衆議院

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第5号 令和2年4月7日(火曜日)

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令和二年四月七日(火曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 山口 俊一君

   理事 池田 道孝君 理事 石田 真敏君

   理事 今枝宗一郎君 理事 田中 英之君

   理事 谷川 弥一君 理事 亀井亜紀子君

   理事 白石 洋一君 理事 桝屋 敬悟君

      上野 宏史君    大西 宏幸君

      金子万寿夫君    神田  裕君

      小寺 裕雄君    小林 茂樹君

      後藤 茂之君    高村 正大君

      左藤  章君    佐藤 明男君

      鈴木 憲和君    田畑 裕明君

      高木  啓君    高鳥 修一君

      谷川 とむ君    中曽根康隆君

      長坂 康正君    福田 達夫君

      藤原  崇君    牧島かれん君

      松野 博一君    今井 雅人君

      関 健一郎君    長谷川嘉一君

      広田  一君    福田 昭夫君

      松平 浩一君    森田 俊和君

      山川百合子君    濱村  進君

      鰐淵 洋子君    清水 忠史君

      藤田 文武君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (まち・ひと・しごと創生担当)          北村 誠吾君

   文部科学副大臣      亀岡 偉民君

   内閣府大臣政務官     藤原  崇君

   外務大臣政務官      中山 展宏君

   厚生労働大臣政務官    小島 敏文君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  三角 育生君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 田川 和幸君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 菅家 秀人君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           長谷川周夫君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        村上 敬亮君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        辻  庄市君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局審議官)        佐脇紀代志君

   政府参考人

   (総務省大臣官房政策立案総括審議官)       吉開正治郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 佐藤啓太郎君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     竹村 晃一君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁在留管理支援部長)       丸山 秀治君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           矢野 和彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           迫井 正深君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉永 和生君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           岸本 武史君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           辺見  聡君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           諏訪園健司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           井内 雅明君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           大内  聡君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           福田 守雄君

   政府参考人

   (国土交通省航空局安全部長)           川上 光男君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月七日

 辞任         補欠選任

  佐藤 明男君     神田  裕君

  松野 博一君     高木  啓君

同日

 辞任         補欠選任

  神田  裕君     佐藤 明男君

  高木  啓君     松野 博一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)


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     ――――◇―――――

山口委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官三角育生君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長田川和幸君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長菅家秀人君、内閣府地方創生推進室次長長谷川周夫君、内閣府地方創生推進事務局審議官村上敬亮君、内閣府地方創生推進事務局審議官辻庄市君、個人情報保護委員会事務局審議官佐脇紀代志君、総務省大臣官房政策立案総括審議官吉開正治郎君、総務省大臣官房審議官佐藤啓太郎君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長竹村晃一君、出入国在留管理庁在留管理支援部長丸山秀治君、文部科学省大臣官房審議官矢野和彦君、厚生労働省大臣官房審議官迫井正深君、厚生労働省大臣官房審議官吉永和生君、厚生労働省大臣官房審議官岸本武史君、厚生労働省大臣官房審議官辺見聡君、厚生労働省大臣官房審議官諏訪園健司君、厚生労働省大臣官房審議官井内雅明君、経済産業省大臣官房審議官大内聡君、国土交通省大臣官房審議官福田守雄君、国土交通省航空局安全部長川上光男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。谷川とむ君。

谷川(と)委員 おはようございます。自由民主党の谷川とむです。

 本日は、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 まず冒頭、このたびの新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々に対して謹んで哀悼の誠をささげますとともに、御遺族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。また、療養中の皆様の一日も早い御回復をお祈り申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症が全世界に広がる中、我が国においても、きょうにも緊急事態宣言が発出されようとしております。私の地元からも、悲鳴とも言える声が大変多く届いています。私も、同志とともに、医療提供体制の整備及び治療薬、ワクチンの早期開発、十分なマスク、消毒液等の確保、三十万円の現金給付も、対象を絞るのではなくて、全国民に最低十万円を一律に給付すること、中小企業、小規模事業者を始め全ての企業を絶対に潰さない、粗利の一〇〇%補償、消費税の減税等、政府並びに党に対していろいろと提言をさせていただいております。

 このままでは地方創生を加速させることも非常に困難であり、一日も早く終息させることが一番の経済対策であり、また地方創生の加速化につながると考えております。私も、一日も早い終息、全ての国民がもとの生活に戻れるように、そしてさらなる地方創生につながるように、全力を尽くしていきたいと思っております。

 そこで、まず、新型コロナウイルス感染拡大防止について、北村大臣の御見解をお聞かせください。

北村国務大臣 おはようございます。

 今般の新型コロナウイルス感染症により、市民生活や地域経済は大きな打撃を受けて、大変厳しい状況にございます。その対策には、地域の実情に通じた全国の地方自治体の皆様の力もおかりして、的確かつ迅速に取り組んでいくことが必要であると考えます。

 政府は、前例にとらわれることなく、財政、金融、税制を総動員して、思い切った措置を講じていくこととしておりますけれども、対策に当たっては、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するとともに、感染拡大の影響を受けている地域経済や住民生活を支援して地方創生につながるようにしてまいりたい、そのことが重要であると考えておりますし、緊急経済対策の取りまとめに向けまして、現在、政府内で最終的な調整を行っているところでございますが、地方創生を預かる大臣といたしましては、最前線で対策に当たっておられる地方公共団体の皆様に可能な限りの支援ができるよう、最大限の努力をしてまいらなきゃいかぬというふうに考えておるところでございます。

 どうぞよろしくお願いします。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 地方も本当に大変でございます。地方創生を加速化していくためにも、大臣にリーダーシップをとっていただきまして、絶大なる御支援を賜りますように、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、本日の国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案について質問させていただきます。

 行政改革、規制改革の流れを受けて、第二次安倍内閣が成長戦略の柱の一つとして掲げたのが国家戦略特区です。地域や分野を限定した大胆な規制緩和、制度改革や税制優遇を行うことで、民間の能力が十分に発揮できる、世界で一番ビジネスがしやすい環境を整備して経済成長につなげることを目的に、二〇一三年十二月に国家戦略特別区域法が成立いたしました。現在は十区域が特区として指定され、三百を超える事業が認定され、地域ごとに抱える個別の課題や国として推進したい特定の分野に特化したまちづくりを進めています。

 一方で、今回の改正法案に盛り込まれているスーパーシティー構想は、いわば丸ごと未来都市をつくろうというものであります。政府の説明では、スーパーシティー構想とは、AI及びビッグデータを活用し、社会のあり方を根本から変えるような都市設計の動きが国際的に急速に進展していることに鑑み、暮らしやすさにおいてもビジネスのしやすさにおいても世界最先端を行くまちづくりであって、第四次産業革命を先行的に体現する最先端都市をつくるという構想です。

 今現在においては、AI、ビッグデータを活用した先進的な取組は、日本より諸外国の方が進んでいると私は認識しております。例えば、エストニア共和国では、市役所等に行かなくても、ほとんどの行政手続がオンラインでできるようになっています。また、中国の杭州においては、道路のライブカメラの映像をAIで分析し、交通状況に応じて信号機を自動で切りかえることで、渋滞が緩和され、救急車の到着時間も半減していると聞いております。

 我が国においても、諸外国以上にこうした先進的な取組を暮らしに実装するのがスーパーシティー構想だと認識しておりますが、改めて、その必要性を北村大臣にお伺いいたします。

北村国務大臣 スーパーシティー構想につきましては、昨年秋に地域からのアイデア公募を行ったところでございます。これまで五十三の地方公共団体等から御提出をいただき、そのほかにもさまざまな地域から期待の声をいただいておるところであります。

 例えば、委員御地元の大阪では、万博が開催される夢洲エリアから、未来の技術の粋を集めた最先端のまちづくりの構想、そして、コミュニティーの強みを生かしたいという池田市からは、献身性を発揮し合えるスマートコミュニティーの整備をなさりたい、さらに、団地再生に考えを絞っておられる河内長野市からは、最先端技術を駆使した団地の再生をなど、さまざまな角度から魅力に富んだ御提案をいただいておると承知いたしております。

 他方、世界に目を向けますと、我が国よりも先を行くペースで、AIやビッグデータを活用して社会のあり方を根本から変えるような都市設計の動きが急速に、御承知のとおり進んでおります。我が国としても、ぜひ最先端の取組のフロントに一挙に躍り出る必要があろうと考えるものでございます。

 こうした状況の中、大阪も含め全国の多くの地域から、AIやビッグデータなどの最先端技術を活用し、未来の暮らしを先行実現するスーパーシティー構想に挑戦したいとの意欲的な御提案をいただいておることは、法案担当大臣としてまことにありがたいことでございます。

 私としましては、地域の皆様の御期待にしっかりとお応えできるよう、このたびの法案審議を通じて、大胆な規制改革を要する複数の最先端技術によるサービスをデータ連携基盤を介して実際の暮らしや社会に実装するスーパーシティー構想をぜひ実現に導いてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 今大臣からも触れていただきましたように、大阪府においては、二〇二五年の大阪・関西万博の会場となる夢洲、うめきた、そして、池田市、河内長野市でスーパーシティー構想があり、国へアイデア提案を行っております。ことし二月十三日にも、自民党の大阪府連所属の国会議員、地方議員の先生方と、北村大臣にも直接要望をさせていただきました。改めて、ぜひとも選定いただきますように、御検討のほどよろしくお願い申し上げます。

 今御答弁にもありましたように、スーパーシティー構想は、国際的な都市間競争に対応するためのものだと認識しております。残念ながら、現在の日本は世界の最先端都市からおくれをとっていると言わざるを得ません。都市間の競争力が衰えれば、外国企業の誘致は厳しく、逆に、日本企業の海外流出にもつながってしまいます。

 日本が世界に追いつき、追い越し、先頭に立って技術革新を引き起こすためには、現行の特定領域の規制緩和だけではなくて、弊害となる複数の規制について一括して迅速に規制緩和をすることができるスーパーシティー構想を積極的に進めることが必要不可欠であると考えております。

 一方で、我が国においては、地方部にこそ人口減少や高齢化などの多くの社会的課題が存在しております。スーパーシティー構想は、都市部のためだけのものではなくて、そうした地方部の社会的課題を解決するようなものでもあるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、池田(道)委員長代理着席〕

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 スーパーシティー構想は、御指摘のとおり、大都市、地方を問わず、人口減少や高齢化に悩む地域も含めて、最先端技術を活用し、各地域の社会的課題の解決に取り組むということでございます。

 例えば、過疎化が進み、ライフラインの維持が難しくなりつつある中山間地域で、自動走行であるとか、自動ごみ収集であるとか、高齢者や子供の見守り、行政手続のフルオンライン化、こういった最先端技術はまさに地域でこそ役に立つ、こういうものであると考えてございます。

 本法案を通じまして、御指摘いただいた規制の特例措置を同時一体、迅速に複数分野で実現する、この法案を通じて地方創生にも役立てていきたい、このように考えているところでございます。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 今御答弁いただきましたごみの収集とかは多分スペインでもう取り組まれていると思うんですけれども、そういうものもしっかりと進めていただきまして、やはり地方部、本当に人口減少や高齢化が進んでおりますので、ぜひ選定する際にはその辺も勘案していただきまして、よろしくお願いしていただきたいなというふうに思っています。

 大阪府も提案させていただいている夢洲はいわゆるグリーンフィールド型、他の多くの地域はブラウンフィールド型で、それらの住民向けのサービス内容も多様なものだと伺っております。

 大阪府内を含め、全国から既に五十以上の地域からアイデアが寄せられているそうですが、グリーンフィールド型とブラウンフィールド型のそれぞれの特性をどのように捉えているのか、御答弁をお願いいたします。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただいた夢洲のように、グリーンフィールド型の場合は、ゼロから全てを設計できる、その条件に同意をする住民の方にお住まいいただけるというようなことでも、最先端技術をまとめて実装するという意味では強みを持っておるというふうに考えてございます。

 他方で、既にある住民のネットワーク、例えば池田市のようなところはお互いのきずなの強さを生かしたいといったようなところがございますが、そういったものを持ち寄り、地域の課題意識に寄り添って新たな技術を実装するという意味では、実現が早く、寄り添いやすいという面もございます。

 このようにそれぞれ一長一短がございますことから、地域の特性に応じてそれぞれにふさわしい区域計画の作成をというふうに考えているところでございます。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 ゼロからつくるというのは非常に、国や地方自治体や民間や、いろいろと人材不足の点もあると思います。その辺もしっかりと協力できるところは協力していただきたいですし、また、ブラウンフィールド型であれば、その町を更に最先端の都市にしていくということで、いろいろと住民等の合意形成もとっていかないといけないというところがあります。これは非常にセンシティブな問題も抱えておりますので、しっかりと納得できるような、そのような方針で進めていっていただきたいなというふうに思っています。

 冒頭でも申しましたが、我が国において現在、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が非常に大きな問題となっております。緊急事態宣言が発出されれば、今以上に外出を自粛する動きが高まってまいります。

 そのような中で、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止対策により、接触感染を防ぐために、在宅での医療・介護サービス、パソコンやテレビ電話などを通じてオンライン服薬指導を行い、薬を宅配できるサービスが行われ始めました。テレワークを実施する企業も多数出ており、教育分野でも、オンライン授業や自宅学習用アプリなどが急速に普及し始めております。

 遠隔診療や遠隔教育など、遠隔でも可能な住民向けのサービスの実装がより一層必要と考えられますが、スーパーシティー構想におきまして、この新型コロナウイルス感染症の問題に対してどのような解決策が想定されるか、お聞かせください。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のありました、例えば効率的に学ぶことのできる自宅学習の本格的解禁によって、感染の心配なお子さんへの時短通学でありますとか、家庭の事情に応じた在宅と通学の選択制度といったようなことも実現できますし、全体の仕組みの合意の中で、感染危険エリアを始めとする町の情報を迅速に提供するといったようなことも考えられます。

 何より、遠隔診療も今大きな話題になってございますけれども、今後、高齢者がますます在宅を余儀なくされる、出かけにくくなるということを考えますと、単に端末を渡して遠隔診療をするというだけではなく、配送の問題はどうなるんだ、買物の問題はどうなるんだと。やはり、遠隔診療だから渡して終わりではなくて、全体の仕組みとして、高齢者の視点から全体の必要な施策を整えておく必要があると思います。

 そういう意味でも、スーパーシティーのような一体となった取組ということがますます意義を発揮しやすい状況に来ているのではないか、このように考えてございます。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 全体の仕組みを総合的に進めていくためにも、スーパーシティー構想、ぜひ早期に可決して進めていきたいなというふうに私も思っていますから、いろいろと問題も出てくるだろうと思いますけれども、その辺は柔軟に対応していただきたいなというふうに思います。

 遠隔診療や遠隔教育、さらには自動運転など、最先端のサービスの実装には既存の法令が規制となっている場合が多いと考えられます。

 本法案は、スーパーシティー構想の実現に向け、規制改革を同時一体、迅速に進めるための新たな枠組みを盛り込んだものと認識しています。一方、既存の特区制度も規制改革を進めるものでありますが、本法案による新たな枠組みは既存の特区制度と何が違うのか、お聞かせ願います。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案の規制改革の枠組みでは、複数の規制改革の同時一体、迅速な実現というところをいかに実現するかというところに眼目を置いてございます。

 このため、通常であれば、規制の特例措置が実現してからそれを活用する事業者の公募を行う、こういう手順でございますけれども、今回の場合は、まず区域計画、どういう事業をするかという案をまず先に、公募等により選ばれた事業者も含めて作成をいたしまして、その上で、その事業計画案を実現するために必要な複数の規制改革措置を同時一体的に進めていく、このような仕組みになってございます。

 こうした手順をとることによって、複数のものを同時に達成しやすいようにというふうに通常の手続を変えているというところが今回の法案の一つの特徴かというふうに承知をしてございます。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間が迫ってまいりました。次の質問に行きます。

 スーパーシティー構想は、住民は、最先端技術を活用した便利な生活を得るかわりに、自分が住む地域を未来都市社会実現に向けたモデルとすることで、行政が管理すべき住民のさまざまな情報も一元的にビッグデータとして集積、管理されることを認めなければなりません。ネット上では既に人権侵害や犯罪も起きていることを考えれば、個人情報保護、消費者保護の観点からの懸念が当然住民からは生じます。

 こうしたシステム上の不安に対応できるだけの法的基盤や管理が必要になってきますが、プライバシーの侵害がスーパーシティーで起こった場合、どのように対応できるのか、また、大地震や台風など自然災害やテロが発生した場合、非常時の対応というものも必要になってくると考えておりますが、同様に、どのように対応できるのか、お聞かせください。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、万一プライバシーの侵害が起こった場合ということでございますけれども、今回のスーパーシティーの枠組みの中では、関係する事業者の方全てに個人情報保護法及びその関連法規の遵守徹底を求める、もし万が一侵害その他のトラブルが起きた場合も、通常その他の事業と同じように、同法に基づく事後対応措置がしっかりととられるということを大前提にしてございます。

 それに加えまして、データ連携基盤のところにつきましては、技術的にも、安全管理基準を付加いたしますとか、対策を考えているところでございます。

 なお、もう一点お尋ねの、災害などの非常時の対応につきましては、政府におきましては、デジタル・ガバメント推進標準ガイドラインというものがございまして、これに準じて実施手順等を規定してございますが、スーパーシティーにおいてもこれを参照して、その作業分担をベースに対応を行うといったようなことを考えてございます。

 いずれにしましても、つくられます区域計画がきちっと、区域会議が主導いたしまして、非常時におきましてもしっかりとした運用がなされるよう万全の注意を払ってまいりたい、このように考えてございます。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 ここは非常に重要なところでございますから、しっかりと整備をしていただきたいなというふうに思います。

 いずれにせよ、スーパーシティー構想、しっかりと実現できるように私も尽力してまいりたいと思いますから、どうぞよろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

池田(道)委員長代理 次に、小林茂樹君。

小林(茂)委員 皆様、おはようございます。自由民主党の小林茂樹でございます。

 本日は、この委員会において貴重な質問の時間をいただきまして、感謝申し上げます。ありがとうございます。

 きょうにも新型コロナウイルスに関連をして緊急事態宣言が出される見通しであるという大変緊迫した状況でありますが、世界じゅうがこの新型コロナウイルスにおびえているという渦中にあるというわけであります。

 二〇二〇年、ことしが始まったときに、ことし一年間の明るいニュース、大きなニュースというと、当然、東京オリンピックであろうと思ったわけですが、実際には東京オリンピック・パラリンピックの開催は来年になってしまった。そして、年明けには予想もしなかった、この新型コロナウイルスが猛威を振るっているという状況であります。一日も早い終息のために官民挙げて取り組んでいかねばならないというふうに思っております。

 そんな中にも国会、委員会は開催をされているということでありますので、この貴重な時間を使って、中長期的なまちづくりの課題、問題提起をしてまいりたいと思っております。北村大臣そして内閣府の皆様方、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速質問に入ってまいりたいと思っております。

 まず、このたび提出された法案、スーパーシティーの内容でありますが、今までは、構造改革特区、総合特区、そして国家戦略特区と続いたわけですが、今回は、スーパーシティーという文字、概念が新しく登場したわけであります。

 この一つさかのぼる国家戦略特区に関しては、全国で十カ所が選ばれていたということであります。

 AI、そしてビッグデータ、こういったものを用いて先進的なまちづくり、住民主導のまちづくりを行っていくというもので、具体的に項目を挙げると、移動、支払い、行政、医療・介護、教育、もろもろあるわけであります。こういったものを、データを集め、そして実用化をしていく、これがスーパーシティーの構想であるということであります。AIとビッグデータ、新しい手法を用いていくということであります。

 地域住民にサービスを提供するために、この事業の中核的なものにデータ連携基盤の整備というものがあるわけでありますが、これは一体どういうものなのかなと思います。

 先端的サービス、先ほど申し上げた移動、支払い、行政、医療・介護、こういった先端的サービスの実施に当たって大きな役割を果たしているのがAPIということであります。これはオープンAPIという新しい手法を用いていくということでありますが、このオープンAPIは一体どのようなものなのか、従来のAPIとの違いはどのようなものなのか、これをお尋ねしたいと思います。内閣府、よろしくお願いします。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のスーパーシティーでは、従来の交通だけとか医療だけというあまたある実証とは別に、複数の分野をまたいだ、データ連携基盤を介したデータの連携、共有を進めるというところに大きな特徴がございまして、例えば、移動サービス事業者が持つ配車予約システムと病院が持つ通院予約システム、これは技術的にはできないことは今でもないんですが、これが実際に連携されている例が余りないというようなところをしっかりと支えていくことを一つの眼目にしてございます。

 その各サービスとデータ連携基盤の接続の際に必要となるのが、接続の際の仕様のAPIということでございますけれども、従来でも、大手IT事業者さんがAPIを一部開示したりつなげたりといったようなことはあるわけでございますが、その多くは、自分に有利なビジネス条件に合意をしたら見せてあげる、若しくは、ほかの事業者には自分のサービスを提供しないことを前提に見せてあげるといったような、いわばビジネスの道具に使われているという局面が多いのかなというふうに考えてございました。

 スーパーシティーでは、住民が望むサービスについては広くあまねく極力受け入れたいということもございまして、データ連携基盤のAPIをあらかじめ公開することで、広くさまざまなサービス事業者に、スーパーシティーに必要となるサービスの開発と参入を積極的に促していきたい、このように考えているところでございます。

 また、もう一つに、特定のデータ連携基盤整備事業者が過度に独占をしたり、実際に囲い込みをしたりいたしますと、これも住民の皆さんからいくと万が一のときの不安がある、こういうこともございまして、APIをあらかじめ公開しておけばいつでも代替的なシステムの開発ができるだろう、こういったような面もあることから、今回は、真に住民目線のスーパーシティーをつくるという意味でAPIの公開ポリシーを採用することが適切と考え、このような形での法案の審議をお願いしているところでございます。

小林(茂)委員 ある程度基本的なところはわかったわけですが、完全にオープン化が果たしてできるのかな、企業秘密の部分もある、これをどういうふうに守るのかなというところが疑問として残っているんですが、これは、後ほど時間があれば最後に自動運転のことを取り上げますので、ちょっとそこで自分自身の問題提起をしていきたいと思います。

 次の質問でございます。

 先ほどの谷川委員の質疑の中でも、既に幾分か応募状況について明らかになっておりますが、全国で数多くの応募が昨年の九月以降あるということであります。昨年九月以降のスーパーシティー構想の応募状況についてお尋ねをいたします。

 構造改革特区は、一つの事例を成功すれば、全国で展開ができた。そして、国家戦略特区については、十の地域全てで実施できる。九州でできたものが北海道でできる、北海道でできたものが東京、関西で、全てでできるというものであります。開かれたものであります。ある意味、この十の地域でしかできないということであります。

 スーパーシティー構想においては、別の都市ならば実現可能だ、アイデアは出したものの、いろいろ詰めていく中では実現できなかった、しかし別の地域ではできる、こういう計画があればいろいろな都市間で協力して取り組むということが可能であろうと思うんですが、そのあたりの情報の互換性といいますか、そういったことをお尋ねしたいと思います。

 また、その際に、自治体そして地域の住民さん、そこに内閣府がどのように指導、育成というか、情報を適宜まとめて主導的な役割を果たされるのか、そのあたりをお尋ねしたいと思います。内閣府、よろしくお願いいたします。

    〔池田(道)委員長代理退席、委員長着席〕

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、応募状況につきましては、先ほど大臣からも御説明させていただいたとおり、既に五十三の団体から提案をいただき、ほかにも幾つかの自治体からそれぞれ個性に富んだ興味深い御提案をいただいているところというふうな状況にございます。

 続きまして、都市間の連携も含めてという面でございますが、スーパーシティーにつきましては、新たに選定されたエリアがそれぞれ新しい国家戦略特区のスーパーシティーエリアとして選定されることになるわけですが、それぞれが突破をした規制は、それぞれのスーパーシティーエリアの横でも、スーパーシティーエリアの中ではお使いいただけるというような形での運用を検討してございます。

 その上で、実際に横展開の連携をする上では、先ほど御指摘いただきました、例えばAPIが公開をされておりますと、実際にこちらの都市で開発をしたサービスを別の都市で移植して展開をするといったようなためのシステム開発等が容易になります。そういう意味では、いいサービスについてはどんどんスーパーシティー間での連携を、そこで実績ができた規制改革については最終的には全国展開をというような手順を考えてございます。

 そのプロセスに当たって、内閣府は必ずそれぞれのエリアの区域会議の構成員に入っておりますので、内閣府としても、それぞれのエリアの構成員の一員としてお互いの状況が見えておりますので、こういった連携が考えられないか、こういったことも検討したらいいのではないかということをそれぞれの地域の皆さんに、できれば積極的に提案できるものは提案していくような形で促してまいりたい、このように考えているところでございます。

小林(茂)委員 ありがとうございます。横展開できるということであります。

 具体的な今後の応募の手続でありますが、このスーパーシティー構想の締切り時期、それから、最終的に何カ所程度、どういう基準で選定をするのか、内閣府、教えていただきたいと思います。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、今行っておりますアイデア公募につきましては、まだ法案も成立前でございますし、正式な選定プロセスとは関係のない、御応募いただいたものについては随時御相談に乗らせていただくという形でやってございます。

 本法案が仮に成立をさせていただいた後になると思いますが、関連の政省令の規定とそれから選定基準を閣議決定の基本方針で決めてまいりますので、これに二、三カ月くらいかかるのではないかと思います。その後、速やかにエリア選定手続に入りまして、その期間、まだ詳細は決めておりません、閣議決定の基本方針等の中で決めていくことになると思いますが、恐らく一、二カ月程度で、秋ごろに、もし順調にいった場合はですけれども、採択ができればというふうに考えてございます。

 現在、そういうことも含めて、実際の公募期間、正式な公募期間が短い可能性もございますので、事前にいろいろな自治体の方々とは、御希望される方とは全て御相談に乗らせていただいて、いろいろな意見交換と底上げに御支援をさせていただいている、現在こういう状況でございます。

小林(茂)委員 わかりました。

 次に、事業計画の同時、一体、包括的実現というものが今回のスマートシティーを進めていく上での手順の従来との大きな違いということでありますが、事前にいただいた資料の中に住民合意というプロセスがありまして、ここはどうなのかなと思いまして、これをちょっとお尋ねしたいと思います。

