衆議院

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第2号 令和5年4月26日(水曜日)

会議録本文へ
令和五年四月二十六日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

  財務金融委員会

   委員長 塚田 一郎君

   理事 井林 辰憲君 理事 越智 隆雄君

   理事 中西 健治君 理事 宗清 皇一君

   理事 櫻井  周君 理事 末松 義規君

   理事 住吉 寛紀君 理事 稲津  久君

      青山 周平君    石井  拓君

      石原 正敬君    小田原 潔君

      大塚  拓君    大野敬太郎君

      金子 俊平君    神田 憲次君

      神田 潤一君    高村 正大君

      塩崎 彰久君    津島  淳君

      中山 展宏君    葉梨 康弘君

      藤原  崇君    古川 直季君

      八木 哲也君    若林 健太君

      階   猛君    野田 佳彦君

      福田 昭夫君    藤岡 隆雄君

      道下 大樹君    米山 隆一君

      藤巻 健太君    岬  麻紀君

      伊藤  渉君    山崎 正恭君

      前原 誠司君    田村 貴昭君

      吉田 豊史君

  安全保障委員会

   委員長 鬼木  誠君

   理事 大塚  拓君 理事 國場幸之助君

   理事 宮澤 博行君 理事 若宮 健嗣君

   理事 伊藤 俊輔君 理事 篠原  豪君

   理事 三木 圭恵君 理事 浜地 雅一君

      江渡 聡徳君    大岡 敏孝君

      木村 次郎君    鈴木 憲和君

      武田 良太君    渡海紀三朗君

      中曽根康隆君    長島 昭久君

      細野 豪志君    松島みどり君

      山本ともひろ君    玄葉光一郎君

      重徳 和彦君    渡辺  周君

      浅川 義治君    美延 映夫君

      河西 宏一君  斎藤アレックス君

      宮本  徹君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       鈴木 俊一君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   外務副大臣        山田 賢司君

   財務副大臣        井上 貴博君

   外務大臣政務官      高木  啓君

   財務大臣政務官      金子 俊平君

   防衛大臣政務官      木村 次郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  高村 泰夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  室田 幸靖君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 實生 泰介君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 北村 俊博君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   前田  努君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    齋藤 通雄君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    三村  淳君

   政府参考人

   (国土交通省海事局次長) 宮武 宜史君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 茂木  陽君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  増田 和夫君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  川嶋 貴樹君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  町田 一仁君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           大和 太郎君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            萬浪  学君

   政府参考人

   (防衛装備庁プロジェクト管理部長)        坂本 大祐君

   政府参考人

   (防衛装備庁技術戦略部長)            堀江 和宏君

   参考人

   (日本銀行政策委員会室審議役)          福田 英司君

   財務金融委員会専門員   二階堂 豊君

   安全保障委員会専門員   奥  克彦君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案(内閣提出第一号)


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     ――――◇―――――

塚田委員長 これより財務金融委員会安全保障委員会連合審査会を開会いたします。

 内閣提出、我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案を議題といたします。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中山展宏君。

中山委員 自由民主党の中山展宏でございます。

 今日は、連合審査会で貴重な質疑の時間をいただきまして、理事、委員の先生方、委員長を始め、感謝を申し上げます。

 防衛力整備計画に係る二〇二七年度までの五年間での防衛力の抜本的強化のための四十三兆円において、従来に加えて新たに必要とされる十四・六兆円のうち、今年度税外収入予算の中の財源確保法による税外収入一・五兆円の議論を進めてまいりましたが、議論の中で何度となく頻出するフレーズ、我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境のただ中にあるというフレーズ、これは国民の皆様もそう感じておられると思います。

 この厳しく複雑な安全保障環境というのは、国際社会において、パワーバランスの変化、地政学的競争、そして力による一方的な現状変更への懸念に戦後最もさらされている、顕在化していることに起因していると思います。そして、遠くない時間軸の中で実体化される危惧の最たる事案が、いわゆる台湾海峡危機、台湾有事だと考えます。

 そこで、今次の防衛力整備計画において台湾海峡危機へどのように備えているかという視点から質問をしたいと思います。

 昨年あたりから、米国のシンクタンク等が、台湾有事のシミュレーション、ウォーゲームを行っております。米国のCNAS、新アメリカ安全保障センターは昨年の五月、そして、今年一月にはCSIS、戦略国際問題研究所がそのシミュレーションの結果を公表しておりますが、とりわけCSISのシミュレーションの結果、二十四回のシミュレーションを行った中で、我が国の本土に攻撃を加えられたものが十九回、二十四回中十九回でありました。主に在日米軍の基地、嘉手納であったり岩国であったり、横田、三沢を主に攻撃されている状況でありますが、このようなシミュレーションの結果について、まず、防衛省としてどのように受け止めておられるか。

 また、防衛省でも、当然のことながら、様々なこういったシミュレーションを行っていると思いますが、どのような受け止めをしておられるか、お伺いをしたいと思います。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 台湾情勢をめぐりましては、委員御指摘のように、民間のシンクタンクが様々なシミュレーションを行って、様々な見方を出されているということは承知しております。そうした見方の一つ一つになかなか政府として具体的なコメントをすることは難しいということは、御理解をいただければと思います。

 我が国としましては、台湾をめぐる問題につきまして、対話により平和的に解決されることを期待する立場に変わりはございません。

 その上で、最近の、近年の中国が軍事力の強化を急速に進める中、中台の軍事バランスは、全体として、中国側に有利な方向に急速に傾斜する形で変化しております。また、中国が今年、八日から十日までの間、空母山東や多数の艦艇、空母艦載機や中国本土からの大量の戦闘機などを参加させ、台湾周辺の海空域において威圧的な軍事演習を実施しました。中国は、台湾周辺での軍事活動を活発化させており、一連の活動を通じ、中国軍が常態的に活動している状況の既成事実化を図るとともに、実戦能力の向上を企図しているものと見られます。

 こうした活動を含めまして、中国の軍事動向等は我が国を含む国際社会の深刻な懸念事項となっておりまして、防衛省としては、今後も、警戒監視に万全を期してまいりたいと考えております。

中山委員 今次の防衛力整備計画において、台湾有事を念頭に見据えた中でどのように防衛力が強化されるのか、台湾有事に対して今次の防衛力強化がどのように資するのか、そういった観点から御説明いただきたいと思います。

川嶋政府参考人 御答弁申し上げます。

 最初はセットフレーズで恐縮ですけれども、現在、国際社会は戦後最大の試練のときを迎え、既存の秩序は深刻な挑戦を受け、新たな危機の時代に突入してございます。

 我が国が直面する安全保障上の課題、例えば、北朝鮮の核・ミサイル開発の進展、中国の広範かつ急速な軍事力増強と東シナ海あるいは周辺の海域におきます力による一方的な現状変更の試みの継続、ロシアによる国際秩序の根幹を揺るがすウクライナ侵略と我が国周辺での活発な軍事活動の継続、こういったことは一層深刻化しておると考えてございます。

 また同時に、情報戦を含みますハイブリッド戦といった新たな戦い方、あるいは情報通信等の分野の急速な技術革新、少子高齢化、こういったものへの対応等も、自衛隊として喫緊の課題でございます。

 防衛力の抜本的強化の検討に際しましては、こうした戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、国民の命を守り抜けるのか、極めて現実的なシミュレーションを始めとする様々な検討を行ってございます。実務的に一年以上にわたりまして活発な議論を積み重ね、その過程において、必要となる防衛力の内容を積み上げまして、防衛費の規模を導き出したものでございます。

 具体的には、スタンドオフ防衛能力、統合防空ミサイル防衛能力、無人アセット防衛能力、領域横断作戦能力、指揮統制・情報関連機能、機動展開能力・国民保護、持続性・強靱性、こういった七つの分野を中心に強化するとともに、防衛生産、技術基盤、人的基盤等の要素を重視いたしまして、必要な内容をしっかりと積み上げてございます。

 今後必要なことは、積み上げた事業を着実に実施していくことと考えてございまして、引き続き、防衛力の抜本的強化の実現に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えてございます。

中山委員 今、七つの主要事業についても御説明いただきましたが、その中で、スタンドオフ防衛能力であったり、統合防空ミサイル防衛能力であったり、事業全てにおいて、台湾有事、台湾海峡危機を念頭に、どのようなことが資するかというのを、今後しっかり、これは不断の御説明をしていっていただきたいと思いますし、とりわけミサイルに関して、トマホークであったり、一二式の地対艦誘導弾であったりとか、島嶼防衛用高速滑空弾がどのように使用されて、どのような対処能力があるかということも、これはしっかり御説明を今後していただければと思います。

 台湾海峡危機に伴う我が国の国民生活への影響について触れさせていただきたいと思いますが、今、ロシアによる侵攻で、ウクライナにおいて非常に状況は厳しい環境にありますけれども、その中においても日常生活は営んでおられます。商業活動ももちろん行われておりますし、マクドナルドも昨年秋ぐらいからは営業再開もしているという状況であります。

 翻って、台湾海峡危機の際に、海上封鎖をされる蓋然性は高いと存じます。我が国は台湾周辺海域を通って多くの海上貨物、外航貨物が運ばれてきますが、その機能維持についてお伺いしたいと思うのですが、国際的な海上運送、海上、外航貨物のうち、中国企業のコンテナ船や中国船籍が占める割合というものはどれぐらいありますでしょうか。国交省の方からお答えいただければと思います。

宮武政府参考人 シェアについてお尋ねがございました。

 我が国の国際海上コンテナ輸送における中国系企業のシェアについては、航路によって状況が異なっております。例えば日米の航路におきましては、輸送量に占める我が国の運航事業者のシェアが五〇%程度であるのに対しまして、中国の運航事業者のシェアは五%程度になっております。一方で、日中の航路を含みます日・アジア航路におきましては、これは東京港の便数で見ますと、中国の運航事業者のシェアが約半分になっているところでございます。

中山委員 一定程度、日・アジアに関しては、悪い言い方をすると、依存している部分はあるんだと思います。

 中国には国防交通法がございます。中国の商業船は軍事を支援するということを盛り込んでいます。台湾海峡危機に陥れば、当然のことながら、中国のコンテナ船は使えなくなると思った方がいいと思います。

 あわせて、経済安全保障推進法においても、重要インフラの中に外航貨物は入っております。海上交通路、シーレーンをどうするかということは、代替ルートも含めてよくお考えをいただいているんだと思いますけれども、コンテナ船そのものが、今の状況で、これはロシア、ウクライナの際にも、米国のコンテナが滞留をして物流にも大変滞りができて、その結果、物価も上がっていったということもありますので、是非これは、平時においてその備えというか、コンテナ船の在り方というものも検討を進めていただきたいと思います。

 それでは、台湾有事のお話はここまでにさせていただいて、先般のG7の外相会合でのコミュニケにおいて、透明で公正な開発金融の慣行の推進につき決意が示されました。

 中国は、世界最大の発展途上国の地位を譲らない一方で、世界最大の公的債権国となっています。御案内のとおりであります。途上国にとって厳しい返済や担保条件の上、債権の中国への優先的な返済、いわゆるノー・パリス・クラブ条項を強いています。その多くの融資契約に守秘義務規定を設けて契約の存在自体を非開示とするケースもあり、透明性を欠いていると言われています。

 G7による途上国向け融資は、無償であったり、寛容な、高い譲許性のODAを含めたそういった割合が高い一方で、中国は、不寛容な、非譲許的な融資や輸出信用が中心であります。

 しかしながら、途上国においては、贈賄や汚職、また環境配慮、人権配慮の要件に縛られない中国からの貸付けが魅力であることも否めません。

 そこで、外務省として、中国による開発金融の実態について、まずは御説明をいただきたいと思います。

實生政府参考人 お答え申し上げます。

 中国による途上国向けの融資、これについては、OECDなど多くのドナーが参加するルールや枠組みに依拠せず不透明であるというような指摘がなされてきておるところでございます。また、中国は、まさにお話が出たパリ・クラブの参加国ではないということから、途上国との債務措置の協議がやはり不透明であるというような懸念もございます。政府としては、そうした中国の開発協力の動向を注視しているところでございます。

中山委員 グローバルサウスを中心に、対外債務に占める、それぞれの国の対中債務、依存度は、トンガ、ジブチは五割を超える状況でありますし、コンゴも四八%、モルディブで四〇%ぐらいと、非常に中国に対して依存度が高くなっておりますが、それを受けて、我が国政府としての対応、今回のG7の決意も含めてどのような対応をしていくか、お教えいただきたいと思います。

北村政府参考人 お答えいたします。

 途上国の持続可能な開発を支える開発金融、これは、開放性、透明性、経済性、そして債務の持続可能性、それを考慮しながら行われることが重要でございます。

 二〇一九年のG20大阪サミットでは、日本のイニシアチブによりまして、これらの要素を確認する重要なルールとしまして、質の高いインフラ投資に関するG20原則というものが採択されたところでございます。

 開発金融は、こうした国際スタンダードあるいはルールを遵守して、透明で公正な形で行われることが重要でございます。日本は、様々な国際場裏におきまして、こうした国際ルール、スタンダードを遵守した、透明で公正な開発金融の重要性を提起してきているところでございます。

 同時に、グローバルサウスを含めた世界、これにはまだまだ膨大なインフラ投資の需要がございます。そうした中で、効果的に支援を実施していくことが重要でございます。

 日本は、途上国の債務持続可能性等を考慮しながら、引き続き、途上国の自立性を尊重しつつ、インフラ等整備のための公的及び民間資金を着実に動員して、質の高いインフラ投資を促進していく考えでございます。そのために、まさに委員御指摘のとおり、G7あるいはほかの同志国とも連携しながら取り組んでいく考えでございます。

 最後でございますけれども、日本としましては、途上国の債務管理能力、これを強化することが必要だと考えておりまして、財政の健全化に資することを目的としまして、債務管理に必要な知識そして業務の定着を支援しております。具体的には、アフリカや太平洋の島々に対しまして、債務管理及びマクロ経済運営のアドバイザーを派遣しまして、各国の職員に対する公的債務あるいはリスク管理強化のための研修を実施しているところでございます。

中山委員 是非進めていただきたいと思います。

 国際ルールにおいて、質の高いインフラ投資に関するG20原則であったりとか、持続可能な貸付けに係る実務指針、また、OECDの輸出信用アレンジメントや、国際金融協会、IIFの債務透明性のための任意原則等ありますが、是非中国にもそのルール、原則の中に仲間に入ってもらえるように、これは金融、非常にグローバルな話ですから、しっかりその努力もお願いをしたいと思います。

 この金融の部分の依存度というのは、経済的威圧もそうですけれども、金融的威圧というか、表裏一体だと思いますので、中国の金融の在り方というのも、国際場裏においてもしっかり透明性を持って議論をしていただきたいと思います。

 最後になりますが、翻って、我が国における海外投資家の国債保有について伺います。

 国債の安定消化を図る上で、保有者層の多様化、これはしっかりやるべきだと存じますが、中国による日本国債の保有は今どれくらいあるのか、これは数字で出せる部分がありましたら、おっしゃっていただければと思います。

齋藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生からお尋ねいただいたところにできるだけ近い数字というところで拾わせていただきますと、日本国債も含めました我が国の居住者が発行する全ての債券について、中国に所在する金融機関の口座を通じた保有額、これは二〇二一年末時点で約二十四・二兆円であるというふうに承知をしております。

 若干解説をさせていただきますと、海外の投資家が国債を含め我が国の有価証券を保有する場合、カストディーバンクと言われるような金融機関の口座で保護預かりをしてもらうということになります。

 どこの金融機関を通じて保有されているのか、これはある程度分かるわけでございますけれども、口座が誰のものなのか、あるいはその口座名義人の例えば国籍を含む属性といったところまではなかなか把握することは難しいというところは、御理解いただければと存じます。

中山委員 ありがとうございます。

 我が国の公社債が中国経由で所有されているのは二十四・二兆円ということだと思います。

 いずれにしても、懸念国に保有されているという観点で、これからまた議論をしっかりしていただきたいとお願いを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

    〔塚田委員長退席、鬼木委員長着席〕

鬼木委員長 次に、國場幸之助君。

國場委員 自由民主党の國場幸之助です。

 貴重な質問の機会を、本日はありがとうございます。

 まず、スーダンの退避について、冒頭でお尋ねをしたいと思います。

 国外退避を希望する邦人五十八名が無事に退避をできたこと、これは、アフガニスタンの教訓を生かしながら、外務省、防衛省、関係者の皆様方には心から敬意を表したいと思います。

 今回は、自衛隊法第八十四条の四、在外邦人等の輸送に基づく任務でありました。邦人は首都ハルツームから陸路で移動し、自衛隊機のC2が待機するポートスーダンから退避をしております。

 一点、確認したいことがあります。自衛隊法八十四条の四の在外邦人等の輸送には、二〇一三年の改正の際に、輸送手段等の拡充が図られております。輸送手段に車両も追加されており、実際、今回、陸上輸送の検討がなされたと聞いておりますけれども、陸路の移動というものは安全性も含めてどのように図られてきたのか、このことについての答弁をお願いします。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊法第八十四条の四による在外邦人等の輸送は、外務大臣からの依頼に基づいて行われるものでありまして、国外に退避する在外邦人等の退避のルートや退避の手段については、防衛省と外務省の緊密な連携の下で判断されます。

 今回、防衛省としては、ポートスーダンに陸路で集合した在留邦人とその配偶者計四十五名の空路でのジブチへの輸送に際し、自衛隊法第八十四条の四による在外邦人の輸送として、C2輸送機による輸送を行ったところです。

 これらの方々の陸路での移動については、自衛隊法第八十四条の四に基づく輸送ではありませんが、外務省において、安全が確保された形で行われていることを確認しているところであります。

國場委員 国家安全保障戦略の中にも、ジブチにある自衛隊の活動拠点を活用して在外邦人の保護に当たると記されております。

 首都ハルツームからポートスーダンまでは、直線距離でも約七百キロ、かなり離れておりますので、無事に、今の答弁の中では安全に移動ができたということでありますが、やはり日本人の海外における安全というものは国家として極めて重要な部分でありますので、しっかりとまた検討して、検証して、今後の教訓に生かしていただきたいと思っております。

 もう一つ冒頭で質問したいんですが、これはUH60JAのヘリの事故でございます。

 残念ながら、隊員の、お亡くなりになった方もいらっしゃいます。また、発見されていない方もいらっしゃいます。懸命な捜索活動を続けている関係者の皆様方には大変に敬意を表したいと思います。

 その中で、今回の事故の際に、陸上自衛隊のヘリには、海上自衛隊や航空自衛隊のヘリについている、墜落時にフライトレコーダーの位置を知らせる発信機能や海上に浮上する機能というものがついていなかったと聞いております。

 今後、南西諸島で、機動展開も含めて、陸上自衛隊も含めて、自衛隊の活動する機会は増えていくと思います。このような事故を踏まえて、今後どのような検討をするお考えがあるのか、この点についての答弁をお願いします。

大和政府参考人 委員御指摘のとおり、陸上自衛隊のUH60JAのフライトデータレコードは、機体内部の後部に設置されておりまして、航空自衛隊あるいは海上自衛隊の同型機と違いまして、水没したときに浮上してくる、あるいは浮上して電波を発するなどの機能を持っていないところでございます。今御指摘の点は、今後の、今回の事故を受けた再発防止策や改善策の一環ということになります。

 現時点で、今事故調査をやっているところでありまして、この改善策について、予断を持って私の方からお話しすることはできないことを御理解いただきたいんですが、まず事故調査をしっかりと進め、事故時の状況や事故の原因などを明らかにしてまいります。また、委員の御指摘もしっかりと踏まえてかかりたいと思います。

國場委員 この一五旅団、これは沖縄県の陸上自衛隊なんですけれども、大変重要な任務の一つに緊急患者の空輸というものがあります。これは、令和五年四月の二十六日の時点で一万百九十三件、一万五百五十九名の命を救っているという大変重要な任務であります。このヘリにも、陸上自衛隊のヘリコプターなんですが、フライトレコーダーがついていないということを聞いております。やはりこのことも含めて検討していただきたいと思います。

 また、一五旅団の大きな活動の一つに不発弾処理というものがありまして、これも復帰後、この五十一年間の中で、三万九千四百四十件、千八百六十一トンの不発弾を処理しております。

 しかし、残りあと七十年ほどかかるとも言われておりまして、私が今ここで言いたいことは、今、装備移転の議論をしておりますが、移転可能な装備品は、運用指針において、救難、警戒、監視、輸送、掃海と目的が限定されております。私は、将来のウクライナの復興も含めて、このような不発弾、地雷撤去等にも我が国の自衛隊が貢献できる部分が多いと思いますので、この部分も検討いただきたいと思います。これは要望でございます。

 それでは、質問に入りたいと思います。

 防衛力の抜本的強化については、極めて、これは経済財政という部分に深く関係をしております。

 昨年五月の二十七日の予算委員会の場におきまして、岸田総理が、内容と、金額と、そして財源は三点セットでしっかりと議論をこれから行ってまいりますと答弁をしております。私はそこが一つの出発点であると認識をしておりますが、しかし、財源に関しましては、国会や国民への説明が足りなかったんじゃないのかという指摘が多く聞かれました。

 改めて、その経緯というものを教えていただきたいと思います。

鈴木国務大臣 防衛力の抜本的強化に係る財源でございますが、四分の三は徹底した行財政改革を行って確保して、それでも足りない四分の一を税制措置で国民の皆様方にお願いをしたい、そういう考えでございます。国民の皆様方にお願いする以上、説明が不十分であったというようなことがあってはならないわけでありまして、今のお話をしっかり受け止めて、今後、更なる御理解を得られるように努力しなければいけないと思います。

