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第14号 平成13年3月16日(金曜日)

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平成十三年三月十六日(金曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第六号

  平成十三年三月十六日

    午後零時三十分開議

 第一 農林漁業金融公庫法の一部を改正する等の法律案(内閣提出)

 第二 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(農林水産委員長提出)

 第三 恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 農林漁業金融公庫法の一部を改正する等の法律案(内閣提出)

 日程第二 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(農林水産委員長提出)

 日程第三 恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 平成十三年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案(内閣提出)

 環境事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑




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    午後零時三十三分開議

議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

議長(綿貫民輔君) 日程第一とともに、日程第二は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略し、両案を一括して議題とするに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。

    ―――――――――――――

 日程第一 農林漁業金融公庫法の一部を改正する等の法律案(内閣提出)

 日程第二 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(農林水産委員長提出)

議長(綿貫民輔君) 日程第一、農林漁業金融公庫法の一部を改正する等の法律案、日程第二、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の報告及び趣旨弁明を求めます。農林水産委員長堀込征雄君。

    ―――――――――――――

 農林漁業金融公庫法の一部を改正する等の法律案及び同報告書

 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔堀込征雄君登壇〕

堀込征雄君 ただいま議題となりました両法案について申し上げます。

 まず、農林漁業金融公庫法の一部を改正する等の法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、意欲ある担い手に対して経営の実情に応じた資金の融通を行うため、農林漁業金融公庫資金制度の見直しを行うとともに、財投改革を踏まえ、農林漁業金融公庫の資金調達手段の多様化、自律性の向上を図るための措置を講じようとするものであります。

 委員会におきましては、三月八日谷津農林水産大臣から提案理由の説明を聴取し、昨十五日政府に対する質疑を行いました。質疑終局後、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 次に、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 本案は、酪農の健全な発達に資するため、牛乳の処理または乳製品の製造施設について、農林漁業金融公庫が、乳業者に対し、長期低利資金を融通する臨時措置をさらに五年を限り延長するとともに、融資の対象として、牛乳または乳製品の流通施設を加えようとするものであります。

 以上が、本案の提案の趣旨及び内容であります。

 本案は、昨十五日農林水産委員会において、全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決したものであります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(綿貫民輔君) これより採決に入ります。

 まず、日程第一につき採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

 次に、日程第二につき採決いたします。

 本案を可決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第三 恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(綿貫民輔君) 日程第三、恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。総務委員長御法川英文君。

    ―――――――――――――

 恩給法等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔御法川英文君登壇〕

御法川英文君 ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、恩給受給者に対する処遇の改善を図るため、普通恩給及び扶助料の最低保障額の一部の引き上げ、遺族加算の年額の増額等、所要の改定を行おうとするものであります。

 本案は、三月七日本委員会に付託され、昨十五日片山総務大臣から提案理由の説明を聴取し、質疑を行い、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(綿貫民輔君) 採決いたします。

 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

小此木八郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。

議長(綿貫民輔君) 小此木八郎君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。

    ―――――――――――――

 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(綿貫民輔君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。法務委員長保利耕輔君。

    ―――――――――――――

 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案及び同報告書

 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔保利耕輔君登壇〕

保利耕輔君 ただいま議題となりました両法律案について、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について申し上げます。

 本案は、裁判所における事件の適正迅速な処理を図るため、判事の員数を三十人、裁判官以外の裁判所の職員の員数を九人、増加しようとするものであります。

 次に、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。

 本案は、最近における市町村の廃置分合等に伴い、浦和地方裁判所、浦和家庭裁判所及び浦和簡易裁判所の名称等を変更するほか、下級裁判所の管轄区域等の表示について所要の整理を行おうとするものであります。

 両案は、内閣から提出され、去る七日本委員会に付託されたものであります。

 委員会においては、九日高村法務大臣から提案理由の説明を聴取し、本日質疑を行い、これを終了し、直ちに採決を行った結果、両案はいずれも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(綿貫民輔君) 両案を一括して採決いたします。

 両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

小此木八郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 内閣提出、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案、平成十三年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案、右両案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。

議長(綿貫民輔君) 小此木八郎君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。

    ―――――――――――――

 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 平成十三年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案(内閣提出)

