衆議院

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第4号 令和4年3月16日(水曜日)

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令和四年三月十六日(水曜日)

    午後二時四十分開議

 出席委員

   委員長 石田 真敏君

   理事 小林 茂樹君 理事 坂本 哲志君

   理事 谷川 弥一君 理事 永岡 桂子君

   理事 白石 洋一君 理事 福田 昭夫君

   理事 守島  正君 理事 輿水 恵一君

      井原  巧君    今枝宗一郎君

      今村 雅弘君    国定 勇人君

      小泉 龍司君    小島 敏文君

      小森 卓郎君    斎藤 洋明君

      田野瀬太道君    谷川 とむ君

      塚田 一郎君    中川 郁子君

      中野 英幸君    野中  厚君

      藤丸  敏君    宮路 拓馬君

      保岡 宏武君    吉川  赳君

      和田 義明君    若林 健太君

      おおつき紅葉君    坂本祐之輔君

      田嶋  要君    堤 かなめ君

      緑川 貴士君    森田 俊和君

      阿部  司君    沢田  良君

      住吉 寛紀君    中川 宏昌君

      福重 隆浩君    西岡 秀子君

      高橋千鶴子君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)     野田 聖子君

   内閣府副大臣       赤池 誠章君

   文部科学副大臣      池田 佳隆君

   内閣府大臣政務官     宮路 拓馬君

   総務大臣政務官      鳩山 二郎君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        三浦  聡君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           荻澤  滋君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           森田 正信君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 白石 隆夫君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十六日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     塚田 一郎君

  土屋 品子君     小泉 龍司君

同日

 辞任         補欠選任

  小泉 龍司君     若林 健太君

  塚田 一郎君     今枝宗一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  若林 健太君     土屋 品子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第二七号)


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     ――――◇―――――

石田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、構造改革特別区域法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府地方創生推進事務局審議官三浦聡君、消防庁国民保護・防災部長荻澤滋君、文部科学省大臣官房審議官森田正信君、環境省大臣官房審議官白石隆夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。斎藤洋明君。

斎藤(洋)委員 自由民主党の斎藤洋明です。

 貴重な質問の機会をいただきましたことを感謝申し上げます。

 時間が少ない関係で、早速質問に入らせていただきます。

 今回の構造改革特別区域法の一部を改正する法律案に関連しまして、三つの観点からお伺いしたいと思います。

 まず第一に、大学への編入学資格の対象への職業能力開発短期大学校の追加に関連して、二問お尋ねをしたいと思います。

 まず第一に、本改正におきましては、編入学先の大学、それと編入学の元となりますいわゆる職能短大は同一区域内ということになっております。この趣旨はどういうことでしょうか。

赤池副大臣 斎藤委員にお答えをいたします。

 本特例は、大学と職業能力開発短期大学校が連携して地域産業を担う高度人材の育成を可能とするため、同一区域内に限定して、職業能力開発短期大学校から大学への編入学を認めるものであります。

 御承知のとおり、職業能力開発短期大学校は、根拠法としては職業能力開発促進法という形で、大学は教育基本法、学校教育法ということであります。そういう面では、所管と法律が違うというだけではなく、それぞれの法律に基づく目的というものが違ってくるということになるわけでありまして、そういう面では、職業能力開発短期大学校が学校教育法上の規律下にないということで、大学での教育の質の確保の観点から、職業能力開発大学校における教育が大学における学修と同等以上であるということを確認することが必要であるということであります。

 このため、まず特区制度の下で、地方公共団体からの申請に基づき、一定の要件を満たす職業能力開発短期大学校について編入学を認めるということとしたところでございます。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。趣旨は大変よく分かりました。

 その上で、今回、熊本県及び長野県からの要望ということでありますけれども、例えば、私の地元にも職能短大はございますけれども、同一市の中で申しますと、文系の単科大学しかないものですから、もしこれを提案しようと思っても、市の単位ではできなかったということもあります。

 職業生活の中でも、今、転勤をされる方も多い。職能短大からストレートに大学進学を希望される方だけではなくて、何年間か職業生活を経た上で進学を希望される方も出てくる可能性もあると思います。そういう方は、例えば勤務地先がそのときに同一区域内とは限らないという話も出てこようかと思います。これはもちろん、特区での取組ですので、まずは検証ということだと思いますが、同一区域内に限られないニーズもしっかり把握していっていただきたいと思います。

 続けてお伺いいたします。

 この取組の中でどのような成果が具体的に上がれば、職能短大から大学への編入学を制度的に全国展開できるとお考えでしょうか。

赤池副大臣 斎藤委員にお答えをいたします。

 構造改革特区の規制の特例措置については、総理を含め全国務大臣をメンバーとする構造改革特別区域推進本部の下に設けられた、有識者で構成する評価・調査委員会がその実施状況を調査審議し、本部長に対して、全国展開が適当、特区において当分の間存続させるなどの評価意見を述べることとされております。

 今回新たに設けられる学校教育法の特例についても、当該特例が活用された後、一定期間後に、その実施状況、具体的には、何らかの弊害が生じていないかなどを確認し、弊害が生じていなければ全国展開につながっていくものと考えております。

 この辺が手続の問題でありまして、今回、熊本県それから長野県それぞれ、実は、熊本県の場合は、御承知のとおり、台湾のTSMCが入ってきて、そういった人材をしっかりつくりたいという地域の大きな盛り上がりの中で、大学であったり職業能力開発。それから、熊本大学の工学部の副工学部長がこの職業能力短期大学校の校長先生をやっていらっしゃる。長野県においても同様で、信大の工学部長が短期大学校の工学部長。そういう面では、非常に、実質的に連携しながら教育、人材育成をやっていくということが具体的であるということでありますから、制度をつくるだけでなくて、まさにその魂を込めるというところで、今回、実質的なところでありますから、全国展開をする場合においても、そのような観点から地域で具体的に御検討いただきたいと思います。

 以上です。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。是非よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、革新的な研究開発の社会実装のための施設整備等の推進ということで、国立大学法人の収益事業についての特例の扱いのことについて三点お伺いさせていただきます。

 まず、国立大学法人におきまして、国立大学法人法二十二条一項に定める本来目的以外の業務ができないこととしている趣旨について確認させてください。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 国立大学法人法は、独立行政法人制度に倣った形で創設されておりまして、法で定められた法人の目的を離れて業務等が膨張することがないようにするという独立行政法人制度に求められている枠組みの中で創設されていることから、御指摘のように、本来目的以外の業務ができない仕組みとなっております。

 したがいまして、国立大学法人においては収益を直接の目的とする事業を実施することはできないわけでございますが、しかしながら、大学の研究成果を活用した知的財産権収入を得ることなど、法に定められた業務を行う中で収益を伴うことは可能となっております。

 また、平成二十九年以降、国立大学法人法の改正によって、財源の多様化のため、土地の貸付け等を可能にする制度改正、これも行ってきているところでございます。

斎藤(洋)委員 国立大学法人の独法に準じた目的の範囲の決定という趣旨は理解しますが、その上で、高等教育を進める上では、各大学が財政基盤をしっかり確立していることが望ましいと思っております。私立大学は収益事業をもっと端的にできるわけですけれども、教育目的から逸脱はしないようにしていただいているわけでありますので、国立大学も運営費交付金については相当厳しい状況が続いておると理解しておりますので、是非、国立大学の財政基盤の強化につながるような取組については、本件以外についても御検討いただきたいと思います。

 関連しまして、今回の法改正では、革新的な研究開発に資するものについて例外的に認めるということですが、この革新的な研究開発の定義と、それに該当するか否かの判断というのはどなたが行うんでしょうか。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 この革新的な研究開発という言葉の意味でございますけれども、法令の中で定義文言があるわけではございませんけれども、これは、国立大学法人の土地等において行われるものであって、その土地等を円滑かつ迅速に貸し付けることがイノベーションの創出に資すると認められるものを特例の対象としております。

 特例においては、この革新的な研究開発に加えて、研究開発の成果を活用した新しい事業の創出、それから、研究開発の成果を活用した施設の整備を行おうとする者に対する貸付けも対象としております。

 具体的には、スタートアップ拠点の整備でございますとか再生可能エネルギー施設の整備など、革新的な研究開発の成果を活用した施設整備などを行う場合の活用を見込んでおります。

 判定につきましては、こうした内容が記載された区域計画について内閣総理大臣が認定を行うということになりますけれども、その際には、文部科学大臣の同意を得た上で、要件を満たすかどうかを個別に判断をしていくということになります。

斎藤(洋)委員 この革新的なということにつきましては、はやりの学問、今のはやりだけではなくて、将来革新的な研究成果につながり得るようなものがあれば、是非幅広に認めていただきたいと思います。

 済みません、もう一問通告をしておったんですが、時間の関係で割愛させていただきます。申し訳ありません。

 最後に、区域計画の認定を受けようとする地方公共団体等に対する援助に係る規定の追加が盛り込まれておりますので、その関連でお伺いいたします。

 これまで、構造改革特区法で認定を受けたけれども事業実施に至らなかった、あるいは、実施はできたんだけれども活動に広がりがなかったという事例は、どういったことが阻害要因になったと考えられますでしょうか。

宮路大臣政務官 各地方公共団体において特例措置を活用する場合には、特区の範囲、特定事業の内容、実施主体、開始の日などを記載した区域計画を策定、総理大臣宛てに申請し、その認定をもって活用可能となるところです。

 区域計画の認定後、事業実施に至らなかったものとしては、事業実施を予定していた事業者が例えば資金の手当てがつかなかったとか、様々な理由により事業実施が困難になった場合があります。

 また、活動に広がりが見られなかった理由としては、地域全体として特例を活用しようとする機運が高まらなかった場合などがこれまでにあります。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 まさに、やってみようということが特区法の趣旨だと思いますので、うまくいかなかったことが私は問題だとは思っておりません。

 その上で、そういった事業実施に至らなかった、あるいは実施はしたものの活動に広がりが見られなかったという事例については、成功事例を共有するのもすごく大事だと思うんですが、うまくいかなかった理由とか、例えば、過去に提案は受けたんだけれども認定に至らなかったとか、そういう事例の知識共有もすごく大事だと思っておりますので、是非その観点からもお取組をお願いしたいと思います。

 続きましてお伺いいたします。

 今回の改正によりまして新たに援助規定を設けることとしていただいておりますが、これによって改善は期待できると考えてよいでしょうか。

宮路大臣政務官 今回、御指摘の援助規定を設けることにより、地方公共団体に対する情報提供、相談支援を強化することとしております。

 今ほど委員が御指摘のあったとおり、成功事例もさることながら、失敗事例、これは何がいけなかったのかというのも内閣府において知見が集積しております。

 区域計画の認定を受けたもののなかなか取組が進まない地方公共団体を支援するため、特例を活用することで地域活性化が促進した好事例などを積極的に広報するとともに、今ほど申し上げました失敗事例から得られる教訓を課題を抱えている地方公共団体にしっかり伝えて支援してまいりたいと考えております。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 この失敗事例の共有ということにつきましては、例えば科学技術分野ですとヒヤリ・ハットですとか、あるいはJSTさんですと、かなり広範にまとめられた失敗事例集というものがあります。