 その上で、今までの経緯についてお話をいたしますと、防衛力強化に向けた財源の確保につきましては、政府として、昨年春から数か月間かけて議論を積み重ねてまいりました。

 まず、昨年五月、国会において総理から、防衛力の抜本的強化に向け、その内容、金額、そして財源について三点セットで議論を行っていくとの説明があり、防衛財源については、防衛力強化の内容や金額の議論と一体で行っていくことが表明され、議論が行われてまいりました。

 また、九月から内閣官房に設置された国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議や、十月に開催されました財政制度等審議会においても、有識者の方々の間で御議論をいただき、報告書や建議を通じて、財源確保の必要性について御意見をいただきました。

 さらに、国家安全保障会議四大臣会合や与党ワーキングチームでの議論も踏まえ、昨年十二月、政府・与党間での協議を経て策定された防衛力整備計画において、二〇二七年度以降、防衛力を安定的に維持するための財源、及び、二〇二三年度から二〇二七年度までの本計画を賄う財源の確保については、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入を活用した防衛力強化資金の創設、税制措置等、歳出歳入両面において所要の措置を講ずることとしております。

 このように、防衛財源の確保につきましては、様々な場での議論を経て決定されたものであり、その内容につきまして、国民の皆様に御理解をいただけますように、これからも丁寧な説明を行ってまいりたいと考えております。

國場委員 続きまして、防衛大臣と高木外務大臣政務官にお尋ねをしたいと思います。

 国家安全保障戦略の中では、三十ページなんですけれども、「我が国の安全保障を支えるために強化すべき国内基盤」の冒頭の方で、海外依存度が高く、有事の際の資源や装備品等の確保に伴う財政需要の大幅な拡大に対応するためには、国際的な市場の信認を維持し、必要な資金を調達する財政余力が極めて重要という文言があります。また、この点は、防衛力の抜本的強化を含む安全保障政策を継続的かつ安定的に実施していく前提であると位置づけられております。私は、この連合審査の中で最も重要な一文がこの部分である、そういう認識をしております。

 今、財務大臣から答弁がありました。防衛大臣と高木政務官の方から、その部分の受け止めと、また評価、決意というものをお聞かせいただきたいと思います。

浜田国務大臣 先ほど来御説明をさせていただいておりますように、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中、抑止力、対処力を向上させて、武力攻撃そのものの可能性を低下させていくためには、今後五年間にわたり予算をしっかり確保して、防衛力を緊急的に強化していくことが不可欠であります。

 また、防衛力は将来にわたって維持強化していかなければならず、この防衛力を安定的に支えるためには、しっかりとした財源が必要となります。防衛力の抜本的強化を継続的かつ安定的に推進するためには、しっかりとした経済財政基盤に支えられていることが極めて重要だと考えます。

 こうした視点が盛り込まれていることが、まさに国力としての防衛力を検討してきた今回の国家安全保障戦略の大きな特色の一つと言えると考えますが、防衛大臣として、こうした経済財政基盤の上に防衛力が成り立っていることをしっかりと認識をしつつ、防衛力整備の一層の効率化、合理化の徹底を含め、防衛力の抜本的強化に取り組んでまいりたいと考えております。

高木大臣政務官 國場先生の御質問にお答えさせていただきます。

 国家安全保障戦略に記載されておりますとおり、また浜田防衛大臣からもお答えがございましたとおり、経済、金融、財政の基盤は我が国の安全保障の礎でございます。

 その上で、外務省としては、大幅に強化される外交実施体制の下、多くの国と信頼関係を築き、我が国の立場への理解と支持を集める外交活動や、他国との共存共栄のための国際協力を展開する考えでございます。例えば、我が国の外交の最も重要なツールの一つでありますODAを戦略的に活用していくなど、しっかり取り組んでまいります。

國場委員 続きまして、三文書を作成する、また、防衛予算を四十三兆円という規模で推進していく大前提である安全保障の情勢認識についてお尋ねをしたいと思います。

 戦後最も複雑かつ困難な国際情勢、安全保障環境であるということはよく聞かれますけれども、具体的にどういう点なのか。これは国家安全保障戦略の中でも、中国は、これまでにない最大の戦略的な挑戦、北朝鮮も、一層重大、差し迫った脅威、またロシアに関しましても、中国との戦略的な連携と相まって安全保障上の強い懸念と記されておりますけれども、象徴的な、具体的な事例を挙げていただきたいと思います。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 ロシアによるウクライナ侵略が示すように、国際社会は戦後最大の試練のときを迎え、既存の秩序は深刻な挑戦を受け、新たな危機の時代に突入していると認識しております。

 東アジアにおきましても、戦後の安定した国際秩序の根幹を揺るがしかねない深刻な事態が発生する可能性が排除されません。例えば、東シナ海、南シナ海において力による一方的な現状変更やその試みを推し進める中国は、透明性を欠いたまま、継続的に高い水準で国防費を増加させ、軍事力を急速に強化しております。

 具体的に申し上げますと、まず、二〇二三年度の中国の公表国防費は、我が国の防衛関係費の約四・七倍に達しております。

 次に、中国は、地上発射型のみで約二千発に上るミサイルを保有してございます。

 さらに、中国は、我が国を上回る数の近代的な海上、航空アセットを保持するに至っており、例えば、二〇二三年には、近代的戦闘機について、中国は約千五百機を保有しているのに対し、日本は約三百機となっているということでございます。

 また、二〇二五年には、中国の軍事的影響範囲が西太平洋全体に及び、インド太平洋地域における米中の戦力バランスが中国側の優位に傾くとの見方もございます。

 国際社会が戦後最大の試練のときを迎える中で、いついかなる形で力による一方的な現状変更が生起するかは予測困難でございまして、今後も国民の命と平和な暮らしを断固として守り抜くために、防衛力の抜本的強化は速やかに実現していく必要があると考えているところでございます。

國場委員 ありがとうございます。

 今、増田局長からも御答弁がありましたように、中国は地上配備型のミサイルを二千発持っている。一方の我が国はゼロ。そして在日米軍も、今ゼロでございます。だからこそ、スタンドオフ防衛能力五兆円、統合防空ミサイル防衛能力三兆円と、五年間でしっかりと整備をしていくということが、日本を守る、国際社会を守ることに直結をしていきます。

 その次に、防衛力の強化の内容について、これは高木政務官と防衛大臣から答弁をいただきたいんですが、何が大きく変わって何が変わらないのか、この点についてお尋ねをしたいと思います。

 変わらない点、これは、二〇一三年の国家安全保障戦略も今回も、冒頭に外交というものを位置づけております。やはり日本という国は、平和国家として、外交の力をしっかりと推進していく、この基軸は変えてはいけないと思います。

 その変わった点と変わらない点について、それぞれ御答弁をお願いします。

高木大臣政務官 お答え申し上げます。

 二〇一三年に我が国で初めて策定されました国家安全保障戦略は、我が国の国益を長期的視点から見定めた上で、我が国が取るべき外交防衛政策を中心とした国家安全保障上のアプローチを示すものでございました。

 その策定から約九年が経過をいたしまして、その間、世界のパワーバランスが変化するとともに、我が国周辺における軍備増強の加速、経済安全保障、宇宙、サイバーといった新しい脅威の増大など、安全保障環境に大きな変化が生じたわけであります。

 このような戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、国民の命を守り抜けるのかとの観点から、今般決定した国家安全保障戦略では、防衛力の抜本的強化を具体化いたしました。

 その上で、二〇一三年及び二〇二二年に決定された戦略は、積極的平和主義や、危機を未然に防ぎ、平和で安定した国際環境を能動的に創出するための外交を重視する考えについて一貫しております。

 外務省としては、引き続き、現実的な外交を積極的かつ力強く展開していく考えでございます。

浜田国務大臣 国家防衛戦略及び防衛力整備計画は、いかにして国民の命や平和な暮らしを守り抜いていくかという観点から、一年以上にわたり具体的に検討し、方針をお示ししたものであります。

 まず、これまで変わらない点について。日本国憲法の下、専守防衛に徹し、文民統制を確保し、非核三原則を堅持することといった、平和国家としての歩みを変えることはありません。

 その上で、特に防衛政策の観点から、これまでと変わった点を申し上げれば、相手の能力と新しい戦い方に着目した防衛力の抜本的強化であります。

 概要を申し上げれば、今後五年間で、現有装備品の最大限の活用のため、可動率向上や弾薬確保、主要な防衛施設の強靱化への投資の加速や、スタンドオフ防衛能力や無人アセット防衛能力等、将来の防衛力の中核となる分野の抜本的強化に取り組んでまいります。

 また、近年、我が国周辺では、質、量共にミサイル戦力が著しく増強され、既存のミサイル防衛網だけでは完全に対応することが難しくなりつつあるという現実を踏まえて、これまで憲法上許容されるものの政策判断として保有してこなかった反撃能力を保有することといたしました。

 今後、反撃能力とミサイル防衛を組み合わせ、統合防空ミサイル防衛能力として、ミサイル攻撃そのものを抑止してまいります。

 もとより、外交努力の重要性は言うまでもありません。国家安全保障の最終的な担保は防衛力であり、国際社会の現実を見れば、この機能は他の手段では代替できるものではありません。防衛力の抜本的強化により、更に一層、この体制をしっかりと構築していきたいと考えております。

國場委員 時間となりました。南西諸島におきましては、ミサイル防衛、また国民保護、シェルターの問題、こういった課題も残っておりますので、引き続き、よろしくお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 公明党の浜地雅一です。

 二十分、時間をいただきました。

 今日、私の方は、資料を三つお配りをさせていただいております。

 資料一ページ目は、もうこの委員会ではよく御覧になります、防衛財源約四十三兆円をどう確保していくかという、与党税調で示されましたイメージ図でございます。

 資料二は、防衛力整備計画の三十ページ目にあります、いわゆる四十三兆円をどのように予算措置をしていくのかということがるる書いてある文書でございます。

 そして資料三につきましては、この四十三兆円の整備計画の経費の構造ということで、今後五年間の四十三兆円の中身が書いてあるわけでございまして、それに私がちょっと米印で鉛筆で書きましたけれども、少し、後ほどこれについて質疑をしたいと思っております。

 まず、資料一ページ目にありますとおり、当然、今回の防衛財源確保強化法につきましては、なるべく国民の皆様方の税負担を軽減をする、そのために、防衛力強化資金をこの法案でつくり、また、決算剰余金や歳出改革でやっていこうというイメージの図が書かれているわけでございます。

 ここで一点、図から漏れているんじゃないかというふうに私が思うのは、建設国債の活用でございます。

 今回、令和五年度の予算総則におきまして、防衛省予算についても建設国債が活用できるようになりました。まず、防衛省予算の中で建設国債を財源とすることが可能となった対象と、それと、そもそも、なぜこれまで建設国債の活用を防衛予算には認めてこなかったものを認めるようになったのか、ここを財務省に端的にお答えいただきたいと思います。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、建設国債の対象でございます。

 令和五年度予算の防衛関係費につきましては、防衛省・自衛隊の施設整備費二千四百五十四億円、そして艦船建造費千八百八十八億円、合わせて四千三百四十三億円を対象としてございます。

 続きまして、これを建設国債対象経費として認めた理由でございますけれども、こちらは、昨年十二月に閣議決定をいたしました国家安全保障戦略等におきまして、防衛力の抜本的強化を補完する取組として、防衛省と海上保安庁との連携、あるいは公共インフラ等が明確に位置づけられた中で、海上保安庁を含む各省庁におきましては、施設整備費や船舶建造費等が建設公債の発行対象であるということを踏まえまして、安全保障に係る経費全体で整合的な考え方を取るという観点から、防衛省・自衛隊の施設整備や艦船建造に係る経費につきまして、建設国債の発行対象として整理することとしたものでございます。

浜地委員 では、続けて財務省さんに質問したいんですが、私が示しましたイメージ図の、資料一の赤囲みのところは、これまでの、令和四年度当初予算に比べて増える十四・六兆円の分、これを足すと四十・五兆、要は、当初予算で五年間で見積もろうとする金額なんですが、先ほど、建設国債は活用するようにした、特に施設整備費や艦船の建設費ということなんですが、そうなりますと、このイメージ図の中に建設国債を財源とする部分が私は漏れているように思うんです。このイメージ図と建設国債との関係、どのように反映されているのか、御答弁をいただきたいと思います。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 今お示しいただきましたこの図に沿って申し上げますと、左上の、今先生の方から御指摘のございました十四・六兆円程度というこの増額につきましては、これまで御説明申し上げましたように、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入を活用した防衛力強化資金、そして税制措置によって財源確保をすることとしておりまして、新たに公債を発行することは考えてございません。

 したがいまして、この図におきましては、令和五年度予算におきまして建設公債を財源とした部分、これは、令和四年度当初予算を基に今後五年間の土台として試算をいたしました金額、一番下の灰色の部分でございますけれども、この中に反映されているということになります。

浜地委員 そうなると、確かに、当初予算の中で、このグレーのところ、これまで、令和四年度を基準とすると、五年間でかかる所要経費は二十五・九兆円ということなんですが、資料二の防衛力整備計画の所要経費のところの、2の(1)なんですね。2は、当初予算において本来四十三兆円必要なんですが、当初予算では四十・五兆しか認めていかない。それで、(1)、(2)というところで、自衛隊の施設整備の更なる加速を云々ということで一兆六千億円、その下に、一般会計の剰余金が年間七千億よりも増加した場合にはこれを充てるということになっているんですが、2の(1)の自衛隊の施設整備というものの一兆六千億円は、まさに先ほど財務省お答えいただきましたとおり、自衛隊の施設の整備を行うというふうに書いてあって、はっきりはお答えにならないと思うんですが、これは多分、いわゆる補正予算というふうに私は思っています。その財源として一兆六千億円を建設国債も活用するというふうに、私自身はこれを読んでおります。

 そうなると、図の一に戻ると、グレーの部分だけにしみ込むんじゃなくて、赤枠囲みの外の部分、要は、本来の当初予算の四十・五兆、それと、防衛力の水準に係る、恐らく補正予算も入れての四十三兆、この二・五兆を埋めるための一・六兆円にも建設国債を使うことになるんじゃないかと私は予想するわけでございますが、そこを御答弁いただきたいと思います。

前田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今先生が御指摘いただきました(1)のところでございます、施設整備費一・六兆円でございますけれども、これはまさに、ここに書いてございますとおり、自衛隊施設等の整備の更なる加速化を事業の進捗状況等を踏まえつつ機動的、弾力的に行うこととされておりますことから、これを踏まえながら、実際に予算措置をする際に、その財源の在り方についても、時々の予算編成過程において検討していくということにいたしてございます。

浜地委員 なかなか、将来の補正の話かもしれないのでお答えにくいということはあるんですけれども、私は何を言いたいかというと、国民の皆さんに、今回、防衛力の強化資金をつくる、いろいろな、いわゆる外為の剰余金等も前倒しして箱をつくって確保するなり様々な努力をして、税制措置についても令和九年においては一兆強お願いしたいという中において、例えば建設国債はどうなっているんだろうという声がある中で、その正しい姿をやはり示すべきだという趣旨でお話をしたところでございます。

 今の御答弁だと、今答えられるのはこのグレーの部分の二十五・九兆円の当初予算に関わる部分であり、恐らく、言いにくいんですけれども、四十・五から四十三兆を埋める、補正でも使っていくことになるんだろうと思います。しかし、翻って言うと、歳出の追加需要としての十四・六兆の中には建設国債は見込んでいないということですので、そういう正しい姿をちょっと確認をしたかったということでございます。決して、建設国債を乱発しろとかそういう趣旨で申し上げたつもりではなくて、我々がこの法案を議論する中において、正しい姿を国民の皆様方に示したかったというところでございます。

 続きまして、資料二の四番の、いわゆる二〇二七年度以降の水準について少しお話をさせていただきたいと思っています。

 それはなぜかというと、資料一のイメージ図にもありますとおり、令和十年以降もおおむね四十・五兆、若しくは、補正も入れると四十三兆円程度、いわゆる令和五年から令和九年で確保する防衛力の水準とおおむね安定的に変わらないで、令和十年以降も大体四十三兆円程度で要は防衛費は済むだろうというような趣旨だと私はこれを読みました。

 しかし、これについて、前回、我が党の伊藤渉議員がお話をしましたが、実際問題、二〇二七年以降に、いわゆる二〇二三年から二〇二七年の、令和九年までの五年間の水準を基に、果たして、安定的かつ持続的な防衛力の整備、言ってみれば、四十三兆円程度で整備を行っていけるのかどうかという指摘があったわけでございます。そのとき、防衛省の川嶋整備局長は、今回、いわゆる今後五年間の防衛力整備計画の中で相当数の部品も買いますし、また装備の整備を行うことができるため、令和十年度以降も安定的かつ持続可能な防衛力の整備を進めることが可能であると考えているというふうな答弁をされているわけでございます。

 そこで、資料三の方を見ていただきますと、これが今後五年間の防衛費に使う四十三、これは赤枠が四十三兆円です。そのうちの十一兆は、自衛隊の皆様方の人件費や糧食費に必ず使う部分。そして、赤枠のピンクの部分は、前回の中期防、四年間で終わりましたけれども、その部分の、その時期に契約したものが、いわゆる歳出化経費として、後年度負担が歳出化経費となってしみ出てくる分が五兆。ですので、四十三兆で整備するといっても、この五年間で、期間内で歳出できるのは二十七兆円でございます。

 かつ、今回は、この緑の部分、五年間で四十三・五兆円の契約をしていきます。ですので、その分が、次の中期防、令和十年度以降の五年間の中期防にしみ出てくる部分、要は後払いしなきゃいけない期間外歳出、ここが十六・五兆ということでありまして、令和五年度の四十三兆円の五兆円から約三倍になるわけでございます。

 私が米印で書きましたけれども、仮に、二〇二八年度以降も同じ四十三兆円とすると、米印のとおり、期間内歳出は、四十三兆円マイナス人件費、糧食費十一兆円、そして、期間外歳出の、歳出化経費の十六・五兆を引きますと、実際、期間内で整備できる、次の五年間の使える期間内歳出は十五・五兆であります。これは、前回の中期防の四年間で期間内歳出したのが十二兆なんですね。そうなると、ほとんど変わらない水準になって、私は、防衛力の抜本的強化ということに関しては、今後も、次の令和十年以降ももう少し防衛費は増やさないと、本当の意味での抜本的強化はできないというふうに感じるところでございます。

 かつ、令和十年度に向けては、スタンドオフも、さらに、伸長型も調達をしていきますし、また、イージスシステム搭載艦以外のイージス艦も二隻、十年後には増やす予定であります。一隻約二千億でございますので、四千億かかるということで。

 私はなかなか、次の五年間、四十三兆円ということでは、私も安保三文書のメンバーとして関わりましたけれども、せっかく抜本的に強化した防衛力を維持できないんじゃないかというふうに思っておりますが、私の今の指摘も踏まえて、もう一度、川嶋整備局長にお答えいただきたいと思います。

茂木政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛力整備計画におきましては、将来の防衛費の水準につきまして、令和九年度の防衛関係費については八・九兆円程度とするとともに、その後の整備計画につきましては、令和五年から九年度の五年間における集中的な整備を適正に勘案した内容とし、令和九年度の水準を基に安定的かつ持続可能な防衛力整備を進めることとされております。ここが基本であると私どもは認識をしております。この点、今回の防衛力整備計画で相当数の部品、装備の整備を行うため、令和十年度以降、安定的かつ持続可能な防衛力整備を進めることが可能であると、前回、当方の局長が御答弁したものでございます。

 もう少し詳しく申し上げますと、例えば、これまで不足してきた部品、この五年間で集中的に取得いたしますので、それ以降、装備品の維持整備、可動確保に係る経費の増加を抑制できる見込みがあること、また、P1哨戒機のような、この五年間で所要数を取り切る、そういった予定の装備も相当数あること、また、施設整備につきましても、この五年間で集中的に実施いたしますので、以後の施設整備に係る経費の増加を抑制できる見込みがあることなどを踏まえて、物件費の増加を十年度以降は抑制することが可能ではないかと考えているところでございます。

 もう一点、例えば、前中期防期間中には、様々な効率化努力も防衛省は積み重ねてまいりました。振り返ってみれば、総額一・七兆円のコストの縮減も図っているところでございまして、このような取組も含めながら、しっかり、閣議決定を踏まえて対応していきたいと考えておるところでございます。

浜地委員 将来の姿なので、余り予想を持って私も断定的に答えたくないのがあります。

 私は何が言いたいかというと、ちょっと野党の皆さんからそうだという。そうじゃなくて、だからこそ、増える可能性もあるので、今このときに、例えば令和五年度の外為特会の剰余金等も含めて、しっかりと箱をつくって。要は、これで済まないかもしれないわけですね。しっかり箱をつくって今この法案を成立をさせて、そして少しでも確保してもらいたいということです。

 これが逆に確保できなくて、五年後の令和十年度以降に、今私が話したような、四十三兆円で本当にキャップが閉まってしまって、努力をされるというのは知っていますが、それで結局、前回の中期防の規模に戻ってしまうと全く意味がないので、ここをやはり我々は考えて、確かに、令和五年度の剰余金等は五年度になってみなきゃ分からないという話もありますけれども、今しっかり箱をつくってこの法案を成立させることが大事だということを私は言いたくて今この質問をしたところでございますので、御理解をいただければと思います。

 最後の質問にしたいんですが、三文書でも自衛隊の定員充足について議論がありましたが、先日の日経新聞で、何と任期制の自衛官候補生の募集が四割程度だったという衝撃的な記事を私は拝見をいたしました。安保三文書の中でも、将来的には若い人が減ってくるので課題だねということで、ただ、今は何とか充足率九割程度を保っているということで整理をしていたんですが、実際、二二年度の任期制自衛官候補生の蓋を開けてみますと四割程度という報道に私は接しております。ですので、これはかなり速いスピードで自衛官の皆様方の定員充足率が割れてくるんじゃないかなという懸念がございます。

