衆議院

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第9号 平成15年2月18日(火曜日)

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平成十五年二月十八日(火曜日)
    ―――――――――――――
  平成十五年二月十八日
    午後一時 本会議
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本日の会議に付した案件
 片山総務大臣の平成十五年度地方財政計画についての発言並びに地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明並びに質疑


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    午後一時三分開議
議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の発言(平成十五年度地方財政計画について)並びに地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
議長(綿貫民輔君) この際、平成十五年度地方財政計画についての発言並びに内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。総務大臣片山虎之助君。
    〔国務大臣片山虎之助君登壇〕
国務大臣(片山虎之助君) 平成十五年度地方財政計画の概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
 まず、平成十五年度の地方財政計画の策定方針について御説明申し上げます。
 平成十五年度においては、極めて厳しい地方財政の現状等を踏まえ、歳出面においては、歳出全般にわたり徹底した見直しを行うことにより歳出総額の計画的な抑制に努める一方、個性と工夫に満ちた魅力ある都市と地方の形成、循環型社会の構築・地球環境問題への対応、少子高齢化対策など当面の重要政策課題に適切に対処し、歳入面においては、地方税負担の公平適正化の推進と地方交付税の所要額の確保を図ることを基本としております。
 また、通常収支における地方財源不足見込み額については、平成十三年度における制度改正を踏まえ、交付税特別会計における借入金を廃止し、国と地方が折半して補てんすることとし、国負担分については一般会計からの加算により、地方負担分については特例地方債の発行により補てんすることにより、地方財政の運営上支障が生じないよう措置するとともに、減税等に伴う影響額についても、所要の財源を確保する措置を講ずることとしております。
 以上の方針のもとに、平成十五年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は八十六兆二千百七億円、前年度に比べ一兆三千五百五十九億円、一・五%の減となっております。
 次に、地方税法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 現下の経済財政状況等を踏まえつつ、持続的な経済社会の活性化を実現するためのあるべき税制の構築に向けた改革の一環として、法人事業税への外形標準課税の導入、不動産取得税の税率の引き下げ、特別土地保有税の課税停止、新増設に係る事業所税の廃止、平成十五年度の固定資産税の評価がえに伴う土地に係る固定資産税及び都市計画税の税負担の調整、配当所得及び株式等譲渡所得に係る課税方式の見直し等を行うとともに、配偶者控除に上乗せして適用される部分の配偶者特別控除の廃止、地方のたばこ税の税率の引き上げ等、所要の改正を一体として行うこととしております。
 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、平成十五年度分の地方交付税の総額につきましては、一般会計から交付税特別会計への繰り入れ等により、十八兆六百九十三億円を確保することとしております。
 また、単位費用の改定を行うほか、道府県の基準税率の引き下げ、地方特例交付金の拡充等を行うこととしております。
 以上が、地方財政計画の概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の発言(平成十五年度地方財政計画について)並びに地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
議長(綿貫民輔君) ただいまの地方財政計画についての発言及び二法律案の趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。武正公一君。
    〔武正公一君登壇〕
武正公一君 民主党・無所属クラブの武正公一です。
 平成十五年度地方財政計画、地方税法改正案、地方交付税法改正案について質疑を行います。(拍手)
 平成十三年六月十二日、本会議のこの場で、私は、小泉首相の国民に痛みをという痛みは族議員と縦割り官庁と業界、団体にまず求めるべきであり、国民一人一人に安易に痛みを押しつけてはならないと求めました。しかし、この二年弱を見る限り、改革とは見せかけであり、私の心配のみが現実になりました。
 平成十五年度予算案を見ると、増税をして、借金のたがを外して、国民のサービスを引き下げる、デフレ脱却予算とは呼べず、デフレ加速予算であり、やってはならない政策転換と考えます。
 民主党は、税の使い方が間違っている、誤った予算を組んでいるとして、政府案への対案を示しました。特に、中央から地方への補助金ということでなく、一括交付金という十五兆円規模の裁量可能な資金を地方へ移譲します。また、サラリーマンの医療費三割負担引き上げを凍結する法案を野党四党で提出したのも、医療の抜本改革を先送りにして国民一人一人に安易に痛みを押しつけてはならないという思いからでございます。
 さて、地方税法には、平成十六年四月一日より外形標準課税を法人事業税に盛り込むことが含まれております。地方税収の安定は理解できるものの、資本金一億円以上に限って導入すること、資本増強や雇用促進のブレーキになりかねないなど、問題が多い。のになぜ、予算関連、日切れ法案と言われる地方税法にまぜて内閣は提出したのか。過去、総務省は、地方自治法改正でも同じことをしました。中核市の要件緩和と住民訴訟の類型変更を同じ法案にごっちゃに入れたため、法案審議は混乱を来したことがあります。国会軽視と言わざるを得ない。総務大臣の所見を伺います。(拍手)
 今回、内閣提出法案百十本のうち予算関連三十五本、うち日切れ扱い十五本、重要法案とされる産業再生法も日切れ扱いであります。これらは本当に日切れなんでしょうか。その理由を尋ねると、予算関連だからということで三本あると言われておりますが、予算関連なら三十五本を日切れにしなければならないのではないでしょうか。なぜ、三十五本を日切れにしないのか。また、外形標準課税を地方税法に潜り込ませるような政府案の提出について、内閣の取りまとめを行う立場から官房長官にその考え方を聞きます。
 当初、平成十三年度予算でゼロにする交付税特別会計借り入れは、やっと平成十五年度で実現しました。ただ、ゼロといっても、恒久減税分、平成十五年度先行減税分、義務教育費国庫負担金などの一般財源化分は借り入れを行い、結局は、新規にふえたものは約二兆円に上ります。つなぎの措置としておりますが、結局は、特会借り入れゼロは先送りにしたということではないでしょうか。また、将来、どのようにしてこの借り入れを返していくのか、総務大臣に伺います。
 赤字地方債は、三年間の臨時措置である最終年度の十五年度は五兆八千七百億円と、対前年度比八〇%増でありますが、平成十六年度はどうするのか。
 平成十三年二月二十七日の答弁で、総務大臣はこう述べました。「昨年末、宮澤大蔵大臣との折衝では、とりあえず三年間この方式でやってみよう。我々の思いは、三年たてば景気がきっちり自律的な回復軌道に乗る、その際は、国と地方の事務や権限の再配分に伴う地方税財源のあり方について、国と地方の配分のあり方についてしっかりした議論ができるのではなかろうか。」また、「私は、三年後はこの方式を続けるのではなくて、できれば新たな方式というのがあるのかな、こう思っております。」と述べております。
 なぜ景気は回復軌道に乗らなかったと考えるのか、また、景気がこのような状況でどのような新たな方式が考えられるのか、総務大臣に聞きます。
 昨年、財務大臣は、一兆円の基準財政需要額の見直しを提起後、すぐに修正をしました。今回、補助金、交付税、税源移譲の三位一体改革のうち、地方がやりたがらない地方単独事業は四年間で三兆円を減らそうとするものの、今年度の地方交付税は赤字地方債を加えれば対前年度比一兆一千六百七十九億円増、五・一%増になる。赤字地方債は全額、後年度基準財政需要額に算入、つまり交付税措置であるので、交付税の先食いであります。特別地方交付税も、IT等補助金化している。結局、交付税改革は進んでいないのではありませんか。財務大臣に伺います。(拍手)
 三位一体改革では、同じく地方税にも手をつけられませんでした。
 道路特定財源六兆円の一般財源化を高々と首相はうたったものの、平成十四年度、手をつけたのは二千二百億円のみで、今年度は全く進みません。今回、地方に移ったのは、この二千二百億円のうちわずか九百三十億円です。
 三兆円の義務教育費の一般財源化も、当初目標五千億円に対して二千二百億円しか手はつけられなかった。芽出しといっても不十分で、とても展望は開けない。
 「改革と展望」期間中、現実に何が進み、何を示せるのか。片山試案では、五・五兆円の国から地方への税源移譲を提案していますが、すぐに財務大臣は、困難とコメントしています。結局、地方への補助金や交付税の見直し、税源移譲は、小泉内閣、そして自民党政権ではできないのではありませんか。また、法定外税については、国の同意基準を下げるべきではありませんか。
 以上、財務大臣に伺います。
 国債は、三十兆円枠を突破し、三十六兆円を超えています。財政構造改革法は、国、地方の赤字を、ことしである二〇〇三年までに対GDP比三%と決めたものの、平成九年、公布したが、翌年、凍結されました。当時、地方自治体は、法施行を受けて、真剣に財政改革に取り組みました。しかし、凍結後、景気振興策への転換により、先進国に比べ、日本のみ悪化の一途をたどりました。
 対GDP比赤字は何%になるのか。また、財革法を凍結したことを今どのように総括するのか。どうやって二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスをとろうとするのか。また、財革法を凍結したのでありますから、医療費三割負担引き上げは凍結してもよいのではないでしょうか。
 以上、財務大臣の所見を伺います。
