衆議院

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第4号 平成14年10月29日(火曜日)

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平成十四年十月二十九日(火曜日)
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  平成十四年十月二十九日
    午後一時 本会議
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本日の会議に付した案件
 法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律案(内閣提出)、司法試験法及び裁判所法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時三分開議
議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律案(内閣提出)、司法試験法及び裁判所法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
議長(綿貫民輔君) この際、内閣提出、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律案、司法試験法及び裁判所法の一部を改正する法律案及び学校教育法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を順次求めます。法務大臣森山眞弓君。
    〔国務大臣森山眞弓君登壇〕
国務大臣(森山眞弓君) まず、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 我が国においては、国の規制の撤廃または緩和の一層の進展等の内外の社会経済情勢の変化に伴い、法及び司法の果たすべき役割がより重要なものとなり、多様かつ広範な国民の要請にこたえることができる多数のすぐれた法曹が求められております。この法律案は、このような状況にかんがみ、法曹養成の基本理念並びに法曹養成のための中核的な教育機関としての法科大学院における教育の充実、法科大学院における教育と司法試験及び司法修習生の修習との有機的連携の確保に関する事項その他の基本となる事項を定めることにより、高度の専門的な能力及びすぐれた資質を有する多数の法曹の養成を図ることを目的とするものであります。
 以下、法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、法曹の養成は、国の機関、大学その他の法曹の養成に関係する機関の密接な連携のもとに、法科大学院において、入学者の適性の適確な評価及び多様性の確保に配慮した公平な入学者選抜を行い、少人数による密度の高い授業により、将来の法曹としての実務に必要な学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を涵養するための理論的かつ実践的な教育を体系的に実施し、その上で厳格な成績評価及び修了認定を行うこととするとともに、法科大学院における教育との有機的連携のもとに、司法試験において、裁判官、検察官または弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかの判定を行うこととし、司法修習生の修習において、裁判官、検察官または弁護士としての実務に必要な能力を修得させることを基本として行われるものとしております。
 第二に、法曹の養成に関する国の責務について所要の規定を置くとともに、国または政府が必要な施策等を講じなければならないものとしております。
 第三に、法科大学院の教育の充実に関する大学の責務及び法科大学院の教育研究活動の状況についての適格認定について所要の規定を置いております。
 第四に、法務大臣及び文部科学大臣は、法科大学院における教育の充実及び法科大学院における教育と司法試験との有機的連携の確保を図るため、相互に協力しなければならないものとし、両大臣の関係について所要の規定を置いております。
 次に、司法試験法及び裁判所法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 我が国においては、内外の社会経済情勢の変化に伴い、司法の果たすべき役割がより重要なものとなり、多様かつ広範な国民の要請にこたえることができる多数のすぐれた法曹が求められています。この法律案は、このような状況にかんがみ、法科大学院における教育と司法試験及び司法修習生の修習との有機的連携を図るため、司法試験について、法科大学院の課程を修了した者等にその受験資格を認めることとし、試験の方法、試験科目等を改めるほか、試験の実施等を所掌する機関として法曹及び学識経験者により構成される司法試験委員会を設置する等の措置を講ずるとともに、司法修習生の修習について、その期間を少なくとも一年とすることを目的とするものであります。
 以下、法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、司法試験は、法科大学院課程における教育及び司法修習生の修習との有機的連携のもとに、短答式及び論文式による筆記試験により行うものとし、試験科目等について所要の規定を置いております。
