衆議院

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第3号 平成14年10月22日(火曜日)

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平成十四年十月二十二日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第三号
  平成十四年十月二十二日
    午後二時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 特殊法人等改革に関連する諸法案を審査するため委員四十人よりなる特殊法人等改革に関する特別委員会を設置するの件(議長発議)
 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)


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    午後二時三分開議
議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 特別委員会設置の件
議長(綿貫民輔君) 特別委員会の設置につきお諮りいたします。
 特殊法人等改革に関連する諸法案を審査するため委員四十人よりなる特殊法人等改革に関する特別委員会を設置いたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。
 ただいま議決されました特別委員会の委員は追って指名いたします。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続)
議長(綿貫民輔君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。藤井裕久君。
    〔藤井裕久君登壇〕
藤井裕久君 私は、自由党を代表して、小泉総理大臣の所信表明演説に関し所見を申し上げ、総理の御意見を伺いたいと存じます。(拍手)
 小泉内閣は、社会保障、教育、農業など、あらゆる分野で基本的な政策方針を持っていないため、国民生活に大きなひずみが生じる事態となっていますが、今回は、あえて、特に緊急かつ重要な経済と外交に絞って申し上げます。
 日本経済は、今、泥沼に足を突っ込み、ますます深みにはまりつつあります。それは、不況期に緊縮経済政策をとった小泉内閣の失敗に起因していると言わざるを得ません。
 不況期における緊縮経済政策は、過去においてすべて失敗しております。
 古くは昭和初期、世界大不況のさなかに推進した浜口内閣の経済政策であります。私は、剛直な気質の浜口雄幸総理、また、明敏にして理詰めの政策展開を図られた井上準之助蔵相という大先輩を、人間として心から尊敬しています。しかし、その政策が結果として深刻な社会不安を引き起こし、お二人は非業の最期を遂げるに至りました。さらに、それが第二次世界大戦に日本が入っていった大きな経済的要因となったことは、識者のひとしく認めるところであります。
 また、近くは、平成バブル崩壊後の各内閣の政策展開の中に見ることができます。それを株価水準との関連で申し上げたいと思います。株価の水準は、時の政府の政策を反映し、通常六ないし九カ月先の経済情勢を予見しているからです。
 非自民連立の細川、羽田内閣の後期は、株価が二万一千五百円を超えていました。私たち自由党が連立に参加した小渕内閣の最後も、二万八百円を維持していました。それが、平成十二年四月以降、森、小泉内閣を通じて、つるべ落としに六〇%も下落し、当時の四割の水準になってしまったのです。これは明らかに、市場が小泉経済政策への拒否反応を示しているのであり、その基本的、根源的転換の必要性を訴えているのであります。
 不良債権の処理と財政の健全化は、極めて重要な政策課題であります。しかし、実際には、小泉緊縮政策のために、かえって不良債権が増加し、財政は悪化しているのです。この一年間で、全国の銀行の不良債権は九兆六千億円ふえました。しかし、その間、これらの銀行は九兆二千億円の不良債権処理を行っているので、計十九兆円の不良債権がふえたことになります。また、平成十三年度の税収は当初見込みより二兆八千億円減少し、財政をさらに悪化させています。
 不良債権処理と財政健全化を推進するためにも、緊縮経済政策を転換し、実体経済を浮揚させる政策を打ち出すことが不可欠なのであります。
 小泉総理は、ことしの二月、デフレ対策の名のもとに幾つかの政策を出しました。しかし、私はまず、このデフレ対策という言い方がおかしいと思います。不況下の継続的物価下落は、突然、天から降ってきたものではありません。小泉緊縮政策の失敗による結果なのであります。しかも、その内容は、いわゆる三月危機を回避するための証券・金融対策にすぎず、特に日本経済の基盤である中小企業への金融対策は具体策が全くありませんでした。
 平成十四年度予算も、総理の公約である国債発行三十兆円枠が論理的にも実態的にもとっくに破綻しているにもかかわらず、それに縛られて、緊縮が続いています。さらに来年度は、医療費の負担増、雇用保険料と介護保険料の引き上げなどで三兆二千億円もの国民負担増が予定されています。つまり、小泉緊縮経済政策は、すべてデフレ促進策になっているのであります。今月末に取りまとめるという総合デフレ対策も、実体経済浮揚策は望むべくもありません。
 私たち自由党は、日本のあるべき将来像を描きつつ、その実現のために現在の政策を策定しています。私たちの描く新しい日本は、規律ある自由のもとで、みずからの判断に基づき、みずからの行動を律し、その責任をみずからがとる、そういう人々が経済社会の中核になることです。規制社会との決別です。このような人々が日本の主役になるには、何よりも、公共部門の過剰な介入を是正し、人々が自由に活動できる環境をつくらなければなりません。
 小泉総理は、構造改革特区を設置し、地方の特性に応じた規制を実施すると表明されましたが、その考え方は間違いです。全国どこでも、民間の力が自由に発揮できるようにし、経済の原動力を培うべきであります。規制撤廃の本旨を間違ってはいけません。
 税制は、本来、民間の活動の成果を公共部門がどれだけいただき、公共部門でそれをどう使うかを決める仕組みであります。減税は、その意味において、民間の成果をできるだけ民間に残すことであり、典型的な規制緩和の一つであります。減税は、結果として現在の経済対策にも貢献しますが、本来は、あくまで、将来の公共部門と民間部門のあり方として論ずべきであります。
 したがって、当然、恒久減税でなければならず、その財源は歳出削減によって賄われるべきであります。また、減税規模とそれに見合う歳出削減を数年間で計画的に実行する旨を法律によって国民に約束することも重要です。その点、政府・与党が現在検討している減税案は、全く評価に値しません。
 ここで、いわゆる小泉改革が、何の内容もない空鉄砲に終わり、国民の期待を裏切っている問題に触れたいと思います。
 一つは、特殊法人の整理、廃止です。
 その基本原則は、民間で処理できる仕事はすべて民間に任せるということだったはずです。ところが、その結果は、百六十三の特殊法人、認可法人のうち、廃止十七、独立行政法人化三十八、民営化四十五と分類されています。しかも、廃止対象といっても、その実態は独立行政法人への移行であります。
 しかし、この仕組みでは、法人の運営は政府のコントロールから外れるため、国家公務員以上に給与を高くしたり、国から交付される資金の使途について第三者の監視を受けにくくなるなど、むしろ弊害が大きくなることを憂慮せざるを得ません。
 民営化にしても、内容は特殊会社化です。特殊会社の代表例として、兆のオーダーの借入金を持ちながら、ほとんど利益を上げられない関西国際空港株式会社をイメージしていただきたいと存じます。
 すなわち、特殊法人の整理、廃止といっても、何ら、当初の目的の公共部門のスリム化に貢献するものではありません。
 もう一つは、道路特定財源の一般財源化です。
 道路整備の必要性はもちろん否定しませんが、他の社会資本整備あるいは他の公的支出とのバランスを考えていくべきです。小泉総理も一般財源化を公約にしていましたが、政府は早々と、平成十四年度で五兆五千億円もある道路特定財源をそのまま維持しようとしています。スローガンオンリーの小泉改革の代表例と言えましょう。(拍手)
 今、金融問題が大変な議論になっています。
 まず、申し上げなければならないのは、現在の局面において、金融政策そのものは主役でないということです。金融緩和は維持していくべきですが、金融・資本市場には既に多額の余裕資金が供給されています。重要なことは、その資金がスムーズに回る金融秩序の構築、不良債権の処理を積極的に進めることであり、これら資金を有効に活用してもらえる健全な企業を育て、実体経済を強くすることであります。
 そこで、不良債権の処理ですが、そのためには、まず、実体経済を下支えすることが第一です。実体経済の担い手である企業の回復なくして、不良債権の処理はできないからであります。
 債権の審査の厳格化、引当金積み立ての強化、関係者の責任の明確化などが重要であるのは当然ですが、数点申し上げたいことがあります。
 第一に、不良債権の最終処理に当たって、私的整理、つまり債権放棄は文字どおり例外であることを明確にすべきです。経済秩序の原則は公平です。
 例えば、ダイエーのような特定企業に対しては、平成十三年に経団連と全銀協とで決めた債権放棄基準以上に優遇し、中小企業はほとんどその対象にならないというやり方は、公平の原則に著しく反します。特に、中小企業者の債権取り立てにおいて、税務当局の滞納処分でも行われないような、担保に入っていない自宅の売却を強要するといったことは、許されるべきではありません。
 第二に、不良債権を銀行のバランスシートから外す手法についてであります。
 整理回収機構が簿価に近い価格で買い取ることが政府・与党内で議論されているやに聞きますが、それは邪道であります。その段階で銀行の損失が整理回収機構に移転することは明らかであり、安易な納税者負担が行われることを最初から明確にしているようなものなんです。まず金融機関がみずからの努力と負担で対応するという原則を崩してはなりません。
 また、外資系の投資家に債権譲渡が行われることは、これはやむを得ないにしても、我が国の政府系金融機関がそれを特別にサポートし、日本の企業を外国に売り渡す手助けをすることは容認できません。むしろ、日本企業の再生のための政策に重点を置くべきであります。
 この不良債権処理に関連して、公的資金の投入が論ぜられています。
 平成十二年、我が党が与党であった時代に、最終的手段としての公的資金投入の仕組みを変えました。すなわち、従来の個別銀行救済の仕組みはやめて、国家的、地域的に見て金融秩序に支障を来すとき、具体的に言えば、連鎖的な金融機関の倒産や資金不足、大規模な貸し渋りが発生したようなときに限って公的資金の投入を認める仕組みにつくりかえたのです。
 今、行政サイドで金融秩序について正確な情報を把握できる立場にあるのは、金融当局とその最高責任者である総理御自身です。もちろん金融危機対応会議がありますが、これも総理御自身の決断が基本です。
 大切なことは、もしも公的資金投入を総理が決断するのであれば、国民に対して、これは個別銀行対策ではなく、国家的、地域的金融危機への対応であることを明確に説明すべきです。しかも、この仕組みは最終的には国民負担を伴うものですから、そのような事態になったときには、責任の所在を明らかにしていただかなければなりません。
 このような不良債権処理のおくれから、ペイオフ完全実施の延期が決められました。経済をしっかり下支えして不良債権の処理を進めるという、我々の主張する政策を迅速におとりにならなかったツケが回ったものだと言わざるを得ません。
 国際的にも信用を失いました。小泉総理があれだけ延期しないと明言していながら、突如として再度延期すると決めた責任は極めて大きいと存じます。(拍手)
 また、日銀は、銀行の保有株式を購入し、その見合いとして日銀券を発行するという施策を十月から始めましたが、これについても一言申し上げなければなりません。
