衆議院

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第6号 平成30年5月21日(月曜日)

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衆議院情報監視審査会規程第二十九条第四項に基づく会議録

    ―――――――――――――

平成三十年五月二十一日(月曜日)

    午後一時三十分開議

 出席委員

   会長 額賀福志郎君

      岩屋  毅君    今村 雅弘君

      後藤田正純君    大塚 高司君

      山内 康一君    渡辺  周君

      太田 昭宏君

    …………………………………

   参考人

   (前内閣情報官)     植松 信一君

   参考人

   (日本大学危機管理学部教授)           小谷  賢君

   参考人

   (専修大学教授)     山田 健太君

   衆議院情報監視審査会事務局長           紅谷 弘志君

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委員の異動

五月八日

 井出庸生君委員辞任につき、その補欠として渡辺周君が議院において、委員に選任された。

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五月九日

 次の本審査会委員は、衆議院情報監視審査会規程第四条第一項により宣誓した。

      渡辺  周君

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五月十八日

 特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施の状況に関する報告が本審査会に提出された。

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本日の会議に付した案件

 行政における特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施の状況に関する件(平成二十九年年次報告書)


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     ――――◇―――――

額賀会長 これより会議を開きます。

 御報告いたします。

 今般選任された渡辺周委員は、衆議院情報監視審査会規程第四条第一項の規定による宣誓を既に行っております。

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額賀会長 行政における特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施の状況に関する件、特に平成二十九年年次報告書について調査を進めます。

 本日は、本件調査のため、参考人として、前内閣情報官植松信一君、日本大学危機管理学部教授小谷賢君、専修大学教授山田健太君、以上三名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に対しまして一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本審査会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、今般私どもが提出をいたしました平成二十九年年次報告書につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 植松参考人、小谷参考人、山田参考人の順に、お一人十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対しましてお答えをいただきたいと存じます。

 なお、参考人各位に申し上げますけれども、御発言の際にはその都度会長の許可を得て御発言くださいますようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと思います。

 なお、御発言は着席のままでお願いをいたします。

 それでは、まず植松参考人にお願いをいたします。

植松参考人 本日は、本審査会にお招きをいただき、発言の機会をいただきましたことに心より感謝申し上げます。

 私からは、以下三点申し上げます。

 まず第一は、特定秘密保護法制の意義と重要性についてです。

 秘密保全は、情報機能を強化するために不可欠な基礎的インフラと言えます。保全に対する懸念があれば、突っ込んだ情報交換や円滑な情報共有の阻害要因、隘路となります。従前から、我が国や国民の安全にかかわる高度な秘密を保全するための法整備は喫緊の課題とされ、検討が重ねられてきた経緯があります。

 特定秘密保護法の制定によって、我が国及び国民の安全を守る、安全保障に関する特に秘匿を必要とする情報の漏えいを防止し、政府部内で共有、活用が図られ、また、我が国の秘密保全体制の信頼度が高まることで外国政府等との間での機密情報の共有が促進される、そのための法的基盤、環境が整った意義は大変大きいものがあると考えます。そして、その効果も着実に出てきているものと推察しております。

 特定秘密保護制度は、究極的に国益や国民全体の基本的利益を擁護するためのものであります。そのために、適切かつ確実な運用を積み重ねていくことによって安定的に定着させていくことが何よりも重要であると考えます。

 次に、第二は、特定秘密保護制度の適正な運用の確保についてです。

 適正な運用確保のための行政自身による統制としては、閣議決定により統一的な運用を図るための運用基準が策定され、各行政機関による定期点検や定期検査等の内部監査の実施や、内閣官房の内閣保全監視委員会によるチェック、さらには、内閣官房とは別の立場から、内閣府独立公文書管理監による、指定や解除の適否、行政文書の管理、廃棄についての検証・監察といった重層的な仕組みが設けられています。

 こうした行政による自律的な統制・チェック機能が着実に果たされることが重要であることはもとよりですが、加えて、国民の代表であり国権の最高機関である国会に常設された情報監視審査会による調査は、特定秘密に関する国民と行政とのまさに接点にあって、行政機関による説明責任の履行の担保、国民の基本的権利や利益の保護、そして国民の理解と信頼の確保のために非常に大きな役割、権能であると思います。

 行政機関にとっては、保護措置の講じられた審査会での審査は、国会や国民に対する説明責任を果たすための重要な場であります。

 国民に開示されるべき情報が恣意的な運用により特定秘密に指定され、隠蔽されていないか、また、特定秘密に指定すべき情報を適切にしていない場合はないかといった観点からなされる調査に対して、保護措置の講じられた審査会において、行政機関が、特定秘密や不開示情報の提示を含めて可能な限り丁寧でわかりやすい説明を尽くすなど誠実に対応する。そして、改善すべき点は改善する。そのことにより、国民の懸念を払拭し、国民の理解と信頼を高める不断の努力をしていく。審査会はそのための貴重な場であり、文字どおり、ありがたい場でもあると思います。

 これまでの報告書から、行政機関においては、本審査会の意見や指摘事項を踏まえ、例えば、特定秘密指定管理簿や指定書の記載の修正がなされたり、特定秘密ごとの行政文書の件数について不開示情報としての提出や、行政機関相互の共有状況についての説明、あるいは、保存期間一年未満の廃棄文書の状況についての報告や、行政文書不存在問題の類型についての報告と、その取扱いに関する統一的な考え方についての周知など、適正な運用を図るための取組努力がなされてきていることが読み取れます。

 また、審査会での審議の充実に資するよう、例えば、説明資料の事前提出や、あるいは、審査会に提示することが困難な特定秘密については、理解を深めていただくよう、具体的事例に即して、不開示情報を含め、詳しくわかりやすい説明の工夫をするなど、適切な対応に努めてきている状況もうかがい知ることができます。相互に意思の疎通を図りつつ、理解を深めながら、よりよい方向性をつくっていけるよう、信頼関係が醸成されつつあることが感じ取れます。

 なお、ここで、僣越ですが、若干付言させていただきたいと思います。

 情報源や情報の提供元との信頼関係維持などの観点から、特定秘密自体を提示し、あるいは説明することが困難な場合があると考えます。

 例えば、人的情報活動、ヒューミントにおける情報源の秘匿は、文字どおりいわば生命線であり、情報源の命や担当者の安全にもかかわる話です。したがって、人的情報源についての知得範囲は、ニーズ・ツー・ノウの原則に基づき、担当所属内においても極めて限定されているはずです。

 また、情報機関相互で情報を交換、共有するに当たっての前提として、提供を受けた情報を提供元の承諾なく勝手に別の第三者に提供してはならないというサードパーティールールがあります。実務上の慣習ですが、誠実に遵守することが求められます。これに違背すれば、外国政府や関係機関との信頼関係を大きく損ない、機微な情報の提供を受けることが期待できなくなってしまいます。個別具体的な状況によるとは思いますが、情報の提供元に対して承諾を求めることが、信頼関係の維持の観点から支障を来すおそれがないかどうか、慎重な判断を要するケースもあると思います。

 以上申し上げた例は、いずれも相手のある話であり、まさに相手との信頼関係が肝なわけです。こうした固有の事由について、具体的な脈絡あるいはケースに即して適切に御審議をいただきますよう、引き続き御賢察を賜ればと思います。

 次に、第三として、報告書の意見について、気づきの点を二点申し上げます。

 一点目は、行政文書の不存在の類型の一つとしての、いわゆるあらかじめ指定についてです。

 現場サイドからすると、特定秘密の入手が見込まれる場合に、あらかじめ指定しておくことで保全に万全を期すべきケースも考えられます。例えば、当該特定秘密を口頭で入手した後、文書を作成するまでの間に報告や共有の必要が生じる場合などもあるかと思います。

 当審査会の意見を踏まえて、出現することが確実でない場合は指定しない、情報が出現する可能性がないことが確定した場合は速やかに指定を解除することとする、取扱いについての周知がなされたとあります。

 要は、必要最小限の情報を必要最小限の期間に限って特定秘密として指定するという大原則、制度の本旨にのっとって、今後の実務での運用状況や具体的必要性等をよく引き続き見きわめていただきながら御審議いただきますよう、お願いいたします。

 二点目は、対象情報を記載した特定秘密指定書や、特定秘密の概要を記載した特定秘密管理簿の内容について、不開示部分を除き、各行政機関の長が積極的に公表することについての検討を求めている点についてです。