議長(綿貫民輔君) 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案、平成十三年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長鈴木俊一君。

    ―――――――――――――

 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案及び同報告書

 平成十三年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔鈴木俊一君登壇〕

鈴木俊一君 ただいま議題となりました両案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について申し上げます。

 本案は、戦傷病者、戦没者遺族等の処遇の改善を図るため、遺族年金等の額を恩給の額の引き上げに準じて平成十三年四月分から引き上げるとともに、戦傷病者等の妻に対する特別給付金の支給範囲を拡大することとするものであります。

 次に、平成十三年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案について申し上げます。

 本案は、現下の社会経済情勢にかんがみ、平成十三年度において、特例として、国民年金、厚生年金、児童扶養手当等について、物価スライドによる年金の額等の改定の措置を講じないこととするほか、次期財政再計算までに、特例措置を講じたことによる財政影響を考慮して、給付額や物価スライド規定のあり方等について検討することとするものであります。

 両案は、去る二月二十七日本委員会に付託され、翌二十八日坂口厚生労働大臣から提案理由の説明を聴取し、本日の委員会において質疑を行った後、採決の結果、両案はいずれも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(綿貫民輔君) 両案を一括して採決いたします。

 両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 環境事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(綿貫民輔君) この際、内閣提出、環境事業団法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。環境大臣川口順子君。

    〔国務大臣川口順子君登壇〕

国務大臣(川口順子君) ただいま議題となりました環境事業団法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 我が国においては、ポリ塩化ビフェニル廃棄物が長期にわたり処分されていない状況にあることにかんがみ、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理に必要な体制を速やかに整備し、その確実かつ適正な処理を推進することが喫緊の課題となっております。こうした課題を踏まえ、環境事業団を活用することとし、その業務にポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理等を行う業務を追加する等、所要の改正を行うものであります。

 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、業務の追加及び見直しであります。

 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理等を行う業務及び環境大臣が指定する者に対し、その処理に要する費用につき助成を行う業務を追加いたします。また、これらの業務を追加するに当たり、既存業務の一部を廃止することとしております。

 第二に、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理に要する費用の軽減を図るために、ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基金を設け、政府及び都道府県から交付を受けた補助金と、政府及び都道府県以外の者からの出捐金をもってこれに充てることとしております。

 第三に、環境事業団が発行する債券に係る債務の担保に供するため、その金銭債権の一部を信託会社等に信託することができることとする等、資金調達手段の多様化を図るために必要な規定を設けることとしております。

 このほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 なお、今回追加する業務については、平成二十八年三月三十一日までの間に廃止を含めて見直しを行うこととしております。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 環境事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(綿貫民輔君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。山田敏雅君。

    〔山田敏雅君登壇〕

山田敏雅君 私は、民主党山田敏雅でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題になりました環境事業団法の一部改正案につき、厚生労働大臣、経済産業大臣、環境大臣に質問をいたします。(拍手)

 私は、議員になりまして八カ月たちました。この国権の最高機関である国会で働けることを、大変喜びと誇りに思っております。しかし、この八カ月間で、私は、この国会で行うべき民主的な議論が果たして行われていたのかどうか、非常に疑問になる点がございます。質問に対して役所がつくった答弁を読むだけということでは、本当の議論は行われないと思います。

 今回はPCBの問題であります。過去三十年間の行政の失敗を、ここで新たに国民の税金を使ってこの失敗を正当化する、こういう問題をきょうは議論いたします。ぜひ大臣、役所のつくった答弁の原稿ではなく、よく私の質問を聞いてお答えいただきたいと思います。

 私は、先日、C・W・ニコルさんにお会いしました。ニコルさんは、御存じのとおり、北極のイヌイットの支援を続けておられます。この北極に淡水アザラシ、北極の湖がございます、この淡水アザラシにPCBが検出されました。北極のクマは、既に皆さん御存じのとおり、体脂肪に高濃度のPCBが蓄積しております。北極の淡水の中に、海洋汚染、食物連鎖のない地域にPCBが検出されたことは、改めて、地球規模で、そして想像を絶する汚染が行われております。これは、PCBが環境では決して破壊されることのない物質であること、そして、人間も含めて、生物の体内に一たん入れば二度と出ることはない、そういう物質であるということを証明していると思います。