 総理は、単に日銀の問題としてではなく、政府の重要問題として、その深刻さを十分御理解ください。端的に言って、この施策は、銀行の保有する株式の評価リスクを中央銀行が肩がわりすることを意味しています。従来の金融秩序、常識ではあり得ないことなんです。
 一万円札、千円札などといった日本銀行券は、日銀が所有する資産を見合いに、国民に発行する小切手なんです。その小切手が安心して流通するには、見合い資産に対する信頼がなければなりません。その見合い資産が、時に応じて価格が変わる民間株式でいいんでしょうか。対外的に見れば、円の価値の減少につながりかねません。国内的には、日銀券に対する信用の低下が懸念されます。
 それに対し、最終的には日本政府自身の信用があるからよいではないか、こういう意見もあります。しかし、私は、遠く徳川・元禄時代の経済運営を牛耳った荻原重秀という人の言葉を連想します。すなわち、それは「瓦礫も官府の印を刻めば、これ通貨なり」。つまり、かわらのかけらや小石でも、徳川幕府の判こを押せば通貨だという発想です。物的な担保がなくても、政府の信用のもとに自由に通貨を発行できるという危険な発想につながります。
 浜口内閣の緊縮政策の後、昭和六年末に登場した犬養内閣の高橋是清蔵相も、従来の金融秩序、常識にはない政策をとりました。政府の発行した国債を、市中を通さずに日銀が直接引き受けるという措置です。国債発行に対する市中のチェック機能を停止させたのです。これは異常な経済状況に対する非常手段であり、その後、経済は確かに回復に向かいました。
 この高橋政策と関連させて、今回の措置について、次の二点を指摘します。
 第一は、臨時異例の措置とはいえ、一たん経済社会の中に組み込まれると、深く溶け込み、その悪い側面が拡大しても、その制度をやめることが極めて難しくなるということであります。
 高橋是清は高い見識のある政治家でしたから、当然、その目的を達し、経済が回復基調に向かったとき、日銀引き受け制度をやめるべきだと考えました。実際、昭和十一年、国債の大量発行を前提とした軍事費の削減をし始めました。それが軍部の反発を買い、高橋蔵相は、昭和十一年二月二十六日、世に言う二・二六事件で、陸軍士官の手によって命を奪われたのです。
 その後は、これを是正しようと努力をする政治家もなく、国債の日銀引き受けは第二次世界大戦の軍事費調達の便利な手段として悪用されるに至りました。当然、戦後はその仕組みが廃止されましたが、臨時異例の仕組みといえども、一たんできるともとに戻すことがいかに困難をきわめるかという教訓であります。
 第二に、銀行券見合いの資産は、高橋蔵相のときは少なくとも国債でありましたが、今回は民間株式であり、したがって、日銀券の信用に対する影響はより大きいのであります。
 改めて申し上げますが、これは決して日銀だけの問題ではありません。小泉内閣の重大問題として、謙虚にその影響するところをお考えいただきたいと思います。(拍手)
 次に、外交であります。
 小泉総理は、先月、北朝鮮を訪問して、金正日総書記と会談し、日朝平壌宣言に署名、発表されました。北朝鮮を国際社会に引き出す努力は、特に近隣国として常に行っていかなければなりませんが、今度の日朝首脳会談と平壌宣言は北朝鮮ペースに終始し、小泉外交の甘さと危うさを世界にさらす結果となりました。非常に残念です。
 それは、我が国及び北東アジアの平和と安定についての基本方針を確立しないまま、専ら、初めに国交正常化交渉の再開ありきという、前のめりの姿勢で会談に臨んだからです。国家の名誉と国民の幸福をしょって立つ最高指導者としての断固たる気迫も感じられず、日本人拉致問題を初めとする国家主権の侵害、日本国民の人権侵害に対する激しい憤りや独裁国家の怖さに対する厳しい認識も極めて希薄だったと言わざるを得ません。
 私は、三十年前、田中内閣の内閣官房長官秘書官として、日中、日ソにおける首脳外交の厳しさ、激しさを目の当たりにしただけに、一層その感を深くします。
 一例を申し上げます。
 昭和四十八年、田中・ブレジネフ会談で、ソ連側がシベリアの天然資源の魅力とそれへの経済協力の利益を延々と説いたのに対し、田中総理は、シベリア開発のために来たのではない、自分が国民の期待を担っているのは北方四島の返還だと激しく主張されました。その結果、日ソ共同声明に「第二次大戦の時からの未解決の諸問題」との文言が織り込まれ、それが四島返還問題を含むことで合意したのです。それにもかかわらず、当時のグロムイコ外相は、そのような約束をしていないということを折に触れて述べ続けました。それが現実外交の厳しさです。
 ところが、日朝平壌宣言には、日本の植民地支配に対する謝罪と北朝鮮への経済協力は詳細に明記されているのに、北朝鮮が約束すべき、我が国及び日本国民の平和と安全に関する重要問題については一切、明記されていません。拉致、工作船、核兵器開発を認める言葉さえ書かれていません。既に日本を射程圏内におさめているミサイルの開発、実験、配備の中止も合意されていません。
 こんな一方的な、不平等な宣言に署名し、来る二十九日に正常化交渉を再開するとは、少なくとも日ソ、日中の首脳会談を間近に見てきた私には、到底信じられないことであります。
 日本人拉致問題は、私たち自由党の同僚議員が、自民党議員の激しい怒号を浴びながら国会で初めて追及し、以来、被害者の家族の方々を先頭に取り組んできた懸案なんです。拉致被害者のうち五人の方が今回、日本に帰国し、御家族と二十四年ぶりに再会されたのはまことに喜ばしい限りですが、北朝鮮が一方的に死亡したと通知した八人の方、その他正確な数さえわからない多くの被害者を含め、拉致問題の解決はまだ道筋さえ見えていません。
 北朝鮮の核兵器開発問題も極めて切迫しています。米政府は、十六日の緊急声明で、北朝鮮が九四年の米朝枠組み合意と核拡散防止条約に違反して、極秘裏に核兵器開発を進めていることを認めたと明らかにしましたが、実は、自由党の小沢党首は、既に先月六日、日朝首脳会談に先立って行われた小泉総理との党首会談で、その危険性を繰り返し指摘しているのです。
 私がその党首会談に同席していましたので、あえて明らかにします。席上、小沢党首は、独自の情報分析に基づき、北朝鮮は既に核兵器を保有しており、実戦配備に向けて着々と準備を進めていると指摘し、北朝鮮に全面的な核査察を直ちに受け入れさせるよう総理に強く求めました。しかし、総理はそれに一言もお答えになりませんでした。
 しかも、報道によると、小泉総理は、日朝首脳会談の前に、米政府から直接、核兵器開発の事実を知らされていました。それでも総理は、首脳会談で、その事実を厳しくただすこともせず、核兵器開発の中止を断固迫ることもしませんでした。その上、平壌宣言には、核査察実施の約束はもとより、核査察という文言すら盛り込むことができませんでした。
 北朝鮮にだまされ、金正日総書記にしてやられたと言うしかないのではありませんか。日本と日本国民を切実な危機にさらすことになった責任を、どうか痛切に感じていただきたいと思います。
 拉致問題の完全解決と核兵器など大量破壊兵器の開発、配備の放棄は、国交正常化交渉の最小限の大前提であります。北朝鮮がそれを無条件で受け入れなければ、直ちに交渉を打ち切るよう強く求めます。
 また、イラクの核査察問題に関連して、場合によっては、アメリカが単独でイラクへの武力行使に踏み切ることもあり得ると言われています。しかし、その場合、国連憲章第四十二条に基づく武力行使容認決議がなければ、これまでの国際ルールでは、アメリカの単独行動は国際的に認められません。日本がアメリカと同一行動をとることも認められません。仮にアメリカに行き過ぎがあれば、国際ルールを遵守するようアメリカを説得することが、同盟国、友好国である日本の務めであると思います。
 一方、国連で武力行使容認決議が行われた場合には、我が国も国連の重要な一員として、イラクに対する国際協調行動に参加しなければなりません。
 そのためにも、我が国の外交、安全保障の原則と基本方針を早急に確立する必要があるのです。
 最後に、小泉内閣の一年半を振り返って一言申し上げます。
 小泉内閣は、言葉のみが躍り、結局、何も実を結んでいないと見ている国民が多いと言わなければなりません。既に申し上げましたように、規制撤廃、特殊法人の整理・廃止、道路特定財源の一般財源化など、小泉総理の公約は、ことごとく内容を伴わないものになっています。金融政策でも、ペイオフ延期は全く考えていないとごく最近まで公言されていながら、所信表明演説で、何の説明もないまま、二年延期だけを宣言されました。
 総理の座右の銘は、「信なくば立たず」と伺っています。しかし、スローガンだけが派手なこれまでのやり方では、その「信」が失われ、国民の政治不信は深まる一方だと思います。
 折しも、大島農水相の政務秘書官による公共事業の手数料徴収問題が発覚しました。これも自民党政治の腐敗構造による事件であるにもかかわらず、総理は、そこにメスを入れないばかりか、農水相に事実解明を指示していると、表面を糊塗するだけであります。
 いにしえの中国の皇帝が賢者に政治の要諦をただしたのに対して、その賢者は「治をなすは多言にあらず、力行如何を顧みるのみ」、すなわち、いろいろ言うのが政治ではない、いかに政策を実行するかにかかっていると答えています。これは、古今東西に通ずる政治の基本であります。このことを肝に銘じて難局に当たられるように心から望み、私の所見を終わります。総理の御意見を承りたいと存じます。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 藤井議員にお答えいたします。
 最初に、日本経済が厳しさを増している理由は緊縮財政をとっている小泉内閣の経済政策の失敗に起因しているという御指摘がありました。
 国債三十兆円発行しておりますが、税収が五十兆円もないのに三十兆円国債発行しているこの状況を、緊縮財政をとっているという御批判こそ、私は間違っているんではないかと思っております。
 各国どこでも財政状況に苦しんでおります。EUについても、ユーロに参加するためには特別の財政規律を設けております。そのユーロの基準に合致するために、入ろうとしている国は、または入っている国も、必死に、どうやってサービスに負担する、給付に見合うような負担をするか苦労しているんです。
 今、EUの基準に比較して考えれば、日本は、来年度の予算でも十五、六兆円の国債発行を削減しなきゃならない。それをもって、税収が五十兆円もないのに三十兆円の国債発行をしている中、これを緊縮路線だと言っている意識こそ変えなきゃいけない、改革しなきゃならないと思っております。
 急速に少子高齢化が進展する中で、社会保障制度を持続可能で安定的なものとしていくためにも、給付に見合う負担、これは常に大事なものでありまして、私は、現在の経済停滞というのは、これまでうまく機能してきた経済社会システムが時代の流れに対応できなくなっていることにその根本の原因があると考えております。こうした状況を打破するために、構造改革こそ必要だと思います。
 構造改革特区の、地方の特性に応じた規制という考えではなく、全国的な規制撤廃を行うべきだという御意見であります。
 私は、民業を拡大するという御意見には賛成であります。しかし、現在の全国的な規制改革ということにつきましては、さまざまな御意見もあると承知しておりますが、まずは、今まで、規制改革は必要ない、規制緩和は反対だという意見の中で、地域の実情を考えながら特区構想をして、地域の特性に応じた規制の特例を導入する構造改革特区を導入することによって、私は、将来、全国規模の規制改革の突破口となり得るのではないか、また、構造改革特区構想がその有効な手段ではないかと考えております。
 税制改革についてお尋ねであります。
 本来、税制は、社会共通の費用の財源を分担するためのルールであるとともに、経済社会の活性化にも資するものであります。
 私は、そのあるべき姿の構築に向けて抜本的な改革に取り組んでいます。一層の歳出改革を進めることは当然でありますが、現下の経済情勢を踏まえまして、一兆円を超える、できる限りの規模を目指した減税を先行させる一方、財政規律の観点から、多年度税収中立の枠組みのもとで改革全体を一括の法律案として取りまとめ、次期通常国会に提出したいと考えており、そのための具体案の検討を進めてまいります。
