衆議院

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第8号 平成15年2月14日(金曜日)

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平成十五年二月十四日(金曜日)
    ―――――――――――――
  平成十五年二月十四日
    午後一時 本会議
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本日の会議に付した案件
 平成十五年度における公債の発行の特例に関する法律案(内閣提出)及び所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時三分開議
議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 平成十五年度における公債の発行の特例に関する法律案(内閣提出)及び所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
議長(綿貫民輔君) この際、内閣提出、平成十五年度における公債の発行の特例に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。財務大臣塩川正十郎君。
    〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕
国務大臣(塩川正十郎君) ただいま議題となりました平成十五年度における公債の発行の特例に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、平成十五年度における公債の発行の特例に関する法律案につきまして御説明申し上げます。
 平成十五年度予算については、活力ある社会経済の実現に向けた予算配分の重点化、効率化、予算執行調査の結果等を活用した経費の節減やコストの見直しなどを行うことにより、歳出改革を一層推進することとし、一般歳出及び一般会計歳出全体について実質的に平成十四年度を下回る水準といたしました。
 しかしながら、引き続き歳入と歳出の差が多額に上るため、財政法の規定による公債のほか、三十兆二百五十億円の特例公債を発行せざるを得ない状況にあります。
 本法律案は、こうした厳しい財政事情のもと、平成十五年度の財政運営を適切に行うため、同年度における公債の発行の特例に関する措置を定めるものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、平成十五年度の一般会計歳出の財源に充てるため、財政法第四条第一項ただし書きの規定による公債のほか、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行することができることとしております。
 第二に、租税収入等の実績に応じて、特例公債の発行額をできる限り縮減するため、平成十六年六月三十日まで特例公債の発行を行うことができることとし、あわせて、同年四月一日以後発行される特例公債に係る収入は、平成十五年度所属の歳入とすること等としております。
 次に、所得税法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 本法律案は、現下の経済財政状況等を踏まえつつ、持続的な経済社会の活性化を実現するためのあるべき税制の構築に向け、国税に関する制度全般にわたり所要の措置を講ずるものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、法人税について、我が国産業の競争力強化のため、試験研究費の総額に係る特別税額控除制度及び情報通信機器等に係る投資促進税制を創設するほか、中小企業技術基盤強化税制の拡充等を行うこととしております。
 第二に、相続税、贈与税について、次世代への資産移転の円滑化に資するため相続時精算課税制度を創設するほか、税率構造の見直し等を行うこととしております。
 第三に、金融・証券税制について、貯蓄から投資への改革に資するため、上場株式の配当及び譲渡所得等に対する税率を軽減する特例制度の創設、上場株式の配当所得に係る申告不要制度の拡充等を行うこととしております。
 第四に、土地・住宅税制について、土地の有効利用の促進に資するため、不動産に係る登録免許税の負担の軽減を図るほか、税率格差の是正など同税の全般的な見直しを行うこととしております。
 第五に、所得税について、人的控除の簡素化等の観点から、配偶者控除に上乗せして適用される部分の配偶者特別控除を廃止することとしております。
 第六に、消費税に対する信頼性、透明性を向上させるため、事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用上限の引き下げ等の改正を行うほか、消費税の額を含めた価格表示の義務づけを行うこととしております。
 その他、酒類間の税負担格差の縮小、たばこ税の税率の引き上げなどの措置を講ずるほか、既存の特別措置の整理合理化を行うとともに、揮発油税及び地方道路税の税率の特例等期限の到来する特別措置について、その適用期限を延長するなど、所要の措置を講ずることとしております。
 以上、平成十五年度における公債の発行の特例に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。
 よろしくお願いいたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 平成十五年度における公債の発行の特例に関する法律案(内閣提出)及び所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
