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第3号 平成15年1月27日(月曜日)

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平成十五年一月二十七日(月曜日)
    ―――――――――――――
  平成十五年一月二十七日
    午後五時 本会議
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成十四年度一般会計補正予算(第1号)
 平成十四年度特別会計補正予算(特第1号)
 平成十四年度政府関係機関補正予算(機第1号)
 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)


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    午後七時三分開議
議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
下村博文君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 平成十四年度一般会計補正予算(第1号)、平成十四年度特別会計補正予算(特第1号)、平成十四年度政府関係機関補正予算(機第1号)、右三案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
議長(綿貫民輔君) 下村博文君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 平成十四年度一般会計補正予算(第1号)
 平成十四年度特別会計補正予算(特第1号)
 平成十四年度政府関係機関補正予算(機第1号)
議長(綿貫民輔君) 平成十四年度一般会計補正予算(第1号)、平成十四年度特別会計補正予算(特第1号)、平成十四年度政府関係機関補正予算(機第1号)、右三案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。予算委員長藤井孝男君。
    ―――――――――――――
 平成十四年度一般会計補正予算(第1号)及び同報告書
 平成十四年度特別会計補正予算(特第1号)及び同報告書
 平成十四年度政府関係機関補正予算(機第1号)及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔藤井孝男君登壇〕
藤井孝男君 ただいま議題となりました平成十四年度一般会計補正予算(第1号)外二案につきまして、予算委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 この補正予算三案は、去る一月二十日本委員会に付託され、二十二日塩川財務大臣から提案理由の説明を聴取し、二十三日から質疑に入り、本日質疑を終局し、討論、採決を行ったものであります。
 まず、補正予算三案の概要について申し上げます。
 一般会計予算については、歳出において、経済・社会構造変革セーフティーネット充実対策費、構造改革推進型公共投資の促進、義務的経費の追加等を行う一方、既定経費の節減、予備費の減額等を行うこととしております。
 また、歳入において、租税及び印紙収入の減収を見込む一方、公債金の増額等を行うこととしております。
 この結果、補正後の平成十四年度一般会計予算の総額は、当初予算に対し歳入歳出とも二兆四千五百九十億円増加して、八十三兆六千八百九十億円となります。
 特別会計予算については、労働保険特別会計、道路整備特別会計など二十二特別会計において、所要の補正を行うこととしております。
 政府関係機関予算については、中小企業金融公庫及び中小企業総合事業団信用保険部門について、所要の補正を行うこととしております。
 次に、質疑について申し上げます。
 質疑は、小泉内閣の財政経済政策に対する評価、中小企業対策及び雇用対策の充実の必要性、デフレ克服への政府の取り組み、イラク問題への我が国の対応、北朝鮮問題、公務員制度改革、政治倫理問題等、国政の各般にわたって熱心な質疑が行われました。
 かくて、本日質疑を終局し、補正予算三案を一括して討論に付しましたところ、自由民主党、公明党及び保守新党を代表して宮本一三君から賛成の意見が、民主党・無所属クラブを代表して細野豪志君から、自由党を代表して中塚一宏君から、日本共産党を代表して矢島恒夫君から、社会民主党・市民連合を代表して横光克彦君からそれぞれ反対の意見が述べられました。討論終局後、採決の結果、平成十四年度補正予算三案はいずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 三案につき討論の通告があります。順次これを許します。米澤隆君。
    〔米澤隆君登壇〕
米澤隆君 私は、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、政府提出の平成十四年度一般会計補正予算、特別会計補正予算及び政府関係機関補正予算に対し、一括して反対する立場で討論を行います。(拍手)