 そこで、例えば、任期制自衛官の皆さんは、採用されても、教育訓練期間が三か月あります。本来の任期制自衛官の皆様方の初任給は十七万九千二百円なんですが、この教育訓練期間の三か月は十四万二千百円に抑えられるということがありまして、そうなりますと、地元の例えば警察の巡査とか消防署と比べても、やはり非常に劣る初任給になってしまうんじゃないかなというふうに懸念をしております。

 ですので、こういった訓練期間の三か月の、当初の初任給よりも少し安い金額等で支給されているものを改善をしたり、又は、予備自衛官の皆様方、特に即応予備自衛官、これは常設部隊に入るんですが、そうじゃなくて、もう少し専門性を生かして、後方支援のみに当たるような部隊をつくって、任期の期限、五十二歳とか五十五歳と言われているところをもっと引き上げていって定員の充足を図るべきだと思いますが、この点につきまして、防衛大臣に御答弁いただきたいと思います。

町田政府参考人 お答えいたします。

 任期制士となる自衛官候補生、委員今御指摘いただきましたように、自衛官に任官する前に基礎的な教育訓練に専念させるため、他の公安職と比較した場合、初任給に限りますと、自衛官候補生は低い処遇となっております。したがいまして、自衛官候補生という、候補という名前をつけているところでございます。

 自衛官候補生の募集をめぐる環境はますます厳しくなるということが予想されるところ、防衛力整備計画に基づき、任期制自衛官の魅力を向上する観点から、この自衛官候補生の在り方を見直してまいる、このように考えております。

 また、予備自衛官等につきましても、国家防衛戦略に基づき、充足率の向上のみならず、委員御指摘の年齢制限も含めて、予備自衛官等に係る制度を抜本的に見直し、体制強化を図ってまいります。その一環といたしまして、本年四月から、特殊、高度の技術や知識を有する技能予備自衛官の一部の方々につきましては、継続任用時の上限年齢、これを試行的に撤廃するということを始めております。引き続き、この上限年齢を廃止できる技能の範囲について検討してまいりたいと思います。

 具体的には、浜田防衛大臣の下に設置しました防衛省・自衛隊の人的基盤の強化に関する有識者検討会、この提言もいただきながら、任期制士、予備自衛官も含めて、自衛隊員の人的基盤の強化に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

浜地委員 時間になりましたので、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、玄葉光一郎君。

玄葉委員 まず、邦人等保護についてお尋ねをしたいと思います。

 スーダンにおける邦人退避のオペレーションでございますけれども、首都ハルツームで希望した在留邦人全員がスーダンから退避したということで、関係者の皆様の御努力に敬意を表したいというふうに思います。

 まず、細かいところの確認ですけれども、細かいとは申し上げましたが、大事なことだと思いますが、現地における邦人以外の協力者、例えば、スーダンの日本の大使館で、日本の大使館に協力しているスーダン人で、例えば出国を希望したとか、そういった方々も含めて全員スーダンを脱出した、そういう理解でよろしいですか。

山田(賢)副大臣 そのとおりでございます。

玄葉委員 そうすると、五十八人の方が家族も含めてスーダンから出国したということですが、いわゆる今申し上げたような協力者という方々は出国を希望しなかった、そういうことでよろしいですか。何か、報道だと、協力者含めると百十人いるんだということのようでありますけれども、希望しなかった、こういう理解でよろしいでしょうか。

山田(賢)副大臣 お答え申し上げます。

 まず、日々刻々と状況が変わっているということを御理解いただいた上で、昨日御質問いただいた時点におきまして、希望する者につきましては全て退避を終えたということでございます。

 正確に言うと、昨日の時点で一人はっきりしていらっしゃらない方がいらっしゃいましたが、今朝の段階で、お一人はそれはもう希望しないということを表明されております。その状態でございます。それ以外の方がどういう状態になっているかということではなく、希望される方をまず募りまして、その方については全て退避が終わった、このように理解していただければと思います。

 以上です。

玄葉委員 もう一回確認なんですけれども、私が聞いているのは、いわゆる在留邦人及びその家族だけではなくて、日本の大使館に協力をしている例えば現地のスーダン人などが希望した場合は、当然、日本国の責任でスーダンを脱出させなきゃいけないわけですけれども、そういった希望はなかったのか、こういうことです。

山田(賢)副大臣 お答え申し上げます。

 まず、この数字につきましては、邦人のところに希望を募ったと。その中で、邦人以外という者は、御家族であったり、配偶者の方あるいはお子様ということでございます。

 それ以外に、協力している方が多数おられるという委員の御指摘でございます。それにつきましては、現地の状況を踏まえながら検討してまいりたい、そのように考えております。

玄葉委員 そうすると、在留邦人及びその家族、その配偶者は、日本人じゃない場合もあるわけですけれども、そういった方々には希望を聞いたけれども、いわゆる現地のスーダン人が大使館に例えば勤務している、そのスーダン人もジブチに行きたい、あるいはエチオピアに行きたい、エジプトに行きたい、そういう希望は聞いていない、こういうことですか。

山田(賢)副大臣 そのとおりでございます。

玄葉委員 そうすると、このオペレーションは、まさに現在進行形です、まだ完了とはとても言えない状況だと思います。改めてこの間の御努力には心から敬意を表したいと思いますけれども、まだまだ完了とは言えません、そういうことであれば。

 つまり、アフガニスタンの事案がありましたですね、一昨年前。そのときは、日本人、邦人は実は退避できていたんです。ですけれども、現地のスタッフが退避できないということでありました。これは、残念ながら、韓国にできて日本にできなかったことでありますけれども、自衛隊機は空港まで行ったんですが、そこにバスが行き着かなかった。残念ながら、ある意味、失敗の教訓だと思いますけれども、うまく他国との連携、あるいはタリバンなどとの連携ができなくて、バスが行き着かずに、自衛隊機は行ったんだけれども、協力者はそこまで行けなかった、こういう事案ですね。

 そうすると、まだまだこれは現在進行形ですね。そういうことでよろしいですか。

山田(賢)副大臣 お答え申し上げます。

 委員の御指摘のとおり、今進行中の事案でございます。その中で、とにかく邦人の希望する者の退避ということを優先的にやらせていただきました。

 今後につきましては、様々な状況を踏まえながら、委員の御指摘も踏まえ、検討してまいりたい、このように考えております。

玄葉委員 これは、副大臣、やはり協力者の方々にも希望を募って、協力者ですから、まさに、協力者を救わないのか、日本はということになってしまいかねない。アフガニスタンではそれができなかったわけです、当初。また同じようなことを繰り返すということになりかねないので、これはしっかりと、日本国として、日本国の外務省として対処するということでお約束していただけますか。

山田(賢)副大臣 ありがとうございます。

 大変重要な御指摘でございます。今後何ができるかも含めて検討してまいりたい、このように考えます。

玄葉委員 これは是非大事なことだと思います。そして、先ほど申し上げたように、アフガンでの教訓は、いわゆる陸路輸送、自衛隊機までの輸送がうまくいかなかったということなんですが、今回はうまくいった。どういうルートで、どういう手法で陸路輸送、空港まで行ったのか、御説明いただけますか。

山田(賢)副大臣 大変、現地での安全に関わることでございますので、詳細につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

玄葉委員 全く関係ないと思います。これはもうきちっと、概略でいいから説明してください。もう表に出ております。

山田(賢)副大臣 お答えできる範囲で、可能な限り詳細を御説明させていただきたいと思います。

 まず、二十五日未明、国連や韓国、UAE等の協力を得て、スーダンのポートスーダンに到着しました在留邦人四十一人が、情勢の悪化しているスーダンから自衛隊機によりジブチに避難いたしました。この際、御家族四名、合わせて四十五名が退避しております。これに先立ちまして、フランスや国際赤十字の協力を受けて、四名の邦人がジブチやエチオピアに退避しております。これに加えて、一名の御家族が御一緒に退避されました。また、その後、ハルツームに最後まで残った大使館員が市内の邦人を集めてフランスの協力を受けて脱出し、六名の邦人、加えて二名の御家族、計八名がジブチに到着しております。

 これらの一連の退避オペレーションによりまして、約六十人の在留邦人のうち、五十一名の在留邦人プラス七名の御家族が退避し、二十四日までにスーダンからの退避を希望している方の全てが退避を終えたところでございます。

 引き続き、ジブチの在スーダン日本国大使館臨時事務所において、関係各国とも緊密に連携をしつつ、新たに退避を希望する方が出てくる可能性も踏まえて、スーダンに在留している邦人への支援に全力を尽くす考えでございます。

玄葉委員 私が実は外務省の方から聞いたところ、二つのルートで陸路輸送していて、国連の車両プラス自家用車で一つの大きな長い隊列をつくった、もう一つの方は、UAEと韓国の車列にいわば便乗したというか乗せてもらったということだと私は理解していたんですが、それはもう表で言える話だと思いますが、それでよろしいですか。

山田(賢)副大臣 お答え申し上げます。

 ポートスーダンから出国した邦人等四十五名につきましては、二十三日、国連機関や韓国、UAE等の協力を得て、ハルツームからそれぞれ陸路でポートスーダンに向かい、二十四日にポートスーダンに到着いたしました。

 車両による陸路の移動でございますけれども、協力を得た関係国との関係もございますので、詳細の退避ルート等についてはお答えを差し控えたい、このように考えます。

玄葉委員 別に話をしても何の問題もないと思いますけれども、今日は結構です。

 それで、交通整理をしたいんですけれども、今次のオペレーションと、若干先ほどもありましたが、自衛隊法の八十四条の四、さらに、八十四条の三との適用関係について御説明いただけますか。

大和政府参考人 今回の自衛隊による輸送というのは、自衛隊法八十四条の四、邦人等輸送ということであります。これに基づいて行ったところでございます。

玄葉委員 今お話ありましたように、八十四条の四は在外邦人等の輸送ということで、アフガニスタンでの事案でもこの法律を使ったわけですけれども、他方で、在外邦人等の保護措置ということで八十四条の三というのがございます。同じように外務大臣からの要請があって、これはいわば警察権の代行ということでありますけれども、保護措置として、救出をして警護しながら輸送できるという、武器使用も、いわば自己保存型の武器使用よりももっと幅広く使用できるというのが八十四条の三でありますけれども、今回、この八十四条の三を使うということを検討したかどうか、御説明いただけますか。

浜田国務大臣 今般の輸送に当たっては、結果的に、外務大臣から第八十四条の四に基づく輸送に係る依頼を受けましたが、防衛省・自衛隊として、現地邦人等の安全確保のため、自衛隊法第八十四条の三及び四を含め、あらゆる選択肢を排除せず、法令に基づき、関係省庁と連携しながら全力を尽くしていると考えております。

玄葉委員 外務大臣が八十四条の四を使うという要請だったんだと思うんですけれども、そうすると、外務省は何で、八十四条の三を使うということは考えたのか、考えなかったのか。考えなかったとすれば、実施要件が整わないということでそうしたのか。御説明いただけますか。

山田(賢)副大臣 お答え申し上げます。

 様々な状況を検討した結果、八十四条の四による輸送を要請したものでございます。

玄葉委員 例えば、八十四条の三というのは、実施要件の中に、戦闘行為が行われていないとか等々の要件があるわけですけれども、そういった要件が整わないという判断をされたのかということです。

山田(賢)副大臣 総合的な事情を勘案して判断した結果でございます。

玄葉委員 ちなみに、当該外国等の同意も八十四条の三は必要だ。八十四条の四を使う場合も、明文はないけれども、当該外国等の同意は、つまり領域国等の同意は必要だというふうに一般的にはされているんですが、今回はどういうふうにされたんですか。

大和政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、八十四条の四には明文の規定はございませんが、このオペレーションをやる上で受入れ国の同意が必要でありまして、今回も、スーダン国政府の同意を取ってこのオペレーションをしているところであります。

玄葉委員 スーダンのことはこれで終わりますが、山田副大臣、是非、冒頭申し上げたように、全ての希望する在留邦人のみならず、日本国に協力をしてくれている現地のスタッフの中で私も希望しますという方々がいたら、これはしっかり対応しないと日本国の国益を大きく損ねることになりかねません。これについてはもう一回だけ答弁いただけますか。

山田(賢)副大臣 委員のおっしゃるとおり、日本国のために協力していただいている外国人の方々につきましても、可能な限りで対応していくように、今後、何ができるか、省内でもしっかりと、政府として検討してまいりたい、このように考えます。

玄葉委員 是非よろしくお願いします。

 それで、せっかくなので、安保三文書の中にこの邦人等保護についてどういうふうに書かれているのかというのを、全部読んでみたというか、全部調べてみたんですけれども、改めて重要性はしっかり確認をされていると思いますし、ジブチの活用などが盛り込まれているというのは新しいけれども、全体としては余り新味はないなというのが正直なところです。

 私が今スーダンのことを聞きましたけれども、やはり特によくシミュレーションをしなきゃいけないんじゃないかと思うのは、十分今後あり得る事態、我が国周辺におけるあり得る事態、まあ、朝鮮半島有事とか台湾有事とかと余り特定の事態を言うと答弁しにくくなると思いますが、いわゆる我が国周辺における事態が生じたときに、どうやって邦人等の保護を、救出をするのかということです。これは非常に重要なことです。

 当然ですけれども、段取り八割で、大体、事態が深刻化する前に民間機で逃げてもらう、それがもう基本中の基本だと思いますけれども、他方で、民間では対応できなくなるような状況になったときには、やはり基本的には八十四条の三、八十四条の四で対応する、こういうことでよろしいでしょうか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 個別具体的な状況によりますけれども、政府といたしましては、現在あります法律、自衛隊法八十四条の三又は八十四条の四の規定を踏まえまして、適切に対応するということだと思います。

玄葉委員 台湾には、今、日本人、二万人います。大体、短期滞在とかを含めると、平均一日三・八万人、邦人を保護しなきゃいけないという事態が生ずるかもしれない。中国には十万人、登録ベースでいます。これらの邦人の保護をどうするのかというのは、かなり切迫したと言うと語弊がありますけれども、しっかり考えておかなくてはいけない大事な課題だと思います。

 それで、私、今日、一つだけ整理したいなと思っている、ちなみに、その前に、答えにくいかもしれませんけれども、台湾有事のときというのは、この八十四条の四は当該国等の同意、八十四条の三もそうですけれども、要件になっていますが、この場合は、当該国というのは中国ですか、台湾ですか。

鬼木委員長 時計を止めてください。

    〔速記中止〕

鬼木委員長 それでは、時計を動かしてください。

 増田防衛政策局長。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論で申し上げますと、在外邦人の輸送若しくは保護が必要となる国又は地域の方から同意を得るということが一般的な考え方でございまして、個別具体的な場合に、どの相手、どのようなものからその了解を取るかということは、外交当局とすり合わせた上で、外交当局を通じてやることになると思います。

玄葉委員 国又は地域ということでございますので、必ずしも国家とは限らない、こういうことでよろしいですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 世界にあります、いわゆる国若しくは地域におきまして事態が発生しましたときに、そこに所在します在外邦人をどのように輸送し保護するのかということにつきましては、外交当局を通じまして、適切な相手方の了解を取るということでございます。

玄葉委員 これは、当該国等の同意と言っているので、等が入っているので、例えばパレスチナなんかも地域といえば地域なわけですけれども、では、基本的には必ずしも国家とは限らない、これだけはよろしいですね。適当な相手方ということでいいですね。

大和政府参考人 先ほど来防衛政策局長から申し上げていますが、実際起こったときにどこと取るのかということだと思いますけれども、先ほど申し上げたとおり、その時々の情勢に応じてということになりますが、ちょっと私から言うのは適当かどうか分かりませんけれども、台湾との関係では、民間便の出入り等については、台湾の航空当局のコントロールの下に許可を取って運航されているというのは一つの参考になるかなとは思います。防衛省の私が答えるべきかどうかは、ちょっと分かりませんけれども。

玄葉委員 分かりました。

 私、次のことが聞きたいんですね。

 存立危機事態を認定するということは十分あり得ると思うんですね、現在の法制上。我が国周辺における事態が生じたときに、存立危機事態であるというふうに認定されたときの邦人等の保護、救出、輸送。

 存立危機事態というのは防衛出動と同等でありますので、この八十四条の四とか八十四条の三に係っているような要件、戦闘行為が行われていないこととか、安全が確保されていることとか、そういうことは係らなくなるわけです。

 ですから、分かりやすく言えば、例えば米軍とかオーストラリア軍とか韓国軍が、大変な危険を冒しても、自国民の保護のためにその国に行って、軍がですよ、軍が行って、自国民を、国の中に入っていって、そしていわば救出して、保護して、警護して、輸送すると。日本の場合は制約があって今までできなかったわけですけれども、存立危機事態という認定がなされればそれはできるという理解でよろしいですか。

浜田国務大臣 存立危機事態が認定されている状況であっても、自衛隊法第八十四条の三又は四の要件に該当する場合には、これらの条文に基づき、在外邦人等の保護措置又は輸送を実施することは可能であるというふうに思います。

玄葉委員 八十四条の三と八十四条の四は、もちろんそれはそれで使っていいんですけれども、存立危機事態の認定がなされたら、これは武力の行使はある意味できるわけです。戦闘行為が行われても行けるわけです。危険だから行けないということは、防衛出動にはないと思います。

 ですから、そういう意味で、危険だからできないということにはならない、そういう理解でよろしいですかということを聞いています。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 あくまで一般論として申し上げさせていただきますけれども、存立危機事態が認定された場合には、委員御指摘のとおり、防衛出動を発令しまして、自衛隊は武力の行使を行うことが可能となります。

 この武力の行使は、あくまでも武力攻撃を排除するために行うものでございまして、その範囲に含まれる行動については実施することが可能だと考えております。その際、具体的にどのような活動を実施できるのか、委員御指摘のことも含めまして、個別具体的に、その際、判断することになると思います。

玄葉委員 今のお話だと、いわゆる他国軍並みに、自国民の保護が、救出が、存立危機事態という認定がなされれば、可能である、絶対駄目だということではない、ケース・バイ・ケースで判断する、こういうことでよろしいですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおりでよろしいかと思います。

玄葉委員 そういうことだと思うんですよね。

 私、実際に行くかどうかは別として、認定されたら、やはり、行けないという制約はなくなるんですよ、この法制度上は。だから、ある意味、他国軍並みに。実際に行くかどうかは別として。

 本当に行くということを考えるのであれば、これは訓練しなきゃいけないんじゃないですか、そうすると。仮にそういうことまで想定するとすればですよ。だって、今まで全くやっていませんよ。危険な地域に行って、米軍並みにですよ、ある意味ドンパチやりながら自国民を保護するわけですから、救出するわけですから。何か、映画みたいな話になってくるわけでしょう。

 そうすると、それをシミュレーションして、想定して、仮にやるとなれば、しっかり訓練しないといけないということになると思いますけれども、防衛大臣、いかがですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論として申し上げますけれども、自衛隊の各種行動につきましては、日頃からそれぞれの活動に即しました実践的な訓練というのがとても重要だと思っております。

 八十四条の三、八十四条の四につきましても、自衛隊におきましては、日頃から訓練を積み重ねております。この輸送や保護措置と申しますのは自衛隊だけでできるものではございませんので、政府部内の関係省庁、外務省などとも日頃から緊密に連絡しながら、実際、国内のしかるべき施設や演習場等を活用しながら訓練をしておりますし、また、国際的な事態におきましては関係国との連携も必要になりますので、例えば、タイにおきますコブラゴールドというような多国間の演習の機会を活用いたしまして、自衛隊も参加して、避難民の輸送の協力、それから保護措置などについても訓練を積み重ねているところでございます。

 その上で、こういう基本的な訓練の型をつくった上で、個々の事態に当てはめて対応していくということだと思います。

玄葉委員 これは、例えば、我が国の周辺で事態が生じて、米軍とかオーストラリア軍とか韓国軍が危険なところまで行って、自国民の保護をしている。でも、日本の自衛隊は、危険だからといって行かない。そのときの国民世論がどうなるのかということも含めて考えると、これはなかなか厳しい判断ですけれども、どこかで政治判断が出てくる可能性というのはあるんだと思うんです。

 今お話があったのは、八十四条の四とか八十四条の三の訓練をしています、これが基本です。そのとおりかもしれませんけれども、私が言っているのはそれ以上の話なので、もし本当にそういうことまでやっていくということであれば、訓練以上のことはできませんから、はっきり言って。訓練以上のことは実際できない。そう考えれば、やはり、そういった訓練、かなり厳しい、シビアな、八十四条の三とか八十四条の四以上の状況が生まれる、厳しい状況が生まれる、そういう前提での訓練をしますかと聞いています。

浜田国務大臣 委員の御指摘というのは、我々自衛隊として、今後どうするかということは、これは当然そういったことも考えながら検討しなければならないと思いますが、今この時点において、我々、いろいろな、今委員から御指摘のあったように、これは国会での議論もあるかもしれませんし、様々なことを想定しながら対応しなければならないと思いますので、そこは慎重に検討していきたいというふうに思います。

玄葉委員 実はこれは、外国人の保護を周辺における事態でどうするのかとか、国民保護とかも通告していたんですけれども、ちょっと時間がないので、財務大臣に聞かなきゃいけないので、今日はこれで終えますけれども、財務大臣の方に今度は防衛財源のことでお尋ねをしたいと思います。

 私、復興税の創設に関わった一人であります。それは、当時三・一一があって、閣僚兼与党の政調会長をさせていただいておりました。しかも、私は被災地の出身、選挙区でございます。当時、つらかったんですけれども、正面から御負担をお願いをした経緯がございます。二・一%の所得税の上乗せ、当時は法人税も含めてお願いをして、二十五年間の時限措置ということでございました。私は、これは今振り返っても、正しい判断だったというふうに思っております。