 特殊法人改革についてでございます。
 これは、肥大化した公的部門を縮小し、簡素、効率的、透明な政府を実現するために不可欠の改革でありまして、この点については、目的については、藤井議員とほぼ似たような視点だと思います。
 昨年十二月に閣議決定した特殊法人等整理合理化計画では、すべての特殊法人の事業をゼロベースから見直し、その上で組織形態についても抜本的に見直しを行ったものであり、道路四公団の民営化や住宅金融公庫、石油公団の廃止等、相当踏み込んだ改革内容となっております。引き続き、政府関係金融機関の見直しや民営化の方向について、いろいろ具体化を着実に進めてまいります。
 道路特定財源についてでございます。
 これは道路だけに使う必要がないであろうと。どういうふうに見直すかということについては、今後各般の意見を聞きながら、十五年度予算から反映させていきたいと思います。
 不良債権処理の方法についてでございます。
 不良債権処理を進めるに当たっては、各金融機関は、債務者企業の再生可能性を的確に見きわめ、再建可能な企業については、極力、再生の方向で取り組むことが基本になると考えられます。その際、みずからの経営判断に基づき、債権放棄を伴う私的整理や整理回収機構等への売却などの処理を行うことも重要であると考えております。
 公的資金投入についてでございます。
 公的資金を注入するかどうかは、そのこと自体が目的ではありません。不良債権処理加速の結果として議論されるべきものでありますが、いずれにしても、金融担当大臣の検討を踏まえ、政府として対応したいと考えております。
 ペイオフについてであります。
 不良債権処理、その加速を図るためには、同時に、金融システムの安定と中小企業金融等、金融の円滑化に十分配慮することも必要であります。このような観点から、ペイオフについては、不良債権問題が終結した後の十七年四月から実施することとしたものであります。不良債権処理の加速化という構造改革を強化するものであり、基本方針は全く変更しておりません。
 日銀による株式購入についてでございます。
 今回の措置は、金融機関保有株式の価格変動リスクを軽減し、信用秩序の維持に資することを目的とするものと承知しております。
 なお、日銀券に対する信認維持等の観点については、含み損に対する引当金の計上など適切な措置が講じられており、問題ないものと考えます。
 日朝平壌宣言と日朝国交正常化交渉についてであります。
 北朝鮮側は、拉致問題について、日朝平壌宣言では、「日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題」として、これを遺憾とし、再発防止のための措置をとることを確認しています。また、金正日国防委員長は、首脳会談の場でも、おわびと再発防止の決意を明確に示しました。
 核問題については、日朝平壌宣言において、関連するすべての国際的合意の遵守が確認されております。
 私は、日朝平壌宣言や金正日委員長の発言を踏まえ、日朝間の諸懸案の解決には、国交正常化交渉を再開し、その中で、北朝鮮に日朝平壌宣言に従った誠実な対応を求めることが最も効果的であると考えます。
 北朝鮮の核開発問題と日朝平壌宣言に関するお尋ねです。
 先般の日朝首脳会談においては、金正日国防委員長に対し、核問題を取り上げ、査察の受け入れを含め、責任ある行動をとるよう強く求めました。これに対し、金委員長は、関連するすべての国際的合意を遵守するとしました。この点は日朝平壌宣言に明記されており、この宣言の着実な実施を確保していくことにより、問題解決を図っていく考えであります。
 再開する国交正常化交渉においては、拉致問題とともに、核問題も含めた安全保障の問題、過去の問題、現在の問題、将来の問題を包括的に取り上げ、日本としての立場を明確に主張し、問題の解決に向け最大限の努力を行う考えであります。再開交渉するなという意見には断じて応じることはできません。
 イラクへの対処についてのお尋ねです。
 イラクの大量破壊兵器開発問題は、国際社会共通の問題であります。
 重要なのは、イラクが実際に査察を即時、無条件、無制限に受け入れ、大量破壊兵器の廃棄を含むすべての関連安保理決議を履行することであり、このため、必要かつ適切な安保理決議が採択されるべきであります。我が国は、国際社会と協調しつつ外交努力を継続してまいります。
 スローガンばかりで実行が伴わないという私に対する御指摘です。
 私は、就任以来、発言どおり、着実に改革を進めております。御批判は当たらないと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 志位和夫君。
    〔志位和夫君登壇〕
志位和夫君 日本共産党を代表して、小泉総理に質問します。(拍手)
 私は、まず、総理が構造改革の名で進めている経済政策の二つの重大問題についてただしたいと思います。
 第一は、この大変な不況下で、国民に巨額の負担増を強いる道を進んでいいのかという問題です。
 ことしから来年にかけて、医療費の値上げ、介護保険料の値上げ、年金給付の切り下げ、雇用保険料の値上げなど、社会保障の分野だけで総額三兆円を超える空前の負担増の計画が進められています。
 既に十月から、高齢者の医療費の値上げが強行されましたが、これは、在宅の医療がもう続けられない、窓口負担だけで精いっぱいで薬代が払えないなど、深刻な受診の抑制を全国で引き起こしています。
 加えて、政府の来年度税制改革の方針では、配偶者特別控除や特定扶養控除の廃止・縮小など所得税、住民税の増税、赤字で苦しむ中小企業に重くのしかかる法人事業税への外形標準課税の導入など、庶民・中小企業増税がメジロ押しです。
 この負担増計画を前にして多くの国民が思い出すのは、一九九七年度に橋本内閣によって強行された消費税増税や医療費値上げなど、九兆円の負担増でしょう。これは、当時、弱々しいが回復の途上にあった景気をどん底に突き落としました。さらに、財政も一層の泥沼に追いやりました。
 かわって登場した小渕内閣によって、景気の立て直しという名目で、公共事業への放漫財政、大銀行への巨額の税金投入が野方図に行われた結果、国と自治体の借金は、この五年間で四百九十二兆円から六百九十三兆円へと二百兆円もふえたのです。
 総理、財政が大変だという理由で、不況下で国民に巨額の負担増を押しつければ、経済も財政も共倒れになる、これは橋本内閣の大失政によって既に証明されていることではありませんか。
 さらに、五年前の負担増に比べても、今回の負担増は、国民の所得の大きな落ち込みに追い打ちをかけるという点で、その影響は一層甚大であるということを指摘しなければなりません。
 政府の国民経済計算によれば、九兆円の負担増が強行された九七年度には、雇用者所得は六兆円ふえていました。それでも、それを上回る負担増によって家計は底割れとなりました。しかし、小泉内閣になってからのこの一年間を見ますと、リストラ、倒産、失業が進み、雇用者所得は年間で九兆円も減っているのです。そこに社会保障と増税で数兆円規模での負担増の追い打ちをかけたら、日本経済はどうなるのか。慄然とする結果になるではありませんか。
 総理は、一体、この国民負担増政策が日本経済にどのような影響を及ぼすと認識しているのですか、明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 第二は、不良債権の早期処理というかけ声で中小企業をつぶす道を進んでいいのかという問題です。
 総理は、所信表明演説の中で、日本経済を発展させる潜在力として、東大阪市や東京・大田区など、高度な技術を集積している中小企業を挙げました。しかし、技術の最先端で頑張っている中小企業が、総理が進めている不良債権の早期処理という方針のもとで、どのような状態に置かれているか御存じでしょうか。
 この九月に、野村総合研究所が主催して、東京・大田区でセミナーが行われました。そこで講演した大田区産業振興協会の専務理事の方は、中小企業のやる気を失わせる大きな要因が金融問題であるとして、金融機関が、新製品を開発したり、すぐれた技術を持っている企業の技術評価を行わず、高い金利を押しつけたり、融資を行わない状況があること、中小企業の面倒見のよかった信用組合が昨年十一月に倒産したため、手形の割引さえ困難を来している現状となっていることを報告し、中小企業にとって現在の金融システムは役立たないどころか重石になっている、金融の役割は実体経済をサポートすることであり、決して押しつぶすことがあってはならないと訴えています。総理は、この声にどうおこたえになりますか。
 この一年余、小泉政権の進めてきた不良債権の早期処理という方針のもとで、中小企業への貸し渋り、貸しはがし、金利の引き上げなどが猛烈に進められ、銀行の中小企業向け貸し出しは、一年間で何と三十兆円、総額の一三%も減りました。地域金融を支えてきた信用金庫、信用組合に金融庁が土足で入り込み、五十六もの信金、信組が無理やりつぶされ、多くの中小零細企業の命綱が断ち切られました。
 私は、昨年六月の党首討論で、この方針を強行すれば、「景気を悪くして、ますます不良債権を膨らませることになる。」と強く警告しました。事実はそのとおりになりました。この一年間で、十兆円の不良債権が処理されましたが、新たに二十兆円の不良債権が発生し、総額は三十二兆円から四十二兆円へと十兆円もふえる結果となりました。総理は、こうした悪循環に陥った責任をどう認識されているのでしょうか。
 総理は、所信表明演説で、「不良債権処理を本格的に加速し、平成十六年度には不良債権問題を終結させます。」と述べました。私は、これは、この一年余の経験に照らしても、無謀きわまりない方針だと言わざるを得ません。
 端的に、三点、総理の認識をただしたい。
 一つ。この方針を強行した場合に一体どれだけの新しい倒産と失業が生まれると見込んでいるのですか。UFJ総合研究所の試算では、最大で百六十五万人の失業増という数字もあります。政府として責任を持って明らかにされたい。
 二つ。この方針を強行することによって日本経済にどれだけの不況圧力が加わると認識しているのですか。一層の景気悪化が不良債権の新たな発生をもたらさない保証は一体どこにあるのですか。
 三つ。竹中経済財政・金融担当大臣は、銀行への公的資金の投入も一つのあり得る結果と述べておられますが、総理も同じ見解ですか。中小企業つぶしの政策を加速するために国民の税金を使うというのは、断じて許されるものではありません。
 総理が今強行しようとしている、不況下での巨額の国民負担増、不良債権処理の加速という方針は、双方とも既に大失敗が証明済みの政策です。その教訓を真剣に学び、根本から再検討することを強く求めるものであります。(拍手)
 日本共産党は、深刻な経済危機から国民の暮らしを守り、経済危機を前向きに打開する一歩を踏み出すために、次の四つの緊急要求を提案するものです。
 第一は、社会保障の三兆円の負担増の計画を中止することであります。
 国民の暮らしの支えになるべき社会保障が逆に国民に襲いかかる。この事態は、単に当面の負担増だけではなく、将来不安をひどくし、経済に致命的な打撃を与えます。既に決まったことだからやむを得ないとしないで、また、たとえ社会保障の制度の将来像についての立場の違いはあっても、現在の深刻な経済情勢に照らして、負担増計画の根本からの再検討を行うべきではないでしょうか。
 第二は、庶民や中小企業への増税計画をやめることです。
 国民にとって我慢がならないのは、一方で、所得税、住民税の増税や九割以上の中小企業が増税となる外形標準課税を押しつけながら、他方で、大企業などへの減税計画を進めていることです。庶民から増税で吸い上げ、大企業に減税でばらまくという逆立ちした政策は、根本から改めるべきではないでしょうか。
 第三は、不良債権処理の名による中小企業つぶしの政策を転換することです。
 長期不況で苦境にある企業を不良債権と決めつけて切り捨てるのではなく、内需を活発にし、企業の経営が立ち行くようにしてこの問題を解決することこそ、政治の責任ではないでしょうか。