 自治体、事業者に内閣府も加わった国家戦略区域会議、事業計画を住民合意で成立をさせるということでありますが、この住民合意というのはどういう方法であるのか、かえって計画提出の足かせにならないか、心配をいたしております。お聞かせください。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 本法に規定されております「住民その他の利害関係者の意向を踏まえ」というものにつきましては、これは、内閣府が、区域計画の案、すなわち基本方針の申請を受け取る際に書類面を持ってきてくださいと。これは、その後、内閣府が各省庁にこの内容で規制の特例措置の求めをいたしますというときに、そもそも、実は基本的なところで地元に反対が残っておりましたといったようなことを何で他省庁に相談してくるんだ、こういうことになりますので、その実現可能性を内閣府なりに確認をするためにお願いをするものでございまして、この合意がそもそも何か法的な力を生んで規制改革を直接生み出すという性格のものではございません。あくまでもお願いをするための確認ということでございます。

 そういう意味では二つございまして、一つには、住民合意という意味での意向の確認をするために法令上に基づくプロセスをやるというのが第一でございますが、その後も、区域会議で実際に計画をつくったり運用していく間にも、住民の声を伺いながら、最終的に区域計画を直す必要があれば、都度、この合意の確認のプロセスが入ってまいりますので、住民の声を常に伺いながら計画をつくり運用していく。これが、スーパーシティーの場合、住民満足度第一の取組でございますので、基本線かな、このように考えているところでございます。

小林(茂)委員 理解が進みました。ありがとうございます。

 次に、少し地元の話で恐縮でございますが、私の地元、奈良市、生駒市でありますが、生駒市がけいはんな学研都市の一部に相当しているということで、けいはんな学研都市でスーパーシティーを実現できないかということで、北村大臣にお尋ねしたいと思っております。

 京都、大阪、奈良県にまたがる学研都市。

 生駒市には茶筅の製造で知られる高山地区というものがあるんですが、この高山地区、第一工区では奈良先端科学技術大学院大学がありまして、山中伸弥教授がiPS細胞を研究されたところで知られています。これが第一工区。

 そして、さらに第二工区には、第二工区に広大な敷地がありまして、当初はURが土地区画整理事業の手法を用いてまちづくりをやろうと思ったんですが、いろいろ事情があって今はストップしているということであります。自然環境との共生、産学連携、職住近接の次世代型居住の実現、これだけ見ますと、現時点でのけいはんなの第二工区の構想そのものがスーパーシティー構想のグリーンフィールドの取組に合致する、こう思うわけであります。

 さらに、現在は構想の段階でありますが、具体的な計画策定の段階に移していって、この法案が通ればスーパーシティー構想に参画してはどうかな、こう思うんですが、北村大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

 以上です。

北村国務大臣 スーパーシティーのアイデア公募では、既にけいはんななどの学術研究都市を始め、さまざまなエリアから御提案を賜っております。けいはんなにつきましても、これまで複数回にわたりまして内閣府の事務方と意見交換をさせていただいていることも承知しております。

 今後、スーパーシティーエリアの選定につきましては、本法案の成立、施行の後、速やかに国家戦略特別区域基本方針の改正を行い、スーパーシティーの選定基準を定め、エリア公募の手続に進んでまいることとなります。

 公募を始めるまでの間、内閣府としては、引き続き、御希望されるエリアの皆さんと精力的に意見交換等を行い、それぞれがすばらしい御提案となるよう、しっかりとそれぞれのエリアの検討をお支えしてまいりたいというふうになっております。

 私も、お地元のけいはんなにつきましては、せんだって現地に赴かせていただきまして、本当に私の不勉強で恥ずかしかったのでありますが、ここは日本であろうかと思うほどすばらしい様相でありまして、大いにいろいろなことが期待できるという可能性を強く感じましたので、今後ともしっかりとお支えしてまいりたいというふうに思っております。

 どうぞよろしくお願いします。

小林(茂)委員 大臣、十分な説明資料もお届けせずにお尋ねしましたけれども、大きな方向性についてお示しをいただきました。ありがとうございます。

 質問の最後は、自動運転システム。これはちょっと、連想ですね、未来型都市をつくるとなるとやはり自動運転システム、そういう連想で、我が国の自動運転システムというのが今どのぐらいの段階まで進んでいるのだろうか。単純な疑問でありましたので、最後に話題にしたいと思います。

 私はかねてから、車の自動運転、安全性に疑問を持っていたんですが、ある言葉を耳にしまして考え方が変わりました。交通事故は人間の判断ミスが原因という言葉であります。減少しましたが、それでも年間に三千人もの多くのとうとい命を奪っていく交通事故。この交通事故を減らすためにも自動運転は導入されるべきと考えます。

 奈良県を縦断する京奈和自動車道、これから工事が本格化してまいりますが、私の地元の奈良市に関しては、この十二キロのうちの半分、六キロがトンネルでございます。計画当初は、このトンネル内の排気ガスによる環境悪化、あるいは運転ミスによる事故を懸念する意見が随分あったんですが、トンネル内での自動運転で安全な交通システムが実現できると期待をしております。

 既に、自動アクセル、自動ブレーキ、こういったものは世に出たわけでありますが、総合的な判断を必要とするレベルの自動運転はどういう段階を経て実用化されるのか、スケジュールも含めて、その見通しを教えていただきたいと思います。

三角政府参考人 お答え申し上げます。

 自動運転の実現に向けて、IT総合戦略本部で官民ITS構想・ロードマップを決定いたしまして、官民一体となって取組を進めているところでございます。

 御指摘の高速道路の自動運転につきましては、本年、二〇二〇年に、レベル3、すなわち、システムが全ての運転タスクを実施いたしまして、必要な場合にはドライバーが適切に対応する自動運転を実現すること、また、二〇二五年ころに、レベル4、すなわち、高速道路など特定条件下ではドライバーの介在を必要としない自動運転を実現することを目標に掲げているところでございます。

 この実現に向けまして、内閣府戦略的イノベーション創造プログラムによりまして、高精度三次元地図に局所的な気象情報や交通規制情報を組み合わせたダイナミックマップ技術の実用化などに取り組んでおりまして、既に昨年から、全国の高速道路、自動車専用道路の高精度三次元地図の提供が始まっているところでございます。

 今後も、官民ITS構想・ロードマップのフォローアップや改定を行いつつ、自動運転の早期実用化に取り組んでまいります。

小林(茂)委員 これで質問を終わりたいと思います。

 新型コロナ後の社会をどうつくっていくかということも、これは政治家に課せられた使命でありまして、新しい技術をまちづくりに生かしていくというこのスーパーシティー構想、早期に具体化していくということに私も力を注いでまいりたいと思っております。

 本日は、どうもありがとうございました。終わります。

山口委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 いよいよきょうから国家戦略特区法の一部を改正する法律案の具体的な審議に入るわけでありますが、先ほど同僚議員、谷川議員からも冒頭お話がありましたコロナ対策であります。

 総理の指示で、経済対策が今検討されていると。我が党も、既に政府に対して提言をお出ししたところでございます。ちょっとこの話題を、地方創生に絡むものですから、確認だけさせていただきたい。

 思い返せば、リーマン・ショックのときに、政府の経済危機対策として、平成二十一年の補正予算でありましたが、地域活性化・経済危機対策臨時交付金を計上したことがございます。私のところにも、全国の自治体から、リーマンのときにやったよね、あのリーマンのとき以上の対策をぜひ検討してもらいたいというお話がどんどん来ております。

 政府も今まさに煮詰めている最中でありますけれども、あのときを思い返して、平成二十一年度の補正予算でやった臨時交付金、予算規模、交付限度額あるいは使途、特に自治体の観点からどういうものであったか、ちょっと確認をさせていただきたい。お願いします。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、いわゆるリーマン・ショックによる世界同時不況への対応に当たりましては、地域活性化・経済危機対策臨時交付金を平成二十一年度補正予算において一兆円計上したところでございます。

 この交付金は、平成二十一年四月に政府・与党が決定をいたしました経済危機対策等に関連をしまして、地方公共団体において、地球温暖化対策、少子高齢社会への対応、安全、安心の実現その他、将来に向けた、地域の実情に応じるきめ細かな事業を積極的に実施できるよう、臨時的に措置されたものでございます。

 ただいま申し上げた予算額一兆円のうち、都道府県には約四千億円、市町村には約六千億円がそれぞれ配分されたところでございます。

桝屋委員 ありがとうございます。

 思い出しました。そのときの話を受けて、各自治体、今、強い要請であります。私もあのとき一生懸命取り組んだわけでありますが、その後、落選を経験いたしました。忘れもしない交付金であります。

 さて、あのときはまだ、まち・ひと・しごと、地方創生という言葉は余りなかった。その後、地方創生の観点からいいますと、ちょうどまち・ひと・しごと創生の取組が始まりました平成二十六年、これもよく覚えておりますが、最初、地方創生のスタートは、地方創生交付金を活用して、まずは地域住民生活等の緊急支援のための交付金からスタートしたというふうに私は記憶しております。

 もちろん、その後、地方創生の先行の交付金等もありましたけれども、まずは地域経済を活性化させようではないかということで動いたというふうに記憶しているんですが、このときはどうだったか、ちょっとそれも確認をさせていただきたいと思います。

辻政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十六年九月にまち・ひと・しごと創生本部が設置されまして、同年十二月の緊急経済対策を踏まえた補正予算におきまして、地域消費喚起・生活支援及びまち・ひと・しごとの創生に向けた総合戦略の先行的実施のため、委員御指摘の地域住民生活等緊急支援のための交付金が措置されたところでございます。

 この交付金は、全体で四千二百億円でございまして、その内訳といたしましては、二千五百億円の地域消費喚起・生活支援型によりまして、地方公共団体が実施する消費喚起策やこれに直接効果を有する生活支援策に対する支援としてプレミアムつき商品券等の事業を、千七百億円の地方創生先行型により、地方公共団体による地方版総合戦略の早期かつ有効な策定とこれに関する優良施策の実施に対する支援として仕事づくりや移住、定住促進等の事業を地方公共団体向けに支援するというものでございました。

桝屋委員 二十一年のときの臨時交付金、あるいは地方創生がスタートしたときの地域住民の生活等の緊急支援のための交付金を今思い出しておりますけれども、今回のコロナ対策、実は大臣、我々公明党は、地方創生の第二期のスタート、一期の五年が終わって第二期に向かうわけでありますから、この第二期のスタートに当たっては、ぜひとも第一期のスタートを思い出してもらいたい、あのときは、今申し上げた地域住民の生活等の緊急支援の交付金をやったんですよねと。特にあのときは消費税八%になったわけでありまして、それに対する対応という観点もあった。今回の第二期のスタートも、消費税一〇%になるわけだからこういう取組が必要ですよという提言を、実は公明党は昨年、第二期に当たって出させていただきました。

 それ以上に、今回、コロナショックでありますから、地域経済が大変な中を、地方自治体の皆さん方、ぜひとも、先ほど例がありました臨時交付金、あのときは一兆円、都道府県が四千億、市町村が六千億、こういう規模だったというお話でありますが、そのリーマンを超える対策が今求められているのではないか。しかも、ここは地方創生という観点も絡めて対策を講じるということで、今政府の中で経済対策を検討されて、もう最後の段階だと思いますが、まさに新型コロナウイルス感染症対応の地方創生臨時交付金というような形になるのではないか、そうしてもらいたい、こう思っているわけであります。

 これはしっかりと確保されて、地方自治体の期待に応えるものでなきゃならぬ、こう私は思っているんですが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。最後のお取組の姿勢を御発言いただきたいと思います。

北村国務大臣 今般の新型コロナウイルス感染症により、市民生活や地域経済が大きな打撃を受けて、大変厳しい状況にございます。その対策には国と地方公共団体が一致結束して対応していくことが必要であると認識いたします。

 先日、三月三十日には、地方三団体から、地方公共団体が地域の経済回復とともに構造改革や効率化にも取り組めるよう、リーマン・ショック時において実施をした地域活性化・経済危機対策臨時交付金、今委員よりお話のあった交付金のような、自由度が高く、地方負担を軽くして、柔軟な交付金制度の創設について強い御要望を地方三団体からいただいたというところでございました。

 緊急経済対策の取りまとめに向けまして、現在、お言葉のとおり政府内で最終の調整を行っておるところでございますが、地方創生の観点から、このような地方の声にお応えできるよう、非力ではありますが、私も最大限努力をしていかなきゃいかぬということで取り組んでおるところでございます。

 今般の経済対策は、感染拡大をとめること、雇用と事業、国民生活を守ること、そして拡大が終息した次の段階として経済活動を回復させることに役立つこと、さらに、強靱な経済構造を構築することになるよう取り組むものであり、経済対策で講じていく支援策は今後詳細を詰めてまいることになりますが、地方の御要望もしっかりと踏まえた上で、必要な対策を実行していくため、広く地方公共団体にとって使い勝手のよいものになっていくように進めてまいる必要があると強く認識しておるところであります。どうぞよろしくお願いします。

桝屋委員 ありがとうございます。

 ぜひ最後のお取組をお願いしたい。やはり、リーマンのときの一兆円の規模を下回るようなことがあってはならぬなと私は思っているところであります。

 そこで、事務方で結構でございますが、今の大臣の御答弁に関して、私は、地方創生という観点からコロナ対応を行うという視点は極めて大事だと思いまして、そういう意味では、既存の地方創生交付金との有効利用といいましょうか連携ということが考えられていいと思っていますが、それは否定されるものではないかどうか。

 それから、臨時交付金の場合は、特に地方自治体からよく言われるのは、どういう基準で配分するかということで、不交付団体には届かないというようなことがあっては、これはもう大変な事態でありますから、外形基準で、全ての本当に困っておられる、苦しんでおられる自治体に届くというものにすべきだと考えております。

 詳細は検討中だろうと思いますが、方向性について、その二つ、お答えをいただきたいと思います。

長谷川政府参考人 まさに、今大臣の御答弁がありましたように、今最終的な調整を行っているところでございまして、私どもといたしましては、その決定を踏まえて的確に対応してまいりたいと思っております。

 いずれにしても、先生御指摘の地方創生推進交付金につきましては、二次募集といったものもございますので、また、既に当初予算で講じました予算措置については、今、それについては配分をしておって、公共団体の方でも取り組まれているところだと思います。地方創生推進交付金も、そういった今回の対策とも連携をしながら取り組んでいただければな、こんなふうに考えているところでございます。

 恐らく限度額のお話は、まさに詳細の話でございまして、今私の方から確たることを申し上げることはできないんですが、平成二十一年のときの対策は、先生の方のお話にございましたように、人口でありますとかそういった外形的な標準のもとに全ての自治体に配分した、こういう実績がございます。そういったことも踏まえて今般の対策については検討されていくことになるんだろう、こんなふうに思っております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 最後の詰めだろうと思います。あるいは、決まった後の具体的な実務のあり方についても、しっかり我々も見ていきたいというふうに思います。非常事態宣言が出される、全国的なベースではなくてエリアを決めてということだと思いますが、そのエリアの中で大変に苦労されるところに届かないというようなことがあったのでは話は通らないというふうに思っている次第でございます。

 それで、スーパーシティー構想ですが、まず、先ほど同僚議員からもお話がございました、昨年の通常国会で我が党も随分議論をしたのであります。この国会で議論できるようにということでありましたが、与党内議論などでいろいろ紆余曲折があったということで、公明党内も振り回された経緯があります。

 昨年の通常国会以来どういう議論がなされて、そして法案の中身が昨年の通常国会のときの案からどのように変わったのか、一番大きな点を御説明いただきたいと思います。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 いろいろ御指導賜り、ありがとうございます。

 本法案におけるスーパーシティー構想の中身の骨格の部分、いわゆる国、自治体、独立行政法人等の公的団体に対しデータの提供を求めることができるという部分と、複数分野の規制改革を同時一体、迅速に実現するための仕組みを導入する、この骨格の部分は一切変更がございません。

 ただ、前回の通常国会の会期末の時点では、スーパーシティー以外の規制改革分野で新規の追加項目がある可能性があったため、その時点では一旦廃案処理とさせていただいた、お願いをしたところでございます。

 その後、当初想定しておりました二項目のうち、留学生のスタートアップビザにつきましては、詰めたところ、法令上の手当てが要らず、運用でできるということになりまして速やかに措置することとした一方、当時からも検討項目になっておりました特区民泊の反社会的勢力の欠格条項につきましては、やはりこれは法令化が必要だということで、その後追加をすることになりました。

 なお、加えて、スーパーシティー自体につきましても、こうした検討の時間ができたことも含めて改めて議論を行ったところ、各府省で実施しているスマートシティー施策の連携の強化を図るように措置ができる点がないか、都市間の相互運用性確保のための技術的な要件についてももう少し追加できる要件がないかといったような点が重要であるという結論に至りまして、これらにつきまして、前回の法案に加える形で規定の追加をさせていただいたところでございます。

 よりよいスーパーシティーの実現に向けて、引き続き御指導賜りたく、よろしくお願い申し上げます。

桝屋委員 それで、先般も大臣所信に対する質疑をやりました。きょうも、五十三の自治体が既にそれぞれ研究、議論をされておられるということでありますが、特にもう一回村上審議官に確認をしたいんですが、あのとき審議官は、たしか私の質問に対して、それぞれの課題と使う技術、そうしたものをどう組み合わせ、更に大事なことは、市民のコンセンサスということが非常に重要なんだというお話があったと思うんです。

 これは一緒に質問いたしますが、取り組む自治体に対してどういうふうにこのスーパーシティー構想のお話をされるのか。取り組む自治体にとって何が大事なのか、特に市民のコンセンサスというようなことについて、住民合意の具体的な方法などについても更に突っ込んで御説明をいただきたいと思います。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 五十三の自治体からいただいているアイデアの一部を例にとりながら御説明をさせていただきますと、例えば免許を返納した後期高齢者の通院の足の確保、これは非常に身近な課題でございます。単に自動走行でございますとか、単に通院予約、配車予約の連動の仕組みだけつくるということをやりましても、ある意味ちょっと、金の切れ目が縁の切れ目になりかねないようなことになるわけでございますが、まずは、この法律上の住民の意向の確認の手続の前に、そもそも、どういう区域計画をつくり、何を何のためにやるのかというところにつきまして、住民の皆さんから見てもわかりやすい課題をしっかりと確認し、申請の時点からそういう議論を地元で進めていただくということが重要だと思ってございます。

 例えば、別のエリアでは、津波や地震に備えた防災拠点の構築というテーマを更に深めて、ここであれば絶対に安心、そういうある山の北の斜面のエリアがつくり込めないかといったような議論が具体化すればするほど、市民が巻き込まれてまいります。その中で、自動走行車両をどう使うか、認証技術をどう使うか、防災拠点としての防災モールのようなものがつくれないか、そのときに電源だのエネルギーだのはどうするんだというふうに、課題からスタートした区域計画の案、基本構想の案をつくっていただくこと自体がとても重要なプロセスであるというふうに考えてございます。

 いわば、その仕上げのプロセスとして、最終的に基本構想を認定していただくに当たっては住民の意向の確認を求める、こういう手続を法定させていただいているわけでございますが、こちらにつきましては、その事業の性格に応じまして、例えば個人情報に関する事業でございますれば、当然ながら個人情報保護法が求める手続を、それが例えば運行サービスで、道路運送法上の手続と似たようなことになるのであれば、同法が既に求めているような協議会形式の合意をといったように、事業の内容に応じた適切な合意の確認の方法をそれぞれの地域で選択していただくということを想定してございます。

 区域会議の中には内閣府も入って検討いたしますので、単にとりやすいものを選ぶということではなくて、しっかりとした実現可能性が確認できるような住民合意の確認の方法がとられるように、内閣府としても、地域に寄り添い、ともに考えていきたい、このように考えているところでございます。

桝屋委員 最後に大臣と議論したいと思ったんですが、時間がなくなりました。

 大臣、ぜひとも、こういう新型コロナウイルス感染症との壮絶な戦いの中で今回スーパーシティー構想を議論するということでありますから、私は、ある意味、同僚議員もおっしゃっておられましたけれども、極めて重要な議論だろうと思っておりますので、しっかり議論を深めて一日も早く仕上げたい、このことを申し上げて質問を終わります。

 ありがとうございました。

山口委員長 次に、亀井亜紀子君。

亀井委員 立国社共同会派の亀井亜紀子でございます。

 質問に先立ちまして、新型コロナウイルスに感染しお亡くなりになられた方の御冥福をお祈りするとともに、感染された方々の一日も早い御回復をお祈り申し上げます。

 それでは、質問に移りたいと思います。

 今回の国家戦略特区のスーパーシティー法案について、幾つか論点があるかと思うんですけれども、初めに申し上げたいのは、この国家戦略特区というもののイメージが、加計学園の問題があって大変悪くなってしまったということを指摘したいと思います。

 つまり、選定の過程、その公平性、透明性について疑義が持たれている。だから、このスーパーシティー構想そのものが、仮に夢のある、悪くないものであったとしても、決定に至るまで、果たして信頼できるものなのであろうかという、そこからまずこの問題はスタートしなきゃいけないと思います。

 そこで、質問なんですけれども、国家戦略特区指定区域、全国で十カ所ございます。大都市圏が多いわけですけれども、その中に広島県・今治市という組合せがあります。これはどう考えても、例えば福岡市・北九州市でしたら、これは隣り合わせですから、ああ、一緒にしたのだなとまだ理解できるんですけれども、広島県に、愛媛県、違う県の今治市だけが無理やりくっついて、これが一緒の特区になっているというのは、どう見ても恣意的に見えます。

 ですから、どうしてこのように決まったのか、この広島県に今治市だけがついて特区になっているということ、これが認定された合理的な理由は何であるのか、大臣、説明ができますでしょうか。御説明をお願いいたします。

北村国務大臣 国家戦略特区の区域につきましては、国家戦略特区基本方針が定める基準に基づいて区域の指定を行っておるということはもう御承知のとおりでございます。

 まず、御指摘の今治市は、獣医学部の設置のみならず、しまなみ海道のサイクリングブームを後押しする高度外国人材の積極的な受入れや、活力ある地域づくりのための道の駅への民間参入など、大胆な規制改革を提案なさり、民間有識者からも極めて高い評価を得たものでございます。

 加えて、今治市と広島県は、しまなみ海道でつながっており、地理的に近いことに加え、特区で取り組もうとする規制改革事項に多くの共通点がございました。

 さらに、民間有識者からも、一体的な指定により一層の効果が期待できるとの御意見があったものでございます。

 このように、連携して指定することで、創業、創業というのは仕事をつくること、あるいは観光などの多くの分野におけるイノベーションを創出いたし、より一層の特区の効果が期待されたために、平成二十七年十二月十五日に諮問会議にお諮りした上で、最終的には政令により一体的な指定に至ったものと認識しております。

 以上です。

亀井委員 今の御答弁ですと、私は、今治市で何かやるんだったら、今治市が単体で特区をとればいいのかなと思っていたんですけれども、今の御説明ですと、しまなみ海道で地理的に近いということもあって、あくまでも連携してやりたいのだということで認定された、そういうふうに今御答弁されたので、それでもちょっと疑問は私は残りますけれども、今、そういう御答弁だったと思います。

 それで、スーパーシティーの整備に当たっての透明性、公平性の確保について、本会議でも松平委員から質問があり、それに対しての御答弁として、スーパーシティーエリアの選定に当たっては、国家戦略特別区域基本方針に定めるスーパーシティーの選定に関する要件を満たす都市の中から、可能な限り定量的な指標も活用いたしつつ、客観的な評価に基づいて検討を行い、選定候補について特区諮問会議など有識者等の第三者が加わったオープンな場に諮ることにより、透明性を確保しながら進めることといたしておりますとありますが、この特区諮問会議など有識者等の第三者が加わったオープンな場というのが、これまで何度もいろいろな委員会で指摘されたとおり疑わしいわけですよね。オープンだと言いながら一部の議事録が作成されていなかったり、提出をされていなかったり、また、どうやってその諮問会議のメンバーが決まっていくのか、そこの部分というのは全くのブラックボックスになっているので、この国家戦略特区というもののイメージが非常に悪くなっているということをまず申し上げます。

 じゃ、このスーパーシティー構想というのはどういうメンバーで進められてきたのかということで、私、このたび調べました。ホームページで簡単に見ることができるんですけれども、「スーパーシティ」構想の実現に向けた有識者懇談会の名簿、七人の名前が並んでおります。その中で、座長は竹中平蔵さん、座長代理が原英史さんですよ。

 この原英史さんは、漁業法の改正のときにもワーキンググループで名前が出てきて、真珠販売会社から要望をヒアリングして、内閣府にも言ったんだけれども、そのときの議事録は作成されていなかったということで、随分追及を受けた人物ですし、また、株式会社特区ビジネスコンサルティングというところにも関係していたということでも指摘をされている人です。ですから、また同じような名前だな、彼が座長代理で竹中平蔵さんが座長だと。

 今まで国家戦略特区で指定されているところが大都市ばかりですよねと、私、大臣に指摘しましたら、過去の御答弁の中で、いやいや、養父市もありますよ、こういう中山間地もありますよとおっしゃいました。農業に関して特区になっているのだと言われるのでまた調べてみたんですけれども、竹中平蔵さんが社外取締役を務めているオリックス、このオリックスの子会社のオリックス農業がこの養父市の特区にもう参入しております。なので、やはり我田引水ではないかと。

 オリックスで思い出すのは郵政民営化ですけれども、郵政民営化のときにかんぽの宿を一括して安く買おうとしていたのがオリックス不動産で、オリックスの会長の宮内さんという人は規制改革推進会議の頭だったので、やはり我田引水じゃないかといって大変問題になりました。

 それを思い出すようなメンバー構成と、現実に起こっているオリックスの参入ということかと思いますけれども、こういうことを見ても、とてもとてもこの国家戦略特区が透明で公平であるというふうに、私、思えないんですよね。

 スーパーシティーを進めようというときに、国家戦略特区じゃなきゃだめなんでしょうか。構造改革特区というのもあります。この構造改革特区と国家戦略特区の違いは、構造改革の方はボトムアップですよね、国家戦略特区の方は国が主導して諮問会議などで決めてトップダウンで来る。このプロセスが怪しいぞと言われているわけです。スーパーシティー法案というのは、構造改革特区ではできないんでしょうか。

 また、私が先ほど申し上げた、竹中さんがトップを務めているこの有識者懇談会ですけれども、これはこのままのメンバーで恐らく進んでいくんですよね。ここは私通告しておりませんでしたけれども、今私が申し上げたことを含めて、透明性についてどうやって担保するのか、御説明をお願いいたします。

北村国務大臣 スーパーシティーは、世界最先端の技術を活用して、住民が住みたいと思う、よりよい未来の社会、生活を包括的に先行実現しようということのために、特に大胆な規制改革を対象エリアを絞って集中的に進めていこうとするものでございます。