 ちなみに、インテリジェンスの世界では、あらゆることが手がかり、ヒントになり得ます。一般にはそんなことがと思えるようなことであっても、外国情報機関等にとってみれば、どこにどのような特定秘密があり、その特定秘密を入手した日付はいつかなどは、探索や諜報活動を可能あるいは容易にする手がかり、端緒となり得ます。特定の部分を黒塗りにしたとしても、またそのこと自体が情報として意味を持ってしまうこともあるわけです。

 外国情報機関による諜報活動を防止するというカウンターインテリジェンスの観点からは、いわゆる小心翼々を旨として、用心を細密にすることが求められます。このような観点から、この点の公表のあり方については慎重な検討が必要であると思います。

 以上ですが、最後に、額賀審査会長始め各委員の皆様のこれまでの御尽力に敬意を表しますとともに、当審査会において、行政機関との間で、緊張感の中にも信頼関係が構築され、引き続き真剣かつ活発な審議が重ねられ、特定秘密保護制度の運用が、我が国及び国民の安全の確保、国民の権利や国民全体の基本的利益の擁護のために有益なものとなることを願いまして、終わりとさせていただきます。

 ありがとうございました。

額賀会長 ありがとうございました。

 次に、小谷参考人にお願いいたします。

小谷参考人 本日は、当審査会にお招きいただきまして、また、発言の機会をいただけましたこと、大変光栄に存じます。また、本審査会の年次報告書を拝見しまして、これは大変なお仕事をなさっていると感服しているところでもあります。

 さて、私は以前防衛省に所属しておりまして、特定秘密の制度につきましては役所の立場から見ておりましたけれども、同時に、私は長年、外交や安全保障、インテリジェンスにかかわる歴史研究というものを行ってきましたため、本日は、役所と歴史家双方の立場から意見を述べさせていただければと存じます。

 一般論としまして、特定秘密の運用をめぐっては、政府や行政組織と立法府の間に少なからず意見のそごが存在しているように認識しております。行政の側はなるべく秘密を内々に運用し、できれば国会には余り報告したくないという意識がありますし、立法府の側は、いつも役所が秘密を隠そうとしているのではないか、だから全て開示せよという意識でおられるのではないかと愚察しております。

 個人的には双方の主張は理解できるものでありますが、原則としまして、特定秘密をめぐって国益や国民の権利を毀損すべきではないというふうに考えております。つまり、国益に損害を与えるような情報については特定秘密として管理し、厳格な運用を行うべきであると同時に、全ての情報は税金によって賄われている以上、いずれ情報は国民に開示されるべきであるという相反する二つの原則をバランスよく扱っていかなければならないということであります。そこには各省庁の組織防衛ですとか政党の党利党略が入り込む余地は全くなく、常に国益や国民の目線に立った制度の運用が求められているのではないかと存じます。

 年次報告書を一読させていただいて一番驚きましたのは、廃棄文書の数であります。特に一年未満の特定秘密文書が数多く廃棄されている事実を知りまして、愕然といたしました。

 昨今問題となっております防衛省・自衛隊の日報についても、保存期間が一年未満であったことは記憶に新しいわけでありますが、日報とは、戦前でいえば、日本陸海軍が作成しておりました日誌ですとか戦闘詳報に近いものであります。旧日本陸海軍は、戦闘詳報を軍事機密に指定し、厳格に管理してきました。その理由は、詳報がなければ、戦訓を学んだり、後の教育に生かすということができないからであります。また、戦後、多くの歴史研究者が戦闘詳報を検討することによって、日本軍の作戦行動を歴史的に評価することができたわけであります。

 一歴史家としましては、あらゆる文書は歴史研究にとって必要不可欠なものであるというふうに認識しております。それは原本かコピーかという問題ではなく、できれば手書きのメモの類いですら残っている方がよいわけであります。公文書の案文の段階ではいろいろなコメントが欄外に書き込まれることもあるわけでありまして、そこから歴史家は文書作成をめぐるさまざまなやりとりを酌み取ろうとするわけでありますから、原本があるからといってコピーの方を廃棄するというのもどうかと思うわけであります。

 しかしながら、何でも残せということになりますと、現場の手間が大変なことになるということも重々承知しておりますので、断定的に申すことはできませんけれども、歴史家の心情としましては、なるべくたくさんの文書を残しておいていただきたい、どのような文書であれ廃棄など論外であるという心情ではあります。ところが、実際には多くの文書が廃棄されているため、歴史研究者は、オーラルヒストリーという形でかつての当事者の方々に聞き取りを行い、資料として記録に残さなければならなくなっているわけであります。

 他方、役所の裁量で特定秘密が管理されるのも、ある程度はいたし方ないという印象も持っております。文書作成から三十年が経過したという理由だけで国立公文書館に移管しなければならないということになれば、各省庁の文書破棄を誘発しがちになります。破棄されるぐらいであれば、非公開のまま文書を保管していただける方がまだ好ましいということも言えるかと思います。保管さえしておけば、いずれ日の目を見る可能性も残っているわけであります。

 例えば、イギリスでは、戦後に情報機関の作成した公文書は現在も公開されておりません。イギリスでは、非公開の権限が各省庁に委ねられておりますが、そのあたりはイギリスの議会情報委員会でも余り問題にはなっていないようです。ただし、非公開資料のリストだけは公文書館でも見ることができまして、本資料は二千何年まで非公開ということが堂々と記されているわけであります。

 現状、役所の個別裁量で扱える一年未満の文書といえど、特定秘密に指定されたからには、それぞれの役所の裁量で廃棄されてしまうのはいかがなものかと憂慮しております。ですので、特定秘密に指定する以上は、少なくとも保存期間を一年以上にすべきではないかと考えております。もちろん、どうしても一年以上にすることが困難なものについては、例外規定を設ければよいかと存じます。

 ただ、一般論ですが、余り外部からの監視が厳格になり過ぎると、かつての外務省の密約問題のように、意図的に文書を作成しない、つまりは制度の形骸化という問題も、弊害も生じてきます。ですので、実際にどうやって管理運用していくのかという問題になりますが、まずは独立公文書管理監の権限と情報保全監察室の体制を強化していくことではないかと考えております。

 公開されている資料によりますと、同室の人員は現在二十名ということでありますが、これでは各省庁の文書を精査するのは難しいように思えます。情報監視審査会報告書を拝読する限り、同室による特定秘密のチェックが追いついていない印象であります。

 役所の心情としましては、何でも国会の委員会に出すべきだと言われますと抵抗がありますので、まずは行政によるチェック機能を強化していくことが必要かと思慮いたします。もちろん、その過程で、審査委員会から特定秘密が漏れた場合の罰則規定も設けておく必要性を感じております。

 それから、年次報告書に記載されておりますような、アーキビストによる廃棄や公開に関する助言制度のようなものも導入すべきではないかと考えております。現在、有識者から成る情報保全諮問会議が設置されておりますが、こちらは制度の運用や法的な側面が重視されているようですので、この制度とは別に、特定秘密に歴史資料としての価値があるかどうかを精査する組織があってもよいかと存じます。私の知る限り、アメリカやイギリスでは、大学の歴史研究者が、公的歴史家、オフィシャルヒストリアンという形で、情報機関の秘密情報を閲覧し、公開すべきかどうか意見を述べる制度が存在しております。

 本来であれば、保存期間の終了した特定秘密につきましては、速やかに他の行政文書同様に国立公文書館へ移管し、そこでアーキビストの審査を受けて公開すべきかどうか決定するのが筋でありますが、現状、国立公文書館の職員数並びにアーキビストについては不足しております。さらに、移管されることなく廃棄される文書も膨大な数となっておりますので、当面は、内閣府において、廃棄される文書が歴史資料に該当しないか審査する委員会のような形になるかと考えられます。

 本日お配りした資料にも、組織の図案というものを掲載させていただいておりますけれども、この青の有識者委員会というところについて私が加えさせていただいた組織でありますけれども、このメンバーは専門の歴史研究者ですとかアーキビストであり、独立公文書管理監に助言を行うことになるかと考えます。ただし、特定秘密を閲覧するという関係上、委員の方々の身辺調査のようなものはいたし方ないかと存じます。

 公文書の管理問題は、特定秘密に限らず、現在、国民の関心事項となりつつあります。本問題は、行政府と立法府だけのものではなく、国民自身が向き合う問題でもあります。特定秘密保護制度の円滑な運用のためには、今後さらなる予算の必要性も生じてきますので、社会への情報発信やアーキビストの養成など、国民の理解を得ながら進めていく必要があるのではないかと存じます。

