衆議院

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第1号 令和5年12月1日(金曜日)

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令和五年十二月一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

  法務委員会

   委員長 武部  新君

   理事 熊田 裕通君 理事 笹川 博義君

   理事 谷川 とむ君 理事 牧原 秀樹君

   理事 鎌田さゆり君 理事 寺田  学君

   理事 美延 映夫君 理事 大口 善徳君

      東  国幹君    五十嵐 清君

      井出 庸生君    伊藤 忠彦君

      英利アルフィヤ君    奥野 信亮君

      高見 康裕君    中曽根康隆君

      中野 英幸君    仁木 博文君

      平口  洋君    藤原  崇君

      三ッ林裕巳君    宮路 拓馬君

      山田 美樹君    鈴木 庸介君

      中川 正春君    山田 勝彦君

      吉田はるみ君    米山 隆一君

      阿部 弘樹君    青柳 仁士君

      池下  卓君    日下 正喜君

      中川 宏昌君    鈴木 義弘君

      本村 伸子君

  文部科学委員会

   委員長 田野瀬太道君

   理事 尾身 朝子君 理事 永岡 桂子君

   理事 山田 賢司君 理事 森山 浩行君

   理事 柚木 道義君 理事 金村 龍那君

   理事 浮島 智子君

      井出 庸生君    上杉謙太郎君

      上田 英俊君    勝目  康君

      岸 信千世君    小寺 裕雄君

      小林 茂樹君    柴山 昌彦君

      鈴木 貴子君    中曽根康隆君

      中村 裕之君    西野 太亮君

      根本 幸典君    船田  元君

      古川 直季君    三谷 英弘君

      宮内 秀樹君    山口  晋君

      山本 左近君    義家 弘介君

      梅谷  守君    菊田真紀子君

      牧  義夫君    吉川  元君

      早坂  敦君    藤巻 健太君

      堀場 幸子君    平林  晃君

      福重 隆浩君    西岡 秀子君

      宮本 岳志君    宮本  徹君

  消費者問題に関する特別委員会

   委員長 秋葉 賢也君

   理事 あべ 俊子君 理事 井原  巧君

   理事 小倉 將信君 理事 山田 勝彦君

   理事 吉田 統彦君 理事 林  佑美君

   理事 國重  徹君

      英利アルフィヤ君    大野敬太郎君

      勝目  康君    岸 信千世君

      鈴木 英敬君    高見 康裕君

      武井 俊輔君    中川 貴元君

      永岡 桂子君    仁木 博文君

      船田  元君    堀内 詔子君

      松島みどり君    保岡 宏武君

      井坂 信彦君    石川 香織君

      大河原まさこ君    馬場 雄基君

      早稲田ゆき君    浅川 義治君

      吉田久美子君    田中  健君

      本村 伸子君

    …………………………………

   議員           小倉 將信君

   議員           柴山 昌彦君

   議員           山下 貴司君

   議員           長妻  昭君

   議員           西村智奈美君

   議員           山井 和則君

   議員           柚木 道義君

   議員           吉田 統彦君

   議員           阿部  司君

   議員           青柳 仁士君

   議員           金村 龍那君

   議員           大口 善徳君

   議員           日下 正喜君

   議員           西岡 秀子君

   法務大臣政務官      中野 英幸君

   政府参考人

   (消費者庁政策立案総括審議官)          藤本 武士君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    植田 広信君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          坂本 三郎君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    竹内  努君

   政府参考人

   (文化庁次長)      合田 哲雄君

   法務委員会専門員     三橋善一郎君

   文部科学委員会専門員   中村  清君

   衆議院調査局第一特別調査室長           菅野  亨君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律案(柴山昌彦君外五名提出、衆法第一〇号)

 解散命令の請求等に係る宗教法人の財産の保全に関する特別措置法案(西村智奈美君外七名提出、衆法第一一号)


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     ――――◇―――――

武部委員長 これより法務委員会文部科学委員会消費者問題に関する特別委員会連合審査会を開会いたします。

 先例によりまして、私が委員長の職務を行います。

 柴山昌彦君外五名提出、特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律案及び西村智奈美君外七名提出、解散命令の請求等に係る宗教法人の財産の保全に関する特別措置法案の両案を議題といたします。

 両案の趣旨の説明につきましては、これを省略し、お手元に配付の資料をもって説明に代えさせていただきますので、御了承願います。

 これより質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小林茂樹君。

    〔武部委員長退席、秋葉委員長着席〕

小林(茂)委員 皆さん、おはようございます。自由民主党、奈良一区の小林茂樹でございます。

 この連合審査会、私は文部科学委員会の委員として出席をいたしまして、二つの法案に対して御質問をさせていただきます。この二つの法案、いずれも宗教法人に関する法案でございます。文科委員会として質問をするということでございます。

 早速でございますが、第一問目は法案提出者の双方に対してお尋ねをいたします。

 旧統一教会に関する問題を契機に昨年制定されました法案、これは法人等の寄附の不当な勧誘の禁止等を定めたものでございました。そして、今回は、解散命令請求を出された宗教法人の不法行為に係る被害者の救済を目的に法律を作るものと理解をいたしております。

 提出された特例そして特別措置の検討に当たっては、現行の法制度では対応できないと判断をされたから提出をされたかと思います。その理由は何でしょうか。また、法案の策定に関して参考とした過去の立法例はあるのか。双方にお尋ねをいたします。

小倉議員 お答えいたします。

 まず、法案提出の経緯でありますが、十月の十三日、旧統一教会に対して解散命令請求が行われましたが、その請求が、著しく公共の利益を害すると明らかに認められる行為をしたことを理由として、所轄庁等の公的機関により行われたものである場合は、その被害者の迅速かつ円滑な救済が図られるようにする必要が特に高いと考えられております。そうしたことから、こうした被害者につきましては、民事手続全般を通じた救済を強力に後押しをするため、本法案を提出した次第であります。

 また、参考にした過去の法令はということでありますけれども、本法案におけます法テラスの業務の特例部分につきましては、東日本大震災の被災者に対する法テラス特例法を参考にさせていただきました。

吉田(統)議員 小林委員にお答えします。

 十月十三日に旧統一教会に対して解散命令請求が行われました。解散命令請求が行われると、宗教法人の財産の隠匿や散逸のおそれがありますが、現行の宗教法人制度の下では宗教法人の財産の保全の措置が定められていません。このため、現行制度においては、被害者は個別に当該宗教法人の財産の保全の手続をする必要がありますが、そのような被害者による個別の対応は極めて困難であることから、本法案を提出いたした次第でございます。

 本法案は、宗教法人と同じく、団体の自主性を尊重すべき要請がある弁護士法など、一般の法人とは別の配慮が必要な法人の仕組みを定めている法律を参考に立案したものでございます。

小林(茂)委員 次の質問は、衆法一〇号に対してのことであります。

 令和四年の宗教統計によりますと、全国には現在、宗教法人が十八万あるということであります。その多くは、人々の心のよりどころとなり、科学で解決できない真理を探求する学びの場でもあります。また、目に見えない偉大なるものを前に祈る場所でもあると私は考えております。

 このように、これまで大きな役割を地域において果たしてきた宗教法人に対して過度な規制とならないような十分な配慮がなされるべきであると私は思います。どのような配慮がなされたのか、お尋ねいたします。

小倉議員 非常に重要な御指摘だと思います。

 全宗教法人の約九割が加盟、関係し、全日本仏教会、日本キリスト教連合会、そして神社本庁などとも連携して活動しております公益財団法人日本宗教連盟が、信教の自由を含めた精神的自由は最大限保障される権利であるとされております、そのような精神的自由に何ら配慮することなく、会社法の保全の規定を宗教法人に乱暴に当てはめることはあってはならず、また、利害関係人の解散命令請求を受けた利害関係人による保全申立てを認めることは濫訴による混乱も招きかねないと危惧しますという懸念を示しているところでもあります。我々としては、こうした宗教界の懸念もよく念頭に置く必要があると考えております。

 信教の自由を始めとする憲法上の人権保障の要請から、宗教法人の財産の管理に対して制約を加えるということは慎重にも慎重を期したものでなければならない。宗教法人の財産は、信者の信仰の表現でもあります寄附等の結果として形成され、主として宗教的活動のために用いられるものであり、この財産の管理を制約することは、この財産を用いて行う宗教活動に対しても幅広い制約が及ぶことともなり得るためであります。会社法の規定をそのまま持ち込むことは、宗教法人の特性に配慮しない乱暴なものと言わざるを得ません。

 我々は、精神的自由である信教の自由へ配慮した法制度設計とすべく、宗教法人の財産を包括保全するのではなく、民事保全を含めた民事事件手続による救済への支援を強化をし、これまで一般に使われてまいりました民事手続を十全に機能させることにより、より確実な財産保全を図りたいと思っております。

 加えて、本法案では、対象宗教法人の中でも、要件を絞り込んだ上で、現行宗教法人法にもある措置を実効性ある被害者救済のために活用できるよう特例を設けさせていただいております。すなわち、被害者が相当多数存在をし、財産の状況を把握する必要があるものについて、指定宗教法人の指定をいたしまして、財産処分等の通知、公告の特例を設けさせていただいております。

 この指定に当たりましては宗教法人審議会の諮問を経ることになっており、こうした厳格な要件の下で、現行宗教法人法にもある措置の特例を設けますことで、本法案の合憲性は担保されているとも考えております。

 以上、申し上げましたとおり、宗教法人に対しまして過度な規制とならないように十分に配慮された法制度となっている、このように承知をいたしております。

小林(茂)委員 今回の法案によって、健全な活動をしている宗教法人に心配を与えることがあってはならないということであります。

 本法案に定める指定宗教法人と特別指定宗教法人の指定の要件については、その点をどのように考慮をしているのか、衆法一〇号提出者にお尋ねをいたします。

小倉議員 指定宗教法人と特別指定宗教法人についてお尋ねがございました。

 そもそも、法案の対象は、厳格に定められた解散命令事由に該当するとして、所轄庁等による解散命令請求がされるなどした宗教法人に限られております。

 その上で、指定宗教法人は、対象宗教法人のうち、第一に、被害者が相当多数と見込まれること、第二に、所轄庁として財産処分、管理の状況を把握する必要があることという要件に該当すると認められたものを所轄庁が指定をする、こういう仕組みとなっておりまして、所轄庁等の公的機関が解散命令請求を行った対象宗教法人の中から更なる絞り込みを、先ほども申し上げたように行わせていただいております。

 また、特別指定宗教法人は、指定宗教法人のうち、財産の隠匿又は無償の供与その他の行為により被害者の権利を害するおそれがあると認めるものについて指定することともなっております。

 加えまして、指定宗教法人、特別指定宗教法人の指定に当たりましては、あらかじめ宗教法人審議会の意見を聞くこととされておりまして、指定に当たりましては、慎重な運用がなされるよう配慮を行っているところであります。

 ちなみに、被害対策弁護団や、昨日も行われました与野党協議の中では、より速やかな財務状況の把握を行う、こういった要望も伺ったところでありまして、そうした要望も踏まえた修正案も、今日の理事会で我々としては提示もさせていただいていることを付言をさせていただきます。

小林(茂)委員 続いて、衆法第一一号の提出者にお尋ねをいたします。

 財産保全措置に関することでありますが、どのような場合に、何が必要な財産保全処分として可能なのか、これが明文上規定をされておられません。そこで、裁判所の判断に委ねられているということでありますが、この点は法の実効性に疑問が残ると私は思います。また、管理人についても、管理処分権が専属をする規定、調査権限に関する規定がないという点についても、これは定める必要があると考えますが、提出者にお尋ねをいたします。

吉田(統)議員 お答えします。

 現行の宗教法人制度の下では、解散命令請求等に係る宗教法人について、その財産を保全する措置が定められておらず、その隠匿や散逸を防ぐ手だてが存在しないことから、被害者の被害の回復に資するよう、一定の厳格な要件の下で、その宗教法人の財産を保全する措置を定めることとしたものであります。

 本法案に定められている財産の保全処分は、会社法を準用しておりますが、弁護士法など、一般の法人とは別の配慮が必要な法人の仕組みを参考にし、会社にも宗教法人にも共通する必要最小限の公益的な規制を定めたものでございます。

 保全処分についての会社法の規定は旧商法のときから存在するものであり、適用事例の蓄積は少ないとしても、制度として合理的かつ現実的なものとされており、また、管理人の権限に関する詳細な規定がないことも同様でございます。

 その実効性については、前例がないから実効性に疑問があるとする指摘も与党の方からいただきましたが、これは論理的ではなく、制度として合理的かつ現実的なものである以上、被害者救済という本法案の目的が実現されるよう適切に運用される必要があり、そのために行政も司法も全力で取り組んでいただくことを期待するものでございます。

 以上です。

小林(茂)委員 最後の質問になるんですが、やや細かい内容に入るわけでありますが、宗教法人法では、小規模の宗教法人について、収支報告書の作成の特例というものが規定をされています。

 衆法第一〇号、自公国案では、特別指定宗教法人についての財務書類の特例が規定をされていますが、法案が成立をした場合、小規模の宗教法人の扱いはどのようになるのか、これをお尋ねをいたします。衆法一〇号でございます。

小倉議員 お答えいたします。小規模の宗教法人の扱いについてであります。

 今回の法案が成立した場合であっても、従前、収支計算書を作成していなかった小規模の宗教法人につきましては、特別指定宗教法人の指定を受けない限り、引き続き収支計算書の作成は免除されること、このようになっております。

小林(茂)委員 法テラスを対象とした場合に、利用者数は潜在的にたくさんおられる、また、被害者の意向等に大きく左右されるため、現時点で、どのぐらいの相談があるということは分からないわけでありますが、千二百二十八件、過去に、この一年間で法テラスに対して相談があった、また、そのうち金銭トラブルは七百二十件あったということであります。この法成立後、速やかに施行して、被害者が適切に救済されることを望んで、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、英利アルフィヤさん。

英利委員 おはようございます。自由民主党の英利アルフィヤです。

 今回提出されている両法案について、まず、被害者に寄り添い、そのニーズに応える法整備を行うことが大前提だと認識しております。国民の皆様の関心も、この法案が成立することによって、どのような課題がどう具体的に解決するのか、そこにあり、また、政治に信頼を持っていただく上でも重要な課題だと認識しております。

 その上で、改めて、両法案起案に当たりまして被害者の方々とどのような対話が行われたのか、そこから見えてきたニーズは何だったのか、国民の皆様にも分かりやすい形で簡潔に御説明願いたく存じます。お願いいたします。

小倉議員 私どもの、与党、実効的な被害者救済の推進に関するPTにおきましては、七回にわたりまして、関係省庁、全国統一教会被害対策弁護団、被害者、宗教団体関係者、憲法学者などからヒアリングを行ってまいりました。

 とりわけ、被害当事者などからのヒアリングにおきましては、孤独、孤立にあえぎ、生活困窮に苦しみ、宗教二世として親への愛情とのはざまで心の悩みにさいなまれるなど、被害の深刻さやこれまでの御苦労など、被害者の方々の声に真摯に耳を傾けてまいりました。被害者を誰一人取り残さず救い上げるために、議論を深め、実効的な被害救済対策について精力的に検討してきたところでもあります。

 ヒアリングの結果、民事保全の申立てや民事訴訟の提起に至る事例が極めて少ないという状況が起きていることも明らかになりました。この原因は、被害者への法律相談体制が十分でないこと、訴訟や保全を行うための費用を捻出することが困難であることなどと私どもは認識をしております。

 これらのことを踏まえまして、我々のPTとして、第一に、法テラスの業務の拡充により、資力を問わず、被害者であれば法律相談から訴訟、保全、そして執行までの民事事件手続全般を迅速に利用できるようにすること、第二に、宗教法人法の特例を設けますことで、指定宗教法人の財産の透明性を高めるとともに、その動向を被害者が随時適切に把握できるようにすることなどにより、被害者の司法手続を通じた迅速かつ円滑な救済を図ることで一致をしたものであります。

 以上です。

山井議員 大変重要な御質問をありがとうございます。

 被害者救済のための法案である以上、十分に被害者の声を聞くというのは当然のことでございます。私たち立憲民主党では、昨年の秋以降、約七十回、被害者の方々、そして弁護士の方々をお呼びしまして、延べ百人の被害者から一年二か月にわたって話を聞いてまいりました。

 その中で、結論から言いますと、個々人の財産保全というか、個別の訴訟による財産保全は酷である、無理である、野党案にあるような包括的な財産保全の法整備を是非お願いしたいという声でありました。

 具体的に、お一人の方の声を紹介させてほしいと思います。当事者の声を聞いてほしい。この被害者の方、二世の方であります。

 財産保全については、被害者が個別に訴えを起こせばいいという声があります。宗教法人法に基づく解散命令請求についても、利害関係人である被害者が請求をすればいいということがありました。しかし、生活に困窮し、何とか生きている多くの被害者にそのような余力はありません。また、統一教会は怖い。解散請求についてですが、国が警備を強化したと聞きます。実際に物騒な事件も起きていると聞いていますし、私が幼少期から見てきた彼らの姿勢は、サタンからの攻撃だと被害妄想を膨らまし、サタンに打ちかつためには何をしてもいいという団体です。怖いです。顔出しもできませんし、実名の公表もできません。訴訟することも怖いです。統一教会と関わること自体に身の危険を感じ、被害を訴えることすら諦め、泣き寝入りをしている二世がたくさんいます。私たち被害者が統一教会に個人で訴訟を起こすのは、ハードルが高いばかりか、酷です。