 一九九六年に、アメリカのコルボーン博士は、「奪われし未来」という本を発表いたしました。これは、五大湖の魚を食べた母親から生まれた子供は明らかに知能障害がある、知能の低下が認められるという報告であります。

 胎児の脳機能はPCBやダイオキシンによって機能障害が起き、そして知能の低下とADHD、日本で呼ばれております学習障害、正確には注意欠陥多動障害と申しますが、胎児の脳が正常に発達しないという現象が起きております。

 現在、アメリカでは、このADHDは、アメリカの子供の中の一〇%に認められております。地域によっては、二〇%の子供たちに脳の障害が認められております。日本においては、このような学習障害がADHDと認められておりません。

 そこで、坂口厚生労働大臣にお伺いいたします。

 このコルボーン博士の、PCBと胎児の脳の発達の障害に関する因果関係について、我が国においてはこれを認めているのでしょうか。そして、十分な検証が行われているのでしょうか。そして、妊婦に対する安全対策について正しい議論が行われているのでしょうか。お答えください。過去の例に見られますように、日本の厚生省の対応は、外国に比べていつも後手に回っているということをお忘れにならないでください。

 さて、PCBですが、三十年間、PCBの処理は全く行われませんでした。三十年前に、補助金を使って、PCB処理協会が通産省の指導のもとに設立されました。その後十二年間、三十九カ所の処理施設の候補地を当たりました。一カ所も決まりませんでした。それどころか、現在では三十九万台のトランスが保管されておりますが、そのうち三万台が既に紛失、不明、このような事態になりました。

 ここで、お伺いいたします。平沼大臣、経済産業省として、この三十年間の省の責任と総括は行われたのでしょうか。

 私は、今大臣がお手元に答弁書をお持ちだと思います。その答えは大体わかっております。PCB処理協会が設立後十九年後に出したメモがございます。このメモは、十九年間で何もできなかったことに対する言いわけが書いてあります。四つあります。一つは、住民が反対しました。一つは、廃棄物のイメージが悪かった。三つ目は、地元対策ができなかった。四つ目は、処理技術に信頼感がなかった。こういうふうに書いておられます。恐らく、そういうふうにお答えしていただくのだと思います。

 しかし、最後に書いてあることが一つあります。これは答弁していただけないと思いますが、このメモの最後に、立地交渉条件の一つとして、監督官庁を含めた公的機関に対して、万一の事故の責任と補償を要求されるケースがある、多いと書いてあります。すなわち、どういうことかといえば、通産省がこの責任と補償を認めれば、この三十九カ所の候補地のうち、少なくとも数カ所は賛成してできていたはずであります。通産省は、この責任と補償をとりたくないから、このすべての候補地、十二年間にわたって検討した三十九カ所をだめだというふうにやったわけであります。大臣は今の最後の点について、ぜひ責任のある答弁をお願いしたいと思います。(拍手)

 さて、その処理協会は、昭和六十年に、すべての候補地はだめだということであきらめました。そして、十五年間がたちました。毎年予算を七千万円使って記録台帳の整理をしておりました。平成四年にはこの台帳は既に地方公共団体すべてに渡りましたので、平成四年以降はまさに仕事のない協会であります。なぜ十五年間も、このような税金のむだ遣い、仕事のない協会を通産省は放置したのでしょうか。これについて明快な御答弁をお願いいたします。

 さらに、環境大臣にお伺いいたします。

 環境事業団が処理施設を建設し、中小企業に毎年五十億円の補助金を与えるというのが今回の法案の改正であります。

 さて、この環境事業団は何をしていたか。国立公園の中にホテルをつくる事業をしておりました。何とも不思議な事業でございますが、国立公園の中にホテルをつくって、第三者に譲渡するという仕事をしておりました。しかし、岡山県の玉野市にホテルをつくって、第三セクターに譲渡する予定が、第三セクターが倒産いたしました。七年間、このホテルは国立公園の中に野ざらしになっております。環境事業団の仕事がなくなってしまいました。