 最後に、まとめとさせていただきますが、特定秘密の制度に関与する方々は、常に国益と国民の権利について配慮する必要性があるかと存じます。そして、行政の側は基本的に特定秘密に指定された文書の廃棄を行わない、そのかわり、立法府は特定秘密を絶対に外部に漏らさないという原則を確立すべきではないかと考えております。そのためには、昨年度この審査会で三谷参考人、また、先ほど植松参考人からもありましたように、お互いの信頼関係の醸成というものが必要になってくるのではないかと思います。

 以上でございます。どうもありがとうございました。

額賀会長 ありがとうございました。

 次に、山田参考人にお願いいたします。

山田参考人 本日は、本審査会におきまして意見陳述の機会をいただきましたことに感謝申し上げます。

 私は、既に公刊物におきまして、言論法、情報法の研究者の立場から、特定秘密保護法の制定時におきまして、その法的たてつけに問題があるとの指摘をしてきた立場であります。しかし一方で、政府には国家安全保障上等で国家秘密があり、そのための保護制度が必要なのは必然であります。その中で、こうした秘密をどのように民主的にコントロールしていくのかが問われているわけでありまして、本審査会がまさにこの命題に取り組んでおられるものとして、強い関心を持って活動を拝見させていただいている次第であります。

 そうした中、額賀会長を始めといたしまして、委員各位が真剣に討議され、活動をされておりますことに敬意を表したいと思います。

 さて、昨今の、公文書をめぐる改ざん、隠蔽、廃棄等のさまざまな問題は、党派を超えて大きな問題であるとの認識かと存じます。これらの対象記録が行政文書か否か、いわんや特定秘密か否かを超えて、いわゆる行政府が作成、活用、保存する記録そのものへの信頼感を喪失させ、それが行政あるいは政治への不信につながっているとすれば、その歯どめの一つは、まさにこの本審査会が実行する監視活動が正統に行われ、その結果が国民に向けてメッセージとして実効性があることと言えます。

 さて、こうした観点で見た場合、本報告書に示される当審査会の活動について幾つか意見を申し述べたいと思います。また、あわせて、そこから見える今後の活動課題についてもお話ができればと存じます。

 もともと、秘密の保護とその運用チェックのシステムはセットである必要があると言われています。言いかえれば、秘密保護制度にはチェックシステムがビルトインされているということが必要であります。

 しかし、残念ながら、二〇一三年段階では必ずしも十分ではなかったと言えます。その中で、いわゆる立法権としての行政権のチェックなのか、あるいは、国家における重要秘密の全体を主権者に成りかわり監視をするのか、あるいはまた、政府の防衛、外交、警察といったいわゆる特定秘密の対象行為の監視をするのか、どのような活動をこの審査会でしていくのかが問われていたということが言えると思います。その中で、いかに限られた権能をうまく活用していくのか、あるいは、あえて言うならば、見切り発車的な状況の中でスタートしたこの審査会の活動が、どう十全なものとして成立をしていくのかというところに当該監視活動の大きなポイントがあろうかと思います。

 実際、この立法機関設置の、ある種日本型の監視システムというものがどういう可能性があるのかについて考えてみたいと思ったわけであります。

 具体的に少し三年間の状況を見ていきたいと思います。

 あえて言うならば、この三年間は、すり合わせ、二年目の串刺し、そして三年目の見直しという活動が行われてきたと思います。

 すなわち、一年目のすり合わせというのは、運用上の確認と制度の整備というふうに見受けられます。例えば、政府統一方針の策定と公表の要請、あるいは全体のボリュームの確認、そして廃棄ルールの確認といったものであります。

 そして、二年目におきましては、いわゆる一つの対象領域を、特定秘密からいわば軽微な秘密のレベルと言える取扱注意まで串刺しにして、その中で構造上の不備がどこにあるのかということについての摘出が行われたというふうに見受けられます。その結果、例えば文書不存在の六類型が示されました。あるいは、長期特定秘密文書の存在が明らかになりました。そしてまた、定期点検の必要性についても御指摘がありました。こういう形で、まさに串刺しの活動の意味合いというのがはっきりと示されたというふうに思います。

 そして、この三年目については、当初より、この秘密保護法の制度上、解除と廃棄に問題があるということが言われてきた中で、この一つ、廃棄に焦点を当てて、秘密制度自体が有する課題の摘示というものを行ったというふうに理解ができます。まさに、この文書廃棄、既に参考人からも発言がありましたように、一年未満文書等々についての問題、三類型が示され、これによって相当程度特定秘密の制度上の問題についての不備が明らかになってきたということが言えると思います。

 これが、まさに私が最初に言った日本型の監視システム、一体、本審査会が、世界の中のいろいろあるタイプの中の審査会活動として何をしていくのかというのが見えてきたのではないかと思うわけでありまして、このすり合わせ、串刺し、見直しをうまく調整して、バランスをとりながらこの審査会の活動が行われることに期待をしたいと思います。

 その上で、今年度の、文書廃棄の問題について少し申し述べます。

 この文書廃棄の問題というのは、まさに、誰が、主体としての誰が、そして理由としてなぜ、そして方法としてどのように廃棄をするのかという問題と言えると思います。その中で、基本的には内容観点で、重要性がないとか、都合が悪いという判断があったりというようなことで廃棄されたり、あるいは、意識や研修の問題として、公文書としての認識が欠如していたり、あるいは物理的にスペースが不足していたり、あるいはそもそも制度としてルールがなかったりという形で文書廃棄が行われてきているということが、この行間からも、報告書の全体像からも見えてくるわけであります。

 この状況をどのようにきちんと制度化するかということについては、まさにその取っかかり、いわゆる、何がいけなくて、どうすればいいのかというところまではこの報告書で見えてきているわけですので、あとはそれを具体的な形にしていく、あるいはその運用をルール化していくということになろうかと思っております。

 その中で、当然ながら、文書廃棄だけの問題ではなくて、全体として必要なものも見えてくるかと思います。現行制度の枠組みの中での個別課題であります。

 既にこれは、この三年間、とりわけこの一年間の報告書で本審査会で指摘されている部分でありますが、例えば重要会議の議論の扱いがあります。ここでは国家安全保障会議についての議論が進んでおりますが、例えば、それ以外にも閣議や皇室会議など、いわゆる簡単な議事要旨は存在しても詳細な議事録が存在しないもの、あるいは、そもそも会議記録そのものが存在しないものもあろうかと思います。このような会議の議論をどのように今後残していくのかということについての議論はまさにこれからではないかというふうに思いますし、その議論をする一つの場がこの審査会ではないかというふうに思うわけであります。

 また、ことしの審査会活動の中心テーマでありました文書廃棄につきましても、まだまだ、いわゆる解除の関係で、秘密解除をどのようにルール化するのかについては議論がされていないというふうに思いますし、実際の運用ルールについてもまだ十分に明確ではないかと思っております。このルールの厳格化と適正運用が、また一つ、制度上の大きな課題かと思います。ただし、実際、この廃棄問題についても、ことし相当程度議論の土台はでき上がっているというふうに思っているわけであります。

 そして、三つ目、これもまた、特にことし大きな議論になっていたというふうに読み取れますが、電子ファイルやデータの問題があります。保存、保管のルール、そしてチェックの方法をどのようにするのか。まさにこれまで、日本においては、情報公開法においても、電子ファイル、データの問題については検討がおくれている。あるいは、世界の情報公開法の制度の中でも、あるいは公文書管理法の世界の中でも、日本の制度が世界よりもおくれているというふうに言われている中で、どのようにこの電子ファイル、データを保存、保管するのかという問題は、特定秘密保護法を考える上でまずはきちんとルール化していくべき問題だというふうに思っております。

 それがあった上で、今後、現行枠組みを超えた制度の改善も必要かなというふうに思っております。既に御指摘があったアーキビストの養成、あるいは、各現場におけるレコードマネジメント教育の必要性ももちろんであります。

 ただし、その上で、議論がもう既に出ていますように、意思決定過程を含む会議公開法をどのように整備していくのか。実際に個別の法律ができるかどうか、あるいは現在の情報公開法の中に組み込んでいくのかは別としまして、事実上の会議公開法というものがどのように整備されていくのか。

 それからもう一つは、現在存在します行政文書公開法から、いかに司法と立法を含めた国家全体の情報公開法に、より広げていくのか、整備を拡大していくのかということも重要かと思います。