 一方で、地方自治の分野で難しいのは、何か特定の個人であったり特定の団体の責任を追及するかのように取られてしまっては本末転倒なので、共有の仕方というのは難しい部分はあると思うんですが、可能な限り広く失敗事例というか教訓を共有できることが望ましいと思いますので、是非いろいろ御検討いただければと思います。

 次に、認定を受けようとする地方公共団体等への援助に当たっては、私、しばしば政治の現場で経験することですけれども、スタートラインのところでよく相談してくれればよかったのになと。物すごく大変な作業をされてから締切り直前になって御相談をいただいて、ちょっと方向性が違うかもしれませんねというような事例はやはりあります。もしも方向性が正しかったとしても、最初に相談してもらうとすごく効率がよかったんじゃないかなというような事例を多々お見受けします。

 そういう意味では、中身が詰まっていない早い段階でも前広に支援が受けられる、前広に支援を求めやすいという環境をつくることはすごく大事だと思うんですけれども、御見解をお伺いいたします。

宮路大臣政務官 御指摘のとおりでございまして、そうした考えから、今回の改正法案では、区域計画の認定を受けようとする地方公共団体の支援のため、区域計画の申請をしようとする地方公共団体からの相談に前広に応じて、そして必要な情報の提供及び助言を行うといったような趣旨の規定を新たに設けたところです。

 当該規定を踏まえまして、特例事業を活用したいという地方公共団体が円滑に区域計画を作成できるよう、地方公共団体に伴走した形で、そして、いわゆるプッシュ型でしっかり支援してまいりたいと考えております。

斎藤(洋)委員 ありがとうございます。

 以上で質問は終わりますが、内閣府地方創生推進事務局には、私の地元の自治体も実は最近大変お世話になりまして、非常に丁寧に対応いただいたということで、感謝をいただきました。是非皆さんによろしくお伝えください。

 質問は以上です。ありがとうございます。

石田委員長 次に、中川宏昌君。

中川(宏)委員 公明党の中川宏昌です。よろしくお願いいたします。

 今回、構造改革特区法の一部改正により、職業能力開発短期大学校から大学への編入学ができるようになりますが、私の地元の長野県におきましては、二つの短期大学校から大学への編入が令和七年からできるようになる予定であります。

 この二つの工科短期大学校は、優秀な人材が多く、なおかつ地元県内への就職率が九五%と非常に高くなっており、人手不足の県内企業にとりましては即戦力となり、大変に喜ばれておりますが、一方で、更に勉強し、専門知識を身につけたいという学生には、現行制度では編入学ができません。もし大学に行くとなりますと、更に四年間大学に行って学ぶことになりまして、進学が難しい状況になっております。

 この状況を変えようと、長野県としては、平成十五年に、編入学ができるよう、構造改革特区法での提案をしたところであります。多くのハードルがあったと思いますが、何とかクリアをして、今回の法律案の改正によりようやく実現となります。改めまして、関係の皆様に深く感謝を申し上げたいと思います。

 そこで、質問に入りますが、専修学校は平成十年に、高等学校専攻科は平成二十七年に、学校教育法の改正で編入学が可能となりましたが、職業能力開発短期大学校は職業能力開発促進法での設立であるため、今回の構造改革特区法による編入学の対応となったということでしょうか。短期大学校から大学への編入学をなぜこれまで認められなかったのか、まずこの点につきましてお伺いをいたしたいと思います。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 職業能力開発短期大学校から大学への編入学につきましては、地方公共団体からの御要望を受けまして中央教育審議会に御審議をお願いし、御指摘のとおり、根拠法が違うということもございまして、まずは、大学との間で教育内容の相当性を確認するための単位認定の実績、これを踏まえる必要があるということで、平成二十六年、まずは単位認定の対象とするという制度改正を行い、その一方で、編入学については、当時、引き続き検討課題とされたという経緯でございます。

中川(宏)委員 これは実現まではかなり時間を要したわけですけれども、一つの大きな要因としまして、今し方もお話ございましたが、単位認定の実績が少ないのが一つの理由だというふうに伺っております。

 文部科学省では、平成二十六年に、大学と職業能力開発短期大学校での六十単位の単位互換を可能とするよう制度改正をしまして、その単位認定の状況を踏まえて編入学を検討することにしましたが、実際にはその実績が上がらなかったようでありますが、この要因をどのように分析をしているのか、お伺いいたします。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 単位認定の実績が増えなかった理由につきまして、要望いただいた地方公共団体からお聞きしているところでは、大学の側からは、距離が離れた職業能力開発短期大学校の授業を履修することが難しいということ、また、職業能力開発短期大学校の方からは、編入学が認められていない現状では、大学に行こうとしますと一年生から入学せざるを得ないという、メリットが足りないということ、そういったことをお聞きしているところでございます。

中川(宏)委員 今回は特区法によって編入学が可能となりますけれども、先ほど斎藤議員の質疑の中で、今後全国展開というお話もあったところでありますけれども、今回の取組により単位認定の実績がしっかりと積み上がれば、将来、学校教育法の改正が可能となるのか。また、なるとすれば、短期大学校の修了生が学業で進む道の選択が増えることになりますけれども、この点についてお伺いをいたします。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 学校教育法を改正いたしまして職業能力開発短期大学校から大学への編入学を全国的に展開を行うということにつきましては、まずは今回の特区制度の実績をしっかり評価した上で検討することになるというふうに考えております。

 単位認定を通じて職業能力開発短期大学校における学修に大学での学修との同等性を一般的に認めることは可能かどうか、その実績を見た上で検討をすることになるというふうに考えております。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 平成から令和にかけての編入学受験者数の推移データを見ますと、平成十二年度に一万八千三十一人の受験者数がピークで、その後、徐々に減少傾向となり、令和二年度には短大、高専、大学からの受験者数は七千六百十九名であります。これは平成十二年度と比較しますと五七%減少しております。

 人口減少、とりわけ少子化が進む中で、大学への新たな道をつくることは、リカレント教育の推進や、子供たちがより高度な技術、専門性を持った人材に育っていくためにも重要であり、日本の未来にとって非常に大事なことと考えます。更に門戸が開かれますよう取り組んでいただきますよう、お願いをしたいと思います。

 次に、編入先の大学としての問題意識となりますけれども、短期大学校から編入される生徒さんがスムーズに授業や大学生活になじめるのか、また、経済面での課題はないかと心配をされているようであります。

 この点につきましても国として助言やサポートを是非していっていただきたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省といたしましては、編入学者だけに限るわけではございませんけれども、編入学者を始めとして、より学生から相談しやすい体制の構築、あるいは新入生始め学生生活に悩みや不安を抱えるような学生の把握、カウンセラーや医師等の専門家との連携等によるメンタルヘルスケアの取組、こういったことで学生に寄り添ったきめ細かな対応を行っていく、大変重要だと考えておりまして、そのような取組の充実を引き続き求めてまいりたいと考えております。

中川(宏)委員 今回の改正で、地元就職率が高い短期大学校の修了生が大学へ編入学することにより、高度、実践的な技術力に加え、研究開発力を培った人材や時代に適合する高度な開発力を身につけた人材の輩出で、地域産業の振興、また人口流出の抑制による地域全体の活性化につながっていくと思います。

 そこで、今後の話になると思いますが、この特区法の積極的な取組によりまして、産学官全体で地方の将来の人材、技術者を育成していくことが極めて大事だと思いますが、地方創生の観点から改めて御所見をお伺いしたいと思います。

赤池副大臣 中川委員にお答えをいたします。

 委員御指摘のように、地方創生を推進していくためには、その土台となる地域産業を担う人材の育成というのは本当に重要であるというふうに認識しているところであります。

 今回、職業能力開発短期大学校から大学への編入学を可能とする特例を設けることとしておりますが、この特例を活用することにより、高度な技術力と研究開発力やマネジメント力を兼ね備えた高度な人材の育成が可能になると考えております。

 具体的な要望は長野県及び熊本県からいただいているところでありますが、この特例の活用を検討する地方公共団体もあると考えますので、本改正案が成立をさせていただければ、しっかりと周知をしてまいりたいと存じます。

 委員、長野県のことはお地元ということで、先ほどからも御指摘いただいたとおりでありまして、斎藤委員のときにもお答えをいたしましたが、是非、地方創生を盛り上げるための人材育成として、地域にある人材育成の拠点機関を、法律の所管はもちろんありますけれども、やはり地域全体で検討いただいて、連携していただいて、更に盛り上げていただければなと考えている次第です。

中川(宏)委員 どうもありがとうございました。地方創生の一助となりますよう、お取組を是非ともお願いしたいと思います。

 それから次に、革新的な研究開発の社会実装のための施設整備等の推進でありますけれども、大学が所有する土地等の貸付けが認可制なのはどういったリスクに対しての制度なのか、お伺いいたします。

森田政府参考人 お答えを申し上げます。

 国立大学法人が所有する土地の貸付けを認可制としておりますのは、当該貸付けによって、教育研究活動の実施に支障が生じないようにするということ、法人の財産を毀損するおそれがないようにするということ、公益を損なうおそれがないようにするということ、こういったことを事前に確認する必要があるということからきているものでございます。

中川(宏)委員 技術革新は、今、目まぐるしいスピードで発展をしております。少し古い話でありますけれども、一九六五年にムーアの法則というのが示されました。これは、集積回路上のトランジスタ数は二年ごとに倍になるというものでありますけれども、今では、コンピューターの性能自体が指数関数的に技術革新されることに置き換えられると言われております。

 世界から遅れていると言われている日本の科学技術の発展のためにも、各大学がそれぞれに革新的な研究開発、あるいはそれによる新たな事業や、研究開発による成果を活用した施設の整備を機動的に行うには、認可制より届出制の方が有効と考えます。

 しかし一方で、土地等の貸付けによりまして収入が増えた場合、運営交付金が削られるのではないかという不安があるようであります。また、貸付けに際しまして手続が大きな負担になっては機動性が確保されないと思いますけれども、この点について御所見をお伺いしたいと思います。

森田政府参考人 まず、国立大学法人運営費交付金について、文科省の方からお答えさせていただきます。

 運営費交付金の算定に当たりましては、資産の有効活用や外部資金の獲得等によって自己収入の増加が図られた場合でも運営費交付金は減額しない仕組みといたしておりまして、各法人の増収努力を阻害しないようにしているところでございます。