 ということで、このような声をたくさん聞きました。

 昨日も、弁護団の方々三人の先生、木村先生、阿部先生、紀藤先生から、修正協議の中で話を一時間聞かせていただきました。私たちは、是非、セットで、弁護士の方々のみならず被害者の方々から、この法案の採決までに、修正協議の場で被害者の方々の声を聞いて、修正協議をもう一回やってほしいということを要望しておりますので、まだ採決には時間があると思いますので、今、非常に重要な、被害者の声が重要だというお声を聞きましたので、是非、修正協議の中で被害者の声を聞いて、もう一度修正協議をさせていただきたいというふうに私たちは考えております。

 以上です。

英利委員 両者とも、本当にありがとうございます。

 共通点として見られるのが、心の悩み、余力がない、怖い、不安を感じる、この点、メンタルヘルスの部分も非常に大きいのかなと思っております。

 その上で、法テラスでは、弁護士や心理専門職などを配置した特定施策推進室を設置するとともに、霊感商法等対応ダイヤルにおいて相談対応に当たってきたものと承知しております。まず、被害救済に向けた特定施策推進室における取組について、その具体的な内容を伺いたいです。お願いいたします。

坂本政府参考人 お答えいたします。

 法テラスの特定施策推進室におきましては、霊感商法等対応ダイヤルを設置いたしまして、いわゆる旧統一教会問題に関する相談に対し、弁護士、心理専門職などの知見を活用し、また、関係機関などと連携しながら適切な相談窓口を紹介するなどしているところでございます。

 例えば、金銭トラブルにつきましては全国統一教会被害対策弁護団を紹介するなどしておりまして、現在、弁護団におきまして、旧統一教会に対し集団交渉の申入れや民事調停の申立てを行うなど、被害救済に向けた手続を着実に進めているものと承知しております。

 また、法テラスにおきましては、相談者の意向やプライバシーなどに十分配慮しながら、必要に応じまして、こうした相談状況等に関する情報を関係機関等に提供するなどいたしまして、総合的相談体制の強化を図っているところでございます。

英利委員 ありがとうございます。

 さらに、被害者のメンタルヘルスについてお伺いしたいと思います。

 まず、霊感商法等対応ダイヤルに寄せられた相談のうち、メンタルヘルスケア関連の相談の受付状況、件数、及び、プライバシー上可能な範囲内でその内容を確認させていただきたく存じます。また、法テラスにおいて、メンタルヘルスケア関連の相談を受け付けた場合、どのような対応を現在しているのか伺いたいです。お願いいたします。

坂本政府参考人 お答えいたします。

 霊感商法等対応ダイヤルに寄せられたいわゆる旧統一教会に関する相談のうち、心の健康や心の悩みに関する相談内容を含むものは、令和五年十月三十一日までの累計で三百七十四件でございます。

 相談内容につきましては、相談者のプライバシーに配慮して、差し支えない範囲でお答えさせていただきますけれども、旧統一教会問題に関する心の悩みといたしましては、信者以外の者との結婚を親から反対され精神的苦痛を受けている、親族の交際相手が信者であり、家の財産を狙っているのではないかと不安を感じるなどの相談が寄せられているものと承知しております。

 法テラスにおきましては、心の健康や心の悩みに関する相談を受け付けた場合には、心理専門職等の知見を活用して対応しておりまして、関係機関と連携しながら適切な相談窓口等を紹介するなどしているところでございます。

英利委員 ありがとうございます。

 こちら、今配付している資料を御覧いただきたいんですけれども、御説明いただいたとおり、霊感商法等対応ダイヤルの相談状況の分析をお配りしております。

 一ページ目が、期日ですけれども、令和四年十一月十四日から今年の十月三十一日まで、累計六千六百四件の相談があったということです。

 二ページ目を御覧いただきたいんですけれども、先ほど御説明にありましたとおり、全体の相談内容の中、七千五百六十六件の中から旧統一教会のみの相談が一千五百三件、その中で最も多いのが、もちろん、先ほど小林議員の質疑にもありましたとおり、金銭的トラブル七百二十件なのですけれども、その次に多いのが心の悩み三百七十四件です。また、ほかの内訳も見ますと、例えば、身体的被害、生活苦の悩み、誹謗中傷、個人情報の悪用、親族関係など、こちらも全てメンタルに関わる事案でもあると認識しております。

 また、内訳を見ますと、心の悩みが全体の三〇%となっており、非常にメンタルヘルスの部分にも注目する必要があるかと思いますけれども、法テラスが受けたメンタルヘルスケア関係の相談につきましては、適切な機関に具体的な対応を振り分けていると思います。主な振り分け先はどこなのか、また、振り分けの妥当性や振り分け先の機関において適切な対応が取られたかどうかについて法テラスは検証、フォローアップをしているのか、確認させていただきたく存じます。お願いいたします。

坂本政府参考人 お答えいたします。

 霊感商法等対応ダイヤルに寄せられた心の健康や心の悩みに関する相談に対しましては、よりそいホットライン、精神保健福祉センター、法務少年支援センターなどを紹介しているところでございます。

 法務省及び法テラスでは、相談対応を実施した後も、新たな支援策を講じる必要性等を検証するため、相談者の意向やプライバシー等に十分配慮しながら、案内先の相談機関等からの情報の提供を受けるなどして、相談後の対応状況等についても最大限把握するように努めておるところでございます。

 法務省といたしましては、引き続き、関係機関等と緊密な連携の下、こうした相談対応を通じて被害実態を把握、分析するとともに、関係機関等との間で必要な情報共有を図るなどして、被害の実効的な救済に万全を尽くしてまいりたいと考えております。

英利委員 ありがとうございます。

 また、心のケアは、旧統一教会の被害者の方々のみならず、犯罪被害者の全ての方々、介護問題を抱えている方々など、様々な国民にとって必要であると考えております。私は、消費者問題特別委員会の委員でもあり、その立場で本日立たせていただいておりますけれども、消費者被害の中には悪質事業者による事例も見られることから、こういった悪質な消費者被害に遭われた方々についても心のケアが必要だと考えております。

 現在の政府の取組状況と認識についてもお聞かせください。

植田政府参考人 お答えいたします。

 悪質な消費者被害に遭われた方々への心のケアについてでございますけれども、消費生活相談においては、相談者のお気持ちに寄り添った聞き取りを行うということとともに、相談内容に応じて、関係する法律について確認し、助言等を行っているところでございます。また、御相談内容によっては、他の適切な相談窓口を紹介するといった対応を取っているところでございます。ケース・バイ・ケースで対応しておりますけれども、委員御指摘のような心のケアが必要な御相談者に対しましては、消費生活相談窓口から専門の相談機関を紹介するなど、適切な対応をすることが重要だというふうに考えております。

 消費者庁といたしましては、引き続き、消費生活相談員向けの研修を充実させるということなど、相談員の専門性やスキルの向上にもしっかりと取り組み、関係機関とも連携した相談体制の充実に努めてまいります。

英利委員 ありがとうございます。

 司法手続による救済、もちろん重要でございますけれども、被害者に寄り添った支援の充実強化もまた重要であると考えております。その中で、今回の質疑にありましたとおり、被害者のメンタルヘルスケアに関わる施策につきましては、本法案の成立後において具体的な充実強化策もお願いしたいと思います。そして、国会全体で引き続きこの問題に、包括的に被害者に寄り添う形で、注視、対応していくことを同僚の皆様にもお願いさせていただきまして、私の質疑とさせていただきます。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、國重徹君。

國重委員 おはようございます。公明党の國重徹です。

 前回の質疑でも申し上げましたとおり、民事事件手続を通じた権利実現を促進するために必要な法整備、これとともに被害者に寄り添った社会的支援を一層強化していくことで、一人でも多くの被害者の方々の迅速かつ円滑な救済につなげていくことが大事であります。一方で、法と証拠のルールを踏まえた制度設計、運用というのもゆるがせにはできません。

 まず、文化庁に確認をいたします。

 会社法や弁護士法には、解散命令の請求が行われた時点で、当該法人の包括的な財産保全を求めることができる制度が定められております。他方、宗教法人にはそのような規定は設けられておりません。この基本的なことがこの審議で余り取り上げられてこなかったので、まず、この理由は何なのか、会社法との関係や結社の自由との関係も含め、できるだけ具体的で丁寧な答弁を求めます。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 宗教法人法と会社法や弁護士法等とでは、その趣旨、目的、解散命令請求の仕組み等が異なってございまして、宗教法人の財産全体を包括的に保全し得る処分を可能とすることについては、憲法に定める財産権の保障に加え、信教の自由との関係からも慎重な検討が必要と考えてございます。

 また、会社や弁護士法人等が憲法上の結社の自由を享有しているとしても、宗教法人は、信教の自由として、宗教的結社の自由に加え、宗教的行為の自由等への配慮も求められるものであり、会社等と同様では語れない側面を有すると考えてございます。

 具体的には、会社法等の保全に関する規定は、会社等の財産に関し、管理人による管理を命ずる処分その他必要な保全処分を命ずることができるとするのみで、どのような場合にどのような保全命令が命じられるかは裁判所の判断に委ねる形になっていること。また、会社等と異なり、宗教法人の財産は、一般論として申し上げれば、信者の宗教的表現である寄附等の結果として形成され、主として宗教的行為のために用いられるものであり、法人の財産全体に対する包括的な保全を命じた場合、財産権行使を伴う宗教的行為が幅広く制約されることがあり得ること。重ねて、一般的な、基本的な考え方を申し上げれば、宗教法人は、解散命令により法人格が消滅したとしても、清算により債務を完済した上で残余財産となった祭祀財産は解散後も信仰のために利用する可能性があることにも留意が必要であること。このほか、会社等の場合は裁判所が解散の申立てをした利害関係人に対して相当の担保を立てるよう命ずることができるものとされてございますが、宗教法人にはそのような仕組みがないため、利害関係人に保全を認める場合、濫訴等を招くおそれがあることなどが考えられるところでございます。

 過去の経緯におきましても、裁判所が解散命令を行う仕組みとなった昭和二十年の宗教法人令や昭和二十六年の宗教法人法の制定に当たり、財産保全の制度は設けられておらず、平成七年の宗教法人法の改正に際しても財産保全の制度は導入されなかったところでございます。

 これらの事情を考慮した結果、会社法等と同様の包括的な保全規定を宗教法人法にそのまま取り入れることは、信教の自由との関係から検討すべき難しい点があり、これまで導入されてこなかったものと承知をいたしてございます。

國重委員 詳細で丁寧な答弁、ありがとうございました。

 宗教法人は、信教の自由として、宗教的結社の自由、これに加えて宗教的行為の自由などへの配慮を求められるので、会社などとは同列に論じることはできない、会社法などを倣って宗教法人法に包括的な保全規定をそのまま取り入れることは信教の自由との関係でも難しい、だから導入されてこなかったというような答弁でありました。

 では、次に、法務省にお尋ねいたします。

 会社法等には、解散命令の請求が行われた時点で当該法人の包括的な財産保全を求めることができる制度が定められていますが、解散命令請求が行われれば当該法人の財産保全は必ずできるのか、答弁を求めます。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 会社法上の保全処分は、これまでに適用された例を承知しておらず、どのように運用されるのかを的確に予測することは困難なところがございます。

 もっとも、一般論として申し上げますと、会社法上の保全処分は、請求権の存在やその額などを含む様々な事情を踏まえた上で、裁判所が必要と認める場合に命じられるものと考えられます。したがいまして、会社法上の保全処分は、解散命令の申立てがされた場合に必ず命じられるものではないと考えられます。

國重委員 保全処分を受けますと、一定の財産に対する制約を受けることになりますので、あくまで必要性がある場合に限って保全処分を裁判所が命じる、これはある意味当然のことだというふうに思います。会社法上の保全処分であったとしても、請求権の存在やその額、こういったことなど様々な事情を踏まえた上で、裁判所が必要と認める場合に命じられるということでありました。

 これから、立憲、維新案の提出者にお伺いしていきたいというふうに思います。

 立憲、維新案の提出者は、十一月二十四日の法務委員会で、会社法にはない対象法人の限定や財産保全処分の要件の絞り込みを明記するなどして、信教の自由にも配慮した制度設計とした、極めて厳格な要件を満たした場合に、ちょっと中略しますけれども、必要な保全処分を命ずることができる、このように答弁をされております。

 まず、通告している三問目の前提として、立憲、維新案の提出者に基本的な確認をさせてください。

 この極めて厳格な要件を定めたのが三条ということになると思いますけれども、これで間違いないでしょうか。イエスかノーかだけでお願いします。もうイエスになると思いますので、どなたでも結構ですので。

西村(智)議員 三条で規定しておりますとおり、我が党の案では、極めて限定的な要件をもって検討した上で、三条のとおり規定しているということでございます。

國重委員 ありがとうございます。

 論理的にそうなると思いますね。極めて厳格な要件ということを先日の私の質疑の際に繰り返し答弁いただきましたけれども、この極めて厳格な要件というのが三条なんだということが確認できました。

 その上で、ちょっと全部に時間の関係で触れることはできませんので、三条二号にあります「当該財産の隠匿又は散逸のおそれがあること。」について、これが極めて厳格な要件の一つであることを踏まえますと、例えば、一億円を持っている法人が十万円を使っても、これはさすがに散逸とは言えないのではないかというふうに思います。

 そこで、立憲、維新案の提出者にお伺いします。

 この散逸のおそれの有無の判断においては、対象宗教法人の資産の規模や被害額なども踏まえて、その上で、対象宗教法人がどのような財産処分をしようとしているのか、こういったことなどに鑑みて判断されるものだというふうに理解をしておりますけれども、このような理解は正しいのかどうか、お伺いいたします。

西村(智)議員 お答えいたします。

 本法案第三条は、宗教法人法に基づく解散命令請求等がなされた宗教法人のうち、多数の被害者がおり多額の損害が想定されることから財産の隠匿又は散逸のおそれが問題となるケースを想定いたしまして、その上で、宗教法人の信教の自由、財産権の保障に配慮して、第三条第一号及び第二号で、極めて厳格な要件として判断のポイントを明記し、その該当性を裁判所の判断に係らしめたものでございます。

 その上で、対象宗教法人という用語はあくまでも自公民の法案の中での定義でありますが、あえてそれを使わせていただきますと、委員御指摘のとおり、宗教法人の財産の規模、想定される被害額、対象宗教法人がどのような財産処分をしようとしているか等を踏まえて、裁判所において適切に判断されるものと考えております。

 また、仮に我々の案と同時に自公国案が成立するということになりましたら、宗教法人の不動産の処分等の状況や四半期ごとの財務状況が明らかになる可能性がありますことから、裁判所が判断を行うに当たりまして有力な資料となることが考えられます。その意味において、我々の案と自公国案はいわば車の両輪と言えるのではないかと考えております。

國重委員 答弁ありがとうございました。

 それで、今、私が、自公国案で言う対象宗教法人の資産の規模とか被害額、また、対象宗教法人がどのような財産処分をしようとしているのかというような考慮要素で、ちょっと一例として聞きましたけれども、裁判所が判断に迷わないようにするためにも、できるだけ立法者の意思というのをこの審議の中で明らかにしていく必要があると思っております。

 今、私が言ったようなもの以外にも、もし提案者として考慮される事情があると考えているものがあれば、是非お伺いしたいと思います。

西村(智)議員 お答えいたします。

 宗教法人の財産構成につきましては、私たち、できるだけ誠実にお答えしたいと思っておりますけれども、余り宗教法人の財産の構成や処分の状況などを具体的に答えますと、これまたいろいろな誤解を招きかねないというふうにも考えております。

 ですから、裁判所の方でこれは個別具体的に判断すべきものであるというふうに思っておりまして、いろいろな想定は私たちも考えてはまいりました、SNS上の発信であったり、あるいは旧統一教会側からの発信であったり、いろいろなことはありましたけれども、それをもってなかなか立法事実というふうには捉え切れないというふうに考えまして、ここは裁判所の個別具体的な判断になるということでございます。

國重委員 散逸とか隠匿というのは会社法等にはないものでしたので、極めて厳格な要件というのであれば、こういったところもできるだけ中身、考え方を明らかにしていく必要があるものだというふうに思っております。

 では、次の質問に移ります。

 三条二号の、当該財産の隠匿又は散逸のおそれの判断の際に踏まえる事情の例示として、国内から国外へ向けた多額の送金が挙げられております。この点、旧統一教会が、昨年九月二十一日付「教会改革の方向性」で、社会情勢を踏まえて海外宣教援助費を大幅に減額する旨を表明している事実、また、安倍元総理への銃撃事件以降、国内から国外へ向けた多額の送金が仮に、仮にですね、仮になかったとした場合の当該事実、このような事情というのは財産の隠匿又は散逸のおそれの判断において考慮されるんでしょうか。お伺いします。