 実際、国会における文書公開につきましては、例えば、原子力発電所の事故調査委員会の記録につきましても、現在まだ公開の手続が進んでおりません。いわゆる制度がないがために見られないという状況があります。まさにそれは、この文書は国家の資料であります。その資料を利用して、使って、その後の国家全体の政策、そして国民生活を検証、レビューしていくというための制度としては、まずは国会も含めた公開法をどう整備していくのかということも、この審査会の広い意味でのお仕事の一つかというふうに期待をしているわけであります。

 その中で、将来、審査会がどのような形で審査対象を定め、そして、機能、権能を十全に生かして、特定秘密保護法の監視、それによって国家全体のいわゆるインテリジェンスを含めた活動の監視を十全に果たされていくことを強く期待をしております。

 以上でございます。

額賀会長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

額賀会長 これより自由質疑を行います。

 自由質疑は、運営協議会における協議に基づく方法で行いますので、御協力をお願いいたします。

 それでは、質疑を希望される方は挙手をお願いいたします。

岩屋委員 岩屋です。

 きょうは、三先生には、お忙しい中、ありがとうございました。また、国会の都合で、一度決めた日程を延期することになりまして、大変申しわけありませんでした。

 三先生に、端的に質問をそれぞれさせていただきたいと思います。

 まず、植松先生は、今、朝鮮半島情勢は非常に流動化しておりますが、金正日氏の死亡時の内閣情報官でいらっしゃったと思いますし、また、南スーダンに自衛隊を派遣する際にもそういうお役目におられたと思います。

 その段階では、こういった特定秘密保護制度といったものがない状態の中で、非常に機微な情報を扱っておられたというふうに思うんですね。そのときの御苦労から比して、さっき、制度全体、また私どもの取組については一定の御評価を賜りましたが、御経験に照らして、いま一度、こういう特定秘密保護制度並びに私ども審査会のありようについて、率直に御意見を聞かせていただければと思います。

 それから、小谷先生、日本大学は、失敬ながら危機管理が問われている状況にあるのではないかと拝察を申し上げますが、先生は各国のインテリジェンスの機関の状況についても大変お詳しいわけでいらっしゃいます。

 私は、自民党の中で、町村PTを非力ながら受け継がせていただいております。町村先生が特におっしゃっておられた、NSCというものが必要だよね、特定秘密保護制度のようなものがなきゃいけないよね、ここは何とかできたんですが、残っているのは、我が国独自の対外情報に特化した機関がやがてやはり必要なのではないかと。その研究、勉強を今しているところなんですが、我が国においてはどういう形が望ましいと思っておられるのか。

 そのときに、国会法でこの審査会をつくるときに、将来、対外情報を収集することを目的とする行政機関が設置される場合には、その監視のあり方について検討が加えられ、必要な措置が講ぜられるものとするという、附則に定められておりますが、そうなると、もしそういうものができると、この審査会の役割、使命というのは大きく変わっていってしかるべきではないかなと思っているんですが、その点についてどうお考えか、お聞かせください。

 それから、最後に、山田先生、この制度ができる前の段階ではかなり厳しい御意見をおっしゃっておられたと思いますが、私どもも手探りで三年間やってきまして、まだまだ不十分だとは思いますけれども、きょうも先生おっしゃっていただいたように、一定の成果は上げてくることができたのではないかなと思います。

 一方で、昔の特管秘のかなりの部分は特定秘密ということで取り込まれていると思いますが、その他の、省秘、あるいは、もう秘には当たらないけれども記録文書等の扱い方が相当にずさんだということで、いろいろな問題を惹起しているというふうに思うんですが、特定秘密はかなり整ってきているような感じが私はしているんですけれども、そういったその他の記録、秘密文書等々の管理のあり方について、どうあることが一番望ましいとお考えでいらっしゃるか、お聞かせいただければと思います。

 以上です。

植松参考人 まず、御質問のありました、そういった非常に重大な事案なり関心があるところについて、どういったことがあったかということでありますが、私の在任中も、従前から、いわゆる官邸の機能強化をどうしていくか、よくインテリジェンスサイクルといいますが、どういう情報をどう優先して、インテリジェンスの、情報コミュニティーにおいてそれをまとめて、コミュニティーとしての評価としてどう見るか、こういった努力は続けられてきました。

 もとより、重要な事項について、中長期的に、例えば内閣情報分析官がコミュニティーとして取りまとめ、合同情報会議で決める、あるいは、突発的なことについてはコミュニティーとしてそれをまとめていくということでありますが、当時はまだこの特定秘密保護法という法的枠組みがありませんでしたけれども、カウンターインテリジェンスに関する方針の中で、ちょうど私が着任したときから、いわゆる特管秘という仕組み、あるいは人的、適性評価というふうなものが施行されて、要は、共有をしやすく、そういうベースをつくっていくという取組がなされております。

 そういった意味で、もうほぼ十年以上前から、やはり、秘密の保全ということに不安があると、要するに情報がなかなか回らない、上がらないという、要するに信頼感でありますし、外国との関係でも特にそうでありますから、そういったものがきちっと管理をされる、また、ある意味で、今回の特定秘密保護の運営については、民主的管理も受けた上で信頼度のあるものとしていく、これは非常に大きいことだと思いますし、国家安全保障会議ができて、安全保障局もできて、まさに政策部門と情報部門が有機的に連接をして、そういうサイドからの、情報関心といいますか、情報の発注、リクワイアメント、これに対して、収集をして、分析、評価をして、かつ客観的にインプットしていく、そういった機能が有効に機能する、よくインテリジェンスサイクルと申しますが、それが回っていく。そのためにも、今回の特定秘密保護法が施行され、運用されていることというのは大変意味のあることだと感じております。

 以上でございます。

小谷参考人 対外情報機関の話についてお尋ねいただきましたけれども、私も、中長期的には日本に対外情報機関というのが必要だというふうに考えております。

 ただし、具体的にどういう形が望ましいのかということについてはまだまだ議論の余地があるかと思いますけれども、例えば、現状の内閣情報調査室を拡充して対外情報収集の機能を与えるとか、外務省の下に何か外国で動けるような情報機関をつくるとか、若しくはCIAのように完全に独立した情報機関をつくる、いろいろな案があるかと思いますけれども、今、その具体案について議論するのはここの会の趣旨ではないと存じ上げます。

 むしろ必要なのは、その監視、要は対外情報機関ができたときの監視をどうするかというところでありますけれども、もちろん、日本の、我が国の情報監視審査委員会、この会が立ち上がりますときに、将来的に対外情報機関ができた場合、そちらの監視もするという含みがあったというふうに思いますけれども、私もその案には賛成しております。

 つまり、将来的に対外情報機関ができた場合は、この情報監視審査委員会が立法府の、情報機関に対する監視、オーバーサイトの役割を担うべきであるというふうに考えております。

山田参考人 御質問ありがとうございます。

 まさに御質問の内容が、この審査会で二年目にされた活動そのものかというふうに理解をしております。

 その上でお話をしますと、まずは、特定秘密については、基本的にその秘密の内容が何があるのか、どのように運用されているのか自体がよく見えないという問題があるからこそ監視が重要であって、そのために、効果的な監視のための条件整備をどのようにしていくのかというのが問われているかというふうに思います。それは、まさにファイル、管理簿の整理や運用であったり、あるいは情報と文書のそごの解決であったり、あるいは行政文書の保存期間と特定秘密の指定期間の関係性をどうするかという問題であったりというふうに理解をしております。

 また、行政機関の特定秘密の管理に関する点検を、その点検をどう点検するかという問題もここで非常に大きな議論がされたところでありまして、私もこれは非常に重要な問題かと思っております。

 一方で、特定秘密ではない、まさに、一般的と言っていいかどうかわかりませんが、実質秘と言われているような秘密、さらには、今岩屋委員が指摘されましたような形式的な秘密については、基本は情報公開制度と公文書管理法がきちんと整備され、運用されていれば、それによって十分なまさに監視というものができるはずであるというふうに思われますし、それにプラスアルファ司法のチェックがかかるというのが日本の仕組みだと思っております。

 ただ、残念ながら、現在、日本の場合に、情報公開法の適用除外のいわゆる解釈や運用、あるいは公文書管理法の未整備の部分がまだ存在していて、それがために、現状では、現行の制度だけで、いわゆる実質秘以下の秘密といいましょうか、その秘密をうまく監視し、運用をチェックすることができていないということがあるものですから、これについて、いわゆる超短期的に言うならば、そのためのまさに監視制度が一義的に必要だということもあろうかもしれません。