 反対する第一の理由は、小泉政権が、長引く不況の回復はおろか、経済・雇用状況をいよいよ悪化させ、二兆五千億円もの税収不足を招いておきながら、経済失政に対する反省も謝罪もないまま、国民に負担を強要していることであります。
 その上、経済状況は日々悪化しているにもかかわらず、政策当局からは経済に対する危機感がほとんど感じられないのは、これは一体どうしたことか。本院の審議の中でも、経済失政に対する責任や、小泉総理が掲げてきた国債発行三十兆円枠の公約の破棄について、国民に納得のいく、誠意ある答弁はありませんでした。
 小泉総理は、就任以来、平成十三年度一次補正、二次補正、そして、平成十四年度本予算を編成して国の経済運営を担ってこられましたが、見てのとおり、景気は一向に上向いておりません。
 今回の補正予算編成の最大の理由である税収不足は、まさに小泉総理の経済失政によるものなのであります。国民に対する約束を破棄し、国民にさらなる負担を押しつけるのであれば、まず、総理の猛省と謝罪が不可欠であると考えます。
 第二に、本補正予算の内容は、現下の厳しい経済・雇用情勢に対応するには全く不十分であり、予算の使い方が間違っております。
 野党四党は、昨年の臨時国会で、雇用失業対策、中小零細企業対策に重点を置いた補正予算を速やかに編成するよう要求しました。しかし、政府がおくればせながら出してきた補正予算の内容は、効果が期待できないばかりか、利用もされていない失業対策事業にさらに予算を配分する例が見られ、失業者や中小企業にとって十分なセーフティーネットを提供することができておりません。
 不良債権処理の加速でさらに失業者の増加が予想される中、緊急対策として、国民に負担増のない雇用保険財政基盤の安定化対策、非自発的失業者の生活基盤の確保、求職者の能力開発支援制度の改善等に重点を置くべきであります。また、中小企業対策としては、中小企業金融円滑化のための特別信用保証の復活やセーフティーネット保証制度の拡充、ベンチャー企業やNPOの育成支援等を盛り込むべきであります。
 第三に、本補正予算は旧態依然とした公共事業の利権構造を踏襲していると言わざるを得ません。
 都市再生や環境といった体裁のいい題目はついていても、事業の一部を都市部で実施するだけのことで、中身は従来と何ら変わりません。省庁別のシェアが維持されていることが、そのことを明白に物語っております。むだな公共事業を通じて政府・与党がみずからの利権構造を維持するために国民の血税を流用することは、断固として許してはなりません。
 第四に、政府には財政構造改革の姿勢が全くあらわれておりません。
 本来は、公共事業入札の改善や補助金の一括交付金化、天下り解消を含めた特殊法人改革等、大胆な財政構造改革を断行することが先決であります。にもかかわらず、政府は、補正予算で効果の疑わしい事業への歳出を増大させる一方で、その直後には、健康保険三割負担への引き上げ、雇用保険の給付カット、税制改正による大衆課税など、国民への負担増を強要しようとしております。これでは、負担増、将来への不安から消費はさらに低迷し、経済状況は一層深刻になりかねません。
 予算委員会において、我が党の菅直人代表が、小泉総理の公約破り、変節を指摘した際に、小泉総理は、とうとう本音を漏らしました。すなわち、国民に対する約束であり、政治家の命とも言える公約を破っても、「大したことではない。」と発言されました。馬脚をあらわすとはこういうことであります。靖国参拝、国債三十兆円枠、ペイオフ解禁など、次々と公約を破り続けたこと、あたかも当然のことであるかのような振る舞い、これらについて、国民に対して責任をとるつもりがないばかりか、説明する気さえないというのが小泉総理の本音なのでしょう。
 国民は、あすをも知れぬ不安にさいなまれ、日々、危機に直面しながら生活をしております。その中で、国民は、危機脱却の一縷の望みを小泉総理に託し、総理は、この国民の期待を背景に総理の座を射とめました。しかし、いざ総理になってみると、公約を次々と破り、経済をいよいよ悪化させてきました。自民党をぶっつぶすはずが、現実は、国民生活をぶっつぶすことになりつつあるのであります。その上での今回の発言であります。政治家たる責任を放棄し、資格を失ったと我々は断ぜざるを得ません。(拍手)
 予算とは、政治家にとっては公約を具現化したものでありますが、このように国民にうそをつくことを当然とも思っている人が最高責任者として編成した予算を認めることは、断じてできません。よって、私たち民主党・無所属クラブは、補正予算三案に断固たる反対を表明して、討論を終わります。(拍手)
議長(綿貫民輔君) 杉浦正健君。
    〔杉浦正健君登壇〕
杉浦正健君 自由民主党、公明党並びに保守新党を代表いたしまして、ただいま議題となっております補正予算三案につきまして、賛成の討論をいたします。(拍手)
 現在、我が国経済は、バブル崩壊後、長期化する景気の低迷やデフレ経済の悪影響に苦しんでおり、まことに深刻な状況にあります。その中で、日本経済の構造改革を推進し、活力ある経済社会の再生を実現していかなければなりません。そのためには、我が国経済の長引く不振の大きな要因である民間金融機関の不良債権処理を加速し、その抜本的解決を図っていくことが喫緊の課題であります。
