衆議院

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第23号 平成14年4月11日(木曜日)

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平成十四年四月十一日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十六号
  平成十四年四月十一日
    午後一時開議
 第一 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律案(参議院提出)
 第二 司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第三 金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律案(内閣提出)
 第四 外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第五 特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第六 弁理士法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第七 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第八 身体障害者補助犬法案(第百五十三回国会、山本幸三君外六名提出)
 第九 身体障害者補助犬の育成及びこれを使用する身体障害者の施設等の利用の円滑化のための障害者基本法等の一部を改正する法律案(第百五十三回国会、山本幸三君外六名提出)
 第十 新たな時代における経済上の連携に関する日本国とシンガポール共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 パレスチナ紛争の即時停止と対話の再開を求める決議案(鳩山邦夫君外十三名提出)
 日本人拉致疑惑の早期解決を求める決議案(鳩山邦夫君外十三名提出)
 日程第一 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律案(参議院提出)
 日程第二 司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律案(内閣提出)
 日程第四 外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第五 特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第六 弁理士法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第七 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第八 身体障害者補助犬法案(第百五十三回国会、山本幸三君外六名提出)
 日程第九 身体障害者補助犬の育成及びこれを使用する身体障害者の施設等の利用の円滑化のための障害者基本法等の一部を改正する法律案(第百五十三回国会、山本幸三君外六名提出)
 日程第十 新たな時代における経済上の連携に関する日本国とシンガポール共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件
 政策金融機関に対する検査の権限の委任のための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時四分開議
議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
馳浩君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 鳩山邦夫君外十三名提出、パレスチナ紛争の即時停止と対話の再開を求める決議案及び日本人拉致疑惑の早期解決を求める決議案の両案は、いずれも提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略して一括上程し、その審議を進められることを望みます。
議長(綿貫民輔君) 馳浩君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、日程第一に先立ち追加されました。
    ―――――――――――――
 パレスチナ紛争の即時停止と対話の再開を求める決議案(鳩山邦夫君外十三名提出)
 日本人拉致疑惑の早期解決を求める決議案(鳩山邦夫君外十三名提出)
議長(綿貫民輔君) パレスチナ紛争の即時停止と対話の再開を求める決議案、日本人拉致疑惑の早期解決を求める決議案、右両案を一括して議題といたします。
 提出者の趣旨弁明を許します。鳩山邦夫君。
    ―――――――――――――
 パレスチナ紛争の即時停止と対話の再開を求める決議案
 日本人拉致疑惑の早期解決を求める決議案
    〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔鳩山邦夫君登壇〕
鳩山邦夫君 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合、保守党を代表いたしまして、ただいま議題となりましたパレスチナ紛争の即時停止と対話の再開を求める決議案及び日本人拉致疑惑の早期解決を求める決議案につきまして、それぞれ御説明申し上げます。
 まず、パレスチナ紛争の即時停止と対話の再開を求める決議案につきまして、案文を朗読いたします。
    パレスチナ紛争の即時停止と対話の再開を求める決議案
  イスラエルとパレスチナにおいては、報復が報復を呼ぶ「報復の連鎖」により、日々、尊い人命が失われ、地域には相互の憎悪と暴力の悪循環が渦巻いている。当事者と地域の人々はもとより、我が国を含む国際社会全体の希望を担って開始された中東和平プロセスは今や最大の危機に瀕している。