 今回、税率を下げて課税期間を延長する。下げた年からプラス十三年間ということに復興税も今回のことでなってしまうということなんです。そうすると、私たちのような被災地からすると、もう二十一世紀半ばまで所得税に上乗せして国民負担をお願いをするという、ある意味、心理的な負担が継続するということになっちゃうんですけれども、そういったことに対して財務大臣はいかがお考えですか。

鈴木国務大臣 私も岩手県の出身でありまして、復興特別所得税、当時は法人税もあったと理解しておりますが、そうした財源の裏づけをしっかりとやっていただいたということは、被災地において非常に安心感につながった、そう思います。

 私は、残念ながら、そのとき国会に議席がなかったわけでありますので、この確保法を作られたときの経緯は十分承知しておりませんけれども、今御指摘がありましたとおり、今回、現下の家計というものに配慮いたしまして、一%下げさせていただく、税率を。それによりまして、当然のことながら、復興財源を確保するためには期間を延ばさなければいけない。当初想定しておりました二〇三八年以降についても延長をする。その延長の幅は、復興財源を確保するに値するところを延ばしていく、こういうことであります。

 それについてどう考えるかという御質問でありますが、私も地元におりますと、やはり被災地、特に被災民の皆さんからは、このことに対して非常に、少し違和感を感じられるという意見、それは現実ございます。私の立場からしても、そうした被災地、被災民の皆さんの御理解を得ることができるように、しっかりと丁寧に御説明していかなければならないな、そういうふうに考えております。

玄葉委員 復興財源、復興税に加えて、税外収入とか、歳出削減であるとか、あるいは決算剰余金などで実はこの間賄ってまいりましたことは、財務大臣も御承知のとおりでございます。

 これから復興の資金がどのくらいかかるかというのは、はっきりしておりません。ただ、結構かかります、これから。例えば、F―REIという機構が今度できます。ほかにない加速器を入れようと今しています。兆単位で毎年かかっていく可能性というのはあるわけですけれども、復興に支障は出ませんか。

鈴木国務大臣 復興財源におきましても、税や税外収入、決算剰余金の活用など、今回の防衛力の抜本強化に関わる財源確保の手法に似た部分があること、これは御指摘のとおりでございます。

 しかし、具体的な内容を見てみますと、重なるものはございません。これまでも、復興に向けて必要な財源をしっかり確保し、着実に復興事業を進めてきたところであり、岸田総理も、今般の防衛力強化のための財源確保の大前提として、復興財源や復興事業に影響を及ぼすことはありません、このように答えているところでございます。

 まだまだ、復興、まだ道半ばだ、こういうふうに思っております。特に玄葉先生の福島におきましては、廃炉という大きな問題もありますし、福島国際研究教育機構の構築など、息の長い取組もございますし、また、特定復興再生拠点区域外への帰還、居住に向けた取組、まさにこれは大きく時間がかかるものであります。

 岸田総理も述べておりますとおり、政府の責任として、こうしたものに影響を与えることがないように、復興をしっかりとやり抜いていく、その財源はしっかりと確保していく、そういう思いで取り組んでいきたいと思っております。

玄葉委員 ちょっと分からないんですけれども、一つ、今回の防衛力強化資金に税外収入から資金を入れていくわけでありますけれども、この税外収入の中の、五項目なんですね、今回強化資金に入れるのは。いわゆる外為とか、財投とか、独法の納付金とか、国有財産売渡し、売払い収入と、五項目なんです。

 そうでない項目、日銀の納付金、公共事業費負担金、あるいはJRAの、競馬会の納付金等々、〇・五兆とかの単位であるんですけれども、これを防衛力の強化資金に入れないというのは、防衛力強化資金になじまないということなのでしょうか。もっと言えば、ちょっと時間がないから、逆に言うと、こういったものは復興財源に回すものとして十分あり得る考え方なのかどうかということを整理していただけますか。

鈴木国務大臣 これから先のことを今ここで断定的に申し上げるということはなかなか難しいわけでありますが、令和五年度予算におきましては、今玄葉先生が御指摘になられたものにつきましては、防衛力の抜本強化の財源、税外収入等には加えていない、復興税の方で使われている、こういうことでございます。

玄葉委員 いや、ですから、私は復興財源に支障が出ないように絶対にしてほしいのですけれども、結局使われる項目が同じなんですよね、やはり。別々だとさっき財務大臣はおっしゃったけれども、今おっしゃったのは、結局令和五年以降は分からないということなので、そうすると、税外収入のどこの項目を防衛力に回して復興に回すかというのは分からないと言っているわけですから、そうすると、絶対に支障が出ないとは言い切れないということになりませんか。どうですか。

鈴木国務大臣 防衛力の抜本強化、これも大切な、やらなければならないことでありますし、かつまた、未曽有の大災害、東日本大震災からの復興、これもやり遂げなければなりません。いずれも重要な課題、それぞれ財源が必要でありますので、そこは調整をしながら、きちっとそれぞれに対応していきたいと考えております。

玄葉委員 もう時間なので終わらなきゃいけないんですけれども、我々はそういう立場は取らないんですけれども、防衛力強化のためにどうしても増税が必要だというなら、私たちが大震災のときにそうしたように、本来はやはり、正面から国民の皆様に向かって堂々と説明をして御負担をお願いをする、これが本来の道なのではないかと。今回、復興税といういわばひさしを借りる、あるいは、人のふんどしで相撲を取ると言った方もいらっしゃいますけれども、文字どおり、そういうやり方を取るというのは、私はやはり財政の王道では全くないと思いますけれども、財務大臣、いかがですか。

鈴木国務大臣 いろいろな御指摘があると思います。私として、玄葉先生の今の御指摘を否定をするというものではもちろんございません。

 そういう中で、現下の家計の負担をなるべく減らしていきたい、そういうことで、所得税につきましても、あるいは法人税につきましても、最大限の配慮をする、そういう中で今回のような形を取らせていただいたということであります。

玄葉委員 それと、やはり、五年後以降ですよね。先ほど来から出ていますけれども、これは五年後以降、本当にどうするんだろうと。防衛費、減らせないでしょう、はっきり言って。減らせないと思いますよ。さっきの中期防から今度、次期整備計画への流れ出しみたいな話も質疑でありましたけれども、これは減らせませんよね。維持する、増やしていくという話になるので、それを今後も、そういった恒久財源じゃない、一時的なその場しのぎの財源でやっていくのかということだと思うんです。これは、五年後以降、どうされるんですか。

鬼木委員長 質疑、申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔に願います。

鈴木国務大臣 取りあえず、今度、防衛力強化資金というのをつくりまして、令和五年度で確保したうち、令和五年度予算に措置したその差額はその資金に入れていくわけでありまして、今後それを計画的、効率的に活用していきたいと思います。また、その防衛力強化資金に新たなものを加えていく、これは税外収入であったり歳出改革であったりするわけでありますけれども、そういうものにしっかりとそこから財源が確保できるように最大限の努力をしていきたいと思っております。

玄葉委員 時間が来ましたので、終わります。どうもありがとうございます。

    〔鬼木委員長退席、塚田委員長着席〕

塚田委員長 次に、末松義規君。

末松委員 立憲民主党の末松でございます。

 質問の前に、最近の自衛隊のヘリコプター事故でお亡くなりになった方々に対し、心から哀悼の意を表明したいと思いますし、また、御家族等の関係者の方々に心からお見舞いを申し上げます。

 今日は、防衛費と国債の発行との関係をちょっと正確に整理をしてみたいなと思っております。

 今、玄葉委員からのお話もありましたように、防衛費の場合、恒久財源という形じゃないと、一時的な財源を張り合わせていくというのは非常に心もとないという話になると思います。正面切って、きちんと正面から対応するという中で、財務大臣もいろいろな御努力をされてやってこられたと思うんですけれども。

 防衛費と国債という形で、要するに、恒久財源ということでやっていくという立場から、岸田総理も、また財務大臣も、防衛費については新たに国債を発行しないとの方針だと聞いておりますが、これは事実でよろしいですね、幾つか答弁ももらっていますけれども。

鈴木国務大臣 抜本的に強化される防衛力につきましては、将来にわたって維持強化をしていかなければなりません。これを安定的に支えるためにはしっかりとした財源が不可欠であると考えます。

 岸田総理が発言されておりますが、将来世代に先送りすることなく、今を生きる我々の将来世代への責任として対応すべき課題であるということでございますが、これは何を意味するかということは、まさに国債に頼らないということを言っているわけでございます。

 末松先生御指摘のとおり、将来世代への負担の先送りとなる国債については、防衛力を安定的に支えるための財源と位置づけることは困難である、そのように考えております。

末松委員 国債には頼らない、今大臣の御答弁でございました。

 表の一をお開けいただきたいんですけれども、補正予算の財源というのはどんなものかとずっと調べたんですね。そうしたら、平成二十八年以降、七年間なんですけれども、補正予算全体で百五十三兆円になっています。そのうち、国債、公債金収入というのは合計で百三十九兆円になっていますね。ということは、九一%が国債に頼っているということなんですね。

 それを見たときに、これは本当に補正予算の財源はほぼ国債だねと言ってもよろしいかと思うんですけれども、これも基本的にはお認めになられますよね。

鈴木国務大臣 先生が今御質問の中で指摘をされたとおり、平成二十八年度から令和四年度の直近七年間の補正予算について、補正予算額の合計額約百五十三兆円と公債金収入の合計額約百四十兆円の割合を取りますと、九一%となるということであります。

末松委員 ほぼ補正予算の財源は国債なんだねということが明らかになったわけです。

 図の二を見ていただければ、平均で、これは十一年間ですけれども、不用率、不用額というのを出してもらったんですね。その場合、合計で毎年、そこに書いています合計の中で、二兆四千五百七十七億円が平均的な不用額、使っていないという額なんですね。

 この場合、基本的に決算剰余金というのはどのくらいになるのかねというのを私も知りたくて、図の四になりますけれども、決算剰余金というのはどういうふうにして決められるのかというと、これも十一年間、実績を調べてみたんです、平成二十三年度から令和三年度に。

 そうすると、不用額というのが平均で二・五兆円。そして税外収入が〇・六兆円。そして租税収入と地方交付金等の財源、引いたら〇・八兆円。それに公債金をなるべく抑えようという努力でマイナス二・三兆円。そうすると、これで一・五兆円。そして、一番右にあるように、その半分の〇・七兆円であれば防衛財源になるよねということなんですけれども、これは補正予算も含めた財源になるわけですけれども、こうなると、ちょっと私はお聞きしたいのは、決算剰余金というのは、不用額と決算剰余金との関係でいけば、大体幾らぐらいになるというのは、ちょっと質問レクでもお願いしたんですけれども、幾らぐらいになりますかね。

鈴木国務大臣 直近十一年間、平成二十三年度から令和三年度の決算では、歳出不用額の平均は二兆四千五百七十七億円、決算剰余金の平均は一兆四千七百一億円となっております。

 そして、この決算剰余金が歳出不用の何%なのかということ、お尋ねでありますが、歳出に不用が生じることが見込まれる場合には、別途、税収の上振れとか、時によっては下振れもあるわけで、そうした税収等の動向も加わってまいりますが、こういうことを見極めながら、特例公債法の規定に基づき、特例公債の発行額の抑制に努めることとしておりますので、補正予算で措置した分を含めた歳出の不用額と決算剰余金の金額が一致するもの、対応するというわけではなくて、これを一概にお答えすることは困難でございます。

 そして、その上で、直近十一年間の平均の歳出不用額と平均の決算剰余金の比率を仮に機械的に計算した場合は、その比率は約六割となります。

末松委員 六〇%というのは、意外とそこで理解しやすい目安にもなるんですけれども。

 主な主要経費別の分類の平均的な不用率、不用額というのが、これは令和二年と三年度、これは図の三でそういうふうに書いてあるわけですけれども、例えば、中小企業対策費の不用額が一兆三千二百八十三億円と。これの約六割ぐらいが決算剰余金、つまり、六割の半分だから、三割が防衛費に今度は機械的に行っちゃうということだし、例えば、介護給付費というのは三千百三十九億円、これの約三分の一が防衛費に行っちゃうと。要するに、使っていない額の大体三割ぐらいが防衛費の方に自動的に行っちゃうということなんですね。

 これはいろいろと見てみると、本当に何か、私が判断するに、こういうことはかなりの部分が補正予算で成り立っているところもありますし、実際に一般の予算についても、約三五%前後が公債費、つまり国債費で賄われているわけですよ。そうすると、一般の財政でも国債費で賄われているのと同時に、さらに、補正予算も九一%が公債、国債で賄われていると。となると、基本的に防衛費も、当然それは国債費が充てられているということで解釈できるんじゃないですか。

鈴木国務大臣 まず、従来の中期防の計画の、よくある三角の絵の下の部分ですけれども、そこには赤字国債が今までもずっと使われて……(末松委員「建設国債ですよね」と呼ぶ)ええ、今度は建設国債にするんですが、その前の、赤字国債として、特例公債として使われておりました。上の部分については新たな国債の発行をしないということで基本的に思っているわけでありますが。

 末松先生の御指摘は、決算剰余金の原資に国債が含まれているのであれば、防衛力抜本的強化の財源に国債が充てられていると言ってもいいのではないか、そういうようなことに対する私の認識はどうかということであると思いますが、防衛力の抜本的な強化を安定的に支えるための裏づけとなる財源は、将来世代に先送りすることなく、今を生きる我々が将来世代への責任として対応すべき、そういう考え方の下で、国債発行額を増加させないよう、しっかりとした財源を確保することとしております。

 末松先生御指摘の歳出予算については、毎年度の予算編成過程において、それまでの歳出不用等の執行状況等を踏まえた上で適切な予算措置を行うよう努めておりまして、歳出不用が出ることを前提とした予算編成を行うことは考えておりません。しかし、結果として歳出不用が見込まれる場合にも、税収等の動向を見極めながら、特例公債法の規定に基づきまして、特例公債の発行額の抑制に努めているところであります。

 それでも、歳入欠陥になりますとこれは大変なことになってしまいますので、歳入欠陥とならないよう税収見積りもするわけで、どうしても保守的になるかもしれませんけれども、結果として、決算剰余金が発生をし、その一部に国債由来が含まれることはこれは否定はすることはできませんが、この決算剰余金を活用することによりまして国債発行が新たに増加するものではないことから、過去の実績を踏まえた見通しに基づき、今回は五年間の合計で三・五兆円程度を防衛力強化のためにしっかりとした財源として見込んでいるところであります。

末松委員 ちょっとこの話は分かりにくいんですけれどもね。隠れているから分かりにくいんですよ。

 予算の場合はとにかく、予算のときにはどのために予算を使う、幾らぐらい使うとはっきりしているんですよ。これが不用額になった時点でお金の色が消えちゃうんですよね、お金ですから。そこで十把一からげに、今度は一・五兆円の半分の七千億円、こういう形で全部消えちゃうんですね。要するに、それが防衛費に行っちゃうわけですよ。

 そこが、国債、ほとんど、一般の会計もそうだし、補正予算も本当に九一%が実績で国債なんですよ。だから、今までの実績を見たら、これから補正予算を組む場合は、みんなほとんど国債で賄われていることになるでしょうと、私はそこを発見したわけですね。だから、見た目には、新たに防衛費のための国債ということじゃなくなって、何か見た目はいいんですけれども、実際は国債がどんどんどんどん増えていって、それがかなり、防衛費はそこの国債費を使っているじゃないかというのが私が一番申し上げたい点なんですね。

 だから、本来、この国の、何か財務省の考え方もおかしいなと思うのは、例えば不用額が、毎年二・五兆円近くを不用なんですよ。それは実績でそうなんです。それだったら、少し予算を削るとか、そうすればいいじゃないかと思うんです。そこら辺については、それはそういう努力はされないんですか。

鈴木国務大臣 今、当初予算の編成に二度携わり、この間、補正予算の編成にも携わりましたけれども、非常に財政需要が大きい事項が多いという中で、最大限、特例公債の発行を抑えるということに最大限努力をする中におきましても、実態として、一定程度、特例公債の発行に頼らざるを得ないというのが現実の姿であるということであります。

末松委員 もう一度申し上げます。

 そういう赤字国債、発行すればどうしても、しようがない、いろんな財政需要はありますよ、あるんですけれども、それをやればやるほど、防衛費というのが、不用額を含めて、全部防衛費の方に行ってしまうよというのが私が繰り返し申し上げたいことなんです。

 だから、いかにも岸田総理が私は国債には一切防衛費は頼りませんと言っているけれども、実は頼っているじゃないか、毎年毎年それが増えていくじゃないかというのを私は申し上げたいんですね。だから、そこはきちんと、逆に、防衛費として国債に頼らないなんということは言わない方がいいと思うんですが、どうですか、そこは。

鈴木国務大臣 入口と出口の話のようなものでありまして、私どもとして、補正予算を編成するというのは、その時々の経済対策等をにらんで補正予算が必要だという判断の中で編成をし、国会にお願いするわけでございます。そして、編成する中において、その財源を特例公債に頼る部分は、これはございます。

 しかし、これが、結局、ここの部分が使われずに不用が立った場合の措置につきましては、これは一定のルールの中で、普通ですとそれは一般財源ということになるわけでございますけれども、今回は、十年間の平均を見て、そのうちの半分、二分の一を防衛力の整備に充てたいということでお願いしているわけでございます。

 したがいまして、岸田総理が国債の新たな発行はしないと言うのは、防衛力強化のために、出口の部分で、出口の部分じゃないな、つまり、直接的に、今回の防衛力整備の財源を得る中で、国債の増額は求めない、こういうことであります。

末松委員 これは何度も議論してもしようがないので、そちらもお立場があるからね。でも、国債由来とさっきおっしゃいました。国債由来がかなりの部分を占めるということなんですよ。そこはちょっと、やや詭弁的に、ずるい言い方だなと私は感じるんですね。

 あと、もうちょっと言えば、決算剰余金を拡大するために元から予算を水増しでやっていくとか、そういうことを意図的に、あるいは補正予算を水増しでやっていく、そういう形でやれば、よく言う防衛財源ロンダリング、そういうこともこれは見方によっては可能になるんですね。そういうことは一切されませんよね。これは一言でいいです。イエスかノーで結構ですけれども。

鈴木国務大臣 そのつもりはありません。

末松委員 ちょっと時間……(発言する者あり)

塚田委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

塚田委員長 速記を起こしてください。

 与党の理事において定足数の確保に努めていただく際、この際、暫時休憩をして呼出しをしますので、しばらく休憩といたします。

    午後三時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時六分開議

塚田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。末松義規君。

末松委員 ちょっと財務大臣に、最後の質問ですけれども、先ほどから議論がなされています武器、後年度負担の関係です。これは、十六・五兆円というのもすさまじい額だと思うんですけれども、これについて、四十三兆円とは違うということなので、これの財源はどういうふうに考えておられますか。これは一言で簡潔にお願いします。

鈴木国務大臣 後年度負担につきまして、先ほど浜地先生とのやり取りもあったわけでありますが、防衛力整備計画におきましては、二〇二三年度から二〇二七年度までの五年間のその後の整備計画においては、これを適正に勘案した内容とし、二〇二七年度の水準、これを基に安定的かつ持続的な防衛力整備を進めるものと、そこに記されております。

 したがいまして、後年度負担はあるものの、更に増大するということは必ずしも言えないのではないか、そういうふうに思います。

末松委員 この議論、またいたしましょう。

 時間がないので、次に行きます。

 あと、浜田防衛大臣にお伺いします。

 ちょっと順番を変えまして、反撃をする場合の問題点というと、これは柳澤参考人も言っていたんですけれども、例えばトマホークで反撃をするというのが今メジャーに考えられていることかもしれませんけれども、トマホークの爆弾の爆薬の量が四百五十キログラムでありました。

 私、実は、イラクのバグダッドで、スカッドBというミサイルを受けたんですよ、実際に食らった方なんですよね。あのときに、でも、あれはもっと爆薬量は多かったと思うんですけれども、あれで三、四十メートル、まあ、すぐ近くに落ちたんですけれども、三、四十メートル、クレーターが空いたんですね。本当に、火柱と煙の渦と悲鳴の嵐みたいなのを私も体験して、そこからかなり人生観も変わったんですけれども。

 例えば、トマホークだと、飛行場一つ反撃で撃つとしても、数十発要ると私は思うんですよね。何か、わあっと爆発しても、ああ、何だと、そんな感じかもしれないですけれども、そうすると、どうもちょっと、小規模な反撃効果で本当にできるんですかというのが素朴な軍事的疑問なんですけれども、どうですか。

浜田国務大臣 今委員の御指摘の点でありますけれども、我々とすると、反撃能力については、日米が協力して対処していくこととしておりますし、また、情報収集、日米共同でその能力を効果的に発揮する協力態勢を構築することとしておりますが、御指摘の一二式地対艦能力向上型やトマホークは、我が国に侵攻している艦艇や上陸部隊等に対して、相手の脅威圏の外から対処するスタンドオフミサイルとして整備するものであります。

 また他方、スタンドオフミサイルは、この二種類のみではなくて、高速滑空弾や極超音速誘導弾などを含め、射程や速度、飛翔の態様、発射プラットフォームといった様々な点で特徴が異なるスタンドオフミサイルを整備することとしております。

 これらを組み合わせることによって、我々とすれば、重層的な対応が可能となって、相手に複雑な対応を強いることでこの能力を発揮していくというふうに考えておりますので、今回の、今御指摘のトマホークについては、我々とすれば、そういった我々に侵攻してくる部隊に対しての、要するに、使うということが我々の考えているところでありますので、よろしくお願いいたします。