三浦政府参考人 引き続きまして、お尋ねの後段につきまして、内閣府からお答え申し上げます。

 手続面の負担ということでございますが、現状において、国立大学法人がその業務の範囲外の目的で民間事業者等に土地等の貸付けを行う場合には、個別に文科大臣の認可を受けることが必要となっている。それが、本特例では、土地等の貸付けに係るおおよその事業内容が固まった時点で区域計画の認定を得て、詳細が定まった時点で届出を行い、直ちに契約が可能になるという想定でございますので、契約までの時間が大幅に短縮されて、国立大学の土地等を借りようとする事業者の手続負担は軽減されると考えております。

 その上で、内閣府といたしましても、この特例が円滑に活用できるように、区域計画を作成する地方公共団体に対して助言などを積極的に行ってまいりたいと考えております。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 時間が参りましたので、最後、要望としてお話をさせていただきますけれども、この区域計画の認定を受けようとする地方公共団体に対し、今回、援助規定を設ける、こういうことでございますけれども、今回の法改正で認定申請が五年延長になるということであります。地方公共団体にとっては、何とか知恵を絞りながら活性化していくものの手段として大事な視点であると思います。早々に認定申請をする地方公共団体もありますので、速やかに成立していくことが大事だと申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

石田委員長 次に、白石洋一君。

白石委員 白石洋一です。よろしくお願いします。

 まず、消防団員の減少についてお伺いしたいと思います。

 もう数字のところは私の方が申し上げますけれども、今、消防団員は全国で大体八十万人。過去、一九五五年とか、戦後には二百万人程度だったのが、一九九〇年には百万人、そして今は八十万人になって、しかもそれが毎年一万人ずつ減っているわけですね。

 一方、気候変動の影響か、大雨は襲来の数が増えているし、その被害は激甚化している。そして、特に地方にお住まいの方々は高齢化していて、助けが必要な人が増えているわけですね。

 ですから、消防団員というのはもうこれ以上は減っては困る、特に若い人が減っては困るんですけれども、しかし、消防団員の数だけじゃなくて、その内訳、若い人が実際に減っている。加入する人が二十代が少なくなってきている。三十代も少ないから、それが毎年毎年続くことによって全体の構成がだんだん高齢化している。数は少なくなっていて、その内訳としても高齢化が進んでいる、これを何とかとどめて反転していかないといけないというのがこの質問の問題意識なんです。

 話を聞いていると、余り上の人には言えないんだけれどもということで、消防団員の方が、操法大会の訓練、きびきびと消火するその訓練であるとか、それを披露する出初め式、地方によっては観閲式とかいろんな名前でありますけれども、それらイベント的な行事があって、その負担感がある、それで若い人は遠慮するということみたいなんですね。

 では、もっともっと収めていけば、縮小していけばいいんじゃないか。コロナなんかはその一つのきっかけになったとは思うんですけれども、やはりそれが大胆にできないというのは、横並び意識、隣の市町がそこまで縮小していないんだったらうちもやらないといけないということで、ずっと続いているということなんです。

 そこで質問なんですけれども、やはりそこは、総務省消防庁が声をかけて、訓練だとか大会だとか、イベントをもっと若い人が受け入れられるようにすべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

鳩山大臣政務官 御質問にお答えをさせていただきます。

 操法大会に向けた訓練や出初め式等の行事については、従前から様々な議論があることを承知しております。

 こうした行事等への参加が消防団員の過重な負担となることのないよう、また、消防団への入団をちゅうちょさせる理由とならないよう、各市町村や消防団において適切に対応いただきたいと考えております。

 こうした行事等のうち、操法大会については、消防技術の習得や向上といった大会本来の目的を踏まえた適切な運営に努めるとともに、団員に過度な負担がかからないよう、各主催者において点検や随時の見直しを行っていただきたい旨、総務省消防庁から助言をしております。

白石委員 政務官、助言とおっしゃいましたけれども、これは通知で出ている、そのようにしてくださいというようなお願いが文書になって出ていると思うんですね。こういうふうな通知が出ているということを消防団員の方は余り知らないんじゃないかな。

 でも、やはりこれが一つの根拠となって、上の方にも進言するし、首長さんにも、こういった形で国全体としてやっていますので縮小してくださいというようなところが言えるので、通知が出ているということを周知するということも大事なんじゃないかなというふうに思います。

 次は、団員の手当なんですけれども、報酬の支払い方が、一旦団に下ろして、団がそれを配るというような形で、これはやはり若い人にとっては嫌がります。えこひいきがあるんじゃないか、そういう公平性とかを考えてしまいます。やはり今の時代ですから、自分の口座に直接振り込んでほしいということにすべきだと思うんです。

 一方、幹部のところの運営費、幹部が主に差配して使う運営費というのは別途分けていくべきだと思うんですけれども、この辺りを消防庁としてはどういうふうにされていますでしょうか。

鳩山大臣政務官 御質問にお答えをさせていただきます。

 報酬等を消防団の運営費と別に措置した上で消防団員個人に直接支給することは、支給事務の透明化や団員の士気向上、団員の家族等の理解を得るためにも大変重要であると認識しております。

 総務省消防庁としては、消防団員の報酬等の基準において、報酬等は、団員個人に対し、活動記録に基づいて市町村から直接支給する旨を定めるとともに、本来団員個人に直接すべき経費と、消防団や分団の運営に必要な経費は適切に区別し、それぞれを各市町村において適切に予算措置すべきであることを、各地方公共団体に対し助言しているところであります。

白石委員 つまり、団に支給するということはNGだというふうに定めているということなんですけれども、でも実際は、直接支給化というのがなされているのは三割、四割だと聞いています。だから、もっと指導しないといけないと思うんです。

 市町村は、定めるとされていても、割と軽く受けているんじゃないかなと思うんですけれども、その辺りは、政務官、いかがでしょうか。

荻澤政府参考人 お答え申し上げます。

 消防庁におきましては、消防団員の報酬等の基準におきまして、年額報酬また出動に応じて支払われる報酬の基準を定めているところでございますけれども、それと併せまして、今御指摘のありました直接支給を原則とすべきであるということ、これを徹底していただくように、この基準の中でも通知と併せて周知しているところでございます。

 また、市町村に対して通知しているだけではなくて、日本消防協会、これは消防団の全国組織でございますけれども、こちらの方からも通じて、各県の消防協会、消防団の方にも周知いただくようにお願いをしているところでございます。

白石委員 直接支給化を、今の三、四割を十割に目指して指導していただきたいと思います。

 そして、次は、消防団員を出している側なんですけれども、自営業の方が少なくなって、やはり会社勤務で従業員が消防団に参加しているという人が増えているわけですね。大体、今や七四%、四分の三という統計が出ています。消防団員のサラリーマン化ということですけれども、サラリーマンを出しているということは、その会社にとってもインセンティブがないといけないと思うんですよ。

 どういうインセンティブがあるのかということなんですけれども、ちょっと時間の関係から申し上げますと、例えば、消防団協力事業所表示制度というのがあって、シルバーとゴールドがあって、ゴールドで、分かりやすいところでいうと、消防団員が従業員のおおむね一割以上いて、最低五人以上であればゴールドの認定がされ、顕彰されるということです。それは名誉なことですけれども、それだけじゃなくて、都道府県だとかあるいは市町村によって金銭的な動機づけもある。例えば法人事業税の減税であるとか保証料の割引だとか、こういったことがあるということなんです。

 政務官、質問、提案ですけれども、これらは、消防団員の減少を防ぐという意味から、国としてもバックアップする。例えば特別交付税で、もう来週ぐらいには出るんですかね、今ちょうど計算しているところなんでしょうけれども、そこに、こういった金銭的な動機づけがあるということを特別交付税の一つの要素にしたらいいんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

鳩山大臣政務官 御質問にお答えをさせていただきます。

 消防団協力事業所表示制度を導入している市町村は、令和三年四月一日現在、千三百四十団体であります。そのうち、協力事業者としての認定を受けた事業所に対し、入札参加資格の加点や報償金の支給等の措置を導入している市町村は三百八十七団体となっております。

 総務省消防庁としては、まずは、導入していない市町村に対し、この制度の積極的な導入を働きかけるとともに、制度導入済みの市町村に対し、入札参加資格の加点等、メリットとなる措置の積極的な導入を働きかけ、被用者が入団しやすく、また活動しやすい環境の構築のため、企業や事業所と連携した取組を進めてまいります。

 また、消防団の力向上モデル事業において、企業と連携した全国の先進的な取組についても支援することとしております。

 更に踏み込んだ対応については、地方公共団体や事業所の御意見も伺いながら、必要に応じて検討してまいります。

白石委員 その検討の中に、是非、金銭的なバックアップ、特別交付税での加味というのを入れていただきたいというふうに思います。

 そして、送り出す側として、団員である従業員がどういう位置づけなのかというところも大事なところだと思います。

 消防団員は地方公務員ですよね。大体、民間の零細、中小ぐらいの会社が多いと思います。民間が出している。これが団員として活動しているときは地方公務員で、しかも兼業である。労働管理、勤怠管理もありますし、それらを律する労働規制も違うわけですね。

 だから、労働規約、就業規約上、ひな形を消防庁として出して、こういった形で処遇してくださいというものを出すということを提案するんですけれども、政務官、いかがでしょうか。

鳩山大臣政務官 御質問にお答えをさせていただきます。

 総務省消防庁では、消防団入団促進キャンペーンの一環として、企業や事業所向けの消防団員募集のリーフレットを作成しているところであります。この中で、消防団の役割や活動、地域密着性、要員動員力、即時対応力などの消防団の特性、消防団員の処遇などを説明するとともに、企業や事業所との協力体制構築の必要性、消防団協力事業所表示制度の内容、消防団協力事業所となることのメリット、地方公共団体による支援策の実施状況についても説明し、各地方公共団体に配付しております。

 今後とも、地方公共団体や事業所と連携して団員確保の取組を進めてまいります。

白石委員 ちょっと違うんですけれども。

 要するに、消防庁としても事業所との関連があるわけです。さっき言った消防団協力事業所表示制度があって、特にゴールドのところ、どういった就業規則で従業員を団員に送り出していますかというところからヒアリングして、それらを集めてひな形みたいなものに消防庁がしたら、ほかの企業も取り組みやすいということを言っているんです。その点、いかがでしょうか。

荻澤政府参考人 今ほどございました消防団協力事業所表示制度の認定の要件等については、従業員が消防団活動に働きやすい環境づくりに努めていらっしゃる、そういうような具体的な基準を市町村の方にも消防庁の方からお示しをしているところでございまして、そういった取組を更に広げてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

白石委員 時間が来ましたので、大臣にちょっと質問を用意していたんですが、最後に、構造改革特区で一つ、情報の提供や助言というのがあるんですけれども、本当に、市町村も大きなところから小さなところまでいろいろあります。ですから、いろいろな情報が欲しいんです。

 だから、こうやって規定でバックアップしているのはありがたい。でも、それはえこひいきなくやっていただきたい。物になりそうなところを、たくさん親切に、懇切丁寧にやりながら、そうでなければ後回しにするということのないように、特に、地方の市町村というのは情報、助言が欲しいところがたくさんありますので、こうやって規定があるということはいいことなんですけれども、そこでえこひいきなくやっていただくというところについて一言お聞かせいただければと思います。

