇〇九年についてはデータがないため算出できませんが、二〇一〇年が五万九千七百三十一人、二〇一一年が二万七千三百七十四人、二〇一二年が一万七千五百五十四人、二〇一三年が三万五千二百四十三人となっています。

宮本(岳)委員 東京二十三区も二十三区外の東京圏も、毎年一貫して数万人規模で転入超過が続いているんですね。超高層マンションに移り住んでいるのが二十三区の住民だとしても、二十三区にはそれを超える人々が移り住んでいる。二十三区外の東京圏にも、地方からの流入が流出数を超えております。

 大臣、容積率の緩和による超高層マンションの建設が東京への地方からの人口流入を促進しているということは、否定はできないのではありませんか。

片山国務大臣 住宅、土地の統計調査では、現在の居住地をもとにして、その居住住宅に対して直前の住居の場所や所有関係が調査されているということはあるんですが、そこから更にさかのぼってということまではされていないので、委員が石破大臣に御指摘されたようなところがどこまで捕捉することができるかというと、それは非常に現状では難しいというのが今のお答えだとは思うんです。

 私、たしか小泉政権のときにも容積率の緩和で似たような議論があって、そういうお話を記憶しているんですが、その後、バブルの崩壊とかリーマン・ショック等もありまして、いろいろな状況を見ている限りで、必ずしもそのように結びつくような状況にあるのかなということが一つ感じられますのと、更に申し上げると、仕事がなくて、東京の容積率緩和された住宅に移り住む流れが一方的に起きるかというと、それはまず余り考えられないわけですよね、ある程度居住コストが高いですから。

 そうなると、仕事の問題でやはり人の流れというのは、あるいは学校への就学の問題で起きるんじゃないか、そこが本質なのではないかということを先ほどからるる申し上げている次第でございます。

宮本(岳)委員 いやいや、難しいじゃないんですよ。本当にそれはこっちのせりふだと言いたいんですけれどもね。

 大体、東京一極集中の是正を掲げて五年やってきて、よくなるどころか、年々悪化しているわけですよ。一方で、その東京にあちこちタワーマンションが建ち並んで、かつての地方創生担当大臣も気にされて、調査分析しなければいかぬと答弁した。当たり前のことですね。

 国土交通省に確認するんですけれども、国土交通省は、内閣府からこの問題の調査の依頼を受けたり、調査の検討を行った事実はありますか。

眞鍋政府参考人 お答え申し上げます。

 石破大臣が御指摘の委員会で答弁された以降に内閣府から依頼を受けたこと、それを受けて実際の調査を国土交通省で行ったかどうか、調べましたけれども、そのような事実は確認できておりません。

宮本(岳)委員 依頼もされていなければ、検討した事実もない。不真面目きわまりないと言わなければなりません。

 東京一極集中は、人口だけの問題ではもちろんありません。政治、経済、金融、外資など、あらゆる分野が東京に集中している。

 先ほど来、女性の動向という議論がありましたが、女性がどうこうという問題ではないんです。あなた方は、国際競争力強化を口実に、地方創生のかけ声とは裏腹に、東京一極集中を促進する政策を実行してきたんですね。根本的な転換が必要だと言わなければなりません。

 しかも、これだけ地方創生の失敗が明らかになったにもかかわらず、真剣な総括や反省もなく、「現時点では、目標達成に向けた政策効果が必ずしも十分に発現していない」などという言い方でお手盛りの検証を行い、相も変わらず、これまでどおりの破綻済みの政策を進めようとしております。

 政府は、検証のためと称して、第一期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に関する検証会というものを設置し、既に二回の会合を開いてまいりました。

 内閣府に確認しますけれども、この二回の検証会で、委員の中から、政府の政策がそもそも間違っていたのではないかという趣旨の発言は一人でも、一回でもありましたか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今までの二回の検証におきましては、今のそのKPIについて現時点でのチェックを事務的に行ったことが一つ、それから、東京一極集中についての要因についての意見交換をするということを二回においてやっております。

 その中においては、個別の施策において、この施策は失敗であったとか、あるいは、だめだったんじゃないかというような御指摘はいただいていない状況であります。

 なお、検証委員会は二回やっておりますが、検証委員会のほかに、片山大臣のもとで、検証と今後どうしていくかという推進会議を三月十一日から開いておりまして、これから、施策そのものについては、今後どういうことをやっていったらいいかということは、その中においても更に議論をするということにしているところでございます。