 そして、今回、この環境事業団は、かつてPCBについて一度も、知識も経験もない事業団であります。ここに、一基四百億円という事業費を使って全国に五カ所から六カ所つくる、すべてで二千億円、そして、年間に五十億円の補助金を与える、総額七百億円、この事業をこの環境事業団がすることになりました。

 まさに、この事業団が仕事がなくなったので、これを救援するためにわざわざ仕事をつくったのではないでしょうか。環境大臣、お願いいたします。

 このPCBの処理事業は、今から二十年前、民間の企業が十数社、事業計画を出してまいりました。すなわち、四百億円の事業費で年間約百億円の売り上げを上げることができます。十分、ビジネスとしてペイする事業であります。二十年前には、十数社がこの事業計画を提出し、民間でぜひやりたいという計画があちこちにございました。しかし、今、この事業を国でやるという意味は一体あるのでしょうか。この事業こそ、PFI、民間の資金を使って、そして公共事業を行う絶好のチャンスだと思います。

 イギリスでは、十数年前よりPFIが行われております。国民の税金を使わないで公共事業をする。三井物産がイギリスの地下鉄をつくっております。そして、タイでは、大変小さな政府ですが、地下鉄やモノレールや高速道路を、PFI、民間の資金で、税金を一円も使わないでこのような公共事業を完成しております。

 今、私たちの国は財政危機、私は、本当にPFIが必要なときはまさに今であると思います。環境大臣、これをぜひ検討していただきたいと思います。

 今、行政が本当に掲げるべき目標は、国民の税金をできるだけ安くして、最大の行政サービスをすることではないでしょうか。今、この事業は、この法律ではその行政の目標を逸脱するものであります。ぜひ原点に戻って、大臣の答弁をお願い申し上げます。

 以上、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣坂口力君登壇〕

国務大臣(坂口力君) PCBやダイオキシンについてのお尋ねでございました。

 これらの物質が人の健康に与える影響につきましては、現時点では、科学的に全部解明されているというわけではございません。それだけに、国民の健康を確保する観点から極めて重要な課題であるというふうに思っているところでございます。

 このため、厚生労働省では、これらの物質の摂取と健康影響の因果関係を解明するために、哺乳動物を用いた実験による胎児への毒性影響、人への暴露量と健康影響の関係等につきまして、調査研究を積極的に進めているところでございます。

 御指摘になりましたコルボーン博士の見解につきましても、貴重な科学的知見の一つとしてお受けとめをさせていただいているところでございます。

 また、これらの物質の摂取に関しまして、PCBにつきましては、魚介類等の食品に対して暫定規制値を設定いたしまして監視指導を行っておりますとともに、ダイオキシンにつきましては、耐容一日摂取量として体重一キログラム当たり四ピコグラムTEQを設定しております。

 今後とも、調査研究の推進や科学的知見の収集を通じまして、PCBやダイオキシンの人に対する健康影響の早急な解明に努力をし、着実な取り組みにつなげていきたいと考えているところでございます。

 今後とも努力することをお約束申し上げて、答弁といたします。(拍手)

    〔国務大臣平沼赳夫君登壇〕

国務大臣(平沼赳夫君) 山田議員にお答えをさせていただきます。

 山田議員も原稿をお読みになられておりましたので、私も、ところどころ、肝心なところだけは読ませていただきたい、こう思っております。

 先ほど、三十年近くの間、放置していたのは大変な責任ではないかと、四つの問題点を指摘されました。

 その四つの問題点というのは、そのとおりだと私思っております。

 ただ、一つは、一生懸命に当時の環境庁と努力をしながら、高温処理の技術というのを開発してまいりました。そして、御指摘のように三十九の、いわゆる都道府県で採用しようという検討が始まったわけであります。しかし、当時、カネミ油症等の問題がありまして、この排出するガスに対して大変住民の皆様方のアレルギーがあった。そういう中で、非常に努力をして説得をしたわけでありますけれども、なかなか合意を得るに至らなかった、このことは残念なことだと思っております。

 そして、さらに努力をさせていただいて、化学的な処理をする方法も今開発をし、これもいい線のところまで来ております。こういったところも今一生懸命努力をし、これまでも努力をしてきたところでありますけれども、御指摘のとおり、三十年間、一カ所もPCBを処理するそういうものができなかったということは、確かに本当に大きな問題だと思っております。