議長(綿貫民輔君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。山花郁夫君。
    〔山花郁夫君登壇〕
山花郁夫君 山花郁夫です。
 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました平成十五年度における公債の発行の特例に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)
 初めに、財政状況の悪化についてお尋ねいたします。
 政府は、平成十五年度一般会計予算に八十一兆八千億円を計上していますが、税収で賄えるのは約半分の四十一兆円余りであります。そして、この財源不足を補うために、実に三十六兆四千億円分の新規国債を発行しようとしております。
 これは、当初予算における国債発行高の最高記録であり、補正予算分を加えて比べても、平成十一年度に小渕内閣が発行した三十七兆五千億円の過去最高記録に迫る勢いであります。財務省の試算によると、平成十五年度末の公債残高は国民一人当たり約三百五十三万円、四人家族で約一千四百十三万円にも上ります。
 これでは、みずからを借金王と称された小渕内閣に次ぐ不均衡な予算と言わざるを得ないと私どもは考えますが、財政責任者としての所見を塩川財務大臣に伺います。(拍手)
 小泉総理は、過日の本院予算委員会において、菅直人民主党代表が、平成十四年度補正予算で国債発行三十兆円枠の公約をほごにした責任を追及したのに対し、「もっと大きなことを考えなければいけない」「この程度の約束を守れなかったことは大したことではない。」と答弁をされました。その後、総理は、もっと丁寧に説明すべきだったと釈明しましたけれども、どんなに丁寧に説明をしたとしても、公約を破った、このことは覆すことはできないはずであります。
 財務大臣、国債発行枠の公約破棄は大したことではなかったのか、所管大臣としての答弁を求めます。(拍手)
 また、総理の言われる「もっと大きなこと」、つまり行財政改革については、総理自身が今国会の施政方針演説の中で、「改革は道半ばにあり、成果が明確にあらわれるまでには、いまだしばらく時間が必要」である、このように述べて、成果が出ていないことをみずから認めておられます。
 小泉内閣は、発足してから一年九カ月の間に、今回の平成十五年度予算を含め五回の予算編成を行いました。この間、国民の借金をふやすばかりで、景気回復はおろか、景気浮揚の期待感さえつくり出すことはできませんでした。小泉内閣は、構造改革を標榜し、不良債権処理、予算・税制改革、規制改革を一体に進めると意気込んではおりますけれども、いずれも公約倒れではありませんか。
 構造改革を断行し、その効果があらわれるのは一体いつなのか、さらに、スケジュールどおりに結果が出せなかった場合、どういう責任をとるおつもりであるのか、塩川財務大臣と竹中経済財政政策担当大臣に明確な答弁を求めます。(拍手)
 ところで、竹中大臣は、七日の閣僚懇談会で、ETFの購入を推奨されたようであります。そして、閣議後の記者会見の質疑において、「絶対儲ります。」と発言されております。このことは金融庁のホームページの記者会見概要でも公表されておりましたが、記者会見の場でこのような発言をすることは不見識ではありませんか。
 金融担当大臣としてこうした発言をすれば、どこかで悪用されることは十分にあり得ることであります。仮に、証券会社の営業マンが、ホームページに掲げられていた旨を告げ、あるいは、そのホームページのコピーを示してETFの勧誘を行った、こういうケースの場合、証券取引法四十二条その他関係法律に違反することになると思われますけれども、まず、この点についての明確な答弁を求めた上で、竹中大臣の反省の弁を伺いたいと思います。(拍手)
 次に、今後の財政規律のあり方について伺います。
 財務大臣は、これも過日の本院予算委員会での菅代表との質疑の中で、税収見通しについて、「確かに少し間違った」と認められました。政府が先月発表した「改革と展望―二〇〇二年度改定」では、「想定した以上に厳しい内外経済環境の下で、デフレや不良債権等金融的側面で問題が大きくなっている。」と、まるで人ごとのような記述がありますが、これは経済失政からの責任逃れであります。こうした状況を招いたのはまさに政府・与党の責任であるということは、ここで明確に指摘しなければならないと思います。(拍手)
 財政規律について、小泉内閣が三十兆円枠の次に掲げた約束は、二〇一〇年代初頭のプライマリーバランス黒字化でありました。しかし、一年先の経済見通しを誤り、さらには、一年半で三十兆円枠の公約を破棄した現在、どうして十年も先の目標など信用することができるでありましょうか。
 財務大臣、まずは、現内閣のもとで責任を持って達成できる現実的な公約を打ち出すことが必要であると考えますが、いかがでしょうか。
 また、「改革と展望」では、「二〇〇四年度までの実質成長率は一%以下程度、名目成長率はさらに低いもの」と予想されておりますが、総理在任中、不景気が続いても、予定どおりと強弁するおつもりでしょうか。財務大臣に見解を求めます。
 次に、税制改正について伺います。
 昨年の初め、小泉総理は、戦後日本税制の基礎となったシャウプ勧告以来の抜本的な税制改革に取り組む意気込みを見せました。しかし、総理お得意の丸投げによって、中立かあるいは活力かといった税の基本理念でさえ混乱を招き、法人税率引き下げについても、政府部内で対立を繰り返しました。そして、年末には、例年どおり、自民党税調が密室で改正内容を固め、自民党と霞が関の既得権益を守るという、まさに見事なまでの旧来型の決着に落ちついたわけであります。
 こうした既得権益の中での妥協の産物である税制改正案は、抜本改革としても、また、景気対策としても中途半端でありまして、一兆八千億円の先行減税を行っても将来の増税への懸念によってその効果が相殺されてしまうだろう、こういった見方が広がってきております。