 政府が閣議決定した公務員制度改革大綱では、人事院の力をそぎ、職員採用時に、天下り容認時に各省庁の権限を強めようとする、およそ改革とは逆行する方針です。民主党は、自由党、社民党とともに天下り禁止関連四法案を既に提出しております。人事院のチェック力をそぐべきではないと考えますが、官房長官の所見を伺います。
 また、戦後二十二あった国家行政組織法三条委員会を七つで固定する理由を伺います。
 民主党は、ジェー・シー・オー事件に際し原子力安全委員会を、金融不安に際し証券取引等監視委員会を、電気通信事業法に際し電気通信事業紛争処理委員会をそれぞれ三条委員会にと提案しましたが、政府は反対し、与党によりいずれも否決されました。
 しかし、その後、原子力発電所ひび割れ事件が起こり、金融安定化は進まず、IT化も、アクセンチュアが日本の電子政府・電子自治体のレベルは十七位と指摘するように、国民サイドの視点に立てていません。監督官庁が規制や検査や評価を行う限界を露呈しております。
 官房長官は、行政改革のために三条委員会をふやせない、我が国の行政制度になじまないと答弁されておりますが、肝心の行政改革は見せかけで進まないのに、お手盛り行政、さじかげんのきく裁量行政をチェックするための三条委員会の増設を認めない理由を改めてお聞きいたします。
 また、一般論として、閣議決定は一度決めたら見直すことはできないのか、お伺いいたします。官房長官の所見を伺います。
 イタリアの奇跡、財政赤字を解消し、ユーロに加盟し、経済成長を達成した。これは、七〇年代に地方分権を行ったからであります。各州に産業政策を分権したのであります。また、州生産活動税を地方税源として移譲しています。それとともに、手工業法ということで、物づくりの保護育成の法律も施行している。そのこともあり、十人以下の企業の就業者数は日本の三倍を占めるのであります。
 一方、日本は、開業率が廃業率を下回った一九八九年以来、好転しない。また、小売業の事業所数を平成十三年を平成八年と比べると九・三%減、特に四人以下の減少率は二けたで群を抜きます。
 商店や商店会は、町のコミュニティーの担い手であります。PTAや消防団やお祭りの担い手。これがシャッター通りと言われ、歯抜けの状態は解消されない。まさに商店街振興はコミュニティー施策であるという認識を総務、経済産業両大臣はどのように考えるか。イタリアの例をまつまでもなく、産業政策こそ分権すべきと考えるが、両大臣の所見を伺います。
 国の政策と地方自治体の施策のそごが目立ってきました。原子力政策をめぐる巻町の住民投票は記憶に新しいところですが、地方分権を真剣に行おう、地域のことは地域に本当に任せようという動きが強まれば、当然、そごはふえます。ルールづくりが必要です。住民投票もその一つです。あるいは、自治体の意見を国の政策に反映させる仕組みも必要です。
 昨年、民主党は、「沖縄ビジョン」をまとめました。在沖米軍基地の整理、統合、縮小ではSACO最終報告の完全実施と新SACO協議の開始、復帰三十年を経て、自立のため、沖縄の歴史的、地理的特性を生かし、観光面などで一国二制度を認めるべき等としました。しかし、今回の構造改革特区でも、沖縄のビザなし交流の観光特区構想は拒否をされています。
 過日、普天間基地移設について、嘉手納統合案を一つの選択肢とした麻生自民党政調会長に同党野中元幹事長が不快感を示し、政調会長がわびを入れるというてんまつが伝えられました。
 民主党は、「沖縄ビジョン」では、嘉手納統合案も踏まえ、キャンプ・シュワブ沖のジュゴンがいる海を埋め立てるのはいかがなものかとして、「あらゆる可能性を積極的に検討する。」としました。
 日米安全保障協議委員会、2プラス2では、外務大臣は、閣議決定に従って、十五年問題をアメリカ側に明確に伝えていません。あるいは、なぜ地位協定見直しの県民の求めを運用改善に固執するのか。であるから、エルドリッジ氏が指摘するように、日、米、沖縄、三者での話し合いが必要です。
 2プラス2へのオブザーバー出席ができないか。日米安全保障体制を堅持するために相互の信頼関係が必要で、そのときには、国民の生の声をアメリカ側に伝える努力が欠かせない。外務省沖縄大使がそのバリアになってはならない。それは、民主主義の母国とするアメリカ側に必ず理解されるはずです。言いたいことも言わない日米関係は、対等ではなく、アメリカ側も歓迎しないはずです。米国の対イラク攻撃に関しての政府のあいまいな答弁もしかりであります。
 地方分権を進める小泉内閣として、外交・安全保障など国の政策に地方自治体や住民の声をいかに反映させるか、国と自治体のそごをいかに調整するか、官房長官の所見を伺います。
 最後に、地方財政が厳しい折に、住民税を払っていなかったと伝えられる竹中大臣がETFはもうかると発言したことは、インサイダー取引の疑惑あるいは風説の流布の疑惑濃厚であり、それを個人としての発言であったと言いわけすることなど、その任にあらずということを申し述べて、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣片山虎之助君登壇〕
国務大臣(片山虎之助君) 武正議員の御質問に順次お答え申し上げます。
 まず、外形標準課税を何で今回の改正案に入れたか、こういうお尋ねでございます。
 今回の法人事業税の外形標準課税化は今次地方税改正の主要な項目でございまして、これは今までもまとめて改正すると。施行期日が必ずしも十五年の四月一日でないものも、例えば配偶者特別控除の廃止に伴う上乗せ、あるいは証券税制等も十六年の一月一日からでございますけれども、今回はまとめてこの改正案で対応させていただこう、こういうふうに考えておりますし、また、課税する方も課税される方も、やはり一年ぐらいの準備期間が要るのですね。例えば電算システムを変えるその他。そういうことでございまして、都道府県の方からの要請もございますし、今回の地方税法改正案に入れさせていただいた次第でございます。
 それから、交付税特別会計、借入金が残っているではないかと。
 残っているんです。実は、平成十五年度の通常収支の財源不足は、これは、交付税特会の借り入れでなくて、国負担分については一般会計で調達してもらって加算してもらう、地方負担分については臨時財政対策債で措置する、こういうことにいたしたわけでございますけれども、例えば恒久的な減税分は、いずれ抜本的な税制改正があるわけでありますから、そのときはその増収で充てる。先行減税分については、これは先行ですから、おくれてまた増税があるので、その増収を充てる。それから、国庫補助負担金の整理合理化に伴う一般財源化分については、議員自身からもお話がありましたが、我々は三位一体の改革をことしの夏ぐらいまでに工程表をつくってやりたい、こういうことでございますから、その際は税源移譲の対象になる。
 こういうことで、とりあえず、いずれも臨時の措置でございますから、交付税特会の借り入れで対応する、こういうことにいたしているわけでございます。
 ちゃんと返せるのか、こういうことでございますが、借り入れたものは、全部法律で、何年度までに返すと、今の交付税特会の借入金はすべて平成三十八年度までに返すと、こういうことを法律上明記いたしておりまして、それで対応させていただく。
 基本的には、経済の活性化、景気の回復によって国税も地方税も増収していく、あるいは、むだを省いて地方行財政も簡素効率化する、あるいは税源移譲、そういう抜本的な対応でこれから措置していく、こういうことになるのではなかろうかと思います。
 平成十三年二月の答弁で、おまえは、三年間はこういうことでやると。
 確かに申し上げました。十三年度、十四年度、十五年度はそういうことでやってまいったわけでありまして、十六年度からは、地方財政に仮に穴があいた場合の新しい方式を考えなければなりません。
 何で景気が自律的な回復軌道に乗らないんだ、こういうことでございますが、十六年度以降、我々は、民間主導の景気回復をいたしたい、こう考えたわけでございますけれども、アメリカ経済の、例えば九月十一日の同時多発テロその他でアメリカ経済が先行きがおかしくなってきた、あるいは世界的な株価の低迷、こういういろいろな状況がありまして、私どもが当初考えたよりは見込みが少し変わってきた、大変厳しい状況が続いている、こういうことでございますが、いずれにせよ、集中調整期間を一年延長し、デフレ阻止、景気回復に全力を挙げる、歳出や税制や金融や規制の改革を進めていく、こういうことにいたしたわけであります。
 十六年度以降どうするんだ、こういうことでございますが、これにつきましては、今の時点で景気の状況の確かな見通し等がまだつきませんし、あるいは、国の財政運営がどうなるのかという点もございますので、そういう状況を見ながら今後とも我々は検討してまいりたいと思いますけれども、いずれにせよ、十六年度以降も、地方団体の財政運営に支障がないようなことは我々がしっかりと保障していく、こういうふうに考えております。
 それからもう一つ、商店街振興はコミュニティーの基礎ではないかと。
 私もそう思います。私は、しっかりした商店街は地域の魅力であり、それが地域の顔である、こういうふうに考えておりまして、コミュニティーというものが地方自治の基礎ですから、そういう意味では、商店街振興は大変重要な施策だ、こう思っておりまして、関係省庁と協力して、私どもの方も地方財政措置等を講じてまいりましたが、今後とも積極的に支援してまいりたい、こういうふうに考えておりますし、中心市街地活性化法等もございますので、多様な、いろいろな手法を組み合わせながらしっかりと対応してまいりたい、こういうふうに考えております。
 以上であります。(拍手)
    〔国務大臣福田康夫君登壇〕
国務大臣(福田康夫君) 武正議員にお答えいたします。幾つかございます。
 まず、なぜ予算関連、日切れ法案扱いと言われる地方税法案に外形標準課税を含めて提出したのかとのお尋ねがございました。
 外形標準課税の導入は、地方税法で規定する法人事業税の課税標準の一部を見直すものであり、経済社会の活性化のためのあるべき税制構築に向けた重要な要素の一つであることから、地方税法案の中で一体として改正することとしているところでございます。
 また、予算関連が理由なら三十五本を日切れにしなければならないのではないかというお尋ねでございます。
 いわゆる日切れまたは日切れ扱い法案は、三月末までに現行法が失効するもの、または三月末までに成立しないと実質的に支障を生ずるものであり、いわゆる予算関連法案とは異なる分類であります。政府としては、今国会に提出した法案のうち、二十五本が日切れまたは日切れ扱い法案に該当するものと考えております。
 次に、公務員制度改革についてのお尋ねがございました。
 今回の公務員制度改革では、中央省庁等改革基本法等に従い、各任命権者の人事管理に関する責任の明確化を図るとともに、人事院について、人事行政の公正の確保及び職員の利益の保護のためにふさわしい機能へ集中することなどを目指しておりますが、人事院の意見の申出や人事行政の改善に関する勧告などのチェック機能は、引き続き重要な役割を果たすことになると考えております。