 第二に、司法試験の受験資格について、法科大学院課程を修了した者及び司法試験予備試験合格者が司法試験を受けることができるものとした上で、受験期間、受験回数等について所要の規定を置いております。
 第三に、司法試験予備試験について、法科大学院課程の修了者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定することを目的として行うものとし、試験科目等について所要の規定を置いております。
 第四に、法務省に、裁判官、検察官、弁護士及び学識経験を有する者をもって組織される司法試験委員会を置き、司法試験及び司法試験予備試験を実施するほか、法務大臣の諮問に応じ、司法試験及び予備試験の実施に関する重要事項の調査審議などを行うものとするとともに、司法試験委員会に、司法試験及び司法試験予備試験における問題の作成及び採点並びに合格者の判定を行わせるため、司法試験考査委員及び司法試験予備試験考査委員を置くものとし、所掌事務等について所要の規定を置いております。
 第五に、司法修習生の修習期間を少なくとも一年に短縮するものとしております。
 以上が、この両法律案の趣旨でございます。(拍手)
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議長(綿貫民輔君) 文部科学大臣遠山敦子君。
    〔国務大臣遠山敦子君登壇〕
国務大臣(遠山敦子君) 学校教育法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 大学の特性を尊重するとともに、規制改革の流れを踏まえ、各大学の教育研究水準の向上とそのための主体的な取り組みの促進を図るため、大学の設置認可制度を弾力化し、あわせて、第三者評価制度の導入及び違法状態の大学に対する是正措置の整備を行う必要があります。
 また、大学院において、社会的、国際的に活躍できる高度専門職業人の養成を促進するため、法科大学院などの専門職大学院制度を整備する必要があります。
 この法律案は、このような観点から、第一に、文部科学大臣の認可が必要とされている大学の学部の設置等について、大学が授与する学位の種類及び分野の変更を伴わないなどの場合には認可を要せず、届け出で足りることとするものであります。
 第二に、各大学が、その教育研究水準の向上を図るため、教育研究等の状況について定期的に評価機関による評価を受けることとし、あわせて、これらの評価を行う評価機関に対する文部科学大臣の認証等に関する規定を整備するものであります。
 第三に、違法状態の大学に対する文部科学大臣の措置として、改善勧告等の段階的な是正措置を整備するものであります。
 第四に、大学院の目的として、高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培うことを明らかにするとともに、大学院のうち、これを目的とするものを専門職大学院とし、その修了者には新たな学位を授与することとするものであります。
 このほか、所要の規定の整備を行うことといたしております。
 以上が、この法律案の趣旨であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律案(内閣提出)、司法試験法及び裁判所法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
議長(綿貫民輔君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。大谷信盛君。
    〔大谷信盛君登壇〕
大谷信盛君 民主党の大谷信盛でございます。
 民主党・無所属クラブを代表して、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律案、司法試験法及び裁判所法の一部を改正する法律案、学校教育法の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)
 質問に入る前に、一言申し述べさせていただきます。
 去る十月二十五日、私たちの同僚であります石井紘基衆議院議員が、暴漢に襲われて死去いたしました。この事件は、政治活動を暴力により封殺するという、民主主義への挑戦であり、断じて許すことのできないものであると考えます。
 この場をかりまして、石井紘基衆議院議員の死を悼み、心よりの御冥福をお祈りするとともに、御家族への哀悼の意を謹んで表させていただきます。
 我々は、石井議員が持ち前としていた政官業の癒着に対する強い正義感を受け継ぎ、国会活動に邁進していくことをお誓い申し上げます。(拍手)
 それでは、質問に戻させていただきます。
 この法案は、三権分立の一つである司法を大きく変える内容の法律でございます。
 今日、社会の多様化により、法的紛争の内容も、知的財産権、医療、環境、国際問題など専門化してきております。また、規制緩和が進み、事前ではなく事後規制が中心の社会が到来しつつあり、ますます法的紛争が増大していくものと考えられます。
 しかしながら、我が国の今の司法では、審理のスピードが遅いなど、このままでは適正かつ迅速な紛争処理ができそうにありません。その上、弁護士さんが身近にいない、費用が高いなど、国民にとって利用しにくい司法となっています。国民のだれもが気軽に司法の場でトラブル解決ができる、そんな、泣き寝入りをしない社会をつくっていく必要があると考えます。