 他方、構造改革特区は、内閣府が規制所管省庁と直接折衝をいたし、一旦措置された規制改革事項であれば、希望する全国のどの地域でも活用を申請ができるという制度でございます。

 スーパーシティーが目指す大胆な規制改革を行うには必ずしも十分ではないと考えるところでございまして、また、本法案では、国家戦略特区諮問会議による調査審議、及び必要があると認める場合における勧告について規定をいたしておりますが、こうした規定は構造改革特区では措置されていないものでございます。

 国家戦略特区の持つ岩盤規制改革の強みを生かして、より先端的なスーパーシティーの実現を目指してまいりたいと考えておるところでございます。

 それと、委員御指摘の先ほどの人選の件につきましては、政府委員の方でお願いします。お許しください。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 国家戦略特区諮問会議のメンバーにつきましては、法令上、横断的、広い分野から規制改革についての知見を持つ者ということで規定をされている要件がございまして、その要件を満たしているということで、政府が任命をし、選任をしているというものでございます。

 現在も委員の任期は継続してございまして、引き続き、次の任期が切れるのが大体再来年度になると思いますが、まで、もちろん、途中退任できないという規定があるわけではございませんけれども、引き続きお願いをしていく。

 ただ、特区の諮問会議につきましては、議事録並みに近い議事要旨が全て公開をされてございまして、そこで行われている議論についてはしっかりとした透明性は確保されている、このように考えてございます。

亀井委員 条件を満たす人というのは、たくさん専門家の方がおられると思いますけれども、なぜか同じ人物ばかりがこの懇談会に指名をされているということだと思います。

 たくさん専門家がおられる中で、竹中平蔵さんが座長で、座長代理は原英史さんで、この体制で再来年までいくということですよね。それでよろしいですか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 若干テクニカルな部分も入って恐縮でございますが、原英史先生は特区ワーキンググループのメンバーでございまして、諮問会議のメンバーにはなってございません。

 それから、これも大変細こうございますが、従前、三期委員をやっていただきました秋池玲子先生につきましては、自己都合と本人の申出もございまして、このたび秋池先生から秋山咲恵先生に議員の交代をいたしてございます。

 こうした本人の御事情や状況の変化も踏まえ、必ずしもメンバーが固定されていなければいけないということではございませんけれども、やはり規制改革の分野は経緯も含めた専門的な知見が大変重要な分野でございまして、現時点において、政府としてはこのメンバーが適任であるという判断のもと任命をさせていただいているところでございます。

亀井委員 秋山咲恵さんの名前はもう入っていましたから、それが更新された情報をホームページからとってきておりまして、その同じ紙には、座長代理に原英史さんと書いてあります。

 どちらにしても、座長が竹中平蔵さんということは変わっていないということですね。そして、この竹中平蔵さんが社外取締役を務めるオリックスの子会社であるオリックス農業が養父市に参入しているということは事実ですよね。確認させてください。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと御通告いただいておりませんので、詳細はもう一度確かめて、正確なところはまた御報告申し上げますけれども、本件オリックスの事案が認定された際には、竹中先生はまだオリックスの関係の責任ある立場にはない状況で、オリックスの話が先行し、その上で、その後に経営責任に関与する立場になられたというふうに理解をしてございますけれども、ちょっと詳細のところにつきましては、また改めて別途、個別に御報告を申し上げさせていただければと思います。

亀井委員 そこは、じゃ事実関係、後で書面でいただきたくお願いいたします。この情報は全部、ホームページからとってきていますから、内閣府のに出ています。

 それでは、次の質問に移ります。個人情報の保護についてです。

 この法案で非常に多くの人が不安に思っているのは、個人情報が保護されるのだろうか、本人の同意なく、事業者、開発者に提供されるということが起きないだろうか、そういう不安が大変ございます。

 今回、法律で、国、自治体等に対し、その保有するデータの提供を求めることができるという、できる規定になっているわけですけれども、では、国、自治体は断ることというのはできるんでしょうか。これは大臣にお伺いいたします。

北村国務大臣 本法案におきましては、スーパーシティーを実現するために必要なデータの提供を国及び地方公共団体等に求めることができるとする、データの提供の求めに関する規定を置いておるところでございます。

 国、地方公共団体等がデータ提供の求めを受けた場合は、当該データの提供が、まず、実現しようとするサービスの効果的かつ効率的な実施に不可欠であるもの、さらに、当該データの提供が他の法令に違反しないもの、さらに、公益を害し、国等の所掌事務等の遂行に支障を及ぼさないもの、これらのいずれにも該当すると認めたときには、データの提供を行わなければならないとされておるところでございます。

 他方、これらの三つの要件のいずれかについて条件を満たさない場合、例えば、個人情報を含むデータの提供に必要な本人同意が得られていないなど、個人情報関係法令に違反している場合、違反するような場合や、データを提供するために膨大な事務作業が発生し、所掌事務等の遂行に支障を及ぼす場合、これらの場合には、国、地方公共団体等はデータの提供を拒むことができることとなっておるものでございます。

亀井委員 今、大臣に御答弁いただいたのは、第二十八条の二関係かと思います。そこに確かに三つの要件が書いてあって、その中の二番目というのが、他の法令に違反し、又は違反するおそれのないもの。この他の法令というのが一番考えられるのは個人情報保護法だろうと私も思いました。

 そこで、このスーパーシティーを具体的にイメージしないと、何が起こり得るのかというのがわかりませんので、ちょっと私が考えつく例を申し上げて質問をいたします。

 例えば、バルセロナでごみ収集車が自動で運行するという事例ですけれども、こういったことをどこかの町がやりたいと考えたときには、その自治体が提供する情報というのは、その町のごみ収集スポット、場所の提供ですから、これは個人情報には当たらないと思います。

 一方、じゃ、ある町が薬をドローンで配達しましょうというようなサービスを始めようと決めたときに、例えば、松江市でしたら松江市がそう決めたとして、それで、病院は私立もあれば市立病院もあります。松江市が決めましたというときに、市立病院は協力しましょうというようなことになったとします。

 そのときに、医療情報、患者情報が提供されてしまう可能性があると思うんですけれども、そこにかかっている患者さんというのは、一人一人病院から何か送られてきて、この実証実験に参加しますか参加しませんかというような、そういう確認の場があって、参加希望をする人のみ情報が提供されるというようなイメージでよいのでしょうか。その辺、参考人の方にお伺いいたします。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のようなケースにつきましても、参照する規範は本法の中ではなく個人情報保護法令にございます。したがいまして、どの段階で具体的な、ビジネスモデルはいろいろ考えられると思いますが、いずれにせよ、本人同意が必要な個人情報の提供、利用に当たる場合は、同法に基づく同意確認手続が必ずこのスーパーシティーにおいても入るというふうに理解をしてございます。

亀井委員 済みません、これは大臣にも御答弁、通告していたので、実証実験に参加を望まない区域住民はデータ提供を拒否することができるかという質問を出しておりましたけれども、大臣にも確認させてください。拒否することはできますか。

北村国務大臣 スーパーシティー構想の実現に向けた制度の整備を盛り込んだ本法案におきましては、交通、教育、医療などを担う各サービス事業者及びデータ連携基盤整備事業者に対して、これまでと変わることなく個人情報保護関係の法令の徹底遵守を求めることとなります。

 また、個人情報保護関係の法令に定めるところにより、原則、住民本人の同意により個人情報の提供が行われることとなるものであります。

 いずれにいたしましても、スーパーシティーは、住民が住みたいと思う、よりよい未来の社会あるいは生活を先行実現するものでございますから、住民にとって魅力あるサービスを提供することができるよう、住民の意向を十分踏まえた最先端技術の実装にしっかりと取り組んでまいりたいというものでございます。

亀井委員 原則という言葉に私はひっかかりましたね。原則そうだけれども例外はあるのかなというふうに聞こえますし、拒否できるのかどうかという質問をいたしました。

 個人がその実証実験に参加したくない、例えば、私は病院に薬をとりに行きたいのであって、ドローンで届けてもらわなくて結構です、だから市民病院に対して情報を提供するな、どこに住んでいて何の薬を処方しているなんという情報を提供しないでほしいというような市民の要望というのは、きちんと受け入れられるものなのでしょうか、もう一度大臣に確認いたします。

北村国務大臣 国の行政機関等が他の地方公共団体に対して個人情報を提供する場合において、個人情報の提供を受ける当該地方公共団体等が法令の定める事務又は業務の遂行に必要な限度で提供された個人情報を利用し、かつ、当該個人情報を利用することについて相当な理由のあるとき等と承知をしておるところでございます。

亀井委員 やはりお答えになっていないと思いますね。拒否できるかどうかということを伺っているので、拒否できますよと言っていただけるならば安心しますけれども、そういうふうにはとてもとても聞こえないですので、これは私の受けとめ方としては、拒否できるとは確信を持てないということを申し上げておきます。

 そういうふうに私には聞こえますけれども、そういうことでよろしいですか。大臣にもう一度確認させてください。拒否できるとは言えないということですかね。

北村国務大臣 委員御質問の中で私がお答えいたしました、個人情報保護関係法令に定めるところにより、原則、住民本人の同意により個人情報の提供が行われることになりますと、原則と申し上げたところに御指摘をいただいたように思います。

 私の承知する、不勉強でありますから、十分なお答えにならないかもしれませんから、参考人にも手伝ってもらいたいと思いますけれども、原則のほかに、自治体に例外的な適用をする場合があるというふうなことを私は認識しております。

村上政府参考人 簡潔にお答え申し上げます。

 大臣から御説明させていただいたのは、原則の場合の例外は何だということについての、例外について大臣から御説明させていただいたとおりでございます。

 なお、個人情報を取り扱う者に関しましては、個人情報保護法上の規定に基づき、同意できないものについては拒否できるというのが私どもの理解と整理でございます。

亀井委員 大臣ではなく参考人の方から、できるという御答弁がありましたけれども、大臣からその御答弁が聞くことができないというのは、ちょっと私はこれは不安が残るところです。

 時間が大分なくなってきましたので、ここはちょっと私はまだ確信が持てないということで、先に進みたいと思います。

 住民の合意形成が非常に大事なところだと思いますけれども、国家戦略特別区域会議のメンバーというのは、これはどのように決まるのでしょうか。これは参考人の方に伺います。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 国家戦略特別区域会議は、担当大臣、北村大臣と、関係地方公共団体の長、それから特定事業を実施すると見込まれる者で組織すると規定されてございます。

 この特定事業を実施する者というものにつきましては、本件でいえば、データ連携基盤整備事業者や先端的サービスの提供事業者が想定されますが、いずれにおいても、エリア選定後に設置される区域会議において、公募等の手続を行い、その上で構成員として選定され、その上で実際に事業を行う区域計画の内容を決めていく、こういう段取りで選任をされていくという状況でございます。

亀井委員 そうすると、今のメンバーですと、住民代表のような人たちはいないということなんでしょうかね。何か、自治体の長と選定された事業者とというような話合いだと、いわゆる事業を推進する側で話し合って決まってしまうような、そこにどうやってそこに住む地域の住民の声が反映されていくのかよくわからないんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の国家戦略特別区域法の規定で明示を明らかにされておりますのは、大臣、自治体の長、それから事業実施を見込まれる者でございますが、あわせて、必要に応じ、意見を聞かなければならない者を参加させる規定がございます。

 実際にはそれぞれの区域で御判断をいただくことになると思いますが、エリア選定された後の区域会議のメンバーにおいて合意がとれれば、その中に住民代表の方も入っていただくというようなケースも当然考えられますし、区域会議の中に入らなくても、いずれにせよ、住民の合意の確認、意向の確認をとらないものにつきましては、そもそも基本構想が申請できない、こういう手続になっているというふうに承知をしてございます。

亀井委員 ということは、つまり、必要だというふうに認められない限りは、住民が入っていかれる仕組みというのは、今この段階では担保されていないということですよね。そういうふうに聞こえます。なので、ここは非常に私は不安が残るところですね。住民が置いてきぼりになって、上の方で決まってしまう。特に国家戦略特区というのは、諮問会議で決まってトップダウンでおりてくるものですから、住民が置き去りにされる可能性はこれは十分にあるなと今思いました。

 そこで、ちょっとトロントの事例について教えていただきたいんですが、トロントのウオーターフロント地区で、スーパーシティーの構想が自治体で進められながら、個人情報の提供に対して住民から大変な反対があって計画がおくれているということですけれども、これはどのような情報を事業者に提供しようとして住民の反対が起きたのか、その辺の詳細を教えていただけますか。参考人の方でお願いします。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 把握している限りの事実関係でいえば、大手米国系のIT系列会社がここはディベロッパーさん的な役割を引き取っておられまして、大きく課題になりましたのは、エリア内のあらゆる場所で人や物の動きをセンサーで把握しよう、それをビッグデータとして活用して、それをいろいろなサービスに生かそうというところ、例えば、町の人通りを全部見ていまして、その人通りの状況を見て車道にしたり歩道にしたりといったようなことを考えてございましたけれども、全体の外延がどこまで広がっていくのか、どういうサービスメニューなのかというところもなかなか確定できないまま、それがいいという市民の方と、よくないという市民の方と、その間に立たれた市役所の担当者の方とのあつれきから、一旦、市役所の担当者の方がおやめになられるといったような事態もありまして、そこのコミュニケーションに大変苦労されている事例というふうに承知をしてございます。

亀井委員 今の御答弁を聞いて思うことは、要するに監視社会になるということなのかなと思います。今でさえ、たくさんカメラが街頭についているわけですけれども、それによって個人がどの程度特定されるのか。今もかなりの解析能力があるわけですけれども、常に監視されて、人の移動がセンサーで感知されてというところまでの社会を望んでいないということで、地元で反対が起きているのだなというふうに今私は解釈をいたしました。

 時間が本当に足りないんですけれども、一つ質問を飛ばして、自動運転の項目に入ります。

 アメリカのアリゾナ州テンピで、二〇一八年三月十八日、完全自動運転の車が死亡事故を起こすという第一例目がありました。この事故に関してかかわっていたのは、実証実験の許可を得ていたウーバーとその車を開発したボルボ、それからソフトウエアの開発会社です。

 この事故がなぜ大きな話題になったかといいますと、その事故を起こした車に搭載されていた車内カメラからの映像、それが一般に公開されたんです、地元の警察によって。私もそれを見たんですけれども、人間のドライバーであれば、明らかにあれはとめることができる距離があったと思います。そのぐらい、右から自転車を押して歩く女性がいて、その人をはねてしまうんですが、肉眼だったらあれは本当にとめられるだけの距離と時間があったと私も思いました。

 何が起きたかといいますと、バックアップドライバーといって、確認のためのドライバーは座っていたんですけれども、その人はスマホか何かを見ていて、よそ見をしていた。それで自動運転に頼って、その人をはねて死亡事故に至ったということで、これが訴訟になったときには、一体誰が責任を負うのかということで、かなり大きなことになるだろうと言われていましたけれども、現実には、表に公表されない形で和解が成立しました。

 ただ、この事件がアメリカ社会で今でも問題視されているのは、これから自動運転の車がどんどん出てきたときに、それが死亡事故を起こしたときに一体誰の責任なんですかということなんですけれども、日本で実証実験が始まったとして、死亡事故等が発生したときにどのように対応されるのか、大臣にお伺いいたします。

北村国務大臣 お話しいただいた、二〇一八年三月にアメリカ合衆国アリゾナ州で、道路を渡ろうとしていた女性を自動運転車両が、同車両に乗車していた、運転者と言わずに操作者と言うそうですけれども、不注意もあって死亡させてしまった事故があったことを承知しております。

 今回創設を目指すサンドボックス制度では、こうした経験も踏まえて、関係法規の一括許可等を図るということのみならず、個々の近未来技術の実証内容に合わせた代替的な、かわりになるような安全確保措置などを、規制所管省庁とも協議の上、しっかりと担保することといたしております。

 また、万一、実証実験中に事故が生じた場合、その直接の責任は、他の規制の特例措置の場合と同様に、実施事業者自身が問われることとなるわけでございますが、規制所管省庁において関係法令に基づき立入検査や許可の取消しなどの必要な対応が講じられることとなると存じます。

 いずれにせよ、制度を運用するに当たっては、事故が発生することのないよう、規制所管省庁ともよく連携をとりながら、しっかり取り組んでまいらなければいかぬと思うものでございます。

亀井委員 最後の質問です。

 外務省の方にお出かけいただきました。

 今、大臣の御答弁では、事業者が責任を問われることになるのではないかということでしたけれども、先般締結された日米デジタル貿易協定、この中にアルゴリズムの提供禁止規定が入っております。アルゴリズム、つまり、コンピューターが計算を行うときの計算方法、手順についてですけれども、このデータというのは機密情報であって公開はしないのだということが決まってしまったというふうに私は理解をしています。

 これが提供されないと、事故原因がどこにあったのか、機械の誤作動なのかというようなことは捜査できないということになりますけれども、この私の認識は合っていますでしょうか。これが最後の質問です。

山口委員長 時間ですから、簡潔にお願いします。

中山大臣政務官 先生御指摘のように、日米デジタル貿易協定第十七条第一項において、自国でのソフトウエアの販売や流通等の条件として、ソースコードに加え、アルゴリズムを開示することを原則として要求してはならないことを規定しておりますが、同時に、同協定第十七条二項において、一方の締約国の規制機関又は司法当局が調査、検討、検査、執行活動又は司法手続のためにソースコード及びアルゴリズムの開示要求を行うことを妨げない規定をしております。

 日米デジタル貿易協定が御指摘のような障壁になるということは想定しておりません。

 以上です。

亀井委員 時間なので終わりますけれども、まだまだちょっと質問し足りないという状況でございます。十分な審議を行っていただきたくお願い申し上げて、終わりといたします。

 ありがとうございました。

山口委員長 次に、松平浩一君。

松平委員 立国社の松平浩一です。きょうはよろしくお願いします。

 先ほど亀井理事の質問で、個人情報のところで、自分の個人情報を、この場合、データ連携基盤整備事業者ですね、事業者に提供する場合に拒否できるのかと言ったところ、村上審議官の方から、拒否できるというようなお答えがあったと思うんですけれども、私は、これは事実上拒否できないんじゃないかなと思っています。後ほど、おいおいその話はさせていただきたいと思います。

 まず、今のこの個人情報の考え方、私、本会議で大臣に質問させていただきました。大臣からは、これまでと変わることなく個人情報関連の法令遵守を求めていくことになりますとおっしゃられましたけれども、私、これはやはり回答になっていないんじゃないかなと思うんです。例えば、交通事故をなくすためにどうするんだといったときに、道路交通法を遵守してもらえば交通事故はなくなりますと言っているようなもので、そうじゃなくて、現実問題、交通事故は起こるわけなので、やはりどういったリスクがあるのか、どの程度のリスクがあるのかというところの説明が本当は欲しいわけなんです、個人情報の流出について。そこを説明してもらわないと説明にならないわけで。

 それでいうと、私、この個人情報流出に関しては、やはり分析が重要だと思うんです。重要なのは、誰がどこにどういったデータを提供するのか、その際にそのデータが個人情報に該当する場合があるのかないのか、そして、提供の際にちゃんとした同意の取得がなされるのか、そこが重要であると思います。

 それで、私の方で政府が準備した資料一を用意させていただきましたので、ちょっとごらんいただきたいんですが、この資料、まず、個人データを含むデジタルデータを提供する場面として四つあります。政府、自治体が行政・住民データを提供する、地域が空間データを提供する、民間企業が企業保有データを提供する、そして個人が個人データを提供するというところは、標準APIを通じて整備事業者に行くというところなんですけれども、今言ったこの四つというのは、私は主要な部分を例示として掲げられたというふうに聞いているんですけれども、それでよろしいですね。ちょっと確認なので、一言で。

    〔委員長退席、田中(英)委員長代理着席〕

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 可能性としてあり得るものを例示として挙げたというものでございます。

松平委員 そう聞いています。

 それでいうと、まず、この一番左下のところ、政府、自治体が行政・住民データを提供する場合というものを考えたいと思います。

 住民データなので、当然、個人データが含まれる場合はあると思うんです。それで、その場面で、この住民データをAPI連携して渡す際に、その行政は住民の同意が必要なのかどうか、そこが重要です。

 これはもし行政でなかったら、これが民間でしたら個人情報保護法の適用はありますので、個人情報保護法の二十三条の一項で、個人情報取扱事業者が個人情報を同意なく第三者に提供することを禁止されていますので、同意が必要になるんです、本人の。しかし、これは行政なので個人情報保護法の適用はないんです。個人情報保護法の二条三項では、個人情報取扱事業者として次に掲げる者を除くと書いてあって、国や地方公共団体は除かれています。ですので、個人情報保護法の射程外なんです。

 じゃ、国はどうなるかというと、行政機関個人情報保護法というのがあって、こちらなんです。それで、自治体は個人情報保護条例なんです。

 それで、じゃ、行政機関個人情報保護法というのを見てみましょうということで、資料二を用意しました。次のページです。

 八条一項というのがありまして、当然といえば当然なんですけれども、行政機関の長は、目的外利用を禁止しています、目的以外の提供も禁止しています、提供してはならないと書いてあります。

 しかし、例外が規定されているんです。八条の二項ですね、一号から四号です。それで、つまりこれらに該当すれば、同意なくて行政は個人情報を行政サービスの向上ですとか社会公共の利益等のために提供することができるということなんです。

 それで、今回のデータ提供に関して、該当可能性を考えると、二項の四号なんですよね。それで、この二項四号を見ると、これは三行ほど書いてありますけれども、簡単に言うと、特別の理由があるときに、特別の理由があれば、勝手に業者に渡せるということになってしまうんです。

 そこで、お聞きします。

 今回のスーパーシティー構想、個人データをデータ連携基盤事業者に渡すことについて、このスーパーシティーという枠組みで、この枠組みを使って渡すことが特別の理由がある場合に該当するのかどうか、お聞きしたいと思います。

吉開政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生が御指摘いただきましたように、行政機関個人情報保護法におきましては、例外的に、利用目的以外の目的で保有個人情報を行政機関等以外の者に提供することが認められている場合として、本人等の権利利益を不当に害さない限りにおいて、本人の同意があるときや個人情報を提供することについて特別な理由があるときとされております。

 この特別な理由でございますけれども、行政機関に提供する場合と同程度の公益性があることなどが必要とされておりますので、今回のデータ提供要請制度によることが直ちにこの特別の理由に当たることとはならず、あくまでもその提供に係る個人情報の性質や利用目的等に即して個別に判断されるものと考えております。

松平委員 ありがとうございます。

 この今回のスーパーシティー構想、直ちに特別の理由に当たらないということでした。直ちにということは、やはり当たる場合もある。じゃ、どういった場合に、どういった基準で、どこが当たるかどうか、もうちょっと詳しく教えていただいてもいいでしょうか。

吉開政府参考人 どういった場合にその特別の理由に当たるかどうかということでございますけれども、今回のデータ提供制度による個人情報の提供に当たりましては、提供を要請された各行政機関等におきまして、提供に係る個人情報の性質や利用目的等に即しまして、これらを行政機関等個人情報保護法に規定する利用目的以外の提供の要件に照らして、行政機関等に提供するのと同じような公益性があるか等について判断されるものというふうに考えております。

松平委員 わかりました。じゃ、各行政機関の長が判断する、個別具体的に判断するということになりますね。つまり、同意なくデータ連携基盤事業者に渡ることが、個別具体的事情に応じてはあり得るということがわかりました。

 それでもう一つ、この件に関して、次の資料三で用意したんですけれども、総務省のホームページで行政機関個人情報保護法のQアンドAがあったんで、これをちょっと載せたんですが、ここで、この五の九というところですね。行政機関が保有する個人情報を利用目的外で提供する場合に、本人にその旨通知する必要がありますかというところで、答えで、本人に通知することは求められておりませんとなっています。

 ということは、これは知らないうちに個人情報が持っていかれることになってしまうということなんです。村上審議官、先ほど拒否できるとおっしゃいましたけれども、このように、行政が保有する個人情報の場合、データ連携基盤事業者に、通知することなく、個人情報が勝手に行く場合もあり得ると。通知もされないということは本人が知らないうちに行ってしまうということなので、事実上拒否する機会もないことにはなりませんか。いかがでしょうか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、全体としてどういう事業をやるか、どういうスーパーシティーの事業を組み上げるか、その中でどういうふうに個人情報を取り扱うかという骨格は、そもそも区域計画の中で、全体の合意の中で決めていき、そもそもその規制の特例措置を申請する段階の事前の段階で住民の意向の確認もするということでございます。

 ただ、お尋ねのぎりぎりの事例のところで、お一人お一人にまでミクロに戻っていったときに、抜ける部分があり得るんじゃないかという御指摘をいただいたものと承知をしてございます。

 先ほど総務省からもお話がありましたとおり、これにつきましては、個別に判断をしていった上で、私どもとしては、個人情報の保護に適切なように運用してまいりたいというふうに考えてございますが、もし仮に問題になるような事案があり得るとすれば、それにつきましては、法当局ともよく御相談をして対応するよう、内閣府としては制度を運営してまいりたいと考えているところでございます。

松平委員 御答弁ありがとうございます。

 今のは行政、国の機関の話ですけれども、住民データをもっと持っていそうなのがやはり地方自治体なんです。じゃ、この地方自治体の場合はどうなりますでしょうか。お答えください。

佐藤政府参考人 地方公共団体において保有する個人情報につきましては、各地方公共団体で定める個人情報保護条例に基づき取り扱われているところでございます。

 一般に、個人情報保護条例では、本人の同意に基づくときなど条例で規定する特別な場合以外は、目的外の提供をしてはならないこととされております。本人同意以外の事由で個人情報をデータ連携基盤整備事業者に提供することの可否につきましても、各地方公共団体の条例に基づきまして、各地方公共団体において個別に判断されるものと考えております。

松平委員 各地方自治体の条例に基づいて個別に判断。やはり、勝手に行くことがあるんじゃないかという心配は、今の御答弁には尽きないかなというふうに思います。

 そして、やはり今、村上審議官が言っていただいたんですけれども、区域会議で住民合意を得るその過程で、こういう話を、住民合意をとっていくという趣旨だったのかなと思うんですけれども、私は、この区域会議に当たっては、規制改革の話がやはり主眼なのかなと思う節もあるのです。

 ですので、やはり区域会議で住民同意を得る際に、この個人情報に当たって、自分の個人情報がどうなるのかという部分も含めた形での住民合意をとれるような仕組みにしていただくよう要請させていただきたいなというふうに思います。

 それで、次、ちょっと資料一に戻っていただくと、今のは、行政データ、行政や自治体が持っている住民データの話だったんですが、それの二つ横を飛ぶと、やはり民間企業が企業保有データを渡すという図になっているんです。

