衆議院

メインへスキップ



第1号 令和5年4月19日(水曜日)

会議録本文へ
令和五年四月十九日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

  財務金融委員会

   委員長 塚田 一郎君

   理事 井林 辰憲君 理事 越智 隆雄君

   理事 中西 健治君 理事 宗清 皇一君

   理事 櫻井  周君 理事 末松 義規君

   理事 住吉 寛紀君 理事 稲津  久君

      青山 周平君    石井  拓君

      石原 正敬君    小田原 潔君

      大塚  拓君    大野敬太郎君

      金子 俊平君    神田 憲次君

      神田 潤一君    小泉 龍司君

      高村 正大君    塩崎 彰久君

      津島  淳君    土田  慎君

      中村 裕之君    中山 展宏君

      葉梨 康弘君    藤原  崇君

      八木 哲也君    保岡 宏武君

      山口  晋君    若林 健太君

      階   猛君    野田 佳彦君

      福田 昭夫君    藤岡 隆雄君

      道下 大樹君    米山 隆一君

      早坂  敦君    藤巻 健太君

      伊藤  渉君    山崎 正恭君

      前原 誠司君    田村 貴昭君

      吉田 豊史君

  安全保障委員会

   委員長 鬼木  誠君

   理事 大塚  拓君 理事 國場幸之助君

   理事 宮澤 博行君 理事 若宮 健嗣君

   理事 伊藤 俊輔君 理事 篠原  豪君

   理事 三木 圭恵君 理事 浜地 雅一君

      江渡 聡徳君    大岡 敏孝君

      木村 次郎君    武田 良太君

      渡海紀三朗君    中曽根康隆君

      細野 豪志君    松島みどり君

      三谷 英弘君   山本ともひろ君

      重徳 和彦君    渡辺  周君

      浅川 義治君    美延 映夫君

      河西 宏一君  斎藤アレックス君

      宮本  徹君

    …………………………………

   外務大臣         林  芳正君

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   財務副大臣        井上 貴博君

   財務大臣政務官      金子 俊平君

   防衛大臣政務官      木村 次郎君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           辻  貴博君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 石月 英雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 原  圭一君

   政府参考人

   (財務省大臣官房総括審議官)           奥  達雄君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   前田  努君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    住澤  整君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    齋藤 通雄君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    三村  淳君

   政府参考人

   (財務省財務総合政策研究所長)          江島 一彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           朝川 知昭君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           門松  貴君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 茂木  陽君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  増田 和夫君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  川嶋 貴樹君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  町田 一仁君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           大和 太郎君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    土本 英樹君

   参考人

   (日本銀行理事)     清水 誠一君

   財務金融委員会専門員   二階堂 豊君

   安全保障委員会専門員   奥  克彦君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案(内閣提出第一号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

塚田委員長 これより財務金融委員会安全保障委員会連合審査会を開会いたします。

 先例によりまして、私が委員長の職務を行います。

 内閣提出、我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案を議題といたします。

 本案の趣旨の説明につきましては、これを省略し、お手元に配付の資料をもって説明に代えさせていただきますので、御了承願います。

 これより質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。階猛君。

階委員 立憲民主党の階猛です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 最初に、外務大臣にお尋ねします。

 G7の外相会合、お疲れさまでした。この会合では、中国をめぐり、様々な議論が行われたと思います。

 中国の国債を各国が保有することや、各国の国債を中国が保有することに関し、安全保障上のメリットやデメリットについて私は考える必要があると思っていますが、そうした議論はあったのかどうか、まず事実確認をお願いします。

林国務大臣 G7外相会合におけます議論の詳細につきましては、外交上のやり取りでございまして、お答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、中国に関しましては、G7として、中国と率直な対話を行って懸念を直接伝える重要性、また、グローバルな課題や共通の関心分野では中国と協力する必要性、こうしたものを確認したところでございます。

 その上で、G7として、中国に国際社会の責任あるメンバーとして行動するように呼びかけるとともに、対話を通じて中国と建設的かつ安定的な関係を築く用意がある、このことを確認したところでございます。

階委員 そうすると、国債保有に関する議論というのはなかったということでよろしいわけですか。

林国務大臣 これは、先ほどちょっと申し上げましたけれども、議論の詳細につきましては、外交上のやり取りであるので控えさせていただきたいと思います。

階委員 では、その点については触れませんけれども、一般論としてお尋ねしたいんですが、私が思うに、資金運用の観点からすれば、昨年の主要国の国債のパフォーマンスが軒並み悪化する中で、中国は年間二・七%というリターンがあったそうです。貯蓄から投資へということを推進するのであれば、それで、それによって国力を高めるというのであれば、中国国債への投資は増やすべきかもしれません。ただし、日本の機関投資家が中国国債を買えば買うほど、中国政府は資金調達がしやすくなって、軍事力も増強しやすくなるというジレンマがあると思っております。

 一方、日本の方も、最近では貿易収支やサービス収支が悪化する中で、中長期的に見れば、経常収支もどんどん悪化してくるかもしれない。そうすると、今のような借金頼みの財政を続けていれば、中国マネーによって日本国債が買入れされる可能性も高まり、国家財政の生殺与奪の権を握られかねない、こういう問題もあると思います。

 外務大臣として、こうした安全保障上のメリットやデメリットについてどう考えるのか、そしてまた、今の点を踏まえた上で、中国との関係で、国債の取引について私は政府として戦略的に取り組む必要があると思っていますが、この点についてどう考えるのか、二点お答えください。

林国務大臣 一般論として、経済財政の基盤、これを平時から維持強化していくということは、国家安全保障の観点からも重要でございまして、昨年十二月に公表いたしました国家安全保障戦略においても、我が国の経済は海外依存度が高いことから、有事の際の資源や防衛装備品等の確保に伴う財政需要の大幅な拡大に対応するためには、国際的な市場の信認を維持し、必要な資金を調達する財政余力が極めて重要、こういう記載があるところでございます。

 中国を含む海外投資家による日本国債の保有については、こうした観点も踏まえつつ、まさに今、ジレンマ的な状況については委員からお話があったとおりでございますが、やはり、財政や為替の安定を含めて、日本の国益に合致するということを確保していくということが重要だと考えております。

 一方、中国でございますが、軍事動向について申し上げますと、国防費を継続的に高い水準で増加をさせておりまして、十分な透明性を欠いたまま軍事力を広範かつ急速に増強させております。こうした動向は我が国と国際社会の深刻な懸念事項でございまして、我が国及び国際社会の平和と安定を確保して、法の支配に基づく国際秩序を強化していく上で、これまでにない最大の戦略的挑戦である、これは先ほどの国家安全保障戦略にも記させていただいたところでございますが、我が国の総合的国力と同盟国、同志国との連携によって、いろいろな意味で対応していかなければならないと思っております。

階委員 では、一般論でなくて、具体的な話に移っていきたいんですが、私の問題意識としては、少なくとも公的資金については、中国国債を導入するかどうかについて統一的な方針があるべきだと考えています。

 先日、この関係で役所の方に伺ったところ、令和三年度末の時点では、公的年金の運用機関のうち、GPIFと地方公務員共済は中国国債を除いたWGBIというインデックスを指標として投資している。私学事業団というところは、中国国債を含むBGAというインデックスを指標として投資している。

 そういう中で、国家公務員共済はWGBIという、先ほど申し上げたインデックスの中で、中国国債を含んでいる方のインデックスを選んで投資しているということだそうです。ちなみに、その金額は、令和三年度末では百八十五億円、それ以外の、インデックス以外のアクティブ運用を含めると二百億円というふうに伺っています。

 そこで質問ですが、令和四年度末、直近の時点では国家公務員共済の中国国債への投資残高はどの程度になっているのか。あわせて、年金運用資産の原資となる保険料のうち、自衛隊員を含む防衛省関係の占める割合はどの程度になっているのか。財務大臣にお願いします。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 令和四年度末時点におけます国家公務員共済の年金運用資産のうち、御指摘の中国国債の残高につきましては、現在、管理運用主体でございます国家公務員共済組合連合会において集計中でございまして、例年七月頃に公表されるということで承知をしてございます。

 続きまして……(階委員「ちょっと待って、そこでいい」と呼ぶ)はい。

階委員 何で通告しているのに答えないんですか。こんなもの、普通の機関投資家だったら答えられますよ。私も銀行でファンドマネジャーをやっていたんですよ。私は株の方でしたけれども、毎日毎日、時価がどうなっているかとか、ポートフォリオがどうなっているとか、調べているんですよ。そんないいかげんな答弁、通告しているんだから、許しませんよ。正確に答えてください。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 申し訳ございません。我々も国家公務員共済組合連合会に確認をいたしたわけでございますけれども、外国債券であれば、委託先全体では数千規模の銘柄数となります。そうしたデータを委託先から取り寄せて、精査した上で発行体ごとに名寄せ集計することはなかなか容易な作業ではございませんで、今回、間に合わなかった点をお許しいただければと思います。(階委員「おかしい、通告していますから。ちょっと止めてください」と呼ぶ)

塚田委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

塚田委員長 速記を起こしてください。

 階猛委員の御質問につきましては、理事会で協議をして、対応を進めたいと思いますので……(階委員「いや、ちょっと待ってください。止めてください」と呼ぶ)

 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

塚田委員長 速記を起こしてください。

 階猛委員のお申出につきましては、次回の理事会で対応するべく、鋭意努力をいたします。

 階猛君。

階委員 いや、こんなことで止まるとは思わなかったんですけれども。昨日の朝一で通告していて、インデックスの部分について、もうこれは、インデックスだから大体分かるわけですよ、どれぐらい配分されているか。そんなことも出てこないというのはおかしいですよね。一円単位で正確なものを出せとまでは言いませんけれども、ほぼ正確なものは出せるはずですよ。

 それと、アクティブの方はちょっと時間がかかるかもしれませんけれども、ほとんどインデックスの投資なはずだから、そっちはもう、ほぼ正確に出せるはずです。それは出してください。

 では、理事会に出すように改めてお願い申し上げます。

 それで、私がもう一つ問題だと思っているのは、公的資金のうちで、国家公務員共済というのは、何と、自衛隊の隊員の皆さんがお給料から払っている年金の掛金、これが投資されているわけですよ。

 大体、この年金資金のうち、何割ぐらいが自衛隊・防衛省関係のものですか。比率をお答えください。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 年金運用資産の原資となります保険料につきましては、令和三年度の国家公務員共済全体分の厚生年金保険料収入のうち、自衛隊員を含める防衛省関係の占める割合は約二二・七%となってございます。

階委員 ファンドの五分の一ぐらいの金額ですよ。私が聞いたところ、このファンドの全体規模は、令和三年度末で八・三兆円と聞いていますから、その二割ぐらい、二兆円弱ですか、それぐらいが防衛省関係で、そのうちの何がしかが中国国債を買っている。

 さっきも、冒頭、外務大臣とのやり取りで申し上げたとおり、中国が国債で調達する資金は軍事力の増強に使われる可能性があるわけですよ。これを勘案すれば、防衛省関係の年金資金が中国国債の投資に向かっているというのはおかしいことだと思いませんか、これほど中国の脅威で防衛力を増強しなくちゃいけないと言っているときに。防衛大臣、どうなんですか。お答えください。

浜田国務大臣 防衛省・自衛隊に勤務する自衛隊員の年金資金については、国家公務員共済組合連合会に納めております。将来の年金財源を確保するために、他の国家公務員の年金資金と合わせて当該連合会において運用されているものと承知をしております。

 当該運用方法については、防衛省の所管外であることから、お答えする立場にないことを御理解をいただきたいと思います。

階委員 確かに、国家公務員共済は財務省ですよ。ただ、そこに流れているお金は防衛省じゃないですか。二割強流れているわけですよ。関心を持つべきでしょう。このままでいいとお考えですか、防衛大臣。個人的な見解で結構ですので、お答えください。

浜田国務大臣 我々も細かくこの運用の流れを承知しているわけではありませんので、今日御指摘いただいたことも含め、また対応を考えたいと思います。

階委員 よろしくお願いします。

 次の質問に移ります。

 今日お配りしている資料の一ページ目ですけれども、総理の答弁を引用したものです。憲法九条の下で認められる自衛の措置ということで、真ん中あたりに、急迫不正の事態に対処しということが書かれております。

 急迫不正の事態とありますが、刑法の正当防衛では、急迫不正の侵害という言葉、要件がありますね。この急迫という要件の意味なんですが、刑法の解説などを見ますと、急迫というのは侵害が終わった後は含まないというふうに書いているわけですね。

 ということは、仮に、攻撃がされました、でも、これが一回限りで、続く気配がなかったというようなことであれば、報復手段として反撃能力を行使することはできないということになるんだと思うんですが、この点について防衛大臣に伺いますが、反撃能力を相手国への報復手段として用いることは可能なのかどうか、お答えください。

浜田国務大臣 反撃能力については、攻撃を厳格に軍事目標に対するものに限定するといった国際法の遵守を当然の前提とした上で、弾道ミサイル等による攻撃を防ぐため他に手段がなくやむを得ない必要最小限度の措置として行使するものであります。

 このように、反撃能力は、我が国の国民の命と平和な暮らしを守り抜くため必要最小限の自衛の措置であり、この旨は国家安全保障戦略等にもしっかりと明記をしているところであります。

 したがって、報復を行うためのものではありません。

階委員 私もそのように理解しました。報復を行うためのものではないということですが。

 ところで、先般、十三日でしたか、北朝鮮のミサイルが消失してしまったという案件がありました。もしあれが見失ったまま北海道のどこかに落ちて被害を被ったという場合に、ああいうものは多分、続けざまに撃ってくる、北海道に撃ってくるかどうかというのは、多分そういうことではない、一回こっきりのものかもしれないということで、報復措置はできないということになりますと、結局、撃たれっ放しという話になってしまうわけですよ。だからこそ、着弾する前にしっかり迎撃しなくちゃいけないというふうに思うんですね。

 ところが、この間、昨日の財務金融委員会でも副大臣から答弁がありましたけれども、防衛省の説明は、破壊措置命令を出したかどうかすら答えないという、私としては納得いかないものでした。

 改めて大臣にも伺いますが、自衛隊法に基づく破壊措置命令、これは自衛隊法の八十二条の三というところ、一項と三項、二つケースがありますけれども、いずれかのケースに基づいて破壊措置命令を発令したのかどうか、お答えいただけますか。

浜田国務大臣 破壊措置命令の命令の有無については、いろいろこれは明らかにすることによって、弾道ミサイルの発射の兆候等に関する我が国の情報収集、分析能力等が、自衛隊の具体的な体制の推察につながることから、従来から基本的にお答えはしてきておりません。

 いずれにせよ、自衛隊として、我が国への弾道ミサイルが実際に飛来するおそれが認められる場合には迎撃を含む必要な措置を行うことは当然のことでありまして、こうした考え方の下で、平素から破壊措置命令の要否を適切に判断するとともに、十三日においても必要な態勢を構築していたところであります。

 一方で、十三日の発射においては、監視等を継続した結果、我が国に飛来するものの探知はなく、イージス艦やPAC3といった迎撃アセットの火器管制レーダーでそうしたものを捕捉することもなかったため、迎撃には至らなかったところであります。

階委員 まさに、Jアラートが発令されて、我が国に飛来するおそれという八十二条の三第一項の文言に合致する状況があったわけですよ。こういうケースであれば、我が国領域における人命又は財産に対する被害を防止するため必要があるというふうに、八十二条の三第一項の次の要件も満たすというふうに考えて、これは、防衛大臣としては、総理の承認を得て、破壊措置命令を当然発しなくちゃいけない、これは法律上の帰結だと思うんですが、そうではないんですか。

浜田国務大臣 繰り返しになりますけれども、破壊措置命令の有無については基本的にお答えをしてきておらないわけでございますが、命令の発出有無等に確かに関係するかもしれませんけれども、しかし、この備えといったことは常にしておるところでもございますし、当然のごとく、委員御指摘のように、国民の皆さんに安心いただくために情報を発信していくことも重要であると考えます。

 このため、これまでも、例えば、北朝鮮が弾道ミサイルの打ち上げの予定期間や危険区域を公表した場合のように、我が方の体制などを公表したとしても特段の支障が生じるものではないと考えられる場合には、国民の皆様に安心いただくとの観点から、命令の発出を公表をしております。

 委員御指摘のような情報開示の重要性を十二分に踏まえつつ、引き続き、個別具体的な状況に応じて適切に判断してまいりたいと思います。

階委員 今、過去に破壊措置命令を発したことを公表したケースについてお話がありましたけれども、こちらは八十二条の三のもう一つのケース、三項の方だったと思います。こちらの方は、ミサイルを撃たれる前に、あらかじめ自衛隊の部隊に対し命令をすることができる、期間を定めるものとするというふうになっていますね、発令の期間。

 私は、現下の北朝鮮の状況に鑑みると、三項の要件を満たしたということで、発令しておけばいいんじゃないか。問題は、その期間を定められるのかということだと思うんですけれども、ここも、法律の解釈によっては、相当長い期間を定めるということも私は可能なのではないかと思っています。そうした検討はされているんでしょうか、お答えください。

浜田国務大臣 これは、当然、我々とすれば、国民の命と安全を守るというのは当然のことでありますので、我々とすれば、常にあらゆることについて考えているところであります。

階委員 それでは、これからこういうやり取りをしなくてもいいように、やはり現下の情勢、非常に、北朝鮮、いつミサイルが飛んでくるか、しかも最近は領土内に飛んでくる可能性も高まってきているということですから、以前のように、三項に基づいて発令して、そしてそれも可能な限り公表するということを是非御検討いただけませんでしょうか。

浜田国務大臣 御指摘の点、重く受け止めて、対応したいと思います。

階委員 ありがとうございました。

 次の質問に移ります。

 今日は連合審査なので、法案に触れる前に、安全保障全体についてお話をさせていただきました。法案についても、これからお尋ねしていきたいと思います。

 外務大臣、ここで結構ですので、もしあれでしたら御退室ください。

塚田委員長 林外務大臣は一旦御退席いただいて結構です。

階委員 財務大臣、私と同じ岩手で、被災地の出身です。あの東日本大震災のときも、財源確保法というのを作ったんですね。当時、私は政権与党でしたので、この法案の策定にも関わりましたけれども、そのときの法案は、本則だけで百七十二条、条文がありました。今回はたった十四条です。

 なおかつ、この十四条の法案で確保される財源のうち、確実に確保されるというものは、来年度以降に回される防衛財源のうち、たしか三・四兆円ぐらいだったと思っております。それ以外は、この間さんざん議論されてきたように、決算剰余金であるとか、歳出削減であるとか、あるいはまだ決まっていない増税とかということで、この法案が通っても三・四兆円しか確保できないんですよ。これで財源確保法案と果たして言えるのかどうかというのがまずあるわけですね。

 少なくとも、もう増税をやると岸田総理も言っているわけですから、あの東日本大震災のときは、本則百七十二条のうち、かなりの条文が増税に関する部分だったんですね。当時の増税は、国民に理解を求めて、震災復興のために国民全体が協力しましょうということで、国民全体の協力を得てこういう法案を成立させたわけですよ。しかし、今回は、それは全く置き去りになったまま、ほとんど、一部の財源しか確保されていない。一部の財源しか確保されないような法案でお茶を濁そうとしている。

 こんな十四条の法案では全く役に立たないと思うんですけれども、なぜこのような法案にしたのかということをお尋ねします。

鈴木国務大臣 あの東日本大震災時の法案の過程につきまして、私、そのとき議席を持っておりませんでしたので、詳しく議論の内容は承知しておりませんが、今回のこの財源確保法について申し上げますと、防衛力を抜本的に強化をし、これを安定的に維持していくための財源確保に当たっては、国民の負担、これをできるだけ抑えるべく、あらゆる行財政改革の工夫を行う必要があります。

 今般の財源確保法案は、これらの財源確保策のうち、主として税外収入についての所要の措置を講じるものであります。具体的には、令和五年度における特別会計からの繰入金等を規定するとともに、確保した税外収入を令和六年度以降も活用するため、防衛力強化資金を設置するなどの規定を盛り込んでおります。

 今回の法案には、階先生御指摘のとおり、税制措置についての規定は盛り込まれておりませんが、これは、税制措置については、昨年末に閣議決定した枠組みの下、その実施時期について、行財政改革を含めた財源調達の見通し、景気や賃上げの動向及びこれらに対する政府の対応を踏まえて、今後判断していくこととされているためでございます。

 政府としては、国民の負担をできるだけ抑えるべく、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入の確保といった行財政改革の努力を最大限行ってまいりたいということであります。

階委員 さっきも言ったように、令和五年度の防衛財源は既に確保されていて、令和六年度以降の防衛財源をいかに確保するかということが問題になるわけですよね。そうであるとすれば、かつ、行財政改革をやって、最終的に増税をどうするかということも決めるというのであれば、今この法案を可決する理由はないと思いますよ。なぜ今なんですか。なぜ今なのかが理解できない。お答えいただけますか。

鈴木国務大臣 防衛財源の安定的な確保に向けた道筋を示していくためには、現時点で確実に確保できる財源について先送りすることなくしっかりと確保する必要がある、そういうふうに考えております。

 今なぜこの財源確保法を出すかということについて申し上げますと、税制措置で協力をお願いする前提といたしまして、国民の負担をできる限り抑えるべく政府として最大限の努力を行っていることなどを明確に国民の皆さんにお示しする上で、今の段階でこうした措置が盛り込まれた財源確保法を成立させていただくということは、これは重要なことであると考えております。

階委員 大臣、矛盾していると思いますよ。不確定要素があるから増税の措置はこの法案には盛り込めないと言いつつ、国民に予測可能性を与えるために今の段階で法案を出すというのは、矛盾していますよ。そもそも、予測可能性、はっきりしないんだから、だったら、はっきりさせてから法案を出して議論すればいいじゃないですか。不確定要素が多過ぎるんですよ。