  本院は、平和と公正を希求する日本国民を代表して、現下のパレスチナ情勢に関し、強い憂慮の念を表明する。今こそ、全ての当事者、特にイスラエル・パレスチナ双方の指導者は、九三年にオスロで交渉による和平実現に合意した時の初心を想起すべきである。我々は、イスラエル軍のパレスチナ自治区からの早期全面撤退と軍事行動の即時停止を強く要請する。また、両者が和平交渉再開に向けた政治的英断を下すことを強く求める。この関連で、国連安保理決議一四〇二及び同一四〇三を全面的に支持する。
  よって、政府は、現下の情勢を等しく憂慮する関係国と協力し、また安保理を中心とする国連諸機関とも緊密に連携しつつ、イスラエルとパレスチナ双方への働きかけを強め、情勢の鎮静化と中東和平の実現に向けた外交の展開に格段の努力を払うべきである。特に、米国が中東和平において果たす役割の重要性に鑑み、政府は国連安保理決議をふまえた同国の仲介努力を支援するとともに、自らもこれと協調しつつ可能な限りの役割を果たすべきである。
  右決議する。
 次に、日本人拉致疑惑の早期解決を求める決議案につきまして、案文を朗読いたします。
    日本人拉致疑惑の早期解決を求める決議案
  朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による最初の日本人拉致疑惑発生から長い年月が経過した。さらに、最近、我が国の裁判所において証言がなされ、疑惑の詳細が明らかになりつつある。我々は、最愛の子や親・兄弟の消息を求めるご家族の方々の悲痛な叫びに、今あらためて心耳を傾け、この疑惑解決に真剣に取り組まなければならない。
  拉致疑惑は、国家主権並びに基本的人権・人道にも関わる極めて重大な問題である。また、拉致疑惑により日本人の北朝鮮への不信感が増幅してきていることを懸念する。我が国としては、北朝鮮との関係が一日も早く正常化することを望むものであるが、同時に、相互の国民の間に確固たる信頼があってこそ永続的な二国間関係が成り立つことに留意したい。
  北朝鮮赤十字会は、「行方不明者」の調査を再開することを表明したが、以上の見地から拉致疑惑の早期解決に向け真摯に取り組むことを強く要請する。
  政府は、我が国と北朝鮮との国交正常化に向けた話し合いの中で、国民の生命・財産を守ることが国家としての基本的な義務であることに思いを至し、毅然たる態度により拉致疑惑の早期解決に取り組むべきである。
  右決議する。
    〔拍手〕
以上であります。
 何とぞ議員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) これより採決に入ります。
 まず、パレスチナ紛争の即時停止と対話の再開を求める決議案につき採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。(拍手)
 次に、日本人拉致疑惑の早期解決を求める決議案につき採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。(拍手)
 この際、外務大臣から発言を求められております。これを許します。外務大臣川口順子君。
    〔国務大臣川口順子君登壇〕
国務大臣(川口順子君) ただいまの両御決議に対しまして、所信を申し述べます。
 パレスチナ紛争の即時停止と対話の再開を求める決議につきましては、政府といたしましても、パレスチナ情勢の深刻な現状を強く憂慮しており、私のイスラエル、パレスチナ両当事者との会談や電話会談、また、茂田前大使の現地派遣等を通じ、これまで、事態の打開のために真剣な取り組みを行ってきました。
 政府といたしましては、ただいま採択された御決議の趣旨を体し、現在激化している暴力の悪循環を断ち切るために、米国を初めとする関係国と協力しつつ、イスラエル、パレスチナ双方に対する働きかけをさらに強化するとともに、一日も早く和平交渉が再開し、その結果、イスラエルとパレスチナ両国家の平和共存が実現するよう、可能な限りの努力を行っていきたいと思います。
 次に、日本人拉致疑惑の早期解決を求める決議につきまして、政府は、拉致問題は国民の生命にかかわる重要な問題であるとの認識のもと、従来より、日朝国交正常化交渉等の場において、北朝鮮に対し、日朝関係を改善していくに当たり、拉致問題を決して避けて通ることはできない旨、繰り返し説明し、その解決を強く求めてきたところであります。
 政府といたしましては、ただいま採択されました御決議の趣旨を踏まえ、引き続き日朝国交正常化交渉の進展に粘り強く取り組み、こうした努力を通じて、拉致問題を初めとする人道上の問題や安全保障上の問題の解決を目指す所存でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 日程第一 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律案(参議院提出)
議長(綿貫民輔君) 日程第一、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。総務委員長平林鴻三君。
    ―――――――――――――
 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律案及び同報告書
    〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔平林鴻三君登壇〕
平林鴻三君 ただいま議題となりました特定電子メールの送信の適正化等に関する法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近、社会問題化しているいわゆる迷惑メール問題に適切に対処し、電子メールの利用についての良好な環境の整備を図るため、参議院から提出されたものであります。
 その主な内容は、特定電子メールの送信時における当該送信者の氏名等の表示の義務づけ、送信をしないよう通知した者に対する特定電子メールの送信の禁止及び架空電子メールアドレスによる送信の禁止など、特定電子メールの送信の適正化のための措置等を講じようとするものであります。