石田委員長 持ち時間が参っておりますので、答弁は簡単に願います。

野田国務大臣 しっかり取り組んでまいります。おっしゃるとおりだと思います。

白石委員 ありがとうございます。

石田委員長 次に、緑川貴士君。

緑川委員 皆様、お疲れさまでございます。立憲民主党の緑川貴士です。

 まず、技術者を養成する職能短大から大学への編入を認める制度についてお尋ねをいたします。

 これまでも、短大や高等専門学校などからは大学への編入ができました。そして、職能短大は省庁大学校の一つです。職業能力開発促進法に基づいて厚労省が所管する職業訓練施設という位置づけでありますので、従来、職能短大からの編入はできないことになっていました。ただ、二〇〇三年から、今日審議がありますように、熊本県そして長野県からいろいろな類似の提案が何度もなされてまいりました。

 政府は二十年近くもこれを認めてこなかったわけであります。長年かたくななこれまでの姿勢を変えてこなかったのが、今回、大学への編入を認める方針に変わったという理由を伺えればと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 職業能力開発短期大学校から大学への編入学を可能とする規制改革要望については、今お話しのとおり、構造改革特区の提案として、平成十五年に熊本県と長野県、そして平成二十一年には山形県から提出がございました。

 こうした要望について関係省庁で検討をいただきまして、中央教育審議会の議論も踏まえて、まずは、職業能力開発短期大学校での学修が実態に照らして大学相当の教育であると認められる内容であるかを確認するため、平成二十六年九月に、職業能力開発短期大学校における学修について、大学における単位認定の対象とすることを可能とする告示改正が行われました。

 告示改正後、単位認定の実績は八件にとどまっていますが、一方で、特区を要望していた自治体に単位認定に係る取組状況を関係省庁がヒアリングしたところ、大学への編入学が認められていない現行制度下において単位認定の実績をつくることは困難との意見がありました。

 このため、リカレント教育の促進など、学びの複線化、多様化に資するものであることも踏まえて、単位認定の実績を積むための試行的な取組として、また地域活性化の観点から、特区制度の枠組みで認めることとなった次第です。

緑川委員 職能短大というのは公立でありますし、実学的であるということから、家計が厳しくても、早く社会に出て仕事がしたい、でも勉強もしたいという人たち、あるいは、社会人でコロナ禍で離職をされて訓練を始められた方、また、新たなスキルを学ぼうと意欲的に取り組んでいる在職者のニーズにも応えていける機関であるというふうに思います。

 これまでの法令上、おっしゃったような、大学と同等となかなか判断することができない単位認定の問題であるとか、今までの学校制度の根幹に関わる部分についての課題があったということは承知をいたします。

 他方で、学校教育法に定めがなく、職業訓練施設という位置づけであった大学校から、学校教育法に基づく高等教育機関である短大や高等専門学校、あるいは専修学校の専門課程と同じように、今回、職能短大も大学への編入が特区といえど可能になりました。二十年近くも認めてこなかったことが認められるようになるというのは、やはり従来の学校教育制度の大きな転換であるというふうに思います。

 構造改革特区というのは、将来の可能性として全国展開も視野に入れている規制改革制度であります。手を挙げた自治体が特区制度を使える、それを使えるかどうか、使うかどうかは自治体の判断に委ねますよということで終わりにするのではなくて、国の責任として、今回特区を定める以上は、正面から、高等教育機関の範囲というもの、職能短大の位置づけ、この見直しの議論をしっかりしていくべきではないでしょうか。いかがでしょうか。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の特区制度におきましては、職業能力開発短期大学校における学修と大学における学修の内容の相当性、そういったことを実績を重ねる中で検証し、そして、その後の全国展開の適否について検討をしていくということに今後なるというふうに考えております。

 そういったプロセスの中で、職業能力開発短期大学校の学修と大学の学修の同等性をどういうふうに考えていくか、そういったことも含めた実績の検証をしながら、そういったことの検討も必要になるというふうに考えているところでございます。

緑川委員 やはり、法令上、高等教育機関という範囲がどうなのかということは、実は明確な定義が法律にはないんですね。省庁大学校にも高等教育機関はあるわけでありまして、省庁の縦割り意識の中でそうした整理がやはり曖昧になってきたという部分があると思います。

 一方で、職能大学校が大学と同等であると扱われる場面は多いんです。公務員の採用試験では、職能短大で二年間の専門課程を修了すれば短大卒の扱いになります。更に二年間、職業能力開発大学校、いわゆる能開大の応用課程まで修了しますと大卒と同じ扱いになっていますし、民間の給与水準もこのようにそろえているところが多いわけです。

 ただ、学校教育制度上の学位については、やはり、四年制大学にあるような学士、また高等専門学校なら準学士、短大でいう短期大学士、専門学校なら専門士、高度専門士という学位を受けられるんですが、省庁大学校の一つである職能短大を修了しても、例えば短期大学士のようなものはないんですね。更に二年間の応用課程を修了しても、教育制度上の学位、称号というものは授与できないということになっているわけです。

 能開大か四年制大学か、どちらか進学しようか迷った場合に、こうした学位や称号のあるかないか、大卒かどうか、大卒というイメージにも引っ張られて、学費が高くても私立大学の方を選ぶという学生も多いというふうに聞きます。

 お配りした資料一を御覧いただきたいんですけれども、これは新潟職能短大のホームページから抜粋させていただきました。高校からの進路についてなんですが、職能短大では、二年間の専門課程の修了後は能開大の応用課程にステップアップする生徒、さらに、応用課程の修了後、試験を通れば国公立の大学院に進学するという生徒もいます。つまり、能開大から大学院に進んだ場合には修士の学位を取ることができるんです。大卒よりも給与がその場合には上がっていきます。

 一方で、総合課程のある職業大学というところもあるんですが、それ以外の能開大は、大学へ編入するという今回のようなことがなければ学位は何も取れないといういびつな制度になっているなというふうに感じています。

 まさに縦割り行政の弊害というものも感じてしまうんですけれども、省庁横断的に教育制度を見直していくという対応、検討というふうにおっしゃいましたけれども、改めてこれは求められているのではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 高等教育制度、学位制度、これにつきましては、現在の制度、学校教育法に基づいて設置されている学校に相当する大学、短期大学、高等専門学校が学位や称号を自ら授与できる機関とされております。

 他方で、先生御指摘のとおり、多様な進路、そういった流動性、進路が袋小路にならないようにすることは重要なことでございまして、編入学を可能にするとか、あるいは、省庁大学校につきましても、省庁大学校は自ら学位を授与することはできないわけですけれども、大学改革支援・学位授与機構に申請をすることによって学士の学位を取得するという道も開いているところでございます。

 まず、コアになる高等教育機関、学位授与機関に加えて、そういった編入学の制度であるとか、それから大学改革支援・学位授与機構からの学位授与の制度を積極的に活用していただくことによって、進路の多様化とか袋小路を防ぐそういった機会を極力提供できるようにしていくということが重要だというふうに思っているところでございます。

緑川委員 もちろん、現行制度上でしっかり見出せる部分はしていただくことが大事だと思いますし、そこで収まらない部分もやはりこの時代になって出てきているというふうに思うんですね。

 職業大学以外の能開大でも物づくりには当然力を入れています。生産現場のリーダーを担えるような訓練施設の役割だけではなくて、社会の変化に対応できる、そんな教育を展開しているというのも大きな特徴であると思います。

 日本が強みとしてきた半導体の製造装置あるいは素材の分野を更に磨いていく、こうした物づくりの国際競争力を高めていくことが重要になっている、そんな世界の潮流の中で、変革に対する対応力とか経営力、こうしたものも養成していこうという点で、能開大というものは高等教育機関としての側面も持ち合わせているんだろうというふうに思っています。

 ですので、野田大臣に是非とも一言いただければと思いますけれども、特区制度だけではなくて、地方を含めて全国に二十五ある職能短大そして能開大の教育制度上の位置づけというものを、やはり横断的なこの委員会ですから、その中でしっかりと教育制度の見直しに向けて改めて議論していくことが地方の活性化にも資することであるというふうに考えておりますけれども、どのようにお考えでしょうか。

野田国務大臣 大体、大学に入学する年というのは十八、十九で、そのときの環境と、学び出して、リカレントして新たな自らの実力を高めていきたいというときに、限定されてしまうことは、やはり、少子化の中、これから若い人材を育てていく中で、今までどおりでは無理があるなというふうに理解しています。

 そんなこともあって、今回、随分長らくかかったんですが、慎重の上でも、まずは特区でしっかりと我々の思いがかなうかどうかというのを皆さんに見ていただくことが大事なんだろうと思います。大学の質というのをどう担保するか、そうでない、学校として認められていないところ、そういう整合性をしっかりこれを機に確認していくことがとても大事だと思います。

 これは物づくりだけではなくて、今、サイバーセキュリティーも非常に人材がいないということで問題になっていますが、いわゆるトップガンと言われるサイバーセキュリティーの監督をする人が日本にはいないという話があるんですね。それは、IT技術がある人とそれをマネジメントする人がやはりばらばらなんですね。そこら辺なんかも融合させていくことがとても大事だということで、是非注視していきたいと思っています。

緑川委員 ありがとうございます。新たな時代に向けた柔軟な制度改革の議論というものを強く求めてまいりたいというふうに思っております。

 職能短大から大学への編入を認める際の単位認定、今日も御議論がありますけれども、この編入を認めるには、やはり職能短大の一、二年次の学修内容が大学の一、二年次と同等であると判断されるということ、高等教育相当のレベルのものとして単位認定されなければなりませんけれども、それをどのように担保されていくのか、お伺いしたいと思います。

池田副大臣 お尋ねの単位認定の件でございますけれども、編入学希望者が職業能力開発短期大学校で行った学修に係る科目の一つ一つについて、大学相当の内容であるか否か、これを、学修量が十分かといった観点から編入学先の大学が個別に確認をした上で行われるものと考えているところでございます。

 このように、職能短期大学で行われた学修が大学において一定以上単位認定されることによって、大学内の一定の教育を受けたものとみなされた者が本制度における編入学の資格を得ることが可能である、そのように考えているところでございます。

 先ほど職能短期大学と言いましたが、職能短大と修正させていただきます。

緑川委員 やはり大学によって本当に様々だと思うんですね。職能短大というのはこれまでなかったんですが、例えば高等専門学校から四年制大学に編入する場合の課題というのを伺っております。三年次に編入できないという大学があるんですね。一、二年次はちゃんと別のところで在籍したんだけれども、三年次から編入できるかと思ったら実は二年次からの編入で、つまり、大学二年生というものをまた始めなければならないというようなところが、高等専門学校から大学、その大学によっても大分この扱いが違うというのがございます。