 閣議決定は、一般論としては、特段の状況の変化があれば見直すこともできますが、政府としては、公務員制度改革大綱に基づきまして、国民の理解と信頼を得られるような公務員制度改革の具体化に取り組んでいきたいと考えております。
 次に、行政委員会の増設を認めない理由についてお尋ねがございました。
 行政委員会は、能動的に行政目的を追求する事務については行政責任が不明確になりやすい等の問題が指摘されたことから、昭和二十七年以降、大幅に整理されたところでございます。その新設についても慎重に対応してまいりました。
 なお、今国会に継続審議となっている人権擁護法案には、行政委員会である人権委員会の新設が盛り込まれておりまして、行政委員会の形態をとることがふさわしい組織で、かつ、スクラップ・アンド・ビルドの原則が守られていれば、行政委員会の新設を全く否定するものではございません。
 最後に、日米地位協定の問題等の日米間の外交・安全保障上の問題に自治体や住民の声をいかに反映させるかとのお尋ねがございました。
 私は、日米関係は我が国外交の基軸であると考えており、良好かつ強固な日米同盟関係を強化していくためには、日米双方が言うべきことを言い、やるべきことをやっていくことが必要と考えております。
 日米地位協定については、政府としては、その時々の問題について運用の改善により機敏に対応していくことが合理的であるという考えのもと、運用の改善に努力しているところでございまして、これが十分効果的でない場合には、我が国のみで決定し得ることではありませんけれども、日米地位協定の改正も視野に入れていくことになると考えております。
 在日米軍に関する諸問題につきましては、これまでも、政府は、地方公共団体からの要望を勘案しつつ、随時、日米地位協定のもとでの日米合同委員会の枠組み等を通じて米側と協議してまいりました。政府としては、今後とも、現在の枠組みを一層活用し、日米安保体制の目的を達成しつつ、地元の要望を可能な限り満たすべく努力してまいります。
 他方、日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2会合は、我が国の平和と安全をいかに確保するかという観点から、我が国を取り巻く国際情勢や日米安保体制に係る諸問題全般を協議する枠組みでございまして、米国との国際約束上、構成メンバーが決定されており、構成メンバーを変えることは考えておりません。
 いずれにしましても、今後とも、外交政策に国民の皆様の声を最大限反映させるよう努力してまいります。(拍手)
    〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕
国務大臣(塩川正十郎君) 私に対するまず最初の御質問は、十五年度の地方財政対策と特別交付税との関係についてのお尋ねでございます。
 地方財政計画によりますと、十五年度は、前年度よりも相当上回った財源が必要となりまして、交付税と地方債の合計額が前年度をはるかに上回る金額となってまいります。これは、国税、地方税の双方とも大幅な減収によるものが原因でございますので、したがいまして、この処理につきましては、国と地方が折半の対象とする財源不足であるから新しく今回講じたのであります。
 まず、その一つといたしまして、地方歳出を徹底して見直しを行ってもらおうということと同時に、交付税特別会計借り入れを完全に解消して一般会計からの繰り入れと赤字地方債で対応することによりまして、国と地方の責任を明確にし、地方財政の効率化を図ることとしております。
 なお、特別交付税でございますけれども、これは総務省の所管でございますが、交付税の一環として行っておられることでございますので、当省といたしましては、その算定方法について議論を申し上げるものではないということであります。
 二番目の問題でございますが、地方財源の確立のために、まず地方税への移譲あるいはまた財源移譲の措置について積極的に取り組んでいけというお話でございます。
 もちろん、地方分権を進めなければならぬことは当然でございますが、それに伴って財源措置も必要であることは言うまでもございません。
 つきましては、財源を単に地方税への移譲のみで処理できるものではございませんで、国庫負担金あるいは補助金、あるいは地方交付税のあり方、そして税源の移譲、この三つをあわせて三位一体として考えていくべきものでございまして、これにつきましては、本年度、内閣の重大課題といたしまして、積極的にこの改善に取り組んでまいりたいと思っております。
 しかしながら、本年度におきましては、とりあえず、国庫補助負担金の整理合理化、地方財政計画の規模の抑制を通じた地方交付税総額の抑制をいたしましたことと、それに見返るものといたしまして、自動車重量譲与税の譲与割合を引き上げるという措置を講じて、芽出しを図った次第であります。
 また、第三の問題といたしましては、法定外税について国の同意基準を下げるべきではないかというお話がございました。
 平成十二年四月の地方分権一括法によりまして、法定外税の許可制度を廃止いたしまして、同意を要する協議制に改めることといたしたところでございます。現時点におきましては、国の同意基準を見直すことは考えておりません。
 それから、第四の問題でございますが、名目経済成長率が依然としてマイナスになっておる状況のもとにおいて、プライマリーバランスをどうしてとっていくのかということでございます。構造改革とプライマリーバランスの関係について御質問がございました。
 財政構造改革法案につきましては、金融機関の経営破綻等による厳しい経営状況に対応するため、平成十年十二月に凍結されたところでありますけれども、財政構造改革を推進するという基本的な考え方、その精神は現在も小泉内閣に継承され、引き続きその実施に努力しております。
 国及び地方の財政赤字の対GDP比につきましては、平成十三年度六・六%、十四年度七・七%、十五年度八・一%と見込まれるなど、極めて厳しい状況にありますが、政府といたしましては、主要な歳出分野におけるところの改革や、あるいは民需主導の持続的成長を実現するための構造改革を加速させることによりまして、あるいはまた、税制改正を図ることによって、景気の刺激を図り、二〇一〇年代初頭においてプライマリーバランスを黒字化するという計画を進めておるところでございます。
 なお、御質問の中にございました、医療費の患者負担の引き上げについてでございますけれども、国民皆保険を将来にわたり堅持していくために必要な措置の一環として考えておりますので、予定どおり、本年四月から患者三割負担をお願いすることといたした次第でございます。
 以上であります。(拍手)
    〔国務大臣平沼赳夫君登壇〕
国務大臣(平沼赳夫君) 武正議員にお答えをさせていただきます。
 まず第一点は、商店街の振興についてのお尋ねでありました。
 商店街振興はコミュニティー施策であるかとのお尋ねでございましたけれども、私も、そのとおりだ、このように思っております。
 中小の商店街あるいはその他の商店街というのは、文化の伝承の場であり、そしてまた身近な買い物の場、そして高齢者を含めた地域住民の交流の場の提供等、地域コミュニティーの中核として重要な役割を果たしてきたものと私どもは認識しております。
 そのために、経済産業省としては、商店街における空き店舗対策でございますとか、アーケードなどの基盤施設整備への補助等、積極的に施策を講じまして、地域と一体となった商店街の活性化に努力をしてまいりたい、このように思っているところでございます。
 次に、地方分権と産業政策についてのお尋ねがございました。
 平成十年五月に閣議決定されました地方分権推進計画に従いまして、中小企業対策等々、累次の分権化を行ってまいりました。今後とも、必要に応じまして、さらなる分権を私どもは検討していきたいと考えております。
 産業政策については、各地域がその特性を生かした政策を自主的に展開する一方、国は真に戦略的なものや広域的な効果の高いものに対して重点的に取り組むことが重要である、このように思っておりますので、この地方分権の方はしっかりとやらせていただきたいと思っております。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
議長(綿貫民輔君) 高橋嘉信君。
    〔高橋嘉信君登壇〕
高橋嘉信君 私は、自由党を代表して、ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案、平成十五年度地方財政計画について質問をいたします。(拍手)
 冒頭に、一言申し上げます。
 残念なことに、今国会もまた、自由民主党の議員及び関係者による政治と金に関する疑惑が国民の批判を浴びております。
 本年元旦には、小泉総理、片山総務大臣及び農林水産大臣、環境大臣に関する不正献金疑惑がマスコミで報じられるとともに、一月十五日には、自民党長崎県支部連合会の幹事長と事務局長が公職選挙法違反で逮捕され、今月五日に起訴されました。これは、いずれも公職選挙法百九十九条に関する違反、すなわち、公共事業受注企業と議員との間の違法政治献金の問題であります。
 そもそも、公職選挙法百九十九条は、国政選挙に出る者は国から公共事業等を受注している業者からの選挙活動に関する寄附の禁止、地方議員選挙等に出る者はその選挙が行われる地方公共団体から公共事業等を受注している業者からの選挙活動に関する寄附を禁止すると明記していますが、これは、国民から疑念を持たれている公共事業の受注に関し、首長及び議員、議員候補者の関与を排除することを目的としているわけであります。
 しかし、逆に言えば、この条項では、公共事業受注企業でも選挙活動以外の目的の献金なら合法的になるという抜け道があります。このため、候補者等が公共事業受注企業に対して、選挙直前に選挙のための献金を要求して、実質上は選挙活動に使用したとしても、帳簿上でうまくごまかせば公職選挙法違反に問われないという問題点があります。
 このような国民の政治と金に対する疑念を払拭するためにも、自由党を初めとする野党四党は、昨年五月に、公共事業受注者が受注終了日から一年間は政治献金をすることの禁止、利子補給金等を受けている業者の献金の禁止等の内容を盛り込んだ政治資金規正法等の一部を改正する法律案を提出しました。しかし、国会で委員会の審議の俎上に上るどころか、自民党を初めとする与党によって審議すら拒否されているのが現状であります。
 小泉総理も、我々野党の指摘を受けて、公共事業受注事業者の献金禁止を当初は表明していましたが、徐々にトーンダウンし、今では、党内議論を踏まえてとしか述べておりません。
 冒頭に述べたように、小泉総理、片山総務大臣及び農林水産大臣、環境大臣は公共事業受注者から献金を受け、公職選挙法違反ではないかと報道されました。そのような国民の政治と金に対する不信感や疑念を払拭するためにも、早急に自由党を初めとする四野党案を成立させるべきであると考えますが、官房長官及び片山総務大臣の見解を伺います。(拍手)