宮本(岳)委員 時間が参りましたので、ここで一旦おきますけれども、大体、この検証会は、その進め方について、総合戦略の全てのKPIについて、進捗状況の検証を行い、十分な効果が発現していない施策や取組が十分でない施策についての方策等について検討する、こうしておりまして、政府の施策には不十分はあっても失敗の文字はないとでも言うような、実につまらぬ検証会だと言わなければなりません。

 資料五につけておきましたけれども、これは第一回検証会の議事要旨ですよ。下線を引いておきました。

 東京一極集中の是正に係る地方、東京圏の転出入均衡という目標は余りに厳しい指標だったのではないかと述べ、頑張っても仕方がないというふうに見えてしまうのは非常に残念なので、第二期では、政策の成果を前向きに評価できるような他の成果指標を検討してもよいのではないかと述べております。

 これは結局、第一期がうまくいかなかったのは厳しい目標を立て過ぎたからだ、今度はもっと緩い目標にして、施策の成果が出やすいようにしようじゃないかと。こんな検討は幾らやっても前に進むことはないということを申し上げて、私の質問を終わります。

松野委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 維新の杉本でございます。どうぞよろしくお願いします。

 きょう朝からの質疑は、ちょっと私、いろいろ準備があって部屋で拝聴していることが多かったんですが、全体として、今も東京一極集中の質疑というか、あるいはマクロというか、大串先生あたりはマクロとミクロと予算だとかそういうお話をされておられました。

 マクロは極めて大事ですし、今の熱い、厳しい質疑も意義が大きい、敬意を表したいと思いますけれども、その一方で、私は、やはりミクロを積み上げていくことが日本再興につながるのではないかというふうに思っています。

 ちょっと先の話をして恐縮ですが、やはり私は、日本の財政が行き詰まっていくリスクというものを非常に感じていまして、「レ・ミゼラブル」、「ああ無情」ということを、私の父は九十三になりますが、よく言うんですけれども、その主人公のストーリーのような展開が日本国に起きないというか、いわゆる米騒動だとか、そういった暴動とか、そういったことは全く今イメージできない日本国なんですけれども、本当に長い先行きを考えると、歴史というものはやはりまた起きてしまうという可能性をはらんでいるという気がいたしますので、そういった意味で、この地方創生ということは本当に大切だという認識を私は持たせていただいています。

 それで、私はテレビっ子でして、最近、BSの番組をよく見ていまして、幾つか非常にいい例だなというのがあったので、きょうは挙げさせていただきたいと思いますが、そんなことは私知っていますということで大臣はおっしゃるかもしれませんし、委員長も、地元のことをちらっと申し上げますので、わかっているよということかもしれないんですけれども、あえてやはり取り上げてみたいと思っています。

 それで、またテレビっ子で申しわけないんですけれども、きのう、おとといだったか、長崎の五島列島の福江島の西の方にある浜窄小学校というのが、五人の生徒しかいないんですけれども、これがカウントダウンに入っていて、今年度末で廃校ということで、東側の小学校に統合されて、五人の在校生、高学年の子が多かったかと思いますけれども、なくなってしまうというのが、本当に、都内の廃校というのもありますけれども、五島列島に象徴されるような日本の動きだと思います。

 そんな意味で、私がちょっと幾つか例示したいのは、やはり地方、地域には働く場が必要だということが一点と、もう一点は、やはり事業承継とか、平さんあたりはよく研究されていらっしゃると思うんですけれども、そういった点についての解みたいな例示が私は必要ではないかと思っています。別によいしょしているわけじゃなくて、建設的な意味で議論したいということで私は思っております。

 時間があれば、ちょっと地方分権の中核市とか道州制の問題も質疑させていただきたいんですが、まずは、具体的な成功例として、これは委員長の地元、選挙区ではないかもしれないんですが、千葉県の佐倉に大きな農場を持っている若者たちがいて、お店の名前は、場所的には代々木上原に代表的なお店があって、あと恵比寿、麻布十番、渋谷、赤坂といったところにお店を出しているウイ・アー・ザ・ファームという、高級とは思わないんですが、ここは、第一次産業を世界一誇れる仕事にしたいという若者たちが集って、それで、経営している方ももちろんなんですけれども、社員がいるんですけれども、それに加えてアルバイトも全員が農業に携わって、土をいじって、その産物を結局最終的にはレストランで出すというようなことをしているところが、ウイ・アー・ザ・ファームという店名ですけれども、会社の名前はオールファーム・カンパニーリミテッドというところがあります。