 そして、大学によって職能短大で認定できる単位の数が、これまでもそうですけれども、今回も少ない可能性が出てまいりますけれども、そうなった場合には、たとえ編入できたとしても、不足する単位というものを取るために、三年、四年でカリキュラムというものが相当窮屈になってしまいます、せっかく編入できたのに。そうなると就職活動に差し支えてしまう。

 こうした同じようなことが職能短大からの編入でもあり得るのではないか。せっかくの前向きなキャリア形成というものがマイナスになってしまっては、せっかくの特区ですから、もったいないことになりはしないかというふうに懸念をしておるんですけれども、この辺りのお考えはいかがでしょうか。

森田政府参考人 お答えを申し上げます。

 編入学に当たりましては、職業能力開発短期大学校で行われた学修が大学において教育内容の相当性があるということが確認されて、単位認定されることによって編入学が可能となります。

 その際に、大学のカリキュラムは大学によって差がございますので、具体的な科目の相当性を確認をした場合に、御指摘のとおり、個々の学生の学修状況等に応じて、ぴったり三年次に編入というふうにうまく合わないというケースが生じる。そういう場合に、二年次からの編入学になる。あるいは、ちょっと足りないんだけれども三年次に入るとした場合に、今度は、三年次、四年次で取る単位数がちょっと多くなってしまう。大学側のカリキュラムに差があるものですから、そういうことが起こり得るということは御指摘のとおりでございます。

 この点については、編入学した後の学修について、希望者の意向とミスマッチが生じないように、編入学前の適切な進路指導や情報提供をするということ、また、受け入れる大学側においても、編入学後の学修のイメージを具体的にできる限り明確に描けるように十分情報提供をして、そういったミスマッチが生じないようにということを進めていくということが必要だというふうに思っているところでございます。

緑川委員 やはり、特区を国として認める以上は、大学の自治というものは尊重しながらも、編入が学生にとって不本意なものにならないように、大学側のニーズというものもしっかり把握をしながら、政府として最大限の対応を取っていただきたいというふうに思っています。

 時間が来ておりますので、ここで、またちょっと積み残しになってしまっているものがありますけれども、またの議論にさせていただきたいというふうに思っています。

 今日はありがとうございます。

石田委員長 次に、守島正君。

守島委員 日本維新の会、守島です。

 維新の会は、規制改革を強く推進する立場にありまして、構造改革特区制度にも期待するとともに、今回の法改正において新たな規制の特例を設ける等の措置に関しては肯定的に考えている前提で質問したいと思います。

 まず、構造改革特区法の成立時における目標は、特定地域における構造改革の成功例を示すことで、全国的な規制改革へと波及させ、我が国の経済全体を活性化させるとともに、地域の特性に応じた産業集積や新規産業を育成し、地域経済を活性化させることにあるとされています。

 平成十四年の特区法成立から二十年が経過し、これまで累計千三百七十七件の区域認定、そして、現在活用されている計画が四百四十件となっていますが、これまでの成果をどう評価しているのか、目標管理的にどうなのか、また、当初の目標として我が国経済の活性化という言葉が使われていますが、どの程度経済効果があったのか、教えてほしいと思います。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 構造改革特区の経済効果でございますが、マクロのKPIというのはないのでございますけれども、他方で、構造改革特区制度につきましては、平成十四年に制度が創設されて以来、これまで百九十九件の規制の特例措置を設けております。そのうち、約七割となりますけれども、百四十一件が全国展開されたということでございます。

 具体的な経済効果につきましては、個々の特例あるいは特区に応じていろいろ個別でございますので、測定困難な面もございますけれども、例で申し上げますと、例えば、レンタカー型カーシェアリングのための無人貸し渡しシステムなどについては、もう今では一般的となっている事業でございますけれども、端緒は構造改革特区制度における規制の特例措置であったというような例もございまして、こうしたことから、構造改革特区制度は経済社会の活性化に寄与したものと考えております。

守島委員 ありがとうございます。

 成功した事例があることは評価するべきと思うんですが、今答弁にあったように、やはりマクロ的な評価というかKPIがないというのはちょっと残念かなというふうに思っています。

 評価委員会による案件ごとの評価はなされていると思うんですけれども、僕も、構造改革特区の基本方針の中で、評価に対する基本方針というのを読ませていただいたんですけれども、このポイントが、規制緩和による弊害発生の有無の判断、これが評価委員会の評価ポイントのメインというか肝になっています。

 問題ないものを全国にこれから展開していくというのは大事なんですけれども、規制改革の提案自体が自治体によって温度差がかなりある中、個別の弊害チェックに終始するんじゃなくて、そもそも目標として国の経済活性を挙げている以上、政府がもっと構造改革を促す立場になってほしいと思いますし、ボリューム的にも効果的にももっと定量的な評価をしてほしいなというふうに思っています。

 目標に対する過不足があれば何が問題なのかということを定義して、PDCAを回しながら全国の改革を誘発していくような流れをつくっていってほしいんですが、この点に関しては後ほど聞いていきたいと思います。

 法案の中身に入りたいと思いますが、今回の法改正において、自治体からの要請があり、職能短大を修了した人を大学三回生に編入学できるとするものですが、この職能短大の数であったり生徒の数、編入先として想定される学校や学部、そして、大学に編入する学生の規模感、ボリューム感をどの程度想定しているのか、教えてほしいと思います。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の改正法案で想定している職業能力開発短期大学校は、全国で十六校ございます。生徒数は、ばらつきがそれなりにございますけれども、数十から百ぐらいのオーダーのところが多かったと記憶します。編入学先の大学、学部については、職業能力開発短期大学校が実践的な技術者の育成を目的としておりますので、大学の工学部と親和性が高いと考えております。

 編入学の特例が設けられた場合には、今回要望のあった地方公共団体、長野県や熊本県でございますけれども、そういったところで編入学先の大学も含めて具体的な枠組みについて検討が進められることになると思います。編入者の数についてもその中で、編入学試験などでセレクトして決まっていくということだと思っております。

守島委員 ありがとうございます。

 新たな道を開くというのは非常にすばらしい点だと思うんですが、やはり想定される対象としては現状は少数かなと思っていますし、しかも、国立大学の理系への編入学というハードルを考えると、今回の改正案が活用されるケースは現段階では結構限られてくるんじゃないかなというふうに思っています。

 次に、文科大臣への事前届出で国立大学法人所有の土地等の貸付けをできるようにする改正案ですけれども、現行どおり文科大臣の認可を得ようとすると、どの程度工期がかかっていて、それがどのぐらいになるのか、また、今の状況でこれまでどの程度機会損失があったのか、把握できていれば教えてください。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 国立大学法人が土地の貸付けを行う場合、現行制度では文部科学大臣の認可が必要でございます。長い場合には六か月程度の期間を要しているところでございます。

 御指摘の、これによって生じた機会損失の程度につきましては、恐縮でございますが、具体的に事例を把握していないところでございます。

守島委員 ありがとうございます。

 これも実際に事業が流れてしまったような機会損失というのは確認できませんでしたが、こうした、地域の声を聞いて規制緩和して新たな道を開けるようにしたり、手続を迅速化、簡素化するという取組は是非積極的に進めてほしいと思います。

 とはいうものの、どちらも今聞くに、規模感というかこれまでのダメージとかも聞くに、やはりまだまだ案件として小さいというか、当初の目標としている、全国的な構造改革により国や地方の活性化を実現するといったイノベーション促進政策的なイメージとは乖離があるんじゃないかなというふうに思っています。

 ちなみに、これまでも地方の相談にも乗ってきたと思うんですけれども、今回、地方公共団体に対する援助に係る規定を改めて法律に明記しようとする意図は何か、そして、手挙げ制だけでは何かこれまで問題があったのかどうかを教えてほしいと思います。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の構造改革特区法では、計画の認定を受けた地方公共団体に対する助言その他の援助については規定されているんですけれども、これから区域計画の認定を受けようとする地方公共団体への援助については特段規定がございませんでした。

 そうした中で、昨年の七月から八月にかけて、我々、今回の期限切れということもありまして、構造改革特区制度について自治体の方にアンケート調査を取らせていただきましたが、その中で、制度の活用が可能になる具体的な事例はどんなものであろうかとか、あるいは過去の特区活用で成功事例はどんなものであろうか、こういったような情報提供があれば、特例措置をこれから提案する、あるいは区域計画の認定をこれから申請するときの参考になるということで、それで構造改革特区制度の積極的な活用に資するんだ、こういう御意見をいろいろいただきました。

 このため、今般、この旨を明文化するために、情報提供の規定を設けさせていただくということであります。

 この規定を設けることによりまして、特例措置の提案あるいは区域計画の認定申請を行おうとする地方公共団体の方に対して、これまで以上にきめ細かい事前相談対応、助言、情報提供を行っていきたい、こう考えております。

守島委員 ありがとうございます。

 やはり、アンケートを取って地域からニーズがあったということは、内閣府もこれまで地方の声は聞いてきたとは思うんですけれども、能動的に誘発するようないわゆるプッシュ型の取組という点ではちょっと薄かったんじゃないかなと思うので、しっかりやってほしいと思います。

 とはいえ、これは一応、改めて明文化するだけなので、改革がこれで抜本的に進むかというと、ちょっとそこは断定できるわけではないんですが、実際に規制緩和を進めるなら、それを求める声というのは民間企業の方が多いんじゃないかなと思っています。

 民間が自治体を介さずとも直接規制緩和の相談ができた方がよいと思うんですけれども、今回の援助に係る規定の追加に民間企業は設けないんでしょうか。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の前提ということでございますけれども、この区域計画というのは、規制の特例措置の活用を通じて、地域の特性に応じて地域の活性化を図るという計画なものですから、したがいまして、これを作成する主体としては地方公共団体ということで、これが内閣総理大臣宛てに申請する、こういう仕組みになっております。したがいまして、この計画の認定申請に係る情報提供等の対象も地方公共団体というふうにしているところでございます。

 なお、民間事業者の方の位置づけなんですけれども、これについて、事業を実施しようとされる方が地方公共団体に対して計画の案の作成について提案する、こういう仕組みは既にございまして、こういった形で地方公共団体と民間事業者とが連携して地域のニーズを踏まえた区域計画が策定できるということになるように、我々も支援していきたいと考えております。

守島委員 区域計画の作成主体が自治体なので認定申請も自治体というのはもちろん分かるんですが、今回、あえて情報提供や助言を行うという文言を明文化するということで、それであれば、その点においては地方公共団体からの相談に限定せずともよいのではないかなというふうに考えたりします。

 というのも、実際に規制に直面しているのは民間企業で、その課題を解決すればこそ経済の活性につながっていくと思うんですけれども、これからどのように民間を巻き込んでいこうとするのか、大臣の見解を問いたいと思います。