 本案は、去る四月五日本委員会に付託され、九日提出者の田村参議院総務委員長から提案理由の説明を聴取した後、直ちに採決を行いましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案(内閣提出)
議長(綿貫民輔君) 日程第二、司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。法務委員長園田博之君。
    ―――――――――――――
 司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔園田博之君登壇〕
園田博之君 ただいま議題となりました法律案について、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、司法書士及び土地家屋調査士につき、規制改革における資格制度の見直しの観点から、事務所の法人化、資格試験制度及び懲戒手続の整備、資格者団体の会則記載事項の見直し等を行い、あわせて、司法書士については、国民の権利擁護の拡充及び司法書士の有する専門性の活用の観点から、司法制度改革の一環として、簡易裁判所における訴訟代理権等を付与しようとするものであります。
 本案は、三月二十八日本委員会に付託され、四月三日森山法務大臣から提案理由の説明を聴取し、五日から質疑に入り、九日には参考人から意見を聴取するなど慎重に審査を行い、同日質疑を終局し、直ちに採決を行った結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第三 金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律案(内閣提出)
 日程第四 外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案(内閣提出)
議長(綿貫民輔君) 日程第三、金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律案、日程第四、外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。財務金融委員長坂本剛二君。
    ―――――――――――――
 金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律案及び同報告書
 外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔坂本剛二君登壇〕
坂本剛二君 ただいま議題となりました両案につきまして、財務金融委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 初めに、金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律案について申し上げます。
 本案は、昨年九月の米国同時多発テロ事件の発生以降、国際社会においてテロ対策のさらなる推進が重要な課題となっていることにかんがみ、テロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約の的確な実施を確保し、金融機関等がテロリズム等に利用されることを防止するため、その顧客管理体制の整備を促進する等の観点から、所要の措置を講じようとするものであり、以下、その概要を申し上げます。
 第一に、金融機関等は、預金口座の開設や大口現金取引等を行う際、運転免許証の提示を求める等の方法により、顧客等の本人確認を行わなければならないことにしております。
 第二に、金融機関等は、本人確認に係る記録及び顧客等の取引に関する記録を一定期間保存しなければならないことにしております。
 次に、外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、さきに申し述べましたテロ対策のさらなる推進という国際社会における喫緊の課題のもとで、テロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約等により、テロリスト等に対する遅滞なき資産凍結等が求められている状況にかんがみ、外国為替取引等に係る資産凍結等の措置の効果的な実施を図るため、所要の措置を講じようとするものであり、以下、その概要を申し上げます。
 第一に、現行法の為替取引における本人確認に係る努力規定を義務化するとともに、その対象に非居住者預金等の資本取引を加えることにしております。
 第二に、関係省庁との間の情報提供等の協力に係る規定の整備を行うことにしております。
 両案は、去る四月二日当委員会に付託され、同月九日柳澤国務大臣及び塩川財務大臣からそれぞれ提案理由の説明を聴取した後、質疑を行い、同日質疑を終局いたしました。次いで、順次採決いたしましたところ、両案はいずれも多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第五 特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第六 弁理士法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
議長(綿貫民輔君) 日程第五、特許法等の一部を改正する法律案、日程第六、弁理士法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。経済産業委員長谷畑孝君。
    ―――――――――――――
 特許法等の一部を改正する法律案及び同報告書
 弁理士法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔谷畑孝君登壇〕