 また、我が党は、金融機関に地域の住民や事業者の金融上の要望にきめ細かに対応することを義務づける地域金融活性化法案を提案しています。
 米国でも、金融機関に営業地域の資金需要に適切にこたえる責任があることを明記した地域再投資法がつくられています。日本でも同じように、地域金融に責任を負うルールをつくることを提案するものであります。
 第四は、サービス残業を初めとした職場の無法を一掃するとともに、失業者の方々への生活保障を充実させることであります。
 我が党は、当面、少なくとも失業率が三%程度の水準に戻るまでの緊急措置として、雇用保険の給付期間をせめて一年間まで延長し、その財源はリストラで大量に失業者をつくった大企業から特別保険料を徴収するなどして確保すること、雇用保険が切れ、生活が困窮する失業者への生活保障制度をヨーロッパ並みに創設すること、学費などの緊急助成制度、住宅ローンなどのつなぎ融資など、家庭を維持するための制度を創設すること、臨時のつなぎ就労の場を自治体がつくることを提案するものであります。長期不況のもとで不幸にして職を失った人とその家族を社会全体の連帯で支えるために、国は責任を持った対応を行うべきであります。
 我が党の四つの緊急要求を貫いているのは、国民生活の再建なくして日本経済の再建なしという立場であります。そのために必要とされる財源は、来年度予算でも聖域とされようとしている二つの分野、すなわち、わずか三%の削減の上、全体の事業量は減らさないとされている公共事業費、世界第二位の五兆円に上る軍事費にメスを入れることで賄うべきです。
 我が党の提案に対する総理の真剣な検討と見解を求めるものであります。(拍手)
 次に、米国によるイラクへの軍事攻撃の問題について質問します。
 アメリカのブッシュ大統領は、十月七日にオハイオ州シンシナティで行った演説の中で、イラクの政権転換のみが我が国に対する重大な危険を除去する確実な手段であるとして、そのために軍事行動が必要になるかもしれないと、イラクへの先制攻撃を辞さないことを世界に向かって宣言しています。
 日本共産党は、この間、戦争回避と平和解決のための独自の外交活動に取り組んできました。
 中国の江沢民総書記、ベトナムのマイン書記長と我が党の不破哲三議長との会談では、イラク攻撃反対での一致点を確認しました。
 さらに、現在、緒方靖夫参議院議員を団長とする我が党の代表団が、中東六カ国、ヨルダン、イラク、エジプト、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタールを歴訪中です。
 我が党代表団と会談したヨルダンのラワーブデ上院第一副議長は、アラブ人には一人としてイラク攻撃を支持する者はいませんと言明しました。我が党代表団は、エジプトのムバラク外務次官、サウジアラビア諮問評議会のアッカース外交委員長とも、イラク攻撃反対での一致点を確認しました。
 さらに、十月十三日に、我が党代表団は、イラクのハマディ国会議長らと会談して、大量破壊兵器に対するイラク政府の立場をただしました。我が党代表は、イラク側のこれまでの対応の中にも、事実を隠したり、他を欺いたりするなどの問題点があったということを率直に指摘し、国際社会に真実を明らかにする積極的姿勢を示すことを強く求めました。これに対して、ハマディ議長らは、八つの大統領宮殿を含むすべての施設、場所への査察を無条件で認めるというイラク政府の立場を言明しました。これは政治的解決に向けての重要な前進です。
 我が党は、引き続き、この問題の平和解決の声が国際政治で多数になるように全力を尽くすつもりであります。
 この立場から、まず、次の二点について総理の見解を求めるものです。
 第一は、イラクへの戦争は、アフガンへの報復戦争とは性格を異にするということについてです。
 我が党はアフガンへの報復戦争にも反対しましたが、あの戦争については、米国への同時多発テロを武力攻撃とみなして、それへの反撃とする議論もありました。しかし、イラク攻撃は事情が異なっています。米国政府は、同時多発テロとイラク政府を結びつけるいかなる証拠も国際社会に示すことができないでいます。テロへの対抗をイラク攻撃の大義名分にする議論は成り立たないと考えますが、まず、この点についての総理の見解をただすものであります。
 第二は、イラクの大量破壊兵器問題の解決についてです。
 この問題で、イラクは、湾岸戦争の停戦に当たっての国連安全保障理事会決議六八七が求めている、大量破壊兵器を廃棄するという義務を果たす責任があります。この点で、十月一日に、国連とイラク政府との間で、一部の大統領関連施設を除くすべての施設の無条件査察再開で合意が達成されたのは重要な前進でした。さらに、十月十三日には、イラク政府は、八つの大統領施設についても無条件で査察を受け入れることを言明しています。そうしますと、イラクへの無条件の査察を実施することに既に障害はないはずであります。
 総理は、所信表明演説の中で、「国連査察官の無条件の復帰を認めるとイラクが表明したことは、解決への第一歩です。」と述べました。これを解決への第一歩と見るなら、それを国連の場で具体化するための日本政府としての外交努力が必要であります。無条件査察を具体化し、査察を実行に移し、この問題の政治的解決を図るよう、日本政府として国連の場で努力すべきではありませんか。
 大量破壊兵器の問題は、あくまで政治的交渉で解決すべき問題であり、戦争に訴えることを選択肢にしてはならない性格の問題だと考えますが、総理の見解を求めるものであります。(拍手)
 ブッシュ政権が九月二十日に発表した米国の国家安全保障戦略では、テロリストやそれを支援する国など米国への敵対者に対しては、必要とあらば米国は先制的に行動すると、国連憲章が明瞭に禁止している先制攻撃の戦略を公言しました。もしもこれが許されるなら、二十一世紀の世界は、法の支配にかわって、恐怖と力が支配する暗たんたるものになるでしょう。
 私は、総理が、イラク攻撃に反対する明瞭な意思表示をこの場で行うことを強く求めます。米国の先制攻撃の戦略に反対することを強く求めます。万一、米国が戦争を引き起こしたとしても、日本は一切の協力を拒否するという言明を行うことを強く求めます。総理が国連憲章に基づく世界の平和秩序を守るという立場に立つならば、これは当然のことであるはずです。明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 また、米国が無法な世界戦略をあらわにしつつあるもとで、その戦争に参戦する有事三法案は、この国会できっぱり廃案にすることを要求するものであります。
 最後に、二十九日に再開される日朝国交正常化交渉についてです。
 九月十七日の日朝首脳会談で、総理が国交正常化交渉を再開する決断をしたことに対して、私は、翌日の党首会談で、首相の決断は重くつらいものがあったと思うが、交渉なしに改善が図られないという立場からの決断を強く支持すると表明しました。
 我が党は、一九九九年の国会において、当時の日朝間で深刻化していた軍事的対応の悪循環を打開するためにも、また、ミサイルの問題、拉致の問題、過去の清算の問題など両国間の懸案を解決するためにも、政府間の交渉ルートを開くことを提案してきました。交渉によってこそ問題の解決が図られるというのが、我が党の一貫した立場です。
 拉致問題は、生存が確認された被害者の方々の一時帰国が実現しましたが、生存が確認されていない方々の消息を初め、真相の究明、責任者の処罰、被害者の方々への謝罪と補償などを今後の交渉を通じて解決することを強く求めるものであります。
 昨日、公明党の代表が、拉致問題を利用して、事実をゆがめる、我が党への不当な中傷をこの壇上で行ったことは断じて黙過できません。
 公明党の代表は、我が党を北朝鮮と親密な関係を続けた党であるかのように述べましたが、我が党は、北朝鮮が一九七〇年代に金日成の個人崇拝を押しつけてきたときにも、八〇年代に入って数々の国際的な無法行為を行った際にも、それに最も厳しく批判を貫いた党であります。そのために、朝鮮労働党と我が党の関係は長く断絶状態となっております。
 この問題をあえて取り上げるなら、北朝鮮の国際的に異常な行動が問題になった時期、一九七二年に北朝鮮に党の委員長を団長とする代表団を送り、金日成の個人崇拝に迎合する共同声明を出した公明党の行動こそ反省が求められるのではないでしょうか。
 公明党の代表は、我が党が拉致疑惑という言葉を使ったことを問題にしましたが、当の公明党自身が、首脳会談直前の八月末まで拉致疑惑という言葉を使い続けてきたことをどう説明するのでしょうか。
 拉致問題という深刻な問題を党略の手段に利用するようなやり方は、国民に責任を負う政党として自戒すべきだということをはっきりと述べておきます。(拍手)
 十六日、米国政府によって、北朝鮮が核兵器開発を行っていることを北朝鮮当局者が認めたとの発表がされました。これは、核兵器問題について国際的合意を遵守することを明記した日朝平壌宣言に違反するものです。
 我が党は、地球的規模での核兵器の緊急廃絶を強く求めてきた党であり、この立場から、北朝鮮の核兵器開発にもちろん厳しく反対するものです。
 日本政府は、日朝平壌宣言の合意に基づき、北朝鮮に、核兵器開発を即時中止し、国際機関による査察を受け入れることを今後の交渉の中で強く求めるべきであります。それは、日本国民の安全にとってのみならず、世界の平和に対する我が国の国際的責務でもあります。
 今後の日朝正常化交渉には困難も予想されますが、日朝間の諸懸案が理性と道理をもって解決され、両国関係が敵対から友好に変わることを我が党は強く願ってやみません。この問題についての総理の見解を最後に求めて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 志位議員にお答えいたします。
 不況下に社会保障改革、税制改革、不良債権処理の加速を行うことは経済や財政に悪影響を与えるとの御指摘でございます。
 社会保障制度につきましては、国民の理解と協力を得ながら、今後、給付と負担の見直しを初めとする制度改革が避けられないと考えております。
 一方、税制改革については、持続的な経済社会の活性化を実現するためのあるべき税制の構築に向けて抜本的な改革に取り組むこととし、あわせて、現下の経済情勢を踏まえ、多年度税収中立の枠組みのもとで、一兆円を超える、できる限りの規模の減税を先行させることとしております。
 また、不良債権処理の加速は日本経済の再生に必要なものであり、それに伴う雇用や中小企業への影響に対しては細心の注意を払い、セーフティーネットには万全を期す考えでございます。
 これらの取り組みとあわせ、構造改革を総合的に遂行することにより、国民の将来不安の解消を通じた消費や投資の活性化、金融機能の再生、新規成長分野への資源の投入、都市再生など民間のビジネス機会の拡大による投資拡大、雇用増加、コスト低下などの効果が発現し、民間需要主導の経済成長が実現されるものと考えております。
 中小企業金融についてでございます。
 やる気と能力のある中小企業が破綻する事態を回避するため、今月末を目途に、信用補完制度の充実など、実効ある資金供給円滑化のためのセーフティーネット策を取りまとめてまいります。
 不良債権について、処理額を上回る新規発生があったことに関するお尋ねでございます。
 十四年三月期の全国銀行の不良債権については、積極的な最終処理により九・二兆円が処理された一方、その残高は四十三・二兆円と、前年度末に比べ九・六兆円の増加となっております。
 しかしながら、これは、厳しい経済情勢の影響があった一方で、金融庁の特別検査などにより、むしろ不良債権の徹底的な洗い出しを行ったこと等によるものであり、悪循環に陥っているとの御批判は当たらないものと考えております。
 不良債権処理の方針についてでございます。
 不良債権処理の加速は、金融機関の収益力の改善や貸出先企業の経営資源の有効利用などを通じて新たな成長分野への資金や資源の移動を促すことにつながるものであり、他の分野の構造改革とあわせて実施することにより、日本経済の再生に資するものと認識しております。