末松委員 では、一言で言えば、例えば場合によって大陸とか、それには撃たないということでいいんですね。

浜田国務大臣 我々の想定しているものの中では、要するに、上陸してくる艦艇だとか、そういった脅威圏の外から我々自衛隊に対して補助的に、要するに、それを選別するというのが我々の考えていることでありますので、またこれはちょっと、反撃能力とまたちょっと違った考え方だというふうに思います。

末松委員 何か、指揮命令系統の、そういった地点もたたくというようなことを自民党の方で言われていたので、まさしくそういうところではなくて、基本的に大陸以外でやるんだという話を今理解したところです。

 あと、時間がないので、もうあと一、二点やりますけれども、今、ウクライナ紛争で、高機動のHIMARSというのがありますよね。あれは、陸自の方では、多分、日本版HIMARSと言われていて、MLRSと言われているんですけれども、これは百基ぐらい購入していたんですけれども、今はどんどん削減されて、これが二十基ぐらいに減って、さらに、ゼロぐらいになるんじゃないかと。アメリカなんかはこれを二〇五〇年まで就役させようというようなところを言われているんですけれども、何で日本だけそういうふうに削減しちゃうんですか。

川嶋政府参考人 お答えをいたします。

 自衛隊の主力の火力といたしまして戦車それから火砲がございますけれども、これを効率化、合理化を徹底するということにしておりまして、戦車については三百両、火砲については約三百門に減少するというその過程におきまして、多連装ロケットシステム、先生おっしゃいましたMLRSでございますけれども、これについては平成三十年度より順次用途廃止をいたしてございます。

 これは、MLRSは、精密誘導による攻撃が可能ではあるものの、平成四年度の導入開始以降、平成一桁の装備でございますが、約三十年が経過しておりまして、部品枯渇対策等を含め、引き続き保持するには維持関連経費が非常に高くなるということに加えまして、機動性に一定の制約があり、これは、MLRSはキャタピラを履いておりまして、車輪じゃないということでございますが、機動性に一定の制約がありまして、運用場面が限られるということなどを総合的に勘案し、陸上自衛隊においてはこれを用途廃止をするということに決めたものでございます。

 その上で、現在といいますか、今般できました防衛力整備計画におきましては、機動性に優れました一九式装輪自走百五十五ミリりゅう弾砲の取得を推進するということとしておりまして、当該装備品が使用する弾薬につきましても、長射程かつ高精度な誘導が可能となる誘導砲弾の取得を計画しておりまして、火砲の質的向上を図ることとしておるものでございます。

 さらに、このような従来装備品の質的向上に加えまして、スタンドオフ防衛能力あるいは電磁波、サイバー等の新しい領域の能力の強化、各種無人機の導入などにより、新しい戦い方について総合的に対応していく考えでございます。

 以上でございます。

末松委員 要するに、私の研究会で、いろいろな、自衛隊のOBの方もおられるんですけれども、何人もの方が、それに対して、何で今頃HIMARSを廃止するんだと、非常に憤慨されていたんですね。そこはつけ加えて、付言しておきます。

 あと、大臣に最後の質問になるかと思いますけれども、今、海上自衛官のリクルート問題の実態はどうかということと、私は、そういう、何か隊の中で聞いてみると、どうも若い方が、例えば恋人にメールも送ることができない、だから嫌だといって辞めていく、辞めたその負担が周りの人にかかってきて、その周りの人がまたしんどくなって辞めていく、それが結局、その部署が崩壊していくという状況が結構出てきているという話で、本当に厳しいことだと思うんですね。

 単に給料を上げたからといって、それで解決するかという話じゃないと思うんですけれども、本当にこれは深刻な問題なので、どういう形でそれを改革していくのか、そこを是非お伺いしたいと思います、実態とともに。

浜田国務大臣 艦艇乗務員の人材確保については、防衛力整備計画において、艦艇のような特殊な環境であっても働きやすい環境となるよう留意するとされていることを踏まえて、環境改善に取り組んでまいりたいと考えております。

 委員おっしゃるように、艦艇乗組員のための家庭通信環境に関しては、隊員の個人の携帯電話からメールを可能とするWiFiを食堂などの共用区画に整備をしたり、メールの送受信を一日二回までとする通信制限を一部緩和したり、そしてまた、大容量通信が可能なKuバンド衛星回線を用いた家庭通信の検証といった取組を今実施しているところであります。

 潜水艦については、水上艦艇のような通信環境を整備することは困難でありますが、潜水艦乗組員の手当は護衛艦乗組員の手当よりも勤務環境の厳しさ等を踏まえたものとしておりますし、また、女性自衛官の乗艦に必要な潜水艦の居住区等の整備を実施しておりまして、令和五年度には約三千万の改修工事費を計上して、女性自衛官を受け入れる体制を整備をしております。

 その他、艦艇乗組員については、再任用自衛官を補助艦艇に勤務可能とするなど新たな取組を行っておりますし、従来から実施してきた積極的な採用広報や、ワーク・ライフ・バランスの推進と併せて人材確保に努めております。

 我々、一つずつ今積み重ねてやっているところでありますが、なかなか即効性のあるものというのは今のところ見つかっておりませんので、更に検討していきたいというふうに考えます。

末松委員 よろしくお願いします。

 潜水艦なんかは、メールしちゃうと位置が全部ばれちゃいますから、本当に困難な話だと思いますけれども、そこは頑張っていただきたいと思います。

 では、終わります。

塚田委員長 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 篠原豪でございます。

 本日も質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 この間のいろいろ議論を聞いていますと、やはり財源の確保をどうしていくのかということ、これは適切なのかということで、先ほど玄葉委員からも、正面から国民の皆様に正々堂々と真っ当な説明をすべきだ、これが伝わっていないんじゃないかと。これでいろいろなやりくりをしていって、これじゃいけないんじゃないんですかということを、皆さん、様々な論点でお話をされているんだと思います。

 私も、そういった視点で、これまでの議論もありますので、お伺いさせていただきたいと思うんですが、重徳委員が前回の連合審査のときにも言っていた話ですけれども、GDP比二%ありきの四十三兆円、これは外務大臣の説明文書にもそのように書いてあるので、そのとおりなんじゃないですか、そうじゃなければ書き換えた方がいいということも御指摘をさせていただいていると思います。

 これまで政府は、内容の積み上げの結果として、二〇二七年度において、防衛力の抜本強化とそれを補完する取組を併せて、そのための予算水準が現在のGDPの二%に達するよう所要の措置を講ずるものとしたものというふうに説明してきていますが、しかし、やはり、聞いていますと、実態は、財源議論をする前に、まずは二%ありきで四十三兆円に政治決着をしたんだというふうに考えています。これを冒頭で指摘させていただきます。

 岸田首相が、防衛力の抜本的強化とそれを補完する取組を併せ、そのための予算水準が現在のGDP比の二%に達するよう浜田防衛相と鈴木財務相に指示したのは、昨年の十一月二十八日のことです。そして、それまで防衛省は、二〇二七年度までの五年間の中期防衛力整備計画の防衛費の総額として四十八兆円を要求をし、そして、査定する側の財務省は、報道によりますと、三十五兆円に抑えた意向を、三十兆円前半というのもありましたけれども、提示して調整したというふうに報じられています。ですので、この時点、十一月二十八日の時点前までは、積み上げは四十八兆円ということでございます。

 そして、このGDP二%ですが、現在のGDPを前提とすると約十一兆円です。そのうちの約二〇%を防衛力の抜本的強化を補完する取組のための経費と想定していたわけでありますので、これを結果から見れば、防衛力の抜本強化のための関係予算は現在想定されている八・九兆円と一致することになります。ですので、数字を合わせていったということだと思います。

 一方で、防衛省は、二三年度の概算要求で過去最大の五兆五千九百四十七億円を計上していましたが、金額を示さない事項要求、これも含めて、最終的には更に一兆円程度を上乗せする予算にするとしていましたので、まさに、今現状示されているとおりだというふうに思います。今お話ししたのは、実際を見ればぴったり一致するわけですよ。

 そうした中で、昨年の十二月一日に、政府は、二〇二三年度から五年間の防衛費の総額を四十兆円とする方針を与党に伝えて、同日、防衛省は、一割減額した四十三兆円とする案を与党に示したということでございます。

 この四十三兆円の防衛省の案を受けて、岸田首相は十二月五日に、浜田防衛相と鈴木財務相に対して、この四十三兆円を上限として必要な積み上げをするよう指示をし、また十二月八日には、政府与党政策懇談会において四十三兆円程度とすることを述べ、最終的に四十三兆円に政治決着をしたというふうに私たちは考えています。

 しかし、この時点で財源が確定していたわけではありませんでしょうから、そもそも、現在の財政状況で四十三兆円をどのように確保するのか。これは恐らく今に至っても、財務省の皆さんは、正直、試行錯誤しているんじゃないかと考えています。

 防衛力について、四十三兆円決まった、これの中身をどうしていくか、財源をどうしていくかという話ですが、先日、我が党の櫻井委員が、三十五兆円あるいは三十兆円台前半とかその付近の金額を財務省は考えていて、防衛省さんは四十八兆円という話をして、それで四十三兆円に収まったというところについて財務省さんに聞いたところ、そんなようなことはしていないと言うんですが、実際に十一月二十八日にお話を二人でされていますので、財務省としては幾らだというふうに、最初、このぐらいで考えているというのは、財務大臣、おっしゃったのかというのは確認させていただくことはできますか。

鈴木国務大臣 いろいろな局面でお話をさせていただきましたので、どの段階でそうした数字のやり取りをしたというのは、ちょっと不正確なものになってしまうということで、今ここで責任のあるお答えをすることはできません。

篠原(豪)委員 新聞によりますと、十一月二十八日にその会談をされています。

 では、三十五兆円程度というのを、どの段階じゃなくてもいいんですが、浜田防衛大臣とお話ししたことはありますか。

鈴木国務大臣 いきなり防衛大臣と話をして詰めたという性格のものではなくて、まずは事務方で十分に中身も含めて協議をして詰めていった、そして積み上げていったということであります。

 実際の話、何か私が数字を握って持っていて浜田大臣と直接やり取りする、そういう局面はございませんでした。

篠原(豪)委員 直接数字の話はしたことがない、財務大臣とというふうにおっしゃっているんですけれども、じゃ、実際、どの場で誰と、この三十五兆円程度というものと、防衛省さんの四十八兆円という中期五年計画の、昔は中期防衛計画ですけれども、この話というのは、折衝をどの場でして、どういうふうにお金のやり取りというのはするんですかね。

浜田国務大臣 先ほども鈴木大臣からお話がありましたけれども、これは事務方同士の中で話合い、調整が進んだものと考えております。

篠原(豪)委員 報道には出ていて、国民の皆さんが何を聞きたいかというと、財務省はこういうふうに考えていた、三十五兆円、一生懸命厳しく見て、防衛省さんは高めの球を投げるというふうに新聞には書いていましたけれども、一切譲るなということで、総理や政調会長も含めてそういう指示を出して財務省さんに圧力をかけた、こういうふうになっているわけですよ。

 その金額が、四十八兆円と三十五兆円というのは余りにも乖離があるんですね。なので、この増税の議論があったりするときに、その基のところがどうしてこんなに省庁で差があるのかというのは、やはり気になるところだと思うんですね。

 なので、ここはやはり、大臣はそのトップをやられているわけですから、お二人とも国民の皆さんにもう少し丁寧に御説明していただく必要があると思うんですけれども、いかがでしょうか。

鈴木国務大臣 折衝の過程はいろいろございました。そして、事務方でかなり突っ込んだやり取りをいたしました。しかし、最終的に、積み上げていけばこれぐらいになるだろうということで、総理もそれでいこうということになり、結果的に、この四十三兆円という規模でまとまったわけであります。

 したがいまして、今、財務省がこの数字について心に何か持っているとか、そういうことはありません。まさに政府として決定をして、この枠内で防衛力の抜本的強化をしっかりと進めていこうと。財務省も責任ある立場でこれに取り組んでいきたいと思っております。

篠原(豪)委員 総理が決定をした決め方が、やはりGDP比の二%ありきで、そこのところで落としどころをつけようといったところが適切だったのかというところを今度考えなきゃいけないと思うんですね。

 防衛力は中期、長期的には経済力が基本なので、経済力を無視して防衛力を維持することはできません。なぜならば、そのような考え方では国力そのものを駄目にしてしまうということになるわけです。国の経済の成長率があって、その中で防衛費をどのぐらいやっていくかというのは当然国家としては考えていかなければいけないことだと思いますし、その中で政府が、NATOがGDP比二%目標を立てて努力しているので、我が国もそれに応える必要性があるということで、こういったことを考えてやってきたということだと思いますけれども。

 NATOも、二〇二二年時点でGDP比二%に実際に達したのは、加盟国三十か国中、今三十か国、NATOはありますね、そのうち七か国なんですね。このうちの提唱国のアメリカを除けば、主要国でいえばイギリスだけなんです。二%を超えているのは、二二年度でイギリスだけなんですね。さらに、ウクライナ危機という緊急性はあるにせよ、財政事情をやはり考慮しながら達成時期を決めるのが本来の在り方だったというふうに考えています。

 なので、この四十三兆円はGDP比二%ありきの予算であるので、国の財政状況をちゃんと省みた予算かどうかということを、私はこれは、今申し上げましたようにイギリスだけしかないので、そこのところを立てていった十一月二十八日の、総理はGDP二%で頑張りなさいという指示をしていますから、そのことについて、これがしっかりと財政状況を考えた予算であるというふうに、今、これまでの議論も聞いて、防衛大臣、どういうふうに、四十八兆円立てちゃって、立てちゃってという言い方は申し訳ないですけれども、どうかというふうに思うんですが、多めに見積もった防衛大臣からすれば、防衛省の方からすれば。

浜田国務大臣 今回の防衛力強化の検討に際しましては、極めて現実的なシミュレーションを始めとする様々な検討を行い、必要となる防衛力の内容を積み上げ、四十三兆円程度という防衛費の規模を導き出しました。

 防衛力の抜本的強化の内容と併せて、これを補完する取組として、研究開発、公共インフラ整備といった総合的な防衛体制を強化するための経費などを積み上げたところであります。GDP二%については、こうした積み上げの考え方が大前提でございます。

 その上で、NATOを始め各国は、安全保障環境を維持するために、経済力に応じた相応の国防費を支出する姿勢を示しており、我が国としても、国際社会の中で安全保障環境の変化を踏まえた防衛力強化を図る上で、GDP比で見ることは、指標として一定の意味があると考えているところであります。

 二〇二七年度において、防衛力の抜本的強化とそれを補完する取組を併せた、現在のGDP二%に達するよう所要の措置を講ずることとしたものであり、GDP二%ありきとの御指摘は当たらないと考えます。

篠原(豪)委員 いや、GDP比二%と首相が指示と書いてあるんですね、新聞には。書いているんです。皆さんそうやって報道されているんです。余りにもでたらめだったら、そういうふうに新聞記事になかなかならないんじゃないかと思いますので。見出しを打ってやっていますから。今そういうふうに政府としてはおっしゃらなければいけないのかもしれないけれども、私たちはそう思っていないという話を今しているんです。

 更に言えば、今経済成長と防衛費の話がありましたので、ちょっとここも見ていきたいと思います。

 一九九〇年から二〇二一年にかけて世界の防衛費の変化を見てみますと、アメリカの優位は揺るぎませんけれども、金額ベースで二・五倍になっています。それで、中国はドル換算で約三十倍となっています。もちろん、計数の幅、年度によって多少のがたつきはあるんですけれども、九〇年から二〇二一年を見ますとそういうふうになっていて、中国は今、旧ソ連に替わって第二位に浮上して、同じく、七倍となったインドが今第三位、韓国は五倍。日本は今十位ですけれども、韓国は日本に次いでいるということになります。

 ただ、今おっしゃった経済力ということから考えると、アメリカも中国もインドも韓国も、いずれも、GDP比で見ると、この期間、実は防衛費は減っているんですよ、対GDP比で見ると。これは何でかというと、経済成長をしているので、国防費負担を増やしていても、軽減につながっているんです。

 ところが、日本はこれに関して、今、日本は金額ベースで一・九倍となっているんですが、当時から、増加幅が小さいにもかかわらず、GDP比では〇・九%から一・一%に上昇しているということになります。

 今政府は防衛費を倍増させようとしていますけれども、日本の場合は、二%を決めても、ほかの国は経済成長していますよ、GDP比で下がっていますよ、だけれども、日本の場合は経済成長が非常にゆっくりですね、ほかの国と比べてせいぜい一%とかそんなものですから、そういった中で、低成長が続く日本経済への負担というのは、ほかの国の二%を見ていても、実態としては、日本にとっては並大抵の数字じゃないんです。

 さっきも申し上げましたけれども、アメリカとイギリスぐらいなんですよ、二%、GDP比で増やしているのは。だけれども、その国は成長している。中国も三十倍になっていますけれども、それでもGDP比は今どんどん下がっていくという状態になっているので。

 そうすると、日本の場合、ちゃんとここを考えて、今回の財源確保、あと、今後の財源確保を考えないと、そもそもの基盤が、片方の数字だけありだと、やはりこれは損なわれていくということになると思います。長い目で見れば、ちゃんと両方両立させていかないと、これは弱体化する危険性、防衛費が重たくなっていって、日本はこの百年間に二度戦争の経験もありますし、後で国債の話をしますけれども、そういった危険性もあるのではないかと思っています。

 防衛力の強化に当たっては、やはり経済を第一に考えるのが大事だというふうに思っていますが、このことについて、例えば、質問しますけれども、ちょっと余分に御説明しますね、通告以上に。二〇二三年度の税制改正大綱には、二〇二七年度に一兆円強を確保するとして、法人税と、先ほどからあります所得税、たばこ税を明記していますけれども、現下の経済状況を考えれば、増税の余地もないんじゃないかというような話もあるわけです、今のような話があって。

 その中で、したがって、目標額を二七年度八・九兆円というふうにしていますけれども、これも正しいのかどうかというところはやはり考えていただきたいというふうに思っていまして、まずは、日本は防衛力で、長い目で見れば、経済を第一に考えるのが基本と考えて計画を立てていかないとと思っていますので、今回の抜本強化策が果たしてこういう観点をしっかり考えてやっているのか、財務省はそれをどう捉えているのかということをお伺いいたします。

鈴木国務大臣 GDPが伸びている国と伸びていない国で防衛費にかける対GDP比の見方は違うんだという先生の御指摘は、そのとおりであると思います。

 私も、やはり経済というものを防衛力の強化に当たっては第一に考える、それが基本である、そういうふうに思っております。防衛力の強化、これに取り組む上で、経済力はその基盤でありまして、平時から経済力を強化をして持続的な成長を実現すること、これは安全保障の観点から重要なものであると考えております。

 この点、国家安全保障戦略におきましては、我が国の経済が成長できる安全保障環境を確保しつつ、経済成長が我が国の安全保障の更なる改善を促すという、安全保障と経済成長の好循環を実現するということが書かれているところであります。

 こうした観点から、政府といたしましては、足下の経済状況に機動的に対応しつつ、成長と分配の好循環の実現などを通して日本経済を新たな経済成長の軌道に乗せていくとともに、一層厳しさを増す安全保障環境に対応し、防衛力の抜本的強化を速やかに進めていくことが重要であると考えております。

 防衛力整備計画においては、防衛力の抜本的強化の一環として、関係省庁や民間の研究機関、防衛産業を中核とした企業との連携強化を含め、我が国の防衛生産、技術基盤の強化にも取り組むこととしておりまして、こうした取組を通じて安全保障と経済成長の好循環を実現したいと思います。

 いずれにしても、経済力というものが防衛力整備の基盤にならなければならない、そう考えているところです。

篠原(豪)委員 今回の総額というのは、さっきも申し上げましたけれども、税制改正大綱にも、たばこ税も法人税も所得税もあって、現下の状況を考えれば、本当に大変ですよ、一兆円増税するって。これが果たしてできるのかということで、やはり、ふさわしい、日本の経済力にかんがえた防衛強化の規模を見ていくときに、この一兆円分というか、少なくとも八・九兆円を八兆円以下にするという努力は考えていっていただきたい。まだ決まっているわけじゃないですから、いつから増税するというのは。なので、それは考えていただきたいというふうに強く指摘をさせていただきます。

 大事なのがやはり財源の問題で、皆さんもお話ししていますけれども、安定財源の確保をどうするかということで、二〇二七年度に約八・九兆円と今申し上げたように見積もられていて、防衛費が二〇二〇年度のよりも三・七兆円多くなります。その中で、財務省の資料でもありますけれども、これは歳出改革、決算剰余金、防衛力強化資金、税制措置でこれを確保するというふうになっていますが、やはり、政府の言う安定財源に該当するのは税制措置と歳出改革だけではないかというふうに思っています。

 それで、まず、私も歳出改革のところを見てみたんですが、歳出改革は借金を増やすわけではないので、本来であれば安定財源に分類するべきものでありますし、果たして本当にそうなのかなと思ったら、実態は違う、これは別物であるということが分かったということでございます。歳出改革のところです。

 実際、今申し上げた現下の財政状況の中で、他省庁の予算を削って防衛費に一兆円強の財源を確保するというふうにしていますけれども、これも本当にできるのかなというふうに思うわけです。だって、毎年二千億円ですよ、毎年二千億円、どこかからお金を持ってきて、本当に歳出改革をやるんだったらですよ。

 それで、よくよく見たところ、実はそうじゃない。からくりがあるというふうに新聞では書いてありますけれども、そのからくりは何かといえば、予算編成において、非社会保障費の増加額を年間三百三十億円までとしていたのを、物価上昇率の増加を理由に今回千五百億円に引き上げる、その分、削減余地を生み出すもので、こうした操作に、これは操作ですよね、によって、二三年度は二千百億円を見込むことができたということのようです。