 それでいうと、済みません、二問飛ばして、民間企業が自分の企業データを渡すときに、私は今回の法案、よく見たんですが、一切ここの部分に関する記述がなくて、どうなっているのかなと思うんです。ここは、条文上記載がないということは、どうなんですか、任意ということなんでしょうか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 法律上は、御指摘のとおり、民間事業者はこのデータ提供の求めの条項の対象には含まれておりません。各スーパーシティーエリアで区域計画の案を策定する過程において、エリア内の民間事業者にも積極的に参画を呼びかけ、任意でデータの提供を求めるケースがある、それに応じていただけるケースもあるだろうということで、一つの例示としてこのような書き方をさせていただいたところでございます。

松平委員 任意ということですね。

 確かに、先日もニュースで見たんですけれども、今回の新型コロナ対策で、厚生労働省など政府からの依頼に対して、ヤフーが任意に応じているという記事もありました。もちろん、今回の国家戦略特区のスーパーシティー、ビッグデータを持っている民間の知見とかデータ提供を促さなければ当然進まないし、使えないサービスになるんじゃないかなというふうに思います。

 そういう意味でいうと、この提供を要請するデータの中に個人データも含まれることもあるんでしょうか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 スーパーシティーでは、AIやビッグデータなど最先端の技術を活用したまちづくりということで、キャッシュレス決済でありますとか移動サービスでありますとか医療ケアでありますとか、住民の求めるサービスによっては、それに関する個人情報が取り扱われるケースもあり得るというふうに考えてございます。

 また、そのサービスの実施に必要であれば、当該個人データについて、民間企業に対しても任意でデータ提供を要請することはあり得ると思いますが、いずれにせよ、どういう提供形態であれ、個人情報保護関係の法令の遵守の中でやっていただくということについては変わりがない、このように承知をしてございます。

    〔田中(英)委員長代理退席、委員長着席〕

松平委員 やはり、民間に対しても、民間からも個人データの提供を要請することはあり得るということのようです。

 この場合、やはり、民間の事業者が個人データを提供する場合は、今おっしゃられたような個人情報保護法の射程内になるので、これは民間の責任で本人同意を取得しなければならないということになります。かなり民間に責任が重い話になるので、そうなってくると、このスキームでどうやって民間の参入を促していくのか、民間にどういったメリットが生じてくるのかなというところも、ちょっと疑問に思うところもあるわけなんです。

 民間は、渡す相手はデータ連携基盤事業者になるわけなんですが、じゃ、データ連携基盤事業者は、データを渡してくれた民間企業に対して対価などを支払うようなことになるんですか。その辺、いかがなんですかね。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 データの提供の求めの中には、例えば通院に関する交通量の移動データでございますとか、完全なマスデータ化したパブリックが持っている情報にも大変貴重なものがございますので、必ずしも対個人向けサービスのためだけにデータ提供の求めを必要とするということではないものというふうに承知をしてございます。

 いずれにせよ、これらが有効に活用されるためには、住民の側にもメリット、事業者の側にもメリット、御指摘のとおり、なければいけないと思いますので、その中では当然、対価を伴うやりとりがあるケースもあると思いますけれども、全体の大枠につきましては、繰り返しで恐縮でございますが、区域会議の中で、こういう形でサービスを組み上げていく、連携をするという骨格については、全体、透明なプロセスの中で決めて、その枠の中でやっていただくということになろうかと思います。

 いずれにせよ、徴収する機会があり得るかという御質問に対しては、ケースによってあり得るというふうに考えてございます。

松平委員 わかりました。了解です。またいろいろなケースを見ながらという話なんだと思います。

 じゃ、次に行きまして、やはりまだちょっと個人情報保護の話をさせていただきたいんですが、個人情報の法規制、御承知のとおり、非常に複雑になっています。

 先ほど言いましたように、政府、自治体に関しては、政府に関しては行政機関個人情報保護法ですし、自治体に関しては個人情報保護条例もありますし、独立行政法人に関してはやはりそれ用の保護法もありますし、本当にいろいろな個人情報保護法がありまして、これはいわゆる個人情報保護法制二千個問題というふうに言われております。二千個問題、もうそのぐらい多いということなんですけれども。

 もう既にそれだけ複雑になっているので、医療とか疫学の調査とかでは、ルールというものががんじがらめで壁になって、個人データが入手しにくい、利用しにくいという状況になっているという指摘ですとか、やはり、仮に入手できても、フォーマットが異なるので効率的じゃないといった指摘もなされているところなんです。

 あと、これは事業主体の性質によっても、例えば金融であったり情報通信の分野であったり、別途分野ごとにガイドラインとかもあるありさまで、本当に複雑になっている。

 今非常に多くの関連法規、ガイドラインがかかわっているということで、この二千個問題、整理しないで大丈夫なのかというのがあります。

 今回、このデータ連携基盤事業を見ていると、違う業界のサービス事業者がいっぱい入ってきて、それを同じプラットフォームでやろうとしているわけです。そして、都市間連携、これは後でちょっとまた言及させていただきますが、その都市間連携の話もある。そうなってくると、違う自治体同士になるので、やはり違う個人情報保護条例にもなってきますし、そうなってくると、このルールというものがこんがらがってこないのかなと。

 個人情報保護法制の二千個問題とあわせて、その点の整理というものが、私は、これを進めるに当たってはやはり必要なんじゃないかなと思うんですが、そのあたり、いかがでしょうか。

佐脇政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、二千個問題、とりわけ自治体が条例に基づいて規律しているということについて、データ流通を阻害しているのではないかということで、そのような指摘があることは承知しております。

 自治体の条例に関連します二千個問題に関する観点につきましては、個人情報保護委員会におきまして、昨年十二月以降、地方公共団体の個人情報保護制度に関する懇談会というものを開きまして、個人情報保護制度の中長期的なあり方につきまして地方公共団体から条例の現状を聞きながら実務的論点の整理を進めておりますし、また、行政機関、独立行政法人につきましても、別途問題を抽出し、解決策を得るための検討を政府の中で行っております。

 いずれにしましても、このようなルールが分散しているということに伴う問題点につきましては、しっかり把握した上で、スピード感を持って対処していく必要があると認識しております。

松平委員 ぜひお願いします。

 やはり、今国会でも、個人情報の改正で、匿名加工情報は前からありましたけれども、仮名加工情報ですかね、そういったものができたりしますので、この辺、正確に理解されている方ってどの程度いるのかなというふうに思ってしまいます。やはり、地方自治体の条例ではまだこの辺の情報の扱いについて定めていないところもあると思うので、急ピッチでその統一感を持ったところを進めていただきたいなというふうに思います。

 それで、このスーパーシティーに関連したところで言いますと、諮問会議の委員もおっしゃられていたところではあるんですが、私は、スーパーシティー独自の個人情報保護委員会というものをつくるのがいいんじゃないかなというふうに思っています。個人情報保護委員会、既存の個人情報保護委員会は、政府とか自治体はいわば射程外になっちゃっています。

 それで、やはり今回このスーパーシティーに限った、包括的に見られる、各自治体の条例ですとか産業別のガイドラインを横串で規律できる個人情報のあり方、そういったものを今回のスーパーシティーに合わせた形で監督できる団体というものを、やはりこのスーパーシティーで利便性を高めた中で、イノベーションを見据えた個人情報のあり方というものを新たに提案できるかもしれないですし、別の意味で、やはりスーパーシティーを展開する中での問題点というものも見えてくるかもしれない、そういう意味で独自のものを創設したらいいんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか、その考え方。

北村国務大臣 スーパーシティー構想の大きな狙いの一つは、委員御承知のとおり、データ連携基盤を介して異なるサービスでの積極的なデータの連携、活用を促すことでございます。他方、個人情報は本人の意向に反して活用されるべきではなく、利用の形態に応じて本人の同意を得るなど、個人情報保護関連法令の遵守が求められるところでございます。

 スーパーシティー構想は住民目線でまちづくりを行うものであり、個人情報の収集、活用に当たっても住民の意向を十分に踏まえて進めることが大切であると存じますので、委員御指摘の考え方等も大変大事なものでありますから、今後更に勉強させていただきたいというふうに思います。

松平委員 ありがとうございます。前向きな答弁だったと受けとめたいというふうに思います。

 次の質問に入ります。

 このスーパーシティー構想の資料を見ると、都市間の相互連携強化という文章が結構出てくるんです。ちょっと今、手元にないんですけれども。当然、この提供サービス、サービスアプリケーションの側ですね、モビリティーですとか防災ですとかそういったところになってくると、一つの自治体だけじゃなくて周辺の自治体も巻き込んでいく必要があると思っています。

 したがって、スーパーシティーの都市間でのデータ連携というものも必要になってくるんじゃないかなと思うんです。だから、オープンAPIを用いてサービスアプリケーションだけに開放するというのではなくて、都市間でのAPI連携というものも視野に入れていったらいいのではないのかなというふうに思うんですが、そのあたり、都市間でのデータ連携、API連携の可能性というのはあるのか、その辺について、大臣にお伺いさせていただければと思います。

北村国務大臣 本法案でデータ連携基盤整備事業者にAPIの公開を義務づけることとしたのは、データ連携基盤について、各地域でばらばらに開発が行われ、異なる仕様の基盤の乱立や特定の事業者による独占が生じることを回避するためでございます。また、APIの公開は、あるエリアで住民に好評であった先端的サービスを他の地域へ展開すること、そして、それに伴うデータ処理の円滑化のためのエリア間でのデータの連携、共有など、委員が今申されたことと通じることと思いますが、促す効果もあると考えておるものでございます。

 いずれにせよ、各選定エリアの区域計画の策定過程では、エリア間のデータ連携についても適切な進め方を検討してまいらなければいかぬと認識するものであります。

松平委員 エリア間の連携、適切な進め方、ちょっと御検討いただきたいと思います。

 というのは、私、実はそこにもちょっと懸念がありまして、この都市間の連携に関して、基盤整備に関する条項を見てみると、改正法の三十七条の八、こちら資料三で下半分のところ、条文を記載させていただいているんですが、一番最後の部分ですね、四行目、「規格の整備及び互換性の確保に関する情報の提供、相談、助言その他の援助を行う」、これは「国は、」という主語なんですが、国が事業者に援助を行うものとすると。つまり、やはり主体は、基盤整備する主体は事業者と読めるんです。だから、どんな仕様にするのか、決めるのは事業者のような形で読めるんですね、国は援助を行うものとする、援助するだけですので。

 そうなってくると、じゃ、どういったことが懸念なのかといいますと、例えば、データ連携基盤事業者がデータプラットフォームに関する何かしらの特許を取ってしまう、そうなると、エリアの連携をしたくても、他のエリアは、特許の実施許諾、ライセンスを受けなければ基盤をつくれないみたいな形になってしまうかもしれない。それから、このAPIだって特許技術を含めることは可能だと思います、実際ありますし。あと、プラットフォームのユーザーインターフェースだって意匠登録とかされている例はありますので、そういう知的財産を事業者が取ってしまって、幾らオープン化を進めたいと国が思っても、事業者が囲い込みしちゃう可能性もなきにしもあらずだと思うんです。

 というのは、やはりデータのプラットフォームをつくれる事業者というのは大きな企業ばかりですし、やはり今、その大きな企業の知財戦略というものは、結構、もう想像以上行っていると思いますよ、特許ポートフォリオとかちゃんと組んでやっていますので。したがって、事業者の知財の戦略次第では横展開できない事態というのもあり得るんじゃないかなと思うんです。そのリスクについてどうお考えか、お答えいただいてもいいでしょうか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のAPIの公開ルールは、まさに御指摘のような点も含めて、その対応策として考えたものでございまして、具体的には、APIの接続仕様が確実に公開をされ利用可能な状態にあれば、それぞれのシステムの中身が違っても、場合によってはブラックボックスであっても、いずれにせよ、その接続が可能であり、連携することができるという意味で、無理に中身を標準化しなくても、APIが公開されていることでお互いが連携し共有することができるというところに着目をして、むしろ今後、住民のためにも、イノベーションの成果を積極的に取り入れるためには、APIの公開だけを義務づけて、積極的にいいものにどんどん変えていくといったようなことも必要であろうという判断から、今回こういう形にしているところでございます。

 なお、もう一点、御指摘にございました、API自身が知的財産で、利用を塞がれたらどうなるかというケースでございます。

 詳細は、それぞれの事業者様の条件もございますので細かいところは確認をする必要がありますが、APIの公開を義務づけるというところの中には、利用可能な状態で義務づけるという趣旨で、今回、APIの公開を義務づけることとしてございます。詳細条件については区域計画の中で確認をする必要があると思いますが、使えないAPIを公開されても、基本的には法の狙う趣旨と反していると思いますので、その辺は、原則、常に使えるような形でのAPIの公開をお願いしたいということを線に運用してまいりたい、このように考えてございます。

松平委員 もしかしたら、利用可能にしたはいいけれども高過ぎて利用できないとか、そういったことも防ぐ考慮も必要になってくるのかなと思うので、そういった、例えば無償で公開を義務づけるですとか、一つの案だと思いますし、あと、やはり、今APIの公開だけの話ですけれども、UIが全然違ったら利用者もかなり混乱すると思うので、今ってユーザー数がふえるかどうかというのもUIにかかっているような時代なので、そこのあたりで、やはり意匠登録の部分をどうするかというのも重要なのかなというふうに思います。

 したがって、この「援助を行うものとする。」というところ、もうちょっと国が関与できるようにしてもいいのかなというふうに私は思っております。

 では、次に行きますね。

 今回のスーパーシティー法案の構想、理念だと思うんですけれども、日本は皆さん御存じのように課題先進国で、少子高齢化、地方の衰退、そういった課題を解決するために、このスーパーシティー法案、有効に活用できればというふうに私も思うんですけれども、同じような課題を抱える国、日本以外、世界を見渡しても多いと思うんです。だから、日本で、この法案で、スーパーシティーで課題を解決することができれば、ここで培ったノウハウとか技術、それから知財を世界に輸出できるようになるんじゃないか、新たな日本の輸出産業になるんじゃないかなというふうに思うんです。

 これはやはり、このスーパーシティーに係る技術、これを売って、維持管理をして、発展にかかわる、それは日本の稼ぐ力というものを進めていけるんじゃないかなというふうに私は思うんです。もちろん、日本のこの技術、スーパーシティーに関する知見で世界の課題を解決する、これも本当にすてきなことじゃないですか。

 したがって、このスーパーシティー、世界展開というものもせっかくなので考えていってほしいなというふうに思います。大臣、その点いかがでしょうか。どういうふうにお考えでしょうか。

北村国務大臣 国際的に、AIやビッグデータを活用して社会のあり方を根本から変えようとするような都市設計の動きが、御承知のとおり急速に進展しております。

 こうした中、我が国でも、大胆な規制改革を要する複数の最先端技術によるサービスをデータ連携基盤を介して私たちの暮らしや社会に実装するスーパーシティー構想を実現いたし、国際的な取組のフロントに一躍躍り出たいと考えておると申しているところであります。

 また、政府におきましては、経済協力のインフラ戦略の中で、我が国のスマートシティー関連技術の海外展開の検討を進めているところでもございます。本法案の成立の後には、スーパーシティーも本戦略の主要な柱の一つと位置づけて、委員御指摘のとおり、その成果の海外展開を積極的に進めてまいりたいと考えておるところであります。

 このように、すぐれたスーパーシティーの成果の海外展開を積み重ねていく中で、委員御指摘の輸出産業化についても検討をしてまいらなきゃならぬというふうに考えておるところであります。

松平委員 ありがとうございます。ぜひお願いしたいと思います。

 今回の質疑、私、ちょっと時間がやはり足りなくて、二問飛ばしてしまって、かなり早口になってしまいました。その点はおわび申し上げたいと思います。

 ちょうど質疑時間が終了しましたので、これにて終わります。どうもありがとうございました。

山口委員長 次に、白石洋一君。

白石委員 立国社の白石洋一です。

 まず、新型コロナについて、中でも学校について質問したいと思います。

 きょう、緊急事態宣言が発せられる。そして、そこに指定された都道府県というのは、当然学校というのは休校になります。

 では、地方はどうかということですけれども、地方は、三月、先月休校が始まって、そのときは突然という感覚はあったんですけれども、というのは、その当時はまだ札幌とか大阪ぐらいでしたから、感染者がいるのは。しかし、この一カ月で地方にも随分ふえてきています。ですから、休校をお願いするのは今、まさに今月からだと思うんですね。ところが、一旦それを解除して、入学式だとかあるいは学校を始めたりしている地方もあります。これはちょっと逆だと思うんですね。

 ぜひ、今月からが一番クリティカルな、重要なときですから、地方においても学校の休校をお願いしていただきたい。北村大臣も政府対策本部の重要な一員でありますから、地方の声として届けていただきたいというふうに思います。

 そして、休校してどうするか。ここで遠隔授業というのが重要になってくると思います。

 小中高とあって、その遠隔授業にはやはり規制の問題があるということで、内閣府の規制改革推進会議、これは北村大臣が主宰されています、お手元の資料にも、先週の木曜日に開催された資料を配付資料としてお届けさせていただいております。この項目を見たら、そんなに大きな岩盤と言えるような規制はないわけです。もうこれは、やるかやらないかです。

 では、文科省がやる主体であるのは当然ですけれども、そこで何がネックになっているのかというと、例えば、端末が届いていないとか、タブレット端末を買って一人一台配付しないといけないとか。でも、そんなことを言っていたら、今月からいよいよ休校をお願いしないといけないことになると到底間に合わないわけですね。

 そこで、質問といいますかお願いなんです。休校するにしても、オンライン授業をできるようにしていただきたい。

 急を要するのは高校三年生だと思うんです。高校三年生は、今はもう何らかの形で半数以上の方は進学しますから、受験をこの冬やらないといけない。公立、田舎の高校というのは、指導要領どおりに進んでいますから、今の段階でもまだやらないといけないのは教科書で相当残っているわけです。一方、都会の小中一貫の特に私立高校なんかは、もう二年生で高校の授業を全部終わっているわけですね。ここで休校ということになると、進学を目指している高校三年生が一番きついと思うんです。

 それで、オンライン授業というものを高校三年生に優先的に普及させていただきたい。もうこれは、やるかやらないかです。タブレット端末は障害になっていません。高校生は大体家庭に自分のパソコンを持っていますから、あるいは、今、スマホでも相当な機能があります。ズームだってできるわけです。それでもうやっていく。政府がやらないといけないのは、そのノウハウを特に集中的に伝えていくということなんですね。

 私もちょっと、ユーチューブとかでどんな感じでオンライン授業をやっているのか見てみたら、小中学校よりも、大学とか大学院でどういうふうにオンライン授業をしているかというのが参考になると思います。そこでは、同時にやりながらチャットで質疑応答をしたり、手を挙げるときには何かランプがついたり。その使い方を高校三年生の先生が習熟して、もう今月からやるということをお願いしたいんですけれども、文科省、いかがでしょうか。

亀岡副大臣 今委員の指摘したとおり、学校の臨時休業期間に関しては、生徒が学習を進める際にICTを活用することは有意義であり、既にICT環境整備が進んでいる自治体においては積極的に活用していただきたいと考えております。

 今、まさに大学なんかは、積極的に始まっているところもあります。今、我々も、高校三年生を含め、臨時休業期間中の生徒が家庭においてもパソコンやタブレットを活用して学習できるように、生徒及び保護者等が自宅等で活用できる教材や動画等を紹介するポータルサイトの開設、そして、それを開設したことを周知することを徹底しております。各学校で取組を促すために、各地域におけるICTを活用した取組事例等に関する情報のホームページも掲載をしておりまして、これをしっかりと活用していただきたいというふうに周知をしているところであります。

 文部科学省としては、学校のICT環境の整備を進めるとともに、今後休業が長期化した場合においても、教育課程の実施に支障が生じる事態に備え、遠隔教育の柔軟な運用を含めた家庭教育における学習支援についても検討を加速化していくということを決めておりますので、しっかりやらせていただきたいと思います。

白石委員 亀岡副大臣、ぜひ、総論も大事ですし、特に私が言っているのは高校三年生の今月からです、ここを、いろいろ機会はあるでしょうから、力を入れて学校の先生に協力をお願いして、単位がそれで認められるかどうかというのは後からの話で、高校生は大学進学、自分たちの人生が、このコロナによって負けないということが大事ですので、高校二年生以下は後から挽回できるわけですから、優先順位をつけてお願いしたいと思います。

 次の質問は、入進学の時期です。

 今は、四月に入学、進学になっています。これは私も一カ月前に質問したんですけれども、別の委員会でしたけれども、またやはりいろいろな声が出てきて、東京はもう今月から一カ月、ほかの府県も、特に緊急事態宣言で指定された区域は休校というのが確定されています。ほかのところも、私は休校してほしいというふうに思います。

 であれば、もう五月までですから、そうしたら、あと六月まで休校すれば夏休みですから、夏休みが終わったら、九月から始業すればいい、あるいは入学すればいい。進学、入学を九月にするということが、私は一つの、今回の、非常なピンチですけれども、それを大きな社会の変革に結びつける機会でもあると思うんです。

 それは、今、四月が入学であれば、その試験というのは冬にある。インフルエンザは冬に必ずはやります。そうすると不公平が出てくるし、ほかの国は九月が入進学で、そのサイクルが狂っていることによって、日本だけちょっとガラパゴス化しているということもあります。

 一カ月前に私がそれを質問したときの答弁というのは、こういうものでした。これは佐々木政務官からでしたけれども、こういった国民生活に与える影響の大きさ、このことを考えますと、さまざまな観点からの慎重な検討をしていくということが重要ではないかというふうに認識しておりますということなんです。

 今、一カ月たって、無理に、四月から入学なんですよ、あるいは進学なんですよということをやろうとするからいろいろなハレーションが起こっているわけで、それをもう九月からにするということの方が国民生活全体においていいんじゃないかというふうに思うんですけれども、文科省、いかがでしょうか。

亀岡副大臣 今委員の言われたように、新学期の考え方は、さまざまな議論が今までにもなされてきました。

 今回も、コロナ対策ということの中で委員のお話をいただいてはあるんですが、ただ、前提として、四月六日から、二十一時、九時の時点で、国公私立の学校のうちの全体の約六割が学校を再開しております。特に、都会を除くと八割ぐらいが再開をしておりまして、これが一部ということになりますから、全体的な話ではなくなってしまいますので非常に厳しいということがあります。

 それから、世界の国々の中で約五割が九月というのがありますけれども、それ以外の五割の国々はまたそれぞれの国の事情によって新学期を決めております。

 ですから、今までの日本の情勢から考えまして、今までの新学期、この桜の時期にしっかりやってきたことをここで急に変えることが可能かと言われると、非常に厳しいということがあります。これからの議論の中で、将来にわたっていろいろな考え方を議論していくことはできると思いますが、今回のコロナの中で学校を急に変えるというふうな議論には至らないと思っておりまして、できる限り、しっかりと子供たちの教育の現場を確保するとともに、先ほど言われたように、単位も柔軟に考えながら、きちんと進学に対応できるような環境をつくっていくということに全力を尽くしてまいりたいと思います。

白石委員 同じ勉強を二回繰り返しても多少はいいです。やはり、入試が今だんだん目の前に控えているということによって、各校無理して開いているというところもありますので、一番目の質問で、特に高校三年生のオンライン授業ということもありましたけれども、それとともに、もうずらしてもいいんじゃないかなということも改めて申し述べさせていただきます。

 次の質問です。

 遠隔診療です。これも、規制の問題もあるので、北村大臣が主宰されている規制改革推進会議での重要な議題の一つであります。

 この遠隔診療によって、今の新型コロナの状況の悪化を緩和するというふうに使えないかというのがあると思うんですね。どんどん物事は動いていますから、私が質問通告したときよりもまた動いていますから、今の遠隔診療についての状況を政府から教えてください。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 委員御指摘のとおり、新型コロナウイルスの感染が拡大する中において、患者と医療従事者双方の安全、安心を確保する観点から、オンライン診療を含む遠隔医療の活用は重要と考えております。

 このため、新型コロナウイルス感染症への対応といたしまして、二月二十八日及び三月十九日に事務連絡を発出いたしております。その内容ですが、慢性疾患等を抱える方について、かかりつけ医等の判断で、電話やオンラインでの診療による継続的な処方や症状の変化に対する処方を可能とするとともに、感染が拡大した場合において、在宅で療養中の無症状又は軽症の新型コロナウイルス陽性者に対して、診断した医師等が電話やオンラインにより診療することを可能といたしております。

 さらに、三月三十一日の経済財政諮問会議におきまして、厚生労働大臣より、新型コロナウイルスを疑う患者に対する初診も含めた診療について、感染拡大のリスクとオンライン診療であることの見逃しあるいは重症化のリスク、これらを比較考量しつつ、どこまでの範囲であれば対応可能か、専門家の意見を聞きながら至急検討を進める旨御説明をしたところでございます。また、同会議において、総理からも、現状の危機感を踏まえた緊急の対応措置を規制改革推進会議で至急取りまとめるよう指示があったところでございます。

 このため、四月二日にオンライン診療に関する検討会を、これは厚生労働省の検討会でございますけれども、開催いたしまして、感染症の専門家の方も参考人としてお呼びをしながら、初診オンラインの診療を行うことについて、感染拡大のリスク、オンライン診療のリスク、これらを比較考量いたしまして御議論いただいたところでございまして、その結果を踏まえて、規制改革推進会議とも議論を重ねていたところでございます。

 議員御指摘のとおり、その後、現在、規制改革推進会議での早期の取りまとめに向けて調整を進めているところでございますけれども、感染が拡大し医療機関の受診が困難になりつつあることに鑑みた特例的な非常時の対応として、初診も含め、希望する患者がオンライン、電話による初診等を受けられる仕組みを早期に整備するという方向で検討を進めているところでございます。

白石委員 検討を進めているというところが残りましたけれども、整理すると、初診の、初めての診断についての遠隔診療というのはまだ認められていないということで、ここが一つのポイントになってくると思うんです。

 場合分けをして、まず第一の場合というのは、新型コロナ感染者。この感染者は今、特に東京はふえていて、準備した病床というのが足らなくなってきている。ですから、軽症者、無症状者についてはホテルだとかあるいは自宅ということもあり得る。そういう方々に遠隔診療をするということについての規制上の問題はないわけですね。確認です。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 感染症指定医療機関等で診断のついた方が、例えば軽度化した方あるいは症状がない方について、病床ではなくほかの、例えば今御指摘がございましたホテル等の施設で療養するということは、今後はあり得ると考えております。御指摘のとおり、そのような場合につきましても、オンライン診療による患者さんへの対応については可能になってくる、あるいは可能であるということでございます。