野田国務大臣 御指摘のとおり、民間が事業をしやすくなる規制改革を進めること、そのためには、この構造改革特区制度の運用でも、今お話がありましたように、民間事業者の方のアイデアをしっかり取り入れて、又は実施に向けて十分関与いただくことは重要と考えています。

 重なるかもしれませんが、この構造改革特区制度においては、新たな特例措置の提案を、地方公共団体以外にも、民間事業者やNPO団体から幅広く募集しているところです。

 地方公共団体が作成する区域計画においても、事業を実施しようとする者は区域計画案の作成について提案ができるということになっているので、構造改革を推進するためには、地方公共団体も含め官民が連携して取り組むことが重要であるわけで、今後とも、民間事業者の知見をしっかりいただきながら構造改革を推進していきたいと考えています。

守島委員 大臣、ありがとうございます。しっかり民間の知見も生かしながら構造改革を進めてほしいと思います。

 国が音頭を取る成長戦略は、どうしても国自身が当事者じゃないというときもありますので、規制改革のニーズを十分把握するというのには限界があると思うんですけれども、岩盤規制に直面している民間企業はたくさんあるので、特区制度の原点に戻り、民間と直接話して、なかなか動かない国とか地方の省庁、役所を説得していくような仕組みをつくるなど、この制度をどんどん進化してほしいなというふうに思っていますし、そういう期待も込めて、本法案には賛成したいというふうに思っています。

 ちなみに、内閣府においては国家戦略特区や総合特区という制度がありまして、これらも現場からの募集提案に基づき規制改革を行うものでありますが、規制改革メニューやパッケージを拡充して包括的に地方の規制改革を支援していますよと見せるのも大事なんですけれども、制度の目的がふくそうしてしまって、多分受け手にとっても分かりづらいかなというふうに感じてしまうので、それぞれの役割と評価を明確にしてほしいと思うんですが、この点は質問通告していたんですが、ちょっと割愛させていただきます。

 特区関係で国家戦略特区についても触れたいんですが、せんだって、大阪府市のスーパーシティー構想について、国家戦略特区諮問会議にて大阪市を区域指定する原案が了承されたと聞きました。僕も昨年まで大阪市議だったので感謝する次第ですが、区域認定の指定基準及び大阪府市やつくば市の提案を評価した点及び期待する点をお聞かせください。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 スーパーシティー型国家戦略特区の指定基準について簡単に申し上げますと、これは、国家戦略特区基本方針におきまして幾つか項目がございますけれども、特に、一つは複数分野の先端的サービスの提供、もう一つは広範かつ大胆な規制改革の提案、こういったことが中心に定められております。

 つくば市の提案内容については、国の研究機関や大学などと連携しながら、移動、物流分野を中心に六つの分野の先端的サービス、例えば、新型モビリティーやロボットの本格導入、インターネット投票、マイナンバーを活用した健康、医療サービスなどを提供するものでございます。

 それから、大阪府市の提案内容につきましては、これは、二〇二五年の大阪・関西万博を見据えて、夢洲とうめきた二期の二つの新規開発エリアにおきまして、日本初の空飛ぶ車の社会実装、夢洲の建設工事における貨客混載輸送、先端的な国際医療サービスの提供、そしてAIによる気象予報などの先端的サービスを提供するという御提案でございます。

 これらの提案内容に関しては、スーパーシティ専門調査会と国家戦略特区諮問会議においては、委員の方からは規制改革などについて様々な意見があったところでございますけれども、内閣府と自治体が協力して規制改革を始めとして構想の実現に向けて引き続き推進していく旨を御説明しまして、両会議の御了解をいただいたというところでございます。

守島委員 ありがとうございます。本当に、地域からの提案を受けてこのように認定してくれたことは非常にうれしいことであります。

 しかし、今、回答にもあったように、国家戦略特区諮問会議の委員もいろいろな意見を出されていまして、特に民間委員からの指摘では、今回の自治体の提案に関して、スーパーシティー本来のコンセプトである未来社会を先行実現する都市をつくるというものとは隔たりがあり、更に大胆なものにしないといけないという言葉ももらっていますし、加えて、国家戦略特区の運営全般においても、制度創設時には岩盤規制改革の突破口として期待されたものの、近年は、停滞、制度の形骸化が見られるという結構厳しい表現がなされています。

 国家戦略特区は規制改革の突破口であり、全国展開が制度の本旨というのが基本方針のはずが、例えば養父市における農地取得の特例が全国展開できずに先送りされた問題に代表されるように、個別課題に対する単発的な対応が見られて、国家戦略として示されるような制度運用に今はなっていません。

 国家戦略特区だけではなく、構造改革特区も含めた様々なメニューを効果的に活用してもらうことも重要なんですけれども、どれも当初求められていたような抜本的な改革や経済成長の誘発からは大きな隔たりがあるので、内閣府としてもより強力な制度運営と横展開を促していってほしいと思うんですが、こうした抜本的な規制改革をどのように担っていくのか、大臣に聞きたいと思います。

野田国務大臣 国家戦略特区については、平成二十五年十二月に制度は創設しています。大分長くなってまいりまして。岩盤規制改革の突破口ということで始まったわけですが、これまで長年にわたって実現できなかった規制改革を実現することで、地方創生や経済成長には大きく寄与してきたわけであります。

 最近の取組は、令和二年度に、スーパーシティー構想の実現に向けた制度整備や地域限定型、規制のサンドボックス制度の創設に関する国家戦略特区法の改正、そして、令和三年度に、法人による農地取得特例の延長や工場立地規制の特例創設に関する法改正を行うなど、国家戦略特区制度の更なる利活用を促進するための制度整備を行ってきています。

 今委員御指摘のように、一方で、国家戦略特区諮問会議の民間議員より指摘があったことはしっかりと受け止める必要があると思っています。

 今後は、国家戦略特区における規制改革に一層積極的に取り組み、併せて国家戦略特区における規制の特例の全国展開を進めてまいります。

 三月十日に開催されました国家戦略特区諮問会議において決定されましたスーパーシティー、これも一回差し戻してまたブラッシュアップして戻していただいたというものなんですが、及びデジタル田園健康特区、これも新しい特区ですが、田園健康特区における規制改革の実現、これをしっかり取り組んでまいります。

 引き続き、しっかり民間委員の方のアドバイスを踏まえて、原点に立ち返って、しっかり寄与できるよう頑張っていきたいと思います。

石田委員長 持ち時間が参っておりますので、よろしくお願いします。

守島委員 はい、ありがとうございます。

 時間なので、最後の規制改革の原点に返るという言葉を含めて、しっかり目標を定めて全国展開の取組を強化してほしいと思います。よろしくお願いします。

 以上で終わります。

石田委員長 次に、西岡秀子君。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。若干重なる質問があるかもしれませんけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

 平成十四年に成立をいたしました構造改革特別区域法に基づく構造改革特区制度につきましては、提案、そして特区計画の作成、認定を経て、一定期間経過後、規制の特例措置の評価が行われた後、特段の問題が生じていないものについては速やかに全国展開を推進していくということが基本とされております。いわゆる全国展開でございますけれども、一方で、地域性の強い規制の特例措置については特区において当分の間存続させることとされております。

 特定地域の特例が地域活性化に役立っているということの反面、全国展開をしないことが逆にメリットとなっているという現状もありますし、地域の既得権益化しているのではないかという指摘もございます。

 制度自体、導入から二十年がたち、本来どのような立法趣旨であったか、また、どういう目的で創設されたものであるかも踏まえて、制度としての在り方を今後どのように考えていくのかについて整理をすべき時期に来ているのではないかというふうに考えておりますけれども、野田大臣の見解をお尋ねをいたします。

野田国務大臣 御質問ありがとうございます。

 構造改革特区制度ができてから約二十年経過いたします。この間、多くの規制の特例措置が全国展開しております。一方、今お話がありました、いわゆるどぶろく特区などの酒税法の特例については、地域の活性化としての意義が大きいものとして、全国展開せず、特区において当分の間存続としています。

 特区において実施される規制の特例措置については、有識者から構成される評価・調査委員会において、構造改革特別区域基本方針によって定められました評価基準に基づいて、全国展開、特区において当分の間存続などの評価をいただいておりますが、今後とも、地方公共団体の意向も確認しながら、制度の円滑な運営に取り組んでまいりたい、そういう所存です。

西岡委員 ありがとうございます。

 今の質問と関連しますけれども、いわゆる特区と言われる制度が、本日質疑をいたしております構造改革特区のほかに、総合特区、そして国家戦略特区、先ほどの質疑の中でもありましたけれども、この三類型の制度それぞれが、制度上、その違いが明確でないことや、手続が分かりにくいという地方からの声もございます。

 また、地方自治体にとってその手続が分かりにくいということもあるんですけれども、これは地方自治体にとって活用しやすい制度であるべきということは大前提でございますけれども、国家戦略特区につきましては、いわゆる加計学園問題を始めとして、決定に至るまでの透明性ですとか中立性について様々な疑念が呈されたことも事実でございますし、諮問会議の委員の人選の在り方についても当委員会でも議論があったところでございます。

 それぞれの特区の必要性の議論、また、今三つある類型の特区の整理統合も含めて、我が国の特区制度について根本的な議論が必要ではないかというふうに考えますけれども、先ほどの質問とちょっとかぶる質問となりますけれども、野田大臣の御見解というものをお尋ねをしたいと思います。

野田国務大臣 構造改革特区、総合特区、国家戦略特区と、特区の柱が三本ありまして、それはある意味、地方自治体にとっては、使い勝手、目標とか、選択肢があるという意味ではよきことだと思うわけですけれども、特区という名前の下で、分かりづらさ、それぞれの特徴なんかがしっかり区別できないというのも実際よく承ることで、私自身もやはり相当勉強させていただいたところです。

 この場で申し上げるならば、構造改革特区、総合特区、国家戦略特区、それぞれ異なる意義、目的を有しています。でも、結果として、それはいずれも地方創生に重要な役割を果たしているということでございます。

 それぞれ特区制度の特徴というのを申し上げるならば、国家戦略特区と総合特区は国が指定した区域限定で規制の特例措置を講ずるのに対して、構造改革特区は、認定を受ければ全国どこでも適用できる汎用性の高い制度ということになります。

 総合特区は、規制の特例措置に加えて、税制、財政、金融上の支援措置により、特定の地域の特定の政策課題の解決の取組を総合的に支援する制度であります。

 国家戦略特区は、民間有識者が省庁と主体的に折衝を行うことや、活用できる地域を限ることで、強固な国の制度を変えてでも事業を実現したいとする地域の強い意欲を具体的かつスピーディーに具現化するのに適した制度ということになります。

 それぞれ申し上げたように、地域の様々なニーズに対応できるよう整備されてきたものであり、地域の特性や事情に応じ特区制度を活用することが地域活性化の観点からも重要だと思います。

 内閣府では、各地域にとってふさわしい特区の活用が可能となるよう、地方公共団体等に積極的に情報提供に努めるなど、今後とも、それぞれの特区制度の効率的な運用を行うよう、万全を期してまいります。