 ただし、本来であるならば、それは情報公開制度と公文書管理制度によって十分にカバーできるはずであるということが言えるのではないかと思います。

太田(昭)委員 小谷参考人にお聞きしますが、特定秘密についてはかなり、こういう形で監視がされて三年たったということがありますが、行政文書ですね。行政文書について、秘密であれば、秘密保全をしっかり図った上で、厳に持ち得るために必要な保存期間の設定をすべきであるということはそうなんですが、今回の、例えば日報問題というようなことについて見解を示していただきたいというのと、それは、先ほどお話にありました、戦前はこういう形であった、歴史家にとってあらゆる文書は歴史資料となるということでありますけれども、特定秘密ということと、一般の行政文書というのと、歴史的にそれを残すというのと、何かもう一つここに挟まるものがあるような気が私にはするんですが、その中で、この有識者委員会というのを提起して、これをどう考えたらいいのかなというふうに、これは特定秘密ということで言われているわけですね、そこのことについてもう一度お話をいただきたいということ。

 それから、小谷参考人とそれから植松参考人と両方に、インテリジェンスコミュニティーをめぐる現状に対する認識、及びNSCに代表される官邸の政策決定機能強化と、政策決定のもとになるインテリジェンスの選別や、あるいは中枢への上げ方について、政策と情報の分離ということが、新聞で見たことがありますけれども、そうした観点からの見解をお二人から聞きたいというふうに思います。

小谷参考人 まず、行政文書と特定秘密の文書の区別をもう少ししていただきたいというお尋ねを今いただきましたけれども、私はむしろ、特定秘密についてはある程度廃棄から免れているという点はあるかと思うんですけれども、深刻なのはやはり行政文書、一般の行政文書の方でありまして、基本的には、行政文書というのは、保管年限が過ぎたらそれを国立公文書館に移管して、そこでアーキビストが審査するという、形式上はそうなっておるんですけれども、実際のところは、結局、各省庁で年限が来たと同時に廃棄しているというのがほとんどであります。その中にも、たまたまこの間の防衛省・自衛隊の日報も含まれていたということでありまして、歴史的文書となり得るようなものでも、一般の行政文書ということで日々廃棄されているものがたくさんあるということであります。

 ですから、私は、アーキビストですとか歴史家から成るこの有識者委員会ですか、こちらは特定秘密だけではなくて、私は行政文書一般についても確認をすべきであるというふうに考えております。

 それから、インテリジェンスコミュニティー、植松参考人を差しおいて私が話すのも大変僣越なんですけれども、あり方といいますか、よくちまたで言われていますのは、もっと情報をとってこないといけない、外国の情報をとってこないといけないということなんですけれども、私はむしろ、個人的には、分析能力をもっと上げないといけないというふうに考えております。

 つまり、今集まっている情報だけでも重々に分析できていないというところがありまして、ですから、内閣官房ですとか各省庁におけるインテリジェンスの中の分析部門を強化して、今ある情報からでも、若しくはテレビや新聞からの公開情報からでも、非常に価値のある情報を分析によって導き出すというふうな私はまず体制づくりをすべきであると。

 それで、それでも情報が足りないということになれば、やはり対外情報機関をつくったり、いろいろな情報収集の工夫をしていく必要があるのではないかというふうに考えております。

植松参考人 インテリジェンスコミュニティーのあり方ということですが、釈迦に説法かと思いますけれども、情報部門と政策部門というのは、ある意味で分離しつつ、かつ、政策部門からの要求なり関心に応じて、そこに有機的に連接して、インテリジェンスというのは、素材情報の中から、先ほど小谷参考人もおっしゃいましたけれども、政策判断をする、それを支援するために、意味のある、有意義な、活用される、そういったものをプロダクトとして出していく、それが非常に重要な機能であると思います。

 ですから、情報部門、特にインテリジェンスコミュニティーの役割としては、コミュニティーとしてトータルで一種の見立てをする、かつ、オールソースのアナリシスをする。いろいろな、ヒューミントによるものもありますでしょうし、その他技術的な情報、テキントによるものもあります、それからオープンソース、これによるものもありますので、そういったものを加えてどう見るのか、しかも客観的に見るのかということで、言ってみれば、政策決定者の意向に左右されるといいますか、そういうイメージをしながら上げるのではなくて、いかに客観的なものとして評価をするか、コミュニティーとしてやるか、これが非常に大事な役割としてあると思います。

 先ほど申し上げましたが、特に我が国や国民の安全に関する国家安全保障会議、かつ国家安全保障局ができて、ある意味で、それに関するものとしてはこういった点の関心があるという、そういう発注もあるのでありましょうし、もともと内閣情報会議や合同情報会議ということで、どういう点について評価をまとめるのかということは、私のいたときからも、そういった政策部門との疎通を通じながら、それについてコミュニティーとしての見方をまとめる、ある意味、また、急を要する場合はそれについてのいわゆる評価書というものを出していく、そういう積み重ねといいますか、これはできていると思いますので、そういった面での、収集機能の強化という点もございますが、まさにコミュニティー全体としてうまくそれを、その評価として機動的に上げていく、オールソースのアナリシスを上げていくということであろうと思います。

 私も、内閣情報官を務めさせていただいたときに、特に事務局というものではありませんでしたけれども、いわゆるオネストブローカーとして、コミュニティーをどうまとめて評価としてやっていくのかということをやはり一番心がけて務めたつもりでございます。

渡辺(周)委員 このたびこの委員に就任をいたしました渡辺といいます。国民民主党でございます。

 三人の参考人の方々に、三点ずつなんですが、簡潔にお尋ねしますので、簡潔に三つお答えいただければと思います。

 一つは、同盟国からもたらされた、すなわちアメリカからもたらされた、これはイラク戦争を念頭に置いてですが、例えば攻撃を、軍事行動を起こす、その際に、我が国があの際は直ちに支持をしたと思いますが、我が国独自として、その正当性、根拠をどう検証するか。事後ではなくて、その時点の判断としてですね。

 実は、これは、アフガニスタンへの攻撃の、九・一一の後もそうでしたけれども、実際、アメリカがアフガンを攻撃するに当たって、その証拠となるものは何だったか、実は国会の中で相当議論しました。しかし、明確な答えというのはなかった。その意味において、我が国が独自に情報を検証できるような体制というのを、たとえ同盟国からもたらされた情報であっても、どのように検証できるようにするかということが一点です。

 もう一つは、やはり、できるだけ情報監視をするには、この監視の審査会のみならず、例えば会計検査院が、憲法の九十条で、国の収入支出の決算全てを会計検査院が検査をするとありますけれども、例えば、インテリジェンスに対する予算というものを海外では議会が持っている、しかし、中身までは我々はわからないから議会ではその額が妥当かどうかとわからない中で、会計検査院の役割というのを今後どう考えていくべきだろうかということが二点目です。

 最後、三つ目に、フェークニュースが、今、アメリカの大統領がツイッターをやる時代でございまして、それを考えると、このSNS社会の中において、大統領が例えば、あるいはいろいろな国の政治家も含めて、意思決定者や国家指導者がツイッターやその他フェイスブック等々でいろいろな、これは公文書というのか私文書なのかちょっとわからないんですけれども、この点について、このようなフェークニュースのようなもので、例えばどこかの国の民族に対するある意味ではヘイトのようなことが起きたり、あるいは軍事的なことを言うデマが起きたり、これを、どうインテリジェンスを扱う側として瞬時にして精査していくか、この点については今後どうあるべきだとお考えですか。それで三つ目です。

 以上三点、それぞれのお立場からお答えいただければと思います。

植松参考人 まず、例のイラク攻撃とかそういったものが同盟国からもたらされたときに、我が国として独自にどう検証するのか。非常に難しいというか微妙な問題だと思います。

 一つは、独自の情報なり見方というものがあれば、それはどうなのかということができると思いますが、なかなかその手だてがないと、実際上はなかなか困難な現実的な問題であろうと思います。

 いろいろな、外国においては、判断においての調査委員会等ができて、最初に得た情報が、次から次にいわゆるレイヤーイングみたいにして信憑性を増していったというようなことが事後的に検証されておりますが、そういった点では、ある意味、どんなところからでも一定の健全な関心といいますかスケプティシズムというか、そういったものは持ちながら、どうなのかという観点が必要かと思います。

 それから、予算等については、これは確かに、海外のいわゆるオーバーサイトコミッティー、アメリカなどもそうですが、要するに、情報、インテリジェンス活動全体についてのあり方、それは、予算であったり、場合によっては立法であっても秘密会として行う、そういった中で、保秘は保ちつつ、しかしどうなのかということを立ち入って検証するというものがございます。