 それで、不確定要素ということでいえば、今の議論ではなかったですけれども、少子化対策も不確定要素ですよ。これも、一説によると八兆円ぐらい、与党のメニューをやれば必要ではないかと言われているわけですよ。この八兆円の財源もどう確保するのかということもちゃんと考えなくちゃいけないじゃないですか。その八兆円の話も六月以降じゃないと見えないということですから、まあ、八兆円になるかどうかも分かりませんけれども、その少子化対策の予算も含めて財源確保法、これを、別に今じゃなくてもいいんじゃないですか、この秋か、来年の通常国会か、そこでしっかり国民に示して、納得を得て成立させればいいんじゃないでしょうか。その考えじゃ駄目なんでしょうか。

鈴木国務大臣 今回の財確法、様々な税外収入を用いる等の工夫をして、それをしっかりとお示ししているわけでありますが、階先生の方からは、例えば、税制でお願いする部分について不確定要素が多いのにということでございましたが、税制についてお願いすることにつきましては、それの実施期間がまだ定まっていないわけでありまして、閣議決定におきましては、三つの税目において行う、令和九年度に向けて複数年度にわたって実施をする、そういう実施時期以外のものはしっかりとお示しを閣議決定の中でしている、こういうふうに理解をしているところであります。

 そして、異次元の少子化対策の財源についても、どういうような形で決めていくのかということでございますが、子供、子育て政策につきましては、担当大臣から、先般、たたき台が示されたところです。今後、このたたき台を踏まえまして、必要な政策強化の内容、予算、財源について総理の下で更に具体的な検討を深めて、六月の骨太の方針までに、将来的な子供、子育て予算倍増に向けた大筋を提示していくものと承知をしております。

 その上で、恒久的な施策には恒久的な財源が必要であり、子供政策を強力に進めていくために必要な安定財源については、国民各層の理解を得ながら、社会全体での負担の在り方を含めて幅広く検討を進めていくことが重要と考えます。

 現時点において子供政策の財源確保について確定した方針がないというのが今の現状であります。したがいまして、今後、具体的な進め方につきましては、現時点で予断を持ってお答えすることができないわけでございます。

 いずれにいたしまして、財源を検討する際には、子供、子育て予算でありますが、政策強化の内容に応じまして、様々な、社会保険との関係、国と地方との役割分担などを踏まえて丁寧に検討を進めていくことが重要である、現時点ではそういうふうに思っているところであります。

階委員 先ほどの答弁では、なぜ今回増税の部分を法案に盛り込まなかったかということについて、行財政改革の状況を見なくちゃいけないからみたいなお話をされていたと思うんですが、今の答弁をお聞きしますと、もう増税は決まっているということをお話しされたと思います。増税は決まっていて、あとはタイミングの問題だけというのであれば、法案にそれを盛り込んで、附則で実施時期とかを考えるということでもいいんじゃないかと思うんですが、それじゃ駄目なんですか。

鈴木国務大臣 法案の構成の仕方、やり方、これはいろいろあると思うわけでありますが、政府といたしましては、税制でお願いする部分につきましては、年末に閣議決定をしたところにしっかりと定めているということでございます。

階委員 閣議決定は知っていますよ。閣議決定のとおりやりますというんだったら、それで十分じゃないですか。なぜ、まだ全体像が分からないという中で、しかも今年度の財源はもう確保されていて、問題となるのは令和六年度以降の財源であって、今ここで法案を成立させる必要は全くないわけですよ。なぜ今やらなくちゃいけないのか、全く理解できません。

 先ほども言いましたけれども、これから防衛力増強のために五年間で十七・一兆円必要になるというんですけれども、既に令和五年で確保されたのが一・四兆円、この法案で確保されるのが三・四兆円、合わせて四・八兆円。残り十二・三兆円、どうやって確保するのか、全く確実なことは見えていない。もっと確度が高いもの、熟度が高い法案にしてから国会に出して議論していただくというのがあるべき民主主義のやり方ではないですか。国会を軽視していませんか。こんなごくごく一部、三・四兆円のために、なぜ今不要不急の法案を急がなくちゃいけないのか、説明してください。

鈴木国務大臣 繰り返しになりまして恐縮でございますが、防衛財源の安定的な確保に向けた道筋を示していくためには、現時点で確実に確保できる財源について先送りすることなくしっかり確保する必要がある、そういうふうに考えています。

 これは、税制措置で協力をお願いする前提として、国民の負担をできる限り抑えるべく政府として最大限の努力を行っていることを明確にお示しする上で非常に重要なことである、そういうふうに考えております。

階委員 閣議決定はされているわけですよね。閣議決定されているのじゃ足りないということになるんでしょうか。それほど、自分たちの内閣だけではどうなるか分からないから、三・四兆円だけ取りあえず通しましょうというのは、何か余りにもちょっと自信がなさ過ぎるような気もしますし、また、私たちとしては、この三・四兆円を確保する、それすらも急ぐ必要はないんじゃないかというふうに思っているんですよ。

 この三・四兆円をなぜ今確保しなくちゃいけないのか。わざわざ資金というものをつくって、今まで基金みたいなものに置いていたものを資金に移すと。基金から資金に移しても、お金を使わないことには変わりないわけですよ。何の意味があるんですか。形だけじゃないですか。そんな形だけのために、なぜこんな法案を、こんなたくさんの人を、忙しい中、集めて連合審査までして、このタイミングで通さなくちゃいけないんですか。

 繰り返しになりますけれども、いいですか、閣議決定はされていて全体像を示している、それをそのとおりやるというんだったら、自信を持ってそれでいいじゃないですか。三・四兆円すら今通す必要もない。そういう中で、三・四兆円を確保するための法案の成立を急ぐ意味も全くないと思いますよ。その点についてお答えください。

鈴木国務大臣 先ほど答弁させていただいたところで、現時点で確実に確保できる財源については先送りすることなくしっかり確保する必要がある、それが我々の考えであるわけでありまして、今回の法律を出しませんと、例えば外為特会からの防衛予算に充てる分、それは確保できないわけでございますので、今回の法律を出させていただいて、通させていただくことができるならば、そういうことで、現時点で確実に確保できる財源について先送りすることなくしっかりと確保することができる、そういうふうに考えているところであります。

階委員 外為特会のお話をされましたけれども、理由になっていないと思いますよ。外為特会の剰余金は今までも使ってきましたけれども、別に、令和六年度以降の防衛財源に使うのであれば、今通す必要はないんですよ。来年の通常国会で通せば十分なんですよ。来年の通常国会の予算に組み込めば十分なんですよ。なぜ令和六年度以降の防衛財源に充てるために先取りして外為の剰余金を使わなくちゃいけないのか。今の説明は全く違うと思います。必要はないと思いますけれども、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 外為特会のことでいいますと、例外的に今回、進行年度であります令和五年度の上振れ部分等について、これを使わせていただく、それを資金の方に繰り入れるということでありまして、これはこの法律がなければそれができない、今確保できるものを確実に確保するという観点から、我々としてはこの法律が必要である、そういうふうに思っているところでございます。

 繰り返しになって恐縮でありますけれども、税制措置で協力をお願いする前提といたしまして、国民の御負担をできる限り抑えるべく政府として最大限の努力を行っていることを明確にお示しをするということの上で、この法律を出させていただくということは非常に重要なことであると考えております。

階委員 時間が来ましたので終わりますけれども、今日の議論を踏まえても、全くこの法案、合理的にあり得ない法案だと思いました。引き続き、同僚議員とともに問題点、しっかり追及していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 終わります。

    〔塚田委員長退席、鬼木委員長着席〕

鬼木委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 立憲民主党の、安全保障委員会出身の重徳和彦です。

 防衛力の強化は国家的な課題です。だけれども、今の財務大臣の答弁を聞いて、本当に苦しいなと思います。私も悩んでいますよ。もう少し財務大臣には、むしろ悩みを共有していただきたいと思うぐらいです。

 身の丈を超えた防衛力になっているんじゃないか、私はそう思います。身の丈を超えた防衛力というのは、逆に、財源の裏づけがなければ、砂上の、砂の上の防衛力に成り下がる、こういう話をしたいと思います。

 私たち国会議員は納税者の代表であります。中身よりも先に予算総額を決めちゃって、それで増税するというのは、私は本末転倒だと思いますね。まず予算を削減する努力を十分に行っていただきたいと思っていたところ、先日の安全保障委員会での林外務大臣発言、これは報告なんですよね、国家安全保障戦略に関する報告の中で、外務大臣、必要とされる防衛力の内容を積み上げた上でとは前置きをしておりますが、そのための予算水準が現在の国内総生産の二%に達するよう所要の措置を講じることとしておりますと述べられております。

 これは、積み上げた結果的に二%に達したので、これに対して所要の措置を講じるというふうに訂正してもらえませんか。二%に達するよう所要の措置を講じるというのは、今までの説明と違います。いかがでしょうか。

林国務大臣 まず、先般私から報告をさせていただきました内容でございますが、これは国家安全保障戦略に関する政府全体の考え方を述べたものでございますので、防衛費の詳細につきましては、防衛省を始めとする関係省庁にもお尋ねいただきたいと思います。

 その上で、NATOを始め各国は、安全保障環境を維持するために、経済力に応じた相応の国防費、これを支出をする姿勢を示しておりまして、我が国としても、国際社会の中で、安全保障環境の変化を踏まえた防衛力の強化、これを図る上で、GDP比で見ることは指標として一定の意味があるというふうに考えております。

 防衛力の抜本的強化に当たっては、その内容の積み上げと併せて、これらを補完する取組として、海上保安能力、またPKOに関する経費のほか、研究開発、公共インフラ整備など、総合的な防衛体制を強化するための経費を積み上げたと承知をしておりまして、その結果として、二〇二七年度において、防衛力の抜本的強化とそれを補完する取組を併せて、そのための予算水準が現在のGDPの二%に達するよう、政府として所要の措置を講ずることとしたところでございます。

 戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中で、今後五年間で緊急的に防衛力を強化していくということは不可欠であると考えております。厳しい財政事情の中、財源確保については、できる限りの行財政改革を前提とした方針について政府・与党で確認をし、昨年末に閣議決定をしておりまして、これに基づき着実に取り組んでいくとともに、こうした内閣の方針について国民の皆様に御理解を深めていただけるように、こうした国会での議論も含めて、政府として、引き続き丁寧な説明を行っていく考えでございます。

重徳委員 質問にお答えください。

 これは文面の表現の仕方がおかしいんじゃないですか。積み上げた上で二%に達したから、それに応ずる措置を講ずるというんだったらまだしも、二%に達するようというのは、そこに気持ちが入っているじゃないですか。おかしくないですか。これは訂正してもらえませんか。

林国務大臣 その内容の積み上げと併せていろいろなものを積み上げて、そして、その結果としてGDPの二%に達するように所要の措置を講ずることといたしたということを申し上げたとおりであります。

 さらに、その前段で申し上げたように、国際社会の中で、安全保障環境の変化を踏まえた防衛力の強化を図る上で、GDPで見ることは指標として一定の意味があると考えているというのも併せて申し上げたところでございます。

重徳委員 ストレートにお答えにならないというよりは、なれないんだと私は判断しますよ。

 今までの説明と違うと思います。積み上げた結果として二%になることは、我々も必ずしも否定はしておりません。ですから、せめてそのように発言なり報告なりをしていただきたい、こういうことを申し上げているわけですから、もっと真摯な答弁をお願いしたいということを申し上げます。

 それで、これは前回の安全保障委員会でも、本当に積み上げた予算と言えるのか、つまり、積み過ぎた予算になっていないか。積んだ、積んだと言っていれば積み上げたことになるんだったら、こんなに楽なことはありません。そして、その上で増税まで必要だというのであれば、そこはやはり削減努力というものがきちっと行われたという姿勢も示していかなければならないし、予算の段階でいろいろ言っても、きちっと執行しますという答えしか返ってきませんので、私はちょっとここで質問します。

 例えば、分かりやすい例として、自衛隊員向けの空調設備のために四百二十九億円の予算が計上されております。これは今年度予算です。確認したら、そのうちほとんど、四百二十四億円は建物の空調設備、割と大規模な工事を行うことに使われ、これは全国で百二十か所だと聞いております。そして、もう五億円は、個々の部屋の割と小さなエアコンを千九百台設置するということであります。単純計算で二十何万円相当だと思うんですけれどもね。

 これは、このとおりぴたり執行されたならばまだしも、しかし、やはりそこの執行上も削減努力が必要だと思います。仮に、ここでちゃんと、施設百二十か所、それから個々の部屋のエアコン千九百台設置された上で、なおこの四百二十九億円の財源が余った場合、一円でも余った場合、これはそのまま決算として削減をする。つまり、剰余金にして次の年に送るとか、お金が余ったので同じ防衛省の予算に回すとか、そういうことをしない、削減努力を執行上も決算上も行うということをお約束いただけますか、防衛大臣。

浜田国務大臣 今回の防衛力強化の検討に際しては、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、国民の命を守り抜けるのか、極めて現実的なシミュレーションを始めとする様々な検討を行い、必要となる防衛力の内容を積み上げ、四十三兆円程度という防衛費の規模を導き出しました。

 今後必要なことは積み上げた事業を着実に実施していくことと考えており、このため、私の下に立ち上げた防衛力抜本的強化実現推進本部において、各事業の進捗管理を徹底し、防衛省一丸となって、速やか、かつ効果的、効率的な予算の執行に努めていき、防衛力の抜本的な強化を実現していくこととしております。

 一方、歳出予算の執行は、個別の事業ではなく、各年度に執行すべき事業全体の執行状況や緊急的な対応の有無といった事情を踏まえて判断を行う必要があるため、個別の事業で契約余剰が生じたとしても、それが直ちに歳出予算の減少に結びつくわけではないと考えております。

重徳委員 役人答弁をそのまま読んだような感じなんですけれども、大臣、納税者に対する気持ちというのはないんでしょうか。私は、増税ももう既定路線のようになっていますけれども、増税の前にやるべきことがあると思うんですよ。

 先ほども、二%結局ありき、あるいは、二%に達するようということを否定しない外務大臣の答弁がありましたが、それでは駄目だと思うんですよ。だって、エアコンとか空調をやることが大事なのであって、それに必要な四百二十九億円を使い切ることが目標ではないはずじゃないですか。額ありきと言うんですよ、こういうのは。額ありきのところに合わせて増税をする。これは、よっぽどやむを得ないときに増税をするというのが順番なのであると私は思います。

 そういうことも含めて、じゃ、浜田大臣、もう一回。今の答弁でいいんですか、本当に。

 個々の事業について、きちんと予算上も精査したつもりかもしれません。それを積み上げたんだから無駄はないと言いたいんだと思います。しかし、これは予算上ですから、予算段階では、やってみなきゃ分からないことだってあります。だけれども、執行してみて、執行するときもいろいろな知恵を使って、いろいろな交渉を行って、絞りに絞ったその余りの財源というものは、ほかのものに簡単に回すなんて言わないでほしいんですよ。ほかのものに回さなきゃいけないから増税が必要だなんて言わないでほしいんですよ。どうですか、浜田大臣。

浜田国務大臣 基本的に、必要な予算をしっかりと積み上げて、そしてまたこれを執行していくわけでありますので、我々とすれば、今後、こういったことのないようにしっかりとこの予算を執行してまいりたいというふうに思います。

重徳委員 質問に答えてください。

 執行して、余らせて、それは増税しなくてもいいように、国民負担が減るように、その予算は余計だったから、決算ベースでいろいろ、単に繰越金、繰越財源に充てるなんということを言わないでほしいということを言っているわけです。いかがですか。

浜田国務大臣 基本的に、その執行を全て、今我々がこの予算を要求した中で、それを使い切るというのが我々に与えられた仕事だというふうに思っておりますので、これをまずやってみなければ分からないということだと思います。

重徳委員 大臣、今、使い切るのが我々の仕事だとおっしゃいましたが、使い切るというのは、四百二十九億円、与えられたものはどうあれ使い切るんだ、これが仕事だということですか。

浜田国務大臣 それは今この時点で予想することが可能ではありませんので、今後考えたいと思います。

重徳委員 考えるという中には、削減した分だけ決算で減らすという意味を含まれていますか。

川嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、予算を執行してみますと、予算よりも安く上がっていわばお金が余るといいますか、そういう状況になるということもございます。他方で、予算のとおりにいかなくて、予算よりも高くなってしまってお金が足りないぞという場合も、これがまたある。

 私どもは、四十三兆円という数字、お金をいただいておりまして、これは決して超過してはならない数字だというふうに考えておりますので、この四十三兆円の中で、確かに、個別に見れば余るところもあるかもしれませんが、他方で、どうしても足りなくなるところがあり、そういうものをうまく工夫しながら、四十三兆円の中にびしっと抑えるような形で防衛力整備計画を執行してまいりたいというふうに考えてございます。

重徳委員 その四十三兆円というものも非常に曖昧だから、だから、先ほど階委員からも話がありましたけれども、こんな前倒しでどんどんどんどん使うための財源を、まだ生じてもいないような剰余金、基金まで、積立金まで取り崩すなんということをするべきではない、そんなことを今決めるべきではないということを言っているわけですよ。

 それで、資料一を御覧いただきたいんですが、これはいつもの定番の資料、基本的な資料なんですけれども、私たちは安易な増税には断固反対でございますが、政府が増税前にいろいろな財源を確保するんだ、できたんだ、こう言っているその中身は実はもっと恐ろしいことになっているという話をしたいと思います。

 この資料一に示されている税外収入、資料一の右上を御覧ください。

 中小企業基盤整備機構返納金二千三百五十億円、緊急小口資金特例貸付け返納千三百四十億円という剰余金ができたので、これを税外収入として返納してもらいますという財源だという扱われ方をしているんですが、これらは元々、国庫補助金として、コロナ対策として支出されたものが原資となっております。そのコロナ対策の補助金の財源は何ですか、鈴木財務大臣。

鈴木国務大臣 その大宗は国債ということであります。

重徳委員 シンプルなお答え、ありがとうございます。

 この話を、前回の安全保障委員会で、今日もお見えの井上副大臣にお聞きしたところ、非常に長い答弁のオンパレードだったので、本日、財務省からは、端的な、今のような御答弁をいただきたいと思います。

 すなわち、赤字国債が原資なわけなんですね。赤字国債を原資とした様々な国庫補助金を中小企業基盤整備機構に出して、余ったから、返してもらって防衛費に充てましょうという話じゃないですか。それから、緊急小口資金として、ゼロゼロ融資と言われる大変国民にとってはありがたい融資だったんですが、余りがたくさん生じた、財源は赤字国債でした、余ったので、国庫に返してもらってそれは防衛費に充てる、こういう仕組みですよね。

 こういうやり方というのは許されるんですか。今回の法律上の範囲内なんですか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛力強化資金への繰入れに充てることができる財源の範囲でございますが、今まさに御審議をいただいてございますこの法案の第十四条第二項におきまして、国有財産の処分による収入その他の租税収入以外の収入であって国会の議決を経た範囲に属するものというふうに規定をしてございます。

 すなわち、税外収入のうち国会の議決を経たものについては防衛力強化資金に充てることができるという解釈でございまして、今先生御指摘になりました返納金につきましても、いずれもその他の租税収入以外の収入でございまして、令和五年度一般会計予算総則第十一条におきまして国会の議決をいただきましたので、防衛力強化資金への繰入れに充てることとしたいというふうに考えてございます。

重徳委員 お聞きのとおりであります。国会で一たび議決を経ると、その財源が赤字国債だろうと何だろうと税外収入という扱いになる、したがって、剰余金として好きなように使える、こういうことなんです。これはまさに、財源ロンダリングと我々が呼んでいるものそのものだと思います。元々の財源を見えなくしている、隠れ赤字国債と言っても私はいいと思っております。

 これは隠れだろうと何だろうと同じなんですけれども、赤字国債は償還は後になるわけですから、要するに、今回増税しないように財源をかき集めますと言っていたその財源は、結局、将来の方々に増税するということによって賄われるものなんですよ。したがって、後で若い人に増税するということなんですから、今増税することよりももっとたちの悪いやり方だと私は思います。

 ちなみにお聞きしますけれども、赤字国債で発行して財源を調達して、それをそのまま今回の防衛力強化資金に組み入れることはできるんですか、法律上。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 今ほど御説明をいたしました財源確保法案の第十四条第二項でございますけれども、国有財産の処分による収入その他の租税収入以外の収入であって国会の議決を経た範囲と規定しておりまして、これは、租税及び印紙収入それから公債金を除いた、いわゆるその他収入に限定されると解されてございます。

 したがいまして、公債金収入でございます赤字国債の発行収入を防衛力強化資金へ繰り入れることはできないというふうに考えてございます。

重徳委員 お聞きのとおりでございます。赤字国債を直接、防衛力強化資金に入れることはできないんですよ。だけれども、赤字国債を発行して一旦国会の議決を経て、要するに、結果的に、余計な補助金として出したものが戻ってきたら、それはもう赤字国債ではないから、今回の資金に入れることができる。

 これは、赤字国債が駄目なのに、何で隠れ赤字国債は認められるんですか。なぜ若い人への増税は認められるんですか。

鈴木国務大臣 防衛力の抜本的な強化を安定的に支えるための裏づけとなる財源、これは将来世代に先送りすることなく、今を生きる我々が将来世代への責任として対応すべきであるという考え、その下で、国債発行額を増加させないよう、しっかりとした財源を確保することとしております。