西村(智)議員 國重委員が、そもそも、なぜ旧統一教会の「教会改革の方向性」というものにお触れになられたのか、旧統一教会に寄り添うような例示をされたのかということについては、私はうかがい知ることができませんし、また、海外への多額の送金の有無などについてもいろいろなことを例示されましたけれども、私はそれはそれだというふうに思っております。

 どのような事情が考慮されるかにつきましては、個別具体的な事案ごとにより、申請者による疎明等に基づき裁判所が適切に判断されるものであるということでございます。したがって、委員御指摘の事実についても、裁判所において、考慮すべき事情とするのかしないのか、適切に判断されるものと考えております。

 ただ、念のために申し上げますと、その際、考慮すべき事情は、御質問にありました、旧統一教会が大幅に減額する旨を表明しているという事実ではなくて、先生がおっしゃる、海外への送金がどれだけ減額されたのか、幾ら支出されているのかという事実であると考えております。

國重委員 私は、あくまで解釈を明らかにしたいと思っております。決して、旧統一教会に寄り添うとか、そういうことは全く考えておりません。あくまで被害者救済のためなんだけれども、私が冒頭申し上げましたとおり、被害者救済は大事です、一方で、法と証拠のルールに基づく制度設計、また運用というのも、これもまた重要になります。落ち着いた観点で、もちろん心情的なことも大事だと思っていますし、私も被害者の方からも、比べたらそれは少ないと思いますけれども、お伺いはいたしました。その上で、あくまでも、ここは立法府ですので法的な観点で、冷静に落ち着いて、様々な考慮要素、解釈していかないといけないのであれば、その解釈はどのようなものなのかということは、これは極めて厳格な要件であるからこそ明らかにしていかないと、裁判所が判断に迷っちゃうんじゃないかというふうに思います。

 では、次の質問に移ります。

 立憲、維新案の提出者は、現時点で旧統一教会が三条の要件を満たすと考えているのかどうかということについて、これまで、全国弁連の皆様とも何度も意見交換をしたりヒアリングをされて様々な事情をお伺いしてきたと思いますけれども、現時点で旧統一教会が三条の要件を満たすと考えているのか、また、包括保全ができると考えているのか、この点について、もちろん、裁判官ではないので提案者としてのお考えで構いませんけれども、お伺いしたいと思います。

西村(智)議員 ありがとうございます。

 國重委員におかれましても、思いは共通であると、被害者の救済に資するような法制度をつくりたいということは共有させていただいていると思っております。

 であれば、私たちが提案している法案、これは裁判所が個別具体的に判断するということで、私たちは一〇〇%のものと思って提案をいたしておりますけれども、それでもなお裁判所が判断に迷うということがあるのではないかというふうにお考えでしたら、是非、その実効性を上げるための方策を一緒に考えていただきたいとお願いをしたいと思っております。

 その上で御答弁を申し上げますと、本法案の第三条の要件該当性の判断については、所轄庁等の申請者からの疎明、あるいは裁判所の調査等を踏まえて裁判所の適切な判断によるものでありまして、提出者が判断すべきものではないと考えております。提出者としては、旧統一教会について、多くの被害者が存在している状況、想定される損害額等を踏まえますと、被害者救済のためには、財産の隠匿や散逸のおそれという要件に該当するようなことは断じてあってはならないと考えております。この要件に該当するかは、旧統一教会が現にどのような行動を行っているかによるものであると考えております。

國重委員 あくまで、最終的にはもちろん裁判所が判断しますけれども、様々な立法事実を踏まえてこの法案を作られたと思いましたので、お伺いをいたしました。

 極めて厳格な要件ということを前提に考慮しますと、この要件を満たすのはそうそう簡単なことではないというふうに思っております。現時点で要件を満たすことは、私は、今まで私もお聞き取りをした限りではなかなか難しいようにも思う一面もございます。現時点で三条の要件を満たすかどうかということをはっきり言えないというのであれば、ちょっと別の角度でお伺いします。

 裁判所としては、適用違憲にならないように保全処分を命じるに当たって、より一層個別具体的な請求権の存否や額の立証を求めることになると思われますけれども、この点はいかがでしょうか。会社法でも、個別具体的な請求権の有無とか額というのは、裁判所がそれを考慮要素として判断しますけれども、今回の場合、より一層個別具体的な請求権の有無、額の立証を裁判所が求めることになると思われますけれども、この点、提案者としてどのようにお考えでしょうか。(発言する者あり)

 質問通告にないと言われましたけれども、私は、事前に法制局を通じて、この解釈はどうですかとかいろいろ聞いているんですけれども、現時点では答えられないというのが非常に多くて、答弁内容によって変わってくるわけですよ、質問が。私は、事前に質問通告の中で、答弁内容いかんによっては関連する基本的な項目について更問いをさせていただきますということも書いております。

 それで、私としては、今、基本的なことをお伺いしたつもりです。答弁を求めます。(西村(智)議員「ごめんなさい、もう一回質問していただけますか」と呼ぶ)

秋葉委員長 では、もう一度、簡潔に御質問をお願いします。

國重委員 はい、簡潔に言います。

 裁判所としては、適用違憲にならないように保全処分を命じるに当たって、より一層個別具体的な請求権の有無や額の立証を求めることになると思われますが、この点はいかがですか。

長妻議員 お答えをいたします。

 当然、そういうような、今おっしゃっていただいたような請求権の有無や額ということも裁判所は考慮するというふうに私は思います。

 これは、基本的には、前から申し上げているように、裁判所が判断をするということなんですね。それにおいて、どういう判断要素があるかというと、いろいろ法律にも細かく実は書いてございまして、一つは、まずは損害の賠償に係る訴訟が一体どのくらい起きていて、そこにはもちろん、請求権が認められそう、認められない、あるいは額の問題も入っているわけです。あと、示談の交渉も要素に入っておりまして、ここでも、額とかその状況ももちろん考慮されるわけでありますし、もう一つは、国の行政機関等に対する相談、一体どういう相談が来ているのか、具体的に金額はどうなのか、その組織性とかあるいは継続性はどういうものなのかというようなことを鑑みて、そして、相当多数の個人において多額の損害が生じていると見込まれる、こういうようなことを考慮するわけでありますので、当然、おっしゃっていただいたことも裁判所が考慮するということになると思います。

 先ほど、三条の条件には何か旧統一教会が当てはまらないような趣旨のお話にちょっと聞こえたんですけれども、我々は、初めからもう当てはまらなければこういう法律を出さないわけで、私どもといたしましては、三条に基づいて、財産の隠匿又は散逸のおそれがあるということに当てはまる可能性があるのではないかと。あくまでも、最終的な判断は裁判所なんですね、裁判所が判断するわけでございますが、当てはまる可能性があるということでこの法律を出しています。

 ちなみに言うと、与党案にも、隠匿という……(國重委員「端的にお願いします」と呼ぶ)

秋葉委員長 簡潔にお願いをいたします。

長妻議員 ええ。与党案にも隠匿というものが規定されておりますので、同じように、かちっと全ての条文に具体的な案件の条件を書くということは、逆に、これはのりを越えている。裁判所が総合的に判断するというのがこの法律のコアのところです。(発言する者あり)

國重委員 今、前回と同じ目に遭っていると言いましたけれども、やはり、質問に対して直接端的にお答えいただきたいと思います。これは両方そうだと思いますけれどもね。(発言する者あり)

秋葉委員長 御静粛にお願いします。

國重委員 委員長、不規則発言を止めるようにしてください。

秋葉委員長 御静粛に。

國重委員 それで、私、極めて厳格な要件ということは正しいと思うんです、ここは。だから、安易にこれを満たすことになると、提案者の言う極めて厳格な要件ということと整合せず、信教の自由に対する過度な制約になって適用違憲になってしまうと。

 だから、もちろん、いろいろ踏まえますと、実効性の議論、いろいろなっているんですけれども、憲法上の疑義が生じないように運用すると適用範囲というのは相当絞られてくるのではないか。特に、包括保全のようなことをしていく場合にはやはり相当慎重にやらないといけないんじゃないかというふうに思っておりますので、ここの議論は、しっかりとこの審議の中でしておかないといけない重要なポイントですので、この点について申し上げました。

 それでは、自民、公明、国民民主案では、通知をせずになされた不動産の処分は無効とする規定を設けています。これに関し、立憲、維新案では、管理人に無断で行った処分を無効とする規定はあるんでしょうか、どうでしょうか。

西村(智)議員 御指摘のとおり、自公国案第十条第三項においては、所轄庁に通知をせずになされた不動産の処分は無効としますが、これは所轄庁に通知を行わせるための担保措置であり、仮に通知を行わずに無効とされた場合であっても、改めて通知を行うことにより有効に不動産の処分を行うことができるものと承知いたしております。

 委員の御指摘は、自公国案第十条第三項にはこのような限定的な効果しかないことを踏まえた上で、あえて管理人の権限規定の不備を我が方に対して指摘されたものと考えております。

 御指摘のとおり、管理人に無断で行った処分を無効とすることはできませんが、これは会社法、これを準用する弁護士法でも同様であると理解しております。委員御承知のとおり、裁判所の管理命令があれば管理人が裁判所の監督の下で管理を行い、適切な管理がなされていなければ管理人が解任されるものと理解いたしております。それでもなお管理人に関する規定に不備があるとの御認識でありますれば、柔軟に修正を行っていきたいと考えております。

 なお、第三条は、「管理人による管理を命ずる処分その他の必要な保全処分」とありまして、条文上、管理人による管理は必要な保全処分の例示にすぎません。したがって、裁判所が直接、職権に基づき、必要な保全処分を行うことも可能でありまして、我々の法案の実効性に疑義があるというふうには認識しておりません。

國重委員 ありがとうございます。

 実効性の観点について、私はまだ質問を残していたわけでありますけれども、今日はちょっと、時間内に終わらせるということで、午後も私質疑に立たせていただきますので、この続きは午後にさせていただくということで、時間の関係で、午前はこれで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、山田勝彦君。

    〔秋葉委員長退席、田野瀬委員長着席〕

山田(勝)委員 立憲民主党の山田勝彦です。どうぞよろしくお願いいたします。

 十一月二十九日、旧統一教会の被害者団体やその弁護団の方々から直接話を伺いました。与党案も野党案も両方成立してほしい。被害者救済に財産保全法は必要である。被害者の救済に与党も野党も関係ありません。今国会で多くの人が救われる法案の成立を心から願い、質問させていただきます。

 十一月二十四日の法務委員会の冒頭、自民党議員の方が公益財団法人日本宗教連盟の懸念を引用されました。信教の自由を含めた精神的自由は最大限保障される権利であり、多くの宗教法人が不要な不安を招かないよう配慮してほしい。

 これは大変な誤解です。私たちは、宗教法人法を改正するつもりは全くありません。あくまで、違法行為を繰り返し、多くの方々に甚大な被害を与え続け、解散命令請求まで出された旧統一教会に限定した特措法です。他の多くの宗教法人の方々は健全な宗教活動をされておられ、当然、財産保全の対象にはなりません。是非、旧統一教会以外の真っ当な宗教法人の方々への信教の自由を脅かす法案ではないということを改めて強調させていただきます。

 その上で、与党は、野党案の財産保全を採用できない理由として憲法違反の疑念を強調されていますが、予算委員会でも衆議院法制局長は合憲と結論づけました。また、この問題に長年関わっている多くの弁護士や憲法学者も合憲だと言っています。改めて野党案は合憲であると強く訴えます。

 十一月二十九日、与野党修正協議の場で自民党の柴山議員から、信教の自由の観点からクリアできるものになるのか、現時点において野党案にはかなりの疑問があると懸念を示されたようですが、一体、誰の信教の自由を守ろうというのでしょうか。お答えください。

柴山議員 今ほど山田議員は、旧統一教会の事例に限定した形で、その信教の自由ということについて配慮する必要はないのではないかというような趣旨から、今御質問されたというふうに考えますけれども、これはあくまでも一般の法律ですから、実際に例えば解散命令請求が出されたとしても、その解散命令請求の申立人が公的な主体でない場合もあります。檀家同士の派閥争いでそういうような申立てがされることもあり得るわけであります。

 あくまでも、先ほど委員が御指摘されたような、全日本仏教会や日本キリスト教連合会など、全宗教法人の約九割が加盟している方々の懸念というのは、自分たちに全くこういった統一教会の事例が関わりないという観点から声明が発せられているのではなく、そのプロセス等も含めて、宗教法人の信教の自由ということに対する抑止的な効果ということをやはり懸念をされているわけでありますし、また、のみならず、先ほど文化庁の方から答弁があったとおり、この宗教法人の信教の自由というものは、取りも直さず、それを構成する個々の信者の自由な宗教活動にも直結してくるわけでありますから、誰の信教の自由を守ろうとしているのだと言われれば、私どもといたしましては、国民の信教の自由を守るという形で、しっかりと慎重な立法をさせていただいたという答弁をさせていただきたいと思います。

山田(勝)委員 この特措法は、あくまで解散命令請求を出された、多くの人々が被害を被っている、そういった宗教法人に限定した特措法であり、さらに、二年間の時限立法であります。そのことを改めて強調した上で、実は、驚きました、この審議の前に、自民党の各議員に統一教会から送られてきている、要望されているファクスの内容を私も直接確認させていただきました。このファクスの内容では、まさに教団側から、野党の財産保全は、信教の自由や財産権を侵害し、憲法違反だ、財産保全は民事保全法による手続で十分だ、このような、与党が強調されているような趣旨のことが述べられております。

 先ほど野党案には憲法上の疑念があるとおっしゃっていますが、そういった疑念を晴らす前に、自民党と旧統一教会はいまだにその関係を断ち切れていないのではないかと、今、多くの国民の皆様が疑念を抱いています。そういった疑念に応える立法措置が必要なのではないでしょうか。

 多くの自民党議員が旧統一教会から選挙応援や献金を受け取り、その見返りに関連団体のイベントへ出席し、祝辞を述べるなどし、結果として、長年にわたり教団の活動にお墨つきを与えてきてしまいました。

 しかし、これは自民党だけの問題ではありません。安倍元総理銃撃事件をきっかけに、旧統一教会の悪質な霊感商法による高額献金などの被害実態が明らかになりました。これは三十年にも及ぶ政治の不作為の結果だと言えます。だからこそ、私たち立憲民主党は、被害者の救済に全力を尽くし、そのために必要な法案、財産保全法を提案しています。

 一方、自民党は、被害者が個別に保全手続を進めるための支援強化を主張されています。

 これに対し、被害者の方々は、一個人が強大な統一教会と裁判するのは無理だ、被害者のほとんどが家庭崩壊に追い込まれ、身も心もぼろぼろで心が深く傷ついている、個人で裁判していくというのは余りにも酷だと。別の被害者の方は、被害者救済に財産保全法は必須であると強く訴えられています。与党案のように、被害者個人の自助努力に任せた個別の民事保全だけでは、多くの被害者を救済することはできません。

 この国会に、本当に被害者救済のために我々立法府が最善を尽くしたのかが問われているのではないでしょうか。与野党が力を合わせて、財産保全ができないのではなく、どうすれば財産保全ができるのか、そういった前向きな議論をして、財産保全を可能にする法案を成立させようではありませんか。お答えください。

山下議員 山田委員から大変大事なお話をいただきました。

 これは、被害者の方も聞いておられるので、少し丁寧にお話をさせていただきます。

 財産保全法を成立させたい、財産保全を強化したい、これは自民党も全く同じでございます。だからこそ、与党案を出しています。

 財産保全には、委員御承知のとおり、民事保全、これが一番実例もあり、確立した法規もあり、そして細かい規定もある、これが確実な財産保全なんです。そしてもう一つ、包括保全というのがあります。これは、典型的には、実は、破産のような強い効力を持った保全でございます。今、野党案の皆様が出しておられる、これは破産のような包括保全とはちょっと違います。

 その上で、実効性の観点でいうと、我々は、個別の被害者に対して、法テラスの助力をお渡しして、それで民事訴訟などをやっていただくということは、既に東日本大震災で実例があり、その法律相談援助については四十五万件を超える援助、そして代理援助については一万二千件の援助をやっているという実績がございます。

 他方、野党案における財産保全処分につきましては、参照した会社法、あるいは一般社団・財団法人法による解散命令請求法人に対するものを含め、日本の裁判所で全く実例がないんです。ゼロなんです。だから、実効性ということなんですが、実際に効果を発揮した例がゼロなんです。ですから、その点について我々は疑問を持っている。

 そして、さらに、野党案における財産保全処分は、会社法を準用しているんですが、会社法というのは管理人を置く措置なんです。じゃ、管理人が何ができるのか、管理人の指示に反する行為は無効になるのか、そういったことも一切規定がないんですね。そういった規定がないということで、実効性に大いに疑問がある。

 さらには、会社法というのは、必要な保全の措置を講ずるということが書いてあります。これは、保全の必要性を疎明しなさいということなんですね。じゃないと裁判所は認めないということなんです。

 実は、民事保全で、なかなか効果がないということに関して、保全の必要性の疎明が難しいという点がありました。これは実は、全く野党案でも同じなんですね。もっと言えば、結局、今まで前例もないし、規定もないものだから、恐らく、裁判所はもっともっと慎重になるんだろうと思います。

 そういったことを乗り越えて実効性を持たせようとすれば、まさに宗教法人の九割が加盟、関与をする公益財団法人日本宗教連盟が指摘するように、精神的自由に何ら配慮することなく、会社法の保全の規定を宗教法人に乱暴に当てはめるといった憲法上の懸念も出てくるということです。