 たまたま私、偶然、野菜を食べたいということで仲間が予約してくれて、決してそんなに高くはなかったけれども、安くもないと思います。

 彼らは固定種というのにこだわっていまして、固定種というのは、例えば、長崎県の黒田五寸ニンジンだとか、京都の万願寺トウガラシ、金沢の打木源助大根、ちょっと読み方が違っていたらお許しいただきたいんですが、これがいわゆる固定種という考え方で、形はでこぼこだけれども、本当に農家が丹精込めて実は原種というのをつくって、そういったものを出していきたいというような心がけでお店を展開して、非常に人気が出てきていると思っています。

 このいわゆる固定種じゃないものはF1種といって、ファースト・フィリアル・ジェネレーションの略で、いわゆる一代雑種で、常に品質がそろえられて、生育が早く、生産農家にとっては栽培計画が立てやすいというような品種だそうですけれども、こういったこだわりを持つ中で、五十人弱ぐらいの数ですけれども、若者たちが五年前にベンチャーとして創業して、農場は千葉県の佐倉市に、二百種類の固定種の野菜を栽培することをやっていて、無農薬、露地栽培、約六ヘクタールの農場で行っていて、これは拡大していっていまして、兵庫県淡路の方にも二〇一七年からタマネギ等の生産を始めているというようなことがありました。

 業態として、レストランだけではなくて、スタンド・バイ・ファームというのを銀座に、いわゆるバルというんですか、そういった種類だとか、池袋の百貨店の地下のいわゆる食品街とかにケールという野菜の一種を中心に商品を出すというようなことで、これは日経が、新聞社名を言って恐縮ですけれども、去年の五月二十日のザ・スタイルという特集のところで報道をしていらっしゃいます。こういった成功例が一つあります。

 済みません、ちょっと時間がなくなってきちゃうんですけれども、もう一つ二つ、ささっと行きますけれども、これは大臣の元衆議院のときの地元静岡で、ゾーホージャパンというのを御存じですかね。

 これはもともと、インドのチェンナイといって、インドの半島の南東側、海岸線のところに本社を置くところですけれども、ここが川根本町という静岡市からちょっと北西に行ったあたりのところにサテライトオフィスをつくって、この事業はIT企業であって、クラウドサービスを提供する会社である。

 それで、いわゆるコンピュータープログラマー的な人たちを養成していかなきゃいけないんだけれども、人は雇ってもやめていっちゃう、だから日本的な教育の仕方が極めて大事だということを、CEOのシュリダー・ベンブさんという方がおっしゃっておられます。

 松下さんだとか本田さん、井深さん、盛田さんあたりをいわゆる師と仰いでいらっしゃるような方ですけれども、この方が、一ついいのは、まず、インド人をたくさんこの町に連れてきてオフィスをつくっているというのが一つですね。それに加えて、地元の高校生を雇って、その高校生をインターンみたいな形で預かって、その子をインドに一回留学させて、インドのいわゆる会社の研修校みたいなところで勉強をさせて、最終的に就職を川根本町にしてもらうというようなことで、やはり学生が地元に帰ってくる、しかも外資の力というか、日本の経営を評価している方がやっていらっしゃること。

 そのCEOが言うには、大事なポイントは二つで、いわゆるストレスが少ないような、自然が豊かでストレスがない環境が一つ、もう一つが光ケーブル回線がつながる環境、この二点ということで、この川根本町に白羽の矢を立てて、地元の高校生が地元に就職することができたというお話がございました。これが二つ目の例ですね。