 政府としては、国民に不安を与えることのないよう、不良債権処理の加速に伴う雇用や中小企業経営への影響に対しては細心の注意を払い、セーフティーネット策を含む総合的な対応策を取りまとめることとしております。
 なお、公的資金の投入につきましては、不良債権処理の加速の結果として議論されるべきものであると考えます。
 いずれにしても、現在、金融担当大臣が不良債権処理の加速の具体策についてさまざまな観点から検討を行っているところであり、それを踏まえて対応したいと考えております。
 今回の税制改革についてでございます。
 今回の税制改革は、持続的な経済社会の活性化に資する観点から、個人所得課税、法人課税を含む広範にわたる税目について、あるべき税制の構築に向けた改革に取り組むものであり、大企業に減税をするために個人に対する増収措置を検討するというものではございません。
 苦境にある企業への支援についてお尋ねです。
 不良債権処理の加速は日本経済の再生のために必要でありますが、その場合、企業の再生を図るとともに、やる気と能力のある企業の破綻を回避するということは当然重要なことだと思っております。このため、中小企業に対しましては細心の注意を払い、セーフティーネットにも万全を期す考えでございます。
 共産党の提案する地域金融活性化法案、米国の地域再投資法についてのお尋ねがございました。
 金融機関の融資業務等は、基本的には自主的な経営判断、すなわち市場メカニズムに従って行われるべきであり、共産党提案のように、一律の基準に基づいて各金融機関の活動を評価すること等については、慎重に考えるべきものと思います。
 また、米国の地域再投資法は、米国の社会経済状況を踏まえて導入、実施されているものであり、同様の制度を我が国に導入することについては、慎重に考えるべきものと思います。
 雇用保険の政策について御意見がございました。
 雇用保険の単なる給付日数の延長は失業者の滞留を招くというおそれもあります。また、企業ごとに保険料を異ならせることは、雇用保険がすべての労使の共同連帯による保険制度であることから、適切ではないと考えております。
 雇用保険が切れた失業者の生活保障については、離職者支援資金の貸し付けを行っているところであります。
 臨時就労の場の提供については、地方公共団体において、緊急地域雇用創出特別交付金を活用し、各地域の実情に応じた、緊急かつ臨時的な雇用・就業機会の創出に既に取り組んでいるところであります。
 学費などの緊急助成制度や住宅ローンなどのつなぎ融資の創設についてでございます。
 保護者の失職や倒産等の家計急変者に対応するため、無利子で貸与を行う緊急採用奨学金を年間を通じて随時受け付けており、現在のところ、希望者に貸与することが十分可能であります。
 また、失業者などの住宅ローンの負担軽減については、住宅金融公庫における返済期間の延長などの特例措置について、その周知徹底を図ってまいります。
 いずれにしても、これらの措置を通じ、雇用におけるセーフティーネットについては政府として万全を期してまいりたいと思います。
 国民生活の再建に必要な予算を確保するため、公共事業費や軍事費にメスを入れるべきではないかとお尋ねでございます。
 公共投資については、「改革と展望」に沿って、平成十四年度の一〇%削減に引き続き、平成十五年度においても三%以上の削減を図ることとしております。
 また、防衛関係費については、現下の厳しい財政事情のもと、経費の効率化、合理化に努めることとしております。
 他方、雇用政策や中小企業施策などの国民生活に関する分野につきましては、セーフティーネットを含む総合的な対応策を今月末に取りまとめることとしており、国民に不安を与えることのないように万全を期したいと思います。
 イラク問題についてでございます。
 重要なのは、イラクが実際に査察を即時、無条件、無制限に受け入れ、大量破壊兵器の廃棄を含むすべての関連安保理決議を履行することであり、このため、必要かつ適切な安保理決議が採択されるべきだと思います。この点について日米の意見は一致しており、我が国は、国際社会と協調しつつ外交努力を継続してまいります。
 なお、米国による軍事行動を予断することは差し控えたいと思います。
 拉致問題についてのお尋ねです。
 政府としては、拉致問題の解決を国交正常化交渉の最優先課題として取り上げていく考えであります。まずは、被害者の方々及び御家族の御意向も踏まえながら事実解明に全力を挙げるとともに、被害者の御家族を伴った帰国についても早期に実現するよう取り組んでまいります。
 その上で、この問題について、今後、北朝鮮に対していかなる対応を求めていくかについては、国交正常化に向けました過程で総合的に検討していく考えでございます。
 北朝鮮の核開発についてでございます。
 国際的な平和と安定、不拡散体制にかかわる問題であるとともに、これは、我が国自身の安全保障にとっても重大な懸念であります。
 我が国としては、アメリカ、韓国、三国連携のもと、日朝平壌宣言に基づき、国交正常化交渉等の場で北朝鮮側に対してその解決を強く働きかけていく考えであります。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
副議長(渡部恒三君) 中西績介君。
    〔中西績介君登壇〕
中西績介君 私は、社会民主党・市民連合を代表し、小泉内閣総理大臣の所信表明に関連して、総理大臣並びに関係大臣に質問をいたします。(拍手)
 まず、朝鮮問題についてであります。
 日朝両国の正常化交渉の歴史を振り返ってみますと、政党が政府間交渉の下準備をして交渉にこぎつけ、政府間交渉で暗礁に乗り上げるということの繰り返しでありました。しかし、それでも、政党レベルの交渉は粘り強く続けられてきました。
 小泉総理の今回の訪朝は、金丸・田辺訪朝団、森前首相を団長とする自社さ訪朝団、国会の全政党が参加した村山訪朝団を初め、政党が積み重ねてきた交渉の成果の上にあるのであって、各政党の努力がなければ、小泉総理の今回の決断もあり得なかったのではないかと思います。
 総理の訪朝によって、北朝鮮が拉致の事実を認め、初めて拉致の一端が明らかになりました。その内容は、極めて悲惨なものであります。拉致被害者の長年の御労苦はもとより、御家族の御心労、御心痛は察するに余りあります。これは国家犯罪であり、主権侵害、人権侵害という許すべからざる行為であります。
 今後、亡くなられたと伝えられている方々のあらゆる情報提供、新たに出てきた拉致の疑いのある人々の確認など、拉致の真相解明が徹底的に行われるよう強く要望するものであります。拉致の真相解明と今後の正常化交渉を進めるに当たっての総理の御決意をお聞かせください。
 拉致事件に関して、社民党は拉致はなかったと言ってきたなどと極めて悪質な中傷を行っている政党や勢力がありますが、社民党がそのような見解を示したことなど全くないということを、この場をかりて強調しておきたいと思います。既に忘れていらっしゃる方もおられるかもしれませんから、あえてつけ加えますが、日本人拉致疑惑の早期解決を求める国会決議を全党一致で採択したのはこの四月だったのであります。
 この間、社民党は拉致問題の真実追及のために何をしてきたかと批判を受けてきました。しかし、一九九七年以降、社民党が参加した与党三党訪朝団や全政党の国会議員が参加した訪朝の場で、幾ら拉致問題についてただしても、北朝鮮側は、拉致の事実はないと否定するだけでした。では、否定されてなお拉致問題を追及し続けたかという点を考えますと、率直に言って、十分ではありませんでした。被害者並びに被害者の家族の皆さんには、大変申しわけなく、力不足を心から謝罪したいと思います。
 先週、北朝鮮が核開発を進めている事実が明らかになりました。これは、九四年の米朝枠組み合意違反であるとともに、日朝平壌宣言における、「双方は、朝鮮半島の核問題の包括的な解決のため、関連するすべての国際的合意を遵守することを確認した。」との合意にも明確に反するものであります。北朝鮮の国際社会に対する裏切り行為は、断じて許せません。直ちに核開発を中止すべきであります。
 北朝鮮の核開発は、北東アジアの安定と緊張緩和に深刻な影響を及ぼすものであり、危機を醸成するものであります。政府が北朝鮮の核開発に対して、即刻中止するよう厳しい姿勢で交渉に臨むのは当然ですが、改めて、交渉再開に臨む総理の決意と、北東アジアにおける緊張緩和と安定を実現していく決意について伺います。
 経済再生に最適な布陣をしいたと大見えを切った第二次小泉改造内閣でしたが、まさにその舌の根も乾かぬうちに、株価はバブル後最安値を更新しました。株式市場に甚大な混乱をもたらした原因は、いまだに行政庁の責任者としての自覚に欠ける竹中金融担当大臣の発言にあったことは周知の事実であります。
 任命者として責任をどのように痛感しておられるのか、また、その資質が問われてしかるべき竹中大臣に対してどのような訓戒等を行ったのか、確たる答弁を求めます。
 さらに、大島農水大臣の政務秘書官の解任問題に象徴される公共事業をめぐる口きき疑惑など、現政権与党の腐敗体質は底なしの様相を見せています。経済無策、政策不在によって、多くの国民が懸命に働いても一向に暮らし向きが改善しない一方で、ぬれ手にアワとばかりに国民の血税に群がるこのような行為が続く限り、国民の政治に対する信頼回復は望みがたいと断ぜざるを得ません。
 総理、大島大臣はあなたみずからの任命で農相に就任したのではないのでしょうか。秘書官を解任すれば事が済むとお考えですか。大島大臣の罷免とあなた自身の任命責任について見解を伺います。
 また、国民の信頼を回復されるよう、最低限、あなた自身が言ってきた、公共事業受注企業からの企業・団体献金の禁止に直ちに着手すべきであります。総理の御決意をいただきたいと思います。(拍手)
 ペイオフについては、二年間の延長を行うことが表明されています。ペイオフの全面解禁の前提は、まず、不良債権処理と不振金融機関の再編整理であり、次いで、預金者の自己責任を問えるだけのディスクロージャーの徹底です。にもかかわらず、この延長期間においてさしたる前進が見られなかったことは、怠慢のそしりを免れません。
 もとよりペイオフは、金融システムの安定を確立するための手段であり、目的たり得ないことは論をまちません。しかし、情報開示についての責任ある提示もないまま、政策変更でもないと強弁する小泉総理の姿勢は、説明責任をなおざりにするものであり、断じて容認できません。
 国民が冷静な判断を行うために不可欠な金融機関の不良債権に関する情報開示のあり方について、そして、ペイオフの延期がなぜ政策の変更でないと言い切れるのかについて、納得できる答弁を求めます。
 銀行等への公的資金再注入を行うに際しては、地域経済を支え続けてきた善良な中小企業等の存続、つまり企業再生を目的意識とする明確な動機づけが欠かせません。つまるところ、自己資本比率の維持など銀行等の健全性確保と不良債権処理を両立させるためには、公的資金の新たな注入が不可避となる事態も想定しなければならないのです。
 しかし、一方で、金融機関が経営責任の追及を恐れる余り、資本注入にみずから手を挙げない現状が存在します。この隘路を切り開くには、預金保険法等を改正し、強制注入が可能となる陣立ての整備等も欠かせないのではないかと考えます。見解をお示しください。
 強制注入を行う際は、地域経済への貢献度、意義ある借り手の保護、経営責任の明確化など、国民の理解と納得が得られるルールを整備しなければなりません。また、地域経済の発展と雇用維持に大きな役割を果たしてきた中小零細企業等にかかわる貸し出しの増加状況などについて、国会に対する説明義務も課す必要があります。その用意があるか否かについて、明確な答弁を求めます。
 大企業向け債権と中小企業向け債権をこれまでと同じ基準でリスク査定すれば、実質的には、中小企業にとって不当に厳しい査定になるのは避けられない。せめて、銀行等が適切なリスク管理体制を整えるまでの間は、従来のリスク基準では直接償却の対象とされる企業であっても、善意かつ善良な中小企業等に限っては、間接償却、つまりは穏やかな処理方法を基本とすべきです。このための条件整備等に政府は迅速に取り組むべきであります。決意をお聞かせください。