 これはやはり、非社会保障費の増加部分は、実態は赤字国債ですよ。他省庁の予算を削って財源を確保しても歳出改革には値しない、安定財源とも言えないということだと思いますので、今後も非社会保障費の増加額を上げ続けるのであれば、このやり方がやはり赤字国債にそのままつながりますので、総理は国債を発行しませんと言っていますけれども、これはそのものなんじゃないでしょうか。どういうふうにお考えかということをお伺いします。

鈴木国務大臣 様々な歳出改革のうち、御質問があったわけでありますが、先生からもう既に御質問の中で触れられていましたので、そこを繰り返す……(篠原(豪)委員「そうですね、短めにお願いします。済みません」と呼ぶ)はい。

 先生から御指摘のとおりでありまして、非社会保障関係費の増加額につきましては全体で一千五百億円程度、これは、従来の伸びの三百三十億円、一年、これを物価の上昇率四・五倍をして、それに抑えるということ、そして、防衛関係費以外の非社会保障関係費について、一層の効率化により六百億円程度の歳出を削減することで、防衛関係費の増額のうち二千百億円程度に対応する財源を確保したというのは、先生の御指摘のとおりでございます。

 我々としましては、これまでの歳出改革の取組を継続をして、そして歳出増を一定程度に抑えることができたものとなったことから、防衛力強化のためのしっかりした財源として確保できたもの、そういうふうに思っております。

 そして、非社会保障関係費の増額の財源は国債ではないのかという御指摘もございました。

 一般論として、歳出と歳入の全てが個別にひもつけられているものではありませんけれども、令和五年度予算において、前年度当初予算と比べますと、税収が約四・二兆円増加していること、赤字国債が約一・六兆円減少していることを踏まえますと、非社会保障関係費の増額がそのまま赤字国債の増加につながっているとは考えていないところであります。

篠原(豪)委員 じゃ、済みません、ちょっと時間もないので聞き方を変えますけれども、それはやはり国債ですよ。

 例えば、コロナ予算の、今回、特措法の財源の問題で、政府がコロナの不用額の繰入れをやろうとしていますけれども、これも一回限りの措置でしかありません。コロナの対策費の財源は、財務大臣がたしかおっしゃったと思うんですけれども、大宗は赤字国債ですとおっしゃっていましたね。大宗は、皆さん御存じのように、ほとんど全部が国債ですという意味ですね、大部分は。そういうふうにおっしゃっているわけです。これも一回限りの措置ですけれども、繰り入れます、決算剰余金として。こういったことが続くということも、あと、外為特会の剰余金も、一般会計に繰り入れるためには政府短期証券を発行して円を調達する必要がありますので、これも借金を結果的に膨らませるということになるわけです。財投特会も似たようなもので、決算剰余金の話は全部そういうふうになっています。

 なので、ちょっともう時間がなくなってきましたので聞きますが、まず、このコロナの予算、これは一回限りで入れるんですけれども、なぜ、国債で発行したものを全て使うことが国民負担を抑えることになるのか。これは国債そのものじゃないですか。

 さらに、さっき、岸田総理は防衛費の増額には国債は充てないというふうに言っているというふうに御答弁されましたけれども、建設国債の話もあるわけですよね、建設国債の話も。国債を元にしたものを、一回だけのもので恒久的な財源じゃない中で、もう一度申し上げますけれども、外為特会の余剰金、これはどういうふうに考えるのか。

 そして、国債を国民の皆さんに、今言ったコロナの問題のものもそうだったし、決算剰余金もそうですし、そもそも赤字国債、おっしゃっているように、大宗が赤字国債ですから。こういった中で、今言っている政府の説明、先ほどの御答弁を聞いても、これは国債だらけじゃないかと思うんですけれども、元の原資は。それをいろいろなやりくりをしたって、結局は借金が膨らむわけですから。

 それを国民の皆さんに、いや、それは関係ないんですよというふうに答えるのが果たして適切かと思うんですが、財務大臣、どのように考えられますか。

鈴木国務大臣 先生からいろいろ今御質問がたくさんありましたので、全てに答えられるかどうか分かりませんが、まず、外為特会の話がございました。結局はこれも赤字国債につながるのではないか、そういう御指摘でございました。

 外為特会の一般会計への繰入れは円貨で行う必要がありますので、政府短期証券を発行して見合いの円貨を調達した上で実施をしています。つまり、ドルで入ってくるわけですから、ドルを一般会計へ入れるわけにいかないので、こういうことをするわけであります。

 これは債券利息等の運用収入等で得た見合いの外貨資産があるということを前提とした仕組みであることから、裏づけとなる資産がしっかりあるという意味で、将来の国民の御負担につながる一般会計における国債の発行とは性格が異なるものであると思います。償還財源が明らかではないものと、このように見合いの裏づけとなる資産があるという意味におきまして、外為特会の一般会計への繰入れ、これは結果的に借金を増やすということにはならないということでございます。

篠原(豪)委員 コロナのお金についての質問と、あと、国債を岸田総理は防衛費に使わないと言っていますけれども、さっき御答弁でそういうふうなことを言っているので、しませんと言ったけれども、建設国債も使うわけなので……

塚田委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。

篠原(豪)委員 そのことについて、しないという話じゃなくて、するじゃないですかということなので、借金がいっぱい増えるんじゃないかということを、ちょっと答えていないので、最後、それだけ聞かせていただいてもよろしいですか。

塚田委員長 じゃ、最後に、簡潔に答弁願います。

鈴木国務大臣 コロナの関係の、今、補正予算、それは赤字国債由来のものが含まれているわけでありますけれども、岸田総理が言っているのは、新たな国債を増やさないということでございます。そういう気持ちで、新たな国債を増やさないということでしっかりと対応をしていきたいと思います。

 そして、建設国債の対象経費に、自衛隊の艦船でありますとか隊舎等、これを対象経費にしたというのは、今回の防衛力強化の様々な取組におきまして、海上保安庁やその他のところと自衛隊との、一緒に協力してやっていくという中で、既に海上保安庁等の艦船等におきましては建設国債の対象となっておりますので、防衛力全般の財源を賄う中において全体として整理をしたということでございます。これが新たな赤字国債の発行につながるというものではありません。

篠原(豪)委員 時間ですので終わりますけれども、福田赳夫大臣は、こういった防衛関連の予算に国債を充てないと一九六六年に言っていまして、その大きな転換をするのと、財政法四条との絡みもあるので、このやり方が本当にいいかどうかということは引き続き議論をさせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

    〔塚田委員長退席、鬼木委員長着席〕

鬼木委員長 次に、岬麻紀君。

岬委員 連日、皆様、お疲れさまでございます。日本維新の会、岬麻紀でございます。

 本日も二十五分間の質疑時間をいただいております。ありがとうございます。

 本日も引き続き、防衛費の財源確保法につきまして、二〇二五年プライマリーバランスの黒字化目標について財務省へ、そして、決算剰余金の活用について財務省と日銀へ、そして、予備費について財務省に質問をさせていただきます。

 それではまず、二〇二五年度プライマリーバランス黒字化目標についてからお聞きいたします。

 この数年のコロナ禍においても、税収は堅調に推移をしているとも取れます。一方で、歳出も増加をしておりまして、国債残高は積み重なり、一千兆円を超え、膨れ上がるばかりでございます。さらに、今後は、防衛費を始め、子供、子育て予算の拡充、また脱炭素社会へ向けたGXへの投資などメジロ押しでございます。歳出増加は必至の状況でございます。

 防衛費の財源を安定的に確保できるかどうか、まだまだ不安が残り、疑問も残ったままでございます。この不安定な状況の中で、子供、子育て予算など、財源は安定的に、そして持続的に確保ができるのでしょうか。仮に国債に頼るとでもなれば、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化目標の達成も危ぶまれます。

 鈴木財務大臣は、財政規律維持の必要性や二〇二五年度プライマリーバランス黒字化目標の堅持を繰り返し表明されていらっしゃいます。三月二十九日の当委員会では、財政規律を守るということが極めて重要であると考えており、累積する債務残高を中長期的に減少させていくために、プライマリーバランスを二〇二五年度に黒字化すること、これにより債務残高対GDP比を安定的に引き下げること、これを政府の方針としており、これに沿った財政運営を行っていくとおっしゃいました。

 二〇二三年一月の内閣府試算においては、防衛費強化については、防衛力整備計画等に沿って、財源確保も含めて所要の措置を取られているということが前提となっています。

 また一方、二〇二三年二月十日、委員会におきまして、鈴木大臣は、防衛力強化の抜本的強化のための財源を確保できない場合には、プライマリーバランスの黒字化目標の到達は困難になると示されています。そして、二〇二三年二月十日、同じく委員会におきまして、鈴木大臣は、今回の内閣府の試算の中には、子供政策に対する予算というものはまだ決まっていないので反映されていないと理解をしている、そのようにも述べられています。

 そうなると、ここで質問ですが、防衛力強化と同様に重要であり、かつ現在検討が進んでいる子供、子育て政策の財源確保によっては二〇二五年度黒字化目標は達成できないのではないか、プライマリーバランスの黒字化の目標が達成できないという場合にはどうするのか、またそのように考えているのか、まずそこをお聞かせください。

鈴木国務大臣 子供、子育て政策でありますけれども、具体的な財源につきましては、今後、その内容等と併せて検討を深めていくべきものとされておるところでありまして、今時点において何か決まったものはございません。したがいまして、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化目標に与える影響について、今、予断を持ってお答えすることは困難であります。

 その上で申し上げますと、財務省といたしましては、従来より、骨太方針に定められた財政規律の方針に沿って、恒久的な歳出を大規模に増加させる場合には、これに対応した安定的な財源を確保することで個別に対応してきておりまして、こうした方針の下で、引き続き、プライマリーバランス黒字化目標の達成に向けて、責任ある経済財政運営に努めてまいりたいと考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 しかしながら、日本の政府債務残高の対GDPは、二〇二三年で二五八・二%と突出をしていると発表もされています。

 また、四月十四日、財政制度等審議会財政制度分科会、財政総論、財務省によりますと、世界の中での日本の財政まとめ三十ページには、我が国の債務残高対GDP比は世界最悪の水準にある、膨大な政府の債務は潜在的に大きなリスクがある、このリスクを顕在化させないように、財政健全化への取組をする姿勢を維持する必要があるとされています。

 これは、リスクがあるのに、リスクを顕在化させないようにというのも少し疑問がありますけれども、本日皆様にお配りをしております資料の一枚目を御覧ください。

 こちらは、IMF対日四条協議最終レポートとしまして三月の三十日に公表されております。

 中長期的な債務の持続可能性を確保するためには財政再建が必要です、これはもちろんでございますが、これは基礎的財政、プライマリーバランス赤字を削減して、債務残高対GDP比を明確な下降軌道に乗せるための信頼できる中長期的な財政フレームワークによって支えられるべきであるということなんですが、このIMFの最終レポートにあります、明確な下降軌道に乗せるためということですけれども、これはどのように、中長期的な財政フレームワーク、構造で対策を進めていくとお考えなんでしょうか。実際、できるんでしょうか。教えてください。

鈴木国務大臣 IMFによります二〇二三年の対日四条協議報告書でございますが、そこでは、先生が今御指摘をなされましたように、我が国の公的債務残高対GDP比が中長期的に着実に増加をしていく見通しである中で、債務残高対GDP比を明確な下降軌道に乗せるため、中期的な財政フレームワークが必要であるとの指摘がなされているわけでございます。

 債務残高の規模が著しく増加することは、利払い費の増加による財政の硬直化でありますとか、国債や通貨の信認の低下を招くおそれがあり、望ましくないのは当然でございます。

 財政の持続可能性を確保するためにも、累積する債務残高を中長期的に減少させていくことが重要でありまして、国、地方のプライマリーバランスを二〇二五年度に黒字化すること、これにより債務残高対GDP比を安定的に引き下げること、これを政府の方針としているところでございます。

 私どもとして、中長期的な財政フレームワークという言葉をIMFは使っておりますが、こうした従来からの方針、この枠の中で、市場や国際社会における中長期的な財政の持続可能性への信認、これが失われることのないよう、経済再生と財政健全化の両立を図ることで、責任ある経済財政運営に努めてまいりたいと考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 いずれにしても、かなり危機的な状況であるということは間違いないのではないでしょうか。

 次に、決算剰余金の活用について伺ってまいります。

 この論点はほかの委員からも何度も質疑がされておりますが、本日は、日銀の納付金の観点から質疑をさせていただきます。

 では、二枚目の資料を御覧ください。

 こちら、新聞記事でございます。三月十五日の日経新聞ですけれども、「政府剰余金 日銀が底上げ」という記事が見出しに出ております。この記事によりますと、税収の上振れや、また予算の使い残しで生じた剰余金のうち、日銀の納付金の上振れ額、十年間で全体の約二割を占めているというものです。計二・四兆円にも上ったと書かれています。金融緩和政策を受けまして、上場投資信託、ETFの分配金の増加などが納付金を膨らませたということが書かれているわけです。

 そこで、日銀に質問をさせていただきます。

 日銀の納付金の額について、近年三年の推移と、またその収益の中身について教えてください。

福田参考人 お答え申し上げます。

 直近三年度分の国庫納付金の金額は、二〇一九年度は約一・二兆円、二〇二〇年度は約一・一兆円、二〇二一年度は約一・二兆円でございます。

 また、日本銀行の経常的な収益源としましては、保有する国債の利息、ETFの分配金、金融機関に対する貸出金利息などがあり、二〇二一年度決算においては、国債の利息とETF分配金が相応の割合を占めております。

岬委員 ありがとうございます。

 次に、異次元の金融緩和と納付金の関係についても触れていきたいと思います。

 二〇二三年四月八日の読売新聞によりますと、これまでの金融緩和で国債やETFを大胆に買い入れてきたと。日銀の総資産は、二〇二三年三月末時点で、二〇一三年三月末比四・五倍の七百三十四兆円と膨らんでいます。また、国債は五百八十一兆円、ETFは二十五倍の三十七兆円にも上ったということです。

 ここで、日銀に同じく質問でございます。

 日銀の国債保有比率は五割を超えている状況でございます。また、日銀の総資産はこれまでの四・五倍となり、国債の利息収入も増えるものと考えられます。こうした点を踏まえまして、これまでの金融緩和と、それによる日銀納付金の額について、日銀はどのような見解をお持ちなんでしょうか。教えてください。

福田参考人 お答え申し上げます。

 日本銀行の収益は、金融政策を始めとした様々な政策、業務運営の結果生じるものであり、こうして生じた収益を元に国庫納付を行っているということでございます。

岬委員 ありがとうございます。

 ETFに関しましては、二〇一〇年に購入が始まっています。日銀が保有するETFの残高、昨年九月末の時点で、帳簿上の価格が約三十七兆円、これを時価で見ますと約四十八兆円になります。

 日銀の植田新総裁、総裁になる前ではございますけれども、二月二十四日の国会で、所信質疑におきまして、大量にバランスシートにたまってしまったETFを今後どうしていくかという点に大きな問題や課題があるとおっしゃいました。金融政策の面で出口に行くという実態が実現していった暁には、このETFも出口に行くということだとおっしゃっています。どう扱っていくかということを具体的に考えないといけないと思いますが、まだちょっとそこには時間があるということと認識をしているので、具体的な手法については、情報発信をするのは今は早過ぎるというような見解であったと思われます。

 そこで、質問です。

 このことから、日銀が保有するETFについては、現状、そのまま持ち続けているという状況だと思われます。ETFの分配金につきまして、今後もある程度の分配金があると見込んでいるのでしょうか。もちろん、景気や、また世界の情勢であるとか、状況に応じて変動するとは思います。このETFの分配金、これまでの推移も併せて、今後の見通しを教えていただけますでしょうか。

福田参考人 お答え申し上げます。

 ETFの分配金につきましては、一九年度が約六千億、二〇年度が約七千億、二一年度が約八千億となっております。

 その上で、先行きのETFの分配金の額につきましては、その時々の環境で異なり得るものでございますので、先行きの見通しを申し上げることは困難でございます。

岬委員 でも、六千、七千、八千というふうに今お話をいただいたので、そういう見通しなのではないかなと想像をするわけですが、三月十五日の日経新聞においては、政府余剰金、日銀が底上げとありまして、この指摘がされております。金融緩和を前提とした剰余金頼みというんですか、を改めていくという指摘も入っておりました。

 政府は、決算剰余金につきまして、日銀納付金頼みということは実際にあるんでしょうか。また、決算剰余金における日銀納付金について、どのような見解をお持ちでいらっしゃいますでしょうか。

井上副大臣 お答えいたします。

 委員御指摘の日本銀行納付金は、日本銀行法等に基づきまして、日本銀行の当期剰余金から法定準備金の積立額を控除した残額を国庫に納付することとしているものですが、予算上の見込額に対しまして、実際に国庫へ納付された金額が結果として上振れた場合には、決算時点で税外収入の増加の要因にはなります。

 他方で、決算剰余金は、日本銀行の国庫納付金を含めた税外収入のみならず、税収等を含めた歳入全体の増減や歳出不用を反映した上で、結果として金額が確定するものであります。したがいまして、日本銀行の国庫納付金の上振れと決算剰余金の金額が対応するわけではありません。

 したがいまして、政府といたしましては、決算剰余金を確保するために金融緩和を前提とした日本銀行の国庫納付金の上振れ頼みにするということは、全く考えておりません。

 いずれにせよ、防衛力を抜本的に強化し、これを安定的に維持していくための財源確保に当たっては、国民の負担をできるだけ抑えていくべく、あらゆる行政改革に取り組む中で、決算剰余金の活用にも取り組んでいきたいと考えております。

 以上です。

岬委員 ありがとうございます。

 もちろん、ここで剰余金頼みですとは言わないとは当然思っておりますが、本日も多方向から、各委員からも指摘がされております、防衛費の一部を賄うために決算剰余金の活用があるのではないかと。また、政府は、直近十年間の平均が年一兆四千億円程度ございます、財政法上の活用限度であるということで、その二分の一の金額、七千億円程度があるということで、これを防衛費として決算剰余金の活用を見込んでいるのではないか。

 もっとも、直近十年の平均が一兆四千億円としても、令和二年度においては、コロナ禍において経済低迷にもかかわらず税収が堅調に推移するという事態のため、約四兆五千億円もの剰余金が発生したということですね。以前も別の委員からも指摘がございましたけれども、これが平均額を押し上げているのではないかという指摘が入っていたかと思います。

 そこで、質問です。

 そもそも、この決算剰余金は、毎年度、決算を締めた後、本来は後に結果として生じるものですよね、当然ながら。本来は、財源フレームとして事前に見込むということ自体がおかしいのではないかと思います。そして、いわゆる捕らぬタヌキの皮算用的な感じすら思うわけですが、あらかじめ財源とはならないはずのものを仮に事前に見込むことができるというのであれば、毎年度の予算に反映するというのが筋ではないかと思うのですが、その辺りはいかがでしょうか。

鈴木国務大臣 決算剰余金について御質問がありました。

 決算剰余金につきましては、直近十年間、これは平成二十四年度から令和三年度までの平均でありますが、この平均が一・四兆円程度であったこと、これを踏まえまして、財政法上、公債又は借入金の償還財源に充てるべき二分の一を除く、残りの二分の一の〇・七兆円程度を防衛財源への活用見込額として見込んでいるところであります。

 決算剰余金の金額の大きさは、その時々の経済情勢等に応じて、歳出や税収等の歳入の動向に左右されるものでありまして、必ずしも毎年〇・七兆円ちょうどの金額を防衛財源に活用することとしているわけではありませんけれども、過去の実績に基づき、この五年間で三・五兆円程度を活用すると見込んでいるところであり、今回の財源確保法案によって設置する防衛力強化資金を通じて、防衛力の整備に計画的、安定的に充てていくことによって、防衛力の強化、維持を安定的に支えていくことができる、そのように考えております。

岬委員 ありがとうございます。

 結局のところ、見込んでしまっているという御答弁なのではないかと思います。

 今大臣がおっしゃったように、同じようなことを、四月六日の衆議院本会議で岸田総理も、決算剰余金については、過去の実績を踏まえた根拠ある見通しに基づくしっかりとした財源であると考えているとまで御答弁をされています。過去の平均の数字を根拠にして、見通しがある、そして、決算剰余金を防衛費に充てるということをあらかじめ見込んでしまっている。

 では、その見込んだ額に達しなかった場合には、どういうところから引っ張って財源を確保するんでしょうか。

鈴木国務大臣 先ほど申し上げましたように、十年間の実績として一・四兆円が出てきた。岸田総理も、これは過去の、そうした実際にある実績に基づく確かな財源だという旨の発言をされていると思います。

 この数字を出すに当たりましては、相当手堅く見積もっているものでございますので、先ほども御答弁申し上げましたけれども、毎年毎年〇・七兆円ちょうどという具合には、変動がありますのでいかないわけでありますけれども、おおむね〇・七兆円に沿った額は出すことができる、そのように認識をいたしております。

岬委員 ありがとうございます。

 これまでもいろいろな質問をしていく中で、未来のことであるとか今後のこと、見通しを教えてほしいといったときには、答えられないということがほとんどだと思うんですが、これに関しては十年の過去があるので見通せるという、随分と、ちょっと矛盾をしたことを感じるのは、多分私だけではないのではないでしょうか。

 ということで、もう一度、では聞きますけれども、以上、今までやり取りをしてきた中で、今までのことを踏まえて、決算剰余金を防衛費の一部として活用することに対する問題はないのか。そして、おおむね足りるであろうというような、そんな皮算用のままで大丈夫なのかと私は非常に危惧をしております。それをなぜ安定的な財源と言えているのか。また、十年の過去の実績があるから大丈夫だ、見通しができるんだというふうに自信を持ってお答えいただけてしまうのか。そこの辺り、もう一度確認をさせてください。大臣、お願いいたします。

