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第24号 平成14年4月16日(火曜日)

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平成十四年四月十六日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十七号
  平成十四年四月十六日
    午後一時開議
 第一 地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 独立行政法人造幣局法案(内閣提出)
 第三 独立行政法人国立印刷局法案(内閣提出)
 第四 貨幣回収準備資金に関する法律案(内閣提出)
 第五 自然公園法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 日程第一 地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 独立行政法人造幣局法案(内閣提出)
 日程第三 独立行政法人国立印刷局法案(内閣提出)
 日程第四 貨幣回収準備資金に関する法律案(内閣提出)
 日程第五 自然公園法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 教育職員免許法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時三分開議
議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案(内閣提出)
議長(綿貫民輔君) 日程第一、地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。総務委員長平林鴻三君。
    ―――――――――――――
 地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔平林鴻三君登壇〕
平林鴻三君 ただいま議題となりました地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近の地方議会議員共済会の年金財政の状況にかんがみ、地方議会議員年金制度の長期的安定を図るため、共済給付金の給付水準の適正化等の措置を講じようとするものであります。
 本案は、去る四月八日に本委員会に付託され、翌九日片山総務大臣から提案理由の説明を聴取し、十一日質疑を行い、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 独立行政法人造幣局法案(内閣提出)
 日程第三 独立行政法人国立印刷局法案(内閣提出)
 日程第四 貨幣回収準備資金に関する法律案(内閣提出)
議長(綿貫民輔君) 日程第二、独立行政法人造幣局法案、日程第三、独立行政法人国立印刷局法案、日程第四、貨幣回収準備資金に関する法律案、右三案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。財務金融委員長坂本剛二君。
    ―――――――――――――
 独立行政法人造幣局法案及び同報告書
 独立行政法人国立印刷局法案及び同報告書
 貨幣回収準備資金に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔坂本剛二君登壇〕
坂本剛二君 ただいま議題となりました各案につきまして、財務金融委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 初めに、独立行政法人造幣局法案は、貨幣の製造等を業務とする独立行政法人造幣局を、独立行政法人国立印刷局法案は、銀行券の製造、官報の印刷等を業務とする独立行政法人国立印刷局を、それぞれ設立しようとするものであります。これらの独立行政法人は、平成十一年四月閣議決定された、国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本的計画に基づき、造幣事業及び印刷事業を独立行政法人化するため設立するものであります。
 両案におきましては、独立行政法人の名称、目的、業務の範囲に関する事項を定めるとともに、国からの事務の移行に伴い、国が有している権利義務の一部を独立行政法人に承継させること等とし、また、その役員の名称、定数等を定めるほか、積立金の処分方法、造幣局特別会計法及び印刷局特別会計法の廃止等、所要の規定を設けております。
 次に、貨幣回収準備資金に関する法律案は、現在、造幣局特別会計に貨幣回収準備資金が設置されているところでありますが、同特別会計が廃止されることを踏まえ、政府による貨幣の発行、引きかえ及び回収の円滑な実施を図るため、新たに一般会計に貨幣回収準備資金を設置することとし、そのための所要の規定を設けることとしております。