 もとより、会計検査院の検査でも、私も経験がありますが、警察関係でも、例えばそういうセキュリティーに関するものがあれば、それに対して、いわゆるそれとして適正に管理しているということは説明をいたしますが、横断的にそういったものがされているのかどうかということは、これはよく存じません。そういった活動自体について、よく見た上で、必要か、ないしは適正か、不十分か、そういったことをする機能というのも将来的には必要なのかもしれません。

 それから、フェークニュースの関係。これは大変厄介な問題でありまして、SNSというのが氾濫しております。多種多様であります。言ってみればオープンソースの情報ではあるんですけれども、その中にはいわゆるディスインフォメーションもあるかもしれないし、ですから、やはりそこを見抜く眼力といいますか、そういう、ベースとしてそういったものをとにかくやはりよく収集しながら、何があるのかということは、惑わされないように、かつ、よく注視をしていく必要があるんだろうと思います。

 例えば、アラブの春等、ああいったことが起こったときに、これは私もある関係者から聞いたんですけれども、シークレットというのは確実にある、しかしそれは、知っているけれども言えないというのがシークレットですけれども、ただ、どうなるかわからない、ミステリーみたいに、要するに事態が変わる、こういったことが起こり得るわけです。

 ですから、いろいろなそういう状況についてはやはりきめ細かくフォローしながら、言ってみれば、必要な事項についての、オープンソースインテリジェンスといいますけれども、そういうオシントみたいなことについて、やはり全体、インテリジェンスコミュニティーとしてもよくフォローする。そういった努力もなされているのではないかと推察はいたしますが、大事なことかと思います。

 以上です。

小谷参考人 まず、同盟国からの情報をどのように検証すべきかということでありますけれども、これはやはり大変難しいことだと思います。

 一つは、まず、日本には情報収集機関がないために、例えば二〇〇三年のイラク戦争のときに限って言えば、これがイラクの大量破壊兵器に関する情報、証拠であると渡されたときに、それを精査するすべを持たないというのが我が国の現状でございます。しかしながら、先ほどから申し上げていますように、分析能力を上げておけば、多少そういったものを精査することができるということになるということです。

 現状では、日本政府、どの組織についても、分析にほとんど人員も予算も割いておりません。ですので、もっと分析部門に例えば大学院で博士号を取ったような分析官をたくさん雇ってやれば、渡された情報についてももう少し精査ができるようになるかと思います。

 もう一つ重要なのは、情報の政治化の問題といいまして、どうしても政治的な目標が先にあるわけです。先ほどのイラクの問題でいえば、結局、同盟国アメリカがイラク攻撃をする、日本としては、それに対して初めから反対することはできないという状況に置かれておりますので、そういった政治的な志向、方向性によって情報がゆがめられないように、ある程度情報と政治の間に距離感を設けておくというのが重要かというふうに思います。

 会計検査院に関しては、昨今も会計検査院が特定秘密に関して査察を行うというような一件もありましたけれども、これは、行政組織が扱うものである以上、会計検査院の査察というのは、私は仕方がないのかなという印象を持っております。

 ただし、会計検査院といえど、特定秘密や秘密情報の価値判断まではできないわけでありますから、私はむしろ、今内閣府にあります独立公文書管理監若しくは情報保全監察室、こちらを情報分野の会計検査院のように、ある程度調査権限を与えて、各省庁の持っている秘密が、それが秘密に値するのかどうかと中身をちゃんと精査する行政的な制度を整えるというのが重要かと思います。

 フェークニュースに関しましては、今我が国は、ラヂオプレスという非常に優秀な民間の、情報収集、公開情報を担当している民間の会社があります。例えばそのラヂオプレスをもっと国として活用するという手段もありますし、若しくはネット情報だけを専門に分析するような部局、私はこれをオープンソースセンターと呼んだらいいかと思いますけれども、そういうものを政府の中につくって、日々ネット情報を分析するというような任務を与えてもいいかなというふうに考えております。

 以上でございます。

山田参考人 少しお答えの順番を変えてお話をしたいと思います。

 一点目は、全て国会で監視をするのは無理だということだと思うんですね。基本的には、日本国内のそういう特定秘密も含めたさまざまな監視活動については、まずはその行政内部の監視制度がきちんと整備されている必要がある。その一つとして会計検査院もありだと思います。ですので、会計検査院の権能については、まさに前回の具体的な事例がありましたけれども、それも含めて、どこまでできるのか、できないのかについては、今後経験の積み重ねの中で見えてくるものがあろうと思いますし、それはそれでむしろ生かしていくべきだというふうに思います。

 なぜならば、現在、この特定秘密保護制度の中ででき上がっている二つの行政内部監査制度がまだまだ不十分だという指摘があるわけですから、であるならば、それを補完する会計検査院の仕組みがあってもいいだろうということであります。同時に、二つ目が国会でありまして、国会については、後でもう一度お話をします。そして、さらには三つ目には司法のチェックがあり、そして四つ目には、まさに報道機関等々のジャーナリズム活動の監視制度があり、そして五つ目には、いわゆる市民からの情報公開制度などを利用した監視制度がありと。

 まさに、行政内部と国会と司法とジャーナリズム活動と市民活動と、この五つが合わさって社会全体のいわゆる秘密あるいはさまざまな行政活動の監視が行われているんだ、まさに国会はそのうちの一つなんだということがまず大事だというふうに思っています。

 その上で、国会について言うならば、一つには、アメリカのように、インテリジェンス活動も含めて、外交、防衛等々のそれぞれの専門委員会が存在して、そしてそこが、保秘がかかった上で、相当程度重要な、日本でいえば特定秘密、トップシークレットも含めた情報を開示させ、そして監視をしていくということは、選択肢としてはあるかと思います。

 ただし、現状で日本でそのような委員会活動ができるかといえば、将来できる可能性は否定はしませんけれども、現状ではなかなか難しいということがあって、その中で、現在、きょう最初の陳述もいたしましたけれども、日本型のこのような国会における情報監視審査会が生まれているんだというふうに理解をしています。

 さらに、最後に、三つ目としましては、この国会の審査活動も含めて、何といっても重要なのは、記録が残っているかどうかということにかかっているわけでありまして、御質問にあったイラクの例でも、会議あるいは連絡文書を含めて、やはり、今記されている、あるいは私たち一般市民が知ることができるレポートから見る限りだと、そもそも記録が残っていないのではないか、そういう疑念を抱かざるを得ないような状況があるわけですね。

 であるならば、まずはきちんとした記録を残した上で、それをどこまで開示できるのかどうか。あるいは、その開示の場合には、今開示できるかどうかという問題と、将来、何年後、三十年後か五十年後かわかりませんが、開示をするのかという問題、あるいは国会のこのような審査会の中で開示をするのかと、さまざまなレベルがあると思いますが、そのどこまで開示できるのかということをきちんと議論していく、整備をしていくということが大事だなというふうに思っております。

 以上です。

山内委員 最初に植松参考人に二つお尋ねします。

 一つは、先ほど特定秘密保護法ができて成果が上がっているというお話をされたと思うんですが、具体的にどういう成果というか影響が出ているかをお尋ねします。

 それと、もう一つは、先ほど小谷教授のおっしゃった情報の政治化という問題についてお聞きしたいと思います。

 政策と情報が有機的に連接をするというお話があったと思うんですが、ややもすると、悪い方向に進むと、時の権力者に都合のいい情報ばかりが上がってしまう、そういう情報の政治化が起こる可能性もあると。

 イラクで、大量破壊兵器がないにもかかわらず、インチキな情報、インテリジェンスに基づいてああいう戦争が起きてしまったということを考えると、ある意味、権力者にこびないインテリジェンス機関みたいなものを考えていく必要があるんじゃないか。そういう情報の政治化を防ぐための仕組みというものはどういったものがあるのか、これをお尋ねしたいと思います。

 次に、小谷参考人にお尋ねします。

 諸外国の議会の監視委員会というのは、基本的には特定秘密を監視するんじゃなくて情報機関を監視するということだと思うんですが、今、日本には対外情報機関がないので、将来できたらこの委員会で対外情報機関を監視するというのはわかります。他方で、同時に、アメリカ議会などでは、別にCIAに限らず、軍のインテリジェンス、FBIのインテリジェンス、そういったインテリジェンスコミュニティー全体を監視するという発想もあり得ると思うんですけれども、議会がオーバーサイトすべき、監視すべきなのは対外情報機関だけと考えた方がいいんでしょうか。それとも、インテリジェンスコミュニティー全体の暴走を抑えるために監視をするという発想が必要なのか。そのことを一つお聞きしたいと思います。