白石委員 愛媛の場合は用意している病床が七十しかなくて、東京の一日分ですので、本当に急激な感染者の拡大になったらすぐパンクしてしまって、ほかのところにいてもらわないといけない。そういう方々に対しては、指定病院の医師による遠隔診療、電話なりスマホなりでの診療ができるということを確認させていただきますが、それでいいわけですよね。

 それで、風邪だとか軽症だとか、新型コロナ以外の方あるいは高齢者の持病の方が病院に来ることも、やはりなるべく控えた方がいい。そういう方々についての遠隔診療というのは、初診については認められていない、ただそれは検討している、こういう理解でいいわけですか。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 現行あるいはこれまでの運用につきましては、議員御指摘のとおり、全く診察をされていない、対面されていない方についての初診につきましてオンライン診療を行うことにつきましては、最終的にはやはり対面診療が必要な場合もございますので、オンラインの有用性ももちろんございますけれども、一方で診断の精度の問題もありますので、比較考量いたしまして、従来でございましたらば、やはり初診における対面というのが原則でという運用になってございます。

 ただ一方で、先ほども御説明させていただきましたけれども、コロナウイルスが拡大をしつつある現下の状況におきましては、必ずしも診察の機会がなかった、つまり、初診でありましても、対面でない方につきましても一定の診察を行う形でオンライン診療による対応を検討しているというところでございます。

 ただ、その場合におきましても、やはり診断ができるかできないかにつきましては医師の判断、責任が伴いますので、そこにつきましては医師が最終的に判断をするということで、初診でございましてもオンライン、電話等による対応を進めていきたい、そういうことでございます。

白石委員 積極的にそれをお願いしたいと思います。若い人が外を出歩くということをよく東京都知事がおっしゃいますけれども、若い人が出歩いて、受診の仕方というのは、うちの子供もそうですけれども、適当に看板を見つけてそこにぽっと入るということをやっていますから、そういったことをオンラインで引き受けてくれたら随分と違うと思います。

 それともう一つは、せっかく厚労省の責任者の方が来られているので、私もこれを調べていて、新型コロナの感染の疑いがある人がどういう工程を経て指定病院に行くかというのが、物すごく長いんですね、工程が多いんです。

 まず、愛媛県の場合ですけれども、県で統一されているコールセンターに電話して、そしてそこでふるいにかけて、当地の、つまりその圏域の保健所を紹介して、そこには勤務医師もおりますけれども感染症の専門の先生はいないので、一旦紹介を受けたら、そこで話を聞いた後、帰国者・接触者外来というところに行く。これは愛媛県でいったら二十二カ所ですね。そこで、さっきおっしゃった初診を受ける、PCR検査の検体をとる、先生の判断でレントゲンを撮る。そうしたら、PCR検査の検体を、保健所の職員が、愛媛県で一カ所に二台あるところに自分で持っていくということなんですね。そこで五、六時間はかかって、まあ順番があるでしょうけれども、すぐにいけば五、六時間そこで待って、その後、陽性と出たら、保健所の担当となっている人がアレンジして、県下の一番受け入れてくれる指定病院、これは九カ所と、さっきの外来よりも絞られますけれども、そこに紹介するという、非常に工程が長いんですね。

 この工程をもっと簡素化していけば、もっとPCR検査も受けられますし、感染の疑いのある人も負担が減る、あるいは、あっち行ったりこっち行ったりしている間に人にうつしてしまうリスクを減らすことができると思うんです。

 この工程管理のところも見ていただきたいんですけれども、ちょっとこれはアドリブですけれども、何かあればお願いします。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 事前にはいただいておりませんが、わかる範囲でお答えさせていただきたいと思っております。

 まず、患者さんなり一般住民の方が、いろいろな不安や症状を感じられたときにコールセンターにお話をされて、そういったコロナも含めた外来で対応するところにたどり着くまでに時間がかかるというお話は、御指摘のとおりの部分は正直ございます。そういったことも含めて、まず、相談の対応のキャパシティーを上げることと、相談から今お話のあった外来に至る時間につきましてもう少し速くできないか、これについても引き続き検討させていただきたいと思っております。

 それから、きょうは時間がございませんけれども、PCR検査につきましては、精度の高い検査でありますけれども、一方ですごく時間がかかるという問題もあります。これは技術的な側面も少々ございまして、詳細は御説明しませんけれども、やはりそこの部分をもう少し改善できないのか、それからキャパシティーを上げられないのか、これにつきましては、政府一丸となって、そして関係自治体とも協議をしながら、そういった対応についてもう少しスピードアップできないか、これは引き続きやらせていただきたいと考えております。

 それから、検査で陽性が出たときに、入院に至るまでのステップにまだまだ改善の余地があるという御指摘も私どもとしては認識をいたしております。

 病床の確保の問題もございますし、それから、さまざまな重症の方、中等度の方、軽症の方、これらを言ってみればトリアージしながら入院を確保しなければいけませんので、正直、その工程は必ずしも簡単ではないわけでありますが、そこは保健所、県行政、そして地域の指定医療機関としっかり連携をとりながら進めてまいりたいというふうに考えてございます。

白石委員 ぜひお願いします。これは今、東京都が先行していますので、そこで得たやり方をまさに横展開ということで、これから広がっていく地方への感染に備えていただきたいと思います。

 次に、スーパーシティー法案について質問します。

 まず、事業者との関係についてです。

 国家戦略特区ワーキンググループにおいて、地方公共団体が事業者の知見を活用して事業を提案する、これはよくあると思うんです。今提案している五十三地方公共団体というのは、意欲を示すということで、実際の国家戦略特区に指定されるかどうかというのは、まず地方公共団体が提案して、それで政府が区域を決める、幾つか指定するという工程になると思うんですけれども、地方公共団体が手を挙げて提案する際、これはなかなか、ITだとかあるいはサービスの形態だとか、地方公務員でずっとやってきた人が発想を豊かに提案していくというのは限界がある場合がある、最新の知見じゃないかもしれない。だから、外の人にその知見を頼るということも十分あると思うんです。

 そういった場合、業者さん、事業者というのはどう考えるかというと、まず最初はただよということで、いろいろな情報を提供して関係をつくっていって、提案書もこんな形でつくってみましたけれども、いかがでしょうかというようなセールスをかけていって、地方公共団体はそれをもとに加工して内閣府に提案するということがあり得る、十分あり得るというふうに思うんです。

 しかし、それをやってしまったら、後から正式に事業者を決める際に、ずっとただで提案そして特区指定までつき合ってくれた事業者を切るということがなかなかできなくなるわけです。それを恐れています。

 それで、質問なんですけれども、地方公共団体が政府に特区指定の提案をする際、事業者の知見を活用するのであれば、契約を締結するという形をとらせて、そこで料金が発生するんだったら料金も払って割り切れる関係にし、公開し、透明性の高い形にすべきだと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

北村国務大臣 データ連携基盤整備事業者を始めとする事業者は、スーパーシティーエリアの選定の後に設置される区域会議の構成員として公募等により選ばれることとなっております。

 エリア選定に向けて提案を作成するに当たりましては、自治体によっては特定の事業者の知見を頼りにする場合もあり得ますけれども、エリア選定の後にスーパーシティーの構築に参加するためには、公募等の手続を経て区域会議の構成員となる必要があるわけでございます。

 このため、委員御指摘のような、地方公共団体と事業者が契約を締結しなくても、この段階で事業者選定の透明性は必ず担保されることになると認識いたすものであります。

 いずれにいたしましても、スーパーシティー構想の実現に当たりましては、内閣府としても透明なプロセスの確保に万全を期してまいらなければならない、こう認識しております。

白石委員 大臣の答弁というのは、業者が正式に入ってくるのは後からですよ、区域が決まってからですよ、そこでちゃんとやればいいという答弁だったと思いますけれども、私が言っているのは、区域に指定される前の段階が業者の立場、地方公共団体の立場は一番重要で、クリティカルで、そこで業者が入ってきて関係を深めてしまったら、正式に区域会議で業者を公募するといっても、その業者をもう切れないという事情があります。

 ですから、区域会議が始まる前の業者との関係についても、政府としては規制をする。もしそこで入ってくるんだったら、契約という関係を結んで、そこで手数料が入るのであれば、提案資料作成料という手数料が必要なのであればお支払いして、正式に業者を決める際は割り切れる形にしておけばいいということなんですけれども、そこに絞った御答弁をお願いしたいと思います。

村上政府参考人 恐縮でございます。手続に関することでございますので、私から説明をまずさせていただきます。

 一つは、後での公募はなかなか切れないんじゃないかという御指摘があったかと思いますが、実は、これはほかの場合もそうなんですが、この公募は内閣府自身が事務局となってやります。区域会議の構成員の選定ということではあるんですが、公募事務一切は内閣府の方で取り仕切って行いますので、なかなか自治体が、どのような事前の関係があったとしても、内閣府の方でそこはいずれにせよフェアな手続で選んでいく、法律のたてつけがそうなってございます。

 なお、御心配いただいている点は、大変憂慮されるという見方もあると思いますが、実は申請前の段階での自治体の中での取組ということになります。ちょっと極端に言えば、自治体がどのような形で申請書をつくるかというつくり方について国が手を突っ込んでしまうような形になりますので、これはなかなかそこを責任分界点上越えていくのが難しいというような状況もございます。

 そういう意味では、自治体の方がどのような形で申請書をおつくりになるかは、まずはそれぞれの自治体の方の御判断にお任せをするけれども、そのことと後々行われる構成員の公募とは中立的になるよう、公募の事務をつかさどる内閣府の方でしっかりと見てまいりたい、このような運営を考えているところでございます。

白石委員 先ほど、公募のときは内閣府が仕切るという法律上のたてつけになっているということなんですけれども、ちょっと後で確認したいので、その条文は何条なんでしょうか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 正式には後ほど御報告をさせていただければと思いますが、法律上は、政令等が規定する手続によりというふうになってございまして、政令の中で、公募によるというふうに、国家戦略特区法の政令に規定されてございます。それが根拠でございますけれども、詳細も、それからどうして内閣府が事務局をやっているかにつきましても、後ほど別途御報告をさせていただければと思います。

白石委員 お願いします。

 次の質問ですけれども、スーパーシティー事業を実施する際に必要となる標準的な接続仕様、API、アプリケーション・プログラミング・インターフェースの設計、この設計のために、今年度予算で三億円計上されています。その事業者の選定、あるいは、その事業者の、恐らく最初は複数あって、議論をし、そして決定していくんだと思うんですけれども、その決定の過程、ここはもう明らかに透明性を高くしていかないといけないと思うんですけれども、現在の状況を教えてください。これが最後の質問になると思います。

北村国務大臣 データ連携基盤が持つ機能につきましては、各エリアの先端的サービスの内容に応じて、各エリアの区域計画においてその骨格が定められていくこととなるわけでございます。

 また、データ連携基盤を整備する事業者は、現時点では特定の事業者が決定してはおりませんで、エリアの選定後に、各区域会議の構成員として、公募等のオープンなプロセスによって選ばれることとなるわけであります。

 さらに、データ連携基盤が他のサービスのプログラムなどとやりとりをする際の接続仕様、いわゆるAPIも、本法令に基づきまして公開することが義務づけられることとなるわけであります。

 このように、データ連携基盤は、その内容、事業者あるいは接続の仕様、いずれも十分な透明性を確保した形で検討が行われていくことになると承知いたしております。

 いずれにいたしましても、スーパーシティーは、住民目線で、その満足度の向上を図ることを第一に目指すものでございまして、世界じゅうのイノベーションの成果を継続的かつ臨機応変に取り込める状態を維持していく、保持していくことが重要であると考えております。このように、内閣府も加わった区域会議で、しっかりと透明性を確保しつつ計画案の策定に取り組んでまいりたい、こう存じております。

白石委員 まだ本当は更問いをしたいところですけれども、時間が来ましたので終わります。まだまだちょっと時間が足らなかったということも申し述べさせていただきます。

 ありがとうございました。

山口委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時五十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時十四分開議

山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。今井雅人君。

今井委員 立国社の今井雅人でございます。

 きょうは、地方創生特ということでございますので、最初にコロナの話を幾つかお伺いしたいと思うんですけれども、皆様地元に戻っておられていろいろお聞き取りをされていると思いますが、とにかくマスクがありません。医療用のももちろんありませんけれども、一般の人たちもマスクが全くない状態で、たまにドラッグストアで売出しをすると、もう長蛇の列という状態で、どこも同じだと思いますが。

 今現在、月間で六万枚の生産ということで、四月には七万枚になるということなんですが……(発言する者あり)六億枚、済みません。人口一億人以上いるわけですから、六億枚つくったって、一カ月に一人当たり六日分しか行かないわけです。六億枚、七億枚では僕は足らないと思うんですけれども、今の国内の需要と供給のバランスについて、今政府はどういうふうにお考えでしょうか。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 マスクにつきましては、従前は中国からの輸入が七割という状況でございまして、国内生産が三割という状況でございます。そういう中で、若干需給が逼迫しているという状況でございます。

 一月二十八日付でメーカー団体などに対しまして増産の要請を行っているということ、また、経済産業省におきましても、マスクの設備投資補助金を導入して、国内市場へのマスクの供給量を一層積み増しを行っているという状況でございます。

 先ほど委員からも御指摘ございましたけれども、既存の国内生産体制の強化、二十四時間体制で生産しております。また、停滞していた輸入品が一部回復しているという状況でございます。また、設備導入補助金を活用しました国内における新規増産や、医療用マスク、布製マスクの緊急輸入によりまして、委員御指摘のとおり、月間六億枚を確保したところでございます。

 しかし、一般用マスクにつきましては、供給量を増加させているものの、店頭への需要が増加していることに加えまして、さまざまな事業者から優先供給してほしいというような要望もあることから、店頭には十分回っていないという状況もございます。

 いずれにいたしましても、マスクを必要とする方に必要な量が行き渡るようにすることが重要と考えておりまして、さらなる生産の増強、マスクの高額転売の禁止、マスクの効能や代用品の活用の周知といった需要面での継続的な働きかけを行っているところでございます。

 現時点におきまして、布製のマスクを生産しております、これを介護施設でありますとか小中高生などに配付を行うということ、さらには一般の家庭にも二枚ずつ配付するということで、布製マスク、繰り返し使えますので、そういうものを活用しながら、全体としてのマスクの、医療機関向けのマスクの需給というものを緩和させていきたいという状況でございます。

今井委員 ちょっと私、個人的に今中国の企業とも交渉して輸入をやろうとしているんですけれども、やはりアメリカとかヨーロッパが物すごく入ってきていまして、値段をつり上げていまして、なかなか手に入りにくいという状況の中で、やはり国内の数を本当にふやしていかないと、この状態がずっと続きますし、今、世界的にも、アメリカもマスクをつけていなかったですけれども、マスクをつけることが有効だということ、そういうことになって、みんな推奨していますから、世界じゅう逼迫するわけです。ですから、もうこの際、どんなことでもやらなきゃいけないということで、ぜひ確保していただきたいと思うんです。

 一つ、根本的な解決まではいかないかもしれませんが、ちょっと御提案というか、これは地元の要望もございましたのでお話をさせていただきたいと思うんです。

 私、選挙区は岐阜県なんですが、僕の選挙区には余りないんですけれども、岐阜市を中心にしたところは繊維が非常に盛んなところでございまして、特に婦人服、こういうものをたくさんつくっているんですけれども、その婦人服をつくるに当たっては、技能実習生にたくさん来ていただいて、技能を学んでいただきながら婦人服をつくっているということをやっているんですが、御案内のとおり、デパートとかももう今壊滅状態なので、服も全くつくれない状態なんですね。

 それで、マスクをつくろうと。同じような技術ですから、マスクをつくろうということで、いろいろ試みてみたものの、技能実習生が現在対象になっている業務じゃないんですね。ですから、その技能実習生たちがマスクをつくるとルール違反になってしまうんです。ですから働かせられないという状態があります。

 今、これだけの時期ですから、もちろんもともとの技能実習生の本来の制度というのはありますけれども、これだけマスクが足らない、そして、技能実習生は仕事がなくて、食うに食えない状態になっている。下手をすれば、そのままみんな、散り散りばらばらになってしまうかもしれません。

 こういう状況の中で、例えばこういうことを一時的に規制緩和して、そういう技能実習生の皆さんにマスクをつくっていただく。そして、少しでも供給量をふやす。こういう特例措置をやっていただけないかという要望が今いろいろ来ているんですけれども、こういうことについて、政府は御対応いただけないでしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の技能実習制度におきましては、繊維・衣服関係職種作業に布製マスクの製造は含まれていないところでございますが、新型コロナウイルス感染症の影響による全国的なマスク不足の状況につきましては、当庁としても承知しているところでございますので、委員御指摘のような措置を認める余地があるかを含め、どのような対応が可能かについて関係省庁とともに早急に検討してまいります。

今井委員 前向きな回答をいただきました。

 大臣、大臣の所管じゃありませんけれども、やはり地方ではたくさんの技能実習生の方が働いていらっしゃいますから、もちろん本来の目的は技能の習得でありますけれども、実態的には、いろいろな、地方での産業を支えているというのは大臣も御存じだと思いますので、政府全体で取り組んでいただきたいので、大臣の方からもぜひ関係省庁に働きかけをしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

北村国務大臣 今般の新型コロナウイルス感染症の発生によりまして、深刻なマスクの不足を含め、全国各地、大変厳しい状況にあることを私も認識しております。委員と同感でございます。地域の皆さん方の労苦を思い、本当に心を痛めておるところであります。

 特にまた、外国人技能実習制度につきましては、所管官庁からの答弁もございましたが、私としても、厳しい状況にあるマスクの確保の問題に対処するためにも、政府全体でしっかりと取り組むことが重要であると考えております。

 世界じゅうの報道等を見ましても、いろいろな、違った産業界、技能あるいは技術、高度なテクニックを持った自動車産業であるとか、機械産業その他、関連の分野から少し離れても、違った業種に人手を向けるというふうなことが有名なブランドメーカーにおいても行われておるということも聞きますし、我々もそういう技能実習の方々に期待をしており、農業関係でも、実はそういうことで人手が外国から来ていただけないということで大変な狂いが生じておることを承知しておりますから、ぜひ、そういう思いを共通にしながら、何とか実現に向けて取り組んでまいりたいというふうに思います。

今井委員 ぜひよろしくお願いします。

 私の選挙区の郡上市にもたくさんの中国人の方が農業で来ていただいているんですけれども、来れなくて、四月からの作業ができないといって、皆さん本当に困っておられましたので、よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、PCR検査についてお伺いしたいんですけれども、これも医療機関、医師の皆さんからいろいろ御意見をいただいていますので、ちょっとここで、また御要望も含めてお話しさせていただきたいんです。

 まず、現状なんですが、報道にもありましたけれども、ドイツはPCR検査を六日間で三十五万件実施しています。イギリスも一日で十万件できるように今体制を整えています。フランスは一日五万件にするように、目標として今体制を整備中でございます。

 今、日本の検査能力はどれぐらいあって、そして、実績は今どれぐらいであるか。まず、それをちょっと教えていただきたいと思います。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 PCR検査につきましては、現在、全国で約一万一千件を超える検査能力を持ってございます。

 また、実際の検査実績でございますが、直近で、先週の四月四日の土曜日で五千五十五件の検査を行っております。

今井委員 そうなんですね。最初千件ぐらいだったのが、ちょっとずつふえてはいるんですけれども、やっと四千件、五千件ぐらいで、まだ全然足らないんです。

 それで、件数もさることながら、私の事務所にも、検査を受けたいと言っているけれども受けさせてもらえないんですという相談が物すごく来ているんですね。

 皆さん御存じだと思いますが、先日、森三中の黒沢さんが陽性になりましたけれども、あの方の御主人のツイッターをちょっと読みましたけれども、味がしないという症状が出て、先週の木曜日二十六日から、自宅待機で仕事休んでます、しかも、病院行っても、検査してくれないって、粘って粘って、頼み込んで、やっと今週水曜日検査してくれたんですという状態なんでございますが……(発言する者あり)まあ、ちょっと細かい話はいいとして。

 私が医療関係者の人から今いろいろ提案をいただいているのは、要するに、診療することと検査をすることというのは、これは分離できると。ですから、診察をする人が必ずしも検査する必要はないんだということですよね。

 よく最近言われています、新潟なんかでやっているようですけれども、ドライブスルーといって、車を使ってずっとやっていますね。韓国は、野戦みたいなところとか、外にいっぱいつくって、あそこでわあっと検査していましたよね。

 あるいは、うちの今の選挙区の病院の院長たちがおっしゃっているのは、こちらで検査キットをもらって、それに検体を入れて送って、それで検査して返してもらえればそれはできるんだけれども、そういうこともさせてもらえないという状態で、検査したくてもできないという人たちも、医療機関もたくさんあります。受けたくても受けられないという人たちも今たくさんいます。このミスマッチを何とかしなきゃいけない。

 ただ、もちろん、医療崩壊を起こしてはいけませんので、診察をしているところにどわっと検査する人がやってくると、とても優先順位をつけられずに、医療体制が崩壊してしまう可能性があります。しかし、検査をすることだけ別に切り離してやれば、そこの分離は、私はできると思うんですね。検査体制ももっと拡充できると思うんですよ。ドイツなんかで死亡率が低いのは、検査の件数が多いことだというふうに、これははっきりわかりませんけれども、そういう意見もあります。

 ですから、やはり、症状が出た人だけ検査をする、ただ熱が出ただけじゃだめですと言われちゃうんですね。ぜんそくの症状とか、そういうのが出てこないと検査してもらえないわけです、今。この体制は私は改善した方がいいと思いますよ。本当にぎりぎりぎりぎりになるまで検査してもらえないという状態なんです、今。

 ですから、ドライブスルーでやるのか、そうやって遠隔でキットを送るのか、いろいろな方法はあると思いますけれども、こういうふうにちょっと拡充していくということを政府として検討していただけないでしょうか。

吉永政府参考人 PCR検査につきましては、医師が必要と判断した方が確実に検査を受けていただくということは極めて重要だというふうに考えてございます。

 そういう中で、基本的な流れといたしましては、帰国者・接触者相談センターに行っていただいて、帰国者・接触者外来に行って検査を受けていただくということが基本的なルールとなってございますが、三月六日からPCR検査につきましては保険適用をしてございます。そういう中で、医師が必要だと認めた場合につきましてはPCR検査が実施できるという体制を組んでいるところでございます。

 こうしたことで、PCR検査を効果的に活用しつつ、有効なコロナウイルス感染症の対策を講じていきたいというふうに考えているところでございます。

今井委員 やはり認識が甘いですね。

 症状が出ていない人からうつったとか、いろいろなケースがあるわけじゃないですか。感染を防ごうと思ったら、その感染している可能性がある人をどんどん見つけないといけないでしょう。なのに、もう症状が出て、明らかにこの人は陽性ですねという人しか検査していないんです、今。だから防げないと言っているんですよ。

 きょうは要望だけにとどめておきますけれども、水際で防ぐという考え方がいろいろあるのであれば、症状がもう深刻化している人だけ調べるというんじゃなくて、もっと幅広く調べられる方法はないのかということをぜひ検討していただきたい、そのことをお願い申し上げておきたいと思います。

 それと、次に国家戦略特区についてお伺いしますが、まず、大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、国家戦略特区をやるに当たって、どこにでも、世界で一番ビジネスがやりやすい環境を目指してという言葉がやたらと出てくるんですけれども、その一つのKPIが、二〇二〇年までの世界銀行のビジネス環境ランキングにおいて、日本が先進国三位以内に入る、これが二〇二〇年度のKPIの目標とされていますが、現状の数字、それから、二〇二〇年度にこの三位以内というのが達成できるかという見通しについて御答弁をいただきたいと思います。

北村国務大臣 昨年十月に世界銀行が公表したビジネス環境ランキングの日本の順位は、OECD加盟国中十八位でございました。しかしながら、前年と比べれば、その順位は二十五位から七位上昇するなど、着実に改善しておると認識しております。

 もちろん、国家戦略特区の取組だけでその順位を上昇させることができるわけではないと思いますけれども、世界で一番ビジネスのしやすい環境の整備に向けて岩盤規制改革を進めることは内閣の最重要課題の一つと考えておりますから、このために、引き続き規制改革事項の追加や深掘りを行っていくとともに、世界最先端の技術を活用して、第四次産業革命の後に、国民が住みたいと思う、よりよい未来の社会、生活を包括的に先行実現するスーパーシティー構想、これを、高度で革新的な技術に関する実証試験を、対象分野と対象地域を限定して積極的かつ大胆に実現するサンドボックス制度の具体化に向けて、全力で取り組んでまいりたいと考えておるところであります。

今井委員 そうすると、二〇二〇年度に三位以内に入るというのは達成できる見込みということですか。その七位、二十五位から十七位になったのはわかりましたけれども、今年度が目標の年度でございますので、今年度はどうなっていくというふうに考えていらっしゃるでしょうか。

北村国務大臣 厳しいことではありますが、目標を目指して全力で取り組んでまいろうと思っております。

今井委員 厳しいという認識を持っていただいた方がいいと思うんですね。

 というのは、私は国家戦略特区にはいろいろな問題があると思っているんですけれども、両方の立場から考えて問題があると思うんです。まず、規制を緩和する立場からすれば、そんな小出しにしないで最初から全国でばあんとやっちゃえばいいわけでありまして、推進する立場からすれば。それを順番にちょっとずつちょっとずつやっているというやり方は余りにも遅い。

 今、この国家戦略特区というのは、一応どこかで実証実験をした後、それがうまくいったら全国に展開しましょうということでやっていますが、ちょっと時間がないので、もし後で、あれば御紹介してもらいたいと思うんですけれども、実際、全国展開しているのは、そんな大きなプロジェクトはほとんどないんですね。もちろん、地域地域の細かい単位では役に立っているものもあるんですけれども、日本を変えるほどの話を、見ると、どこにもそれは見当たらない。そういう意味では、僕は、本当にある意味で中途半端だと思います。

 箱の中も、これは何度も私は、国家戦略特区の中の密閉性というか、透明性や公平性に問題があるということを申し上げてきているんですが、この点についてもちょっとお伺いしたいんです。

 先ほど、午前中、亀井さんのところで、竹中平蔵さんのオリックスとの関係のことがございましたので、ちょっとまずお答えをいただきたいんですけれども、先ほど、調べてお答えするということでしたので、それについて、まずはお答えいただきたいと思います。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 午前中御質問いただきました、養父市で特区事業を営むオリックスさんの関係会社の件であったかと承知をしてございます。