 財務大臣、この税制改正のどこが一体抜本改革なのでしょうか。答弁を求めます。
 ところで、総理は、政府案は大幅な先行減税だと豪語されておりますけれども、国民にとっては、大衆増税にほかなりません。発泡酒税やたばこ税の引き上げに加え、ことし四月から、医療保険窓口負担を三割に引き上げようとしています。これでは、GDPの約六割を占めると言われております個人消費に水を差すことが大変懸念されるわけであります。
 どうしてこの時期に広く国民負担を求めようとしているのか、こうした増税が消費にどのような影響を及ぼすと考えておられるのか、塩川財務大臣に見解を伺います。(拍手)
 また、私たち野党四党は、十二日に、医療費三割負担凍結法案を提出いたしましたけれども、景気の現状、これから実施される国民負担増などを踏まえ、患者負担三割引き上げを見直す考えはないのか、厚生労働大臣にお尋ねいたします。
 さらに、配偶者特別控除の廃止が提案されております。配偶者特別控除制度は、女性の就業にとってかえって不公平になるという指摘もあるところではあります。しかし、廃止に伴って事実上負担が重くのしかかる世帯が多いというのも、また一方では事実であります。
 最近、少子化対策元年という言葉を折に触れて使われている坂口厚生労働大臣、例えば児童手当の拡充などの施策がないまま配偶者特別控除の廃止を行うことは問題であると考えますが、そのような施策の今後の見通しについての見解を伺いたいと思います。
 私たち民主党は、既に独自の予算案を発表しています。歳入面では、政府の大衆増税を排し、短期的には、民間需要を喚起し、中長期的には、二十一世紀の課題に対応し、NPO、教育、環境に重点を置いた税制改正を盛り込んでいます。
 主な項目は、住宅、自動車、教育等のローンに係る利子控除制度で一兆円程度の減税、NPO支援税制の抜本拡充、連結付加税の廃止が挙げられます。京都議定書の目標を達成するための環境税創設と自動車関連諸税の整理統合を同時に行い、国民負担増を求めずに、将来を見据えた税制改正も提案いたしております。また、揮発油等の道路特定財源を、暫定税率部分も含め一般財源化することとしております。
 民主党案こそ景気の現状と未来を見据えた税制改革であると私どもは自負いたしておりますけれども、塩川財務大臣、この民主党案に対する見解を伺いたいと思います。
 小泉内閣がこのまま経済運営を担えば、外形標準課税の導入が予定されている来年四月までに経済状況が回復するとは考えられず、導入により企業経営に打撃を与えることは必至であります。地方財政の安定化を図る観点から、現行の法人事業税の改善は必要ではありますけれども、導入に当たっては、景気や雇用懲罰税とならない配慮や地方消費税との関係を整理すべきであり、現段階での導入には極めて慎重であるべきと考えます。
 次に、NPO支援税制についてであります。
 パブリックサポートテストの広域活動要件の廃止や、みなし寄附金制度の導入など、一部の前進はありましたけれども、それでも、認定要件をクリアできるNPOは一〇%にも満たないと予想されております。支援税制のパブリックサポートテストの要件緩和が平成十七年度末までの時限措置となっていますが、NPOの重要性を考えますと、恒久化であるとか、あるいは、大幅に緩和する必要性があると考えます。
 財務大臣、なぜ政府案は時限措置としているのでしょうか。答弁を求めたいと思います。(拍手)
 また、政府の税制調査会は、平成十四年度の答申で、給与所得控除について縮減を図る方向で引き続き検討すべきとしていますけれども、この議論は本年中に取りまとめるのでしょうか。また、実施時期についてはどのように考えているのでしょうか。さらに、十五年度税制改正で見送られた特定扶養控除の廃止については来年度以降実施すべきと考えられているのかどうか、あわせて財務大臣にお尋ねいたします。
 少子高齢化に伴って増大する社会保障費の財源として、消費税の引き上げを求める議論が聞こえてきております。日本経団連の奥田硯会長は、消費税率を毎年一%ずつ引き上げ、一六%で据え置くとの提案をされております。
 ところで、この問題についての自民党内の議論であります。
 まず、山崎幹事長は、基礎年金財源の国庫負担の二分の一への引き上げに関連して、国庫負担を引き上げるとすればその財源は消費税以外になかなか考えにくい、こういった趣旨の発言をされております。また、青木参議院幹事長は、参議院では消費税引き上げのコンセンサスが得られている、こういう発言もされております。さらには、塩川財務大臣御自身も、年金制度を賄う財源として、消費税などの間接税、こういったものをふやさざるを得ないという認識を示されております。
 他方、小泉総理は、議論は大いに結構だけれども、私の任期中には引き上げないと発言されております。
 財務大臣、小泉内閣は消費税の引き上げについて一体どのように考えておられるのでしょうか。明確な答弁を求めたいと思います。
 自民党内では、どうも消費税の引き上げでほぼ固まっているように見受けられるわけでありますけれども、小泉内閣では引き上げを凍結すると総理が明言している中で検討を進めても、議論が迷走するのは必至であると考える次第であります。
 さて、このことと関連して、平成十六年度実施予定の年金国庫負担二分の一への引き上げの財源はどう手当てされるのか、それをいつまでに決めるのか、財務大臣及び厚生労働大臣にお尋ねいたします。
 さらには、「改革と展望」改定版の参考資料では増税を前提とされていますが、仮に消費税の引き上げを行わない場合、どのように財政破綻を回避するおつもりなのか、財務大臣にはこの点についても答弁をお願いいたします。
