衆議院

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第36号 平成14年5月21日(火曜日)

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平成十四年五月二十一日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十五号
  平成十四年五月二十一日
    午後一時開議
 第一 更生保護事業法等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第二 気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書の締結について承認を求めるの件
 第三 証券決済制度等の改革による証券市場の整備のための関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 日程第一 更生保護事業法等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第二 気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書の締結について承認を求めるの件
 日程第三 証券決済制度等の改革による証券市場の整備のための関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)
 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日本郵政公社法案(内閣提出)、日本郵政公社法施行法案(内閣提出)、民間事業者による信書の送達に関する法律案(内閣提出)及び民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時三分開議
議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 更生保護事業法等の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
議長(綿貫民輔君) 日程第一、更生保護事業法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。法務委員長園田博之君。
    ―――――――――――――
 更生保護事業法等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔園田博之君登壇〕
園田博之君 ただいま議題となりました法律案について、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、近時の犯罪情勢に的確に対応して、犯罪者及び非行少年の改善更生を実現するため、更生保護施設において社会適応を促すための積極的な処遇を広く行い得るようにすることとし、あわせて、更生保護事業に対する規制緩和、事業経営の透明性の確保等に関する規定の整備を行おうとするものであります。
 本案は、参議院先議に係るもので、去る四月十二日本委員会に付託され、二十六日森山法務大臣から提案理由の説明を聴取し、五月十七日質疑を行い、これを終局し、採決を行った結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書の締結について承認を求めるの件
議長(綿貫民輔君) 日程第二、気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。外務委員長吉田公一君。
    ―――――――――――――
 気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書の締結について承認を求めるの件及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔吉田公一君登壇〕
吉田公一君 ただいま議題となりました気候変動枠組条約京都議定書につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 気候変動に関する国際連合枠組条約は、温室効果ガスの削減について具体的な数値等による義務を定めていないため、平成七年にベルリンで開催された条約の第一回締約国会議において、先進国等の平成十二年以降における削減義務を強化するための検討を行う専門家会合を設置することが決定されました。
 これを受けて、平成七年以降八回にわたり専門家会合による検討が進められ、平成九年十二月、京都で開催された条約の第三回締約国会議において、本議定書が採択されました。
 本議定書の主な内容は、
 先進国等が平成二十年から平成二十四年までの間において温室効果ガスの人為的な排出量が数量化された約束に従って算定される割り当て量を超えないことを確保すること、
 この割り当て量に、一定の条件に従い、吸収源による温室効果ガスの除去量、共同実施及び低排出型の開発の制度による削減分並びに排出量取引により取得する他国の割り当て量の一部を加えることができること
等であります。
 本件は、去る三月二十九日本院に提出され、五月十日本会議において趣旨の説明及びこれに対する質疑が行われた後、同日外務委員会に付託されました。
 委員会におきましては、十七日川口外務大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑を行い、引き続き採決を行いました結果、全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。
     ――――◇―――――
 日程第三 証券決済制度等の改革による証券市場の整備のための関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)
議長(綿貫民輔君) 日程第三、証券決済制度等の改革による証券市場の整備のための関係法律の整備等に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。財務金融委員長坂本剛二君。
    ―――――――――――――
 証券決済制度等の改革による証券市場の整備のための関係法律の整備等に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔坂本剛二君登壇〕
坂本剛二君 ただいま議題となりました法律案につきまして、財務金融委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、社債、国債等について、券面を必要としない新たな振替制度の整備、より効率的な清算を可能とする清算機関制度の整備を行う等、決済の迅速化、確実化を初めとする証券市場の整備のため、所要の措置を講じようとするものであり、以下、その概要を申し上げます。
 第一に、統一的な証券決済法制の対象をコマーシャルペーパーから社債、国債等に拡大することにしております。
 第二に、一般投資家が振替を行うための口座を証券会社や銀行等に開設することが可能となるよう、多層構造の振替決済制度の創設を図ることにしております。
 第三に、安全かつ効率的な清算を可能とする清算機関制度の整備を行うことにしております。
 第四に、一般投資者保護のための仕組みとして、振替制度に加入者保護信託制度を創設するほか、国債に関し、元本と利息の部分を分離した振替債や譲渡性に制限を付した国債を導入する等、国債市場の整備のための措置を講ずることにしております。
 本案は、去る四月十五日当委員会に付託され、五月十七日柳澤国務大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑を行い、同日質疑を終局いたしました。
 次いで、本案に対し、古川元久君から民主党・無所属クラブの提案に係る修正案が提出された後、討論を行い、採決いたしましたところ、修正案は否決され、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
馳浩君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 内閣提出、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
議長(綿貫民輔君) 馳浩君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
    ―――――――――――――
 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
議長(綿貫民輔君) 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。環境委員長大石正光君。
    ―――――――――――――
 地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔大石正光君登壇〕
大石正光君 ただいま議題となりました法律案につきまして、環境委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書の的確かつ円滑な実施を確保するため、京都議定書の締結に必要な国内法を整備しようとするものであります。
 その主な内容は、京都議定書目標達成計画の策定、同計画の案の作成等の事務を所掌する地球温暖化対策推進本部の設置、都道府県地球温暖化防止活動推進センターの指定対象へのいわゆるNPO法人の追加、森林・林業基本計画等に基づく森林の整備等の推進などの措置を行おうとするものであります。
 本案は、三月二十九日に本院に提出され、四月十八日本会議における趣旨説明とこれに対する質疑が行われた後、同日本委員会に付託されました。
 委員会においては、翌十九日大木環境大臣から提案理由の説明を聴取した後、二十三日に質疑に入り、五月十四日には参考人からの意見聴取を行うなど慎重な審査を重ね、本日質疑を終了いたしました。
 本案審査に当たりましては、京都議定書目標達成計画策定段階からの国民参加の必要性、我が国に認められた森林吸収上限枠の利用の妥当性、事業者による温室効果ガス排出量の公表義務づけの必要性、我が国の温室効果ガス削減目標達成のための環境税等の導入のあり方などの諸点について論議が交わされました。
 その詳細については、会議録を御参照いただきたいと存じます。
 次いで、本日の委員会において、本案に対し、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の共同提案により、京都議定書目標達成計画の国会承認、一定規模以上の事業者に対する温室効果ガスの排出の抑制等に関する計画の作成、公表等の義務づけなどを内容とする修正案が提出され、提出者から趣旨の説明を聴取いたしました。
 次に、原案及び修正案を一括して討論に付し、採決の結果、修正案は賛成少数をもって否決され、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。
 なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日本郵政公社法案(内閣提出)、日本郵政公社法施行法案(内閣提出)、民間事業者による信書の送達に関する法律案(内閣提出)及び民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明
議長(綿貫民輔君) この際、内閣提出、日本郵政公社法案、日本郵政公社法施行法案、民間事業者による信書の送達に関する法律案及び民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。総務大臣片山虎之助君。
    〔国務大臣片山虎之助君登壇〕
国務大臣(片山虎之助君) 日本郵政公社法案、日本郵政公社法施行法案、民間事業者による信書の送達に関する法律案及び民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 初めに、日本郵政公社法案について申し上げます。
 この法律案は、中央省庁等改革基本法第三十三条第一項の規定に基づき、郵政事業を一体的に経営する国営の新たな公社として、日本郵政公社を設立するものであります。
 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一に、日本郵政公社は、独立採算制のもと、信書及び小包の送達の役務、簡易で確実な貯蓄、送金及び債権債務の決済の手段並びに簡易に利用できる生命保険を提供する業務等を総合的かつ効率的に行うことを目的とすることとしております。
 第二に、日本郵政公社に、役員として、総裁一人、副総裁二人、理事十六人以内及び監事三人以内を置くとともに、総裁、副総裁及び理事で組織される理事会を置くこととしております。
 第三に、日本郵政公社は、郵便、郵便貯金、郵便為替、郵便振替、簡易生命保険の業務及び印紙の売りさばき、恩給その他の国庫金の支払いの業務を行うほか、国債等の募集の取り扱い、外貨両替及び旅行小切手の売買の業務等を行うことができることとするとともに、その業務を行うため郵便局を設置しなければならないこととしております。
 また、日本郵政公社は、総務大臣の認可を受けて、中期経営目標及び中期経営計画を定め、総務大臣は、各事業年度及び中期経営目標に係る日本郵政公社の業績の評価を行うこととしております。
 第四に、日本郵政公社の会計は、企業会計原則によるものとするほか、財務諸表、国庫納付金、郵便貯金資金等の運用方法等について所要の規定を設けることとしております。