 事業承継の話をもう一つだけしておきたいんです。

 石川県金沢のたくみやさんというところが、持ち株会社制にして、OEM生産で土産の和菓子とかそういったものを企画、製造していた会社さんが、いわゆる事業承継の問題が各地方地方にあるので、しかし、本当にいいものをつくっていらっしゃるところと手を組みたいということで、いわゆるMアンドA的なんですけれども、持ち株会社制にするんですけれども、基本的には横並びで、仲間たちと一緒に持ち株会社を、声かけ人がやって、その傘下でデパートとの出店交渉とかそういったことをするということで、地元石川のみつばちの詩工房というところと、時間がなくなってきましたけれども、あと、京都の龍安寺の老舗の和菓子屋さん、笹屋昌園さんというところかな、こういうところと組んで、いわゆる事業承継並びに地域の本当に名店を生かしていくというような持ち株会社方式を展開されているという例がありまして、この三つをちょっと申し上げたんです。

 もう大臣はわかっているということかもしれないんですが、私は、こういうミクロを本当に例示していくことによって、若者たちが成功例を、じゃ、私もやってみようということで生かしてくださるのではないかというふうに思っておりますけれども、担当大臣として、今、地方創生の成功事例をいかに把握され、いかに紹介し、また今後展開していくのか。横展開といっても、金太郎あめをつくっても仕方がないと思いますけれども、やはり情報収集力は政府にあるわけですから、発信力も含めて、この状況を、私が御紹介した点を、感想も含めて現状を教えていただきたいし、今後の展望を教えていただきたいと思います。

    〔委員長退席、義家委員長代理着席〕

片山国務大臣 委員におかれましては、バンカーの御出身ということもありまして、まさに事業の継続や新たな展開での承継も含めて大変いい事例を御紹介いただいて感謝申し上げる次第でございますが、我々も、地方創生の優良事例は、事例集をつくりましたり、交付金がかなり活用されていますのでその活用事例集、それから移住・定住施策の好事例集等いろいろやっておりますが、最初に紙ベースで出した後はホームページに出したりしておりますので、更に広く発信できるように、さまざまな場を使って横展開を図ってまいりたいと思います。

 また、大変謙虚に、御地元の愛知県を御紹介されなかったんですが、愛知県も非常に多くの事例が出ておられて、百八十四件というのは非常に多い県ですが、中でも御地元の一宮では、尾州テキスタイル産業のブランド化というのがかなり功を奏して、人材、商品、プロモーションのワンストップ支援になっておりますし、田原では、全国有数のサーフィンスポットが愛知にありまして、田原サーフタウン構想など、先進的な優良事例が生まれてきております。

 また、長崎の例も見ましたが、本当に合併、統合があればいいというような認識では今ないと思います。まさに規制改革と軌を一にしまして、必ずしも一定の人数以下になったら学校が統合しなければいけないということではなくて、遠隔教育等も生かして、地域の中核的な学校はむしろ残すという方がよろしいのではないか、地方創生の観点からはそういう考えもございますし、川根のお話につきましては、この地域全体がインドとの輸送機械産業の地域の連携が非常に強いので、いろいろな投資がインドから行われておりまして、ITでの連携は最も有望でございます。

 きのう、インドの上院の副議長が来られまして、まさにスマートシティー、スーパーシティー、ITそれからクラウド、APIというところで、典型的な交流の、ウイン・ウインの実績が印日で、日印でできるので、ぜひやってまいりたいというようなお話をインド側からいただいたところでございまして、まさに正鵠を得た御指摘でございますので、そういったことも踏まえながら、地方創生の成功事例をしっかりと広めてまいりたいと思っております。

    〔義家委員長代理退席、委員長着席〕

杉本委員 インドとの連携というのは、防衛問題とか商売とか、いろいろな意味で本当に大切だと思いますので、ぜひ、この静岡の事例に限らず、インドとの連携を深めて、日本の地域を活性化していただきたいと思います。それでまた、ブランド、尾州の御紹介も賜りまして、ありがたく存じます。

 もう時間が残り一分になってしまったので、残余の質問はまた別の機会に設けさせていただきたいと思いますが、先ほど、AIとかITとかおっしゃっていただきました。高齢ドライバー、七十五歳免許証返上とかいう話がありますけれども、自動運転ができれば、買物難民も自動運転で買物に行けるかもしれないし、交通安全の問題もなくなるかもしれないし、ドローン宅配が発達すれば、やはり配達されるのではないか、安全の問題もあると思いますけれども。

 そんなことで、パラダイム変化もありますし、そういうことも展望しつつ、やはり事例の紹介、今お話しいただきましたけれども、更に発信力を高めて、若者が、じゃ、やってみようという気になるような地方創生の旗振りをぜひ今後もお願いしたいと申し上げます。