 ということも含めて、そもそもは会社法の解散命令請求が宗教法人法よりも更に要件が付加されているということも指摘しながら、やはり我々は慎重に対応をさせていただきたいということでございます。

 ですから、個別保全について、民事保全、是非与党案に御理解を賜りたいというふうに思っております。

山田(勝)委員 与党案もすばらしいところがあって、被害者の方々や弁護団も含めて、与党案も野党案も両方成立させてほしいという趣旨ですから、財産保全を否定しないでほしいということを申し上げております。

 そして、先ほど、前例がないからと言われているんですが、そのこと自体が立法しない理由には当たらないはずなんです。なぜなら、旧統一教会による広範かつ深刻な被害こそ過去に前例のないものであって、その救済に当たってこれまでにない法律が必要なのは、当然ではないでしょうか。

 そして、被害者の方々、こう言われているんですね。与党は圧倒的に野党に比べて私たちの声を聞いてくれていない、財産保全が本当に必要なんだと。だから、是非、財産保全の必要性について、憲法上とか、前例がないとか、会社法とか、そういう技術的なことじゃなくて、まずはしっかりと当事者の、被害者の皆さんの声を聞いて判断いただけないでしょうか。被害者の声を聞いていただけると約束いただけないでしょうか。

山下議員 まず、憲法上のこととか技術的なことというのは、この立法府において、あってはならない発言だと思いますね。我々は憲法に基づいてやっていくということでございますから、そこはしっかりとやっていただきたいと思います。

 また、被害者に関しましては、これまで法テラスでもいろいろ聞いているその内容について、我々、関係省庁からも聞いておりますし、また、解散命令請求を行う段階で文化庁が聞き取った、これは、延べ、相当の人数になりますけれども、その状況についても聞き取った上で、さらに、我々、去年、不当寄附防止法案等の審議もありました、それも踏まえて、公式、非公式に、被害者の声、弁護人の声は数十回聞いております。

 そういったことも踏まえてこのような法案を御提示していることを、是非御理解賜りたいと思います。

山田(勝)委員 つまり、今なおこの場において被害者の声を聞き入れる姿勢がないということは、本当に、今この中継を見られている方々、そして多くの国民の皆さんが疑念を抱かれることだと思いますし、是非、被害当事者の方々の声を聞いた上で、財産保全の必要性を検討いただきたく、心からお願い申し上げます。

 その上で、与党は個別の民事保全の方が実効性が高いと言われていますが、本当でしょうか。与党案では、民事保全の対象となった宗教法人が財産処分を行うには国に対して一か月前に通知しないといけない、それに基づいて国は幅広く全国的に公告し、被害者が知ることになる、そこから民事訴訟あるいは民事保全の準備が進められるという内容になっています。

 この流れで、被害者が仮に教団の財産処分の動きを知って個人訴訟を行ったとして、民事保全命令が下されるまでに、どれくらいの期間を想定されているのでしょうか。

柴山議員 個別保全ですと実効性がないのではないかという趣旨から、今のような期間についての御質問がされたと思うんですね。

 基本的には、仮差押えの申立てがされた場合においては、裁判所において、その性質上、速やかに申立てについての審理を行い、判断がされるのが一般であります。

 ただ、御指摘のとおり、今回のような宗教的行為における被害者とされる方々については、若干、個別の事案によって、期間が長引くという事例があるということは承知をしておりますけれども、少なくとも、現時点において、かなりの数いらっしゃる被害の方々と例えば教団側と和解が結ばれているような事例ですとか、かなりの数は、既に申立て書を提出するに十分な熟度がある事例が多数あるというように承知をしております。

 したがって、例えば、指定宗教法人が不動産の処分あるいは担保の一か月前までに所轄庁に対してその要旨を示してそれを通知して、それが公告された場合には、あっ、一か月でこの不動産が処分されるのかというように被害者弁護団の方々がお互いに情報を持ち寄って、迅速に申立てができる事例に基づいて仮差押えをするということは、私は十分可能であるというふうに考えております。

山田(勝)委員 今、速やかに判断されると言われましたが、これは、実際にこういった実務を担っている弁護団から聞きました、提訴から判決までには五年から十年はかかると。しかも、現在最高裁まで行った案件では八年も経過しているそうです。

 さらに、この問題は特有の問題が潜んでいます。脱会から提訴に至るまでに、精神的な切替えが相当時間がかかる。元信者の皆さんは、先祖の因縁で脱退すると救われないという不安や恐怖心を植え付けられています。教会に被害を訴えると不幸になるかもしれない、つまり、脱退しても、すぐにマインドコントロールが完全に解けるわけではありません。二十年、そして三十年以上の被害をようやく訴えられる方々が数多く存在しています。

 今、現状の与党案、しかも通知さえすれば不動産を自由に処分できてしまうんです。こういった形で、十年後に果たして教団の財産は本当に残っているんでしょうか。

 資料一を御覧ください。

 私たちは、オウム真理教の教訓を生かさなければなりません。一九九五年六月、解散命令請求を出されたオウム真理教は、同年十二月に解散命令が決定するまでの僅か数か月のうちに財産隠しを行いました。多額の現金が散逸、主な不動産が関連会社などの名義に移転されてしまい、事件から十年後、結果として被害者への配当率は三〇・六七%にとどまりました。

 私たちは、このような悪質な資産隠しや資産売却を、もう二度と許してはなりません。その強い危機感から財産保全の必要性を訴えているのです。とにかく、既存の民事保全法ではとても対応できない。

 弁護団の阿部弁護士からお聞きしました。資料四を御覧ください。

 まず、民事保全法上の仮差押えをできるのは、限られた範囲の特定の財産のみです。教団側からすれば、それ以外の財産は自由に処分できてしまいます。現状の民事保全法の活用だけでは教団の財産の流出は防げないと思っておりますが、いかがでしょうか。

柴山議員 ちょっと、幾つかの質問を複合的になさったので、幾つか整理をしてお答えします。

 まず、訴訟をした場合に長期間かかる事例があるというのはおっしゃるとおりです。ただ、今委員のお示しをいただいた資料一に書かれているオウム真理教の事例でちょっとお考えをいただきたいのは、解散命令が決定した後は、速やかに一定の期間内に債権届をしなければ、その配当は受けられないということなんです。これは、管財人が選ばれた、要するに包括的な管理命令が出されたときに、そういった確定をして、一定の期間内にそういった債権届をしなければ配当を受けられないということは、これは包括的な手続をされた場合にもやはり言えることだということは是非御理解をいただきたいですし、その前の段階で、被害者対策弁護団の皆様には、どれぐらいのスパンで解散命令が決定して確定するか分からないんですけれども、今の段階から、困難な作業だとは思いますけれども、それに向けた御準備は是非していただきたいと思います。

 それと……

田野瀬委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力願います。

柴山議員 それで、ごめんなさい、あと一点。

 最後に、今お話をされた保全が、要するに、申出をしていない不動産については隠匿されてしまうではないかということをおっしゃいましたけれども、現預金についてはともかく、不動産に関して言えば、通知しない不動産についてはその譲渡が無効になるわけですから、だからそれは譲渡されたということを考慮しない形で処分をする、要するに仮差しなどをすることができるわけです。

 ですから、一部の財産だけではないかと言うけれども、要するに、一か月以内に譲渡する資産については、ちゃんと申立てをする者に全ての取引が通知をされている、理解をされているということで実務が動くということは、是非御理解をいただきたいと思います。

山田(勝)委員 通知さえすれば自由に処分できてしまう。財産保全は絶対に必要です。そのことを強く訴えて、終わります。

 ありがとうございました。

田野瀬委員長 次に、吉田統彦君。

吉田(統)委員 立憲民主党の吉田統彦でございます。

 本日は、法務、文部科学、消費者問題の連合審査ということで、私は、財産保全法案の提出者としての立場から、自公国の提出した特例法案について、そして被害の状況について、政府と法案提出者にお聞きします。

 まず、大規模消費者被害で財産散逸による被害が起こる件について少しお話を聞きたいと思います。

 今回の一連の旧統一教会の問題を考えると、一つの大きな柱となっているのが財産的な被害の問題、そしてもう一つが子供の虐待や宗教二世の問題、家族の断絶など家族関係に与えた問題と、大きく二つあるのかなと思います。

 私たち立憲民主党は、今回、日本維新の会と共同で財産保全法案を提出し、現在法案の審議が行われているわけですが、私の目から見ると、この問題について、やはり政府も与党も非常に動きが鈍いな、問題の本質を捉えていないのではないかと心配しております。

 我が国において、大規模消費者被害は絶えず発生していますね。近年ですと、ジャパンライフによる磁気治療器等のレンタルオーナー商法が問題となりました。また、それ以前にも、高齢者を狙った悪質リフォーム工事被害、和牛預託商法である安愚楽牧場事件、国債ネズミ講事件、豊田商事事件など、枚挙にいとまがありません。

 こういった中で、被害が明らかになり、このような消費を行った加害者などから被害弁済を受けようとした際に、当該法人などの財産が散逸し十分な補償が受けられないということが続いています。

 先ほど挙げたジャパンライフ事件ですと、そもそも刑事事件で判決を受けたのが会長一人であります。また、詐欺罪で要件である欺く意思の立証のハードルが非常に高くて、資金繰りが逼迫し顧客に配当できないと知りながらお金を集めた二〇一七年八月以降の約四か月間に絞って立件されております。起訴額は、被害と想定される二千百億円の一%にも満たないということになりました。ジャパンライフは今年の九月に破産手続が完了したということで、その配当率は一・二〇三%であったと報道されています。

 このジャパンライフの問題について、消費者庁は破産手続完了を受けてどのように考えているのか、簡潔にお答えください。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 ジャパンライフ問題のような事案を繰り返さないため、令和三年に預託法が改正されまして、販売を伴う預託等取引が原則禁止されたところでございます。

 消費者庁におきましては、この改正預託法を厳正に執行し、消費者被害の防止に努めてまいりたいと考えております。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 ただ、先ほど来少し述べたように、消費者被害の対応は後手に回ることが多いわけです。被害の発生を幾ら防止しようとしても、新たな手法で被害は発生するおそれが当然あります。

 そこで、被害の防止だけではなく、被害者の救済にも視点を向けて、一度被害が発生した際に、今回我が党と日本維新の会が議員立法を提出するような、こういった形ではなくて、抜本的な財産保全制度の構築や違法収益の剥奪などの制度を整備すべきだと考えます。この点について消費者庁及び法務省のお考えをお伺いします。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者庁が所管します景品表示法には、不当表示規制の抑止力を高め、不当表示を防止することを目的として、違反行為をした事業者に経済的不利益を課す課徴金制度が導入されております。また、さきの通常国会において成立し今後施行が予定されております改正景品表示法には、違反行為から遡り十年以内に課徴金納付命令を受けたことがある事業者に対して、課徴金の額を一・五倍に加算する規定が設定されております。(吉田(統)委員「聞いたことに答えてください」と呼ぶ)はい。

 消費者庁としましては、このような制度の厳正な執行に努めてまいりたいと考えております。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 法務省といたしましては、民事基本法制を所管する観点から、必要に応じまして、関係省庁からの協力の求めがあれば適切に対応してまいりたいと考えております。

吉田(統)委員 消費者庁、聞いたことにちゃんと答えてください。全く答えていないですよ。大丈夫ですか、政府参考人なのに。大丈夫ですか。全然答えていないですよ。

 ちょっと消費者庁、やはり姿勢が本当に悪いですよね。本当に消費者の立場に立っているとは全く思えない。もう少し消費者の立場に寄り添った、本来、消費者庁ができたときの思いに立ち戻って頑張ってください。

 では、ここからは、全国霊感商法対策弁護士連絡会声明について、特例法の提出者の方にお伺いしていきます。

 十一月十七日に、全国霊感商法対策弁護士連絡会が「与党PTによる提言及び法案概要について」という声明を出されていますね。もう皆さんお詳しいと思いますが。先日の法務委員会でも質疑がありましたが、解散命令請求に当たってなされた調査に基づいて、統一教会の組織的不法行為によって、過去四十年以上の期間で少なくとも被害者千五百五十名に対し総額約二百億円に上る被害が生じたとされています。

 与党の法案の前提となったPTでは、民事訴訟に至っている事例は極めて少なく、民事保全手続に至っている事案はないと指摘しています。そこで、与党PTでは、被害者への法律相談体制が十分でないこと、訴訟や保全を行うための費用を捻出することが困難であること等を挙げて、それに対応するものとして衆法第一〇号が提出されたと承知しております。それは、当然、本当に必要なものであると思います。

 しかし、それに対し、全国霊感商法対策弁護士連絡会の声明では、統一教会による被害の実態、救済の困難さを十分理解していないものと言わざるを得ないと厳しく述べていますが、私も全く同感であります。与党PTの挙げた二つの要因は、全く関係ないとはもちろん思いませんし、しかし、それが最大の要因というのは、やはり現状の正確な把握が足りないのではないかと考えます。

 過去の消費者庁の調査によっても、一般の消費者被害事件において実際に被害の声を上げられる者は被害者の氷山の一角ですよね。検察官でいらっしゃったから山下さんはお詳しいと思いますけれども、氷山の一角にすぎないとされている。これは、消費者問題に関する特別委員会で、私も筆頭理事をずっとここ三年間務めておりますが、強く認識するところであります。

 今回の旧統一教会について言えば、文化庁の調査で少なくとも千五百五十人に対して約二百四億円、先ほどお話ししたとおりでありますが、これが被害の全てとは全く言えないわけであります。旧統一教会は、過去四十年にもわたり組織的に不当な手段で献金を集めています。統一教会が実際に毎年集めた献金額は数百億円とも言われていますね。累計すると、どれほど不当な献金が集められたかが明らかでない、想像を絶する額ではないかと思います。そうすると、被害者本人に対するものに限ったとしても百億円は下らないと声明では指摘しています。(発言する者あり)ごめんなさい、一千億ですね、失礼しました。

 また、統一教会による被害の最大の特徴は、正体隠しや不安をあおった勧誘による信仰選択の自由を奪われた状態で統一教会の教義を信仰させられ、文鮮明に絶対的に服従させられた上で、経済的、肉体的に搾取されるという点にもあります。これらのマインドコントロール状態を退会などで脱しないと被害を被害と認識できないものでもあり、被害者が法律相談に赴き、更に一歩進んで統一教会に対する損害賠償請求を決意するためには、このような精神的な傷や恐怖を乗り越えなければならないと思います。

 このような状況で、被害救済が困難である状態である潜在的被害者を、与党の法案だけで十分にフォローできないんじゃないかと思うわけであります。

 この部分についての連絡会の声明について、衆法一〇号の提案者として、与党の中の話合いでどのようにそれを捉えて現在の法案提出に至ったのかを御説明ください。

小倉議員 議員御指摘の声明の部分に対して、我々与党内でどういう話合いをしたかということでありますけれども、先生御存じのとおり、与党PTにおきましては、被害者や弁護団の方から来ていただきましてヒアリングをしました。その中で、当然、被害者がマインドコントロール下にあったり、また、脱会できたとしても精神的に深い傷を負っていたり、現実的な不安にさいなまれる状態が続いていたりするなどの状況にあることは深く認識をさせていただいております。

 であるからこそ、我々としては、このような心理的な状況にある被害者の方々の乗り越えるための精神的なケア、これが重要であると認識しておりまして、その救済に資するために、具体的な提案としては、元信者や宗教二世等の方々の知見などを活用した相談支援体制の構築ですとか、スクールカウンセラー等の拡充など、宗教二世や宗教三世の子供や若者向けの相談体制の強化を政府に対して提言をさせていただきました。

 その上で、そのPTの中におきましては、社会的、福祉的、精神的な支援を拡充するため、司令塔機能を持つ内閣官房に関係省庁連絡会議を設けるべきであることも併せて提言をいたしております。

 こうした非司法的な救済に加えて、司法的な救済として、従前議論されておりますような、私どもとしては、法テラスによる特定被害者法律援助事業を図る法テラスの業務の特例等々を内容とする法案を提出するに至ったということが経緯でございます。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 与党提言では、民事訴訟及び民事保全手続が極めて少ない原因についての分析に基づいて、被害回復のために最も効果的かつ確実な方法は、個別の被害について具体的な証明手段を有する被害者が、一日も早く民事訴訟の提起等、具体的な請求手続を講じることであるとしていますよね。だから、法テラスということなんですよね、法テラスによる民事法律扶助業務の拡充を図るべきとされているわけです。確かに、もちろんこれは大事ですよね、法テラスによる民事法律扶助業務の拡充は有用でしょう。

 ただ、それでもなお、この連絡会の声明では、さっき山田委員も言及されましたが、統一教会を相手とする民事訴訟は、過去の例を見ても最低五年はかかる、数千ページから時に数万ページに及ぶような膨大な量の書面、証拠提出が必要になり、被害者の負担は極めて大きいと言っています。極めて大きいんです。

 そもそも、法的手続を決断すること自体が、一般の消費者事件に比べても、被害者にとって極めてハードルが高いですよね。それもさっき山田委員がるる訴えていますよね。一般の消費者被害とやはり違うわけですよ。そのために弁護士も可能な限り交渉段階での解決を図ってきたというのが今までの救済現場の実情だったのはもう御存じですよね。