 第五に、日本郵政公社の役員及び職員は、国家公務員とし、その報酬・給与、服務等について所要の規定を設けることとしております。
 その他、日本郵政公社に対する総務大臣の経営改善命令等の監督規定を設けるとともに、財務、業務及び組織の状況その他経営内容に関する情報の公表について規定を設けることとしております。
 この法律の施行期日は、平成十五年四月一日としております。
 続きまして、日本郵政公社法施行法案について申し上げます。
 この法律案は、日本郵政公社法を施行するため、日本郵政公社の設立の準備に関する事項等を定めるとともに、関係法律の規定の整備等を行おうとするものであります。
 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一に、総務大臣は、日本郵政公社法の施行日前に、日本郵政公社の総裁または監事となるべき者を指名し、及び設立委員を命ずることとしております。
 第二に、設立委員は、施行日前に、日本郵政公社の設立準備を完了し、その事務を総裁となるべき者に引き継がなければならないこととしております。
 第三に、郵政事業庁等の職員である者は、施行日に日本郵政公社の職員となることとしております。
 第四に、日本郵政公社法の施行の際、現に改正前の総務省設置法に定める郵政事業に関し国が有する権利及び義務は、政令で定めるもの等を除き、日本郵政公社が承継することとしております。また、解散する簡易保険福祉事業団の資産及び債務は、日本郵政公社が承継することとしております。
 第五に、郵便法等について、業務の実施主体を総務大臣から日本郵政公社に改める等のほか、関係法律の規定の整備等を行うこととしております。
 この法律は、一部を除き、日本郵政公社法の施行の日から施行することとしております。
 続きまして、民間事業者による信書の送達に関する法律案について申し上げます。
 この法律案は、中央省庁等改革基本法第三十三条第三項の規定による検討の結果に基づき、民間事業者による信書の送達の事業の許可制度を設けること等により、信書の送達の役務について、あまねく公平な提供を確保しつつ、利用者の選択の機会の拡大を図る観点から提案したものであります。
 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。
 この法律案において、「信書便」とは、郵便に該当するものを除き他人の信書を送達することをいうこととした上で、信書便の役務を他人の需要に応ずるために提供する事業として、「一般信書便事業」及び「特定信書便事業」の二つの事業類型を設けることとし、それぞれの事業を営もうとする者は、総務大臣の許可を受けなければならないことを定めることとしております。また、これらの者が信書便物の送達を行う場合は、他人の信書の送達を業とすることを禁止する郵便法第五条第二項の規定は適用しないことを定めることとしております。
 まず、一般信書便事業とは、その提供する信書便の役務のうちに、長さ、幅及び厚さがそれぞれ一定以下であり、かつ、重量二百五十グラム以下の信書便物を国内において差し出された日から原則三日以内に送達する「一般信書便役務」を含むものをいうこととしております。この一般信書便事業の許可に際しては、その事業の計画が信書便物の秘密を保護するため適切なものであること、その事業の計画が全国の区域において一般信書便役務に係る信書便物を引き受け、かつ、配達する計画を含むものであること等を審査することとするほか、その業務の運営に当たっては、一般信書便役務に係る料金を事前届け出制とし、約款及び信書便管理規程を認可制とすること等を定めることとしております。
 次に、特定信書便事業とは、その提供する信書便の役務が特定信書便役務のみであるものをいい、「特定信書便役務」とは、信書便物が差し出されたときから三時間以内に当該信書便物を送達する信書便の役務等をいうこととしております。この特定信書便事業の許可に際しては、その事業の計画が信書便物の秘密を保護するため適切なものであること等を審査することとするほか、その業務の運営に当たっては、約款及び信書便管理規程を認可制とすること等を定めることとしております。
 以上のほか、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るため、この法律に基づく総務省令の制定及び許認可等の処分を行うに当たって、審議会に諮問することとするほか、必要な規定を整備することとしております。
 この法律は、一部を除き、平成十五年四月一日から施行することとしております。
 最後に、民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について申し上げます。
 この法律案は、民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴い、関係法律の規定の整備等を行おうとするものであります。
 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一に、郵便法において、信書について定義規定を設けることとしております。
 第二に、金融機関等の更生手続の特例等に関する法律等、郵便の利用に関する規定が置かれている諸法律について、民間事業者の提供する信書便の役務の利用を可能とするための所要の規定の整備を行うこととしております。
 第三に、以上のほか、民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴い、関係法律について所要の規定の整備を行うこととしております。
 この法律は、民間事業者による信書の送達に関する法律の施行の日から施行することとしております。
 以上、日本郵政公社法案、日本郵政公社法施行法案、民間事業者による信書の送達に関する法律案及び民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 日本郵政公社法案(内閣提出)、日本郵政公社法施行法案(内閣提出)、民間事業者による信書の送達に関する法律案(内閣提出)及び民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
議長(綿貫民輔君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。八代英太君。
    〔八代英太君登壇〕
八代英太君 いよいよ、今国会の重要法案の一つであります郵政公社法、信書便法等四法案の審議が始まりましたが、私は、自由民主党を代表してというよりも、今もって自民党内には賛否が分かれておりますので、両者の心をそんたくしながら、若干の質問をさせていただきます。(拍手)
 御案内のように、郵政事業の公社化につきましては、平成九年の行革会議最終報告による基本法に基づいて法制化するものでありますので、問題はないと考えております。
 我が党の総務部会で議論が百出いたしましたのは、信書便法案において、郵便事業への民間参入を盛り込んだことであります。議論を重ねれば重ねるほど問題点が次々と噴出してまいりまして、私自身もいまだに賛否を決めかねているような次第であります。
 来年四月から、百三十年間続いた郵政事業の新たな始まりとしての公社化は、待ったなしであります。公社となること自体が既に半官半民の方向でありますが、郵政事業は、長い歴史の中で、国民全体や地域社会にとって今や不可欠のサービス、つまり、高齢者や障害者のためのひまわりサービスやワンストップサービス、印鑑証明の発行や住民票の取得、小口の郵貯や簡便な保険などなど、暮らしに大きな役割を果たしてまいりましたが、引き続き、向こう三軒両隣、国民本位の公社でなければ意味はありません。
 どんな山の中でも、離島でも、公共機関は行革の名のもとにスクラップされていきますが、人の住むところ郵便局ありのこの現状を考えますと、いたずらに民間参入の門戸を開き過ぎて、二万四千七百の暮らしの拠点の郵便局が次々とシャッターをおろすようなことがあっては一大事であります。
 今後とも、郵政公社は、国民共有の財産として、不採算地域を含めてユニバーサルネットワークを維持し、地方自治体の手足ともなって、どんなところでも、人の住むところには、何はなくとも郵便局があることが国民のための公社化の基本的考えでなければならないと思うのでありますが、総理のお考えを伺いたいと思うのであります。
 総理は、常々、民間にできるものは民間でとおっしゃいますが、私も大賛成であります。しかし、ルールをきちんとしないまま民間参入を行うことによりまして、心と心を結び合う、日本の歴史的文化ともいえる郵便システムを混乱させ、破壊することになってしまっては、何のための行革で、何のための公社化で、何のための民間参入かと、国民にとって不幸な結果をもたらすものだと思うのであります。それでなくとも、IT時代の到来で、郵便事業は、今や斜陽の傾向にさえあります。
 公社化になっても、きっと郵便事業は厳しい毎日が続くでありましょう。ましてや、民間参入によっては、民間事業者のいいとこ取りによる利益の追求となり、一部外国にも見られるように、小口の一般利用者にとっては、サービスの低下や料金の値上げという結果となり、ユニバーサルサービスはなきものとなり、郵政公社もそれに巻き込まれて、例えば、採算を度外視しても社会福祉政策として大いに役立っていた第三種、第四種郵便物などの制度の維持も危ぶまれるのではないでしょうか。私のところにも障害者団体から、山のように、何とか第三種、第四種を守ってくれ、切り捨てないでくれと、陳情が寄せられております。
 過度な競争導入の結果、郵便事業がその負担に耐えられなくなり、これらのサービスが維持できなくなる懸念を抱くのは、私だけでありましょうか。総理はどうお思いか、お伺いしたいと思うのであります。
 また、郵便事業への民間参入には、これだけ議論がオープンにされているにもかかわらず、民間の参入希望が今のところ一社もない現状を総務大臣はどのように思われるか、お伺いしたいのであります。
 最後に、総理は、構造改革なくして景気回復なしとおっしゃいますが、大賛成であります。必要な改革は果敢に断行していただきたいと思っております。しかし、何でもかんでも改革断行ではなく、国民にとって守るべきものは守ることも大切なことではないでしょうか。
 残り少ない国会の会期でありますが、いずれにいたしましても、私たちは、国民のための郵政三事業を来年四月、公社としていかに円満にスタートさせるかに最大限の努力をささげたいと思っております。そして、全国津々浦々で働く郵便局の皆さんが不安のないように、また、山奥であれ、離島であれ、そこに住む人々の暮らしが、引き続き三事業の利便性が確保されるように、十分な審議が必要だと思っておりますが、片山総務大臣の率直なお考えをお聞かせいただきまして、五分でございます、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 八代議員にお答えいたします。
 公社化の基本的考えについてでございます。
 私自身、郵政民営化論者でありますが、郵便局をなくせとは一度も言ったことはありません。郵政公社化は、全国公平なサービスを提供する郵政事業の意義は確保しつつ、その実施主体を国から公社に移行させるとともに、郵便事業に全面的な民間参入を図るものであります。
 したがって、公社化後においても、公社と民間が競いつつ、全国のネットワークを維持活用して、地域社会の発展及び国民利用者の利益の増進に貢献すべきものと考えております。
 第三種、第四種郵便物についてでございます。
 今回の郵便事業への民間参入の法案は、競争原理を導入しつつ、信書送達のあまねく公平な提供を確保できるようにするものであります。
 このような競争条件のもとにおいて、今後発足する日本郵政公社が一層の経営努力を払うことにより、サービスの低下や料金の値上げを招くことなく、これまで学術研究や福祉の増進に寄与してきた第三種、第四種郵便物の料金減免制度も維持していけるものと考えております。
 いまだ賛否を決めかねているということでございますが、最終的には賛成いただけることを期待しております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣片山虎之助君登壇〕
国務大臣(片山虎之助君) 八代議員から、二点の御質問がございました。
 現在、民間参入の希望がないではないかと。
 我々は、民間事業者の参入によりまして利用者の利便の向上を図りたい、こう考えておりますが、民間事業者の皆さんも今検討中だと思います。まだ全体がわかっておるわけじゃない、これから政省令やガイドライン等によって全貌がわかるわけでありますから、必要な状況を見ながら、今後とも、御検討いただけるものだと考えております。
 民間参入の場合には、必要最小限度の許認可はやらせていただきますけれども、この許認可につきましては、できるだけ透明で公正なものにいたしたい、こういうふうに考えている次第でございます。
 十分な審議が必要ではないかと。
 仰せのとおりでございます。郵政事業の公社化に当たりましては、我々は、国民共有の生活インフラであるとこのネットワークを思っておりまして、この役割は今後とも変わらない、やはり地域社会の発展と国民の皆さんの利益の増進に貢献できるような公社としての郵便局になってもらいたい、こう考えております。
 ぜひ、来年の四月から公社化をスムーズにスタートしたい、そのためには、この関係法案、今国会におきまして、論議を尽くし、本法案が成立するような十分なる御審議をお願いいたしたいと考えております。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 荒井聰君。