谷畑孝君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、特許法等の一部を改正する法律案は、近年の技術革新の著しい進展及び経済社会の情報化等にかんがみ、プログラム等が特許法上の「物」に含まれること、プログラム等の発明の実施に電気通信回線を通じた提供が含まれること、及び商標を付した商品を電気通信回線を通じて提供する行為等が商標の使用に含まれることを明確にするとともに、侵害とみなす行為の範囲の拡大等を行うほか、工業所有権制度の国際的調和、出願人の負担の軽減及び審査の効率化を図るため、明細書の記載事項並びに国際特許出願及び国際商標登録出願に係る手続の見直し等の措置を講じようとするものであります。
 次に、弁理士法の一部を改正する法律案は、近年、知的財産関連の侵害訴訟の件数が急増している情勢を踏まえ、裁判所における訴訟処理の迅速化を図るため、国が行う侵害訴訟代理業務に関する試験に合格した弁理士が、弁護士と共同で受任している特許権等の侵害訴訟事件に限り、その訴訟代理人になることができるものとする等の措置を講じようとするものであります。
 両案は、去る四月五日参議院から送付され、同日本委員会に付託され、平沼経済産業大臣からそれぞれの提案理由の説明を聴取いたしました。
 昨日両案について質疑を行った後、それぞれ採決を行った結果、両案はいずれも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。
 なお、両案に対しそれぞれ附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 両案を一括して採決いたします。
 両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第七 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第八 身体障害者補助犬法案(第百五十三回国会、山本幸三君外六名提出)
 日程第九 身体障害者補助犬の育成及びこれを使用する身体障害者の施設等の利用の円滑化のための障害者基本法等の一部を改正する法律案(第百五十三回国会、山本幸三君外六名提出)
議長(綿貫民輔君) 日程第七、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案、日程第八、身体障害者補助犬法案、日程第九、身体障害者補助犬の育成及びこれを使用する身体障害者の施設等の利用の円滑化のための障害者基本法等の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長森英介君。
    ―――――――――――――
 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
 身体障害者補助犬法案及び同報告書
 身体障害者補助犬の育成及びこれを使用する身体障害者の施設等の利用の円滑化のための障害者基本法等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔森英介君登壇〕
森英介君 ただいま議題となりました三法案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、障害者の雇用に関する状況にかんがみ、障害者の雇用の促進及びその職業の安定を図るとともに、就職が困難な障害者が職業生活において自立することを促進するための施策の充実強化を図ろうとするもので、その主な内容は、次のとおりであります。
 第一に、障害者雇用率制度において、特例子会社に加え、関係する他の子会社も合わせて雇用率の算定を行うことができるように改めるとともに、雇用すべき障害者数の軽減を図るために設けられている除外率制度を、当分の間の措置とし、段階的に縮小していくこと、
 第二に、雇用、福祉、教育等の関係機関が連携し、就業及び日常生活上の支援を一体的に行う障害者就業・生活支援センター事業を実施するとともに、障害者の職場定着の支援を行う職場適応援助者事業を実施すること、
 第三に、精神障害者について本法律上の位置づけを明確化し、精神障害者に対する雇用支援を進めること
等であります。
 本案は、去る三月二十九日の本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、同日本委員会に付託され、四月三日坂口厚生労働大臣から提案理由の説明を聴取し、昨十日に質疑を終了し、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 次に、身体障害者補助犬法案及び身体障害者補助犬の育成及びこれを使用する身体障害者の施設等の利用の円滑化のための障害者基本法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 まず、身体障害者補助犬法案は、身体障害者の自立及び社会参加の進展に伴い、身体障害者の補助を行う犬が果たす役割が重要になっていることにかんがみ、補助犬の訓練事業者及び補助犬を使用する身体障害者の義務等を定めるとともに、身体障害者が国等が管理する施設、公共交通機関等を利用する場合において補助犬を同伴することができるようにするための措置等を講ずるものであります。
 次に、身体障害者補助犬の育成及びこれを使用する身体障害者の施設等の利用の円滑化のための障害者基本法等の一部を改正する法律案は、身体障害者補助犬法案の制定に伴い、社会福祉法を改正し、第二種社会福祉事業に、介助犬訓練事業及び聴導犬訓練事業を追加するものとするほか、障害者基本法等について、所要の改正を行おうとするものであります。
 両案は、第百五十三回国会に提出され、継続審査となっていたもので、今国会において、去る四月三日提出者山本幸三君から提案理由の説明を聴取し、五日に質疑を行い、昨十日の委員会において、採決の結果、身体障害者補助犬法案につきましては、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 次に、身体障害者補助犬の育成及びこれを使用する身体障害者の施設等の利用の円滑化のための障害者基本法等の一部を改正する法律案につきましては、本法律案中の身体障害者補助犬法等の法律番号の年表示を、平成十四年に改める修正を加え、採決の結果、全会一致をもって修正議決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 三案を一括して採決いたします。