 だから、前記のような被害者の実態からしても、被害者に早期に民事訴訟又は民事保全手続を講じることを求めることは余りに酷であり、極めて困難であると言っているわけです。多分、一般の人が今の私の話を聞いていただいただけでも、それは理解されると思いますよ。

 被害に遭ったものの現時点で脱会しておらず、自身の被害に気づけていない場合はもちろんのこと、脱会した被害者が精神的な、心の傷や恐怖を乗り越えて統一教会に対して損害賠償請求を決意するには数年から十数年かかることさえあるとも言っています。このように、現時点ですぐに民事訴訟や民事保全手続を取ることができない被害者が多数存在する、これが問題なんですよ。

 だから、与党案はいいんですよ。与党案と野党案、本当は両方成立させた方がいいんですよ。何の障害もない、これは。何の障害があるか分からない。理由にならないですもの。だって、さっきから述べていることは、法案を成立させることを否定する理由には、提出者の方がおっしゃっているようにはならないですよ。

 繰り返しになりますが、民事訴訟や民事保全手続を利用しやすくすることには意味があります。もちろんそれは、是非、与党案、成立するといいと思います。ただ、民事訴訟の提起や民事保全の申立てを支援するだけでは被害者の実効的な救済にはつながらないんですよ。

 また、財産目録等の提出義務の特例は、あくまで解散命令請求を受けた宗教法人が明らかにしている財産目録についてであり、最近も不動産所有が何か判明したというような報道がありましたよね、そういった財産は含まれないリスクもあるんじゃないですか。意図的に隠そうとしている財産は、その効果は実質的に与党案では及ばない。さらに、明らかになっている財産に対しても、個別の仮差押えによってそれぞれ個別に特定の財産を差し押さえなければならないというのは、本当に被害者にとっては過大な負担を強いるものであって、妥当ではないと我々は考えています。

 連絡会が指摘するように、我々と連絡会はここは基本的に同じ考えですよね、指摘するように、継続的、組織的不法行為によって多数の被害者が発生している以上、個別の民事保全手続ではなくて、包括的な財産保全ができる制度が必要不可欠と我々も考えていますし、連絡会の皆さんも考えているわけです。

 それを聞いた上で、与党のPTはそれを検討されたと思います、でも、結局、最終的に、今るる申し上げたことでよく御理解いただいたと思いますが、被害者に無理、困難を強いる財産保全にとどめた理由を教えてください。

山下議員 吉田委員にお答え申し上げます。

 民事訴訟、私も弁護士でございますから、それなりの負担を、訴える側に求めるということ、これは私も負担は理解しているところでございます。

 しかしながら、我々、与野党を通じて超党派で成立させた法テラスの震災特例、これの実績を見ると、先ほど御紹介したように、多数の被害者がおられる、これも同じであります。そして、震災で傷ついた、そういった方々がおられる、そういった方々の、例えば、四十五万七千件の法律相談援助を行い、そして代理援助も一万二千件行っているということでございまして、こうやって与野党を通じてやった法テラスの活用、これが効果を発しているということは御指摘を申し上げたいと思います。

 そして、重ねてで恐縮ですけれども、包括的な保全ということについて、これは典型的な包括保全である破産とは異なるわけですね。野党が御指摘のものについては、残念ながら、これまで実例がない会社法の解散命令請求法人に対する保全処分ですが、これは、管理人を置くということは分かっているんですが、管理人の調査権限に関する規定や、管理人に無断でされた法律行為を無効とするといった規定が全くないんですね。全くその規定がない中でどのような保全ができるかといったときに、それは、先ほど御指摘したように、必要な保全を裁判所がするわけですから、相変わらず裁判所に対して保全の必要性を立証しなければならないという隘路がございます。

 そういうことで……(吉田(統)委員「聞いたことに答えてください」と呼ぶ)

田野瀬委員長 簡潔に御答弁願います。

山下議員 簡潔に言います。そういったことから、財産保全には、先ほど言ったように、個別保全の民事保全がある、まずここを強化することによって被害者救済を図りたいということで御提案申し上げているものでございます。

吉田(統)委員 ちょっと質問からずれちゃっている。山下議員は非常に優秀で、検察官、法務大臣、弁護士、もうスペシャリスト。だから、尊敬しています。ただ、今くしくも例示されましたよね、大震災と違うんですよ、これ。全然違う。だから、今くしくも御本人がおっしゃってしまった、東日本大震災とお比べになられた。全然違う。訴訟に至るための経緯が全く違う。それはもう山下議員が一番御存じなんじゃないですか。

 だから、私が言っているのは、これだけ答えてほしい。無理、困難を強いる道を分かっているわけですよ、山下議員は。今言ったように、くしくも東日本大震災の例を挙げられたじゃないですか。私がるる申し上げた、私が消費者の被害の話を最初に申し上げたのはそういうことなんです。違うんですよ、本質的に。だから、この法案が必要なんです。じゃ、一言答えてください、手を挙げていらっしゃるので。無理、困難を強いたいんですか、そこにだけ答えてください。

山下議員 委員の御指摘の違いというのは、やはりマインドコントロールの点にあるんだろうということでございますが、そのマインドコントロールの部分については、精神的、社会的、福祉的な支援を、司令塔機能を持つ内閣官房がやって、まずそういう形で解きほぐさせていただく。そしてまた、迷っておられる被害者もたくさんおられて、そういう方々に、法テラスの支援を拡充することによって、幅広く法律相談、ああ、これは私は法律的な権利があるんだということを幅広く分かっていただく、そういう意味においては、震災において四十五万件以上の相談事例があるという実績を踏まえて、我々はこのような法案を提出させているということでございます。

吉田(統)委員 もう分かりましたけれども、ただ、分かっていらっしゃるんですよね、山下議員なので、絶対に、本当に。だから、今、解きほぐすという表現をくしくもなされた。もっと解きほぐしたらどうですか、我々の法案に賛成して。それが一番解きほぐされますよ。だって、実際、そうしてほしいと言っているわけですから。一番の妙薬ですよ、特効薬。今、分かっていらっしゃるんだもの。

 もう終わりということなので、大変残念ですけれども、本当に、だから、すぐ終わりますけれども、山下議員はよく分かっていらっしゃる。だから、私は、議論を聞いていても、本当に論理的なロジック、様々駆使して、もうよく分かった上で我々を丸め込もうとしている、そういうふうに感じる、感じちゃう。いや、上手ですよ、非常に答弁も。だから、もうとにかく、最後、委員長、すぐ終わります、両方成立させましょうよ。

 以上です。

田野瀬委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 立憲民主党の柚木道義でございます。よろしくお願いします。

 八問通告していますが、昨日、二回目の与野党協議前の通告ですので、主に柴山筆頭提出者に伺うように通告していますが、最後のところから、ここが今日の質問の論点なので、伺います。

 我々、維新さんとともに、包括的な財産保全の提案を、資料につけておるようにしております。与党案も我々は有用だと思っています。まさに、担保金を免除する、そういった修正も行うとかですね、重要なんですが、しかし、そうでなくても本当に、訴えるともう命まで脅かされるような、今日、最後に東京新聞の資料もつけていますけれども、そういうような方々に更にそういう訴訟の負担を強いるような個別的な財産保全を想定した民事保全、これではなくて、資料六ページ目につけていますが、これは弁連さんの資料で、今日傍聴にもいらっしゃっていますよ、そういうことではなくて、包括的な財産保全、これを是非、修正を我々今も維新さんとしていて、私も手元に持っていますから、今日、この後、三回目の修正協議を行いますので、そういったことを是非お願いしたいんですね。

 伺いたいのは、まさに包括的な財産保全、そして皆さんの提案は個別的な保全を前提とする民事保全ですよね、ここの溝をやはり埋めないと被害者は救われない、こういうことなんですね。

 もっと言うと、昨日も、今傍聴にもお越しの、まさに何十年にもわたって被害者の方々に寄り添ってこられた全国弁連の皆さん、我々もそういった皆さんから七十回にわたって、国対ヒアリング、延べ百人もの方々、被害者の方からお話も伺ってきて作っているのが今回の包括的な財産保全なんですね。

 この違い、まさに、今日、資料の六ページ目につけておるので御覧をいただければと思いますが、こういったいろいろな課題があるわけですね。民事保全では仮差押えできるのは特定の財産のみで、ここに、例えば、教団が、全体一千億円とも言われていますけれども、その一部、しかも、不動産、現行の与党案では不動産ですよね、そこに限定したものになることであったり、例えば、松濤の本部を仮差押えする場合には一億から二億もの担保金、預託金が必要になるとか、これは修正をお考えなのかもしれませんが、いずれにしても、まさに今弁連さんが取り組まれているような集団的な訴訟が困難で、個々の人たちがまさに命を脅かされるような、負担を強いられる中での訴訟になるということで、非常にハードルが高い。

 昨日、一番のポイントだったのは、今日傍聴にお越しの弁連の皆さんがおっしゃっていたのは、やはり土台、土俵がないと、裁判所は財産の保全命令を旧統一教会にできないということなんですよ。その土台、土俵こそが、我々が提案をしている包括的な財産保全であります。

 これは、是非、この包括的な財産保全を、与党の皆さんが修正協議、修正していただけるかどうか、これこそが、まさに岸田政権与党が旧統一教会との関係を本気で断ち切れるかどうかを示すリトマス試験紙なんですよ。是非、柴山筆頭提出者、我々が提案している包括的な財産保全、これへの修正協議、そしてまた、その御答弁をいただけませんか。お願いします。

柴山議員 先ほど来、与党提案にも御評価をいただいて、与党案も、一定の改善を、修正する余地はあると私自身思っておりますけれども、成立させた上で、さらに野党案も提出することによって、より被害者の救済が十分になるのではないかという趣旨から御質問をしてくださっているんだと思います。

 私どもが、野党案というか、具体的には立憲、維新案について真摯に検討していないということは全くありません。ただ……(柚木委員「じゃ、修正協議に出してください」と呼ぶ)ちょっと待ってください、ちょっと私の答弁を聞いてください。効果が広範であればあるほど要件は厳格化する、当然そこは御理解をいただけると思うんですけれども、では、どのような要件にすればよいのか。厳格な要件であって、それが果たして実務上ワークするものなのかどうかということは、しっかりと検討しなければいけないと思います。

 被害者弁連の方々からは、包括保全をした上で、その効果を一定の行為に限定するということはいかがかと御提案いただいておりますけれども、まさしく、まだ解散命令が確定をしていない段階において、ではどの程度の範囲を制限をすれば宗教の自由との関係で両立するのかというこの切り分けは、本当に我々も真剣に検討いたしましたけれども、極めて困難であるというように考えております。

 ですので、今我々の検討の状況について申し上げさせていただければ、包括保全を前提とした上で、それについて何らかの要件設定をしたり、あるいは、最大の問題は、要件ももちろんなんですけれども、効果なんですよ。どのような効果というものが、包括保全をしたときに実態的に財産の移転禁止のようなことをできるのかということが、これがよく分からないんです。だから、それについてきちんとした形で回答を出すのが我々としてはなかなか難しいということから、我々の与党案をなるべくしっかりと、寄り添うような形にブラッシュアップをしていくのが現時点において最善の方法だというふうに考えているということは、是非御理解をいただきたいと思います。

柚木委員 与党案のブラッシュアップは是非していただきたいんですね、まさに分担金の免除とか様々な。我々は、まさに不動産等の等の中にやはり現金や証券等も一定の制約を含めてやらないと、どんどんどんどんそっちに替えちゃいますよ、今この瞬間も。そう思っていますから、ブラッシュアップはしてほしいんですが、今のような御答弁で、やってみないと分からないからやらない理由にはなりません。

 そして、我々が提案をしている包括的な財産保全、これも今日、資料の四ページ目以降におつけしておりますように、これはまさに、前回の法務委員会での質疑を踏まえた提案を弁護団の皆さんからいただいているわけですね。皆さん、お手元の資料の四ページ目の項目三以下ですね。

 我々の案にも当然課題がある。他方、自公国の法案については、まさに今日もるる議論になっているように、民事保全で個別訴訟は非常にハードルも高いし、命まで脅かしかねない。様々なハードルもあって、一部しか保全もできない。

 そういう中で、被害者救済の実効性に乏しいという指摘があった上で、二パラ以下、立憲、維新案をベースに、例えば、管理人の権限とか、あるいは保全対象の限定化とかそういうこと、さらには、必要に応じて裁判所が、調査委員に財産状況の調査、あるいは、財産散逸のおそれが認められる場合には監督委員を選任、そして、まさに重要な処分行為、私はここに現金とか証券も入れたらいいと思いますが、そういったものについても委員の同意を要して、それが実効性がない場合には包括的に財産保全を認めるという段階的なプロセス。

 まさにそういう意味では、今、柴山筆頭提出者がおっしゃったような、我々は、私たちの法案を修正しないということは全く申し上げていません。我々が申し上げているような包括規定、これを前提としてとおっしゃいましたが、前提としておりませんので、是非、弁護団の今回のこういう提案を私たちは踏まえたものを、私たちの案も、もちろん、私たちとしてはこれを是非ということで出しておりますが、こういった弁護団の指摘も踏まえたものを、まさに維新さんとともに、こういったものを、ちゃんと修正項目を用意もしておりますので、それを踏まえて、今日、この後、修正協議に臨んでいただける、そういうことでよろしいですか。

柴山議員 私ども、御党の提出法案をどのように修正したらよいかということについてのアイデアをまだ拝見しておりませんので、少なくとも、ここに並んでいる我々与党側の法案提出者は拝見しておりませんので、おっしゃるとおり、それを拝見をさせていただいて、是非検討したいというふうに思っております。

 その上で、じゃ、今、弁連がお話しされたような、紹介された、例えば、管理の対象を重要な財産処分に限定するですとか、管理の対象から日常的な財産処分行為を外すですとか、あるいは保全の範囲を一定額又は一定割合に限定するなどのアイデアにつきましては、先ほどちらっと申し上げたとおり、宗教法人の財産的処分行為のうち、それでは、問題のない宗教的行為に関する部分と宗教的行為に関しない部分はどうやって区別するのかですとか、結局、憲法が保障する信教の自由との関係で、やはり疑問や問題ということはなかなか拭い切れないですし、また、その判断のための審理に時間を要することが想定されるなど、まさに我々が端的に提案をさせていただいている個別財産の保全に比べて迅速性や実効性においては欠けるのではないかということを申し上げているわけです。

 あと、先ほどちょっと答弁の中で、マインドコントロールについて十分に配慮されていないのではないかということは、これはもちろんそこについて配慮をするとともに、時効の中断のためにも迅速な法的なサポートというものが私たちは必要だと考えておりますし、包括保全だけだと、そういったマインドコントロールについての十分な配慮ということに応えることにもならないんです。

 そのことについても是非御理解をいただきたいと思いますし、また、結局、解散命令が確定したときの清算手続の中では少なくともそうした方々が配当を得られるように、そういった被害も是非、弁護団の方々には協力してなるべく明らかにしていただきたい。これは、弁護団の方々にも、今日もしお見えになっているんだったら、是非お願いをしたいというふうに考えております。

柚木委員 だからこそ、包括的な財産保全が必要なんですよ。今の答弁を踏まえたら、なおさら。

 伺いますけれども、じゃ、皆さん、個別保全、民事保全の仕組みで提案されていますけれども、これで、じゃ、実際、この与党案が発動したら、どれぐらいの仮押さえができるとお考えなんですか。

 ちなみに、旧統一教会は、百億円国に預けるから仕組みをつくってくれと言われたわけですよ、百億円。我々は、そんなものは解散命令逃れだから到底受け入れられないという立場ですよ。しかし、与党案だったら、じゃ、せめて、統一教会が百億円出しますよと、これよりも仮差押えができる、そういう想定ですか。一千億円資産があると言われていますが、いかがですか。

山下議員 柚木委員にお答えいたします。

 これにつきましては、本当に残念ながらこれだけ被害者がおられるという中で、現在係属中の訴訟が数件にすぎない、そして現在係属中の保全がゼロ、我々の把握する限り、そういうような状況でございます。

 ただ、他方で、今、示談交渉という形で行われているというのが百二十四名おられるというふうに聞いております。ほかにもおられるのであろうというふうにも推測いたします。

 我々の法テラスの拡充法案によって、先ほどの繰り返しになりますけれども、震災特例の事例を引き合いに出しますと、例えば、四十五万件を超える法律相談援助ができ、そして約一万二千件の代理援助ができたということでございます。

 そうしたことからすると、我々の法案によって、まだ潜在的な、あるいは、マインドコントロールが解けているんだけれども、訴えたいんだけれども、誰に相談していいか分からない、そういった深刻なお悩みを抱えておられる方に法テラスがしっかりと支援する、そしてその費用も可能な限り御負担のないようにする、そうしたことで被害が救済できるのではないかというふうに考えておる次第でございます。