 また、不良債権処理の過程においては、失業問題や、中小企業への貸し渋りや貸しはがしといった課題に対応し、国民の痛みにも十分に目を配ることが肝要であります。このため、雇用・中小企業等のためのセーフティーネット構築にも万全を期すべきであると考えます。
 本補正予算は、このような我が国経済の現状と課題に適切に対応しているものと考えます。
 第一に、本補正予算には、雇用・中小企業のセーフティーネット構築のため一・五兆円が計上され、万全のセーフティーネット構築を図る諸施策が盛り込まれております。
 本補正予算には、雇用対策を強化するため、失業者や離職者の再就職を強力に支援するための措置、雇用保険制度の安定的運営を図るための措置等が盛り込まれております。また、日本経済の将来を担うとも言える中小企業への資金供給を円滑化するため、セーフティーネット保証の充実や政策金融の積極的活用等の諸施策が盛り込まれております。
 さらに、我が国の経済社会の変革に備えた新規産業の育成や少子高齢化の進展といった諸課題に関連して、創業、ベンチャー企業への手厚い支援措置や、保育所、介護関連施設等の整備促進等の施策が盛り込まれているところであります。
 第二に、構造改革推進型の公共投資促進のため一・五兆円が計上され、現在のデフレ経済の克服と構造改革の推進を図っていくため、特に効果が高く緊急に実施すべき公共投資が盛り込まれております。
 具体的には、都市再生プロジェクトの推進を図るための都市再生ファンドの創設、魅力ある都市・地方の再生を図るための事業、我が国社会が直面する喫緊の課題である環境問題等への対応を図るための森林育成事業など、重要かつ有効な施策が厳選されて盛り込まれております。
 これらを早期かつ着実に実施していくことが、現在のデフレ経済に対応していく上で、まことに有効であると考えます。
 以上、本補正予算に賛成する理由を申し上げましたが、私は、本補正予算が、我が国経済が早期にその活力を取り戻すため、極めて有効かつ不可欠なものであるとして、賛成の意を表し、ぜひとも本補正予算を速やかに成立させるべきであると考えます。
 また、政府におかれては、補正予算の成立の後、これらの施策を速やかに、かつ確実に実施されますよう、強く要望いたします。
 以上、賛成討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
議長(綿貫民輔君) 樋高剛君。
    〔樋高剛君登壇〕
樋高剛君 私は、自由党を代表して、ただいま議題となりました平成十四年度補正予算三案に、反対の討論を行います。(拍手)
 「綸言汗のごとし」。二千年もの間、指導者が自己の戒めとしてきたこの言葉は、小泉内閣に限っては全く通用しないことが明白になりました。空疎なキャッチフレーズを並べただけのワンフレーズ・ポリティックスは、公約を守ろうとする誠意が全く見られません。しかも、公約を次々と破っていることを指摘されると、総理は、平然と、約束が守れなかったことなどは大したことではないと開き直る。それでは、総理としての資格はありません。
 だからこそ、小泉内閣の政権運営は支離滅裂なのであり、政策の破綻や転換が明らかになっても、責任を一切とらず、国民に説明することさえ放棄しているのです。理念なき政治、理念なき経済運営はこの補正予算審議を通じてここにきわまったと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 以下、補正予算に反対する理由を申し述べます。
 反対の第一は、これまで小泉総理が政治・経済運営についての説明責任を全く果たしていないということであります。
 小泉総理がかねてから主張していた国債発行三十兆円というキャッチフレーズは、この補正予算で名実ともに破綻しました。これまで、我々自由党が、国債発行三十兆円は既に実質的に論理破綻をしていると問いただしても、小泉総理は、守られていると繰り返すばかりでありました。ところが、今回、これが名実ともに破綻に至ったことについて、総理は全く説明責任を果たしておらず、説明のない公約ほごは見逃すことはできません。
 反対の第二は、この補正予算がどのような経済運営の前提の上に編成されているのか、全く理解できないことであります。
 十四年度当初予算は、編成時から小泉総理が携わってきた責任を負うべき政策です。当初掲げていた主張が果たされないのであれば、経済運営の失敗を認め、明確な政策転換を行うべきであります。
 しかしながら、小泉総理御自身は、これについて認めることはありません。経済運営の理念を持たない結果、税収は予想以上に落ち込み、歳出削減といって削った公共事業を簡単にもとに戻す。これを補うために国債を追加発行し、財政はますます悪化する。この悪循環が繰り返されているのであります。これでは、どんなに予算があったとしても、むだ金に終わるだけであり、景気もよくならなければ、財政の健全化も望まれません。
 反対の第三は、この補正予算では、デフレ対策にも、喫緊の景気に対する刺激にもならず、雇用対策も不十分であることです。