 そのためにも、他の先進国に比べて圧倒的に少ない法曹、すなわち、裁判官、弁護士、検察官の質の維持向上と量の増大、弁護士の適正配置、法律扶助制度、権利保護保険、さらには法曹一元制度など、新制度の導入や拡充に向けた議論をさらに活発化していかなければならないというふうに思います。
 法務大臣は、我が国の司法の将来像をどのように考えておられるのでしょうか。どんな手法で、いつまでにその姿を達成しようとしているのでしょうか。また、これまでの司法はどこに不都合があり、その原因は何だったと考えているのでしょうか。法務大臣の所見をお聞かせください。
 司法の将来像実現に向けた法科大学院設立の目的と役割についてお伺いさせていただきます。
 今の司法試験制度では、暗記中心の受験勉強型の一発試験制度であり、試験技術の習得が重視される余り、将来に求められている資質を身につけた法曹が養成しにくい。だからこそ、系統的な教育課程を通じて法曹の資質を身につけつつ、法曹人口の増大を目指していく。そのために、今回の法科大学院を設立できる新しい制度を整えるものと理解をしています。この理解でよろしいのでしょうか。今の法学教育や司法試験制度のどこに不備があり、新たに創設するこの法曹養成システムは何を解決することになるのか、はっきりと明確にお答えいただきますようお願いいたします。
 国民にとって利用しやすい司法とするためには、質の高い法曹の養成と同様に、法曹の適正な配置が必要となってまいります。認可される法科大学院が都市のみに集中することなく、全国に満遍なく分布するような施策は、今回の新制度の中に組み込まれているのでしょうか。法務大臣と文部科学大臣の双方に、この法曹の適正配置に対する考え方をお伺いさせていただきます。
 次に、一番大きな問題だというふうに思いますが、予備試験制度についてお尋ね申し上げます。
 この試験に合格すれば、法科大学院を修了せずとも司法試験を受けることができます。一発試験制度が残る限り、法科大学院には生徒が集まりにくいのではないでしょうか。費用も安く、合格に集中できる予備校に人が流れていく心配があります。学校間競争のため、質の高い教育内容よりも合格率を競う傾向となり、せっかくの法科大学院が予備校化してしまうという可能性が大いにあります。これでは、教育課程を重視して、将来の求められる法曹を養成していく、この新しい制度の理念が損なわれてしまうのではないでしょうか。
 法科大学院修了者と一発試験組の二つのルートで、どちらがすぐれた人材を輩出できるか競争し合い、互いのシステムを強化していくのだという考え方があると聞きますが、法科大学院の理念が損なわれてしまうとするならば、公正な競争にはならないというふうに思います。予備試験はあくまで特例であり、将来の法曹は法科大学院修了者が中心であると考えますが、法務大臣の考えはいかがでございましょうか。
 また、二〇〇六年からの五年間は、新司法試験と従来の司法試験が重なりますが、合格者の割合はどうなるのでしょうか。今回せっかくつくる制度を尊重するならば、大学院修了者が受ける新試験においてこそ合格者が多くあるべきだというふうに考えますが、この点、どうなっていくのでしょうか。
 大学院の中身の質を維持向上させるための制度的担保として第三者評価機関を設置することになっていますが、この機関とは、一体、具体的にどんな機関を想定しているのでしょうか。具体的にだれが、どのような手法で評価をして、この法科大学院の質、中身の維持向上をしていくのか教えてください。また、もし質の伴わない大学院があった場合は、どのようにして改善していくのでしょうか。
 今回の制度では、第三者評価機関の評価にかかわらず、どの法科大学院を修了した人も司法試験の受験資格を持てることになっています。この仕組みについても、大学院の予備校化を招くおそれがあると思います。新制度では、文部科学大臣が大学院に勧告、変更命令をし、改善されない場合は大学院に封鎖命令ができるのでしょうか。また、法務大臣はどんなときに文部科学大臣に対して必要な処置を講じてくださいと求めることができるのでしょうか。それは、大学院修了者の合格率が低い場合を指しているのでしょうか。両大臣にお伺いいたします。
 法科大学院の年間授業料は、私立だとすると二百万円前後、いや、それ以上かもしれないというふうに言われています。とにかく高額です。米国の例を見ると、これ以上に費用がかかるかもしれません。資力のある学生だけの学校にならないようにするために、今の制度の利点である開放性を担保するために、学生と法科大学院、両方への財政的援助策を講じる必要があるというふうに考えますが、大臣はいかがお考えでしょうか。
 今の日本育英会事業の奨学金制度では、借りたい学生全員にお金を貸すことができるような財政規模ではございません。また、修士では月額の上限が二十一万五千円と、法科大学院の学生にとっては不十分なお金しか借りることができません。まずは、育英事業の予算を拡充する、それに加えて、政府系機関が保証をし、学生本人が民間金融機関から貸し付けを受けられるような政府保証型の教育ローンを新たに創設するべきだというふうに思います。提案をさせていただきます。
 大学への財政的支援のためには、予算の組み替えによって、人材育成、人づくりのための教育分野の政策予算をふやすなどの改革をすべきだというふうに考えますが、文部科学大臣、財務大臣の考えはいかがでしょうか。