 現在、日本経済は、税収、失業率など、すべての数字が悪化し続けているという非常事態に陥っています。大不況と財政破綻で日本経済が破滅のふちに立たされているという緊迫した情勢であることは、だれの目にも明らかとなっております。
 しかし、小泉政権は、出たとこ勝負とその場しのぎの問題先送りで国民をごまかしているばかりであり、実際は日本経済回復のためのシナリオも全くありません。その結果、当然、地方財政も極めて緊迫した状況に陥っていますが、前述のように、小泉政権には具体的な解決策は何らなく、今回の地方財政計画も、数字の上のつじつま合わせにすぎないと断ぜざるを得ません。
 例えば、今年度の通常収支の不足は約十三兆五千億円に上っていますが、交付税特別会計借入金を廃止したとはいえ、地方負担分については結局のところは臨時財政対策債で補てんするなど、地方債の発行でごまかしているにすぎません。また、国が実施しようとしている恒久的な減税に伴う減収の補てんについても、その大半は減税補てん債などのいわゆる借金で賄うことになります。
 この結果、地方債依存度は約一七%、交付税特別会計借入金残高は約四十八兆円、地方の借入金残高は平成十五年度見込みで約百九十九兆円という莫大な金額になっています。これでは、何ら抜本的な改革になっておらず、問題の先送りをしているにすぎません。
 一体、地方財政の基本的な認識をどのように考えているのでしょうか。また、今回の税制改正で国と地方の税財源配分は問題ないと認識しているのか、総務大臣及び財務大臣の見解を伺います。(拍手)
 なお、あえて伺いますが、小泉内閣が国、地方を通じた経済運営の結果責任を放棄している端的な例が、竹中金融大臣の発言であります。これは先般から問題になっておりますが、株価連動型上場投資信託、いわゆるETFについて、金融担当大臣みずから、「買います。絶対もうかります。」と発言しましたが、これは、経済を監督指導する金融担当大臣の立場としては絶対に発言してはならないことであります。
 国会で謝罪したとか、金融庁ホームページから発言を削除したなどで済まされる問題ではありません。直ちに辞任すべきであります。竹中大臣の責任のとり方についてお聞きいたします。(拍手)
 次に、外形標準課税の導入について質問いたします。
 今回、小泉内閣が地方税改革の柱としているのが、法人事業税の外形標準課税導入であります。しかし、政府がどのような理念に基づいて外形標準課税を行うのか、明確になっていません。
 まず、今回は資本金一億円超の法人を対象としていますが、この理由自体が不明確であります。今、我が国には二百四十六万社ありますが、導入対象を限定することが不況のあおりを受けている資本金の小さい中小企業のためというのであれば、そもそも、今この時期に無理に外形標準課税を導入する必要はありません。
 また、この外形標準課税を行ったとしても税収中立になると説明していますが、それならば、なぜ今この経済不況の時期に一部の会社のみを対象とした外形標準課税を導入するのか、その意義が全くわかりません。
 政府は、外形標準課税の導入によって、法人課税の実効税率を三九・五四%に引き下げ、収益の大きい企業にとっては実質的な減税効果をもたらし、経済活性化の糸口としたいと考えているようでありますが、実際に減税効果をもたらすのは平成十六年四月以降の話であり、来年度の減税効果は全くの皆無なのであります。その間にも、中小企業を初め日本経済の活力は減衰していくばかりであり、外形標準課税そのものが企業活性の足かせになりかねないのであります。
 つけ加えれば、これまでの政府・自民党税調のこそくな税制改正の手法を見ると、資本金一億円超の法人という対象基準は早晩引き下げられ、多くの中小企業が対象となることは明白であります。
 資本金一億円超の法人に限定する理由は何か。今後も資本金一億円超の法人という対象範囲を維持し続けるつもりなのか。さらに、この時期に外形標準課税を導入する理由は、地方財政再建対策なのか、それとも景気への配慮なのか。そもそも、こうした外形標準課税を導入する政府・自民党の基本理念は何なのか。これらの点について、片山総務大臣の見解を伺います。(拍手)
 次に、市町村合併の推進等について伺います。
 国と地方公共団体が対等な関係となり、地方公共団体を真の地方分権の担い手とするためには、国と地方公共団体の役割を明確にするとともに、市町村合併を推進し、行財政基盤を強化して新たな行政体制を構築することが不可欠であります。それにより、地方公共団体は、その地域において、一貫して自主的、自律的に企画、立案、調整を行うことが可能になります。
 ところが、政府・総務省には、合併を進めた後の最終的な地方公共団体のあり方等についての方針が全くないのであります。確かに、市町村合併は当該住民の意向を尊重すべきでありますが、国としても、最低限、あるべき地方自治の全体構想は策定しておくべきであります。
 自由党は、市町村合併を実現するための具体策として、現在、全国に三千二百余りある市町村を、当面千程度、最終的には三百にまで統合するべきであると考えていますが、総務大臣の見解を伺います。(拍手)
 小泉総理は、先般の施政方針演説で、「地方にできることは地方にゆだねるとの原則に基づき、国庫補助負担金、交付税、税源移譲を含む税源配分について三位一体の改革案を、六月を目途に取りまとめます。市町村合併をさらに推進してまいります。」と述べましたが、今まで指摘したように、これが口先だけで中身のないパフォーマンスにすぎないことは、一目瞭然であります。
 地方税財源の再配分をどうするか、国と地方の関係をどのように改革するか、そういう具体策は全くなく、理念もビジョンもない、旧来の自民党政治を引きずった無責任なものにすぎません。(拍手)
 これに対し、我々自由党は、小沢党首が代表質問で高らかに宣言したように、国が地方自治体を縛っている個別補助金を廃止し、その相当額を地方に自主財源として一括交付する地方自主財源交付法案を初めとした九つの基本法案を今国会に提出する方針を明示しております。
 日本一新九法というべきこれら法案によって、日本の針路を明らかにし、国民の潜在力を引き出し、また、地方の自立と活性化が断行できることを国民の皆様にお約束し、私の質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣福田康夫君登壇〕
国務大臣(福田康夫君) 高橋議員にお答えします。
 政治資金規正法等の改正についてのお尋ねでございました。
 もとより、政治献金については、国民から疑惑を招かないような仕組みを考えることが必要であります。
 公共事業受注企業からの政治献金等については、野党四党から改正法案が既に国会に提出されている一方、自民党においても、現在、どういう制限が必要か、検討が進められているところであり、一歩でも前進するような措置を講じたいと考えております。
 いずれにせよ、政治資金のあり方は、政治活動にかかるコストをどのように国民に負担していただくかという重要な問題でございまして、各党各会派に十分議論していただかなければならない問題であると考えております。(拍手)
    〔国務大臣片山虎之助君登壇〕
国務大臣(片山虎之助君) 高橋議員に順次お答え申し上げます。
 冒頭、今、官房長官からも答弁ございましたが、公共事業受注企業からの献金につきまして、私の名前も某新聞紙に載ったことは承知いたしておりますが、私の場合は、政党支部の政治活動に対します一般的な寄附でございまして、適法に処理しましたので、そのことを申し上げたいと思います。
 この問題につきましては、今、官房長官からも御答弁がありましたが、野党案が国会に提出されているということは承知いたしておりますし、与党でもいろいろな議論が行われていると聞いております。いずれにせよ、国会内で各党各会派における十分な御議論と御討議が必要ではなかろうかと考えている次第でございます。
 地方財政対策についての考えでありますけれども、長期にわたる景気の低迷の中で国の財政も地方の財政も大変厳しい、こういう認識に私どもは立っておりまして、平成十三年度から十五年度までにつきましては、ぎりぎりの地方財政で経常収支に穴があいた場合には、半分は国が一般会計で調達して交付税特別会計に加算する、半分は赤字地方債、臨時財政対策債を地方が出してみずから調達する、こういうことにいたしたわけでございます。
 この場合の赤字地方債につきましては、将来、その元利償還はすべて交付税の基準財政需要額で措置する、毎年度の地方交付税は毎年度の地方財政計画の策定を通じて確保する、こういうことにいたしているわけでありまして、基本的には、私どもは、景気の回復を待つ、あるいは、国、地方を通じる行財政の簡素効率化を図る、さらには、私どもの立場で言えば、地方税の充実を基本とした国と地方の税源配分の見直しをやっていただく、こういうことではなかろうかと考えている次第でございます。
 法人事業税の外形標準課税の導入でございますけれども、御承知のように、国税は応能でいい、しかし地方税は、受益に応じて広く薄く負担していただくのが地方税だ、こういうことでございまして、法人事業税は法人税と同じように所得課税ですから所得が出なければ一銭も払わなくてもいい、大きな企業が事業活動をやり、多くの従業員を抱えて地方団体から各種の行政サービスを受けていることについて、少しは負担していただいてもいいのではなかろうかというのが外形標準課税でございまして、これは、昭和二十五年のシャウプ勧告以来のある意味では地方税関係者の悲願でございます。
 政府税調でもあるいは与党税調でも、もう四年も五年もかかって議論しておりまして、今回、そのうちで一億円を超える法人について四分の一だけ平成十六年度から外形標準課税にしよう、四分の三は所得課税なんですから四分の一だけやる、こういうことにいたしたわけであります。
 何で一億円かというと、これは、法人税法において、一億円を超える、一億円以下ということが法人税の一つの仕切りになっておりますので、私どもはそれをとりまして、一億円以下は中小企業的だ、こういうことで、一億円以上の企業についてだけ、四分の一だけ平成十六年度から外形標準課税を導入させていただこう、これが地方税においては公平であるし、性格が明確化するし、都道府県の税収が安定化するし、そういう意味では、四分の一でございますけれども、一つの大きな足がかりができたと私は考えております。
 いずれにせよ、大議論をして導入させていただきましたので、今後どうするかにつきましては、この改正案による状況を十分見きわめながら検討してまいる、こういうふうに考えている次第でございます。
 そして、外形標準課税の基本理念は何かというお話もございましたが、先ほど申し上げましたように、公平性の確保、性格の明確化、安定化あるいは経済の活性化、構造改革にも資するのではなかろうかと私どもは考えておる次第でございます。