 タイミングを確認いたしましたが、オリックス社の特区事業、養父市の事業を認定いたしましたのは二十七年一月の諮問会議でございます。それに対しまして、竹中議員が同社の社外取締役で経営にかかわることになりましたのは同年の六月でございまして、この特区の事業を認定した段階ではまだオリックスとは経営上の関係はなかったという状況でございます。

 いずれにせよ、竹中議員には個別企業の利益の立場を離れて、現場の知見やすぐれた識見を有するという立場から御審議を賜っているということでございまして、本件につきましてもこういう理解でございます。

今井委員 わかりました。事実関係だけ確認させてもらいました。

 大臣、実は、この話、じっくりやりたいんですが、時間がないので簡潔にちょっと申し上げますが、国家戦略特区の目的はわかりますが、実際の運用で幾つか私はやはり問題点があると思っております。先ほども、午前中もちょっと話がありましたけれども、まず一つは人選の問題なんですけれども、人選に当たって二つの点を考えなきゃいけない。

 一つは、同じ人が長くずっとやっているという体制が果たしていいのかという問題です。大体、この諮問会議、あるいはワーキンググループに出てくる人たちというのは、ここ数年間いつも同じ方がほとんど出てこられます。あえて名前は申し上げませんけれども。そうやって同じ方がずっとやっていれば、当然そこにいろいろな、お誘いとか、この人に頼めば何とかなるとか、こういうのは出てきてしまうというのは容易に想像がつくと思うんですね。ですから、ワーキンググループごとにもうちょっとメンバーをしっかり入れかえるとか、そうやって人の血を入れかえないと、どうしてもやはり癒着が進む、こういう問題が一つある。

 もう一つは、利害関係者が入っているかどうかです。大臣も御存じだと思いますけれども、国家戦略特区の諮問会議の方のメンバーの規定には、利害関係者を外すことができる規定が入っています。しかし、ワーキンググループの方にはそれは入っていません。でも、これまで議論していてわかっていただいたとおり、実際の議論というのは、実はワーキンググループでもまれていって、そこでもまれたものが諮問会議に上がっていくという形になっています。そうすると、ワーキンググループが入り口なんですよ。

 しかも、竹中平蔵さんの話がどうしても出てきてしまうのは、あの方はいろいろなビジネスの方もやっていらっしゃるわけです。しかも、この諮問会議の議論でかかわっていることを扱っているような企業の顧問をやっていたりするわけです。そうすれば当然疑われるわけですよ。御本人が本当にそうだったかどうかはわかりませんけれども、当然疑われますね。ですから、やはりそこのファイアウオールをしっかりしないといけないと思うんです。

 だから、利害関係者はとにかく入れない、それから、選定するメンバーはとにかく固定化せず、いろいろな人に順番にやってもらう、こういう制度にしていけば、まず一つ、人の問題というのはこの国家戦略特区で解決していくと思うんですけれども、これについてはいかがお考えでしょうか。

北村国務大臣 ワーキンググループの委員の方々には、規制改革事項の実現に向けて、その知見をフル活用し、さまざまな貢献をいただいているのは事実であろうと認識します。

 しかし、これまでも御説明したことがございますとおり、実現した特例措置を活用する事業者の認定プロセスには、ワーキンググループの委員は関与しない仕組みとなっており、特定事業者への利益処分など、法令上特定の事務を処理する権限は有しておらないということでありまして、特定の議員を一律に排除するのではなく、直接の利害関係を有するか否かについて、審議事項の内容や議員と事業との関係などから個別具体的に判断すべきとの趣旨からこうした規定もあろうかと思う次第です。

 加えて申し上げれば、議員本人の意思にかかわらず、諮問会議の意見として、特定の議員を審議あるいは議決に参加させないという重い趣旨の規定があるわけで、実際、議員御自身が利害関係者になり得るおそれがあると判断され、議員御本人から申出があって審議、議決から外れていただいたというふうな実績もございますから、現状、適切に運営がなされているものと私は認識しておるものであります。

今井委員 ゼロ回答ですね。

 じゃ、今度、実際に国家戦略特区が行われている中でどういう癒着があるかということはまた質疑をしていきたいと思いますが、きょうは時間がないのでそれは省きます。

 もう一点、これも透明性ということで、議事録の公開ということを言っていますけれども、基本的に諮問会議は、議事録は、公開、五年後ですけれども、それに近いような議事要旨は必ず公開している。ただし、ワーキンググループに関して言えば、座長の判断で公開する、しないを決める、そういうルールになっているわけですけれども、これも、大臣、私は改善した方がいいと思います。どう改善するかといったら、実際は、その事業者の要望が特別に手当てが必要なものなのか、あるいは現行の運用でできるのか、そういうことを議論しているのは実はワーキンググループなんですね。

 先日も申し上げましたが、一番の肝は省庁との折衝です。事業者との折衝ではありません。今まで規制をつくっていた規制側と、これを何とかできないかと議論をしているのが、この国家戦略特区の一番重要な部分です。しかし、そこが打合せと称して公開されない。これは大変な問題です。

 提案している事業者に不利益がある、これが表に出てしまうと、業界内でいじめられるとか、自分の現業に支障が生じる、そういう場合に限って、私は仕方がないと思いますけれども、打合せも含めて、どういう経緯でこの制度ができ上がったかというのは、とにかく事業者の不利にならないこと、以外は全て公開する、こういうふうにすれば、この制度の透明性は飛躍的に高まると思うんですね。ぜひそういうふうに運用を改善していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

北村国務大臣 国家戦略特区における規制改革項目の追加あるいは事業者の選定の手続は、いずれも一貫して民間有識者が入った会議が主導いたし、法令にのっとって、オープンなプロセスで進められてきております。民間有識者も、一点の曇りもないと述べておられると承知しております。

 また、諮問会議、区域会議、分科会等につきましては、全て議事要旨を公表いたしておるわけでありますし、ワーキンググループでは、その運営細則に基づきまして、座長が適当と認める方法により、その内容等をウエブサイトによって公表してきていることは御承知のとおりでございます。

 いずれにいたしましても、内閣府としては、引き続き、議論の透明性の十分な確保に更に努めるなど、法令にのっとり、オープンなプロセスで国家戦略特区の手続を進めてまいりたいと考えております。

今井委員 それは、当事者は一点の曇りもないと言いますよ。そうじゃなくて、これは国民の財産ですから、国民から見て本当に一点も曇りがないかということがわかるようにしておいてもらわないと困ると言っているんですよ。当事者が一点の曇りもないから大丈夫だと言うのは、それはおかしいんじゃないですか。だから、そういうものを全部オープンにして、一点の曇りもないかどうかというのを国民がわかるようにしていただきたいということなんですね。

 ワーキンググループの方たちは、そういう権限はないと皆さんおっしゃいますけれども、実際は、そこで決めた後、分科会とか地域会議とか、こういうところにオブザーバーとして行って、いろいろな意見を言っているんです。そこでその人の意見を踏まえながらやっているんですから、参加しているんですよ、実際は。なのに、その人たちは、決める場じゃないからいいんだという理屈を皆さんおっしゃってきているけれども、それは違いますよ。実際、そこから始まっているんですから、スタートは。そのスタートの部分を隠しているわけです、幾つか。だから問題だと言っているんです。

 この点を改善していかないと、いつまでも国家戦略特区は怪しいと言われ続けますから、ぜひこの運用を改善してくださいということを私は申し上げているんですね。

 きょう、今ゼロ回答ですけれども、大臣は誠実な方だと思いますので、一回、ちょっと一つの案件で見てみてください。実際はワーキンググループでほとんど決まっていっていますから。その後、上で、しゃんしゃんしゃんしゃんと上がっていくんですよ。そういう仕組みですので、そのプロセスを一度確認していただきたいと思います。

 もう時間がなくなってしまいました。個人情報の問題ですが、午前中いろいろ詰めていた問題と、あと、民泊の欠格事由とか、いろいろお伺いしたかったんですけれども、時間がないので、皆さんが多分聞かれないところをちょっと一つだけお伺いしたいと思うんです。

 ドローンなんですが、ドローンは今、操縦している人が肉眼で捉えられる中でこうやってやっていると思うんですけれども、いろいろな開発が行われていて、ドローンに今、ジェットエンジンが載ろうとかという、そういうところまで進んできていて、人を乗せる空飛ぶタクシーとドローンというのは、ほぼ同じような規格にこれから収れんされていくはずです。

 その中で、遠隔操作、つまり操作をしている人が見えないところまで飛ばす、これをやると物流に使えるようになるわけです。次の段階はドローンはこうなっていくんですが、ここで一つ問題がありまして、こうすると、安全性をどう担保するかという問題ですね。ドローンが故障したときにずどんと落ちてしまう。今よりもドローンは重量化しますから、上から物が落ちたら結構大変なんですね。そういう状況が近い将来必ずやってきます。

 ですから、そこの安全対策をきちっとやっておかないと、ドローンでの物流というのが非常に難しくなってくるというふうに私は思っているんですけれども、その点について、今回もそういうドローンを遠隔操作するとかそういうことは入っていますので、そういう安全性の担保というのを、新しい法制化が必要だと思うんですが、今どういうふうにお考えになっていらっしゃるか、教えていただけますか。

川上政府参考人 お答え申し上げます。

 ドローンの利活用を着実に拡大させるために、先生御指摘のように、安全確保を図ることが重要と考えております。

 今回の国家戦略特別区域法の改正案において、技術実証区域計画の策定に当たって国土交通大臣に協議する必要がありますが、国土交通大臣は、航空機の航行の安全や地上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないと認めるときに、同意することによって安全を確保する仕組みとなっております。

 先生御指摘の、操縦者が肉眼で捉えられないような、いわゆる目視外飛行と言われるものですけれども、これは、現行の航空法の許可、承認の手続に当たりましても、例えば、自動操縦システムを装備し、機体に設置されたカメラ等で外の様子を監視できることとか、ふぐあい発生時には空中で維持又は自動で帰還する機能等を有することなどといった安全性の確認をしているところでございます。

 今後も将来的にいろいろな技術開発が進んでくると思われますけれども、私ども、ドローンの安全性に関しては、今、制度設計の方の具体的な検討も並行して進めているところでございますので、いずれにしましても、国土交通省としては、ドローンの技術革新の進展に貢献しつつ、安全性を十分に確保できるよう取り組んでまいりたいと思います。

今井委員 済みません。時間が来ましたので終わりますが、半分しか聞けませんでしたけれども、大臣、ぜひこの制度自体の透明性、公平性がちゃんと担保されているか、一度御自分でよく確認をしていただきたい、そのことをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

山口委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 立国社共同会派の森田俊和でございます。三十六分のお時間をいただいております。

 私は、主に介護の現場に、ICTあるいはAIの導入等々を含めて、データの活用等を含めて、介護の現場にそういったものをどんどん取り入れていくべきだという観点からお話をさせていただきたいなと思っております。

 私の個人的な仕事の方で介護の事業所に携わっておりまして、きょうは小島政務官、厚労省の方からおいでいただいておりますけれども、きのうですかね、朝、机の上を見たら、ゆうパックの封筒が置かれておりまして、厚生労働省からゆうパックが届いておりまして、マスクが通所介護宛てということで二十枚届いておりました。その前に、これまでに布マスクが届いたのは、まず最初、通所宛てに五枚来て、その後、今度はショートステイ宛てということで五十枚届きまして、それで、きのうまたデイサービス宛てに二十枚来たというんですけれども。

 これは、どういう計算でそういうふうになっているのかちょっと私もわからないんですが、私が予想したところというのは、最初の五人というのはデイサービスの職員数分かなと。それで、今回来たのは、定員が二十名のデイサービスなので、御利用者様の分が来たのかなというような予想をしているんですけれども、それだとショートステイの五十がどこから数字が来ているのかちょっとわからないんですけれども、いずれにしても、布マスクが届いたということで、お礼を申し上げます。本当にありがとうございます。

 ただ、やはりこれだけでは足らないということがありまして、うちの施設でも大分、もともとコロナウイルスの対策が始まる前の段階でかなりのストックが、もちろん介護施設なので持っておったものですから。もともとこの時期になりますと、十月、十一月あたりからインフルエンザの対策ということで、ずっと、うちの施設だと次亜塩素酸を加湿器みたいなところにまぜて噴霧しているような状況を常につくり出しているということで、そういうことをやったり、職員はマスクをしたりということで、こういうことをやっているものですから、それなりのストックはあったんですけれども、それがどうも三月いっぱいで終わっちゃいそうだという話になってから、手づくりのマスクもあわせてつくろうということで、うちの家内だとか、いろいろと職員で、手先の器用な職員にも手伝ってもらいながらそういったものもつくりながら、手づくりのものもあわせて今やりくりをしているということで。

 この前、職員と御利用者様にお送りした文書には、何とか三枚ぐらいはいろいろな形で皆さんに御提供できるような形の段取りはしたいということで通知を出して、徐々にいろいろなものが届いたりなんなりで、県からも、埼玉県からも今度手配をしていただけるということも聞いておりますので、そういうことも含めて何とかうちの施設でもやらせていただいているということもありまして、状況の報告でございました。

 今回のスーパーシティー、スマートシティーの関連で、先ほどもお話が出ていましたけれども、やはりデータが出てきたときに、これをまず適切にちゃんと管理をし、必要のないデータについては処分するなり破棄するなりということをきちんとやっていただくのが大前提になってくると思いますので、ぜひ、そのあたりは大臣の方のお取り計らいをこれはくれぐれもお願いしたいというふうに考えております。その大前提があったという中で、これからの話を進めていきたいというふうに思っております。

 介護の現場ですけれども、ほかの業種ももちろんそうなんですけれども、人手の不足というのがかなり深刻な状況でございます。

 そもそものところを振り返ってみますと、二〇〇〇年の段階では、介護の認定者数というところで見ますと、二百十八万人という数字だったものが、二〇一七年のデータですけれども、六百三十三万人ということで、この十七年間でおよそ三倍に大きく膨れ上がっているということで、需要の増加がある、介護サービスの需要があるということです。

 一方で、これは厚労省の書類に出ている数字を拾ったんですけれども、介護人材の供給というところを見ますと、二百三万四千人ということで、二〇二〇年の数字になっておりますけれども、それに対して需要の見込みというのが、本来必要とされる人数というのが二百十六万人ということで、差額をとってみますと、マイナスの十二万六千人、こういう十二万人という人手が介護の現場で足りないということが起きているというのが、今介護の現場の実態でございます。

 もちろん、人手が足らなければ介護の現場はかなり厳しい状況になりますし、思うような介護もできない、あるいは休みもとれない、こういうような状況になりますし、それがひいては、もともと予定をしていた定員の数のサービスの提供ができないということで、定員を縮小してのサービスの提供にするとか、あるいは、そもそもそういうことも立ち行かなくなって、それがもとになる事業譲渡であったりだとか、あるいはひどい場合には倒産に至る、事業を閉めてしまう、こういうこともかなり起きているのが現状だというふうに私は認識をしております。

 とにかく、現場にある人手をもちろんふやしていく、いろいろな処遇改善をしたりしながら人手をふやしていくということも当然必要だとは思うんですけれども、やはりなかなかそれが実態として、いろいろな改善をしても、それ以上の人手も出てこないということもありますので、やはり省力化、人手をいかにかけずに済むかというところを私たちはしっかりと進めていくべきだろうというふうに考えております。

 私も、ふだんの仕事を見ながら、どこで人手が減らせるのかなというのをいろいろな作業を見ながら考えているんですけれども、一つの例として、例えばデイサービスにしてもショートステイもそうなんですけれども、朝、御利用される高齢者の皆様方が来たときに、デイサービスなんかは、まず受入れをして、履物を履きかえてもらったりして、うがい、手洗いをしてもらった後で、まずバイタルチェック。要するに、血圧であるとか体温であるとか、あるいは、はかるべき方は血糖値をはかったりとか、こういうことを看護師がやったり、あるいは、今簡単な血圧計もありますので、介護職員がやったりして、それを、この数字を写す。介護の記録のノートに写して、さらに今度は介護記録として、個別の御利用されている皆様のお一人お一人の介護記録というところにまたそこから転記をしていく、こういう段階で、いろいろと数字を、見たものを書き取っていくというような作業がございます。

 今ですと、コロナウイルスの関係が出てきてから、例の三十七・五度、三十七度五分というところの一つの区切りがあるものですから、デイサービスなんかは、朝の段階で、もう御自宅ではかっていただいて、そのはかった数字がもう三十七度五分を超えていたときには、デイサービスの車が迎えに行ってもお迎えをしないということを通知して、なるべくリスクを減らすような努力をしておるんですけれども。

 いずれにしても、さっき言ったとおり、数値で出たものを読み取って、書き取って、それをまた転記してということで、いろいろな段階で人手をかけざるを得ないのが、今の介護の現場ということでございます。

 当然、これは、膨大な時間、看護師の時間であったり介護士の時間であったりというものを、膨大な時間を消費するわけでございまして、こういったものが、例えばIoTだとかICT、こういった機材あるいは仕組みが整った段階で、これはいろいろやり方はあると思うんですけれども、例えば時計型のこういうような端末をつけたりだとか、あるいはもっと小さくなれば、何か注射をした後に張るぐらいのICチップみたいなものをここに張りつけてデータ送信ができるようにするとか、いろいろなやり方はあって、しかも、かつ、それは個人情報そのもののデータでございますので、やはりそれをやるときにはかなりのちゃんとしたハードルを設けて、そのデータをちゃんと使うんだということは了承を得なければ、御本人であったりあるいは御家族であったり、こういったしかるべき方に承諾を得てということにはなると思いますけれども、いずれにしても、そういったデータを常に、どこかに送信をしてストックをしておけるような、こういう仕組みをつくる。

 そのことによって何が起きるかというと、例えば、さっきのコロナウイルス対策であれば、朝おうちにいる段階で三十七度五分を超えていますよといったら、もう出る前からその状況を把握していて、自動的に、お迎えに行かなくて済むとか、あるいは、ほかのことであっても、例えばAIのプログラムの組み方にもよると思いますけれども、血糖値が高い方は、このぐらいきょうはちょっとふだんの数値より高いですよみたいなところが、いろいろなデータの分析の中で警告が出てきたりなんなりするということができていれば、もちろん看護師は配置してありますけれども、看護師だとか一般の職員も含めて、あっ、なるほど、きょうこの方はこういう注意が必要だなということを、記録をそこに自動的に流し込んでもらうこと等含めて、やはりちょっと高度な健康管理ができるということもあるのではなかろうかなというふうに思っております。

 まずは、こういった現場の人手を少しでも減らしていくことについて、介護記録の省力化という意味では、これは非常にこれからどんどん進めていくべきところだと思いますけれども、まずこの点について御説明いただければと思います。

諏訪園政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、介護職員の負担軽減を図り、質の高いサービスを効率的に提供していくためには、介護事業所におきまして、ICTや介護ロボットなどのテクノロジーの活用というのは重要な課題であると考えております。

 このため、私どもとしましては、昨年度、業務の洗い出し、切り分けや、ロボット・センサー、ICTの活用などについて、先進的な地方自治体でパイロット事業を実施していただいたところでございますが、その成果として、例えば、ウエアラブル端末などの使用により利用者のバイタルを常時把握したり、ベッド下に置いた見守りセンサーの導入により利用者の夜間の睡眠状態をそれぞれ常時把握できるようにして介護記録を省力化した、こういう事例があったと承知しております。

 こうした事例につきましては、テクノロジーの活用を含めた好事例をまとめた生産性の向上ガイドラインに追加して周知を図るということで展開をしていきたいと思っておりまして、さらに、令和二年度におきましては、このパイロット事業の取組を全国に普及するため、地域医療介護総合確保基金を活用いたしまして、介護ロボットやICTの導入補助の拡充を行いますとともに、テクノロジーの活用を含めた業務効率化に取り組む地域のモデル施設を育成するための補助を新たに行うとともに、介護記録の省力化にもつながる好事例を含めて、全国の地域に業務効率化の手本となる介護施設をふやして、全国の介護施設の底上げを図ってまいりたい、こういうことに取り組もうとしているところでございます。

森田委員 ありがとうございました。

 先進的な試みをしている自治体をどんどんつくっていただいているということで、恐らく予想されるのは、まずは施設内の介護においてその仕組みをつくっていくということが最優先されるんだろうなと思っております。それは、施設の中ですから、WiFiをつくって5Gの環境を整えたりとかは比較的容易だと思うんですけれども、やはり今回の制度の趣旨で捉えれば、一つの区域全体、地域で、例えば御自宅にいて、在宅系のサービスなんかですと、訪問介護だとかデイサービスとかいろいろなサービスがあるわけですけれども、そういった、御自宅にいて、しかも、そのお一人お一人に、なかなか御高齢の方だと操作をしたりなんなりというのはちょっと難しいよというお宅であっても、一定の区域内では常時そういった環境がつくられるとか、そういう試みが出てくれば、施設の中の介護とそれから自宅における介護、その中間ぐらいに存在する在宅系の介護サービス、こういったところが切れ目なく、健康管理等々で、あるいは省力化を含めて対応できるのではないかなと思っております。

 先ほど、区域内、地域内というお話をさせていただいたんですけれども、やはり、地域の中に、そういった電波の環境であったり、いろいろな通信の環境が整ったりすることのメリットで私が思っておりますのは、徘回に対する対応だというふうに思っております。

 うちの施設も、立ち上げて早々、そんなにお金をかけられなかったので、手動のドアだったんですね、普通の引き戸だったんですけれども、そういう認知の方なんかですと、職員がもちろん、受付のすぐ前に扉がありますので、ドアをあけて閉めてというのは管理しているつもりなんですけれども、それでもやはりちょっとしたすき間で外に出られて、認知の方が、敷地内だったらまだいいんですけれども、施設の外に出てしまわれるというようなことが、特に人手が薄くなる夕方とか夜間とか、こういったところではやはりそういうことも起こったこともございました。

 もちろん、それからしばらくしてから自動ドアにして、あるいは、普通のところであれば、居室であれば二重ロックをかけるだとかということもやり方としてはあり得ると思うんですけれども、これは、ただ、余りやり過ぎると今度は身体的な拘束ということになりまして、過度に動きを制限するということもやはりこれはなかなかできない。

 ということで、先ほどの技術なんかと組み合わせることによって、まずは施設内でその方がどこにいらっしゃるかという把握というのはあるでしょうし、その方が、さっきの事例じゃないですけれども、施設の敷地外に出られたときも、ある一定の区域内であれば、その方が今どこにいらっしゃるのか、まあ、今でもGPSの技術なんかを使えばそういうことはできるかなと思いますし、例えば、地下空間がある、あるいは建物の中でGPSの電波が届かない、届きづらいというところでも、いろいろな電波の通信環境があれば、そういった方が今どこにいるのかなということが即座にその事業者の方にもわかるというような、そういった仕組みも出てくるのではないかなというふうに考えております。

 いずれにしても、こういった地域の中における環境を整えるというのは今回の制度の趣旨からしても目指すべきところではないかなと思いますけれども、この徘回への対応について教えていただければと思います。

諏訪園政府参考人 お答え申し上げます。

 徘回する高齢者に対する地域における見守り体制づくりの現状について御説明申し上げます。

 高齢者の方が住みなれた地域で安心して暮らすためには、そうした認知症の方への地域による見守り体制づくりが重要であると考えているところでございます。

 このため、厚生労働省といたしましては、市町村が行う認知症に関する広報啓発活動、行方不明の高齢者を早期発見できる仕組みの構築や運用、認知症高齢者に関する知識のあるボランティアなどによる見守りのための訪問などの取組につきまして、その費用の一部を補助しているところでございます。

 市町村における具体的な取組としましては、認知症高齢者の方が行方不明となった場合に、市町村を通じて、あらかじめ捜索協力の協定などを結んだ関係機関に捜索協力を要請する仕組みでございますとか、委員も御紹介のあったGPSなどの位置情報システムを備えた端末の配付やその購入費の助成といったことが地域の実情により実施されているところでございます。

 引き続き、認知症施策の推進大綱に沿いまして、ICTの技術も活用しながら、自治体が認知症の方を地域で見守り、コミュニティーで支える枠組みづくりを推進できるようしっかり支援してまいりたい、このように考えているところでございます。

森田委員 ありがとうございました。

 もちろん、いろいろな方がいろいろな方を見守っているという状態がつくり出せるのが一番いいわけなんですけれども、この今の時代ですから、誰かが歩いていてもそれが誰なのかということがなかなか周りの方が認識しづらいような時代背景でございますので、ぜひ、こういった取組についても一層進めていただければなというふうに考えております。

 それから、続いて、医療との連携という面からお尋ねをしたいと思います。

 先ほど、端末なりそういうチップなりを身につけておいて、常時バイタルのデータを、いろいろな体に関する数値をサーバーなりなんなりに送るというようなお話をさせていただきましたけれども、例えば、今、コロナウイルスの関係でも遠隔医療というのもかなり話題に上っておるところでございますけれども、そこを一歩踏み込んで、先ほども言ったように、警報だとかあるいは注意が鳴るようなレベルをきちんとAIで把握しておいて、この方についてはこういう病状だから、このぐらいのデータが出たときには注意が必要だよねということを、例えば施設内であれば、ナースであったりあるいは施設内のスタッフに、注意が何かの端末か何かで行くような形になると。

 同時に、例えばこのレベルが、まあレベルが上がってというのは、危険度が高いような状況になったときには、自動的に、例えば、お医者さんの方でも数値の異常が確認できたりだとか、あるいは、本当に緊急のときには自動的に一一九番に通報が行ったりとか、こういうことも含めての総合的な体調管理のやり方があり得るんではないかなというふうに考えております。

 そういった意味では、先ほど申し上げたような、ふだんからの介護記録、看護記録のところに、今みたいなAIだとかを取り入れていくということもありますし。

 やはりうちの看護師なんかもそうなんですけれども、例えば入所されている方が受診をするというようになったときには、やはり滞在中の、何か異常事態がなかったかとか、どういうふうに、例えば、排せつをしていたとか、どのくらいの食事をとられたかとか、水分量はどのぐらいとられていたかとか、詳細にわたって記録をしていって、この方、今こういう症状だけれどもこういう背景がありますということを、お医者さん向けに記録をとって、その状況を報告する。例えば救急搬送なんかのときには、そういったデータをちゃんと控えておいて、救急のその対応してくださる先生にデータが行くようにしておくとかですね。

 こういうかなり手間のかかる作業がふだんから必要になってくるということもありますので、お医者さんに常時そういうものが、データが行っているような状況であれば、お医者さんの側でもちゃんとそれを把握していて、何か救急搬送があって、救急搬送だとその主治医の方のところに行くかどうかわかりませんけれども、少なくとも主治医の先生のところに行くときには、過去の経過がこういうふうになっているということは、もうデータを見ればすぐわかるような状態になっていることが、これからの介護の現場の人手という意味からもとても助かるということもありますし。