 各案は、去る四月十日当委員会に付託され、同月十二日塩川財務大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑を行い、同日質疑を終局いたしました。次いで、討論を行い、順次採決いたしましたところ、各案はいずれも多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) これより採決に入ります。
 まず、日程第二及び第三の両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
 次に、日程第四につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第五 自然公園法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
議長(綿貫民輔君) 日程第五、自然公園法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。環境委員長大石正光君。
    ―――――――――――――
 自然公園法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔大石正光君登壇〕
大石正光君 ただいま議題となりました法律案につきまして、環境委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、将来にわたって我が国のすぐれた自然の風景地の保護を図るため、自然公園の特別地域等における行為規制を追加するとともに、利用調整地区、風景地保護協定及び公園管理団体の各制度を創設しようとするものであります。
 その主な内容は、
 第一に、自然公園内の特別地域等における行為規制を追加することとしております。
 第二に、環境大臣が指定する区域への立ち入りを制限する利用調整地区制度を創設することとしております。
 第三に、地方公共団体や地元民間団体等が土地所有者等と締結する風景地保護協定制度を創設することとしております。
 第四に、自然の風景地の管理等の業務を行うNPO等の法人を公園管理団体として指定できる制度を創設することとしております。
 本案は、参議院先議に係るもので、四月五日本委員会に付託されたものであります。
 委員会においては、同月九日大木環境大臣から提案理由の説明を聴取した後、十二日に質疑を行い、同日質疑を終了いたしましたところ、本案に対し、日本共産党から、法の目的に生物多様性の確保を中心とした自然環境の保全を明記すること等を内容とする修正案が提出され、提出者から趣旨の説明を聴取いたしました。次に、採決の結果、修正案は賛成少数をもって否決され、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。
 なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 教育職員免許法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
議長(綿貫民輔君) この際、内閣提出、教育職員免許法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。文部科学大臣遠山敦子君。
    〔国務大臣遠山敦子君登壇〕
国務大臣(遠山敦子君) 教育職員免許法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 新学習指導要領のもと、基礎、基本を確実に身につけさせ、みずから学び考える力などを育成し、確かな学力の向上を図るとともに、心の教育の充実を図り、地域住民や保護者から信頼される学校づくりを推進するためには、専門的な知識、技能を有する教員が幼児、児童、生徒を指導できるよう、教員免許制度の改善を行う必要があります。
 この法律案は、このような観点から、幼稚園、小学校、中学校及び高等学校の各学校段階間の連携の促進並びに小学校における専科指導の充実等を図るため、教員免許制度上の弾力的措置を講じるとともに、学校教育への社会人の活用を促進するため、所要の措置を講ずるものであります。また、あわせて、教員に対する信頼を確保するため、教員免許状の失効及び取り上げに係る措置を強化するものであります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 まず第一に、中学校または高等学校の教諭の免許状を有する者が、小学校の相当する教科及び総合的な学習の時間の教授を担任することができるようにするものであります。
 第二は、一定の教職経験を有する教員が隣接校種の普通免許状を取得しようとするときに、免許状取得のために必要な単位数を軽減するものであります。