 合併につきましては、御承知のように、今、一生懸命やっておりまして、全国の約八割の市町村が合併を検討する、合併の前提でございます法定協議会あるいは事実上の協議会に加入している市町村が千六百十八ある、法定協議会は八百六十二の市町村が加入されている、こういうことでございまして、全国的に大きな盛り上がりになっていると思っております。
 私どもは、二十一世紀は地方の時代にする、その地方の時代は市町村の時代だ、市町村にできることは全部市町村でやってもらう、市町村にできないことを都道府県がやり、都道府県も市町村もできないことを国がやる、こういう体制でなきゃいかぬ、そのためには、市町村にできるだけ権限を与える、税財源を与える、優秀な人材、人間も集まってもらうようなことを考えるべきだと。
 今の市町村は、一万以下がまだ五〇%以上あるのです。そういう意味で、市町村の規模、能力を強化する、行財政基盤を強化することが真の意味での地方の時代になり市町村の時代になると考えて、我々は今、合併をやっているわけでありまして、合併後の基礎的な自治体である市町村のあり方につきましては、現在、総理の諮問機関でございます第二十七次地方制度調査会で御議論を賜っておりまして、三月末ごろまでには中間的な御判断がいただけるのではなかろうか。そういうことの上に立って、合併後の市町村のビジョンについても我々は十分に検討してまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕
国務大臣(塩川正十郎君) 私に対する御質問は、地方財政において、特に税源配分をどうするかということでございました。
 確かに、平成十五年度の税制改正におきまして、現下の経済財政状況において、地方との配分につきまして、まず、地方の自主独立を図るための分権への前提としての財源の配分を芽出しをしたところでございますけれども、本格的な改革は今後に残されております。
 つきましては、税源の配分は、ただ単に税源の配分だけで終わるものではございませんで、まず、それに伴いますところの分権の行政の責任を国と地方の間でどうするかということを明確にする必要がございますことと、さらにはまた、行政の効率化、見直しをどうするかという問題があることは当然でございます。
 それに伴いまして、国庫補助金の制度をどうするか、負担金の軽減もどうするか、さらには、地方交付税を通じまして、現在、財源の調整と財源の保障をいたしておりますけれども、この改革をいたさなければならないのでございまして、すなわち、税源配分と、それから国庫補助金、負担金の整理、そして地方交付税のあり方の問題、この三つの問題を一括して、いずれ、地方と国との間の財源の問題、財政の負担というものを決めていかなきゃならぬと思っております。
 したがいまして、これからどんどんと、まず分権を進めていき、それの受け皿を地方行政においてつくっていただくと同時に、積極的に財源の配分について三位一体の改革を進めていくことをいたしたいと思っております。よろしくお願いいたします。(拍手)
    〔国務大臣竹中平蔵君登壇〕
国務大臣(竹中平蔵君) 私のETFに係る発言についてお尋ねがありました。
 二月七日の閣僚懇において、私は、貯蓄から投資への流れを加速するとの方針から、各閣僚に対し、TOPIX、日経二二五に連動するETFの購入を呼びかけました。その直後の記者会見において、「大臣はどうされるのですか。」と問われ、「買います。絶対もうかります。」と発言いたしました。
 当該発言は、私が個人としての認識を申し上げたものであって、もうかるから買いなさいと申し上げたものではないことを御理解いただきたいと思います。
 しかしながら、この表現は、金融担当大臣として、誤解を招きかねない面があったという面において、適切ではなかったと深く反省をしております。
 今後は、御指摘の点を国務大臣として深く肝に銘じ、しっかりと行政に当たってまいりたいというふうに思っております。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
副議長(渡部恒三君) 春名直章君。
    〔春名直章君登壇〕
春名直章君 私は、日本共産党を代表して、地方財政計画外二法案に対して質問いたします。(拍手)
 小泉内閣が発足して約二年、その失政の連続は、経済も財政も惨たんたる状況に陥れました。小泉改革の破綻ぶりは、今や、だれの目にも明らかであり、地方政治、地方財政の分野もその例外ではありません。
 二〇〇三年度、地方財政の通常収支の財源不足は過去最悪の十三兆円でありますが、その主要な原因は、経済運営の失政による地方交付税額と地方税収の大幅な落ち込みにあります。
 国の経済対策に動員され、巨額の借金を抱えてきた地方財政への責任もとらず、今また、三位一体改革の名で地方交付税と補助金を削減し、さらに、四兆円から五兆円の交付税削減になると、強制的な市町村合併を押しつけているのであります。今、小泉内閣が続けば地方財政はどうなるのか、地方が切り捨てられるのではないか、こういう批判と危惧の声が急速に広がっています。
 地方財政の困難を解決するためには、年間四十五兆円の約六割を地方に実施させている公共事業を抜本的に見直し、国も地方も予算の主役を暮らし、福祉に切りかえること、公共事業推進の仕掛けとなっている後年度地方交付税で元利償還を算入するという交付税の補助金化政策をきっぱり断ち切ることが必要であります。(拍手)
 さて、今度の地方財政計画は、対前年度一・五%、二年連続のマイナスという初めての事態であり、その主な内容は、職員定数の一万人削減、一般行政経費の削減等であります。
 地方公務員総数は八年連続して減少、とりわけ、一般行政部門の職員数は二十六年前の水準に逆戻りであります。四年間に四万人以上純減、一般行政経費は各年度を通じ前年度の水準を上回らないよう抑制が、あなた方の方針です。高齢化の進展、教育、環境問題など、自治体が果たすべき役割がますます複雑多岐になっている今日、さらに四万人を削減して住民サービスの提供に本当に支障が生じないと断言できるかどうか、総務大臣の答弁をまず求めたいと思います。(拍手)
 一般行政経費の削減は、自治体独自の事務事業に焦点が当てられています。今でも、国の制度が不十分なために各自治体が独自にやってきた制度、お年寄りや乳幼児の医療費助成、各種の福祉手当や施設への補助金、シルバーパス制度などが乱暴に切り捨てられていますが、今回の削減がこの動きに一層拍車をかけることになるのではないか。財源措置を奪って自治体が独自の仕事をできないようにすることは、まさに地方自治に逆行するものではないか。総務大臣の答弁を求めるものであります。(拍手)
 次に、義務教育費国庫負担金の削減について伺います。
 現行の国庫負担金制度は、かつての義務教育費国庫負担金制度が廃止され、平衡交付金制度に包含されることで、都道府県間での教員の待遇、定数の不均衡が甚だしいものになったとの苦い教訓から、一九五二年に発足したものであります。そして、国庫負担の対象も、当初の教員給与、旅費、教材費から、恩給費、共済長期給付、公務災害補償などへと拡大されてまいりました。義務教育は無償という、憲法に要請された教育水準の維持向上のために必要だったからであります。
 一般財源化という名前で、過去に犯した愚を繰り返すことは許されません。明白な国の責任放棄じゃありませんか。今なすべきは、義務教育費国庫負担制度からの撤退ではなくて、多くの自治体が要望しているように、制度の維持充実であります。文部科学大臣の答弁を求めるものであります。(拍手)
 緊急の問題として、介護保険料の値上げ中止について伺いたいと思います。
 制度発足以来、初めての事業見直しで、この四月から八割もの自治体が保険料値上げを計画し、とても払い切れないとの悲鳴が全国で上がっています。現在、介護保険への国の負担は二五%とされていますが、このうち五%は、七十歳以上の高齢化率の高い自治体などへの重点的に配分される調整交付金であります。全国市長会、全国町村会は、この部分を枠外とし、すべての自治体に国が二五%の負担をすることを強く求めています。
 坂口大臣は、すべて国が出すわけにはいかないと言いますが、すべてとは言っておりません。緊急に五%積み増しすれば、全国の保険料値上げを中止することができるのです。厚生労働大臣に真剣な検討を要請したいと思います。責任ある答弁を求めます。(拍手)
 次に、地方税法、地方交付税法改正案について伺います。
 まず、法人事業税への外形標準課税の導入問題であります。
 政府は、反対世論を恐れて、外形課税部分を課税標準の四分の一とし、資本金一億円以下の企業は当面免除するという苦肉の策を弄しています。
 しかし、この制度が導入されれば一体どうなるでしょうか。史上空前の利益を上げているトヨタ自動車は年間百六十億円、NTTドコモが六十八億円、武田薬品が五十億円、大きな利益を上げている大企業に巨額の減税となります。一方、デフレ不況で苦しんでいる赤字企業には容赦なく増税であります。
 政府は、増減税同額と言っています。マクロでは、自治体には増収になりません。結局、赤字企業から取り立てた税金を、大きな収益を上げている黒字大企業の減税分に充てるだけではありませんか。総務大臣、いかがですか。
 しかも、課税標準の四分の一、資本金一億円以下の企業の免除はいつまで続けますか。将来的には、資本金一億円以下の企業にも課税対象を広げるのではありませんか。はっきりお答えいただきたいと思います。(拍手)
 小泉内閣になり、地方交付税の財源保障機能が大きくゆがめられていることは問題です。
 来年度、五兆八千六百九十六億円の赤字地方債の発行を予定しています。財源不足額を赤字地方債で賄うことは、財源保障という国の責任を放棄し、地方に負担を転嫁するものとして、かつて、政府自身が禁じていたものです。政府は、元利償還を地方交付税で丸々補てんし、それを地方交付税法に法定化しているからいいんだと強弁しています。しかし、地方交付税は地方団体共有の独立財源ではないのですか。いつ、考え方を変えたのでしょうか。
 国が果たすべき財源不足の補てんを地方団体共有の独立財源である地方交付税で補てんする、これでどうして国が財源保障の責任を果たしたと言えるでしょうか。総務大臣の答弁を求めたいと思います。(拍手)
 既に政府は、今年度から段階補正の見直しを行い、全国規模で約七百億円の削減を強行しています。人口千人規模の自治体で八百万円、四千人規模で千八百万円、八千人規模で千七百万円と、小さな団体ほど、その削減割合が大きくなっています。まさに、小さな町村に対する合併促進の兵糧攻めであります。
 地方交付税法は、財源調整機能と財源保障機能をうたい、この二つの機能によって、憲法の「地方自治の本旨」の実現に資することと、地方団体の独立性を強化することを目的としています。赤字地方債の発行や段階補正の見直しは、この交付税法の趣旨や目的に真っ向から反するものであって、撤回を要求します。そして、二つの機能を堅持すべきことを強く要請するものであります。(拍手)
 最後に、市町村合併について伺いたいと思います。