    〔荒井聰君登壇〕
荒井聰君 民主党の荒井聰でございます。
 民主党・無所属クラブを代表して、日本郵政公社法案、民間事業者による信書の送達に関する法律案並びに関連する諸法案に対し、総理大臣及び関係大臣に質問をいたします。(拍手)
 まず、総理にお尋ねいたします。
 公共事業にかかわり特定の業者の便宜を図り、その業者から政治資金を得るといういわゆる口きき、秘書給与の流用などなど、政治と金にまつわる政治不信は極に達しているとの感があります。政治家に信なくば、重要法案、中でも国民の痛みを伴う法案など、理解を得ることは不可能でありましょう。
 そこで、我が党は、公共事業受注者からの政治献金の禁止を骨格とする法案を提案しております。総理も、いっとき、この考えと同じ考えをお持ちだったと伝えられておりますが、現在の総理の考え方はいかがでありましょうか。
 また、政官業の癒着構造が政治不信の根幹にあると思いますが、人事院は、高級官僚の関係民間業界への天下りを制限しておりますが、しかしながら、一方では、関係業界を背景とした国政への立候補については、何ら制限を加えておりません。郵政事業関係では、近畿郵政局長であった高祖氏が立候補し、大量の選挙違反者を出したことは、記憶に新しいことであります。
 そこで、高級官僚の国政、なかんずく参議院の比例区への立候補を、せめて民間業界への再就職と同程度並みに規制すべきと考えますが、総理のお考えをお聞かせください。
 さて、今回の法案についてですが、異例ずくめであります。もともと、これら法案の目的は、民間企業と競争し、効率的で質の高い郵政事業を国民に提供することであったはずであります。しかるに、この法案が閣議決定された四月二十六日、まさに同じ日に、唯一参入の可能性があり、その期待をされていたヤマト運輸は、民間企業が斬新かつ柔軟な発想に基づいて公正な競争を展開することは望み得ないとして、現状では信書便事業に参入しないとの方向を打ち出しております。内閣の中には、民間が参入できなければこの法案は意味がないとの見解を持っておられる方もいるようでございます。
 民間企業の参入許可、事業計画認可について、郵政公社を抱える総務省が行うことになっておりますが、本当にこれで公平で公正な判断ができるとお考えでしょうか。ヤマト運輸は、本法案を、民間企業の一挙手一投足すべてを総務省が許認可する、いわば民間官業化法案と断じております。
 民間が参入できないとされていることからして、この法案に意義があるのかどうか、総理はどのように考えておられるのか、見解をお示しください。
 また、年来の総理の主張である、巨大化した郵便貯金、簡易保険が我が国金融市場をゆがめており、また、その資金を原資とする財政投融資制度が特殊法人改革をおくらせているとの認識は、私も同様の見解を持っていますが、今回の法案では、預入限度額の引き下げなど、郵貯、簡保を適正規模にしようとの改善の方向が見当たりません。この点に関しても本法案の意義を疑うものでありますが、あわせて総理の見解をお示しください。
 ところで、今回の法案については、与党の賛成を得られないまま提出されるという、前代未聞の事態となりました。自民党総務部会長が、政府として恥ずかしい法案の出し方との批判をしたとも報じられております。我が国国民をまとめていかれる職責を担われている総理が、自分の足元の自民党をもまとめられなかった責任は大変重いものがあると考えますが、この点に関し、どう受けとめられているのか、見解をお聞かせください。
 それでは、ここから法案の具体的な中身に入らせていただきます。
 第一に、総理は、これまで、民間とのイコールフッティングを主張されてきましたが、市町村納付金は固定資産税相当の実質二分の一とするなど、大変有利な条件が用意されております。これでは公平とは言えないのではないかと考えますが、見解をお聞かせください。また、法人税、預金保険料に相当する国庫納付について、具体的な記述がございません。公租公課が明記されていなければ本公社の経営計画を立てることはできないのではないかと考えますが、いかがでありましょうか。この件に関しましては、財務大臣はどのような見解をお持ちなのか、あわせてお伺いいたします。
 第二に、特定郵便局のあり方について、どういう改革を考えられているのか、特に特定郵便局長の世襲問題を含め、見解をお聞かせください。
 第三に、総理が重ねて主張してきた、中央省庁等改革基本法第三十三条第一項第六号の「民営化等の見直しは行わないものとする」という条項が削除されておりませんが、断念したという理解でよろしいのでありましょうか。
 次に、信書便法案についてお伺いいたします。
 今回の法案の中には、民間事業者が参入するに当たり特に重要と思われる、具体的なポストの設置要件が書かれておりません。コンビニ内の簡易ポストなどでも可能なのか、何万本のポストが必要なのか、集配人が直接とりに行くなどの方法でも参入可能なのか、具体的にお答えください。
 また、信書の定義について、今回の法案により、現在、民間が扱っている輸送物の取り扱いが不利になるようなことは本当にないのでしょうか。ダイレクトメールやクレジットカードは信書に該当するのかしないのかという点も含めて、見解をお示しください。
 以上、私が指摘したことは、本法案には、民間企業を積極的に参入させようとの意志や、ゆがめられた金融市場を是正しようという意向が見当たらないこと、経営計画を確定するのに大切な事項や民間参入に必要なことは政省令事項として総務省にゆだねられているなど、本法案は、極めて生煮えの、中途半端の法案と断ぜざるを得ません。
 しかし、その法案にしても、自民党内部では、日本郵政公社法案のみ成立させ、信書便法案については成立させない、あるいは修正させるとの案を持っている方々が大勢いると聞いております。何をするかを決めずに、そのための組織と称して公社法を先行させるのは、本末転倒であります。
 総理は、自民党が小泉内閣をつぶすか、小泉内閣が自民党をつぶすかという発言をこれまでも繰り返してきました。しかし、総理は、これまで、改革、改革と唱えながら、一方で、抵抗勢力と妥協に妥協を繰り返してきたではありませんか。このため、国民の期待を失ってきたのではありませんか。今回もまた、抵抗勢力と妥協を繰り返すのでしょうか。
 最後に、総理の真意をはっきりとお伺いし、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 荒井議員にお答えいたします。
 公共事業受注企業からの政治献金についてでございます。
 政治と金の結びつきが国民から厳しい目で見られている中、国民の信頼を回復するには、公共事業受注企業からの献金等について、疑惑を招くことがないよう、法整備を含め、もう一段踏み込んだ仕組みを考えることが必要と考えます。
 現在、与党に、問題点を整理し、早急に具体的な検討を進めるよう求めているところであります。また、先日の与党三党の党首会談においても、政治倫理関連法案の今国会中の成立を目指すことが確認されております。各党各会派から幅広い合意が得られる成案の作成に向けて、引き続き配慮してまいりたいと思います。
 高級官僚の立候補制限についてでございます。
 この問題については、憲法上の問題点や技術的な問題点など、なお慎重な検討が必要であると考えます。
 なお、国家公務員法は、国家公務員について一定の政治的行為を禁止し、また公職選挙法においては、国会議員に立候補しようとする公務員の地盤培養行為などを禁止するとともに、公務員の地位利用による選挙運動を禁止し、その違反に関し連座による当選無効の制度を設けております。こうした法律上の制限については、今後も一層徹底を図るべきものと考えております。
 本法案の意義及び総務省の許認可についてでございます。
 今回の法案は、民間事業者の参入により、国民の利便の向上を図る意義を有するものであります。参入に当たっての許認可については、その基準や運用が重要であり、最大限、透明かつ公正なものとしてまいります。
 いずれにしても、必ず民間が参入できるように、総務大臣に指示しているところであります。
 郵貯、簡保に関する本法案の意義についてでございます。
 本法案は、郵政三事業について、平成十五年中に国営の新たな公社に移行するという中央省庁等改革基本法の枠組みに基づき、取りまとめたものであります。本法案により郵便事業へ民間が参入できることになるということは、私としては、民営化に向けた一里塚であると考えております。
 今後これをさらに進めて、将来、郵政三事業の民営化、さらには、特殊法人、財政投融資制度を含めた抜本的な改革につなげていきたいと思っております。
 自民党をまとめられなかった責任についてのお尋ねであります。
 今回の公社化関連四法案については、国会提出前にその内容について自民党の事前承認を得ることは確かにできませんでしたが、今後、国会での審議を通じて、私は、与党の賛成を得られるものと確信しております。
 中央省庁等改革基本法についてのお尋ねでございます。
 基本法は、郵政三事業について、国営の新たな公社を設立するために必要な措置を講ずる際の方針の一つとして、「民営化等の見直しは行わない」旨を定めておりますが、これは、公社化までのことを規定したものであります。
 したがって、民営化問題も含め、公社化後のあり方を検討すること自体は、法制局にも確認しておりますが、法律上、何ら問題はありません。
 そこで、今回の公社化関連法案には削除は盛り込まないこととしたものでありますが、郵政事業のあり方については、この条項にとらわれることなく、自由に議論を進めてまいりたいと考えております。
 政府提出法案に与党が反対するような事態への対応についてお尋ねがありました。
 法案を提出した以上は、衆議院だけ通過すればいいというものじゃない、必ず成立させます。本法案についても、国会での審議を通じて、与党の賛成を得られるものと私は確信しておりますし、民主党も、この法案については、なかなか賛否両論があるようでございますが、最終的には賛成していただけることを期待しております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕
国務大臣(塩川正十郎君) 郵政公社の国庫納付金についてのお尋ねでございました。
 規定されております国庫納付金の中身につきましては、収益見合いのものと保証対価のものと二つございますが、その内容とか納付開始の時期等につきましては、公社の収支の見通しや民間事業者との平仄等に配慮いたしまして、今後、政令策定の段階において検討を進めて決定し、公社の中期経営計画の策定に支障のないようにいたしますので、御安心願いたいと存じます。(拍手)
    〔国務大臣片山虎之助君登壇〕
国務大臣(片山虎之助君) 荒井議員から、五点の質問がございました。
 まず、公社の市町村納付金の話でございますけれども、イコールフッティングではないではないかということであります。
 この日本郵政公社というのは、大変公共性が高い公社でございまして、生活インフラということを申し上げましたけれども、地域住民のための生活基礎サービスをやるということが一つあります。また、昨年の臨時国会で法律を通していただきまして、今は市町村の仕事の一部も郵便局が代行する、また、不採算地域においても法律で設置を義務づけております。
 こういうことがございますので、旧公社も、昔の三公社も、二分の一の固定資産税見合いの納付金を納めておりましたから、今回も同じにさせていただこう、こういうことでございます。
 例えば基礎年金の拠出金は国庫負担ですね、民間を含めて。それを、郵便局については全部郵便局の方で納めている、こういうことでございまして、トータルでは、私は、イコールフッティングではないかと考えております。
 二点目は、国庫納付金の話でございます。
 公社は一種の特殊法人ですね。それから、中長期的には利益が出ることが想定されますし、また、国から恩恵を受けています。今もちょっとお話ありましたが、支払い保証その他。そういうことで、一定の国庫納付金を納付するという根拠を置こう、こういうことでございますが、今財務大臣からお話ありましたように、公社の経営の状況その他の事情を勘案して、公社の経営の健全性の確保に支障を及ぼすおそれがないと認められる範囲で納める、こう法律にはっきり書いておりますので、まず、公社の中期経営計画を策定して、公社の経営をしっかりして、その後、国庫納付金はどのようにするか政令で決めていく、こういう考え方でございます。
 特定郵便局のあり方についてのお話がございました。
 特推連の見直し、渡切費制度の廃止等は既に行っておりますけれども、特定郵便局というのは、少人数で効率的に仕事をしておりまして、本当に地域に密着した存在でございます。そういう役割を踏まえながら、今後ともそのあり方の改善を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
 また、局長の任用につきましては、国家公務員法第三十六条に基づきまして、選考により任用いたしております。世襲制を前提としたものではありません。私は、やはり能力もあり、人望もある人が郵便局長になるべきだと考えておりますから、この選考の方法がいいのではないか、こう考えておりますけれども、いろいろな御意見がありますれば十分承って、さらに検討を深めてまいりたいと思っております。
 それから、ポストをどうするんだ、こういうお話でございます。
 全国すべての利用者が参入の効果を享受できるような制度設計を全面参入にはいたしておりますので、だれでもいつでも簡単に使える、信書の秘密が守れる、そういうものはどういうふうに考えていくか、こういうことでございますが、秘密を保護するために、適切で、かつ、随時かつ簡易に差し出すことを可能にするものならできるだけ認めていこう、こういうことでございます。