 同時に、大手行等が陥りがちな担保資産優先主義とは一線を画し、地域に密着した融資、具体的には、中小零細企業等が有するノウハウ、知的財産、人材など、成長性の芽に着目した融資姿勢を貫いてきた地域金融機関については、その融資姿勢等を勘案した金融庁の資産査定基準を新たに設けることも検討する必要があるのではありませんか。前向きな答弁を求めます。
 いずれにしても、不良債権の抜本的処理は、デフレ不況の深化へと一時的に作用することは確実であり、安全網の整備は焦眉の課題となります。
 有効なデフレ対策と、それに伴う国民生活への副作用を最大限緩和する措置との両立を図るという大命題に目をつぶり、三十兆円枠堅持というメンツ優先の姿勢に小泉政権がこだわり続けるとするならば、それは、日本経済のみならず、国民生活に対する死亡宣告に等しいものになることを肝に銘ずべきであります。
 総理のおひざ元の自民党内ですら、デフレ退治に確実に効く規模の補正予算の早期編成を求める声が強く出されています。ペイオフ延期の際のような言い逃れに終始するのではなく、国民の生活再建、わけても雇用対策最優先の立場から、三十兆円の枠にとらわれない、速やかな補正予算の計上を明言すべきではありませんか。答弁を求めます。
 そこで、具体的な提案をしたい課題があります。
 雇用失業情勢は、中高年層を初めとして危機的状況にあります。この現実は、前年比ほぼ倍増し、九八年から今に至るまで高どまりしたままの、生活苦による自殺者数の推移からも推しはかれます。
 私は、今こそ、セーフティーネットの整備を国策ととらえ、抜本的な雇用対策の充実に取り組むべきと考えます。
 かつて、政府は、エネルギー政策の転換に伴い生じた炭鉱離職者の雇用対策を国策ととらえ、手厚い措置を講じてきました。この対策は、本年三月末をもって一応の終止符を打ちました。しかし、そこで講じられた、例えば炭鉱離職者に炭鉱離職者手帳制度、いわゆる黒手帳を交付し、雇用保険終了後も特別の財源に基づく就職促進手当を支給するなどのきめ細かい支援策は、離職者の円滑な再就職に大きな成果をもたらしてきました。石炭鉱業の合理化が国の方針として推進される中、離職を余儀なくされる炭鉱労働者に対するせめてもの償いの意味も込めた上乗せ措置であったことは、よく知られているところです。筑豊に生をうけ、石炭問題をライフワークの一つとしてきた私には、特に実感を持って受けとめることができます。
 現在、政府は雇用保険制度の見直しを検討中であると承知しております。負担と給付の両面にわたる改革を通じた雇用保険制度の充実はもとより、とりわけ生活が重くのしかかる中高年労働者については、一般財源の積極的な活用を前提に、黒手帳制度に匹敵する万全な雇用対策を国策として行うべきではありませんか。具体的かつ明確な答弁を求めます。(拍手)
 次に、原発検査データ改ざん事件について伺います。
 今回の問題は、ひとり電力会社の問題ではありません。より深刻なのは、原子力安全・保安院が長年にわたってこうした不正を放置し、規制官庁としての役割を全く果たしてこなかったということです。行政が事故隠しにどう関与したのか徹底的な調査を行い、保安院を経済産業省から切り離して再編するなどの抜本的な改革が必要と考えますが、総理の御見解をお尋ねいたします。
 今回の問題が明らかになったのは、定期検査を請け負った米GE社の子会社GEIIの検査担当者の内部告発がきっかけでした。社民党は、内部告発者を保護する法律の制定が必要であると考えますが、御見解をお示しいただきたいと思います。
 事故隠しの発覚後、その原因を厳し過ぎる安全基準に転嫁し、維持基準の導入が解決策とするかのような主張があります。しかし、安全確保の立場に立った公正な原子力規制行政が不在のまま維持基準を導入することは、単に不正を合法化するだけであります。そもそも、法令違反が問題となっている最中に、基準が厳し過ぎるから法令が守れないといった主張は、盗人たけだけしいというものであります。まず、徹底的に実態、原因を調査し、十分な再発防止策を講じ、実効的な安全規制体制をつくることこそ先でなければなりません。
 もとより社民党は、原子力への依存から脱却すべきと訴えてきたところです。私は、代替エネルギーの開発と省エネルギー型の社会への努力を強め、脱原発の道を進むべきだと確信しております。総理のお考えをお示しいただきたいと思います。(拍手)
 教育基本法の見直し問題について申し上げます。
 行き詰まった小泉総理の新保守主義路線が国家主義的な色彩を強め、時代おくれの愛国心をあおるならば、かつての過ちを再び繰り返すことになるということを強く警告しなければなりません。
 この問題は、日本は天皇を中心とした神の国であるという見当違いの発言を行った森前首相の私的諮問機関、教育改革国民会議に端を発するものであり、当初から政治的な意図を持ったものでありました。
 教育に関する最大の問題は、文部行政そのものが教育基本法の具現化を怠ってきたところにあります。教育現場の混乱等を招いてきた戦後文部行政の反省がようやく行われようとしているときに時代錯誤の見直しを行えば、必ずや将来に禍根を残すであろうということを強く指摘しておきたいと思います。(拍手)
 給与法改正問題についてお尋ねします。
 八月八日の人事院勧告に基づく給与法改正案は、公務員賃金を大きく削減するものであり、とりわけ、実質的に四月にさかのぼる減額調整措置については、不利益不遡及の原則に抵触する疑いがあるものとなっています。今回のデフレ下での減額調整は、労働基本権制約という現行の公務員制度の基本的な問題を浮き彫りにしたものであり、基本権回復のための真摯な議論が必要であることを訴えるものであります。
 さて、給与法は、公務員にとどまらず、地域の民間中小・未組織労働者、政府の社会的給付に依存する多くの国民の生活にも大きな影響を及ぼします。まさに、現下の厳しい経済状況のもとで、デフレ状況を加速させ、日本経済の不況をさらに深刻化させる結果にもなりかねません。研究機関も、今回の措置によってGDPの押し下げにつながると指摘しています。
 公務員賃金の大幅削減が現下の深刻な経済情勢に与える影響について、どのように認識されているのですか。デフレ対策を掲げながら、一方でデフレを深刻化させる愚かな政策をなぜ遂行されるのですか。総理並びに竹中経済財政担当大臣の見解を求めます。
 今、米国は、イラク侵攻へ向けた準備を着々と進めています。みずからの価値観を世界に押しつけて一方的に善悪を決めつけ、気に入らないものを軍事力で踏みつぶすという米国の独善的な姿勢が、世界じゅうの反感を買っています。米国が軍事侵攻を始めれば、世界は大混乱となるでしょう。イラク攻撃には断じて協力するべきではないと考えます。
 私は、この際、米国の軍事力に依存した安全保障を根本から見直し、足下のアジアに目を向け、地域の諸国との多極的な安全保障対話システムを構築すべきであることを改めて強く訴えます。
 有事法制をつくり、軍事力により強く依存することは、決して真の安全にはつながりません。平和憲法の理念を生かし、紛争の芽を摘む地道な外交努力の積み重ねこそが真の平和を実現する道であり、有事関連法案は廃案にすべきであることを訴え、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 中西議員にお答えいたします。
 拉致問題と日朝国交正常化交渉についてでございます。
 二十九日に再開する交渉におきましては、まず拉致問題を最優先事項として取り上げる考えであり、真相究明のため、情報の提供を含め、北朝鮮側が日朝平壌宣言の精神と基本原則にのっとって誠実に対応するよう働きかけていく考えであります。
 北朝鮮の核開発についてでございます。
 この問題は、我が国自身の安全保障にとっても重大な懸念であります。我が国といたしましては、日米韓三国で緊密に連携しつつ、日朝平壌宣言の精神に基づき、国交正常化交渉等の場で北朝鮮側に対しその解決を強く働きかけていく考えであります。
 北東アジアの緊張緩和と安定化の決意についてでございます。
 政府としては、北東アジアの平和と安定の確保という観点から、従来より、日米安保体制を堅持しつつ、域内諸国間の信頼醸成を促進するため、二国間及び多国間のさまざまなレベルでの対話を促進すべく努力しております。
 日朝国交正常化交渉におきましても、北東アジア地域の平和と安定に貢献するとの基本的考え方に立って努力してまいります。
 株価の低迷の原因として竹中大臣の責任を問うとの御質問がありましたが、竹中大臣には、先般の内閣改造の際、経済財政政策担当大臣としてマクロ経済とともに、金融担当大臣として金融問題を総合的、一括的に担当してもらうこととしたところであり、不良債権処理を含め、日本経済の再生に向けてその手腕を力強く発揮していただけるものと私は確信しております。
 大島農相の元秘書官の口きき疑惑についてでございます。
 政治と金の問題は、常に政治家が襟を正して当たらなければならない問題であります。大島大臣に対しては、農林水産大臣としての職務に全力を尽くすとともに、事実関係を明らかにして、疑惑を晴らすよう指示しております。
 公共事業受注企業からの企業・団体献金についてのお尋ねであります。
 公共事業受注企業からの献金等について、疑惑を招くことがないような仕組みを考えることが必要と考えております。
 自民党におきましても、現在、有識者懇談会における提言などを踏まえ、各党各会派から幅広い合意が得られる成案の作成に向けて引き続き配慮してまいりたいと思います。
 金融機関の不良債権に関する情報開示とペイオフ延期についてのお尋ねがありました。
 金融機関の不良債権に関する情報開示については、決算期ごとに、国際的に遜色のない基準で開示が行われることが重要だと私も認識しております。
 ペイオフについては、不良債権処理が構造改革を進める上での最重要課題であり、その加速を図るためには、同時に、金融システムの安定と中小企業金融等金融の円滑化に十分配意することも必要であるとの観点から、不良債権問題が終結した後の十七年四月から実施することとしたものであります。これは構造改革を強化するものであり、基本方針は全く変更しておりません。
 公的資金注入論についてのお尋ねです。
 公的資金を注入するかどうかは、不良債権処理加速の結果として議論されるべきものと考えております。
 いずれにしても、現在、金融担当大臣が不良債権処理の加速の具体策についてさまざまな観点から検討を行っているところであり、これをもとに、国民の理解と納得を得られる政策をしっかり取りまとめていきたいと考えます。
 また、不良債権処理についてでございます。
 現在、金融担当大臣が具体策についてさまざまな観点から検討しておりますが、直接償却等による不良債権の最終処理は、銀行の経営の健全化、非効率な企業、部門の効率化を通じて我が国経済の再生に資するものと考えております。その際には、あわせて、中小企業経営への影響には十分配慮し、信用補完制度の充実等、実効ある資金供給円滑化のための政策が必要であります。この政策を含む総合的な対応策を今月末に取りまとめることとしております。
 金融庁の資産査定基準についてでございます。
 金融機関においては、適切な資産査定等を行うことによりその健全性を確保することは、金融機関の規模のいかんにかかわらず、共通の原則であります。
 金融検査マニュアルにおいては、特に中小零細企業等について、その特殊性を総合的に勘案して判断するものとしております。さらに、先般、債務者企業の技術力、経営力等、経営実態のより的確な把握を目的として、「金融検査マニュアル別冊・中小企業融資編」を作成、公表したところであり、現在、その内容を検査の現場や債務者企業などに広く浸透させているところであります。
 補正予算についてのお尋ねであります。
 不良債権処理を加速する一方、国民生活に不安を与えることのないよう、雇用等への影響に対しては細心の注意を払い、セーフティーネットには万全を期す考えであります。しかしながら、この対策に伴って今国会に補正予算を提出することは考えておりません。
 雇用対策について御意見がありました。
 雇用保険については、当面する財政破綻を回避し、将来にわたり雇用のセーフティーネットとしての安定的運営を確保するため、給付と負担の両面にわたる見直しを行ってまいります。