 あとは、例えばうちなんかもショートステイですけれども、ショートステイから今度は特養に入所されるというときなんかは、やはり今までの経過をちゃんと書いて、医療情報のやりとりというものを施設同士でやりとりもする、こういう場面もございますので、そういったことが自動的に、どうしても書面でつくらなくちゃいけないのであれば、書面に自動に落とし込めるような仕組みがつくれるとか、あるいは、もう施設間もデータ上だけでいいんだよということになれば、これはそんなに難しいことなく、一瞬でもうお互いの情報が共有できる、こういうことになるんだろうなというふうに考えております。

 という意味で、医療と介護の連携というのも、これから非常に大きな、省力化についての課題だというふうに思っておりますけれども、このあたりについて御説明いただければと思います。

諏訪園政府参考人 お答え申し上げます。

 介護現場におきまして、ICTやあるいは介護ロボットなどのテクノロジーの活用、そういうバイタルデータの取得をすることによって、介護職員と看護職員、さらには医師の方などの連携を含めて、多職種の方が連携されていくという観点からも、こうしたテクノロジーの活用は重要な取組だと考えております。

 先生から、さまざまな活用の可能性あるいは活用事例について御紹介がございました。

 私どものパイロット事業の例で、こうしたウエアラブル端末の使用によって利用者のバイタルや夜間の睡眠状態を把握したことから、利用者の健康管理を行うに当たり、看護職員と医療関係職種なども含めた多職種でカンファレンスするに当たり、客観的なデータをもとに議論できるような効果があったという話を承知しているところでございます。

 今後とも、さまざまな好事例の収集なども行いながら、御指摘のような活用がどのようにできるのかといったことについて、今後とも検討を深めてまいりたい、このように考えているところでございます。

森田委員 ありがとうございます。

 今の地域包括のケアシステムが立ち上がってということですけれども、そこに横串を入れていくということであれば、情報の共有がこうやって常時できている状態があると、日ごろのやりとり、あるいは何かのリスクに対する対応が非常にやりやすいということがあると思います。

 一つの施設とお医者さんとのやりとりということになればそんなに難しいことではないと思うんですけれども、やはりそこに在宅が入ってきたりであるとか、そういうふうになってくると、非常に、そのデータのやりとりだとか管理の方法、日ごろのデータ収集をどうするのか、こういった問題も出てくるかなと思っておりまして、ぜひ、一つの区域の中でこれをどうやって進めるのかということを、これからまたいろいろな方策を練りながら進めていただきたいなというふうに思っております。

 それから、今、入所系の施設というか、うちもショートステイがあるので、お泊まりになる施設なものですから、医師を置くというのが指定基準上必要になっているということがございます。

 ただ、やはり、うちなんかも確かに、契約をして、先生とやりとりをしていて、定期的に訪問していただいたりというのはあるんですけれども、正直そこで先生に何をしているかというと、今であればコロナウイルスの対応をどうしましょうかという話なんかもしたりはするんですけれども、一人一人の御利用されている方の体調というのは、大体主治医の方がいらっしゃって、何にも病気を持っていないという方はそんなにいらっしゃらないものですから、通常はいわゆるかかりつけのお医者さんみたいな方がいて、あるいはそういう方が何人かいるかもしれませんが、あるどなたかのお医者さんの、ほぼその管理のもとにいろいろな病気の治療をされている、こういうケースがほとんどでございます。

 ということは、日常的にそういったデータの共有も含めて管理ができているということであれば、施設そのものに、必ずしもいわば名目的な医師の契約、医師の配置というものがなくても大丈夫なんじゃないかな、そういった指摘もあり得るのではないかなというふうに考えております。

 ですから、そういうふうになったときに、指定基準上の医師の配置というのが変わってくる可能性もあるんじゃないかなというふうに思いますけれども、このあたりについてはいかがでしょうか。

諏訪園政府参考人 お答え申し上げます。

 介護保険施設におきましては医師を配置することを指定基準として定めているところでございまして、医師が入所者に対しまして健康管理そして療養上の指導を行うことになってございます。

 健康管理や療養上の指導につきましては、医師の方が実際に対面で行うことで入所者の日々の細かな体調変化等を把握することができ、入所者の生活を保つ役割を果たしているというふうに考えているところでございます。

 ウエアラブル端末などの使用により、バイタルデータあるいは夜間の睡眠状態などが常時把握できるということが今後の介護のケアの向上に大変有益であると思っておりますが、一方で、これが医師が対面によって行っている入所者の健康管理等の役割を置きかえる機能を有しているとまでは言いがたく、今委員の御指摘の御提案につきましては、少し慎重な検討が必要なもの、このように考えているところでございます。

森田委員 今の状況ではそういうふうになるんだろうなと思っております。

 ぜひ、医学の進歩もありますし、そういったデータのやりとりの進歩、それからAIのそういったリスクの管理ということもあると思いますので、ぜひ今後の、簡素化という意味でも考慮して、簡素化というかそれにかわるものが担保できたという意味であれば、そういった指定基準を変えていくこともぜひ考慮に入れていただきたいなと思っております。

 それから、今介護ロボットであるとかいろいろなICTの機械、安全装置等々を含めて出てきておりますけれども、やはり現場にロボットであったりとかこういった機器を導入するというのは、人手を省力化していくという意味では非常に有益だというふうに思っております。

 これが一歩進んで、先ほど申し上げたように、御利用されている皆様が一人一人端末なりチップなりをつけていただくことによって、それが、機器の方にいろいろなデータ解析をしたりとか受信をしたりする機能があれば、よりプラスアルファの機能というものができるのではないかなというふうに思っております。

 例えば、先ほど、データを常時やりとりしているということがありますけれども、この方、ちょっと血圧がふだんより高いなとかそういった異常事態を、例えば、睡眠中に何か数値が危なくなってしまったとかそういうことがあっても、ナースコールを押すことなくナースあるいは夜勤のスタッフに伝わっていくとか、こういうこともあり得ると思います。

 もうちょっと先に行ったときに考えられることとしては、例えばICチップだとかなんとかが加速度を計測して何かの機器と連動できれば、転倒の防止はできないにしても、転倒したときのショックを和らげるような、例えば、施設内での床との接触を避けるためのエアバッグが出てきたりとか、あるいは一時的にかたい床がやわらかいクッションみたいな形の、何か材質みたいなものが変わるような、そんなものが発明で出てくればいいかなと思いますけれども、そういった、機器と連動することによって、より安全な介護の現場の環境というものがつくれるのではないかなというふうに思っております。

 うちの施設もヒヤリ・ハットとか事故の報告を受けますけれども、やはり、一番多いのは、転倒が一番多いと。どうしても、皆さん、足腰が弱くなって、もちろん、つえを使ったり歩行器を使ったりはするんですけれども、どうしても、ベッドの乗りおりであるとか車椅子の移乗であるとか、そういうときにやはり非常にリスクが高いということもありますので、こういったものとの連携を一層進めていくべきではないかなと思いますけれども、御見解を伺えればなと思います。

諏訪園政府参考人 御指摘のような、例えば転倒の防止、あるいは転倒の事前予測、あるいは転倒の被害を軽減するための装置につきましては、日本だけではなくて、海外も含めて、いろいろな方が研究開発をされているというふうに承知しております。

 こうした新しいテクノロジーを介護現場へ普及していくためにも、現場の理解を得て、効果的な技術導入を促進するのが重要ではないかと考えているところでございます。

 こうしたことから、厚生労働省といたしましては、令和二年度以降、開発を希望される企業などに対しまして、試行、実証の場を有する施設、我々はリビングラボと呼んでおりますが、そうしたところで、専門的な助言を受けながらの実証をする実証フィールドを提供する。そして、介護現場で安全性の確認や効果の検証を行う大規模な実証を一体的に提供する予定でございます。

 そういった仕組みも積極的に活用しながら、新しいテクノロジーが安全に介護現場に導入されるよう、取組を進めていきたいというように考えております。

    〔委員長退席、池田(道)委員長代理着席〕

森田委員 ありがとうございました。

 それで、やはり、こういった機器をいざ導入するとなると、二の足を踏んでしまう事業者が多いというふうに思います。これは、一つはやはりお金が大変かかるということで、一つの例ですけれども、いろいろなセンサーだとかナースコールだとか端末だとかを合わせて、六十部屋のホームで約二千五百万、導入費用がかかるというような、一つの見積りもございます。

 やはり、こういうものを進めていくには、日ごろの配置の基準であったりだとか加算だとか、こういうところで見ていかないと、なかなか、特に中小規模の事業者は導入が難しいんじゃないかなと思いますけれども、これは将来のことだと思っておりますので、小島政務官からお答えいただきたいと思います。

小島大臣政務官 お答えいたします。

 先ほどから、森田委員のさまざまな御指摘、全くでございます。

 生産年齢人口が減少いたしまして、一方において、介護ニーズがますます増大しております。そういう中で、今後も介護現場が機能を維持し、さらなるサービスの質の向上を図っていくためには、すぐれたテクノロジーを導入していくことが重要であると考えております。

 令和二年度におきましては、介護ロボットに関する導入効果を実証する事業を実施することといたしております。また、本年度以降、開発を希望する企業等に対しましては、試行的な実証ができるフィールドや、あるいはデータの蓄積を目指した複数の介護現場である大規模実証の場を一体的に提供する仕組みを構築する考えでございます。

 こういった取組を通じまして、今後、十分な効果が示されれば、介護報酬や人員基準上の適切な評価を検討してまいりたい、このように考えております。

森田委員 時間の関係がございますので、最後に大臣にお尋ねをしていきたいと思いますけれども、いろいろ今の制度でもやれることもあると思いますし、やはり、今の制度だと、なかなか一歩踏み込んだ制度というのはやりづらいというところもあるんだろうというふうに思っております。

 私は、介護というのは、究極的には、やはり、その方その方の状況、環境に全て応じたオーダーメードをやるべきだと思っておりまして、そういった意味では、国が一律の基準をつくって一律の介護をやるのは、これはもう大変大きな問題があるというふうに思っておりますので、どんどん小さな単位におろしていくべきだと思っております。

 本来ならば、そうやってオーダーメードでやるべきところを、やはり、一つの場所を区切ったところで、どんどん先進的なことをやってみるという意味では、こういった制度をどんどん活用していくべきではないかなと思っております。

 介護分野ということについて、この制度との関係について、どのように取り組んでいくお考えか、大臣から答弁をお願いします。

北村国務大臣 スーパーシティー構想は、AIやビッグデータなど世界最先端の技術を活用して、住民が住みたいと思い、また、よりよい未来の社会また生活を包括的に先行実現しようとするものでございますから、その実現に向けた取組の中でも、ただいま厚生労働省からも御説明がございましたとおり、介護分野における最先端技術の導入は、ニーズが極めて高く、大きな意義があると認識しています。

 介護分野における最先端技術としては、委員御指摘のものも含め、ロボットや見守りセンサー、さまざまなものがあり、それらの導入のための必要な規制改革も含めて、スーパーシティー構想の実現に当たっては、しっかりと取り組んでいくことは重要であると考えております。

 現在、各地域からの御相談を承っているところであり、委員から頂戴いたしました御提案につきましても、その具体化に当たって大いに参考にさせていただきたいと思っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

森田委員 ありがとうございました。

 誰か特定の利益のためにやるものでは当然ないわけでございまして、先ほど出てきた、裾野が広い、今後の展開が見込めるような事業を、制度をやるのであれば、ぜひその中に注ぎ込んでいただき、また選考の過程もぜひ見ていただきたいなというふうに思っております。

 介護というのは本当に裾野が広く、関係する方も多いものですから、ぜひ、これを一つの先進的な事例として、かつ私たちの生活が豊かに送れるような形で、こういった制度もやるのであれば生かしていただきたいな、そういう期待も込めて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

池田(道)委員長代理 次に、清水忠史君。

清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。

 新型コロナウイルス感染症が拡大し、この後、政府により緊急事態宣言が発出されるという極めて緊迫した状況のもとでの委員会質疑となりました。

 地方創生ということを考えたときに、こういうときこそ、やはり地方での雇用の維持、確保、とても大事だと私は思うんですね。

 実は、北村誠吾大臣の地元、長崎県佐世保市のハウステンボスで、この間、新型コロナウイルスの影響がありまして臨時休園するなどの業務縮小が行われ、派遣労働者四十名のうち数十人が契約を打ち切られた、あわせて、住んでいた寮も出ていきなさいと通知をされた、このように報道されているんですね。

 北村大臣は、このハウステンボスでの派遣切りの実態を把握されていますか。

北村国務大臣 そのような報道があったことは承知いたしております。

清水委員 承知しているということですけれども、これは地元で、リーマン・ショックのときにも派遣切りというのがありまして、派遣村というのもできましたよね、多くの労働者が本当に路頭に迷う。今、把握しているというふうにおっしゃったので、そのことについてどのように思われましたか。みずからの地元で派遣切りが発生した、このことについてどのように思われましたか。

北村国務大臣 今般の新型コロナウイルス感染症の影響によって、観光業や宿泊、飲食業を始め、さまざまな業種、さまざまな地域で経済活動に大きな影響が生じており、現在、政府一丸となって、今までにない経済対策の検討を進めてまいっております。全ての地域における経済社会活動の維持に向けた取組を支援し、国民が一致団結してまずはこの難局を乗り越えることが重要であると認識します。

 その上で、新型コロナウイルス感染症が終息し、経済社会活動が平常化する局面においては、それぞれの地域において、若年層から女性、高齢者までの全ての人々がそれぞれのライフスタイルに合った安心した働き方、自分の力を発揮できる雇用をつくり出すことが必要であると考えております。

 このため、第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略にある地域企業の生産性の向上や安心して働ける就業環境の確保などに全力で取り組んでいかなければならない。また、大きな打撃を受けている地域経済の大変厳しい状況に思いをいたし、地方三団体からの御要望も踏まえ、緊急経済対策の取りまとめなどに向けて、私としても最大限の努力を更にしてまいらなきゃならぬと考えておるところであります。

 お取り上げをいただきました私の地元のハウステンボスにつきましても、今申し上げましたように、やはり雇用を回復することができる局面というものが来たときにそれに即応できるような体制になるように、何とか、今苦しんでおられる現場の皆さん方に対して、緊急経済対策によってある程度、知事さん方の御要望等にも地方三団体の要望として思いが込められて来ておりますから、そういったものの手当て、資金的な手当て、財源的な手当てもこれから発表があろうと思いますから、そういうものをリーマン・ショックの後の対応よりも更に大きくということで臨んでおりますので、ぜひ御活用いただいて踏ん張ってほしいなと思っております。

    〔池田(道)委員長代理退席、委員長着席〕

清水委員 いろいろ経済対策をしっかりやるんだというお話でございましたが、ただ、派遣切りに遭って寮を追い出された人は、新型コロナウイルスの感染拡大が終息するまで待つというわけにはいかないんですよね、寮を追い出されちゃいますから。

 二〇〇八年のリーマン・ショックの派遣切りのときも、職と住まいを同時に失うという事態が起きました。先ほども言いましたけれども、派遣村が全国各地でつくられたということですが、このハウステンボスの派遣切りは、仕事を失うと同時に、繰り返し申し上げますが、寮を出ていかないといけないわけです。

 この寮からの追い出しということに対して、政府はどのような対策ができるんでしょうか。これは個別のことで答えられないということであれば一般的なことでもいいんですが、派遣切りに遭って寮を追い出される、この人たちの住まいをどう確保するか、答えていただけますか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば一例でございますが、現在調整中の経済対策の中で、そうした地域の現状に合わせて柔軟に対策が打てるような臨時の財源というようなものを自治体の方に手当てができないかというところで調整しているところでございます。

 こういった経済対策の中での財源も踏まえながら、ぜひ自治体に現場を見ていただいて、特に必要だと思われるところに柔軟に対策を打っていただく、例えばこういったようなことを経済対策の中でも検討し、調整をしているという最中でございます。

清水委員 今調整しているということですけれども、今すぐ使えるメニューというのはないんでしょうか。厚生労働省さんにもきょう来ていただいておりますので、答弁をお願いします。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 まず大前提としましては、やはり、このような状況のもとではございますが、できる限り雇用を維持していただくことが何よりでございます。

 こういった観点からは、厚生労働省としましては、事業主の皆様の雇用維持の努力を一層強力に支援していくという観点から、経済団体に対する雇用維持への配慮の要請を行いましたり、また雇用調整助成金の特例措置を講じております。

 また、総理から、雇用調整助成金の助成率については、解雇等を行わず、雇用を維持する企業に対して、正規、非正規にかかわらず、中小企業九〇%、大企業七五%という方針を示されておりまして、この具体化の準備を進めているところでございます。

 またさらに、雇用維持以外の対策としまして、全国の労働局等に設置した特別労働相談窓口におきまして労働者からの解雇などに関する相談対応をしましたり、また、就職支援のほか、住居、生活支援を必要とする求職者の方に対して、地方公共団体と連携をしまして、ハローワークで相談支援ができるような体制を整備するといったことも現在進めているところでございまして、こういったことによりましてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

清水委員 厚労省さんに確認したいんですけれども、離職等により経済的に困窮して住居を失うとか、またそのおそれがあるという人に対して、住居確保給付のために制度があるというふうに思うんですが、それについて簡単に説明していただけませんか。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 生活者自立支援法に基づく住居確保給付金というものがございまして、離職、廃業により経済的に困窮し、住居を失うおそれがある方などに対し、求職活動等を要件として家賃等相当額を支給することにより、安定した居住の確保と就労による自立を図るという制度がございます。

 この制度におきましては、受給者の居住の安定を確保する必要があるため、借地借家法に基づく賃貸借契約による住居を確保する場合に対して支給するということとしております。

 社員寮等においてこうした賃貸借契約を締結していない事例もあり、こうした場合、対象外となる可能性がある場合もあるわけでございますけれども、そうした場合も含めまして、全国に設置されております自立相談機関において、仕事や家計の問題、新しい住居への転居の支援などについて幅広く相談を受けとめて、本人に寄り添った支援を行っていく所存でございます。

清水委員 今、住居確保給付金があるということの説明でした。例えば東京や大阪の場合は、一カ月当たり、単身世帯で五万三千七百円、二人世帯で六万四千円、これは貸付けではなく給付ですから、住宅確保のために非常に重要な政策だと思うんです。

 今、答弁の中に、いわゆる賃貸借契約云々というお話がありました。今回のハウステンボスの例でいいますと、いわゆる会社の寮に入っていたわけで、雇用契約が切られたことと同時に寮を追い出されたと。こういう方々が引き続きその寮に住むに当たり、この住居確保給付金というのは使えないんでしょうか。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の例についての当てはめはちょっとお答えを控えさせていただきますけれども、制度といたしましては、雇用者、企業側と労働者との間での契約が、住まいを無償又は低廉な使用料で提供するケースと、労働者と賃貸借契約を結んで提供するケースとございます。

 住居確保給付金につきましては、安定した住居を確保するという観点から、賃貸借契約を締結している場合に支給をするという制度となっているところでございます。

清水委員 つまり、賃貸借契約がないと住居確保給付金は使えないという答弁だったと思います。

 例えば、リーマン・ショックの後ですが、時限措置なんですけれども、離職者住居支援給付金というのが創設されました。これは、対象労働者が離職前から住んでいた住居に原則無償で離職後も継続して居住させること、それを要件に、事業主に対して一人当たり四万円から六万円が六カ月間支払われるという制度なんですね。これは、遡及措置も認め、行われてきたものであります。

 住居確保給付金との違いは、事業所への支援になるんです。先ほどの住居確保給付金というのは、離職者本人への支給金、給付金ということとの違いですよね。

 つまり、リーマン・ショック同様、今回の新型コロナ感染拡大のもとで派遣切りや雇用の雇いどめが実際に起こっているわけなんですよね。先ほど北村大臣の答弁にも、今までにはない対策でというふうにお言葉があったと思うんですよ、力強いお言葉が。実は、この離職者住居支援給付金というのは、今までにもあったんですよね。リーマン・ショックのときに時限措置でつくったんですよね。

 ですから、これは厚労省さんに尋ねたいんですけれども、今回、緊急経済対策も含めて、やはりリーマン・ショックと同様に雇用の雇いどめや派遣切りなどが起こっているもとで、今までにあった離職者住居支援給付金というのを復活させる、時限措置で適用させる、こういうお考えはございませんか。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の離職者住居支援給付金でございますが、これは、おっしゃるとおり、リーマン・ショックにおける対応の過程の中で創設をしたものでございます。

 当時は、住宅確保に関する支援措置が十分整っていない時期が初期ございまして、そのときに事業主経由の住宅支援ということで創設したものでございますが、その後、リーマン・ショックへの対応を進展させていく中で、離職者の方に直接支援をする、個々の離職者の方の状況に応じて寄り添って支援をしていくような制度が整備をされてきたということを踏まえまして、平成二十一年度をもって、それらの制度にいわば役割を引き継ぐような形で廃止をしたものでございます。

 今回、御指摘のような事例に対しましては、先ほども御答弁を申し上げました全国千三百カ所の自立相談支援機関などを通じまして、住宅確保給付金を始めとして、家計、仕事、生活上の困り事などについて幅広く相談を受け、寄り添った支援に努めてまいりたいと考えております。

清水委員 私から説明しますと、住居確保給付金というのは、繰り返し申し上げますけれども、離職者個人への給付なんですよね。ですから、派遣切りで寮まで追い出されるというときに、賃貸借契約があれば住居確保給付金が活用できる可能性があるので、例えば、派遣元や派遣先に、住んでいる寮にそのまま住ませてほしい、仕事は切られるが賃貸借契約を結んでくれといった場合、これはインセンティブが働かないんですよ。ところが、事業主経由、つまり、離職者住居支援給付金の場合は、事業主に直接支払われるというインセンティブが働くんですね。

 これは実績を調べましたら、私の知る範囲なんですけれども、二〇〇九年の二月六日に創設し、三月十七日までの約一カ月間で八十六件、千七百六十二人の労働者が、派遣労働のときの住居のまま、いわゆる派遣切りに遭っても、そのときの住居を確保したまま就職活動ができたということなんですね。

 自分で新しい住居を探して契約するのも、今はまだコロナが感染拡大していますから当然難しいですし、不安の中で住まいと職を探すことが困難なことはやはり明らかだと思うんですね。

 私は、何も住居確保給付金をやめろと言っているわけじゃないんです。それはそれでおいておいて、同時に、政府の大臣が、今までにない、それぐらいの決意で語られて、いやいや、今までにもあった離職者住居支援給付金も並列的に活用していく、そういう支援策に盛り込めばいいというふうに私は思うんです。

 この問題で大臣に伺いたいんですけれども、きのう、実は東京都の小池知事が、補正予算で、支援対策として、失業した人たちへの住居支援を盛り込むということを表明しました。これは大事なことだと思います。

 地方創生の視点からも、派遣切りに遭った労働者がやはり地方にとどまってもらえるようにすることが大切。だから、せっかくハウステンボスで働いていた若い人たちが、そのままやはり佐世保で働いていただく、長崎で働いていただくというのは大切じゃないですか。そういう点では、雇用を守るということとあわせて、安心して住み続けられる住まいの確保。まち・ひと・しごとと言いますけれども、そこで活躍する人の住まいというのは基本ですよね。

 この住宅確保のために、私はいろいろ制度の紹介もさせていただき、厚生労働省の方からも制度について説明いただきましたけれども、こういうことも含めて、先ほど、ハウステンボスの派遣切りについては、並々ならぬ決意で、今までにない対策も含めてということで万全の対応を期していきたいというふうに答弁されましたので、今の私の提案も含めて今後検討していただくということでお願いできませんか。

北村国務大臣 地方創生を推進していくためには、まず何といっても、感染拡大を防止して、一日も早く国民の不安の解消を図る、そして経済活動の急激な、今るるおっしゃられるような急速な縮小に伴って危機に瀕しておられる方々、すなわち、雇用と事業、そして国民生活を守ること、衣食住、生活を守ることが必要となる。

 さらに、感染の拡大が抑制され、社会的な不安が払拭された段階においては、国内の人の流れと町のにぎわいを取り戻すためにも日本経済を再び成長軌道へ回復させることが必要でありますから、今般、緊急経済対策を取りまとめ、あらゆる政策手段を総動員して必要な対策を実行していく。このことで、国と地方が一丸となってこの難局を乗り越えるんだ。

 そして、全国各地で新たな地方創生のステージに立てるように、創意と工夫、そしてそれぞれの地域の皆さん方が本当に求めること、こうあってほしい、こうありたい、そしてふるさとにとどまって生活をし、仕事をし、雇用を持続させ、事業を継続できる、そういうものをつくっていくための緊急経済対策ですから、リーマン・ショックの後の手当てに負けないように強大な手当てをしておりますから、これを御活用いただきたい、そのように存じております。

清水委員 リーマン・ショックに負けない手厚い支援というふうにおっしゃいましたので、そのときに、実績があるこの離職者住居支援給付金制度の復活について、政府の中でぜひ御議論いただきたいというふうに思います。

 次に、国家戦略特区法の一部改定案について質問をさせていただきます。

 初めに、スーパーシティーについてお伺いしたいんですね。このスーパーシティーというのは一言で言うとどういうものなのか、簡潔にわかりやすく教えてください。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 AI、ビッグデータなどの世界最先端の技術を活用し、大胆な規制改革を必要とするような複数のサービスを同時に実装し、未来の住みたき生活を前倒しで実現するものという性格のプロジェクトでございます。

清水委員 二〇一七年にカナダのトロント市が公募したウオーターフロントエリアの再開発を、グーグル系列のサイドウォーク・ラボ社が受託しました。そのサイドウォーク・トロントという住宅対応型スマートシティー構想では、いろいろ問題があって混乱したというふうに伺っております。

 先ほども少し御答弁なさいましたけれども、もう少し詳しく、どのような問題や混乱があったのか教えていただけないでしょうか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 一部午前中の説明と重なりますけれども、御指摘にあった会社さんの方が行政と連携をいたしまして、決められたエリアの中のありとあらゆる場所にセンサーを設置する、それで人や物の動きを把握する。それに応じて、例えば、公になっているところでいえば、車道と歩道を人の往来に合わせて柔軟に切りかえる、ごみ自動収集のシステムを備え付ける、どんどん木製のパネル等を置いて、いろいろな表示や、市民がタッチしやすいいろいろな易しい道具を身につけるといったようなことを検討しているということでございますが、結果的に、そのセンサーで収集された情報の利用の範囲の外延がよくわからない、若しくは、賛成、反対が分かれた状態の中でコミュニケーションが必ずしも上手にとれず、一時期は市役所の担当者の方もおやめになられるといったような、コミュニケーションの難しさによって現在調整が難航しているというように聞いております。