 具体的には省令で基準を書く、しかし、その場合には、広く御意見をいただきまして、パブリックコメントを初めとして、利害関係者すべての方の意見を聞きまして、国民の納得できるような基準にいたしたい、こう考えている次第でございます。
 それから、信書の定義につきましては、今までの法律ではございませんが、今回は、郵便法の中に規定を設けまして、定義を書くことにいたしております。判例等で確定した表現にいたしておりますが、具体的に信書の範囲をどうするかは、今後ガイドラインを決めたい。これも幅広く皆さんの意見を聞いて決めていきたい。
 現行の官と民との関係を変更するものではありませんし、クレジットカードやダイレクトメールや、いろいろな議論ございますけれども、そういうことについてもガイドラインの中ではっきりした方向を示していきたい、こういうふうに考えております。
 いずれにせよ、この点についてはなお時間をかしていただきたいと思います。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 桝屋敬悟君。
    〔桝屋敬悟君登壇〕
桝屋敬悟君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました日本郵政公社法案及び民間事業者による信書の送達に関する法律案など、関連四法案に対しまして質問を行います。(拍手)
 これらの四法案は、政治的にも経済的にも、そして社会的にも、大きな関心を集めております。郵便局が、日々のコミュニケーションの手段として、また庶民の財布がわりとして、生活に密着してきた証拠でございまして、同時に、それらが積み上げられた結果として、二百五十兆円という巨大な金融資産として我が国の金融市場、財政運営に多大な影響を与えているからでもあります。郵政事業の公社化、さらには民営化という問題は、我が国の金融、経済、財政という国家、社会運営の心臓部を直撃するテーマでありまして、その意味では、軽々とは結論は出せない課題であることは、言うまでもありません。
 私ども公明党は、こうした点を十分に踏まえながら、何よりも、利用者である国民の生活に視点を置きまして、改めて、法案の詳細についてただいま検討を行っているところであります。
 もとより、郵政事業の公社化については、中央省庁等改革の一環として、行政改革会議の最終報告や中央省庁等改革基本法において枠組みが決定されているところでありますが、全国二万四千八百局の郵便局ネットワークにより展開されてきた郵政事業は、国民生活に不可欠な基礎的サービスでありまして、今後とも、国民生活共有の生活インフラ、セーフティーネットとして確保、充実していくことが必要であると考えています。
 また、民間事業者の参入につきましても、競争原理の導入により、利用者へのサービスの向上、経営の効率化が図られるという観点から、基本的には、積極的に進められるべきであると考えています。
 公社化により郵政事業に対する国民の安心感を確保しつつ、一方で、経営の効率化を図り、市場の独占や規制による利益確保ではなく、真の市場競争力を築き上げることが、今、郵政事業に求められていることであると信ずるものであります。
 そうした立場から、何点かの質問をさせていただきます。
 初めに、競争導入のメリットが本当に生かされている制度となっているかどうかという点であります。
 今回の法律案では、条件つき全分野への参入を図るといたしまして、ユニバーサルサービスを確保するため、三つの条件が提示されています。でき上がった法律案を前に、民間事業者からさまざまな声が上がっています。先ほども議論がありましたけれども、中には、民間官業化法案ではないか、公正な競争を展開することは望めないとの声も出ているわけであります。こうした民間事業者へ総理はどのようにお答えになるのか、まずお尋ねしたいと思います。
 また、信書の定義を郵便法において明文化することとされていますが、民間参入のあり方を左右するのではないかと言われています。とりわけ、いわゆるメール便の取り扱いについて、今回の法律案により取り扱いに変更が生じるのかどうか、総務大臣に明確な御答弁をお願いしたいと思います。
 次に、公社化後のユニバーサルサービスの水準についてであります。
 私ども公明党も、郵便のユニバーサルサービスの確保は必要であり、参入事業者によるクリームスキミングにより、結果的に、過疎地域の郵便局の廃止や政策的料金減免の廃止などの事態が起きることを懸念いたします。したがって、法律案では、一般信書便事業について許可基準が設定されることになっているわけでありますが、それならば、ぜひ、例えば三種、四種のいわゆる政策的料金減免の制度は、ユニバーサルサービスの水準として維持、継続すべきであると考えます。
 視覚障害者の点字書物や聴覚障害者のビデオテープなど、障害者の情報取得は郵送に支えられています。厳しい郵便事業財政の中で制度が後退するのではないか、全国七十三カ所の点字図書館の経営が成り立たなくなるのではないかと、多くの障害者団体が心配をされています。こうした実態を十分御承知の総理、先ほどは、継続していけるとの発言がありましたけれども、いま一歩踏み込んだ御見解を伺いたいと思います。
 私は、関連四法案の審議に備えて、地元の郵便局の方々と意見交換を重ねてまいりました。ひまわりサービスの実施、地域の巡回機能を活用した安否確認活動、赤いバイクに消火器までセットして集配に回っておられる、さらには、ワンストップサービスとして行政の代替機能も果たされている、まことに懸命な活動を日々続けられている郵便職員の姿に接しながら、今回の法案が全国十四万人の郵便職員のさらなるエネルギーになることを祈らずにはおられません。
 そこで、ぜひともお願いしたいことは、今回の法案の制定にあわせ、郵政の体質改善を行っていただきたいということであります。郵政事業の調達コストは、ファミリー企業ばかりであり、相当高くなっているのではないかとの厳しい指摘もあります。また、DM汚職、選挙違反事件、渡切費の問題もありました。職員の方々の士気にも影響することは当然でありますし、郵政事業に対する競争原理と透明性の導入が求められるゆえんであります。
 こうした問題に対して、再発防止も含め、的確な取り組みを行い、国民の信頼を獲得することこそ、今回の法案成立の最大の条件と考えています。総務大臣の明確な答弁を求めて、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 桝屋議員にお答えいたします。
 信書便事業の公正な競争についてでございます。
 今回の法案は、民間事業者の参入により、利用者の利便の向上を図る意義を有するものであります。参入に当たっての許認可については、その基準や運用が大変重要でありまして、最大限、透明かつ公正なものとしてまいります。
 いずれにしても、必ず民間が参入できるように、総務大臣に指示しているところであります。
 第三種、第四種郵便物の料金についてでございます。
 民間参入によって、今後発足する日本郵政公社が一層の経営努力を払うことにより、サービスの低下や料金の値上げを招くことなく、これまで学術研究や福祉の増進に寄与してきた第三種、第四種郵便物の料金減免制度も維持していけるものと考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣片山虎之助君登壇〕
国務大臣(片山虎之助君) 桝屋議員から、二点の御質問がございました。
 まず、メール便の御質問でございます。
 メール便とは、民間事業者が、郵便法に該当しない貨物の運送を貨物運送法制に基づいて行っているものでございます。今回の法案は、これに加えて、民間事業者の方にも、全面参入、全国参入されるならば信書の送達を認めることとする、こういうものでございまして、既存のメール便の取り扱いを変更するものではございません。
 それから二点目には、郵政の体質改善のお話がございました。
 まず、ファミリー企業ばかりではないか、こういうことでございますが、議員御指摘の物品等の調達、契約につきましては、現時点においても、会計法令にのっとり、原則として競争入札により、適正な価格による調達を行っているところでありますが、特定の企業だけ優遇しているということはありませんけれども、新たな公社になるわけでありますから、さらに適切かつ透明性の高い仕組みとなるように検討してまいりたい、こう考えております。
 また、ダイレクトメールに係る汚職の話、選挙違反の話等がございましたが、こういうことは二度と起こさないように、職員の皆様に対して、関係法令の遵守と点検を一層徹底するようにしてまいりたいと思っております。
 渡切費につきましては、既にことしの四月から廃止いたしておりまして、一般の会計法令に基づくとともに、事務センター等も介在させまして、チェック機能を強めた会計制度を導入いたしているところであります。
 いずれにせよ、郵政事業は国民の皆様からの高い信頼が基礎でございますので、今後とも、その信頼をかち得るよう、透明で効率的な公社を目指して頑張らせていただきます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 高橋嘉信君。
    〔高橋嘉信君登壇〕
高橋嘉信君 私は、自由党を代表して、ただいま議題となりました郵政関連四法案について質問いたします。(拍手)
 今、政治不信は極限に達しております。役所に口をきいて見返りに報酬を受け取ったり、官僚をおどして国の予算を私的に流用したり、毎日のように政治家と金をめぐる不正な事件が報じられ、三権の長までが議員の職を追われるという、およそ先進民主主義国家とはほど遠い我が国の政治の実態に、国民は、怒りを通り越して、もはや、あきれ果てているのであります。政官業癒着の自民党政治のうみが、小泉内閣が末期になっても、なお流れ続けているのであります。
 目先の利益と保身ばかりを追い求める今の政治には、ビジョンもなければ、指導力もありません。その典型が、口では改革を唱えながら、問題の先送り、官僚任せ、なれ合い、持たれ合いに終始している小泉政治、自民党政治であります。
 自民党の国民無視の無責任な政治を改めることなくして、日本に未来はありません。その無責任の最たるものが、この郵政関連法案であります。
 自民党総務会で、法案の内容は了承しないが、法案を提出することは容認すると言われて出てきたのが、この法案であります。小泉総理の顔だけは立てて、法案提出という格好をつけるのは認めるが、後は知らない。総理も総理で、はい、わかりました。そんな、国会をばかにした、前代未聞の不見識な法案提出がまかり通っていいはずはありません。
 総理は、議会制民主主義における内閣と与党との関係についてどのようにお考えなのか、まずお聞かせ願いたいのであります。
 次に、小泉総理の言う改革がいかに無責任きわまりないものか、伺ってまいります。
 小泉総理の長年の持論は、郵政民営化であります。総理は、自民党総裁選挙で郵政民営化を公約したのを初め、口を開けば、郵政民営化とおっしゃいます。しかし、総理がこれが本丸だと言うたびに、その姿が私にはむなしく映ります。進め、進めと言うだけで、なぜ進まなければならないのか、その先に何があるのか、さっぱりわからないのであります。郵政の民営化がなぜ必要なのか、どう進めていくのかについて小泉総理が話されているのを、寡聞にして存じ上げないのであります。この際、明確にお聞かせください。
 しかも、この郵政関連四法案では、郵政事業の公社化であり、民営化ではありません。いわば、羊頭狗肉と言うべきものであり、目先のごまかしを行う小泉政治の象徴と言わざるを得ないのであります。総理の描く民営化のビジョンはどのようなものなのか、懇談会任せにするのではなく、総理御自身の口からお聞かせください。
 また、総理は、中央省庁等改革基本法第三十三条一項六号にある「民営化等の見直しは行わないものとする」という規定を削除するよう指示していたのではありませんか。今回、この禁止条項の削除を見送った理由も、あわせてお答えください。
 自由党は、郵政改革のビジョンを持っております。郵政三事業をそれぞれに分割した上で、郵便貯金と簡易保険事業は民営化し、郵便局については、住民に身近な地域社会のサービス拠点と位置づけ、郵便の役務を日本全国あまねく公平に提供する体制を整備するという考え方であります。自由党は、それを基本法案として取りまとめ、今国会に政府案の対案として提出いたします。
 まず、郵貯、簡保の民営化についてであります。
 郵貯、簡保の民営化は、経済構造の改革そのものであります。郵便貯金は残高二百五十兆円という世界最大の金融機関であり、簡易保険のような巨大国営保険事業も、主要国では皆無であります。小泉総理は郵便事業の民間参入ばかりおっしゃいますが、郵貯、簡保の改革こそがまさに本丸なのであります。
 郵貯、簡保の巨大資金が、特殊法人を中心とする官業に流れ、市場原理の外で使われていることは、自由で健全な市場経済の妨げになっているばかりか、官僚天国を資金的に裏づけ、支えてきたのであります。
 自由党は、郵貯、簡保それぞれの事業を国から分離させ、経営を分割し、経営組織を株式会社にして、他の民間企業と対等に競争する環境をつくるべきであると考えます。もちろん、民営化は、他の金融機関に与える影響、既存の預金者または保険加入者に与える影響、雇用に与える影響などを勘案して、段階的に実施していくことは言うまでもありません。
 小泉総理は、この自由党の提案についてどのようにお考えなのか、また、小泉総理に自由党案への対案があれば、お聞かせいただきたいのであります。
 次に、郵便事業についてであります。