 こうした考え方の下で、税外収入については、あらゆる財源の精査を行うことによって、追加的な財源を最大限に確保することが重要であると考えておりまして、令和五年度予算におきましては、防衛力強化のための税外収入として、重徳先生からも冒頭御指摘ございましたけれども、中小企業基盤整備機構の新型コロナウイルス感染症基金からの不用見込み分の国庫返納、緊急小口資金等の特例貸付けの不用見込み分の国庫納付についても確保したところでございます。

 これらの財源は、元々は新型コロナ対策として補正予算等により措置した事業の不用見込み分であり、その一部に国債由来である部分が含まれることは、これはもう先生御指摘のとおりです。通常であれば一般会計の一般財源として歳入に計上されるところ、今ほど申し上げた考え方に基づきまして、防衛力強化の財源として確保したものであります。

 したがいまして、何か隠れ赤字国債を認めるというようなことではなく、その活用により国債発行額を新たに増加させないようにするためのしっかりとした財源であると考えております。

重徳委員 全然、要するに、答えられないんですよ、今の私の質問には。

 つまり、なぜ隠れ赤字国債を使わざるを得ないのかというと、新規の赤字国債を発行したくないから、これだけの話でありまして、やっていることは同じなんです。それだけの話なんです。だから、結局、我が国にはもう増税以外に赤字国債しかないという状況を吐露していることなんだと思うんですね。

 もっとひどいことを言いますよ。まだ決めていない方針だと思いますが、まさかということで今のうちから言っておきますけれども、予備費の活用でございます。

 資料二を御覧ください。

 予備費、三年前に十兆円の予備費、コロナ対策用だと言われて十兆円積まれた。空前の予備費です。このときから私は極めてその後の展開を危惧いたしておりましたが、やはりどんどん物事は悪くなってきております。

 これまで、全部で予備費はこの三年間で二十七・四兆円計上されまして、これは言うまでもなく、政府は自由に、国会の議決なく使えるお金であります。不用額が五・三兆円。いや、不用額になることは全然構わないんですよ、何なら全部不用額にしてもらった方がいいと私は思いますが、令和四年度に関して言いますと、予備費は、この資料、これは私の手作りなもので、全然、スケール感はちょっといいかげんでありますけれども、一番左側のグラフを御覧ください。歳出の中に十一・八兆円もの予備費が計上され、これは事実上、赤字国債を発行することなく計上できないわけですから、全部赤字国債が財源だと言い切っていいと思います。

 そして、問題はその後です。令和四年度は、真ん中のグラフで、予備費不用額は四・二兆円出ました。いや、結構なことですよ、予備費は私は使わなければ使わないほどいいと思っております。しかし、四・二兆円出た。これをまさか、ゆめゆめ、次の財源、翌年度の財源、まして防衛費にしれっと入れるということはないんでしょうねということに私はくぎを刺したいと思っております。

 したがって、予備費の不用額を翌年度の税外収入にしないために、この真ん中にあるのが私の提案でありまして、予備費不用額四・二兆円は丸々、赤字国債の四・二兆円削減にそのまんままず充てて、その上でその後の剰余金の調整をしていただきたい。こういうやり方で、ゆめゆめ、予備費の不用額を、翌年度の財源、まして防衛費に知らない間に充てるということがないようにしていただきたいと思います。これは繰り返しますが、若い人への増税で今年の防衛費を賄うことになるからであります。いかがでしょうか、大臣。

鈴木国務大臣 先生から資料をお示しをいただきました。予備費不用額を、これを丸々赤字国債を圧縮するところに使え、こういう御指摘で、それは一つの理想をおっしゃっておられるんだと思いますが、現実のお話をいたしますと、予備費を含めました歳出に不用が生じることが見込まれる場合には、税収等の動向も見極めながら、特例公債の発行額の抑制に努めることとしているところです。

 しかしながら、特例公債の発行額の調整に際しましては、予備費の不使用額以外にも、税収やその他の歳出の動向等、様々な考慮要素がある中で、予備費の不使用額の全額に相当する金額について特例公債の減額に充てるという運用をルール化した場合には、例えば、税収見込み、これは上振れすることもございますが、予想に反して税収がそこまで届かない、そういう落ち込む場合があります。そういう場合にも機械的に特例公債の減額を行えば、歳入欠陥に陥る可能性が生じ得るといった問題があると認識をしております。

 その上で、特に、コロナ、物価予備費等の予備費については、不使用額が確定しながら特例公債の発行をいたずらに行うことは不適当なことである、それは我々も十分認識しているわけでありまして、適切に対応してまいりたいと思います。

重徳委員 税収が減ることもある、増えることもある、それはそのとおりでしょう。だから、せめてこの予備費の不用額四・二兆円は、そこに区切って、それをどのように扱ったのかが分かるようにしていただきたいんですけれども、それをやってもらえませんか。短く答弁してください。

鈴木国務大臣 その辺の説明はしっかりしなければならないと思います。

重徳委員 では、していただくことといたします。

 それでは次に、復興特別所得税、これも将来世代への課税だということを指摘したいと思います。

 つまり、これは、何の名目かはともかくとして、これから十四年後の令和十九年までで本来は復興特別所得税は課税期間が終わるはずを、今回の防衛予算の話が出てきたものだから、そこから更に延長させるという話が出てきたわけです。したがって、実際には、事実上、今の防衛費を十四年後、十五年後の若い人が税金で賄う、そういうからくりになっているじゃないですか、十三年間にわたって。どうですか、財務大臣。

鈴木国務大臣 税率を一%引き下げましたので、その分、予定された期間よりも後ろ倒しになる、その期間については復興財源を確保する期間を延長する、こういう、先生の御指摘のとおりであります。

重徳委員 したがって、それを実質的に、だって、今回、防衛予算の話がなければ令和十九年で終わっていたはずの税金を、その後の人たちがまた払わなきゃいけないということは、若い人たちへの増税じゃないですか。

 この見立てについて、どうですか、お認めになりますか。

鈴木国務大臣 二〇三八年以降も付加税が続くことになりますけれども、将来世代に負担を先送りしているとの御指摘につきましては、経済成長と構造的な賃上げの好循環を実現することで、税制措置による将来世代の負担感を払拭できるように、政府として努力をしてまいりたいと思います。

重徳委員 もうその答弁が限度だと思うんですね。将来、経済がよくなって税収が増えたら、本当はほかのことにも使えるはずの税金じゃないですか、それは。結局、将来世代に増税していることには違いないわけです。

 そして、そのことについて、前回、防衛大臣、私はとんでも発言をされたと思いますが、こういったことについて、この間、浜田大臣、このように答弁されたんですよ、将来の若い世代の皆さん方にも御理解いただいて、御負担をいただければと。こういうことなんですよ。本気でおっしゃっていますか。

浜田国務大臣 抜本的に強化される防衛力は将来にわたって維持強化していかなければならず、この防衛力を安定的に支えるためには、令和九年度以降、毎年四兆円のしっかりとした財源が必要であります。その財源は、国民の御負担をできるだけ抑えるべくあらゆる工夫を検討していただいた結果として確保されたものであり、戦後の最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で不可欠と考えております。

 御指摘の私の答弁は、これらの財源の必要性を述べたものであり、無責任との指摘は当たらないものと考えております。

重徳委員 全くそのようには聞こえませんでしたので、是非、政府の皆さん、与党の皆さんもそうですけれども、将来世代、若い人たちへの課税で今の防衛費を賄うということに、今そういうからくりに陥っているということを最後に申し上げ、これを私は、砂上の、砂の上の防衛力だ、非常に危ういものであるということを申し上げているわけでございますので、その点申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 立憲民主党の渡辺でございます。

 冒頭、鈴木財務大臣にお伺いをいたします。

 先日、四月七日に、私、衆議院本会議におきまして、防衛省が調達する装備品の開発及び生産のための基盤強化法の質問に立ちまして、その際に触れましたが、日本たばこ産業、JT、このJTがロシアと事業を行っていて、同じ話の繰り返しは時間の関係上しませんけれども、おおよそロシアの国庫に三千億円以上の、現在のレートでいえば三千四百億円と推定される金額が納税されている。これはロシア国内で日本たばこ産業が販売しているたばこの税金であり、あるいは、製造している拠点が四つありまして、四千の工場も持っている。そこが、当然、法人事業税も払っているし、そこのワーカーの、働いている人の所得税納税も含めて四千億円、一・七%を納めていますということを、既にJTのインターナショナルという会社が、一・四%ですね、自らのホームページで、国庫歳入の一・四%に相当する額を納めていますという質問をして、これが果たして、日本の政府が、財務大臣が三分の一以上の筆頭株主、この筆頭株主の日本たばこ産業がロシアに三千億円以上の納税をしておいて、反面で、ロシアが、現状変更、力で変更している、今の脅威である、だから、この国も念頭に、あるいは中国を念頭に防衛力を抜本的に強化をして、国民の理解を得て防衛力の増強を図り、そのための財源を得るのだと。今回の法律の、まさに目的にそう書いてあるわけなんですけれども。

 ですから、ロシアに対して、日本の政府が筆頭株主をやっている日本たばこ産業が、これが結果的には、間接的にロシアの歳入に寄与している。そして、ウクライナ攻撃に対する当然軍事費にも、あるいは、今現在行われている、北方領土に上陸することを想定した、いわゆるロシアの極東太平洋艦隊が演習を行っていて、我が国は北方領土で演習をすることはけしからぬと抗議はしていますけれども、結果的にこういうものにつながっているじゃないか。

 これが果たしてG7主催国として正しいのかということをただしましたところ、大臣は答弁で、政府としては、昨年三月のJTの株主総会において、昨年三月の株主総会の話を持ち出します、株主の立場から、国際的な活動を行う企業として、ロシア、ウクライナの状況及び両国をめぐる国際社会の動向等を注視し、適時適切に対応されることを強く期待していますというようなことを言っています。

 ここで伺いますけれども、昨年の株主総会は、ちょうど三月、ロシアがウクライナに侵攻して、まさに世界中が驚天動地、二十一世紀にこんなことが起きるのかと思った矢先の話であります。当然、当時の新聞報道の中にも、JTは株主総会で、事業の撤退や、あるいは売却も含めて検討しているということがありましたが、その後、一年たって、つい先日開かれました株主総会の資料を私も入手しましたけれども、その中には、ロシアでの実績が書かれてはいますけれども、その点については何ら、撤退も休止も書かれていない。

 ちなみに、今年の株主総会の資料では、主要市場のマーケットのシェアとして、二〇二二年の一月から十二月、昨年の一年間で、ロシアのマーケットにおいては三六・六%、日本たばこ産業が占めて、世界の中でも大変に日本たばこ産業のドル箱のマーケットとなっているわけなのであります。

 そこで、もう一回伺いますけれども、まさに注視しているだけでいいのか。注視し続けて、三分の一を超える株を持つ筆頭株主として意見をしないのか。あるいは、何らかの形でJTとロシアにおけるたばこの製造、販売ということについて話合いはしていないのか。そこのところは、前回は一方通行の本会議の質問でしたので、今日はこうして大臣と質疑をする機会がありますので、その点についてはどうなんですか。昨年の株主総会の話を持ち出して、株主総会ではこういうことを言っていましたと。今現状はどうなのか。そして、我が国として、ロシアにおけるJTのビジネスについてどう考えるのか。筆頭株主である財務大臣、いかがお考えですか。

鈴木国務大臣 JTグループにおけるロシア国内におけますたばこ事業でございますが、ただいま渡辺先生からも御指摘ございましたが、昨年の三月、二月の二十四日がウクライナ侵攻が始まった日だと記憶しておりますが、株主総会におきまして、筆頭株主の立場から、国際的な活動を行う企業として、ロシア、ウクライナの状況及び両国をめぐる国際社会の動向等を注視し、適時適切に対応されることを強く期待している旨を発言をしたところでございます。

 JTグループの事業展開でございますが、筆頭株主、三分の一は政府が所有しているわけでありますが、残りの三分の二は民間株主が所有する上場企業でございまして、そういうことを踏まえまして、基本的には、JTの経営判断により適切に対応していくべきものである、そういうふうに考えておりますが、しかし、筆頭株主という立場において、昨年の三月、先ほど申し上げたような発言をして、強くJTに我々の気持ちを伝えたところでございます。

渡辺(周)委員 この問題は、私も安保委員会でやりました。その後、参議院でも、予算委員会で勝部議員からも指摘がありました。

 必ず言われるのは、新規の投資やマーケティング活動等を停止していると。新規のビジネスはやっていないんだけれども、今までのことはやっているんですね。今までどおりやっています。

 その事業展開については、同社の自主的な経営判断なんだ、適切に対応していくのが基本的な考え方だということをこれは岸田総理大臣もおっしゃっているんですね。

 ですけれども、これは、何度も言うようですけれども、純粋たる民間企業ならば、それは企業のモラルや理念や世間体を考えていろいろ判断されるかもしれない、株主の意向も。ただ、この企業は筆頭株主が日本政府なんです。サミットを開く日本国が筆頭株主で、片っ方で、我が国の防衛力を抜本的に強化する、それから、我が国を取り巻く安全保障環境は大変年々厳しさを増していて、それが顕在化したのがロシアであると。そのロシアが、目の前に、隣国として今我々に対して脅威であることは、これはもう誰もが認めるけれども、だけれども、そのロシアに対して、極端なことを言えば、財政基盤に寄与しているじゃないかと。それが我が国が筆頭株主をやっている企業なわけですよ。

 こんなの、ここで防衛力の財源を確保するという話をしたって、何を言っているのか、相手に塩を送っていることからまずやめろと。当たり前ですよね。

 そもそも、たばこ税を増税して、将来、導入の時期はまだ決まっていないけれども、二千億円の増税を見込んでいると。でも、その同じたばこをロシアで売って、ロシアの、ひょっとしたら、これは軍隊に、若しくは砲弾になっている、三千億円。片っ方で日本は二千億円の増税だと。こんなばかな、こんな話はとてもじゃないけれども、財源を確保する上でまずそっちをやめろよという話なんですよね。

 その点については、これは大変矛盾していると大臣は思いませんか。ロシアにおいて戦費調達に我が国の企業が貢献して、いや、日本政府が筆頭株主のこのJTが貢献してしまっているということについて、もうそれは待ちの姿勢で注視しているなんという甘い考えでよろしいんでしょうか。今は、とにかく戦争を我々は止めるべきだと思いますけれども。

 事業を停止すべきだと思いますけれども、いかがですか。

鈴木国務大臣 JTグループのロシア法人でございますが、ロシア政府に対して納税をしておりますけれども、その納税の中身は、その多くはロシア国内で販売したたばこ製品に係るたばこ税及び付加価値税であるところでありまして、税を負担している担税者はロシア国内の消費者でありまして、JTグループの現地法人は、付加価値税でございますから、それを預かって納税する役割を負っている、そういうものと承知をしているところでございます。

 いずれ、筆頭株主ではございますが、三分の二は民間株主が占めているわけでありまして、そうしたことを踏まえまして、自主的な経営判断を、しっかりと対応してもらいたいと思っておりますし、その旨は総会においてしっかりと伝えたところでございます。

渡辺(周)委員 たばこ税をユーザーが負担していること、結果的に、日本もそうですけれども、購入して、その時点でたばこ税を納入しているのは分かります。

 だけれども、当たり前ですけれども、そこに四千人の雇用をして、四つの工場があって、そこでワーカーの方々が事業で収入を得ているんだから、当然事業税を納めているし、それは当然そこにいる従業員の方々が今も働いて税金を納めているんだと。そんなことは、この間の委員会でもやって確認しました。これは財務省もお認めになっているんですね。たばこ税だけの問題じゃないんですよ。この日本の姿勢のことを言っているんです。

 ですから、この財源確保法を議論するに当たって、将来的には当然増税もするんだ、国民の理解が必要なんだということが昨年から、有識者会議の文書なんかを見ても、もうつらつらと書いてあるわけなんです。

 でも、反面で、ロシアでビジネスをやって、ロシアに納税しているじゃないか、それが我が国が筆頭株主の企業なんだ、そんなばかなことがということが最大の矛盾だからこそ何回も何回も指摘をしているんですが、今日はちょっとほかのこともあと十八分の間にやらなければいけないので、また次の機会にやりたいと思いますが。

 この財源を確保した後の、まさに今後どうするかという、支出の、使い道のことについてちょっと伺いたいと思います。

 財源確保の目的は、我が国の防衛力の抜本的強化と抜本的に強化された防衛力の安定的な維持についてということでございますが、我が国の防衛力の抜本的強化というのは、決して、安全保障の環境を考えれば、我が国一国のみならず、様々な国との連携強化、スキルアップにも、当然これも安全保障に寄与するものだということはもうずっと、三文書も含めて書いてあります。

 そこで伺いたいんですけれども、今回のG7サミット外相会談でも出てくる、開かれたインド太平洋の推進と実現のために同志国を支援するということなんですが、支援って、このインド太平洋というのは一体どこの国々、どこのエリアを指すのか。支援対象ですね、このOSA、昨年十一月の有識者会議の報告書に初めて安全保障国際支援事業というのが出てきたので、OSAが出てきましたけれども、まさにどこの国を対象としているのか。対象となるインド太平洋の国々とはどこまでを指すのか、その点について明確に御答弁いただけますでしょうか。

石月政府参考人 お答え申し上げます。

 インド太平洋地域につきましては、正確な定義があるわけではございませんが、おおむねアジア太平洋からインド洋を経て、中東、アフリカに至るまでの地域を指すものと認識しております。

 OSAは、我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に置かれる中、同志国の安全保障上の能力、抑止力の強化に貢献することにより、我が国との安全保障協力関係の強化、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出及び国際の平和及び安全の維持強化に寄与することを目的とした協力枠組みでございます。

 対象国の選定につきましては、本支援のこのような目的に照らし、当該国の状況、ニーズ、我が国にとっての安全保障上の意義等といった個々の事情を総合的に考慮し、個別に判断していくこととなります。

渡辺(周)委員 まず、第一弾として、フィリピン、マレーシア、バングラデシュ、フィジーと四か国決まりました。この四か国に決まった理由を教えてください。

石月政府参考人 委員御指摘のとおり、令和五年度については、まずはフィリピン、マレーシア、バングラデシュ及びフィジーを対象とした調査から開始することとしておりますが、これらの調査対象国の選定に当たりましては、OSAの目的に照らした支援実施の意義や日本として把握している各国のニーズ、各国の経済社会状況等を総合的に勘案して判断いたしました。

 特に、日本のシーレーンの要衝に位置するなど、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出の観点からの重要性、地域の安全保障にとっての重要性、我が国との安全保障協力関係強化の重要性等を考慮いたしました。

 その過程においては、国家安全保障局や防衛省を始めとする関係省庁とも協議を行いつつ、支援対象国、分野を一定程度絞り込んだ上、相手国政府とも協議を行いました。

 今後、これら四か国に対し、専門的な調査を外部事業者に委託して行った上で、調査の結果を受けて、相手国とも更に調整を行った上で、最終的に対象国を決定することとなっております。

渡辺(周)委員 この四か国とは、秘密保護協定であるとか装備品の移転協定が結ばれていないんですね。今まではこうした、OSAはODAではできない軍事分野の支援をするという仕組みですけれども、当然、防衛装備の移転に関しては大変厳しい歯止めがある。中でも、やはりここは、これは当然、秘密保護協定であるとか、あるいは防衛装備品の移転の取決めがあるとか、いろいろなものがあって、先般オーストラリアやイギリスとは準軍事同盟的な条約を結んだわけなので、全くそれすらないところの国々を一足飛びに今OSAの対象にする。となると、これは、我が国として、安全保障の協定がなくても、総合的に判断されると、地政学的なあるいは戦略的な条件が、もっと言えば政治的な判断が優先されるということなんでしょうか。大臣、いかがですか。

林国務大臣 本支援でございますが、我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に置かれる中で、同志国の安全保障上の能力、そして抑止力の強化に貢献することによって、我が国との安全保障協力関係の強化、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出及び国際の平和及び安全の維持強化に寄与する、これが目的でございます。

 今御指摘のあった協定を含めて特定の協定等の締結、これは確かに、おっしゃるようにOSAを通じた支援を実施する前提条件とはしておらず、防衛装備移転三原則や同運用指針の枠内で行うことを前提として、本支援の目的に照らして、当該国の状況やニーズ、我が国にとっての安全保障上の意義といった、こうしたそれぞれの事情を総合的に考慮して、個別に判断していくことになると考えております。

渡辺(周)委員 懸念するのは、これまで我が国の外交的な強みはODAでありました。しかし、かつて一兆円を超えていたODAも半分ぐらいになり、我が国が今そんなに世界に大盤振る舞いができるような国力があるのか。バブルの崩壊でありますとかリーマン・ショックとか、いろいろなことがあって国内が非常に弱ってきている中で、我々もしてきました、果たしてこのODAという、かつての日本が大国と言われた、あるいはそう自負していた時代と違って、今、とてもじゃないけれども、他国にそこまで大盤振る舞いできるような余裕があるのだろうかという中で、減ってきたことは事実なんですね。

 しかし、ここに今度、加えて、OSAという形で、今年度の事業費は二十億円という、ODAの巨額の予算額に比べればまだ小さいかもしれませんけれども、そもそも、この予算を判断するのは外務省なんですか、防衛省なんですか。これはそもそも外交予算なのか防衛予算なのか、その点をまず伺いたいと思いますし、先ほどちょっと聞きそびれましたけれども、支援対象というのがインド太平洋となったら、インド太平洋に面する国々は全て対象になるということでいいんですか。例えば、東アフリカだとか南米も含めて、これは対象になるんでしょうか。そこのところまで際限なく、我が国はこのOSAを外交的手段として、我が国の安全保障の環境を向上するために際限なく広げることになりはしないかと思うんですけれども、その点については何か明確な歯止めなり条件はあるんでしょうか。いかがですか。