柚木委員 是非、質問に答えていただきたいんですよね。

 本当に、旧統一教会が百億円拠出というのは私は驚きましたけれども、与党案が成立して、それ以下の仮差押えしかできないようなスキームの法律をやっちゃったら、我々がまさに包括的な財産保全、当然これは百億以上、一千億円の資産と言われていますから、しかも、不動産だけじゃなしに現金、証券を含めた対象とするということですから、当然、百億どころか、もっともっと保全をしてというふうに考えておりますし、そういったことで、まさに、今日の弁護団の方々もそういった期待をしておるからこそそういう提案をしているわけですが、今の答弁だと、百億円以上仮押さえできないということじゃないですか。

 そういう中で、これは国賠とかになったらどうされるんですか。責任を負えるんですか。いやいや、ちょっと、柴山提出者に通告していますから、お願いしますよ。申し訳ないですよ。山下提出者、本当にちょっと。

 これは、我々の包括的な財産保全をお認めいただけないということは、何かあれがあるんですかね。私、ちょっと申し訳ないですけれども、今日も、柴山提出者もこの間、昨日、おととい、山下提出者もそうですけれども、財産保全は民事保全法の手続でやれるとか、会社法との関係とか、実績がないとか、いろいろおっしゃるんだけれども、それは全部旧統一教会が言っていることじゃないですか。ファクスに書いてあることじゃないですか。そのまんまじゃないですか。どちらの立場に立って救済をお考えなんですか。

 我々がこの包括的な財産保全を提案をしていて、岸田首相も、まさに、昨年十二月六日、私は衆議院の本会議で被害者救済法案の質問をさせていただきまして、決断をいただきましたよ。岸田総理は、まさにこの包括的な財産保全も必要だというお考えをお持ちなんじゃないんですか。よもや、こういう案を提出者の皆さんがブロックしたり反対したりすることはないですよね、今後の与野党協議で。

 岸田総理はそういうお考えをお持ちなんじゃないんですか、包括的な財産保全が必要だと。そういう案を一定程度既にお持ちなんじゃないんですか。そして、それを今日まさに与野党協議でどこまで皆さんが示していただけるかどうかが私はリトマス試験紙だと言っているんですよ。

 是非、包括的な財産保全を認めてほしい。岸田総理がそういうお考えがあるんだったら、それを妨害、ブロックすることは、筆頭提出者の柴山さん、そういうことはないですよね。御答弁を明確にお願いします。

柴山議員 岸田総理がどのようなお考えを持っているかということについては私は存じませんけれども、少なくとも、我々現場レベルの人間として、とにかくしっかりとした、被害者のためにより満足の得られる法案を追求するというのは、これは当然のことであります。

 先ほど、百億円以上の回収が見込めるのかということから御指摘をいただいたんですけれども、我々は、ともかく被害者がよりしっかりとした救済を受けられるかどうかということについて検討して答弁をさせていただいているわけであって、あたかも柚木議員は、包括保全をすれば教団の財産が全て保全され、そしてそれが適切に分配されるということ、あるいはそれに近いイメージをお持ちになられているのではないかと思いますけれども、我々は逆に、裁判所が包括保全の決定が出されるのか出されないのかということ、そしてその効果が一体どのようなものであるかということが見通しが全くできないですから、だから今我々ができ得る最善のことを迅速に行っているということは、是非御理解をいただきたいというふうに思います。

柚木委員 通告三で聞いていますけれども、与党案に対しては宗教団体は賛成しているのかという通告をしていますが、与党案に対しては旧統一教会は賛成なんですか、反対なんですか、いかがですか。

柴山議員 先ほど、例えばファクスを送ってくれたことと考え方が似ているというような指摘もありましたけれども、我々法案提出者は、ファクスを送ったという事実は、秘書に確認したところ、そういったものは大量に送られてきたということは秘書は言っていましたけれども、それについては、統一教会から送られてきたファクスなんて一々議員に見せないという秘書が大半だと思いますよ。私だって中身は全く把握をしておりません。

 仮に、そういって送ってきた方々が我々の法案と似たような考え方を持っているとしても、我々は、先ほど申し上げましたけれども、旧統一教会との接触を絶っておりますので、旧統一教会が我々の法案に賛成かどうかなどということを知る由もありませんし、そのようなことを全く確認をしていないということは是非申し上げたいと思います。

柚木委員 それならば、私がこの内容を見る限りは、まさに皆さん、旧統一教会の代弁者、代理人じゃないかと思うぐらいのお話をされているわけですよ、申し訳ないけれども。これは、書いてあるとおりのことをおっしゃっているじゃない。だったら、まさに包括的な財産保全、我々は一〇〇%保全できるなんて言っていませんよ。賛成してください。

 それで、最後にしますけれども、被害者がこれから、まさに解散命令が発令されてから、今日も弁護士さんがお越しですけれども、そこから返金の要求をする人もどんどん増えてくるんですよ。本当に、旧統一教会がそれまでに既に財産移転しちゃって、与党案だと全然私は歯止めは不十分だと思いますよ。被害者の返金要求額に応えられるだけの財産、これがなくなっている可能性はないんですか、あるんですか、どういう認識ですか。お答えください。与党案でカバーできるんですか。

田野瀬委員長 申合せの時間が経過しておりますので、簡潔な御答弁、御協力をよろしくお願いします。

柴山議員 様々な現預金等についての御不安もあるというふうには承知しておりますけれども、我々といたしましては、しっかりとそこは財産目録をタイムリーな形で提出をするという修正案も我々の案で提出をさせていただいているところですので、そういったことを前提にして、遺漏がない個別処分ができるように、しっかりと配慮しているということは最後に申し上げたいというふうに思います。

柚木委員 是非バケツの穴を塞ぐ修正協議を真摯に求めて、私の質疑を終わります。

 以上です。

田野瀬委員長 次に、青柳仁士君。

    〔田野瀬委員長退席、武部委員長着席〕

青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。

 昨日も与野党の協議に出席させていただきまして、様々な議論をさせていただいてきております。

 まず、我が党及び私の意見としましては、与野党の法案というのは双方矛盾するものではないのではないかと思っております。ですので、統合可能でありますし、そうすることによって、真に被害者救済に資する法案が、法律ができるのではないかというふうに考えております。

 そういった意味で、昨日から求めておりますとおり、自公国案と維新、立憲案をそれぞれいい形で修正して、共に修正可決することが最善の方策ではないかと考えておりますが、まずはこの点について、与党の提出者の方からの御意見を伺いたいと思います。

柴山議員 委員御指摘のとおり、財産保全の必要性は私ども十分理解をしておりますし、そのために私どもも、野党の、立憲、維新の皆様もそれぞれ案を提出をされ、そして、それがそれぞれ保全というものについて異なる観点から内容を持っているということは承知をしております。

 ただし、立憲、維新案の包括保全につきましては、宗教法人あるいは先ほど私が答弁したような信者がその財産を用いて宗教活動を行うことへの過度な制約となりかねません。

 そしてまた、会社法等を挙げて立案をされておりますけれども、会社等と比してそういった保障される権利も違いますし、会社法においてすら実例がない、また、実効性の観点からも非常に問題があるというように承知をしておりますので、もちろん、我々の案でもし足りないところがカバーをされるのであれば、御党、御党というか野党案について修正をするということは私は十分可能だとは思っておりますけれども、少なくとも我々の検討ではそのようなアイデアというものが出てきていないということであります。

 我々の案では、民事保全を含めた民事事件手続によってしっかりとそれを大きく拡大あるいは強化することによって、被害者救済に資するということを想定をしております。

青柳(仁)委員 これまでの議論の中でもるる指摘されておりますが、野党案の課題というところで与党の皆様からいただいている論点は主に二つあると思っておりまして、一つは、憲法の抵触に関する問題、それを今るるおっしゃいましたけれども、会社法を準用しているということ、それから過度な制約、宗教活動の制約に当たるんじゃないかみたいな話、それからもう一つは実効性という話だと思います。

 これは先ほど國重議員からもお話がありましたので、ちょっとまず一点目のことについては明確にしておきたいんですけれども、野党の法案は、法律の目的が被害者の救済という世俗的なものであるということ。これは衆議院法制局も含めて、また内閣法制局もそういった見解だと思いますが、そういったもの、世俗的なものを対象としているということ。それから、対象法人の限定そして財産保全処分の要件の絞り込みということを行っている。先ほど國重議員がそこの部分だけを強調されていましたけれども、別にその部分だけではなくて、さらに、今申し上げた点に加え、二年間の時限立法ということとしておりますので、憲法が保障する信教の自由及び財産権に十分配慮して、憲法に違反しないものであるということで制度設計をしております。

 これについては、昨日の被害者弁護団の方々のお話でも同様の認識を示されておりましたし、また、宗教法学会の代表の方を含め様々な憲法学者の方が、我々の案について、憲法に抵触するようなものではないという見解を示されておりますので、その点もまず申し上げたいと思います。

 加えまして、会社法、会社法と言われるんですが、会社法の規定を準用はしておりますが、これは文字の上では会社法を準用しているんですけれども、やはり同様に、宗教法人と同様に自主性が認められるべき例えば弁護士法人、こういうことに対しても一般の法人とは別の配慮が必要なそういう法人の仕組みを参考に立案しておりますので、これは株式会社であっても宗教法人であっても弁護士法人であっても、どのような法人にも共通するような必要最小限の公益的な規制を設けたものであるということ、これはまず明らかにさせていただきたいと思っております。

 それからもう一点、実効性のところなんですけれども、これはもう本当に、与党の提出者の皆様は本当に高名な弁護士の方々であり、法務大臣もいらっしゃるということですから、法制度上の実効性に関する御指摘というのは恐らくおっしゃるとおりなんだろうと思っております。それから、行政執行上の課題というのも恐らくあるんだろうと。

 ただ、我々が言っている実効性というのは、実は視点が違うんです。というか逆なんです。恐らくおっしゃっている実効性というのは、国から見た場合、法律の観点から見た場合の実効性。我々が言っているのは、被害者から見たときの実効性なんです。

 これはよく思い浮かべていただきたいんですけれども、例えば、今まで所属していた、何十年も所属していた宗教団体、そして、そこに、今までいろいろな教えを請うてきた、いろいろなものを献金してきた、精神的な支えであった人たちがそこから抜けました、そして、その教団にはたくさんの方々がいることが分かっている、昔の仲間もいる、その人に対して、個人で対抗しようと思いますか。これから十年かかる裁判を一緒にやりましょう、いや、法テラスがもう完全に支援してくれますよ、みんな応援しますからやりましょうと言って、はい、分かりました、やりましょうと言いますかね。そこがやはり一番心配なんです。

 与党の案を頭から否定しているわけじゃないんです。ただ、法テラスを強化するとか、そういったことは重要だと思うんですが、それでは本当の意味での被害者の救済にならない、被害者から見たときの実効性がないのではないかというふうに考えております。ですから、やはり包括保全、包括的な保全というのが必要であるというのが基本的な我が党の立場であります。

 ですから、両案を議論しながら修正していったらいいんじゃないかと思うんですが、一方で、与党案の方は与党案の方でまだ更によくする余地があるんじゃないかと思いまして、昨日、協議の中でも我が党の方から申し上げました。被害者弁護団の中でも、やはり被害者の負担を、じゃ、どう減らせるのかといったときに、担保に関しては、要するに、高額な担保を用意できないし、仮に訴訟に負けたときにはそれを払わなきゃいけないとかなれば、やはり更なる被害者の負担になるんじゃないかと思うんですね。

 その点に関しては、昨日の協議の中で、検討するというふうに与党の方はおっしゃっていたわけですけれども、今朝、それに対するある程度の回答があったと聞いております、私は資料を見ておりませんが。ちょっと、通告はしていないんですが、その点について一言いただけますでしょうか。

山下議員 まず、内々検討している案というか、理事会を通じてお示ししたということではありますけれども、立担保の隘路というものが指摘されている。法テラスを拡充することによって、資力要件を問わずに担保も含めて御支援ができるということでございます。

 担保を立てる際には、これはお金を被害者が出すということではなくて、法テラスと契約している金融機関が保証書を差し入れるということで、何かあったら金融機関が払いますよということになっている。これで、訴訟に負けたときに、例えば、保全ということになるとフリーズされるわけですから、そのフリーズに対する損害賠償がある場合があり得る。それに対して金融機関が払った、その金融機関が払ったものを法テラスが更に払う、じゃ、法テラスが払ったものをどうするんだというところが被害者の負担に関わってくるところでございます。

 以上を前提に、こういった、負けたときに法テラスから多額の請求が来るのかというような御不安があるというふうなことも御指摘の一つでございました。それに関して、我々の提出法案では、必要かつ相当な範囲で免除することができるという抽象的な文言を書いておりましたけれども、これをもう少し具体的に、被害者の方々が安心していただけるようにきちっと書き込むということも、今検討しているところでございます。

青柳(仁)委員 昨日の被害者弁護団の方々も、立担保に関することは、やはり被害者の大きな負担になっておりますし、実際のところ、お金の問題で言いにくそうにおっしゃっていましたけれども、そういうところはやはりきちっと措置する、その他のことも含めて、今の与党案もまだまだ修正できる、より被害者に寄り添えるところはあると思いますので、我々もちゃんと指摘はさせていただきますので、その辺は是非御検討いただきたいと思っています。

 それからもう一つ、実効性といったときに、何度も言われていますが、財産が散逸する、隠匿されるおそれがある、これをちょっと今の与党案では止められないんじゃないかとやはり思うわけなんです。ですから、包括的な保全が必要であるというふうに考える、その点について質問させていただきます。

 まず、法務省に伺いたいんですが、民事保全において、裁判所が保全の必要性を判断する際の基準というのは何でしょうか。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 仮差押命令における保全の必要性に関しましては、民事保全法第二十条一項に規定がありまして、仮差押命令は、金銭の支払いを目的とする債権について、強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき、又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができることとされております。

青柳(仁)委員 今御答弁がありましたとおり、幾ら民事保全を支援したとしても、最終的に仮差押命令が裁判所から出されるのは、こういった強制執行することができなくなるおそれがあるときということになるわけです。これは、自民党、公明党の与党案をよく読んでみると、要するに、特別指定宗教法人に当たれば強制執行することができなくなるおそれというのに当たるのではないかと思うんですね。

 であれば、先ほどから申し上げているとおり、被害者側の視点に立った方がいいと思っていまして、そういった意味では、ちょっと済みません、途中でこれを挟ませていただきますが、旧統一教会の被害者有志一同、宗教二世問題ネットワークというところが、内閣総理大臣岸田文雄殿ということで十一月二十九日に要望書を出しております。これは各党に配られていると思うんですが、この中にも、与党案の問題点というところに書いてあって、与党案の問題というのは、あくまで報告義務にすぎず、正面から財産の保全を図り得るものではありません、そして、被害者個人に対して自助努力が求められるものであり、財産保全とは別の話の認識でおりますと被害者の方からある。

 つまり、何が言いたいかというと、与党案は与党案ですばらしいと思うんですが、ちょっとそれは別の話、財産保全とは別の話なんじゃないかと思うわけです。ですから、統合したらどうかと思うんですが、その統合する一つの方法として、今御答弁ありましたとおり、民事保全を支援しても、最終的に仮押さえ命令や強制執行することができなくなるおそれとなるのであれば、初めからこの特別指定宗教法人、与党案の中ですね、これに対して包括的な保全をかけていくというアイデアがあるんじゃないかと思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

柴山議員 最終的に強制執行することができないおそれがあるときという要件なんですけれども、そのようなときに強制執行を行うことができるための保全、まさに保全としてこの仮差押えが認められているということであります。

 ただ、私たちの法案は、そういった特別指定法人の前の段階で、指定によって不動産把握を容易にするという処分ができることとしております。すなわち、被害者が、今おっしゃった特別指定宗教法人に当たる前の段階で宗教法人の財産の移転予告を察知することができることとするわけでありまして、この段階において個別の民事保全手続を十分に機能させるということによって、強制執行は時間がかかるかもしれない、その後訴訟をすれば確かにいろいろかかるかもしれないけれども、少なくともそれをフリーズする、つまり止めておくということはできるわけですから、より確実な財産保全をより早期に行うということができると考えております。

青柳(仁)委員 特別指定宗教法人に当たる前に財産の目録等を出させてその情報を把握するという……(柴山議員「通知」と呼ぶ)通知を行うということなんですけれども、また、それを売却あるいは移転させるときには一か月前の通知が必要ということで把握するということなんですが、ですから、既にお分かりだと思いますが、我々の包括保全というのは、そのタイミングで包括的に保全してしまえば、行政命令において押さえ込んでしまえばいいんじゃないかという案なわけですから、そういう意味では、やはり実効性に関しては包括保全の方が強いのではないかというふうには考えております。

 それから、もう一点、ちょっと別の観点でお伺いしたいんですけれども、これも法務省に。

 民事保全手続においては、保全申立てに当たって差し押さえるべきものをあらかじめ特定しなきゃいけない、こういう理解でよろしいですか。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 民事保全法は、原則として、仮差押命令の申立てにおいて仮差押えの目的物を特定する必要があるとしております。

青柳(仁)委員 ということは、例えば、統一教会の財産が百億円あります、そのうちの一億円は私のものにしてほしいという差押方はできないということですね。つまり、この建物について差し押さえてください、この物品について差し押さえてくださいということを特定しなきゃいけないということなんです。