 日程第七及び第八の両案の委員長の報告はいずれも可決、日程第九の委員長の報告は修正であります。
 三案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、三案とも委員長報告のとおり議決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第十 新たな時代における経済上の連携に関する日本国とシンガポール共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件
議長(綿貫民輔君) 日程第十、新たな時代における経済上の連携に関する日本国とシンガポール共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。外務委員長吉田公一君。
    ―――――――――――――
 新たな時代における経済上の連携に関する日本国とシンガポール共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び同報告書
    〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔吉田公一君登壇〕
吉田公一君 ただいま議題となりました日本・シンガポール新時代経済連携協定につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本協定は、平成十二年十月の我が国とシンガポールとの首脳会談におきまして、二国間経済連携協定締結のための交渉を開始することで意見が一致したことを受けて、平成十三年一月以来、両国政府間において交渉を行ってまいりました。その結果、協定案について合意に達したので、本年一月、シンガポールにおいて本協定の署名が行われました。
 本協定は、我が国にとって初の物品及びサービス貿易に関する自由貿易協定であり、その主な内容は、
 千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定第三条の規定の例により、他方の締約国の産品に対し内国民待遇を与えること、
 各締約国は、原産地規則を満たす他方の締約国の産品について、附属書1に定める自国の実施日程に従って関税を撤廃すること、
 通信端末機器等について、登録を受けた輸出側締約国の適合性評価機関が実施する適合性評価手続の結果を輸入側締約国が受け入れること、
 各締約国は、自国の領域内において、投資財産の設立、取得等に関し、他方の締約国の投資家及びその投資財産に対して内国民待遇を与えること
等であります。
 本件は、去る四月四日に外務委員会に付託され、五日川口外務大臣から提案理由の説明を聴取し、十日質疑を行い、引き続き採決を行いました結果、全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。
     ――――◇―――――
 政策金融機関に対する検査の権限の委任のための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明
議長(綿貫民輔君) この際、内閣提出、政策金融機関に対する検査の権限の委任のための関係法律の整備に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。財務大臣塩川正十郎君。
    〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕
国務大臣(塩川正十郎君) ただいま議題となりました政策金融機関に対する検査の権限の委任のための関係法律の整備に関する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 政策金融機関につきましては、その財務の健全性及び透明性の確保の要請が高まっており、リスク管理を一層適切に行う必要があることから、政策金融機関に対して金融庁検査を導入できるよう、各政策金融機関の設置法において所要の措置を定めるため、本法律案を提出した次第であります。
 以下、その大要を申し上げます。
 本法律案は、各政策金融機関の設置法について、以下のとおり改正を行うこととしております。
 第一に、主務大臣は、立入検査権限の一部を内閣総理大臣に委任できることとするとともに、内閣総理大臣は、立入検査をしたときは、速やかにその結果を主務大臣に報告するものとしております。
 第二に、内閣総理大臣は、主務大臣から委任された権限等を金融庁長官に委任するものとしております。
 以上、政策金融機関に対する検査の権限の委任のための関係法律の整備に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。
 ありがとうございました。(拍手)
     ――――◇―――――
 政策金融機関に対する検査の権限の委任のための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
議長(綿貫民輔君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。小林憲司君。
    〔小林憲司君登壇〕
小林憲司君 民主党・無所属クラブの小林憲司です。
 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました政策金融機関に対する検査の権限の委任のための関係法律の整備に関する法律案について、関係大臣に質問いたします。(拍手)
 小泉内閣が発足してほぼ一年が経過しました。しかし、国民の高い支持を得て登場した小泉内閣のこの一年間の業績は、種々の経済指標を見る限り、支持率が一割にも満たなかった森内閣よりも悪いということを私は指摘せざるを得ません。私たちが現場に赴いたとき、目に入るのは職を求めてハローワークに並ぶ元サラリーマンの行列であり、耳に届くのは貸しはがしに苦しむ中小企業の悲痛な叫びです。