 以上で終わります。ありがとうございました。

松野委員長 次に、広田一君。

広田委員 社会保障を立て直す国民会議の広田一でございます。最後のバッターでございますので、もうしばらくの間、おつき合いのほど、よろしくお願いを申し上げます。

 自分は高知県の出身でございまして、我が高知県なんですけれども、高齢化率は全国に先駆けて、もう十年先を進んでおります。平成二年には、これは全国で初めて、人口の自然減が始まった県でもあるわけでございます。よって、人口減少問題、少子高齢化問題には非常に強い危機感を持ち、また、その課題を解決をするために、高い志を持って、県を挙げて取り組んでいるところでございます。よって、これまた全国でもいち早く、まち・ひと・しごと総合戦略についても策定をした県でもあります。

 ですから、この地方創生問題については議会等でもたびたび取り上げられておりますので、きょうは、議会などの議論を踏まえて、何点かお伺いをさせていただきたいと思っております。

 まずは、何をするにしても財源というものが必要でございますので、地方自治体に対する財源措置についてお伺いをしたいと思います。

 特に地方交付税についてでありますけれども、地方交付税は、自主財源の乏しい、つまり財政力の弱い地方自治体にとっては、まさしく命綱でございます。過去の小泉政権によって三位一体改革があって、地方交付税が激減をすることになりました。それによって、地方自治体の財政運営というものは非常に厳しいものになりましたし、その中でも、公の経済に依存せざるを得ない地域においては、地域経済に対しても多大な影響が出たわけであります。

 その地方交付税についてでありますけれども、人口減少の進展であったり、また、高知県を始めとする財政力の極めて弱いグループを見ますと、平成二十一年度と平成二十九年度を比較すると、ほかの自治体に比べましても、いわゆる基準財政需要額が伸びていない状況にあるわけでございます。

 加えて、今年度からは、あのリーマン・ショックの危機対応から平時対応へと、切りかえに伴う影響が懸念をされているところでございまして、いわゆる経済・雇用対策費の特別枠の廃止、高知県の場合は、平成二十四年度は、県、市町村分で約百三十一億円ありました。これがだんだんだんだん下げていって、平成二十九年度は二十四億五千万円となったわけであります。

 こういった特別枠が廃止をされましても、地方創生対策とか人口減少対策、また、ふえ続ける社会保障、そして南海トラフ巨大地震対策など、本当に、地方自治体が取り組まないといけない課題、喫緊の課題というのは山積をしているわけであります。

 そういう中で、来年度の地方財政計画を見ますと、地方交付税については十六兆二千億円と、対前年度比一・一%の増額であります。二千億円ふえているわけでありますけれども、これについては、総額確保については、御尽力については高く評価をするところであります。

 ただ、総額は確保したとしましても、具体的に個々の小規模自治体に落とし込んでいったときに、これまでも見られたように、数億円単位で地方交付税が減る、こういうふうな事態があるわけでございまして、そういうことになれば、本当に、自治体の財政運営に非常に大きな影響を与えるわけであります。よって、この地方交付税の配分、算定に当たっては、条件不利地域や財政力の弱い団体にこれまで以上に焦点を当てた、地域実態を十分に踏まえた財源措置が必要と考えますけれども、この点についての御所見を総務省にお伺いしたいと思います。

多田政府参考人 お答えをいたします。

 地方創生の推進を始め、社会保障、防災・減災対策など、国民生活に密接に関連する行政につきましては、そのほとんどが地方団体で実施をされておりまして、一方で、税源の偏在により、地方団体間には大きな財政力格差がございます。

 そういう中で、地方交付税、財源の不均衡を調整するという機能とともに、全国どのような地域であっても一定水準の行政を確保するための必要な財源を保障するという機能を担っているところでございまして、委員の方から御指摘ございましたが、来年度の地方財政対策につきましては、一般財源総額を〇・六兆円増ということといたしまして、中でも交付税につきましては、〇・二兆円増の十六・二兆円を確保したところでございます。

 個別団体ごとの交付税の算定という御趣旨でございますけれども、人口が少ない団体ほど人口一人当たりの行政コストが割高になるといったようなことでありますとか、あるいは、離島、積雪地など特別の財政需要が存在するといったようなことをさまざま捉えまして基準財政需要額の算定に反映するなど、小規模団体あるいは条件不利地域の団体におきましても財政運営に支障がないように、適切な算定に努めているところでございます。