 郵便事業は、平成十年度から毎年赤字を記録し、平成十三年度決算でも赤字になる見通しとなっております。国民生活に不可欠な郵便の役務は、日本全国においてあまねく公平に提供されなければならないものであり、たとえそれが赤字になることがあっても、国が、シビルミニマムとして、責任を持って維持しなければならない性格のものであります。この見地から、自由党は、国が事業の最終責任を持つと位置づけます。
 あわせて、全国に三万近く存在する郵便局は、地域住民に最も身近なサービス拠点として、郵便事業だけでなく、住民の利便の増進を図るために、郵便事業以外の業務も弾力的に行えるよう、体制を整備すべきであります。既に一部で、郵便局が住民票の写しの交付などの住民サービスを行うワンストップサービスが行われていますが、それをさらに拡大して、新しい事業の創造を弾力的に可能とするような道を開くべきであります。
 総理は、郵便事業の民営化を声高に叫ばれますが、たとえ赤字でも僻地にまでも信書を配達しなければならない公共性の強い郵便事業に民間を参入させようとすれば、利益の上がる部分にだけ民間が参入して既存の郵便事業を圧迫するか、ユニバーサルサービスの確保のために条件を厳しくつけて、民間の創意工夫が入り込む余地のないものになるか、このいずれかであります。総務省が民間参入の許可権限を持っていて、公正な競争状態などできるわけがないではありませんか。いわば、審判とプレーヤーが同じという環境の中で、公正な行政は期待すべくもありません。信書の定義も変わっておりません。
 現に、政府案の郵便事業への民間参入について、国に手足を縛られるのであれば参入できないと、ヤマト運輸からもそっぽを向かれている始末であります。総理は、この点についてどう考えておられるのか。
 小泉総理は、自民党が小泉内閣をつぶすのか、小泉が自民党をつぶすのかの戦いだとまでおっしゃり、私は両方つぶれてくれた方が一番いいと思っておりますが、法案を提出しているようですが、郵便事業の基本的なあり方についてどう考えておられるのか、また、今回、公社化することによって経済構造改革にどのようにつながっていくのか、あわせて御見解をお聞かせください。(拍手)
 さて、総理は、郵便局の大半を占める一万九千の特定郵便局のあり方をどう考えておられるのか。
 特定郵便局は、政官業癒着の自民党政治体質の温床であります。割高な局舎料、渡切費、特定郵便局長の任用のあり方などの問題を抱えながら、官僚の指導のもとに、自民党の政治家のために金と票を集め、その見返りに既得権益を維持するという構造の転換なくして、郵政事業の改革などできるはずがないではありませんか。
 昨年の参議院選挙で、小泉総理は、官僚政治の打破を言いながら、自民党の比例区候補に郵政官僚出身の高祖憲治氏を公認し、高祖氏は、全特、すなわち全国特定郵便局長会の組織ぐるみの選挙で、第二位の高位で当選しました。その高祖氏が選挙違反で議員を辞職した責任を総理はどうお感じになっているのですか。全特は解散すべきだと思いますが、小泉総理の御所見を伺います。(拍手)
 また、高祖事件で郵政監察体制が問題になったとき、小泉総理は、郵政事業庁の地方郵政監察局を廃止し、捜査権限を警察に移管する方針だったのではないのですか。この点についても明確にお答えください。
 全国の特定局に八百億円近くの渡切費が支給され、選挙資金に使われたり、業者との癒着を生んでまいりました。渡切費は平成十三年度をもって廃止されたと言われますが、経費の支出そのものをやめなければ、実態は変わらないのではないですか。もう銀行では、預金してくれた人に景品を差し上げたりはしていません。本当に必要な経費が適正に支出されているとお考えですか。普通局による特定局の経理チェックは正しく行われているのですか。特定の業者との随意契約は完全に排除されたのですか。以上の点について、総務大臣の御所見をお聞かせください。
 今回の関連法案提出に当たっての議論を聞いておりますと、総理は、自分の人気、自分の政権のことしか考えず、財務省は、民間並みに預金保険に当たる保証料を国に納めさせればよいと、まさに目先の金のことしか考えておらず、総務省は、組織をいかに守るか、既得権をいかに守るかという自分たちのことしか考えていない。その結果が、郵政三事業をとりあえず公社化するというだけの、このように中身のない、将来展望も全くない法案の提出になったと言わざるを得ません。
 自由党は、我が国の市場経済を健全に発展させるとともに、住民の利便の維持増進を図るための郵政事業改革を積極的に推進してまいりますことを申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 高橋議員にお答えいたします。
 内閣と与党の関係についてでございます。
 議会制民主主義においては、本来、政府と与党が協力して、法案を提出し、国政に当たるのが基本であると考えております。
 しかし、今回の公社化関連四法案については、国会提出前に、残念ながら、自民党内の事前了承を得るには至っておりませんが、私は、国会での審議を通じて、最終的には、自民党、与党の賛成を得られるものと確信しております。
 郵政事業のあり方についてでございます。
 私は、従来より、民間にできることは民間にと強く主張してまいりました。これは、民間の創意工夫によりいろいろなサービスが向上するのではないか、そして、組織も効率化でき、なおかつ、民間は利益が上がれば税金を納付してくれます。同じ仕事をするにしても、役所がやると税金を使う方が多いという事実を考えれば、民間にできることは民間にやらせた方がはるかに国民全体のためにも利益であると思っております。
 私は、今回、この参入法案、公社化法案によりまして、将来、郵政三事業の民営化、さらには財政投融資制度、特殊法人という公的部門の抜本的な改革につなげていきたいと思っておりまして、今回の、郵便事業へ民間が参入するという法案は、私としては、郵政民営化への一里塚であると考えております。
 今後、民営化問題につきましては、郵政三事業の在り方について考える懇談会において、議論をしておりますし、夏ごろまでに具体案を取りまとめる予定であります。
 中央省庁等改革基本法についてでございます。
 この基本法は、郵政三事業について、国営の新たな公社を設立するために必要な措置を講ずる際の方針の一つとして、「民営化等の見直しは行わない」旨を定めておりますが、これは、あくまでも公社化までのことを規定したものであります。
 したがって、民営化問題も含め、公社化後のあり方を検討すること自体は、法制局にも確認しておりますが、法律上、何ら問題はありません。
 そこで、今回の公社化関連法案には削除は盛り込まないこととしたものでありますが、郵政事業のあり方については、この条項にとらわれることなく、自由に議論を進めてまいりたいと考えております。
 自由党の郵貯、簡保の民営化に対する提案についてどう思うかということであります。
 政党として初めて郵貯、簡保の民営化を提案したことについては、私は、高く評価したいと思います。今後、この民営化について自由に議論が国会でも行われまして、将来の民営化につなげていきたいと私も思いますので、よろしく御指導、御協力をお願いしたいと思います。
 郵便事業への民間参入についてのお尋ねでございます。
 今回の民間参入の制度については、いろいろな事業者から意見が寄せられております。確かに、規制が今でも強過ぎるし、今回の法案でも、規制が強いのではないかという疑念を示している民間企業もあります。
 しかし、事業者に対する国の規制というものは必要最小限度とし、また、その内容も透明性の高いものとし、民間参入が必ずできるように、私は総務大臣に指示しているところであります。今後、国会審議を通じて理解が深まることにより、民間事業者による参入は必ず可能となるものと信じております。
 郵便事業の基本的なあり方及び公社化と経済構造改革の関係についてでございます。
 公社化後の郵便事業は、民間との競争の中でサービスの向上に努めるとともに、引き続き、基礎的通信手段として、全国あまねく公平に郵便のサービスを提供するものと考えております。
 また、経済構造改革の関連については、民間参入により、公社事業の効率化、民間の事業機会の創出等の効果が考えられると思います。
 さらに、郵便事業に民間を参入させることによりまして、今まで我々が想像した以上のサービス展開、各種の商品が提供されまして、私は、国民の利便の向上にも役立つ、そして、大きな公的部門の改革にもつながると思っております。
 政官業の癒着の問題についてでございます。
 政官業の癒着を排し、改めるべき点は改めるという姿勢で、国民から信頼される政治を目指して、今後も努力してまいりたいと思います。
 高祖氏辞職の責任や全国特定郵便局長会についてのお尋ねであります。
 高祖氏の選挙運動に関連して多数の現職の公務員が公選法違反で有罪判決を受けたことは、まことに遺憾であります。こうした事件の再発防止の徹底を図るよう、総務大臣に指示しております。
 全国特定郵便局長会は、特定郵便局長の勤務条件の改善などを目的とする管理者組合的な私的任意団体と承知しておりますが、会員である特定郵便局長には国家公務員法が適用されることとなっており、国家公務員の政治的行為の禁止や公務員の地位利用による選挙運動の禁止などの法律上の制限については、今後も一層徹底を図るべきものと考えます。
 郵政監察についてのお尋ねであります。
 郵政公社においても、郵便、貯金、保険の各事業について専門的な知識を有する郵政監察官を置き、引き続き、郵政事業に対する犯罪の捜査を行わせることとしております。
 御指摘の、郵政職員の選挙運動に関する制限違反などについては、これまで同様、警察が捜査を行うこととなります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣片山虎之助君登壇〕
国務大臣(片山虎之助君) 高橋議員にお答え申し上げます。
 渡切費廃止後における経費についてのお尋ねでございました。
 渡切費にかわる経費の必要性、これはやはりあるのです。小規模局において常時必要とする事務費というのが渡切費の対象でございまして、これはやはり、一般の会計法令に基づく透明性の高い手続にしながら、今後とも必要な経費については措置していきたい、こういうふうに考えております。
 支出の適正につきましては、事前に必要性のチェックを十分にやる、これを徹底して行うことにいたしております。また、経理のチェックにつきましては、小規模局におきます支出の証拠書類は、共通事務センターにおいて支払い内容の確認を適切にやって、これについては、会計検査院に提出して検査を受けることにいたしております。
 特定業者との随意契約についてというお話がございましたが、物品の購入に当たりましては、少額のものは随意契約を行う場合がありますけれども、こういう場合でも、可能な限り、複数の業者から見積もりをとりまして、適正な契約になるように今後とも強く指導してまいりたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
副議長(渡部恒三君) 矢島恒夫君。
    〔矢島恒夫君登壇〕
矢島恒夫君 私は、日本共産党を代表して、日本郵政公社法案、民間事業者による信書の送達に関する法律案及び関係二法案に対して、小泉首相並びに片山総務大臣に質問いたします。(拍手)
 今回の郵政四法案の焦点の一つは、日本の郵便制度が明治時代の初めに開始されて以来の原則であった郵便の独占をやめ、郵便事業への民間参入を認める信書便法案及びそれに伴う郵便法の諸改正にあります。
 信書便法案は、ポストの数などの一定の要件を満たせば、民間事業者がはがきや封書の配達など郵便事業に全面的に参入することを可能とするものであります。
 ところが、そうした要件を満たし、かつ、全面参入を希望する事業者はヤマト運輸一社と言われ、ポスト数などの要件も、ヤマト運輸が参入しやすいように条件案が緩和されてきたことは、報道でも明らかなとおりであります。
 信書便法案の第一条には、民間参入の目的について、「利用者の選択の機会の拡大を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。」とありますが、実際の目的は、ヤマト運輸を郵便事業へ参入させることではありませんか。小泉首相の答弁を求めます。(拍手)
 ところが、この信書便法案が閣議決定された四月二十六日、ヤマト運輸の社長は、総務省が定めたやり方でのみ参入を認めるのであればまさに民営官業法だと批判し、同法案のままでは参入する意思はないと、郵便事業への参入断念を表明したのであります。
 このヤマト運輸の参入断念の表明を受けて、小泉首相は、ガイドライン見直しによってダイレクトメールの集配を民間に開放するよう、総務省に指示したと報道されております。
 一度に大量に差し出されるダイレクトメールは、一つ一つのポストから収集するなどのコストがかからず、もうけが期待できる、おいしい分野であります。小泉首相の言う、郵便事業への民間参入とは、結局のところ、ダイレクトメールなど、もうかる分野を民間に開放するのが目的ではありませんか。小泉首相の答弁を求めます。(拍手)
 郵便事業を自由化したスウェーデンでは、ダイレクトメールのような大口の郵便料金は、〇・五四倍と約半額に値下がりする一方、通常の郵便料金は、二・八倍と、約三倍に値上がりしているのであります。
 総理、低コストのもうかるダイレクトメールは民間に開放し、コストがかかる通常の郵便は郵政公社が行うということになれば、スウェーデンのように、ダイレクトメールは安くなる反面、国民がポストに投函する通常の郵便物は高くならざるを得ないのではありませんか。答弁を求めます。