 塩川財務大臣にお聞きしますが、大臣、あなたこそ、こうした現場をごらんになっているのでしょうか。もし、こうした現場をごらんになっているのであれば、小泉内閣の一員として、彼らをそういう状況に追いやった責任を感じてしかるべきですが、いかがでしょうか。
 塩川財務大臣は、三月危機など幻だともおっしゃいました。しかし、危機は去ったという認識こそ、幻想にすぎません。現実に、三月危機をしのいだのは、実体経済が改善したからではなく、政府が公的資金によるPKO、株価維持操作や空売り規制強化など、小手先のびほう策を総動員し、無理やり株価をつり上げたからではありませんか。
 ペイオフ凍結が解除され、多くの預金者は、いつまた金融危機がやってくるかと、不安を抱きながら生活しています。三月危機が幻だとおっしゃるのなら、少なくとも当分の間は、金融機関の破綻などあり得ないはずですが、塩川財務大臣は太鼓判を押すことができますでしょうか。明確にお答え願います。(拍手)
 本法律案により、政策金融機関のリスク面に関する検査は金融庁が行うことになります。私たちも、金融行政の一元化という観点から見て、改革の方向性には賛同できると考えています。
 しかし、現実に民間金融機関に対して行われている金融庁の検査は、かつて小泉総理御自身がお認めになったとおり、マーケットからは信用されておりません。現実に、昨年冬の財務金融委員会でも厳しく追及されましたが、金融庁のトップである森金融庁長官が、銀行幹部だけを集めた内輪の会合で、検査の信頼性を失墜させるような発言をしているのです。
 柳澤金融担当大臣にお尋ねしますが、金融庁は、財務金融委員会の議論を踏まえ、検査の信頼性を取り戻す施策を何か講じたのでしょうか。
 年が明けてから、経営危機に陥っている大企業に対する金融支援策が続々と報道されました。一説によると、三月危機を乗り切るため、政府がこれらを主導したということです。実際、ある大手マンションディベロッパーは、銀行に対し、当社は国の政策に協力するために、あえて債務免除を要請することにしましたと発言したという話も伝わっております。
 しかし、本気で再建するのに必要な額の債権放棄を行えば、銀行の方が過少資本に陥ってしまうため、銀行の体力から逆算して債権放棄額を決めたといいます。そして、これを実行した企業については、債務者区分を要注意先以上に維持、つまり、特別検査に合格ということになるというのです。これが事実なら、特別検査もまた、マーケットの疑念を払拭するものにはなり得ません。
 特別検査の結果はあす公表される予定のようですが、この場で公表されるおつもりはありませんか。また、今回の特別検査により、マーケットからの信頼は回復できるとお考えですか。柳澤金融担当大臣にお尋ねします。
 我が国の間接金融市場を概観すると、千四百兆円の個人金融資産のうち、六百二十兆円が民間金融機関を通じて、百七十兆円が政策金融機関を通じて、企業や家計などに貸し出されています。民間金融機関については、そのうち四十三兆円がリスク管理債権であり、要注意先以下の債務者に対する問題債権は総額百四十兆円にも上ります。
 そこで、お尋ねしますが、政策金融機関については、リスク管理債権は幾らで、要注意先以下の債務者に対する問題債権は幾らなのでしょうか。民間金融機関と比較して、政策金融機関の不良債権の実態はどうなっているのでしょうか。塩川財務大臣の答弁を求めます。
 財政投融資が改革され、二年目に入りました。終戦直後の資金不足の時代においてはうまく機能した財政投融資は、経済構造が成熟してくるにつれ、官の領域の肥大化という弊害ばかりが目立つようになりました。
 今の時代において官の領域はどこまで必要なのか、そこが財政投融資改革の議論のスタートになるべきでありました。しかし、入り口である郵便貯金や簡易保険、出口である特殊法人が形づくる政官複合体の強大な政治力により、財政投融資改革の議論は、財投機関債や財投債の導入といった、単なるファイナンス論に矮小化されてしまったのです。その上、今年度予算においても、財政投融資計画二十六・七兆円のうち、財投機関債の発行は二・七兆円にすぎません。
 このような現状について塩川財務大臣はどのようにお考えなのか、お尋ねいたします。
 財政投融資の出口で重要な地位を占める特殊法人の改革について、政府は、特殊法人等整理合理化計画を閣議決定いたしました。しかし、百六十三の特殊法人と認可法人のうち、独立行政法人に移行する法人が三十八もあり、改革が骨抜きになったとの批判も出ています。
 この計画の中では、住宅金融公庫を除く政策金融機関については、結論が先送りされ、経済財政諮問会議に議論がゆだねられることになりました。民間金融機関が巨額の不良債権を抱えて本来の役割を果たせない状況では、やむを得ないことかもしれません。また、その間、中小企業などに対する資金供給の円滑化のため、政策金融機関に頑張ってもらうことが必要だとも考えます。
 しかし、民間金融機関の経営に問題がなければ、政策金融機関は縮小の方向に向かうべきものではありませんか。今後の改革の方向性について、塩川財務大臣の御見解をお聞かせください。
 財政投融資の入り口で重要な地位を占め、小泉総理が長年にわたって民営化を主張してきた郵政について、今月中にも郵政公社化法案が提出されるようです。新聞報道によれば、小泉総理は、総務省に対し、郵政公社に国庫納付金を義務づけることを明記するよう指示されたといいます。しかし、片山総務大臣は、国庫納付金など払える状態ではないと反発されているといいます。
 塩川財務大臣と片山総務大臣はこの問題をどう決着させるおつもりなのか、お二人の御意見をお聞かせください。
 昨年十二月、政策金融機関のみならず、郵政公社についても、リスク管理の分野への金融庁検査の導入が閣議了解されました。これまで、郵貯・簡保資金は、財政投融資を通じて非効率な特殊法人などに自動的に流れ、潜在的な損失は巨大な金額に上ると言われています。こうした失敗を繰り返さないためにも、郵便貯金及び簡易保険について厳格な検査をすることが求められております。
 郵便貯金及び簡易保険の検査を実施するに当たって金融庁はどのような方針で臨むのか、柳澤金融担当大臣にお尋ねいたします。