清水委員 そこがすごく気になるんですけれども、なぜ市の担当者はやめられたんですか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 公式に発表された理由はございませんので、あくまでも推測でございますが、実際には、賛成、反対も含めた市民の皆さんとのコミュニケーションのストレスと、会社さんとの間にも挟まれて、なかなかこの職責を果たすのは厳しいと御本人が判断されたのではないかと思われますということでございます。

清水委員 板挟みになったということだと思うんですね。

 今説明いただきましたように、交差点や道路など、人や物の流れが町の至るところにあるセンサーで把握される計画だと。自分たちの行動がセンサーなどでデータ化されたくないという人はその町には住めない、そういう批判もあったと聞いております。

 トロントで計画されていたこのスマートシティー構想では、そういった状況が発生する構想となっているんですか。つまり、その町に住めなくなる、そういうものなんですかね、カナダで言うところのスマートシティー構想というのは。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 正直、最新の調整状況がどうかというのは把握してございませんので、確たるものは申し上げられない面もございますが、もともとがリバーサイドの再開発プロジェクトで、かなりの程度住居者の方を大幅に入れかえる、若しくは、今トロントは、実は人口が、アメリカの入国制限もありまして増加してございますので、新規の方のための住居を提供するという方がメーンのプロジェクトかと聞いております。

 そういう意味では、入居希望者の方に条件への同意を求めるといったような部分もありますれば、もともと住んでいた方々も一部いらっしゃるということで、その辺は、必ずしも同意しなければそこには住めないというところまで差し迫ってやっているのかどうかは、申しわけございません、現状、確認できていないのが正直なところでございます。

清水委員 では、本法案について伺うんですけれども、この法案で言うところのスーパーシティー構想では、例えば、カナダのトロントと同様に、そこに住む人や物の移動に関して、流れに関して、本人の了解なくビッグデータとして収集されるということはあるんでしょうか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 一言で申し上げますと、個人情報保護の関連法規の規律に従って活動いたします。一部、これまでも議論がありましたとおり、まさに個人情報を個人データのまま収集する、利用するということでいえば、本人の同意がない状態で、法が認めない形態での利用や収集は行えないということであるというふうに思いますし、逆に言えば、匿名加工化等々をした状態でのマスデータとして活用するということでは使い得る状況もあると思いますし、それぞれの中身と法律の法規に照らして判断をさせていただくということではないかと思います。

清水委員 マスデータの場合は収集されることもあるということですので、データの性格によるということなんだと思うんですね。

 私も調べましたけれども、カナダの自由人権協会というところが去年三月十六日に訴訟を起こしているんですよね。カナダはグーグルの実験マウスではない、こう言って訴訟を起こしておられるわけです。

 つまり、データの性格によっては人や物の移動についてはデータが集積されるということですので、トロント市のスマートシティーと同じように、本法案で言うところのスーパーシティーについても、個人の生活情報が本人の同意もあるいは認識もなく収集される可能性がある、そういう問題はやはり出てくるのかなというふうに思いました。

 次に、技術的な観点で質問したいと思います。

 高市早苗総務大臣が、ことし三月三十一日の閣議決定後の記者会見でこう言いました。NTTドコモなどの事業者に対し、顧客の検索履歴や位置情報から収集した統計データの提供を要請する、ドコモやヤフーといった通信、インターネット関連の事業者に要請する、個人が特定されないよう加工した統計データを使い、新型コロナに関連した単語の検索がふえている地域や人が密集しやすい地域を割り出せるようにするというものでありますが、これは技術的にも個人情報保護の観点からもできるということなんでしょうか。お答えください。

竹村政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省では、去る三月三十一日に、内閣官房、厚生労働省、経済産業省との連名で、地域における人流ですとかクラスターの早期発見などの新型コロナウイルスの感染拡大防止に資する統計データの政府への提供をプラットフォーム事業者及び移動通信事業者に要請したところでございます。

 提供を要請したデータは、法令上の個人情報には該当しない統計情報などのデータに限定してございまして、具体的には、各事業者が保有するユーザーの移動やサービス利用履歴を統計的に集計、解析したデータなどの提供を想定してございます。

 実際にこうした統計データを活用してコロナウイルス感染症のクラスターの特定ができるかどうかという可能性につきましては、現時点においては関係者において研究している段階というふうに認識をしてございます。

清水委員 プラットフォーム事業者や移動通信事業者に対してそのような要請を出されたということは事実だと。同時に、感染拡大防止策のより効果的な実施につながることを期待したものだというふうにも要請文に書かれているわけですから、これはそういうことだと思うんですね。

 今でもそうした特定ができるということであれば、スーパーシティーになりますと、これまで以上の非識別情報を活用できるようになるんじゃないか。ビッグデータを集積し、データ連携基盤を使って、都市OSでさまざまな民間企業やあるいは公的機関に対してデータの提供を求めるということもできますし。

 ですから、今でもこうしたコロナ対策での感染拡大防止のための資料を得ることができるわけですから、より正確に特定のグループを割り出すことができる、これがやはりスーパーシティーの一つの効果というか効能というか技術というか、そういうものであるということは間違いないですか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 今ほど総務省さんからも御説明があったとおり、技術的に現時点で確立しているかどうかはともかくといたしまして、当然、将来に向けてのチャレンジがスーパーシティーの一つの大きな眼目でございますので、技術的な可能性としては当然一つの選択肢にはなるだろうと思います。

 ただ、同時に、そうした機能を有したスーパーシティーの構築を目指すかどうかは、それぞれの選定エリアの区域会議において十分に検討を重ね、住民の意向を確認した上で決めるべきものということでございまして、両面からすべきかどうかを決めるべき、このように理解をしてございます。

清水委員 技術的な問題ということでもう一度確認したいんですけれども、例えば、今回は新型コロナウイルス感染症拡大に関するデータを集めているわけですが、スーパーシティーでは、政治的志向や人種、宗教などによる特定グループなども割り出すことは、技術的にはできるできない、どちらでしょうか。技術的に。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 冒頭のこの一言が技術的かどうか、はかりかねるところもありますが、当然、本人から快く御提供、御協力をいただけない限り技術的に処理しようがございませんので、御本人の同意が前提であると思いますが、その上で、当然、個人からのデータを使ってもよいという提供があれば、物理的にはそれらをいろいろな形で整理したり活用したりすることは可能ではないかというふうに考えてございます。

清水委員 いやいや、今でも新型コロナウイルス感染症拡大防止のための統計データというのは、特に本人が同意しているとかそういうことではないわけですよ。これはプラットフォーム事業者や移動通信事業者に要請しているわけですから。

 そういう点では、同様に、個人情報かどうかはともかく、その識別データ、先ほどデータの種類によるという話もありましたけれども、技術的には、今私が申し上げましたような政治的志向や人種、宗教による特定グループなども統計データとしてつくるということは、これは本人の同意なしにはできるんじゃないんですか。できないんですか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 私が前提として申し上げたのは、データのインプットがないと処理しようがありませんというだけの趣旨でございまして、そういった原データが御協力いただいて収集できて、同意があるということであれば、当然、そのインプットのあったデータについては技術的には処理ができるということだと思います。

清水委員 インプットなどによりデータベースをつくるという場合もあるでしょうし、また、今回のように、通信事業者、プラットフォーム事業者に情報提供を求めてそうしたグループの特性を割り出すこともできるということはわかったと思うんです。

 ちょっと時間が来ましたので、最後に北村大臣に質問したいと思うんですね。

 先ほども言いましたけれども、カナダのトロントで、民間企業が個人情報を収集することに対して住民の方々が反発しているというお話をしましたが、今回の国家戦略特区法の一部改定案、スーパーシティー法案において、そうした不安を完全に払拭できると。つまり、地域の方々は、自分たちの個人情報を勝手に使うな、物の往来や、どこへ行ったかとか、どこを通ったかとか、自分たちは実験のネズミ、マウスじゃない、こう言って訴訟も起こす。こういうような不安が、今回、日本でこれから五つあたりの、選定をしてスーパーシティーをつくるということですけれども、そういうところでこういう問題というのは起きないでしょうかね。もし起きないというふうにお考えであるならば、その根拠についてもあわせてお聞かせいただけますでしょうか。

山口委員長 北村国務大臣、時間が来ていますので、簡潔にお願いします。

北村国務大臣 はい。

 スーパーシティー構想の実現に向けた制度の整備を盛り込んだこの法案は、かかわる全ての事業者に対して、これまでと変わることなく個人情報関係の法令の徹底遵守を求めることとなっております。

 したがいまして、この法案では、それぞれの先端的サービスがどのような形で個人データを収集し利用するかについて、それぞれのエリアの区域会議において区域計画を策定する段階で、住民の方々の意向をよく確認しながら、内閣府も加わって、地元自治体、事業者の方々とともに定めていくということとなるものでありますから、まずは住民にとって魅力のあるサービスを開発していくことが第一だと考えておりますし、その実現のために必要となる個人データの収集、活用については、一つ一つ丁寧に、住民の意向を聞きながら、確かめながら進んでまいりたい、そういう考え方で臨みます。

 以上です。

清水委員 時間が来ましたので終わりますが、まだまだ聞きたかったんですけれども、ひとつよろしくお願いします。

山口委員長 次に、藤田文武君。

藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。

 本日は、この後、緊急事態宣言の発出がなされるというようになっておりますので、非常に緊張感のある一日となったわけでありますけれども、このコロナの影響は、まずは長期化する、それから世界同時であるということで、非常に長い期間にわたって日本経済にも影響を与えていくということなんです。

 もちろん、足元の感染拡大を抑える、そして、生活の保障でしたり救済、そして事業者さんを、しっかりと資金繰りを支援して雇用を守っていくということはやらなければいけないことですが、我々政治家がやはり考えないといけないのは、アフターコロナ、そしてポストパンデミックの社会像を描いて、それに対する経済対策、合わせた経済対策、そして改革というものをやっていかなければいけないというふうに私は課題認識を持っております。

 これまで先送りにしてきた日本社会の課題というのがある種あらわになっているということが言えると思います。

 例えば、こうした感染症の拡大に法整備がなかなかついてきていない。例えば、補償と自粛要請、自粛命令とのセットでやるべきという議論、これはなかなか進みませんし、又は、この国会のあり方も、理事会でもいろいろ議論させていただきましたが、通常運転を続けているこの国会のあり方、やはりこれは考えないといけないという問題を突きつけられているものだと思います。

 それから、社会保障に関しても、もっとマイナンバーが口座とひもづいていたらスピーディーに補償できたんじゃないかということも与野党いろいろな先生方もおっしゃられていますし、そして、経済のあり方も、これまでのグローバル経済の危うさ、サプライチェーンが今分断されておりますから、そういったものも顕在化してきた。

 そして、この委員会でいいますと、やはり都市と地方の関係。特に今回、都心部、都市機能の脆弱性というのがあらわになりました。これは、いいこともたくさんありますが、こういった危機的状況に対して、感染拡大は、もちろん、今回、地域指定が出た七都府県はほとんど都心部ですから、都会ですから、特に私の地元の大阪も感染拡大が非常に進んでしまっている、こういう状況があります。

 ですから、やはり日本社会における都市機能と、それから地方のあり方というのを根本的に問い直さなければいけない、そういう問題を突きつけられていると私は認識しております。

 その中で、地方創生について質問をしたいと思います。

 この感染拡大によって、まさに、先ほど申し上げましたように、感染症に対する都市機能の弱さというのが顕在化したわけです。ポストパンデミック、アフターコロナの社会を描くときに、地方創生というのは、これまで考えられてきた常識を覆されることがたくさん今目の前に起こっています、その中で、これまで計画してきたものに、もう一度やはり一歩立ちどまって、地方創生の戦略の転換、価値観、発想の転換が必要じゃないかというふうに思います。

 これまでの、コロナを終息させて、そのまま、今の計画のまま地方創生の計画実施を進めていくのでいいのかどうかという根本的な問いなんですけれども、その点について大臣の御見解をお願いいたします。

北村国務大臣 東京圏におきましては、日本の総人口の約三割の三千七百万人が暮らしておられます。人口が集中しているこの状態で東京圏に巨大な災害などが発生した場合は、被害が大きくなることに加え、日本全体の国民生活や経済活動に大きな支障が生じると考えられます。

 したがって、このような被害を軽減する観点からも、東京圏への一極集中の是正が必要と認識しており、取組を強化していかなければならぬとかねがね考えております。

 このため、まち・ひと・しごとを創生するさまざまな施策を連携させながら、地方創生に総合的に取り組んでおりまして、地方の取組を一千億円規模の地方創生推進交付金で支援するなど、大胆な施策を進めてまいりました。

 さらに、今年度からは、企業版ふるさと納税を抜本的に拡充いたし、企業負担が最大九割軽減される仕組みとするなど、思い切った姿勢で地方の取組を応援していくこととしておりますし、今後とも、現場の皆様の声に真摯に耳を傾け、さまざまな地方創生の、すぐれた、それぞれの分野、地域における成果や現場のニーズ等を十分に酌み取り、さらなる地方創生施策の充実強化を図ってまいらなければいけないと存じますので、今委員御指摘のような考え方、視点、そういったもの、必ず全国において新たな芽が出てくる、また、視点、発想の転換、そういったものが、この苦しい状況を乗り越えた後に必ず芽が出てくるものと思いますので、力を合わせてみんなでチャレンジしていく必要があろうというふうに思います。

藤田委員 大臣、ありがとうございます。

 前向きな答弁だと受けとめたいですが、私が考えるに、じゃ、どうしたらいいのかということなんですが、これまでの、過去五年間の第一期の計画では、地方ではいろいろな芽が出てきたのは間違いないと思います。しかしながら、東京一極集中は進んだというのが、これが大きな総括だと思っているんですね。これを、例えば交付金の額を増額する、それを強力に推進するというのは、これは一つの手法としてはあると思うんですけれども、私は現状維持、微修正の策だと思うんです。

 この現状維持、微修正では立ち行かないぐらいの大きな出来事が私たちに転換を迫っている現実として、このコロナの件というのを私は受けとめたいというふうに思っていまして、一つは、お金をどんどんふやして支援を後押ししていくという発想と、もう一つは、やはり構造を変えないといけない。特に、私は、東京に集中している権限、権能をもっと分散させる、それを一つの起爆剤として、地方が自立しながら発展していくというモデルをもっとぜひやっていただきたい。

 きょうはなかなか答弁は難しいと思いますが、ぜひ、政策を練りに練り上げていらっしゃる皆さんに、官僚の皆さんにもお伝えしたいのは、やはり発想を転換しないと、このままの事業計画の枠組みの中でやるというのは、五年後、全く同じ結果を生んでしまうというふうに私は危機感を覚えていますので、地方創生の、今回のコロナを乗り越えるべき大きな山として、私たちは乗り越えていかなければいけないわけで、その後に起こるポストパンデミックの社会像は何たるかということをやはり構想しないといけないということをぜひ大臣にも考えていただきたいというふうに思います。

 そして、続いて、東京一極集中というのは、今回の新興感染症でもその脆弱性があらわになったわけですけれども、先日、三月の三十一日に報道が出ていまして、富士山の噴火のシミュレーションが報道されました。ニュースを見て私もびっくりしたんですけれども、富士山噴火と書いてあったので、噴火したのかと思ってびっくりしたんですけれども、よく読むと、そのシミュレーションが出されたわけです。

 宝永大噴火というのが一七〇七年にありましたが、それ以降、約三百年の間、噴火は起こっていませんけれども、もしこれと同規模の噴火が起これば、三時間で首都機能が停止する、鉄道、車の走行も麻痺、そして、水や食料も不足し、農作物にも影響が出て、停電も起こって、災害の廃棄物は東日本大震災の何十倍も出てくる。首都が、機能が麻痺するというのが現実に公式見解としてシミュレーションされているわけです。それから、近年ずっと言われています、今後三十年で七〇%の確率で首都直下型地震が起こり得ると。

 こういうリスクが各所でいろいろな切り口で言われている中、そして、今まさに、この感染症の中で一番危機に瀕しているのがこの東京、そして都心部である大阪。大都市圏が非常に苦しんでいる中で、都市機能、首都機能を一極集中しているという現状を本気で変えていかなければならないんじゃないか。

 だから、私は、地方創生の戦略にも、今回の危機をしっかりと書き込んで、そこで起こった事象をどのように新たな社会像に反映させていくのかという構想を、ぜひとも計画の時点で組み込むべきだ、計画し直すべきだというふうに思いますが、その点、いかがでしょうか。

菅家政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣の方から御答弁がございましたとおり、人口が集中している東京圏に巨大な災害などが発生しました場合には、被害が大きくなることに加えまして、日本全体の国民生活や経済活動に支障が生ずると考えられます。

 このため、第二期の総合戦略におきましては、東京圏への一極集中のリスクとして、人口減少、地域経済の縮小等に加えまして、東京圏に人が一極集中している状態では、首都直下地震などの巨大災害による直接的な被害が大きくなるだけではなく、日本経済、社会全体が大きなダメージを受けることとなるとの認識を示した上で、東京圏への一極集中の是正を目指すとの方針を示しているところでございます。

 今後の総合戦略の改定におきましても、委員御指摘の観点も念頭に置きながら、東京圏への一極集中の是正に必要な検討を進めてまいりたいと考えております。

藤田委員 これは東京圏選出の先生方はなかなか言いにくいことかと思うんですが、やはり東京圏の権限というのをばらしていく、ある種、とり方によっては東京を弱めていくということかもしれませんが、でも、それでも社会全体が上がればいいわけですから、そういう観点も含めて、これは政治的意思の話になると思うので、ぜひ考えていただきたいというふうに思います。

 続きまして、スーパーシティー構想についてお聞きしたいと思います。

 私は、このスーパーシティー構想は、今、前段お話しした、新しい社会像を描いていくという中の一つの要素として非常によい企画であるというふうに受けとめていますし、これについては賛同する立場であります。

 その中で、やはり公平性、公正性というものをしっかりと担保して進めていかなければならないというのが私の一番の問題意識であります。

 まず、今、各地から候補の自治体がアイデアを、手を挙げておりますけれども、その中で、限られた、五、六個ですかね、五、六個か七、八個ぐらいの自治体を選定して、内閣府の方も入って区域会議でしっかりともんでいくというようなことが言われておりますけれども、まずこの地域の選定というのはどのような基準で行われ、そしてまた、この公正性、公平性をどのように担保されるのか、お聞きしたいと思います。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 スーパーシティーエリアの選定に当たっては、本法案の成立、施行後、速やかに国家戦略特別区域基本方針の改正の閣議決定を行い、その中でスーパーシティーの選定基準などを定める。

 具体的には、抽象的な要素としては、住民目線により解決すべき地域の社会的課題、これをはっきりしていただく。その解決に必要な先端的サービスと技術、その実現に必要な規制改革、それの実現を推進するリーダーや実施体制、要素としてはこういったものを網羅していただくことを前提に、基本方針に定めるスーパーシティーの選定に関する要件、これを要件化して書く。それから、できれば、可能な限り定量的な指標を用いるということでの客観的な評価を行う。さらに、その選定候補については、特区諮問会議など、有識者などの第三者が加わったオープンな場に、決める前に必ず諮るといったようなプロセスを通すことによって、公平性、公正性を確保しながら進めてまいりたい。最終的には政令により指定をする、こういう作業になります。

藤田委員 プロセスの透明性は、非常にこの公正性を担保する上で重要だと思いますので、ぜひ徹底していただきたいと思います。

 それから、関連で、区域会議を立ち上げて、そこでもんでいくわけですけれども、そこの区域会議には既に事業者が入って企画を練り上げるという形になっていると思いますが、参加する事業者の選定について、外形的公正性をどう担保するかということが一つ課題としてあると思います。

 この国家戦略特区は、他党の、野党の先生方がこれまでたくさん追及してきましたし、ありきの企画じゃないかとかということもありますし、例えばIRでも、昨年の末から現ナマが飛び交って、ポケットに入れただの入れないなどというようなことがありました。そういうことをやはり排除しないといけないし、そういうくだらない議論でこの国家戦略特区を潰してしまってはいけないというふうに私は思うわけです。ですから、厳しいルールをやはり設定して、公正性を担保していくというのをやるべきだというふうに思います。

 例えばIRでいうと、大阪は、事業者の接触ルールを、非常に厳しいルールを先駆けてやって、国交大臣も、IRの事業者との接触ルールに関しては、今般の不祥事もありましたことから、前向きに厳しいルールの設定に動くということを言われておりますが、事業者の、例えば行政側、それから政治家の接触ルールを私は定めてもよいのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、現状でございますが、現在はまだ法令の制定にも至っていない段階であるため、アイデアを募り、アイデアについて意見交換を行うという形で、実際には自治体の中に、事業者の方も御一緒に相談に加わる方もいらっしゃいます。

 ただ、これにつきましても、制度的な所作ではないとはいえ、ホームページに公募の旨を記載し、随時受け付けるということで連絡先を書かせていただき、やりたいと言われた方には全てお応えをしてやらせていただいているというような形をとらせていただいております。

 なお、実際に制度が動きますれば、先ほどお尋ねにありました区域会議の構成員の公募につきましては、法令の七条二項に公募によると、七条七項に、その庶務は内閣府で行うと書いてございまして、その規定をもとに、経緯を引きずっている自治体ではなくて、内閣府の方でやらせていただくということでございます。

 実際に、IRの場合は、法令に基づく事業者の選定プロセスがあった上で、次の段階でエリアの選定をするという法定プロセスになってございますが、特区の場合は、先にエリアの選定があった後、そのエリアを構成する事業者を公募により選ぶというところは、若干順番が違う仕組みになってございますので、エリアを選ぶ前の段階は、先ほどの繰り返しになりますが、自治体の中の所作ということになるので、なかなか国からああせいこうせいと言えないところはあるわけではございますけれども、大阪でつくられたようなルールも参考にしながら、極力、接触機会は、法定されているものであってもなくても、必ず透明にやるようにきちっと心がけて、実際の選定のときにも、客観できる要素があれば、基本方針等にしっかり定めてまいりたい、このように考えてございます。

藤田委員 この議論はすごい重要だと思っていまして、これは抑止力になると思うんですね。本当に下心のある行政側だったり議員がいないとも限らないわけですから、そういうことを抑止して、しっかりと透明性を担保した上で進めていくべきところを進めていく。不祥事追及と国家戦略というのは別次元の話ですから、それをいかに排除してきれいにしていくかということは、ぜひとも関係各所でもんでいただきたいというふうに思います。

 それから、住民合意についてお聞きしたいと思います。

 この対象範囲はどのような方法が想定されているかということなんですが、これは、政治家の皆さんはよくおわかりになるかと思うんですが、小さい市町村ほど、人口規模の小さいところほど、例えば統廃合とかが選挙の争点になったりして、かなり投票に影響が出てくるということが身近でも起こるわけですけれども、実際に住民合意のとり方によっては政局に使われてしまうというのが、これは非常に可能性としては想定されることがありまして、この住民合意をどのように適切に得ていくかというのは、これは非常に重要な要素だと思います。

 これについてお考えがあればお聞かせください。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 大きくは二つあると思ってございまして、一つは、いずれにせよ、基本構想を申請させていただくという段階では、法令に基づいて住民の意向の確認を行う。これにつきましては、対象となる事業の性格に応じて、事業者中心のものもあれば、例えば個人情報を直接取り扱うものであれば、個人の同意を直接取り付けるような形で行う等々、事業の内容と、それに類似する法令が求めている合意のプロセスを参照しながら、区域会議でやり方を選択していくということでございます。

 ただ、これは、認定を申請する前の最終段階での意向の確認、かつ、それ自身が何か公的な強制力を持つということではないということでございますので、基本形は、やはり日ごろ運用いたします区域会議の中で、住民の方をどうやって巻き込むかという御指摘もいただきましたけれども、しっかりと関係者の意向を踏まえた上で、日ごろのオペレーションをしていくという中で、住民満足度の向上を図れるようなスーパーシティーになっているかどうか、ここを中心にしっかりと運用していくことが肝要かというように考えてございます。

藤田委員 ありがとうございます。

 世の中には、技術的には達成可能だけれども、今の社会構造の中では、例えば規制があったり、住民の同意が得られないからなかなか前に進まないということがたくさんあるわけですけれども、このスーパーシティー構想はそれを乗り越えようという意図で企画されているものですから、世界のテクノロジー競争に勝つという観点もそうだし、先ほど、前段申し上げました、新しい社会像を日本がつくっていくということを両輪に掲げるのであれば、非常に繊細に、そしてしっかりと透明性を確保した上で進めていく制度をやはり構築していくべきだというふうに私は思います。

 その中で、テクノロジーの社会実装を実際に進めていくということにおいては、これは非常に重要なことですが、事業計画が承認されて、実際にそれを進めましょうという段階になった場合に、やはり予期せぬことが起こってくると思います。

 先ほど他党の先生もおっしゃられていましたが、アメリカでのグーグルの問題、やはり、住民からの反発だったりそういうものももちろん想定されますし、実際に計画が通った後が本当の勝負ですから、これをどうフォローしていくかというのは、非常に重要な、これから予見される課題であると思います。

 この計画の実現で、実際に実現フェーズに入ったときの政府側のフォロー体制についてお聞かせいただけたらと思います。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 区域会議の役割は、当初の基本構想を提出しておしまいではなく、その後、区域計画で定めた内容の実施状況の確認でありますとか、特にスーパーシティーの場合は、また、やりながらどんどん内容がバージョンアップしていくということもあろうかと思います。そうなりますと、やはり区域計画、基本構想の改定という作業をしていくことになりますので、そうしますと、また、その都度住民の意向を確認しながらといったようなことで進めていくこととなります。

 また、法令に基づいて年に一度はしっかりと区域計画の事業の進捗評価も、これは法律上、やらねばならないということで、これも区域会議の業務とされております。

 このように、区域会議が事実上のコントロールタワーとなって、しっかりと事業の進捗や成果について管理をしながら次を考える、こういったような運用が肝要かというふうに考えてございます。

藤田委員 スーパーシティー構想も、この丸ごと未来都市は、日本の新しいテクノロジーを開花させる、物すごい、すばらしい構想だと私は受けとめているので、ぜひともその足を引っ張るような要素をできるだけ除外して、透明性を確保しながら進めていただきたいというふうに思います。

 きょうは、時間が早いですけれども、これで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山口委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十六分散会


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