 これまで、郵便事業は、文化、学術、福祉の向上のために、定期刊行物への料金を減免する第三種郵便、点字図書や視覚障害者向け録音物を無料にし、学術発行物や通信教育の郵便物料金を減免する第四種郵便などの料金割引制度を発展させてきました。
 総理、ダイレクトメールなど、低コストのもうかる分野を民間に開放して、現行の第三種、第四種郵便割引制度は維持できるのですか。答弁を求めます。
 提案されている日本郵政公社法施行法案は、これまで点字図書や視覚障害者向け録音物を無料と規定していた郵便法第二十六条第二項及び第三項を削除するとしております。また、公社が設定する第三種、第四種郵便料金の認可基準は、同じ重さの第一種郵便、封書の料金より安ければよいということであり、そこまでの値上げを可能とする改正案となっております。
 郵便事業への民間参入で第三種、第四種郵便の割引が困難になったときのための郵政公社の対応策として法案に盛り込まれたのは、第三種、第四種を値上げするための改正ではありませんか。小泉首相の答弁を求めます。
 そうでないというのであれば、第三種、第四種料金を維持するための財源対策が四法案のどこにあるのか。片山総務大臣の答弁を求めます。
 今、全国の名立たる障害者団体は、大変な危機感を抱いて、大同団結し、第三種・第四種郵便制度を維持する障害者団体連絡会を結成しました。そして、みずからの生命線である機関紙発行や無料点字郵便制度を守れと、第三種、第四種郵便制度の維持、現行の割引料金水準の維持などを要望項目とする緊急要望を発表したのであります。
 第三種、第四種郵便の値上げは、障害者の情報保障の剥奪であり、人権問題そのものであります。そうした認識をお持ちかどうか、小泉首相の答弁を求めます。(拍手)
 次に、日本郵政公社法案について質問いたします。
 日本郵政公社法案第一条は、日本郵政公社の目的を規定しております。日本郵政公社は、これまでの郵政三事業及び郵便局を活用して行う業務等を「総合的かつ効率的に行うことを目的とする。」とされております。旧公社であった電電公社法には、明確に、「公共の福祉を増進することを目的」とするとされておりました。新しい公社である郵政公社の目的には、「公共の福祉を増進する」ことが欠落しております。
 日本郵政公社は、公共の福祉を増進することを目的として設立されるのではないのですか。総理の答弁を求めます。
 これまで、簡保事業は、簡易生命保険法第二条で、「この法律の規定により国が行う生命保険は、営利を目的としない事業であつて、総務大臣が、これを管理する。」と規定されておりましたが、日本郵政公社法施行法案は、ここからわざわざ、「営利を目的としない事業」という規定を削除しているのであります。
 これは、簡保事業をまさに営利を追求する事業に変質させるための改正ではありませんか。小泉首相の答弁を求めます。
 また、これまで、簡保資金及び郵貯資金の運用については、それぞれの資金運用を規定した簡保積立金運用法及び郵便貯金法で、確実で有利な方法によるだけではなく、「公共の利益の確保にも配意しつつ運用する」ことが求められておりました。ところが、日本郵政公社法案では、簡保資金の運用からも、郵貯資金の運用からも、この「公共の利益の確保にも配意しつつ行う」という規定を欠落させているのであります。
 総理、これでは、資金運用の基準はリスクに見合ったリターンだけとなり、民間金融機関の運用と同じではありませんか。答弁を求めます。
 郵政公社は、「公共の福祉を増進する」ことを目的とせず、事業運営からは「営利を目的としない事業」という規定を削り、資金運用からは「公共の利益の確保にも配意しつつ運用する」との規定を削る。これでは、民間の金融機関の経営とどこが違うのか、ほとんど変わらないではありませんか。小泉首相の答弁を求めます。(拍手)
 公共の利益を目的から欠落させた郵政公社は、民間企業と紙一重であり、小泉首相の言う郵政民営化の一里塚であります。
 そこで、小泉首相に率直に伺いたい。
 小泉首相は、五月十三日のイギリスの新聞、フィナンシャル・タイムズのインタビューの中で、今回の郵政関連四法案について、本丸を攻めるには、外堀をまず埋め、次には内堀を埋める、そうしてのみ本丸そのものに攻め入ることができると述べた後に、郵便事業がその外堀だと述べています。そして、最終の目的は郵便貯金と簡易保険の民営化だと述べたと紹介されております。
 首相の目指す最終目的は、郵便貯金と簡易保険の民営化であり、郵政公社化及び郵便事業への民間参入は、その本丸を攻めるための外堀を埋めることなのですか。総理の明快な答弁を求めます。
 バブルに踊り、みずからの不始末で体力が低下した大銀行が、国営の郵便貯金事業や簡保事業、郵便局が競争相手として存在していると、もうけが上がらないから、これを民営化し、分割し、弱体化したいというのが郵政民営化のねらいであり、郵政民営化は大銀行支援策そのものではありませんか。総理、はっきりとお答えいただきたい。(拍手)
 国民生活にとって不可欠な通信・金融サービスをあまねく提供する郵政事業は、全国津々浦々に張りめぐらされた郵便局とともに、国民生活に深く根づいております。そして、阪神・淡路大震災のときに、郵便・小包サービス、金融サービスでまさに不眠不休で活動した郵便局、郵政労働者が果たした役割は、国営の事業としても、また、公務員としても、特筆すべきものでした。
 郵政事業が利潤を追求しない国営事業ならばこそ、こうした役割を果たし、そして、果たしつつあるのではありませんか。小泉首相の明確な答弁を求めます。
 今回の郵政関連四法案は、郵便事業への民間参入によって、全国一律の効率的な郵便サービスの土台を掘り崩し、第三種、第四種郵便サービスの後退など、新たな痛みを国民に押しつけながら、大銀行の利益のための郵政民営化に道を開くものであると断ぜざるを得ません。このことを最後に指摘して、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 矢島議員にお答えいたします。
 民間参入の目的についてでございます。
 今回の法案は、民間参入により、官と民が競い、国民に多様なサービスの提供と郵便事業の効率化を図るものであり、特定の事業者の参入を念頭に置いたものではありません。
 ダイレクトメールの民間への開放について、第三種、第四種郵便物と民間参入との関係についてのお尋ねがございました。
 今回の郵便事業への民間参入の法案は、一般信書便民間事業者にダイレクトメールを含むすべての信書の取り扱いを可能とするとともに、参入する事業者に一定の条件を課すことによって、信書送達のあまねく公平な提供が確保できるようにするものであります。
 今回、一定の条件のもとで民間との競争が始まることとなりますが、今後発足する日本郵政公社が一層の経営努力を払うことにより、サービスの低下や料金の値上げを避けつつ、これまで学術研究や福祉の増進に寄与してきた第三種、第四種郵便物の料金減免制度も維持していけるものと考えます。
 郵政公社の設立目的の規定、簡保法第二条の規定についてでございます。
 郵政公社法の第一条において、公共の福祉の増進について規定しなかったのは、郵便等の業務を規律する法律である郵便法、郵便貯金法、簡易生命保険法などの目的規定において既に規定されているため、法制局と調整の上、規定しないこととしたものであります。
 簡保法第二条の規定の削除については、そもそも、簡易生命保険を含む郵政事業は営利を目的としない事業であり、こうした規定のない郵便法等との平仄を合わせる観点から、法制局と調整の上、その規定を削除することとしたものであります。
 日本郵政公社の郵便貯金及び簡保資金の運用について並びに郵政公社の目的と民間金融機関との違いについてでございます。
 日本郵政公社の資金運用については、債券を中心に運用対象を法律に限定列挙し、企業貸し付けを行わない等、民間とは異なる仕組みとなっております。
 なお、御指摘の、「公共の利益の確保にも配意しつつ行う」との規定につきましては、資金の引き受けの規定を個別に法律で規定することとしたため、法律の構成上、規定しておりませんが、資金運用の枠組みや考え方については、公社化後も変化はありません。
 また、郵政公社が行う郵便貯金事業及び簡易保険事業の目的は、郵便貯金法等により、簡易で確実な貯蓄手段や生命保険をあまねく公平に提供することにより、「国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進する」こととされており、この目的は民間金融機関とは異なるものと考えます。
 小泉改革の本丸という考え方についてどうか、また、郵政公社が大銀行支援策ではないかというお尋ねであります。
 私は、郵便事業へ民間が参入できることによって、利用者の利便や郵便事業の効率化を進めることができると思っております。これは、将来、郵政民営化に向けた一里塚であると考えております。
 私の考えでは、今後、この民間参入法案、さらには郵政三事業の民営化、これが特殊法人、財政投融資制度を含めた公的部門の抜本的な改革につながると考えております。そういう面において、さらなる郵政三事業、財政投融資制度、特殊法人改革という改革に向かうということについては、その大きな、壮大な改革を本丸と見立てれば、今回の法案は外堀を埋める意味があると考えております。
 私は、今後とも、民間でできることは民間にゆだねるという基本的な考え方に基づき、簡素で効率的な政府を実現するため、郵政事業改革や特殊法人改革など、構造改革を着実に進めてまいります。
 なお、郵政公社化が大銀行支援策であるとの批判は全く当たりません。
 郵便局の役割についてであります。
 私は、郵便局の役割は大変重要なものと考えております。むしろ、民間参入することによって、今まで考えてきた以上のいろいろなサービスが展開され、最終的には国民の利便が向上するものと考えております。
 今後、郵政三事業の民営化については、多くの国民の議論を期待するとともに、現在、郵政三事業の在り方について考える懇談会においても議論しておりまして、その議論の行方を見守りながら、将来、大きな民営化に向けての改革をしていきたいと考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣片山虎之助君登壇〕
国務大臣(片山虎之助君) 矢島議員の御質問にお答え申し上げます。
 第三種、第四種郵便物制度の財源対策、こういうことでございます。
 今回の、郵便事業への民間参入の法案は、競争原理を導入しながら信書送達のあまねく公平な提供、ユニバーサルサービスを確保できるようにしよう、こういうものでございます。
 このような競争条件のもとにおきましても、日本郵政公社が一層の経営努力を払うことによって、サービスの低下や料金の値上げを招くことなく、これまで行ってきました第三種、第四種郵便物の料金減免制度は維持していけるのではないかと考えております。
 ただ、いろいろな議論として、こういう政策は福祉なんだから公的支援ということも検討すべきではないかという議論もありますので、そういうことを含めて、幅広く今後とも研究させていただきます。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
副議長(渡部恒三君) 横光克彦君。
    〔横光克彦君登壇〕
横光克彦君 私は、社会民主党・市民連合を代表いたしまして、ただいま議題となりました日本郵政公社法案を初め郵政改革関連四法案につきまして、小泉総理並びに片山総務大臣にお尋ねいたします。(拍手)
 郵政事業の改革をめぐっては、自社さ政権当時、国営維持と三事業一体との方針を政府・与党間で確認し、行政改革会議最終報告には、三事業一体で「五年後に郵政公社に移行」、そう明記され、そして、これを受けて成立した中央省庁等改革基本法においても、第三十三条一項六号で、「民営化等の見直しは行わない」と定められております。そして、二〇〇一年一月の中央省庁再編に伴って、郵政省の事業実施部門は郵政事業庁へと衣がえし、二〇〇三年にも、国営の新たな公社として郵政公社に移行することになっておりました。ところが、昨年、郵政民営化を持論とする小泉総理が突如登場して以来、改めて議論が再燃し、議論が進められてきたわけであります。
 今回の法案提出に際して、小泉内閣は、お決まりの改革派対抵抗勢力の攻防が描かれ、自民党の事前承認抜きにして内閣が独自に提出するという、かつてない取り扱いとなりました。
 先ほどの質問にもございましたように、自民党が小泉内閣をつぶすか、小泉内閣が自民党をつぶすかだ、これは与野党の改革を試すよい法案であると、総理からは勇ましい発言が相次いでいます。公社化は外堀であり、本丸は郵貯と簡保だと言う総理から、今回の公社化関連法案に対する御自身の評価を、まず初めに明らかにしていただきたいと思います。
 郵政事業は、全国の小学校とほぼ同数の二万四千七百の郵便局によって支えられ、全国あまねく公平に郵政サービスを提供し、国民生活に最も身近な存在となっております。また、金融ビッグバン時代に金融機関や生保の店舗は次々に統廃合され、民間銀行が存在しない市町村が五百を超え、民間生保では千八百市町村に上っており、そのかわりを果たしている窓口が郵便局なのであります。
 しかし、郵便事業において、民間企業の参入の中で競争が激化していけば、諸外国の現状を見るまでもなく、サービスの切り下げ、全国均一料金体制の見直し、大口・企業優先料金体系の拡充、地方の切り捨て等々、ユニバーサルサービスの解体につながっていくことが危惧されます。ユニバーサルサービスの維持についての総理の御見解をお伺いいたします。