 小泉総理は、本年第一回目の政府税制調査会で、地方への財源・税源移譲の議論を進めるよう要請しました。民主党は、利益誘導型政治の温床となっている補助金を廃止し一括交付金制度を創設すること、地方に財源と権限を移譲することでその地域の個性や必要性に即した事業を実施することを提唱しております。こうした改革に対しては、自民党内から相当な抵抗があると予想されますが、財務大臣、地方への税源移譲についての認識、改革に取り組む決意について伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕
国務大臣(塩川正十郎君) 私に対してぎょうさん質問ございましたので、ひょっとしたら、漏れたら、また御指摘いただければ御返答申し上げたいと存じます。
 まず最初にお尋ねになりましたのは、国債発行三十兆円の枠をはみ出してしまったが、これに対する責任をどう感じておるのかということでございました。
 これに対しましては、我々は、税収の見込み違いがございましたこと等々ございまして、今回、十五年度において、予算の確実な実効を図るため、三十兆円を超える国債を発行することになったのでございますけれども、しかしながら、国債発行を極力抑えようという精神はここに変更するものではなくして、この根本精神を貫いてまいりたいと思っております。そして、できるだけ早くプライマリーバランスをとっていくために、おおよそのめどを、二〇一〇年代初頭において黒字化するということにいたしております。
 一方、三十兆円の国債発行の枠を超過いたしましたけれども、しかしながら、補正予算その他、あるいはセーフティーネットに重点を置いた措置等を講ずることによりまして、経済の安定的な発展を図るためにいたした措置であるということを御認識いただきたいと思っております。
 それから、不良債権、予算・税制改正、こういう一連のことをやったが、構造改革への効果というものはどういうことになっておるかというお尋ねでございます。
 今回の一連の補正予算あるいは十五年度予算を通じまして、めり張りのある予算を組んでまいりました。今後とも、この方針を貫いて、重点配分によって経済の活性化を図ると同時に、十分なセーフティーネットを講ずることによって社会の不安を払拭し、金融システムの改革を通じてより一層の活性化を図ることといたしたものでございまして、中期的には、民間需要主導の経済成長を目指すことにいたした次第であります。
 次に、財政規律及び今後の経済成長についてお尋ねがございました。
 この件につきましては、後ほど竹中大臣からも御説明があると思うのでございますが、先ほど申しましたように、まず、私たちは、財政の健全化ということに重点を置いた予算を編成すると同時に、従来からの慣習を見直して徹底的に予算の内容を見直し、あるいはまた、指標等によりましてあるべき姿を求めるということにいたしまして、一般歳出につきましては厳しく管理し、これを節減していったということでございます。
 同時に、現在は厳しい内外経済状況が続いておりますが、政府は日銀と一体となりまして政策の効果を発揮し、今後とも、構造改革の推進に一層の努力をしてまいりたいと思っております。
 次に、税制改正についてでございます。
 お尋ねの中に、平成十五年度税制改正は抜本改正とは言えず、中途半端な改正ではないかとおっしゃいましたが、しかし、今回は、相当思い切った構造的な、制度的な改正を行うと同時に、重点を、個人資産が十分に経済活動の分野に進入し得るようにいたしたものでございまして、先ほど説明いたしましたごとく、研究開発、設備投資等、企業減税の実をとりたいということでございました。
 それと同時に、中小企業等につきましては、同族会社の内部留保等についての廃止をするとか、あるいはまた交際費の見直しをするとかいうことをいたしまして、中小企業者対策を十分講じましたし、また、個人の資産が運用できるように、相続税、贈与税の一体化、さらには、金融・証券税制の抜本的見直し等によりまして、民間経済のさらに一層活発な経済参入を促した次第であります。
 次に、民主党の税制改正、これをどう思うかということでございます。
 これにつきましては、えらい努力されたことは私たちも認めておりますが、しかし、結局、拝見いたしますと、我々が言っておること、さらに、自由民主党と与党の方々が言っておることと大して変わらない、同じようなことを言っておるなという感じでございまして、大体同じようなことを皆考えておるということでございます。
 その中で、私がちょっと指摘したいことは、減税が優先してしまって、それじゃ財政のバランスということをお考えになっておるのだろうかということでございまして、ここは政府と民主党との観点が違う。我々はやはり、政治に対して、将来に対して責任を持っておりますので、財政のバランスということを重点に考えておりますが、民主党の案は減税重視になっておるということでございます。(拍手)
 それからもう一つ、構造改革の一環としての税制にはなっておらないのじゃないかということでございまして、しかし、随分と努力された成果は私たちも認めていかざるを得ない。参考にさせていただきたいと思っております。
 それから、NPO支援の問題でございます。
 これにつきましては、パブリックサポートテストの要件を何で十七年度にしたかということでございますけれども、十七年度の時限にいたしましたことは、この制度が発足いたしましてまだ日が浅いものでございますから、実績を十分に見たいと思っておりまして、実績に応じてさらに必要な措置は講じてまいりたいと思っております。
 それから、給与所得控除の問題でございますけれども、給与所得控除及び特定扶養控除、これは青年の人が対象でございますが、これについてのお尋ねがございました。
 給与所得控除は、マクロ的に見ると、その総額が給与総額の約三割の水準に達しておりまして、空洞化の大きな要因になっておることを踏まえ、その取り扱いにつきましては、勤務費用の概算控除としての合理的な水準を見きわめつつ、引き続き検討を行う予定であります。