鈴木国務大臣 政府の考え方でありますので、先ほどと全く同じ答弁になってしまって恐縮でございますけれども、この十年間の平均で、決算剰余金、毎年一・四兆円、平均をいたしますと出てまいります。これを、財政法に基づく手続をして、その二分の一を使うことが可能でありますので、防衛費に使わせていただく、こういうことでございます。

 岸田総理も答弁をしておりますとおり、十年間の実績ということでありまして、これは実績に基づくしっかりとしたものである、そしてまた、堅く見積もった数字でございますので、私どもといたしましては、変動がございますから、もちろん、毎年毎年〇・七兆円きっちり出るかどうかは、これは別といたしまして、〇・七兆円程度、これを出すことができる、そのように考えております。

岬委員 それでは次に、予備費についても触れてまいりたいと思います。

 この予備費というのは、年度内に使わなかった残額、不用額とみなされまして、剰余金の一部となります。予備費の財源、ほとんどは国債だという声も聞かれておりますし、鈴木大臣は、予備費を意図的に余らせて防衛財源に充てることは全く考えていないという御答弁をいただいております。令和五年度の予算では、五兆円もの予備費を計上されています。

 このようなことを踏まえて、鈴木大臣のおっしゃったように意図的に余らせることは考えていなくても、結果的に余ってしまったから防衛財源に充てるということはよしとされているんでしょうか。結果的に充てても、意図的でなければよいということなんでしょうか。そんな不安定な感じなんでしょうか。そこを最後、お聞かせください。

鈴木国務大臣 予備費につきましては、例えば、新型コロナとか物価高騰といった直面する危機に対しまして臨機応変かつ機動的な対応を行うために、その必要性や緊急性等について所管省庁との間で議論、検討を行った上で、適切に使用を判断をしてきたところであります。したがって、防衛財源を確保するために意図的に予備費の使用を抑えたということはございません。

 その上で申し上げれば、予備費を含めた歳出に不用が生じることが見込まれる場合には、税収等の動向も見極めながら、特例公債法の規定に基づき、特例公債の発行額の抑制に努めることとしておりまして、予備費の不使用額と決算剰余金の金額が対応するわけではございません。

 そうした考えの下で、結果としてこれだけ剰余金が出たということは、これは事実でございまして、しかし、これは意図的に防衛財源を確保するために予備費の使用を抑えたというものではないということ、これは申し上げたいと思います。

岬委員 ありがとうございました。

 質問時間を超えておりますので、以上で終了とさせていただきます。ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、三木圭恵君。

三木委員 日本維新の会の三木圭恵です。

 本日は、連合審査会で質疑させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 予算委員会でも質問をさせていただきました財源確保法について、再度質問させてください。

 岸田首相は、国家の責任として、これを安定的に支えるためのしっかりとした財源措置が必要です、そのような趣旨を度々発言されてきたわけでございます。四分の三については、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入を活用した防衛力強化資金の創設など、そして、四分の一については国民の税制でお願いする、そういった発言が多々ありました。

 そこで、お伺いいたします。

 防衛力を支えるための安定財源、恒久的な安定財源ということですが、政府の言う恒久的な安定財源とは、一体どのようなものでしょうか。その定義をお伺いしたいと思います。

鈴木国務大臣 安定財源ということの一般的な定義につきましては、明確に定められているわけではございませんが、防衛財源の確保に当たってのいわゆる安定財源とは、防衛力の強化、維持を安定的に支えるためのしっかりした財源のことであると考えております。

 先ほど先生が御質問の中で述べられたように、税外収入、決算剰余金の活用でありますけれども、税外収入につきましては、今般、今後五年間の防衛力強化のための経費に充てられる四・六兆円を確保できたことを踏まえ、年平均で〇・九兆円程度、決算剰余金は、過去の実績を踏まえて年平均で〇・七兆円程度の財源を確保できると考えておりまして、その上で、今回、本案で創設する防衛力強化資金、これを活用することによって、防衛力の整備に計画的、安定的に充てることができる、そのように考えておるところでございます。

 また、このほかにも、歳出改革を徹底をしてまいりたいと思います。

 こうしたことによって、いわゆる安定財源という一般的な定義はありませんけれども、防衛財源の確保に安定的、計画的にしっかりとした財源を確保したい、そういうふうに考えております。

三木委員 今言っていただいた決算剰余金の活用と税外収入と、そういった、歳出改革とかも含めたものが安定財源だというお答えだと思うんですけれども、予算委員会のときもちょっと御質問したんですけれども、不動産の売却益、これは国有財産の売却ですね、ここでいえば、大手町プレイスを売却して四千億円とか、ほか、コロナ予算に積み上がった積立金や基金等の不用分の国庫返納額、〇・一兆円と〇・二兆円とか、これを安定財源と言うのであれば、五年間の防衛予算の中にこれを安定財源として入れるというのであれば、六年目から十一年目、次の五年間もこういった安定財源があるという、さっきの岬委員の御質問の中でも決算剰余金は〇・七兆円は堅いんだということをおっしゃっておりましたけれども、それを度外視させていただいても、税外収入の部分、コロナの予算に積み上がった積立金、基金とか、不動産を売却した金額とか、こういったものは安定財源というふうに言えるんですかね。

 この五年間に対しては確かに安定財源と言えるのかもしれませんけれども、六年後、本当にこういった不動産の売却益があったりとか、コロナというのはもうこの五月から五類に下がっていくわけですから、六年後にこういったコロナの積み立てた基金とか、予備費の基金であるとか、そういったものがなくなってくるわけでございます。そうしたら、その部分というのは、この五年間は安定的にあるけれども六年後はないというふうに考える方がまともなのかなというふうに考えますし、また、六年後に、例えば不動産の売却とかがあったとすれば、もっと多額のものがあるかもしれないですし、そういったものを安定財源と言っていいのかどうかというのはちょっと私は疑問なんですけれども、六年後からはどういうふうな形で安定財源というふうに考えておられるんですか。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から御指摘のございました、例えば、返納金、コロナウイルス感染症基金からの返納金ですとか、あるいは大手町プレイスの売却収入といった不動産売却収入でございますが、確かに、税外収入の個別の具体的な収入について見れば、毎年度、確実に確保することが見込めるものではないというふうに考えてございます。

 他方、税外収入全体として見れば、今回、令和五年度予算におきまして、あらゆる財源を精査をしたことによりまして、今後五年間の防衛力強化のための経費に充てられる四・六兆円、これが確保できたところでございますので、税外収入全体を見れば年平均〇・九兆円程度、それは六年目以降もでございますけれども、程度の財源を確保していくという政府の方針には一定の根拠があるのではないかというふうに考えてございます。

三木委員 今の、税外収入で〇・九兆円ずつを確保していくと。それが何で〇・九兆円なのかという根拠というのは、私は、多分ないと思うんですね。だって、大手町プレイス、四千億でしょう。だって、不動産の売却益は、今は、この五年間では大手町プレイスが四千億円ぐらいで売れたかもしれませんけれども、六年後はもしかしたら、予算委員会のときも申し上げました、もしかしたら、例えば何か大きなものが売れて、一兆円とか二兆円とか、税外収入が入ってくるかもしれないじゃないですか。もしかしたら一千億ぐらいしか入ってこないかもしれないじゃないですか。

 こういったことをどういうふうに考えていらっしゃるのかというのは、本当に、不動産収入ということだけを考えても安定収入と言えないと思うんですけれども、安定財源と言えないと思うんですけれども、いかがですかね。

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 安定財源につきましては、先ほど大臣の方からも御答弁ございましたとおり、毎年確実に入ってくるものというよりは、防衛力を安定的に支え得るということでございます。

 そういう意味では、確かに、先生おっしゃるように、不動産収入というのは毎年あるわけでもありませんし、あるとき出てくる、出てこないというのはあるんだろうと思います。

 ただ、税外収入は年度によって変動が生じ得るものではございますけれども、一つは五年間という一定の期間を取れば、そして、今回のこの法案によりまして設置をいたします防衛力強化資金、これを通じまして、一定期間の税外収入をそこでためておくということができることでございまして、防衛力の整備に計画的、安定的に充てていくことができるのではないか、こういうふうに考えてございます。

三木委員 いいんですよ、別に、税外収入の額が六年後変動する、それは当たり前だと思うんですよ。そんなことが、安定的にこれは必ずありますって、ないかもしれないし、あるかもしれない、これは別に私はいいんですけれども、いいんですけれども、じゃ、今の議論は目先の五年間に集中した議論をしていると思うんですね。六年目からどうするんだということは、今お答えのように、何かはっきりしないわけですよ。あるかも分からないし、ないかもしれないということだと思うんですね、私は、税外収入に関しては。

 でも、所得税、これは何年間の措置とかあるんですかね、国民の皆様にお願いする一兆円。この一兆円だけは絶対足りないと言って増税するんでしょう、恐らく。もしかしたらこの一兆円の部分も出てくるかもしれないのに、これは増税するわけですよね。六年目はどうなっているか分からないじゃないですか。国の財政もどうなっているか分からないし、もしかしたら厳しくなっているかもしれないし、もしかしたらよくなっているかもしれない。六年目、まあ、五年間のうちの最後の三年間で一兆円ずつ足りないと言っていますけれども、もしかしたら大きい国有財産が売れて一兆円出てくるかもしれない。でも、今もう、所得税をお願いすると言って、決めつけているじゃないですか。それがやはり私はちょっとおかしいと思うんですよね。

 何か今回の議論の腑に落ちないところというのはこういうところだと思うんですよ。もう、今から、五年間の分のうち最後の三年間は一兆円ずつ足りません、その足りない分を所得税でお願いすることになりますと、もう決めつけているじゃないですか。でも、別に、安定的な防衛力のために財源を確保するといいながら、それが何で増税につながるのかということがよく分からないんですよ。これは、一年先、二年先、三年先になって、やはり足りませんでしたと言ったら、国民の皆様も納得できるかもしれないけれども、今この時点で、財源足りません、だから一兆円増税します、国民に負担をお願いしますというと、私は、やはりこれが、何かちょっと、何でですか、もっと努力できないんですかという国民の議論につながっていくと思うんですけれども、鈴木大臣、どうお考えですか。

鈴木国務大臣 防衛力を抜本的に強化するという大変大きなことでありまして、それを確実に進めるためには、やはり財源についても、きちっとした裏づけ、どういうところでどういうふうに賄っていくのかという計画といいますか、そういうものはきちっとしていかなければならない、先行き不透明性があって、それに応じてというわけにもいかない、そういうふうに私は考えているところであります。

 今回の防衛力強化の財源確保に当たりましては、一つに、国民の負担をできるだけ抑えたい、そういうような思いがございます。そして、あらゆる工夫を検討した結果、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入の確保といった行財政改革の努力を最大限行った上で、必要な四分の三を確保しました。これは繰り返しになりますけれども、最大限の努力を行って四分の三を確保ということであります。

 その上で、それでも足りない約四分の一につきましては、将来世代に先送りすることなく、令和九年度に向けて、今を生きる我々、将来世代への責任として、これは国債に頼らないという意味でございますが、税制措置での御協力をお願いしたいと考えております。

 こうした方針につきましては、必要となる税制措置も含め、昨年末に政府・与党で確認の上、閣議決定をしたものでありまして、この内容を変更するということは考えていないところであります。

三木委員 だから、結局そういうことなんですよ。質疑して、各いろいろな委員が、いやいや、これは安定財源じゃないのに、どうして税金だけ安定財源として取るのかということを、皆さん、るるおっしゃっていると思うんですね。国債発行はしませんと言いながら、国債発行した原資を使って安定財源と言っているじゃないかということをみんな言っていると思うんですけれども、今おっしゃったように、御答弁の中でおっしゃった、変える意思はございませんということなので、これは議論しても仕方がないということなんですよね。こっちが指摘してももう変えるつもりがないということなので、仕方がないということだと思うんですよ。だから、全くこの議論が身になっていないと私は思っているんですね。

 ですから、私たちは、国民の皆様方に増税をお願いする前にもっとやることはたくさん、いっぱいあるはずだと思っていますし、不動産のことだけ言うと申し訳ございませんけれども、もっとたくさん国有財産を売ればもしかしたら国民の皆さんに負担をお願いしなくてもいいかもしれない。まだあと二年間あるんですから、そういった努力をやはりしていくべきだと。また、歳出改革についても、やはりもうちょっときっちりした歳出改革をしていかなければならないと思うんですね。

 復興特別税の方にも、これはだから、もう変わらないというふうに御答弁されるともう質問しても仕方がないというふうになってしまうので、これはやはり、ちょっと政府の方でもきっちり考えていただいて、なるべく国民の皆様方に増税をお願いする期間というのは後ろ倒しにしていただくように私は強く要望させていただきます。

 今回の議論の中で、復興特別税を二・一%から一・一%にして、防衛費のお願いで、一%をお願いするということで、復興特別税は、二〇三七年で終わるはずのものが更に十四年間の延長、二〇五一年まで継続するということになるわけですね。これは、現行の家計には負担額は変わらないというロジックで、なるべく今の家計に負担を増やさないというロジックを使われていると思うんですけれども、今二〇二三年ですから、これは五年間の措置ということではなくて、税金だけはきっちり今後少なくとも二十八年間は取り続けますよというスタンスだと私は思うんですね。

 つまり、この間政府は、一兆円の財源確保のための改革を最初から諦めて、二十八年間は国民の皆様にお願いするから、これでいいという、何とも都合のいい法律を今回作って通そうとしていると私は思っています。(発言する者あり)そうですよね。とんでもないと私は思うんですよ。二〇三七年に終わるはずなのが二〇五一年まで継続してしまうわけですから。

 政府はこの年間一兆円の財源のための歳出改革はもう二十八年間は行うつもりは最初からありませんということでよろしいですか。

鬼木委員長 済みません。もう一度、最後の質問のところを。

三木委員 済みません。この年間一兆円の財源のための歳出改革というのはもう最初から行うつもりはない、復興特別税を十四年間延長して二〇五一年まで継続するというのであれば、それはもう防衛税もその間ずっと取り続けるという意味でよろしいんですか。

鈴木国務大臣 防衛力を抜本的に整備をする、その財源のフレームワークについては、先ほど来申し上げておりますとおり、税外収入でありますとか歳出改革でありますとか剰余金の活用、そういうものを最大限工夫をして四分の三を確保する、そして残りの四分の一を税制措置でお願いをするというそういうフレームワーク、これは変更するという考えはありません。

三木委員 これは、現行の家計への支出は変わりませんと何度も政府の方はおっしゃっております。負担の額も一定のものに抑えてできる限り縮小するということを言われているんですけれども、復興特別税について、納める期間が延長されたら、これは私は負担増だというふうに思うんですね。

 しかも、二〇三七年に終わるはずであったもの、つまり若者世代に先送りしていると私は思っているんです。つまり、二〇三七年に働いている現役世代で終わるはずだったものが、二〇三八年から働き始める世代もいるわけですよね、十四年後から働き始める若者からしたら本来払わなくてもよいものを払わなくちゃいけなくなるということなんですよ。

 つまり、大学を卒業して働き始めるとして、二十三歳から所得税を払うとします。というと、二〇三八年に二十三歳になる国民、つまり、二〇一五年生まれの方々、今八歳のお子さんですね。今八歳のお子さんが二十三歳になったら本当は払わなくてもいい復興特別税を払わなければならないということになると私は思っているんですけれども、これは負担増ではないんですか。これは先送りしているということではないんですか。お伺いします。

鈴木国務大臣 我が国の防衛力強化に係る財源確保のための税制措置によりまして、復興特別所得税につきましては、その税率を引き下げるとともに課税期間を延長することになっていること、これはもう先生御質問の中で述べられたとおりであります。

 これは、その理由は、現下の家計の負担増にならないように配慮をするという観点から、新たな付加税と復興特別税を合わせた付加税率が現在御負担をいただいているものと変わらないようにしつつ、復興財源の総額を確実に確保するとの考え方によるものであります。

 そして、御指摘のとおり、この結果、二〇三八年以降も付加税が続くことになりますが、課税期間が延びることは負担増ではないかという御指摘について、経済成長と構造的な賃上げの好循環を実現することで、税制措置による将来世代の負担感を払拭できるように政府として努力をしてまいりたいと思っております。

 このことにつきましては、国民の皆様、とりわけ、被災地、被災された方々に対して御理解をいただけるように、しっかりとした説明を行ってまいりたいと思っております。

三木委員 経済成長を努力して、言ったら、可処分所得を上げていって所得税の負担感を軽減していくというお話だったと思うんですけれども、経済成長を目指していただくのはもう当然のことではありますけれども、私としては、やはり、政府が歳出削減やそういった中長期的な計画をもう少しちゃんと作って、将来の世代に負担をツケ回しするような今回の復興特別税の期間延長であるとか防衛税であるとかというのは、見直しをしていかないと国民の皆様方の納得は得られないというふうに考えております。

 それ以上申し上げましても、先ほども鈴木大臣おっしゃられましたみたいに、それを、今もおっしゃられましたけれども、変更する予定はないということですので、次の質問に移らさせていただきます。

 次に、自衛隊予算四十三兆円の検証についてお伺いします。

 今後、出せない資料というのはたくさんあると思うんですけれども、なるべく防衛省の予算についても透明性を保つことは必要であると考えます。また、どのように経費を削減していくのか。また、装備品についても、国産のものを増やしていかなければならないということは言うまでもございません。

 五年間で四十三兆円という予算を積み上げましたが、今後の更なる五年間を見据えてこの四十三兆円を検証することは必要であると考えますが、どのように検証を行われるのでしょうか。

川嶋政府参考人 お答えいたします。

 今回の防衛力強化の検討に際しましては、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、国民の命を守り抜けるのか、極めて現実的なシミュレーションを始めとする様々な検討を行いました。必要となる防衛力の内容を積み上げまして、四十三兆円程度という防衛費の規模を導き出したものでございます。

 防衛力整備計画におきましては、装備品の取得に当たって、能力の高い新たな装備品の導入をするなり、あるいは既存装備品の延命をする、あるいは、延命とともに、能力向上等を図るといったことを適切に組み合わせることによりまして、必要十分な質、量の防衛力を確保することとし、防衛力の整備、維持、運用を効果的かつ効率的に行うことといたしてございます。

 令和五年度の予算におきましては、陳腐化等により重要度の低下した装備品の運用停止、用途廃止、装備品の計画的、安定的、効率的な取得、自衛隊独自仕様の絞り込み等に努めまして、調達などの最適化を図っていくこととしてございます。

 防衛費の適正性については、引き続き、各年度の予算編成や決算の過程などにおいて丁寧に説明を行っていくとともに、調達などの最適化に向けてしっかりと取り組んでいきたいと考えてございます。

三木委員 しっかり取り組んでいただきまして、ただ、古くなったものから次、新しくしていくというのは、やはり、新しい技術開発があって、今、古くはなっていないけれども新しいものを入れていかないといけないということも十分考えられると思いますので、そういったところも考慮をしていただきながらお願いをしたいと思います。

 次、防衛装備品についてお伺いいたします。

 防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律というのが提出されているわけですけれども、生産を強化しても、自衛隊のみに使用されるのであれば、防衛産業は成り立たないと思います。諸外国に向けたトップセールスが必要だと考えます。

 これまでも、有望株と見られたオーストラリア向けの潜水艦や英国向け哨戒機は、他国に競り負けました。救難飛行艇も条件面が折り合わないことで、実績としてはフィリピンと契約した警戒管制レーダーのみになっている。

 なぜ契約が取れないのか、原因も分析して今後取り組んでいくべきだと考えますが、トップセールスが必要だと考えているわけですけれども、防衛大臣、いかがでしょうか。

浜田国務大臣 委員御指摘のように、トップセールスについて、防衛省において、私を含め、各国とのハイレベルの交流の機会を捉えて、装備移転の推進について議論してきておるところであります。

 また、首脳レベルや外務大臣を含めた外交当局の会談等においても、装備移転の推進について議論をし、そしてまた、機会を最大限活用しながら、この動きを活発化してきているところであります。

 また、在外公館職員についても、防衛駐在官も含め、従来より、その業務の一環として、防衛装備品の移転可能性のある国において支援を実施してきており、引き続き政府一体となって取り組んでまいりたいと思っております。

 委員の御指摘、大変重要だと思いますので、今後とも検討していきたいというふうに思います。

三木委員 もう矢継ぎ早に次の質問をさせていただきたいんですけれども、防衛装備品なんですけれども、平時の生産力と有事の生産力は、当然だけれども、全く違うというふうに考えております。仮に有事が長期戦になった場合、兵器が不足すること、装備品が不足するということは目に見えているんですけれども、その際、どう対処するのかということを真剣に考えるべきだと思うんですね。

 国際的に、今後、日本も、価値観を共にする諸外国が危機に陥ったときに手を差し伸べるということをしておかないと、日本が攻められたときだけ、つまり、都合がいいときだけ支援してくれということはできないと思うので、そういった観点も今後検討するべきだと思います。その際、どう対処するのか、今後の見解を浜田防衛大臣にお伺いいたします。

浜田国務大臣 今御指摘の点につきましては、我々、防衛力強化の検討に当たって、シミュレーションを行い、そしてまた、現状では十分でなかったミサイルや弾薬についても、必要な数量を積み上げさせていただいたところであります。十分な継戦能力の確保、維持を図るために、弾薬の生産能力を向上させ、必要十分な弾薬を早急に保有するなど、我が国自身の取組を進めることとしております。

 また、その上で、この計画に基づいて、弾薬、誘導弾の適正在庫を維持、確保する中で、有事における弾薬の追加調達の在り方については、民間事業者の意見を聞きながら、引き続き検討していきたいと思います。