 特に、再就職が厳しい状況にある中高年齢者については、キャリアコンサルタントによる的確な職業相談の実施、民間教育訓練機関等を活用した効果的な職業能力開発の推進、雇用保険の訓練延長給付の適用など、重点的に再就職促進のための対策を講じているところであります。
 今月末に取りまとめる総合的な対応策においても、雇用のセーフティーネットの確保のため万全を期す考えであります。
 原子力発電所の不正記録問題についてでございます。
 今回の事件に関し、原子力安全・保安院の対応に反省すべき点があったことは事実だと思います。
 原子力安全規制については、現在のダブルチェックの体制が有効に機能するものと考えますが、今般の事案が原子力安全に対する信頼性を損なったことを重く受けとめ、申告制度の改善や再発防止のための対策など総合的に検討し、早急に改善策を実行に移してまいります。
 内部告発を保護する法律の制定が必要ではないかということでございます。
 内部告発者の保護については、最近の企業不祥事の多くが善意の情報提供により明らかになったことなどにかんがみ、国民生活審議会において審議を行うこととしておりまして、これを踏まえ、告発者の人権と情報の保護のあり方について必要な措置を講じてまいります。
 維持基準の導入と実効的な安全規制体制に関するお尋ねです。
 原子力発電所に関する今般の事案については、まず、徹底した事実解明を進めるとともに、抜本的な再発防止策を講ずることが必要であります。
 御指摘の維持基準は、供用中の原子力発電設備の構造物にひび割れ等が発生した場合に、安全水準を維持しているかを一定の基準により評価することを事業者に義務づけるもので、安全規制を強化する上で必要な措置であります。
 いずれにしても、総合的な対策を至急講じ、実効的な安全規制体制を確立してまいります。
 脱原発についてのお尋ねでございます。
 我が国は、従来から、天然ガスや新エネルギーなど多様なエネルギーの開発導入や、エネルギー効率の高い機器の導入促進などの省エネルギー対策に積極的に取り組んでまいりました。
 原子力発電は、燃料供給の安定性に加え、発電の際にCO2を発生しないという環境特性を有し、我が国のエネルギー供給において今後も重要な役割を担っていくものと私は認識しております。
 今後とも、一方で代替エネルギーの導入や省エネルギーを進めつつ、安全確保を大前提に、地元の御理解を得つつ、原子力発電を進めていくことが必要だと考えております。
 公務員給与についてのお尋ねでございます。
 国家公務員の給与は、常に社会一般の情勢に適応するように見直しが行われるものとされておりまして、今回の給与水準の改定も、民間における給与実態を踏まえて公務員給与の引き下げを行うべきとする人事院勧告を受けたものであります。
 現下の厳しい経済情勢のもとにおいて、官民の間に生じた給与水準の較差を是正することも必要ではないかと思い、国会に法改正の御審議をお願いしたところでございます。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣竹中平蔵君登壇〕
国務大臣(竹中平蔵君) 中西議員から、二問質問をいただいております。
 公務員賃金削減の経済的影響についてであります。
 今回の公務員給与の引き下げは、民間給与の最近の動向を踏まえ実施するものと承知をしております。これにより、家計消費等にある程度の影響が及ぶことは考えられますが、一方で、公務員給与を含めた歳出面の改革は、中長期の民需主導の持続的成長を実現するために必要なものであるというふうに思います。
 いずれにしましても、今後の経済全体に与える影響については、金融システム安定化策や規制改革、雇用や中小企業などのセーフティーネットを含むいわゆる総合的な対応策等、今後の経済財政運営の中で見ていく必要があると考えておりまして、引き続き、経済情勢全般の中で見きわめていきたいというふうに思っております。
 デフレ対策を掲げる一方で、なぜ公務員賃金の削減を遂行するのかというお尋ねがありました。
 我が国の景気は、一部に持ち直しの動きが見られるものの、環境は厳しさを増しており、政府としては、経済活性化戦略、税制改革、歳出構造改革など、一連の構造改革を推進しているところであります。
 このような中にあって、御指摘のあった今年度の人事院勧告の取り扱いにつきましては、総理の話にもありましたように、民間の賃金、雇用状況が厳しい状況にあることや、人事院勧告を尊重すべき政府のあり方からしまして、勧告どおり給与の改定を行うことが適切であるというふうに考えている次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
副議長(渡部恒三君) 小池百合子君。
    〔小池百合子君登壇〕
小池百合子君 私は、保守党を代表し、さきの総理所信表明演説に対し、質問をいたします。(拍手)
 総理、まずは、訪朝御苦労さまでした。
 せめてもう十年早かったら、これは、北朝鮮による拉致被害家族の一人で、今回帰国されました地村保志さんのお父さん、地村保さんが、九月十七日の記者会見の場で、ため息とともに漏らされた言葉です。もう十年早ければ。我が国の政治、経済について失われた十年という表現がしばしば使われますが、拉致問題にも失われた十年があったかと思うと、拉致や工作船問題という国家主権の侵害に我が国がいかに鈍感であったか、北朝鮮の言いなりであったか、政治の責任、国家としての責任を痛感するところであります。
 女子中学生を拉致し、工作員を送り込み、兵器の部品などの物が日本から流れ、朝銀疑惑に不正送金疑惑、情報は筒抜け。北朝鮮は我が国から、人、物、金、情報、すべての面で奪取し続けてきたのです。
 総理、日朝国交正常化交渉の前に、余りにも危険な隣人、北朝鮮の正常化こそが必要であります。ましてや、みずから核兵器開発の継続をも認めた今、我が国の責務は、二国間のみならず、北東アジア、ひいては世界の平和と安定に寄与するものでなければならず、それだけに、さきの平壌宣言のような、あいまいな言葉の羅列では大きな禍根を残すこととなるのです。
 今やイラクよりも危険との声もある北朝鮮であります。核兵器開発の即時中止と査察を強力に申し入れ、これらに対する北朝鮮側の明確な回答なくしては、さらなる交渉を進めるべきではありません。拉致問題の安否情報に見られるような、ずさんで、到底納得、うのみにできない回答を平気で寄せる北朝鮮を相手に、どこまで毅然と、断固とした外交が貫けるのか、これまでの我が国の外交姿勢を考えると不安も募ります。
 拉致問題も、帰国された五人の原状回復と、死亡と伝えられる八名の本当の安否を含め、政府認定の拉致被害者十三人、推定七十人とも言われます拉致被害者の方々の徹底調査を求めるべきです。それができて初めて、拉致問題の全容解明と言えます。そもそも、帰国された五名をとにかく早く北朝鮮へ送り返そうとする政府の姿勢は理解ができません。総理の御本意を伺います。
 総理は、対北朝鮮への経済支援は、拉致問題が全面解決を見、国交を正常化した後の話だと繰り返し述べておられます。しかし、間接的ながら、北朝鮮への経済支援は既に一兆円規模を超えているのです。総理は御存じなんでしょうか。
 国内の金融機関とはいえ、ずさんきわまりない経理や伝票操作、架空・借名口座は当たり前、金融機関とは名ばかりの朝銀に対し、一兆円の公的資金が使われたのです。北朝鮮の財布がわりとも呼ばれます朝銀をベースに集められた現金は、何と段ボールに詰められて、万景峰号などの船で堂々と北朝鮮に送られていたという証言もあります。その金を原資に核兵器開発などが進められていたとすれば、日本の納税者、国民が怒らない方がおかしい。もしくは、拉致問題同様、これまで国民には余り知らされていなかっただけなのかもしれません。
 問題は、これまでの一兆円に加えて、さらに四千三百億円もの巨額な公的資金が、破綻した朝銀東京の受け皿、ハナ信組に今にも注入されようとしていることであります。国内の先行減税規模が一兆円だ、一兆五千億円だとかまびすしい中で、テロ国家を支える朝銀には一兆円を超えるお金をあっさりとつぎ込む。
 総理、ここは政治決断が必要であります。まじめな在日商工業者を守る方法を打ち出すとともに、テロ組織アルカーイダ関連資金を凍結したように、拉致に加担し、テロ国家北朝鮮への不正送金にもかかわってきたとされる朝鮮総連と深いかかわりを有する朝銀への安易な公的資金注入は中止すべきではありませんか。きょうも、朝銀東京と総連とのかかわりで有罪判決が出たばかりであります。これは、明らかに金融問題を超えて、安全保障の問題であります。総理並びに金融担当大臣の見解をお伺いいたします。
 もう一度繰り返します。既に北朝鮮への経済支援はこの形で行われていると言っていいのです。
 私は、北朝鮮の脅威とは、何をしでかすかわからないという脅威だと感じております。アメリカ国務省の担当者も、北朝鮮との交渉は極めてロジカルではある、しかし、暴発の危険性については否定をしておりません。百基ものノドンミサイルが日本を射程にとらえている現実を踏まえて、真に安全保障、危機管理の観点から、今こそ有事法制の整備が必要であります。
 通常国会からの積み残しでもあります有事関連法案の国会審議に真剣に取り組むための体制をしっかり整えて臨まれるよう、希望いたしております。また、難民対策も早急に具体化すべきと考えておりますが、総理の御所見をお聞かせください。
 そもそも、北朝鮮との国交正常化、その後の朝鮮半島情勢と日本の関係、二十一世紀の北東アジアの姿と日本の役割について、総理はどのような青図を描かれておられるのか、この際、ぜひ伺っておきたいと思います。総理の御答弁を求めます。
 ちなみに、国民の生命と安全を守るためにも必要な有事法制ですが、昭和五十二年の有事法制の研究から既に四半世紀以上、放置されてきました。拉致問題の空白の期間にほぼ匹敵する長さであります。
 興味深いことは、当時から有事法制の整備をかたくなに反対し、今回も有事法制の法案に対して反対してこられた政党に限りまして、北朝鮮の言われるままでありました。百万言を費やしてエクスキューズはされますけれども、家族会の皆さん方の社民党、共産党に対する憤りはすさまじいものがあるのであります。(拍手)
 平和、人権を訴えてこられた皆様方には、北朝鮮こそ人権無視の独裁、軍国主義、全体主義国家と映らなかったのでありましょうか。同じ議会人として猛省を促すとともに、この際、これまでの北朝鮮に関する各政党、政府の言動についての検証の必要性を感じております。(拍手)
 その意味で、民主主義のかけらも、個人としての人民の姿もない金王朝をわざわざ朝鮮民主主義人民共和国と唯一正式名称で伝え、プロパガンダの浸透に加担してきた我が国メディアによる事なかれ主義の責任も問われるべきと考えます。(拍手)
 次に、金融、経済面での失われた十年ですが、総理は、不良債権処理を本格的に加速させると述べられております。長年の懸案であります不良債権処理は、確かに急がねばなりません。と同時に、処理に伴うデフレの加速と企業倒産、失業の増大が心配されます。総合的なセーフティーネットは不可欠であります。また、需要政策なき不良債権処理は、病人の体力をそぎ落とすのみで、死に追いやってしまう危険性をはらんでいます。かえって新たな不良債権をふやす結果となるおそれさえあります。
 そもそも、金融機関の自己資本の充実策も、引当金と融資金利との逆ざやが存在する限り、効果はあらわれません。その方法論が問われています。金融担当大臣の御所見を伺わせてください。
 補正予算について、それはもう古いと総理は喝破されますが、古いからだめだと決めつけるのは一面的過ぎるのではないでしょうか。要は、中身の問題であります。
 少子高齢化や地球環境対策に必要な整備は、むしろ、この際、大いに進めておくべきではないでしょうか。また、東海道、東南海、南海大地震の襲来が科学的根拠に基づいて指摘されている今、積極的に災害対策を準備すべきであります。備えあれば憂いなしです。それとも、むだな公共事業と一刀両断に切り捨てられるのでしょうか。これらの対策の実施は、後世において、小泉さんのときに整備しておいてよかったと語り継がれるかもしれません。