 また、特定扶養控除につきましては、各種の割り増し・加算措置の見直し等の一環として、その取り扱いについて引き続き検討を行ってまいりますし、また、最近におきましては、女性の、主婦の職業への参加が非常に大きくなってきておりますので、そういう点につきましての配慮をした改正であるということを御承知いただきたいと思っております。
 次に、消費税でございますが、小泉内閣として消費税の引き上げについてどう考えるかということでございます。
 まず、消費税の問題を考えます前に、この税を安易に増額してまいりましたならば、財政の秩序だけではなくして、国民のいわば税に対する信頼も失ってくるということも考えられますので、その前に、政府といたしましては、徹底的に財政の中身を見直して不必要な経費は削減するということ、一層の財政の合理化を図った上において消費税のあり方を考えるというのが徹底した考え方でございます。そして、安易に社会保障財源として充てる前に、先ほど申しましたような消費税の本質を考えまして、財政との関連を厳しくとっていきたいと考えております。
 さらに、お尋ねがございました、年金の国庫負担の二分の一への引き上げについてでございます。
 これは、近く社会保障審議会等において議論のあるところでございまして、その結論を待ちたいと思っておりますけれども、法律によって二分の一に引き上げるということは決まっておりますけれども、しかしながら、国庫負担の問題につきましては、十分に国民的な議論を行う必要があると思っております。
 また、基礎年金国庫負担割合を引き上げる場合に、安定した財源を確保する必要があることは、十二年年金改正法の附則に規定されておるところでございまして、現在の財政状況を考えても、安定した財源の確保なしに国庫負担の引き上げを行うことは非常に困難であると思っております。したがって、この問題につきましては、国民的合意を得るよう一層の努力をしてまいりたいと思っております。
 最後に、地方への税源移譲の問題についてお尋ねがございました。
 地方への税源移譲、これは、地方分権を進める上において、さらに、自治の自立性を確立するために、ぜひ行わなければならぬ問題でございまして、分権と税制とは一体として考えるべきものだと思っております。
 そこで、政府の方針といたしましては、地方への税源移譲、地方に対する負担金並びに補助金の問題、それから地方交付税のあり方、この三つを一体とした三位一体でこの結論を出したいと思っております。
 その前に、この分権の本質について考えます場合に、シビルミニマムあるいはナショナルミニマムというものが現状でいいのかどうか、いわば給付と負担の関係というものを根本的に見直した上で、さらに自治体が自主独立し得る措置を講ずることでございまして、財源の措置につきましては、そういう議論を踏まえた上、三位一体で解決していきたいと思っております。
 以上であります。(拍手)
    〔国務大臣坂口力君登壇〕
国務大臣(坂口力君) 山花議員から、三問ちょうだいをいたしました。
 まず第一は、健康保険本人三割負担についてのお尋ねでございます。
 今日、急速に少子高齢化が進展します中で、医療保険財政は大変厳しい状況にあります。国民皆保険を将来にわたり守っていきますためには、患者、加入者、医療機関といった関係者に等しく負担を分かち合っていただくことは避けられず、保険料の引き上げ幅を極力抑制するためにも三割負担を導入することとしたものでございます。
 社会保険は景気のいかんを問わず必要なものでありますし、厳しいときであればあるほど、相互扶助の精神が必要でございます。法律どおり、四月からの三割負担導入をお願いしたいというふうに思っております。
 それから、児童手当の拡充についての御質問をいただきました。
 昨年、税制改革に関係いたしまして、児童手当の支給対象年齢等の見直しを柱とする少子化対策を、平成十六年度の国、地方を通じた歳出面の措置として実施することが与党において合意されたところでございます。
 この合意に基づきまして、政府・与党による少子化対策のあり方に関する政策協議の場が設けられることになっておりまして、この中で、今後、児童手当制度全体の見直しを含む、実効的、そして効率的な少子化対策のあり方が議論されるものと思っております。山花議員の御主張も踏まえまして、努力をしてまいりたいと考えます。
 最後に、年金の国庫負担割合の引き上げの話がございました。
 これはもう塩川大臣からもお話があったとおりでございますが、年金のあり方につきまして、ことしいっぱいかけまして御議論をいただきたいと思っております。その年金のあり方の結果といたしまして、多少の違いはあると思いますけれども、しかし、財源が必要なことは間違いがございませんし、三分の一から二分の一への引き上げにつきましては、既に決定していただいているところでございます。
 この財源につきましての御議論もあわせて行っていただきまして、年金そのものの改革案につきましては、秋ごろには骨格を示して皆さん方に御議論をいただきたいと思っておりますので、少なくとも年末までにこの財源につきましても決定していただきたいと思っているところでございます。(拍手)
    〔国務大臣竹中平蔵君登壇〕
国務大臣(竹中平蔵君) 山花議員から、二問、御質問がございました。
 まず、構造改革のスケジュールについてのお尋ねでございます。
 小泉内閣では、やるべき構造改革を行わなければ経済の再生はないとの認識のもと、デフレ克服と民間需要主導の持続的な経済成長の実現に向けて「聖域なき構造改革」に取り組んでいるところであります。
 政府としては、このような日本経済再生へのスケジュールを明確に示すために、昨年一月に、「改革と展望」を閣議決定いたしました。本年一月には、諸情勢を踏まえて、その改定作業を行いました。その中では、不良債権処理などの諸改革を加速すると同時に、集中的に改革を推進する集中調整期間を一年程度延長し、二〇〇四年度までの間、積極的な取り組みを行うことといたしました。