石月政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、OSAの所管官庁でございますが、外務省でございます。予算は外務省予算で実施していくことになります。

 他方、本支援は、総合的な防衛体制の強化のための取組の一つとして、日本の安全保障に資するものでございます。実施に当たっても、国家安全保障局や防衛省を始めとする関係省庁と密接な情報共有、協議等を行うこととしております。

 インド太平洋地域というお尋ねでございますけれども、OSAは、我が国にとって望ましい安全保障環境を創出するとの目的に鑑み、まずはインド太平洋地域の諸国を中心に実施することを想定しておりますが、地理的限定を設けているということではなく、その対象国の選定に当たっては、OSAの目的に照らし、当該国の状況、ニーズ、我が国にとっての安全保障上の意義等といった個々の事情を総合的に考慮し、個別に判断していくこととなります。

渡辺(周)委員 ということは、南米までも入るということですか。

石月政府参考人 お答え申し上げます。

 OSAは、我が国にとっての望ましい安全保障環境を創出するという目的に鑑みて創設されたものでございます。その観点から、まずはインド太平洋地域の諸国を中心に支援を実施することを想定しております。

 支援の具体的な対象国、内容の選定に際しては、OSAの目的に照らし、当該国の状況、ニーズ、我が国にとっての安全保障上の意義、そういったものを総合的に考慮して、個別に判断していくこととなります。

渡辺(周)委員 今回の選定された四つの国も、何でフィリピン、マレーシア、バングラ、フィジーなのかと聞いても、答えているのは、総合的に判断してという話ですよ。安全保障の協定も防衛装備の移転の協定もないけれども、それはさておいて、とにかく総合的に判断すると。

 この開かれたインド太平洋というのは、せめてハワイから西側の第三列島線までというならまだ分かる。ところが、今の話でいくと、地理的概念は制約がないというならば、どこでも支援できることになっちゃうじゃないですか。

 最初は二十億円だけれども、これから、そんなに日本が供与してくれるのならということで、あちらこちらから、かつてODAが日本の外交の武器だったように、OSAに対して、大変世界中で、いろんな国から要望が来ますよ。これは際限がなくなるんじゃないですか。

 それについてはまたやりますけれども、ちょっと申し上げると、例えばジブチという国があります。何度も出てくるんですが、ジブチについては、これまでの防衛戦略の中にもジブチとの関係を強化するんだということは書いてあります。このジブチとは、私も与党時代にジブチに行きましたけれども、自衛隊の基地が、唯一の海外展開している基地がございます。

 ところが、このジブチで、かつて、これは今年の報道ですけれども、二〇二一年の十月頃に陸上自衛隊の幹部がジブチで十数時間、身柄拘束された、こういう報道があるんですね。中国の軍人を撮影したということが容疑である、十数時間、身柄拘束されて、スマホも押収されたんだけれども、いろいろ日本側からの抗議もあって、拘束が解かれて、押収されたものは戻ってきたということなんですけれども。

 果たして、今おっしゃったインド太平洋の中で、確かに要衝となる国がある。でも、反面で、この国は、結論づけてはいけないという前提で申し上げますけれども、ジブチは対中国で巨額の債務を持っておりますね。ですので、中国にジブチ当局が動いたのではないかということを、邪推かもしれませんが、考えられるんです。でなければ、地位協定があって、外国の軍人が中国の軍人を撮影したといって、なぜジブチ当局に拘束されたのか。

 この点について、この報道は事実でしょうか。そして、もしこのようなことが起こったとするならば、当然のことながら、何が、地位協定上、取決めになかったことなのか。この点についてはどのようになっているのか、お答えいただけますでしょうか。

大和政府参考人 御指摘の報道は承知をしております。

 御案内のとおり、ジブチにおいては、自衛隊は海賊対処行動に当たる部隊の支援などのための活動を行ってきています。一方で、その活動の詳細や活動に当たってのジブチ国政府とのやり取りの一つ一つについては、自衛隊の運用に関することであり、またジブチ国政府との関係上、お答えが困難であることを御理解いただきたいと思います。

 ジブチにおける自衛隊の活動は、ジブチ政府とも緊密に協力しながら、我が国法令にのっとり、同国との地位取決めを踏まえ、適切に行われているものであります。また、こうした中で、ジブチ政府が他国の意向を受けて不当に自衛隊の要員を拘束するといったことは想定していないところであります。

渡辺(周)委員 ここにジブチとの連携を強化すると書いてあるんですよ。それは同志国との連携と書いてあるんです、同志国と。ジブチは同志国だとこっちは言ったって、向こうは地位協定にもないような、何の理由かも分からないことで身柄を拘束した、十数時間、外国軍の軍隊が。よっぽどのことをしたなら別でしょう。だけれども、そうでもない。しかも、日本政府に聞いたって、お答えは差し控えると。そんなことを言って、ジブチと連携をというけれども、本当に同志国として同じ志を持っているのか。もっと言えば、この国と法の支配だとか価値観を共有しているのかどうか。

 その点については甚だ、それは、安全保障上の要衝であるということ、要であることは認めますよ。だけれども、じゃ、この国に対して、この国との連携を強化して、もっと言えば、先ほどのOSAも含めた様々な支援をしようといったときに、この国に対してできるんですか。大臣、いかがですか、この点について。地位協定をそういう意味ではないがしろにするような国に対して、同志国だといって総合的に判断したら、インド太平洋の要衝の一つの国として連携を強化すると書いた以上は支援をしていけるんですか。

 もっと言えば、大使館が今度、装備品移転の営業活動をするんだと一部報道、四月十四日の産経新聞にありますけれども、例えば中国と関係の深い国で情報収集をして、例えば相手国のニーズを聞いたり、こちら側の要求された性能を話をしたら、こちら側の機密は漏えいするわ、相手国の秘密を知ったということで、地位協定があったって拘束されて押収されるような国において、果たしてそうした、大使館が装備品移転のための情報収集活動や、ある意味では営業活動できるでしょうか。いかがお考えですか。

土本政府参考人 まず、私の方から、今御指摘の大使館の関係の点も含めて、中心にお答えさせていただきます。

 まず、装備移転は、委員御案内のとおり、国家安全保障戦略等に記載されているとおり、力による一方的な現状変更を抑止し、我が国にとって望ましい安全保障環境を創出する等のために重要な政策手段……(渡辺(周)委員「済みません、時間がないので答えだけ言ってください」と呼ぶ)はい。

 在外公館職員に関しましては、防衛駐在官も含め、従来より、その業務の一環として、防衛装備品の移転可能性がある国において、その円滑な実施のための支援を実施してきているものと承知しております。

 装備移転の実施に当たりましては、いかなる国とどのような案件を推進するかにつきましては、我が国にとって望ましい安全保障環境を創出するといった政策目標の達成に資するかどうかという観点を含め検討するということでございます。

渡辺(周)委員 全然言っている意味が分からないんですよ。

 もう時間がないから最後にしますけれども、例えば、四つのうちの一つである、支援国の一つであるフィリピン。この国も大変に、アメリカ軍が駐留する、利用できるというところが四つ増えて、スプラトリー諸島の筋向かいのパラワン島というところの軍事施設を利用できるようになるということで、日本も今回、装備移転対象国にしますと、OSAの。

 そして、今年の二月にマルコス大統領は訪日していますね。岸田総理と会っています。ちょうどいわゆる犯人引渡しのことで注目をされていた時期でありまして、余り外交的な話よりもそちらが何か報道されていたような気がしますけれども、実は、このフィリピンのマルコス大統領は、二月に訪日する前に、年明けに中国を訪れているんですね。それで、中国から三兆円の投資を誘致したと発表して、経済関係の発展を強調しているんです。領海問題を抱えながらもしたたかに外交をやって、日本がたしか約束したのは六千億かもしれないけれども、その五倍に当たる額の投資を習近平は約束しているんですね。

 つまり、どこもそうですけれども、したたかに、マネーゲームをやったら、中国は札束を積んで、当然、日本の援助などの額では到底太刀打ちできないぐらいの額を積んでくるんだろう。そのOSA戦略は本当に対中戦略でどれほどの効果をもたらすかといったら、相当相手を厳選しないと、結局は持っていかれただけ。両方からもらって、日本からも防衛装備品の供与は受けます、そして中国からはその五倍の投資を受けますと。ここはよっぽど慎重に相手国を選んでいかないと、政治的な判断だけで決めたら際限のない歳出増になると思うんですけれども、その辺に対してはどうお考えですか。では、外務大臣、お答えください。これで終わります。

鬼木委員長 既に持ち時間が経過しておりますので、答弁は簡潔に願います。

林国務大臣 はい、簡潔に。

 まさに委員がおっしゃるように、したたかにそれぞれの国がいろいろやっている中で、我々だけがしたたかでないということはやはりあってはならないと思っていまして、先ほど冒頭に申し上げましたように、これはあくまで我が国にとって望ましい安全保障環境の創出及び国際平和及び安全の維持強化に寄与する、これが目的でございますので、その目的に照らして、したたかに、しっかりと判断していきたいと考えております。

渡辺(周)委員 終わります。

    〔鬼木委員長退席、塚田委員長着席〕

塚田委員長 次に、大野敬太郎君。

大野委員 自由民主党の大野敬太郎でございます。財務金融委員会所属でございます。

 本日は、質問の機会をいただきましたことを改めて感謝を申し上げたいと思います。

 本日は、財確法案の連合審査ということでございますので、基本的には、その上で、私が今日、全般にわたって質問したいのは、財確法案の前提の国家安全保障戦略上の有事、これにおけるマクロ経済運営についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 今の経済情勢に鑑みますと、平時においても、財政政策にしても金融政策にしてもかなり厳しい運営を強いられている、こういう認識に立っておりますけれども、さらに有事ということになりますと、非常に、更に厳しい運営を求められる、こういう状況になるんだと思います。

 したがって、そういったことにならないように、まずは国際秩序の安定化、あるいは積極的な外交の推進、そしてさらには、今般議論になっている防衛力、すなわち抑止力、対処力、それをしっかりと質と量の両面で抜本的に強化をしていくんだ、これはまさに必要なことでありまして、今財源確保法案で議論されているこの法案というのはまさに礎の一部であるというふうに認識をしておりますが、その前に、私、冒頭申し上げましたように、経済、あるいは金融、財政、こういった面の総合的な国力という視点で、どういう備えをするべきなのかということについて、お伺いをさせていただきたいと思います。

 国家安保戦略には実は何を書いているかというと、いろいろなことが書いてあるんですけれども、例えば、要すれば、我が国の経済というのは外国依存度が高いから、有事の際に資源等の確保で財政需要が大幅に増大、拡大するので、対応するには、国際的な市場の信認、そして必要な資金の調達をする財政余力というのが極めて重要であって、安全保障の礎である経済、金融、財政の基盤の強化に不断に取り組むんだ、こういうふうに書いているわけですね。

 私は、この市場の信認そして財政余力というのは、ある種、有事になったときに極めて重要な視点だと認識をしております。

 そこで、そういう視点でまず財務省にお伺いさせていただきたいのは、今、戦争が実際に起きているウクライナ、ロシアにおきまして、インフレ率あるいは政策金利、さらには、ウクライナにおいては戦時国債を発行されていますが、その発行の状況、そしてさらには、ロシアにおいては外貨の準備高、これの推移を是非お示しをいただければと思います。

奥政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねのうち、まずインフレ率と政策金利について、私からお答えいたします。

 ロシアのインフレ率は、二〇二二年一月は八・七%、二月は九・二%でしたが、ウクライナへの侵略開始後の同年三月には一六・七%、四月にはピークとなる一七・八%となりました。その後は低下し、直近の本年三月は三・五%となっております。

 次に、ウクライナのインフレ率ですが、二〇二二年一月は一〇・〇%、二月は一〇・七%、これが同年三月には一三・七%になり、十月にピークとなる二六・六%となりました。その後は徐々に低下しており、直近の本年三月は二一・三%となっております。

 続きまして、ロシアの政策金利ですが、二〇二二年二月二十八日に九・五%から二〇・〇%に引き上げられました。その後、同年四月八日には一七・〇%に引き下げられ、その後も、九月まで相次いで引き下げられました。本年四月十八日時点では七・五%となっております。

 次に、ウクライナの政策金利でございますが、二〇二二年二月時点では一〇・〇%、その後、同年六月三日に二五・〇%に引き上げられ、本年四月十八日時点までこの水準に据え置かれているところでございます。

大野委員 外貨準備高についてもお答えいただけますでしょうか。

三村政府参考人 私の方から、ウクライナの国債の発行状況と、今お尋ねのありましたロシアの外貨準備の状況についてお答え申し上げます。

 御指摘のとおり、ロシアのウクライナ侵略以降も、ウクライナは国債の発行を行ってございます。ウクライナ財務省の発表によればというところでございますが、まず、金利の状況から申し上げますと、金利の水準、ウクライナの通貨でございますフリブニャ建ての一年債で申し上げますと、昨年の二月の侵略開始後しばらくは、侵略開始前とおおむね同水準の一一%ぐらいの金利で国債を発行してございました。ただ、その後金利が上昇いたしまして、今年に入ってからもウクライナは、国債、フリブニャ建て一年債を発行しておりますが、足下は大体一八・五から一九%ぐらい、これぐらいの金利で発行しているという状況でございます。

 発行の残高でございますけれども、昨年二月末の開戦以降、今年の四月十日時点までに国内でウクライナが発行した国債、これはフリブニャ建てのほかドル建てやユーロ建ても含めまして、約百十七億ドル相当、米ドル相当の国債を発行していると承知をしてございます。

 それから、ロシアの外貨準備高でございますけれども、二〇一四年にクリミア危機が起きまして後、二〇一五年末の時点で三千六百八十億ドル、これがロシア中銀の発表しております外貨準備高で、その後は基本的に上昇基調、増加基調を外貨準備高はたどりまして、開始直前の昨年二月十八日時点、ちょうど開戦の一週間ぐらい前の時点で六千四百三十億ドルの外貨準備高という状況でございます。戦争を開始してから後は減ったり増えたりございますが、直近では、四月七日時点で六千十億ドルの外貨準備と承知してございます。

大野委員 ありがとうございます。

 外貨準備については、私が承知している限り、ある種これは戦争の準備をしていたのではないかと思われるぐらい、外貨のドル建てをどんどん中国元にしていった、こういうことなんだと思います。

 いずれにせよ、国力の差はあれども、やはり、有事においては大量の物資の需要、資金需要が発生いたしますので、必ずインフレ圧力あるいは金利の上昇圧力というのが発生しますし、さらには外貨というのもしっかりと考えておかなくちゃいけない、そう思うんですね。

 日本の場合、直ちにロシアやウクライナという資源国と直接比べることはできませんけれども、ただ、そういった基本的な、総合的な国力と申し上げましたけれども、そういった経済的、金融的、あるいは財政的な文脈でしっかりと備えておかないといけないということは間違いないと思うんです。

 じゃ、日本の場合は何に備えるべきなのか。それは、産業構造とか貿易の構造が全く違いますから、備えるべき構造というのはかなり違うと思いますが、財務省に、まずこの認識をお伺いしたいと思います。

井上副大臣 お答えいたします。

 御指摘のような有事が発生した際の我が国への影響は、その性質や態様により変わるため、一概に申し上げることは困難でございますが、例えば、貿易や対外投資で依存度の高い国との軍事的緊張が高まった場合、経済制裁や社会不安の増大等から経済状況が一変し、資本逃避や物価高などが生じる可能性があります。

 その際、委員御指摘のとおり、資源等に乏しい我が国においては、防衛力を高めるため、防衛装備品はもちろんのこと、戦時に希少となる資源、エネルギーといった海外に依存せざるを得ない物資を政府が大量調達をしなければならず、平時に比べまして財政需要が大幅に拡大する中で、国内外の金融市場から資金調達していく必要が生じるなど、我が国の経済社会全体に重大な影響が生じることは考えております。

大野委員 ありがとうございます。

 かなり複雑な産業構造あるいは経済構造なので、より精緻に分析をしておくべきなんだと思います。

 直近の日本の有事という意味では、コロナがございました。コロナ、これはかなり有事という意味では違いますけれども、コロナで政府は八十兆円ほどだったかと思いますけれどもしっかりと需要を支え、あるいは日銀におかれましては迅速な対応をいただいて、賃金、あるいは失業率の上昇、これをかなり抑えられたということで、低コストの資金調達というふうにも認識できますし、また、国力あるいは財政力はあったんだというふうに認識もできなくもない、こういう状況であったんだと思うんですね。

 ただ一方で、国民にはなかなか見えにくい内部の、政府内部あるいは日銀内部の構造の変化というのはかなりあったんだと思います。

 そこで伺いたいのが、財務省には、最近の国債発行額やあるいは償還年限の推移、これをお示しいただけますか。

齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、国債発行総額でございますけれども、一般会計分だけではなくて、借換えあるいは財政投融資など全ての資金支出と合算したベースで申し上げさせていただきますけれども、コロナの前まで、二〇一〇年代後半までは百五十兆円から百七十兆円程度で推移をしておりました。新型コロナ対応ということで、二〇二〇年度、令和二年度、予算規模が拡大したことに伴いまして、対前年度で百兆円を超える国債発行額の増加がございまして、二百五十六兆円台となっております。その後若干落ち着いておりますけれども、引き続き二百兆円を超える高い水準で推移をしておりまして、今年度、令和五年度につきましては、二百六兆円となっております。

 それから償還年限、これは発行時の平均年限で申し上げますけれども、コロナ前、二〇一〇年代後半は九年弱ぐらいの長さで推移をしておりました。コロナ発生時、国債の発行額が増えたタイミングで六年八か月まで短くなったところでございます。その後少しずつ延ばしておりまして、令和五年度の当初は八年一か月というふうになっております。

大野委員 短い方が増えてきたということでありますけれども、これは理由は何ですか。

齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 私ども資金調達をする立場から申し上げますと、短い調達ですとすぐに満期が来て借り換えなければいけないということで、いろいろリスクがございますので、できるだけ長い年限での調達をしたいところでございますけれども、年限別の需給バランスということを考えますと、長い年限は比較的投資家層が限られる、そこで無理に増発をいたしますと、金利を押し上げてしまうおそれがある。

 一方で、短い年限ですと、金利変動に伴う価格変動リスクが小さいということで、一時的な資金の置場として多様な投資家のニーズが期待されるところでございます。例えば金融機関による担保ニーズですとか、あるいは、ドル資金を持っている海外投資家からすると、円の調達コストが低いということで投資妙味があるといったようなことで、短期のところは消化余力が相対的に大きいということを踏まえまして、そこを増やしたということでございます。

大野委員 そうですよね。昨年、これは越智先生の御質問に対してだったかと思いますけれども、財務大臣から、短い方については、金利変動に対しての脆弱な資金調達構造になっている面もあるというような御答弁があって、短く、なるべくしていく努力をしますよと、こういう方向性が示されたところであります。

 一方で、今お話があったように、長かったらいいのかという話もあったりして、これは昨年、日銀さんがYCCの長い方につきまして変動の許容幅というのを膨らまして、これは市場機能の回復のためということでありましたが、いずれにせよ、非常に難しい局面にあるんだろうな、そういうことを思っています。

 今後、様々な環境変化というのが指摘をされているわけでありますので、まさに、国家安保戦略が言っているような市場の信認というのは非常に非常に重要なポイントなんだと思っているんですね。

 一方で、今議論させていただいたように、ある種のリスクに対応する、全体として見ればですけれども、リスクに対応する許容幅というのが総合的に見て徐々に狭まってきているのかなということも、私はちょっと心配をしているところなんですね。

 そこで、一方で、財務省さんにお伺いしたいのは、日銀の今の国債の保有割合、これをお答えいただけますか。

齋藤政府参考人 お答え申し上げます。

 日本銀行が公表しております資金循環統計に基づきまして、昨年の十二月末時点での数字を申し上げますけれども、二年以上の年限の利付国債というベースで見ますと五二%、それから、それに一年までの短期国債を合算したベースで見ますと四六・三%というのが日銀による保有割合ということでございます。

大野委員 ありがとうございます。

 ちまたでは、五〇%を超えてきてルビコン川を渡ったというふうに言う向きもありますけれども、時のカエサルはルビコンを渡っても何百年にもわたって帝国を維持したということでありますので、直ちに駄目だということは私も申し上げるつもりはありませんけれども、ただ、やはりこの金融のオペレーションというのはちょっと気になるところであります。

 そこで、今日、日銀さんにも来ていただいているんですけれども、この金融のオペレーションについて、市場の信認というのを絶対に下げることになってはいけない、こういう視点から、私、何点か気になっていることがあります。

 一つは、直近、本当に今の直近、コストプッシュインフレに対峙するには、まずは転換を促していかなくちゃいけないということはあるんですけれども、基本的に、賃上げの環境はマクロ政策でやはり維持していかなくちゃいけない。したがって、緩和というのは絶対維持していかなくちゃいけないだろう。

 二つ目は、賃金が過去に何で上がらなかったのかということについて、労働市場内でのある種二重性、正規と非正規、この割合というか、新しい労働者がそこの非正規に入ってきた、こういう二重性が指摘をされて、まあまあ共有されているのかなというふうに認識をしておりますけれども、ここの部分。ある種、コロナ禍もあって、調整が労働市場の中で一巡すれば、内需主導というか、物価上昇に対する圧力、インフレの圧力というのは高まってくる、これに対してどうするのかという視点。

 それからもう一つが、植田総裁が就任前にお触れになられましたけれども、コストプッシュ要因が収束するのは来年いつ頃かというお話がありましたけれども、これをどう今認識をされているのか。更に言えば、市場機能の回復について、それの中でも特に長期物について、その変動幅、許容幅を拡大するという方向が去年ありましたけれども、それ以外に方法はないのかねということ。