 第三は、専門的な知識または技能を有している社会人に授与する特別免許状について、授与要件を緩和するとともに、有効期限を撤廃するものであります。
 第四は、国立または公立の学校の教員で懲戒免職の処分を受けた者の免許状は失効することとするなど、免許状の失効及び取り上げに係る措置を強化するための所要の規定の整備を行うものであります。
 最後に、この法律は平成十四年七月一日から施行することとし、ただし、免許状の失効及び取り上げに係る改正については平成十五年一月一日から施行することとするものであります。
 以上が、法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 教育職員免許法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
議長(綿貫民輔君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。牧野聖修君。
    〔牧野聖修君登壇〕
牧野聖修君 ただいま議題となりました教育職員免許法の一部を改正する法律案につきまして、民主党・無所属クラブを代表して質問をいたします。(拍手)
 まず、本法案の質問に先立ち、関連して三点をお伺いいたします。
 そもそも、時の政権の意思は、総理大臣の所信表明演説と編成した予算の中に示されるものであります。
 二〇〇一年五月七日、小泉総理は、その就任に際しての所信表明演説の中で教育に関して触れたのは、二十七分の演説中わずかに十五秒、手渡されました原稿を見ますと、百六十六行中わずか二行でありました。
 憲政史上、歴代の内閣と同様に、橋本内閣、小渕内閣、森内閣と、いずれも、所信表明演説の中にはっきりと教育の一項目を立てられて言及されておられました。
 しかし、小泉総理の所信表明演説の中には、項目としての教育は無論ありませんでした。しかも、小泉総理の手による本年度予算では、教育の現場から最も要望の強かった老朽校舎の改修といった施設整備費は、大きく削られております。これでは、小泉政権は教育に対して関心も意欲もないと言わざるを得ません。
 国家の再生には教育、教育そして教育と、教育の重要性を高らかに訴えながら国民の先頭に立っているイギリスのブレア首相に比べて、その見識と意思において格段の差のあることを私は恐れます。
 文部科学大臣、あなたは、この小泉総理の姿勢に対して担当大臣としてどのように考えられておるのか、まずもってお伺いいたします。(拍手)
 次に、この四月一日より、既に新学習指導要領が実施されております。まだ数日しかたっておりませんが、早くも現場では混乱が起きているようでありますので、この点について質問をいたします。
 我が国の小中学校教育は本当にゆとり教育でよいのか、学ぶ内容も我々の世代から比べると半分近くに減らされているが、本当にそれでよいのかと、国民の大多数が心配をしております。文部科学省は、児童の学力低下はないとしきりに強弁しておりますが、本当に学力低下の問題は大丈夫なのか、国民に対して事実を明確にする必要があると思います。
 また、これに反しまして、大学教育については、遠山プランなるものを発表して、効率主義と競争原理を導入し、スクラップ・アンド・ビルドを各大学に通告し、加えるに、トップ三十という方法で、賞金をえさにぶら下げて大学教育の活性化を図ろうとしております。
 小中学校で今進めているゆとり教育との余りの乖離の大きさに、国民は戸惑いを感じております。この点についての整合性をどのようにとられるのか、明確なる見解を求めます。
 そもそも、学習指導要領なる中央官僚主導の教学方針がこれからの地方分権の時代に本当に必要なのかという、根本的な疑問があります。
 我が党は、地方分権を提唱する立場から、国の役割は必要不可欠なナショナルスタンダードに限定し、その他の権限は最終的に地方自治体が行使できるように改め、各地域の事情に応じておのおのの判断で教育が行えるようにすることを提案しております。
 文部科学大臣は、昨年十一月、中央教育審議会に対し、教育基本法のあり方について諮問をいたしました。この諮問理由を読んでみましても、地方分権という言葉は一言もなく、地域の自主的、主体的な取り組みという視点は全くありませんでした。
 地方分権と教育政策のあり方について、文部科学大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。(拍手)
 過日、文部科学常任委員会で、我が党の大石尚子委員が文化行政についての質問をした際に、文化庁長官の出席と答弁を事前通告の段階から熱心に要請したにもかかわらず、とうとう文化庁長官の委員会への出席はありませんでした。そのときの文部科学省の弁明は、文化庁長官は事務次官と同じ扱いであって、答弁に立たなくてもよい、そういう慣例になっている、だから出席する必要はないとのことでありました。