 改革加速型公共投資、経済・社会構造変革セーフティーネット充実対策費と、題名は目新しいものでありますが、その中身を見れば、従来型公共投資や現状の政策の追認でしかありません。これまでも、毎年のように補正予算が編成されておりますが、小泉内閣は、その場しのぎの、従来型の自民党的予算編成手法を行っていることに変わりはありません。それでは景気の刺激にも何も役立たないことは、過去の補正予算を見ても明らかなのであります。
 総理は、木の葉の色が変わるのを見て、幹まで変わったということには当たらないと表現して、政策転換には当たらないという趣旨のことを言っておられました。
 我々からすれば、木の葉の色が変わったのは、政策運営の失敗がもたらした結果であります。葉の一枚一枚を国民に例えるならば、その一枚一枚が枯れてしまうような悲痛な叫びを上げているのであり、その幹たる日本の経済社会が腐食の危機にさらされているのであります。この状況を断ち切るためには、小泉内閣が早期に退陣すべきであることを強く主張して、私の反対討論を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
議長(綿貫民輔君) 矢島恒夫君。
    〔矢島恒夫君登壇〕
矢島恒夫君 私は、日本共産党を代表して、二〇〇二年度補正予算三案に反対の討論を行います。(拍手)
 小泉内閣は、構造改革路線のもと、不良債権の処理を加速し、大企業のリストラ支援を進め、社会保障と医療制度の大改悪を進めました。あらゆる分野で国民に痛みを押しつけ、日本経済と景気を一層冷え込ませたのであります。その結果、大不況を招き、二兆五千億円を超える税収不足に至ったのであります。これは、小泉政治の破綻を示すものにほかなりません。(拍手)
 今、なすべきことは、国民生活を守る緊急対策を実行することであります。第一に、社会保障の負担増を中止すること、第二に、庶民への増税計画をやめること、第三に、中小企業つぶし政策を転換すること、第四に、雇用と失業対策を充実すること、この四つの課題を実現することであります。ところが、政府が提案した補正予算は、このような国民が願う方向に逆行するものであります。
 反対する第一の理由は、本補正予算案には、国民の暮らしと営業を守り、冷え込んだ個人消費を温める抜本策が盛り込まれていないことであります。
 景気回復には、GDPの六割を占める個人消費を温めることが不可欠であります。そのため、社会保障の改悪をやめ、四兆円国民負担増を直ちに中止し、暮らしに軸足を置いた経済政策に転換することは、緊急の課題であります。しかし、本補正予算案は、このような国民生活への手厚い対策は何らとっていないのであります。
 反対理由の第二は、本補正予算案が、不良債権処理の加速による中小企業つぶしと失業者の大量増加を大前提としたものだからであります。
 雇用と中小企業の対策について、口先で幾ら安全網の強化充実をうたったとしても、数百万人規模の大量失業者に対応し切れないことは明らかであります。今、雇用・中小企業対策として政府がなすべきことは、本気で大企業のリストラを規制し、失業者の生活支援立法とその予算化を図ること、銀行等による貸しはがしや金利引き上げをやめさせる具体策をとることであります。
 反対理由の第三は、構造改革推進型の公共投資の名のもと、旧来型の大型公共事業を推進し、財政破綻に一層拍車をかけるものとなっていることであります。
 一兆五千億円にも及ぶ公共投資の中心が、採算の見通しが全くない中部国際空港などの拠点空港、むだ遣いとの批判を受けている道路建設、ダム建設です。首相みずからが景気に効果がないと言ってきた公共事業の積み増しであります。
 小泉首相は、本年度当初予算で、公共事業費を一割、額にして一兆円削減し、さらに、道路特定財源から二千億円余りを一般財源化したことを、改革の成果と自慢してきました。しかし、本補正で多大な額を投入することにより、公共事業費がかえって増大したことは明らかではありませんか。一般財源化したはずの道路特定財源が、結局、すべて道路に使われることとなるのであります。こうしたまやかしとむだ遣いの結果、今年度の国債発行額は三十五兆円、国、地方の長期債務残高は七百五兆円にも達する深刻なものとなるのであります。
 以上の反対理由を申し述べ、本補正予算案は直ちに撤回し、国民の暮らしと営業を支援する方向で組み替えるべきことを強く要求し、討論を終わります。(拍手)
議長(綿貫民輔君) 山口わか子君。
    〔山口わか子君登壇〕
山口わか子君 社会民主党・市民連合、山口わか子です。
 私は、社会民主党・市民連合を代表し、提案されている平成十四年度補正予算三案に反対する立場で討論いたします。(拍手)
 今回の補正予算案を提案せざるを得なくなった理由は、十四年度予算で何が何でも小泉総理の公約、国債発行三十兆円枠を守るため、税収を多く見積もり、さらには景気の悪化がそれに拍車をかけ、二兆五千億円もの税収不足が生じてしまったことです。また、当初予算で賄い切れなかった、各省庁積み上げ方式での従来型公共事業に目配りせざるを得なくなったからです。
 あっけなく、構造改革の目玉ともいうべき国債発行枠を返上しただけではなく、本来、厳しさを増すばかりの雇用失業対策、先の見えない経済不況への対応策を講ずべきはずなのに、実際には、ほんの申しわけ程度の配慮しかなされていません。この莫大な税収不足を補うため国債を四兆九千億円も発行するという明らかに小泉内閣の失政は、厳しく問われなければなりません。