 また、ペイオフ解禁や、民間金融機関の倒産、不祥事が相次ぐ中、大量の公的資金の投入を受けながらも不良債権処理が進まない民間銀行への不信感は、国民の間に根強くあります。金融自由化の進んだアメリカでは、口座所有に手数料をかけるなど、低所得者の排除が進み、銀行口座を失う人々さえ出ております。民間の銀行を国有化し、国営の郵貯を民営化というのであれば、金融自由化で先行した諸外国の経験を見ても、余りにも現実離れしていると言わざるを得ません。
 二〇二五年には三人に一人が高齢者となる中で、どこで年金を受け取るのか、即時払いの保険が身近にあるのかなどを考えても、むしろ、ライフラインバンキングとしての郵便貯金や簡易保険の役割を適切に評価すべきであり、高齢社会を目前に郵貯のネットワークを破壊してしまうのは、国益にかなうとは到底思えません。
 郵政事業は、国民にとって必要不可欠な生活インフラであり、また、各種サービスのアクセスポイントである郵便局は、今後の少子高齢社会にあって、安心、安全で、かつ、良質な公共サービスを提供する地域コミュニティーとして、より機能を充実発展させていかなければならないと考えております。総理の御見解をお伺いいたします。
 総理は、連休中、一九八七年から郵政民営化を行っておりますニュージーランドを訪問されました。特殊会社に移行したニュージーランドポスト社は、郵便局が四分の一に減り、職員も半減しております。一方、郵貯は、特殊会社後、外資に乗っ取られたものの、銀行の手数料値上げや支店閉鎖に対する国民の強い不満から、新たに、ニュージーランドポスト社の子会社としてキウイバンクが設立され、事実上、郵貯が復活いたしました。郵政事業は社会的公共性が強く、効率化ばかり追求すると営利目的が社会目的を追放してしまうとの反省が出ているのです。
 ところが、総理は、二つ並んだポストについて、民間の方が立派だなと漏らしたと言われております。しかし、クラーク首相が、政府系は効率的で取扱量も多い、民間のポストはほとんどだれにも使われておりませんと説明したことについて、どう思われましたか、総理の御感想をお聞かせください。
 参入が有力視されておりましたヤマト運輸も、メール便の拡大で対応し、信書便法による参入を断念するとされており、信書便法案をわざわざ提出し、審議する意味がなくなったのではないかと思います。
 しかも、「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」と初めて信書の定義を定めたとしながらも、DMのメール便は信書なのか、広告やチラシにあて名をつければ信書になってしまうのか、DMを製本してカタログにすれば信書でなくなってしまうのか、クレジットカードや地域振興券はどうなのか、法案では全くわかりません。具体的には政省令やガイドラインで明確にしたいと言われておりますが、しかし、信書便法案というからには、法案にしっかりと書き込まなければ意味はないと思います。総務大臣の御所見をお伺いいたします。
 さて、提出された法案は、あまねく公平、公共の福祉に寄与というユニバーサルサービスの確保を明記しつつも、国営論者からは、企業性の追求が強調され、郵政事業に対する公共性を現在より薄めるものと言われ、逆に、民営化論の立場からは、民間参入のハードルが高過ぎると言われ、結局は、中途半端なものとなっております。
 しかし、国民の多くが郵政事業に対して期待を抱いているのは、郵政三事業が民間の銀行よりはるかに安心して利用する価値があり、郵便事業が日常生活にしっかりと溶け込んでいるからであります。国民にとっては、国営なのか、公社なのか、あるいは民営化なのかというより、現在の郵政サービスの水準がどうなるのか、どのような郵政事業が求められているのかという、最も重要な問題が十分論議されているとは言えません。
 今回の公社移行と民間参入によって、郵政三事業はどのように変わるのか、国民にとっての公社化の意義、メリットはどこにあるのか、総理並びに総務大臣の御見解をお伺いいたします。
 競争が行われ、郵便料金が安くなるのは大都市部の大口が中心で、採算の合わない地方や小口利用者の料金は高くなると予想されております。例えば、郵便事業を民営化したドイツでは、採算のとれない地方を中心に、郵便局が半分に減少しています。
 民営化でコスト切り下げといいますが、現在の宅配便は過酷な労働実態が支えており、今後、競争が激しくなれば、コスト削減、人件費削減のため、今より悲惨な状況となり、一方で、過疎地域でのサービス提供を初め、すべての国民に保障すべき、はがきや封書といった基礎的な通信手段の窓口が大幅に減ることが予想されます。現在の郵便局の配置を維持すべきだと考えておりますが、総務大臣、いかがでしょうか。
 それでは、郵政三事業が今のままでいいのかというと、決してそうではありません。あまねく公平に民衆の便益に寄与する郵政事業として、改革すべきは改革し、社会的有用性のある公的事業としての郵政事業を目指すべきであると考えております。そうしなければ、国民の郵政事業に対する信頼も失われてしまうでしょう。公共性と企業性の調和をどう図るのかが大事な点であると思います。
 例えば、官営のもとで郵政官僚の天下りに代表されるさまざまな利権が生まれ、ファミリー企業が膨大な利益を上げる中で郵便局の赤字が膨らむという高コスト体質が生まれております。官僚の天下り先となっております公益法人の実態、あるいは、郵政ファミリーとも呼ばれ、郵政事業を独占的に受注する関連企業などについては、徹底して透明化し、情報を開示すべきであり、郵政官僚の公社への天下りも禁止すべきではないかと考えます。また、公社の経営や郵便局の運営に際し、第三者や利用者の声を反映させるシステムをつくるべきではないかと思います。これらについて、総務大臣の御見解をお伺いいたします。
 また、全国ネットワークの中で、特定郵便局の果たす役割や情報、地域交流、福祉の拠点として今後発揮すべき役割を否定するものではありません。
 しかし、参議院選での選挙違反事件に絡んで大量の郵政職員が逮捕される事件が起き、選挙違反の舞台となった特定郵便局のあり方の見直しは不可欠だと思います。局長の多くが世襲制となっていたり、渡切費などの使途不明金が存在していたりと、問題の多い特定郵便局についても改革しなければ、国民の理解は到底得られるものではありません。公社化でどう改革されるのか、総務大臣にお尋ねいたします。
 公社への移行に伴い、新聞や雑誌等に適用している第三種郵便の廃止や点字郵便等第四種郵便の廃止が取りざたされました。しかし、第三種郵便は国民の文化芸術活動を支援する目的から安価な料金に設定されているものであり、地方では、新聞の戸別配達にも大きな役割を担っています。採算が合わないからといって廃止するのは、郵便事業の公共性をみずから放棄するものと言わざるを得ません。
 法案では、制度自体は残りましたが、料金設定は公社にゆだねられており、障害者団体を初め、反対や不安の声が多数寄せられております。今後とも現行料金を維持する考えはないのか、あわせて、政策料金の設定に対し場合によっては国が補てんすることもあり得るのかについて、総務大臣の御見解を求めます。
 総理は、「山の郵便配達」という中国映画をごらんになったことがおありでしょうか。中国・湖南省西部の、交通手段がほとんどない山間地帯を舞台に、集配は一日に約四十キロ、険しい山道を移動し、大きなリュックいっぱいの手紙や新聞や雑誌などを心待ちにする人々のもとへ運び、新たにそこでまた預かり、一度の配達に二泊三日の行程をかけてやっと家に戻るという、本当に過酷な仕事に従事していた郵便配達人が長年の仕事を息子に引き継ぐという、父と子の触れ合いを描いた感動の物語でございます。四季折々変わることなく、また、悪天候もいとわず、心と心の仲介人である郵便配達への信頼は、たとえ国は違っても同じです。
 市民、利用者にとっての利便性を最も重視しつつ、だれのための郵政三事業なのかということをしっかりと肝に銘じ、改革すべきは改革すべきことを訴え、最後に、総理及び総務大臣の郵政事業の将来の姿について思いをお聞かせいただき、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 横光議員にお答えいたします。
 今回の公社化関連法案に対する私の評価についてでございます。
 ようやくここまで来たかという感じです。民間にできることは民間にということに対して皆が賛成するのに、なぜ郵便事業に民間企業を参入させないのか、不思議に思っておりました。
 小包の宅配便事業も、むしろ民間が参入することによって、夜間配達できなかったことが、夜間配達を始めたのは民間が最初じゃありませんか。民間が配達を始めると後から役所が追随する。冷凍食品を配達する、これも民間が最初だったじゃないですか。民間が冷凍食品、生ものを配達できると思って利益を上げる、わかった途端に後から役所が参入してきました。
 いろいろなサービスも、むしろ、小包配達業を見れば、民間が参入したことによって役所のサービスは向上し、なおかつ、民間が料金を下げることによって役所は料金を値上げすることができなくなったのです。なおかつ、民間は、自分のお金で設備投資をし、自分のお金で人を雇い、自分たちの創意工夫を生かして国民のサービス向上に生かしている。私は、民間にできることは民間にという当たり前のことをなぜこれまで反対してきたのか、不思議でなりません。
 私は、今後、この民間参入を進め、さらに、郵政三事業の民営化、特殊法人の改革や財政投融資制度の改革に向けて、本格的な構造改革を進めていきたい。そういう意味においては、本丸の大きな、壮大な官業部門の改革にとりましては、今回の郵便民間参入法案は外堀を埋めたと言っても過言ではないと思います。
 本法案は、与党審査において法案の内容についての了承を得ないまま国会に提出するという異例の方法はとったところでありますが、私は、最終的には、今反対している議員も賛成してくれるということを期待しておりますし、今国会において、議論を尽くし、本法案が成立するように全力を尽くしたいと思っております。
 民間企業の参入の中で、いかにユニバーサルサービスを確保していくかというお尋ねでございます。
 郵便局のサービスは、これまで、全国の各地域において定着し、親しまれてきたものと思います。しかしながら、今や、小包は、全国、離島でも過疎地でも、あらゆるところに民間は配達しております。今回の改正により郵便事業に初めて競争が入ることになりますが、郵便事業も、これまでの蓄積を生かすとともに、さらに一層、民間と切磋琢磨することによって、むしろサービスが向上することを期待しております。
 郵便局の役割についてであります。
 私は、郵便局をなくせなんというのは一言も言っていません。郵便局の地域における役割を否定するものではありませんし、今後、民間の参入により、より多様なサービスが展開されることを期待しておりますし、郵便局の機能の充実発展についても、民営化の問題とあわせて、郵政三事業の在り方について考える懇談会などにおいて、大いに議論していきたいと考えております。
 ニュージーランドのクラーク首相の説明に対する感想でございます。
 確かに、さきの連休に、私はニュージーランドを訪問しました。民間のポストと国営のポスト、両方を見てきました。しかしながら、ニュージーランドと日本とは国情も違いますが、郵政事業の改革については、各国とも重要課題として取り組んでいることを実感しました。
 なお、ニュージーランドは人口が四百万人であります。日本は一億二千万人。しかも、ニュージーランドは、人口よりも十倍以上、羊の数の方が多いんですよ。
 いずれにせよ、それぞれの国にはそれぞれの特徴があるんです。私は、クラーク首相の説明も踏まえ、郵便事業に民間が参入することにより、公社経営も効率化し、結果として国民の利益に資することになると考えております。
 公社化の意義、メリットについてのお尋ねであります。
 私は、民間参入をさせることにより郵便事業にも競争原理が導入されることによって、さらにサービスが向上されることを期待しております。また、公社化により、予算の国会議決などの事前管理から中期的目標管理による事後評価に移行するなど、郵政事業の自律的かつ弾力的な経営が可能となります。これらにより、一層質の高いサービスを国民が享受できることとなると期待しております。
 郵政事業の将来の姿についてであります。
 私自身は民営化すべきという考えを持っておりますが、これについては、いろいろ考え方があります。各方面の御意見を伺いながら、国民の理解と協力を得ることができるような具体案を考えることが私の内閣の責任と考えています。
 このため、公社化で終わりということではなく、今後さらに、特殊法人改革、財政投融資制度改革、郵政三事業の民営化に向けて、各方面からの御意見を聞きながら、この民営化問題については、より具体的な提案を夏ごろまでに取りまとめて、国民の議論を期待していきたいと思います。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣片山虎之助君登壇〕
国務大臣(片山虎之助君) 横光議員から何点かの質問がございましたので、順次お答え申し上げます。
 まず最初に、信書便法案を出す意義は何か、こういうことでございます。
 今回の法案は、全面参入、全国参入できる一般信書便事業だけじゃなくて、高付加価値サービスを提供できる特定信書便事業というのも入れているのです。複数の参入類型を用意いたしておりますし、特定のところを念頭に置いているわけではありませんので、今後、全貌がおわかりになれば、さまざまな民間事業者が参入されて、競争の効果が出てくるのではなかろうか、こういうふうに考えております。
 今回の法案は、これまで郵政事業庁が独占していた信書の送達につきまして、民間事業者も入れることにしましたので、この際、信書についての概括的な定義規定を置いた方がいいのではなかろうかと、これは、法制局とも相談いたしまして、そういう規定を置いたわけでございます。