 調べてみますと、三浦朱門文化庁長官の委員会での答弁を最後に、その後十六年半、文化庁長官の答弁は一度もありません。文部科学省の本年度のスローガンは、人材大国、文化大国、教育大国を目指すというものであります。
 国民の代表たる国会議員と、国会において文化行政をめぐって議論をしないような文化庁長官を、今の我が国は必要としているでありましょうか。そのような文化庁長官なぞ、いっそのこと廃止して文部科学大臣が兼任した方が、より国家、国民のためになると私は考えます。
 古い慣例を盾にして、お飾りの文化庁長官を置いて、官僚の手のひらの上で踊らせてばかりいても、文化大国などできるはずはありません。文化庁長官としての経験のある遠山文部科学大臣はいかがお考えか、国民にわかる説明をしていただきたいと思います。(拍手)
 次に、法案についての質問に入ります。
 本改正案と同じく今国会に提出されている教育公務員特例法一部改正案も、いずれも、教育改革国民会議の提案を受けて、中央教育審議会が今後の教員免許制度のあり方を検討する中から出されてきたものであります。
 中教審答申でも述べられているように、幼児期から高等学校段階までを一貫したものとしてとらえて指導を行うことは極めて重要なことだと思います。例えば、現在、問題になっている小学校低学年の学級崩壊の原因の一つに幼児期の問題が指摘されていることを考えれば、幼児期教育と小学校低学年のカリキュラムの一貫性は重要な課題となります。
 しかし、現実には、幼稚園教員と小学校教員とでは、給与に相当の差があること、そして、それぞれの任命権者が異なることなどからして、仮に隣接校種の免許状を取得しても、小学校から幼稚園への異動は極めて困難であると言わざるを得ません。
 一貫教育の推進に向け、他校種免許による専科担任の拡充や隣接校種免許の取得促進といった形で教員免許の弾力化を図ろうとする今回の法改正は、理解できないこともありませんが、このような周辺整備もあわせて是正していかなければ一貫教育の実効性は上がらないと思われますが、文部科学大臣のお考えをお伺いいたします。
 私は、幼児期から高校段階までの教育現場で一貫教育を推進していくという視点から教員免許制度を考えたならば、学校種別に区別された現在の免許制度は、やはり本質的な部分において、一貫教育の思想とは相入れないものであると考えます。一貫教育に対応するには、現在の免許制度を抜本改革し、複数校種を一くくりとする教員免許の総合化を図ることが必要であると思います。
 中教審では教員の適格性の確保と専門性の向上とが検討され、適格性については本改正法案で、そして、専門性の向上については、同時に提出された教育公務員特例法改正案で、それぞれ法案化を図ろうとしています。
 教員の教育的力量を高めていくことは、簡単なことではありません。確かに、特例法改正案で言う研修制度の充実は必要ですが、これまでばらばらに行われていた教職員の養成、採用、そして研修を、系統的に、計画的に行うことが何よりも重要だと考えます。
 そのため、例えば、都道府県にカリキュラムセンターを設立し、養成や研修のプログラムを教職員と大学関係者と、そして行政が共同で研究し、提供するという方法も検討すべきと考えますが、文部科学大臣のお考えをお聞かせください。
 いずれにせよ、従来の教育行政では教員の力量を向上させることはできないと思います。地方分権を基本に、地域で教員を育てるという観点から、制度そのものを見直すことを提案しておきたいと思います。
 私の質問の締めに当たり、二つのことを申し上げておきたいと思います。
 第一でありますが、日本の各地域では、実際に教壇に立ち、教育の現場にいた先生方が、時々、教育委員会に来て行政の任につきます。そしてまた、数年たつと再び現場へと戻っていきます。このように、地方においては、行政と教育の現場とが、常にお互いの交流を深め、教育の実効性の向上のために工夫と努力をし合っています。
 しかし、国の文部科学省では、現場との交流がなされず、地方へ出向しても、教育委員会に役付で入るだけで、教育の現場にはほとんど立つことがありません。
 文部科学省職員二千二百人のうち、教職員の免許を持っている人の数は百六十九人で、全体の七・七%。そのうち、実際に現場の経験を持つ人は五十五名、二%でしかありません。これも、キャリアなのか、ノンキャリアなのかわかりませんが、その大半は大学か短大での講義の経験であると思われます。
 中学生や高校生のむき出しの反抗の前に身をさらしたり、PTAの皆さんの激しい批判の中で脂汗を流したりする経験は、ほとんどないのが実態であります。現場を知らず、実践経験のない者に国家百年の大計をゆだねることほど、危険で、愚かしいことはないと思います。(拍手)