 このような取り組みにより、二〇〇五年度ないし二〇〇六年度ごろには、本来の成長力に近い中期的な成長経路に復帰できるというふうに見込んでおります。このようなシナリオの実現に向けて最大限の努力をしたいと思っているところでございます。
 私のETFに係る発言についてお尋ねがございました。
 二月七日の記者会見におきまして、閣僚懇での議論を踏まえまして、TOPIX、日経二二五に連動するETFを私自身が購入するかと問われまして、私は、買います、もうかると思っております旨の発言をいたしました。
 したがいまして、当該発言は、私が個人の投資家としてそう思っていると申し上げたのであって、決して、もうかるから買いなさいと申し上げたのではないということは、御理解いただきたいと思います。
 証券会社の外務員等が顧客にETF購入を勧誘する際、私の発言を引用し、悪用して、ETFの価格について断定的判断を提供して勧誘していると認められるような場合には、証券取引法に違反すると考えられます。
 いずれにしても、発言の趣旨を誤解されかねない部分があったという面においては、適切ではなかったと考えております。したがいまして、この点については十分に反省して、御指摘の発言を掲載しているホームページの該当部分につきまして、これが悪用されることのないよう、削除する方向で対応するつもりでございます。
 今後とも、十分に注意して行政に当たらせていただきたいと思っております。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 武山百合子君。
    〔武山百合子君登壇〕
武山百合子君 私は、自由党を代表して、ただいま議題となっております二法案について質問いたします。(拍手)
 初めに、小泉内閣の財政運営の基本方針についてお聞きいたします。
 小泉総理が就任当初から絶叫し続けてきた国債発行三十兆円枠は、名実ともに崩壊しました。しかしながら、小泉総理のこの公約は、もともと論理破綻していたのであります。私たち自由党は、NTT株の売却益の基金を取り崩したり、地方交付税特別会計から借金したり、隠れ借金を総動員して三十兆円という見た目の体裁を整えるだけの小泉総理の小細工ぶりを指摘してきました。
 今年度の補正予算で、公約を守れなくても大したことではないと言って破綻を認め、ついに来年度予算案では、そのような細工もできなくなり、三十六兆四千億円という、当初予算では過去最大額の国債を発行することになりました。財政規律を守るという命題を掲げておきながら、小泉内閣は、言っていることとやっていることが全く逆なのです。
 一方で、平成十四年度予算では、およそ二兆五千億円もの税収不足が生じ、補正予算で国債を積み増しし、発行しています。税収見込みを大幅に下回ったことは、小泉内閣の経済財政運営が失敗した結果であることは言うまでもありません。
 こうした結果になったのは、不況期における緊縮経済政策は過去にすべて失敗しているという歴史的な事実から何も学ばなかったからではありませんか。不良債権処理を加速させ、供給過剰を是正しても、高い付加価値を持つような新しい産業を創出しなければ、失業率は上がり、消費は落ち込み、需要不足による日本経済の落ち込みをとめることはできません。あわせて、金融不安も高まるばかりであります。
 緊縮経済政策に基づく予算編成、財政運営を行い、その結果、不況の深刻化と税収不足が生じ、その穴を国債で埋め、従来型の公共事業を積み増す。ビジョンも何もなく、小細工ばかりを繰り返す小泉内閣の経済財政運営は、日本経済を立ち直らせることができないばかりか、日本経済が二度と立ち上がれなくなるような危機へと追い込んでいるのです。
 経済財政の基本をどのように考えているのか。今までの小泉内閣の経済財政運営は間違っていないとお考えなのか。財政は順調に健全化しているし、経済もこのままいけば回復すると本当にお考えなんでしょうか。塩川財務大臣、竹中経済財政担当大臣にお聞きいたします。
 次に、税制改革についてお聞きします。
 政府・自民党の伝統的な税制改革論議は、毎年恒例の小細工作業であります。しかし、来年度税制改正を見ると、小泉総理の行った税制改革論議は、ある意味で、過去に例がないほど壮大な小細工であると断言できます。
 総理のやり方は、これまで自民党政治が行ってきた税制の小細工よりも、はるかにたちが悪いと思います。自民党政治の税制改革論議は、どうせ小細工しか出てこないだろうと、だれもが最初から気づいており、実際に出てくる結論も、そうした予想に沿った小細工でありました。ある意味、正直です。
 しかし、小泉総理の自称抜本的税制改革は、あるべき税制の姿を議論する、これなしに構造改革、経済再生はできないと、第一声だけは威勢よいのですが、あちこちで議論が過熱し始めても、総理自身は、税制のあるべき姿を示そうとしない。具体的論議は政府税調、党税調、経済財政諮問会議が連携してほしいと丸投げし、最後はいつもと変わらぬ伝統的な自民党的小細工でお茶を濁し、そして、いつも税制改正というのは難航しますと、他人事のように感想を言います。今回の税制改革論議は、言葉だけで何も変わることのない小泉自民党政治の実態を如実にあらわしているのです。
 ここで、あえてお聞きします。小泉内閣はどのような税制改革をやりたいのですか。何のために税制改革を論議してきたのですか。ビジョンのない増税を行うために布石を打つことでしかないのではないですか。塩川財政担当大臣にお伺いいたします。
 さらに、来年度の税制改正に関連してお聞きします。
 今回の税制改正で、初年度、国、地方合わせて約一兆八千億円の減税を実施するとしております。一方、多年度税収中立と称し、将来増税することも約束しています。つまり、中身を見れば、時限的な政策減税と、発泡酒、ワイン、たばこの増税を初めとする恒久増税の組み合わせであり、中長期的に見れば、明らかな増税です。