 中小企業は、相変わらず、民間金融機関による厳しい貸し渋り、貸しはがしに苦しんでいます。九九年三月、大手銀行に七兆四千五百億円もの公的資金が投入されましたが、中小企業への貸し出しはその条件であったはずなのに、全くといっていいほど公約は果たされておりません。しかも、この責任は本来厳しく問われるべきなのに、いまだ、だれも責任をとっていません。
 柳澤金融担当大臣にお尋ねいたしますが、三月末の各行の公約達成見込みはどうなっているのでしょうか。また、公約未達の銀行にはきっちりと責任をとらせるのでしょうか。明確にお答えをお願いいたします。
 同じく貸し渋り対策として導入されました中小企業金融安定化特別保証について、最近、貸し倒れが急増していると言われております。この制度については、多くの中小企業が救われた一方で、ずさんな審査で保証が乱発されたり、旧債振りかえに悪用した銀行もあったといいます。
 特別保証を受けた企業の最近の倒産状況、特別保証融資の最近の延滞、代位弁済状況、そして、最終的な貸し倒れ損失の見込みについて、平沼経済産業大臣の答弁を求めます。
 最後に、鈴木宗男議員、加藤紘一前議員、辻元清美前議員など、疑惑ばかりがクローズアップされる中、国民生活は確実に悪化の一途をたどっております。政治家のスキャンダルが世の中をにぎわし、国民の関心がそこにのみ集中するという今日の状況は、大変危険な状態を生んでいるのではないでしょうか。ましてや、そのために改革がおくれるということなど、論外であります。
 今、我が国は、国民一丸となって立ち向かわなければいけない大きな難局を迎えているのです。だれかを悪者にすることによって、その責任をすべて転嫁する風潮は何の根本的な解決にもならないということを、国民は既に気づいております。
 総理は、先日、今一番政権が安定していると述べました。確かに、おっしゃるとおりかもしれませんが、国民生活は全く安定しておりません。今の小泉総理には、内閣発足当時の、私こそがこの国のリーダーであるとの意気込みが全く感じられません。
 かのドストエフスキーは言っております。あらゆる堕落の中で最も軽べつすべきものは他人の首にぶら下がることであると。この言葉をじっくりと総理お考えいただき、私の質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕
国務大臣(塩川正十郎君) お答え申し上げます。
 まず最初に、サラリーマンの行列だとか、あるいは中小企業の現状を見た場合、悲痛な叫びが聞こえてくることに対し、小泉内閣の一員としてどういう心得でおるかということでございます。
 私は、このことは、非常に憂えた状況であると日夜心配いたしておりますし、また、特に失業の救済につきましては、非常な関心を持ち、第一次、第二次にわたる十三年度補正予算におきましても、雇用対策に重点を置いた補正を編成したようなことでございます。なお、中小企業に対しましても高度な資金の供給をいたしておりまして、この窮状に対して十分にこたえていきたいと考えております。
 したがって、今後も、切れ目ない予算の執行を通じて、雇用及び中小企業等に係るセーフティーネットの整備に万全を期してまいりたいと思っております。御協力をお願い申し上げたいと存じます。
 それから、三月危機が幻だと私が言った、それに対して、金融機関の破綻は本当にないのかどうか、ペイオフを控えて心配なのが三月危機は過ぎ去ったと言うけれども、以降における心配はないかというお話でございます。
 三月危機と叫ばれました。しかし、政府としては、必死にこの対策を講じてまいりまして、おかげで、株価も少しは安定した状況をもって推移いたしまして、とりあえず三月は乗り切ったということでございまして、そのことを思いますならば、いつでも、何月危機、何月危機とおっしゃいますけれども、その危機の状況はそれぞれによって違うものでございますので、それに応じた対応をしていくことこそが大事なことであると思っております。
 したがって、ペイオフは実施され、凍結が解除されましたけれども、現在におきます金融システムが危機的な状態にあるとは全然思っておりませんし、ここしばらく絶対に大丈夫な状態が続くということをひとつ御認識いただきたいと存じております。
 それから、民間金融機関と比較して政策金融機関の不良債権の実態はどうかという御質問がございました。
 政策金融機関について、民間金融機関のリスク管理債権の開示基準を参考にいたしまして各機関において開示されたリスク管理債権の合計をいたしましたところ、平成十二年度末では約五兆円となっております。貸出金に占めるところのリスク管理債権の比率は、平成十二年度末で、民間金融機関における六・九%に対しまして、政策金融機関においては二・九%となっております。御承知いただきたいと存じます。
 それから、財政投融資改革の現状についてどう考えているかということでございます。
 平成十三年度より、抜本的改革を経た新たな財政投融資制度の運用が開始されております。すなわち、郵便貯金や年金積立金が全額預託される制度から、真に政策的に必要な資金だけを国債の一種であるところの財投債として市場から調達する仕組みへと改めたところであります。
 平成十四年度の財政投融資計画においては、こうした財政投融資改革、行財政改革の趣旨を踏まえ、全体規模を対前年度比一七・七%減と圧縮いたしておりまして、対象事業の重点化を図ることにいたしました。
 また、十四年度の財投機関債でございますけれども、財投機関債につきましては、前年度比二・四倍の二・七兆円を予定いたしておるところでございまして、財投機関債の方を順次ふやしていく予定にいたしております。
 民間金融機関の経営に問題がなければ政策金融機関は縮小の方向に向かうべきものと考える、こういうお尋ねでございます。
 これは当然のことではございますけれども、現在は、民間の金融機関が真に金融機関としての機能を十分に発揮しているとは思われません。特に中小企業等に対しましては、民間金融機関だけではなくして、政策金融機関の支援が絶対に必要でございます。