 新制度の見直し規定は、施行されてから十年後ということになっています。この十年後の根拠とは、一体何なんでしょうか。今回の新制度には法科大学院の理念を損なう可能性がとても大きく、修了生が最初に司法試験を受けることになる二〇〇七年度に見直しをすることが適当ではないかというふうに考えますが、法務大臣のお考えはいかがでしょうか。
 文部科学大臣にお伺いいたします。
 今回の学校教育法の改正案では、専門職大学院の設立が認められることになります。この専門職大学院とは、法科だけを想定しているものなのでしょうか、それとも、他の高度な専門知識を要する業種についても設立を考えてのことなのでしょうか。今後ますます専門化していくであろう高等教育のあり方について、大臣の所見をお伺いしたく思います。
 最後に、大島農林水産大臣に質問いたします。
 今回の法案は、国民の生活を向上さすために司法をどのようにいい方向に導いていくかということを問うた一つの法案でございます。しかしながら、今、三権分立のもう一つの一翼を担う我々が身を置いている立法府への信頼が、政治とお金のスキャンダルによって大きく損なわれつつあります。ことしに入って、四名の国会議員がお金にまつわるスキャンダルで辞職をし、一人の方は逮捕されました。今は、大臣であるあなたの疑惑によって政治不信が増大しつつあります。
 先週の衆参予算委員会においては、自己の調査結果ではそのような事実はないときっぱりと否定をされておられましたが、もしも、新たな調査によって、あなたの前秘書官がお金を受け取ったというような事実が判明した場合、あなた自身が責任をとる覚悟と姿勢があるのでしょうか。改めて、政治不信を払拭していくために、この質問をさせていただきます。
 今回の法案審議を通じまして、司法が国民にとって使いやすい、泣き寝入りをしない社会に近づいていくことを強く祈念申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣森山眞弓君登壇〕
国務大臣(森山眞弓君) 大谷議員にお答え申し上げます。
 我が国司法の将来像等についてお尋ねがございました。
 司法制度改革審議会の意見は、国民各界各層から指摘されている我が国司法の問題点等について検討した上、今般の司法制度改革における具体的な課題について、裁判の充実、迅速化等の国民の期待にこたえる司法制度の構築、国民が必要とする質と量の法曹の確保・向上等の人的基盤の拡充、並びに国民の司法参加等の国民的基盤の確立を三つの柱として明らかにしております。
 そして、その実現のために、内閣に司法制度改革推進本部が設けられました。推進本部では、本年三月に閣議決定された司法制度改革推進計画に従いまして作業を進めております。
 総理も、今般の司法制度改革を、現在、内閣が総力を挙げて取り組んでいる構造改革の基盤をなすものとして、裁判の迅速化、国民に身近な司法の実現を強調されておられるところですが、私といたしましても、新しい社会にふさわしい、国民にとって身近で頼りがいのある司法制度を構築するべく、この改革を力強く推進してまいりたいと思っております。
 法科大学院の目的とその役割についてお尋ねがございました。
 国民生活のさまざまな場面において法曹に対する需要がますます多様化、高度化する一方で、大学における法学教育が法律実務と乖離していることや、現行司法試験の受験者について受験技術優先の傾向が顕著であることなどの問題点が指摘されております。
 こうしたことから、質、量ともに豊かな法曹を養成するため、司法試験及び司法修習との有機的連携のもとに、法曹養成のための中核的な教育機関として法科大学院を設置することとしたものでございます。
 法曹の適正配置についてお尋ねがありました。
 国民にとって利用しやすい司法を実現するためには、身近に法曹が存在することが極めて重要であると考えております。そのため、政府といたしましても、法曹人口の大幅な増加などの具体的措置を講じてまいりたいと考えております。
 司法試験の予備試験についてお尋ねがありました。
 予備試験につきましては、法科大学院修了者と同等の学識、能力等を有するかどうかを判定する試験とし、法科大学院を中核的な教育機関とする新たな法曹養成制度の趣旨に沿った制度設計としております。
 新司法試験と現行司法試験の合格者の割合についてお尋ねがございました。
 司法試験の合否の判定は、各年度における司法試験考査委員の合議により行われるものでございます。新司法試験と現行司法試験のそれぞれの受験者の数や能力の水準が明らかでない現段階におきまして、両試験の合格者の割合を決めておくことは相当ではないと考えております。
 法務大臣と文部科学大臣の関係についてお尋ねがございました。
 新たな法曹養成制度におきましては、法科大学院の修了者に司法試験の受験資格が認められるなど、法科大学院における教育が法曹養成において重要な意義を有することから、司法制度に関する企画及び立案等を所管する法務大臣におきまして、法科大学院について法令違反が疑われる状況が発生したような場合には、文部科学大臣に対し必要な措置を講ずるよう求めることができることとしております。
 見直しの時期についてお尋ねがございました。