 この先行減税は何のためにするのでしょうか。景気に対する配慮のためですか。経済社会の根幹を変えるためのものなのですか。もし、デフレの克服や景気に配慮するためというのであれば、増税予告をする多年度税収中立のこの税制で、本当にデフレから脱却し、景気は回復できるのでしょうか。また、多年度税収中立はいつまでに増収と減収が相殺されるのですか。多年度税収中立、先行減税の理念について、塩川財務大臣にお聞きします。
 私たち自由党は、先行減税といった現行制度を前提とする小細工ではなく、新しい国民生活と経済社会システムを確立するという観点から、税の仕組みを根幹から変えるべきであると考えています。
 私たちの主張する減税は、当然、恒久減税であり、その財源は、規制の撤廃や特殊法人、独立行政法人等の廃止・民営化など、徹底した歳出見直しによって捻出します。
 所得課税については、すべての国民が、どんなに少ない額であっても、社会への参加料として税金を納めるよう、各種控除を原則全廃するとともに、税率構造を簡素化して税率を引き下げ、所得税、住民税の半減を図ることを主張しています。各種控除の廃止で新たに税負担が生じたり税負担が重くなる層には、政策目的が明確ないろいろな手当を支給すべきと考えます。
 さらに、源泉徴収は廃止し、国民が自分自身で税額を計算して申告できる、簡単でわかりやすい仕組みに変えます。これによって、民間企業も行政機関も納税・徴税コストを大幅に削減できるほか、国民一人一人の税に対する意識や税のむだ遣いに対する厳しい監視の目を育てることもできます。
 また、法人課税は、実効税率をOECD加盟国の最低水準にまで引き下げ、日本企業の国際競争力を強化し、外国から日本へ投資を促進するような税制にすべきです。
 自由党の考える税制改革の理念と減税のあり方について、塩川財務大臣にお聞きいたします。
 一方、政府の税制改革に目をやると、竹中経済財政担当大臣は、昨年、民放のテレビ番組や外部のシンポジウムなどで、所得税と法人税の税率引き下げを何度も言っておられました。しかし、すったもんだの末に出てきた所得税の見直しは、配偶者特別控除の廃止だけであり、税率の引き下げなど、みじんもありません。法人課税についても同様です。地方税制に外形標準課税を採用することで一部は実効税率が下がると主張するのでしょうが、ほとんどの企業にとっては、何の変化もありません。
 竹中大臣、法人税率や所得税率を引き下げると公言したのは、やはり言葉だけだったのでしょうか。お答えください。
 次に、金融・証券税制についてお聞きします。
 今回の改正では、貯蓄から投資への転換を促進させるため、配当課税の見直しなどを行うとしています。しかし、その必要性は長い間指摘されてきたことであり、遅過ぎるとしか言いようがありません。
 また、今回で廃止される長期保有株式に対する譲渡所得の暫定税率の特例や、長期保有株式譲渡所得の百万円特別控除制度の延長措置などは、ボーナスが支給されるころまでに施行を間に合わせたいと言って、塩川財務大臣御自身が導入したものです。ところが、法律を施行してみたら、複雑怪奇な小細工が多過ぎて、再度改正するものであり、貯蓄から投資への転換促進も行き当たりばったりである感は否めません。
 就任当初に配当課税の見直しなどを行わなかったのに、この時期に見直すことにしたのは、金融・証券税制に対する考え方に大きな変化があったからなのでしょうか。塩川財務大臣にお聞きします。
 最後に、道路特定財源についてお聞きいたします。
 小泉総理が就任直後から、聖域なく見直すとしてきたものの一つに、道路特定財源の見直しがありました。しかし、平成十四年度の税制改正でも、一般財源化などの見直しは行われませんでした。そして、今度の改正案では、平成十五年度以降も、揮発油税、地方道路税、自動車重量税について、これら税率の特例措置の適用期限を五年延長するとしています。
 あれだけ聖域なき見直しと絶叫したにもかかわらず、税制構造も変わらなければ、暫定税率も変わらない。小細工以前の問題として、そもそも、道路特定財源は何も変えるつもりがないのではありませんか。道路に極端に集中投資する時代は過ぎ去っているのに、なぜ暫定税率をかけてまでこの財源を維持する必要があるのか、その説明責任を政府は負っています。塩川財務大臣にお答え願います。(拍手)
 口先で改革を絶叫するだけで本気で改革を行う気は全くない、先送り、なし崩しばかりでビジョンのない小細工を並べるだけの小泉内閣の財政運営では、国民のだれもが将来への不安を募らせる一方であることを指摘して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕
国務大臣(塩川正十郎君) 先ほど、山花議員の御質問の中で、一つだけ、私の答弁が漏れておりまして、失礼いたしました。
 それは、酒税並びにたばこ税をなぜこの時期に引き上げたのかという御質問でございました。
 酒税は、引き上げることを主体としたものではございませんで、各酒類間におけるところの均衡を図るために税制の一部手直しをいたしましたが、その結果として、ちょびっと酒税が上がったということでございまして、これは御理解いただきたいと思っております。
 それから、たばこにつきましては、現在、世界的に禁煙運動が盛んになっておりまして、できるだけ禁煙を奨励するためにたばこの負担をしていただくということにいたしまして、あわせて、財源にしようと思った次第であります。
 それでは、武山議員の御質問にお答えいたしたいと存じます。
 五つ問題がございましたけれども、まず最初の問題は、小泉内閣の経済財政運営についてお尋ねがございました。