 この二月二十五日、全国町村会と全国町村議会議長会共催で、町村自治確立総決起大会が開催されます。その「目的」には、「今、町村の自治は存亡の危機にある。」と記されています。総務大臣は、全国の町村長がそういう認識に立っていることを一体どう受けとめているのでしょうか。答弁を求めたいと思います。
 昨年十一月、一定規模以下の人口の自治体の法的合併強制及び基本的な事務と権限を取り上げる、いわゆる西尾私案が出されました。これに対して、水辺に群れていた水鳥に向かって空砲を撃ったようなものと、現場を見ない国の強制合併論に強い憤りが町村関係者を中心に広がっています。
 憲法九十二条は、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」とありますが、人口規模を理由に市町村の合併を強制し、その基本的な権限を奪うような法律は、この地方自治の本旨に反し、もし制定するなら違憲の法律となってしまいます。
 そこで、総務大臣に伺いたいと思います。
 大臣は、一昨年十一月二日の経済財政諮問会議で、憲法学者の定説として、地方自治の本旨は団体自治と住民自治を充足すること、住民自治というのは自分が決めるということ、団体自治というのは団体として独自性、方向性を持つということと発言されています。あなた自身、今でもこの考えに変わりがないかどうか、はっきりお答えいただきたいと思います。
 西尾私案に対して、全国町村会、全国町村議会議長会は、小規模町村であっても、現実に基礎的自治体としての役割を担い、住民の福祉と暮らしを守っていること、国土の保全や食料と文化の供給地として国と国民の暮らしを支えていると誇りを述べています。そして、西尾私案は、そのかけがえのない町村の役割を無視するもので、町村と住民の自主性を奪う、地方自治の本旨に反するものだと痛烈に批判しているのであります。総務大臣、こうした町村会の見解をどう受けとめますか。
 今後の市町村のあり方、合併のあり方を決める場合、全国町村会や全国町村議会議長会など、市町村の意向を最大限に尊重すべきだと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めたいと思います。(拍手)
 日本共産党は、強制的な合併は許しません。「住民が主人公」の精神で、暮らしと福祉を支える自治体らしい自治体を目指して、全国の自治体関係者と住民の皆さんとともに全力を尽くすことを申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣片山虎之助君登壇〕
国務大臣(片山虎之助君) 春名議員に順次御答弁させていただきます。
 最初に、四年間に四万人以上の純減あるいは各年度を通じて前の年度の水準を上回らないような抑制、こういうことでございます。
 内閣では、「構造改革と経済財政の中期展望」、こういうものを決めましたが、これで、十八年度までの四年間は国、地方を合わせた一般政府の支出規模のGDP比について現在の水準を上回らないようにする、そういうことで国も地方も歳出を計画的に抑制しよう、そういうことの中で、職員定数も削減する、あるいは一般行政経費も抑えていく、こういうことを決めたわけでございますが、それは全部を抑えるというわけじゃございませんで、めり張りをつけて、必要なものはちゃんと財源を手当てしていく、こういうことでございまして、ぜひそこは御理解を賜りたいと思っております。
 特に、福祉の関係では、来年度の十五年度の地方財政計画におきましては、二・一%の増額を担保いたしておりますし、地方の活性化、環境関係、少子高齢化あるいは情報化につきましては、いわゆる新重点四分野、こういうことで重点的な資金の配分を行うことにいたしているわけでありますし、トータルとしては、今回の地方財政計画で、来年度、地方団体が必要なものについては必要なことがやれる、財政運営に支障がない、こういう建前で策定いたしている次第でございます。
 外形標準課税につきましては、御承知のように、十六年度から一億円を超える企業にだけ外形標準を四分の一導入する、四分の三は今と同じように所得課税なんです。
 何度も言いますけれども、すべての企業は、企業活動を行うことによって、例えば府県の道路だとか港湾だとか、いろいろなものを利用している、従業員の方には、教育だとか福祉だとか、あるいは警察、消防だとか、そういうサービスを受けているわけでありまして、それは赤字だろうが黒字だろうが、少しは負担していただく。こういうことで、我々は外形標準課税を導入する。この方が公平だと。受益に応じ、サービスに応じて少し負担してもらう、広く薄く負担してもらう、こういうことでございまして、ぜひ御理解を賜りたい。
 今後どうするんだということでございますが、当面は、今回の導入の結果を見守ってまいりたい、こう考えておるわけでございます。
 我々は、地方交付税は国税の形をかえた地方税だ、地方の固有の財源だ、その考え方は変わっておりません。しかし、こういう状況の中で、地方の経常収支に穴があいたということで直ちに交付税率の引き上げができるのか、こういうことでございまして、そこで、我々としては、交付税もできるだけ手当てをしてもらいますけれども、どうしても足りないものについては赤字地方債を出してもらって、それについては、交付税の身がわりとして、将来の基準財政需要の中にきちっと手当てをしていく、その基準財政需要は毎年度の地方財政計画を通じて必要な財源は確保していく、こういう建前をとったわけであります。
 いずれにせよ、景気が回復もしてまいると思いますし、いろいろなことで三位一体の改革が進めば、税源移譲等も我々は考えておりますので、そういうことの中で地方財政の安定を図ってまいろう、こういうふうに考えているわけでございます。
 市町村合併についてどう考えるのか、こういうことでございますが、存亡の危機だと。
 我々は、市町村を存立させるために合併を考えているんですよ。市町村が堂々と市町村らしい仕事をするために我々は合併を考えているわけでありまして、亡のことなんか全く考えていない。そういう意味で、市町村の行財政基盤を強化して、市町村でいろいろな仕事をやってもらう。市町村は役場があればいいということではないのです。やはり地方の活性化ができ、住民福祉の向上ができるような市町村になってもらう。そういうことを考えているわけでございまして、ぜひそういう意味では御理解を賜りたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
 それから、団体自治と住民自治のお話がございました。
 地方自治の本旨は、我々も昔、大学で習いましたが、団体自治と住民自治だと。住民自治というのは、我々住民が例えば首長さんや議員さんを選んで、そこで自治をやってもらう、これが住民自治ですね。自分で選ぶ。団体自治といったら、国とは別の、一つの法人格を持った団体が、それ自身が独自性を持っていろいろな意思決定ができる。こういうことでございまして、私は、その考えは全く変わっておりませんし、今回の市町村合併はより住民自治、団体自治を完結するために考えているわけでございまして、ぜひそういう意味では御理解を賜りたい、こう思っております。
 西尾私案につきましては、西尾先生が地方制度調査会の副会長なんですよ。そこで、会長なり小委員長から、たたき台を出してくれということを頼まれまして、去年の十一月に西尾私案を出したわけであります。いろいろなことを書いてございますが、これはあくまでたたき台でございますので、これを一つの素材として大いに議論していただいて、その議論の中で意見を集約してもらう、こういうことでございまして、西尾私案が市町村をどうにかしようなんということは全く考えていない。
 私自身も、小規模なゆえをもって市町村をどうにかするなんということは考えていない。自立の志と力があれば、それは規模の大小を問わないわけであります。しかし、自立する基盤をつくるということが我々の合併の考え方でございますので、よろしく御理解を賜りたいと思います。
 以上であります。(拍手)
    〔国務大臣遠山敦子君登壇〕
国務大臣(遠山敦子君) 春名議員にお答えいたします。
 義務教育費国庫負担金についての御指摘でございます。
 義務教育は、憲法上の要請により、すべての国民に対し、必要な基礎的資質を培うものでありまして、国と地方が適切に役割を分担しつつ、円滑に実施していくことが重要と考えております。
 義務教育費国庫負担制度につきましては、今般、国と地方の費用分担のあり方の見直しを図るという観点に立ちまして、共済費長期給付等の経費を一般財源化するための法律案を提出させていただいたところでございます。
 文部科学省としましては、同制度について必要な見直しは行いつつも、義務教育の水準を確保するため、今後とも、国として必要な責任はしっかりと果たしてまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣坂口力君登壇〕
国務大臣(坂口力君) 春名議員からは、介護保険の問題につきまして、一問、お問い合わせがございました。
 介護保険制度におきまして、国が給付費といたしておりますのは二五%でございますが、その二五%のうちで、二〇%は定率負担になっているし、五%は調整交付金になっている。この五%のところを別枠にして、二五%を定率負担にして、それに五%、そして全体として三〇%にしたら市町村はより楽になるではないか、こういうお話だと思うのですが、それは、計算上はよくわかる話でございますけれども、しかし、それで介護保険制度の根幹が解決するとは思えません。
 現状で実施は困難でございますが、しかし、介護保険制度の全体の見直しにつきましては、来年に向けましてこの一年間、一生懸命にやっていかなければならない。現在の制度がベストか、それとも、もう少し改善する点があればどんなことかということは、やっていかなければならないわけでございますので、鋭意、これから検討をしていきたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
副議長(渡部恒三君) 菅野哲雄君。
    〔菅野哲雄君登壇〕
菅野哲雄君 私は、社会民主党・市民連合を代表し、ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案、地方財政計画の地方財政関連三案につきまして、片山総務大臣並びに関係閣僚に質問いたします。(拍手)
 まず冒頭、地方財政計画あるいは地方自治に重大な影響を及ぼしますWTO農業交渉に関して、大島農水大臣に質問いたします。
 十六日に閉幕したWTO非公式閣僚会議において、ハービンソン議長が示したモダリティーの一次案が、余りにも輸出入国間のバランスを欠いたものであり、各国の溝が埋まらなかったのは、ある意味で当然であります。
 一次案は、関税率の大幅引き下げ、輸入数量の大幅拡大、特別セーフガードの廃止、国内支持政策の大幅縮小などを内容とするものであり、我が国にとっては、到底受け入れられるものではありません。この案がもし強制されるようなら、日本の農業が壊滅的打撃を受けることは、火を見るよりも明らかであります。