 こういう視点を持って、今後の有事にも備えたような金融のオペレーションについて、基本的なスタンス、それから今申し上げたような視点、これを是非御開陳いただければと思います。

清水参考人 お答え申し上げます。

 大変多岐にわたる御質問をいただきましたので、幾つかに分けてお答えしたいと思います。

 まず、当面の物価動向と金融政策運営についてでございます。

 足下、消費者物価の前年比は、御指摘のとおり、輸入物価の上昇を起点とするコストプッシュ要因により、二%を上回る水準で推移しております。

 もっとも、政府の経済対策によるエネルギー価格の押し下げ効果に加えまして、コストプッシュ要因の影響が減衰していくことから、消費者物価の前年比は、今年度半ばにかけて二%を下回る水準までプラス幅が縮小していくというふうに見ております。

 また、消費者物価の基調的な上昇率は、需給ギャップの改善や中長期的な予想物価上昇率の高まりなどを背景に、物価安定の目標に向けて徐々に高まっていくと考えておりますけれども、それにはなお時間がかかると見てございます。

 さらに、経済、物価の先行きにつきましては、企業の価格設定や賃金の引上げの影響なども含めまして、不確実性が極めて高い状況にあるというふうに認識してございます。

 こうした状況を踏まえますと、現在は、経済をしっかりと支え、企業が賃上げをできる環境を整えることが大変重要であるというふうに思ってございます。そのため、金融緩和を継続し、賃金の上昇を伴う形で物価安定の目標の持続的、安定的な実現を目指していくことが適当でございます。

 なお、労働市場への御指摘もございましたけれども、労働需給のタイト化が進む下で、今年の春季労使交渉では、ベースアップを含め、前年を大きく上回る賃上げの回答を行う企業が多くなってございます。こうした動きが定着していくか丁寧に見極めてまいりたいというふうに思ってございます。

 次に、市場機能の低下とそれに対する日本銀行の対応でございます。

 昨年来、欧米における高いインフレを背景に海外金利が大幅に上昇したことから、我が国の長期金利にも上昇圧力がかかってまいりました。こうした下で、我が国において緩和的な金融環境を維持するために、日本銀行は、イールドカーブコントロールを継続し、国債買入れを大きく増加させてまいりました。これらのことが結果として国債市場の機能度に影響を与えてきたということでございます。

 これに対しまして、日本銀行としましては、緩和的な金融環境を維持しつつ、市場機能の改善を図り、より円滑にイールドカーブ全体の形成を促すため、昨年十二月に、長期金利の変動幅拡大などの運用の一部見直しを実施いたしました。それに加えまして、保有国債を一時的に貸し出す国債補完供給、そういうファシリティーの柔軟な運用にも対応しているところでございます。

 このように、日本銀行としましては、様々な工夫を通じて、市場機能に配慮しつつ、経済にとって最も適切と考えられるイールドカーブの形成に努めているところでございます。

 最後に、有事の金融政策についてのお尋ねでございます。

 この点は、どういう状況を想定するかということ、そういった議論次第の面ではあるとは思いますけれども、いずれにせよ、日本銀行としましては、有事であるか否かにかかわらず、金融市場の安定維持に万全を期すとともに、物価の安定を目的に、適切な政策運営を行う考えでございます。

 以上です。

大野委員 ありがとうございます。

 最近の日銀の有事あるいは危機、リスクへの対応というのは私は大変高く評価をしているところでありますが、いずれにせよ、安全保障上、あるいは有事、そういったもの、なかなか我々は経験をしてこなかった分野でありますので、ここは改めて、しっかりと当局とリスクシナリオ等々も共有しながら、万全を期していただきたいな、そう思ってございます。

 それでは、ちょっと質問を変えさせていただきますけれども、実は、今我々が直面しているのが、防衛大臣も何回もお触れになっている、戦後最も厳しい安全保障環境ということであります。

 防衛力の強化、これも必要だと先ほど申し上げました。戦闘機やミサイルといったようなキネティックなパワー、こういったものに対処しないといけないということはあるんですけれども、一方で、経済的なパワー、こういったものにしっかりと対応する必要があるんだと思います。それは国家安保戦略上でも明確に示されているところでありますが、この経済的なパワーの中にも、一つは、マーケットパワーを使った、いわゆる買わない圧力というんですかね、そういうのも考えられるわけです。

 そこで、今日は経産省にお越しいただいているかと思いますけれども、例えばEコマース、これは最近すごく増えていて、取引が全体で五百兆円にも上るという指摘もありますけれども、どんどん拡大している。例えば、このEコマース、日中間の越境の取引ボリュームはどのぐらいになっていますでしょうか。

門松政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の、日中間の越境電子取引の市場規模でございます。

 経済産業省で実施している委託調査によりますと、二〇二一年時点で、中国事業者から日本消費者の購入額は三百六十五億円、一方で、日本事業者から中国消費者の購入額は二兆一千三百八十二億円と推計をしております。

大野委員 中国が二兆円買っている、日本は三百億円ちょっとだというお話がございました。

 これはEコマースですから、当然、電子的なやり方でありますので、と考えると、指先一つで二兆円の破壊力を持つということにもなります。もちろんこれは仮定の話ですから、そういうことがあり得るということを思っているわけではございませんが、そういったこともしっかりと考えておかなくちゃいけないんだと思うんですね。

 一方で、マーケットパワーだけではなくて、サプライチェーン上のチョークポイント、ここを攻めてくるような、ある種の、売らない圧力というんですかね。我々日本は過去に、十何年前に、それをまさにレアアースでチョークポイントをやられましたけれども、今後、例えば、二十一世紀の石油と言われる半導体、このパッケージ半導体も、今、依存度が高いといって、全力で備えをしていただいております。ここは敬意を表させていただきたいと思いますが、今直ちにということになると、何十兆円という破壊力を持つことになる可能性があるわけですね。こういったものにもしっかりと備えていかなくちゃいけない。

 そういった意味で、まさに、これに備えるに当たっては、総合的な国力という観点で備えていかなくちゃいけないということであります。それも、特に市場の信用そして財政力というのも勘案しないといけないということだと思います。

 これまでの防衛力の抜本強化に当たっての財務省の説明というのは、これは与党の私でも、昨年末は唐突感がすごくありました。やはりもうちょっと説明を、全体像として、時間軸の中でしていただきたいと思うんですね。これは単年度主義に縛られているかどうか分かりませんが、五年間なので単年度じゃありませんけれども、もうちょっと広い視点で、日本という国がどういう国力があって、どういう資金調達力があって、どういうことは備えられて、どういうことは備えられていないということの全体像を踏まえて説明していただきたかったなというのは、すごく思っていることであります。

 いずれにせよ、そういった視点で取り組んでいただければと思うんですけれども、改めて、財務大臣には、そういった総合国力の観点で、財政余力というのは一体どう考えていらっしゃるのか、あるべき姿ということをお尋ねをしたいと思います。

鈴木国務大臣 しっかりとした経済、金融、財政の基盤を平時から維持強化していくこと、これは国家安全保障の観点からも重要であると考えております。この点、昨年十二月に閣議決定されました国家安全保障戦略におきましても、我が国の経済は海外依存度が高いことから、有事の際の資源や防衛装備品等の確保に伴う財政需要の大幅な拡大に対応するためには、国際的な市場の信認を維持し、必要な資金を調達する財政余力が極めて重要ということが記されているところでございます。

 こうした財政余力を確保するためには、平素から、我が国財政に対する市場からの信認、これを確保できますように健全な財政運営を行うこと、これが必要である、そういうふうに理解します。政府としては、債務残高対GDP比の安定的な引下げなどの財政健全化目標を骨太の方針においてお示ししているところであり、こうした方針に沿って、引き続き、歳出歳入両面の改革に取り組んでまいります。

大野委員 ありがとうございます。

 是非、国民の皆さんに全体像が分かるような御説明を、今後とも積極的に努力をいただければなと思います。

 それでは、質問をちょっと角度を変えさせていただきたいと思います。今般の防衛政策上のマクロ経済へのインパクト、影響、この視点でお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず冒頭、歳入面から伺いたいと思いますけれども、先ほどもお話がありましたけれども、税目ごとに、まだ固まっているわけではないですけれども、去年示された案ということで、こちらを前提にお示しをいただけませんでしょうか。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛力の強化に必要な財源確保のための税制措置につきましては、昨年末の与党税制改正大綱におきまして方向性をお示しいただいておりますが、複数年かけて段階的に実施することとし、令和九年度において、法人税、所得税、たばこ税により一兆円強を確保することといたしております。各税目ごとの規模につきましては、施行時期にもよりますので今後精査が必要でございますが、目安としては、法人税の付加税により六千億円強から七千億円強程度、所得税の付加税により二千億円程度、たばこ税の引上げにより二千億円程度となると見込んでおります。

大野委員 法人税について伺いたいと思いますけれども、過去に、我々といたしましては、日本の産業界の国際競争力という視点で、諸外国に比べてちょっと実効税率が高過ぎないかという指摘を、これも何年も前からさせていただいて、それに従って徐々に下げていただいている、こういうこともあったかと思います。

 そういった観点で、過去十年、実効税率はどんな感じで推移しているのか、あるいは、一方で内部留保というのが全体像としてどのぐらいの推移を示しているのか、ちょっとお示しをいただければと思います。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、実効税率の推移の方からお答えいたします。

 過去十年間ということでございますが、十年前の平成二十三年度におきましては、法人実効税率は三九・五四%であったところでございます。現在におきましては二九・七四%となっておりまして、この十年程度の間に九・八%ポイントの低下となってございます。また、今般の措置である付加税四%から四・五%によりましてどのぐらいの負担が増えるかというのを法人実効税率のベースに換算をいたしますと、一%程度の増ということになります。

大野委員 ずっと下げてきて、もしこの案ということでいくならば一%戻るということだと思いますが、それを踏まえて、あるいは、先ほどお話がありました内部留保の話も含めて、経済にどういう影響があるのかということを、今の話を前提にしてで結構でありますので、財務大臣の認識をいただければと思います。

鈴木国務大臣 防衛力の抜本的な強化のための安定的な財源を確保するに当たりましては、歳出改革等の行財政改革の努力によってもなお不足する約四分の一につきましては、御指摘の法人税を含む税制措置での御協力をお願いしたいと考えているところであります。

 この法人税の措置が日本経済、社会に及ぼし得る影響について、一概にお答えすることは難しいわけでありますが、その上で申し上げますと、地域経済、雇用を支える中小企業に配慮をし、控除額五百万円、これは所得二千四百万円程度でございますが、そこまでは付加税は課されない仕組みとなっておりまして、これによって全法人の九四%は対象外になるなど、特に手厚い配慮がなされていることに加え、令和三年度においては法人の申告所得金額が過去最高を記録するなど企業業績が好調である中で、先ほど参考人から答弁があったとおり、法人税率に換算をいたしますと一%程度の御負担増をお願いするものでありまして、企業活動に対して過度な影響を与えるものとはなっていない、そのように考えているところでございます。

 また、その実施時期につきましても、令和九年度までの過程において、行財政改革を含めた財源調達の見通し、景気や賃上げの動向及びこれらに対する政府の対応、これらを踏まえて、閣議決定した枠組みの下で税制措置の実施時期等を判断してまいりたい、そのように考えております。

大野委員 ありがとうございます。

 有事が起こらないようにするために全力で今防衛力を強化しなければいけない、そのためには財源を確保しなくちゃいけない、そのために全力で無駄使いを削減をし、あるいは組替えをし、物すごい努力をいただいて今に至るということでありますが、マクロ経済インパクト、影響という意味では、今大臣御答弁いただいたように、過去の経緯、推移から比べても、そんなに巨大なインパクトであるというふうには私は思わないわけであります。

 もちろん、個社個社によっては、例えば、既にこの期間にかなり設備投資をして、それに今また税が上がるということになったら、いや、これは厳しいという社もあるかもしれません。それはやはり配慮しなくちゃいけないのかもしれませんが、全体像、マクロの観点でいえば、十分にワークする案なんだなということは私は思っているところであります。

 一方で、歳出の方についてお伺いをさせていただきたいと思いますが、全体で五年間に四十三兆円、こういうプランでありますけれども、ちょっと話を単純化するために、計画の最終年の令和九年、ここにおける、九年だと、計画だと八・九兆円だと思いますけれども、過去の、前期の計画に比べたら三・七兆円の増加ということになると思います。新たに三・七兆円の歳出ということになるかと思いますが、このうち国内にどれだけ投じられるのかについてお知らせいただけますか。

川嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛関係費におきます国内向け支出額の防衛関係費全体に占める割合は、例年、八割から九割程度の水準で推移してございます。防衛力整備計画の初年度の令和五年度予算では約八割となってございます。

 あくまで仮定の計算でございますけれども、この割合を、令和九年度の防衛関係費約八・九兆円と令和四年度の約五・二兆円との差額約三・七兆円に当てはめて機械的に試算を行いますと、そのうちの国内向けの支出額の増加は三兆円程度ということになるわけでございます。

大野委員 新たに単年で約三兆円が国内に投じられるということであります。

 もちろん、原資は税とか、総合的に、長期的に言えばということであれば、マクロ経済に対する影響、インパクトというのはプラマイ・ゼロであることは当然でありますけれども、かといって、実際的には、この三兆円の国内投資という部分がどういう影響になるのかというと、当然、この分野は研究開発というものが含まれる、含まれるというか、これが結構メインになるかと思いますが、そういった分野でありますので、少なくとも経済波及効果、もっと言えば乗数効果と言えなくもない、この部分が高まる領域であるという認識を私はしているわけであります。

 もちろん、単に投じたからプラスになると言うつもりは全くございませんで、プラスになるような御努力というのも必要になるかと思います。今、防衛産業というのは、かなり、プライム企業から、例えば地方にあるような非常にグローバルニッチな、非常に特殊なテクノロジーを持っていらっしゃるような中小企業まで、非常に様々でありますし、非常に裾野の広い産業であるかと思いますけれども、こういったものを見据えてプラスになるようなやり方というのをしないといけないでしょうし、また、ここがもっと活性するためにも、あるいは合理的に予算を執行するためにも、防衛装備品の海外移転というのを合理的に、ガバナンスの下に進めなくちゃいけない。そういうことを思っているところであります。

 そこで、防衛大臣にお伺いをさせていただきたいと思いますが、経済的な影響について、インパクトについて、御認識を賜れればと思います。

浜田国務大臣 経済的な波及効果について定量的な数字をお示しすることは困難でありますが、昨年末閣議決定した防衛力整備計画において見積もられている防衛力整備の水準は四十三兆円であり、さきの中期防衛力整備計画に記載された水準と比べ、おおむね一・六倍の規模となっております。先ほども御答弁させていただきましたけれども、このうち約八割程度が国内向け支出となっております。

 防衛産業は、プライム企業のみならず、多数の下請企業から成るサプライチェーンを構成しており、その数は、例えば護衛艦では約八千三百社になり、この中には多くの中小企業も含まれます。関連する産業も含めて、波及効果や雇用創出の効果があると予想されております。

 また、例えば、F2戦闘機の開発において向上したレーダー技術が高速道路のETCなどに応用された事例や、航空機産業において、防衛部門の開発、生産を中心に培った技術力を生かして新たな民間部門の市場の開拓につながった例に見られるような波及効果も期待できると考えております。

大野委員 時間が来ましたので終わりますけれども、まずは、総合的な国力という視点で、是非とも、財政、金融、あるいは経済という文脈で備えをしていただければと思いますし、市場の信認、財政余力、こういうのは非常に重要な観点だと思いますのでよろしくお願いしたいと思いますし、また防衛省におきましては、是非とも、産業政策というのをど真ん中でやっていただきたい、単にお金を使ったからいいという話では決してないわけでありますので、お取組をよろしくお願いして、私からの質問とさせていただきます。

 本日はありがとうございました。

塚田委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 伊藤渉です。

 早速ですけれども、この防衛力強化のための財確法、質疑に入らせていただきたいと思います。

 まず最初に、基本的なところから、今回の防衛力整備水準四十三兆円程度の確保について伺います。

 令和四年度中期防対象経費が二十五・九兆円程度、それに加えて、歳出改革、決算剰余金の活用、防衛力強化資金、税制措置によって十四・六兆円程度、合わせて四十・五兆円程度を確保することとしております。さらに、防衛力の整備水準四十三兆円程度、予算総額四十・五兆円程度、差額二・五兆円は、防衛力整備の水準達成のための様々な工夫により確保するというふうに理解をしております。

 まず最初に、井上財務副大臣にお伺いしますけれども、今申し上げた歳出改革、決算剰余金の活用、防衛力強化資金、税制措置により十四・六兆円程度確保するとしておりますけれども、それぞれ確保を想定している額について、その内容も含めて、簡潔に説明をお願いいたします。

井上副大臣 お答えいたします。

 防衛力整備計画におきまして、令和九年度までの五年間の予算編成に伴う防衛関係費四十・五兆円は、令和四年度当初予算五・二兆円を五年間総額に換算した金額二十五・九兆円から十四・六兆円程度増額になります。この十四・六兆円程度につきましては、委員御指摘のとおり、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入を活用した防衛力強化資金、税制措置により財源を確保することといたしております。

 その上で、財源について具体的に御報告申し上げます。

 歳出改革につきましては、令和五年度予算において、これまでの歳出改革の取組を実質的に継続する中で、二千百億円程度の防衛関係費の増額を確保いたしました。令和六年度以降も毎年度予算編成における歳出改革を継続し、令和九年度時点において、令和四年度と比べて一兆円強の安定財源を確保することといたしております。

 決算剰余金につきましては、直近の十年間の平均が一・四兆円程度であることを踏まえまして、財政法上、公債又は借入金の償還財源に充てるべき二分の一を除く残りの二分の一、〇・七兆円程度を活用見込額と見込んだところでありまして、過去の実績を踏まえた財源であると考えております。

 税外収入、防衛力強化資金につきましては、税外収入につきましては、外国為替資金特別会計からの追加の繰入金によりまして、現時点で見込める最大限の金額として四・六兆円を確保した上で、防衛力強化資金を通じて、防衛力の整備計画、安定的に充てていく方針としております。

伊藤(渉)委員 ちょっと更問いさせていただいていいですか。

 今、具体的な内容を答弁いただいたんですけれども、結局、トータル十四・六兆円になる。それぞれ、もう一度お伺いしますが、歳出改革で十四・六兆円の内訳として幾ら、決算剰余金が幾ら、防衛力資金が幾ら、税制措置で幾ら、足して十四・六になる数字も御答弁をお願いしたいと思います。

井上副大臣 まず、この表にございますとおり、歳出改革で一兆円を三兆円、決算剰余金の活用として毎年〇・七兆円で三・五兆円程度、そして、防衛力強化資金としまして〇・九兆円、四・六兆円から五兆円強、そして、その残りを税制措置としてお願いをするということで充てさせていただくということであります。

伊藤(渉)委員 副大臣、済みませんね、しつこくて。

 これは一番基本的でとても大事な数字なので、もう一回ちょっと確認しますけれども、歳出改革で、私の理解です、三兆円強、決算剰余金の活用で三・五兆円程度、防衛力強化資金で五兆円強、残り約三・一兆円と、足し算をするとなりますけれども、税制措置という理解でよろしいですか。違えば修正してください。

井上副大臣 そのとおりであります。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 では、その先に行かせていただきます。

 続いては、これは財務省、政府参考人で結構ですけれども、防衛力整備水準の達成に向けた様々な工夫ということになっております。この様々な工夫について、二・五兆円、これを確保するということになっておりますが、様々な工夫とは具体的にどのようなことを考えているのか、答弁をお願いします。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から御指摘のございました二・五兆円につきましてですが、これは、防衛力整備計画におきまして、必要となる防衛力の内容が積み上げられた規模としての四十三兆円、それから、同じく防衛力整備計画に基づきまして、今後五年間に実施される各年度の予算編成に伴う防衛関係費四十・五兆円、この差額の二・五兆円でございます。

 それを求めるための様々な工夫ということになりますけれども、二・五兆円のうちの一・六兆円につきましては、自衛隊施設等の整備の更なる加速化、これを事業の進捗状況等を踏まえつつ機動的、弾力的に行うことによって、残りの〇・九兆円につきましては、これは先ほど副大臣の方から御答弁ございました一般会計の決算剰余金、これが想定よりも増加した場合にこれを活用して行うということを今想定してございます。

伊藤(渉)委員 今御答弁いただいたとおり、特に機動的、弾力的な一・六兆円程度と、先ほど副大臣から御答弁いただいた決算剰余金で約三・五兆円程度、これよりも上振れをした場合に九千億円程度ということで、まず、私の印象ですけれども、これをやはり、きちっと必要な防衛力を整備していくために財源を確保していくということは、決して簡単なことではないというふうに理解をしております。一方で、極めて重要な防衛力整備計画ですから、これは、決める以上は確実に確保していただかなければならない、そのことをまずお願いをしておきたいというふうに思います。

 次に、三つ目の質問に入りますけれども、防衛力強化資金として、これはかなり技術的な話ですが、一般会計に特別の資金を創設をする必要性について、これもやはり財務省にお伺いしていきたいと思います。

 本法案では、防衛力強化のための税外収入等を防衛力の整備に計画的、安定的に充てるために新たに防衛力強化資金を創設することとし、防衛力整備計画対象経費の財源に充てる場合に限り、予算の定めるところにより使用できるとしています。今後、防衛費増額が予見されることから、これまでのように当年度の予算として確保することに加え、別途、特別の資金を創設して将来の支払い財源をプールすることとしたもの、こういうふうに理解をしています。