 今回、小泉内閣は、終始一貫して、改革なくして成長なしというその趣旨を徹底することにいたしておりまして、そのためには、金融システム改革、税制改革、歳出改革、それから規制改革、この四つの大きい改革を柱といたしまして、諸般の構造改革を進めております。
 その一環といたしまして今回の税制や予算の編成を行ったものでございまして、これによりまして国債の発行は三十兆円の枠を超えましたけれども、しかしながら、最終的には二〇一〇年代初頭においてプライマリーバランスがとれるように指向して、集中的に経費の節減を行ってまいったところでございます。
 次に、税制改正でございます。
 小泉総理の税制改革は丸投げじゃないかということでございますが、これは、丸投げということはございませんで、必ずそれぞれの機関に諮りまして、協議した結果として、この税制の改正を行ったものでございまして、各種各層の意見を聞いております。
 特に、私たちは、努力いたしまして、国民との対話を通じまして今回の税制改正の中身を決定したのでございまして、いわば民意をとうとぶ改正でございまして、しょせん、あるべき税制の姿の一つといたしまして、民間の資金をできるだけ活用する方向にいたしましたことと、中小企業等が企業活動いたしますにつきまして、税制上の優遇が受けられるよう、投資減税並びに研究開発に重点を置いたということでございます。
 これによってデフレの脱却はできるのかということでございますが、デフレの脱却は経済全体の活動の中において行われておりまして、我々は、まず、消費マインドを冷やすことのないようにして、経済の活性化を図るための税制改正を目指したということであります。
 次に、自民党の、自民党じゃございませんね。失礼いたしました。自由党の考えておられます税制改革についてでございます。
 これを拝見いたしますと、まず、歳出の見直しによりまして捻出された財源は全部減税に充ててしまうということ、それから、税率を引き下げるということ、思い切った所得税とか住民税の減税をする、それから、各種控除を廃止せい、そして、その廃止した分については各種手当で新設、増額せい、法人の実効税率を下げろと。
 まあ、結構な話でございますけれども、これをパッケージで実施したとするならば、これは、国民の将来に対して大きい負担になってくるということはもう疑う余地がないと思っておりまして、財政の持続可能性を担保するためには非常に深刻な問題になるであろうということを憂慮いたすものであります。
 次に、配当の税についてでございますが、何で今どき、この金融・証券の税制改正をやったのかということでございます。
 これは、御承知のように、今、国民の資産状態を見ます場合に、預貯金が圧倒的に多くて投資が少ないということでございますので、貯蓄から投資へと誘導するという考えから、証券になじんでいただくために証券に有利な方法をとったということでございまして、これによりまして、直接金融から間接金融への、民間サイドにおきます資金の安定的な活用を図ったということでございます。
 さらに、最後の問題として、道路特定財源についてのお尋ねでございます。
 道路特定財源については幅広く検討しておりまして、現在、この道路財源を一般的な公共的施設にも利用し得るようにということで、今回、法制を改革いたしまして、道路特定財源の活用について、一定の範囲を広げるために、政令でそれを決めるということを導入した次第でございます。
 その結果といたしましては、地方への税源移譲は引き上げていくということ、それから、本四公団の債務の早期抜本的な処理を図ること、それから、地下鉄の整備並びに地域交通、例えば連続立体高交差であるとか、あるいは地域生活道路の拡充、あるいはまた環境対策等にもこの財源が使用できるよう法改正を行うというものでございまして、御理解いただきたいと存じます。
 以上であります。(拍手)
    〔国務大臣竹中平蔵君登壇〕
国務大臣(竹中平蔵君) 武山議員から、二問、質問をいただきました。重複を避けて答えさせていただきます。
 経済財政運営の基本的な考え方でございます。
 日本経済は、単なる需要不足から一時的に悪くなっているわけではなく、九〇年代に入ってからの経済の競争力、生産性の低下等により、不良債権、財政赤字という二つの負の遺産を背負い込むことになったというふうに認識しております。
 こうした観点から、小泉内閣では、やるべき構造改革を行わねば経済の再生はないという前提に立って、構造改革に力を入れているわけでございます。このような構造改革を進めることにより、必ず、デフレ克服と民間需要主導の持続的な経済成長の実現につながるというふうに考えております。
 法人税率や所得税率の引き下げについてのお尋ねがございました。
 今般の税制改革は、持続的な経済社会の活性化を実現するためのあるべき改革を目指すものでございます。
 経済財政諮問会議においては、さまざまな議論がございました。法人税率を下げるべきであるという意見がある一方で、既にこれは先進国並みの水準に低下しているという意見や、経済活性化のためには研究開発・設備投資減税を行うべきであるというような議論もございました。
 このような議論を踏まえて、我が国産業の競争力強化のための研究開発・設備投資減税をこれまでにない規模で行うべきではないかという結論に達したわけでございます。
 所得税につきましても、国民が広く公平に負担し合うという観点から議論が進められております。
 いずれにしましても、税制改革につきましては、さらに引き続いてさまざまな角度から検討を進めるつもりでおります。
 以上でございます。(拍手)
議長(綿貫民輔君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
議長(綿貫民輔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時六分散会


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