 具体的な事例につきましては、法律で全部書くというのは不可能でございますから、判例に基づく概括的な規定を置きまして、あと、具体的にこれはどうだということにつきましては、民間事業者や利用者の方に前広に意見を聞いてガイドラインを作成し、明確にいたしたいと思っております。
 それから、国民にとっての公社化の意義、メリットにつきましては、総理から先ほど御答弁がございましたが、基本的には、公社自身は民間的な経営ができる、自由な経営ができる、自律的、弾力的にと法律は書いておりますが、そういう経営が可能になるということでございますし、また、民間参入によりまして、ユニバーサルサービスは確保しながら、郵便事業に競争原理が持ち込まれることによって、競争の質が上がり、多様化するということを考えているわけでございます。
 それから、郵便局の配置を維持すべきではなかろうか、こういうことでございます。
 現在、簡易局まで入れて二万四千七百ございまして、全国すべての市町村に郵便局はあるわけであります。
 この郵便局ネットワークは、百三十年余の歴史を持つ国民共有の資産でございますし、また、生活インフラであると思いますので、今後ともこのよさは残していく、また、郵便事業における競争がこれに加わることによっていろいろな難しい経営上の議論が出ましても、それは努力によってぜひ現在のネットワークを維持していく、こういうことを強く期待いたしているわけでございます。
 次に、いろいろな関連会社や関係公益法人のことについてのお話がございました。
 郵政公社も、特殊法人等の例に倣いまして、事業報告書等におきまして、関連会社、関係公益法人の状況、例えば名称、住所、資本金、事業内容、役員の状況、従業員数あるいは公社との関係等について記載した報告書を出してもらいまして、それを情報開示いたしたい、こういうふうに考えております。
 天下りを禁止すべきではないかということでございます。
 本人がスカウトされる、本人の知識や経験や能力が評価されてのことでございますれば、国家公務員法や閣議決定等の手続に従って適切に対応いたしたい、職員の再就職につきましては、万般そういうふうに考えております。
 それから、第三者や利用者の声を聞くべきではないか、その声を反映させるシステムにすべきではないか。
 そのとおりでございまして、業績評価など重要事項については、国民の代表の皆さんから成る審議会の意見を聞くことにしておりますし、あるいは、中期経営目標や中期経営計画、財務諸表については国会へ御報告させていただきますし、また、先ほども言いましたが、万般についての情報公開も考えておる次第でございます。
 特定郵便局についてのお尋ねがございました。
 先ほどお答えしましたように、特推連につきましては、そのあり方を見直してまいります。また、渡し切り経費につきましては、本年度から廃止いたしました。したがって、公社も、渡切費というやり方はやらない、こういうことでございますが、特定郵便局は少人数で効率的に仕事をし、地域に密着いたしておりますから、そのよさを残しながら、改善すべき点があれば改善していく、こういうふうに考えているわけであります。
 また、局長につきましては、これは、国家公務員法三十六条に基づき、選考によって任用いたしております。今後とも選考方式でやってまいりたい、世襲制ではございませんので、ぜひ御理解を賜りたい、こういうふうに思っております。
 それから、第三種、第四種郵便物の制度につきましては、これが果たしている効用は十分認識いたしておりますので、改正後の郵便法におきましても、引き続き、日本郵政公社が提供すべき郵便物として法定いたしております。制度を法定いたしておりまして、これは維持いたしたい、こう考えておりますが、御指摘ありましたように、福祉として公的な支援、国からの補助等を考えたらどうかという御意見等もございますので、それも一つの方法だと思いますので、十分に研究させていただきます。
 最後に、郵政事業の将来の姿について、こういうことでございます。
 国民生活に不可欠な生活インフラだ、こういうふうに私どもは考えておりまして、このよさは今後とも変わらないし、維持していきたい、こういうふうに思っております。いろいろな御意見、いろいろな状況の変化等もございますが、国民の利益を最大限実現する、こういう観点から国民的な議論の中で方向づけがされるべきものではないかと考えております。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
副議長(渡部恒三君) 西川太一郎君。
    〔西川太一郎君登壇〕
西川太一郎君 私は、保守党を代表し、ただいまの議題に対し、総理並びに関係大臣に質問いたします。(拍手)
 郵政三事業は、国民すべてにひとしく確実な通信手段や貯蓄手段を提供するものとして、国民生活に多大な利便をもたらすと同時に、その資金が、財政投融資等を通じ、我が国社会資本の整備に大きく貢献してまいりました。
 しかし、我が国の経済発展に伴う多様な通信、交通、貯蓄手段の発達に伴う利便性の飛躍的向上などを背景として、郵政三事業は、民業圧迫の視点から、その見直しが叫ばれてきました。小泉総理御自身、その先頭に立っておられたと承知いたしております。
 今回の法案は、郵政事業庁の事業を新公社がそのまま継続する内容となっております。事業を見直すことなく、そのまま継続とした理由について、総理並びに総務大臣の見解を伺います。
 今回の法案は、平成十年六月に成立した中央省庁等改革基本法に基づいております。同法は、郵政事業の公社化、独立採算制、主務大臣の監督は法令で定めるものに限定、企業会計原則の適用、経営計画の策定などの措置を講ずれば、「民営化等の見直しは行わない」と定めております。
 一方、小泉総理は、昨年の自民党総裁選において、郵政公社化後に民営化を検討すると公約され、総裁となられ、そして総理大臣に就任されたわけでありますが、その後、私的諮問機関、郵政三事業の在り方について考える懇談会を発足させ、民営化に向けた議論を進めております。
 総理は、今回の新公社法案の提出により、公社化後の民営化は必要ないと考えておられるのか、それとも、今後とも公社化後の民営化を検討していくのか、改めて見解を伺います。
 公社化の目的は、行革会議の最終報告によれば、企業的な組織・業務運営の実現にあるとされています。一方、公社の職員は国家公務員となっております。新公社の職員が国家公務員では、果たして国民の目線に立ったサービスが行えるのだろうかと懸念いたします。旧国鉄、電電公社も、民営化によりサービスも接客態度も目に見えて改善されてきたことは、私たちのひとしく経験いたしたところであり、このような国民の懸念について総務大臣の見解を伺います。
 さて、来年四月からは、いよいよ、流動性預金、決済性預金のペイオフが完全実施されます。預金者の金融機関選択の目は、大きく変わってまいり、厳しくなります。
 ペイオフの完全実施に伴い、金融機関の経営基盤が比較的弱い地方において、国家保証を背景とした郵貯や郵便振替口座に民間の預金が大量にシフトするおそれが考えられます。金融は経済の血液であり、国民の預金が郵便貯金という形で国に滞留したのでは、経済の活力をそぎ、地域経済の健全な発展に支障を来します。こうした懸念から、民間金融機関は、郵便事業の業務範囲の見直し、貯金の預入限度額の引き下げ、郵便振替口座の利用限度額の設定、都市部における郵便局の増設の凍結等を求めております。
 ペイオフの完全実施と預金の郵便貯金へのシフトの問題、民間金融機関の抱く危惧について、総務大臣並びに金融担当大臣の見解を伺います。
 最後は、民間事業者による信書送達の問題であります。
 政府は、今回の法案において、ユニバーサルサービスの維持と信書の秘密保護の視点から、一般信書事業については、事業計画、信書便差出箱の設置などについて総務大臣の許可制とし、料金の事前届け出制などの厳しい条件を課しております。しかも、信書の定義が抽象的で、行政の裁量にゆだねられております。ユニバーサルサービスと信書の秘密保持を重んずるとしても、郵便事業への民間参入は大変厳しいものがあります。
 政府として、政省令あるいは明確なガイドラインを示す等、民間事業者の参入に道を開く努力をする意思があるか、総務大臣の見解をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 西川議員にお答えいたします。
 新公社の事業と公社化後の郵政事業のあり方についてでございます。
 郵政三事業については、私が昨年、総理大臣に就任した際に、既に、中央省庁等改革基本法において、平成十五年中に、郵政三事業を一体として、国営の新たな公社に移行するということが決まっておりました。この枠組みにのっとり、あわせて郵便事業への全面的な民間参入を図ることとし、今国会に所要の法律案を提出したところであります。
 しかし、これで終わりかということでございますが、私はそう思っておりません。かねてより、私は郵政民営化論者であります。この郵政事業は将来、民営化すべきものという考えに、今もって変わりはありません。いろいろな方々の知恵、御意見を伺いながら、国民の理解と協力を得ることができるような具体案を考えていきたいと思っております。
 このため、公社化で終わりということではなく、郵政三事業の在り方について考える懇談会において、現在、民営化問題を含め、引き続き議論を進めております。夏ごろまでには具体案を取りまとめて、将来の大改革に向けて努力していきたいと思います。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣片山虎之助君登壇〕
国務大臣(片山虎之助君) 西川議員に順次お答え申し上げます。
 最初の質問は、総理に対する質問と同じでございますが、今答弁がありましたように、中央省庁等改革基本法において、「総務省に置かれる郵政事業庁の所掌に係る事務を一体的に遂行する」もの、新公社はそれが仕事だ、こう規定されておりますので、また、私どもの方で委嘱しました研究会も同じ御答申でございますので、こういう形で日本郵政公社法をつくらせていただいた次第でございます。
 国家公務員で大丈夫か、こういうことでございます。
 公社化の中身は、先ほども申し上げましたが、企業的経営手法を導入する、経営の効率化やサービスを一層図る、具体的には、例えば弾力的な人事配置をやる、あるいは任用、登用も競争原理が働くようにやる、あるいは給与制度についても経営の状況や個人の能力が反映するようにする、こういういろいろな工夫をこれからやっていきたいと考えておりまして、今までに公社についてはいろいろな議論がありましたが、この公社は、民間と役所のいいところが合わさったような公社にいたしたい、こういうふうに考えている次第でございます。
 それから、ペイオフの完全実施と郵便貯金へのシフトの問題でございます。
 今、民間の預金で保護されるのは一千万、預金保険で一千万ということでございますが、郵便貯金の方の預入限度額も一千万でございますし、そういう意味で、それぞれの家計がどちらを選択するかは、アンケートをとりますと、利便性、身近にあるからというのが一番多いのですね。そういうことでございまして、郵便貯金のみにシフトしていく、拡大していくということは、必ずしも当たらないのではないかと思っております。
 現に、定額貯金の満期が参りまして、この二年ほどで約二十兆円、郵貯は減少いたしました。現在もなお減少の傾向が続いております。また、民間金融機関の方では、個人の預金残高が大幅にふえているようでございますので、シフト論は必ずしも当たらない、こう思っております。
 郵便振替につきましては、これは、御承知のとおり、送金決済の手段として利用されるものでございまして、滞留するものでないわけであります。したがいまして、ここに例えば利用限度額を設定することは、決済手段としての意味がなくなりますから、これは適切でないと私どもは考えております。
 信書については、たびたび御質問いただきましたが、何度も言いますように、今回新たに、信書の概括的な定義規定を郵便法の中に置かせていただいたわけでありますが、具体的な事例につきましては法律では書き切れませんので、我々は、国民の皆さん、民間事業者の皆さん、あらゆる方々の意見を幅広く聞きましてガイドラインを作成して、それによって明確な範囲をお示しいたしたい、こういうふうに思っている次第でございます。
 以上であります。(拍手)
    〔国務大臣柳澤伯夫君登壇〕
国務大臣(柳澤伯夫君) ペイオフの完全実施と郵貯のもたらす影響についてお尋ねがございました。
 民間金融機関におきましては、ペイオフの実施に備えまして、相殺規定の整備など、さまざまな対応を進めてきているところであります。このようなこともありまして、民間金融機関の預金残高の推移は、地域金融機関を含め、現状において、大きな問題を生じているということはないと認識いたしております。
 一方、郵便貯金の残高は、ただいま総務大臣の御答弁にもありましたように、目下、減少を示しており、現在のところ、郵貯との関係が民間金融機関の活動等に大きな影響を与える要因になっているとは認識いたしておりません。
 しかしながら、預金者の預金の動向については、今後とも注意深く見守ってまいらなければならないと考えておりますと同時に、各民間金融機関が預金者の信頼を得られるよう、私どもとしても適切な検査、監督に努めてまいりたい、このように考えております。
 以上であります。(拍手)
副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時三十三分散会


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