 そこで質問ですけれども、防衛力強化資金が一般会計に所属する特別の資金とした理由、財務大臣が管理することとした理由、資金と基金の相違点について御答弁をお願いします。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生の方から御紹介のございました防衛力強化資金、これを一般会計にまず設置をした理由でございますけれども、一般的に資金とは、国が特定の目的、用途に充てるために、一会計年度に使用し尽くすことを予定しないで一定の現金を保有するものでございまして、財政法第四十四条の規定により、法律をもって定める場合に限り設置することができるとされてございます。

 防衛力強化のための税外収入等につきましては、これは年度によって変動が生じ得るものだと考えてございます。したがいまして、必ずしも当該年度に必要となる防衛力強化のための経費の金額と見合うものにならないということが見込まれてございます。このような防衛力強化に係る歳入と歳出のタイミングのいわばずれについて、年度を越えた調整を行うというために防衛力強化資金を設置するということとしたところでございます。

 続きまして、財務大臣管理とした理由でございますけれども、防衛力強化資金に入れる様々な税外収入でございますけれども、これは令和五年度におきましては、特別会計からの繰入金ですとか、独法等の基金、積立金の国庫返納金というところを確保しました。他方、今後、防衛力強化のために追加的に確保される個別の税外収入につきましては、毎年度、様々な収入が想定をされることを踏まえまして、歳入を総括をして管理をしてございます財務大臣が当該資金の管理を行うこととしたところでございます。

 最後に、資金と基金の相違点でございます。

 資金と基金、いずれも特定の目的や用途のために複数年度にわたって保有されるという点では共通した性質を有しておると考えてございますが、資金につきましては、財政法第四十四条に基づきまして、国が保有することが認められているもの、基金につきましては、国からの補助金等によりまして、公益法人ですとか独立行政法人、地方公共団体などに造成されるものといった違いがあるというふうに理解をしてございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 技術的な確認でしたので、次に参ります。

 今回の防衛力整備計画における新規契約額、これは四十三・五兆円ですね。防衛力整備計画の四十三兆円と違う、新規契約額四十三・五兆円のうち、十六・五兆円が、今回の防衛力整備計画ではなくて、次期防衛力整備計画の中で支出されることになります。そう聞いております。これは、前期の中期防から今回の防衛力整備計画の中で支出された五兆円に比べますと約三倍と、大幅に次期防衛力整備計画にはみ出していくんですね。今回は五兆円、はみ出していきます。次は十六・五兆円、はみ出していくんです。

 そのことについて、防衛省は、令和十年度以降の防衛費、つまり、次期防衛力整備計画の全体規模について、今回の防衛力整備計画と比較してどのようになると考えているのか。これは政府参考人で結構です。お伺いいたします。

川嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛力整備計画におきまして、将来の防衛費の水準については、令和九年度の防衛関係費については八・九兆円程度とするとともに、その後の整備計画については、令和五から九年度の五年間における集中的な整備を適正に勘案した内容とし、令和九年度の水準を基に安定的かつ持続可能な防衛力整備を進めることとされてございます。

 この点、今回の防衛力整備計画で相当数の部品や装備の整備を行うことができるため、令和十年度以降は安定的かつ持続可能な防衛力整備を進めることが可能であると考えており、これを踏まえれば、防衛関係費の規模につきましても、持続可能な水準とできるものと考えてございます。

 さらに、前中期防中にもやっておったことでございますが、様々な効率化努力をやっておりまして、それは、この防衛力整備計画におきましても、当然、次の防衛力整備計画におきましても、同様に今後も実施していくものでございます。

 いずれにいたしましても、令和十年度以降につきまして、その時点における国際情勢等を勘案しつつ、我が国を将来にわたり守り抜くために必要な防衛力の整備をしっかりと行っていく考えでございます。

 以上でございます。

伊藤(渉)委員 ありがとうございます。

 今の御答弁にありましたとおり、繰り返して申し上げますが、必要な防衛力を整備することについては極めて重要だというふうにもちろん認識をしております。その上で、必要な予算がありますから、先ほど答弁いただいたように、その規模ですね、防衛関係費の規模が持続可能な水準というふうに答弁されていましたので、そのようになるように引き続き御努力をお願いしたい、今日はそう申し上げておきたいと思います。

 ちょっと、残りの時間が僅かになってきましたので、先に浜田防衛大臣にお伺いしておきたいことがありましたので、その点を先に聞かせていただきます。

 それは、海上保安庁法二十五条と自衛隊法八十条の関係でございます。これまでも各委員会でも確認されてきていることでありますけれども、改めてお伺いをいたします。

 国家安全保障戦略など防衛三文書には、自衛隊と海上保安庁との連携協力強化が盛り込まれております。また、海洋基本計画、現在まだ案でございますけれども、武力攻撃事態への備えを記載をしまして、その中で、防衛大臣が海上保安庁を指揮統制する手順をあらかじめ定めておくとともに、自衛隊と海保が共同訓練を行う重要性が指摘をされております。

 この背景には、海上保安庁が、海上保安庁法に基づいて、非軍事的組織とされていることがございます。保安庁は、海の警察であり、法執行機関であるため、同法二十五条は、「海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない。」と、軍隊機能を否定をしております。

 他方、自衛隊法八十条により、有事の際、海上保安庁は防衛大臣の統制下に入るとされ、一般国民の目から見ると、海上保安庁も有事においては防衛の役割を担うようにも思われるところがございます。

 浜田防衛大臣に伺いたいのは、有事の際の防衛大臣の統制下に入る海上保安庁の役割、法的な意味合いも含めまして、御答弁をお願いしたいと思います。

浜田国務大臣 海上自衛隊と海上保安庁が武力攻撃事態における対応も含めて連携を強化する、これは大変重要なことだと思っております。

 自衛隊法第八十条に基づく武力攻撃事態における防衛大臣による海上保安庁の統制要領は、現在、具体的な内容を答える段階にはございません。今ちょうどその作業を実施しているところであります。

 引き続き、統制要領の作成の作業を進めるとともに、共同訓練において検証することなどを通じて、自衛隊と海上保安庁の連携協力の在り方について、不断に強化すべく検討を続けてまいりたいと考えているところであります。

伊藤(渉)委員 大臣、大変あれですが、一個だけ、もう少し確認させてもらいたいと思います。

 今の御答弁の意味は、海上保安庁が自衛隊法八十条に基づき防衛大臣の統制下に入っても、海上保安庁法二十五条に基づき非軍事的性格を保った上で業務を行うという理解でよろしいでしょうか。

浜田国務大臣 今、統制要領については検討しているところでありますので、今ここで確たることは申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、おのずと訓練等を通じてその役割をしっかりと考えていきたいというふうに考えております。

伊藤(渉)委員 ありがとうございました。

 もう少し通告しておりましたが、時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。

    〔塚田委員長退席、鬼木委員長着席〕

鬼木委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 軍事費倍増の中心的な目的の一つが、敵基地攻撃とミサイル防衛を一体化させた統合防空ミサイル防衛能力、IAMDの構築であります。

 アメリカの国家安全保障戦略では、同盟国と緊密に協力してIAMDの共同の取組を強化することは米国の重要な優先事項としており、日本を名指ししております。一方、この間の質疑では、岸田総理は、日本は米国のIAMDに参加することはない、全く別物だ、日米は独立した指揮系統に従って行動する、こうおっしゃっているわけです。

 そこで、浜田防衛大臣にお伺いしたいと思います。

 集団的自衛権の行使として敵基地攻撃を行う際、日米で攻撃目標の分担は行うのか、それとも、重複をすることを構わずに日本が単独で攻撃目標を決定するんでしょうか。

浜田国務大臣 まず、存立危機事態における対応を含めて、武力の行使の三要件に基づいて行われる我が国の武力行使は、あくまでも我が国の防衛のために我が国が主体的に行う自衛の措置であります。また、米国は、これを支援し補完するとともに、拡大抑止を提供するといった立場にあり、こうした日米の基本的な役割分担は日米ガイドラインにも記載しているところであります。

 その上で、反撃能力については、弾道ミサイル等の対処と同様に、日米が協力して対処していくこととしているところでありますが、日米共同でその能力をより効果的に発揮する協力体制を構築することとしております。

 他方、日米間での協力内容は、お尋ねの点も含めて日米間で今後議論していくものであり、また自衛隊の運用に関わる事柄であるため、詳細をお答えすることができないことを御理解いただきたいと考えます。

 自衛隊による全ての活動は、共同対処を含め、我が国が主体的な判断の下に各々独立した指揮系統に従って行動して、これは反撃能力においても変わりはございません。

宮本(徹)委員 攻撃目標の分担をするのかどうか今後議論する、もし議論した後についてもお答えはできないと。そんなこと言って、どうやって日米が独立した指揮系統に従って行動しているかどうか、国会は確認のしようがないじゃないですか。あり得ない答弁だと思いますよ。どう考えたって、軍事の常識として、同じ目標を日米で攻撃するなんてあり得ないわけであります。

 当然、集団的自衛権の行使として敵基地攻撃を行う際は、攻撃目標の分担案の提示というのはアメリカ側が行ってくることになるんじゃないですか。

浜田国務大臣 今御指摘の点については、我々とすれば、日米間で、この協力の内容については、お尋ねの点も含めて今後議論していくものであって、自衛隊の運用に関わる事柄であるため、先ほども申し上げたように、お答えできないことを御理解をしていただきたいと思います。

 一般論として申し上げれば、反撃能力については日米が協力して対処することとしており、情報収集、分析についても日米で協力することとなると考えますが、いずれにせよ、日米間で状況に応じた双方向の調整を行い、緊密に連携していくこととなるため、御指摘のように米側から一方的に提案がなされる性質のものではないと考えております。

宮本(徹)委員 アメリカ側から一方的な提案がなされることはないとおっしゃいましたけれども、驚きの答弁ですけれども、じゃ、日本側が提案することがあるということなんですか。集団的自衛権の行使ですよ。戦争しているのは、まずアメリカが戦闘している、それに対して日本が集団的自衛権として敵基地攻撃を行う際に、日本の側からここを攻撃した方がいいですよというふうにアメリカに提示するんですか。そんなことあり得ないと思いますけれども。

浜田国務大臣 我々とすれば、常に情報の共有をしていくわけでありますので、その都度その都度の場面によって変わってくるものと思いますが、仮定の質問でございますので、これに対してはお答えができないということであります。

宮本(徹)委員 仮定の質問だから答えないというのでは、私は本当に問題だと思うんですよね。

 総理は日米は独立した指揮系統に従って行動するなんという答弁をしているから、いや、それは事実と違うんじゃないかということを確認したいわけですよ。どう考えたって、集団的自衛権の行使として日本が敵基地攻撃能力を行使する際、日本の側から、アメリカの戦状全体をつかんで、米軍に対してここを攻撃した方がいいと思いますとか、私たちはここをやりますなんて、こんな話するわけないじゃないですか。アメリカの側から提示があるんじゃないんですか。交戦している米軍以上の情報を日本が持つなんということがあり得るんですか。

浜田国務大臣 基本的に、こういった事態対応に対しては常に議論が行われ、そして、我々の判断だけでできるものではなく、常に国会の確認を取りながらその中で判断をしていくことになるわけでありますので、今申し上げた点について、委員からの御指摘のように、すぐにこれで対応していくということにはならないわけでありまして、あらゆる状況の判断をすることが極めて重要だというふうに思っております。

宮本(徹)委員 いや、私はそういうことを聞いているんじゃないんですよね。

 結局、交戦している米軍以上の情報を日本は持つことはないわけですから、米軍の情報に基づいてアメリカ側が攻撃目標を決定して、米軍で足りないところを米軍の側から日本にここを分担してくれと求めてくるのは、これは必然になると思うんですよ。結局、私は、日本のIAMDというのは米軍の下請にならざるを得ない、このことを厳しく指摘しておきたいと思います。

 日本がトマホークを使用するのに必要な地形情報はもちろんのこと、攻撃目標の位置情報も結局米軍から入手することになるんじゃないですか。

浜田国務大臣 まず、国家防衛戦略等においては、スタンドオフ防衛能力の運用に必要となる目標情報等を一層効果的に収集するといった観点から、衛星コンステレーションを活用した画像情報等の取得や、無人UAV、目標観測弾の整備等を行うことによって、情報収集、分析機能を強化することとしております。

 こうした我が国自身の取組を進めつつ、日米間でも情報収集、分析等に係る協力を進めていくことになると考えておりますが、これ以上の詳細については、今後日米間で議論していくものであって、自衛隊の運用に関わる事柄であるため、お答えできないことを御理解いただきたいと考えます。

宮本(徹)委員 現実の衛星情報なんかは今でも米軍側から入手してやっているわけであります。ですから、実際は、攻撃目標はアメリカの側が決め、攻撃目標の位置情報も米軍が指示をする、そのことによって、指揮系統は別々どころか、日本のIAMDはアメリカのIAMDの一部として組み込まれることは私は明白だと思いますよ。それは軍事の常識だと思うんですよ。そのことを隠して、これから議論だ、そして、議論で決まったこともお答えすることはできない、これは本当に国民に対しても国会に対しても極めて不誠実な、あり得ない姿勢だと思います。

 加えてお伺いしますが、自衛隊の統合防空ミサイル防衛訓練はこれまで何回行ったのでしょうか。日米合同では何回、日本単独では何回あるのか、お答えください。

浜田国務大臣 統合防空ミサイル防衛訓練は、平成二十九年度から日米共同訓練として実施しており、これまで六回の訓練実績があります。

 なお、本訓練は、日本単独で実施はしておりません。

宮本(徹)委員 何で日本単独では行っていないんでしょうか。必ず日米でやっているんですか。

浜田国務大臣 統合訓練においては、日米の参加部隊の間で、データリンクを通じて情報を得て、弾道ミサイル対処及び防空戦闘に関するシミュレーション訓練を実施をいたしました。これは、弾道ミサイルへの対処を含む統合防空ミサイル防衛に係る自衛隊の統合運用能力及び日米共同対処能力の維持向上を図ることを目的に行っております。

 その上で、訓練の内容の詳細については、各種の事態における我が国及び米国の具体的対応に関わるものであるために、事柄の性質上、お答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。

宮本(徹)委員 私はそういうことを聞いているわけじゃなくて、何で、日本単独でやらずに、日米でいつも一緒にやっているのかということをお伺いしたんですけれども。

 結局、このIAMD、統合防空ミサイル防衛というのは、日本単独ではやらないからじゃないんですか。アメリカの情報に基づいて、アメリカのIAMDの中に組み込まれているから、常に常に日米共同でこの訓練はやっているということになるんだと思うんですよね。

 先ほど、データリンクというお話がありましたけれども、この訓練のデータリンクでは、日米一体で攻撃目標の分担というのは当然やっているわけですよね。

浜田国務大臣 日米共同統合防空ミサイル防衛訓練は、日米の参加部隊間で、データリンクを通じて情報を得て、弾道ミサイル対処及び防空戦闘に関するシミュレーション訓練を実施をしております。これは、弾道ミサイルへの対処を含む統合防空ミサイル防衛に係る自衛隊の統合運用能力及び日米共同対処能力の維持向上を図ることを目的に行っております。

 その上で、訓練の内容の詳細については、先ほども申し上げましたが、事柄の性質上、お答えすることが困難であることを御理解をいただきたいと思います。

宮本(徹)委員 攻撃目標も日米で分担しないと、複数のミサイルが飛んできたときに、どちらの方からそれは迎撃した方がいいのかということを当然やっているわけですよね。隠すような話じゃないと思いますよ。

 そうすると、これまでは、弾道ミサイル対処及び防空戦闘を主要な訓練項目としていたわけですけれども、今後、この日米共同の統合防空ミサイル防衛訓練というのは、訓練項目に、敵基地攻撃能力の行使、これも加わるということですか。

浜田国務大臣 先ほど来申し上げておりますけれども、日米共同統合防空ミサイル防衛訓練は、弾道ミサイルへの対処を含む統合防空ミサイル防衛に係る自衛隊の統合運用能力及び日米共同対処能力の維持向上を図るために実施をしております。

 なお、今後の訓練の内容について、御指摘の反撃能力の行使に関わる訓練については、現時点で具体的な計画はございません。

宮本(徹)委員 現時点ではって、今持っていないから現時点で計画はないわけですけれども、当然、IAMDは、政府の方針自身でも、敵基地攻撃能力を重要な構成部分にしているわけですから、日米で敵基地攻撃能力も一緒に訓練していくということに必然的になっていくと思うんですよね。そうすると、日常的に仮想敵を想定して、日米で相手国の領土を攻撃する訓練を今後行うことになっていくわけですよ。こんなことを平時からやり始めたら、相手国との関係で極めて緊張関係を高める、そういうことにしかならないんじゃないですか。

浜田国務大臣 我が国自身の防衛体制の強化に加えて、同盟国である米国との協力を一層強化することが必要であると考えております。これらの強化に当たり、各自衛隊が行う共同訓練は重要な役割を果たしており、日米共同訓練の実施は、日米同盟の抑止力、対処力を強化するために不可欠であると考えます。

 その上で、自衛隊が行う共同訓練は、あくまでも自衛隊の戦術技量の向上や外国軍隊との連携の強化が目的であり、特定の国を念頭に置いて実施しているものではありません。そのため、自衛隊と米軍による共同訓練が周辺諸国との軍事的緊張を高めるといった御指摘は当たらないものと考えております。

宮本(徹)委員 本当に真顔でそういう答弁をすると私も驚いちゃうんですけれども、トマホークは、トマホークミサイルの中にも、それが正確に相手の目標にぶつかれるように相手国の地形データも含めて搭載するわけでしょう。それがなければトマホークミサイルの機能を発揮できないわけですから。そういうミサイルを持つということは、特定の相手国を想定しないと言いながら、特定の相手国を特定しない限り、トマホークにはそうした地形データは入れられないじゃないですか。そうですよね、大臣。そういう、本当に、国民をごまかすような答弁ばかりするのはやめていただきたいと思います。

 本当に、敵基地攻撃能力を持つことは私たちの国をアメリカの戦争に巻き込まさせる道だということで、やめるべきだということを申し上げまして、質問を終わります。

鬼木委員長 次に、浅川義治君。

浅川委員 日本維新の会の浅川義治でございます。

 今日は、合同審査ということで、初めて財務大臣にもお尋ねをさせていただきます。よろしくお願いします。

 まず最初に、先に防衛省関係の方を。

 今回のこの計画の中に、当然、これから五年間でも、特に防衛装備品について大きく変わっていくかと思うんですけれども、経済成長にも絡んでくるところなので、これからの調達予定で、国産品と海外品、まあアメリカが多いと思うんですけれども、その比率についてどうなるのか、まずお答えいただければと思います。

茂木政府参考人 お答えいたします。

 今後五年間というお尋ねでございますけれども、私ども、防衛力の抜本的強化に際しましては、必要となる防衛力の内容を積み上げてきたところでございます。

 どのような機能を持った装備品が必要であるかということにつきましては、この過程で当然積み上げを行ったわけでございますけれども、一方で、今後五年間に及ぶ計画でございますので、例えば、正式な機種選定手続を経て初めて国産か輸入かというものが決まってくるような事業もございますし、また、FMSに係るものでございますと、取得に向けました米国との正式な調整が未了な事業もあるわけでございまして、現時点で、五年間の国内調達額、海外調達額、その各々の比率というものを正確にお答えすることは困難でございます。

 その上で申し上げますけれども、防衛力整備計画の初年度でございます令和五年度予算について申し上げますと、契約額約八兆九千五百二十五億円のうち、国内からの調達額が約六兆八千二百五十八億円、予算額に占める比率は約八割でございます。同様に、海外からの調達額でございますけれども、FMSによるもの、また一般輸入によるものを合算いたしまして約二兆一千二百六十七億円で、予算額に占める比率は約二割ということになっておるところでございます。

 以上でございます。

浅川委員 ありがとうございます。

 せっかく予算が大きくなるということでいえば、当然、国産品を多く調達の中で入れていく、まあ海外のものでなければ対応できない製品というのも当然出てくるわけでございますけれども、可能な限り国産の開発研究もこれから進めていってほしいと思います。

 大臣、予定しておりませんけれども、浜田大臣、この点については、今後の見通しで、国産化というところはいかがでしょうか。特に、ジェットエンジンとか、国産の民間の旅客機でさえ、せっかくいいものができても、アメリカの規制で受け入れられない、実用化されないというようなこともあります。ただ、こういう軍用機についてはそういった規制はないかと思いますので、積極的に進めていただきたいと思いますけれども、浜田大臣、いかがでしょうか。

浜田国務大臣 防衛装備品の取得に当たり、一般論としては、まず、必要な性能、そしてコスト、スケジュール等の条件を満たした上で、例えば、有事の際の継戦能力の維持や平素からの運用、維持整備の観点から不可欠なもの、そしてまた、機密保持の観点から外国に依存すべきでないもの、そしてまた、外国からの最新技術の入手が困難なものなどについては、国産による取得を追求すべきだと考えております。

 その上で、国家間競争が厳しさを増す中で、各国は、先端科学技術の開発に積極投資をし、技術優位の確保のためにその成果を自国に囲い込む傾向にあり、我が国の自律性の確保及び不可欠性の獲得の重要性は高まっていると認識をしております。装備品の取得に際しても、国内基盤を維持強化する観点を一層重視していくことが重要となっております。

 防衛産業はいわば防衛力そのものであり、防衛省として、将来にわたって必要な装備品を適切に取得できるよう、国内の防衛生産、技術基盤の抜本的強化に取り組んでまいりたいと考えておるところであります。