 民主党は、教育政策も含め大胆に地方分権を行うべきであり、旧文部省的機能は廃止すべきという立場ですが、それがすぐには無理というのであれば、せめて、文部科学省と現場の教員との間で人事交流を行うなど、現場との実践を通じて生きた文部行政を進めるべきではないでしょうか。
 最後に、我が国には、教育の日、恩師の日、あるいは先生の日というものがないことを指摘したいと思います。
 人ひとりが一生の間で人格形成に一番強く影響を受けるのは、父であり、母であり、すなわち両親であります。そして、その次に大切な役割を果たしているのが学校の先生ではないでしょうか。
 父の日、母の日、そしてこどもの日がありながら、先生の日がないというのは、余りにも寂しいと言わざるを得ません。休日にしなくても結構ですから、せめて一年に一日ぐらい、しみじみと恩師に対する感謝の思いを新たにする日があってもよいのではないかと私は考えています。
 教育においては、教えを受ける側の人々がもちろん大切ではありますが、教える側に立つ人々に対しても尊敬の気持ちを醸成させる社会的背景をつくり出していくことが、教育大国を目指す我が国にとって極めて重要なことではないかと訴えまして、私の質問を終了いたします。(拍手)
    〔国務大臣遠山敦子君登壇〕
国務大臣(遠山敦子君) 牧野聖修議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、教育に対する小泉総理の姿勢についてのお尋ねでございます。
 小泉総理は、就任直後の所信表明演説におきまして、米百俵の精神を掲げられ、教育を重要視する姿勢を明確に示されたところでございます。
 また、今国会の施政方針演説におきましても、小泉構造改革五つの目標として掲げた社会に向けて、明るい未来を力強く切り開く担い手は人であるとし、教育改革の推進を国政の最重要課題の一つとして取り組んでおります。
 さらに、小泉総理は、平成十四年度予算を改革断行予算と位置づけ、歳出の思い切った見直しを行いましたが、その中でも、確かな学力の育成や心の教育の充実など、人材育成、教育については、いわゆる骨太の方針における重点分野の一つとして、大胆な予算配分を行うとともに、平成十三年度補正予算も含め、学校施設整備の充実にも努めております。
 新しい世紀を迎えた今日、アメリカ、イギリスを初め、多くの国々が真剣に教育改革に取り組んでおります。私としても、小泉総理のリーダーシップのもとに、内閣の一員として、国民の信頼にこたえる教育を目指し、責任を持って教育改革に取り組んでまいりたいと存じます。
 次に、小中学校の教育政策と大学の教育政策との整合性についてのお尋ねでございます。
 小中学校においては、この四月から実施されている新しい学習指導要領のもと、基礎、基本をしっかりと身につけさせ、それをもとに、みずから学び考える力などの確かな学力の向上に取り組んでおります。また、一人一人に応じたきめ細かな指導を行い、子供の個性、能力を最大限伸ばすことといたしております。
 一方、我が国が活力ある国家として発展し、世界に貢献していくためには、知の創造と継承を担う大学の役割は極めて重要であります。高等教育の充実には、世界各国ともに積極的に取り組んでいるところでございますが、我が国としましても、大学が、その機能を十分に発揮し、これまで以上に活力に富み、国際競争力あるものとなるよう、大学改革をさらに強力に進める所存でございます。
 今後とも、初等中等教育から高等教育までを通じて、新たなる国づくりを担うことのできる、創造性や豊かな人間性に富んだ人材の育成に努めてまいります。
 次に、今後の地方分権と教育政策のあり方についてでございます。
 教育行政においては、国と地方がそれぞれの責任と役割を果たしていくことが重要でありまして、国は基本的な制度の枠組みや基準の設定等の役割を担い、地方は学校を設置するなど、さまざまな教育事業を実施する役割を担っております。
 我が省といたしましては、これまでも、いわゆる地方分権一括法などによって、教育行政の地方分権を推進する観点から、さまざまな制度改正を行ってきております。新しい学習指導要領では、一層の大綱化、弾力化を図り、学校が創意工夫を凝らした教育課程を編成できるようにしているところでございます。
 なお、教育課程につきましては、世界的に見れば、例えばアメリカやイギリスにおきましては、我が国の学習指導要領のように、教育スタンダードやナショナルカリキュラムを近年作成して、学校教育の向上に取り組んでいるところでございます。
 また、教育基本法のあり方に関する中央教育審議会への諮問におきましても、国と地方の責務や役割について検討することをお願いしているところでございまして、今後とも、地方分権を十分視野に入れて、教育行政の充実に努めてまいりたいと考えております。
 また、文化庁長官の役割についてのお尋ねがありました。