 WTOの帰趨は、我が国農林水産業の将来だけでなく、地域社会、国民生活全体を左右する重大な問題であり、生産者はもとより、消費者、国民全体が政府の今後の対応に強い関心を寄せています。
 WTO農業交渉においては、日本政府も提案しているように、貿易至上主義を克服し、世界の農業が平等かつ持続的に発展していけるよう、公平公正なルールを確立していくことが必要であります。そのためには、食料の安全保障、農業の持つ多面的機能の追求を世界の共通課題としなければなりません。
 東京会議の議論を受けて、ハービンソン議長がどのような二次案をまとめるのか、今後の大きな焦点となりますが、三月末の大枠合意期限に向けて政府がどのような対応をしていくのか、考えと決意をお聞かせください。
 また、WTOをめぐっては、ガット・ウルグアイ・ラウンド対策として、これまで、農業基盤整備等に巨額の事業費がつぎ込まれました。しかし、食料自給率は低どまりするなど、その政策効果についてきちんとした検証がなされなければならないと思います。ウルグアイ・ラウンド対策事業費に関する政策評価について、農水大臣並びに総務大臣から明らかにしていただきたいと思います。
 引き続き厳しさを増している中で、来年度の地方財政計画の歳入歳出規模は八十六兆二千億円と、二年連続のマイナスとなり、一般財源比率、地方債依存度も悪化し、地方全体の債務残高も二百兆円の大台に近づき、もはや、地方財政の破局は目前となっています。
 そこで、片山総務大臣にお尋ねいたします。
 二〇〇三年度は、いわゆる折半ルールに基づき、通常収支分こそ特別会計借入金がなくなりましたが、本格的な赤字地方債依存に振りかえられただけであり、財政調整財源である交付税の総額を自治体がみずからの借金で賄う状態を深めることに変わりはありません。
 しかも、赤字地方債を交付税のかわりとして位置づけることで、赤字地方債を入れれば必要な一般財源を保障しましたよ、あるいは、赤字地方債を除けば地方債発行は少ないですよというのは、国の都合のよい言いわけにすぎません。
 地方財政法第五条の「地方公共団体の歳出は、地方債以外の歳入をもつて、その財源としなければならない。」の趣旨に反する赤字地方債を廃止すべきではないですか。
 また、通常収支による財源不足以外の、この間の恒久的な減税による収支不足及び今回の先行減税に伴う収支不足、さらには国庫補助負担金の見直しに伴う収支不足について、あたかも財源不足額を通常収支分のみと考えることは、本質を隠ぺいすることになると思います。これらも、本来、通常収支分とあわせて財源不足額としてカウントされるべきであると考えますが、いかがですか。
 臨時財政対策債も、合併特例債も、減税補てん債も、地方債発行の元利償還の一部を将来交付税で措置するからと総務省は言いますが、いずれも借金に変わりはなく、交付税に占める過去の地方債の穴埋めに充当する部分がますますふえているのが実態ではないでしょうか。このままでは、将来の交付税の先食いが続き、とらぬタヌキの皮算用のネバーエンディングストーリーとなりかねないのではないですか。
 今次、地方税制改革の大きな焦点は、毎年、検討課題に挙げられながら、結論が先送りされてきた法人事業税について、部分的に外形標準課税への転換が行われる問題です。
 そこで、外形基準の割合が四分の一で、都道府県税収の安定性はどの程度向上するのですか。資本割として資本を外形基準に入れておいて、一千億円を超える部分の段階的な圧縮など、いわば資本金額が多いほど税の負担率が低くなるのはなぜなのですか。
 今回の外形標準課税は、とにかく芽出しのために理屈抜きで制度化をしようという嫌いがあり、課税対象、課税方法等について、本来の外形標準課税とかなり隔たりのあるものではないかと考えます。片山総務大臣の御見解はいかがですか。
 次に、地方を揺るがしている平成の大合併について、片山大臣にお尋ねいたします。
 小泉内閣は、ここに来て、あめの大盤振る舞いに飽き足らず、交付税の段階補正の見直しの推進、合併しない小規模自治体の自治権の剥奪、内部団体化を柱とするむちで強制しようという、今までの自主的なという建前すらかなぐり捨てた、さらに強力な合併促進策の検討を進めています。
 しかし、自治体は、一体何のためにあるのか、何で必要とされているのか。地域住民の生活基盤を維持し、充足するための自治体でなければならないはずなのです。地域社会の重要課題の矮小化、地域代表である議員定数の削減、直接請求のハードルの上昇など、地域における自治の縮小をもたらし、周辺部の過疎化に拍車をかけ、地域社会の衰退を加速させるだけの合併をセーフティーネットの強化に位置づける発想が理解できません。
 そこで、特例法の期限後の市町村合併のあり方についてお伺いするとともに、この際、地方自治の本旨に反する強制合併はしないと約束していただきたいと思いますが、片山大臣の明快な答弁を求めるものであります。(拍手)
 また、合併特例債を使った合併バブルのような状況も生まれています。後で交付税措置があるといっても、将来の地方交付税における借金返済費用分をふやすだけで、場合によっては、計算上のことだけになりかねません。実は、昭和の大合併のときに、国の約束破りと全国各地で大問題になったことがあります。総務大臣、国の財政が厳しい中、約束は守られるのか、私も心配かつ疑問に思っています。片山大臣、本当に大丈夫なのでしょうか。
 次に、緑の雇用対策、地球温暖化対策についてお伺いいたします。
 京都議定書における日本の世界への公約は、一九九二年比で、二酸化炭素の排出量をマイナス六%にするということです。今、森林・林業の環境に果たす役割、特に二酸化炭素吸収源として地球温暖化対策に果たす役割が大いに注目されていますが、政府も、六%のうちの三・九%を森林対策で確保していこうという方針であります。
 しかし、この方針を達成するためには現状の対策では困難だということも、政府自身が認めているところです。
 雇用に関して言えば、政府の森林・林業基本計画を達成するためには約十万人が必要であり、そのためには、毎年一万人の新規労働力の確保が必要です。しかし、二〇〇二年度補正による緑の雇用担い手対策事業では、わずか二千四百人が確保されているだけであり、この程度の雇用でどのような森林整備が可能だというのでしょうか。
 政府の計画達成へ向けての具体的な展望を、大島大臣並びに坂口大臣からお聞かせいただきたいと思います。
 地方財政改革の具体化が図られることと期待されていた、地方分権改革推進会議が昨年十月にまとめた「事務・事業の在り方に関する意見」においては、義務教育費国庫負担制度の見直しについて、分権・自治の立場からの抜本的な改革ではなく、財源措置不明のまま、自治体へのツケ回しさえ容認するような内容となっていました。
 この点について、地方財政計画では、所要財源の八分の七を国が負担するという暫定措置が講じられることになりましたが、依然として特会借り入れ方式は残っており、小泉首相が唱えた三位一体改革の芽出しにもなっていないと言わざるを得ません。よもや、三位一体改革とは地方財政の抑制と国の責任・負担の自治体への転嫁ということではないですよね。
 今回の暫定措置はいつまで続くのか、いつ自治体が求めている税源移譲が実現するのか、片山大臣、明らかにしていただけませんか。
 最後に、今日的状況のもとで二〇〇四年度からの国と地方の新ルールがどうなるのかについて、大きな関心を持っています。少なくとも、赤字地方債の延長や衣がえといった、財政調整制度の原則にもとる方式はとられるべきではないと信じています。総務大臣と、かつて自治大臣も務められた塩川財務大臣に、新ルールの構想も含めて、地方税財源の分権の展望について明らかにしていただき、質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣片山虎之助君登壇〕
国務大臣(片山虎之助君) 菅野議員の御質問に順次お答え申し上げます。
 最初に、ウルグアイ・ラウンド関連対策に関する政策評価についてのお尋ねがございました。
 ウルグアイ・ラウンド関連対策につきましては、これはやはり地域にとって大変な課題でございまして、特にそういうことの中で、我々は農山漁村地域の活性化を図らなければならない。こういうことで、国の施策に応じまして、国庫補助事業としては相当な額が行われましたが、地方単独事業もともに実施してまいったところでございます。
 平成十二年七月の農林水産省の中間評価によれば、担い手への農地の集積は目標の約半分であるけれども、全体として見れば、稲作の労働時間が約六割短縮するなど、着実に効果が上がっている、こういう評価をされたところでございます。
 我々としても、政策評価法が去年から施行になりましたので、これらの評価を踏まえながら、地方公共団体の取り組みについても、効果的、効率的な事業展開が図れるように必要な措置を講じてまいりたい、こう考えております。
 それから、借り入れをやめて赤字地方債を出すようになった、こういうことでございますが、長い間、各年度の経常収支の穴につきましては、交付税特別会計が資金運用部を中心にお金を借り入れて、その借り入れたものを、特別会計からキャッシュで全地方団体に配っておったのですね。本当は全地方団体の借金なんですけれども、資金運用部資金がありましたからキャッシュでもらえた。
 これは大変、責任も不明確だし、わかりにくい、透明度が低い。こういうことで、資金運用部制度も廃止になりましたので、十三年度から十五年度にかけて特会借り入れはもう順次やめていく。そのかわりに、国に責任を持ってもらうものはキャッシュをもらう、国の一般会計からキャッシュをもらう。地方のものについては赤字地方債を出してもらう。そのかわり、赤字地方債については、先ほども申し上げましたが、地方交付税の身がわりですから、基準財政需要額にしっかり入れて元利償還を補てんしていく。こういう制度をとったわけでございます。
 しかし、なかなかこれもつらい制度でございまして、いずれにせよ、我々は、税源移譲を含む国と地方の税源の再配分ということを考えておりますから、そういう中で、国庫補助負担金の整理合理化、地方交付税の見直しを含めて地方税を充実していく、地方の自立に係る税財源基盤を強化していく、こういうことを考えておりますので、そういう中でぜひ解決を図ってまいりたい、こういうふうに思っております。
 借り入れはやめたけれども、恒久的な減税、今回の先行減税、あるいは、今回行われました義務教育等の国庫補助負担金の見直しに伴う不足については、やはり交付税特会の借り入れを残しているのです。
 これはせんだっても答弁いたしましたが、恒久的な減税は、いずれにせよ、税制の抜本改正を行ったときに増収で補てんする。先行減税ですから、これは、後ほど税制改正で増税ということになれば、それで補てんしていく。国庫補助負担金の見直しは、いずれにせよ、税源移譲につなげていく。いずれも暫定措置だから、交付税特会で借り入れをして、その時期に来たら、それをちゃんと返していく。こういう仕組みで交付税特会を残したわけでございまして、その点については御理解を賜りたい、こういうふうに思っているわけでございます。