 それと、次に、山田参考人には、同じく情報の政治化ということについてお尋ねしたいんですが、以前に、海上保安庁のビデオ問題というのがありまして、尖閣沖で中国の漁船がぶつかってきた、あのビデオを秘密扱いしていたんですけれども、私も当時予算委員でビデオを見たんですが、全然秘密にする必要のないものまで秘密にしていた。むしろ、あのビデオを見て思ったのは、早い時期に公開した方が、日本の立場を主張する上でよかったんじゃないか。

 秘密にすることが国益に反する場合というのも多々出てくる。あるいは、国益を守るためというよりは、担当者の保身のために秘密指定してしまうというケースが非常に多く想定されるし、これまでももしかしたらたくさんあったんじゃないかと思います。それを監視する仕組みをどう工夫すればいいか。

 特に、我々の衆議院における情報監視審査会、こういった議会の機関が、そういう都合の悪い情報を、本当は秘密でも何でもない情報まで秘密にしてしまう、こういったことを防ぐために、どういう工夫、仕組みが必要かをお尋ねしたいと思います。

 以上です。

植松参考人 まず、特定秘密保護法制成立の成果ですが、私は、できて、今現実いるわけではございませんので、あくまで推察ですが、報告書の中にも、例えば外国からのそういう情報について、できたことによって成果があるかということに対して、やはり、そういう法的なきちっとした制度があることによって、従前に比べて機微な情報が入ってくるようになったという回答をしたような部分も記載もありました。まさにそういうしっかりした信頼度がある、制度の担保がある。

 信頼するけれども、では、きちっとあるのかと言われればそうですし、セキュリティークリアランスといったような仕組みもそうだと思います。やはりそれによってきちっと仕組みができているということが一つ。

 それから、インテリジェンスコミュニティーを含めて、ないしは政策部門を含めて、やはりそれがきちっと活用、共有される、そのことによって、相乗効果として分析の効果等も生まれるわけですが、これは、共通のものとしてやはりきちっとできているということで、これは成果としてあるのではないか。あくまで推察ですが、そう思います。また、そうあるべきだと思います。どこかに不安があって、ひょっとしてこれ漏れるんじゃないかとか、そういうことがあるとなかなか出さない。

 最近は、ニーズ・ツー・ノウ以外に、ニーズ・ツー・シェア、いかに共有すべきところにきちっと共有できたかということが言われる部分でもありますけれども、そういった面でも、こういった、法制としてきちっとした統一的なルールができているということは効果であるというふうに思います。

 それから、お尋ねのありました情報の政治化、これは、情報部門が政策部門と有機的に連接する、つまり、それは我が国の大事な政策を決めるに当たってそれをサポートするということですが、情報部門と政策部門はある意味で分離をしていなければいけない。それは、客観性を保って、客観的に、いい話も悪い話も、こういう見立てですということがきちっと上がるようになっていく、そこが情報部門としてののりだというふうに思います。結果として、いわゆる政治化、ポリティサイズされるようなことが起こりがちだ、そういうリスクは常に持っていた上で、できるだけ客観的な情報分析に努める、これがいいと思います。

 よく、分析をするに当たっての戒めるべき教訓として、ミラーイメージングというか、合理的に考える自分たちだったら恐らくそうなんだろうと思ってしまう。言ってみれば、合理的に考えてしまうシンドロームが起こったり、あるいは、レイヤーイングといって、最初にある程度報告等があれば、それにまた積み重ねていくことによって、本当は最初の素材情報そのものの信憑性がどうかということを抜きにして、だんだんとそういうものとして評価がなされてしまう。これはいろいろな教訓としてもありますが、そういったことを含めながら、できるだけ客観的なものとして、それをきちんと上げるということが大事だと思います。

 そういった意味で、分析部門等を長くしている機関の方が、米国の中でもやはり、大量破壊兵器の問題にしても、例えば国務省のINRあたりは、違う見解として、きちっと自分たちの見立てとして上げていたというふうなことも読んだことがございますし、そういったことで、情報の客観性といいますか、それを保つ、それを自戒しつつ、かつ政策を最大限サポート、判断についてのサポートをする、これは大事なことだと思います。

 以上です。

小谷参考人 議会監視委員についてお尋ねがあったと思いますけれども、一般論としまして、私は、議会の情報監視審査委員会というのは、インテリジェンスコミュニティー全体を監視するべきものである存在であるというふうに考えております。つまりは、対外情報機関のみならず、例えば保安機関、国内の治安情報を収集する組織でありますとか、若しくは軍事情報を収集する軍の情報機関、そういった機関に対しても議会の調査委員というのは監視をするべきであるというふうに思います。

 例えば、アメリカでは、国家安全保障局、NSAという組織が、いわゆる脱法的な活動といいますか、法律では禁じられておりますアメリカ国民の情報を収集していたということが問題になりました。これが表に出ましたのは、議会の監視によるものではなくて、皆さんも御承知のように、エドワード・スノーデンという元職員が内部情報をばらしたというところから発覚した事件であります。

 ですので、議会の監視審査委員会というのは、そういったところもやはり毎年度監視して、情報機関が、情報機関の種類にかかわらず、そういった違法行為、脱法行為を行っていないか、若しくは予算が適切に使われているか、ちゃんと情報を収集しているのかといった点についてきちんと精査していく必要があるかと思います。

山田参考人 御質問ありがとうございます。

 情報の政治化、私は余りこの言葉は使いませんけれども、あえて分けると二つあると思うんですね。一つは情報の政治利用の問題と、それからもう一つは、御指摘もありましたように、一般には公務員の情報の秘匿の問題というふうに思います。

 前者の、情報の政治利用については、これはまた大きく二つに対応策が分かれると思いますが、一つは、何が秘匿されているかがはっきりしている場合。まさに先ほど言われたような事例はそうかと思います。これは見れるか見れないかだけの問題ですから、それは、国会の通常の各委員会活動の中でカバーできる範囲だというふうに思います。別にそれは予算委員会という場でもいいかもしれませんけれども、本来であるならば、外交委員会等々の専門委員会の中できちんとそれは処理されるべき問題だろうというふうに思っています。

 それから、もう一つ、何が秘密なのかが見えないのがむしろ難しい場合であって、これについてが、まさに解除の問題と非常にかかわってくるんだというふうに思っています。すなわち、特定秘密指定文書の中の指定理由の中でどういうような解除条件が記載されているのかどうか、あるいは、まさに指定管理簿への記載があるのかどうかというところが見えないと、そもそも開示をしようにもしようがない、チェックをしようにもしようがないということになるわけですので、まさに解除のルールをまずこの審査委員会できちんと決めていくというのが最初のお仕事かなというふうに思っているわけであります。

 一方で、後者の方の、いわゆる公務員の秘匿については、これは、これがあるものが一般的だというのが前提だと思うんですね。どこまで前提かは言い方は難しいかもしれませんが、一般に、役人が情報を秘匿しようと思うのは、秘匿というのは言い方がおかしいかもしれませんね、ある一定の自分たちのミスはなるべくさらしたくないと思う気持ち、あるいは、上司にいい顔をしたいと思う気持ちがあるかもしれません。

 それは、ある種、一般的にそうなんだということが前提になって、それで公文書管理法や情報公開法ができているわけですので、むしろその公文書管理法や情報公開法をきちんと整備することによってこの秘匿化は防げなくてはいけない。あるいは、それをもし防げないんだったら、それは逆に、制度自体に不備がある、瑕疵があるというふうに考えるべきだと思います。

 それからするならば、現在の制度はまだまだ改善の余地が大きいんだということだと思っています。

 以上です。

後藤田委員 ありがとうございます。

 まず、小谷参考人にお伺いしたいと思いますが、先ほども小谷さんがちらっとスノーデン氏のことに言及されたわけでございますが、やはりいろいろな問題が公にさらされるときというのは、大体、イギリスについても、たしか内部告発から始まったと思うんですね。これに期待するというのは非常に、民主国家として低いレベル、欧米ですらそうなわけでございますけれどもね。