西岡委員 ありがとうございます。

 今大臣が述べられました情報提供、今回、法改正の中にも盛り込まれておりますけれども、地方自治体にとっては大変重要なことだと思いますし、先ほども申し上げました特区制度については、透明性、中立性、やはりこれが大変重要だと思っておりますので、引き続き、しっかりその部分を担保しながら、コロナも経た中で、今大変大きく社会が変わっている中で、特区制度が今後どうあるべきかということも含めて、是非根本的な議論を大臣にお願いをしたいというふうに思っております。

 それでは、今回の改正内容について質問させていただきます。

 今回の改正で、職業能力開発促進法に基づき厚生労働省が所管している職業能力開発短期大学校から区域内の大学に編入学が認められるということが盛り込まれました。

 地域における物づくり産業を支える担い手の育成というのは、我が国にとって大変重要な課題であると認識をいたしておりますし、特に、コロナ感染症拡大によって、我が国がサプライチェーンの強靱化が必要であったり、経済安全保障をしっかり、脆弱性を克服していくということも大変重要な課題でございます。我が党も、先週、参議院に独自の総合経済安全保障法案を提出をいたしておりますし、政府の経済安全保障法案も審議がスタートいたします。

 その意味では、地域の物づくり産業を支える担い手の育成という面でいきますと、今回の大学への編入学につきましても、これは本来、教育制度の在り方を抜本的に見直し、変えるという学校教育法の改正で、特区ではなくて行うべきではないかというふうに考えておりますけれども、文部科学省にその見解をお尋ねをいたしたいと思います。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 職業能力開発短期大学校から大学への編入学につきましては、地方公共団体からの要望を受けまして中央教育審議会で御審議をお願いし、平成二十六年に、まずは職業能力開発短期大学校での学修を大学における単位認定の対象とするという制度改正を行う一方、編入学については引き続き検討課題とされたところでございます。

 このことについて、昨年十月、単位認定の実績を示しつつ、再度中央教育審議会にお諮りをしたところ、単位認定の実績がまだ少なく、直ちに学校教育法を改正して全面的に編入学を認めるには困難がありますが、まずは特区制度において編入学の道を開くという方向で進めるべきという結論をいただいて、今回の改正案に至ったところでございます。

西岡委員 次の質問についても今のお答えでお答えをいただいたということで、その次の質問に移りたいと思うんです。

 全国に職業能力開発短期大学校というものが設置をされておりますけれども、今回三県から、長野、熊本、山形から特区での申請というものがあっておりますけれども、三県以外の所在をしている短期大学校があるところからの今後のニーズ、三県以外での県でのニーズというものが見込まれているんでしょうか。その状況を教えていただきたいと思います。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 本改正法案の閣議決定以降、職業能力開発短期大学校が所在する地方公共団体の方から特例の内容について幾つか問合せは承っております。

 その上で、本特例についてどのぐらいの地方公共団体の方が本当に活用を希望されるかというところは、その辺はこれからでございますけれども、私どもとしては、本改正法案について、成立しましたらしっかりと周知してまいりたいと考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 大変根本的な質問になるかと思いますけれども、今回の改正、今の内容につきましては教育に係る改正でございまして、地域を限定して特例を認めるということについて、特に教育分野のことについては、教育機会の平等という観点から文部科学省としてどのように考えておられるのか、見解をお尋ねをしたいと思います。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、まずは構造改革特区内において編入学の道を開くということにしたところでございます。

 この制度が創設されますと、本制度の活用のニーズ、希望があるという地域があった場合には、当該地方公共団体も本制度に係る区域計画の認定を申請できることになると考えております。

 まずは特区で道を開くということになりましたので、他の地域のニーズにも、区域計画の認定申請の道が開かれることによって教育機会の平等という観点にも配慮をしていくことが可能になるのではないかというふうに考えているところでございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 今回の法改正が盛り込まれたことの目的といいますか、政策的な効果というものについてお尋ねをしたいと思うんですけれども、三県の職業能力開発短期大学校修了者の進路というものを見てみますと、ほとんどの修了された学生は就職をし、数名が職業能力開発大学に進学をしているという現状がございます。

 当然、新卒後の編入学とともに、一度就職し現場で技術を習得した方が更にスキルアップを目指す、これは大変重要なことだと思いますけれども、今回の特例によりどういう人材を育成することを目的にして、そこに政策的な方針というものがあるのかということをお伺いをしたいと思います。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 職業能力開発短期大学校で高度、実践的な技術力というのを習得されるわけでございますけれども、こうした方がその後大学に編入学できるということで、高度な技術力に加えて、研究開発力あるいはマネジメント力というのを兼ね備えていただく、これをもって地域産業の発展に寄与するような人材が育成されることを想定しております。

 したがいまして、短期大学校卒業後すぐに編入学する場合もあれば、卒業後、就職を経て編入学という場合と、いずれも同様にあり得るかと思っております。

 現在、特例を御要望いただいております自治体さんの方では、地域の産業政策を推進する実践的で高度な人材の育成が課題となっていると承っております。このように育成された人材が、地域の物づくり産業を発展させるイノベーティブな人材として地域活性化に寄与することを期待しております。

石田委員長 時間が参っておりますので、よろしくお願いします。

西岡委員 はい、ありがとうございます。

 これで時間となりましたので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

石田委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 構造改革特区法の一部改正について質問いたします。

 国立大学法人が有する土地の貸付けは、これまでも認可制ではあるが認められてきました。今回、あらかじめ構造改革特区を地方公共団体が申請、認定されれば、国立大学法人は届出のみとなり、しかも、特に期限も決められておりません。

 条文では、当該構造改革特区におけるイノベーションの創出としか記されておらないんですが、特区計画には何をどこまで書くんでしょうか。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 本特例は、国立大学法人法の特例として措置をしておりますので、具体の手続については、国立大学法人法に規定された貸付けの認可に係る基準に準拠することとしております。

 構造改革特区計画においては、当該構造改革特別区域のイノベーションの創出に資する研究開発、事業、施設に貸し付けることを予定している土地等の範囲、契約の相手方若しくは相手方の選定方法等を記載することとなります。このほか、貸付けに係る国立大学法人内の学内規則や、契約書のひな形等を提出させることを想定しております。

高橋(千)委員 今、国立大学法人の土地貸付けの認可に準拠するというお答えがありました。

 確かにそれは個々の土地について認可をしていたわけですよね。今までは、例えば、貸し出す土地を特定し、どこどこの番地の何ヘクタールとかとなって契約書案を添付をし、貸付期間と貸付終了後の使用予定を明記していると思います。だけれども、特区計画の場合は、例えば、AI店舗の研究だとか再エネだとかが計画にあったとすれば、具体の土地の範囲は明確でなくてもいいんでしょうか。

 つまり、その大学の法人の土地がいっぱいあって、そのうちの一部を最初は使うんだけれども、その後は、後で追加されてもいいという意味なのか。テーマも、最初は想定していたのはAI店舗なんだけれども、その後また追加されていく、それも届出でよい、そういう意味なんでしょうか。

三浦政府参考人 お答えを申し上げます。

 本特例は、先ほど申し上げましたように、国立大学法人法の特例でございますので、基本的に手続については国立大学法人法に準拠ということでございまして、特例における土地等の貸付けについても、当該基準に記載する事項が満たされることが確認できるように、関係省庁と具体的なところは調整しているところでございます。

 議員の御指摘する土地の特定などなど、詳細のところについては、実際に土地等の貸付けを受けて事業を開始するまでに特区計画及び届出書で確認をしていくということになります。個々の事項において、特区計画の記載時点で求めるのか、それとも届出書の記載時点で求めるかについては、引き続き関係省庁と調整の上で規定することとなります。

 いずれにしても、従来の基準で規定される事項については、特区計画及び届出書においてしっかりと確認をしていきたいというふうに考えております。

 また、もう一点お尋ねのあったテーマについて、別のテーマになった場合はどうなるのかということでございますけれども、追加となる研究開発が既に認定された区域計画に記載された内容と関連しているということであれば、引き続き届出による土地等の貸付けを行うことはできますけれども、別テーマの研究開発になるということであれば、当該研究開発の内容を踏まえて区域計画の変更等の要否について判断するということになってきます。

高橋(千)委員 届出制にする割には、どのタイミングで何を出すのか、どこまで出すのかということがはっきりしていないというのが私は問題だと思うんです、中身以前に。

 文科省に聞くと、文科省は貸出基準は所管しているけれども、特区なんだからそれは内閣府に聞いてくださいと言うんですよ。内閣府に聞けば、それは文科省が決めることですと。それは、違う制度にするんだから、そういう答えは困るんですよ。

 ただ、今、最後におっしゃった、テーマが関連していれば届出でよいと言ったので、大概は関連していることになると思うんですね。それがやはり事前のチェックがないということにつながっていくのかなと思います。

 文科省に伺います。

 貸出基準の範囲内というんですけれども、貸出基準は、当該国立大学法人の業務の範囲内又は附帯業務というふうになっております。実際に貸し出される相手先企業が行う事業について、本来の教育研究の範囲内なのか否か、貸出期限が終了した場合若しくは中止された場合でも原状回復がされるのかというように、貸し出した後どうなったか、言ったとおりだったのかとか、そういうのが確認されない仕組みになっていると思いますが、いかがですか。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 国立大学法人が所有する土地等の貸付けの認可に当たりまして、文部科学省では、当該貸付けにより教育研究活動の実施に支障が生じないこと、法人の財産を毀損するおそれがないこと、公益を損なうおそれがないこと等を確認の上、認可を行っておりますが、御指摘の貸付先については、認可後の当該法人による公募に基づいて決定されることとなります。

 このため、実際の認可手続においては、貸付先事業者の利用用途を個別具体に確認するのではなく、貸付条件が当該法人の学内規則や公募する際の公告案等に明記されていること、このことを確認するという手続を取っております。

 また、貸付期間終了後の取扱いや事業が中止された場合の取扱いにつきましては、これは貸付けの認可後に行われる当該法人と貸付先事業者との個別の契約によるものでございますので、文部科学省では、契約締結時点で契約書等の写しの提出を求めておりまして、それによって報告を受けているというところでございます。

高橋(千)委員 報告を受けているけれども、国立大学法人と企業との関係の問題だという、文科省がやっているわけではないというお答えだったと思います。

 時間がもったいないので、一つ飛ばして具体の話に行きたいと思います。

 宮城県大崎市にある東北大学大学院農学研究科附属複合生態フィールド教育研究センターの土地が、いろいろあるんですけれども、北山地区というところ、三百七十六万平米を二十年間貸し付けるということが平成三十年に東北大学から申請をされ、翌三十一年、二〇一九年に認可をされ、二〇二〇年三月に川渡風力発電株式会社と契約を締結しています。最大出力七万キロワットの風力発電を計画、環境アセスの手続をしております。