 今後とも、各地方公共団体の財政需要を的確に捕捉いたしまして、地方交付税の財政調整機能と財源保障機能が十分に発揮できますよう、適切に対応してまいる考えでございます。

広田委員 多田さん、確認なんですけれども、そうすると、小規模自治体とか条件不利地域を抱えている自治体等につきましては、先ほど私が指摘したように、対前年度比と比べて数億円単位で地方交付税が減額をする、こういった事態は今後生じさせないという理解でよろしいんでしょうか。

多田政府参考人 御指摘がございましたように、過去に経済対策という意味で特別の経費を交付税に積み込んできた、歳出特別枠を積んできた経緯はございますけれども、先ほど御答弁申し上げましたとおり、個別団体ごとの地方交付税の算定に当たって、小規模団体あるいは条件不利地域の団体においても財政運営に支障が生じないように、適切な算定に努めてまいりたいと考えてございます。

広田委員 ですので、その財政運営に支障が生じないというのは具体的にどういうことなのかということでございます。

 数億円減らした、国から見てもですね、確かに国から見れば数億円というのは小さい額かもしれませんが、小規模自治体から見れば、これは非常に財政運営に多大な影響を与えるわけでありますので、支障を来さないということは、繰り返しになりますけれども、対前年度比で数億円もの地方交付税が減額されることはないということが言えるのかどうか、これについての御所見をお伺いします。

多田政府参考人 お答えをいたします。

 個別団体で財源が減少する、交付税が減少することがないかどうかということでございますけれども、一つには、人口の減少等々のそれぞれの自治体の状況もございますし、それから税収の伸びといったことも影響してまいりますので、一個一個につきましてはなかなか明確に申し上げることは困難でございますけれども、いずれにせよ、財政運営に支障がないように、きちっと適切な算定に努めてまいりたいと考えてございます。

広田委員 やはり、審議官の方から、数億円規模で交付税削減をしないということはなかなか明言できないというふうに思いますけれども。

 ただ、ぜひ御留意をいただきたいのは、地方交付税、釈迦に説法ですけれども、やはり人口等をもとにしておれば、どうしても、人口減少が著しくなると基準財政需要額等の算定にも影響を与えて、必然的に下がらざるを得ないような状況にもなってまいりますので、これについては十分な手当て、これまでは特別枠というものがあって、結果としてそれが下支えになったんですけれども、これが今年度から廃止になったわけでありますので、激変が起きないように、総枠はふやしているわけですから、個々に落とし込んで、今年度より大幅に減ることがないように、目くばせをして取り組んでいっていただきたいなということを強く要請をしたいと思います。

 それでは、次に参りたいと思います。

 次は、政府関係機関の地方移転の現状と課題についてお伺いをいたします。

 この政府関係機関の地方移転というのは、政府の意思と行動によって東京圏から地方への人の流れをつくる起爆剤になる、つまり政府の本気度が示される大変重要な政策であろうというふうに思います。

 現在は、文化庁など七局庁、研究機関、研修機関など二十三機関五十件の地方移転等が進められております。これらの取組に対する関係者の皆さんの御尽力には敬意を表したいというふうに思いますが、文化庁の京都移転以外は、正直、小粒というふうに言わざるを得ません。質、量とも、これは看板が倒れかけているんじゃないか、このようにも懸念するわけでございますが、片山大臣、今のこの政府関係機関の移転等の取組、これで十分とお考えでしょうか。

片山国務大臣 御指摘の政府関係機関の地方移転でございますが、平成二十八年三月にその基本方針をまち・ひと・しごと創生本部で決定し、現在はこれに基づいて取り組んでいる状況で、御指摘の文化庁の京都移転、私も昨秋行ってまいりましたが、二〇二一年度中を目指して本格移転ということで、関係省庁と地元が連携して、現在、本格移転に向けて、移転先に決まった京都府県警本部の改修等の準備が確実に進むよう取り組み中であるということでございまして、確かに、大きな、庁とつくところが、じゃ、ほかにどうなのかということはあると思います。また、いろいろな議論がございまして、意見が収束していないという部分があるのも事実でございます。