 さきの代表質問で、社民党の中川智子議員が、一日に百人近い人たち、それも四十代、五十代の働き盛りの人たちがみずから死を選ぶ異常さ、一千二百万人を超えるパート労働者、非正規労働者の七割が女性であるという実態を訴えて、その対策を総理に迫りました。
 また、この二十日に発表された民間調査機関の報告によると、昨年、二〇〇二年の企業倒産件数は、デフレ不況を背景に一万九千四百五十八件、バブル崩壊後最悪を記録し、今後の見通しとして、銀行の不良債権処理の加速などで件数はさらに増加となっています。
 それにもかかわらず、補正の内容は、雇用・中小企業対策にたったの一兆円しか計上されていません。ますます深刻化する雇用情勢に全くこたえていません。もはや、雇用対策を単なる施策の一つとして位置づけるのではなく、国の最重要課題として取り扱うべきです。
 今回の補正予算案の欠陥は、公共事業に何と一・五兆円も計上していることです。しかも、六十七項目にも及ぶ従来型の公共事業を予算化するという、何ら緊急性もない内容となっています。まず、雇用政策や中小企業対策にその一・五兆円全額を投じても不足するくらいの状況を認識すべきです。
 構造改革なくして景気回復なしという総理のかけ声で進めてきた経済政策の失敗は、今や明らかです。
 本来なら真剣な経済財政論戦がなされるべきさきの代表質問における総理の答弁は、あらかじめ用意された答弁書の棒読みでした。国民に失政を謝罪し、理解を求める真摯な姿勢が全く見られないどころか、失政のツケをすべて国民に押しつけることを恬として恥じない高圧的な答弁に終始し、総理としての説明責任も全く果たしていません。
 また、せめて公共事業受注企業からの献金禁止を求める我が党の横光克彦議員の質問に対しても、法律を幾つつくっても法律に違反する、これはどうしようもないと、まるで人ごとのごとき答弁で、全く総理としての自覚も責任も感じられません。
 国民生活を圧迫する政策に、痛みはもはや限界を超えています。老人医療費の値上げから始まり、健康保険や介護保険料の値上げ、年金や児童扶養手当の引き下げなど、女性や子供、障害者や高齢者など社会的に弱い立場の人たちへの痛みがますます深刻になっている実態を総理は十分に認識すべきです。果たして、この補正予算でどれほどの効果が見込まれるのか、全く見えてきません。
 中身に何ら緊急性もなく、国民の苦痛を和らげるべき処方せんともなり得ない今回の補正予算案に反対し、今や明らかな財政政策の破綻を来した小泉内閣に早期退陣を求め、私の反対討論を終わります。(拍手)
議長(綿貫民輔君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 三案を一括して採決いたします。
 三案の委員長の報告はいずれも可決であります。三案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、三案とも委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
下村博文君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 内閣提出、地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
議長(綿貫民輔君) 下村博文君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
議長(綿貫民輔君) 地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。総務委員長遠藤武彦君。
    ―――――――――――――
 地方交付税法等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔遠藤武彦君登壇〕
遠藤武彦君 ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、地方財政の状況等にかんがみ、地方交付税の総額を確保するため、平成十四年度分の地方交付税の総額について加算措置等を講ずるとともに、同年度に限り、地方税の減収により、適正な財政運営を行うにつき必要とされる財源に不足を生ずると認められる場合に地方債を起こすことができることとする等の措置を講じようとするものであります。
 本案は、去る一月二十四日本委員会に付託され、本日片山総務大臣から提案理由の説明を聴取し、質疑を行い、討論、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
議長(綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
議長(綿貫民輔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後七時四十一分散会


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