 補正予算への取り組み、また、税収減をどのように対処されるのか、国債発行額を三十兆円に抑えるというスローガンを守られる重要性と日本経済の現実的浮揚とどちらを優先されるのか、総理のお考えをお聞かせください。
 私が危惧することは、デフレ克服のための諸施策、メニューは出そろっていたとしても、国債発行三十兆円という縛りのために、対策が小出しとなり、乏しい結果を招いているという現実であります。総理御自身が所信で述べられた、大胆かつ柔軟に対応すべきときではないでしょうか。総理のお考えをお聞かせください。
 また、早急に総合的な対応策を取りまとめるとしておられますが、一体、どこで、だれが本気で取りまとめられるのでしょうか。これまでのように、経済財政諮問会議、財務省、金融庁、経済産業省、国土交通省等々がそれぞれ縦割りのままでパッチワークのような作業を続け、それに与党各党が不満を漏らす、このような繰り返しでは、今ここにある危機、国難を乗り切れるとは到底思えません。
 かつて、我が国の戦後復興の指針づくりをしたのは、いわゆる安本、経済安定本部でした。日本復興のために必要な政策を総合的にまとめ上げるコアの役割を果たしました。
 総理、ここは平成の安本として、政府各省、与党党首など関係者を一堂に集め、総理がみずから陣頭指揮をとられて、平成の日本復興を目指すべきではないでしょうか。セレモニー的な連絡会議ではなく、議論を出尽くさせ、結論が出るまで総理官邸で寝泊まりするぐらいの覚悟で取り組んでほしいものであります。総理並びに竹中金融・経済財政担当大臣の御見解をお聞かせください。
 特に、税制改革は大テーマであります。これまで、ベンチャーのためのエンゼル税制も、施行後五年たったというのに、実際の利用者は十五件にとどまっております。NPO税制も、制度はあっても、厳格な審査をクリアした団体はごくわずかにとどまっております。もちろん、このような優遇措置の適用が大甘になってはいけませんが、特殊法人や財団による、税金や財投の浪費こそ看過してはなりません。
 大きな看板は上がっていても入り口はまことに狭い、そんな看板倒れの税制は山ほどあります。特に、新たな雇用を生み出す可能性を絞っておいて、何の雇用対策がありましょうか。政策とそれを推し進める税制との一致があってこそ、真の政策実現と言えます。だからこそ、責任者総動員の取り組みが必要と考えますが、総理、財務大臣に伺います。
 次に、注目される高速道路の整備ですが、民営化推進委員会の審議はかなり混乱しているように見受けられます。今後、借入金による高速道路の建設は一切行わない、料金収入を建設には一切活用しないなど、公団にかわる組織による高速道路の建設は行うべきではないともとれる趣旨の発言が聞こえてきます。
 一方、昨年末の特殊法人等合理化計画においては、総理も答弁されておられますように、償還期間五十年を上限としたばかりであります。既存の料金収入を活用した上で一定の高速道路の建設を行うことを前提に閣議決定されたのではなかったのでしょうか。
 今後の投資可能額がどれくらいになるかについては、将来の交通量をシビアに見通すなどの論理的、客観的な検討を加えた上で判断すべきと考えます。道路だけに、議論の渋滞や迷走は困ります。総理のお考えを明確にお示しください。
 最後に、九月十七日、北朝鮮に拉致されたお嬢さん、めぐみさんが亡くなられたことと、お孫さんの存在を同時に知らされて、驚天動地、卒倒してもおかしくない状態にあって、めぐみさんの母、横田早紀江さんがはっきりと述べられた言葉を、めぐみさんの生存を信じつつ、いま一度、心に刻みたいと思います。「めぐみは犠牲になり使命を果たしました。人はいつか死にます。めぐみは濃厚な足跡を残しました。日本の国のために犠牲になって亡くなった若い者たちの心を思ってください。」
 拉致でも、経済、国民生活でも、いざというときに国が守ってくれない、頼りにならない、国民、納税者としてこれほどむなしいことはありません。さらなる失われた十年を繰り返さないためにも、小泉総理の強力で新たなるリーダーシップに期待をし、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 小池議員にお答えいたします。
 質問に加えて激励をいただきまして、ありがとうございます。
 北朝鮮の核開発と拉致問題についてでございます。
 二十九日に再開する正常化交渉におきましては、拉致問題とともに、核問題を含む安全保障上の問題を最優先課題として取り上げる考えであります。核問題を含む安全保障上の問題につきましては、関連するすべての国際的合意の遵守など、日朝平壌宣言に従って諸懸案の解決に向け誠実に対応するよう強く求めていく考えであります。
 帰国日程について御質問がありました。
 この帰国日程は、本人、御家族の御意向を踏まえ決定したものでありまして、本人の意思を尊重する考えであります。とにかく送り返そうという御指摘は当たらないと思っております。
 朝銀信用組合についてのお尋ねでございました。
 いわゆる朝銀も我が国の法律に基づき設立された金融機関でありまして、その破綻処理については、他の国内金融機関と同様のルールにのっとって行われるべきものと考えております。
 ただし、事業譲渡に当たっては、受け皿組合において、経営の透明性、独立性が確保されることが必要と考えております。
 有事法案についての取り組みでございます。
 有事関連三法案については、法案審議に対応する体制を充実させるとともに、国会における議論を通じて幅広い国民の理解と協力が得られるよう努力してまいります。
 難民対策についてでございます。
 難民対策については、内閣官房での関係省庁協議において、早急に手を打つべきものから中長期的な検討を要するものまで、幅広い課題につき検討中でございます。
 一方、難民受け入れの問題は、言語、文化、習慣等の異なる人々とどのように暮らしていくのかという我が国社会のあり方にかかわる問題であり、内閣を中心に必要な検討を行い、国民とともに幅広い視点から検討を重ねていきたいと思います。
 北朝鮮との国交正常化、その後の北東アジアと日本の役割に関するお尋ねでございます。
 私は、でき得れば、現在の日朝間の敵対関係を協調関係にしたいと思っております。そういう観点からこれから国交正常化交渉を進めていきますが、これは、アメリカ、韓国初め関係諸国とも緊密に連携をとってまいりますし、北東アジア地域の平和と安定にも寄与するものと考えております。今後、国交正常化交渉の中で、日朝平壌宣言の約束を誠実に実施するよう、北朝鮮側に強く働きかけていきたいと思っております。
 補正予算及び税収についてのお尋ねであります。
 十四年度税収については、現時点において、具体的な見込みを申し上げられる段階にはありません。今後の税収、企業収益等を含む経済動向を注視してまいりたいと思います。また、災害対策については、今年度の実績を確実に把握するほか、長期的視点から持続的に推進する必要があると考えております。
 したがいまして、現時点において、今国会に補正予算を提出することは考えておりません。
 デフレ対策と三十兆円枠に対する御質問でございます。
 デフレを克服しながら民間需要主導の持続的な経済成長を実現していくためには、政府、日銀一体となって強力かつ総合的な取り組みを行う必要があります。
 もとより、三十兆円枠というのは財政規律の観点から重要なものだと思っております。また、経済は生き物であります。国民に無用な混乱、金融危機を起こさせない等を考えると、必要があれば、大胆、柔軟に必要な金は使うということは当然であります。
 雇用創出につながる税制についてのお尋ねでございます。
 創業、新規開業やNPOを活用する環境整備を図っていくことは、経済社会の活性化の観点から重要な政策課題だと認識しております。こうした観点を踏まえながら、いわゆるベンチャー投資に対するエンゼル税制やNPO税制については、平成十五年度税制改正の中で検討してまいります。
 道路関係の民営化についてのお尋ねでございます。
 高速道路網整備につきましては、昨年末閣議決定を行った特殊法人等整理合理化計画において、日本道路公団には国費は投入しない、償還期間五十年を上限としてコスト引き下げ効果などを反映させ、その短縮を目指すという基本方針のもと、道路四公団にかわる新たな組織が行う新規投資に一定の歯どめをかけつつ、真に必要な道路の建設を進めることとしたものであります。
 道路関係四公団民営化推進委員会は、その設置法において、この閣議決定に基づいて調査審議を行うこととされておりまして、現在、さまざまなデータ等も活用しつつ、精力的な審議が行われているところであります。委員会より提出される最終意見については、これを尊重してまいる考えであります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣竹中平蔵君登壇〕
国務大臣(竹中平蔵君) 小池議員から、三問の質問をいただきました。
 朝銀への公的資金投入に関するお尋ねについては、総理がお答えしましたとおり、朝銀の破綻処理は他の国内金融機関と同様のルールにのっとって行われるべきものと考えておりますが、経営の透明性、独立性を確保するため、受け皿となる新設組合に対し、役員体制について徹底した洗い直しを求めているところでございます。
 不良債権処理とデフレとの関係についてお尋ねがありました。
 日本経済の再生に向け、平成十六年度には不良債権問題を終結させるとの総理の御指示を踏まえまして、現在、プロジェクトチームにおきまして幅広い観点から議論を行っているところであり、こうした議論を踏まえ、金融庁として、近く不良債権処理の加速の具体的な方策を取りまとめたいというふうに思っているところであります。
 この不良債権処理の加速は、短期的にはデフレ圧力を伴う面があると考えられる一方で、金融機関の収益力の改善や貸出先企業の経営資源の有効利用などを通じて、新たな成長分野への資金や資源の移動を促すことにつながるものでありまして、他の分野における構造改革とあわせ実施することにより、日本経済の再生に資するものというふうに認識をしております。
 なお、金融機関の自己資本の充実策についても、現在、プロジェクトチームにおいて議論されているところですが、各金融機関における収益性の向上に向けた努力が重要であるという議員の御指摘は、まさにそのとおりであるというふうに思っております。
 経済政策の取りまとめや運営について、私にもお尋ねがありました。
 デフレ克服に向け政府、日銀が一体となって総合的に取り組むとの方針のもと、金融担当大臣として、金融と産業の一体的再生を図るべく、経済産業省や国土交通省等、関係官庁と連携を密にしながら不良債権処理の加速を図ることが極めて重要であるというふうに認識し、また、そのように行っております。
 また、経済財政政策担当大臣としては、引き続き、経済財政諮問会議におきまして、総理のリーダーシップのもとで政策の取りまとめに努力をしたいというふうに考えているところでございます。
 以上、お答え申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕
国務大臣(塩川正十郎君) 私に対するお尋ねは税制のことでございまして、経済政策と税制が一致しなければ何の意味もないということはおっしゃるとおりでございまして、我々もその努力を重ねていきたいと思っております。
 特に、今回お尋ねの、いわゆるベンチャー創業者税制あるいはNPOの特例税制等につきましては、これは認定要件が非常に厳しいので、私も調べましたら、やはりこれじゃなかなか適用ができないなと思っておりまして、それについてもう少し、実績が重なってまいりましたので、実績を十分に検討して、現在、税制改正のいろいろな議論をしておりますが、その中で研究開発投資減税だとかIT減税の問題を審議しておりますので、その中で十分と、条件を緩和することについて検討をしていきたい、御期待に沿うように努力してまいりたいと思っております。(拍手)
副議長(渡部恒三君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時二十一分散会


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