 中央省庁につきましては、特許庁が平成二十九年七月に大阪府に独立法人工業所有権情報・研修館近畿統括本部を設置いたしまして、近畿にある企業の海外展開支援件数をそこでかなり、二・五倍に伸ばすことができた等、ある意味、意味のある機能移転をやっているところはあります。

 それから、山口県に一部移転した宇宙関係研究開発機関、JAXAですね、これに大学や地元企業も協力して、リモートセンシング利用技術が防災分野等にも活用されるなど、地元で何らかのプロジェクトを巻き起こすとか、そういうようなプラスの効果も生んでおりますが、確かに、この部分もきちっとフォローアップはしておりますが、この後の次の段階ということになると、やはりより一段の議論がまだ必要なのかなというのが正直なところ現状ではないかと考えております。

広田委員 大臣から御答弁あったんですけれども、より一段ということもさることながら、政府関係機関の移転という、移転という言葉にふさわしい取組が本当にされているのかどうかということであります。

 これは政府参考人で結構なんですけれども、例えば観光庁絡みとか中小企業庁とか、やろうとしているわけなんですけれども、これは本当に地方移転というふうにふさわしい内容なんでしょうか。

高橋(文)政府参考人 政府関係機関の地方移転の取組につきましては、先ほどの文化庁に加えまして、消費者庁の消費者行政新未来創造オフィスの徳島県への設置、総務省統計局の統計利活用センターを和歌山県に設置等々やっているのに加えまして、先ほど大臣から答弁もありましたとおり、政府関係機関移転方針、政府関係機関の地方移転に係る今後の取組についての、まち・ひと・しごと創生本部において決定した結果に基づきまして、さまざまな移転が行われております。

 例えば、小規模の独立行政法人でありますとか、研修、研究機関についても……(広田委員「いや、だから、中小企業庁と観光庁」と呼ぶ)はい。

 中小企業庁、観光庁、そうですね、政府、中央政府の機関等につきましては、七つの機関が移転するというふうに決定しておりまして、それぞれ行っております。

広田委員 申しわけありませんけれども、移転という日本語にふさわしい取組ではないんですよね。例えば、中小企業庁は近畿経済産業局に中小企業政策調査課を設置するということだとか、あと、観光庁なんかは十ブロックで観光ビジョン推進地方ブロック戦略会議を開催するだとか、ちょっと移転という言葉にふさわしくない取組でありますので。

 大臣、このように、地方移転というふうな言葉とはちょっと裏腹な取組がされております。つまり、質的なところで、私は、この政府機関等の移転についてはやはり見直しをしていかなければいけないというふうに思いますけれども、この点についての御所見があれば、お伺いをしたいと思います。

片山国務大臣 恐らく委員もこの現状の分析というか、現状の表を見ていらっしゃると思うんですけれども、文化庁については移転スケジュールが決まっております。消費者庁につきましては、徳島県に二十八年七月に消費者行政新未来創造オフィスというのができておりまして、その後、そのプロジェクトの集中実施が三十一年度までということになっているわけですね。つまり、この三十一年度、この四月から始まる新年度において、このプロジェクトの結果を踏まえ、同オフィスの恒常的な設置、規模の拡大について検証、見直しを行って結論を得るというのが、議論に議論を重ねた結果の今の現状でございます。

 実は、徳島の知事からもるる御陳情があったり、また逆の方の方からの御陳情もあったり、非常にこの問題については、まだその部分が、ここに書いてあるところが現在のオピニオンの収束した時点ということになっておりまして、統計局等もそうでございますが、これからデジタルガバメントとか、法制も変わって、AI技術も格段に進んでくる中で、どういった形が、地方創生の中でのこういったいわゆる物理的な移転についてよろしいのかということも含めて、皆様からさまざまな御意見をいただきながら、こういった検討を促してまいりたいと考えております。

広田委員 もう時間が参りましたので、これで終了したいというふうに思いますけれども、確かに、御答弁があったように、さまざまな面で本当に、研究機関が移転などすることによって、有用な人材とかノウハウとかまた情報が地域に波及するという効果は期待できると思います。

 しかしながら、一方で、先ほど指摘したような問題もありますので、大臣におかれては、しっかりと見直しをしていただきますように強く要望して、質問を終了したいと思います。

 どうもありがとうございました。

松野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十六分散会


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