 交付税の先食いになるのではないか、こういうことでございますけれども、先食いといえば先食いなんですが、これは何度も言いますけれども、毎年度の地方財政計画を国会に出して御承認いただいて、あわせて、地方交付税法の一部改正もやるわけですから、毎年度、しっかりその収支不足は財源の確保を図っていく、こういうふうに考えていただきたいと思うわけでございます。
 それから、外形標準課税についてどのくらい効果があるんだというお話がございました。
 一億を超える法人で法人事業税の約六割を御負担いただいているのです。一億円以下で約四割でございまして、そのうちの四分の一を外形標準に移行するということは、六割掛ける四分の一ですから、一五%ぐらい法人事業税として安定化に資する、こういうふうに考えているわけでございます。
 それから、資本金が一千億円を超えるものについては、資本金の額に応じた仕組みにしていないのですが、それは、資本金がどんどんふえるとそれだけ税負担をふやしていく、スライドしていくということは必ずしも合理的でございませんので、その辺は圧縮する、こういう仕組みを導入いたしたわけでございます。
 それから、外形標準課税の意義についてでございます。
 何度も言いますように、都道府県が行政サービスをそれぞれの法人にも行っている、それについて、大企業が赤字だからと一切負担しない、何年も負担しない、これはやはり公平でないのではないか、こういうことでございまして、我々は、応益性に着目して広く薄く負担していただこう、こういうことで導入いたしたわけであります。外形標準の課税になりますと税が安定することは御承知のとおり、所得に影響されないわけでございますから、一五%はそういうことになったとお考えいただきたいと思います。
 それから、合併に絡んで、段階補正をおまえはむちにしたではないかと。
 段階補正は、現状と比べて少し乖離が出てきている。段階補正というのは、小さいほど割高で経費がかかるからたくさん交付税をやるという制度ですから。そこで、我々は、実態を調べまして、三年間で一六、七%、段階補正を縮小しよう、こういたしたわけでございまして、これは合併に関係なく、交付税の見直しとして行ったわけでございます。
 それから、市町村の権限縮小云々というのは、これは西尾私案の中にいろいろな案を書いているということでございまして、現実にそういうむちをやっているわけじゃ全くない。これから議論は始まるわけでございますので、ぜひ御理解を賜りたいと思います。
 それから、合併は十七年三月の合併特例法が終わっても永遠に続くと私は思います。永遠に続く。ただ、優遇措置は十七年の三月で切れる。あれだけの優遇措置はもう続けない、こういうことを何度も言っているわけでございまして、合併は特例法以降もずっと続いて行われるわけでございますが、何度も申し上げますように、我々は、強制合併なんということは一切考えておりません。自主的な合併なんです。
 しかし、自主的ということは、自分を中心に、自分のことだけ考えるようなことじゃ困ると言っているのです。自主的というのは、地域の将来をしっかり考えてもらう、そういう自主的な合併を推進してまいりたい、こう思っておるわけでございまして、ぜひ御理解を賜りたいと思います。
 それから、合併特例法につきましては、七割元利償還を将来とも交付税で見ていく、こういうことでございますが、これは法律に書いておりますし、国の約束でございますので、法律に書いて国会の皆さんの承認も受けているわけでございますから、これをたがえるようなことは絶対ございませんので御安心を賜りたい、こういうふうに思っております。
 それから、義務教育の国庫負担金を二千四百億円ほど削減いたしました。それにつきましては、半分は国の特例交付金、半分については交付税特会の借り入れ、そのうちの四分の三は国が責任を持って補てんする。だから、八分の七、国が責任を持って補てんする。八分の一は、毎年度の地方交付税、地方財政計画の中の地方の財源不足の中にカウントして補てんする。ということは、丸々これは国が補てんする、こういうことでございまして、そういう意味では、私は、今回、芽出しにはなったと。
 ただ、二千億ぐらいですぐ税源移譲だとかなんとかという話になりませんので、これがある程度たまっていったら、経過的な措置でございますから、将来の税源移譲につなげていく、こういうことでございまして、それも三位一体改革の中ではっきりさせていく、こういうことでございます。
 最後に、二〇〇四年度以降どう考えるかということでございます。
 これは財務大臣とも十分相談いたしますけれども、いずれにせよ、この夏までに三位一体の改革を取りまとめますから、そういうことの中で二〇〇四年度の地方財政対策も考えてまいりたい、こういうふうに思っております。
 以上であります。(拍手)
    〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕
国務大臣(塩川正十郎君) 私に対するお尋ねは、地方財源の配分についてでございます。
 来年度の新ルールの構想に基づいて地方財源の配分が行われるがどういうことかという御質問でございまして、地方の切り捨てにならないようにしろということでございますが、我々といたしましては、この際に、国の構造改革の一環として、国と地方の行政のあり方を見直し、それぞれの責任分担を明確にするということがまず先決であろうと思っております。
 そのためには、ここで何遍も申し上げておりますけれども、国と地方との間におきますところのシビルミニマムとナショナルミニマムの分担を見直すとともに、市町村の合併等によりまして、受け皿の整備をまずしっかりしたものにしていただくということが大事でございます。
 その上に立ちまして、分権を積極的に進めてまいるのでございますけれども、これに相関連しまして、税源の十分な補充が必要でございますので、そのためには、国庫の補助金あるいはまた負担金のあり方、あるいは地方交付税の現在のあり方、さらには税財源の配分、この三つの要素を兼ね合わせまして、地方が自主独立し得る体制をとり得るような税制の基礎を確立いたしたいと思っておりまして、鋭意、その方向について結論を急いでおるところでございますので、御協力をお願いいたしたいと存じます。(拍手)
    〔国務大臣大島理森君登壇〕
国務大臣(大島理森君) 菅野議員にお答えを申し上げます。
 WTO農業交渉についてでございます。
 議員がお話しされましたように、ハービンソン議長の提案は、一言で申し上げますと、一部の輸出国、大国の主張に偏重しバランスに欠けている、そういう観点から、全体として受け入れがたい、このようなことを申し上げて、今日まで参りました。
 そして、WTOの非公式閣僚会議そのものは、そういう観点から見ますと、輸出国、つまりケアンズ、アメリカ側と、私ども、EU、日本あるいはまた韓国、そういう国々との厳しい隔たりがある。そういうふうな中にあって、この案は、触媒としての位置づけをされたところでございます。しかしながら、一方、三月末までにモダリティーを確立するということも、政治的にこれはお互いの共通認識にしようとしたところでございます。
 今後の三月末までのモダリティー確立に向けての見通しあるいは進め方はどうかという御質問でございましたが、私どもは、そういう厳しい対立軸の中における議論でございますが、まさに一言で言いますと、各国の農業が改革をぎりぎりまで進めながら、多様な農業が存立するということを基本にし、食料安保あるいは農業の持つ多面的機能、そしてまた、それらを含めた非貿易的関心事項、そういう基本的な考え方を共有するEUあるいはフレンズ国、そして発展途上国、こういう国々に理解を求めつつ、しかし一方、私どもと意見が違う国々に対しても理解を求めるよう全力を尽くしながら、バランスのとれた公正な貿易ルールをつくるために全力を尽くしてまいりたい、このように思っております。
 次に、ウルグアイ・ラウンド関連対策に対する政策評価についてのお尋ねでございます。
 この関連対策は、平成七年度から六年間にわたる対策として、農業合意が我が国農業・農村に及ぼす影響を極力緩和するとともに、望ましい農業構造の実現と生産性向上を目指して実施してきたところであります。
 本対策の効果発現には長時間を要するものでありますが、各事業の成果を評価し、その結果を公表するとともに、農林水産行政に反映していくことは極めて重要であると考えておりまして、平成十二年の七月には中間評価を行いました。
 これによれば、担い手への農地の集積の目標が約半分という低水準の達成度合いの事業も見られますが、全体として見れば、稲作の労働時間が約六割短縮するなど、着実に効果が生じている事業もございます。
 我々は、平成十二年度から政策評価に取り組んでおりますが、評価をし、分析をし、その上に立って、反省をしなければならないところがあれば反省をしながら、新しい政策をつくっていくことが責務だと思っております。
 最後に、緑の雇用の問題でございます。
 農林水産省としては、林業事業体への本格雇用や地域への定着を促進するため、平成十四年度補正予算において必要な額を確保し、森林整備の担い手として必要な専門的技能・技術の習得を図る、緑の雇用担い手育成対策に取り組むこととしております。
 今後とも、厚生労働省の緊急地域雇用創出特別交付金事業などとも連携しながら、森林・林業基本計画の達成に向けて努力してまいる所存でございます。(拍手)
    〔国務大臣坂口力君登壇〕
国務大臣(坂口力君) 私にいただきました問題は、一問のみでございます。
 林業労働力の確保についてでございます。
 これも、重要性はすべての人がわかっているわけでございますが、採算に乗らないところをどうするかというのが一番大きな問題だというふうに思っております。
 厚生労働省といたしましても、林業労働力確保法に基づきまして、都道府県に林業労働力確保支援センターを指定いたしまして、ここでしっかりやらせていただいているのが現状でございます。
 そのほか、就業ガイダンスでありますとか職業講習、あるいはまた雇用情報誌の発行等、これらの助成をいたしますとか、東京、大阪、名古屋なんかのハローワークにおきましては、都市から地方へということで、相談にも乗っているところでございます。
 そのほか、今、農林水産大臣からもお話がございましたが、緊急地域雇用創出特別交付金の活用につきましても、今まで半年でございましたけれども、これを一年に延ばすことができるようにいたしまして、そして、その間にいろいろおやりいただきましたことをさらに地域で延長していただけるような体制をつくっていただくということで、お願いをしているところでございます。
 そうしたことを中心にして、今、進めているところでございます。(拍手)
副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時五十九分散会


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