 こういう状況を踏まえまして、現在の民間金融機関の状況に照らし、政策金融については、より広範な観点から検討を行うと同時に、また、現在の政策金融機関のあり方をこのまま維持継続いたしまして、公的金融の対象分野、規模、組織の見直し等を行うまでに、そこに至るまでの間、政府関係機関の任務を十分に果たしてまいりたい、そして、しかる上におきまして、経済財政諮問会議において今後の進め方について検討してまいりたいと思っております。
 なお、郵政公社に国庫納付金を義務づける問題について御質問がございました。
 この件につきましては、過日、総理から御指示がございまして、総務大臣との間で協議をいたしまして、本件について速やかに成案を得たいと考えております。
 以上であります。(拍手)
    〔国務大臣柳澤伯夫君登壇〕
国務大臣(柳澤伯夫君) 検査の信頼性及び特別検査についてのお尋ねがありました。
 これまでも、金融検査につきましては、金融検査マニュアルに基づき厳正な実施に努めてまいったところでございますが、本事務年度以降は、主要行に対する検査を強化いたしまして、通常の検査を二年に一回のペースから一年一回とし、その検査をフォローアップする検査も半期ごとに行うことによりまして、検査の充実に努めているところであります。
 さらに、このたび、市場の評価に著しい変化が生じている等の債務者に着目した特別検査を行ったところでありますが、この検査におきましては、信用リスクの適時の実態把握を厳正に行ったところであります。この検査結果につきましては、本来、各銀行の決算の一部を構成するものでありますけれども、市場を初め国民の信頼を確保する観点から、これとは別個に、明日公表する予定といたしております。
 郵便貯金及び簡易保険に対する金融庁検査の方針についてのお尋ねでございます。
 郵政公社におきましても、民間金融機関と同様に、市場関連リスク等、各般にわたる適切なリスク管理が必要と考えております。
 したがいまして、金融庁としては、民間金融機関を検査してきたノウハウや専門性を活用し、リスク管理の分野について、厳正かつ的確に検査を実施してまいりたいと考えているところでございます。
 資本注入行の中小企業向け貸し出しについてのお尋ねがございました。
 十四年三月期の経営健全化計画の履行状況につきましては、今後、報告を受けることとなっておりまして、現時点で確たることを申し上げられる段階というわけにはまいりません。
 健全化計画による中小企業向け貸し出しの確保という制度につきましては、計画の履行状況を公表させることにより、市場の評価を含めたパブリックプレッシャーのもとで金融機関の自己規正を促していくということが制度の趣旨となっております。
 金融庁といたしましても、金融機関が計画に沿った中小企業向け貸し出しをみずから的確に履行しようとしていないと認める場合には、金融再生委員会当時に示した考え方に基づきまして、監督上の措置を発動する、そういうことを検討することとなっております。この考え方に沿って適切に対処してまいりたいと考えているところでございます。(拍手)
    〔国務大臣平沼赳夫君登壇〕
国務大臣(平沼赳夫君) 小林議員にお答えさせていただきます。
 特別保証を御利用いただいた中小企業の現状についてのお尋ねでありました。
 特別保証制度を利用した中小企業者の倒産件数は、民間調査会社による、負債総額一千万円以上を対象としたデータで見ますと、本年二月末で、累計一万一千三百二十三件に相なっております。
 また、特別保証制度を利用した中小企業者が倒産や深刻な延滞状況に陥り、代位弁済が行われたものは、本年二月末現在で、八万四千五百件、代位弁済金額は一兆一千億でございます。全体の利用金額の三・八六%に相なっております。なお、さきに述べました倒産件数は、この代位弁済件数の一部に当たるものと考えられます。
 本制度の創設時点におきまして、今申し述べた代位弁済率については、一〇%を想定し、また、代位弁済後の回収等については、五〇%を想定した上で、約一兆五千億の財政負担を前提としたところでございます。
 このうち代位弁済率については、想定した一〇%に比べてまだかなり低いものの、今後の景気動向にも左右されるため、予断を許さないものであり、その動向については引き続き注視していきたいと考えております。
 一方、求償権の回収率につきましては、本年二月末現在で五・七八%にとどまっておりますけれども、求償権の回収につきましては、過去の実績から見ても十年以上の長期を要するものでございまして、昨年一月に各保証協会の共同出資で設立された債権回収会社も活用して、着実に回収を進め、収支の改善に努めるように必要な指導を行っていきたい、このように思っております。
 延滞そのものにつきましてはデータがございませんけれども、ただ、延滞や手形不渡り、担保差し押さえ、休廃業、行方不明等の場合には、信用保証協会に対して、金融機関から事故報告が行われます。事故報告された案件は、最終的には、代位弁済または条件変更の処理がなされることに相なりまして、このような処理がまだされていない未処理案件というのは、本年三月末現在で、総額四千四百億円、総利用額の一・五二%でありまして、この中に、延滞のままの状態になっているものが含まれておりますけれども、その内訳は日々増減しますので、正確には申し上げられないところでございます。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣片山虎之助君登壇〕
国務大臣(片山虎之助君) 郵政公社の国庫納付金についてのお尋ねがございました。
 塩川財務大臣からも答弁ありましたが、この件につきましては、総理から私どもの方の事務次官に、関係大臣間でよく話し合ってほしい、こういうことでございますので、私も近々、財務大臣とよく話し合いまして、適正な結論を得たい、こう思っております。
 以上であります。(拍手)
議長(綿貫民輔君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
議長(綿貫民輔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時八分散会


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