 その場合、また先ほどの、宗教二世問題ネットワーク、統一教会被害者の方々からの要望書をちょっと見てみると、統一教会は、皆さん御存じのとおり、国内に多数の関連団体があるため、国内でも財産隠しや財産移転を簡単に行うことができてしまいます、悪質な献金勧誘活動を当該関連団体を介して巧妙に行ってきたからこそ、旧統一教会の被害者救済は今でも困難になっているのです、与党案は、この点を配慮していない点に問題があります、こう書いてあるわけなんです。ですから、財産隠しを行うということは、これは旧オウム真理教のときにも起きたわけですが、当然想定されるわけなんです。

 民事保全手続の中で、この特定されない隠し財産というのが当然たくさん出てくるということが想定されるわけですけれども、これは与党案の中では法的に無効にできない、こういう理解でよろしいですか。

山下議員 青柳委員にお答えいたします。

 不動産に関しては、先ほどお答えしたとおり、通知なき処分、担保というのは無効になるという形で、ある意味、間接的に保全をしているというところではあります。

 他方で、それで拾えないものがあるんじゃないかということに関して、私たちの今提出させていただいている法案においては、特別指定宗教法人という概念を設けまして、これに指定されましたら、財産目録等の作成及び提出の特例を設けて、四半期ごとに財務諸表を作成して、所轄庁に提出させて、所轄庁はそれを把握する、そして、所轄庁はその写しを被害者に対して閲覧させるということとしております。

 ただ、維新の皆様が非常に建設的な御提案をされている中において、もっと早く所轄庁が把握できないのかというふうな御指摘もございました。それについては真摯に受け止めて、所轄庁がせめて早く把握できるような、そして幅広に把握できるような、そうした手当てができないかということは、是非考えさせていただきたいと思っております。

 ただ、やはり隠し財産については、残念ながら、野党御提案のものにおいても、これは管理人における調査権限とか、調査に反した場合の義務が書かれていません。ということになると、野党案においても、やはり、隠し財産というものが絶無になるのかというと、そうではないというふうに考えておりますので、その点、与党案のメリット等も是非御理解賜りたいと思います。

青柳(仁)委員 ありがとうございます。

 今おっしゃった点、分かる点と分からない点とあるんですが。

 一つは、その隠し財産に関するまず考え方なんですが、隠し財産は、包括保全の場合は、包括的に行政命令で保全するわけですから、その隠し財産が何であるかが分からなかったとしても、それが散逸した場合に、後からそれを追いかけることができます、法的に。なぜなら、一度行政命令を出して保全しているものを外に散逸させたら、それは違反なわけですから、行政命令違反、これで追っかけられます。

 でも、しかし、今の民事保全のみのやり方でいうと、結局、そこで把握できないものは完全にブラックボックスになってしまって、逃げられてしまうんじゃないかと思うんです。ですので、隠し財産に関しても、まず包括保全であれば、一定程度、もう少し強い枠をかけられるというふうに我々は理解しております。

 それから、その上で、通知を行って一か月以内に財産を、民事保全手続を行うということが与党案になっているんですけれども、これは、例えば財産目録とか、その前に、先ほどちょっと御答弁の中で、特別指定宗教法人になる前に把握した情報もあると。それはもっと早くやるべきじゃないかと我々は思うわけですけれども、それはそれとして、そこで出てきたものに関して、事前の把握ができなかったものに関しては、通知されたときに初めて情報が明らかになるわけですが、そこから一か月の間にその財産についての民事保全手続を行う、こういう想定であるという理解でよろしいですか。

柴山議員 その質問にお答えする前にちょっと、さっき、包括保全を行政によって決定された法人が、要は隠し財産を流出させてしまった場合にそれを取り戻せるというような御発言があったかと思うんですけれども、その根拠が全く分かりません。

 また、当該包括命令が出た場合に、隠し財産と言いますけれども、果たしてそれが、不当な財産の移転なのか、それとも解散命令請求が出ていても認められる正当な宗教活動なのかということについての区別もこれは全く分かりませんし、なぜ、私法的に、行政命令が出たといって、それを追っかけていけるのかということについても全く理屈が立ちませんので、そこはちょっと指摘はさせていただきたいというふうに思います。

 その上で、今御質問になった、法人が処分すると通知してから一か月の間に、その財産について民事保全手続を行うということは困難ではないかという趣旨の御質問だったと思いますけれども、これは、仮差押えの命令の申立てがなされた場合には、基本的には、裁判所において、要件が整っていれば、私も民事保全、仮差しの経験、自分でやっていますけれども、三日から五日で決定が出るんですね。そして、翌週には、債務者に対する問合せをせずに、仮差押登記というのはぱんと入ります。

 一か月以内に仮にこれができないということであれば、それは、例えば、その被保全権利、つまり、自分がどれだけマインドコントロールの間に財産を処理されたということが分からない、あるいは、それを明らかにするために、一か月より長期の時間がかかる、確かにそういう事例があるのも事実でしょう。

 ただし、個別の事案によっては、申立てまでに十分な準備、つまり熟度が整っている部分もあるわけですから、それは、被害対策弁護団の方々が英知を結集していただいて、特定の不動産が処分されるということであれば、熟度の満ちているものについて短期間で仮差押命令を申し立てられるように、是非御協力をいただきたいというように考えております。

青柳(仁)委員 幾つもちょっと疑問があるんですが、一つ一つ議論していると時間がありませんので、最後のところ、やはり気になるのは、これまでの議論の中でも、ちょっと柴山委員の発言は、基本的にこの問題は被害者弁護団がいる前提で何かお話しされていることが多いと思うんですよ。集団で向かっていけるじゃないか、弁護団がいるんだからとか。

 基本的に、我々は今立法しているわけですから、今どういう弁護団がいるかどうかというところは、それは彼らがどう動くかというのは彼らの自由じゃないですか。どういうふうに動くか分からない状況の中で、適切な措置を法律で定めるということですから、ちょっとそういうことを前提にした答弁というのは、私はやはりおかしいんじゃないかなというふうには思います。

 それから、行政命令を追っかけることはできないんじゃないかということなんですが、これは、ただ、行政命令として、少なくとも、財産全体の保全を管理人に命じるということはできるわけですよね。管理人は財産目録と財務諸表だけを見るんですか。そんなことはないですよ。もちろん、そこは、最後は裁判官、裁判所の判断ということですけれども、一般的に考えて、指名された管理人が財産目録と財務諸表しか見ないということはあり得ないんじゃないかと基本的には思いますので。

 あと、今の御答弁というのは、私の今言ったことに対する反論にはなっていましたが、今の与党案がそれができるという説明にはなっていませんので、その点はちょっとまず指摘しておきたいと思います。

 それから、もう一点申し上げたいのは、今の件ですが、一か月が難しいのではないかと私は言っていないんです。一か月でやるという前提なんですかというふうに聞いただけなんです。一か月でやる前提の場合、例えば、保全するものというのが変わった場合はどうなるんですか。

 最初、財産目録を見て、じゃ、本部を対象に保全をかけていたところ、一か月前の通知で別のものが出てきました、やはりこっちになりましたといったときには、それは、もう一回、差押えというか保全の手続というのを被害者が自ら行う、そういう想定なんですか。

柴山議員 まず申し上げたいのは、財産目録に実態と違う記載をすると、それは罰則が科せられる、正確に言うと過料ですけれども、科せられる上に、そのような虚偽の財産目録あるいは不十分な目録を作ったということが、解散命令の審査に当たって、私は非常に大きなマイナス、負の影響をもたらすというようにも考えております。

 これは、御案内のとおり、報道でも見ているように、過料が申し立てられた場合であっても、それを無視したということがどのような形で今後の審査に影響するかということが報道されましたけれども、私は十分それは悪性の立証ということにつながるんだろうというふうに思います。

 その上で、今おっしゃったとおり、目録がもし間違ったものである場合には、正しい財産に手続を申し立て直すということは、これは必要なことだというふうに考えております。

青柳(仁)委員 いや、ですから、その可能性が高いということを申し上げているんです、先ほど来から。隠し財産は確実にありますし、財産隠しということは起きるわけですよ。前のオウムのときも、今も。

 ですから、最初に目録で見たものと違うものが、通知されずに売られたり移転したら、これはもちろん取り返されてしまいますから、通知はするんですけれども、ただ、最初になかったものを通知する可能性というのは当然あるわけですよ。なぜなら、特別指定宗教法人でやらなきゃいけないこととその前の目録の提出というのは、法律上、与党案では切り離されていますよね。ですから、目録では載っていないものが急に一か月前通知されることというのはあり得るわけですよね。

 そうすると、最初にこれを差し押さえようと思ったものが変わった場合というのは、この一か月の間にもう一回保全手続を被害者自らがやるということなんですか。ちょっとそれをお願いできますか。

柴山議員 指定宗教法人、つまり、不動産の取引について、これを申告、通知しなければいけないということと、それから今おっしゃった特別指定宗教法人の財産目録の作成の間に時間的なラグがある、要するに、懸隔がある、そのことは、おっしゃるとおり、ここは我々、修正しなければいけないというふうに考えております。

 ですので、そこはしっかりと、一致した形で、その二つをなくすようにするという修正案を我々としては提案をさせていただきたいと思います。

青柳(仁)委員 今おっしゃったとおり、特別指定宗教法人としての措置と、それからその前に把握する情報という措置のタイムラグというのはやはり、これはあったら絶対に問題があると思うわけですね。

 ですから、その点については、昨日も我々維新の会の方から提案もさせていただきましたけれども、そういった点はやはり十分考えていただかなきゃいけないと思いますし、それから、そういう意味でも、やはりちょっと、もしも今のままであれば、やはり私の言ったとおり、財産目録に載っていないものが、次、変わったら、差押えの対象が変わるわけですから、もう一回被害者が自らその手続をしなきゃいけないわけです。もちろん法テラスの支援はあるにせよ。これはやはり過重な負担で、それが二回、三回になる可能性も否定はできないですよね。そうなった場合は、やはり実効性がないんじゃないかというふうに思うわけです。

 ちょっともう時間がなくなりましたので、もう一つ。ちょっともう質問はできなそうですが、これ、じゃ、短く。もう一つは、法人財産については、複数の民事保全の申立てがなされている場合、裁判所は、ほかの申立ての状況を把握した上で担当事案の保全の必要性の判断を行うんでしょうか。これは法務省にちょっとお伺いしたい。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 仮差押命令におきましては、裁判所は、申立て債権者が提出した書面等に基づいて審理、判断するものとされております。

 委員御指摘のように、一つの法人財産に対しまして複数の仮差押えの命令の申立てがされている場合でありましても、裁判所は、それぞれの事件において提出された資料等に基づいて当該事件における保全の必要性を判断するということになると思います。

 したがいまして、裁判所が保全の必要性を判断するに当たってほかの事件の申立ての状況等を把握するか否かは、当該事件において提出されている資料等にほかの事件の申立ての状況等が含まれているかによることになると考えます。

青柳(仁)委員 ちょっと、もう時間がなくなりましたので、最後、コメントだけ申し上げます。

 ということは、差押物件の資産評価額をはるかに超えた申立てが一斉に起きるということも考えられるわけですよ。ですから、そういった場合に、これはやはり手続上の実効性が担保されないのではないかということもありますし、それから、最終的に、被害者に分配できる資産の量も減っていくのではないかと思いますので、こういった、やはり今の与党案には様々な問題点はあると思います。

 我々も細かく指摘はさせていただきたいと思いますが、是非、被害者救済、どうやったら本当に、被害者の側から見た、法的な実効性は分かるんですが、被害者の側から見た実効性というものをしっかり担保していただくという形で修正いただき、また、我々の野党の案に関しても、是非、こういうところを修正すればのめる、そういうことを御提案いただき、建設的な議論をさせていただければと思います。

 では、私の質疑を終わります。

武部委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。

 今日、家を出てくる前に、神棚にある榊を二か所替えてきて、いつも私の家族が、自分のところにある仏壇にお茶と御飯をお供えして線香を上げてくれるんです。孫が、何も私からやれと言わなくても、自分の御先祖様なんでしょうか、仏様に線香を上げてくれる姿を見て、ありがたいなというのが正直な話です。

 だから、今議論を聞いていて、信教の自由って何なのかといったときに、人それぞれやはり捉え方が違うのかなというふうに思います。そこの家のしきたりもあるし、そこのうちの習わしもあるし、地域の習わしもあります。それを認めようじゃないかというのが私は信教の自由かなというふうに思っています。

 そのために、昭和二十六年に宗教法人法を制定して、もう一回、この宗教法人法に書いてあることはどういうことなのかと見直したんですね。

 今ずっと議論をされていることの中で、文化庁の方に確認をしたいんです。

 例えば、宗教法人法二十五条の一項で、毎会計年度終了後三月以内に財産目録及び収支計算書を作成しなければならないとして、二項のところに、財産目録及び収支計算書並びに貸借対照表を、宗教法人の事務所に常に書類及び帳簿を備えなければならないというふうにされているんですね。三項目めで、宗教法人は、信者その他の利害関係人であり、書類又は帳簿を閲覧することについて正当な理由があり、かつ、その閲覧の請求が不当な目的によるものでないと認める者から請求があったときは、これを閲覧させなければならないと規定しているんです。元々の宗教法人法にこう書いてあるんですよ。私が生まれる前に作った法律ですから、私はよく分かりませんけれども。さらに、第四項目めのところに、書類の写しを所管庁に提出しなければならないとされているんですね。

 だから、今、保全するしないとかと議論されていますけれども、それ以前に、あれ、そうだよなと。

 例えば、文化庁が出している、これもプリントアウトしたんですけれども、宗教法人運営のガイドブックという立派なものを出しているんです。ここの中に、財産目録の様式例、こういうふうに書いてくださいといって、土地とか建物だとか有価証券、国債とか現預金とか面積だとか金額、所在地まで書けとなっている。

 なぜ所在地まで書けと言うかといったら、宗教施設に関わるものに関しては固定資産税の減免だとか、宗教の収支については減免の措置、特典を与えているから。ということは、毎年毎年、宗教法人として認定というのかな、許可を受けたところは全てこれをやっているんだというふうに思うんですね。

 昨日、地元で宗教関係の方に、実際どうなんですかと。うちはちゃんと出していますよと言うわけです、毎年毎年。だから、どこの神社なのかお寺なのか宗教施設か分かりませんけれども、ちゃんとやっているところは毎年出しているんです、面積も番地も。それで税金の恩恵を受けているわけじゃないですか。

 なぜ、今更、保全措置をするとかしないとかと。救済措置もするんですけれども、文化庁がそこのところはきちっと把握しているということでよろしいですかね。ただ、都道府県によって、宗教施設が一つしかなければ、東京都なら東京都、埼玉県なら埼玉県、千葉県なら千葉県、それは承知しています。二県以上にまたがるときには文化庁が所管しているんだと思うんですけれども、それは把握しているかどうか、まず最初に確認したいと思います。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 宗教法人法第二十五条に基づき、宗教法人は、財産目録及び収支計算書並びに貸借対照表を作成している場合には、貸借対照表等を毎年一回所轄庁に提出することとされており、例えば旧統一教会からもこれらの書類が提出されてございます。

 文化庁としては、これらにより、旧統一教会の財産に関し一定の情報を把握しているところでございますが、その内容については、非公知の事実に当たることから、お答えは差し控えさせていただいているところでございます。

鈴木(義)委員 これだけ国内で問題を起こしていて、被害を被っている人がいらっしゃるから昨年も法律ができたし、今日もこの委員会になっているんだと思うんですね。

 だったら、では、解散命令請求が出ていて、それが実行されるかどうかは別としても、旧統一教会がどのぐらい財産を持っているのかというのは、この場でオープンにできませんか。できないものなんですか。

合田政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、私ども、宗教法人法の規定に基づきまして、旧統一教会の財産に関して一定の情報を把握しているところでございますが、これらの情報につきましては、行政機関情報公開法の規定により、非公知の事実であり、不開示ということで、お答えを差し控えさせていただいているところでございます。

 なお、令和四年十一月二十一日以降、七回にわたり旧統一教会に報告徴収、質問権の行使を行う際、予算、決算、財産を含めた様々な事実関係の把握に努めてまいりました。解散命令請求事件に係る手続は、非訟事件手続法に基づきまして、非公開で行うものとされてございます。旧統一教会から提出された書類の内容については、今後の裁判に影響を与える可能性もあるため、お答えすることは差し控えさせていただきたいと存じます。

鈴木(義)委員 では、例えば、裁判所に文化庁から解散命令請求を出したわけですね、ということは、裁判所から、その財産目録、一切合切出してくれと言えば、もう出しているということでよろしいんですか。

合田政府参考人 お答えを申し上げます。

 私ども、旧統一教会の解散命令請求をさせていただくに当たりまして、報道等でも御案内のとおり、かつ私どもからも申し上げておりますように、五千点を超える証拠書類を提出をさせていただいているところでございますが、先ほど申し上げましたように、非訟事件手続法に基づきまして、この手続は非公開で行うことになってございますので、私どもがどのような証拠書類を出したかということにつきましても、今後の裁判に影響を与える可能性があるため、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

鈴木(義)委員 答えないということは、出しているということで承知してもいいのかなというふうに逆に推測します。

 もう一つ、宗教法人法の七十九条のところに、公益事業以外の事業の停止命令という規定があるんですね。過去にこの規定を用いて停止したことがあるのかどうか、確認したいと思います。