浅川委員 是非そうしていただければと思います。

 続きまして、今回、この法案で、増税部分それから歳出削減、様々な課題がありますけれども、我が党としては、何よりも税収増を図る、そのためには減税と規制改革が必要じゃないかと考えております。

 特に減税については、例えばなんですけれども、車の減税をしていく。私は元々、持論で、ガソリン税、揮発油税に消費税がかかっている二重課税はとんでもないということを三十五年前からずっと言っていました。学生時代からですね。元々、実家がガソリンスタンドをやっていましたので、自分もバイトをしながら、消費税が出てきたときに、何で揮発油税にまた消費税がかかるんだと。選挙戦でも訴えさせていただきました。

 それに限らず、車に関係する税金が様々ある。まず、車に関係する税金を減税することによって、今、アマゾンだけじゃなくて、流通関係、宅配が物すごく増えているわけですね。軽自動車で宅配に使っている方もたくさんいます。そういうふうに考えると、車に関係する税金を減税することによって、これからの物流もコストを下げていくことができる。コストが下がれば、より流通量も増えていくということで、経済成長が見込めると思います。

 今の車に関係する減税というのは一例ですので、ほかにも様々な減税というのがあると思いますけれども、このような減税、あるいは、規制緩和、規制改革。規制改革も、今度、大阪の万博を目指して、空飛ぶ車も規制緩和の中で実現するということですけれども、そもそも、大阪でいえば、IRでカジノが実現することになりそうです。ほぼ政府が決定したと思います。このカジノも、いわゆる刑法上の賭博罪の緩和規定でできているわけですね、公営カジノと同じように。

 そういった規制緩和と減税によって経済成長を促していくということで税収増を図る。例えば、金融特区で減税をしていく、あるいは、起業して五年間は法人税を課税しないとか、そういった思い切った減税策ということも必要だと思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 経済再生を目指す観点から、近年、政府におきましても、様々な税目におきまして、経済活性化のための税制上の措置を講じてきているところでございます。

 最初に御指摘がございました自動車関係税制でございますが、これにつきましては、いわゆる道路特定財源の一般財源化が行われて以降、ここ十五年ぐらいの税収の推移を見ますと、もちろん省エネが進んだということもございますが、エコカー減税でありますとか自動車重量税の当分の間税率の引下げでありますとか、各般の措置を講じてきたこともございまして、全体としての税収規模は一兆九千億程度減少してきているというのが現状でございます。こういった格好で、自動車関係産業へのてこ入れも行ってきている。

 また、今、揮発油税の上に消費税がかかるのはいかがなものかという御指摘がございました。

 これは何度も国会で御答弁させていただいているところでございますが、欧州諸国の付加価値税など世界各国の付加価値税におきましても、ガソリン税等が含まれた課税標準の上に消費税、付加価値税がかかるというのは、国際的に共通の考え方になっているところでございます。

 また、法人税等の分野におきまして、例えば特区における税制についての御指摘がございましたが、国家戦略特区という枠組みがございまして、全国で十数か所が指定されておりますが、こうしたところで設立された、創業された企業については、おっしゃいましたとおり、創業から五年間にわたって一定の要件の下で所得金額の二〇%を所得控除するということで、非課税にしているわけではございませんが、かなりの程度この税率を優遇するという措置を実質的には講じているところでございます。

 また、法人税関係の特別措置については、財務金融委員会においてもいろいろと厳しい御指摘をいただいておりますが、全体として減収額が一・九兆円に及んでおりまして、研究開発税制、賃上げ促進税制始め各般の措置によって、経済の活性化のために様々な取組が行われているところでございます。

 こういった措置は、政策的な有効性が考えられる一方で、税負担のゆがみを生じさせる面もあるということで、財務金融委員会においても厳しい見直しが必要なのではないかという御指摘を累次にわたっていただいているところでございますが、経済成長と財政健全化の両立を図るという観点から、引き続き、税制の在り方については検討を行ってまいりたいと考えております。

浅川委員 どうもありがとうございます。

 消費税については、先般、党内で行われた勉強会で、そもそも、昔、中曽根政権時代に売上税という構想があって、それは頓挫したんですけれども、今からしてみれば、多段階のこういった消費税ではなくて、一本化して売上税、もちろん税率は下げなければいけないと思いますけれども、売上税にしておいた方が、事務的にもコストがかからなくてよかったのではないかということを私は考えております。将来、この財務金融委員会に所属できましたら、また議論させていただきたいと思っております。

 あと、規制緩和の方。今日、内閣府さんにもお越しいただいているかと思うんですけれども、規制緩和、これまでどれくらい件数として取り扱って、それがどれくらい経済効果が出ているかという検証というのはしているでしょうか。

辻政府参考人 お答えいたします。

 規制改革は、成長と分配の好循環の起爆剤となります投資、これを喚起していくために必要不可欠な取組でございまして、今、岸田政権下におきましても、リチウムイオン電池に関する消防法の規制見直しであったり、管理者資格の緩和を通じた民泊サービスの推進であったりという、イノベーションを阻む規制の改革を進めてまいりました。これについては、経団連が昨年度に提出した要望の七割が実現しておりまして、経済界からも高く評価をしていただいているところでございます。

 御質問のありました経済効果でございますが、規制改革の経済効果につきましては、これまでも、行政手続を簡素化したことによって、申請者の、働いておられる方の労働時間がどれぐらい減ったのかとか、それから、規制改革で消費者がどれぐらいの規模のメリットを受けたのかという推計をしてみたり、規制改革が生産性の動向にどういう影響があったのか、こういう分析をしたりという様々な形で分析をしてまいったところでございます。

 規制改革を円滑に進めていく上でも、御指摘のありましたような経済効果を始めとした改革の効果、これを分かりやすく分析、把握いたしまして、規制改革の必要性について関係者の理解を得ていくことは非常に重要な課題だと考えておりまして、私どもとしても、規制改革推進会議の委員の方々なんかとも相談しながら、具体的な進み方をしっかりと検討してまいりたいと思っております。

浅川委員 その規制改革会議はすばらしい委員の方たちがやっていらっしゃると思うんですけれども、あと、一般の国民からの声もホットラインで聞いているということなんですけれども、それを具体的に進捗目標を設定して、いついつまでに何々をやるという事務管理、事前のレクではそこまでやっていらっしゃるということであったんですけれども、それをより多くの国民に知ってもらって、あるいは、議会でもそれを常にチェックできるような形を取らせていただきたいなと考えております。

 続きまして、今回、増税三つあるうちのたばこ税、これについては、今回こういう法案があるということを愛煙家の方たちにお話をしたら、またたばこ税を増税するのかと。私はたばこを吸いませんし、個人的にいかなる税も増税しない方がいいとは思っているんですけれども、何となくたばこに焦点が当たってしまった理由は分かるんですけれども、一応、たばこ税を増税にするということにしたいきさつについてお答えいただければと思います。

住澤政府参考人 お答え申し上げます。

 今回御審議いただいている法案には税制上の措置は含まれてございませんけれども、今般の防衛力強化の財源確保に当たりましては、国民の皆様の御負担をできるだけ抑えるべく、歳出改革、決算剰余金の活用、そして、今回の法案にも関連しております税外収入の確保といった行財政改革の努力を最大限行った上で、それでも足りない一兆円強の部分につきまして、税制措置での対応をお願いさせていただきたいと考えているところでございます。

 対象となる税目につきましては、与党の税制調査会におきまして、現下の経済社会の状況を踏まえながら、幅広い税目について一つ一つ議論が行われた結果、法人税、所得税に加えまして、特殊な嗜好品であり一定の税収が確保できるたばこに対して、恐縮ですけれども、負担を求めるということとされたものと承知をいたしております。

浅川委員 愛煙家の皆さんは今の答弁を是非覚えておいていただければと思います。

 次に、今回、国有財産の売却も財源に入っているんですけれども、昨日レクでお伺いしたところ、約四千億の不動産についてもまだある、その四千億というのは時価じゃなくて多分評価額だと思われるんですけれども、いろいろ難点のあるような物件もあって、そう簡単に売却ができないというお話も聞きました。

 これについては、提案なんですけれども、この管理をしているだけで本省に数十人以上、百人単位の職員の方がいる、それぞれの地方の財政局にも管理している方たちがいらっしゃるということなんですね。これはまるっきし四千億分の不動産の売却なり運用について民間に任せて迅速にやってもらうということを考えたらどうかと思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 未利用国有地、先生御指摘のとおり、全体ですと四千億を超えるオーダーでございますけれども、この中で入札により処分を予定しているものというのは、令和三年度末ですと二百九十億という金額でございます。これは実は、二十年前ですと数千億オーダー、十年前でも約一千億ぐらいあったんですけれども、売却を進めてきたというところでございます。これら処分すべきものについては速やかに処分を進めるということは当然でございますけれども、それ以外の土地、例えば、処分に先立って境界確定が必要なものについてはそういった作業を進めていく、また、処分せずに有効活用していく方針のものは貸付け等に向けた手続を進めるといったことに取り組んでまいりたいと考えております。

 現下の財政事情を考えますれば、国有地を遊ばせておくことなく、できるだけ早く、より多くの収入につなげるということが必要だと考えますので、国有財産の管理に当たっている現場の財務局とともに最善を尽くしてまいりたいというふうに考えております。

 その上で、民間に任せてはどうかというお話がございましたけれども、実際の契約手続というのは、これは国の職員が実際にやらなければいけない部分というのがございますし、今御説明させていただいたように、有効活用というような話になってきますと、国有財産が所在いたします地方公共団体とのいろいろな様々な打合せ、調整といったような手続もございます。

 そういう意味では、全てを民間にアウトソーシングするということはなかなか難しいわけでございますけれども、これまでのところも、例えば、売却を行うに当たっての資料の収集、現地調査等といったもの、あるいは、入札にかけたときに入札が不調となった場合には不動産仲介業者を活用するといったようなことは行っているところでございます。

 そのような民間への業務委託ということも活用しながら、未利用国有地の早期売却ということに取り組んでまいりたいと考えている次第でございます。

浅川委員 是非、民間をもっと有効活用していただきたいなと思っております。

 最後、鈴木大臣にお伺いしたいのは、そもそも論として、今の国家財政がどういう状況なのか。これは二年前の文芸春秋ですけれども、議会でも取り上げられていますけれども、当時の現職の財務次官が、「このままでは国家財政は破綻する」というような一文を書かれております。

 これについて私が今思い出すのは、ちょうど十年前、財務省を退官されたある元官僚で、その後国会議員になられた方が、今から十年前の時点で、もう国家財政は実質破綻している、どうやってソフトランディングさせるかを財務省は考えているんだという講演を聞いたことがあるんですね。そのとき実質破綻しているという言葉が出たんですけれども、ジッパとかハケという言葉が金融界にはあるんですね。

 今日の質疑の中にも金融界出身の方がいらっしゃいましたけれども、私も昔、横浜銀行に勤めておりまして、当時、大蔵省がまだありました。大蔵省検査とか日銀検査という当局からのいろいろな検査があります。その中で、ちょうど私が辞める頃に金融庁が発足して金融庁検査になってきて、自己査定という、新聞でも報じられましたけれども、いわゆる貸出先債権を分類していく、貸出金、債務者がどういう状況かというのを査定するわけですね。そのときに、実質破綻先、それから破綻懸念先というのがございます。

 私は、今の国家財政は、これまでは実質破綻先かなと、その元財務官僚の方のお話も聞いていて思ったんですけれども、でも、実質破綻先ということになってしまうと、そもそも、今この議論自体が成り立たなくなってしまうと思うんですね。じゃ、どうやって財政再建をしていくかだけになってしまう。でも、これから歳出を拡大していく方向でもまだあるわけですから、その中で、大臣として今の国家財政の状況というのがどのように映っていらっしゃるか、ちょっとお伺いしたいと思います。

鈴木国務大臣 今の財政状況についての認識ということでございますが、日本の財政状況、これは債務残高対GDP比が世界最悪の水準にあり、さらに、足下、これまでの新型コロナへの対応あるいは累次の補正予算の編成等によりまして、より一層厳しさを増している状況である、そのように認識をいたしております。

 このように債務残高の規模が著しく増加することは、利払い費の増加による財政の硬直化でありますとか、国債や通貨の信認の低下を招くおそれがあり、望ましくありません。財政の持続可能性を確保するためにも、累積する債務残高を中長期的に減少させていくことが重要でありまして、国、地方のプライマリーバランスを二〇二五年度に黒字化すること、これによって債務残高対GDP比を安定的に引き下げること、これを政府の方針としているところであります。

 この方針の下で、政府として、市場や国際社会における中長期的な財政の持続可能性への信認が失われることがないように、経済再生と財政健全化の両立を図ることで、責任ある経済財政運営に努めてまいりたいと考えているところでございます。

浅川委員 財務官僚の方たち、今回の質問に限らず、非常に危機感を持っていらっしゃる方が全てです。それは、私も銀行に勤めていた二十年以上前から、このままじゃ本当にまずいなと。多分、財務省にお勤めの方じゃなくても、国会議員のほとんど全ての方たちが、もう既に国家財政は相当やばい状況になっていて、マーケット次第でいつ売り込まれるか。日銀が実質、国債を引き受けているわけですね、直接じゃなくても。本当だったら、財政学的に見たらあり得ないことをずっとやり続けてしまっている。これをどこかでやめていかなければいけない。

 それと、財政再建をもし果たしていくとしたら、圧倒的に歳出改革だと思います。この歳出改革については、我々維新が大阪でやってきた、無駄をなくす改革、大阪府と大阪市の二重行政の下でやってきた、この無駄をなくしていくというようなことを、我々維新が国政でも政権を取った上でやらなければ実現できないのかなというふうに考えております。

 もちろん、これまでの政治を全否定するわけではありませんけれども、ここまで来て、四十年前ですかね、大臣のお父様が首相になられたときに、増税なき財政再建と四十年以上前に言われていたのが、今こういうふうになってきてしまっているというところがあります。

 最後に、大臣、財政再建に向けての決意をお願いしたいと思います。

鈴木国務大臣 日本の財政の現状につきましては、先ほど申し上げたところでありまして、大変厳しい状況にある、そういうふうに思っております。

 財確法の議論でも出てまいりますが、有事の際もそうした財政余力というものが必要であるということでありまして、財政余力の源泉は、やはり市場や世界において日本の財政の信認を得ることが基本だ、こう思っておりますので、そのための財政健全化への取組、なお一層力を入れなければならない、そのように思います。

浅川委員 どうもありがとうございました。

 私も、正直言って、二十年前、三十年前に、こうして衆議院議員になってジッパとかハケとかという言葉を御紹介するとは思っておりませんでした。

 ただ、我々は国側の強い指示で債務者の状況をやっておりました。ほとんど帰らないで会社に泊まって、徹夜どころじゃないですよね、やって、その作業をしていた。つまり、債務者の状況を把握してやっていくということに力をかけていたので、それだったら、政府こそ、自らの債務についてもうちょっと現状を何とかしなければいけないということを国全体でやっていただきたいなと思います。

 以上です。どうもありがとうございました。

    〔鬼木委員長退席、塚田委員長着席〕

塚田委員長 次に、住吉寛紀君。

住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました、日本維新の会の住吉寛紀でございます。

 本日は、昨日の財金委員会に引き続きまして、我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案について質問させていただきます。

 五年、総額四十三兆円という金額が出ております。我が党は防衛費増額自体には賛同するところですが、その財源の生み出し方と使い道についてはしっかりと議論していかなければなりません。

 そこで、まず、我が国の防衛を担う自衛隊、その隊員の待遇についてお尋ねいたします。

 自衛隊員の現状は、二〇二一年度は、定数二十四万七千百五十四人に対し現員数は二十三万七百五十四人、充足率九三・四%です。二〇二二年版防衛白書によれば、過去十年で一度も定数を満たしたことがありません。既に慢性的な人手不足に陥っております。指示を受けて最前線で働く隊員に至っては、充足率が七九・八%と非常に深刻な状況でございます。最新の機器や機材、こういったものを購入しても、それを動かす人がいなければ何の意味もございません。

 先進各国では少子化をにらんで軍隊の小規模化や高機動化に向けた取組を進めており、自衛隊は、冷戦の終結に伴い一部で組織のスリム化を図ってまいりましたが、こうした装備の技術革新による省力化には限界があります。

 自衛隊員数の不足は防衛の根幹に関わる問題であるにもかかわらず、自衛隊に入隊する人が増えないのは、こういった自衛隊員の待遇にも問題があるのではないでしょうか。

 アメリカで最も危険な任務に当たるネイビーシールズの隊員たちは、三千万円を超える年収と、それ以外にも様々な手当、特別洋服代や住宅手当などで給与とは別に二十万円近い収入があり、さらに、様々な危険業務においては多額の手当が設定されております。

 それに対して自衛隊の待遇は、防衛省・自衛隊が出している「自衛官採用 自衛隊総合採用案内」によりますと、階級にもよりますが、採用当初における給与、これは高卒なら十八・四万円、大卒なら十九・四万円となっております。

 手当についても、不発弾やサリンなどの特殊危険物質の取扱いには最低金額ではたった日額二百五十円、ほかにも、落下傘降下作業手当は作業一回六千六百五十円、潜水作業等に支給される異常圧力内作業等手当が潜水深度二十メートルまで毎時三百十円、除雪手当は日額四百五十円となっております。

 このような命の危険のある作業や重労働でも僅かな手当しか出さないというような現状で、自衛隊員を軽視し過ぎているのではないか、そういう専門家の指摘もございます。また、自衛隊員は防衛出動時に手当がつけられますが、その支給額は今も決められていないという問題もございます。

 この点に関して、我が党は、現在の自衛官の給与体系は自衛隊の任務、リスクを正しく評価するものではないとして、昨年十月二十六日に、防衛出動に係る事態の特性を考慮して防衛出動基本手当を支給することと、政府は自衛官の給与体系その他の給与の在り方について検討、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることを内容とする防衛省職員給与法改正案を衆議院に提出し、自衛隊員の待遇改善、これを望んでいるところでございます。

 このような現状を踏まえて、自衛官の待遇改善について、政府の見解をお伺いいたします。

浜田国務大臣 委員御指摘のとおり、防衛力を発揮するに当たっては、必要な人材を確保することが不可欠であります。

 防衛力整備計画において、自衛隊員の超過勤務の実態調査等を通じ、任務や勤務環境の特殊性を踏まえた給与、手当とすることとしており、本年四月から、自衛官の超過勤務の実態を調査するための予備調査を開始をしております。この結果を踏まえて、速やかに本調査に着手する考えでおります。

 また、手当においては、令和五年度において、対領空侵犯措置等を実施した際にレーダーサイトで警戒監視の業務に従事する隊員に対し支給する手当を新設をいたしました。防衛出動手当の検討に当たり、陸海空自衛隊の演習、訓練を実地に検証し、防衛出動時の勤務時間等の変化や戦闘における著しい危険性を評価するための知見を蓄積するといった取組を行っております。

 このほか、生活、勤務環境の改善については、令和五年度予算において、前年度比二・七倍となる約二千六百九十三億円を計上しており、こうした各種施策を講じて、自衛隊員の人的基盤を強化してまいりたいと考えております。

住吉委員 様々に取組されていただいているところは感謝したいところでございます。

 私も、兵庫県の姫路で、姫路の駐屯地がございます。当然、国防だけではなくて、一昨年は姫路市内で鳥インフルエンザが発生しました。そのときには、駐屯地の方が防疫作業をしていただいて、県の幹部に聞きますと、自衛隊がいなければこれは全然できなかったという話も聞いております。

 また、毎年、姫路城のお城の掃除、クリーン作戦ですね、なかなか手の届かない石垣であったりお城の壁を年に一回磨いていただいているということで、これも市の幹部に聞きますと、普通に業者に頼むと一千万円以上はかかるだろう、それをボランティアでやってくれていると。自衛隊の方なんかは決して偉そうぶらずに、これは本当に我々も訓練としてやらせていただいている、こんな機会をいただいてありがたいということで、本当に謙虚だなと思いながら聞いているわけでもございます。

 私も小学校四年生のときに震災を経験しまして、そのときに、一週間近くは冷たいおにぎりだったり賞味期限切れのパンを食べておりましたが、自衛隊の方が来ていただいて温かい豚汁を作ってくれた。その豚汁の味は私も忘れることはないと思いますし、非常に感謝しております。

 そういった自衛隊の皆さんが国防の中で非常に重要である。その中で、憲法の違憲状態かもしれないというのは我々も改善していかないといけないと思いますし、そういった処遇改善、また働きやすい環境づくりというのは我々政治家がやっていかないといけないと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 次に、防衛費増額についてお尋ねいたします。

 我が党は、防衛費を増額すること自体については賛同しますが、安易に国民に負担を求めるやり方については賛同できません。

 防衛力の強化をめぐり、岸田総理は、内容と予算、財源を一体で議論していくと再三繰り返してきました。しかし、実際には、規模ありきの予算に身の丈を超えた内容を詰め込み、肝腎の財源は実態を欠くままで、見切り発車になったというような印象を受けます。

 恒久的な増税ならば、税制全般について、将来に向けたあるべき姿を併せて示すことが必須でありますが、先般の税制改正においても、富裕層に有利な金融所得課税などのゆがみについてはほとんど手をつけずに、復興特別所得税の仕組みの転用等を打ち出すのは安易だと考えますし、防衛力強化の中身、予算、財源について一体での議論が必要であると感じております。

 防衛費を増やす財源として、増税の前に歳出改革を進め、政府も身を切る改革を進めるべきです。その上で、確保した防衛費をどのように使うか、その中身が重要になってまいります。防衛費を五年で総額四十三兆円とするわけですから、無駄遣いは許されません。割高な値段だったり役に立たなかったりする防衛装備品を例えばアメリカに買わされることのないように臨むべきでございます。