 しかし、御理解いただきたいのは、決して放置をしたことではなくて、化学処理を含めて不断の努力をして一生懸命頑張ってきた、こういうことだけは御理解をいただきたいと思っているわけであります。(拍手)

 それからもう一つは、十五年前に役目を終わっただろう、そして、このことについての見解を聞きたい、こういうことでございましたけれども、PCB協会が作成、管理してきたPCB使用機器の管理台帳は、厚生省が平成四年そして平成十年に全国一斉調査を実施した際にも利用させていただきました。現在まで継続されてきた管理台帳の更新業務は、これから行われるPCBの無害化処理のために必要な業務であったと我々は認識をしております。

 また、高温焼却処理によるPCB処理施設の建設が事実上困難と判断された以降、すなわち平成三年ごろも、協会以外のPCB無害化処理の推進体制は依然として未整備の状況であったため、PCB無害化処理を目的とした協会が使命を終えたとは考えられなかった。

 こういうことでございまして、十五年の間放置をした、こういうことじゃなくて、一部機能していたということも御理解をいただきたい、このように思っているわけであります。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣川口順子君登壇〕

国務大臣(川口順子君) 三点、お尋ねがあったかと思います。

 まず第一に、今回の計画は事業団を救うためであって、税金のむだ遣いではないかということでございました。

 PCB対策、PCBの廃棄物を早急に処理する、これを実現しまして、不明、紛失を防止するためには、国が関係自治体の協力を得ながら、必要な役割を果たす形で施設整備や処理業務に当たることが不可欠でございます。このために、環境事業団を事業主体として活用することが最も適当だと考えたからでございます。

 今回の計画は、御指摘のように、環境事業団を救済するため、あるいはわざわざ仕事をつくったのではないかというお話がございましたけれども、そういうことではございません。まさに、PCB廃棄物の早急な処理が必要なことであるからでございます。

 二番目に、このような事業こそ、民間の資金と活力を利用するPFIがぴったりではないかというお尋ねでございました。

 PCB廃棄物の処理につきましては、民間事業者によってその体制を整えるべく、電気絶縁物処理協会を中心に努力をしてきたけれども、その実現ができなかったという経緯があることは、ただいま平沼大臣及び山田議員御自身がおっしゃったとおりでございます。

 これもまた平沼大臣が今おっしゃられたことですけれども、我が国においては、カネミ油症事件という非常に不幸な事件が発生をしたという特異な問題があったということでもございまして、これまで実現ができませんでしたのは、民間企業では、まさに商業ベースということが前に出ざるを得ないということで、施設の設置に当たってなかなか地元住民や自治体の理解を得ることが困難だったという状況があったのではないかと私も認識をいたしております。

 PFI事業といいましても、事業実施の責任主体は商業ベースを基本とする民間企業とならざるを得ないことから、この事業につきましては、PFI事業で実施することは困難と考えております。

 それから三番目に、今回の法改正のように、処理施設費で二千億円以上、中小企業者への補助金で七百億円以上の税金を使うのはむだ遣いではないかというお尋ねでございました。

 環境事業団がPCB廃棄物の処理事業を行う際も、これらの投資については借り入れを行いますが、施設の整備、運営に要する費用につきましては、排出事業者の処理費用によって回収をしていくということが原則でございます。

 ただ、PCB廃棄物の処理に当たりましては、国民に安心をしていただきながら、その理解を得られる形で処理をすることが必要でございます。そのため、化学的処理により処理を行う方針でおりますけれども、これは高温焼却処理に比べまして高額な処理費用がかかるということでございますので、負担能力の小さい中小企業者に対しては、処理が円滑に進むように、処理費用の負担を軽減することが必要と考えております。

 このため、環境事業団に対する施設整備費補助を通じまして中小企業者の処理の原価を圧縮するとともに、さらに、ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基金による助成措置を講ずることといたしております。これらの措置は、御指摘のように税金をむだ遣いするものではなくて、PCB廃棄物の確実かつ適正な処理、それを速やかに進めるために必要不可欠であるということでございます。

 以上でございます。(拍手)

議長(綿貫民輔君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(綿貫民輔君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時十四分散会




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