三木委員 質疑時間が終了いたしましたので、終了させていただきます。

 御清聴ありがとうございました。

    〔鬼木委員長退席、塚田委員長着席〕

塚田委員長 次に、前原誠司君。

前原委員 国民民主党の前原でございます。

 浜田防衛大臣に質問をさせていただきたいと思います。浜田大臣とはもう二十年以上にわたって超党派の安保勉強会で御一緒させていただいておりまして、同じ方向性を目指しておられるということで期待をしております。

 特に、自分の国は自分で守るということをお互いずっと追求をしてきて、戦闘機については、日本、イタリア、イギリスの共同開発ということでありますけれども、今度、スタンドオフの防衛能力、これを持つようになるということはいいことであります。このスタンドオフについても、自分の国は自分で守るという観点に基づいて、将来的には、自前で装備も製造し、そして運用もするということを目指すというふうに私はこの国家防衛戦略を読んだときに感じたわけでありますけれども、その方向性でよろしいですか。

浜田国務大臣 委員の御指摘のとおりであります。

前原委員 まず、自前のものではなかなかすぐには難しいということで、御説明を防衛省からいただきましたのは、プラットフォームがF35Aで、ジョイント・ストライク・ミサイル、それから、F15能力向上型で、ジョイント・エア・トゥー・サーフェース・スタンドオフミサイル、そして、トマホークというものを、これは海外のものとして、それぞれ射程が異なりますけれども、配備をし、そして、最終的には日本で一二式地対艦ミサイルというものとか新たなものを配備をしていくということで、プラットフォームについてもいろいろな見立てをするということであります。

 一つ、まず、トマホークで確認をさせていただきたいんですけれども、誘導システムについては、日米で共同して対処しなければいけないということなんですけれども、この誘導システムについても、将来的には日本が独自のものを持つということで考えているという認識でよろしいんでしょうか。

浜田国務大臣 誘導方法についてはいろいろあるわけでございますけれども、今回の我々が取得しようとしているトマホークは、最新型のブロック5ということでございまして、米海軍の公表情報によれば、その誘導方式は、慣性誘導、そしてGPS誘導、地形等高線照合、デジタル画像照合の四つにより目標まで精密に誘導するとされておるところであります。

 また、御指摘の、今後、じゃ、どうしていくのかというのは、これは、我々とすれば、今後検討していきたいというふうに思っております。

前原委員 この国家防衛戦略の中に書かれていることは、その部分を読ませていただきますね。あわせて、スタンドオフ防衛能力に不可欠な、艦艇や上陸部隊等に関する正確な目標情報を継続的に収集し、リアルタイムに伝達し得る指揮統制に係る能力を保有する、対処実施後の成果の評価を含む情報分析能力や、情報ネットワークの抗堪性、冗長性も併せて保有するということが書かれているんですが、この中にその誘導システムというものは含まれているというふうに理解してよろしいんですか。

浜田国務大臣 おっしゃるとおりです。

前原委員 ということは、自前で持つということがこの国家防衛戦略に書かれているということであります。

 ただ、気になったのは、ほかのところには一応タイムスケジュールが書いてあるんですね。例えば、地上発射型及び艦艇発射型を含めスタンドオフミサイルの運用可能な能力を強化するということについては、二〇二七年度までにというタイムスケジュールが書かれている。それから、航空機発射型スタンドオフミサイルを運用可能な能力を強化するとともに、変則的な軌道で飛翔することが可能な高速滑空弾、極超音速誘導弾、その他スタンドオフミサイルを運用する能力の獲得は、おおむね十年後までということが書かれているんです。ただ、先ほど私が読ませていただいたこのトマホークの誘導システムも含めたところには年度が書いていないんです。

 確かに、まずは情報収集もしなきゃいけないし、トマホークですら、予算措置が講じられて配備するのは二〇二七年以降ですよね。ですから、この五年間の四十三兆円の中には含まれないということでありますが、それを運用していく中で、さらに、言ってみれば、ここに書かれているような、正確な目標情報を継続的に収集し、リアルタイムに伝導し得る指揮統制に係る能力を保有するということについては、やはりある程度のタイムラインというものを私は持つべきだというふうに思いますが、書かれていないことについて、どのように認識をされますか。

浜田国務大臣 我が国の周辺における軍事活動が活発する中で、防衛省としては、様々な手段を適切に活用し、隙のない情報収集体制を構築することが不可欠だと考えておりますので、スタンドオフ防衛能力の実効性を確保する観点から、情報収集能力を抜本的に強化するというのは、これは重要なことだというふうに考えております。

 防衛力整備計画においては、民間衛星の利用等を始めとする各種取組によって補完しつつ、目標の探知、追尾能力の獲得を目的とした衛星コンステレーションを構築する旨、記述をしておるところであります。

 こうした方針の下で、令和五年予算案において、周辺地域における情報を収集することを実施するために、各種民間衛星からの画像解析データの取得のための費用として二百二十六億円を計上しているところでありますが、今お話しの、御指摘の点については、これは当然、今後ともに、あらゆる情報収集をできる、そしてまたそれに対応し得ることをしっかりと積み重ねていきたいというふうに考えております。

前原委員 私の質問というか指摘は、ほかのところには、二〇二七年度をめどにとか十年後をめどにとか、そういったタイムスケジュールが書かれているのに、このスタンドオフのいわゆる、言ってみれば運用については、年限が書かれていないんですよ。これを、今は書けないのかもしれませんが、やはりしっかりと、どういうタイムラインの中で、先ほど、一番初めに申し上げた、自分の国は自分で守る、そしてプラットフォームも自前で造る、そしてまた、そういうミサイルも自前で造る、そして、それらの運用も自前でできる、その運用も含めて自前でできるのはどのぐらいかかるのかといったことは私は示すべきだと思いますが、今後、そういったことは一定検討いただいて示していただけませんか。

浜田国務大臣 御指摘の点は大変重要だというふうに思います。我々とすれば、そういった運用についてもしっかりお示しできるように努力していきたいというふうに思います。

前原委員 その上で、一つ心配な記事がありまして、先ほど、プラットフォームの一つにF35Aというものがあるということでありますけれども、アメリカ、三月末の米議会への、このF35を統括しているマイケル・シュミット中将が、米議会の準備書面で、F35についての可動率がかなり低い、五三・一%ということで、これからの一年間で上げていくということでありますけれども、この点、様々、エンジンの不足とか整備システムの改善をしなきゃいけないとか、そういったところがアメリカで議論されているようであります。

 どんどん今、日本でも三十三機運用していて、そしてトータルでは百四十七機ですか、F35を、Aが百五機でBが四十二機ということでありますけれども、運用していくに当たって、このF35の可動率、可動率については聞きません、数字は聞きませんが、これについては問題ないというふうに認識されているか、その点だけお答えください。

浜田国務大臣 今御指摘の点につきましては、米国においても、F35の維持整備体制構築の途上でありますので、構成品の耐久性向上や修理能力の向上といったF35の維持整備体制の改善に取り組んでいるところだと思います。防衛省も、米国政府と緊密に連携を図っているところであります。

 いずれにしても、防衛省としては、F35の維持整備に関する米国の今後の取組について、引き続き、情報を収集して、米国政府と緊密に連携しながら、維持整備体制をしっかりと構築していきたいというふうに考えております。

前原委員 アメリカの現状というものをしっかりと情報収集、把握をされて、日本での運用については万全を期していただきたいということを要望しておきたいと思います。

 最後に、イージス・アショアの件なんですけれども、もうイージスシステム搭載艦というものにかじを切られたということなんですが、やはりその比較をちゃんとしなきゃいけないと私は思うんですね。それはやはり、費用と、それから可動の状況なんです。

 つまり、イージス・アショアというのは、人的な面も含めて、陸地に置くということについて言うと、イージス艦とかイージス搭載艦にしても、それに対して人員の確保が必要になりますよね。三百六十五日二十四時間、地上であれば、より合理的に運用ができるということの面と、それから、イージスシステム艦になると一体幾らになるのか。そして、陸上に配備するときとのコスト比較はどうなのか。しかも、イージスシステム搭載艦であると二隻体制ですね、今のところ。当然ながら、二隻ずっとフル可動するわけにいきませんよね。だって、ドックに入ったり故障したりしたら。だって、イージス艦八隻だって、平均五隻ぐらいでしょう、運用しているのは。

 ということになると、二隻が必ずしも運用できないということになると、その可動という面についての言ってみれば能力と、それからコスト比較、これはやはりちゃんと示してもらわなきゃいけないと思うんですが、それは示してもらえませんか。

浜田国務大臣 金額については、我々とすれば、今まで、機微な情報というか、積み重ねでやっておりますので、予算編成のときに説明はできると思いますが、現状では、この点については今お示しができないということで答弁をさせていただいておるところでありますので、今この状況で私から数字が出せないということだけ御理解いただければと思います。

前原委員 まず、二つの点を私は申し上げたわけですね。一つは金額、もう一つは可動率の問題。

 陸上だったら、一〇〇%、ほぼ可動できる。でも、イージス搭載艦だったら、一・幾らじゃないですか。だって、どちらかがドックに入るわけですから。そういう意味では、可動率は落ちますね。

 そしてまた、イージスシステム艦というと、今、機材も上がっているし、また、円安傾向にもあるということの中で、イージス艦でも、以前のイージス艦だと千八百億円ぐらいでしたか、一隻。これはもっとかかりますよね。そうなると、陸上に配備するよりもかなり金額がかかるということ。

 金額の数字は結構です。よりイージスシステム搭載艦の方が金額がかかる、そして運用の効率性は落ちる、私の認識はそれで正しいですか。

浜田国務大臣 委員の御指摘というのはよく分かるわけでありますが、しかし、これはまた比べ方の問題がございまして、要するに、我々とすれば、では、おかの上でできないこともあると思いますので、それをイージス艦に載せるということも考えられますし、我々とすると、評価を、今そこで比べて、こっちが多い、いいというふうにはなかなか言えない。

 というのは、やはりイージス・アショア、陸上型になると、今からいろいろな手続、そしてまたいろいろな経費もかかってくるわけでありますので、一概に、船を造る場合と陸上における場合と、なかなかこれは比較が難しいのではないかという思いであります。

 ただ、今御指摘の点については、確かにそういうふうに見える場面もあるのかもしれません。

前原委員 いや、見えるんですよ。見えるので、今大臣からは、様々な、別の能力を、陸でやるよりもできるかもしれないということでありますので、是非、イージス・アショアよりもイージスシステム搭載艦に変えたんだ、もうこれで終わりではなくて、その比較検討が、メリット、デメリットがちゃんと分かるような、そういった資料を出していただけませんかね。大臣、いかがですか。

浜田国務大臣 検討させていただきます。

前原委員 では、大臣、検討していただくということでございますので、理事会でお諮りをいただけますでしょうか。

塚田委員長 理事会で協議いたします。

前原委員 それでは、大臣、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

塚田委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 今日は、アメリカ政府を通じて調達しますFMSについてお伺いいたします。

 今年度予算は、FMSが昨年の四倍、一兆四千七百六十八億円、巨額に膨らんでおります。

 防衛力整備計画の五年間で、米国のFMSで調達すると決まっているものの総額は幾らか。また、国産で調達するものは幾らか。どちらか確定しないものは幾らか。お答えください。

浜田国務大臣 防衛力の抜本的強化については、必要となる防衛力の内容を積み上げさせていただきました。どのような機能、装備品が必要であるかについては、これは当然積み上げで行っておりますが、機種選定が終わっておらず、FMSで取得するか否か決定していない事業があること、また、FMSによる取得に向けた米国との調整が未了の事業があることなどから、現時点で五年間のFMS調達額や国内調達額の総額をお示しすることは困難であり、各年度の予算編成の過程でその規模を示してまいりたいと思います。

 その上で、令和五年度予算について申し上げると、契約額約八兆九千五百二十五億円のうち、国内からの調達は約六兆八千二百五十八億円、約八割、FMS調達額は約一兆四千七百六十八億円、約二割となります。

 以上です。

宮本(徹)委員 いや、本会議の答弁のときに総理は、米国から調達するか、国産で調達するか、確定しないものもあるためという答弁をされたんですね。でも、それ以外に確定しているものもあるんじゃないかと思いますから、来年以降も含めて五年間で確定しているFMSの額をお伺いしたんですよ。

浜田国務大臣 済みません、今御答弁したことが今私どもとして把握していることでございます。

宮本(徹)委員 それ以外にも確定しているものがあるはずだと思うんですけれども、後で資料要求したいと思います。

 続きまして、FMSは、価格は言い値、そして前払い。そのため、前払いしたけれども納入されない、あるいは、精算されず、前払いの余剰金は戻ってこないケースがある。二〇一九年、会計検査院からこの点の改善が求められました。会計検査院がFMSの未精算額の減少を求めましたが、果たしてこの未精算額は解消されたのか。二〇一九年度から二〇二二年度、各年度のFMSの未精算の件数、そして未精算の額、お述べいただけますか。

浜田国務大臣 未精算件数及び未精算額については、二〇一九年度は二百二十九件、三百三十二億円、二〇二〇年度は二百五十件、三百三十七億円、二〇二一年度は三百十三件、四百億円となっております。二〇二二年度については、現在集計中であり、お答えすることが困難であることを御理解をいただきたいと思います。

 その上で、未納、未精算の解消の取組として、履行状況を把握するために履行管理体制の強化など様々な取組を行っているところであります。FMS予算が増額する中、未納入、未精算の解決に向け、継続して、私自身、働きかけを行っていくことが重要だと考えております。

宮本(徹)委員 今のお話を聞くと、二〇一九年、一回減らしたものの、二〇一九年、二〇年、二一年と、未精算の件数も未精算の額も増え続けているという話じゃないですか。根本的な改善が全く図られていないと言わなければなりません。

 それから、出荷予定時期が過ぎても武器が納入されない未納入のケースについて、これも出荷促進へアメリカと調整を行うよう会計検査院に求められました。未納というのは解消されたんでしょうか。二〇一九年度から二〇二二年度の未納件数、未納額についてお述べいただけますか。

浜田国務大臣 未納入件数及び未納入額については、二〇一九年度は八十四件、百六十六億円、二〇二〇年度は五十五件、百四十四億円、二〇二一年度は六十三件、百二十三億円となっております。二〇二二年度については、現在集計中であり、お答えすることが困難であることを御理解をいただきたいと思います。

宮本(徹)委員 未納入額は減少を若干しているようですけれども、それでも依然として二〇二一年度、百二十三億円と巨額に上っているわけですね。前払いして納入されない、こういうのが毎年毎年繰り返されたら、普通の商取引だったら、こんなの、相手はおしまいですよ。あり得ないことがこのFMSでは続いているわけでございます。

 さらに、二〇一七年の会計検査院の指摘では、アメリカから届いた武器の受領検査についても様々改善を求めております。二〇一九年、私も安保委員会で部品の不具合の問題を取り上げましたが、果たして改善されたのか。

 アメリカに送付した不具合報告書の件数と契約額について、二〇一九年度から二〇二二年度まで述べてもらえますか。

浜田国務大臣 FMSで調達した装備品等に関して米国政府に不具合報告書を提出した件数は、二〇一九年度は八十九件、二〇二〇年度は百二十二件、二〇二一年度は八十九件となっております。二〇二二年度については、現在集計中であり、お答えすることが困難であることを御理解いただきたいと思います。

 また、不具合報告があった契約額については、通常業務として集計を行っておらず、お答えすることは困難ですが、不具合報告の対象物品の総額については、二〇一九年度は約二億円、二〇二〇年度は約四億円、二〇二一年度は約四億円となっております。

宮本(徹)委員 この不具合も、継続的に発生していて、一向になくならないわけですね。ただの計算書の間違いというだけでなく、機能が欠陥している商品だったり、損傷した部品やさびている部品、あるいは異なる部品が届いているということなんですよね。

 私、不具合報告書の事例リストというのをいただきました。例えば、二〇二一年度で見ると、ティルトローター機、オスプレイですかね、これについては、部品の損傷、発さび等が四件あります。これは具体的にはどういうことなんですかね。なぜそうなっているんですかね。

浜田国務大臣 不具合のあった個別具体的な部品名、不具合の事象内容については、米国政府との関係もあることからお答えできませんが、一般的な不具合の事象として、品目数量過不足、品目の相違、損傷やさびの発生等がございます。

 御質問のティルトローター機の部品については、当該物品を部隊が受領検査を行った結果、部品のへこみや傷が確認されたため、米国政府に対して是正措置の要求を行っております。本件は米国政府側の責任と判断され、不具合品の交換や金銭賠償による是正措置が取られる予定となっております。

 いずれにいたしましても、不具合の事象があったものについて、速やかに米側と調整し、対応を行ってまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 そういうへこんだ部品が送られてきているというのは、これまた普通の商取引じゃ余り考えられないわけですよね。

 オスプレイは訓練でも墜落が少なくなく起きております。大体、部品を交換するために、壊れているから部品を交換するわけですけれども、そうしたらへこんだ部品が届くというのは、本当に漫画みたいな話だと私は思いますよ。しかし、これは本当に、オスプレイが訓練されている地域の住民からすれば、そういう部品が届いてくること自体、私は命に関わる問題だというふうに思います。

 財務大臣にお伺いしたいんですけれども、FMSが今年は四倍化、さらに、今後も大量のアメリカ製兵器の爆買いというのが想定されます。そうすると、このFMSの未納だとか未精算だとか欠陥品の納入だとか、これがどんどんどんどん大きく膨らんでいくんじゃないんですか。

鈴木国務大臣 FMS調達について、これまで未精算や未納入、不具合等の問題点があるということ、宮本先生からも今御指摘があったわけであります。

 こうした不具合の問題点につきまして、防衛省において、これらの原因の特定と課題の解消に向けて、組織レベルでのFMS管理体制の強化、大臣レベルでの働きかけといった取組を進めているものと承知をしているところであります。

 その上で、FMSについては、我が国にない高性能な装備品を米国政府から早期に導入することができるといった面もあり、具体的に調達する装備品の種類等については、所管する防衛省において、必要な性能、コスト、スケジュールなど様々な観点から検討されているものと考えております。

 防衛力の強化に当たりましては、防衛力整備計画に基づきまして、実効的かつ効率的に進めることが重要である、そのように考えます。こうした観点から、各年度の予算編成において、FMS調達についてもしっかりと精査をして、必要に応じて改善に向けた取組を反映していきたいと考えております。

宮本(徹)委員 何年か前質問したときも同じような答弁が当時あったんですよね。課題を解消していきたい、全然解消していないんですよ。課題を解消していないのにFMSをどんどんどんどん増やしていくというのは、国民の税金の使い方として到底理解が得られないと思いますよ。そういう自覚は、大臣、ないんですか。

鈴木国務大臣 FMS調達についての問題点があるということ、これは今、宮本先生とそれから浜田大臣のやり取りの中でも具体的に明らかになったところであります。

 もちろん、こうした課題がある、問題点があるということは、これはこのまま放置していい話ではありません。国民の税金を執行するという意味におきましてもこれはよくないことでございますので、先ほど申し上げましたとおり、各年度の予算編成におきまして、こうした問題点についてしっかりと査定をしてまいりたいと思っております。

宮本(徹)委員 査定すると言いながら四倍にも増えているわけですよ。こうしたFMSの問題点を解決すらせずに軍事費倍増、しかも、その財源として、増税や、医療や年金の財源の横取りをする、到底許されないと思いますよ。

 さらに、当初よりも価格が高騰している兵器というのが防衛省の場合多いわけですけれども、この間、価格が一・五倍から二・五倍に上昇している輸送機C2や哨戒機P1など国産主力航空機四機について、財務省が調査をしております。そうしたら、国産航空機であっても四から六割が輸入部品で構成され、それらが価格上昇の要因になっているということが明らかになっております。この輸入部品は、三倍とか八倍とか九倍だとか上がっているわけですね。

 この輸入部品価格上昇の要因は何なのか。プライム企業と下請企業との契約はどうなっているのか。米国企業の言い値になっていることはないのか。防衛大臣にお伺いしたいと思います。

浜田国務大臣 御指摘の防衛省・自衛隊の航空機部品の価格上昇については、輸入部品の生産量の減少や海外における人件費、材料費の上昇、為替変動などが主な理由となります。

 この輸入部品については、プライム企業とその下請企業がそれぞれ海外企業から調達し、最終的にはプライム企業が、下請企業との契約関係の下、機体に組み込み、防衛省に納入することになります。

 この中で、プライム企業及び下請企業は、輸入品を効果的に調達するため、海外企業と価格交渉等を行いますが、この際、価格上昇要因についても確認し、やむを得ない事情か否か、その妥当性を確認して調達していることから、米国企業の言いなりになって輸入部品を調達しているわけではございません。

 いずれにしましても、防衛省としては、価格上昇に強い問題意識を持っており、限られた財政資源を最大限生かし、効果的かつ効率的な調達に不断に取り組むとの観点から、機体や構成品の長期契約による一括調達、維持整備費の低減に係る検討、構成品価格等のデータベース化による価格上昇要因の平素からの確認と迅速な対応策の検討といった取組を進めているところであります。

 防衛省としては、このような取組を通じてこの価格問題に対してのしっかりとした対応ができるよう、不断に努力をしていく覚悟でございます。

宮本(徹)委員 いや、アメリカの企業の言いなりになっているわけじゃないというお話でありますけれども、八倍とか九倍とかに上がっていくというのは普通考えられないわけですよね、常識的には。国内の部品はそんなに上がっていないわけですから。ところが、輸入部品は物すごい勢いで上がっている。私は、こういうところに本当にしっかりメスを入れなきゃいけないと思いますよ。

 アメリカ企業の言いなりだとかFMSだとか、ここにしっかりメスを入れることもなく、本当に大軍拡だけ進めていく。到底許されないということを申し上げまして、時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。

塚田委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十四分散会


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