 住民が問題にしているのは、資料の一枚目にそのフィールド全体の地図があるんですけれども、この真ん中ら辺の六角と書いてある黄色いところ、ここを六角牧場発電と言っているんですが、この六角牧場を入れて宮城北部地域だけで七つの風力発電事業が準備されておって、合計二百基にもなる。つまり、東北大学の敷地だけじゃなくて、いろいろなところを合わせると二百基にもなるんですね。

 地域全体でやはり総合的な影響を見なきゃいけないと思うんですが、環境省に伺います。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、議員御指摘の東北大学が貸付公募した区域における事業、いわゆる六角牧場風力発電事業、これにつきましては、鳴子温泉を始めとした宮城県を代表する観光地への影響の懸念から、宮城県のアセスの方法書に係る意見書でも厳しい御指摘がなされていると承知しています。

 その前段階の環境アセスメント手続におきまして、環境省におきましても、令和二年九月に計画段階の環境配慮書に対して環境大臣意見を経産大臣に提出してございますが、その中におきましては、宮城県が作成いたしました風力発電に係るゾーニングのマップがございまして、その中に当該事業の計画地があるわけですが、そのマップを拝見する限り、要は、適地以外に、関係法令や地形の制約が強くて、保護を優先すべき、あるいは立地困難だというエリア、それから、立地に当たって関係法令とか社会的配慮や調整が必要なエリアというのが含まれているので、こういった整理をされた区域が含まれるから、今後、宮城県と協議等を行い、実施区域を設定すること等を求めてございます。

 議員御指摘の地域全体の環境負荷の低減の観点ということにつきましては、行政といたしましてもゾーニングとかいろいろやっているわけですけれども、本事業のように、事業者や近隣で予定されている地域が多いということにつきましては、事業者サイドにおきましても、事業者同士が連携、情報を共有することによりまして、他事業との累積的な影響を考慮して事業計画の検討を行っていただくということが重要でございます。

 このため、例えば、優良な事例でございますけれども、地域における協議会を立ち上げていただくとか事業者間の情報交換を行って、環境保全措置とか事後調査の内容を連携して検討する取組がなされているという優良な事例もございます。

 いずれにいたしましても、環境大臣が意見を言いましたのはまだ配慮書の段階でございますが、さらに、本事業を含むアセスの手続におきまして、地域全体の環境負荷の低減の観点からもしっかりと審査をしてまいる所存でございます。

高橋(千)委員 力のこもった答弁をありがとうございます。

 実は、本当に県のアセスの中も物すごい意見がいっぱい出ていて、代表が私は絶対反対だとか、猛烈な意見が出ているんですよ。それを出す側が本当にアセスを受けるという立場に立っているのかということを厳しく指摘をされる、そういうような状況があって、今大事だったのは、やはり、いろいろな事業者がいるんだけれども、総合的に見なきゃいけないということを今環境大臣意見を出してくださって、それを仕組みとして確立をしていないので、いろんな提言をしてくださったんだけれども、ちゃんと今後見ていく必要があるのかなと思うんですね。

 東北大学に戻ります。資料を見てください。

 これは、川渡フィールドセンターの住民に対する説明資料なんですね。それで、一枚目に書いているように、林地、草地、耕地がバランスよく配置される大学附属農場としては全国唯一の規模なんです。なので、共同利用施設として全国から教育を受け入れている。

 二枚目を見てください。それで、その実績が書いてあります。小学校、高校、大学、一般市民、東京や京都からも学びに来ます。ところが、資料の三枚目、これは上下で見てください。明治以来のものもあって、施設が老朽化しているんですね。毎年、改善費用を国に要求をして、だけれども認められず、人件費が削減され、技術職員も不補充だと。これはもうどうしようもないところに追い込まれているんですよ。

 文科省の貸出基準は、その土地が現に使用しておらず、将来も当面使用する必要がない土地というふうになっています。だけれども、本当は、大学自身が訴えているように、本来、ちゃんとした予算がつけば、フィールドセンターならではの充実した教育研究ができた場所なんじゃないでしょうか。ここをちゃんと支援していくという気持ちはあるでしょうか。伺います。文科省。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 東北大学の川渡フィールドセンターは、森林生物、生態系など、多種多様な教育研究を実施する農学分野の全国的な教育研究拠点であるというふうに認識をいたしております。教育関係共同利用拠点として文部科学大臣の認定も受けておりまして、運営費交付金の支援も行っているところでございます。

 なお、東北大学は、この川渡フィールドセンター全体の敷地の一部の貸付けを行いつつ、貸付地以外の同センターの敷地において引き続き教育研究機能を維持しているというふうに聞いているところでございまして、引き続き、運営費交付金での支援等を行っていくという状況でございます。

高橋(千)委員 今、引き続きとおっしゃってくださったんですが、足りないと、国が応えてくれていないと言っているわけですから、引き続きというんじゃなくて、きちんと拡充していくというふうにしていただきたいと思うんですね。

 次のページですが、震災前の放牧と震災後の放牧というのがあるんですね。大震災で汚染して、除染が完全には無理なことから放牧が不可能になったということで、実は、土地貸付けの認可申請書を東北大学が出しているんですね。放牧によって自然の餌を得て、労力もとてもよかったし、自然の循環ということでの農業もやることができた。だけれども、それが放射能によって結局餌を買わなきゃいけなくなってお金がないということが、このポンチ絵はお札がいっぱいついていますけれども、そういうことを主張しているわけなんです。

 それで、公募をしたんですね。公募したら、手を挙げたのが風力発電で、五ページの風力発電事業と連携した研究構想というふうになってきた。だから、やはり後づけの話ではなくて、私は、本来持っている自然を生かした、あるいは、よそにはない、そういうものをちゃんとやればよかったのになと。

 二十年貸し付けて、放射能、トータルすると三十年たつので、そうすると、また放牧すると書いているんですよ。本当にそれができると思いますか。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 東北大学からの土地の貸付認可申請書におきましては、御指摘のとおり、貸付期間終了後の将来的な使用予定については、放射性物質による汚染解消確認後、飼育牛の放牧を中心とした教育研究フィールドとして使用するとされているところでございます。

 貸付期間終了後の当該土地の使用につきましては、当該大学の判断において実施されるべきものでございまして、大学からの申請書において、その使用予定について大学の判断が示されており、それを含め、認可基準が満たされておりましたところから、文部科学省として認可を行ったところでございます。

高橋(千)委員 ですから、さっきから言っているように、認可基準というのは、取りあえずそこに、ほかに使わないとか、業務に関連しているとか、その程度の基準で、何に使うのかということは書いていないわけですよ。

 それで、地域の住民の皆さんが、騒音だとか、振動だとか、じんあいだとか、視覚的な不快感だとか、電磁波だとか、様々心配しているので、実際どうなのと情報公開を求めたのに対して、東北大学の回答が昨日総務省を通して返ってきたんですね。大臣、聞いてください。

 本学が貸し付けた土地で行われる風力発電事業は国の制度の下で実施されるものであり、環境への影響も国のアセス制度において適切に判断されるものだから、本学は説明する立場にないと。

 FIT事業の認可を受けるとかアセスを受けるとかということを通して、国の制度なんだと言って説明しないというのはおかしくないですか。そんなことを言ったら全部が国の制度になってしまうわけなんですよ。

 住民の皆さんは住民説明会一回、大学からは区長向け説明会一回。会の皆さんには一回です。住民にはほとんど知られていません。今回のような事前届出でよいとされる改正で、ますます住民への説明会がなくなったり、本当は一緒に盛り立てなきゃいけないのに、合意ができなくなるんじゃないでしょうか。一言お願いします。

野田国務大臣 今の総務省の大学のあれは伺っていなかったのでお答えできないんですけれども、今回の特例措置というのは、当然、それに係る区域計画を地方公共団体が作成する際には、貸付先や用途などが公益に反しないことを確認することを求めるとともに、国が区域計画の認定を行う際には、実際に貸付けを受けて行われる事業の内容が関係法令に反しないものであることを十分確認するということにしています。

 今回の特例措置の運用では、不適切な貸付けが行われないようしっかり対処した上で、地域のイノベーション創出に資する革新的な研究開発、これをしっかり促進して、その地域の活性化を促してまいりたいとしているところであります。

石田委員長 時間が参っておりますので。

高橋(千)委員 時間になりました。

 住民の声を是非聞いてください。終わります。

石田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

石田委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表して、構造改革特区法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 主な反対理由は、構造改革特区内で国立大学法人の土地等の貸出しを認可から届出にすることです。特区内、かつイノベーションに資するという名目で、事実上のノーチェックになってしまうからです。

 政府は、事例として、スタートアップ企業が入居する地域のイノベーション拠点施設や、再生可能エネルギー、最新テクノロジーを導入した商業施設などを挙げていますが、それぞれ、現行の認可制度でできることです。特区に認定されれば、特に期限もないため、新たな事業の追加や拡充が容易になり、国の関与も及びません。

 本日の質疑でただした東北大学の川渡フィールドセンターにおける風力発電事業は、環境アセスの中で、県からも、経産省や環境省からも、景観や自然環境、生活環境への影響が指摘され、住民から強い懸念が上がっています。今でさえ住民への説明も十分ではないのに、今後は届出で決まっていくとなれば、一層地域住民が置き去りにされることになりかねません。

 経団連は、二〇一九年四月のソサエティー五・〇の実現に向けた政府研究開発投資に関する提言の中で、企業が直接投資することが困難な創発的研究は、大学や研究開発法人が中心的な役割を担うことになるとして、運営費交付金の配分見直しを求めています。

 一方、国立大学法人に対しては、国立大学法人改革の名で、資産運用などの更なる自己資金獲得が迫られてきました。今回の特例措置もその一環であります。

 国民の共有財産であり、教育研究のためにこそ使われるべき国立大学法人の資産を、もうけの道具としてはなりません。運営費交付金を拡充すべき国の責任をも放棄するものであります。

 なお、職能開発短期大学校から大学への編入学の道を開く特例措置については、地域で物づくりに関わる技術者や技術者を目指す若者らがより高度な知識、技術を学び、身につける機会になることから、反対はしません。

 しかし、文科省自身が述べていたように、編入学は学校制度の根幹に関わることであり、制度上の担保と外部評価の仕組みを検討して、特区ではなく、全国統一の対応を目指すべきです。

 構造改革特区法は、国民の暮らしや環境、教育を守るために必要な規制を緩和あるいは撤廃へ道を開くため、二〇〇二年に成立し、以来五年ごとの延長と特例措置の追加を重ねてきました。しかし、地方発の形を取りながら、その実際は業界の要望や政府の施策の実験的試行のツールとされてきたにすぎず、延長は必要ありません。

 真に必要な規制の緩和は根拠法の改正などで行うべきであることを述べて、討論とします。

石田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

石田委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、構造改革特別区域法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

石田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十六分散会


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