 私としては、内部告発でやはり組織の人間が守られるという仕組みをしっかりつくっておくということも必要だと思っておるんですが、今の日本においてそういったところがどうなっているかというのをどうお感じになっているか。いわゆる特定秘密を知ることを許される方は、それは外に出せませんよね。それを出したら、何か捕まってしまう。しかし、これは国家として非常に危ないことをやっているというときに、それを告発したときにちゃんと守れるという仕組みが今どうなっているかというのを、今、先生はどういうふうに研究されているのかということ。

 それと、情報ってじゃあ何といったときに、あらゆる役人、行政の人間に入省当初からそういうことをしっかり教えているのか。これは、植松さんにもそこの点、警察なんか特に、いや、情報というのは守るものだ、外に漏らすものじゃない、政治家に漏らすとすぐ漏れるとか、いろいろな、昔は多分そういった教育もあったかと思いますが、そうじゃなくて、いや、民主国家であって、法のもとに平等で、法の支配にある民主国家ですから、情報というのは国民のものであるという教育をしっかりされているのかということもお伺いしたいと思います。

 そうでないと、先ほどの意図的な文書の不作成とか、そういうふうにどんどんどんどんおかしい方向に行ってしまうわけであって、そこの点をどういうふうに組織として管理されているのか。

 最後に、先ほど来、日本には情報収集機関がないというようなことがあるんですが、僕はあえてつくっていないんじゃないかと思っているんですね。僕も、ジョイント・インテリジェンス・コミュニティー、イギリスに亡き町村先生と行きました。海外的にもCIAがあったりモサドがあったりするわけですが、日本は内調があって、それが何かちょっと規模が小さいよねとか言われているけれども、実は裏で人的につながった組織がある、その方が逆に目立たなくていいな、こんなふうにも考えています。

 先日、NHKがすごい報道番組をやっていて、僕はびっくりしたんですけれども、それについてちょっと最後に植松さんに聞きたいんですが、国家を守るための情報ということは当然建前としてある、これは国際政治の不安定、不確実性というのを理由にできますが、やはり今以上、今までに増して、重要な情報を国民に開示しない方向に行っているのではないか、こういう疑念も持たれているのと、その番組でもやっていたんですが、ネット諜報、いわゆる昔はイミント、シギント、ヒューミントということで、衛星通信、ヒューミントですけれども、これはネット諜報というものがあって、それが、太刀洗ですか、あそこで電波を発信すれば全部情報が得られて、一時間に五十万件の情報が得られておりますが、その中で安全保障についてピックアップすると一件しかなかった、その他四十九万何千の情報は一般情報であったということらしいんですけれども。

 そこの部分をどう考えるかということはあるんですが、やはり役所として、では、日本国民の情報、個人情報を守るのは誰なのか。つまり、その情報を得たけれども個人情報はさわっていないということを、自分で証明するんじゃなくて第三者が、例えば総務省がそれをチェックするぐらいのことを今後やっていかなきゃいけないのかなという、僕はちょっとそういう感想を持ったんですが、それについて、植松さん、小谷さんにちょっと感想を求めたいと思います。

 以上です。

小谷参考人 では、内部告発について私からお答えさせていただきますけれども、もちろん、内部告発で組織の人間が守られるというのは基本でありますし、組織はコンプライアンスを重要視しないといけないという原則があるかと思います。

 ただし、特定秘密ですとか国の秘密に関してはやや事情が異なっておりまして、つまりは、情報機関等で働く人間は、やはり、最初の段階で宣誓をしまして、国益を毀損しない、秘密を守るというようなことを宣誓させられるわけであります。ですので、幾ら組織に問題があるからといって、国益にかかわるような秘密をスノーデン氏のように出してしまうというところに関して、私は、まだ議論が終わっていない、議論中のことだと思いますので、私からどうすべきだと申し上げることはできません。

 スノーデン氏についても、結局、幾らNSAという組織が脱法的なことをやっていたからといって、それを内部告発で出してしまうと、スノーデン氏も結局、アメリカ国内にいれば逮捕されて起訴されてしまうということになってしまいますので、ああいう形で今ロシアに行かれたんだと思います。

 ですので、ここはぜひともこちらの例えば情報審査会ですとか国会で、国益にかかわる情報について、それをコンプライアンスとのかかわりでどう考えていくとかについては、今後もぜひ議論していただきたいというふうに考えております。

 以上です。

植松参考人 まず、情報は何たるものかということについて、要するにきちっと意識づけなり啓発をしているかという御質問、御指摘だと思いますけれども、極めて大事なことだと思います。

 情報なくしてある意味で政策なり何かをするということはない。情報の重要性ということについてのまず啓発。それから、やはり取扱いについて、私どもも若いころそうですけれども、一定のルールがある。要するに、ニーズ・ツー・ノウ、やはり知るべき人にはきちっと渡す。要するに、関心だけあって責任がないところに行くとよく漏れるとよくいいますが、やはりニーズ・ツー・ノウがどうか。

 それから、サードパーティールールといったようなことも、やはりそういう扱いについてのルール、こういった部分についての啓発は、実は、カウンターインテリジェンスについての基準の中でも、まずそういった中での意識啓発、そういったものは、特にそういう情報部門に携わる者についてはやっていますし、これがまず大事なところであります。

 それから、情報というのは、やはり国家国民のため、特に国民の安全や国の安全のため、そのためにあるという、何でも好きなものを集めるとかそういう性格のものじゃなくて、何のために収集しているか、そういう意識。また、逆に、収集したものについては、やはりこれは文書にするなり、ある意味で仕事のあかしです。いつ公開できるか、それをどこまで公開できるかというのは別の話として、やはり仕事のあかしとしてはきちっと残す、そういった癖といいますか、あるのではないかと私は思います。

 米国の国家情報官室のところに国家カウンターインテリジェンス・セキュリティーセンターというのがあるんですが、これは、毎年議会にどの程度セキュリティークリアランスをして云々ということがあるんですが、そこの中の記述を見ていましたら、やはり保全について、特に中の人間の保全についての最大の武器は、要は自分たちの市民的自由が守られていることを自覚した有能な職能集団、それがやはり保全上、人的な意味では大事だというふうな記述を見て、まさにそういう誇りといいますか、そういった部分が大事なのかなと。

 それから、日本ではあえて情報機関をつくっていないのではないかというのですが、本格的な情報機関がそもそもあるかと言われればなかなか難しい質問だと思いますが、現在ある情報に関係するコミュニティーとして、その総力を挙げて集約をしようという形でやはり努力が積み重ねられております。

 例えば、対外的な、海外における日本の安全にかかわる情報については、やはりこの必要性ということは、いろいろな御提言もあり、官邸の情報機能の強化についての考え方でも触れられていますが、これはいろいろ、一つ一つ積み上げながら検討して、また、それについては、国会法改正、国会法の附則にもありますように、国会での監視なりそういうあり方をどうするのかという問題もありますが、やはり、何が不足しているかといった点についてこれからもよく見きわめながら、どういうあり方が日本としていいのか考えていくべきであろうと思います。

 それから、NHKの云々ですが、私も見ておりませんのであれですが、やはり、言ってみれば掃除機のように何でも吸い上げてというふうなやり方、そういうやり方は、非効率でもあるし、また、非常に問題があるんじゃないかというふうに思います。

 よく海外でもそういった部分が言われていますが、当然個人のプライバシーだとかそういったことは重点を置きながら、やはり適法、妥当に、しかし効果的にどう見るかということでありまして、特にSNS等でオープンに出ているような部分というのは、やはり一定の関心のもとから、どこかきちっとフォローしておかなければいけない。これはテロに関するものでもそうだと思います。やはり、そこで見落とす、滑ることによって端緒を逃してしまう、こういうことがありますので、ある意味鋭敏な感覚で、そういった点について、オープンソースインテリジェンスといいますか、そういった部分についても強化をしていく必要があるというふうに考えます。

 以上です。

額賀会長 それでは、これにて参考人に対する質疑は終了いたします。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 参考人各位におかれましては、貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。

 御意見を今後の審査会の活動に生かしてまいりたいと存じます。

 改めて、審査会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げる次第であります。ありがとうございました。(拍手)

 それでは、参考人の皆さん方は御退席をいただいて結構です。

     ――――◇―――――

額賀会長 それでは、この際、去る十八日に提出されました特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施の状況に関する報告について、政府から説明を聴取する審査会の傍聴についてお諮りをいたします。

 衆議院情報監視審査会規程第二十六条第二項により、傍聴を許すことに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

額賀会長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 なお、傍聴、撮影及び録音の詳細につきましては、運営協議会における協議に従って取り扱うものといたします。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会をいたします。

    午後二時五十九分散会


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