 この国を守るために五年間で四十三兆円でこういう防衛を行っていく、こういうことをしっかりと国民に示していくことが必要であると思いますし、それがなければ国民は納得しないのではないでしょうか。

 これらを踏まえて、防衛費増額についての国民の理解促進について、政府の取組についてお伺いいたします。

川嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の防衛力強化の検討に際しましては、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、国民の命を守り抜けるのか、極めて現実的なシミュレーションを始めとする様々な検討を行い、必要となる防衛力の内容を積み上げ、四十三兆円程度という防衛費の規模を導き出したものでございます。

 具体的には、我が国への侵攻そのものを抑止し、遠距離から侵攻戦力を阻止、排除するため、スタンドオフ防衛能力、これは約五兆円を計上してございます。統合防空ミサイル防衛能力、約三兆円の計上でございます。

 また、万が一、抑止が破れ、我が国への侵攻が生起した場合に、領域を横断して優越を獲得し、非対称な優勢を確保するため、無人アセット防衛能力、これの強化のために約一兆円。それから、領域横断作戦能力のために約八兆円を計上してございます。この八兆円のうち、宇宙領域は約一兆円、サイバー領域は約一兆円、車両、艦船、航空機等が約六兆円でございます。指揮統制、情報関連機能といたしまして約一兆円を計上してございます。

 さらに、迅速かつ粘り強く活動し続け、相手方の侵攻意図を断念させるため、機動展開能力、国民保護、これのために約二兆円を計上してございます。持続性、強靱性、これのために約十五兆円を計上してございます。この十五兆円のうちといたしまして、弾薬等の整備が約二兆円、装備品の可動向上が約九兆円、施設整備が約四兆円。

 こういった将来の防衛力の中核となる分野に加えまして、自国で装備品を安定的に調達するため、いわば防衛力そのものであります防衛生産、技術基盤の強化といたしまして約一・四兆円、命懸けで日本を守る自衛官の処遇改善といった、防衛力を支える人的基盤の強化を含む教育訓練費等が約四兆円、基地対策経費が約二・六兆円。以上、計約四十三兆円をしっかりと積み上げてございます。

 この四十三兆円程度という防衛費の規模は、防衛力の抜本的強化が達成でき、防衛省・自衛隊として役割をしっかり果たすことができる水準として不可欠であると考えてございます。

 以上でございます。

住吉委員 次に、ちょっと具体的に、防衛費の増額分の使い道の具体例として、トマホークについてお尋ねいたします。

 岸田総理が衆議院予算委員会において、アメリカから購入する巡航ミサイル・トマホーク、これは四百発ということを明らかにしました。一発当たりの価格というのは伏せておりますが、二千百億円程度の取得費は多過ぎないかとの指摘もございます。四百発で二千百億円程度なので、単純に割り算をすると、一発当たり五億円程度となります。トマホークの一発が一億から二億円が相場とされているのに、なぜこんなにも高価なのでしょうか。

 また、トマホークは役に立たないとの意見もございます。

 トマホークは、一九八〇年代から配備が始まり、湾岸戦争やイラク戦争など様々な戦闘で使われてきたため、最も信頼性の高い巡航ミサイルの一つでございます。

 ただ、弾頭重量が一千ポンド、約四百五十キロで、二千ポンド級もある地上攻撃用爆弾と比べれば見劣りがしますし、速度も九百キロ足らずのため、携帯式防空ミサイルシステム等で撃墜されることもございます。事前に目標の座標と画像を入力し、GPS機能と画像照合システムで飛行するため精密攻撃に適しておりますが、米軍に現在配備されているトマホークは移動する標的は狙えない。アメリカは既に、地上や海上を移動する目標を攻撃できる改良型のトマホークの実験を終えているとの報道もございます。

 北朝鮮が十三日に発射したミサイルは固体燃料ではないかと言われ、固体燃料型のミサイルは、液体燃料型と比べて発射までの準備時間を短縮でき、移動も容易なため、発射の兆候をつかむのが難しくなる特性を持っておりますが、このような状況の中、トマホークは本当に必要なのでしょうか。また、必要であるとしても、日本の防衛システムにどのように組み込んでいくのでしょうか。政府の見解をお伺いいたします。

川嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 トマホークの単価について、まずは御質問がございました。

 自衛隊が保有するミサイルの弾数や単価につきましては、従来より明らかにはしてきていないということでございます。

 トマホークにつきましては、令和五年度予算におきまして、四百発の取得を予定しております。そのために必要な経費として、約二千百十三億円を計上しております。これは先生おっしゃるとおりでございます。

 しかしながら、これは現在のところ、内訳を含めましてアメリカ側と調整中ということでございまして、現段階において単価の算出は困難であることを御理解いただきたいと思います。

 なお、トマホークの単価につきましては、過去の他国の実績、あるいは、その他雑誌等の情報の単価、いろいろ出ておる場合があるのでございますけれども、必ずしもそのまま当てはまるわけではなく、一概に今比較はできないということでございます。

 その理由は、一般的に、装備品の単価は、調達数量、能力向上や部品枯渇に伴う仕様の変更、附属品の内容、材料や部品の価格変動、それから為替の変動など様々な要因に基づき変動いたします。したがいまして、先ほど申し上げましたとおり、過去の実績、他国の実績、あるいは公刊の一般の書物の情報、こういったものがそのまま当てはまるわけではないということでございます。

 また、トマホークの必要性についての御質問がございました。

 今般の防衛力の抜本的強化に当たりましては、スタンドオフ防衛能力を抜本的に強化するということとしておりますが、スタンドオフ防衛能力とは、隊員の安全を確保しつつ、東西南北それぞれ約三千キロに及ぶ我が国領域を守り抜くため、島嶼部を含む我が国に侵攻してくる艦艇等に対して脅威圏の外から対処する、我が国への侵攻がどの地域で起こったとしても、我が国の様々な地点から重層的にこれらの艦艇等を阻止、排除できる必要かつ十分な能力を保有する、そういった方針に基づき整備していくものであろうと考えてございます。

 その上で、トマホークは、国産のスタンドオフミサイルを必要な数量整備するには一定の時間を要するということから、それまでの間に十分な能力を確保するため、既に量産が行われているものを取得することとしたものでございます。これらのスタンドオフミサイルの取得を並行して進めることで、早期に所要量のスタンドオフミサイルを整備していく考えでございます。

 以上でございます。

住吉委員 ありがとうございます。

 五年間で四十三兆円、この増額自体には我々も別に反対するわけではないんですが、どういうことに使っていくのか、言えないことも多々あると思いますが、そこは国民にしっかり説明していかなければ、国民もこの増額自体に賛同できないのではないかなと思っております。よろしくお願いいたします。

 それでは、昨日質問させていただいて途中で終わってしまいましたが、その続きから質問させていただきたいと思います。

 昨日は、安定財源の定義であったり、歳出改革、また決算剰余金についてお伺いさせていただきました。

 次は、国有財産の売却についてお伺いしたいと思います。

 この法案では、大手町プレイスの政府保有分売却収入〇・四兆、四千億円程度、これも防衛費に充てることが定められております。しかし、国有財産というのは一度売却すればそれっきりで、一回限りの収入です。

 また、国有財産の売却益、これは特定の財源に充てるべきものでしょうか。本来は一般財源となる税外収入として扱われるべきものでありますから、それを防衛財源に充てれば、その分だけほかの経費に充てる一般財源が減ることにより、赤字国債の増発に結びついてしまうのではないかと懸念しているところでございます。

 国有財産の売却益を防衛力資金に充てることについての合理性について、政府の見解をお伺いいたします。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛力を抜本的に強化をして、これを安定的に維持していくための財源確保に当たりましては、再三先生からも御指摘がございましたように、国民の御負担をできるだけ抑えるべく、歳入歳出両面から様々な工夫を行う必要があると考えてございます。

 その中でも税外収入につきましては、あらゆる財源の精査を行うことによりまして、まず、毎年度確保している財源はしっかりと確保した上で、更に追加的な財源を最大限に確保するということが重要であると考えてございます。

 令和五年度予算におきましては、このような考え方の下で、国有財産の売却につきまして、まず、毎年度国有財産の売却により確保している収入として四百八十六億円、これは確保した上で、それでもなお、今回、臨時に多額の売却収入が見込まれております大手町プレイスの売却収入四千百六十四億円につきまして、防衛力を強化するための財源として確保することとした次第でございます。

住吉委員 昨日から含めてるる質問させていただいております。

 ここで私が言いたいのは、いろいろ努力をされて、工夫を凝らして財源を捻出しているということなんですけれども、それら全て安定財源と言えるのかということでございます。防衛というのは未来永劫続いていくわけでございます。子供たち、孫たち、そしてこれから生まれてくる子供たちのためにも、しっかりと日本を守っていくというのは、今を生きる我々の責任だと思っております。

 昨日から含めて、積立金や基金等の不用分の国庫返納、国有財産の売却、これは短期的、一時的なものでもございます。あと、外為特会においても、一年前倒しで、恐らく五年間で六年分の金額を繰り入れていくのだと思いますが、これらは安定財源と言えるんでしょうか。政府の見解をお伺いいたします。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生から昨日あるいは本日と御指摘のございました、様々な税外収入でございます。

 税外収入の個別の具体的な収入について見れば、おっしゃるとおり、毎年度確実に確保することが見込めるものではないということだろうと思います。

 他方、税外収入全体として見た場合、令和五年度予算におきましては、あらゆる財源の精査を行うことによりまして四・六兆円ということを確保いたしましたので、税外収入によって年平均〇・九兆円程度の財源を確保していくという政府の方針には一定の根拠があるのではないかと考えてございます。

 その上で、税外収入は御指摘のとおり年度によって変動が生じ得るものでございますけれども、例えば、五年間という一定の期間を取りまして、今回の法案によって設置をさせていただきます資金を通じまして防衛力の整備に計画的、安定的に充てていくことによりまして、防衛力の強化、維持を安定的に支えていく財源とすることができるのではないかというふうに考えてございます。

住吉委員 ちょっと安定的とは決して思えないような形で、この五年間の中で四十三兆円、何とかその箱にどんどん財源を入れているというような印象を受けます。

 ちょっと時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。

塚田委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 国民民主党の斎藤アレックスでございます。

 まず冒頭、先ほど記者会見で、スーダンの方に自衛隊機を派遣されるということが発表されていましたので、是非、安全に、迅速に任務をこなしていただきたいと思います。

 それでは、さて、質問の方に入らせていただきたいと思いますけれども、まず、今回の質問に関しては、財政的児童虐待ということをちょっと念頭に置きながら質問させていただきたいと思います。

 この言葉、財務大臣ももちろん聞かれたことがあると思うんですけれども、累積する赤字、将来世代への先送りが、いわゆる若い世代、将来への虐待的な行為ではないのかという問題意識で、財政状況が厳しいということが語られることがよくありますけれども、この防衛費の増額、この財源確保法に関しても私は全く同じ構造になってしまっていると思いますので、その点に関して本日はただしていきたいというふうに思います。

 こちらはもう、本日、様々な委員の方が質問をされていることでございます。今回のこの防衛財源確保法で防衛力強化資金というものがつくられまして、様々な資金から繰入れは行われます。外為特会、財投特会、あと大手町プレイスの売却であったりとか、そういったものが行われていて、それで防衛財源を確保したというふうにおっしゃっているわけです。

 確かに防衛財源はそれで確保したことになるのかもしれませんけれども、間違いなくというか、これは当然ですけれども、元々こういった財源というのは今まで一般財源に入っていて、それで予算の歳出の裏づけに元々なっていたわけですから、この大手町プレイスの売却に関しても、国有資産の売却を一般財源に歳入として入れるということはこれまでも行われてきたわけですから、何も新しいものではありません。

 今まであった歳入をただ単に防衛財源として使うということを宣言するだけでございまして、その防衛財源として確保されてしまった分のほかの歳出に対する歳入に関しては、結局赤字国債に頼ってしまうということになると思うんですけれども、その点に関しては、まず財務大臣、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 今般の防衛力強化の財源確保に当たりましては、防衛力の抜本的な強化を安定的に支えるための裏づけとなる財源は、今を生きる我々が将来世代への責任として対応すべきとの考えの下、国債発行額を増加させない、その際、国民の御負担をできる限り抑える観点から、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入の確保といった行財政改革の努力を最大限行うこととしているところであります。

 斎藤先生の御指摘は、このうち、決算剰余金や税外収入が防衛財源に充てられることによって、その分、他の経費の財源が失われ、実質的に赤字国債の増加につながるのではないか、その御懸念を言われているのであると理解をいたします。

 この点、決算剰余金につきましては、過去において補正予算等の財源として活用された事例があることは事実でありますが、これは制度的に決められているものではなく、例えば、今後、仮に補正予算を編成すべき必要が生じた場合には、その財源についても、その時々の税収見込みでありますとか歳出不用の見込みなどを踏まえて検討されるものであります。したがいまして、決算剰余金の活用が必ずしも赤字国債の発行額を増加させることにはつながるとは考えておりません。

 また、税外収入につきましては、防衛力強化のための財源として、令和五年度予算においては、外国為替資金特別会計からの追加の繰入金、四・六兆円を確保しておりますが、これは防衛力強化のために追加的に確保したものであります。毎年度確保している通常部分の税外収入は令和五年度予算においてもしっかりと別途確保をしておりまして、今般の税外収入の活用が直ちに赤字国債の発行額を増加させることにつながるとは考えていないところであります。

斎藤(ア)委員 毎年四十兆円赤字国債を発行している中でそうおっしゃっても、無理やり説明しているようにしか聞こえないし、そうであるというふうに思います。

 将来世代への負担を避けなければならない、赤字国債の発行は避けなければならない、この防衛財源としてということですけれども、結局は、赤字国債の発行につながって、そして将来世代への負担につながってしまうということは、これは否定しようがないと思うんですね。

 全てに関してそうとは言えないかもしれないんですけれども、今回、本法律案による税外収入も、それ以外の税外収入に関しても、ほぼほぼこれまで活用してきたもので、それを先食いしたりだとか、ほかからつけ替えて防衛財源として確保しているということをおっしゃっているだけですから、将来世代への負担に結局つながってしまっているということは、それはしっかりと向き合っていかなければならないと思います。

 本当に厳しい財政状況で、三十年間にわたりこういった状況が続いてきて、若い人たちへの負担を避けなければならないと言っているけれども、結局、今行う財政的な歳出というものは、ほぼほぼ将来世代への負担につながってしまっているという、その現実とどう向き合っていくのかということが本当に厳しく問われていると思います。

 防衛増税の議論に関しても、私は、将来世代への負担の先送りになってしまっているのではないかと思うんですね。

 一つは、先ほど議論にもありましたけれども、復興財源に関して年限を延ばすということがありますけれども、それを抜きにしても、今回、防衛予算の総額が示されて、五年間でこれだけ使いますということが示されています。その中では、増税をするということが前提になって図が、あるいは数字が描かれているにもかかわらず、その防衛増税の開始時期に関しては未定だといって、ごまかしてしまっているような状態だと思います。これは本当に私は不誠実なやり方だと思っていまして、選挙対策だと言われても私は全く仕方がない話だと思うんですけれども。

 こういったふうに、お金を使うことは決めている、そしてその中に増税が必要だということも決まっているけれども、増税に関しては具体的に時期は明示しない、こういった手法、こういった説明の仕方というのは私は国民の不信を招くと思うんですけれども、財務大臣はいかがお考えでしょうか。

鈴木国務大臣 斎藤先生の御指摘は、今後五年間の防衛費の総額が増税を前提とした金額で示されているのに、その開始時期の議論が棚上げされている、こういう御指摘だと思います。

 我が国を取り巻く安全保障環境が急速に厳しさを増して、防衛力の抜本的強化が喫緊の課題となっている中で、政府としては、令和五年度から開始される総額四十三兆円の新たな防衛力整備計画を策定をし、これに基づき防衛力を速やかに強化していくことが必要であると考えているところであります。

 また、その財源につきましても、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入の確保といったあらゆる工夫を検討し、行財政改革の努力を最大限行うことで必要な財源の約四分の三を確保し、それでも足りない約四分の一について税制措置での御協力をお願いしたいと考えているところであります。

 このうち、税制措置の具体的な実施時期の判断は今後となるのは斎藤先生御指摘のとおりでありますが、新たな防衛力整備計画に基づく防衛力の整備を速やかに進める必要がある中で、本法律案は、そのために必要となる税外収入を確実に確保するために不可欠なものであり、今、国会におきまして御審議をお願いしているところであります。

 政府としては、こうした方針について国民に御理解を深めていただけますよう、しっかりと説明を行ってまいらなければならないと考えております。

斎藤(ア)委員 本当に正面から国民に説明していただく必要があるんです。どういう財政状態になっているのか、防衛費を増額するということが一体どういう結果を将来に招くのかということは、本当に説明をしていただかないといけない。

 私はこういうことだと理解していまして、日本の周辺の安全保障環境を考えれば、今の日本の防衛予算、防衛力では確かに足りない。そして、日本の経済力、世界三位のGDPを誇る日本の経済力からすれば、日本の防衛予算は確かに少ない。しかし、これまで三十年間ずっと財政状況が悪化してきた結果として、今ある財政状況に鑑みれば、これから増額しようとしている防衛予算というのは過大だ、身の丈に合っていないという、こういったねじれが起きてしまっているのが私は現実だというふうに考えております。

 これは、やはりどう考えても政治の責任でありまして、これまでの財政状況を生み出してしまった、これだけ金融緩和を行って財政余力を十年間生み出してきたにもかかわらず、それによって投資を成功させてこなかった、海外の人材を受け入れるという決断もなかなかしてこなかった、教育への投資も増やしてこなかった。こういったことが積み重なって、今、経済力が回復していないのに財政状況だけ悪化してしまったという、こういった結果を、この三十年、バブル崩壊以降、経た結果、こういった状態になってしまっているという、この責任を是非とも先輩方政治家そして閣僚の皆様には痛感をしていただいた上で、今の現状というのを正直に、正面から国民に説明をしていただくことが本当に必要だというふうに考えております。

 これは最後の質問になると思いますけれども、財務大臣と防衛大臣のお二人にお伺いしたいと思います。

 こういった経済力の回復、賃上げも含めてですけれども、こういったことを果たせない中で、増税も含めた防衛力の強化、財源の支出、そしてそれが私は赤字国債に間違いなくつながると思っているんですけれども、こういった形で防衛予算を確保することが必要になってしまった結果をどう受け止めているのか、それを将来世代にどう説明していくのか、是非ともお考えをお聞かせいただきたいと思います。

鈴木国務大臣 まず、私ども政府としてやらなくてはならないことでありますが、それは、しっかりとした経済財政の基盤を平時から維持強化していくことでありまして、このことは国家安全保障の観点から大変重要であると考えております。昨年末に策定された国家安全保障戦略においても、防衛力の抜本的強化の前提として、「我が国の安全保障の礎である経済・金融・財政の基盤の強化に不断に取り組む。」と記されているところです。

 この点、政府としては、新しい資本主義の旗印の下、官民連携で成長分野への投資や人への投資を推進することで、成長と分配の好循環を拡大し、力強い成長の実現に向け取り組んでいるところでありまして、引き続き、経済再生と財政健全化の両立に努めてまいります。

 その上で、厳しさを増す安全保障環境への対応として、防衛力の抜本的強化も喫緊の課題です。そして、防衛力の抜本的な強化を安定的に支えるための裏づけとなる財源については、将来世代に先送りすることなく、我々の責任として対応すべきという考え方の下、国債発行額を増加させない、しっかりとした財源を確保していくことにしておりまして、歳出改革などのあらゆる工夫を行った上で、それでも足りない部分については税制措置で御協力をお願いしたいと考えているところでございます。

 厳しい財政事情の中で防衛力の抜本強化をしなければならないわけでありますが、そのことはしっかりと向き合って、認識をして、政府としてやるべきことをきちっとやってまいりたいと考えております。

浜田国務大臣 斎藤委員の御指摘というのは、我々にとっては本当に肝に銘じなければならないことだと思っております。

 しかしながら、現在、国際社会は戦後最大の試練のときを迎えておるわけでありまして、既存の秩序は深刻な挑戦を受け、新たな危機の時代に突入していることも事実であります。

 我が国が直面する安全保障上の課題、例えば、北朝鮮の核・ミサイル開発の進展、そしてまた、中国の広範かつ急速な軍事力増強と東シナ海における力による一方的な現状変更の試みの継続、ロシアによる国際秩序の根幹を揺るがすウクライナ侵略と我が国周辺での軍事活動の活発化など、一層深刻化しておるわけであります。また、情報戦を含むハイブリッド戦といった新たな戦い方や情報通信等の分野の急速な技術革新、少子高齢化への対応等も喫緊の課題となっておるわけであります。

 我々、こういった状況の中にあって、先ほども御指摘がありましたけれども、令和九年以降、毎年度約四兆円のしっかりとした財源が必要となっているのもこれは事実であります。今後、自らが大胆な資源の最適配分に取り組むことは不可欠と考えており、防衛力整備の一層の効率化、合理化を徹底してまいりたいと考えているところであります。

斎藤(ア)委員 将来世代の負担を避けなければならないとおっしゃっていましたけれども、間違いなく将来世代の負担になると思います。防衛力の強化が必要なことも、もちろん我々も同意ですけれども、それが今のこの財政状況下でせざるを得なくなってしまったという責任を是非痛感していただいて、過去の過ちを正して経済財政運営にも取り組んでいただきたいと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 以上で終わります。

塚田委員長 次回は、来る二十六日水曜日午後一時から連合審査会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十一分散会

     ――――◇―――――

  〔参照〕

 我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案は財務金融委員会議録第十三号に掲載


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.