 新たな法曹養成制度につきましては、平成二十三年から実施される司法試験予備試験の実施状況等を踏まえた上でその見直しを行う必要があることから、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律が施行された後、十年を経過した場合に検討を加えることとしているものでございます。(拍手)
    〔国務大臣遠山敦子君登壇〕
国務大臣(遠山敦子君) 大谷議員の御質問にお答えいたします。
 議員からは、大きく五点について御質問をいただきました。
 まず、法科大学院の適正配置についてのお尋ねです。
 司法制度改革審議会の意見書において、法科大学院の設置については、適正な教育水準の確保を条件として、関係者の自発的創意を基本にしつつ、全国的な適正配置となるよう配慮することとされております。
 法科大学院は現に全国的な広がりの中で構想されており、我が省としても、適正な教育水準の確保を基本としつつ、適正配置にも配慮しながら、各大学の努力を支援してまいりたいと考えております。
 次に、法科大学院の第三者評価はどのような機関がどのような手法で実施するかについてのお尋ねであります。
 一定基準を満たす機関であれば法科大学院の第三者評価を実施し得るものであり、複数の評価機関が設立され、多様な観点から評価が実施されることがあり得るものと考えております。なお、大学評価に関してこれまで一定の実績をおさめてきた大学評価・学位授与機構等が法科大学院の第三者評価を行うことを検討していると承知しております。
 また、それぞれの評価機関においては、適切な評価基準を定め、評価員として、大学関係者だけでなく、法曹三者等の参画も得、書面調査や実地調査を行うことなど、法科大学院の教育研究活動の状況を的確に評価し得る体制を備えることが重要と考えております。
 また、質の伴わない法科大学院に対する改善についてのお尋ねであります。
 法科大学院につきましては、公表される評価結果によって社会的に評価を受けるだけではなく、その教育研究活動の状況が第三者評価機関の定める評価基準に適合しているか否かの認定を受け、この認定が受けられなかった法科大学院には、文部科学大臣が報告や資料の提出を求め、その結果、法令違反が明らかになれば、改善勧告、変更命令、法科大学院の廃止命令といった是正措置を段階的に講じるという制度設計といたしております。この措置によって、法曹養成の中核的な教育機関である法科大学院の教育水準の維持向上を図り、充実した法曹を輩出することができると考えております。
 さらに、学生と法科大学院への財政支援策についてのお尋ねであります。
 法科大学院への支援や、法科大学院で学ぶ学生に対する奨学金や各種ローンなどの充実については、今後、関係機関などとも相談しながら検討してまいります。
 最後に、専門職大学院についてのお尋ねであります。
 専門職大学院としては、例えば、法科大学院のほかにも、経営管理、知的財産、公共政策などの分野について構想されており、将来的には、より多くの分野で多様な専門職大学院が開設されるものと考えております。
 今後、各種の専門職大学院において、学部段階までに培った能力や経験を基礎として、広く理論と実務をつなげるような実践的な教育を行うことにより、社会のさまざまな分野で指導的な役割を担い、国際的にも通用する高度の専門家が多数養成されることを期待しております。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕
国務大臣(塩川正十郎君) 私に対するお尋ねは、大学教育、特に大学生に対する人材養成の観点からもっと財政的政策を強化しろ、こういうお尋ねでございました。
 現在検討しております十五年度予算編成の中におきまして、政府は四つの重点分野を設定しておりますが、その四分野の中の一つに、人間力向上、それから科学技術の振興ということを重点の一つに入れておりまして、ここに予算の重点配分をいたします。したがいまして、裁量的経費の一部を削減いたしますけれども、こういうようなものをできるだけその四分野に充当したいと思って努力をしておるところであります。
 なお、大谷さんから提案のございました、日本育英会の資金だけでは足らぬではないか、したがって、民間機関によるところの政府保証の制度を考えたらどうだ、こういう御提案でございました。
 現在、日本育英会の資金の充実と、それからあり方について検討いたしておりますが、それと並行して、この問題についての御提案についても考えていきたいと思っております。(拍手)
    〔国務大臣大島理森君登壇〕
国務大臣(大島理森君) 大谷議員の御質問にお答えをいたします。
 前政務秘書官のことが報道されまして以来、できるだけの調査をし、お答えすることがみずからの務めと思ってまいりました。そして、既に国会等で答弁をし、御報告を申し上げてきたところですが、さらに御質問いただいていることがございます。それらについても説明していくことが私の責務であると考えております。
 今後とも、身を律して職務に当たりたいと思っております。
議長(綿貫民輔君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
議長(綿貫民輔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時三十八分散会

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