 今後、旧統一教会を含めて、ちょっと社会によくない影響があるんじゃないかという情報がもし文化庁の方に上がってきたときに、この七十九条の規定で、発令というのかな、やめてください、それは駄目ですというふうに言えるものなのかどうか、もう一度確認したいと思います。

合田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの御指摘でございますが、過去、所轄庁である文部科学大臣が公益事業以外の事業の停止命令を出したことはございません。

 停止命令は、宗教法人が公益事業以外の事業から生じた収益を当該宗教法人等若しくは公益事業以外のために使用、充当した場合に、一年以内の期限を限って、所轄庁がその事業の停止を命ずるものでございます。

 解散命令請求と停止命令はその仕組みを異にするものでございまして、旧統一教会につきましては、報告徴収、質問権の行使などの情報収集を丁寧に進めた結果として解散命令請求を行ったところでございます。

 仮に停止命令の要件を満たすような事案が生じることがございましたら、その適用の有無につきまして、個別具体の問題として検討するものと考えてございます。

鈴木(義)委員 今つらつら言ったんですけれども、宗教法人法の一番最後のところに「罰則」という文面があるんですね。罰則。第十章の八十八条のところ。ここで規定しているのは、以下の一から十一までに該当した場合には過料に処するとなっているんですけれども、例えば、今の、財産目録を出さない法人があったときに、それはあれですか、十万円以下ですから、一万円とか二万円の、一万円でも千円でも二千円でもいいんですけれども、その過料で終わっちゃっている団体が日本中の中でどのぐらいあるのか、教えてください。

合田政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま御指摘をいただきました八十八条の規定によりまして、備付け書類の所轄庁への提出などを怠っている場合には、十万円以下の過料に処するということになってございます。

 これにつきましては、私ども、提出がない場合には、督促に督促を重ねまして、その上で、この過料の請求を検察庁に行うということでございます。

 基本的に、宗教法人におきまして、今、大変恐縮でございます、手元に具体的な数字はございませんが、おおむね九割近い宗教法人が提出をされているところでございますが、提出をされていない宗教法人については、厳格に督促を求め、必要に応じ過料の請求を検察庁に行うということで、あっ、裁判所に行うということでございまして、私ども、確実な書類の提出に努めているところでございます。

鈴木(義)委員 先ほども答弁の中で非公開ということが幾つか出てきたんですけれども、例えば、第二、第三の統一教会みたいな団体が出てきたときに、公開をしなければ、どこの団体が危ないのかどうか、一般の私たち国民は分からないということです。それを今まで怠ってきたから事件がどんどんどんどん大きくなったので。

 大半の宗教団体、私が地元でお世話になっている、お寺さんの総代もやらせてもらっています、神社の祭礼にも呼ばれるから行きます、そうやって一般にオープンにしているところは全然問題ないんだと思うんですね。

 ただ、過料を科しているような宗教法人がもしあったならば、なぜそれを行政権を執行してきちっと正すということをしないのかどうか。そこをやってこなかったから今回みたいな事態に私はなったんじゃないかというふうに思うんですけれども、今までやってきたのか、やってこないのか。

 都道府県ごとに上がってきている、例えば、私は埼玉県の出身ですから、宗教団体からいろんな報告書が上がってくるのは総務部の学事課というところが所管していますよ。二県以上にまたがれば文化庁がやっているんでしょう。四十七都道府県からどういうふうに上がってきているか把握すれば、どういう状態になっているかというのが分かると思うんですけれども、その辺をやってきたのか、これからやるのか、それを答えていただきたいと思います。

合田政府参考人 お答えを申し上げます。

 宗教法人の事務所備付け書類の提出状況につきましては、毎年その提出状況というものを把握をいたしまして、例えば、令和三年中の提出期限分におきましては、文部科学大臣の所管の宗教法人については九四・〇%の提出率でございましたので、残りにつきましては、先ほど申し上げましたように、厳格に督促を行うなどによって、提出義務を果たしていただくよう働きかけているということでございます。そういう形で公にさせていただいているところでございます。

鈴木(義)委員 数字が出てこないというのは悲しいかなというふうに思いますが。

 やはり、国民に注意喚起を起こさせるのも、一歩手前で、どうしようかと考えてもらうということに私はつながっていくんじゃないかと思います。

 せっかく法案を二つ提出していただいていますので、立憲、維新案の提案理由の説明において、本法律案による、極めて異例かつ特別なものであり、決してこれを前例とするものでないことを付言させていただきますというのが説明資料の中で出ているんですね。これをあえて、ここのペーパーに、前の委員会のときに、この文面が載っているんですけれども、なぜこれをあえて入れているのか、御説明いただきたいと思います。

武部委員長 柚木道義君、申合せの時間が来ておりますので、端的にお願いいたします。

柚木議員 御答弁申し上げます。

 憲法の保障する信教の自由については最大限尊重する必要があることから、宗教法人に対する規制は必要最小限でなければならないのは当然だと思います。しかしながら、現在、旧統一教会の悪質な行為により深刻な被害が発生しているという異例の事態に鑑み、本法案では、被害者による個別の民事手続による対応ではなくても、一定の厳格な要件の下で、裁判所による財産の保全処分命令を認めるという特別な措置を講ずることとしたものであります。

 今後、宗教法人一般に対して今回の法案と同じような規制をかけることは全く考えておりませんことは御理解を賜りたいのと、仮に今後、旧統一教会と同様の問題、つまり解散命令請求をされるような宗教法人ですね、こういった問題が生じた場合には、本法案と同様の考えに基づき必要な措置が取られるべきものである、そのように考えます。

鈴木(義)委員 以上で終わります。

武部委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 統一協会、数十年にわたって、霊感商法、高額献金、インチキ募金、大きな被害を広げてきました。これに対して、多くの自民党の議員の皆さんが、イベントに参加して挨拶をする、活動にお墨つきを与える、私は、そのことが統一協会の被害の拡大につながった、このことへの反省が必要だと思いますよ。この反省があるのか。そして、その反省があるんだったら、被害者全員の救済に対して責任を負わなきゃいけないと思うんですよ。その自覚があるのか、お伺いしたいと思います。

小倉議員 自民党におきましては、既に、各議員それぞれが、旧統一教会との過去の関係を八項目に分けまして詳細に点検、報告をいたしました。そして、この結果を重く受け止め、素直に反省をした上で、今後は関係を持たないことを徹底することを党の方針といたしたところでありました。

 その上で、こうした考えに立ちまして、今回も、自民党も含む与党におきましては、実効的な被害者救済策を検討し、この法案を作り上げ、多面的な施策を提言するプロジェクトチームの提言を策定したところであります。

宮本(徹)委員 私は、被害の拡大に自分たちの行動がつながったことへの反省があるのかということを聞いたんですよ。聞いたことに答えてくださいよ。

小倉議員 先ほど申し上げたように、点検をした上で、重くこれを受け止めて、反省をしたというところであります。

 その上で、大切なことは、未来に向かって関係を絶つことであり、引き続きこの方針を徹底する、この党の方針に従って我々も取り組んでいるということでございます。

宮本(徹)委員 自分たちの党の議員の活動が被害の拡大につながった、本当に申し訳ない、だから全員救済のために全力を尽くします、そうやって話すというのが皆さんの責任なんですよ。そういう立場に立っていないから、与党案では足りない、こういう声が上がるんじゃないですか。

 中身についてただしていきたいと思います。

 今日、資料をお配りしております。全国統一教会被害対策弁護団の十一月二十九日の声明で、こう言っています。将来、旧統一協会に対する解散命令が確定した段階で初めて脱会を決意し、ようやく被害者として声を上げられるようになる方も相当出てくるものと思われます、こうあるわけですね。これは同じ認識ということでよろしいですね。

小倉議員 現在、旧統一教会に対する解散命令請求が行われているところでありまして、裁判所による解散命令が行われているかどうかも含めて、仮定のお話についてはお答えできないと思います。

 ただし、我々も、現状において被害の認識のない方が、今後、被害を認識をして損害賠償請求をされることもあるとも考えております。

 その上で、解散命令請求が出されて以降、今もなお被害者からの相談も増えているということを関係者の方からも伺っていることも申し添えたいと思います。

宮本(徹)委員 当然、お認めになったように、解散命令が確定した段階で新たに被害を訴える方というのは出てくるわけですよ。この間、実際、安倍元銃撃事件、これを機に目覚めてマインドコントロールが解けた、こういう方もたくさんいらっしゃる。私の地元でもいらっしゃいます。ですから、解散命令が出たら、この段階で多くの方が被害の声を上げることになると思うんですね。

 そのことについて弁護団の声明はこう言っているわけですね。「その時点」、つまり解散命令が確定した段階で財産が散逸していれば、そのような将来現れる被害者は一切救済されないことにもなりかねませんと。これも当然同じ認識ということでいいですね。

山下議員 宮本委員にお答えいたします。

 財産が散逸する、そして一切救済されない、こういったことを防ぐために与党案を出しているんですよ。

 財産の散逸を防ぐ、これは財産保全です。先ほど来申し上げているように、財産保全には、実務も蓄積し、最も確実な民事保全という手がある、そして、その民事保全が十全に活用されていないのではないかということから、法テラスをしっかりと充実強化するということで活用していただくということを考えておるところでございます。

 そしてまた、いわゆる包括保全につきましては、破産法なんかの典型的なものと違って、野党案についてはそういったところがないのではないかということで、我々は、実効的な民事保全の強化ということで、この弁護団指摘のような、財産の散逸によって被害者が救済されないということがないように努めているというところで、この点については弁護団の皆様からも御評価をいただいているところでございます。

宮本(徹)委員 民事保全で今やるのは、今被害を名のり出た方々が民事保全で訴えるということは、それは支援しようというのが与党の法案でしょう。問題は、解散命令が確定した段階から被害を名のり出る方もたくさんいるわけですよ。その方々のをどうやって事前に民事保全でやるんですか。できっこないじゃないですか。何を言っているんですか。

 だから、オウムの問題でも、財産が移転させられて、救済が図られなかったということがあったわけです。これを繰り返してはならないから包括的な財産保全が必要だということを、被害者の皆さんも、そして弁護団の皆さんも繰り返しおっしゃっている、こういうことだと思うんですね。

 十一月二十九日の弁護団の声明ではこう言っているわけですね。被害者による民事保全手続に委ねた場合について、様々なハードルを乗り越えて裁判所により保全が認められたとしても、押さえられるのはごく一部の財産にとどまると。これは間違いないですよね。将来の皆さんの一千億円の財産を押さえられないですよね。ごく一部の財産しか押さえられないんじゃないですか、民事保全では。

山下議員 宮本委員にお答えします。

 宮本委員のお立場は、この保全で一千億の財産を保全するというお立場だと今承りました。

 その一千億の財産を保全する、そういった包括保全、これは破産法によらずにやるというようなお考えだということになるとなかなか難しいのではないかと思います。

 そして、野党の包括保全においても、一千億を超える保全ができるのかということについてどのようにお考えなのか。それは保全の必要性を立証しなきゃ駄目なんですよ。疎明しなきゃ駄目なんですよ。それをできないということであれば、一部の財産という、まず確実な財産から押さえていって現金化して、それを救済に充てる。そして、解散命令を待たずとも、その前からやっていただくということで被害者の救済を図る。そういうことでございます。

宮本(徹)委員 それは、解散命令の前から被害者の救済を図るのは当然の話ですよ。問題は、解散命令が出てからたくさん名のりを上げる被害者もいるだろう、その方々も含めて救済の責任を負うというのが立法府の責任だし、被害を広げて、加害者の側に加担してきた自民党の責任なんですよ。その自覚が余りにもなさ過ぎるんじゃないですか。

柴山議員 まず、これまでの自民党と統一教会の関係が被害を広げてしまったのではないかという御指摘については、これは、岸田総理始め我々自民党としてしっかりと反省しなければいけない、このことは冒頭に申し上げたいというふうに思います。

 ただ、その上で、仮差押えがごく一部の、しかも、被害を後で申し出た人たちにとって全く効果がないというような御指摘は、これは当たらないというように考えております。

 仮差押えはあくまでも財産の流出を防ぐための暫定的な処理でありまして、仮差押えによって全ての教団の財産を仮差押えする必要はない。少なくとも、流出のおそれがあるものを必要な限度で押さえておけば、後に明らかになった場合に様々な、目録等の形で被害者の権利を満たすことは、これは可能である。そのための我々は十全な財産流出、逸失防止措置を取っているということを御理解いただきたいと思います。

宮本(徹)委員 ですから、そのやり方で、被害者の方々が、マインドコントロールが解散命令が出た段階で解けて、私も本当に人生何十年だまされていた、献金した一億円返してほしい、二億円返してほしい、あるいは、霊感商法でだまされて買った物、これを返してほしい、たくさんたくさん名のり出たときに、今の皆さんの民事保全のやり方だと、そこまでは補償し切れないでしょう。補償し切れると断言できますか。補償し切れますというのなら言ってください。言えないんだったら言えないと言ってください。

柴山議員 保全財産からは満足を得られないかもしれませんけれども、流出されていない教団の財産に対して強制執行することはその段階ではできるわけです。あくまでも我々が提案しているのは、教団の財産から逸失して将来強制執行ができなくなるものについて、それを止めるということについて必要な措置をしているということは御理解をいただきたいと思います。

宮本(徹)委員 ですから、保全のものでは十分に満足に応えることができないとお認めになりました。

 そして、流出についても、告知すれば防げないじゃないですか、皆さんの法案では。告知したら全部、どんどんどんどん流出してしまうじゃないですか。それを全部止めようと思っても、現に被害を名のり上げている方々の部分しか民事保全では押さえられないんですよ。解散命令が出てマインドコントロールから目覚めた方々の分は保全できないじゃないですか。そのことを言っているんですよ、分かっているでしょう。分かっているのにもかかわらず、なぜ……(柴山議員「ちょっと答弁の機会を与えてくださいよ」と呼ぶ)質問しているんだから。分かっているのにもかかわらず、なぜちゃんと財産を保全しようとしないのか。だから統一協会との関係が切れていないんじゃないかと国民から見られてしまうわけですよ。

 本当に被害者救済をしっかり図るためだったら、今柴山議員がおっしゃったとおり、民事保全では満足に応えられないんですよ。満足に応えられないんです。おっしゃったとおりですよ。包括保全のためにちゃんと法整備しましょうよ。

柴山議員 何度も申し上げているとおり、包括保全を採用したことによってそうした財産の流出が止まるということはありません。

 だから我々は、少なくとも我々の見解では、ありませんから、もし包括保全を講じることによって、それはもちろん、破産の開始決定があった場合とか、要するに会社更生法の定めに従えば、それはより強力な手続というものができますよ。だけれども、少なくとも今の段階では、そういうものを法的に整備するというのは理屈上はあり得ません。

 ですので、我々が今言っているのは、財産の流出を止める、そして将来の被害者の方々の請求に備える、今は申し出られないかもしれないけれども、将来の方々に備えるということを、これを十全化しようとしているわけです。

 それと、あと、さっきも再三言っているように、今の段階ではまだ申立てをされていない方々がいらっしゃるけれども、少なくとも、今被害が明らかになった方々がその流出を止めることができれば、今後そういった被害を明らかにした方々と、そういった既存の、既に被害が明らかになった方々が、皆さんがしっかりと、例えば、解散命令請求の後の清算手続によってきちんと債権届をできるとか、あるいは、それぞれが被害者弁護団の方々とともに訴訟することができるとか、そういうことはきちんとできるようになる。

 それからまた、届出をして流出することができるんじゃないかということをおっしゃいましたけれども、届出をして一か月以内に財産が流出するというものであれば、まさにそれは流出のおそれが高いわけですから、それについては個別保全をすることが、少なくとも既存の被害に基づいて十分にこれを確保することができるというふうに私たちは考えております。

宮本(徹)委員 もう分かっていてそういう答弁をするのはやめてほしいんですよね。

 今名のりを上げている百二十四名の被害額は四十億円ですよ。しかし、一千億円を下らない、経済的被害だけでもあるんだということを弁連の皆さんはおっしゃっているわけですよ。四十億円の、今名のり出ている方々が、与党の皆さんの法案で後押しされて一生懸命民事保全をやったって、一千億円の被害者の皆さんの救済はできないんですよ。分かっているでしょう。分かっているからこそ、弁護団の方々はこういう声明を出しているわけですよ。

武部委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。

宮本(徹)委員 最後、これだけ申し上げて終わります。

 「意見が分かれて賛成多数で採決するようなことは決して好ましいことではなく、被害者救済が社会と国会の総意であることを示すためにも、全会一致で法律を制定していただくことを切望するものです。」「両案とも積極面を有するとともに、不十分な点も存するものと考えています。両案は必ずしも排斥し合うものではなく、両案の積極面を生かし、不十分な点を補うような建設的な議論と協議を期待します。」とあります。私も、全くそのとおりです、同感です。

 そのことを強く求めまして、質問を終わります。

武部委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午後零時二分散会

     ――――◇―――――

  〔参照〕

 特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律案

 解散命令の請求等に係る宗教法人の財産の保全に関する特別措置法案

は法務委員会議録第四号に掲載


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