 文化庁長官は、文化についての高い識見を持ち、国内外の文化関係者との活発な交流を行うなど、幅広い活躍が期待されております。このような文化庁長官の職務の性格にかんがみ、文化庁関係の国会審議におきましては、基本的には、文部科学大臣や副大臣、大臣政務官が質疑に当たっておりまして、細目的、技術的な事項につきましては、国会のお許しを得て、文化庁次長が政府参考人として御説明を行ってまいりました。このような体制のもとで、文化大国の実現に向けて、施策を充実してまいったところでございます。
 私自身、かつて文化庁長官の責を務めさせていただいた折には、このような役割分担のもとで、文化行政の基本的方針を指示することを含め、我が国文化の振興に努めたと考えております。
 次に、一貫教育の推進についてのお尋ねでございます。
 今回の教育職員免許法における隣接校種の取得促進のための改正は、例えば、幼稚園教員や小学校教員が相互にその教育課程を理解し、指導法を身につけたりすることが、一貫性ある継続的な指導を行う上で極めて有益でありますことなどから、双方の免許状の取得を通じて校種間の相互理解を進めることを目的といたしているものでございます。
 御指摘の幼稚園教員と小学校教員との人事交流に係る条件の整備等につきましては、現在、我が省において、幼稚園と小学校の連携に関する総合的な連携方策の開発や推進を図るための実践研究を実施しているところでありますが、現行制度においてもこのような人事異動は可能でございますので、各教育委員会において、その成果等を生かしながら、積極的な取り組みが行われることを期待いたしております。
 さらに、教員免許の総合化及び教員の養成や研修に関するお尋ねであります。
 教員免許の総合化につきましては、さきの中央教育審議会答申において、今後、中長期的な課題として、専門的、学術的な調査研究を進める必要があるとの指摘がなされたところであります。我が省といたしましては、幼児期から高等学校段階までを含めた一貫指導の推進や各学校段階間の連携の強化等の観点から検討を進めてまいります。
 教員の養成や研修のプログラムを教職員、大学関係者、行政で共同して研究することに関しましては、文部科学省では、一つは、教育委員会や学校の意見を教員養成カリキュラムの改善に反映させること、二つには、現職研修プログラムの開発と実施に大学が協力することなどの具体的事例を紹介することによって、大学と都道府県教育委員会等の共同研究を支援しているところであります。
 次に、教育現場との人事交流を通じての生きた文部科学行政についてのお尋ねでございます。
 教育行政において、国は基本的な制度の枠組みや全国的な基準の設定等の役割を担っておりまして、このような観点から、教育行政を総合的、統一的に推進する機関として設置されました我が省がその機能を果たしていくことは、今後とも、極めて重要であると考えております。
 また、教育現場との交流につきましては、学校や教育委員会で活躍している職員を教科調査官等として受け入れ、その知識や経験を教育施策の策定、実施に生かしております。さらに、若手職員を市町村教育委員会などに派遣して、可能な限り実務を経験させるよう努めているところでございます。今後とも、これらを通じ、御指摘のように、教育現場の実情を十分に踏まえた教育行政の推進に努めてまいりたいと考えております。
 最後に、教える側に対する尊敬の気持ちを醸成させることが重要との御指摘でございます。
 教員が尊敬されますためには、まず、教員自身が使命感や誇りを持って指導に当たることが極めて重要であります。同時に、教員が、常に、教えるプロとして、みずから力量を磨き、資質を高める努力を行い、研さんを積むことが大事であると考えます。
 このため、我が省では、教員研修を充実し、その資質向上を図るため、今国会に教育公務員特例法の一部を改正する法律案を提出しているところでございます。また、優秀な教員に対する表彰制度を創設するための調査研究を全都道府県・指定都市教育委員会に委嘱して実施いたしております。
 さらに、教育の日などを独自に制定している教育委員会の取り組みも意義があるものと考えております。
 同時に、私といたしましては、保護者の方々にも、学校や教員の努力を見守り、協力する姿勢を持ち続けていただきたいとの気持ちを持っているところでございます。
 我が省としましては、このようなさまざまな施策等を通じて、我が国社会において、意欲を持ったすぐれた教員に対する尊敬の気持ちを醸成してまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
議長(綿貫民輔君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
議長(綿貫民輔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時四十二分散会


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